衆議院

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第8号 平成25年4月26日(金曜日)

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平成二十五年四月二十六日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 金子 恭之君

   理事 大塚 高司君 理事 土井  亨君

   理事 西村 明宏君 理事 松本 文明君

   理事 望月 義夫君 理事 三日月大造君

   理事 井上 英孝君 理事 高木 陽介君

      赤澤 亮正君    秋本 真利君

      井林 辰憲君    岩田 和親君

      大西 英男君    木内  均君

      國場幸之助君    斎藤 洋明君

      坂井  学君    桜井  宏君

      白須賀貴樹君    津島  淳君

      中村 裕之君    長坂 康正君

      原田 憲治君    平口  洋君

      藤井比早之君    前田 一男君

      牧島かれん君    宮内 秀樹君

      宮澤 博行君    務台 俊介君

      泉  健太君    大畠 章宏君

      郡  和子君    玉木雄一郎君

      若井 康彦君    坂元 大輔君

      西岡  新君    三宅  博君

      佐藤 茂樹君    樋口 尚也君

      柿沢 未途君    佐藤 正夫君

      穀田 恵二君

    …………………………………

   国土交通大臣       太田 昭宏君

   国土交通副大臣      梶山 弘志君

   内閣府大臣政務官     山際大志郎君

   経済産業大臣政務官    平  将明君

   国土交通大臣政務官    赤澤 亮正君

   国土交通大臣政務官    坂井  学君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  田村明比古君

   政府参考人

   (国土交通省航空局安全部長)           高橋 和弘君

   政府参考人

   (運輸安全委員会委員長) 後藤 昇弘君

   政府参考人

   (運輸安全委員会事務局長)            玉木 良知君

   国土交通委員会専門員   宮部  光君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十六日

 辞任         補欠選任

  井林 辰憲君     牧島かれん君

  岩田 和親君     宮内 秀樹君

  門  博文君     木内  均君

  宮澤 博行君     藤井比早之君

  若宮 健嗣君     津島  淳君

  寺島 義幸君     玉木雄一郎君

  杉本かずみ君     佐藤 正夫君

同日

 辞任         補欠選任

  木内  均君     門  博文君

  津島  淳君     若宮 健嗣君

  藤井比早之君     宮澤 博行君

  牧島かれん君     井林 辰憲君

  宮内 秀樹君     岩田 和親君

  玉木雄一郎君     郡  和子君

  佐藤 正夫君     杉本かずみ君

同日

 辞任         補欠選任

  郡  和子君     寺島 義幸君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国土交通行政の基本施策に関する件(航空問題等)


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     ――――◇―――――

金子委員長 これより会議を開きます。

 国土交通行政の基本施策に関する件、特に航空問題等について調査を進めます。

 この際、ボーイング787型機のバッテリー事案への対応について政府より報告を求めます。国土交通大臣太田昭宏君。

太田国務大臣 ボーイング787型機のバッテリー事案への国土交通省の対応について御説明申し上げます。

 ボーイング787型機については、米国時間一月七日にボストン空港において補助動力装置用バッテリーの発火事案が発生したのに続き、一月十六日、高松空港においてメーンバッテリーに関する重大インシデントが発生しました。

 一月十七日には、米国連邦航空局、FAAの耐空性改善命令の発行を受け、国土交通省も、同内容の耐空性改善通報を発行し、同型機の運航を停止するよう航空会社に指示しました。

 本件は、航空運航の安全を確保する上で極めて深刻な事態であるとの認識のもと、事案発生後直ちに、私をヘッドとする省内連絡会議を設置し、運輸安全委員会の航空事故調査官及び航空局調査チームを現地に派遣するなど、原因究明及び再発防止策の検討を開始しました。

 運輸安全委員会は、米国国家運輸安全委員会、NTSBと緊密に連携し、バッテリーや周辺機器の詳細調査や飛行記録の解析などの調査を進めてきました。

 また、航空局調査チームは、FAAと緊密に連携し、バッテリー製造会社やバッテリー監視装置製造者に対し立入検査を行うとともに、再発防止策のあり方などについての検討を行ってきました。

 一方、ボーイング社は、バッテリー事案に対する是正措置の検討を進め、米国時間二月二十二日にはFAAに対し、是正措置案を提出すると同時に、航空局に対し情報提供がありました。また、二月二十八日には、ボーイング社民間航空機部門社長から国土交通省に対し、直接の説明がありました。

 米国時間三月十二日には、FAAが、ボーイング社の是正措置案についての安全基準への適合性を証明するための方法等を定めた証明計画を承認しました。

 三月十二日以降、ボーイング社は、当該証明計画に基づき、順次、試験及び解析を実施し、FAA及び国土交通省に対して、その報告書や解析書を提出しました。

 FAAは、これらの試験の報告書や解析書の内容について審査を進めた結果、米国時間四月十九日、ボーイング787型機の製造に第一義的に責任を有する政府として、ボーイング787型機のバッテリーの改修に関する設計変更を承認しました。

 国土交通省としても、FAAと緊密に連携し、分析及び評価を行ってきました。具体的には、二月三日から米国シアトルに航空局調査チームの職員を派遣し、飛行試験を初めとするボーイング社の試験への立ち会いやFAAと連携した審査などを行いました。

 また、国内においても、FAAと頻繁に電話会議を行うとともに、リチウムイオンバッテリーや航空機安全に関する外部有識者の知見も活用しつつ、航空局内に設置した調査チームにおいて、ボーイング社の報告書等の内容の分析及び評価を行ってまいりました。また、省内連絡会議も合計二十四回開催し、ボーイング社の是正措置の妥当性を評価してきたところであります。

 以上が、ボーイング787型機のバッテリー事案発生から現在に至るまでの経緯であります。

 次に、ボーイング社の是正措置の内容及びそれに対するFAA及び当省の考え方について御説明いたします。

 ボーイング社は、運輸安全委員会やNTSBの調査で判明した事実や社外の専門家から得られた意見をもとに、約百項目の想定される原因を洗い出しました。次に約百項目の原因について、専門家の意見等も踏まえつつ、さらなる対策の検討の必要のない項目を除外することにより、約八十項目に絞り込みました。

 約八十項目は、原因や対策の類似性から四グループに分類できます。四グループとは、一、電極ナットの不適切な締めつけ、二、外部短絡や電圧変化による電解液の負荷、三、セルの過放電による化学変化、四、製造時における異物等の混入です。

 その上で、ボーイング社は、これら全ての原因に対応できる是正措置案として、一、四グループ約八十項目の原因に対するバッテリーセルの過熱への直接的な対策、二、バッテリーセルに過熱が発生した場合に、他のバッテリーセルへの熱の伝播への対策、三、万一、バッテリーセル間で熱が伝播した場合の火災等の防止の三段階の対策を策定いたしました。これは次の考え方に基づいております。

 まずは、想定される原因に対する直接的な対策を講じることにより、四分類の原因によるバッテリーセルの過熱を防ぐことが可能となります。さらに、仮に原因に対する対策にかかわらずバッテリーセルの過熱が発生した場合でも、他のセルへの熱の伝播を低減することが可能となります。万が一、バッテリーセル間で熱の伝播が発生した場合でも、バッテリー内に過熱等を閉じ込めること等により火災等の発生を防止するための措置を講じております。航空機全体の設計は、何重もの防御措置が講じられていますが、今回のボーイング社の是正措置は、バッテリーのふぐあいに対し、さらに三重の対策を講ずる内容となっています。

 国土交通省としても、ただいま御説明しましたとおり、FAAと緊密に連携しつつ、精力的に評価及び分析を行ってきた結果、ボーイング社の是正措置は妥当なものであるとの判断に至りました。

 また、米国時間四月二十三日及び二十四日には、NTSBの公聴会が開催されました。公聴会におきましては、FAA、ボーイング社に加え、フランスのタレス社及び日本のジーエス・ユアサ社が、リチウムイオンバッテリーの設計や認証について発言を行いましたが、是正措置の妥当性に疑念をもたらす新たな事実はありませんでした。

 次に、今後の予定について御説明いたします。

 間もなくFAAにおいて、米国の航空会社に対し、運航再開を認める耐空性改善命令を発行する予定と聞いています。

 国土交通省としても、是正措置の妥当性の検証やNTSBの公聴会の結果から、FAAの判断に問題はないとの認識に至りました。そのため、当該耐空性改善命令の発行を受け、我が国の航空会社に対し、同内容の耐空性改善通報を発行する予定です。

 また、これに合わせて、航空会社に対し、運航の安全を確保することはもちろんのこと、利用者の安心を確保するため、機材の点検整備、運航乗務員の能力の確保に万全の措置を講ずるとともに、利用者等に対する適切な情報開示を実施するよう要請することとしています。

 国土交通省としては、ボーイング787型機の安全確保に万全を期すとともに、航空利用者の安心を確保するため、今後とも適切に対応してまいりたいと考えております。

 委員の皆様方の御指導を引き続きお願いし、御報告とさせていただきます。

金子委員長 以上で政府の報告は終わりました。

    ―――――――――――――

金子委員長 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として国土交通省航空局長田村明比古君、航空局安全部長高橋和弘君、運輸安全委員会委員長後藤昇弘君及び運輸安全委員会事務局長玉木良知君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

金子委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

金子委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。泉健太君。

泉委員 民主党の泉健太でございます。

 二十分という時間ですけれども、質問させていただきたいと思います。

 まず、今ほど国土交通大臣から御説明ございましたけれども、これまでの政務三役、あるいは航空局、また運輸安全委員会等々、皆様のこの事案発生以来のお取り組みに敬意を表したいというふうに思います。

 現在まで、原因究明、そして安全確保、そして運航再開に向けてさまざまな手続をとってこられていると思いますけれども、ちょうど、大臣におかれましては、新聞各紙でも、特に二十三、四の公聴会を踏まえてこの運航再開の判断をされるということをマスコミの方でも報じられているようでありますが、改めて、公聴会を終えて、公聴会で何か新しい見解が生まれたのか、それとも運航再開に向けて今順調に進んでいるということなのか、お答えいただければと思います。

太田国務大臣 ただいま御報告をいたしましたとおり、二十三、二十四の公聴会につきましては、是正措置の妥当性に疑念をもたらす新たな事実はなかったということでございます。したがって、これから、今夜ということになろうかと思いますが、正式に、米国FAAにおきまして耐空性改善命令を発行する予定だということでございます。

 私としましては、少し経過も含めて申し上げたいと思いますけれども、このFAAとずっと緊密に連携をしてまいりまして、ボーイング社の787型機の是正措置についての評価及び分析を行ってきたところです。

 FAAは、十九日に、先ほど御報告申し上げましたが、設計変更を承認したということでありますけれども、我々としましても、是正措置は妥当なものであるという判断でございます。

 公聴会での新たな事実は、疑念をもたらすような事実はなかったと。これを受けまして、米国時間二十六日朝、日本時間の今夜になると思いますが、FAAが、米国の航空会社に対しまして、運航再開を認める耐空性改善命令を発行する予定と。この案は、実は、米国時間のきのうの朝八時四十五分、日本時間ではきのうの夜の九時四十五分になりますけれども、官報に向けて公示をして発行するということになりますが、官報に、その手続に入って、公示が既に日本時間のきのうの夜九時四十五分で行われて、大体一日後に官報で明らかになるということでありますので、今夜にもそうした耐空性改善命令が発行される、FAAの判断に問題はないと私たちは認識をしているところであります。

