衆議院

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第10号 平成26年4月11日(金曜日)

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平成二十六年四月十一日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 梶山 弘志君

   理事 赤澤 亮正君 理事 秋元  司君

   理事 大塚 高司君 理事 西村 明宏君

   理事 望月 義夫君 理事 若井 康彦君

   理事 井上 英孝君 理事 伊藤  渉君

      秋本 真利君    井林 辰憲君

      泉原 保二君    岩田 和親君

      大西 英男君    門  博文君

      國場幸之助君    斎藤 洋明君

      坂井  学君    桜井  宏君

      白須賀貴樹君    谷川 弥一君

      土井  亨君    中村 裕之君

      長坂 康正君    根本 幸典君

      橋本 英教君    林  幹雄君

      原田 憲治君    ふくだ峰之君

      前田 一男君    宮内 秀樹君

      務台 俊介君    村井 英樹君

      泉  健太君    後藤 祐一君

      寺島 義幸君    三日月大造君

      岩永 裕貴君    坂元 大輔君

      西岡  新君    松田  学君

      村岡 敏英君    北側 一雄君

      佐藤 英道君    杉本かずみ君

      穀田 恵二君

    …………………………………

   国土交通大臣政務官    土井  亨君

   国土交通大臣政務官    坂井  学君

   参考人

   (東京大学工学系研究科教授)           浅見 泰司君

   参考人

   (富山市長)       森  雅志君

   参考人

   (一般財団法人計量計画研究所シニアフェロー)   竹内 佑一君

   参考人

   (立命館大学名誉教授)  土居 靖範君

   国土交通委員会専門員   宮部  光君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十一日

 辞任         補欠選任

  國場幸之助君     宮内 秀樹君

  宮澤 博行君     根本 幸典君

同日

 辞任         補欠選任

  根本 幸典君     宮澤 博行君

  宮内 秀樹君     村井 英樹君

同日

 辞任         補欠選任

  村井 英樹君     橋本 英教君

同日

 辞任         補欠選任

  橋本 英教君     國場幸之助君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 都市再生特別措置法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二八号)

 地域公共交通の活性化及び再生に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第二九号)


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     ――――◇―――――

梶山委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、都市再生特別措置法等の一部を改正する法律案及び地域公共交通の活性化及び再生に関する法律の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 本日は、両案審査のため、参考人として、東京大学工学系研究科教授浅見泰司君、富山市長森雅志君、一般財団法人計量計画研究所シニアフェロー竹内佑一君及び立命館大学名誉教授土居靖範君、以上四名の方々に御出席をいただいております。

 この際、参考人の方々に一言御挨拶を申し上げます。

 本日は、御多用中のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。両法律案につきまして、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。

 次に、議事の順序について申し上げます。

 まず、浅見参考人、森参考人、竹内参考人、土居参考人の順で、それぞれ十五分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。

 なお、念のため参考人の方々に申し上げますが、御発言の際にはその都度委員長の許可を得て御発言くださるようお願い申し上げます。また、参考人は委員に対し質疑をすることができないこととなっておりますので、あらかじめ御承知おき願いたいと存じます。

 それでは、まず浅見参考人にお願いいたします。

浅見参考人 浅見でございます。

 私は、都市計画を専門としております。まず、この法律案について、私の所見を述べたいと思います。

 まず、お手元にメモがあると思いますが、社会背景と都市計画ということでお話をさせていただきます。

 現在、都市は、人口が減少し、高齢化が進み、また全体として低成長が進むというような状況です。そういった中で、やはり都市マネジメントが非常に重要になってきているというふうに認識しております。特に、公共支出に関して、かなり限界が出てきている、その中でどうやりくりするかというのが非常に重要になってきているわけです。

 ところが、都市においては、大災害ですとか、それからもちろん高齢化というのもございますので、社会保障費ですとか防災のためにいろいろな支出が必要になってくる。そういった意味で、市民の生活を守って支援する施設というのがますます重要になってきているというふうに認識しております。

 現在、かなり都市域は拡大しておりますし、また、その結果、人口密度が低下しているということで、一人当たりの行政コストがかなり増大しているという状況にございます。

 この中でどうしていくかということになりますと、やはり、生活をサポートするために生活拠点というのを設けて、都市生活を支援するような仕組み、そういったものに転換していく必要があるだろう。そのためには、拠点を戦略的に形成していく必要があるというふうに考えます。

 典型的な生活拠点のイメージを申し上げますと、まず、公共交通の結節点を核にする。これは、自家用車等を使わなくても生活できるようにするということです。特に、高齢者になりますと、自家用車を運転できないという方もいらっしゃいますので、そういった意味では、徒歩圏というのは重要な意味を持ってくるというふうに考えます。

 生活を支援するという意味でいいますと、商業ですとかサービス、それから福祉、医療機能、こういったさまざまな機能があるのではないかというふうに考えます。そういった居住圏域を公共交通のネットワークでつなげていく、それが一つの典型的なイメージかというふうに考えます。

 では、どうすればいいかということですけれども、計画手段としては、まずは、どこにそういう拠点を設定するかという、その区域を設定する必要があるというふうに考えます。そして、その中で、内側では、そういった立地を促進し、外側では抑制するというような規制的手段、それから、場合によっては、内側に入ってくるのを補助し、また外側ではある程度負担金を求める、こういった方法があり得るというふうに考えております。

 ただ、これについては、かなり地域の状況によって違いますので、その地域の状況に応じた判断が必要だというふうに考えます。そういった意味では、自治体がある程度機動的にそういったものを設定できるということが重要かというふうに考えます。

 また、なかなか、いろいろな諸権利がございますので、強制するというのは非常に難しいですので、今回の法案のように、届け出、勧告というような誘導措置というのはあり得るのではないか、もしもそれをさらに強く規制するということであれば、民主的な手続をとって、条例ですとか、そういったものにする必要があるのではないかというふうに考えます。

 また、こういったことを進めていく上で、かなり関係主体の合意形成も重要になるというふうに考えております。

 誘導方法なんですけれども、まず、そういった生活支援の機能がないところにはそういったものを誘導していくということになりますが、その場合には、例えば、こういった施設が必要なんだよとか、こういった立地が可能なんだというような情報面での補助ですとか、あるいは合意形成を助けるですとか、あるいは初期費用を補助する、こういったことがあり得るのではないかと思います。

 ただ、そういった施設が商業的に成り立たないようなところにたくさん立地するということになりますと、先ほどの、公共支出に限界があるということに反しますので、そういった意味では、運営費用までは補助しないというのが大きな原則としてなり得るのではないかというふうに考えます。

 ただ、こういったことを鑑みたときに、実は、旧来の都市計画の仕組みというのは甚だ心もとないという状況です。

 なぜかといいますと、都市計画の中で一番重要なものは区域区分、市街化区域、市街化調整区域を区分する仕組みなんですが、これは市街地を膨張するのを抑制する仕組みとしては有効なんですが、縮小する中でコントロールするというのには無力ということになります。後で少し詳しく述べます。

 また、再開発をするというようなことはあり得ますが、これは大きな投資を伴いますので、土地利用強度の高いところではいいんですが、そうでないところというのはなかなか成立しにくいというのがございます。

 また、旧来の都市計画においては、交通計画と都市計画が必ずしもうまく調整できないような状況でした。ただ、今回は、交通サービスの継続が保証されることが重要ですので、そういった面を打破する必要があるというふうに考えます。

 また、今後、やはり縮小していくということになりますと空閑地をある程度コントロールする必要があるんですが、この制度が余り整っていないというのが現状です。

 少し詳しく申し上げますと、まず、区域区分の話ですが、市街化調整区域というのが都市計画法に定められておりますけれども、これは、市街化を抑制する、少なくとも十年以内は抑制する、そういった場所というふうになっています。これは強い権利制限がかかっているということです。したがって、市街化区域と呼ばれるその内側の区域に市街地を誘導していこうということです。

 ところが、この市街化区域というのは、十年以内に市街化するか、既に市街化しているところというのが定義ですので、そういう意味では、既に市街化したところが非市街地になるということに関しては法律上想定していない事態ということになります。

 ですので、そういった縮小する状況で市街化区域というのを小さくするというのが妥当なように感じるわけですが、実は、先ほど申しましたように、そこから外れますと強い権利制限がかかりますので、現実の中ではなかなか合意形成等は困難ということが予想されます。

 また、かなり空閑地というのはモザイク状に発生するというふうに考えられます。あるところから、外から風船がしぼむようになっていくということではございませんので、そういった意味では、きれいな線で区分をするということ自体が非常に難しいということになります。

 そういたしますと、市街化区域の中で新たに区分する仕組みというのが必要になるというふうに考えるわけです。しかも、市街地の状況がいろいろ違いますので、そういった意味では、緩い規制からある程度強い規制まで、柔軟な対応ができる仕組みというのが必要であろうと思います。

 こういった、ある意味では第二の線引き制度というのがございます。

 今回の法案では立地適正化計画というふうになっておりますけれども、私のイメージでは、今回、市街化調整区域というよりも、むしろ市街化区域の中をどうするかということで、その市街化区域の中を、都市機能誘導区域、これが一番コアになる部分で、居住誘導区域、これは実際に住宅を誘導していく区域ということで、それから居住調整区域、これはむしろ新規の立地を抑制していくということだと思うんですが、こういった感じに分かれるということで、この矢印の書いてある、黒い線を引くところというのが今回の非常に大きな眼目かなというふうに考えております。

 今後、そういった意味では、積極的な市街化というのはこの左の二つ、都市機能誘導区域及び居住誘導区域でというのが今回の法律案というふうに考えております。

 一方で、誘導区域外の大規模な開発を抑制する、これは個人立地の住宅等を規制するということではなくて、新規に大規模な開発をするときに抑制するという意味ですが、それについては居住調整区域。ただ、これは市街地の状況によって違いますので、設定しないこともあり得るのではないかというふうに思います。

 それから、再開発、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、高度な業務中心をつくるという意味では非常にいいんですが、生活拠点という、もうちょっと小さな拠点をつくるような場合には、必ずしも民間投資を呼び込むことが簡単ではないということで、何らかの呼び水が必要ではないかというふうに考えます。

 そういった意味で、今回、その支援制度を附帯しているようですけれども、そういった支援事業ですとか交付金拡充、こういったのはある程度理にかなっているのではないかというふうに考えます。

 また、自治体は財政難ですので、なかなかお金を出せないということなんですが、その場合に、市の持っている例えば遊休地、こういった現物出資というのも可能になっているというのは非常にすぐれた点ではないかというふうに考えます。

 そして、交通計画と都市計画の分離ということですけれども、コンパクトシティーという先ほど申し上げた考え方というのは、結局、公共交通の結節点と徒歩圏を形成していくということです。ですので、公共交通があることが重要でして、それがなくなってしまうとどうしようもないということになります。

 ところが、都市計画ではこれを保証するすべがないということですので、今回は、地域公共交通再編実施計画で、両者が同意するという形で、同意するということである程度保証されるという仕組みになっているというふうに思います。本来は、もしかすると、都市計画の中で交通計画も決められればいいのかもしれませんが、事業上のいろいろなことがございますので、そう単純ではないだろうというふうに予想いたします。

 それから最後に、空閑地のコントロールということなんですけれども、これは例えば、都心部に移住した場合に空閑地が出てきます。その空閑地をどう管理していくかというのは、かなり問題になってくるというふうに思います。

 このための法的な枠組みが必要なわけですけれども、居住誘導区域外では、跡地等の管理区域ですとかその管理指針というのを所有者に勧告したり、あるいは跡地の管理協定によって管理可能にするということで、空閑地に対してもある程度目を配った、そういった仕組みになっているという点はいいのではないかというふうに思います。

 幾つか少し区域の設定等において論点を申し上げたいと思います。

 まず、今回の法案というのは、総じて言えば、都市マネジメントのために、都市の中に区域を設定して、ある種の差別をしていく、区別をしていく、そういったことだと思います。

 そのときに考えなきゃいけないのは、一つは、恩恵とそれから公共性のバランスということです。

 例えば、先ほど、移転の場合に支援というのがあり得るということを申し上げましたけれども、これは移転の円滑化であって、移転した後、ずっと運営するのを大きく支援していくということになりますと、その最初の決定において必ずしも効率的でないような決定をしてしまいがちになると思います。

 これは、もちろん社会保障のためにやむを得ない部分というのは別だと思いますけれども、そうでない場合に、さらにその都市マネジメントに対していろいろ禍根を残すということになると思いますので、この点はやはりバランスのとれた形で考えていくというのが重要だろうと思います。

 それから二つ目に、規制措置、特に権利制限と強制力のバランスということだと思います。

 もちろん、規制して立地を禁止するという極端なこともあり得なくはないかもしれませんが、現在既に生活しておられる方、あるいはいろいろな諸権利を持っておられる方のそういった権利を奪うということが、先ほど、マネジメントに資するということでできるかというと、それはなかなか難しいというふうに考えます。ですので、そういった意味では、今回、届け出、勧告という仕組みは妥当なのではないかというふうに思います。

 それから三つ目に、個人の生活にかかわる権利と公共要請、公共的な要請のバランスということです。

 今回、居住継続は可能になっております。そういった意味では、ある程度このバランスというのも考えているかなというふうに思います。

 ただ、三つ、バランスがとれているかなと言いましたのは、ちゃんとマネジメントしてこういった仕組みを運用すればとれているという意味でして、実際には、最後にありますが、適切な情報開示というのが重要だと思います。

 例えば、あるところに立地する場合に、行政費用というのがどのくらい負担がふえるのか減るのか、そういったことをなるべく細かく開示して、適切な措置が客観的にわかるようにする、これが非常に重要ではないかというふうに思います。

 以上で私の意見陳述を終わります。どうもありがとうございます。(拍手)

梶山委員長 ありがとうございました。

 次に、森参考人にお願いいたします。

森参考人 おはようございます。

 浅見先生と違って、学問的に整理したお話はできませんので、私としては、富山市が取り組んでまいりました現場の実態報告ということで責任を果たしたいと思います。

 お配りしました資料の二ページを見ていただきたいのですが、御案内のように、人口が減少して、特に地方都市は、恐らく加速度的にこれから人口が減少していくと思われます。したがって、旧来のような拡散型のまちづくりを今後も続けていくということは、将来市民にとって大変大きな行政維持管理コストをかけるということになります。したがって、今の時代を生きる我々は、三十年後ぐらいの市民の利益を考えて、今は不便に感じることがあっても、将来市民の利益のために何ができるかをしっかり考えて、今から布石を打っていくということが大変大事な視点だというふうに思っています。

 そういう観点に立って、二ページに、三本柱と書きましたけれども、一つは、公共交通をもう一度使いやすいものに復元していく。そのためには、一つのポイントですが、積極的に公費投入をする。民業であるはずの交通事業にどこまで公費投入が妥当なのかという議論をしっかりやるということだと思います。

 そして二つ目は、腕力で人の住まいを集中させるというのは恐らく無理ですので、誘導策しかないんだと私は思っております。公共交通の質を上げた上で、その交通の沿線に居住する人に補助金を出すということをやっております。

 具体的に言うと、駅から五百メートル圏域に質のいい居住空間をつくった方には補助金を出す。それはつまり、裏返して言いますと、六百メートルのところにつくった人には出さないという非常に不公平感漂う施策ですが、しかし、これぐらいをやらないと、誘導というのはなかなか実を結ばないというふうに思って続けております。

 三番目は、中心市街地に積極的に投資をして魅力的な空間をつくる。そこへ足を運ぶ人をふやす。

 こういう三つのことを同時に進めながら、後で申し上げますが、一定の目標を立てて居住推奨エリアの居住人口をふやしていきたい。そのふやすことが実現した範囲において、将来市民の行政維持管理コストを抑える、抑制することができるというふうに思っております。

 そこで、最初に取り組みましたのが、富山ライトレールの整備でございました。この当時は、軌道法が上下分離が認められていませんでしたので、仕方なく公設民営という方式でやりました。したがって、第三セクターは現在も固定資産税を負担しております。

 しかし、四ページにありますように、市の中心部に環状線をつくりました際には、平成十九年の法改正によって上下分離が認められましたので、我が国で初めて軌道を上下分離で整備いたしました。したがいまして、この部分は、軌道も架線も新しい車両も富山市が保有をしております。その結果、固定資産税も減価償却も発生しない、民業者はその部分を借りて、利益の出る範囲で賃料を払う、こういうシステムで動かしております。

 ここが大きなポイントだと思っておりまして、今後のこの新しい計画という制度を含めて、上下分離の拡大ということをやはり考えていかないと、地方交通というのはなかなか難しい問題だと思っております。

