衆議院

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第7号 平成25年4月24日(水曜日)

会議録本文へ
平成二十五年四月二十四日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 金子 恭之君

   理事 大塚 高司君 理事 土井  亨君

   理事 西村 明宏君 理事 松本 文明君

   理事 望月 義夫君 理事 三日月大造君

   理事 井上 英孝君 理事 高木 陽介君

      赤澤 亮正君    秋本 真利君

      穴見 陽一君    井林 辰憲君

      池田 佳隆君    岩田 和親君

      大西 英男君    勝沼 栄明君

      門  博文君    後藤田正純君

      國場幸之助君    斎藤 洋明君

      坂井  学君    桜井  宏君

      白須賀貴樹君    中村 裕之君

      長坂 康正君    原田 憲治君

      平口  洋君    ふくだ峰之君

      宮澤 博行君    務台 俊介君

      山田 賢司君    若宮 健嗣君

      泉  健太君    大畠 章宏君

      階   猛君    寺島 義幸君

      若井 康彦君    上野ひろし君

      坂元 大輔君    西岡  新君

      三宅  博君    佐藤 茂樹君

      樋口 尚也君    柿沢 未途君

      杉本かずみ君    穀田 恵二君

    …………………………………

   国土交通大臣       太田 昭宏君

   国土交通副大臣      鶴保 庸介君

   総務大臣政務官      北村 茂男君

   国土交通大臣政務官    赤澤 亮正君

   国土交通大臣政務官    松下 新平君

   国土交通大臣政務官    坂井  学君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局長)        足立 敏之君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  田村明比古君

   政府参考人

   (気象庁長官)      羽鳥 光彦君

   国土交通委員会専門員   宮部  光君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十四日

 辞任         補欠選任

  秋本 真利君     穴見 陽一君

  林  幹雄君     勝沼 栄明君

  前田 一男君     池田 佳隆君

  泉  健太君     階   猛君

同日

 辞任         補欠選任

  穴見 陽一君     秋本 真利君

  池田 佳隆君     山田 賢司君

  勝沼 栄明君     林  幹雄君

  階   猛君     泉  健太君

同日

 辞任         補欠選任

  山田 賢司君     前田 一男君

    ―――――――――――――

四月二十三日

 公営住宅に関する請願(照屋寛徳君紹介)(第五三〇号)

 同(穀田恵二君紹介)(第六二四号)

 建設産業における国の積極的な施策に関する請願(塩川鉄也君紹介)(第六二三号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 気象業務法及び国土交通省設置法の一部を改正する法律案(内閣提出第二三号)


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     ――――◇―――――

金子委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、気象業務法及び国土交通省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省水管理・国土保全局長足立敏之君、航空局長田村明比古君及び気象庁長官羽鳥光彦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

金子委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

金子委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大畠章宏君。

大畠委員 おはようございます。民主党の大畠章宏でございます。

 きょうは、気象業務法及び国土交通省設置法の一部を改正する法律案について質問をさせていただきます。

 この法律案の質問に入る前に、けさ七時のNHKのラジオニュースを伺っておりました。このニュースによりますと、アメリカ連邦航空局、FAAは、ボーイング社が提案した運航再開に向けたシステムの改修を承認し、新バッテリーユニットへの改修を行ったボーイング787の運航再開を認可するADの更新、発行予定ということでございます。これを受けて、日本国の国土交通省航空局は、FAAがADを更新、発行し、なおかつアメリカ国家運輸安全委員会、NTSBの公聴会での結果を確認後、運航再開を承認する予定、こういう報道があったわけであります。

 航空事業も鉄道事業も、全てが安全を優先しなければならないわけでありまして、この件について、この法律案の質問に先立ちまして、航空局、国土交通省としての現状の受けとめ方と、太田大臣としての御認識をあわせて伺うものであります。

太田国務大臣 ボーイング787につきましては、ちょっと経過も含めて、三カ月に及ぶ調査結果等々、最終段階に来ているものですから、どういうことをどう展開してきてここに至ったかということをお話しさせていただきたいと思います。

 一月八日にボストン空港、そして一月十六日に高松空港、バッテリー事案につきまして重大インシデントが発生した。これに対して、航空局及び運輸安全委員会、アメリカでは、ちょうどタイアップしておりまして、航空局に当たるところのFAA、それから日本の運輸安全委員会に当たりますNTSB、この四者、そしてボーイング社、これらが中心となって連携をとりまして、原因究明及び再発防止策の検討を開始したわけでございます。

 ボーイング社は、運輸安全委員会やNTSBの調査で判明した事実やボーイング社外の専門家から得られた意見をもとにしまして、当初、原因というと同時に、全てどこかに原因があるとしてもということで、百項目を、約百です、これが原因かもしれないということの全てについて対象としまして、専門家から得た意見をもとにして原因を洗い出した。

 これが原因というのは、バッテリー事案ではありますけれども、その含む全てのことで可能性があるものは全部、原因究明という対象にしてやろう、こういうふうにしたわけでございます。これを八十項目に、百から絞り込みまして、さらに四グループに分類をしまして、八十項目を大きく四グループに分けて原因究明というのをずっとしてきました。

 その上で、これら全ての原因に対応できる是正措置案というものを二月二十二日にFAAに提出し、そして同じものを二月二十八日に国土交通省に提出してきたという経過でございます。

 こうすれば是正措置ができるという案を、そこで提起されたものにつきまして、これが適切かどうかをずっとFAAとか航空局が調査させていただいて、三月十二日に、FAAがボーイング社の是正措置案について、安全基準への適合性に関する証明計画を承認する。これでいいよ、さあ、それが本当にいいかどうかを具体的に実験してください、こういうことになったのが三月十二日でございます。

 その後、ボーイング社は、当該証明計画に基づきまして試験及び解析をずっと実施してきまして、その中には飛行機を飛ばすというような飛行試験がありまして、その中にはまた、一体となってやってきましたから、日本の航空局のメンバーも一緒に乗るというようなこともさせていただきまして、それが解析をやった結果、FAA及び国土交通省に対して、報告書や解析書が提出されたわけでございます。

 この試験の報告書や解析書の内容について、FAAが、これは航空局も一体となってやっているわけでありますけれども、分析及び評価を行ってまいりまして、それがこの間、四月十九日に、787型機のバッテリーの改修に関する設計変更、こういうふうにするということを出して、それが承認された。実験をして、解析をして、四月十九日の日にFAAがこの設計変更を承認するということになりました。

 国土交通省としましても、FAAと緊密に連携しまして、先ほど申し上げましたように、アメリカ・シアトルに派遣した航空局職員が試験に立ち会うとともに、分析及び評価を行ってきたところでありまして、このボーイング社の是正措置については特段の問題はない、FAAと同じ見解に立ったわけでございます。

 ここで、四月十九日でありましたが、それからさらにその内容を詰めてきているという上に、我が国航空会社の運航の安全ということが何より必要でありますものですから、ちょうど今なんですけれども、アメリカの時間で二十三日、二十四日に、米国の国家運輸安全委員会、NTSBの方が公聴会をやるということなものですから、それをよく見ていく必要があるという観点に立ちました。

 つまり、FAAの設計変更の承認、四月十九日を踏まえまして、二十三、二十四日に開催されるNTSBの公聴会の結果等も確認しつつ、運航再開の最終判断が近くされることになる見込みだというふうに考えているところでございます。

 大畠先生おっしゃるように、これは重大な問題だという認識をして、ずっと、三カ月以上たちますけれども、国土交通省も、またアメリカのNTSB、FAAも懸命にやって、不眠不休に近いことでやってきた作業でありますけれども、いよいよ最終段階にそうしたことで来ているという状況でございまして、この公聴会等が終わりましてから最終判断をする、近々最終判断をすることになるのではないかというのが現状でございます。

大畠委員 経緯については、今、大臣から御説明いただきましたので、理解いたしますが、きょうの報道ぶりを見ていますと、いわゆるバッテリーが原因だろうというのはおおよそ特定されているわけですが、そのバッテリーに、なぜ過充電されたのかとか、あるいは電圧が上がったのかとか、そこら辺の周辺との関係がいま一つ解明されていないので、何となくまだもやもやがあるような感じを私は受けました。

 航空機については、一九八五年の御巣鷹山の事故が私たちの記憶にもまだ鮮明に残っているわけでありますが、かつて、穀田委員からも、航空行政については絶対安全が優先されなければならない、こういう御指摘を私も国土交通大臣時代に受けまして、私も同じ認識です、絶対安全というものを優先していかなきゃならないという決意をお話ししたことがあります。

 この問題については、アメリカのボーイング社というのはすばらしい会社だと思います、しかし、言ってみますと、ボーイング社の安全宣言があれば日本国としてもオーケーというわけにはいかないので、日本は日本としての安全をみずから守るという姿勢がどうしても必要でありますから、したがって、この件については、アメリカはアメリカとして一生懸命努力はしていただいていると思いますが、日本国として、やはりそれをうのみにするのではなく、太田大臣も理系出身の大臣でありますから、太田大臣の頭の中で、これは、確かに、この疑念、先ほど八十に上る項目を四グループに分けて原因究明を図っていたということでありますが、それが明らかになった、原因が特定された、それが確実に対処できた、こういう御認識を得た上で認可すべきだと私は思いますが、再度、この件について大臣の御認識を伺います。

太田国務大臣 アメリカに任せて安全だということであってはならないということをずっと私は言い続けて、だからこそ、日本の航空局、そして運輸安全委員会が懸命に仕事をし、そして、一体となって、アメリカに行ったり、また呼んだりということも含めてやってきたところでございます。

 そしてまた、是正措置案ということについて、若干細かく技術的なことになりますけれども、四分類というのをお話をしますと、四つというのは、原因を四つに整理したということについては、電極ナットの締めつけ状態の劣化、そして電解液への電圧負荷、セルの過放電、製造時におけるふぐあい、こうしたことを、また八十項目全部入れて是正措置をとっていく。

 その是正措置案の内容としまして、バッテリーセルの過熱の防止、バッテリーセルに過熱が発生した場合に他のバッテリーセルへの熱の伝播の防止、そして、万一、バッテリーセル間で熱が伝播した場合の火災等の防止、こうしたことの是正措置をとったというのが、先ほど申し上げたことの原因の四つということと、そして是正措置案の三項目でございます。

 これらについて、ずっと、本当に不眠不休に近い形で懸命にやってきて、今の段階になってきているということでございます。

大畠委員 ぜひ、安全は全てに優先する、こういう姿勢で、大臣として、しっかりとした検証をした上で行っていただきたいと思います。

 日本も、MRJという飛行機を初めとして、製造能力は私も世界一、二に匹敵するんじゃないかと思っておりますから、そういう意味でも、日本国の技術の粋を集めて、この事故解明についてもしっかりと対処していただくよう要請をいたします。

 それから、もう一つちょっと気になることは、中国の地震対策であります。

 日本国も、二年前の東日本大震災の折、中国からは大変な支援をいただきまして、特に、ガソリン等十四万キロリットルを日本に無償で提供するという支援もしていただきました。

