衆議院

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第14号 平成26年4月23日(水曜日)

会議録本文へ
平成二十六年四月二十三日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 梶山 弘志君

   理事 赤澤 亮正君 理事 秋元  司君

   理事 大塚 高司君 理事 西村 明宏君

   理事 望月 義夫君 理事 若井 康彦君

   理事 井上 英孝君 理事 伊藤  渉君

      青山 周平君    秋本 真利君

      井林 辰憲君    泉原 保二君

      岩田 和親君    大西 英男君

      門  博文君    國場幸之助君

      佐田玄一郎君    斎藤 洋明君

      坂井  学君    桜井  宏君

      白須賀貴樹君    末吉 光徳君

      谷川 弥一君    土井  亨君

      中村 裕之君    長坂 康正君

      林  幹雄君    原田 憲治君

      ふくだ峰之君    前田 一男君

      宮澤 博行君    務台 俊介君

      吉川  赳君    泉  健太君

      後藤 祐一君    寺島 義幸君

      前原 誠司君    三日月大造君

      岩永 裕貴君    河野 正美君

      坂元 大輔君    西岡  新君

      松田  学君    村岡 敏英君

      北側 一雄君    佐藤 英道君

      杉本かずみ君    穀田 恵二君

    …………………………………

   国土交通大臣       太田 昭宏君

   総務副大臣        関口 昌一君

   国土交通副大臣      高木  毅君

   国土交通副大臣      野上浩太郎君

   国土交通大臣政務官    土井  亨君

   国土交通大臣政務官    中原 八一君

   国土交通大臣政務官    坂井  学君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  持永 秀毅君

   政府参考人

   (内閣法制局第二部長)  林   徹君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   日原 洋文君

   政府参考人

   (総務省行政評価局長)  渡会  修君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 金杉 憲治君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房長) 武藤  浩君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         森  昌文君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長)            西脇 隆俊君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  徳山日出男君

   政府参考人

   (国土交通省自動車局長) 田端  浩君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  田村明比古君

   政府参考人

   (海上保安庁長官)    佐藤 雄二君

   国土交通委員会専門員   宮部  光君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十三日

 辞任         補欠選任

  秋本 真利君     青山 周平君

  國場幸之助君     末吉 光徳君

  白須賀貴樹君     吉川  赳君

  泉  健太君     前原 誠司君

  村岡 敏英君     河野 正美君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     秋本 真利君

  末吉 光徳君     國場幸之助君

  吉川  赳君     白須賀貴樹君

  前原 誠司君     泉  健太君

  河野 正美君     村岡 敏英君

    ―――――――――――――

四月二十一日

 海岸法の一部を改正する法律案(内閣提出第五三号)

 海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第五九号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 道路法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二七号)

 海岸法の一部を改正する法律案(内閣提出第五三号)

 海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第五九号)


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     ――――◇―――――

梶山委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、道路法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省大臣官房長武藤浩君、大臣官房技術審議官森昌文君、総合政策局長西脇隆俊君、道路局長徳山日出男君、自動車局長田端浩君、航空局長田村明比古君、海上保安庁長官佐藤雄二君、内閣官房内閣審議官持永秀毅君、内閣法制局第二部長林徹君、内閣府政策統括官日原洋文君、総務省行政評価局長渡会修君及び外務省大臣官房審議官金杉憲治君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

梶山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

梶山委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。務台俊介君。

務台委員 ありがとうございます。長野二区の務台俊介でございます。

 きょうは、一時間にわたって質問させていただく機会を与えていただきまして、ありがとうございました。

 まず、道路法改正審議に先立ちまして、過日の韓国における痛ましい旅客船沈没事故に関し、お伺いしたいと思います。

 この事故での犠牲者の皆様には心からお悔やみ申し上げます。その上で、報道によりますと、我が国が支援を申し出たものの韓国政府がこれを断った、そういうお話がありますが、それが事実だとしたら大変残念なことだと思いますが、外務省から事実関係を伺いたいと思います。また、仮に支援するとしたらどのような支援体制であったのか、そこの点についてもお伺いしたいと思います。

金杉政府参考人 お答えいたします。

 韓国における先生御指摘の旅客船沈没事案につきましては、安倍総理から朴槿恵大統領、あるいは岸田外務大臣から尹炳世外交部長官など、さまざまなルート、さまざまなレベルで、日本政府として、韓国側から支援の要請があれば、できる限りの対応をしたいというメッセージを伝えております。

 現在、韓国による懸命な救助活動が行われておりますけれども、現段階で韓国側から具体的な支援の要請は受けておりません。

 以上でございます。

佐藤政府参考人 本件事件発生後、当庁におきましては、情報収集を行うとともに、第七管区海上保安本部から南海地方海洋警察庁に対し、また、本庁から韓国海洋警察庁に対しまして、それぞれ捜索救助に関する協力について申し出を行いました。

 これに対し、韓国側から当庁の申し出に対し謝意が示されましたが、今のところ、韓国側から正式な協力要請はございません。ただ、私どもとしましては、韓国側が要請を辞退したとは受け取っておりません。

 仮に韓国側から捜索救助の協力要請があった場合には、当庁では、例えば特殊救難隊や潜水士による潜水捜索などの協力が考えられます。

 海上保安庁といたしましては、今後も緊密に連絡をとり合い、捜索救助の協力要請があれば、いつでも対応できる態勢をとっているところでございます。

務台委員 ありがとうございます。

 正式に断られたということではないということでございます。韓国政府も大変混乱しているとは思いますが、できれば常日ごろから当局間で緊密な連携関係を保って、こういうときに迅速に対応できるように心がけるべきだと思いますので、その点、また政府におかれてもよろしくお願いいたしたいと思います。

 さて、今回の道路法改正は、高速道路の老朽化対策、道路敷地の有効利用、スマートインターの設置促進ということがメーン項目でございますが、こうした項目が改正のテーマとなること自体に、高速道路をめぐる時代背景が投影されているというふうに考えております。

 思い返せば、ちょうど半世紀前、昭和三十九年のオリンピックを契機に、日本の交通インフラは飛躍的に整備されました。私は当時小学校二年でございましたが、テレビでオリンピックを見ました。当時の私が居住していた長野県は、まだまだ砂利道が多く、昭和三十九年のオリンピックを契機に、我が国が途上国から先進国にテークオフする、そういう国民全体の気概があったのではないかというふうに思っております。オリンピックに寄せる国民の関心の高さをてことして、それを旗印として大きな投資が可能となったのではないかというふうに考えております。

 一方で、急ぎ過ぎてやり過ぎではないかという批判も確かにあったのではないかというふうに思います。都市改造も実現されました。首都高が張りめぐらされて、オリンピックは東海道新幹線建設も早期に実現させることができました。NHKが海外放送事業を事務委託されて、当時内幸町にあった本部を、米軍住宅地のワシントンハイツの一部である渋谷に移転したというのもオリンピックの効果だったというふうに思います。

 そして、その中核を形成したのが高速道路網の整備であったというふうに思います。いわばぴっかぴかの高速道路網が、オリンピックをきっかけに、半世紀前に姿をあらわしたということではないかというふうに思います。

 そして、前回のオリンピックから五十六年を経て、二〇二〇年に二度目のオリンピック、そして、当時はまだなかったパラリンピックが開催されることとなりましたが、この半世紀の間に、当時建設整備された高速インフラがどのような状態になったか、それはまさに二度のオリンピックの間における日本の社会の成熟化を物語るものではないかというふうに思います。

 既存のストックをいたわりながら、その機能を最大限に発揮し、有効利用するというのが成熟化への対応ではないかというふうに思います。そして、今回の法律改正はそれを法的に位置づける、そういうものではないかというふうに思います。

 期せずして二度のオリンピックの開催を挟み、我が国のこの間の社会の変遷を思い起こしながら、質問をさせていただきたいと思います。

 お手元に資料を用意させていただきました。私の事務所で、国交省の御協力をいただきながら、この五十年、半世紀の間の高速道路に関する主な改正の経緯を書かせていただきました。

 ちょうど昭和三十一年に道路整備特別措置法が制定されて、道路公団の法律もできたということでございますが、昭和三十一年は私が生まれた年なので、私の人生と寄り添うような年表になっておりますが、当時は、高速道路ネットワークをとにかく早期につくりたい、そういう根拠法がつくられてきたということでございます。

 そして、平成十六年、四公団の民営化をきっかけに、その後は活用、維持という方にギアが切りかわったのではないかということでございます。今回の道路法の改正は、まさに老朽化対策を中心にしたということでございますが、社会の成熟化を物語るものではないかというふうに思います。

 今回、メンテナンスを充実するということがメーンでございますが、今回の法案提出の考え方につながる点も踏まえまして、大臣の、この半世紀の道路整備関係の制度の変遷について、受けとめ方、御認識をまず伺いたいと思います。

太田国務大臣 お手元の、いただきました資料にもありますように、我が国では、昭和三十一年、道路整備特別措置法に基づいて、非常に財政が厳しかったということもありまして、有料道路方式によって高速道路の整備が進められて、我が国の発展を支える原動力になってきました。

 それからずっと変遷がありますけれども、依然、高速道路のミッシングリンクというのは一方ではあるということもございます。地域の活性化や物流の効率化の観点から、道路ネットワークの強化というものはますます重要になってきているんだというふうに認識をしております。

 一方、東日本大震災やあるいは笹子トンネルの天井板落下というように、非常に、防災・減災、リダンダンシー、そして老朽化対策という災害面での対応というものがもう一つ非常に大事になってきた段階にあるというふうに思っています。私は昨年をメンテナンス元年と呼んだわけでありますけれども、本格的なメンテナンスの対策に乗り出していかなくてはならないという認識は委員と一緒でございます。

 こうした時代の転換点におきまして、長期の視点に立った新たなグランドデザインの策定に向かっているわけでありますけれども、道路ネットワークの強化、そして老朽化対策、さらに既存インフラをICT等を使いまして賢く使うという取り組みを進めていくことが、これからさらに重要となってきているという認識を持っております。

務台委員 ありがとうございます。まさにそういう時代の転換点における法律提出ではなかったかというふうに思います。

 ところで、オリンピック当時、用地買収、工事の時間や費用を節約するために、河川あるいは既設道路、公園などの公有地上を高架で通過するルートが採用されたという理解でおります。それはそれで非常にスピーディーな事業が展開されたということですが、一方で、日本橋の上に覆いかぶさる四号分岐線に代表されるなど、都市の景観、あるいは歴史文化をやや軽視するような対応もあったのではないかという評価もございます。

 この点についての大臣のお考えを伺いたいとともに、この日本橋の高架道路を今後どのように取り扱っていくのか。大規模改修に合わせて地下の埋設の話もあるということも承知しておりますが、道路でやるのか都市再開発でやるのか、いろいろな手法もあろうかと思いますが、この点についての大臣のお考えを伺いたいと思います。

太田国務大臣 先ほど御指摘のように、昭和三十一年から有料道路ということがスタートを切ったわけでありますけれども、現実には、昭和三十四年に東京オリンピックが決定をしまして、三十九年には間に合わせなくてはならないということで、まず、羽田から東京都内に至るというところの高速道路をつくろうということになりました。

 国と東京都で議論をしまして、そして、これは用地買収とかいろいろなことで大変なものですから、現在ある築地川とかそうしたもの、あるいは既存の道路というものをそのまま使えば、用地買収はしなくてもいいということがありまして、そのまま河川や道路上などを活用するということで建設が進められて、三十七年に首都高速の一部がスタートを切るということになりました。

 現在からいいますと、景観上とか、いまだに従来の橋の桁が残っていて危ないとかいうようなことがありますものですから、関係機関とも連携をして、高速道路の更新と都市再生を一体化して取り組んでいくということにスタートを切ったわけであります。

 平成二十四年に、亡くなられましたけれども三宅久之座長のもとで首都高速の再生について議論をいたしまして、老朽化した都心環状線は高架橋を撤去し、地下化などを含めた再生を目指し、その具体化に向けた検討を進めるべき、こういう提言がなされました。

 これらを踏まえまして、まずは、首都高速の築地川区間をモデルケースとして、東京都、中央区等の関係機関と検討会を設置して、現在、築地川の上の空中権を売るとかいうことで、都市計画、再開発ということをあわせてやるということについて、具体的に検討をしているところです。

 日本橋につきましても、こうした流れの中で、首都高速の更新計画を契機として都市再生についての動きが加速しています。適切な負担のもとでまちづくりと一体化する。日本橋の上の高速道路だけではなくて、日本橋全体に江戸の町を復活させるというような水辺の空間も含めましての話し合いが、今、地元では、あるいは関係のところで始まっておりまして、私としましては、首都高速の更新と日本橋の再生ということが実施されるということの中での日本橋の上の高架高速をどうするかということになるんだというふうに思います。

 そうした方向が実施されれば、大変私はいいことだというふうに思います。

務台委員 ありがとうございます。都民の皆様も大いに期待するプロジェクトのように思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。

 さて、今回の法案の中で、高速道路老朽化に対する財政制度の提案がございます。そこで、ちょっと伺いたいのは、これまでの高速道路の老朽化に対する国の対策がどのように推移してきたのか、そして、それに対する国交省としての自己評価を伺いたいと思います。

徳山政府参考人 先生御指摘の高速道路の老朽化でございますけれども、民営化時におきましても、こうした更新需要の発生は想定をされておったわけでございます。ただ、道路構造物の老朽化予測には限界がございまして、特に、当時は、構造物が建設後四十年程度を経過し始めたところでございましたものですから、更新の必要性について、具体の箇所や対処方針が十分明らかになっておりませんでした。

 その後、東日本大震災あるいは笹子トンネル天井板落下事故が起こり、防災・減災、老朽化対策、メンテナンス、耐震化、こういったものが一層必要であるという認識が共有されてきたと思います。

 このような認識のもとに、建設後五十年が経過し、老朽化の進展により更新の必要な箇所が明らかになってきたこと、また、対処方法について検討が進んできたことから、いよいよ具体的な更新事業に取り組んでいくものと考えております。

務台委員 ありがとうございます。

 今、国交省自身の評価があったわけでございますが、総務省に行政評価局がございますが、そちらの方での外部評価についても伺いたいと思います。

渡会政府参考人 高速道路の老朽化対策そのものについては調査を行っていませんが、社会資本の維持管理につきましては、当局においても問題意識を持っておりまして、道路に関しましては、アメリカのミシシッピ川にかかる橋梁の崩落事故があったことや、あるいは、国内でもいろいろ、橋梁に破損事例が発見されたというようなことを契機といたしまして、一般道及び農林道の橋梁について調査を実施いたしました。

 委員の御関心事項にも関係することかと思いますので、参考までにその調査結果を申し上げますが、地方公共団体におきまして道路台帳の整備が不十分、定期点検、補修等の実施が不十分、長寿命化計画の策定が進捗していない、そのような状況が見られましたので、橋梁の長寿命化対策の推進につきまして、平成二十二年二月五日、国土交通省及び農林水産省に対し勧告をいたしました。

 以上でございます。

務台委員 ありがとうございます。

 後の質問にも関連する指摘でございますので、しっかりお聞きしておきたいと思います。

 ところで、昨日も、委員会での視察の際に、道路局長からお話をいただいたんですが、同じインフラでも、関東大震災の後に建築されて、八十年以上経過したインフラが、橋梁がまだまだ堅牢で残っているという話がございました。ところが、高度成長下で建設され、ちょうど五十年くらいのものの老朽化が激しいというお話がございました。

 年をとったインフラの方が元気で、五十代のインフラが元気でないという、そこら辺の差異をどのように認識したらいいのか、御説明いただきたいと思います。

徳山政府参考人 橋梁につきましては、条件が整っていれば百年程度は使用することが可能というふうに考えております。現に、隅田川にかかる言問橋や両国橋など、八十年を超えて、重量制限もなく、健全に機能を維持しております。

 一方で、今回の高速道路の更新計画をまとめるに当たり、専門家の方々に御議論いただいた結果、更新が必要となっている箇所は、単に五十年を経過したということではなく、一つは、建設時に施工を急ぐなどの無理をした箇所、もう一つは、古い基準で設計された箇所、こういう共通の特徴を有することがわかってまいりました。

 昨日の御視察でも、昭和三十九年の東京オリンピックに向けて急いだ箇所、あるいは、古い基準で鉄筋のかぶりが、コンクリートのかぶりが薄い箇所などがございました。

 こうした設計基準については修正をしてまいりましたものですから、その後に整備された箇所については、近年得られた知見に基づいて長寿命化を図ることにより、想定している寿命いっぱいまで健全に機能を維持できるように努めてまいります。

務台委員 ありがとうございます。

 高速交通機関の老朽化の危険を物語る事故は、まさに平成二十四年十二月の笹子トンネルの事故ではなかったかと思います。この事故を受けて、NEXCO中日本としての再発防止策、安全性向上の取り組みはどのようなものであったか、そして国交省としてはどういう対応をしたのか、御教示いただきたいと思います。

徳山政府参考人 中日本高速会社は、笹子トンネル天井板落下事故後、平成二十五年七月に安全性向上三カ年計画をまとめております。この計画に基づいて現場体制の強化やトンネル天井板の撤去などの再発防止策を進めております。

 一方、国土交通省では、事故発生後、まず直ちに緊急の安全点検を行いました。同様のつり天井板を有するトンネル及びトンネル内の道路附属物等を対象に点検を実施し、必要な措置を講じました。

 また、事故直後に設置した有識者による調査・検討委員会において原因究明を行いました。さらに、再発防止策として、委員会の見解を踏まえ、笹子トンネルと同様の構造を有するトンネル、これは全国に十三カ所十六トンネルございましたけれども、これまでに九トンネルにおいて天井板撤去などの措置を講じているところでございます。

務台委員 ありがとうございます。

 この事故は氷山の一角だというふうに思います。ハインリッヒの法則というのがありまして、ヒヤリ・ハットがあった場合に、その背景には無数の危険が潜んでいる、そういう危機管理の法則がございますが、全国に同様の危険が潜在しているという、それについての実態認識を御教示いただきたいと思います。

徳山政府参考人 御指摘のとおりでございまして、笹子トンネル天井板の落下事故は、高度成長期に集中投資をした道路インフラの老朽化が進行していることを示唆するものと考えております。

 アメリカが一九八〇年代に直面した荒廃するアメリカと同様な状況に二〇一〇年代の日本も置かれておりまして、道路のみならず高度成長期に整備したあらゆる社会インフラがメンテナンスの時代に入ったものと考えております。

 国土交通省は、平成二十五年を社会資本メンテナンス元年と位置づけましたが、その初年の取り組みを経て、いよいよメンテナンスが重要であるということを再認識しているところでございます。

務台委員 ありがとうございます。

 そういう認識の中で、この四月十四日に、社会資本整備審議会道路分科会が大臣宛てに、道路の老朽化対策の本格実施に関する提言を行っております。その中身を見ると、非常に強烈な提言になっております。特に、地方自治体の対応に関して、メンテナンスに関する最低限のルール、基準が確立していない、あるいはメンテナンスサイクルを回す仕組みがないといった深刻な指摘がなされております。

 先ほど大臣がおっしゃいましたように、二十五年をメンテナンス元年と位置づけて、メンテナンス対応に重点を置くということになっておりますが、この提言の指摘をどのようにお受けとめになっておられるか、お伺いしたいと思います。

太田国務大臣 御指摘のように、四月十四日、道路分科会におきまして、これは会長からも「最後の警告」という刺激的な言葉がございました。この提言は、今すぐ本格的なメンテナンスにかじを切らなければ、近い将来、致命的な事態を招くであろうということを強い表現で指摘しています。

 私は、最後の警告というのは、逆に言いますと、今なら間に合う、その間に合うという最後の機会であるというふうに捉えようということであろうというふうに思います。

 ここの中で言っていること、そして我々が考えたことは、まず、道路管理者に義務を課す、義務です。そういう点では、橋梁等は五年に一度、近接目視の点検を義務づけるということを初めとして、これをやりなさいという義務づけをさせていただきました。

 もう一つは、義務だけでなくて支援をする。務台先生御指摘のように、地方自治体は、なかなか技術的にも人員的にも、老朽化対策あるいは点検ということで難しい状況にありまして、財政、人員そして技術、こうしたことについてこれを支援するということが大事だという御提言であり、我々もそうした問題意識を持っておりました。昨年をメンテナンス元年というふうに命名させていただいて、一年間かけて緊急点検をしたところでありますけれども、いよいよ、ここでPDCAサイクルを回していくというスタートが切れるという具体的なときを迎えたというふうに思っておりますので、この義務と支援と提言をいただいたことについて、積極的に取り組んでいきたいというふうに考えております。

務台委員 力強い決意でございますので、本当にそれを予算に具体的に生かしていただきたいというふうに思います。

 ただ、具体的に実態を見ると、ちょっと二ページに資料を用意させていただいておりますが、高速道路における要補修損傷件数と、実際に支出されている修繕費の推移を見たものでございます。平成二十年と二十四年を比較して、要補修損壊件数が六十万件近くと二・二八倍にもなっているのに対して、高速道路三社の維持管理費は一・一六倍ということでございまして、どうも乖離があるように思われます。

 こういう点を見ると、メンテナンス元年、これは二十四年の資料なのでちょっと時点が違うんですが、こういうことを踏まえて、よりしっかりやっていくべきではないかと思うんですが、国交省の御認識を伺いたいと思います。

徳山政府参考人 御指摘のとおりでございまして、NEXCO三社の管理する高速道路の要補修損傷件数は、平成二十四年度末で五十九万件と、平成二十年度末の二・三倍になっておりまして、この件数が毎年増加している現在の状況は課題であると考えております。

 私どものなすべきことは、高速道路を含む道路ストックの維持管理、修繕に当たって適切に点検、診断を行い、その結果に基づいて計画的に修繕を行う、そういう予防保全に転換をいたしまして、ライフサイクルコストを縮減して長寿命化を図る、これが重要なことであると考えております。

 今後、必要な維持管理費を確保いたしまして、効率的な維持管理、修繕を実施してまいりたいと考えております。

務台委員 ありがとうございます。

 道路の維持補修には本当にお金がかかります。ストックが多ければ多いほどその維持管理費は膨大になっていくというのは、素人が考えても推測がつくわけでございます。

 資料の三ページから五ページにかけて、高速道路の六社そして国直轄それから地方の事業で新設、改良と維持修繕がどういう推移を示してきたかをつくらせていただいております。

 高速道路六社は、歴代の内閣の中でも、民主党内閣のときには予算が横ばいだったといううらみもあるんですが、一応順調にふえてきている。四ページの国直轄については、改良費等は下がってきていたんですが、維持修繕費はこのところ若干ふえている。ところが、五ページにいきますと、地方の道路に関しては、改良等がずっと下がってきている、維持修繕が平成二十六年に若干上がっているということで、どうも維持管理に向けての対応がまだまだ足りない、これは数字の上でございますが、そういうふうに見受けられます。

 今後に向けて維持管理費がどのくらいの見込みになるのか、国交省でしっかりと積み上げのデータをつくらないといけないのではないかというふうに思います。こういうデータがあるかないかで、財政制度をどういうふうに構築するかが決まってくると思いますので、ここについての御認識を伺いたいと思います。

徳山政府参考人 高速道路につきましては、従来の償還計画の中に通常の維持管理費をきちっと計上させていただいております。これに加えまして、今回、六会社合計で約四兆円の更新事業に係る費用を計上することとしたわけでございます。これによって、高速道路につきましては、見通しをきちっと把握しながら、計画的な維持修繕、更新を実施していきたいと考えております。

 一方で、全国の橋梁七十万橋のうち五十万橋を管理する市町村におきましては、十分な点検がなされていない橋梁もあるということで、先生御心配いただきましたとおり、こうした見通しがきちっと立てられておりません。

 今般、先ほど大臣も申し上げましたけれども、全ての橋梁につきまして五年に一度、近接目視による点検など、道路管理者の義務を明確化する省令を三月三十一日に公布したところでございます。これによりまして、各道路管理者は、点検、診断の結果に基づいて計画的な維持修繕、更新を実施することになります。

 今後、この結果を継続的に記録し、分析することで、維持修繕、更新費の見通しについて研究してまいりたいと考えております。

務台委員 ぜひよろしくお願いいたしたいと思います。

 道路公団民営化の際に、四十五年間の債務償還の後には高速道路無料化が想定されているということでございます。

 今回、料金徴収期間を十五年延長することで、それが延びることとなっておりますが、将来の道路の維持管理費の見込みを考えるにつけ、実際に七十七年時点の無料化が可能なのか、これだけストックを抱えて維持費が膨大になる中で、利用者負担なしにどこまでやれるのか、特に市町村での維持管理費が膨大になる中で、税金が高速道路の方に吸い上げられてしまうと、一般道の方が財源が足りなくなる、そんなことも容易に推計されます。

 そういう意味では、できるだけ将来推計をしっかりして、エビデンスを持って予算の確保をしていただかなければならないのではないかというふうに思います。

 果たして利用者負担なしに七十七年以降もできるのか、ここら辺についてのお考えを伺いたいと思います。

徳山政府参考人 ただいま、料金徴収期間を十五年延長することとした理由と、その延長後のことについてお尋ねをいただきました。

 料金徴収の継続期間は、各高速道路会社が公表した更新計画の概算額と各社の料金収入等を踏まえて設定をしたものでございます。

 具体的に申し上げますと、首都高速につきましては約六千三百億円の更新費用がかかるということで、料金徴収の継続期間として十五年、阪神高速については約三千七百億円の計画に対して約十二年、NEXCOは約三兆円の計画に対して約十年などとなっておりまして、本法案では、十五年間を上限として料金を継続して徴収し、その後無料開放することといたしております。

 一方、税金による負担につきましては、財政的な制約などの課題がありますが、本法案では、料金徴収期間の終了後、他の一般道路と同様、税金による維持管理を行うこととしております。

務台委員 今の法案の前提ではそう答えざるを得ないのかもしれませんが、大分先の話ではあるんですが、今からしっかり考えておかないとまずい問題だと思いますので、ぜひ数字の積み上げをよろしくお願いしたいというふうに思います。

 さて、今回の制度改正の中に、スマートインターの法律補助制度が加えられております。

 スマートインターに関しましては、これまで高速道路利便増進事業で整備が行われてきておりますが、今回の制度改正とこの利便増進事業の関係をちょっと伺わせていただきたいと思います。特に地元との関係で何かかわりばえがするのか、そこら辺についてもお知らせいただければと思います。

徳山政府参考人 スマートインターチェンジにつきましては、大変重要な施策でございまして、平成二十五年度末時点で七十カ所で開通済み、なお五十九カ所で事業中となっております。