 そうしたこと、さらに、それに加えまして……(泉委員「短くお願いします」と呼ぶ)はい。

 では、以上で終わります。済みません。

泉委員 ありがとうございます。

 続いて、きょう、運輸安全委員会にお越しをいただいておりますけれども、一方では、高松の事案というのは、対策は、考え得るものは全て列挙して、現在八十に絞って、それを一つ一つまた突き詰めているところではあると思うんですが、この根本原因の特定ということには至っていないというふうに委員長もおっしゃっておられます。そういった意味では、引き続き、この根本原因の究明ということは行っていかなければいけない話でして、これはアメリカでも行われていくんでしょうが、日本でも引き続き、現在と同様の体制で究明を続けていくということでよろしいかどうかの確認、そしてそれは、中間報告や最終報告の時期も含めて、どのようにお考えなのか、お答えください。

玉木政府参考人 お答え申し上げます。

 重大インシデント発生時の飛行記録装置などの記録、バッテリーの分解調査により判明した損傷の状況、高松で収集しました充放電試験のデータ等、さまざまなデータが集まってきておりまして、現在、損傷の状況についてはおおむね明らかになってきております。

 一方、この損傷がどのような経緯で生じていったか、また、その発端が何であったかを明らかにするためには、さらに追加的な試験、詳細な分析を進めることが必要であり、根本原因の解明にはまだ時間を要すると考えております。

 現在、七名の調査官を指名いたしまして、また専門委員一名を指名させていただきまして調査を行っておりますが、引き続きこの体制を維持して調査に当たる必要があると考えております。

 また、御質問のありました最終報告書の公表につきましては、引き続き調査に時間を要する状況であり、現段階において具体的な時期を申し上げる段階にありません。

 しかしながら、調査が終了する前でも、運輸安全委員会設置法の規定によりまして、調査が一年を超える場合には、必要により経過報告を公表する制度があります。

 また、一月の高松での重大インシデント発生以来、毎月月末の委員長定例記者会見の場を通じまして、調査状況を公表してまいりました。今後も、必要に応じて、記者会見などの場を活用いたしまして、調査状況について適切に公表してまいりたいと考えております。

泉委員 実は、いわゆる八十の原因というリストもよかったら見せていただけないかとお願いしましたら、非常に社内機密的な要素があって当局以外には見せられないというふうにも伺っております。

 ですから、言ってみれば、国民の側からすれば、どのような状況でこの事故が起こり、そして何が真相なのかというのはなかなかつかみにくい状況であるということも含めて、一方では、だからこそ安全委員会がしっかりと調査したことを公開していく、また、その究明を続けていくということそのものが、今後の航空行政への信頼ということにも大きな要素を占めるのではないかと思いますので、やはり折を見てそれぞれ情報の公開をぜひお願いしたいというふうに思います。

 そういう八十の原因のリストが公開できないというような状況の中ですので、いろいろなことを想像してしまうわけですが、根本原因が不明であってもやはり可能な限り状況というものを教えていただきたいと思うわけです。

 特に、メーンバッテリーの熱暴走というものが充電が原因で起こったものなのか。飛行中にはほとんど機能させないメーンバッテリーであります。車輪をしまったりですとか、一部の機能のためにのみ動かすバッテリーでありますので、どの時点でこのバッテリーが損傷を受けたのかということは、熱がどんどん上がっていったのかとか、こういうことというのは、わかる範囲があればお答えいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

玉木政府参考人 お答え申し上げます。

 現時点で判明しております主な事実について申し上げます。

 損傷の状況を見ますと、電気アークが飛んだ跡があること、それから、バッテリーは八つのセルが直列につながっているんですが、複数のセルが大きく変形し、またセルの内部が炭化いたしております。こういったことから、バッテリー内の複数のセルが、化学的反応や電気的な効果が関連し発熱して、大きな損傷となったものと考えられます。

 今後は、損傷の発端が化学的反応によるものなのか、電気的な効果によるものなのか、また、その損傷が化学的反応や電気的効果にどれだけの影響を受けたのかという分析をこれから深めることが必要と考えております。

 メーンバッテリーの熱による損傷の原因につきましては、損傷の状況、そしてバッテリーとバッテリー充電器の接続試験の結果その他のデータを含めて分析を行っておりますが、これが今般の事案の原因であるかどうか、まだ結論を得られておりません。

 また、飛行中のバッテリーシステムの動作ですが、事案が発生する前はバッテリー電圧の値は三十一ボルトで一定に推移いたしております。この値には特段の異常は認められておりませんが、さらに詳しく分析を進めてまいりたいと思っております。

 そして最後に、熱による損傷がどれだけ続いたかにつきましては、まだ確定いたしておりません。飛行記録装置に記録されましたバッテリー電圧の変動を見ますと、三十一ボルトから十一ボルトに急激に低下してから、約七分半ほどで変動はおさまり、十一ボルトに低下したままとなっております。その間にバッテリーの損傷が進行した可能性が考えられます。

 そういったことを含めて、これからさらに調査を進め、その他のデータも踏まえて総合的に分析し、確定していく必要があると考えております。

泉委員 ぜひその辺を、引き続き調査をお願いしたいというふうに思います。

 一方、現時点では、少なくとも、例えばジーエス・ユアサなんかでも社内で調査をしても、ラインも含めて異常、こういった物事を起こすような原因になるような物事は見つかっていないというふうに聞いておりますので、そのことも現時点としては明確にしておかなければいけないというふうに思います。

 さて、改めて大臣に、こういう手続が一個一個進んでいるという状況を踏まえてなんですけれども、当然ながら、運航再開、定期便に旅客を乗せるということが最終的な運航の再開ということでありましょうが、それ以前にもさまざまな、テスト飛行も含めてあるんだと思います。運航、飛行機を空に飛ばす、787を空に飛ばすということは、それそのものが、ある意味、安全宣言のようなものだというふうに思うほど大きな局面だというふうに認識しております。

 その意味では、改めて確認のような答弁をいただくわけですが、この運航、試験飛行であっても、今徐々に始まっていますが、特に国内で飛行が再開されるということそのものが、安全を確認した上で行われる飛行であるという観点からいけば、事実上の安全宣言であるというふうに捉えてよろしいですか。

太田国務大臣 そのとおり、国交省としては、この是正措置によって万全の再発防止が図られるものだ、こう考えているところです。

 先ほど申し上げましたとおり、ボーイング社は、百という想定を洗い出して、そのうちまた八十に絞り込んで、そして、その八十を四つの場面に分けて、それぞれのグループに分けて原因の分析をして、それらについて、対策を全てについて行って、三段階の是正措置を確定し、先ほど申し上げましたような三重の防御体制ということをやってきて、現実に実験が行われて、解析が行われているという状況であります。

 したがって、我々としましては、この是正措置によって万全の再発防止が図られるものだというふうに思っているところでございます。

泉委員 そこで、今回はバッテリーの事案でありますので、まず一義的にはそのバッテリーの対策をとったということだろうと思いますが、改めて、今787は、このバッテリーの事案のみが機体に関するトラブルということで考えてよろしいんでしょうか。例えばエンジンですとか、その他のところでの事案というのはこれまで起こっているかどうか、改めて確認をしたいと思います。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 787のトラブルについては、バッテリーの事案以前に燃料漏れ等の事案がございましたが、これらにつきましても、先ほど大臣から御報告いたしました調査チームによって、問題を分析し、対策を立案し、解決しているところでございます。

泉委員 改めてですが、例えば燃料漏れですとかランプがついたですとか、そういうようなお話は報告を受けていますが、エンジン等々については今のところ何も問題はないということでよろしいですね。事案もなかったということでよろしいですね。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 エンジンにつきましても、トラブルはもちろんございますけれども、本質的に現時点で問題となるような事案はございません。

泉委員 ありがとうございます。

 こうして一つ一つ国民に安心を感じていただきたいというふうに思っているわけですけれども、さらに言えば、乗務員ですね、まずパイロット。これは、機種ごとに当然資格を持っているわけですので、この787のパイロットは、事実上、空を飛べない期間が続いてしまっていたということになるわけです。

 そういった意味では、資格の更新ですとか訓練ですとか、そういったことは当然これまでもさまざまな配慮が行われてきたと思うわけですが、改めて、運航再開に当たれば、定期便に旅客を乗せるということが、全く数カ月ぶりの初フライトだという状況はやはり避けなければいけないんだと思います。

 その意味で、できる限り、シミュレーターでの訓練ですとか、そういったものを、できる限りというか必ず全員のパイロットの方々に課して、そして、運航のソフト面での安全徹底、これをぜひお願いしたいということがまず一つであります。

 そして、さらに言えば、再開に向けてのフライトを徐々に重ねていく中で、当然ながら、機体そのものにいろいろな異常が起こるケースもあり得るかもしれません。その意味でも、今度は整備士の方々ですね。場合によっては機体にも乗っていただきながら、787が飛ぶ前とおりた後は、特にバッテリー周辺を含めて、これまで以上に入念な検査が必要ではないかと思います。

 あるいは、そのバッテリーも、何回か乗りこなしていけば、経年劣化ということよりも、もう少し慎重に、経年というよりも月ごとに見ていくようなものですとか、そういったことも含めて、整備とパイロットの関係の安全対策というのは非常に重要じゃないかと思っていますが、その辺について、どのような対策を考えられているか、お聞かせください。

太田国務大臣 後から具体的にお話をしていただきますが、もしきょう夜、そうしたことが正式に成りまして、国交省として認めた、そういうことになりますと、まさにその措置が正確に整備上きちっと行われる。そして、そこに携わる整備士、そして特にパイロットを初めとする人たちの慣熟飛行訓練というものが、もう一遍、勘が鈍っているとかいろいろなことがあります。それから、キャビンアテンダントの皆様方も、今までもそれぞれのところで、飛行機ごとに、機種ごとに訓練がされていて、資格を持ってやっているということもありますから、それらも全て含めて、国交省としましても、機材の点検や整備や運航乗務員の能力の確保、こうしたことに万全の措置をとるようにということを再度指示したいというふうに思っているところです。具体的に……(泉委員「もう時間がありませんので」と呼ぶ)ああ、時間がない。済みません。

泉委員 申しわけございません。ありがとうございます。

 ぜひ、今言ったパイロットそして客室乗務員、整備士、そういった方々の改めての訓練ということをお願いしたいと思います。かつ、その訓練の過程で余りにも過労な労働条件みたいなものが生まれてもいけませんので、そういったところの安全の確保というか労務状況の確保、これもお願いをしたいと思います。

 そして、最後になりますけれども、今後、安全対策と手続が進んでいく中で私がぜひお願いをしたいことは、航空行政をつかさどる国土交通省としても、我が国の準国産とも言われる787ですので、運航再開ということになれば、やはりしっかりとしたアピールも大事かと思います。安全対策は十分だったということのアピールが大事だと思います。

 その意味では、いわゆる旅客を乗せた初フライトのようなときには、ぜひ政務三役のどなたかには御搭乗いただきたいというふうに考えております。それをぜひよろしければお答えいただきたいのと、実は委員長にもお願いをしたい案件がありまして、場合によっては国土交通委員も、その初フライトのときなのか再開のときに、理事会でちょっと協議をいただいて、そういう場合に搭乗するということも御検討いただきたい。この二点を最後に質問したいと思います。

金子委員長 ただいまの件につきましては、理事会で協議させていただきたいと思います。

太田国務大臣 いろいろな形で説明を申し上げ、またきょうも集中審議で時間をとっていただいたことを感謝申し上げたいと思っております。

 あらゆる機会を通じてこうした対策を講じて、再開したならば多くの方が安心して乗っていただけるようにということで、その中の一つに政務三役等の搭乗をということの御指摘をいただいたんだというふうに思っているところです。

