衆議院

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第21号 平成26年6月11日(水曜日)

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平成二十六年六月十一日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 梶山 弘志君

   理事 赤澤 亮正君 理事 秋元  司君

   理事 大塚 高司君 理事 西村 明宏君

   理事 望月 義夫君 理事 若井 康彦君

   理事 井上 英孝君 理事 伊藤  渉君

      赤枝 恒雄君    秋本 真利君

      井林 辰憲君    泉原 保二君

      岩田 和親君    大西 英男君

      門  博文君    國場幸之助君

      佐田玄一郎君    斎藤 洋明君

      坂井  学君    桜井  宏君

      白須賀貴樹君    助田 重義君

      谷川 弥一君    土井  亨君

      中村 裕之君    長坂 康正君

      林  幹雄君    原田 憲治君

      ふくだ峰之君    前田 一男君

      宮澤 博行君    務台 俊介君

      湯川 一行君    泉  健太君

      川端 達夫君    岸本 周平君

      後藤 祐一君    寺島 義幸君

      岩永 裕貴君    河野 正美君

      坂元 大輔君    清水鴻一郎君

      鈴木 義弘君    西岡  新君

      松田  学君    村岡 敏英君

      山之内 毅君    伊佐 進一君

      佐藤 英道君    杉本かずみ君

      穀田 恵二君

    …………………………………

   国土交通大臣       太田 昭宏君

   国土交通大臣政務官    土井  亨君

   国土交通大臣政務官    坂井  学君

   政府参考人

   (警察庁交通局長)    倉田  潤君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 平嶋 彰英君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           有岡  宏君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房長) 武藤  浩君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長)            西脇 隆俊君

   政府参考人

   (国土交通省都市局長)  石井喜三郎君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局長)        森北 佳昭君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  徳山日出男君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  井上 俊之君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  滝口 敬二君

   政府参考人

   (国土交通省自動車局長) 田端  浩君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  田村明比古君

   政府参考人

   (国土交通省北海道局長) 関  博之君

   国土交通委員会専門員   宮部  光君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月十一日

 辞任         補欠選任

  桜井  宏君     湯川 一行君

  谷川 弥一君     赤枝 恒雄君

  後藤 祐一君     岸本 周平君

  岩永 裕貴君     山之内 毅君

  松田  学君     鈴木 義弘君

  村岡 敏英君     河野 正美君

  北側 一雄君     伊佐 進一君

同日

 辞任         補欠選任

  赤枝 恒雄君     谷川 弥一君

  湯川 一行君     助田 重義君

  岸本 周平君     後藤 祐一君

  河野 正美君     村岡 敏英君

  鈴木 義弘君     清水鴻一郎君

  山之内 毅君     岩永 裕貴君

  伊佐 進一君     北側 一雄君

同日

 辞任         補欠選任

  助田 重義君     桜井  宏君

  清水鴻一郎君     松田  学君

    ―――――――――――――

六月五日

 気象事業の整備拡充に関する請願(穀田恵二君紹介)(第一二八三号)

 同(小宮山泰子君紹介)(第一三二五号)

 同(望月義夫君紹介)(第一三二六号)

同月十一日

 気象事業の整備拡充に関する請願(中川正春君紹介)(第一四二〇号)

 同(務台俊介君紹介)(第一四二一号)

 同(吉川赳君紹介)(第一四二二号)

 同(濱村進君紹介)(第一四九八号)

 同(大見正君紹介)(第一六二四号)

 同(中村裕之君紹介)(第一六二五号)

 民間賃貸住宅居住者への家賃補助創設を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一四六二号)

 同(笠井亮君紹介)(第一四六三号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一四六四号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第一四六五号)

 同(志位和夫君紹介)(第一四六六号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一四六七号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一四六八号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一四六九号)

 海洋の環境と国民生活を守る事業の体制拡充に関する請願(桜井宏君紹介)(第一六二三号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国土交通行政の基本施策に関する件

 建築士法の一部を改正する法律案起草の件


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     ――――◇―――――

梶山委員長 これより会議を開きます。

 国土交通行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として国土交通省大臣官房長武藤浩君、総合政策局長西脇隆俊君、都市局長石井喜三郎君、水管理・国土保全局長森北佳昭君、道路局長徳山日出男君、住宅局長井上俊之君、鉄道局長滝口敬二君、自動車局長田端浩君、航空局長田村明比古君、北海道局長関博之君、警察庁交通局長倉田潤君、総務省大臣官房審議官平嶋彰英君及び厚生労働省大臣官房審議官有岡宏君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

梶山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

梶山委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。寺島義幸君。

寺島委員 おはようございます。民主党の寺島義幸でございます。

 まず初めに、きょうは後刻、建築士法の一部を改正する法律案が出るわけであります。そこで、一点だけちょっと確認というか、承っておきたいというふうに思うわけであります。

 二十二条の三の三でございまして、延べ面積が三百平米を超える建築物の新築に係る設計受託契約等について、書面にて契約締結が義務化されるわけであります。三百平方メートルを超える建築物というふうに決められているわけであります。

 これは、もしこの改正案が通った場合、運用等は国土交通省でされるというふうに思うわけでありますが、例えば三百平米に至らないようなケースも多々あるのではないかというふうに思うわけであります。戸建ての住宅が約六割というふうに聞いておりまして、五百平米以下の建築物は八〇%で、小規模が多い。しかし、規模がでかくなってくれば、金額的には当然のことながら大きくなるのでありましょう。三百平米を超えるということになると、一億円前後ということになるのでありましょう。

 そうした中、三百平米というふうに決められたわけですけれども、それでは、それに当てはまらない、数は多いと思うんですが、三百平米以下についてはどのような扱いというか指導になるのか、ちょっと確認をしておきたいというふうに思います。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のように、三百平米というのは、例えば省エネ法の省エネルギー計画の届け出も三百平米で切られておりまして、以下のものは届け出が要らないというふうな扱いになっています。これは、個人の住宅が多いということ、それから大工、工務店さんの仕事のやり方ということもある程度配慮した形だと思います。

 今回のものでございますけれども、書面で契約するというのは、トラブル防止あるいは適正な設計監理業務を行う上で必要なことだと思っております。

 そういう意味では、規模が小さくても、御指摘のように、できるだけ書面でやっていただくことが必要だと思いますので、業界団体を通じまして、標準契約書のようなものをつくるということと、三百平米以下に関してもできるだけそれを使っていただくように、業界団体等を通じましてお願い、指導をしてまいりたいというふうに思っております。

寺島委員 わかったらでいいんですけれども、三百平方メートルを超える建築物というのはどの程度と想定されているのか、どの程度の範囲が入るのか。わからなかったらわからないでいいんですけれども。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 ちょっと手元に数字がないのであれでございますが、延べ面積でいえば、三百平米を超えるものは、半数までいくかどうかわかりませんが、相当な割合になると思いますけれども、件数、棟数でいきますと、恐らく一割あるかないかというところだと思います。

寺島委員 身近な経験例があって、近くの工務店の社長さんが病気で急に亡くなっちゃったんですね。そうしましたら、契約とかが書面でないものですから後処理が大変だったということを身近でも経験いたしております。

 そういうことを考えると、金額はそんなに大きくないのかもしれないんですけれども、お聞きをすれば年間二千五百件ぐらいのトラブルもあるというふうに聞いておるわけですので、法律の範囲に当たらないのかもしれないんですけれども、やはりそうしたことは避けるべく、指導のほどよろしくお願いいたしたいと思います。もちろん、私も賛成の立場でございます。よろしくお願いします。

 次に、県管理河川の直轄編入について伺います。

 一度、昨年の五月に質問をさせていただきました。そのときの大臣の御答弁は、国が管理している中でいわゆる中抜けというところがありまして、河川でありますけれども、それを直轄にした方が効率がいいし、うまくいくのではないかという質問に対して、大臣は、「一級河川は国が責任を持ってやるという、その意思というものは明確にしておかなくちゃいけないというふうに思っています。」云々。「地元の方と個別によく相談をしながら、これらについて、防災とか安全という観点に立って、ケース・バイ・ケースだと思いますけれども、どういうふうに管理をしていくのかということについては検討」させていただきますという御答弁を賜ったわけでございます。

 そこで、さらにお伺いをしたいわけですけれども、そのときも中抜けと言われるようなところは何水系かあるというふうにも承ったわけでありますが、現在都道府県が管理している一級河川のうち、地方公共団体から直轄編入してほしいんだというような要望のある水系というのはどの辺なんでしょうか。

森北政府参考人 お答え申し上げます。

 都道府県が管理している一級河川につきまして、その一部区間を直轄編入する要望のある水系は、現在把握しているところでは、馬淵川、利根川、信濃川、天竜川、淀川、新宮川、旭川、斐伊川、大淀川の九つの水系でございます。

寺島委員 ありがとうございます。

 九つの水系の、要するに都道府県の管理している方から直轄編入の要望があったということであります。

 それで、今日までその要望に対してどのような検討がなされてきたのか、お聞かせいただけますか。

森北政府参考人 河川の直轄編入に関しましては、昨年十二月閣議決定されました事務権限の移管等に関する見直し方針におきまして、「東日本大震災等の大規模災害の発生、社会資本の老朽化問題の顕在化等の社会資本を巡る状況変化等を踏まえ、直轄事業の対象について、地方管理道路・河川の直轄編入を含め、必要な見直しを行う。」とされたところでございます。

 現在、この閣議決定を踏まえ、国から地方への移譲の対象となる河川について、地方公共団体と協議を行っております。あわせまして、直轄編入要望がある河川についても、国として真に整備、管理すべきものかどうかについて検討を行っているところでございます。

寺島委員 昨年の十二月二十日に閣議決定がなされたとお聞きしました。そういうことでございまして、どちらかというと今までの流れは地方分権の流れの中で、地方自治体に移管していく、移譲していったらいいではないかというようなお考えがあられたと思うんですけれども、逆に、この閣議決定によりまして、一番最後のところに、先ほど言われたように、地方管理道路・河川の直轄事業の対象について、地方道路・河川の直轄編入も含め、必要な見直しを行う、こうされたわけでございまして、ある意味において大きな変化でもあろうというふうに思うわけであります。

 そうした中、検討をしているという答えであるわけでありますが、例えば長野県におきましても、信濃川水系千曲川あるいはまた犀川、そして天竜川水系等々あるわけでございます。そうした中で、一部は直轄、中は県が管理している、そしてまた直轄、そしてそこには県境があって、新潟県があって、いろいろな事案に対して検討するのも大変複雑かつ多様化して、価値観も多少の違いがある。そういう中で、水系一貫管理の原則というのがやはりあるわけだろうというふうに思うわけでございます。

 そうした中で、これら、例えば例を挙げれば信濃川水系の検討あるいは天竜川水系の検討状況をもう少し詳しくお聞かせいただけますか。

森北政府参考人 お答え申し上げます。

 信濃川につきましては、例えばでございますが、これは、明治から大正、昭和前半にかけまして大水害に見舞われた、そういったものを契機といたしまして、被害の大きかった区間につきまして、特に堤防背後に資産の大きい区間について直轄で施工に着手したところでございますが、現在、中抜け区間、いわゆる山間、狭隘部でございまして、人口、資産等も少なかったということで、直轄施工区間には含まれなかったというふうな経緯がございます。

 ただ、その後、五十八年の水害でありますとか、平成十八年の水害を契機といたしまして、集中的な堤防整備によりまして、中抜け区間への洪水流量は増加しております。この区間の改修、長野県が一部着手しているというふうな状況にございます。

 こういうことから、今後さらに上流の改修を進めるためには、上下流の利害調整を進める、さらには下流直轄区間も含めた一体としての整備をするというふうなことも必要となってくることが想定されるわけでございまして、この中抜け区間も含めた一体的な整備、管理をするということについて現在検討しているところでございます。

寺島委員 上流には国管理のダム等も大変多いわけでございます。したがいまして、いろいろな管理の手法あるいは管理についても大変複雑になっているんだろうというふうに思います。

 そうした中、中抜け区間は県管理なものでございますから、なかなか事業が進まないという面があって、先ほどの答弁のように、その地区の洪水被害が非常に多いという状況もあるわけであります。

 そこで、最後にちょっと大臣にお伺いしたいんですけれども、前向きな検討と受けとめてよろしいんでしょうか。

太田国務大臣 分権かどうかというような、イデオロギー的なそうした論争が数年間ありましたが、一番大事なのは、安全とか安心ということだというふうに思います。

 今お話がありましたように、個別にやはり相談しながら結論を出していくということが大事だろうというふうに思っておりまして、その基準は、背後に人的なあるいは物的な資産の集積状況と、そして大災害やあるいは渇水等があるかどうかというようなことが一番の判断基準だというふうに思います。

 そういう意味では、水害があったりというようなことも含めて、必要な検討は行う必要があるというふうに思っていまして、本格的に検討したいというふうに思っております。

寺島委員 ありがとうございます。ぜひ前向きな御検討をお願い申し上げます。

 次に、コンパクトシティー関連でございます。

 社会の少子化、高齢化が急速に進展している今日、我が国は、将来を見据えた都市、地域あるいはまた国土のあり方が問われていると思うわけであります。国土利用における選択と集中を進め、都市構造のコンパクト化や拠点間ネットワーク化を進めることが不可欠であると言われております。

 そうした中、関連する三つの法案が今国会においても改正をされたわけでございます。そして、二十四年にはエココンパクトシティーの形成を促すための都市低炭素化促進法も制定されており、私の地元の小諸市では、法律施行後に全国に先駆けて低炭素まちづくり計画を策定いたしまして、公表をしてきたわけでございます。

 それらを踏まえて数点お聞きをさせていただきたいと思いますが、ちょっと時間の関係で、地域公共交通ネットワークの促進方法についてから承ってまいりたいというふうに思います。ですから、一つ飛ばして次に行きます。

 少子高齢化社会において都市や地域の再生を図るため、コンパクトシティー化の推進とともに、コンパクトな拠点間のネットワーク化を図ることが重要であると言われています。また、低炭素まちづくりの促進の観点から、マイカーによる自動車交通を抑制し、ネットワークを結ぶ交通機関として、高齢者も利用可能な低炭素型の交通手段を確保し、安全に維持することが必要であろうというふうに思われるわけであります。

 こうしたことから、今回改正された地域公共交通活性化再生法による地域公共交通網形成計画制度も活用しながら、まちづくりと連携をした総合的な地域公共交通を構築することが求められているわけであります。

 地域公共交通サービスの維持は、財政力の厳しい地方公共団体や民間事業者にとって大きな負担であると思うわけであります。そして、減少しつつある人口に対応して、どこまで公共が地域公共サービスを民間事業者と連携して維持し続けるかということは、なかなか難しい問題であろうとも思うわけであります。

 そこで、人口減少下にある多くの地方自治体や民間事業者が、厳しい財政制約の中、拠点間のネットワークを整備し、安全に維持するためには、どのような方策が効果的と考えられるのか、また、こうした厳しい状況の中においても、地方公共団体や民間事業者の積極的な取り組みを促すために、現在ある国の支援制度は十分なものなのか、お伺いをいたしたいと思います。

西脇政府参考人 お答えいたします。

 今先生御指摘のように、人口減少、少子高齢化で、民間のバス事業者の約七割、鉄道事業者の約八割が赤字になっているという状況でございまして、そうした中で拠点間のネットワークの整備等を進める上では、より効率的で持続可能な形となるように、現在の地域公共交通を再編する取り組みが必要だと思っております。また、あわせて、それが低炭素のまちづくりにも資するものと考えております。

 御指摘ございましたように、今回成立いたしました地域公共交通活性化再生法におきましては、まず地方公共団体が先頭に立つ、それから、地域の関係者が知恵を出し合って、合意のもとにまちづくりと一体となって公共交通の再編を進めるという仕組みを設けたところでございます。

 財政的な支援といたしましては、従来から幹線バス等の運行や車両取得などに要する費用の一部の補助を行っておりますけれども、二十六年度予算におきましても、前年度と同額を確保し、新たに、改正法に基づく計画の策定支援ですとか、バス車両の公共団体による所有のための購入費補助等の新設をしております。

 今後は、この改正法を踏まえた地域の公共交通ネットワークの再構築の実現を後押しするために、さらに支援策の充実にも、検討し、努めてまいりたいと考えております。

寺島委員 そこで、ちょっと細かい話を聞きますが、例えば民間の鉄道事業者、これに対する支援についてであります。

 どのような支援があるのかというと、貨物調整金、設備整備補助金、この二つの大きなものがあってするんですが、どうもちょっと、お聞きしたいのは、これらの配分が十分かということなので、その支援状況をお聞かせいただけますか。

西脇政府参考人 地域公共交通の観点から、特に生活の足となっております地域鉄道につきましては、上下分離によります、地元の自治体が鉄道施設や車両を保有して鉄道事業者の負担の軽減を図る仕組みを設けておりまして、地域公共交通確保維持改善事業の中で、安全性向上に資する設備等に対しましてその費用の三分の一を補助しているところでございます。

