衆議院

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第8号 平成25年11月22日(金曜日)

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平成二十五年十一月二十二日(金曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 梶山 弘志君

   理事 赤澤 亮正君 理事 秋元  司君

   理事 大塚 高司君 理事 西村 明宏君

   理事 望月 義夫君 理事 若井 康彦君

   理事 井上 英孝君 理事 伊藤  渉君

      秋本 真利君    穴見 陽一君

      井林 辰憲君    泉原 保二君

      岩田 和親君    小田原 潔君

      大西 英男君    勝沼 栄明君

      門  博文君    國場幸之助君

      斎藤 洋明君    坂井  学君

      桜井  宏君    清水 誠一君

      白須賀貴樹君    末吉 光徳君

      武部  新君    谷川 弥一君

      津島  淳君    土井  亨君

      中村 裕之君    長坂 康正君

      原田 憲治君    平沢 勝栄君

      ふくだ峰之君    前田 一男君

      牧島かれん君    三ッ林裕巳君

      宮川 典子君    宮崎 政久君

      宮澤 博行君    務台 俊介君

      泉  健太君    後藤 祐一君

      津村 啓介君    寺島 義幸君

      三日月大造君    岩永 裕貴君

      坂元 大輔君    高橋 みほ君

      西岡  新君    松田  学君

      北側 一雄君    佐藤 英道君

      杉本かずみ君    穀田 恵二君

      柿沢 未途君

    …………………………………

   国土交通大臣       太田 昭宏君

   国土交通副大臣      高木  毅君

   国土交通大臣政務官    土井  亨君

   国土交通大臣政務官    坂井  学君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  小西  昭君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 荻野  徹君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 種谷 良二君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  滝口 敬二君

   政府参考人

   (国土交通省北海道局長) 関  博之君

   政府参考人

   (観光庁長官)      久保 成人君

   参考人

   (北海道旅客鉄道株式会社代表取締役社長)     野島  誠君

   参考人

   (北海道旅客鉄道株式会社常務取締役総合企画本部長)            小山 俊幸君

   参考人

   (北海道旅客鉄道株式会社取締役鉄道事業本部工務部長)           笠島 雅之君

   国土交通委員会専門員   宮部  光君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月二十二日

 辞任         補欠選任

  秋本 真利君     穴見 陽一君

  門  博文君     勝沼 栄明君

  國場幸之助君     津島  淳君

  佐田玄一郎君     武部  新君

  白須賀貴樹君     宮川 典子君

  谷川 弥一君     末吉 光徳君

  林  幹雄君     平沢 勝栄君

  前田 一男君     清水 誠一君

  務台 俊介君     宮崎 政久君

  泉  健太君     津村 啓介君

  西岡  新君     高橋 みほ君

同日

 辞任         補欠選任

  穴見 陽一君     秋本 真利君

  勝沼 栄明君     門  博文君

  清水 誠一君     前田 一男君

  末吉 光徳君     三ッ林裕巳君

  武部  新君     佐田玄一郎君

  津島  淳君     牧島かれん君

  平沢 勝栄君     林  幹雄君

  宮川 典子君     白須賀貴樹君

  宮崎 政久君     務台 俊介君

  津村 啓介君     泉  健太君

  高橋 みほ君     西岡  新君

同日

 辞任         補欠選任

  牧島かれん君     小田原 潔君

  三ッ林裕巳君     谷川 弥一君

同日

 辞任         補欠選任

  小田原 潔君     國場幸之助君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 国土交通行政の基本施策に関する件(JR北海道問題等)


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     ――――◇―――――

梶山委員長 これより会議を開きます。

 国土交通行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 本日は、特にJR北海道問題等について調査を行います。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として北海道旅客鉄道株式会社代表取締役社長野島誠君、北海道旅客鉄道株式会社常務取締役総合企画本部長小山俊幸君及び北海道旅客鉄道株式会社取締役鉄道事業本部工務部長笠島雅之君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

梶山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として国土交通省鉄道局長滝口敬二君、北海道局長関博之君、観光庁長官久保成人君、内閣官房内閣審議官小西昭君、警察庁長官官房審議官荻野徹君及び警察庁長官官房審議官種谷良二君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

梶山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

梶山委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。平沢勝栄君。

平沢委員 おはようございます。自民党の平沢勝栄でございます。

 まずは、野島参考人、小山参考人、笠島参考人には、お忙しい中おいでくださいまして、本当にありがとうございました。

 このJR北海道の問題は、北海道の道民だけじゃなくて、日本国民誰もが非常に悲しんでいるのではないかなと思います。私も世界じゅうで鉄道に乗ったことがありますけれども、世界の鉄道と比較して日本の鉄道は、極めて正確であり、極めて安全であり、極めて快適であるという高い評価を今までいただいてきたはずでございます。日本の鉄道というのは日本の誇るべき文化と言ってもいいのではなかったかなと思います。その文化が、最近の一連のJR北海道の問題で、もろくも崩れ去っているのではないかなという感じがして、極めて残念でなりません。

 二〇一一年の五月二十七日に、JR北海道では、七十九人の方が負傷されるという大きな事故がありました。それを踏まえて大きな取り組みをされたはずでございます。それからもいろいろな問題が起こっている。そして、ことしの九月十九日ですか、函館線で貨物列車の脱線事故というのが起こっています。この間も、何も起こっていないんじゃないんです。脱線事故は起こる、車両火災は起こる、ブレーキのふぐあいは起こる、それから発煙は起こる。トラブルというか問題のオンパレード、デパートみたいなものでございまして、まあよくもこれだけ次から次に起こるなと思います。

 そこで、まず初めに野島参考人。JRはほかにもあるんです。経営の厳しいところはほかにもあるんです。人員の厳しいところはほかにもあるんです。例えばJR四国なんかもあります。何でJR北海道はこんなに不祥事というか事故というか問題が次から次に起こるんですか。御意見をお聞かせください。

野島参考人 お答え申し上げます。

 弊社は、今委員の御指摘のとおり、平成二十三年五月二十七日に石勝線におきまして列車脱線火災事故を起こしたことの反省に立ちまして、安全性向上のための行動計画を策定いたしますとともに、昨年十一月にはこの行動計画を計画的、具体的に実行するための安全基本計画を策定し、安全性の向上に全社を挙げて取り組んできたところでございます。

 しかしながら、今御指摘のとおり、今年度に入りましても、車両から出火するなどの車両故障が相次ぎ、また、九月には貨物列車の脱線事故があり、その後、この脱線事故に関係いたしまして線路検査記録を緊急点検いたしましたところ、多数の箇所において、会社で決めたルールどおりの線路の補修作業がなされていなかったことが判明をしております。さらに、この軌道の関係では、軌道変位データの改ざんといいます鉄道事業者にあってはならない事象も発生させてございます。

 これらの事故、不祥事により、お客様に大変御迷惑をおかけし、また、地域の皆様にも、さらには全国の多くの皆様に多大な御心配、御迷惑をおかけしていることを心よりおわび申し上げます。

 九月から十一月までに、三度にわたり国土交通省の特別保安監査を受査しております。十月四日及び二十五日には、当面の改善指示をいただいております。これら改善指示を厳粛に受けとめ、改めて、極めて重大な事態を発生させたと認識をしておるところでございます。

 先ほど御質問にございました、当社に事故が続いているということでございますが、安全第一を掲げながら、現実には社員全員にそれが浸透していなかったということから各種事態が発生したものと深刻に受けとめてございます。

 現在、日々の安全を確認し、列車を運行しているところでございますが、今後につきましては、国土交通省の御指導も踏まえながら、全社を挙げて、私が先頭に立ち、再発防止に取り組んでまいりたいと考えてございます。

平沢委員 私の質問に対しては、ピントがずれているんじゃないでしょうか。

 二〇一一年五月に、大きな、七十九人の方が負傷されるという事故が起こりました。それ以来、社内でいろいろな取り組みをしてきたはずでございます。にもかかわらず、何らそれが功を奏していないのはなぜなのかということを聞いているわけです。

 そこで、具体的にお聞きしますけれども、まず、JR北海道の中には安全推進委員会というのがございますね。そして、この安全推進委員会が安全のいろいろな対策を講ずる機関だと理解していますけれども、具体的にメンバーは誰で、具体的にどんなことをやっているんでしょうか。

野島参考人 安全推進委員会につきましては、事故の防止及び労働災害防止に関する事項を総合的に検討し、安全確保上有効かつ適切な対策を樹立し、これを強力に推進する、こういったことを目的にいたし、社長、私を委員長といたし、安全統括管理者でございます鉄道事業本部長を副委員長、その他、総合企画本部長、経営企画部長等々の本社の主要な部長、並びに各支社長もこのメンバーに入り、安全推進委員会を構成してございます。

平沢委員 今お聞きしますと、安全推進委員会が社内で安全対策の中枢の機関である、こういうふうに理解しましたけれども、この前、国土交通省の保安監査が入ったときに何て指摘されたかというと、この安全推進委員会では、トラブルが頻発しているにもかかわらず、いろいろな報告は上がってくるけれども、報告でとどまっている、何らそれに対して調査審議がされていない、こういう報告が、国土交通省の監査の結果、出ているんです。

 要するに、中枢の安全に関する機関がある、そこに、現場からでしょう、いろいろな報告は上がってくる、ただ聞きおくだけ、それに対して何ら対策、調査をしていないということが国土交通省の報告に出ているんですけれども、もしそのとおりであるならば、この安全推進委員会というのは何のためにあるんですか。実情を教えてください。

野島参考人 安全推進委員会の目的につきましては、先ほど御説明させていただいたとおりの目的で設置をしてございます。

 しかしながら、この安全推進委員会につきましては、定例的に毎月一回開催としてございます。また、そのスケジュールにつきましても、年間スケジュールを決めて実行をしてきております。このために、発生いたしましたトラブルを迅速に安全推進委員会で議論できなかった場合がございました。この点は反省をしておるところでございます。

 また、必要な対策が確定してから報告する、あるいは、急を要するものにつきましては、安全推進委員会ではなく、毎週一回開催されております経営会議という会議体で議論を行うというような形で行ってきておりました。

 このために、先ほど委員御指摘のように、トラブルが最近頻発しているにもかかわらず、安全推進委員会では、それらの一部の報告等にとどまっており、十分な審議が行われていなかったということを反省しているところでございます。

平沢委員 冒頭申し上げましたように、今までいろいろなトラブルがありました。脱線だとか車両の火災だとかあるいはブレーキのふぐあいだとか、いろいろな問題がありまして、これらについては当然、安全推進委員会に上がってきただろうと思います。そのときに手を打っていれば、その次の問題は起こらなかったんじゃないですか。

 ですから、今、野島参考人のお話を聞いていますと、いろいろとやってきたというふうに聞こえるんですけれども、いろいろな問題が次から次に起こっているということは、最初の問題が上がってきたときにきちんとした手を打っていれば、次の問題は防げたんじゃないですか。その辺はどうですか。

野島参考人 今委員御指摘のとおりで、安全推進委員会において十分な議論、頻発いたしましたトラブルについての議論が不足していたという点については、先ほど申し上げたとおり、反省をしておるところでございます。

 一方で、毎週一回開催されます経営会議等の場において、それぞれの事象についてはタイムリーに検討をしてきております。しかしながら、現実としては、同じような原因に基づきますトラブルが連続したりというような実情にございます。

 そういった点では、それぞれの事象に対する追求、原因の究明といったところに至らざるところがあったということについては、反省をしております。

平沢委員 今、経営会議と言われましたけれども、週一回の経営会議は、例えば安全対策上は非常に効果があるものなんですか、ないものなんですか。どうなんですか。

野島参考人 週一回の経営会議も、私が議長で、毎週開催をしている会議でございます。メンバーにつきましては、先ほど申し上げましたが、各支社長は入ってございませんが、安全推進委員会とほぼ同じメンバーで構成されております会議です。

 そちらで安全に関することにつきましても議論をしてございまして、そこでの議論は事故防止あるいは再発防止に一定の効果があったものと考えてございます。

平沢委員 効果があったものということを言われましたけれども、結果として次から次に問題が起こっているわけですから、効果がなかったんじゃないですか。そういう認識をされるからおかしくなっちゃうんじゃないですか。

野島参考人 大変申しわけありません。

 確かに、連続して事故が続いているということでございますので、その場におけます議論につきましても十分には尽くせておらなかったというふうに反省をしております。申しわけございません。

平沢委員 ちょっと問題に対する危機意識が余りにも弱いんじゃないかなという気がしないでもないんです。

 二〇一一年の五月二十七日の大きな事故の後、先ほどお話がありましたけれども、JR北海道では、安全性向上のための行動計画というのをつくられました。そして、昨年は安全基本計画というのをつくられました。

 これをちょっと読ませていただいたんですけれども、本当にすばらしいことが書いてあるんです。「安全に対する現状の総括(反省と教訓とすべき課題)」、こういうタイトルがついていまして、本当に細かく、こういうことに注意しなきゃならない、こういうことに力を入れなきゃならないということがるる書いてあります。

 そして、この安全性向上のための行動計画の中では、次の安全性向上のための行動計画に記載する各項目について全力を挙げて取り組んでいくことにしますといって、その八項目というのは何かというと、企業風土の改革、安全マネジメントの再構築、それから業務執行体制・運営の見直し、人材育成・教育と訓練の実施等々書いてあるんです。

 これらに一生懸命取り組むということを約束したのは、平成二十三年九月十六日なんです。あの五月の大きな事故が起こった後なんです。

 そして、昨年は、これを具体的に実行するときのマニュアルなんでしょう、安全基本計画というのをつくられているんです。これにも詳細に、こういうことに取り組みます、取り組みますということが書いてあるんです。

 立派なマニュアルはできているんです。指針書はできているんです。何でこれが実行されないんですか。

野島参考人 今、平沢委員御指摘の、安全性向上のための行動計画、これは二十三年九月に策定をいたしました。また、この行動計画につきまして計画的、具体的に進めるための十年計画といたしまして、安全基本計画を二十四年十一月に策定いたしました。

 安全基本計画におきましては、弱体化いたしました安全基盤に対する緊急対策とともに、抜本的対策であります、今御指摘のございました、企業風土の改革、あるいは、安全基盤の強化、現場力の強化、これに取り組む予定で、平成二十五年度を実質的に初年度としてスタートをさせたところでありましたが、その成果があらわれる前に多くの事故を発生させてしまいました。過去の事象等を反省し、行動計画を策定し、安全基本計画で実行に移したところでございましたが、スピードが足りず、二十五年度、効果があらわれる前に事故が続発したものと反省をしてございます。

平沢委員 ちょっと意味がよくわからないんですけれども。今でも乗っておられる方は大勢おられるんですよ。ですから、安全性というのは今すぐやらなきゃならないじゃないですか。何年計画とやって、三年後には安全になるなんという、こんな問題じゃないでしょう。今すぐ安全でなきゃ困るじゃないですか。今乗っている方はどうなるんですか。

 ですから、今のお話を聞いていますと、何か、こういう安全性向上のための行動計画あるいは安全基本計画という詳細なものをつくって、これを時間をかけてちゃんとやろうとしたけれども、ちょっと迅速さが足りなかったというふうに聞こえるんだけれども、そうだとすれば、この計画が実行されるまでは事故が起こっても仕方がない、こういうことになっちゃいますよ。そういうことなんですか。

 そうじゃなくて、今現実に何十万の方が毎日JR北海道を利用されているんでしょう。きょう安全じゃなきゃ困るじゃないですか。何で、何年後、これが実施されてから安全であればいいというような感じに聞こえるようなお答えになるんですか。

野島参考人 そのような考えに基づいたお答えではございません。私の回答がそのようであったとすれば、おわびを申し上げます。

 日々の安全につきましては、今委員御指摘のとおり、毎日毎日、私どもJR北海道の列車を御利用いただいておるということでございますから、現在も毎朝、安全統括管理者が安全を毎日毎日確認し、列車の運行をさせていただいております。

 ですから、この計画が完遂するまでに安全が保てない、安全が確保できないということではなく、日々御利用いただいているお客様に安心して御利用いただけるよう、日々の安全点検、安全を確認した上での列車の運行、こういったことについては今実施をしておるところでございます。

平沢委員 では、具体的なことをちょっとお聞きします。

 JR北海道は今でも、取締役会に取締役ではない旧経営陣が出ているということで聞いていますけれども、これは事実ですか。

小山参考人 お答えをさせていただきます。

 取締役を退任しております相談役と特別顧問につきましては、当社の定款の定めに基づきまして、取締役会の決議により選出しております。そして、オブザーバーとして取締役会に出席し、それぞれの経験や知見に基づき、必要により、経営全般や鉄道の技術的な意見を頂戴しております。

 したがって、両氏が出席すること、これまでそういうことでやっておりましたけれども、現経営陣の責任のもとで業務を執行すること、これを明確化するため、この十月からは両氏には取締役会への出席は要請してございません。

 以上でございます。

平沢委員 いろいろ貴重な提言とか意見をいただいたということですけれども、まずほかの社には例がないことです。取締役でない人が出てくる。しかも、旧社長だったか会長だったか知りませんけれども、もうそれを退いて、相談役だとか何かそういう役職を与えて取締役会に出てくる。社長はやりにくいでしょう。そんな旧経営陣が出てきたら、社長は自分の思うとおり言えないんじゃないですか。

 そんなことがありますか。例えば、閣議に旧総理大臣がどんと出てくるようなものですよ。こんなことがありますか。普通の会社でありますか。例えばJR東日本でこんなことをやっていますか。ほかのJRでやっていますか。何でJR北海道はこんなことをやっているんですか。

 もう一回、では、今の小山さん、答えてください。

小山参考人 お答えをさせていただきます。

 申しわけございません、他社の状況につきましては私の方でその辺の状況を把握してございませんけれども、弊社におきましては、今申し上げましたとおり、そうした経験ですとか知見をオブザーバーとして御意見をいただくということでこれまでやってまいりましたけれども、現経営陣の責任のもとで業務を執行するということが御指摘のとおり大切だということで、この十月からは取締役会への出席は要請してございません。

 以上でございます。

平沢委員 要するに、非難が高まったから急遽改めたということなんでしょうけれども、今までがおかしかったんです。これからも言いますけれども、そもそも、JR北海道はやはり体質的に、それは社長は一生懸命やっておられると思いますけれども、そこに旧経営陣が取締役会にも出てきてああだこうだ言ったら、社長が自分の思うとおりできないじゃないですか。こんな会社がほかにありますか。ちょっとこれはおかしいんじゃないですか。

 いずれにしましても、改まったそうですけれども、では、次の具体的な質問についてお聞きしたいと思います。

 ことしの九月に運転士が、ATS、自動車両停止装置を、自分のミスを隠すためにハンマーでぶっ壊したというような事件がありました。この事実関係と、この運転士に対してどういう対応をされたか、ちょっと教えてください。

小山参考人 お答えをいたします。

 運転士がATSのスイッチを破損させた経緯でございますが、札幌運転所から出区する際に、ATSが作動いたしまして非常停止した後、検修社員が当該列車に到着する前に、本人が当該列車を点検しました。その際に、前から二両目の機関車の後ろ側のATS、これを「切」とすることを忘れていることに気がつきました。その後、運転士は、検修社員が到着する前にATSスイッチを「切」へ戻したのでありますが、検修社員が到着した際にその旨を伝えておりません。そのため、検修社員が到着して点検をいたしましたが、本人が戻したので異常は発見されませんでした。

 その後、委員御指摘のとおり、本人がATSを切り忘れたというミスを隠そうとしてスイッチをハンマーでたたいて車両故障に見せかけようとしたという事実が判明してございます。

 それから、その対処につきましては、弊社における懲戒の中で、当社の顧問弁護士とも相談をいたしまして、こういった破損させたという客観的事実と懲戒の基準に照らしまして、解雇に次ぐ重い処分である出勤停止とし、また、期間は十五日間というふうな処分を下しました。

 以上でございます。

平沢委員 十五日間ですか。あきれ返って物が言えません。組合に遠慮しているんじゃないですか。

 そこでお聞きします。これは、器物損壊、被害届を警察に出しましたか。

小山参考人 お答えをいたします。

 本件につきましては、破損行為には計画性がなかったこと、また、破損が修理ができたということで、また、本人も深く反省をしてございますので……(平沢委員「ちょっと待って。計画性がなかった、もう一つは何ですか。計画性がなかった、その次は何ですか」と呼ぶ)計画性がなかったということと、破損、損害額が軽微でありまして、すぐに修理ができたということ、そして、本人も大変深く反省をしておりますので、刑事告訴は私どもからはしてございません。

平沢委員 警察が来ていると思うんですけれども、警察が現場に立ち会っていると思うんですけれども、警察は被害届を出すように勧めたのかどうか。警察。

荻野政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の事案でございますけれども、本件事案につきましては、北海道警察において、JR北海道から通報を受けて、器物損壊容疑事件として関係者からの事情聴取、実況見分等、所要の捜査を行ったところでございますが、JR北海道側から被害の届け出をしない旨の申告があったということでございます。

平沢委員 警察が現場に行っていろいろ調べて、事件にやろうとしたら、JR北海道側が被害届を出さない。おかしくないですか、ATSを壊したんですよ。

 それと、もう一つは、十五日間の出勤停止。どう考えたって解職じゃないですか、これは。JR北海道の常識というのは社会の常識と外れているんじゃないですか。どうですか、それは。

 もう一回ちょっと答えてください。ATSを壊した人間をまだ、今どこの部署に勤めさせているんですか、この男を。これは組合に遠慮しているんじゃないですか。ちょっと、どこに今勤めさせているんですか。

小山参考人 お答えをいたします。

 本人につきましては、そのまま運転士として乗務させるということは適切ではないということで、当該運転所ではありますけれども、直接安全にかかわらない業務であります準備作業ですとか後片づけ、それから、これから冬期に入りますので、冬期の除雪作業に従事させ、指導、教育をしっかり行ってまいる所存でございます。

 以上でございます。

平沢委員 社長、野島参考人、十五日間の出勤停止はおかしくないですか。どう考えられますか。一般の社会常識に照らしておかしいと思われませんか。

野島参考人 今ほど常務の小山からも御説明をさせていただきましたが、懲戒処分の決定に当たりましては、顧問弁護士とも相談し、これまでの当社の懲戒基準等に照らし合わせて処分を決定したところでございます。