 それから次は、JR高山本線に積極的に公費投入して社会実験をやりました。JR西日本というのは大変大きな利益を出している企業です。そういう民業に対して公費を負担してまで増発実験をやるということが果たして妥当なのか、大変難しい問題ではありますが、しかし、地方の行きどまりの枝線というのは、幾ら利益の出ている企業だとしても、トイレの整備だとか増発とかそういうことはとてもできないわけです。ですから、市民生活のためにということで思い切ってやっております。

 この結果、利用者は、ピークで一三%、現在一〇%ふえております。一定程度使い勝手のいいものにすれば利用者は戻るということではないかと思っておりまして、参考にしていただければと思います。

 さらに、もう一枚めくっていただきますと、これは、過疎バスも含めて、さまざまなバス事業にも公費投入をしております。過疎地は、やはり、シビルミニマムという観点でいうと、どんなにへんぴでも一日二往復ぐらいの公共交通がないと医療機関に通えない。これは行政責務だと思っておりますので、このあたりも含めてしっかりやっていく必要があると思います。

 八ページに、余り外へ出したことのないデータですが、私どもの市がソフト事業として、教育委員会に至るまで、それぞれの部署で交通に幾ら公費を出しているのかということです。総額八億三千八百万、ソフト事業だけに負担しております。

 これは、一般会計全体に占める構成比が〇・五%です。義務的経費を引いた政策で見ると一・二%です。政策的に使える一般会計の予算の一・二%を交通に使っていくということが妥当なのかどうか、都市によっては温度差はあると思いますが、私たちは、この程度は妥当だろうとの思いで取り組んでおります。

 そこで、九ページですが、先ほど申し上げましたように、富山市の地図の上に色を塗りました、このゾーニングした地域を居住推奨エリアと位置づけておりまして、ここに居住空間を持った方に補助金を出している、あるいは質のいい集合住宅を建てた事業者にも補助金を出しているということをやっておりまして、このエリアの居住者の全人口に占める構成比が、二〇〇五年には二八%でしたが、最終目標を四二%に置いて、そこまで近づけたいと思っております。現在、三二・五%程度にまで伸びてきております。

 十ページが、その具体の補助の内容でございます。

 そして、中心市街地がにぎわうようにということで、再開発事業を中心にさまざまな投資を行っております。

 そういった取り組みの結果、十二ページに図示しましたように、中心部では、これで六年連続転入超過となっております。この数字は住民基本台帳法上の数字ですので、住民票を動かさないで都心部に住んでいる人もたくさんいるわけです。最近の傾向は、郊外に一戸建てを持ちながら都心部にも居住空間を持つというマルチハビテーションみたいな暮らし方、あるいは季節を選んで都心部で高齢者賃貸住宅を借りるとか、そういうような人もふえておりますので、実数はもっとふえていると思いますが、住民票上でもこういうこととなっております。

 また、郊外の駅の近くという居住推奨エリアも、転出超過ではありますけれども、その超過分がだんだん減少してきているという傾向にございます。

 さて、十三ページからの図面ですが、この十三ページは、市のGISの基図に、住民基本台帳の住所に全て座標値をつけまして、マッピングをしました。この結果、やはり実数としては中心市街地や公共交通の沿線に住んでいる人が多いということが明確に説明できるようになりました。

 例えば、十四ページは、高齢者、六十五歳以上の分布も、居住推奨エリアだと位置づけているところが実数は多いわけです。したがって、プライオリティーとしては、ここから投資していくということは極めて妥当で合理的だというふうに判断しております。

 さらに、十五、十六、十七と続きます。

 十五ページは、タウンページでスーパーマーケットと表示されているものをプロットしますと、スーパーマーケットから同心円状五百メートル以内に住んでいる人が何人いるかということが把握できまして、出した数字がこの表のとおりであります。居住推奨エリアでは七〇・七%が、五百メートル圏内にスーパーマーケットがある。

 十六ページは、タウンページ上、病院、診療所とされているものをプロットしまして、同じように五百メートル圏内に住んでいる人はというと、居住推奨エリアでは八三・四%が、五百メートル以内に病院や診療所があるということがわかります。

 ですから、居住誘導と同時に、そのエリアに商業、福祉、さまざまなサービス機関というものも今後積極的に誘致していく、そして、そこで暮らすことが快適で暮らしやすいということを示していきながら、ゆっくりと誘導していくということが妥当ではないかというふうに思っております。

 その次のページは、公園をプロットしますと、私どもの市は大変たくさん公園がありまして、全市民で八八・五%が、五百メートル以内に公園がある。したがって、仮に地震が発生するというようなときに家屋が傾いても、五百メートルで一応一時避難ができる場所が確保できる。こういうことも市民に示しながら、まちづくり全体の計画の妥当性を議論していくことが大切だというふうに思っております。

 今の法改正に関しましては、まず、地域公共交通に関しては、先ほども言いましたが、交通政策への公費投入の妥当性というものをしっかりと根拠づけるということは、我々の立場からいうと大変重要です。富山市は、議会や市民との議論も比較的順調に進んで、大きな緩やかな理解が得られていますのでやっておりますが、ここにちゅうちょする首長は大変多い。

 公共交通に公費投入の妥当性。交通政策基本法はできましたけれども、それはあくまで基本法ですので、さまざまな形で、今お示しいただいたような再編計画ですとか、そういうものをつくることによって妥当性を根拠づける、これは大変ありがたいというふうに思っております。

 それから、コンパクトなまちづくりの推進につきましては、十年取り組んできまして、一定の成果が出てきております。先ほどお話ししましたとおりです。しかしながら、浅見先生がおっしゃいましたように、市街化区域内で一定程度抑制するエリアというものもやはり必要だろう。

 例えば、駅から五百メートル圏内、一日六十本以上走っているバス停から三百メートル圏内を居住推奨エリアと位置づけておりますが、その外で、しかし市街化区域というものはあるわけですので、ここをどうするかということと、もう一つは、裏腹ですが、市街化調整区域であっても駅があるわけでして、そこから五百メートル圏内に現に住んでいる人はたくさんいるわけです。ここを居住推奨エリアとは、やはり都市計画法の精神からいうと言えない。このあたりの整合をどうしていくかということが今後の課題ではないかと思っています。

 都市計画マスタープランを変えて、市街化編入をすればいいというのは、テクニックとしてはわかりますが、人口が減っていく中で、市街化編入を新たにつくるというのは大変困難な作業でございますので、何か調整区域内であっても現に居住しているエリアというものを中間的な位置づけができれば、我々の計画を進める上では大変ありがたい、このように思っております。

 以上申し上げて、報告とさせていただきます。ありがとうございました。(拍手)

梶山委員長 ありがとうございました。

 次に、竹内参考人にお願いいたします。

竹内参考人 おはようございます。

 一般財団法人計量計画研究所の竹内と申します。よろしくお願いいたします。

 私は、都市計画、交通計画のプランナーとして、地方自治体、あるいは中央政府の政策形成、これらにいろいろなコンサルティング活動を四十年以上やってまいりました。その経験の中から幾つかお話を申し上げたいと思います。その中で、特に仙台都市圏に長い間かかわってまいりましたので、そのことも交えてお話ししたいと思います。

 初めに、コンパクトシティーに向かっている現状でございますが、仙台都市圏も、コンパクトシティーという言葉ではございませんが、同様の趣旨の目標像を掲げて進んできております。

 例えば、直近の二〇一〇年と、それから二〇〇〇年の国勢調査を比較いたしますと、鉄道の沿線、とりわけ鉄道の駅周辺で人口は明らかにふえてございます。仙台都市圏は、大変車の移動が便利なところでございますが、それでも、そういう人口増加が見られます。

 これは、二〇一〇年は、例の東日本大震災の前のデータでございますので、震災以後はどうかということを見ますと、震災以後、震災前に都心部にかなり供給された集合住宅、マンションがほぼ完売となりました。それから、都心部ではなくても、少し離れた鉄道沿線、とりわけ地下鉄の沿線でございますが、そこにはいろいろ、中層、高層のマンションができたりしております。このあたりも完売いたしました。そして、やや外側の中層、高層の住宅につきましては、先ほど森市長が御指摘になられましたが、より郊外のいろいろな団地のところに以前に住まわれた方が、駅周辺のマンションに移住する。もとの住宅をそのまま保持されている方もおられますし、そうでない方もおられます。そのようなことで、明らかにコンパクトシティーへの動向が、こういうもので見られるかと思います。

 先ほどちょっと、仙台市もコンパクトシティーを標榜している云々と申し上げましたが、実は、仙台都市圏でこのようなことを初めて検討したのは、もう四十年も前のことになります。四十年前に、今は開通しておりますが、地下鉄南北線というものを建設しようということになりました。

 私が当時、いろいろ提言申し上げたのは、周辺にいろいろ工場も展開する、あるいは、これから人口が倍増するというような構想になっていて、市街地も大分広まります、そういうようなところに地下鉄が一本ぐらいできたところで、とてもカバーできるものではない、だから、まずは軌道のネットワークをもう少し充実する、具体的には地下鉄をもう一線ということで、これが今現在建設中で、あと二年ほどで開通いたしますが、それと在来の旧国鉄の線を都市鉄道にする、こういうことを申し上げました。

 もう一つは、こっちが大事でありますが、鉄道はやはり速度が速いし、大変指向性の強い移動手段でありますから、黙っておけば、相当遠くまで市街地は広まります。ですから、その特性を生かして、うまく産業構造に合うようにするべきであるということで、実際の空間的な形としましては、地下鉄沿線にできるだけ多数居住していただく、それから、それらの就業地は中心市街地に多くはあるであろう、やはり支店経済の町でありますから、中心部にそういう集積が起こるだろうということで、それを帯状型都市構造というふうに名づけて、やってまいりました。途中で、帯状多核都市構造とか、幾つか名前は変わりましたが、いずれにしても、そういうような考えが四十年前にあって、現在もそれらは市のマスタープランに色濃く反映した形で残ってきております。

 そのころから現在に至るまで、地下鉄の周辺に住んでいただくとはいいましても、これはとても簡単なことではありません。地下鉄の駅の周辺に再開発事業を計画していただき、あるいは区画整理事業を計画していただき、あるいは、民間の事業者にぜひ駅周辺に立地をしていただきたいという運動を続けて、やってまいりました。

 ですから、今回、都市再生法の改正と地域公共交通活性化法の改正、この二つが同時に取り扱われるということは、ようやく、四十年間いろいろ苦労したことが、ここにとうとう法律になって結実したのではないかというふうに思いまして、私は大変歓迎しているところであります。

 これは仙台のことでありますが、全国ベースで考えますと、このコンパクトシティーの提案は、社会資本整備審議会の中に市街地整備研究会というのが設けられて、当時は集約型都市構造と言われていますが、それが提案されたのが平成十四年であります。そのころ、都市再生法も施行されたわけであります。

 そして、コンパクトシティーを実現するための重要な手段であります、先ほどの仙台の例でいけば軌道のことでありますが、それらを支える法律が、実は以前はなかったわけでありますね。これをいろいろ、実は我々は国会の外から応援活動をさせていただきまして、二〇〇七年に、今改正の俎上に上がっております地域公共交通活性化法というものができたわけであります。これは二〇〇七年。その間、さらに交通政策基本法もできました。

 それから、全国の市町村、マスタープランをつくっている都市が八百四十四というふうに国土交通省から伺っておりますが、その中で、何と、コンパクトシティーを位置づけているというようなところが五〇%、四百二十三の都市になっております。それから、これからというようなところが百十六あるというふうに伺っております。このように、全国各地で、こういう政策を支える法律が大変待たれているというふうに私は考えております。

 これが、コンパクトシティーだけ、あるいは公共交通だけ、これではとてもだめです。やはり、二つが一緒になったものをやっていただけるということが今回とてもうれしく思いますし、これの意義を国民的によく把握していただきたいなというふうに思っているところでありまして、今回の審議は大変時宜を得た対応ではないか、こういうふうに思います。

 もう一点、今回のことで評価したいのは、これは非常に雑駁な話になりますが、交通と都市計画は別だと先ほど浅見先生もおっしゃったわけであります。これは経験上、私もずっと感じておりますが、世間で言うところ、こういう違う分野のものについて、その間には高い壁がある、こういうことになっております。いわゆる縦割りの壁であります。それを今回、同一の場において審議してくださる。残念ながら法律は二つ、もちろん、目的が違いますから二つはいたし方ありませんが、同時に審議をして、しかも内容は、両者、非常に強く連携を求めているというところで、これは、非常に異なる部局、異なる活動を、それらにまたがっているものを一つに扱うという非常に大きな英断をもってやられているということになりますので、これも国会の活動について大きく評価いたしたいと思います。

 ということで、今回の二つの法の改正について、私は基本的に賛成の方向でございますが、ただ、幾つか注意をしていただきたい点がございます。

 一つ目は、一緒になるということでありますが、目的も、扱う対象も違います。実際に動かしていくのも、地域公共交通活性化の協議会、それから都市再生の協議会、こういうものが別々にできるわけでありますが、これを何とか一枚の計画につくっていただきたい。もちろん、全部が一枚にはならないと思います。違うところの記述がもちろん含まれますから、だから全部がなるとは限りませんが、少なくとも空間的に共通している、そういう範囲のことについて、一枚の計画にしていただきたい。

 一枚の計画にするためには、協議会の運営から始まり、計画の策定の仕方もあり、できた後の計画をどうやって管理、推進するか、そういうこともあり、いろいろな細かいことがあります。これらについて、速やかに具体的な活動に着手して、それが滞りなくできるようにしていただきたいと思います。

 二つ目は、今回の二つの法を読ませていただきますと、大変いろいろな支援措置がついておりまして、これは大変いいものだというふうに思っております。しかし、二つの計画を一枚にするというところで申し上げましたとおり、これを推進していく役割、主体が重要であると思います。

 お隣にいらっしゃる森市長さん、富山市がなぜここまで進んできているのか。これはやはり、富山市長さんを初め富山市の職員の方々、これが日夜努力されているからだと思います。もちろん、公共団体の職員の方が汗水垂らして活動するということは当然、あるいは当然のようにやっていただかなくてはいけないわけでありますが、必ずしもそれだけで全部カバーできるかということがあると思います。ですので、このようなエリアマネジメントを行う主体、こういうことについて、もっとフォローアップできるように、この法の以後、進めていただきたいというふうに思うわけであります。

 それから、三つ目は公共交通になりますが、公共交通は、軌道の数は各都市で必ずしも十分ではありません。やはりバス交通に依存するところが多いと思います。

 バス交通については、幹線、支線を分けるというような方法が一般的でありますが、幹線、支線を分けていくということになりますと、利用者からすれば、乗りかえがふえるという可能性があります。そこで、乗りかえ抵抗をできるだけ少なくしたい。乗りかえ抵抗を、バス停の到着スケジュールで調整するというのが一つ考えられます。これはバスロケーションシステムなどによってかなりできてきているわけでありますが、もう一つは料金問題です。

 乗りかえのたびに初乗り料金を取られるというのは、やはり利用者としては非常に抵抗感を感じるところであります。ですから、これが抵抗がないように、あたかも物理的には、今、共通ICカードで、すっと通れますが、お金はその都度高く取られるというのでは、やはり利用者にとってはつまりませんので、こういうような事業環境が整えられるような、この法の次かもしれませんが、ぜひお願いしたいなと思います。

 それから、その次は、もう一つ厄介な問題でありますが、こういう空間の中に実際やっていきますと、交通安全の問題を避けて通れません。今、ここの中で出てくるものでありましても、例えばトランジットモールのようなものを希望する自治体もあるかと思います。そうしますと、直ちに路面の交通安全の問題が重要になります。これは残念ながら、この国土交通委員会の外にかかわる問題でありますので、しかし、現場では一緒ですから、この点についても何とか取り上げられるようにお願いしたいと思います。

 以上は、今、この法の中の注意して進めていただきたいという点でありますが、その他に、二つだけ残っている課題。

 一点目は、先ほど料金問題を申し上げましたが、それから富山市長さんもちょっと触れられましたが、やはり公共交通事業についての、今は独立採算でやるということになっております。この独立採算について、例えばこの二法であっても、まちづくりと交通の連携、それから、これのうたい文句でいけば、福祉、教育、観光、その他いろいろな、もろもろの点についての連携を、この交通事業について求めるというようなことがうたわれております。そうしますと、どういうような費用負担、どういうような支払い方、そういうことは別としましても、やはり公共交通事業の独立採算制について、改めて議論が必要ではないかということであります。