 スマートインターチェンジの整備は、これまで実施してきましたのは、高速の割引とあわせて行ったという経緯もございまして、利便増進事業による対応となっております。この財源がなくなるために、今回、継続の手段を講ずるわけでございますけれども、本法案におきましては、毎年度の予算編成を経て必要な支援額を確定させる補助制度を創設し、事業を実施できるようにするものでございます。

 なお、地元負担については、これまでと違いはございません。

務台委員 ありがとうございます。

 この事業の枠組みは余りまだ地元の方に伝わっていないものですから、これが早期に制度改正が行われて地元の方に伝わると大分手が挙がってくると思いますので、ぜひよろしくお願いします。

 ところで、国内外の高速道路のインターチェンジについては、諸外国が比較的インターチェンジ間の距離が短いというお話がございますが、欧米の高速道路と我が国の高速道路、それぞれ位置づけが違うとは思うんですが、インターチェンジ間の距離の平均が国の内外でどう違うのか、御教示いただきたいと思います。

徳山政府参考人 我が国のインターチェンジ間隔は平均で約十キロでございます。一方、欧米諸国で、平地部における無料の高速道路の場合には約五キロと、非常に短くなっております。

 我が国の高速道路では、アメリカやイギリス等の無料の高速道路と異なりまして、有料道路で料金徴収を行いますものですから、料金収受員の人件費などがインターチェンジでかかってしまう、こういったことが制約となりまして、インターチェンジ間隔が長いという状況になっておりました。これを、ETCの技術が改善をしていくわけでございまして、そういう人件費も節約できる、こうした新技術でスマートインターチェンジを整備することにより、我が国のインターチェンジ間隔も縮めていける、このような考え方でございます。

務台委員 ありがとうございます。

 日本では平均十キロ、ETCという、人件費をかけないで料金徴収の仕組みができると、これがもうちょっと、たくさんできるという非常に力強いお話を伺いました。

 具体的な話で恐縮ですが、私の地元にもスマートインターがあります。長野道の松本インターと安曇野インターの間に、スマートインターである梓川インターがございます。付近の工業団地にとって、非常に大きな経済効果を生んで、喜ばれております。

 一方で、本チャンのインターの安曇野インターをさらに長野道を北に行くと、次に麻績インターというのがあるんですが、実は、安曇野インターと麻績インターの距離が二十三キロもあるんです。地元からは途中に一つつくっていただきたいという話があるんですが、なかなか事業が立ち上がってきませんでした。地元の筑北村の関川村長、実はこのインターネットテレビを見ていらっしゃるんですが、ぜひこの話を出していただきたいという強い要望があります。

 今回の法律改正でその希望がかなえられるように、私もNEXCOの方には申し上げておるんですが、こうした地域の要望の強いスマートインター、もし名前をつけるとしたら筑北インターとなると思うんですが、この設置の可能性について、国交省の御認識を伺いたいと思います。

太田国務大臣 御指摘のとおり、私も長野はよく行って、よく知っているわけですが、長野道の安曇野インターチェンジから麻績インターチェンジ間におきましてスマートインターチェンジの設置の要望があるということは、私もよく承知しています。

 スマートインターチェンジの整備では、地元の地方公共団体の要望を踏まえながら、国、高速道路会社、地方公共団体等が連携をする、そして、インターチェンジの位置やアクセス道路、整備効果などについて検討し、計画をまとめるということにしています。

 国交省としましては、地元自治体における検討に対しまして必要な協力を行ってまいりたい、このように考えています。

務台委員 ありがとうございます。

 大臣から直接、必要な協力を行うという力強いお話がございましたので、その言葉を背景に、仕事が進むように、ぜひ国交省の協力もお願いいたします。

 さて、道路を有効利用するという観点からは、道路を誰が利用するかという観点もとても大事だというふうに思います。これまでは道路というと車が使って当たり前だということだったんですが、平成二十五年六月の社会資本整備審議会道路分科会国土幹線道路部会の中間答申では、実は、公共交通、自転車利用、交通機関相互のシームレス化の重要性が指摘されています。自転車利用もこの中でしっかり位置づけられているということでございます。

 ところで、お手元の資料の七ページ、八ページにあるんですが、実は超党派で自転車活用推進議連という議連をつくっておりまして、その中で、自転車活用プロジェクトチームが昨年提言をまとめております。その提言をお手元に配付させていただいておりますが、過度の自動車依存傾向を是正する、オリンピック・パラリンピックを契機に自転車利用環境を含む都市交通の多様な選択肢を用意する、さらに、自転車利用に関する基本法をつくるという提言が盛り込まれておりまして、これを政府に提出しております。

 昨日は、この委員会のメンバーでもあります何人かの先生とともに、舛添都知事にも要請書を提示しております。

 しかし、残念ながら、現時点で自転車推進という点に関しましては、こういうことを言うのも恐縮でございますが、余り一生懸命、一丁目一番地の仕事としてやるという、そんな雰囲気はございません。自転車推進をどこが所管しているのかと国交省に聞いても、この中で答えられる人はいないくらい、どこがやっているかわからない。要は、専任の部署がないということでございます。

 道路法を見てみましても、自転車道整備についての明示的な位置づけはございません。構造令を見て初めて自転車道の定義が出てくるというようなことでございます。

 実は、昭和四十五年に制定された議員立法で、自転車道の整備等に関する法律というのがあるんですが、この存在も余り知られていない。果たして国交省でこの法律を受けた対応がどの程度行われているかということも、はっきり申し上げておぼつかない点があるんじゃないかというふうに思います。

 伺いたいのは、今回の道路法改正案には盛り込まれておりませんが、将来の課題として、自転車道整備あるいは自転車利用の促進について、これまで以上に真剣な検討がなされるべきではないかと考えますが、この点の御認識を伺いたいと思います。

中原大臣政務官 自転車ですけれども、買い物や通勤通学などの日常生活やサイクリングなどのレジャーにおきまして重要な移動手段でございます。

 一方、自転車と歩行者の事故は過去十年間で約一・三倍に増加しておりまして、より一層の安全性の確保ということが求められております。

 これらに対応するためには、自動車や歩行者から分離された自転車専用の通行空間を確保することが重要と認識しておりまして、これまでに、自転車道、自転車専用通行帯などの約三千キロメートルが整備されているところでございます。

 また、平成二十五年十二月に、先ほど務台委員御紹介いただきましたように、先生が所属されております自転車活用推進議員連盟により取りまとめられました提言におきましても、自転車レーンや自転車ネットワーク路線の整備など、同様の認識が示されております。

 国土交通省といたしましては、議員連盟の提言等も踏まえつつ、今後とも、社会資本整備総合交付金等の活用によりまして、高い意欲を持つ地域を支援し、自転車の利用環境の整備を推進してまいりたいと考えております。

務台委員 ありがとうございます。

 イギリスでは、ボリス・ジョンソン・ロンドン市長がレンタサイクル事業というのをロンドンで始めております。これは、オリンピックをきっかけに、今、ロンドンに行きますといろいろなところにレンタサイクルのステーションがありまして、市民の重要な足となっている。外国から来たお客さんも簡単に借りられるというふうになっております。パリでも同じようなシステムが導入されております。

 ぜひ、二〇二〇年のオリンピックをきっかけに、都市における自転車の利便性の強化ということをさらに御検討いただきたいというふうに思います。

 さて、今回、立体道路制度の拡充が盛り込まれております。平成元年の法改正で立体道路制度が創設されておりますが、平成元年の時点では既存道路への適用が見送られた経緯があると承知しております。

 今回、既存道路への適用が盛り込まれるということでございまして、非常に大きなインパクトがあると思いますが、前回見送って今回盛り込む、その理由を伺いたいと思います。

徳山政府参考人 平成元年の当時、立体道路制度創設時の議論といたしましては、当時、用地費が大変高騰いたしまして、用地取得が困難となっておりました。冒頭に先生がおっしゃった分類で言いますと、まだつくるのが主力であった時代、こういうことが背景にあると思います。そうした中で、市街地の交通渋滞を解消する幹線道路の整備推進ということに力点を置いて、これを目的とするということだったわけでございます。したがいまして、これまでは、道路の新設または改築を行う場合のみを立体道路制度の対象としていた、こういうスタイルでございました。

 昨日の御視察でごらんをいただきました虎ノ門ヒルズもまさにこのような、長い間動かなかった、いわゆるマッカーサー道路と言われております道路がこの立体道路制度というものを使うことによりましてよみがえって開通をした、こういうことでございます。

 一方で、高速道路を初め、近年では老朽化対策の必要性が高まってきたというのが背景にございます。このために、多様な財源の確保を図らなければならない、できればその道路の上空を売ったりして財源が確保できないか、あるいは、地域活性化にも資する観点からも、既存の高速道路に本制度の適用を拡大するということが検討課題に上ってきた、こういうことでございます。

 このような中、平成二十五年五月の総理からの検討指示を受けまして、六月にまとめられました日本再興戦略、この中にも、都市と高速道路の一体的な再生にPPP事業を活用する施策として盛り込まれたわけでございまして、このような大きな時代の背景、そして総理の指示を受けて、今般の改正を行うというものでございます。

務台委員 ありがとうございます。

 昨日、既存の道路で立体道路制度の活用を検討している箇所として、築地川を見せていただきました。そういう目で見ると、なるほど、ここがそういうところとして適切なのかなというふうに思いました。

 築地川、これがどの程度成功するかどうかにもかかると思うんですが、その後の展開というか、ほかへの波及というか、そこら辺についてのお考えを伺いたいと思います。

徳山政府参考人 お答えを申し上げます。

 立体道路制度につきましては、今まで申し上げましたように、道路の新設、改築に伴って立体道路制度を使う場合、これについては今までも幾つかの事例がございまして、ノウハウなどを蓄積してまいったわけでございます。一方で、本法案では、既存の高速道路に制度の適用を拡大してやる、こういう、道路の上部空間を活用するという新しい考え方でございます。

 新設の場合には、きのうも御視察いただきましたように、再開発と絡めて道路側でも新しい事業としての用地買収があるというような手法でございまして、今回のような、既存の高速道路を使うというのはこれからスタートするわけでございます。そういう意味では、まずいろいろなモデルケースの中で知見をふやしていく、こういうことが必要になろうと思いまして、現在、首都高速の築地川区間をモデルケースとして、東京都、中央区等関係機関と検討会を設置いたしておりまして、議論を進めてきている、こういう状況でございます。

 直ちに築地川以外の具体箇所というものを今想定しているわけではございませんけれども、当然、このような制度ができますと、ぜひ活用していただきたいわけでございまして、このモデルケースでの検討で得られた知見を踏まえまして、高速道路会社等関係機関と協力をして、立体道路制度の適用がふさわしい箇所において積極的に導入を進めるほか、制度改正の内容についても、民間事業者等も含めて周知をしてまいりたいと考えております。

務台委員 ありがとうございます。

 虎ノ門ヒルズのケースそれから築地川のケースが大変なPR効果を持って、恐らく、この立体道路というのが全国の大きな都市に広がっていくのではないかというふうに思います。それはそれで歓迎すべきことなんですが、私も地方の出身なので、こういうことで都市がますます立体化して便利になって美しくなって華やかになると、大都市へのさらなる機能集中を促しかねない、そういうちょっと懸念も生ずるわけでございます。

 そういう意味では、平成二十五年の六月の社会資本整備審議会国土幹線道路部会の中間答申の中で、ネットワークの活用による都市間の連携強化の重要性が指摘されております。拠点の強化ということに加えてネットワークを活用するんだという、これが二つそろわないと拠点だけが元気になってしまう、これはやはり余りよろしくないのではないかというふうに思います。

 国交省がこの三月末にまとめた国土のグランドデザインの骨子の中でも、ネットワークの重要性が何度も何度も触れられているということでございます。

 人口減少が避けて通れない中で、定住人口の減はやむを得ないとしても、地域の活性化のために交流人口をふやす努力が不可欠でございます。交流人口をふやすに当たって決定的に重要なのは高速道路のネットワーク化ではないかというふうに思います。

 そういう意味で、ちょっと具体的な例を出させていただきたいと思います。六ページに、ネットワークがないために孤立している地区の例が書いてございます。

 とりもなおさず、私の地盤の松本地域なんでございますが、この地域は、つながっていない道路がいっぱいあります。岐阜の方は東海北陸自動車道、北陸は北陸自動車道というのがあるんですが、松本から高山に抜ける中部縦貫自動車道、これがまだまだ大分先になるということでございます。それから、松本から糸魚川に抜ける松本糸魚川連絡道路、これが今少しずつ進みつつあるということでございまして、仮に、こういうものが結ばれると、実は、この真ん中にあるのが北アルプスの山脈でございます。槍ケ岳、穂高岳、上高地、乗鞍岳、山の日もできますが、こういうものをぐるっと囲む道路があれば北アルプス大パノラマ周遊道路ということでございます。

 実は、富山空港というのが富山の方にあります。それで、松本空港がある。そこに、ちょうどいいところに空港もありまして、外から、アジア・ダイナミズムで、山岳リゾートで休みたいという人が飛行場からここに来て、それでぐるっと回る、一週間くらいいてもらう。これはインバウンドのすごい大きな起爆剤にもなる。こういう観点も必要ではないかというふうに思うんです。

 立体道路も重要でございますが、拠点を整備すると同時にネットワークをさらに整備することについて、大臣はちょっと出てしまわれましたが、国交省の御認識を伺いたいと思います。

野上副大臣 現在、国交省におきましては、新たなグランドデザインを構築しておりまして、今先生御指摘のとおり、コンパクトシティー・プラス・ネットワーク、やはりネットワークで拠点、拠点を結んでいくということが大事だということを考えております。

 特に地方部におきましては、地域の活力の維持ですとか観光振興のために、道路ネットワークを構築して交流や連携機能を確保することが重要であるというふうに考えております。

 今先生からお話のありました中部縦貫自動車道ですとか松本糸魚川連絡道路などで構成されております北アルプスパノラマ道路につきましては、これは、松本、高山、富山、糸魚川といった都市をつなぐ、私も富山でございますので、北アルプスのあのすばらしさは認識をしておるところでございますが、そういう都市をつなぐとともに、白馬岳、槍ケ岳などの北アルプスや上高地など全国有数の観光地とのアクセス強化を図る、これは重要なネットワークであるというふうに認識をいたしております。

 今後とも、このような地域活性化に対する道路の役割を踏まえながら、道路ネットワークの強化に取り組んでまいりたいというふうに思っております。

務台委員 ありがとうございます。

 ぜひ、富山と長野で連携してやらせていただきたいと思います。

 今回の道路法の改正の趣旨が、大都市への機能集中をさらに加速化するものだなどというあらぬ批判を招かないためにも、ネットワーク化についてしっかりお取り組みいただきたいというふうに思います。

 さて、道路の有効利用という観点でちょっと質問させていただきたいんですが、今回、道路の有効利用ということで、高架下の占用許可の基準を緩和するということが規定されております。

 従来は抑制方針であったのを、今回、大幅に認める方向に転換した理由を伺いたいと思います。

徳山政府参考人 先ほど、立体道路につきましても、変更してきた理由をお尋ねいただきました。この高架下の利用につきましても、まさに世の中のニーズに沿って、今回、考え方を変えていこう、こういうことでございます。

 従来、道路は一般の自由な通行を本来の目的としておりますものですから、道路を占用する場合には、高架下に限らず、原則として道路の区域外に余地がない場合というケースなどに限定してきた、これが根幹的な占用の考え方でございました。

 しかしながら、まず一つは、都市機能の集約が求められるようになってきたということでございます。人口の減少あるいは少子高齢化が進みまして、都市はこれからはコンパクトにしていくという時代でございます。町の中に既にある身近な道路空間であります高架下を活用すれば、まちづくりや地域活力の維持強化に資することができるわけでございます。

 もう一つは、高速道路の老朽化が問題になってきたという時代背景でございまして、維持管理、更新費用の負担の軽減を図るために、こうした占用料も含めまして、多様な財源を確保する必要が出てきたということでございます。

 きょう、先生から、大きな道路行政の力点の変遷という視点で御質問いただいているわけでございますけれども、この高架下の利用につきましても、そうした時代の要請に沿って占用基準の緩和を行うこととしたわけでございます。

務台委員 ありがとうございます。

 今回の高架道路の占用許可は、高速道路だけの適用ということでなくて、それ以外の一般国道、地方道の高架下も同様の取り扱いということで理解していいのか伺いたいのと、この緩和により大分占用使用料が入ってくるんじゃないか、そういう皮算用もちょっとあろうかと思いますが、ここら辺の見込みについてもあわせて伺いたいと思います。

徳山政府参考人 ただいまも高架下の占用基準の緩和の趣旨を申し上げたわけでございますけれども、この緩和によりまして地域の活性化等の効果を出す、こういうことでございますから、これは高速道路に限らず広く一般の道路で発揮させたいわけでございまして、議員御指摘の一般国道や地方道を含む全ての道路の高架下を対象と考えております。

 また、その占用料収入でございますけれども、なかなか推計というのが難しいわけでございますが、現状の数字で申し上げますと、平成二十四年度におきまして、高架下も含めた占用料の総額は、高速道路でいいますと約十九億円、直轄国道では全国合計で約五十八億円などとなっております。

 今回の増収額というのはなかなか推定が難しいわけですけれども、今回は地域活性化の観点から店舗等の利用も想定をしております。こういう件数の増加が期待されること、そして、あわせまして、こうした営業にかかわるものにつきましては入札制度も法律に盛り込んでおります。こういう入札によって競い合っていただいて、占用料の額の増加も見込まれるということを踏まえますと、一定の増収が見込まれるものというふうに考えております。

務台委員 ありがとうございます。

 今回の道路法の改正は、全体として、地域の経済を相当元気にする、そういうインパクトのある起爆剤のような内容が盛り込まれているというふうに思います。ぜひ早期の改正が実現することを心から御期待申し上げまして、私の質問とさせていただきます。どうもありがとうございました。

梶山委員長 次に、佐藤英道君。

佐藤(英)委員 おはようございます。公明党の佐藤英道でございます。

 昨日、当委員会の視察として、首都高速道路一号羽田線、都心環状線の老朽化対策の作業現場、また、環状二号線開通後の交通状況などについて視察をさせていただきました。大変に有意義な、また貴重な視察でありまして、委員長を初め、また、道路局長を初め関係者の方々に心からお礼を申し上げます。

 そして、それと同時に、先ほど大臣もお話をされておりました、そしてまた、きのう道路局長も社会資本整備審議会道路分科会の提言について御説明をしていただきましたけれども、まさしくこの提言どおり、この老朽化対策は待ったなし、そういう感を私自身も抱いたわけであります。そうした視察の感想も踏まえまして、何点かお伺いをさせていただきたいと思います。

 初めに、道路法の改正について、並びに道路行政に係る件についてですけれども、東日本大震災という未曽有の大災害に遭遇した私たちにとって、遠からず発災が懸念される首都直下地震、そして東海、東南海、南海、三海連動巨大地震に備え、災害に強いインフラ整備を大胆に進めることは、まさしく最重要事項であります。しかし、これは後ろ向きの考え、備えではないと思います。

 二十世紀初めに米国で行われたニューディール政策になぞらえて、日本は、この防災・減災への力強い公共投資、民間の力も引き出して、暗いデフレのトンネル、不況のトンネルを突破しようという理念に基づきまして、公明党は一昨年、防災・減災ニューディール政策を提唱させていただきました。さらに、当時、非常に懸念されていた道路、橋、トンネルなどのインフラの老朽化対策に対して、全国的に総点検を行い、長期にわたって安全かつ低コストで維持管理をするストックマネジメントを導入すべきであるということも申し上げさせていただきました。放置していれば、そうした老朽化による事故が起こりかねない箇所を確実に改善し、さらに、トータルコストが圧縮できる。国と地方の財政負担の緩和と、資本の確実な安全性の担保を同時に進めるという意味で、これは決して無駄遣いでもばらまきでもないということは、先日の本会議でも申し上げさせていただきました。

 今回の道路法等の改正案も、こうした総点検と長寿命化の実現に寄与する法案であると認識しているわけでありますけれども、防災・減災ニューディール政策、そして自民党さんが提案された国土強靱化、この二つの政策について、今後どのように展開されようとしているのか、まずお伺いをしたいと思います。

持永政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御存じのように、防災・減災等に資する国土強靱化基本法、これが昨年十二月に、公明党さん、自民党さんの御提案によりまして、議員立法ということで成立いたしております。この法律、私ども政府から言うのはちょっと差し出がましいかもしれませんが、この法律の策定に当たりましては、公明党が提唱しておりました防災・減災ニューディールの政策、それから自民党が提唱しておりました国土強靱化の政策、双方を十分に踏まえて立案されたものであると承知いたしております。

 この法律の成立を受けまして、私ども政府といたしましては、大規模自然災害に対しまして脆弱性評価を行いまして、必要な施策に重点化しながら、ハード、ソフトを組み合わせて計画的に取り組んでいくこととしております。このような進め方、法律にも書いてある進め方でございますけれども、まさに、防災・減災の総点検を御提唱なさっておられた防災・減災ニューディールの政策とも符合するものと考えております。

 現在、政府におきましては、法律に基づきまして、基本計画の策定に向けた脆弱性評価を行っているところでございますが、五月ごろをめどに基本計画を策定したいと思っております。

 それから、先ほど委員からは、インフラ老朽化またはストックマネジメントの問題についての御指摘がございました。

 私ども政府におきましては、昨年十二月に、法律に基づく基本計画のもと、たたき台のようなものですけれども、もとということで、国土強靱化の政策大綱というものを策定、公表させていただいておりますが、この中でも、インフラについて、トータルコストの縮減でありますとか平準化を図りながら計画的な維持更新が必要だということも明記しておりまして、今後策定いたします基本計画の中でも、このような趣旨は盛り込んでいく必要があると思っております。

 また、基本計画策定後の話になりますけれども、その後におきましては、国だけではなくて、地方、民間でも取り組んでいただけるように、例えば地方での計画づくりなどをサポートしてまいりたいと考えております。

佐藤(英)委員 ぜひ鋭意進めていただければと思います。

 次に、具体的に、市町村道にかかわる件についてお伺いをしてまいりたいと思います。

 きのうも水上から老朽化の現状を見させていただきましたけれども、これは首都高速道路だけではなく、やはり全国津々浦々で抱える課題でもあるし、そうした不安を、視察をさせていただきながら感じました。

 全国の道路にかかる橋梁は七十万橋ありますけれども、その七十万のうち、市町村道にかかっているものが五十二万に及ぶわけであります。

 そもそも、七十万橋梁の全てに対して調査、点検をし、劣化の程度を判定し、緊急度の高さと具体的な対応について、つまり、長寿命化のメンテナンスを行うべきか、あるいはかけかえるしかないのか、一つ一つ分析をして、そしてまた事業化して実施することで、この事業はとてつもなく大規模な、国家的な事業ではないかなと私は痛感をしているところであります。

 全国的に劣化が相当に進んでおり、この五年間で通行規制が行われるケースが二倍にまでふえているとも伺っておりますので、かなり早急に点検を行う必要性があると認識しています。また、点検後の劣化の度合いの判定について、全国の市町村道が、膨大な数の橋梁について、適正な点検、的確な診断ができるかどうかにかかっているわけでもあります。

 ところが、実は町の五割、村だと七割が、橋梁保全に必要な知識経験を備えた土木の技術者がいないという深刻な状況に陥っていることがわかってきたわけであります。

 そこで、まず、現在までに点検がどの程度進んでいるのか、また、点検、診断に必要な技術者の確保を市町村に対してどのように対応していかれるのか。また、市町村の多くは財政力に大きな課題を抱えていますので、今回の法改正で、高速道路は財源手当てができるわけでありますけれども、市町村についての支援策などをどのようにしていくのか、ぜひ具体的にお答えをいただければと思います。

徳山政府参考人 市町村道の橋梁につきまして、比較的長い十五メートル以上の橋梁の点検につきましては、平成二十五年四月現在、九割以上実施されているとの報告を受けておりました。ただ、これにつきましては、十五メートル未満の橋梁が、まだ課題が残っておりますし、点検がされたものにつきましても、遠望目視というか、遠くから見るものがほとんどでございまして、その質には課題があるというふうに認識をしております。

 そのため、全ての橋梁やトンネルなどは五年に一度、近接目視で点検する等、道路管理者の義務を明確化する省令を三月三十一日に公布したところでございます。これによりまして、全国約七十万橋のうちの約五十万橋を管理する市町村の役割と責任はますます重くなるわけでございますけれども、予算、人員、技術の面で大きな課題があるため、先生御指摘のとおり、この支援が大変重要になってまいります。

 これまでにも、国交省といたしましては、防災・安全交付金による財政的支援や、昨年の道路法改正によりまして修繕等の代行制度を創設するなど、支援策を講じてまいりました。今後は、四月十四日に道路分科会からいただいた提言を踏まえまして、点検を適正に実施している市町村に対して、交付金の重点配分、あるいは点検業務等の地域一括発注、国の職員等による診断の技術的支援などを実施いたしまして、国交省としては、メンテナンス元年に続く年といたしまして、本格的な実行の年となるように積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

佐藤(英)委員 都道府県そしてまた市町村の道路行政にかかわる方々に、本当にやる気を起こしてもらえるような応援を、ぜひお願いしたいと思います。

 次に、都市の道路環境のあり方に関する問題について伺いたいと思います。

 本当に、東京都内の道路、首都高も、やはり混雑の問題というのが大きな問題であろうかなと思います。そうした中で、数年前に東京都がロードプライシングを導入するか否かで世論をにぎわわしたことがありました。結局、見送りになったわけでありますけれども、一方で、今後は首都高速道路などで、混雑緩和のために迂回路線の値下げなどを実施していかれるということでございます。

 私は、こうしたロードプライシングなどの手法を導入することで都市部への自動車の流入量を一定程度コントロールすることは、東京のような大都市においては必要な施策ではないかと考えます。今や、東京、大阪などの大都市圏においては、公共交通機関の整備は網の目のように発達しており、駅から駅へ、電車に乗るより歩いた方が早いという区間もあるほどであります。

 このロードプライシングは、既にロンドンやシンガポールでは実施されております。日本においても、都心部の一般道などを含め、混雑税のような、一歩進んだロードプライシングを検討するなどをしてもよいのではないかと考えておりますけれども、都内に自動車通勤などで日常的に車を乗り入れておられる方についても、障害や病気など、どうしても車でなければいけないというような特殊な事情のある方を除いて、なるべく避けていただくことによって、環境負荷の低減、渋滞や事故による外部不経済の軽減、災害時の安全性向上にもつながっていくものと思います。

 このロードプライシングや大都市圏への自動車の流入規制について、これまでどのような検討がされてきたのか、また、今後の方向性についても、あわせてお聞かせいただければと思います。

