衆議院

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第15号 平成26年5月14日(水曜日)

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平成二十六年五月十四日(水曜日)

    午前九時二十分開議

 出席委員

   委員長 梶山 弘志君

   理事 赤澤 亮正君 理事 秋元  司君

   理事 大塚 高司君 理事 西村 明宏君

   理事 望月 義夫君 理事 若井 康彦君

   理事 井上 英孝君 理事 伊藤  渉君

      秋本 真利君    井林 辰憲君

      泉原 保二君    岩田 和親君

      大西 英男君    勝俣 孝明君

      門  博文君    川田  隆君

      神田 憲次君    國場幸之助君

      佐田玄一郎君    斎藤 洋明君

      坂井  学君    桜井  宏君

      白須賀貴樹君    谷川 弥一君

      土井  亨君    中村 裕之君

      林  幹雄君    原田 憲治君

      ふくだ峰之君    前田 一男君

      宮澤 博行君    務台 俊介君

      泉  健太君    後藤 祐一君

      寺島 義幸君    岩永 裕貴君

      坂元 大輔君    鈴木 義弘君

      西岡  新君    松田  学君

      村岡 敏英君    北側 一雄君

      佐藤 英道君    樋口 尚也君

      杉本かずみ君    穀田 恵二君

    …………………………………

   国土交通大臣       太田 昭宏君

   国土交通副大臣      高木  毅君

   国土交通副大臣      野上浩太郎君

   国土交通大臣政務官    土井  亨君

   国土交通大臣政務官    中原 八一君

   国土交通大臣政務官    坂井  学君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   日原 洋文君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局電波部長)         富永 昌彦君

   政府参考人

   (消防庁国民保護・防災部長)           室田 哲男君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 南   博君

   政府参考人

   (水産庁漁港漁場整備部長)            宇賀神義宣君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長)            西脇 隆俊君

   政府参考人

   (国土交通省都市局長)  石井喜三郎君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局長)        森北 佳昭君

   政府参考人

   (国土交通省海事局長)  森重 俊也君

   政府参考人

   (国土交通省港湾局長)  山縣 宣彦君

   政府参考人

   (国土交通省国際統括官) 稲葉 一雄君

   政府参考人

   (海上保安庁長官)    佐藤 雄二君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 奥主 喜美君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            小林 正明君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  星野 一昭君

   国土交通委員会専門員   宮部  光君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月九日

 委員三日月大造君が退職された。

同月十四日

 辞任         補欠選任

  井林 辰憲君     勝俣 孝明君

  長坂 康正君     川田  隆君

  村岡 敏英君     鈴木 義弘君

  北側 一雄君     樋口 尚也君

同日

 辞任         補欠選任

  勝俣 孝明君     井林 辰憲君

  川田  隆君     神田 憲次君

  鈴木 義弘君     村岡 敏英君

  樋口 尚也君     北側 一雄君

同日

 辞任         補欠選任

  神田 憲次君     長坂 康正君

    ―――――――――――――

五月十四日

 マンションの建替えの円滑化等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第四五号)

は本委員会に付託された。

五月九日

 タクシー適正化及び活性化特措法等の一部を改正する法律に基づく厳格な運用並びにその附帯決議に対する履行に関する請願(第三九六号)は「三日月大造君紹介」を「高木義明君紹介」に訂正された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 海岸法の一部を改正する法律案(内閣提出第五三号)

 海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第五九号)


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     ――――◇―――――

梶山委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、海岸法の一部を改正する法律案及び海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省総合政策局長西脇隆俊君、都市局長石井喜三郎君、水管理・国土保全局長森北佳昭君、海事局長森重俊也君、港湾局長山縣宣彦君、国際統括官稲葉一雄君、海上保安庁長官佐藤雄二君、内閣府政策統括官日原洋文君、総務省総合通信基盤局電波部長富永昌彦君、消防庁国民保護・防災部長室田哲男君、外務省大臣官房審議官南博君、水産庁漁港漁場整備部長宇賀神義宣君、環境省大臣官房審議官奥主喜美君、環境省水・大気環境局長小林正明君及び環境省自然環境局長星野一昭君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

梶山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

梶山委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。泉健太君。

泉委員 民主党の泉健太でございます。

 本日、二つの法案についてですけれども、主に私は海岸法について多く質問させていただきたいと思います。とはいえ、まず、海防法について二点ほど質問させていただきたいと思います。

 バラスト水規制管理条約ということで、今後、設備として対応していくとなるわけですけれども、我が国はやはり先進的な研究を行って、世界にも技術的に貢献できるようにということも含めてですが、ノンバラスト船の研究開発というものもしてきたはずであります。三年間予算も投じて研究が行われて、一定の成果は出たというふうに認識をしております。

 であるからこそ、よくこれまでも言われたとおり、研究開発は熱心だけれども、実用化にはなかなか市場ではシェアを占めることができなかったなんというのは日本特有の現象であるというふうにも言えるわけですが、このノンバラスト船の研究開発の結果がどうだったか、そして、今後、普及がどうなりそうなのか、お答えいただきたいと思います。

森重政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のノンバラスト船とは、船が空荷のときにおもしといたしますバラスト水を積載しなくても船体が必要以上に浮き上がらないように、通常であれば船の船底が平らな船底部になっておるわけでございますけれども、これをより浮力が少ないV字形の船型とした船舶でございます。

 このノンバラスト船の研究開発につきましては、民間企業が中心となりまして平成十五年から進められておりまして、現在では商品化の段階に至っております。ノンバラスト船は船底部をV字形にすることによりまして強度の補強が必要となるものですから、建造コストが増大するなどの課題もございまして、現段階において実際の契約までには至っていない、そういうふうに承知しております。

 国土交通省といたしましては、展示会への出展や国際的なセミナーの開催を通じました認知度の向上など、普及促進のための取り組みを進めてまいりたい、このように考えております。

泉委員 せっかく研究開発も行って、それなりに、たしか研究開発の結果では十五年ぐらいで投資回収もできるというようなデータが出ていると伺っております。あとは実用化に向けて頑張っていただきたいと思います。

 もう一つ、条約の中では、締約国同士で、お互いに海洋環境の保全から有害とならないというふうに合意された場合はバラスト水の排出ができるというふうになっております。

 例えば、日本の場合、どこかの国とどこかの海域でそういったことの想定があるかどうか、確認をしたいと思います。

森重政府参考人 船舶バラスト水規制管理条約は、バラスト水とともに排出される外来の水生生物によってもたらされる海洋生態系の破壊を防止するために、処理設備の設置等を義務づけるものです。

 この条約及び本法案では、設備設置の例外の一つといたしまして、海洋生態系が類似するとの観点から、近隣諸国間の合意によりまして、処理設備の設置を免除できることとなっております。

 現在、日本と韓国との間におきまして、日韓航路のみに従事する船舶について、この免除を検討するための作業部会を設立いたしまして、検討を進めているところでございます。したがいまして、現時点では、日韓間の航路のみを航行する船舶についての免除が想定されます。

泉委員 ありがとうございます。

 続いて、海岸法について質問させていただきたいというふうに思います。

 まず、海岸法の本論に入る前に、私も消防団員でありますので、消防団員の死者・行方不明者があの震災で二百五十四名ということで現在数字が出ていますけれども、そのうち水門閉鎖等の死者が五十九名ということでございます。本当に心から御冥福をお祈り申し上げたいと思います。

 いろいろと権限は法律上は書かれていますが、最終的には消防団員が操作をしているというケースが主流であります。

 そういった意味で、きょうは総務省に要望と検討のお願いということで御答弁いただければと思うんですが、やはり無線が全団員に行き渡っていないというところもございます。災害がいざ起こったときに、私たちも、平時であれば、普通に自宅の電話番号を書いた連絡網をつくって団の招集をかけたり、あるいは携帯で、あるいは携帯メールでということで、団長の自主的な判断でやっている部分もあります。

 はてさて本当に、そういった平時はそれでよいかもしれませんが、災害が起こったときに、消防団なり水防団というのは何で連絡を、意思疎通をとり合うのか。時々刻々と変わる、特に津波のような災害の場合においては、本当に頻繁に連絡をとり合うことも重要でありますし、団長自身に余りに頻繁に連絡が集中しますと、今度は団長の携帯電話が切れるだとか団長の作業が滞ってしまうですとか、そういったことも起こる。

 やはり、団長に対して連絡要員を補佐する役割としてつけることも含めて、もう一回、総務省内で、消防団の平時ではなく災害時における意思疎通、情報交換体制というか情報共有体制、指揮命令系統体制みたいなものがどうなっているのかということを検証していただきたいというふうに思うんですね。

 その辺が今までなされていて、既に見解が出ているのであればいいんですけれども、例えば、急に津波が来るから一斉に全員引き揚げろということを、自治体の防災無線とは別な形でやらなければいけないことだって当然あると考えると、まだまだ消防団内における指揮命令系統というのは不十分ではないのかな、何をツールとして使うのかがはっきりしないのではないかなというふうに思います。

 その点、総務省に確認をしたいと思います。

室田政府参考人 東日本大震災におきましては、委員御指摘のとおり、避難誘導やあるいは水門閉鎖等の活動中に多くの消防団員が犠牲になったところでありまして、その教訓を消防団員の安全対策に生かすことが重要だと考えております。

 消防庁におきましては、東日本大震災の教訓を踏まえまして、水門等の閉鎖活動の最小化を図るため、水門の統廃合や半開化、遠隔操作化、自動化等の推進について検討するよう働きかけを行っているところでございます。

 また、委員御指摘の指揮命令系統につきましては、単独行動により被災した例もあったことから、隊として複数人での活動を原則とすること、また、指揮本部から現場の指揮者であります隊長、そして隊長から団員という指揮命令系統を確立することなどを盛り込みました安全管理マニュアルを取りまとめまして、各市町村に通知をしたところでございます。

 また、この指揮命令系統に係ります情報伝達手段を確保するため、命令や活動状況等を双方向で伝達できるトランシーバーを団員一人一台配備することとした装備の基準の改正を本年二月に行いまして、あわせて、地方交付税措置を大幅に引き上げたところでございます。

 さらに、現場の指揮者が災害現場の状況を的確に把握し、安全確保措置を決定することが重要であるというふうに考えておりまして、本年三月、消防学校の教育訓練の基準の見直しを行いまして、分団長や部長等、この方々は現場で指揮をとる方々ですけれども、現場における安全管理に関する実践的な訓練の充実を図ることとしたところでございます。

泉委員 今、最後にお話しになられた実質的な訓練というのは、昨年の伊豆大島の水害のときにも、台風被害のときにも要望させていただいて、太田大臣にも御配慮いただいて、また御協力いただいて、実現をしたことでもあります。大変ありがとうございます。

 一方で、昨年九月にあった台風水害ですとか、あるいは伊豆大島の台風水害ということでもそうだったんですけれども、私も昨年質問いたしましたけれども、消防団員が必ずしも過酷な現場を事前に想定した訓練までを、例えば御遺体を扱ったりけが人を扱うということを事前の訓練の段階から、確かに担架に模型を乗っけて運んだりというのはあるかもしれませんが、全く本当に厳しい映像ですとか、そういったものを使った訓練というのは余りやってはいないと思います。

 そういった意味では、前回も指摘をさせていただきましたけれども、PTSDという問題が起こっているというのもありますので、私たち消防団員という立場からしても、その覚悟を高めていただくような訓練もぜひ考えていただきたいというふうに思います。

 さて、さらに進めていきたいと思いますが、この海岸法です。私は、おおむね方向性はすばらしいと思いながら、幾つか確認をさせていただきたいというところがあります。

 今回、津波防災対策、被害軽減に関して、政府の基本的な考え方、コンセプトはどのようなものかということを聞かせていただきたいと思っておりまして、きょうは資料を配らせていただいております。「今回の津波の反省」というのが一番上に書かれている資料でありますけれども、これは中央防災会議の資料ですね。

 ここに大まかにそういったことが書かれていると思うんですが、私がまだ余り国民には伝わっていないのではないのかなと思うのは、その下に、津波レベル1と津波レベル2という言葉があります。レベル1というのは、最大クラスの津波に比べて発生頻度は高く、津波高は低いものの大きな被害をもたらす津波。津波レベル2というのは、発生頻度は極めて低い、しかし、発生すれば甚大な被害をもたらす最大クラスの津波。今回の東日本はこちらに当たるのかなというふうに思うわけですが、こういうようなことも記されているわけです。

 そこで、改めて確認をしたいと思うんですが、現在の政府の基本的な津波対策の考え方、コンセプト、それを確認したいと思います。

日原政府参考人 お答えいたします。

 今委員から御指摘いただきましたように、津波対策につきましては、二つのレベルの津波を想定した対策を講ずることといたしております。そのうち最大クラスの津波に対しましては、住民等の命を守ることを最優先といたしまして、住民等の避難を軸に、緊急避難場所、避難路、避難階段等の整備、確保、あるいは津波浸水想定を踏まえた土地利用といったような、ハード、ソフトの対策を柔軟に組み合わせて総動員する多重防御による地域づくりというものを推進することといたしておるところでございます。

 また一方、比較的発生頻度の高い一定程度の津波、委員の資料によりますと、レベル1と書いてありますけれども、これにつきましては、人命保護に加えまして、住民財産の保護あるいは地域の経済活動の安定化、効率的な生産拠点の確保というような観点から、海岸保全施設等の整備を進めることとしているものであります。

泉委員 ちょっと細かい話になるんですが、このレベル1とかレベル2というのは、例えば、地震が起こって津波の発生が予想されるときに、NHKなどが表現として一般に周知するようなものなのかどうか、これを確認したいと思います。

日原政府参考人 お答えいたします。

 レベル1の津波、レベル2の津波というのは、既往最大あるいは想定最大の津波を施設で全て守るということは合理的でないということを前提といたしまして、施設で財産や経済活動等を守るレベルを設定するために用いられる、まさに行政的な基準というふうに考えてございます。

 津波からの避難につきましては、住民がみずからの命を守るために行う最も大切な行動でございますので、どのような津波でも安心せずに、速やかに避難することが重要であるというふうに考えてございます。

 したがいまして、施設の基準であるレベル1、レベル2という表現を警報等の緊急避難の段階で用いるというのは適切ではないというふうに考えておるところでございます。

 なお、レベル2といいましょうか、最大クラスの津波が到達するときにどれぐらいの高さになるのか、あるいは浸水範囲はどこまでなのかというのは避難の際の重要な考慮事項でございますので、あらかじめ一般の住民の方に周知しておくことが必要であるというふうに考えております。

泉委員 今のを聞いて少し安心いたしました。

 というのは、ようやく、大津波警報とか津波警報というわかりにくい周知の方法から、今回気象庁も含めて変えられて、その一方でまた、もしレベル1だレベル2だという新しい話になってくると余計ややこしいと思っていましたので、これはあくまで行政的なもの、特に、津波レベル1ということは、設計津波という考え方で、防波堤の高さを決める、防潮堤の高さを決める基準にもなっているということでありまして、それはそれでよいのだと思うのですが、今おっしゃられたように、あらゆるレベルの津波でも避難ということを考えなければいけないということでやっていただきたいと思っているんです。

 やはり、どちらかというと、工学系のというか、土木系も含めて、技術関係の方々が、このレベル1とレベル2を考えるときにどういうふうに解釈をし、またどういうふうに事業を進めているかというと、例えば土木学会では、レベル1の津波というのは防潮堤などの海岸保全施設で防ぐということを明言されているわけですね。これは何の悪気もないと思うんですが、見方によっては一般の住民たちに誤解を与えてしまいかねないというふうに思うんですね。

 きょうお配りしている資料の一番上の「今回の津波の反省」というところの下、「海岸保全施設等に過度に依存した防災対策には限界があったことが露呈された。」というふうに書いております。

 また、ちょっと一枚開いていただきますと「実例:岩手県沿岸の海岸堤防高」というのがありまして、これをごらんいただきますと、ちょっと文字が薄くて恐縮ですが、各自治体の各海岸がずらっと地図上で並んでいるところと、横にグラフがあります。この丸いポツがついているのが今回の大震災で来た津波の高さですね。棒グラフの濃い方が今までの堤防の高さで、ちょっと薄くかさ上げというか横に伸びているのが今回の計画でつくろうとしている堤防の高さ。

 結局は、今回の計画でつくろうとしている堤防の高さも、今回東日本大震災で来た津波には到底及ばないというようなところで、しかしながらということで堤防をつくろうとしているということからも、海岸保全施設で災害を防ぐことができる、そういう間違ったメッセージになってしまうと、これは私は住民に大きな誤解を与える。

 ちょうどあの東日本大震災の一年前、チリ地震がありまして、私はそのとき政務官でありました。防災担当をやっていましたけれども、まさにそのときの、住民が避難する方々の率が低かったということで、ちょうど、アンケート調査をとらなければいけないな、情報伝達に問題がなかっただろうかということでアンケート調査をとっている恐らくそのさなかに東日本の大震災が起こったということもありました。

