衆議院

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第2号 平成25年3月15日(金曜日)

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平成二十五年三月十五日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 金子 恭之君

   理事 大塚 高司君 理事 土井  亨君

   理事 西村 明宏君 理事 松本 文明君

   理事 三日月大造君 理事 井上 英孝君

   理事 高木 陽介君

      赤澤 亮正君    秋本 真利君

      井林 辰憲君    岩田 和親君

      大西 英男君    門  博文君

      後藤田正純君    國場幸之助君

      斎藤 洋明君    坂井  学君

      桜井  宏君    白須賀貴樹君

      中川 郁子君    中村 裕之君

      長坂 康正君    林  幹雄君

      原田 憲治君    平口  洋君

      前田 一男君    宮澤 博行君

      務台 俊介君    泉  健太君

      大畠 章宏君    篠原  孝君

      寺島 義幸君    若井 康彦君

      坂元 大輔君    西岡  新君

      三宅  博君    佐藤 茂樹君

      樋口 尚也君    柿沢 未途君

      杉本かずみ君    穀田 恵二君

    …………………………………

   国土交通大臣       太田 昭宏君

   復興副大臣        浜田 昌良君

   厚生労働副大臣      桝屋 敬悟君

   国土交通副大臣      梶山 弘志君

   国土交通副大臣      鶴保 庸介君

   国土交通大臣政務官    赤澤 亮正君

   国土交通大臣政務官    松下 新平君

   国土交通大臣政務官    坂井  学君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           西藤 公司君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局安全衛生部長)       宮野 甚一君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房長) 久保 成人君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         深澤 淳志君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長)            西脇 隆俊君

   政府参考人

   (国土交通省国土政策局長)            大森 雅夫君

   政府参考人

   (国土交通省土地・建設産業局長)         佐々木 基君

   政府参考人

   (国土交通省都市局長)  川本正一郎君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局長)        足立 敏之君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  前川 秀和君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  井上 俊之君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  滝口 敬二君

   政府参考人

   (国土交通省自動車局長) 武藤  浩君

   政府参考人

   (国土交通省海事局長)  森  雅人君

   政府参考人

   (国土交通省港湾局長)  山縣 宣彦君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  田村明比古君

   政府参考人

   (観光庁長官)      井手 憲文君

   政府参考人

   (気象庁長官)      羽鳥 光彦君

   政府参考人

   (海上保安庁長官)    北村 隆志君

   国土交通委員会専門員   宮部  光君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十五日

 辞任         補欠選任

  若宮 健嗣君     中川 郁子君

  大畠 章宏君     篠原  孝君

同日

 辞任         補欠選任

  中川 郁子君     若宮 健嗣君

  篠原  孝君     大畠 章宏君

    ―――――――――――――

三月十四日

 特定船舶の入港の禁止に関する特別措置法第五条第一項の規定に基づき、特定船舶の入港禁止の実施につき承認を求めるの件(内閣提出、承認第一号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 特定船舶の入港の禁止に関する特別措置法第五条第一項の規定に基づき、特定船舶の入港禁止の実施につき承認を求めるの件(内閣提出、承認第一号)

 国土交通行政の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

金子委員長 これより会議を開きます。

 国土交通行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として国土交通省大臣官房長久保成人君、大臣官房技術審議官深澤淳志君、総合政策局長西脇隆俊君、国土政策局長大森雅夫君、土地・建設産業局長佐々木基君、都市局長川本正一郎君、水管理・国土保全局長足立敏之君、道路局長前川秀和君、住宅局長井上俊之君、鉄道局長滝口敬二君、自動車局長武藤浩君、海事局長森雅人君、港湾局長山縣宣彦君、航空局長田村明比古君、観光庁長官井手憲文君、気象庁長官羽鳥光彦君、海上保安庁長官北村隆志君及び厚生労働省労働基準局安全衛生部長宮野甚一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

金子委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

金子委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。西村明宏君。

西村(明)委員 自由民主党の西村明宏でございます。

 国土交通行政に関する国土交通大臣の所信表明に対して質問いたします。

 東日本大震災からの復興についてお伺いいたします。

 東日本大震災からの復興は、安倍内閣の最優先課題の一つです。先般、総理指示に基づきまして、住宅再建・復興まちづくりの加速化に向けた施策パッケージが発表されたところでもあります。

 大臣も、所信表明において、「今なお、三十二万人もの方々が避難生活を続けておられるという現実。我々が目指すものは、この方々が復興を実感できる取り組みです。」と述べられています。

 この実現のためには、施策パッケージを強力に推進していく必要がありますが、大臣の御決意を伺います。

太田国務大臣 御指摘のように、安倍内閣は、全閣僚が復興大臣のつもりで取り組むということを確認してスタートを切ったところでございます。

 現在、道路とかの基本インフラはかなり整備が進んでいるという状況にありますが、まちづくりと住宅が特におくれているという感を深くします。

 その中で、先般、三月七日に工程表をお示しすることができた。生活は見通しがきくかどうかということが大事ですから、これで、住宅は我が地域においてはいつ着工されて、いつごろ入居できるのかという見通しができるようになった。そういう意味では、工程表の役割というものは極めて重要なことだというふうに思います。

 お年寄りを初めとして皆さんが思うのは、ここからというふうに言って、待ちに待ったその工程表のスタートを待つというふうに思いますから、私は、何とかこの工程表よりも一週間でも十日でも早く、それぞれが短縮してできるようにということを国交省全体に指示し、そして全体で確認しているところです。

 さまざま隘路がございます。技術者やあるいは技能者が不足している、生コンが不足している、いろいろな問題がありますけれども、そこの隘路をしっかり断ち切って、早く復興が進み、去年は復興元年と言われたけれども、ことしは復興の実感の年にしたい、地元に行きますとそういう声を随分聞きますので、復興が実感できるように頑張っていきたいと思っております。

西村(明)委員 大臣には、現場主義ということで、本当に被災地に足を運んでいただいております。その工程表が適宜繰り上げで更新できるように、ぜひお力を尽くしていただきたいと思います。

 続いて、防災・減災対策についてお伺いをいたします。

 首都直下地震や南海トラフ巨大地震などの大規模災害の発生が懸念される中、国民の命と暮らしを守ることが何より重要であります。そのためのハード、ソフトにわたる防災・減災対策を具体的にどのように進めていくのか、鶴保副大臣にお伺いします。

鶴保副大臣 委員御指摘のとおり、国民の命、暮らしを守るため、最大限の努力をせねばならないというふうに考えておりますが、それにおいても、首都直下型地震と南海トラフ地震等々、それぞれ態様、想定される規模が違います。

 まず首都直下型地震については、密集市街地などにおける大規模火災等が想定されますので、住宅・建築物の耐震化や不燃化などを重点的に進めていくこと、また、首都機能や経済活動の継続、帰宅困難者への対応、またネットインフラの維持など、大都市特有の課題にも事前に備える対策が必要であろうというふうに考えております。

 片や南海トラフ巨大地震においては、想定される津波に対して最大限の努力をしていく必要があるだろう。避難対策や広域な応援体制の構築、そしてまた考えられる限りの防災教育、訓練などに力を入れていく、そういうことを我々は考えていかなければならないと思っております。

西村(明)委員 今、副大臣からお話があったように、いろいろな訓練をやっているところは非常に多くの人命が助かったという事例もありますので、そういったものをさらに進めていただきたいと思います。

 また、被災地において、仙台市のように人口の密集したところというのは帰宅困難の皆様がたくさんいらっしゃいました。首都を初めとした、さらなる人口密集地において大規模な被災が起きたときのことを考えた対策を、ぜひよろしくお願い申し上げます。

 続いて、インフラ老朽化対策についてお伺いいたします。

 高度成長期以降に集中整備されたインフラの老朽化対策は喫緊の課題だと思います。東京オリンピックのころから日本の成長に合わせて整備されてきた社会資本が、半世紀を次々に迎えてまいります。急速に老朽化していく状況を踏まえて、大臣も所信表明の中において、本年を社会資本メンテナンス元年と位置づけておられます。これまで以上の取り組みが必要だとの御認識だと思います。

 具体的推進施策について梶山副大臣に伺います。

梶山副大臣 委員御指摘のとおり、高度成長期以降に整備したインフラが、今後急速に老朽化をしてまいります。例えば橋梁でいえば、今、築後五十年たっているものが一六%ですけれども、二十年後にはこれが六五%になるといったような状況であります。国民の命を守る公共事業として、インフラの維持管理、更新にしっかりと取り組んでいくことが重要だと思っております。

 笹子トンネル事故のような事故を二度と繰り返さないよう、まずは、総力を挙げて安全の総点検と補修などの対策を進めてまいりたいと思っております。さらに、維持管理に関する基準の改善、構造物のデータベースの構築、新技術の導入、制度面の見直し、検討を総合的に、横断的に推進をしてまいります。

 加えまして、インフラの大部分を管理している地方公共団体に対しましては、マニュアルの提供や研修等を実施していくほか、防災・安全交付金により積極的に支援をしてまいる所存でございます。

 全省的に立ち上げました社会資本の老朽化対策会議におきまして、こうした取り組みの工程表を、今取りまとめの作業をしているところでありますけれども、これを早急に取りまとめまして、本年を社会資本メンテナンス元年として、全国の現場で老朽化対策にしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。

西村(明)委員 笹子トンネルでも、とうとい人命が失われました。今まで公共事業というと、新しいものをつくっていく、そういった側面が強調されておりましたけれども、これからは、人命やさまざまな資本を守っていくために、整備、メンテナンスの部分というのは非常に大きなウエートを占めていくと思います。さらなるお力添えを賜りたいと思います。

 次に、インフラ整備を支える建設産業の活性化についてお伺いをします。

 今まで三つお話しさせていただきました。東日本大震災からの復興、防災・減災対策、そしてインフラ老朽化対策。こうしたものを早急に進めていく上で、社会資本整備を支えている建設産業の果たす役割というものは非常に大きいものだと思います。また、安倍内閣が進めている成長戦略、我が国の成長戦略を描く上でも、地域の基幹産業である建設業の活性化は重要なテーマだと思います。しかし、実情は疲弊し切っている、これが現在の姿だと思います。

 例えば、急な豪雪。本年は非常に雪が多かったです。そうしたときに、大雪になった、除雪をお願いしたいとお願いをした場合でも、資材がない、申しわけないけれどもできませんという例が多々ございました。自分の会社でその資材を抱えていく余裕がなくなってきている。だから、工事が入ったときだけリースで借りてやっていく。今、そういった状況に建設産業全体がなってきているのではないかと思います。

 急な災害が起きたり、そしてまた急な自然災害も含めて、対応してもらう、そういった体力をしっかりと持っていただかなきゃいけない。決してその産業を特に手厚くするということではなくて、国を守るために建設産業が頑張っていただかなきゃいけない。

 そういった意味で、その振興化、活性化に向けての取り組みを松下大臣政務官にお伺いいたします。

松下大臣政務官 被災地の実情も踏まえた西村委員の御指摘のとおり、地域の建設産業は、インフラの整備、点検、維持管理、修繕の重要な担い手であるとともに、その地域の守り手でもあり、健全な発展が不可欠だと考えております。

 一方で、近年の建設投資の急激な減少やそれに伴う安値受注等により、経営を取り巻く環境の悪化と、技術者や職人となる若年の入職者の減少が見られるところでございます。

 こうした中で、地域の建設産業の経営の安定化を図り、技術と経営にすぐれた企業が活躍できるよう、品質の確保と適正な価格が両立するような、単なる価格のみの競争ではない入札契約制度の改革に取り組んでまいります。加えて、地域の建設産業の健全な発展を図るためには、インフラの整備や維持等の仕事について、将来が見通せるよう計画的、安定的に事業を行っていくことが必要だと考えております。

 また、若年入職の課題につきましては、学校等と連携した入職の促進や人材育成の充実など、建設業の担い手の確保、育成を図るための取り組みを進めてまいります。

 さらに、建設産業が社会資本の整備を担い、国土や地域の守り手となっていることに建設産業自身が誇りを持つとともに、建設産業以外の方々にもこうした認識を持っていただくようにすることが必要だと考えております。建設産業に従事する方々に自信と誇りを持っていただけるよう、環境の整備に努めてまいりたいと思います。

 以上です。

西村(明)委員 松下大臣政務官、ありがとうございました。

 被災地のさまざまな復興事業にも政務官にもおいでいただいておりますので、現地の声はしっかり届いていると思います。建設業を含めたところに若者がどんどん参入して、そして建設産業自体がこれからの日本を担っていけるような産業に育っていくようにお力添えを賜りたいと思います。

 次に、公共事業予算のあり方についてお伺いをいたします。

 今、建設産業のお話もありましたけれども、インフラの計画的な整備、維持管理、こうしたことのためにも、また、公共事業を支える建設業者が将来の見通しを持って経営が行われるようにするためにも、公共事業の当初予算は安易に変動させるべきではないと思います。長期的、安定的な当初予算を組んでいくことが必要だと考えます。

 景気対策とかさまざまなものは補正予算でしっかりとやっていけばいい。しかし、当初予算が政治とかさまざまな要因によって伸びたり縮んだり、そんな形になると、それを中心に会社の経営をやっていこうという企業の意識が非常に縮小してまいります。

 今、被災地でも人手が足りないということで、もともと建設業に従事していて他業種に移った皆さんに、戻ってきてほしいという声をかけている。だけれども、その人たちが言っているのは、あと五年、十年はいいかもしれないけれども、その後また仕事がなくなってしまったら大変だ、だから、今やっている仕事の方を続けたいというような話も聞きました。

 しっかりとその産業で、一生をかけて誇りを持った仕事ができるような、そういった形になるためにも、国としてしっかりと後支えが必要なのではないかと思います。

 そうした意味において、公共事業予算についての御見解を大臣にお伺いしたいと思います。

太田国務大臣 おっしゃるとおりだと思うんですね。

 近年、急に予算が削減されてくるというようなことがあったり、今政務官から話がありましたが、誇りが持てないというような仕事であれば、若者が建設業界を初めとして入ってこない。そして重機も持てない。見通しがきかない。予算は、急にふえても実際は大変なんだけれども、減るということはもっと大変なことだ。だんだんそういう状況が来ているというふうに思います。

 その意味では、私は、とにかく業界が、見通しがきいて、今西村先生がおっしゃったように、そんなに急にふえるというんじゃなくて、ずっと仕事があって、誇りのある仕事があるということであって初めて、若者が入ってきて、重機もあって、ある意味では、地元の業者は医者でいいますと町医者のような存在です。この業界にも大学病院みたいな大きいところもあれば、しっかり地域を守る町医者のような存在だとみずからおっしゃっていたりするんですけれども、そこが安定して、しっかりしていくということが非常に大事です。

 それは、まさに、公共事業というものはこの国を守るために非常に大事なものである、そして無駄な公共事業は削るが、必要な公共事業はあるのだ、そしてまたメンテナンスということも非常にこれから大事になってくる、老朽化対策もやらなくちゃならないという物の考え方をしっかりして、その具現として予算というものが、当初予算では落ちついてそのままいくということが大事です。

 ことし、今御審議をいただく二十五年度予算は、昨年の予算と比べまして、いわゆる地域自主戦略交付金の部分を、公共事業関係費相当分を考慮して移しかえていきますと、実質的には削減に歯どめをかけたという、昨年とほぼ同規模の予算を組ませていただいたところです。

 少しでも、安心して誇りを持って仕事ができるということがさらに実感できるような取り組みを落ちついてしていかなくてはいけない、このように思っております。

西村(明)委員 今、大臣、建設産業は国の町医者だというようなお話をいただきました。まさにそうだと思います。

 無駄な公共事業はしっかりと削っていかなければならない。そうしないと国が肥満体になってしまいます。しっかりと、スリムな筋肉質の体として日本国がやっていくために、大臣を初めお力添えを賜りたいと思っているところであります。

 次に、経済活性化のための仙台空港の整備についてお伺いします。

 日本経済の再生のため、成長を支える陸海空の社会資本の着実な整備は必要だと思います。特に仙台空港につきましては、震災復興、東北振興の拠点となるべき空港であります。

 今、世界の趨勢は航空を中心に発展しております。ヨーロッパ線、そしてアメリカ線は北極圏からアジアに入ってまいります。そうした意味において、東北というのはアジアの喉元の部分に当たるわけでもあります。そうしたところを、例えば、一つは国策として、そういったアメリカ便、ヨーロッパ便をほかの国々の拠点空港にとられるのではなくて、そこでしっかりと離発着してもらって、アジアの喉元を、この東北、日本でしっかりと押さえていくということも考えられましょう。そしてもう一つは、仙台空港を初めとしたやる気のある空港を、手を挙げてもらってしっかりと、自治体を中心とした民営化組織によって自主的に運営して繁栄させていく方法もあるでしょう。

 いろいろな形をとりながらも、仙台空港、国際線を初めとした路線の拡大を図っていくためにも、その機能の拡大と充実強化が必要だと思います。

 大臣の前向きな御見解をお伺いします。

太田国務大臣 私は、仙台空港の現時点のことについては大変思い入れがあるんです。

 三・一一の後、大畠大臣の時代だったですが、四月十三日にあそこが開港して、私は、うれしさもあるし、現地に早くということもありましたから、一番機に乗って仙台空港におりたんです。

 その後ずっと回ったんですが、いかに仙台空港が復興ということで大事かということもあるし、そこでおりたときに旗を立てて迎えてくれた人、その後、そこの仕事に携わった建設業者等の話も聞きました。米軍がやったんだとか、いろいろな大勢の方たちに応援をいただいた。しかし、名前は何にも出ないけれども、黙々と日本の建設業者が頑張って、たった一カ月であそこまで持ってきた。

 私は、そういう意味で大変思い入れがあると同時に、仙台空港という非常に大事なところが、周辺地域の開発や振興策とあわせて、この仙台空港を核とした地域の活性化ということについて、ある意味ではまさに復興の象徴として、これが軸になっていくというふうに持っていくこと。単なる復旧に終わらせないで、そしてまた普通規模の復興ではなくて、仙台空港が地域と一体となって、また民間も含めて、大きく経営ができる、さらに発展していけるというところまで持っていきたいということを強く思っているところです。

 国交省としましても、こうした取り組みを支援して、地元の自治体と連携しながら、東北復興の拠点として、ハード、ソフト両面での機能の充実強化に取り組んでいきたいと思っています。

西村(明)委員 ありがとうございます。大変力強いお言葉をいただきました。

 仙台空港は、アメリカの西海岸までノンストップで離発着できる滑走路を整備しております。東北の農産品や商工業製品も国際的に送り出すことのできる空港でもあります。そしてまた今、宮城県知事も、その運営にかかわって、しっかりと発展のために力を尽くしたいと言っておりますので、お力添え賜りますよう、よろしくお願いを申し上げます。

 次に、領海警備の強化についてお伺いを申し上げます。

 海に囲まれた我が国にとりまして、海は重要な存立の基盤であります。海洋資源活用の試みが進められる中、海洋権益の確保はますます重要となっています。そのため、自民党の公約J―ファイル二〇一二でも、広大な排他的経済水域や島々の安全確保のため、海上保安庁の人員、装備を拡充し、領海・領域を守る体制を整えることが必要としています。

 特に尖閣諸島周辺海域では、外国公船による領海侵入などの動きが増しておりまして、これは、我が国の主権と海洋権益を脅かす極めて深刻な問題だと思います。

 尖閣諸島の領海警備のための海上保安庁の体制強化についての取り組みを赤澤大臣政務官にお伺いします。

赤澤大臣政務官 西村委員御指摘のとおり、尖閣三島の取得、保有以降、尖閣諸島周辺海域では中国公船による領海侵入がたびたび繰り返されるなど、情勢が大変厳しさを増しているところでございます。

 このような状況を踏まえ、領海警備に万全を期すため、大型巡視船十四隻相当による専従体制を確立するなど、早急に海上保安庁の体制強化をする必要があると考えております。

 このため、平成二十四年度補正予算並びに平成二十五年度当初予算案において、大型巡視船の新規建造、それから海上保安官の大幅な増員など、海上保安庁の体制強化のために必要な経費を計上しているところでございます。

 今後とも、我が国を取り巻くさまざまな情勢を踏まえながら、海上保安庁の体制の充実強化を図り、領海警備に万全を期してまいります。

西村(明)委員 大変力強い御回答をありがとうございました。

 最後に、観光立国の実現についてお伺いをいたします。

 観光は、経済波及効果も大きく、大きな成長が見込まれる分野です。一方で、外国人旅行者の誘致というものは、震災、また外交関係などの外的な影響を受けやすく、これらを念頭に置きながら、しっかりと取り組みを進めていく必要があります。

 国土交通省は、ビジット・ジャパン・キャンペーン十周年を迎える本年、訪日旅行者数一千万人を達成するという目標を立てています。ぜひ実現してほしいと思いますが、実現に向けてどのように取り組んでいくのか、坂井大臣政務官に伺います。

坂井大臣政務官 国土交通省は、訪日外国人旅行者数一千万人達成の実現に向けまして、東南アジア等からおいでいただくように市場の拡充を強化いたしてまいりますし、また、中国、韓国は、今一旦減ったという状況がございますが、回復を早め、そして同時に、個人客、ビジネス客という方々にもおいでいただくよう旅行促進を行っております。

 また、外国人旅行者が安心して日本に滞在ができる環境づくり、そして航空網の整備はもちろんのこと、電車やバスといった移動手段も使いやすくするということで、ハード、ソフト一体となった総合的な取り組みを行っているところでございます。

 ただ、一千万人という目標は簡単に達成できるものではございませんで、多くの省庁にも御協力をいただいてということが大変重要になってくるかと思います。このたび新たに設置をいたしました国土交通省観光立国推進本部を中心といたしまして、現場や関係者の声をよく聞きながら、具体的な施策を早急に検討し、実施に移していきたいと考えております。

西村(明)委員 国土交通行政というものは非常に広範囲にわたり、そしてまた、国民の皆様の安全、安心な暮らしを守る大事な仕事でございます。ぜひ、一体となって強力な取り組みをお願い申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

金子委員長 次に、高木陽介君。

高木(陽)委員 公明党の高木陽介でございます。

 本日は大臣の所信に対する質疑ということでございますが、国土交通行政、本来なら、陸海空または観光等々さまざまな課題がありますが、時間も限られておりますので、本日は、防災・減災、老朽化、さらに、現実的な首都直下、南海トラフの地震の問題に絞って質問させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 私たち公明党は、東日本大震災を受けて、また首都直下型地震の被害想定の見直し、または南海トラフ地震の被害想定の見直し等を受けまして、防災・減災ニューディールということを掲げて、さまざまな活動を展開してまいりました。

 自民党の方は、国土強靱化という名目のもとでそういった問題に取り組んできた。

 現在、与党の方では、この防災・減災ニューディールの基本法、参議院に昨年法案を出させていただきましたが、これは解散で廃案になりました。自民党も国土強靱化基本法が廃案となりまして、現在、与党のプロジェクトチームでそれを、議論を進めながらやっております。

 その中で、特に私たち公明党がずっと主張してまいりましたのは、総点検が必要である。ただ単に老朽化対策、または防災・減災の対策をやるというふうに言っても、何がどうなっているのか、どこが危ないのか、こういったことをしっかりと把握しなければいけませんね、そこで、総点検をしっかりとやりましょうということを主張してまいりました。

 そういった中にありまして、まず質問をさせていただきたいのは、道路橋、道路にかかっている橋ですね。

 これは、国が直轄をしているもの、十五メーター以上、自治体が管理しているものもありますけれども、そういったものはそこそこ点検をしているようでございますが、実は、二メートル以上の橋が六十九万九千ある。または道路トンネルが一万三百本。河川管理施設というのが二万九千七百七十四施設。下水道の管渠が四十三万キロメートルにもわたっている。

 こういった中で、今申し上げました老朽化対策の点検の現状について、また、調査をしていると思うんですけれども、その実態を、維持管理の課題ということを含めましてお聞かせ願いたいと思います。

前川政府参考人 お答え申し上げます。

 道路橋につきましては、部材の落下、転倒による第三者被害を防止するため、二月二十七日に、全ての道路管理者に対しまして総点検の実施を要請したところでございます。

 要請に当たりましては、自治体における点検を支援するために、二十四年度補正予算で防災・安全交付金による財政的な支援に加えまして、総点検実施要領の提供や説明会の実施など、技術的な支援に努めているところでございます。

足立政府参考人 河川、下水道についてお答えをいたします。

 これらの施設につきましても、ただいま説明のありました道路と同じように、二月に全管理者に総点検の実施を要請いたしました。

 国の河川管理施設につきましては、通常点検に加え、調査機器を用いた詳細な点検を行うこととし、都道府県等に対しましても同様の点検を要請しています。

 また、下水道管渠につきましては、布設後五十年以上経過したもののうち、劣化状況が把握できていない管渠、約三千キロメートルにつきまして点検を要請いたしました。

 要請に当たりましては、自治体に対して、防災・安全交付金による財政的な支援、技術的な支援などに努めております。

 以上です。

高木(陽)委員 今、それぞれ、自治体等を含めまして点検の指示等々もなされている、そしてそれをバックアップするために、今回の補正を含めまして、防災・安全交付金といった財政的な支援もしている、こういったこともございました。さらには、実施要領等を出して、自治体に対してテクニカルな部分もしっかりとアドバイスをしているようでございますが、気になっているのは地方自治体管理の社会資本、これが一体どうなっているんだろうか。

 大臣も土木の専門でございますから、例えば、国土交通省というところは専門家の方々がいらっしゃる。道路局、または旧河川局ですね、水管理局、または港湾局、そういったところの方々は、土木ですとか、住宅の建築もそうですけれども、そういう専門的な方々がいらっしゃる。技官ですね。

 ところが、地方自治体、都道府県はまだそういった方々がいらっしゃるかもしれませんが、市町村になりますと、そういう専門家の方々はほとんどいません。例えば、建設課長または建設部長でしょうか、そういったものを管理する方々は、大半の方々がいわゆる文官ですね。しかも人事ですから、一年、二年でかわっていく。そうなりますと、自分の自治体で道路がどうなっているのか、またはトンネルがどうなっているのか、そういったことをずうっと見ている人というのは余りいないと思うんです。