 政務三役の搭乗も含めて、利用者の安心確保のために何ができるか、さまざまなことについて考え、努力してまいりたい、このように思います。

泉委員 ありがとうございました。

金子委員長 次に、井上英孝君。

井上(英)委員 日本維新の会の井上です。

 泉先生同様、二十分という限られた時間でさせていただきますので、どうかよろしくお願いいたします。

 私の方からも、まずはボーイング787の事案についての件をお聞かせいただきたいと思います。

 一月七日そして十六日に、ボストンそして高松でそれぞれ事故が発生しまして、このボーイング787のこの議論、三カ月ほどになってまいりました。もうこの時期になってきますと、本当に大事な時期に来たのかなというふうに思います。

 そういった中で、ボーイング787なんですけれども、ちょっと初歩的な確認の質問ですけれども、まずは、今、現状、世界で何機あって、日本で何機あるのか。そしてまた、どれぐらいの規模、先ほども質疑に出ましたけれども、準国産ということで、日本の技術も非常にたくさん入っておるこのボーイング787がどれぐらいふやされていくというか、就航されていく見込みになっているのか、お答えいただけますでしょうか。

太田国務大臣 詳細は事務方から申し上げますが、世界では五十機ございまして、十七機が全日空、そして七機が日航という形で、五十機のうち二十四機が日本が持っているものでございます。

 そして、ジーエス・ユアサを初めとして、極めてすぐれた日本の技術というものがここには採用されておりまして、そうしたこともありまして、昨日は、米国の公聴会ということでありますけれども、当局とともに、フランスのタレスというバッテリー全体の会社とジーエス・ユアサが公聴会に出ているというように、技術的にも、何%ということは、なかなか、何をもって言うかというのは難しいのですが、かなり大きな要素を占めているという状況にございます。

田村政府参考人 お答え申し上げます。

 御質問の、世界で今何機運航していたかということでございますけれども、五十機でございます。そのうち、全日本空輸が十七機、それから日本航空が七機ということで、日本では二十四機という状況でございます。

 今後、全日空はこの十七機を六十六までふやす予定にしておりまして、日本航空はこの七機を四十五までふやす。それで、ボーイングの受注全体としては八百四十八機というような状況でございます。

 我が国の企業がこの製造開発に参画しているわけでございますけれども、特に機体の構造部の三五%、これを日本のメーカーが担当している。そのほかにもいろいろと、例えば厨房施設でございますとか、トイレでございますとか、そういうものも含めまして、日本のメーカーが多数参加をしているところでございます。

 以上でございます。

井上(英)委員 今御答弁いただいたように、たしか、全日本空輸、ANAでは、今年度末までに二十七機を導入する、トータル六十六機まで。JALも二〇一六年度までに三十三機導入する、具体的に導入計画があるかと思います。また、世界では八百四十八機ということで、やはり787に対する期待というのがそれでも非常に高いのかなというふうにも思いますし、また、日本人として、準国産機と言われるような非常に日本の技術の粋が集まっている、そういうこの787が何とか改めて再就航をして活躍するという姿をやはり見たいなというふうには純粋に思っております。

 また、うちの会派の西岡委員も、以前787に乗られた、それで非常に快適だったので、早く再就航できたらというようなことも以前に質問があったかと思います。

 そういう意味では、この787を飛ばす運航会社のことに少し触れたいと思っております。

 先ほど大臣にもお答えいただきました。全日空は現在十七機、世界最多の保有数を誇る。ただ、十六日の運航停止後、国内線二千六百六十二便、国際線九百三十九便の計三千六百一便が欠航した。

 きのう現在、二十五日現在も、羽田―札幌線、一日八便、それから大阪―福岡線の一日四便というのが欠航になっている。国際線においては、一月十一日にこのボーイング787が就航した成田―アメリカのサンノゼ線というのが今現在とまっている、欠航している。昨年十月に、同じく787を導入したことによってできた成田―アメリカ・シアトル線も欠航しているということになっています。

 また、JAL、日航の方も、保有する七機が今現状は国際線に全て投入されているということなんですけれども、欠航数は787が就航していない国内線にも及び、国際線と合わせて七百六十六便欠航しているということになっています。

 一つちょっと聞きたいのは、この787が飛ぶ予定で就航している路線を、今現状787がとまっていることによって、代替機といいますか、かわりの飛行機が飛んでいるんだと思うんですけれども、結果的には欠航が出たりして、完全に穴埋めができていないという状況なんですけれども、どれぐらいの影響というか、代替機はどれぐらい飛べているんですかね。お願いします。

田村政府参考人 正確な数字というのは手元にございませんけれども、787型機が運航停止になって、そして、その代替機を市場から軽く簡単に調達できるというような状況ではなかなかないということで、かなり各社とも工夫をして、例えば、退役すべき航空機のその時期をずらしたり、そして、欠航をせざるを得ないところにつきましても、少数の便数しかないようなところについては影響が甚大でありますからそういうところを避けて、便の多いところで欠航、ほかの便に振りかえられるようにするというような、かなりさまざまな努力によってお客様への影響を最小限にとどめるということをやってきているという状況でございます。

井上(英)委員 いろいろな知恵を出しながらやってくれているということなんですけれども、退役前の飛行機となると、聞き取りようによれば何かちょっと危ないのかなというような感じも聞こえるんですけれども、もちろんそういうことはないというふうには思うんですけれども、やはりそういった、本来ボーイング787が飛ぶということで見込んでいたところに、いろいろな意味で影響が出ているんじゃないかというふうに思います。

 また、航空会社の経営面、これはけさの新聞報道にも書いてあったんですけれども、JALなんかは、この一月から三月の営業利益が七億円減る、四月から五月も約十一億円の減益を予想しているというふうにも言われています。全日空も、一月だけで十四億円の減収ということになっております。

 やはりこの787が非常に期待をされているのは、もうここにおられる委員の先生方、皆さん御承知だと思うんですけれども、従来の機種に比べて燃費性能が約二割ほど高く、燃料費の削減を見込めるというのが一番のメリットで、それにやはり大きな期待がかかっているというふうになっています。

 もちろん飛ばす航空会社もあれですけれども、では今度は、それに関係するそれぞれの、国内ですと自治体だとか空港会社はどうかというふうに思いますと、やはり地方自治体では、これもちょっとけさ確認して具体的にお名前が出ているんですけれども、例えば、岡山県の航空企画推進課の片山課長は、「「787は岡山空港の利用促進に大きな効果があった。運航再開は大歓迎で、安全に万全を期してほしい」と語る。」というふうに書いています。

 また、空港会社、これは高松の空港会社の空港ターミナルビル運営会社の山下社長さんは、「利用者が「まだ787に乗っていないのに」と残念そうに語るのをよく聞いた。人気の機体なので、できるだけ早く運航再開してもらいたい」ということで、恐らく航空会社も含めて関係者がみんな、改めて就航になることを非常に期待されているというのは感じるわけであります。

 ただ一方で、そういうことがあったとしても、何より最優先すべきはやはり安全運航だというふうに我々は思っています。揺らいでしまった信頼を少しでも取り戻すということが、やはり我々のやらなければならない仕事じゃないかというふうに思っております。

 そういう中で、先ほど泉委員からも少しありまして、重なる点がありますけれども、製造元のボーイング社は、バッテリー内部の接続不良や結露によるショート、充放電に伴う内部の劣化など約八十項目を列挙された。この考えられる八十項目について、新型バッテリーに、先ほど大臣の答弁にもありましたように、三重ぐらいの保護策というのを導入している。改めて、具体的にその保護策を答弁いただけたらと思います。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど私どもの大臣からも御報告いたしましたとおり、まず、直接的なバッテリーのふぐあいの防止対策を行います。それは具体的には、バッテリーセルの過熱に対する直接的な対策でございます。さらに、仮にバッテリーセルに過熱が発生した場合でも他のセルに熱が伝播しない、そのような対策を二番目の対策として行います。さらに、万が一の対策として、バッテリーセル間での伝播が発生した場合でも航空機自体に火災が広がることがないようにするという防護策を第三番目の対策として実施することとしております。

井上(英)委員 答弁ありがとうございます。

 今のように、バッテリーにかかわる、ありとあらゆる部分、約八十項目を列挙して、それを全て、極端に言うと、ふぐあいが生じても包括して対応できるように二重、三重の防止策というのをとられているというふうにお聞きしました。

 ただ、これは、バッテリーに過充電がかかって今回のような事案が発生した、それに考えられる八十項目を含めて二重、三重の防止策というのをとっているので大丈夫だというのも一定わかるんですけれども、やはり不安が残るという点でいうと、原因究明をこの間ずっと進めてきて、アメリカの国家運輸安全委員会などの調査では、依然として技術的な問題というものが特定されていないというのが問題であるかなというふうには思います。ただ、先ほども言いました、準国産で、我々としても非常に期待の高いこの飛行機が何とか飛んでいくということは、やはり早く見られるものなら見たいという希望的な思いは持っております。

 今後、国交省、そしてまた飛ばす航空会社、全日空また日航も初めとして、関係者の方々にやはりこの安全確保という意味でしっかりとやっていただきたいと思うんですけれども、大臣の決意をちょっとお聞かせいただけたらと思います。

太田国務大臣 先ほどありましたけれども、一月の事案発生以来、早く再開というようなことがあるみたいなことが報道にあったり、見たりしておりますが、私たち、また全日空もそして日航も、いつまで何とかという話じゃなくて、とにかく原因究明そして安全確保ということに全ての力を注ぐということに全力を挙げてきました。

 そして、利用者に対して安心をしていただくことが一番大事なことであるということで、航空会社は全機を対象にして改修後の確認飛行をする、飛行中のバッテリーの監視や使用したバッテリーのサンプリング調査など、バッテリーに関する安全性の確認をこれからする、運航手順を再確認するための運航乗務員の慣熟訓練をこれからしっかりする、そして、利用者に対する安全運航に関する情報の積極的な情報開示を行う、こういうような予定であるということで情報交換をしておりまして、ここでFAAが、安全であり再開であるということを出す、それを受けて、我々も、それについてはずっと一緒にやってきましたから、確認をする。

 しかし、それの上に、航空会社に対しまして、私たちは、今申し上げたようなことを情報交換をしながらやろうという意思を示していますから、そこをしっかりやるように、さらに、安全ということに、そしてまた安心ということを得られるよう、十分、その点に注意をし、そして、常に監視をし、指導もしていきたい、このように思っております。

井上(英)委員 大臣のおっしゃるように、本当に、先ほどいろいろなお話をさせていただきましたけれども、やはり、何度も言いますけれども、何より最優先すべきというのは安全運航でありますし、もちろん、その安全運航を怠っているというようなことなんて絶対にあり得ないと思っております。

 そういった中で、一つ一つ、やはり不安に思っておられるユーザーの方もこれから出てくるかと思います。そういった方々にもきっちりと説明をして、よく理解をしていただいて、やはり787に皆さんが安心して乗っていただけるというような環境をつくっていく必要が国交省としてあるんじゃないか、また運輸安全委員会としてもあるんじゃないかというふうに思っております。

 そういった中で、きょうも新聞報道なんかでは、アメリカの航空当局は運航停止命令を解除し、国土交通省も同様に解除するというふうに、もう完全に書かれているんですね。恐らく、大臣も先ほど言われたように、バッテリーのふぐあいに対しては二重、三重の防止策を講じることによって、そういうことになるというお話もありましたけれども、しっかりとユーザーがよく理解できるように御説明をいただいて、安全に不断の努力で向かっていただきたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げまして、私の質疑とさせていただきます。