徳山政府参考人 渋滞は、言うまでもなく、交通需要の方が供給する道路の容量を超えた場合に起こるわけでございますから、これの対応策としては、道路の供給をふやすか、交通の需要の側を工夫するか、この二つになるわけでございます。

 そういう意味では、都心部における渋滞の緩和策として、必要な道路を整備することも重要でございますけれども、これとあわせて、道路を賢く使うという観点から、いろいろなやり方がございます。例えば、通勤のピークのシフトをしてやる、あるいは、通過交通を環状道路へうまく誘導してやるというような、既存のネットワークの使い方を工夫するということが重要になってまいります。

 ロードプライシングといいますのは、こうした工夫の一つでございまして、例えば、都心部に入る通行車両に課金を行うことによりまして、都心への流入を規制するというやり方でございます。一つの有効な施策であると思います。

 このロードプライシングにつきましては、海外事例の収集や、導入に当たっての課題の整理を進めてきたところでございます。例えば、先生の御指摘にありましたロンドンでございますけれども、二〇〇三年に導入をされました。現在、中心部の二十二平方キロメートルの区域を対象に実施をされていると承知をしております。二十二平方キロといいますと、日本でいいますと、ちょうど千代田区と中央区の面積を足したぐらいの大きさ、かなり大きなエリアで、ロンドンは大変な議論を経て、このような施策を導入したわけでございます。

 御指摘にもありましたが、ロードプライシングの導入に当たっては、対象とする区域と車両をどうするのか、課金の額をどのように決めるのか、実施内容をどう整理するのか、こうした課題、あるいは、地域住民の合意の獲得といった課題があると考えておりまして、このことも踏まえまして、引き続き検討を進めてまいりたいと考えております。

佐藤(英)委員 今、局長から、道路の供給、そして車の需要という関連性についてお話がございましたけれども、おっしゃるとおりであると思います。

 そうした観点も含めて、次に、防災という点からお伺いさせていただきたいと思うのであります。

 大地震が発生したら、車は道路の左側端に、エンジンをとめて、キーを挿したままに駐車しなさいと、恐らく今でも教習所で教えているのではないかと思いますけれども、あの三・一一での東京の様子を見る限り、これを実際に行うのは決して容易ではないと思います。

 過日、NHK特集で、震災時に残された膨大なデータ分析をして、今後の大規模災害にどう備えるべきかを考えるという番組がありました。その中に、震災発生時の都心部での交通の状況に関するものが紹介されておりました。

 午後二時四十六分の地震発生から、わずか数十分後に発生した渋滞は、過去に類を見ない極めて激しい渋滞であり、交通量はふだんの二十八倍にも達したそうでありました。救急車や消防車などの緊急車両の走行を妨げ、被害拡大につながったのではないかとの指摘もありました。移動中の業務用車、運送業車、旅客関係の車などに加えて、土日にしか動かない車や、ふだんはその時間には動いていない通勤の車が次々に各所の駐車場から動き出したことが原因であると分析されていたわけであります。

 また、高い発生率が指摘されている首都直下地震や南海トラフ型連動地震が起きたときに、同じような状況に陥ったら、これらの車は火災の延焼の要因となるわけであります。いわば車が凶器と化す可能性があるということです。幹線道路にロックアウトされた車両がぎっしりと並んだ場合、本来延焼を食いとめるための広い道路が、火災を広げる元凶となってしまう危険性が逆にあるわけであります。事実、関東大震災では大八車が延焼を拡大し、多くの被害者を生んでおり、現代では大八車のかわりに自動車が火災延焼の触媒になる危険性があるとも言われているわけであります。

 大規模災害発生時には車での移動を明確に制限するということ、そして、人もむやみに移動しない、帰宅しないという大原則を徹底しなければならないと思います。こうした危険性の周知徹底と災害時の交通規制の初動について、どのような対策を講じられているのか、お伺いをしたいと思います。

日原政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、大地震発生時におきます道路交通渋滞対策は極めて重大な課題だというふうに認識しております。

 昨年の十二月に中央防災会議の首都直下地震対策検討ワーキンググループがまとめました最終報告におきましても、震災発生時におきます被害の様相のまず第一番目として道路交通問題を取り上げておりまして、「発災直後から、特に環状八号線の内側を中心として、深刻な道路交通麻痺が発生し、消火活動、救命・救助活動、ライフライン等の応急復旧、物資輸送等に著しい支障等が生じる可能性がある。」というふうなことがうたわれているところでございます。また、そうしたことを避けるために、各個人に対する呼びかけとして、「皆が動けば、皆が動けなくなる」ということをきちんと理解してほしいということも申し上げておるところでございます。

 私どもといたしましては、こうしたことが大変大きな課題であるということを認識いたしまして、今、国土交通省、警察庁、東京都、その他関係機関とともに、こうした地震発生直後におきます、道路を使えるようにするためにはどうしたらいいかということを検討している最中でございます。

 また、帰宅困難に対しましても、従来は、すぐ帰すようにというような形でおりましたけれども、帰宅困難者が動くことがまた大きな混乱を招くということで、今、三日間程度は会社あるいはその場にとどまっていただくようなことを周知しているところでございます。

 道路交通問題に対しますさまざまな課題につきまして、まだまだ認識が十分行き渡っていない点もございますので、一層の普及に努めていきたいというふうに思っております。

佐藤(英)委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 次に、北海道の道路についてお伺いをさせていただきます。

 平成二十六年度の予算では、北海道横断自動車道の倶知安余市道路のうち、共和―余市町間を新規事業として採択をいただきました。関係者、また地元の方々も大変な喜びでございます。本当にありがとうございました。

 さて、全国の供用率が八〇%近いのに対して、北海道は五五・六%。未事業化延長は、全国でわずか五・六%に対して、北海道はいまだに三割が未事業化であります。ミッシングリンクどころか、半分しかできていないというような状況であります。一日も早く高規格道路が整備されることを望む声は大変なものがあります。災害発生時や積雪の凍結時のリダンダンシーの確保を考えれば、高規格道路の整備は極めて重要な課題であります。

 都市間距離が全国の二倍の北海道の経済は、高規格道路ができていないことには何とも先が見えないというような状況もあります。また、救急救命センターのカバー面積が全国の五倍と大変に広いことを考えれば、今後、特に事業化をお願いしたい区間は、全ての区間と申し上げたいところでありますけれども、あえて申し上げれば、北海道横断道路の黒松内―倶知安間のうち、共和―倶知安間がまず第一であると思います。あわせて、縦貫道の函館―七飯間を求める声も上がっております。

 一般国道自動車専用道路で申し上げれば、まずは帯広広尾道路の整備を何とかお願いしたいと存じております。また、あわせて日高道、旭川紋別道、函館江差道をお願いしたいと思います。これらの道路の事業化について見通しがあれば、お聞かせいただければと思います。

徳山政府参考人 高速道路につきましては、平時におきましても、地域の活性化や物流の効率化に大きな効果があるわけでございますし、非常時には、一つの道路が遮断されるとほかに選択肢がないといった災害時の弱点を克服するためにも必要なものと認識をしております。

 北海道の高速道路につきましては、農林水産業の競争力を高めるとともに、冬期の地吹雪や火山災害、地震災害などに対応するために重要でございます。現在、北海道の高速道路は、先生御指摘のとおり、整備率約五六%ということでございまして、全国平均の七六%に比べて低い数字となっておりまして、地元から早期整備について強い要望を受けているところでございます。

 今年度、北海道横断自動車道の共和―余市間、延長二十七・六キロメートルを新規事業化したわけでございます。今後とも、北海道の競争力の確保や災害時におけるリダンダンシーの確保の観点から、必要な道路ネットワークの強化について重点的に取り組んでまいりたいと考えております。

佐藤(英)委員 ぜひ、道路局長、順次進めていただければなと思います。

 次に、交通安全についてお伺いをさせていただきます。

 平成七年に私が北海道議会議員に当選させていただいたときの公約の大きな一つとして、交通事故死ワーストワンを返上したいという公約を掲げさせていただきました。その当時は、北海道は毎年のように交通事故死ワーストワンという汚名を着せられておりまして、本当に世界の方々が憧れる北海道に最もふさわしくないのは、北海道は交通事故でお亡くなりになる方が非常に多いという現実でありました。

 北海道は、そうした交通事故死ワースト県として長年汚名の返上に努めてきたところでありますけれども、関係者の方々の努力が実って、この数年は大変に死亡事故が減ってきたのも事実であります。

 最近の死亡事故の傾向について種々データを拝見しますと、一つの特徴は、被害者、加害者とも高齢者が圧倒的に多い。そして、歩行者、自転車が車に衝突されて亡くなるケースが多い。歩行者、自転車は、飛び出しや、横断してはいけないところを渡っているときに事故に遭遇しております。

 また一方、加害者の方は、脇見や漫然運転という理由で事故を起こしている。また、驚いたのには、危ないと気づいたときの車の速度が、三十キロ未満とか三十キロとか五十キロという、比較的普通の速度であったケースが多いというのでありました。

 したがって、高齢者の方々にしっかりと交通安全指導を行うこと、運転される高齢者はなるべく不要な運転を避け、より集中して、注意して運転をしていただくということが必要でありますけれども、飲酒運転や暴走運転というような、言ってみれば、はっきりとした違法性に基づく事故でないために、減少対策もかなり複雑化、また難しくなってきているのではないかなとも思うのであります。

 最近、衝突回避の機能を搭載した車が開発され、実用化されております。さらに現在は、万が一、人や自転車に衝突したときに与える衝撃を弱くする研究も進んでいるということであります。こうした技術が、より安価に、交通の現場に積極的に出てくるようにする必要があるのではないかと思います。

 交通死亡事故、交通事故の減少のために、こうした車の側の技術革新について、現在の取り組み状況についてお伺いをいたします。そして、道路の環境整備において、交通事故の減少のためには具体的にどのような取り組みをされているのか、あわせてお聞かせいただければと思います。

中原大臣政務官 まず、委員並びに北海道が交通事故の減少に対して長年取り組んでこられたことに敬意を表したいと思います。

 日本における交通事故による年間の死者数ですけれども、交通戦争と言われました昭和四十五年の一万六千人強から、平成二十五年は四千三百七十三人と四分の一まで減少いたしておりますが、委員御指摘のとおり、年齢別で見ますと、高齢者の死者数が二千三百三人と約五三%を占め、高い割合になっております。また、状態別で見ますと、歩行中、自転車乗用中の死者数も二千百八十四人と約五〇%を占めている現状であります。

 国土交通省といたしましては、高齢者や、歩行中、自転車の乗用中の安全、安心の確保は重要な課題と認識をいたしております。このため、車側の安全対策としては、自動車にはねられた歩行者の頭部や脚部への衝撃を軽減するような安全基準の強化、また自動ブレーキ等の先進安全自動車、ASV技術の開発、実用化等の対策を進めております。

 また、道路環境整備といたしましては、歩道、自転車道の整備、車両と歩行者との接触を防止するためのガードレールの設置、車両速度を抑制するハンプ、狭窄等の設置等の整備を進めているところでございます。

 今後とも、関係省庁と連携をいたしながら、交通事故の減少のために万全を期してまいりたいと考えております。

佐藤(英)委員 ぜひ、車の改良、そしてまた交通事故が起きないような道路環境の整備についてお願いをしたいと思います。

 最後に、先ほど冒頭、太田大臣も社会資本整備審議会道路分科会での提言について述べられておりましたけれども、昨日の視察、そしてまた私も再度この提言を読ませていただきまして、本当に道路のメンテナンス、改善は待ったなしというようなことをすごく痛感いたしました。

 「最後の警告―今すぐ本格的なメンテナンスに舵を切れ 静かに危機は進行している」、冒頭にこう書かれてありました。「高度成長期に一斉に建設された道路ストックが高齢化し、一斉に修繕や作り直しが発生する問題について、平成十四年以降、当審議会は「今後適切な投資を行い修繕を行わなければ、近い将来大きな負担が生じる」と繰り返し警告してきた。」

 この警告というものを単なる警告に終わらせないためにも、この道路法の改正が早急に行われるよう強く要望いたしまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

梶山委員長 次に、若井康彦君。

若井委員 民主党の若井康彦でございます。

 今回の道路法等の改正につきまして質問させていただきます。

 まず、今回の法改正の一番のベースになっております高規格幹線道路網計画一万四千キロについて質問いたします。

 資料に、図を配らせていただきました。これが高規格幹線道路の図柄であり、また、それの事業の進捗状況。そして、その裏のページには、これをどういう事業手法によって進めてきたのかということがございます。

 高規格幹線道路網一万四千キロ、この経緯と現状、あるいは今後の見通しについて、ごく簡単に御説明いただきたいと思います。

徳山政府参考人 お答えを申し上げます。

 高規格幹線道路一万四千キロの内訳は、高速自動車国道が一万一千五百二十キロ、一般国道自動車専用道路が二千四百八十キロとなっております。

 その計画につきましては、昭和四十一年に、全国からおおむね二時間以内の到達可能という考え方で、まず七千六百キロの計画が策定され、昭和六十二年に閣議決定された第四次全国総合開発計画におきまして、この七千六百キロをもとに、全国からおおむね一時間程度で利用可能になることを目指し、一万四千キロの高規格幹線道路網計画が決定されたわけでございます。

 見通しということにつきましては、この一万四千キロの高規格幹線道路網計画について、現在、計画そのものを変更する予定はございません。

若井委員 今、局長の、このスキームを変えるつもりはないということをお聞きいたしましたけれども、その前提で私どもも議論を進めさせていただきたいと思います。

 とにかく、この間、一万三千キロ近い高規格幹線道路網が形成をされてきたわけですけれども、我が国の国民全ての共通の社会資本として大変貴重なものだというふうに思いますし、その最大限の有効活用をするためにどのような方法があるかということを今議論しているのだというふうに認識しております。

 私ども民主党も、こうしたストックをより安く、あるいはできるだけ無料化することによって、その利便性を高めるという意味で社会実験等も重ねてまいったわけでありますけれども、その経験をもとに、ぜひ積極的な御提言をさせていただきたい、このように思う次第です。

 それでは次に、この高速道路一万四千キロでありますが、これは当然、将来の交通量の想定に基づいて計画をされ、そして建設され、運用されているというふうに認識をいたしますけれども、先般からの、例えば国土のグランドデザイン等の議論におきましても、これから人口が五十年で四千万人あるいは五千万人減るんだという想定もございます。

 今回のこの試算の前提になっている資料を見せていただきますと、平成七十七年までの交通量の見通しについては、ほぼ横ばいというようなことが書いてあるわけですけれども、現実にはかなり交通量は減ってくるはずではないか、特に地方圏等においては非常に深刻な状況になるのではないかというふうに考えておりますけれども、このような変化を織り込んでいるのかどうか。そして、もしこうした変化が明らかになった場合には、これについて対処をしていく、そうした考え方でいいのか。大臣にお聞きをしたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

太田国務大臣 交通需要の推計につきましては、いろいろ、これは時代とか人口ということで、確かに変わってきます。経済状況ということもあろうというふうに思います。そういう点では、五年に一回調査をしているわけですが、道路交通センサスなどの交通状況や各種の社会経済指標等の最新データを用いて推計して、償還計画に反映させていくということになります。

 平成六十二年度以降は、それまでのトレンドで需要が減少すると仮定して交通量を想定することとしているわけではありますけれども、高速道路に関しまして、料金徴収期間満了までの非常に長期間となることから、償還計画とその実績の間に乖離が極力ないようにしていく必要があるというふうに思います。

 そういう意味では、常に最新の償還状況を踏まえて適宜必要な見直しを実施し、そして、コストの縮減であるとか、あるいは事業のスピードの調整であるとか、料金割引の点の調整であるとか、こうしたことを講ずるというようなことになろうというふうに思います。

若井委員 ぜひ、必要な段階でしっかりとした見直しをしていくことをお願い申し上げたいと思います。

 そして次に、今できている現状を前提としても、そして、これからなるべくお金のかからないように節約をするにいたしましても、より利便性を高めていく、あるいは有効活用を図っていくために、お金のかかることは覚悟しておかなきゃいけないことだと思いますし、それについてはしっかりとした見通しを立てておくべきだと。

 今回、更新投資が、大規模修繕も含めて四兆円ぐらい要るだろうということも、その第一の課題だと思います。それ以外に、例えば、この有効活用のために、今回スマートインターチェンジの制度等も導入をされている。あるいはさらに、この間、ETCが非常に普及をして高速道路の使い方を根本的に変えてきたわけですけれども、こうしたETCに見られるようなICTの技術といいますか、そうしたものをどういうふうに導入をしていくのか。これらのお金については、今、計画で述べておられるように、維持管理という範疇で本当にこれはカバーができるのかどうか。その点について、例えばスマートインターチェンジを例に御説明いただきたいと思います。

徳山政府参考人 スマートインターチェンジでございますけれども、再三申し上げておりますが、我が国のインターチェンジ間隔は平均で約十キロ、欧米の平地部の無料の高速道路の五キロと比べて非常に長くなっておるというわけでございます。

 この無料の高速道路と有料とでは大分様相が変わっておりまして、無料の高速道路では、アメリカやイギリス等を見ますと五キロのピッチでございますし、日本だけではないのでありますけれども、有料の高速道路になりますと、料金収受員のコストのために、インターチェンジをたくさん置くことで不採算になるということがございまして、なかなか、たくさんつくれなかったわけでございます。ETCの技術を活用することで、スマートインターチェンジを整備することができるようになったわけでございます。

 いわば、整備をする部分のコストを削減してくれてETCでインターチェンジがつくれる、こういったようなものでございまして、これは、今回の法律で新たにお願いをしております更新とは違いまして、従来の新規の建設、改築、維持管理の方の範疇に入る事業として現在の償還計画の中に入れておるわけでございます。

 いずれにしましても、欧米諸国と同等の五キロの水準を日本も平地部については目指して、こうしたインターチェンジを計画的につくってまいりたいと考えております。

若井委員 それから、今できている高速道路網、これをさらに有効利用するという上で大変に大きな意味があると私も思いますけれども、例えば残された千二百キロほどのできていない部分について、特に首都圏、あるいは阪神圏、中京圏の環状道路、恐らく地方圏でつくっている高速道路の十倍も二十倍も、あるいは三十倍もお金がかかる路線だと思うわけですが、これに投入をする財源というようなものは、ある程度見通しが立っているというふうに考えていいんでしょうか。

徳山政府参考人 高速道路のこれからの事業でございます。

 事業中のものもいろいろございます。都市部におきましては、外郭環状道路などの環状道路にも期待されておりますし、地方におきましても、地域の活性化あるいは災害の安全度を高めるという意味からも期待されている道路がございます。

 現在の事業中のものにつきましては、償還計画の中で手当てがなされております。それ以上に必要な道路をつくるということになりますと、当然これは、現在、新規建設については四十五年で償還をするという計画、四十五年間というのが上限でございますから、この四十五年の中でおさまらないものは建設することができません。

 コストの縮減やいろいろな工夫をした中で四十五年間におさまるもの、そして、道路そのものが、厳しい評価をした中で、ふさわしいものであるという、この二つの条件がクリアできるならば、こういったものについても適切に整備をしていく、このような考え方を持っております。

若井委員 残すところ、あと三十五年ぐらいですかね、償還が終わるまで。その間に、つくれる道路をしっかりチェックしていくという今の局長のお話だったと思います。私も、まさにそうであろうというふうに思いますし、ぜひその点、よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 三番目に、新直轄や国道の自動車専用道路についてお聞きをしたいと思います。

 営業収支の表を見ておりますと、首都高速や阪神高速のように年間二千億円程度稼ぐようなところもあれば、一年間でわずか七千万円しか収入のないという、長さの問題もありますけれども、そういう路線もあり、とにかくさまざまだというふうに思っております。これをいろいろ事業の手法等で見ていくと、最初から通行料がない、要するに無料化をしている路線が現段階で三千百四十七キロある。これは、今の事業手法の延長上でいくと、四千キロぐらいは恐らくそういう道路になるのではないかというふうに私は推測をしております。

 さらにその上に、この間、我が党でいろいろ議論をしてまいりました、割引をしたり無料化をしたりしても渋滞を生じない、つまり、利便性は増すけれども、コストの、マイナスの方からは制約にならない。それは逆に言えば、割引をしたり無料化をしたりすれば高速道路の役割を果たさなくなるというところが、さらに四千キロから五千キロあるということでもあります。

 その部分については、さまざまな方策によって割引、要するに低廉なコストで利用ができる、あるいは無料化をする、そうした部分を今後も議論していくべきじゃないかというふうに考えておりますが、例えば新直轄や国道自動車専用道路については、どのような考えで税を投入し、あるいは無料化をしているのか。その点について、ぜひ御説明をお願いしたいと思います。

徳山政府参考人 新直轄方式のお尋ねがございました。これは道路関係四公団の民営化の議論の中で導入されたものでございまして、先生御指摘のとおり、無料の高速道路として地元では理解をされているわけでございます。

 民営化の議論で焦点になりましたのは、道路としての、会社としての採算性の問題と、社会全体としての効果の話、これは二つ区別して考えなきゃいかぬ、こういうことでございました。採算性という意味では、要するに会社の経営という面では、なかなか有料道路方式の整備にはなじまない、黒字になりにくいという道路であっても、社会的には効果の大きな高速道路、税により無料の高速道路で整備することで大きな効果を発揮させる道路というものが存在するわけでございまして、こうした道路について整備をするための方式として、新直轄方式が入ったわけでございます。

 具体に申し上げますと、無料であれば便益が費用を上回っておる、もちろん、便益が上回らない道路はだめでありますから、便益が費用を上回るという、無料であれば上回るけれども有料道路としては採算がとりにくい道路、あるいは、極端な場合は、有料道路としたがために交通量が少なくなって、結果として効果が低くなってしまう道路、こういったものがございました。

 現在、新直轄方式として、約九百キロメートルでございますけれども、そういう経緯の中で路線を決めながら整備をしておる、こういうことでございます。

若井委員 その意味で、社会的な便益、メリットが採算を上回るという場合にはこうした方式も導入をしながら、この一万四千キロに挑戦をしてきたというふうに理解をさせていただきます。

 その上で、先ほどの議論に戻りますが、これから三十年、四十年あるいは五十年の中で、今、採算線ぎりぎりで道路会社が維持をしている、そうした高速道路について、今のような状況にやはり変わっていく道路が出てくるだろうと私は想像しておりますけれども、こうしたものを現在のスキームから切り離して、例えば、税負担によりこの維持管理コストだけは支えていくというような、そういう変更をしていくべきではないかと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

野上副大臣 平成二十二年の六月から約一年間行われました高速道路の無料化社会実験につきましては、特に地方部において、並行する一般道の渋滞緩和などの面から一定の効果があった一方で、施策の実施に必要な予算制約といった課題があったと考えております。

 このため、御提案の内容につきましては、他の施策との優先度について整理する必要がございますが、いずれにしても、道路ネットワークを効率的に賢く使うということは重要でありまして、高速道路の料金についても、償還計画全体に影響を及ぼさない範囲で、利用重視の観点から適時見直すことが必要であるというふうに考えております。

若井委員 中長期的な課題ではありますけれども、現在の高速道路八千数百キロをプールで、そのまま平成六十二年の償還を目指していくというスキームには、どこかやはり折り返し点といいますか、変曲点が出てくるんだろうと思いますけれども、そのときは柔軟に見直しをしていく、そのことをぜひ御検討いただきたい、このことを重ねて申し上げたいと思います。

 四番目に、維持管理コストについて若干お聞きをいたします。

 先ほど務台委員がお示しになられた資料の中に、維持管理コストが今年度は四千八百五十五億円、この六会社で必要になっているというふうにありましたけれども、維持管理コストが五千億程度かかるということで、そういう認識でよろしいですか。

徳山政府参考人 平成二十六年度の計画におきましては、高速道路会社六社合計で、維持管理費と修繕費を合わせて年間約四千九百億円ということになっておりまして、そのとおりでございます。

若井委員 先ほどの無料化の話と一見矛盾をするようですが、更新が終わった段階で、この維持管理費を誰が、これは全てを税で負担していくのかどうか、このことについては、まだ大きな課題として残されていると私は思います。

 この点について、どうせいこうせいと言うつもりはありませんけれども、今後しっかり検討することを国交省の皆さんに、あるいは大臣にお願いを申し上げて、質問を終わります。

 どうもありがとうございました。

梶山委員長 次に、前原誠司君。

前原委員 民主党の前原です。

 国土交通委員会で質問の機会をいただきましたことを、同僚の皆さん方にまず感謝を申し上げたいと思います。

 まず、高規格幹線道路につきまして、幾つかピンどめというか、まず全体の枠の質問をさせていただきたいと思います。

 昭和六十二年の四全総で決まりました高規格幹線道路の総延長約一万四千キロということでありますが、まずお伺いしたいのは、これ以上の高規格幹線道路はつくらないということでよろしいでしょうか。

太田国務大臣 この一万四千キロの高規格幹線道路網計画というものは、そのままに置いておくということです。

 そこの、現在着手している、そしてまた供用しているということの間には、約一千百ぐらいの事業化していないところがありまして、そこについてはよく中身を吟味して、また償還計画ということもよく考えて、どうするかということはこれからの検討ということになろうと思います。

前原委員 次の質問までお答えをいただいたんですが、要は、法律で決まっているものでありますので、その一万四千キロからさらにつくるということは今はない、そういう計画はないということでよろしいかという質問が第一番目だったんですけれども。

太田国務大臣 現在の計画、それ以上ということは、一万四千として決めた路線がありますから、その中のことについては、未事業化の区間ということについては、先ほど申し上げたように、中身をよく吟味するということでございます。

 ですから、計画自体としては、一万四千というのはそのままなんですけれども、中身をよく吟味するということで、それ以上かどうかということについては、それは今後のお話になると思いますが、あくまで一万四千は一万四千、その中のことについてはよく中身を吟味する、何が何でも一万四千ということでやろうとしているわけではないということでございます。

前原委員 外の話をしているんですけれども、内の話をされている面もありますので、でも、大臣の意向はわかりました。

 つまりは、二番目に伺おうと思ったんですけれども、未事業化路線の扱いとしては約一千百ある、これは高速自動車国道が約八百キロ、そして一般国道自動車専用道路が約三百キロ、合わせて千百でありますけれども、この千百も全て事業化すると決めているわけではない、そういう意味でおっしゃったんですね。

太田国務大臣 そのとおりでございます。

前原委員 若井理事からもお話がありましたけれども、確認でございます。

 BバイCの三便益、走行時間短縮、走行経費減少、交通事故減少、こういうものをしっかりと厳格に適用して事業化をするかどうかを決めるということでよろしいでしょうか。

太田国務大臣 BバイCということについてはしっかりこれをやり、そして、あわせて償還計画というのがありますから、二つの縛りというのは少なくともあるということでございます。

