衆議院

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第16号 平成25年6月5日(水曜日)

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平成二十五年六月五日(水曜日)

    午後一時一分開議

 出席委員

   委員長 金子 恭之君

   理事 大塚 高司君 理事 土井  亨君

   理事 西村 明宏君 理事 松本 文明君

   理事 望月 義夫君 理事 三日月大造君

   理事 井上 英孝君 理事 高木 陽介君

      赤澤 亮正君    秋本 真利君

      井林 辰憲君    岩田 和親君

      大西 英男君    門  博文君

      後藤田正純君    國場幸之助君

      斎藤 洋明君    坂井  学君

      桜井  宏君    白須賀貴樹君

      中村 裕之君    長坂 康正君

      林  幹雄君    原田 憲治君

      平口  洋君    ふくだ峰之君

      前田 一男君    宮澤 博行君

      務台 俊介君    若宮 健嗣君

      泉  健太君    大畠 章宏君

      寺島 義幸君    若井 康彦君

      坂元 大輔君    西岡  新君

      丸山 穂高君    三宅  博君

      佐藤 茂樹君    樋口 尚也君

      柿沢 未途君    杉本かずみ君

      穀田 恵二君

    …………………………………

   国土交通大臣       太田 昭宏君

   国土交通副大臣      梶山 弘志君

   国土交通副大臣      鶴保 庸介君

   外務大臣政務官      あべ 俊子君

   国土交通大臣政務官    赤澤 亮正君

   国土交通大臣政務官    松下 新平君

   国土交通大臣政務官    坂井  学君

   政府参考人

   (復興庁統括官)     上田  健君

   政府参考人

   (公安調査庁次長)    小島 吉晴君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 金杉 憲治君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局次長)           黒羽 亮輔君

   政府参考人

   (水産庁漁政部長)    柄澤  彰君

   政府参考人

   (水産庁漁港漁場整備部長)            宇賀神義宣君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長)            西脇 隆俊君

   政府参考人

   (国土交通省都市局長)  川本正一郎君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局長)        足立 敏之君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  前川 秀和君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  滝口 敬二君

   政府参考人

   (国土交通省自動車局長) 武藤  浩君

   政府参考人

   (国土交通省港湾局長)  山縣 宣彦君

   政府参考人

   (観光庁長官)      井手 憲文君

   政府参考人

   (海上保安庁長官)    北村 隆志君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   梶原 成元君

   国土交通委員会専門員   宮部  光君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月五日

 辞任         補欠選任

  上野ひろし君     丸山 穂高君

同日

 辞任         補欠選任

  丸山 穂高君     上野ひろし君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国土交通行政の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

金子委員長 これより会議を開きます。

 国土交通行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として国土交通省総合政策局長西脇隆俊君、都市局長川本正一郎君、水管理・国土保全局長足立敏之君、道路局長前川秀和君、鉄道局長滝口敬二君、自動車局長武藤浩君、港湾局長山縣宣彦君、観光庁長官井手憲文君、海上保安庁長官北村隆志君、復興庁統括官上田健君、公安調査庁次長小島吉晴君、外務省大臣官房参事官金杉憲治君、厚生労働省職業安定局次長黒羽亮輔君、水産庁漁政部長柄澤彰君、水産庁漁港漁場整備部長宇賀神義宣君及び環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長梶原成元君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

金子委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

金子委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。土井亨君。

土井委員 自由民主党の土井亨でございます。

 初めに、先月二十七日には、委員会の理事の皆さん方に、被災地宮城に足を運んでいただきながら視察をしていただきましたこと、心から御礼を申し上げたいと存じます。

 今、被災地は、懸命に復興に向かって取り組んでおります。しかしながら、この復興を進めるに当たって、国の法律や規制等々が邪魔をするというか壁になって、なかなか前に進まないというのも現実でございます。そういう意味では、きょう質疑をさせていただく中で、主に、視察でいろいろお話を聞いたことをもとに、お話を伺ってまいりたいというふうにも思います。

 冒頭でありますが、私も三年三カ月落選をいたしておりました。その間の大震災でありまして、外から見ていて、国にはもっと被災自治体を信頼してほしいというふうに思っておりました。やはり、口で幾ら国と被災自治体が連携をとって復興を前に進めると言っても、肝心の被災自治体を信頼していただかなければ、前には進まないんだと私は痛感をいたしております。

 そういうことで、冒頭でありますが、被災自治体、どんな小さな自治体も懸命に今復興復旧に取り組んでいるわけでありますから、国は、ぜひ、そういう小さな被災自治体を信頼していただいて、一緒になって復興を進めるんだ、ともに連携をとって一日でも早い復興復旧をなし遂げるんだ、そういうお気持ちで取り組んでいただきますように、心からお願いを申し上げたいと存じます。

 そもそも論から御質問をさせていただきたいと思いますが、あの大震災から二年と三カ月を経ようといたしております。この間、政府を含めて、懸命に御努力をいただいてまいりましたことは、本当に大変ありがたいことだと敬意を表させていただきたいと思いますが、しかし、いまだ復興が進まない、本当に、法律や制度や規制でなかなか思うような復興を進めることができない、そういう声が被災自治体から多く出ているのも事実であります。

 私が議員に復活させていただいて一番初めに読ませていただいたのが、基本方針であります。すばらしい基本方針だと思いました。自由勝手のいい、使いやすい交付金を創設しましょう、また、復興庁は、ワンストップ、被災地が一々霞が関まで赴かなくても、復興庁、復興局に赴けば全て調整をしていただける、そういうすばらしい復興庁を設置しましょう等々の基本方針が記載されておりました。

 こういう基本方針をもとに今回の大震災の復興に取り組んでいただいているとすれば、決して、復興が遅い、おくれている、こういう声が多少あったにしても、こんなに大きな声にはなっていなかったのではないかと、私自身、残念な思いをいたしております。

 そこで、冒頭でありますが、復興庁を含めて、もろもろの復興政策の中で、この復興の基本方針がどう生かされていたのか、どう反映をされているのか、ぜひお伺いをしたいと思います。

 二年三カ月たちました。反省も必要であります。私たちは、復興を前に進めていきながら、是正や改善をしていかなければなりません。そういう意味で、この二年三カ月の検証の意味も込めて、お伺いをさせていただきたいと思います。

上田政府参考人 御答弁申し上げます。

 ただいま御紹介いただきました東日本大震災からの復興の基本方針でございますけれども、これは、復興基本法第三条等に基づきまして、一昨年の七月に策定をしております。国による復興のための基本方針などを定めたものでございまして、政府といたしましては、これに従いまして、東日本大震災からの復興に鋭意取り組んできたというところでございます。

 ことしになって、安倍内閣になりまして、この基本方針に基づいて復興を進めてきたわけでございますけれども、さらに、既存施策の手が及んでいない部分、これがあるのではないかというようなことで、組閣後直ちに総点検の指示をいただきました。

 この総点検をいたしまして、一つは、司令塔たる復興庁の体制の見直し、それから二つ目に、復興予算のフレームの見直し、三つ目に、復興の加速化の具体化、推進、これを早速実施したところでございます。

 現在、現場で最も望まれております、一つは住宅の再建を促進すること、それからもう一つは、福島で帰還の見通しをつけること、こういうことに、先ほどの基本方針、それから、ことしになって総点検を踏まえて、新たに設けましたそういう方針に基づきまして鋭意取り組んでいく。

 今後とも、常に施策の点検を怠らずに、現場主義に立って、迅速な対応を進め、大震災からの復興に全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

土井委員 やはり、検証する、反省をする、そしてまた、至らない部分はしっかり改善をしていく、そのことが必要だと思います。

 確かに、宮城復興局も、三十人体制から、今、八十人体制に増員をさせていただいております。増員をされた皆様方が被災自治体に足を運んで、一緒にその自治体の被災復興に向かって取り組み始めたと私は思っておりますが、今後とも、この基本方針にのっとって、常に検証しながら、被災地に思いを寄せ、被災地と一緒になって協調し合いながら、復興を加速的に進めるために御努力をいただきたいと思います。よろしくお願いをいたします。

 次に、東日本大震災からの復旧復興、これはまさに官民、また地域の皆さんが一緒になって取り組まなければならないと私は思っております。

 特に、二十七日に気仙沼へ行ってまいりました。何としても、鉄路、復旧を早くしてほしい、そういう菅原市長さんの思い、本当に大きく受けとめさせていただいております。

 今回、被災を受けた地域は、農村、漁村、そういうところが多いわけでありまして、鉄道というものがそういう地域の公共の足として地域の皆さんのお役に立っている、これは事実であります。だからこそ、鉄道の復旧というものを真剣に取り組んでいかなければなりません。

 そしてまた、各被災自治体が立てている復興計画、これもJR、鉄路を含んだ復興計画ということで、今、進んでおります。その意味では、黒字企業だから財政支援ができないということで、JR任せという面も、今、大きく見えているのではないかというふうに私は思います。

 この鉄道復旧に国が財政支援ができないという根拠、これをお示しいただきたいと思います。

滝口政府参考人 鉄道事業に対します助成措置を規定した法律として、鉄道軌道整備法というものが制定されております。鉄道施設の災害復旧に関する助成措置は、この法律に規定されております。

 具体的には、鉄道事業者がその資力のみによっては災害復旧事業を施行することが著しく困難であると認めるときは、費用の一部を補助することができることとされております。これまでの大規模災害に伴う災害復旧につきましても、基本的にこの制度を適用してまいっております。

 この制度の適用に当たりましては、具体的には、当該鉄道事業者において、被災する前三カ年度が営業損失となっていることなどの要件がございます。経営が大幅な黒字でございますJR東日本につきましては、本制度の適用の対象外となっているところでございます。

 今回の東日本大震災に伴います鉄道施設の災害復旧に関しましても、基本的には、この制度に基づき、助成を行うことといたしております。このため、JR東日本には財政支援が行われないということになっているところでございます。

土井委員 確認します。

 この整備法は、災害復旧、原形復旧を基本としていると捉えてよろしいでしょうか。

滝口政府参考人 委員御指摘のように、この法律は、基本的には、原形復旧と災害前の機能を復旧するという考え方でございます。

土井委員 だとすれば、大臣、私は、今回のJRの復旧復興は、この整備法には当たらないというふうに思っております。

 なぜかといいますと、自治体がつくり上げたまちづくり基本法、これはまさに、町を移動する、安全な地域に町をつくり直す、当然、鉄道も原形ではないわけです。私からすると、新線という形で新しい鉄路をつくって、鉄道をもとにしたまちづくりをする。これはまさに、今回の東日本大震災の被災自治体の計画と鉄道というものが一体になっているからこそ、新しいまちづくりになるんだというふうに思います。

 そういう意味で、既存のこういう整備法や法令を当てはめるのではなくて、本当に被災自治体が中心となって新しいまちづくりに取り組める、その中心は鉄路なんだ、だから一緒になって頑張ろう、私はそういう意識に立ってもらいたいというふうに思います。

 そして、何よりも、全て財政支援をしろというふうに言っているわけではありません。既存の原形を復旧する工事費、用地費、新しく鉄路を引き直す、この差額分ぐらいは国がしっかりと財政支援をするというぐらいの大英断を、大臣、ぜひ下していただきたいというふうに私は思いますし、そのことが復興計画を前に進めることにつながるんじゃないでしょうか。安心して鉄道を基本にしたまちづくりが完成をすることにつながるんじゃないでしょうか。大臣の御所見をお伺いさせていただきます。

太田国務大臣 この間、気仙沼へ行かれたということですが、四月三日に三陸鉄道南リアス線の鉄路が開通しました。そこで、映像で出てくる被災地の多くの皆様方が旗を振って、単に交通が整備されたというのではない、鉄道が走るということはまさに復興を実感するというか、ああ、やっと鉄道が走ったぞと、明治の時代と同じように、非常に、その地域が発展するという、ある意味では象徴的なことなんだなということを映像を見ながら私は実感しました。

 また、今NHKで「あまちゃん」というのをやっていますけれども、そこも、そういうことをある程度意識してNHKとしては考えながら、被災地を応援しようというような意図が明確であるというふうに思います。

 おっしゃるとおり、復旧するというだけでなくて、まちづくりと一体となるということですから、まちづくりということには、いわゆる復興そのもので国がかかわるということが私は大事なことだというふうに思っておりまして、鉄道事業者の側の事情によらない部分ということについては、国としても必要な措置について検討が必要になるのではないかということを強く思っているところでございます。

 まちづくりと一体の中でやることについて、まちづくりについては国として応援するというのが基本的考え方でなくてはならないというふうに思っています。

土井委員 大臣の御答弁、大変力強い御答弁だったというふうに思います。ぜひ、新たな支援システム、早急にお示しをいただいて、被災自治体もJRも一体となって復興を前に進める、そういう環境をつくっていただきたいというふうに思います。

 御承知をいただきますように、東北は私鉄がありません。JR一社だけであります。そういう中で、JRが本格的に復旧復興、鉄路を新たに復旧する、こういう思いこそが被災自治体の復旧に弾みをつけることにつながると私は思っておりますので、ぜひよろしくお願いをいたしたいと思います。

 この間、BRT、試乗をさせていただいてまいりました。そこで、ぜひお伺いしたいのが、JR気仙沼線の復旧、これの見通しについてまずお伺いをいたします。

滝口政府参考人 JR気仙沼線につきましては、国土交通省、復興庁、沿線の自治体、JR東日本などの関係者で構成いたします復興調整会議の場におきまして、まちづくりと一体となった鉄道復旧の課題について検討を進めているところでございます。

 御指摘のJR気仙沼線でございますが、海岸線近くを走る区間が長いといったことから、ほかの線区、山田線などと比べましても、津波による被害が大きく、また、まちづくりや防波堤、河川堤防など関係する事業も多いため、鉄道の安全性を含め、復旧に向けた課題も多いものというふうに認識をしているところでございます。

 鉄道復旧に関しますこういった個々の課題につきましては、ただいま申し上げました東北運輸局、復興庁、JR東日本や、県、市、町のみならず、関係するそれぞれの事業主体などの関係者間で十分御議論をしていただく必要があるのではないかと考えております。

 このため、現時点では、JR気仙沼線については鉄道復旧の見通しが立っていないというのが現状でございまして、仮復旧といたしまして、委員御指摘のBRTにより、生活交通などのための輸送サービスを提供しているところでございます。

土井委員 JR気仙沼線、復旧のめどが立っていないということであります。だからこそ仮復旧なんだというふうにも思います。

 私は、仮復旧ということであれば、復旧という見通しがあって初めて仮復旧だというふうに思っているんですが、いろいろな諸事情がありますから、それはそれとして、一日でも早い復旧の見通しは、ぜひ被災自治体に示していただきたいというふうに御要望させていただきたいと存じます。

 また、BRT、まさにこれは鉄道のかわりに、地域の足がなくなった、その地域の公共交通機関を確保するということで、仮復旧という形で整備をされているわけであります。だとすれば、これは一日でも早く、仮復旧という名のBRTの整備をしていただかなければなりません。

 いただいた資料によりますと、気仙沼線は、ことしの夏には約四〇パーぐらいの整備ができる。整備完了時には七〇%ぐらいの整備率になる。しかし、この七〇%がいつ整備が完了するかというのがまだまだ不明だということでございました。

 しかし、ぜひ、この七〇パー、早く整備をしていただいて、一日でも早くこの計画を達成していただくことが、私は、地域の皆さんの足を確保すること、そのことによって、利便性、定時性がすぐれていて、これからの地域の足として何が最適かという選択もしてもらえることにつながるんだろうというふうに考えております。

 そういう意味で、このBRTの整備に関して、国交省としてどういう考えで取り組もうとされているのか、お聞かせいただきたいと思います。

武藤政府参考人 お答えをいたします。

 委員御指摘のように、BRTによる気仙沼線の仮復旧でございますが、復興調整会議における地元の自治体やJR東日本の合意に基づきまして、七割を自動車専用道路化してということで、昨年の十二月末より本格運行が開始されております。

 本年の五月末時点で、現在、全体の二割、それで、御指摘のように、夏には約四〇%まで進捗するという予定でございます。しかしながら、残る区間の多くでは、橋梁工事など大がかりな改修や、工事に際して地元との調整が必要であるということの事情から、一定の時間を要する見通しだというふうに伺っております。

 国交省といたしましては、速達性、定時性など、BRTのメリットは非常にすぐれたものがございますので、こういったものを一層発揮する観点から、早期延伸が望ましいというふうに考えておりまして、JR東日本と連絡を密にしつつ、必要な協力あるいは助言をしていきたいというふうに考えております。

土井委員 仮復旧ですから、ここを考えてください。仮復旧というのは、とりあえず地域の皆さんの足を確保するということなんです。これもまたJR任せでいいわけはないというふうに私は思います。