 そういう状況を考えますと、中国政府は、日本からの支援は受けない、今は受けるような状況じゃないという話でありますが、いずれ支援が必要になると思いますので、政府といいますか、国土交通省としてはどのような準備をしておられるのか、お伺いしたいと思います。

太田国務大臣 この地震につきましては、大変甚大な被害が出てきているということで、安倍総理から習近平主席に対しまして、また李克強総理に対しまして、お見舞いをし、そして、何かできることがありましたらということを伝達しました。

 私どもは、前回の四川地震のときも、できることはないかとさまざま模索をして支援体制をとったわけでございますけれども、特に国交省としてできることはないか、すぐDMAT等について、医療支援とかさまざまなものができるんですが、国交省としては、特に今回、蘆山のところで、川がせきとめられるという河道閉塞、いわゆる土砂ダムがどうも二つほどできているのではないか。

 十津川のときもそうですし、山古志でもそうでありましたが、日本の場合、これが一番技術的にも応援できるということについては、かなりこれは急所になるものだということで、世界一の技術と経験を持っているということで、向こうからは今要請がないわけでありますけれども、必ずできるという体制、こういうことができますからということについては体制を固めるとともに、技術支援が可能であるということを伝えてくださいということを外務省に対して言うと同時に、二国間協力関係にある中国側担当部局との連絡を日曜日の日にとらせていただいて、支援が可能である旨を伝えてきているわけでございます。

 中国側からは、その申し出に対する謝意と、技術支援の必要性が出てきた場合は再度連絡するということの回答をいただいているところでありまして、そうした要請があったら、直ちに出動したいというふうに考えているところでございます。

大畠委員 中国側は中国側の一つの考えで一生懸命今やっていると思いますが、現在の情報ですと、亡くなられた方と行方不明の方は二百人を超えている、一万人以上が負傷して、二十二万人が避難を余儀なくされているという報道もございますので、十分に国土交通省としても準備を整えて、受け入れるというときには即支援体制がとれるように、ぜひ要請をしておきます。

 さて、この法律案についての質問に入らせていただきます。

 今回の気象業務法及び国土交通省設置法の一部を改正する法律案ですが、この背景はどういう点にあるのか、まず、この法律案の提出に至る背景について伺います。

太田国務大臣 国民の命を守るということについて大畠先生もずっと言われていて、私も、とにかく国民の命を守るというのが一番大事だというふうに思っております。

 脆弱国土日本でありますけれども、昨今の状況を見ますと、集中豪雨とかあるいは地震が頻発をするというようなことで、豪雪も、先般質問いただいたこともそうです、気象情報というものが的確に出されて、それが周知徹底をされているということが極めて大事なんですけれども、今までの警報の基準をはるかに超える、本当に命にかかわる巨大津波とか大雨が降るということがありましたり、今度は伝達という点では、津波警報等を見聞きした方が五〇%にとどまったとかいうことがありました。

 命にかかわるそういう情報が必要だということを気象庁が正確に発する、そして今度は都道府県等がそれをしっかり徹底する、そして住民がこれは避難をしなくちゃならないということでいくという、その発信の方と受ける側と両方について体制を強化しなくてはならないということで、災害の危険性が一つ、わかりやすい形が一つ、迅速かつ確実に伝えるということが一つということをしたいというのが今回の改正の一番の背景でございます。

大畠委員 背景については理解をいたしました。

 そこで、この法律案が実施されたときに、気象庁としてはどんな改革がされるのか。また、法律案が通っても、今大臣がおっしゃったような精神がしっかりと地方の方にも伝わっていかなければなりませんので、気象庁そのものの内部的な改革ですとか、あるいは全国的にはどういう改革がされるのか。この件についてお伺いします。

羽鳥政府参考人 例えば大津波警報につきましては、非常に重要な情報でございますが、現在も本庁並びに大阪管区気象台等で一元的に対応していますので、これについては本庁主導で中心になって対応したいと思いますが、大雨等につきましては、やはり地元気象台の対応というのが極めて重要になってございます。

 まず、気象の予報や警報につきましては、本庁が指揮をとってございますが、最終的には地方気象台が判断して発表し、地元自治体にお伝えする、あるいは住民に伝えて行動に移していただくということをやってございますが、今般導入します特別警報についても、引き続き、本庁、管区気象台の指導のもと、地元の気象台が特別警報を発表するという体制でいきます。

 しかしながら、特別警報は、先ほど大臣から御紹介がありましたように、数十年に一度といった大規模で広域な災害というものを想定していますから、したがいまして、当然、政府全体、広域での防災対応といった動きとも連動していく必要があろうかと思ってございますので、本庁、管区等も含めまして、気象庁全庁一丸となって対応することが重要かと思ってございます。

 具体的には、地元気象台におきましては、自治体と密接な連携をとりまして、特別警報を発表し、対策に生かしていただく。さらには、その特別警報につきまして、本庁あるいは管区気象台において、ブロック機関も含めて、政府機関にしっかりとお伝えして対策をとっていただく、あるいは、メディアを通じて広報をしっかりと中央のレベルからもやっていくということで、全国規模の対策にもしっかり生かしていくということが重要かと思います。

 いずれにしても、現場の地方気象台における対応が鍵だとは思ってございます。

 以上でございます。

大畠委員 長官、ぜひはっきりと、もうちょっと元気よく発信してください。長官が元気であればみんな元気になりますから、どんなにいい法律改正をしても、全国に伝わらないといけませんから、長官も、答弁席でははっきりと、もうちょっと自信を持って答弁するようにお願いします。

 それで、中身についてはわかりますが、さて、今回の法改正で改革がされるわけでありますが、その情報を受け取る側について質問をいたします。

 都道府県や自治体との実務的な連携、あるいは、東日本大震災の折にも、地域の消防署あるいは消防団がまさに懸命、命をかけて住民を守ろうというので行動したわけでありますが、この気象庁の法改正を受けて、その情報をどのような形で実務的に住民に伝えようとするのか、総務省のこの法律を改正するに当たっての準備状況、体制について伺います。

北村大臣政務官 お答えいたします。

 総務省といたしましては、自治体から住民に対し的確に防災情報を伝達することは、被害を最小限に食いとめるために極めて重要であると認識をいたしております。

 そのためには、市町村防災行政無線あるいは緊急速報メール、コミュニティー放送等により、住民への情報伝達手段の多様化を行うことが重要であると認識をいたしております。

 あわせて、遠隔地からの災害情報伝達手段の操作を可能にする等、各自治体が住民への情報伝達を行う職員の安全確保につながる手法を整備するよう進めているところであります。

 総務省といたしましては、各自治体の住民への情報伝達手段の整備を支援するため、当該自治体に適切なアドバイスを行う専門家の派遣や、各自治体の住民への情報伝達手段の整備について、防災対策事業や緊急防災・減災事業の対象として地方財政措置等を行っているところであります。

 これらの方法で自治体が地域の実情に応じて住民に的確に防災情報を伝達できるよう、引き続き支援してまいりたいと考えているところでございます。

大畠委員 東日本大震災のときには、さまざまな悲しい話がたくさんありました。まさに命をかけて住民の安全を守ろうというので、最後まで庁舎にとどまって住民避難を呼びかけていた方もおられました。

 したがって、そういう意味では、住民に対する避難情報の伝達も、自分の命を犠牲にして住民に伝達しなくても済むようなことを総務省としても考えなければならないんじゃないか。自分の安全も守れ、そして住民の安全も守れるように、私は、この東日本大震災の経験を踏まえて、そのような形で、単なる気象業務法の改正だけでなく、総務省としても、住民に対する伝達方法そのものを根本から見直すということが必要じゃないかと思いますが、この件について再度お考えをお伺いします。

北村大臣政務官 東日本大震災においては、御指摘のように、水門閉鎖や住民の避難誘導などに消防団員が献身的に活動していただいたという一方で、多くの団員が犠牲になったところであります。その教訓を全国の団員の安全対策に生かすことが極めて重要というふうに考えているところであります。

 消防庁では、東日本大震災を踏まえて、平成二十三年十一月から検討会を開催し、多くの犠牲者が生じた要因の分析を行い、平成二十四年三月には、各市町村に対し、退避ルールの確立などの安全管理マニュアルの整備を行うよう要請しているところでもございます。

 さらに、消防庁においては、東日本大震災において現場の第一線で働いている行政職員等が犠牲になったことを踏まえ、地方公共団体に対し、住民の安全確保とともに、消防団員を含む、避難誘導等の防災実務に従事する者の安全確保についても取り組みをするよう助言を行っているところであります。

 以上でございます。

大畠委員 先ほども国土交通大臣に申し上げましたが、命を守れ、これが東日本大震災の折の亡くなられた方々からのメッセージなんだろうと思います。

 したがって、消防団員の方も本当に、堤防のところの仕切り板を入れに行って亡くなったり、あるいは住民に避難を呼びかけながら亡くなったり、さまざまな情勢が伝えられておりますが、ぜひ総務省としても、また同じような震災が起きて津波が起こったとしても消防団員の命を守れる、関係者の命を守る、そういう決意で総見直しをして、犠牲者を出さない、そして住民の安全を守れる、こういう体制で対処していただくように要請をいたします。

 それから、そのときに外国人の方に対する伝達が不十分ではなかったのか、こういう反省もあるわけでありますが、この外国人を含む方々に対する伝達方法、これについて何か総務省として考えておられるのか、対処についてお伺いします。

北村大臣政務官 外国人への情報伝達については、各自治体から外国人コミュニティーの連絡窓口に通報して、コミュニティー内での情報伝達を行っていただくようお願いをしているというのが現状でございます。

 総務省といたしましては、地域の実情に応じて、外国人に対しましても的確に防災情報の伝達がなされるよう、さらに各自治体を督励して指導してまいりたいと考えているところでございます。

大畠委員 あの当時、私自身もそうですが、得られた情報の一番はラジオでしたね、ラジオ放送。ですから、ラジオ放送で、英語ですとか中国語ですとかあるいは韓国語ですとか、そういうものも緊急時には情報として日本語の中に入れるとか、いろいろな工夫が必要なんだろうと思いますので、さらに総務省としても工夫をしていただきますよう要請をいたします。

 それから、今回の津波あるいは地震でありますけれども、ただ、津波が起こる、あるいは地震が起こる、地震についてはなかなかそれを未然に防止するとか、あるいは津波についても未然に防止するというのは難しいとは思いますが、地球全体の変化と異常気象、あるいは地球の環境の変化と異常気象、そういう問題についても踏み込んで、日本国も世界各国と連携をして研究を進め、できるだけそのようなことが起こらないような対策も必要だと私は思いますが、これについての気象庁と環境省の現状についての御認識をお伺いします。

羽鳥政府参考人 地球環境あるいは異常気象にかかわる御質問をいただきました。

 気象庁が実施しています気象観測、これは大雨等を捉えるだけじゃなくて、異常気象や気候変動といった地球環境の監視にも基盤的な情報となります。これは、国際的には国連の専門機関に世界気象機関という組織がありまして、各国の気象庁が一元的に観測等を行って、全世界のグローバルな気温あるいは異常気象を監視しているところでございまして、気象庁も先進国の一員としてその一翼を担っています。