 どうもありがとうございました。

金子委員長 次に、穀田恵二君。

穀田委員 私はまず、日本航空、JALの不当解雇問題について聞きます。

 私は、航空の安全問題といえば、この間も大畠元大臣から引用いただきましたけれども、絶対安全、安全が大前提の考え方と実践が航空会社の経営にとって必要だと一貫して主張してきました。

 その立場から、日本航空の真の再生というのは安全性と公共性の確保が必要であって、それは政府の責任でもあるということを強調しましたし、特に、利益なくして安全なしというJALの経営責任者であった稲盛氏の安全軽視の経営手法については批判してきたところであります。安全を直接担い、実行するというのが働く人々であり、その意味で、大量の人減らしや整理解雇は航空の安全運航を軽視するものだと考えています。

 稲盛氏は、講演の中で、整理解雇は経理上必要なかったとお話しし、裁判でも証言しましたが、全く必要なかったわけであります。百六十五名もの不当な整理解雇が職場のモチベーション低下を招いて不安全事例にも影響していることを、私は事実をもって指摘してまいりました。

 日本航空は、昨年九月、再上場を果たし、異例の早さで再建したと言われています。十三年三月期は、前年の三月期に比べ若干減っているとはいえ、経常利益は千八百億円近くもあります。再上場前から大もうけしてきたわけであります。その最大の要因が、一万六千人もの大量の人減らしにあります。公的資金を投入し、大もうけしているのに、繰越欠損金による法人税控除など、優遇されてもいる。これは自民党などが含めて批判をしてきたわけであります。

 しかし、それにもかかわらず、百六十五名の不当解雇は撤回しない。ベテランを排除し、モチベーション低下や技術的継承もままならない、そんな中で退職者も相次いだ。その一方、新たな路線開設など事業拡張を進め、新たな採用も始めている。ところが、二〇一〇年の大みそかに強行された整理解雇は、いまだに解決していません。

 昨年、前田元大臣は、私の質問に対して「円満な労使関係という意味で、早く円満な解決をしてほしいと願っております。」と述べました。羽田前大臣も、前田前大臣の御意見は承知させていただいております、私としても同じ気持ちでありますと述べています。

 この問題を早急に解決すべきではないのか、そして解雇を撤回するよう日航に指導すべきではないのか。この点の大臣の見解を伺いたいと思います。

梶山副大臣 日本航空の整理解雇につきましては、これまでの大臣の御見解は承知をしております。

 私どもといたしましても、円満に解決を図っていただきたいという立場で見守っていくという同じ気持ちを持っております。

太田国務大臣 私も同じ気持ちで、やはり安全ということからいきますと、何といっても機材と、きょう申し上げた安全への改善措置ということは、もちろん何よりも大事なことでありますが、もう一つ、人ということが大事だというふうに思っておりますし、解雇ということに遭った人の気持ちというのは、私は思いをはせているところで、これに限らず、思います。

 しかし、気持ちを持ちながらも、今、司法の場で争われるということもありますから、その推移を見守りたいというのが私の偽らざるところでございます。

穀田委員 その気持ちを大切にしていただいて、その解決のために、やはり政治が努力するということが必要だと私は思うんです。

 そこで、昨年八月、私、当委員会で参考人質疑を行いました。その際、参考人が、整理解雇の目的は組合幹部の狙い撃ち、または会社にとって不都合な人たちの狙い撃ちだとの発言もあったくらいなんですね。

 私は、今、大臣の発言を聞いて、機材とともに人とありましたけれども、人すなわち現場で自由に物が言える職場をつくること、それを支える労働組合が大切なことは論をまたないんですね。

 日航での人権侵害で行われている退職強要だとか労働組合のスト権に介入する不当労働行為などにつきましては、労働委員会で指弾されている、この事実もしっかり見ないとだめだと私は思っています。だから、ILOの結社の自由委員会から、日航の整理解雇問題で、日本政府に、労使の協議の場を保障するようにということで、二〇一二年六月十五日に勧告が出されています。勧告が出されたのは、被解雇者に現職の労働組合役員が多数含まれていたことや、真摯な労使協議が行われていなかったなどがあるからであります。

 さきに触れた当委員会の答弁で、当時の大臣は、当事者間における協議の実施が確保されることを日本政府に要請するといった内容が含まれている、この点は認めたんですけれども、これは日本航空に限らない一般的な指摘というふうに認識をさせていただいていますなどと答弁しています。私は、これはその項目を含めてきちんと指摘をしているのに、とんでもない話だと思っているわけです。

 ことし二月、ILOの本部で、「日本航空問題へのILO勧告の履行に向けて」、民間航空グローバル対話フォーラムというところで決議が採択されています。そこでは、「日本政府が可能な限り迅速に問題を解決するために、直ちに勧告に従い行動を取ることを強く求める」という内容であります。

 相手方の日本航空も、実は、行政から要請があれば適切に対応していくということを労働組合側に答えているんです。だからこそ、先ほど述べた円満解決云々という答弁を、本当に、しかも重い気持ちで心持ちを受けとめるということになりますと、やはり言行を一致させて労使の協議の場を保障すべきではないんですか。どうですか。

梶山副大臣 御指摘のILO勧告におきましては、整理解雇に係る訴訟等の結果に関する情報提供を求められているものと認識をしております。本件につきましては、厚生労働省とも連携をしながら適切に対応したいと思っております。

 なお、勧告においては、今委員御指摘の、従業員の削減過程において労働組合と労働者の代表が役割を果たせることが重要、そのための当事者間における協議の実施が確保されることを日本政府に要請するといった内容が含まれておりますが、これは、繰り返しになりますけれども、日本航空に限らない一般的な指摘と認識をしております。

 いずれにしましても、日本航空の整理解雇につきましては、現在、司法の場で争われておりますことから、その推移を見守りたいと思っております。

穀田委員 副大臣、去年と同じ答弁をしているんだけれども、それは四項目あるんです。あなたも引用したとおりなんです。下の方の三項目がそういう話で日本航空の話だ、上の話だけ違う話という、そんなあほなことをよう言えるなと私は思いますね。

 梶山さんはそんなふうに思っていないんだろうけれども、だって、勧告の中身は、そういう問題について、わざわざ日本航空の問題について触れていることの中で言っている話を、そこだけ切り離すなんというのは、それはあきまへんで。自民党の政権の中身も余り、公明党さんが入っておられるわけだけれども、民主党等含めて、その点ではさして変わらへんなということを思いました。

 しかし、次に、ボーイング787問題について聞かなきゃなりません。

 バッテリーの熱暴走が発生するという重大なトラブルを抱えるボーイング787の運航再開という判断が下されようとしていることは見てのとおりです。そもそも、二つの事例が起きて、バッテリーの熱暴走の原因究明と再発防止を検討するために運航停止となったはずであります。熱暴走の原因は明らかになったのかどうか、簡単にお答えください。

玉木政府参考人 お答え申し上げます。

 アメリカ時間一月七日にボストンで、一月十六日に日本の高松で発生しました787型機のバッテリー損傷事案二件につきましては、アメリカのNTSB、アメリカ国家運輸安全委員会と日本の運輸安全委員会が調査を現在行っております。

 運輸安全委員会の調査及び私どもが聞いておりますNTSBの調査によりますれば、バッテリーの内部のセルが発熱して大きな損傷となった可能性があるものと認められております。しかしながら、現時点では、我々の調査及びNTSBの調査におきましても、これらの事案の原因につきましては、まだ特定されていない状況でございます。

穀田委員 原因は解明されていないということだ。

 事は重大なんですよ。私は、ボストンの空港でトラブルが発見されたから大事に至らなかったということだと思うんですよね。これがもし太平洋の洋上であったらどうなっていたか、シベリアの上空であったらどうなっていたかということを考えますと、重大な飛行機事故になりかねないことは誰もが容易に想像できるんですよ。

 ボーイング787型の飛行機は、先ほどありましたように世界で五十機、うち二十四機を日本が保有している。ところが、製造したアメリカではたった六機しか保有していないんですね。

 運航再開許可ということは、日本が安全のテストパイロットの役を担わされるということに客観的になるんですね。

 絶対に安全、日本は安全ということと安心ということを両方一〇〇%満たさなければだめだ、これは大臣の言明なんですね。原因がはっきりしていないのに、なぜ安全、安心が一〇〇%満たされたのか、お話ししてください。

太田国務大臣 先ほど御報告したとおり、ボーイング社は、百項目の想定される原因を全て洗い出しまして、それを絞り込んで八十項目ということにした。その八十項目というのを四つの分類ということで分けた。そこには、原因の分析という内容が四つの分析にはあるわけです。電極ナットの締めつけ状態の劣化と……(穀田委員「大臣、少し短く」と呼ぶ)短く、済みません。

 そうしたことの上に、是正措置として、先ほどから申し上げております三段階、三重のそうした安全措置をとって、何重もの防御措置が講じられるという航空機の、特に今回はそれを重ねて、バッテリーのふぐあいに対して三重の措置を加えるという形にさせていただいたところでございますものですから、きょうアメリカで、そうしたことで再開ということになるという耐空性改善命令が発するということは、一緒に調査をし、一緒にやって調べてきましたから、この是正措置によって万全の再発防止が図られるもの、このように考えております。

穀田委員 いや、原因もはっきりしないのに、再発防止というのはあり得ないんですよ。それだけは一言言っておきます。

 改善措置を一生懸命とったということについてはわかりますよ。だけれども、再発防止できるという根拠はないんですよ。それは八十項目やったというだけであって、原因がはっきりしないが、熱暴走が起きても封じ込めるから大丈夫だと言っているにすぎないんです。

 だから、安全は技術上の問題であって、安心というのは、わざわざ大臣が安心という言葉を使われたんですよ。大体、三重と言うけれども、原発は五重と言っていたんですよ。ああいうふうに三重だ、五重だなんて言っていて、安心ができるはずはないと私は言っておきたいと思います。

 先ほど大臣もおっしゃっていましたけれども、安心というのは不安がないということなんですね、簡単に言うと。ところが、客室乗務員の方々のお話を聞いていると、787の問題について言えば、外国から乗ってこられる方も含めて、やはり怖いよねと言っておられる、こういう声があるわけでして、私はちょっと違うと思うんですね。

 しかも、リチウムイオンバッテリーというのは、熱暴走が起きる可能性があることは広く知られているんです。

 報道によると、二十三日に行われたアメリカの運輸安全委員会、NTSBのボーイングをめぐる公聴会で、ハースマン委員長は、一月に発生したような最悪の事態を想定した条件で試験は行わなかったと指摘していると言われています。

 だから、設計、製造の段階で問題があったのではないかという不安が払拭できないんじゃないんですか、いかがですか。

田村政府参考人 米国連邦航空局、FAAは、ボーイング787型機の認証審査の際に、バッテリーセルにくぎを刺して短絡させる等の過酷な試験を実施して、その結果、他のバッテリーセルへの熱が伝播しないということを確認したところでございます。したがって、設計の段階においては、今回のような事案が発生するということは想定しておりませんでした。

 しかし、今般のバッテリー事案の発生を受け、是正措置においては、バッテリーセルの過熱の発生に対する対策に加えまして、バッテリーセルに過熱が発生した場合に、他のバッテリーセルへの熱の伝播への対策等々、三重の防護策を講じることとしたところでございます。

穀田委員 あなたの話は、三重のことをやっているということを何回も繰り返しているだけなんですよ。質問は、当時の設計段階で問題があったんじゃないかと。そうしたら、何だ、くぎだの針だのというようなことを想定していなかったというような話で、全然、問題の本質をきちんと捉えなあきまへんで、あなた。

 このボーイングは、787型機は、先ほども他の議員からありましたけれども、コストが安いというのが売りなんだそうです。軽量化による低燃費、飛行間の整備、点検が不要。だから、整備士の要らない飛行機というふれ込みなんだそうです。