 しかも、そういう技術のない方々が、お金はおりてきました、そして、いろいろとそういう指導をしてもらえる、アドバイスをしてもらえます。地方の整備局でそういうのを主催されたとして、その課長さんや部長さんがそこに出ていっていろいろと聞かれても、技術的な専門用語がわからない方がいる。でも、やはり担当だから行かなきゃいけない、こういう実態があると思うんですね。

 そういった中で点検しなさいよと言われたとき、これをどうするか。もちろん、国直轄の道路局や旧河川局等は自分たちでも点検できるだけの技術を持っていますけれども、一方で、自治体にない場合は、どこかの建設会社、コンサルタント等に委託をする。それがしっかりしているところなのかどうかさえわからない中で、点検を早くやらなきゃいけないからということでやってしまったら、お金だけはかかるけれども実態が伴わない、こういった問題があるのではないかなということでこの質問をしているんです。

 地方自治体の維持管理の課題。体制、人員、技術力、これらをどうしていくのかということをちょっと伺いたいと思います。

深澤政府参考人 ただいま、国による地方公共団体への支援等につきましてお尋ねがございました。

 社会資本の老朽化対策を着実に実施するためには、国のみならず、その大部分を管理している地方公共団体の取り組みが重要であると思います。委員まさにおっしゃるとおりだと思います。

 昨年七月に社会資本整備審議会及び交通政策審議会のもとに設置されました社会資本メンテナンス戦略小委員会が、今般、地方公共団体に対しまして、維持管理の実態に関してのアンケート及びヒアリング調査を実施いたしました。

 それによりますと、地方公共団体が抱える課題として、まず、維持管理、更新の担当職員は、都道府県や政令市では一定数いるものの、町や村では非常に少ないということ。二つ目、特に技術系職員が少なくて、市町村によっては委員御指摘のように全くいらっしゃらない場合もあるということ。三番目ですが、施設の点検結果をみずから技術的に評価するのが困難であるというようなことが明らかになりました。

 また、同時に質問したものの中で、国からの支援を期待する事項としましては、維持管理、更新のための基準、マニュアル等の策定、職員の技術力向上に向けた研修等の実施、さらには予防保全的管理の導入のための支援などが挙げられております。

 これまで、国土交通省として、地方自治体への支援につきましては、地方整備局、国土技術政策総合研究所や土木研究所といった研究機関が中心となって、維持管理、更新に関する基準等の情報提供、自治体職員に対する研修等、さらには、施設に重大な損傷があった場合の技術的な支援などを行ってきたところでございます。

 今お話があったような点検も含めまして、今後とも、地方公共団体に対する国の支援体制の一層の充実を図ってまいりたいと思います。

 よろしくお願いします。

太田国務大臣 御指摘のとおりで、地方自治体のそのあたりをどう応援するかということで、今、マニュアルをつくったり研修というお話をしましたけれども、現場の、さっき町医者的な地域の業者さんたちとの連携ということで、職員で何でもできるというのじゃなくて、この町は自分たちが守るんだという気概を持っていただくということを巻き込んだ一つの形というものもあわせてやっていく必要があるということで、徐々にそういうお話を私は現場でさせていただいていることは事実です。

高木(陽)委員 問題意識を持ってやっていただいているということで、ここの部分はすごく安心したんですが、実は、私は東京なんですけれども、東京都というところはなかなか規模もでかいですし技術もある。外郭団体を持っていまして、私、東京都の技官の方にそういった問題意識を話したときに、東京の場合は、区市町村と、そこの外郭団体が技術のノウハウを持っているので、そこはしっかりとタイアップをしながらやりますと。ところが、東京都の外郭団体ですから、東京都以外の県では活動できないというようなことがあります。

 これは、独法改革等々、今までの行革の流れで、そういった国土交通省所管の、技術をしっかりと持って、または自治体のバックアップをできるところがなくなってきてしまった。だから、ただ単に行革、行革ということで組織がなくなっていくということが果たしていいのかどうかということも、一つ問題提起をさせていただきたいと思います。

 なぜこんなことを言っているかというと、政権交代をいたしまして、今回も公共事業の部分がクローズアップされている。そうなりますと、またばらまきか、また古い政治に戻るのか、こういった批判をされる方がいらっしゃるわけですね。

 実は、去年の十二月の衆議院選挙のときでございますが、私は党の広報の担当もやっておりますので、テレビの討論番組によく出させていただきます。TBSの、みのもんたさんの「朝ズバッ!」に出ました。そのときにこれが問題になりまして、みのさんが、高木さん、公共事業ですけれどもと、こういうふうに言ってきた。

 私はそのときに、みのさん、今、東北で復興が行われていますね。あの震災で港が壊れました、道路や橋が壊れました。そういった中で、生活を取り戻さなければいけない、復興しなければいけないということで、今、復興を加速するために道路を直しています、港湾を直しています。そうしないと仕事もできない。これは公共事業ですね。これは悪いことですか、こういうふうに聞いたら、みのさんは、それは大切なことです、こういうふうに言いました。

 それをやるのが防災・減災ニューディールなんです。もっと言えば、震災が起きて、命が奪われてから道路を直したって意味がないんだ。震災が起きてめちゃくちゃになって、生活がだめになってからさあ直そうでは遅いんだ。その前に、事前にやることが大切じゃないですか、それが私たちが主張している公共事業なんですよ、こういうふうに申し上げました。

 そのためには何をするかといったら、冒頭に申し上げました総点検をやることが大切だ。そして、なるほど、ここは早くやらないと震災のときに命にかかわるなというところに優先順位をつける。わからないで、ただ単に全国各地で事前防災ですと、こういうことでやっても、これは本当に必要なのかどうかというのが、そこの住民の方々、多くの国民が理解をする中で公共事業というのはやっていかなければいけないなということを主張させていただきたいと思います。

 その上で、今度は現実的な問題。首都直下型地震がいつ起こるかわからない。今、想定では、三十年以内に七〇%という。ただ、この三十年という数字が出ると、ああ、三十年後に来るのかなと思う方がいらっしゃいますが、これは、きょう起きてもおかしくないという確率ですね。

 その中で、まずは道路について伺いたいと思うんです。

 東日本大震災、三・一一のときに、この都心は大変な渋滞に巻き込まれました。実は、私も、統一地方選挙の前で大阪に行く予定だったんですけれども、夕方の五時でした、結局会合が中止になりましたので、羽田から戻るとき、議員会館に戻るのに六時間かかりました、羽田から赤坂まで。そういう状態でしたね、都内は。

 警察庁からちょっと聞いたんですけれども、一般道二千六百八キロある中で、発生から三時間後、十八時ごろから渋滞のピークになって、二十時から翌日三月十二日の三時まで、通常の道路渋滞と比べると二十倍になっていた。だから、ほとんど車は動かない。これは震災が東北で起きているにもかかわらず、東京は、被害がなくてあの大渋滞でした。

 そんなときに首都直下が起きて、被災をしている、火災が起きている、そういった中でまた渋滞が起きる。特に震災が起きたときは、緊急輸送道路に指定されている道路では、道路に放置しなさい、できれば左側に寄せてキーをつけたまま、それで放置をする、こういうふうになっています。ところが、渋滞している中で放置した場合には緊急輸送道路にならないわけですね。その場合、どう道を開いていくか。東日本大震災のときは、くしの歯作戦で道路の啓開活動が速やかに行われたことが復旧また支援の大きな鍵となりましたが、緊急輸送道路に車が放置された場合、どうなるか。

 例えば首都高なんかもずっと渋滞しているわけですね。私は住まいが東京の日野市にあります。国立府中インターから朝乗ったときに、朝のラッシュ時というのは六時台から七時台、もう大体十キロから十五キロぐらい渋滞している。これは、二車線の高速道路がともに渋滞しているわけです。そこで震災が起きたら、十キロ分、車が放置されたままになります。

 緊急輸送道路といっても、消防車も通れない、救急車も通れない、支援物資も通れない。さあ、そういったときにどういうふうにするかということをちょっと伺いたいと思います。

前川政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の首都直下地震発生時については、東京都の地域防災計画におきまして、首都高速道路会社と警察等を初めとする関係機関が連携をいたしまして、速やかに高速道路からの流出を促し、緊急車両を含めた車両の通行を確保することとされているところでございます。

 しかしながら、先日の首都圏の大雪の際、首都高速道路において登坂不能車両が多数発生をいたしまして、その車両の排除に長時間を要し、首都高速の利用者に多大な御迷惑が生じたと認識しております。

 こういった経験も踏まえまして、道路管理者と関係機関とのより緊密な連携に努めていく必要があると考えておりまして、検討をしてまいりたいというふうに考えております。

高木(陽)委員 一月十四日の雪の話も出ました。特に首都高の三号線ですね。車が一台とまってしまったことによって、ずっとああやって一日放置されてしまった。大変な問題になりました。

 ところが、実はこれ、ちょっと調べましたら、一キロの渋滞で大体二百台の車なんですね。では、首都高速または中央高速から首都高四号線に入るところで十キロとなったら、二千台の車が連なっているわけですよ。二車線ですから四千台の車があるわけですよ。これをレッカー車で一台ずつ、これは無理ですね、無理です。ではどうするか。

 実は、東日本大震災のときの啓開で、例えば福島県四倉町内の国道六号線上に放置、あるいは津波で流されてきた自動車三十三台の撤去作業を実施した。これは、いわきの国道事務所、国交省がやった。いわき市、いわき中央署の三者が協議して、最後は国道事務所が撤去するんです。

 自動車としての機能を有していると認められ、路上で放置されていた車両と、これはもう瓦れきになっているなと。流されたもの。

 流されたものだなというものはそのままばっと撤去していっちゃうんですけれども、使える車、いわゆる放置したままだな。これは、いわき中央警察署と連携をとっていわき市が、協議の上、ナンバープレートから所有者に警察が連絡をとった上、承諾を得て移動させているわけです。

 でも、二千台の車を、そんなことやっていられませんね。これは中央高速から首都高四号線に入るだけです。それだけじゃありません、それはあらゆるところで起きているわけです。それを果たして東京都と、または国交省と警察とでできるか。何にもないときだったらできるかもしれないけれども、そのとき火災も起きている、死者が出ている、そういった状況下の中でやるということもシミュレーションを持っておかなきゃいけないんじゃないか。起きてからさあ考えましょうではだめなわけです。

 ここはやはり、想定外ということをもう絶対に起こしちゃいけないわけですから、想定して考えていく。だから、超法規的に、ブルドーザーでがっとどかせなきゃいけないかもしれない。ただ、所有権がありますから、この問題、そのときに協議なんかしていられないわけですから、今からそういうことも検討を重ねた方がいいのではないかなということで、申し上げておきたいなと思います。

 何でこういうふうになっているかというと、首都直下の一番の心配は火災なんですね。木造密集地域で火災が起きていく。特に環状七号線、八号線沿いと言われている。環七、環八も渋滞しているわけです、放射線状に都心に入ってくる道路は通行どめになりますから。ただ、渋滞をしているとそこでとまったまま。

 木密の火災は、普通は緊急輸送道路のような広い道路が遮蔽物として、いわゆる飛び火していかない。そこでとまるわけです。ところが、渋滞している車があると、そこに引火した場合は爆発して、どんどんこれは広がっていく。そうなると、本当は環七、環八のところでとまるはずが、さらに延焼していくという可能性さえあるということです。

 こういったことを、これは国土交通省だけの問題じゃないんです。本当は、予算委員会で全大臣がいて防災担当もいる、そういった方々の前でこれを確認しながら、内閣としてやってもらいたい。大臣も内閣の一員ですから、これを一つの問題意識として持っていただいて、よろしくお願いしたいなと思います。

 もう一つ、航空についてちょっと聞きたいと思います。

 三・一一の際、成田、羽田両空港が一時使用不能になりました。これは、どのような状況で、どのように対応したのかをまず伺いたいと思います。

田村政府参考人 お答え申し上げます。

 地震発生時、成田で震度五強、それから羽田で震度五弱を観測いたしましたものですから、地震発生直後、滑走路を閉鎖して緊急点検を実施いたしました。

 緊急点検の結果、両空港とも安全性に問題がないということが確認されたため、羽田は地震発生約一時間後、それから成田は約三時間後の、緊急機限定での運航再開を経て、約四時間後に民航機の運航を再開いたしました。

 羽田空港及び成田空港の滑走路が閉鎖されたことに伴いまして、これらの空港に向かって飛行していた航空機のうち、八十六機が別の空港に、例えば関空や中部、あるいは横田基地も含めてでございますけれども、着陸をいたした状況でございます。

高木(陽)委員 これも東日本大震災で直接被害がないわけですね、それで数時間とまってしまって、八十六機がほかに行かなきゃいけない。

 これは八十六機ぐらいでしたから何とかなったんですが、首都直下になると、多分、成田も羽田も絶対使えなくなる。先ほどの航空局長の話では、震度五弱、五強でそうですから、いわゆる七が想定されていますので、そうなりますと、ほとんど使えない。

 使えない状態のときに、ずっと燃料がもつのか。それまでにほかに移せるのか。これも想定しなきゃいけないんですが、一番心配なのは、首都直下じゃなくて南海トラフなんです。

 南海トラフになりますと、これは震度七のエリアが大分あります。しかも津波が来る。そうなりますと、南海トラフ級がまずは相模湾沖、東海の方から起きたときに、これは羽田、成田も使えない。その後、連動して津波等を考えたら、中部国際が使えない、関空が使えない、高知龍馬空港も使えません、宮崎等も使えないでしょう。そういったものが一斉に、中日本から西日本の、いわゆる太平洋側の空港が全部閉鎖されたと考えた場合、そういうシミュレーションをしなきゃいけないんじゃないかなということで、この各空港のシミュレーションはどうなっているのかなということで伺いたいと思うんです。

田村政府参考人 一応、そういう南海トラフあるいは首都直下地震におきまして、各空港がどのような被害を受けるかというシミュレーション自体は実施をしております。

高木(陽)委員 これも絶対、想定外をやってはいけないので、本当に全部使えなくなった場合、しかもラッシュ時というか、ちょうど羽田にどんどん入ってくる時間帯があると思うんです。そういったことも想定しながら検討を進めていただきたいなと思います。

 続いて、時間も限られていますから、鉄道について。

 鉄道のトンネル、橋梁の老朽化、耐震化の現状把握、これをちょっと聞こうと思ったけれども、これはもういいです、時間も限られているので。

 鉄道の方も点検等をしっかりやっていただきたいんですが、心配なのは、震災が発生したとき、鉄道が停車するわけですね。それで、安全点検がなされたら駅まで行って、駅に運ぶわけです。

 ラッシュ時、これは鉄道局も数字はちゃんと持っていないんですよね。去年の予算委員会のとき、私は自分でJRに聞いて、メトロに聞いて、民鉄に聞いてやったのですが、朝のラッシュ時というのは首都圏で三百万人の人が電車に乗っているんです、三百万人がその一瞬の時間帯に。もしそのとき地震が起きたときに、各駅にも同じぐらい人がいます。待っています。この三百万人をどういうふうに避難させるのか、この体制についてどうなっているのか伺いたいと思います。

滝口政府参考人 ただいま先生から、ラッシュ時において地震が発生した場合の利用者の避難は一体どうなるのかという御質問がございました。

 ただいまお話がございましたように、私どもとしては、駅周辺を含めまして、朝のラッシュ時などにどの程度の方が駅でとどまることになるのかということについて、十分な推計が実はできておりません。

 一方で、路線について見てみますと、混雑率というのは路線ごとによってかなり実は違ってきております。このために、この問題につきましては個別に、各路線ごとに、あるいは駅ごとに、混雑状況や運転状況を踏まえて対応を考えていく必要があるのではないかと考えております。

 実は、東日本大震災のときに、駅周辺に、駅利用者を含め大量の滞留者が発生する、混乱をするということが起こってしまいました。これを教訓といたしまして、内閣府と東京都が中心となりまして、国交省ほか、鉄道事業者などを含めまして、首都直下地震帰宅困難者等対策協議会というものを設置し、鉄道を含めた各般のガイドラインを作成したところでございます。

 鉄道については、地震が起こった場合に、施設の安全を確認した上で、安全な空間に可能な限り鉄道利用者の滞留を受け入れるというようなガイドラインが作成されておりますが、さらに、鉄道事業者だけでの対応は実は不可能でございますので、したがいまして、準備ができたところから各駅ごとに、関係者、これは行政機関の庁舎や民間ビルを持っておられる方、こういったような方も含めてでございますけれども、関係者との協議会が設置されつつあります。

 具体的には、既に新橋であるとか品川、あるいはメトロの赤坂の駅、こういったところでこういった協議会が設置されておりますが、この協議会で、駅及び周辺の建物の中にどのように誘導するのか、あるいはどのような備蓄品を準備するのか、こういったことについて協議をし、必要な対策を今講じつつあるところでございます。

高木(陽)委員 今、鉄道局長からいろいろとお話がありました。

 住宅局長、申しわけない、時間がなくなってしまったので、また次の機会に質問したいと思うんです。

 実は、何でこういうことを言っているかというと、先ほどから何度も申し上げている、想定外をつくっちゃいけないんだろうな、だから、あらゆる問題があるんじゃないかというところから発しないといけないと思うんです。

 鉄道の事故というのは大変だ。あの尼崎の福知山線の事故で百人以上の方が亡くなりました。実は、今回、首都直下も想定を見直していますけれども、震度六強の東京湾北部地震が、一万一千人死ぬということで一番厳しい想定でした。そのときに、鉄道で亡くなるというのが数百人なんです。

 ところが、今度は震度七になります。震度七というのはどうなるかというと、阪神大震災のときに震度七のエリアで、朝五時四十六分でした、そのときに走っていた電車は、十四本中十三本が脱線しました。震度六強のエリアでは、十三本中三本が脱線、二三%ですね。

 その割合でいきますと、その時間帯ですけれども、相当な脱線が起きる。ラッシュ時間帯で、さっき言った三百万人。一つの列車に、例えば中央線十両編成にはラッシュで三千人乗っているんです。この三千人が、時速百キロのスピードのとき、カーブのときに震度七で脱線したらどうなるか。福知山線になりますよ。ところどころでそういうのが起きるという想定。

 では、とまりました。安全が確認されて駅まで行きますが、駅まで行けない場合はそこでおりるんですね。ところが、ホームがありませんから、車両から飛びおりなきゃいけない。これは聞いたんです、各鉄道の車両の一両につき、はしごは一個しか実はついていないんです。ラッシュで、その車両に三百人ぎゅうぎゅう詰めになっているときに、しかも高齢者と障害者等がいたら、どうやっておりるのか。こういった問題もある。

 だから、鉄道事業者も考えるけれども、とにかく国交省としてみれば、そういった問題も含めて考えながら、国交省がやるということじゃないんですけれども、これは本当に、私たち政治にかかわっている人間、行政にかかわっている人間が、もう二度と想定外という言葉は使わない、こういう中でやらなければいけない、このように思いますが、時間も参りましたので、大臣、最後に一言。

金子委員長 簡潔にお願いいたします。

太田国務大臣 想定外を、想定しなくてはいけない、災害には上限はないというのが教訓であったと思います。

 そうした問題意識を持って取り組みたいと思います。

高木(陽)委員 どうもありがとうございました。

金子委員長 次に、泉健太君。

泉委員 民主党の泉健太でございます。

 まずは、大臣初め政務三役の皆様、御就任おめでとうございます。ぜひ、今、大変防災も注目されている時期でありますし、また海保の関係も含めて、皆様の責任はとても重い、そういった時期での御就任だと思いますので、皆様のこれからの御活躍をお祈りしたいというふうに思います。

 今、委員会室に入りまして、やはり委員会の構成も随分変わったなということを歴然と感じた次第でありますけれども、数は少なくとも、しっかりと野党として政策のチェックもまたしていかなくてはいけないと思っております。建設的に委員会質疑を行ってまいりたいと思います。

 また、大臣におかれましては、京都大学の御出身ということで、私は後輩ではありませんけれども、京都の選挙区の人間でありますので、ぜひ、また京都のことも一生懸命考えていただければということもお願いしたいと思います。

 まず、やはり政権交代以前から、自民党さんなり公明党さんが、自民党でいえば国土強靱化、そして公明党さんでは防災・減災ニューディールというようなことで法案を出されたり、あるいは政策提言をなされたりしてきたというふうに存じております。

 野党のときに政策提言されてきたものというのは、法案にされたものもあったわけです。かつて自民党が野党のときに出された国土強靱化法というのがありましたけれども、我々から、別な党の人間からすると、違いがちょっとよくわからないところがありまして、防災・減災ニューディールとこの国土強靱化というのはどんな違いがあるのかということを、大臣、御説明いただけますでしょうか。

太田国務大臣 私はバッジを落としておりましたから、自由民主党の法案は正直見ておりません。勉強させていただきますと、非常に対象範囲が、最後は共同体、そうしたことの復活から医療の強靱化、幅広い対象というような印象を、これは印象です、印象を受けました。

 私は、逆に、防災・減災ニューディール政策は私と高木さんが中心となってやりましたからお話しできますが、日本の国土を強くしなくてはいけない。防災・減災と思ったのは、ニューディールという言葉が使われておりますように、一九三〇年代のアメリカ、不況を脱出するということの中で、文化政策を一つ、そして公共事業を一つ、両輪にしながらルーズベルトがニューディール政策をとって、そして、一九三八年ごろにはルーズベルトはそれを一旦やめたということで失敗するわけですが、しかし、一九八〇年代に至って、次々と橋が落ちたりさまざまなことになりまして、荒廃するアメリカという現象が起きました。

 私は、この高度成長時代、今から五十年前、四十年前につくったものが老朽化する、これはメンテナンスをしないと、荒廃するアメリカの二の舞になる。しかし、アメリカはその後、経済が成長しましたから、メンテナンスというようなことも含めて、ある意味ではお金があった。これによって支えられてきたということがあったりしました。

 日本は、しかしそれだけの体力、お金というものがなかなかない。ではその中で、公共事業というものを、経済に当然最終的には寄与するということも大事であるとともに、どのようにこの経済成長ということの中でつくってきたものが経年劣化をするというものをしのいでいくのか。そして同時に、私は、京大で耐震工学の専攻なんです。相撲部ばかり知られておりますが、耐震工学を大学院までやったんです。地震のことを本当に心配しています。そういうことから、防災・減災ニューディールということをやっていかなくてはいけないと。

 昭和三十年ごろには、産業基盤としての公共事業という時代があった。五十年前後には生活インフラ整備、住宅や下水道等の整備ということに重点があった時代もあった。しかし今、笹子なんていうことを私は言っているんじゃないんです。去年のもっと初めからそういうことを言っていたわけで、経年劣化をしている、しかも大地震が起きるというこの危機感の中で、そして財政難という中でどうやってこの国の安全を守っていくかという、私は、そういうことで防災・減災ニューディールというのを提唱したところでございます。

 自由民主党も同じようにさまざまな論議をされていると心得ております。

泉委員 ありがとうございます。大変強い思い入れを感じるところでありますけれども。

 自民党の国土強靱化も、今回、担当大臣までつけてということで、外から見てもちょっとよくわかりにくいですね。国土交通以外で国土強靱化の担当大臣がいるというのは、外見ではわかりにくい。ただ、中身を聞いてみると、先ほど大臣がおっしゃられたように、いろいろな分野にわたって強靱化をしていきたいということをおっしゃっておられて、どちらかというと国民生活強靱化というか、国家強靱化というか、そういうことの方が呼び名としてはふさわしいのではないのかなと。国土と余りに強調し過ぎると、やはり、国土交通事業のみというようなイメージが自民党の政策からは出てきてしまうのではないのかなと思ったりもいたします。

 また、防災・減災ということでありますけれども、やはり、被災地の復興支援、あるいはこれから東海、東南海、南海ということを考えても、沿岸部の特に防災対策が重要になってくるわけですが、我々も、コンクリートから人へということを言ったときに、よく、いろいろな皆さんが極端な話をされる方がありますが、これはもうどう考えてもゼロサムの話ではないわけでして、やはりシフトあるいは価値観、そういうものをコンクリートから人へ移していこうということを訴えていたわけであります。

 そういった意味では、これからその被災地の復興や新しい防災対策ということを考えたときに、象徴的に言えば、ただ単に防潮堤を大きく強いものをつくれば済むということではないということは、同じような御認識を持たれているのではないかと思います。

 きょうは、もうこの件については、これ以上質問しませんけれども、一つ資料を持ってきたんですが、昭和三陸大津波のときの、昭和八年に、地震から、津波から三カ月後に、済みません、資料は配付資料ではありません。津波から三カ月後、昭和八年の六月に文部省が津波予防に関する注意書というものを出しておるわけですね。

 そこにどう書いてあるかというと、「予防法として最も推奨すべきは高地への移転なり」ということがまず書かれてあります。「住宅、学校、役場等は必ず高地に設くべきものとす。」そして平地には、「漁業者にして往々高地住居の不便を唱ふるものあれども、業務上の施設を共同にし且つ適当なる道路を敷設するに於て其の不便を除くを得べし、」ということで、実は大船渡なんかも、被災地をよく見てみますと、やはり平地の方には倉庫あるいは事業所、そういったものが中心になっていて、高台に住宅がある。

 逆に、地形的あるいは歴史的に仕方がなかったんでしょうけれども、陸前高田ですとか南三陸というのは、役場も含めて、本当に平地の中に存在をしていたということは、なかなかこの教訓が、生かそうと思っても難しいことはあったと思いますけれども、完全には生かされてこなかったということが言えると思います。

 逆に、防浪堤というふうに書いていますけれども、「大津浪に対してはその効果を期し難し、」ということが、昭和八年の段階で書いてあるわけですね。

 そういうことを考えても、水際で津波そのものをとめるということだけでは、やはり大津波には対応し切れないということは、もう皆さんも十分認識されていると思います。だからこそ、我々は、人に着目をして、防災意識を高めること、そして緊急に逃げられない方々は、平地でも高い逃げられるような場所をつくるということ、高層ビルかもしれません。しかし、今回の被災でも、五階建てぐらいの建物では、その五階建ての窓まで全部津波に覆われてしまうという地域もありましたので、よっぽど高層なもの、頑丈なものをつくっていかなければいけないということもあると思います。