 そういった意味では、このレベル1という考え方が、技術的な基準ということで決めておられるんだとは思うんですけれども、一方では、これがインターネット上にも載り、そしてそこには保全施設でレベル1の津波は基本的に防ぎますというふうにいろいろなところに書かれてしまっているということについて、これは誤解を与えかねないというふうに思います。

 そこは、レベル1の津波であっても、しっかりと、今おっしゃっていただいたように、避難ということはそれとは全く別物であるという考え方を広く伝えていっていただきたいというふうに思います。

 さて、次であります。

 緑の防潮堤ですけれども、ある意味、国交省が非常に目玉的に今回の海岸法では打ち出している緑の防潮堤、この定義というのはございますでしょうか。

森北政府参考人 委員御指摘の緑の防潮堤は、コンクリートの防潮堤と一体的に盛り土と樹林を設置するものでございまして、東日本大震災のときのように津波が堤防を越えた場合に、堤防が壊れるまでの時間をおくらせることで避難の時間を稼ぐとともに、浸水面積を減らすなどの減災効果を有するものというふうに考えております。

泉委員 実は、ある意味、善意の誤解が相次いでいまして、森の防潮堤と緑の防潮堤は一緒だというふうに捉えている方々が数多くおられる。

 大臣も御存じだと思いますが、昨年も植樹を一緒にされたあの宮脇教授が、森の長城プロジェクトということで、森の防潮堤ということで、瓦れきを集めて、有害物質を取り除いて盛り地をつくって、そこに木を植えて自然に近い形の防潮堤をつくろうじゃないかというプロジェクト、多くの市民が参加されているわけですが、それはそれですばらしい。しかし、これはあくまでどうやら森の防潮堤ということであって、国土交通省にお伺いしましたら、いやいや、私たちは緑の防潮堤です、オリジナルですというようなお話を一応説明では受けまして、ああ、なるほど、あくまでコンクリートの上に載っけるということが前提ですというところがどうやら違いなのかなという気がいたします。

 改めてですけれども、防潮堤は防潮堤として、海側そして陸側、今回の経験を踏まえて、陸側もしっかりとコンクリートで被覆をして、そしてそれをさらに洗掘を防ぐ、補強するために盛り土をするあるいは植樹をする、これが緑の防潮堤であるということでよろしいですね。うなずいていただきましたので、先に進ませていただきたいと思います。

 まず、コンクリート堤防に盛り地をするということですね。皆さんも頭で考えていただくと、確かに、コンクリートじゃないところをコンクリートで被覆する、当然ながら強化されるだろうなというふうにイメージできると思います。そして、そのコンクリート盤が外れないように根固めをする、一番下にコンクリートの塊を置いて補強する、これも当然補強されるだろうなと思います。その上に土までかぶせて、さらに樹木までかぶせれば、かぶせればかぶせるほど強くなるだろう、あるいは破壊が防げるだろうというふうに一般的にはイメージされるのかなというふうに思います。

 ただ、私がきょう指摘をしたいのは、国土交通省が二〇一一年の十一月に資料をつくっておりまして、「河川・海岸構造物の復旧における景観配慮の手引き」というのがあります。きょう資料でお配りをさせていただいています。ちょっとページ数をつけていなかったので、一枚めくりまして、さっきの岩手県の地図の反対側ですね。一番下に二十四ページという数字が振ってあります。これが「河川・海岸構造物の復旧における景観配慮の手引き」、国土交通省で検討されてつくったものです。

 ここにどう書いているかといいますと、一番下をごらんいただくと、「裏法尻部をコンクリートで被覆する等の洗掘対策を行った場合は、植栽は適さない。」というふうに書かれているところであります。植栽とは何か、植樹であります。

 さらには、その二十四ページと数字が振ってあるところの上の方を見ていただくと、「具体的な配慮方法」として「土砂の安定性の観点から、極力緩傾斜で行うことが望ましい。」「覆土を行う場合は、適度に起伏をつけ、堤防法面との境界部が直線にならないよう配慮する。」等々が書かれております。

 そして、さらに資料の一番裏、二十七ページと振ってあるところをごらんいただきますと、なぜ植樹や土で覆うということに気をつけなければいけないかというと、「越流により一定の水深を超えると、樹木が漂流し、他の施設等への被害を増幅することがあり得ることに十分留意する必要がある。」

 あるいは二十六ページに図が載っておりまして、一番上、図と私が丸で囲んだ文字がありますが、まず、土の盛り方というのは、堤防の上から下まで斜面に土を盛るのではなく、まさに一番下の洗掘されそうなところを固めるために、緩い形で低く土を固める、これが基本であるというような絵になっております。さらに、「維持管理や越流時の流出防止の観点から、堤防に近接して高木を植栽しない」というふうにわざわざ書いてあります。その横にも、「必要に応じて、緩傾斜で覆土することを検討する」等々書いてあるんですね。こういうふうになっているわけですね。

 それで、もう一回、資料の真ん中のページに戻っていただきます。二十四ページの横。「植樹の樹種及び本数、将来のイメージ」というのが書かれていて、これが太田大臣が行っていただいた岩沼海岸の資料ですね。昨年六月三十日の植樹の際の資料であります。

 ここで「樹木が成長した将来のイメージ」というのが書かれていまして、まさに堤防の上から斜面に沿って土を盛って、どちらかというと、斜面が終わったところで途切れているような状態の土の盛り方。そして、これは確認しなければいけませんが、斜面に起伏をつけているのかどうかですね。堤防のコンクリートに起伏をつけているのかどうかということも含めて、大臣にも少し、うんという懸念をしていただきたいのは、本当に植樹をしていただいたところ、今ちょっと、成長も少し、予想したよりも、塩の被害だとか風に当たっておくれているというような話がありますが、これはある意味、当然のことかもしれません。海風も、そして塩も当たり前ですね、海の横ですから。

 そもそも、そんなに高い木が生えるわけじゃないというところの堤防の上の部分から植樹をしたということが果たして本当に正しかったのかどうかということや、本当にあの斜面、今後、どんどん雨が降ったり高潮が来たりする中で、土と堤防の間の部分に水が入ったりして、この斜面そのものがずり落ちるようなことがないのかどうかということも含めて、恐らく、国土交通省が二〇一一年、平成二十三年の十一月にまとめたこの景観配慮の手引きの土の盛り方とは随分違う形で岩沼の土が盛られて、植樹されたんではないかということが感じ取れるわけなんです。

 このことについて国交省の見解を伺いたいと思います。

森北政府参考人 お答え申し上げます。

 緑の防潮堤の盛り土の厚さでございますけれども、これにつきましては、林野庁が実施をいたしました東日本大震災におきます海岸防災林の被害状況調査、それによりますと、地表面から地下水位までの深さが浅いところには、樹木の根が地中深く伸びないということから、根の張りが弱かったということで根返りをし、そして流されたというものが存在しているということが確認されております。

 一方で、十分な樹高を有して、被害を受けずに残った樹木につきましては、地表面から地下水位までの深さが三メートル程度あるところで生息していたことが確認をされております。

 こういったことから、樹高の高い樹木を植えるところにつきましては、三メーター程度の盛り土の厚さを確保するということにしておるところでございます。

 御指摘の宮城県の岩沼市のモデル的に整備をした緑の防潮堤、ここにつきましては、樹高の高い樹木を植えるところにつきましては三メーター程度の盛り土厚さというふうにいたしております。

 その植樹をした箇所の状況につきましては、先ほど委員から枯れているというふうなお話がございましたけれども、宮脇昭横浜国立大学名誉教授によりますと、九〇%から九五%の苗は生きており、問題はないというふうな御意見をいただいております。また、実際、この五月には新芽が出ているというふうな状況でございます。

泉委員 大臣、国土交通省としては、本来、やはり、技術的に適切な盛り土なのか、覆土なのかということは、この岩沼については、私、ちょっと一遍説明をいただかなきゃいけないんじゃないかなと思います。やはり相当違う盛り方をしておりますし、目的が、いろいろな要素が絡まって、私ももちろん緑の防潮堤は大賛成ですし、なるべく堤防が景観に配慮されることもいいと思うんです。

 しかし、本来、国土交通省の技術的な観点からつくった覆土の仕方と、今回斜面につくった植樹のエリアの設定の仕方なり、盛り土の仕方なり、あるいは今後の将来のイメージとして、さっき高い木であれば三メートルぐらいの根が必要なので土もそれぐらい盛らなきゃいけないという話がありましたが、やはり聞く人に聞けば、海岸部で恐らく風が強い中でいうと、堤防より高い木はあの堤防に近接したところでは生えないよというのが定説だというふうに言われておりまして、そういった意味では、今回の植樹というのはかなり堤防の上の方まで植樹をしていただいたわけですが、これが果たして、意味がないとは言わないんですが、ちょっと形式にとらわれているのではないのかなという気がいたします。

 要は、私は、植樹に参加した多くの方々や、宮脇先生も含めてですけれども、がっかりさせたくないというのもありますので、今回、モデル的にということは理解はしますけれども、やはりまず一番は、堤防の安全性を高めるということが第一にあり、そして被害を軽減するということが同じく第一にあり、住民被害を軽減するための施設であるということは、特にそのことに重きを置いて、果たして本当に一つ一つの植樹の方式が正しいかどうかというところをしっかりと検討していただきたいというふうに思います。今回のケースが、木の成長だとか、あるいは盛り土、覆土の流出ということが起きないように、ぜひ努力をしていただきたいというふうに思います。

 いっぱい、いろいろと言いたいことはあるわけですが、時間の関係で、進めさせていただきたいと思います。

 確認ですけれども、今回の緑の防潮堤は陸側に樹木が成長することをイメージされていますが、例えば今、陸前高田なんかでは、第一線堤、第二線堤ということで、間に松原を挟んで、そして後ろ側に大きな堤防がまた設置をされる計画になっているわけです。そういった意味では、第二線堤からすれば海側に樹木が生えるということになるわけです。

 ほかにも、今回、恐らく、国土交通省から私がいただいた写真の中の幾つかには、海側の樹木が抜けなかったということの事例があったというふうに認識をしておりまして、何も陸側に限られないというふうに思うんですが、これは両方という考え方でよろしいですか。

森北政府参考人 緑の防潮堤の海側での整備についてでございますが、海側は、陸側に比べまして強い潮風とか高潮等によりまして塩害とか波浪、そういったものによります侵食など、樹林にとって厳しい自然条件というものが想定をされます。

 したがいまして、防潮堤の海側前面、そこの砂浜が十分にあるなど、樹林の生育に適した環境が整っていれば、海側においても整備できるものというふうに考えております。

泉委員 防潮堤というのは、必ずしも海の水位ひたひたに隣接して設置されるものではないわけですので、今おっしゃったように、砂丘等々をしっかり確保されるということであれば、海側についても柔軟に考えていただきたいというふうに思っております。

 改めてになりますが、先ほどの国土交通省自身がつくった景観配慮の手引き、しかも、これは復旧における景観配慮の手引きですから、震災を踏まえた上での手引きの中で「植栽は適さない。」と書いてあったり、波が越えた場合には「覆土が流出することを前提とした検討が必要である。」という文章も書いてあるわけですね。これはある意味真っ当だと思いますので、そういったこともしっかり配慮して、この計画を進めていただきたいというふうに思います。

 続いて、協議会なんですけれども、この協議会については管理者間の協議会というような形が想定されているというふうに聞いておりますが、先日、自民党の片山さつき先生が国会の中で開かれた環境女子会という集会がありまして、そこで海岸法の勉強会をするという大変珍しい機会にめぐり会いまして、私も行ってまいりましたけれども、その中でも、やはり、協議会についての期待が大きいんですね。

 これは、千葉県一宮町なんかで、海岸まちづくり会議という形で、住民参加で海のことを話し合うということがあって、そういうものを期待している方々がたくさんおられるんだなということを実感いたしました。

 しかしながら、恐らく、今回の協議会というのは、管理者同士の調整の場という色彩が強いというふうに伺っております。改めてですが、住民やNPOの参画も、私はやはり可能にすべきではないか。

 これには理由がありまして、やはり、いろいろな施設が海岸に設置される、しかし、それはあくまでそこに住む住民のためなんだということですね。そこの原点をやはり忘れてはいけないということからいけば、確かに、町長なり市長は住民代表だから、それさえ入ればいいじゃないかということではあるかもしれませんが、そうではなくて、やはり地域に住む住民の代表なりNPOの方々が入っていただくということが大事かなと思いますが、その可能性はいかがでしょうか。

森北政府参考人 本法案で規定する協議会でございますけれども、防潮堤など海岸保全施設とその近傍にある防災林等の津波による被害の軽減に資する施設、こういったものを一体的に整備するなど関連する事業等について調整をする、その結果として、効果的な海岸の防災・減災対策について協議を行うために設置をすることができるというふうにしているところでございます。

 そういうことから、協議会は、委員御指摘のとおり、海岸管理者と関連する事業を実施する国の関係行政機関の長及び関係地方公共団体の長が組織することといたしております。また、学識経験者など、協議会が必要と認める者も協議会に参加させることができるというふうにいたしております。

 また、協議会が必要と認める者についてはその構成員として参加させることができるとされておりまして、住民の代表等が関連する事業との調整を図るという観点から協議会の場で意見を述べるということも可能というふうに考えております。

泉委員 よく今の言葉で満足してしまいがちなんですが、その意見を述べるというところなんです。構成員になって意見を述べるのか、呼ばれて意見を述べるのか、これは大きな違いですよね。そこを改めてお答えいただきたいことと、さらに言えば、傍聴や議事録の公開、こういったことが可能かどうか、お答えください。

森北政府参考人 この協議会の設置につきましては、あくまで海岸管理者である県等の判断によるものというふうに考えております。海岸管理者の方で判断をして適切に対処していただくということになるんだろうというふうに思っております。

泉委員 大臣に最後にお伺いをしたいと思います。

 今の協議会の話ですけれども、最終的には県が判断するということではあるんですけれども、やはり、国交省がこうやって海岸法をつくるということは、協議会を規定しているけれども、そこには一般住民は入れますというのか入れませんというのかで随分違うと思います。

 ぜひ、そこについては、やはり、庶民を大事にする大臣でありますので、そういった住民の方々の参加や議事録の公開が担保されるように御努力いただきたいということにお答えいただきたいということが一点と、先ほどの緑の防潮堤ですね、それについて御感想があればお答えいただきたいと思います。

太田国務大臣 住民ができるだけ参加して、意見が述べられる。いろいろな形態があろうと思います。協議会、いろいろなことのほかにもあろうかと思いますが、声をよく聞くという体制は最も大事だというふうに思っています。

 緑の防潮堤については、高さと構造という両面を考えてのことです。森の防潮堤で指摘されているのは、むしろ高さというよりは構造の部分です。瓦れきをそのまま中に使ってというようなこともありますが、我々が考えておりますのは、高さと構造と両面から考えて、緑というもの、樹木を植えると。

 そして、今御指摘のさまざまありました構造ということは、強度が一番大事でございますので、そういう点では、盛り土した部分というのとコンクリートの間に水が入るというようなことも含めて、これは対応するという措置をとればできるわけでありまして、上部をコンクリートで覆うとかいろいろな形ができるというふうに思います。

 それから、私、非常に苦労しましたのは、国交省が管理するのと、そこで、さっきの図では切れておりますけれども、これが、実はそのまま土かぶり部分が延長されるということの中に、実はこれは林野庁が管轄しまして、そこに同じような木を植える。そのときの樹木の選定というのはまたちょっと違うんですけれども、そういうようなことになっておりまして、これはそれぞれのところの管轄の部分だけ書いているということでございます。

 強度というものがしっかり保たれ、さらに強度を増すような構造というものをどうつくるかということを、樹木を含めて検討するということが最も大事なことだと思っております。

泉委員 終わります。

梶山委員長 次に、西岡新君。

西岡委員 日本維新の会の西岡新でございます。

 きょうは、二法案について質問をさせていただきたいと思います。

 まず最初に、海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律の一部を改正する法律案ということで質問をさせていただきたいと思います。

 バラスト水は、先般の韓国での船舶事故でも見られるように、それでくしくも有名になってしまったというような話でございますけれども、船舶のバランスを保つために、おもしとして船舶に取り入れられる海水というようなことであります。現在、このバラスト水が、世界じゅうで環境や生態系に影響を及ぼして、経済的にも被害が出ているというような状況でございまして、それを受けて国際海事機関において平成十六年に採択されたバラスト水規制管理条約が発効要件を満たす見込みだということで、今国会において、衆議院では先般条約が承認されましたし、あした、参議院では本会議で条約が承認される予定だというふうにお聞きしております。

 今回のこの条約の発効については、船舶の処理設備の設置については、発効要件を満たしてから一年後とされるこの条約の発効に対して、設備の搭載期日というのは、新造船については条約発効後、そして現存船については条約発効後の最初の定期検査までというふうになっておりまして、最長で五年間の猶予期間を設けられているということでありますけれども、これを踏まえて、この設置が求められる事業者側や、国内における設備の供給力の観点から、特に現存船について、これは、この期間内に現実的に全対象船舶への設置が可能かどうか、まずお伺いしたいと思います。