 現場での実態はどうか。初期トラブルは767型機などと変わらないといつも当局は言うんですよね。ところが、787型機はコンピューター関係のトラブルが多発し、原因不明が多いと報告されているそうです。また、電源入力の場合も、他の飛行機は一時間前でよいけれども、787型機は三時間前に行うのが通例とされていると。全部動かすのに物すごくかかるのですね、時間が。

 飛行間点検に至っては、点検は不必要とされているわけですよね。だから、通常の場合、整備した整備士がパイロットに手渡す航空機搭載用飛行日誌にリリースサインを記入するんだそうです。ところが、確認整備士としてのサインは、当然、これは必要ないわけですから、しない。だから、用紙の中に、手渡しましたよと、物を引き渡したとの確認を行うというようなことまでやっているんだそうです。

 結局、整備不要どころか、従来よりも念入りに点検せざるを得ない実態が報告されています。こういう実態、掌握していますか。あわせて、こういう飛行機なので、これを機会に、私は、型式証明を書面で審査しているから安全だという意味で、結局、製造の国それからメーカー、そういったところ任せにするんじゃなくて、実地検査に至るまで国が責任を持って独自にチェックする制度にすべきじゃないのか。

 この二つ、答えてください。

田村政府参考人 最初の方の御質問でございますけれども、航空会社は、航空機メーカーのマニュアルに準拠して整備プログラムを設定することが基本となっております。

 ボーイング787型機につきましては、航空機メーカーのマニュアルにおいて飛行間点検が設定されておりませんために、各社の整備プログラムにおいても飛行間点検は設定されておりません。この点について航空会社に問い合わせたところでは、787型機について、整備作業としての飛行間点検は行われていないとの報告を受けております。

 なお、飛行間において、燃料補給量の確認などの作業を、整備部門の職員が実施する場合があるということも聞いております。

 それから、次の御質問でございますけれども、国際民間航空条約等による国際的な枠組みにおきましては、製造国政府であるFAAが、まず第一義的に、設計の技術基準への適合性について詳細に審査をし、型式証明を行うことが義務づけられているところでございます。

 国交省は、ボーイング787型機については、運航国政府として、FAAによる審査の計画と結果の確認等により認証をしているところでございます。

 以上でございます。

穀田委員 あのマニュアルにはそう書いているんですよ。だから、表面上は行っていないと言うに決まっているんですよ。では、現場へ行って、やっているかやっていないかと聞いたらわかるんですよ。私は、現場からやっていると聞いているんですよ。

 だから、こういう話も含めて、わかりますやろ、大臣。一言だけ言っておくと、こういう問題を含めて、現場の方々の声をしっかり聞かないと、局の局長の話だけを聞いていたら、えらいことになる。だって、事実、今お話ししたように、飛行間整備はやっているんですよ。やっていないと言うんだったら、やっていないという証拠を見せたらどうだと私は思いますけれどもね。現場はやっていると言っているんですよ。

 それは、マニュアルどおりにやらないとまずいから、やっていないと。さっき言いましたように、サインの仕方も別にしているという話をしているじゃないですか。そういう現実を見なきゃならぬと私は思っています。

 そのように、最後、もう一つ質問したかったんだけれども、要するに、こういう問題というのは、例えば八十項目の問題も、大臣がおっしゃっていますよね、八十項目と。これを航空関係者に全部見せましたか。見せていないんですよ。だから、何が行われる、どんな論議がやられているかというのは、現場の人たちはさっぱり知らないという事態なんです。

 現場でやっている方々が航空の安全を一番つかさどっている、そういう立場からいうと、そういう情報公開と型式問題を含めて、日本で独自に行うべきだということを述べて、終わります。

金子委員長 次に、柿沢未途君。

柿沢委員 みんなの党の柿沢未途でございます。

 きょうは、ボーイング787のバッテリーの問題についての集中的質疑、こういうことでありますが、アメリカでは、NTSB、運輸安全委員会の公聴会が行われて、その模様がいろいろと報道されております。国土交通省としても、その模様を皆さん注視してこられたというふうに思いますが、一定の方向性が見出されるような、そういう状況になっていると思います。

 そうした中で、確認をしておきたいことがあるんですが、きょう、まず冒頭に、朝日新聞の記事をお配りさせていただきました。

 ボーイング787公聴会で、ボーイング社が、故障しない保証はないが大事故はない、こういうふうに証言をした、こういう見出しになっているわけですね。安全性が三重の意味で確認をされたということと、この故障しない保証はないが大事故はない、こういう表現とでは、相当な受ける印象の違いがあると思います。

 現実に、日本の三大紙と言われるこうした新聞でこのような報道をされれば、やはり787はまだまだ危ないのかな、こういうふうな印象を持つ読者もいるわけだろうと思います。

 根本原因が特定をされていないという現状にもあるわけでありまして、そうした中で、今回、公聴会を受けて、仮に、運航を再開するという判断をするとすれば、こうした点について、国民の皆さん、乗客となる皆さんの不安、不信をきちんと払拭しなければいけない、こういうことではないかと思います。

 改めて、この点について、御見解をお願いしたいと思います。

太田国務大臣 安全措置ということについては、対策については、きょうもずっと申し上げてきたということです。

 見出しに、凸版で、故障しない保証はないが大事故はない、こういうことを発言があったということで、詳細に調べてみました。大事なことなので、読ませていただきます。

 NTSBの委員長が、根本原因がわかっていないにもかかわらず、あなたやボーイング幹部が認めている軽減措置は安全性を保証するのか、こう質問したときに、ボーイングの電力技術担当者が、シネット氏と、シネットというのはチーフエンジニアである副社長です、シネット氏とこのことについて話し合ったが、我々の航空機、バッテリーシステム、設置した全ての防御策の設計は、複数層のリダンダンシーを持たせ、機体の安全な飛行を保証するものである。この冗長性、リダンダンシーは、バッテリーモニタリングユニットの複数レベル、充電システム及び電力システムの複数層で提供される。そして、機体レベルには高いレベルの環境コントロールシステムがある。このことが、我々が複数層の防御策を設けた理由である。

 この保護レベルは、ここのところが凸版になっているわけですが、ふぐあいを発生させないという保証はないが、重大事象の発生の可能性が抑制され、除外される。物事にふぐあいが発生する可能性があることに疑いはない。我々は、ふぐあいにシンプルに取り組み、ふぐあい全てに対処する、こういうことで発言をされておりまして、何重もの防御措置を講じていることを説明するという中で、こうした発言があったということでございます。

 そのことについて正確に御報告をさせていただきました。

柿沢委員 これは、原発の安全思想でも言われる、いわゆる想定外を置かない、あらゆることを想定して、それでもなお安全性が保たれる、こういう思想をボーイング社の幹部の方が披瀝したものだということが今の御答弁でおわかりをいただけるのではないかというふうに思います。

 これが新聞記事になると、故障しないとの保証はないが大事故はないとか、壊滅的な事故は起きないと強調した、こういうふうになって、では、大事故は起きない、壊滅的な事故は起きないと言うと、では小さな事故なら起こるのか、こういう話になってしまうわけですね。

 ここの部分の誤解をしっかり解くことがやはり今回極めて大事だ、根本原因が特定されていないからこそ、そこが大事だというふうに私は思いましたので、まず御確認をさせていただいたところであります。

 加えて、世界で運航する787の四十九機のうち二十四機が日本のANA、JALの保有であるわけです。四十九機の内訳を見ると、アメリカのユナイテッドなんかもありますけれども、エア・インディアだったり、カタール、エチオピア、ポーランド、こういうところですから、ある意味では、日本がどのような安全性の基準を設けて、そしてボーイング社に課すか、あるいはANAやJALに課すかということが、恐らく運航再開に当たっての世界標準になっていくのではないかと思うんです。

 報道によりますと、国土交通省は、アメリカのFAAなりNTSBなりが求めている安全基準をさらに上回る、追加的な是正措置といいますか、そうしたものを求めていく、こういう方針であるということも報じられています。

 そうすると、日本が、国土交通省が求める基準というのは、ボーイング787の運航再開に当たって、世界最高水準というか、一番高くて厳しい基準を課すということになるはずなんです。そこの部分は、私は極めて、日本国民、乗客となる日本人の皆さんに対する強いメッセージとなると思うんです。そこをぜひ確認させていただきたい。

 まさに、世界のボーイング787の運航再開に向けての安全基準のスタンダードをつくり、そして、それは世界で最もハイレベルなものになる、ここの見解をぜひ披瀝していただきたいと思います。

太田国務大臣 ざっくり言うとそういうお話になるかもしれませんが、もう少し正確に現実のことを申し上げますと、これは世界としての基準ということになる、その中で最高が日本だという。これは、根本的な今回の一月八日、一月十六日の重大インシデントに対して、FAAと日本の航空局、そして今度は原因究明のNTSBと日本の運輸安全委員会、これがずっと一緒に作業してきました。それが八十項目、そして四グループ、そして三重の改善措置、こういうことになったんです。これについて、これが基本的には世界で、現時点で全てということになります。

 その上で、私は今御指摘のことは非常に重要だと思っておりまして、全日空及び日本航空にさらに追加措置、これは機体自体とかそういうこととは若干異なりを見せているんですが、バッテリーに対する安全性の確認ということの中で、飛行中のバッテリーの監視というもの、電圧の監視を地上でするということを世界の今決めていることに加える、もう一つは、使用したバッテリーのサンプリング検査というものを加える。そして同時に、人ということで、運輸乗務員の慣熟飛行というものをしっかりする。利用者に対する情報開示というものを日本の場合はしっかりするようにという項目をつけ加えるようにということが現状のところでございます。

柿沢委員 具体的な中身についてお触れをいただいて大変結構だと思うんですけれども、一方で、国民の立場からすれば、技術的な部分の詳細なところについては、正直、専門知識を持ち合わせているわけでもない、しかし、ボーイング787が運航されれば乗客としてそれに乗らなければならない。ここの部分で、では何を信頼するかといえば、政府を信頼し、そして大臣を信頼して、そのボーイング787の運航再開という判断を是とするというのが、やはり国民の立場から見るとそういうことなんだろうと思うんです。

 そのために、世界で最も厳しい基準を課して、それをクリアしたからこそ私たちもゴーサインを出したんです、ここのメッセージが私は非常に大切だと思います。

 したがって、太田大臣にもう一度、クリアに、はっきりと、そして国民に伝わるようにお話しいただきたい、お願いをいたします。

太田国務大臣 FAAと日本の航空局と一体となって、主体はFAAになりますけれども、調査をし、分析をし、そして改善措置をとってきて、全ての状況というもの、原因があるという可能性があるものを全部調べ上げて、改善措置をその絞った八十項目の原因について手を打って、実験をし、解析をし、それでいいということをFAAが承認し、そして一緒にやってきた日本の航空局も認めた。ある意味では日米一体となり、フランスも含めてですけれども、それが今回の基本的な措置である。

 その上に、日本の安全、安心ということを加えて、さらに念を入れてやるようにということで、今申し上げた飛行中のバッテリーの監視を初めとするさまざまな措置を世界よりも強い形で我が国の全日空、日航等に指示した、御安心をいただきたい、こういうことでございます。

柿沢委員 乗るのは老若男女、あらゆる国民である、その皆さんに届く、響くメッセージでなければ、これは幾ら専門的に専門用語を使って説明しても意味がないんだということを私は申し上げたかったわけであります。

 今のお話を聞いていると、アメリカの当局と連携をして、一体となってここまでの調査をし、そして検討を進めてきた、これは大変いいことだと思うんです。その一方で、何となく、受ける印象としては、アメリカが行ってきた調査そして決定、こういうものを日本があたかも追認している、そういうふうに印象として受けとめられかねない、こういう部分があるのではないかというふうに危惧をしています。