 あるいは、しっかりとした避難路をつくらなければ、先日も石巻の研究がテレビで報道されておりましたけれども、渋滞が発生して、その渋滞の間にみんな津波で流されてしまうというようなことがございます。避難路は、大きく、そして山に向かって何本も走らせるような、そういったものをやはり優先させていかなければいけないと思います。

 昭和の八年段階で、もう既にこんなことが書いてあるわけです。津波の波及は緩慢にしてその発生より海岸に到達するまで三陸東沿岸においては通例二十分の余裕あるをもってというふうに、昭和八年の段階でここまで書いてあるんですね。逆に、津浪避難のところでは、老幼虚弱の者はまず安全なる高地に避難すべく、そこに一時間ほどの辛抱をなすを要す、こういうことも書いてある。やはり、津波が来るのは二十分、そして人が移動するのはそう簡単ではないということが、ここでも示されておるわけです。

 この津波の教訓というのは、そのときそのときは覚えているわけですが、やはり繰り返し繰り返し伝えていくことがとても大事だというふうに思います。ぜひ、これからもそういった視点に立って、被災地の防災に努めていただきたいというふうに思います。

 続きまして、きょうはいろいろな問題を扱うわけですが、まずボーイング787の問題についてお話をさせていただきたいと思います。

 まず、大臣、この問題が一月に発生をして、即座にさまざまなチームは立ち上げているわけですが、直近でいいますと、二月の二十八日にボーイングの社長とお会いになられているというふうに思います。このときには、どのようなことをお話しになられましたか。

太田国務大臣 今の、ボーイング787の事案は、一月の八日、これはバッテリー事案です。一月の十六日、これもバッテリー事案です。二回起きたんですね。そのときに、ガラスにひびが入ったとか、それからオイル漏れがあったとかいう、ここはもう解決しているところですが、バッテリー事案が残って、これが非常に深刻だということで、今787を運航していない。

 運航していないということで、世界に五十一機、ボーイング787がある中で、日本に二十四機あるということがありまして、ボーイングの社長としては、まず謝罪ということの目的で来ました。それで、安全を確保していかなくちゃいけないということを社長さんはしきりにおっしゃって、今どういう体制をとろうとしているかというような御説明を手短にいただいたんですが、主眼は謝罪です。

 私の方からは、日本という国、そして日本人というのは、ゲルマン民族とちょっと違うところがあって、安全ということが確保されたら大丈夫だと思わない、安全と安心というのは同じのようで別だから、この別という概念で、安心も確保する、安全も確保するということがあって初めて日本人は自信がよみがえってくるという話をしまして、安全ということで大丈夫だ、と同時に、安心というところまで、しっかりした、そこを含めての安全性というものを確認する、そうした万全な再発防止策が大事であるということを私としては要請した、そういうことでございます。

泉委員 きょうは航空局長も来られていると思いますけれども、私が今少し懸念というか問題意識を持っているのは、これは主に今バッテリーの問題ですね。そして、早速、京都のバッテリー製造者には一月の二十一日に立入検査を実施されているということなわけですね。しかし、これはバッテリーから出火をしたということであるわけですが、当然ながら、バッテリーというのは、そのバッテリーだけでとどまるものではなくて、さまざまな関連の設備があるわけです。

 よく言われるように、日本の会社だけではなくて、フランスの会社も当然そこにはかかわっているわけですが、航空局長、ちなみに、フランスのタレス社というんですか、ここには今、日本の、あるいはアメリカの当局はどのような検査なりを実施したんでしょうか。

田村政府参考人 お答えを申し上げます。

 結局、今問題になっておりますのはバッテリーでございますけれども、このバッテリーというのは、ボーイングから受注したフランスのタレス社が電気システムの一部として設計を指示して日本のメーカーが製造したものである、こういうことでございます。

 そういう意味で、おっしゃるとおり、バッテリーだけではなくて、周辺のものも含めましていろいろと調べる必要があるということで、タレスにつきましては、日本の運輸安全委員会あるいはアメリカの国家運輸安全委員会、NTSBと同じような組織がフランスに、今、事故調査当局がございますものですから、そこに依頼をしてさまざまな調査をしてもらった、こういうことでございます。

泉委員 それは恐らく、二月の六日から十三日の、フランス事故調査局に依頼をしてというもののことかと思います。

 しかし、大臣、これは大きな注目を集めた事故でありました。そして、787そのものも、大変注目をされた機体、我々が将来性を持って世界に送り出した、準国産と言ってもいいくらいにかかわりを持った飛行機であります。その中で問題が起きて、バッテリーで問題が起きた。しかし、一番最初の、即時の立ち入りと言ってもいいものが、日本のバッテリー製造者のみにまずは来たわけですね。これは、原因が究明をされていないさなかにおいて、風評と言うとおかしいですが、かなり印象づけるものになってしまったんじゃないのか、私はそこを懸念するわけです。

 当然ながら、さっきお話がありましたように、バッテリーシステムを製造している会社もあれば、その他さまざまな関連をしている会社もあるわけであります。アメリカと日本の当局が、なぜバッテリー製造会社だけを一番最初に、時期を早めてというとおかしい、早めたわけじゃありませんが、結果的には、そこだけ立入検査をするという判断をしたのか。これは大変残念だという思いをしております。

 それは、もちろん安全対策なり原因究明は早急にやらなければいけませんから、そういうふうに立ち入りしたのが問題だというのではなくて、同時にさまざまな選択肢の中で原因があり得るんだから、やはりこのフランスの会社についても同時期に立入検査をするというような対応が、おかしなうわさというか、あるいはその一定の印象づけにならない、そういうような対応になったのではないかというふうに考えるわけですが、大臣いかがでしょうか。

太田国務大臣 日程的な事実関係については、詳細は航空局長からお話をいただきたいと思いますが、日本のバッテリーということの中で、それのみ先行させたという印象は、少なくとも私は持っておりませんで、アメリカのNTSBと日本の運輸安全委員会、そしてボーイング社、そしてアメリカのFAA、日本の航空局、それぞれが懸命になって、あらゆる方策というものについて同時並行で調査をし、日本のバッテリー会社もありましょう。そして、イギリスにも行ったという事実もありますし、フランスのそういう会社についてもやったということで、特にそこだけ先行させたというふうには、私は、そこにかかわってきた人間として、感じはそれほどないんですけれども、その辺の事実関係、航空局長、答えてくれますか。

田村政府参考人 事実関係から申し上げますと、一月の二十一日から二十九日まで、航空局の調査チームとアメリカの連邦航空局FAAが合同でジーエス・ユアサに立入検査をしたということは事実でございます。

 ただ、これは、結局、バッテリーで高い熱が発生し、一件については発火をした、こういう事実がございますので、まずはバッテリーから調べていく。そして、その中でどういう壊れ方をしているかということを見ながら、その壊れ方によって、だんだんに、その周辺でチェックをする必要があるところというのを解きほぐしていって、周辺機器にたどりついていく。こういう過程の中での調査でございますから、まずはバッテリーの関係について調査をするというのは、こういう事案につきましては常識的な判断であったというふうに考えております。

 他方で、その風評の話というのは、またこれは、最後どういうふうな調査の結果になるかということで、実際の、どこに問題があったかということについては明らかになるというふうに考えております。

泉委員 ぜひいろいろな配慮をしていただきたいと思うわけですね。

 ちまたではいろいろなことが言われております。ボーイングの方が、このバッテリー原因説というものを先行させて、日本に原因を押しつけたのではないかというような言い方をする方もあれば、フランスの方にはなかなか物を言えなかったのではないかという話もあれば、日本が比較的そういったものをまともに受けとめやすい体質があるんじゃないかという言われ方もしたり、いろいろなことが言われます。

 我が国の産業の育成ということを考えても、さまざまなリスクにどう対応していくのかということについても配慮しながら、ぜひこれからもこのボーイングについては進めていただきたいと思いますし、可能な限り、先ほど大臣おっしゃっていただいたような安全、安心というものを確立していただいて、運航再開に至れるように、御努力を引き続きお願いしたいというふうに思います。

 続いて、今度は燃料の問題であります。

 きょうは数多くの問題をやって恐縮なんですが、燃料価格が上昇しているわけであります。直近でいうと、少し落ちついたところがありますけれども、長いスパンで見れば、平成二十三年以降は一バレル百ドル台にも上がっておりますし、そして今現在、特にことしに入ってからは、もう既に国内の軽油価格が百三十円台をずっと超えている状態であります。これはやはり大変なことで、運送関係の皆さんからお話を伺いますと、価格が一円上がれば百五十億円の損失につながっていくというようなお話を伺っております。

 こういうような状況の中で、特に円安、この円安はアベノミクスの中での一つの成果というふうにも語られていますが、当然ながらこれは両面あるわけでして、今、業界の中では、とても大変な状況が近づいているのではないか、もう既に大変な状況がやってきているのではないかという話がございます。

 まず大臣にお伺いしますが、この燃料価格が上昇しているということについて、ぜひ御認識を、今どう考えられているかということをお伺いしたいと思います。

梶山副大臣 燃料価格につきましては、今委員おっしゃったように、為替相場の動向を初めとしまして、中東、北アフリカの情勢をめぐる地政学的リスクの増大などにより原油価格が上がったり、また、さまざまな要因で上昇基調にあると承知しております。

 先ほど委員おっしゃいましたように、今週十三日に資源エネルギー庁が公表しました石油製品価格調査によりますと、国内のガソリン、軽油価格は十四週ぶりに下落、灯油価格は二週連続で下落したものの、引き続き高い水準にあると思っております。

 トラック運送業そして離島等の地方に与える影響というものをしっかりと注視しながら、こちらも対策を考えていく必要があると今思っているところであります。

泉委員 特に、平成二十年ぐらいでしたか、高騰したときには、政府・与党一体でさまざまな取り組みをいたしました。そのときには、航空業界ではある意味当たり前だった燃料サーチャージがあったわけですけれども、これをなるべく導入していこうということで、業界全体でも取り組みが進みました。

 今も、もう一度改めて、この燃料サーチャージについて、さまざまな広報と取り組みの強化というものをしていくべきではないかという時期が近づいてきているように思っております。ぜひ、各窓口を通じて、このサーチャージの導入に向けたさらなる指導の強化ということを国交省にはお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

武藤政府参考人 お答えをいたします。

 委員御指摘のように、変動の激しい軽油費ですとかそういったものは、その事業者の自助努力を超える費用の増加ということでありまして、荷主とか顧客にも適切に負担を求めることが望ましいというふうに考えております。

 今御指摘のありましたように、航空とかあるいは船舶については、燃油サーチャージの導入が比較的進んでいるというふうに認識をしておりますが、一方で、トラック運送事業など、中小企業が中心で、かつ、運賃交渉力が弱いというところにつきましては、燃料高騰分の適切な運賃転嫁が進まないということで、平成二十年に、それを促進させるために、トラック運送業における燃料サーチャージ緊急ガイドラインというものを制定いたしました。

 これまで、そのガイドラインを活用いたしまして、各地域のトラック運送事業者に対してセミナーを開催するとか、あるいはその荷主である全国の経済団体に対して協力を要請するということの働きかけを行ってきているところでございます。

 また、燃料サーチャージの導入促進のためには、その取引自体の適正化の推進ということが重要だと思っておりまして、そういう意味で、その運送契約について書面化を義務づけるということについても、現在、鋭意検討しているところでございます。

 引き続き、適時、セミナーの開催あるいは荷主である経済団体への要請を行うとともに、適正取引に係る取り組みを推進して、速やかに燃料サーチャージが導入促進できるように取り組んでいきたいというふうに思っております。

泉委員 ぜひともお願いをしたいというふうに思います。

 さて、もう一つは、大変大きな話になりますけれども、かつてガソリンのトリガー条項というものがございました。三カ月連続でガソリン平均価格が百六十円を超えた場合、揮発油税の上乗せ分二十五・一円の課税を停止するということでありましたが、これが、さまざまな状況があって凍結がされているということがございます。

 もし、この後、さらにこういった燃料の価格が高騰していくという展開において、これは財務省なりが最終的に判断をされるということでございますが、サーチャージだけでは対応し切れないような状況もあり得るのではないかということは心配はしております。

 そういった意味で、このトリガー条項の一時的な凍結の解除ということも選択肢には入れていかなくてはいけないのではないかというふうにも思うわけですが、大臣、いかがお考えでしょう。

鶴保副大臣 基本的な状況のみ報告をさせていただきたいと思いますが、委員御心配のとおり、燃油価格は高い水準で推移をしております。

 その問題意識の中、トラック運送業などの運輸関係企業などにおいては、運営経費が増大して厳しい経営環境に置かれておるというふうに思います。

 一部にトリガー条項の凍結の解除を求める声があることも承知をいたしておりますが、御案内のとおり、トリガー条項は、東日本大震災の復旧復興のための財源として必要とされる中で、同条項が発動されれば大幅な減収が生じるということの懸念がございます。適用が凍結されたその背景にあることを我々はしっかり認識をしながら、政府一体として取り組ませていただきたいと思います。

泉委員 既にさまざまな財源確保の手段もとられつつありますので、場合によってはということでありますけれども、こういったトリガー条項の発動凍結を解除してくれという声が強まらないような価格でおさまればいいというふうに祈ってはいるわけですけれども、そういったことも選択肢としてはぜひ考えていただきたいと思います。

 要は、やはり、先ほどお話ありましたように、トラック運送業というところについては、非常に事業者の立場が弱いということもございますし、また公共交通、これもなかなかそう簡単に運賃を上げられるわけではございません。ですので、特に、私鉄関係の方々、バスの関係の皆さんなんかは、そういった意味での燃料価格の高騰というのは大変な打撃になるというふうに認識をしております。ぜひとも、先ほどお話をしたサーチャージの導入等々、さまざまな対策について、これからも御尽力をいただきたいというふうに思います。

 そして、続いての問題は、また大きく変わりますけれども、墜落、転落事故についてであります。

 きょうは、厚生労働省からは桝屋副大臣にもお越しをいただいております。実は公明党の副大臣ということでぜひともお越しをいただきたいということで、所管委員会が開かれている中、大変御協力いただきましてありがとうございます。どうしてもやはりお呼びをしたかったわけでありまして、お許しをいただきたいと思います。

 かつて平成二十二年に、我が党の当時の川内衆議院議員が同様の観点から質問させていただいているわけですけれども、簡単に言いますと、建設作業現場において足場から転落をする、墜落をする、それによって、けが、あるいは時には死亡という事故が起こっているわけですが、これがかなり数が多いという状況が続いております。

 きょうは時間の関係で全部御説明いただくことはできないわけですけれども、私が伺っておりますと、国土交通省は、国関連の事業においては、この足場における安全対策に、やはり随分と配慮をするようになってきていて、手すり先行工法というもので、足場をしっかり、安全を守るということで、随分と事故件数が少ない状況になっております。一方で、民間の建築現場、建設現場においては、それに比べるとでありますが、事故件数が多いという状況がございます。

 厚生労働省、もしよろしければ数字をお答えいただきたいと思いますが、現在の、転落、墜落、こういった労働災害の発生状況がどうなっているかということについて教えていただけますでしょうか。

宮野政府参考人 お答えをいたします。

 私どもにおきまして、死亡災害について、公共、民間別にこの件数を集計いたしております。

 それによりますと、平成二十三年でございますけれども、建設業における死亡災害の発生件数、全数で三百四十二件、公共工事が九十六件、これは地方自治体の発注も含みます。そして民間工事が二百四件、その他分類がなかなかできないものが四十件ということになっております。

 また、墜落、転落事故の数字を申し上げますと、墜落、転落事故の死亡者数、災害計が百五十四件、うち民間が百七件、公共工事が三十四件、その他が十三件となっております。

泉委員 こういった足場からの転落事故というのがあるわけです。そして今、数字が述べられました。

 しかし、委員の皆さん、ぜひこれはお聞きいただきたいわけですけれども、この数字が果たして亡くなられている方、あるいはけがをされている方の全てなのか。これは厚生労働省、改めてお答えいただけますか。この数字が、現場で亡くなられている方々の数字の全てなのかどうなのか。もし全てでないとしたら、それはなぜなのか。お答えいただけますか。

宮野政府参考人 お答えをいたします。

 今、私どもでお示しをした数字は、いわゆる労働者の災害の件数でございます。

 労働安全衛生法上、労働者に該当しない、いわゆる一人親方の方については、私どもにおいては報告を義務づけておりませんので、今お示しをした数字の中には入っておりません。

 一方で、建設業においては、いわゆる一人親方といった方についても、たくさんの方が就業をされております。そういった方、私どもの労災保険の特別加入という制度がございますが、この制度に加入をされているいわゆる一人親方の方、約三十七万人の方がいらっしゃいます。こうした方についても、労災保険の給付がされる場合については、私どもとしてその災害の発生状況を把握しております。

 一人親方で労災保険に特別加入をされている方について死亡事故があったということで、私どもの方に申請があった件数でございますけれども、これが二十三年度で六十二件というふうになっております。六十二人の方が、これは通勤災害等も含めますけれども、年間で亡くなられておられるということでございます。

泉委員 桝屋副大臣、今お話を伺っていただいて、労働災害のデータとしては冒頭に説明があった数字なわけです。しかし、同じ現場で仮に一人親方が転落、墜落でけがをされたり、あるいは死亡されたりしても、このデータには出てこないわけですね。

 そして、私も厚生労働省から資料をいただいたんです。では、どうやって彼らの事故の状況を把握するんだというふうに言ったら、出てきた資料が、今御説明があった、一人親方が約三十七万人、一人親方が三十七万人もいる。そして、お葬式の葬祭料を支給した件数が六十二件です。これは、一人親方で加入をしていれば支給されるものですという話なわけなんですね。

 やはり、これは先ほど交通災害もという話もありましたけれども、同じ現場で仕事をしていて、実は我が国というのはちゃんとした事故統計がとられていなかったということになるのではないかということを、ぜひ、命を大事にする、特に公明党の大臣とそして厚生労働副大臣、お越しをいただいておりますので、こういう問題があるんだということをぜひとも御認識いただいて、やはり、傷ついた案件あるいは命を落とした事故、こういうものについては、その事故を無駄にしない、このこともしっかり、一人一人の命を捉えて、どの事故についても一件は一件でありますし、そしてそれが正確に統計にあらわれてこないようであれば、これはやはり対策等々もずれてくるのではないかというふうに私は思うわけであります。

 そういった意味では、労災の支給に関する統計というのは、これは労災の統計としておとりになればよいというふうに思いますが、実は、現場の関係者から話を聞いていますと、死亡事故なり、あるいはけがの事故があれば監督署が来るというふうには聞いているわけです。警察、消防、監督署がやってくると聞いているわけです。そうすれば、監督署は全く何の記録もなしに帰っていくわけではないと思うんですね。何らかの統計なり、何らかの記録が一件一件のことについて残されているのではないかというふうに私は思うわけです。

 厚生労働省、改めて、副大臣でも結構ですが、何らかの統計が残されていないのか、あるいは、残されているのであれば、それはちゃんと別な統計として全て記録をするべきではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。

桝屋副大臣 厚労省の桝屋でございます。きょうは、所管の委員会がある中でわざわざお呼びいただきまして、心から感謝申し上げます。

 先ほど事務方から御説明を申し上げました。一つは労働安全衛生法上のデータのとり方、それから労災。多分、委員の御指摘は、一人親方が完全に抜け落ちているではないか、こういう御指摘であります。

 ただ、先ほど、労災の特別加入、三十七万という数字が大きいか少ないかでありますが、私は、やはり労働災害を考える上で、労災のデータということも極めて大事だろうと思っております。

 この労働安全衛生法上のデータと、それから労災のデータと、これをベースに労働安全衛生法上の取り組みを進めていく。とりわけ委員が大事に考えておられる転落事故防止ということを、この安全対策を進めていくということでは、私は十分その作業はできるというふうに思っているんですが、今御指摘ありました、いろいろな省庁が持っているデータも注意深く見ていけ、こういう御指摘を真摯に受けとめたいと思います。

泉委員 それは、経営者が工事現場で死のうが、あるいは一人親方が死のうが、あるいは労働者が死のうが、死のうがという表現はちょっと、余り品はよくありませんけれども、やはり同じなんですね。工事現場で起こっている事故を一件でも少なくするというのが誰の責任においてなされることなのか。これは、今、厚生労働省に言わせれば、労働者のみ私たちですというようなことになってしまっております。では、工事現場ということで国土交通省がやってくださるのかといえば、恐らく、なかなか一人親方の事故のみを国土交通省がカウントしますということにもならないんだと思います。

 しかし、建設現場でこうして起こっていることでありますので、建設現場の事故においてしっかりとした統計がとられるように、そして場合によっては、やはりそういうことが公共事業の発注等々でも点数の中で考慮されていけば、もっともっと事故に対する配慮というものは進むんだと思います。そういった取り組みも国土交通省には、私はぜひお願いしたいというふうに思っております。

 いずれにせよ、先ほど冒頭申しましたような足場の安全策、手すり先行工法を初めとした足場の安全策というものがもっと進んでいけば、まだ目に見えない、こうして数字にあらわれない死亡事故あるいはけがというものももっと減っていくんだと思いますし、この数字にあらわれているもの以上に、かなり数多くの隠れた死傷事故があるということ、これをぜひ御認識いただきたいということであります。ぜひその点をお願いして、厚生労働省には取り組みをお願いしたいというふうに思います。

 では、国土交通大臣、ぜひお願いします。

太田国務大臣 泉先生にはお礼を申し上げなくちゃいけないと思います。実は、この足場の問題を国会の中で一番最初に取り上げたのは私です。それで十数年かかっています。幅木とかがない。景気が悪くなって、建設作業現場で、そうした手すりを、もうそんなものは要らない、幅木なんか要らないよというようなことで、転落事故が多くて、何とかしてくれないかという話で動き出したのは私なんです。

 それで、お礼を申し上げます。しっかりこれは取り組んで、私もこういう立場になりましたものですから、その責任のもとで、しっかり足場が守られていくように頑張りたいと、決意を申し上げます。

泉委員 大変心強い決意をありがとうございました。太田大臣と桝屋副大臣の、省庁は違えど、連携で、ぜひこの問題、さらに進めていただきたいということをお願いしたいと思います。

 では、桝屋副大臣、これで結構でございます。ありがとうございました。

 最後の質問であります。

 これは、リニアのことについて質問をさせていただきたいと思います。

 平成二十三年五月に整備計画が決定をなされました。このリニアは、過去からさまざまな経緯があることではあるんですが、私は関西圏に住む一人の人間として、主には、ずっと実験が行われてきたのも、関東の方で行われてきたというか、山梨の方で行われてきたということもありまして、技術としてのその進展はすばらしいものだと常々思いながらも、関西圏にどういう形で来るんだろうというのは、ほとんど、実感を持って余り捉えることはございませんでした。多くの関西の住民も、どんな路線で、どういう形で来るんだろうということは余り想像してこなかったわけであります。

 そういった中で、この平成二十三年五月に決定をされて、その中では、まずは名古屋までを先行させて工事を行うということでありまして、その後、大阪までのルートが建設されるということで、一つタイムラグが生じるようになってしまったということで、そこで初めて、これは随分と時間がかかってしまう計画になってしまったなというふうに実感をしております。

 このタイムラグというものについては、大変残念でありまして、今回JR東海さんが、全て民間資金で、自己資金でやりたいということでの計画なわけで、そのJRさんの意向に基づいてプランも今考えられているわけですけれども、例えば路線についても、名古屋以西については、幾つかの案を比較検討なされたというような印象を余り持っておりません。そういうものもなかったんだと思います。山梨ですとか長野のあたりは、Aルート、Bルート、Cルートというような形での比較検討があったと思うんですが、名古屋からは全くなく、ただ駅を奈良市周辺につくるということだけになっているということであります。

 これは、昭和の四十年代にまず計画がなされたときは、東海道新幹線というものがこの国のまさに国土の軸であるというような発想からスタートしているわけで、そこからさまざまな新幹線を伸ばしていくというような考え方で、いろいろな新幹線のことが書かれてあるわけです。羽越新幹線や奥羽新幹線、中央新幹線、北陸・中京新幹線等々書かれているわけです。

 そういう中でのこの中央新幹線なわけでありまして、しかし、今回、今回というか平成二十三年に決定をされました、この中央新幹線小委員会での答申を見ますと、中央新幹線の整備は、その速達性向上など大動脈の機能を強化する意義が期待されるということで、東海道新幹線による大動脈との二重系化というふうに書いてあります。

 二重系化であればまだいいわけですが、その次には、現在の「のぞみ」型の旅客輸送が担っている輸送ニーズの多くが中央新幹線に転移する、そして東海道新幹線は「ひかり」・「こだま」型へと変革することが可能になるという表現になっておりますが、簡単に言えば、「のぞみ」型ではなく「ひかり」・「こだま」型に戻ってしまうというようなことが書かれているわけです。

 これは、東海道新幹線の周辺でこれまで生活をしてきた者についてはかなり大きな影響があるのではないかというふうに思っておりまして、京都ルートというものが、今、京都の関係団体からさまざま計画が立案をされているわけですが、私は、ぜひこれまでの東海道ということを重視した計画を考えていただきたいということを改めて思っているわけであります。

 まずはそのことをお話をさせていただいて、大臣には、この名古屋以西のルートについて、これはまだ幾つかの検討をする余地があるのかということをお伺いしたいと思います。

鶴保副大臣 鉄道を担当させていただいておりますので、私の方から事実関係を答弁させていただきます。

 平成二十三年五月に中央新幹線の整備計画を決定する際には、交通政策審議会の中央新幹線小委員会を計二十回開催させていただきました。その際、名古屋―大阪間の整備の問題を含め、有識者の皆様から幅広く御意見をいただいて、十分に議論を尽くさせていただいたものと考えております。

 この答申は一昨年五月にまとめられたものであり、現在の計画どおり、今後の手続を進めていくことが適当であると現在のところ考えております。

泉委員 大変あっさりしているわけですが、これは、京都だけで百四十万人を超えている。そして、神戸も百五十四万人の人口であります。一方で、奈良はというと、大変恐縮でありますが、三十六万人ということでございまして、やはりこの関西圏、三大都市圏をしっかり通過するという考え方がそもそもの考え方であったわけであります。

