衆議院

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第5号 平成26年10月31日(金曜日)

会議録本文へ
平成二十六年十月三十一日(金曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 今村 雅弘君

   理事 泉原 保二君 理事 金子 恭之君

   理事 坂井  学君 理事 土井  亨君

   理事 ふくだ峰之君 理事 荒井  聰君

   理事 井上 英孝君 理事 赤羽 一嘉君

      秋元  司君    秋本 真利君

      井林 辰憲君    岩田 和親君

      うえの賢一郎君    大塚 高司君

      大西 英男君    梶山 弘志君

      門  博文君    佐田玄一郎君

      斎藤 洋明君    桜井  宏君

      白須賀貴樹君    新開 裕司君

      武井 俊輔君    中村 裕之君

      長坂 康正君    根本 幸典君

      野田 聖子君    林  幹雄君

      星野 剛士君    堀井  学君

      前田 一男君    牧島かれん君

      宮澤 博行君    泉  健太君

      後藤 祐一君    馬淵 澄夫君

      松原  仁君    岩永 裕貴君

      坂本祐之輔君    村岡 敏英君

      百瀬 智之君    北側 一雄君

      樋口 尚也君    坂元 大輔君

      西野 弘一君    杉本かずみ君

      笠井  亮君    穀田 恵二君

    …………………………………

   国土交通大臣       太田 昭宏君

   国土交通副大臣     北川イッセイ君

   国土交通大臣政務官   うえの賢一郎君

   国土交通大臣政務官    大塚 高司君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 兵谷 芳康君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           芦立  訓君

   政府参考人

   (国土交通省土地・建設産業局長)         毛利 信二君

   政府参考人

   (国土交通省都市局長)  小関 正彦君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局長)        池内 幸司君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  橋本 公博君

   政府参考人

   (気象庁長官)      西出 則武君

   国土交通委員会専門員   伊藤 和子君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月三十一日

 辞任         補欠選任

  國場幸之助君     新開 裕司君

  務台 俊介君     堀井  学君

  山本 公一君     星野 剛士君

  村岡 敏英君     坂本祐之輔君

  穀田 恵二君     笠井  亮君

同日

 辞任         補欠選任

  新開 裕司君     武井 俊輔君

  星野 剛士君     山本 公一君

  堀井  学君     根本 幸典君

  坂本祐之輔君     村岡 敏英君

  笠井  亮君     穀田 恵二君

同日

 辞任         補欠選任

  武井 俊輔君     國場幸之助君

  根本 幸典君     牧島かれん君

同日

 辞任         補欠選任

  牧島かれん君     務台 俊介君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一九号)


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     ――――◇―――――

今村委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省土地・建設産業局長毛利信二君、都市局長小関正彦君、水管理・国土保全局長池内幸司君、住宅局長橋本公博君、気象庁長官西出則武君、内閣府大臣官房審議官兵谷芳康君及び文部科学省大臣官房審議官芦立訓君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

今村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

今村委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。村岡敏英君。

村岡委員 おはようございます。維新の党、村岡敏英でございます。

 きょうは、土砂災害防止法の一部を改正する法律案に関して質問させていただきたいと思います。

 初めに、広島の土砂災害でお亡くなりになられた方にお悔やみを申し上げるとともに、被災された皆さんには心からお見舞いを申し上げます。

 この土砂災害を含めて自然災害というのは、今、異常気象とも言われる中、全国各地でいろいろな災害が起きています。

 その一番の、災害に対して警報、そして警戒をしていただけるのが気象庁ということで、先日、私は気象庁の東京気象台に視察に行ってまいりました。

 お聞きしますと、台風、集中豪雨、地震、津波、火山対策、地球温暖化対策、さまざまな災害に対する幅広い観測データを収集し、スパコンで解析しながら、それに基づいて予測した情報を、気象庁のホームページ並びに関係機関、NHKなどの報道機関、消防、そして都道府県、NTTなどに提供しているとお聞きいたしました。

 そして、特に、今月七日、ひまわり八号の打ち上げに成功し、解像度は二倍、観測時間はこれまでの三十分間隔から二・五分間隔に精度を上げて、カラー画像で解析ができる、データ量は現行衛星の約五十倍、これによって台風やさまざまな災害に対してきちんとしたデータを送ることができると。

 実際にデータを送るには、まだ実験があるので、そこまではいっていないみたいですけれども、気象庁の方々に聞いても、二十四時間体制、そして大変な状況の中、頑張っていただいていることを視察させていただきました。

 その意味では、この気象のデータというのは、各都道府県にきちんと届けられているわけですけれども、しかしながら、なかなか、災害の現状の中でとうとい命を落とす人がいる。

 そして、この土砂災害、特に、土砂災害の警戒の判定メッシュ情報というのは、五キロ四方で、大変精度が上がっております。そういう意味では、気象庁の観測、予測というのは、大変努力して、全国に危険そして警戒を知らせるようになっておりますが、ここの生かし方が、結局は、土砂災害でとうとい命をなくすようなことがないようにしなければならない。

 そこで、今、気象庁が衛星の二つ目を上げ、これから気象情報というのに関して、大臣としては、この精度をさらに上げるために、国交省として、この観測そして予報を伝えるどんなシステムの中でやっていかなければならないと考えているか御答弁願いたい、こう思っております。

西出政府参考人 気象予測の現状についてお尋ねがありました。

 気象庁といたしましては、世界じゅうの大気の状態を立体的に捉える詳細な観測データの収集というのが何よりも大切であると考えております。

 このため、気象庁では、地上の気象状況を把握するため、全国約千三百カ所のアメダスを含め、国土交通省や地方自治体が保有する全国約一万カ所の稠密な雨量のデータを収集しております。また、上空のさまざまな状況を把握するものとして、全国十六カ所でラジオゾンデというものを打ち上げて、直接上空の気温、湿度、風向、風速を観測するほか、全国三十三カ所で最大十二キロ上空までの風を連続的に観測できるウインドプロファイラーを整備しております。加えて、全国二十カ所にドップラーレーダーを整備しており、本年三月には、このデータ処理を高度化しまして、二百五十メートル四方のきめ細かさで降雨の状況を把握できるようになりました。

 さらに、先ほど御紹介いただきました気象衛星「ひまわり」による宇宙からの観測も行っており、本年十月七日には次期気象衛星ひまわり八号を打ち上げ、来年夏ごろの運用開始を予定してございます。このひまわり八号は、日本付近であれば二・五分間隔で観測をすることができるなど、非常に高い観測能力を有してございます。

 このようにして観測された気象データに加えて、世界気象機関の枠組みで各国から観測データもいただいておりまして、これらのデータをスーパーコンピューターを用いて分析し、気象予測を行っております。

 こうして得られた気象予測に基づきまして、気象庁本庁及び全国の気象台等では、二十四時間体制で担当区域の気象状況を監視し、天気予報や各種注意報、警報を発表しているところでございます。

村岡委員 私も視察して、気象庁は、日本の全体の気象状況を把握するために本当に努力をされている、こういうふうに思っております。しかしながら、その観測データをしっかりと災害防止、また退避に対して役立てているかというと、そこには人間が入ってくるので、警戒情報にしても、退避にしても、なかなかうまくいっていない現状があります。

 きょう、資料でお配りしましたけれども、広島の今回の土砂災害、そして私の地元である秋田県仙北市の大雨による土砂災害、どちらも警戒情報は出ているんですが、退避勧告が土砂崩れが終わった後という不幸なことになっております。

 私は、この仙北市の大雨警戒警報のとき、たまたまその日は仙北市に行事がありまして向かっておりました。ラジオで、今まで経験したことのない大雨があると。その途中は全く雨が降っておりませんので、そこから十キロ程度しか離れていないところに着いても、経験したことのない雨というのに、雨が降っていない。もう局地的に降って、その会場の途中で、大雨がこの近くで降っているということで、市長さんが途中で抜けて現場に向かうという状況でありました。

 そういう意味では、退避勧告というのが大変難しい問題があります。警戒情報はきちんと出すことができます。警戒警報は出しても、退避勧告というのが、四十七都道府県それぞれによって、退避勧告をするタイミングがなかなか示せない。この問題に関しては、大臣、これからどのように取り組んでいくのか、お教え願いたいと思います。

太田国務大臣 実は、そこが一番問題であるとともに、課題であるとともに、現在の雨が、気象庁がつかまえるという、ある意味では、精度からいくと、広域で捉えなくてはならない。五キロ平方ということを言われましたけれども、そうした今の雨の降り方が違う。

 この間の広島におきましても、バックビルディング現象、次々と積乱雲が立ち上がって、そこに線ができる、線状降雨帯というのができるという新しい状況です。去年だったと思いますが、仙北市は集中的にあったと同時に、通常であれば、かなりなだらかなものですから、ここは大丈夫だろうというような判断があったというふうに思います。

 そういう意味では、首長さんがどういう形でそれを知らせるか、それを受けて避難指示あるいは勧告というものを出すかというタイミングの問題といい、そうしたことが、実はそのソフトの問題が一番大事だというふうに思っています。

 この土砂法におきましては、そこのところをどういうふうに詰めていくのか。警戒区域をどういうふうに早くセッティングしていくのか。警戒区域ということが指定されれば、そこで避難ということについても本格的に体制ができる。あわせて、タイムラインということで、台風等では五日前にはどうするということの打ち合わせを広域的にさせていただいて、連携をとる。さまざまなことを今やろうとしているわけでありますが、そこの、気象庁の発する降雨の状況と、それを受けて避難ということの勧告、指示というものをどのタイミングで誰の責任でやるのかということを詰めるということが大事なので、今回はそこのところの一助に間違いなくなる法律であるというふうに思っております。

村岡委員 大臣おっしゃるとおり、そのとおりだと思います。基礎調査、そしてちゃんと警戒区域でイエロー、レッドと指定していくことは大事です。しかし、仙北市の場合は、危険区域であったことはもう指定されておりました。

 結局、大臣が言われたように、退避のタイミングを、それぞれの地域によってタイミングというのは難しいんですけれども、退避が結局空振りに終わっても、ある程度のガイドラインをつくらなければ、せっかくこの法律が設定されても、なかなか都道府県知事、市町村長、それぞれ全国の、どのタイミングで退避を勧告するのかという、地域によって事情は違うことはわかっていますけれども、ある程度のデータを、全国からこれまでの土砂災害のデータをつかみながら、その辺は都道府県、市町村に国交省として伝えていただきたいと思っておりますけれども、大臣はどのように思いますか。

