衆議院

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第19号 平成26年5月27日(火曜日)

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平成二十六年五月二十七日(火曜日)

    午後一時三十分開議

 出席委員

   委員長 梶山 弘志君

   理事 赤澤 亮正君 理事 秋元  司君

   理事 大塚 高司君 理事 西村 明宏君

   理事 望月 義夫君 理事 若井 康彦君

   理事 井上 英孝君 理事 伊藤  渉君

      秋本 真利君    井林 辰憲君

      泉原 保二君    岩田 和親君

      大西 英男君    門  博文君

      菅野さちこ君    國場幸之助君

      佐田玄一郎君    斎藤 洋明君

      坂井  学君    桜井  宏君

      清水 誠一君    白須賀貴樹君

      谷川 弥一君    土井  亨君

      中村 裕之君    林  幹雄君

      原田 憲治君    ふくだ峰之君

      前田 一男君    宮澤 博行君

      務台 俊介君    泉  健太君

      川端 達夫君    後藤 祐一君

      寺島 義幸君    岩永 裕貴君

      坂元 大輔君    西岡  新君

      松田  学君    村岡 敏英君

      北側 一雄君    佐藤 英道君

      杉本かずみ君    穀田 恵二君

    …………………………………

   参議院国土交通委員長   藤本 祐司君

   参議院議員        渡辺 猛之君

   国土交通大臣       太田 昭宏君

   国土交通副大臣      高木  毅君

   国土交通大臣政務官    土井  亨君

   国土交通大臣政務官    坂井  学君

   政府参考人

   (警察庁刑事局組織犯罪対策部長)         室城 信之君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  門山 泰明君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局安全衛生部長)       半田 有通君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         森  昌文君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長)            西脇 隆俊君

   政府参考人

   (国土交通省土地・建設産業局長)         毛利 信二君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  井上 俊之君

   国土交通委員会専門員   宮部  光君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十七日

 辞任         補欠選任

  長坂 康正君     清水 誠一君

  務台 俊介君     菅野さちこ君

同日

 辞任         補欠選任

  菅野さちこ君     務台 俊介君

  清水 誠一君     長坂 康正君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 建設業法等の一部を改正する法律案(内閣提出第六一号)(参議院送付)

 建築基準法の一部を改正する法律案(内閣提出第六二号)(参議院送付)

 公共工事の品質確保の促進に関する法律の一部を改正する法律案(参議院提出、参法第八号)


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     ――――◇―――――

梶山委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、参議院送付、建設業法等の一部を改正する法律案及び建築基準法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省大臣官房技術審議官森昌文君、総合政策局長西脇隆俊君、土地・建設産業局長毛利信二君、住宅局長井上俊之君、警察庁刑事局組織犯罪対策部長室城信之君、総務省自治行政局長門山泰明君及び厚生労働省労働基準局安全衛生部長半田有通君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

梶山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

梶山委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。泉健太君。

泉委員 民主党の泉健太でございます。

 本日も、大臣初め答弁をいただけますこと、感謝申し上げます。

 私からは、この建設業法そのものについては、今回の改正は必要性があって改正されるものでございますので、基本的にはそれは問題ないと思っておりますが、幾つか確認をしたい点と、建設に関する法案ですので、この機会に現在の建設における問題点、課題を少し大臣にお伺いをしたい、また国土交通省にお伺いをしたいというふうに思っております。

 まず最初に、昨年の三月に一度取り上げさせていただきましたけれども、大臣も大変御関心のあった、建設現場における仮設の足場の問題であります。

 日本は世界に比べて、建設業労働災害の死亡率が、ある団体に言わせれば、ドイツの三倍、そしてイギリスの五倍ということで、事故の件数が多いというふうに指摘もされているところであります。

 死亡事故が多いということも言われているわけですが、例えば、建設現場における墜落事故というものについては、さまざまな分類があるかもしれませんが、百五十七名という数字が平成二十四年の時点で出ております。これは労災保険加入者のデータに基づくということで、一人親方は入っていないデータだということも言われておりますので、恐らく、純粋に現場における墜落事故という意味では、もう少し多い数字が出てくるのであろうというふうに思います。

 そういった中で、これまで国土交通省でも、安全対策というものは進められてきておりますし、一方で、厚生労働省の世界では、労働安全衛生という形で取り組みも進んでいるというふうに思います。

 しかしながら、現在もなおこういった形で、労災保険加入者そして未加入者含めて数多くの方々が、現場で墜落事故、転落事故を起こしているという状況がございます。これについての大臣の御認識をまずお伺いしたいと思います。

太田国務大臣 建設業において、労働死亡災害のうちで、転落、墜落が最も多い。百五十七件とおっしゃいましたが、平成二十五年死亡災害が三百四十二件、うち墜落、転落によるものが百六十件、二番が崩壊、倒壊、三位が交通事故というような形になっています。

 私は、去年三月ですか、泉先生からあって、私もかなり前からそのことについて一生懸命やってきたという答弁をしたことを記憶しておりますが、足場の安全確保を含めて、建設現場における墜落、転落災害対策の必要性を本当に痛感しています。

 この間、国土交通省直轄工事におきましては、平成十五年度より、足場について申し上げますと、足場工事の安全確保に資するために、厚生労働省の手すり先行工法等に関するガイドラインに基づいて施工を条件づけるということをいたしております。足場には、墜落、転落を防止するために、二段手すり及び幅木を設置すること、そして工事の現場ごとに定期的に安全に関する研修、訓練等を実施することなど、建設現場の安全性向上に取り組んでいるところでございます。

 また、厚生労働省においても、平成二十一年に労働安全衛生規則を改正し、足場からの墜落、転落災害防止措置が強化されているところでもございます。

 しかし、なかなか、減ってはいるものの、依然として墜落、転落災害が極めて多く、年間でいいますと六千件発生していて、百六十名が亡くなっているという現状にございまして、こうした建設現場の墜落、転落災害の防止に力を注いでいかなくちゃならぬと強く思っているところでございます。

泉委員 大臣、ありがとうございます。

 今大臣がおっしゃっていただいたように、六千件です。年間六千件の方々が転落、墜落の事故を起こしている。一人一人働く者が気をつければいいんだというレベルを超えているというふうに私は思いますし、この実態が改善をしていないということについて、やはりもう一度、現行法で行われていることで果たして十分と言えるのかということはお考えいただきたいと思うんです。

 この質問をさせていただく際に、役所からもいろいろ話を伺いましたけれども、私たちは一生懸命やっています、あるいは、現在のところの安全対策というのは、例えば安全帯という、腰に命綱を巻くような、そういうものでやられていますということで、あとの転落については、さまざまな本来やってはいけないような行為を行って、例えば足場に外側から上っているときに落ちるだとか、あるいは外側で受け渡しをしているときに落ちてしまうとかいうことでの事故ですから仕方がありません、仕方がありませんと言うかどうかは別にして、そういうような形で、やれることはやっていますというわけですが、しかし、大臣がおっしゃったように、転落、墜落が六千件ですよ。

 これは、そういう行為すらさせないというようなことも含めて、やはり抜本的に数を減らしていかなければ、本当にこの工事現場における、建設現場における墜落、転落というのは、なかなか今のままだと数は減らないというふうに思います。

 そして、前回も指摘をさせていただいたんですが、きょうおられる委員の皆さんにも聞いていただきたいんですけれども、厚生労働省、お越しをいただいていると思いますが、労働安全衛生法、これが一人親方に適用されるのかどうか、まず御答弁ください。

半田政府参考人 一人親方の問題でございますけれども、私ども、昨年七月一日から十二月三十一日までの半年間での死亡災害等について調査をしてございます。これによりますと、一人親方の方で亡くなっている方が二十六名でございました。こういう現状でございます。

 それから、災害の発生率というような観点で少し見てみますと、建設業に従事する労働者の死亡災害の発生率が百万人当たり九十八人ということでございます。一人親方の死亡災害の発生率を試算しますと、百万人当たり約九十一人となってございまして、やはり同程度、こういう発生状況であると認識してございます。

 それで、先ほど御指摘のございました、安全衛生法の適用があるかないかということでございますと、基本的には、安全衛生法は、事業者の方の責任において労働者の安全を確保していただくという法律でございますので、一人親方の方に対するものとはなってございません。

 ただ、私どもも、そもそも建設業において多くの方々が墜落、転落によって命を落とされているということは非常に重大な問題だと受けとめてございます。

 このため、私ども、第十二次労働災害防止計画というのを策定してございまして、中でも建設業は特に重点の業種として位置づけて取り組んでございます。足場などからの墜落、転落対策にも力を入れているところでございます。

 ただいま申し上げましたように、一人親方というのは事業者でございまして、安全衛生法上の労働者には当たりませんが、この安全衛生法では安全管理の義務を、元方事業者、こういった方々にも課してございまして、必要な安全対策を講じることを義務づけてございます。

 こういった対策を講じていただくことによりまして、労働者とともに、一人親方の方の労働災害も減少していくものと考えているところでございます。

泉委員 ありがとうございます。

 今聞いていただいたように、労働安全衛生規則にはさまざまな安全対策が書いてあります。例えば足場に関して言えば、足場の材料、第五百五十九条、「事業者は、足場の材料については、著しい損傷、変形又は腐食のあるものを使用してはならない。」当たり前のような話ですけれども、そういうものを初めとしてそれぞれ細かく書かれているわけですが、極端に言えば、こういうものは、労働ですから事業者が労働者に対して守るべきものであって、一人親方は労働者ではないというふうにされてしまう。

 ですから、極端に言うと、建設現場で一人親方が転落事故を起こした、そうすると、最初は事故が起きたといって監督署が見に来るんだけれども、あっ、これは労災の対象外ですねと言って帰っていってしまう、そういうようなことが過去にあったというふうに伺っております。

 しかし、昨年三月に質問させていただいたわけで、その後、大臣もいろいろと動いていただいたこともありまして、今ほど厚生労働省からお話があったように、七月からは、まずは事故の統計というか実態を調査していただいているということで、この七月から十二月においても二十六名の方が亡くなられたというような調査結果が出ているように、私は、これは一人親方と一般の労働者の事故率が高いから低いからという次元ではないと思います。やはり事故は減らさなきゃいけないということであって、二十六名も亡くなられているのであって、そういうものを防がなければいけないということでありますから、一人親方にどうやって安全対策を講じていくのかということを、ぜひとも厚生労働省、そして国土交通省双方のアプローチからお考えいただきたいというのが私の趣旨であります。

 その意味では、厚生労働省は、今ほどお話のあった安全衛生責任者というものがあって、元方安全衛生管理者というものも置いて作業一般の安全管理をしていただいているということなんですが、それもしっかりと一人親方に徹底されているかという観点をぜひ持っていただいて、一人親方自身が、ある意味、衛生管理者になるべきなのかどうかというか、自分自身を管理するという意味で、安全を守っていくとすれば、一人親方にもそれなりの講習ですとか安全対策の徹底ですとか、工事現場の特性ということは説明していただくような環境をつくらなければいけない。