 鉄道の復旧は、JR、本当に頑張ってもらわなきゃいけません。しかし、今、公共交通機関がなくなって、足がない、不便な状態のときに、仮復旧ということであれば、国もぜひかかわっていただいて、一日でも早い仮復旧のBRTを完成させていただいて、地域の皆さんの足を確保していただく、これも私は国の使命といいますか、やるべきことだというふうに思いますので、ぜひよろしくお願いをいたしたいと思います。

 続いて、きょう朝、宮城県の市長会の要望の懇談会がございました。このときにも石巻の市長さんから要望がございました。

 政府は、二十七年度まで、いわゆる復興の集中期間ということで予算措置をいたしております。五年間です。しかし、被災自治体の復興計画というのは、ほとんどが十年間で計画されております。

 ということは、基本方針にも書かれておりますが、一定の期間、復興の進捗状況等々を勘案して見直すこと、予算措置を見直すということが記載をされておりますが、早い時期にしっかりと、国の財政支援というのは継続をするんだ、延長するんだという明確な回答がなければ、被災自治体も真剣に、安心して、財源の心配もなく、復興に取りかかることができないというふうに私は思っております。

 もう二年三カ月が過ぎようとしている、もう半分過ぎようとしているわけでありますが、この辺で早期にこの財政支援の延長、継続というものを打ち出してもいいのではないか、私はそう考えますが、いかがでしょうか。

上田政府参考人 御答弁申し上げます。

 集中復興期間の財政フレームの話でございます。

 ことしの一月に復興を加速化いたしまして、財源確保に関する被災地の不安を払拭する、そういう観点からこのフレームを見直しまして、被災地向け予算について、必要な予算額を確保できるように、集中復興期間における財源として、十九兆円とされておりましたものを、合計で二十五兆円程度確保するということにさせていただきました。

 この五年間という集中復興期間について御指摘があったわけでございますが、これにつきましては、被災地の一刻も早い復旧復興を目指す、そういう観点から、まずは、復興交付金等による現在の復興施策を、復興基本方針において集中復興期間とされた平成二十七年度までの間に集中して実施していただくという趣旨でございます。

 その集中して実施していただくということ自身、非常に重要なことではないかというふうに考えているところでございますが、今御指摘ございました、その集中復興期間後の平成二十八年度以降はどういう支援があるのかということについて御不安がある、そういう御指摘もいろいろ伺っております。

 これにつきましては、事業の進捗等を踏まえまして検討していくということになっておりますので、復興庁としても鋭意取り組んでまいりたいというふうに考えております。

土井委員 一刻も早く復興をなし遂げる、集中してやってほしい、その中に復興交付金という話もありましたが、だからこそ、復興交付金をもっと使い勝手のいい交付金にしてください。

 今、先ほど冒頭に申しましたとおり、復興交付金が使い勝手が悪い、そして、関係する効果促進事業も思うように使えない、こういう声が被災自治体から多く出ているというこの現実を踏まえて、ぜひ復興交付金のあり方、ですから、もっと被災地を信頼してください、復興交付金を被災地がこの事業に使いたい、私たちの事業はこれが優先する、そういうものに使えるような形でぜひ見直していただきたいというふうに思います。

 その点、もう一度伺います。

 復興交付金基幹四十事業を撤廃したり、また、自治体から要望があるように、四十基幹事業ではなくて、もっと拡大して被災自治体に寄り添った復興交付金にしていただく、そのことをどうお考えでしょうか。

 そして、もう一つ、これは国交省にお伺いをいたします。

 いわゆる社総交というのがございます。私からすると、復興交付金と社総交はどう違うのか、同じような交付金ではないかというふうに思っております。しかし、せっかくある社総交の復興枠でありますから、復興交付金のすき間、足らざる部分というものを補う、一緒になって、これを二つ使うことによって、一体的な整備、復興整備ができる。

 今だと、県道は対象であります。市町村道はこの社総交の復興枠の対象にはなっておりません。ところが、この市町村が道路整備を本当に今望んでおります。避難道路、やはり道路がしっかりしていないと逃げることもできません。そういう意味では、この社総交の復興枠によって市町村道の整備というものをぜひ私は考えていただきたいと思いますが、その二点をまずお伺いさせていただきます。

上田政府参考人 御答弁申し上げます。

 復興交付金でございます。もう趣旨については十分御理解いただいているところでございますけれども、津波等による著しい被害を受けた地域の復興地域づくりを支援する事業、これは五省庁四十事業を一括化して、復興地域づくりに必要となる事業には対応させていただいているということでございます。あと、効果促進事業につきましても、これは被災地のさまざまなニーズに対応するために、幅広い使い方ができるということで制度設計をしているところでございます。

 さらに、復興のステージが高まってまいりました、変わってまいりましたので、さまざまな課題への対応が求められているということを踏まえまして、昨年の末から被災地の復興交付金に関する要望を全て点検をさせていただきまして、復興地域づくりに必要と考えられる事業にはきちんと対応できるように、三月八日の五回目の交付可能額通知に合わせまして運用の柔軟化も図らせていただいたところでございます。

 他方、今、社会資本整備総合交付金の話も出ましたけれども、復興交付金で対応できない要望につきましても、復興との関連性が薄いので対応できないというものもあるんですけれども、やはり必要なものをほかの、例えば、取り崩し型復興基金でございますとか、ただいまの社総交でございますとか、あと全国の防災事業でございますとか、そういう他の被災地向け制度により対応可能なものもございますので、これは復興庁としてもワンストップでございますので、それはあっちへ行きなさいということではなくて、例えば、道路でしたら道路局とよく連携をとって、では社総交でどういう対応をしていただけるのかということを具体的に調整していくという姿勢で臨んでいるところでございます。

前川政府参考人 それでは、社会資本整備総合交付金の復興枠についてでございますが、委員御指摘のとおり、被災地と内陸にありますいろいろな拠点を結ぶネットワークということで、従来は県管理道路の整備を支援してきたところでございまして、これまで市町村道は支援の対象となっておりません。

 このため、被災地復興の観点から、被災地と内陸拠点を結ぶ市町村道の整備に対しまして、社会資本整備総合交付金の復興枠を活用したいという要望が宮城県内の市町村、岩手県内の市町村を中心に多くいただいておるところでございます。今後、そのような点についてもしっかり対応できるように、関係省庁と連携しながら対応をしてまいりたいと考えております。

土井委員 前向きな御答弁ありがとうございます。

 ただ、先ほど統括官が答弁されたように、やはり被災自治体からすると縦割りなんですよ。復興庁は復興交付金をしっかりと使うよと、自由度を増して、しっかりと使い勝手のいいものにする。でも一方で、使えない部分、これは社総交で、復興枠でやれると私は思っています。その連携がとれていないから、被災自治体は国交省に陳情に行ったり要望をしながら、何とか整備をしようと一生懸命やっているわけであります。いみじくも答弁でお話しいただきましたワンストップ、被災地はワンステップだという言葉も出ているんですよ。

 ですから、もっと連携をとって、復興交付金、社総交の復興枠、しっかりと被災自治体が復興庁に言って、復興庁がリードをして、国交省のこういうものもしっかり使えば一体的に整備ができる、これやりましょう、これ解決できます、私は、そういう前向きな復興庁の姿であってほしい。

 国交省にはもっともっとやはり頑張っていただかなければなりませんが、その点をお話し申し上げさせていただき、時間が参りましたので、質問を終了させていただきます。

 ありがとうございました。

金子委員長 次に、大畠章宏君。

大畠委員 民主党の大畠章宏でございます。

 過日、五月二十七日に、金子委員長のお計らいで現地を視察することに参加をさせていただきました。その現地視察を踏まえて質問をさせていただきます。

 正直言いまして、私も、二年前の現地に入ったわけでありますが、その当時と比べますと、本当に、国土交通省の関係の皆さん、また現地の皆さんの御努力、さらには地元の土建業の皆さんも含めて、大変な御努力だったと思いますが、非常に現地も整然としてまいりまして、いよいよこれから復興に向けて突き進むんだろう、こういう感じを持ったところであります。この間の関係者の皆さんの御努力に心から敬意を表する次第であります。

 その上で、この国土交通省、道路、鉄道、港湾、空港、こういう所管でありますが、大変な状況でございましたが、それぞれについて現在どのような状況にあるのかについて、大まかで結構でありますから、それぞれについての現在の状況をお伺いしたいと思います。

梶山副大臣 大畠委員から、被災地の道路、そして空港、港湾、鉄道の状況についてのお尋ねがありました。私の担務の道路と空港、港湾についてお答えをさせていただきます。

 三陸沿岸道路等の復興道路、復興支援道路につきましては、東日本大震災において、既供用区間が発災直後から救助救援活動や復旧のための物資輸送に機能を非常に発揮したことも踏まえまして、平成二十三年度補正予算で、未事業化区間のうち、三陸沿岸道路等の延長二百二十四キロを新規事業化したところであります。

 新規事業化後、順次測量や用地買収に着手をしまして、一部区間では事業化から一年を待たずに工事に着工するなど、地域や民間の方々の御協力、御支援、御理解も得ながら早期整備に努めておりまして、復興道路、復興支援道路全体の工事着手率は、平成二十五年三月末時点で約六割となっております。

 また、平成二十四年度には三区間約三十六キロを供用いたしますとともに、平成二十五年度予算では、東北中央自動車道の霊山―福島間約十二キロを新規事業化したところであります。

 これらの整備に際しましては、津波避難階段や救急車退出路を設置するなど、地域の要望や御意見を取り入れながら進めているところでありまして、引き続き、復興のリーディングプロジェクトとして、早期に機能が発揮できるように全力で取り組んでまいりたいと思っております。

 次に、空港でありますけれども、この大震災で大変な被害を受けたのは仙台空港でございます。

 平成二十三年四月十三日には、約一カ月後ですけれども、民航機が就航を再開いたしました。同年の九月二十五日に仙台空港の旅客ターミナルビルの本格復旧が完了するとともに、十月一日には空港アクセス鉄道についても全線で運転が再開をしたところであります。

 現在は、排水機能の復旧、空港施設の耐震化を進めているところでありますが、これらの工事につきましては、不発弾の発見による工事の一時中止、及び、さらにまた不発弾があるかどうかという磁気探査の実施に伴い完成がおくれてきたわけでありますけれども、本年の秋には工事完了の予定でございます。

 そして、港湾でありますけれども、これは青森県の八戸港から茨城県の鹿島港まで三十二港の港湾施設が被災をいたしました。

 被災地の港湾におきましては、関係機関と連携をしまして、早期復旧に向けて迅速に事業を進めてきたところでありますが、船舶が接岸するために必要な岸壁等の、産業、物流上、特に重要な施設につきましては、二十五年、本年の三月末時点で、暫定供用も含めて約九割が利用可能となったところでございます。

 引き続き、復旧に期間を要する湾口防波堤など残された港湾施設につきましても、早期に機能が発揮できますよう全力で取り組んでまいる所存です。

鶴保副大臣 鉄道は私の方から御報告をさせていただきます。

 東北新幹線については、震災発生後、四十九日という非常に早い段階で復旧がなされました。

 一方、在来線につきまして、まず経営の大変厳しい第三セクター旅客鉄道については、復旧費用のほぼ全額を実質的に国が負担する特別な支援措置を講じております。この結果、ひたちなか海浜鉄道においては全線が復旧、三陸鉄道においては、四月三日に南リアス線の盛―吉浜間が復旧した等、来年四月ごろの全線運転再開に向けた取り組みが着実に進められております。

 そのほかのJR東日本の在来線の各路線についても、三陸海岸及び原発警戒区域等を除く区間については、復旧あるいは復旧に向けて着実に整備が図られております。

 一方、JR大船渡線及び気仙沼線につきましては、仮復旧としてBRTが導入されました。

 JR山田線も含めたこれらの路線につきましては、国土交通省、復興庁、沿線自治体、JR東日本等で構成する復興調整会議の場において、まちづくりと一体となった鉄道復旧について検討を進めております。

 鉄道の復旧は、被災地域の本格的な復興を図る観点から極めて重要な課題と認識しております。引き続き、鉄道復旧に向けた取り組みを進めてまいる所存でございます。

大畠委員 それぞれ現状について御報告を賜りましたが、全体的には、緊急的な、また応急対策については一応手を打ったと。これからなんですが、先ほど土井委員からもいろいろ御指摘がありましたけれども、被災地の人々が将来に生きるための道筋、将来はこうなるだろうというその道筋をこれからつけなければならないんだろうと思うんです。

 先ほど復興交付金の使い方についても御指摘がありましたが、できるだけ可能な限り、地元の方々が、自分たちでこんな町をつくるんだ、自分たちがこういう災害に強い地域をつくるんだという自発的な考え方を大事にしながら、かつ、まちづくりが進むように、ぜひ国土交通省の立場からも積極的にリードしていただきますようお願いをしたいと思います。

 その上で、住宅というものでございますけれども、まず住むところというので、仮設住宅は大変大事な役割を果たしているわけですが、その仮設住宅はあくまで仮設でありますから、これからどういう自分たちの住む場所が確保できるかという意味では、防災集団移転促進事業ですとか、あるいは災害公営住宅建設、これが非常に大事になってくると思いますが、この二つについて、現状について報告をいただきたいと思います。

赤澤大臣政務官 被災者に生活の再建に関する見通しを持っていただこうということで、被災地の県、市町村と協力して、住まいの復興工程表を公表させていただいております。これは委員御案内のことだと思います。

 いわゆる防集、防災集団移転促進事業については、三百二十八地区の中で三百二十五地区で既に事業計画の大臣の同意が済んでございます。あと三地区残っているということになります。

 防災集団移転促進事業による宅地の供給については、平成二十七年度までの集中復興期間内に約八割、約一万戸分が供給される見込みで、各県の内訳を申し上げれば、岩手県で約九割、三千三百十九戸、宮城県で約七割、六千百戸、福島県については七百八十五戸ということで供給される見込みとなっております。

 以上申し上げましたように、多くの地区で事業計画から工事着手の段階に入りつつございますので、国交省としても、住民ニーズの変化あるいは土地取得の見直しなどに応じて柔軟に計画が見直せるよう、計画変更手続を簡素化するなど、工程表とあわせて公表した施策パッケージに基づいて、関係機関とも連携をして、事業の円滑な実施の促進に努めてまいります。

坂井大臣政務官 私からは、災害公営住宅の建設状況でございますが、同じくこの工程表におきまして、岩手県では五千九百七十二戸、宮城県で一万五千三百八十一戸、合わせて二万一千三百五十三戸の供給計画が示されております。福島県では、残念ながら、いろいろな事情がございまして、まだ未策定ということでございます。

 この計画が示された岩手、宮城でございますが、具体的な用地を確保いたしまして事業に着手したというものが、五月末の時点で、岩手で二千六百六十戸、宮城県で七千四百五十二戸、合計で一万百十二戸ということで、計画に対して約四七%となっております。設計や工事、順次着手をいたしまして、整備も本格化しつつあるところでございますが、そのうち、工事が終わった、完了したというものが、岩手で百三十三戸、宮城県で五十戸、合計で百八十三戸となっております。

 今後でございますが、岩手県では、二十六年度末までにおおむね八割、そして二十七年度末までにはほぼ全てが完成の見込みでございまして、宮城県では、二十六年度末までにおおむね五割、そして二十七年度末までにはおおむね七・五割、七五%でございますが、完成の見込みでございます。

 なお、福島県は、先ほど計画が未策定と申し上げましたが、今のところ、用地を確保して事業に着手した災害公営住宅は二千三百二戸、うち工事が完了したものは八十戸ということでございまして、先ほどの住まいの復興工程表におきましては、現段階として、平成二十七年度までにおおむね二千九百戸という数の工事完成を見込んでいるところでございますが、一層の加速化に取り組んでまいりたいと思っております。

大畠委員 防災集団移転促進事業ですとか、あるいは公営住宅の建設状況についてはわかりました。

 それで、阪神・淡路大震災のときを振り返って、一番何が大事かというと、自宅を失い、家族を失い、そういう方々が、将来とも住めるところを確保することは大事なんですが、どうも、いろいろお話を伺うと、いろいろな雑談をしたり悩みを話したり、そういういわゆる広場というか、コミュニケーションの場が必要だと。これが、阪神・淡路大震災のときに、私たちは経験として手にしたわけであります。

 これを、特に赤澤政務官は人情味厚い政治家だと思いますが、この工程表はきちっと守っていただかねばなりませんが、そういうきめ細かなことも含めてやることが私は大事なんだと思うんです。

 住宅をつくることは非常に大事なんです。大事だけれども、入った方がどんな気持ちなのか、そこを酌みながら、そういう場を設けて、そしてそこに住まいながら、今度は自分たちの人生を考えなきゃならないんですね。ですから、そういう場も含めて、当然考えておられると思いますが、それについてはどういうことで動いているか、ちょっと詳細ですが、細かいことをお伺いしたいと思います。

太田国務大臣 まさに、そこが、人情味があるかないかという以上に、人間として大事なことだというふうに思うんです。

 大畠大臣のころに、三月十一日以降、四月になりましたら、仮設住宅というのがやっとつくられ始めたときに、相馬市を初めとして、集会所は仮設でできないかというようなことがありまして、仮設の中に集会所をつくるということを大臣のもとでやっていただいたりということがありました。