 先生今お尋ねの状況でございますが、予算額としては前年度と同額を確保しておりますけれども、鉄道局からも聞いておりますけれども、地元の鉄道等による要望額というのが最近かなり高まっておるという状況を聞いておりまして、現在その配分等については検討しておりますが、かなり要望額が多いというような状況は承っているところでございます。

寺島委員 そうなんですね、今までなかったらしいんですが、例えば地元のある鉄道会社は要望額の五五%しか配分がされていない。ある電鉄会社は要望額の七割しか認められていない。せっかくコンパクトシティーで地域公共交通と連携を図りながらやっていかにゃいかぬと、法律を三つも改正して本腰を入れてきたばかりのところに、これは安心して維持していかなきゃならない地域公共交通、そして民間の事業者はまさに財政的に困っている。集中と選択というのであれば、まさにここにやはり支援をしていくということが重要なことではないでしょうか。さらにまた、北海道の事故を受けて、予算も前年同額だ、要望が多いから配分が少ないでは、安心は確保できないんです。

 ことし、二十六年度予算として、五五パーとか七割とか、配分がないんですね。事業者は本当に困っちゃっています。来年度、再来年度に送れればいいんですけれども、今まさに目の前には、安心、安全だぞ、持続可能な地域公共交通をつくれ、こう言われているわけですから、困っているというのが現状であります。今後、対応はどうされますか。

西脇政府参考人 お答えいたします。

 当面、今年度の予算の配分につきましては、関係者の方の話をよく聞いて、地域の状況でございますとか緊急性も勘案して、できる限りの配慮を行った上で配分する。

 今後につきましては、当然、今委員御指摘の観点はそのとおりだと思いますので、まず的確に要望の把握に努めるとともに、必要な予算の確保には引き続き取り組んでまいりたいというふうに考えているところでございます。

寺島委員 ありがとうございます。

 通告がないので失礼ですけれども、大臣に承りたいんですが、やはり補正予算を組んで対応するということが重要ではないかと私は個人的には思うわけでありますが、御所見を承りたいと存じます。

太田国務大臣 法改正させていただいたり、対策をとるためにやったわけですから、その趣旨が貫徹されるように努力したいというふうに思います。

寺島委員 よろしくお願いします。

 ありがとうございました。

梶山委員長 次に、若井康彦君。

若井委員 おはようございます。民主党の若井康彦でございます。

 きょうは、今後の建築行政について少し質疑をお願いしたいと思います。

 本日、六月十一日ですけれども、目の前で虎ノ門ヒルズという超高層ビルが開業をするということになったそうです。地上五十二階、高さ二百四十七メーターと、東京では二番目に高い超高層ビルだということだそうです。また、ビルの真下に、通称マッカーサー道路ですが、環状二号線が通っている、一種のゲートのようなビルでありまして、それなりに話題にはなっておりますけれども、一時代前であれば本当にそれなりに社会的な事件になるような事柄ではないかというふうに思うわけであります。

 一九六八年に、建築基準法が改正をされて我が国で初めての霞が関ビルができ、それ以来、数えてみますと、実は昨年、我が国には百メーター以上のビルが一千棟を超えたそうでありまして、この十年ぐらいをとると、ニューヨークよりも速いスピードで超高層ビルが建ち、またその総数も東京はニューヨークをはるかにしのいでいるという状況でして、建築の世界でいえば、失われた二十年という言葉は当たらないのではないかというふうに私などは思っているわけです。

 こうした中で、建築、そしてそれを支えている建築行政がどのように変わってきたのか。あるいは、この中で、いわゆる建築家と言われるような人たち、法律の中では建築士というふうに定義されているわけですが、この方々が果たしてきた役割、今後ますます変わっていくかとは思うわけですけれども、大臣、建築家が果たすべき役割というのは、今後の時代の変化も見通しながら、どんなものになるというふうにお考えでいらっしゃるでしょうか。

太田国務大臣 有名な建築士がいたり、そして大変立派なデザインの建物ができたり、あるいはまた、道路の上ということを使った虎ノ門ヒルズがいよいよきょうから本格的にスタートを切るというようなこと、一方では、いわゆる姉歯の事件等がありまして、よりしっかりした、命と財産を守るというまず基本があろうというふうに思いますが、高い専門的知識を有する資格として業務独占が与えられているというのが建築士だと思います。

 デザインや景観なども含めて質が高いということがこれからさらに要請されるというふうに思いますので、そうした質の高い建築物を設計することに強い責任と使命感を持って取り組んできたという認識をしています。この建築士の質の向上などの観点から、建築士法の改正によって制度的にしっかりしたものにするというのが御趣旨だろうというふうに思います。

 建築士は、日本の建築の質の向上のために非常に大きな役割を担っているというふうに認識をしておりまして、国としても、建築士が適正に業務に取り組んでもらえるよう、環境整備をしていきたいというふうに思っているところでございます。

若井委員 虎ノ門ヒルズも大変に巨大な建築物でありますが、ちょうど百年前に東京駅が開業しております。この東京駅をつくった建築家は辰野金吾さんという方で、今でも歴史の上にさん然とこの名前が残っているわけですが、寡聞にいたしまして、虎ノ門ヒルズはどなたがつくられたのか、どなたがその建築家であるのかということはそれほど取り沙汰をされていないように思うんです。大きさからいえば東京駅よりも大きい、こうした建築物を建築家がつくっているとはとても今は考えられない状況に変わってきている。

 そもそも、この建築という言葉自体が、今では、例えば超高層ビルは建築だと言えばそれは建築ですが、ある意味でいえば構築物と言ってもいいような、そうしたコンスト、コンストラクションというんですか、そうしたものの結果になっているように思うわけです。

 今回の建築士法の改正に当たって、建築家協会の方々もたくさんお見えになられたわけですが、今回、後で議論することになる建築士法の中には建築家という言葉はないわけでございますが、この建築士の役割というものをこの法律の中でどのように位置づけているのか、政府の方から教えていただきたい。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 建築士は、建築士法に基づくいわゆる国家資格でございまして、一級、二級、木造と三種類ございますけれども、それぞれの種別によって規模が変わっておりますが、一定以上の建物の設計及び工事監理、これについては建築士でなければしてはならない、いわゆる業務独占を与えられた国家資格ということだと思います。

若井委員 この建築という言葉は、中国でも使っているそうですが、世界的に見るとまさに日本がつくった言葉じゃないかというような独特な言葉であります。建てて築く。諸外国ではアーキテクト、アーキテクチャーと言っているわけですが、アーキテクチャーの語源をひもといてみますと、テクチャーは要するにテクノロジーだと思うんですが、それの根源というような意味だそうでありまして、全ての技術を統合するということがアーキテクトあるいは建物であるアーキテクチャーという言葉の語源、本義だそうであります。

 我が国では、まさに、昔は造家というような言葉を使っていたそうですけれども、造家が建築になり、これからさらに次の時代に向かって変貌を遂げていく、変質をしていく、あるいは変容をしていくというプロセスをこの法律の中でどういうふうに定義をし直すのかということが一番その要諦じゃないかと思うんです。

 先ほどちょっと御説明になられた建築士の果たすべき役割の中にいろいろな要素があるんじゃないかと思うんですけれども、どういう要素が今一番大事な要素になってきているのか、その点について教えていただきたい。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 建築の設計ということにつきましては、まず大きくは、意匠、デザイン、こういうものがあるんだと思います。技術的に単純な時代であれば、デザインを決めれば建て方もおのずと決まるということだったんだと思いますけれども、最近では、非常に安全というものに対する要請が強くなっておりますし、また建物の規模も大きくなっておりますので、安全、とりわけ構造とか防火の安全ということが求められるんだと思います。

 さらに、昔は空間をつくるだけで建築だったと思いますけれども、今は照明、空調等の設備が大幅に用いられておりまして、こういった設備をしっかり良好な空間に生かしていくための技術というものも求められるんだと思います。

 そういう意味では、デザインだけではなくて、構造そして設備、こういうようなものを統括して設計をしていただく、こういうことになっていると思います。

若井委員 その意味で、かつてのように、ある意味で、建物をつくるということがある個人に統合されている、そういう属人的な統合的なシステムであったものが、今は、そうしたいろいろ複雑多様な、ユニットといいますか、それぞれをどう組み立てていくか、どういうふうにこれを組み合わせていくかということが課題になってきているのではないか。それをこの間、建築士法という、ある意味でいうと属人的な定義の世界で進めてきたわけですけれども、その整理をもう一回し直す必要が出てきているんじゃないかというふうに私は思うわけです。

 そこで、この間、今回の法改正の背景にもあります建築紛争、これは恐らく、この組み立て方、システムのつくり方に問題があるのではないかと私は思うわけですけれども、その実態について簡単に教えていただきたい。

井上政府参考人 お答えを申し上げます。

 建築紛争ということで訴訟に持ち込まれるものが非常に多いということで、裁判所の方でも問題意識を持っておられるというふうに認識をしております。

 最高裁の報告書におきましても、建築紛争が非常に多い、しかも、そのうち半分が、契約書が取り交わされていない、後になって証拠が残っていないということが問題を複雑化、そして解決を難しくしているということが言われております。これが紛争というものの一つの大きな側面ではないかというふうに思っております。

若井委員 契約書でお互いの関係性を整理する、仕事の中身、それからコストその他を決めるということだろうと思うんですが、それ以前に、ユニット、各部門ごとの守備範囲をはっきりさせておくということが建物をつくる上では大事だというふうに思うわけで、その意味から、この建築士法、先般の改正ではいわゆる構造設計のところに焦点が当たっておりましたけれども、今回は設備であるとかそういった部分がクローズアップされているということで認識をさせていただきたいと思います。

 ただ、もう一方、建築紛争の中に、こうしたいわゆる建築士の世界、建物をつくる世界とそれを需要する世界、施主さんといいますか需要側の世界、その間の接点というところが十分にわかりやすく結びついていないということもあると思うんですけれども、ますます複雑になる建物の設計、建設、これらを一般のそうしたユーザーにどのようにわかりやすく納得してもらえるものにしていくかということについては、何か工夫があるんでしょうか。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘いただいていますのは、恐らく、小規模な、いわゆる注文住宅のエンドユーザーである消費者の方々にどう説明するかということなんだと思います。

 これにつきましては、かねてから、特に建築の場合には情報の非対称ということが言われておりまして、いわゆる構造計算偽装事件の反省を踏まえまして、少なくとも、契約書という形ではございませんが、設計事務所の方から書面で設計契約の中身、これはあくまでも設計でございますけれども、設計及び工事監理の契約の中身についてはしっかり説明するようにということで、今、書面の説明、交付義務までは課されているところでございます。

 内容的には、どんな図面をつくるかとか、あるいは、先ほど来御指摘ありました、チームで設計する場合にはどんな建築士さんに働いていただくのかとか、報酬の額は幾らかとか、こういうことをお示しすることになっております。

若井委員 今回の法律の中にはないんですけれども、私は、大変に専門的な、いわゆる建築士法に含まれるような世界とエンドユーザーの間に第三者、一種の調停とか、あるいはそれを納得していただくシステムを提供するとか、そうした仕組みが必要になっていくんじゃないかというふうに思いますけれども、政府としては、その点について、さらにこの法律の改正なり工夫をする、そうしたつもりはありませんか。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 発注者である個人の方々と設計あるいは工事を含めた受注側との間に一種のマネジャーみたいなものを入れるというような御提案だと思いますけれども、なかなか、フィーが伴いますので、そういうことが一般に受け入れられるかどうかということはあろうかと思いますけれども、一つの検討課題だというふうに思っています。

 また、事後的な調停という意味では、今、住宅に関しては、住宅品確法に基づきましてADRが整備をされ、活用されているというふうに認識をしております。

若井委員 ぜひ、その点について、今後さらに御検討をいただきたいと思います。

 次に、建築士法の改正、今回の法案に即して、幾つか確認をさせていただきたいと思います。

 まず、第二十四条に、建築士事務所の管理について、管理建築士を置くということになっているわけであります。建築士事務所の管理について、技術的事項の総括、あるいは、その第三項一号には業務量や期間の設定、二号には建築士の選定や配置を管理建築士によって行うというふうにされているわけでございますけれども、管理建築士といわゆる一級建築士その他の建築士の皆さんとのすみ分けといいますか役割分担、そして資格のあり方、その点についてはどのように整理をしておられるんでしょうか。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 建築の設計を業として行う場合には、建築士事務所を開設して、管理建築士を一人選任して置くということが義務づけられております。建築士事務所の開設は法人であっても結構ですし、技術者ではない方が開設することも可能でございますけれども、設計業務を適正に行うためのいわば統括責任者という形で、管理建築士を置くということにされておるものでございます。

若井委員 一級建築士がみずからの仕事を十全に管理ができていない、そういう実態があるのかというふうにすら思う。ある意味でいうと、重複をしている業務のようにも思うんですけれども、そこをもう少しわかりやすく、シンプルに整理をするということは難しいのでしょうか。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 設計自体は、恐らく今はもう、小規模なものでなければチームで設計するということが当然になっておりまして、その際に、一つの事務所でやる場合にも、統括責任者を置くという意味で管理建築士というものがあるんだというふうに思います。

若井委員 ということは、建築士法に設定をされておりますいわゆる建築士の上に、さらにジェネラルプロジェクトマネジャーといいますか、そうしたものを想定せい、こういうふうに理解すればいいんだ、野球でいえば監督をちゃんとしろ、こういう話ですか。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 資格は、あくまでも一級建築士ということでございまして、これは、建築士事務所というものを開設するときに、一人の方であれば、御自分一人が管理建築士ということで、もうプレーイングマネジャーで全部完結するということでございますし、何人かおられる場合には、その中の統括責任者、事務所の技術的統括を行う立場で管理建築士というものを置くものでございまして、資格はあくまでも建築士でございます。

若井委員 ちょっとしつこいようですけれども、一級建築士はたしか現段階で三十五万人程度いらっしゃるというふうにお聞きをしておりますが、管理建築士はその中でどれぐらいの数になっていますか。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 正確な数字は手元にございませんが、建築士事務所として登録をされているものが大体十一万件弱だったというふうに思っております。したがいまして、管理建築士は十一万人弱おられるということでございます。

若井委員 恐らく、先ほど来議論しておりますとおり、建築というものが、ある個人に属人的に統合されているという世界から、一種のシステムになっている、チームになっていく、そういうプロセスの中で、さらに一級建築士も含めて建築士のあり方というものが今後も変わっていかなきゃならない、あるいは変えていかなければならないということを管理建築士が象徴しているんじゃないかと思います。

 この点については、今後もさらに状況が変わっていく中で、継続的に、それをどういうふうに置いていくかということについては、行政のサイドからも検討していく必要があると思います。お答えは結構ですが、そのことを指摘させていただきたいと思います。

 それから、次に移りますが、この改正の中に建築設備士とありますけれども、この建築設備士は、いわゆる一級建築士の中に設備設計の一級建築士がおりますけれども、これとはまた別にこの資格を置く、そういう理解でよろしいですか。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の設備設計一級建築士というのは、一級建築士の中で、特に設備について専門的知識、技能を持っておられる方ということで、あくまでもこれは一級建築士の中から出てくる資格ということでございます。

 建築設備士は、建築物の設備に対して専門的知識を有している方ではございますけれども、建築士ではございませんので、設計業務そのものを行うことはできないというのが法的位置づけでございまして、いわゆるアドバイザー的な立場で建築士に対して専門的なアドバイスをするというような位置づけでございます。

若井委員 今回の改正の中には建築設備士がありますけれども、今後、さらに建築が高度化していく中で、このような、つまり別の世界から建築に手を差し伸べなければいけない、そうしたファクターというのがふえていくんじゃないか。例えば、通信のインフラであるとかエネルギー関連についても相当またこれから状況は変わっていくと思うんですけれども、そうしたものも建築設備士の役割の中に入れて考えていくということでしょうか。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のように、通信も一部そうでございますし、省エネについては設備によるところが非常に大きいところでございまして、建築設備士が専門知識を有する分野には当然そういうことも入っており、この役割というのは今後増大していくというふうに認識をしております。

若井委員 まだ幾つかお聞きしたいことはありますが、時間になりましたので、また次の機会によろしくお願いいたします。

 どうもありがとうございます。

梶山委員長 次に、鈴木義弘君。

鈴木(義)委員 おはようございます。日本維新の会、鈴木義弘でございます。

 委員長のお許しをいただきましたので、順次質問させていただきたいと思います。過去に議題になったことがあろうかと思いますが、確認の意味で質問させていただければと思っております。

 私は埼玉県の出身でありますので、埼玉県のことを事例に挙げて御質問させていただきたいと思います。

 埼玉県では、現在、四十五基の排水機場が設置されていて、この間、三十年以上経過している排水機場が十二基あります。老朽化が進行しているために、対策に取り組んでいるところであります。橋梁、排水機場、公園、県営住宅、県有建物、下水道の処理場、ポンプ場や、その附帯設備や電気施設について、長寿命化計画を策定して取り組んでいるところであります。