 しからば、日本の専門家はどういうことをやってきたのかということが問われるわけで、きょうは運輸安全委員会の委員長さんにもお見えをいただいております。

 二十四日の定例会見で、根本原因の特定には至っていないということをおっしゃられて、なおかつ、ボーイングが対策を講じた八十項目以外の原因は想定していない、こういうふうにおっしゃられた。そして、原因究明ができていないけれども787を飛ばす、こういうアメリカの判断について、委員長は、コメントする立場にない、こういうことをおっしゃられて、そしてボーイングの是正措置についても、評価する立場にない、こういうふうにコメントを避けた、このように報じられています。

 大臣、もうお時間だと思いますので。

金子委員長 太田大臣は御退席いただいて結構でございます。

柿沢委員 ぜひ後藤委員長に、きょうは事務局長で答弁をさせてもらいたいと言われたんですけれども、これは委員長の発言ですから、日本の運輸安全委員会として何をやってきたのかということをきちんと説明していただきたいというふうに思うんです。お願いします。

後藤政府参考人 当委員会は、高松で発生した重大インシデントの調査を行ってきましたが、根本原因の特定にはまだ至っておりません。

 一方、今までに判明した事実を並べてみますと、今回の事案はバッテリーケースの内側で生じております。その事実の発端については、しかしながら、セルの内部か、あるいはセルの外部であるかはまだ判明しておりません。しかし、損傷の状況を見ると、バッテリー内の複数のセルが化学的反応や電気的な効果が関連し発熱して大きな損傷になったものと考えております。この点において、当委員会、調査に参加したNTSB、それからボーイング社において、大きな考え方の違いはないと考えております。

 また、ボーイング社においては、当委員会及びNTSBの調査によって明らかとなった事実を踏まえ、そのような事態を引き起こすと想定される約八十項目の原因を洗い出し、これら全てに対して対策を立てたと聞いておりますが、現時点において、当委員会としても、それらの範疇を出る原因を想定はしておりません。

 なお、ボーイング社の是正措置及びFAAによる耐空性改善命令につきましては、当委員会は評価する立場にありません。

 以上でございます。

柿沢委員 何だかすごくけんか腰のお答えのような感じもしたのですけれども、私は、日本の国内当局として、きちんと自分たちが安全性を評価し、判断して、アメリカが言ったから私たちもそれでいいと思ったということではない、そうした独自の価値判断を運輸安全委員会として持ったということでなければ日本国民は納得しないんじゃないか、こういうことを申し上げているだけなんですよ。もう一度お答えいただきたいと思います。

後藤政府参考人 調査は継続して続けております。ただし、いつ終わるかは、はっきりとは申し上げることはできません。

 以上でございます。

柿沢委員 何だか私の真意が伝わらなかったようで、どうぞお座りいただいて結構です。

 内閣府と経産省から来ていただいていますので、残りの質問をしたいと思います。二点、あわせて質問してしまいます。

 準国産機として、機体の三五%が日本製だと言われているこのボーイング787なわけですけれども、では、だったら日本で旅客機をつくれないのはなぜなんだろうという感じもします。ようやくMRJが二〇一四年から飛ぶことになる、そして、アメリカの航空会社から二百機受注をされる、大変結構なことだと思います。これはMRJだけでなく、この日本の航空機産業ということをぜひ目指していただきたいというふうに思います。その決意をお尋ね申し上げたい。

 また、最近でも予算委員会でANAとJALの問題について大変厳しいやりとりがなされています。そもそも、公的支援を受けた航空会社が空前の利益を出し、一方で、公的支援を受けていない会社がそれとははるかに厳しい経営状況に甘んじている、これを検証したい、安倍総理も予算委員会で答弁されていますが、どこでどのように検証されているのか。

 この二つを伺って終わりにしたいと思います。

平大臣政務官 お答え申し上げます。

 まず一問目でございますが、御承知のとおり、航空機産業は極めて波及効果が高い産業であります。あわせて、民間機市場も今後二十年間で倍増をする、市場としても成長をするというところでございます。

 そういった中でMRJの開発に取り組んでいることでございますが、まず重要なことは、航空機全体を開発する能力を獲得する、それとあわせて、航空機業界は構造改革が起きておりますので、営業、販売、ファイナンス、アフターサービスなど、完成機メーカーとしての能力を獲得するために、このMRJの事案は極めて重要である、そのように考えております。

 経産省としても、我が国の航空産業が、成長する世界の航空機産業にとって欠かせない重要な存在になることを目指して、官民連携をして取り組んでいきます。

山際大臣政務官 JALとANAのことについてお尋ねがございました。

 総理も御発言のとおり、今検証を、内閣府並びに内閣官房において、機構並びに関係者からヒアリングを行っているところでございます。

 また、あわせまして、国土交通省においても、この検証を鋭意進めているというふうに承知してございます。

梶山副大臣 国土交通省におきましても、今後の適切な競争環境確保の観点から、日本航空に関する支援措置の検証を行うために、現在、国土交通省の交通政策審議会のもとに小委員会を設けて議論をしているところでございます。

柿沢委員 民主党政権時代にもさんざんやってきて、こういう形で検証が行われるというのは、大変前進というか評価ができる部分だと思います。これからもお取り組みをお願いしたいと思います。

 終わります。ありがとうございました。

金子委員長 次に、秋本真利君。

秋本委員 自由民主党の秋本真利であります。

 きょうは787の集中的な質疑ということで、私の方からも質問させていただこうと思います。

 当初、トップバッターということで準備をせよということでありましたので、そういった内容で質問を包括的な形で用意したんですが、結果として後ろの方に回ったということで、重複する部分もかなりあるかもしれませんけれども、その点についてはお許しいただきたいというふうに思うわけであります。

 787の愛称がドリームライナーということで、名前に込められた思いのとおりに、多くの方々から多くの期待を集めてデビューしたわけであります。私も、地元の成田空港の空港対策の委員長を務めていたこともありますので、この機材にはさまざまな観点から大いに期待を寄せていたところであります。

 しかし、残念ながら、就航後間もなく大きなトラブルを抱え、運航が停止をされております。飛んでこその飛行機でありますので、グラウンドしていては意味がないわけであります。

 しかし、安全性をしっかりと確保しなければならないという点は大変重要なポイントでございまして、この点については言うまでもないというふうに私も思っているわけであります。

 しかし、787は非常に優秀な機材でございますので、安全性をしっかりと確保した上で、一日も早い運航を再開するということが望まれているわけでございますので、そういった観点を踏まえて、幾つかお尋ねをしたいというふうに思います。

 まず最初に、NTSBとFAAあるいは国交省、それぞれの現在のスタンスについてお伺いをしたいというふうに思います。

田村政府参考人 先ほどから御説明をいろいろとさせていただいてきているところではございますけれども、事案発生直後から、航空局におきましては、FAAと緊密に連携をとって、原因の調査そして是正策の検討等を進めてまいったところでございます。

 そして、いろいろな経過をたどりましたけれども、ボーイング社が提案しております是正措置というもので、考えられる全ての原因について対応措置がなされている、しかも、それを三重の対策で安全を確保する、こういうことでございますので、そういう是正措置については問題がない、こういうことで、まず、FAAが、早ければきょうの夜、耐空性改善命令というものを発行いたします。それを受けまして、航空局といたしましても、耐空性改善通報というものを出して、ここで運航再開というものを認めるというような状況になってきているということでございます。

秋本委員 それぞれの機関によって現状に対する認識というものがあるわけでございますけれども、幾つか質問が出ていましたけれども、ここは日本ですから、国民が見たときに、大切なのはやはり日本の姿勢や国交省の姿勢なんだというふうに私も思います。NTSBやFAAに全て委ねたり、追随するというような姿勢で、カーボンコピーのような形で追随して、国交省もそれに倣ってオーケーなんだよという話では、これでは国民から見たときに、やはりそこに大変不安というものが残るんだろうというふうに私も思います。

 そこで、そういった姿勢ではなくて、参考にしたり協力したりとかすることは、もちろんそういった姿勢は大事でありますけれども、そういったものを持ちながら、国交省としてこうなんだという姿勢をしっかりと国民に示して、こういった中で、国交省がこういう基準でこういうことを考えてこういうことをしたので、だから安全性が確保できているんだということをしっかりと、FAAだ、あるいはNTSBだということではなくて、国交省としてはこうなんだという姿勢をやはり国民に示すということが必要なんだろうというふうに思うわけであります。

 これから、NTSB、FAAの方からADが出て、その後、国交省の方からTCDが出るんだろうというふうに思いますけれども、ここも、ですからADに倣うような形で全くカーボンコピーのTCDを出したのでは、やはりどうなんだろう。国交省としての姿勢を示すに当たって、先ほども質問にありましたけれども、ADよりもさらに基準を厳しくして、世界最高水準の安全性をこのTCDによってしっかりと確保したんだというものが見えてこそだというふうに私も思うわけでございます。

 これから出す予定であるTCDについては、ADよりもさらに上書きするようなスタイルになっているのか。上書きするようなスタイルになっているんだとしたら、どういったポイントが加筆されるのかという点について、お伺いしたいというふうに思います。

田村政府参考人 これは、国際民間航空条約の枠組みのもとで決められている一つのスタイルというものがございます。そういう意味では、まず、設計、製造国でありますFAAが耐空性改善命令を発行する、それを受けて、運航国たる我が国の航空局が耐空性改善通報を発出する。ここは一つの決められたルールとしてあるわけでございます。

 具体的に、耐空性改善通報、あるいはそのベースとなります耐空性改善命令がどういう中身になるのかということでございますけれども、787型機について、ボーイング社の技術通報に従ってバッテリーシステムを改修することを指示するとともに、改修等を実施済みのものについては運航再開を認める、こういう内容になっております。

 それからさらに、先ほど大臣も御答弁申し上げましたように、利用者の安心を確保するという観点から、耐空性改善通報の発行に合わせて、航空会社に対しまして、機体の点検整備あるいは運航乗務員の能力の確保等に万全の措置を講ずるとともに、利用者等に対する適切な情報開示というものを実施するように要請することとしているところでございます。

秋本委員 何度も申し上げますけれども、国交省としてしっかりと姿勢を国民に示すということが大事なんだというふうに思いますので、先ほども申し上げましたとおり、米国の追随をするという姿勢だけではなくて、国交省としてやはりしっかりと姿勢を示して、国民に安心と安全をしっかりとPRしていただきたいというふうに思うわけでございます。

 そして、今回の運航停止の大きな要因はバッテリーということでございますけれども、ボーイングはFAAに、最初、一千万時間に一度起きるかぐらいの確率だというような資料を提出したということが報道されておりますが、実際は、今回の事故が起きるまで五万二千時間ぐらいでトラブルが発生してしまっております。

 しかし、ここで一つ大事なのは、先ほども話に出ていましたが、バッテリーが、勘違いされている方もいますけれども、空を飛ぶ飛行に大きな影響が出るというよりは、地上作業、地上にいるグラウンドのときに必要な電源だということが余り理解されていない面もあるのではないかなというふうに思います。こうした点も、できればしっかりとPR、しっかりと発信していく必要があるんだろうというふうに思うわけであります。

 しかし、そうはいっても、どのような飛行機の中の機材に不安があっても、やはりそこは払拭されないわけでございますので、しっかりと原因を追求していく必要というのは必ず求められているものであって、私もそれを否定するものではございません。