 私は、そういうことは物すごく大事なことだというふうに思っておりまして、例えば、三月三十日に、災害公営住宅が、相馬で第一号ができましたが、そこにも集会所として使えるところがちゃんとできている。また、長屋のように、ひとり暮らしになった方が多いものですから、ケアハウスのように、もう机もいろいろなものも、段差がないということを初めとして、本当に配慮の行き届いたような、しかも長屋で接触ができるような、そういうような、単独ではない集合的な災害公営住宅をつくっていたりいたします。

 常にそういうことを意識して、この住宅を初めとして、まちづくりというのは、住んでいる人が、温かい、それ以上に、自分たちのことをわかってくれているんだなという愛情を感じられるようなまちづくりと住宅づくりに一層努めていきたいというふうに思っています。

大畠委員 ひとつ、今大臣からも御答弁いただきましたが、冷たい行政ではなく温かい行政、要するに、被災された方々の心情を私たちは外から見るということはできますが、なかなか御本人の心情と同じぐらいまではいけませんけれども、大変な御苦労をされているし、心痛もありますので、そこら辺は太田大臣流でぜひ十分な対策をしていただきたいと思います。

 その上で、仮設住宅に今お住まいの方々の就職状況はどうなのかというのが気になるわけであります。住まうところがあっても、何か仕事があれば新しい展望が出てくるんですが、仕事がないとなかなか将来を見ることができないということで、これについては、厚労省の方に来ていただいていますので、この辺についてお伺いしたいと思います。

黒羽政府参考人 被災された方々の生活の安定を図ることは非常に大切なことだと思っておりまして、その中で、働く場所の確保というのは重要な課題の一つでございます。

 厚労省といたしましても、被災地の就職支援に鋭意取り組んできたところでございます。特に、仮設住宅にお住まいの方々に対しましては、ハローワークがこれまで約四千七百回の出張相談を実施してきたところでございます。

 仮設住宅に入居されている方の就職状況だけをまとめたものはございませんので、被災地全体の就職状況について申し上げますれば、担当者制をしくことによりまして、被災地では個々の求職者に応じたきめ細かな就職相談等を行っておりまして、こうしたハローワークの就職支援を通じまして、ことし四月までの間に、被災三県で三十一万人以上の就職実績を上げているところでございます。

 それから、恒久的、安定的な雇用の創出を図ることもこれまた重要でございまして、この観点からは、産業政策と一体となって、新事業や地域の中核となる事業を実施します事業者に対して、雇用面からの支援を行います事業復興型雇用創出事業という事業を実施しておりまして、これによりまして、四月末時点で約二万二千人の雇用を生むなど、各種雇用対策を進めているところでございます。

 今後も、こうした政府の雇用対策が、仮設住宅にお住まいの方々を含めて、お一人お一人の方々に届くように全力を尽くしてまいりたいと考えております。

大畠委員 現地の方のお話を伺うと、いわゆる現地での最低賃金と復興事業の賃金格差があって、現地の企業では求人してもなかなか応募していただけないという話も出ていたようでありますが、そこら辺も含めて、ぜひ安定した雇用を確保できるように、さらに御努力いただくことを要請しておきます。

 次に、瓦れき処理と汚染土壌処理について伺います。

 これは環境省にお伺いしますが、瓦れき処理の現状と、原子力発電所事故による汚染土壌の処理の現状についてはどういうことになっているか、お伺いします。

梶原政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、いわゆる瓦れきの処理でございますけれども、災害廃棄物処理の現状は、本年四月末現在で、大規模な被害を受け、瓦れきが大量に発生をしております岩手県では五二%、宮城県では七一%の処理が進んでおります。

 この岩手県、宮城県の両県におきましては、仮設焼却炉あるいは破砕選別施設の設置が全て完了しておりまして、現在、県内処理を最大限進めていただいているところでございます。

 また、この両県につきましては、多くの方々の御協力を賜り、十七都府県、七十件を超える広域処理も成立をいたしまして、あわせて、両県の瓦れき廃棄物の行き先と申しますか、処理先は全て見通しが立ったところでございます。目標の期間であります二十六年三月末というものに向けて、できるだけ早く、早期に処理を完了したいということで進めてまいりたいと思っております。

 福島県につきましては、いわゆる国が直轄で処理をいたします地域以外の地域、例えば、具体的には新地とか相馬とかいわきというところでございますけれども、そういうところの海岸部分については四二%の処理が進んでおります。そのうち、特に相馬市におきましては、本年の二月には、五百七十トンの、福島県下初めての仮設焼却炉も本格運転を始めたところでございます。

 直轄地域であります旧警戒区域の部分につきましては、災害廃棄物に加えて、これから帰還が進むということで、片づけごみ等が出ております。そういったものにつきましては、例えば南相馬市あるいは楢葉町、川内村等におきまして仮置き場のところに搬入を進めておりまして、今後、帰還に対して妨げにならないように進めてまいりたいと思ってございます。

 残念ながら、福島県におきましては、本年度内の処理が困難であるということで、ことしの夏をめどに、全体の処理の見通しを明らかにしていきたいと思ってございます。

 また、放射線に汚染された廃棄物等の処理でございます。

 具体的には、例えば八千ベクレルを超えるような廃棄物、これは指定廃棄物と申しておりますけれども、これにつきましては、昨年の政権交代の後に、実は、市町村会議の開催を通じて、自治体の皆様と意見の交換を十分にやり、共通の理解を醸成しながら進める、あるいは、専門家会議を立ち上げて、全面的な関与のもとに進めるといったようなこと、さらには、現在保管が逼迫しているような宮城、栃木、千葉、茨城、群馬につきましては、今、国が最終処分場をつくろうということで進めております。

 その候補地の提示に先立ちまして、詳細な調査を実施するということで進めておりまして、本年三月から、順次、この五県で市町村長の全ての方々にお集まりいただき、例えば、現在つくろうとしている最終処分場の構造、維持管理でありますとか、実際の候補地の絞り込みの方法でありますとか、そのときの選定の基準、考え方でありますとかを説明させていただいておるところでございます。

 いずれにしましても、いろいろな意見が各県で出ておりますけれども、そういったような市町村長の方々の意見を踏まえながら、できるだけ早期に最終処分場の確保と処分が進むように努めてまいりたい、かように考えておる次第でございます。

大畠委員 かつて、環境省のやり方はかなり強引というか、そういうことがありました。やはり、地域の方々の理解がなければ、どんなに国がやろうとしても前に進みませんから、そこは大いに反省をして、丁寧に対処していただきたい。

 それから、放射線で汚染されたという話がありましたが、放射性廃棄物ですから、放射線という言葉の使い方も、もうちょっと丁寧に言わないと誤解を与えますから、そこは丁寧にしてください。

 それから、漁業関係についてお伺いしますが、被災地の漁業者の皆さんも大変頑張っているわけですが、最近の急激な円安で油代が高騰して大変だというので、五月二十九日には東京で全国漁業組合主催の緊急対策を求める集会というのが行われました。これは被災地も同じでありますから、この問題についてどういう形の対応をするのか、それから、漁港の復旧がおくれているようにも感じますが、この件について、農林水産省に、現状についてお伺いします。

柄澤政府参考人 漁業用燃油価格の高騰につきましては、漁業者と国が毎年度積み立てを行いまして、価格が高騰したときに補填をいたします漁業経営セーフティーネット構築事業という事業がございます。この事業の適切な運用が基本と考えております。

 この事業につきましては、二十四年度の補正予算あるいは二十五年度の当初予算で一定の額を積み増しておりまして、現在、補填支払い後の国費分の残高は約百億円ございます。これによりまして、今後の高騰に対しても一定の対応が可能だと考えております。

 ただ、今御指摘のように、最近の燃油価格の高騰の状況、あるいは先般の漁業者団体の全国集会でのさまざまな御意見なども踏まえまして、一定の価格を超えた部分につきましては国の負担割合を高めるというような特別な対応を現在検討しているところでございます。

宇賀神政府参考人 漁港関係につきましてお答え申し上げます。

 東日本大震災によりまして、北海道から千葉県まで、三百十九の漁港におきまして施設の被害が発生しております。現在、被災した三百十九の漁港のうち、三六%に当たります百十五の漁港において、陸揚げ岸壁の全ての機能が回復しているところでございます。また、部分的に回復している漁港も含めますと、八三%の漁港で陸揚げ機能が回復しているところでございます。

 今後につきましては、陸揚げ岸壁の全ての機能が回復した漁港について、現在の三六%から、平成二十五年度末、本年度末には六五%まで向上させることを目指しております。また、平成二十七年度末までには、漁港施設の復旧をおおむね完了させる予定でございます。

 今後とも、関係県、市町村、地元漁業者の意見を十分に踏まえながら、一日も早い復旧復興に向けてしっかりと支援してまいりたいと考えております。

大畠委員 次に、鉄道についてお伺いしたいと思うんです。

 先ほど土井委員からも御指摘ありましたが、BRTの運行を見せていただきました。非常にきめ細かく、地域の声を受けながら仕事をされているようであります。

 この課題は、地域の人の声をよく聞いてやることが大事なので、学生さんたちが、鉄道と違うのは、同じ車両の同じ場所に乗れないとか、そういう話があるようですが、これはなかなか難しいかもしれませんが、せめて網棚ぐらいつけられるんじゃないかと思いますので、これについては、私もちょっとバスの中を見ましたが、ぜひ、ここら辺は十分に利用者の方の御意見を聞いて、工夫できるところは工夫していただきたいと思います。

 時間がなくなってしまいましたので、これはまた十分に検討していただくという要望だけしておきます。

 最後に、太田大臣にお伺いしたいんです。

 想定外のことが起こって大混乱に陥ったわけでございますが、大変残念な被害を出してしまいました。国土交通省が中心となって人命救助のルートを確保する、こういうことを一生懸命していただいたわけですが、私が東日本大震災に直面して考えたことは、鉄道とか道路とか空港とか港湾とか、ばらばらに考えるのではなく、それをネットワーク化して人命をいかに救うか、こういうことに特化した形でもう一度考えてみることが必要ということと、それから、日本海の反対側に韓国とか中国とかの国もありますので、そことの連携もとって、非常時には全力を挙げて人命救助を行うという体制をとることが必要だと思いますが、この件について大臣の御所見を伺って、質問を終わります。

太田国務大臣 全くそのとおりだと思います。

 道路自体をとりましても、代替道路がある、リダンダンシーということが非常に大事で、道路がネットワーク、つながっているだけじゃなくて、いろいろな形で、遮断されたらこちらからも行くというようなことが大事なんですが、大畠先生おっしゃるように、太平洋側と日本海側、そこに港湾というものをどうつないでいくか、その間を道路をどういうふうにネットワークをつくるか、そしてまた空港をどういうふうに絡めていくかという、ネットワークというものをしっかりやることが大事だというふうに思います。

 また、別の角度で、ネットワークをつくるというだけでなくて、事前にそのことをやっておいて、そして協議も行われているという体制で備えていくことが大事だというふうに思っておりますので、努力をしたいと思います。

大畠委員 質問を終わります。ありがとうございました。

金子委員長 次に、寺島義幸君。

寺島委員 民主党の寺島義幸でございます。

 私も、委員長と御同行させていただきまして、被災地の視察をさせていただいた者でございます。

 先ほどの土井先生の質問にもちょっとかぶる部分がございまして、大変失礼とは存じまするけれども、お許しをいただきたいと思うわけであります。

 顧みますれば、死者が一万五千八百人余、そして、いまだに行方不明の方が三千四百人を超えている。家屋の全壊が十二万を超え、当時、三十数万人の方々が避難をされた。まさに国内観測史上最大級の災害であったわけで、信じがたい災害であったわけでございます。

 改めて、現地で犠牲になられた皆様方の御冥福をお祈り申し上げますとともに、一日も早い復興を願ったところでございます。

 そうした中、復興復旧に向けて、政府においては支援策等を講じていただいているわけでありますけれども、確認を含め、ダブって大変恐縮ですが、お伺いをいたします。

 初めに、東日本大震災の復興交付金についてでございます。

 先ほどもお話がございましたが、この交付金活用には一定の制約があり、地元からの改善の要望があったわけであります。三月八日に復興交付金の運用の柔軟化が示されたとお聞きをしておるわけでございます。どのような改善がなされたのかということであります。運用の解釈は、被災地、現地の日々変化する状況に対応がされているんでしょうか。復興事業がスムーズに進むために事務手続は簡素化されているのか。

 本制度は平成二十七年度末まで、先ほど集中支援というようなお話があったわけでありますが、被災地の土地区画整理事業などは平成二十九年までを計画としているというのもあるわけでありまして、そうした先ほどのお話ではありませんけれども、この制度の延長ということが急務であるというふうにも思っています。

 そして、この交付金、先ほど、社会資本整備総合交付金や取り崩し基金の活用を検討するというふうに伺ったわけでありますけれども、具体的方針はどこまで決められているのか、もう一度お伺いをいたしたいと思います。

上田政府参考人 御答弁を申し上げます。

 復興交付金でございますけれども、著しい被害を受けた地域の復興地域づくりを支援するということで幅広い事業を一括化して、自由度の高い効果促進事業がくっついて、それから、基金を活用して、毎年度毎年度差し上げるのではなくて、将来の事業費も含めて基金で差し上げて執行を弾力化するというような、もともと、事務手続の負担軽減を図った制度になっておるということでございます。

 一方で、復興のステージが高まって、やはりいろいろな課題が新しく出てまいっておりますので、そういう被災地の復興交付金に関する要望を年末年始に全て点検いたしまして、それで、三月八日に運用の柔軟化を図ったということでございます。

 基幹事業も、五省庁四十事業でございますけれども、それぞれの事業の中で採択できる範囲を拡大していくとか、あと、効果促進事業につきましても、使い勝手を向上するということで、一定割合を一括配分ということで差し上げる制度はあったんですけれども、それに、ポジティブリストといいまして、リストに合ったものなら自由に使ってくださいと言っていたのを、そういう限定列挙ではないようにするということで、ポジティブリストの廃止というようなこともさせていただいて、柔軟化を図っているところでございます。

 それから、事務手続の簡素化、これにつきましても、これは二十四年の三月に、最初に交付させていただいたときに現地でかなり問題になりましたものですから、相当思い切った簡素化をやっておりまして、それを引き続き、より改善するという取り組みをしております。

 それから、二十八年度以降の支援のあり方、これにつきましては、先ほど申し上げましたけれども、復興地域づくりの進捗状況を踏まえて検討していくということでございますので、現地の御意向なんかもよく踏まえて取り組んでまいりたいというふうに考えているところでございます。

寺島委員 できるだけ現地の状況に即した形で対応をお願いしたいというふうに思います。

 防災集団移転促進事業についてでありますが、これは先ほどの大畠先生の方の質問にかぶりますので、先に進ませていただきます。

 岩沼市の玉浦西地区の集団移転の取り組みについても視察をさせていただきました。岩沼市の井口市長さんから、るるお話を承ってまいったわけでございます。

 この地区は、市の面積の四八%が浸水被害を受けたということでありまして、他の地区のように高台移転ができないということでありまして、別の地に一メートルぐらいのかさ上げをして対応する、多重防御するんだ、そうでなければ、ある意味では浸水地区に住まないと児童も学校もなくなってしまう、こんな状況であるというふうにお話をされておられました。

 そうした中、やはり市とすれば、町を守ると同時に、先ほどのお話ではありませんけれども、新しい町をつくっていくんだということで、まちづくり検討委員会なるものを組織して、新しい土地を用意して、そして女性とか若い人たちにも集まっていただいて、移転先のどこに住むのか、あるいはまた細かな位置関係まで地元の皆様に決めていただくということで、計画がスムーズに進んでいるというふうには伺ったわけでありますが、なかなか目に見えなくて困っているんだ、こういう実情をお話しされたわけであります。

 復興をスピードアップさせて、一日も早く、被災者の皆様に安心して新しい場所で生活していただくことが、市長さんの一番の望みだと思うわけであります。復興事業にかかわる人も不足しているし、現地の意見を聞いて効率的に事業を進めていかなければならないが、なかなか、国もそうなっているのかな、こんな疑問でありました。

 先ほどのお話にもありましたように、例えば、瓦れき、廃棄物対応は環境省、あるいはまた道路整備は国土交通省、福祉施設の復旧は厚生労働省、それぞれ交渉することになっているわけでありまして、それでは何のための復興庁なのか、こう相なるわけであります。事業交渉がワンストップで判断できる復興庁、窓口一本化体制が何より急務と思うわけでありますが、いかがでしょうか。