 その中でも、高度成長期に建設された橋梁が、県管理の二千五百六十橋のうち千三十橋で、全体の四割を占めています。地方自治体管理橋梁の点検状況は、全体の九九%に達しているという、国土交通省の方でいただいている資料を見ても、九九%点検は済んでいるというふうに聞いております。

 ところで、社会資本整備審議会では、老朽化対策の本格実施の提言を出している資料を目にしました。御案内の方も多いと思います。埼玉県では、古くから、平成八年ごろから改築・修繕マニュアルを作成して対策をとっているところでありますが、順次、次の点についてお尋ねをしていきたいと思います。

 現行の交付金制度では、大規模な修繕、更新に対する複数年度による国の支援が困難な状況になっております。県、市町村への財政的支援を国はどのようにサポートしていく考えでいるのか、お尋ねをいたします。

太田国務大臣 老朽化対策は非常に大事で、昨年を私はメンテナンス元年と命名しました。特に、地方自治体における取り組みが大事であるとともに、そこの人員や技術力というものが不足しているという状況がありまして、その支援をしているところでございます。

 防災・安全交付金というのを昨年つくりまして、平成二十六年度に執行されている予算では約一・一兆円になります。この財政支援は極めて大きくて、この交付金によりまして、地方自治体は、三年から五年程度の整備計画をつくり、国に申請することになっています。御指摘のような、単年度で終わらないような大規模な修繕、更新につきましても、計画を位置づけるということが可能になっています。

 これによりまして、地域の抱える防災・減災、老朽化対策について国が支援することが可能になっておりまして、引き続き、これは直すべきものは直さなくちゃいけませんから、必要な予算というものを措置したいというふうに考えているところです。

鈴木(義)委員 今大臣から御答弁いただいたんですけれども、実際、資料に目を通すと、橋梁保全業務にかかわる技術者数がゼロという自治体のうち、町が五割、村が七割。先ほど、申請をすればトータルで一兆円サポートしますよという御答弁をいただいたんですけれども、点検すらできていない状況なんですよね。点検しようとしても技術者がいないで、それでなぜ支援をしてくれというふうに、国の方に手助けをしてほしいというふうに言えるのかということです。

 点検方法として、遠望で目視している市町村、都道府県が、政令市も含めて約八割ということですね。遠目で見て、それで老朽化しているかどうか、大丈夫か大丈夫じゃないかというふうに点検しているのが八割というふうになっていて、国としての対策と支援はどうしていくのか、そこのところをもう一度お尋ねしたいと思います。

徳山政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま委員の御指摘のとおり、市町村のメンテナンスの実施に当たって、予算、人員、技術の面、大変な課題がございます。

 まさに数字、御指摘のとおりでありまして、町の五割、村の七割は橋梁保全業務に携わっている土木技術者がいないという状況でございますし、私どもの調査で、点検はほぼ全ての市町村がやっておられるというお答えだったわけですけれども、では、実際どのような調査をやっておられるのかということをお聞きいたしましたところ、回答のあった市町村の中の約二割が、きちんと全部材を近接目視しているとお答えになる。約八割は遠くから、遠望目視であると。これではなかなか点検の質としても大きな問題があると我々考えております。

 したがいまして、もうこれは本格的なメンテナンスサイクルを回す時代に入っていかなければいけないという認識を持ちまして、今回、三月三十一日に省令を公布させていただきまして、全ての橋梁やトンネルなどは、五年に一度、近接目視で点検するという道路管理者の義務を明確化いたしました。

 ただ、義務だけを明確化いたしますと市町村には大変な負担になりますので、支援が必要でございます。これまでにも国交省では、防災・安全交付金による財政的な支援や、昨年の道路法改正をいただいたことによりまして、修繕等の代行制度も創設させていただきましたけれども、さらに今後は、四月十四日に道路分科会から提言をいただいておりまして、これを踏まえまして、点検を適正に実施している市町村に対しての交付金の重点配分、あるいは点検業務等の地域の一括発注、そして、技術の足りないところにつきましては国の職員等による診断の技術的支援等を実施いたしまして、国交省といたしましても、メンテナンスの本格的な実行の年になりますように積極的に支援をしてまいりたいと考えております。

鈴木(義)委員 うちの近所でも、橋梁で、市が管理している橋があったんですけれども、年度が不明なんですね。ですから、昭和の初期にできたのか大正時代なのか、台帳として記録されている、通常だったら記録しているのが今の時代当たり前なんだと思うんですけれども、その台帳すら整備されていない。それが全国的に見ると、六十六万橋梁のうち三十万橋梁、全体の四六%に上っているというふうにデータも目にしています。これらの対策についてどのようにお考えになるのか、お尋ねしたいと思います。

徳山政府参考人 お答え申し上げます。

 これも委員の御指摘のとおりでございまして、全国の二メートル以上の橋、七十万橋のうち三十万橋が建設年度不明と報告されております。そのうち、五万橋が都道府県、政令市の管理、二十五万橋が市町村管理という結果でございます。

 比較的大きな橋につきましては、橋名板というのをきちっと取りつけることになっております。あるいは、親柱が四隅にあるような橋には竣工年月日を入れるようになっておりますし、それすらないような橋で、かつ竣工時の記録がないような橋、こうなりますと、比較的小さな橋が多いとは思いますけれども、今から建設年度を調査することは困難でございます。

 いずれにしましても、竣工年度はともかく、先ほど申しましたように、定期的な点検を定常的に行うことによって状態を把握して、その結果に基づいて修繕等の対策を講じていくという、メンテナンスサイクルを確立するということをもって対処すべきであると考えております。

 先ほど申し上げましたとおり、五年に一度、近接目視という義務を明確化する省令を三月三十一日に公布し、これはいよいよ七月一日から施行になります。今後、これらの点検、修繕等の実施とその履歴の記録、保全を促しまして、適切な維持管理が進むように促してまいりたいと考えております。

鈴木(義)委員 橋はいろいろな、川にかかっている橋もあれば道路にかかっている橋もあるし、鉄道にかかっている橋もあると思うんですね。そのうちで、私たちもよく高速道路を使わせてもらうんですけれども、よく、橋桁がいっぱい、高速道路を走っていると見えてくるんですけれども、高速道路の跨道橋というんですか、かかっている橋の点検が何か実施されていないという話。これは、高速道路で点検業務するといったとき、近接目視をするといっても、車をとめなくちゃいけない。実際、高速道路をとめられるかといえば、とめられないわけですよね。

 それで、早くから、私の埼玉の方は、常磐高速道路だとか東北縦貫だとか関越自動車道というのが、四十年代以降にできているところがたくさんあるんですけれども、そこにかかっている跨道橋自体も四十年近くたっている橋も出てきているわけですね。この対策について、どのように国が支援していくのか。これは市管理なのか県管理なのか、道路の管理者によって違うと思うんですけれども、なかなか県だとか市町村では対応できないんだと思うんですが、国としての支援をどうするのか、お尋ねしたいと思います。

徳山政府参考人 お答えを申し上げます。

 高速道路の跨道橋でございます。御指摘のとおり、従前は、従前はと申しますのは、いわゆる笹子トンネルの天井板落下事故以前は、高速道路の跨道橋の点検がおくれているというのは実態でございました。

 内訳をいいますと、国や高速道路会社が管理する約一千三百の跨道橋では適切に点検を実施しておりましたけれども、都道府県、市区町村の地方公共団体が管理するもの約三千三百橋については、なかなか、予算、人員、あるいはクレーンのような、逆のクレーンのようなもので、橋梁の底を見るような機械類も不足しておりますから、取り組みがおくれていたというのが事実でございます。

 しかしながら、笹子トンネルの天井板落下事故後、老朽化に対する意識が非常に高まってまいりまして、国交省といたしましても、平成二十五年をメンテナンス元年と位置づけまして、全国的な集中点検を指示いたしました。その結果、地方公共団体が管理する跨道橋についても、現在までに、ほぼ全数について一通りの点検を終了したという報告は受けております。

 今後は、先ほど申し上げました、五年に一度の定常的な点検の時代に入っていくわけでございますけれども、特に跨道橋につきましては、平成二十五年度に、全ての都道府県で跨道橋に関する連絡協議会を立ち上げまして、高速道路会社、国、自治体の情報共有体制をつくりましたし、市町村が技術的に対応が困難な場合には、会社が地方公共団体から受託するなどにより、支援もしていきたいと考えております。引き続き、的確な支援を行いながら、高速道路、跨道橋の安全確保に取り組んでまいります。

鈴木(義)委員 もう一度確認をしたいんですけれども、答弁の中で、技術者が不足している場合は国の技術系の職員さんがサポートしますよというふうに答弁いただいたんですけれども、地方自治体で、特に小さい自治体ほど、やはり予算不足、人手不足、技術力不足、これは埼玉県でも、ちょっと古い話ですけれども、十年ぐらい前に、各市町村に県として何をサポートしてもらいたいかというふうにアンケートを出したときに、ほとんど、回答で六割、七割が、技術的な支援というような答えをされているんですね。なかなか、技術系の土木、建築だとか電気、水道も含めて、そういった技術者を雇えるだけの財力がなかったり、あとは、設計自体もコンサルに投げてしまうような自治体が多数見受けられると思うんです。

 そこで、その都度、国の職員さんが市町村に来てくれるのかなというふうに、答弁ではそういうふうに思うんですけれども、法令をつくったり制度を確立するだけで、実際のメンテナンスの点検を含めた修繕、また改善も含めて、機能していくのかどうかと不安でしようがないんですけれども、そこのところをもう一度御答弁いただきたいと思います。

坂井大臣政務官 国土交通省におきましては、これまでに既に取り組んでいる対策といたしまして、人不足対策や技術面の支援といたしまして、維持管理にかかわる基準やマニュアルを整備いたしまして、これを見ていただくだけで原則、基本がわかるようなものや、相談窓口の設置、そして、各地方自治体の職員の方が研修に来ていただけるというような研修内容の充実と強化を進めてきております。また、点検、診断やメンテナンス、長寿命化にかかわる技術開発にも取り組んでいるところでございまして、人不足への対応ということで考えております。

 また、今年度よりということにおきましては、技術力のある民間技術者の活用を図ろう、こういうことで、点検、診断等を確実に行うための資格制度、また、地方整備局や地方公共団体等から成るメンテナンスにかかわる協議会というものを設置するなど、こういったことを検討させていただいておりまして、地方公共団体の抱える課題の解決に向けて、今取り組みを進めているところでございます。

 またさらに、先般、全省庁に先駆けて、国土交通省がインフラ長寿命化計画を策定いたしましたけれども、地方公共団体が、それぞれの自治体においてインフラの長寿命化計画をつくっていく、こういうことになりますが、そのときにも参考にしていただけるだろう、このようにも考えているところでございます。

 そして、予算不足、財政面の件に関しましては、大臣も触れておりましたけれども、一昨年度に防災・安全交付金を創設しておりまして、今後その活用が一層進むように取り組んでまいりたいと考えております。

鈴木(義)委員 埼玉県の話ばかり出すのも失礼なんですけれども、先ほど申し上げましたように、二千五百六十橋梁のうち、千三十橋梁ぐらいを高度成長期につくって、四割ぐらい占めているんです。では、実際にそのかけかえをできるだけの予算があるのかといったときに、今、国の方で強靱化計画も含めて補正予算を組んでいただいたので多少ふえていると思うんですけれども、河川だけで、埼玉県あたりの規模でも二百八十億ぐらい、二百九十億ぐらいしか予算規模がないんですね。その中に、直轄事業負担金もそこに含まれていますから、そこから約三分の一ぐらいは直轄事業でお支払いしなくちゃいけないんです。

 では、将来的にかけかえができるかといったときに、一橋梁、長大橋と言われている百メーターを超える橋をかけかえるのに四十億だ、五十億だ。私の住んでいる三郷市のそばに中川という一級河川の川があるんですけれども、そこの橋をかけるのに八十億ぐらいかかると言われているんですね。そうすると、どんなに頑張ったって、一年で一橋梁かけられたとしても、二百八十億ぐらいだったら、全部河川事業をそこに投入したとしても、二橋梁か三橋梁をかければ、予算的にはそんなものだというふうに思うんです。

 そうすると、千三十橋梁が、もし耐震がよくないんだという話になったときに、耐震補強ぐらいで何とかなればいいんでしょうけれども、かけかえをしなくちゃいけないといったときに、それだけの予算がないんですね。

 特に、先般、国土交通省が発表した国のグランドデザイン、あと三十六年たって、二〇五〇年に人が住まなくなる地域が三分の一ぐらい国土に出現しますよという予測の数字を見たときに、ああ、ここまで来たかというふうに唖然としたんです。そうすると、道路や橋梁の維持修繕、コンパクトシティーという考え方を取り入れなくちゃいけないのはわかるんですけれども、二〇五〇年というと、あと三十六年先でよろしいんですよね。これで道路の維持とか橋梁の維持修繕というのが本当にできるんだろうかというふうに思うんですけれども、そこのところをもう一度お尋ねしたいと思います。

徳山政府参考人 お答え申し上げます。

 急激に人口が減少する中、国土や地域を維持し、生活を守るためには、コンパクトな拠点とネットワークの構築が重要であるという考え方をしております。

 大変御心配の向きもあるわけでございます。私どもの以前の推計では、全ての橋梁を五十年でかけかえるとした場合にどのくらいお金がかかるかというようなことを出した経緯もあるわけでありますけれども、現在の設計の考え方でいいますと、条件がよければ橋梁は八十年から百年の寿命があるというふうに考えております。したがいまして、まずは、既存の道路インフラの点検、修繕をしっかりと進めて、長寿命化を図っていく、これが基本であると思います。

 しかし、老朽化が進んできているものもございますから、ここは地域、そして道路管理者の厳しい判断が問われますけれども、その利用状況あるいは地域の実情を踏まえて、必要に応じて、本当にかけかえが要るのか、あるいはここは撤去をする、あるいは、三橋あるのが、利便性は悪くなるけれども、少し集約をさせていただくようなことを選択しなければならないのか、財政面を考えますと、こういう厳しい選択もせざるを得なくなるんだろうと考えております。

 今後は、さまざまな機能を集約いたしまして、居住をまとまりのあるエリアに誘導するコンパクトシティーと、これをネットワークで結ぶコンパクトシティー・プラス・ネットワークという考え方を踏まえまして、道路ネットワークとして効果的、効率的に機能を発揮するように取り組んでまいりたいと考えております。

鈴木(義)委員 ありがとうございます。

 先ほどもちょっと例示を挙げたんですけれども、今、国の方では、法人税を減税していこうかというような、新聞の記事でしか私たちはわからないんですけれども、埼玉県とか都道府県の基幹税と言われているのが法人二税というのは、もう御案内のとおりだと思うんですね。法人税を下げていきましょうという話で、代替の税目をきちっとしないといいですよと言わないよと言っている記事も見るんです。

 そうしますと、今、国に、ある意味では、上納金という言い方は失礼かもしれませんけれども、直轄事業負担金というのを各都道府県、市町村が払っているんですよね。これは、二十五年度までに、建設費の負担金を、廃止を含めた制度の見直しをしていくというふうにしていますし、その結論を得るというような形を昨年打ち出しているんですね。

 確認をしますと、平成二十三年度からは維持管理費負担金というのは廃止されたというふうに聞いておりますが、今お話ししたように、二百八十億ぐらいの予算規模しかない埼玉県で、今はもう少しふえていると思うんですけれども、そこのうちに、直轄負担金で国に払わなければならないお金がありながら、結局、河川事業もやりながら橋梁もかけかえていくよというふうにしていくときに、市町村の税収も、都道府県の税収が基幹二税である法人二税、法人県民税と法人事業税が主体の税目でありながら、そっちを下げながら、直轄事業負担金は今までどおり払いながら、橋梁のかけかえだとか維持修繕をしていけといっても、もう予算的には無理だと思うんですよ。いつになったら直轄事業負担金の廃止というのを国として打ち出すのか、そこをお尋ねしたいと思います。

武藤政府参考人 お答えをいたします。

 委員御指摘のように、負担金につきましては、これまで維持管理に係る負担金の廃止ですとか、あるいは、その前に、業務取扱費の廃止などを講じてきたところでございます。その結果、新設、改築などに係る建設費につきまして、なお地方公共団体に一定割合の御負担をいただいている、こういう現状でございます。

 この制度につきましては、国と地方の役割分担のあり方ですとか、あるいは今後の社会資本整備のあり方などと密接に関連をするということから、これらとの整合性を確保しながら検討をする必要があるというふうに考えております。

 また、その後、東日本大震災などの大規模災害の発生もございましたし、また、今御指摘をいただいている老朽化問題、こういった問題もございますので、社会資本をめぐる状況の中で踏まえて検討をしていく必要があるということでございます。