森重政府参考人 お答え申し上げます。

 現存船へのバラスト処理設備の設置につきましては、昨年十一月のIMO、国際海事機関の総会におきまして、条約発効後、最初に到来する定期検査まで、最大五年間の猶予が与えられることが決議されました。

 定期検査は、全ての船舶が五年ごとに受検しているものでございますので、また、設置工事につきましては、この定期検査の期間内に、ドックに入っている期間内に実施可能であることから、対象船舶への設置は問題ないというふうに考えております。

 また、日本のメーカーの処理設備、製品の供給能力につきましては、年間約二千台と十分な能力もございまして、我が国の現存船への設置の体制は十分に整っておると考えております。

西岡委員 ありがとうございます。

 早期のバラスト水の処理設備の搭載を誘導するということでありますけれども、海洋生物の破壊防止に寄与するとともに、国内造船所の受注機会をやはり確保しなければならないというふうに思っております。

 設置費用に関しては、この条約の発効前には税制上の優遇、これは、費用は修繕費として一括損金経理として可能というような税制優遇措置が設けられておるわけでございますけれども、高額な費用が見込まれるわけでございますから、こういった費用を負担する海運事業者への配慮、並びに、条約の発効後に改良を行った船舶に対しても何らかの措置を講じる必要があるのではないかと思います。この点に関しての国交省のお考えと、また、既に条約を締結している諸外国において、こうした税制優遇以外にも支援措置というのは実際の例としてあるのかということをお聞きしたいと思います。

森重政府参考人 バラスト水の排出により生ずる環境問題への対応につきましては、海運事業に伴って発生するものでございますから、基本的には船舶所有者がその防止を図るべきものと考えております。

 他方、委員御指摘のように、我が国の国際海上輸送を支える海運業界にとりまして相当な投資になることも考慮いたしまして、政府としても、処理設備の設置費用につきまして、一括損金経理が可能となるようにしております。この取り扱いは、条約発効の前後を問わず適用されることとなっております。

 船舶所有者にはこの措置を十分に活用していただくことを考えておりまして、その他の補助制度を創設することについては考えておりません。

 なお、主な海運国数カ国に確認したところ、バラスト規制に係る支援というものはないとの回答を得ております。

西岡委員 ありがとうございます。

 私の地元の今治も海事都市でございますので、船舶所有者もたくさんいらっしゃるということもあります。今の支援措置で十分であるならば、それで結構なんですけれども、今後の状況を見ながら、必要に応じて、状況が悪ければまた報告させていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 次に、この法律によって、日本国内におけるバラスト水の処理設備の設置義務が生じる船舶の数は一体何隻になるのかということと、また、その平均的なコストについてと、あとは、日本の海運会社が保有する船舶における全体の市場規模というのはどれぐらいを見込まれるのかということをお聞きかせいただきたいと思います。

森重政府参考人 本法案によりましてバラスト水処理設備の設置義務が生ずる日本船舶は約三百四十隻となります。また、バラスト水処理設備設置のための費用につきましては、船舶の大きさにもよりますけれども、一隻当たり一億から三億程度と聞いております。我が国海運業界が所有する船舶は全体で約二千隻でございますので、バラスト水処理設備の設置に係る市場規模につきましては、二千億円から六千億円程度になるというふうに考えております。

西岡委員 ありがとうございます。

 平成十六年にこの条約が採択をされてから、これまで日本が条約を締結してこなかった理由の一つとして、技術が十分についていっていないのではないかというような理由があったようにお聞きしております。先ほど来より話をお聞きすると、今はメーカーもそろいながら技術もそろっておるというような話でありますけれども、我が国の今現在の処理設備製造事業者の技術的な水準というのは他国の製造事業者と比較して遜色ないのか、そういったところをお聞かせいただきたいと思います。

森重政府参考人 我が国では、五社の国内製造メーカーが六種類のバラスト水処理設備を製造しておりまして、国土交通省でこれらの設備の予備的な承認を行っております。

 こうした設備は、条約の基準をクリアするだけでなく、他国の製品の仕様と比較しても十分な性能を有しておりまして、こうしたこれら五社の製品の受注、今後の工事分を含む受注でございますけれども、これは、日本籍船以外の船舶も含めまして、既に合計で約五百隻に達しているというふうに聞いております。

西岡委員 この対象船舶というのは、世界じゅうで処理設備を搭載する必要がある船舶がどれぐらいあるのか、お聞かせいただきたいと思います。

森重政府参考人 統計上の制約はございますけれども、世界の全船舶約十三万隻、このうち、明らかにバラスト水の排出を行うことがない漁船、港内作業船などの船舶を除外いたしますと約七万隻となりますので、約七万隻が対象となり得るというふうに推計しております。

西岡委員 約七万隻ということであるならば、先ほどコストが一億から三億ということで、少なく見積もっても七兆円規模の市場があるというふうに考えられるということであります。

 お聞きすると、処理設備製造事業者というのは全世界で三十四社あるというふうにお聞きしておりまして、そのうち日本が五社であるということでありますけれども、日本船籍に設置することのできるバラスト水処理装置について国交省も承認しているこの五社については、やはり私は、ビジネスチャンスとして応援していくべきであるというふうに思っておりまして、外国籍の船舶についてもチャンスとして取り組むべきではなかろうかというふうに思っておるわけでございます。

 この設置費用については、国内で設置した場合と海外で設置した場合のコストの比較、そして、技術面やコスト面において国際的な競争力を持っているものと思ってよいのか、また、そのような競争力の観点から事業者に対しての支援を講じることはないのか、その点もあわせてお伺いしたいと思います。

森重政府参考人 処理設備の設置費用につきましては、先ほど御答弁申し上げましたように、工事費用も含めまして、一隻当たり総額約一億から三億円ということでございます。

 競争力ということでございますけれども、我が国メーカーが製造するこうした処理設備につきましては、他国の設備の仕様と比較いたしましても十分な性能を有しているという状況でございますけれども、国際競争の中で既に約五百台の設備を受注するなど、いわゆる国際市場における市場競争力を有しているものと考えております。

 国土交通省といたしましては、こうした我が国のメーカーの製品につきまして、国際展示会も含めました展示会への出展や、国際的なセミナーの開催を通じまして、製品の認知度の向上など、普及促進のための取り組みを今後も進めてまいりたいというふうに考えております。

西岡委員 もう既に五百隻の受注をしておるということでありますけれども、全体では七万隻ぐらいあるわけでございますから、今後もしっかりと国交省においても支援をしていっていただきたいと思いますし、展示会等々で認知度を広げていくということも重要であるというふうに思っております。

 次に、検査についてお聞きしたいと思います。

 今回の法律によって、我が国の港に寄港する外国船舶が条約に適合しているかどうかを確認することができるポートステートコントロール、PSCを実施することが可能となりましたけれども、現場においてどのようなポイントで検査をすることになるのかということと、また、PSCに従事する外国船舶監督官というのは、平成九年度にこの制度を創設したわけでございます。これまで組織の拡充を図ってきておることは確かでありますが、平成二十五年度で見ると、全国四十一官署で百四十人の人を抱えておるということでありますけれども、これだけの、数多くの外国船舶が入港してくる中で、実効性のあるPSCを実施するために、この人数が果たして足りていると言えるのか、国交省のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

森重政府参考人 寄港国が行う外国船舶への立入検査、ポートステートコントロール、いわゆるPSCでございますが、このPSCにおきましては、排出基準への適合性を証明する有効な証書を船舶が持っているか、また、有害水バラスト汚染防止措置についての手引書及び水バラストの記録簿、そういったものを確認することとなっております。また、寄港国は、状況に応じまして、排出されるバラスト水のサンプル検査も行うこととしております。

 こうしたPSCにつきましては、現在、十二の条約、条約が十二本ございますけれども、それに関連して実施しておりまして、御指摘ございましたように、四十一の地方運輸局等の官署などで百四十名の外国船舶監督官を配置しておりますけれども、この体制でもちまして実施しております。今回のバラスト水の規制に伴いまして、このPSCを行う際に確認すべき事項が増加するということになるわけでございます。

 こうしたPSCの実施要員につきましては、従来より、研修、訓練を通じましてその技術の向上を図るとともに、要員の増加を図ってきておりますが、今後とも十分な執行体制の確保に努めてまいりたいと考えております。

西岡委員 このPSCの実行を確実にするために、国際的な枠組みというのは何かあるわけでございますか。

森重政府参考人 外国船への立入検査、PSCにつきましては、我が国を含めて、全ての締約国で国際的に実施しております。この各締約国によりますPSCの結果につきましては、国際海事機関、IMOを通じまして、各国間、各地域の間で情報共有をいたしておりまして、いわば国際的な連携のもとで効果的な検査を実施しております。例えば、基準不適合の可能性の高い船舶に重点的に検査を実施するなど、効果的な実施を図っているところでございます。

 アジア太平洋地域におきましては、我が国を含む十九カ国で協力体制を構築しておりまして、東京MOUというふうに称しておりますけれども、地域全体で、入港する外国船舶の七〇%に対しましてPSCを実施しているところでございます。

西岡委員 ありがとうございます。

 私が懸念をしておるのは、我が国は比較的真面目にそういったことをやるであろうと思いますけれども、先般のあの韓国の船の事故を見ても、本当にこの実効性が担保できるのかなと。それによって、諸外国の船がそういったところにまず集中をして、ハブ化をされてしまって、我が国の、そういった本来来るべき船舶というのがどんどん逃げていくような状況にならないように、そういったところも注意をしていただきながら対応していただきたいというふうに思っております。

 次に、先ほど泉委員の方からもお話がございましたノンバラスト船についてでありますけれども、これは、海洋政策研究財団のホームページなどを見ますと、先ほど泉委員からもありましたように、平成十五年から三カ年にわたって研究が行われておって、耐航性などの課題が解決されたということでありましたが、先ほどの答弁にもありましたように、コスト面の増大であるとか、具体的な取り組みについては、まだ不透明なところがなかなかあるのではないかというような印象を受けました。

 こういったところを、せっかくここまでノンバラスト船についての費用を投入してきたわけでありますから、実現性について、国交省としての取り組みというのを、もう少し具体的にお聞かせいただければと思います。

森重政府参考人 ノンバラスト船につきましては、今委員も御指摘ございましたように、開発をいたしまして、現在では商品化の段階に至っているという状況にあるわけでございます。

 改めて御説明申し上げますと、空荷のときにおもしとする必要のあるバラスト水、これを積載しなくても船体が必要以上に浮き上がらないということで、通常であれば平らな船底部を、より浮力の少ないV字形にした船舶ということで研究開発を行った上で、先ほど申し上げましたように、商品化の段階に至った。

 コストの問題等々、課題がございますけれども、そういうこともございまして、現時点では実際の契約までには至っておりませんけれども、国土交通省の取り組みとしても、これからさらに、展示会への出展、セミナーの開催、あるいはさまざまな場を通じまして、日本の産業界の製品の普及という観点から認知度の向上に努めてまいりまして、取り組みを進めてまいりたいというふうに考えております。

西岡委員 ぜひお願いしたいと思いますし、この海洋政策研究財団のホームページを見ておりましても、オーストラリアとかの興味がある諸外国からも視察が来ておるようですから、ぜひ引き続き、実現に向けて努力をしていただきたいというふうに思います。

 次に、今回のこうした条約でもありますけれども、一連のものも含めて、グローバル化、ボーダーレス化が加速している中にあって、やはりルールが国際的な競争力を決める重要な要素を担っておると思います。

 TPPの交渉でも見られるように、世界標準をめぐる主導権争いというのは重要な課題となっておって、この点で、日本の発言力を高めることというのは私は必要であるというふうに思っておりますし、国交省にお聞きしますと、現在、こういった国際機関に国交省から二十六名の職員を派遣しているというような話でございましたが、先ほど来より話が出ておるIMOでは日本人が初めて事務局長を務められているということで、非常によいことだというふうに思っております。

 我が国は、国際社会において、やはり規則や国際標準への形成過程や意思決定過程にもっともっと実質的にも参画して発言をしていくべきだというふうに思っておりますけれども、この規範形成力についての強化ということに対しての大臣の御所見をお伺いしたいというふうに思います。

太田国務大臣 物すごく大事なことで、私は、ここで勝たなければ本当にこれから世界の競争ということができない。国際機関の中に入る、発言力を増すと同時に、どうしてもデファクトスタンダードという形になってしまって、いつの間にかもうルールが決められてしまっているというような状況も変えていかなくてはいけないし、今御指摘の問題は、国交省関係を超えて、いろいろなことで極めて重要な問題だというふうに認識をしています。

 このインフラや物品の輸出をめぐる熾烈な国際競争ということを考えますと、関連する国際ルールは決定的に重要だというふうに思います。ISOが、全ての社会インフラを対象とするアセットマネジメントシステムに関する国際規格を定めるなど、対象分野も非常に拡大をしているという状況にありまして、おくれをとりますと、インフラ輸出等の国際競争において決定的に不利な立場になってくるというふうに思います。

 国交省は、そうしたことから、今御指摘の国際機関に二十六名、現在、職員を派遣しているという状況にありますし、積極的に基準の提案を行うなど、議論をリードしているという状況にございます。

 今御指摘のありましたように、IMO、国際海事機関では、事務局長として初めて日本人、国交省出身なんですけれども、これを決め、このIMOにおいては、どの加盟国よりも多く提案を行っている。例えば、船舶からの二酸化炭素の排出規制に関する提案等が国際ルールとなって採択をされたというようなこともございます。

 また、自動車の分野でも、安全基準を満たす自動車を相互に承認する新しい制度を国連に提案して議論をリードしているというようなこともございますし、水の再利用の国際規格化をISOに提案して我が国が幹事国になる、こうしたことで議論をリードしているということもいたしております。

 この国際標準化の動きにおくれをとらないために、我が国の技術や基準を国際標準とするために、かなり力を入れて取り組んでいかなければならないと強い決意を持っているところでございます。

西岡委員 ありがとうございます。

 本当に、ルールづくりの場に行って、そこで実際に決めていくという作業はやはり必要だと思いますし、我々日本人は決められたルールの中でも努力できる国民性でもあって、そういったところも得意なんでしょうけれども、そういったところも、ぜひ今後とも取り組んでいただきたいというふうに思っております。

 次に、海岸法の一部を改正する法律案について質問させていただきたいと思います。

 今回の法律で、先ほど来よりお話がありましたように、樹林や根固め工を海岸保全施設に位置づけるということになりますが、堤防等と一体的に設置された樹林、これは緑の防潮堤というふうに呼ばれておりますけれども、この緑の防潮堤は、例えば先ほど話があった津波のレベル1とかレベル2のときに一体どれぐらいの効果が発揮できるのか。

 逃げる時間を確保できるとかというような話もありましたけれども、どれぐらいの時間を確保できるのかという問題もありますし、これらが海岸保全施設に位置づけられることになった経緯も含めてお聞かせいただきたいというふうに思います。

森北政府参考人 東日本大震災では、防潮堤を越えた津波によりまして、陸側の防潮堤と接する地面、これはのり尻と申しておりますけれども、そこが洗掘されたり、防潮堤を覆うコンクリート、これは被覆工というふうに申しておりますが、それが流失したりする、そういったことがきっかけとなりまして防潮堤が壊れました。

 こういったことの教訓を踏まえまして、防潮堤の整備に当たりましては、津波が防潮堤を越えた場合に、防潮堤が壊れるまでの時間をおくらせて避難の時間を稼ぐ、浸水面積を減らすなどの効果がある粘り強い構造とすることが重要であるというふうに考えております。

 こういう、防潮堤を粘り強い構造とすることによりまして、定量的にはなかなか難しいわけでございますが、浸水までの時間をおくらせることによって避難のための時間を長くする、そして、浸水量が減ることによりまして、浸水面積、浸水深が低減をいたします。そういったことで浸水被害を軽減する。さらには、第一波で堤防が壊れない場合でございますが、第二波以降の被害を軽減するなどの減災効果、こういったものが期待されるというふうに考えております。

 緑の防潮堤は、コンクリートの防潮堤と一体となった盛り土と樹林を設置いたしまして、粘り強い構造とするということとあわせまして、景観、環境面におきましても良好なものになるというふうに考えております。

西岡委員 防潮堤の建設についてはさまざまな意見が出ておりまして、例えば、東日本大震災の被災地で進んでいる巨大防潮堤の建設については、安倍総理の夫人が建設の見直しを訴えられておりますし、総理自身も見直しの可能性を示唆する発言があったとの報道も新聞記事でございました。

 確かに、最近、私の地元でも、海運関係者の方と話しておりますと、必要のない高さの防潮堤ができちゃったというような話をお聞きしておりまして、詳しく調べていなかったものですから、ちょっと詳しいところは発言はできないんですけれども、こういったケースがやはり見られてくるのではないかと思います。

 先ほど泉委員の方からもお話がありましたけれども、住民の皆さんの意見を聞く体制というのはやはり必要であるというふうに思っておりまして、海岸管理者や、国の関係行政機関の長及び関係地方公共団体の長が組織する協議会においても、さまざまな住民の声を取り上げる仕組みをつくる必要があるというふうに思っております。