平沢委員 この辺が、要するに、JR北海道が一般社会と常識感覚が大きく食い違っているところじゃないかな。

 ちなみに、私、ほかの鉄道会社に聞いてみたんです。ほかの鉄道会社で同じようなことがあったら、即、これは解職だと言っているんです。

 ところが、JR北海道は、十五日間で、すぐほかのポストに異動させて、まだ勤務させている。だから、JR北海道は、信賞必罰、きちんとした対応がとれないから社内の体質がおかしくなっちゃったんじゃないですか。まあまあまあ、なれ合いでやっているからおかしくなっちゃっているんじゃないですか。

 では、次の具体的な質問について聞きます。

 今、どこの、こういった乗客を乗せる会社、そういったところでも、乗組員に対してはアルコールの検査を義務づけています。JR北海道の場合はどうなっているんですか。

小山参考人 お答えをいたします。

 弊社では、アルコール検知器を用いた検査を平成二十年十一月より導入をいたしました。当時は、対面点呼において、酒気帯びを含む健康状態の把握をすることを基本としておりまして、乗務員が自主的に体調管理をするよう指導していたため、アルコール検知器の使用は一応任意という形で導入をさせていただきました。

 その後、平成二十三年五月二十七日、先ほど委員からお話がありましたけれども、その発生させた石勝線列車脱線火災事故の反省、さらに世の中の状況も踏まえまして、アルコール検知器を用いた検査を義務化すべきものとの考えのもとに、二十四年七月から義務化し、原則全員実施といたしました。

 以上でございます。

平沢委員 今、原則義務化と言われました。そもそも、もともとどこの会社も義務づけているんです。ところが、JR北海道だけ義務づけていなかったんです。ところが、やはりこれじゃ通らないということで、平成二十四年七月になって原則義務づけたと言われました。原則ってどういう意味ですか。

小山参考人 お答えをいたします。

 原則と申し上げましたのは、その際に、体質的に飲酒できない乗務員につきましては、自己管理ができるという判断のもとに免除をすることといたしました。私ども、乗務員、運転士、車掌を合わせますと約千六百名の者がございますが、そのうち、こういった形で免除されていた者は十一名でございます。

 以上でございます。

平沢委員 十一名かどうか知りませんけれども、そもそも、免除ということ、原則というのはおかしいんじゃないですか。やはり全員に義務づけるのが当たり前で、ちなみに、ほかの会社はどこでも全員に義務づけているんですよ。そんな原則なんて言っているのはJR北海道だけですよ、私が調べた限りでは。

 ちなみに、JR北海道、おととい全員に義務づけたんじゃないですか。違いますか。

小山参考人 お答え申し上げます。

 そのように委員の御指摘でございますが、確かに、こうした判断によりまして免除者を設けているという取り扱いに対しまして、一連の事故ですとか不祥事の発生を契機といたしまして、御利用されるお客様を初め各方面から大変な御批判、御心配をいただく事態となりまして、委員御指摘のとおり、当社のルールでございますけれども、なかなか外部の方から、これで安全が担保できるのかという、理解されがたいというところもあるかというふうに考えまして、乗務員全員がアルコール検査を受けることといたしまして、おくればせながら、一昨日の二十日から、乗務員全員を対象としてアルコール検知器による検査を実施するということを決定させていただきました。

平沢委員 おとといから義務づけたんですよ。やはり今までおかしいと思っていた。きょう、これで、国会で質問が出るだろうと思ったから、おととい慌ててやったんじゃないですか。そういうことでしょう。何でこんなにアルコールの検査の義務づけを遠慮していたんですか。組合に遠慮していたんじゃないですか。

 ちょっともう一回答えてください。組合に遠慮していて、こういうことが今までずっと行われてきたんじゃないですか。

小山参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のことでございますが、決して組合に配慮してということではなく、このアルコール検査は会社の考えでこれまで実施をさせていただきました。

 また、先ほど申し上げたように、昨今、いろいろな御批判を賜っているといったようなことも踏まえ、私どものルールがなかなか外部の皆様からは御理解いただけないということで、先ほども申し上げたように、一千六百名のうち免除されていたのは十一名でございますので、実質一〇〇%と考えてございましたが、一応、今回、例外なしに実施をさせていただくということに特にさせていただいたもので、決して今回の当委員会への出席を意識して実施したものではございませんので、御理解を賜りたいと思います。

平沢委員 今の答弁を聞いていて、やはりJR北海道の再建は道がほど遠いなという感じがしたわけでございます。

 今、労働組合じゃなくて会社の考えだと言っていましたけれども、会社はやりたいに決まっているじゃないですか。それに反対していたのは労働組合だと私は中から聞いていますよ。何でそんなことをこの場で言うんですか。何でそこまで労働組合をかばわなきゃならないんですか。

 ちなみに、JR北海道にはJR北海道労組というのがあるでしょう。その上にはJR総連があるわけでしょう。その組合が八十数%の加盟率ですよ。そこが一番の大きな力を持っているんでしょう。

 そこで、いろいろな報道等にも出ていますけれども、組合が言うことを聞かないとかということでいろいろな問題があるということがはっきりと報道にも出ていますよ。そういう問題があるんじゃないですか。

 では、組合の問題について聞きますけれども、まず、社長にお聞きします。野島参考人にお聞きします。組合とはうまくやっていけると思いますか。

野島参考人 労働組合と私ども経営側の関係でございますから、もちろん意見等の衝突といったようなこともございます。

 そういった課題が出た場合には、お互いに議論を尽くし、真摯な対応をし、事業の運営に当たっているところでございます。

平沢委員 今言いましたように、報道では、経営幹部が何と言っているかというと、組合が言うことを聞かない、組合が強くてガバナンスがきかない、こういうことを言っているということが日本経済新聞に出ています。

 それはあれとして、JR北海道労組、JR北海道の中で一番強い組合、この組合は、有名な話ですけれども、ほかの組合を一切相手にしない。例えば、ほかの組合の者と休憩中でも話をしちゃいけない、ほかの組合の者とは飲食もしちゃいけない、ほかの組合の者の結婚式にも出ちゃいけない。これは大変厳しい規律がまかり通っているようですけれども、こういったことがまかり通れば、当然のことながら、職場での人間関係、あるいはいろいろな連係プレーがうまくできるはずがないと思いますけれども、こういった組合の実態について、野島参考人は御存じだったですか。

野島参考人 JR北海道労組がそのような運動方針を掲げ、ごく一部の職場でそうした事象があるということは聞いてございますが、このことによりまして、現在、会社の業務遂行上、問題になるという事象はないと考えております。

 仮に発生した場合には、厳正に対処していく所存でございます。

平沢委員 何か当たりさわりのないような答弁をしていまして、本当に決意がうかがえないんですけれども、まず、JR北海道の最大の組合、JR北海道労組、これは上部団体はJR総連です。JR総連については、政府が質問主意書の回答の中で何と言っているかというと、影響力を行使し得るそれぞれの立場に革マルが浸透している、こう言っているんです。

 警察庁が来ていますけれども、警察庁、これは間違いないですか。

種谷政府参考人 お答えいたします。

 警察としては、平成八年以降、革マル派の非公然アジト二十七カ所を摘発し、これらのアジトの一部から押収した資料を分析するなどした結果、JR総連内に革マル派活動家が影響力を行使し得る立場に相当浸透していると認識しておるところでございます。

平沢委員 JR北海道労組の上部団体のJR総連、それは、今警察庁が言ったように、革マル派、革マル派というのは、今警察庁は説明がなかったんですけれども、要するに、共産主義革命を究極の目的として、殺人事件を初めとしてさまざまな刑事事件を引き起こしてきた極左暴力集団です。この暴力集団がその上部団体のJR総連には入り込んでいる。その下部団体がJR北海道労組なんですよ。

 そのJR北海道労組には革マルはいないんですか、警察庁。

種谷政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねのJR北海道労組は、JR総連に加盟していることから、警察といたしましては、革マル派とJR北海道労組の関係について鋭意解明に努めているところでございます。

 なお、解明状況につきましては、今後の警察活動に支障を及ぼすおそれがあることから、お答えは差し控えさせていただきます。

平沢委員 要するに関係があるんでしょう。

 では、警察庁、もう一回聞きます。

 JR北海道労組出身の者で革マルと確認された者はいないんですか。あるいは、現在、JR北海道労組の役員の中に革マルと警察が断定できる人間はいないんですか。その辺はどうですか。

種谷政府参考人 先ほど申し上げましたとおり、革マル派とJR北海道労組の関係について、現在、鋭意解明に努めているところでございます。

 お尋ねの点につきましては、今後の警察活動に支障を及ぼすおそれがあることから、答弁は差し控えさせていただきます。

平沢委員 警察庁、言いにくいんだろうことはわかりますけれども、JR北海道労組出身の中に革マルがいるなんということは誰でもが知っていることなんです。そして、そのJR北海道労組の出身の者がJR総連の主要なポストを占めている、これも周知の事実じゃないですか。何でそんなことを、今解明に努めているなんということで言うんですか。事実を言ったらどうですか。

 警察庁、もう一回。

種谷政府参考人 お答えいたします。

 個人の情報にかかわることについては答弁を差し控えさせていただきますが、JR総連の執行役員の中にはJR北海道労組幹部であった者が含まれていると認識しております。

平沢委員 今はごく一部だけを言いましたけれども、まだほかにもいっぱいあるんですよ。

 これは、野島参考人は御存じでしょう。要するに、JR北海道労組の中に革マルは入っているんですよ。そして、その出身者が今JR総連の方に移って、そして枢要なポストを占めているんですよ。一体みたいなものですよ。

 そういうJR北海道労組、革マルの関係者に指導されたようなそういった組合が、アルコールの検知には反対する、そして、先ほどハンマーでATSを壊したと言ったけれども、これも組合員ですよ。

 先ほど来ずっと聞いていますと、組合を守ろう守ろうとしているんじゃないですか、社長は、あるいは後ろの小山参考人。そうじゃないですか。それは違いますか。組合に気を使い過ぎているんじゃないですか。いかがですか。

小山参考人 お答えをいたします。

 委員の御指摘でありますが、当然、労使は、それぞれの立場において意見を言い、また必要に応じて協力をし、会社を築いていかなくちゃならない部分があります。

 労使の間では、きちっとした労働協約というルールがございまして、そのルールにのっとって、労使対等という観点から健全な労使関係を築いているというふうに認識をしてございます。

 以上でございます。

平沢委員 JR北海道、これから大丈夫かなという心配をしないでもないんですけれども、野島参考人にはぜひ頑張ってもらいたいと思うんですけれども、そのためには、条件が二つあります。

 一つは、OB、いろいろおられるでしょう。やはり、そこと一線を画して、野島参考人の考え方に基づいて会社をやっていかなかったらどうにもなりません。OBの、旧経営陣の考え方に振り回されたらどうにもなりません。

 それからもう一つ、組合、組合に遠慮していちゃだめですよ。組合に、あるときは毅然として対決していかなきゃだめでしょう。組合に迎合したり妥協していたら、JR北海道の再建はないんじゃないですか。応援するから言っているんです。

 野島参考人、旧経営陣とは決別する、そして、とりわけJR北海道労組、こことも毅然と対応していくという決意のほどをちょっと御披露ください。

野島参考人 今、平沢委員御指摘のとおりでありまして、現在、当社は、安全の確立ということを最重要課題としてございます。もちろん、その先頭に私が立ち、私が筆頭に立ち、私の指導のもとに安全をまず確立していくということを進めていく覚悟でございます。

 また、労働組合とは、先ほどもお話し申し上げました、意見の対立等をするところもございます。そこは是々非々、また、会社の運営の責任は私でございますから、きちっと会社のかじをとってまいりたいと考えているところでございます。

 何としてもJR北海道を立て直し、北海道の鉄道の再生に私は全力を尽くす所存でございます。

 以上でございます。

平沢委員 もうちょっと組合に対して毅然と対決するくらいの強いメッセージを出してもらいたかったなと思います。

 では、きょうは本会議がありますので、最後に大臣にお聞きしますけれども、大臣、国土交通省の監査が入って、レールの異常が放置されていた、あるいはデータが改ざんされていたということも含めて、いろいろなことがわかりました。ほかのJRでは見られないようないろいろな問題が、一言で言えば噴出しているんです。それで、今でも毎日多くの方が乗っておられるわけです。ですから、JR北海道は立ち直ってもらわなきゃならないんですけれども、立ち直らせるためにはどうしたらいいとお考えになられるか、そして、そのために、国土交通省、大臣としては、今後どうされていかれるおつもりなのか、その決意のほどをお聞かせいただけますか。

太田国務大臣 輸送の安全の確保というのは、生命線、私はそう思っています。現在もきょうもJR北海道に乗ってくださっている方が大勢いるし、また、これからもJR北海道が信頼を獲得して乗っていただくという状況をつくらなければ、北海道全体、あるいは日本全体、世界からも大勢の観光客が来るということで、これは極めて重要だと思っています。

 率直に、私、短時間ですからお話ししますが、危機意識が足りないと思います。そして、スピードも足りない。実行力も足りない。そして、企業体質の改善ということにもっと努力しなくてはいけない。そして、組織の結束、一体となって鉄道マンとして安全な鉄道というところに何としても持っていく。複合的な要因がありますので、一つ一つどういう順番で直していくかということを考えながら手を打っていきたい、このように思います。

平沢委員 ありがとうございました。

 時間が来たから終わりますけれども、野島参考人、ぜひ北海道道民の期待というより日本国民の期待に応えて、ぜひJR北海道再生のために頑張ってもらいたいと思います。

 では、時間が来たから終わります。ありがとうございました。

梶山委員長 次に、佐藤英道君。

佐藤(英)委員 公明党の佐藤英道でございます。

 質問に入る前に、昨日、秋田県におきまして、復旧作業に当たる五人の作業員の方が土砂崩れで生き埋めになったという知らせが入ってまいりました。懸命な救出活動が続けられておりますが、大変残念なことに、お一人の方がお亡くなりになられたそうであります。謹んでお悔やみを申し上げますとともに、くれぐれもさらなる二次被害とならないようお願い申し上げますとともに、とにかく何とか早く救出をしていただきたい、心からお願いを申し上げたいと思います。

 私は、北海道の選出の議員であります。本日、JR北海道の野島社長に対して質問をするということは極めて残念であり、まさに断腸の思いであります。

 北海道民五百五十万人の足として、北海道観光の交通のかなめとして、北海道経済を支える大動脈として、広大で厳寒な北海道で生きる人々の希望として、これまで真剣に取り組んできたJR北海道に対して、私は大変信頼を、大きな信頼を寄せておりました。それゆえに、一昨年の石勝線の事故以来、今日に至るまで、特にこの数カ月の連続不祥事を見るにつけ、後ろ足で砂をかけられたような気持ちで、心の底から落胆しております。

 そして、今私は、JR元社長の、中島元社長のことを思い出しました。石勝線特急列車脱線火災事故に触れながら、安全意識の向上を社員に促す遺書を残された。この中島元社長はどんな思いでいらっしゃるか、残念でなりません。

 事は重大です。乗客の命、安全にかかわる問題です。他のJR各社に比べて経営基盤の弱さや人材不足などの問題点も指摘されていますが、それが安全を軽視していい理由には到底なりません。この機会に社内の課題を徹底して洗い出し、安全優先の管理体制の構築に向けて、抜本的な改革を急いでいただきたい。

 JRの利用者の方々の命と安全を守るという視点に立って、以下質問をさせていただきます。

 初めに、野島参考人に伺います。今回の一連の不祥事は余りにもひど過ぎる。レール放置、記録改ざん、ATS、次々と大きな問題が発覚する。事ここに至っては、JR北海道の鉄道事業者としての資質そのものを疑わざるを得ないという声さえ上がっているのであります。

 現在の厳しい事態に陥っているJR北海道の責任者として、今どのような御心境なのか、まずお聞かせください。

野島参考人 今委員御指摘のとおり、車両のトラブルでありますとか、あるいはレール管理の不備、また社員の不祥事等によりまして、御利用のお客様、地域の皆様はもちろんのこと、多くの皆様に多大な御心配、御迷惑をおかけしております。また、鉄道に対する信頼といったものを大きく損ねるという事象を発生させておりますこと、心よりおわびを申し上げます。

 九月から十一月にかけまして、三度にわたり国土交通省の特別保安監査を受けてございます。十月四日、また十月二十五日に、保安監査の結果による当面の改善指示というものをいただいております。こういった事態に至ったことは大変厳粛に受けとめ、また、改めて、重大な事態を発生させたと認識をしておるところでございます。

 今委員のお話にもございました、石勝線の列車脱線火災事故後に急逝されました故中島社長の遺志でございます、全てはお客様の安全のためにという言葉を全社員がもう一度心にしっかりと刻む必要があるというふうに考えておるところでございます。これまでは安全第一を掲げながら、現実には全社員にそれが浸透していないということから、昨今のような各種事態が発生したと深刻に受けとめてございます。

 今後につきましては、先ほど申し上げた国土交通省の御指導等も踏まえ、社長といたしまして私が先頭に立ち、全社を挙げて再発防止に取り組み、何としてもお客様の信頼回復、これをいたしたいというふうに考えてございます。

佐藤(英)委員 さらに、この数カ月間、列車の減便や減速、ダイヤの見直し等によって、通勤通学、観光を初め、多くの道民、国民に迷惑をかけ、多くの国民に不安を与えていることについて、また、北海道の経済にも大きな影響を与えることについて、どのような御認識ですか、お聞かせください。

野島参考人 今般、十一月一日にダイヤを修正いたしました。これは、鉄道の安全確保のためにメンテナンス体制を強化したいということから、最高速度を下げる減速、また、列車の運行本数を一部減じます減便、こういったダイヤ修正でございました。これによりまして、お客様に大変な御不便、御迷惑をおかけしておりますこと、大変申しわけなく、おわびを申し上げる次第でございます。

 また、七月に出火事故を起こしました一八三系特急気動車、この運転再開も現在できていないといったこともあわせまして、お客様に大変な御迷惑をおかけしています。

 また、レール管理の不備等から貨物列車等にも大きな影響を与え、観光の皆様のみならず、北海道の物流関係、あるいは農業関係の皆様にも大きな御迷惑をおかけしていること、深く反省をしてございます。

 今後につきましては、先ほども申し上げました、何としても鉄道の安全運行、これを確立いたしまして、北海道のお役に立てる鉄道として再起したいと考えているところでございます。

佐藤(英)委員 それでは、具体的に事実関係を伺ってまいります。

 まず、レール幅の問題についてです。安全上必要とされる基準を満たしていないとわかっていながら、一年以上放置していた問題。安全の基本中の基本の部分で九十七件もの大量の放置があった。その際、最初にレールの幅の問題が発覚した会見に社長は出席されなかったと記憶しております。

 お客様の安全にかかわる重大な事態が発生したときに、トップがどういう姿勢で臨むべきか、至極重要と考えます。野島参考人の御認識をお聞かせください。

野島参考人 今回、一連のレール問題を初め、安全に関します重大な事象を発生させ、お客様に多くの御不安を与えましたことに対して、深くおわびを申し上げます。

 大沼駅構内の貨物列車脱線事故に伴い、線路の状態を調べましたところ、レール管理の不備が発覚し、発覚直後、発表の会見は担当役員にさせる一方、私は陣頭指揮をとり、全道に補修を指示し、安全の確保に万全を期したところでございます。

 レールの管理は、委員がおっしゃいましたとおり、安全運行の基本でございます。不備を放置するということは大変重大な問題であるというふうに認識してございます。

 当社、会社発足以来、安全の確保が事業運営の根幹である、何よりも優先すべきという認識のもとに安全対策に取り組んでまいりました。この後も、このような事象を再発させないように、私が先頭に立って取り組んでまいる所存でございます。

佐藤(英)委員 次に、レール幅基準の誤認問題。その数、百七十カ所、余りにも多い。分割・民営化以降、約三十年にわたって、ずっと間違った基準で補修させ続けてきたレールもあるという。

 ほかのJR各社がきちんと運用している中で、なぜJR北海道だけがこのようなことになっているのか、理解に苦しみます。報道によれば、基準が二つあるとは知らなかった、教わった記憶もないという証言も出ているそうであります。

 そもそも、この新しい基準が出された経緯について、また、その際どのように周知徹底されたのか、これは笠島参考人にお伺いをいたします。

笠島参考人 お答えいたします。

 曲線におきまして車両の走行をスムーズにするために、軌間、レールとレールの間でございますけれども、この間の長さをあらかじめ拡大する幅をスラックというふうに申しますけれども、旧国鉄時代に、国鉄時におきまして、固定車軸の間隔が大きい機関車がなくなったということなどによりまして、これを縮小する見直しが行われました。

 このスラックの縮小につきましては、線路の新設時や、あるいは改良の際などに随時施工していくものということで指導されておりまして、これまで、当社管内につきましても、速度向上等の施策に合わせて順次進めてまいったところでございますが、一部の曲線では旧基準のスラックが残っているという状況でございます。

 これまで、二つの基準に関します管理につきましては、社内の規程等で定めておりますけれども、昭和六十年に、国鉄時代ですけれども、事務連絡で周知を図っておった後、残念ながら詳細な周知あるいは指導が徹底されていなかったということは、結果として不備があったというふうに考えてございます。

佐藤(英)委員 今回、国土交通省から特別保安監査が入っているわけでありますけれども、九月から計三回、しかも今回は無制限、人数も異例の二十名超への態勢、加えて抜き打ちを行うという大変に厳しいものであります。

 現在の特別保安監査の状況について、また、その結果として先ごろデータ改ざんの事実を国交省として認定されたわけでありますけれども、この認定に至る経緯等について、国交省から御説明をいただきたいと思います。

滝口政府参考人 委員御指摘のように、JR北海道に対しましては、十四日から無通告で特別保安監査を実施しているところでございます。本社や保線の現場に立ち入りまして、計測データの改ざんに関する事実関係の確認、なぜこのような改ざんが行われたのかという背景、動機などについて、徹底的に調査を行っているところでございます。

 今後の監査に支障を来すおそれがございますので、現時点で判明していることを全てお話しするわけにはいきませんが、これまで、函館保線管理室におきまして、トラックマスターで検測された副本線のデータ及び人力で手検測された分岐器のデータについて、改ざんをうかがわせるデータの不一致があったことを確認いたしております。また、これに関しまして、保線管理室の関係者から聞き取りを行ったところ、一部の関係者から改ざんを行ったとの回答が得られております。

