衆議院

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第2号 平成26年10月15日(水曜日)

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平成二十六年十月十五日(水曜日)

    午前十時二分開議

 出席委員

   委員長 今村 雅弘君

   理事 泉原 保二君 理事 金子 恭之君

   理事 坂井  学君 理事 土井  亨君

   理事 ふくだ峰之君 理事 荒井  聰君

   理事 井上 英孝君 理事 赤羽 一嘉君

      秋元  司君    秋本 真利君

      穴見 陽一君    井野 俊郎君

      井林 辰憲君    池田 佳隆君

      うえの賢一郎君    大塚 高司君

      大西 英男君    梶山 弘志君

      門  博文君    熊田 裕通君

      小松  裕君    國場幸之助君

      斎藤 洋明君    桜井  宏君

      白須賀貴樹君    新開 裕司君

      中谷 真一君    中村 裕之君

      長坂 康正君    野田 聖子君

      林  幹雄君    前田 一男君

      宮澤 博行君    務台 俊介君

      山本 公一君    泉  健太君

      後藤 祐一君    馬淵 澄夫君

      松原  仁君    岩永 裕貴君

      村岡 敏英君    百瀬 智之君

      北側 一雄君    樋口 尚也君

      坂元 大輔君    西野 弘一君

      杉本かずみ君    穀田 恵二君

    …………………………………

   国土交通大臣       太田 昭宏君

   国土交通副大臣     北川イッセイ君

   国土交通副大臣      西村 明宏君

   国土交通大臣政務官   うえの賢一郎君

   国土交通大臣政務官    青木 一彦君

   国土交通大臣政務官    大塚 高司君

   環境大臣政務官      高橋ひなこ君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   日原 洋文君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 青木 信之君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    冨田 浩司君

   政府参考人

   (林野庁森林整備部長)  本郷 浩二君

   政府参考人

   (水産庁資源管理部長)  枝元 真徹君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房長) 西脇 隆俊君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長)            滝口 敬二君

   政府参考人

   (国土交通省国土政策局長)            本東  信君

   政府参考人

   (国土交通省土地・建設産業局長)         毛利 信二君

   政府参考人

   (国土交通省都市局長)  小関 正彦君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局長)        池内 幸司君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  深澤 淳志君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  藤田 耕三君

   政府参考人

   (国土交通省自動車局長) 田端  浩君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  田村明比古君

   政府参考人

   (観光庁長官)      久保 成人君

   政府参考人

   (気象庁長官)      西出 則武君

   政府参考人

   (海上保安庁長官)    佐藤 雄二君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 中井徳太郎君

   国土交通委員会専門員   伊藤 和子君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月十五日

 辞任         補欠選任

  岩田 和親君     新開 裕司君

  大西 英男君     池田 佳隆君

  國場幸之助君     穴見 陽一君

  佐田玄一郎君     小松  裕君

  務台 俊介君     熊田 裕通君

同日

 辞任         補欠選任

  穴見 陽一君     國場幸之助君

  池田 佳隆君     大西 英男君

  熊田 裕通君     務台 俊介君

  小松  裕君     井野 俊郎君

  新開 裕司君     中谷 真一君

同日

 辞任         補欠選任

  井野 俊郎君     佐田玄一郎君

  中谷 真一君     岩田 和親君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国土交通行政の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

今村委員長 これより会議を開きます。

 国土交通行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として国土交通省大臣官房長西脇隆俊君、総合政策局長滝口敬二君、国土政策局長本東信君、土地・建設産業局長毛利信二君、都市局長小関正彦君、水管理・国土保全局長池内幸司君、道路局長深澤淳志君、鉄道局長藤田耕三君、自動車局長田端浩君、航空局長田村明比古君、観光庁長官久保成人君、気象庁長官西出則武君、海上保安庁長官佐藤雄二君、内閣府政策統括官日原洋文君、総務省大臣官房審議官青木信之君、外務省北米局長冨田浩司君、林野庁森林整備部長本郷浩二君、水産庁資源管理部長枝元真徹君及び環境省大臣官房審議官中井徳太郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

今村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

今村委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。坂井学君。

坂井委員 自由民主党の坂井学でございます。

 つい先日まで、政務官として皆様にも御指導いただきながら、また、大臣にも御指導いただきながら、多くのことを勉強させていただいたことを感謝申し上げたいと思います。

 こちらに席が移りますと、やはり委員会の景色もかなり違うなと思いながら、きょうは、筆頭から格調高く厳しくやれと難しい注文をいただいておりますが、精いっぱい頑張らせていただきたいと思います。

 それでは質問に入りたいと思いますが、国土交通省の職員の皆さんが、仕事に使命感を持って、特に現場で頑張っている皆様方が働いていらっしゃるというのを実感させていただいてまいりましたけれども、やはりそれは、現場において、安全、安心の国民生活や、そして国民の命に直結をする仕事をしている、こういう実感があるからだろうと思います。

 大臣の所信にもありましたように、まずは災害対策について質問したいと思います。

 戦後最悪の火山災害となりました御嶽山の災害でございますが、九月の二十七日に発生をいたしておりますけれども、まず、亡くなられた方々に心からお悔やみを申し上げたい、このように思います。

 そして、次回またこのような噴火がいつ起きるとも限らないこういう状況の中で、今回の災害に学ぶところ、そして課題とするところが多数あると思います。

 そこで、気象庁長官にお聞きをいたしますが、今回の災害において、要は、出てきた課題点、そしてそれに対する対応策というのをお聞きしたいと思います。

西出政府参考人 気象庁が発表する火山の状況に関する解説情報や噴火警報等の火山情報は、報道機関、地元自治体、気象庁ホームページを通じて国民の皆様へ提供しております。これらの火山情報は、火山の現在の状況や今後の見通しについてお知らせするものであり、国民の皆様に対し、できるだけわかりやすく提供する必要があると考えております。

 そのため気象庁では、早急にできる対策として、気象庁ホームページに火山登山者向けの情報提供ページを開設し、各火山ごとの情報によりアクセスしやすいようワンストップ化をするとともに、内容も最新の火山情報等安全に関する情報をまずごらんいただけるよう改善しました。先週の十月十日からごらんいただいております。

 今回の噴火災害を踏まえると、住民はもとより、登山者や旅行者等に対し、いかにわかりやすく、効果的に火山情報を提供することが課題と考えております。

 そのためには、地元の自治体や地元の関係諸機関、団体で構成される火山防災協議会の協力が大変重要であります。気象庁としては、みずから行うべき改善策とあわせて、より丁寧に地元の自治体等に火山情報を提供し、住民、登山者、旅行者等への周知について協力を求めてまいりたいと考えております。

 このような基本的な認識のもと、今般、火山噴火予知連絡会のもとに、学識経験者や自治体、登山者等の団体から構成する火山情報の提供に関する検討会を設置することといたしました。この場において、具体的な対策を早急にまとめてまいります。

坂井委員 先ほど申し上げましたように、またいつ何どき、どこの火山がこういった災害を引き起こすかわからない状況ではございますので、丁寧にしていただきたい、このように思っております。

 続きまして、豪雨災害についてお聞きをしたいと思います。

 先日から、十八号、十九号の台風が来ましたし、また広島では八月に大きな災害がございました。今回はその災害を受けて土砂災害防止法の改正案が閣法で提出をされている、こういうことでございますが、法律と同時に、国土交通省としてもその対策、対応を十分やっていただきたいな、こう思っているわけでございます。

 十八号に関しましては、私の地元は横浜でございまして、私は戸塚区に事務所がございますが、私の事務所の前も約四十センチほど水がたまりまして、出るに出られない状況にもなっておりました。

 こういうふうに、今、雨の降り方が局地化すると同時に、集中化、そして激甚化という言葉がいいのかどうか、激甚化しているということだろうと思います。それぞれの地区で対応があろうかと思います。

 私の住んでいる横浜・戸塚では、先ほど申し上げましたように、私の事務所の前は四十センチと言いましたが、あちこちで冠水が出ましたし、また、戸塚駅という駅がございますが、この戸塚駅は、JR線、東海道線や横須賀線と、市営地下鉄ブルーラインというのが通っておりますけれども、東海道線も横須賀線も、戸塚駅の下を通っている、線路に沿って流れている川の水位が上がったということで、朝から走っていない運行停止状況でございましたし、また、地下鉄におきましても水が出て駅に流れ込むということがございまして、結果として、二、三時間だったかと思いますが、地下鉄もとまるということになりました。

 特に、豪雨災害、きょうは都市部におけるその対策というものをお聞きしたいと思います。地下街や地下鉄というものもございますので、これらに対してどのような対処、対策をとっているのか、とっていくつもりなのか、地下鉄対策に関しましては鉄道局長に、その他に関しては水局の局長にお聞きをしたいと思います。

藤田政府参考人 まず、地下鉄についてお答えを申し上げます。

 まず、事実関係でございますけれども、戸塚駅の浸水でございますが、横浜市交通局によりますと、交通局におきましては、十月六日当日、駅の出入り口には止水板を設置して浸水対策を行っていたものの、駅と接続する地下の駐輪場から下水が駅に流入した、これが原因であると考えられるということでございます。

 地下鉄の浸水対策につきましては、鉄道営業法に基づく鉄道に関する技術上の基準を定める省令に規定がございます。その中で、駅、トンネル等の施設には、施設の状況に応じた浸水防止設備を設けなければならないと規定してございます。

 これを受けまして、各鉄道事業者におきましては、自治体の作成するハザードマップの浸水想定等をもとに対策を行っております。

 具体的には、止水板の設置、防水ゲートの整備といったことでございますけれども、さらに、これにつきまして、各事業者の取り組みを促すために、国土交通省としましては、来年度の予算要求の中で、地下駅の浸水対策を支援する制度を要求しているところでございます。

 それから、もう一点、先ほども申し述べました戸塚駅のケースでございますけれども、これは、駅と地下で接続する他の施設からの浸水であったように、地下駅の浸水対策では、鉄道事業者の取り組みとあわせて、地下駅と接続する施設管理者等との連携が不可欠でございます。

 このために、国土交通省では、水災害に関する防災・減災対策本部、これは省内の本部でございますけれども、ここにおきまして関係者の連携確保方策を検討している、こういった状況でございます。

 このような取り組みを通じまして、地下駅の浸水対策を進めてまいりたいと思っております。

池内政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のように、近年、時間雨量五十ミリを上回るような豪雨によりまして、都市部において水害、土砂災害等が頻発しております。

 都市部における豪雨災害の主な課題として、私は三点挙げられると考えております。

 まず一点目は、河川、下水道の排水能力を上回る豪雨による浸水被害の頻発、二点目としては、御指摘のように、地下街、地下駅の浸水とそれに伴う地下鉄等の運行支障、三点目としては、横浜でございましたが、崖崩れなどの土砂災害による人的被害発生などが挙げられます。

 一点目の浸水被害への対策といたしましては、河川や下水道の整備、そして公園やグラウンドなどを活用した貯留機能の確保、それからきめ細やかな降雨情報の提供とハザードマップの周知による避難体制の整備などを総合的に進めていくこととしております。

 二点目の地下空間の浸水対策は、先ほど鉄道局長からも答弁がございましたが、まずは地下空間への雨水の流入を防止するための止水板や防水扉の設置、それから地下空間の浸水リスクの周知、それから浸水時の情報伝達体制や避難誘導体制の整備などを進めていくこととしております。

 三点目の土砂災害対策といたしましては、土砂災害警戒区域の指定の促進、土砂災害警戒情報やハザードマップを活用した避難体制の整備、崖崩れ等を防止する施設の整備などを進めることとしております。

 このように、ハード、ソフト両面の対策をより一層促進することにより、都市部の豪雨災害の防止、軽減に努めてまいりたいと考えております。

 以上です。

坂井委員 今も、隣接するビルから流入をしてきた、こういう話でございましたが、そこの継ぎ目の部分をとめるというような対策をとっているということを聞いております。

 そうしますと、当然、その排水の負荷が、そこで地下鉄の駅の中に入ることによって、水がそこで流れるわけですから、地上部における水の負荷がそこで軽くなるわけですけれども、そこをとめてしまうと、水が抜けないわけですから、今度は地上部、要は地上における排水能力というものがまた必要になってくると思いますので、これは都市局とも関係するかと思いますが、ぜひ連携をとって対策をとっていただきたいと思います。

 続きまして、次の質問に行きたいと思います。

 国土のグランドデザイン二〇五〇を七月に発表されました。この間、担当者が取りまとめのためにほとんど徹夜同然で頑張っておられたのを間近で見させていただきまして、本当に心から敬意を表したい、このように思っております。

 きょうから地方創生の委員会も実質審議がスタートいたしておりまして、これから重要な課題、テーマになろうかと思いますが、私もいろいろな地方に参りましていろいろなお話を伺わせていただいた中で、ぜひ大臣にもお聞きをいただき、また所見をいただきたいということで、これから質問させていただきたいと思います。

 これはどなたか一人がお話をしたということではなくて、いろいろなところへ行った結果、私が大体こんな感じだなとまとめさせていただいた話でありますけれども、地方の方々は、いろいろと都市部、首都圏に流入をしてくる人たちをとめようと思って、地方は地方で売りをつくりたい。例えば、渋滞がありませんよとか出勤をするのに時間が短くて済みますよとか、空気がきれいですよ、それからまた、食べ物がおいしいですよ、そういう売りをつくって、要は首都圏の方々にもアピールをする。

 しかし、地方の方々がおっしゃるには、都市部、首都圏において大量に予算をつけて、そしてまた都市部においては、虎ノ門や六本木のように、民間の資本までもがお金を投入して、町を一遍につくってしまう。

 もう一つは、渋滞がありませんよといっても、都市部にも道路ができて渋滞が解消されていく。それから、鉄道は何度も乗り入れがどんどん進んで便利になって、通勤時間も短縮されていく。

 空気がきれいといっても、東京から軽井沢までわずか一時間ちょっとで着きます。仙台までも一時間半ぐらいで着きますので、もうほとんど、首都圏の方々が空気がきれいなところへ行くのに、時間的にもロスがない。すぐ行ける。

 そして、食べ物がおいしいといっても、産直が進み、いろいろなものが東京にいて、首都圏にいて食べられる。その上に、東京には先ほど申し上げたような町ができ、そして有名人、芸能人がいっぱいいて刺激があって、多くの種類のおいしい食べ物を出すお店がいっぱいあって、そして何よりも、何種類もの仕事がある。

 こういうことで、地域の特徴を生かしてまちづくりをして売ってくれ、こう言われても、なかなかそれらの首都圏の魅力に関して太刀打ちできるようなものを各地域では取り扱えない。

 例えば、コンサート一つとっても、いわば生の音楽を聞きたいと思えば、東京ではチケットを買って会場に行けばいいけれども、地方では自分でコンサートを企画して、呼ぶ段取りをして呼んで音楽を聞かなければ、生の音楽が、本物の音楽が聞けないんだ。

 ところが、チケットを買って音楽を聞きたいという人の数と、そこまで企画をして汗水垂らして、その結果、いい思い出やそれから感動はあるかもしれませんが、そこまでやって音楽を聞きたいという人の数を考えたら、圧倒的にチケットを買って音楽を聞く人が多い。

 そういう状況の中で、地方が地方の売りを売り出そうと思っても、例えば、今申し上げたように、音楽を聞きたければ自分でコンサートが企画できますよ、感動がありますよといっても、それに反応してくれる人は本当にわずかだ、こういうような言葉がありまして、そういった意味では、地方が首都圏と勝負をするときの、勝負をするよすががなかなか見つからぬ、こういうお話をあちこちでお聞きいたしました。

 もう一つは、今コンサートのお話をしましたが、例えばコンサートをやるというときには、核になる人が必要だ。その核になる人がマネジメントをして、お金はどうするのか、誰を呼びたいか、その人にどうコンタクトをとるのか、チケットはどこにどう売るのか、誰に協力してもらうのか、こういった全体のマネジメントをする人が必要だけれども、そういったマネジメントをする人というのが地方ではなかなかいない。

 これは、地方にそういうことをやる、いわば訓練をする場面が少ない。それがために、なかなかいないし、逆にそれを求めて、首都圏、都市部に出てくる人さえもいる。こういうようなお話もありまして、実は人材の問題も大変多くのところで聞かれたところでございます。

 しかも、そういったマネジメントができる人材が欲しい、こういう話をあちこちで聞かせていただきました。そういった方々には、先進事例を幾ら紹介されても、その先進事例でいいと思っても、それを担ってくれる人がいないとスタートがもうどうにもならないんだ、こういうことでございました。

 こういったお話、私自身の課題でもございますが、ぜひ大臣に所見をお伺いしたいと思います。

太田国務大臣 二〇五〇年、日本はどういう時代を迎えるか、地方創生ということの中では五十年後という一つの時間軸をお示ししました。その中でどうやって生きていくのかという課題が突きつけられているというふうに思います。

 そこを担う、東京は東京で、私は北区に住んでいるわけですが、そこでどういうふうに我が区をしていくかという課題もあり、埼玉県は埼玉県、神奈川県は神奈川県でその周辺ということがあったり、あるいは中心都市もあったりということで、それぞれ課題は持っています。

 そういう意味では、小笠原なら小笠原は、飛行機がどんどん来てというようなところにはしたくないと村長さんが言っているということもありまして、それは我が島の、我が町の、そして我が都市のよさというものを、人口減少ということ、そして高齢化という状況の中でどう生きていくかという、そこのところのまさに知恵をどう出すか、そして個性というものをどう生み出すかということの私は勝負だというふうに思います。

 そこのところに、アクセントを中央からこういう都市にというんじゃない、コンサートというのも狭いところではそんな大きなホールというものもありませんし、しかし、地元で音楽が好きな人たちがというやり方というもの自体が私は違うというふうに思います。

 そこで、人だと思います。市長さんや町長さんや村長さん、我が町をどうしようかというふうにやっと考えるというスタートが切られている、ここに地方創生ということの大きな意義があろうというふうに思います。

 都市と都市がそれぞれ個性というものをどう考えて生かしていくか。その都市自体、そして都市と都市との連携、あるいはゾーン域としての大きな連携、こうしたものの中で考えるというようなまちづくりの中に、構造的に考えた上で、その上に地方創生というそれぞれの都市の生きる道を探すということであろうというふうに思います。

 人が極めて重要でございますものですから、まず、ことし、国交省として、都市再生特別措置法や地域公共交通活性化法を活用しましたコンパクト・プラス・ネットワークの実現のための地方整備局そして運輸局に相談窓口を設置しました。そこでどういう町をつくるかということの相談を受けるという体制をとらさせていただき、また、国土形成計画の改定に着手しまして、来年までに、来年夏をめどにしまして全国計画を策定するというんですが、その前に全国計画に基づいて地方ブロックごとの広域地方計画を来年度中に策定するということにしておりまして、関東地方整備局等ではもうそのスタートを切っています。

 そこには市町村の代表者や知事さんや商工会議所の代表者などで構成されます広域地方計画協議会で原案を作成することになっておりまして、そこで、この大きな整備局単位の地域はどうするか、同時に、各県からも来ていただいておりますので、そこで練り上げる。練り上げて帰っていただくと、県で同じようにそういう物の考え方の中で運動や会議が始まっていく。私はこういうことだというふうに思います。

 観光は、点から線へということの戦略性を持っているわけですが、そういう点では、観光庁長官を初めとして、現地に行ってその役割を果たしていくということで、できるだけ中央、地方、また地方同士、そことの連携、人というものの連携をとっていくという中に、我が町をどうつくっていくかというそうした動き。私は、そういう意味では、地方創生というのは、中央から政策が出るのではなくて、それ以上に、地方創生運動という運動が始まるということに持っていくということが極めて重要なことではないかというふうに思っているところでございます。

坂井委員 私がお会いをさせていただいた地方の方々は、いろいろな課題やハードルがあるということは認識をしながらも、しかし、自分の地域や自分の町のために一生懸命何とかしていこうという思いでおられた方々ばかりでございました。

 国土交通省が地方創生の中で果たす役割、大変大きいものがあろうかと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げたいと思います。

 続きまして、観光庁長官にお伺いをしたいと思います。

 昨年、訪日外国人観光客一千万人という大きな目標を達成したわけでございますが、ことしの訪日客の状況と、それから、昨年からビザに関しての規制緩和を行ってきていると思いますが、これらの数字を教えていただきたいと思います。

久保政府参考人 二〇一四年、ことしの訪日の外国人旅行者数ですが、一月から八月までの累計で前年比二六%増の八百六十四万人ということで、過去最高のペースで推移しております。好調が本年も継続しているというふうに受けとめております。

 また、御指摘のビザの関係ですが、昨年七月に特にビザ免除の措置を行いましたタイ国、マレーシア国につきましては、ビザ免除前の一年間と比べますと、タイについてはその後の一年間は七六%増、マレーシアについても五七%増と訪日数が極めて大きく増加しているということで、ビザ要件の緩和は旅行者数の増大を図る上で極めて有効な手段であるというふうに考えております。

 以上でございます。

坂井委員 時間にもなってまいりましたので、最後に大臣にお聞きをしたいと思います。

 観光の大きな目標、二千万人というものがございまして、ことしもそういった意味では順調に増加をしている、こういうことでございますが、二千万人達成に向けての決意、抱負といったものをお伺いできればと思います。

太田国務大臣 去年の十二月二十日に一千万人を達成できまして、坂井先生にも政務官として大変御尽力をいただきました。ことしも好調が続いています。

 富士山を初めとするそうした世界文化遺産等になったということや、ビザの緩和ということがありましたり、あるいは東京オリンピック・パラリンピックが決まったという助走が既に気分的に始まるということがあったり、アベノミクスということも含めて、日本が元気になったということがあるというようなことだと思います。