 それから、もう一点は、これは非常に悩ましいところではありますが、人口が減り、労働力人口も減り、こういうような時代になったときに、先ほどの、例えば地域の計画を動かしていく地域の担い手、これは今後どうなるだろうか。例えば、具体的には、バス交通をオペレーションする運転手はどうなのか。従来は、運転だけやればいいけれども、これからの運転手は、介護の知識もなければいけないし、いろいろなことを要求されるかもしれない。こういうようなところにあって、人材の育成というのは、やはり長期的に考えなければいけない問題だと思います。

 以上で報告を終わります。(拍手)

梶山委員長 ありがとうございました。

 次に、土居参考人にお願いいたします。

土居参考人 おはようございます。

 この三月まで京都の立命館大学の教員をしていまして、授業では、京都の交通とまちづくりとか、交通経営論とかをやってきました。

 研究面では、買い物難民という、いわゆる現代的な課題、島根県の匹見町とか岩手県の旧沢内村とか、あるいは都市近郊ですけれども洛西ニュータウンのそういう高齢者の問題とか、いろいろなところで現実に高齢の方が極めて困難な問題を抱えている。とりわけ、基本的にやはり日常の買い物が非常に不便になっているとか、病院も、郊外の方に立派な病院はありますけれども、そこまでなかなか行けないとか、本当に苦労されている実態が把握されています。

 あるいは、市町村合併も、平成の大合併ということで全国各地に広がりましたけれども、その周辺部分、中心の方の新しい役場とかできたところは何とか活性化的なこともされていますけれども、周辺部分に行きますと、ほとんど、そういうところの、前に役場とかあったところも物すごく寂れていて、本当にいろいろな商店とか医院とか、いろいろなところがもうなくなっていっている、こういった実態が非常に目につくわけです。

 今回、この二つの法案が出されまして、基本的な私のスタンスなんですけれども、地域公共交通活性化改正案については賛成したいわけですけれども、もう一方の都市再生特別措置法に関しては問題点も多くて、賛成はしないということです。

 ただ、コンパクトシティーに関しては基本的には賛成していますから、なぜ後者の方の再生特別措置法に反対するかといいますと、この法律が今施行されますと、やはり町壊しになるおそれが多分にあるというような感じがするわけです。郊外の方にたくさんの大規模な商業施設とかあるいは住宅が展開しましたけれども、同じように、またそれが都心の方にも、無秩序に町壊しの原因になるのではないかというおそれがありますので、基本的には、都市再生特別措置法に関しては、コンパクトシティー構想に関してはいいんですけれども、ほかのいろいろな規制をかけるべきではないかというふうなスタンスです。

 先ほども申し上げましたけれども、非常に地方の高齢者、物すごく生活に困難を抱えているんですね。それで、年金が二カ月に一遍出ますよね。そのときに高齢者の人が、マイカーも運転できないので、どうしているかといいますと、その日、例えば四月の十五日、地元のタクシー事業者、少ないんですけれども、あらかじめ早目に予約しているんですね。それで、誰々さんの家の前に九時ごろに来てほしいということで、あらかじめタクシーを予約しています。

 そうすると、八時五十分ぐらいになると、その家の周りに五人ぐらいの高齢者、大体女性が多いんですけれども、それが集まるんですね。そして、タクシーが来たら五人が乗って、町中のATMがあるところ、あるいはスーパーのあるところの都心の方に向かいます。そして、ATMで年金を出して、そこで一旦そのタクシー会社の車は返すんですけれども、後、例えば三時ごろにまたちゃんと来るように予約しているんですね。

 それで、その間は一日フリーに、人によっては図書館に行く人もいますし、人によっては大体買い物も全部やるんですけれども、それから、いろいろ行きたいところの友達を訪ねるとか、そういうふうにして二カ月に一遍、基本的にそういう形でみんな集まって、そういう形で出歩く。それが楽しみだと。

 それで、町によっては、市民会館とかホールでイベントをして、演歌とか、映画をやるとか、かなりいろいろなことをやるんですけれども、なかなかそういうところにも行けない。大体、日曜日の晩ぐらいにやるのが多いんですよね。そうすると、公共交通も、大体、平日はかなり利便性が高く、行けるんですけれども、土日とかはなかなか不便。行けるのは行けても帰ってこられない。だから、やむを得ず、そういうところは、エンターテインメントのいろいろなことを楽しみたいと思ってもできないとか、それで非常に引きこもってしまうわけですね。

 それで、引きこもられて、どうされているかというと、寝たきりになる前に病気になられるんですね、足腰が弱りますから。そうしたら、そういった形でまた市町村の健康保険の財政が、非常にそういった高齢者がたくさん医療費を使うことで、また財政悪化の原因にもなるわけです。

 ですから、そういう形で、できるだけ出歩けるように、社会参加できるように、民間の事業者にも交通に対するそういういろいろな補助を出して自由に歩けるようにすると、一つはやはり、その市町村財政では医療費がかなり少なくなる。交通にかかわる費用は補助金が出ても、全体的には莫大な医療費がなくなって、そこはトータルでは一応ちゃんと市町村財政が経営できる。クロスセクターベネフィットと言っていますけれども、トータル的なまちづくり、そういった住民政策をやる必要があるのではないかと今までの調査から考えているわけです。

 そういう意味で、高齢者は、ほとんど歩けるだけの地域で暮らしているわけです。ですから、そこで、車椅子の人もいますし、電動三輪とかでも動いている人はいますけれども、なかなか車には乗れない。女性も多くて、初めから免許を持っていない人もたくさんいらっしゃる。旦那の方がもう高齢で運転できないとか、大体、旦那の方が早く亡くなるケースが多いんですよね。

 だから、高齢者の若い女性は本当になかなか動き回れないということですから、今回のコンパクトシティー構想、これは余りローカルなところを想定されていませんけれども、やはりそういった歩ける範囲で、十分ぐらい歩ける範囲を、できるだけコンパクトなまちづくりをするべきではないかと。さまざまなそういう地域を、できるだけ便利で安い公共交通に結ぶといいますか、こういった政策は今後の社会に非常に有益だと思います。

 とりわけ都市近郊では、そういったコンパクトシティーをいろいろつくっていって、そこにバスではなくて、人と環境に優しくて非常に移動がしやすい新型の路面電車、LRTといいますけれども、そういうものをどんどん導入していく。そして、各停留所に着くとバスが待っている、あるいはタクシーもすぐにいるとか、あるいはコミュニティータクシーとか、そういったカーシェアリングの車がちゃんとあるとか、いわゆる総合的に面的な移動がスムーズに確保できるように、やはり交通とまちづくりを一体化した政策が必要ではないかというふうに考えているわけです。

 そういった点で、今回この二法案をうまくドッキングするということは、非常に効果があるといいますか、まちづくりと公共交通の一体化といいますか、そういう点では非常に評価できると思います。

 ただ、問題点は、これまで郊外に無秩序に立地していた商業施設を各都心の方に戻すとか、あるいは、大規模な高層のマンションを駅前とかさまざまなところに建てていく。それはどうでしょうか。基本的に、住みなれたところで安心して住み続けたいという住民の方の気分、要求があるわけです。都心の方で高層のマンションの方が買い物とかは非常に便利になるかもしれませんけれども、これまでの社会と離れて、高齢の方がいかにそういうところで安心して住めるかどうかとか、こんな問題もありますよね。

 それから、やはりそういう意味で、どんどんどんどん、そういう町を壊すような高層のマンションを建てること自体が今後の社会にいいかどうか。日本の都市自体は、非常にデザインの面からも、欧米に比べるとデザイン面でかなり見劣りがしているといいます。そういう意味では、やはり、そこの町に入っても落ちつけるといいますか、こういったまちづくりが必要ではないかというふうに考えています。

 そのまちづくりで、住民の人の気分、感情を十分に考慮して、本当に一方的な、上から強制的というか、中央部に住めとか、そうではなくて、やはりいろいろなライフスタイルがありますし、家族構成も違いますよね。ですから、やはり郊外に住む人も、非常に伸び伸びとして子供のためにいいとかいう人も大事にせないかぬですし、高齢者は、これまでのコミュニティーをいかにちゃんと維持できるようなところのまちづくり、そういったところ、いろいろまちづくりを考えながら、元気に今後そういったところで住み続けられるようなまちづくりを今回の法律でも十分に考えていただいて、二十一世紀、住んで本当によかったというようなところをこの法律で実現していただきたいと思います。

 それから、最後にもう一つですけれども、今回、昨年ですけれども、十二月に交通政策基本法が制定されました。最初はいろいろ、私なんかも、交通政策基本法ができたら、交通権、移動権が高らかにうたわれていると期待していたんです、基本的にこれまでの民主党のいろいろな路線からいっても。ところが、今回の交通政策基本法では、物すごく総花的といいますか、かなりそういう意味では、ハードの面にいろいろな施設をつくるような形のものをうたっていますので、本当に国民なり住民の交通権を保障するという点では、非常に薄くなっていると思います。

 ですから、それを、すぐには何も変えられませんから、この新しい地域公共交通の活性化及び再生に関する法律で実質的に補填するといいますか、そういう地域の住民の、国民の交通権を実質的にこの法律で保障していくといいますか、そういう点では、この法律が果たす役割には非常に大きな期待を持っているわけです。

 ぜひ、そういった点で、各地方自治体、今回は市町村及び都道府県が入りました。かなり都道府県の交通政策課等の人材は有能ですし、かなりそういう意味では各市町村に対しても指導とかできると思いますので、ぜひ、そういう意味で、都道府県の役割を重視しながら、この計画を進めていただきたいと思います。

 そのときに、今、全国にある国土交通省の各運輸支局、いろいろ一定、本省の役割を下までおろしているので役割は大きいですけれども、この各運輸支局を都道府県に移管して、基本的に、全面的に都道府県が交通行政に、あるいは管理も含めて、財政も含めて一体的に運営できるような体制を、ぜひ、機構改革も含めて考えていただきたいと思います。

 以上で終わります。(拍手)

梶山委員長 ありがとうございました。

 以上で参考人の意見の開陳は終わりました。

    ―――――――――――――

梶山委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。井林辰憲君。

井林委員 自由民主党の井林でございます。

 きょうは、まず初めに、四人の参考人の方々の、大変お忙しい中、貴重な御意見を賜りましたことを厚く御礼を申し上げます。

 また、森参考人、そして土居参考人には、私は調べさせていただきましたら、平成十九年の四月十日の国土交通委員会におきましても、地域公共交通の活性化及び再生に関する法律案の際にも、参考人としてこの国土交通委員会にお出ましをいただきました。また、そのときには梶山委員長は国土交通政務官を務められていたということで、やはりこの地域づくりというのは、多くの方々が長い年月心血を注いで、さまざまな議論が行われてきたんだなということを改めて感じさせていただきました。

 そうした観点から、この法律に基づいて、将来にわたった考え方というか、少しそうしたところも御示唆を賜れれば幸いかなというふうに思ってございます。

 まず、浅見参考人にお伺いをしたいと思うんですけれども、今の都市計画は、市街化区域と市街化調整区域というふうに線引きをしまして、市街地を開発したいという圧力を一定範囲の中に抑え込んで、無秩序な拡大を防いで、都市を非常に効率的なものにしてきたということで、これは森参考人からもそうしたお話をいただきましたけれども、つまり、逆を言いますと、やはり開発圧力がなくなる、または弱まってくると、実質的には非常に意味が乏しくなってくる。そして、やはりそういう意味では、無用な、そして活力をそぐような規制だけが残ってしまうというような制度になってしまうのではないかというふうに考えてございます。

 そうした中で、さらに都市では、提供される公共サービス、これは今回、法案の中でも大変問題になっていますけれども、当然ですけれども、密度の高い都市部の方が非常に効率は高い。しかし、現実には、どこの地域にも、ある程度均等に公共サービスを置いてほしい、そういう地元住民からの要望というのもございます。

 そして、負担に関しては、各市民の皆様方、同等の負担をされるということでございますので、ある程度密度の高い中心市街地から密度の低い地区へ、公共サービスの提供ということを通じて、暗黙の所得移転のようなものも生じてしまっているんじゃないかなというふうに考えていまして、そういうものもボディーブローのように経済的な面で中心市街地の活力をそいできているんじゃないかというふうに思ってございます。

 また、開発というのは非常に大きな利益をその開発者にももたらすというのも、これもまた現実でございます。今回の法改正は、こうした問題に一定の方向性、都市域を小さくするんだ、コンパクトシティーをやるんだということを位置づけたものだと思うんですけれども、まちづくりや都市づくりは、行政からの働きかけ以外にも、やはり民間の住民の皆様方、または開発をされる方々、こうした方々にもインセンティブ、そうしたものが必要だというふうに考えているんですけれども、今後さらに踏み込んだ方向性というものがあれば、教えていただければというふうに思います。

 もう一つ、町を小さくするということは、大きくするというのとは違い、開発圧力を抑え込むというのとは違いますので、もう少しこの計画に、今の都市計画は非常に固定的な都市域を設定して、その中で開発を行うというふうにやっているんですけれども、町をコンパクトにするということは、もう少し動的というか、フレキシブルな計画というか考え方に基づいて、都市計画ですので安定的な制度は非常に必要なんですけれども、そういったような制度というのが非常に必要ではないかなというふうに考えて、そういう意味では、今回はいろいろな計画が、非常に動かしやすくはしてあるんですけれども、そこに対する、もう少し御意見というか、踏み込んだような御意見をいただければ幸いでございます。よろしくお願いします。

浅見参考人 御質問どうもありがとうございます。

 まず最初、第一点ですけれども、線引きについてでございます。

 御指摘のとおり、開発圧力が高いときには有効な方法だと思いますけれども、開発圧力が下がってきます、あるいは、むしろ逆の開発といいますか、非市街化が進むような状況では、必ずしも十分にはならないということです。

 無用な規制かというお問いでございましたけれども、無用かどうかというのは、もちろん、さほどきかなくなってきているのは確かなんですが、それでも郊外の無秩序な拡大というのを、ある程度は抑えているというところがございますので、全く無用とは言えないのかなというふうには思います。

 ただ、もちろん市街地の状況によって違いますので、最近はそこの線引きをしないようなところもございますので、そういったいろいろなフレキシブルなやり方等があるのかなというふうに思います。

 また、負担の問題、所得移転が暗黙の中にあるのではないかというふうにお話がありました。私も実はそういうふうに思っております。

 なぜかといいますと、地方におけるいろいろな税収の中で、保有税というのはかなり大きなウエートを占めております。保有税というのは、実際には不動産の価格が高いところでは多目に取って、そうでないところでは低目に取るということになりますので、どうしても高いところから多目に取るということになります。

 もしも公共サービスが本当に均等であれば、これはやはり移転があるということになります。実際には、公共サービスも、本当の意味で均等かというと、実はそうでない部分もあるかな。例えば、先ほど公共バス等がございましたけれども、そういったものの行き来という意味でいきますと、例えばその頻度の問題、そういったもので若干違いがあるというふうには考えております。

 それから三つ目に、インセンティブという部分がございました。私、実は最後に申し上げたように、やはり情報を開示すべきというふうに申し上げましたが、その中で、どういうサービスをするとどういうコストがかかるか、どういう地域にサービスをするとどういうコストがかかるか、それを明確にすることで、むしろ適正な負担のあり方というのを見せる中でインセンティブというのを打っていく、これが重要であろうというふうに私は思います。

 最後、小さくする中で動的な計画が必要ではないか。これも、実は以前から私が申し上げていることなんですが、現在、例えば用途地域の仕組みというのは、ある用途を想定して、それを静的にコントロールする仕組みというふうに思います。そうではなくて、例えば十年後ないしは二十年後には、現在は高密な住宅地などが、ある程度低層住居が主体となった地域にしていくというような動的な計画、動的なコントロールの手法、これが必要だと思います。

 現在、都市計画法等の、あるいは建築基準法等の中では、そういった仕組みが入っていないんですけれども、私は、そういったところも入れていただけるといいのかな。ただ、今回の法律案に入れられるとは思いませんが、今後、都市計画の仕組みの議論の中で、ぜひお考えいただければというふうに思います。

 どうもありがとうございました。

井林委員 ありがとうございます。

 次に、森富山市長にお伺いをしたいというふうに思うんですけれども、非常に先進的なまちづくりというのをされてきまして、この二つの法律は、まさに富山市さんのような取り組みを一つの目標にして、こういう法律をつくったんじゃないかなというような思いさえするような、そんな取り組みを御紹介いただきました。本当に参考になるなというふうに思って、聞かせていただきました。