 そういった意味では、京都駅ルートというものをぜひこれから検討していただかなきゃいけないんじゃないのかなというふうに私は感じております。それは、大臣がお過ごしになられた京都というのは、ただ単なる学都ということだけではなくて、やはり我が国の観光を引っ張る都市でもございます。そして、皇室にも関係の深い土地が数多くある場所でもございます。

 そういった意味では、関西に関しての新幹線についてはほとんど地元でも議論が進んでおらない、そういう中でこの計画が決まってしまっているという印象は拭えませんので、関西圏からしっかり意見を聞いた中でのさらなる計画の改善をこれからぜひお願いしたいということを申して、私からの質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

金子委員長 次に、寺島義幸君。

寺島委員 民主党の、長野三区から初めて当選をさせていただきました寺島義幸でございます。

 初めての質疑でございまして、不行き届きの点が多々あろうと存じまするけれども、お許しをいただきたいと思うわけでございます。

 通告に従いまして、順次質問をしてまいりたいと存じます。

 まず初めに、地域公共交通の維持確保についてでございます。

 地域公共交通については、人口の減少や、公共交通から自動車への利用転換などによりまして利用者の減少に歯どめがかからず、地方のバス、鉄道事業者の経営も非常に厳しい状況に置かれているわけでございます。

 全国の乗り合いバスの収支は、民間事業者の約七割が赤字と言われておりまして、特に地方においては、利用者の減少が著しいことから、事業者の路線バス事業からの撤退が生じているわけでございまして、民間が手を引いた地域の足を、市町村や地域の協力によりまして維持確保する事例も多いわけでございます。例えば、私の長野県内では、七十七の市町村があるわけでありまするけれども、実に七十五の市町村が、市町村からの委託や補助等によりまして、コミュニティーバスあるいはまたディマンド型交通というようなものを支援しているわけであります。

 また、鉄道においても同様に、約八割の事業者が赤字と言われており、平成十二年度以降、全国で三十五路線の鉄軌道が廃止されております。長野県においても、平成十四年に長野電鉄の木島平線、そして平成二十四年でありますが、同じく同屋代線が廃止となっており、通勤通学の皆様に大変大きな影響を与えているわけでございます。

 特に地方においては、人口の減少が進む中、このままでは公共交通を維持することは極めて困難な状況であると申し上げざるを得ないのであります。

 一方で、本格的な高齢社会の到来により、高齢者を初めとした、いわゆる交通弱者の移動手段を確保することが喫緊の課題であろうと思うわけでございます。特に、高齢化率が高く、中山間地域の多い地方におきましては、高齢単身世帯や高齢者のみの世帯の急激な増加が予想をされているわけでございまして、通院や買い物など日常生活を安心して営む上では、公共交通は欠かせないものでございます。公共交通を維持確保することが集落やコミュニティーの維持につながるものでございまして、これは国土を保全する視点からも大変重要なものであると考えています。

 公共交通の維持確保は、国が県市町村と協力をし、また地域の住民にも参加してもらいながら、地域全体で総力を挙げて取り組む必要があると考えています。そういった中で、来年度は、国土交通省は、地域公共交通確保維持改善事業の中で地域ぐるみの利用促進に取り組むとされて、支援をしていくとしておられます。その取り組みの内容も含めて、今後の公共交通の利用促進のあり方についてお伺いをいたします。

西脇政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員の方から、御地元の長野県と、それから全国の地域公共交通の非常に厳しい状況の御紹介がございました。まさに、その厳しい状況の主な要因は、御指摘がありましたように利用者の減少ということは、全く認識は同じでございます。

 ということは、公共交通の維持確保をするためには利用促進を図るということでございますが、我々といたしましては、まずは地域の多くの方々に実際にバスとか鉄道に乗ってみていただく。利用されていない方が多いものですから、そういう経験をしていただくということで、関係者と一体となった取り組みということで、今御指摘がございました二十五年度予算案におきましては、地域公共交通確保維持改善事業の中で、例えば、地域の中にバスとか鉄道がどういうふうに展開しているかという公共交通のマップですとか、その相互の接続のための総合時刻表をつくるとか、あと、集まって利用促進の話し合いを行うワークショップというようなものを行う場合に、その経費について、一定の要件はございますけれども、支援する制度というものを盛り込んでおります。

 我々としては、こういう制度を十分活用しながら、利用促進の取り組みに全力を挙げてまいりたいというふうに考えております。

寺島委員 それで、先ほど申し上げたとおり、公共交通の現状を踏まえますと、これまでの取り組みを進めるだけでは、公共交通を維持することは難しいものであるというふうに思っています。地方では、既に路線廃止あるいは縮小が相次いでいるわけでございまして、それらを補完するための市町村のいわゆる財政支援ということも大事なことではないかと考えております。

 そこで、国土交通省において、先ほどの地域公共交通確保維持改善事業によって、公共交通の路線維持のための取り組みをしていく、こういうことでありますが、バスや鉄道など地方の公共交通に対して、今後はどのような制度の充実というか、支援の拡充を図っていくのか、このことの取り組みについて、済みません、もう一度見解をお伺いいたします。

西脇政府参考人 まさに委員御指摘のように、国土交通省と交通事業者だけの取り組みではとてもできませんので、もともとこの地域公共交通確保維持改善事業も、多様な主体に参加していただくということで、例えば自治体とか住民とか、場合によっては学校などの幅広い関係者と一緒に、連携を図りながら進めたいということで、現在の予算につきましては、二十五年度予算案におきましては、非常に厳しい財政状況の中でございますが、一億円増の三百三十三億円を計上しております。

 これだけにはとどまりませんで、先ほど申し上げましたような利用促進のソフト対策なんかも含めて、また、そういう幅広い関係者に入っていただくことによりまして新しい展開等も模索しながら、予算の確保もあわせて努めてまいりたいというふうに考えております。

寺島委員 もちろん、ソフト対策も大変重要と思うわけでありますが、ぜひ、財政支援もよろしくお願いを申し上げたいというふうに思います。

 次に、並行在来線の支援についてであります。

 二年後には、北陸新幹線が長野から金沢まで延伸が開業し、沿線地域の経済にも大きな影響があると、大きな期待をされているところでございます。一方で、JRから経営分離される並行在来線の問題が実はあるわけでございます。

 並行在来線につきましては、例えば、平成九年秋の長野新幹線開業時に、しなの鉄道が軽井沢―篠ノ井間でスタートをして以来、岩手、青森、熊本、鹿児島と、全国各地で地域が主体となった運行が行われているわけでございます。

 いずれも、厳しい経済状況の中で、例えば私の地元のしなの鉄道でありますが、開業当初から赤字決算が続いて、開業五年目には実は債務超過に陥ってしまいまして、十六年に百三億円の公的支援を行って、何とか経営を立て直してきたという経緯もあるわけでございます。

 もちろん、その間、経営改革につきましては、地元の市町村の皆様や住民の皆様の大きな御協力があったわけであります。確かに、新幹線の着工時に、地元で並行在来線を引き受けるという確認というか約束をしているわけでありますが、低迷する景気状況、経済情勢が悪いものでございまして、地方自治体の財政状況も大変厳しいものがございます。地方の努力だけでは、並行在来線の問題を解決することはまさに困難な状況であるわけでございます。

 このため、並行在来線に対する貨物調整金による支援制度が拡充されてきたことは非常に大きな前進でございまして、感謝をしているわけであります。この結果、何とか経営のめどがついてきた並行在来線も多いというふうにお聞きをしているわけであります。

 しなの鉄道のように、経営分離時に横川―軽井沢間が廃止されてしまいまして、路線全体でも貨物の運行がほとんどない並行在来線会社も実はあるわけであります。

 そこで、今後、並行在来線の開業が相次ぐことも見据えて、こうした全国の並行在来線会社の実態を踏まえていただきまして、貨物調整金以外のさらに踏み込んだ支援策を実施していくことができないのか、こう思うわけでございますが、所見をお伺いいたします。

滝口政府参考人 ただいま先生がお話しされたように、整備新幹線の整備とともに並行在来線というものが生まれまして、この経営につきましては、沿線地方公共団体の非常に力強い御支援をいただきながら現在経営が行われているところではございますが、なお経営環境が非常に厳しいというのが事実でございます。このため、その維持、経営の安定化を図ることは極めて重要な課題であるというふうに認識しております。

 ただいま先生の方からもお話のございました貨物調整金制度というものを柱にして、それ以外にも、地域鉄道への助成制度、これは一般的な地域鉄道に対する助成制度の支援でございますが、この助成制度が並行在来線にも適用されております。さらに、並行在来線特有の税制上の特例措置といったものを設けて支援をしているところでございます。

 ところで、この貨物調整金制度でございますが、昨年度から、走行の実態等をより踏まえた制度の拡充を行ってきております。この結果、しなの鉄道を初め、現在既に運営しております四つの並行在来線各社の経営が改善されてきております。

 さらに、ただいまお話のございました長野以北の並行在来線区間、長野―直江津間のように、貨物列車の走行のない区間に対しましても、大震災等々の緊急時を含めた貨物鉄道ネットワークの維持の観点から支援の拡大を行うということで、そういった方向性を見詰めまして、現在、制度の詳細を検討しているところでございます。

 引き続き、並行在来線の安定的な維持、経営のために支援を行ってまいりたいと思っております。

寺島委員 御案内のように、大変長引く景気低迷によりまして、市町村の税収も大変減っておりまして、財政が非常に厳しい状況でございます。そして、人々が生活を営む上で、移動するということはまことに基本的な要素でもあるわけでございます。したがいまして、国の支援というのが重要になってくるというふうに思いますので、よろしくお願いを申し上げる次第であります。

 次に、防災、老朽化対策について伺います。

 東日本大震災や長野県北部地震、ちなみに、長野県北部地震が余り言われないんですけれども、東日本大震災は本当に大きな災害でありましたのですが、翌日に起きました、私ども栄村を中心とした長野県北部地震。実は、一時、村民の七割が避難をするというような状況で、結果、関連で三名の皆様も亡くなっているというような、我が長野県にとりまして大変大きな災害でもあったことをお忘れのないようにしていただきたいと思いますが、今まで私たちが想像もしなかった災害であります。本当に甚大な被害が発生したわけであります。それらの経験から、今後発生するかもしれない首都直下型地震や南海トラフ巨大地震などを考えますと、背筋の寒くなる思いが実はいたすわけでございます。

 そこで、首都高速道路についてであります。建設から五十年ぐらい経過していると思いますが、阪神・淡路大震災のことを思うと、もしもの場合、都内は大変な状況になると考えるわけであります。

 戦略的に維持管理、更新の取り組みを進めるとしていますが、首都高速道路の耐震の調査はどこまで進み、首都高速道路は現在どのような状況に置かれ、それらを受けて、今後どのような対策を進めていかれるのか、お伺いいたします。

太田国務大臣 長野北部地震は大変な状況であったということを私は認識しています。

 今から四十数年前、私が学生時代に松代群発地震というのがありまして、橋の下にずっといまして、その群発地震の調査を学生時代にしていた一人でございます。山がぱっと光って、それから山がどおんと鳴って、それで地震計がささささと動くという、発光現象とかそういうことについて。

 長野県北部の地震については、よく注視していかなくてはいけないと認識をしておるところです。

 首都高速につきましては、平成七年の阪神大震災の後に、首都高速は大丈夫かという動きを開始しまして、直ちに工事が実際行われました。東京をずっと見ているとおわかりだと思いますが、当時、帯鉄筋と言いますが、帯を巻いたように橋脚を補強するという作業が行われてきました。それから、さまざまな箇所でふぐあいとかそういうところがありましたから、それを修理しているというのが今の現状でございます。

 五十年たつということでありますから、東京オリンピック、昭和三十九年、その直前にできたということもありまして、一番老朽化ということが心配される上に、曲がっているところも非常に多うございまして、荷重のかかり方がちょっと普通の高速とは違うということもあって、注意をしなくてはならないというふうに思っているところです。

 一番危ないのは橋脚の部分、これは帯鉄筋を巻いたんですが、その桁との間の、支えるところの接点の部分、支承というふうに専門的には言いますけれども、その支承は大丈夫かということでずっと指摘をしてまいりまして、支承の修理作業がこの三月で終了するということで、大体そこについてはやってきたんです。

 ふぐあいの箇所が、橋脚七千基とかいうような要対策箇所が提示されていますが、根本的には今危ないというような状況ではなくて、それぞれ、ふぐあいあるいは修理しなくてはならない箇所、七千という数字について、首都高では鋭意取り組んでいる状況であるというのが今の現状であります。

 しかし、さらにこれから老朽化というのは、五十年たつという劣化をしてきている状況にありますし、かなり曲がりくねっているということがありまして、根本的なことを含めまして、どうするかということについて、実は有識者会議が開かれております。先般もこの有識者会議で、大体どのくらい修理、メンテナンスにお金がかかるかということで、七千九百億から九千百億かかる、これを一体どうやってやるかというような試算までできているという状況でございます。

 一番乗る方が多い首都高というものについて、安全ということにさらに取り組み、連携をとっていかなくてはならない、こう思っているところです。

寺島委員 専門的に御説明をいただきまして、ありがとうございました。

 首都直下地震は、東京都が昨年の四月に新たな被害想定を発表したわけであります。建物崩壊とか焼失など、大きな被害が出るであろうというふうにされているわけであります。先ほど高木先生も御指摘をいただいたと思いますけれども、いざ災害が発生したということになると大変な状況になろうと思うわけでございまして、情報公開あるいはまた訓練等、その他調査等を通じて、しっかりとした取り組みをお願いしたいというふうに思います。

 続きまして、訪日外国人旅行者への対応についてであります。

 平成二十四年三月に、新たな観光立国推進基本計画が閣議決定されました。日本の観光事情を取り巻くさまざまな課題を克服して、観光産業としてさらに成長させるべく、今後五年間に必要な施策の方向として、一つとして観光の裾野の拡大、二つとして観光の質の向上が挙げられております。

 そこで、日本に訪れていただける海外からの旅行者は、平成二十二年八百六十一万人で、これは過去最高だということでありますが、平成二十三年は六百二十二万人と、大震災の影響で非常に激減をしたということであります。

 新たな基本計画では、外国人旅行者を平成三十二年初頭までに二千五百万人とすることを念頭に、平成二十八年までに、千八百万人の方々に日本に訪れていただけるようにするという目標であります。千八百万人ということは、実に、平成二十二年度の比較で二倍、平成二十三年度の比較で三倍ということになるわけでありまして、大変大きな目標のような気もするわけでありますが、国土交通省では、どのような施策をもってこの目標の達成をなし遂げようとしているのか、具体的にお伺いをいたします。

坂井大臣政務官 日本に来ていただいております外国人旅行者数でございますが、今委員御指摘のように減少いたしました。これは震災後、減少いたしましたが、二〇一二年の旅行者数は八百三十七万人と、ほぼ回復したと考えております。

 また、今までの実績、いわば観光における予算と、実際においでをいただいている旅行者数などから見まして、この目標を達成できるだけの潜在能力は十分にある、このように考えているところでございます。

 その能力を引き出して目標を達成するためにも、今いろいろと取り組みをいたしておりますが、東南アジアからの誘致強化など市場の拡充、多様化。それからまた、中国、韓国市場、特に個人客、ビジネス客を中心といたしまして、来ていただく人数を早期回復に持ち込みたい。それからまた、多言語による案内表示の整備促進。また、観光客が寄られます観光案内所も機能を向上させて、安心して旅行いただける環境整備。それから、首都圏空港の整備等を通じた航空路線の拡充、鉄道、バスの乗車券の共通化やICカードの普及促進など、ハード、ソフト総合的な取り組みを行っております。

 ただ、同時に、国土交通省のみならず、国全体でこれは達成をしていく体制が必要だということで、新たに設置をいたしました国土交通省観光立国推進本部を中心といたしまして、各省庁間の連携を強化して取り組んでまいります。

寺島委員 過去の外国人旅行者数の推移を見ますと、ビジット・ジャパン・キャンペーンを始めた十年前に五百二十万人程度だったものが、順調に増加いたしまして、平成二十年には八百三十五万人に達した。しかしながら、その後に起こったリーマン・ショックなどのいわゆる経済不況によりまして、平成二十一年には六百七十九万人まで激減をしたわけであります。そして二十二年、先ほど申し上げたとおり、史上最高の八百六十一万人に回復したと思ったら、東日本大震災や原発事故の発生で再び前年を大きく割り込んでしまった、こういうことであります。

 さらに、昨年の尖閣問題以降、団体客を中心に落ち込んだ中国人の訪日旅行需要の回復がおくれているとも聞いているわけで、迎え入れる観光業の関係者にとっては気が抜けない状況が続いています。

 このようないわばイベントリスクによる訪日外国人の減少をできる限り少なくして、順調に外国人を増加させていくための方策について、次にお伺いいたしたいと思います。

坂井大臣政務官 委員御指摘のように、災害や外交関係などの外的要因の影響を受けにくい訪日外客構造への転換は、大変重要であると認識をいたしております。

 国土交通省では、このイベントリスクの減少のためにいろいろ考えておりますが、まず一つは、五大市場と呼ばれておりますけれども、韓国、中国、これに台湾、香港、アメリカを加えて、この観光客の数は七割を超えておりますが、それ以外にもいろいろなところからおいでをいただくということによってイベントリスクを回避していきたい、このように思っております。特に東南アジアの市場というのに今力を入れておりまして、訪日プロモーションの本格展開により、お客様を多くのところから呼ぶ、こういう作業を今いたしております。

 また、団体旅行というのは、一回来なくなるとがたっと数に影響いたしますので、こういったリスクに強い個人客、それからビジネス客ということを、中には、グルメでありますとかエステでありますとかテーマを決めたり、また、三十代の女性、こういった形でターゲットを絞るなど、プロモーションも工夫をさせていただいているところでございます。

 これらの取り組みによって、安定的で着実な訪日外国人旅行者数の増加を図っていきたいと考えております。

寺島委員 ありがとうございました。

 時間が迫ってまいりましたので、あと一問は残させていただきます。失礼をお許しいただきたいと思います。

 日本は、ほとんど資源のない経済大国であります。世界から資源を買って、そして得意な物づくりで経済をなし得てきた国家であります。すなわち、世界の人々から、日本はすてきな国だねと思われ、信頼をされる国家にならなければならないと思います。

 そのために、外国人、日本に訪れてこられる方々が、日本人というのはすてきだね、思いやりがあって、おもてなしの心もあって、すばらしい国家だねと思っていただけることが日本の経済を支え、ひいては、我が国が観光立国を目指すということは日本の国益にも大きく寄与するのかな、こんなふうに思っておりますので、しっかりとした取り組みをお願いいたしたいと思います。

 報道によれば、国土交通省は、地方管理道路にある長さ二メートル以上の六十五万五千カ所の橋や約七千カ所のトンネルのうち、都道府県道や市町村道にある橋やトンネルで技術的に改修が難しい工事についてでありますが、地方自治体のかわりに、国が工事計画などを作成する制度を創設するとありました。笹子トンネルの崩落事故を受けた老朽化対策の一環であろうと思うわけでありますが、技術職員が不足していて、その対応がスムーズにできない地方自治体に対して支援策に乗り出すとのことであります。

 そこでお伺いしますが、地方自治体から要請を受けた上で国が判断し、基準はこれからつくるそうですが、どういう基準というか制度をつくっていくのか、お伺いいたします。

前川政府参考人 お答え申し上げます。

 国土交通省におきましては、道路の老朽化が進行している中、道路の適正な管理を図るための道路法等の改正を検討してきたところでありまして、本日、関連法案が閣議決定をされたところでございます。

 委員御指摘の代行制度については、地方道を構成する一定の構造物につきまして、地方公共団体からの要請に基づき、国土交通大臣がみずから修繕を行うことができる制度として創設をすることといたしております。

 国土交通大臣が代行する場合の判断基準は、主に三点考えております。一つ目は、地方公共団体の実施体制を勘案して必要と認められること、二つ目は、一定の道路構造物であって、修繕に高度の技術力でありますとか機械力が必要であること、三点目といたしまして、国土交通省の業務の遂行に支障のない範囲内であることなどの要件を考えているところでございます。

 今後、代行の対象とする具体的な建造物について、制度の詳細についてさらに検討を進めてまいりたいと考えております。

寺島委員 それで、全国町村会の藤原会長が、地方分権に逆走するようなシステムだ、こう言ったというふうに報道にもあるわけでありまして、ある意味、私も実は同感であります。

 国は当然、技術職員さんもいっぱいいるんだろうと思いますけれども、今、解決しなければならない喫緊の課題がいっぱいあるわけであります。したがって、国と地方自治体が協力連携を図ってやらなければならない大事なときだとも思っているわけであります。

 国土交通省からは、市町村へしっかりとした技術支援をしていく、これがまず第一にあってしかるべきではないのかなという思いがあるわけでありますが、もう一度答弁をお願いできますか。

前川政府参考人 委員御指摘のように、技術力の弱い市町村に対しまして技術的なサポートをすることが大変重要だと思っておりまして、点検要領について提供をし、説明会を開催する、また、要請に応じまして技術的な指導、技術的な支援を行うということで、多くの場合は技術的なサポートができるものと考えております。

 今回の代行制度については、地方公共団体が、みずから行うことが困難と判断をし、国に要請をした場合に限り、国が代行するものと考えております。そういった意味で、いわば地方公共団体の維持管理を国が手助けするものでございます。

 そういった意味で、地方分権の趣旨に反するものというふうな認識は持っておりません。

 以上でございます。

寺島委員 ぜひ、地方自治体への配慮ある取り組みをよろしくお願いします。

 最後であります。

 私が尊敬をしております羽田孜先生は、四十三年間、長野の地で御努力をいただいてまいりました。大変すばらしい政治家であります。当時、長野冬季オリンピック・パラリンピックも開催が決定をしたというふうなこともございまして、上信越自動車道を初め高速道路網、さらには長野新幹線の開業等、大きく前進がされたわけであります。

 そして、民主党政権下における羽田大臣のもとで、北海道新幹線、北陸新幹線、九州新幹線の三新幹線の延伸が認可され、起工式も行われ、現在着工中であります。これも大きな成果でございます。

 国全体の動脈ともいうべき基本的な交通体系を確立することは、安心、安全な国家づくりには必要であり、まさに重要な施策であると考えております。東日本大震災や長野県北部地震の災害対応で、物資の運搬や人の移動等、高速道路や基幹道路網が大変有益に働いたと聞いております。国の動脈を整備することの重要性を感じるわけであります。

 平成十七年に新たに策定された国土形成計画法に基づいて、平成二十年に国土形成計画、いわゆる全国計画が閣議決定されております。さらに、翌年には八つの各広域ブロックごとに国土形成計画、広域地方計画が決定をされております。

 そこで、東日本大震災などの経験を踏まえてのことだと思いますが、平成二十五年、つまり今年度、現行計画の総点検が実施されると聞きます。国土交通省は、将来に向け、どのような国土を形成していくおつもりなのか、その意気込みを太田大臣にお伺いいたします。

太田国務大臣 御指摘のように、二十年七月に閣議決定しまして、国土形成計画というのができ上がりました。そして東日本大震災が来て、また笹子トンネル等の事故が起きたりしました。

 従来は、均衡ある発展とかあるいは国土軸、いろいろなことが言われて、ビジョンというものがありまして、羽田総理もそうしたことで御尽力をいただいたと思います。

 現時点で、私は、一つは東日本大震災というものを踏まえる。脆弱な国土というものをしっかり認識して、それを踏まえる。そして同時に、高度成長以来劣化をし始めてきている、橋は七〇年代に毎年一万できたんです、ところが最近は、できる橋は大体百ぐらいです。もう本当にピークになって、そしてずっと落ちてきて、これから修理ということでまた非常なピークが来るというようなことでありますから、大地震やそういうことと同時に、今度は、劣化というものに対してどうするかということが大事になってきます。

 それから、地域ということからいきますと、我が国の総人口は、二〇五〇年には一億人を切って九千七百万人になる。しかも、全国を見ますと、一平方キロのメッシュで全部切っていきますと、何と二〇五〇年に、今の人口が半減するところが六割以上になるという状況にあります。単に人口全体が減るというのでもありません、そうした人口構成をどうするかということ。

 あるいは、地方分権ということに絡めて、中核的な都市をどうつくるか。そしてまた、世界のグローバリゼーションの中での都市間競争というものに耐えられる都市をどうつくっていくか。いろいろな観点をもう少し鋭角的に取り入れた国土形成計画というものを、再度、私はつくり直す時期に来ているというふうに思っています。

 十年がかりのものであって、ちょうど半分のところに現在の国土形成計画は来ておりますが、私は、それを取っ払うというんじゃないんですけれども、もう一遍、今の時点で、どういう日本の国土をつくっていくかということに英知を集めてやっていかなくてはいけないと思っておりますし、寺島先生からもそうした御協力をいただければというふうに思っています。

寺島委員 時間が参りましたので、手短に。

 全国の国民の皆様が、生まれ育ったふるさとに住まなければならない、あるいは住んでみたい、そういう方々がいっぱいいらっしゃるはずであります。中央一極集中を排して、そうした皆様方が安心して、そして安全な生活ができるために、先ほどの大臣のお話を承りまして、安心したというか、大変心強く思ったわけであります。

 そうした将来に向けた日本の人口変動、あるいは高齢化に向けた中にあっても、随所随所でも、生活がしっかりと安心してできるような国土形成をしていただきますことを心からお願い申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

金子委員長 次に、井上英孝君。

井上(英)委員 日本維新の会の井上英孝でございます。

 本委員会におきましては、会派を代表して理事を務めさせていただいております。本委員会の運営の一助になれたらというふうに思っておりますので、どうか、金子委員長を初め委員各位の皆様方から御指導、御鞭撻を賜りますようよろしくお願いを申し上げます。

 また、本日は、太田大臣、鶴保、梶山両副大臣、そしてまた、松下、赤澤、坂井、それぞれの政務官の皆様方、本当に大変御多忙のところ御出席をいただきまして、ありがとうございます。お体を御自愛いただいて、御活躍されることを祈っておりますし、また、私を初め会派のメンバーの質疑に対して、一歩でも二歩でも踏み込んだ答弁をいただきますように、まずもってよろしくお願いを申し上げる次第でございます。