 ことしは、ことしからというか、今から大事なことは、それぞれの地域、ゾーンという広大な、何県かの固まり、北海道は北海道、東北は東北、こういうようなことの中から、我が地域に一泊二泊していくルートをどうつくるかという、もう一遍、そういう点から線への、ブランドというものをつくり上げるということ、そしてそれを発信すること、これが一つ大事なことだというふうに思います。

 もう一つは、それぞれのところにはそれぞれ、お酒も大変おいしい。ところが、ワインと比べたら相当値段が違う。ところが、日本のお酒はワインには負けないぐらいのものだということを世界の一流の人たちはわかっているんですが、日本が控え目であるというように、世界から見たら日本のブランドというのはどういうものかということをもっともっと発信するということ。

 それから、世界の人が日本に来るときに、どこにどういうルートで何があったらということについての発信が弱い、こういうこと。

 私、きょう三つ申し上げましたが、それらに力を入れて、二千万人へのスタートを切っていきたいと思っているところであります。

坂井委員 どうもありがとうございました。今後ともよろしくお願い申し上げます。

今村委員長 次に、赤羽一嘉君。

赤羽委員 おはようございます。公明党の赤羽一嘉でございます。

 本日は、先日の当委員会での国土交通行政に関する太田国土交通大臣の御発言に対しまして質問をさせていただきます。質問通告とはちょっと順番を逆にいたしますが、よろしくお願い申し上げます。

 まず、一昨年の十二月に自公政権、安倍内閣が成立をいたしまして、一年と十カ月の月日が経過をいたしました。円高、デフレ不況からの脱却、閉塞感漂う社会を何とか変えていこうということで、いわゆるアベノミクスの政策がとられ、三本の矢の政策のうちの第一の大胆なる金融緩和、そして第二の機動的な財政出動によりまして、我が国の経済を取り巻く環境は、株価を見ましても、また有効求人倍率、設備投資等々の数値を見ましても、これは明らかに好転している、前よりは相当よくなっているというのは現実でございます。

 しかしながら、中小企業、小規模事業者がアベノミクスの恩恵を得ることができるのか、また地方経済が活性化できるかどうかはまさにこれからが正念場であり、同時に、急激な円安の中で実は大変御苦労されている業界が幾つもある、このことについてどうするかというのは実は大変重要なテーマだというふうに考えておりますが、残念ながら、この前の御発言の中にはそうした部分が余り触れられていなかったということで、きょうはその点でまず御質問したいと思います。

 経済にとって物流というのは、人間の体に例えれば血液のようなものであります。なかなか存在感が認識をされないけれども、なくてはならない。これは当たり前のことでありますが、トラック業界、これは全国、きょう御出席の皆さんの御地元の状況、ほとんど同じだと思いますが、急激な円安、加えて、日本においては原発が再稼働できていないということで、エネルギー制約の中で燃料費も相当高騰している、これは大変な状況が続いているわけでございます。

 円高、デフレ不況の時代には、まさに運賃も適正な運賃が取れずに、私も地元は神戸でありますが、小規模零細企業の方が大半のトラック業界が本当に大変な状況であるということは、神戸だけではなくて全国各地、大臣のお膝元の東京都は若干いいかもしれませんけれども、大変苦しい状況にあるというのは同じだというふうに思っております。

 まず、このトラック業界について振り返りますと、平成二年に事業参入の規制緩和が行われました。それから約二十年余りたって現状はどうかということを、これは国土交通省からの資料で見させていただきますが、平成二年から平成二十四年度を比較しますと、事業者数は約一・六倍に増大している。

 一方で、事業者の小規模化も進んでいて、ふえた事業者の大半が、一社十台のトラック、十両以下の小規模事業者が大半であって、その十両以下のトラック事業者の経営状況は、平成二十四年度、全日本トラック協会の調べでは、平均で営業利益が赤字になっている、これが実態でございます。

 運賃も、平成四年に比べて、二十年前を一〇〇ポイントとして、二十年たった今、九四・七ポイントと五%以上運賃も下がっている。

 そして、私、看過できないのは、不適正事業者の増大という欄がございまして、これは平成二年と比べているのではなくて、平成九年度と比べている数字でありますが、例えば社会保険の未加入は、平成九年度のときは九・〇%だったのが一九・四%、過労運転防止に係る措置の不適正と指摘されたのが四・八%だったものが一五・八%、安全確保に係る指導監督不適正と指摘されたものが二六・七%から三三・一%と、軒並みいわゆる不適正事業者がふえてしまっている。

 そして、平成二十一年に実施した五両割れ小規模事業者に対する集中監査によればということで、監査を実施した千十八社中、約七三%に法令違反が確認されたということでございます。

 これは、トラック事業者に対しての規制緩和が、まさにデフレ不況で経済のパイが小さくなったということが大きな要因だと思いますが、要するに、過当競争という実態があらわれて、加えて、安全性が損なわれるような不適正な事業者がふえている、極めて望ましくない状況が続いているというふうに私は認識をしておりますが、こういった事態について、今、政府として、状況の認識と、何ゆえにそういったことが起こっているのかといったことについて、まず局長から御答弁いただければと思います。

田端政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御指摘ございました、規制緩和以降、小規模事業者、特に十両以下の事業者が増大したということがございます。先生御指摘の、社会保険の未加入の事業者などの不適正事業者も増加しているということで、我々はこれは看過できないものと考えております。

 この不適正事業者に対しましての行政処分の強化などを行い、例えば社会保険の未加入も、先生御指摘の二十四年度と比べて、二十五年度、また二ポイントぐらいは下げてまいりました。

 今後、小規模対策としまして、法令違反が多い五両未満の事業者に対しましては、運行管理者の選任の義務づけ、あるいは参入時の資金の基準の強化などを決めて、実施してまいっているところでございます。

 今後とも、不適正事業者の排除、参入の未然防止、また、優良事業者にはきちっと配慮する、こういうふうなことで、正直者が損をしない、こういう適正な市場環境に努めてまいりたいと思います。

赤羽委員 今おっしゃられたように、不適正事業者を排除するということで、ある意味では、供給過多というか、全体的には総量規制も少し考えていくことがやはり大事かというふうに思っておりますが、それに加えて、そもそもの話でいきますと、適正な運賃が確保できれば、このような余りひどい事態にならないのではないか。取り締まるという側面と同時に、そのことが発生する根っこの部分ですね。

 トラック事業者の皆さんと話をしますと、運賃の値決めのときにトラック事業者から幾らでお願いしますとは言えない、こういった状況が続いています。神戸から東京まで、最低限のコストといわゆる幾ばくかの利益がなければ営業は成り立たない、これは当たり前のことでありますが、そういった自分たちの従来の適正な価格を言えば、おたくはもうつき合わなくて結構だと。本当にたたかれるだけたたかれているというような状況がある、こう思っております。

 加えて、本体の運賃が適正に取れないのに加えて、軽油の価格が非常に高くなって高どまりしているということで、数年前に燃料サーチャージ制を導入するべきだということで、政府を挙げて取り組みを進められたのを私も承知しております。私自身、経済産業副大臣として、国土交通副大臣ともに、経団連また日商に足を運んでお願いもしましたが、これもいただいた資料でありますけれども、燃料サーチャージ制の運賃届け出状況というものを見て大変驚きました。全国で届けられている件数の割合、事業者数でいうと、たった八%なんですね。沖縄ではゼロ%、中国地方とか関東地方でも四%だと。

 恐らく大手の運輸事業者については燃料サーチャージが行われていると思いますが、いわゆる中小企業はとても燃料サーチャージを言い出すことはできない。燃料サーチャージをもし実施したとしても、その分、運賃の本体で削られる、こういったようなことで、実質、全く機能していない、このように思います。

 加えて、恐らく中小企業の場合は、元請ではなくて下請、孫請、ひ孫請みたいな、業界の構造的な縦構造の状況があって、当然、元請でなければ燃料サーチャージ制なんていうのはどこかに消えてしまっているというような話もよく聞きます。

 あれだけ一生懸命やりながら、運賃は荷主が当然出すもの、これは当たり前のことで、なかなか当たり前のことが通らない現実について、どのように分析をされ、どのように対応されようとしているのか、局長から御答弁をいただければと思います。

田端政府参考人 ただいま御指摘ございました、特に燃料価格のような、事業者の自助努力を超える費用の増加につきましては、私どもも、荷主に適正に転嫁すべき、このように考えております。その一環としまして、燃料サーチャージの導入促進に努めているところであります。

 御指摘ございましたサーチャージの導入事業者、昨年に比べまして若干増加はしておりますが、御指摘のとおり、車両数では四〇%でございますが、事業者数では八%ということで、これはやはり中小の事業者にはまだまだ浸透していない、こういう状況でございます。

 原因といたしまして、やはり中小トラック事業者は荷主に比べまして弱い立場にございますので、交渉を行うということが難しい場面が多い、このように認識しておりますし、そういう事業者からの話をよく聞いてございます。

 我々としまして、このトラック事業者が燃料サーチャージの導入等の交渉をしやすい環境整備ということで、きちっと行政側も前に出る、こういうような努力をしてまいりたいと考えております。

赤羽委員 何というか、これは大変、バケツに穴があいたような話で、一生懸命やりながら、効果が出てきていないので、同じことを繰り返してもなかなからちが明かないと思います。契約の書面化とかそうした御努力もされていると思いますので、これはぜひ、燃料サーチャージ制がしっかり機能するように、しっかりともう一度検討していただきたい、こう考えます。

 加えて、こうした状況ですと、これだけ油が高くなっている、ぜひ軽油引取税についてもう一度見直してもらいたいというのも業界から強く出ております。これは本則十五円のところが、当時いわゆる暫定税率と称して十七円十銭ですか、本則より高い暫定税率で、結局、今三十二円十銭が、当面の間、税ということが法制化されてしまっている。

 こうした中で、そもそも軽油引取税、これはよく調べてみますと、船舶ですとか鉄道、農林漁業用の機械などは本則から免税になっているというのが実態だと思いますが、こうした状況はなぜ起こったのか。トラックやバスの軽油引取税だけなぜ課税をされているのか。きょうは総務省からおいでだと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 軽油引取税が道路特定財源でありました平成二十年度までの間は、道路の使用に直接関係しない用途に供する軽油については、課税免除措置の対象としてきたところでございます。

 平成二十一年度の税制改正におきまして一般財源化されたことに伴い、本来課税すべきものと考えたところではございますけれども、一次産業用等に使用されているなど、一定の政策的な判断も求められたため、そのまま三年間延長することとなりました。

 その後、平成二十四年度の税制改正において、一般財源化の趣旨を踏まえまして検討がなされたわけでございまして、一定の範囲内でこの課税免除の縮小がなされたところでございますが、それ以外については適用期限を三年延長するということで、御指摘のような状況になったところでございます。

 その後の取り扱いにつきましては、地球温暖化対策や燃料課税全体の議論もありますことから、東日本大震災からの復興の状況、課税免除措置を廃止した場合の国民生活への影響、国、地方の財政事情を勘案して、引き続き検討することとされているところでございます。

赤羽委員 これはもちろん、トラック、バスに係る軽油引取税自体大変な金額なので、なかなかそれを簡単にはなくせないというのは、私も政治家を二十年やっていますのでよくわかりますが、他方で、道路特定財源であるから軽油引取税、道路を使うからトラックとバスは免税の対象ではないと措置された。それが一般財源化されたときに、基本的には課税根拠はやはり失われているというふうに言わざるを得ないと思うんです。

 それを一遍にゼロにしろというようなことを業界も主張しているのではなくて、免税対象になっている業界があって、そこの見直しが来るわけですから、その見直しのときに、免税をされているところがある一方で、本則だけでなくて、いわゆる昔で言う暫定税率の分もかかっている、この余りにも不公平な状態を何とかしてほしいというのは私は筋の通った訴えであるし、それは真摯に受けとめなければいけないのではないかというふうに思うわけであります。

 総務省の立場とは別に、トラック業界、バス業界も含めて、その業界を所掌している国交省として、こうした業界の悲痛な叫びについてやはりそれなりの努力をするべきだと思いますが、その点について御見解をいただきたいと思います。

田端政府参考人 ただいま御指摘いただきました軽油引取税の関係につきまして、全体の税収の部分という政府全体の視点がまずございます。

 一方で、燃油にかかわりますいろいろな負担が、運輸の事業者において、特に燃油費率が高い業界にとっては大変重い負担だ、このように認識しております。

 引き続き、業界のいろいろな御意見、御要望に耳を傾けながら対応をしてまいりたいと考えております。

赤羽委員 トラック業界の皆さんは、やはり頼るべきものは国土交通省でありますので、ぜひ、実態を聞いていただいて、公正化できるものは御努力をいただきたい、こう思います。

 加えて、この軽油引取税に係る運輸事業振興助成交付金制度についてでございます。

 これについて、いろいろルールはルールとしてあるんですけれども、全国の都道府県を見ますと、トラック協会、バス協会にこれが一〇〇%交付されていないという県がまだたくさんございます。

 これはルールとしては、それは任意だ、努力義務だということでありますけれども、しかし、この軽油引取税に係ってバス業界、トラック業界に対しての交付金を国から都道府県に出しながら、それが一〇〇%業界のために使われていないというのは、私はこれも論理が通らない話だと思いますが、この点について、一〇〇%交付するようにやはり各都道府県に指導するべきだと思いますが、政府の見解を聞かせていただきたいと思います。

田端政府参考人 国土交通省といたしまして、運輸事業振興助成交付金、この確実な交付が行われますよう、これまでも都道府県に対し、私ども運輸局の幹部が知事部局にも直接の働きかけなども行いながら進めてきたところでございます。

 今後とも、この確実な交付に向けまして、都道府県への働きかけを行ってまいりたいと思います。

赤羽委員 これは、例えば大阪府はまだ半分以上交付していないですとか、何か近畿圏が余り国の言うことを聞かないような状況でありますので、ぜひ御指導をよろしくお願いしたい、こう思います。

 今のやりとりでるる申し上げましたが、急激な円安の中で大変苦労されているトラック業界からは、国交省に対しても、その軽油引取税の問題だけではなくて、実は高速道路の料金の、例えば大口・多頻度割引、平成二十六年度に限り最大割引率五〇%に拡大されておりますが、これの継続の要望ですとか、また、深夜割引を三割に縮小されたものを五割に戻してほしいとか、こういったこともございます。

 まさに、トラック業界、冒頭申し上げましたように、経済にとってなくてはならない血液のような団体でございますので、こうしたことについて、ぜひ業界の立場に立って、太田大臣が先頭に立って御支援をしていただきたい、こう考えますが、御所見をいただきたいと思います。

太田国務大臣 赤羽さんとともに政治家になって二十年がたとうとしておりますけれども、トラック業界は、環境の対応であるとか、大変物流が減少しているんだとか、また高速料金の問題とか油の高騰とか、さまざまな意味でずっと大変苦難の歴史であったというふうに思います。

 今お話のありました、しかも、そこで小規模な事業者が多くなってきているということもあります。総合的なさまざまな手をきめ細かく打っていかなくてはいけないんですが、特に昨今では、燃料サーチャージ、これが、赤羽副大臣、経産省の当時からやっていただいてきたわけでありますけれども、若干、わずかなんですけれどもふえているという状況にはありますけれども、国交省も含めて、さらにこれについては適正運賃収受の取り組みを強化したいというふうに思っています。

 また、トラック輸送の省エネ対策も重要でありまして、環境対応車の導入支援を措置要求しているところでありますけれども、これや、あるいは高速料金はことし四月から新しい体系にさせていただいて、一旦ここで納めるということで考えたわけでありますけれども、さらにこれは検討していかなくてはいけない。

 税制のことも含めて、総合的に、トラック関係の方々が運転手不足ということもあります、いろいろなことについてきめ細かく手を打っていかなければならないと決意しているところでございます。

赤羽委員 ありがとうございます。ぜひトラック業界の現場の皆さんと胸襟を開いて対応していただきたい、こう考えております。

 残り五分でございますが、東日本大震災、特に福島の復興加速について一点だけ質問させていただきます。

 福島の被災地、私も現地対策本部長として毎週二日間、一年八カ月間、足を運んで仕事をしてまいりました。その中で、いいことが全くない中で、太田国土交通大臣が福島で発表していただきました常磐自動車道を来年のゴールデンウイーク前までに全線開通するといった発表は、本当に被災者にとって大きな励みとなり、希望の星となった。これはすばらしい決定だったと思いますし、それをぜひ実行していただきたい。

 また、先日の六号線の開通にしても、さまざまな難しい問題はありましたけれども、これを全線開通していただいたということは、あそこは大変な渋滞が発生しておりまして、利便性が高まったことも喜ばれているという状況でございます。

 その中で、被災地域からかねてより要望が強かったJR常磐線について、大変進捗がおくれていると思いますが、現時点でJR常磐線の全線開通の見込みはいつなのか。

 もちろん、ふるさと帰還が進まなければ実際に走らせることはできないというJR東日本の主張もわかりますが、橋脚の落下ですとか橋脚の損傷があります。走る、走らない以前に、線路を整えなければいけない。

 こういったことはいつならできるのか、極めてその辺が不明確で、被災者にとっては大変大きな悩みの種ということになっていますので、現時点での状況を御報告いただきたいと思います。

藤田政府参考人 JR常磐線の復旧あるいは運転再開につきまして、JR東日本は、復興まちづくり、あるいは住民の帰還に向けた動向などを勘案して決定、実施するという方針でございます。

 特に帰還困難区域につきましては、これまでのところ、具体的な住民の方々の帰還の見通しなども立っていないということで、詳細な鉄道施設の被害状況調査等を行っておりません。

 しかしながら、帰還困難区域内の自治体の復興に向けた動き等も踏まえまして、できる限り早期の復旧につなげるという観点から、JR東日本におきましては、帰還困難区域内の鉄道施設についても詳細な被害状況調査を今年度内に実施するという報告を受けております。

 来年度以降、それに基づきまして設計調査等の作業が行われるという見込みでございます。

赤羽委員 私、そもそも論のところでやはり根本的に違っているのではないか。

 要するに、ふるさと帰還が明示されたときから始めるというのでは、例えば前田川の橋脚落下、あそこは三年半かかると現場を調査して言われていました。三年半たった今、これまでに調査をしてこなかったこと自体が私は大変不満でもありますし、私、現地対策本部長として再三これについては要請をしましたが、全く具体的な対応は、ほとんどなかったと言っても言い過ぎではないような状況でございます。

 住民が帰還する以前に、前田川の橋脚の工事なんかは住民が戻ってしまうと工事がしにくいという状況もありますし、線量もこの地域は相当当初から低くなっているということも、これはJR東日本の皆さんもよく知っているはずなんですね。ですから、要するに、もう少し実態に即した指導をしていただきたい。

 今年度に調査を始めて、それから工事を始めるという話になりますと、今、双葉町とか大熊町という福島第一原発の足元の線量が高いと言われている地域も、現実には相当速い速度で、とにかくふるさと帰還を進めようという動きが具体的に出ております。

 私、大変心配しているのは、相当みんな整っているのにJR東の常磐線だけが全く手つかずだみたいな話になるということはやはりあってはならない、こう思いますので、ぜひ、最後に大臣に、なるべくこの前倒しをして、いつでも開通できるような状況に最低限していただきたいと私は切に思っておりますので、その点についての御見解をいただいて、質問を終了したいと思います。

太田国務大臣 できるだけ帰還困難と言われている地域が早く戻れるようにということで努力をされているということは十分承知をしております。

 そういう意味では、まず年度内に調査を実施するということを決め、そして設計調査を進めるという予定にいたしました。さらにこれが具体的に加速するよう、JR東日本に対して、関係省庁とも連携をとりながら指導したいというふうに思っています。

赤羽委員 終わります。ありがとうございました。

今村委員長 次に、泉健太君。

泉委員 民主党の泉健太でございます。

 きょう、私と同僚の後藤祐一議員で質問させていただきますが、まず、私の方は、今回の御嶽山の噴火のことについて質問させていただきたいと思います。

 今回、広島の水害や御嶽山の噴火など、各種災害で亡くなられた方々に改めてお悔やみ申し上げたいと思いますけれども、気象庁の中では、ちょうど九月の十、十一あたりに、いわゆる火山性地震というものが随分数多く検知をされたということが明らかになっております。

 その中で、一部報道の中では、この御嶽山にかかわる火山の専門家の皆さんと事前にどれぐらいのやりとりをしていたのかということが報道されているところでありまして、改めてですけれども、この九月十、十一の火山性地震、その際に、何名のこの御嶽山にかかわる火山の専門家の方とやりとりをされたのか、またそれがどんなやりとりであったのか、そして、この十、十一日以降、噴火の間にも何かさらに御嶽山のことについてやりとりをされたことがあるかどうか、改めて確認をしたいと思います。

西出政府参考人 今回の噴火の前に、九月十日から十一日にかけて火山性地震が増加するという現象が観測されました。この状況について、気象庁は、地震活動が活発になっていることから、火山活動の推移に注意してくださいという内容の火山の状況に関する解説情報を九月十一日、十二日及び十六日の三回発表いたしました。これらの情報の発表については、火山噴火予知連絡会の学識者委員に、二十八名でございますけれども、共有しております。

 また、十一日の夕刻でございますけれども、火山噴火予知連絡会の委員で御嶽山に詳しい名古屋大学の二名の専門家に、火山性地震が増加していることについてメールで御意見を伺い、お返事をいただいたところです。

 加えて、十六日にわずかな低周波地震が観測されたことについて、同じく名古屋大学の先ほど申しました専門家にメールで情報を提供しております。

 火山性微動については、火山性微動が観測されてから十一分後に噴火したということでございますので、噴火前にこの現象について連絡することはできませんでした。

泉委員 今お話しいただいたとおり、さまざまな方とやりとりをされているわけですが、今お話をされた中で、低周波地震、十四日から二十四日にかけて三回あったというふうに認識をしておりますが、今のお話だと、一度目のときには連絡をとった。二度目、三度目、この低周波地震については連絡をとられたでしょうか。