 要は、建設現場というのは、長い工期の間にいろいろな人が入れかわり立ちかわりで入るわけでして、一人親方が工期の最初から最後までその現場に携わっているわけではないわけですね。足場がどういうふうに組まれているか、あるいは現場でどういう危険があるのか、風がどれぐらい吹くのか、そういうことも、まさにその日初めて行ってわかるケースもあると思います。

 そういった意味では、やはり、ほかの長く働いている建設現場の方々よりは情報も少ない、意思疎通も少ない中で一人親方が作業するということはあり得るわけですから、そういったところの情報の共有なり、危険性の共有というものが図られるようにぜひしていただきたいと思います。

 そして、国土交通省側のアプローチでちょっと提案をさせていただきますと、ショベルカーですとかクレーンの関係の事故も結構多いんですね。重機が倒れて死亡するとかいうケースが結構あるということで、国土交通省では、重点的安全対策というものを毎年公表されています。その中では、建設機械の施工の安全について、建設機械施工安全技術指針というものをつくられている、あるいはマニュアルをつくられているわけですね。

 これは大変すばらしいことでありまして、建設機械でこういった国土交通省側のアプローチとして、誰がその重機を運転しようが、そこには、恐らく国土交通省側のアプローチというのは一人親方であろうがなかろうが関係ないという話でありまして、重機を運転する者の安全と周囲にいる者の安全を守るために、建設機械施工安全技術指針、そしてマニュアルというものができております。

 そういった意味でいいますと、この重点的安全対策の中には足場の事故防止というものも項目としては入っておりますが、今、厚生労働省に確認をとったように、労働安全衛生法を幾ら厳しくしても、基本的には使用者のもとで働く労働者の安全対策というところから抜け切れないところがありますし、そして情報が一人親方に完全に共有されているかということでいえば、まだまだ足りないというところもあるでしょうから、国土交通省として、ぜひ、現場の安全対策として、転落という事故が多いということに鑑みて、重点的安全対策、そして安全技術指針やマニュアルというところを、例えば仮設の足場についても、より明確につくっていただいて、現場で作業する人誰しもにとって安全な環境をつくっていただく、こういうことも私は提案をさせていただきたいと思います。

 具体的にはこういう提案については事前にお話をしておりませんので、提案ということでお聞きをいただいて、大臣もうなずいていただいておりますので、ぜひ御配慮をいただきたいというふうに思います。

 さて、もう少し細かいところでいきますと、安全衛生規則というのがありまして、その中で、仮設の足場を思い浮かべていただくと、我々が小さいころには、木をひもでくくったり針金でくくったりしながら、本当に簡素な、全て木造の足場もよくありましたし、何の筋交いですとか転落防止措置もないような足場も、当時はちっちゃい工事現場あるいは建設現場であったと思いますが、今は徐々に、さまざまな新しい安全な足場というものが出てきております。

 そして、先ほど厚生労働省からもお話のあった手すり先行工法、手すりが先にどんどんつくられていく、ですから、現場で作業する方々は大変安全だということ。そして、二段手すりなり幅木の設置ということで、もし体勢を崩しても転げ落ちない、落ちる空間を塞いでいく、こういうことが、すばらしい実例として挙げられているわけです。

 端的に国土交通省にお伺いしたいんですけれども、手すり先行工法等、二段手すりあるいは幅木の設置ということについて、これは国土交通省直轄事業においては採用されて、まさに成果が上がっているわけですね。死亡事故が三年間起きていないという成果が上がっている。しかし、先ほど大臣おっしゃられたように、建設業全体でいえば転落事故が六千件起きているということでいうと、ぜひとも、国土交通省直轄事業だけじゃない広がりを見せていただきたいと思いますけれども、そこにどんな障害というかハードルがあって現在も国土交通省直轄事業にとどまっているのか、国土交通省、御説明ください。厚生労働省ですかね。どちらでも構いません。

半田政府参考人 足場の対策でございますけれども、安全衛生規則五百六十四条一項四号におきまして、五メートル以上の構造の足場の組み立てあるいは解体、変更といった作業に限定されてはございますが、これらの場合には、労働者に安全帯を使用させるなどの墜落防止措置が義務づけられてございます。

 このほか、同じく同規則五百六十三条におきまして、高さ二メートル以上の足場については、手すりなどの墜落防止措置が義務づけられてございます。

 こういった状況でございまして、私どもとしましては、このほかに、交差筋交いを使った枠組み足場での基準ですとか、いわゆる枠組み足場での手すり、枠組みを使ったときの基準といったようなことも定めてございまして、こういったものにつきましては、法令で定めるとともに、さらに望ましい基準などについてはガイドラインなどで指導しているところでございます。

 こういった取り組みにつきまして、なおこのままでいいのかどうかということも含めまして、現在、専門家の関係者の皆様にお集まりいただきまして、検討をやっていただいているところでございます。

泉委員 今お話ありました、例えば安全衛生規則五百六十三条では、いわゆるバッテンの形をした筋交い、交差筋交いのことが書かれているわけですけれども、改めて確認なんですが、この交差筋交いというのは手すりなのか手すりではないのか、お答えください。

半田政府参考人 交差筋交いを手すりであるかどうかということで申し上げますと、もちろん手すりとは考えてございません。

 ただ、私どもは、ただいま先生の御指摘ありました五百六十三条では、墜落防止措置を義務づけているところでございまして、枠組み足場につきましても、交差筋交いと高さ十五センチ以上四十センチ以下の桟を設ける、もしくは手すり枠を設ける、このいずれかをやっていただくということでやっておるところでございます。

 ですので、手すりとはみなしてございませんが、必要な墜落防止対策は義務づけて、取り組んでいるところでございます。

泉委員 わかりました。

 かつて昭和四十三年当時の見解では、枠組み足場に使用されている筋交いを手すり等とみなしてよいかというと、貴見のとおりという答えが当時はあったというふうに伺っていますが、現在は手すりとはみなさないということであります。

 しかし、こういった手すり先行工法ですとか、二段手すり、そして幅木の設置、そういったものがちゃんとなされなければやはり転げ落ちてしまう。そして、決して人間の頭というのは丈夫じゃありませんし、体も丈夫じゃありませんので、お話があったように、二メートルより上に上がっていれば、どんな人でも大きな事故、傷害に至る可能性があるということからも、私はもう少し、転落事故が六千件ですから、やはりそれだけの方々が事故に遭っているということを考えますと、手すりの基準というものについては強化をしていただくべきではないかなというふうに思います。ぜひともそういった形での検討をお願いしたいというふうに思っております。

 さて、今回の建設業法について、解体業者が業種区分に入ったわけですけれども、足場工事そのものが業種区分には入っておりません。このことについての理由をお聞かせください。

毛利政府参考人 御指摘ありましたように、このたび業種区分に追加いたします解体工事につきましては、一つは、これまでのストックの積み上がりによりまして、今後、その解体ということで工事量の増加が見込まれるということ、それから、市民を巻き込むような重大な事故の発生などが起こっている、こういうことに鑑みまして、必要な経験と技術者を備えた事業者による適正な施工の確保を図ろうとするものでございます。

 一方で、御指摘ありました解体工事以外に要望のあった業種につきましても、検討の過程では、関係する業界団体から意見を聞きながら検討を進めてきたところでございます。足場工事に関係する複数の団体とも意見交換をさせていただいたところでございますけれども、一つは、関係する業界内の調整が引き続き必要であったということ、それから、対象となる工事範囲の区分の仕方につきましてまだまだ整理が必要であるということ、こういった理由によりまして、引き続き検討を行うことというふうにしたところでございます。

 今後も、関係方面の取り組みや施工実態等を踏まえながら、検討の熟度が高まったものからさらなる業種区分の見直しなどの対応を図っていく予定としておりますけれども、なお、あわせまして、先ほど来御指摘もありますけれども、その検討とあわせて、足場工事における安全性の確保につきましても、一定の安全性の高い足場の仮設の普及等を図ってまいるなど、国交省としてもできることはやっていきたいと考えております。

泉委員 ありがとうございます。

 仮設の足場工事の業界においても、仮設安全監理者というような形での講習や資格ということもできつつあると伺っております。ぜひ、業種区分として今後なっていくよう期待もしておりますし、積極的な検討をお願いしたいというふうに思います。

 さて、具体的に、兵庫県で足場が倒壊をして、一般の方々がけがをするという事故がありました。二業者がこの工事に携わっていたということでありますが、新聞で見ていますと、そのうちの一業者は許可を届けていない業者だったということでありました。あるいは、この業者における工事について言うと、足場の施工計画が提出されていたのかどうかということも問題になっているようですが、この二つ、許可業者か、そして足場の施工計画は提出されていたか、確認をしたいと思います。

毛利政府参考人 まず、御指摘がありました事故でございますけれども、四月三日、神戸市JR三ノ宮駅付近の五階建てのビルの解体工事現場で足場が倒壊して、通行されていた二名の方が負傷するという事故でございました。

 事故の原因等が、現在、警察当局と労働基準監督署で詳細に捜査中でございますので、細かい点を私どもで説明することはできませんけれども、御指摘ありましたように、事故を起こした元請業者は、兵庫県知事の許可業者で、土木一式、とび・土工等の建設業の許可をとっておりましたが、下請に入っておりました神戸市の業者につきましては、建設業の許可も建設リサイクル法の解体工事業の登録も受けていなかったということは把握いたしております。ただ、そのこと自体が、どういう問題が発生するかは、下請契約の内容が現在警察に資料として押収されておりますので、許可、登録義務違反なのかまでは判断ができていないところでございます。

 まず、届け出につきましては、私どもとしては、建設リサイクル法の方を所管しておりますので申し上げますと、ことしの一月にリサイクル法の工事の届け出がなされていたというふうに神戸市から聞いております。

半田政府参考人 足場の計画届が出されていたかどうかというお尋ねでございますが、大変申しわけございません、ちょっとこの件に関しまして、こういった個別の事案につきましては、私ども、司法警察機関ということでございますので、答弁を差し控えさせていただきたいと思います。

泉委員 そうしますと、厚労省に一点だけ確認は、安全衛生法の第八十八条でいうと、足場の施工計画の届け出というのは、足場が十メートル以上になるもの、そして組み立てから解体まで六十日以上の場合は計画を届けるということになっているわけですね。