 こういった点につきまして、現在、関係四省庁で議論をしてきたところでございますが、なお相互に連携をしつつ、かつまた地方の意見も聞きながら検討しているという状況でございます。

鈴木(義)委員 私が見たペーパーが間違っていたのかわかりませんけれども、建設費負担金については、平成二十五年度までに制度の廃止とその後のあり方について結論を得るというふうに書いてある資料を見たんですね。

 今答弁いただいた中で、まだ関係省庁と協議しているんですという話では、これはやはり戦後の復興期の中で都道府県だとか市町村の財政力が弱かった時代は、技術力も人手も少ないから、国が先行して経済の基幹になる道路整備をしていくに、負担金を少し払ってでもどんどん整備をしてもらいたいという時代があったんだと思うんです。

 それはそれで、やはり戦後の復興期は一つの目的があったんだと思うんですけれども、今や結局、国がやる事業とか都道府県がやる事業とか市町村がやる事業というふうに分けていった方がいいじゃないかという考え方で地方分権一括法ができたり、国と地方の役割を分けましょうといったときに、なぜ複雑な予算編成の仕方をしなけりゃならないのかということですね。

 二桁国道は、やはり国がきちっと二十四時間、三百六十五日責任を持って、国の基幹になる道路なんだから、それはメンテナンスもしながら新設していくというのであれば、国の予算でやっていけばいいと思うんです。そこに、なぜ県や市町村が負担をしていかなければならないのかというのは、戦後七十年近くたって、もう復興の考え方というのは、今震災の話もされたと思うんですけれども、それは、東日本の一部の地域のことと日本全国のことを一律に議論するのはちょっと違うんじゃないかと思うんですけれども、もう一度答弁をお願いしたいと思います。

武藤政府参考人 委員御指摘のように、廃止とその後のあり方について結論を得るということとされて、現在検討しているところでございます。

 たまたま東日本大震災のことを申し上げましたけれども、それ以外にも、地方と国との分担関係、直轄の部分をどこまでにするかとか、そういった必要な見直しが今行われているというところでございます。そういったことから、引き続き関係省庁間で現在検討させていただいている、こういう状況でございます。

鈴木(義)委員 時間が来ましたので、終わりにしたいと思います。

 ありがとうございました。

梶山委員長 次に、河野正美君。

河野(正)委員 日本維新の会の河野正美でございます。

 今国会、二月二十一日に、当委員会におきまして、私のふるさとでもあります福岡空港の抱える諸問題について質問させていただきました。その後、幾つかの情報や地元での御意見も賜りましたので、改めて関連して質問をさせていただきたいと思います。

 最近、福岡空港、本当に遅延が常態化しているように感じております。先日の本委員会におきまして、定時運航率の状況が全国平均よりやや低いという御答弁をいただきました。主要十空港の平均値で比べますと、到着が八九・四五%のところ、福岡空港では八八・一九%、出発は九二・六九%に対し九一・一七%と、いずれも下回っているというわけでございました。

 数字的には大したことがないように思われるかもしれませんが、そもそも定時運航率というものの定義を教えていただきたいと思います。

田村政府参考人 お答えいたします。

 一般的に、定時運航率と申しますのは、予定出発時刻または予定到着時刻から十五分以内に出発または到着した便数の運航便数全体に占める割合を言います。

 なお、この出発時刻、到着時刻と申しますのは、航空機が駐機場からスポットアウト、離脱した時刻、または駐機場に到着、スポットインした時刻を意味しております。

 以上でございます。

河野(正)委員 十五分以内ならオーケーということで、それで八八・一九%なりだと思います。

 現実的に、余りに遅延が生じるために、利用者としては遅延を前提にスケジュールを組まなければならず、空港の信頼性を損なう結果を招いているんじゃないかなということも懸念しております。

 このように、遅延が当たり前になっていく状況というのは看過できないと思いますが、遅延が発生する原因やその理由について、国としてどのように分析、評価をしているのかを教えていただきたいと思います。

田村政府参考人 福岡空港におきます遅延の発生原因でございますけれども、これは、主たる原因は、機材繰りや整備、点検などによりまして、その前の便、福岡空港に乗り入れる便の出発、到着がおくれたことなどによるものと認識をしているところでございます。

 そのほかにも、当然、本邦の航空会社、ちょっとダイヤとダイヤの間が短過ぎる設定をしているというような場合もございますので、そういったものの拡大等につきましては、協力を要請しているところでございます。

河野(正)委員 機材繰り、点検、安全をしっかり担保していただくのはもちろん大切なことですけれども、そういった意味で、非常に計画が立てにくいような状況が続いているというふうに思っております。

 今、若干お答えいただいたんですが、航空会社が無理なダイヤを組んでいるということを耳にしております。この点、いかが指導されているのか、改めて教えていただきたいと思います。

田村政府参考人 今ほど申し上げましたけれども、主な遅延の原因というのは、機材繰りや整備、点検などで前の便の出発、到着がおくれたことによるものなのでございますけれども、本邦航空会社におきまして、遅延便の減少に向けて、各便のダイヤの改善、あるいは便と便の間の拡大等の措置を講じるなどの協力を要請しているところでございます。

 また、福岡空港の容量拡大を図るために、平行誘導路等の整備を進めていくこととしておりますけれども、これによりましても遅延便の発生状況というのは改善が図られるものと考えております。

河野(正)委員 福岡空港の発着回数の実情ですけれども、現在までどのように推移しているのかを教えていただきたいと思います。

田村政府参考人 福岡空港の発着回数でございますけれども、いわゆるヘリコプター、回転翼機を除きまして、ここ十年ほどは十三万回から十四万回程度で推移しておったわけでございますけれども、平成二十四年度に十五・一万回、それから二十五年度には、速報値でございますけれども、十六・七万回となっているところでございます。

河野(正)委員 私の方の資料では、従来、福岡空港の滑走路の処理能力が年間十四万五千回とされてきたというふうに認識しております。そして、平成二十五年度の速報値では十七万四千回、ヘリコプターを含むということで、約三万回も処理能力を超えている状況にあります。

 処理能力の上限を超えた発着が行われているわけなんですけれども、そもそもそういった処理能力について、設定がおかしかったのではないかという意見もありますけれども、いかがでしょうか。

田村政府参考人 福岡空港の処理能力を十四・五万回といたしましたのは、平成十七年度に実施したパブリックインボルブメントにおいて、空港能力を評価する指標の一つとして算定したものでございます。

 この数値は、滑走路への進入方向や、それから、離着陸機の割合等の、いわゆるいろいろな変動要因に対応して、航空機の運航が安定的に行えるように設定したものでございます。したがいまして、これを超えての就航というのが直ちにできなくなるというものではございません。

 ただ、一方で、最近、航空機の小型化というのが進展をしておりまして、当時よりも大型機の混入率が低くなっているという状況がございます。その結果として、一機当たりの滑走路の占有時間というのが短くなってきておりまして、当時よりは多くの航空機を扱える状況になっているところでございます。

河野(正)委員 ありがとうございました。

 小型化したので、ある程度余裕はできてきた、一便当たりの余裕ができたのかもしれませんけれども、三万回を超えるということになると、安全性は大丈夫なのかなという懸念がありますけれども、安全性はきちんと担保されていますでしょうか。

田村政府参考人 発着回数がふえた現在におきましても、航空機と航空機の間の適切な管制間隔というものは維持をして運用をしておりますので、安全性は確保されているというふうに考えております。

河野(正)委員 今、先ほどの御答弁にもありましたように、福岡空港では滑走路が一本しかない、滑走路一本の空港の中では一番国内で過密だということで、誘導路をまず平行化してもう一本つくっていこう、あるいは将来的には滑走路の増設も考えていこうという方針だと思います。

 まず、今、福岡空港においては、駐車場を集約するために立体化というのが行われていまして、これは駐車場建設ですから、意外と、驚くほど速いスピードで進んでいるのかなと思います。その上で、今後、ターミナルビルをセットバックして容量をふやしていくということだと思いますけれども、将来的な空港の容量というのが現在の取り組みだけで十分と考えていらっしゃるのか、将来の需要予測とあわせて考え方を教えていただきたいと思います。

田村政府参考人 二〇一一年度、その当時、リーマン・ショックの後の経済状況というのを踏まえて、需要予測というのをパブリックインボルブメントのためにやっておりますけれども、そのときに、旅客数で、二〇二〇年度、これは幅は持っていますけれども、千八百万人から二千三十二万人、そして二〇三〇年度では千八百九十五万人から二千二百九十五万人というような伸びを示すというふうに考えております。

 したがいまして、福岡空港の将来の処理容量確保ということのためには、今先生おっしゃいましたような、滑走路増設のような抜本的な対策が必要であろうかと考えております。

河野(正)委員 それでは、北部九州の空港間の連携ということでお聞かせ願いたいと思います。

 福岡空港は、今お話ししていますように過密状態にあるわけですけれども、近隣に北九州空港あるいは佐賀空港、熊本、大分など、ほかの空港がございます。こういった近隣の北部九州の空港の旅客数、発着回数などの状況はいかがなのでしょうか。空港の容量に余裕がある状況かどうかも含めて、お聞かせいただきたいと思います。

田村政府参考人 平成二十四年度の数字でございますけれども、乗降客数につきましては、北九州空港が約百二十六万九千人、大分空港が約百四十八万八千人、熊本空港約二百八十九万六千人、佐賀空港が約三十四万七千人ということでございます。

 滑走路の処理能力としては余裕のある状況と考えております。

河野(正)委員 福岡空港が、その利便性から多く利用されていることは確かなわけですけれども、今おっしゃったように、ほかの空港に余裕があれば、そちらへの旅客の誘導といった連携も考え得る選択肢ではないかなと思っております。

 こういった方策についてどのように考えておられるかをお聞きしたいと思いますが、かつて、福岡空港の課題を探るパブリックインボルブメントによる検討では、例えば福岡から北九州、佐賀方面へのアクセス改善も具体策として挙がっていたというふうに思いますけれども、最終段階で検討対象から外れております。この理由についてお聞かせいただきたいと思います。

田村政府参考人 確かに、パブリックインボルブメントにおきまして、近隣空港との連携方策についても検討することとなっておりました。その中で、混雑している福岡空港の需要を近隣の、特に北九州、佐賀へ分散させる案というもので、福岡空港への乗り入れ制限や近隣空港へのアクセス向上方策というものを検討したわけでございます。

 その結果でございますけれども、福岡空港の利用者が、福岡都市圏の居住者、それから福岡都市圏への来訪者というものが中心となっておりまして、アクセスを改善して一定の効果はあるのでございますけれども、やはり近隣空港までの距離が遠いことなどから、対応方策としては十分ではないという結果が出たところでございます。

河野(正)委員 福岡はやはり都心アクセスが非常によい、北九州は二十四時間運用ができるというふうに、各空港の得意な能力、さらに特徴、魅力はさまざまであるというふうに思っております。また、価格競争により航空運賃は下がったが、利用者は、空港から先の目的地までトータルの交通費、時間を比較勘案して利用する手段を選択していくのかなと思います。空港が、そうした全体の視点から工夫が可能になるような取り組みを促していくことも大切ではないかなと思います。

 福岡の発着回数の増加は、二月二十一日の委員会の御答弁によりますと、LCCの参入も大きな要因と指摘されております。LCCの魅力は低価格の運賃でありますから、北九州や佐賀など、近隣空港と連携していくというのも一つの方策になってくるのかなと思いますけれども、LCCへの何らかの対策、対応策というのはいかがでしょうか。

田村政府参考人 今先生御指摘のように、最近の福岡空港の需要あるいは発着回数の伸びの大きな部分が、LCCの成長といいますか、参入によるものであるというのは、そのとおりであろうと思います。そういう意味で、福岡空港が都心にある非常に便利な空港であるということで、旅客の需要が非常に高くなっているということでございます。

 これに対して、例えば乗り入れ制限するというような形はなかなか難しい、慎重に考えるべきだと思いますけれども、やはり他方で、それぞれほかの空港が、特色、強みを生かして競争力ある空港の運営ということをやっていくという中で、LCCの誘致を促していくということは当然考えられるというふうに考えております。

河野(正)委員 LCCが本当にぎりぎりのところでコストを切り詰めてやっておられるので、安全性は担保されているんでしょうけれども、上空での待機時間が長くなったことにより、燃料不足ということで緊急着陸をする事態とかもあったというふうに報道されております。LCCの安全運航について国はどのように関与しているのかを簡単にお聞かせいただきたいと思います。

田村政府参考人 当然、航空サービスの基本というのは安全の確保でございます。しかも、LCCというのは比較的新しく市場に参入をしてきた航空会社でもございますので、私ども、通常よりも頻度を上げて監査をするなどしまして安全の確認をしているところでございます。

河野(正)委員 ちょっと今の関連ですけれども、やはりLCC等で緊急着陸とかがあれば、またそれでダイヤが乱れてくるということもあるかもしれませんので、その辺はしっかりしていただきたいと思います。

 また、これはLCCに限る問題ではないかもしれませんが、最近、パイロットの退職等により要員を確保できなくなって長期的に欠航するという事態も伺っております。こうした欠航が空港の運用にどのような影響をするのか、長期欠航等になるのであれば発着枠をどのように扱うかを簡単にお聞かせいただきたいと思います。

田村政府参考人 発着枠の話についてお答え申し上げますけれども、長期的な欠航が生じた場合には、その航空会社は運航計画を変更することとされておりまして、この運航計画の変更に伴って、欠航する便というものの発着枠は空き枠となりますので、これにつきましては、ほかの航空会社が希望すれば当該発着枠を使用して運航することができることとなります。

河野(正)委員 時間も残り少なくなりましたので、今後、やはりパイロット不足という懸念がいろいろな報道にあると思いますので、パイロット養成についての方針等がありましたら、大臣、よろしくお願いいたします。

太田国務大臣 LCCは非常に大事だというふうに思っておりますが、昨今、LCCを中心にして、パイロット不足で欠航するという状況が起きています。

 これは大変深刻な課題であるというふうに思っておりまして、昨年十二月から、交通政策審議会のもとで小委員会をつくりまして、パイロット不足への対応をしているところでございます。

 短期的なパイロット不足への対応策としては、自衛隊パイロットの民間における活用を初めとして、また、健康を害してということが最近あるものですから、そうしたことも含めて対応し、そして、中長期的には、そうした本格的な育成措置をとっていかなくてはいけないというふうに思っているところでございます。

河野(正)委員 ありがとうございました。

 本日は、福岡空港の問題に関連して、我が国の航空行政についてのお考えを伺ってまいりましたけれども、利用する立場にとって、日本は異常なくらい、まあ過敏とも言われておりますけれども、定時運航というのが極めて重要な問題ではないかなというふうに思っております。また一方で、利用者にとってはもちろんのこと、空港周辺で生活を営んでおられる住民の方にとっても、空港の過密化によって飛行機事故のリスクを高めるような事態は決して受け入れられる問題ではございません。

 航空機の運航は、限りなく一〇〇%の安全を追求した上のものであっていただきたいと思っております。航空行政に携わる関係官庁の方々はもちろん、私たち立法府の責任も極めて重いものであると考えております。この問題に関しましては今後も取り組んでまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

梶山委員長 次に、伊佐進一君。

伊佐委員 おはようございます。公明党の伊佐進一です。

 本日は機会をいただきまして、ありがとうございます。

 きょうは、トラックの運送事業者、とりわけ現場でハンドルを握っていらっしゃるドライバーの方々の置かれた状況について議論させていただきたいと思っております。

 物流あるいは運送の世界というのは、まさしく日本経済の血管でありまして、日本経済のかなめだと。その中で、トラック産業というのは、国内の物流の中での約六割を占めている。百二十万人の方々が働いている。これはほとんどが、九九%が中小企業です。このトラック運送事業者の皆さん、ドライバーの皆さんは、今、本当に大変な中で仕事をされていらっしゃる。

 例えば、まず交通事故、この推移、統計データを見てみましても、トラック業界が一番多いです。例えば、バスも大変、タクシー業界も大変と言われております。でも、トラック業界が一番多い。しかも、事故を起こした場合には死亡事故につながりやすい。事故一件当たりの死亡、トラックは〇・四一、バスが〇・一六、ハイヤー、タクシーが〇・一三。つまり、事故を一番起こしやすいのがトラック業界で、また、重大事故にもつながりやすいのがトラック業界だと言われています。

 では、このドライバーの皆さんの置かれた環境はどうかといいますと、過労死のデータ、労災認定のデータを見てみますと、脳と心臓疾患、データがあります。これは十万人当たり、トラックがまた断トツです、ほかの全職種と比べて。全職種の平均データが〇・七三、ところがトラックは四・四八。平均が〇・七三で、トラックが四・四八ですから、これは異常な数字になっています。こうしたドライバーの皆さん、本当に事故も多くて、また過労死も多い、過酷な中で仕事をされているわけです。

 そこで伺いますが、こうした状況、国土交通省はどのように認識されていらっしゃるんでしょうか。

田端政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御指摘ございました、トラック業界におきます労災あるいは交通事故の発生でございます。