 例えば、アジア太平洋気候センターという形で我々の気候情報をアジア太平洋諸国に発信するとか、そういった取り組み。また、気候変動に関する政府間パネルという、IPCCという有名な組織がございますが、ここにも我々の研究成果を積極的にインプットして対応することとしています。

 いずれにしましても、現在、地球温暖化に伴って異常気象等の増加ということが懸念されているということでございますので、その点についても、我が国でもしっかりと研究を進めて貢献してまいりたいと思っています。

大畠委員 長官、そこの答弁席は国民に対する説明なんです。したがって、自信を持って言っているのはわかるのですが、もうちょっと声の音というか、気迫も相当出してください。お願いします。

 それから、阪神・淡路大震災と東日本大震災を私たちは残念ながら体験したわけですが、ここから得た気象庁としての教訓とは何か。これについて、長官、もうちょっと元気よく、自信を持っているのはわかりますから、元気よく、国民に対して説明するという気持ちで答弁をお願いします。

金子委員長 羽鳥気象庁長官、しっかりと答えてください。大きな声でお願いします。

羽鳥政府参考人 御支援をありがとうございます。

 阪神・淡路大震災の時点では、当時の被災状況、例えば震度七がベルト状にあったとか、そういうものが迅速に収集できなかったということで、災害の救助等についておくれが生じたということもあったりしまして、気象庁あるいは関係機関でも迅速に震度、強震域の情報を収集しようということで、その後、気象庁も含めて現在、全国に四千三百の震度計を設置してございまして、それをリアルタイムに収集し、三分後には震度の速報、あるいは五分後には各地の詳細な震度をお伝えして、災害対応にすぐ取りかかることができるようにというような取り組みをしたところでございます。

 また、東日本大震災の場合は、やはり我々の津波警報が過小評価になって避難の妨げになったということが極めて大きな教訓でございますので、これについて、巨大地震を三分で推定して、さらには十五分、三十分という段階で的確に巨大地震であることを客観的に把握した上で、さらには沖合における津波の観測を充実して津波警報をこれまで以上に的確に発表して命を守るということを目指していきたいと思います。

 以上でございます。

大畠委員 私も気象庁にお邪魔して職員の皆さんと話したことがあるんですが、残念なことは、第一波の津波を見てああこの程度かというので自宅に戻ってやっているうちに第二波で亡くなった方も随分いたんですね。

 したがって、私は、日本の科学技術力を使えば、津波は突然起こることもありますが、遠方から来るような津波は事前にキャッチして、第一波よりも第二波が大きいとか、あるいは何分後にこのくらいの津波が来るというのは、キャッチしてそれを住民に伝えるということができるんじゃないか。

 そういう意味では、気象庁の皆さんも一生懸命仕事をしたのはわかりますが、多くの犠牲者の中には気象庁の的確な第二波の津波の予測が通知できなかったために亡くなった方もいた。そういう意味では、気象庁の職員の皆さんも心にそのことを重く受けとめて、次にはきちっと情報を把握して住民に伝えるような工夫といいますか、改善してもらいたいということを申し上げたことを思い起こしたんですが、ぜひ、今この法律案等を含めていろいろ技術的にもやっておられると思いますので、このことについてはしっかりと日本の科学技術力を全部駆使してでも命を守る、こういう姿勢で対処していただきたい、そういうことを要請しておきます。

 それでは、あと時間がなくなってまいりましたが、いずれにしても、地震情報の的確な把握ですとか津波情報の的確な把握をするにも研究をしていかなければなりません。この研究をしたり、あるいは的確な情報を発信するためにも、予算というものを的確に確保しなければ立派な体制がとれませんので、そういう意味では、この法律案の改正に伴って予算の裏づけをきちっと確保することが必要だと思いますが、このことについて、太田大臣に御質問をいたします。

太田国務大臣 ありがとうございます。

 予算をということは、補正とかそういうことで、コンピューターを初めとして、私もこの間行きましたけれども、世界でトップクラスのスーパーコンピューターの導入とか、そうしたことをやったり、「ひまわり」二機の平成二十六年及び二十八年の打ち上げということの準備をしたり、また、津波関係でいいますと、三陸沖におけるブイ式海底津波計の整備とか、一つ一つやらせていただいて、また、今後やらなくてはならない課題がございます。

 もう一つ、やはり人材ですね。技術開発のためにも、数より質という面もありまして、世界最先端の技術を持つ職員、人材が必要ということもありまして、機構の上でも、そしてまた人材の上でも予算確保ということに努めたいと思っておりますので、応援をひとつよろしくお願いしたいと思います。

大畠委員 以上で質問を終わりますが、ぜひ全ての関係者の皆さんに、国民の命が自分たちの仕事にかかっている、こういう気持ちでしっかりと対処していただきますよう要請して、質問を終わります。

 ありがとうございました。

金子委員長 次に、三宅博君。

三宅委員 日本維新の会の三宅でございます。

 今回の法律案につきまして質問をさせていただきます。

 先ほども大畠委員が触れられたんですけれども、最近の異常気象といいますか、これは地球温暖化に伴うものか何かわかりませんけれども、その辺の、過去と違ったような形態あるいは頻度、こういったものについて、どのような過去との違いがあるか、これを説明いただきたいんです。

 こういった部分も、当然、今回の改正案に反映されている、これを前提として今回出されたというふうに思っておりますが、その辺のところを御説明いただきたいと思います。

羽鳥政府参考人 お答えいたします。

 気象庁では、全国のアメダス観測所で観測された短時間強雨につきまして分析してございます。現在、観測開始以来の一九七六年以降の三十七年間の長期のデータを保有してございまして、例えば、一時間降水量八十ミリ以上あるいは五十ミリ以上の年間の回数について見てみますと、増加傾向が極めて明瞭にあらわれています。このため、気象庁では、このような短時間強雨の増加について、地球温暖化の影響も含めて慎重に研究調査をしているところでございます。

 なお、国際的には、先ほども申し上げましたが、気候変動に関する政府間パネル、IPCCというものがございまして、二〇一一年に報告書を取りまとめています。その報告書の題名が、気候変動への適応推進に向けた極端現象及び災害のリスク管理に関する特別報告書という名前でございまして、この報告書によりますと、将来的には、温暖化の進行とともに、極端な大雨の発生頻度が、長期的には世界的に増加していくだろうということが予想されております。

 このようなこともあり、大雨等の対応について、気象庁としても強化するということを考えまして、今般の法改正により、特別警報の導入等、防災気象情報の改善に取り組んでいるところでございます。

 以上でございます。

三宅委員 やはり現象面としても、そういった過去と違う動きがかなり出てきているということなんですね。

 今回のイメージといいますか、この改正案の組織図みたいなものを見させていただいたんですけれども、ここでちょっと思ったのが、通知機関なんです。

 気象庁からは、都道府県、警察庁、消防庁、NTTの西、東、それからNHK、日本放送協会に通知するということになっているんですけれども、特別警報の種類というのは、大雨あるいは火山現象、それから津波の特別警報ということで、それぞれが国民の生命に直結するような非常に大きな警報でありますよね。

 そうしますと、当然、自衛隊の方にも気象庁の方から通知、連絡をすべきではないかなと思うんですね。なぜ自衛隊が欠落しているのか、この辺のところが、私、非常に不自然に思うんですけれども、いかがでしょうか。

羽鳥政府参考人 お答えいたします。

 気象業務法では、第十五条において、気象庁からの警報等の通知先について規定しております。この通知先につきましては、住民に迅速かつ確実に伝達するという観点から、先生御指摘のように、都道府県、警察庁、NHK等通知機関を規定しているところでございます。さらに、今般、Jアラートを整備いただきました消防庁を新たに加えることとしてございますが、自衛隊・防衛省につきましては、法令上は含まれてございません。

 しかしながら、一方で、政府としての災害応急対策を的確に実施するという観点は極めて重要でございまして、このような観点から、気象庁では、日ごろから防衛省と密接な連携を図っており、例えば、警報等必要な防災気象情報については、防衛省にオンラインで提供してございます。また、防衛省からも、例えば火山の噴火等におきましては航空機の観測等で御協力いただくということで、日ごろからの連携を図っているところでございます。

 以上です。

三宅委員 十分に連絡等については必要に応じてやっていらっしゃるということなんですけれども、であるならば、やはりこういった前面に出していただいて、防衛省にも堂々と表から情報の伝達をやっていただくべきではないかなというふうに思います。

 次に、情報の受け手の国民の側の心理といいますか、どのような印象を持って今回の特別警報を受けとめるか、この辺のお話に行かせていただきたいと思います。

 今までですと注意報と警報と二種類が、今回はそこに特別警報と、三段階になったということですね。そのときに受け手側がどのようにこれを捉えるか、この部分を我々はやはり考えていかなくてはならない、また注意をしていかなくてはならない。言ってみれば、国民の側の、受け手側の心理学的な状態、こういったものにも気を配る必要があるんじゃないかなというふうに思いますね。

 今までですと注意報、警報、その上に、警報の上位に特別警報を発信することになったということなんですけれども、人間の感性からしますと、三段階になったときに、では、今までの警報の取り扱いといいますか、国民の方の、受け手側の印象が、警報はちょっと軽いものになってしまうのかなというふうな感じ、その辺のところをどのようにお考えになっていらっしゃるのか。特別警報でないと危なくないんだ、警報はどうでもいいんだというふうな感じになりかねないんじゃないかなというふうに思いますね。

 今までですと、各学校教育機関なんかでも、都道府県の警報があった場合は学校を休みにするとか、朝七時の時点で警報が発令されていた場合は学校は休校にするとかいうふうなこともあったと思うんですけれども、その辺のところをどのように捉えていらっしゃるか。

 それともう一つ、特別警報の実施につきまして、気象庁は、発表基準を、地域の災害対策の責任者である都道府県知事及び市町村長の意見を聞いて定めるということなんですけれども、このあたりがどのようなイメージを持っていらっしゃるかというのも、ちょっと私、気がかりなんですね。

 これはひょっとして、地域によって多少基準の違いということも出るという可能性があるんでしょうか。それからまた、基準というのを市町村長、都道府県知事の意見を聞いて定める、これはどういったものをイメージされているのか、その辺もあわせて御説明いただきたいと思います。

羽鳥政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のように、警報が軽視されるのではないかという御指摘は幾つかいただいてございます。

 しかしながら、警報は、重大な災害の発生するおそれがあるときに発表されるということで、引き続き、発表時には、警戒が十分必要であることを今後も周知はしていきたいと思います。

 例えば、地方自治体におきましては地域防災計画というものがございまして、この特別警報の導入に当たりましては、警報の役割も含めて、両者が適切な役割分担をして同計画に位置づけられるよう、その役割について自治体に働きかけをしていきたいと思います。そのためにも、特別警報について、地方自治体に意見を聴取するというプロセスが、今回、極めて重要な位置づけになるとは思ってございます。

 また、基準についてでございますが、大津波警報といった基準、三メーター以上ですとか五メートル、これについては全国一律にやるべきものと考えてございますが、大雨については、例えば九州ですとか紀伊半島に降る大雨の量のレベルと北海道では全く違ってきます。例えば千ミリ近く一日で降るようなそういった西日本の地域と、北海道、ここは二百ミリ、三百ミリでも相当な規模の災害が起こると予想されますので、地域によって基準をしっかりと、過去の災害に照らして定めて、自治体に意見を聞くということを考えています。