前原委員 便益と償還計画の二つの縛りの中でということでありますけれども、では、次にお伺いします。

 現在、先ほども若井議員からお話がございましたけれども、有料道路方式が八千五百キロメートルということであります。若井議員の表を使わせていただくとそういうことになっておりますけれども、あと、それ以外に、有料または無料というものに高速自動車国道に並行する一般国道自動車専用道路、あるいは一般国道自動車専用道路につきましても有料または無料ということなんですが、償還計画に含まれる高規格幹線道路の総延長と内訳はどうなっているか、お答えをいただきたいと思います。

野上副大臣 現在の償還計画に含まれます高規格幹線道路については、平成二十六年三月末現在で総延長は約九千八百キロメートルとなっておりまして、その内訳は、高速自動車国道が約八千五百キロメートル、高速自動車国道に並行する一般国道自動車専用道路が約三百キロメートル、それから、一般国道自動車専用道路が約九百キロメートルということでございます。

前原委員 今おっしゃったのは償還計画に含まれるという、それでよろしいですね。(野上副大臣「はい、そうです」と呼ぶ)ありがとうございます。

 現在、事業中のものが二千三百ほどございますよね。この二千三百のものができたときに、償還計画に含まれるものはどれぐらいになりますか。

徳山政府参考人 数字について私から答弁をさせていただきます。

 事業中のもの約二千三百キロのうち、償還計画内のものが約七百キロ、償還計画外のものは約一千六百キロ、このようになっております。

前原委員 ありがとうございました。

 さて、新たに未事業区間をどうするかということは別にして、これで大体、償還計画に含まれる道路の全体像というのがわかったわけでありますけれども、この法案に基づいて、償還主義というものの問題点を少し議論させていただきたいと思います。

 これは国土交通省の皆さん方には釈迦に説法でありますけれども、この償還主義というものは二つの観点があります。これは、整備のために調達した借入金を償還期間以内に全て返済するという観点、それから、建設費や管理費などの費用を償うように料金を設定するという料金決定原則の観点、この二つが償還主義というものにあるわけであります。

 これは大臣にお答えいただきたいんですけれども、償還主義そのものが内包する問題点というものにはどういうものがあったと考えておられるか。つまりは、これから償還期間を十五年延ばしますということを議論していく上で、やはり過去の償還主義というのはどういう問題点があったのかということは少し議論をしておく必要があると思うんですが、いかがでございますか。

太田国務大臣 償還ということについて、それが現実に計画どおり返済が進んでいくかどうかということ、そしてまた、プール制というようなことがありますものですから、この辺をどう考えるかというようなこと等が、主な課題というか、論点だというふうに思っているところでございます。

前原委員 私の問題意識とダブる点もあるんですけれども、私は、やはり根本の問題は、今大臣がおっしゃったように、途中からプール制を導入したわけですね。つまりは、一本一本の償還主義でやっていたのを、新たな道路をつくっていくために、全国一本の道路というプール制にする中で、今はBバイCというものが厳密にやられていますけれども、当初は採算のとれないような道路もつくられて、丼勘定で一つにする中で採算の合わないような道路がどんどんどんどんつくられて、そして債務が膨張したといったこと、ここが大変大きな問題点だと私は一つ思います。

 もう一つは、今からお話を伺うわけでありますけれども、維持管理費というものは、償還主義の中で、先ほど申し上げた料金の観点から加味するということであったわけでありますけれども、今回の法律改正のように、大規模更新とか大規模修繕への対応というものを加味しなかったということが、私は今回の償還主義の二つの大きな問題点だというふうに思いますが、いかがですか。

太田国務大臣 そこは、まさにそのとおりだと思います。

 そして、もう一つは、債務がちゃんと返済できるかどうか、ここはきちっとやっていかなくてはいけないことだというふうに思っています。

前原委員 首都高を少し例に挙げてお伺いをしたいわけであります。

 首都高速は総延長が約三百一キロメートルでありますけれども、これから首都高は、その三百一キロメートルの約五分の一を、大規模更新が約八キロメートル、そして大規模修繕が五十五キロメートルというのを手当てするということなんです。

 先ほどプール制の問題点で指摘をしたように、大規模更新、大規模修繕への対応を加味しなかった、したがって、それについては料金設定にも含まれていなかったわけでありますけれども、まずお聞きしたいのは、単純に、この五分の一というものを考えたときに、では、あと五分の四あるわけですけれども、五分の四は大規模更新とか大規模修繕は必要ないのかということなんです。

 これは今どうなっているんですか。五分の一が決まっているということですが、どうなっているんでしょうか。

太田国務大臣 今回の更新事業の実施によりまして、平成七十七年を上限とする料金徴収期限におきまして、構造物を健全な状態で本来道路管理者に引き継ぐことができるというふうに考えています。

 今御指摘の大規模な更新ではないという区間については、通常の維持管理、修繕によりまして、同様の健全な状態で本来道路管理者に引き継ぐことができるというふうに考えているところでございます。

 首都高の場合は、つくったときの経過がありまして、少し、全国いろいろなところに比べまして大規模な更新をしなくてはならない、そういうことが起きてきているということは事実でありますが、ほかのところについても、更新を実施しない区間については、通常の維持管理、修繕によってできるということでございます。

前原委員 今の大臣の御答弁を伺っていると、今回の法律で、平成六十二年から平成七十七年まで十五年間、償還期間を延ばす。延ばすということは、大規模修繕、大規模更新ということを全て行った上で無料化のための引き継ぎができる、そういう御答弁ですか。

太田国務大臣 そのとおりでございます。

前原委員 では伺いますけれども、どういう算定根拠で十五年とおっしゃったのか。

 先ほど申し上げたように、では、大規模更新、大規模改修の、どういった場所を行って、そして、それが幾らかかる。そしてまた、先ほどの償還主義というものは、申し上げたように、料金も決めるものなんですね。では、料金はどのような設定をして、その今ある高速道路というものの、いわゆる償還を終えた中で無料にして引き継げるというふうに考えておられるのか、その根拠を示していただけますか。

徳山政府参考人 想定の内容の事実関係だけ、私から御答弁を申し上げます。

 まず、十五年の決定根拠でございますが、先生おっしゃるとおり、想定する更新事業の規模、そして料金、この両者で決まってくるわけでございます。

 まず、更新事業規模について、首都高で申し上げますと約六千三百億が必要である、こういうことが先に決まってまいりました。料金につきましては、現在の償還の中で決めております料金、これを前提にいたしまして、これを十五年間延長するという形の中で考えましたところ、この料金で十五年程度、首都高の場合は延長していただくとこの六千三百億円が捻出できる、このような想定になっております。

前原委員 徳山局長、今のは首都高の話ですね。この法案全体でいうと、高規格幹線道路ですよね、これを平成六十二年から平成七十七年まで十五年間、償還期間を延長することによって大規模更新、大規模改修というものも行えるということですので、首都高以外、NEXCO三社、本四も含めて、どういう算定根拠で、そして値段、料金設定はどういう形であって、平成七十七年には管理者に無料で引き継げるという算定をされているんでしょうか。

徳山政府参考人 四社個別に申し上げます。

 首都高については今申し上げたとおりでございます。NEXCO三社につきましては更新の事業規模が約三兆円ということ、そして、阪神につきましてはこれが約三千七百億円、本四につきましては約二百五十億円、こういう数字でございました。

 料金については、現在の六十二年までの料金をトレンドとして、その形で延長するということでそれぞれの会社の料金をセットしておりまして、この数字で申し上げますと、首都高がこの六千三百億を賄うためには十五年と申し上げましたが、阪神高速については、この阪神の料金で賄うには十二年程度、NEXCO三社に対しては十年程度などと、このような数字でございまして、上限をとって十五年の延長をお願いしておる、こういうことでございます。

前原委員 私も一年間国土交通省にいましたので、余り意地悪な質問はしたくないわけでありますけれども、今までのこの償還主義というのは、延長延長の歴史ですよね。もちろん、大規模改修、大規模更新ということではなくて、例えば、まず申し上げると、昭和四十七年に料金プール制が導入されたときには、償還期間は三十年で、料金水準は普通車でキロメートル当たり八円。平成元年までに料金水準はキロメートル当たり二十三円に上がって、そして、平成七年には償還期間が四十年に延ばされて、料金もキロメートル当たり二十四・六円。そして、平成十一年には償還期間が今度四十五年に広げられたということです。

 このケースは、先ほど私が償還主義の問題点で申し上げた、そしてまた大臣もそのとおりだとおっしゃっていただいたように、どんどんどんどん新たな道路をつくっていく中で、丼勘定的なものがあって、結果的に料金を上げ、そして償還期間を延ばさなきゃいけなかったということがあるわけでありますけれども、これからは新規のものがかなり抑制をされていく中で、大規模更新、大規模改修というものを加味して今の算定根拠として各社の金額を挙げられて、そして十五年とおっしゃったということは、これでもう言ってみれば最後の償還延長ということになり得るという判断で本当によろしいんですか。

太田国務大臣 そのつもりで今回法律を提案させていただいたところでございます。

前原委員 そう言わざるを得ないですね。

 いろいろな状況があると思いますけれども、今の御答弁のように、先ほどからの御答弁のように、BバイC、そしていわゆる償還主義というものをしっかりと考える中で、未事業化区間についても精査をしっかりやっていくということと、それから、十五年間延ばしたら、大規模更新、大規模改修というのは全ての会社においてしっかりやった上で、そして無料化として引き継ぐことができるということをおっしゃったわけですので、そういう前提でしっかりやっていただきたいというふうに思います。

 少し実務的な質問になりますけれども、NEXCO三社、首都高、阪神高速のそれぞれの固定資産税免除総額、これを総務省から教えていただけますか。

中原大臣政務官 固定資産税の免税額のお尋ねでございますが、NEXCO三社、首都高速、阪神高速の固定資産税につきましては、非課税措置がなされておりまして、そのような数字はございません。

 なお、一つの試算といたしまして、民営化の議論の際に、道路関係四公団民営化推進委員会におきまして、四公団の固定資産税の税額について、平成十四年に三千四百十億円としたものがございます。

 以上です。

前原委員 先ほど大臣の御答弁で、平成七十七年には償還が終わって引き渡されるということですので、今議論する必要はないのかもしれませんが、ただの道路というのはないわけですよね。例えば、平成七十七年になったときに、それ以降のことを考えた場合には、もちろん維持管理費も要るでしょうし、あるいは、平成七十七年前後に大規模更新、大規模修繕は必要になるというものが見出される可能性というのはあるわけですよね、当然ながら。

 そうすると、その後については、それぞれの国やあるいは地方自治体が、引き継いだ者が税によって行うということになるわけでありますけれども、高速道路というものを考えたときに、繰り返しになりますけれども、ただという道路はないわけでありますので、将来を考えたときに、恒久有料制というもの、つまりは受益者負担。税ではなくて受益者負担として、そういった償還が終わった後のことについても議論をするという、議論は私はあり得ると思うんですね。その点については、大臣、どう思われますか。

太田国務大臣 我が国の道路は、有料化して、そして無料開放というのが原則でありまして、厳しい財政状況のもとで、道路整備特別措置法を制定して有料道路制度を導入してきたという経過がございます。

 恒久有料制につきましては、利用者を初め広く理解が得られるかという課題もあり、今後も慎重な検討が必要であるというふうに考えております。その後、今、前原先生御指摘したようなことも含めて、慎重な検討というものは必要だというふうに思っております。

前原委員 先のことですので、これからしっかりと今私が申し上げたことも一つの案としてぜひ御議論はいただきたいと思うわけです。

 その際に、総務副大臣にお越しをいただいているので、この考え方について正しいのかどうなのかという御判断をいただきたいんですが、なぜ固定資産税が非課税になっているのかということのその前提は、料金徴収期間が経過すれば無料開放されて、何ら制約を設けずに広く不特定多数の利用に供されるということと、あとは、料金水準が建設費等から見て適正な水準、つまりは収益事業ではない、この二つをもって総務省としては固定資産税を課していない、こういう理解をしているんですが、それは正しいでしょうか。

関口副大臣 今、前原議員が御指摘したとおりでございまして、四十五年以内に無料開放される、そして、利潤を含めない等所得が上がらないこと等の性格を考えて、二十七年まで非課税措置をするということであります。

前原委員 そういうこともあります。恒久有料化にすると、固定資産税がかかっているかどうかという大きな問題もありますし、あとは用地費、それからあとは、償還の中に含まれておりますけれども資本金、こういったものもあわせて考えれば、償還期間はもっと短くできるかもしれないわけですね。つまり、用地費は引き継ぐところに任せてもらう、あるいは資本金は返さなくて済むとか、さまざまなことを考えていけば、こういった平成七十七年までということではなくなるかもしれませんし、何よりも、料金を下げられて、つくったものの利用価値を高めるということもできるわけでありますから、そういったさまざまな観点での御議論をいただければということを大臣に要望しておきたいというふうに思います。

 さて、次に、いわゆる建設弘済会の話であります。

 私が国交省におりますときに、幾つかの考え方で行わせていただいたものの一つが、公益法人、そのころの省にある公益法人になりますけれども、民間にできることは民間に任せようじゃないかということで、しかも、それが天下りの団体になっている。特に、私どもが政権交代前の野党であったときに、道路国会というのがありました。そのときに、例えば道路保全技術センターとか、あるいは駐車場整備推進機構とか、こういったものが天下り団体になっていて、そして赤字を垂れ流している。道路保全技術センターに至っては、受注したものをちょっとだけさやを抜いて、そして民間に丸投げをしている、こういうようなこともございまして、結果的に、駐車場整備推進機構は民間企業に譲渡しました。そして、道路保全技術センターというものについては、道路の下の空洞調査というものについては、これは扱わない、民間に任せるということにしたわけであります。

 こういう公益法人の見直しの中で、我々が議論していたものでやはり一番大きかったのは旧建設弘済会なんですね。そこで、きょう資料をお配りしておりますので、ごらんいただきたいと思います。

 一ページ目は、先ほど申し上げたように、民間でできることは民間でやってもらおうということで、一般社団法人化をするということで、それから民間企業に移行させていく、こういうスキームの中で取り組みを進めていただいておりました。

 二ページをごらんいただきますと、現状であります。この九団体につきましては、東北建設協会が一般社団法人の東北地域づくり協会というものになり、同じように、九州は二つ団体がございますけれども、こういう移行をしてきたわけであります。

 そこで、まずお尋ねしますけれども、民間でできることは民間に任せようじゃないかとしてスタートしたこの旧建設弘済会などについて、発注者支援業務については民間に任せるという大きな方向性は変わっていないのかどうなのか、それについて御答弁をいただきたいと思います。

太田国務大臣 その方向は変わっておりません。

 建設弘済会につきましては、前原大臣が二十二年七月ですか、決定した方針に従って、発注者支援業務から撤退をするということを決めさせていただいて、その方向で、今、遅くとも二十八年度中には全ての譲渡を完了するという方向で進めているという、その全体も含めて方向性は変わっておりません。

前原委員 ありがとうございます。それはぜひ進めていただきたいわけでありますけれども、この最後の三ページをごらんいただけますか。

 今、太田大臣が御答弁をいただいたように、こういった地域づくり協会というものから会社に移していくわけですね。民間会社に移していくということであります。今は過渡期なので、まだまだこういった地域づくり協会というものが仕事を受注しているものもありますけれども、これはどんどんフェードアウトしていく、こういう認識でいいのかと思います。

 私がその場合にこだわるのは、右側の、AからPまでありますけれども、最終的には各地域の地域づくり協会の出資というものをやはり引き揚げて、そして純粋な民間の企業としてスタートをさせなくてはいけない。

 また、もともと公益法人を、いわゆる民間にできることは民間にするということの一つの大きな視点は、内部留保がいろいろな公益法人にたまっていて、それをやはり国庫に返納してもらうということが大事だったわけでありますので、その観点から、このAからPの会社は、最終的には、資本も引き揚げるということと、それから内部留保についてはしっかりと国に返納する、その二つの方針がこれまた堅持されているかどうか、お答えをいただきたいと思います。

太田国務大臣 そうした方向で行っております。すぱっとできなかったのは、円滑な業務の移管を進めるということ、それでノウハウを、技術ですね、私も技術屋の端くれなものですからわかるんですが、技術の継承ということは簡単にできませんものですから、技術を継承する、そして雇用の確保ということの観点から経過措置というものがあるんですが、方向性はそのとおり、先ほど申し上げましたように、二十八年度中に全て譲渡完了。その間に出資が行われたりしておりますが、それがもうなく、そして、全て発注業務等が終わった後には国庫の返納ということも検討するという、全ての方向については現在変わっておりません。

前原委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 最後に、十分ほど時間がありますけれども、日本航空の問題についてお話をさせていただきたいと思います。

 日本航空の問題については、民主党政権でやったことについていろいろと御批判があるというのは私も承知をしております。そして、このことについて、幾つか事実関係をまず確認しておかないといけないと私は思っておりまして、その点をしっかりとお話をし、そしてこれが、民主党政権がやったことで、例えばJAL、ANAの政治対立になってはいけないという思いを私は持っているわけです。

 私のきょうの趣旨の結論を先に申し上げると、エアラインの国際競争というのは激しいですよね。そして、三つのグループが世界ではあります。スカイチーム、これは日本の航空会社は入っていません。ワンワールド、これは日本航空。そしてスターアライアンス、これは全日空。こういったアライアンス間の競争の中で、しかし、日本の航空会社というものが、お互いしっかりと競争を持ちながら世界でのエアラインの競争に勝ち抜いていくということを、コップの中の嵐ではなくて、そういったことをどういうふうに担保していくのかということが大事だという視点で質問をいたしますので、そこはぜひ、その前提でお答えをいただきたいというふうに思うわけであります。

 まず、日本航空の再生の中で、時々、不正があった、こういうような話があります。これは極めて心外な話なんでありますけれども、例えば企業再生において不正があるということは、法制局、どういう意味になるんでしょうか。

林政府参考人 お答えいたします。

 不正という言葉は、それ自体法令用語ではなく、一般には、正しくないこと、正義に外れることといった意味で用いられるものであると承知しております。その上で、法令上用いられている場合もございますが、その場合には、それぞれの法令の規定において一定の法律的意味が与えられて用いられているものと認識しているところでございます。

 その意味で、一概に不正の定義を述べることは困難なところでございます。

 以上でございます。

前原委員 何か質問がしにくくなりましたね。

 大臣、今の法制局の御答弁を踏まえてですけれども、いろいろと内部で調べられたと思いますが、日本航空の再生過程において、いわゆる不正というものがあったというふうに認識されていますか。

太田国務大臣 最もよく知っていらっしゃるのは前原先生だと思いますが、いろいろな意見がございます。そして、物事というのは、終わった後でも、いろいろ言うことは、歴史的評価というのはいろいろあります。

 しかし、この日本航空の再生は、企業再生支援機構において主導的に進められたものであって、その過程において違法な行為等が行われたとは聞いておりません。

前原委員 そうなんです。不正もなかったし、また、手続的な瑕疵はなかったと思っています。

 その上で、もう一点大臣にお答えいただきたいんですけれども、今大臣がまさにおっしゃったように、企業再生支援機構というものをプラットホームに使ったわけですね。そして、それによる法的整理、会社更生法というものを適用したわけです。そのやり方が、大臣の判断としてよかったのかどうなのか、あるいは、よくないという判断をされた場合に他にどういう選択肢があったのか、これは大臣の個人のお考え方でも結構ですので、お答えをいただきたいと思います。

太田国務大臣 日本航空につきまして、再生支援決定時の政府声明におきまして、二十二年一月の閣議了解でありますけれども、我が国の発展基盤である航空ネットワークの重要な部分を担っていることから、同社が再生を果たすまでの間、政府としても必要な支援を行う、このようにされております。

 なお、日本航空の再生に向けた手法の検討過程において、私的整理という選択肢もあったものと聞いておりますが、最終的には、裁判所が関与し、透明性、公平性が確保された手続である会社更生法の適用を選択したものと聞いているところでございます。

前原委員 大臣がおっしゃるとおりで、初めは私的整理を模索しておりました。私的整理を模索しておりましたけれども、幾つかの壁がやはりありました。一つはやはり、私的整理においては債権放棄というものにメガ三行が同意をしなかったということがまず一つございますし、また、私的整理の中で、例えば日本航空のいわゆる企業年金の減額についてもいろいろな反対もございました。挙げれば切りがないような形の中で、また、つなぎ融資の問題等もございました。

 結果として、私的整理というものが行えないような状況の中で、しかも、これは、日本航空ではありませんけれども、ある航空会社の重役の方でしたが、あるアドバイスの中で、極めて不安定な状況の中で日本航空の再生が行われていけば、事故の可能性というものがあるし、そして、事故というものが起きた場合においては、もうこれは、日本航空は整理、破綻をさせてなくす、清算せざるを得なくなるだろうと。

 そういうことになれば、その方は他の航空会社の方ではありましたけれども、やはり、国内エアラインの六割を占めていた日本航空がなくなるということについては、経済への影響、地域経済への影響、特にそのころは、まだリーマン・ショックの後でありまして、日本航空の破綻というものが二番底の引き金を引きかねないという話もずっとありました。

 私も、大臣と同じようにそっちの方に座っていて、要は、二次破綻はしないのか、二次破綻をしたら誰が責任をとるんだということを言われ続けたわけであります。そして、地域経済への影響についてもいろいろお話はありました。

 そういう意味では、唯一かどうかと言われると、先ほど大臣のすばらしい御答弁、これは歴史が判断するしかないんだろうと私は思うんですね。そういう意味では、この日本航空というものが、企業再生支援機構という枠組みを使わせていただく中で、再生過程にあった。そして、ある意味うまくいき過ぎる中で、今の、競争条件がゆがんだのではないかという批判があることについては、私は、政治家ですから、これは結果責任として重く受けとめなくてはいけない、こう思っておるわけであります。

 ただ、この問題について私が質問をしておりますのは、先ほども申し上げたように、いかにこの日本航空、全日空という日本のメガキャリア二社を、世界の競争の中で勝ち進ませるかという観点の中で、航空政策をぜひ太田大臣には行っていただきたいと思っております。

 その意味においての羽田の国際化の新たな割り当ての問題について、いろいろな意見がありますけれども、私は、今決められたことについてどうこうは申しません。ただ、中長期の将来的にこの二社がしっかりと、健全な競争の中で、国際社会の中で生き残って、まさに世界の中で日本の二社というのは勢いがあるねというような環境をつくるための、私はその大事なエンジンにしてもらいたいと思うわけです、大事な羽田の枠というものを。

 そういう観点から今後考えていただきたいと思いますけれども、その点について、いかがですか。

太田国務大臣 私も、両社が内向きに争っているというようなことではなくて、世界の中で航空会社が生き抜いていくというのは大変な時代になったと思います。そういう中で、両社含めて、日本全体として世界の激しい競争の中で生き抜いていくということが、公平な競争性ということは当然そのために大事なのであって、両社が、そしてまた他の航空会社が生き抜いていくということを目標にして、激しい競争をそう受けとめていくというのが私は正しいことだと思っております。

前原委員 羽田の国際化、あるいは航空機燃料税の減免、そしてオープンスカイ、さまざまなことが今申し上げたような日本のメガキャリア二社の競争力に資することだと思いますので、さらにそういった観点から航空政策を進めていただきたい。もちろん、ほかのLCCとかあるいは小さな航空会社もありますけれども、そういったところに目配りもされながら、しかし、やはりこの二社がしっかりと世界の中で勝ち抜いていくという視点でさまざまな航空政策を行っていただきたいということを申し上げて、質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

梶山委員長 次に、井上英孝君。

井上(英)委員 日本維新の会の井上英孝でございます。

 私からも、今般議題に上がっています道路法等の一部を改正する法律案について質疑をさせていただきたいと思います。

 質疑も大分重ねてまいりましたので、聞くところもだんだん限られてもきておりますし、かぶった質問になるかもわかりませんけれども、どうか御容赦をいただいて、御理解をいただけたらと思います。

 今回の改正の法律案において、我々会派、きょうはちょっと不在で孤軍奮闘という感じもするんですけれども、更新需要に対応した新たな料金徴収年限の設定というのが、やはり我々としても気になる点であります。そういったところを少しお聞きしたいと思います。

 平成十七年の十月に道路関係四公団が民営化をされまして、建設と運営を行う六つの高速道路会社と、高速道路資産、建設債務を継承する独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構というのができました。この機構は、四公団から承継した約四十兆円の債務を、四十五年後の平成六十二年、二〇五〇年までに完済し、その後、高速道路を無料開放するというふうにされております。

 高速道路は、道路無料開放の原則により無料開放されるというふうに伺っておりますけれども、まず、この道路無料開放の原則というのはどういうものか、お聞かせいただけますでしょうか。

徳山政府参考人 道路の無料開放の原則についてお尋ねをいただきました。

 我が国の道路は、まず基本的に、税金をもって無料でつくっておりました。しかし、昭和二十七年に、厳しい財政状況がございまして、このままでは高速道路等整備のスピードが心配である、こういう議論がございまして、道路整備特別措置法というのを決めまして、料金収入により道路を整備する道を開いた、こういうことでございます。

 特別措置法という名前のとおり、あくまでも特別措置という考え方で有料道路を入れておりまして、基本的には税金をもって道路を管理していく、無料開放というのが原則、このような考え方でございます。

井上(英)委員 もうおっしゃるとおりだと思います。

 一つ、この中身で、本法律案におきますと、この機構が平成七十七年九月三十日までに解散するというふうになっておりますけれども、高速道路が無料開放された場合、先ほど申し上げた六つの高速道路会社はどのような扱いになるのでしょうか。

徳山政府参考人 この点につきましては民営化時に多くの議論がございまして、道路会社は、まさに高速道路事業、道路の事業をするわけでございますけれども、ここからは利潤を上げることはやめよう、こういうことでございます。

 どういうことかといいますと、そこから利潤を取れることになりますと、結果的に利用者の料金が上がるということになりますから、せっかく民営化をして料金が上がったのでは、ユーザーにとってはこれは意味がない、こういうことでございました。

 一方で、会社が、それでは全くインセンティブがないということでございましたので、サービスエリア、パーキングエリアなどの事業、これについては関連事業として、ここは大いに民間の力を使っていただいて、工夫をして利潤を上げてもらったらいいのではないか、そういう方向でございました。

 したがいまして、現在の、民営化時の考え方で申し上げますと、無料償還、完全に料金償還を終えた時点におきましては、道路本体については国なり地方自治体なり本来管理者の管理に委ねて、会社そのものはそうした関連事業を行う会社として存続する、このような考え方になっております。