 それでは、早速質疑に入らせていただきたいと思います。

 地方分権の推進ということで通告をさせていただいております。

 大臣所信を聞かせていただきまして、非常に広域にわたる国土交通行政というのを改めて感じさせていただきましたけれども、やはり、これらの国土交通行政というのをしっかりと進めていくためには、まず国民の皆様方に御理解そして御協力というのを賜っていかなければならないというふうに私は思っております。

 そのためにも、我々としましては、地方分権をしっかりと進めて、国が本来果たすべき役割を重点的に絞り込んで、やはり地方でやれることはどんどん地方へ移管、移譲していくべきだというふうに考えております。

 もちろん、この国土交通委員会におきまして、統治機構の改革とか地方分権といったものの総論を議論させていただくというつもりは毛頭ございませんけれども、先日、予算委員会で、我が会派の松浪委員から安倍総理に、道州制の基本法を一緒にやりましょう、太田大臣もその場におられたと思いますけれども、やりましょうというふうに質疑をさせていただいたら、安倍総理は、そんなに積極的に言われたら、ぜひとも御党と建設的に議論をさせていただきたいというたしか答弁があったかと思います。

 もちろん、詳細は別にいたしましても、おおむね、ニア・イズ・ベターという考え方、それは共有できているんじゃないかと。自民党、公明党の与党の皆さん方とは一定そのニア・イズ・ベターという考え方は共有できているんじゃないかというふうに思っております。

 また、前政権の民主党政権下でも、十一月三十日には地域主権推進大綱というのも閣議決定をされました。民主党も恐らく、おおむね、詳細は別にしても、共有できているんじゃないかというふうに思います。みんなの党さんも恐らく共有できていると思いますし、穀田先生には怒られるかもわかりませんけれども、ちょっと難しいかなというふうに思っています。でも、こういう議論をどんどんとやはり深めていくということが非常に大事かなというふうに思っております。

 こういう議論を進めていくに当たり、この国土交通委員会の所管である地方整備局についてお伺いをしたいんですけれども、単刀直入にお聞きしますと、この地方整備局の廃止について、国土交通大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

太田国務大臣 地域主権型道州制ということについて、みんなの党にいます江口さんや、あるいは堺屋太一さんを初めとして、その先頭に私は立って、恐らくどの政党よりも前に地域主権型道州制ということを言ってきた一人でございますし、我が党のマニフェスト等にもかなり早く言ったという状況にあります。

 私は、それぞれの各地方にエンジンがつく日本にするということが大事だ、中央で一つのエンジンだけで三十八万平方キロ、一億二千八百万人を引っ張るという時代ではなく、たくさんのエンジンを持った地域がそれぞれの知恵を発揮して生き抜いていくというところに総体としてもエネルギーが湧いてくるというのが、私の基本的な考えです。

 地方整備局ということをどうするかという問題が昨今出ています。私は、そういう道州制ということに対して、その一環としてということについてはちょっとクエスチョンマークを私個人は持っているんです。

 それは、大畠先生、国土交通大臣のときに、この間、私は感動したんですが、代表質問に立たれて、東北地方整備局がいかに大震災の後に、くしの歯作戦ということで啓開作業をして、そしてあらゆることを、闇屋と思ってください、こう言われて、大畠大臣は、思い切って現場でやれ、全部任せるということを言った中に、自衛隊やあるいは警察、消防、米軍、こういうものとともに、現場で一番頑張り抜いて、いち早く啓開作業をして切り開いたという、ある意味では訓練された部隊がいるということがいかに大事かというふうに私は思っているんです。

 そういう点では、災害というのは、いわゆる国家の、ミサイル等を初めとする防衛の情報の一元化というものとは違って、災害は常に現場で起きている。災害は実務である。そうしたことで、最終的には目指すところは道州制で結構なんですけれども、現在、本当に日本をどういうふうに守っていくかというときに、この国交省の持つ地方整備局の力というものは、私は大事なものであるというふうに思っています。

 大いにこの地域主権型道州制というものを論じ、単に論議ではなくて、具体的にどう進めていくかというのと同時に、災害発生時に危機管理体制、こういう中で、現場の中で営々として築いてきた地方整備局の蓄積というものが、災害の現場は人ですから、そういうことも含めて、そしてまたチームワーク、部隊ですから、そういうことについての蓄積というものは、私は極めて重要だなというふうに思っているところです。方向性と現実の直面している課題に、どう考えるかということを総合的に考えて、この問題には対処していかなくてはならない、このように思っています。

井上(英)委員 大臣、ありがとうございます。

 本当に、大臣のおっしゃっている、そういう災害が起きたときにやはり機能するということで、また、先般の東日本大震災において、東北地方整備局がしっかりとした役割を担って頑張っていたということは決して否定をしているわけではないんですけれども、ただ、先ほども申し上げたように、地域のことをなるべくその地域に近いところで決められる、そして機動的に動けるような日ごろの行政という面も考えていかなければならない。それを、最終的には、国民の皆様方初め、それぞれの地域の住民の皆様方が、どういうあり方がいいのかということをやはりこれからは問うていく一面も必要じゃないかなというふうに我々は思っています。

 そういった中で、地方整備局をやはり廃止して、それでもそういった、先ほど言われたような、災害が起きたときにしっかりと対応できる、そういう組織を、変わった組織、変わった後の組織でもしっかりと維持できるように考えて、やはり住民の皆様方が選んだ形というのを我々としては選んでいきたいなと。

 やはり、今の地方整備局ということから考えますと、国の出先機関であって、所在地の首長や議会の権限というのが全く及ばず、また地域住民の目もなかなか届きにくいという意味で、非常に住民のガバナンスという意味では欠如となっているというふうに我々は思っています。

 また、二点目は、道路、河川、そしてまた産業振興行政など、国出先機関の事務と地方の事務が非常に類似事務が多いという、大げさな言い方をすると、やはり国と地方においての二重行政というのが発生しているんじゃないかというふうに我々は思っていますし、また三つ目は、国の出先機関も、やはり省庁間、省庁ごとの縦割り行政という意味で、地域の住民ニーズというのに柔軟に対応できていないんじゃないかというふうに我々は思っています。

 そういう意味で、先ほど大臣がおっしゃっていただきました地域主権型の道州制というのは、一定の議会等のチェックが当然働くようになりますし、行政の透明性、そしてまた公平性というのが、一定、そのチェック機能が機能することによって向上してまいります。そういう意味では、より民意が反映しやすい組織にやはりなってくるというふうに思っていますし、先ほど申し上げた類似業務の集約化、また整理によって、業務が非常に効率化されて、行政の経費の削減につながっていくというふうにも思っています。また、窓口をワンストップ化することによって、本当に目に見えて住民サービスが向上するという一面もあります。

 そしてまた、三つ目の縦割り行政に関しては、府県においては、環境、まちづくり、観光など、多岐にわたっています。市町村になるとさらに細かくなってまいります。そういう施策とともに、やはり地域ニーズに総合的に対応できて、事業効果を高めていける、そういうそれぞれのメリットがあるんじゃないかというふうに我々は考えております。

 今後また、そういう意味での総論は、また別のところでしっかりと我々も進めていきたいと思っておりますので、今後とも御指導いただけたらというふうに思いますので、よろしくお願いをいたします。

 次に、先ほど西村先生からもありましたけれども、震災復興と建設業者の育成について議論をさせていただきたいと思います。

 もう本当に数々、震災そしてまたその復興に関しての議論というのは、もう種々、いろいろなところでなされているかと思いますけれども、東日本大震災から二年というのが本当にたちました。改めて、被害に遭われた方々に御冥福とお見舞いを申し上げたいと思います。また、微力ではありますけれども、我々もその復興のためにしっかりと力を尽くしていきたいというふうに思っております。

 よく聞くことが一つあります。それをちょっと聞かせていただきたいと思うんですけれども、被災地では、入札不調案件の増加だとか建設資材の高騰だとか、そしてまた建設業者の労務単価、つまり人件費が非常に上がっているというふうに言われています。予算がしっかりと、補正予算でも一兆六千億というふうに確保されていますけれども、実際、昨年度の平成二十四年の四月から九月、二四半期分の執行状況では、金額の二五・四%の執行にとまっているというふうに聞いています。

 先ほど言ったような種々の要因があるんじゃないかというふうに思っておりますけれども、その中でも、特に地方公共団体の発注工事というのが非常に入札の不調発生割合が高い。平成二十四年、昨年度の四月から平成二十五年、年がかわった先々月の一月までの入札の不調発生割合というのが、土木ですけれども、岩手県では一五%、宮城県では三八%、そして仙台市では四九%というふうになっています。大規模な工事においても入札の不調の発生が増加して、自治体では非常に深刻な状況になっているというふうにお聞きをしております。

 こういった問題を解決しなければ、復興予算自身もあれですし、復興予算の迅速、着実な執行というのがやはり一番地域の活性化といいますか、復興につながるかと思うんですけれども、いかがお考えか、お聞かせいただけますでしょうか。

松下大臣政務官 担務ですので、私の方から答弁させていただきます。

 委員御指摘のとおり、被災地では入札不調の問題がございます。さらに、生コンクリートや技術者、技能者の不足問題に対する対応が必要となっております。

 まず、入札不調問題につきましては、御指摘のとおり、県や市のレベルで不調が多く生じておりますが、ロットの大型化など各発注者が工夫を行っており、その後はほぼ契約ができている状態でございます。今後も、十分に状況を把握しながら、きめ細やかな対応をとってまいりたいと思います。

 生コンクリートの不足につきましては、骨材の不足、ストックヤードの不足、プラントの不足など、地域によって原因が異なるため、それに応じた対策が必要でございます。

 このため、今月三日に開催いたしました復興加速化会議におきまして、三陸沿岸道路事業に供給するプラントを国が設置するよう、太田大臣が指示をしたところでございます。また、ミキサー船の活用、ストックヤードの拡大など、地区ごとに対策を講じることとしたところでございます。

 技術者や技能者など、人材の不足につきましては、建設業の潜在力を発揮させるため、復興JV制度により全国からの確保に努めており、現在までに合計百二十七のJVが結成されております。

 また、発注ロットの大型化や人材配置の工夫により、技術者や技能者の効率的活用にも努めているところでございます。

 さらに、遠隔地から資材や人材を調達した場合に追加コストを支払える措置や、単価が上昇した場合に上昇分を発注者が支払う、いわゆるインフレスライド等を採用しているところでございます。

 今後とも、現場の実態に対応した効果的な対策を講じることにより、被災者の皆様が復興を実感していただくように取り組んでまいりたいと思います。

 以上です。

井上(英)委員 ありがとうございます。

 本当に、復興が目に見えてスピード感を持って進んで、被災された方々が少しでも震災前のもとの生活に戻れるような、そういうためにも、これはもう誰が悪いというような問題ではないかと思うんですけれども、しっかりとやっていただきたいと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。

 次に、我が国の海洋産業の国際競争力強化に向けた官民の協力体制のさらなる充実強化ということでお聞きをさせていただきたいと思います。

 近年、世界の海洋開発市場というのが非常に急成長をしております。我が国としても、その成長というのを取り込むことで雇用の創出や国際競争力を確保するとともに、安全保障の面からも、将来の我が国EEZを、我が国独自の技術で行えるよう、技術開発等を官民挙げて推進するということは非常に重要だというふうに考えています。

 しかしながら、世界的に見た日本のシェアというのは、タンカーやコンテナ船など、一般商船については約二〇%シェアがあるのに対して、採掘船等、海洋資源開発船舶については一%にすぎないというのが現状であります。

 今回、二十五年度の予算の計上に当たって、海洋産業育成のために、まず二十四年度の補正予算と二十五年度の予算案を合わせて、十九億二千万円という予算が計上されています。

 その点を踏まえて質問させていただきますけれども、精査しますと、FLNG、これは浮体式液化天然ガス生産貯蔵積出設備という、非常にちょっと長い名前なんですけれども、この調査研究費というのが計上されています。これはFLNGが実用化された場合のメリットというのをお伺いしたいと思いますし、また、その時期は大体いつごろになるのか。これはもう非常に期待される案件ですので、ぜひともよろしくお願いをいたします。

森政府参考人 FLNGについての御質問です。

 FLNGとは、先生、今御説明のあったとおり、海底から産出した天然ガスの液化から貯蔵、積み出しに至るまでを船の上で一貫して行う設備であります。海底パイプラインの敷設が困難な沖合のガス田ですとか、あるいは大規模な施設を敷設することがコスト上見合わない中小のガス田からも液化天然ガスの生産をできるということで、非常に有望な商品となっております。

 ただ、FLNGは、全世界で二〇一〇年代後半から導入が計画されて、非常に成長が期待される分野の一つなのでございますけれども、非常に高度な技術が要求されることから、現在ではまだ実現しておりません。

 我が国は、LNG運搬船の建造等において大変高い技術を有しており、FLNGは我が国の強みを生かせる分野であることから、国土交通省としても、民間企業の技術開発を支援して、当該分野への参入を促進したいというふうに考えております。

 FLNGを初めとしまして、海洋開発分野の市場は、ここ十年で約三倍と、非常に大きな成長が見込まれております。我が国の造船業、海運業等が当該市場に参入することによって、世界の成長を取り込むことが可能となります。また、これによって、先生御指摘のとおり、我が国の海洋産業を戦略的に育成することによって、我が国の排他的経済水域の開発と利用を促進することも可能になります。

 私どもとしても、官民が連携をして、きちっと取り組んでいきたいと思っております。

井上(英)委員 御答弁ありがとうございます。

 ぜひとも頑張って早く開発をしていただけたらというふうに思っていますし、また、ロジスティックハブの開発というのもしっかりと取り組んでいただけたらというふうに思っていますので、よろしくお願いをいたします。

 次に、港湾の選択と集中というのを少し聞きたいと思います。

 昨今の釜山、上海、シンガポールなど、アジア主要港の躍進を受けて、国交省においては、国際競争力の強化を図るという観点から、平成二十二年八月に国際コンテナ戦略港湾、これは京浜港、東京港と川崎港と横浜港を合わせて京浜港ですね、及び阪神港、これは大阪港と神戸港を一緒にして阪神港、指定をされたかと思います。また、平成二十三年の五月には、国際バルク戦略港湾ということで九港湾管理者、十港湾などを選定して、さらなる港湾の選択と集中というのを図ったというふうに思っております。

 国際コンテナ戦略港湾というのが選定を受けたことを受けて、我が国の港湾の活性化のためには、より選択と集中というのを進めなければなりませんし、この選択と集中により指定された港湾に荷物が集まるような仕組みにならなければならないというふうに思います。そのためには、やはり、その港湾の周辺アクセスの道路の整備や、周辺に企業を誘致するなどの施策を官民一体で強力に推進することが重要であるというふうに思っておりますけれども、この選択と集中を行った後の具体的な取り組み状況と効果についてお伺いしたいと思います。

太田国務大臣 おっしゃるとおり重要な観点で、ここにいる皆さん、ほとんど全員かと思いますが、日本から空港も港湾もハブがみんな逃げてしまっている。選択と集中をしっかりやっていかなくちゃいけないということの中から、港におきましては阪神港と京浜港。神戸、大阪、東京、横浜、川崎、そこが集中的にやっていこうということになりました。

 ハード面としては、大型化するコンテナ船がしっかり入れるようにということで、大水深コンテナターミナルということで十八メートルの水深を持つということの整備をやり、そして今度は、港全体からいきますと、ソフト面で、民の視点で、港湾を運営する会社というものを民の観点でやっていただく。また、そこで集積した利益が得られるように、先生がおっしゃいました、道路やいろいろなアクセスも含めて、一体化したものができるだけできるようにというソフト面の対策ということを、あわせて今やろうとしているところです。

 これは随分戦略的なことで集中してきておりますものですから、さらにこれを進めていけるように、私も現場にできるだけ行ったりして、これを推進できるようにというふうに思っています。

 また、先生の方からバルク港湾のこともございましたが、小名浜を初めとするそうした石炭を入れるというような港湾施設についても、しっかり集中と選択ということで、水深を確保したりというようなことも含めて対応していきたい、このように思っております。

井上(英)委員 大臣、答弁ありがとうございます。本当に、おっしゃられるように、なかなかハブというのがなり得ないというようなところに、今、日本はあるんじゃないかなというふうに思っています。そういう意味で、私はたまたま大阪で海が近いこともありまして、今回の国際コンテナ戦略港湾というのに阪神港として指定も受けている、国からも含めて、ハード整備には非常にお金も入っているというのもよくわかっております。

 ただ、一定の、本当に選択と集中というか、日本全国これは海洋国家ですから港がたくさんあって、それが分かれているとどうしても力も分散しますし、やはり集中をして集められるところに集めるという考え方は推し進めていかなければならないのかなというふうに思っております。

 また、東京港においては従来のコンテナターミナルゲートの混雑が問題となっておりますけれども、これは大阪も一緒で、もうずらっとゲートの前にトラックが並んでいるんですね。だから、それは、トラックの業界もまた協力を大阪の場合は働きかけてしたりとかいうふうにはしておりますけれども、国交省としてやれることをしっかりとまたお願いしたいと思いますし、ぜひ大臣、大阪に港を見に来ていただけたらと思いますので、よろしくお願いをいたします。

 次に、先ほど泉先生からもありましたけれども、中央新幹線、リニアについてお聞きをさせていただきたいと思います。

 先ほど泉先生は京都にというふうにおっしゃっていたんですけれども、ここにも大阪選出の先生方は何名かおられるんですけれども、中央新幹線を大阪まで、京都ではなくてとは言わないですけれども、京都も含めて、大阪、より西側に中央新幹線、リニアが来ていただけたらという必要性を感じております。

 大阪までの開業予定というのが、現状で三十二年後、二〇四五年というふうに伺っております。今の時点で非常に気が早いという話かもわかりませんけれども、東京と名古屋間が開業して、その後、名古屋から大阪間開業というふうに聞いているんですけれども、大阪の私からすると、ちょっと中途半端じゃないかなと。できれば一挙に、東海道新幹線が開業したときのように、なぜ東京―大阪間で開業しないのかということをお聞かせいただけますでしょうか。

滝口政府参考人 中央新幹線につきましては、平成二十三年五月、全国新幹線鉄道整備法に基づく東京―大阪間の整備計画の決定を行い、建設主体と営業主体としてJR東海を指名いたしまして、この区間の建設の指示を行ったところであります。

 この建設主体のJR東海は、全額自己負担による整備を大原則といたしまして、健全経営を維持するため、長期債務残高を過去の経験値の範囲内、すなわち五兆円以内とすることを前提としております。このため、東京―名古屋間については二〇二七年、平成三十九年、名古屋―大阪間につきましては二〇四五年、平成五十七年に開業するということを言っております。

 先生今お話がございましたように、名古屋―大阪についても早期に開業すべきという御要望があることについては十分承知しておりますが、建設主体であるJR東海の考え方もよく踏まえて検討していく必要があるだろうというふうに考えております。

井上(英)委員 JRが単独で、自己負担でやられるということで限界があるというお話かと思うんですけれども、では、なぜJR東海が単独でやるということになるのか。

 また、もう一点は、経済活性化の観点ですとか雇用の促進などの観点からも、やはり国が財政的にサポートしてもいいんじゃないかというふうに思うんですけれども、二点についてお聞かせいただけますでしょうか。

滝口政府参考人 一昨年の平成二十三年に中央新幹線の整備計画を策定するに当たりまして、ただいま申し上げましたように、JR東海より、民間企業として、経営の自由や投資の自主性の確保を貫徹することが大原則であるという前提のもと、全額自己負担で整備するとの意向が示されております。

 一方で、全国新幹線鉄道整備法に基づく新線として、いわゆる五つの整備新幹線の建設も進められているところであります。この五つの整備新幹線につきましては、今から四十年前の昭和四十八年に整備計画が策定されて以来、早期の開業が求められており、我が国の高速輸送体系を形成するものとして現在着実な整備が進められておりますが、うち三区間は、昨年ようやく着工ができたといったような状況でございます。

 このような状況の中で、JR東海が中央新幹線を自己負担で建設することを表明したものであり、同社が財務的見通しに基づき、先ほど来申し上げているように、名古屋までについて二〇二七年、大阪までについて二〇四五年に開業するということとしていることにつきましては、我が国全体の幹線ネットワークを形成する上で現実的な対応ではないか、このように考えているところでございます。

井上(英)委員 これからまたいろいろな、さまざまなところで議論をさせていただきたいと思います。もちろん、本当に現実的な問題というのはあると思いますので、それは十分理解をしています。ただ、大阪も、この日本の中ではそんなに消費地の小さいところではありませんので、そういう思いで、また先ほどの泉先生の京都もそうですし、また大阪からもっと西に行くと神戸という町もありますので、やはりそういった観点からも、頭の中にしっかりと入れておいていただいて、また御尽力いただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

 私からの質問は以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。

金子委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時二分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時二分開議

金子委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。西岡新君。

西岡委員 日本維新の会の西岡新でございます。

 昨年の十二月の総選挙において、愛媛二区から出馬をし、初当選させていただきました。私も、委員の一人として、国土交通行政の発展のために努力してまいる所存でございますので、どうぞよろしく御指導ください。

 改めて、二年前の東日本大震災で犠牲となられた方々とその御家族の皆様方に、謹んで哀悼の意を表しますとともに、被災された皆様方には心よりお見舞い申し上げる次第でございます。

 その上で、平成二十五年度の予算案で、復興・防災対策で示されている、地籍調査による土地境界の明確化の推進についてお尋ねしたいと思います。

 東日本大震災はもちろん、今後発生が予想される首都直下型地震、そして南海トラフ、東南海地震などの大規模な災害では、復旧復興について、やはり速やかな作業が必要であります。そのためにも、国土調査において、地籍図の整備が必要不可欠であると考えております。今年度も、平成二十四年度の補正と合わせて百十六億円の予算が計上されております。

 この国土調査における地籍図は、国土調査促進特別措置法に基づいて、現在では六次計画まで策定されている国土調査事業十カ年計画によって、昭和三十年代後半から、主に測量設計業の業界が中心となって取り組んでいます。

 しかしながら、その進捗率は現在五〇%ということであります。しかも、進捗状況は都道府県によって大きくばらつきがあります。

 被災地の東北での進捗率は、岩手が九〇%、宮城県が八八%、福島が六一%となっており、全国平均を上回っておりますが、例えば、進捗率が低いところでは、京都七%、大阪八%、東京は二一%なんです。関東や近畿の地域では進捗率が低い、こういったことが問題となっております。

 これは、市区町村が事業主体となっている現状はありますが、この事業が始まってもう半世紀以上もたっている現状で、まだ全体の半分しか終わっていないということに関して、なぜこれほど時間がかかっているのか、スピード化を図る必要があると存じますが、大臣の御所見はいかがでございましょうか。

鶴保副大臣 まず、事実関係等、私の方から御答弁をさせていただきます。

 委員御指摘のとおり、地籍調査、なかなか進んでおりません。その背景には、やはり、地籍調査の実施に多くの時間と費用を要するということ、また、都市部においては、土地についての権利意識が高い、また、山間部においては、権利主体の方々がふくそうしておりまして、所有者が大変たくさんある、ないとか、あるいは高齢化が進んでいるというような状況があろうかと思います。

 また、これも御指摘になられましたけれども、実施主体が市町村ということでございまして、その市町村の限られた人員の中で、予算措置等々、進捗がままならないというような状況があろうかと思います。

 国土交通省といたしましても、このことを憂慮し、今、しかるべく措置をとっていく努力をしておる最中でございます。

西岡委員 先ほど御指摘がありましたように、都市部においては、例えば、六本木ヒルズの境界調査が四年ほどかかったというふうな実例もあります。

 これについては、法務省でも、不登法、不動産登記法第十四条、大臣もよく御承知の、いわゆる十四条地図と呼ばれる登記を目的とした地図作成を、主に土地家屋調査士が取り組んでいます。

 この法務省管轄の地図整備関係予算も、平成十五年度では二億九千百万円であったものが、平成二十四年度では十八億九千万円と大幅に上がっているんです。来年度も同程度の予算額が見込まれておりますが、それでも、こちらの方も、このままのペースでは完成までには天文学的な年数がかかるというふうに言われております。

 しかも、国民目線から見ると、国交省と法務省が同じような地図をつくっているように映ってしようがない。やはり、もっとお互いが協力していく姿勢を、国民の方にもわかるような形が必要なのかと思っております。

 また、実際に、国交省では、平成二十年八月の国土審議会地籍調査促進検討小委員会では、一筆地調査における外注化の推進、これは、民間専門技術者の活用、そういったことが明記されておりまして、具体的には、土地家屋調査士の知見を活用しようというようなことが想定されております。しかしながら、現状では、土地家屋調査士が地籍調査事業に関与した例は、全国では六、七件というふうにお聞きしております。

 これは、従来、地籍図をやっておった測量士と土地家屋調査士、両方の資格を有するといったようなケースもあろうかと思いますが、私の地元の愛媛県では、この両者の共同作業が実はうまくいっておりまして、連携状態の結果で成果が出ておるという状況であります。

 これはやはり、先ほど副大臣の方からも御指摘があった、発注側の市区町村の意識が徹底されていないのではないかと思います。地籍図の進捗率を上げるためにも改善していくべき点だと考えますが、大臣のお考えはいかがでございましょうか。

太田国務大臣 地籍の確定ということは非常に大事だということで、もう二十年前ぐらいから国交省の人と連携をとって進めてきたという経緯もありましたし、また、土地家屋調査士の皆さん方の地位を確立するということも含めて、十四条地図というのをしっかりさせなくちゃいけないということで努めてきました。

 また、学生になったばかりのときに、一番最初にトランシットを使ったりレベルを使ったりして測量自体をやったという経験もありまして、地籍の確定作業というものは極めて大事だというふうに思っています。

 都市部は都市部の、なかなか進捗しないという状況もありますし、また、進捗率が高いと言われている東北なんかも、高台への移転ということを見ますと、早く確定をしておかないと、相続という問題が発生して、これはもうわけがわからなくなるというような状況があったりしますので、ここはひとつ、こういう東北の被災地復興というようなことの事例も含めて、早急に体制を整えていかなくてはならないというふうに強く思っているところです。

 国交省としては、地籍調査を財政的に支援する、そしてまた、進捗率の低い都市部、あるいは山間部、こうしたところで基礎となる調査を直轄で実施しているところでありますけれども、地方自治体の人的な負担を軽減するために、土地家屋調査士、また測量士といった民間の方々とよく連携をとって、活用して、平成二十二年の法改正によって委託範囲の拡大を行ってきたわけでありますが、さらに民間の方たちの力をおかりしながら、地籍の確定ということについて前進させるように力を注ぎたい、このように思っております。