上田政府参考人 御答弁申し上げます。

 復興庁の組織でございますが、三県に復興局、それから支所、こういう組織の中に現地で職員が張りついておるところでございます。

 こういう復興局の職員が、被災市町村に頻繁に出向いて、さまざまな要望につきましては一元的に受け付けております。また、課題に応じまして、本庁の担当職員も直接市町村に赴き対応するという形で、もちろん、今御指摘ございましたように、それぞれのプロの省庁があるわけでございますので、復興庁で判断できる部分に限界があるというのは御指摘のとおりなんですけれども、とにかく、被災市町村に対しましては、ワンストップでそういう御要望をお受けして、担当の省庁ともよく相談をしてお返しするということを心がけているところでございます。

 それと、予算につきましては、先ほどの復興交付金だけではなくて、被災地向けにつきましては復興庁において全て一括計上いたしまして、被災自治体の要望等を踏まえまして箇所づけも決定するというようなこともやっておりますし、また、事業の実施段階におきましても、各省と連携して被災市町村の課題に対応するということにさせていただいております。

 引き続き、復興庁が、被災自治体のさまざまな要望にワンストップで対応しながら、各省と連携いたしまして、復興の司令塔としての機能を果たしていくべく努めてまいりたいと考えているところでございます。

寺島委員 現地の人も不足しているというふうにも承っているわけでございます。効率のいい復興を進めなければならないわけでありまして、復興庁窓口が一本化して、そして中のことは中でよく合い議していただいて、調整を図って、進みますことを、ぜひ希望いたしておきます。

 次に、被災の元地のまちづくり、これも実は今後大きな課題であろうというふうに思うわけであります。

 例えば気仙沼市などからも御要望をいただいたわけでありますが、災害危険地区には、行政が買い取る土地、あるいはまた多数発生するわけでありますが、これらを集約して有効活用を図ろうにもその手法がないということだそうでありまして、具体的にまちづくりが描けないということであります、特に集落部等においてということで。

 そこで、復興事業を円滑に進めるために、官民の集約方法に関する制度の要件緩和や新制度の要望が強いと聞くわけでありますが、政府の対応はどのようになっているのでしょうか。

上田政府参考人 御答弁申し上げます。

 防災集団移転をする場合に、今おっしゃった元地につきましては、災害危険区域になりまして、行政が買い取るということでございますが、御指摘のように、住宅を移転先に構えていただくためという事業でございますので、元地についても住宅地を中心に買い取るということになっております。

 そういうことで、今御指摘ありましたように、防災集団移転をした後の跡地の利用につきましては、まだらになっているとか、ゴマ塩になっているとか、そういう御指摘もございまして、復興まちづくり、だんだん上へ移っていただくという部分が進んでいくに従って下のことも気になっていくといいますか、そういう御指摘をいただいておりまして、これは今後ますます重要な課題になるというふうに私どもとしても考えているところでございます。

 今の段階といたしましては、一つは、例えば、これは公園としての計画がうまくできる場合ですけれども、公園にするためにつないで買収をするとか、あと、漁港の場合は、漁業集落としての整備ができますので、漁業関係の施設をつくる用地として活用するということについては一つの事業を使ってできるというようなことで、これはいずれも復興交付金を使ってできるものですから、復興交付金の今回の運用の柔軟化の中で、具体的に取り組んでいただくということにしているところでございます。

 それとあと、集約するということについては、土地区画整理事業が使えるところにつきましては、具体的に土地区画整理事業を使いながら集約をしていこうという動きもございまして、これを活用して集約、有効活用を図るということにつきましては、市町村がこういう取り組みをするということでございましたら、計画策定支援などを行ってきているところでございます。

 さらに、こういう、今申しましたようなことがなかなか当てはまらないような跡地もまだまだあるのかなというふうに思いますけれども、さらに円滑な土地利用が進められるように、市町村等の御要望を丁寧に伺いつつ、具体的な課題を明確にした上で、関係省庁と連携して、具体的な検討をしていきたいというふうに考えておるところでございます。

寺島委員 先ほどに関連しますけれども、やはり、これも複数の省庁の調整等が関係するのだろうというふうに思うわけでありまして、復興庁におかれては、それらがスムーズに進むようにお願いをしたいというふうに思います。

 そして、日帰りの視察であったわけでありますが、夕方になりまして東北地方整備局にお伺いをいたしました。激励にもお伺いをいたしたわけであります。

 そのときでありますが、その展示室の片隅に「無名戦士たちの記録」という小冊子がたくさん置かれてありまして、お持ち帰り自由というので持ってまいって、見てみたんですけれども、ある意味では大変感動したわけであります。

 東日本大震災直後の道路啓開という国土交通省の初動活動をなし遂げた東北地方整備局を初めとする地元の人たち、あるいはまた現場でのすさまじいその戦いの記録を、麻生幾さんという人の、作家ですけれども、書いたものでありまして、いっぱいあるんですけれども、一部をちょっと紹介してみたいというふうに思います。

 徳山は対策室で走り回る熊谷を見詰めた。彼女がヘリの離陸を素早く進言してくれなかったら、我々は完全に目を奪われた状態で丸一日、事態を把握できずにいたのだ。夜から始まった国土交通大臣大畠章宏とのテレビ会議で徳山は訴えた。阪神・淡路大震災とは違います、津波型大災害を想定すべきです。大畠の決断は早かった。さまざまな課題を、迷わずその場で即決した。全て任す、国の代表と思ってあらゆることをやってくれ。大畠が特に強調したのは、とにかく人命救助だという言葉だった。徳山は再びマイクを握った。無駄な動きは致命傷となる、人命救助と救援のためのルートを確保するため道をあける、その準備を徹夜で行え、あすから勝負だ。

 くしの歯作戦、それでいこう。そうアイデアを出したのは徳山だった。

 徳山とともに陣頭指揮をしていた副局長の澤田和宏の存在が大きかった。澤田は、くしの歯作戦の指揮を、迷わず道路調査官の林崎吉克に命じた。岩手県久慈市出身の林崎は現地に精通していた。徹夜でプランが練られた。

 三月十二日午前四時二十分、啓開チームという聞きなれない名称の部隊が一斉に動き始めた。障害を取り除いて道を開くこと、これが啓開だ。

 突っ込め。啓開チームは、事務所と出張所の職員数名と、災害時の出動の協定を結んでいる地元建設会社が保有するバックホーとそのオペレーターの構成で進撃を開始した。

 ある啓開チームに参加した建設会社は、みずからの社屋も津波で被害を受け、何人かが行方不明となっていた。しかし、五名の社員がバックホーとともに駆けつけた。彼らは家族のことを心配しながらもやってきてくれたのだ。

 道路啓開完了、その報告が飛び込むたびに、徳山は熱いものが体の奥から込み上げてきた。建設会社の社員も含む啓開チームは、まだ余震が続く中、山道を突き進んでいる。いつ土砂の崩壊があるかもしれず、道路が崩れ落ちる危険性もある。それを物ともせず、啓開チームは突っ込み続けているのだ。

 いろいろあるわけでありますけれども、こういうことを目にしますと、いかにこの災害が未曽有の、そしてすさまじいものであったかということがよくわかるわけであります。と同時に、この初動活動というものがうまくいって初めて、その次の救助とか救援、あるいはまたもろもろの運送活動につながったとわかるわけであります。

 そうした中で、現場である東北地方整備局のもとで、職員、地方自治体や民間企業の皆さんの、まさに連携が大事であったのだろうと思うわけでありまして、初動活動を見事に乗り切ったことも、私もこの文章を拝見させていただいて、大変敬意を表さざるを得ないわけであります。

 私も、長野県北部地震の経験がございますので、現場がいかに大事かということを思い知らされている一人であるわけであります。それは、今日まで、国を初め関係者の方々が、数々の立場で脈々と積み上げてきた経験の上に立ったリーダーの決断とチームワーク、これがあったんだと思うわけであります。そして、これこそが人間力であり、国の財産であると思うわけであります。

 太田大臣に伺います。

 首都直下型地震、さらには南海トラフ巨大地震などが発生するであろうと言われている今日、またしても私たちが経験したことのない大災害が発生したときのことを想定しておかなければならないと思います。国家と国民をしっかり守るためには、いざというときに有効的に機能する人間力としての組織がなければなりません。緊急事態に即応できる組織を準備し、常に訓練をしておくことがまさに重要ではないでしょうか。今回の東日本大震災の教訓から何を学び、将来に向けて、大臣の思いをぜひお聞かせいただきたいと思います。

太田国務大臣 私も、麻生幾さんの書いた文芸春秋、あれは五月号だったと思いますが、直ちに読んで、何人かの人に、買ってお渡したことがあります。その間に「前へ!」という本になりまして、実は、この三月に東北地方整備局が災害初動期指揮心得というのをまとめまして、発災後一時間に何をとったか、何をとるべき行動か、発災後一日間の間に何をやったか、何をやるべきであったのか、発災後一週間からの作戦行動編とかいうことで、またお届けさせていただきたいというふうに思いますけれども、ということをまとめています。

 私たちは、この三・一一から得たさまざまな教訓がありますが、どういうふうに動いていったらいいのか、陣形をどうするのか、戦略をどうするのかということを、今から備えておかなくちゃいけないというふうに思っています。

 それで、今御指摘のありました地方整備局を中心にして、これは国の、国土交通省もそうですが、地方整備局という現場が大事だ、現場に指揮官があるということが大事だというふうに考えまして、現場の地方整備局の中に、TEC―FORCEの拡充強化ということをやらせていただいております。また、今お話ありました、地元建設業界との事前の連携ということもやらせていただいているところでございます。

 また、ことしの二月七日に、南海トラフの地震想定ということで、自衛隊と警察、消防、そして地方自治体を入れて、国交省としての広域連携防災訓練を実施させていただいたりしております。

 これらの教訓をしっかり生かして、体制と人の陣形をしっかりつくっていきたい、このように思っております。

寺島委員 ありがとうございます。

 今、国土強靱化ということが言われております。これも大切なことであろうと思うわけでありますが、危機に際して即応できる人間力の強靱化、これも大事であると申し上げさせていただきまして、質問を終わります。ありがとうございました。

金子委員長 次に、穀田恵二君。

穀田委員 私は、五月二十七日に、JR気仙沼線の仮復旧としてのBRTを調査、視察しました。やはり仮復旧であって、JR気仙沼線の復旧の基本は鉄路の復旧だという思いを強くいたしました。

 私は、被災以来、一貫して鉄路の復活について主張してまいりました。ことしの三月十五日の本委員会で、被災地の鉄道復旧問題を論じ、国としての支援を要求しました。

 太田大臣は、まちづくりとの一体化の上でということの中で、「費用の問題もございます。その中で、国としての支援ができないのかという観点も含めて、この復興調整会議で議論をしている。」との答弁でした。

 二カ月余り経過しました。その後、どのように進展していますか。

鶴保副大臣 委員御指摘のとおり、三月十五日の本委員会において、JR山田線のまちづくりと一体となった鉄道復旧について、国として支援ができないか復興調整会議において議論をしている旨、大臣から答弁をさせていただきました。

 その後の状況ということでございますが、JR山田線については、まちづくりと一体となった鉄道復旧には、原状復旧費百四十億円を超える約七十億円が必要という試算がなされております。これは、例えば駅を移設する山田町織笠地区など、安全な、または鉄道を利用しやすいまちづくりと一体となった鉄道復旧を行うための必要な増額部分でございます。

 このようなまちづくりと一体となった鉄道復旧を考える際に、どのようなまちづくりを行うかという地元の意向、堤防の整備等の安全確保、利用しやすいルートのあり方など、地元の考え方を前提に、関係する事業主体との事業調整を進めていく必要があると考えております。

 こうしたことで、地元自治体と連携を密にとりながら、今議論をさせていただいているところでございます。

穀田委員 地元の考え方を前提に、連携を旨として、こうありました。

 そこで、きのう、大臣は、岩手県の沿岸五市と八戸市、気仙沼市で構成する三陸沿岸都市会議との懇談をしておられます。そのときにも、地元のJRによる調整会議に委ねている、少しずつ話し合いは進んでいると思う、こう述べておられるそうです。新聞によれば、そう書いています。

 ところが、議論すべき場である復興調整会議が開催されていません。現地調査、視察で、菅原気仙沼市長は、開催を要望しているが、応じてもらっていないと訴えました。

 これに対して国交省は、前に進むような会議でなければということで、暗に、進まない会議をやっても無駄だみたいな話をしたことは、皆さんも、行った方が聞いておられると思います。私は全くけしからぬと思います。

 結局、会議を開催しないのは、その事務局たる国土交通省の消極的な姿勢に原因があると言わなければなりません。地元の自治体から批判が出されているのも当然です。

 鉄道局長が言ったわけじゃなくて、現地の運輸局長が言ったことをみんな聞いています。それは確かですから、そこで目の色を変えても、それはあきませんわ。こっちが目の色を変えたんですから。こっちが、何だと目の色を変えたんです。

 要するに、調整会議を開催し、前に進める議論を国がイニシアチブをとって進めるべきだと考えますが、太田大臣のお考えはいかがですか。

太田国務大臣 きのうの件は、釜石の市長さんが来られて、私が会ったということでございます。菅原さんというのは気仙沼ではないかと思うんですが、山田線についてのお話をお聞きしたということでございます。

 現在、復興調整会議におきまして議論をしているJR山田線、また、大船渡線や気仙沼線の三線につきましては、いずれも、まちづくりと一体となった鉄道の復旧ということが重要だという課題のもとで、調整会議だというふうに思っています。

 何よりも、地元自治体とJR東日本との間で、関係する課題についてよく話し合いを重ねていただくことが重要だというふうに私も考えておりまして、そういう意味では、現在のところ、復興調整会議等、さまざまな場を通じて関係者の合意形成が進むように私たちも努力をしたいと思いますし、全体が集まっての復興調整会議というのは、山田線の場合、三月八日以降は行われていないことは事実なんですけれども、それぞれのさまざまな形での話し合いということ自体は進んでいるという認識を私はしております。

穀田委員 山田線と気仙沼線と大船渡線があるのは、私は現地出身の者ですから、よく知っています。復興三陸沿岸都市会議のメンバーとして釜石市長が来ているのも知っております。

 そこで、大臣が支援のあり方に言及したのは三月ですよね、先ほど鶴保副大臣からお話がありましたように。それ以後開催されていない。もちろん、今あったようにさまざまな努力をしていることについて、何もしていないと言っているわけじゃないんです。

 私は、議論を進めるためには、今ありましたように地元自治体、なかんずく被災者住民が主人公の立場を貫かなければならない。ですから、問題点、焦点、何が今問題になっているかということについては、やはり会議をやって、大体、地元の市長が、我々が行ったところで、ちゃんと会議を開いてほしいと言うわけですから、よっぽどじゃないですか。だって、そんなもの、地元の事務局である国交省に言っているけれども、らちが明かないから、やむを得ず言ったと誰だって思いますよね。それほど切なる願いなんですよ。

 それは、前に進む、地元の局長が、前に進む話にならないとだめだから、つまり、話をして、すぐ前に進まないと思っているわけですね。前に進まないのは何なのかということを議論すればいいんですよ。そして、それを市民に明らかにし、住民に明らかにし、知恵も出してもらう、そういう根本的な姿勢に欠けるということを私は言っているわけであります。

 そこで、今、山田線の話が出ましたから、ちょっと山田線に行きたいと思うんですが、先ほど鶴保さんからお金の話が出ました。試算でいうと、百七十と言っていましたけれども、私が聞いていたのは、百四十億円かかって、総事業費でいうと二百十億円かかるというのが当時、三月十五日の太田さんの答弁だったと思います。

 もちろん、私は、この額について精査するということは前提なんですよ。これが本当に正しいかどうかというのは、まだ、もう少し減らすことができるんじゃないかとか、もっとかかるんじゃないかとかありますから、それは精査することは前提なんだ。

 しかし、その上で私は、その際も提案したんですけれども、仮にJRが言っているものが事実だとすれば、その差額の七十億円は国が主体となって負担するから、原状復旧の百四十億円はJR東日本が、もともと原状復旧にそのぐらいかかる、それは出すつもりでいるわけだから、それは負担しなさいということで、国が立場を明確にして、いよいよJR東日本に覚悟を迫って鉄路の復旧を言明させることが必要だ。

 先ほど来いろいろな話がありましたけれども、問題はここなんですよ。ここまで来ている話なんですよ。国も金を出すから、JR東日本も出しなさいということで詰めるかどうかという話なんですよ、もう待ったなしだと。

 私は、先ほど、一番最初に大臣がこう言ってはりました、リアス線の復活に復興を実感したとありました、一番最初に発言しました。

 だとしたら、復興を実感させるためにも、三陸全体の沿線を復活させる、そういう意味での復興を多くの市民に実感させるために、そこへ行くべきだと思うんですが、いかがですか。

鶴保副大臣 先ほどの私の、ちょっと言い方が、言い方がというか、言葉がちゃんと通じていなかったかもしれません。

 原状復旧費は約百四十億円でございまして、それを超える約七十億円が鉄道復旧には必要……(発言する者あり)七十億円です。約です、約七十億円。約が百に聞こえたんですね。(穀田委員「百と言っていましたよ。七十ですね。約と百の間違いね」と呼ぶ)失礼しました。約でございます。