井上(英)委員 大分先といいますか、その辺、今後、継続的にまた議論がされることかと思います。

 そういう意味で、今回、高速道路が無料開放されるということになって、高速料金が無料になって、利用者からは非常に歓迎されると思いますし、我々の会派としても、高速料金が無料化されてというのは本当に歓迎するところでありますけれども、しかし、今のところ、高速道路の維持管理費については、利用者の支払う高速道路料金というのが充てられているというのが現状でありますが、利用者の支払う高速料金が無料になった場合、この維持管理費をどのように負担するのか。特に老朽化が進む高速道路を考えますと、維持管理、更新等の経費というのはこれから絶対に必要であるというふうにも思います。

 国土交通省としては、現在の厳しい財政状況の中、税金などの国費で負担すると。恐らく、もう何度も大臣も含めて答弁はいただいていると思うんですけれども、改めてお聞きをしたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

徳山政府参考人 先ほども答弁させていただきました、道路は無料公開が原則であるという大きな原則論の中で私どもは考えておりますので、本法案では、建設債務の償還満了後、更新に必要な財源を確保するために、十五年間を上限として料金を継続して徴収させていただき、その後無料開放し、これは他の一般道路と同様に税金により維持管理を行う、このような考え方をしております。

井上(英)委員 開放後にそれぞれ管理してということなんですけれども、先ほどともちょっと重なりますけれども、どのように具体的に経費を確保されるように考えておられるのか、お答えいただけますでしょうか。

徳山政府参考人 お答え申し上げます。

 税金で手当てをするということでございますから、これは道路だけの問題ではなく、国全体の税金の使途という中で優先順位を考える中から判断をされるもの、このように考えております。

井上(英)委員 税金ということにはなると思うんですけれども、そのときに、今言われているような厳しい財政状況の中で、本当に高速道路を、優先順位というふうにありましたけれども、その優先順位で、税によって限界があって、維持更新、要はメンテナンスがやはり進まないということも考えられるかと思うんですけれども、その辺はいかがでしょうか。

徳山政府参考人 お尋ねいただいておりますのは、私どもの今の法案で、平成七十七年以降、無料償還をした後、無料開放後の維持管理費が心配だ、こういうことだろうと思います。

 随分先の話でございますけれども、この点については、私どもは基本的に税金により維持管理する考え方でこの法案を構成しておりますけれども、実際にその時点を迎えた段階で、社会情勢を踏まえて、いろいろとこれは料金に関しては大きな議論があって、税金としてどうするのか、税金であればどこから捻出するのか、こういった議論をその時点で行うことになるんだろうなと思っております。

井上(英)委員 わかりました。

 先ほども申し上げましたように、無料になること自体、決して我々も否定しているわけではありませんし、安全に高速道路が維持管理、運営されるということがやはり大事ですし、条件といいますか、それさえクリアされれば本当に歓迎するんです。

 先般、四月四日に、この法案が登壇物として本会議で趣旨説明があって、質疑がありました。我が党からは坂元大輔議員が、高速道路料金における償還主義を抜本的に見直し、償還後の維持管理費についても、受益者負担の原則に基づいて、継続的に利用料金を徴収して充当すべきではないかというふうに質問をさせていただきました。そのときに太田大臣は、高速道路を恒久的に有料にすることについては、利用者を初め広く理解を得られるかという課題もあり、今後も慎重な検討が必要であるというふうにお答えをいただいております。

 高速道路を利用することにより、移動の定時性、それから高速性、そして快適性など、利便性が非常にあります。利用者がそれに対して料金を支払う、またその料金を高速道路の維持管理費に回すということは、私自身は非常に合理的なことじゃないかなというふうに思っています。

 何度も申し上げますけれども、無料になるということは非常に歓迎しております。大歓迎であって、そのこと自体、決して否定するわけではないんですけれども、本当にそれが可能なのかというのが問題じゃないかなというふうに思っております。

 無料化するというのであれば、地域や路線や高速道路の会社というのに偏ることなく、首都高、それからまた私が住む関西地区の阪神高速、それからNEXCOの各社や本四連絡橋も含めて、六社が経営しております路線全てがやはり無料化されるべきであるというふうな考えであります。そう考えると、逆に、本当に大丈夫なのかなというふうに首をかしげたくなるわけであります。

 国土幹線道路部会におきましても、主な意見では、維持更新コストは継続的に発生すること、無料化により渋滞が発生する区間も出てくることなどから恒久的に有料化にすべきとか、予算が減少する場合、無料の高規格道路がふえることは維持管理、更新の観点から大きな問題、新直轄方式などの税により整備する区間を含め、高規格道路は基本的に有料にすべきというような意見が出されております。したがって、償還制度をやめ、恒久的に料金を徴収する制度に改めるべきではないかというふうに考えておりますけれども、いかがでしょうか。

太田国務大臣 有識者会議でもさまざまな意見が出されて、井上先生がおっしゃるような考え方が述べられたということも事実です。それらのことも全部含めて、今回この法案を提出させていただいたわけであります。

 そこでは、特に高速道路については、これは償還が終わったらば無料開放するんだということが、利用者の中に、今、そういうものだということが定着をしているという考え方、あるいはまた、それをまた延ばすというようなことがだらだらいった場合に果たしてどういうことになるのかというようなこと、いろいろな意見が出される中で、最終的に、利用者を初め広く理解が得られるかという課題もありという表現でまとめさせていただいて、今後も慎重な検討が必要であるというふうにさせていただいているところでございます。

 それは本当に慎重に検討する必要があるんですが、今、大規模な維持更新ということが新しい課題として惹起している上に、早くから長寿命化を図る作業というものが必要であるというような、長寿命化ということも考えた上での今回の十五年延長ということをさせていただいたということでございます。

井上(英)委員 ありがとうございます。

 大臣がおっしゃる問題意識というのは、恐らく、多分みんな共通して一緒だと思いますし、何度も申し上げますように、無料というのは、先ほど前原委員からの質疑にもありましたけれども、逆に、七十七年じゃなくて、もっと短期といいますか、短いうちに可能なんじゃないかというような議論もありましたし、早ければ早いほど、それはもう一番理想的であります。今後、我々としても、恒久の有料化というのになるかどうかは別にしても、しっかりと議論を見守らせていただいて、参加していきたいというふうにも思っております。

 先ほど総務省の話もありました。私の機会では総務省には声はかけておりませんけれども、国土交通省は、昨年四月の衆議院の予算委員会の分科会において、我が会派の、たしか重徳議員かと思うんですけれども、その質疑の際の答弁で、永久有料ということになりますと、現在非課税となっております固定資産税が課税になる可能性が極めて高いということで、料金の引き下げにもつながらないし、債務の確実な償還にも支障を来すおそれがあるというふうに考えておるという答弁があったかと思います。

 総務省の先ほどの非課税にする理由というのも二つあるというふうにお聞きしたんです。恒久有料化になると固定資産税が課税されるという、ちょっと語弊があるかもわからないですけれども、少しおどし文句のようにも聞こえるんですけれども、その辺の、やはり一方的にそういうふうに言われるのではなくて、公共に資する道路としてということで、非課税をどんどん力強く国交省としては訴えていけばいいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

徳山政府参考人 私どもとしては、現在は、無料償還の原則、無料開放原則という中での議論ではございますけれども、やはりこういう採算の厳しい事業、そしてさらに、まだ地方からはたくさん整備をしてほしいという切実な声も聞いておる、あるいは都市部の渋滞のために必要な路線もある、こういう中で申し上げますと、やはり固定資産税というのはお支払いしなくて済むならば大変ありがたい、今まではそういう理論構成をして、償還の期間があるということも含めて理論が成り立っていたということでございます。ただ、これについてはいろいろな議論がまたあると思いますので、引き続き勉強してまいりたいと思います。

井上(英)委員 ぜひとも、やはり公共に資する道路ということで、国交省としては強気に総務省と話をしていただいたらいいんじゃないかというふうにも思っております。

 先ほどから、恒久有料化の話と、それからまた、道路を無料で開放する原則というのもある中で、少し考えさせていただいたのは、恒久的に料金を徴収するということができないのであれば、極端な話、償還期間を百年にして、無料化を前提としつつも長期間料金を徴収し続けることができる、そうなると、やはり今よりも低廉な料金設定というのが可能じゃないかというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。

徳山政府参考人 現在の法律案は十五年延長させていただきたいということでございますが、委員からお話がありましたのは、それを百年延長したらどうなるだろうかということでございます。

 是非を申し上げる立場にはございませんが、一つの試算として、そういうことをすると料金はどうなるのかということを、これも、交通量の問題、更新投資がその後どうなっていくのか、いろいろなパラメーターがございますものですから、なかなか難しいんですが、一定の仮定のもとでざっくりと計算をしてみまして、委員のおっしゃるとおり、仮に百年、償還期間を延長した場合には、料金といたしましては、ざっくり申し上げて、約一割から二割程度低減させることができるというようなオーダーではないかと思っております。

井上(英)委員 いや、一割から二割でも十分だと思うんですね。

 これから五十年の償還期間で一〇〇とすると、償還期間を約二倍に延ばす、では反比例で料金が半分になるかというと、やはりそこまではなかなか難しい。ただ、一割か二割、今の料金よりも下げることによって百年間取り続けるという議論になれば、それはユーザーの方々にとっても利便性は非常に高くなりますし、先ほど大臣もおっしゃったように、百年後に無料になるといったら、現実的な議論としてはちょっとあれかもわからないですけれども、それぐらいの考え方というのも非常に大事じゃないかな。

 先ほどの固定資産税の議論も、無料化を前提にするという考え方でいくと、恐らく非課税のままでいけることになるかとも思いますし、当然、料金を取ることによって渋滞は一定抑制できるんじゃないかというふうに思って、関係者がウイン・ウインになるんじゃないかという、ちょっと苦肉の策かもわからないですけれども、そういうこともやはり今後考えていくということも非常に大事だと思うんですけれども、もしよければ大臣、御意見をお願いします。

太田国務大臣 この法案のさなかに、私がいいとか悪いとか言う状況じゃありませんけれども、維新の会がずっと一貫して言われているということは、一つのお考え方ではないかというふうに思っておりますが、まずはこの法案の成立というものを期してということで、ぜひともお願いをしたいというふうに思っているところでございます。

井上(英)委員 もちろん、今のも、これも、会派としてというよりは私の私案といいますか、そういう考え方もあって、料金も取り続けながら無料開放の前提を求めていくというのもありじゃないかなというふうにも思っております。

 時間が参りましたので、これで終わらせていただきますけれども、法案も、償還期間が延びるということ自体、決して我々は否定しているものでもありませんし、継続的な、重要な案件として、また今後も携わってまいりたいと思っておりますので、どうかよろしくお願いいたしまして、質疑とさせていただきます。

 どうもありがとうございました。

梶山委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時五十四分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

梶山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 議事の途中ではありますが、ただいまシェイク・ハーリド・バーレーン東アジア諸国友好議員委員会委員長御一行が本委員会の傍聴にお見えになっておりますので、御紹介申し上げます。

    〔起立、拍手〕

    ―――――――――――――

梶山委員長 質疑を続行いたします。松田学君。

松田委員 日本維新の会の松田学でございます。

 二十分の時間でございますし、道路の問題は多くの方が同じような疑問を持つ問題がたくさんあるんですが、十分に審議もされているところではないかと思いますので、繰り返しにならないように、ちょっと別の観点から、少し基本的なインフラ整備や道路の整備の考え方についてお考えを伺いたいと思っております。

 お手元に、これは前の一般質疑のときに配った資料と同じでございますけれども、政府投資、名目公的固定資本形成、いわゆるIGと言われるものですね。これをずっと九〇年度からたどってみますと、ごらんいただくとわかるように、九〇年代に四十兆円以上に膨らんだものが、今度は二〇〇〇年代に入ってくるとどんどん減っていって、半分ぐらいまで下がったというぐらい、それで、また少しふえている。ただ、現状は、九〇年度の二十九・二兆円という数字をまだ回復するに至っていない。かなり政府投資が大きく変化している。

 基本的にインフラ投資というのは、国民の生命や財産をきちっと守るとか、あるいは経済の発展の基盤をつくるとか、国家の基本的な機能なんですけれども、それが、もちろん、いろいろな構造改革であるとか、あるいはコンクリートから人へということで、時には景気対策というのがあったりして、これだけ大きく変動するものなのか。

 日本の国というのは、私も、役人をやっていたときから、戦略的、計画的な国の運営というのがどうもきちっとできていない国じゃないかというのはずっと疑問に思っていたんですが、公共投資というものについても、本来、こういうものではなくて、少しずつ未来に向けてふやしていく性格のものではないかというふうに思うわけであります。

 こんなふうに大きく変動しますと、御案内のように、今度は、最近復興需要が出てきても人手が足りないとか、あるいはもう建設会社がどんどん店じまいしちゃってなかなか対応できない、その結果、予算がうまく消化できないとか、いろいろな問題が起きてきてしまうということも起こるんじゃないかと思うんです。

 このように、国家として最低限必要なインフラへのニーズというものがあって、それに必要な水準というものとの関連で見て、大臣は今、九〇年代のピーク時の半分近くまで落ち込んでいた状態、そして、アベノミクスで少しまた戻ってきている今のこの現状を、理想とする、あるべき水準と比べてどういうふうに評価しているか、まずこの点についてお伺いしたいと思います。

太田国務大臣 御指摘のとおり、公共事業関係費で見ますと、当初予算で平成九年度は九・七兆円であったわけですが、ずっと一貫して減少し続けてきまして、二十四年度では公共投資としては四・六兆円と半分以下の水準となりました。現在は、ほぼ横ばいから若干ふえるかというぐらいのところです。

 全体からいきますと、おっしゃるとおり、予算からいきますと、補正予算と本予算両方ということになって、どうしても景気対策的にこうしたものが使われてきたという面があろうかと思います。

 しかし、財政制約がある。そして、防災・減災、老朽化対策、メンテナンス、耐震化というような側面が極めて重要にもなってきている。そして、業者の方からいきますと疲弊をしてきてしまったということがありますから、この予算というものは、将来の日本のどういうことをどこまで持続的に持っていくかという、平準化、持続ということがいろいろな意味で重要だというふうに思っているところでございます。

 現在の水準がどの程度かということについては、なかなか、この任を預かる私としては、防災・減災、老朽化、そうした新しいものがある上に、復興ということの課題を抱えておりますものですから、もう少し多くということを望むわけですが、しかし、何といっても、安定、平準、将来の見通しということを数字の上でもあらわしていくということが望ましいというふうに思っております。

松田委員 その上で、この道路の関係でも老朽化の問題というのが、何か最近急にインフラ老朽化と言われてきたんですが、本来、こういう公共施設というのは、ある程度、どの程度老朽化するのかというのも、完全ではないにしろ、多少の見通しはできたはずのものではないかという気もしないでもないんです。

 このインフラ老朽化の問題、日本の場合、インフラ高齢化という言葉もあるそうで、日本の人口の高齢化とインフラ高齢化が同じスピードで進んでいるという試算もあるようなんですが、日本の第二の高齢化問題というのはインフラだという説もあるそうでして、これは、ある日突然道路が崩壊したり、水道が破裂したり、橋が落ちたりということになりますと、その危険性があるということは、いわゆる震災がゆっくりと進んでいるようなものでありまして、かなり深刻な問題が急に浮上してきたような感がいたします。

 よく言われるのは、このままでいくと、インフラの維持管理、更新費用だけで現在の公共事業予算の枠をいずれ超えてしまう、新規投資が一切できなくなるという話も聞いています。そうなってくると、それに対応するために、新規投資もやりながらインフラ更新をやっていく、そうすると、財源的な見通しというのも含めて、その点についての将来的な試算のようなものとか、そういうものがあるんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

西脇政府参考人 お答えいたします。

 今委員御指摘のとおり、インフラの老朽化問題は、以前から意識はしておったわけでございますが、特に、笹子トンネル等の事故以来、急速に重要な課題として浮上してきたと思っております。

 見通しについてのお尋ねでございますが、昨年十二月に私どもの審議会から答申をいただいております。その中で、審議会で検討した手法を用いまして、国、地方公共団体が管理する国土交通省所管施設の事業費ベースの維持管理、更新費の推計をしております。今、足元の平成二十五年度が三・六兆円のものが、十年後には四・三から五・一兆円、二十年後には四・六から五・五兆円ということで事業費では出しております。

 全体の投資水準はどうかということでございますが、いずれにしても、この推計を見ましても、確実に増加するということは見込まれておるところでございまして、今委員の御指摘がございました、大臣からも答弁がありました、防災・減災、老朽化対策等で国民の安全、安心を守るということで、社会資本整備のニーズはまだまだございますので、そうした新規投資の必要性と維持管理、更新費のバランスを考えながら進めていくということでございます。

 財源につきましては、現在、基本的には、国の公共事業関係費につきましては建設国債が充てられるというふうに認識しております。それも、厳しい財政制約でございますので、真に必要な公共事業予算の確保、その財源の確保に努めてまいる必要があるのではないかというふうに認識しております。

松田委員 私は昔、大蔵省に入って間もないころに、当時の西ドイツに留学をしたことがあります。ですから、留学ですので、あちこち車を走らせて、アウトバーンを、基本的に無料でございますが、全部とは言いませんが、かなりの部分を走り回ったんですけれども、ドイツなんかを見ていますと、やはり、ヒトラーの時代に強権的にアウトバーンが整備されて、全国ネットワークというのをいち早く整備して、それがドイツの経済発展に物すごく大きな役に立っているというのが非常によくわかりました。

 分散型というか、もともとドイツは分権国家ですが、都市間で機能分担がなされているわけですね。ドイツというのは、この都市に行くと何でも全部用が足せるというところはどこもなくて、御案内のように、金融はフランクフルト、商業はデュッセルドルフ、貿易はハンブルク、あるいは文化とかそういうものはミュンヘンとか、それで、首都機能が当時はボンにあり、ベルリンにある。私も時速二百キロぐらいで飛ばしましたけれども、それぐらい飛ばすと、結構利便性が高いといいますか、分担ができるようになる。そうすると、それぞれの広域経済圏がそれなりの独自の発展ができるようになっているというのは、非常に国土設計がきちっとできていたなというふうに思っています。

 その中で、私がかなり驚いたのは、当時も、一九八〇年代ですが、どこの農村部に行っても、それなりの豊かさがあるといいますか、基本的なものが一応全部そろっているという状況がございました。これは、ドイツの方に言わせれば、ドイツの農村というのはドイツ人の心のふるさと、魂のふるさとなんだ、農村をしっかり振興するのは一番基本的な政策なんだという話をよく聞かされたものですけれども、そういう意味で、ネットワークをさっさと完成させてしまうというのは国のつくり方の一つのあり方じゃないかなというふうに私は思っておりました。

 それで、ドイツというのは、私も当時いろいろドイツの経済の勉強もいたしましたが、社会的市場経済という言葉がございまして、ドイツは統制経済というのを断固として排そうとしたわけですね。ヒトラーの時代に、アメリカ以上にドイツというのは国家権力というのに対して反発意識が強いといいますか、ですから、統制経済を絶対排除すると。統制経済を排除するために何をしたかというと、まずは市場経済を重視するんですが、ただ市場経済だけでは機能しない。

 そこで、いろいろな原則をつくりまして、市場の機能はそれだけではうまくいかない、いろいろな社会的な優先事項とのつり合いをきちっととっていく。それが、いわゆるドイツ語で言うと、ゾツィアレ・マルクトヴィルトシャフトといいまして、社会的市場経済というんですが、そこで国家には役割というのがきちっと規定されていて、ドイツ人というのは何でもきちっと規定するのが大好きな国民なんですけれども、国家は社会経済生活に介入する権利はないというふうに一旦そう規定しておいて、それであるがゆえに、国家は逆に、二つの理由で介入する義務があるんだと。権限じゃなくて義務があると。

 その一つが、競争条件を平等化するということでありまして、この競争条件の平等化の一つがブンデスカルテルアムトといって、いわゆる公正取引委員会みたいなところで、いわゆる中小企業に対して大企業が余り圧力をかけないような、そういうことをやる、あるいは中小企業の競争条件を大企業と対等化するといったことと、もう一つが、競争条件を対等化することを全国に行き渡らせるための国土整備政策をやるということで、これはインフラ整備というのをそこの中に位置づけている。

 もう一つの国家の介入義務というのが、景気の安定だとか、労働者の社会参加とか、この点について国家が義務を負っているというたてつけになっているのがドイツの国なんですが、そういう意味で、私は、ドイツの国を見て、インフラ整備というのが一つの国家のつくり方というか、一つの理念のもとにきちっとした計画がそのもとにあって道路が整備されているというのが非常によくわかりました。

 そこで、ちょっと御質問なんですが、小泉政権下で、構造改革というのが行われて、当時高速道路の民営化というのが行われたわけなんですが、その当時、日本はナショナルミニマムを既に達成していて、そして、これ以上の道路建設は受益と負担との関係、コストと効果との見合いでそれぞれの地方というものが選択していくんだという、かなりそういう議論が行われていて、私は民営化もかなりその影響を受けているような感じがしていたんですが、ただ、私は、個人的には、本来インフラというのはそんなものだったんだろうかという気持ちをしながら、そういうものなのかなと思いながらこれを見ていたわけなんです。

 当時の、いわゆる道路民営化されたときの高速道路整備計画というのは、まだナショナルミニマムを達成するというその過程にあった段階でのものだったのか、あるいはもう既にその設計思想どおり、地方が自立的選択をする時代に入ってなされている、今はそこにいるというふうにお考えなのか、その点について、大臣の御見解をお聞かせいただければと思います。

太田国務大臣 都市の形成自体が、長い、千年、二千年の単位でつくられてきて、下水道とかそういうこともそうですし、城壁というのがあって、道路というものがそれをつなぐという、都市の形成過程の中での都市と道路というものの伝統の違いというものがヨーロッパと日本にはあろうと思います。

 しかし、今お話にありまして、大変参考になりましたけれども、今度、私たちがグランドデザインということを言っているのは、むしろ、それぞれのところが個性を持って、そしてネットワークでつないでいくという、そうした交通網体系、そして道路網体系というものをつくり上げていくということが大事だというふうに思っているわけでございます。

 今、小泉政権時代のナショナルミニマムが達成したかどうかということについては、一番の、一万四千キロというものの考え方の根底には、全国からおおむね一時間程度で利用可能となるということが一つ、一万四千ということにございます。そうした点でいきますと、今着工中のところも含めまして、完成したならば、ほぼナショナルミニマム達成の範疇に入るのではないのかなという感がいたします。

松田委員 それを前提に考えて、では、ナショナルミニマムというのが、実際、何をもってナショナルミニマムというかというのも、これもいろいろな議論があると思いますが、ドイツの場合ですと中小都市全てアウトバーンでつながっているような感じがありましたが、そこまでやるかどうかとか、そこはいろいろな議論があると思います。

 当時、道路の民営化があってから、新しい状況の変化、まず一つは、大きな変化があったと思うのは、やはり防災に対するニーズというのが出てきたと思うんですね。これは、大震災で太平洋プレートが変化して、激甚災害とかあるいは大津波の可能性が以前に増して高まった、そういうときに、もう言われて久しいことですが、この日本人あるいは日本の文明を守るためには、それなりのインフラのあり方というのが新しい需要として出てきた。

 そうなってくると、それは、大災害ということに対する備えということから見て、高速道路整備というのが、それも考慮に入れるとすると、道路民営化の際に想定された範囲を超えたニーズというのが、当時の民営化したスキーム、四十五年というのが当時あったわけですが、それとは外側にそういうものが新しいニーズとして出てきて、そして外側でそういうものに対応しなきゃいけないというふうに御認識なのか、そのあたりの大臣の御認識をお伺いいたしたいと思います。

太田国務大臣 私は、個人的に言いますと、私の大学時代の仲間と一緒に、道路網というのはどれだけ選択肢があるかということが大事であると。よく、ドイツを初めとするそうしたところの道路網がどうなっているかということで、こちらが遮断されたらこちらに回れるとか、いろいろな選択肢があるということが本当のネットワークであるということを主張し続けてきたんですが、なかなかそれは国会の論議の中でも認められませんでした。

 平成十七年十月の民営化の際は、当時、四公団全体で四十兆円の有利子負債を抱えていて、これを確実に返済すること、あるいは、民間の経営判断をして、できるだけ早期に国民負担のもとで必要な道路を形成するということに主眼があったんだと思います。

 東日本大震災を経まして、リダンダンシーの確保ということは、そういう意味で、災害の点で大事になったというふうに今主張されているわけでありますけれども、私としては、もともとそういう考え方のもとで、戦略的につくっておかなくてはいけないんじゃないかと思っていた、私はそういう認識をしておりました。

 そういう意味では、民営化時の目的というのは、この負債を返済するということは堅持しながらも、高速道路が、防災・減災や命を守るということも含めて、また経済のいろいろな選択肢があるということの上からも、十分効果が発揮できるようという、もう少し肺活量を大きくした道路網ということについての考え方を取り入れる必要があるというふうに思っているところです。

松田委員 日本は、人口が東日本に集中し過ぎている、少し西日本にも人口を分散させた方がいいという議論がありました。これは国防上も結構重要だという話もありますし、そうなってくると、今まで考えていた以上に、その面を配慮した道路整備というのを、その中にまた高規格幹線道路というのが入ってくるのかどうかとか、そういったような観点からいろいろなニーズが出ているような気がします。

 もう一つあるのが、これは道州制をにらんでどういうふうに考えていくかということだと思います。先般可決した法案は、都市に集中を起こしていくという方向での法案を可決したわけでございますけれども、それによって、ではそれ以外のところが衰退していいかというと、そうではない。やはりそこには一定のネットワークといいますか、それから、道州制になった場合、中核都市の間のネットワークをどうしていくかとか、新しい国土設計によって出てくる道路ニーズ、その場合のニーズというのを量的、質的両面でどういうふうに想定していくかについて、大臣のお考えをお聞かせいただければと思います。

太田国務大臣 私は、地域主権型道州制ということを主張してきた一人でありますけれども、そこでまず何よりも大事なのは、道州としてのエンジンとなるそうした都市が形成されていく、それがなければ、仕組みを幾らやってもこれは何ともならないというふうに思ってきました。

 そういう中では、大きな都市と大きな都市とのエンジン役になり得るところのネットワークというものが非常に大事だというふうに思っておりまして、そうした観点からいくと、道州制を志向するということは、コンパクトシティー・プラス・ネットワークということを踏まえながら行っていくということが極めて重要だというふうに思っているところでございます。