 これらのことから、函館保線管理室において改ざんが行われたということを国土交通省として確認をいたしております。引き続き行っております監査において、改ざんが行われた背景、動機などについて、さらに詳細に調査を行っているところでございます。

佐藤(英)委員 まさに驚くべき実態であります。このレール幅の問題については、九月十九日の大沼の脱線以来、いまだに収束できないでおります。今月に入って、駅構内の分岐ポイント二千百カ所が未計測だったという新たな事実も判明しました。そして何よりも、データ改ざんという大きな問題が発覚した。野島社長も徹底調査すると話されておりましたが、なぜこんなことが起きるのか、そして、調査の状況はどうなのか、この二点を御答弁願いたいと思います。

 そしてまた、大変気になっているのは、この改ざんによって、現在二千五百キロメートル全線を再点検中とのことですが、そうすると、今このときもレール幅に問題があるかもしれない、その線路の上を今も列車が運行されているのか。日々の運行安全の担保ができているのかという問題。そもそも、こうしたことを心配しなければならないというのは、極めて異常事態であります。

 そもそも、レールの補修というだけでも重大な事案であります。真摯に反省し、点検し、直ちに補修することは当然であります。この最低限の対応すらみずから放棄し、乗客の安全を完全に無視した行為は極めて悪質であります。こうした事案には確固とした姿勢で臨み、厳格な対応をとるべきと思います。太田大臣も、血のにじむような努力が必要とおっしゃっております。野島参考人、いかがお考えですか。

野島参考人 ただいま委員から、データ改ざんがなぜ起きたかという問いがございました。

 現在、検査データの改ざんが確認された箇所におきまして、本人たちがどのような思いでこうした行為に及んだかは、現在調査中、さらなる調査が必要でございます。現段階では十分な確認はできてございません。

 しかしながら、背後要因といたしましては、業務のふくそうによります人手不足、あるいは若手社員がふえたことによります技術力不足、こういったようなさまざまな問題が絡んでいると推察をしております。

 また次に、調査の状況についての御質問がございました。

 現在の調査状況につきましては、函館保線管理室での事象を踏まえ、本社におきまして、全保線管理室を対象に、副本線及び分岐器の検測データについて、データが書きかえられていないか調査を進めてございます。

 現段階までの調査の結果、現時点でデータ書きかえを認めた現場は、函館保線管理室のほかに新たに八カ所出てきております。函館保線管理室を加え、全部で九カ所ということとなりました。

 今後は、引き続き、データの照合作業を進めるとともに、データの書きかえを認めた当該管理室の事情聴取を行い、動機や役割分担等の事実関係を徹底的に調査し、全容を解明していく所存でございます。

 また、日々の安全運行の担保について御質問がございました。

 当社としましては、国によって定められております基準に沿って策定した社内の規程、これによりまして、車両、地上設備の保守管理を行っております。安全を確保した上で列車の運行をしているところでございます。

 また、具体的には、十月四日に国土交通省鉄道局長からいただきました、保安監査に関する当面の改善指示の項目にございますとおり、現在は、安全統括管理者でございます鉄道事業本部長が、始発列車が運転する前に、各部門において輸送の安全が確保されているということを確認し、日々の安全を確認しておるところでございます。

 先ほど委員もお話ございました、こういったデータの改ざんという事実が判明したことでございますから、いずれにいたしましても、徹底調査の上、厳格な対応をとるべきと考えてございます。私、先頭に立ちまして、何としても安全の確保をしてまいる所存でございます。

佐藤(英)委員 レールの一連の問題、データ改ざん、ATSの無断解除や不動作の問題、このような緩み切った姿の根底にあるのは、乗客の命を預かるという自覚のなさ、人命軽視以外の何物でもありません。もし次に同じような問題が出たら、今度こそ道民、国民は許さないのではないか。JR北海道ではもうだめだ、任せられないとなってしまいます。

 そこで、具体的な安全対策がどうなっているのか、また、どうしていくのかを確認したいと思います。

 初めに、来年度の予算について、安全向上対策について具体的に考えている点、また、この際、設備投資基金六百億円の前倒しの活用などを考えてはいかがですか。

 次に、安全向上のため、外部有識者会議を設置すべきだと思います。いかがでしょうか。やるならば、ゆっくりやっている余裕はない。スピード感を持って、大至急かつ厳しい方を入れてやるべきだと思います。いかがでしょうか。

 最後に、幹部と職員との意思疎通、本社と現場、組合も含めてのコミュニケーションの充実のためにどのような改善策を講じられようとするおつもりなのか、小山常務にお伺いをいたします。

小山参考人 お答え申し上げます。

 まず、設備投資の関係でございますが、十年間で六百億円、これを鉄道運輸機構の特別利益剰余金を活用した支援措置ということで措置をしていただいております。

 委員お話しのとおり、これを少しでも安全性の向上に資するよう、できるだけ早期に、これで安全の投資ができるよう、今も計画してございますし、少しでも前倒ししてできるものがあれば積極的にやってまいりたいというふうに考えてございます。

 続きまして、二点目でございます。

 安全性向上のために第三者の意見をということでございますが、こういう外部有識者の意見をお聞きするということは、大変重要なことというふうに考えております。安全についての社内での認識が十分でなかったといったような反省も踏まえまして、今後、第三者委員会を設置して、第三者の知見も活用しながら、安全性の向上に努めてまいりたいというふうに考えてございます。

 最後に、コミュニケーションの問題でございます。

 現在、役員が現場に出向きまして、現場の社員といろいろ腹を割って話を進めるということでの膝詰め対話、これを実施してございますが、これを引き続き実施してまいるほか、本社社員と現場社員、この交流もこれまで以上に深めまして、全社員が、今日置かれております当社の状況を十分に認識した上で、一丸となって安全性の向上に取り組んでまいるようにやってまいりたいというふうに考えてございます。

 以上でございます。

佐藤(英)委員 私も北海道におりますので、JR北海道の経営基盤が弱いということは感じております。安全対策を打とうとしても、設備投資をしようとも、その元手がないわけであります。

 そこで、一つ提案をさせていただきたいのでありますけれども、防災・減災対策が急務であります。また、インフラ老朽対策の急務も我が国全体の課題となっていることも考慮して、時限的に安全対策特別基金を設けて、運用益を安全向上に活用できるようにしてはどうかと思います。こうした点についても、御検討をしていただければと思います。

 さて、北海道におきましては、既に雪が降り始め、間もなく長い厳しい冬を迎えます。氷点下二十度以下の寒さの中、時には吹雪の中で、文字どおり命がけで雪と闘うのが北海道のJRマンじゃありませんでしょうか。たび重なる不祥事の中ではありますが、多くの職員は、そのような厳しい環境の中でも、誇りを持って頑張っております。

 レールの上も道路も自由に走行できる初の乗り物、デュアル・モード・ビークル、いわゆるDMVはJR北海道の開発です。新幹線貨物列車に在来貨物、いわゆるコンテナ列車をそのまま搭載し輸送することができるトレイン・オン・トレインもJR北海道の開発であり、御社の技術力は輝かしいものもあるわけであります。

 さらに北海道は、国内だけではなく、世界の方々が憧れる地域であり、これからも多くの方々をお迎えしなければなりません。その輸送力のかなめとなるのがJR北海道じゃないですか。

 野島社長初め役員の皆様におかれましては、このたびの事態に対して、真正面から取り組んでいただきたい。真面目に取り組んでいる現場の職員が誇りを持って働けるようにしていただきたい。そして、JR北海道は生まれ変わった、日本一、世界一安全な鉄道に再生したと、道民、国民の方々から言っていただけるように再生し、起死回生してほしい。社長から御決意をお伺いさせていただきたい。

 そしてまた、このたびの事態に際し、JR北海道に対して大変に厳しく監督をされ、そして一方、今日まで、北海道新幹線を初めJR北海道を力強く支えてこられました太田大臣からも、御決意を頂戴したいと存じます。

野島参考人 国鉄改革から間もなく二十七年が過ぎようとしております。鉄道の基本であります安全にかかわるところでさまざまなトラブルを発生させ、お客様に御迷惑をおかけし、また、多くの方から鉄道への信頼を損なうこととなり、北海道の鉄道の役割を果たしていないことをおわび申し上げます。

 当社は、今まさに、会社発足以来、危機的な状況にあると認識をしてございます。先ほど申し上げました、故中島社長の遺志である、全てはお客様の安全のためにといった言葉を全社員がもう一度しっかりと心に刻み、鉄道を利用していただいていますお客様のためにも、何としても私たちの手でその信頼を取り戻していかなければならないと決意をしております。この危機的状況を全社員が共有し、北海道の鉄道再生の最後のチャンス、こういった認識のもと、不退転の決意で取り組んでまいります。

 北海道の鉄道の安全を確立し、お客様、地域の皆様、そして全国の皆様に信頼をいただき、北海道にも多くの方がおいでいただけるように、私が先頭に立ちまして、全社員、気持ちを新たにして、一丸となって取り組んでまいる所存でございます。引き続き御指導をよろしくお願い申し上げます。

太田国務大臣 JR北海道は、北海道全体の大事な路線でもあり、そして日本全体からいきましても、また世界の観光客を迎えるということの上でも極めて重要な位置づけにあり、さらにまた貨物輸送、大事な農産物を初めとするものを運ぶという上でも、北海道の位置づけは極めて重要だというふうに思っています。

 先ほども出ましたけれども、私は何よりも、この大事なJR北海道が立ち直ってもらわなくてはいけない、そのためにもっと危機意識を持つべきだ。危機意識が足りない、スピードが足りない、実行力が足りない、企業体質の改善が急務である、そして、その上で組織の結束をしていくことが大事であるというふうに強く思っています。

 三回にわたって特別保安監査を行ってきましたけれども、そこを徹底的にやるとともに、問題点をしっかり浮き彫りにさせて、そして、全体像が見える前でも、必要な改善指示ということについては機を逃さずにやっていくようにしていきたいというふうに強く決意をしております。

佐藤(英)委員 ありがとうございました。質問を終わります。

梶山委員長 次に、穀田恵二君。

穀田委員 日本共産党の穀田恵二です。

 私は、九月の事故以来、閉中審査も含めて開会を要求し、JR北海道を呼ぶべきだと一貫して主張してまいりました。ようやく実現したと思っています。

 そこで、初めてお話を聞いて、野島参考人は、安全の問題で、浸透していなかったと一番最初にお話がありました。私は、こういう言い方というのはあるのかいなと、はっきり言って思いました。

 つまり、浸透させ切れなかった責任がまずあるんじゃないのか。そこを反省しなくちゃならぬ。ただし、ここは糾弾の場じゃありませんから、事実を事実としてつかむことによって次の質疑に生かしていくということが必要だと私は考えています。

 私の立場は、九月に、そのことを要求したと同時に、JR北海道にも直接足を運びまして、皆さんにお話を聞いてまいりました。そのときに、私が言ったのは、その当時、九月二十六日だったと思います。今も列車が動いている、道民を運んでいる、乗客の安全はどうなっているんだ、そのことが安全だと本当に言えるのかということを言ったことを今でも忘れることはできません。

 そこで、まず第一に、データの改ざん問題について一言、長い文章で読まなくていいし、簡潔に言ってね。なぜデータを改ざんしたと考えているのか。先ほどは、技術力だとかなんとか言って、推察しているというような話がありましたけれども、社長自身は、なぜ改ざんしたと考えているのか、簡潔にお答えください。

野島参考人 今回、社員がレールの検測データを改ざんしたことについては、現在、その背後要因等についてはまだ調査中でございます。しかしながら、この安全の基本にかかわりますレールに関するデータが違っていたということについては、大きな事柄だと感じてございます。

 冒頭、委員がおっしゃいました、安全が浸透していなかったというふうな部分、これは、安全を浸透させていなかった私どもの責任というふうにも考えてございます。

穀田委員 入っていますと言うから、そういう言い方はないだろうと私は言っているんですよ。それだったら最初からそう言ったらいいわけで、そんな人ごとみたいな話をしたらあきませんで。

 それから、あなたは先ほども、技術力だとかなんとかと推察されると。そんな、レールの問題について、一歩間違えば事故につながり、命につながるという問題からしてどう考えているのかという、深い洞察が必要だということなんですよ。そういう点が全然ないね。

 その上で、では二つだけ聞きますよ。現場に対して、上部組織が改ざんしたという事実はないのか、一つ。二つ目、データ改ざんは常態化していたんじゃないのか。この二つ。

野島参考人 レールのデータ改ざんについて、上部が関与していたという事実は、まだ私どもは、調査では判明している事実はございません。

 それと、申しわけございません、もう一点……(穀田委員「常態化していたか」と呼ぶ)これにつきましては、先ほど御説明させていただきましたとおり、函館管理室のほかにまだ八カ所、新たに今回、現時点で判明をしております。それがいつから行われていたのかということについては、現在、調査中でございます。

穀田委員 判明していないと。これから事実を私どもも究明していきたいと思います。

 そこで、データ改ざん前の数値は、レールの補修を急ぎやらなければならない箇所のはずなんですね。そうすると、改修しないで運行したら、安全の保証はない。補修をすぐしなければ列車を走らせることはできないんじゃないかと思うのは当然なんですね。

 そうすると、いつまでにそういった事態について補修するのかということについて、端的にお答えください。

野島参考人 レールのデータの不一致があった箇所につきましては、早急に現在のレールの状態を確認いたしました。昨日現在までで、安全上、現在問題がないということを確認しております。

 また、一部、確認に時間がかかっておりますようなところにつきましては、減速という措置をとり、安全を確保しているところでございます。

穀田委員 では聞きますけれども、分岐器は、線路の中でも、より厳格に扱わなければならない大事なところです。それが、二千百カ所も調査報告漏れがある。

 軌道狂い検査が問題になったわけですよね。私、国労から、国鉄労働組合からも資料をいただきまして、こういうものの検査というのは、軌道の検査項目とあって、軌道狂い検査というのは、一般軌道の軌道狂い検査と、分岐器の軌道狂い検査がある。この軌道狂い検査の方はより重要である、分岐点、分岐ですからね。ということは、これは常識だと。

 なぜ一般軌道と分岐器がある中で、分岐器の検査を外してしまったのかということについて、お答えください。

笠島参考人 お答えいたします。

 軌道変位の計測方法につきましては、高速軌道検測車、マヤ車と申しますけれども、こういうものと、簡易型軌道検測装置、また手計算の三種類がございますが、このうち、マヤ車によります計測はデータ改ざんの余地がないということですので、マヤ車で計測した、主に特急等が走ります本線につきましては、データの信頼性が確認されておると考えております。

 また、分岐器部分の本線側につきましても、改ざんの余地がないマヤ車の計測データを用いまして、計測変位に基準超過がないことを確認いたしましたので、現在、通常どおりの運行を行っているところでございます。

 一方、マヤ車以外の方法で検査をいたしました副本線等につきましては、問題がないことが確認されるまでの間、減速する等の、安全確保のための措置を現在とっております。減速をしております副本線等につきましては、全ての確認を終了した時点で、今後、減速の措置を解除する準備を進めておるところでございます。

穀田委員 誰が考えたかて、かみ合うてへんやんか。分岐器の検査を外したのは何でかと聞いているんですよ。

 これは私、聞いたけれども、分岐器の検査というのは本当に大変だというんですね。さっき、あなたが言っているのは、車でがあっとやるというんでしょう。あれは簡単なんですよ、それを動かせばいいんだから。そうじゃなくて、分岐器の場合、糸を張って、こうやって全部、何ぼなっているかということを丁寧に一つ一つやらなければならない、それほど重要なものなんですよ。そういうのについて、なぜ外したのかと聞いているんですよ。

 ついでに、もう一つ聞いておきましょう。時間が余りないからね、もうちょっと時間があればやるんだけれども。

 それでは、二つ目、よう答えてや。

 調査漏れの分岐器の検査は全部終了したのか。二つ目、どうですか。

梶山委員長 笠島参考人、答弁は簡潔に願います。

笠島参考人 全道の分岐器の再検査、調査につきましては、全て終了いたしております。

穀田委員 もう一度。軌道狂い検査が問題になって、分岐器の検査が外れてしまうということが明らかになったと。分岐器の検査を外したのは何でやと聞いているんですよ。

 では、外していないというわけですか。

笠島参考人 分岐器の検査につきましては、定期的な検査を実施しておりまして、その結果をまずは確認いたしました。

 また、今回、こういった改ざんの事象が出てまいりましたので、私どもとしましては、早急な調査をするということで、分岐器のデータの確認を全て実施したところでございます。

穀田委員 実施したというけれども、本当かいなと。そんなふうにやれるほど、ずっとやっているものを報告しているにすぎないと僕は思うんだよね。

 だって、あれは糸を張ってやって、二百七十カ所みたいな、ああいう二日間でやれるほどの簡単な話じゃないんですよ。二千百カ所について漏れていたというものなんやからね。それが、外しておいて、今やったという話は信用できないね。

 それから、今、本線と副本線という話があったけれども、では側線のものはやったんですか。

笠島参考人 今回の調査につきましては、データの突合作業ということを実施いたしました。

 一つは……(穀田委員「そんなことは聞いていないから、側線をやったのかというのだけ答えてくれればいいんです」と呼ぶ)はい。(発言する者あり)副本線……(穀田委員「側線」と呼ぶ)

 側線の検査につきましても、確認につきましても、全て確認をいたしました。

穀田委員 側線はやったということを本当に、いや、ほんまかいな、現場では側線なんかやってへんと言うとるけれどもね。あなたはやったということなので、まあ、そういうことだということについては、明確にそれは答弁としてあったということだけ記録しておきましょう。現場ではやられていないというふうに私は聞いていますけれどもね。

 それで、側線というのは、簡単に言うと車両基地などに入るところですよね。だから、仮にそこで脱線したら報告しないかというと、そんなことないんですよ。だから極めて大事な問題だと。

 もう一度、社長に聞きますけれども、側線の検査はやったと今あったけれども、本当やね。

野島参考人 側線につきまして、直近のデータでの確認をきちっと行っております。直近のデータが確認できていないところは、全てここ数日で現地の確認を行っております。

穀田委員 では、側線の軌道狂いは一つもないということで認識していいわけね。

笠島参考人 側線につきましては、先ほど社長からも話がありましたけれども、データに残る、現場に生データというものが残されておりまして、その正しいものがありますので、それと現在の記録について突合、照合作業を行ったところでございます。

 仮に、差異があるということにつきましては直ちに再検査、補修が必要な場合については補修をするということで措置をとったところでございます。

穀田委員 次に、チェック機能の問題について聞きます。私は、今の問題については今後も調べたいと思います。

 JR北海道は、ホームページの第一ページに、線路の補修作業を社内ルールどおり行っていなかったことが判明した、こう書いています。その社内ルールは、日々の検査、特に基準値オーバーなどについてどう書いているかというと、「検査の記録様式は、工務部長が定めるもの及び線路検査マニュアルによるものとし、必要の都度、別途の指示により、保線所、工務所の所長、運輸営業所等の駅長及び助役等(必要により社長等)に報告するもの」となっているんですね。

 ということは、必要なとき以外について報告せぬでええというシステムになっているということですね、社長。

野島参考人 その規定どおりの運用をしております。

穀田委員 そんな官僚の話をしているんじゃないんだから。その規定になっているということは、必要がなかったら、せぬでええということになってんねやなと聞いているわけ。

野島参考人 工務部長に管理をさせているということでございます。

穀田委員 時間を無駄にさせたらあきまへんで。必要がなかったら報告がなくてもいいというシステムになっているんですねと聞いているんです、この文書は。文書は知っているでしょう。

笠島参考人 軌道変位検測の結果につきましては、私どもとしましては、軌道が、やはり生き物でございますので常に変位するということで、的確に随時測定して管理しなければいけないということと、また、測定自体、その管理自体が非常に、数値の管理ということで、それほど技術的に難しくないということもございまして、基本的には、現地の管理室あるいは保線所等の方で管理、実施を任せておるという状況でございます。

穀田委員 だから、結局は、報告はするシステムにはなっていないということなんですよ。だから、あなたが言っている、線路の補修作業を社内ルールどおり行っていなかったことが判明している、こう言っているけれども、ルールどおりやっていたんだったら報告しなくてもいいということになるじゃないですか。

 他の交通機関はどうか調べてみると、やはり少なくとも、そういうことでいうならば、例えば、運転保安に直結する整備基準値は、あくまでも検査を終了した段階で、検査実施者と検査実施責任者の間で、必ず確認すべきことである。これは、「軌道の検査における管理体制の徹底について」という、他社の文書は記述しているわけですよね。だから、必ず報告する、二重にチェックするというシステムになっているんですよ、ほかは。あなたのところはそうなっていないということが、これではっきりしたということですよ。

 そこで二つ目に、安全推進委員会の問題について言います。

 社長は、安全推進委員会について、経営会議でやったというような話をいろいろしています。では聞きますが、十月二十五日の国交省の改善指示で指摘を受けて、その後、この安全推進委員会を開きましたか。

野島参考人 ちょっと済みません。今、記憶が定かでございませんが、十一月に入りまして安全推進委員会を開催してございます。(穀田委員「えっ」と呼ぶ)十一月に入って安全推進委員会を開催してございます。

穀田委員 十一月に入ってようやく開催をしたということだけはわかった。

 そこで、あなたはこう言っていますよね、安全問題について推進委員会はやらなかったけれども、経営会議で週一回やっていると。経営会議というのは経営全般の話であって、なぜ安全推進委員会というのを設けているかという趣旨がわかっていないということを、みずから告白したにすぎないと私は思います。

 では聞きますけれども、記者会見などで、事故、トラブルについてあなたはいつも答えておられます。この間の事故、トラブルの安全対策はどこで議論していたのか。安全対策を会社としてとるとすれば、事故、トラブルにかかわるデータを集め、整理し、それを検討し、再発防止策を決定する、こういう部署がないと進まない。一体全体、それだったらどこでやっていたのか。それとも、その都度、個人的見解を表明していたのか。だったら、逆に言えば、安全問題について議論するところと経営会議と別個なはずでなければならないから、わざわざこのことを設けているわけですよ。

 そういう趣旨からして、どういう対応をしてきたのかということについてお答えいただきたい。

野島参考人 先ほども申し上げましたが、安全推進委員会につきましては月一回開催ということでやってきておりましたので、発生した事象について、迅速にその推進委員会の場で検討するということができていなかったということについて反省をしてございます。