西出政府参考人 十四日と十六日の低周波地震、一回と二回ございましたけれども、これについて、まとめてまず十七日に名古屋大学の専門家で情報共有を図った、御意見をいただいたというところでございます。

 その後、二十四日にも、二回ですけれども低周波地震を観測しましたが、これについては、火山性地震の増加が見られなかったということ、またほかのデータにも変化がなかったということから、状況に特に変化はないと判断いたしまして、また状況について専門家と認識は共有されているという判断をいたしまして、改めての連絡はとりませんでした。

泉委員 そうしますと、二十四日の方については、名古屋大学大学院地震火山研究センターの教授、二名の専門家は、二十四日の低周波地震は連絡がなくとも認識をしていたという理解でよろしいでしょうか。

西出政府参考人 その専門家とは同じ観測データを共有してございますので、たとえ連絡をしなくても、認識は共有され、データも共有されているというふうに考えておりました。

泉委員 報道の中で、こんなに登山者がいるとは思わなかったというつぶやきというか御発言が報道で流れたというのがございました。これは大変意外でありまして、それは、御嶽山が登山ができる山だと知っていたけれども、たまたまこの日にこんなにいるとは思わなかったということなのか、そもそも御嶽山がこれだけ登山者が多い山と知らなかったのか。あくまで研究の専門家でありましょうから、登山に詳しくはないということはわかるものの、その真意は定かではありませんが。

 私が一つ、これも、気象庁は当然ながら、さまざまな環境の変化を計測して、それをさまざまなものに役立てていただくためのデータ収集の機関であるということは間違いないわけでして、正確なデータ収集に努めるということが一義的ではあるというふうに思うわけですが、この間、気象庁の発表されている火山の一週間ごとのニュースというか状況の報告のペーパーがありますけれども、こちらの方にも御嶽山のことについて、例えば、今に至るまで、人命にかかわることですとか被害の状況ということについては全くそこは書かれていないわけであります。あくまで、火山の変動がどうであったか、どういう噴火が、どういう形で降灰の範囲があったかとか、そういうデータのみが文書化されているということでありまして、国民の皆さんがそれを読んだ場合は、そこに被害があったのかなかったのかということは全くわからないというのが実は現状でございます。

 そういったことも含めて考えたときに、気象庁とはいえども、これは例えば消費者庁でいうとリスクコミュニケーションという考え方があるわけで、同じように、今までは状況を発表すればよかったというのが気象庁の最も大事なことであるし、そこに手落ちがあっては絶対いけないということは大前提でありますけれども、やはり最低限の、どんな被害があったのかということを、確定してからであるかどうかというのは難しいところはあります。しかしながら、何らかの、人命に被害があった、人的被害があったということの記述がそれぞれの局面になければ、これは本当にデータだけになってしまいまして、それを住民、国民の皆さんがみずから統合しなければ一見してわからない、こういう状態になってしまうのではないかということを懸念しております。

 そういった意味では、ぜひ気象庁に、リスクコミュニケーションという観点から、やはり何か噴火やさまざまな災害被害が起こったときに、それに何らか一見してわかるような形で、被害の状況、人的被害の状況をぜひ御記載いただきたいという御提案をしたいと思いますが、いかがでしょうか。

西出政府参考人 今回の噴火災害を踏まえて、いろいろな教訓が得られると思いますけれども、これについては、いろいろな分野の専門家の御意見もいただきながら、今後検討してまいりたいと思います。

泉委員 気象庁の本義はあくまで観測と発表であるというところは、恐らく多くの方がおっしゃると思います。大臣も今聞いていただいてわかるとおりだと思いますけれども。一方では、多くの方が気象庁のホームページを見る時代になってきた、気象庁の発表を心待ちにする時代になってきた。その中で、人的なもの、人的な被害について、やはり何らかそこに記録として残しておくということがとても大事ではないかというふうに思います。

 さらに、次の点ですけれども、今回の事前の火山性地震については、例えば御嶽山の山荘を経営する者や山岳関係者などには事前に情報の共有ができていたということになるんでしょうか。

西出政府参考人 先ほども申しました、今回の噴火の前に三回、解説情報を発表いたしましたけれども、これについて報道機関や地元自治体に通知するとともに、登山者が直接入手できるよう気象庁ホームページにもその内容を掲載し、注意喚起をしていたところでございます。

 また、今回の噴火前に発表した解説情報について、自治体からの登山者等への情報提供の実施状況について聞き取りを行ったところ、長野県の王滝村では、御嶽山の四カ所の山小屋に対して火山性地震が増加している旨を連絡でありますとか、外部から電話等の問い合わせがあった場合に解説情報の内容の提供を行ったということでございました。岐阜県の下呂市では、市の職員が濁河温泉管理組合に出向いて解説情報の内容を説明したということでございました。なお、木曽町及び高山市は、自治体として情報は受け取っていたが、一般への周知等は行わなかったということでございました。

 火山性微動については、先ほども申しましたように、火山性微動の発生からすぐ噴火ということで、何も情報をアップすることはできませんでした。

泉委員 改めて気象庁にお伺いしたいんですが、例えば、研究者ではなくて、山に詳しい山荘におられる方や山岳関係者が、これは後日談になりますけれども、噴煙の上がり方が前と違っていたとか、何度も登山をしている中では変化が見られたというようなことを発言されているケースもございます。

 気象庁としては、例えば、そういったソフト情報というか、数字でのハード情報のみならず、ソフト情報を考慮されることがあるのか、あるいはそういう情報を受け付けられているのか、いかがでしょうか。

西出政府参考人 発見者通報という観点で、異常があった場合に気象庁、気象台にお知らせいただきたいということは、火山の関係のパンフレット等でお願いをしているところでございます。そういうものがあった場合には考慮するということでございます。

泉委員 大臣、先ほどお話をさせていただいた、やはり気象庁の災害情報の中に、人的被害の記録をぜひ添付する形でお載せいただきたいという提案、そしてさらには、今回の噴火でいいますと、山に常時おられる方々もありますので、そういった方々に、変化の兆候があれば御連絡くださいということを、今後、御嶽山に限らず、さまざまな山でやっていただくことも大事じゃないかな、いわゆるその発見者情報ですか、というものの徹底をぜひしていただきたいというふうに思いますが、大臣、一言お願いします。

太田国務大臣 今回の事態に対して、ホームページの情報の出し方一つにもさまざまあると思いましたものですから、今まで全山一括で出ていた情報を、先日、クリックしますとそれぞれの火山それ自体が見られるというように改めさせていただいたりいたしましたが、そうしたソフト的な情報とか、そこでの被害状況等々云々についての経過とか、それについてもどう発表したら一番わかりやすいかということを検討したいと思います。

 気象庁は、どちらかといいますと、被害とか、噴火警戒レベル一、二、三というのは、これは警戒するということなものですから、入山規制であるとか火口周辺規制というようなことまではやっているところなんですが、そして同時に、科学的な知見というものを崩さずいくということもまた大事なことなんですが、その辺、どこまで踏み込んで、被害が起きないようにということについて、あるいはまた地方自治体が情報を受けたときにどう動いたらいいかというようなことは、雨のことも同じなんですけれども、そこの、気象庁のデータ分析と現場の状況というものについて、より一層ここは研究をしていかなくてはならないというふうに思っております。

泉委員 ぜひ、リスクコミュニケーションという考え方は今後も大事になってきている時代ですので、よろしくお願いしたいと思います。

 さて、もう一つの問題ですけれども、今回の台風十九号に関してであります。

 特に話題になりましたのは私も住んでおります関西でして、JR西日本が二府四県全面運休ということを事前に発表するということは、伺いますと、過去初めてだったそうであります。

 事前の全面運休発表ということについては、賛否両論、実は、インターネット上でもさまざまな論争が繰り広げられているところでありまして、結果的にはですが、他の私鉄はほとんど動いていたではないかとかという中で、一方では、連休中でもあり、被害を事前に防ぐ意味合いでは大変この措置はよかったのではないかというお話もございます。

 ただ、少なくとも、路線ごとに、これまででいえば風速ですとか雨量についての基準があり、その基準に合致した気象状況があらわれてきたときにその路線をとめるということがこれまでの各社の対応であった中で、今回初めて、事前にとはいえ全面的にエリアの電車をとめるということをJRがとられた。関西では四十八万人に影響が出た。広島では六万二千人に影響が出たというふうに言われておりまして、大変大きなことでありました。

 私は、結果的に台風の被害が予想されたよりもそう大きくなかった、それをもって今回の措置がおかしかったとは思いません。やはり、被害を軽減するために総合的に判断するということは第一義であろうというふうに思っておりますので、JRの判断は、これはこれで間違ってはいなかったというふうに思っています。

 ただ、かなり、エリアごとというかつてない今回の対応でありましたので、その基準が国民に明確でないのかあるのかというところはやはり気にしていただきたいということを、きょうJRの方は来られていませんけれども、国土交通省を通じてぜひそこは考えていただきたいと思います。

 ことし最大の台風と言われているという状況で、しかし本州に上陸するまでにはかなり足踏みをし、勢力も徐々に衰えつつあったという状況の中でこういった判断を下されたわけで、結局のところ、風速で判断されたのか、雨量で判断されたのか、進路で判断されたのか、そこはまだ明らかにはなっておりません。国土交通省が今回のJR西日本の判断について、そういったことで、どのようにして、なぜこの全面運休という判断をされたのかということを聞かれているかどうか、国土交通省、改めてお願いします。

藤田政府参考人 今回の運転休止につきましてはJR西日本の判断で行ったものでございますけれども、今回の措置でございますけれども、例えば雨量が多い、あるいは風が強いといった観点で、個別の列車、路線の安全確保を図るという観点に加えまして、例えば駅の間で列車が長時間とまることによってお客様がその列車の中に滞在をせざるを得なくなるとか、あるいは駅に多くの利用者が滞留する、こういったことも防止するという観点から運転の休止を決めたということでございます。

 したがいまして、雨量、風速等の条件はもちろん一つの要件でございますけれども、路線の性格、時間帯、あるいは利用者の動向、そういったことを総合的に勘案して判断したものというふうに承知しております。

泉委員 これも総合的にということに尽きてしまうわけですが、例えば昨年の台風十八号、これは近畿一円に特別警報が初めて出されたわけですが、そのときにはこういった面的な全面運休という形はとっておりません。ことしも、台風八号、十一号、これもかなり本州の近畿あたりを通過した、直撃をしたものでありますけれども、このときもとってはおりません。

 では、連休だったからとったのかとか、大きい台風だというふうに言われていたからとったのかということで、やはり、多くの住民、市民の皆さんにはさまざまなうわさと臆測を呼んでしまっているところがあるのではないかというふうに私は思います。何せ、とても大きい企業体でありますし、関西の足を担っているわけであります。そして、路線といっても、近畿二府四県でも相当な路線があって、今回千二百本の電車が運休をしたということでありますけれども、路線ごとにも、随分、土砂災害のおそれが全くない路線も存在をするわけであります。

 そういったところで、全面的にということは、列車の手配等の都合もあるという理解はしますが、こういった大きなこと、今回の場合は、約一日前、二十八時間前ぐらいにこの決定をされていると思うんですが、やはり、当たり外れはあるかもしれませんが、地域の方々への周知ということも含めて、最低、そういった一日前での判断をしたのであれば、それを、直前の判断で全面運休ということではなくて、一日前には多くの方々に周知をするということも含めて、ある程度ルール化をしていただくべきではないかなと思いますが、いかがでしょうか。

藤田政府参考人 今回のようなケースにつきまして、あらかじめ一律に数値的な基準を決めるということはなかなか難しいと思うんですけれども、確かに、御指摘のとおり、社会への影響も非常に大きな形での運休でございますので、十分な時間的な余裕を持って利用者にお知らせをする、それから、その際には、具体的な判断の根拠、理由もお示しする、こういったことが必要であろうかと思っております。

 そういった対応が適切に図られるように、鉄道事業者に対して指導してまいりたいと考えております。

泉委員 終わります。

今村委員長 次に、後藤祐一君。

後藤(祐)委員 本日は、所信に対する質疑でございますけれども、太田大臣はこれまで国土交通行政に関して大変深い御知見をお持ちなことはもうわかっておりますので、後ほど大塚政務官の件について主に聞きたいと思いますが、冒頭ちょっと申し上げたいのは、これに関連して、週刊朝日の記事を配付資料としてお認めいただきたいということで理事会にかけていただいたんですが、これが認められなかった。既に週刊誌の記事として世の中公知になっているものでございますから、もしその事実関係が明らかでないということを理由にその配付を拒まれたのだとすれば、およそこういったものは全部事実関係を確認しないと配付できないわけでありまして、これは大変問題なのではないかということを抗議申し上げたいと思います。

 それでは、この話に入る前に一点、政策の話を申し上げたいと思います。

 先日、六月二十八日に、圏央道が相模原愛川インターから高尾山インターまで開通したことによって、東名高速から中央道、そして関越道まで行けるようになりました。これは大変効果の大きいものでございますが、何分料金が高くて、一キロ四十円、通常、ほかの東名高速などは二十五円程度と安くなっているのに比べて大変高いということで、便利なんですが、地元の方、あるいはこれは地元以外も含めてちょっともったいないなという議論がございます。

 現在、社会資本整備審議会道路分科会の国土幹線道路部会において、再来年をめどに首都圏全体の高速道路料金の体系の見直しを行うというふうに伺っておりますけれども、ぜひ、こういった道路を一律に、わかりやすい、特定の道路を高くするといったことのないような方向で御検討いただきたいと思いますが、これについて太田大臣の御見解をいただきたいと思います。

太田国務大臣 六月の二十八日に、圏央道が、相模原愛川インターチェンジから高尾山インターチェンジの区間が開通しまして、中央道そして関越道がつながりました。東北道も来年の夏ぐらいまでにはつながるということで、首都圏の中に入って、東京の中に入ってくるということがなくなりまして、相当この道路の関係が変わってきます。

 ここの圏央道経由の料金が首都高速経由を上回らないよう、これが大事だというふうには考えています。高ければ中に結局入ってきてしまうということもありまして、道路をコントロールする上でも大事だというふうに思っております。とりあえず、まず割引を導入させていただいたということです。

 開通前は、東名高速から関越道まで走行する車のうちの九割が首都高速や環八などの都心を経由しておりましたが、開通後は都心経由が約三割に減少をしました。大変具体的に大きな効果であったと思います。

 今御指摘の高速料金につきましては、平成二十八年度からのシームレスな料金体系の導入に向けまして、国土幹線道路部会において検討を進めているところでありますけれども、ここできちっと検討していただいて、シームレスな体制に持っていきたい、このように思っております。

後藤(祐)委員 ぜひ、シームレス、料金が特定のところが高くならないような方向で御検討いただきたいと思います。また、あわせて、海老名ジャンクションが大変渋滞しているというお話もございます。この改善もあわせて御検討いただければと思います。

 さて、大塚政務官の話に行きたいと思いますが、本来配付する予定であった週刊朝日二〇一四年十月十七日付、この中で、「昨年八月二十一日未明、エレベーター内でA子さんと口論になった大塚氏は「見事なまでにぶん殴った」(自民党関係者)。軽傷を負ったA子さんは大阪府警に被害届を出し、府警は大塚氏を傷害容疑で書類送検した。」とあります。

 まず事実関係を伺いますが、大塚政務官、このA子さんを殴ったということは事実でしょうか。そして、どこにどの程度の暴行を加え、これは傷害容疑で書類送検されているわけですから、どのような傷害、傷を負ったのでしょうか。

大塚(高)大臣政務官 お答えいたします。

 昨年の八月二十一日、知り合いの女性と口論となり、もみ合いとなり、その結果として軽傷を負わせたことは事実であります。

 また、本事案についても刑事事件として不起訴処分という結論が出たということも受けとめておりますが、このような事案を引き起こしたことについて、プライベートな事項といえ深く反省をしており、被害に遭った方に対して大変申しわけなく思っているところであります。

後藤(祐)委員 一つずつ聞いていきたいと思いますが、この同じ記事で、大塚政務官の代理人弁護士はA子さんの勤務先に解雇するよう求めたという。「「仕事を失うと思い、大塚さんたちが謝罪するという約束で、泣く泣く被害届を取り下げたんです」(A子さん)。」ということがこの記事にもありますけれども、まず事実関係として、大塚政務官の代理人弁護士はA子さんの勤務先に対して何らかの接触をされていますか。そして、接触されたんだとすれば、この代理人は、この勤務先に対して何をしたんでしょうか。ここにあるように、A子さんを解雇するよう、あるいは、何らかA子さんにとって不利益な取り扱いをするよう求めたのではないでしょうか。事実関係を教えてください。

大塚(高)大臣政務官 お答えします。

 そのような事実は全くございません。

後藤(祐)委員 事実関係がないということは、まず、代理人弁護士がA子さんの勤務先に接触もしていないということですか。

大塚(高)大臣政務官 お答えします。

 その代理人弁護士からは、お店に対して、接触はしておるわけでございますが、彼女を解雇しないようにという話をしたという報告を受けております。

後藤(祐)委員 では、接触をしたのは事実ですね。接触をして何をしたんですか。

大塚(高)大臣政務官 接触をして、このようなことになったんだから、弁護士は、お店に対して彼女を解雇しないようにという話をしたという報告を受けております。

後藤(祐)委員 後ほどそこについては詰めたいと思いますが、同じ記事の中で、「それから一年余り、大塚氏側から謝罪の言葉はないという。」こういうふうにありますけれども、大塚政務官はA子さんに謝罪はされていますか。

大塚(高)大臣政務官 お答えさせていただきます。

 謝罪は済ませております。

後藤(祐)委員 いつ、どういう形でA子さんに謝罪されていますか。直接お会いして謝罪しておりますか。(発言する者あり)これは通告をしております。

大塚(高)大臣政務官 お答えします。

 昨年の九月二十四日でございます。大阪の帝国ホテルでおわびを申し上げました。

後藤(祐)委員 さて、一つずつ事実関係を明らかにしていきたいと思います。

 まず、暴行された結果、軽傷だったということでありますが、本当に軽傷なんでしょうか。これがA子さんの傷です。こちら側が殴った次の日の傷、こちらが一週間たった後の傷であります。これは軽傷なんでしょうか。これはごらんになっていますか。

 まず、殴った後、A子さんに、大塚政務官、会われていますよね。会われて、この傷をごらんになっていますか。

大塚(高)大臣政務官 お答えさせていただきます。

 その後、お互いまた話をしたことも覚えておりますし、後日はお会いをしていませんが、そのとき、おわびをしたというのは覚えております。

後藤(祐)委員 この傷が発生した八月二十一日の暴行事件の後、お会いして、この傷を見ていませんか。

大塚(高)大臣政務官 お答えします。

 思い出しました。覚えております。その傷を見せられました。

後藤(祐)委員 先ほどの答弁と変わっているんですけれども、どういうことなんでしょうか。さっきの答弁は何なんでしょうか。

大塚(高)大臣政務官 済みません、勘違いをしておりまして、先ほどお話しさせていただいたように、後日お会いをしました。

後藤(祐)委員 そう軽いことで済むようなことなんでしょうか。ここの委員会の場で、しかも、どういう傷を負ったんですかと私は通告しているんですよ、きのう。その最初の答弁は虚偽答弁じゃないですか。どういうことなんですか。

 もう一度聞きます。この傷は、大塚政務官がA子さんを殴ったことによる傷ですね。

大塚(高)大臣政務官 お答えさせていただきます。

 私が殴ったかどうかというのは覚えておりませんが、後日その傷をまた見せていただきまして、ここに、腕のところですかね、あおじになっていたというのを覚えております。

後藤(祐)委員 これだけの傷を負わす暴行事件を起こす方を政務官にするということ、そもそも国会議員であられることがいかがなものかというふうに私は考えます。国民の皆様がどう考えるか、これから明らかにしてまいりたいと思いますが。

 先ほど、代理人弁護士が勤務先に何をしたかということについて、彼女をやめさせないようにということを申し上げたんだということを政務官はおっしゃいましたが、A子さんによれば、次のようなことをしています。

 まず、代理人弁護士はA子さんに対して、電話でお店のオーナーに話をしますねと脅迫めいたメールを送っています。そして、代理人弁護士は、このA子さんの勤務先のオーナーに対して、A子さんを職場から解雇するよう求めている。これはオーナーに言っています。そして、お店の名前が公に出てもいいのですかなどと脅迫めいたことをオーナーに対して告げています。

 以上は事実ですか。

大塚(高)大臣政務官 お答えします。

 その件につきましては、私は弁護人でございませんので、詳しい中身のことは存じ上げません。

後藤(祐)委員 これは通告をしております。代理人弁護士がA子さんの勤務先に対して何をしたのかは確認してあした答弁するようにと、きのう通告しておりますから、今の答弁では答えになりません。きちんとお答えください。