 その中で、ここは非常に難しい問題だと思うんですけれども、これから、やはり、公共交通機関の選択と集中ということをやっていかなければいけないということが大きなテーマになってくるというふうに思うんです。選択と集中ということをやりますと、公共交通機関の選択と集中というと、ここを当てはめるのかどうかというのはかなり議論があるところだとは思うんですけれども、憲法の二十二条に、住居、移転及び職業選択の自由というのが憲法上定められていまして、そこに移動まで入れるかどうか、移転のところで移動まで入れるかどうかという部分ですけれども、住居の選択の自由なんかに関しても、都心・沿線居住推進区域外の方には、かなり御不便というか、そうしたことをおかけすることを、ある程度政治的に判断をされて、こうした政策を進めてこられているというふうに思うんです。

 特に、いただいた資料十五ページのところで数字を見させていただくと、例えばスーパーの五百メートル圏域人口なんかを見させていただきますと、都心・沿線居住推進地区以外というところで、スーパーは五百メートルより遠いよという方も結構いらっしゃる。数字を見ると、大体ざっと十七万人ぐらいいらっしゃるという計算になるんですけれども、では、そこに対する手当てをどうやってやっていくのか。買い物難民なんていう言葉もあるんですけれども、そういうところに手当てをどうやっていくのか。ただ、そうしたところに余りにも手当てをやり過ぎると、今度、コンパクトなまちづくりというのが難しくなってしまう。

 これは、両方相反するような議論になってしまうんですけれども、そうした議論が、これまで先進的な取り組みをされてきた富山市さんの中で行われてきたのであれば、どんな議論があって、そして、どういう御判断をされたのかということを教えていただければというふうに思います。

森参考人 先ほども申し上げましたが、私どもの計画は、腕力で人の住み方を凝集させようとしているものではないわけです。少なくとも、人口が減っていく中で、これ以上の拡散を防ぎたいということが基本です。

 したがいまして、九ページにお示ししましたように、我々の計画が達成できましても、約六割の方は郊外に住むわけです。それは当然のことです。業として農業や林業についている人もいれば、子育てを郊外でしたい人もいれば、大型犬を飼いたいという人もいれば、工場の近くに住みたいという人だっているでしょうし、スキー場の近くに住みたいという人もいる。それはそれぞれの人の選択ですので、そのことを規制しようという計画では毛頭ありません。ただし、二八%を四〇%にできたとすれば、その限りにおいて、将来市民の行政維持コストを抑えることができた。

 例えば、私どもの市では、今、市民一人当たり、道路の維持費に年間四千円程度かかっておりますが、これを放置していきますと、どんどん道路延長が延びていくと、二十五年後には七千円ぐらいになるだろうと思っています。除雪費は入っておりません。除雪費を入れると、郊外拡散すると、除雪の延長がまた延びていく、ごみを収集するエリアが広まっていく、それを抑えたいということですので、郊外の方に対して今より不便にしていこうというベクトルで議論しているわけではないので、郊外の方にしてみると、現状はそのままです。

 現に生活の足がない人には過疎バスも走らせる。あるいは、谷筋の奥にまで食料品を持って売りに来る業者さんには補助金を出すというようなことなどもやっていますし、それから、郊外から中心商店街に来た方は、六十五歳以上の方は百円でバスが利用できるという制度もやっています。これは、郊外市民を町中へ誘導したいということです。これは住まいとは関係ありません。先ほど両先生おっしゃったように、健康寿命を延ばすというようなことを考えると、閉じこもりがちの高齢者を何とか外出させるという施策と相まっているわけです。

 今の御質問にお答えするとすれば、郊外への手当ては郊外なりにきちっとやらなきゃいけない、これをおろそかにはできないと思っていますが、それとは別に、一つの選択肢として、都心居住や交通便利地域の居住ということを考えてほしい。その際に、それを選んだ人には補助金を出す。出すと出さないの不公平感は確かにあります。しかし、これが成果として居住の拡散を防げば、将来、市民全体に利益として返ってくるというふうに考えています。

 それから、先ほど浅見先生のお話にもありましたが、確かに、税は、市街化区域だけ都市計画税もかけていて、あるいは、地価の高いところは固定資産税の負担も大きいわけですが、しかし、地価が下がっていくと全市民に不利益になっていくわけで、地価の一番高いところに集中投資をしてその税額を確保するということは、中山間地に住む人へも還流していくというふうに思っていますので、まずプライオリティーからいうと、居住の便利なところに集中して投資をしていくということ、そして同時に郊外生活も守る、これを同時に進めなきゃいけないというふうに思っています。

井林委員 ありがとうございます。

 いろいろなところで御意見をいただきまして、大変参考になるかなというふうに思ってございます。

 竹内シニアフェローにお伺いをしたいんですけれども、参考人の皆様方から御意見をいただく前に、この法案に対する質疑が本委員会で行われまして、その中で、特に都市再生特別措置法の方で、想定する都市の人口は何人ぐらいかというような質問が中村委員の方からございまして、そのとき、きょうもいらっしゃっていますけれども、石井局長から、大体十万人ぐらいの都市以上のところを想定してこの法律をつくっています、そういう答弁がたしかあったというふうに記憶をしているんです。もう一つの地域公共交通の方は、都市の人口の少ないところの交通の問題に関しても、かなり考え込まれてつくられてきた法律なんですけれども、もう一つの都市再生の方は、当然、都市を扱う法律なので、十万人以上を想定されたということなんです。

 ちょっと、この法律から趣旨は外れてしまうんですけれども、十万人以下のところの町で、しかも、そういう町というのは大体合併をして市域が非常に広域になってきていて、そこに対するまちづくりというか、地域づくりというか、そういうものに該当する言葉自体も見つけ出すのがなかなか難しい状況だと思っているんです。そういったところの都市の問題というのも、町というか、自治体のまちづくりというんですか、そういうのも非常に大きな問題になってきていまして、そちらも、どちらかというと社会問題的な側面も少し含んでいるのかなというふうに個人的には考えているんです。

 そういったところに対して、竹内参考人は、いろいろなところでまちづくりのアドバイスをされてきたということでございますけれども、ちょっとこれは法律から外れてしまって大変恐縮なんですけれども、そういう人口が非常に少ない地域でのこれからのまちづくりのあり方とか、そういうのもできれば御教授いただいて、御示唆いただいて、これから私たち、人口十万人以下のところでもしっかりと考えていかなければいけない問題だと思っていますので、御意見があれば、お聞かせいただければというふうに思います。

竹内参考人 ありがとうございました。大変重要でありますが、大変お答えが難しいというものだと思います。

 確かに、十万人というのは結構な都市になります。今のところは、この再生法に該当するような十万以上の都市であっても、合併して大きくなったところもありますし、あるいは、市域、行政界を超えて活動が展開されているところもある、こういうようなところでありますが、十万以下のところについて、一つは、いわゆる広域行政ですね。

 今、制度としては、広域連合、その他いろいろあるわけでありますが、広域行政の仕組みを、もう一回何とか手をつけて、非常に人が少なくなっているところがずっと連担しているようなところ、それでも、ある圏域で古くからの活動が残っている、例えば、ある河川の流域のようなところでありますが、そういうようなところを、いわゆる機能的に広域活動を集約するということだけではなくして、要するに、行政をもう少し広域的に連携させる、こういったことができないものか、こういうふうに思います。

 その結果、いろいろな行政サービスについて双方が連携する。これを一々、今の例えば一部事務組合のような、ああいうやり方でもって全部やっていくというのは、なかなか手間がかかるというふうに思われますので、これをもう少し包括的に、特色のある共通した区域で何とかまとめて行政を進められる、こういうことができないかというふうに思います。

 こうなりますと、もしかしたら、それは都道府県の境界をもちろん越える可能性もありますので、地方行政のシステムそのものにかかわってきますが、そこのところを実情に応じて柔らかく取り扱えるというようなことが考えられないかというふうに思っております。

 以上です。

井林委員 ありがとうございました。

 済みません、ちょっと私の時間の使い方が下手くそで、土居参考人にもいろいろ御意見、御示唆を賜りたかったんですけれども、時間が近づいてまいりましたので、これで終わらせたいと思いますけれども、本当に四人の参考人の方々には、大変すばらしい御意見、そして私の質問に対しましても本当に的確にお答えをいただきまして、ありがとうございました。これからも、地域の都市づくりと、そして交通の問題につきまして、さまざまな面で御示唆をいただけますようにお願いを申し上げまして、私からの参考人の皆様方への御質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

梶山委員長 次に、伊藤渉君。

伊藤(渉)委員 公明党の伊藤渉です。

 きょうは、四人の先生方、森市長、また三人の先生方にお運びをいただきまして、大変にありがとうございます。貴重な時間ですので、早速質問に入らせていただきたいと思います。

 まず最初の質問は、四名の先生方にお伺いをしたいと思いますけれども、今回の法改正でも、新たな都市計画手法のツールを幾つか用意して、いわゆる人口が減少していく社会の中でも活力のあるまちづくりを進めていただく、いわば国家的な取り組みをさらに加速させていこうということでございます。

 今回議論されている法律の中でも、地域公共交通の活性化及び再生に関する法律の一部を改正する法律案の中でも、私は非常に大事な条文だなと思っている一つが第四条でございまして、ここでは、国等に対する努力義務で、持続可能な地域公共交通網の形成に資する情報の収集、整理、分析及び提供、研究開発の推進並びに人材の養成及び資質の向上というものの努力義務を国等に対して課しています。

 従来から私がずっと考えていることの一つが、何事も前に進めていくためには人、物、金でございますので、こういったことに専門的知識を有する方というのはやはり限られているわけで、これをどう、それぞれの現場である自治体に適した形で、それこそ派遣をしていただくのか。また、まちづくりといっても千差万別ですから、得意分野の方、得意分野もあれば、さまざまな形があるわけで、いわゆる人材の活用というか、それぞれ、市長は市長の立場で、また先生方は先生方の立場で、日ごろお感じになられている課題、あるいは現状に対する認識等がおありかと存じますので、まずその点について、浅見先生から順にお伺いをしたいと思います。

浅見参考人 御質問ありがとうございます。

 おっしゃったように、情報ないしは人材、これは非常に重要だと思います。

 まず、専門家についてなんですけれども、専門家の数を全部そろえるというのはなかなか難しいかというふうに思いますので、一つは、ある程度、分析ツールみたいなものを、これは当然専門家が関与すると思うんですが、つくってもらって、それを活用できる仕組みを導入する、これは非常に重要かと思います。

 また、こういったことというのは走りながら動かすということが必要だと思いますので、オン・ザ・ジョブ・トレーニングみたいな形で、例えば行政に、ある程度、民間の力ないしは場合によっては学識の力、そういったものを入れていって、そういう方にも勉強していただいて、それをさらに進める、こういった方法も必要なのではないかというふうに思います。

 ありがとうございました。

森参考人 ありがとうございます。

 基礎自治体の立場からいいますと、まず第一義的には、職員の資質向上ということは、みずからの努力としてやはりきちっとやるということだと思います。

 浅見先生もおっしゃったように、走りながら少しずつ能力や知見を深めていくということだと思いますが、それに加えて、各大学のいろいろな先生方に御指導いただくというようなことは当然のこととしてやっております。

 さらに言いますと、私どもの市ですと、国土交通省から人材を派遣していただいておるというようなことなどもあります。

 最近、これは必要だと思ってやっていますのは、任期つき職員の採用を積極的にやっておりまして、例えば先般も、四月一日付で橋梁の専門家を入れました。これは、長寿命化などについて計画を練るということです。それから、弁護士も入れておりますし、さまざまな専門家を任期つきで採用しています。

 片方で、権限が欲しいというからには法務能力も高めていくということは当然だと思いますので、そういう手法は基礎自治体としては有効だと思っております。

竹内参考人 民間コンサルタントとしてずっとやってきたところから発言したいと思いますが、最近、いろいろ、地方自治体で団塊の世代がいなくなって職員の構成がアンバランスになったのに応じて、中途採用を大変ふやしております。そのために、民間からの人材の流動がふえたりなんかしているということは見られておりますが、しかし、これはどちらかというと、やはり数合わせに近い状況をまだ抜け切れていないのではないかということであります。

 では、きちんとお互いのニーズに合った人材の流動ができないのかということでいきますと、やはり制度的にはできなくはないわけでありまして、今、森市長がおっしゃったようなやり方で、もちろんやられております。

 しかしながら、一般的に押しなべて見ますと、我々が、はい、わかりましたと言って、どこどこ市に出向いていくというようなことは、かなりの決断を持って行かなければなりません。やはり、一つの仕事が五年とか十年かかる、そういうまちづくりの仕事でありますから、一年契約更新をして二年目で帰ってしまうというようなやり方では、とてもだめだと思います。例えば、五年間の雇用契約があって、その間のミッションがしっかりしていて、そのことによって民間のプランナーはそういうところに行くことが初めて決断できるということであります。

 しかしながら、民間の方には、やはりそういう能力者はまだまだたくさんいると思いますので、ぜひ、そういう流動性が高くなるようにできればなというふうに思います。

 以上です。

土居参考人 私も、先ほど申し上げましたけれども、国土交通省の運輸支局を各都道府県の方に移譲といいますか、移管できる制度を御検討いただければと思います。

 もう一点は、やはり、都道府県も含めて、人材を育成するという意味で、国土交通省にそういった人材育成の大学校といいますか、そういうもので、六カ月なりちゃんとしたプログラムで人材を養成するということもぜひ検討いただきたいと思います。

 以上です。

伊藤(渉)委員 ありがとうございました。

 いわゆるまちづくりというと、まさに成功例の代表として、いつも至るところで森市長のお話をお伺いしているわけですが、そういう姿を見ておりますと、一つは、やはり政治のリーダーシップがいかに重要かということを発信し続けることによって、今、竹内先生がお話しいただけましたように、民間も国も挙げてこういう取り組みを、息を長く、スパンを持ってやっていくということであれば、まさに投資する価値があるという判断をしていただいて、既にいる人材が発掘されてくる、こんなふうに理解をさせていただきました。

 そういう意味では、私も都市計画を少しかじってきた人間でございます。繰り返しになりますが、人口減少下における都市の活力をこれからどう維持していくか、これは国家的取り組みであり、ひいては世界各国が今後遭遇をしていく可能性のある、まさに今我が国は課題先進国、こういう呼ばれ方をするわけですが、そこに対しての一つの解決策を見出していきたい、このような強い決意で取り組んでいきたいと思います。

 続きまして、浅見先生にお伺いをしたいと思います。

 先ほど井林先生の質疑の中でも少し触れておられました、いわゆる動的都市計画の手法。先生の書かれた「都市計画制度の今後の展望について」という論文を読ませていただいて、その中にも出てきたのですが、「動的計画手法」ということで、少し紹介させていただきます。

 「常に将来像が変化し続けるのであるから、時系列的な変化を柔軟に取り入れる都市計画制度が必要となる。計画決定されたから計画を変えないのではなく、過去に決定した計画内容の適切さを不断にチェックして臨機応変に見直していくことが必要なのである。」例えば、都市施設については、「将来の縮小状況を加味して、現在の需要をちょうど満たすような施設容量で建設するのではなく、やや不足気味とし、不足分を暫定的な代替措置で補完するというような施設経営の仕方も必要となる。」等ですね。例えば、線引きについては、「市街化区域から非市街化区域への遷移区域というような新たな区域分けが必要となり、その際の市街地としての開発権利は時限的な措置としなければならない。」とか、あるいは、用途地域についても、「指定容積率が徐々に減っていくようなダウンゾーニングを、既存不適格部分をTDRで毎年購入するという名目で、特別の都市計画税の仕組みを設けることも一考に値するだろう。」非常に先進的な、興味深い論文だと思います。

 これは今後のまちづくりを先取っているお話だと思いましたので、余りに専門的なものですから、もう少しイメージが湧くように、先生の構想されているものを少し御紹介いただければと思います。

浅見参考人 私の論文を引用していただきまして、どうもありがとうございます。

 私が考えたのはどういうことかといいますと、まず、現在の都市計画の仕組みはどういうものかといいますと、都市基本計画、マスタープランというのをつくって、なるべくそれが達成できるようにしていこうと。そういう意味では目標像があって、それに向かって走るというような構造になっております。ですが、今後、都市が縮小していくということになりますと、目標像があって、それが固定化されるのではなくて、常に少しずつ変わっていくというのが将来なわけです。そうしますと、その将来をいかに、将来に向けてどういうふうに都市をマネジメントするかということを考えますと、やはり変わっていくツールが必要ではないかということで、そういったものを言っております。