 死亡災害につきましては、厚生労働省の統計によりますと、二十五年におきまして百七件ということ、あと、脳、心臓疾患あるいは精神障害の労災認定も二十四年においては百三件発生しておりまして、他業種と比べて依然として高い水準にございます。

 国交省といたしましては、過労運転防止の基準としまして、厚生労働省のいわゆる改善基準告示を準用しております。きちっとした乗務記録の管理、運行記録計の義務づけなど、この基準の遵守の徹底を図っているというところであります。

 また、脳、心臓疾患などについての、こういう体調の急変に伴う事故が懸念されますので、本年四月、健康マニュアルの改定を行って、対策の強化を進めているところでございます。

 交通事故について、二十五年には二万二千四百六十二件という大きな数が発生をしております。これにつきましても、スピードリミッターあるいはアルコールチェッカーなどの義務づけなど、こういう対策を実施してきております。発生件数は順調に減少傾向にございますが、引き続き、対策を講じていきたいと考えております。

伊佐委員 たしか今、国交省でもさまざま対策はしようとしていただいている。マニュアルをつくったりとか、さまざまされていますが、そもそもこの根本的な原因は何か。一番大きな原因の一つは、トラック業界の抱える多層構造というものにあると思います。

 どういうことかと申しますと、まず、平成二年に物流二法というものが施行されました。その中でさまざまな規制緩和がなされて、トラック運送事業に参入する基準が大分引き下げられた。参入が簡単になりました。運賃も許可制から届け出制に変わった。結局どうなったかというと、たくさんの事業者が出てきて、過当競争が始まってきた。

 平成二年、この物流二法施行当時は、三万六千の事業者がありました。三万六千が現在は六万三千です。倍近くにふえています。でも、実は、トラックの台数というのはほとんどふえていないんです。当時九十万台だったのが今は百七万台。一割近くしかふえていない。つまり、事業者は倍になったのにトラックはほとんどふえていない。

 これはどういうことかというと、物すごく小さい事業者がたくさん出てきた、たくさん分かれていったということになります。この結果として起こってきたのが多層化構造です。つまり、元請、そこからさらに一次請、二次請、三次請、どんどん下に流れていくというような状況です。

 これは、建設業でも多層化構造と言われていますが、実は、トラックの世界は建設業よりひどいです。なぜかというと、私が地元で聞く限りでは、七次請とか八次請ぐらいまであるというような状況を伺っています。本人自身も自分が何次請かわかっていないというような状況なんです。

 この多層化構造の中での鍵は何かというと、水屋という言葉があります。水屋というのはどういうことかというと、自分は何も運ばないんです。仕事を受けて、それをほかに振る。電話一本で仕事を委託する、丸投げするという事業者がいる。ここで一部ピンはねして中抜け構造というのをつくっているんです。これが水屋です。この水屋の存在が挟まれば挟まるほど、下請で、最後ハンドルを握るドライバーの皆さんは、当然、一番賃金をたたかれていくわけです。これをどうするか。

 それで、水屋、つまり丸投げのことですけれども、これは実は建設業では禁止されているんです。丸投げは禁止されている。ところが、トラック業界では禁止されていないんです。この理由は、なぜでしょうか。

田端政府参考人 お答えいたします。

 建設業におきましては、建設業法の第二十二条におきまして、一括下請負の禁止がなされております。この趣旨でございますけれども、注文者の建設業者の選択にかかわる重要な要素として、工事の施工の全般にわたる信頼性がございますが、一括下請負はこの注文者の信頼に反するものであること、また、一括下請負を容認いたしますと、商業ブローカー的な不良建設事業者の輩出を招くことにもなりまして、健全な建設業の発展が阻害される懸念があることとされております。

 建設業におきまして注文者の信頼が重視される理由といたしましては、建設工事においては、施工された建築物が将来にわたって存在するため、引き渡しを受けた時点では、将来の劣化など、その品質を完全には判断できない場合があることが考えられます。

 これに対しまして、トラック運送業におきましては、輸送サービスは、運送が終了した時点でその品質が判断できるものであるため、一括下請負の禁止により発注者を保護せずとも、発注者が運送の結果によりまして品質を判断し、トラック運送事業者を選択することが可能であるという点が建設業と異なる点であると考えられます。

伊佐委員 私は、今の答弁、余り納得ができません。なぜかというと、今の答弁というのは、建設業というのは信頼性が大事だと。でも、トラックだって私は一緒だと思うんですね。ちゃんと時間どおりに運ぶか、事故はないか、同じだと思います。

 建設業界も、なぜ丸投げを禁止したかというと、多層化構造になることをできるだけ避けようとしたはずなんです。ところが、トラックも同じようなことが起こっているんです。だから、今、トラック業界の多層化構造を改善するためには、水屋の存在、丸投げの存在というものに何らかの対応が必要だと私は思っておりますので、引き続き求めてまいりたいと思います。

 次に、ではドライバーの皆さんの賃金はどうなっているかということです。

 トラック事業者の皆さんは、運賃を届け出をしています。これはあくまで事後届け出。この届け出の運賃というのは何かといいますと、本来受け取るべき妥当な賃金というものを届け出をしている。これは、例えば、車両維持費に幾らかかるかとか、あるいはドライバーの給与は幾ら必要かとか、こういうものを積み上げる。積み上げて、これぐらいの賃金が必要です、これを届けているわけです。

 そうすると、当然妥当な賃金のはずなんですが、今現場で起こっているのは、この届け出の運賃と実勢の運賃、本当にもらっている運賃、ここに乖離が出てきているわけです。この乖離は、当然、自由競争の中ですので、ある程度の乖離は確かにあるかもしれません。ただ、これは実際どれぐらい差があるのかというのが問題だと思います。

 私がいろいろなデータを調べてみますと、ある研究では平均二〇%ぐらい差があるというデータがあったりとか、地元で聞くのは、実勢運賃と届け出運賃は半分ぐらい違いますというんです。七次請、八次請までいくと全く違いますと。

 この実勢運賃、届け出じゃなくて、実際どれぐらいかということを把握のために、国交省はこれまで調査を行ったことはあるんでしょうか。

田端政府参考人 お答え申し上げます。

 国土交通省といたしましては、全日本トラック協会と協力いたしまして、トラック運送事業の運賃・原価に関する調査を行い、平成二十三年九月に報告書をまとめております。

 この調査報告書においては、運送原価や運送収入が車両ごとに多様であること、ただいま御指摘のとおりでございまして、一方、トラック運送業の営業収支率は平均で九九・五%と〇・五%の赤字でございますが、経常収支率では平均一〇〇・九%と〇・九%の黒字となっていること、こういうことの結果が示されております。

伊佐委員 先ほど局長から答弁いただいたのは、この報告書だと思います。この報告書に、国交省が行った調査の結果、今おっしゃっていただいたのは、いや、実はそんな大したことないじゃないかという結果になっているんですね。赤字になったとしても〇・五%ぐらいですよねと。

 現場で私が聞いていることと何でこんなに違うのかといいますと、実は理由は簡単なんです。この報告書の調査の対象になった人たちのデータもここに入っています。それを見ると、ほとんどが、まず荷主から直接受けている元請、これが六〇%、さらにその下の一次請、ここまでで九三・五%。つまり、ほとんど、この調査対象の人たちは、九割以上が一次請、川上の人たちなんです。四次請以下の人というのは、実はほとんどここのデータに反映されていません。

 でも、実際は、私が申し上げたように、ほとんどが七次請、八次請まであるというのが、今のトラック運送事業者の状況なんですよ。だから、本当に現場で何が起こっているのか、実際何次請まであって、中抜き構造がどうなっていて、川下では一体何が起こっているのか、ここをしっかりと、きちんと調査していただきたい。

 これは以前から国交省にお願いをしておりますが、現状について、お答えいただければと思います。

土井大臣政務官 先生御指摘いただきましたように、国土交通省といたしましても、この多層構造の適正化に向けて実態把握を進めるという形で、現在、全日本トラック協会と連携しつつ、実態を的確に把握できるような調査方法の検討を行っているところでございまして、今後速やかに調査を実施してまいりたいと考えております。

伊佐委員 ありがとうございます。

 今、調査に着手、新たに再度着手していただいているということですので、ぜひ実態を把握していただきたいと思います。

 本当に今、現場で何が起こっているかといいますと、先ほど申し上げた過当競争の中で、しわ寄せが全部現場に来ているんです。

 例えば、長距離を寝ずに運んで、最後に現場で荷物を引き渡すときにも、荷受けさんから、では棚卸しまでやってくださいと言われて、必死で現場で荷物を運んでいるとか、あるいは、荷主の都合で積み荷の準備ができていなかった、出発の時間がおくれる、ところが、到着の時間というのは変更されないんです。そうすると、超過速度で、かなりのスピードで飛ばさなきゃいけないとか、休憩時間もほとんどとれないとか、こういうような状況になっています。

 一番弱い立場であるドライバーの皆さんにいろいろなしわ寄せが行っている現状、これを何とかしなきゃいけないと私は思っております。国交省もさまざま手は尽くしていただいていると思いますが、ぜひ前向きな検討、この御決意を最後にお伺いしたいと思います。

土井大臣政務官 御指摘いただきましたように、契約にない附帯サービスを荷主から求められたり、トラックドライバーの労働時間にしわ寄せが来ているという状況を改善していくということは大変大切だというふうに認識をいたしております。

 このため、先ほどから先生御指摘いただいておりますように、まず、多層構造の弊害の解消に向けて、適正な取引の確保や安全阻害行為の防止のための、取引の書面化等を推進しているところでもございます。

 また、今後、多層構造の実態把握を行った上でさらなる検討をいたしてまいりまして、このようなことで、トラックドライバーの労働環境の改善に向けて、一層取り組んでまいりたいと考えております。

伊佐委員 ありがとうございました。以上、終わります。

梶山委員長 次に、佐藤英道君。

佐藤(英)委員 おはようございます。公明党の佐藤英道です。

 最初に、北海道の道路の問題について御要望を申し上げたいと思います。これまで、地元から何度も何度も要望を受けておりました北海道縦貫自動車道の士別多寄―名寄間、そして横断道の陸別―小利別間の凍結解除についてでございます。

 北海道の名寄市の以北から旭川への救急搬送件数がおよそ倍になったことや、二〇〇六年にふるさと銀河線が廃線となり、足寄と北見の間がバスでこれまでの一・四倍の所要時間になったことなどを踏まえて、今鋭意御検討をいただいていると承知をしているところでございます。

 防災や減災、強靱化の観点からも、地方の自立の観点からも、道路の整備は、BバイCだけでははかれないものがあります。私も、命の道路、ミッシングリンク等、本会議を初めこれまで何度もお訴えをさせていただきましたし、北海道の中村委員や前田委員も、本当に機会あるごとに御主張をされていらっしゃいます。ぜひ、これまでの関係者の御努力に感謝いたしますとともに、今後に向けて、重ねての御尽力をお願いさせていただきたいと思います。

 次に、耐震診断の問題についてお伺いをさせていただきます。

 平成二十七年度末までに、五千平米以上の旅館、ホテル、観光施設の耐震診断結果を、各特定の行政庁に報告を行うと義務づけられているわけであります。国民の命を守るという観点から、私も、大変に大切な、また重要な施策であると思っております。ところが、私の地元北海道の観光関係者から、お困りの声、不安の声が実は寄せられました。

 北海道の旅館やホテルは、基本的に広い施設が多く、東京圏などとは違い、今回の耐震診断の報告義務が課される割合が非常に高くなっているわけであります。そうしたこともありまして、報告義務はもちろん大事なんだけれども、報告結果を公表されたときに、事実と違う内容が出たり、改修前の情報が風評のようになって客足を遠ざけてしまうなど、経営を直撃するような事態が起きないだろうか、地元ではやはり大変に心配される方も非常に多いのも、実は事実でございます。

 そこで、耐震診断の結果の公表について、当然、診断結果がよくなければ直ちに改修を行うべきと思いますけれども、この公表のあり方については、やはりより慎重に進めていくべきではないかと私は考えております。また、あわせて、改修促進のためのさらなる充実策について、まずこの二点について御見解をお聞かせいただければと思います。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のように、昨年改正されました耐震改修促進法におきまして、平成二十七年末までに、旅館、ホテル等、五千平米以上のものについて、耐震診断をしていただいて報告をいただくということになってございます。

 これは公表するところの問題が一番デリケートな問題だという御指摘だと思います。迅速に取り組まれた方が不利にならないように、昨年の法改正のときの御審議も踏まえまして、診断結果は建物の用途ごとに一覧にして、全部が出そろうまで出さないという意味でございますが、行政庁ごとにそういうふうな公平な扱いをするようにしたところでございます。

 また、事実と異なる内容が出るということはあってはならないんですけれども、例えば公表後に耐震改修がなされたようなこととか、そういう変化についてはしっかり公表内容を更新していただいてフォローするようにというふうに考えております。

 旅館、ホテル、全国で六百二十三件がこの診断義務の対象になるということで、北海道はその中の七十六件でございました。そういう意味では割合は非常に高いですけれども、道庁、札幌市から見て合計で七十六件でございますので、一件一件の状況をしっかり把握した上で対応していただくようにお願いをし、また、私どもとしましても、道あるいは市を通じて、そういう情報をいただきながらしっかり対応してまいりたいと思います。

 補助につきましても同様でございまして、昨年来、各行政庁を回らせていただいて、耐震診断の補助は大体出そろいました。問題は改修でございますが、これは診断をしてみないとわからないので予算が組めないというような事情もございます。これからが大事な時期だと思っていますので、引き続きしっかり働きかけをして、最後の一件までフォローできるようにやってまいりたいというふうに思っております。

佐藤(英)委員 ありがとうございます。ぜひ前向きに御検討をお願いしたいと思います。

 次に、自動二輪車、バイクについて質問させていただきます。

 私の地元北海道は、ライダーにとっては特別な場所でございます。この六月、観光シーズンに入りまして、夏場を中心に、雄大な北海道を何日も移動しながら観光するのは大変に気持ちもよく、全国のライダーの憧れの地となっております。そもそも、北海道そのものが観光に大変に力を入れておりますので、一人でも多くのライダーに北海道を訪れてほしい、私もそう願う一人であります。

 そこで、国土交通省さんに調べていただきましたところ、北海道においても、函館や白老、千歳など、いわゆる観光振興上大変大切な地域の一部でバイクの駐輪場が不足しているというのが明らかとなりました。北海道は広いから、どこでもとめられるんじゃないかという方もいらっしゃるのでありますけれども、当然路上駐車は違反であります。現行の道交法に沿うよう、駐輪場の整備をしっかりと進めてまいるべきではないかと思うのでございますけれども、御見解をお聞かせください。

石井政府参考人 お答えを申し上げます。

 今、バイクの駐車場の件でございますが、平成十八年に駐車場法の改正を行いまして、バイクについても附置義務の制度が設けられました。また、このような整備を行う自治体に対しても財政的支援を行っているところです。あわせまして、なかなかバイクだけの駐車場をつくるというのが大変なものですから、自動車駐車場であるとか駐輪場でのバイクの受け入れを要請しているところでございます。

 こうした取り組みで、全国で見ると、平成十八年と比べて二十四年までの六年間で、全国で二百四十九から千二十四へ約四倍、また駐輪場での受け入れも千六百八十七カ所まで進んでいるということで、先ほど北海道ではどこでもとめていいんじゃないか、そういうわけではないということですが、バイクの取り締まり件数も近年減少傾向にございます。

 しかしながら、議員御指摘のとおり、北海道では特に、夏場を中心にツーリング需要が高まる観光地ではバイクの駐車場が不足をしているということでございます。また、駐車場法の改正をしたんですが、北海道では、残念ながらまだ附置義務の駐車場条例はつくられておりません。

 こういう中で、今後、バイクの駐車場の供給が促進をされるように支援を一層進めるとともに、実は札幌で中央区で十二カ所の実例がございますが、冬はバイクが余り使われませんので、夏場だけ自動車や自転車駐輪場にバイク用のスペースを設けるということが進められております。これは非常に有効な手だてでございますので、このような実例を他の地方公共団体にも周知をして、夏のツーリング需要にしっかりと応えて、北海道の観光振興に支援をしてまいりたい、かように考えております。

佐藤(英)委員 ありがとうございます。

 北海道にとっても観光シーズンを迎えましたので、多くの方々が喜んでいただける環境づくり、ぜひとも御協力をお願いしたいと思います。

 次に、軽二輪車と普通二輪車について、国交省は車両法に基づく検査や届け出を所管しておりますことから、現在、総務省、経済産業省と、来年度の税制改正の動き出しに向けて、さまざまな検討を開始していると伺いました。

 昨年十一月の平成二十六年度の税制改正で、軽自動車税の引き上げが決定をされまして、これに伴い、二輪車にかかわる軽自動車税も引き上げられることになったわけであります。ただし、四輪の軽自動車が平成二十七年度以降の新規購入車から対象となったのに対し、バイクの方は、新車も既存車も一律に来年度から引き上げとなるわけであります。