太田国務大臣 内閣府の防災でことしの四月にそうしたガイドラインを出させていただきましたが、首長さんがより詳細に判断ができやすいように、丁寧な指示を出すということが、指示というか、情報を提供することが大事だというふうに強く思っています。

 さらにその辺を工夫して、この法案が成立したならば、さらにその辺は、法律事項ではない部分も相当ありますが、そこには最大の注意を払って、情報提供の仕方ということについてさらに研究を進めたいというふうに思っています。

村岡委員 ぜひ、そこが、この法律が通って、しっかりとした基礎調査をやって、そしていろいろな、退避だとか勧告とかのそれぞれのシステムはできても、結局は、最後、退避をどうするかというのが一番重要だと思いますので、ぜひその辺はよろしくお願いしたい、このように思っております。

 そして、もう一回基礎調査の方に戻ります。

 なかなか全国のデータが、見てみますと、進んでいない県もたくさんあります。私の地元の秋田もなかなか進んでいない方であります。そして、その進んでいない理由には、予算の関係であったり、また、それが危険区域と指定されると大変財産価値が下がるとか、いろいろな問題がありますけれども、特にこの進んでいない地域に対して、国交省として、災害の中の予算であったりいろいろな対策があると思いますけれども、進んでいない地域への国交省の対策はどのように考えているか、お教え願えればと思います。

池内政府参考人 お答えいたします。

 基礎調査は、委員御指摘のように、本当に全国で大きなばらつきがございます。これに対しまして、まずは、進捗を進めるという都道府県に対しましては、防災・安全交付金でしっかりと積極的に支援していきたいと思っております。

 また、全国の状況をしっかりと把握して、そして、目標を立てていただいて、そういったものを進捗管理をして公表していく、あるいは、結構全国で進んでいる事例がございますので、そういった先進事例を御提供して進めていく、そういったことを考えております。

村岡委員 ぜひその辺、結局、大きな目では全国の危険だと思われる区域がわかっているわけですけれども、この基礎調査が進まなければ、当然住民は自分のところがどのぐらい危険なのかわかりません。そして、危険な区域を指定した場合に、もちろん住民と相談しなきゃいけないわけですけれども、でも、結局は危険なことは変わらないわけですから、今修正案として出そうとしている部分では、義務的にきちんと危険区域のところを指定していく、その部分も必要なんじゃないか。やはり命にかかわることなので、住民の方々に御説明するのは大事だとは思いますが、やはりこれは義務的にするべきじゃないかと思っておりますけれども、どのような見解をお持ちでしょうか。

太田国務大臣 気象庁がそうした情報をきめ細かくやる。そして、そこの地形とかそういうことに対して避難とかそうしたことは、より現実的にその地域の実情がわかっている地方自治体がそれにかかわる。調査というのは、そういうことが詳しい県がやっていく。こういう仕組みで、ここは地方分権ということからいきましても、どこが中心で避難ということを含めてやっていくかというのは県、そしてまた避難ということに対しては市町村、どこが軸かということについては定めておくということが大事で、地方分権ということはそれだけ責任も持つということだと私は思います。

 そういう基本的なものに即して、今度は、今予算の話がありましたが、もう一つは人の問題がございます。人をどういうふうに県あるいは市町村に援助するか。調査ということについては県ということになりますが、既に終わっている福岡県とか山梨県とかの例を見ますと、いろいろな工夫がされている。

 専従職員を四名ふやすことによって計五名でやったので、あの広い福岡県で全て指定が終わっているというような事例等々。あるいはまた、住民合意をつくるということをどういうシステムでやっていくかということで、もう少し幅広い地域だとか、いろいろなやり方とかいうことも含めて、納得していただけるようにやるというような工夫も都道府県ではされているということからいきますと、それをもっと楽にできるように、地形のデータをお渡しする、そしてまた専門家を派遣する、助言するというようなことも含めて、国として何ができるか。主体者の都道府県、そして市町村に対してどう援助するかという観点に国の立場はある。主体性はあくまで都道府県ということが分権からいって大事だという、そうした構成で今回はやらせていただいているということでございます。

村岡委員 大臣の言うとおりだと思います。地方分権というので地方がきちんと責任を持っていろいろなことに対応していくことは大切です。

 しかしながら、気象とか安全は、やはり国が全国的に見てしっかりと支えていただいて、その基礎がまだできていない地方がありますので、そこは国が積極的に地方を指導していただくことは必要だと思っています。

 そして、防災・安全交付金は、この前の質疑でも、人件費には用いられない、こういうふうに決まっていると。中でいくと、やはり、専門家の派遣やいろいろな部分で先進事例を示して、その辺をしっかりとぜひ大臣に指導していただきたいと思います。

 先ほど言ったように、地方分権は観光や農業やいろいろな部分では必要ですけれども、気象庁という最新のデータを集め、そして全国の土砂災害や台風情報や何かにいろいろな対応をしている県というのはまだ、四十七都道府県それぞれレベルが違います。そのレベルはやはり国が指導していただきながら、その結果で将来は地方自治体がしっかりと責任を持つ、こういう体制に進めるために、国土交通大臣として、しっかりとまずはレベルを同じにする、これは基礎調査もそうですけれども、先ほど言った、退避勧告するめどといいますか、そういうのも含めて、そこはぜひやっていただきたいと思いますが、大臣はどのように思いますか。

太田国務大臣 御指摘のとおり、指導性をしっかり発揮して、都道府県、市町村が主体であるということを踏まえながらも、国民の命の安全ということについては、我々が責任を持って指導を強めていくということが大事だというふうに思います。

村岡委員 時間が参りましたのでここで終わりますけれども、きょうは大臣から、まずは気象庁の大変精度の上がったデータを全国各地にしっかりと届けていただく、そして、その上で、基礎調査もそれぞれの自治体がやっていく上を指導していただき、そして退避勧告のいろいろな事例を示して、ぜひ、このような気象災害は、自然現象ですから、雨が降るのをとめることができない、台風が来るのをとめることができないという状況ですので、国土交通省は国民の安心と安全ということに対してしっかりと御指導していただきたい、このように思っております。

 きょうはありがとうございました。

今村委員長 次に、岩永裕貴君。

岩永委員 皆さん、改めましておはようございます。維新の党、岩永裕貴でございます。

 まず、質問の冒頭に当たりまして、広島市で起こりました土砂災害、お亡くなりになられました皆様方に心よりの御冥福をお祈り申し上げますとともに、今なお困難に立ち向かっていただいております被災者の皆様方にはお見舞いを申し上げます。

 前回の委員会で、被災地を選挙区とされる河井委員が、かなり痛切な思いを持って質問に立たれておりました。二度とこうした災害によって国民の命が奪われるということはあってはならない、今回のこの災害をしっかりと教訓にして、日本は、土砂災害について、法律の見直しも含めて、国民の認識も含めて前へと進めなければならないという思い、私も共有をさせていただいております。

 本会議でも代表質問に立たせていただきました。幾つかの質問の中では大臣から前向きな御答弁もいただきましたことをお礼を申し上げます。

 きょうは、先ほど村岡委員の話の内容でもございましたとおり、土砂災害の本法律は、どこまでいっても、やはり区域指定をしっかりと促進していこうというところは本筋でございます。大臣からも、そこの地方分権という中で、国がどこまでそこに関与していくのかというところの線引きについてはいろいろな議論が出てくるかと思うんですけれども、国が指導するであれ、自治体が指導するであれ、やはり最終的にはしっかりと国民の命、地域住民の命を守り切るという観点で、本日は質問をさせていただきたいと思います。

 まず最初にお伺いさせていただきますのは、この基礎調査の結果の公表の手法ですね。どのような手法をもって、そして、どのような内容でこの基礎調査の公表をされていくのかということについてお伺いをいたします。

池内政府参考人 お答えいたします。

 具体的な公表方法につきましては、今後詳細を検討してまいりますが、まずは都道府県のホームページに掲載することが基本だと考えております。また、掲示板の活用ですとか各戸への地図の配布、あるいは回覧板など、さまざまな方法が考えられます。

 また、公表内容につきましては、警戒区域、特別警戒区域の指定が予定される区域をわかりやすく図示していくことを考えております。

岩永委員 わかりやすくということは、恐らく、具体的に申し上げれば、しっかりと、いわゆるレッドゾーン、そしてイエローゾーンというところの線引きを明確にして、地域住民の皆さん方にその危険度をお知らせしていくというようなことでよろしいでしょうか。

池内政府参考人 今委員の御指摘のとおり、わかりやすい地図上に、しっかりと警戒区域、特別警戒区域の線引きの予定地を図示することとしております。

岩永委員 ありがとうございます。

 続きまして、基礎調査は終了したけれども、警戒区域の指定がおくれていたという指摘が本委員会でもるる出ております。ここに対する、なぜこれほど時間がかかってしまうのかということに対する問題意識とか、そのあたりの理由についてどのようにお考えなのか、お答えいただけますでしょうか。

うえの大臣政務官 警戒区域の指定につきましては、住民説明会を開催するなど、地域住民の方々の理解をしっかりと頂戴するということが非常に大事でありますが、その点、時間と労力を一定程度要しているというのが実情でございます。

 そこで、先進的な県では、例えば、地元の区長会などに事前に十分説明をしたり、あるいは自治会単位でまとめて住民説明会を開催したりする、そうしたいろいろな工夫をされているところがありますので、そうした先進事例等々につきましても地方自治体にしっかりとお伝えをして、創意工夫を高めていただきたいというふうに思っています。

岩永委員 ありがとうございます。

 今の質問の内容二点を精査させていただきますと、この基礎調査結果の公表ということについても、いわゆるイエローゾーン、レッドゾーンはしっかり住民の皆さんに示していく、そして、これまで調査は終わっていたけれども指定がおくれていたというところについては、住民への説明会などが必要であって、附帯決議ではありますけれども、必要であって、そうしたところがおくれにつながっていたということであります。