 また、いろいろな発生した個々のトラブルにつきましては、すぐに関係者、それぞれの車両でございますとか、そういった関係者がおりますので、そういった関係者で会議を開催し、それに基づき、私は記者会見等で方針等を発表しているところでございます。

穀田委員 そうすると、月一回の安全会議で報告されなかった、議論されなかったということが指摘されています。つまり、週一回の会議でやったかどうかについて、我々は知る範囲ではないわけですね、公表もされていないわけですから。少なくとも、国交省が指摘したのは、月一回の会議で報告されていない事実もある、そして、議論されていない経過もある、この二つを指摘しているんですよね。結局のところ、安全推進委員会をJR北海道はまさに軽視していたということの事実は免れないと私は思っています。

 しかも、いろいろ、迅速にと言うけれども、迅速にやった結果が、皆さんが何回もテレビで見ているように、何回、右顧左べんといいますか、右往左往して、しょっちゅう話を変えたりなんかしているのを見ると、いかにこれがまともでなかったかということは誰の目にも明らかだと思うんです。

 そこで、今度は工務部長に、線路の補修に関して聞きます。

 工務部長は、線路の専門家でもあるはずです。この日本の線路という本は知悉していますね。

笠島参考人 その本は、もちろん、あるということは承知してございます。

穀田委員 ちょっと待って。あるということは私も知ってんのやわ。専門家であるあなたは、あるということを承知しているということで、中身は知らないということですか。

笠島参考人 全て熟知しているかどうかということになりますと、私も努力の至らないところがあると思いますけれども、勉強はし続けているところでございます。

穀田委員 これは、「新しい線路 軌道の構造と管理」という、いわば線路に関するバイブルみたいなものですよ。ですから、それを工務部長として勉強し続けているという程度の話で済む話じゃないんです。これに基づいて、ずっと指導しているんです。これはどこが発行しているか。日本鉄道施設協会が発行している。そこの協会の事務局長は、たしか、おたくのところのもう一人の工務部長のはずですよ。

 ですから、これに基づいて、鉄道の線路についての保線その他補修について、下請に対して指導しているんですよ。あなたは下請に指導しているトップでしょう、工務に関するトップでしょう。それが、これを、いや、勉強を続けていますというような話では済まないんですよ。あなたはさっきそう言ったよね。たしか、こう言ったよね。国鉄時代との途切れているというような話をしていますけれども、では、これを見てみましょう。

 このところによりますと、国鉄時代における線路のミリ単位の問題についての扱いや経過が、全部、明治時代からずっと書いていますよ。だから、二重の基準があったなどといって、前のあれをずっと維持していたから知らなんだなんという話にはならないんです。

 では、聞きましょう。この書いている方、執筆者、平田和敏さんというのは、おたくの会社にいませんか。何をやっていますか。

笠島参考人 私どもの工務部の専任部長をしてございます。

穀田委員 だから、書いた本人が専任の工務部長をやっているんですよ。だから、少なくとも、軌間、軌道の間の問題について、JR時代や国鉄時代はどうなっていたかなんということを知らないはずはないんです、書いている本人なんですから。だから、そんないいかげんな話をしたらあきまへんで。だから、まさにこれがどれほどの重大なことかということについて問われると私は思っているところであります。

 そこで、先ほど、安全に関する外部の第三者委員会を設置するということについて答弁がありましたし、私もそういうことは必要だと思っているんです。

 そこで、これは安全報告書、おたくのところが出しているものですけれども、そこによりますと、社長は、もちろん当時の社長は小池さんでしたけれども、あなたもかかわっているわけで、こう書いているんですよね。忌憚のない意見を賜りますようお願いしますと。さらに、安全綱領の中では、「安全の確保のためには、職責をこえて一致協力しなければならない。」こう書いている。

 そこで、現場をよく知っているのは誰か。これは働いている労働者なわけですよね。私、先ほど言いましたように、国鉄労働組合の、さっきの方の、革マルとは違う方の、きちんとやっている方の組合ですけれども、その訴えによれば、国労北海道本部はJR北海道に対して、一連の事故原因の究明と再発防止の徹底を求め再三団体交渉を申し入れてきた。しかしながら、会社は、事故原因が調査中であるために明らかにできないとか、事故対策で忙殺されており交渉を行うことができない等との態度であり、極めて不誠実な対応と言わざるを得ない。加えて、ここからがまた大事なんです。他労組が要求していない。つまり、事故後、国鉄労働組合は、この問題について、原因を探るために話し合いをしようと言ったら、他労組が要求していない、交渉を求めていないことをもって、国労の交渉要求に応えないと言ってきた。そして、あわせて、申し入れを長期に放置したあげく、文書による回答にとどめるなど、信義誠実の原則に反し、不当労働行為に該当する態度を改めようとしていない、こういうことを訴えていますが、事実ですか。

小山参考人 お答えをいたします。

 私どもの会社には四つの労働組合がございまして、委員御指摘の国鉄労働組合もその一つでございます。各組合とはそれぞれ労働協約を結びまして、その協約に基づき、団体交渉等を誠実に実施をしてまいっているところであります。

 ただ、御指摘のように、今、事故その他の対応等も種々ございますので、その辺につきましては、時間その他についてはよく組合とも話をさせていただいた中で、必要な交渉等は実施をさせていただいているというふうに考えてございます。

穀田委員 誰も知らないからと思って、そういういいかげんな話をしたらだめですよ。申し入れは二〇一一年十一月十八日、回答は二〇一二年五月二十四日。六カ月放りっ放しということが誠実ですか。事態が大変だと言っているときに、何とかしようじゃないかという話し合いを申し入れたら、六カ月も放り出すことが誠実と言えるんですか。そういう話を全然せんといて、交渉をやりましたなんという話をしたらあきまへんよ、そんなこと。

 しかも、この問題でいうならば、保線社員の実態について、会見について、こういうふうに交渉記録が載っています。

 検査周期の問題では、新車と老朽化した経年車両とは違いがある、これまで規制緩和などがあり、検査周期の見直しをしてきたが、やはり要検と全検時にはしっかり検査をすべきじゃないかということをまず提起している。こういったこともあります。

 それから、社長が記者会見で保線社員の社員数は以前と変わっていないと答えているが、管理室の統廃合などがあり、実態は違っている。こういう意見がある。

 さらに、職場では、枕木を例にとれば、次年度に必要な本数を要求するが、要求どおり来たためしがないと訴えている。職場からの要求に応じなければ本当の保守とはならない、危険だということを言っておられる。

 こういう申し入れについて、あなたは笑っているけれども、そういう申し入れが六カ月も放置されていいのかと聞いているんですよ。

小山参考人 御指摘の点についてでございますが、私どもといたしましては、各組合からいろいろな要求、申し入れをいただいて、その中で、それぞれの組合と結んでおります労働協約等に基づき、団体交渉等、誠実に対応させていただいているというふうに考えてございます。

穀田委員 同じ答弁していたらあきませんで。事実を言っているんだから、私のところは。

 この文書は公式の文書として、他組合からは要求がないから、申し入れがないからといって断っているんだ、そういう事実はないと断言できますか。

小山参考人 お答えをいたします。

 それぞれの組合からの申し入れに基づき、交渉はさせていただいております。

穀田委員 時間がないからね。

 国土交通省に私は聞きました。そうしたら、他の組合からの申し入れ、具体的な問題についての要求の申し入れはなかったというふうに答えています、あなたはそうおっしゃらなかったけれども。

 そこで、最後に一つだけ聞きますけれども、JR西日本では、二〇〇五年四月二十五日、福知山脱線事故の直後に、当時の四労働組合で直ちに労使安全会議を開催しているんですね。五月に、連休明けに、国鉄労働組合が申し入れた、会社と組合による各職種ごとの専門委員会を設置し、協議を進めているんですね。

 ですから、私は、あなたは本当に忌憚のない意見を聞くとか職場が大事だからと言うんだったら、やはりこういう全組合を包括した形で、そういう形で話し合いを設けるというつもりはありませんか、社長。

野島参考人 先ほど小山が申し上げましたとおり、事故防止あるいは安全に関する事柄につきましては、現在でも、各労働組合との間において締結しています労使間の取り扱いに関する協約、労働協約に定めるルールにのっとりまして、団体交渉あるいは経営協議会などで個別に協議をしております。現在、特に弊害や問題などは発生しておりません。

 今後も、各労働組合との間においては、信頼関係に基づきまして、労使間ルールにのっとり、誠意を持って対応していく所存でございます。したがいまして、現在のところ、四つの労働組合と同一テーブルで定期的に協議する機関の設置については考えてございません。

穀田委員 終わりますが、この点でも、本当に労働者の意見を聞く立場に立っていない、安全の問題について忌憚のない意見を聞いて、本当に自分のところに不都合なことも含めて話を聞いてやろうと。JR西だってやっているんですよ。別にJR西が悪いという意味じゃないですよ、そういうところだって、しかも事故が起こってすぐにやっているんですよ。あなたのところは事故が起こってからもう何年たっていますか。

 ですから、本当に安全問題について、可能なあらゆることをやるという立場に立っていないということが明らかになったという点だけは指摘して、終わります。

梶山委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時四十八分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時二分開議

梶山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。寺島義幸君。

寺島委員 民主党の寺島義幸と申します。

 大変な時期にJR北海道の幹部の皆様をこの場にお呼びしなければならないことは、まことに残念なことでもございます。午前中の議論を承っておりまして、大変憤りも感じていたわけでございます。そんな中、重複もするかもしれませんが、お許しをいただきまして、伺ってまいりたいと存じます。

 九月の十九日に大沼駅構内で起きた貨物列車の脱線事故をきっかけにいたしまして、今回のことが発覚をしたわけでありますが、石勝線の事故以来、トラブル、不祥事が複数続いているわけであります。百万キロメートルにおける事故件数というのを見ますと、JR北海道は三・五件ということであります。JRの平均が一・八件なのに比べて、突出して多いわけであります。ちなみに、民間の、民鉄の大手は〇・一九ということであります。

 この数字を見るにつけ、大変な状況なんだなと思わざるを得ないわけでございます。そして、計測データの改ざんにつながっていったわけであろうと思うわけでありますが、こうしたトラブルや不祥事が何回か起きているわけでありますが、一番はどこに原因があると考えておられるのか、まず伺いたいと思います。

野島参考人 当社は、平成二十三年五月二十七日、今委員からもお話ございました石勝線におきまして列車脱線火災事故を起こしました。このことの反省に立ちまして、安全性向上のための行動計画、これを策定するとともに、この行動計画を具体的に実行するための安全基本計画を策定いたし、安全性の向上に全社を挙げて取り組んできたところでございます。

 しかしながら、今委員の御指摘のとおり、石勝線の事故以降も、今年度に入って車両から出火するなどの車両故障が相次ぎました。また、九月には貨物列車の脱線事故がございました。また、その後、線路検査記録を緊急点検いたしましたところ、多数の箇所におきましてルールどおりに線路の補修作業がなされていなかったことが判明をいたしました。さらに、軌道変位データの改ざんという鉄道事業者にあってはならない事象も発生をさせております。

 これらの事象によりまして、御利用のお客様、また地域の皆様を初め、多くの皆様に御迷惑をおかけしていますことを、改めて心よりおわびを申し上げる次第でございます。

 このようになった原因という御質問でございますが、当社は、会社発足以来、安全の確保が事業運営の根幹であり、何よりも優先すべきとの認識のもと、安全対策に取り組んできたというふうに考えておりましたが、全ての業務がお客様の安全のためにあるという共通の認識が社内に残念ながら十分に醸成されず、安全に対する取り組みが形式的となったり、あるいは多くの取り組みの一つの要素と認識される場合があるなど、お客様の安全に対する意識が不足していた、これが、いろいろな事故、事象が多発している一番根底のところにあることだというふうに考えております。

寺島委員 そうなりますと、私は、人の問題なのか、予算の問題なのか、技術の問題なのか、あるいはまた意識の問題なのかと思っておったわけでありますが、意識の問題と言われてしまえば、次の言葉が出ないのが正直なところです。大変残念な思いがいたしております。

 JR北海道はまさに大企業で、道民、あるいはまた多くの観光客も北海道に日本全国あるいは世界からお伺いするわけでありまするけれども、結局、そのことによって大きな信頼を長い間失ってきたということは、大変残念でならないわけであります。

 どうしてなんだろうな。構造上の制約があって意識が薄らいでしまうのか、あるいは財務上の課題があって意識が薄らいでしまうのか。どの辺に、安全意識が薄いというふうに捉えていらっしゃるんでしょうか。

野島参考人 鉄道事業を健全に運営していく上で、先ほど来申し上げておりますが、安全の確保は不可欠でございます。そのためには、長期計画に基づいて安全投資を着実に実施していくということが必要でございます。

 先ほども申し上げましたが、やはり安全に対する意識というのが薄かったということがありまして、当社では、安全に関します投資や修繕についても、前年比較あるいは諸施策に付随して対策を立てるといった傾向にございました。厳しい経営環境の中でも、安全に対して必要な資金を確保するように努めてきたところでございますが、結果として今日のような状況になったということにつきましては、やはり各分野に資金が十分に行き渡らなかったという状況が生じ、車両や設備の更新等が十分に進んでいなかった点があるというふうには考えてございます。

寺島委員 私も人の親であります。例えば、子供が学校へ行く、あるいはまたどこかへ出かけていくというときには、気をつけて行ってこいよ、そう話をして送り出します。

 北海道JRの皆さんは、先ほど労組というお話もございました。その前に、経営の皆さん、そして社員の皆さんがおありになるんだろうと思います。人類皆兄弟という言葉もありますが、社員は家族であろうと思うわけであります。社員との対話、幹部の皆様との対話。会議があるから出かけていくというものではなくて、自分たちの企業をお互いに支える社員の皆さんとの対話、そういうことは常日ごろあられるのでありましょうか。

野島参考人 今、社員との対話というお話でございました。

 一つには、石勝線での事故を反省し策定いたしました安全基本計画等でも、膝詰め対話と称しておりますが、私ども幹部が直接現場に赴き、安全風土確立のために、社員と一緒に物事を考える対話ということをこれまでも実施してきております。

 それ以外にも、いろいろな機会を捉まえまして、私自身も現場に赴き、社員といろいろな会話をする、社員の現場で抱えている課題等を話を聞かせていただくといったようなこともしております。

 また、各部は、所管部はそれぞれの現業機関を抱えておりますので、業務の遂行のために現場に赴き、現場との打ち合わせ等々を行っておるところでございます。

寺島委員 今のお話をうのみには実はできないわけであります。

 これも、報道によればということで、私どもは報道等で知るしかないわけでありますが、上に物を言っても、物を言えない体質があるとか、あるいは、上司に言っても何も検討してくれないだとか、他の部署のことは他人事で関心がないだとか、現場任せだとかというような報道があるわけです。そういうことを聞くにつけ、およそ対話ということになっていないのではないかと思えてならないわけであります。

 閉鎖的な社風ができ上がっちゃっているのかな、大変その意味においては心配でありますし、その辺のところにやはり大きな根があるのかな。そして、技術力の低下につながり、三十代、四十代の社員の皆様が、技術系の皆様が余りいらっしゃらないので、技術の伝承すらままならないのかな。先ほどのお話にもございました、管理者として、管理能力の低下等々が言われているわけであります。

 そうした安全を大優先するためになければならないとおっしゃっておられる参考人自体がそういう企業風土を生み出した、まさに指導部に大きな問題があるのではないかと思うわけでありますが、その辺の認識はいかがでしょうか。

野島参考人 今、先ほどお話しさせていただきましたとおり、石勝線の事故等の反省を踏まえ、現場に積極的に赴くというようなことを心がけておるところでございます。

 今回の線路の補修をせずに放置していた問題などに関連しましても、現場に入り、現場の意見をいろいろ聞いてまいりますと、今委員のお話にありましたとおり、現場がいろいろな意見を上に上げても聞いてもらえなかった、そういった声も実際にあるというようなことも、今回の事故を踏まえた取り組みの中で、そういう意見があるというようなことも認識をしてきているところでございます。

寺島委員 やはり意思疎通ということが何よりも大事だと思うわけなんです。それが欠如していたということは、本当に基本的なことであろうと思うわけでありまして、大変残念であります。

 保線実施体制については先ほどお話がありましたので、国土交通省にだけお伺いいたしたいと思います。

 JR北海道の軌道の適正な保守管理のために、国土交通省は特別保安監査に基づき何を行うのか。今後も含めて、お聞かせをいただきたいと思います。

滝口政府参考人 ただいまお話がございましたが、九月十九日の函館線の貨物列車の脱線事故を契機といたしまして、整備基準値を超える軌道変位が放置されていたということが判明いたしました。このため、国土交通省は、九月二十一日から二十八日まで、JR北海道に対しまして第一回目の特別保安監査を行っております。

 この第一回目の特別保安監査を踏まえまして、軌道部門につきましては、直ちに実施すべき事項といたしまして、十月四日に、本社が現場の状況を把握して迅速に対応し、現場で担当者間、これは検査と補修ということでございますが、担当者間の連携を確実にするなどの保守管理体制を構築するように指示をいたしました。

 さらに、第二回目の特別保安監査を十月九日から十二日まで行っておりますが、これを踏まえまして二十五日に、老朽化した枕木の管理、更新に関しまして、不良判定あるいは交換に関する基準を明確に定めなさいということ、それから、各現場においてその状況を一本ずつ把握、管理すること、さらにPC枕木化についても検討するように指示をしたところでございます。

 さらに、今回の軌道の検査データの改ざん問題を受けまして、十一月十一日から北海道運輸局がまず立入検査を始めました。さらに、十四日からは第三回目の特別保安監査を行っているところでございますが、この監査では、あわせて、これまで二回の改善指示に関してもフォローアップを行っているところでございます。

 言うまでもなく、鉄道事業におきましては、軌道を本来あるべき状態に維持するということは安全を確保する上で欠くことのできないことであります。国土交通省といたしましては、これまでの特別保安監査の結果を踏まえ、軌道の保守が適切に実施されることによって輸送の安全が確保され、利用者の信頼を取り戻すことができるよう、必要な安全対策を検討してまいりたいと思っております。

寺島委員 安全意識そしてコンプライアンスの問題であります。

 これも報道でありますが、豊田常務は、人手を介して意識を持って数値を直しており、改ざんだ、こう報じられておりました。そして、国土交通省はそれを確認したということであります。

 参考人にお伺いします。

 国への虚偽報告や監査の妨害を禁じた鉄道事業法に抵触すると私は思いますが、どのようにお考えでしょうか。

野島参考人 保線に関しますデータの改ざん等につきまして、現在、まだ調査中のところが多々ございます。現段階では、どのように捉まえるかということについては、調査中ということでございます。

寺島委員 調査中だからわからないというのも変な話でありまして、特別監査の前日に複数の人の手によって変えられている、それはもう事実が明らかになっているわけですね。常態化もされているとも言われているわけであります。そうした中で、今調査中というのは、では何を調査されているんですか。

野島参考人 データが改ざんされていたという事実までは確認をしております。社員からも確認をしておりますが、どうしてそのようなことになったのか、あるいはいつからやっていたのかというようなこと、またさらには、ほかの保線担当の現場でそういったことはないのかといったようなことを現在調査しているところでございます。

寺島委員 事実を認めているというのであれば、国への虚偽報告や監査の妨害を禁じた鉄道事業法に明らかに抵触すると思うわけですけれども、そう思われないんですか。

野島参考人 今まさに調査をさせていただいているということでございます。

寺島委員 決めるのはほかの、国とかなんでしょうけれども、残念であります。

 要するに、反省の気持ちが実は伝わってまいりません、言葉だけでは。レールというのは全ての安全のスタートだと思うわけですね。これは飲酒運転と一緒ですよ。スピード違反というのは、うっかりスピードを出しちゃったということがありますけれども、飲酒運転は故意犯ですよ。明らかに故意犯です。これと同じですよ。だから、明らかに僕は法違反だと思っています。

 これは国土交通省にお伺いします。

 これまでの国の改善指示の内容はどのようなものであったのか、そして、JR北海道への、先ほど来お話しの、安全意識をどのように高めていこうと指導しようとしておられるのか、お伺いいたします。

滝口政府参考人 先ほど御説明申し上げましたように、現在まで三回の特別保安監査を実施しております。特に、今回の三回というものは従来の監査と異なっておりまして、土木、電気、車両、運転の技術分野と言われる分野に加えまして、経営体制を含む幅広い観点から実施いたしております。

 現在、監査全般について整理、分析を行っているところでございますが、利用者の安全を確保するため、直ちに実施すべき事項を把握した場合には、時期を逸することなく対応するようにということで大臣から指示を受けております。

 このため、十月四日に、確実な意思の疎通そしてまた日々の安全確認、さらに十月二十五日に、安全推進委員会の改善、それから、初回の特別保安監査後に明らかになった事項、そしてさらにJR北海道の来年度の予算編成の改善について、改善指示を行ったところでございます。

 委員御指摘の、安全意識の問題でございますが、二十三年五月の石勝線の列車脱線火災事故以降、JR北海道では安全基本計画などを策定いたしまして、この中で、例えば安全基本計画の中でございますが、「「お客様の安全」を最優先とする企業風土の醸成」あるいは「安全風土構築の前提となる職場づくり」といったようなことを掲げているわけでありますが、御案内のように、残念ながら、ことしに入ってもトラブルが多発しているというような状況でございます。

 現在、安全基本計画などに基づく安全意識の醸成について、どのように効果を上げることができているのかどうなのか、こういったような問題意識も含めまして、累次の特別保安監査の結果について整理、分析を行っているところであります。これを踏まえて、必要な安全対策を検討してまいりたいと考えております。

寺島委員 JRの会社が監督官庁に安全意識の問題を指導されなければならない、こんな恥ずかしいことはないと思うんですね。

 先ほど来より、どこに一番原因があったんだといったら、やはり安全意識にあった。そこには根がいろいろあると思います。あると思いますが、やはり憤りを感じざるを得ないし、人材育成だとか、職場の秩序の維持であるとか、管理職を含めた連帯感の醸成とか、そういうことはもうなかなかなくなってきているような社風、風土がある。

 先ほど佐藤委員からもお話にございまして、その質問をしようとしたんですけれども、第三者機関は設置する、こういうお話がありました。

 それでは、ちょっと確認で伺いますけれども、第三者機関を設置するわけなんですが、どのような人員構成で、どのようにおやりになろうとしているのか、お伺いします。

野島参考人 私どもで安全基本計画というものを策定し、今その実行に入っているところでございますが、この安全基本計画の実行状況等のフォローアップをきちっとしていくために、社外の方も入れた第三者委員会を策定しようと思ってございます。