 しかし、今の時代、やはり安全ということは大変重要なものでありまして、しかも足場の場合は、工事現場のエリア内での事故にとどまるのであればともかく、それが高い高さになっていると、普通の一般の道路や歩道にまで、あるいは隣の家にまで倒れてくる可能性があるものであります。そういった意味では、足場は一般の事故にもつながりやすい、公衆災害にもつながりやすいものだという認識を持っていただいていると思います。

 その意味では、解体まで六十日以上というこの計画の届け出を短くしていただくということも考えていただくべきじゃないか。例えば三十日以上という形にすべきだと思いますが、いかがでしょうか。

半田政府参考人 まず、御理解をぜひいただきたいと思っておりますのは、足場について、事業者に対する義務として安全衛生規則に定めてございますのは、労働災害防止という観点から、先ほど先生は、十メートル以上、解体まで六十日以上ということをおっしゃいましたけれども、足場に関しましてはもう少し幅広く規制をかけてございまして、倒壊防止措置、足場からの墜落防止措置といたしまして、設置期間にかかわらず、足場の高さが二メートル以上の場合には適用されてございます。その他、事業者に対しましても、組み立て等の作業主任者の選任義務ですとか足場の点検義務などを定めているところでございます。

 御指摘のように、計画届の対象となっておりますのは、高さ十メートル以上、設置期間六十日以上といったものになってございますが、これは特に倒壊のリスクが高いということから、足場の強度などを事前に確認するということでございます。ですから、先ほど申し上げました基準はそれ以下のものでも全部適用があるわけでございますが、特に、十メートル以上、六十日以上のものに関しましては、監督署でもって強度等を事前に確認させていただくという趣旨で義務づけているものでございます。この点はぜひ御理解いただきたいと思います。

 このように足場を設置する事業者が法定の倒壊防止措置を実施することが第一と考えてございまして、届け出の範囲を拡大することについては少し慎重に検討していくべきではないかと考えているところでございます。

泉委員 きょうは時間も余りありませんので指摘にとどまらせていただきますが、かように私がやはり質疑を通じて感じるのは、労働安全衛生の世界でこれまで工事現場の安全対策を見てきたんだけれども、一つは一人親方の問題ですね。これが抜けているものを今後どうしていくか。これは今御努力いただいているところですが。

 もう一つは、やはり公衆災害ですね。これは、国土交通省の方では公衆災害も減らそうということで取り組みをしていただいておりますけれども、今のお話だと、足場の施工計画はあくまで労働現場というか、工事現場の中の労働者のためのものということで、施工計画ということで、確かに厚生労働省の世界なんですね。

 しかし、公衆災害ということにもなりますので、やはりそこは両面から、いかにして一般の方々への被害を防いでいくのかということについてお考えをいただきたい、挟み打ちをしていただきたいということをお願いしたいと思います。

 さて、続いて、これは少しちいちゃな話ですけれども、この質問をするに当たっていろいろ調べていましたら、国土交通省がすばらしい取り組みをされていて、例えば道路工事の公共工事ですね。現場で標識というか、工事現場にいろいろと、何をやっているかがわかるように、工事中とかいう標識を立てるわけですけれども、それをよりわかりやすい表現に変えていこうという御努力をされていて、あるいは看板の色合いまで調和するものにしていこう等々、見える化プロジェクトというのをやっている。大変すばらしいことだと思います。

 一方で、私は、今回提案だけさせていただきたいのは、道路工事のみならず、やはり、民間の例えば建設工事においても、一般の御家庭にまで完成予定図を外に張り出してくださいとは言いませんけれども、例えばある一定の大型の建築物については、いわゆる完成予定図みたいなものが外に張り出されると、非常に通行する方々もイメージが湧きやすい。

 ここは、今現在は多分義務にはなっていないと思うんですね。現在義務になっているものは、なかなか一般の方々が読んでもわかりにくいような、工事監理者とか、商号または名称とか、代表者氏名とか、資格者証交付番号とか、行政的に理解をできるものを張っている。ごめんなさい、これは建設業の許可票の話です。済みません、ちょっと混同しましたけれども。

 要は、工事現場において、できるだけ通行人でも理解をしやすいような表示というものをぜひ御検討いただきたいということだけ申し述べておきたいというふうに思います。

 さて、三つ目の最後の問題ですけれども、本法案でもあります暴力団対策についてであります。

 今回、「役員等」ということで少し幅広になったということは評価できるわけです。そして、今回は、一度許可を与えた建設業者でも、許可の付与後に役員であることが判明した場合に、その業者を排除できると規定をしておるわけですけれども、そもそも、今回この法改正に当たって、そういった業者の事例があったのかどうか、まずお答えいただきたいと思います。

毛利政府参考人 現在の制度におきましては、御指摘ありましたように、許可の段階で、警察も連携しながら、暴力団かどうかということを確認することができるという中でありまして、許可後の中でこれが暴力団かどうかというのは把握できない仕組みになっているものですから、例えば何社あったかということは残念ながら困難でございます。

泉委員 わかりました。

 東京都の墨田区で、何かスカイツリーの関連でなんですけれども、かつて数年前に、建設会社の社長が外部の暴力団幹部にコントロールをされて公共事業を落札し、暴力団に資金が流れたとされる事案がありました。こういったものの場合、現在では許可は失わないし欠格事由にもならないけれども、今後は、こういった会社、業者は許可を失い、あるいは、あるいはというか、許可を失うとともに数年間の欠格となるという理解でよろしいでしょうか。

毛利政府参考人 御指摘ありましたような事案につきまして、一般論でお答えさせていただきますと、暴力団幹部にコントロールされた建設業者から暴力団に資金が流れるような事案、こういった事案につきましては、今回の改正によって追加されました「暴力団員等がその事業活動を支配する者」との欠格要件に該当すると考えられますので、改正法の施行後は、業の許可が当然取り消されるということになります。

 また、現時点でも、公共事業につきまして、これは、公共工事等からの暴力団の排除のために、発注者と警察との間で交わされている合意書に基づきまして、暴力団員が実質的に経営を支配する者またはこれに準ずる者というのについては入札から排除するという取り組みが行われているところでございます。

泉委員 一方で、きょう、警察庁にもお越しをいただいているわけですが、犯罪対策閣僚会議というのが各省庁またがって構成されていまして、ここでは、暴力団排除の取り組みとして、暴力団員等や暴力団員等によりその事業活動を支配された者、あるいは暴力団員を不当に利用している者、そして暴力団員に便宜を供与するなど暴力団の維持運営に協力している者については、排除すべき対象としているわけですね。

 今回のこの法律では、今私がお話しさせていただいた三つの分類について、これは犯罪対策閣僚会議で言われているものですが、それのいずれかに該当する場合は許可が取り消しになる、あるいは欠格事由になるというふうに理解してよろしいでしょうか。

毛利政府参考人 御指摘ありました犯罪対策閣僚会議の三つのケースでございますけれども、今回の改正につきましては、そのうちの一つである暴力団員等や暴力団員等によりその事業活動を支配された者ということにつきましては、明らかに許可の際に欠格要件に、そして許可の付与後においてはその取り消し事由に該当するということでございます。

 また、あとの二つの類型でございますけれども、暴力団員を不当に利用している者、または暴力団員に便宜を供与するなど暴力団の維持運営に協力している者につきましては、直ちに欠格要件等に該当するかは、これは個別事案において判断をしなければいけないと考えますが、例えば、暴力団員を反復的に利用したり、便宜供与等を通じまして暴力団と一体であるとみなせる場合につきましては、今回の要件に入れました「暴力団員等がその事業活動を支配する者」に該当するというふうに認められまして、欠格要件または許可の取り消し事由に該当すると判断することも十分可能ではないかと考えております。

泉委員 きょう、警察庁にお越しいただいていますので確認をしたいんですが、そもそも暴力団員が一般企業で働くことはどう解釈されているのかというか、警察庁としては、例えばその企業に、こちらで働いている誰々さんは暴力団員ですよというようなことを通報したりされるのかどうか、そして、そもそも警察としては暴力団員が一般企業で働くことそのものはとめることはできないのか、この二点、確認したいと思います。

室城政府参考人 お答え申し上げます。

 行政機関等が要綱などで建設業者が暴力団員が実質的に経営を支配する者またはこれに準ずる者等である場合に公共工事等から排除する旨を定め、当該行政機関等が警察との間で情報提供のための合意書を交わしているという場合におきましては、事件捜査の過程等でそのような事実が判明したときは、合意書に基づき通報をしているところでございます。

 建設業者に対する通報につきましてですが、その通報が全く行われないということではありませんが、原則として、建設業の許可を行う行政機関等に通報を行うことで暴力団排除の目的が達成されるものと考えております。

泉委員 今回、私がこの法案を見て少し気になったのは、これまでの旧法では「役員」ということでありました。今回、「役員等」になりました。しかし、そこには、経営者レベルというか役員クラスの支配力を有すると認められる者について許可を出さないということであって、例えば社員に複数の暴力団員がいることは許容されてしまう可能性もあるということであります。

 そういったところが果たしてちゃんと徹底されるのかどうかというか、先ほどの毛利さんの御答弁だと、状況によっては、これは暴力団員に便宜を供与する、暴力団の維持運営に協力しているということに当たる可能性もあるということかなと理解をしておりますので、経営者は暴力団員じゃないけれども、多くの暴力団員が仮にでもそこで働いているような建設会社があったときに、それを健全な会社と呼ぶべきかどうかというところについては、ぜひ注意深く、警察庁とそして国土交通省、各行政連携をとりながら、全体的にそれが暴力団の利益になっていないかどうかというところをしっかりと見ていただきたいというところが私の願いであります。

 以上で私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

梶山委員長 次に、杉本かずみ君。

杉本委員 みんなの党の杉本かずみと申します。きょうもよろしくお願い申し上げます。

 きょうは、建築業法、内閣提出第六一号、それと、基準法の方が六二号という両法律案について、細かい部分も含めて質問させていただきますが、質問数がまた多岐にわたっておりまして、できない部分についてはまた一般質疑等でということを、ちょっと事前にお話をさせていただきます。

 それでは、まず、建設業法に関連する質問ということで、現状認識、建設にかかわる全体というところで把握をさせていただきたいんです。

 建設業界、政府の投資もあれば民間投資もあって、その総額が国内の需要をつくっていると思いますけれども、三年前の震災もあり、そして今後の南海トラフ等の、あるいは東京直下、こういったことに対する防災・減災、そして、六年後ですか、東京オリンピックの需要、こういったものが複合的にある中で、平成二十二年あたりを底に、この建設需要といったものが底を打って増加傾向にあるという認識を持っております。

 しかし、一方で、御案内のとおり、我が国の借財は国と地方を合わせて一千兆を超えるような状況で、大きな財政制約を抱えているということも事実であり、また、財政破綻の懸念も率直に言って拭い去れない現状にあるということで私は考えております。