 また、最終的には、地域防災計画等との関係に加えて、やはり住民の方に理解いただくということが重要でございますので、気象庁の場合は、危機の、リスクのレベルによって段階的にさまざまな情報を発信しています。したがいまして、段階的に発表している情報について、十分周知に努めていくということをあわせてやっていく必要があるのではないかと考えてございます。

 先生御指摘の点については十分承知してございますので、軽視につながらないように最善の努力をしてまいりたいと思います。

 以上でございます。

三宅委員 今お聞きしまして、それから冒頭にお聞きしました最近の異常気象の現象、こういったものもあって、実は私、二年前でしたか、台湾に行きましたときに、ちょうど台湾で八八水害というふうなものがありまして、たった二日間か何かで一年間の降雨量の雨が降って、特に台湾の南部の河川が大氾濫を起こしたんですね。山が削られて、川底が十メーター、二十メーターというふうな感じでかさ上げされまして、大変な水害があった。

 日本でもそういうふうなことが起こり得る可能性が非常に高いということでありますので、今、それぞれの特別警報、これをやはりできる限り国民に非常に効果的に、あるいはわかりやすいような形で伝達していただきますことをお願いしたいと思います。

 そういう中で、やはり広報の重要性というものを、当然気象庁の方も考えていらっしゃると思うんです。そういう中で、気象庁は、竜巻・雷・強雨、ナウキャストの利用と防災というパンフレットをつくっていらっしゃるらしいですね。私は見たことがないんですけれども。

 世界でも最新鋭の情報解析技術だと言っていいナウキャストを非常にわかりやすく説明されている。ところが、このパンフレットを私も見たことがない。どこにあるかもわからないんですね。せっかくこういうふうなものをつくっていらっしゃるにもかかわらず、一般の方もほとんどこれを目にされる機会がないんじゃないかなというふうに思います。その辺の気象庁の努力がちょっと足らないというふうに思いますね。

 やはり多くの国民の方々に、もっと気象庁の考えを広く知っていただく、理解していただくために、そういう部分にもっと配慮をされてしかるべきじゃないかなと思いますけれども、その辺のところ、改めて、具体的なこともいろいろ考えていらっしゃるのであれば、お答えいただきたいと思います。

羽鳥政府参考人 お答えします。

 先生御指摘のように、パンフレットというのがなかなか周知されないというのは、やはり限界も一部あるのかなというので感じてございますが、今後、特別警報の運用に際しましては、さまざまな周知手段を講じていきたいと思っています。

 例えば、これまでも、警報等の防災情報の適切な利用促進ということで、広報に加え、当然、市町村への説明、県への説明というものを丁寧にやってきたつもりでございます。また、本法案の段階においても、県、市町村に、現在、幾度か既に御説明に上がって御意見も伺っているところでございます。

 また、特別警報の運用に当たりましては、住民や地方公共団体がどのような対応をとればよいのかという点も含めまして、わかりやすく説明をしたパンフレットを配布する、あるいはインターネットで公開する。さらには、市町村が広報誌を持っていますので、これは全戸に配付されるということがございますので、これまでも警報の発表基準の改定等のときにやってございますが、全戸に配付される広報誌に掲載いただくとか、さまざまな取り組みをやっていきたいと思ってございます。

 さらに、気象庁ホームページあるいは政府広報、現在、内閣府の方で政府広報をインターネット等を通じてやってございますので、ここら辺も使っていきたいと思ってございます。

 また、報道機関が非常に重要でございますので、NHKを初め報道機関の協力を求めて、しっかりと周知に取り組んでいきたいと思っています。

 また、特別警報の運用開始後、やはり出水期における対応というのが重要でございまして、出水期につきましては都道府県や市町村にさまざまな場で説明をする機会もございますので、そういう機会を捉えて周知を進めていきたいと思っています。

 以上でございます。

三宅委員 その辺のところをできる限り多くの国民の方々に知っていただくように、また御努力を重ねていただきたいというふうに思います。

 次に、非常に地域を限定した局地的な災害、これの予測あるいは今の現状、こういったことをお聞きしたいと思います。

 これは、局地的な大雨、ゲリラ豪雨みたいなものですね、それと竜巻等、こういったことなんですけれども、これについても、気象庁の観測能力といいますか、非常に大きくなってきていると思います。それぞれのメッシュといいますか、それによって、十分単位で六十分先までの集中的なゲリラ豪雨の発生とか、こういったものも相当把握をできるような状態になってきているというふうなことなんですね。その辺のところで、個々の積乱雲の解析とか予想とか、こういった部分までできているのかということですね。

 それから、これは確度としては、把握するのは非常に難しいと思うんですけれども、竜巻あるいは突風の予測、これを正確に捉えるというのは非常に難しい。しかしながら、危険性が認識されるのであれば、できる限りやはりそういったものも発表していかなくてはならないというふうに思いますけれども、その辺のところ、現状はどうなっているのか、お聞かせいただきたいと思います。

羽鳥政府参考人 お答えいたします。

 発達した積乱雲等の現象についての監視につきましては、気象ドップラーレーダーによる全国的な監視というものが極めて有効でございまして、現在、全国を一キロメッシュでカバーして積乱雲等の監視をしてございます。さらに、現在、国土交通省の水管理・国土保全局において、Xバンドレーダー、二百五十メーターメッシュというものについて一部展開を進めていますので、そういったデータも連携して取り入れて、今後はさらに細かく、二百五十メーターメッシュぐらいで監視できるような努力をしたいと思ってございます。

 先ほどナウキャストという名前が出てきましたが、これにつきましては、一時間先までの降水量等につきまして一キロメッシュで予測して分布図で提供するということで、極めて詳細な短時間の予測でございます。

 しかしながら、そういう予測でございますので、一時間といいましても、時間が進むにつれて精度が落ちていくということはやむを得ないところもございまして、常に最新の情報、十分ごとに更新してございますが、そういうものを御利用いただいて対策に生かしていただきたいとは考えています。

 ナウキャストの原理でございますが、先ほどの気象ドップラーレーダー等の観測網、さらにはスーパーコンピューターを用いました数値予報技術、これを応用しまして、一時間先までの詳細な予測をするということで、その予測要素としましては降水、雷、竜巻等の突風でございまして、これは発達した積乱雲に伴って発生する極めてシビアな現象の全体でございまして、これらについてナウキャストという情報で発信してございます。

 技術的な現状は以上でございます。

三宅委員 警報の内容についてなんですけれども、わかりやすさ、これをやはり常に気象庁としては心がけていかなくてはならないというふうに思いますね。竜巻発生確度なんかは、確度二とか一とか、実態が非常に把握しにくい部分があると思うんですね、やはり国民の側からしまして。

 これはホームページからアクセスできるということなんですけれども、確度二とかいうふうなレベルでありましても、五%とかいうふうな確率ということなんですね。そういう中で、十回も二十回もこういう確度二の警報が発せられましても、だんだんそれになれ親しんでくると、大丈夫やなというふうな感覚的な部分になって、オオカミが来る、オオカミが来るという、オオカミ少年的なあれで、今度もまた大丈夫やというふうな感じになるんですけれども、ところが、やはり何度かに一度、本当に今、甚大な災害が出たり深刻な結果につながるわけなんですね。

 その辺のことも当然考えていらっしゃると思いますけれども、もし具体的なものがあれば、お聞かせいただきたいと思います。

松下大臣政務官 失礼いたします。

 大変重要な御指摘をいただいたと思っております。なれによって対応が散漫になるということは慎まなければならないというふうに考えております。

 ナウキャストにつきましては、現在、気象庁ホームページや国土交通省防災情報提供センターの携帯版ホームページにて、降水、雷、竜巻発生確度の各ナウキャストを一般に公開してございます。

 住民一人一人への直接の伝達につきましては、民間事業者や自治体等のサービスの状況や今後の情報通信技術の進展を踏まえまして、関係機関と調整、検討してまいりたいと考えてございます。

 なお、発達した積乱雲等に伴う急激に変化する気象現象から身を守るためには、国民一人一人が空の状況を確認し、みずから身を守るといった自助が極めて重要でございます。そのためには、前日や当日の朝、テレビ等を通じて発表される天気予報や注意報などを確認して備え、あわせて携帯電話等による情報を利用することが有効でありまして、それらにつきましても周知徹底してまいりたいと思います。

 以上です。

三宅委員 今、松下先生が携帯電話も活用してということなんですけれども、ちょうど二週間ぐらい前でしたか、十日ぐらい前かな、淡路島を震源地とした震度六の地震がございました。私もあのときは大阪の自宅で寝ておりましたら、朝の五時何分ですか、携帯電話の警報でたたき起こされたんです。全く今まで聞いたことのないベルの音でしたので、びっくりして、何かなと思った瞬間に、地震といいますか、非常に大きな揺れを感じたんですね。

 この携帯電話を活用する。テレビとかラジオとか、特に最近の若い方は余りごらんになっていらっしゃらないんですね。そういったことで、緊急地震速報なんかは、携帯電話会社とも相協力した上で、これを活用すべきではないかなというふうに思います。民間の気象予報会社は、何か、有料サービスでこれをやっていらっしゃるんですかね。これは人命にかかわることですので、気象庁も、その辺のところ、責任を持って発信する必要があると思うんですけれども、その辺のところを、もう一度詳しくお聞かせいただけたらと思います。

羽鳥政府参考人 お答えします。

 先ほどの緊急地震速報でございますが、西日本の大阪周辺で初めて発表したケースでございます。

 いずれにしても、携帯電話の緊急地震速報メールにつきましては、テレビやラジオを視聴していない国民に対して情報を直ちに伝達するという一つの手段として、非常に有効なものと考えてございます。

 このため、気象庁では、携帯電話事業者等とも連携しまして、既に緊急地震速報及び津波警報、これにつきましては、緊急速報メールによる配信を行ってきてございます。当然、特別警報についても、非常時の情報でございますので、国民への伝達の多重化、多様化を図るということが重要でございますので、その伝達に緊急速報メールという携帯事業者のメールを活用できるよう、携帯事業者とも積極的に調整し、話し合っていきたいと思ってございます。

 また、気象庁では、ツイッターなど最近のソーシャルメディアへの情報提供というのも非常に重要な課題だと考えてございまして、これらについては、民間等も含めて、汎用性が高い利用ができる、取り扱いやすい形式で情報を発信するということが重要でございますので、新たにそういった取り扱いがしやすい情報を発信するということで、民間においても利用が促進されるように努力していきたいと思っております。

 以上でございます。

三宅委員 では、民間気象予報業者との役割分担といいますか、このあたりについて今度はお尋ねしたいと思います。

 一般的な天気予報というのは、最近は非常に多くの民間業者が参入し、それぞれが非常に工夫をしております。気象庁の観測データを独自に分析して付加価値をつける。付加価値をつけていっているわけですね、民間の気象会社が。