 万が一、バッテリーにふぐあいが起きても、飛行そのものに影響が出ては問題があるわけですね。火が出て、それがキャビンの方まで回ってしまうというようなことがあってはならないわけであります。そういった方策をしっかりととるということが必要なんだろうというふうに思うわけであります。

 そこで、少し、ちょっとバッテリーについてお伺いをします。

 一月の高松でのトラブルのときに、DFDR、レコーダーに記録されたデータを私も見ましたけれども、電圧が三十一ボルトから一気に十一ボルト。先ほど、ほかの党の方の答弁にありましたが、しばらく、七分半ぐらいで、またそれが一定して十一ボルトといった話で、十一ボルトというところまでしか話が出ていませんが、タイヤを出すときの扉の開閉時にさらに三ボルトまで下がっているというデータを私は見ました。そういった意味でも、ボルトが非常に不安定に極端に下がったり上がったりしている。

 またあるいは、ふぐあいを知らせる表示も、フォールスとトゥルーが断続的に切りかわったり、最後は、トラブルの後にもかかわらず正常を示す表示がされていたりとかいったことがあったように報道もされています。

 このあたりの原因は把握できているのか。今現在究明中かもしれませんけれども、現時点でどういった結論が出ているのか。またあるいは、こういったふぐあいをしっかりと把握するということが必要なわけであります。

 先ほど答弁にもありましたけれども、これを把握するようなシステムの構築を今進めているところだということがありましたが、具体的に私の方から、例えば、今、既存のACMF、ふぐあいを地上に連絡するというシステムを構築したり、あるいは、BMUに記録装置を設置して、レコーダーと同じように、これを後で回収したり、それを分析したりすることができる、そういったことをしっかりと措置する必要があるんじゃないかというふうに私は思うわけでございますけれども、こういった点についてどのようにお考えになっているか、お伺いしたいと思います。

玉木政府参考人 お答え申し上げます。

 ACMFで、ふぐあい情報の地上への連絡の件でございますが、高松の事案のインシデント機に搭載されていますACMF、航空機状態監視機能は、機体の状態を監視して情報を記録しております。

 飛行中にふぐあいが発生した場合には、その情報をデータリンク機能を利用して地上へ伝送することが可能と聞いております。どのような項目を伝送するか、またその実装につきましては、航空機メーカーや運航者におかれまして選定することになると思いますが、機体の能力的にはこれを活用できるのではないかと私どもも考えております。

 それから、もう一つ御質問ございましたBMU、バッテリーモニタリングユニット、監視装置でございますが、これに記録装置をつけることにつきましては、バッテリーモニタリングユニットは、バッテリーの内部に組み込まれたバッテリー監視ユニットですので、現在のところ、データを記録する機能はありませんでした。

 しかしながら、今回の事案のようにふぐあいが発生した場合に、もしこのバッテリーの状態の記録が残されておりましたら、私どもの原因究明の一助になると考えられますので、そういったことについての有効性というのは検討する必要があるのではないかというふうに考えております。

秋本委員 ACMFの方は、技術的には可能だということでございまして、当局の方でもお考えになられているという答弁でしたので、ぜひこれについてはしっかりと実現していただきたいというふうに思います。

 また、BMUの方も、もしこれが今回設置されていたらさらなる原因究明に役に立っただろうという答弁でしたから、私は、質問で指摘をしたとおり、BMUに対しての記録装置の設置というのは絶対必要なんだろうというふうに思います。技術的にいろいろ難しい点もあるのかもしれませんけれども、それも当局は、考えたい、検討したいというお答えでありましたので、ぜひこの点については、製造元としっかりと協議をしていただいて実現していただきたいと思いますので、強く要望したいというふうに思うわけでございます。

 先ほど、航空局長の方から、TCDあるいはADに沿ってしっかりとそういった措置をして、作業を進めて、安全、安心を確保したいというお話がありましたけれども、SBの体制について、ちょっとお伺いをしたいというふうに思うわけでございます。

 ボーイング社、あるいはANA、JALのそれぞれのSB、サービスブレティンの体制について、今現在どのような体制で行われているのか。そして、そのSBの体制を、民間の各社に任せるだけではなくて、国交省がそれをしっかりと把握しているという状況をしっかりと確認したいというふうに思いますので、この点についてどういうふうに今現在なっているのか、お答えください。

田村政府参考人 お答え申し上げます。

 全日空及び日本航空において、ボーイング787型機に対するバッテリー改修というのは、全てボーイング社への委託によって行われます。したがって、改修作業及び実施確認というのは、まずボーイング社によって行われるということでございます。

 一方、全日空及び日本航空は、ボーイング社による委託作業の適切性について、まずその作業前に確認を行うとともに、作業中においても進捗管理等を適切に行っていくということでございます。

 さらに、国土交通省は、必要に応じて、職員を作業現場に派遣いたしまして、ボーイング社の作業実施体制並びに全日空及び日本航空の作業管理体制を的確に監視、監督してまいりたいと考えております。

秋本委員 やはり国民に対して、冒頭の質問と同じ観点ですけれども、国交省がしっかり安全、安心を発信する、国交省がしっかりとその姿勢を国民に示すということが私は大事なんだろうと思いますので、民間の会社に全て任せて、それで全てオーケーだということではなくて、最後に、その後国交省が確認をするという体制を構築しなければならないと思いますので、国交省としてしっかりと責任を持ってその辺については進めていただきたいと思います。

 それと、先ほども質問に出ていましたけれども、787、機材ごとに免許が要るわけでございますので、ANAさんとJALさんにそれぞれこの787の免許を持ったパイロットの方がいらっしゃるんだと思いますけれども、具体的に数字として、何人ぐらいいらっしゃるのか教えてください。

田村政府参考人 お答え申し上げます。

 これは四月二十五日、昨日現在の数字でございますけれども、787型機のパイロット、全日空におきましては、機長が百二十八人、副操縦士が五十二人おります。それから、日本航空におきましては、機長が百七人、副操縦士が四十人、それぞれ在籍しております。

秋本委員 これだけの人数の方が今飛べないでいるわけでございますので、数カ月間、ブランクと言っていいのか、期間があいてしまいましたので、しっかりと乗客を乗せて飛ぶ初フライトのときまでに、慣熟フライトもなさるということをおっしゃっておりましたけれども、こういった点について、ソフトの面からも国民の不安というのをしっかりと払拭してから飛ぶような初フライトになるような形で指導していっていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 そして、ここまではいろいろと質問をしてきましたけれども、787の運航停止については、安全面以外の観点からも考えなければいけないことがあるというふうに思います。

 例えば、ことしの初夏にはTICADが、国際会議がこの日本国で開かれることが予定されているわけでございますけれども、私、先般、成田空港に行って、スポットの状況をちょっと見てまいりました。

 そこのスポットに今運航を停止されている787がずらっと並んでしまっていて、私が質問したわけでございます。TICADで来るような国賓あるいはそれなりの方がそれなりの飛行機で来たときに、その飛行機を成田空港に駐機することはこれでできるのかという質問をしたときに、スポットが不足しているので、場合によっては、成田空港で賓客をおろした後に、違う空港に行って駐機をして、会議が終わったらまた成田空港まで飛行機で迎えに来て、そして海外にお戻りになるというようなことも、万が一は想定しなければならないというような話を聞きました。

 これは、車じゃないわけですから、なかなか大変な作業になるわけでございますし、こういった観点からも、仮にTCDを出してしっかりと運航を再開させるんだということであれば、そういった国際的な観点から日本を見たときに、そういったところも今は見られると思いますので、そういったことも勘案しなければならない。

 あるいは、世界的にはエアバスとボーイングの機材というものは拮抗しているわけでございますけれども、事この日本に限って言えば、八割がボーイング社の機材だというふうに言われているわけでございます。そして、先ほど答弁にもありましたけれども、それぞれの開発分担比率は、767が一五%、777が二一%、それに対しまして、787に至っては三五%というふうに非常に日本の開発分担比率というのは高くなっているわけでございまして、準国産機と言ってもいいんだろうというふうに思うわけであります。

 そして、それを支える日本の航空産業は、二万五千人以上の従業員を抱えておりまして、そして、その製造部品数は三百万点を超えるというふうにも言われております。一大産業なわけであります。産業としての裾野は非常に広いものがございまして、日本経済への影響は看過できないものがあるんだろうというふうに思います。こういった観点もしっかりと我が国として考えなければならないポイントだろうというふうに思っているわけであります。

 先ほどのMRJの話もありましたけれども、そういったものもしっかりと進めるんだというのが、やはりこれは日本国の国策と言ってもいい政策だろうというふうに思います。これは言い過ぎではなくて、この辺は国策として考えなければならない点だろうというふうに思うわけであります。

 そうした中で、安全性の確保の発信を民間企業にだけ任せて、JALさん、ANAさんが、787、こういった形で安全性が確保されていますよ、安心ですよという形をこれからさまざまな点で、ホームページや、あるいはいろいろな広報媒体を含めてするんだろうというふうに思いますけれども、TCDは国が出すわけですから、国としても責任を持って、それをしっかりと後押しする姿勢が必要なんだろうと思います。

 先ほど何度も申していますけれども、アメリカに追随しているんじゃないかと思われてはならないわけであります。国交省としてしっかりと、日本国として、787、安心、安全、国民の不安を払拭してしっかりと飛ばすんだという意思を示さなければならないというふうに思うわけであります。国民のそれに対する注目も、関心も大変高いものがあるんだろうというふうに思います。国民への安全性の確保について、国が発信するということが非常に大事だと思いますので、この点は、国交省に重ねて強くお願い申し上げます。

 そうした観点からも、先ほど冒頭でありましたけれども、私も、政務三役が初フライト、あるいは慣熟フライトでもいいです、何かの機会の折に、やはり787に乗るという必要があるんじゃないかなというふうに思います。BSEのときも、農林水産大臣が牛肉を食べて安心、安全でおいしいですよとPRをしたように、国土交通大臣あるいは政務三役が787に乗って、安全ですよと言って飛ぶのもやはり必要なんだろうというふうに思いますけれども、この点について、副大臣いらっしゃいますけれども、どのようにお考えになっているか、お伺いをしたいというふうに思います。

金子委員長 坂井大臣政務官、時間が来ておりますので、簡潔にお願いいたします。

坂井大臣政務官 民間の航空会社にも依頼をしている以上、国土交通省といたしましても、政務三役の搭乗が役に立つということであれば、これをしっかりと考え、そしてまた行っていきたい、このようにも考えております。さらに努力してまいります。よろしくお願いいたします。

秋本委員 これで質問を終わります。どうもありがとうございました。

金子委員長 次に、樋口尚也君。

樋口委員 公明党の樋口尚也でございます。

 国交省の関係者の皆様には、本当に不眠不休の業務、激闘、大変にお疲れさまでございます。心からの敬意を表したいと思います。

 最後のバッターでございますので、重複するところもかなりございます。大変恐縮ですけれども、御容赦をいただきたいというふうに思っています。

 まず、今回、この787につきましては、利用者の皆様、そして業界の関係者の皆様も、こぞって運転の再開を歓迎しているというふうに報道をされています。多くのお客様が移動する夏休みには間に合いそうでよかったと大手旅行代理店の担当者は胸をなでおろしている、運航停止が長引けば、便数が不足をし、一部のツアーが催行できない、お盆の帰省ラッシュで予約がとれない、こういう事態が起きる可能性があった、大手航空会社では既に六月の予約を受け付けている、787の運航再開ができ、この動きに弾みがつくことを期待しているというふうにマスコミでも報道をされています。

 ただ、トラブルによるイメージダウンの払拭に時間がかかるのではないか、こういう声も聞かれております。そこで、このイメージダウンを払拭するということについて、安全第一、そして安全と安心をテーマにして、国民の皆様、そして利用者の皆様にわかりやすく、ぜひ議論をさせていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いをいたします。