 地域の状況というのが少しずつ変わりますので、こういう状況の場合はこういうふうにする、こういう状況の場合はこういうふうにするというような、将来の状況に合わせた形での条件つきの規制ですとか誘導策ですとか、そういったものが必要ではないかということで、現在あるいろいろな手法を少し変えるとしたらどうなるかということで解説しております。

 よろしいでしょうか。どうもありがとうございます。

伊藤(渉)委員 ありがとうございます。

 これを、例えばどうやって将来的に何かの仕組みに反映していくのかとかいうことを考えると、非常におもしろいお話だなと思いつつ、では、具体的にどうすればいいのかというのは非常に難しい話だとも思いましたので、私自身もさらに研究をしていきたいというふうに思います。

 続いて、きょうは各先生方から触れていただきましたけれども、公共交通のあり方、また、そこに対して公費を投入するということの難しさ、私も、もともと交通の事業者の方にいたこともあり、また、私もそうですけれども、公明党は離島の振興ということに実は大変力を入れておりまして、きのうもちょうど、離島振興協議会、各島の皆様方とお話しする機会がありました。

 なぜ離島に力を入れているかということも少し紹介させていただきますと、今、日本の国には、たしか六千八百五十二の離島がありまして、当然のことながら、この離島の幾つかによって、いわゆる国境離島という言葉に代表されるように、EEZの外郭はこの離島で形成されています。日本の国は、地面だけでいくと世界で六十番ですけれども、いわゆる離島に守られた排他的経済水域まで入れると世界で六番目の大国になる。そういう意味で、今、大変海洋権益に対する関心も高く、離島があるからこの状態を我が国は保持できているという意味で、国を挙げて離島振興に取り組むべきだという主張を続けて、改正離島振興法が施行されたところでございます。

 そこで、必ず離島でも話が出るのが、船の話なんですね。やはり使う方が少ないですから、市場原理に照らせば値段が上がっていってしまう。値段が上がっていってしまうから、使う、利用する方も大変なんですね。いわゆる悪循環していくわけです。離島の方とお話しすると必ず言われるのは、島にとって船は道だ、あるいは電車だ、これがなくなったら移動できないんだ、極論を言うと電車と同じように、一キロ幾らという基本距離で単価が決まっていますから、せめて、それしか足のない離島も同じようにしていただけないかと。なかなか財源のことも含めて難しいことをよく承知の上で言われると、それしか道がない、それしかつながっているところがないと考えると、一方で極めて真実なわけです。そういう意味では、土居先生がきょうの資料の中にも書かれている移動権ということともかかわってくるような気がします。

 前置きが長くなりましたが、森市長にぜひお伺いしたいんですが、いわゆる交通事業に対する公費の投入ということで、議会でもさまざまな議論があると思うのです。むしろ市長は積極的にやろうとしているわけですが、反対の意見を中心に、議会に問うたときにどういう議論が展開をされているか。これはまさに、今後国会での議論も視野に入れて、どういった議場での声があるかということをぜひ知りたいと思いますので、御紹介をいただければと思います。

森参考人 今先生お話ありました離島の問題と、基本的には私はそうベースは変わらないと思っておりまして、郊外ほど車に頼れない年齢の長寿者がたくさん残されていて、その方々の移動をどうするかというと、まさに離島と同じことだろうと思います。したがって、過疎バスを動かすことに公費投入することに反対だという人は、ほとんどいないんだろうと思います。

 問題は、どこにでも限界事例はあるもので、民業として採算のとれているものにどこまで公費投入していくのが、そのぎりぎりの線がどこなのかということは、都市によって温度差があるし、首長によって考え方も違うんだろうと思いますが、先ほど申しましたように、一般会計全体のスケールに対して、どの程度を交通に予算を執行していくのかという観点から考えていくと、その都市その都市にとっての妥当性というのは、おのずと見えてくるのではないかというふうに思っています。

 しかし、さっき言いました過疎バスに象徴される生活の足については、仮にかなり負担が重くなっても、歯を食いしばって頑張ってやっていかないといけない、やはりシビルミニマムはきちっと考えていくということなんだろうというふうに思います。

 赤字路線バスに国の補助も入っていますので、こういう制度を、もう少し状況によっては見直していくということが必要かもしれませんが、基本は基礎自治体の責務だと思っていますので、私どもの議会では余り公費投入にそう激しい反対というのはなかったですし、市民の中にも反対運動というのは組織だってありませんでしたので、意識が低いということも言えるかもしれませんが、みんな共通して認識しているんだと思いますよ。移動の足を確保することに公費投入は必要だということだろうと思います。

伊藤(渉)委員 ありがとうございます。

 そうすると、国全体で、移動に対して税を投入していくということがいかに必要かということを、やはり共通認識を広げていくということが重要なんだというふうに今認識をさせていただきました。

 同様に、もう一度、これは森市長にお伺いしたいんですが、資料の何ページでしょうか、高山本線に公費を投入して云々という御説明を先ほどいただきました。

 ちなみに、私は猪谷から下を所管しておったんですけれども、高山本線、先ほどの御説明で、公費を投入してダイヤを改正して、増発をさせることによって乗客もふえた。これは企業にとってもありがたいことで、そうすると、いわゆる公がお金を入れる、結果として民間企業も、利益がふえたかどうかまでは先ほどちょっとお話しされていませんでしたので、利益がふえたというところまではいっていないのかもしれませんが、いわゆるウイン・ウインの関係を築いていこうと思うと、例えば、仮にこの取り組みによって事業者に利益が発生したら、公費投入して利益が発生するというのもなんですから、これは循環させるべきだと思うのですが、そのあたりの仕組みはどうなっておるんでしょうか。

森参考人 全くおっしゃるとおりで、この制度を試験的にやりましたときに、前年度の高山線の利用者数をベースとして、それがふえたとすれば、市の取り組みの結果、成果としてふえたのだから、その分は返してくれという契約をJR西日本さんと結びました。恐らくJR西日本さんは、絶対にふえないと思っていらしたと思います。

 もちろん、投下した公費ほどには戻ってきていませんけれども、利益は少なくともJRさんに残らないという仕組みで始めております。

伊藤(渉)委員 大変貴重なお話をお聞かせいただきまして、ありがとうございます。

 時間になりましたので最後にしますが、済みません、森市長にお願いいたします。

 また、きょう御説明いただいた資料で、なるほどと思って見せていただいたんですが、スーパーとか医療、診療所等々の五百メーター圏内に人が集まっている。やはりそうなるんだなと思いながら聞かせていただいたんです。

 今回も、都市再生の一部改正法の中に、立地適正化計画の中で都市機能増進施設というものがあって、「医療施設、福祉施設、商業施設その他の都市の居住者の共同の福祉又は利便のため必要な施設であって、都市機能の増進に著しく寄与するものをいう。」これは一体何を想定していますかということを政府にも聞いたんですが、実態として、まちづくりをされている市長の目から見て、きょうはスーパーと医療施設、あとは公園でしょうか、例示的に御紹介をいただきましたが、結局、こういう施設があるとその周りに人が集まりますよと、もし市長の御経験から思い当たるところがあればお聞かせいただいて、私の質問を終わりたいと思います。

森参考人 今お示ししました資料は二つの意味がございまして、先ほどどなたか御質問ありましたけれども、これを見ると、郊外は暮らしにくいということがはっきりとビジュアル的に見えるということが一つと、他方、居住推奨エリアというのは住みやすいところなんだということを市民に幅広く訴えるという、両方の説得力を持っていると思います。

 さらに言えば、欠けているところはどこなのかということも、このデータからは見えてくるわけです。例えば、富山型デイサービスが都心部に一カ所もなかったというようなことなども、こういうデータから見えてきました。したがって、居住推奨エリアに関しては、そういう欠けているものについては補助率を上げるというふうなメニューがえをしまして、誘導しようということをやっています。

 例えば、拾うのはいっぱいございますね、図書館の分館がどこにあるとか、さまざまな指標をこのデータからとることができますので、これは今後とも活用をしていきたいというふうに思います。

 ベースは、GISの基図に住民基本台帳の全ての住所地を座標値化して重ねるということです。若干問題があるのは、同心円状でしか拾っていません。五百メートル圏内でも、道が曲がっているともっと歩いているということはあるんですが、そこまでの精度は要らないだろうと思っていますけれども、ある種の説得材料としてこれを使っております。やはり生活に欠かせない、買い物、医療、保育園、学校、あるいは福祉施設、そういうものなんだろうというふうに思います。

伊藤(渉)委員 大変貴重なお話、ありがとうございました。以上で質問を終わります。

梶山委員長 次に、寺島義幸君。

寺島委員 民主党の寺島義幸でございます。

 きょうは、大変お忙しい中、四人の参考人の皆様方にお出ましをいただきまして貴重な御意見をいただきましたこと、私の立場からも感謝申し上げる次第であります。

 それでは、早速お聞きをしてまいりたいと思うわけであります。まず初めに、土居先生にお伺いをいたしたいと思います。

 井林先生のときにもお話がありましたけれども、この地域公共交通の活性化の法律でありまするけれども、平成十九年に施行されたわけでございます。五年がたつわけでございます。そのときに、森市長、あるいはまた土居先生からもいろいろと御示唆をいただいた、こういうことであるわけでございます。

 五年が経過する中で、軌道運送高度化事業というのが三件認定されております。それから、鉄道事業再構築事業というのは四件認定をされたというふうに聞いております。そして、新地域旅客運送事業については一件を認定されたというふうに聞いております。五年たつわけでありますが、この法律施行後、こういう状況のもとで、このような認定状況があるわけであります。この法律が効果的に機能してきたのかという点について、御示唆をいただければありがたいというふうに思います。

土居参考人 五年経過したわけですけれども、なかなか地元の協議会の中で、かなり問題になるところも多いというふうに聞いています。だから、かなり地域によって状況は違うと思います。

 例えば、その協議会の方に入る委員の人選にしても、公共交通を全く利用しない人が入れられているといいますか、非常に、公職でいろいろ大変忙しい方も多いでしょうから、日常的にはバスとか鉄道とかに乗らずに、マイカーでどんどん移動していて、そういった身近な地域の公共交通の問題までなかなか把握していない方も、そういう役職上といいますか、入れられていることを含めて、かなり事業者に関しても、行政とのかかわりではなかなかうまく話ができないとか、さまざまな問題がありますから、そういう点では、今後は都道府県も入れながら、もっと住民も参画、あるいは事業者も積極的に参画できるような体制をぜひお願いしたいと思っています。

 以上です。

寺島委員 ありがとうございます。さまざまな地域のありようがあるということで、本当にそのとおりであろうというふうに思っております。

 先ほど来よりお話しのように、特に地方自治体は高齢化、人口減少で大変な状況にあるという中で、地域公共交通の重要性が本当に問われているということだろう、そのとおりだというふうに思っています。

 そうした中、この法律案の改正は、コンパクトシティーを実現するために、地域公共交通が土台となる役割を果たさなければならないので、それに重点化した改正ということであるわけであります。と同時に、さまざまな市町村があって、各地域それぞれのありようがあるわけでありまして、そういう中で、地域公共交通の重要性というのは、一方では変わらないわけであります。

 そんな観点から、皆様方の非常に高尚なお話でありまして、私は少しローカルなお話をして、お伺いをいたしたいと思っております。竹内先生に、ぜひお伺いをいたしたいと思います。

 政策決定あるいは立案のときに、計量というような立場から調査研究をされて、各般にわたりまして御指導いただいているというふうに承っておるわけでございまして、そういう立場から御意見をいただきたいと思うわけであります。

 二十三年度からの予算で地域公共交通に対する助成というのは一本化されまして、御案内のように、地域公共交通確保維持改善事業というのが創設されて、さまざまな支援が行われてきたわけであります。

 ところが、私は長野県が地元でございますけれども、御案内のように、長野県は、十九の市と二十三の町と三十五の村があります。平成の合併でも余り進まなかった県でございまして、北海道を除けば、市町村の数が全国一というようなところでございます。有名な「信濃の国」じゃありませんけれども、四つの平らに囲まれた、山に囲まれたというようなところでございます。そんな地域でも、本当に地域公共交通というのは重要であり、各首長さん方は本当に苦労されておられます。

 そうした中、これは平成の合併で町が一緒になりまして、約九万六千人ぐらいの人口になった新しい市です。今までの事業を、それぞれの町でやっていたものをやめて、デマンドタクシーを始めました。これは、運行業務に対しては支援があるわけでありますけれども、配車センター等の運営については、実は支援がございません。運行事業の方には支援があって、市町村の出し分については後年度の特交措置というのもあるんですけれども、配車の仕事には、実は支援がないわけですね。きめ細かな手当てをしようと思って配車をたくさんふやすと市の負担がふえていってしまう、痛しかゆしだ。

 そういう状況を隣の市が見ていまして、今度は定時運行コミュニティーバスをやりました。定時運行でありますので、これはまた利用者が、利便性が余りよくないというので利用者が減っちゃいまして、これもまた痛しかゆしだというような状況があるわけであります。

 また、全国の補助要望が多いがために、例えば、この中にいろいろな事業があるんですけれども、地域公共交通確保維持改善事業の中の地域公共交通バリア解消促進事業、こういうのも実はあるわけであります。ところが、これが全国で人気があるものですから、要望額が大きいもので、予算額を超えちゃっております。超えますと、結果において市町村のところに来る予算額が減らされてしまっておりまして、なかなかそれもまた自治体の負担が大きくなってしまう、こんな状況もあります。それは、国の予算が十分確保されていないということにも起因するんだろうというふうに思います。

 また、地域内のバスの路線の確保の維持のためにこの事業をやっておるんですが、三十五ある市町村でやはりこれが所要額を超えちゃって、いただきたい補助、アッパー、限度額よりも超えちゃっているんですね、必要額が。そうすると、その分はまた自治体の負担になるという、いろいろな、さまざまな状況が実はあるわけであります。

 また、中山間地におけますタクシーの運行とか、あるいはまた自家用車の有償輸送、こういうものに対しては、実は支援がないわけであります。御案内のように、小さな市町村は苦労して、何とか、お年寄りの買い物、病院に行きたい、そのさまざまなニーズに対して御要望を満たそうと努力をしているんですけれども、なかなか財政規模の小さな自治体ではそれもままならない、こんな状況が実はあるわけでございます。

 そういう状況を恐らく竹内先生は御承知だと思うわけでありますけれども、地域公共交通を、それぞれの、いろいろな、さまざまなありようの市町村がある、状況はそれぞれ違うと思いますけれども、そうした中で、やはり一番重要な施策、しなくてはならない、今日までこの法律のもとでされてきたいろいろな事業があるわけでありますけれども、恐らくこの点が抜けているぞという点は、竹内先生であるならばおわかりいただけるのではないかな、こんなふうに思うわけでございますが、御教授いただければありがたいというふうに思います。

竹内参考人 いろいろお話しいただいたので、どこがポイントか、なかなか考えづらいところであります。

 確かに、現地域公共交通活性化再生法は、交通連携計画は五百を超える数の計画ができて、そういう意味では大変人気のある法律だったというふうに思えるわけでありますが、残念ながら、地域公共交通連携計画で取り上げられたのは、廃線になったバスのところにコミュニティーバスを走らすとか、どちらかというと、各地域で一年間で決められるとか、そういった類いのものが多かったのではないかというふうに思います。

 それから、もう一つ、制度的には可能ではあったんですが、ほとんどが市町村単位で協議会がつくられて、市町村単位の施策に結果的には従事したわけで、そうしますと、こちらがこうやれば、それを隣が見て別の方法を考える、似たような交通状況であるはずなのに、そういう違いが起きるというようなことが出てしまうわけであります。

 ですから、同じ長野県下でも、例えば飯田の方は、協議会は広域連合でつくられておりますから広域でやられる、こういうような例もないわけではないので、よくそういう情報流通についてはいろいろなやり方を検討されてはどうかなというふうに思います。

 それで、御質問の、大事な落ちているものが何かということでございますが、私は、この中で、落ちていると言うのは、ちょっと政府には申しわけないなという気もしますが、やはり移動に障害のある方々のものに関しては、相対的にはちょっと薄いのではないかという気がいたします。

 それで、この活性化法の議論の後に、障害者の特別云々という法律が議論されるというようなことは聞いておりますが、でも、同じ移動のところについて、交通政策基本法の中ではその辺の条文が結構つけ加わりましたが、実際に展開するところにおいて、移動に障害のある方々についての配慮というものが、もう少しあってもいいのではないかというふうに考えているところです。