 具体的な、どのような方に委員をお願いするか、あるいはメンバー構成をどのようにするかというのは、まだ現在検討中でございます。

寺島委員 質問通告はしていないんですけれども、国にもちょっと聞きたいんですが、このことに対して、第三者機関を設置することに対して、何か指導とか支援をされますでしょうか。

滝口政府参考人 ただいま野島参考人からお答え申し上げましたように、行動計画を作成するときに、第三者を招いて意見を伺っております。それから、今回、スライジングブロックというパーツが故障した件についても外部の方を招いて原因究明をやっている。こういったような、既にJR北海道でも幾つかのケースで、第三者あるいは専門家の方の御意見を伺いながら対応しているということがございます。

 こういったような問題意識を持ちながら、この三回の特別保安監査の結果などを分析いたしまして、今後のJR北海道の抜本的な安全対策を考える上で第三者の視点というものをどのように考えていったらいいかということで問題意識を持って、現在、検討を進めているところでございます。

寺島委員 こういう状況を推察するに、社長一人ではないと思いますが、経営陣の責任というのはまさに大きなものがある。基本的な部分が全然だめで、あるいは、ひょっとしたら法律違反もしているのではないかという状況の中にあるわけです。結局、どういう責任をとるのがいいのかということになるわけであります。

 社長にお伺いしますけれども、会社のトップとしてどのような責任をとるお考えであるのでしょうか。

野島参考人 現在、このような事象を発生させておるということから、当社、会社発足以来、最大の危機的な状況にあるというふうに認識をしてございます。現在、まさに全社一丸となってその安全輸送の確保に取り組まなければならない、また取り組んでいるところでございます。

 私は、社員の先頭に立って不退転の決意で取り組み、JR北海道の再生を果たしてまいりたい、それが私の責務であると考えてございます。

寺島委員 報道にもあったとおりのお話であるわけであります。当たり前のことでありまして、そのことが平生できていなかったからこういう問題になっているわけでありまして、そのことについてどう責任をとるかと申し上げたいわけであります。

 現場は、なかなか現場で改善ができないという状況の中で、他のJRの皆様を招いてというか、来ていただいて、いろいろと改善の策を練っておられるというふうにも承っております。現場は新しい風を入れてやろうとしているわけですから、経営陣も新しい風を入れて、そして第一歩からやり出すんだということが必要だと思いますが、いかがですか。

野島参考人 先ほども申し上げさせていただきましたが、私が先頭に立って、この会社の危機を乗り切ってまいりたいというふうに考えております。

寺島委員 上司は責任をとってくれるという思いがあるから部下は一生懸命働いて、上司に責任をとらせないように一生懸命働くのであろうと私は思っています。こうしたときにしっかりとした責任が明確になるということが、社員が、そうだな、一生懸命やらないかぬなという思いを持たせる要因だろうと思うわけです。その辺を将来にわたって心していただきたい。

 そして、私にも北海道に友達がおります。電話がかかってまいりました。一体大丈夫か、これから北海道新幹線をやるんだろう、今度はあの猛スピードで走る列車、もし何かあれば大惨事になるだろう、怖くて新幹線ができても乗れないなという電話がありました。

 北海道新幹線、しっかりできますか。

野島参考人 北海道新幹線の開業に向けまして、今準備を進めておるところでございます。安全な鉄道、安全な新幹線を開業させていくということで、今最善の努力をしておるところでございます。

寺島委員 一番は、意識の問題があった。人の問題がある。経営も大変で、予算の問題もある。上層部に言っても枕木は届いてこない、技術力も低下している、技術も伝承できない。そんな状況の中で、実は新幹線、大変心配であるわけであります。

 最後に、国土交通省にお伺いをいたします。

 国土交通省として、このJR北海道の信頼回復に向けて、これはちょっと大臣に、申しわけないんですけれども、御答弁いただければありがたいんですが、どのように取り組んでまいられるのか、お伺いいたします。

太田国務大臣 複合的な要因、そして今、参考人の答弁の中でも、こういう事実があった、こういう事実があったと言うんですが、その結果として出た事実一つ一つ、何がそれに対して原因か、あるいは、そういうことを、人がかかわった場合に、動機、背景、そうしたことの方が実は本当の要因、そこの分析をしっかりする。

 そして、信頼回復というのは、現実にきょうも走っている、それは大丈夫だなという、事故を絶対に起こさない、そして次には組織的トラブルというものを起こさない。そして、現実には毎日毎日走っているわけですから、安全に走行しているという事実を毎日見せていく中に信頼というのは生まれるし、それが持続されるということが一番また大事である。

 そして、こういうふうに改善をしましたよということを全国民に見せる改善というものと、そして、それがペーパーで行動指針などというものではなくて、現実に改善が行われて、そして実行が目に見える形で行われているということを見ないと、全国の国民の皆さんは信頼を寄せてくれないというふうに思います。

 その意味では、安全に走行する、持続する、そして改善が見える形で実行される、そうしたことを積み上げていかなくてはならない。そのためにも、今、特別保安監査をやっておりますが、それ以外にも、私自身も、なぜという一番最初の質問の、奥行きのあるところをどういうふうにするかということを毎日毎日考えているところで、それを、タイミングとか時期、いろいろなことを見て行えるようにということを、的確に指示ができるようにということを心がけていきたいというふうに思っております。

寺島委員 JR北海道におかれては、監督官庁としっかりと連携を図られまして、一日も早い信頼回復に向けて御努力をいただきますように御期待を申し上げます。

 終わります。

梶山委員長 次に、若井康彦君。

若井委員 民主党の若井康彦でございます。

 JR北海道の皆さん、御苦労さまでございます。

 私も一人の鉄道ファンでもあります。北海道を鉄道で旅をするという大変すばらしい経験も何度もさせていただきました。特に、駒ケ岳を望みながら大沼のほとりを列車で行く旅、北海道にとっても本当にすばらしい宝だと思うんです。それが今、大変に安心、安全が揺らいでいるということは残念でございます。一刻も早く安全で快適な鉄道の旅を、国民の足を回復すべく御努力を賜りたいと思います。

 その意味で、幾つか私からも御質問、そして意見を述べさせていただきたいと思います。

 まず、大沼駅の貨物列車の脱線事故に関してでございますけれども、先ほど来議論がございましたけれども、いわゆる分岐器のところで脱線事故が起きるという経験はこれまで何度もあったと思うんですが、皆様は鉄道のプロですから、一般的に言って、あのようなところで脱線が起きるその原因といいますか、ファクターについて教えていただければと思います。

笠島参考人 現在、運輸安全委員会におきまして事故原因の調査中でありますので、詳細についてはコメントは差し控えさせていただきたいというふうに思いますが、一般的に、曲線区間におきましては車両がレールを外に押し出そうとする力が大きくなりますほか、木枕木の場合は、腐食や劣化によりまして、とめくぎの支持力が低下しやすくなります。

 今回の脱線につきましては、分岐部分ということで今議員の方からお話がありましたが、私どもが調査したところによりますと、分岐部分ではなくて曲線部分ではないかと。レール痕から察しますところ、そういうふうに今、調べて、把握しているところでございます。

 さらに、重い貨物列車が通過する場合にはレールを外側に押し出しやすい、こういった事情も一般的には考えられます。

 今申しましたが、当該の脱線が起きたと思われる区間につきましては、この木枕木区間の、しかも曲線内という場所でございました。

 以上でございます。

若井委員 国交省のいわゆる緊急保安検査、九月の第一回、そして十月九日から十二日ですか、第二回の検査の後に私どももJR北海道の本社へお伺いし、そしてまた、いわゆる脱線現場と言われているところも視察をさせていただきました。実際に、事故後に、そこの補修に当たられた方々からもいろいろ教えていただいてまいりました。

 あの事故自体の原因については、先ほどお話がありましたとおり、運輸安全委員会が今調査をしているということですので、最終的な結論についてはそこにお任せをしたいと思うんですけれども、それ以後、いろいろな報道ですとか、国交省からの御報告もありましたが、そもそも、あの部分については、いわゆる軌道変位が二・五センチ、本来であれば一・九センチ以内におさまるべきところが、そこまで変位をしていたというお話もあったわけです。

 また、私が現場で保安の係の方にお聞きをしたところによりますと、事故直後に軌道の変位が三・七センチまで広がっていたというふうにお聞きをしております。ということは、恐らく、相当その変位が大きくて、車輪が脱落をする可能性が非常に高い状況になっていた。それが事故の前なのか、あるいは列車が通過をする間に次第にその変位が広がって落ちたのか、あるいは最終的に脱線事故が起きたところで衝撃を受けて落ちたのか、わかりにくいところだとは思うんですけれども、あえて推測をいたしますと、一両目、いわゆる機関車から四両目までは落ちないでそこを通過していって、五両目から落ちている、しかも内側に落ちているということですので、私は、もともと緩んでいた軌間がさらに変位をして、耐え切れずに内側に落ちたのではないかと、仮説ですが、考えております。

 それで、いわゆる転轍器の上を、あるいは枕木の上を引きずられて、外側に乗っていた車輪まで外側に脱落をした、それで九両目まで引きずられて落ちたという状況ではないかと思うんですけれども、この事故現場の軌道変位が三・七センチになっていたという報道はどこにもありませんが、これは事実でしょうか。

笠島参考人 お答えさせていただきます。

 あくまでも、これも、運輸安全委員会によります事故原因の調査が、今、調査中ということでございますので、私どもの知り得ている情報という前提でお話しさせていただきたいと思います。

 私どもが調べたところの範囲内では、軌間、レールとレールの間の幅ですけれども、これが三十七ミリに拡大していたことがわかってございます。しかしながら、一般的に軌間の拡大の最大限度値、これまでのいろいろな知見では、脱線が起きるということでは四十三ミリというふうにされておりまして、これだけでは必ずしも直接の原因とは言えないと思っておりますが、しかしながら、先ほどの質問にもございましたとおり、列車の走行条件ですとか、あるいは軌道上、軌道の材料の保守の状態等々の条件が変わりますと、やはり軌間の変位量だけ、これが大きかっただけでいきなり脱線が起きたということも言えません。枕木の腐食状況ですとか、あるいは犬くぎの支持力が低下したということで、複合的にレールの押し出し、あるいは小返りが発生して脱線に至ったということも、可能性としてはあり得るのではないかと考えているところでございます。

 以上でございます。

若井委員 その話は、恐らく、いずれ答えが出ることだと思いますけれども、これに絡んで、私は、幾つかぜひ確認をさせていただきたいと思っていることがございます。

 それは、先ほど工務部長さんがおっしゃったとおり、分岐器そのもので脱線したんじゃないというのは、たしか現場の方もそうおっしゃって、線路の上に傷がついているところが全然違う、そういうことだったと思うんですけれども、ただ、この分岐器を挟んで、いわゆる副本線から本線の方に列車が少しずつ加速をしながら、非常に、ジャガイモ満載のすごい重量級だったとお聞きしていますけれども、それが動いていく中でこれが起きたということは事実なわけであります。

 また、先ほど来質問にもありましたが、いわゆる本線とか、副本線も恐らくそうなんでしょうけれども、マヤ車とかあるいはトラックマスターで比較的測定をしやすいといいますか、そういう場所だと思うんですけれども、ポイントというのは大変にやはり、軌間を測定をしたり、あるいは、もしかすると補修をしたりすることも含めて、手のかかる、鉄道でいえば一番難しいところだというふうに私も思っております。

 それで、後ほど、十一月十五日に北海道新聞さんが書いていますけれども、終了後に、北海道全体の分岐器、二千百カ所のデータが社内で未確認だったという報道をしておられる。

 それを見ますと、十月の二十六日に国交省が函館の保線管理室に監査入りをした直後に、二十八日に二千百カ所のレール幅の状況が調査されていなかったということが明らかになった、こういうふうに報じています。さらに、三十日には、具体的な数とすると、二千百八十二カ所のうち、少なくとも十八カ所が異常なしということが確認されたというふうにありますけれども、この間、この事故が起きてから監査が行われ、軌間の調査をするのに相当な時間を要したというのが事実じゃないんですか。ですから、途中で、九月二十二日には九十七カ所が基準値超えだと。あるいは、二十五日には二百七十カ所になり、さらに、この報道でいえば、十月の下旬の段階で二千百カ所が不明だと。

 これはやはり正直なところ、これをその事故の直後にチェックをするのに大変な時間と手間を要したというのが事実じゃないんですか。そこのところをちょっと確認したい。

笠島参考人 先ほど来からお話があります大沼での貨物列車の脱線の時点で、私どもも社内調査で、やはり軌間が大きかった、これが一つの大きな原因ではなかろうかという可能性を持ちました。全道にあります同じような副本線の軌間について直ちに調査をしようということで、調査をしたところでございます。

 その後、やはり調査の中でスラックの問題等々が出てまいりまして、順次、そういった軌道の状態を調べを進めておった。そういう中で、分岐器の調査につきましては、冒頭申しましたとおり、まず軌間、線路での、副本線等々での軌間を優先して調べようということで進めておった、そして、その後、本線もということで調べた経緯がございまして、結果的に、分岐器の測定に至るまでには時間がかかってしまったという状況でございました。

 以上でございます。

若井委員 要するに、その二千百何カ所でしたか、これだけの分岐器、いわゆるポイントのチェックというのには、やはり相当な、要するに手間がかかるということだけは、このことで明らかだと思うんですよ。ですから、緊急の保安検査では、なかなか全体をしっかりつかむというところに至らない。

 そのことは、逆に言うと、先ほど社長おっしゃられましたけれども、軌道は生き物だ、常にメンテナンスしていないと、これは要するにもたないものだということをおっしゃったわけですが、先ほどの側線の話もそうだし、今回、貨物列車が入っていた副本線もそうですけれども、なかなか本線のようには目が届かないところが多いんじゃないかというふうに私は推測をしております。

 推測をしているというのは、後で確認、皆さんの御意見もお聞きをしたいわけですが、要するに、昔のように今の三倍も保線の方がいらっしゃったときには目が届き手が届いたところも、なかなか実は手が届かなくなっている。ただ、その数は、その当時から備えられていたものですから、そのままの数になっている。

 確かに、列車を取り回しするには、いろいろなところに副本線があったりポイントがあったりする方がいいと思いますよ。ただ、これも、要するに、実際にそれをメンテナンスができるかどうかということとの見合いなんだから、私は、もうこの辺でと言うと変ですが、思い切ってその数も減らし、減量して、上手に列車を回す方の話にシフトしていかないと、また起きると思いますよ、こういう事故が。

 非常に危なっかしい、ウイークポイントになるようなところの数はなるべく減らしていくというのが、私は、鉄道に限らず、あらゆるメカニズムの原点だと思うんですけれども、いかがですか、JRの皆さん。そういうふうに思われませんか。

笠島参考人 議員のおっしゃるとおりでございます。

 貨物列車の脱線事故が起きました大沼駅の二番線につきましては、今、引き続き、使用状況が、貨物列車のみ一日一本という使用状況でございますので、目下のところ、使用停止を継続しているところでございます。

 また、これまでも、列車が入線しないという線路につきましては、使用停止をする手続を進めて、行ってまいりまして、極力保守にかかります労力を削減してきたということがございます。

 また、現在、さらに使用頻度の少ない八つの副本線につきまして、今、使用停止の準備を進めているところでございます。

 また、今後、可能な線路がありましたら、停止が可能かどうかを含めて、引き続き、検討を順次進めてまいりたいと考えてございます。

若井委員 国交省の方でも、そこら辺のチェック、管理をよろしくお願いしたいと思います。

 話をちょっとかえますが、この間、北海道への観光客の推移を見ておりますと、平成九年に五百九十六万になって以来、ほぼ横ばいで推移をしております。

 ただ、その交通手段別の内訳を見ますと非常に大きな変化があり、昭和四十八年、一九七三年と七四年に百七万を超えた、そこが鉄道のピークです。今は、平成二十年、二十一年、四十一万五千、四十二万一千というふうに、非常に乗降客が減っている。北海道全体の人口も減っていますから、恐らく鉄道の乗降客数はこれまで非常に減ってきているんだと思いますし、また、これからも、このままではやはりじり貧にならざるを得ない。

 ですから、私は、JR北海道の経営、あるいは鉄道施設のこれからの更新ということも考えますと、どうやってお客さんをふやすかということを本気になって考えるべきときだと思いますが、社長、どうですか。

野島参考人 今、委員からもお話ございましたとおり、私ども鉄道の輸送量も、御利用いただくお客様の数も、減少を続けております。

 一つには、北海道全体の人口が減少しているといったこと、また、北海道内におきましても、札幌圏中心に道民が集まってきているといったような状況、これが、まず北海道内の流動が少なくなってきているということが、私ども鉄道の方にもあらわれているというふうに考えています。

 また、鉄道と自動車等との競争も激化してございまして、高速道路がどんどん整備されていくという中で、列車を選ばずに道路を選ばれる方もふえてきているといったようなことで、私どもの輸送量が落ちてきていると思います。

 こういった、全体が縮んでいく中でございますが、やはり観光の方に北海道においでいただき、私ども鉄道だけでなく、北海道を旅行していただく、こういったことが北海道にとってこれから重要な施策になる、委員の御指摘のとおりだというふうに考えてございます。

若井委員 観光庁にも来ていただいておりますが、七年後に東京オリンピックも想定されていますし、北海道、将来に向かって何かいい考えはないんですか。

久保政府参考人 御指摘のとおり、二〇二〇年にはオリンピック、パラリンピックが東京で開催されるということに決まりました。スポーツの開催地は東京でございますけれども、この開催効果を、北海道を初め、東京以外の各地域にも波及させていくことが重要であると考えています。

 一つには、開催国日本という国際的注目度がありますので、オール・ジャパン体制のもとで、東京だけじゃなく、北海道まで各地域の魅力を発信していくということが必要だと思っています。また、二〇二〇年の時点までに、いろいろなスポーツの大会だとか、事前の練習、合宿というものがありますので、こういう際にも東京以外の各地域にそれらを誘致するような取り組みを進める必要があると考えていますし、我々もその方向で取り組んでいきたいというふうに思っています。

 また、北海道については、特に外国人観光客から見ました場合、雪を初め非常に魅力のある資源がありますので、そういった点もプロモーションの中心にこれからも据えて取り組んでいきたいというふうに考えております。

若井委員 それで、ちょっと話をかえますが、お手元にカラーの資料をお配りしております。

 北海道に白老という町があり、そこにポロトの森という、これは林野庁が管理しております自然休養林ですけれども、これが既にあります。かなりのお客さんがここを訪れているようですけれども、ここに政府が次の時代に向けて大きな提案をしておられる。ただ、この話、国民の皆さんはほとんど知りません。時間はどんどん迫っている。

 先ほどのカラーの次のページに、「象徴空間の整備に向けたロードマップ」という資料を入れておきました。

 話が唐突なんですが、実は二〇〇七年に国連が、先住民族の権利に関する国際連合宣言を採択しております。我が国でも、その次の年に国会で、衆参両院で、アイヌ民族を先住民族とすることを求める決議をしております。これに基づいて、過去五年間、そのために、それを具体化するために何をすべきかということを政府を挙げてこの間検討してきたというその成果が、象徴空間という言葉になっておりますが、一番最後のページにあります、ちょっと見ていただければと思いますけれども、民族共生の象徴となる空間というものを構想している、そういうことです。

 先ほどお見せしました自然休養林、そこから海の間に小さな町があるわけですけれども、ここに、国交省管轄の公園、あるいは文化庁管轄の北海道では初めての国立博物館、これを全体として象徴空間というものを整備する、そうした構想であります。

 この機会に、このプロジェクトに手を染めておられる皆さんに、ぜひ御紹介をいただきたいと思いますけれども……(発言する者あり)今言うから、それは。民族共生の象徴となる空間について、これは内閣官房ですか、簡単に御説明、御紹介いただければと思います。

小西政府参考人 お答えいたします。

 民族共生の象徴となる空間、いわゆる象徴空間でございますけれども、アイヌの歴史、文化等に関する国民各層の幅広い理解を促進していくという拠点、さらには、将来に向け、アイヌ文化の継承、新たなアイヌ文化の創造、発展につなげるためのナショナルセンターとして位置づけられておるものでございます。場所は、今委員御説明ございました北海道の白老町に整備を図ってまいります。

 本年の九月ですが、内閣官房長官を座長といたしますアイヌ政策推進会議におきまして、象徴空間の一般公開の時期を平成三十二年度、すなわち東京オリンピック・パラリンピックが開催される年度といたしました。加えまして、その間までの工程を示す、象徴空間の整備に向けたロードマップも了承されましたところでありまして、今後とも、アイヌの方々の意見をしっかりと伺いながら、関係省庁と連携して、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

若井委員 北海道に世界じゅうの方々が、あるいは日本全国の国民が改めて関心を向ける、そして、そこを次の時代へ向けての、北海道の、あるいは日本の進むべきテーマとしてここを活用する、そういう方向へぜひ私はこうしたプロジェクトを進めていただきたいと思うんですけれども、現に、ブラジルでは二年後にオリンピックがありますが、その前に、先住民族の国際的なスポーツ大会というのをプレオリンピック事業として行うことに決まっておりますし、また、実はシドニーやロンドンでも、人類社会の交流と連携というのはキーワードとされてきているわけであります。

 ですから、私は、単にアイヌの問題というにとどまらず、北海道で、北海道の皆さんがぜひ先頭に立って、こうしたプロジェクトに取り組んでいただきたいと思う者の一人であります。

 実は、この白老というのは室蘭本線でも大変に重要なポイントだと思いますし、そうしたものを一つの節にしながら、鉄道の、あるいは道路や空路もそうでしょうけれども、そのベースもしっかり整備をしていく、そういう大事な時期じゃないかと思うんです。オリンピックを単に二十世紀型の国威発揚のプロジェクトにしてしまってはならない、そのことをぜひこの機会に国民の皆様に伝えていただきたいと思いますけれども、北海道地方の皆さん、いかがですか。きょうはいないんですか。

 では大臣、よろしくお願いします。

太田国務大臣 東京オリンピック・パラリンピック、大事なことはいっぱいありますが、一つは、東京オリンピックと言って切らないで、パラリンピックが五十年前と違って行われるということは極めて重要なことで、そして日本全体、首都圏はもとより、バリアフリーとか心のバリアフリーということをとって迎えるということが、本当のおもてなしであろうというふうに思います。