松田委員 あっという間に二十分がたってしまいましたが、私は道路というのは採算性だけでやるものではないと昔から思っていまして、やはりこれは国の基本なので、国がどういう国を目指すのか。ドイツではありませんけれども、その目指した国の未来像の中で、それに必要な道路整備をやっていって、その中で、ではいわゆる有償資金でやる分、無償資金でやる分、いろいろな財源方法があり、そして予算がこうだという順番でやっていくべきものであって、最初から予算の制約がこうだ、あるいは景気対策がどうだというものでないと私は思います。

 ぜひ、そういう意味で、道州制も含めて、日本の将来像というのをしっかりといろいろな政党ごとに出し合って、そのもとにインフラをやっていくような、そういうやり方に進化していくように私は期待しながら、きょうの御質問を終わらせていただきたいと思います。御答弁ありがとうございました。

梶山委員長 次に、岩永裕貴君。

岩永委員 日本維新の会の岩永裕貴でございます。

 本日は、二十分という限られた時間の中で質問をさせていただきたいと思いますが、昨日、私も、当委員会が開催をしていただきました視察の方に参加をいたしてまいりました。道路局長を初め、多くの関係者の皆様方には深くお礼を申し上げます。

 率直な感想といたしましては、首都高速を含め、やはり老朽化がこれほどまでに進んでいるのかというような印象を受けましたし、反面、それをこれからメンテ、維持していくその難しさということも、改めて現場に伺って痛感をした次第でございます。

 それで、まず最初の質問に、その関連でお伺いをさせていただきますが、御承知のとおり、日本には百二十万キロの道路がある。そのうちの百万キロは地方公共団体、市町村が管理をされている状況があるということ。そしてまた、橋に関しても、七十万あるうちの五十二万の橋が地方公共団体、そして市町村が管理をしているという状況がある。

 トンネルにおいてもそうした状況があって、地方公共団体、市町村にしてみると、これからこれをいかにして維持、メンテナンスを行っていくのかということは大変大きな課題ではあるし、本当に、この先どうやってそうしたものを維持管理していくのかというような観点についても、非常に頭を悩ませておられる自治体がほとんどじゃないかなというふうにも感じます。

 その背景には、やはり地方が抱える、技術がついていかないというところ、そして人材、土木技術者が不足をしているということ、そして何よりも、資金が非常に厳しいということ等があろうかと思います。

 技術者につきましても、橋の点検などには、遠くから目視をするだけにとどまっている地方公共団体が七六%、約八〇%にも及ぼうとしているような、こうした状況の中で、国が本当に真剣に地方公共団体のそうした現状にも向き合っていかなければならないというふうに強く感じるんですけれども、そうした支援と総合的なサポートというものをいかに考えていらっしゃるのかということを、改めて、少し詳しくお伺いできればと思います。

太田国務大臣 御指摘のとおり、市町村のメンテナンスの実施に当たりましては、予算、人員、技術の面、特に技術というのは非常に難しい問題であろうというふうに思います。

 そこで、この間の提言も受けまして、五年に一度、橋梁やトンネルなどは近接目視で点検する。点検したものは必ずデータ、カルテのようにして、日本の構造物には、ほとんど設計図が残っていなかったり、カルテのようなものはないということでありますから、カルテができるかどうかということは、相当違ってくるというふうに思います。それが義務づけられるということをさせていただいたところです。これによって、全国七十万橋のうち、約五十万橋を管理する市町村の役割と責任というのはますます大きくなるので、何といっても支援が必要だと思います。

 国交省全体としては、防災・安全交付金による財政的な支援、これは具体的に市町村がこれをこうしたいというところを受けて行うものでありますけれども、この支援ということや、あるいはまた、昨年の道路法改正による修繕等の代行制度の創設など、支援策を講じたところであります。

 先日の有識者からの提言も受けまして、交付金の重点配分であるとか、あるいは点検業務の地域一括発注、小さなところだけだと、面倒で、それをやってももうからないものですから、なかなか不調になってというのがありますから、一括に、この道路は全部ここの業者というふうにさせていただくと、そこで計算が立つということもありまして、発注の仕方、国の職員等による診断の技術的支援、これらを実施して、とにかく地方自治体の老朽化対策への支援をしていきたいというふうに思っているところです。

岩永委員 ありがとうございます。

 基本的な流れとしては、地方からのそうした要望、要請を受けて国が積極的に支援をしていくという流れではあろうかと思うんですけれども、その要請、要望に至るまでの部分についても、やはり国民の皆様全体の、交通に関する安心、安全ということを鑑みると、なかなか地方だけでは対応ができないし、安心、安全というものを確保し切るというような部分は難しいのかなというふうにも考えますので、ぜひ積極的にこのあたりについてはコミットをしていただいて、今後も国民全体の道路上に関する安心、安全を守るために御尽力をいただきますことを、改めてお願い申し上げます。

 そしてもう一点、道路上空の空間の利用というところについても、きのう視察をさせていただきました。すばらしい考え方だなというふうに思いましたが、一方で、メンテナンスということを考えると、一抹の不安というのも感じたというところでございます。

 バスの中でビデオを拝見いたしまして、首都高速道路ができるときのビデオで、一九五九年から七九年ぐらいの二十年間を振り返って、当時のオリンピックに向けてどういうふうにこの首都高速道路がつくられたのか、非常に活発な、躍動感のあるビデオではあったんですが、やはり一つの時間的な目的があったがゆえに、どうしても五十年後そして八十年後を考えた道路の設計とかというものも、少し怠った部分があるのかなということも、私はそのビデオを見て感じました。

 そこで、この空間を利用していくということは、すばらしいことではあるんですけど、構造的には非常に複雑にもなってこようかと思います。そして、私たちがやはり学ばなければならない過去の教訓としては、今後五十年、八十年後、またそれをメンテナンスしていく方々が、いかにメンテナンスがしやすく、そして維持管理というものがしやすく、今この段階でしっかりとその設計に当たっておくかということが非常に大切なことだというふうに考えます。

 そうした意味でも、今回の教訓を生かした五十年後、八十年後のメンテナンスを考えた今現在の取り組みというところについて、少し御説明をいただければと思います。

徳山政府参考人 立体道路制度を活用した更新事業について、昨日もごらんいただきましたけれども、現在、築地川区間をモデルケースといたしまして、平成二十五年七月に東京都、中央区等関係機関と検討会を設置して、いろいろな議論を進めております。

 もちろん、まずは事業として成り立つかどうかということが最大の問題でございますけれども、先生おっしゃるとおり、一方で、立体道路ということは非常に複雑な構造を伴うものでございますので、例えば、ふたかけ構造というようなことについて、どのような安全性、どのようなライフサイクルコストでできるかということが課題になってまいります。

 こうしたふたかけ構造につきましては、既に立体道路においても前例も存在しますし、立体道路以外でも、東京の外郭環状道路などで、上に賃貸住宅が建っておるような施工例もございまして、ある程度の経験は積んでいるわけでございますけれども、まさにこのように五十年たってメンテナンスが問題になってきた、こういう経験も生かして、今まで以上に安全で、かつライフサイクルコストの最小化ができるような、こうした技術についても検討してまいりたいと考えております。

岩永委員 ありがとうございます。

 本当に、五十年後、八十年後を見据えた中で、いかに、今しっかりとチェックをしておかなければならないところというものも十分に考慮していただきまして、より複雑となってくる構造に対して向き合っていただきたいということを、改めてお願いさせていただきます。

 続きまして、少し観点を変えさせていただいて、道路の計画や位置におけるIT化というか情報化について、今どういうふうなことに私たちは取り組んでいかなければならないのかということについて少し質問をさせていただきたいと思います。

 まず、私、日ごろ道路を走らせていただいていると、結構交差点なんかで、若いお兄さん、お姉さんが、何というのでしょうか、カチカチ、カウンターというんでしょうか、そういうのを持って、恐らく車の台数を計測していらっしゃると思うんですが、あれは一体何のために、誰がどのような目的で、どのぐらいの頻度でやっていらっしゃるのかということを、少し教えていただければと思います。

徳山政府参考人 お答え申し上げます。

 個別に、ある交差点での交通量調査をするような、個別の場合もいろいろあるわけでございますけれども、一番大規模なものは、五年に一度の道路交通センサスという交通量調査をしております。

 平成二十二年度の例で申し上げますと、直轄国道だけをとりましても、全国で二千九百九十二カ所において観測を行いました。このうち、千二百五十三カ所では既に機械で自動計測できるように、ITの少し進化形になっておりますけれども、依然、千七百三十九カ所では人手による観測を行っておるということでございます。

 過渡期でございまして、ITの技術を踏まえた、新しいこういう交通量調査のやり方がこれから始まろうという時代であると思っております。

岩永委員 ありがとうございます。

 情報化、情報化と言われている世の中、そしてIT化というところで、国土交通分野だけではなくて、民間主導でさまざまな技術開発が行われているのは、もう皆さん御承知のとおりであります。

 例えば、海外では、ピザの宅配なんかも無人ヘリがやっている。これは実用の実験段階ではありますけれども、無人のヘリコプターが家の前まで来てピザを落として、そしてまた拠点に戻っていくとかいうようなこともやるぐらい、私たちの想像以上に、やはりそのあたりの技術というのは進んでいる中で、まだ交差点でカチャカチャとやる、そういったことがどうなのかなというのが単純な疑問としてあります。

 今、そうした中の一環だとは思うんですけれども、先般から質問にも出ておりますITS、これについても少し教えていただきたいんですが、これはどういった仕組みのものなのかということと、何のために設置をしていらっしゃるのか。その設置状況と、恐らくITSのスポットだけでは成立しないものだと思いますので、それを受け取る側のナビの普及状況なんかも、あわせて教えていただければと思います。

徳山政府参考人 ITSスポットと申しますのは、ETCの双方向の通信方式を活用いたしまして、道路交通情報の収集と提供を行うというシステムでございます。

 具体的には、道路に設置をいたしました通信機器と自動車に積んだ車載器の間で通信することで、例えば、前方に落下物があるというような危険などの情報を車に対して提供する、あるいは、自動車の走行経路や急ブレーキの履歴などのビッグデータを収集する、こういうふうな機能を持っております。

 これまでに、全国の高速道路に約一千六百基の通信機器を設置しておりまして、これは平成二十三年八月からサービスを開始いたしております。自動車に搭載する車載器につきましても、ITSスポットに対応したカーナビなどで、これは平成二十六年三月末現在で二十九万台が普及しております。

 先ほど、平成二十二年度に道路交通センサスを行ったと申し上げました。五年に一回となりますと、二十七年度、来年度に次のセンサスが来るわけでございますけれども、こうしたITの技術を使いまして、少なくとも国の行うものについては、もう人手で行うような前近代的なものは避けたい、このように思っておりまして、道路管理に必要なビッグデータを収集するための通信機器を設置するとともに、自動車メーカー等と緊密に連携を図りながら、車載器の普及促進にも努めてまいりたいと考えております。

岩永委員 ありがとうございます。

 局長の方からも、IT化、情報化にしっかり対応していくんだというようなことをいただきましたけれども、このITSも、私は技術的にはすばらしいものだと思います。

 ただ、それは、やはり車載器をつけていただかないと、これだけはどうしようもないことでございまして、先ほど御答弁いただきました、二十九万台が今搭載をしていただいているということですけれども、価格が高いのか、さまざまな原因があろうかとは思うんですが、これは分母の総台数からいくと、かなり限られた車にしかまだ搭載をされていないという状況でございます。

 メーカーとしっかりと足並みをそろえてということをおっしゃっていただいておりますけれども、これは簡単なことではないと思うので、消費者にとって費用負担が伴うことでもありますので、ここはしっかり、その意味、意義を説明していただいて、その車載器の普及に向けてしっかりと取り組んでいただきたいというふうに思います。

 ここまで、ビッグデータ、オープンデータを含めて、IT化、情報化ということをお尋ねしてまいりましたけれども、大臣、こういった議論を今させていただいている中で、やはり、今後の道路の計画、そして維持、メンテナンス、更新といった部分に、このビッグデータの活用というのは今後欠かせない、大変大きなテーマであろうかというふうに私は思いますけれども、そのビッグデータであったりIT化、情報化というものに対する大臣の御見解をお聞かせいただければと思います。

太田国務大臣 外国の方が来られたり、高齢者が多くなったり、また、旅行をもっと、観光を進めるというときには、自分がどこへ行きたい、どこに向かって、現地点はどこかというようなことがスマホでわかる。一八年に準天頂衛星が四機になりまして固定化される。今、国土地理院では、現場のそれを、より細かくメッシュできるという体制をとって、今、ナビなどでもかなり、十メーターぐらいの範囲でしか細かくできませんが、一八年にその体制ができますと、一つ一つの店とかいろいろなことに至るまで、そしてまた同時に、それが外国語対応というようなことで御案内できるというようなこともなるようになります。それは同時に、聴覚であったり、あるいは視覚であったり、障害を持っている方や高齢者にも、そういうことは役立つんだと思います。

 また、道路をいっぱいつくるということについては、これから財政制約の中で、簡単にはできません。今、二車線を四車線といってもできないから、それはむしろ、渋滞箇所というものがあることを、渋滞情報という、ここで急ブレーキをかける、それが蓄積される、そうしたら、その蓄積されたところの道路の構造と、そして指示の仕方、こちらへ行くんじゃない、こちらのルートをたどって回っていけというような指示も出せる。こういうようなことで、渋滞解消であるとか、あるいはまた急ブレーキ情報というものを察知して安全というものに寄与する。さまざまなことに、これからますます急速度に、ビッグデータを使用したりICTを利用した交通網というものができ上がるというふうに思います。そういうときに、我々としては目を凝らして対応というものをしていかなくてはいけないと思っているところです。

岩永委員 ありがとうございます。

 IT化とか情報化、そのビッグデータというテーマは、難しく考えると非常に難しいんですが、私が思うには、非常に子供心というか、わくわくしながら夢を持って、いろいろな都市計画、交通計画を立てていくということも非常に大切でありますし、それがやはり日本の戦後の経済成長というものを支えてきた大きな原動力でもあったのではないかなというふうに私は思います。

 世界じゅうから、そうした日本の最先端の技術を見に来られていた方々が、今海外にどんどんそういった見る先を変えていってしまっているという残念なデータもございますので、ぜひ、世界に負けない、そういったIT、情報化社会の立国として、今後も国土交通省さんには先頭を切ってリードしていただきますことを心よりお願い申し上げ、質問を閉じさせていただきたいと思います。

 自転車についてもちょっとお伺いしたかったんですけれども、時間の都合上、割愛させていただきます。

 ありがとうございました。

梶山委員長 次に、杉本かずみ君。

杉本委員 みんなの党の杉本であります。

 本日も質問の機会を頂戴して、ありがとうございます。

 冒頭、入る前に、太田大臣から、道路、財政制約の中で、二車線を四車線にというのは難しいんだというお話がありました。私も、財政制約を考えると、いろいろな地元の希望があっても難しいというふうにも感じております。

 おまえ、何を言うんだということを言われるかもしれないんですけれども、私は、国土のグランドデザインとかそういう中で、パラダイム変化がやはり起きていくのではないかなというふうに思っています。超小型モビリティーとかそういう形で一人乗りの自動車が開発され、また、無人運転だとかそういう形で、想定できないような技術革新の中で、そして、今は二車線しかない幅を線が四つ引けるという将来もあり得るかということを期待して、質疑に入りたいと思います。

 また、きょうはちょっと感じたんですけれども、国土交通行政というのは、道路の問題にしろ、海上保安庁さんにしろ、あるいは前原さんが質問された空の問題にしろ、非常に官僚の皆さんが夢を持って、また自信と責任を持って、あるいは将来に何かを残すことができる非常に前向きなお仕事であるということを感じつつ、またきょうは質問させていただきたいと思います。

 それで、きのうも皆さん一緒に視察に行って、私も見させていただいて、改めて感じるものがありました。特に、新金橋でよろしいんでしょうか、築地川のところで、道路を上から見るという世界で、首都高の社長さんからも話を伺いました。あそこの通行量が十万台ということなんですが、その台は一日当たりということで、よく考えますと、大きな駅で電車に乗る方が一日十万人、こういうイメージと、あそこの道を通る人が十万台というイメージが、なかなか重ねて考えることが難しいんですが、そのぐらい多くあそこの道を通っているし、また、羽田のところも八万台ということを伺いました。そんな意味から、本当に経済の動脈なのか、あるいは静脈とまで言っていいのかわかりませんが、道路というものは日本経済の本当に原点であって、人と物の流れをつくる大切なものだと思っております。

 また、きのうの御説明でもありましたけれども、昭和五十五年に改定された壁面の厚さというんですか、それが、四十三ミリがやはりちょっと節約し過ぎて、実は七十ミリがライフサイクルコストを縮減できるというようなことを徳山局長から教えていただきましたが、そういった意味で、節約にこしたことはないんですけれども、やはり道路の行政というものは、節約し過ぎても逆にライフサイクルを短くして補修を必要とするということを感じております。

 きょう、また時間を結構いただいたので、細かくいろいろ質問させていただきます。お許しを賜りたく存じます。

 まず、海砂の問題とかいろいろあったかと思うんですが、大分さかのぼって、九〇年代の阪神・淡路大震災の教訓といったものを改めて確認してみたいと思っているんですけれども、阪神・淡路大震災における高速道路の主な被害箇所と高速道路の被害額。

 きのうも本会議で松浪委員長が言っておられました。松浪さんが、結構コストというのが、減価償却後、幾ら損失があったかというベースと、新たに道路をつくり直したときに幾らかかるか、こういうベースが実は二つ、東日本の復興についても金額が存在するというようなことを教えてくださいましたけれども、この減価償却後のベースと再建額という二つのベースで、阪神・淡路の高速道路の被害状況を教えていただきたいと思います。

中原大臣政務官 阪神・淡路大震災におきましては、阪神高速三号神戸線や五号湾岸線、第二神明道路などの高速道路におきまして、橋脚の倒壊、橋桁の落下、道路路面の陥没等が発生をいたしたところであります。これらの被害総額は、約五千五百億円でありました。

 なお、当時の道路関係公団は企業会計方式を採用しておりませんでしたので、減価償却後の金額はございません。

杉本委員 企業会計方式を採用していないということで、今のは再建額のベースという理解でよろしいでしょうか、政務官。わかりました。うなずいていただいたので、減価償却のベースじゃなくて、再建額のベースで五千五百億ということでございました。

 東日本の復興についても巨額な、兆という単位で、また、前の民主党政権から安倍政権にかわって増額をされていますけれども、何か議論が、再建額のベースで議論をされているという感じもございますので、本当に、もとに戻すという発想も必要ですけれども、見直しをするという発想もやはり必要だと思いますので、減価償却ベースといったものも我々はこれから議論していく必要があるということを提案させていただきたく存じます。

 次に、笹子トンネル事故が大きな事故としてございました。当時の犠牲者が九名ということで認識しておりますけれども、この犠牲者の方々、とうとい命を予期せぬ事故で失われてしまって、私もざんきにたえませんけれども、この方々に対する対応は現在どうなっているか。並びに、国交省としての、当事者とまたちょっと違う立場かもしれませんけれども、監督している立場でどういう対応をされているか、確認させてください。

野上副大臣 笹子トンネルの事故につきましては、事故直後から、国土交通大臣より中日本高速道路株式会社に対して、被害に遭われた方々に対して真摯に対応するよう指示をしてきたところです。

 具体的には、中日本高速会社においては被害者ご相談室を設置しまして、御遺族には個別に担当者を配置して対応をしております。それから、再発防止策として取りまとめました安全性向上三カ年計画の説明会を御遺族に対して実施いたしております。また、私も参列させていただきましたが、事故後一年に追悼慰霊式を実施するなど、誠意を持って対応しているというところでございます。

 引き続き、中日本高速会社には誠意を持って対応していただくとともに、再発防止の徹底と国民の信頼回復に努めてまいりたいというふうに思っております。

杉本委員 引き続き誠意ある対応を、当社並びに国交省さんとしても、監督としてお願いしたいと存じます。

 次に、先ほども松田さんが言われましたけれども、老朽化という言葉が急に出てきたんじゃないかということでございましたけれども、老朽化の定義やいかにということで、改めてちょっと確認させていただきたいんです。三十年経過とかいう部分もあるんですけれども、それ以外に勘案するべき要素、例えば海風が当たるとか、こういったところをお伺いしたいと思います。

 きのう徳山局長は何かいい例をおっしゃってくださって、ローマのコンクリートでいまだに使えているというような、千年単位長もちするような、そういうコンクリートがあると。一方で、きのう拝見したところは、鉄筋とコンクリートの関係でいくと、鉄筋が腐食することによってコンクリートがやられるみたいな、こういう形なんですけれども、鉄筋が逆にないようなコンクリートが存在すると、実はライフサイクルというのは非常に長くなったり、素人が言って恐縮なんですが、大臣、そんなことを感じるわけでございますけれども、この老朽化の定義をいかに考えたらいいか、御指導いただきたいと思います。

野上副大臣 老朽化の進展につきましては、今先生が御指摘いただきましたとおり、立地の環境ですとか建設時の状況ですとか、あるいは開通後の使用環境によってこれは大きく変わってまいりまして、単に建設から何年が経過したからといって、直ちにこれは老朽化するというわけではないことから、一律に経過年数などの指標を用いて選んでいるというものではございません。

 今回の更新計画についても、個々の構造物の損傷状況を精査した上で、通常の維持管理、修繕のみでは健全性を確保できない箇所を対象として選定をしているということでございます。

杉本委員 ありがとうございます。

 次の質問に移りますけれども、国交省さん並びに調査室さんからの資料で、たしか要補修損傷件数、これは損傷発生数マイナス補修数、これがだんだん年々積み上がって累計として推移していくんですけれども、民営化法制定が十六年で、会社設立が平成十七年というタイミングの間になるかなんですが、例えば首都高で見ますと、平成十三年に一万八千七百三カ所が平成二十四年には十万六千百という数字に膨れ上がっていっていますし、NEXCOの場合は、これは民営化後ということでございますけれども、平成十七年で四万七千三百八十五が平成二十四年で五十八万九千百ということで、数字が、修繕箇所というのが非常に、金額はそんなにふえていないという資料が務台さんからたしかあったかもしれないですが、一方で件数というのが、加速度的というまではないですが、非常にスティープな、急な勾配をしてふえていっているという感じがしてなりません。

 これは、大規模修繕を除いて考えてみて、この四十五年償還計画というのは、見通しがそもそもどうだったのかということを総括する必要があると思っています。反省してくださいと言うとちょっと御無礼な言い方なので、顧みていただく必要があると思います。

 先ほどの答弁でも、徳山局長は、予測の限界、四十年が経過し、具体箇所、対処方針がはっきりしていなかったけれども、五十年が経過して具体箇所が明らかになって対処方針が決まったというような、ちょっと抽象的な表現ではあったんですけれども、四十五年というときの償還計画の時点にさかのぼって、この数字の読みの甘さみたいなところというのは顧みる必要はないのかどうか、御答弁いただければと思います。

野上副大臣 民営化後、予算を重点化しまして、重大な事故につながることはないよう安全は確保してまいりましたが、御指摘のとおり、予防保全が追いついておらず、老朽化の進展を抑えるには至っていないという状況だと認識をいたしております。

 今後、債務償還という制約の中で、できる限り維持管理費、修繕費を確保しまして、適切に維持管理、修繕を実施してまいりたいと考えております。

杉本委員 ちょっと重複質問になるかもしれないんですけれども、今までのNEXCO三社の料金徴収、保全維持、改修工事費は十分に包含できていなかったという認識に立たせていただきたいなと思いますけれども、料金の中に、一般管理費として、一般の修繕、維持管理は入っていたということでよろしいんですよね、今までの確認ですけれども。

中原大臣政務官 今ほども野上副大臣が答弁したとおり、重大な事故につながるようなことのないよう安全確保してはまいりましたけれども、予防保全が追いついておらず、老朽化の進展を抑えるに至っていない状況と認識をいたしております。

 なお、高速道路の償還計画は、料金収入から計画管理費を差し引いた額でありまして、債務を民営化から四十五年間で返済できるよう計画されておりますけれども、この計画管理費の中には、料金収受経費などのほか、通常の維持管理費用が含まれているところでございます。

杉本委員 ありがとうございます。

 次に、維新の坂元さんに対する御答弁で、またきょうも随分御答弁がありました。特に、地方公共団体の方々で、メンテナンスサイクルのお話でございます。

 そもそも、社会資本整備審議会道路分科会、四月十四日の御提言がありました。五年に一度の点検義務化ということが言われ、大臣の十八日の御答弁では、坂元議員に対して、三月三十一日付の公布された省令で老朽化した道路、橋梁等の五年に一度の点検義務を定めた、こういう御答弁がございました。またきょうも、徳山局長からもそういう御答弁があったやに記憶しています。

 これは省令のベースで、今は義務化という方向でございますし、また、議論の中で、技術者を育てるとか研修とか、そういうお話もあったかと思いますけれども、これを法律まで格上げする、法整備をする必要がないのかどうかという点を、現時点の認識を確認させていただければと思います。

中原大臣政務官 ことしの三月三十一日に、橋梁等につきまして、五年に一回、近接目視で点検するなど、道路管理者の義務を明確化する省令を公布したところでございます。これは、昨年五月に成立いただきました道路法の改正に基づき、また、昨年八月に政令で、点検を含む維持修繕の基準を定め、その中で具体的な基準を一部省令に委任したところであります。

 今般の省令は、道路法の委任を受けた政令に基づいて、点検の頻度や方法について、五年に一度、近接目視という、具体的かつ技術的な内容を定めたものであるため、省令で定めることにしたものであります。

杉本委員 本当に笹子のような事故があってはならないわけで、特に地方の管理する部分については厳しい点検をしていただかなきゃいけないというふうに思っておりますので、今後、さらにこの議論を深めさせていただければと思っております。

 次に、七十万橋梁、そのうち五十万が地方にあって、十五メーター超と十五メーターに至らぬ橋の、長さによってカテゴライズされるものが違うという質疑がございました。また、今申し上げた社会資本整備審議会道路分科会の提言で、最後の提言ということの中で、大臣は、今なら間に合うんだという認識だということでおっしゃられました。

 一方で、老朽化した橋で、もう通行どめになって使えなくなっているという橋が、例示を資料でいただいております。コシノジュンコさんだったか、大臣がいつも例示してくださる話の中で、足し算の政治から引き算の政治にということの中で、やはり地方が元気でいてほしいと思いますけれども、一方で、どうしても人口が少なくなっていって、使わない橋というのが出てきて、無理にメンテナンスをして通れるようにするということではなくて、もうやめてしまって、そこは撤去するというようなことが必要な橋というのも当然出てくるかと思うんです。

 今、どちらかといえば、新しい橋を近くにつけるのでそれは撤去するという流れになっていると思いますけれども、そうではなくて、単に引き算になるような、そういった橋梁が地方を初め日本の中であるのかどうか、あるいはそういった撤去の計画が存在しているのかどうか。こういった今の方向感を確認させていただきたいと思います。