西岡委員 前向きな答弁をありがとうございました。

 既に、GPSや位置情報サービスなどで準天頂衛星などを利用して、民間の企業がデジタル地図を作成して、無料もしくは安価で市場に提供している状況があります。今後想定される復旧復興事業のためには、一刻も早く国がこの地籍図の作成に取り組んでいただきますよう、さらにお願い申し上げます。

 次に、成長による富の創出に関連して、大きな成長が見込める観光についての質問をさせていただきます。

 昨年の日本人海外旅行者数は過去最高値でありました。一方、訪日外国人旅行者は、午前中の委員会でも何度か出ましたが、震災の影響で一時六百万人台まで落ち込んだものが、昨年は八百三十七万人まで何とか回復しております。

 観光庁は、ビジット・ジャパン・キャンペーンを始めて、訪日外国人三千万人を目標に取り組んでおられます。大臣所信でも、本年の訪日外国人旅行者一千万人を目指すということでお話しいただきましたが、確かに、安倍政権の誕生によって、アベノミクス効果による円安で、訪日する外国人はかなり見込めるとは思いますが、そのためにも、何よりやはり海外へのPR活動というのが重要になってくると思います。

 こういった面について、どういうPR活動をされておられるのか、お考えをお教えいただければと思います。

鶴保副大臣 委員御指摘のとおり、観光事業を成長戦略の柱と考えておるところは国土交通省も全く同感でございまして、省内でもそのためのプロジェクトチームを立ち上げ、国土交通省観光立国推進本部と名づけて、今、研さんを積んでおるところでございます。

 委員御指摘のとおり、そのために、まず、さまざまな施策が必要になるわけでありますが、その重要な柱として情報発信等々がございます。

 これまで、それらのことについて、空間放射線量等について、NHKワールドなどとも協力をしながら、JNTOのホームページで空間放射線量の正確な情報発信等をさせていただいているほか、東北地域の地方自治体や観光事業者と一体となって、東アジアを中心に、海外七市場、八都市において、観光キャラバンや旅行商談会を開催させていただいております。

 また、訪日外国人の口コミによる東北地域の安全性のPRなど実施をさせていただいており、徐々にではありますけれども、回復をさせていただいているというふうに聞いております。

西岡委員 先ほど、東アジア市場ということで、新たな市場に向けての取り組みをお聞かせいただきましたが、これまでの実績で、やはり韓国、中国、こういった両国の訪日外国人数が多いということであります。こういったところは、今、領土問題や外交的な摩擦もございまして、減少傾向にあるのかなというようなこともございますが、こういった国に対しての対応策、PR状況をお聞かせいただけますでしょうか。

鶴保副大臣 東アジアのみならず、もう委員も御案内だろうと思いますけれども、東南アジア等、ASEAN諸国も今大変な成長をしておりますから、北東アジア等々、さまざまな施策をそれぞれの国において実施していくということが肝要ではなかろうかというふうに思います。

 大ざっぱに申し上げて、東南アジアからの誘致強化など市場の拡充、多様化、これらについては、ビザの発給要件の緩和でありますとか、語学人材の養成でありますとか、こういったことも考えられると思います。また、中国や韓国からのインバウンドの早期回復、これらについては、御案内のとおり、さまざまな国家間の政治問題もございますから、これらについての努力、そしてまた、個人客、ビジネス客も、こうした中国、韓国などでは相当回復を見込ませるべく、さまざまな努力を官民一体となってやらせていただくということでございます。

 特に力を入れておりますのは、日本での国際会議等、MICEの開催、充実を図る、そのことによってより多くの方々にこの日本を訪れていただくような、そんな施策をもくろんでいるところでございます。

西岡委員 この訪日外国人旅行者のリピーターの獲得のためには、やはり新たな観光資源の開発が必要だと思います。その一つの地域としては東北ということも考えられます。しかしながら、東北においては、放射線などの風評被害が深刻なものがあります。

 こういった外国人観光客がふえない大きな要因となっている風評被害に対しての、その被害払拭への対応や、東北地方の売り込み状況について、具体的にお聞かせいただければと思います。

井手政府参考人 お答え申し上げます。

 特に東北地方の風評被害について御質問がございました。

 先ほど副大臣がお答えされたとおりでございますが、一つには、まず、放射線量などの正確な情報発信、これが何よりも大事でございまして、技術的に少し細かいことを補足させていただきますと、放射線量、マイクロシーベルト・パー・アワーであらわされますが、この数字が、実は福島県の中でも、原発のサイトの近くは残念ながら大変高うございますが、少し離れれば、例えばいわき市あるいは会津若松のあたりまで参りますと、〇・一を下回るような数字でございます。比べまして、同じアジアでも、例えば香港あるいはソウルといったところは、この辺の数字が実は〇・一を超えるような日がほとんど。これは、毎日私どもその数字をとって、JNTOのホームページあるいはNHKワールドの放送などで毎日海外に発信しておりますが、その数字は、最近のところずっとそういう数字を示しております。特にいわき、会津若松というのは、かつては〇・一そこそこでございましたが、最近は〇・一を下回る日がずっと続いております。こういったことを粘り強く皆さんのところに発信しているということでございます。

 一例、風評被害ということで、効果の例を申し上げますと、例えば韓国などは、昨年の秋ごろまでは、この風評被害ということもあって、特に東京を含めて東日本の方に来るお客さんの数が大幅に落ち込んでおったわけでございますけれども、こういった地道な努力の結果もありまして、最近、去年の秋以降、暮れ以降は大幅な回復を示しているというふうなところでございます。

西岡委員 ありがとうございました。

 国内への外国人観光客は、やはり東京、富士山、名古屋、京都、大阪、いわゆるゴールデンラインと言われるところが中心となっています。

 現在の自治体は、地方の特色を生かした地域ブランド戦略を積極的に取り組んでいる現状があります。しかも、広域的自治体間で連携をするようなことも見られます。そういった中に、やはり観光資源や特産品などは、そこに住んでいる方々よりも、案外その外の方の方が、そういった視点の方が大事だと思います。

 そういった観点から、国が地方自治体等とどういった連携や支援を行っておられますか、お聞かせいただけますか。

井手政府参考人 お答え申し上げます。

 日本の各地にすぐれた観光資源がございます。これを外国人に十分発信していく、知っていただくということが大変大事でございまして、その場合に、委員御指摘のように、確かに、そこの地域に住んでおられる方々に、もちろんまず、よく自分の地域の資源を知っていただいた上で語っていただきたいわけではございますが、もう一方、外部の目といいますか、御指摘のあったような、外からこれをどう見ていくかということも大変大事でございます。

 そういう意味で、私どもは今、ビジット・ジャパン地方連携事業というふうに呼んでおりますが、国土交通省、そしてその地方機関であります運輸局と、それぞれの地域、自治体が連携をいたしまして、対外的にいろいろな訪日プロモーションを展開してございます。

 具体的に申し上げますと、海外からメディアをその地域に、国土交通省と各地域が連携して呼んできて、情報発信をしていただく。あるいは、海外の旅行会社に向けて働きかけて、その地域の、ある程度広域的な旅行商品をつくっていただくというふうな活動に取り組んでいるところでございます。

西岡委員 ありがとうございました。

 私の地元の、しまなみ海道というものがございまして、これは皆さん御承知だと思いますが、本四連絡橋の一つでありまして、瀬戸内の島々をまたいで愛媛と広島両県をつないでおる橋なんですが、この橋は、特色といたしましては、自転車で渡ることができるという、まさに海の上のサイクリングを体感できる特異な観光資源を持っておるんです。来年には、瀬戸内海国立公園が我が国で最初の国立公園に指定されてから八十周年の年でありまして、それに合わせて、愛媛、広島両県共催で、瀬戸内しま博覧会を開催する予定であります。瀬戸内の島々を国内外にPRして、観光ブランドの向上を目指して取り組んでいるんです。

 そのイベントの一環として、世界的規模のサイクリング大会を予定しております。ことしの十月の二十日にも、そのプレ大会を開催させていただく予定であります。こうしたイベントを一過性に終わらせるのではなく、離島も含めて、疲弊している地方の活力再生に向けて国が積極的に取り組んでいただきたい、このように思っております。

 例えば、このサイクリング大会における、しまなみ海道の本線、自動車道の部分の開放など、これについては警察庁とも連携をする、調整をしなければいけないものだとは思いますが、ぜひお願いしたいところでありますし、また、何より、自転車等の軽車両の通行料金の無料化、これを実施することによって、国内外からより多くの観光客を取り込める可能性もあるんです。

 この自転車の通行料金は、島ごとにかかっている橋によって料金がまちまちでありまして、五十円から二百円というようなことになっておりまして、全体の料金収入もわずかなんですね。そういった中にあるのであれば、料金徴収の人件費のコストなども考慮すると、無料化によって得られる経済効果というのは、沿線の観光施設への宿泊やレンタサイクルの増加など、経済効果も非常に期待できるものだと思っております。しまなみ海道の自転車の無料化について、大臣のお考えをお伺いできればと思います。

太田国務大臣 しまなみ海道の自転車の通行料金ということについては、本四会社が二十一年度から、企画割引として五百円のクーポン券を出したり、観光施設の優待券と合わせて半額の二百五十円で販売したりして、努力をしているということを承知しています。

 また、実際に乗った人なんかに聞きますと、奥さんを連れていったら怒られたなんていう話があって、大変な坂になっているものですから。本格的にサイクリングということが大事だというような実態も、私は承知しているつもりでございます。

 無料化については、実は各方面から御要望を承っているところであるわけですが、地方自治体から、観光振興のためのサイクリングイベントの開催とか、あるいは費用負担などの具体的提案というようなことがあれば、私は、本四会社が中心となって検討していくというものと考えているところでございます。

西岡委員 ありがとうございます。関連する自治体、きょうは坂元代議士も、我が対岸の広島県の選出でございますので、一緒になって取り組ませていただきたいと思います。

 本当に無料化については、法律の問題点も十分わかっております。また、もう一つの要素としての島民の負担軽減も考慮していただいて、ぜひ大臣の政治的なリーダーシップで実現をしていただきたいと思います。

 国土交通行政は、まさにこの国の社会資本整備という重要な役割を担っております。ぜひ今後ともよろしく御指導をいただくように申し上げまして、私の質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

金子委員長 次に、坂元大輔君。

坂元委員 日本維新の会の坂元大輔でございます。

 私も、国土交通委員の一人としまして、我が国の国土交通行政の発展に少しでも貢献していきたいというふうに思っております。

 ただ何分、私、本日が代議士として初めての委員会質問でございますので、拙い点も多々あるかと思いますけれども、どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、早速質問に入らせていただきます。

 先日の所信表明で、太田大臣は、本年を社会資本メンテナンス元年と位置づけるというふうな宣言をされました。当然、予算配分に関しましても、その方針にのっとって、社会資本の老朽化対策、防災・減災対策に重点的に配分されるべきだと私も考えます。

 まず、先ごろ成立した平成二十四年度補正予算について、老朽化対策、防災・減災対策の金額と、公共事業関係費全体における割合を教えてください。お願いします。

久保政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十四年度の補正予算における老朽化対策、防災・減災対策は、約一・一兆円でありまして、国交省の公共事業関係費に占める割合は約六三%となっております。

坂元委員 ありがとうございます。

 老朽化対策だけですと約四分の一というふうに伺っておりましたが、防災・減災対策を加えると六〇%を超えているということで、ひとまず安心をいたしました。

 では、続いて、平成二十五年度当初予算に関しても同じように、老朽化対策、防災・減災対策の金額と、公共事業関係費全体における割合を教えてください。加えて、平成二十四年度当初予算がどうであったか、比較して割合はどれくらいアップしているのかも教えていただければと思います。

久保政府参考人 平成二十五年度当初予算における老朽化対策、防災・減災対策等は、約二・一兆円でありまして、公共事業関係費に占める割合は約四七%となっております。

 また、平成二十四年度の当初予算では約一・四兆円で、占める割合は約三五%でありますので、平成二十四年度当初予算に比べ、平成二十五年度当初予算では、割合では約一二ポイント上昇しております。

 以上です。

坂元委員 力を入れていくということで、確かに、前年度比一二%アップ、これは見方によっては大幅なアップということも言えると思いますが、また反対の見方をしますれば、まだそれでも五割にも満たないというふうにも言うことができると思います。

 大臣は、元年というふうにおっしゃっておられましたので、当然、本年度だけではなく来年度以降も、老朽化対策、防災・減災対策に力点を置いていかれるというふうに認識をしております。

 ただ一方で、我が国の財政状況は非常に厳しいものがございます。その中でこの方針というものを継続していかれるのであれば、事業の精査をさらに徹底していくことで、結果としてこの割合が、つまり、公共事業関係費の中における老朽化であったり防災・減災対策に充てられる割合というものが、結果的にふえていく形になるかというふうに思います。

 私の地元は、先ほどありましたとおり、広島県の福山市というところでございますが、やはり地元の方は、建設業を中心に、今回の公共事業の増額に関しては非常に期待の声も上がっております。ただ一方で、普通の市民の方からは、果たして大丈夫なのか、昔のインフラばらまき行政が復活するんじゃないかというような心配の声も多々聞いております。

 午前中の質疑の中に、建設業をある意味で保護していくために、一定の割合で公共事業費というのは毎年継続して使っていくべきだというような議論がありましたけれども、私はこれは本末転倒だと思っておりまして、つまり、必要な事業があるからこそ、そのために事業費を使って、そのために建設会社が存在するというのが本道であると思っております。

 今、日本にはゼネコンが全国で約五十万社あるというふうに言われておりますが、ある試算によれば、今の産業構造における必要なゼネコンの会社数というのは十万社なのではないかというような試算もございます。

 済みません、ちょっと話がそれましたけれども、つまり、公共事業関係費における防災・減災であるとかインフラ整備に係る割合というのを、できるだけ、結果的にふえていくような形で国土交通行政を運営していくべきだというふうに私は考えておりますが、これに関しての大臣の御所見をお聞きできればと思います。

太田国務大臣 それが正しいと思います。

 今まで、日本の公共事業といいますのは、昭和三十年代の産業基盤整備という時代もありましたし、五十年ごろの下水道や住宅などの生活インフラ整備という時代もあったんです。一度も、メンテナンスとかそういうことに力を入れる、そうした政策あるいは公共事業の考え方が打ち出されたことはないんです。

 しかし、大地震があり、そしてこれからももっと大きな首都直下地震、あるいは東海、東南海、南海、日向灘を入れると四連動地震。そうしたことからいっても、また、水害も、実は毎年大変な状況があるということからいきますと、初めてでありますけれども、メンテナンス、そして老朽化対策。それを今までどおりやろうとすると、先ほど私申し上げたんですが、七〇年代に一年間で一万も橋をつくっていた、それで産業が大きく前進したりということがあったんですが、どんと減ってまたやるとなると、これはもう本当に、このメンテナンス費用というものと、ここの道路をつなげてほしいとかいうところはまだいっぱいあるんですね。そういうことの兼ね合いをどういうふうにしていくか。

 おっしゃるとおり、先にこれをやらなくてはならないという事業があって、そして、それをこなせるだけの体力を建設業界が持てるようにする。だから、景気対策だといって予算を急にふやしてみたり、また、公共事業は悪者だといってどんと落としてみたりというようなことをしていったらだめなんですね。だから私は、メンテナンス元年といって、また同じようにたくさん同じお金がかかるというのではなくて、この山をできるだけ平準化する。

 そして、メンテナンス技術というものをもっと日本が開発する。これから世界は、中国を初めとして、必ずメンテナンスが必要だという時代が来ます。そのときに、世界の中で一番、老朽化対策とかメンテナンスということに技術的にすぐれているのは日本だと、このメンテナンスという技術の先進国ということを確立しながら、そして、少しでもかかる費用を落として、長寿命化を図る中で平準化して、そして産業構造というものも、再び、そこである程度の公共事業としてつなげていけるように、というようなバランスをどうとるかという正念場だと私は今思っております。

 おっしゃることはよく理解をしておりますので、真剣に取り組んでいきたいと思っています。

坂元委員 前向きな御答弁、まことにありがとうございます。

 私も前職で大阪市の行政に携わっておりまして、いわゆるファシリティーマネジメントですね、長寿命化というものに取り組んでまいりました。

 大臣がおっしゃるとおり、私もゼネコンが必要ないとか、公共事業が必要ないというふうに言っているわけではなくて、これからはその中身というものを時代の変化に合わせて変えていかないといけないんだろうなというふうに考えております。そうすることで、大臣が先ほどおっしゃったとおりでして、新たに建設業というものが、逆に成長産業になり得る可能性というのも十分あるのではないかと私も考えております。

 大変意見が一致しまして安心いたしました。ありがとうございます。

 続きまして、耐震診断時のアスベスト飛散対策に対してお伺いをいたします。

 平成二十五年度予算関連法律案としまして、建築物の耐震改修の促進に関する法律の一部を改正する法律案というものが提出され、助成制度の強化とあわせて、耐震診断の促進を目指すことが掲げられております。

 そのこと自体には、私も先ほどから申し上げているとおり賛成でありますが、古い建物の耐震診断を行う際に、多くの事例で課題となるのがアスベストの飛散でございます。

 そこで質問ですが、現状として、アスベストの飛散が予想される建物の耐震診断時、どのような対策がとられるのでしょうか。また、それを所管や監督する省庁と、実際に事業者が作業を届け出る先はどこになるのでしょうか。お答えをお願いします。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のように、耐震診断時に、鉄骨の耐火被覆でありますアスベストを一部除去せざるを得ないケースがあるということを認識しております。

 その際の対策でございますけれども、大気汚染防止法において、一般環境への飛散防止のための作業場の隔離、集じん装置の設置、こういったことが求められます。それから労働安全衛生法において、さらに、労働者の石綿暴露防止のための呼吸用保護具や保護服の着用などが規定されており、それぞれ作業前の届け出が必要になっております。

 大気汚染防止法については環境省の所管でございまして、届け出先は都道府県知事、一定の市長あるいは特別区長ということでございます。

 労働安全衛生法につきましては厚生労働省の所管でございまして、労働基準監督署長にお届けいただく、こういうふうになってございます。

坂元委員 ありがとうございます。

 今答弁がありましたように、アスベストの飛散対策に関しましては、大気汚染防止法の観点からは環境省、労働安全衛生法の観点から厚生労働省、そして実際の作業の届け出に関しては、主に基礎自治体に届け出ることになっております。

 実は、国に先行して同様の耐震診断の推進策をとってきた東京都で具体的に問題となっておりますのが、届け出先の区の、届け出の受付担当者の判断によって、行わなければならないアスベストの飛散対策に大きな差が出ているという問題であります。つまり、区の受付担当者とすれば、周辺住民やその他からのいわゆる苦情が非常に恐ろしいということで、どうしても、その判断が規定よりも厳しくなりがちだという傾向があるというふうに現場から聞いております。

 当然、より高度のアスベストの飛散対策を施そうというふうに思えば、事業者への負担がその分増して、私が聞いたところでは、少し専門的な話になるんですけれども、HEPAフィルターというフィルターをつけるかつけないかで、〇・一平米を診断するのに、つけなければ五十万円、つければ二百万円と、約四倍にはね上がるというような話も聞いております。つまり、せっかく今回、耐震診断を推進していくための助成制度をつくったとしても、そういった部分で、事業者が耐震診断そのものを断念してしまうというような事例があるというふうに伺っております。

 今回、国土交通省としまして耐震診断の促進を目指すのであれば、関係省庁や自治体とも綿密に連絡、連携をとって、実効性の高い施策として実施できるように配慮すべきだというふうに考えますが、その点について大臣の御見解をお願いいたします。

太田国務大臣 新耐震基準は昭和五十六年にできています。この新耐震という基準に沿ってできた建物は、耐震診断というのは必要ない。また、それ以前でも耐震診断を行って、大丈夫だというものもあるんですが、なかなか、図面がある場合はいいんですが、図面がない場合が結構多いんですね。それで、中の鉄骨まで見なくちゃいけないということで、壁を破るという作業がどうしても必要になってくるときにアスベストが飛散するというようなことになっています。

 これから、耐震診断をしっかりやらなくてはいけない、また、やりなさい、そして耐震改修を行いなさいという方向を出す以上、そこのアスベスト飛散ということについてもちゃんと防護しなくてはいけないということを、指示を徹底する必要が確かにあります。

 東京都で区の場合ということを言ったんですが、これは、国の補助があるんですが、地方自治体に取り組みをお任せするという形になっているものですから、そこで、徹底する地方自治体と徹底ができていないところがあったりして、また、東京都のように、東京都があって区があるというところは二重に指示が行き届かないという点があったりします。

 私は、そういうことで、アスベスト飛散防止と耐震診断、耐震改修ということについてよく注意をしなくてはいけないんですよということを、より一層、しっかり周知を図っていくということが極めて重要だと思っておりますので、御指摘のように、周知を図るよう努力をしたいというふうに思います。

坂元委員 前向きな答弁をありがとうございます。ぜひよろしくお願いいたします。

 続きまして、千葉市上空の羽田空港騒音問題について質問をいたします。

 私自身も、着陸ルート近辺にお住まいの方々から、何とかしてほしいという生の声も伺っております。現在さまざまな軽減策に取り組んでおられるということですが、まず、その詳細の御説明をお願いいたします。

田村政府参考人 お答えいたします。

 平成二十二年十月に羽田空港の四本目の滑走路が供用開始になりまして以降、羽田着の航空機の到着経路が千葉市上空に集中しているということで、騒音軽減を求める声が寄せられているところでございます。

 国土交通省といたしましては、これまでも、騒音軽減方策の検討を鋭意進めて、その結果可能となった方策につきましては、順次実施してきているところでございます。

 例えば、具体的な取り組みを申し上げますと、平成二十四年二月から、南と北からのルートが交差する部分があるわけでございますけれども、これを可能な限り、市街地の上空を回避するようなルートに変更いたしました。さらに、南方面から到着する経路の飛行高度を引き上げるという試行運用を、昨年の八月から十一月に一回やりまして、再検証したのを引き継ぎまして、本年三月から実施しております。安全面の確認など必要な作業を鋭意進めた上で、可能な限り速やかに本格運用に移行したいというふうに考えております。

 さらなる改善策につきましても、いろいろ検討させていただきたいと思いますけれども、そういう改善策の中には、やはり航行の安全確保ということが最大の前提なので、一定の時間がかかるということはどうしても御理解を賜らないといけないところではございますけれども、引き続き、騒音軽減に向けて、着実に改善が図られるよう真摯に取り組んでまいりたいと考えております。

坂元委員 着陸ルートの高度引き上げに関しては、先ほど御答弁ありましたように、安全面を最優先しながら、実現に向けて最大限の努力をお願いしたいというふうに思っております。

 そして、私が伺ったところでもう一点。

 騒音対策という観点から見れば、実は、羽田空港に乗り入れているジャンボジェット機に関して、午前中の質疑でもありましたとおり、現在、最新型のボーイング787が運航を停止しているもので、旧型の747が今使われているという状況です。当然なんですけれども、旧型機ですので、騒音はそちらの方がうるさいということがあります。

 つまり、騒音対策という観点から見れば、ボーイング787の速やかなる再運航というものが望まれるわけなんですけれども、もちろんトラブル対応を優先させなければなりません。そういう部分で、現状のトラブル対応に関して簡潔に御説明をお願いできますでしょうか。

田村政府参考人 御質問のボーイング787型機でございますけれども、確かに、騒音という観点からは、低騒音で環境性能にすぐれた航空機ということでございますけれども、御案内のように、バッテリー事案を受けまして、必要な是正措置を講じるまで運航停止を指示しているところでございます。

 本件に関しましては、米国連邦航空局、FAAが、ボーイング社による是正措置案に関します証明計画というものを、米国時間の去る十二日、日本時間ですと十三日の早朝でございますけれども、承認いたしております。

 これは証明計画の承認でございますので、この計画に従って、ボーイングはこれから試験とかデータの解析、こういうものをやっていって、是正措置の安全性というものを立証しなければならないということでございます。その上で、FAAと国土交通省が緊密に連携をいたしまして、これらの内容を審査して、そして航空機の安全性についての確認を行うということになります。

 それを受けて、是正措置が承認されますと、今度は航空会社が必要な改修を行わなければいけない。そこで初めて運航再開になるということでございます。

 手続としては、今、そういうことでございます。

坂元委員 もちろん、安全性の確認というのが最優先でございますから、まだまだプロセスがあるということは私も理解をしております。

 最後の質問になりますが、もちろん、先ほどから何度も申し上げているとおり、特に航空機に関しては安全性が最も求められる部分ではあります。ただ一方で、千葉市でありますとか、そういう周辺にお住まいの住民の方からすると、騒音対策というものも極めて重要だというふうに考えますが、この騒音対策というところについて、大臣のお考えをお聞きできればと思います。

太田国務大臣 羽田は、騒音対策とかいうことでは大変難しいデリケートなところにあって、また、伊丹もかつて訴訟があったり、いろいろなことがあったりしました。

 羽田の場合は、横田空域を変えるというようなこととか、あるいは航空局長が言いました千葉上空というのは非常に難しくて、南風のときと北風のときと違って、飛行機は常に風に向かっていくわけですから、そうした風向きと交わる地点というものをどうするかというような、本当に大変な航空管制をしているというような状況にもあります。

 全国の空港がそうなんですが、高度を高くするんだとかいうことを初めとする運航方式で工夫をする。あるいは飛行機自体を、787もそうなんですが、まさに騒音の低い機材にしていくということ。あるいは、深夜の時間帯というのは、よく受忍限度という言葉で言うんですが、一人一人によって受忍限度の幅が違うんですけれども、振動も加わったりしますから、病人とかそういう方は大変な状況なんですが、特に深夜という時間帯の発着規制。あるいは住宅の防音装置。そうしたことをあわせて一つ一つやっていかなくてはいけないというふうに思っているところです。