 こうした住民の意思反映について、一つは、先ほどの答弁にもありましたけれども、海岸管理者などに任せられているということもありますけれども、国交省として、そういった面についてどう指導していくのかということについてお聞かせいただきたいと思います。

森北政府参考人 海岸の防災・減災対策におきましては、防潮堤の整備だけではなくて、海岸防災林でありますとか、海浜防災公園等の関連事業がございます。そういった事業や、また避難等のソフト対策、こういったものを実施する主体と連携していくことが極めて大事だというふうに考えております。

 このため、本法案では、海岸管理者と、今申し上げました関連する事業を実施する行政関係者が、効果的な海岸の防災・減災対策について協議を行う場を設置することができるということといたしております。

 なお、住民の意見を聞くというのは極めて大事ということで、その聞き方はいろいろあるかと。先ほど大臣も御答弁申し上げましたが、個別防潮堤等の海岸保全施設の整備に当たりましては、海岸管理者である県が、例えば事業説明会を行って、地元住民の方々の御意見を聞きながら事業を進めていくことが肝要であるというふうに考えております。

西岡委員 ありがとうございます。

 今回新たに創設される海岸協力団体がございます。この団体については、NPOとかいろいろ考えられるわけでありますけれども、どういった団体を想定しておって、その指定基準については国交省として何らかのガイドラインがあるのか、その点についてお伺いしたいと思います。

森北政府参考人 この法案におきましては、海岸における清掃とか希少動植物の調査、保護、さらには海岸の安全利用講習でありますとか環境学習、そういった海岸の維持等に関する活動を適正かつ確実に実施できる法人、団体につきまして、その申請に基づいて海岸管理者が審査をして、海岸協力団体として指定することができることといたしております。

 この海岸協力団体の指定につきましては、これからでございますけれども、申請があった団体の活動の継続性でありますとか、海岸管理者との協力関係などの公共性、こういったものを確認することなどを内容とする海岸協力団体の指定のための指針を検討しておるところでございます。

 海岸において活動するこういった民間の法人、団体を海岸協力団体として指定することによりまして、海岸管理のパートナーとして地域に根差した民間による活動が促進されて、地域の実情に応じた、多岐にわたる海岸管理の充実が図られるものというふうに期待をいたしております。

西岡委員 ぜひよろしくお願いします。

 次に、今後三十年以内に七〇%の確率で起こるというふうに言われております南海トラフ地震による被害が想定される地域については、この法律の施行後、やはり優先して取り組むべきところであるというふうに思いますが、南海トラフ地震対策特措法というのが先にできておりますけれども、こうした法律との連携というのは国交省としてはどのように考えていらっしゃるのか、お聞かせいただきたいと思います。

森北政府参考人 津波避難対策等の地震防災対策、これの促進を図るために、昨年十一月、委員御指摘のとおり、南海トラフ地震に係る地震防災対策の推進に関する特措法が改正をされました。それに基づく基本計画におきまして、海岸管理者等はレベル1津波を対象に海岸保全施設の整備を行う、それと、津波が越流しても海岸保全施設の効果が粘り強く発揮される構造とする、さらに、国、地方公共団体等はレベル2の津波を対象といたしまして、住民避難を軸にハード対策、ソフト対策を総動員した総合的な対策を推進するというふうにされております。

 一方で、本法案では、緑の防潮堤等、粘り強い構造の海岸保全施設、これを明確に位置づけて、そして他の関連事業、さらには避難等ソフト対策と連携するための協議会の設置をするということにいたしております。

 これらの法律に基づきまして、南海トラフ地震による被災が想定される地域におきまして、ハード、ソフト両面からの効果的な津波対策を推進してまいりたいというふうに考えております。

西岡委員 ぜひ、両法案のそれぞれの特性を生かした南海トラフ地震対策についてお願いしたいというふうに思います。

 最後の質問になりますけれども、大臣が社会資本メンテナンス元年と昨年言われたように、やはり老朽化対策というのが一番重要なところであるのかなというふうに思っておりますし、道路や橋もそうでありますけれども、今回のこういった海岸堤防等の老朽化対策というのは、そのデータベース化すらややおくれているというような状況でございまして、海岸堤防等の約八千五百キロのうち、建設年次が不明なところが二千九百キロもあるということでありますから、早急なデータベース化を進めなければいけないというふうに思いますけれども、この点に関しての国交省の取り組み状況についてお尋ねしたいと思います。

森北政府参考人 御指摘の、老朽化対策についてのデータベース化についてでございますが、今後、海岸保全施設につきましても老朽化が進んでいくということで、老朽化対策は喫緊の課題というふうに考えております。

 そこで、この法案では、海岸管理者が適切に維持修繕するための基準を策定することといたしておりまして、これによって予防保全型の維持修繕を導入して、中長期的にトータルコストの縮減そして毎年の維持修繕費用の平準化を図ることといたしております。

 予防保全型の維持修繕を行うためには、施設の整備、点検、診断、対策を記録したデータベースを作成することが極めて重要であるというふうに認識しております。このため、維持修繕に関する技術的基準を今回策定することといたしておりますが、その内容といたしましては、施設の点検を行い、その点検結果に基づいて修繕を行うこと、点検結果や修繕履歴等の記録を一定期間保存する、そういったことを想定いたしております。

 昨年度でございますが、海岸保全施設の維持管理マニュアルを改定いたしまして、データベースのプロトタイプの作成を行ったところでございます。今年度は、維持修繕のための技術的基準を策定いたしまして、海岸管理者が速やかにデータベース化に着手できるようにしてまいりたいというふうに考えております。

西岡委員 ありがとうございました。質問を終わらせていただきます。

梶山委員長 次に、杉本かずみ君。

杉本委員 みんなの党の杉本かずみです。どうぞよろしくお願いします。

 まずもって、海岸法の審議をゴールデンウイーク前にできるだけ早くお願いしたいという要請を当委員会でもさせていただきましたけれども、梶山委員長、望月筆頭、若井筆頭初め、委員の皆様の御理解、国交省さんの御理解をいただいて、こういうタイミングで審議をいただけるということを改めて御礼申し上げたく存じます。

 それとあわせて、ちょっとJR北海道について、先日大臣が札幌へ御出張いただいて、引き続き管理監督、フォローをしっかりしていただいているということを改めて御礼申し上げ、引き続きの御尽力をお願いしたいと申し上げたく存じます。

 それでは、質問に入らせていただきます。

 もう既に泉議員、西岡議員との質疑の中で出ているかと思うんですが、改めて伺いますけれども、海岸法二条一項において海岸保全施設の定義を変更するということに至ったわけでございますけれども、この理由と背景、そして、あわせてまた、堤防の海岸側に設置された樹林、これについても泉議員との質疑であったかと思いますが、本法案改正後、海岸保全施設に海側の樹林も含まれるかどうかという点も含めて、改めて御答弁をいただきたくお願い申し上げます。

高木副大臣 委員御案内のとおりでございますけれども、東日本大震災では、防潮堤を越えた津波によりまして、陸側の防潮堤と接する地面、いわゆるのり尻が洗掘されたり、あるいは防潮堤のコンクリートが流失したりするなどがきっかけとなって防潮堤が壊れたわけでございます。

 これらの教訓を踏まえまして、防潮堤の整備に当たりましては、防潮堤が壊れるまでの時間をおくらせて避難時間を稼ぐとともに、浸水面積を減らすなどの効果がある粘り強い構造とすることが重要であるというふうに考えておりまして、このため、海岸の防災対策として、緑の防潮堤など粘り強い構造の防潮堤等を法律上海岸保全施設として明確に位置づけたというのが今回改正の理由と背景ということかと思います。

 また、防潮堤の海側での整備についての御質問でございますけれども、先ほども答弁ございましたが、海側は陸側に比べて強い潮風やあるいは高潮等による塩害や波浪による侵食など、樹木にとって厳しい自然条件が想定はされますけれども、防潮堤の前面の砂浜が十分にあって、樹木の生育に適した環境が確保されるのであれば整備は可能ということになりまして、これも海岸保全施設になるというふうに考えております。

杉本委員 高木副大臣、ありがとうございます。粘り強い施設にするという意味からも、今回の緑の防潮堤があるという位置づけかと存じます。

 次に、私も昨年視察をさせていただいた宮城県の岩沼市での、緑の防潮堤の関係施設と言えるかどうかはっきりわかりませんけれども、見せていただいたときに、千年希望の丘というものについても、堤防の内側、百メーターぐらい内側だったかと思いますが、施設を拝見させていただきました。

 この千年希望の丘の防災・減災効果、これをいかに国交省として考えているか、我々は理解すればいいか、改めて伺いたく存じます。お願いいたします。

太田国務大臣 千年希望の丘は、緑の防潮堤とほぼ同時、実際はもう少し前にこれが整備されたものでありますが、岩沼市がここを避難場所として整備を行うということが主眼になっています。

 周辺の工場勤務者や農業従事者等が避難する場所となって命を守るということなんですが、海岸から行きますと、緑の防潮堤があって、それから林野庁が管轄する防潮林がありまして、そしてこの千年希望の丘というのがあるということになっています。

 いずれにしても、これは全部、ある意味では一体化して、全体的で津波を抑えたりあるいは憩いの場をつくったりというような、岩沼市の復興全体の事業との一体化の中でやっていかなくてはいけないということで、市長さんも非常に積極的な方でありまして、連携をとって常にこの三者がやっていく、そういうことになっています。

 当然、そこには、丘ということで、丘を中心にした約五百メートルの範囲に住んでいる人がそこに逃げ込んでいけるという形をとっておりまして、かなりの防災・減災の効果があるというふうに思っています。全部一体でやるということです。

杉本委員 大臣みずから御答弁ありがとうございます。一体としてこの千年希望の丘が防災・減災効果を生むんだという理解をさせていただきました。

 次に、根固め工及び植林についての、なかなか定量的には難しいという局長の御答弁も先ほどあったように聞こえているんですけれども、この防災・減災効果の実証実験というのはある意味で難しいかなというふうにも感じるんですけれども、定性的にばかり言っていてもやはりいけないのかというふうに感じております。これを科学的にいかに理解したらいいか、そんな点についてどう知見を得たのか、根固め工並びに植林、それぞれ分けて、科学的知見をどういうふうな形で得ておられるかを伺いたいと思います。

 ちなみに、ちょっと卑近な例かもしれませんが、先般テレビで、全く違う話かもしれませんが、中国の天津で、バブルが少しはじけて建設ラッシュがとまってしまって、テニスコートがコンクリートなんですけれども、その表面を突き破ってサービスゾーンのエリアのところに木が一本ぼうっと出て、そんな形で、コンクリートと植林というようなものが、あるいは植物といったものがなかなか共存しにくいというのを改めて中国の天津の開発とそれがとまってしまった状況でちょっとかいま見た関係があって、話はそれたかもしれないですが、いずれにしろ、科学的見地を根固め工及び植林についてどう得ているか、改めて教えていただきたいと思います。

土井大臣政務官 御指摘のとおり、大変難しい問題ではありますけれども、東日本大震災の際には津波が約七分程度堤防を越流し、堤防が壊れました。これらの状況を踏まえ、国土技術政策総合研究所におきまして水理模型実験を実施いたしております。

 根固めや樹林により粘り強い効果を確認いたしておりまして、具体的には、樹林を配置した堤防の模型を用いた延長四十メートルの水路での実験では、越流水深六メートル時におきまして、盛り土が〇・五メートル洗掘されるまでに約一・五分程度要したことを確認いたしております。また、根固めを配置した堤防の模型を用いた延長四十五メートルの水路での実験では、越流水深二メートルで十分越流させた場合に堤防の流失が起きなかったことなどを確認いたしております。

 以上でございます。

杉本委員 土井政務官、ありがとうございます。わかりました。きちっとした実験がなされた上でこういった法案が審議されているということを改めて確認させていただきました。

 次に、宮城県の松島町の松島湾に浮かぶ名勝の島々によって三・一一のときの津波の勢いが弱められたということが言われております。緑の防潮堤の考え方は、コンクリートと植林の一体化ではなくて、森づくりを前提に、足りない部分はコンクリートで補うという考え方ということを横浜国立大学名誉教授の宮脇昭氏が言われているとも聞いております。

 コンクリート堤防と植林の森といったものは今回一体というような感じでございますけれども、別建てという考え方は引き続き存在しているか、あるいはどういう理解を国交省さんとしてはされておられるかを改めて確認させてください。

土井大臣政務官 防潮堤の整備に当たりましては、御指摘のように、宮脇名誉教授の植生を防災・減災対策に活用するという考えを取り入れ、コンクリートの防潮堤に盛り土と樹林を一体的に設置する緑の防潮堤の整備を進めているところでございます。

 宮脇教授からは、コンクリートの堤防か森の防潮堤かという二者択一の議論ではなくて、防災のために必要なコンクリートの堤防はつくるべきであるが、植樹を行うことによりコンクリートの堤防をいかにエコロジカルなものにするかという御意見をいただいております。

 そのような御意見をもとに、直轄で施工中の仙台湾南部海岸におきましても、宮脇教授の御指導も受けながら緑の防潮堤をモデル的に整備し、昨年六月三十日には、宮脇教授の参加のもと、植樹式も実施をいたしております。

 したがいまして、緑の防潮堤は宮脇教授の考え方と合致していないものではないと考えております。

杉本委員 ありがとうございます。二者択一ではなくて、この宮脇教授の考え方と不一致ではないという御答弁をいただきました。

 ちょっと関連というか重複になるかもしれないんですけれども、質問は少し飛びます。

 津波対策として、沖合に離岸堤、津波の遡上高を一〇パーから七〇%に、海岸に到達する際の波力を六〇%以下に低減する効果が検証済みとなっている離岸堤ないし双胴型防波堤、細長いひし形の角柱を海岸に直角に並べて、波同士が打ち消し合う作用により津波の高さを抑制する効果が見込まれる堤防を設けて、津波を軽減することができるというような考え方もあると考えております。

 こういった考え方は巨大防潮堤によらない津波対策効果があるという考え方ができるかと思いますけれども、こういった部分についての国交省さんの検討状況を確認させてください。

中原大臣政務官 委員が御指摘のような離岸堤によります津波の軽減効果や双胴型防波堤による津波軽減技術につきましては、大学や研究機関におきまして研究がされていることは承知をいたしております。

 しかしながら、現時点におきましては、あくまでも学術的な研究段階であると認識しておりまして、実際に活用できる段階のものではなく、これらの技術により防潮堤によらない津波対策を行うことは適切ではないと考えております。

 なお、今後とも、大学や研究機関等において行われます防災・減災に資する技術の研究動向につきましては注視をしていきますし、必要に応じ研究の相談に応じるなどの対応を行ってまいりたいと考えております。

杉本委員 中原政務官、ありがとうございます。

 この研究については、先ほどの冒頭の泉議員のノンバラスト船、並びに西岡さんも質問されていましたけれども、やはり我が国の英知を結集していくという意味からも、引き続きの研究をフォロー、ウオッチしていただければというお願いをさせていただきます。

 次に、協議会の設置の趣旨について、先ほど大臣からは、声をよく聞くんだというお話、御答弁がございましたけれども、この設置の趣旨を改めて確認させていただきたいんです。

 この協議会の設置はあくまでも県というか海岸管理者が主体というような答弁を何となく聞いておりますけれども、そうではなくて、例えば、なかなか動かない県の対応に対して住民が発議し、それを国が後押しするというような形での設置が可能なのかどうかも含めて、この大臣の御答弁も踏まえての、協議会の設置の趣旨を改めて確認させていただければと思います。

高木副大臣 協議会の設置の趣旨ということでございますけれども、本法案で規定をいたしております協議会でございますが、海岸管理者、国の関係行政機関の長及び関係地方公共団体の長等が、防潮堤などの海岸保全施設とその近傍にある防災林等の津波等による被害の軽減に資する施設の一体的な整備など、効果的な海岸の防災・減災対策について協議を行うために設置することができるということにしているところでございます。

 協議会の設置につきましては、その協議事項が海岸の防災・減災対策に関するものであることから、海岸管理者が主体的に判断するというふうに考えているところでございます。

 また、住民発議等の御質問をいただきましたけれども、住民が協議会の設置を要望するような場合には、そのようなことも踏まえて海岸管理者が判断するというふうに考えているところでございますし、そうした場合、国はという御質問でございますけれども、海岸管理者から相談があれば、国としても助言などを行うなどして適切に対応していくということかというふうに思います。

杉本委員 高木副大臣、ありがとうございます。

 太田大臣が言われたように、民主主義でございますので、住民がいろいろな意見を持っていることを、そもそも市町村であったりあるいは県であったり国がよく聞くということが改めて重要だと思います。その上での協議会が設置されて、意義のある、そして住民の、あるいは地域の、あるいは国全体のために資する設備が設置されるということをお願いしたく存じます。