 景気回復による民需が昨今増勢の勢いにもあると思いますけれども、こういったいろいろな要因がございますけれども、そういった要因、あるいは景気の循環の流れの中で、建設業界の需要といったものが今後も続く見通しかどうか。

 そしてまた、あわせて、ちょっと数字的なところで、就業者数と業者の数といった意味で、平成二十四年ベースで見ますと、就業者が五百三万人、そして業者数が約四十七万という数値がございますけれども、こういった数値を含めて、今後の見通しをどうお考えになっておられるか、教えていただければと思います。

太田国務大臣 これは非常に大事な問題で、まず、二〇五〇年の国土のグランドデザインを考える。そして、グランドデザインの中に、危機管理としての防災・減災という、特に南海トラフや首都直下の地震というもの、そして老朽化対策という、この委員会でも随分論議になりましたことを考える。そして、財政制約というものを考えますと、二〇二〇年、東京オリンピック・パラリンピックということで急に建設需要が増すというふうには逆にしたくはない。二〇二〇年をゴールに絶対にしてはならない。そして、二〇二〇年をマイルストーンとして考えて、建設需要ということであれば、これは努力をして、ずっと平準化し、そして恒常化していくというような、そういうものにする必要があるというふうに考えています。

 どうなるかという角度では、いわゆる民間の投資という点においては、民間投資はもちろん景気に関係しますものですから、これは景気をよくしていくという流れをそのまま続けるということを前提にするんですが、ここは上がったり下がったりということは時によってはあり得る。しかし、政府投資の総額ということにおいては、ずっと公共事業は縮減をされてきまして、ことしやっととまった、そして実質的には横ばいという予算組みをさせていただいている。これを私は、急にまた景気対策というところをふやすべきではないし、二〇二〇年ということにおいても必要なことは当然やらなくてはいけないんですけれども、そこで、何か景気がよくなるようにというような気合いでもって二〇二〇年というものにしてはいけないというふうに考えています。

 国の公共投資ということでいうならば、昨年来、私が担当してきましてから、防災・減災、老朽化対策、メンテナンス、耐震化という部門に力を入れなくてはいけないということで、四回、補正と本予算、補正と本予算ということをさせていただいているんですが、大体、従来とは違って半分以上、五〇%以上はその部門にということにしています。ますますこれから、そうした防災・減災、老朽化対策、メンテナンス、耐震化、こういうところに公共投資としてのメーンストリームはあるというふうに考えているところです。

 建設産業の従事者は、私たちは、もう長年携わっていますと、大体六百万人と五十五万業者というふうに思ってきましたが、今、杉本先生御指摘のように五百三万人、そして建設の業者が六十万がピークであったんですが、今は四十七万という形になっています。

 この数が多いかどうかということ以上に一番注目していかなくてはならないのは、いわゆる職人さん、現場の技能労働者がしっかり確保されるかどうかということが私は一番大事だというふうに思っていまして、できるだけ予算とか投資規模が恒常的に平準化し、安定していく上に、そこに若手の方も含めて現場の技能労働者が確保されて、それで防災・減災、老朽化対策等をしっかりやっていただくという業界というものの基本というものは今打ち立てていかなくてはならないのではないかというふうに思っているところでございます。

杉本委員 大臣、まことにありがとうございます。

 非常に全体観がよくわかるお話だったと思います。決して、この需要といったものが一時的に二〇二〇年をピークにということであってはならなくて、平準化、恒常化が必要だというお話を承ったと理解させていただきますし、また、補正と本予算、四回あった中で、防災・減災、老朽化、メンテナンス、耐震化というところに五〇%以上力点を置かれたという点は、党派を超えて、非常にいい政策を打っていただいているなと思っております。

 また、大臣が言われた六百万人、私の場合は六十万社というイメージがずっと残っていたんですけれども、今回質問させていただくに当たって、やはり五百三万で四十七万にむしろ減っているのか、あるいはピークが多かったのかわかりませんけれども、そういった変化の中で、いわゆる職人と言われる技術者を確保していくということが、これは日本が特に大事でもありますけれども、世界共有で、最近建設が盛んになっている中東あたりでも、あるいは逆にちょっと建設がとまっている中国を初めとするアジアの一部なんかでも、やはり専門化した鉄筋工、溶接工、こういった専門家の方が、あるいは土木の専門家も必要かと思いますが、極めて重要な人材だという認識を私は持っておりますので、そういった方々を、しっかり若い方を中心にふやしていくように協力させていただければと思っております。

 ちょっと関連する質問になるかもしれないんですが、今お話しの中で、平準化、恒常化が大切だというお言葉もありましたけれども、一方で、やはり景気というのは、循環して、そして、ポリシーミックスと言われる金融政策と財政政策、この両方が相まって、日本なり世界それぞれの経済をうまく運営していかなきゃならないという観点から、ちょっと質問させていただきたいんです。

 メンテナンス元年ではなくて二年目に入っているわけでありますけれども、こういった中で、メンテナンスをする地域だとかあるいは具体的な場所だとか、こういった内容をできるだけ中長期的に開示していただくということが、ある意味で、建設業界が安定的にゴーイングコンサーンとして企業体が存続できることにつながるんではないかと思っています。

 中長期、五年、十年、こういった長さで、メンテナンス計画を、路線名だとかあるいはメンテナンス箇所、メンテナンス時期、こういったことをできる限り具体的に開示していただくことが重要かと思いますけれども、こういったことを今後開示していく、予測可能性といったものを示していくおつもりがあるか、あるいは、今後の研究課題だけれども考えていかなければいけないのか、このあたりを教えていただければと思います。

高木副大臣 高度経済成長期、どんどんインフラ整備が進んだわけでありますけれども、それがこれから急速に老朽化するということで、このメンテナンスというのを戦略的に行うということが必要だと考えております。

 このため、昨年十一月に、インフラ長寿命化基本計画というのを政府がつくりまして、それに基づきまして、つい先日でございますけれども、五月の二十一日に、国交省のインフラ長寿命化計画、いわゆる行動計画というのを作成いたしました。

 今後は、これに基づきまして、個々の施設ごとに、点検や修繕、更新といった対策とその時期等を記載した個別施設計画を策定していく、それを示していく、そして計画的に実施していくということが重要だと考えておりまして、それが、すなわち委員御指摘の予測可能性につながるものだというふうに考えているところでございます。

 さらに、国が管理する施設ばかりではなくて、地方公共団体等に対しても、策定手続等の技術的支援や交付金等の財政的支援を実施することによりまして、地方でも個別施設計画の策定が進んでいくように、国交省としても指導をしていきたいというふうに考えているところでございます。

杉本委員 高木副大臣、ありがとうございます。

 インフラの長寿命化計画、行動計画、こういったものをできる限り細やかに、前広にオープンにしていただくことによって、建設業界がゴーイングコンサーンとして経営しやすいような環境を引き続きつくっていただいて、役所と、あるいは国と、あるいは地域の行政と企業体がうまくかみ合うということをお願いしたく申し上げます。

 さて、次に、建設業法の細かな内容についてちょっと伺っていきたいんですけれども、提案理由説明でも「いわゆるダンピング受注」という表現があったんです。法文上はダンピングという言葉を定義して使ってはいないんですけれども、あえて使っていない理由、使った方がわかりやすいような気もいたしますし、いや、誤解を生むのかなという懸念もあるんですけれども、この理由をお聞かせいただきたいのと、ちょっと次の質問とあわせて伺いますけれども、今回の改正によって制限されるダンピングと、入札者が個別に競争力を高めるために企業努力をしているといった部分をいかに峻別、区別していくのか、このあたりを教えていただければと思います。

毛利政府参考人 まず、私の方から、ダンピングという言葉を法律で今回使わなかった理由について、初めて御指摘をいただいたことではございますけれども、ダンピングという用語自体は、委員御承知のとおり、建設業界ですとか入札契約制度の中では既に相当人口に膾炙した用語ではないかと考えておりますし、これまでの入契法適正化指針におきましても既に「いわゆるダンピング」というふうに記載をいたしてきたところでございます。

 しかし、今回、法律の中では、これが法令用語としてなじむかどうかということが一点、もう一つは、ダンピングという言葉自体よりも、その具体的な、実質的な内容を初めてあらわすことに意味がある、すなわち、その請負代金の額によりましては公共工事の適正な施工が通常見込まれない契約の防止を図るということが一番大事だということから、入札契約適正化の柱として追加しておりまして、そういう理由から、言葉よりも内容にこだわったということでございます。

杉本委員 わかりました。

 ちょっと二つ目の質問は御答弁がなかったんですけれども、飛ばさせて、次へ行かせていただきます。いいですか。御答弁いただけるのであれば、ぜひ。

土井大臣政務官 申しわけありません。御質問をいただきました。

 改正案におきましては、入札契約適正化の基本的な事項といたしまして、その請負代金の額によっては公共工事の適正な施工が通常見込まれない契約の締結防止を図ることといたしております。

 具体的には、低入札価格調査制度を活用いたしまして、基準価格を下回る額の応札があった場合には、ダンピングのおそれがあるものとして、適正な施工が可能かどうかの観点から調査を行い、不適当な受注を排除するなどという措置をとっているところでございます。

 その上で、御指摘がありました、ダンピングではない応札の中から、企業努力の成果として提出をされる技術提案等を踏まえ、価格と品質を総合的に評価した上で発注先を選定いたしているところでもございます。

杉本委員 御答弁どうもありがとうございます。土井政務官、御無礼いたしました。

 次に、今お話のあった低入札価格調査制度等についてなんですけれども、発注者において、この低入札価格調査制度あるいは最低制限価格制度を活用してダンピング受注排除を図るということになっていますけれども、いただいている資料等で、二百三十二市区町村においてはいずれの制度も導入していない、これは二十四年の九月一日現在の数字です。

 今次、ダンピング対策強化をするに当たって、この導入していない現状をいかに見たらいいのか。この二百三十二市区町村は、うまくいっているので大丈夫なんだということなのか、それとも、ぜひとも導入していただきたいんだけれども導入がおくれている、していないんだ、こういう理解をした方がいいのか、そしてまた、もし導入をお願いする場合に、国や都道府県はいかなる協力や支援ができるのか、この点を確認させてください。

毛利政府参考人 最低制限価格制度と低入札価格調査制度は、ダンピング受注の防止等に重要な役割を果たしておりまして、総務省と連携した要請などを通じまして、これまで、その導入、活用の推進に努めてきております。

 このため、この制度のいずれも導入していない発注者は毎年減少しておりまして、平成二十年からの五カ年を見ましても、三百五十九市区町村から委員御指摘のありました二百三十二市区町村へと百二十七市区町村減少したわけでありますが、まだこれだけ残っているという認識でございます。