中原大臣政務官 お答えをいたします。

 平成二十五年四月時点で、地方公共団体が管理する橋梁のうち、通行規制、通行どめとなっている橋梁は二千百四橋となっており、このうち、撤去が予定されている橋梁は三十五橋と聞いております。なお、かけかえの方が百三十四橋、補修が二百十六橋、未定ないし予定なしというものが千七百十九橋となっているところでございます。

 なお、四月十四日の社会資本整備審議会道路分科会からいただいた提言では、「人口減少、土地利用の変化など、社会構造の変化に伴う橋梁等の利用状況を踏まえ、必要に応じて橋梁等の集約化・撤去を実施。」とされており、国土交通省としては、この提言を踏まえ、適切に対応してまいりたいと考えております。

杉本委員 次に、高速道路会社等の資金調達のことについて、あるいは料金設定についての関連の質問をさせていただきたいと思います。

 NEXCOの資金調達は、基本的には料金徴収、あるいは、先ほど議論がありましたサービスエリア、パーキングエリアでの収入といったものもインセンティブであるんですよというお話をいただきました。この料金徴収方法以外、まあサービスエリアもあるかもしれないんですが、そういった別の手段をいかなる方法で、主には社債のような形で調達しているのではないかと思うんですけれども、いかなる資金調達方法をとっているかどうか、確認をさせていただきたいと思います。

徳山政府参考人 お答えを申し上げます。

 NEXCO三社におきましては、新設や改築工事等に必要となる資金につきまして、社債の発行と民間金融機関からの借り入れにより資金調達をしております。

 具体的には、平成二十五年度の調達実績で申し上げますと、NEXCO三社合計で、社債が約五千百億円、民間借り入れが約一千九百億円となっております。なお、社債発行による調達に当たりましては、会社の資産を担保に付しております。

 今後とも、低金利で安定的に資金を調達することによりまして、円滑な事業の推進とコスト縮減が推進されますように高速道路会社を指導してまいりたいと考えております。

杉本委員 低金利の調達という御答弁を今頂戴しました。

 私もちょっとマーケットにいた関係で、国債に何ぼ、Jプラス何ベーシスポイントというようなことで調達をするというのが企業の調達だと思っているんですけれども、それはそれで多分安く調達していただくということで結構だと思いますし、その水準を今お伺いすると、結構企業の調達状況というのを、ちょっと踏み込み過ぎかなという感じもいたしますので、それではなくて、料金設定を今していますけれども、その料金設定をする上での想定調達金利というのが存在するんじゃないかと思うんです。これは、償還期間は四十五年、六十年と議論がありますけれども、料金設定上の調達金利水準というのは今何%に置かれているかを確認させてください。

徳山政府参考人 お答えを申し上げます。

 現行の償還計画におきましては、高速道路機構が資金調達する際の将来金利は四%としております。

 この考え方は、民営化時にいろいろな議論があったわけでございますけれども、高速道路の事業は非常に長期間にわたります。金利も変動いたします。こうして長期間にわたり資金調達を行うことになりますものですから、過去の金利水準も参考にしながら安全を見込んで決めた、こういう経過がございます。

杉本委員 四%というのは最近の金利水準からいくと極めて高い。長期的に見ての設定なんだというお話がございましたが、ちょっと話はそれますけれども、年金なんかも物価スライドだったりということで、世の中の流れに対して、あわせて年金の支給とかというのを考えたりしている御時世にある中で、この料金設定が、本当に四%という水準をもって妥当なのかどうかというのは検証するべき点があるのではないかなと思います。

 改めて、再度答弁をいただければと思いますけれども、現在の国債の金利水準、先ほど社債の調達金利の話を少しさせていただきましたけれども、そういった国債の金利水準等と比較して、長期だからといって、本当に四%を妥当とお考えになっているのかどうかを、改めて確認させていただければと思います。

徳山政府参考人 確かに、現在の低金利の時代から見ますと、四%というのは非常に高目に感じられるわけでございますけれども、道路公団の時代を含めまして、過去の金利を見てみますと、六%、七%、八%といったような金利のものを調達していた時代もあるわけでございまして、これだけの長い高速道路の歴史の中でいいますと、最近の方が、金利が低いのが、むしろレアな感じではございます。

 おっしゃるとおり、このままずっと低金利が続けば料金を下げたりする意欲も出てくる、こういう相関関係にあるわけでございますけれども、何しろ三十兆円を超える有利子負債をもって借りかえをしております。金利の見方を少し甘くしてといいますか、低く考えて、それと、その金利の情勢が変わりますと、三十兆円のものが借りかえる中でどんどん金利負担が膨らむというような、非常に有利子負債が大きいものですから、非常に恐ろしいものもございまして、今となってはやや安全側になっておるということを御理解いただければと思います。

杉本委員 今おっしゃっていた、三十兆円で非常に大きいということは確かでございまして、日本の借金の総額を考えると、金利が上がっちゃったら本当にこの国の財政はもつのかという危惧を私は常々持っております。

 そういった意味から、小さな政府を標榜いたします我がみんなの党としては、民営化をされて、まだ国保有という形ではありますけれども、その方向感で、できるだけ早く自立していただく方向にするためには、どの水準が妥当なのかというのは、今、徳山局長からは、昔は六、七、八、それが四に下がっています、こういうお話でございましたけれども、ちょっと下方硬直性が強いような気もいたしますので、またこの点につきましては、追って議論をさせていただく機会を持てればなというふうに思っています。

 次の質問は、もう中原政務官から前原代議士並びに井上代議士に対して、固定資産の関係の御答弁はありましたので、ちょっとこれは飛ばさせていただければと思います。

 次に、高速道路の利用トリップ長について、昨年五月十四日に、私の質問の中で、当時の政府参考人の方から、これは高速道路について質問したんですけれども、総走行距離、すなわち高速道路に乗る前と後の走行距離を含めてというような御答弁をいただいてしまって、ちょっと期待した答弁とは違っていて、その長さは高速道路に乗る前と後の距離を足して七十六・五キロというふうになってございます、こういう御答弁を賜りました。

 ことしについては、高速道路に限って、平均どれだけ走っているのかなというのをちゃんと確認させていただきたいというふうに考えているんですけれども、直近のデータで御回答いただければありがたく存じます。

中原大臣政務官 ただいまお尋ねいただきました高速道路だけの平均利用距離につきましては、平成二十四年度において四十五・八キロメートルとなっております。

杉本委員 今、四十五・八キロということでございました。

 私が冒頭申し上げた、日本経済の動脈というか、静脈というか、道路は本当に大切なものだと思っていますし、経済活性化の本当に大切な、あるいは中心とも言えるのが道路ではないかというふうにも、物流、人の流れというふうに考えますので、少しでも長く、この四十五・八という平均の高速道路走行距離を長くしていただくような策を考えていく必要があるかなというふうには考えております。そのために、ちょっとこの後、議論をまた割引についてさせていただきます。

 次は、若干それますけれども、直近の高速道路三社、NEXCO三社の車両一台当たり平均料金徴収額を、直近の数字を確認させていただければと思います。

徳山政府参考人 お答えを申し上げます。

 お尋ねの、NEXCO三社の一台当たりの平均料金収入、平成二十四年度の数字でございますけれども、これはざっくりと、総料金収入を総走行台数、一兆四千九百億円の全収入を十八億二百万台という、まあ大型車も小型車も全部一台同じにしまして頭で割った数字と御理解をいただきたいと思いますけれども、二十四年度といたしましては、一台当たり平均料金収入は約八百二十円という数字がございます。

杉本委員 ありがとうございます。

 八百二十円と確認させていただきました。値上げもあったのかもしれないんですが、私が前に持っていた数字よりは少し大きくなっていると思います。

 いずれにしろ、千円に達していないという状況でございまして、前も議論させていただきましたけれども、定額制千円、そしてもっと長い距離を走ってもらって、もっと観光していただく、あるいはもっと物流を活発にしていただくということも考えられると思いますので、できればこのアベレージの料金収入も、もっと距離を走っていただくということなのかどうかはわかりませんけれども、千円に限りなく近づき、さらに千円を超える料金収入が上がるぐらい、日本の経済あるいは観光が活性化することを、私は、そういう方向になるようにいろいろ考えさせていただきたいし、国交省さんにおいては、さらに知恵を絞っていただきたいと思っております。

 さて次に、夜間割引の時間が少し短くなったという説明を受けておりますけれども、死亡事故との因果関係、事故ということではなくて、死亡事故と限って、重大事故というような範疇での因果関係を確認したいんです。

 そもそも、昼と夜、日中と夜間という比較で考えてどうなのかということ、そして、夜間の危険性の認識について、二〇一二年の四月、関越事故の後に、直後だと思いますけれども、運転手約五千人を対象に、有識者会議に報告されたアンケート、有効回答は二千八百程度という数字でございましたけれども、こういったアンケートの内容を改めて確認させていただきたいのと、この事故との因果関係、夜間の時間帯別事故発生確率、死亡事故発生確率、私の認識ですと、午前三時から夜明けまでが死亡事故確率がほかの時間帯に比べて極めて高く、魔の時間帯と言えるのではないかというふうな思いがあります。夜間割引を続けていくんですけれども、この事故についての認識、国交省さん、今どういう状況をお持ちなのか、確認させていただきたいと思います。

中原大臣政務官 今ほど委員がお話しになりましたとおり、国土交通省では、関越道高速ツアーバス事故を受けまして、運転者の過労防止対策の検討を行うために、バス運転者に対して勤務状況のアンケートを行っております。

 この中で、疲労に関する要因を質問しておりまして、上位の回答順に、乗務距離の長さ、乗務時間の長さが指摘されており、深夜の乗務を要因として挙げた運転手は全体の三・七%でありました。

 また、夜間時間帯別の事故発生確率と死亡事故発生確率に関しましては、大変申しわけございませんが、当省としては具体的な数字を持ち合わせておりません。

 なお、警察庁がまとめた時間帯別交通事故件数によりますと、高速道路会社の深夜割引時間帯、零時から四時において全時間帯の六%、三時から六時では四・八%の事故が発生いたしております。

杉本委員 明け方というか、夜中というか、そういう時間帯は大きな事故、死亡事故になりやすいということがあると思いますので、こういう点、夜間割引というのが、あいている時間に走ってもらうという、設備を持っている側の発想としてはいいのかもしれないですが、人間の健全な暮らし方とすると、やはり夜は寝るものではないかという思いもありますので、こういった点も勘案して、夜間割引を考えていただく必要はやはりあるのではないかなというふうに感じています。

 ちょっと飛ぶんですけれども、関連の質問をさせていただきますけれども、先般、名神高速一宮ジャンクション付近で、私の地元でございますけれども、観光バスが対向車線に飛び出して、幸い、死亡事故ということにはなっておりませんけれども、その事故は、観光バスの運転手は八時間前に長野で交通事故を起こしていた。

 そもそも、そうした事故を起こした人がまた運転して走っているということはどうなのかというふうにも思いますが、この交通事故後、運転を控えるような指示、指導はなされていたのかどうか、この点を確認したいのと、昨年八月一日から高速乗り合いバスの交代運転者の配置基準が定められましたけれども、この配置基準というのは、乗客をおろした後の回送バスについても適用されるというルールになっているのか、回送バスはその話の外側なのか。この点を、先般地元で事故がありましたので、夜間とか疲労運転とか、そういった点から、ちょっと質問が飛んで恐縮ですけれども、御答弁いただければと思います。

土井大臣政務官 四月二十日夕刻に起きました交通事故、このバス車両につきましては、当該事故の約八時間前に、長野県安曇野市の一般道において別の衝突事故を起こしたということを確認いたしております。

 事故が発生した場合、個々の事故の状況に応じ、警察において適切な対処がされるものと認識しておりまして、国土交通省といたしましても、警察の指導等に従うことが適切であると考えております。

 また、昨年八月より施行されました交代運転者の配置基準については、長距離運行の際の運転者の過労運転を防止するため、ワンマン運行に係る運転時間等の基準を新たに定めたものであり、回送区間におきましても、その対象に含まれております。

杉本委員 では、次の質問に移らせていただきますけれども、今度は割引について、夜間割引以外の割引ですが、実際はなかなか、四十五年を六十年にという議論をしているわけでありますし、収入を確保していかなければならないという問題もあるんですが、一方で、やはり経済を活性化していただくために物流コストを下げるとか、鉄道利用の方がエネルギー、環境上いいとか、いろいろな議論がある中で、そうはいっても、道路をもっと使ってくださいよということにするべきだと思っております。

 そんな意味から、多頻度、多く乗る方に対する割引の検討、研究がなされているのかどうか。あるいは、大口顧客、企業割引、こういったものの検討というのは、現実にはしていないのかもしれないですが、研究対象にはしているのかどうか。

 あるいは、昨年も私は申し上げましたけれども、スイスのビニエット方式、定期券という形で、そういったものをスイスの場合は何かフロントガラスに張るみたいな形になっていますけれども、そうではなくて、例えばETCカードが定期券になっているみたいな、こんなことはできないものなのかどうか。

 あるいは、さらに申し上げれば、環境を重視し、CO2削減の観点から、ハイブリッド車、電気自動車へのエコ割引、こういったものの研究、検討、あるいは将来の可能性、こういったものは会社さんが検討することかもしれませんが、やはり国交省としても研究していく必要があると思います。日本の経済活性化のためにどうかと思いますが、御答弁いただければと思います。

徳山政府参考人 お答えを申し上げます。

 今月一日からの高速道路の料金割引につきまして、これは改定をさせていただいたわけでございますけれども、観光振興あるいは物流対策などの観点を重視いたしまして、実施目的を明確にして、高速道路利用の多い車に配慮するよう再編をしてスタートさせていただきました。

 今、先生から例を挙げていただきましたように、関連する割引でございますけれども、まず、この一日から始めたものの中に、主に業務目的の車に対する大口・多頻度割引というのがございます。これは最大三〇%割引から五〇%割引へと拡充をいたしました。

 また、定期券というパターンではないのでありますけれども、既存のETCカードを使うというやり方で、平日の通勤時間帯に多頻度利用する車を最大五〇%割り引く、平日の朝夕割引を導入いたしました。

 なお、エコカーにつきましては、これは車側でエコカー減税というのを措置していただいておるわけでございまして、今回は、高速道路の料金側といたしましては、そもそも料金割引のための財源がなくなるという局面でのことだったものでございますから、なかなかそこまで予算が回らなくて、エコカーについての高速道路での割引は対応を見送ったということでございます。

杉本委員 ペイ・アズ・ユー・ゴー原則であったりとか、先ほど井上議員との議論で、百年延長したら一、二割は料金が下がりますよというお話もございました。臨機応変な中で、経済が活性化するように、引き続きいろいろな策を打っていただければと思っております。

 次に、議論が前原代議士のときもありましたけれども、各高速道路会社の更新計画による概算事業費と、その費用確保に必要な料金徴収期間を見ると、約ですけれども、首都高は十五年、その他、阪神高速十二年、NEXCO十年、本四高速約四年というのにかかわらず、一律、今回、四十五年を六十年で、十五年延長というふうになりました。

 先ほどの答弁の中では、徳山局長の答弁は、上限をとってというお言葉がございましたけれども、上限をとってというのはなかなか納得しにくくて、それぞれ分けて行うのが堅実な財政との関係でも言えるのではないかと思うんですけれども、この上限をとってという部分以外で、何か答えとなるようなものがあれば承りたいと思うんです。なぜ一律十五年になってしまうのか、この辺を教えていただければと思います。

野上副大臣 料金徴収年限を法定しておりますのは、料金徴収をこれ以上延ばしてはならないという上限を高速道路会社全体に対して設定することによりまして、無料開放原則の特例措置を法的な枠組みとして定めたものであります。

 それで、先生御指摘のございました、個々の会社ごとの料金徴収期間につきましては、この枠組みのもとで、民営化の趣旨に即して会社と機構の自主的な協定で定め、これを大臣の認可によって確認するということといたしております。

杉本委員 済みません、だんだん時間がなくなってきたので、あと二問ぐらいにさせていただきたいと思います。

 幾つか質問を飛ばしますけれども、これは非常に現実的な話で、私も高速道路に乗らせていただいて、自分で運転しているときは余り不安感はないんですけれども、隣に乗せてもらっているときに、ETCのバーというかゲートの開くタイミングが非常に遅いというか、あかないまま突っ込んじゃうんじゃないかなという不安をいつも抱いて入っていくんです。(発言する者あり)スピードを出し過ぎでもないんですよね。そうではなくて、そういう感覚を常に持つわけです。それは皆さん、思われませんですかね。

 そういった意味で、今、スピードを出し過ぎというお言葉がありましたけれども、それでももうちょっと工夫の余地があるんじゃないかなと。非常に、いつも冷やっとしたり、極論すると夫婦げんかのもとになってしまうような、おまえの運転、何なんだというような、ちょっと余談になりましたけれども、そういうようなバーのタイミングが非常に気になるんですけれども、この辺についての改善策は研究をされているのかどうか、確認させてください。

徳山政府参考人 お答えを申し上げます。

 従来、幅員の狭いETCレーンを高速で通過する際に、前方車両への追突等の事故が一時期問題になったことがございました。

 平成二十年度から、これらの事故等の発生を抑止することを目的としまして、いろいろな策を講じてまいりましたけれども、ただいまの御指摘とは逆に、ETCレーンの開閉バーの開くタイミングを従来から一秒程度おくらせる速度抑制対策を各社で順次実施したという経緯がございます。高速道路会社によりますと、この対策により、ETCレーンの事故減少などの効果を確認していると申しております。

 なお、平成二十五年度の対応履歴、一般の方からのいろいろな苦情やお話の履歴を見たところ、高速会社では、バーの開くタイミングが遅いという苦情はほとんどありません、こういうふうに聞いてはおるんですが、ただいまこの委員会の先生方の反応をうかがいますと、大多数が、やはりおかしいのではないかという感じが先ほど来かいま見えましたものですから、この点については、さらに改善策はどうあるべきか、私どもとしても会社と一緒に勉強させていただきたいと思います。

杉本委員 徳山局長、ありがとうございます。

 ぜひ研究を進めていただいて、少しでも安心感を持ってETCレーンを通れるようにしていただきたいと思います。

 時間になっているんですけれども、最後に、六十年償還後の考え方ということで、幾つかもう御答弁があって、基本的には税金でということで伺っています。十八日の野上副大臣の答弁でも、慎重という言葉がありましたけれども、恒久的に有料化することについては、これからも利用者を初め広く理解を得られるかどうかということが課題でもありまして、諸外国の状況も参考にしながら、今後も慎重な検討が必要であるということで、検討はすると言っていただいているんです。六十年後を考えるのはまだ早いのかもしれないですけれども、私は、小さな政府を標榜する意味では、やはり料金を取っていくこともしっかり考えていく必要も、維持管理上は必要だと思っております。

 そんな意味から、ちょっと最後に大臣の御答弁をいただければと思いますが、六十年後、やはり引き続き税金を投入するものなのか、いや、そうではなくて、慎重に検討するんですけれども、有料化というものをやはり考えの端っこに入れておく必要があるのかどうか、このあたりを教えていただければと思います。

太田国務大臣 既に何回か御答弁申し上げてきたんですが、これは税金でやるということです。そういうことなんですが、無料開放時点での社会情勢を踏まえまして適切に措置をすることになる、このように考えます。

杉本委員 時間となりました。どうもありがとうございました。

梶山委員長 次に、穀田恵二君。

穀田委員 きょうは、道路法改正案について質問します。

 まず事実関係の話なんですけれども、日本道路公団の民営化当初の、高速道路会社が新規建設する有料道路の事業延長は何キロで、総事業費の額は幾らと想定していたのか、これについてお答えください。

徳山政府参考人 お答えを申し上げます。

 民営化時の平成十八年三月に締結をした協定上の数字をお尋ねだろうと思います。

 高速道路会社が建設する高速道路として、新規建設事業の延長は約一千四百キロメートル、新東名あるいは首都高の中央環状新宿線などが含まれております。事業費は約十二兆九千億円を見込んでいたところでございます。

穀田委員 その後、高速道路会社が新規建設する有料道路はふえているのかどうか、何キロで事業費は幾らか、これについてもお答えください。

徳山政府参考人 お答えを申し上げます。

 高速道路会社が建設する高速道路につきまして、ただいま御答弁申し上げました平成十八年三月に締結しました協定以降、新たに協定に追加をした建設事業でございますけれども、延長で約二百四十キロメートル、これは東京の外環道あるいは名古屋の二環道、あるいは首都高でいいますと横浜環状北西線、こういった路線が入っておりますけれども、この事業費は約七千億円でございます。

穀田委員 七千億円ほどふえているということですね。

 そこで、高規格幹線道路のうち、供用中と事業中延長は何キロか。そして、それ以外の、事業化していない未事業延長はどれだけあるのか。未事業区間というのは、結局、高速道路会社が建設することはないのか。この辺についてお答えください。

徳山政府参考人 お答えを申し上げます。

 無料区間も含めました高規格幹線道路につきまして、平成二十六年三月現在で、開通済みの延長が約一万七百キロメートル、事業中の延長は約二千三百キロメートル、未事業化の延長は約一千百キロメートルとなっております。

 この未事業化一千百キロメートルでございますけれども、先ほど大臣も御答弁をされておられましたけれども、オートマチックに必ず全てを事業化すると決まったわけではございません。ただいまは、高速道路会社が建設することもあるのかというお尋ねですけれども、二つの条件をクリアする場合に建設を行う場合がございます。

 一つは、厳しい事業評価を経て、これをクリアすることが条件でございます。そして、高速道路会社がさらに行うためには、四十五年以内に債務償還をするという、今の償還スキームに影響を及ぼさない範囲であれば事業を追加することは可能である、このようになっております。

穀田委員 そこで、今お話しした件についてオートマチック化ではない、こう話があったので、ちょっと大臣にお聞きしたいんですけれども、いわゆる四全総で一万四千キロという話、これが一つの底流をなしているわけですよね。

 大臣、一つ聞きたいのは、その決定済みの一万四千キロというのは全部つくるのかということについて、これはお互いの話ですし、よくわかると思っているので、別によろしいやろ。

太田国務大臣 これは四全総を閣議決定して決めたことでございます。それで、現実には、あと一千百キロが未事業化になっている。

 オートマチックという表現をしましたけれども、ここは、今申し上げましたように、償還ということはきちっとやっていかなくちゃならないということと、何よりも、BバイCを初めとするそうした効果があるということは、少なくとも踏まえなくてはいけないと思っておりまして、そういう点では、残る一千百の中でも、やるところとやらないところというのは出てくる可能性があるということでございます。

穀田委員 では、一万四千キロまでとにかくいくというわけでもないと。その辺をはっきりしてほしいんですよ。

 要するに、オートマチックでないと言っていることは、一万四千キロについては、つくり切るのか、つくり切らないのか。それはその時点で判断すると言っているのか、何を言おうとしているのか、もう一つはっきりしてほしいものですから、そこを尋ねているわけです。

太田国務大臣 精いっぱいはっきり表現をしていると思うんですけれども、その中には、例えば外環というのが入っていたりします。そして、この間、寺島先生がおっしゃった中部横断道路の山梨部分とかいうのが、まだ決まっていないところもあったりします。

 一本一本について、それがBバイCということと、そして償還ということと、両面からいって適切かどうかということを判断させていただくということで、やる場合もやらないという可能性もあり得るということでございます。

穀田委員 では、もう一つ聞きますけれども、一万四千キロを超えている部分というものがありますね。それについては、やるんですか、やらないんですか。

太田国務大臣 そこは四全総では決めておりません。ただ、道路というのは、時代状況に応じて必要なところは当然出てくるというふうに思います。そういう点では、かなり財政制約ということもあり、必要性ということもあり、そしてBバイCということもあり、償還ということもありますから、それらをよく考えて、厳しい査定のもとで判断させていただくということになろうというふうに思います。

穀田委員 今言っているのは、二つの礎だけ言っているということですね、簡単に言うと。BバイC、事業評価と、それから四十五年の償還のスキームということですな。今後、一つ一つ、これはまた何回も議論していく話になるだろうと思っています。

 そこで、話をまたもとへ戻すんですが、高速道路会社が建設した場合、その建設費にかかった債務というのは債務保有機構が引き受けないのかどうか、これを局長、お願いします。

徳山政府参考人 お答えを申し上げます。

 高速道路会社が建設をした場合には、協定に基づき会社が建設した道路資産は工事完了後に機構に帰属し、同時に、会社が建設のために負担した債務は機構が引き受けることとなっております。

穀田委員 今度は、高速道路の建設債務の引き受けのことについて少し聞きたいんですけれども、民営化当初、旧道路公団から引き継いだ債務というのは約四十兆円でした。民営化後に高速道路会社が建設や維持管理に係る費用を借り入れした債務についても、債務保有機構が引き受けることになったわけですね。そうしますと、どんどん高速道路を新規に建設しても、そのために借り入れた借金は機構が引き取ってくれる、公団時代の債務と一緒にということになりますよね。会社にとってはこんなにいい話はないわけで、借金は気にせずに、高速道路はつくり放題ということにならないかという、民営化の時点でも随分出た疑問だったと思います。

 それに対して、四十五年で返済できるよう、債務保有機構が高速道路会社から引き受ける債務の額を決めるから大丈夫だと言っていたと、私、当時のことを記憶しているんですけれども、実際には、引受債務の額は修繕費を含めて幾らと決めていたのか。民営化のスタートにかかわる大事な点なので、明確にしていただきたいと思っています。

中原大臣政務官 お答えをいたします。

 平成十八年三月に締結いたしました協定におきましては、高速道路機構が高速道路会社から引き受ける債務は、平成六十二年までの償還期間内の合計で約二十一兆三千億円となります。

穀田委員 その後、協定の変更が当然何回か行われています。今ありました二十一兆三千億円だったわけですけれども、その引受額が二〇一四年三月二十五日時点では二十二兆二千五百六十億円と、今の計算でいいますと、九千六百数十億円、約一兆円が、当初に比べて引受額が増加している。

 この引受額が増加した原因は何かということなんですね。民営化後、新直轄高速とされた東京外郭環状道路、いわゆる東京外環と名古屋環状二号線が、合併施行方式による新規建設が追加されました。東日本高速と中日本高速の建設分担分を債務保有機構が追加で引き受けたことなどが含まれているのではありませんか。

徳山政府参考人 お答えを申し上げます。

 御指摘の東京外郭環状道路、関越道の大泉ジャンクションから東名のジャンクションの間、そして、名古屋第二環状自動車道につきましても、他の建設事業と同様、協定に基づいて措置されることになります。