 次に、水門、陸閘等の管理状況でございますけれども、この管理の状況を改めて確認したいんですけれども、県、市町村、消防団以外に委託している割合はどのくらいあるか、改めて確認をさせてください。

山縣政府参考人 お答えいたします。

 平成二十五年に農水省、国交省で実施したものでございますけれども、水門、陸閘等につきまして、比較的規模の大きな施設、これは幅二メーター以上で高さ一メーター以上のものでございますけれども、この操作を地方公共団体や消防団以外に委託している割合は約五一%となってございます。

杉本委員 委託が五一%と伺いました。

 この状況で、管理委託する場合の委託料について伺いたいんですけれども、世間相場というのがあるかどうかははっきり私もわかりませんけれども、一般的な相場と比べていかがな状況になっているのか、あるいは委託契約書の取り交わしが義務化されているかどうか、その必要性、そういったことへの取り組み状況等、改めて教えていただければと思います。

山縣政府参考人 お答えいたします。

 管理委託をしている水門、陸閘等のうち、海岸管理者から委託料が支払われているものは約六割でございます。

 委託料は、地域の状況によってさまざまでございますけれども、県から市町村へ複数基まとめて委託されている場合の委託料といたしましては、年間約数十万円から数百万円というふうになってございます。

 管理委託の契約内容につきましては、海岸管理者が個々の水門、陸閘等の状況に応じて定めるべきものでありますけれども、管理委託の内容、それから海岸管理者と受託者の責任関係を明確にするという等の観点から、書面により契約を締結することが望ましいと考えてございます。

 このため、私ども国といたしましては、今年度、水門、陸閘等の委託のあり方につきまして検討いたしまして、海岸管理者の参考となるよう取りまとめ、周知していきたいと考えてございます。

 以上です。

杉本委員 局長、御答弁ありがとうございます。

 次に、海岸管理者が付近居住者を緊急措置業務に従事させるということがあるかと思いますけれども、付近に住んでいる居住者が緊急措置業務に応じたくない、実際応じないというようなことも想定されるかと思います。それによって甚大な被害になってしまうこともあるかと思うんですけれども、そういった状況を鑑みますと、何らかの罰則を設ける、あるいは罰則を受けていただく必要があるとも思いますけれども、この罰則を受けるような具体的な行為といったものがあった場合に、どんな形になるのかどうか、確認をさせていただければと思います。

中原大臣政務官 今回の改正法案におきましては、海岸法第二十三条第二項の規定におきまして、海岸管理者は、津波、高潮等の発生のおそれがあり、被害を防止する措置をとるため緊急の必要があるときは、その付近に居住する者またはその現場にある者を当該業務に従事させることができることといたしております。この規定の運用につきましては、付近の居住者等の協力のもとで、被害の防止のために従事させるものであります。その趣旨を踏まえまして、海岸法におきましては、罰則規定を設けておりません。

 一方、軽犯罪法におきましては、風水害の発生時に、正当な理由がなく公務員等の指示に従うことを拒んだ場合は、拘留または科料に処される規定がございますけれども、同法第四条におきまして、国民の権利を不当に侵害しないように留意しなければならないというふうにされているところでございます。

杉本委員 国民の権利を不当に侵害しないようにしつつも、やはり権利と義務みたいなところで、地域を守るという意味では、国民のお一人お一人みずからも責務を感じていただいて、緊急措置業務に従事するというような高い見識というか意識を持っていただく必要があるということで、罰則を改めて設けていないということは理解できるんですけれども、十分な御認識をいただいて、協力を極力していただくという、むしろお願いというか、説明というか、理解をいただくことが改めて必要だという認識をさせていただきます。

 次に、この操作従事者等に対する補償規定なんですけれども、これも条文の中にあるというのはわかっているんですけれども、消防団や水防団に対する補償と遜色のない規定という整備がなされているという理解でよろしいかどうかを改めて確認させていただければと思います。

中原大臣政務官 今回、緊急時の業務に従事する者に対する補償の基準につきましては政令で定めることといたしておりますけれども、他法令の例に倣い、消防団等に係る補償の基準に準じまして補償が行われるように規定することを予定いたしております。

杉本委員 中原政務官、ありがとうございます。ぜひとも、遜色のないような補償を、準じるというお言葉でございましたけれども、きちっとお願いできればと思っております。

 次に、これも西岡議員から質問があって重複になるかと思いますけれども、海岸堤防の老朽化と耐震化の管理について、老朽化については二〇一〇年時点で築年数不明が三三%存在、耐震化については二〇一二年時点で耐震化調査未実施が五一%、約四千三百五十キロ、分母は約八千四百キロということの数としての五一%でございます。

 こういった海岸堤防の老朽化について、道路やトンネルの管理と同じように、防災・減災、ライフサイクルマネジメント、データベース化、カルテ化といったものを予定しているという理解でよろしいかどうか、再度確認をさせてください。

太田国務大臣 日本の海岸堤防、いわゆる防潮堤は、高速道路や何かとは違って、もう少し早い時期からでき、そして、集中的にやった時期が、ちょうど昭和二十八年の十三号台風、私も記憶があるんですけれども、それから三十四年の伊勢湾台風、このときを契機にして、伊勢湾台風の高潮で相当やられましたものですから、そこで、充実させてつくっていくということになりました。したがって、東京オリンピックから五十年というんですが、この防潮堤の場合は五十年を超える施設がかなりあるという状況です。

 そのために、この法案におきまして、津波ということに対応しなくてはならないというまた新たな事態というものを受けまして、海岸管理者が適切に維持修繕するための基準を策定する。これは早急に、地形によって劣化しやすい箇所がございますものですから、そこを点検して、ひび割れとか損傷等の変状を発見した場合には補修を行っていくということを優先しながら、全体的な修理、修繕を行っていくという考えです。

 中には、これは強化しなくてはいけないという、更新に近いところも出てくるかと思いますし、予防保全型ということからいきまして、相当、これは耐震化ということを中身に入れ込むということも大事になってきます。

 こうした補強や液状化対策、特に防潮堤の場合は、潮風でというような高速道路とかそういうものと違いまして、どちらかといいますと液状化というのが一番崩落、崩壊するということになりがちなものですから、その辺の新たな技術的見地というものも踏まえて補強したり、あるいは液状化対策を施し、耐震化を進めていきたいというふうに思っているところでございます。

杉本委員 大臣みずからまた御答弁ありがとうございます。液状化という問題があるという技術的な問題も確認させていただきました。

 私は毎度申し上げるんですが、正直、我が国が財政的に非常に厳しい状況にあることは、各委員、十分御認識だと思います。しかし一方で、我が国の全域が海に囲まれているというのも、現状、事実でございますので、こういった中の解として、また、今お話しのとおり、道路やトンネルよりもさらに古い、時間のたったものであり、しかも、波であったり、潮であったり、地形の問題であったり、非常にコストもかかる可能性もあるし、月日もたってしまっているという状況の中で、何とかこの海岸堤防の更新といったものにも力を入れていただく必要があるということを改めて認識いたしました。

 次に、座礁船の問題なんですけれども、この座礁船、現状の状況をキープするだけでも五千万かかっているというふうに聞いております。船主が撤去費用等を負担しない可能性が非常に高かったりするケースが想定されますけれども、代執行などの行為は実際には誰が行って、そのような費用は、財政的に厳しいわけでございますけれども、どのような勘定で行う規定になっているかどうかを改めて確認させていただきたいと思います。

森北政府参考人 今回の改正によりまして、海岸保全区域内の海域においても、海岸管理者が座礁した船舶の所有者に対しまして船舶の撤去を命ずることができる規定を設けることといたしております。仮に、この命令に従わず、船舶の所有者が座礁船舶を撤去しない場合、海岸管理者が船舶の撤去の行政代執行を行うことになります。

 また、この行政代執行に要した費用でございますが、船舶の所有者に対し請求することになりますが、一時的には行政代執行を行う海岸管理者が海岸の保全に関する費目などから支出することになるというふうに考えております。

 なお、やむを得ず海岸管理者が放置座礁船の撤去費用を負担することとなった場合には、その費用に関しまして、国が交付金等で一定の財政支援を行うことといたしております。

杉本委員 最後に、一つ飛ばして、海洋汚染の方の関係の質問をさせていただきます。

 六十六周年を迎えた海上保安庁さんに聞きますと、船底の洗浄というんですか、これを一年に一回はされているというふうに聞いていますけれども、バラスト水の管理ということに関係なく、船底の清掃がきちっとできていないと生態系の変容を生んでしまっているということも言えるのではないかと思うんです。このあたりの認識を、環境省さんかと思うんですけれども、御答弁いただければと思います。

森重政府参考人 国際機関でございますIMOにおきましては、水生生物の国を越えた移動に伴う海洋環境の悪化の主たる原因はバラスト水の排出であるとの認識のもとから、これを規制する船舶バラスト水規制管理条約を二〇〇四年に採択しております。

 その後、IMOにおきまして、委員御指摘の船体に付着して移動する生物、これにつきましても、海洋環境に影響を及ぼす可能性があると指摘されまして、二〇一一年に、適切な間隔での船底清掃の実施や、生物が付着しづらい新たな塗料の使用などを推奨するガイドラインが策定されました。

 国土交通省といたしましても、関係業界に対しまして当該ガイドラインの実施を推奨しているところでございますけれども、まずは、この問題の主たる原因とされておりますバラスト水の排出の規制を開始することが重要と考えまして、この法案を提出したものでございます。

星野政府参考人 外来の二枚貝について御説明させていただきたいと思います。

 ホンビノスガイという北米原産の外来の二枚貝でございまして、一九九八年に千葉県沿岸で初めて確認され、現在では東京湾の各地の河口干潟などに定着しているものでございます。

 これについて、生態系に悪影響を及ぼしているという情報はこれまで得られてございません。分布が拡大傾向にあることから、アサリなど在来種への影響について今後注視していく必要があると思っておりまして、情報収集に努めてまいりたいと思っております。

 そのように、外来種対策についてもしっかりと情報収集をしてまいりたいと思っております。

杉本委員 ちょっと時間が超過いたしましたけれども、御答弁ありがとうございました。

 以上で終わります。

梶山委員長 次に、穀田恵二君。

穀田委員 私は、きょう、まず海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法案について聞きます。

 法案は、バラスト水を海上投棄した場合の生態系への影響を問題としたものであって、基本的に賛成できるものであります。

 一方、廃棄物の海洋投棄原則禁止を決めたロンドン条約は、許可制が導入されました。その趣旨について環境省に伺いたいと思います。

小林政府参考人 我が国は、廃棄物の海洋投入処分を規制するロンドン条約、またその下にございますロンドン条約議定書に加盟しておりまして、国内においてはこれら条約の内容を海洋汚染防止法で担保しているところでございます。

 海洋汚染防止法では、海洋環境の保全の観点から、廃棄物の海洋投入処分などを原則禁止としておりまして、一部の例外的な品目、水底土砂ですとか食品加工の残渣などでございますが、こういうものに限りまして、個別事案ごとに申請内容を審査し、適当と認められた事案に対し環境大臣が海洋投入処分を許可しているという制度でございます。この許可に当たりましても、海洋環境を保全する観点から、排出する海域あるいは排出方法などを制限するというような形で、海洋投入処分については厳しい条件を課しているところでございます。

 なお、平成二十三年の東日本大震災の際には、陸上の水産物冷凍庫に保管されておりました水産物が大量に腐敗をしまして処理が困難になる、こういう事態が発生をいたしました。このため、緊急的な措置として、これも海洋汚染防止法に根拠があるわけでございますが、これら腐敗した水産物を投棄できる排出海域または排出方法に係る基準を告示いたしまして、これは二十三年の四月と六月でございますが、個別の許可を要することなく海洋投入処分できるというような措置もしたところでございます。

穀田委員 廃棄物というのは直接申請を受けて個々に許可するということになったということと、もう一点、今私が聞きたかった、三・一一の東日本大震災のときは、今お話がありましたように、緊急的な海洋投入処分に関する告示を発出して、指定された条件のもとでの緊急的な海洋投入を可能としたものであります。

 そこで、ホタテの養殖残渣についてです。

 ホタテ養殖残渣は、引き揚げた際に養殖かごに付着している微生物などをいうけれども、一旦陸に揚げてしまうと廃棄物の扱いになってしまい、焼却処分をしなければならないことが漁業者の悩みになっています。

 陸奥湾では不法投棄で摘発される漁業者も出ており、青森市、むつ市、蓬田村など七市町村、県などがホタテガイ養殖残渣対策協議会を設置して対応を検討しています。陸奥湾を挟む津軽半島、外ケ浜町では、出荷時期に一日当たり約五十トン出る残渣に対して、町の焼却施設では一日二トンしかできない。仮置き場にも困り、周辺住民から悪臭など苦情が来ている。処理費用はトン当たり二万七千円で、販売で得られる収入の半分が取られる状況になっている。

 そこで、一昨年十二月二十八日付国交省総合政策局海洋政策課長解釈通知がありますが、このようなホタテ養殖残渣の扱いで、「従来どおり廃棄物に該当しない。」としているのはどういう状況を指すのか、お答えいただきたい。

西脇政府参考人 お答えいたします。

 海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律におきましては、船舶から海に廃棄物を排出することは原則として禁止されております。

 今委員御指摘の通達におきまして、この法律で禁止されている廃棄物の排出に該当しない行為を示しております。「漁ろう活動の際、漁具にかかったゴミ及び漁獲を目的としない水生動植物で漁具にかかったものを当該現場の附近において排出する場合」などがこれに当たると通達しております。

 具体的に申し上げれば、漁師の方が漁業をしていて網を引き上げた際に、そこにごみですとか商品にならない魚などがひっかかってしまった場合に、それをその場で海に戻すというような行為を指しておりまして、当該行為はこの法律で禁止されております廃棄物の排出には該当しないということを示した通達でございます。

穀田委員 海洋政策課長が発出した通知はそういうことで、認めている。

 そこで、ロンドン条約は、動植物性残渣が処理できるのは五十マイル以遠と限定されています。しかし、一方で、先ほど述べた東日本大震災の緊急投入許可の実例もあります。いただいた資料によりますと、建設汚泥なんかを初めとした許可実績がありますが、これも認めてきた経過があるんですね。だから、養殖残渣を、もともと海にあったものであって、それを海に返すのが一番自然じゃないか、陸に揚げると重大な環境問題になってコストもかかるということだと思うんですね。

 今回の法改正は、船のバラスト水を遠洋で投棄すれば生態系を損ねるというもので、先ほど言いましたように、私、賛成しているんですね。ただ、その趣旨からいうと、ホタテガイ残渣問題というのは、海洋から資源を集めてくるという無理なものじゃなくて、湾内という限定的で、しかも期限も最盛期だけという限定的なものであります。したがって、そういう条件を考慮して、先ほど局長ありましたように、とったところですぐほうるというだけじゃなくて、いわば海際の作業でも養殖残渣を海に返すということを認めることができないかということなんですが、いかがですか。水産庁。

西脇政府参考人 後で水産庁の方から補足があると思いますが、いずれにしても、私どもの所管としては、船で発生するものを船から投棄する場合のということでございます。

 当然、海洋汚染防止法につきましては、海の環境を守るという目的がございますので、その中で総合的に判断すべきものだというふうに考えております。

宇賀神政府参考人 お答え申し上げます。

 陸上で発生した水産加工残渣の海洋投棄につきましては、廃棄物の処理及び清掃に関する法律または海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律に基づきまして、原則禁止されていると認識しておりますけれども、青森県あるいは北海道ホタテ養殖業におきまして発生した貝殻などの残渣の処理が漁業者などの負担となっていることから、水産庁といたしましては、強い水産業づくり交付金を活用いたしまして、残渣を処理する施設などの整備に支援を行っているところでございます。

 今後とも、漁業者の御要望を踏まえ、必要な施設の整備に支援を行ってまいりたいと考えております。

穀田委員 総合政策局長からは総合的にとあった。何もかけているわけじゃないですよ。それで、水産庁からは交付金というのがあった。

 でも、国交省の施行令にあるように、海上で処理できれば、そのまま投棄しても廃棄物に該当しないとしているわけですよね。そのために、今水産庁からありましたけれども、船に洗浄機を載せて海上でかごを洗い落としている自治体もある。それから、小型の船に載る洗浄機を開発すべく農水省の予算で県内の三つの自治体がモデル的に始めている、こういう努力をしているわけですね。

 それはそれでいいんだけれども、根本的考え方として、船で発生するものは船で捨てて構へんということなわけだから、そこは、自然の環境に逆らわない、季節も、エリアも陸奥湾内というような限定的であるという条件のもとで、海岸付近の作業でもよしと読みかえることが私は必要なんじゃないかというふうに思っているんですね。

 だから、海岸では、微生物を処理し過ぎてプランクトンが減り、栄養状態が悪くなり魚もなくなったと漁協の組合長も嘆いている事態でありますし、私は、海上投棄こそは実は自然と環境に優しい解決策だということで、今後もそういう問題について解釈を読みかえるということを要求していきたいと思っています。