 こうした中、今般の入契法の改正案におきまして、基本となるべき事項にダンピング防止を追加させていただいておりますし、また、品確法の改正案におきまして、低入札価格調査基準あるいは最低制限価格、こういったものの適切な設定が発注者の責務として追加されるというふうに承知をいたしております。

 国交省としましては、これらの法改正を踏まえまして、運用指針への明記、あるいは、総務省と連携した文書による要請、自治体へのきめ細かな説明などを通じまして働きかけを一層強化しまして、全ての発注者でこれらの制度の導入、活用が進むように取り組んでまいる考えです。

杉本委員 毛利局長、どうもありがとうございます。

 次に、入札の内訳書の提出義務化ということをするということで今次法改正がございますけれども、この内訳書のひな形、共通フォーマット化といったことは図られるのかどうかの確認と、そこに当たっての必須項目は一体何なのかということ、そして、この義務づけに当たって罰則規定は設けるのか設けないのかの確認もさせていただければと思います。

毛利政府参考人 御承知と存じますが、入札金額の内訳書の提出につきましては、既に多くの発注者が求めている実態がございまして、発注者によりましては、必要に応じてみずから様式を定めているということでございます。

 このため、今回の法律に基づく義務化に当たりましても、工事規模等に応じ、また必要に応じて各発注者が様式を定めることを想定しております。国としても、今後、各発注者が活用できるひな形は作成したいというふうに考えているところでございます。

 また、項目につきましては、一般的には、直接工事費、共通仮設費、現場管理費、一般管理費の大項目の内訳ぐらいは必要になるというふうに考えております。

 罰則の点でございますけれども、内訳書を提出しなかった場合の罰則は本法案で規定しておりません。しかしながら、建設業者が入札の際にこの内訳書を提出しなかった場合におきましては、発注者は入契法第十三条の「必要な措置」を講じるということで、具体的には、入札を失格にする等の対応をとることを想定しておりまして、この失格でもってかなり大きなペナルティーだという理解でございます。

杉本委員 ありがとうございます。

 その関連で、内訳書の提出義務づけに当たって、見積もり能力のない業者を排除するということかと思いますけれども、発注者側なのかな、見積もり能力の有無を見抜く目ききする人間が発注者側の能力として必要だと思いますけれども、この目きき項目、目ききとして必要な項目、学歴は関係ないと思いますけれども、どういった能力を要求、想定しておられるかも確認させてください。

土井大臣政務官 提出されました内訳書につきましては、その内容が施工実態を反映したものかどうかの確認が必要と考えておりまして、工事の積算経験などの発注関係事務に従事した経験等が求められると考えております。

 なお、必要な人数につきましては、工事の内容等によって異なり、一概には言えませんが、職員が不足する場合には、補助的な業務を外部委託することなども必要と考えております。

杉本委員 ありがとうございます。

 次に、ダンピングと社会保険の未加入の問題でちょっと数字をお伺いしようと思ったんですけれども、適当な資料が見つかりましたので、この質問はちょっと割愛させていただければと思います。

 次に、手抜き工事防止、不当な中間搾取防止の観点から、施工体制台帳というものがあって、これが三千万円以下の小規模工事にも適用拡大ということになるというのが今次法改正かと思いますが、この台帳の存在とその提出の意義も非常に大きなものだというふうに私も考えておりますけれども、先ほどと共通の質問になるかもしれませんが、ひな形であったり共通フォーマット化はこの施工体制台帳についても図られているのかどうか。

 先ほど、毛利局長からは、内訳書のひな形をつくっていきたいというお言葉をいただきました。やはり政策当局が範を示すというか方向感を出すということは極めて重要だと思いますので、そういったことを施工体制台帳についても多分行われるというふうに私は思っておりますけれども、そういったことを当局がしっかりやっているんだということを広く国民に知っていただくことによって、ダンピング防止あるいはこういった公共工事等の透明化といったものが図られると思うんです。

 この周知徹底、広く国民に知ってもらう、こういう姿勢をぜひとっていただきたいんですけれども、ホームページの開示、あるいはその他の方法等、いかなる状況になっているかを含めて、共通フォーマット化、ひな形化、この施工体制台帳についてあわせて答弁いただければと思います。

毛利政府参考人 このたびの施工体制台帳につきまして、一定の御評価をいただきました。

 お尋ねのありました施工体制台帳のフォーマットでございますけれども、現時点では法令上統一したものは定めておりませんが、実は、建設業団体におきまして標準様式が定められ、これがかなり普及しているところでございますので、国土交通省としましては、この様式をベースに作成例を定めまして、既に下請指導ガイドラインという形で周知を図ってきているところでございます。その活用を図ってまいりたいということがございます。

 また一方で、御指摘ありました、広くその取り組みを周知していく上でのホームページの活用でございますが、このたびの改正によりまして、全ての公共工事に施工体制台帳の義務づけの対象が拡大しまして、いわばその裾野が広がるということでございますので、よりわかりやすくすることが重要だと考え、法律が成立しまして、施行されるまでの間に、国交省のホームページ等に作成例、記載事項を明示することなどを考えてまいりたいと思います。

杉本委員 局長、ありがとうございます。

 次に、談合防止策といった点について。

 今次法改正、談合防止につながるというような表記が幾つか説明資料にあったんですけれども、ダンピング対策とともに、談合防止策という点で、今回の法改正がどういう効果を生むのかが具体的にちょっと見えてこない部分があるので、改めて、談合防止という点で今回の法改正が意義ある点を御説明を伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。

土井大臣政務官 入札契約適正化法におきましても、全ての発注者に対して、入札契約の情報の公表、談合情報の公正取引委員会への通知等を義務づけるなど、不正行為の防止のための制度を整備してきております。

 改正案におきましては、入札の際に入札金額の内訳書の提出を義務づけるとともに、発注者は、談合等の不正行為の防止の観点からも、当該内訳書を確認することといたしておりますし、これらによりまして、談合情報が寄せられた場合など、談合の可能性が疑われるときに、内訳書を比較するなどにより、入札手続を中止、関係機関に内訳書を提出するといった対応とすることも可能となります。より一層の談合の防止、排除につながる効果が得られるものと見込まれております。

杉本委員 内訳書を比較してみたりする、こういうようなことの効果ということでございました。ありがとうございます。

 次に、大臣の御答弁でもありましたけれども、いわゆる職人さんという意味で、労務単価について質問したいんですけれども、先ほどの全体の数字ともリンクするかもしれませんが、ここ二年間の労務単価は増勢傾向にあるというふうに見てとれるかと思います。鉄筋工、型枠工、それぞれ二十五年度比でプラス七・八、プラス七・九とありますけれども、このいわゆる職人さんというか専門性を持った方々の労務単価について、今後上がっていくと、これはデフレ脱却ともリンクするかとも思うんですけれども、その見通し、あるいは政府が期待する傾向、この辺を教えていただければと思います。

高木副大臣 これまで十六年間下がり続けていたわけでありますけれども、昨年度、設計労務単価一五・一%引き上げ、そしてまた、さらに賃金の上昇傾向を踏まえまして、本年二月にも七・一%引き上げました。

 優秀な技能労働者がしっかりとこの業界に入ってきていただけるためには、しっかりと賃金を上げていくということ。そのためには、まず適切に公共工事の、今申し上げた労務単価を設定するということ、そしてそれがしっかりと賃金に反映するということ、この二点が重要だというふうに考えておりまして、公共工事予定価格を適切に積算するために、実勢を反映するということが必要だと考えております。

 このため、毎年十月に、公共工事に従事する技能労働者約十六万人について、賃金台帳等により賃金の支払い実態の調査を行いまして、労働市場の実勢価格をもとに適切な設計労務単価の設定を行うということが、先ほど申し上げたようにまず大事なこと。

 そして、次に業界の方たちがしっかりとその労務単価を賃金に反映していただくというようなことで、昨年四月には大臣から、そしてまた昨年の十月、さらにことし一月には、私、今、国交省におきまして建設産業活性化会議というのを主宰しておりますけれども、座長である私から建設業団体に対して、繰り返し、適正な水準の賃金を支払うように要請をしているところでございます。こうした取り組みの成果や最近の労働需給の逼迫により、建設業の技能労働者等の賃金は現在上昇傾向にあるというふうに考えております。

 今後についての予測でございますけれども、これは労働需給等の影響に左右されますので確たることは申し上げられませんけれども、現在の賃金の上昇傾向が、下請も含めた技能労働者にも確実に行き届くよう、引き続き、適切な賃金水準の確保の取り組みを進めていくというふうに考えているところでございます。

杉本委員 ちょっと関連で、デフレ脱却に向けて賃金水準確保という中で、最低制限価格が入札前に公表されるというようなことがあって、入札参加者の多くが受注を優先させるために最低制限価格で入札を一生懸命して、その結果、複数の入札参加者が横並びに出てきて、結局くじ引きで落札される。安値受注した余波が労働者の賃金にはね返って、そしてまた、翌年の公共工事設計労務単価にまた反映されるというような負のスパイラルというのが、具体的には石川県七尾市の事例なんかで見られておりますけれども、こういった最低制限価格の事前公表、これは会計法上、地方自治法上の改善が必要と考えますけれども、この問題点というか現状認識、改善策、この辺についてだけ、ちょっと最後、御答弁いただければと思います。

門山政府参考人 お答えいたします。

 最低制限価格制度を採用しております団体は、二十四年九月一日時点におきまして千四百十五団体ございますけれども、そのうち二百二十九団体が最低制限価格の全部あるいは一部を事前公表しているということで承知いたしております。

 この最低制限価格の公表に関しましては、適正化指針におきまして、建設業者の真の技術力、経営力による競争を損ねる弊害が生じることから、入札の前には公表しないこととされているわけでございますが、この適正化指針に定められた事項、まさに入札契約適正化法において一律に発注者に義務づけられております事項と異なりまして、各発注者の多様性に配慮しつつ、各発注者が措置を講ずるよう努力すべきものとして定められているというものでございます。

 事前公表を行っております地方団体に伺いますと、やはり発注者による情報漏えいという不正行為を根絶するために最低制限価格等の事前公表を行っているというふうにおっしゃっているわけでございまして、こうした側面がありますことから、直ちに否定ということはできないというふうに考えております。

 ただ、総務省といたしましても、情報の公開性を柱としております入札契約適正化法の体系の中で、適正化指針の内容が徹底されますように、引き続き、国土交通省と連携いたしまして、地方公共団体に対して丁寧に働きかけてまいりたいというふうに考えております。

杉本委員 時間となりました。終了いたします。ありがとうございました。

梶山委員長 次に、穀田恵二君。

穀田委員 きょうは、まず建築基準法について質問します。

 仮使用承認制度について聞きます。

 これまで特定行政庁しか審査承認できなかったけれども、今回、これを民間検査機関でもできるようにしようというものです。なぜ特定行政庁しかできないとしたのかということになるわけですけれども、仮使用の審査承認を民間確認検査機関ができるようにすることによって、事故など発生した場合の責任はどうなるのか。