 軽自動車同様、バイクについても、原付などを中心に、生活の足としての機能を果たしていることに鑑みて、私はやはり、ぜひともさらなる緩和措置をお願いしたいと考えております。国土交通省と総務省から御見解をお伺いしたいと思います。

田端政府参考人 お答え申し上げます。

 二輪車につきましても、四輪の軽自動車と同様に、新車のみを軽自動車税の引き上げの対象とする場合には、新車、既存車の把握が必要となります。

 現在、二輪の小型自動車、いわゆる小型二輪でございますが、これにつきましては、自動車検査制度の対象となっておりまして、初度検査年月が記録されておりますから、新車、既存車の把握に当たりまして当該記録を活用することが可能でございます。

 一方で、二輪の軽自動車、軽二輪でございますが、これにつきましては、登録車や三輪、四輪の軽自動車と比べて車両構造が簡易でありまして、整備不良によります事故件数も少ないことから、自動車の検査制度の対象外となっております。このため、初度検査年月が記録されておりませんので、この記録を活用した新車、既存車の把握ができないこととなっております。

 一方で、軽二輪については、道路運送車両法上、使用者が点検整備を履行し、自動車メーカーにおいてはリコールの対応を行う車両対象となりますので、この制度の適切な運用をするために届け出制をとっているところであります。

 こうした軽二輪の届け出制度の活用の可能性につきまして、必要となる環境整備、あるいはこれに伴うコスト等も勘案しながら、関係省庁と検討を行ってまいりたいと考えているところでございます。

平嶋政府参考人 お答え申し上げます。

 佐藤先生から今お話がありました中で、一点つけ加えさせていただきますと、軽四輪に関しましては、新車からの適用という新しい税率の問題もございますが、その一方で、十三年超経過した車については、軽四輪については省エネ法の対象となっていることもございまして、標準税率から二〇%の重課を課すこととなっております。その重課を課すこととの関係で新車からのということとしておりますので、その点について十分な検討が必要であるというように考えております。

 二輪車につきましては、その一方で、省エネ法の燃費基準の対象となっていないということもございますし、また、今回の引き上げについては、原付につきましては、徴税コストとの関係ということもあって引き上げをお願いしているということもございます。

 そのようなことでございまして、現在、原動機付自転車と軽二輪車について、与党税制協議会で、新規車両と既存車両、それから、経過年数による政策的課税というのを可能とする方法ができるかどうか、今、三省庁で検討させていただいているところでございまして、それについては、今国土交通省の方から御答弁があったとおりでございます。

 以上でございます。

佐藤(英)委員 では、最後の質問でございます。

 北海道白老町に整備予定の民族共生のための象徴空間についてお伺いします。

 このアイヌの方々の象徴空間の整備については、北海道で初の国立博物館が設置されるという点、さらに、現在全国の大学で保管されておりますアイヌの方々の御遺骨のうち、遺族に返還することが困難な御遺骨について、尊厳ある慰霊を行える施設が整備されるということで、アイヌの方々は大変に心から喜んでおります。

 また、太田大臣におかれましては、五月十日に、白老の民族博物館、象徴空間の建設予定地を実際にごらんいただきました。また、五月十四日には、アイヌ協会の加藤理事長からの御要望もお受けをされたわけであります。

 近々この象徴空間整備について閣議決定されると伺っておりますが、その意義と、アイヌ政策推進会議の作業部会が取りまとめた整備及び管理運営手法について、その具体的な内容についてお伺いをさせていただきたいと思います。

太田国務大臣 アイヌ文化復興等のナショナルセンターであります、民族共生の象徴となる空間につきましては、昨年九月に開催されましたアイヌ政策推進会議において、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック東京大会に合わせて整備を進めるという方向性が示されました。極めて重要だということを私は認識しております。

 国立の民族共生公園の整備を図ることや、あるいは、大学に保管されているアイヌの人々の遺骨の集約、管理に取り組む必要があるものというふうに考えておりまして、この整備に向かいまして、閣議決定ということも含めまして、これから力を入れて、国交省としましても積極的に役割を果たしていきたいというふうに思っているところでございます。

佐藤(英)委員 ありがとうございます。終わります。

梶山委員長 次に、杉本かずみ君。

杉本委員 みんなの党の杉本かずみであります。

 通常国会最後の質問の機会かと思いますが、できる限り、お国のためにお役に立つ質問をしたいと思っております。

 冒頭、実は私の地元、あそこに長坂衆議院議員もいらっしゃいますが、我々の地元の木曽川で事故がございました。一昨日、中学生一名、小学生二名、合わせて三名のとうとい命が失われました。若い命であり、将来がある命であります。

 実は、同じような事件が、二〇一二年の七月三十日、二年ほど前にも、中学生四名が溺れて、そのうち三名が亡くなるということが、同じく木曽川で、今回の事件の起きた少し南ですけれども、同じような場所で起きております。

 地元の漁業協同組合、川ですから、アユとかをとっておられる方々の御意見を聞くと、実は上流に堰があって、その堰ができている関係で、川底を流れていく小石がきれいに川底を形成するということができなくて、どうしても深みができてしまう。これが実態で、それで、浅いところで水遊びをしている感じだけれども、急に深みにはまって命を失う、そういうようなことが起きているということなんです。

 ちょっときょうはお願いだけにとどめるんですけれども、木曽川のような一級河川、本当に、少子化の中で、若い命、将来のある子供たちが命を失ってしまうということは非常に残念のきわみでございますけれども、よく我々が子供のころも、今もあると思うんですけれども、危険とかあるいは遊泳禁止とか、こういった表示をやはり徹底していただく必要があるというのが、この国土交通行政ではないかなというふうにも思いますし、一方で、やはり子供たち自身が命の大事さを認識していただくという意味では、文部科学行政で、道徳教育なのか命の教育なのか、そういったことを徹底していただくことによって、一級河川に限らずですけれども、こういった事故を減らせるということなので、地元のとうとい命が失われたことを一つの奇貨として、さらに我々は気を引き締めて、命を大切にするということで、与野党問わず力を合わせてお願いしたいということを申し上げたく存じます。

 次に、きょうは命というテーマで質問させていただこうと思っていまして、問題意識としては、認知症等の疾病などによって徘回をする高齢者がふえているという実態があると思います。このような現象の結果として、鉄道の人身事故あるいは交通事故が起きて社会問題化しているということで、最近はマスコミが取り上げることが多くなっております。認知症徘回、こういった問題で取り上げられることが多いと思いますけれども、この事故を減らすこと。そして、高齢化社会に応じた地域づくり。国が府省の垣根を越えて、そして地域、都道府県、市区町村、あるいは民間、NPO等の連携を強化することでさらなる取り組みをしていく必要があるというふうに考えているわけなんです。

 そこで、またこれも私の地元愛知県の事故の事例を参考に、この認知症の問題等の絡みを質問させていただきたく存じます。

 まず、鉄道事故でございますが、平成十九年十二月七日夕刻に、私も利用しております東海道線の共和駅構内で人身事故が発生したということがありました。この概要と、その後、御遺族とJR東海さんとの間で訴訟、そして累次判決が出ているかと思うんですけれども、この状況を政府がいかに把握していらっしゃるか、どういう問題意識を持っておられるか、確認させていただきたく存じます。

滝口政府参考人 JR東海からの報告によりますと、平成十九年十二月七日十七時四十七分ごろ、東海道線の共和駅構内におきまして、この駅を通過中の列車の運転士がホームの進行方向の先端あたりの線路内に人が立ち入っているのを発見し、非常停止をするとともに非常汽笛を鳴らしましたが、この方に衝突をし、お亡くなりになった事故というふうに承知をいたしております。

 なお、訴訟関係、これはいわゆる民事訴訟でございますので、行政としてその詳細を把握する立場にはございませんが、報道によりますと、平成二十二年にJR東海が御遺族に対し約七百二十万円の損害賠償を求めて名古屋地裁に提訴し、二十五年八月に七百二十万円の賠償を命じる判決があった。さらに同月、御遺族が名古屋高裁に控訴をし、二十六年四月に御遺族に対し三百六十万円の賠償を命じる判決があった。さらに五月にJR東海及び御遺族が最高裁に上告をした。こういったような経緯であるというふうに承知をしております。

杉本委員 ありがとうございます。

 そのようなことが起きて、今回の金額が一番大きく報道されていますし、意外と請求をしないようなケース、区々で、個別の事案ごとにこういった訴訟が起きることは余りなくて、和解が成立するようなことが多いようなんですけれども、ちょっと特徴的であったのでお話を賜りました。

 それで、鉄道事故について全体的なお話を伺いたいんですけれども、人身事故の件数、うち高齢者の事故件数、もし把握できれば認知症事案といったものを教えていただきたく存じます。

 私が把握しているのは平成二十四年度の鉄道事故で、八百十一件、死者二百九十五人といった数字なんですが、これが直近、最新の数字という認識でいいかどうか。

 認知症患者の事故に関する統計があるかないか。ない場合は、高齢者というような区分をした場合に何歳以上の方が何人いるか。こういった、把握できる範囲で、国交省さんが今わかっている状況を教えてください。

滝口政府参考人 私どもが鉄道事業者から、いわゆる鉄道事故ということに対して報告を求めているものにつきましては、認知症患者に特定したといったような報告あるいは統計はまとめておりません。

 なお、鉄道事故全体の最新のものは、ただいま委員御指摘の平成二十四年度のものでございまして、件数あるいは鉄道人身障害事故件数、御指摘のとおりでございます。

 なお、この中で七十五歳以上の方がかかわったもの、巻き込まれたというものは、鉄道人身障害事故のうち七十五歳以上の方が巻き込まれたものといたしましては、事故件数は五十七件でございます。なお、死者の方は三十五名ということになっております。

杉本委員 どうもありがとうございます。

 七十五歳以上は五十七件、そのうち三十五名の方が亡くなっているという確認をさせていただきました。

 次に、認知症による事故の把握の仕方、改善の余地があるのではないかなというような視点から質問をさせていただきます。

 事故報告規則というのがあるようで、これにより、月に一度、前の月の報告を受ける形で状況を把握しておられる。それで、備考欄で詳細を把握するということのようなんですけれども、その理由として、鉄道各社のコンプライアンスがあったりして、なかなか詳細を、その備考欄で書いてあること以外わかりにくいというようなことを伺いました。

 国土交通行政としては、どちらかというと、徘回だとかいろいろなことがある中で事故が起きてしまうということで、受け身の立場ではあるものの、これは社会全体の問題であり、国全体の問題として、ここの部分を少しクローズアップして、今後の高齢化社会に備えるべきかというふうに私は考えるんですけれども、認知症との因果関係をもう少し詳しく知るというような方向感はございませんでしょうかということを伺いたいのと、現状の報告の方法は運転事故等整理表というもののようなんですけれども、これはいかなるような形式になっていて、そこに改善の余地、方策はあるのかないのか、このあたりを教えていただきたいと思います。

滝口政府参考人 最後の御指摘の点、運転事故等整理表について、制度でございますので私の方から事務的に御説明を申し上げます。

 これは、鉄道事故等報告規則に基づきまして、鉄道事業者から報告された事故の概要の情報を国土交通省において整理いたしたものでございまして、管轄いたします運輸局名等々、事業者名等々、そして最後に事故の概要がございますが、最後に備考ということで、この事故に関して参考となる事象が記入される、こういったようなものでございます。

土井大臣政務官 国交省といたしましては、事故報告規則に基づきまして、鉄道事業者から報告を受けているところであります。

 御指摘の認知症患者に関する情報につきましては、個人情報であることから鉄道事業者においても情報の入手が困難であるという事情があり、これまでもその旨の情報を入手した場合に参考として記載をしているものもございます。

 近年、認知症の人々が、地域で支え、暮らすために取り組みが必要だと認識をいたしておりまして、これを踏まえて、鉄道分野におきましても、平成二十六年四月以降、個人情報という制約はありますが、事故の死傷者が認知症との情報が関係者等から得られた場合には、その旨の記載をして報告するよう鉄道事業者に周知をいたしているところでございます。

杉本委員 土井政務官、ありがとうございます。

 ここの部分の周知徹底を、個人情報なのでという難しさは私もわかりますが、一方で、やはり全体として把握して、社会現象としてどう国が取り組むかということは極めて重要だと思いますので、周知徹底を図っていただいているということ、さらに強めていただくことをお願いしたく存じます。

 次に、運転事故等整理表で、一概に自殺とは言えなくて、たまたま目まいがして線路におっこっちゃって、そして命を失うというような事案もあると思うんですけれども、そういった人身障害というんですかね、そういう区分が、この運転事故等整理表では、人身障害というくくりではなくて輸送障害に分類されるというふうにちょっとレクでお話を伺ったわけでございます。そして、三十分以上の遅延を生じない輸送障害は報告義務がないというふうにも伺っておりますけれども、こういったことは事実なのかどうか。仮にそれが事実だったとする場合に、平成二十五年に輸送障害に分類され報告されなかった人身事故は何件あったか、確認をさせていただきたいと思います。

滝口政府参考人 まず、私どもが鉄道事故報告として報告を求めておりますものは、例えば、列車の衝突であるとか、脱線であるとか、踏切事故であるとか、あるいはホームからの転落であるとか、こういったような、いわゆる鉄道がいろいろな要素から成り立っておりますが、こういった各要素のシステムに関係する事故というものにつきまして報告を求めておりまして、これに対する安全対策などを検討するといったようなデータベースにしているところでございます。このため、自殺そのものについて、現在、この事故報告の対象としていないというところでございます。

 一方、列車の安定的な走行ということからいたしまして、原因を問わず、何らかのトラブルがございまして三十分以上旅客列車が遅延した場合には、安全という点よりは、むしろ安定的な輸送機能の確保という観点から、輸送障害として報告を求めているところでございます。

 委員御指摘のように、自殺があった場合には三十分以上おくれるということは当然あるわけでございまして、そういった場合には、自殺ということがわかっている場合には、原因として自殺者による輸送障害というような形で報告されます。もちろんそれ以外の、例えば車両のトラブルということに伴う輸送障害などもあるわけでございまして、この輸送障害は自殺だけに限ったものではございません。

 なお、輸送障害として報告された中で、自殺が原因だというふうに報告がありましたものは、二十四年度で六百三十一件でございました。

杉本委員 意外と、今伺って六百三十一件もあるということは、逆にちょっと驚いたんですけれども。

 いずれにしろ、この運転事故整理表、本来の趣旨というのもわかるんですけれども、いろいろ工夫をしていただく中で状況を把握していくようなことをお願いしたいということを申し上げておきたいと思います。

 次に、認知症関連の徘回というような問題に関連して、道路行政ということになるので、実際、事故等の把握というのは警察庁さんになるかとも思うんですけれども、警察庁さん並びに国交省さんに状況を伺いたく存じます。

 交通事故の方でいきますと、数字を申し上げますが、高齢者というくくりでいくと、平成二十五年中で見ると、交通死亡事故のうちの内数で、六十五歳以上は五二・七%、全体で四千三百七十三件のうち二千三百三件が六十五歳以上。これもまた内数になっていくと思いますが、七十歳以上は四四・一%、千九百二十九人。七十五歳以上は三三・二%、千四百五十一人。八十歳以上、二〇・四%、八百九十三人。全体が四千三百七十三という数字でございます。

 ここ数年というか、ここ三年間、平成二十三年、四年、五年という三年間を見ると、六十五歳以上、七十歳以上、七十五歳以上というくくりをどこでくくって見ても、その数はふえているという感じがあるかと思うんですが、そういう認識でよろしいかどうか、これは高齢化に伴う高齢人口の増にかかわることなのかどうか等、ちょっとこの数字の傾向値を確認させていただければと思います。

倉田政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねの、平成二十三年から平成二十五年までの過去三年間の各年齢層の交通事故死者数の推移でございます。

 六十五歳以上で、平成二十三年は二千二百九十一人、平成二十四年は二千二百六十四人、これは前年比ではマイナス二十七人でございます。平成二十五年では二千三百三人、これは前年比ではプラス三十九人でございまして、やや増加傾向。

 また、七十歳以上でございますと、平成二十三年は一千九百四十九人、平成二十四年は一千九百三十人、これは前年比でマイナス十九人、平成二十五年は一千九百二十九人、前年比ではマイナス一人でございまして、やや減少傾向。

 七十五歳以上でございますと、平成二十三年では一千四百八十人、平成二十四年では一千四百八十八人、これは前年比ではプラス八人でございます。平成二十五年では一千四百五十一人、前年比ではマイナス三十七人でございまして、やや減少傾向となってございます。

杉本委員 ありがとうございます。

 くくり方によっては、ちょっと減少というようなところもあるんですが、全体としては、やはり高齢者の事故の比率というのは引き続き高いという認識を私はさせていただきたく存じます。