大塚(高)大臣政務官 お答えします。

 先ほどもお話をさせていただきましたように、弁護人は、お店に対しては彼女を解雇しないようにという話をしたという報告を私は受けております。

後藤(祐)委員 そうしますと、政務官の代理人は勤務先のオーナーに対して解雇は求めていないということですね。

大塚(高)大臣政務官 お答えさせていただきます。

 そうだと思います。

後藤(祐)委員 思うではなくて、断言してください。これは通告をしております。

大塚(高)大臣政務官 お答えをさせていただきます。

 何度も同じ答弁になりますが、弁護士からは、お店に対して彼女を解雇しないようにという話をしたという報告を受けております。

後藤(祐)委員 この代理人に対してA子さんの勤務先に接触するよう指示したのは大塚政務官御自身ですか。

大塚(高)大臣政務官 お答えさせていただきます。

 私はそのような指示をしたことはございません。

後藤(祐)委員 お店の方はどうもそのように言っているようなんですね。まあ、この事実関係はまた別途考えたいと思います。

 先ほどの謝罪の話に行きたいと思いますが、まず、政務官が、正確に言うと政務官の奥さんも代理人も含むんですが、この三人が謝罪することが、同意書というものを交わして示談が成り立ったような形にして不起訴になっているわけですけれども、この同意書を交わす条件だったんではないんですか。

大塚(高)大臣政務官 大分以前のことなので覚えておりませんが、その妻のことも含めて私は謝罪をしたつもりでございます。

後藤(祐)委員 謝罪したのはいつですか。

大塚(高)大臣政務官 お答えをさせていただきます。

 昨年の九月二十四日でございます。

後藤(祐)委員 その九月二十四日に御本人に会って謝罪したんですか。

大塚(高)大臣政務官 お答えさせていただきます。

 そのとおりでございます。

後藤(祐)委員 A子さんは、私は直接A子さんから聞いておりますが、お会いして謝罪は受けていないと言っています。そもそも謝罪を受けていないと言っておりますが、この事実関係とのそごはどう説明されるんですか。

大塚(高)大臣政務官 お答えをいたします。

 私は、昨年の九月二十四日に直接お会いして謝罪を申し上げました。

後藤(祐)委員 どういう言葉で言ったんですか。ある言葉を謝罪と受け取るかそうでないか、感じ方というのは違う可能性は確かにあるでしょう。どういう言葉で謝罪したんですか。少なくとも、A子さんは、謝罪は受けていない、こういうふうに言っているわけでございます。

大塚(高)大臣政務官 お答えをいたします。

 その日もきちんとおわびを申し上げました。

後藤(祐)委員 きちんと答弁してください。どういう言葉で謝罪をされたんですか。

大塚(高)大臣政務官 お答え申し上げます。

 中身につきましては、プライベートなことなので、答弁は差し控えさせていただきます。

後藤(祐)委員 A子さんは謝罪を受けていないと言っているんですね。かつ、この同意書を交わす条件は謝罪だったということなんですね。そうしますと、この謝罪が成立していないんだとすると同意書の前提が崩れる、そして、同意書を交わすということが崩れると不起訴になったその前提事実も崩れる、こういうことになるわけですね。

 では、次の話に行きましょう、次の話を聞きたいみたいなので。(発言する者あり)

今村委員長 静かにしてください。

後藤(祐)委員 このA子さんは大阪市北区のあるお店で働いていた方ですが、政務官は、このA子さんの勤務先であるお店で、有権者に対して御自分のお金を支払うことによっておごったことはありませんか。

大塚(高)大臣政務官 お答え申し上げます。

 当日払ったかどうかわかりませんが、後日きっちりと割り勘をしたということを覚えております。

後藤(祐)委員 常にそうですか。何度か、お得意様だったようでございまして、大変高いお店だそうですけれども、常連だったようでございますが、常にそうですか。

大塚(高)大臣政務官 お答えをさせていただきます。

 大半が私がごちそうになった部分が多いということであると思います。

後藤(祐)委員 有権者に対して、大塚政務官がお支払いになっておごったことは一度もないということを確約してください。

大塚(高)大臣政務官 済みません、もう一度お願い申し上げます。

後藤(祐)委員 有権者に対して、そのA子さんのお店でおごったことは一度もないということを御答弁ください。

大塚(高)大臣政務官 お答えをさせていただきます。

 いろいろ考えておるんですが、記憶にございません。

後藤(祐)委員 田中角栄さんが出てきましたね。記憶にございませんということは、一度もないと断言はできないということですか。一度もないと断言してください。

大塚(高)大臣政務官 お答えをさせていただきます。

 その件に関しましても、プライベートなことなので、答弁は差し控えさせていただきます。

後藤(祐)委員 これは法律にかかわる話なんですね。プライベートでは済まない話だと思いますが、一度もないんですか。それは答えられないということですか。有権者に対しておごったかどうかについてお答えできないということですか。

大塚(高)大臣政務官 その件に関しましても、プライベートなことなので、何度も申し上げますが、お答えすることは差し控えさせていただきます。

後藤(祐)委員 二〇一二年十二月十六日に衆議院選挙がございました。そのかなり近い、直前の十一月九日、このA子さんの勤務先である大阪市北区のお店で、ある政務官の選挙区である豊中の方とお飲みになって、そのお代である八万八百五十円を後ほどお支払いになっておられませんか。

大塚(高)大臣政務官 お答え申し上げます。

 記憶にございません。

後藤(祐)委員 同じく二〇一三年二月一日、衆議院選挙の直後ですね。同じような形で豊中市の有権者とともに飲食をなされて、そのお代、十五万九千六百円をお支払いになっておられるのではありませんか。

 この二点について、覚えていないということであれば、後日確認して、その事実関係を、この委員会の場あるいは理事会の場に御報告していただけませんか。

大塚(高)大臣政務官 お答え申し上げます。

 その件に関しましても、プライベートなことなので、答弁は差し控えさせていただきます。

後藤(祐)委員 これは事実関係なので、きちんと、今覚えていないということなのであれば、後で事実関係を調べて報告していただきたいと思いますが、委員長にこれについては御検討いただきたいと思いますが。

今村委員長 理事会において協議させていただきます。

後藤(祐)委員 国土交通行政について話せというので、話しましょう。

 まず、大塚政務官は、自民党大阪府第八選挙区が総支部でありますけれども、ここに対して、株式会社サンリュウから、平成十八年度から二十四年度にかけて合計三百七十万円の法人献金及びパーティー券を購入していただいています。また、このサンリュウの代表の柳川隆義氏から、平成十九年度から二十四年度にかけ百九十八万円の個人献金をいただいています。また、有限会社マーベリックから、平成十九年度から二十四年度にかけ二百一万円の法人献金、以上、合わせると合計七百六十九万円の献金を受けておられます。

 これらの企業は、どういった事業内容の企業でしょうか。

大塚(高)大臣政務官 お答え申し上げます。

 サンリュウ社は遊技場を経営しておりまして、マーベリックは遊技機の販売を行っておる企業であるということを承知しております。

後藤(祐)委員 遊技場を経営あるいはその機器販売をされている会社でありますと。そういった会社から献金をいただくこと自体は別に違法でも何でもございませんが、大塚政務官は今、カジノと言っちゃいけないんでしょうか、統合型リゾート整備担当の政務官なんですね。となると、ちょっと変わってくるわけであります。(発言する者あり)変わってきますよね。今与党席からも、変わってくるなという御発言がございましたけれども、これらの会社の方と統合型リゾートについてお話をしたことがございますか。中でも、日本でもカジノを認めてほしい、あるいは法律を通してほしい、こういったお話をしたことはございませんか。

大塚(高)大臣政務官 お答え申し上げます。

 特にございません。

後藤(祐)委員 統合型リゾート整備担当の政務官というのは、どういったことが業務なんでしょうか。特に、今内閣委員会にこの基本法というものが継続審議となっております。これは既にさきの通常国会で審議入りしておりますが、これは議員立法ですけれども、この議員立法が成立したと仮に仮定しますと、その後、政府側で一年以内に、これを実施するための法律を策定することがその法律の中に書かれています。この実施法を立案するのが大塚政務官の仕事であると私は考えておりますが、それで間違いないですか。

大塚(高)大臣政務官 お答え申し上げます。

 各級議員の皆さん方と議論を重ねながら、そのまま議論を深めていくということが我々の仕事だというふうに思っております。

後藤(祐)委員 議論するだけが仕事なんですか。実際、このIRに関して、政府側としての担当者だと理解しておりますが、具体的な担務をお答えしてください。統合型リゾート整備担当政務官の仕事を正式に述べてください。

大塚(高)大臣政務官 お答え申し上げます。

 議員立法の方が役所の方と相談をしながら、また、もう一つの方は何でしたか。(後藤(祐)委員「担務を述べてください。担務、政務官としての」と呼ぶ)担務。そちらの方は、我々が担当して、議論を進めてまいりたいと思っております。

後藤(祐)委員 ちょっとよくわかりませんが、統合型リゾート整備担当の政務官として、統合型リゾート整備の何を担当されているのですか。

大塚(高)大臣政務官 お答え申し上げます。

 議論を深めてまいりたいというのが我々の仕事だと考えております。

後藤(祐)委員 担務が答えられない政務官も大変困ったものですが、これによって内閣府政務官を兼務されたと私は理解しておりますけれども、政務官としてどういう仕事をされているかということの御自覚も余りおありでない。大変問題ではないかというふうに思います。

 一般論としてでも結構ですけれども、先ほどおっしゃったような遊技場関係の会社からお金をいただいている方が統合型リゾートの整備を担当するということについて、どのように考えますか。

大塚(高)大臣政務官 お答え申し上げます。

 これからのことでございますので、いろいろな議論を注視しながら前進してまいりたいというふうに考えております。

後藤(祐)委員 前進してまいりたいということは、そういったところからお金をもらっていても、統合型リゾート整備について、何らかの仕事をすることは差し支えないというふうにお考えですか。

大塚(高)大臣政務官 お答え申し上げます。

 これは、私どもは、いかなる企業から献金を受けようとも、大臣政務官としての職務は公正中立に果たしていくべきと考えております。また、そのように行動してまいりたいというふうに考えております。

後藤(祐)委員 答弁いただけていないんですが、それは差し支えないということでよろしいですか。

大塚(高)大臣政務官 お答え申し上げます。

 そのように行動してまいりたいということでございます。それが私の考えでございます。

後藤(祐)委員 統合型リゾートの話は、いろいろな方が御関心があると思いますし、政務官の地元の大阪でも待望論があると思います。いろいろな方の思いがこういった形でまた変な形になるというのは大変問題ではないかなという気がいたしますが、それに対しては問題ないというのが政務官のお考えであったようでございます。

 これは大臣にお伺いしたいと思いますが、前半のやりとりはともかく、今の統合型リゾートの整備担当政務官がこういった遊技場関係の献金をいただいているということについて、大臣としてどのようにお考えですか。

太田国務大臣 献金事案については、いかなる企業から献金を受けようとも、大臣政務官として職務を公正中立に果たしていくという決意の表明があったというふうに私は承知しています。

 IRについては、議員立法の中でこれから国会で議論をしていただいて、その後どうなるかということについては見守っているという立場でございます。

後藤(祐)委員 それでは、こういったことが発覚したとしても、統合型リゾート整備担当の政務官を引き続きやっていただきたいということで、大臣、よろしいんですか。

太田国務大臣 いかなる企業から献金を受けようとも、大臣政務官として職務を公正中立に果たしていくという決意の表明があったところでもありますし、私としては、職務に精励していただきたい、このように考えています。

後藤(祐)委員 今のIRの話以外も含めて、きょうの前段の方から質疑のありました女性との関係、特に、先ほどの暴行事件を起こしてしまった。あるいは、謝罪というのも、女性から私は直接聞いておりますが、謝罪を受けていないと言っている。こういった方を政務官にしているということ自体、私は大変問題だ。

 特に、この安倍政権は女性活躍というのが非常に重要なテーマというふうになっているわけでございまして、その女性に対して政務官の一人がこういった暴行を振るうということでは、せっかくほかのところで立派な政策をつくっても、大変もったいないことになってしまうわけでございますが、前段の話も含めて、大塚政務官に引き続き政務官をやっていただくということで、大臣、本当によろしいんですか。

太田国務大臣 女性の方に対する暴行事案については、大塚政務官より、深く反省しており、相手にも既に謝罪を行ったという答弁があったところだと思います。そういう意味では、職務に精励していただきたいと思っております。

後藤(祐)委員 大塚政務官が非常にはきはきと速い答弁をされたので、ちょっと用意しておいたもう一つの質問をさせていただきたいと思います。

 昨年の八月二十六日に吹田市のファミリーレストランで、この暴行事件の五日後、大塚政務官と大塚政務官の夫人とA子さんがお会いされているのではありませんか。そのとき、何が起きましたか。そのことを御説明いただけますか。

大塚(高)大臣政務官 お答え申し上げます。

 その件につきましては、プライベートのことでございますので、答弁は差し控えさせていただきます。

後藤(祐)委員 私が直接聞いたA子さんの説明によると、A子さんは衝動的に睡眠薬を飲んで記憶を失い、病院に搬送された、その後、救急車と警察が到着し、大塚議員は、秘書に任せ、その場を立ち去り、秘書が警察から調書をとられたときには、大塚議員がいたことを隠していたというようでございますけれども、これは事実ですか。

大塚(高)大臣政務官 お答え申し上げます。

 その件につきましても、プライベートのことに関する件でございますので、答弁は差し控えさせていただきます。

後藤(祐)委員 これは、秘書の方が警察に対しての調書で虚偽を述べているんだとすると、プライベートでは済まないということになってくると思うんですが、これについてもちゃんと秘書に確認していただけませんか。

大塚(高)大臣政務官 お答え申し上げます。

 その件につきましても、プライベートに関する件でございますので、答弁は差し控えさせていただきます。

後藤(祐)委員 非常に曖昧な答弁が、短い答弁ですが曖昧な答弁が続いているわけでございまして、本当に謝罪をしたのかどうか、あるいは、今の、秘書がどういったことを言ったのか、あるいは代理人弁護士の方がお店の方に対して一体何を言ったのか、少なくとも、A子さん側からは、きょう政務官がおっしゃったこととは違う事実が示されているわけでございます。

 なお、実はA子さんから伊吹衆議院議長に対して書類が届いておりまして、陳情書というものが届いておりまして、先ほど示した写真もその中に添付されていて、何月何日に何が起きたかということも全部議長のところに届いているんですね。これは相当、事実関係として、何月何日に何があったということを明確におっしゃっておられます。もし記憶が曖昧なのだとすれば、それは政務官側の方の可能性が高いわけでございまして……

今村委員長 後藤祐一君、既に持ち時間が経過しておりますので、終了してください。

後藤(祐)委員 はい。

 きょう曖昧になった事実は今後また明らかにしてまいりたいと思いますので、きょうはこれで質問を終わりといたします。

 ありがとうございました。

今村委員長 次に、井上英孝君。

井上(英)委員 維新の党の井上英孝でございます。

 本日は、先般表明されました太田大臣の所信についてお聞きをさせていただきたいと思います。(発言する者あり)

 ちょっとざわついているので質問しにくいんですけれども、まずは太田大臣の所信の中でも一番最初に触れられている災害対策について、お話をお聞きさせていただきたいと思います。

 今臨時国会におきましても、先ほどの理事会で委員長から御報告がありましたけれども、土砂災害防止法の改正案が国会に提出されることになったということでありまして、正直、今の現段階では機会があるかどうかというのはわかりませんけれども、詳細につきましては、その機会があれば、掘り下げた議論を進めさせていただきたいというふうに我々会派として考えておりますけれども、本日は、土砂災害に関する私の個人的な疑問を質問させていただきたいと思いますし、また、災害という、特に土砂災害というものに対して、大臣の思いも含めてお聞かせをいただけたらというふうに思います。

 改めまして、広島市で発生した土砂災害を初め、この夏に起きました各災害で被害に遭われた方々に、お悔やみとそしてお見舞いを申し上げたいというふうに思います。

 こういった大きい災害が起きるというのは、これはもうわかっていることでありますので、やはりこういった災害から命を守って、そしてまたそれぞれの皆様方の財産も含めて守っていくというこの安全というものに対して、大臣としてどういう思いで対策をとっていく必要があるというふうにお考えなのか、お聞かせをいただけますでしょうか。

太田国務大臣 日本の国土は脆弱国土である、そして災害も多い災害列島である、こういうことが言われてきましたが、昨今の状況を見ますと、雨だけとりましても、集中化し、激甚化し、局地化している。五十ミリという基準で今までやっておりましたが、五十ミリを一時間だけでなく、三時間も四時間も五十ミリ以上が続くというような事態が起き、高潮あるいはスーパータイフーンというような事態が起きています。

 これに対応しなくてはいけないというふうに私は思っておりますが、直ちにそれを、ハードで立ち向かうという以上に大事なのは、ソフトであろうというふうに思います。

 この間のそうした事態に対応して、どうするかという会議体を組織しまして、有識者に集まっていただいて、その対応については慎重に今論議が始まったところでありますけれども、言われていることは、一番大事なのは、ソフトということをもっと磨き上げようということです。

 土砂災害防止法につきましても、調査をして、そしてそれを警戒区域として指定するという、この作業のところ。また、昨年来、特別警報というもので対応してくるということでありますが、特別警報というのは、気象庁として雨の降り方を示すということでありまして、この特別警報が出たから逃げるとか逃げないというのではなくて、それを受けて各地方自治体、首長さんが判断して、そして、どういうふうに避難をしたらいいかという避難警報、避難情報、指令を出すというところに、非常に首長さんも、どのタイミングでどう出していったらいいのかという大変な逡巡というものがあります。それから、それを解除するというタイミングの問題も非常に難しいということもあったりします。

 また、一人一人がどうも文明の進展とともに脆弱性が増していると私は思いますけれども、昔の五百年あるいは千年前の日本人は、自然の中にそのまま投げ出されたように過ごしていましたから、自分の身を守るということについては非常に敏感であったと思いますけれども、警報が出たり情報が出るまで自分は待っているというようなことであってはならないわけで、自分がどこに住んでいて、どういう危険性があるかということをわかった上で、具体的にどういうふうに逃げるという行為が大事なんだというこのソフト面が、非常に今、情報の出し方、首長の指示の仕方、そして受け手、そうしたことの全体のソフトというものを練り上げていくということが今最も大事なことだというふうに思っているところでございます。

 いずれにしましても、それぞれの気象の大きな変化というものに対して、私たちは、命を守るということについて、ハード、ソフト両面にわたって対応していくということが、国民全般に一歩前に進んでいくということに私は力を入れなくてはならないと思っているところでございます。

井上(英)委員 大臣のおっしゃるように、ソフトというのは非常に大事で、私も、地元は大阪で港区というところで、本当に海に面している地域に住んでいるので、そういう海の、先日の東日本大震災でも本当に大きな津波が来て、多くの被害が出て、そういったものも目の当たりにした今、自分の地域がどういう地域でということを改めて知るということは非常に大事ですし、私の地域では、それぞれの地域でやっていることだと思いますけれども、ハザードマップというのをつくって、どういうところに避難をするというようなことを日ごろから、コミュニティーも含めて情報伝達といいますか周知、告知を徹底するということをやっていますし、そういうことを積み重ねていくということがやはり大事で、一定のハードももちろん大事なんですけれども、先ほど大臣がおっしゃるような、命を守るために、ソフトの充実というのが本当に喫緊の課題じゃないかなというふうに感じております。

 私がそこで思うのは、今回、土砂災害の件も含めて、命ももちろん何よりもかえがたいもので大事なものなんですけれども、例えば先般、本土におきまして、広島市での土砂災害もそうですけれども、避難をして命は助かった、でも避難して戻ってくると結局家が流されていたり埋まっていたり、そういう被災をされた方もたくさんおられると思うんですね。そういう家をなくした方々にやはりしっかりとサポートをしてあげるということが非常に大事だというふうに考えるんですけれども、大臣はどのようにお思いか、お聞かせいただけますでしょうか。

太田国務大臣 災害が起きた、そして避難せざるを得ないという方には、復旧とともに復興という作業がありますから、行政としてバックアップするということに全力を挙げなくてはならないというふうに思っています。

 土砂災害の危険がある箇所に住民を住まわせるかどうかというような議論が一斉に起きたりしたわけでありますけれども、これまで土地利用規制ということについては二つございまして、一つは建築規制を伴う条例なんですが、災害危険区域に住まないようにという、津波の浸水地域みたいに規制をかけるという条例等ができている場合があります。もう一つは、土砂災害防止法に基づいての土砂災害特別警戒区域。新規のものについては、ここは原則として規制をするというような地域がございます。自治体の判断であるわけですが。

 私は広島に行きまして、いろいろな方の話も聞きました。ここは住むのは無理じゃないかという声も随分あったんですが、真砂土であるというような、いろいろなことを言われていたんですが、被災された方に聞きますと、ここはもう四十年前に買って、やっとマイホームとして、しかもここはちょっと高台だから瀬戸内海が見えてという、もう本当に我が家にとってはこれは悲願であって、やっとマイホームが持てたという中でという、私はその気持ちは大事にしていかなくてはいけないというふうに思ったところです。

 既にできている住宅、または今後新規についてはどう規制するか。そして、住んでいる方を守るためにハードとソフトの組み合わせ、財政制約ということもありますから、全部一斉に沢について砂防堰堤をつくるというようなこともなかなかできかねるということもありまして、ハード、ソフト両面にわたって、きめ細かな、命を守る体制をとっていくということが今必要だというふうに考えているところでございます。

井上(英)委員 私の家内も神戸で、先ほど赤羽先生も神戸とおっしゃっておられて、阪神大震災も被災しているんですね。本当に、被災された方の中では、生涯の買い物と言われる、先ほど言われたマイホームを、生涯にわたって二度買わなければならなくなっている方々もおられるんですね。

 だから、先ほど言われたように、ソフトとハードの両面を充実させて命を助けるというのは、まず大臣のおっしゃるとおりで、私もそれは異論はないんです。

 ただ、命は助かっても、その日からすぐにまた生活が始まるわけで、住むための家がなくなってしまうというようなことも含めて、非常に気の毒ですし、やはりしっかりとサポートしてあげたい、あげるべきだというふうにも思いますし、また、そういうことも踏まえた土砂災害に関する議論にも今後なっていくと思います。