 さらにそうしたことに注視していかなければならない、取り組んでいきたい、こう思っているところです。

坂元委員 ありがとうございました。

 きょう取り上げさせていただいた課題に関しては、これからも引き続き注視していきたいというふうに考えております。

 質問時間が終わりましたので、終了させていただきます。ありがとうございました。

    ―――――――――――――

金子委員長 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、政府参考人として厚生労働省大臣官房審議官西藤公司君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

金子委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

金子委員長 次に、杉本かずみ君。

杉本委員 みんなの党の杉本かずみと申します。どうぞよろしくお願いいたします。

 私は、太田国土交通大臣はよくテレビで拝見する機会がありましたが、こうやって質疑をさせていただく機会を頂戴して、改めて感動しております。また、答弁を午前中からずっと聞かせていただいている限り、極めて見識の深い、国土交通行政の知識をお持ちでいらっしゃるというふうに拝察させていただきますし、また、冒頭ちょっと難しい質問をさせていただくかもしれませんが、安定感のある御判断をしていただけると思っておりますので、御期待とエールを送らせていただきたく存じます。

 それで、私の質問は、率直に申し上げて、国土交通行政の基本施策に関する件と大臣所信に対する質疑ということで上げさせていただいているんですが、国土交通に関する多岐にわたる質問であり、また、ほかの関係省庁と重複するというか、またがるようなことが多くて、御回答いただく方がいろいろかわられるので委員長に御迷惑をかけると思いますが、適宜、御判断をお願いしたく存じます。

 それでは、質問に早速入らせていただきます。

 前政権で起きた事案でございまして、平成二十二年九月七日、我が国尖閣諸島周辺で、海上保安庁巡視船が中国トロール漁船に対して停船命令を発したにもかかわらず、それに従わずに、海上保安庁の巡視船に衝突した事案というのがございました。

 この映像については、出す出さないということが前政権のときに議論がありまして、そんな中で、海上保安庁の職員が職を賭してユーチューブに公開をするということがございました。

 私は、いたずらに、あるいは今殊さらに、戦略的互恵関係の中国に対して問題を大きくしたいという意識もないですし、世論を、反中感情を喚起したいという意識は全くありません。むしろ、その逆を望んでおりますが、新政権として、この問題に対しての問題意識、あるいは、ちょっと具体的に申し上げて恐縮でございますが、この映像について、あの公開については予算委員会の理事だけだったかと拝察しますが、ちょっと正確に覚えていないんですが、一部の国会議員の方だけに公式に開示されたというふうに記憶しておるんですが、新政権として、海上保安庁を束ねていらっしゃる太田大臣におかれまして、この問題についてどういう処置をされるか、公開されるのか、しないのか、あるいはどういうお考えをお持ちなのか、御指導いただければと思います。

北村政府参考人 平成二十二年九月に発生いたしました中国漁船の衝突事件の映像記録の件でございますが、直近では、参議院の予算委員会の要請に基づきまして、海上の警備や取り締まり活動への支障などを考慮する必要性が小さい場面を抽出したダイジェスト版につきまして、平成二十三年の八月十一日に、今から約一年半前でございますが、この予算委員会の理事会に提出をいたしております。

 海上保安庁では、業務執行にかかわりますビデオの公開につきましては、これまでも個別事案ごとに、いわばケース・バイ・ケースで判断してきておりまして、海上保安庁の規制手法ですとか捕捉の手法などが明らかになるなど、領海警備などへの支障なり、それから事案の態様なりを総合的に勘案して、公開するかしないか、その是非を決定しているところでございます。

 海上保安庁としましては、この事案につきましては、もう実質的に公開されている状態と認識しておりまして、改めて公開するようなことは考えておりません。

 以上でございます。

杉本委員 今、海上保安庁長官からお話がありましたけれども、改めて、所管大臣として、何かございましたらお願いしたいと思います。

太田国務大臣 認識は長官と全く同じでございます。

杉本委員 ありがとうございます。

 一つの答えをきちっとすることがやはり日本の政治に大事だと思いますので、今の御答弁に感謝申し上げます。

 次に、海上保安庁に関連してなんですが、こういった事案があったことを含めて、最近は我が国領海にかかわる問題を惹起することが多くございますが、要員、機材の増強状況等をお伺いしたいんです。

 先ほどの答弁で、十四隻相当で、実際はたしか十二隻のはずなんですけれども、この十四隻と十二隻の関係を含めて、一般の国民、あるいは私自身も含めてなんですが、ちょっとわかりにくい機材の増強状況という感じがありますので、この点も含めて、予算額あるいは質的な中身を含めて、海上保安庁の増強の状況をお聞かせいただきたいと思います。

赤澤大臣政務官 午前中に御質問いただいた西村委員と同様、的確な問題意識で御質問いただいておりまして、まことにありがとうございます。

 まず、海上保安庁の要員、予算についてお話をいたします。

 海上保安庁の定員につきましては、平成二十四年度末現在で一万二千六百八十九人、それから、平成二十四年度一般会計予算は千七百三十二億円ということでございます。船艇は四百四十六隻、航空機は七十三機ということになっております。

 これまでも、厳しい財政状況の中、必要な予算を確保し、さまざまな業務ニーズに対処するための体制整備を図ってきたところでございます。

 平成二十四年度補正予算、それから二十五年度の予算案においても、大型巡視船の新規建造、海上保安官の大幅な増員など、海上保安庁の体制強化のために必要な経費を計上しております。

 今後とも海上保安庁の体制の充実強化を図っていく所存です。

 あわせて、ちょっと御通告がなかったようですが、質問されました、十二隻なのに十四隻相当というのはどういうことだと。これについては、そのうちの三隻についてクルーを四セット用意をいたしまして回すことで、しっかりと二隻分多目に相当するだけの機能を発揮させようということで、そういうことと御理解いただければありがたく存じます。

杉本委員 なかなかわかりにくい内容をわかりやすく御説明いただいたかと思います。どうもありがとうございます。

 次に、海上保安庁、特に尖閣諸島の警備については第十一管区海上保安本部が当たってくださっているという認識でございますが、昨今の中国船の領海侵入状況を、直近一カ月あるいはことしに入ってからという区切りでどういう状況にあるか、お話を賜りたく存じます。

北村政府参考人 尖閣三島を取得、保有して以来ですが、尖閣諸島の周辺海域では中国公船によります領海侵入が繰り返されております。区切りという意味で、ことしに入ってからの状況でございますが、十三回領海侵入がございます。情勢は厳しさを増しているというふうに考えております。きょう時点は、実は、尖閣周辺は大変、こっちはこういう天気ですけれども、向こうはしけておりまして、きょうは公船は一隻も来ておりません。

 海上保安庁では、現下の情勢を踏まえまして、巡視船を増強配備し、中国公船に対しては領海に侵入しないように警告いたしますとともに、領海に侵入した場合には退去要求ですとか進路規制、船の、中国公船の前へ近づけていって進路を規制をする、それによって中国公船が中側へ入らないようにしていくわけですが、そのような進路規制を行いまして、領海外へ退去を今させているところでございます。

 今後とも、関係省庁とも緊密に連携しながら領海警備に万全を期していきたいと思っております。

 以上でございます。

杉本委員 北村長官、ありがとうございます。

 海上保安庁のトップとして、どうぞまた引き続き、大変な大役でございますが、頑張っていただければと思います。もしお忙しければ、職場の方に戻っていただいても結構でございます。

 次に、ちょっと多岐にわたって恐縮ですが、公団住宅の問題について質問をさせていただきます。去年の前政権におきましては、夏場に穀田代議士が質問をされておられて、それに関するアップデートをしたいというような関係の質問でございます。

 まず冒頭、公団住宅の居住者の方々から要請が来ている中で、一部分、具体的な数字を若干列挙した要請内容があるので、ちょっと恐縮ですが、御報告いたしますと、現在、公団住宅居住者の生活実態は、ますます高齢化が進んでいます。世帯主の七割が六十歳以上、年金生活が半数を占めている。あわせて、収入の低下が顕著、約半数が年収二百五十万以下であります。前政権は、平成二十四年、昨年一月二十日に閣議決定をして、昨年の八月に取りまとめました公団住宅を分割、売却、株式会社化をする方針というのを出され、公団住宅の公共住宅としての役割、居住者の生活実態を無視した、これは彼らのコメントですが、理不尽かつ粗暴なものだ、私たちはこれに反対したい、そして活動すると書いてあります。

 この決定に対して新政権では、現内閣が一月二十四日に、一度決まったものを当面凍結するという閣議決定をされたということですが、先行きについて引き続き不安があるということで、要請並びに質問を頂戴しております。

 この点、改めて、前政権と安倍新政権、そして太田国交大臣の御配下での公団住宅政策について、前政権との相違点、共通点、継続性等をお話しいただきたいと思います。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 都市再生機構、略称URでございますけれども、URの改革についてのお尋ねでございます。

 御指摘にありましたとおり、前政権の内閣府の調査会で、賃貸住宅事業の分割、再編を骨子とする報告書が取りまとめられております。この報告書につきましては、昨年一月の独立行政法人改革に関する閣議決定の中で調査会の設置も決まりまして出された報告でございまして、このほど、この当該閣議決定が凍結ということになりましたので、一回棚上げというふうに理解をしております。その上で、行政改革推進会議において、これまでの取り組みの、独法全体について、URも含めてでございますけれども、総括、点検が進められている、これが現状だという理解をいたしております。

 一方で、URの経営面でございますけれども、多額の有利子負債、十三兆円余りでございますけれども、抱えながら、財務構造は脆弱と言わざるを得ないということでございまして、収益力を向上させたり、あるいはコストを削減させたりというような、経営改善を強力に進める必要がある。これは恐らく、政権によって変わらない認識だというふうに思っております。

 URにつきましては、独法全体の改革が今検討中ということでございますので、これに合わせながら、引き続き検討を進めてまいりたいというふうに考えております。よろしくお願いいたします。

杉本委員 井上局長、答弁ありがとうございます。

 住民の方々にとっては、居住の安定、住まいの安定、もう言い尽くされた言葉でありますが、私も、有権者の、支援いただいている方々を訪ねていくと、五階建ての建物があって、上がっていくと、エレベーターはなくて階段だということです。直近、そこに引っ越したいという有権者の方がいて、ちょっと調べてみますと、低層階の、治安上若干心配があるような一階、二階は人気があっていっぱいです、しかし、階段を上がっていった四階、五階はまだあいていますよというような状況で、そういった状況の中で高齢者の方やあるいは年収の問題がある方々がお住まいになっておられるということは、公明党さん、共産党さんを初め、現場によく足を運ばれている先生方は十分御存じだと思いますが、改めて、居住の安定、住まいの安定ということをお願いしたいと思います。

 昨年、穀田代議士が質問をされました。今、脆弱な財務体質というお話がありましたけれども、一方で、アセット、資産も、かなり好立地であったり、いい土地に物が建っていたりということだと思いますので、現時点で、直近での資産、負債の状況、あるいは債務超過にあるかないか、並びに公団住宅全般についての提供戸数を改めて教えてください。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、URの賃貸住宅の戸数でございますけれども、およそ七十五万六千戸ということでございます。通常の空き家が五%ぐらい、それから、建てかえ等のための政策的にあけているものがある程度ございますので、恐らく入居されているのは七十万戸程度ではないかというふうに思っております。この賃貸住宅は、住宅セーフティーネット法において、セーフティーネットを担う役割ということで位置づけをされているところでございます。

 経営でございますけれども、これは住宅以外も含めた全体でございますが、資産は十四兆七千億、負債が十三兆九千億、資本金が一兆一千億ございまして、債務超過ではございませんが、繰越欠損金が二千六百億円ということでございます。

 ちなみに、UR発足以来、一応毎年黒字ということで、繰越欠損金は順次これまでは減ってきているという状況でございます。

杉本委員 繰越欠損の数字も言っていただきました。

 今お話しいただいたのはURの賃貸でございますが、これ以外にも、公営住宅として二百万戸以上、公社住宅として十八万弱の住宅が、いわゆる公が提供している住宅として、本当に額に汗して働いている方々が住まわれている施設があるということですので、私どもみんなの党は、新自由主義的に御理解いただきますが、セーフティーネットを大事にしたいという政党でもございますので、この公営住宅の提供につきましては、力点を置いて安倍政権にもお願いをしたいと思っております。

 では、次に、恐縮ですが、また話がかわりまして、被災地の問題に入らせていただきます。

 大臣所信にもございましたが、三大臣政務官がそれぞれ担当県をお持ちだということだったんですが、私もホームページをちょっと調べてみたら、書いていないんですよね。

 そこで、改めて、公に、どなたがどこを担当して、必死に地域に入っているんだということを言っていただきたいと思います。お願いいたします。

太田国務大臣 一月十日に被災地要望対応支援チームを立ち上げました。それで、松下政務官が福島県と茨城県、赤澤政務官が宮城県、坂井政務官が岩手県と青森県、こういう担当にいたしました。

 私、バッジのないときも、バッジをいただいてからも、現場に行きますと、非常に要望が具体的なんですよ。東京に帰ってきて、みんなで会議して議論しているというような風景を、落選していたときのこの三年三カ月見てまいりましたが、聞いた話をすぐ手を打つということにしないと、災害復旧、復興はできないということを印象深く思ったものですから、担当を決めて、その場で手を打てることは打つということのために、チームを、それぞれ担当をつけたということでございます。

杉本委員 心強いお話、ありがとうございます。

 早速、私も聞いた話を投げかけさせていただきたいんですが、被災地の災害公営住宅、計画が昨今発表になりまして、将来の展望が少し開けるということで不安の解消につながることを期待しておりますが、一方で、その災害公営住宅、少し案を見せてもらったんだけれども、残念ながら、家賃が四、五万で、ちょっと私どもには高くて、それを払っていくなら、大きな借金をしょうかもしれないけれども、もう一度家を建てようかとも思うんだというような言葉が被災者からございました。

 そういった意味で、この災害公営住宅の場合は各地方公共団体が設定する家賃になるかとは思いますが、そのメルクマールはやはり国が方向感を出すのではないかと拝察いたします。また、津波以外の、原発で避難して戻ってくるような方々に対して、あらゆる生活環境が奪われた中で、家賃が高いか安いかの問題、それ以外にも光熱水道費、この負担も重くのしかかるということでは、本当に将来の夢と希望といったものを崩してしまうのではないかと感じております。

 そういった意味で、ちょっと可能かどうかを含めてですが、光熱水道費等の補助の可能性も災害公営住宅についてあるかどうか、家賃のこととあわせて御指導いただきたいと思います。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 災害公営住宅の家賃でございますけれども、これは一般の公営住宅と基本的な制度は同じでございまして、原則的には、入居者の収入、それから住宅の立地とか規模、こういうものに応じまして家賃を個別に決めていく、応能応益というふうに言っておりますけれども、仕組みでございます。

 ただ、東日本大震災につきましては、非常に甚大な災害であったということで、過去、阪神・淡路で同じことをやっておりますけれども、特に所得の低い方々に関しましては、家賃減免制度、公共団体の減免制度というのを使って軽減できるんですけれども、そこにも国の補助を入れて大幅に家賃を引き下げるということとしております。

 ちなみに、先行しております相馬市の事例ですと、一番収入の低い階層の方で、通常家賃が一万三千五百円のところを三千三百円まで引き下げているということでございます。

 光熱費につきましては、入居者の方々それぞれ使用の仕方が違うものですから、むしろ家賃の方を下げて、光熱費の方は、申しわけございませんけれども、自己負担でお願いするというのが今回の考え方でございます。これまでも同様でございます。御理解賜ればと思います。

杉本委員 井上局長、ありがとうございます。

 次に、その公営住宅の着手の状況、並びに、さきの予算委員会で維新の会の中山成彬代議士が提案をされて、太田大臣が御回答されていたかと記憶しておりますが、改めて、津波に強い高層化の公営住宅の建設の可能性というのがあるかないか、教えてください。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 着手状況でございますけれども、岩手県では、五千六百戸の計画のうち、今、用地まで確保しているものが二千四百三十二戸、四三・一%。それから、宮城県では、一万五千戸の計画のうち、同じく用地確保が五千百三十二戸、三三・一%。福島県は、特に全体のフレームはございませんけれども、千六百四十二戸というのが二月二十八日時点の状況でございます。

 それから、高層化の御指摘がございました。

 沿岸部で高層化というのは一つのやり方であるというふうに考えております。一般的には、高台に移っていただいたり、あるいは盛り土をしたりということでございますけれども、具体的には、一階を駐車場にしまして、その上に人工地盤を張って、五、六階の住宅を建て、そこを避難所に使うというようなケースも出てきております。

 こういう事例につきましても情報提供しながら、国としては、それぞれの地域でしっかり実情に応じた整備をしていただけるように支援をしてまいりたい、こういうふうに思っております。

杉本委員 今お話がありました数字の比率が、用地確保ということでお言葉だったんですが、完工するのが答えであると思っておりますので、そういった意味では、大臣の御指導のもと、一刻も早く住める住宅提供をお願いしたいと思います。

 次に、三月十一日の前の金曜日の夜、古舘さんが出ている報道ステーションという番組でも報道の題材になっておりました、宮城県の事例だと思うんですが、これはマスコミの一部の情報なので、正確かどうかを確認したいんですが、宮城県の防潮堤について、総延長百六十三キロにわたるコンクリートの防潮堤が計画されている、金額が三千百四十億という計画があるやに報道されているんですが、それに対する宮城県知事のコメントもその番組で拝聴、拝見いたしました。この計画が実際にあるのか。

 この答えについては、何か漁港があるので水産庁が答えるべきであるとかなんとかというようなことを、前の予算委員会で質問しようと思ったら答えが来たんですが、私どもというか国民の立場から見ると、どこのお役所が担当して国会で答弁するかということは決して対象として考えていることではなく、また、官僚の皆さん方の回答をきちっとつくるために国会の質問があるのではなくて、きちっとした津波対策をし、しかも、強い日本、美しい日本を守っていくために海岸線をできる限り守っていただくというのが国民お一人お一人の願いだと感じておりますので、そこを含めて、このコンクリートだけの防潮堤が本当に建とうとしているのか。

 いや、そうではなくて、何か、いわきで実際に津波があったときに、引き波が一番怖いと言われていますが、この引き波に対して、防潮林が非常にそれを弱める役割をして多くの命を救ったことがあったということを被災地から聞いておりますが、こういった防潮林を設置する。この防潮林の設置については林野庁の所管だとか言っているんですが、防潮林の下の土台は国土交通省がつくってくださるのではないかな、あるいはそれぞれの県がつくるのではないかなというふうに感じておりますので、こんな点を含めて、トップのリーダーシップを大いに期待したいと思いますが、この点について御回答と大臣からのお言葉をいただければと思います。

足立政府参考人 ただいまの防潮堤のお話についてお答えをいたしますが、百六十三キロというのは、宮城県の方で復旧をしようとしている防潮堤の延長でございます。そのほか、直轄で四十数キロ、私どもで担当しているところが宮城県内にはございます。

 今お話のございましたいわき市で、現在ワークショップで議論されている、防潮堤の復旧に合わせまして、その背後に、陸地側なんですけれども、盛り土をして、そこに植樹をして防災緑地にするというような御提案がありまして、議論されているということでございますけれども、その点につきましては、土地利用とか用地取得だとか、現地の状況をよく鑑みないといけないんですけれども、状況が、そういうことが許せば、堤防のさらなる強化だとか、環境、景観の面で一定の効果があるというふうに私どもでは考えてございます。

 今後とも、海岸を管理している自治体の方におきまして、関係機関としっかり連携して、地域住民の皆様の御意見も踏まえつつ、環境や景観、利用にも配慮した防潮堤の復旧が進められるように、国土交通省としてもしっかり支援していきたいというふうに考えてございます。

杉本委員 大臣のお言葉も賜れるでしょうか。お願いします。

太田国務大臣 何省だ何省だというのは随分ありまして、私も現地に行きまして、バッジがちょうどなかったんですけれども、何とか漁協のためにという要望を受けまして、やると、そこは水産庁なんです。その加工工場を建てるというところの補助とかいうと、経済産業省、中小企業庁の補助だったりします。漁港ではないところは国交省。だから、同じかさ上げといっても、それぞれが分かれていたりして、管轄があります。

 そこを、きょう来てくださっていますが、復興庁が、あの省だこの省だということにならないようにということで、まとめる会議すらできなかったというのが私はいら立ちを持っていて、地方整備局に、国交省にやってもらったりしたんです。そして地元と、加わっての協議、それが復興庁の大きな役割だと思っています。

 防潮堤のことですが、この津波に対してどれだけの高さが必要かという、その高さの問題と構造の問題がございます。津波の高さも、そこは、松島でも、こういうふうに湾が出ているところに太平洋側から来た津波。今回は、二時四十六分と、三時七分と、三時十五分と、三時二十五分という、四つの大きなマグニチュード七以上が発生したものですから、津波が連鎖して、合わさってという、複合体の津波ということで、予想より高くなってきたというようなことも現象にはありますが、マグニチュード九・〇の二時四十六分ばかり言われていますが、そういう現象が津波の高さということになると思います。

 地形と、どこに震源があるかということで、それを千年に一回と、そして百数十年単位で考えるか、どっちかということで、全部ハードの高さでやらないということが基本です。それで、ハードとソフトと合わせて、津波の高さがどのくらいになるかという、地形も考えながら判断して、高さというものを決めていただいたと。あるところでは七メートル。あるところでは四・八メートル。こういうような想定で、では、今度はそこのところに、構造物の高さではなくて中身をどうしようかというときに、コンクリートではなくて緑の防潮堤というような形で、そこに木を植えるとかいうような、そしてまた、引き波ということをおっしゃいましたけれども、確かに、引き波というときに、植える木が、針葉樹がいいか広葉樹がいいかと、宮脇昭さんの提言のように、松は意外と横にはうものですから弱いです。その植える木も含めて、どういう中の構造で、その堤防の中身のところに瓦れき等も使って、そして腐食しないようにというようなことをやるかという、高さの問題と、構造の問題と、そして景観というような問題と、ソフトというのを合わせての高さのこと、これらを総合的に勘案して、軸になるのは、地方自治体がこういう防潮堤をつくりたいということです。

 そこの合意ということと我々が一体となって、それで地元の人が納得できる防潮堤をつくろうというのが私たちの基本的な考えでございます。

杉本委員 大臣、ありがとうございます。

 私が聞いた限り、樹木は、ドングリころころのクリの木が一番強いんだという話を聞きました。

 また、今回の事案で、岩手の北の方の普代村は十九メーターの防潮堤で、一部の方、閉めに行った方だけが亡くなられたというようなこともあったかと思います。

 また、さきのインタビューでは、宮城県知事は、とにかく命を守ることが最大の目標だということの中で方向感を出しておられたということでございます。

 一応、その事実関係だけ御報告して、あとは大臣のリーダーシップに御期待を申し上げたく存じます。

 次に、復興の状況を見てまいりますと、国土交通省所管のまちづくりという観点から見て、今、二十キロ圏内が注目されておりますが、旧警戒区域、三十キロ圏内で旧警戒区域だった地域は、歩いてみますと、人が町を歩いていない、車がほとんど走っていない。何か食事をいただこうかといったって、お店屋さんは余りない。あるいは、髪の毛を切るわけじゃありませんが、床屋さんの青と赤のくるくる回るのは回っていない。パーマ屋さんはやっていない。

 ということで、住宅の問題が殊さら復興で注目されるんですけれども、特に福島の周辺の市町では、もとの状況に戻していくためには、インフラに加えて、お店、買い物をする先、お医者さん、あるいは理美容院といったものが生活のためには必要でございますが、こういったものに対する御認識。

 それから、民間のことであるのでなかなか難しいと思いますが、こういうことに対する対策を、復興庁さんになられるのかどうかわかりませんが、一応、全体をまとめるために復興庁があるということかと思いますので、この点について、現況の認識と対策を教えてください。

浜田副大臣 杉本委員より、二十キロ圏と三十キロ圏の間の生活環境の整備の状況について御質問いただきました。

 避難指示が解除された区域へ帰還された方々が安心して暮らすための環境の整備を図っていくことは、重要な課題と思っております。

 まず、買い物等でございますけれども、まだ一部の住民しか帰還していないために、店舗の再開が進んでおらず、買い物等の面で不便が多いのが現状である、こう認識しております。

 このため、平成二十四年補正予算及び平成二十五年予算案に計上いたしました、地域の希望復活応援事業、これは両方合わせまして二百五十億円なんですが、これを活用して、例えば移動販売のための車両の提供、こういう生活のための環境整備を進めたいと思っております。

 また、今、杉本先生から理美容の関係もございましたが、そういう再開へ向けた店舗の清掃や修繕というものにも、この予算を活用していきたいと思っております。

 また、医療の面が、一番、住民の方々で御心配の方が多いと聞いております。これにつきましては、二十キロ圏と三十キロ圏の間、具体的地名でいいますと、広野町であったり、南相馬市の南の方でございますけれども、これについては、現在、六病院が診療を行っておりますけれども、特に医師、看護師等の確保に課題がある、こういう認識もしております。

 引き続き、医療機関のニーズを個別に把握した上で、大学からの医師の派遣の調整や看護師の確保のために、財政支援など必要な支援を行ってまいりたいと考えております。

杉本委員 どうもありがとうございます。

 意外と目が行き届かなくなりがちだと思いますので、ぜひともそういった細かいところにも目配りをお願いしたく存じます。

 次に、今度は、むしろ二十キロ圏内に近い地域、あるいは二十キロ圏内の地域でありますが、いわゆる避難指示解除準備区域と言われる地域について、一般の方は入れないんですが、先日の三月十一日にはマスコミが入っておりましたし、ボランティアという方々は入って活動をしているんです。

 そういったところの国土交通省所管の道路の側溝の汚泥、若干線量が高かったりするものもあるかと思いますが、そういったものを実際除去してくれているのは、行ってみてびっくりなんですが、ボランティアの方々でありました。

 しかし、このボランティアの方々が書いたコメントには、二月十二日以降も活動させていただくこととなりましたということで、一月二十三日に当ボランティアセンター公式ブログにて活動の一時休止についてお知らせをしましたがと、こう書いてあるんですが、一応資金繰りがついたので活動を継続できることになったというペーパーを一枚、私はもらってきたんです。

 それで、そこのボランティアの方々に、市や県や国の人は来ているんですかと聞いたところ、いや、ここのところ来ていらっしゃらないという言葉がありました。どことはあえて言わない方がいいかと思いますが。