 会社が建設のために負担した債務は、道路資産とあわせて、工事完了後に機構が引き受けることになります。

穀田委員 だから、結局のところ、さっき言いましたように、二十一兆三千億円、正確に言うと二千八百五十四億円ですけれども、それが二十二兆二千五百五十六億円にふえている。だから、高速道路を新規につくれば、交通量、それから需要予測も増加して、料金収入もふえるから、引受額がふえても四十五年で大丈夫だという理屈なんだと思うんですね。

 でも、需要予測が必ず予測に基づいてふえるとか、料金収入が増加するとは限らないと私は思っています。だから、需要予測が外れれば、料金収入が減り、返済できなくなることもあるんじゃないかということを言っておきたいと思います。

 次に、大規模修繕、更新費用について聞きます。

 大規模修繕そして更新の費用を四兆四百五十億円と見込んでいます。これは随分絞り込んだという話を先ほど来しています。

 そこで、経過年数延長は、NEXCO三社で三千七百キロメートルもあります。さらに、十五年も経過しますと、経過年数四十年、これは首都高だとか阪神高速ですが、それからNEXCOについていえば三十年ですが、これはもっとふえるんじゃないかと思うんですね。そうしますと、更新事業費はもっとふえるんじゃないか。そうしますと、実際に大きく膨らんだ場合はどないなるのか、どうするのかということについてお聞きします。

徳山政府参考人 まず、私の方から、大規模更新、大規模修繕の額について数字をお答えしておきたいと思います。

 首都高速について六千三百億、阪神で三千七百億、NEXCOで約三兆、本四で二百五十億となっておりまして、合計で四兆円でございます。

 高速会社が大規模更新、修繕を行った場合には、協定に基づき措置されることになりますけれども、会社が負担した債務は更新事業等の完了後に機構が引き受けることとなっております。

穀田委員 いや、それは省いて、合計したものを私が言っているわけで、次に、さっきの質問に答えてください。

中原大臣政務官 今後の更新についてでありますけれども、老朽化の進展は、立地環境や建設時の状況、開通後の使用環境に大きく依存をいたしており、単に建設から年数が経過したからといって、直ちに老朽化するわけではないというふうに認識をいたしております。

 例えば、隅田川にかかる言問橋や両国橋などは、八十年を超えて、重量制限もなく、健全に機能を維持いたしております。

 今回の更新計画につきましては、建設時に施工を急ぐなど無理をした箇所や古い基準で設計された箇所など、それぞれに理由がある箇所に対応するものでありまして、今回の対応以降、また次々と更新需要が生じるということにはならないというふうに考えております。

穀田委員 当時のやり方の中でそういう無理があったということと、工法の基準が違ったということを言っておられるんだけれども、では、その後全部大丈夫かというと、それはその理屈だけでは論証にならないんですよ。

 やはり経年することによっていろいろな事態が生じてくるという理屈もありまして、そこはそう簡単じゃないということだけ言っておきたいと思うんですね。

 そこで、なぜ当初に大規模修繕や更新費用を算定していなかったかについて少し聞きたいと思うんですね。

 民営化時点の問題を含めて、国交省はこの間、何と言っているかといいますと、「道路構造物の老朽化予測には限界があり、民営化時においても更新需要の発生は想定していましたが、具体の箇所や対処方法が十分には明らかになっていなかった」と、先ほども局長も何度もこれは同じ話をしているんですけれども、答弁しています。

 想定していたとしたら、いずれ費用が増額するわけで、本来なら想定に基づいて推計すべきだったはずですが、それをしなかったのはなぜなんですか。

野上副大臣 今先生からお話もありましたが、道路構造物の老朽化予測には限界があるということは申し上げてきております。民営化時においても更新需要の発生は想定したということも申し上げておりますが、当時は構造物が建設後四十年程度を経過し始めたところでありますので、この更新の必要性についての具体的な箇所や対処方法が十分に明らかになっていなかったということでございます。

穀田委員 それはちょっと単純過ぎまっせ。だって、先ほど来、中原政務官からあったように、構造物の中身の、急いだ話だとか基準の話だとかあったわけでしょう。そういう話はこういうことになるとすぐどこかへ消えちゃうんだよね。私は、それはだめだと思うんですね。

 当時の道路局長はこう言っています。大規模な更新が必要だ、こういう状況が出てきたときにはまた相談すべき問題だとして、想定しているんですよ。それは問題が出てきたら相談しましょうと、意図的に先送りしていることを認めているわけですね。だから、具体の箇所や対処方法が十分明らかになっていなかったというのじゃなくて、初めからわかっていて、推計しなかったし、入れなかった。

 それは、結局のところ、民営化というスキームが必要条件だったことから、初めに民営化ありき、そして返済債務の総額を小さく見せるためではなかったかと思わざるを得ないと私は言っておきたいと思います。

 そればかりじゃないんですね。今言ったのは、想定自身があったにもかかわらず先送りしたということとあわせて、建設費、維持管理の削減が先にあったからじゃないかという問題なんですね。

 民営化に際して、新規建設について言うならば、費用を二十兆から、当時議論されたのは十・五兆円まで削減したということに、いろいろありました。同時に、維持管理費も三割削減しています。

 昨日来、視察の中でも議論になりましたけれども、社会資本整備審議会道路分科会建議、道路の老朽化対策の本格実施に関する提言では、二〇〇二年から警告してきたと述べている。ところが、二〇〇二年から警告しているのに、今、この文書の提言にもありますように、警告に逆行して、管理費が三〇%削減されたと指摘しているんですね。だから、警告を受けながら、具体の箇所や対処方法を決めなかったこと自体が問題じゃないのか。

 だから、削減が先にあって、大規模修繕や更新費を加えるとコスト増になるから、わざと費用に加えなかったんじゃないのかというふうに思わざるを得ないんですが、いかがですか。

徳山政府参考人 当時、道路局長が答弁しておりますように、やはり、この更新というものの必要性は想定をしておりました。しかしながら、致命的な損傷が生じる前の状態において、通常の維持管理、修繕で大丈夫なのか、あるいはもう土台からつくりかえる更新まで必要なのか、これを判断することは非常に難しいと考えております。

 民営化時点の判断といたしましては、想定はそのように更新の必要性は認めておりましたけれども、通常の維持管理、修繕により長寿命化を図るという考えにより、計画を策定したものでございます。

穀田委員 それは違いますよ。やはり必要性を想定していたということの中で何が起きたかということなんですよ。それはやはり、当時のスキームがあって、それを優先させたという大きな話なんですよ。個別の小さい話じゃないんですよ。

 そして、修繕費用の問題についても、それはやはり、当時の雰囲気といいますか、含めて、減らせ、減らせというのがあって、コストダウンというのがあって、そういう圧力のもとでこれが行われたというのが、それが歴史の事実なんですね。ですから、そういう政治の動向を見なければ個別の話にはならないということを言っておきます。

 そこで、次に、新名神高速の抜本的見直し区間の問題について聞きます。名神の京都付近の大規模修繕、更新の箇所はどこか、費用及び対応策はどうなっているか具体的に聞きます。

 NEXCO西日本が管理する名神高速道路では、どこが大規模修繕、更新の対象になっているのか。一九六三年に開通した名神高速の栗東―尼崎間というのは、日本で一番古い高速道路であります。既に五十年を超え、老朽化も進んでいると言われています。十年以内に大規模改修が不可欠な橋が三本あると言われています。滋賀の瀬田川橋、追分橋、京都の山科川橋を指しているようですけれども、これらは更新事業の対象ですか。

徳山政府参考人 お答えを申し上げます。

 NEXCO三社におきましては、平成二十四年十一月に高速道路資産の長期保全及び更新のあり方に関する技術検討委員会を設立いたしまして、二十六年一月に大規模更新・大規模修繕計画を公表したところでございます。

 お尋ねの名神高速につきましては、栗東―尼崎間が我が国最初の高速道路として昭和三十八年に開通いたしましたけれども、この区間に含まれる、まず瀬田川橋については大規模更新の対象でございます。また、山科川橋、追分橋につきましては大規模修繕の対象といたしております。

穀田委員 更新と大規模修繕の対象だと。

 そこで、確認しますけれども、この三つの橋は十年以内に、今NEXCOは、大規模改修が不可欠だと載っています。これは一一年の時点の掲載ですから、二〇二一年までに大規模改修が不可欠だということになりますわね、当然。載ってんねやから。そこで、瀬田川橋や追分橋は耐震補強だとか改良工事を実施しているんですけれども、さらにその意味でのどの辺までの大規模修繕が必要なのかはもう一つ不明ですけれども、いずれにしても、二〇二一年までに改修しなくちゃいけないということは確かですね。

徳山政府参考人 具体の大規模更新、大規模修繕のスケジュールにつきましては、先生おっしゃるとおり、確かに急いでやらねばならないという考え方でございます。実際には、法律をお認めいただいた後、具体の技術的な検討に入りまして、その具体のスケジュールを決める、こういうことになろうかと思っております。

穀田委員 要するに任せですな。自分たちで十年以内にやらなくちゃならぬと言っているわけだから、それだったら、二〇二一年と違うかと聞いているんですよ。あっちがそう言うとんのやから、おたくのところが、国交省が具体の話についてまた聞いてみようなんて話、そんなおっとりした話じゃ困るんですよね。相手がやっとんのやから、それをきちんとやれよといったぐらい言ったらどうかと私は思いますけれどもね。ちょっと情けないなという気はしますがね。

 NEXCO西日本の関西支社のホームページには、「未来につなぐ信頼の道 新名神高速道路」と書いていますよ。その中で新名神高速の建設の根拠を書いていまして、このように述べています。「新名神高速道路が全線整備されれば、名神・中国自動車道とのネットワークの多重化により、名神高速道路の渋滞解消、災害時の代替道路の確保などの効果が期待されます。」こうしていまして、さらに、代替道路の確保というところでは、「自然災害や老朽化対策工事の際には、代替路線(リダンダンシー)としての機能を発揮できます。」と書いていまして、先ほど、今述べた三つの橋の老朽化対策の話をしましたけれども、こう書いています。「この大規模な改修工事を実施した場合、名神高速道路の代替路が確保されていないため、お客さまに多大な影響が発生してしまいます。」と書いていまして、何か、大規模更新で利用者に迷惑をかけるから新名神が必要なんだと言わんばかりなんですね。こんなおかしな話はないと思うんですね。

 では、新名神が開通するのはいつなんですか。

徳山政府参考人 お答えを申し上げます。

 御指摘の新名神高速道路の二区間につきましては、大津ジャンクションから城陽ジャンクション間並びに八幡ジャンクションから高槻ジャンクション間ともに、平成三十五年度の開通を見込んでいるところでございます。

穀田委員 では、計算すると、何ぼ。もう一遍言って。西暦で言って。

徳山政府参考人 失礼しました。西暦で言いますと二〇二三年でございます。

穀田委員 結局、三つの橋の更新というのは二〇二一年までにやるべしと。ところが、新名神が開通するのは二〇二三年。けったいな話なんやね。だから、橋の更新、改修は、新名神が開通する前に実施している。先ほどの理屈でいうと、本当におかしな話なんですよ。

 だから、工事中の代替路として新名神を使うことなんてできやしないんですね。だから、無論、この大規模工事の代替路を新名神建設の根拠にできるはずがない。誰が考えてもおかしな話で、新名神建設の根拠にするために老朽化対策をだしに使う、こういうのはやめるべきだと私は言っておきたいと思います。

 そこで、もう一つ。では、これはもともとどういう路線だったかというと、抜本的見直し区間なんですね。これはそもそも、当時、自民党の小泉首相が、民営化すれば会社は無駄な高速道路はつくらないといって、それまでの建設推進を抑制し、当時、皆さんも覚えておいででしょうけれども、九三四二以外はつくらないといって、さらに、九三四二の全部はつくらないとして、九三四二キロメートルの中に、抜本的に見直す必要がある、その区間を設定するとして明示された区間なんですね。すなわち、新名神の二区間というのは、三本目の高速は要らないということで設定された区間なんです。それが、大阪―京都を結ぶ第二京阪自動車道の完成後の交通状況を見て判断するとされたわけですね。

 そうすると、これが解除された、解除したわけですけれども、では、その解除の理由は一体何なんだということをお聞きしたいと思います。

徳山政府参考人 お答えを申し上げます。

 先生御指摘のとおり、この抜本見直し区間につきましては、周辺ネットワークの供用後における交通状況等を見て、改めて事業の着工について判断する、これが平成十八年当時の考え方でございました。

 平成二十二年三月に、新名神高速道路の主要な周辺ネットワークであります第二京阪道路が開通をいたしました。その開通の前一年と後の一年の渋滞発生回数を確認いたしましたところ、当時発表した資料でございますけれども、名神高速道路の瀬田西インターチェンジ付近の下り線では百八十回から百九十五回に増加をしておる、あるいは蝉丸トンネル付近の上り線では九十五回から百十九回に増加、京滋バイパスの瀬田東ジャンクション付近の上り線でも九十五回から三百二十六回に増加となっておりまして、渋滞が解消していないということがわかったわけでございます。

 加えて、地方公共団体や有識者委員会の御意見などを踏まえ、新名神高速道路の必要性が高いものと判断し、平成二十四年四月に事業に着手をすることとしたものでございます。

穀田委員 それはいろいろ議論のあるところで、それで、きょう私持ってきたんですけれども、名神の老朽化の現状というのは、ここに、一ページ目の資料の一にあるものですね。そこで今述べた大規模更新をやっているのが二番目なんですね。

 そこで、三番目の資料、三枚目を見ていただいたらわかりますけれども、今お話あった検証を比較する場合に、こういった点もあるということを見ていただければありがたいと思います。これは、二〇〇七年九月から二〇〇八年三月、すなわち第二京阪の開通前と、二〇一一年九月から二〇一二年三月の交通量を比較したものなんですね。

 結果を見ていただくとわかりますように、茨木インターチェンジから大山崎のところでいうと二百二十一から百一。それから、上にありますように、上も下も見ていただければわかりますけれども、京都東インターから大津のインターチェンジのところを見ましても、渋滞回数は八十二回から七十二回に減っている。

 ですから、結局のところ、第二京阪が開通前と比較した場合に、問題になっている三区間のうち二区間では渋滞回数が減少していたということがこれでわかると思うんですね。それで、渋滞回数が増加した一区間も、週一回程度の渋滞にすぎなかったということであります。

 したがって、最大の根拠にしていた渋滞の状況は、第二京阪の開通で減少しているのが事実であります。私はこの辺に住んでいますから、要は、通ってみるとわかりますけれども、通っていると、ほんまにすいているというのが現実あります。ですから、抜本的見直し区間の凍結解除というのは根拠がなかったということであって、やはりこれは、この間ずっと、第二京阪が開通前とその後、全体の大きな中できちんと調べるべきだと私は思っています。そこはちょっと強調しておきたいと思います。

 そこで、もう一つ言っておきたいと思うんですけれども、私どもは、今述べてきたのは渋滞問題だということが一つと、それから代替路線という考え方があった。だから、この二つが、ある意味では抜本的見直し区間の解除の理屈に一応なっているわけですね。

 しかし、今見たように、渋滞問題についても、それはいろいろなとり方もあるし、気分もあるでしょうけれども、そういう現実がある。それから、代替路線というのはおよそそういうことが成り立たない。いわばこういう問題や疑問、異論、こういうものがある高速道路建設を最優先してやるべきではないというのが私の考えです。

 今急いでやるべきは、命と安全にかかわる大規模更新と修繕のことだと思っています。それに必要な費用は、抜本的見直し区間など新規建設の部分を再度検証し、凍結する、その費用を回すべきだと私は思っています。例えば、抜本的見直し区間の費用六千八百億円を大規模更新、修繕にすぐ振り向ける、抜本的見直し区間の工事着工の是非については議論を重ね、将来本当に必要だとなったら、そのときに費用をどうするかということを検討するということが必要だというのが私の考えであります。

 ですから、新たに無料化期限を延長するようなやり方ではなくて、今道路会社が新規建設を計画している、そのうちの費用から優先的に大規模更新、修繕に回していく、新規建設はその後に国民的な議論で検証していって必要な費用を捻出していくということが、今考えるべき、そういう礎石を置くべきところじゃないのかというふうに思うんです。

 今の国交省や政府のやり方は、建設費用は一切動かさない、それから、初めに建設ありきというやり方じゃないか、そういうやり方を改める時期に来ているんじゃないかと思うんですが、大臣の見解をお聞きしたいと思います。

太田国務大臣 具体的というよりは全体的なことにつきましては、そうした老朽化対策というものを最優先していかないと、命にかかわるというようなところでは、それは優先すべきものだというふうに思います。

 同時に、建設ということにつきましては、一つは、事業を中止すれば地域に対して多大な影響が生ずる可能性もあるということもあるんですけれども、経済戦略的な視点に立って、無駄な事業は削り、必要な事業は実施する。この老朽化対策あるいは耐震化メンテナンスという部分と経済戦略的に必要なものは、これはよくBバイCや、先ほどから申し上げますように、償還ということを考えて、厳しい財政制約というものを踏まえて、必要な事業というものは実施するということもまた大事であるというふうに思っているところでございます。

穀田委員 それについて私は異論があるわけですね。

 まず、経済戦略ということで言っていますけれども、別に新規の事業が常に経済的な効果をもたらすというわけではないんです。やはり、大規模修繕や大規模更新、それ自身が大きな経済的波及効果があるという試算もあります。それが第一点。

 それと二つ目に、真に必要なと言いますけれども、自民党の、かつて小泉さんの時代に言われた抜本的見直し区間でいうならば、それはそのとき決めたわけですね。つまり、緊急性がないということで議論をして決めたわけですね。ですから私は、新規大規模建設を大っぴらにやっている時代と違うということを言っているわけです。

 だから、経済戦略的にも、命の最優先という問題からしても、その意味からしても、私はその予算を大規模更新、修繕に回すべきだと思います。

 大臣がメンテナンス元年と言っておられますけれども、私も、随分早くからこの問題については、老朽化対策については福田内閣の前から、一貫してこの問題についての経済的効果についてもずっと言ってきました。

 これは、既に今日では、先ほど私も紹介しましたけれども、社会資本整備審議会道路分科会の建議が指摘しています。それは、こう言っています。「最後の警告―今すぐ本格的なメンテナンスに舵を切れ」、こう言っていますね。

 そういうものの提起に応えるためには、私は、大規模更新、修繕に大胆に、それこそ最優先に回すことが必要だと。そのことを指摘して、二分ほど余っていますけれども、終わります。

梶山委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

梶山委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。穀田恵二君。

穀田委員 道路法等の一部を改正する法律案に対する反対討論を行います。

 本法案は、高速道路の大規模修繕、大規模更新を実施する費用を捻出するため、二〇五〇年までとしていた高速道路の料金徴収期間を六五年まで十五年間延長するなどとするものであります。料金徴収期間の延長は、高速道路の建設や修繕に係る借入債務の償還期間を先送りすることにほかなりません。

 高速道路の大規模修繕、大規模更新は緊急の課題であり、その費用は高速道路の新規建設よりも優先して確保されるべきものであります。

 法案に反対する第一の理由は、大規模修繕、更新費用が道路公団民営化時に償還計画に含まれていなかったことは、当初償還計画のずさんさを露呈し、民営化先にありきで、費用を小さく見せる意図的なものであったことを示しているからであります。

 本来、大規模修繕、更新費用は、道路公団民営化の際に、償還計画に含めておくべきものでした。社会資本整備審議会からも二〇〇二年以降、近い将来大きな負担が生じると繰り返し警告されていました。にもかかわらず、費用算定の具体の箇所や対処方法を決めなかったのは、管理費コスト削減を優先し、費用を小さく見せる意図があったとしか考えられません。

 第二の理由は、大規模修繕、更新の債務と高速道路建設等の債務を別枠としたことで、新規の高速道路建設を歯どめなく継続する仕組みを温存することになるからであります。

 今後も数兆円規模で予定されている道路建設を抑制し、その債務部分を回せば、大規模修繕、更新の費用を捻出することは可能です。ところが、四十五年償還の建設に係る債務に、大規模修繕、更新の債務は含めず、別枠にしています。これは、今後もふえ続ける大規模修繕、更新費用に影響されることなく、事業中区間の建設のみならず、約一千百キロメートルの未事業化区間についても、引き続き建設する仕組みを温存するためにほかなりません。

 第三の理由は、新規の高速道路建設を抑制することのないまま無料化を延長することは、新たな負担を利用者、国民に強いることにもなるのは明白です。

 最後に、立体道路制度の既存道路への適用拡大は、もともと、土地利用秩序や管理秩序が混乱するとして、国交省みずからが否定してきたものです。首都直下型地震等の大規模災害が想定されるもとで、防災安全対策の強化が喫緊の課題になっているときに、管理秩序が混乱するなどの事態を誘発することがあってはなりません。首都高の大規模更新等、老朽化対策が急がれていることを利用して、費用捻出のために規制緩和するのは、本末転倒と言わなければなりません。

 以上で反対討論を終わります。

梶山委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

梶山委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、道路法等の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

梶山委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

梶山委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、望月義夫君外五名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、日本維新の会、公明党及びみんなの党の五会派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を求めます。泉健太君。

泉委員 以下、案文を朗読させていただきます。

    道路法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府及び関係者は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用について遺漏なきを期すべきである。

 一 高速道路の安全性を確保するため、道路の適時適切な点検・修繕等に努め、その維持・管理に万全を期すること。

 二 高速道路の点検・修繕・維持・管理について、高速道路会社は組織として責任をもって対応すること。

 三 協定及び業務実施計画に特定更新等工事を追加する場合には、コスト削減に努めるとともに、必要性、工事内容等の妥当性に関して客観的評価を実施することにより透明性を確保すること。

 四 高速道路ネットワークは全ての国民の共通の社会資本であり、既に整備済みの高速道路ネットワークについてより一層の有効活用を図ることが求められることから通行料金を引き下げ、可能な部分より早く無料化し、利便性向上を実現する方策について、技術、運用、資金、制度面等、多様な角度から引き続き検討すること。

 五 無料化により交通混雑を引き起こすことなく、かつ利用度が画期的に改善される路線については、早期の無料化について、技術、運用、資金、制度面等、多様な角度から引き続き検討すること。

 六 高速道路の更新は最も緊急度、優先順位の高い公共事業であることから、最重点課題として位置付け、公費投入の検討も含め、その加速を図ること。

 七 高速道路の利用の実態把握に努め、その債務償還状況に応じて、償還の繰上げに努めること。

 八 高速道路会社の経営スリム化を図り、建設債務の償還期間の短縮に努めること。

 九 高速道路債務償還の満了後においても維持管理費用については利用者負担によることや、高速道路の混雑緩和のためのロードプライシング導入等の可能性について検討すること。

 十 償還対象経費から用地費を除外することによる償還期間の短縮と通行料金の低減を検討すること。

 十一 ICTの高度化により交通流動を最適化し、高速道路網の活用効率をより高めるフレックス料金制度の導入について検討すること。

 十二 道路上空の立体利用に当たっては周辺土地利用との調和に留意し、都市計画との整合を図ること。

以上です。

梶山委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

梶山委員長 起立多数。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、国土交通大臣から発言を求められておりますので、これを許します。国土交通大臣太田昭宏君。

太田国務大臣 道路法等の一部を改正する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま可決されましたことに深く感謝申し上げます。

 今後、審議中における委員各位の御高見や、ただいまの附帯決議において提起されました事項の趣旨を十分に尊重してまいる所存でございます。

 ここに、委員長を初め理事の皆様、また委員の皆様の御指導、御協力に対し、深く感謝の意を表します。

 まことにありがとうございました。(拍手)

    ―――――――――――――

梶山委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

梶山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

梶山委員長 次に、内閣提出、海岸法の一部を改正する法律案及び海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 順次趣旨の説明を聴取いたします。国土交通大臣太田昭宏君。

    ―――――――――――――

 海岸法の一部を改正する法律案

 海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

太田国務大臣 ただいま議題となりました海岸法の一部を改正する法律案及び海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。

 まず、海岸法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。

 切迫する南海トラフ地震等による大規模な津波、台風等による高潮等に備え、海岸における防災・減災対策を強化する必要があります。また、急速な老朽化が見込まれる海岸保全施設について、適切な維持管理等を推進することが求められています。

 このような趣旨から、このたびこの法律案を提案することとした次第です。

 次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。

 第一に、津波、高潮等により海水が堤防等を越えて侵入した場合の被害を軽減するため、堤防等と一体的に設置された樹林等を海岸保全施設に位置づけることとしております。

 第二に、海岸保全区域内で乗り上げた船舶が海岸保全施設を損傷するおそれがある場合等において、海岸管理者がその船舶の除却等の措置を命ずることができることとしております。

 第三に、水門、陸閘等の操作施設を管理する者は、操作に従事する者の安全の確保が図られるよう配慮した操作規則または操作規程を定めなければならないこととしております。

 第四に、海岸管理者は、みずから管理する海岸保全施設を良好な状態に保つよう維持、修繕することとし、そのために必要な技術的基準を主務省令で定めることとしております。

 第五に、海岸管理者に協力して海岸保全施設の工事等を適正かつ確実に行うことができる法人その他の団体を海岸協力団体として指定することができることとしております。

 そのほか、これらに関連いたしまして、所要の規定の整備を行うこととしております。

 次に、海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。

 外航船舶からの有害なバラスト水の排出による生態系破壊等を防止するため、平成十六年二月に、国際海事機関において、二千四年の船舶のバラスト水及び沈殿物の規制及び管理のための国際条約が採択されました。

 我が国も、国際的な連携のもとに、外航船舶から排出される有害なバラスト水による生態系破壊等の防止を図るための措置を講じ、国際的な責務を果たしていく必要があります。

 このため、当該条約を国内的に担保するための措置を講ずる必要があります。

 このような趣旨から、このたびこの法律案を提案することとした次第です。

 次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。

 第一に、生態系に悪影響を与える有害なバラスト水の船舶からの排出を禁止することとしております。

 第二に、船舶所有者等に対して、有害なバラスト水の処理設備の設置を義務づけるとともに、バラスト水の取り扱いに関する管理者の選任、手引書の作成、記録簿の備えつけ等を義務づけることとしております。

 第三に、これらの規制の実効性を担保する観点から、我が国の船舶に対する検査に加え、我が国の港における外国船舶に対する立入検査を行うこととしております。

 そのほか、これらに関連いたしまして、所要の規定の整備を行うこととしております。

 以上が、海岸法の一部を改正する法律案及び海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律の一部を改正する法律案を提案する理由であります。

 これらの法律案が速やかに成立いたしますよう、御審議をよろしくお願い申し上げます。

梶山委員長 これにて両案の趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時二十二分散会


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