 次には、被災後、こういう被災があって、そういう警戒区域とか特別警戒区域に指定になったときに、そこに今住んでいる方々のことを考えると、既に住宅が建ち並んでいるというところもたくさんあるわけで、そういう方々にすぐに移転をしてくれというのは、現実問題として、当然、非常にというか極めて難しいんじゃないかなというふうに思います。

 やはり、今回の土砂災害で多数のとうとい命が失われたという現状もある中で、移転を進めていけるということにこしたことはないんじゃないかなというふうには思うんですけれども、それを今、十分な補償というのを行って、もちろん住む権利というのはあるんですけれども、一定、強制的に移転措置なんかを本当に国が本格的に取り組んだりというようなことはやっていく必要もあるんじゃないかな。

 先般、コンパクトシティーの議論もありまして、私はコンパクトシティーは大賛成で、ある程度の限られたコミュニティーの中に子供から高齢者まで現役世代も含めて住んで、本当にかゆいところに手が届くような、そういうまちづくりというのがやはりこれから本格的に必要だというふうに私も思っているんですけれども、そういった意味での大臣のお考えはどうか、お聞かせいただけますでしょうか。

池内政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のように、やはり危険な地域にできるだけ人が住まないようにする対策というのは重要だと思いますが、一方で、先ほど大臣から答弁いたしましたような、人々の思いもございます。そういったものを勘案しつつ、現状の制度といたしましては、例えば移転を希望される方に対しては、がけ地近接危険住宅移転事業等の移転事業もございますので、そういった支援策を活用して、できるだけ安全なお住まいになるようにしていくというのが重要だと思っております。

 一方で、これも今委員御指摘ございましたように、やはり大局的なまちづくりの中で、コンパクトシティー化の中で安全な方向にまちづくりを進めていく、そういったことも重要だというふうに考えております。

 以上でございます。

太田国務大臣 先般の通常国会でも、都市再生特別措置法を議論していただいて、つくらせていただきました。ここは防災というよりコンパクトシティーということで言ったんですが、防災ということも含めて考えますと、そちらに、これは強制ではありませんで誘導型なんですけれども、誘導型、例えば、危ないところに高年齢の方がひとり暮らしをしているというようなことに対しても、町中で三世代一緒にというようなことはできないかということも含めて、そうした誘導型のコンパクトシティーづくりということは大事なことだというふうに思います。

井上(英)委員 細かく通告していないので、大臣、ありがとうございます。

 そういった中で、本当にこれからそういう警戒区域とか特別警戒区域を指定するのであるなら、私、個人的には、そういう危険をはらんでいる地域ですから、やはりそういう両区域になるべく住まない方がいいんじゃないか、住むことに適していないんじゃないかという思いは正直持っています。ですけれども、住んでおられる方はもちろんおられるので、先ほどのソフト、ハード両面での充実というのは大事なんですけれども、新規でその区域に住むということはやはりやめていく必要があるんじゃないかと思うんですけれども、大臣、どのように思われますでしょうか。

池内政府参考人 お答えいたします。

 まさに委員御指摘のように、新規にそういう危険な地域にお住まいになることはできるだけ避けていくような方法は重要だと思っております。

 そういった意味で、今般の土砂災害防止法の中では、特別警戒区域、レッドゾーンに指定いたしますと、例えば新規の住宅宅地の分譲ですとか、あるいは一定の建築物をつくる場合には、住むなということではないんですが、要は、土砂災害に対して安全な構造にするとか、本当に危険な場所についてはそういったところに建築物を規制するとか、そういった体系になっておりまして、土砂災害防止法の運用を通じてそういった方向に導いていきたいというふうに考えております。

 以上でございます。

井上(英)委員 やはり非常に危険な区域ということを指定するわけなので、新規で、先ほど言われたみたいに、さまざまな対策をとればと。住む権利もあるし、当然建てる権利もあるわけですから、そういう中で、いろいろな考え方はあるかと思うんですけれども、まずは根本的に、そういう危険から回避するという意味で、住ませないということはやはり大事じゃないかなと思うんですけれども、その辺の細かいところについては、また法案を議論する機会があれば詳細に触れさせていただきたいと思いますので、きょうはこの辺にさせていただきたいと思います。

 それから、ちょっと時間がなくなってきたんですけれども、リニア中央新幹線について、同郷の北川副大臣もおられますので、お聞きをしたいと思うんです。

 やはりリニア中央新幹線は、我が国の新たな大動脈になるんじゃないか。東京―大阪間の時間距離を飛躍的に縮め、六十五分ですかになる。首都圏、中部、関西を一つの経済圏とすることで、人口減少で収縮する日本経済に活力を与えて世界との競争力を高める極めて重要な社会基盤、インフラだというふうに我々は考えております。

 そしてまた、一方で、今、我々大阪は、統合型リゾートのIRも含めて非常に積極的に取り組んでいます。

 そういった中で、現実は、今言われているのは、東京から名古屋というふうに言われておりますけれども、やはりそれを大阪まで一挙に開通するという強い思いを我々は持っているんですけれども、改めて北川副大臣の決意を聞かせていただけたらと思いますので、よろしくお願いいたします。

北川副大臣 井上委員には、大阪の出身でございますし、私もそうでございます。今、リニアについていろいろ所見を述べていただきました。

 この件につきましては、もう井上委員と私と全く同じ考えでございまして、やはり、やるのであれば東京―大阪、一挙に開通した方が、国土軸という問題から考え、またJRそのものの採算から考えましても、いろいろな面から考えても、その方がいいのになという思いはあります。これはもう井上委員と全く同じ考え方でございます。

 しかし一方では、この事業というのは、やはりJR東海が民間企業として経営の自由や投資の自主性というものを確保しながら貫徹する、そういう大原則があるわけでありまして、また、全額自己負担で整備を行う、こういうこともございます。そういう前提で建設の指示をした、こういうことであります。

 私も予算委員会でこの質問を太田大臣に質問したことがあるんですけれども、名古屋までの開通と大阪までの開通と、余りにも期間が長過ぎるじゃないかというようなことも感じました。私は、個人的に、今後の課題として、この期間をできるだけ短くするとかというようなことができないのか、JR東海の方にも機会があればまた働きかけていきたいなというような思いがいたしております。

 以上でございます。

井上(英)委員 ぜひ頑張っていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 どうもありがとうございました。

今村委員長 次に、百瀬智之君。

百瀬委員 維新の党の百瀬智之です。

 まずは冒頭、重要な問題だというふうに私も思いますので、大塚政務官に一言いただきたいというふうに思っております。

 私も事実関係についてお伺いしようかというふうに思ったんですけれども、先ほど後藤議員にやっていただきました。まだまだ曖昧な部分も残っているというふうに思いますので、今後の推移を見守りたいというふうに思います。

 一点だけ。やはり傷害というのはどうしても許されないことだ、反省しても許されないことだというふうに思っております。女は男を殴ってもいいときがあるかもしれませんけれども、男は女を殴ってはいけません。国土交通の政務官を務める方として、今回の件をどのように捉えていらっしゃるか、今回の件について率直な思いをお聞かせいただけますでしょうか。

大塚(高)大臣政務官 お答えをさせていただきます。

 先ほども御答弁させていただきましたとおり、本事案につきましては刑事事件として不起訴処分という結論が出たものと受けとめておるわけでございますが、このような事案を引き起こしたことについては、プライベートな事柄とはいえ、深く反省をしており、被害に遭った方に対して大変申しわけなく思っているところであります。

百瀬委員 それでは、早速本題に入ってまいりたいというふうに思います。

 今回は、私の地元長野県内で起きました御嶽山の噴火からお尋ねしてまいりたいというふうに思っております。

 まず、気象庁の方にお伺いしたいわけでありますけれども、今回警戒レベルを噴火前に引き上げなかった理由についてお尋ねしたいわけでありますけれども、先ほど来よりお話が出ております。火山性地震が九月十日は五十二回出た、十一日は八十五回とまた急増していた、さらには噴火の予兆とされる低周波地震も噴火前までに十三回を観測されたなどと言われているわけですけれども、噴火警戒レベルを上げなかった理由をお願いいたします。

西出政府参考人 火山噴火の予測は、地震計による火山性地震や火山性微動の観測、傾斜計やGNSSによる地殻変動の観測、遠望カメラによる噴気等の状況の観測を行い、これらの観測データを過去の噴火の際の観測データをも考慮して総合的に判断することにより行うものであります。

 今回の御嶽山の噴火につきましては、九月十日から十一日にかけて火山性地震が増加しておりましたが、地殻変動や噴気に変化が見られず、また、火山性微動が発生していなかったこと、火山性地震の回数が二〇〇七年のごく小規模な噴火のときと比べても少なく、また、十二日以降減少したこと、これらのことから警戒レベルを引き上げる判断には至りませんでした。

百瀬委員 どうしても後知恵になってしまうかもわかりませんけれども、やはり遺族の方の思いからすると、どうしてかなというものがあるわけであります。私も、気象庁の対応について、やや今回は前例にとらわれ過ぎた面もあったかなというふうに思うわけであります。

 御嶽山の場合、過去二回しか噴火したデータがないわけでございまして、ここをどう解釈するかということでありますけれども、私も調べたところ、一九九一年の噴火、これは四月から六月に火山性地震が多発して、特に四月二十日に最大百三十七回を記録しております。そして、その後、約一カ月後、五月の十三日から十六日の間に噴火があったと後日の調査で推定が出ております。

 また、二〇〇七年の噴火に至っては、一月の中旬に火山性地震が増加している。このときは、十六日に九十回、十七日に最大百六十四回の地震を計測していて、約二カ月後、三月の後半に噴火があったというふうに推定が出ております。

 いずれもごく小規模な水蒸気爆発であったわけでありますけれども、噴火が起こるのは火山性地震が起こってから一カ月後とか二カ月後とかですから、せめて三カ月くらいはその火口周辺だけでもちょっと規制をかけた方がいいのではないかな、こういうマインドが働けばというふうに私は思ったわけであります。

 また、御嶽山については、独特の、火口周辺に登山客の方が集まる、こういった登山道にもなっているわけでありまして、登山道と火口が離れている火山の対応とまた違ったリスクもあるわけであります。そして、今回、観光シーズンでもあって登山客が多かったわけでありますから、過去にとらわれない、そういった配慮も必要だったのかなというふうに思っております。

 一般的な基準での判断ではなくて、山ごとの個別的な対応とかそういった意味で、今回の反省を受けて気象庁の方でどのようにこの辺を考えていらっしゃるか、一言いただけますか。

西出政府参考人 火山ごとに、御嶽山に限らず、過去の火山活動を総括して、今おっしゃいましたように、いろいろな活動状況を勘案して、各火山ごとに判断基準といいますか考え方をまとめておるところでございます。

 今回の噴火災害をもとにどうすべきかというのは、今後、有識者等の御意見をいただきながら検討していきたいと思います。

百瀬委員 次に、噴火警戒レベルの見直しについてもお伺いしたいというふうに思っております。

 噴火警戒レベル一ということで、今回は平常だということでなったわけでありますけれども、やはり平常という言葉は、一般の方からすると、やや誤解を招きかねないのかなというふうにも思っております。少なくとも、火山性地震と噴火の可能性を示す現象が起こったら、平常ではない状況であるということを伝えやすい文言に変えることもあるかと思っております。

 また、この噴火警戒レベルの二と三の間とか三と四の間、こういったところにも幾つかステージがあるのかなというふうに思っているわけでありまして、今回の噴火警戒レベル、これは十段階近くに分けることも可能なのかなというふうに思っております。

 大臣も所信の中で、現場力こそが日本の底力ですとおっしゃっていただいておりますけれども、ぜひ、現場力を生かせる噴火警戒レベルの運用を指導していただきたいというふうに思いますし、現場が柔軟に対応できる新しい噴火警戒レベルを設定していただきたい、あるいは、それとは別の指標を何か設ける等工夫していただきたいというふうにも思うわけでありますけれども、この噴火警戒レベルの運用、これまでの議論を経て、大臣、今の思いをお聞かせいただけますか。

太田国務大臣 現在の火山に関する知見、予測の科学的水準では、今回のような水蒸気噴火につきましては、噴火の予兆の把握が極めて困難ということでございます。また、一時的な火山性地震の増加は、噴火が起きない場合でも全国いろいろなところで起きている、数多く見られる現象です。

 このような噴火の予兆が乏しい場合に、噴火警戒レベルを引き上げることは困難であり、また、引き上げの考え方自体を見直すことも適当ではないと私は思います。

 しかしながら、噴火警戒レベルを引き上げるまでには至らないが、今おっしゃったような、火山性地震が増加している等の場合には、情報の登山者等への迅速かつ的確な伝達ということについては検討する必要があるというふうに思っています。

 火山噴火予知連絡会のもとに、学識経験者や自治体、登山者団体から成る検討会を設置して、自治体、住民、登山者等に対して、わかりやすく、効果的に火山情報を提供するための具体策を早急にまとめていただくこととしておりまして、ここは非常に大事な問題であろうというふうに思っています。さらに具体的に詰めたいと思っています。

百瀬委員 ありがとうございます。ぜひお願いいたします。

 関連して、何点かお聞きしたいわけであります。

 今回、改めて噴火の予測というものがいかに難しいかということが浮き彫りになったわけでありますけれども、それゆえに、専門的知見の集積と、あるいは人材の育成、こういったことが重要であるというふうに思っております。

 しかし、とりわけ人材の育成という観点から立ちますと、地中の事象にかかわる専門教育を受けた気象庁の技術職員は限られているのが現状だそうでありまして、人事異動で気象の専門技術者が火山監視情報センターの担当となることもあるというふうにお聞きしております。これでは、登山者や住民に対して、具体的な防災行動に役立つレベル三、四、五の情報を適切なタイミングで本当に出せるのかなというふうに思うわけであります。

 気象庁は、地震や火山噴火など地球科学分野の大学院修了者、こういった者を積極的に採用していただきたいというふうに思いますし、火山防災情報を発信する際の判断能力の向上もあわせてやっていただきたいというふうに思うわけであります。

 今お聞きするところによると、海洋あるいは天体等に比べて、火山学は大変人気も低迷しているということでありますけれども、こういったところの学生を採ることとあわせて、社会人のスキルアップ、こういったところを大臣にもお力をいただきたいわけでありますけれども、一言いただけますか。

太田国務大臣 なかなか科学者の育成というのは難しゅうございまして、例えば私は土木工学科で耐震工学を専攻したんですが、当時は私の研究室だけが全国で土木の耐震工学をやっているというふうな状況で、もともと裾野が少ないということもございます。

 また、地震については、理学部系統で地球物理学科というようなことの中でやっている方が多いんですが、それ自体もなかなか少なくて、地球物理といっても、素粒子をやったり宇宙論をやったり、いろいろな方もいらっしゃいますものですから、なかなか、裾野自体が少ないという形にもなっています。

 しかし、オーバードクターなんということで、就職がなかなかないなんということもあったりしているところも現実にはありまして、地震や火山ということが今非常に注目をされておりますし、科学的な知見が極めて重要だということでありますので、そうしたことで、専門人材の確保ということについて、よく政府全体で取り組んでいきたいと思っております。

百瀬委員 前向きなお言葉、ありがとうございました。

 続きまして、自治体との連携についてお伺いしたいわけであります。

 気象庁は、先ほどもお話に出ておりましたけれども、火山の状況に関する解説情報、いわゆる火山解説情報を出しています。今回、噴火前は、十一日、十二日、十六日、三回にわたって地元自治体にも発信されて、御嶽山麓の王滝村にも届いていたということでありますけれども、この十六日の解説情報には低周波地震の情報が明記されていなかったということであります。

 低周波地震の有無は噴火を予兆する上で重要な要素ともなっているために、これを十四日に観測しているということなので、これは反省点としてはあるのかなというふうに思っております。

 それと、地震の情報等、地元の自治体から気象庁に情報を入れる仕組みはあるかということなんでありますが、ただでさえ気象庁は人手不足ということでありますが、例えば、鳴動、音の有無とか山の異変を気象庁にも伝える仕組みというものはあるのでしょうか。あれば、それが徹底できているかをぜひ御検討いただければというふうに思うわけであります。

 登山者や地元住民への情報伝達の仕組みの強化というものは大切でありますけれども、行政と地元自治体との連携あるいは研究者間との連携、こういったことが今後よりスムーズに行われるべきだというふうに考えますが、今回の件を受けて、担当者の方はどのような思いでいらっしゃるでしょうか。

西出政府参考人 地元の自治体や防災関係機関は、地域の住民等への情報提供について重要な役割を担っていると認識しております。

 気象庁が発表する火山の状況に関する解説情報や噴火警報などは、関係省庁、報道機関を初めとして、地元の自治体や防災関係機関に対し、専用線やインターネットを通じて提供しております。これに加えて、火山活動に異常が見られる場合には、気象台から直接自治体に対して火山活動の状況を説明するとともに、今後の火山活動の推移に関する注意喚起を行っているところです。

 気象庁からの情報を受けた地元自治体は、それぞれが定める地域防災計画において、情報提供の実施方法等を定めております。例えば、御嶽山においては、火山の状況について異常が認められる場合に、王滝村から火山に関する情報を観光事業者や山小屋などを通じるなどにより、登山者に情報提供を行っております。

 気象庁では、噴火予知連絡会のもとに火山情報の提供に関する検討会を設置しまして、地元の自治体などの意見も聞きつつ、さらに迅速かつ効果的な情報提供のあり方について検討し、早急に具体策をまとめてまいります。

百瀬委員 この連携ということに関連して、組織上のことについて、内閣府の方にも来ていただいていると思うので、御答弁をお願いしたいわけでありますが、火山災害にかかわる業務は、調べたところ、気象庁だけではなくて、防災科学技術研究所、産業技術総合研究所、国土地理院、海上保安庁等に分散しているということでありまして、また、そこに国立大の研究者も加わった火山噴火予知連絡会で、観測データを持ち寄って火山活動を監視する体制を整えているということであります。

 私も、今回、関係機関はこれだけあるんだなということを思うと同時に、こうした複雑な体制では、なかなか連絡調整に手間取ることもあるでしょうし、また、緊急時に迅速かつ適切な火山防災情報を発信できるのかなというふうに懸念するわけであります。

 そこでお尋ねしたいと思いますけれども、アメリカでは地質調査所などがあると聞いております。地震や火山噴火など、地球内部に起因する自然災害事象の基礎研究から防災情報発信までを一元化した組織に統合する、こういったことも参考になるのかなというふうに思っておりますけれども、内閣府の担当者の方、人材の育成という観点から、大学との人事交流も活発に進めていただきたいという思いもあわせて聞きたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

日原政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、火山の観測、研究につきましては、気象庁のほか、大学あるいは独立行政法人等で行っているところでございます。

 基本的に、それぞれ研究ですから、競い合いながら連携するということが重要かなというふうに思っております。ただ、それがばらばらであっては当然いけないわけでございまして、それぞれの観測データにつきましては、それぞれの機関で情報を共有する仕組みをつくっております。

 また、警報等の発令につきましては、今申しましたような共有の仕組みに基づきまして、気象庁の方に集約されまして、特に四十七の常時監視火山につきましては、常時監視を行いながら警報を発令するという状況でございます。

 また、火山研究につきましても、これについてもそれぞれ計画的に進める必要があるということで、科学技術・学術審議会の意見を踏まえまして、文部科学省の中で、災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画というものを策定しておりまして、ここでは、関係省庁、研究機関、国立大学法人等の機関が計画的に調査研究を進めているところでございます。

 また、実際に噴火等が起こった場合は、今回もそうですけれども、やはり火山ごとにそれぞれ専門的に研究されている機関がございますので、そういうところと密接な連携を図りながら、公共団体に対しましても的確な情報を与えながらやっていきたいと政府全体として取り組んでいるところでございます。

 ただ、御指摘のとおり、さらなる観測体制の充実強化でありますとか各機関の連携強化、あるいは人材の育成ということは大変大きな課題でございますので、現在、気象庁、文科省、それぞれにおきまして検討に着手していただいているところでございます。

 それぞれの機関に相互に研究メンバーは入っておりますし、内閣府もメンバーに加わっておりますので、政府一体となって取り組めるよう、しっかり対応してまいりたいというふうに思っております。

百瀬委員 ぜひ前向きに検討をお願いいたします。

 火山の災害対策については、以上で終わりにしたいと思います。

 今回、火山は、今回の経験のように大変恐ろしい面があるということが浮き彫りになったわけでありますけれども、一方で、つき合い方によっては当然人の利益になることもあるわけであります。観光あるいはエネルギー政策、こういったことに資する側面もあるわけでありまして、例えば、火山があるから温泉もあるという関係にもございます。

 一呼吸というわけではありませんけれども、太田大臣、私、長野県の出身でありますけれども、長野県は温泉が大変多くて、浅間温泉やら穂高温泉とあるんですが、いらっしゃったことはありますか。

太田国務大臣 今御指摘の松本の浅間温泉を初めとして、私は昔から全国を随分回っておりまして、長野県も温泉は幾つか行かせていただいております。

百瀬委員 急に質問がやりやすくなったわけでありますけれども、この温泉というもの、私も、日本の歴史と文化を持つものとして、これからさまざまな可能性を持っているものだなというふうに思っております。

 長野県の場合は、特にアルプスの眺望等とあわせて、リゾートあるいは観光地としての性格を強めているわけでありますけれども、例えば、これからは、地元の温泉が地元の総合病院あるいは介護施設等々とタッグを組んで、一大保養地あるいは療養地として充実させようという動きが、既にあるのかもわかりませんけれども、それを強めようという動きもあるかもしれません。