 次に、徘回、認知症というようなくくりというか、そういうイメージで伺いたいんですが、自分の名前、そして、時間であるとか場所がわからずの状態が続き、道路を徘回していた、こういうような定義というのがいわゆる認知症というような状態かと思うんですけれども、こういった方の死亡事案、数値は六十五歳以上の中のくくりとして何人ぐらいが該当するか、この数字はございますでしょうか。

倉田政府参考人 お答えいたします。

 認知症に特定した徘回高齢者の交通事故死者数というものは把握はしてございませんが、平成二十五年中に、六十五歳以上の高齢者で、病気等によりまして自分の名前や時間、場所、自分の行動がわからない状態が長く続く症状によって道路を徘回していた、歩行中の交通事故死者数につきましては、六十八人というふうになってございます。

杉本委員 倉田局長、ありがとうございます。六十八名ということを伺いました。

 次に、国土交通行政にかかわることかと思うんですけれども、いわゆる認知症徘回というようなことにくくれるかどうか、別の病気もあるかもしれないんですけれども、高速道路に立ち入ってしまうというような歩行者や自転車が近時ふえているのかどうかわからないんですけれども、こういったところの最近の数と傾向を教えていただければと思います。

徳山政府参考人 高速道路会社が高速道路上や料金所で歩行者や自転車、原動機付自転車の立ち入りを確認あるいは保護した件数は、平成二十五年で二千九百六十五件となっております。

 まず、立ち入り手段別の内訳でございますけれども、歩行者が千六百五十九件で五六%、自転車が四百七十六件で一六%、原動機付自転車が八百二十三件で二八%を占めておりまして、歩行者が過半数になっておるという傾向でございます。

 また、立ち入り者の年代別内訳は、このうち年代が判明した二千九十件を分析しますと、二十代以下が六百六十五件で三二%、三十代から五十代がまとめて五百三十件で二五%、六十代以上が八百九十五件で四三%となっておりまして、比較的高齢者も多うございますけれども、一方で二十代以下も三割以上を占めるという傾向を呈しております。

 これら年間約三千件の立ち入りについては、料金所等で食いとめたものがほとんどでございますけれども、事故にまで至ったものは、同じく平成二十五年で、死亡事故が四件と人身事故二件の計六件となっております。

杉本委員 徳山局長、ありがとうございます。

 意外と数があるんだなと。ただ、幸い、死亡、人身の数は少ないという感じかとも受けとめましたけれども、高齢者、やはり四〇%台の比率で立ち入りがあるということですし、若い方々もということなので、ちょっと若い方は今回の問題と別かもしれないですが、高齢者のことについては引き続き注視をしていただきたいというお願いをさせていただきます。

 次に、厚労省さんに来ていただいていると思うんですけれども、徘回、認知症の実態を改めて確認させていただきたいんですけれども、「“認知症八百万人”時代 行方不明者一万人 知られざる徘徊の実態」、こういうNHKのドキュメンタリーの連続の番組構成があったかと思うんですけれども、この八百万人の数の論拠と、その数字の最近のトレンド、傾向を教えてください。

有岡政府参考人 お答え申し上げます。

 認知症の有病率に関します研究報告によりますと、我が国の六十五歳以上高齢者におけます認知症の方は一五%、正常と認知症の中間状態でございます、いわゆるMCIの方が一三%というふうにされております。

 これで計算をいたしますと、前者につきましては約四百三十九万人、後者、MCIにつきましては三百八十万人と推計されまして、この合計をもって八百万人という報道がなされたものと考えております。

 本研究と類似の内容の有病率調査は過去行われておりませんので、これに基づく傾向というものはお示しすることはできませんけれども、あえて申しますと、平成十五年に研究会で推計した数値、平成十五年に平成二十二年の数値を推計しておりますが、この時点で二百八万人と推計しておりました。

 ただ一方で、現実を見ますと、二十二年、これは要介護認定の過程を通じて把握した数字でございますけれども、先ほども今の数字もそうですが、日常生活自立度二以上の方で見ますと二百八十万人ということで、かなり大きな増加を見せているのではないかと考えております。

杉本委員 有岡審議官、ありがとうございます。

 ちょっと時間がなくなってまいりましたので、少し飛ばさせていただいて、徘回とか認知症に取り組む自治体の先行例、成功例というのがあると思うので、大牟田とか釧路とかいろいろ聞いておるんですけれども、短目に、コンパクトに、先進的な自治体の例を御紹介いただけますでしょうか。

有岡政府参考人 お答え申し上げます。

 いわゆる徘回見守りSOSネットワークと我々呼んでおりますけれども、これの取り組み事例につきまして、二カ所ほど御紹介を申し上げたいと思います。

 まず一つ目が、北海道の釧路地域で行われているものでございますけれども、FM放送あるいはタクシー会社等の交通機関などを活用して、行方不明者を早期に地域全体で発見するシステムを構築しているところでございます。

 もう一点挙げますと、熊本県山鹿市の事例でございますが、これは事前にメール登録を行っていただいた方あるいは事業所の方に行方不明者情報が配信されて、早期発見につなげるシステムが構築されているところでございます。

杉本委員 事例紹介、ありがとうございます。

 この週末も、私、地元でミニ集会をやったんですけれども、先輩から、認知症の徘回について、昔は尋ね人というのがあって、ラジオで、こういう風体のこういう人がいるんだけれどもというようなことをやっていたけれども、最近そういうのは少ないなということだったんですが、今、釧路のケースを言っていただきました。そういうことが全国的に広がることによって、行方不明になるようなケースが起きないことをお願いしたく存じます。

 次に、国全体の、府省を超えての、認知症徘回あるいは事故、こういったものの会議体について確認したいんです。

 厚生労働省主管、内閣府が共管なのか、第一回認知症高齢者等にやさしい地域づくりに係る関係省庁連絡会議というのを開かれていると思うんですが、これは、いついかなる内容で開かれ、いかなる成果を得たか、そして、今後の開催予定、議論の進みぐあいなどを教えていただきたいと思います。(発言する者あり)

梶山委員長 静粛に。

 答弁してください。(発言する者あり)静粛に願います。

 答弁をお願いします。

有岡政府参考人 お答えいたします。

 ただいまの御指摘にありました関係省庁連絡会議でございますが、昨年九月二十六日に開催したところでございまして、この中で、厚生労働省の認知症施策の概要、あるいは各省庁の高齢者施策の取り組みなどにつきまして、意見交換を行ったところでございます。この会議の中で、各省庁の取り組み内容につきまして、今後、共有化を図ると同時に、施策推進のための協力を進めるということを確認したところでございます。

 その後、御案内のように、個別の案件がいろいろ出てきておりまして、この会議を踏まえて連携をしているところでございます。

 現在、認知症による行方不明者や鉄道事故なども課題になっておりますので、今後ともこの会議を開催したいと考えているところでございます。

杉本委員 今の不規則発言について、大変大きな抗議をさせていただきます。この徘回等によって鉄道事故が起きているわけです。そして高速道路には侵入者が出て、四名の死亡事故が起きているわけであります。それをあなたは、不規則発言をされた方はどういう思いでこの委員会に出ておられるのか、改めて理事会で、国会議員として答弁を求めたく存じます。

 次に、大臣が戻ってきてくださっているので、ぜひとも大臣に伺いたい、確認したいんですが、やはり命を大切にする政党であり、平和の党であられる政党から内閣に出ていられるということで、私は非常に重く受けとめさせていただいているんですけれども、都市再生特別措置法の一部を改正する法律案というのが閣法二八、そして地域公共交通の活性化及び再生に関する法律の一部を改正する法律案、閣法二九、この成立によって、高齢者の歩いて暮らせるまちづくりを目指すこととなりました。今次通常国会で議論をさせていただきました。

 これらの法律を施行するに当たり、認知症高齢者の徘回、特に鉄道交通事故、よく聞いてくださいよ、鉄道交通事故対策はいかに取り組まれていくのか。これによって、介護者の徘回に関する監督責任は軽減される方向づけと理解していいのかどうか。また、今、厚労省の審議官から御答弁いただきましたけれども、関係府省横断的な取り組みの意向はいかにお持ちかどうか。与党として、そして公明党さんのお立場も含めてかもしれませんが、命を大切にする、そして、鉄道行政、鉄道事故、道路事故、交通事故、こういった点から、よその委員会ではできない議論でもありますので、そこも含めて御答弁をいただきたく存じます。

太田国務大臣 都市再生特別措置法と地域公共交通活性化再生法、特に都市再生特別措置法では、現実にはこうしたことを想定したものではありません。しかし、認知症をめぐる昨今の状況を勘案しますと、法律の施行ということの具体的な展開の中で、高齢者に配慮するんだとか、バリアフリーはもちろんですが、さまざまな、こうした認知症ということについても、事故の防止をするという観点から含めて考えていかなくてはならないものであろうというふうに思います。

 今、厚生労働省からも説明がありましたけれども、昨年九月に関係省庁連絡会議が設置されて、当然国交省も参加をしているわけでありまして、政府全体としての対策の検討も進められているところでありまして、よく他省庁とも連携をとって研究を進めたいというふうに思います。

杉本委員 今の大臣の御答弁、大変重たく受けさせていただきます。

 関係府省と連携をして、この鉄道事故そして道路事故が減ることを心からお願い申し上げまして、質問を終わります。ありがとうございました。

梶山委員長 次に、穀田恵二君。

穀田委員 私は、またJALの問題について質問します。

 五月三十日の当委員会で、私は、JALの整備で半年で十六回ものトラブルが相次ぎ、簡単に言うと車検に当たるような重整備を五日間ストップさせた問題を取り上げました。大臣は、国交省として、日本航空がこれまでに行った個々の事案に対する再発防止策の実施状況について確認をするとともに、今後、必要に応じて、さらに状況をしっかり把握して厳しく指導するなどして監督を強めたいと答弁しました。

 そこで聞きたいんですが、その後、個々の事案に対する再発防止策の実施状況について確認したのか。今後、状況をしっかり把握して厳しく指導監督を強めたいとも答えたけれども、状況把握はどのように進み、指導監督はどのように強めたのか、まずお聞きしたいと思います。

太田国務大臣 日本航空におきましては、五月十九日から五日間、羽田の整備センターにおける重整備をとめて、関係部門とのグループミーティング等を行ったというふうに承知をしています。

 この措置は、現場で航空機整備に従事する各人に基本動作の徹底を図るとともに、現場の意見をくみ上げて、整備ふぐあいの再発防止を図ることを目的としたと聞いております。

 日本航空からは、この五日間の活動を踏まえまして、安全への信念、決意を全社員で共有する、安全に対する意識改革を図る、この意識面とともに、整備品質を確保するための改善を進めると。具体的にどういうことかということも確認をさせていただきましたけれども、隣の作業員との連携を図っていくんだとか、チームというものの中で考えていくんだとか、あるいは作業手順を変えるということだとか、そうしたことを柱とした是正対策を実施するという報告を受けております。

 国交省としましては、個々の事案に対する是正対策の実施状況について監視をし、これらの進捗状況についても報告を求めることとしております。これらを踏まえまして、引き続き、安全運航のために必要な整備体制が確保できますよう、指導監督をしてまいりたいと思っております。

穀田委員 もう一つ聞きます。

 五日に、今度は、日航でコンピューターシステムでトラブルが発生しています。国内便で百七十四便が欠航するという障害が起こっています。旅客機に載せる貨物のバランスを自動的に計算するシステムでのトラブルということだけれども、原因について国交省はつかんでおられますか。

田村政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の日本航空のシステム障害は、プログラムのふぐあいによりまして、サーバーの中で本来上書きされて消去されるべきデータが消去されずに過去のデータが蓄積され続けたことによりまして、システム全体のスローダウンが生じたことによるものであるというふうに聞いております。

 日本航空におきましては、今後、ソフトウエア開発元よりふぐあいを修正するプログラムを入手し、社内で十分な研修を行った上でシステムに反映させる予定であるというふうに聞いております。それから、その修正プログラムが反映されるまでの間においても、データの滞留状況を常時監視し、復旧手順を関係者間で共有することにより、同様のトラブルを回避する体制をとっているというふうにも聞いております。

 国土交通省といたしましては、再発防止を徹底するよう同社に対して指導してまいりたいというふうに考えております。

穀田委員 このトラブルがどういうトラブルかということも言ってくれなきゃだめですよ。そう言っているんだから、私。

 要するに、機体の重心や荷物の重量を自動計算するシステムなんですよね。こういうことが狂っている。こういう問題が起こったときに、やはりどういう対応ができるかということなんですよね。

 私、何回もこの間質問していますけれども、JALで安全運航を脅かすトラブルが相次いでいる。今私が述べたシステム障害については、手作業での対応を余儀なくされたもとで、どうした対応をするかということなんですよね。これは私、今度、不当解雇で闘っている原告団のそういうパイロットの団長に聞いたんですけれども、すぐにバランス計算できるベテランパイロットがいなくなっているということが一つ大きな原因となっているんじゃないかということを聞きました。

 この間述べた整備のトラブルは、JALの大リストラで整備不足、それからベテラン整備士が少なくなって安全意識や技術力も十分に継承されていないなどが背景にあるんじゃないかということを私は指摘したところであります。安全運航にとってかなめとなるのは、直接運航にかかわる運航乗務員、整備士、それから客室乗務員など、航空労働者なんですね。その熟練した技能、経験を有するベテランの存在が私は大事だと思うんです。日航の、JALの大量人員削減、人減らしが、相次ぐトラブルの背景にあることは明白だと私は思います。

 そこで、先週、JALの不当解雇裁判の控訴審、高裁判決がありました。残念ながら、地裁の判決を踏襲し、原告敗訴の判決でした。

 原告側が、整理解雇が強行された時点で目標とされた必要人員体制が既に実現していたこと、当時の最高経営責任者である稲盛和夫会長が解雇の必要性がなかったことを認めていたこと、これは私も何回か当委員会で指摘しました。ベテラン乗務員の解雇によって安全運航が脅かされていること、労働条件と航空の安全の確保のために頑張ってきた労働組合活動家を直接狙い撃ちで排除し、弱体化を狙った不当労働行為であったことなどを詳細に立証し、解雇の不当性を明らかにしました。

 これらの争点に対して会社側はまともな反証もしなかったにもかかわらず、判決は、原告側の主張、立証を完全に無視して、会社の側の主張のみ採用しています。

 私たち日本共産党は、この判決は、国民の権利を守るべき司法がその本来の責務を投げ捨てたものであって、解雇自由に道を開く、労働者全体への大きな攻撃だと位置づけて、厳しく抗議しているところであります。

 そこで、この問題について少し深めてみたいと思うんですね。

 この不当整理解雇という問題は、JALが経営悪化して再建が検討されてきたときから、私はこの委員会で何度も質問してまいりました。その立場からしまして、どうしても納得できない問題について確認しておきたいことがあります。

 そもそもこの問題は、経営破綻状態に陥ったJALを会社更生法手続によって再生するとしたものであります。そこで、人員削減も必要とした更生計画に基づいて手続が進められたわけだけれども、問われたのは人員削減そのものではなくて、整理解雇までする必要があったのか、整理解雇は人員削減の手段、方法であって、その手段、方法を選ばなければ更生できなかったのかということが問われているわけですね。

 私は当委員会で質問しました。整理解雇に関する問題について厚生労働省からも答弁があって、使用者の経営上の都合による解雇という特徴から、力の弱い労働者を保護するため、会社が好き勝手に解雇権を濫用しないようにするため、人員整理が必要かどうか、解雇を回避したかなど四要件があるということもはっきりしました。述べていただきました。

 会長の稲盛氏は、解雇は必要なかったと裁判でも証言していたのに、更生計画で決めたことだから解雇は必要だと言っているわけですよね。解雇時点では必要削減数は達成していたんじゃないかと原告が詳細な数字を挙げて立証しても、会社は何も反論しなかったけれども、更生計画で決めたことだからと高裁も追認しました。

 改めて確認したいんですけれども、更生計画を幾ら読み返してみても、整理解雇の文字はない。全体の人員を減らすのは記載しているけれども、整理解雇までは記載していないと私は見ているんだが、記載しているかどうか確認したい。

田村政府参考人 お答えいたします。

 国土交通省として確認できる範囲においては、日本航空の更生計画の中に、いわゆる整理解雇という文言は含まれていないと認識しております。

穀田委員 そうなんです。整理解雇なんて書いてないんですよ。

 では、先ほどちょっと言いましたけれども、会社更生手続を選択したのは経営者の側の判断なんですよ。だから、その原因は経営者の失敗にあって、労働者にはそもそも非がないことを忘れてはならない、ここが出発点だということを私は強調したいと思うんですね。

 そこで、答弁のように、更生計画は、全体の人員削減はあっても、当時、グループで、たしか一〇年三月末で四万三千七百十四名でしたか、それを三万二千名台にするという話でした。その手続や方法までは記載していないし、当然解雇の記載はないわけです。会社側は、希望退職などでも人員の削減の目標を達成しなかったから整理解雇に踏み切ったと言われているけれども、そこまでは書いていないわけですね。