 株式会社ウェザーニューズ、これは、特に津波のことについては非常に解析能力といいますか、レーダー観測網を構築して、地震津波の会といいますか、こういう地震速報、あるいはまた、独自の津波観測情報というものをどこよりも早く知らせる有料サービスをやっているんですね。また、あるいはNTTの関連企業も、非常に防災に力点を置いた独自の有料サービスをしているということなんです。

 してみると、そのもとになっている気象庁は観測体制だけ整備して、情報発信が民間の企業であって、それぞれが非常にわかりやすく付加価値をつけてやっているというふうになっていきますと、これもどうかなというふうに思うんですね。というのは、やはりこれは人命にかかわる非常に重要なことですので、その辺のところを気象庁は気象庁として責任を持って、こういうふうな情報発信に当たらなくてはならないんじゃないかなというふうに思います。

 そこで、やはりこれは民間の企業活動を別に阻害するということじゃないんです。それぞれの役割の分担、あるいは基本的な気象庁としてのお考え、これはどのようにお考えになっていらっしゃるのか、その辺のところもあわせて説明いただきたいと思います。

羽鳥政府参考人 お答えいたします。

 気象庁の責務としまして、自然災害から国民の生命財産を守るということは極めて重要でございまして、警報や注意報等の防災気象情報については、社会的な混乱を回避するという意味からも気象庁が一元的に発表しまして、都道府県等の防災関係機関に伝達するとともに、報道機関の協力を得て、国民に広く周知してきているところでございます。

 一方で、民間気象事業者も、さまざまな個人や企業等の利用者の多様な個別のニーズに応えるということで、予報や気象情報等を提供してございます。

 このような中で、民間気象事業者が独自の予報業務を行う場合ということにつきましては、気象庁の許可が必要であるという制度にしてございまして、この際、当該サービスを行う場合には、気象庁が発表する警報をあわせて利用者に迅速に伝えるよう努めなければならないというように気象業務法に定めてございまして、これにより、防災上の混乱を生じないよう、法令上措置しているところでございます。

 以上でございます。

三宅委員 わかりました。

 それでは次に、現在の気象衛星についてお聞きしたいんです。

 地上からのレーダー観測と、気象衛星からの、垂直から、空からの観測、こういったものを両方合わせて、ミックスしてされていらっしゃると思うんですけれども、その辺の役割の違いと分担、それから今後の開発の見通し等、これについてお聞きしたいと思います。

羽鳥政府参考人 地上で大雨等を詳細にきめ細かく観測するということでございますが、気象衛星につきましては、アジア太平洋ですとか、世界的に台風等を捉えていくという目的で運用してございます。そのため、気象庁では、これまで三十五年にわたって宇宙からの気象観測を行ってございまして、現在、ひまわり七号が観測を行っています。

 気象庁では、現在、この後継機として、ひまわり八号及び九号の製造を進めてございまして、八号につきましては平成二十六年に、九号は平成二十八年に、それぞれ打ち上げる計画でございます。

 ひまわり八号及び九号については、現在は三十分ごとの観測でございまして、それによって台風等を捉えてございますが、「ひまわり」の新しい次期後継機では十分ごとに観測を行うということで、観測機能を大幅に強化し、さらにはレーダー等々を総合的に活用し、監視機能を強化していきたいと思っています。

 また、我が国並びに世界各国によって、地球観測衛星、これを打ち上げられてございますので、これで全世界をカバーするようなデータが気象庁にもリアルタイムで入ってきてございまして、先ほど紹介したようなスーパーコンピューターにおけるシミュレーションの中に取り込んで、全世界の大気、海洋を分析し、その成果を発表しているところでございます。

 また、気象衛星につきましては、当然、アジア太平洋諸国への国際貢献ということが極めて重要でございますので、気象衛星のデータを各国に同時に配信してきているところでございます。

 以上でございます。

三宅委員 今の気象衛星のは関連質問なんです。関連して聞きたいんだけれども、中国から最近、大気汚染物質、PM二・五とか、こういったものも当然観測されていらっしゃると思うんですが、単に気象だけではなしに、こういうふうな大気汚染、こういった部分についてどのように取り扱おうとされているのか、あわせてお聞きしたいんです。

 中国から、特に今、黄砂とかあるいはPM二・五とか、全然関係ないですけれども、毒ギョーザとか、ろくなものが来ないなと私はいつも思っているんですよね。この辺のところ、もしあれば、ちょっとおっしゃっていただけたらと思います。

羽鳥政府参考人 御質問いただきました黄砂等でございますが、黄砂につきましては、砂漠地帯での風による吹き上げ等をこちらでもシミュレーションして計算することができますので、現在、大気のモデルを使って、毎日ホームページ等で、今後の黄砂が中国等から来るかどうかについて発表はしてございます。

 一方、PM二・五といった汚染物質、これについては気象庁は取り扱ってございませんで、環境省が自治体を指導のもと、対応しているものと認識してございます。

 以上でございます。

三宅委員 最後に大臣にお伺いしたいんですけれども、今回の法改正、非常にやはり国民の生命と直結した問題でございますので、大臣としてお考えになっていらっしゃる基本的なお考え、あるいは抱負、こういったものを、もしございましたらお聞かせいただきたいと思いますが。

太田国務大臣 特別警報を出して命を守る。先生おっしゃいましたように、では、警報なら大丈夫だと、逆になるというようなことが一方ではあったりします。わかりやすくというと、メディアを使ってやるとわかりやすくなるんですけれども、そこに正確さというものがなくてはいけないということで、長官の先ほどの話になったと思います。

 ただ、私は、これは、今御指摘いただいたことは、ほとんど全てそのとおりであって、わかりやすく迅速で、そして正確に、そして、その三つ、大畠先生のときに私申し上げましたが、もう一つ、自分はどう動いたらいいのかということがしっかり一人一人に的確に伝わるということがすごく大事だと思います。

 洪水があったら、発すると、川を見に行くとか、津波が来ると伝達されると海岸に見に行くという方が結構多かったりするということがあったりいたします。特別警報が出た場合にはどう動くか、そして警報というものについてはどう動くかという一人一人の動きということが、よくこれから、この法律を何とか成立させていただきまして、この法律の内容を伝えるという以上に、どう動いたらいいのかというところまで、この法案成立ということを受けて、広報を私はしっかりやっていく必要があると。繰り返し繰り返し広報をして、パンフなんていうこともありましたけれども、冷蔵庫のところに絵を描いて張っておくとか、いつもそういうような意識を持って、わかりやすくやらなくてはいけないというふうに思っています。

 そういう意味では、法律をぜひとも成立させていただくと同時に、そのことの意味、警報の意味そして特別警報の意味と、そして自分はどう動いたらいいかというところまで、しっかり徹底できるようにということに努力をしたいというふうに思っておるところでございます。

三宅委員 どうもありがとうございました。

 若干時間を超過して、申しわけございませんでした。これをもって質問を終了させていただきます。ありがとうございました。

金子委員長 次に、柿沢未途君。

柿沢委員 みんなの党の柿沢未途でございます。

 今回の気象業務法の改正で、警報の上に特別警報というのができることになったわけでありますが、今資料をお配りさせていただいておりますけれども、これは、大雨が原因となる災害に関する情報、発令されているだけでもこれだけあるんですね。

 大雨に関する気象情報が全ての前段階で出る。注意報、そしてもう一段、雨の状況に関する大雨に関する気象情報。警報が、大雨、洪水警報があって、記録的短時間大雨情報というのがあって、土砂災害警戒情報というのがあって、さらに特別警報が今回新たに追加をされる。さらに、河川に関しては、指定河川洪水予報、こういうものが都道府県と共同発表で行われることになっている。

 これを一つ一つ聞き分けて、何が何だかわかるという人が一般の人でいるのかというふうに思うんです。

 質問順をちょっと変えますけれども、例えば、この資料を見て、記録的短時間大雨情報というものと大雨に関する今回の特別警報、どう違うんだ、御説明いただきたいと思います。

羽鳥政府参考人 お答えいたします。

 記録的短時間大雨情報、これにつきましては、大雨警報が発表されているときに、その地域で数年に一回程度発生する激しい短時間の大雨を観測した際にその事実を発表する情報でございまして、現在の実際に降っている雨というものが非常に激しい状況であるということを周知するものでございます。

 この発表基準につきましては、過去の雨量データ等から地域ごとに基準を定めてございまして、例えば、地域によっては一時間降水量が七十ミリ以上あるいは百二十ミリ以上、これも西日本ですとか東日本で、雨がよく降る地域とそうでない地域で大きな差がございますが、こういった基準で発表してございます。

 一方、大雨に関する特別警報については、その地域において数十年に一度という、これまでにないような、経験したことのないような大雨が想定される場合に、発表基準を設けまして、重大な災害が起こるおそれが著しく大きい場合ということで発表させていただこうとするものでございます。

 以上でございます。

柿沢委員 聞いて、わかりましたか。数年に一度と数十年に一度だと。

 この違いを区別して、住民が、あるいは市町村長が何らかの行動を判断する、こういうことが本当にできると思いますか。

羽鳥政府参考人 お答えします。

 委員御指摘のように、気象庁が発表する情報につきまして、さまざまな災害が発生した後に検討し改善を進めてきたわけですが、現時点において、情報が多い、複雑である、わかりづらいということについて、我々も認識していますし、いろいろなところで御指摘をいただいているところでございます。

 そのため、今般の特別警報を運用するということにおきましては、当然、特別警報をやはり最大限効果を高めるということが重要でございますので、そこの表にありますような情報、さらには気象情報といった情報もございますので、そういった情報について整理してわかりやすくする必要があるだろう。

 これについては、やはり受け手側の立場に立って整理する必要があるということを考えてございまして、現在、有識者、これは防災情報あるいは気象の専門家を交えた有識者、さらには防災関係機関の皆さんにも入っていただいた検討会というものを設けていまして、そういった情報の整理ということを今後ますます進めていきたいと思ってございます。

 以上です。

柿沢委員 整理してわかりやすくしようというときに、何でふえるんですか。大雨に関する情報の種類だけでもこれだけのものがあって、それぞれ、市町村長の避難勧告、避難指示の判断にも結びついている。その判断の基礎になる気象庁の情報発信がこれだけ錯綜していて、どれがどれだけ危険性を伝えるものかわからなくなってしまっている。だから、わからないから今度は特別警報だといったら、なおさらわからなくなってしまうのではないか、こういうことを申し上げているんです。

 先に進みます。

 では、現在の大雨警報ですけれども、この大雨警報というのは、一体、気象業務法上どういう場合に発令されることになっているのですか、お伺いします。

羽鳥政府参考人 お答えいたします。

 現在の警報につきましては、重大な災害の起こるおそれがあるときに発表するというふうに気象業務法の定めがございまして、現象の種類によって、大雨警報、暴風警報、大雪警報などがございます。

 これにつきましても、過去の災害事例を分析しまして、別途基準を定めて発表してございまして、例えば、一時間降水量では、地域によって四十ミリですとか七十ミリ、あるいは、災害に直結するような指数から基準を設けて、警報を市町村ごとに運用しているところでございます。