 そこで、やはり少しわかりにくいのが、この基礎調査の結果の公表と区域指定というものの違いについて教えていただきたいんです。

 今の答弁だけお伺いしていると、基礎調査の結果の公表に当たっても、区域指定と同様の、住民の目線から見た場合には、行政手続上の問題はあると思うんですけれども、レッドゾーン、イエローゾーンの指定と同じようなことがされてしまうわけですね、公表段階であっても。ということは、地域住民への説明ということについても、同様に、やはり自治体がこれからそういうふうなマップを公表していくに当たっては必要になってくるんじゃないかなというふうに思います。

 このあたりの基礎調査結果の公表とその区域指定の違い、特に住民目線で見た場合、何が違うのかということについてお答えいただければと思います。

うえの大臣政務官 委員御案内のとおりだと思いますが、基礎調査の結果を公表するということは、事実上、それをお示しするということでありまして、法律上の効果というのはございません。

 一方、区域指定となりますと、例えば、市町村において避難体制の整備というのが義務づけられたり、あるいは特定の建築規制、特定の開発行為の規制が加わる等、具体の法律効果が発生するわけでありまして、そこはやはり丁寧に住民の皆さんにきちんと御説明をして御理解を賜るということが大事でありますので、やはり時間のタイムラグというか、それは必然的に生じるものだというふうに考えています。

岩永委員 時間的なタイムラグということなんですが、それは本改正案でもそうですけれども、さまざま国のサポートを行うことによって、しっかりそこの部分は埋めていこう、そして、できるだけ早く、基礎調査が終わっているところについては指定に結びつけていこうというような趣旨もしっかりと含まれているということを鑑みると、どうも私には、住民目線から見た場合の、結果の公表と区域指定というものがどう違ってくるのかなというのが、すっと腹に落ちてこないというか、理解がなかなかできないなと。

 大臣も皆様方も、本法案については、区域の指定というものがやはり本筋だというようなことは十分に御認識をいただいている上で、前回の委員会の中でも、たしか後藤委員だったと思いますけれども、区域指定を促進していく根拠は何だというような質問に対しては、地方自治法があるので、それを使って指定を促進することはできるんだというような御答弁があったり、宅地建物取引業法の重要事項説明、ここの義務は生じないけれども、取引判断に重要な影響を及ぼすという四十七条を根拠として、そういった住民の皆さんに危険性をお知らせすることができるとか、ほかの法律を引っ張り出してきて区域指定を促していくというような議論を聞いていて、そこまで言うのであれば、この基礎調査の是正要求というものをもう一歩踏み込んで区域指定の是正要求にまで踏み込んでも、そんなに大して、住民から見た場合もそうですし、変わらないんじゃないかなというふうに思うんですけれども、このあたり、今の議論も含めて、大臣の方から少し御意見、御見解がございましたらお聞かせいただければと思います。

太田国務大臣 基本的には、調査をします、それを、住民合意ということも踏まえて、今度は法的に、その地域はこうですということで警戒区域を決めるという、これは手続問題で大事です。そこの指定ということをすることによって、いろいろな、やらなくてはならない事項が発生するということができますものですからいいんですが、そこは義務づけるかどうかということなんです。

 私たちは、やってもらわなくてはならないというデータが基礎調査で出れば、そうした指導性や、あるいは要請ということをすることになろうというふうに思いますけれども、しかし、そこはあくまで現場の都道府県が決めるという、ここは法的全体の建前ということになっておりますものですから、地方分権ということで、何から何まで全部義務づけてやれというのではない。その仕組みの中でバランスをとって、我々としては、そこを義務づけではなく、そうしたことを我々が公表したりというようなことで、判断しやすいように措置をとる。

 ただし、この間の例も、地方自治等との関係性で、そうしたことを決めるということがおろそかであったりした場合でも、地方自治法で言っているということの、四十七条等々を含めまして、我々としては是正要求ということはしっかりやらせていただく、こういう仕組みだと御理解いただければと思います。

岩永委員 ありがとうございます。

 私が何を申し上げたいのかというと、本改正案がしっかり実効力のあるものになってほしいという願いが、やはり命を守るという観点からあります。

 結局、そういったイエローゾーン、レッドゾーンの指定を、ある意味、住民から見た場合は、行政手続上は指定ではないけれども線引きがされてしまうであったりとか、そして、それに対して、地元の自治体が地域住民に対してまた説明をしっかりしなければならないようなことになると私は思います。というと、またこういった基礎調査の公表がおくれていくような結果にだけはならないように、同じことを繰り返さないように、しっかりと実効力あるものとしていただきたいというお願いをさせていただきます。

 そして、引き続きまして、社会資本整備重点計画は、今、二十八年度までに四十六万カ所の区域指定を目指すということになっているんですけれども、四十六万カ所とされたその根拠についてお伺いをいたします。

池内政府参考人 委員御指摘のとおり、社会資本整備重点計画では、二十八年度末までに土砂災害警戒区域の指定を四十六万区域にするという目標を設定しております。

 この目標値につきましては、その設定年度でございます平成二十三年度以前の実績から推計した値と、都道府県への聞き取りによる平成二十年度以降五年間の区域指定の見込みの値を踏まえて設定をしております。

岩永委員 法施行がされてから十三年で三十六万カ所という結果を見て、その推移を見ていると、大体二十八年度末ぐらいには四十六万カ所の区域指定が完了されるというようなことでございますけれども、この広島の災害を受けて、より基礎調査を加速させていくことによって指定区域の数を上げていくというようなことがあって、本改正案に至っているわけです。

 この四十六万カ所という目標数値は平成二十四年につくられたものだというふうにお聞きをいたしておりますけれども、この目標数値をもっと上げるべきではないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

池内政府参考人 確かに、この目標値を設定いたしましたのは広島土砂災害の以前でございます。

 したがいまして、今回の災害を受けまして、目標値を変えるというよりは、できるだけ実績を上向きにするような努力をしていきたいというふうに考えております。

岩永委員 そこに対する具体的な数値は何か御検討いただいていますでしょうか。

池内政府参考人 今後、各都道府県に対して、区域指定の目標それから計画、そういったものをお出しいただいて、そういった中で検討はしてきたと思っておりますが、今まさに、個別に幾つかの県に聞いている限りでは、以前のものと比べて進捗していく、そんなお答えをいただいております。

 以上でございます。

岩永委員 四十六万カ所の区域指定を達成していただくというのは最低限の目標であろうかと思います。

 この数値にもいろいろな数があるんですけれども、区域指定を行わなければならないというような調査対象の区域は全体で約六十五万カ所ぐらいあるというふうに伺っておりますので、二十八年度末にこれを全てやるんだというような思いでぜひ国土交通省にはリーダーシップを発揮していただきたいですし、そういった六十五万カ所を前提に、各都道府県に対してさらに数値目標を割り当てていくというようなことが私は大変重要なことではなかろうかと思いますが、そのあたりに対する見解がございましたらお伺いいたします。

池内政府参考人 やはり今回の広島土砂災害を踏まえて、各県に対しては、できるだけ基礎調査が進むよう進捗を促してまいりたいというふうに考えております。

岩永委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 引き続きましては、防災集団移転促進事業について少しお伺いをさせていただきます。

 本会議の場でも少し御説明をさせていただきましたけれども、私の地元滋賀県、これはうえの政務官の地元の滋賀県でもございますけれども、近江八幡市というところがございます。この近江八幡市は、警戒区域からの移転を促す条例の検討に入られました。そして、そこに住んでいらっしゃる皆さんにできるだけ平野部に移転をしていただくというような内容なんですけれども、今現在のこの防災集団移転促進事業につきましては、十戸以上が対象となるというふうになっておりますけれども、この規模要件の緩和は、これからこの土砂災害ということを考えると、私は必要なのではないかなというふうに考えております。

 土砂災害というのは極めて局地的な災害でもありますし、中山間地がやはり非常に多いということもありますので、十戸以上がなかなか固まっている集落というものがない中で、例えばこの規模の要件を五戸以上にするとかという緩和措置について、御検討いただいているかどうかということをお伺いさせていただきます。

うえの大臣政務官 委員御指摘の点、事前の移転対策についての御質問だというふうに思いますが、これまで、御案内のとおりだと思いますが、防災集団移転促進事業、被災した地域の復興には活用されているところでありますが、被災していない地域における事前の移転対策として活用された実績はありません。

 これは、被災していない地域で本事業を実施する場合には、現に日常の暮らしを送っていただいている住民の方々が対象になりますので、なかなか、その合意形成ということが非常に困難ではないかな、そのように考えているわけであります。

 それで、本事業につきましては、それぞれ、今、近江八幡市の例も出されましたが、事業の主体となる地方公共団体において住民の皆さんの意向を十分に勘案して検討していただくことが必要だろうと思いますし、国交省として、そうした相談があれば適切に対応していきたいというふうに思います。

岩永委員 ありがとうございます。

 これも恐らく、土砂災害というものがこれだけ大きな被害を出しているというところを鑑みると、やはり、こういった緩和措置についても少しこれから検討課題として国土交通省には議論を深めていただかなければならない分野であろうかというふうに思います。

 もうこれはお伺いいたしませんけれども、この事業にかかわるに当たって、地域住民の全員合意というものも要件に入っているようにお伺いをいたしております。その緩和についても、きのう国交省の方からお伺いをいたしますと、地域がまとまっているのかどうかというところが非常に重要だということをおっしゃっておりましたけれども、そのまとまりというのが、一人が反対していればまとまっていると言えないのか言えるのかというような非常に微妙なところもございますので、こういった取り組みをしようとしていらっしゃる自治体が実際に出てきているということをしっかりと御認識いただいて、こうした緩和措置についても今後も議論をしていただきたいというふうに思います。

 そして、最後ですけれども、きょうは文部科学省の方にも来ていただいております。防災教育について、今の現状をお聞かせいただきたいんですけれども、よろしくお願いいたします。

芦立政府参考人 お答え申し上げます。

 今、全国の学校におきましては、子供の発達の段階を考慮いたしまして、それぞれ関連する教科、総合的な学習の時間、特別活動など、学校の教育活動全体を通じて防災教育を実施いたしております。例えば、中学校の社会科におきましては、地域の自然環境に応じた防災教育について全国で取り扱われているという状況でございます。