 原状復旧費用はそういうことでございまして、原状復旧費用に相当する約百四十億円については、JR東日本においても、自社が負担すべきと認識をしておるものと承知をしております。

 しかしながら、まちづくりに伴うかさ上げの費用といった、鉄道事業者の側の事情によらない部分については、国としても必要な措置について検討を行う必要があるのではないかと考えておりますので、関係省庁とも連携して検討しておりますところでございます。

 地元の要望は承知しております。最終的には民間企業の経営判断によらざるを得ない部分がございますので、地元、JRなど関係者の合意形成を粘り強く行ってまいる所存でございます。

穀田委員 大臣の発言が、要するに、同じ線上を行っているわけですよ。僕が言っているのは、ここまで来て、今、鶴保さんからありましたように、自社が負担するというところまでは大体はっきりした。そうすると、残りの差額の約七十億円なんですよね。それを、まちづくりとの関係でという話は、もうみんなついているわけですね、そこの話は。だから、出しますから、やりなさいと。

 というのは、JRは、復活します、復旧しますと一度も言明したことがないんですよ。百四十億円を負担するというところまでは大体話がついているのだったら、よっしゃ、じゃ、俺のところ、そろそろ最後七十億円出すさかいに、やろうな、おまえのところも言えよ、俺のところも言うたるしと、ここなんですよ。ここまで来ているところを、もうそろそろ踏み込むべきと違うかということを言っているわけですね、鶴保さん。そういうことを質問しているんです。

 そこで、JR山田線については、今お話があったように、復旧の費用をJRが明らかにした。では、山田線以外の復旧のめどが立っていないJRの運休路線については、はっきりしていないのはなぜなんですか。はっきりしているんですか。

滝口政府参考人 まず、JR山田線でございますが、浸水区間が約二割でございます。JR大船渡線及び気仙沼線よりも被害の程度が少ない、あるいは線路のかさ上げ等はございますけれどもルートの位置の変更がない、こういったことから地元との間の協議が進んでおりまして、先ほど大臣もお話ししましたように、本年の三月八日の第五回の山田線の復興調整会議において復旧費用の概算が出たということでございます。

 一方、御質問の大船渡線及び気仙沼線でございますが、津波による被害が非常に多くございます。あわせて、まちづくりや防潮堤、河川堤防など関係する事業も非常に多うございます。したがって、現時点で復旧費用の算出の前提となる諸条件が整っていないという状況にございます。

 例えば、委員、先日、本委員会で御視察いただいたJR気仙沼線の陸前小泉駅付近でございますが、津谷川の河川堤防及び国道四十五号線のかさ上げ、あるいは小泉の集落の集団移転に伴う鉄道ルートのあり方自体を一体どうするのかといったことについても、まだいろいろ議論がございます。あるいは、この事業自体がどういった事業になるかということについても調整が必要でございます。

 さらに、もう一点、気仙沼市長がおっしゃっておられたのは、近隣の大谷海岸の駅周辺では、防潮堤の整備によりまして、鉄道、場合によっては国道の移設といった可能性が実は出てきております。まちづくりに伴うこういった個別の課題につきまして、地元と関係者間の協議が実は進んでおりませんので、前提条件が整っていないというふうに考えているところでございます。

 これらの路線につきましては、鉄道復旧に関します個々の課題につきまして、東北運輸局、宮城復興局、JR東日本、県、市、町のみならず、関係するそれぞれの事業の主体など関係者間で十分議論をしていくことが必要だろうと思っております。その上で、タイミングを捉えて復興調整会議をしてまいりたいと思っています。

 ちなみに、先ほど、問題点の整理ができていないんじゃないかという御議論がございましたが、ただいま申し上げたような事情につきましては、昨年十二月に開催されました気仙沼線の復興調整会議において、こういった問題があるということがJR東日本から提示されているところでございます。

穀田委員 何をえらい張り切って言うてはるのか。相変わらず、滝口さん、あかんな。

 問題の焦点は、金を出すという結論をあなたがするわけじゃないんです、大臣が決断するんです。大臣はそろそろ決断すべき時期に来ているんじゃないかということを一つ言っているということなんです。それについて、あなたが答えることはできない。

 その上で、二つ目に、諸条件が整っていない。そんなことないですよ。諸条件というのは幾らでもあるんです。つまり、どういうルートがあって、どういう経過があるかという案を含めて検討する試算は可能なんです。今のままでいけば何ぼだ、そしてA案でいけば何ぼだ、B案でいけば何ぼだ、全部出ているんです。だから、JR東日本は全体で約二千億円かかると言っているんですよ。そう言っているでしょう。二千億円かかると言っているんですよ、全体は。だとしたら、一定の積み上げなしに、どうして二千億円が出るんですか。あほなこと言いなさんな。あなたはいつもJRのお先棒担ぎも甚だしいと言わなければならないと思いますよ。

 それで、問題点がはっきりしていない。違うんですよ。わざわざ国会の視察が来たときに、そんな国交省の相手をしている人たちの目の前で、調整会議してくれということを言うほどの切実さをなぜ受けとめられないかということなんですよ。何か先ほど、温かい人がいるとか言っておったけれども、およそ、私は、そういう話をしていたらだめですよ。

 それほどまでに、国交省を目の前にして、建設局も、それから運輸局も、そして我々もいたところで言わざるを得ないというそのせっぱ詰まった状況についての認識を、その程度にしているんだから、だらしがないと僕は言っているんですよ。何が冷たいだ、温かいだ。言っておくよ、一言。

 やはり、こういうのは期限を切って明確にして、いつまでにはっきりしろということで助けるべきなんですよ。何が地元の住民だと、一言言っておかなくちゃ、私は。いいかげん腹が立ったよ。(発言する者あり)それはもういいです、あなたはいいですから。

 それで、私は、だから、詳しい試算というのを、何も、鶴保さんも言っているように約七十億円の差がある、そんな七十一億六千三百九十五万一千三百円なんという話をしているんじゃないんですよ。二千億円かかると言っているんだから、どのぐらいやという話をして、みんなの目の前で、この程度かかるのやな、そうすると、この案がいいだろうか、こんな案がいいだろうか、今どこが詰まっているのか。私、気仙沼の人たちにも電話しましたよ、何が詰まっているか知っているかと。市は、広報をしていて、調整会議を建設局が開いてくれないと言っている、その話しかみんなは知っていないですよ。

 だから、何が詰まっているかという話で、あなたがおっしゃったような話になっていないということでいうならば、やはり現実をきちんと見る必要があるということを言っておきたいと思います。

 時間がありませんが、次に、では、この間行ったBRTの問題についても聞きたいと思います。

 国交省のホームページによれば、定時性向上や輸送力増大を目指したシステム、専用レーンや連結バスの導入で公共交通の利便性向上を図るということらしいです。

 私は、視察でも明確になったと思いますが、全区間がバス専用レーンではありません。バス専用レーンはわずかであります。一般道は、通常の車両に加え、復旧復興のための車両で渋滞している。そこにJRの代替としてのBRTが加わることで、渋滞に拍車をかけている、こういう意見もありました。

 JR気仙沼線の仮復旧として運行しているBRTについて、国交省が言うところのBRTの目的である定時性の確保、大量輸送の実現と言えますか。そこだけ、結論だけ言ってください。

滝口政府参考人 BRTにつきましては、一般的に、まちづくりなどの復興状況に合わせたルート設定や駅の増設などの柔軟な対応が可能であること、また、地震が発生し、津波のおそれがある場合でも、自力で走行できるため、安全な場所へ避難しやすくなることなどの被災地におけるメリットがあるというふうに考えております。

 また、BRTの運行主体でありますJR東日本においては、従来の鉄道と比較いたしまして、大幅な増便を行うとともに、運賃については従来の鉄道と同じレベルに設定をいたしております。高校生を初めとする利用者の声を踏まえながら、サービスの改善を行ってきたところでございます。

 一方で、定時性、大量輸送性について課題があるとの意見も伺っているところでございます。このうち、定時性につきましては、現在、約二割の専用道を約七割まで延伸することによりまして確保しようという方針でございます。また、大量輸送につきましては、高校生の通学など朝夕の混雑状況を踏まえまして、適切なサービスが提供されるよう、必要に応じて指導してまいりたいと思っております。

穀田委員 今の話は大体、国交省が現地で配ったこれに書いているんです。この文書が配られている。

 そこで、今、地元の高校生の声も言っていました。これは、地元の高校生の声、新聞報道よりと書いていて、「早朝や夜遅い便が増えたのはうれしい。」と書いているんですよ。

 私、本当にそうかなと思って、その全文を調べたんです。それが去年の八月二十一日の河北新報と岩手日日なんですね。その後ろの方には、ここは問題だと書いているんですね。これを見ると、本当にええことばかり書いて、ほんまに国交省というのはここまでやるかと。

 これは、「受験生なので授業前の課外授業を受けられたり、遅い時間まで教室で勉強したりできる。」バスは雨の日もかなり混み、時間短縮に期待したい、便数もふえて感謝している。上の方は河北新報、下の方は岩手日日。

 その後ろに、こう書いているんですね。「一方で遠方から通う生徒にはあまりメリットは感じられなかったようだ。「乗る時間は午前六時十五分でこれまでと変わらない。所要時間の短縮効果もほとんどない」と拍子抜けの表情だった。」こう書いてあるんですね。

 ええ話ばかり書いている、それで後ろの方を言いますと、気仙沼高校の校長は、「電車であれば車内で本を読むこともできるが、バスなら乗り物酔いする生徒もいる。BRTで利便性が向上するのは喜ばしいが、最終的には鉄道として復旧してもらいたい」と話している。話は大体両方あるんです。

 もう時間がないから岩手日日は参照しないけれども、いい話ばかり書いて、そんなことをしたら、ほんまにこれはあきませんよ。住民の声をそういうふうに把握しているとしたら問題だと私は思わなければなりません。

 したがって、さっき、ちょっとやりとりして時間を食っちゃって、もうあかんけれども、やはり三線、三陸沿線を鉄路で結ぶというのは大事だと思うんですね。

 こういうことなんですよ。鶴保さんも聞いてほしいんだけれども、新幹線の仙台駅、八戸駅、それから鉄路で三陸の海岸線を結ぶことができれば、人の往来がふえて、経済効果が期待できる。また、住民にとっても、鉄路で仙台につながり、そして東京につながっている。いいかどうかは別ですよ、そういう思いがあるというんだそうですよ、精神的にも大きな復興の励ましになると。

 ところが、陸前高田市では、五月十五日に市議会全員協議会が開催されまして、そこで、市街地の復興の中心ともなるべき市庁舎再建の位置をどうするかという、四案について議論がありました。四案とも、新しいJR陸前高田駅の再建が前提です。

 陸前高田市長はJR東日本盛岡支社に、陸前高田駅の場所を示し、了解を得た上で計画に盛り込んだと全員協議会で答弁しています。

 仮に、この線路の関係でいいますと、山田線とはまた違うから、そこで、JRがいつも言っている、計画の策定がないからなかなかできないんだという言いわけはもう通用しないということなんですよ、駅はここだと決めているんですから。市庁舎が全部で四案あるけれども、市の駅は、高田駅は決まっているんですよ、市の提案では。

 ですから、そういう意味でいうと、にもかかわらずJR東日本というのは、今度は、ここはJR大船渡線ですね、復旧を明言しない。まちづくりの中核として定めているときに、もう既にここは決まっている、そういう問題を含めて、私は、全部やれと言っているんじゃないんですよ、必ず復旧しますという明言をするべきだと言っているんです。そこをやはり突いてもらわなあかんのじゃないですか。

 先ほどのものは、金は出すと言えと言ったんです。今度は復旧を、大船渡線の場合には、そういう駅まで大体決めたのだから、復旧を明言しなさいということを言ったらどうだと言っているんです。

滝口政府参考人 大船渡線につきましては、今委員御指摘の陸前高田につきましては、確かに都市計画が策定されつつありますけれども、一方、小友といったような地区がございます。非常に被災した地区でございます。そういったところのルートがまだ一切決まっていないといったような状況がございまして、鉄道は、当然のことながら全線がつながらないと意味はございませんので、そういったようなそれぞれの問題がある箇所についての問題提起をし、今、地元との間の協議をしている最中でございます。

穀田委員 滝口さん、私、そこを全部つなげとかなんとか言っているんじゃないんですよ。では聞くけれども、大船渡線について全部復旧します、ここの線路をこうしますなんて言えということを私は言っているんじゃないんですよ、復旧しますということについて明言したかと聞いているんですよ。明言していない。

 だから、あれこれあるけれども、線路の道筋はいろいろ違うかもしれぬけれども、高田市は、既に高田駅はここだと決めた、全員協議会でも明らかにした、そう言うんだったら、ここについては、わかりました、必ず復旧しますと。どういう道筋になるかは知らぬけれども、ここはもう決まったわけだから、そういうことについて、しますということを明言していないことが問題じゃないのかと言っているんですよ。

 線路を全部、こう、つなげなんて言っているんじゃないんですよ、私が言っているのは。さっきは金出せと言った。今度は明言しなさいと言っているんですよ。

太田国務大臣 山田線についても、ここについても、私は、鉄路は非常に大事で、その復興ということについての喜びは、きょう冒頭言ったように、普通の交通が通じたということ以上のものがあるという認識をしているし、そして地元も、山田線はつなげ、ここはどういうルートであるにしろ、陸前高田はそこだと決めて、何らかのルートでつないでくれという地元の声というものについては私は十分よく理解をし、そして、そのことはJR東の人たちにも伝わっているし、私も話をしているところでございます。

 最終的にどういうふうな結論でやるかということについては、あくまで地元と復興庁、そして国を出すという、復興庁ということになりますけれども、そういう話し合いの中で行われるということですから、そういう点では、合意形成をしっかりと粘り強く行っていくという立場が、全ての線について共通した私の考えであるということでございます。

金子委員長 穀田君、終了しておりますので、よろしくお願いいたします。

穀田委員 やはり、希望というのは先が見えて生まれるんです。ですから、そういうものについて、はっきりさせるということ、そのためには国のイニシアチブが必要だ、そういうことでやりましょうねということが必要。

 岩泉線のことについてもきょうやるつもりだったんですが、それは聞けずに、ごめんなさい。

 終わります。

金子委員長 次に、坂元大輔君。

坂元委員 日本維新の会の坂元大輔でございます。

 私も、五月二十七日、金子委員長のお取り計らいで視察に行かせていただきました。手配していただいた委員部の皆さんや現地で私たちを受け入れてくださった多くの方に感謝を申し上げたいなというふうに思っております。

 その視察に基づいて、きょうは、港もお聞きしようと思っていたんですけれども、港については先ほど大畠委員から同様の指摘もありましたので、鉄道と観光について主にお伺いをしていきたいというふうに思っております。

 私は実は、被災地、特に気仙沼とは御縁がございまして、議員になる前から取り組んでおりましたNPO活動で、ずっと気仙沼には何度も足を運ばせていただいております。初めて行ったのが震災から二カ月弱の時期でして、大畠大臣もよく御存じだと思いますが、当時は、気仙沼は水産加工で有名な町ですので、その水産加工でストックされていた魚が全部流されて、その魚が全部腐ってすごいにおい、すさまじい腐臭でマスクがないと息もできないような状況でしたし、今回改めて行かせていただいても、やはり当時から考えると、非常に瓦れきも片づけられたり、整然となってきたなという思いを私もいたしました。

 それでは、まず鉄道に関してでございます。

 きょうの委員会でもたびたび議論に上がっておりますBRTにつきまして、私も試乗をさせていただきました。特に専用道路の区間に関しては、非常に快適で、もちろん時間もきっちりと定時性が確保されていて、私は、JR東日本さんの努力に対して非常にすばらしいなという感想を持ちました。実際、駅でたまたま利用されているお客さんともお話ができまして、その方の御意見としては、利便性であったり乗り心地であったりというところで、もちろん違うものは違うんですけれども、鉄道と特に大差はないと思っているし、よく利用させてもらっているというふうにもおっしゃっておられました。

 そして、鉄道に関してですが、寸断された線路も見ましたし、素人目で見てですけれども、新しいルートをまず決めて、そこに鉄道を敷いて、そして鉄道用の駅をつくって電車を通していくということを考えたときに、これは相当なコストがかかるだろうなというふうに素人ながら考えております。

 そこで、まずお伺いしたいのが、例えば、例として、今回視察させていただいたJRの気仙沼線、気仙沼から柳津間をルート変更の上、新たに鉄道を敷いて列車運行させる場合と、現在のBRTを専用道路、これは七〇%まで整備をできますというお答えがありました、七〇%まで整備をさせた上で運行させる場合、コスト面を比較するとどちらが優位なのでしょうか。お答えを願います。