 以上でございます。

寺島委員 ちょっと時間があれですので進みますけれども、ありがとうございました。

 次に、コンパクトシティー実現に向けてということでございまして、これは浅見先生にぜひお伺いをしたいわけであります。

 浅見先生はエココンパクトシティーということを提唱されておられまして、実は私の地元の小諸市も指定を受けて頑張っているところ、これからでありますけれども、そういう中、この法律案、実は、二十四年度に制定されました都市の低炭素化促進に関する法律、こういうのもあるわけでありますね。これは、今議論されている二つの法律とこの低炭素の法律と、あるいは三つが連携していくということが重要であろうというふうに思っています。

 そういう観点から、今回は低炭素の方の法律の改正はないわけなんですが、特に先生はエココンパクトシティーということを提唱されておられるわけでありまして、そういう立場から、この二法案の法律改正、さらには低炭素の法律との連携という意味において、もし御意見があればお聞かせをいただきたいと思います。

浅見参考人 どうもありがとうございます。

 低炭素の方はエコまち法というふうに略すと思いますけれども、このエコまち法と今回の法改正、これは非常に連携がある、重要であるというふうに私も考えております。

 エコまち法の方は、低炭素をいかに進めるかということで、そういった観点からなんですが、そういったエネルギー消費という面から考えても、ある程度コンパクトにしていくということが重要であるということになっております。

 エコまち法でやはり区域設定がございますが、私としては、できれば、それと今回の区域、これをうまく連動させる形で、都市計画における、例えば区域マスタープラン等がございますので、その中で同一というふうに認めるような形で進める。そういった、できれば、その二つの法律というか制度をつなげていくような方法論、維持の仕方、そういったものを、ぜひ、例えば国交省等でマニュアル等をつくっていただいて、自治体に参考になるような情報を出していただくといいのではないかというふうに思います。

 それからもう一点、特に重要かと思いますのは、実は空閑地をどうするかということで、先ほど、空き地になったものを跡地管理ということで少し申し上げたんですけれども、実際には、例えば緑地として有効に使うとか農地として有効に使うといった、さらにそれを、空閑地をもっと積極的に空閑地として使うような仕方、これは今回の法律では余りないんですけれども、今後、もしかすると市街地の中でも重要になってくるのではないかなというふうに思っております。

 以上です。

寺島委員 どうもありがとうございました。

 続きまして、富山市の森市長さんにぜひお伺いいたしたいと思います。

 御案内のように、富山市は先駆けてコンパクトシティーを実現されておられるということで、大変敬意を表したいというふうに思います。私の地元の首長さん方も、ぜひ勉強したい、こう言っておられる方も多いわけでありまして、そんな観点から御経験者として御教授をいただきたいわけなんですけれども、人口減少、高齢化進展、大変な状況で地方は疲弊をする状況にあるという中で、都市のありようというのはさまざまでございます。

 特に、合併によりまして、歴史的にも市として成り立っているところ、あるいはまた、市町村が合併をして新しい市になって十年とかというところ、さらには、周辺の市町村を吸収というか、そこと一緒になってさらに大きくなった市、いろいろな都市のありよう、あるいはまた、周りには町と村ばかりが集まっているようなところ、いろいろなありようがあるわけであります。富山市さんのように、県庁所在地で、ある程度のまとまりというのがあられるというふうに思うわけであります。

 そうしたところで市電を走らせる、地域公共交通を本当に土台としてまちづくりをコンパクトにしていくことによって将来のまちづくりを形成していこうじゃないか、とてもすばらしいことであるし、特に先ほど、一人当たりの行政の効率の問題もありました。そういうことを考えると、私どものような地域も大変重要な施策であろうというふうに思っています。

 ただ、そこで、では、どういう地域で取り組んでいったらいいのか。先ほど規模のお話、十万人というようなお話もあったわけでありまするけれども、森市長の御経験の中から、例えば、こういう地域だったら、こういうような都市のあり方だったら、規模といえばいいんでしょうか、この今法律案を有効的に活用してそれが生きてくるかという思いが、どうしても私なんかにはあるわけであります。

 大変恐縮でありまするけれども、どういう都市の規模だとかありようだとか、どういうような地域だったら、この法律案を使えば効率的にうまくいく可能性があるよというようなお考えがあられれば、ぜひ御教授をお願いしたいというふうに思います。

森参考人 一自治体の長としては、よその自治体に、こうしたらどうですかということを申し上げにくいのですが、まず、先生おっしゃるように、どの地方も、人口減少に対してどうしていくか、まちづくりをどうしていくのか、あるいは移動の手段をどうするのかとか、同じ課題として共有していると思いますが、都市によって対処は違うんだろうというふうに思います。

 一つは、私どもの市は、もともと奇跡的に市電が町の中に残っていましたので、道路上に市電を走らせるということに対する市民全体としての抵抗はさほど、全くないところからつくるほど大きなものがなかったということがあります。

 したがって、十八か十九都市、全国に市電の走っている都市がありますけれども、そういうところはそれなりに、上下分離などを使いながら延伸させていくという取り組みは考えられるのではないかというふうに思います。

 一方、新潟市さんのようにBRTを打ち出して、岐阜もそうだったかな、バスでやろうというようなところもあるわけで、それぞれが、さっきも申し上げましたが、非常に有効だなと思うのは上下分離だろうと思っています。ここをうまく使いながら、行政が車両やその他を保有しながら、民業者にお貸しするという形で、新規の路線をつくるとか延伸するということは可能性が拡大するのではないかというふうに思っていますので、ここが使い勝手のいい制度として発展させていただくと、大変ありがたいというふうに思っています。

 もう一つは、今民間がなかなか前へ出にくいのは、一つは、連結で赤字になっていると融資が受けにくいということがあります。交通事業は単体で黒字でも、連結で赤字だと融資が受けにくい。だから、新しい電停をつくったりということなどに踏み込めないというような事情もありますので、このあたりは難しい問題ですが、民間がもう少し事業展開しやすいさまざまな環境整備をやっていくということも、同時に必要だろうと思います。

 いずれにしても、その土地その土地に合った対応だろうというふうに思いますので、我々も負けずに知恵を出していきたいというふうに思います。

寺島委員 大変ありがとうございました。終わります。

梶山委員長 次に、村岡敏英君。

村岡委員 日本維新の会の村岡敏英でございます。

 きょうは、参考人の四人の先生方の意見陳述、そして質疑と聞いておりました。本当に勉強になり、きょうわざわざお忙しいところ国会に来ていただいたことを心から感謝申し上げます。

 質疑を聞いていまして、今、時代の流れによって、当然、人口減少、そして地方都市というのも疲弊しているという中で、コンパクトシティーを目指していかなきゃいけない。

 振り返ってみると、逆に戦後は人口がふえ、都市に人、物、金が集中して、鉄道の周辺に住宅ができて、そして工場も周辺にできて、その中で、やはり郊外に住宅を求めなきゃいけない、そして郊外に商業施設を持たなきゃいけない、こういう中で、逆に広がっていった。

 ただ一方、浅見先生の言われていたように、市街化区域、市街化調整区域、そして用途地域というのは、ある程度用途をきちんと決めて制限もしていた。二つのバランスを保ちながら日本は発展してきた、こう思います。

 ただ、私も国土交通行政の中に一時触れ合ったことがありますけれども、その中で考えてみますと、大分昔であれば列島改造論、それからリゾート法、いろいろなその時々はすばらしいというふうに感じる都市政策であったり地域づくりであったりするんですけれども、時代の流れで、もちろん、その変化によってそれが変わっていくわけです。

 ただ、今回の、人口減少、そして日本全体が人口が減っているというマイナス要因の中でまちづくりをするというのは、この国始まって初めてのことだという認識をいたしております。

 例えば、高度成長期でそれぞれ住宅が郊外に行くときにも、希望が丘だとか光が丘だとか、ネーミングがいいんですね。ネーミングというのは、人間は動かされるんですよ。そこに新しい町ができる、新しい都市ができる、そういうところにやはり人間は移り住んで、そして仕事もしっかり行い、そして子供を育てて、この地が私たちの一生のところだ、こう思いながら戦後を、もう七十、八十になった人たちもおりますし、五十代もいると思いますけれども、そういう中、マイナスの中の思考の中でもう一度集めていこうというのは、よほど感情的なもの、また人間の気持ちを考えないと、この二つの法律だけで、税制面ではいろいろあります。

 私は信託銀行に勤めていたこともありますから、税制を見ると、確かに譲渡所得税の一〇〇%控除とか、これは魅力的です。そしてさらには、いろいろな予算の拡充もあるので魅力的なように見えるんですけれども、実はこれまでの都市開発というのは、民間業者が相当利益があるということで頑張ってきたことは確かなんです。

 先ほど言った希望が丘や光が丘というところも、郊外の安い土地を造成して、そこに住宅を建てて、下水や何かも公共から借りて完備して、それで高く売ってもうけるという中で、この場合に、やはり都市に戻ってくるというときに、先ほど言った一点目は、住民の気持ちの部分、もう一点目は、戻ってくるときの、この投資を民間に大きく求めるのかどうか、この点を浅見先生の方にお聞きしたいと思います。

浅見参考人 どうもありがとうございます。

 気持ちの問題、投資の問題、大分違った観点から二つ御指摘いただきました。

 まず、気持ちの問題ということなんですけれども、よく、都市、特に地方都市の方々のお話を聞いていますと、やはり中心市街地におけるいろいろな文化、これを生かしていくということを強調される方もいらっしゃいます。

 そういった意味では、やはり地域における気持ちとしての核、これを失ってしまうということはまずいと思いますので、そういった意味での気持ちの核となるようなところを、先ほどの、例えば誘導区域等にやはりある程度しんしゃくして考えていく、これは私は重要ではないかというふうに思います。

 また、投資ということでございますけれども、実際には、再開発ができるような、そういった民間開発ができるようなところは投資意欲も湧くと思うんですが、生活中心的なコアとなりますと、必ずしもそうはいかないということで、むしろ、場合によっては、もちろん民間企業ということもあるんですが、例えば、地元に住んでおられる方がNPO的な形で、ある程度自分たちのサービスを自分たちで運営していく、そのための運営資金を確保するような形にしていく、そういった、大規模な投資とはまた変わった地域経営のあり方というのも模索してもいいのではないかというふうに思います。

 もちろん、ノウハウを持っている民間がそこに入っていくということも重要だと思いますので、そういった意味で、特に、イニシャルコストについて支援があるという今回の仕組みというのは一定の意味があるかなというふうに思いますが、それ以外の方法論というのも考えていく必要があるのではないかというふうに思います。

 以上です。

村岡委員 ありがとうございます。

 やはりそこが大事だと思うんですね。気持ちの部分は、これは時代の流れで、高齢者になって、近くに買い物する場所がない、また福祉施設もない、また行政サービスもなかなか受けられない、マイナスの中じゃなくて、みんなでやはりコミュニティーをもう一度つくり直そうというぐらいの気持ちを持っていくような、行政の方、また、NPOの方々にもいろいろなボランティア活動もしてもらいながら、やっていかなきゃいけないと思います。

 ただ、多分、これをしっかりと都市に集めていくためには、公共のお金だけじゃなくて、やはり民間の投資を呼ぶということもある程度考えていかないと、なかなか都市には集まってこないんじゃないか、こう思っております。

 その点は、先生のお話で、NPOとかそういうのはありましたけれども、民間の投資を呼び込むということの部分はこの法律にはないわけですけれども、何かお考えがあったら、浅見先生にお伺いしたいと思います。

浅見参考人 先ほどの、気持ちと投資をうまく結びつける方法というのを提案している先生もいらっしゃるんですが、それは、まちづくりファンドみたいな形で、実際にそういった町を再生したいという人たちが投資する、その場合は、リターンをそれほど強く求めるのではなくて、むしろ投資をしてその町がよくなることを求めるというようなことがあると思います。

 ですので、そういった、例えば最近、税などでも、ふるさと納税みたいな話がありますけれども、そういった気持ちをうまく利用したような投資というのも一考に値するのではないかなというふうに思います。

 以上です。

村岡委員 ありがとうございます。

 ふるさと納税も、それぞれ、首都圏や都会に出てきた人が自分のふるさとに対して税金を、地方税の、住民税の一部を、その地域の、自分の出身地や、また自分の好きな町にやれるということで、こういうことも活用しながらいろいろな投資を呼び込むということは大切なことだ、こう思っております。

 それでは、富山市長さんの森市長さんにお聞きしますけれども、この人口と面積を見て、いやあ、やはりすばらしいなと思ったのは、富山市というのが千二百四十一キロ平方メートル、これは全国で十二、三番手ぐらい大きい市なんですね。私は、もともとコンパクトな市だと思ったんです。その中でこういう形で全国事例で非常に成功されて、コンパクトシティーを求めていると思いましたら、我々、私の地元は秋田県の由利本荘市というところですけれども、面積はほぼ同じです。しかしながら、人口は九万人ですので全く違いますけれども。

 しかし、これだけの面積がありながら、中心市街地の転入の人たちがふえ、転出者が減って、そしてコンパクトシティーの中で地域交通もやっていく。これは大変すばらしいことだと思いますし、内閣府の第一号にもなられたということで、大変すばらしいことだと思うんですけれども、富山市には、多分、全国各地からこのコンパクトシティーの視察とか、そういう人たちもたくさん来ると思います。先ほどに振り返りますけれども、実は、リゾート法とかああいうのも、成功したところにみんな行くんですね。でも、実は地域事情が全く違うということの認識をしていかなければならない、こう思っております。

 その上で、たくさんの方がやはり市長さんのところに視察に来られたと思って、それぞれの地域と、ここはうちは違うなとか、そういうことで感じるところで、市長さんがいろいろな視察の方から聞いて、ここはうちと違うなと、先ほど人口の規模も言いましたけれども、やはり自然環境だとかいろいろあると思いますけれども、お感じになっていることをお願いいたします。

森参考人 先生御指摘のとおり、たくさんの方が視察に見えられますが、私どものやっているさまざまな施策がそれぞれの市に妥当するかというと、必ずしもそうではありません。かえって妥当しないものの方が多いと思います。

 私たちの富山市が恵まれていたのは、ほとんど全ての交通網というものが富山駅に結節しているという特徴があります。これが、例えば関東地方に多くありますが、JRの駅と私鉄の駅が離れている、交通結節点が多極化している都市では、それなりの対応をしなければいけないと思います。あるいは、宮崎市が特徴的ですが、JRとバスターミナルが大きく離れている、そういう都市だとまた違う対応だったんだと思うんですが、恵まれていたのは、富山駅に交通結節点が一極集中している。

 だから、ここへさえ出ていけば、違う線を使って市域のあちこちへ公共交通で移動できる対象者が多い。そういうことを前提にして、まずは公共交通をブラッシュアップするために公費投入しようという議論が始まったわけです。ここは、視察においでになる方々の中でも、これはできないなということはやはり起きてくると思います。

 もう一つは、私鉄もバスも市電も同じ事業者が経営しておりました。したがって、交通事業者との協議というのは市と一社でやればよかったということです。

 さっき言いましたけれども、岐阜県の県境から乗ってきても中心商店街でおりると百円というバスのサービスをやっています。帰りも、中心商店街から乗ると、隣の市との境まで行っても百円、六十五歳以上の人に限りです。これは、郊外のショッピングセンターの前でおりるとまともに払わなければならないわけで、非常に不公平感のある制度ですが、大人気で、高齢者人口の二・五%ぐらいが毎日使っています。

 これは、幾つもの市長が見に来て、これをぜひやりたいと言って帰られますが、なかなかできない。なぜかというと、バス事業者が何社もいると協議が調わないということです。

 そういう意味で、やはりそれぞれの都市によって違うなと感じたことは何度もございます。

村岡委員 どうもありがとうございます。

 そこを率直に教えていただいたところで、各地区、この法律ができ上がっても、やはり地域事情をしっかりと把握した政治的なリーダーの人がそれを組み合わせてやっていかなきゃいけないなというのをつくづく感じました。

 富山市にたくさん視察が来て、観光でお金を落としていると思いますので、それは大変いいことだなと。やはり成功すると、いろいろな意味で、観光から何からいろいろなものを呼び起こす。やはり成功事例ということの中でこれからも勉強させていただければ、こう思っております。

 そこで、竹内参考人にお聞きします。

 仙台ということで同じ東北ですので、ある程度東北の事情はわかっていると思いますが、例えば、我が秋田県なんというのは、秋田市は三十万人ちょっとです。そして、冬はやはり雪が降ります。そして、面積もある程度大きい。その中で、駅前なんという再開発は昔やったわけですけれども、新幹線も来ました、再開発もやりましたが、ほとんど人が歩かないという状況なんです、三十万人都市でも。