 そうなれば、温泉を使ったリハビリ、あるいは温泉医療に関する研究が進むというようなこともあるのではないかというふうに思っているわけであります。これはいかにも健康長寿の日本らしい取り組みだなというふうに思っておりまして、たくさんの方々に長期滞在してもらって、地元の経済の発展にも貢献していただきたいというふうに思うわけであります。

 こういった事例は数多くあると思うんですけれども、太田大臣、この自然を生かした地域の魅力発信、何か事例としてお考えになっていることもありますか。

 ちょっと通告は漏れているので、では、次に移らせていただきます。

 時間もないので次に行きますけれども、観光庁の方にお伺いしたいわけでありますけれども、先ほど来よりお話に出ております、二〇二〇年には二千万人の訪日外国人旅行者数を目指しているということであります。これは、東京オリンピックがあるとはいえどもなかなか高いハードルだなと思いますけれども、私もぜひ達成していただきたいというふうに思っております。

 温泉一つとっても、外国人の方に訪れていただく、大変重要なことではないかというふうに思っておりますし、外国人の方が日本の温泉に入りやすいように水着着用を許可する場所をふやしたり、あるいは道の駅とか鉄道の駅構内の足湯温泉施設を充実させたりだとか、地方の特色を生かした施策を打っていくことも後押しすることが重要ではないかというふうに思うわけでありますけれども、観光庁の方、この分野でお考えになっていることをお願いいたします。

久保政府参考人 先生御指摘のように、日本においては、古来より温泉がさまざまな形で利活用されてきたというふうに思います。

 歴史的には、温泉は、古くからまず湯治場として利用されておりましたし、近代になって保養の場としても利用されるようになったところであります。最近では、数ある観光資源の中の一つとして、外国人旅行者にもそれが認識されるようになってきたところです。

 外国人旅行者の誘致を促進する観点からは、外国人に魅力のある観光資源の情報を海外に発信することが極めて重要だと考えておりまして、これらにつきまして、例えばJNTOのウエブサイト、あるいは地方のいろいろな発信媒体等を通じた情報発信に努めてまいりたいというふうに考えているところであります。

百瀬委員 ありがとうございました。

 時間が参りましたので、終わりにしたいと思います。ありがとうございました。

今村委員長 午後一時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時三十五分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時三十分開議

今村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。西野弘一君。

西野委員 次世代の党の西野弘一でございます。

 八月一日に次世代の党が結党されてから、私にとりましては次世代の党としての初めての質問になりますので、よろしくお願いします。

 私は、週刊朝日ではなくて産経新聞の記事について伺いたいなと思っております。

 十月十二日の産経新聞の記事によりますと、小笠原周辺で、恐らく中国の船だと思われる船が数隻というか十数隻押し寄せてきて、何かをとろうとしておるんやなという記事が載っていました。あんな遠くからわざわざ小笠原まで来るということは、それだけの価値のあるものをとりに来ておるんやなということで、恐らくサンゴだろうというふうに言われておりますが、海上保安庁としてこのことをどのように把握されていますでしょうか。

佐藤政府参考人 お答えします。

 海上保安庁では、大型巡視船、航空機により、小笠原諸島周辺海域において定期的に哨戒を実施しておりますが、九月に入ってから、同海域で中国サンゴ漁船と見られる漁船が多数確認されております。

 したがいまして、現在、大型巡視船や航空機を集中的に投入した特別な体制により、違法操業などを行う外国漁船の取り締まりを実施しているところでございます。

西野委員 今、サンゴというのは物すごく高騰しているようでありまして、もともと中国では赤い宝石というものがすごく珍重されているそうでありまして、サンゴの中でも宝石サンゴと呼ばれているアカサンゴが、中国もバブルですから、すごく高騰してきまして、この十年間で値段が約五倍ぐらいに上がっているということで、日本の中でも、今までサバとかをとっておられた漁師さんがサバをやめてサンゴ漁にかわって、乱獲をして、これではいかぬということで、高知県なんかでは制限をかけるようなこともされているようであります。

 日本珊瑚商工協同組合というところがありまして、そこでサンゴの取引額を聞きましたら、平成二十四年で、いろいろですよ、ええのから悪いのから全部入れて、平均してキロ百五十万するそうでありまして、最高級のものになるとキロ六百万ぐらいするということであります。

 これを中国から来て乱獲をし始めているわけでありますけれども、まず、このサンゴ漁の実態について、水産庁さんにきょうは来ていただいていますので、伺いたいと思います。

枝元政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国におきます宝石のサンゴ漁業でございますが、高知県、沖縄県、鹿児島県、東京都及び長崎県の五都県におきまして、知事の許可が必要ということにされておりまして、平成二十六年で三百七十二隻が許可されております。

 関係都府県からの聞き取りによりますと、近年の漁獲量が年間三から四トンということになっているところでございます。

西野委員 年間三から四トンということですね。

 そうすると、何かイメージで思うと乱獲をされているというような感じなんですが、それほど全体のあれとしては多くないような気がするんですけれども、それはどういうことなんでしょうか。

枝元政府参考人 宝石サンゴというのは、アカサンゴ、モモサンゴ、シロサンゴと三種類ございまして、大体水深二百メートルぐらいのところに生えております。それはいろいろなとり方がございますが、例えば高知ですとか東京都ですとか、いわゆる引いてとるわけでございます。その引いたものにひっかかるということで、一隻当たりでとれるものが、例えば東京都では、今、小笠原周辺では近年三から四隻、日本の漁船が操業しておりますけれども、一隻当たりの平均が五キログラムぐらいでございます。そういう意味では、そんなに一隻でたくさんとれるというものではございません。

西野委員 いや、それを聞きたかったんです。

 東京都で今、三から四隻がサンゴ漁をしている、許可を得ているということなんですが、要は、小笠原の周辺で日本の船は三隻か四隻しか漁獲をしていない、漁をしていないわけですね。そこに中国からはるばる何十隻とやってきて、ごそっととっていくわけでありますから、これは何としてでも取り締まらないかぬな、けしからぬことやなというふうに思っているんですが、中国からわざわざリスクを冒して小笠原までずっと日本を回り込んで入ってくるということは、やはりそれだけのうまみがあるんやないかなというふうにも思っております。

 これだけ中国もうまみを感じて遠いところをとりに来よるということは、これはそれだけの価値があるものですから、これは日本の貴重な資源として絶対守り抜かないかぬ、そのように私は思っているんですけれども、当然、海保と水産庁とで連携をしながらこれは取り締まっていただいているんだとは思いますが、ちなみに、予算の要求の中で、その体制強化への要求はしっかりとされているんでしょうか。

佐藤政府参考人 お答えします。

 海上保安庁では、尖閣諸島周辺海域を初めとする領海警備に万全を期すとともに、海上におきますさまざまな不法行為などにすきのないように対応していくため、戦略的海上保安体制を構築することとしております。

 まず、現在の中国公船の活動への対応を強化するため、平成二十七年度末までに尖閣領海警備の専従体制を構築すべく、大型巡視船の整備を進めるとともに、必要な要員について確保することとしております。

 また、将来、中国公船がふえた場合を見据え、さらなる情勢の変化が生じた場合に、全国からの巡視船の応援派遣体制を確保するため、既存の巡視船の高性能化を図った代替などを進めているところであります。

 さらに、平成二十七年度概算要求においては、すきのない海上保安体制を構築するため、航空機による哨戒体制や外国漁船への対応体制の強化などに必要な経費を計上しているところであります。

 いずれにしましても、御指摘の小笠原諸島周辺海域の状況などを含め、海上保安業務をめぐる情勢にしっかりと対応するため、適切に体制整備に努めてまいります。

西野委員 この前、皆既月食がありまして、母島というところの島の皆さんが島のヘリポートに行かれて、お月さんの月食を見ようと集まっておられたらしいんですね。そうすると、お月さんを見ようと思って集まっているのが、みんな水平線の方に目が向いている。何やというと、漁船の明かりが、それもおびただしい数の明かりがついているわけですよ。聞けば、小笠原の海域では、いわゆる集魚灯というんですか、船の上からライトを照らして漁をするという漁のやり方が禁じられているということですから、これはもう完全な不審船というか密漁団なわけですよ。それを見て、皆既月食どころやなかったという話が記事にも載っていました。

 定期船がありますけれども、定期船からの報告でも、日中に十隻ぐらいの不審船が恐らくサンゴ漁をしていたというような報告がしょっちゅう上がってきているようでありまして、これは日に日にその数もふえていっているというような報告が上がっているようでありますけれども、現状、海保として、この中国船と見られる不審船の数はどれぐらいふえていっているのか、もしくはどれぐらいの数を確認されているのか、伺いたいと思います。

佐藤政府参考人 昨日、当庁の航空機が確認しておりますが、中国のサンゴ漁船と思われる漁船を約三十隻確認しております。一昨日につきましては四十六隻、九月の最初のころには十七隻とか二十五隻ぐらいでしたが、昨日は三十一隻確認しているところでございます。

西野委員 もうすごい数なわけですよね。今お聞きしただけでも十何隻、四十六隻、きのうも三十一隻ですか。これは本当に、この小笠原の大事な我が国の海洋資源がこうやってとられていっているという現状は嘆かわしい限りであります。

 かつて、北方領土で我が国の漁船が操業していまして、その船員さんがロシアに射殺されたことがありました。北方領土はそもそも我が国の領土でありますから、この我が国の領土、領海の中でこのようなことが起こったということは、大変嘆かわしいというか、悔しい思い、憤りを感じたわけであります。

 先般も隣の韓国で、中国の同じような、小笠原で密漁をやっているような、こういう船が韓国で操業していました。韓国の当局と取り締まりでもめたんですね。韓国の方から射殺されたという報道もありました。パラオでも同じようなことが起こっているんですね。

 今回の予算要求で体制強化をしっかりとされるということではありますが、実際、仮に拿捕して、今月の五日に海保が一隻拿捕しました。でも、結局、拿捕しても、逮捕しても、そのとったものを没収して、また中国に強制送還するんですよね。盗人に入られて、物だけ返してや、ほな気をつけて帰りやというようなことを繰り返しているわけですよ。最高級のランクであった一キロ六百万もするようなものですから、その程度の、捕まったらまた強制送還で送り返されるだけのことやからええがなということで続けておるわけですよ。

 実際、今どういう体制で、例えば、海保が何隻の船で、また水産庁が何隻の船で、これで連携してやっているというようなことは、体制についてはここでは聞きません。警備の問題もありますから体制は聞けないですけれども、恐らく、僕の知る限りではまだまだ十分じゃないですし、仮に一隻捕まえて、恐らく横浜かどこかまで連れていくんですよ、あの長い距離を。そうすると、その間、その体制の中から一隻減るわけですね。

 今お聞きしただけで十七隻、四十六隻、三十一隻と来ているわけですが、これを全部取り締まろうとしても、逆に言うと、悪い国だったら、恐らく、こんなところまで密漁に来るような国だったら考えることはわかりますよ。一隻だけおとりにしたらいいんですよ。一隻だけ捕まえさせて、それを横浜まで連れていっている間に、どんどこ乱獲をまたできるわけですよ。密漁をできるわけですよ。

 だから、そういうことも踏まえて今回の体制強化の要求をされているのかなと僕は考えたときに、恐らく、今回の要求で通るぎりぎりの範囲、もしくは今まで以上に要求はされているとは思うんですけれども、それでも、そういうことまで考えると、九月以降激増しているということも考えると、まだまだ僕は十分ではないというふうに思っています。

 これは御答弁は結構ですけれども、これからも引き続き我が国の貴重な資源を守り抜くために、もっと言うと、小笠原の周辺で漁業をされている方というのは、中国から来ている船は鉄製で、ごっつい大きいんですね。小笠原の漁船はちっちゃい木造の船が多いわけですよ。仮にぶつかられでもしたら命の危険があるということで、遠慮して操業したりしているというような声も聞きますし、海岸からすぐ、十キロぐらいのところまでに今来て操業しているわけですよ。そうすると、いつ上陸してきてもおかしくない。

 今はサンゴをとっているだけですよ。サンゴもとられたらあきませんけれども、もしかしたら、その中に武装しているようなのがまざっているかもわからぬわけでありますから、これは、そういうことも踏まえて、しっかりとこれからも引き続き体制強化を進めていただきたいなということをお願いしておきたいと思います。

 続いて、大臣の所信について伺いたいと思います。

 大臣の所信を聞いていまして、正直、すとんと落ちにくいところが三十一カ所ありました。三十一カ所は、全部、片仮名のところがどうもすとんと落ちにくくて、その代表例を挙げますと、マイルストーン、メーンストリーム、コンパクトシティーなんです。

 マイルストーンとかメーンストリームというのは、これは別に、日本語で同じような言葉があるわけですから、わざわざ英語にせぬでもいいのかなという思いがあるのと、最後のコンパクトシティーというのは、これはいろいろなところに出てきますし、きょうは地域創生ということについて伺いたいんですけれども、この地域創生を議論させていただく上で、このコンパクトシティーという意味がすごく大事になってくると思いますので、まず大臣に、このコンパクトシティーとは何ぞやということを伺いたいと思います。

太田国務大臣 コンパクトシティーというのはどこから来たかといいますと、これから日本は少子化社会になる、特に人口減少社会になっていく。それを二〇五〇年ということで考えたのが、私たちの七月四日に発表したグランドデザインです。政府の方では、五十年後に一億をはるかに切るというが、そこを何とか保てるようにという目標を五十年後というところに設定しました。

 人口減少と高齢化、そして巨大な地震やそうした災害が発生するということ、そうしたことを考えた上で、エネルギーの制約があったり、あるいは、大都市部における国際競争力のグローバリゼーションの中で生き抜いていかなくてはならない。

 どうやって生き抜いていくのか、我が町は、我が国は、我が都市はという問題意識を、未来の五十年後とか、あるいは二〇五〇年というときに考えると、人口減少という中で高齢化しますから、町中に、できるだけ介護施設や、あるいは商店街はもちろんでありますけれども、市役所であるとか、そうした、学校もそうですし、いろいろな人が集まるというところもそうですが、そこをできるだけコンパクトにまとめて、そして、歩いて暮らせるようなまちづくりや、あるいは交通網もどんどん広がっていますが、そこのところを、むしろ、放射線型ではなくて、回るような、コミュニティーバスとか、あるいはディマンドバスというのが最近使われているわけですが、そういうふうに集約をしていかなければならない。そして、全体をどういう町にするかという戦略性のもとに、全体をコンパクトにまとめて集約をするということが大事である。

 そして、厚生労働省なんかは地域包括ケアシステムということを言っているわけですが、それが、土地の安い郊外にいろいろな施設が行った場合には、そこが全く孤立をしてしまうということがあるから、それも中に含んでやっていかなくてはならない、そうした物の考え方の中で、集約をする、コンパクトにするという考え方でございます。

西野委員 いわゆる都市国家というか、我々も主張しておりますが、日本型州制度という形で次世代の党も主張しておりますけれども、要するに、誤解を恐れずに言いますと、地域が今疲弊しています。

 例えば、Aという地域に十の町があったとしたら、その中の一つに残りの九のいろいろな教育機関であったりとか医療機関であったりとか福祉のいろいろな施設であったりとかいうのを集約して、残りの九つの地域の方にできればそちらの方に住んでもらうか、もしくはその核になる地域からいろいろなネットワークを張りめぐらせていくというような、恐らくそういう趣旨なのかなと思ったんですが、それでよろしいですか。

太田国務大臣 理解というのがよく、私の説明もわからなかったのかわかりませんが、西野先生の説明も私にはよくわからなくて、論理がよくわかりませんが。

西野委員 要は、地方が今どんどん疲弊していっています。全体をもう一度再生して浮かび上がらせようとすると、なかなか厳しいかなと。だから、その分のある一定のエリアの中心の場所を決めて、そこに疲弊している地域を全部集約していく。

 そうすると、全体を再生はできないけれども、今よく言われているような創生は、新しい地域の核を創生することによって、全体は浮かび上がらすことはできないですけれども、コンパクトにまとめた中で、新たな地域の核を創生する中で何とかその地域をもたせていこうということなのかなと僕は考えたんですが、まだ理解いただけないでしょうか。

太田国務大臣 その都市を、東大阪なら東大阪というのはなかなか難しいんですが、もう少し単独な、例えば松江とかあるいは米子とか、あるいは今コンパクトシティーと言われている富山市とか、ある程度のエリアがあったら、それが拡散をしてしまって、どこが中心かわからないようなことになってしまって、そして介護施設やいろいろなものもできるだけ土地の安い郊外に行ったりとかいうことになりますから、それを中心のところにできるだけ集めていくというコンパクトシティーというものをつくるということが大事で、それは単に集めるということじゃなくて、都市は全体が都市ですから、そうすると、そこから誘導して、中に来たところの残ったところはまたどうするかということを全体像の中から考えなくてはいけないというそうした考え方が、これはコンパクトシティーというんじゃなくて、一番最初に私は前提を申し上げて、人口が減少する、人がいなくなる、孤立するような集落ができてくるのではないか、学校がそこで、小学校や何かが統廃合されたりなくなっていく。

 そうした町全体が壊れていって、ますますそういう状況の中でどういうふうに我が町をつくり直していくかというような、再生ではなくて地方を創生というのはそういう意味かというふうに、新しく、私たちは、三十年、四十年、五十年後の我が市は何によって生きていくのかという戦略を立てる中にコンパクトシティーというものが一つ考えられるということだと思います。

西野委員 大体同じようなことだとは思うんですが、要は何が言いたかったかというと、一つのコンパクトシティーができます。その周りに、当然、まだまだネットワークを張りめぐらさぬといかぬということもあると思いますね。

 だから、そういう中で、今大臣いみじくも御発言いただきましたけれども、人口減少の中でどうやって創生をしていくかという中で、僕はやはりネットワークの構築というのがすごく大事だと思います。よく、人口が減ってくるんだから公共事業なんてもう要らないというような議論をされる方がおいでですけれども、僕は逆やと思っているんですね。人口が減ってくる中で国益を維持していこうと思うと、一人一人の国民の生産性を上げていく以外はないわけですよね、誰が考えても。

 生産性を上げていくには、僕は大きな要素が二つあると思っていまして、一つは教育です。もう一つは、やはりインフラの整備を通じて一人一人の生産性を上げていくということが僕はすごく大事だと思っています。

 そこで、本題のリニアに入ろうと思ったら、あと五分しかないんですが、リニアモーターカーの話もしたいんです。

 これは先ほども議論がありましたけれども、地域と地域をネットワーク化していくという中で、もう大臣御案内のとおりでありまして、東京―名古屋だけのリニアであれば、その波及効果というのが東京―名古屋間もしくはその本当に周辺にごくごく限られるというような、コンサル会社のそういう調査の報告書にもあります。それを大阪まで同時開通をすることができれば、例えば都市でいうと、関東の方であれば栃木であったりとか、また西の方でいくと福岡、九州エリアまでリニアの経済の波及効果が広がるというような、これは調査で出ているわけでありまして、これは、皆さんもそのことについては理解をいただいているところだというふうに思うんです。

 一方で、これはJR東海が自己資金でやっていく事業でありますから、なかなか、このリニアを開通させた後には長期債務がJR東海だけで五兆円を超えるような状況になるということで、これにある程度めどを立てないと次の事業ができないという中で、東京―名古屋間開通後十八年たって大阪までできるのかなというような状況になっておりますが、これがやはり同時開通でないと経済の波及効果もないというふうにも言われています。

 あわせて、東京―大阪をリニアで結ぶことができれば、今一番、羽田、込んでいますよ。僕は飛行機を利用しますけれども、大体、羽田を飛び立つときに待たされたりとか、伊丹から羽田に来るときに羽田の上空でぐるぐる回ったりとかします。込んでいるからですよね。そういう一番の羽田のラッシュの原因になっている羽田―伊丹線が、リニアに恐らく吸収されるんですね。そうすると、その枠があきます。そうすると、国際線とかに振り分けることができますから、そうなると、単にリニアを引いたという経済の波及効果だけでなくて、これはオリンピックとかも直近に控えているわけですので、より大きな効果があるというふうに思っております。

 ぜひこれは何としても同時開通を目指して頑張るべきだと思うんですが、もう一度、大臣のお考えを伺いたいと思います。

太田国務大臣 東京―名古屋間は四十分、そして大阪まで行きますと一時間強で結ぶということは、三大都市圏の人の流れを劇的に変えるということで、国民生活や経済活動にも大きなインパクトを与える事業だというふうに私は思っています。

 この事業は、JR東海が、民間企業としての経営の自由や投資の自主性、こうしたことの確保を貫徹することを原則のもとに、全額自己負担で整備するという意向を示したことを受けて、建設の指示を行ったということです。

 JR東海は、このような前提に基づいて、財務や現場の工事の見通しをも踏まえて、東京―名古屋間の開業目標を三十九年、二〇二七年、こう設定して、大阪までを平成五十七年、二〇四五年と設定している、これは事実のことでございます。

 大阪までをもっと急げ、あるいは同時開業というお話があるわけで、私もそうした要望については、これは大阪だけの話じゃなくて、日本経済全体にとって大事なことだという御指摘もいただいたりしているところでありますけれども、この件に関しては、今申し上げたような経緯もございまして、現在の建設主体であるJR東海の考え方もよく踏まえていく必要がある、このように認識をしているところでございます。

西野委員 安倍総理が、岩盤規制に穴をあけるんやというぐらいのことをおっしゃっているので、はっきり言って、JR東海なんて民間企業といっても半官企業みたいなところがあるわけですから、これぐらいの企業にしっかりと主導をいただく。もっと言えば、JR東海、JR東海とお話しになっていますけれども、これは別に国でつくったっていいわけですよね。国でつくって、あとはJR東海に任せるとかいう方法もありますし、SPCをつくってとかいうような話をされている方もおいでですけれども、いろいろな手段があるというふうに思いますので、本当に意気込みを持って、やるんだという気持ちを持っていただければ、これはできないことではないというふうに思っております。