 また、文部科学省といたしましては、各種の災害の経験などを踏まえた特色ある教育を全国で共有しようという趣旨から、実践的防災教育総合支援事業というのを実施いたしております。例えば、平成二十三年の紀伊半島大水害で大規模な土砂災害を受けました奈良県におけるその経験を踏まえた先進的な取り組みなどを全国の学校で共有できるよう支援をしている、こういう状況でございます。

岩永委員 ありがとうございます。

 私の生まれ育った滋賀県甲賀市信楽町の多羅尾というところ、昭和二十八年に大変大きな土砂災害を経験した地域であります。四十四名の命が突如として奪われましたし、約七十年弱たつ今でも、地域の中での住民の皆さんの心の中に残っている傷といったものは非常に大きなものがあります。

 そうした地域に生まれて、小学校のときにも、一年生から六年生までずっと、水害の恐ろしさ、私たちの地域では山津波という言葉を使っておりますけれども、この恐ろしさというものについてたたき込まれたというか、非常にリアルに教育をされた記憶があります。

 今、私は、そうした意味においても、自分の家を建てるとかそうしたときにまず見るのは、やはり、山が近くにあるのかどうか、その傾斜はどのぐらい急なものになっているのかどうかとか、そして、例えばそこに生えている木なんかを見れば、土砂が動いているかどうかということも結構わかるんですよね。土砂がちょっとずつちょっとずつ下に動き始めると、木は真っすぐ立たずに、どうしても根っこがこういうふうになって、こう上に育っていくというような特徴もあります。

 そういったことも、日ごろの小学校のときの教育から受けて、自分の命を守るために、そういった観点も持ち合わせているというところがございますので、できるだけ、そういったことの恐ろしさ、さらっと防災教育をするのではなくて、リアルに、自分の命はやはり最終的には自分の責任で守り抜かなければならないということを教育の現場でも徹底していただきますことを心からお願いを申し上げ、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

今村委員長 次に、穀田恵二君。

穀田委員 きょうは、土砂法について質問します。

 まず、広島土砂災害を初め多くの災害がありました。お亡くなりになった方々に哀悼の意を表し、被災された皆さんに心からお見舞いを申し上げたいと思います。

 今回の土砂災害防止法の改正に当たって、なぜ今度の広島の土砂災害は防ぐことができなかったのか、そういう視点から接近する必要があると思います。なぜなら、この土砂災害防止法は、一九九九年に広島県で三十二名のとうとい命が失われた土砂災害をきっかけに制定されました。ところが、土砂災害が同じ地域で起こるという結果になってしまったわけであります。

 九九年の災害から悲惨な災害を防ぐべく法を制定したけれども、何が教訓として生きて、何がいけなかったのか、まず基本認識をお伺いしたいと思います。

太田国務大臣 土砂災害防止法によりまして、それまでは砂防堰堤等の整備を行うハードが中心であった土砂災害防止対策について、避難体制の整備等を進めるソフト対策が新たに推進することになりました。

 しかし、ことしの八月の広島市の土砂災害では、住民に土砂災害の危険性が十分伝わっていなかったこと、また避難勧告の発令が災害発生後になってしまったこと、避難場所や避難経路が危険な区域内に存在するなど土砂災害からの避難体制が不十分な場合があったことなどの課題が明らかになりました。

 これらの課題を含めまして、今回の法案におきましては、基礎調査結果の公表の義務づけや土砂災害警戒情報の法律上への明記と市町村への通知の義務づけ、そして土砂災害に対する安全な避難場所の確保など避難体制の充実強化など、これら自治体や住民が的確な避難を判断できるような仕組みを構築するための措置を講じたというところでございます。

穀田委員 私は、この問題は、確かに避難対策の問題はあるんですけれども、その前段にある開発問題を含めてきちっと考えなくちゃならぬ。ですから、教訓という問題ではそういった点も深めないと、ちょいとね。ただ亡くなったというだけじゃなくて、その開発全体がどうだったのかということを含めて言っておきたいと思うんですね。

 特に、きょう最初に言っておきたいのは、災害時要援護者関連施設対策について、これを少し述べたいと思うんですね。

 これは重要な課題だと思います。なぜこういう施設が危険な場所に建っているかといいますと、地価の関係や市街地にこうした施設が建てにくいという状況から、郊外の土砂災害のおそれのある場所に建てられることが多いと言われています。これは、NHKでも報道で特集されたことがかつてありました。現在もその状況が続いているので、若干歴史をさかのぼってみたいと思うんですね。

 一九九八年八月二十六日、福島県西郷村にある救護施設からまつ荘で五名が犠牲となった土砂災害が発生し、適切な土砂災害対策を推進するため、関連施設の立地条件などについて行った緊急点検の結果、これは皆さんにお配りした資料二に入っています。九千二百五十四施設が土砂災害の危険箇所内にあることが判明し、災害弱者関連施設、当時そう言っていたわけですけれども、保全対象に含む土砂災害危険箇所を重点的に整備し、自力避難が困難な方が二十四時間入居、入院している施設を一九九九年から二〇〇三年度で二百十四カ所対策しました。四年間は予算をつけて対策を打っています。

 さらに、二〇〇九年七月二十一日、山口県防府市、特養ホームのライフケア高砂を土石流が直撃し、七名が犠牲となりました。

 五年前の法改正の際に、これに関連して私、質問しました。

 二〇一〇年六月に公表された災害時要援護者関連施設の調査の結果を見ますと、これは資料三です、土砂災害のおそれのある災害時要援護者施設一万三千七百三十の施設のうち、砂防関係施設が未整備で、かつ土砂災害警戒区域指定が未指定の施設が七千百二十施設も存在する。いつ何どき土砂災害に遭うかもしれない今日の状況にあって、放置できない問題と言わなければなりません。

 ですから、こういう流れを考えますと、今、災害時要援護者関連施設がどのような状態にあるのか、全体像を明らかにし、仮に、今述べた二つ、二回対策を打っているわけですけれども、その後の掌握と対策の進展を御報告願いたいと思います。

池内政府参考人 委員御指摘のように、一九九八年の西郷村で発生した土砂災害を踏まえて全国の調査をいたしまして、そして、今御指摘の九千三百施設の箇所の立地を把握しております。これを受けまして、通知を発出し、施設が立地している危険箇所について砂防事業を進めてまいりました。

 また、あわせまして、二〇一〇年、山口県防府市の災害のときも災害時要援護者施設が非常に大きな被害を受けたわけでございますが、このときも調査いたしました。そして、そのときの調査では、今御指摘のように、三千六百施設で、全体の三割未満であることが確認されております。

 この結果を踏まえまして、避難が困難な高齢者や乳幼児等の被害防止の観点から、災害時要援護者施設を保全する砂防堰堤の整備を重点的に実施しております。

 また、平成二十四年度を初年度といたします社会資本整備重点計画におきまして、主要な災害時要援護者関連施設の保全に関する指標を単独で設定いたしまして、重点的、計画的な整備を促進しているところでございます。

穀田委員 私が指摘をしたのは、一九九八年のときにそういう対策を打った、二〇一〇年にも、ちょっと違う角度だけれども打ち始めたと。それは、全体として、やはり要援護者施設というのはふえているわけですよね。だから、全体像はつかんでいるのか、また、目標を持って砂防対策でやっていって、それをいつまでに完了するのか、そういう計画なんかがきちっとあるのかということを聞きたかったわけです。どうです、もう一度。

池内政府参考人 全体像は、先ほど申し上げましたように、社会資本整備重点計画で把握をしておりまして、そのときに指標を設定して、進捗を進めております。

穀田委員 大臣、聞いてわかるとおり、決めているんですと言うんだけれども、全体像が、幾らあるのかとか、それから、今どの辺まで進捗しているのかということはさっぱりないわけですよね。

 私は、やみくもにけしからぬと言うつもりは全くないんです。問題は、施策を打っている側の論理ではなくて、実際にそのように放置されている施設があるということが問題であって、幾ら残っているのかをたなごころに乗せ、うまずたゆまず目標を定めて、予算を抜本的に強化して取り組む必要があるんじゃないかということを提起しているわけですよね。

 何も、けしからぬ、けしからぬという話をしているんじゃないんですよ。一旦打っている施策がある、このときもやったと。だけれども、全体像がもうちょっと、先ほど社会資本整備計画でやっていますというんだけれども、それやったら、何ぼが分母で、どのぐらい進んでいて、どういう段取りで、何年たったらこれは完了するねという話が余りないと違うかということを言っているわけです。ないよね。一言言ってくれたらええねん。

池内政府参考人 平成二十二年六月に調査した結果では、土砂災害のおそれのある災害時要援護者関連施設の状況について行っております。全国で一万三千七百三十施設が立地しているということを把握しております。

穀田委員 それは、平成二十二年というから、二〇一〇年と私は言ったじゃないですか。それはそこで、私はちゃんとそこの数字を出しているわけやから、同じ数字を言ったかてあかんねんて。その後ふえてへんのやったらええよ。ふえてんねやから。

 だから、そのことが、もういいって、池内さん、大丈夫、もうあなたにそこは質問せえへんし。言っているのは、皆さん聞いてほしいのやけれども、ふえているわけですよ。それが今何ぼ完了していて、どういう計画があってというのを、数字を言うんじゃなくて、施設の側からの考え方を見ないとだめとちゃうかということを言っているわけであります。

 今、歴史をさかのぼって言いましたけれども、では、現にある問題について一つ聞きましょう。

 東京都では、特養など三十九施設のほか、小中高校二十二校、大学など二校、資料四を見ていただきたいんですけれども、京都府では市や町、村の本庁舎が、また広島県でも市営住宅のほか保育園などが、警戒区域や特別警戒区域内にいまだに立地していることが判明しています。

 これらの調査はわかっているんですが、この結果をどう扱われているのか。現時点での立地状況を早急に把握し、必要な対策を講ずべきではないのかという点についてはいかがですか。

池内政府参考人 委員御指摘のように、警戒区域内には、建築物、特に公共施設等が立地しております。これにつきましては、警戒区域を記載いたしましたハザードマップ上に公共施設を記載しておりまして、こういったことは自治体も認識しておりまして、住民にも周知をしているところでございます。