 次に、ちょっと話をかえまして、今度は海岸法について聞きます。

 東日本大震災において、水門、陸閘等の閉鎖に従事した消防団員等が数多く犠牲になりました。これを踏まえて、改正項目に反映されることになったわけですよね。

 そこで、操作にかかわる方々の安全対策について質問をします。

 東日本大震災においては、消防団員、何と二百五十四名が死亡、行方不明、改めて弔慰を表したいと思うんです。この中に水門、陸閘の閉鎖作業を行っていた方が含まれていて、現場作業の安全が極めて大事だ、そういう体制づくりが求められている、そして閉鎖の確実性を向上させる効果的管理運用体制の実現が必要だということが、今の対策の根本であるなということで間違いありませんね。簡単に。

山縣政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、今回の震災を踏まえまして、しっかりとした操作を消防団員の方も犠牲を伴うことなくできるような、そんな体制をつくっていこうというのがこの法律の趣旨でございます。

穀田委員 そこで、大震災を受けて、消防庁は、東日本大震災を踏まえた大規模災害時における消防団のあり方等に関する検討会を設置しています。

 その中で、津波災害時の消防団員の安全確保対策を中心とした中間報告が出ていまして、それを受けて対応を通知しています。二〇一二年の「津波災害時の消防団員の安全確保対策について」という通知ですが、この中心ポイントは何か、消防庁、簡潔にお答えください。

室田政府参考人 委員御指摘の通知におきましては、同日に提出されました東日本大震災を踏まえた大規模災害時におけます消防団活動のあり方に関する検討会の中間報告書の周知をしたところでございます。

 この中間報告におきましては、指揮命令系統に基づく消防団員への情報伝達体制の確保、安全靴やライフジャケット等の消防団の安全装備の充実、安全管理に関する訓練の充実、水門の統廃合や半開化、遠隔操作化、自動化等の推進による水門等の閉鎖活動の最小化等について推進するよう求められたところでございます。

 また、あわせまして、同通知では、津波到達予測時刻等に基づきます活動可能時間の設定による退避ルールの設定等につきまして定めた津波災害時の安全管理マニュアルを策定するように要請したところでございます。

穀田委員 マニュアルの作成を推進するとしてきたということね、最後。

 では、マニュアルの作成の現状はどうなっているか。

 消防庁防災課の津波災害時の消防団活動・安全管理マニュアル策定状況についてによりますと、海岸を有する市町村及び津波の遡上による被害が想定されている市町村六百五十八のうち、昨年の四月一日段階では、策定済みは百五十四、二三・四%にすぎない。

 着手済みとした二百五十七町村、これはどうなっているか、その現実を端的にちょっと言ってくれへん。

室田政府参考人 現在、二十六年四月一日現在の策定状況について調査をいたしまして、今集計中でございますけれども、現時点で、委員御指摘の策定済みの市町村は、昨年の段階で二三・四%でございますが、約二割ぐらい割合がふえるのではないかというふうに考えております。

穀田委員 だから、都合でいうと四割だということですわな、どう考えたかて。二三%プラス二割やねんから、四割ということになる。

 結局、作成は半分もいっていないということなんですね。だから、結局、極めておくれているということについてどないするのか。一言。

室田政府参考人 今、策定済みのところを申し上げましたけれども、検討に着手済みを合わせますと、約八割の自治体が策定済みないし検討に着手済みとなっておるところでございます。

 引き続き、この未策定団体に対しまして早急な策定を強く働きかけてまいりたいと存じます。

穀田委員 着手済みというのは、それは、去年着手してことしまでにつくりますとか来年までにつくりますというものなんですよ。だから、そういうテンポでは間に合わへんから、きちっとしなさいという指導をすべきだということを言っているんですよ。

 では、マニュアルの中身はどうか。作成状況のときのは、今言ったように、内容問題ですよね。消防庁はマニュアルにどういう内容を書き込むべきだと考えているか。これも端的にお答えください。

室田政府参考人 津波災害時の消防団活動・安全管理マニュアルにおきましては、消防団員はみずからの命を守ることを最優先とするという考え方に基づきまして、一つは、津波到達予想時刻等に基づきます活動可能時間の設定による退避ルールの確立、二つ目が、指揮本部から隊長、あるいは隊長から団員という指揮命令系統の確立、三つ目が、指揮者のもとで複数人で活動すること、特に水門閉鎖につきましては、一人で複数の水門を担当するのではなく、原則一隊二名以上で一つの水門を担当すること、そして四つ目に、住民に率先避難してもらうとともに、消防団員も一緒に避難することについて住民の理解を得ること等を盛り込むよう働きかけているところでございます。

穀田委員 今あったところでいうと、単に水門のところだけ複数というんじゃなくて、私、消防団の方に東日本大震災の関係で状況を聞きますと、やはり一人で動いていたのではほんまどうしようもないと言っていましたわ。だから、単に水門を閉めるときに複数というんじゃなくて、行動自体が複数じゃなきゃならぬということを口々に言っていますよね。そこははっきりせなあかんと私は思います。

 そこで、調べたら、財団法人岩手県消防協会は、その活動指針を出していまして、特に関係者からヒアリングを行って、過去の災害の分析等に加え、指針としたということを書いています。それがこれなんですけれども、こういう、協会としてまとめて出していました。

 そこの中では、今お話あったように、消防団員においても退避することが基本だ、それから原則として退避を優先する必要があるということを記述していまして、マニュアル策定に当たり考慮すべき事項として、消防団任務と安全の確保と書いた上で、三番目、マニュアルに盛り込むことが適当な事項として、消防団の任務、消防団の任務は住民の命や財産を災害から守ることであるとともに、その活動にあっては消防団員の安全を何よりも最優先として行わなければならないことを規定すると。

 こういう内容に大体各マニュアルはなっていますか。

室田政府参考人 我々も消防団員の方々には、自分を守れないと人も守れないんだ、命も守れないんだということは常々申し上げておりますし、そのような形でマニュアルを策定していただくよう、さまざまな形で働きかけをしているところでございます。

穀田委員 私、そのマニュアルをいろいろ見ましたけれども、確かに活動可能時間の設定というのは結構書いているんですね。だけれども、今言った理念、考え方をずばっと書いているかどうかという問題が私は大事だと思うんですね。やはり安全が最優先だということを書き込む指導をちゃんとしていただきたいと思っています。今後また、次までに検証したいと思います。

 次に、水門、陸閘等の整備と管理について聞きます。

 水管理・国土保全局それから港湾局、そして農水省などが事務局を務めて、水門・陸閘等の効果的な管理運用検討委員会が設置されました。この検討委員会による整備・管理のあり方提言を受けてどのように具体化が進んでいるかという問題ですね。水門、陸閘等の現場作業を担っている近隣民間企業、自治会、町内会、漁協、個人への安全最優先の徹底はどうかということについてお聞きします。

山縣政府参考人 先生御指摘のように、今回、四省庁、農水省、国交省が一緒になりまして、ガイドラインについてのいろいろな検討をしてまいりました。その中で、水門、陸閘については地方自治体が管理しているケースもございますし、それを委託して民間の方にお願いしているケースもございます。いろいろなケースがございますので、いろいろな形の場合でもきちっと安全を前提に操作ができるような、そういう取り組みをどうやったらできるのかという検討をこの中でし、そしてガイドラインをまとめ、これを周知していくということを今やっているところでございます。

 以上です。

穀田委員 なぜこんなことを言っているかというと、水門、陸閘等の現場操作員、操作というのは、この間の東日本大震災のときには多くの方々が、多くのところで実際には消防団がやっています。ただ、そういう現場操作、作業をする関係に占める消防団の割合は一三%なんですね。ですから私は、今言った、担っている人たちに対する安全の徹底はどうかということを気にしている。

 これが実は、「閉める手引き」ということで、今言った四省庁が出しているパンフレットなんですね。これは、お聞きすると、きのうの段階で聞くと、二万部刷っているということなんだそうです。これに基づいて徹底を図るということにしているということをお聞きしました。

 それは、いずれにしても私は大事だなと思っているんです。

 そこで、もう一つは、閉めるときに、閉める操作をやっている方々に安全の問題を徹底すると同時に、私は、消防団や操作の担い手の安全最優先という考え方について、住民の理解が決定的だと思っているんです。住民への周知徹底はどのように行われているのか、御回答ください。

野上副大臣 先生御指摘のとおり、水門、陸閘等の現場操作者の安全に配慮した退避ルールの作成に当たりましては、状況によっては近隣地域にも影響が及ぶ可能性があるため、住民の理解を十分に得るということが極めて重要であるというふうに思っております。

 実際に、岩手県宮古市の消防団では、東日本大震災以前に、地震発生後の活動時間を十五分といたしまして、その後は避難をするということにつきまして地域住民に対して粘り強く説明をして、地域の理解を得ていました。その結果、東日本大震災においては、退避ルールに従って消防団が退避をして、消防団から一人の犠牲者を出すことなく活動することができたということであります。

 改正案におきましては、水門、陸閘等の操作規則を定めるに当たって、海岸管理者は避難対策を担う関係市町村の意見を聞かなければならないことといたしております。また、具体的な運用に当たりましては、例えば海岸管理者が市町村とタイアップして地域住民に説明会を開催するなど、地域住民への理解を十分に得るように、海岸管理者への働きかけを行ってまいりたいというふうに思っています。

穀田委員 先ほど述べたパンフレットでは、岩手県の消防協会がやっているパンフレットでも、消防団の退避ルールについて、地域住民に十分周知し、理解を得ておくことも必要だと書いてあります。

 また、消防庁の安全管理マニュアルも見ましたし、先ほど消防庁の防災部長が重点的な内容の四つ目に言っていましたけれども、事前に住民に説明し、理解を得ておくということがこれはとても大事なんですね。

 現場に聞きますと、結局、逃げるときに、避難するときに、どうしても、危ないから一緒に逃げましょうと言うんだけれども、応じてくれないわけですよね。そういう人がいるわけですやんか。

 ですから、そういう方々が、やはり消防団の方々が逃げようと言っているときには逃げなくちゃならぬ。しかも、そういう方々が逃げるというのは当たり前なんだという理解がなければまたこういうこともうまくいかないわけですね。そういうことを私は言っておきたい。

 そこで、もう一つ。今述べたこの冊子では、活動の基本や考え方などは内陸部における地震災害や水災害などにも共通している部分が多く、これらの災害時における活動指針としても参考になるものと考えている、こう指摘しています。私も同意見です。何か手だてを打っていますか。

室田政府参考人 消防団員の内陸部におけます河川氾濫などの津波以外の災害対応につきましては、消防庁におきまして、危機管理上の判断基準である安全管理の指針を示しまして、これに基づきまして市町村がマニュアルを定めるよう要請しているところでございます。

 この指針におきましては、例えば、河川氾濫を含む風水害への対応では、部長など現場の指揮者が災害現場の状況を的確に把握し、安全確保措置を決定すること。二次災害防止のために監視員を適宜配置すること。隊員の単独行動を行わせないこと。活動が長期にわたるときは、疲労による事故を防ぐため、随時隊員を交代させること。指揮者は、避難方法や合図を事前に徹底させることなどを定めているところでございます。

穀田委員 東日本大震災を受けて消防団の安全管理の問題について出しているわけですよ。

 今言っているのは、前からあるのと違うのかと。つまり、今回の東日本大震災の被害を受けて直すわけだから、そういう徹底をするわけだから、そういう内容として再度徹底をこの点もしているのかということを聞いているんですよ。

室田政府参考人 先ほど申し上げました安全管理の指針につきましては、大震災発災後に、再度徹底を図るべく、会議等で、あらゆる機会を捉えてお話をさせていただいていると同時に、そのほか、マニュアルだけではなくて、例えば消防団の装備につきまして、安全の確保を図るため、トランシーバーあるいはライフジャケット、安全靴などを充実するため、本年二月に装備基準を改正いたしまして、あわせて、地方交付税措置を大幅に引き上げております。

 また、安全管理にはやはり現場の指揮者の判断というのが非常に大事でございますので、本年三月に、消防学校の教育訓練の基準の見直しを行いまして、分団長や部長等を対象に、現場におけます安全管理に関する実践的な訓練の充実というものを図っているところでございます。

穀田委員 何でこんなことを私が言っているかというと、さっき、消防団じゃない人たちもやっているという話をしましたやんか。

 これは現に、京都の由良川では、河川事務所管理以外の水門の開閉は市からの委託を受けた民間人が操作しているんですね。水門は全て手動です。警報が発令されると、三十分ごとに水位を調べ報告し、水位が残り二メートルになった時点で閉鎖する。由良川の水位が下がってくれば、今度は内水を出すために水門をあけなければならない。現実には、閉鎖することはできてもあけることはなかなか困難なんですね。

 二〇一三年九月の十八号台風の際に、閉鎖に行き、その後あけなければならないので堤防の監視を続けていた、ところが、氾濫し、内水も水位が上がってきて、結局、国交省のモーターボートに救助ということがやられた、こういう報告があるんです。だから、このように、人の生き死ににかかわる問題が起きているからこそ言っているわけだということをしっかり見てもらわなあかんでと言うておきます。

 最後に、私、提言では統廃合や常時閉鎖、背後地への影響の大きい大規模な水門、陸閘の自動化、遠隔操作化が不可欠としています。

 全国で二万七千ある水門、陸閘のうち、比較的規模の大きな施設、七千八十七基あるわけです。これはいつまでに自動化する計画ですか。

山縣政府参考人 御指摘のように、まだ大規模な施設が残っているわけですけれども、これにつきましては、できるだけ早く自動化、遠隔化できるように、交付金等の措置等もしながら、また、交付金の中で、こういった運用の計画をつくることを今度新たに、交付金を使って計画づくりについて支援することもできますので、そういった形で、できるだけ早く遠隔化、自動化できるような支援をさせていただきたいと思っております。

 以上です。

穀田委員 最後にしますけれども、大臣、聞いてほしいのは、今、できるだけ早くと言っているんだけれども、はっきりしているのは、いつまでにという計画がないということだけははっきりしているということなんですよ。ああいう話をしているけれども、結局いつまでに、あと五年後とか何かという話はないわけなんですね。だから、これが問題だと思うんです。

 というのは、この陸閘それから水門の維持管理に関する点検要領の有無で調べてみますと、そういう点検要領がないというのが九割近くなんですね。九割以上なんですよ。だから、下地が非常に弱くなっているという問題を私は提起したい。そういうことをぜひやっていただきたい。

 というのは、それでうまくいくかという問題もあるんですね。今度の問題ありますやろ、行きました、これは自動だからほっといた、ところが閉まらなかった、だから行かなくちゃならない、こういう問題もあるわけなんですね。ですから、そういう点も指摘しておきたいということであります。

 陸前高田市の消防団の方からは、被災後、防潮堤などのハード面の対策が今なされているわけではない、このときに災害が起こったらどうするかということが問題提起されました。今、災害の記憶が生々しい時期だからこそ、ソフト面の充実をそれぞれの地域ごとにどう対処すべきかを行うべきだということを、私、提言をいただきました。ですから、そういう点を生かしていくべきだということを要望して、終わります。

梶山委員長 次に、秋本真利君。

秋本委員 自民党の秋本真利でございます。

 まず、海岸法についてお伺いをいたします。

 水門、陸閘についてでございますけれども、改めて、総数と管理者別の基数についてお伺いをいたします。

山縣政府参考人 お答えいたします。

 平成二十五年の十一月時点でございますけれども、水門、陸閘等の基数は、岩手県、宮城県、福島県を除きまして、全国で二万六千七百七十一基となってございます。うち、海岸管理者が管理する施設は二万六千六百七十一基でございます。

 残り百基でございますけれども、海岸管理者以外が管理しておりまして、具体的には、地方公共団体が七十三基、それから民間企業が十七基、その他が十基となってございます。

秋本委員 約二万七千近くあって、そのうち百基以外は海岸管理者、百基がそれ以外の管理だということでございますけれども、今までの質問を通じてでも、海岸管理者が管理しているものについても委託をしているという話が出ておりました。そしてまた、私も調べてみたところ、委託した先がさらに再委託で先にまで、つまり二つ先まで管理が委託として行ってしまっているという現状があるということもわかっているところでございますけれども、改めて、その管理委託の有無について、主な委託先、あるいはその再委託先、そして最終操作者として一体どういった比率になっているのかということについて明らかにしていただきたいと思います。

山縣政府参考人 お答えいたします。

 水門、陸閘等につきましては、約八割が管理委託されてございます。海岸管理者から、それ以外の者に管理委託されているということになります。

 この委託先といたしましては、地元の市町村、それから近隣の民間企業でございます。さらに、そのうち約三割が再委託されてございまして、結果といたしまして、最終の操作者でございますけれども、海岸管理者が二四%、地元市町村が一一%、近隣の民間企業が二三%、自治会、町内会が一四%、消防団が一三%等となってございます。