 同時に、今先生御指摘の民族共生ということについて、白老町のポロト湖畔に設定される象徴空間、ここを二〇二〇年に目標を定めて設定するということは、極めて重要であり、意義深いものだというふうに考えているところでございます。

 北海道にとりましては、観光ということも大事だし、そして、先住民の方々と共生をするという新しい姿を見せることが、観光ということと国際的理解を得られるという上で非常に大事なことだというふうに認識をしております。

若井委員 この事業ですが、先ほどのロードマップによりますと、大変に重要な場所に公園的土地利用というアイテムがあり、平成二十六年、来年いっぱいには構想を固めてその事業に入っていく、そういう段階が書いてありますが、国交省の皆さんからして、これは今どういうふうに進めておられるのか。あるいは、これの全体を進める上で、いわゆる推進をするための具体的なチームとかそういうものが必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。

関政府参考人 お答えいたします。

 民族共生象徴空間の整備でございますけれども、現在、国交省といたしましては、公園的土地利用の部分につきまして、基本構想、この検討を進めているところでございまして、平成二十六年度にその基本構想を策定すべく、今その検討を進めているというところでございます。

 その後、平成三十二年の一般公開に向けまして、アイヌの方々の御意見も伺いながら、しっかりと整備を進めてまいりたいというふうに思っております。

若井委員 このような事業も具体的に進んでいるわけでございますから、それをしっかり支える意味でも、ぜひJR北海道の皆さんには、会社を立て直し、安心、安全の快適な鉄道の整備をお願いしたいと思います。

 また、二年半後には函館に新幹線が行く、二十年たったら札幌まで延ばすという想定で進めておられるわけですから、ぜひこの機会に正すべきところをしっかり正していただいて、すばらしい北海道に貢献していただけるようにお願いをして、ちょっと腰折れですけれども、質問を終わります。

 どうもありがとうございました。

梶山委員長 次に、高橋みほ君。

高橋(み)委員 日本維新の会の高橋みほでございます。

 本日は、北海道民の皆様の全ての思いを込めて質問したいと思っております。どうぞ誠実に答えていただければと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 私は、今のJR北海道の現状を見ますと、国鉄が民営化されたときに、赤字路線を多く抱え、基盤が脆弱な北海道で一つの会社をつくるということ自体に無理があったというような方も多くおられます。しかしながら、このJR北海道で多くの人がけがなどをされたということは、真摯に受けとめなければいけないことだと思っております。

 安全運転のために必要な措置を怠っていた、安全運転のために保存されるべき記録が破棄されていた、事故にならないための必要な措置を放置していた、必要なことを怠っていたというのは間違いのない事実だと思っております。

 鉄道事業の経営がうまくいかない、思うように売り上げが上がっていない、それでもコストはしっかりとかかっています。飛行機に乗る人がふえたから鉄道の利用者が減った、過疎化が進んでいるにもかかわらず、政治的な圧力で路線を廃止できない、車に乗る人がふえたから鉄道に乗る人が減った、高速道路が充実したから、便利になったから、鉄道に乗る人が減ったからというようなことも言われています。

 そんな言いわけも考えられるところではありますけれども、そこで野島社長に質問させていただきたいと思います。

 今回の一連の問題は、JR北海道の内部に原因があるのではなく、外部に原因がある、そんなような感覚というものはお持ちでしょうか。

野島参考人 ただいま委員御指摘のように、北海道は積雪寒冷地域でございます。また、先ほども申し上げましたが、札幌近郊への人口一極集中、あるいは地方の過疎化が進んでございまして、鉄道経営にとっては大変厳しい地域特性を持っておるところでございます。

 また、これに加えまして、北海道の経済の長期低迷、あるいは、委員のおっしゃっておられました高速道路の延伸、こういったことを背景に、鉄道の運輸収入は減少基調にございます。また、経営安定基金の運用益についても、会社発足当初の約半分まで減少しているといったような状況にございます。

 しかしながら、こういった状況を踏まえまして、平成二十三年度におきまして実質的な経営安定基金の積み増しといったような支援措置を講じていただき、平成二十四年度は単体で九億円、また連結では七十三億円の経常利益を計上いたしました。

 いずれにいたしましても、もとより安全の確保が鉄道事業運営の根幹でございます。何よりも優先すべきことでありますので、こういった外部要因があるから現在の当社のような状況になっているというふうには認識をしてございません。

高橋(み)委員 ありがとうございます。

 初めの言いわけが随分長かったので、最後、外部的要因ではなく、自分たちの問題であるという受けとめ方がなされていないのかと少々心配になりました。

 野島社長さんは、ことしの六月に社長に就任されたと伺っております。では、誰に推薦されるなどして社長の地位についたんでしょうか。

野島参考人 当社の社長の選任に関する手続につきましては、当社は国が株式を一〇〇%保有する特殊会社に該当しております。閣議決定に基づきまして、代表取締役社長の候補者につきましては、第三者委員会を設置して、当委員会で評価をいただきます。また、適任であるとの評価をいただきますと、国土交通大臣に対して人事案を提示させていただき、閣議了解を得て、当社の株主総会及びその後の取締役会において代表取締役が選任され、さらに国土交通大臣に認可をいただき、任命されることになります。

 なお、私を社長として選任したのは誰かという御質問でございますが、私に対しましては、当時社長でありました、現在の会長の小池から、後任の社長候補としてどうだというお話をいただき、今前段に申し上げたような手続を経て、ことしの六月に社長に就任させていただいたところでございます。

高橋(み)委員 ありがとうございます。

 今の御説明でもわかるように、代表取締役を選ぶのは、かなりの手続が必要となります。

 お手元にお配りしました資料の1をごらんください。これを見ると、代表取締役を一人選ぶのにかなりの手続が本当に必要だということがわかると思います。そして、これを見ますと、代表取締役の選任に政府の関与が本当に大きいということがわかるかと思います。

 としますと、今回の不祥事、責任をとらなければいけないのは当然社長さんであろうと思いますけれども、それを選任した政府の責任というのもあるのではないかと私は考えております。国の責任は今回は特に追及しませんけれども、これからは大きな問題になるのではないかと私は思っております。

 少し話題をかえまして、今回の一連の事故、故障等を考えるとき、当然ですが、まずは事故、故障などが起こる前に危険を予知して何らかの対策を行う、それが本当に大事なことだと私は考えております。事故の予防というのは本当に大事なことでございます。

 一つの事故の裏には、幾つもの、冷やりとしたり、はっとするようなことがあったというふうに言われております。これはハインリッヒの法則と言われておりますが、死者が出るような一件の重大な事実の背後には比較的軽微な事件が二十九件あり、その裏にはヒヤリ・ハットするようなミスが三百件程度あるというふうに言われております。

 JR北海道さんは、社員の方から、このようにヒヤリ・ハットしたような場合の報告を受けつけていると伺っております。このヒヤリ・ハットするような経験の申告は、平成二十二年度は七百八十件、平成二十三年度は八百五十二件、平成二十四年は七百件あったと伺っております。

 私は、平成二十四年の七百件の冷やりとしたり、はっとしたりしたものの経験の報告書をいただきました。結構、こんなに厚くなっております。

 例えば、これはその中の一部を抜き書きというか、ちょっとつくってみたんですけれども、三枚目をごらんいただければと思います。

 Aというふうに印をつけたところがあるんですけれども、ここでは、運転士さんが、突発の入れかえ作業が発生したために、駅社員の誘導で移動中、ATSを切り忘れ、誤出発で非常停止をしたという事例になっております。

 ここに載っているということは、事故が起こったわけではない、ATSをただ単に切り忘れただけというものではあるかと思います。ただ、これを私が見たときに、ことしの九月七日、札幌市手稲区の札幌運転所で、札幌発上野行き寝台特急北斗星になる予定の列車で、運転士がATSの操作を誤って列車を非常停止させたときの、事故のミスが怖くてATSを壊してしまったという事例と実はそっくり。もちろん、今回の場合は報告しているので、壊したところまではそっくりではないんですけれども、ATSを切り忘れたというところまでは本当に同じです。ということは、残念ながらATSの切り忘れとかいうことはよくあることで、残念ながら改善されていないんじゃないかというふうに私は危惧いたしました。

 次に、Bと印をつけているところを見ていただきたいんですけれども、これは、発電機異常が発生したので直ちに停止し、指令に連絡し、床下の点検を行い、異常がないことを確認し、運転を再開したとあります。

 次に、Cと印をつけているところを見てほしいんですけれども、ここは、エンジンが停止したため常用ブレーキで停止し、指令に連絡、点検に行く旨も伝え、異常がないことを確認後、許可を得て発車したとあります。

 このBとC、注目をしていただきたいんですけれども、回答が同じなんですね。「乗務員が車両不具合等で不安を感じたら指令に報告し、点検することを継続し、安全運転に努めて下さい。」というふうに書いてあるだけなんですね。これはただ単にコピーして張りつけただけのものなのかなというような、すごく心配を私はいたしました。

 そして、これは、発電機異常があったりエンジンが停止をしたのに、回答は「点検することを継続し、安全運転に努めて下さい。」というものなんですね。私のような素人がこれを見ますと、本当にこれで大丈夫なのかなというような危惧をかなりいたします。

 これらはきちんと安全を徹底的に調べられているのか。これは、もしかしたら重大事故につながるようなヒヤリ・ハットというのは、書面で回答するのではなく、きちんとした対応をしているのかということをお伺いしたいと思います。

野島参考人 今委員から御指摘をいただきましたヒヤリ・ハットでございますが、確かに、Bが四号車の発電機の異常、Cがやはり六号車のエンジンの停止というヒヤリ・ハットの事象でございます。これは、投稿者といいますか、このヒヤリ・ハットを申告した者が、左から三番目、四番目に運転士というふうに記してございますが、運転士が運転中にエンジンの異動を感じたということで、その事象をヒヤリ・ハットとして報告したものであります。

 このような事象があった場合には、ここにもございますが、指令等に報告をいたし、あるいは帰着点呼、乗務員、運転士が自分の所属箇所に戻ったときに帰着点呼等で報告をいたします。そうしますと、ちょっとこの具体的な事象については私は押さえてございませんが、車両の検修部門にもそのような情報が伝わり、また、点検をするといったようなことも行っております。ちょっとこの事象そのものについては、申しわけございません、ここではっきりしたお答えはできません。そういった対応をとってございます。

高橋(み)委員 ありがとうございます。

 ただ、もしそれをなさっているならば、本当はここの一覧に書き加えるべきですよね。安全に運転するようにと回答をしただけで、実際、本当にそこを検査して、本当に安全だったかというのを調べたということを書いていない限り、これが本当に中途半端に放置されたということにもしかしたらつながるんじゃないかと私は危惧しております。

 こういうヒヤリ・ハットというのは、私は、本当にこういうのを集めるということは必要なことで、大事なことだと思うんですけれども、最後まできちんとやっていただきたい、そういうふうに要望したいと思っております。

 あと、気になったのは、お配りした2のページを見ていただきたいんですけれども、ヒヤリ・ハットの数が減少するならともかく、毎年ほとんど変わらず、多くのヒヤリ・ハットがあるんですね。これは私から見ますと、明らかに異常なんじゃないかと思っております。改善しても改善しないならば、それは根本的に問題でしょうし、そもそも改善しなかった可能性もあるんじゃないかというような印象を受けております。

 社長にお伺いします。この高どまりの原因というのはどこにあるでしょうか。

野島参考人 ヒヤリ・ハット活動につきましては、先ほど委員も御紹介いただきましたが、事故になる前のところでこういった事象を発生したものをみんなで共有し、大きな事故の発生を防ぐというようなことを目的にやっておる活動でございます。

 社員が経験したこういった体験をみんなで共有化するということを目的に今やっておるところでございまして、御指摘のとおり、件数が七百八十から七百件というところで、余り変化がございませんが、件数が多いというと、そういうことが多かったんだろうという推察もできる一方、件数が少なくなりますと、気がついたものも申告しないのではないかということもありまして、ちょっと詳しく分析しないと、件数の多い少ないでよい悪いを判断するということはなかなか難しいというふうに思っております。

 それから、今、この七百件ということにつきましては、社員から出てきたその全てについて、きちっと社員に回答しておる。一方で、現場長からの回答のみで終わっているのではないかという御指摘もございました。

 こういったことは、きちっと社員の声を生かす、どこまで対策をとれているかといったようなことにも関心を持っていかなければならないと考えてございます。

高橋(み)委員 ありがとうございます。

 何かうまく言い逃れられちゃったんじゃないかなというような印象も持っております。

 さて、先ほども事例を紹介させていただきましたが、九月七日、札幌市手稲区の札幌運転所で、札幌発上野行き寝台特急北斗星になる予定の列車で、運転士がATSの操作を誤り、列車を非常停止させたんですけれども、この誤操作を隠すために、ATSのスイッチをハンマーでたたくなどして壊したという事件がございました。

 私は、この事件を聞いたときに、JR福知山線の脱線事故を実は思い出してしまいました。あの事件のとき、運転士は、伊丹駅のオーバーランの距離を小さく報告してほしいとして、まけてくれへんかと言ったそうです。すなわち、ペナルティーがあるから制限速度を超過して電車を運転したことがこの事故の一因であるというふうに言われております。

 私は、今回のATSを運転士さんが壊したという事件というのは、もしかしたら同じ問題があるんじゃないかなと思いました。すなわち、重大なペナルティーを与え過ぎているために、それを回避しようとして隠蔽や無理をすることがあるということもあるんではないかと思っております。

 そこで、お尋ねいたします。

 JR北海道さんは、例えばこの運転士が行った行為、すなわち、ATSの操作を誤り、列車を非常停止させたような場合、通常の勤務を外して指導、教育をするのでしょうか。もしするのでしたら、どのような指導、教育をされているのでしょうか。

小山参考人 お答えをいたします。

 大変なことでございますが、今の御質問にお答えいたしますと、本人に対しましては、起こした事象の重大性ですとか鉄道従事員の職責等につきまして、まず、十分指導、教育を行っております。

 以上です。

高橋(み)委員 何も答えになっていなかったような気がしますけれども。

 社長さん、この件についてお尋ねします。お答えください。

野島参考人 今、小山の方から御説明させていただきましたが、ちょっと足らないところがございました。

 本人に対しては、乗務をおろし、必要な教育等を実施したところでございます。

高橋(み)委員 やはり現場からおろしてしまって、何日間か別のところに、隔離とは言わないですけれども、指導、教育するということでよろしいんでしょうか。

小山参考人 当然、重大な事象を発生させておりますし、また、本人も気持ちが動揺しておりますので、そのままの乗務はさせられないという状況の中で、指導、教育を実施してございます。

高橋(み)委員 私の質問がちょっとまずかったのか、聞き取っていただけなかったんだと思いますけれども、私は今、壊した人がどうとかというわけじゃなくて、例えばATSのスイッチを切り忘れたような人が、もしそれを申告した場合に、どのような罰、ペナルティー、指導、教育がされるのかというのをお尋ねしただけです。

 次に行きたいと思います。

 今回、ほかの先生方もたくさん質問されているんですけれども、函館保線管理室は、複数の異常の放置があったにもかかわらず、異常なしと本社に報告し、パソコンには虚偽のデータを入力したというふうに伺っております。

 先ほど佐藤委員の質問に対しまして、野島社長さんが、改ざんしていたところが函館のほかに八カ所見つかったということですが、その八カ所というのを教えていただけますでしょうか。

野島参考人 先ほど申し上げました函館保線管理室以外に、データの書きかえが現時点で判明しておりますのは、岩見沢保線所滝川保線管理室、同じく富良野保線管理室、室蘭保線所苫小牧保線管理室、同じく室蘭保線管理室、同じく伊達紋別保線管理室、それから旭川保線所上川保線管理室、北見工務所北見管理室、函館保線所大沼保線管理室、これに函館保線管理室を加えました九カ所でございます。

高橋(み)委員 ありがとうございました。

 余りにも多過ぎて、一度に書き切れないほどでございました。

 さて、レールの補修というのは、十五日以内で直すということが内規によって規定されているのに、放置されたと伺っております。これはどうしてなのか、お伺いしたいと思います。

野島参考人 いわゆる保線管理室と本所との間におけます業務管理体制の不備、あるいは、ほかの業務を優先してきたといったようなことが原因と考えております。

 また、保線管理室での業務体制の不備ということにつきましては、ちょっと具体的になりますが、現場におきまして検査担当者と補修担当者との間の連携がとられていなかった、また、それを確認する仕組みがなく、確認がされていなかったということが認められております。

 また、本社部門におきましても、現場に対しまして、保守管理体制を構築しなさい、要するに確認する体制をとりなさいという指示をしていなかったということも判明しております。

 まずは現行ルールの徹底が必要であると考えておるところでございます。

高橋(み)委員 ありがとうございます。

 JR北海道のレール異常が判明した全道約二百七十カ所のうち約九割で、安いけれども耐用年数が低い木製の枕木が使われていたというふうに伺っております。それで、その交換が必要な枕木はチョークでペインティングをすると伺っております。そうしますと、そのペインティングされた枕木というのは交換していくことになると思うんですけれども、大体どのくらいの日数で交換すると定めているのでしょうか、教えてください。

笠島参考人 お答えいたします。

 枕木につきましては、定期的な検査を実施しておりまして、枕木の損傷、劣化、減耗等の状況を把握しておるところでございますけれども、交換までの日数については定めを明確にはしておりません。あくまで、枕木の機能が損なわれるおそれが生じた場合などに、必要に応じて交換をするということにしてございます。

 枕木の状態判定それから交換の計画の検討は、保線管理室の検査担当者や責任者が行いますけれども、最終的な実行計画の判断、工事の実施は、その上の機関であります保線所というところの所長が実施するということにしてございます。

高橋(み)委員 今の御答弁というのは全くおかしいと思いましたね。

 私は、チェックをする人が、もうこれはかえるべきであると思ってチェックをしたんでしょうから、それからもっとまた判断があるというのはやはりちょっとおかしいんじゃないかと思っております。

 よくここで言われるのは、JRさんはお金がないから、現場の人が枕木を交換したくても交換できないんだというようなことも、よくちまたでは言われているんですけれども、その件に関しましては、野島社長、いかがお考えでしょうか。

野島参考人 鉄道事業を運営していく上で、安全の確保は不可欠でございます。そのためには、きちっとした安全投資あるいは修繕というものを着実に実施していかなければならないと考えてございます。

 当社は、これまで、厳しい経営環境の中におきましても、安全に対して必要な資金を確保するように努めてきたところでございます。しかしながら、結果としては、各分野に十分に行き渡らないという状況が生じ、車両や設備の更新が必ずしも進まなかったという実態はあるというふうに考えておるところでございます。

 なお、現場の声にという御質問でございました。

 現場からは、いろいろな設備改善要求等も上がってまいります。それを全て実施するというのはなかなか困難な状況にございますが、現場の声をこれからはきちっととりたい、現場の声をきちっと反映させていきたいということでございまして、先般いただきました改善指示の中におきましても、二十六年度の予算編成におきましては、本社において現場からの提案を十分に聞き取った上で、安全を確保する上での優先度を考慮しつつ、講ずべき措置が着実に実施できるようにということで、今、二十六年度予算の編成に入っておるところでございます。

高橋(み)委員 残念ながら、今の野島社長のお答えというのはちょっとおかしいんじゃないかと私は思っております。

 それはなぜかといいますと、現場が、もう壊れてしまっている、かえてくれと言っているのを、予算の関係上かえられないというのは全くおかしいですよね。別に、新しい事業を始めるのに予算がないからそれはできないというのは納得しますけれども、保安上危ない、もう枕木をかえなきゃいけない状況になっているというのに予算の範囲で考えるというような今御答弁だったと考えております。それは、これからもまだまだ事故が続く可能性という芽が今あるんじゃないかと思って、私は大変残念に思いました。

 今、枕木の件なんですけれども、枕木にチョークでペイントしているということは皆さんに見えるんですよね。運転士さんも車掌さんも保安の作業員の方も、ずっとペインティングされていたということは見ているんだと思うんですよね。それを放置していたJRさんの体制というのは、本当にこれから変えていかなければいけないときじゃないかと私は思っております。

 ちょっと話題をかえるんですけれども、よく、最初にも申し上げたんですけれども、マスコミさんなどの話では、JR北海道は経営が苦しいから修繕費を出す予算がない、今の御答弁もそうだったんですけれども、私は本当にそうなのかなというような疑問を持っております。

 そう思いましていろいろな資料を見させていただいたんですけれども、JR北海道単独の決算では、平成二十五年三月三十一日現在では、利益剰余金がマイナス八億円になっております。しかしながら、グループ全体の連結決算を見ると、この利益剰余金の部分が二百七億円になっております。

 このことはすなわち、グループ全体で二百十億円もの利益剰余金があることを示しておりますが、これは、社長、間違いはないでしょうか。

野島参考人 連結決算でございますグループ会社、私ども三十社程度と思いますが、それらを全部入れますと、JR単体よりは利益等が大きくなるというのが実態でございます。

高橋(み)委員 また全然答えにはなっていないと思うんですけれども。

 私が言いたいことは、親会社にはお金はないかもしれないけれども、子会社でお金を稼いでいるんじゃないのか、このことを何とか利用できないのかと申し上げたのでございます。

 そして、またよく先ほどから何回も言われているんですけれども、JR北海道さんはお金がない、お金がないというふうにさっきから何度も言われているんですけれども、同じように経営が厳しいと言われているJR四国さんは、実は、きちんとお金を確保しまして、枕木の五四%はコンクリート製にかえたというふうに伺っております。私は、それを考えますと、JR北海道さん、貧しいから安全投資ができないのではなくて、ただ単に子会社を太らせたり、どこにお金をかけるのかというのを間違っていた可能性があるのではないかと私は思っております。そこをちょっと考えていただければと思っております。

 あと、最後になりますが、これら一連の問題を考えたとき、やはりどう考えても、JR北海道さんだけの内部の問題では、内部の自助努力というのでは改善が難しいんじゃないかというふうにも思っております。

 そして、ふだんから私は社外取締役の存在というものに着目しておりまして、社外取締役の方が内部に入ってきちんと外からの目を持って会社の経営に口を出していくべきだと私は思っているんですけれども、今回、二人の社外取締役さんがいらっしゃると思いますが、その方のお名前と経歴を簡単に教えていただければと思っております。