 そこで、人員削減を問題にするとすれば、全体数がどうだったのか、ここを明らかにするのは当然なんですね。原告側は、実際の労働者数を示して、全体の削減数は達成していたと主張していたにもかかわらず、その事実はどうかも立証せずに、目標に達していなかったと会社側の言い分を高裁は丸のみにしました。

 こんな事実に反する理屈がまかり通れば、会社が更生計画をつくれば、整理解雇しようが何しようが有効だということになるじゃありませんか。企業がどれほど利益を上げていても、再生、再建に必要だと言いさえすれば幾らでも労働者の首を切れることになる。さらに、経営破綻した会社に限らず、業績悪化を理由に、人員削減を含む再生計画などを会社が立てれば、解雇の必要性が容認され、解雇自由が拡大されるおそれがあるというのがこの判決の持っている意味なんですね。

 経営上の理由による一方的な解雇から労働者を守るための整理解雇法理というのは、根底から形骸化されてしまうことは必定だと私は考えますが、こういった考え方について、大臣の感想、意見を聞きたいと思います。

田村政府参考人 過去の判例に基づき示されております、いわゆる整理解雇の四要件の一つに、人員削減の必要性が挙げられているということでございますけれども、JAL整理解雇に係る一審及び二審の判決におきましては、日本航空の更生計画に基づく人員削減についても、この要件に合致するという判断が示されたというふうに承知をしております。

 いずれにいたしましても、整理解雇の四要件を満たしていたかどうかということは、これは裁判の主要な争点となっていることでございますので、コメントを差し控えさせていただきたいと考えております。

穀田委員 それは困るんですよ。それは、田村局長はコメントを差し控えるかしらぬけれども、政治家としての大臣は、今の流れの中で、会社がそういうことさえ認定すれば解雇できるという事態をつくっていいのかということが問われているんじゃないかということを言っているんですよ。どうですか。

太田国務大臣 政治家としても、これは整理解雇の四要件を満たしているかどうかについては、これは裁判の主要な争点となっておりますので、コメントを差し控えるべきだと思います。

穀田委員 いや、そうじゃなくて、そういうことが論理として生かされれば、そういうことになるじゃないかと。つまり、業績が悪化すれば整理解雇をしても構わないという論理としてなるじゃないか、それはおかしいのと違うかと私は言っているんですよ。

 では、もう一つ聞きますけれども、事実に反することを前提に判断している部分があります。これは国会のやりとりを明らかにしますから、よく聞いておいてください。

 高裁判決は、主要債権者は被控訴人における人員削減施策に特に多大な関心を示しておりとか、整理解雇を実施すると公表しなければリファイナンス契約の締結に応じない可能性が高いなどとしているんですね。そして、管財人の経営判断を合理性が認められると結論づけたわけであります。

 そもそも、銀行等が整理解雇を求めていた事実があるのかということなんですよ。この話でいうと、整理解雇を実施すると公表しなければ応じない、こう言っているわけです。

 では、その銀行等が整理解雇を求めた事実はないと私は断言したいと思うんですね。それはなぜか。私の質問に答えているからですよ。人員削減と整理解雇は違います。銀行等が関心を示したとするならば、人員削減施策であって、その手段である整理解雇までは求めていないんですよ。

 この点について、整理解雇が強行されて間もない二〇一一年三月九日、当委員会で私は質問しました。私が稲盛会長の発言を引いて、「整理解雇は銀行などとの約束だと言っているようだけれども、銀行などが本当にそう言っているんですか。」と聞いたんです。そして、「計画の確実な実施の中に、整理解雇をしろということを言っているのか」ということを質問しました。そうしたら、当時の参考人、企業再生支援機構の常務取締役水留浩一氏はどう答弁したのか。その部分について国交省は読み上げてほしい。

田村政府参考人 ただいま御質問の、二〇一一年三月九日の穀田先生の御質問に対する水留参考人の答えぶりでございますけれども、「個別具体的に整理解雇に対して要望をお聞きしたこともありませんし、先方からそのことについて何かコメントをいただいたこともありません。」というふうに議事録に書いてございます。

穀田委員 私は、それを二回ただしているんですよね。しつこくやったんですよね。

 今、お話あったように、「個別具体的に整理解雇に対して要望をお聞きしたこともありませんし、先方からそのことについて何かコメントをいただいたこともありません。」と言っているわけですね。だから、裁判で使っている話は全くうそだということが、国会の中での答弁で言ったこととの関係でいえば、はっきりしているというふうに言えると思うんですね。

 だから、こういうことがもし通用するとすると、結局、コメントもないわ、銀行も言っていないにもかかわらず、整理解雇しないと銀行などが融資してくれないと判断した管財人の心情をおもんぱかって、その経営判断は合理性があるなどと認めているのが高裁の判決なんですよね。

 そうしますと、事実をゆがめてまで管財人側を擁護する、これでは公正中立な判断が求められる司法の責務を投げ捨てたものと言わざるを得ない。だって、国会でそんな事実はないと言っているわけだから、それをしんしゃくして勝手に判断するなどというのは全く許せないと私は思うのであります。

 しかも、債権者の賛成票を得なければということを理由にして、いわば銀行の、そういう更生計画を認める際に、そういうことを出さなければ賛成票がふえへんなんていうようなことを平気で言っているんですよね。それは事実にも反しているということを今言いましたけれども、やはり、希望退職募集によって大幅な人員削減の実行が行われた。

 そして、当時、皆さんは御存じないかもしれませんけれども、二〇一〇年の十月時点での収益の見込みは、当初の六百億円をはるかに超えた利益が上がるということは確実だと言われていた。だから、最高益に達する経営の実態もあったということからしても、そういうことは成り立たないということを私は言っておきたいと思うんですね。

 そこで、ではもう一つ言いますけれども、この問題はそれだけにとどまらない問題がある、こういう判断は深刻な問題をはらんでいると言わなければなりません。

 銀行から整理解雇の要求はなかったのは事実だけれども、会社が整理解雇したいとき、事実でなくても銀行が要求しているからという理由さえつければ整理解雇が認められることになるわけですね。だって、国会でそういうことはないと言っていて、しかし、裁判所ではそういう論陣を張る、そういう事実があったというようなことを言う、そういうことですからね。だから、そういう理由さえつければ整理解雇は認められることになる。

 さらには、銀行が実際に整理解雇を要求した場合には、解雇の必要性があると認められることになる。つまり、銀行が融資条件に整理解雇を求めれば解雇できるようになる。余りにも整理解雇を安易に認めることになるんじゃないか、まさに首切り自由への布石になるんじゃないかと私は懸念するわけですね。

 これは、整理四要件の問題に対する裁判の結果ではなくて、そういうことがもし起こればそうなるじゃないかということについてはどう思いますか。

田村政府参考人 まさに今御質問の点、整理解雇実施の可否について、この四要件を満たしているかどうかということについては、先ほどもお答え申し上げましたように、裁判の主要な争点になっているところでございまして、コメントを差し控えさせていただきたいと思います。

穀田委員 大臣、ちょっと違う話でしょう。

 私が言っているのは、国会で私がこういう質問をしたら、そういう事実はないと言っている。ところが、裁判では、そういうことを事実として言っている。これは明らかに間違っている。そうすると、事実でないものを使ってやってええのか。その場合、銀行がそういうことを言えば整理解雇してええのかという論理につながるけれども、どう思わはるか、こう聞いているんですよ。

太田国務大臣 まさにそこは裁判の主要な争点となっていますから、これからどういう推移になるか私はわかりませんけれども、コメントは差し控えるべきだと思っております。

穀田委員 ちょっと違うんだよね。

 裁判の結果について言っているんじゃなくて、まず、裁判の中の問題でいえば、私が言った事実は、違うことでうそを言っている、これはもう明々白々なんですよ。それは、同じそういう管財人との関係を含めて言っているから、それは事実じゃないとはっきりしている。そうすると、事実でないことを理屈にして銀行が言ったら整理解雇ができるというようなことになりはしないか、それはどう思わはるかと言っているわけなんですよ。

太田国務大臣 これは、一般論で言えばという形ではない具体的な問題ですから、私は、裁判の主要な論点であるので、コメントは控えるべきだというふうに判断をします。

穀田委員 一般論というんじゃなくて、私は、こういう論理がまかり通ればえらいことになるという、いわば今日の解雇の問題にかかわる、そういう裁判上の問題から発してはいるけれども、この問題の論理の問題を主張しているわけですよね。残念だと思います。そういう答えしかないというのは、そういう問題についての語る言葉がないと言わざるを得ないと思いますね。

 私は、では、もう一遍言いますけれども、銀行の債権者の関心というのは、更生計画が履行されるかどうかだったんですよ。だから、先ほど言いましたけれども、二〇一〇年の年末を迎えた時点では、業績予想というのはすこぶる順調で、一千億円を超す利益が見込まれているんですよ。全体の人員削減を求めていたけれども、大みそかに整理解雇によって首切りを行った百六十五名の人件費は、JALの経営総額に占める割合は、まさに微々たるものなんですね。それから、上げられた六百億円という利益からしても、〇・〇三%ぐらいにすぎず、問題にならなかったわけなんですね。ですから、そういう角度からいっても、本当に今ひどいということを言わなければならないと思います。

 そこで、ではもう少し、また判決の問題について聞きますけれども、高裁のパイロット訴訟の判決では、運航従事経験の多い者、簡単に言うとベテラン労働者ですね、これが減少するということは、運航の安全確保の点において一定の影響を及ぼさないとは言えない、こうは認めているんですね。

 認めていることだったら話はできるでしょう。国交省の認識はどないですか。ベテランの減少というのは運航の安全確保に影響があると認識していますか。

坂井大臣政務官 航空会社の事業計画の認可に当たりましては、事前に安全運航に必要な運航体制や整備体制が確保されているということを確認することとしておりまして、操縦士につきましても、十分な能力、経験を有する者が必要数確保されていることを確認いたしております。

 このため、国土交通省といたしましては、現時点で日本航空においてベテランの減少が運航の安全に影響を及ぼしているとは認識をしておりません。

穀田委員 違うことまで言っているんだけれども、一般論として、要するに、国交省として、ベテランの減少というのは困るよねということを言っているだけなんですよ、私は。

 そういうものについて言えば、国際的にも、人選基準の問題、首切りの場合のそういうことからしてもおかしいということが論証されている。そして、ベテランの意味はあるということを言いたいわけで、今は、JALのところでどうやこうやなんていう話をしているんじゃないんですよね。

 では、JALの話をしてもいいんだけれども、今、パイロットだけじゃありません。(発言する者あり)違う、個別の話という話をしているんですよ。

 やはり客室乗務員も、先日私が指摘しましたように、新人を千八百二十名も採用しているということで半数近くにも及んでいて、チームワークに起因する不安全事例が多発していると。だから、整備のトラブルは、安全運航に欠かせない、そういう乗務員といったところまで減らしているからこそ、こういうことが起きているんだと私は思っています。

 そこで、現にJALは、中期計画で六十歳以上の採用まで検討しています。ですから、何でこの問題を今しゃべっているかというと、JALは、首切りの場合の人選基準として、パイロットを年齢で切って、ベテランをターゲットにしました。ところが、国交省は今、パイロット不足で、機長の働くことのできる年齢を上げようとしているんですね。

 それから、同じく人選基準で、病欠歴を理由にしています。これはとんでもないことだと思うんですけれども、体調不良時に無理をせず乗務を取りやめることを自主的に申告することは、安全上必要なことなんですね。JALも当時は推奨していた話なんです。今、国交省は、人員不足に対応して、風邪薬などの服用の規制緩和までして乗務させようとしている、検討している。

 今までやってきたことは一体何なんだと。明らかに首切りの人選基準が空の安全に有害であったことを、今日の国交省の規制緩和策をめぐる動向からも、はしなくも証明されるようになったということが言えると思うんですね。

 それで、さっき言いましたように、客室乗務員は不足している。今、私は、最後に大臣に聞きたいんですけれども、確かに係争中ではあろうけれども、今、ベテランを職場に戻すこと、先ほど言いましたように、前回も質問しましたように、整備の関係も、客室も、それからパイロットも、全部不足しているという実態の中にあって、私は、まずベテランを職場に戻すこと、即戦力であって、訓練期間も短くて乗務できる客室乗務員は戻すべきだと思うんですね。

 その点で、ILOが二〇一三年十月に出したフォローアップ見解は重要だと思います。解雇した労働者が職場復帰されていないもと、客室乗務員九百四十名、それは二〇一二年の十月時点ですが、採用を行っていることからしても、経済的理由による解雇の後に、再び雇用されることを目的とした採用計画をつくるべしと。さらに、今後の採用計画が、全ての労働組合との協議が確実に実行されることを期待するとしています。

 ですから、私は、戻すべきだということと、もう一つ、自主解決の道を模索して国交大臣がイニシアチブを発揮することが必要じゃないか、以上のことについての提案をするわけだけれども、いかがでしょうか。

太田国務大臣 日本航空の整理解雇につきましては、個別企業における雇用関係に係る問題でありますので、日本航空において適切に対処すべきものというふうに考えているところです。このため、行政としては関与することは適切ではない、このように考えております。

 いずれにしましても、判決が確定していない上、労使関係の問題でもあることから、コメントすることは適当ではない、このように考えております。

穀田委員 最後に一言言っておきますけれども、大臣、私は、歴代大臣にこの問題をずっと質問してきました。でも、この問題は係争中、問題はいろいろある、だけれども円満に解決すべきだと。しかも、稲盛会長のああいった発言について見ると、要するに、整理解雇をしなくてもいけたんだという発言などについては、それはひどいと言ってきたんです、みんな歴代の大臣は。

 ですから、私は、個別の企業の問題のことではあるかもしれないけれども、まさに今、日本の航空業界が抱えている諸問題からして、やはり、争議は争議としてそれはあるでしょう、だけれども、その問題にかかわっているんじゃなくて、少なくとも、今不足しているさまざまなベテランを何とかするという問題や、自主解決のための手だてをつくってあげるというぐらいのことはすべきだ、そのことが空の絶対安全ということについての基準となるだろうと思います。

 終わります。

     ――――◇―――――

梶山委員長 引き続き、国土交通行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 建築士法の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。

 本件につきましては、理事会等での御協議を願い、お手元に配付してありますとおりの草案が作成されました。

 本起草案の趣旨及び内容につきまして、委員長から御説明申し上げます。

 建築士法は、建築物の設計、工事監理等を行う技術者の資格を定めて、その業務の適正を図り、もって建築物の質の向上に寄与させることを目的として、議員提案により、昭和二十五年に制定されたものであり、これまでも時代の要請に応じて改正が行われてきたところであります。

 しかしながら、現行の法制度では、設計、工事監理等の業務を行う建築士と建築士事務所の役割と責任が不明確であり、建築紛争の増大や長期化等の問題につながっております。このため、契約のあり方を含めた制度の改善が望まれているところであります。

 また、需要が増大する建築リフォームなどにおいて建築士成り済まし事案等のトラブルが発生しており、消費者に対する建築士資格等の情報開示の充実を図ることが必要となっております。

 本起草案は、このような建築設計等に係るさまざまな問題の発生に鑑み、建築物の設計及び工事監理の業務の適正化並びに建築主等への情報開示の充実を図るため所要の措置を講じようとするもので、その主な内容は次のとおりであります。

 第一に、設計受託契約等の当事者は、おのおのの対等な立場における合意に基づいて公正な契約を締結し、信義に従って誠実にこれを履行しなければならないこととしております。

 第二に、延べ面積が三百平方メートルを超える建築物の新築に係る設計受託契約等の当事者は、契約の締結に際して一定の事項を書面に記載し、署名または記名押印して相互に交付しなければならないこととしております。

 第三に、延べ面積が三百平方メートルを超える建築物の新築に係る設計または工事監理の委託を受けた建築士事務所の開設者は、当該業務をそれぞれ一括して他の建築士事務所の開設者に委託してはならないこととしております。

 第四に、管理建築士は、その建築士事務所の受託可能な業務量の設定等の技術的事項を総括することとしております。

 第五に、一級建築士、二級建築士または木造建築士は、設計等の委託者から請求があったときは、それぞれの建築士免許証または建築士免許証明書を提示しなければならないこととしております。

 第六に、建築設備士の名称を法律上規定し、建築士は、延べ面積が二千平方メートルを超える建築物の建築設備に係る設計または工事監理を行う場合に、建築設備士の意見を聞くよう努めなければならないこととしております。

 第七に、建築士に対する国土交通大臣及び都道府県知事による調査権を新設することとしております。

 以上が、本起草案の趣旨及び主な内容であります。

    ―――――――――――――

 建築士法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

梶山委員長 これより採決いたします。

 建築士法の一部を改正する法律案起草の件につきましては、お手元に配付してあります草案を本委員会の成案とし、これを委員会提出の法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

梶山委員長 起立総員。よって、そのように決しました。

 なお、ただいま決定いたしました本法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

梶山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時九分散会


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