 ですから、選挙なんかで、よく都会の人は駅前で街頭演説すると言いますけれども、我々、街頭演説をやっても人っ子一人いないんです。そういう状況の中で、駅の方がかえって寂れているわけです。そして、駅の周辺から確かに外に行っているんですけれども、今戻ってきても、そのまま寂れたままというのがあります。

 そして、公共交通というのは、もちろんバスはあります。それからJRもあります。ところが、バスなんというのは三、四時間に一本という中で、これは公共交通とあわせて都市開発というのはなかなか大変な現状です。東北でいけば、仙台だとか特異なところしか、この二つの法案を生かしながらもう一度都市を再生させようというのがなかなか難しいんですけれども、先生はどう感じておられるか、お願いいたします。

竹内参考人 私は、秋田市に墓がありますので、よく存じております。

 今御説明のあったとおり、秋田の駅前は、今行けば確かに寂れております。真ん中に非常に人を集めていた病院があったわけでありますが、それがなくなりまして、相当大きな病院でしたから、土地の大きさとしてもすっぽり穴があき、それから、そこにいろいろ来る人の数からいっても非常に大きな穴があいた、そういう印象を持っております。

 しかしながら、あれだけのロケーションのいいところに、なぜもう少しそれを再生する動きがどんどん進まないのかというのは私にとって謎でありますが、秋田ぐらいの都市であっても、三十万都市ですが、十分、今回の法律をベースに投資を呼び込む、そういうプロジェクトを構想しないといけないだろう、こういうふうに思います。

 残念ながら、北東北の中で、日本海側はそういう動きがずっと欠けているままここへ来たと思います。ですから、何か新しいプロジェクトをやはり考えるべきではないか、こういうふうに思っています。

村岡委員 ありがとうございます。秋田に縁があるということは知らなかったので、本当にありがとうございました。

 もちろん、この法案を利用しながら、やはり自分独自に市がしっかりとした構想を立てていかなきゃいけないなということを感じております。

 秋田市の周辺に、唯一、全国で新しくできた大学で成功したのが、国際教養大学というのがあります。これは、秋田の片田舎で英語の勉強をさせてと、そういう学園も含めた中でのまちづくりというのも必要だなと今感じさせていただきました。

 最後になりますけれども、土居先生にお聞きしたいと思います。先ほど、私の生まれ故郷の方は由利本荘市という九万人ぐらいの都市です。この九万人は、平成の大合併で九万人になっただけで、もともとの中心の本荘というところは四万人程度です。そこに八つの町があって、それが合併したということで、実は独立していて、八つの町がそれぞれ商店街があって、そしてコミュニティーをつくっていた。でも、それがどんどん過疎になって、平成の大合併で九万人ぐらいになった。

 そういう状況の中、例えばそういう九万人、十万人の地方都市というのは、もともとの四万人いるところにだんだんと都市としての再生を目指していくのか、それとも、どういうふうな形でこういうぐらいの規模のところはした方がいいと思っているのかということで、住民は非常に抵抗があります。三十キロぐらい離れているところがあったりしますので、そこが全部、町部に来いというと、非常に抵抗感があります。これは時代の流れもあると思いますけれども、どう考えていらっしゃるか、教えていただければと思います。

土居参考人 市町村合併の弊害というのは、かなり地方の方には、新しい役場の方に全ての施設が行ってしまうということで、地元の飲み屋とか商店もどんどん廃業になっていることですから、やはり、生活圏自体は以前の市町村、そういう地域であったわけですし、できるだけそのところを大事にするといいますか、そこで何かいろいろな施設を、行って、歩いて暮らせるようなまちづくりをつくっていきながら、そしてその連携を図るというのができないかなということで、ぜひ考えていただきたいんですけれども、今おっしゃったような大学、国際的な有名な大学ですよね、非常に偏差値も。そういう学生諸君に各地域に入っていただいて、ぜひそういう意味で地域おこしをやっていただいたらどうかというふうに思っています。

 以上です。

村岡委員 大変ありがとうございます。

 国際教養大学というのは、就職率一〇〇%で、日本の名立たる商社にも、外国の外資系の企業にも入る方々で、これはありがたいことに、四年間全国から集まって、外に行っても必ず集まっていろいろ秋田のためにやってくれるので、そういう意味では、今度、そういう形で都市の再生、まちづくりということをお願いして、いろいろな国際的なものを見たり、日本全国を見た学生も協力していただこうかな、こういうふうに思います。

 質疑の時間も終了しましたので、どうもありがとうございました。

梶山委員長 次に、杉本かずみ君。

杉本委員 みんなの党の杉本かずみと申します。

 本日は、四人の参考人の先生方、遠路はるばる、また本当に御多忙の中、当委員会にお運びいただきまして、改めて敬意と感謝を申し上げたく存じます。

 四人の先生方の法案に対する賛否というのは、土居先生が都市再生のところで問題点を、町壊しという表現とコミュニティーが離れていくという御指摘をいただきました。その部分は参考にさせていただきながら、大方の先生方は全体としては賛意を示していただいたという認識を持っておりますし、私としても同じ方向感でこの審議を進めていきたいと思っています。

 そんな中で、きょうは太田国交大臣はこの委員会には参加されておりませんが、政府側としてはあそこに坂井政務官が実は座っておられます。

 それで、政府からは、三月二十八日の日に国土のグランドデザインの骨子ということで発表がありました。それで、ここ数回のこの委員会の審議では、太田大臣を初め政府側としては、大いに議論を始めていきたいんだ、こういうお言葉をいただきました。そんな意味から、ちょっときょうは大きなくくりで、先生方、四方からそれぞれ御意見を参考としていただきたいと思っております。

 私の政治的な問題意識というのは、やはり日本の財政の危機というものを非常に強く感じております。そして、日本の財政破綻という言葉が、言っても問題がなくなってきたような状況下にあって、その中で、一つのきっかけは三つの可能性があって、一つは、いわゆる民間の貯蓄を上回る政府債務になったときということと、もう一つは、経常収支が赤字、ここ数カ月赤字になっていますけれども、これが恒常化した状態になるということ、私はここが最大のポイントだと思っています。そしてもう一つが、日本の景気が回復して金利がはね上がったときと、需要がお金に対して増したとき。こういう三つのきっかけということを日本財団あたりは言っているんです。

 確かに、先ほどの議論でも、クロスベネフィット、クロスキャピタルベネフィットだったか、聞き取れなかったんですけれども、あるいはシビルミニマムとか過疎バスの問題とか、それぞれお言葉がありました。私の問題意識としては、例えば上下分離とか市長はおっしゃいましたけれども、そういうことを活用していくことは極めて大事だと思いますし、民間側も、十勝バスのように、非常に営業努力をして黒字にしていっているという民間のところもあると思います。

 しかしながら、国全体としては、この公共交通の問題というのは、シビルミニマムだったり、最低限度の生活を保障するという意味では必要であると思うんですけれども、一方で、やはりもう待ったなしの危機が実は迫っているというこの問題意識について、それぞれの先生が、お立場は専門ではないと思いますけれども、それぞれのお立場がある中で、それはちょっと財務省の仕事だぞ、それは国会の仕事だと言われてしまえばそれまでなんですけれども、国会、財務省の方が遅々としてこの問題意識がなかなか広がっていかないような認識を私は持っていますので、むしろ専門から離れるかもしれませんけれども、この辺の問題意識をそれぞれの先生から順番にいただければと思っております。

浅見参考人 どうもありがとうございます。

 ちょっと専門ではないんですけれども、私も実は、財政危機というのは非常にまずいなというふうに、専門ではない立場からも思っております。

 それで、今おっしゃった部分なんですが、一つは、今回のこういった制度を契機として、恐らく自治体のいろいろなマネジメントに対して情報発信をしなきゃいけない。しないと、こういったことを行うための正当性というのが市民に理解できないと思いますので、しなきゃいけないわけですが、その中で、どういった負担をそれぞれがしているのかということが明らかになると思います。そういうものは今まではブラックボックスだったわけですが、それを明らかにしながら議論する、そういうことで、より適切な解へ導くという議論ができるのではないかというふうに思います。そういった意味では、今回の措置が議論の始まりになるという意味で重要なのではないかなというふうに考えます。

 あと、もう一つは、公共交通というふうに言いますけれども、実は公共交通のやり方は非常にいろいろな、多様なやり方があります。先ほど上下分離方式というのがございましたけれども、例えばLRTにするのかBRTにするのか、つまりライトレールにするのかバスにするのかということなんですが、例えばバスの方がいろいろなインフラの費用というのは安く済むわけです。ですので、今後どういった形で都市が進展するかということに合わせて適切なものを考えていくというのがあると思います。

 私の同僚などでも、ディマンドバスみたいなものをうまく使う。BRTではないんですけれども、そういった仕組みを考えていくとか、あるいは、BRTとそれとの中間的な仕組みを考える、あるいは、場合によっては運転の一部を地域の人が担うような形にする、実はそういった多様な運営の仕方があり得ます。ですので、そういった多様な運営の仕方をうまく柔軟に考えていく、あるいはそれができる環境を法制度的にもつくっていただく、これが重要ではないかなというふうに思います。

 以上です。

森参考人 私の立場で国家レベルの議論はできませんけれども、地方都市の立場から言いますと、先ほども申しましたが、問題意識としては、人口が減っていく中で経済もシュリンクしていくということをしっかり見据えて、高負担にならない都市運営をどうしていくかということ、これを地方都市はしっかり持つことが大事だと思っています。そのためには、ファシリティーマネジメントもちゃんとやって、公共施設の整理ということについても聖域なくきちっとやっていく、そんな姿勢が必要なんだろうと思っています。

 景気が上向いていって交付税の法定五税の総額が上がっていったとしても、所要額の確保をどうしても期待するとすると、やはり臨時財政対策債を抜きに議論はできないんだろうと思います。

 地方がどんどん起債残高がふえていっている一番大きな問題は臨時財政対策債です。これを、地方が起債をするということではない形で交付税所要額をぜひ国で確保してもらいたい。地方としては、先生の御質問の答えにはなっていないかもしれませんが、そんな意識でおります。

 したがって、税をしっかり確保するという意味でいいますと、私の市では市税総額は七百億ほどですが、四五・五%を構成しているのは固定資産税と都市計画税です。つまり、先生がさっきおっしゃった保有税の割合が、私が初めて市長になったころは三九%ぐらいの構成比でしたが、四五%以上になりました。つまり、市民税が落ちているということです。ここをしっかり回復できるような、国の問題意識もそう持っていただきたいし、景気刺激策というものをどんどんやっていただければというふうに思っております。

竹内参考人 一点目のことにつきましては、一国民として、私はやはり、ここにいらっしゃる先生方に何としてでも財政再建について一致した考えをつくっていただきたいなと思います。

 知恵の使いどころとか、そういうので考えれば、今、これからのいろいろな社会資本の維持更新の話がちらっと出ましたが、例えば、目の前に、ある地点とある地点を結ぶ、そこに三本の橋がかかる、三本の橋を全部更新しなければいけないのか、あるいは二本の橋を更新して一本を諦めるか、やはりこういう選択の時代に来ていると思います。ですから、何が何でも全部必要なものができるという時代ではないので、何とか我々の方もそういう知恵を出していきたいな、こういうふうに思うわけであります。

 それから、公共交通の点についてですが、私の資料の最後の方に独立採算制の話をちらっと挙げました。独立採算制の議論をベースにして、財源となるものを一体どうすればいいのか、これについてこれから議論を早急に始めたらどうかな、こういうふうに思います。それがフランスのような都市交通税のようなものになるのか、あるいは、前の交通基本法の議論のときにちょっと交通特定財源というような言葉が議論されたようでありますが、そのようなものになるのか。これはいろいろではあると思いますが、そのあたりに踏み込んだ、移動を確保する財源についてぜひ議論をしていただきたい、こういうふうに思います。

 以上です。

土居参考人 私も、特別に特別会計をつくるべきだということで、以前は自動車関係の税金を逆に公共交通の方に投入するとかいうのが考えられていましたし、あるいは今のフランスの交通税、大都市で十人かを雇用している事務所だけに特定に税金をかけて、その税金は公共交通の維持だけに使うと用途も決めまして、これがかなり、そういったフランス全体にも、いろいろ新しいLRTとかの普及の一つの財源になっていますから、そういう意味では、国民に関しては、なかなか重税的な、また新しく税金をつくるんかということになるかもしれませんけれども、ぜひ新しい独自の財源を確保して、それで市町村がそれを、これまでの国の補助金で縛られるのではなくて、本当に自分たちがフリーハンドで使えるような財源を、市町村に新しいまちづくりと絡んでやるという制度をぜひ構築していただきたいと思っています。

 以上です。

杉本委員 示唆に富むお話をどうもありがとうございました。

 一つ、太田大臣がよく言われる話を披露したいと思います。私は別に公明党じゃないんですけれども、いいお話かと思うんですが、コシノジュンコさんの話で、足し算の政治から引き算の政治ということをよく言われまして、それをちょっと御参考までに御紹介しておきます。

 次に、消費税関連について、ちょっとまた四人の先生から一言ずつ賜りたいんです。

 一昨日、私はまた質疑で申し上げたんですが、私は地下鉄でこの国会にお邪魔していますけれども、切符を買うと二百円なんですけれども、カードでやると、ピッとやると百九十五円ですので、五円のお得感がございまして、これは首都圏では採用されて、私の地元の愛知県の名古屋圏では採用されていないという実態がございます。富山はどうなっておられるか存じ上げないんですけれども、消費税が導入されていく中で、このICカードによる一円単位の徴収ということに対するどういう御評価があるかというのが一点。

 それからもう一点は、今後議論になる一〇%導入時の軽減税率の導入について、公共交通の運賃について軽減税率を適用するべきかどうか。そもそも、いや、軽減税率なんてだめなんだという議論もあるかもしれないんですが、この一円単位の徴収と軽減税率の問題について、四人の先生から、時間の範囲内で御答弁いただければと思います。

浅見参考人 一円単位のことですけれども、私もちょっと最近経験いたしましたけれども、恐らくこれは、切符を買わせるのと、ICカードを使わせるのと、どちらの方が最終的に社会にとってコストが少ないか、それを誘導するという意味で、恐らく推測ではICカードではないかと思うんですが、その場合に適切な措置かなというふうに思います。ですので、そこはそれぞれの地域で判断していただいて、適切な方に誘導するという感じで導入していただくといいのかなというふうには思います。

 軽減税率については、なかなか難しいところですけれども、恐らく、交通ということを考えたときに、ある程度補助をせざるを得ないという部分がございますので、これも交通の状況に応じて、軽減税率にするのか、あるいはむしろ補助の形に明確にするのか。私は、なるべく明確に何を補助しているのかというのがわかるようにした方がいいのではないかという意味では、むしろ、軽減税率を入れるというよりは、それとあわせて補助を入れるというのもあり得るのではないかというふうに考えております。

 以上です。

森参考人 まず、参考までに申し上げますと、私どもの市は、二百円が基本ですが、ICカードを使うと百七十円です。今の消費税のアップについては、二百円はそのままにしましたけれども、定期の運賃のところで調整をしております。富山地方鉄道も同じ処理であります。

 軽減税率については、個人的には私は反対です。シンプルであるからこその消費税のよさということだろうと思いますので、薄く広くということに立ち返るべきだというふうに思います。

竹内参考人 ICカードか云々ということにつきましては、私は、それだけで議論しても余り意味はないかなというふうに思います。ICカード事業全体で社会的にどれだけ費用と効果があるのか、それが実際に払ったときのやり方に比べてどのぐらい差があるのか、そういうことを考慮すべきだと思います。

 これまでのところ、ICカードを普及させる、あるいは世の中にITを普及させる、こういう国家的な戦略目標がやはりあったわけでありますから、それに乗ってきたわけですが、ここまで普及してくれば、もう少し冷静にICカード事業そのものを評価するということができるのではないかと思いますので、そういう次元でもって百九十円か二百円かの差を議論すべきではないか、こういうふうに思います。

 それから、軽減税率については、これはなかなか微妙ではありますが、例えば、アメリカにデンバーという都市がありますが、デンバーの中心市街地には無料で走るシャトルバスがあります。これはもう超人気でありまして、そのために中心市街地にたくさんの人が来る、こういうようなものがあります。例えばこれは、ただですから消費税はかかりません。

 移動の問題については、このようにいろいろな価格の設定が可能ですし、そのための財源をどこから持ってくるかというところと一緒にして考えなければなりませんので、今の公共交通の動かし方とそれから料金設定を前提にして軽減税率云々という議論は、ちょっとやりにくいのではないか、こういうように思います。