滝口政府参考人 JR気仙沼線につきましては、まちづくりと一体となった復旧に関する議論が現在行われている最中でございます。したがいまして、具体的なルートなどについては、まだ結論が出ていない状況でございます。そのため、気仙沼線をまちづくりと一体となった形で鉄道として復旧させるための事業費の概算というのは、今の段階でお示しすることが実はできないという状況でございます。

 このため、あくまでも机の上での雑駁な計算ということで、私どもの推定というものをお話しさせていただきますと、山田線と気仙沼線につきましては、現在運休中の区間はともに約五十五キロということで、同じぐらいの距離でございます。一方で、津波で浸水した、被災した区間というのは、山田線が約二割、一方、気仙沼線では五、六割といった規模になっております。

 山田線については、先ほどの御議論がございましたように、まちづくりと一体で復旧させる場合の事業費というのは二百十億円という概算が実は出ているところでございますので、この被災した距離だけを単純に掛けてみるということをいたしますと、気仙沼線については、山田線の二百十億円の数倍の事業費が要るのではないかというふうに考えております。

 加えて、先ほどの穀田委員との間で御質問がございましたが、山田線では、線路のかさ上げ部分はございますけれども、まちづくりに伴うルートの位置自体の変更というものはございませんでした。一方、気仙沼線につきましては、大幅なルートの変更を伴う地域というものが見込まれております。このため、さらにコストがふえるのではないかというふうに考えられております。

 一方、気仙沼線をBRTで復旧させる場合のコストでございますが、御案内のように、現在、専用道の整備が進んでいる最中でございまして、最終的なコスト等についてはJRの方がまだ示しておりません。しかしながら、私どもの方が情報を収集いたしましたところ、現時点までに要したコストというのは数十億オーダーであるというふうに聞いております。

 したがって、単純にコストだけを数字で比較したといたしますと、BRTの方が安くなるというふうに考えております。

坂元委員 ありがとうございます。

 机の上でというお答えがありましたが、やはり二百十億の数倍かかる分と数十億という明らかなコスト差があるわけであります。もちろん、先ほどから議論に上がっております、コストだけではない部分というものがあることも十分に理解はしております。

 私も、この二年間、ずっと現地の方といろいろなお話をさせてきていただいております。そういった地元の方々のさまざまな声も理解をした上で、やはりコスト面を比較した場合、そして先ほどの御答弁でもあったとおり、震災時の対応力ですね、バスは自力で逃げられるところまで動けますから。そして、まちづくりの段階に対する柔軟性、つまり、町がこれから復興していく中で、駅というものが、最初につくったところと、実は一番利用効率がいいところと変わってきたりする場合がありますから、そういう場合にもバスの駅だったら簡単に動かすことができる、そういったこと、そしてフリークエンシー、鉄道の約二倍ぐらい便数が走っている、そういう部分を総合的に判断した場合、復旧方策を検討中の線路に関してはBRTを積極活用していくというのも一つの手段であり、私はその方が現実的だというふうに考えております。

 国交省として方針を示して、BRTに対する理解を求めていくつもりはありませんか。お答えをお願いいたします。

滝口政府参考人 委員御指摘のように、BRTは、被災地においては、まちづくりなどの復興状況に合わせたルート設定や駅の増設など柔軟な対応が可能であること、あるいは、地震が発生し、津波のおそれがある場合でも、自力走行できるため、安全な場所へ避難しやすくなることなどのメリットがございます。

 また、JR東日本においても、従来の鉄道と比較して大幅な増便を実は図っております。運賃についても、従来の鉄道レベルと同じということでございます。

 また、主要な利用者であります高校生を初め、いろいろな利用者の声というものを実は聞いておりまして、できるだけいいサービスを提供したいということで、改善に努めているところでございます。

 このようなBRTについては、委員御指摘のように、日々の生活の移動手段や経済活動の基盤としての機能、さらには、BRT自体が観光資源として意味を持つのではないかというようなことがございまして、こういった意味で最大限活用されまして、仮復旧とはいえ、沿線地域の早期復旧に貢献をするということを期待しているところでございます。

 一方で、沿線市町村におきましては、朝夕の混雑時を中心として、定時性や十分な輸送力が確保されていないということで、最終的には鉄道で復旧してほしいという声があるのもまた事実でございます。

 このため、こういった鉄道復旧という問題につきましては、引き続き、復興調整会議の場におきまして関係者との間の合意が形成されるように、そういった努力をしてまいりたいと思っているところでございます。

坂元委員 ありがとうございます。

 もちろん、今おっしゃっておられた、やはり、もとあった鉄道というものをもとに戻してほしいというお声があることも私も実際聞いておりますし、さまざまな面を総合的に判断した上で、これはどこかで決めないといけないことですから、地元ともよく調整した上で決断をしていただいて、そして理解を求めていくということでお願いしたいというふうに考えております。

 それでは、続いて、観光について御質問をさせていただきます。

 私自身が、先ほどから何度も申し述べているとおり、やはり現地に行って、いろいろなものを見たり、現地の方とお話ししたり交流したり、そういった中で、東北の復興というものに対して非常に思いが強くなりました。やはり、震災を風化させずに東北の活力を高めていくためには、現地を訪れていただくことが非常に大事だというふうに考えております。

 観光庁として、被災地域への観光支援としてどのような取り組みを行っておられますか。そして、その成果もあわせて教えていただきたいと思います。お願いいたします。

井手政府参考人 お答え申し上げます。

 観光は、大震災からの復興の上で大変重要な役割を担っております。したがいまして、国内観光と外国人の訪日、両方について申し上げます。

 国内観光につきましては、この春まで、東北観光博ということで、東北全体のエリアをやってまいりました。今年度は、特に太平洋沿岸エリアを中心に、いわゆる復興ツーリズムと言っていますが、語り部のガイドの方の人材育成など、そしてまた、地域のニーズに合った旅行商品の造成、送客といったことをやってまいりたいと思っております。

 また、訪日外国人向けにつきましては、空間放射線量などについての正確な情報発信のほかに、海外のさまざまなマーケットにおきまして、東北地方だけに特化した、いろいろなプロモーションをやってまいりました。この五月にも、ジャパン・ASEANトラベルマートということで、ASEANの旅行会社を一堂に、日本に来ていただきましたけれども、その中の会社の方に東北地域への視察もやっていただいたところでございます。

 また、ちょっと長くなって恐縮でありますが、六月の中旬には、これは初めての会議になりますが、日本とASEANとの観光協力の政策対話というのを東北で開催し、その代表団の方々に東北の御視察をしていただきたいと思っております。

 それから、成果でございますが、東北観光博、十三カ月ほどやりましたけれども、この期間についての数字面での効果を申し上げますと、このうちで、前の年の同時期に比べますと、観光目的だけで旅行された方の数が延べ人数で三百十万人回程度ふえております。また、この経済波及効果は約八百四十億円程度というふうに推計をしているところでございます。

坂元委員 取り組みで三百十万人、これは純増ということでよろしいですかね。三百十万人観光客がふえて、八百四十億円の観光効果があったというところで、引き続き、さまざまな手を打って、形を変えて、東北への観光というものに観光庁として力を入れていっていただきたいなというふうにお願いをいたします。

 そして、観光というものをイメージした場合、東北以外の地方からやってこられる方々、とりわけ外国人の方に訪れていただこうと思った場合、やはり東北の中で拠点となるのは仙台だというふうに思います。

 そして、仙台から沿岸部に行く場合に、具体的に観光資源もあってということを考えたときに、やはり仙台―石巻間が私は非常に大事ではないかなというふうに思っておりまして、JR仙石線が途中で今現在途切れてしまっておりまして、全線運転の再開見込みが平成二十七年度末というふうに聞いております。そして、ここはBRTではなくて代替バスでして、例えば最終便も列車に比べて終電の時間が早いとか、いろいろ不便だというふうにも伺っております。

 観光促進という観点から、このJR仙石線の復旧に集中的に取り組んで、運転再開を少しでも早めることはできないのでしょうか。

滝口政府参考人 御指摘のJRの仙石線でございますが、これにつきましても、復興調整会議の場において、まちづくりと一体となった鉄道復旧について検討を進めてまいっております。

 その結果でございますが、特に被災が大きかった東名と野蒜の駅の間、これを含めました、前後合わせまして約三・五キロの区間につきましては、東松島市の復興まちづくりとあわせまして、高台へ移設をするということになりました。その結果が、平成二十四年二月の第四回の復興調整会議におきまして、平成二十七年度内の運行再開を目指し、JR東日本、関係自治体等は、移設に必要な用地の確保や造成、鉄道施設の整備等において工期短縮に努める等により、一日も早い全線運行再開に向け、お互い協力すると合意されたところでございます。

 その後、地元自治体の協力によりまして、具体的なルートの設定や必要な用地買収などがスムーズに行われておりまして、当初、平成二十七年度内とされました運行再開時期を、平成二十七年内と前倒しをするということが決まっております。また、本年四月には、JR東日本が一部区間の鉄道移設のための工事に既に着手をいたしております。

 このように、仙石線の東名・野蒜駅周辺におきましては、大幅なルートの変更を行うわけでございますが、生活交通の確保、あるいは委員御指摘の観光促進といった観点からも、関係者間の協議が非常に円滑に進んでいるといった事例であるというふうに思っております。

 二十七年内といたしました新しい運行再開時期でございますが、この工事の規模の大きさから見まして、これ以上短縮するというのはなかなか難しい状況にございます。しかしながら、計画どおりの事業進捗を確保するため、私ども国土交通省といたしましても、新たな課題が発生した場合には関係者間の調整を行うといったようなことを行いまして、一日も早い運行再開に努めてまいりたいと思います。

坂元委員 ありがとうございます。

 関係者の方々の御努力によって、平成二十七年度末だったものが二十七年内ということで、三カ月ほど短縮をされたということですね。非常にすばらしいと思います。そういった細かな取り組みを、その他の路線というか、その他の地域でもぜひぜひ行っていっていただきたいなというお願いをさせていただきます。

 今回、この委員会で質問をさせていただくに当たりまして、改めて地元の声を聞きたいなと思いまして、私がちょっと御縁のある石巻の漁師の方と電話でいろいろとお話をさせていただきました。

 彼は、実は私よりもさらに若い二十七歳の漁師さんなんですけれども、津波で家も船も流されまして、今も仮設住宅で暮らしながら、ただ、頑張るんだということで、仲間とともに自分たちで漁業組合を立ち上げて、ワカメや昆布の養殖に取り組んだり、非常に頑張っておられる青年がいらっしゃるんですが、彼と今回話をしたときに、彼から非常に示唆に富んだ言葉をいただきました。

 坂元さん、確かに、今回の震災で東北の漁業というものは非常に大きな被害、壊滅的な打撃を受けました。ただ、実際のところ、震災がある前から、例えば、従事者の高齢化だったり、後継者がいないといった事態だったり、外国の安い輸入品に東北の海産物が負けていったりだとか、そういった本当に震災前から厳しい状況というものがどんどん迫っていた。だから、ある意味、今回の震災を転機にして、今までのように漁協に頼った販売方法ではなくて、自分たちで漁業組合をつくって、新しい自分たち独自の販路を切り開いていくんだ。そういう、今回の震災を転機にして、今までの課題も含めてまとめて解決をしていけるような新しい道を考えたいんだという言葉を彼は言っていました。

 きょう、私が質問させていただいた中で、鉄道の話がありました。とにかく復旧をと、もとあったものを戻してほしいという地元の声があることは十分に理解をしておりますが、国土交通行政においても、そういった新しい東北をつくる、今まであったものをそのままもとどおりにするということではなくて、新しい東北をつくるという視点も非常に大事だと私は考えております。

 この点に関して、大臣の所見を最後にお伺いしたいと思います。

太田国務大臣 全くそうだと思います。

 私の印象では、最初、五百旗頭さんたちを含めて立ち上げた復興についての会議というのは、相当、日本海側と、そして被災に遭った三陸側、東海岸というようなことを、東北全体を新しい東北にという、そうした志向性というのは相当あったと思うんです。

 ところが、現場からいきますと、先ほどの気仙沼の話ではありませんけれども、目の前にカツオが揚がらなければ元気にならないんだ、それで、カツオはことし揚がらなければ、ほかのところに港が行ってしまうんだという焦りが現場であることは事実です。その理念と利害状況という両方を見てとって、そして時間軸の中でそれを決定していくというのが政治の役割だというふうに思っています。

 いずれにしても、そういうような新しい東北ということは常に意識として持ち続けてやっていかなくては、この復興は成就しないと私は思っておりまして、それが、波が押したり返したり、現実になってしまったりということが繰り返されているというふうに思いますが、どちらも大事なので、そういう両方をよくにらんでいくという、それを全部遂行していこうという、私は、政治には肺活量が必要であるというふうに思っているところです。

坂元委員 ありがとうございます。

 私も、本当に同じ思いをいたしております。理想というか、新しい東北というビジョンを見詰めながら、この厳しい、非常に難しい現実を少しでも前に進めていくために、私も、国土交通委員の一人として、これからも御協力していける部分はしていかせていただきますということをお伝えしまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

金子委員長 次に、丸山穂高君。

丸山委員 日本維新の会の丸山穂高でございます。

 委員会の方で御視察に行かれたということで、今回は被災地関係のお話が多うございますけれども、私もこの月曜日に福島の方に行かせていただきまして、この二年間ずっと行かせていただいているところなんですが、非常に震災の問題は大事でございますが、今回、私の質問に関しましては、一般乗用旅客自動車運送事業、いわゆるタクシー事業に関しまして少しお伺いしていきたいと思います。

 まず、タクシーは、現在、一日の乗務距離の上限が定められておりまして、例えば、私の地元大阪では、関西圏では二百五十キロメートル、そして、例えば名古屋であれば二百七十キロメートルが上限として定められているところなのでございますが、そうした中で、五月三十一日に名古屋地裁の方で判決が出まして、そのタクシーの乗務距離の規制に関しまして、これは著しく妥当性を欠いておりまして違法であるという判決が出ましたが、これを受けまして、政府はどのように見解をお持ちで、この判決につきまして、どのように今後対処されるおつもりでしょうか。

松下大臣政務官 お答えいたします。

 今回の名古屋地裁での判決を見ますと、タクシーの乗務距離規制そのものは、輸送の安全確保という立法目的に照らして必要かつ合理的な規制であると認められました。しかしながら、御指摘のとおり、規制の対象として名古屋地域を指定したことは違法であると判断されました。この点につきましては、国の主張が認められなかったものと承知してございます。

 今後の対応につきましては、判決内容を詳細に検討いたしまして、関係機関とも協議し、決定してまいりたいと考えております。

 以上です。

丸山委員 私も経済産業省におりまして、役所の役人でおりましたので、急に役所の方で大きく変えることは難しいということは重々承知しておりますが、少しこの点に関しまして詳しくお伺いしていきたいと思います。

 過労運転の防止のためにという観点からの規制だというお話をされましたが、実は、この過労運転の防止のためには厚生労働省さんの方も乗務時間という形で規制をされておりますし、その上でさらに距離というところまで規制を重ねる必要が本当にあるのかどうかという論点がございます。

 例えば、タクシーの運転手さんのお話を聞いておりますと、逆に、距離を計算しなければならないんだと。距離を計算することで、より負担がかかっておりまして、例えば、規制によっては、高速に乗ったときのインターチェンジ間の距離をわざわざ走行中に計算して差し引かないと上限を超えてしまうかもしれないとか、運転中にです。しかも、距離を超過するかどうかを防ぐために、ふだん走っている安全な道よりは少し近道で、危険ですけれども近道をせざるを得ない、そうしないと乗っていただくことができなくなってしまうような形になってしまうこともあるんだというお話まであります。

 安全性というお話をされましたが、この安全性に関しましても、本当にそうなのかという疑問の声もある中で、かなりこれは過剰な規制になっているんじゃないかというふうに私としては思うんですけれども、この点、再度、どのようにお考えでしょうか。

松下大臣政務官 お答えいたします。

 タクシー事業の形態ですけれども、歩合制賃金が、このタクシー事業におきましては、運転者が収入増を図るために乗務距離を稼ごうとする結果、過労運転や最高速度違反といった危険運転が発生しやすい事情もございます。

 最高速度違反のような危険運転につきましては、御指摘のとおり、厚生労働省の告示等による運転者の乗務時間等の規制のみでは防止することが困難であると考えておりまして、交通の状況などに鑑みて必要と判断される地域では、乗務距離の最高限度を規制する制度を採用しているところでございます。

 タクシー事業における輸送の安全確保という重要な目的のために必要かつ合理的な規制と考えておりまして、今後とも適切に運用していくこととしてまいりたいと思います。

 以上です。

丸山委員 必要かつ合理的な規制だとおっしゃる国交省さんに、もう少し詳しくお伺いしたいと思います。

 この乗務距離の規制に関して、逆に、裏づけるデータについてお伺いしたいんですけれども、走行距離や、またタクシーの台数、運賃規制という形で、あらゆる点で告示等、通達で規制されておりますが、これと、乗務距離と事故率や、また過剰労働の因果関係に関するデータはどのようにあって、そこからこの規制をおつくりになったのかという点についてお伺いしたいと思います。