穀田委員 周知していますって、周知していたら、それでええのかと。

 これは、私は京都の例を出したわけですけれども、京都の市町村別の避難施設の土砂災害防止法の指定状況。避難施設なんですよ。ここへ避難せいと言っているところで、実は、建物を見ますと、警戒区域のみでも百五十六ある、警戒区域と特別警戒区域の関係でいうと六十九ある。しかも、その中に書きましたように、笠置町の役場、和束町の役場等々、庁舎がそういう区域になっているところもある。

 そうしますと、避難所になっているわけですよね。それから、災害発生の場合は司令塔の役割を果たすべき場所のはずなんですね。だから、こういったところは、まずきちんと手を打って対策をとるべきとちゃうのかということを言っているわけですね。

池内政府参考人 委員御指摘のとおり、こういう防災拠点とかあるいは避難場所、こういったものが警戒区域内にあるのは存じてございます。

 そこで、今回の法改正におきましては、これまで、どっちかというと、いろいろな目的を持つ避難場所が混同しておりましたけれども、きっちりと、土砂災害の観点から、安全な避難場所、避難経路、そういったものを示すようにしておりまして、きちっと地域防災計画の中で、土砂災害の観点からの避難場所、避難経路、そういったものを指し示すようにしております。

穀田委員 大臣、指し示したかて、私も、この間京都でありましたけれども、鴨川から水が出た、避難場所になっている小学校がある、そこに水がだあっと流れている。そこへ行くなと言うわけにはいかぬじゃないですか。そういう事態になっているでと。それから、前の台風のときに、五年前でしたか、京都の場合は、舞鶴でバスの上で、問題になったときがありましたけれども、あのときなんかは町役場がつかったわけですやんか。

 そういう問題なんだから、避難経路を示したとかあれだとかじゃなくて、それ自身の防災対策は優先してやる必要があるんだということを言っているわけですよ。避難経路を幾ら示したって、そこへ避難するときに、それこそ命がなくなったんじゃどうしようもないわけで、それを言っているんですよ。そんな話をしていたらあかんでということを言っているわけですよ。

 もうそれはいいですわ。そういうことなんだということを大臣が認識してくれれば、わかるはずですから。そんな、避難経路を示したからといって、それで対応よしなんて、防災計画に書いたからといって、ハザードマップに書いたからといって、そのとおり行ったら死んでたんじゃどうしようもないわけで、それを言っているわけですよ。

 そこで次に、基礎調査のおくれの問題、それから区域指定のおくれの原因は何かという問題について、少し提起したいと思うんですね。私は、人材とそれから財源の確保のために、国の支援を抜本的に強化することを求めたいと思うんですね。

 まず、基礎調査についてですけれども、全国のそういう基礎調査が進んでいないこと、これは、区域指定も含めて七割前後だということは既に明らかになっています。土砂災害防止法制定から十年以上経過して、現在においても完了している地域は十三県、それから指定が完了しているところについて言うならば三県。なぜ、これほどまでにおくれているのかということなんですね。広島県は、人的にも財源的にも限界にあると、率直に進まない現状を吐露しています。

 今回の法改正で、先ほど局長からありましたように、都道府県に対して基礎調査の実施の促進と結果の公表を義務づけるとしていますけれども、義務づけすれば進むのかという問題があるわけです。

 この間の調査のおくれの原因として、今述べたように、都道府県の側は、人手が足りない、財源がない。現在の国の補助金は、交付金で三分の一ですよね。ですから、国による人材と財源の確保へさらなる支援が必要じゃないかと思うんですが、その大きな観点から、ちょっと大臣からお答えいただければと思います。

太田国務大臣 人材と、そして予算、これが調査あるいは警戒区域の指定等において大事だというふうに思います。

 福岡県などは、専従で調査に置いて、一名から四名プラスして五名というのをやって、これが完了ということになった。あるいは山梨県等は、住民合意を得るための単位をいろいろ工夫することによって、それが進捗するようにした。そしてまた鹿児島などは、鹿児島は完了というわけではないんですけれども、OBの人を採用するということの中で人員というものを拡充するということにしたというような例があって、物すごく膨大な数の専従というわけではないんですが、行革の中でなかなか人員が確保できないというのは一方ではあるということは事実です。

 そうした先進事例というものを今回は示すことによって、全部が、プラス二名とかプラス三名が、全員が技術職でなくてはならないということではないという認識をしておりまして、その辺の事例を出すということの中で人材面については援助したいというふうに思っています。

 それから、あわせて、地形のデータということを提供するということを我々は言っているわけですが、航空レーザー測量データというものをやることによりまして、数値データを地方自治体に提示する。そうしたことの、これで二千五百分の一の地図ということができるというような、基礎データというものを形にして、地方自治体の労力が少なくなるようにというようなこともやらせていただく。

 財政面では防災・安全交付金の支援ということがあるわけですが、そうした国が所有する地形データの提供なども含めて人員と予算面での負担軽減を図るというような、いろいろなことを組み合わせてというふうに思っているところです。

穀田委員 例を示すことによって全体を励まし、促していく、それはあると思うんですね。ただ、私は、補助率の三分の一というのは政令で決まっているわけですから、補助率を上げるという意思さえあれば実行できるものだと思うんですね。

 今、地形のデータという話がありましたけれども、地形や条件も違うし、努力なさっている自治体は当然あるわけです。

 私は、提案なんですけれども、どういう判断に、バランス論とかいろいろ考え方はありますよ。ここが進んでいないのは何かあるんだろうとか、あるんですね。だけれども、大臣もおっしゃったように、行革の中でなかなか確保できないという現実はあるわけですね、これはあるわけです。したがって、どのような判断に立つとしても、都道府県の側の、これはやる方ですから、意向をつかむ努力をしてはどうか。

 調査や指定を抜本的に進めるためには何が必要かと考える、何を必要と考えているかを率直に意見を聞くということも大事かと思うんですが、その辺、いかがですか。

太田国務大臣 そこは極めて重要だと思っています。

 聞き取り調査をしますと、二十年ぐらいはかかってしまうというふうなところがあったりします。北海道とか被災県というのがそこに当たるわけですが、それぞれ実情が違うというふうに思います。

 何をすれば早くできて、あるいは指定が早くできるかということについては、十分、各都道府県、個別によく調査をして、できる援助をして、我々がおおむね五年程度をめどにということを言っているわけですが、そうしたことが実現できるように、現場が何を援助してもらいたいかということについては調査をしっかりさせていただきたいと思っています。

穀田委員 それをぜひやっていただくということで、確認しておきたいと思います。

 今大臣から、おおむね五年とありましたけれども、計画を進めるために必要な財源規模はどのぐらいと考えていますか、局長。

池内政府参考人 非常に大ざっぱな推計になりますが、これまでの実績、それから今後残っているものを見まして、具体的には、今後の指定すべき警戒区域の推計と、それからこれまでの実績をもとに計算しますと、大体、オーダー的には一千億円程度の費用が必要だというふうに考えております。

穀田委員 そこで、では、今までどの程度土砂災害危険箇所への整備のための予算を使ってきたのかという問題なんですね。このお金を使うということについては誰も否定しないわけですよね。

 広島県では、今、五年をめどにと言っていましたけれども、これは何を、調査の点はわかるんですけれども、我が党の県会議員の質問に対して、広島県の砂防対策費は二〇一二年は約八十五億円、土砂災害対策の整備完了まで三百三十三年かかる、こう言っているんですよね。

 だから、それは結構、調査の金の話は大体一千億円という話があるんだけれども、実際整備するとなると、とてつもない金がかかるし、時期もかかるということで悩んでいるわけですよね。

 そうしますと、先ほど大臣は交付金で支援をすると言っていましたけれども、国としての砂防関係予算は、資料一に出しましたけれども、補助を、二〇一〇年以降、社会資本整備に係る交付金としてまいりました。だから、余り姿が見えぬわけですよね。

 そこで聞きたいんですけれども、二〇一〇年以降の土砂災害対策予算の経年推移をどのように把握していますか。

池内政府参考人 基礎調査に係る予算の状況でございますが、平成二十二年度は約百三十三億円、二十三年度は百二十九億円、二十四年度は百十七億円、二十五年度は百二十九億円、平成二十六年度は百四十七億円、これは聞き取り調査結果でございますが、基礎調査の費用はこういった状況でございます。

穀田委員 それは基礎調査の資料でしょう。私が言っているのは、砂防関係の予算と、わざわざ資料一と言ったじゃないですか。資料一でいいますと、二〇一〇年度から補助は見えなくなっているわけじゃないですか。下に書いていますように、二兆二千億円使っているということになっているじゃないですか。それは、国費としては、交付金としてはこうやっているんだが、前の補助という欄に置きかえるとしたら何ぼ使ってはりますかということを聞いてますねやわ。

池内政府参考人 砂防事業予算につきましては、直轄事業につきましては予算額が出ておりますので、おおむね一千億程度でございますけれども、補助事業につきましては、今御指摘のように、防災・安全交付金の中で一括計上されておりますので、その具体的な内訳は現状把握しておりません。

穀田委員 大臣、これは極めて大事なことで、結局、大臣は交付金で支援していると。一般論はそうなんですよ、それはわかっているんですよ。問題は、今、では、砂防関係予算の具体的使われ方はどないですかと聞くと、ここに今お出しした資料の一にあるように、二〇一〇年度からは見えなくなっているわけですよ、砂防関係には何ぼ使っているかというやつは。だから、それで何ぼやと聞いたら、つかめていないと。それでどうして進むのかということになるわけですよ。

 だから、これは決算ベースでつかめるはずなんですね。ないしは、都道府県含めてですから、聞けば、何ぼ使っているのやと言ったらつかめばいいわけでね。問題は、それらが今、前に比べても、補助がうまく生きていないのか、使われていないのか、額をつけないのか、そういったことを含めて、やはり基礎データ自身をつかんでいないんだったら、どないして進むのかと私は言わざるを得ないということを言っているんですよ。

 税源だけじゃないんですよ。人的体制も安全や安心を支えるものになっているかということなんですね。都道府県段階での土砂対策の人的体制はどうなっているのか。ここの抜本的強化が必要ではないかと。

 私が住んでいる京都府では、先ほど行政改革という問題を大臣が言うてはりましたけれども、この間も言いましたけれども、土木事務所の職員数は、二〇〇三年から二〇一三年度までに六百十八名から九十六名、六分の一減っているんですよね。また、広島県では、砂防課、先ほど他のところで三名ふやすとか四名ふやしたとかいう話がありましたけれども、担当者は十四名で、専任はおらず、全員が兼務となっているんですね。