 また、私は、この間ずっと姉歯事件以来やってきましたけれども、民間確認検査機関といえば、耐震偽装事件、それから今言った姉歯事件のときに、建築物の安全を守るべき建築確認を営利目的の民間会社に任せた規制緩和が背景にあったんじゃないかという問題がありました。安全が、一部悪質業者による圧力や買収によりゆがめられることがないのか、その担保はどうなっているのかについて、簡潔にお答えください。

坂井大臣政務官 仮使用を認めるこの制度につきましては、今までは特定行政庁のみが個別に裁量性のある判断を行ってまいりましたけれども、今回の改正は、指定確認検査機関が仮使用を認定することができることとするものでございます。

 このため、指定確認検査機関に裁量の余地を残さないように、客観的に判断ができて、かつ十分な安全性を確保し、発災を防止する認定基準というものを国土交通省においてまず定めてまいります。

 そして、指定確認検査機関に全て委ねるというわけではございませんで、特定行政庁が報告の中身を確認いたしまして、認定基準に適合しないと認めるときはその効力を失わせることができるということにしておりますし、また、指定確認検査機関が認定基準に適合しない建築物の仮使用を認定したというような、ある意味、やってはいけないことが出てきた場合は、当該機関を行政処分の対象といたします。

 こうした措置によりまして、今回の改正を原因とした安全性を損なうというような問題は起こらないのではないか、こう考えておりますけれども、今後とも、特定行政庁と連携をし、指定確認検査機関等に対して十分な周知を行うことによりまして、制度を適切に運用できるよう取り組んでまいりたいと思っております。

穀田委員 今ありました、起こらないのではないかということでは困るわけで、起こらないと言ってもらわないと困るわけで、もちろんそういうことについて言えば、私、何でこんなことを言っているかというと、民間確認検査機関については営利目的で競争を認めたままということと、それと、特定行政庁が建築確認検査の責任を持つ仕組みについて、やはり曖昧では困るわけですから、そこを言っているんだということを御理解願いたいと思います。

 次に、容積率制限の合理化について少し聞きます。

 この改正で、地下室の床面積を延べ床面積に算入しない特例を老人ホーム等についても適用するとしています。かつての改正で、マンション等にこの特例で、傾斜地に巨大地下室マンションが建設され、社会問題になりました。お年寄りの方々が住む老人ホームでは、こうしたことが起こらないという保証はあるのでしょうか。

坂井大臣政務官 地下室マンションの問題等々、以前ございまして、平成十六年に法改正を行って、地方公共団体の条例により対応してきたところでございます。

 今回も、この不算入の対象に追加される老人ホーム等について、住宅と同様の問題の発生が懸念をされます。なので、この条例により同様に制限できるよう措置していきたいと考えておりまして、地方公共団体が条例を準備する期間も考慮いたしまして、本特例の施行期日を法令の公布日から一年以内としております。

 国土交通省におきましては、地方公共団体において条例の制定や改正が適切に行えるよう周知徹底をし、連携をして取り組んでまいりたいと思っております。

穀田委員 これも、何でこんなことを言っているかというと、実は九四年六月の法改正時に、我が党の議員の質問で、地下に二階とか三階とか、敷地で広大な地下面積をつくる、こういうことになるんじゃないか、この質問に対して、居室を地下につくってはいけないという規定がございますので、それで実際上はそういうものはつくってこないだろう、利用されないだろうというふうに思っている、こう答弁しているんですよね。ところが、今ありましたように、社会問題にまでなった経過があるので確認をしたと。やはり今までの経過がありますから、こういう点を確認しておきたいと思ったわけであります。

 次に、建設業法改正案について質問します。

 まず、入札不調、不落急増の要因をどう認識しているかということであります。

 各地で入札不調、不落が増加し、生活に身近な事業が影響を受けている事態も生まれています。四月に共同通信がアンケート調査した内容を見ますと、都道府県が平成二十五年四月から十二月に実施した公共工事の入札のうち、受注業者の決まらない入札不調などが占める割合は平均七・八%で、例年の二から三%に比べ急増している。宮城が最大の二五・七%、仙台は大臣がどこかで答弁していますけれども四八%、沖縄で二二・三、岩手で二一・八が続いて、住宅の高台移転など震災復興が本格化した影響が大きい、沖縄は以前から離島の工事で不調が目立つ、こういうふうに書いています。

 生活に身近な工事の例では、尼崎公害訴訟の環境対策工事、尼崎市の国道四十三号沿いに住む公害患者らのための歩道橋のエレベーター設置工事が、昨年八月に公告したけれども入札が不調となっていた例もあります。

 被災地を初め、全国的な入札不調、不落の原因が何なのか、背景は何なのか、そういう点の認識をお伺いします。

土井大臣政務官 先生御指摘いただきましたように、入札の不調の現状、原因というものは、被災地と全国で状況が異なると認識をいたしております。

 まず、被災地の入札不調につきましては、発注工事の増加に伴い、条件の悪い工事を中心に発生しておりますけれども、平成二十五年度は、二十四年度に比較すると、おおむね減少傾向であります。一方、不調となった工事につきましても、再発注時にロットの大型化など工夫を行うことにより、ほぼ契約に至っている状況であり、工事は着実に進んでいると考えております。

 全国的には、現在、入札不調が起こっているのは、土木工事よりもむしろ建築工事が中心でございまして、特に公共団体が発注する大型建築工事におきましては、繰り返し入札不調となるものが多く見られております。この一番の原因は、やはり、予定価格が実態の価格に合っていないことが原因になっているというふうに考えております。

穀田委員 今の土井政務官によると、入札不調の原因として、予定価格が実態価格、実勢価格に合っていないということなんですね、お話がありましたけれども。

 国交省は、大体、労務単価の引き上げだとか自治体による歩切りの根絶など、予定価格の引き上げなどを行って一定の効果が上がっている、こう見ているわけですね。私は、資材だとか人件費だとかというのが上がって、それに見合って予定価格を引き上げるのは当然のことだと思うんですね。ただ、不調、不落の原因、背景について、発注価格、予定価格の設定だけが問題ではないと私は考えます。

 私の住む京都の、地元の建設現場の話を聞きますと、公共工事を中心に仕事がふえているのは確かだ、しかし、これまでコスト削減を強いられ、ぎりぎりまで人員を整理してきた、突然に発注がふえても人を確保するのが困難で、発注されても受注できない。十人、二十人で仕事をやってきたところに三十人が必要な仕事があっても、人員を確保ができないから対応できないなど、入札参加するにも受けられないという声もありました。

 やはり、不調、不落の原因として、地域業者自身が疲弊していること、それから、技能労働者の不足があることをきちんと見ておくべきではないかと私は思うんですね。したがって、入札不調を抜本的に改善するには、工事を請け負う業者の経営基盤の改善と技能労働者の確保、育成が不可欠であります。

 そこで聞きたい。今回の建設業法等の改正案及び議員立法として予定されている品確法によって、この不調、不落問題についてどのような効果が発揮できると考えているのか、お答えいただきたい。

高木副大臣 御指摘のとおり、業界全体が疲弊している、これまで公共工事をどんどん減らしてきたという中で厳しい状況にあると思いますが、そうした中で、不調、不落の今の御質問でございます。

 先ほど土井政務官も、入札不調の原因というのは予定価格が実態の価格に合っていないことと認識しているという答弁をしましたけれども、おっしゃるとおり、人材の確保に非常に苦労しているという声も聞きます。

 それで、しっかりと総合的にいろいろな対策をしていかなきゃならぬというような思いでございまして、一つ挙げますと、まさに国と地方が統合した形で発注見通しを公表していく。そうすると、事業者も、次はどんな工事が国から出る、地方から出るというのがわかりやすくなって、しっかり対応しやすくなるのではないか。あるいはまた、技術者等の不足状況に応じて発注ロットを大型化するという点、それから主任技術者の兼任要件の緩和、そういったようなところもやっているところでございます。

 また、現場の技能労働者の高齢化や、若年入職者の減少といった構造的な問題が生じておりますので、このたびの建設業法の改正案には、中長期的な視野から、こうした状況に歯どめをかけることを目的としておりまして、まず、技能労働者に適切な賃金が支払われるよう、先ほどから議論されておりますけれども、ダンピング対策の強化を図るということにいたしました。ダンピング防止を公共工事の入札契約において基本とすべき事項に追加する、これにより、地方自治体も含めた発注者に対し、ダンピング対策の強化を要請することが可能になります。

 さらに、入札の際に、入札金額の内訳を提出することにします。これによって、見積もり能力のない業者を排除するということが可能になります。

 また、事業者団体等が、技術者、技能者の育成についてすぐれた取り組みを行っているという場合には、国が積極的な支援を行うということにしております。

 中長期的な担い手の確保に向けて、現在、議員立法として品確法改正案が提出されておりますけれども、一体となって改正法の的確な運用を図ることによりまして、担い手の確保のための取り組みを一層強化していきたいというふうに考えているところでございます。

穀田委員 それはそのとおり。私、言っていることが全部悪いと言っているんじゃないんですね。ただ、そう簡単にいくかという話をしているんですよね。

 賃金の問題は後で言いますけれども、私は、この間の問題点を洗い出して、今副大臣からありましたように、見通しの公表というようなことを言っていましたけれども、確かに、先の見える形で業者対策、技能労働者の育成、若年労働者対策の充実が必要だと思うんですね。

 先ほど私は京都と言いましたけれども、京都府内でもこの間、建設業者が倒産、廃業に追い込まれて、業者数は、ピーク時の、九九年度だと思うんですけれども、約七割で、京都でいいますと一万一千六百六十五社に落ち込んでいます。京都府建設業協会会長の岡野益巳さんも、地域の建設業は、地域の経済、雇用を支え、インフラ整備や住民生活の安心、安全を守る上でなくてはならぬ産業、地元の業界の維持、育成のために、後継者、若者のためにも行政が手を打つべきだということで、府議会で参考人としてこの実態を発言しているほどなんですね。そういうことを踏まえて、私どもとしては今、育成その他についてきちんと方向性を持ってやるべきだということを言っているわけですね。

 そこで次に、政府は、大型開発事業はこの間、国際競争力の強化ということで熱心にやっているわけですけれども、そこの点について少し聞きたいと思うんですね。

 消費税増税がありましたから、それの景気の腰折れを防止するために、政府は、二月に成立した補正予算の公共事業費は九月までに九〇%執行を指示するなど、公共事業予算の消化を先にありきとばかりに進めています。しかし、入札不調が続いている状況下で、一定の地域内で大規模工事が発注されると、業者や技能労働者が集中し、小規模工事での不調割合が高まるおそれがあります。