小山参考人 お答えを申し上げます。

 現在、私どもには、社外から取締役二名が入ってございます。お一方は近藤取締役、北海道経済界からお迎えしている方でございます。もう一名は野口取締役、北海道観光業からおいでいただいております。

 いずれも、これら取締役会において、この取締役より、業務の品質管理ですとか中長期的な設備維持管理などについて、外部の視点から大変厳しい意見ですとか有効な提言をいただいております。

 以上でございます。

高橋(み)委員 外部から厳しい提案をいただいたのにもかかわらず、この状況というのは、このお二方が、幾らぐらい給料をもらって、どのくらい熱心に、一生懸命、外部の社外取締役として頑張っていらっしゃるかはわからないんですけれども、ちょっとその点が不十分じゃないかと私は危惧しております。

 私は今まですごく厳しいことばかりを言ったかもしれませんけれども、私は、JRのあるところに、すぐ近くに住んでいるんですけれども、私の地域ではJRさんは、地域に溶け込んで、地域のためにいろいろなことをしていただいたりして、とても感謝される存在ではあります。ぜひ、安全面をきちんとしていただき、そして、地域に貢献するJRさんとして頑張っていただきたい、そう思っておりますので、これからももっと頑張っていただきたいと思っております。

 どうもきょうはありがとうございました。

梶山委員長 次に、松田学君。

松田委員 日本維新の会の松田学と申します。

 今、日本維新の会の高橋委員から、地元北海道ということで質問させていただきましたが、私は実は財務省から国土交通省の北海道局に出向したことがございまして、そのときもいろいろな北海道に対する思いがありましたので、その思いもちょっと入るので、若干今までの委員の質問とはトーンが違うかもしれませんが、ちょっと違う角度からの質問を幾つかさせていただければと思います。

 日本維新の会の代表であります石原慎太郎代表がよく言う言葉なんですが、毛沢東の矛盾論というのを引用してきて、目の前の矛盾の背後には必ず主要矛盾がある、主要矛盾に目を向けなければ問題は解決しないということをよくおっしゃいます。

 本日も、いろいろな矛盾といいますか、問題、課題が指摘されてきたわけですけれども、根本的に何が今回のこういった事態を起こしているのか。ちなみに、私も必ずしもこの分野は詳しくないものですから、JRのOBであるとか、若干聞いてみました。一言で言って、労組の問題である、もうほとんどそれであると言う方がやはり多いわけですね。

 この労組の問題というのは、きょうも平沢委員がいろいろと質問していましたけれども、このほかに、仮に労組の問題がなくても、経営の構造といいますか、基本的なJR北海道の仕組みの問題というところから来ている面ももしかするとあるかもしれないという観点から、いろいろと御意見等を聞かせていただければと思っております。

 今回、国土交通省は監査をして、これまでにない監査をしたと言っております。経営にまで踏み込んだ監査をしたと。その過程で出てきたのは、きょうもいろいろ指摘が出ていると思いますけれども、本社で予算編成に当たって、安全確保に関する現場からの要望が十分に考慮されていなかったということが出てきているということも明らかにされているわけであります。

 今も高橋委員が、お金がないという話、そういうことは言い逃れにならないと。私もそう思いますけれども、さはさりながら、JR北海道の収支状況を取り巻く状況というのは、これはどんなに優秀な経営者の手腕をもってしても、あるいは社員のモラルをもってしても克服できない、非常に大きな主要矛盾というのはもともとあるのではないかということも一応考える必要があるのではないかという観点で御質問というか、そういう意見を表明させていただきますと、まず基金の運用益については、国鉄の民営化のときは、昭和六十二年度、四百九十八億円が、平成二十五年度計画では二百十七億円、二百八十一億円減少しているということは、もう御案内のとおりでありますし、また、高速道路、これも無料化があって、これが数十億円程度の収益減になったという指摘もあります。

 この中で、営業損益ベースで見ると、民営化の当時は五百三十八億円の赤字だったのが、二十五年度計画では三百十一億円の赤字、二百二十七億円改善しているというのも一方で事実であろうかと思います。

 私も北海道局で仕事をしていたときに、北海道というのは非常に特殊な地域であると。積雪寒冷という言葉も先ほどありましたけれども、インフラの整備をしなければならない距離が、非常に、本州では考えられないぐらいの広さというか、ちょっとスケールが違うんですね。三島会社の中でも、ほかの会社はしっかりやっているといっても、北海道だけは相当なことをやらないとなかなかほかの地域と同じようにやっていくわけにはいかないという面があろうかと思います。

 そういった中で、営業努力で二百二十七億円改善したということなんですが、まず社長さんにお伺いしたいんですが、この営業努力による改善というのはどういうふうな要因で改善してきたのかについて、お聞かせいただければと思います。

野島参考人 今委員御指摘のとおり、営業損益、私どもの会社は赤字ですから営業損失でございますが、会社発足以来、その赤字を縮減するという経営努力を重ねてきております。

 鉄道を主体とします運輸収入につきましては、先ほどのお話にございましたとおり、平成八年度をピークに、残念ながら今減少傾向にございます。

 こういった中で、営業損益、収支の改善を図ってくるということでございますが、六十二年の会社発足時、一万三千人でスタートし、私ども、いわゆる余剰人員と言われる社員を、その社員の効率化といったようなこと、すなわち業務をいかに機械化するかとか、あるいはローカル線を中心に列車のワンマン化をするとか、こういったようなことで効率化を進め、人件費を改善するといったようなことで収支の改善を図ってきたところでございます。

松田委員 基本的にコストカットだったと思います。コストカットをすれば当然人員が減っていく。かつては、聞いたところでは、従業員が二万八千人ぐらいいたのが現在七千人ぐらいという話も伺っておりますけれども、従業員が減れば、当然のことながら、現場での管理体制とかそういったものも手薄にならざるを得ないという面もあろうかと思います。

 こういう状況に対して、利益はよくなった、利益はもちろんマイナスあるいはとんとんであっても、以前に比べればよくなった。この要因として、経営安定基金という、営業努力もあるけれども。しかし、経営安定基金の利子収入を入れても厳しい。国もいろいろ努力をしてきたのも承知しております。基金に対して財政的支援措置といいますか、承知をしているんですが、それでもやはりこういう経営状況になっている。

 今回、いろいろな、現場でのとても聞くにたえないような事態がたくさん本日も確認されているわけでありますが、そういったことが起こった背景として、やはりこの安全投資というか、人員も少ない中でいかに安全投資をしていくかという点において、どんなに頑張ろうとしても、やはり収益状況が厳しければ、本来やるべきものであったけれどもどうしてもできなかった部分、もっとやりたかったけれどもやはりできなかった部分というのが本当はあるんじゃないかと思いますが、社長、いかがでしょうか。

野島参考人 今委員からお話ございました、私どもの会社は決して資金的に余裕のある中で事業を進めてきたということではございませんが、例えば都市間輸送の整備等々につきましても、補助金を活用させていただいたりといったようなことで北海道の鉄道の整備を進めてきたところで、そういった外からの支援等をいただきながら、北海道の鉄道網の整備に努めてきたところでございます。

 そういった中で、直近で申し上げますと、平成二十三年度に、先ほどもお話ありましたが、鉄道・運輸機構の特例業務勘定の利益剰余金を活用しました補助のフレームをつくっていただきました。その中で、十年間という期間の中で六百億という設備投資の支援をしていただけることになりました。

 現下の状況を踏まえまして、安全に対する設備投資を積極的に進めるべく、今その計画を策定しているといったような状況でございます。

松田委員 事故が起こって、国が監査を強化して、そしてまた事故が起こって監査を強化していくということを繰り返しても仕方がないわけであります。また、基金が運用収益が減ったからといって、また国に財政支援を求めて、そして安全対策の財源をまた国に頼るということであってもならないわけであります。

 多分、私は、この問題というのは、JR北海道を超えた、少し仕組みの問題というのをよく考えなきゃいけないんじゃないかなということも、もちろん、うみを出し切って徹底した安全対策をしてもらうのは前提ですが、そこをもう少し議論しておく必要があるのではないかなと思っております。

 今の仕組みでありますと、国鉄の民営化の当時に、本州三社には国鉄の長期債務を負担させる、そして三島会社には経営安定基金を設けると。そうなりますと、低金利になると、債務を負担した方は経営が楽になって、そして、金利収入が入る方は経営が苦しくなる。これは、逆に言うと、格差を逆に拡大させてしまうというか、経済的に見ても非常に不安定な、メカニズム的にもちょっといいものかどうか、そういう議論も一方であろうかと思うんですね。

 そういう中で、私は、北海道の仕事を昔してきたときにもいろいろ感じていたんですが、やはり国も公共事業の中で北海道特例というのをやっているわけですね。それがよしあしというのはいろいろな議論が来ているんですけれども、余り国に財政的に頼るのはどうかというのが我が維新の立場、会の立場というのはいろいろ論点はあろうかと思いますが、ただ、これはやはりそれなりの理由があって行われていることだと思うんですね。

 この北海道特例が講じられている理由について、ちょっと確かめてみたいと思いますので、国交省からの御答弁をお願いいたします。

坂井大臣政務官 北海道は、我が国の課題でもございます食料供給力の強化、また、国際競争力の高い魅力ある観光地づくり等に対しまして非常に高いポテンシャルを有しておりまして、国の施策として北海道における資源の総合的な開発を推進することが重要だというまずこの重要性と、一方で、もう既に委員が御指摘をいただきましたけれども、全国の二二%の広い面積を持つ中で四%の人口しか居住していないということや、また、開発の歴史が浅く、基盤整備が途上にある、そして、積雪寒冷地であり、非常に厳しい自然条件下であること、また、国境地帯に位置し、未解決の領土問題を抱えているということなどの特殊事情もあるという、この両方を鑑みる中で、本州よりも高い国庫補助負担率等を含む北海道特例というものを認めてきたというところでございます。

松田委員 公共事業では、北海道特例ということで、通常よりも手厚い配慮をする必然性がある、そういうことになるわけですね。

 一方で、公共事業の中には道路というのがあり、また、有料道路、高規格幹線道路というのがあるわけですが、事鉄道に関して言いますと、これは民間でやるということが原則になっている。

 経済的によく考えてみると、有料道路も鉄道も同じ準公共財という分類になるわけですが、一方は官が相当主体的にやり、あるいは介入し、他方は民が主体となってやるというところの恐らく論理的な区分けというのがあるんじゃないかと思いますが、国交省からお聞かせいただければと思います。

滝口政府参考人 公共的なサービスを提供いたしますいわゆる社会インフラにつきましては、それぞれのサービスの内容や特性から、どのような事業主体がふさわしいのか、あるいはまた、どのような費用負担とすべきか判断するべきものだというふうに考えております。

 委員御指摘のように、鉄道事業につきましては、多くの場合、民間企業により、また、基本的には利用者負担で維持運営されておりますが、必要に応じて国または地方公共団体による費用負担というものが行われてきたところでございます。

 今回問題となっておりますJR北海道でございますが、御案内のように、国鉄が行ってまいりました鉄道事業などを、経営責任の明確化、あるいは効率的な経営を実現するということで、昭和六十二年に分割・民営化いたしまして、民間事業者として発足をしたわけでございます。

 しかしながら、その発足に当たりましては、委員御指摘の経営安定基金というものが設けられております。また、その後、二十三年度からは、低金利ということを反映いたしまして、その積み増しが行われているということでございまして、先ほど申し上げましたように、必要に応じて国からの助成が行われている、こういったような状況にございます。

 さらに、JR北海道が行う鉄道事業でありましても、整備新幹線について見てみますと、いわゆる上下分離というものが行われております。下物の整備につきましては、国が三分の二、地方公共団体が三分の一ということで、これについても公的負担が行われているということでございます。

 以上のように、同じ鉄道事業でありましても、事業の特性などを踏まえて公的負担が行われている、このように理解をいたしております。

松田委員 よくわかりました。

 それで、国鉄を分割・民営化したときに地域分割したわけですが、そのときに、まあ独立採算というのは原則だろうと思いますが、北海道については独立採算制、それも民営によって、鉄道のサービスという適切な準公共財、恐らくこの準公共財ということの中には、鉄道のいわゆるインフラとかあるいは鉄道が運行しているといったことだけじゃなくて、安全ということも極めて重要な公共財だと思うんですが、これを北海道の民営会社によって提供できる、そういう見きわめというか論理というのはあったんでしょうか。その点について、国交省からお願いいたします。

高木副大臣 国鉄を分割・民営化した際の地域分割の論理、そしてまた北海道の場合はどうだったのかということでございますが、国鉄改革の基本理念というのは、国鉄事業の破綻の原因が公社制度による全国一元的な経営にあるとの考えに基づいて、分割・民営化によって、効率的でそして地域の実情に即し、かつ経営責任を明確化した経営形態をするということで、こういった改革が行われたということと考えております。

 また、北海道、四国及び九州の三島につきましては、旅客流動の地域内完結度が九五%から九九%と極めて高いことから、一つのまとまった地域における鉄道ネットワークとして、一つの会社の経営のもとに置くことは合理的であるというふうに考えたと認識しております。

 一方、このような分割を行ったことに伴いまして、JR北海道、JR四国及びJR九州の三社については、ともに不採算路線を抱え、厳しい経営が予想はされたということでございまして、そのためにJR北海道につきましては、六千八百二十二億円の経営安定基金を設けて、その運用益を活用することにより、安定的な経営を図ろうということでございまして、可能だと判断したものと考えられるわけであります。

松田委員 まずは、安全対策を徹底してやるという、これはもう会社としての自助努力というのはまず当然なんですが、それでも、本当にきちっとした調査を踏まえて、どうもやはり財源的にどうしても不足するという状況であれば、今、経営安定化基金もあると思いますし、あくまで金利収入でやっているんですが、ある方は、この際、安全投資のためにそれを取り崩してもいいんじゃないかという意見も聞いたことがあります。

 あるいは、そうやっていってもいずれ財政的には足りなくなるというのであれば、もっと持続可能な仕組みをつくろうということで、一種の、NTTのユニバーサルサービスシステムというのがあるわけですが、例えばほかの地域から一定量の負担を求めて、JR北海道の方に補填していくような仕組みも考えられるかもしれない、そういう提案もあるようでございます。

 あるいは、この際、もう労組の問題で立ち行かない、どうしても無理なんだ、北海道は一つの民間会社でやっていくには財政的には論理的に成り立たないんだ、北海道特例のことでもやらないと、継続的にやらないと無理なんだというのであれば、例えばもうJR東日本とかと経営統合してしまう、そんな意見も聞いたことがあります。

 いろいろな改革案というのは出ていますけれども、大臣、そういった提案はいろいろありますけれども、長期的なことを考えてどんなことが考えられるか、まあここで約束するわけにはいかないと思いますけれども、お考えや理念をお聞かせいただければと思います。

太田国務大臣 まさに、まず目の前の、毎日毎日の事故がない、そこをしっかり、夜も点検してスタートを切る。そして、体質問題が指摘されていますから、その組織的トラブルということも、同じトラブルが毎日のように、こういう言葉が言われるんですけれども、事故、それから組織的トラブル、そして体質の問題、さまざまなそういうことの裏に、今先生御指摘したように、そもそもというものがあろうと思います。

 私が今、特別監査をしているというのは、いろいろな、経営安定基金を初めとしてさまざまな措置をとってきました。それで、血のにじむような努力をしていただくことは当然、まずそこをやってもらわないことには、応援ということが先にあっては恐らくだめだろうということもありまして、この特別保安監査においても、幅を持った支援策ということを十分監査の中で見きわめながら監査をしているということでございます。

 例えば、今御指摘の範疇の中で申し上げますと、第二回目、十月二十五日に改善の指示をいたしました。十一月に、二十六年度予算について今策定中でございます。そこの中に、安全ということでどうしても入れなくてはならないということであれば、何よりも緊急事態、優先するというようなことも含めて予算編成を行うようにという指示をさせていただいているところでございます。

 今後、JR北海道において必要な安全投資の検討が行われると思いますが、現在の支援策のもとで、必要な投資が可能かどうか、そして何が必要かということを注視して、それらを踏まえて、必要な対策については検討しなくてはならないというふうに思っているところです。

松田委員 質疑時間が終了いたしました。

 今、日本も人口減少社会、北海道は人口減少地帯であります。そういった日本の長期的な趨勢を踏まえて、交通政策基本法が今国会でも成立するわけですから、全体的な、システム的な発想で、この問題が二度と起こらないような体制をどうやってつくっていくかということを、ぜひ大臣に期待して、私の質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

梶山委員長 次に、杉本かずみ君。

杉本委員 みんなの党の杉本かずみと申します。どうぞよろしくお願いします。

 最後の質問者ということでございますが、ちょっと冒頭、本日は、ジョン・F・ケネディ元米国大統領の暗殺されてしまった後五十年たったという御命日に当たる日でございます。あえて、アスク ノット ザ カントリー キャン ドゥー フォー ユー、アスク ホワット ユー キャン ドゥー フォー ユア カントリーというお言葉がございますが、我々にまさにこの委員会で言っていただいている言葉ではないかと思っております。我々が何かを求めるのではなくて、我々に何ができるかということで、この委員会も求めていきたいと思っています。

 きょう、いろいろと委員会をずっと拝見していますが、質疑のやりとり、無事きょうは終わったということで、JRの社長様初め三人の参考人の方々が、無事に終わってよかった、やれやれということで帰っていただくのでは元も子もありませんで、むしろ、得ていただくものがあって、そして改革に邁進していただくということを心からお願いしたいと思います。

 また、冒頭、公明党の先生からもありましたけれども、秋田・由利本荘市での道路工事の事故。我々国土交通委員会でございます。一人亡くなられ、四名が行方不明という状況、ニュースを確認したら、まだ続いております。ぜひとも早く救出していただくことを心からお願い申し上げます。

 それで、ちょっと私、率直に、質疑を聞いて感じておりましたけれども、まさかに備えなければいけないんですけれども、もうまさかが起きている状態でありますし、想定外が起きてはいけないんですけれども、想定内が起きているというふうに感じております。そして、かつ、大変例えとして御無礼かもしれませんけれども、東京電力の経済産業委員会での、あの事故が起きる前の質疑がありまして、もう引退された議員の方が、全電源喪失について事故の一年前に質問をされました。そのときに、担当のお役所も、あるいは原子力安全・保安院の方も、全く心配ありません、こういう御返事がありましたが、三・一一が起きました。そして全電源喪失がされました。そして、その事故の原因が津波であったのか、地震であったのかがまだ究明されていない。残念ながら、これが我が国の実態であります。

 そんな中で、大変御無礼ながら、東京電力を思い出してしまいました、今の質疑を聞いていて。本当にお任せしていて大丈夫なんだろうかと心から感じました。御返事の端々に魂を感じません。

 私は、太田大臣が今大臣をされていて、相当な責任を感じておられると思っています。だからこそ信頼申し上げて、きょうも質疑に立たせていただきますけれども、その大臣から、閣議で口頭了解、この六月にされたばかりでいらっしゃるので、ぜひとも陣頭指揮に立っていただいて、何となく、今の質疑を聞いていますと、率直に言って、文章を読まれていて、適切な答えを言っていらっしゃるのかもしれないですけれども、では、現場を見て本当に指揮をしてきたのか、そういう感じがしてならないんです。

 本当に事故が起きてからでは、F1の事故が、福島第一の事故が起きてしまって、いまだに原発輸出をされようとする方々もいらっしゃいますけれども、一体、我が国の官僚の方々の矜持であったり、あるいは、国が株を持っていて、途中に、独法が実質保有しているという機構の形になっていますけれども、それを経て、国のお金がたくさん入る中で経営をされている方々が、なぜ本気になっていらっしゃらないのか。なぜ他人事のような答弁をされているのかと私は感じてならないんです。

 本当に申しわけないですけれども、これは率直な、私は八百屋の孫で、靴下屋の息子です。この場にいるにふさわしくない人間かもしれないですが、この場に立たせていただいて、一旅行者として、私、二年半、津々浦々、ほぼ全部、まるきり全部とは申し上げませんが、ほぼ全路線、乗らせていただいています。速いスピードで走ってくださっているのも知っています。寒い中走っているのも知っています。雪かきが大変なのも知っております。

 しかし、その現場の方々の思いを皆さん方が本当に理解をされて、膝詰めの面談をしているという、このパンフレットにもありました。パンフレットの写真は幾らでもいいですよ。だけれども、では、実際に膝詰めをして、一対一で社長は面接をされましたか。せいぜい常務が行って、二十人に対して、まあ、一方的に話をしたのではなくて、幾つか意見も出たでしょうが、いや、俺も意見を言いたかったけれども言えなかったという方々がたくさんいるような状況が今でも続いているのではないかという懸念がしてなりません。

 そういった意味で、きょうは何かを持ち帰っていただいて、陣頭指揮に立っていただきたい。

 私も前、銀行員で、経営安定化基金の運用の御相談に伺って、その銀行から証券子会社だったですけれども、JR北海道さんにも当時はお世話になりました。しかし、今は立場が違います。私は、国民の皆さんの声を代弁してきょうは質問させていただいているということなので、冒頭、大変僣越で申しわけない言い方かもしれませんが、何とか聞き取っていただきたいと思います。

 あえていい意味で申し上げますが、私は、不幸中の幸いとして、JRさんが民営化されて、JR北海道さんが発足後以降、死亡事故が起きていないということは幸いなことだと思っております。七十九名の方が負傷された石勝線の事故もございました。その後、重篤になって亡くなった方は聞いておりません。今、その状況であります。まだ間に合うかもしれない。

 大臣はおっしゃられました。二度言われました。立ち直ってもらおう、しかし、危機意識がない、スピード感がない、実行力がない、企業体質改善が急務である、組織の結束がない。こういった問題を浮き彫りにしつつ、一つ一つ点検して、順番に、基金の話が今、松田さんからありましたけれども、順番にやっていかないと、御社の信頼の回復といったものは地に落ちておりますので。

 信頼というものは、あらゆる業界、一緒だと思いますし、一人の政治家も一緒だと思いますが、失うのは簡単であります。一瞬で失うわけでありますが、これをいただくには、本当に日々、一日、一刻一刻を、信頼を醸成していただく努力をしていただかなきゃいけないですし、このことは、社長さん、陣頭指揮ですが、現場のお一人お一人に至るまで、みんな共通の思いを持っていただきたいとお願いを申し上げます。