 まず、一つ目ですけれども、先ほど秋本先生や柿沢先生からもありました、アメリカに追従しているだけじゃないか、追認をしているだけじゃないかという点について、これはぜひ払拭をしていかなければならない点であります。その点について、ちょっと質問をさせていただきます。

 一つ目は、運航停止の判断、一月の十七日に行われておりますが、それと、その後の設計変更について、お伺いをしたいと思います。

 まず、運航停止の指示につきましては、基本的なことでありますけれども、一月の十六日にFAAが耐空性改善命令を発行して、そしてその後に、国土交通省航空局が一月十七日に耐空性改善通報を発行して運航を停止した、こういう御説明でございました。

 皆さんからは、国内の高松で起こった緊急脱出事案であるのに、何で国内で最初に判断ができなかったのか、なぜFAAの命令発行を受けて、その後に通報を発行するということになったのか、こういう素朴な疑問が寄せられております。

 ぜひ、この点について、詳細に、具体的に御説明をお願いしたいと思います。

田村政府参考人 お答え申し上げます。

 国際民間航空条約附属書では、設計国、すなわち設計を行ったボーイング社が国籍を有する国は、耐空性改善命令等の発行及び運航国への通報を行うこととされております。一方、運航国、すなわち航空機の運航を行う航空会社が国籍を有する国は、航空機のふぐあい等に関する情報を設計国へ通報することが義務づけられているわけでございます。

 今回の事案につきましては、国土交通省としても、バッテリー事案の発生直後から、米国連邦航空局、FAAに対しまして、その発生状況等について情報提供するとともに、必要な対策等について議論をしてまいりました。FAAは、そうした私どもが提供した情報等も踏まえて、設計国として検討を行いました。その結果、全日空機のバッテリー事案の発生翌日に耐空性改善命令を発出したわけでございます。そして同時に、私どもを含む運航国に通知がなされたわけでございます。

 したがいまして、我が国は、国際的な枠組みに基づいて、当初から積極的に関与を行ってきたわけでございます。

樋口委員 ありがとうございます。

 国際民間航空条約という条約があって、それに基づいて設計国が責任を負うということなので、一義的にはそうだ、その後にプラスアルファでさまざまなことをしてきたんだという御説明、ありがとうございます。

 加えまして、四月の十九日には、製造国政府として、ボーイング社に、FAAが是正措置に関する設計変更を承認したというふうに発表をしております。この設計変更を承認して、先ほどからも出ておりますけれども、日本政府として安全面がきちっと確認ができているのかどうかという点について、具体的に御説明をお願いしたいと思います。

田村政府参考人 御説明いたします。

 そういう意味では、発生直後から、FAA、アメリカのNTSB、そして日本の運輸安全委員会、これらが相互に連携をして、この調査というものをやってきたわけでございます。

 その中で、もうかなり頻繁にFAAとは電話会談もし、そして、私どもの職員を二月からはシアトルに派遣し、実際にいろいろな調査に立ち会ったりする、そしていろいろな議論をする、そういうことで、精力的に分析、評価というものを行ってきた。そういう結果として、四月十九日のこのFAAの判断があり、そして、私どももそれで問題がないという判断ができてきたということでございます。

樋口委員 ありがとうございます。

 次の質問に参ります。

 この原因究明調査についてお伺いをしたいと思います。

 何度も質問されている点でございますけれども、そもそも、根本原因の特定に至らないといった中でなぜ運航を再開できるのかという素朴な疑問について、お伺いをしたいと思います。

田村政府参考人 この点につきましては、先ほど大臣からも御報告がございましたとおり、ボーイング社は、約百項目の想定される原因を洗い出して、それらをさらなる八十項目に絞り込んで、その上で、これら全ての原因に対応できる是正措置として、三段階の是正措置というものを策定した。これが、先ほどから出ておりますけれども、バッテリーセルの過熱への直接的な対策、バッテリーセルに過熱が発生した場合に隣のセルに移っていかないという伝播への対策、それから、万一バッテリーセル間で熱が伝播した場合における火災等の防止、こういう三段階、三重の対策を講じることとしたということでございます。

 この間、国土交通省としても、FAAと緊密に連携して分析、評価を行ってきたわけでございますけれども、双方の考え方として、この是正措置で全ての原因に対して対策がとられているということをベースにして万全の再発防止が図られる、こういう判断に至ったということでございます。

 したがいまして、原因の特定ということはまだ今調査中ということでございますけれども、航空機の安全な運航の再開というのは認めることができるというふうに考えている次第でございます。

樋口委員 ありがとうございます。

 原因の特定はまだまだこれからということでありますけれども、八十項目の想定原因を立てられて、そして、今さまざまな調査が行われているということでございますけれども、安全委員会の方にお伺いをしたいと思います。

 これらの調査状況からして、根本原因について現時点でどのようにお考えなのか、お伺いしたいと思います。

玉木政府参考人 お答え申し上げます。

 運輸安全委員会では、高松で発生した重大インシデントの調査をこれまで行ってまいりましたが、残念ながら、根本原因の特定にまだ至っておりません。まだ時間を要すると考えております。

 現時点で、損傷の状況から、電気アークが飛んだ跡があること、複数のセルが大きく変形し、セルの内部が炭化しております。こういったことから、バッテリー内の複数のセルが化学的反応や電気的な効果が関連し発熱して、大きな損傷となったものと考えられます。

 今後は、この損傷の発端が化学的反応によるものか、電気的な効果によるものなのか、また、その損傷が化学的反応や電気的効果にどれだけ影響を受けたのか、こういった分析を深めてまいりたいと思っております。そうしまして、根本原因の究明に向けて全力を尽くしてまいりたいというふうに考えております。

樋口委員 ありがとうございます。

 原因究明に至るまで、全力でお取り組みをお願いしたいと思います。

 先ほど来、朝日新聞の記事についても質問をされました。この四月の二十三日、二十四日のアメリカの公聴会、マスコミでもかなり報道をされておりますけれども、この結果全般について政府の評価をお伺いしたいと思います。

田村政府参考人 ただいま御質問がございました、米国時間四月二十三日及び二十四日に開催されました米国国家運輸安全委員会、NTSBの公聴会でございますけれども、ここでは、米国連邦航空局、FAA、それから、ボーイング社に加えまして、フランスのタレス社、日本のジーエス・ユアサ社が証言を行ったところでございます。

 公聴会では、787型機のバッテリーシステムを設計する際の要件、それからそれを証明するときの要件、そしてFAAによる基準への適合性をどう確認していたとか、そういったことについていろいろと質問があり、議論がなされたということでございます。

 その結果、総じて見てみますと、事実関係の確認ということはかなり広範になされましたけれども、ボーイング社の是正措置の妥当性に疑念をもたらすような新たな事実というものはなかったものと考えております。

樋口委員 ありがとうございます。

 続きまして、けさのNHKのニュースでも、国土交通省も速やかに運航再開を認める方針でというふうに報じられました。新聞各紙でもそのように報じられておりますけれども、一方、報道によりますと、エチオピア航空の関係者は、ロイターに対して、エチオピア航空は世界の航空会社で初めてこの787の運航を再開するというふうに述べて、四月の二十七日にフライトを予定しているというふうに発表しているとも報じられております。

 また、国内におきましての判断というのも最終的な段階だというふうに承っておりますけれども、今以降、どのようなプロセスを踏んでどのように発表をするのかという点と、その後、全日空さんや日本航空さんについて、どのぐらいのスケジュールのタイミングでこのフライトに至るのかという点、二点お伺いをしたいと思います。

田村政府参考人 お答え申し上げます。

 今後の見通しということでございますけれども、一応先ほどから御報告を申し上げておりますとおり、米国時間の二十六日の朝、日本時間の今夜でございますけれども、FAAは、米国の航空会社に対しまして、運航再開を認める耐空性改善命令を発行する予定でございます。そして、その案自体は、昨日の日本時間の夜九時四十五分ごろに既に公示をされているという状況にございます。

 国土交通省としても、是正措置の妥当性の検証あるいはNTSBの公聴会の結果等から、FAAの判断に問題はないとの認識に至りました。したがいまして、FAAが耐空性改善命令を発行するのを受けて、今夜にも、我が国の航空会社に対しまして同内容の耐空性改善通報を発行する予定でございます。

 それを受けて、航空会社におきましては、耐空性改善通報に基づくバッテリーシステムの改修というものをもちろん行わなければいけませんし、それから、機体を長時間地上に停留していたということに伴いまして、バッテリーシステムも当然そうなんですが、航空機全体につきましての機能確認というものをします。まずは、その整備点検をした上で、機能確認のための飛行を行うということでございます。

 それから、当然、乗務員につきましては、長期間実機の操縦をしていなかったということを受けまして、今までもシミュレーター等で技量は確保はしてきておりますけれども、まず、運航の手順を再確認するための実機を使った慣熟飛行というものを行っていく。

 こういったいろいろな準備作業を経た上で、ようやく、お客様を乗せた有償運航というものを再開することができることになるということでございます。

樋口委員 ありがとうございます。

 また、報道によりますと、旅行会社ですけれども、787の安全性に対する顧客の不安によって旅行の客足が減少する可能性については、さほど懸念を示していないという報道もあります。

 JTBは、顧客の懸念緩和のために特別な措置をとることは計画をしていないと述べておりまして、JTBの広報担当者は、大抵の顧客は利用する便の機種よりも旅行の内容に関心があるという。エイチ・アイ・エスも、787に関する顧客からの問い合わせは二百以上ある支店の中でわずか数件だというふうに述べて、787への不安によって影響が出るという可能性を一蹴した、こういう報道もあります。

 まさに、安心、安全が確保され、そして、なお一層国民の皆様の不安を払拭する、これが大事なことでございます。最も大切な点は安全の確保であります。万全の再発防止策を講じて、そして安全性を国民の皆様にアピールするということが最も肝要であります。

 太田大臣も常々、安全そして安心というふうに強調されておりますけれども、最後に、運航再開に当たっての政府の所感を、決意をお願いしたいと思います。

梶山副大臣 お答えをいたします。

 今回の是正措置は、想定される全てのことに対応できるものになっております。また、通常、航空機全体の設計は何重もの防御措置が講じられておりますけれども、今回の是正措置は、バッテリーのふぐあいに対応しまして、さらに三重の対策を講ずる内容となっております。

 したがって、国土交通省といたしましては、この是正措置により十分な再発防止を図ることができるものと考えておりますけれども、今委員がおっしゃいましたように、安全プラス安心ということでありまして、先ほども大臣から御回答がありましたけれども、改修後の確認の飛行もする、そしてさらには、バッテリーの安全性の確認ということで、飛行中のバッテリーの地上における確認もさせていただく、さらにはまた、使用したバッテリーのサンプリングをして検査をしていくということ、さらには、運航乗務員の慣熟飛行ということで、ある程度時間を置いて、しっかりと飛行ができるという判断のもとに飛行を再開するということ、さらにはまた、情報の提供ということ、予約したお客様に対して、どの機種を使うか、この機種を使うということも含めた情報の提供もしていくということで万全を尽くしたいと思っております。

 国土交通省といたしましては、航空会社に対しまして、787型機の安全確保に万全を期すとともに、航空利用者の安心を確保するために、今後とも適切に対応していく覚悟でございます。

樋口委員 本当に大変な事案でございまして、大変な中ではございますけれども、御関係者の皆様の、国民の皆様の安心と安全と利用者の皆様の安全のために、ぜひともさらなる奮闘を心からお願いを申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

金子委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時九分散会


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