 だから、当面、業者と技能労働者の絶対的不足を考慮して、東日本大震災被災地の復旧復興事業や全国の防災事業、老朽化対策など、住民生活に直結する身近なインフラの整備、住民生活に欠かせない事業を最優先して実施するようにすべきじゃないかと思うんですが、その辺、いかがですか。

土井大臣政務官 今御指摘いただきましたように、住民生活に密着している小規模な公共工事を優先してやるべきだという御指摘をいただきました。

 新設工事や大規模工事に比べますと、手間がかかることや効率性が悪いケースがあるなどにより、業者が受注を敬遠するという指摘もございます。このため、主任技術者が兼任できる範囲の拡大を図るなど、橋梁補修などの維持修繕工事についても四月より新たな歩掛かりを設けるなど、施工実態を反映した積算基準の見直しを行ったところでもございます。

 とにかく、地元で頑張っていただいている建設産業の皆さん方が、地域の守り手ということで事業に積極的に取り組んでいただくこと、このことが一番大切だと思っておりますので、入札時には地域要件の設定など、地元建設企業の受注機会の確保などを図ることにいたしておりますし、複数年契約の導入や共同受注などを通じて、地元に精通した企業が地域のインフラ維持管理等の業務を計画的、安定的に受注できるよう配慮をしながら進めております。今後とも、バランスのとれた公共工事の推進を図ってまいりたいと思っております。

穀田委員 土井さん、仕掛けはわかるんですよ。だけれども、そのことが実態として下でそうなっているのかという話をやはり見ないと、かけ声はいつもそれで割と調子ええねんけど、どうしても現実はそうなっていないということで、地方紙などは、それぞれの保育所だとか小学校の跡地利用だとか病院の問題だとかというのが、ずっと後回しになっているということを全部言っているわけですよね。それは、大型事業にどんととられると、実際にはそういうものがいないという現実があるわけでして、だから、優先的なそういうやり方というのをきちんとしないとだめなんじゃないか。

 だから、そういう意味でいうと、国際競争力強化、国土強靱化という名のもとに、大型工事を事実上優先するというやり方自体を直さないと、先ほどの話が、何というんですかね、実際にやられないという結果になりますぜという話をしているんですよね。そこはよく御理解いただきたいと思います。

 そこで、労働者の賃上げの問題であります。技能労働者の育成、若者就労増へ賃上げは不可欠で、労務単価の引き上げなどが反映しているかどうかという問題について聞きます。

 公共工事設計労務単価の引き上げが現場の労働者の賃上げにどう反映しているか、その進捗状況について聞きたいと思います。

 労務単価は、二年間で二三%引き上げられました。現場の労働者の賃金はどれだけ上がったか、把握していますか。

毛利政府参考人 建設業の担い手を将来にわたって確保していく上では、賃金を含めて処遇の改善を図っていくということが重要でございます。

 御指摘ありましたように、昨年四月には、十六年ぶりに設計労務単価を一五・一%と大幅に引き上げましたが、その後、十月時点の調査結果におきまして、さらなる賃金の上昇傾向が認められましたので、これを反映するために、本年二月、全国平均で七・一%の再引き上げを行いました。

 さらに、この設計労務単価の引き上げが実際の賃金の引き上げにつながるように、建設業団体に対しまして、大臣、副大臣から直接、繰り返し、適正な水準の賃金を支払うように要請をいたしております。

 これを受けまして、各建設業団体におきましても、適切な賃金確保について決議を行うなどの取り組みを進めていただいておるところでございまして、昨年六月末時点で、賃金支払い実態について国交省が行いました調査によりますと、賃金を引き上げると回答した企業はまだ三七%でございましたが、本年二月に再度調査いたしましたところ、これが五一%と拡大をしておりましたし、この五一%の数字は、元請から二次下請まで見ても、ほぼ同様の傾向にありました。

 また、技能労働者に限りませんけれども、毎月勤労統計調査による、いわゆる職別工事業の賃金水準で見ましても、建設業の場合、全産業を上回った上昇率というのが確認されております。

 私どもとしましては、引き続き、下請取引実態調査等の結果を受けまして、適切な賃金支払いの要請をしてまいりますし、また、例年十月の公共事業労務費調査に加えまして、サンプル数を絞って、ボーナスも把握する形で七月に調査をするなどを通じまして、賃金上昇の動きが下請を含めた技能労働者に確実に行き渡るように努めてまいりたいと考えます。

穀田委員 努めてまいりたいと。

 何ぼ上がったかという話を聞いているわけで、要するに、まだわからぬということですわな。上げると言っている。上げると言っていることと、上がった、何ぼ上がったかという話は別やねんね。だから、それを聞いているわけですやん。

 それで、私、全京都建築労働組合、略称は京建労ですが、その方々から、現場の労働者の話を聞きました。

 まず、京都市発注工事現場に行って、そこで、なぜそういうことを言っているかというと、毛利さんも京都にいはったから。京都の現場ではどうか、設計労務単価は知っているかと十五人にアンケート調査をやって、現場へ入っていると、知っている人は四人。労務単価が上がったことは知っているか、二人。こういうふうに、現場の労働者のところでいうと、やはりそういう認識が確実に、着実に浸透していないという現実があります。

 さらに、京建労は全建総連傘下ですから、重層下請構造のもとで頂点に立つ元請企業が現場の実態を知り、要求に耳を傾けることが必要だということで、企業側、組合側の共通認識のもとに、一九八三年から企業交渉を行っているんですね。この四月に行った交渉の中で、法定福利費は従来から込み、それから別枠記載のつもりはないという認識の会社があるわ、それから、協力会社二百社のうち標準見積書を活用しているのは八社という回答が見られているんですね。だから、賃金の現状、そういう事実認識、今言っている下請構造のもとでの実態、こういったことからしますと、まだまだ現場の労働者まで賃上げは反映していないということが見てとれます。

 中にはこういうのもありまして、受注額が引き上げられているわけですけれども、元請業者の中には、これまでの受注で出た赤字を取り戻すということで賃金の引き上げに反映させないところもあるし、やはりそういう意味で、先ほどありましたが、私は、現場の賃金がどうなっているかということを含めて、労働者の賃金を直接引き上げるために公契約法などの制度が必要だということが改めて浮き彫りになったと思うんですが、いかがですか。

太田国務大臣 最後に公契約法のお話がありましたが、前半のお話は、とにかく労務単価の引き上げが最前線のところまでいかなくちゃいけない、そして社会保険も入ってもらわなくちゃならないということについては、さらに我々としては努力して、徹底してまいりたいというふうに思っています。

 公契約については、建設業は技能労働者の処遇改善や若手入職者の増加を図るためにも技能労働者の適切な賃金水準を確保する必要がありますが、賃金等の労働条件は、労働基準法等の関係法令に反しない限りにおいて労使が自主的に決定するとされています。

 公契約法によって賃金等の基準を新たに設けることについては、既に条例を運用している九つの地方自治体の状況等を注視する必要がありますが、今後も幅広い観点からの慎重な検討が必要ではないかというふうに考えております。

穀田委員 これもいつも私は言うんですけれども、大体平行線でいるので、それはそれとして承っておきますけれども、やはり、行政が交渉や話し合いの場を確保するイニシアチブを発揮することが大事じゃないか。労使間と言うんだけれども、現実は一人親方で相手にもされない状況が広く存在しているのがこの業界ですよね。だから、私は、技能労働者の組織する労働組合が対等に交渉できるように、行政、政治が役割を果たすべきじゃないかということを一貫して主張しているということを記録しておいていただきたいと思います。

 あと、品確法について聞きます。

 この法改正に、労働者の賃金その他の労働条件、安全衛生その他の労働環境の改善を加えた意義について聞きます。

 公共工事品確法の改正案では、このことが新たに規定されましたけれども、私は、品確法制定時に、この規定をきちんと明記すべきだと当時申し入れたんですね。残念ながら、かなわなかったわけですけれども、今回規定されたことについて、大臣はどういう感想を持っておられますか。

太田国務大臣 建設業の置かれている状況を考えますと、技能労働者の処遇改善というのは非常に大事なことだというふうに思います。

 このたびの品確法改正案におきまして、公共工事の品質を現在及び将来にわたって確保する上で、賃金その他の労働条件、安全衛生その他の労働環境が改善されるよう配慮されなければならないという旨が盛り込まれたということは重要な意味があるというふうに考えています。

 建設投資の急激な減少やダンピングの横行など競争の激化によりまして、建設企業の疲弊や下請へのしわ寄せ、現場の技能労働者の就労環境の悪化により離職者の増大などを招きました。こうしたことが起こらないように、今般の建設業法等の改正法案とあわせまして、引き続き技能労働者の労働環境の改善に向けて強力に取り組んでいきたいと思います。

穀田委員 ちゃんと取り組んでいただきたいと思うんですね。

 私は当時、公共工事の品質を確保するに当たっては、建設産業の特徴である元請と下請という重層的な関係を考慮し、直接公共工事を施工する事業者の対価及び作業に従事する労働者の賃金、労働時間等の労働条件を適正に確保すること、こういうことが必要じゃないかということを当時提案しました。

 実は、もう一点、そのとき私は提起しているんですね。それは、労働条件、労働環境の改善の責務は発注者も同様と違うのかということを私は提起したんですね。せっかく公共工事品確法の理念と事業者の責務に加えられたけれども、発注者の責務には規定されていないように見える。発注者こそ労働者の労働条件や労働環境の実態を把握して改善させるべきだと思うけれども、国交省としてどのようにこの点は具体化するおつもりか、聞きたいと思います。

太田国務大臣 よい品質のものをつくるためには、一部の発注者の、安ければいい、この数年そうした傾向があって、逆に、受ける方も仕事がないものですから赤字覚悟でとっていくというようなことの、悪い方向へのスパイラルが働いたということがあったと思います。このため、発注者において、市場における取引価格等を的確に反映した予定価格を適正に定めることが重要であります。

 また、ダンピング受注が行われると、下請企業、現場の技能労働者へのしわ寄せによりまして、技能労働者等の就労環境が悪化するという可能性がございます。今回、低入札価格調査基準の設定等のダンピング対策の強化を、この法改正ということの上で図ってまいりたいというふうに思っています。

 これらの発注関係事務が適切に運用されるように、今後、国としてしっかりと取り組んでいきたいと考えております。

穀田委員 法案では、発注者の責務の中に、基本理念にのっとりという項目が書いてはあるんですね。だけれども、少なくとも〇五年の当時、私は、こういうものを書くべきじゃないかと言ったわけですよね。やはり今回も、発注者の責務というところにはっきり書く必要がある、労働条件、労働環境の改善の責務があるんだ、そういう具体的な項目を書かなきゃならぬ、そういうことが必ず必要だという時期が私はまた再び来ると思います。そのことを述べて、終わります。