 きょうは、東大阪の、私の敬愛する大先輩の北川副大臣もおいでいただきましたし、また、きょうは午前中大変お疲れであったと思いますが、大塚政務官もきょうお越しいただいています。大阪のお二人でございますので、ぜひこの点について意気込みを伺って、もう時間でございますので、私の質疑を終わらせていただきたいと思います。

今村委員長 では、短くお願いします。

北川副大臣 はい。

 きょう、朝も井上委員に対して答弁をさせていただきました。

 まさしく東京―大阪を一挙に開通する、これにこしたことはない、私は全くそのとおりだというふうに思います。これは、私、大阪出身ですけれども、大阪の一議員としてではなく、やはり国家戦略としてしっかりとそういう進め方をすべきかなという思いはしているんです。

 しかし、本事業をJR東海の民間企業として実施していかれるということであり、全額自己負担ということがあります。そういう中で、やはりJR東海としっかり今後とも話し合いをしていかなければいけないというような思いがしておるわけでございます。

今村委員長 簡潔にお願いします。

大塚(高)大臣政務官 はい。

 お答えをいたします。

 委員の御指摘は本当に手前どもの考えと全く同じでございまして、先ほど太田大臣がおっしゃられましたとおり、日本のためになるというようなことでございます。しかし、現在の建設主体はJRであるという考え方を踏まえていく必要があるというふうに考えております。

 以上でございます。

西野委員 ありがとうございました。

今村委員長 次に、杉本かずみ君。

杉本委員 みんなの党の杉本かずみです。

 臨時国会が始まりまして、前回の委員会では、冒頭、皆で黙祷をささげさせていただいたという記憶がございます。そして、きょうは、国土交通行政ということで、大臣所信の発言に対する質疑ということで質問させていただくわけでありますが、大臣の所信を拝見し、国民生活の安全、安心の確保、そして第二に地方の創生、そして我が国の経済成長への取り組み、そして中長期的見通しを持った国土交通政策の計画的推進という項目でお話をいただきました。改めて、質疑を聞かせていただいて、きめ細かな命を守る体制をしっかりやっていくというようなお話がございました。

 私の地元で、天候不順であったり、あるいは御嶽の噴火で亡くなられた方がいらっしゃいます。私も、衆議院の議席を預かっているという立場から、亡くなられた方を直接お訪ねして手を合わさせていただいて、本当に無念な思いを、私自身も、また亡くなられた方御自身もお持ちであるということの中で、ぜひとも、一人でも命を守っていただくという行政を力を合わせて実現するように、国会の立場からも質問させていただきたいと冒頭訴えさせていただきます。

 それで、きょうの切り口としては、財政制約、あるいは地方創生の中でもうたわれている縦割りといったような視点から、マクロ、ミクロ両面で質問をさせていただきたいと存じます。

 まず初めに、財政制約ということについて大臣の現状認識というのを伺いたいんですけれども、財政危機が叫ばれているのは、私も当委員会で都度言わせていただいております。

 そんな中で、先ほど、私、財務金融委員会の方で、麻生元総理であり財務・金融担当大臣という立場での所信を賜りました。その中のところを読ませていただくと、「財政健全化を通じて、国債に対する信認を確保し、長期金利が急上昇するリスクに対応することが必要です。」こう長期金利の上昇についてリスクを触れられました。そして、この中で、その後、国、地方を合わせた基礎的財政収支について、二〇一五年度までに二〇一〇年度に比べ赤字の対GDP比を半減、二〇二〇年度までに黒字化、その後の債務残高対GDP比の安定的な引き下げを目指すという財政健全化目標の実現に向け、引き続き、歳出歳入両面における取り組みを進めてまいります、こういう発言がございました。

 一方で、大臣も御案内だと思いますが、内閣府の方で八月八日に経済財政諮問会議に提出された、この中で、二〇一三年から二二年の実質GDP成長率を二・一%と置いたケースで、二〇二〇年のプライマリーバランスの達成に十二・四兆不足が生じる、目標達成のためにさらなる収支改善努力が必要、こういう報告がなされております。

 政府全体としては、この麻生財務大臣が言われた目標というのは変わっておられないという認識をしておりますけれども、この試算のタイトルは「中長期の経済財政に関する試算」という試算でありますけれども、理解としては、閣内で、一部事務方の方がレポートとして、試算として、黄色信号、赤信号が点滅しているというような状況を示唆するようなレポートが出されておりますけれども、閣内にいらっしゃる太田大臣として、現状の財政制約の問題という点での財政危機の認識と、あるいは、このプライマリーバランスの黒字化の目標に向けてのお立場上のお考えをお聞かせいただければと思います。

太田国務大臣 政府としては、先ほど御紹介いただいて、麻生大臣が言ったように、二〇一五年度までに赤字の対GDP比を二〇一〇年度比で半減にする、二〇二〇年には黒字化する、こういう目標で進めていまして、黄色とか赤とかいう、そういうことはございません。あくまでそこを目標にしていくということでございます。そこは政府として全体に共有をして、財政制約も予算というのは当然あり、そして財政政策ということについても十分そのことを認識しながら取り組んでいかなくちゃならないということは共通しているところでございます。

杉本委員 御答弁ありがとうございます。お考えはわかりました。

 ただ、具体的な、財政削減という具体論がなかなか現政権では、まず最初がデフレ脱却だ、こういう点については我が党も共有しているんですけれども、一方で、両方を解決していくというような御答弁も総理初めされておられますので、具体的なこの財政制約を、健全化に向けて、例えば、御答弁はあります、社会保障の問題とか。しかし、具体的な切り口というのが必要だということを訴えさせていただきます。

 そんな中で、この国土交通行政は、国土強靱化ということで、防災・減災、老朽化対策、メンテナンス、元年からもう二年になっているのかもしれません、そして耐震化ということを策として考えているという理解をしておりますけれども、一方で、冒頭申し上げた昨今の豪雨、土砂災害、噴火災害、こういったものを勘案すると、選択と集中であるとか、あるいは優先順位という言葉がありますし、また、大臣はこれまでの答弁の中で、ハードとソフト、きめ細かな命を守る体制ということを触れられましたけれども、そこに、いかなる原理原則であったりルールであったりということで、どうやって順番をつけていくのか。

 時折、大臣は足し算の形から引き算が必要だということもおっしゃられますけれども、これはちょっと、大所高所的なところを伺って恐縮ですが、一つのルール、原理原則はどんな形でお持ちでいらっしゃるのかを確認させてください。

太田国務大臣 財政健全化というのもしなくてはいけない。経済成長というものをデフレ脱却して果たしていく。そして、経済成長、デフレ脱却ということは、そのまま財政健全化にもこれは資する。そしてまた、社会保障ということがふえてきているけれども、高齢化社会ということの中で、これはしっかり守らなくちゃいけない。

 俗っぽい言葉で言いますと、強調するところが人によって違うんですが、私は、稼ぐという角度がどうも日本の中になかなか生まれてこないというのは非常に残念に思っていまして、稼ぐという角度と削るという角度と守るという角度の三つを持って、経済成長や社会保障、そして行政改革というものをバランスよくやりながら日本を運営していかなくてはいけない、このように思っています。

 そういう意味では、稼ぐという角度への危機感、削るという角度への危機感、そして、防災・減災ということと社会保障というのはどちらかというと守るという角度でありますけれども、これについての危機感というものを持っていくということが必要だというふうに思っています。

 私は、この公共事業論という中でも、今までやり玉に上がったりすることが多かったんですが、大分理解をいただいてきているようにも思います。

 今までの、一昨年までの大体予算編成ということの中には、防災・減災、老朽化対策、メンテナンス、耐震化という部分が、数字として、そういう問題意識がなかったというせいでしょうか、何%をそこに充てるかという数字すらございませんでした。恐らく、今考えてみますと、二〇%台ではなかったかと思います。

 昨年から私は四回予算編成に携わらせていただきましたが、昨年の補正、そして本予算、そしてことしの補正、そして本予算、四回の中で、この防災・減災、老朽化対策、メンテナンス、耐震化、命を守るという、そこの軸を持ってこれに当たっていくということで、これが五〇%を大体超えているというところまで比重がございます。

 なかなか新規の事業というものに予算を組むということができなくて、全国からいろいろな要望には応えられていないわけでありますけれども、そうした命を守るという角度を主軸にしながら、防災・減災、老朽化対策、メンテナンス、耐震化に力を入れ、そして、これからの日本というものをどう支えるかという観点で物を考えていくということが大事かというふうに思っています。

杉本委員 守るというところを主軸ということと、稼ぐ、削るという新しい三つの切り口という理解をさせていただきました。

 次に、地方の創生について、あるいは、それとあわせて、国交省が言っておられるグランドデザインについて質問したいと思うんです。

 大臣の所信的発言の中でも、「地方創生に関する政府の司令塔であるまち・ひと・しごと創生本部と連携を図りつつ、現場に強い国土交通省の施策と組織を総動員して取り組んでまいります。」こういうお言葉がありました。

 そこでなんですけれども、例えば、ちょっとこれは具体的に、きょうまた、まち・ひと・しごと創生本部から党の方に御説明がありました。この中で、検討項目として、そして今後は総合戦略になるんだという説明の中で、地方への新しい人の流れをつくるというような項目とか、若い世代の結婚、出産、子育ての希望をかなえるとか、こういったお言葉があったんです。

 ちょっとこれは質問ではなくて一方的に発言をさせていただきますけれども、地域おこし協力隊というのが、どちらかというと総務省所管であります。総理だったかが発言されたかと思うんですが、今、千人体制を三千名体制にして地域おこしをするんだというお話がありましたけれども、私も現場に入っている方などから聞くと、やる気はあります、しかし、なかなか先立つものが厳しいので、このまま続けていこうかどうか悩んでいるというようなお言葉があったりします。

 地域おこし協力隊事業についてちょっと御披露させていただくと、これは資金的には、地域おこし協力隊の募集に要する経費について、地域おこし協力隊員を募集する地方自治体当たり二百万円上限、地域おこし協力隊員の活動に要する経費については、地域おこし協力隊員一人当たり四百万上限、うち報償費等について二百万上限、報償費等以外の活動に要する経費について二百万円上限括弧閉じの特別交付税措置ということがあって、大臣も御案内かと思うんですが、現場の声としては、少し金額をやはりもうちょっと出していただければ、やる気のある若い人が、それこそ地域に入っていって、そして新しい展開をつくっていく中で根づいてくださって家族までというような流れが出てくると思いますので、これは一方的なお願いになるかもしれませんけれども、財政制約ということを私は申し上げておきながら心苦しくもありますけれども、一方で、日本の再生という意味から、地域に若者が入っていくというこの地域おこし協力隊の事業について、殊に一人当たりの金額等を再度考えていただいて、地方の創生ということで、国交省としてはこの分野については側面支援になるかと思いますけれども、当委員会を通じてお願いをさせていただきたいということを申し上げさせていただきます。

 そんな中で改めて確認いたしますが、今一方的に申し上げましたけれども、国交行政の役割と関連づけて、特に二〇五〇年の国土のグランドデザインと関連づけて、この地方創生を、これに大臣がコメントされているんですけれども、事務方の方で何か補足的な説明があればいただければと思います。

滝口政府参考人 国土のグランドデザイン二〇五〇というものにつきましては、言うまでもなく、二〇五〇年を目指しまして国土のあり方を考えていくということで、幅広い視野を持っているわけでございますが、その中で、地方創生については、基本的な考え方といたしまして、地域それぞれが知恵を発揮することが重要であるということ、そしてまた、構造的に町をどうするかということが重要であるというふうに考えているところでございます。その中で、地方創生として、まちづくり、人づくり、仕事づくりを進めていくということが必要だと考えております。

 具体的に国土のグランドデザインの中で掲げられておりますのは、先ほども議論になりましたコンパクト・プラス・ネットワークという考え方でございます。できるだけ行政効率をよくする、いろいろなサービスを受けやすくするといった観点から、都市やあるいは小さな拠点と言われるものがございますが、これをコンパクトにするということがまず必要でございます。そして、それをまた結びつけるという意味で、ネットワークが必要であるということでございます。

 そして、こういったことを通じて、地方創生の大きな基盤をつくっていくというのが国土交通省の責務であるというふうに考えておりまして、今後、政府の本部と一体となって頑張ってまいりたいと思っております。

杉本委員 ありがとうございます。

 今、地方創生のところで、総理の答弁なんかにもあったかと思うんですけれども、縦割りを排除してワンストップ型の政策展開ということを基本姿勢に今臨時国会に臨まれているという意識を持っているんですけれども、次の質問に入りますが、国交省の中で、社会資本総合整備の予算として、一般的なインフラ整備を目的とした社会資本整備総合交付金と、防災、安全に特化した防災・安全交付金とがあります。

 ただ、この二つの交付金の内容が重複する事業が多く散見されます。特に、地すべり対策事業、急傾斜地崩壊対策事業、こういったところに重複が見られるんですけれども、これは、地方創生の考え方と平仄を一致して、この交付金を一元管理するという可能性はないのかどうか、このあたりについての御答弁をいただければと思います。

西脇政府参考人 お答えいたします。

 社会資本整備総合交付金につきましては、地域活性化などの地方の創意工夫を生かした取り組みを支援するということを主な目的としております。一方、防災・安全交付金につきましては、防災・減災、老朽化対策を強力に進めるために、対象事業を特に限定した制度として新設したものでございます。

 そういう意味では、今先生の方から二つの交付金の内容が重複するとの御指摘がございましたけれども、場合によっては、地域活性化のためにも、地域の防災性の向上を図る必要がある場合もあるのではないかということで、選択肢といたしまして、社会資本整備総合交付金においても、防災・減災、老朽化対策も含めた事業の支援が可能となるように制度として残しているものでございますが、これは極めて限定的に運用されているというふうに私どもとしては理解しております。

 いずれにしても、両交付金の役割の整理は明確でございますけれども、我々としては、地域の創意工夫を生かした取り組みと、防災・減災、老朽化対策への重点的な対応をともに図っていきたいと思っております。

 まずは、この二種類の交付金を有効に活用してまいりますけれども、これは当然、公共団体のニーズとか社会情勢等の変化に応じまして、今後とも必要な見直しにつきましては積極的に行ってまいりたいというふうに考えております。

杉本委員 御説明は聞かせていただきましたけれども、できる限り使い勝手のいい形にしていただきたいということをお願いしておきたいと思います。

 ちょっと、首都機能移転とか分散とか道州制について大臣にお伺いする予定だったんですが、時間が残りがあれば、後ほどさせていただきたいと思います。

 そこで、きょうは、お手元に資料をお配りして、道路といっても林道であるとか、あるいは国道、県道、市道のあり方みたいなところをちょっと、ミクロのベースで確認させていただきたいと思います。

 そもそも林道というのが、道路交通法や道路運送車両法には規定適用ですが、所管は農水省の林野庁ということであります。

 それで、具体的な事案として、私も、私の地元は残念ながら山があったりとか林道があったりというところではないんですが、東海比例ということで今上げさせていただいていることもあり、本件は岐阜県の本巣市ということで、地図を三枚お配りしているかと思うんですが、一枚目の地図を見ていただくと、南側、下側が岐阜市の方です。上側が福井県に抜ける地図でありますけれども、国道百五十七号、俗に二級国道と言われるようでございますけれども、これが南から北に走っております。

 この国道は、中ほどに書いてありますが、八年間ほど、崖崩れがあって通行ができなくなっておりました。昨今の天候不順によって、上の方を見ていただくと、八月十一日発生土砂災害ということで、次をめくっていただくと土砂災害が起きた写真が載っておりますけれども、現在、十一月半ばぐらいまでですか、工事が、今除去作業が行われているという状況があります。

 この国道は、私も走ってみて、助手席ですけれども、上りも下りも双方で合わせて一車線です。それで、片側が崖っ縁で、本当に、バスは通れません、小型バスが通れるか通れないか、乗用車でも下手な運転だとすぐおっこっちゃうみたいな大変厳しい環境の国道が南から北に走っております。

 そして、今、限界集落の黒津、越波、大河原地区が三角形を形成する中で存在していて、住民の方が、定住住民は黒津に住民票が二名ですけれども、ずっといるおばあちゃん一名、こういう地域です。

 そして、ここで土砂災害が起きた関係で、ちょっと地図の右手を見ていただきますと、折越林道と書いてあるんですけれども、越波を抜けた後、折越林道を通じて、この国道の災害による遮断を迂回する形で、市道、そして、これはバツがついていてわかりにくいんですが、迂回立て看板が立っている位置がバツになっちゃっているんですが、これは被災した場所じゃないんですけれども、国道から市道を経由して林道を通って県道を通じて国道にまた抜ける、北から今申し上げましたけれども、こういう道路がありまして、こういうのが常々日本じゅうにあるのかどうか、私はちょっと疑念に思ってしまったという次第なんです。

 まずお伺いしたいのは、林野庁さんなんですが、一枚めくっていただいた写真で、これは、山の開発が随分、山を持っていらっしゃる個人の方が山を開発、個人の企業体、プライベートな企業体が山を持っていて、山を開発して植林をしています。

 この植林には補助金が出ているようであって、しかし、その植林事業が、というよりは、まず伐採をして、大分保水力が落ちた中で土砂災害が八月十一日に発生したというように地元からは聞いているんですけれども、この因果関係について、山林伐採と土砂災害の因果関係について、それと、土砂災害が発生した遠因としての植林、林業補助金の実態というか、どんな補助金が出ているのか、このあたりを林野庁から教えていただきたいと思いますが。

本郷政府参考人 お答えを申し上げます。

 土砂災害の原因については個別の事例ごとに調査を行う必要がありますが、一般的には、樹木の根が土を支える支持力を超えるような記録的な豪雨などによる外力が働いた場合に発生するものであり、森林の伐採が直ちに土砂災害の原因になっているとは認識しておりません。

 樹木の根が土を支える支持力は、森林を伐採した後においても、残っている根によりある程度の期間は発揮されておりますし、伐採後に適切に植栽等を行えば、苗木の成長に伴って再び支持力は強化されることになります。

 このため、森林の山地災害の防止機能を発揮させるためには、森林の伐採を行った土地について、植栽やその後の間伐等の手入れを適切に行っていくことが重要と考えております。

 また、もう一点、森林整備の補助金のことでございます。

 国道百五十七号の周囲の森林の整備につきましては、間伐等の森林整備に対して、森林整備事業により支援を行っております。

 森林は、国土の保全ですとか水源の涵養、地球温暖化の防止などの公益的機能を有しており、これらの機能は、受益の範囲が広く国民に及ぶことなどから、社会資本として位置づけられております。このため、これらの機能を将来にわたって十全に発揮させていくことを目的として、森林整備事業では、植栽、保育、間伐等の実施に対して支援を行っております。

 今後も、引き続き、森林整備事業により、森林の有する多面的機能の十全な発揮を図ってまいりたいというふうに考えております。

杉本委員 ちょっと、補助金の具体的な金額とか、そのあたりを教えていただきたいと思っておるんですが、時間がありませんので、後ほどまた御報告いただければと思いますし、私は広島の災害なんかも確認したんだけれども、広島はどうやら根こそぎ、植林の問題というよりは、雨の量とかそういう問題が強かったようですが、一般論として聞いているのは、戦後、杉の植林が行われ、しかも、根がしっかり深く張るような、きちっとした形で植林をされていないような形で植林をされたことによる、根の浅い樹木が樹林を形成しているというのが全国的に言える問題だというような指摘も受けておりますので、こういった点もまた教えていただければと思いますし、問題点として指摘をさせていただきたいと思います。

 さて、せっかく質問させていただくので、迂回の話をしたいんですけれども、もう一枚めくっていただくと、先ほどお示しした地図の中でバッテンをつけてしまったところですけれども、中ほどの上の方、上の方の真ん中に「国道157号 岐阜方面 折越林道を迂回して下さい」、これは、過去十五年間のうち十二年、迂回を繰り返しているというように地元の方は言っています。

 それで、この看板は、よく見ていただくと、下の方にビニールがあって、つい先日までは岐阜土木事務所というのを隠してあって、誰がこの看板を出したかはっきりしないんだみたいなことを管轄の方は言っていたというふうに地元の方は言っています。こんな形で迂回を続けている国道があるのかどうか。

 そして、ちょっと時間がないので、あわせて、こういった国道、県道、市道について道路管理者の責任があるわけでございますけれども、先ほど言った、足し算、引き算というような部分とか、命を守る主軸という意味で、本当にこういった、大切な道とも言えるかもしれませんが、非常に災害が多い道、あるいは通行に危険な可能性が高い道を国道として管理していくことが是なのか非なのか、こういった点で、この迂回の問題、全国的にどのぐらい事案があるのか。あるいは、道路管理者からの国道、県道、市道の入れかえの問題。あるいは、林道をもう少し丁寧に整備して、これは実質国道的機能をしているので林道を整備するんだ。ちょっとまとめて質問して恐縮なんですが、まとめて御答弁をいただければと思います。

深澤政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の岐阜県内の国道百五十七号につきましては、災害復旧事業を含めまして、当該道路の管理者である岐阜県が行っております。

 御指摘の通行どめの区間につきましては、約六百四十メートルありますけれども、平成十七年、平成二十年、平成二十二年、平成二十三年と四回にわたる岩盤崩落が起こりまして、平成十七年十一月から平成二十四年十月まで約七年間にわたり、岐阜県がやむを得ず全面通行どめを行ったところであります。平成二十四年十一月には復旧工事が完了しております。