 私が知る限り、福島の被災地周辺の市というのは、放射線の関係で市職員もやめていなくなってしまって、人数が減員状態ということで、目いっぱい働いていらっしゃるという状況にあると思います。

 一方で、県庁は、浜通り、中通りでいくと中通りにあって、どういう状況か私はまだ把握できておりませんけれども、実際に福島の現場とは少し遠い状況にあると思います。あるいは、国はこの東京にあってということの中で、本当に、いわゆる除染が進み、避難指示が解除されようとするところに対して、活動しているのはボランティアさんだけということはないと思いますけれども、そういう方々に対するサポートというものが十分にできているのか。

 彼らのペーパーが正しいとすれば、資金繰りが厳しくなっている。私が聞いてきたところだと、ガソリン代が厳しいんだ、みんな自腹でやっていると。志あって、地域の被災した、被曝した土地のために尽くしてくださっている方々に対して、県や国は一体何ができるのだろうかということを改めてお考えいただきたく存じます。

 この点について、やはり私の希望としては、せっかく復興庁ができたので、復興庁の方々が窓口となって動いていただきたく存じますが、この予算は、社会福祉協議会の関係で厚生労働省所管というふうに聞いております。

 改めてまた言いますが、国民の立場からすると、どこの役所が幾ら予算を持っているかという問題ではなくて、いかに福島の方々が早く戻れる環境をつくるかということだと思いますので、こういった点について、どういうサポート体制をしていて、今後さらにどう改善をするのか、教えていただきたく存じます。

浜田副大臣 まさに今、杉本委員おっしゃいましたように、どこの省庁ということではなくて、復興再生については復興庁がしっかり責任を持っていきたいと思っております。

 実際、復興再生するに当たりましては、行政だけではなくて、こういうNPOの方々、ボランティアの方々の力がなければできないと思っております。そういう観点から、内閣府であったり、そういうNPOの資金のための予算、そういうものについてもしっかり拡充していただいて、支援をしていきたいと思っております。

 ただし、今御質問いただいております、いわゆる避難指示解除準備区域におきましては、下水道とか上水道、交通、商業サービスというのはまだ回復しておりません。そういう意味では、一般のボランティアが活動するには困難な状況がある、こういう認識をしております。

 今後、受け入れ側の状況を踏まえまして、活動を志すボランティアにおいてどのような活動が可能か、市町村、ボランティア団体の意見を聞いて、しっかり調整して御支援申し上げたいと思っております。

杉本委員 時間が参りました。

 もう一つだけお願いいたしますが、やはり、浜通りと中通りの道路のつながりというのは決してよくないというのが実態だと思います。これは、高速道路あるいは国道の整備も含めて、横の流れを少しスピードアップして進めていただくことをお願いし、また、常磐道の高速、それから常磐線の電車、原発の問題がありますけれども、ここに対してもできるだけ速やかな策を打っていただきたくお願いいたします。

 以上であります。どうもありがとうございました。

金子委員長 次に、穀田恵二君。

穀田委員 私は、質問に先立ちまして、東日本大震災で亡くなられた方々に改めて哀悼の意を表し、被災者の方々に心からお見舞いを申し上げます。

 東日本大震災発災後、私は鉄路の復旧について一貫して問題提起してまいりましたので、きょうも、生活となりわいの再建、住民の足の確保、さらにはまちづくりにとっても欠かせないという立場から質問したいと思います。

 今、鉄道の復旧は本当に待ったなしです。

 きょうお示ししましたが、資料を出しています。その一を見ていただきたいんです。

 三陸鉄道北リアス線と南リアス線、これは来年の四月に全線開通の運びとなりました。ところが、その北リアス線と南リアス線の間には、岩手県宮古から釜石までのJR山田線があります。それの復旧があってこそ鉄道網はつながります。地元住民の暮らしの足の確保という点からも、また復興のあすが見えるようにする点でも、観光路線の復活からしても、山田線の復旧は鍵です。

 当時、前田国交大臣は、「三陸の鉄路をつなぐということは復興にとって非常に重要なことだと思いますから、その方向で指導をいたします。」と、ちょうど一年前、昨年の三月十四日なんですけれども、答弁しました。その後どんな指導をされているか、お聞きしたいと思います。

滝口政府参考人 委員御指摘のとおり、三陸沿岸の鉄道の復旧というのは、被災地域の本格的な復興を図る観点から極めて重要な課題であります。国土交通省としても、鉄道復旧に向けた指導、調整を行ってまいっております。

 まず、ただいま委員の方からお話がございましたが、経営の大変厳しい第三セクター旅客鉄道である三陸鉄道については、自治体と協力して復旧を行うこととし、復旧費用のほぼ全額を実質的に国が負担する特別な支援措置を講じたところでございます。その結果、ただいまお話がございましたように、三陸鉄道につきましては、一部はことしの四月、その他運休しているところを全部含めましても、来年の春には復旧する見通しになっております。

 また、JR東日本の山田線を初めとする六路線につきましては、鉄道のみならず、周辺の町も大きく被災しております。このため、国土交通省、復興庁、沿線自治体、JR東日本などで構成いたします復興調整会議を立ち上げ、まちづくりと一体となった復旧について検討を進めているところであります。

 また、鉄道運休中の仮復旧といたしまして、一部を専用道化するとともに、バス・ロケーション・システムなどの導入を図ったバス高速輸送システム、いわゆるBRTの導入についても、地元自治体の御意向を踏まえて対応するため、沿線自治体等と公共交通確保会議を立ち上げ、調整を進めてきたところであります。

穀田委員 滝口さん、ここで述べたJR山田線というのは、よう聞いてはると言ってるんやから大臣も聞いてほしいんですけれども、ここは地元の全ての自治体が、BRTは要らぬと言っているんですよ。ここは動いていないんです、BRTは。

 私が聞いているのは、山田線の復旧はどう指導してんのやと。つなぐと言うたんやから、つなぐという話をどないしているかと聞いているんですよ。つないでいないということじゃないですか、簡単に言えば。あれこれ言わなくていいんですよ。問題は、JR東日本というのは、公共交通機関としての鉄路の復旧というみずからの役割への自覚が足りないと言わざるを得ない。地元の皆さんは、JR東に対する不信の念をあらわにしています。

 だって、今局長が述べた北リアス線と南リアス線は復旧しているわけですやんか。これは当時、震災後、復旧できるところから運行しようということで、社員総出で線路の瓦れき撤去に取りかかり、震災後五日目にして運転を再開し、しばらくは無料で乗客を輸送した。このような努力に比べれば、震災後二年も経過しているのに、JR東はいまだに復旧すると明言していない。なぜか。それを政府はどうつかんでいるのか、お答えいただきたい。大臣。

太田国務大臣 山田線につきましては、まちづくりとの一体化の上でという考え方と、全く従来の復旧という考え方と二つあるんですが、現在、まちづくりと一体化ということの中で、費用の問題もございます。その中で、国としての支援ができないのかという観点も含めて、この復興調整会議で議論をしている。

 この議論をしているのが、ずっととまっているわけじゃなくて、ちょうど一週間前もこの調整会議が行われて、まちづくりということであるならば二百十億円、従来のままでいえば百四十億円かかりますねという数字をJR東の側が出してきているということでありますので、私は、この調整会議がさらに進むということを考えているという状況にございます。

穀田委員 先ごろ、五回目の調整会議が開かれました。それは知っています。その前、大体四カ月も間があいている。間延びしているなという話を地元の方々は随分述べていたことも私はよく聞いています。

 今お話あったように、まちづくりとの関係でいえば二百十億円かかりそうだと。実は、JRがお金の額を出したのは初めてなんですね。それまではずっと言わなかったんですよ。だけれども、その会合でも、金はこれだけかかるけれども、復旧しますとは言わなかったんですよ。そこがあそこのひどいところで、金はこれだけかかりますと言うけれども、では、百四十億円の分だったら出してでも、まず復旧しますというようなことを言うのだったらわかるけれども、それも言わないというのがけしからぬ話なんですね。

 だから、宮古の山本市長はどう言っているかというと、メディアに答えて、JRは、そんな路線への復旧投資は株主に説明できないと言うんだ、こういうふうに報道陣に述べていて、憤りを隠していないんですね。この立場というのは、被災地の住民の復旧の願いよりも株主の利益を優先するという態度だ。私は、けしからぬと思うんですよね。

 大臣は、そういう発言を目の当たりにして、多分聞いていると思うんです、行っておられたときの新聞ですから。後で新聞も全部見ていらっしゃると思うんですけれども、どう思いますか。

太田国務大臣 私が山本市長と会った三月十日、そのときは、全くそういう話は出ていないんです。

 それで、その後、私と山本市長が会った後に、内々、内々にと、憤りを示した、こういうト書きで新聞記事が書いてあるんですが、私と山本市長が会ったときにはそういう話はなく、むしろ、高台移転というような進捗状況等について話があったんですけれども、この山田線については、やっていただきたいということについては希望を聞きましたけれども、JR東についてどうこうという話は、私との場では出ていないということではあります。

穀田委員 どう思うかと聞いたので、聞いているか聞いていないかはいいんだけれども。

 そこで、私はこういう問題の根底に、大体、国鉄の民営化というのは何だったのかと。これは、国民にツケを回して、地方の不採算路線は切り捨て、身軽になって収益を上げる。根底にあるのは、民営化によってもたらされた利益、もうけ第一主義があるんじゃないかと思うんですね。この未曽有の大震災の被害を受けて、住民の足の確保、こういう住民の思いを踏みにじって、この機会に不採算路線を廃線にしようとする狙いがあるんじゃないかということさえ言われているんですよね。だから、私は、公共交通を担う企業としての責任を果たさせるべきだと思うんです。

 そこで、私はこの間、先ほど大臣からもまちづくりの観点という話がありましたが、その点を一貫して質問で提起してまいりました。それは、市町村の復興計画の多くが鉄道の駅を町の玄関と位置づけたものになっていることを示して、鉄道の復旧がなければまちづくりが成り立たないと指摘しました。だから、まちづくりの支援を通じて、鉄道復旧を行うことも必要だと主張したわけであります。

 先ほども大臣が述べたように、地元紙では、震災で休止中のJR山田線の鉄道復旧に向けた国費の投入について、JRが示した試算の中身を精査し、まちづくりと一体化する中では支援ができるという考えを示したと。これは事実ですね。

太田国務大臣 まちづくりと一体化する中で、駅や線路部分のかさ上げについて、先ほども申し上げましたが、国費により支援ができないかということを、関係省庁とも連携して検討しているという表現をしました。

穀田委員 この問題は、きのうきょうに始まったことじゃないんですよ。三月に大臣が行ったあたりで問題になっているわけじゃないんですよ。

 ずっと前から問題になっていて、例えば、岩手県議会で共産党の高田議員は、国の姿勢を、JRに対して、かさ上げ分は国がしっかり持つからちゃんと再建してくださいというようにさせるべきと違うかということを言っていまして、達増知事は、国に対しては、鉄路の復旧については三鉄にせよJRにせよ、支援を発災直後から求めてきたところでありまして、そのとおりだと。要するに、かさ上げ分なんというのは、支援するのは当たり前だと思うということを前から言っているわけなんですね。

 それで、JRは何で拒否しているかというと、巨額になるということで、いわば二の足を踏む。片や、国交省は、鉄道軌道整備法の施行規則で対象企業は経営赤字の事業者に限るといって、こうやってキャッチボールをしているわけですよね。それで二年間経過しているわけですよ。一番被害をこうむっているのは、利用していて復旧を待ち望む地元住民なんです。

 そこで、大臣に、先ほどこうおっしゃっていましたよね、聞いた話をこれからちゃんとやりたいと。私はさらに、言った話をちゃんとやってくれと。検討の時代は過ぎている。前田大臣のときでさえも、まちづくりの支援を通じて、相当の支援ができると発言しているんですね。だから、検討できないかじゃなくて、やはり国として鉄路復旧のために必要な支援、例えば線路敷地の整備費用を負担するなど、要するに、JRは国が支援してくれなければできないと言うわけですね。国は黒字企業だからできないと言う。

 今度は、大臣になってから、前の大臣もそうだけれども、検討しますと。前の大臣は支援できると言って、あなたは検討しますと言う。そういう時代は過ぎているんですよ。キャッチボールするんじゃなくて、投げる側が、俺のところは支援するさかいに、おまえのところは決断せいということが今求められているんです。そう思いませんか。

太田国務大臣 私の言っていることはよくおわかりだと思いますが、支援できないかということを検討ということを言っているのじゃなくて、支援することができないか、よく検討するという表現をしています。

 それで、そのかさ上げ部分、まちづくりと一体化という中での国の支援ということについては、明確か明確じゃないかというのは聞いた人によるんだと思いますけれども、そこは、私は、支援することができないかということを検討ということを申し上げているということです。

 そこで、そことのキャッチボールというよりも、私は、調整会議が現実には進んできて、この間、一週間前も、現実には前進をしてきているから、そこをさらにしっかり詰めていただくようにお願いしたいということを、むしろ、調整会議の方をしっかり進めるということを私は申し上げているわけです。

穀田委員 いや、違うんですよ。

 調整会議をやっている人たちは、JRを除けば、JRを除いてですよ、国交省ではなくて地元の方々はどう言っているかというと、さっきも言いましたように、国が出すということを前提にして、やれと言ってくれればもう話は済むんだということを今まで言っているんですよ、皆さんの思いは。だから、調整会議の話し合いの煮詰まりというのはお互いに認識が若干違うけれども、少なくとも、復旧のことについて何度も言ってきて、ここまで来た。

 そうすると、あとは問題は、額も初めて出た、具体的に言うと、あっちは七十億という差があるということまで言い出した。七十億は精査せなあきませんよ、本当に七十億かどうかわからぬからね。それはありますよ。だけれども、その分は、よっしゃ、俺のところが持つさかいに、何らかの形で支援するさかいに、あとはやってねと。だから、そういう煮詰め方をすることを示唆することが必要じゃないかと言っているんですよ。それは、そうだと言ってくれればそれでいいんですよ。

太田国務大臣 まさにそういうことも調整会議の中で現実には進んできて、中身が詰まってきている、私はそういう認識をしていますから、きょう穀田先生がおっしゃったということもよく踏まえて、調整会議をしっかり進めなさいということを申し上げたいと思います。

穀田委員 その辺の微妙な言い回しがお互いに、これ以上あれですけれども、進めなさいということの進める鍵は何か、どこを押すかということなんですよ。

 それはわかった、あとはやれと。要するに、JRは、最後の段階で、国が出してくれるらしいからやりますという言明がないんですよ。幾ら話をしても、常に、自分のところが復旧しますという話がないから言っているわけですよ。もはやあんたのところの責任だぜということを、調整会議における自治体側とあわせて、後押しをすべきだということを私はあえて言っておきたいと思います。うなずいてはりますから、そうしてくれるでありましょう。

 もう一つだけ聞きます。もう一つ地図を用意していますけれども、これは、気仙沼から盛までのJR大船渡線の問題について聞きます。

 資料二ですが、気仙沼から陸前矢作までの間は、震災による被害は、地震、津波による被害もほとんど受けていません。そして、鹿折唐桑の駅の周辺四百メートルを復旧すれば、気仙沼から、レールが残っている陸前高田市内までの約二十キロメートル区間の運行は可能です。この点も指導すべきと思いますが、いかがですか。

滝口政府参考人 委員がお配りになりました資料でございますが、気仙沼から鹿折唐桑、それから上鹿折を経由して陸前矢作というところまでは、実は、今委員がお話しになりましたように、鹿折唐桑あたりが津波で被災をしておりますけれども、それよりも北側の部分というのは山間部に入りますので、津波の影響を受けていない、こんなところでございます。

 一方、この区間につきましては、ごらんになっていただきますとわかりますように、それ以外の、陸前矢作から陸前高田を経由して、小友、そして最終的には盛まで、この区間というのは非常に被災を受けているところでございます。

 先ほど申し上げた公共交通確保会議において地元の了解を得て、ここは実はBRTを走らせているところでございますが、その背景といたしましては、この配付された資料の中にございますように、上鹿折と陸前矢作の間に宮城県と岩手県との県境がございます。実は、ほとんど民家もない山間部でございまして、陸前矢作の被災前の一日の乗車人員というのは二十人弱でございます。こういった方は、陸前高田の方に流れていた人流でございます。

 一方、鹿折唐桑は津波で被災されたままでございまして、旧駅前には大きな漁船がまだ残っているというようなところでございますが、このあたりについては、現在でも、数十年から百数十年に一回発生するおそれのあるL1津波対策というのが実はなされていないといったところでございます。そういった安全問題もまだございます。

 このため、当面、この大船渡線につきましては、BRTにより地元住民のための生活交通を確保するのが適切ではないかというふうに考えております。

穀田委員 いつからJR東の使い者になっているのかよくわからぬけれども、地元の話もきちっと、両方言わなあかんですやん、あなた、そういうことを言うんやったら。地元の皆さんは、このBRTの問題についても、仮復旧の一つだということで了承しているんですよ。そういう話はさておいて、JR東の使い者になっていたらあかんですよ、あなた。

 地元の人たちは、少なくとも三市が、そういうまちづくりのことを考えてやるべきだと。しかも、JR東は、市のまちづくりの計画ができてから考えると言ったんですよね、この問題の復旧については。ところが、例えば陸前高田市が、私きょう持ってきましたけれども、これは皆さんにお配りする手順を省くために持ってきたのですが、こういう復興計画をつくっているわけですね。鉄道を全部示しているんですよね。そういうことを示しているにもかかわらず、知らんぷりしてやっている。だから地元住民が、私も見てきましたけれども、線路を草刈りしようかということまでやる。そうしたら、二日前の日にばあっと刈って、ともかくそういう行動については阻止するという挙に出る。

 だから、市長はどう言っているかというと、議会で、かさ上げした土地のところに鉄路をつくりたいというJR側からの御提案もありましたので、それをベースにまちづくりの絵を描いた、ここまで言っている。

 例えば、皆さん、先ほど述べた三陸リアスの関係の鉄道というのは、最初は全部つながらなかったんですよ。だけれども、途中だけでもやろうということで、みんな熱意を示して、そのことが明るい灯をともしたわけですよ。

 そういうことに対しても怒りがあるということを、あなた、肝に銘じなあきまへんで。ですから、そういうことについて大臣もしっかりよく見ていただかないと、ああいうJRの話の受け売りばかりやっておったのでは、何のための国交省だ、何のための被災者の支援だということを私は言っておきたいと思います。大体、JR東の社長だった人は、清野さんという人がいましたけれども、津波被害七線区、被災した四月に、全線復活させると言ったんですよ。何を言っているんだと言わざるを得ないと私は思います。

 もう時間がないから答弁を求めずに、次に、笹子について一言言っておきたいと思います。

 私は、この事故は極めて悲惨なもので、これまた、亡くなった方々に哀悼の意を表したいと思います。

 このトンネルの崩落は予想できなかったのか、事故の原因は何か、そしてなぜ防げなかったのかと、いつも後でこう言うんだけれども、なぜ防げなかったのかということが大事なんですね。私は、このことが極めて大切だと思っています。

 そこで、この笹子トンネルの天井板を撤去する計画がありました。しかし、この計画がやられなかったわけで、もしこの計画が実施されておれば、事故が起きなかったかもしれないんですね。それほど重要な問題なんです。なぜ計画が実施されなかったのか、しなかったのか、このことについて端的に。

前川政府参考人 お答え申し上げます。

 天井板の撤去計画の経緯につきましては、先月の二月一日に開催いたしました第三回トンネル天井板の落下事故に関する調査・検討委員会でも報告されております。

 かいつまんで申し上げますと、中日本高速道路会社においては、笹子トンネルの換気設備の老朽化が進んでいたことから、換気方式の変更を含め、二十一年度より設備の更新方法を検討しておりました。更新にあわせて、天井板の撤去についても検討したわけでございますが、天井板を撤去する場合、通行どめや長時間の対面通行を余儀なくされるなど社会的影響が多大となることから、撤去せずに存置することとしたという報告を受けておるところでございます。

穀田委員 結論は最後の方ですね。

 老朽化していることは事実だった。だけれども、時間がちょっとかかりそうだ。そのためにはいろいろ迷惑をかけるから、収入も減るだろうしというようなことも含めて、あったんだということでしょう。私は、それは本当にけしからぬと思うんだよね。

 資料三をぜひ見てほしいんですけれども、NEXCO三社の管理する高速道路における要補修損傷件数の推移と維持補修費の推移をグラフにしたものであります。

 下の注に書きましたけれども、要補修損傷件数というのは、各年度の損傷発見数引くところの補修数の累積なんですね。だから、現実はこれだけあるという事態で、下にもありますように、まだこれは一部未集計もあるものだから、もっとあるということは明らかなわけであります。

 これは、要補修損傷件数が大幅に増加しているにもかかわらず、維持補修費はほとんど横ばいであることがわかり、維持補修費が事実上抑制されている証拠と言わなければなりません。中日本高速道路会社も同じように維持補修費をふやさず、収益を優先させるために笹子トンネルの改修を後回しにしたんじゃないかと考えざるを得ないわけです。

 大臣、今度はこれ、わかりますでしょう。要補修件数は五年間で三倍に、維持補修費はほぼ横ばい。こういうグラフを見て、どう思われますか。

太田国務大臣 維持修繕費はまさに横ばい、このグラフのとおりだと思います。

 ますます年がたつにつれて老朽化は激しくなるから、維持補修ということにお金を費やさなくてはならない。本来、そういう状況だと思います。

穀田委員 そうなんですよ。誰が見ても、三倍になっておるのにずっと同じというのでは間尺に合わないわけですよね。

 そこで、何でこうなっているかということなんですよ。中日本の二〇〇七年新経営計画というのを見ますと、「二〇一〇年度までに行う保全・サービス事業について、二〇〇五年度までに実施した二〇〇二年度比三割コスト削減水準を維持しつつ、更なる削減をめざします。」

 こういうふうに、わかりやすく言うと、民営化したときにずっと減らした、それを維持して、さらにもう少し減らせということを言ってきたことに背景があるということが、彼らの持っている方針書、チャレンジ5といって、今お話しした新経営計画というところに、今述べた内容が書いてある。要するに、今までの三割コスト削減を、さらに減らしてやりまっせということを言っているわけですね。

 問題は、中日本の責任は極めて重大だ。それを進めた政府の責任がこれまた重大だということを私は言いたい。道路公団民営化に伴って、改修、更新の費用を三割減としたのがもともとの発端なんです。民営化すれば効率化できるとして進めた、そこに問題があったんじゃないか。

 今大臣は、これは大変なことだとおっしゃいました。実は、これを民営化する二〇〇五年のときに減らしたということが、もともとの発端にあったんですね。そこに問題があったんじゃないかという点は、いかがですか。

太田国務大臣 道路公団の民営化に際して、穀田委員がおっしゃるように、三割縮減ということの縛りが最初からかかっているということは事実です。

 その中で、私としては、中日本高速に対して、今回の事故を踏まえて、とにかく安全性向上に向けた取り組みを早く作成することを指示し、そして二月一日にこれを受けたんですけれども、さらに、会社において安全性向上三カ年計画というのをやっていますから、しっかりそこの安全性に取り組めということを強く申し上げたいと思います。

穀田委員 安全性に取り組めというのは当然なんですよ。問題は、どこをきちんと指導するかということが問われている。どこを見るかということなんですね。

 小泉構造改革路線のもとで進められた道路公団民営化というのは、当時、高速道路の新設さらには管理を、民間に任せることで効率化することが目的とされたことは事実であります。今お話があったように、その中で三割を減らした。

 当時の日本道路公団が発表した新たなコスト削減計画では、管理コストのうち、維持管理業務の発注コストに係る削減は三三・一%とし、削減率はおおむね三割を目指す、こういうことまで書いているんですね。それが、大臣がおっしゃった三割減の根底にあるわけですね。事実なんです。

 ですから、私は、維持更新費用が安全、老朽化対策にとって重要であるにもかかわらず、効率化のために削減を優先させた政府の責任が重大であり、それが問われているんだということを申し上げたい。

 きょうは、時間がこれで終わりましたといっているので、この笹子の問題について、トンネル事故の問題についての集中審議を要求したいと思います。

金子委員長 ただいまの件につきましては、理事会で協議いたします。

穀田委員 では、終わります。

     ――――◇―――――

金子委員長 次に、内閣提出、特定船舶の入港の禁止に関する特別措置法第五条第一項の規定に基づき、特定船舶の入港禁止の実施につき承認を求めるの件を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。国土交通大臣太田昭宏君。

    ―――――――――――――

 特定船舶の入港の禁止に関する特別措置法第五条第一項の規定に基づき、特定船舶の入港禁止の実施につき承認を求めるの件

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

太田国務大臣 ただいま議題となりました特定船舶の入港の禁止に関する特別措置法第五条第一項の規定に基づき、特定船舶の入港禁止の実施につき承認を求めるの件の提案理由につきまして御説明申し上げます。

 我が国は、平成十八年十月九日の北朝鮮による核実験を実施した旨の発表を初めとする我が国を取り巻く国際情勢に鑑み、同年十月十四日以降、北朝鮮船籍の全ての船舶に対する本邦の港への入港禁止を実施してきております。政府においては、拉致、核、ミサイルといった諸懸案に対する北朝鮮の対応や、六者会合、国際連合安全保障理事会等における国際社会の動き等、その後の我が国を取り巻く国際情勢に鑑み、特定船舶の入港の禁止に関する特別措置法第三条第三項の規定に基づき、平成二十四年四月三日の閣議において、引き続き平成二十五年四月十三日までの間、北朝鮮船籍の全ての船舶に対し、本邦の港への入港を禁止することを決定いたしました。本件はこれに基づく入港禁止の実施について、同法第五条第一項の規定に基づき国会の承認を求めるものであります。

 次に、本件の概要につきまして御説明申し上げます。

 本件は、平成二十四年四月三日の閣議決定に基づく平成二十五年四月十三日までの北朝鮮船籍の全ての船舶に対する本邦の港への入港禁止の実施について、同法第五条第一項の規定に基づき国会の承認を求めることを内容とするものであります。

 以上が、本件を提案する理由であります。

 本件につき速やかに御承認いただきますよう、御審議をよろしくお願い申し上げます。

金子委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る十九日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時九分散会


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