 以上でございます。

柿沢委員 今、お聞きをいただきましたとおり、そもそも大雨警報というものが重大な災害のおそれがあるときに発令をされているものなんです。土砂災害等々ですね。しかし、今そのような感覚で大雨警報というものを受けとめている人は少ないんじゃないかというふうに思うんですよ。

 実際、この法案について党内でヒアリングを行った際にも、大雨警報というのは、大雨が降る確率が高いというのが大雨警報であって、災害のおそれと結びついている、そういう警報だとは思っていませんでした、こういうふうに言っていた議員の方々が大変多かったです。

 結局、当初は、重大な災害のおそれがある、こういうことで大雨警報を出していたんだろうと思うんですけれども、しかし、気象庁として、念のためということもあって、きょうも警報、あすも警報、こちらも警報、あちらも警報、こういうことになってしまって、だんだん警報というものが予定をしている所期の効果というものを生まなくなってしまった。だから、その上の特別警報をつくって、そういうことなのではありませんか。

 こんなことをやったら、今度は警報が出ても、特別警報じゃないから大丈夫だろう、こういうことにますますなってしまいかねないというふうに思うんです。

 そもそも、警報も特別警報も、一体何のために出すものなのかということを改めて確認したいと思います。

金子委員長 羽鳥気象庁長官、わかりやすく答えてください。

羽鳥政府参考人 申しわけございません。

 重大な災害があるおそれがあるときに警報を発表してございます。

 例えば、台風十二号の場合には、警報を発表しましてから実際に発災が起きましたのは、一日あるいはより長い時間がたってからということで、その間、我々気象庁としましては、先ほどの記録的短時間大雨情報、これは予報ではなくて実際上の観測事実をお伝えする情報でございますが、また、気象情報等で、言葉によってさまざまな危機感を伝えていたわけなんですが、実際上、危機感が伝わっていなかったということにつきまして、市町村等からのヒアリングでも明らかになっていまして、今回、台風十二号というような悲惨な災害が起きていますが、そういう状況につきましては、事前に特別警報を発表し、極めて甚大な状況にあるという危機感を的確に伝えて避難等に結びつけていきたいという判断から、今回提案させていただいているものでございます。

 以上です。

柿沢委員 警報も特別警報も、その危機感を伝えて迅速な避難に結びつけるため、こういうことなんだと思うんです。その避難の判断というのは、一体誰が行うんですか。

 災害対策基本法上、避難勧告、避難指示は、市町村長が行うことになるわけですよね。市町村長は、住民生活に大きな影響を及ぼし、住民の生命と財産を守るための避難の勧告、指示、こういう重大な決断をする上で、それに資する情報発信を気象庁に求めていると思うんです。

 しかし、今の気象庁の情報の出し方では、それが判断できない、判断できないからこそ、今回、市町村に伝達義務を課す形で、避難勧告、避難指示に直接結びつくような特別警報を、こういうことになったんだろうと思います。

 逆に言えば、今までの警報の出し方、情報の出し方というのが、市町村長が避難勧告、避難指示という重大な判断をするための材料として十二分に機能してこなかったという欠陥をみずから認めたような形になっていると私は思うんです。

 現在の気象庁の警報や情報の出し方は、結果的に市町村長が災害対策基本法に基づく避難勧告、指示を出す出さないの判断に資するものになってこなかった、この点についてのこれまでを振り返っての御見解をぜひ披瀝していただきたいと思います。

太田国務大臣 議論を聞いておりましてお話をいたしますが、例えば、二十三年の台風十二号がございました。それで、ここが大変なことになったわけですが、この台風が起きて、九月三日十時以降に大規模な土砂災害が発生して六名が亡くなる。その前日から警報等を繰り返し発表していて、警戒を呼びかけていた。しかし、その後、継続的な豪雨によって高まった危険性が伝えられなかった、そして避難に結びつかなかった。この時点では、どこの時点で特別警報を発するかということが今回の法律では重要だということになります。

 三日の十時以降に大規模な土砂災害ですが、二日十八時、前日の午後六時、事前に特別警報発表の可能性を伝えた上で、三日の十時に大規模な土砂災害なんですが、六時ごろには特別警報を発することができるという判断を私は確認しました。その四時間前に特別警報として発するということができれば、この台風十二号の場合は六名の犠牲者がいなくなるというのが今回の効果であるというふうに私は認識をいたしました。

 最終判断で現場の避難勧告、避難指示ということについて、国がそれを出さないとなかなか最終判断をちゅうちょするというか、そういうことがあって、誰ができるとかできないではなく、ちゅうちょするということがあるものですから、二十三年台風十二号については四時間前に特別警報を出すべきということができるようになるということは、私は大変いいことだという認識をして、この法案を見ておるところでございます。

柿沢委員 だったら、なぜ大雨警報なのかということなんですよ。

 災害の発生のおそれに着目をして、しかも市町村長が避難の行動に決断、判断をするために資するような情報の出し方というのであれば、これは大雨という原因に関する情報ではなくて、まさに起きる結果、例えば土砂災害警報とか、本来ならこういう形の名称にしていくべきなんではないでしょうか。

 こうした点をある意味では手をつけないで、そして、これだけの大雨が降る可能性がある、後は皆さん判断してくださいということだと、市町村には残念ながら気象のプロはいませんから、やはり今後も判断に迷う、こういう結果になってしまうのではないかというふうに思うんです。

 ここの部分、今回、特別警報については都道府県、市町村にいわゆる伝達義務を課すことになったわけですけれども、逆に言えば、大雨に関する特別警報を気象庁は出した、出したけれども市町村や都道府県が十分な伝達をしなかったので残念な結果になってしまいましたと言えば気象庁の責任は免れる、こういうことにもなってしまうわけですね。

 今までのように、警報を出して、気象庁が一義的に伝達義務を負う、そして市町村はそれに努力義務的に協力をする、こういう形であれば、気象庁の発したものが伝わらなかった、この責任は気象庁にもはね返ってくるわけですけれども、ここで都道府県、市町村ということになると、気象庁は特別警報を出したということである意味では任務完了ということにもなってしまいかねない。こういう点も含めて、私は、都道府県、市町村に依然として大変不親切なやり方なのではないかというふうに思っています。

 例えば香港の天気予報を見ますと、台風が近づいてきた際にシグナリングをやっています。例えば、シグナル三が発令されると幼稚園、小学校は休園、シグナル八以上になるとオフィス、店舗、レストラン、金融機関、全部閉鎖。交通機関も停止。都市としての機能がストップする。シグナル八だと言えば、住民はそのことがわかるわけです。

 こういう形で、まさに避難行動と住民の行動と直結するような情報の発信の仕方をすべきであって、大雨警報がきかないから、今度は大雨に関する特別警報だと。わからないですよ。どうですか。

羽鳥政府参考人 今般の特別警報につきましては、情報の伝達の周知義務ということに加えまして、やはり、重要な規定としましては、基準につきましてしっかりと自治体の意見を聴取して、気象台と地元自治体が共通の認識を持って住民に接することができる、これが大きなポイントで、それによってしっかりと地域防災計画等に位置づけ、さらに実際に運用していくということが重要かとは思っています。

 また、先ほど御指摘のあった香港における取り組みというものにつきましては、私も香港の気象台長とも何度かお会いしていますが、香港は極めて大都市の気象業務をやっていまして、インターネット等を通じた最新のITメディア等での周知というものに非常に工夫を凝らしているということです。

 シグナルといったことでございますが、これは、危機感のレベルを伝えるということについて、数字やあるいは色、カラーコード、これで伝えるということでございますが、こういった取り組みは世界各国の気象機関でもさまざまやられていまして、我々も、これを参考としてしっかりと、今後、わかりやすい情報の周知に向けて努力していきたいと思います。

 以上でございます。

柿沢委員 もう一回、これを見てわかるかということをぜひ皆さんに御認識いただきたいと思います。

 天気図を読むプロというのは、気象庁、気象台にいるわけです。しかし、避難勧告、避難指示を出すのは、災害対策基本法上、市町村長であるわけです。市町村の役場には気象のプロはいない。だったら、私は、気象庁の職員を地方に移管していけばいいのではないかというふうに思うんです。

 そもそも、今、天気予報はコンピューター解析が主となっていますので、全国各地の気象台に昔と同じような人員を国家公務員として抱えている必要は、私は薄れてきていると思います。

 災害対策基本法上、都道府県知事は市町村長への助言ができることとなっている、こういうことも踏まえて考えると、例えば地方気象台を都道府県に移管する、こうしたことを考えるべき時期になってきているのではないかと思いますけれども、大臣の御見解を伺います。

太田国務大臣 阪神大震災が終わりましたときに、私は、震度計が全国に配置されていないということで、当時三百台あった地震計、震度計等を、現在、先ほど答弁ありましたが、四千三百という観測地点まで持っていくということをさせていただきました。

 それは、観測というものがなかなかできないということがありまして、現在、地方の自治体の持っているものもございます。そして、気象庁自体の本体が持っているというものもございます。

 こういうことですよということを雨が降るなら降るで空から見てつくって、そしてそれを伝えるだけならそれは結構なんですけれども、やはりここは一元化して、情報を集約して中央の気象庁に上げる、それをそのまままたおろすという往復作業というものが必要だというふうに思っておりまして、地方気象台を都道府県に移管することはちょっと、この一元化という中で適切ではないのではないかというふうに私は考えています。

柿沢委員 現実には、例えば市町村の地震計というものも、統一したネットワークの中で観測に役立てておられるわけですよね。だから、今のお話を聞いていても、私は、気象のプロが都道府県の職員として移管をされ、都道府県の業務、あるいは市町村でもいいと思いますが、そういうところで能力を発揮していただく、何も悪いことはないのではないかというふうに思えてなりません。

 今回、海洋気象台が廃止をされて、函館、神戸、長崎の海洋気象台の業務は管区で行うこととなりました。海上警報も管区気象台で出すということになったわけであります。必要性の薄れた出先の統合、こういうことなのではないかと認識をしているんですけれども、しかし、気象庁の認識はどうも違うらしいんですね。

 この組織改編によって気象庁の定員にはどういう影響があるんですか、お伺いします。

羽鳥政府参考人 お答えいたします。

 海洋気象台の管区気象台等への統合によりまして、海洋気象業務に係る要員につきましては管区気象台等に再配置し、管区気象台等における海洋気象業務、さらには防災業務の強化に充てる予定でございます。

 また、函館、神戸及び長崎の海洋気象台につきましては、地方気象台の機能も備えてございましたので、地方気象台に組織がえして、必要な要員を配置することとしてございます。これにより、地方気象台として、予報、警報の発表や地元自治体との対応について、防災業務も含めて実施してまいりたいと思ってございます。

 なお、海洋気象台の改編に伴います定員でございますが、これにつきましては変更はございません。

柿沢委員 海洋気象台を廃止したということではあるわけですけれども、しかし、気象庁全体の定員には全く何の変更も影響も及ぼさない、こういうことであるわけです。

 同時に、舞鶴海洋気象台を廃止しておりますが、ところが、新たに気象庁の本庁組織である日本海海洋気象センターなるものを舞鶴市に設置する、こういう計画になっています。なぜですか。