 同じ労働時間であれば走行距離と事故率については因果関係がない、あるデータによっては、逆にそこは事故率が下がっているというデータすらございます中で、どのような政策的な検証が行われているんでしょうか。御答弁をお願いします。

武藤政府参考人 お答えをいたします。

 まず、走行距離ではなくて、車両の台数について申し上げます。

 平成十四年の規制緩和の直前と平成二十三年度を比較いたしますと、全国のタクシーの車両台数は五・六%減少をしておりますが、一方で、輸送人員につきましては二一・二%の減少ということでありまして、車両台数が減少しつつあるとはいえ、需給を見ますと、依然として供給過剰状態が続いているというふうに認識をしております。

 一方、交通事故の件数でございます。

 走行キロ当たりの交通事故件数は、ここのところ、自家用車を含め全て減ってきておりますが、その中で、タクシーについては、減ってはおりますけれども、全体が減っているという中で、なお相対的に高どまりをしているというふうに認識をしております。

 数字を申し上げますと、平成十三年と二十三年の比較で、自家用車につきましては交通事故件数は二二・六%減、トラックについては三〇・二%減ということでございますが、残念ながらタクシーについては七・二%減、こういう状況でございます。

 それから次に、運転者の労働条件について申し上げますと、平成二十四年のタクシー運転手の年間の所得額は、全産業平均の約半分でございます。額としては年間二百九十六万円という年収でございまして、ここまで落ち込んでいる。かつ、労働時間につきましても、全産業平均が年間二千百八十四時間ということに対して、二百時間も多い二千三百六十四時間という状況でございます。

 このような状況に鑑みますと、乗務距離の最高限度といった規制は、運転者の労働条件を改善して輸送の安全を確保するという目的のために必要かつ合理的な規制と考えておりまして、今後とも適切に適用していきたいというふうに考えております。

丸山委員 いや、今のお話だと、走行距離と事故率の関係は逆に減っていて、関係がないというふうな形にとれるんですけれども。

 乗務距離の最高限度について私も調べさせていただいたら、かなり詳しく告示でも、何枚あるんだというぐらいの規制の度合いなんですけれども、乗務距離の最高限度を定めるときに、限度の算出方法につきまして、その距離、例えば大阪であれば、関西圏であれば二百五十キロメートルが上限なんですけれども、これを定めるときに、走行可能時間というものに平均速度を掛けて算出されております。この走行可能時間というのは、最大の労働上の拘束時間から休憩時間を引いたりして導き出した数字に、なぜか平均速度を掛けて、それでその距離の二百五十なり二百七十というのを出しております。

 今のお話だと、過労運転をとめるためにという規制であるのに、なぜここでその地域の平均速度を出して掛けることで二百五十なり二百七十といった規制をかけるのかという点についても、全くもって政策の規制目的と方法に対して因果関係が感じられないんですけれども、そのあたりに関しましてはどのように御答弁されますでしょうか。

武藤政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、乗務距離規制の考え方でございますが、繰り返しになりますが、タクシーは歩合制賃金が主流で、運転手が収入増を図ろうとすると乗務距離を稼ごうとするということになりかねない。その結果、過労運転とか、かつ最高速度違反という危険運転が発生しやすい事情があると考えております。

 制度自体は、全国で六百三十九ある地域のうち、二十九地域につきまして、例えば流しが多いとか、そういう交通の状況に鑑みて必要と判断して、最高乗務距離を規制しているというところでございます。そういう意味では、先ほど御答弁申し上げたように、厚生労働省の乗務時間だけではやはり足りない、距離を規制する必要があるというふうに考えているところでございます。

 そこで、乗務距離を算出するためには、基本は時間と速度ということでございまして、そういう意味で、乗務員の最大拘束時間、ここから例えば休憩時間ですとか、あるいは会社における点呼、そういった時間を引きまして、そこで走行可能時間が出てまいりますので、これに対して地域の交通の実情を反映した、かつ、これは地域ごとに調査をしておりますが、その調査をした平均速度を掛けて乗務距離を出しているということで、合理的な算出方法であるというふうに考えております。

丸山委員 地域ごとに定めているということですが、地域ごとの違いについて、少しここで質問をさせていただきたいと思います。特に私、地元は大阪でございますので、東京も長うございまして、大阪と東京の走行可能時間についてお伺いしたいんです。

 先ほどの走行可能時間について、休憩時間等を最大の労働時間から引いて算出されているんですけれども、例えば、この大量の資料を東京と大阪で比べてみますと、大阪では走行可能時間の算出に客扱い時間というものがなぜか組み込まれている一方で、東京ではその時間が勘案されないとか、その結果、関西では上限二百五十キロしかできないんですけれども、東京や名古屋では二百七十走れる。また、高速道路の扱いにつきましても、この乗務距離に、なぜか大阪では高速道路で走る場合も乗務距離に入ってしまうんですけれども、なぜか東京では入らない。拝見すると、混雑するときの速度が東京だと低いからという。要は、混雑するから、東京は混むから高速は入れない。大阪は混まないという認識なんですかね。

 そういった意味で、地域ごとに分けられているんですけれども、何かおかしな規制なり算出方法がすごくあるんですけれども、このあたりに関しまして、きちんと現状に合った形で改めていただきたい。特に大阪でもタクシーをよく乗らせていただくんですけれども、何で大阪だけこんな短いねんというお話をよう伺います。こういった点に関しまして、国交省さんとしても改めるべきところは改めていただきたいと思うんですけれども、認識をお伺いしたいと思います。

武藤政府参考人 お答えをいたします。

 乗務距離の最高限度の算出方法につきましては、私ども本省の自動車局が地方の運輸局長に対しまして、例えば指標とか算出式を例示いたしまして、それぞれ地域のタクシー事業について実情を最も理解している地方運輸局長に判断をして設定をしてもらっている、こういう制度でございます。

 まず、御指摘の、大阪の客扱い時間ということでございますが、これは大阪の近畿運輸局におきまして、客扱い時間というものを、いろいろ時間を調査する際にそういう項目もつくって、客扱い時間を調べた上でそれを拘束時間から除いている、こういう算出をしております。東京を見ている関東運輸局では、この客扱い時間という項目はつくらずに、別の手段で、拘束時間から走行距離を出すために、除くべき時間を調査して除いている、そういうことでございます。

 具体的に、御指摘のように、大阪は二百五十で、東京は二百七十という結果になっているわけでありますが、実は、東京と大阪で最も違うのは、拘束時間の中の休憩時間でございます。この休憩時間が大阪は長いということで、そこの違いが二百七十と二百五十、こういう差にあらわれてきている、こういうことであります。

 それから、高速道路の取り扱いについてもお答えをいたします。

 まず、首都高と阪神高速については、これは一般道路並みの扱いでございます。乗務距離にカウントするということでございますが、一方、高速自動車国道につきましては、東京では算入対象外としております。これは、長距離を高速道路に乗って最高乗務距離にすぐ到達してしまうということではサービスにもとるということから除いているわけでございますが、冒頭申し上げたように、地方の運輸局長がそれぞれの地域実態を見て判断をしておりますので、大阪においては、高速道路を五十キロ以上利用した場合に、例えばそれは百キロ利用しても五十キロという数字を算入しようというルールをつくって、二百五十の中にそれを入れているというのが現状でございます。

丸山委員 それは資料を拝見したらわかるところで、大阪圏内でも東京圏内でも、五十キロ走ったら五十キロを超えないなんていうのは、そんな走行距離を超えるのはなかなかないものでありまして、なぜ東京だけ高速道路が入らなくて大阪だけ入るのかという点に関しては、全然答えていただけていないんじゃないかなというふうに思います。

 本当に、タクシーの規制に関しましては、運賃料金の設定に関しましても、例えば一〇年の七月二十七日、ちょうど名古屋地裁での判決がありましたMKタクシーさんの件で、逆に政府側が企業に対して値上げを求めるような通達を出すとか、非常に民間の競争を阻害するような形になっております。

 ほかのバスや航空機、フェリー、非運輸業、いろいろな業種がございますけれども、ここまで細かな運賃に関しましての規制があるものは見当たりません。例えばタクシーなんかですと、読んでいると、二百六十四メートルまでごとに百円加算する、時速十キロメートル以下の運行時間について一分三十五秒までごとに百円とか、本当に細かな規制を定めているんです。

 そういった点に関しまして、どのような意図でタクシー業界に対してここまで規制されているのか、政府としての認識をお伺いしたいと思います。

武藤政府参考人 お答えをいたします。

 タクシーの運賃につきましては、バスも同様でございますが、道路運送法に基づいて一応認可という制度でございます。特にタクシーは、流しで、お客様が街頭で拾われることが多いということもあって、認可のもとにあるというわけでございます。

 それで、今お話しの、例えば百円の刻みが何百メートルとかというのは、まず、金額を百円刻みにする場合に、それをきっちりとした数字にあらわすために単位距離をそういう形であらわしているということでございまして、例えば税とかを転嫁する場合でも、そこは正確にそれが反映されるように、距離の方でそれを調整しているという数字でございます。

 タクシーの運賃の認可の方法でございますが、会社の数が非常に多いということで、まず、運輸局長が地域ごとに運賃の幅を示しておりまして、その幅の中で申請をしていただける運賃については自動的に認可をしているということでございます。それ以外の運賃につきまして個別に審査をしているという制度でございます。

 背景を申し上げますと、平成二十一年に施行されたタクシーの特措法に基づきまして、まず、運賃については適正な原価に適正な利潤を加えたものであるようにという規定が入れられまして、これについて審査をしております。かつ、その際の法案の附帯決議におきましても、こういった運賃は厳格に審査をしなさいという方針が示されております。これに基づきまして認可を今しているということでございます。

丸山委員 政府側の答弁が長いので、もう時間がないので、これで最後、大臣にお伺いして終わりにしたいんです。

 安全が大事で、行政は将来を見据えて安全を守る立場にあって、適正な規制が必要だということは十分理解しているんですけれども、法の強制力を超えるような告示、通達における後づけの規制に関しては、司法の方も厳しい判断をしております。局長名での通達や告示が多いので、法改正を伴わなくても、役所の見直しの決断で、大臣の御決断でできるところも多うございます。

 きょうお話しした点、距離規制の点、運賃料金の設定の件、また大阪では加重処分の問題等々ございます。最後に、この見直しに関しまして、アベノミクスでも規制緩和というお話がありますが、大臣の御見解をお伺いしまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

太田国務大臣 大変申しわけありませんが、時間がオーバーしているので、御意見としてお伺いしておくということにとどめます。

丸山委員 以上で質問を終わります。

金子委員長 次に、柿沢未途君。

柿沢委員 みんなの党の柿沢未途でございます。

 きょうは一般質疑でありますけれども、私、被災地の視察に残念ながら行けませんでしたので、ちょっと別の話題を取り上げさせていただきます。

 きょうは、北朝鮮にかかわる密輸活動の阻止についてお伺いしたいと思います。

 国交省、海上保安庁のみならず、外務省あるいは公安調査庁、政府全体にかかわる話になると思います。

 言うまでもなく、北朝鮮が行っている核技術や大量破壊兵器の他国への密輸出、そして諸外国から北朝鮮へ向けた核やミサイル関連物資の密輸入、これらの密輸活動を阻止することは、我が国ばかりでなく、国際社会にとって喫緊の重要課題だというふうに思います。

 ましてや、北朝鮮は、核実験とミサイルによるおどしを事あるごとに続けているわけです。ことしの三月十七日、朝鮮労働党の機関紙である労働新聞は、侵略者の本拠地に対する核先制攻撃の権利を行使する、米国に土地を丸ごと差し出している日本も例外では決してない、これは脅迫ではない、こういうふうに書いて、日本も核攻撃の対象に含まれる、こういうことを明言しているわけであります。

 現実に、核もミサイルも持っていない国がこけおどしで言っているんだったらいいですけれども、北朝鮮は、まさに密輸貿易の成果として、核もミサイル発射能力も有してしまっているわけであります。これはいわば、国連制裁の網をかいくぐった密輸貿易を許してしまってきたことがもたらしてきた、こういう結果と言ってもいいのかもしれません。

 過去の対応の検証の上に立って、これ以上のエスカレーションを阻止して、国際社会の水を漏らさぬ毅然とした対応で、北朝鮮が図に乗らないようにしなければいけない、こういうふうに思います。

 北朝鮮制裁活動に反する物品の輸出入行為を把握した場合、日本の政府はどのような行動及び措置をとることになっているのか、外務省にまずお伺いしたいと思います。

あべ大臣政務官 柿沢委員にお答えいたします。

 我が国は、外国為替及び外国貿易法に基づきまして、国連安保理決議によって輸出入等が禁止されている品目を含め、北朝鮮との間の輸出入の全面禁止措置をとってきているところでございます。

 個別具体的な事案の対応に関しましては、それぞれの所管官庁が担当しているところでございますが、一般論として申し上げれば、関係省庁は、当該輸出入の禁止措置の実効性を確保するため、関係法令等に従って所要の取り締まり等を実施いたしまして、違法行為が発見された場合におきましては、刑事事件として立件することを含めまして厳正に対処しているというふうに承知をしておるところでございます。

 また、具体例を申し上げれば、北朝鮮との間の輸出入の禁止の措置が実施されて以降、これまでに同措置に関連する不正輸出入等の事件として二十七件が検挙されているものと承知しておりまして、うち二件につきましては、本年に入り検挙されているものと承知しております。

 また、違反事案がある場合におきましては、国連安保理決議の要請に基づきまして、安保理のもとに設置されている北朝鮮制裁委員会への報告を実施しているところでございます。

柿沢委員 あべ外務政務官、大変きりっとしたまなざしで、大変これは実効性のあるものだな、こういうふうにも感じさせていただいたところでありますが、昨年六月十三日の参議院の予算委員会において、玄葉外務大臣は、一番大事なのは制裁決議の実効性を確保することだ、こういうふうに答弁をされています。

 この六月十三日というのがどういうタイミングであったのかは後で言及をさせていただきますけれども、この場合における実効性の確保というのは、これは何を指して言っているのか、もう一度、あべ政務官にお伺いしたいと思います。

あべ大臣政務官 柿沢委員にお答えいたします。

 我が国といたしまして、北朝鮮に対する制裁の実効性を向上させることにより、北朝鮮が拉致、核、ミサイルといった諸懸案の解決に向けた具体的な行動をとり、国際社会と協調する道を選択することを促してきているところでございます。

 そのためには、我が国、厳格に所要の措置を講じることはもちろんでございますが、関係国と緊密に連携協力しつつ、国際社会全体が国連安保理決議に基づく措置を着実かつ全面的に行うことを求めてきているところでございます。

柿沢委員 厳格に所要の措置をとり、また国連制裁決議の実効性を確保するんだ。厳格にと、あの顔でおっしゃられると、さぞかし厳格なんだろう、こういうふうに思うわけであります。

 さて、配付資料に目を通していただきたいと思います。先ほど申し上げました、昨年六月十三日、朝日新聞であります。「中国、北朝鮮に軍用車両」とあります。

 昨年四月の北朝鮮の軍事パレードで新型弾道ミサイルを搭載して登場した運搬・発射用の大型特殊車両が、これは中国人民解放軍系の国有企業の子会社が製造したもので、中国の武漢三江輸出入公司によって、平成二十三年八月、カンボジア船籍のハーモニーウイッシュ号という船で北朝鮮へ密輸されていた。

 この事実が明らかになった経緯なんですけれども、これらの弾道ミサイル運搬・発射用大型特殊車両、この四両を運んだ貨物船、今申し上げたハーモニーウイッシュ号、これが平成二十三年十月に大阪港に入港した。入港したところを海上保安庁第五管区海上保安本部が任意の立入検査を行って、発見された輸出目録の内容からこの密輸の経緯が詳細に明らかになった、こういうことであります。

 海上保安庁第五管区海上保安本部の貨物検査によってこれが明らかになったわけでありますけれども、国交大臣及び海上保安庁長官は事実を把握しているのかどうか、確認させていただきたいと思います。

北村政府参考人 お答えさせていただきます。

 今先生がおっしゃった報道があったことはもちろん承知しておりますけれども、国家の安全保障、国民の安全に関する、いわゆるインテリジェンスにかかわる事柄でございますので、そのような事実があったか否かを含めて、コメントは控えさせていただきます。(発言する者あり)

柿沢委員 大臣、同じ答弁でいかれますか。

太田国務大臣 同じでございます。

柿沢委員 議場からも少し声が飛んでいますけれども、こういう対応で果たして本当にどうなのかということを少しお尋ねしたいと思います。

 今申し上げた事案に関連をして、当時の藤村官房長官、これが事実であれば、安保理の制裁委員会で適切な対応が図られるよう関係国と緊密に連携していく、こういうふうに既に述べられておられます。