秋本委員 水門、陸閘について、三・一一を踏まえて、今度は規則をつくってしっかりと管理していくんだということになったわけでありますけれども、海岸管理者について、国が今回法律を定めて、その規則をしっかりと遵守しろという形で指導していくんだと思いますけれども、この管理が委託されてしまっている、さらに再委託までされていて二つ先まで行ってしまっているという中で、やはりしっかりと末端まで浸透するのか、あるいはそれが遵守されるのかということが大事なんだろうというふうに思うわけであります。

 そして、先ほどもほかの方が質問しておりましたけれども、この委託についても、書面できっちりと委託をしているのかなと思えば、二割ぐらいが口頭での約束の中で管理委託がされているということで、八割でしか書面の形態になっていないということが私も存じ上げているところでありますけれども、この辺をしっかりと精査しなければならないと思うわけですね。

 平成二十五年の秋に、会計検査院からこの管理委託に対する指摘があり、改善を要するということが言われておるわけであります。不名誉なことでありますけれども、私の出身であります千葉県がこれを指摘されておりまして、災害時に水門が閉鎖されていないであるとか、委託管理協定が締結されていない、つまり、口頭での約束なんだろうということだと思われますが、あるいは、とにかく閉鎖体制が十分でない、これはしっかりやらないといかぬよね、しっかりやれということが会計検査院からも指摘がされているわけであります。

 やはりこういったことに対しての答えをしっかりと出さなければならないし、今回、そのためにこの法律が定められているという一面もあると思いますけれども、今質問してきたとおり、海岸管理者だけではなく、委託され、そして再委託まである、そして会計検査院からも指摘されているという中で、こういったものに対して国交省としてどういうふうに改善していくのかということについてお伺いをいたしたいと思います。

山縣政府参考人 先生御指摘のとおり、昨年十月の会計検査院の報告で指摘もなされたところでございます。水門、陸閘等の適切な操作のためには、管理委託する場合には、契約内容につきまして、海岸管理者が個々の水門、陸閘等の状況に応じて、しっかりと定めていただく必要があるだろうと考えてございます。

 その際、内容及び海岸管理者と受託者間の責任関係を明確にする、そういった観点から、委託につきましては書面により契約を締結することが望ましいと考えてございます。このため、私どもといたしましては、今年度、水門、陸閘等の委託のあり方につきまして検討することにしてございまして、海岸管理者の参考となるように取りまとめて周知をしたいと思ってございます。

 管理委託する、あるいは再委託する水門につきましても、海岸管理者が定める操作規則におきまして、安全かつ確実な操作体制が構築されるよう、例えば訓練を繰り返し実施する等いたしまして、実効性を高めていくよう指導助言をしてまいりたいと考えてございます。

秋本委員 実効性を高めていくということでございまして、海岸は、今国交省がおっしゃったとおり、しっかりと運用されていったという中で、今度は、海岸に河川が走っていて、河川側に水門があったという場合に、海岸側の水門と河川側の水門の運用の問題というものがあると思います。これは一体としてしっかりと運用していかなければならないと思いますけれども、この辺についてお答えいただきたいと思います。

山縣政府参考人 河川の水門につきましては、河川管理者が河川法第十四条に基づきまして操作規則を定め、適切に運用することとしてございます。

 今般の法改正におきましては、海岸保全施設として水門、陸閘等につきまして、円滑かつ適切な操作のための操作規則を定めることとしておりますけれども、河川と海岸の水門が同じ地区にある場合、御指摘のとおり、双方が連携することが極めて重要でございます。

 このため、海岸の水門の操作に係る運用に当たりましては、海岸管理者が河川管理者と必要に応じて双方でよく連携をして、そごのない対応ができるよう適切に指導助言してまいりたいと考えております。

秋本委員 そごのない運用ということでございますので、今回この法律が成立した暁には、しっかりと運用面で力を発揮していっていただきたいというふうに思うわけであります。

 そして、先ほども指摘がありましたけれども、これはさまざまなところからの指摘でございまして、誰もが思うのは、そもそも自動化すればいいだろうというふうに思うわけであります。大規模な七千八十七基の施設について自動化がなされていないわけであります。先ほど私も答弁を聞きましたけれども、自動化に対する支援策といいますか、しっかりとここを手当てしていかなければならないと思うんですけれども、改めて、もう一度決意のほどを聞きたいというふうに思います。

山縣政府参考人 お答えいたします。

 水門、陸閘等につきましては、各海岸管理者におきまして、統廃合や常時閉鎖など、操作が必要なものをできるだけ減らす取り組みを進めていただきたいと思ってございます。比較的大規模な施設につきましては、重点的に自動化、遠隔操作化を進めていくということでございます。

 しかしながら、全部で二万七千基ございまして、既に常時閉鎖や自動化され現場操作が必要のないものを除きますと、約二万基あります。この全てを直ちに自動化、遠隔操作化することは非常に困難でございます。

 このため、自動化、遠隔操作化につきましては、この取り組みとあわせまして、操作規則等の策定によりまして、現場操作員の安全を確保しつつ、適切に操作するための体制づくりを行うことが必要でございます。

 また、水門、陸閘の自動化に関しましては、従前より防災・安全交付金等によりまして、その推進を図っているところでございます。さらに、平成二十六年度からは、水門、陸閘等につきまして、常時閉鎖、自動化、遠隔操作化等、効果的な管理運営体制を構築するための計画策定費用につきましても支援の対象に追加しているところでございます。

 これらの支援制度等を活用いたしまして、水門、陸閘の自動化、遠隔操作化につきましても着実に進めてまいりたいと考えてございます。

秋本委員 海岸保全施設についてお伺いをいたします。

 有施設延長とその実態把握の状況についてどうなっているか、お答えください。

森北政府参考人 お答えをいたします。

 海岸保全施設、堤防、護岸、胸壁そして離岸堤等でございますが、その有施設延長、約九千六百キロとなっております。

 平成二十四年度に、老朽化が進んでいる整備後約四十年経過をいたしました堤防、護岸、胸壁、これは約三千七百キロございますが、それにつきまして健全度調査を実施いたしまして、その結果、健全な施設約千六百キロ、老朽化対策が必要な施設約三百キロ、健全度が確認できない施設約千八百キロというふうになっております。

秋本委員 千八百ほどが健全度が確認できていないということでございますけれども、笹子トンネルなどの事故を受けて、道路局なんかも今、一生懸命、全国の道路あるいは橋はどうなっているのかということを、市町村にまで調査をかけて、そしてしっかりとそれをデータベース化して、さらにその維持管理、補修について、何年先そして何十年先に大体おおよそこのぐらい維持補修費もかかるよね、だから自治体としても準備しておかなきゃいけないよというようなことも含めて、今データ管理をしっかりとしているところでありますけれども、海岸についてもこういったことが必要なんだろうというふうに思うわけであります。

 いつつくられ、いつ修繕され、そして整備、点検、診断、対策のサイクルがどのように行われているか、そして、そういったものをデータとして、現地で位置がしっかりとぴったりと合うということで座標などの整備をして、地理的情報の管理も含めてデータベース化をして、そしてそれによって健全に施設を管理運営していくということが必要なんだというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

森北政府参考人 委員御指摘のとおり、データベース化は極めて大事だというふうに認識をいたしております。海岸保全施設の整備でありますとか点検、診断、対策等を記録したデータベース化を進めてまいりたいというふうに思っておるところでございます。

 このため、維持修繕に関する技術的基準、今回策定することといたしておりますが、その内容といたしましては、施設の点検を行い、点検結果に基づいて修繕を行う、また、点検結果や修繕履歴等の記録を一定期間保存するといったことを想定いたしております。

 蓄積された点検結果等のデータにつきましては、海岸管理者が修繕等に活用するだけでなく、今後の施策等の検討にも生かしていかないといけないというふうに考えているところでございます。

秋本委員 次に、海岸協力団体についてお伺いをいたします。

 同じような制度が、昨年、河川の方で、河川法の改正によって設置されたわけでありますけれども、一年たって、ちょっと私も調べてみたところ、どうも指定数が少ないなという気がしてならないわけであります。

 確認されている団体の中で、数%しかこの協力団体に指定がされていないという状況がございますけれども、今回の海岸の方については、ぜひ指定数がしっかりと順調に、河川とあわせて伸びていくといいなというふうに思うわけであります。

 その中で、やはり指定されたときのメリットというものが一定程度その団体に感じられなければ、これは聞いたところですと、手挙げ方式だということでありますから、そもそも手を挙げる魅力がなければ、手を挙げなくても、現状のまま活動すればいいよねということになりかねないわけでありますから、このメリットというものが一定程度見えてこなければいけないというふうに思いますけれども、このことについて、いかがお考えでしょうか。

森北政府参考人 海岸協力団体のメリットについてのお尋ねでございます。

 海岸協力団体がその行動を行うに当たりまして、占用許可等、海岸管理者の許可が必要な場合には、海岸管理者との協議で済むということになります。また、海岸管理者から必要な情報提供や助言等受けることができることといたしております。

 このほか、海岸協力団体という法律上の位置づけられた団体になるということでございますので、社会的な信用が向上し、円滑な活動にもつながるものと期待をいたしております。

秋本委員 次に、海洋汚染についてお伺いをいたします。

 発効要件をそろそろ満たしそうだということでございますけれども、今現状どうなのかということについて、短く、外務省に改めて確認をしたいというふうに思います。

南政府参考人 お答えいたします。

 この条約の発効要件といたしましては、三十カ国が締結し、かつ、世界の商船船腹量の三五%になる国が締結した後、十二カ月で効力を生ずるということになっております。本年四月時点で、この条約の締約国は三十八カ国でございまして、商船船腹量の合計は三〇・三八%でございます。

 この条約は、船舶のバラスト水処理装置の搭載期限を定めておりますけれども、昨年十二月のIMO、国際海事機関総会決議によって一定の猶予が認められることとなり、各国の条約締結への障害は取り除かれております。この結果、今後、主要な船主国の締結が進むことが期待されております。本年じゅうにも発効要件が満たされ、二〇一五年に発効する可能性があると考えております。

秋本委員 これが発効した後、四百トン以上の船については、定期検査の折に装置をつけていただいて、しっかりとこれを遵守していく方向でやっていくということがわかりますけれども、四百トン以下については定期検査が義務づけられていないということで、ここはしっかりと担保をとっていかなければならないんだというふうに思います。

 我が国の船は、聞いたところ、二十隻ぐらいしかないということでありますから、これについてはすぐわかるとしても、海外から来る船についても、我が国の海域の中で、しっかりと条約を遵守した形で運航してもらうという必要があるわけですから、これについても、ポートステートコントロール等を含めて、我が国として、コントロールをしっかりとしていっていただきたいというふうに強く要望をいたします。

 そして、バラストを排出していいという海域について、IMOや何かで決まっておりまして、水深二百メートルで五十海里だということが決まっているわけでありますけれども、両国間で認めた場合は、それ以外の海域についても認めていこうというふうになっているわけであります。

 我が国の場合、どのような国からどのような海域が指定される可能性があるのかということについてお伺いをしたいというふうに思います。

森重政府参考人 現存船につきましては、原則として、条約発効後、五年ごとに行われる最初の定期検査までの間は、バラスト水処理設備の設置が猶予されております。この設備を設置するまでの間におきましては、海洋環境の保全の観点から、水生生物が比較的少ない外洋におきましてバラスト水を交換しなければならないということになっております。委員御指摘のように、具体的には、バラスト水の交換は、領海の基線から少なくとも五十海里以上離れ、かつ、水深二百メートル以上の水域で実施されることになっております。

 ただし、日本と韓国との間など、他国との距離が五十海里未満の海域しかない場合は、生態系への影響を最小限に抑える等の観点から、アセスメントを行った上で、二国間で適当な海域を定めまして、その海域でバラスト交換をできることとなっております。

 具体的な海域につきましては、今後、韓国との協議を行いまして設定してまいりたいというふうに考えております。

秋本委員 韓国との間にこういう海域が想定されるということでありましたけれども、韓国側から、この海域についてバラスト水を排出させてほしいという申し入れのようなものがあったのかないのか、端的にお答えください。

森重政府参考人 当局間で協議をするということで、申し入れがございました。

秋本委員 申し入れがあったということでございますけれども、現状は、その交渉というのは続いているんでしょうか、どうでしょうか。それとも中断しているのでしょうか。

森重政府参考人 韓国との間では、条約に関しますさまざまな意見交換をしていくということになっておりますけれども、その中で、今申し上げましたように、先方から申し入れがありまして、これから議論をしていくことになっておりますけれども、まだ実質的な議論までには至っておりません。今後の課題でございます。

秋本委員 韓国側が多分交渉をストップしているんだというふうに思いますけれども、我が国としては、待ちの姿勢でも構わないと思うんですね。それは韓国側の利益に通ずることで、我が国というわけではありませんから、チャンネルを閉じなければいいというふうに思いますので、しっかりと我が国の環境保全も含めた利益を守るような形で交渉が進むように、鋭意努力をしていただきたいというふうに思うわけであります。

 この海域、仮に韓国の船がそこでバラストを排水するということになれば、環境への影響というものも考えられるわけであります。バラスト水、次亜塩素酸ナトリウムというものが入っているわけでありますけれども、このことについて、環境省としては、この水域が指定されるということを含めて、どういうふうに考えていらっしゃるのか、お伺いをしたいというふうに思います。

奥主政府参考人 お答えいたします。

 環境省といたしましても、一般環境中に悪影響を与えないようにということは非常に重要なものと考えております。

 こういった観点から、生態系への影響の観点から、バラスト水交換海域の設定をどこにするのか等につきまして、国土交通省とも共同しながら、どこに設定するのか、関与していきたいというふうに考えているところでございます。

秋本委員 済みません、最後に一点だけお願いいたします。

 今、海洋汚染ということで、我が千葉県の沖、浦賀水道で外国船が沈没をして、油を含めて我が千葉県側にも相当程度被害が出ております。保険については二十五億円程度しか入っていないということもあって、船の引き揚げもまだままなっていないような状況の中で、海産物への補償も含めて、我が千葉県は大変憂慮しているところであります。

 このことについて、政務の方々に改めて認識していただくのと同時に、海上保安庁がしっかりと一生懸命やっていただいているのはわかるんですけれども、さらに鋭意努力をしていただくのと同時に、補償、千葉県の皆さんは心配しておりますので、二十五億円という保険に入っていたようでございますけれども、これを仮にオーバーするかどうかわかりませんけれども、国としても注視してしっかりと鋭意活動していただけるということを、政務の方にちょっとお話ししていただいて、終わりにしたいというふうに思います。

野上副大臣 今お話がございましたとおり、本年三月十八日に三浦半島沖の浦賀水道におきまして、韓国籍貨物船ペガサスプライム号とパナマ籍貨物船ビーグル3号が衝突をいたしまして、ビーグル3号が沈没をいたしました。

 乗組員二十名のうち、十一名が海上保安庁の巡視船艇や付近航行船舶等によって救助されましたが、現在まで六名の方の死亡が確認されて、三名の方が行方不明となっております。

 また、今お話ありましたとおり、千葉県及び神奈川県の一部沿岸に油の漂着を確認いたしました。

 海上保安庁では、行方不明者の捜索、浮流油の防除、地元関係者への情報提供を行うとともに、原因者である船舶所有者に対して、油の防除、沈没した船舶からの油の抜き取り等を指導しております。現在、船舶所有者によりまして、油の漏出防止措置に続き、油の抜き取り作業が進められているところでございます。

 引き続き、船舶所有者に対して必要な指導を行って、今お話ありましたとおり、一日も早い事態収拾に向けて、鋭意全力で取り組んでまいりたいというふうに思っております。

秋本委員 これで質問を終わります。どうもありがとうございました。

梶山委員長 次に、伊藤渉君。

伊藤(渉)委員 公明党の伊藤渉です。

 本日最後の質疑を担当させていただきます。よろしくお願いします。

 早速ですが、まず、二法案のうち、海事行政全般についてお伺いをしたいと思います。

 海事分野における新たな取り組みの方向性ということで、私、各質疑の中で取り上げてきておりますが、改めて申し上げますが、四面を海に囲まれた我が国におきまして、輸出入貨物、重量ベースで九九・七%、ほぼ全てこの輸送を担うのが外航海運でございまして、我が国経済、国民生活を支えるライフラインとして極めて重要でございます。

 また、昨今、アメリカ東海岸における日本勢によるシェールガス事業、近年の気候変動に伴う北極海航路の利活用への動き、オーストラリアにおける水素の製造プロジェクトなどなど、エネルギーの輸送ルートの多様化への対応も重要でございます。ちなみに、国内では、来年にも燃料電池車が市場に投入されるなど、水素エネルギーの需要は今後大幅に増大することが見込まれております。

 そこで、初めの問いですけれども、これらの海上輸送を支える海運、造船、舶用工業といった海事産業は極めて重要な役割を担っております。世界の海上貿易を担っている海事産業は、グローバルな国際経済の動きと極めて密接な関係を有しております。最近では、著しい成長を見せている海洋石油、天然ガス開発市場など、世界では新しい動きが出ており、この新たな成長分野に我が国の海事産業の展開を図ることが、成長戦略の上からも極めて重要になってまいります。国土交通省としてどのような取り組みを行っていく所存か、お伺いをいたします。