梶山委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

梶山委員長 これより両案について討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 まず、内閣提出、参議院送付、建設業法等の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

梶山委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

梶山委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、望月義夫君外四名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、日本維新の会、公明党及びみんなの党の五会派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を求めます。泉健太君。

泉委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 趣旨の説明は、案文を朗読してかえさせていただきたいと存じます。

    建設業法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用について遺漏なきを期すべきである。

 一 建設工事の適正な施工とその中長期的な担い手確保を図るため、低入札価格調査制度などの導入が進んでいない市町村において導入を促進することなどのダンピング受注対策の更なる強化を図ること。

 二 公共工事設計労務単価の引上げが一次下請以下の全ての建設労働者の賃金上昇につながるよう、賃金の支払い状況の把握を含め所要の対策を講ずるとともに、最近の技能労働者の不足等の市場実態を反映した公共工事設計労務単価の適宜適切な見直しを行うこと。

 三 建設業許可に係る業種区分の見直しによって新設される解体工事業の許可に当たっては、混乱のないように円滑な施行に努めるとともに、解体工事に伴う重大事故が絶えないことに鑑み、公衆災害の防止に万全を期すこと。

 四 公共工事における施工体制台帳の作成及び提出の義務付けに当たっては、一次下請以下の施工体制の的確な把握により、手抜き工事や不当な中間搾取などの防止、安全な労働環境の確保などの適切な施工体制の確立を図ること。

 五 建設労働者の社会保険の加入が早急かつ確実に実現されるよう、適正な額の請負代金での下請契約の締結を含め指導監督を強化するとともに、所要の対策を講ずること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

梶山委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

梶山委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、国土交通大臣から発言を求められておりますので、これを許します。国土交通大臣太田昭宏君。

太田国務大臣 建設業法等の一部を改正する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま全会一致をもって可決されましたことに深く感謝申し上げます。

 今後、審議中における委員各位の御高見や、ただいまの附帯決議において提起されました事項の趣旨を十分に尊重してまいる所存でございます。

 ここに、委員長を初め理事の皆様、また委員の皆様の御指導、御協力に対し、深く感謝の意を表します。

 まことにありがとうございました。(拍手)

    ―――――――――――――

梶山委員長 次に、内閣提出、参議院送付、建築基準法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

梶山委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

梶山委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、望月義夫君外四名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、日本維新の会、公明党及びみんなの党の五会派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を求めます。泉健太君。

泉委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 趣旨の説明は、案文を朗読してかえさせていただきたいと存じます。

    建築基準法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用について遺漏なきを期すべきである。

 一 木造建築関連基準の見直しにより、国産木材の利用促進や十分な安全性が確保された大規模な木造建築物の一層の普及が図られるよう、地方公共団体や関係団体等と連携し、改正内容等の周知に万全を期すこと。また、伝統的工法による木造建築物についても一般的に建築が可能となるよう、基準の策定等に向けた検討を行うこと。

 二 構造計算適合性判定の申請が建築主による直接申請になることに伴い、その必要性等の判断や申請手続等に支障が生じることのないよう、建築主等に向けた十分な情報提供や相談体制の整備について地方公共団体に対し助言を行うこと。

 三 本法による定期調査・検査報告制度の見直しに合わせ、調査・検査結果の報告率の一層の向上が図られるよう、地方公共団体等と連携し、適切な施策を講じること。

 四 高齢者等の入居する施設等において火災に対する十分な安全性の確保が図られるよう、本法により強化される防火設備等に対する定期検査の確実な実施及び報告結果を踏まえた適切な是正指導等の実施について地方公共団体に対し助言を行うこと。

 五 建築物やエレベーター等の建築設備に関する事故等の発生に際しては、本法により創設される調査権限を十分活用し、地方公共団体や関係団体等と連携して、迅速な原因解明や対策の実施に努めること。また、国における建築物等の事故等に対する調査体制の充実に努めること。

 六 建築物における省エネルギー化を抜本的に進める観点からの基準の見直し、人の健康に悪影響を与えるおそれのある建築材料の使用抑制など、基準の在り方について幅広い観点から検討を行うこと。また、既存建築物の長寿命化のための新たな設備の付加や減築に関わる技術指針を示し、基準の在り方について検討すること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。

梶山委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

梶山委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、国土交通大臣から発言を求められておりますので、これを許します。国土交通大臣太田昭宏君。

太田国務大臣 建築基準法の一部を改正する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま全会一致をもって可決されましたことに深く感謝申し上げます。

 今後、審議中における委員各位の御高見や、ただいまの附帯決議において提起されました事項の趣旨を十分に尊重してまいる所存でございます。

 ここに、委員長を初め理事の皆様、また委員の皆様の御指導、御協力に対し、深く感謝の意を表します。

 まことにありがとうございました。(拍手)

    ―――――――――――――

梶山委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

梶山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

梶山委員長 次に、参議院提出、公共工事の品質確保の促進に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。参議院国土交通委員長藤本祐司君。

    ―――――――――――――

 公共工事の品質確保の促進に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

藤本参議院議員 ただいま議題となりました公共工事の品質確保の促進に関する法律の一部を改正する法律案について、その趣旨及び内容の概要を御説明申し上げます。

 建設産業においては、近年の建設投資の急激な減少や受注競争の激化により、いわゆるダンピング受注などが生じています。そのため、地域の建設企業の疲弊、下請企業へのしわ寄せ、現場の技能労働者等の賃金の低下を初めとする就労環境の悪化に伴う若手入職者の減少、さらには、建設生産を支える技術、技能が承継されないという深刻な問題が発生しています。このような状況のもと、今後、公共工事の品質確保の担い手や将来にわたる公共工事の品質の確保に大きな懸念が生じています。既に地域においては、災害対応を含む地域の維持管理を担う建設業者が不足し、地域の安全、安心の維持に支障が生じていることが指摘されています。

 また、公共工事の発注者側においても、発注関係事務に携わる職員が年々減少し、一部の発注者においては、発注関係事務を適切に実施できていないのではないかとの懸念も生じています。

 さらに、現在の入札契約方式が、時代のニーズや政策目的に対応し切れていないこと、民間の技術やノウハウを必ずしも最大限活用できていないこと、受注競争の激化による地域の建設産業の疲弊や担い手不足等の構造的な問題に十分な対応ができていないことなどの課題が指摘されています。

 本法律案は、東日本大震災からの一日も早い復興、防災・減災、インフラの適切な維持管理などの重要性が増す中、これらの課題に対応するため、所要の改正を行おうとするもので、その主な内容は次のとおりであります。

 第一に、目的規定において、公共工事の品質確保の担い手の中長期的な育成及び確保の促進について明記するとともに、将来の公共工事の品質確保の促進を図ることを明記することとしています。

 第二に、基本理念において、施工技術の維持向上及びそれを有する者の中長期的な育成及び確保、完成後の適切な維持管理、地域の担い手の育成及び確保への配慮、ダンピング受注の防止、適正な額での契約の締結と公共工事に従事する者の労働環境の改善への配慮、点検、診断を含む調査設計の品質確保などについて明記することとしています。

 第三に、発注者の責務として、担い手の中長期的な育成及び確保に配慮しつつ、予定価格の適正な設定、不調、不落による再度入札等の場合の速やかな契約の締結、ダンピング受注の防止措置、計画的な発注及び適切な工期の設定を行うことなどについて定めることとしています。

 第四に、受注者の責務として、現在及び将来の公共工事の適正な実施のために必要な技術的能力の向上、技能労働者等の育成及び確保と労働環境の改善、適正な額での下請契約の締結に努めることを定めることとしています。

 第五に、発注者は、競争参加者の中長期的な技術的能力の確保に関する審査等に努めるとともに、段階的選抜方式、技術提案の審査及び価格等の交渉による方式、複数年契約や共同受注など地域における社会資本の維持管理に資する方式など、多様な入札契約方法の中から適切な方法を選択することができることとしています。

 第六に、国と地方公共団体は連携協力することとし、国は、発注者を支援するため、地方公共団体や民間事業者等の意見を聞いて、発注関係事務の運用に関する指針を定めるものとするとともに、地方公共団体が講ずる施策に関し、必要な援助を行うよう努めなければならないこととしています。

 第七に、調査及び設計の発注者は、公共工事に準じ、その品質の確保に努めなければならないこととするとともに、国は、調査及び設計に関し、これらに係る資格等の評価のあり方などを検討し、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすることとしています。

 以上が、本法律案の趣旨及び内容の概要であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。

梶山委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

梶山委員長 本案につきましては、質疑、討論ともに申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 参議院提出、公共工事の品質確保の促進に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

梶山委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

梶山委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、望月義夫君外四名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、日本維新の会、公明党及びみんなの党の五会派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を求めます。寺島義幸君。

寺島委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 趣旨の説明は、案文を朗読してかえさせていただきたいと存じます。

    公共工事の品質確保の促進に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用について遺漏なきを期すべきである。

 一 発注者の予定価格の設定に当たっては、経済社会情勢の変化の反映、公共工事に従事する者の労働環境の改善、公共工事の品質確保の担い手が中長期的に育成され及び確保されるための適正な利潤の確保という目的を超えた不当な引上げが行われないよう、関係機関にその趣旨を徹底すること。

 二 公共工事の入札不調等の発生の増加に鑑み、予定価格と実勢価格の乖離の対策として、本法に基づく見積徴収方式が発注者において活用されるよう促進するとともに、見積価格の妥当性を適切に確認し、適正な予定価格の設定を図ること。

 三 多様な入札及び契約の方法の導入に当たっては、談合などの弊害が生ずることのないよう、その防止について十分配慮するとともに、入札契約における透明性、公正性、必要かつ十分な競争性を確保するなど必要な措置を講ずること。

 四 段階的選抜方式の実施に当たっては、恣意的な選抜が行われることのないよう、案件ごとに事前明示された基準にのっとり、透明性をもって選抜を行うこと等その運用について十分な配慮を行うこと。

 五 発注者を含む関係者が連携し、公共工事の受注者が、適正な額の請負代金での下請契約の締結、公共工事の適正な実施のために必要な技術的能力の向上、技術者、技能労働者等の育成及び確保、これらの者に係る賃金その他の労働条件、安全衛生その他の労働環境の改善に努めるよう適切な措置が講じられること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

梶山委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

梶山委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、国土交通大臣から発言を求められておりますので、これを許します。国土交通大臣太田昭宏君。

太田国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その趣旨を十分に尊重し、努力してまいる所存でございます。

    ―――――――――――――

梶山委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

梶山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

梶山委員長 次回は、来る三十日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時三十分散会


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