 今は、何もコメントしない、こういう話だったですけれども、この間、今に至るまで関係国との緊密な連携を図ってきたのか、かかわった中国企業等への制裁発動を国連安保理に働きかけた、こういう経過はあるのかどうか、いま一度お伺いをさせていただきたいと思います。

金杉政府参考人 お答えさせていただきます。

 あくまでも一般論でございますけれども、一般論として申し上げますと、我が国として関連安保理決議に盛り込まれた措置が遵守され、実効性が担保されることが重要だという観点から、我が国が安保理決議違反やその可能性がある事案について情報を得れば、関係国と連携して対処いたします。

 また、その場合には安保理のもとの北朝鮮制裁委員会で適切な対応が図られるということが前提になりますが、実際、この委員会のもとに設置されております専門家パネルの昨年の報告書の中で、北朝鮮のミサイル発射車両は高度化が進んでいるという分析を述べた上で、今後さらに調査するという記述が行われているところでございます。

 以上でございます。

柿沢委員 結局、言ったのか言わなかったのか、御答弁からはうかがい知ることができないわけですけれども、この件に関連してアメリカの国務省は、報道官によるコメントとして、昨年六月十三日、同じ日ですね、中国側に懸念を伝えた、今後も中国等と制裁の履行に取り組む、こういうふうに語っておられます。

 これは日本政府は同じ歩調であるということなのかどうなのか、お伺いをしたいと思います。

金杉政府参考人 お答えいたします。

 安保理決議の履行を重視しているということは、先ほどお話し申し上げたとおりでございます。

 中国に対しましては、外交ルートを通じまして、本件に関する日本政府の強い関心を伝えた次第でございます。

 以上でございます。

柿沢委員 また、これに関連して、先ほど申し上げたハーモニーウイッシュ号、貨物船ですね、これを運航する中国・大連のハーモニー・グローイング・シップ・マネジメント社、輸出元の武漢三江輸出入公司、製造元親会社の中国航天科工集団公司、これは、外為法により資産凍結等の措置が講じられるべき北朝鮮の核関連、その他の大量破壊兵器関連及び弾道ミサイル関連計画に関与する者に該当するというふうに思いますけれども、これは政府の見解はいかがでしょうか。

あべ大臣政務官 柿沢委員にお答えいたします。

 我が国といたしまして、この関連の安保理決議に盛り込まれました措置が遵守されまして、実効性が確保されるべきと強く考えております。

 また、安保理決議にかかわる事柄に関しましては関心を持ってもちろんフォローしてきているところでございますが、本事案に関しましては、安保理のもとの北朝鮮制裁委員会で適切な対応が図られているというふうに承知をしておりまして、現に、同委員会のもとに設置されている専門家パネル、この昨年の報告書には、北朝鮮のミサイル発射車両、これに関しまして、高度化が進んでいると分析した上に、また、今後さらに調査するとの記述があるところでございます。

 いずれにいたしましても、我が国といたしまして、引き続き情報収集に努めてまいりますとともに、また、関係国と緊密に連携協力を対応していく考えでございます。

柿沢委員 公式スタンスがあるということだと思いますので、金杉官房参事官の御答弁と後半の部分は全く同じ内容であるわけですけれども、これもやむを得ないかなというふうにも思います。

 しかし一方、ことしになって報じられたところなんですけれども、昨年八月、東京港に入港した台湾の海運会社の所有するシンガポール船籍の貨物船を東京税関が貨物検査特措法に基づいて貨物検査したところ、核、ミサイル開発に使えるアルミニウム合金を押収して、これが北朝鮮からミャンマーへの禁輸品の輸出だったということで、国連制裁委員会に日本政府が報告書を提出したと報じられています。これが日本政府が国連制裁決議違反について制裁委員会に報告をした初めてのケースだというふうに報じられているんですね。

 これは逆に言えば、きょう紹介した弾道ミサイル運搬・発射車両密輸事案については、日本政府は国連制裁委員会への報告を今に至るまで見送っていたということを示していることになるのではないかというふうに思うんです。

 いいでしょうか、北朝鮮のミサイル発射については、昨年十二月には長距離弾道ミサイルが発射をされて、その後も、核実験に引き続いて、新型中距離弾道ミサイル、ムスダンを発射するぞ、発射するぞ、こういうふうに金正恩体制によるおどしが続いているわけです。

 日本政府も、今もPAC3を配備して迎撃態勢を解除していない。これで車両搭載型の弾道ミサイルの発射が可能になるとすると、これは北朝鮮の挑発、暴発行動の兆候を察知したり迎撃したりするのは一層困難になってしまう、極めて深刻な話だというふうに思うんです。

 そもそも、中国は、国連制裁決議に反する北朝鮮支援を一貫して否定をしてきた。しかし、このような事実が明らかになったわけです。にもかかわらず、今に至るまで、国連制裁決議違反のこの大量破壊関連兵器密輸事案について、中国も、かかわった中国企業も、何ら罰せられることのない、やり得の状態が続いています。

 それどころか、海上保安庁から外務省に出向していた国際情報官室の企画官が、記事が掲載されたことに関連して事情聴取を受けた直後に、みずから命を絶ったというふうに報じられています。中国への配慮から、アメリカ主導で一連の結果を公表せず、朝日新聞に掲載された後、リークしたのではないかと疑われての事情聴取だったとも言われています。

 悪いのは一体誰なんですか。事実をつかんだら、やり得を許さずに、制裁の対象にすることこそ、制裁決議の実効性の確保というものなのではないでしょうか。

 もう一度お伺いをいたします。

 昨年六月十三日、玄葉外務大臣が、一番大切なのは制裁決議の実効性を確保することだ、こういうふうに答弁されています。実効性の確保というのは何を指しているんですか。ぜひ、もう一度御答弁ください。

金杉政府参考人 お答えいたします。

 先ほどあべ政務官から御答弁がありましたとおり、実効性を確保するということは、すなわち、北朝鮮が拉致、核、ミサイルといった諸懸案の解決に向けた具体的な行動をとって、国際社会と協調する道を選択するように圧力をかけていく、これが実効性を確保するということの意味だというふうに私どもは理解しております。

 以上でございます。

柿沢委員 やっているんですか、そしてできているんですか、実効が上がっているんですか、こう申し上げたいと思います。

 次に、平成二十三年六月には、大量破壊兵器関連物資を搭載していた可能性が指摘された北朝鮮船舶ライト号、当時はベリーズ船籍ですね、これに対して、アメリカ海軍の駆逐艦マッキャンベルが、旗国であるベリーズの同意を得た上で貨物検査を行おうとしたところ、このライト号というのが検査を四回にわたって拒否して、そして、船長は、この船は北朝鮮の船だと言って、そのまま北朝鮮に逃げ帰ってしまった、こういう事案が明るみに出ています。

 この事実は、きょう御配付させていただいている資料の二枚目、公安調査庁の報告書「内外情勢の回顧と展望」平成二十四年版にも記されていて、日本政府としても事実を確認しているものと思います、この表記を見ると。

 旗国の同意を得て行おうとした貨物検査要求を拒否するというのは、北朝鮮密輸船への検査を定めた国連安保理決議一八七四の十二項、また、PSI、拡散に対する安全保障構想、そして公海における旗国の排他的管轄権を定めた国連海洋法条約九十二条及び公海に関する条約六条、これら全てに照らして、このライト号には検査受忍義務があり、その違反があったというふうに思いますけれども、政府の見解はいかがでしょうか。

あべ大臣政務官 柿沢委員にお答えいたします。

 お尋ねの事案につきましてでございますが、直接の当事国、この米国国務省も、当時記者会見で明らかにしているとおりでございまして、国連安保理決議により禁止された物質を運搬していると疑われる船舶につきまして、米国は旗国であるベリーズから貨物の検査の同意を得まして、同船舶に対する貨物検査を要求したものの、おっしゃるとおり、その同船舶の船長が貨物検査を拒否し、また北朝鮮に戻ったという事案であるというふうに承知をしているところでございます。

 我が国は、当該事案の直接の当事者ではなく、事案の詳細について把握する立場にないことから、お尋ねの法的評価についてコメントすることは差し控えたいと思っております。

 その上で、一般論として柿沢委員に申し上げれば、この部分、公海上にある船舶、国連海洋法条約第九十二条、ここに規定されているとおり、いわゆる旗国の排他的管轄権に服することとされているところでございますが、国連安保理決議一八七四号でも記述のあるとおり、この旗国の同意がある場合におきまして、こうした公海上の船舶、旗国以外の国による貨物検査を受けることが想定されているというふうに承知をしているところでございます。

柿沢委員 ありがとうございました。

 今のライト号の運航会社、当時ですけれども、中国大連市の大連シー・グローリー・シッピング、これは、逃走事件後も、制裁は何ら科されていません。ライト号の登録所有会社は、香港で登記をされたエバー・オーシャン・シッピング・エージェンシーという会社で、これは大連シー・グローリー・シッピング、先ほどの会社の関連会社です。この会社の役員の崔七星という男は、別の香港籍企業を北朝鮮国籍の男とともに経営をしていて、北朝鮮船籍の船を所有しています。大変北朝鮮と密接な関連の持ち主であります。

 この大連シー・グローリー・シッピングは、やはり、外為法により資産凍結等の措置が講じられるべき北朝鮮の核関連、その他の大量破壊兵器関連及び弾道ミサイル関連計画に関与する者というものに該当すると思いますけれども、政府の見解をお尋ねします。

金杉政府参考人 お答えいたします。

 我が国は本事案の直接の当事者ではございません。また、結果的に、御指摘の船舶につきましては貨物検査が実施されていないという事案であることから、御指摘の点を含めまして、個別具体的な対応について予断を持って申し上げるのは現段階では難しいというふうに思っております。

 以上でございます。

柿沢委員 ちょっと待ってくださいよ。これは資料で、そもそも公安調査庁の報告書にこういう事案が明らかになっていると書いてあるじゃないですか。書いてあることを、明らかになっている、政府として把握していることをしっかりと踏まえながら対応を講じることは当たり前のことなんじゃないんですか。こういうことで本当にいいんですか。もう一度御答弁ください。

金杉政府参考人 お答えいたします。

 繰り返しになって恐縮でございますけれども、結果的に、御指摘の船舶についての貨物検査が実施されていないということから、その個別具体的な中身について、今の時点で予断を持って申し上げるのは大変難しいということを御理解いただければと思います。

 以上でございます。

柿沢委員 期せずして自民党の先生から拍手をいただいて、私、大変心強く思っているんですけれども、このライト号、船名を今はビクトリー・スリーと名前を変えて、しかも船籍をベリーズからシエラレオネに変えて、登録運航会社を変えて、今も外洋を航行中なんですよ。いわば、おとがめなしの状況が続いているということですよ。

 しかも、昨年八月十三日には、この大連シー・グローリー・シッピングの関連会社の運航するジャイアントシー号という船が、横浜港にぬけぬけと入港しているんですよ。しかも、この船はこういう関係のある会社が運航している船ですよと事前に通報があったにもかかわらず、入港を認めているんです。

 なぜ、日本政府として、この事案を確認しながら、この入港を許可したんですか。お伺いします。

北村政府参考人 今先生お尋ねのジャイアントシー号が、昨年の八月十三日に横浜港に入港しました。それは事実でございます。

 この船は、香港籍の船でございます。したがいまして、北朝鮮の船の入港を禁止しております特定船舶の入港の禁止に関する特別措置法の適用対象になる船舶ではございませんので、入港をいたしております。

 そして、我々では、海上保安庁の方におきましては、入港時に立入検査を実施いたしました。立入検査の結果は、特段の問題は認められなかったというものでございます。

柿沢委員 取り締まる法律がないみたいなことをおっしゃっているんだと思うんですけれども、しかし、今申し上げたとおり、公安調査庁の報告書には、先ほどの、四回拒否して北朝鮮に逃げ帰ったというライト号の事案は、事実としてほぼ明らかになったという表現で記載をされているわけです。

 それは、貨物検査を行っていないのでどうだったかわからないとか、いろいろなことを外務省の方は言われたわけですけれども、解釈のしようによっては、国土交通省さんも、海上保安庁さんも、外務省さんも、公安調査庁の言っていることは話半分だと、こういうことを言っているようにも聞こえてしまうんですけれども、ここの部分、こういう対応で、こうした報告書を公表されて、注意喚起をし、政府の対応として国民に示した公安調査庁さんとしてはどう思われるんですか。次長が来られていると思いますので、お伺いします。

小島政府参考人 お答えをいたします。

 公安調査庁といたしましては、委員御指摘の事案につきましては、平成二十三年六月に、米国が、安保理決議千八百七十四号第十五項に基づいて、安保理の北朝鮮制裁委員会に対して報告書を提出した事実であると承知をしておりまして、それらの事実に基づきまして、公安調査庁といたしましては、こういう事実があったものだということで、回顧と展望に記載をしているところでございます。

 なお、平成二十四年六月に公表されました安保理の北朝鮮制裁委員会の専門家パネルの報告書によりますと、当該事案は、平成二十三年五月に北朝鮮を出航したMVライト号について、安保理決議一七一八号及び一八七四号で禁じられた物資を輸送していると信じる合理的根拠があった。米海軍船舶が同年五月二十六日に、旗国であるベリーズの許可を得て、MVライト号に停船を求め、検査を行いたい旨、同号船長に伝達したものの、同船長が北朝鮮の船舶である旨、答え、乗船及び検査を拒否し、同船は、同年五月二十九日に方向を変え、北朝鮮に戻ったという形で記載されておりますところでございまして、そういう意味では、当庁の理解していた事実をそのまま、回顧と展望に記載した、こういうものでございます。

柿沢委員 今までるるお伺いをしてまいりましたけれども、今まで言及をした国連制裁決議違反の密輸事案には、全て中国大連の会社が何らかの形で、輸出元だったり運航会社だったり、こういう形でかかわっています。大連が北朝鮮密輸活動の拠点となっていることは、これはつとに知られていることであります。いわば大連コネクションというものであると思います。今もこれらの会社は、結局はおとがめなしに、普通に経営され、そして船を運航している、これが実情なんです。

 おわかりいただけるように、中国企業を抑えなければ、国連制裁というのは結局ざるになってしまうんです。そして、明らかになった事実があるにもかかわらず、中国企業に対する制裁活動はいまだ一つも発動されていない。いわば、ざるのままの対応を日本政府はしていると言わざるを得ないのではないかというふうに思います。

 日本に対して、あるいはアメリカに対して、大量破壊兵器の矛先が向けられているわけです。ここをざるにするということは、みずからを、自分の国を危険にさらしているのと全くイコールのことだと思います。

 これらのどこが、三たびお伺いしますけれども、昨年六月十三日の参議院予算委員会における外務大臣の答弁である、大切なのは制裁決議の実効性を確保することだ、こういうことになるんでしょうか。言っていることとやっていることが不整合になってしまっているのではないかと思います。

 中国企業に、明白になった事実を踏まえて、やはり制裁といいますか、少なくとも関与したという事実、かかわったという事実を公表して、そしていわばブラックリストに載せる、そうしたことによって、取引先も萎縮をする、そして貿易関係も継続しがたくなる、そしてお金のルートが断たれれば、こういう会社は存続不可能になる、まさにこのような形で密輸貿易の根源を断ち切っていくことが必要だというふうに思います。

 この意味で、北朝鮮の密輸活動を阻止する上で、関与した中国企業への日本政府として独自の制裁というものを考えていくべきだと思いますけれども、政府の見解をお伺いいたしたいと思います。

あべ大臣政務官 委員にお答えいたします。

 いわゆる北朝鮮の密輸を阻止する上での、関与した企業の独自制裁を考えるべきではないかという御質問であったというふうに思います。

 現時点で、御指摘のありました企業を制裁対象として指定している国はないものと私ども承知しております。

 しかしながら、我が国といたしましては、米国や韓国などの関係国と緊密に連携をいたしながら、拉致、核、ミサイルといった諸懸案の包括的な解決のために我が国がとるべき最も有効な手段は何かという観点から、総合的に判断をすべきであるというふうに考えております。

柿沢委員 御答弁は御答弁として、私、一定の限界があることは理解をしながら、この質問を通告させていただいているつもりです。こちらから投げかけたボールを受けとめていただいて、そして政府の部内でさらに検討し、そして対応をしていただければいいものというふうにも思っています。ですから、ここで、ばっさりやりますとか、こういうことでなかったとしても、ここは理解をしたいと思います。

 ましてや、何度も何度も御答弁をいただいているうちに、ふだんは本当に花のようににこやかなあべ政務官のお顔がだんだん険しくなってきて、もともと柔和な方でもないかもしれませんが、とにかく、私もちょっと、対話と圧力といいますが、圧力に押されてしまったような感じもありまして、時間も少し余しておりますけれども、しかし、委員会開会時間の四時は回っておりますので、時間を余して、これで質問は終わりにしたいと思います。

 ありがとうございました。

金子委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時五分散会


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