 だから、実際は、予算の金という問題もうまく掌握し切れていない。それから、もしかしたら、そういう体制がどないなっているかということも掌握していないんじゃないかと思うんですよ。そこはちょっと言い過ぎなんですけれども。

 全国で特徴的なそういう傾向といいますか、そういうのをどういうふうに人的な問題について把握しているのか、お答えいただきたいと思います。

池内政府参考人 全国には、砂防関係については、大体、課の名前はいろいろございますけれども、砂防課とかあるいは砂防河川課とかがございます。そういった中で専任職員を置いておりまして、そういった数の把握は、おおむねでございますが、今手元に数字はございませんが、できておると思います。

穀田委員 どのような状況かというのは、それは砂防課があることは確かなんですよ。問題は、それが、今言いましたように、減っているという状況を私は指摘している、専任でないという事態があると指摘している、これにどう応えるかということが問われているので、質問をよく理解していただかないと、数字は、私、全部出せなんて言っているんじゃないんですよ。その特徴的な傾向として、税源がうまく、財源がうまく機能しているかということが把握できていない。

 それから、人的な問題についても、そういう事実について、数字はわかるけれども、私が言っているような、この十年間でも相当減っているじゃないか、専任体制も随分崩れているじゃないか、こういう傾向がありやしないかという問題提起をしているわけで、そこについて、どないなっている、大丈夫だというんだったら大丈夫だと言ってくれたらいいわけで、そこが、どうもあやふやな数字で適当な話をしてごまかしちゃあかんでと言っているんですよ、僕は。わかりましたやろ、大臣。はい。わかっていただくと。

 きょうは時間もありませんから、時間もあと二分ほどしかないので、最後に一言言っておきたいと思うんですけれども、宅建業者の問題なんですよ。

 皆さん、そもそも土砂災害の危険のある場所に住宅を立地させないことが、広島市の災害の重要な教訓の一つだと思うんですね。その意味では、住宅など販売業者である宅建業者が、土砂災害など災害の危険をつまびらかに説明することが必要だと思うんですね。

 私、現行の宅地建物取引業法に基づいて、重要事項の説明として、土砂災害の危険について知らさなければならないと法三十五条に書いてあることは知っています。

 問題は、危険箇所とされている地域についても、土砂災害の危険があって住宅等への被害が想定されている地域だからこそ、現地には急傾斜地崩壊危険箇所や土石流危険渓流などの表示をしてやっているはずなんですね。

 だから、危険箇所として認識されている地域についても説明すること。それから、警戒区域は避難対策を準備するために指定するのであるから、避難計画の有無、概要なども重要事項として説明するようにすることを検討すべきじゃないでしょうか。

毛利政府参考人 重要事項説明の事項として危険な状況についても説明すべきということでございますが、現行の重要事項説明制度から申しますと、これは、法律に基づいて指定される区域か、あるいはその行為の制限ということが説明事項となっております。したがって、重要事項説明に入れることはなかなか難しいと思います。

 一方で、先般来答弁させていただいておりますが、土砂災害の危険性に関する情報を不動産の購入者に一般的に提供していくことはやはり重要だと思っております。したがいまして、今後は、公表された基礎調査のまず結果から、これが取引判断に重要な影響を及ぼす事項として不動産購入者に情報提供することが望ましい旨を宅建業者に通知して、指導していこうと思います。

 さらには、御指摘ありましたような一般的な危険の情報につきましても、都道府県等の公表データをまず活用させていただいて、宅建業者が不動産購入者からの相談に応じて情報提供できるような仕組みの構築について検討してまいりたいと考えております。

穀田委員 終わります。

今村委員長 次に、坂元大輔君。

坂元委員 おはようございます。次世代の党の坂元大輔でございます。

 次世代の党となりましたが、私は、引き続きこの国土交通委員会に入って頑張らせていただくことになりましたので、皆様、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 まず、この夏は本当にたくさんの自然災害が発生をいたしました。その自然災害によって亡くなられた多くの皆様に対して哀悼の誠をささげるとともに、今なお被災されている皆様に対してもお見舞いを申し上げます。

 既に、広島市の土砂災害から二カ月以上が経過をいたしました。八月二十日は、国会閉会中でありましたが、私、党務で東京に来ておりまして、朝、ニュースで広島のことを第一に知りました。私、選挙区が広島県福山市でございまして、広島市内からは百キロほど東に離れておるところであるんですけれども、広島県選出ということもありまして、党を代表して当日のうちに広島市内に入らせていただきました。

 たまたまなんですけれども、当時の古屋防災担当大臣と同じ便で広島市内に入りまして、大臣はそのままヘリに乗られて上空から視察をされたんですけれども、私は、自分のできる範囲で地上から、当然、人命救助活動も妨げないように配慮をしながら、当日、現地を視察もさせていただきました。

 その日のたしか十八時、六時ごろだったと思いますが、国、県、市の第一回目の合同の会議にも国会議員として参加をさせていただいて、これは実質的に合同対策本部の一回目の会議だったわけですけれども、そこで当時の古屋大臣がおっしゃっていたことが私は非常に印象に残っております。

 実は、古屋大臣が、土砂災害防止法を制定されたとき、平成十二年だったかと思いますが、このときに自民党のこの法案の作成の担当者のお一人だったそうで、自分自身もこの土砂災害防止法の制定に非常に深く携わったんだということをおっしゃっておられました。そういう中で、今回また、ほぼ同じエリアでこういった災害が発生をしてしまって、自分としても無念のきわみであるということを御発言されておられました。

 恐らく太田大臣も、古屋防災担当大臣とも多くコミュニケーションをとられて、この土砂災害防止法の改正ということにも取り組まれていらっしゃると思うんですが、改めてお伺いをしたいのが、平成十二年に土砂災害防止法が制定されてから十年以上既に経過をしております。ただ、現状は、土砂災害警戒区域などの指定がなかなか進んでいなかったり、地域によってもばらつきがあったり、基礎調査すら行われていない地域があったり、今までこの委員会でも数々指摘されてきた問題点がございました。

 そういう中であの八月二十日の広島市の土砂災害が発生をしたわけですけれども、率直に言って、翌年に施行されていますので、平成十三年から施行されたこの土砂災害防止法が、この十年間、どういった部分で足りなかったのかという部分、そしてその反省点をこの改正案でどのように改めようという方針であられるのか、改めてでありますが、大臣としての御見解をお伺いしたいと思います。

太田国務大臣 日本が脆弱国土であるということは、国民全員よく知っているというふうに思います。

 土砂災害が起きて、そして対応しなくてはいけない、危険箇所は五十二万カ所が公表されている、調査を行う、しかし、なかなか調査が十分進んでこなかった。そこには、いろいろ、なぜかということがあったと思います。そこは論議がこれまでされてきたところです。

 もう一つは、なかなか住民合意ができなくて、警戒区域の指定というものができなかった。これにもいろいろ理由があるというふうに思います。そういう意味からいきますと、住民に土砂災害の危険性が十分伝わっていなかったということは事実だと思います。

 また、避難勧告の発令が災害発生後になってしまった、この発令の仕方ということも考えなくてはならない問題、夜中でしたからということがあると思います。

 また、避難場所や避難経路ということが、具体的にどこに逃げればいいか、今回の場合は垂直避難ということがあれば相当違ったというような、そういうようなことも含めてなかなか避難体制が十分ではなかったという、さまざまな反省点、課題があろうと思います。

 これらを踏まえまして、この法案におきまして、基礎調査結果の公表の義務づけ、そして土砂災害警戒情報の法律上への明記と市町村への通知の義務づけ、そして土砂災害に対する安全な避難場所の確保など避難体制の充実強化ということを入れたところでございます。

 なお、今私が最初申し上げましたような、具体的にどこにどう避難するかとか、さまざまなことや、あるいはどういう形で、あれは九時ごろ雨がかなり降って、それからほとんどやんだというようなことの中から、夜になっていきなり五十ミリ以上が三時間以上も続いたというようなことの中で、どうすれば情報と避難体制ということに移るかという、指令の出し方もなかなか首長さんにとっては難しかったと思います。

 それらを含めて法案という形で出させていただいて協議をいただくとともに、この委員会で出された諸事項について、これは法律事項でない場合も含めてさらに検討を深めて体制を確立したい、このように考えているところでございます。

坂元委員 丁寧な御答弁をありがとうございました。

 確かに、今大臣がおっしゃったとおり、今回のあの広島市の土砂災害は、さまざまな、何というか厳しい状況が重なったんだというふうに私も理解をしております。避難勧告がおくれたことは確かに事実ではありますけれども、皆が寝静まっている深夜であったこと、そして雨が一旦やんでまた強く降り出したことなどなど、そしてなかなかその予想がつかなかったこと等々も含めて、本当に厳しい状況だったなということを私も思っておりますが、なかなかこの防災対策、完璧というものはないとは思うんですけれども、それにより近づけていくために今回の改正案もあり、我々もこの委員会で建設的な議論をしているわけでありますので、そういった視点で続けての質問に入らせていただきます。

 基礎調査についてであります。

 この基礎調査でありますが、各都道府県の、これは自治事務という範疇に入るかというふうに思いますが、地方自治法の二百四十五条の五を読むと、各大臣が是正等の措置を講ずべきことを求めた場合、その他の是正措置も含めてですが、自治事務の性質上、都道府県は必要な措置を講じる義務は負っているものの、具体的な措置内容はその裁量によるものというふうに一般的には地方自治法上は解釈をされております。しかし、本改正案第六条では、是正の要求を行う際に、国土交通大臣が講ずべき措置の内容を示して行うという踏み込んだ内容となっております。

 自治事務である基礎調査に関する是正についてあえて講ずべき措置を示すというふうに踏み込んだ理由と、そしてこの改正案六条と地方自治法第二百四十五条の五との整合性というのはどのように理解をされていらっしゃるか、御答弁をお願いいたします。