野上副大臣 今先生御指摘のとおり、新たな成長分野に我が国の海事産業の展開を図ることは、世界の成長を取り込む上でも大変重要なことであると考えております。

 このため、新しいエネルギー輸送につきましては、私を座長とする検討会を四月に立ち上げました。この検討会は、民間の海事産業関係者はもとより、エネルギーや金融や商社関係、また有識者や関係省庁など官民による検討会でありますが、今お話ありましたとおり、ここで、拡張後のパナマ運河を経由する北米産のシェールガス輸送ですとか、あるいは北極海航路を利用するロシアからの資源輸送ですとか、あるいはオーストラリアからの液化水素輸送等に関する議論を行っていくことといたしております。

 また、海洋における石油、天然ガス開発につきましては、技術開発に対する支援、二国間の政府間協議や官民対話により、我が国海事産業による市場の獲得を支援しているところであります。

 今後とも、世界の成長分野における我が国の海事産業のさらなる展開に向けて、官民一体となって取り組んでまいりたいというふうに思っております。

伊藤(渉)委員 ぜひとも、海洋国家の割には、まだまだ海に対する関心、取り組み、国会も含めて強化をしていかなければならないと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

 次に、IMO、国際海事機関における取り組みの方向性について伺います。

 今回のバラスト水の問題も含め、海事分野における安全の確保や環境の保全については、ロンドンにあるIMOを中心にグローバルな取り組みが行われております。この中で、世界的な海運・造船国である我が国がこうした国際的な枠組みづくりをリードすることが、我が国の国際貢献の見地から、また我が国の海運、造船、舶用工業の強みを生かした競争力強化につながることから、重要と考えております。

 例えば、船舶からのCO2排出削減については、日本が主導して、新造船の燃費規制が世界的に導入されたと承知をしております。このような取り組みは高く評価されるものでございます。今後の国土交通省の取り組み方針について伺います。

森重政府参考人 我が国がIMOにおきまして国際的な基準づくりをリードしていきますことは、国際社会への貢献、そして我が国海事産業の国際競争力の強化、この二つの観点から大変重要だと考えております。

 例えば、委員御指摘のように、国際海運におきます二酸化炭素の排出削減基準づくりにつきましては、省エネ技術で優位に立つ我が国がIMOの場での議論をリードいたしまして、途上国も含めた国際基準として二〇一三年一月から導入されたものでございます。

 我が国は、こうした国際的な基準づくりをリードするとの考えのもとで、例えば、IMOにおきましては世界最多の提案文書を提出するなど積極的に議論に参加するとともに、二〇一二年より日本からIMOの事務局長、日本人事務局長を輩出するなど、重要な役割を担ってきたところでございます。

 今後とも、海事分野における安全や環境面での重要な課題につきまして、国際的な枠組みづくりをリードしてまいりたいと考えております。

伊藤(渉)委員 続いて、同じく海事関係で、問いの次の三つ目と四つ目で、トン数標準税制と登録船舶の拡大について、それぞれお伺いをする予定でした。これは二つまとめてお伺いしますので、答弁の方をよろしくお願いします。

 それに当たって、先ほどの輸送のこともそうですが、我が国の外航海運事業者は、国際海上輸送の約六〇%、特に輸入については約六五%を分担する主たる担い手でございます。安定的な輸送を確保し、我が国の産業界の国際活動、国民生活の維持向上を図る上で不可欠の存在でございます。

 一方で、私と同世代の日本の船社で働いている方々と議論をすると、日本の船社が現在抱えている課題も浮き彫りになってまいります。国交省を中心に御承知のとおりだと思いますが、改めて簡単に御報告を申し上げたいと思います。

 まず一つは、コストの問題です。残念ながら、東京に本社機能を置き、日本人、船員を含みますけれども、雇用することによって、コスト競争力は落ちます。単純にコストだけで比較したら落ちます。

 また、税制の問題も、例えばシンガポール、ベルギー、オランダなどでは海運業への優遇税制がありまして、特にシンガポールは国策として海運業の集積を図っており、日本国内に本社機能を置いている時点で競争力が落ちてしまうのが現状だというふうに聞いています。特に最近のシンガポールの海運業発展は著しく、優遇税制を設けて以降は、海運会社のみならず、船主、船舶管理会社、海運仲介業など海運周辺産業、さらに荷主のロジスティック部門も続々と拠点を設けておりまして、アジアにおいてはシンガポールへの一極集中が進行をしていると伺っております。

 また、三つ目は、メーカー製造拠点の海外移転の問題でございます。日本国内は円高、今、随分円安に振れてきましたが、これまでの円高の影響によるメーカーの製造拠点の海外移転が進み、日本発着の貨物は長期的には減少傾向にある、少し前の情報ですので変化してきているかもしれませんが、減少傾向にあります。コストの問題や税制の問題により低下した競争力をカバーするだけの貨物を国内で十分に営業集荷することができなくなってきているということも伺っています。

 さらに、港湾の問題として、これも従前より取り組みを進めていることは十分承知をしておりますが、日本経由の貨物が減少した原因には、国内港湾、特にコンテナ船が寄港する港湾が抱える課題、コストやトランシップ機能の低下などがまだまだ起因をしていると伺っております。この国内港湾の機能低下は海運会社の日本離れを加速させる一因にもなっていると感じる、その逆が釜山や高雄港というふうに聞いております。

 そうした観点から見ますと、日本船社の今後は、海運業が海事関連産業と共存していることも大事であって、海事関連産業の日本離れも同時に加速をしていくリスクがある、海運会社だけが日本に存在し続けることは困難になりつつあるのではないか、こういう高い危機意識で今、日本船社で我々と同世代の人たちは働いております。

 そういう意味で、これまでの取り組みも十分承知をした上で、問いの三と問いの四を改めて伺います。

 まず、トン数標準税制の拡大、これも重要であると思いますので、これについての取り組み、また、これはもとより、租税の負担の軽減等に積極的に取り組むとともに、登録船舶の拡大、日本籍船の拡大という意味ですが、こういったことにも、ぜひとも積極的にさらに取り組んでいただきたいと思いますけれども、御所見をお伺いいたします。

森重政府参考人 委員御指摘のように、四方を海に囲まれ、国際海上輸送のほとんどを外航海運が担う海洋国家たる我が国におきまして、経済安全保障の確立や国際競争力の強化を図っていくことは極めて重要であると認識しております。

 我が国では、平成二十年度から、日本船舶・船員確保計画の認定を受けました事業者を対象といたしましてトン数標準税制が導入されておりまして、日本商船隊の中核を担う日本船舶、その隻数は、最も減少しておりました平成十九年、九十二隻でございました、この九十二隻から平成二十四年には百五十隻まで増加いたしまして、着実に成果が出てきております。

 また、東日本大震災後の状況を踏まえまして、平成二十五年度より、一定の外国船舶を準日本船舶としてトン数標準税制の対象に追加するとともに、日本船舶の増加のペースアップも図ってきております。

 まずは、こうした拡充されたトン数標準税制の着実な実行を通じまして、日本船舶のさらなる増加を図り、もって、日本商船隊による安定的な国際海上輸送の早期確保を図っていく所存でございます。

伊藤(渉)委員 海事行政を応援する立場から、高い危機意識で質疑させていただきましたので、引き続き積極的な取り組みをよろしくお願いいたしたいと思います。

 次に、海岸保全施設などの維持管理、修繕について伺います。

 まず、海岸堤防の実態でございますけれども、平成二十四年度に実施をされました海岸堤防の実態把握状況を見ますと、我が国の海岸線の延長が約三万五千キロ、うち海岸保全区域延長が一万四千二百キロ。海岸堤防、堤防、護岸、胸壁、この延長が約九千キロ。このうち、調査対象が約七千八百キロで、約三千七百キロ、約五〇%が整備後四十年以上経過をしており、うち千七百八十七キロ、四八・二%の健全度が確認できていない。二十四年度の調査結果ですけれども、これが現状でございます。

 そこで、本法案では、こうした状況を受けて、維持修繕の努力義務規定及び予防保全の観点から維持修繕基準を策定する旨が定められております。生命と財産を守る社会基盤への投資、この優先度は極めて高いと思います。

 一方、これらを具現化するための人は不足をしております。道路橋の議論でも指摘されておりましたように、もはや、こうした取り組みを全て行政で対応し続けるということは、長期的視点に立つと非常に難しいと思います。

 そこでお伺いをいたしますけれども、契約方式の改善等による工夫、地域の建設産業との連携、技術系のOB職員の活用などによりまして、海岸保全施設などの維持管理、修繕についての永続性のある体制の整備が急務、このように考えますけれども、国土交通省の御所見をお伺いいたします。

森北政府参考人 本法案におきましては、海岸管理者が適切に維持修繕するための基準を策定することとしておりまして、これによりまして予防保全型の維持修繕を導入し、中長期的なトータルコストの縮減、毎年の維持修繕費用の平準化を図ることといたしております。

 予防保全型の維持修繕を行うには、施設の損傷を早期に発見するための点検を行うことが必要不可欠でございます。そのための技術的知見を有する人材の確保、育成が重要というふうに考えております。

 このようなことから、海岸保全施設も含めてインフラの維持修繕に係る資格制度の検討を進めるとともに、地方公共団体やコンサルタント等を対象とした、的確な点検、修繕方法等に係る説明会、研修等を行うことといたしております。

 また、地域のインフラの維持修繕という大事な役割を担っていただくのは、地域に精通した地元の建設企業であるというふうに考えております。このため、海岸保全施設を初めとするインフラの維持修繕において、入札時の適切な地域要件の設定などにより、地元の建設企業の受注機会の確保を図る、また、複数年契約の導入などを通じまして、地域に精通した企業が維持修繕等の業務を計画的、安定的に受注できるよう配慮する、こういったことが必要と考えております。

 いずれにいたしましても、今後とも、予防保全型の維持修繕が着実に行われるように努めてまいりたいというふうに考えております。

伊藤(渉)委員 ありがとうございました。

 次の質問は、協議会の設置について伺う予定でしたが、これまで類似の質問が出ておりますので、これを省略いたしまして、最後、総務省に、沖ノ鳥島での事故を受けて、繰り返し私は他の委員会でも御質疑させていただいておりますが、お伺いをいたします。

 沖ノ鳥島、これも改めて申し上げますと、我が国の国土面積約三十八万キロ平米を上回る、沖ノ鳥島だけで約四十万キロ平米の排他的経済水域を持つ極めて重要な島でございます。先日は、この島の保全のための工事中に七名の方が亡くなるという痛ましい事故が発生をいたしました。改めて、心から御冥福をお祈り申し上げます。

 こうした重要な島での緊急事態に備えて、また、平時における、そういった地域で職務に従事をする皆様方の生活環境の向上という観点から、海上等におけるデジタルデバイドの解消について御質問したいと思います。

 速やかな情報の伝達や連携の確保のために、通常、陸上での状況と同様に、携帯電話による交信や高速なインターネットなどによる画像等の送受信などを可能にする取り組みが必要だと、本年の予算委員会の分科会でもお訴えをしてまいりました。その際、藤川総務大臣政務官からは、以下のような答弁を頂戴しております。

 「総務省では、海上におけるデジタルデバイド解消の重要性に鑑み、新たな無線システムの導入のための制度等の取り組みを進めている」、「海上における安全、安心の確保や船上での生活環境の充実が、船員の後継者の確保、育成に不可欠であり、そのためには、海上におけるデジタルデバイドの解消が、」「必要不可欠な重要なことと認識をしております。これまで、海上における安全、安心を確保するため、総務省といたしましては、一一八を緊急通報用の電話番号とする制度整備を行い、平成十二年から海上保安庁において緊急通報一一八番の運用が行われている」、「また、平成二十五年からは、同庁において、電子メールを活用した緊急情報配信サービスが全国展開をされております。」さらに、「災害時の船舶や沿岸での被災者の通信を確保するためには、携帯電話基地局を船上に開設することも考えられますが、これについては、現在、アンテナ開発等の技術的課題や実用化に向けた課題の洗い出しを行っているところでございます。さらに、海上におけるブロードバンド利用を推進するためには、警察等が陸上で利用している画像伝送システム、」あるいは、当時私がその質疑で言った「画像伝送システムを海上で利用することも有効でありますが、総務省といたしましては、この実現に向けた技術的検討を実施するとともに、インマルサットシステムによる衛星通信の高速化に向けた制度整備を進めているところでございます。以上のように、総務省といたしましては、国土交通省等の関係府省と連携をし、海上におけるデジタルデバイドの解消を目的とした新たな無線システム導入のための制度等の取り組みを一層進めていく」というふうに、非常に前向きな御答弁をいただいております。

 まだ時間がそんなにたっておりませんが、このことを引き続きお願いするとともに、現時点における具体的な検討状況等々あれば御答弁をお願いいたします。

富永政府参考人 お答え申し上げます。

 日本近海の重要な島嶼、離島での緊急事態等における通信の確保のためには、海上におけるデジタルデバイドの解消が重要な課題であると認識しております。沖ノ鳥島のような日本の本土から大きく離れた離島等を含めまして、海上におけるデジタルデバイドを解消するためには、広域なサービスエリアを確保でき、災害に強いという特性を有する衛星通信システムを活用することが重要と認識してございます。

 総務省といたしましては、これまで、全世界的なサービスエリアで音声通信やデータ伝送を可能とするインマルサットシステムやイリジウムシステムの導入のための制度整備を行ってきておりまして、近年も通信速度の高速化や端末設備の小型化に対応した制度整備を行ってまいりました。

 また、従来、固定地点間の通信を確保するために利用されてきた周波数帯を利用いたしまして、船の上に設置された無線局と陸上を衛星で接続することにより、日本周辺の海域を航行する船舶において高速なブロードバンドサービスを利用可能とする制度を整備してきておりまして、既に電気通信事業者によりブロードバンドサービスが提供されております。

 さらに、緊急事態等が発生した地点に急行したヘリコプターが収集した映像情報等の情報を、衛星を介して関係機関へ伝送することを可能とする研究開発も実施してきております。

 総務省といたしましては、今後も、技術の進展に対応した新たな無線システムの導入、それから、既存の無線システムの高度化のための制度整備などの取り組みを進めることによりまして、海上におけるデジタルデバイドの解消に取り組んでまいりたいと思ってございます。

 以上でございます。

伊藤(渉)委員 ありがとうございました。以上で終わります。

梶山委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

梶山委員長 これより両案について討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 まず、内閣提出、海岸法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

梶山委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

梶山委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、望月義夫君外五名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、日本維新の会、公明党、みんなの党及び日本共産党の六会派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を求めます。杉本かずみ君。

杉本委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 趣旨の説明は、案文を朗読してかえさせていただきたいと存じます。

    海岸法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用について遺漏なきを期すべきである。

 一 海水が堤防等を越えて侵入した場合の被害を軽減するため、減災機能を有する粘り強い構造の堤防等の整備が促進されるよう財政的及び技術的支援に努めること。また、いわゆる「緑の防潮堤」の整備に当たっては、地域住民の意見を聞くよう努めるとともに、その推進に当たっては、堤防本来の防護機能に加え、減災機能が十分に発揮されるよう、技術的な基準等の整備及び普及等に努めること。

 二 海岸管理者、関係行政機関の長及び関係地方公共団体の長は本法第二十三条の二の協議会の設置の必要性について十分調整すること。特に、地域住民等が協議会の設置を求めた場合には、海岸管理者等は協議会の設置を検討すること。

 三 東日本大震災において水門等の操作に従事した多くの方が犠牲になったことを踏まえ、水門等を管理する全ての海岸管理者等において早期に操作規則等が策定されるよう支援及び助言するとともに、水門等の適切な管理運用を図るため、「津波・高潮対策における水門・陸閘等管理システムガイドライン」の周知徹底、水門等の管理運用の実態把握に努め、水門等の現場操作員の安全確保が最優先に図られるよう万全を期すこと。

 四 海岸保全施設の急速な老朽化が見込まれていることを踏まえ、海岸保全施設の維持等に関する技術的基準を早期に定めるとともに、「海岸保全施設維持管理マニュアル」の周知徹底を図り、堤防等において当該マニュアルに沿った健全度評価が実施され、予防保全の考え方に基づく長寿命化計画が早期に策定されるよう財政的及び技術的支援に努めること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

梶山委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

梶山委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、国土交通大臣から発言を求められておりますので、これを許します。国土交通大臣太田昭宏君。

太田国務大臣 海岸法の一部を改正する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま全会一致をもって可決されましたことに深く感謝申し上げます。

 今後、審議中における委員各位の御高見や、ただいまの附帯決議において提起されました事項の趣旨を十分に尊重してまいる所存でございます。

 ここに、委員長を初め理事の皆様、また委員の皆様の御指導、御協力に対し、深く感謝の意を表します。

 まことにありがとうございました。(拍手)

    ―――――――――――――

梶山委員長 次に、内閣提出、海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

梶山委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

梶山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

梶山委員長 次回は、来る十六日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時三十七分散会


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