羽鳥政府参考人 お答えします。

 日本海は、大陸と日本列島に囲まれた極めて特殊な海域でございまして、世界的にもかなり珍しい海域でございます。太平洋側と異なりまして、暖かい海流が北日本まで北上する、あるいは閉鎖的であるということで、極めて特殊ということで科学的にも注目すべき海洋でございます。

 例えば、地球温暖化の監視という観点からも極めて重要でございまして、気候変動の政府間パネル等においても注目をされている海域でございます。このため、引き続き、日本海を一つの海として捉えまして、総合的に分析、調査することが極めて重要と気象庁では考えてございます。

 今回の組織改編により舞鶴海洋気象台につきましては廃止しますが、日本海に係る調査を総合的に実施するという観点から、これまでの知見や関係機関との連携を引き続き生かすということもありまして、舞鶴に日本海に関する調査業務を行うセンターを設置することとしたわけでございます。

 以上です。

柿沢委員 私に言わせれば、そもそも、なぜ日本海にだけ本庁組織としてこんなものが置かれるのか、全くわからないんですけれども、さらに加えて言えば、そこで行われるような今おっしゃった海洋気象観測業務は、独立行政法人の海洋研究開発機構がもっと精度の高いものを現に行っているんじゃないですか。しかも、私の聞き及ぶところですと、データはオンラインで気象庁、気象台にも提供される、こんな形になっていると聞きます。

 改めて聞きます。

 なぜ舞鶴海洋気象台を廃止しながら、日本海海洋気象センターを舞鶴に置くんですか、お伺いします。

羽鳥政府参考人 お答えいたします。

 日本海の重要性ということは先ほど説明しましたが、やや詳しく御説明をいたしますと、ミニ大洋というふうに呼ばれていまして、極めて重要な海洋でございます。

 また、海洋観測についても、本庁において二隻体制で海洋観測をしてございますが、実際上は、日本海についても、観測をする際に同センターの要員が乗船して観測する等、実務にも加わるということで、やはり、今後とも、日本海海洋センターを設置し、関係する機関とも連携しながら、日本海の調査を進める必要があると考えてございます。

 以上でございます。

柿沢委員 別に、この法案の方向性に全く完全に反対をするつもりは全然ないんです。しかし、今話を聞いていくと、だんだん気象庁さんが何を意図してこの法案を出しているのか、よくわからなくなってくる部分もあるんです。

 しっかりと、本当に国民の生命と財産を守る、そして、市町村の住民を守る判断に直結をする、そうした業務を担われているわけですから、ぜひ、その本来業務というか、そこの部分をきちっとクリアにした上での対応を望みたいというふうに思います。

 終わります。

金子委員長 次に、穀田恵二君。

穀田委員 きょうは気象業務法について聞きます。

 防災気象情報の最終の受け手である住民が気象庁の発する警報や注意報をどのように理解しているかは重要な問題だと思うんです。

 先ごろNHKで報道されて、静岡大学の調査で、警報と注意報の意味合いが住民に理解されていない、警報と注意報を混同しているということが指摘されていました。

 気象庁としては、情報に対する住民の理解度をどのように把握していますか。

羽鳥政府参考人 お答えいたします。

 警報や注意報についての住民の理解度という御質問でございましたが、気象庁としましても、アンケート調査や、警報発表後に地元の気象台から地元の自治体に事後の調査を行うなど、適宜行ってきてございます。

 例えば気象庁におきましても、防災気象情報の利活用状況に関する調査というものを平成二十三年五月に公表してございます。この調査では、インターネットによる登録モニターという制度を活用しまして、全国の約四千名、これから回答を得てございます。その結果、先ほど牛山先生という静岡大学の先生でございますが、その結果と同様に、大雨警報の意味については正しく理解しているという割合につきましては三八%、また、注意報の内容と混同している、注意報と警報の内容についての区別が余りついていないというのが四七%ということで、先生とほぼ同じような結果になってございます。

 引き続き、先生には、今回の調査について、事前に我々もお聞きして承知してございますので、先生にも御意見をお伺いしつつ、さらなる防災情報の周知啓発のありようについて改善を進めていきたいと思ってございます。

 以上でございます。

穀田委員 いずれの結果も、受け手の理解の状況というのが、やはり混同しているということだけははっきりしている。五割近く、この間のNHKでいうと五三%でしたけれども、そういう理解がある。

 現行の注意報と警報の上に、重大な災害が起こるおそれが著しく大きい、二重、三重にいろいろかけているんだけれども、そういうことを言ったとしても、何の意味かわからなければならないわけですね。だから、何の意味かわかってこそ、安全な避難行動に結びつくと思うんです。

 気象庁のそういう後の掌握でも、また同大学の調査からいっても、私思うのは、情報の意味を理解してもらうのに時間がかかる、おのおのの情報の意味の徹底が重要だと述べていますね。ですから、重要な指摘として受けとめて、結局、情報の意味を理解することの努力がどれほど行われたかということが今後問われるということを指摘しておきたいと思います。

 そこで、次に、特別警報を新設することで、住民が特別警報が出るまで逃げなくていいと思ってしまうリスクが指摘されています。警報が出された後、特別警報が行われるわけだが、住民の避難が行われている中で特別警報が行われる意味がどこにあるのか、お聞きしたい。

羽鳥政府参考人 お答えいたします。

 先ほども申し上げましたが、警報につきましては、重大な災害のおそれがあるという場合に発表します。

 例えば、平成十六年に台風等が非常に頻繁に上陸したということで、それを受けて、気象庁として、関係防災機関とも調査を行いまして、今後の大雨警報等の位置づけについて、避難との関係について議論してございます。その際、大雨警報につきましては、避難準備あるいは要援護者の避難という形で位置づけていこうということで、地方自治体に働きかけを強化しようということを進めてきてございます。

 そうした結果、地域防災計画にそれなりに位置づけはしていただいているんですが、まだまだ不十分な点があるということにつきましては、我々気象庁としても認識しているところでございます。

 今般の特別警報の導入に際しましては、意見を聴取するという法的な規定は設けますが、やはり、特別警報と警報の役割、これについてしっかりと自治体等と意見交換しながら、地域防災計画に避難等のレベル等も含めて位置づけていくということが重要かと思いますので、今後ますます、意見聴取というプロセスが法令上は位置づけられますが、こういった過程を通して、地域防災計画、つまりは地方自治体との連携を深めていきたいということと、そうした連携についてしっかりと住民に理解いただくように、自治体さらにはメディア等と協力して、周知啓発に努めていきたいと思います。

 以上でございます。

穀田委員 そこで、では、特別警報というのは、当然、今回の法律でいいますと、市町村長が住民に周知する義務を課すとしているわけですね。

 そこで、災害の発生につながるような場合、気象庁は、災害が起こるおそれがある場合は注意報、重大な災害が発生するおそれがあるときは警報、そして、今度の発生で、重大な災害の起こるおそれが著しく大きい場合は特別警報を発表するとしています。同じように災害の発生のおそれがあるのに、特別警報だけを義務とする根拠、そして、住民に確実に周知できるのか。

 先ほど長官は、自治体の周知のところでいろいろ言っていましたけれども、あんなものは、町内会に参加していない人には配らないんですよ。そういうことも含めて、あなたは現実をよく知っているのかなと率直に思うわけですね。

 だから、問題は、特別警報だけを義務とする根拠と、それを住民に確実に周知できるのか、その二つ。

羽鳥政府参考人 特別警報につきましては、極めて甚大な非常事態でございますので、市町村には、住民に必ずすぐにお伝えいただくという措置をとっていただくことが重要ということで、法的に規定をしたものでございます。

 また、各市町村、現在、防災行政無線、広報車、緊急速報メール、これは携帯電話でございますが、さまざまな手段で警報を初め避難勧告等の防災情報を住民に広く伝えていただいておりますので、これによって、特別警報の周知について、できるだけ多くの手段で伝えていただくということをお願いしたいと思っています。

 また、気象庁としましても、みずから、例えば緊急メールといった手段についての拡充を進めるとともに、放送関係機関とも協力して、多様な手段で情報が伝わるように最善の努力をしていきたいと思ってございます。

 以上でございます。

穀田委員 何回聞いても、多くの手段と多様な手段とで伝わるように努力しますと言っているだけで、確実に周知できるかと聞いているんだよね。

 そこで、警報などをもとに市町村長が住民に対する避難勧告や避難指示を出すときに、その判断に逡巡していることが中央防災会議の専門調査会のヒアリングで浮き彫りになっています。

 具体的に書いているので言いますと、市町村単位の警報と、自治体が避難勧告などを発令する地域の細かさにギャップがあり、特に土砂災害など、ピンポイントでの避難勧告、避難指示の判断が難しいこと、それから、避難勧告などのマニュアルを作成していても、実際の運用はそれだけでなく、大雨などの状況も踏まえて行われていること、さらに、自治体の範囲でも、地区ごとの実際の大雨の状況などを見ながら災害の危険性を指摘、判断する上で、ホットラインなどによる肉声によるアドバイスの有効性が指摘されています。

 今国会に提出されている災害対策基本法の改正案では、市町村長から的確な避難指示や勧告のため助言を求められた場合、管区気象台に応答義務を課すこととされています。それは、今述べたヒアリングで出た問題点、これを受け答えしてきちんとできる、可能なのかということについて聞きます。

羽鳥政府参考人 お答えいたします。

 地方気象台では、これまでも市町村に対して、予警報を発表し伝えるのみではなく、状況に応じて、市町村等の防災対応のタイミングや屋内での待避等の措置の判断ということにつきまして、問い合わせ等を受けて助言を行っているところでございます。

 具体的には、非常時を中心に、大雨等の現象について、実況や予測に基づきまして、いつごろの時間帯に大雨になるのか、あるいはどの地域に激しい現象が見込まれるのかといった形で、気象の専門家として、できる限り具体的な降雨の状況や見通しというものをお伝えするように、情報を発表するだけではなく、努めているところでございます。

 今般の災害対策基本法の改正案ということにつきましては、地元の気象台だけではなく、指定地方行政機関に対して、助言に対する応答義務が課せられるということになりますが、当然、地元気象台としても、国の一員として、引き続き緊張感を持って、市町村への助言といったことは行ってまいりたいと思います。

 特に、特別警報の場合は、この助言というものはますます重要になってくると思いますので、しっかりと対応していきたいと思ってございます。このことが、警報、特別警報等をさらに効果を高めるということになると考えてございます。

 以上でございます。

穀田委員 長官は、今、地方気象台がそういうことでよく奮闘するというふうに言っていますね、答弁していますね。

 しかし、災害対策基本法の今度の改正案の第六十一条の二というのは、「助言を求められた指定行政機関の長若しくは指定地方行政機関の長」とあって、それは、指定地方行政機関の指定というのは、そこには管区気象台と書いていて、だから私は、管区気象台で大丈夫なのか、そういう質問をしたわけです。そこに入っていないんですよ、地方気象台は。

 だけれども、入っていないけれども、それはちゃんとやるんだ、そういう意味ということは言うんだろうけれども、しかし、大丈夫かと言っているのは、それほど手間がかかる問題について、なかなか体制がないということを私は知っているからなんですね。