池内政府参考人 委員御指摘のとおり、地方自治法に基づく是正の要求につきましては、要求を受けて行う具体の措置の内容は地方公共団体の判断によるものとされております。

 しかしながら、高度な知識や技術を要する基礎調査については、是正の要求を受けた都道府県がいかなる措置を講ずればよいのかという判断に迷う場合があると考えられます。

 このため、この法案では、第六条を新設いたしまして、講ずべき措置の内容を示して是正の要求を行うこととしたものでございます。

 また、新設した第六条につきましては、地方自治法第二百四十五条の五に基づき行う是正の要求について、講ずべき措置の内容を示して行うという要求の方式を定めた特例となります。

坂元委員 あえて特例という形にしても、強く踏み込んだ内容になっているということだと理解をしております。そこは、私は大変評価をしたい。地方自治との関係の中でも、国として、国土交通省として、できる限り踏み込んだ内容になっているというところを評価させていただきたいと思っております。

 それでは、続いての質問でありますが、とはいえ都道府県が国土交通大臣による是正の要求に従わない場合、これは国としては、従わない場合ですけれども、どういった対応措置をとるということになるんでしょうか。

池内政府参考人 都道府県でございますので、基本的には是正の要求に応じて適切な措置が講じられるというふうに考えております。

 しかしながら、是正の要求後の対応といたしましては、都道府県から講じられた措置について報告を受け、その内容を点検いたします。改善が不十分な場合には、さらに強く要請してまいりたいと考えております。

坂元委員 私も、都道府県ですので、そういった対応は恐らくないだろう、対応することはないだろうなというふうに思うんですけれども、法律のたてつけ上、もしそうなった場合、そして今、さらに強く要求を行うというふうにおっしゃっておられましたが、それでももし進まない場合、動かない場合、最終的な対応としてはどういったところまで踏み込めるのでしょうか。御答弁をお願いいたします。

池内政府参考人 都道府県ですとなかなかそういった事態は考えづらいのですが、もし仮にそういった事態があったと仮定した場合でございますが、最終的には、地方自治法の規定に基づきまして、高等裁判所に対して不作為の違法の確認を求める訴えを提起することはできます。

 実際にこの訴えを提起するか否かについては、そのような状況が発生した場合に個別に判断してまいりますが、いずれにしても、都道府県ですので、そのようなことにはならないというふうに考えております。

坂元委員 そうならないように国土交通省としてもしっかりと都道府県とコミュニケーションをとっていただきたいなというふうに思っておりますし、先日の民主党の後藤委員からの質問の中でも防災・安全交付金の件についても触れておられましたが、そういったものも含めて、国として、国土交通省として、毅然とした強い意思を持っての御対応をお願いしたいというふうに思います。

 それでは、警戒区域の指定について御質問をさせていただきます。

 これまでのこの委員会のやりとりでもたびたび出てきておりますが、基礎調査だけではなくて、土砂災害警戒区域もしくは土砂災害特別警戒区域の指定についても、今回の改正案よりももっと踏み込んだ内容にすべきなのではないかという御意見も出ておりました。

 確かに、今回のこの改正案では、国土交通大臣による是正要求等の項目というものは、警戒区域の指定については盛り込まれておりません。都道府県の裁量に任せる、ただ、必要なサポートは強くやっていくという内容になっていると理解をしております。

 今後の都道府県による警戒区域の指定の進捗状況によっては、つまり特定の都道府県だけ極端におくれるというようなことがチェックによって明らかになってきた場合は、是正要求等も含めて新たな措置を講ずる考えはお持ちでいらっしゃいますでしょうか。大臣にお伺いしたいと思います。

太田国務大臣 調査ということについては基礎調査を行うものとすると書いてあり、そして警戒区域等の指定ということについては指定することができるということで、緩いのではないかという御指摘があったと思います。これにつきましては、いずれにしても、指定を促進するということについては極めて重要という認識を私たちはしています。

 その上で、これまでは都道府県ごとに区域指定の実施数を把握していたという状況ですが、今後はさらに、実施目標、何年、どこまでに何をやるか、その進捗状況、ある意味では工程表という、グラフのようになると思います。そうしたものを把握して、公表するということにしています。

 そして、進捗がおくれている都道府県に対しては、警戒区域等の指定を進めるよう要請をしたいというふうに思います。

 また、個別具体の警戒区域等の指定は、これは都道府県が主体的に責任を担っており、自治事務ではありますが、進捗がおくれている都道府県に対して指定を進めるよう要請してもなお指定が進まない場合には、地方自治法の規定に基づく是正の要求等を行ってまいります。

 これらの措置を講ずることにより、しっかりと警戒区域等の指定を推進していきたいと思いますし、またいけると思います。

坂元委員 明快な御答弁をありがとうございました。是正の要求まで踏み込んでいくというお答えがございました。私も非常に力強く思っております。

 冒頭に申し上げた、やはり古屋大臣の御発言の件でありますが、土砂災害防止法を制定したときも、これから防いでいくんだという強い意思を持って多分法律をつくられたと思うんです。ただ、なかなか実際の運用がうまくいってこなかった、さまざまな厳しい条件はあったと思いますが、進んでこなかった中で、今回改めて広島市の大きな土砂災害などを受けて改正をするわけですから、今後、仮に十年後にそういった痛恨のきわみだということにならないように、最善の措置をとれ得る限りとっていっていただきたいなと改めてお願いをさせていただきます。

 続いてでありますが、土砂災害警戒情報についてでございます。

 十月二十三日の衆議院本会議において、我が党の中丸啓議員からの質問に対して、代表質問でありますが、太田大臣は、土砂災害警戒情報を市町村単位からもっと狭い範囲に限定をして発表していくということを検討したいというふうにお答えをいただきました。

 具体的に、範囲を狭めていく、よりエリアでわかりやすいようにしていくということであると思いますが、どのような考え方であったり、例えば距離なのか、どういった基準で、どの程度まで範囲を絞っていくことが、まだこれは検討中だと思いますが、現時点、わかる部分で、どの程度まで範囲を絞ることができそうでしょうか。お答えをいただきたいと思います。

池内政府参考人 委員御指摘のように、対象範囲をやはり狭めていくことは非常に重要だと思っております。

 現在、土砂災害警戒情報は基本的には市町村単位で発表しておりますが、発表単位につきましては、市町村長が避難勧告の発令を行う対象地域を的確に判断できるよう細分化して発表することも検討を進めております。

 検討に当たりましては、情報発表までの迅速性の確保、あるいは情報のわかりやすさ等の観点を踏まえまして、適切な発表単位にすることが重要だと考えております。

 具体的には、例えばでございますが、合併前の旧市町村の単位ですとか、あるいは政令市の区単位、こういった発表単位の検討を進めております。

坂元委員 ありがとうございます。

 合併前の単位であったり、政令市の区単位ということで、やはりこれは、住民の方の避難につながらなければ、もしくは警戒につながらなければ意味がないというふうに思いますので、そういった生活スタイルというか、住民の生活意識に根差した合併前の単位であったりというところは、私も、ぜひそういった形で出していただければ、住民にとっても非常にわかりやすい形で警戒情報を出せるんじゃないかなというふうに思っております。ぜひ、さらなる検討をよろしくお願いいたします。

 続いてでありますが、避難勧告がおくれてしまったというところについてでございます。

 平成二十六年九月に内閣府から出された避難勧告等の判断・伝達マニュアル作成ガイドラインにおいて、「土砂災害警戒情報の発表をもって避難勧告の判断基準とする」というふうに例示をされております。

 しかし、平成二十五年十二月二十五日に行われております国土交通省土砂災害対策の強化に向けた検討会での配付資料によれば、この例示、つまり、「土砂災害警戒情報の発表をもって避難勧告の判断基準とする」という例示でありますが、この例示どおりの対応をしている市町村というのはわずか四%にすぎないということで、実際には、今回の広島市もそうであったわけですけれども、土砂災害警戒情報が発表されたとき、前兆現象が認められたとき、災害が発生したときなどにおいて、状況を総合的に判断して避難勧告を発令するというふうに答えた市町村が六四%に上っている、半数を超えているわけであります。

 このガイドラインの書き方も含めて、市町村が土砂災害警戒情報を主たる判断材料として避難勧告を速やかに発令するように促していくべきだというふうに考えておりますが、御意見いかがでしょうか。

兵谷政府参考人 お答えいたします。

 議員御指摘のとおり、国土交通省の調査では、土砂災害警戒情報が発表されたとき避難勧告を発令すると回答した市町村はわずか四%であったと承知をしております。

 内閣府では、本年四月に避難勧告等の判断・伝達マニュアル作成ガイドラインを改定いたしまして、御指摘いただきましたように、その判断基準を例示いたしましたところでございまして、その周知のために、まず同月中に都道府県を対象に説明会を開催し、さらに、五月から六月にかけまして、地方九ブロックにおきましても、国の出先機関、都道府県、市町村を対象として同様に説明会の開催を行ってきたところでございます。中でも土砂災害につきましては、これが人的被害につながりやすいことや梅雨時が近づいておりますことなどから、できる限り早期に運用していただけるよう都道府県を通じて市町村に依頼をしたところでございます。

 現在、各市町村には、この避難勧告等の判断基準について、ガイドラインに照らして再点検をしていただくこととしております。内閣府としては、まずはこのガイドラインの内容を市町村にしっかり周知をしていくことが重要だと考えております。

 今後、避難勧告等の発令基準の策定状況の調査、これは消防庁が毎年行っておりますが、その調査結果を踏まえつつ、見直しの促進を図ってまいります。

坂元委員 恐らく、今、各市町村も土砂災害に対する意識が高まっていると思いますので、できるときにどんどん進めていただきたい、そして、たとえ数年たった後でも意識づけをしっかりと行っていっていただきたいなというふうに思っております。

 続きまして、今回の改正案で書かれています権限の委任について少しお伺いをさせていただきます。

 本改正案に規定している国土交通大臣の権限は、国土交通省令で定めるところにより、その一部を地方整備局長または北海道開発局長に委任することができるというふうにありますが、委任する権限として具体的に想定しているものはどういったものでしょうか。

池内政府参考人 お答え申し上げます。

 現在検討中でございますが、委任する権限として現時点で考えておりますのは、避難指示等の解除に関する助言、それから基礎調査の結果についての報告徴収などを想定しております。

坂元委員 ありがとうございます。

 委任していくことに全部反対というわけではないんですけれども、そういった事務的なものに関してはどんどん委任というか委譲していっていただいて構わないと思うんですけれども、今回の骨格になる部分の判断、指示等は、ぜひ国土交通省が責任を持って取り組んでいただきたいと改めてお願いをさせていただきます。