 そこでですが、私は、これはもう国を挙げて取り組むべき問題だと思っております。三度、そして現在も続行中の特別保安監査という状況にあって、いろいろまだ言えない話はたくさんあると思います。

 そんな中で、あえて申し上げますが、平成二十四年、去年の十月の二十六日付で、国交省さんからは再三言われていますけれども、会計検査院から、これは車両についてですが、「鉄道車両の定期検査及び検査修繕について」、これは社長宛ての書面で、十月二十六日付で出ています。会計検査院法第三十六条の規定により改善の処置を要求し、及び同法第三十四条の規定により是正改善の処置を求める。

 これを受けて、社長さんにお伺いいたしますが、これに対して、この検査院の指摘事項に対して、実施基準等の遵守、検査記録の適切な整備を行うような指示がされておりますけれども、きちっと対応ができたのでしょうか。

野島参考人 今委員から御指摘のございました、会計検査院から平成二十四年十月、今お話のあったような書面が出てございます。

 車両の定期検査につきまして、実施基準等の遵守と検査結果の記録の徹底を図るということで、こういった周知文書をもう既に発出し、かつ、こういった業務にかかわります各課所長に対しまして、現場長会議、直接顔を合わせてやる会議、こういったものを開催いたしまして、周知徹底を図ったところであります。また、本社の計画部門に車両の検修、修繕担当の社員を増員するといったような措置をとりまして、体制の整備を行いました。

 こういったことによりまして、現在、実施基準等の遵守並びに検査記録の適切な整備を行っているところでございます。

杉本委員 会計検査院、きょう呼んでいないんですけれども、検査院はやってくださったというふうに書いています。しかし、タイミング、スケジュール感で見ますと、この指摘があったのが去年の十月二十六日付。しかし、その後、国交省さんからいただいた資料によると、車両の事故が、平成二十五年四月八日、函館線八雲駅、そして、インシデントと言われる、車両故障というのかな、これが函館線の奈井江と、ちょっと読めませんけれども、五月五日に起きている。

 こういうことで、これは車両の件でございますが、この車両の件一つ受けても、ではレールの方は大丈夫なのか、こういう心配をやはりしていただくのが社長さんのお仕事ではないかと思っております。

 社長さん、当時まだ社長ではなかったかもしれないんですけれども、あるいはなっていらっしゃったのかもしれませんけれども、いろいろ感じるところは、一応指示は出しました、現場にも行かせました、ただ、どうしても血が通わないという感じが聞き取れるような気がしてなりません。そういった意味で、今後については、ぜひ、本当に一人一人にしっかり面談をしていただくような形で進めていただきたいと思います。

 次に、NHKさん、きょうも映像を撮ってくださっていますが、この報道等によりますと、さきの検査データの改ざんについて、改ざんには、函館保線管理室等の関係で、この部署の現場責任者を含め十人近くがかかわったほか、上部組織である函館保線所の社員数人も現場に立ち会っていた疑いがあると新たにわかった、こういうような報道があり、組織的に検査データの改ざんが行われた疑いが出ているとあります。管内の別の管理室に対して、検査データの原本である野帳と呼ばれる書類の破棄を指示していた疑いも出ています、こうございます。

 この状況に鑑みて、国交省さんに伺いますが、これはまだいわゆる特別保安検査中という状況は十分わかっておりますし、可能性を伺うことにはお答えできませんという答えにならないように確認をしたいんですが、百からゼロまで答えはあるわけでございまして、可能性を含めて、鉄道事業法違反、虚偽報告並びに刑事告訴の検討の可能性を考えているかどうか、国交省さんにお答えをいただきたいと思います。

滝口政府参考人 委員御指摘のように、JR北海道に対しましては、十四日から無通告で特別保安監査を実施しているところであります。本社や関連します保線の現場といったところに立ち入っておりまして、計測データの改ざんに関する事実関係の確認をするということ、あるいはなぜこのような改ざんが行われたのかという背景、動機などについて、徹底的に調査を行っているところでございます。

 現時点において、函館保線管理室において改ざんが行われたということを国土交通省として確認をいたしております。

 現在、函館保線管理室においては、改ざんが行われた背景や動機などについてさらに詳細な調査を行っているところでありますが、ただいま委員からお話がありました、その中で、上部組織が関与した可能性はないのかという問題意識も持って監査を進めるよう指示をいたしております。

 なお、刑事告発についてお尋ねがございました。現在、改ざんが行われた背景や動機などを解明することを目的として調査を行っているところです。まずは、これらに関する事実関係などを十分に把握するということが先決であるというふうに考えているところでございます。

杉本委員 まだ十分把握中であるということで承りましたが、あえてさらに突っ込んで申し上げますと、鉄道事業法というのがございます。その第三条に許可という項目があって、安全な運行をきちっとやっているかどうかということに対して、企業体質、公共交通を担うにふさわしいのか、本当に、先般、交通政策基本法を通させていただいて、あるいはタクシーの法律もございましたが、安全というものがいかに交通行政あるいは交通の関係で必要かということなんですが、この許可を出し続けていていいのかどうか。これも本当に、想定内か想定外かわかりませんが、まさかが起きてから誰が責任を負うのかということも含めて、許可を出していいかどうか、改めて確認します。

滝口政府参考人 言うまでもなく、公共交通機関におきまして、安全の確保というのは第一でございます。

 JR北海道が現在北海道において提供いたしております鉄道サービスの重要性に鑑みますと、まず鉄道の安全性を確保するということ、そして利用者の信頼を取り戻すということ、こういったことをやりながら鉄道事業を維持していくということが必要不可欠だというふうに考えております。

 このような問題意識を持ちまして、たびたび御説明を申し上げておりますが、国土交通省では三回の特別保安監査を実施しているところでございます。そして、この三回目というのは特に、データ改ざんということがございましたので、無通告かつ期限を設定せずに、徹底して現場あるいは本社を監査するということをやらせていただいているところでございます。

 この改ざんという問題、非常に大きな問題でございます。私どももそういうふうに理解をいたしております。鉄道事業の安全確保の仕組みを覆すものだというふうに考えておりまして、二度とこういうことが起こらないように、しっかり取り組んでまいりたいと思っております。

杉本委員 鉄道局長、大変いつもエネルギッシュに御答弁いただくんですが、それが伝わっているのかどうかというのは、本当に、残念ながら感じます。

 太田大臣、ひしひしと責任を感じておられるので滝口局長も感じておられると思うんですが、もう毎日俺は乗り込んでいくぞ、国会の答弁もやらなきゃいけないんだけれどもというぐらいの思いで、本当に、JR北海道を立ち直らせていただきたいとお願いを申し上げます。

 それで、ちょっと飛ばしますが、十一月一日から減便、減速というようなことでもあり、年末年始の混雑も予想されているという状況であります。安心して乗れるように確保しているというふうに承っていますので、本当に、日々の、毎朝、朝礼ですか、常務さんだかがされているというような、鉄道部長さんですかね、しっかりと、毎日安心して乗れるようにお願いしたいと思います。

 さて、改ざん問題が出る前のタイミングで、NHKの「クローズアップ現代」でその問題となっている改ざんの地域の方々が言った言葉を少し言わせていただきます。

 余りにも悪いところが多過ぎて手が回らない状態でした、今の要員で賄えるのかといえば、追いつかない。問題となった森―七飯間は、十年間で、三保線管理室が一保線管理室になって、担当区域八十キロを十九人で行っている。修繕しなくてはいけない箇所は、一週間に修繕を四回やっている、その間に一年過ぎて、また悪いところがふえていく、自転車操業、そんな感じ、それでも追いつかない状況。これはNHKの報告にあるんですが、点検、補修報告は保線管理室どまりで、本社へ報告義務がなかった。なかなか人が育たない、教育ができない。育てられない、保線という言葉すら死語になっていくような気がする。自分の職場を変えていく努力はするけれども、やはり厚い壁があって、あの壁を壊さない限り変わらないだろう、現場の答えでは、この会社は変わらないというのが大勢。

 こういうような中で、この報道がされている中で、社長さんの、参考人さんの、現場が作業をきちんとやっているだろうと本社は考えていた、チェックする仕組みができていなかったことが問題だと考えていると。

 考えていると「考える人」になってしまって、銅像になってしまいますので、もう本当に行動していただきたい、そう思います。

 まあ、るる申し上げても詮ないことかもしれませんが、こういう現場の声もあり、一方で、きょうの質疑では、組合さんの問題、指摘がありました。組合、四つあって、そして穀田代議士が指摘されましたけれども、JR西はあの尼崎の事故の直後にきちっとコミュニケーションを労働組合ととったということをやられる中で、先ほど常務さんが答弁される答えを聞いていると、文章を読まれるような御答弁に終始してしまっている。本当に、こういうところにあらわれていると思います。

 このNHKさんの報道が全て正しいと言い切ることは、私も確認ができていないので、そうは言えない部分もあるかもしれませんけれども、こういった声があるということでございます。

 この部分について、もう社長さんの御意見を聞くよりは太田大臣の、まず社長から聞きなさいと。

 では、社長、短く、どういうふうにこの現場の声を受けとめているのか、いや、もう改善したから大丈夫なんですなのか、そのあたりを教えてください。その後、大臣、御答弁いただければありがたく存じます。

野島参考人 委員御指摘のような放送がございましたが、当社といたしましても、九月の脱線の後、保線関係の現場、ここと意見交換を行い、現場社員の意見を聞いてきました。

 具体的な意見といたしまして、要求どおりに予算がつかない、あるいは、検査計画がより柔軟に組めるように検査機器を増備してほしい、あるいは、経験の浅い若年社員がふえ、作業のパーティーの編成に苦労している、あるいは、先ほどもございましたが、補修を軽減するために、不要な設備はもう撤去してくれないか、こういった声が寄せられております。NHKの放送でもございましたが、いろいろな、私どもが調べましてもこのような声が寄せられております。

 こうしたことから、私どもとして、現場の状況を十分に把握しておらず、至らなかった点があると反省をしておるところでございます。

太田国務大臣 私は、政治生活の中で、現場第一主義ということで、今回の特別監査も、JR北海道の調査というのを聞いて、ペーパーを見て、幹部の人の話を聞いて終わるような監査であってはならない、徹底的に現場に入って、レールの上を自分で歩いて、自分ではかってということまで徹底的にやれと。JR北海道の調査に任してはおけないという意味で、今回の特別監査は、今までとは違う監査をさせていただいております。

 現場の人の話、私も直接聞いたりいろいろしておりますが、言っても話が通らない、そのうちに諦めが出てきてしまっている。さっきの具体的な話については私は承知しておりませんが、現場の悲鳴だということを、よく、鉄道マンが安全を考えないなんということは、普通考えられないことです。それが伝わってきたら、これは現場の悲鳴だぞということがわからないようであってはならないと私は思っていますから、国交省の監査も通じて、現場のそうしたことの声というものをよく聞いて、それをよく分析して、そして手を打つことが大事だということを心がけて、特別検査をやらせていただいているということでございます。

杉本委員 どうも御答弁ありがとうございます。

 そこでなんですが、今、現象として、レールの問題であったり、あるいは、ちょっとさかのぼると、石勝線の事故があったりということであり、また、改ざんがあり、こういう現象面はもう出ています。さっきの石原慎太郎共同代表の話じゃないですけれども、矛盾がある中で真の矛盾を探せみたいなお話があったかと思うんですが、そういったことを参考にしつつ、今の現状というのは、もう現象面がたくさん出ているということなんですけれども、このことについて、責任の問題を改めて確認したいんです。

 きちっとやることが責任だということを言われるのはわかるんですけれども、この場を確認の場とさせていただきたいので、社長の今の立場としての責任の意識、そして、最終的に株主という形になられる国土交通省の太田大臣の責任の意識を、改めて、恐縮ですけれども確認させてください。お願いします。

野島参考人 今委員からお話のございましたような現在の当社の状況に至らしめておりますことについて、経営者として、極めて重大な事態を発生させた、その責任を痛感しているところでございます。一刻も早くお客様に安心して御利用いただける鉄道を取り戻せるように、社員の先頭に立って鉄道の安全を立て直すということが私の責務であるというふうに考えております。

太田国務大臣 経営陣の責任は重大であるというふうに思っています。人事の問題等々は、これは別の話だというふうに思います。まず、現段階においては、安全確保ということについて総力を挙げてやっていただかなくてはならないというのが、私の現在の気持ちでございます。

杉本委員 ちょっと重複するような内容になるかもしれませんが、今、特別保安監査に三度入っておられます。最初に入ったものに対しては、改善指示等が十月二十五日に出たりしておりますけれども、今後の見通しが立っていたらありがたい話ではあるんですけれども、これから冬の時期で、雪の時期で、雪かきしなきゃいけない時期で、それこそ確認がしにくい時期に入っていくという、北海道ならではの事情もあると思います。JR東さんとか、ほかもあると思いますけれども、特に自然環境が厳しい状況の中で、この特別保安監査について、今は無期限で入っておられるということですが、いつを一応めどに終了する、あるいは終了しない予定なのか、教えてください。

滝口政府参考人 検査データの改ざんの問題につきましては、まず、改ざんの事実を確認するということと、その背景や動機をつかむという二つの大きな目的を持っております。このために、必要なところに入って必要な関係者から話を聞くということをやらせていただいております。

 現時点において、いつまでというような期限についてはまだ見通しは持っておりません。

杉本委員 改めて伺いたいんですが、国交省の中には省内連絡会議というのが設置をされていると思いますけれども、この組織の組成の目的並びにいかなる結論を出す予定でこの組織が組成されているのか、教えてください。

滝口政府参考人 省内連絡会議は、JR北海道においてさまざまな安全上のトラブルが明らかになっている状況に鑑みまして、省内の関係者の情報共有を図るとともに、JR北海道の安全確保のために講ずべき措置について検討する場ということで設けさせていただいております。

 九月の二十五日に設置して以来、現在八回の連絡会議を開催いたしておりまして、累次の特別保安監査の状況であるとか、あるいはその他の情報に関しまして共有をするということ、あるいは、緊急に改善を要する事項、いわゆる改善指示を二回出しておりますが、こういったことについても検討していただいております。

 こういったような趣旨で、この検討委員会というのは、JR北海道問題を検討する中枢の場というふうになっているところでございます。

杉本委員 極めて重要な会議でいらっしゃると思いますし、JR北海道さん自身が自浄能力が働くということが理想であるわけでございますが、そうではない場合も当然あるわけなので、ぜひとも国交省さんとしてもこの会議をさらに充実したものにしていただきたいと思います。

 次に、株式の保有の関係の確認をさせていただきたいと思いますが、JR北海道の株式の保有は、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構法に基づいて行われているようでございますが、その法律を読みますと、どこの業務範囲に当たるのかよくわからないけれども株を持っているというふうにも読めてしまうんですが、これはなぜ国自身が直接株を持たない形をとっているのかという問題をまず聞かせてください。

滝口政府参考人 独立行政法人の鉄道建設・運輸施設整備支援機構というのは、長い経歴を実は持っております。いわゆる独法改革、あるいは特殊法人改革の中で幾つかのそういった特殊な法人が合体して実はつくられておりますが、その中の一つが、国鉄改革時代につくられました日本国有鉄道清算事業団というものでございます。この事業団の業務を引き継いでおりまして、そのために、この機構の業務に関する特例業務として、JR北海道の株式を保有しているところでございます。

 なお、国鉄清算事業団におきましては、旧国鉄の地位の承継に伴う費用の支払いといったような特例業務を行っているところでございます。

 旧国鉄から承継した土地やJR北海道などの株式などの資産処分を行うということによりまして、現時点で約二十六万人に上ります旧国鉄の職員あるいはその遺族に対する年金などの支払いを行うというような業務を行っているものでございます。

杉本委員 形式的にここの独法が株を持っているという解釈をするべきなのか、しかし、株を持っている株主であるのはこの機構であるので、この機構に責任があるのではないかという考え方もできると思いますが、この独法については、今理事長をされている方は海上保安庁長官、なぜか海の方が陸をやっておられるような気がしてなりませんが、そのような方が今理事長についていたりということでありますけれども、この機構が株を持っているということ自体、この機構にJR北海道の経営についての責任はあるという認識をお持ちかどうか。もう一点、天下りがなされているという認識をお持ちかどうか、確認をさせてください。

滝口政府参考人 まず、機構の責任につきましてお答えを申し上げたいと存じます。

 鉄道・運輸機構の株主としての業務というのは、保有するJR北海道の株式を将来的に上場などをするということでございます。

 このため、鉄道・運輸機構というのは、これまでも株主総会の場におきまして、安全への取り組みを含みます経営全般の現状や今後の方針などにつきまして、JR北海道の企業価値の維持向上といった観点から質疑、あるいは必要な指摘などを行ってきたというふうに承知いたしております。

 それとは別の、今回の一連のトラブルにつきましては、一義的には、株主である鉄道・運輸機構ではなく、鉄道事業を実際に運営しておりますJR北海道の責任において対応すべき問題だというふうに認識をいたしております。

 しかしながら、鉄道・運輸機構というのは、JR北海道が鉄道事業を適正に運営していくために必要な経営基盤の強化といったことで支援をしている、こういったことを行っているところでございます。

杉本委員 ちょっと例としてふさわしくないかもしれませんが、会社更生法の場合、やはり株主であったり融資の債権者であったりという方々が責任を負うという状況であります。経営上はJR北海道が責任を負っていますが、株主責任という点は、やはり、翻ってこの機構であったり、あるいは国であったりということでありますので、国の責任は、東京電力の事例をまた再度申し上げて恐縮ですけれども、大変重たい中での原子力行政が行われてきているということもあり、そして、民営化された本州の三社はリニアだというようなことを話をして、極めて建設的な部分もあるかと思いますが、残念ながら大変厳しい三島の経営状況ということでありますので、ぜひとも国の責任を重く受けとめて、株主としての責任を重く受けとめていただきたいとお願い申し上げます。

 次に、ちょっと経営の社是、社訓とか理念とか、そういう部分を伺いたいんですが、きのう会社の方がいらっしゃって、この北海道レールウエーカンパニー二〇一三というのをいただきました。ここに、原点に立ち返り、お客様の大切な命と暮らしをお預かりし、列車を運行しているというふうに書いてあったり、「旅とくらしのサポート事業グループ」というような表現があったり、企業行動指針が五つあったりということなんですけれども、これもまた大変御無礼ですが、これが社員一人一人にしみ渡って徹底されているでしょうかということを考えていただきたいんです。

 ちょっとそんなのは笑っちゃうよと言う方もいらっしゃるかもしれませんが、やはり頭に入るような社是、社訓でないと皆従業員の方は頭に入らないのではないかと、勝手ながら、私、つくってみました。

 あいうえおです。安全第一、命第一、運転慎重、笑顔でコミュニケーション、お客様第一。「あ」と「い」と「お」で三本の矢じゃありませんけれども、安全第一、命第一、お客様第一、こういうことが徹底されているんでしょうか。

 私は、きのうこのカンパニープロファイルを拝見する中で、膝詰め会議も載っていますけれども、残念ながらどうもこれが浸透されていないという気がしてなりませんので、こういった点についてぜひとも再考をしていただきたいとお願い申し上げます。

 それから、ちょっと飛ばしますが、現在、社内の監査というのをやっていらっしゃると思っております。しかし、これは抜き打ちでやっていますかということなんですね。銀行なんかでも、昔は社内というか銀行内の行内検査というのは、予定がわかっていて、準備して受けるというようなことであったのが、金融庁がいつ来るかわからなくなったこともあり、あるいは、その前に社内で、行内で検査を抜き打ちでやるような仕組みに変わりました。しかし、それでも暴力団への融資というようなことが財務金融委員会で起きているわけでございますので、そういった意味で抜き打ちの監査、検査は実質的に実行されているのかどうか。実質的かどうかも含めてお答えをいただきたいと思います。

野島参考人 当社におきましては、各管理部門が現業機関に対しまして担当する業務運営の指導、管理、点検といったようなことを行い、一方、専門の部門であります監査部につきましては、その状況について横断的に内部監査で確認するというようなことを実施しております。

 監査につきましては、主に会計でございますとか情報システムでございますとか、契約、安全といったこともございます。こういったことをテーマに監査を実施しておるところでございます。

 今委員のお尋ねでございましたが、こういった内部監査につきましては、現地等に赴く場合は、いずれの場合も、対象箇所に対しましては、事前に通知を発した上で監査を実施してございます。抜き打ち監査ということは、今現在、実施をしてございません。

杉本委員 他社さんの事例がどうなっているか私は存じ上げませんが、むしろ、他社がやっていなくてもJR北海道は抜き打ちでやっているぞ、JR北海道が先を行っているじゃないかというような事例が出てこないと会社は立ち直っていかないということかと拝察いたしますので、そういったこともぜひとも持ち帰って検討いただきたいとお願い申し上げます。

 次に、いろいろ今伺っていると、改ざんの問題で合計九カ所あったやに聞きました。私がさあっと今聞いた限り、どっちかというと道南のあたりが多いのかなと思っていますが、こういう言い方は非常に心苦しいんですけれども、国交省さんも答えてくれませんでしたが、どこの地域はかなり安全です、あるいは改ざんとか余りありません、例えば釧網線は大丈夫です、あるいは日高線は大丈夫ですと、実際、レールの異常放置はそのあたりの線は少なかったし、富良野線、千歳線も少なかったやに私は把握しておりますけれども、そういった形で、路線ごとに少し安全度みたいなのを開示していくとか、なかなかできない話ではありますけれども、ここの部分については本当に徹底して終わらせました、この部分についてはまだ終わらせていないので減便、減速でございます、こういうことをしていただくことが信頼回復だと思いますので、ぜひともそういった形で、地域をよく考えてお願いしたいと思います。

 ちょっと時間になりました。枕木の問題について最後指摘をいたしますが、枕木の交換基準といったものを本来定めていなければいけないのに、これを定めていなかったと国交省から報告を受けております。枕木が二本連続で不良であれば交換するというような運用をしていたようで、こういった運用ではなくて……

梶山委員長 杉本君、申し合わせの時間が経過しておりますので、御協力願います。

杉本委員 はい。

 交換基準をしっかり定めていただくことを、細かい点ですが、お願い申し上げまして、るる申し上げましたが、ぜひとも持ち帰っていただいて、立て直しに尽力いただきたいと思います。

 以上で終わります。

梶山委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時三十三分散会


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