 ヒアリングの中でも、なかなか電話がつながらないとか、いざ肝心なときについてホットラインというけれども、ホットラインの電話は別にあるわけじゃなくて、従来の電話を決めているわけだから、それが塞がってしまう、さらには一般の住民からも当然電話がある、それで音声でやってしまっているからサービスが低下をするというようなことまで起きているわけですよね。だから、そういう現実をはっきり言わなきゃ、そんな、大丈夫ですみたいな話にはならぬと私は思います。

 というのは、市町村長というのは、それは、どこに何が起こるかという場合、避難指示を出すというのは胃の痛む思いなんですよ。だって、あそこの山が崩れるのか、あそこの町内の川がどうなるのかということが問われるわけでしょう。管区気象台なんて、そんな大きなところで判断ができるはずないじゃないですか。だから、そういうことを私は言っているんです。

 そこで、大臣に聞いておきますけれども、一九九五年の、先ほども阪神・淡路大震災の話が少し出ました。そこで、資料を私は提出しましたし、見ていただきたいんです、これですよね。防災気象情報は、主な変遷というところに書きましたけれども、次々に追加されていまして、国民の要望、同時に、気象変化もそれこそ著しく変化してきています。それを示したのが提出した資料であります。

 気象台の現場では、そのための業務に追われています。業務は追加されていますが、職員の体制は、増員ではなくて、九五年、六千二百四十一人いた気象庁全体の人員が、今、二〇一二年でいうと五千三百八十二人。八百人以上減らされて、一方的な削減が行われ続けているわけであります。

 台風や大雨など災害発生が予想されるときには、数日間に及ぶ長期間の対応をせざるを得ず、気象庁職員の防災業務に専念しているという自覚と自己犠牲によって、防災気象業務が辛うじて支えられているのが実態であり、現場が台風などの対応で混乱しているときに、先ほど言いましたように、なかなか電話できないとか、電話してもつながらないとかなどの声も聞かれており、私は、逆に抜本的な体制強化が必要だと。

 その根本は、必要なところには人員をふやすということだと思うんですが、その点についての大臣の見解をお聞きしたいと思います。

太田国務大臣 ゲリラ豪雨や豪雪、また大地震、そうしたことが、かなり頻発という言葉が合うようになってきているということで、気象庁の役割というのは非常に大きいというふうに本当に思っています。

 それで、人員削減というか行革という流れの中から、特に私が心配をしておりますのは、現場で、現業の、命令を発する方じゃなくて、受ける方の、現場で機器を動かしたりというところが強いという形が本当に大事だというふうに思っておりますが、全体の行革の流れ、これ自体は大事なことだと思っています。その中で、現場の職員というのが、地方の職員等々が削られてきているというのが、この数年間の現実だというふうに思っています。

 私は、そこをみんなやりくりして、そして、例えば気象のいろいろなポイントで、無人化で掌握できるようにしたりとか、いろいろなことをやっているんですが、全体の配置ということについて、もう少し現場に強いというところが大事だという認識のもとで、行革の中での限られた人員というものをどういうふうに配置するかということに私は現段階では努めたいと思っておりますが、現場と、そして技術的な能力のある人の確保というのは大事だという認識をしています。

穀田委員 現場に人を配置することが大事だという点では一致しています。

 私、行政改革というと、何か、人を減らせばいいという話ではないんです。改革するというのだって、やはり必要なところにはきちんと人員を配置する。しかも、現場の、人が出ていく現状というのは減っているんですよね。現場の体制は薄くなっているんです。現場で例えば事故があった場合に、自動車を運転する人は、かつては職員だったけれども、派遣なものだからわからないとか、それは何回も私が指摘したところでありますから、よく注意しておいてほしいと思うんです。

 先ほど中央防災会議のヒアリングを引用しましたけれども、判断の際に肉声でのアドバイスの必要を説いているわけなんですよ。だから、業務が一層複雑になって増加しているというもとでは、私は、それに応える道というのは、国民の安全、安心を守るための体制というのは、必要な拡充をせなあかんということを改めて言っておきたいと思います。

 次に、気象庁の航空気象観測業務の民間委託について聞きます。これも、現場がどうなるのかという視点が今大臣から示されましたから、その問題について聞きたいと思います。

 私は、気象観測業務というのは航空機の安全運航の観点から極めて大事だと思うんです。安全運航にとって、航空気象観測データは必要不可欠のものであります。特に悪天候時においては、航空機の安全に直結する重要な問題であります。

 気象庁は、今後、全ての空港出張所、分室四十四カ所における航空気象観測業務の民間委託を行うことを決定しています。

 まず、委託業者の選定の問題について確認したい。これは簡単に答えてくださったら結構です。委託業者の選定は、毎年の競争入札によるということで間違いありませんね。

羽鳥政府参考人 この四月から、一部空港について民間委託ということでやってございますが、委託業者の選定に当たっては、年度ごとに管区気象台単位で一般競争入札を行うこととしています。

穀田委員 一般競争入札を行うということだと。

 そうすると、この問題で、どのように気象観測業務の習熟に責任を持つのかということが問われるんです。毎年一般競争入札となると、観測業務にかかわる人たちの仕事をやる人たちが、毎年かわる可能性も否定できない。業務の習熟、継続性、そして、観測員の観測技術をどう担保するのかということが問われると言わなければなりません。

 では次に、委託観測員への研修の問題です。

 委託初年度は、気象庁が一カ月程度研修を実施するという。その関係者に聞くと、観測経験者であれば、一カ月でも確かに十分と言えるけれども、初めて観測を行う人には不十分だというふうにみんな言っています。初年度はOJT、オン・ザ・ジョブ・トレーニングの略だそうです、要員として職員が二人、半年間残って指導し、十月まで配置と聞いています。

 ところが、そうなると、冬季の観測は経験なしでやることになりはしませんか。

羽鳥政府参考人 お答えいたします。

 今回の委託に際しまして、先ほど先生御指摘のように、一カ月間の座学ですとか研修を行っています。その内容としては、航空気象業務ですとか、観測の基礎知識といった研修を行うとともに、さらに三カ月間にわたって、当庁の職員も指導しながら、OJTといった形で研修を進めて、品質の確保に努めることとしてございます。

 また、今後、委託業者が変更になるということの可能性もございますので、その場合には、必要に応じて、委託前に気象庁としても研修をしっかり実施していきたいと考えていますし、また、気象庁として、業者間での引き継ぎもしっかり行うように仕様書に定めて、実際に品質が担保できるように努めていきたいと考えています。

 以上でございます。

穀田委員 今聞いておわかりかと思いますけれども、やはり三カ月間なんですよ。だから、冬にどうするねという話を聞いているわけですよ。冬場と夏場は違うし、それこそ、地方空港における冬季の問題というのは極めて重要だということは明らかであります。

 これまでどうしていたのかということを調べてみますと、気象庁は、観測経験のない職員が配置された場合、研修を行った後に、当番を行いながら、ベテラン職員から引き続き指導を受けて習熟度を上げていた。それは、観測が人の命にかかわる問題に直結して、決してこれは失敗は許されないからなんです。今言ったように、仕様書に書いているとか、そんな言葉の話で、紙を渡してそれでしまいなんていうような話じゃないんですよ。現実に習熟度が担保されるのかという問題が問われているのであって、三カ月間やればいいという問題じゃないということははっきりしていると私は思います。

 次に、では、観測データの信頼性の問題です。

 これまでは、気象庁職員が責任を持って行ってきた観測通報業務を委託職員が行ってやる、こうなるわけですね。気象庁の職員のチェックもなく、そのまま通報されることになるので、重大な間違いがあれば、航空機の安全運航に支障を与えかねない。

 労働組合は、観測装置や観測機器が老朽化している空港もあり、観測データが正確な値かどうかの判断も必要だ、また、雲の高さや視程、目に見える距離などは観測員の目視による観測となるので、ある程度経験がないと正確な値とはなりません、経験の少ない委託観測員では観測データの信頼性の低下は免れない事実です、こういう警告を出していますけれども、これにどう答えるつもりですか。

羽鳥政府参考人 お答えいたします。

 委託に際しましては、先ほど言いましたような研修というものを実施するとともに、国際的にも、航空気象の観測の分野につきましては、品質管理システムというものが導入されていまして、委託先においても、この品質管理システムを運用するということで、技術上の担保をさらに高めるということをしてございます。

 さらに、委託した空港を管理する関西空港等におきまして、拠点空港と言われますが、当庁職員が観測機器の状態、現地空港の気象状況、さらには通報内容を適宜監視しまして、必要に応じて委託された観測員に支援を行うというような体制でおります。

 これらの取り組みによって観測データの品質をしっかりと担保していきたいと考えてございまして、これまで、四月以降運用してございますが、現時点において、観測データの信頼性に関する支障は生じてございません。

 以上でございます。

穀田委員 支援を受けると言うけれども、拠点空港という関西空港から、例えば出雲の空港でもいいですよ、そこの雲の状況がどうだなんて、どないして判断するんですか。そういう現場のところを厚くするというのが大臣の考え方なんですよ。その現場を薄くしてどないしますか。

 では、今言っていたけれども、航空気象情報のそごがないみたいな話をしているけれども、受け取る側は、この委託変化をどう捉えているかの問題ですよね。

 航空安全連絡会議、ここから、航空気象観測業務の委託化に関する要請が出されているんです、大臣。それによりますと、これまでも、やはり信頼性や情報量の不足している委託による観測を見直して、気象庁職員による観測に戻すことを要請してきたと。これまでも、委託化された空港についても、航空気象観測精度に対する不満が多く出されていたと。さらに、委託の場合でも、これまで気象庁職員が観測データの内容をチェックし確認した上で、気象庁の責任で情報を提供してきた、だから納得してきた、こう言っているんですね。

 だから、私は、民間委託はやめてくれとこういう方々が直接言っておられて、現場でやはりきちんとした体制をとってくれと言っているわけですね。なぜこういうことをやるんですか。

 やはり、先ほど現場を厚くすると言った限りは、ここの一番安全にかかわる最先端のところで、そこを国の責任でしっかり行うということが必要じゃないですか。

太田国務大臣 全体的には行革という大きな職員に対する流れというものの中でこの数年やってきた方向性が、ことし、一部空港でそうした民間事業者への委託という形になっているというふうに思います。

 しかし、安全ということは何よりも大事、そして、そこの技術的な、だから先ほどから研修ということを十分に確保するということを言ってきたんですが、その辺を私はよく注視していきたいというふうに思っています。

穀田委員 もし事故が起こったら、本当にえらいことになるんですよ。

 私は、こういう問題が、研修三カ月間とかいう話じゃ済まないと。こういう問題というのは、やはり一番現場のところで厚くするということが大事だ。ですから、先ほど長官は、一生懸命、三カ月間ばかり話して、国際的基準とかなんとか言っているけれども、どうして安全のそういう観測が担保できるのかということについては、誰が考えても納得できませんよ。

 私は、そういうことが起こらないように希望して、その意味では、この際に、何かすれば人件費を削ってというような考え方は間違っているということを指摘して、終わります。

金子委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

金子委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 気象業務法及び国土交通省設置法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

金子委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

金子委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

金子委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時九分散会


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