土居参考人 IC化をぜひ進めて、利便性をよくすることが必要だと思います。

 現実には、最初に購入するとき五百円なりのデポジットが要るもので、それが一つ、買うのに、余り利用しないのにもったいないということもあるでしょうから、何とかその辺のところを、すぐ、ICカードを全くデポジットなしに買える制度とか、そういうのを普及すると、また気楽に公共交通に乗るということも考えられますので、ぜひそういうICカードの抵抗を減らすということが必要ではないかと考えています。

 あと、軽減税率についてはちょっとわかりません。

 失礼いたします。

杉本委員 参考になります。どうもありがとうございます。

 もう時間が一分三十秒ぐらいしかないので、ちょっと私の方から二つほど意見を言わせていただければと思っております。

 先日、イタリアのサルディニア島というところの高齢者が、普通のイタリアの平均に比べて倍、例えば百歳以上の人口がいるというお話がありまして、それはBSでやっていた番組ですけれども、そこで、百歳を超えている一人のおじいさんが自転車を走らせていたという状況がございました。

 それで、中山間地だと自転車による健康の維持管理というのはなかなか難しいと思いますけれども、本当に平たんな土地では、コンパクトシティー化の中で、自転車の活用というのは、先生方御案内のとおり、北欧なりオランダとかそういう地域では活発化していますので、この自転車の活用というのを、私を含めて、ぜひ大いに進めていく必要があると思っております。

 それからもう一点、今次法案というのは極めて重要な法案で、私は大いに前に進めるべきだと思っているんですけれども、やはり首長さんというものが森市長のような積極的なリーダーシップを発揮している方に限らないので、そういった意味から、国交省さんにお願いをしたいなと思うんです。

 ちょっと例としていいかどうかわかりませんが、大学生で税所篤快君という人がいて、御案内のとおり、バングラデシュの教育改革というのを、名物先生を有名講師としてDVDに撮って、これを貧しい子供たちに見る機会を与えて、大学進学率を貧しい地域から高めたということがございます。

 まさしく森市長の成功例というか、まだ途中かもしれませんけれども、DVD化して各首長に配るということを提案させていただいて、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

梶山委員長 次に、穀田恵二君。

穀田委員 日本共産党の穀田恵二です。

 四人の参考人の皆さん、本当に貴重な御意見をありがとうございました。

 早速質問に入ります。

 都市再生法をつくる前提になった都市再構築戦略検討委員会のメンバーである浅見参考人に、この検討委員会の中間取りまとめに関連して聞きます。

 検討委員会では、都市整備に関しては、「今後は、個別の政策課題への対応と併せて、中長期的観点に立って、経済・社会の変化に対応して、都市構造そのものの再構築が必要となっている。」としています。「地方都市・大都市のそれぞれの再構築に向けた取組みを促すこととし、その指針となる総合的な都市再構築戦略を策定」した、こう認識しています。

 中間取りまとめでは、地方都市と大都市に分け、大都市をさらに郊外部等における高齢者の増加への対応と国際競争力の向上と分けて提案しています。

 私は、大都市部の都市政策、都市のあり方に関連して、国際競争力の向上、国際競争力を備えた町、この問題が一体何なのかと聞きたいんですね。

 そもそも、国際競争力を備えた町というのはどういうものかということが一つ。もう一つは、今回の法案で、この国際競争力を備えた町をつくるという視点がどこに入っているのか、お教えいただきたいと思います。

浅見参考人 御質問ありがとうございます。

 まず、中間取りまとめは、私の意見では、若干わかりやすくするためにわざと分類を明確にしたというところがあるかと思います。

 実際には、大都市の中でも地方都市のような問題というのはあると思いますので、そういった部分も実際には手当てが必要なんだろうというふうに思います。

 特に、国際競争力の部分ですけれども、現在、日本がかなり低成長の時代に入っている中で、国際的にはだんだん、競争力といいますか、順位が落ちてくるような部分がございます。

 そういった中で成長エンジンをどこに求めるかというと、やはり生産性が高いところということになると思いますが、それが特に都市に多い。都市だけというわけではありませんけれども、都市が多いので、そういったところの利便性を高めるとともに、特に海外からの投資を呼び込むためには、そういった高品質の都市空間というのをつくらなきゃいけない。そういった意味で、そういうことを言っているというふうに思います。

 今回の措置ですけれども、今回の措置は、私は、理解としては、国際都市を高めるための措置というよりは、むしろ今後広がっていく縮小していく都市をいかにマネジメントするかという視点の方が大きいというふうに考えておりますので、その国際都市という意味での位置づけといいますか、意図というのは弱いのではないかというのが私の意見です。

穀田委員 ありがとうございます。

 法案のどこに入っているのかということは余り言及がありませんでしたけれども。

 次に、まちづくりと都市再生ということで、大体、交通政策との関連性を多くの参考人が陳述されました。

 そこで、森参考人と竹内参考人にお聞きします。

 私は、ずっと問題意識を持っているのは、この間、まちづくりの流れがどうなっていたかということについて、規制と緩和という問題が一貫して随分あるんじゃないかと思っているんです。

 そこで、今回の法案それ自身は、市町村によるコンパクトなまちづくりを支援する。それで、住宅だとか医療だとか福祉、商業、その他の居住に関連する施策の誘導、それから、連携した公共交通に関する施策、これをやりながらやるということなんですよね。

 そこで、大型店の立地を規制していた大店法の廃止など、規制緩和によって大型店や公共施設など大規模集客施設が郊外立地を加速し市街地を拡散したことで、中心市街地の商店街や町中居住が寂れ、空洞化していったことが背景にありました。

 そこで、二〇〇六年のまちづくり三法、都市計画法の改正で、店舗面積の一万平米以上の郊外立地の規制などゾーニング規制強化が行われました。その後、大店法の郊外立地がどこまで抑えられているかと見ますと、一万平米以上は少なくなりましたが、一万平米未満五千平米以上の大型店は相変わらず郊外に進出しているということが経産省の議論の中でも経産委員会の議論の中でもあります。

 そこでお聞きしたいのは、コンパクトなまちづくりを進めるためにはやはりゾーニング規制というのを強化する、例えば規制対象を三千平米以上にするとか、準工業地域も規制対象に加えるとかすべきじゃないか、その点をお聞きしたいのが一つと、もう一つは、今回の法案は誘導が中心で、こうした規制強化策が不十分だと思うんですが、この点もあわせて意見をお二方にお聞きしたいと思います。

森参考人 私は個人的には、規制で推進するのではなくて、誘導で動かすということでないとなかなか町全体を動かすということは難しいのではないかとずっと思っています。

 それから、最初の御質問については、大型店規制のときのこの部屋で穀田先生から質問されたことを思い出しましたが、一万平米でいいのか、三千平米にしろという意見はどう思うかという御質問をいただいたことを覚えていますが、そのときと同じ答弁になると思いますが、若干それ以降の流れの中で、やはり大型店が出てくるということについては我々の施策を進めていることにかなりバッティングします。その意味においては、都道府県によってさまざまな条例を持っているところもありますので、そのあたりの判断を参考にしていくことかなというふうに思っています。

 もう一つは、市街化区域があって調整区域があってその外に無指定があるという問題が一つと、都市間をつなぐ広域調整の機能がうまく発揮されていないということだろうと思っています。一自治体としてはコントロールできない大型店の問題だろうというふうに思っています。

竹内参考人 一律に、規制か誘導か、こういうことで問われれば、できるだけ誘導でいきたいというのが基本であります。

 しかしながら、現実にコンパクトシティーをつくっていくということを考えたときに、それぞれの地域によって立地適正化計画の具体的な内容を考えたときに、本当に、ある施設をこちらからこちらに誘導できるのか、そういうことに悩まれるところは数多く出られるのではないかと思います。

 これについて、それぞれの地域の事情に応じてということになりますので、やはり法のレベルではなくて条例のレベルになろうかと思いますが、ある種の線引き、これはあった方がいいというふうに思っております。

 これが、線引き以外の、何かこう、移動していく相手先の土地に関する条件、例えばそこを強制的に収用するとか、そういう強い方法とセットでやるとか、もっとほかの方法もあるかもしれませんが、誘導と規制のところだけ取り上げてみれば、今のような緩やかな方法がいいのではないか、こういうふうに思っています。

穀田委員 ありがとうございます。

 私は、森参考人にお聞きしたのは、その後の事態というのをお互いに検証する意味では、その議論を懐かしく思っているものですから、そこで改めて、前とちょっと違ったのは、後半のところが少し違ったということがわかると思います。つまり、ゾーニングという問題では市域を超えてというのが新しくありました。

 私は、そこで次に聞きたいのは、今度は土居先生にお聞きしますけれども、私どもは今度の法案の関係でいいますと、地域交通活性化法というのは、現行法というのは二〇〇七年に制定しているんですよね。それで、先ほども若干そういった御意見ありましたけれども、その後も実は地域公共交通の衰退はとまっていないというのが率直な実態だと思うんですね、もちろん個別の成功例はあると思うんですけれども。

 十分効果を発揮しなかったのは、どこに問題点があったのか。つまり、法改正というものを改めてせざるを得ないというのは、当然あるわけで、そうすると、なぜこれが失敗したのか、失敗したと言ったら叱られちゃいますけれども、なぜ衰退がとまらなかったのかという現状認識がやはり必要じゃないかと思うんですよね。その辺の点がどこにありやということをお聞きしたい。お願いします。

土居参考人 いわゆる各地域ごとにいろいろ点検してみますと、おっしゃるように、もう協議会が開かれていないとか、どんな協議をされたとかを発信していないとか、さまざまなレベルがあります。地域によってはちゃんとホームページにそれぞれの会議でこういうことがあったとか、その資料も丁寧に配られまして、我々でもちゃんと見て、ああ、ここまで議論が進んでいるとか、さまざまな協議会の情報もあるところもありますし、そうするとまた、こういうことの改善点とかも提起できるわけです。

 そういう意味では、地域地域によってそういった協議会なんかのやり方に関しても問題があったように感じていますので、その辺、各自治体によって非常に力量の問題とか人員の問題とかあるでしょうから、今後は、そういう意味で、おっしゃるようにまた違った枠組み、都道府県がちゃんと入って支援していくといいますか、そんなこともやはり今回大きな目玉ではないかと考えています。

 以上です。

穀田委員 今回の改正の大きな柱というのは、都道府県を含む地方公共団体がその計画を策定できる、広域になることができるということが一つの特徴で、その意味では、地域公共交通の維持改善へ地方公共団体の責任を強めるものであって、私どもも前向きな方向として見ています。

 そこで、今、自治体の問題が強調されましたので、土居参考人は、論文の中で、状況を最も把握できるそれぞれの基礎自治体が地域交通に責任を持って整備、実現するべきである、それぞれの地域で交通基本条例の制定が求められていると提起しています。

 そこで、森参考人と土居参考人にお聞きしたいんですけれども、今回、都道府県も含めた計画策定が法改正に盛り込まれましたけれども、本当に地域の基礎自治体が地域公共交通に責任を持つものとなるのか、どう思われるかということと、今、土居さんが提起されている交通基本条例という考え方なんかについてどう思われるかということを二つお聞きしたいと思います。

森参考人 私どもの市の場合は、県と一緒にというようなことは余り必要性を感じませんが、全国の状況を見ると、例えば、県によっては幾つもの谷筋に都市があったり、谷を越えてまた違うまとまりがあったりと、さまざまなことがあると思いますので、市町村を越えた計画をつくるということは必要だろうと思いますので、都道府県も一緒に入ってということの可能性が開かれることはいいことだというふうに思います。

 それから、最後に御質問のありました交通基本条例という考え方については、一部、若干、土居先生と私と考え方が違うんですけれども、私は、交通権という概念をそこに表現として文字化することには反対です。これは基礎自治体としては不作為を問われかねませんので、この議論は、弱者の方々をどう救うのかということは、憲法二十五条の解釈で十分成り立つと思っていますので、そういう限りにおいて、つまり、強く強調した交通権みたいなものをイメージした交通基本条例ということについては必要がないというふうに思っています。

土居参考人 今回、交通政策基本法が昨年末から施行されていますけれども、そういう意味で、いろいろ総花的な目標を立てていますので、いかにそういう地域住民の公共交通の足を守るかとかいうことは、なかなか正面からは触れてはいないんです。

 そういう意味では、各自治体、市町村を初め都道府県も、やはり、そういう地域の住民の足を自分たち行政が守るという姿勢をちゃんと出すべきだと思っていますけれども、これも上から、いわゆる落下傘方式といいますか、それも行政が一方的に上から住民、市民の足を守るというのではなくて、やはり地域地域で住民の方がどういうふうにして日常を過ごしたいか、住み続けられたいかをちゃんと議論していって、さまざまな意見の対立もあるでしょうけれども、どんな町に住みたいか、どういう生活をしたいかをちゃんと実現するために、交通がどうあるべきかということを積み上げていくといいますか、こういう一つの手だてが、時間はかかりますけれども、そういう形で、交通まちづくり条例とか、あるいは交通基本条例でもいいんですけれども、一つはやはり、交通空白地帯をいかになくすかとか、離島の足をどうするかとか、住民の方が共通して、自分たちはこういう生活をしたいとか、いろいろな形で出し合いながらつくるというのを地方自治を高める点からも大事に思っています。

 そういう点で、やはり地域地域で、すぐに実現しなくても、こういう形の町に、こういう公共交通になってほしいとか、そういうのを打ち上げるといいますか、ぜひ、そういう政策を、都道府県なり市町村がまちづくり条例をつくって、一つに住民が団結してこの方向を目指すといいますか、こういった社会が必要ではないかと考えています。

 以上です。

穀田委員 交通基本法、それから交通政策基本法という議論の過程の中で、実は、そういう交通権という問題が随分議論されました。一番最初に出された案は、交通権というのが入っていた案だったんですね。それがいつの間にか消えるという、政権のいろいろなせるわざがあったわけですけれども、私どもとしては、そのことで不作為が問われるかどうかという問題が一つの論拠にはなりましたけれども、そこまで本当に不作為が問われるのかという問題も議論になっているということだけは言っておきたいと思う。

 最後に、二つだけ土居参考人にお聞きします。

 土居参考人は、この参考レジュメで、都市再生特別措置法改正案については問題点が多く、賛成しないということで、先ほどありましたのは、町壊しになる可能性ということなんかを中心にお話しされていました。もう少しこれを詳しく言っていただければ幸いです。

 それと、最後に、先生は、先ほど来言っていましたけれども、住み続けられる地域、住み続けられる町ということを随分おっしゃっています。私も、今の状況を見ますと、国民にとって住み続けられる地域として再生する上で、公共交通というのがどういう役割を果たすかということが問われているんだと思うんですね。

 だから、今回の法改正について言うならば、都市再生法のまちづくりと一体となって進めると一応しているんですけれども、いつまでも住み続けられるまちづくりのために、こういうことの考え方、基本というのは何を据えるべきなのか。

 ばくっとした話で失礼ですけれども、その二つだけ最後にお聞きしておきたいと思います。

土居参考人 町壊しというのは、私自体は、イメージとしましては、一つの鉄道の駅に非常に超高層のマンションが建ってしまうとか、そうすると、これまで、町の中で、ゆったりとした町が全く何か機能的なだけの町になってしまうとか、あるいは大型スーパー、まあそれほど巨大なスーパーでなくても、町中にできて、そのために駐車場ができて、立体駐車場が林立するとか、やはりまちづくりでは郊外に住んでいる人もいろいろ中に入ってもらうのは大事ですけれども、郊外で公共交通に乗りかえてもらって、それで中にはゆったりと入っていただく、そしてまた、自分の住む郊外に帰っていただく、こういうことが一つの狙いですから、やはり、林立した高層のマンションづくりとか巨大なスーパーをつくるということは非常に町壊しになるのではないかという点が論点です。

 あと最後の、住み続けられるまちづくりのお話ですけれども、どういうふうに住むかが非常に問題ですね。生活の質をいかに高めながら、自分の人生をそこで過ごしてよかった、郊外のときにゆったりしたけれども、中にも入って、コミュニケーションも図れて、いろいろ文化も芸術も楽しめたという、そういう意味では、人々の願いをいかにそこで実現するか。やはり住民の声をちゃんと丁寧に聞くといいますか、余りハードな面で、投資だけと違って、やはりソフト面、人づくりですね。ですから、いろいろマンパワーでまちづくりをやっていくというふうに、ぜひお願いしたいと思います。

 以上です。

穀田委員 どうもありがとうございました。

梶山委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。

 この際、参考人の方々に一言申し上げます。

 本日は、貴重な御意見を賜りまして、まことにありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。(拍手)

 次回は、来る十五日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時一分散会


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