 その後、平成二十六年八月の台風十一号による土砂流出により、岐阜県本巣市根尾大河原地区、約百メートルですが、再び通行どめを実施しておりますけれども、岐阜県としては、一日も早い復旧に向けて、現在、道路災害復旧事業の申請手続を実施しているところと聞いております。このように、岐阜県は道路管理者として適切な対応をしているものと認識しております。

 それと、委員、このような例が全国にあるのかどうかというお尋ねでございました。

 災害による全面通行どめの際は、可能な限り車の通行を確保するため、安全性や構造などを勘案しながら、近隣の道路や、あるいはこのように林道を迂回路として設定することがあります。

 国が管理する道路につきましては、御指摘のように、林道を常態的に迂回路として使用している事案はございません。

 また、地方公共団体が管理する道路につきましても、基本的に、被災後直ちに迂回路を設定し、被災を受けた道路の一日も早い復旧に向けて必要な措置を実施していると認識しておりますけれども、委員御指摘のように、常態的に林道を迂回路として使用している例があるかにつきましては、今のところ承知しておりません。

 以上です。

杉本委員 時間となりましたが、ぜひとも、このケースでもあります、林道というのは、大分、私も走ってみて、路面が傷んでいたりするということで、実質国道化していますので、ここは御配慮いただきたいなというのと、大臣からは御答弁ございました、命を守るという観点からぜひとも行政に当たっていただきたいということをお願い申し上げて、質問を終わりたいと思います。

 どうもありがとうございます。

深澤政府参考人 済みません。先ほど答弁の中で、六百四十メートルと申し上げましたけれども、通行どめの延長は六・四キロの間違いでございます。大変失礼いたしました。

今村委員長 次に、穀田恵二君。

穀田委員 きょうは、私は、リニア中央新幹線の問題について質問します。

 日本共産党国会議員団リニア中央新幹線問題プロジェクトチームをつくりまして、そのチームとして、沿線各地の現地視察調査を踏まえて、国交大臣に実施計画の認可はすべきでないと申し入れたところであります。改めて私は、認可すべきでない、そういう立場から質問したいと思います。

 まず一つ聞きたいのは、リニア中央新幹線は、品川―名古屋間の二百八十五・六キロメートルを時速五百キロメートル、超電導という経験したことのない技術で走行するものです。事業費は五兆五千二百三十五億円、その建設工事は、南アルプス貫通、大深度地下など、八六%がトンネル構造となり、かつてない、大規模で困難を伴う今世紀最大の大型開発事業です。

 そのため、南アルプス、中央アルプスなど自然環境、社会環境、住民の生活環境に与える影響ははかり知れないと言われています。そういう認識が大臣におありかどうか、まず最初にお聞きしたいと思います。

太田国務大臣 中央新幹線は、三大都市圏を一体化するとともに、中間駅の設置とその背後圏の開発によりまして、地域の活性化が図られることが期待をされています。

 また、これらによりまして、いわゆる世界最大のスーパーメガリージョンが形成され、我が国の国際競争力の強化に資するなど、経済社会の発展に極めて大きな効果を有するものと考えています。

 一方、本事業では、南アルプス等の長大トンネルの掘削に伴い建設発生土が生ずることや、その運搬に伴う地域住民の生活環境への影響、事業に伴う水環境や生態系への影響等、多岐にわたる分野での影響が指摘をされているものと認識をされています。

 このため、環境影響評価法に基づきまして、本年七月十八日に述べた国交大臣意見では、JR東海に対しまして、環境大臣意見に示された措置を講じ、環境保全への適切な配慮を求めました。加えて、国交省としましても、独自の観点から八項目の措置を講ずるよう求めたところでございます。

穀田委員 社会環境、自然環境、そして生活環境に極めて重大な影響を与えることもあると。

 そこでもう一つ。

 このリニアの建設において、工事段階はもちろん、供用後においても、大規模で深刻な自然、生活環境破壊を引き起こすことがあっては絶対にならない。そして、ましてや周辺で生活する住民の理解、合意なしに強引に工事を進めることは許されないと私は思います。これは大規模工事を進めるに当たっての常識と思うんですが、その点はいかがですか。

太田国務大臣 規模の大きい中央新幹線の建設事業が円滑に実施されるためには、地元の理解と協力を得ることが不可欠と考えています。

 このため、環境影響評価法に基づいて、国土交通大臣意見では、事業説明会や工事説明会等の場を活用し、地域住民等に対し丁寧に説明すること、また、その際には、環境保全に関するデータや情報を最大限公開し、透明性の確保に努めることなどを求めたところでございます。

穀田委員 丁寧に説明しろということは書いています。

 それで、JR東海が提出した環境影響評価書について、環境アセス法に基づいて、先ほど来お話があったように、環境大臣それから国交大臣が意見を出しています。

 まず、環境省に聞きます。

 環境大臣は、「その事業規模の大きさから、本事業の工事及び供用時に生じる環境影響を、最大限、回避、低減するとしても、なお、相当な環境負荷が生じることは否めない。」「本事業の実施に伴う環境影響は枚挙に遑がない。」と指摘し、さらに、東海道新幹線の三から五倍とも言われる電力消費量についても、「これほどのエネルギー需要が増加することは看過できない。」として指摘している、これが環境大臣の意見のポイントだと理解してよろしいね。

高橋大臣政務官 穀田委員の御質問にお答えを申し上げます。

 環境大臣意見の中心課題につきまして、中央新幹線について六月五日に提出した環境大臣意見では、工事や供用時に相当の環境負荷が生じることから、低炭素、循環、自然共生が統合的に達成される社会に向け、十分な環境保全措置を求めることとしています。

 具体的には、多大な電力消費に伴い発生する温室効果ガスの削減、発生土の管理の徹底、地下水や河川への影響の回避等について意見を提出いたしました。

 また、事業の推進に当たっては、地元の地方公共団体及び住民の意見を十分勘案することが必要との意見も述べており、これらの意見を踏まえて、JR東海においては環境保全に万全の取り組みをしていただきたいと考えております。

穀田委員 まあ、先ほど言ったとおりだと、簡単に言うと。若干、前半は私が言っていることをなぞっているだけなんですよね。それは皆さんも聞いてわかるとおりです。

 そこで、環境大臣意見は、このリニア建設による環境破壊が大規模に深刻な形で引き起こされる可能性があるということを認めた上で書いているわけですよね。だからこういう指摘をしているわけです。

 それでは聞きますけれども、環境省は、JR東海が補正版で環境大臣の意見に十分応えているのかどうか、応えているということの認識ですか。特に、JR東海が、ガイドウエーの規格を変更するなどとして消費電力を一割減するというけれども、この回答は、「これほどのエネルギー需要が増加することは看過できない。」と指摘した意見に十分応えていると思うのか、満足できる回答だと思いますか。

高橋大臣政務官 環境影響評価法制度上、環境影響評価の結果に対する環境省の審査手続は、六月の環境大臣意見で終了しております。

 御指摘の補正評価書には、環境大臣意見を踏まえて作成された国土交通大臣意見に対する事業者の見解が示されていると承知しています。

 環境大臣意見においては、本事業が鉄道事業の中ではエネルギー多消費型のものであることから、本事業、JR東海全体、さらに他事業者との連携による温室効果ガスの削減対策を求めています。これらの措置を通じて、増加する温室効果ガスの排出量を最大限抑制することが担保される必要があると考えています。

 いずれにしましても、環境大臣意見で述べた点を踏まえて、今後、事業の具体化や実施に際して、JR東海においては、責任ある事業主体として具体的かつ適切な環境保全措置を講じていただきたいと考えております。

穀田委員 たてつけはわかっているんですよ。そんなことはわかっていて話をしているんですよ。

 だけれども、問題は、大臣が「増加することは看過できない。」という意見を述べたことに対する評価について聞いているんですよね。およそそういうことについて、さらりとかわしているだけで、全然その話に答えていないというのが率直な私の感想です。

 JR東海の説明会での資料を見ますと、東京電力、それから中部電力、関西電力の合計供給量と比較して、電力会社の供給量に比べて十分小さい、こう説明しているんですよね。それは、おおむね電力会社に比べれば、リニアは二十七万キロワットだとか、大阪まで行けば七十四万キロワットだとかといって比較しているんですけれども、環境大臣は、「現在我が国が、あらゆる政策手段を講じて地球温暖化対策に取り組んでいる状況下、これほどのエネルギー需要が増加することは看過できない。供用時におけるエネルギー消費量の低減と調達するエネルギーのグリーン化等を行い、大規模事業者として、温室効果ガスの排出低減に向けて主体的な役割を果たすこと」が望ましいと。

 見解を示されている、最大限努力することを求めるというような話で済むのかということを私は聞いているんですよ。だから、およそ電力会社の既存の供給量を持ち出してわずかだなどという神経は、まさにごまかしの典型だということを私は指摘したいと思うんです。

 したがって、車両走行における電力消費量について、わずか一割減を目標とするなどと補正しているにすぎない。したがって、三倍以上ふやす事業というのは変わらない。だから、変わらない実態についてちゃんと文句言わなあかんでということを言っておきたいと思います。

 次に、国交大臣に聞きます。

 先ほど来、大臣は、住民の理解なしに実施することは不可能ということをおっしゃっていました。大臣意見は、「地方公共団体の意見を十分に勘案し、環境影響評価において重要な住民関与についても十全を期すことが必要」だと、これは環境大臣の意見ですね。これを踏まえて、先ほど述べたように地域住民等への丁寧な説明を求めているということが、今回のいわばたてつけからしますと、国交大臣が要請した内容の一つの大きなポイントだと理解してよろしいね。

太田国務大臣 住民の丁寧な説明ということについては、私が言ったことでございます。

穀田委員 これは当然のことなんですけれども、事業者であるJR東海が住民らにいかに丁寧でないか、ひどい対応をしているかという事実を御存じかと私は思うんですね。その裏返しの話かいなと推察するんですけれども。

 そこで、ちょいと一つ聞いておきたいんですけれども、意見として不十分な部分もあります。各大臣意見書は評価書についてのものですけれども、その評価書作成の前段階では準備書に対する都道府県知事の意見も出されていまして、数にして約六百にも及ぶことは御承知かと思うんです。その意見の中で、沿線自治体などが求めていた意見や要望が反映されていないものもありました。

 例えば、長野県大鹿村や南木曽町が、トンネルを掘削して残土を運び出す作業用トンネルの非常口、こうなっているんですけれども、その削減、せめて一カ所は減らしてくれないかと。つまり、山のところに四カ所も二カ所もつくるわけですよね。そういうものについて一カ所はせめて減らしてくれないかとか、さらには、橋ではなくて地下化してくれということなどの要望があったわけです。静岡県でも、残土置き場の変更等が要請されていた。

 こうした要望は大臣意見には具体的になかったものだけれども、では、JR東海は補正版でこの要望に応えているのかどうか、確認しておきたいと思います。

藤田政府参考人 御指摘のように、例えば長野県内では、非常口の削減あるいは橋梁の地下化といった要望がございます。

 国土交通大臣意見の中では、環境大臣意見に示された措置の中で、トンネル部、非常口、それから変電施設、車両基地、これら本事業に伴い土地の改変を行う部分につきましては、必要最小限のものとすることを求めております。

 これに対しまして、JR東海は、補正後の評価書の中で、まず、非常口の削減についてでございますけれども、非常口の規模、位置それから数につきましては、地形やトンネルの施工計画、発生土の運搬、環境負荷低減を考慮し、評価書に記載したものが必要最小限であると考えており、非常口の位置の変更及び削減は難しい課題であると認識していると記載をしております。

 それから、橋梁のトンネル化につきましては、小渋川をトンネルで通過する縦断線形にした場合には、南アルプスのトンネルの土かぶり、トンネルの上の土の量でございますけれども、これが大きくなり、施工上の難度が極めて高くなる。加えて、非常口から本線に到達するまでの斜坑の延長が長くなって、工期及び掘削土量が増加するなどの影響が生じると考えられることから、トンネルで通過する縦断線形の採用は回避したと記載をしております。

 現在、工事実施計画の審査の一環として、これらの事項について確認をしているところでございます。

穀田委員 要するに、難しいということを言っているということですわな。

 JR東海というのは、結局のところ、評価書を作成する前に、既に周辺自治体、住民の意見、要望についてはシャットアウトして、できないと切り捨てているということなんですね。これをきちっと見ておかなくちゃならぬということですね。

 両大臣の意見についても、これらの要望や意見を網羅して取り入れているわけではないわけですね。この点も正確に見ておく必要がある。この点だけ指摘しておきたいと思います。これは将来重要な問題になってくるので、言っておきたいと思います。

 それで、もう一つ、国交大臣はしきりに、住民の意見の問題について、二度ばかり私の質問に答えて言っているわけですけれども、では、住民への説明だとか合意形成の努力は十分なのかということなんですね。

 先ほど、一番最初の私の質問のときに、住民の理解と合意なしに工事を進めることは許されないとただし、同時に、その重要性の認識についても確認したわけですよね。だから、住民への説明や合意形成の努力というのが、この補正版では十分に反映されているのかということについてまず聞いておきたいと思います。

太田国務大臣 先ほど述べましたとおり、国土交通大臣意見におきましては、地元の理解と協力を得るために、地域住民等に対しまして丁寧に説明することを求めました。

 これに対して、八月二十六日、私の意見は七月十八日でありますけれども、八月二十六日にJR東海より送付された補正後の評価書の中におきましては、沿線の皆様からの幅広い質問に対して、直接話を伺い、評価書や図面等を示しながら丁寧に回答する。各都県の関係部局や市町村に対しては、評価書の送付後、速やかに伺い、内容を説明する。評価書は、沿線各県に設置しているJR東海の環境保全事務所のほか、都県、市町村の庁舎等において一カ月間縦覧し、その後も、ホームページや環境保全事務所において引き続き評価書を公開し、環境保全事務所で質問に対して回答するなどの対応を行う旨が記載をされました。

 説明については以上でございます。

穀田委員 それが十分かどうかという話を聞いているわけですけれどもね。

 私は、現地に行っていろいろ聞きましたよ。だけれども、説明会一つとっても、今、直接丁寧に回答するというようなことを補正書には書いているとおっしゃるけれども、住民の要望に応じて開催するとは明記していないんですね。

 これまでの説明会では、参加者が手を挙げているのに途中で質問を打ち切る。それから、説明会を開催してほしいと要望しても、環境保全事務所に来てくれたら説明すると言う。環境事務所に行ったら、椅子がないと三人に限定する。こういうのが丁寧な説明と思いますか。ことごとく不誠実な対応だったんですね。

 駅や車両基地予定地の住民が立ち退きになるのかどうか聞いても、実施計画の認可がないので答えられないと説明するだけ、何を聞いてもまともな回答がされなかったと、住民の不信、怒りはきわまっているというところなんですよ。

 補正後の記述に対しても、実際の行動がどうなるのか信頼できないというところまで来ているわけです。自治体も困っているんですよね。JR東海から説明を受けても、まともな回答がないために、住民に対して説明ができない。住民から市職員は追及されるという事態になる。

 そこで、南木曽町などでは、JRの説明を受けるのは、町だけではなくて有識者や住民、議員などを入れた協議会、懇談会などを開いて、そこにJR東海に説明に来てもらうなど、工夫せざるを得ないんですよね。それが現実なんですよ。

 JR東海に、自治体や住民の要望に合わせて説明会を開催する、これはせめて、大臣が言うところの丁寧な説明、それから回答によりますと、直接丁寧に行うという回答をしているわけですから、それぐらいのことは当たり前だと思うんですよね。

 人数制限だとか場所選定などについて、JRの都合を優先するのではなくて、住民側の意向に誠意を持って応え、行動するようにせめて指導すべきではありませんか。いかがですか、大臣。

藤田政府参考人 補正後のJR東海の地元説明等の状況、これにつきましては、現在、工事実施計画の審査の一環として、確認をしているところでございます。

穀田委員 何を言っているのかさっぱりわからぬな。

 私が言っているのは、事実こういうことがある、だから、そういうことが丁寧な説明とはおよそ思えぬ、不誠実な態度だと。大体、説明を聞きたかったら来い、行ったら、三脚しかないから、そのほかは出ていってくれと、これが丁寧な説明かと聞いているんですよ。こういうことについては、もうちょっと丁寧なことをやらせろと言っているんですよ。いかがか。一言でいいよ、そんなことは。

藤田政府参考人 国土交通省としましては、大臣意見の中で丁寧な説明を求めておりますので、それに対してどういう状況になっているかということを今確認しているところでございます。

穀田委員 今私が述べたことが事実だということがそのうちわかるでしょう。だから、そんなやり方が、横柄な態度をしているなんていうのはあかんということを言っておきたいと思うんです。きちんとやってや。

 次に、水がれ問題について聞きます。

 出水の問題でいいますと、環境大臣意見について言うならば、多くの地下水脈を寸断することについて、地下水位の低下、河川流量の減少及び枯渇を招き、ひいては河川の生態系に不可逆的な影響を与える可能性が高いと指摘しています。

 国交大臣も、毎秒二トンもの水量が減少するとされた大井川など沿線の各河川について、河川水量の減少は河川水の利用に重大な影響を及ぼすおそれがあるとして、水系への影響の回避を図ること、水利用に影響が生じた場合の適切な環境保全措置を講じることを求めています。

 JR東海の補正の内容はどういうものか、国交省として、国交大臣の意見にJR東海の補正が十分に応えていると思うのか、この二つ、簡単に答えてください。

藤田政府参考人 JR東海は、補正後の環境影響評価書の中で、例えば、必要に応じて薬液注入を実施し、覆工コンクリート、防水シートを設置するとか、あるいは、河川の流量の測定は、専門家等の助言を踏まえ、計画を策定の上で実施する、さらに、水利用に影響が生じた場合には、専門家等の助言を踏まえ、適切な環境保全措置を講じ、その内容を公表するといった措置を講じるとしております。

 現在、私どもの方で、工事実施計画の審査の一環として、それらの措置の具体的な内容等を確認しているところでございます。

穀田委員 確認していると言うんだけれども、その内容が大変だから言っているんですよ。

 影響を受ける大井川下流の自治体は、大地の上に水を揚げてお茶をつくる農業で静岡は成り立っている、どうやって水を戻すのか聞きたいということを言っているんですよね。これは島田市長の染谷さんがおっしゃっています。そして最後、万一水が減ったときの責任についても協定を結んでほしい、私どもは水に関しては命がかかっていますので、こう言っているんですね。

 そして、牧之原の西原市長は、戦後、電力会社のダムが大井川に幾つもできて、川は河原砂漠となりました、だが、粘り強い住民運動で、やっと毎秒〇・四三トンの本流に戻せた、しかし今回は毎秒二トンが減る、それで済むのか、JR東海は毎秒二トン減っても減った分を本流に戻すと言いますが、どんな方法が果たして可能なのか、私なら失った水をまた水に戻すなんてできないと。この市長は水関連の土木技術者の出身でもありますよね。

 そう言って、さらに静岡の議会などでは、環境保全が絶対条件ということを全会一致で決議を採択しているわけですよね。

 ですから、この問題は本当においそれにできないということを言っておきたいと思うんですね。

 そのことと関係して、先ほど、トンネルを運び出す車両の問題についても大臣も少しお話がありました。大鹿村や中川村、南木曽町などの自治体は、工事等に際して環境保全協定締結を求めています。この要望について、JR東海は、かたくなに、文書にするのは応じられないと拒否しています。先ほどの市長の言明にもあったように、やはりきちっと協定を結んでほしいということが多くの方々の意見なんですよね。

 あの静かな、日本一美しい町とか村とかと言っている方々のところに一日一千八百台もダンプが行き来するなどということは、もう考えられないとみんな言っているわけですよね。それで、生活が脅かされる、事故があるんじゃないか。そして、誠意ある回答がない。協定を結ぶことでJR東海の誠意を求めていると言えると私は思うんですね。ところが、そういう協定すら結ばないということを平気で言う。これでは、工事優先で邪魔をしてもらいたくないという意図があるんじゃないかと懸念を抱かざるを得ない。

 私は、協定を締結するようJR東海を指導すべきじゃないかと思うんですが、大臣、いかがですか。

太田国務大臣 環境保全協定につきまして、長野県、南木曽町、大鹿村から締結についての要望が出ていることは承知をしております。

 これに対し、JR東海は、環境影響評価書におきまして、工事を再開するに当たっては、資材及び機械の運搬に用いる車両の運行時間帯や運行に係る環境保全措置について、関係自治体等と調整の上、地元の住民の方々に御説明し、御理解をいただきながら進めてまいります、このように記載をしています。

 工事用車両の運行は、まさに生活環境に大きな影響を与えることから、地元の理解を十分に得ながら事業を進めることが必要と考えますが、協定の締結につきましては、基本的に当事者間同士の問題であると考えております。

 当事者間で、締結ということについてはよく話し合っていただきたいと考えております。

穀田委員 当事者間でということでは済まぬのじゃないか。皆さん、今までそんなに通っていなかったところに千八百台も通るだとか、それから水がかれるかもしれないとか、そういった問題について、これは違っていたらどうするということについての約束事を交わすというのは最低限必要な話じゃないですか。そのことによってお互いに担保するということが、それは常識じゃないですか。それは、環境協定だとかその他について、全て結んでいるなんて言っていませんよ。

 しかし、これほどの大工事をやって大事業をやるときに、こういった問題について不安が出ていて、県も要求している、各市町村も行って要求している、こういうときに、それはちゃんとやりなさいよと。やはりそれは地元の理解が前提なんだから、その理解を、やる上でその保証がなければだめだということを言っている者として、必要なんですよというぐらいの指導はすべきだと私は思います。

 そのことを主張して、改めて、そういうこともしないで、やって、ましてや認定するなどということがあってはならないということを主張して、きょうは終わっておきます。

今村委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時五分散会


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