 それでは、最後の質問でございます。

 今回、私も当日、八月二十日から現地に何度も入りまして状況を見てきましたけれども、もちろん、さまざまな部分で改善できる点、反省すべき点というのはたくさんあったと思います。

 しかし、例えば、避難勧告がおくれてしまったということでありますが、たとえ土砂災害警戒情報が出された直後に避難勧告が出ていたとしても、深夜、皆さんが寝静まっているところでの勧告になりましたし、雨が降り出してからは、時間雨量五十ミリというと本当に前が見えないぐらいの雨の量であります。そういった中で速やかに避難ができたかどうかというのは、これはわからないことですけれども、大変厳しい状況だったんじゃないかなというふうに私は思います。

 そういう中で、これは長い話にはなりますが、やはり、こういった危険な地域にはできるだけ住まないようにしていくということが根本的な対策になっていくんじゃないかなというふうに思っております。

 さきの通常国会で、この国土交通委員会所管で、いわゆるコンパクトシティーに関する法律というものも議論をさせていただきました。そういった中で、中長期的、本質的にはコンパクトシティー化を進めて、郊外に多くあるこういった災害に対して非常に脆弱な、危険な箇所には、広島も今回、急な斜面に本当にびっちり家が建ち並んでいて、そして道幅もすごく狭いといった状況でありましたけれども、そういった危険な箇所にはできるだけ人が住まないような誘導の仕方をしていくということが大切だというふうに考えております。

 土砂災害も含めた災害対策とコンパクトシティー化の関係性について、最後に大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

太田国務大臣 グランドデザイン二〇五〇の中のキーテーマは、コンパクト・プラス・ネットワークということです。

 介護や、あるいは高齢化になってきましたから、そうした医療施設、そして教育、さまざまなものを都市の中にコンパクトにして、やるということが大事なんですが、全ての方たちをというわけにはいきません。残ってくる方たちは、どちらかといいますと、災害が多いところで、高齢者でというような、いわゆる災害弱者、そして高齢者がかなり危ないところに残るというような傾向があろうというふうに思います。そこは、コンパクトシティーということを考えるに当たっても、十分、この災害リスクと災害弱者ということについてはよく考えていかなくてはならない、このように思います。

 大枠のそういうことを、コンパクトということを考えた上でも、常にそこに住んでいる方たちの、災害弱者と災害リスクというものを考えて、自分たちの町をどうこれから生きていくかということにしていかなくてはならないと思いますし、合併ということが多く行われたりしているわけでありますので、小さな拠点というふうに言っていますが、小さな拠点の中に災害対応のさまざまな物資を置くというようなことも含めてまちづくりをしていかなくてはいけない、このように考えています。

坂元委員 力強い御答弁をありがとうございました。

 おっしゃるとおりだと思います。コンパクトシティーを進めていったとしても、全員がその中に入るわけではありませんし、逆に、入られない方のリスクというものをいかに小さくしていくのかといった部分で、今後もぜひ前向きな議論をしていきたいというふうに思っております。

 時間になりましたので、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

今村委員長 次に、杉本かずみ君。

杉本委員 みんなの党の杉本かずみであります。

 臨時会が始まりまして、当委員会の冒頭で、委員全員で黙祷をささげたという記憶がございますが、改めて、当広島の災害、あるいは八月の豪雨、そして御嶽山の噴火ということで、亡くなられた方の御冥福をお祈りし、また、今なお避難されている方々等にお見舞いを申し上げたく存じます。

 さて、質問に早速入らせていただきますが、今回、広島の件がありましたけれども、その前に、昨年十月に大島の土砂災害があった。そして、大島の土砂災害を教訓に、これは内閣府の防災担当のサイドのお仕事であったかと思いますが、いわゆる新指針、新ガイドラインが設定されて、その周知を行っているようなタイミングで八月の豪雨あるいはこの広島ということが起きたという中で、私は、八月二十八日の災害対策特別委員会で、このガイドラインの徹底状況とか、急いで周知徹底をさらに図るべきではないかというようなことを申し上げました。

 それからまた数カ月がたちまして、このガイドラインが四月にスタートを切ってから、はや七カ月が経過という状況になっておりますけれども、このガイドラインの各都道府県、地方自治体への周知徹底の状況、経過等を改めて教えていただきたいと思います。

兵谷政府参考人 お答えいたします。

 八月二十八日の災害対策特別委員会で質疑がございました後、本格的な台風シーズンが到来する前の九月四日に、土砂災害に関する避難勧告等の判断基準について、改めてガイドラインを周知するとともに、その再点検をしていただくよう、都道府県を通じて市町村に依頼をしているところでございます。

 今後とも、ガイドラインにつきまして、研修等を通じてその周知徹底を図るとともに、消防庁が行っております避難勧告等の発令基準の策定状況の調査結果も踏まえつつ、見直しの促進を図ってまいります。

杉本委員 このガイドライン、比較的私は評価させていただいていて、抽象的に、あるいは物事全体を勘案してとかというような、個人に帰属するような判断よりは、客観基準に基づいて避難というものをするというようなガイドラインだったかと拝察していますので、ぜひとも、次の災害が起きて被害者が出る前に、さらにスピードアップを図って徹底を図っていただきたいとお願いを申し上げます。

 さて、今次法改正でございますけれども、二十七条に、「土砂災害警戒情報の提供」ということで、「都道府県知事は、」「市町村の長に通知する」ということがうたわれております。また、三十二条では、助言について、「国土交通大臣又は都道府県知事は、必要な助言をする」ということがこの法案にうたわれております。

 そこでなんですが、御存じの方もいらっしゃるかと思いますが、ちょっとこの土砂災害とは関係ありませんが、アメリカで、ストーカーに関する法律というので、犠牲となられたメアリーさんという方の名前をつけて、メアリー法と言われる法整備がなされているということがあります。これを参考にしてはいかがかなと思います。

 うまく説明できるかわかりませんが、ストーカーに追っかけられて、実際、このメアリーさんは、再婚をしようとした相手の息子さんがストーカー行為をずっと続けて、そして最後は殺されてしまうという結末に至ったんです。その加害者である、恋愛対象だった人の息子という人が、拘束されている状態から解放されたということについて、きちっと被害者であるメアリーさんに通知がなされるというルールにはなっていたんですけれども、具体的に直接電話を本人に伝えることができなかったので、加害者が動き出して、最終的に殺人に至るというような、こういう流れがあった事案について、情報伝達のきちっとした周知徹底が本当に大切なんだということの中で、アメリカ合衆国でこのメアリー法というのが決まったというふうに私は認識しております。

 こういった情報伝達の方法について、二十七条で、都道府県知事が市町村長にこういう土砂災害警戒情報の提供と言われております。これがソフトという形で伝達が本当に行われるのか。

 例えば、市町村長が海外の姉妹提携都市に出張していて不在であった、副市長も何かの会合に出ていてうまく連絡がとれないとか、そういった中で、情報伝達しようとしたにもかかわらず、実際には、その配下の人に伝言のような形で情報が伝わって、その情報がどちらかに滞留するなり埋没するなりということで、本当に重要な情報が伝わらないというリスクを避けることによって被災者を少しでもなくすということが大切だという認識を私はしております。

 直接情報伝達を行うというルールづくりであったり、あるいは、具体的に、責任者は、これは首長であったり副首長であったり、あるいは第三の人を、総理の権限の順位みたいなものがありますけれども、それと同じような形で、責任を明確化する形で担当者を特定するというような方向づけの助言をこの三十二条にのっとって今後されていってはいかがかなというふうに、僣越ですけれども私は考えているんですけれども、提言と言えるかどうかわかりませんが、このことについて大臣の御所見があれば賜れればと思います。

太田国務大臣 昨年の大島の例等でも、町長さんがいらっしゃらないというようなことは災害ではあると思います。そして、ファクスは送っていたけれども、現実に見られていなかったというような例もいろいろありました。そうしたことをよく考えていかなくてはならないというふうに思っています。

 現実には、これまでも、担当者を明確にして情報が確実に伝達できるような仕組みが日常的に重要だという考え方から、そうしたことを丁寧にやるように昨年来させていただいております。

 また、これまでも、担当者を明確にした連絡体制や市町村長へのホットライン、これをつくりまして、特に特別警報というのは広範囲にわたりますので、少ないという場合などでは、随時連絡がしっかりとれるというホットライン等で注意を喚起するということもやらせていただきまして、私の方からは、ファクスもやるけれども、必ずそこで直接会話ができるようにということを指示させていただいています。

 制度には今なっておりませんが、これまでのそうした経験ということを踏まえて、この土砂災害警戒情報が伝わるようにさらに徹底してまいりたい、このように思っているところでございます。

杉本委員 御答弁ありがとうございます。

 直接の会話が大切だということを大臣は言ってくださいました。備えあれば憂いなしであり、随時、逐次、訓練をしていかないとならないと思いますので、そういった意味でも、ぜひとも、直接の会話というものを、メアリー法ではありませんが、土砂災害の防止に向けてより一層意を払っていただきたいと存じます。

 次に、地方自治の考え方の尊重というようなやりとりがあったということでこれまでの質疑を聞いておりましたが、現行法の三十二条で、緊急時の指示として、「国土交通大臣は、土砂災害が発生し、」ちょっと飛ばしますが、「緊急の必要があると認められるときは、都道府県知事に対し、」またちょっと飛ばして、「必要な指示をすることができる。」こう定められています。

 この緊急時の指示について、ちょっと古いですが、平成十二年の四月十七日の参議院の災害対策特別委員会においては、例えばというようなことで、「集中豪雨が発生した直後などを想定しております。具体的な指示の内容としましては、土砂災害警戒区域等の指定の促進を指示したり、」というような答弁が政府側からあったようでございますが、本年八月二十日に発生した広島県の土砂災害について、集中豪雨が発生したにもかかわらず、それ以降、実際多くの方が被災されましたけれども、土砂災害警戒区域などの指定の促進の指示がなされていないということがあります。

 本法の改正の審議を今まさしくやっているわけでありますが、少し時間の経過があった中でこの審議という認識を私はしておりますので、国交大臣において、なぜ緊急時の指示としてこれをなされなかったのか、改めて確認させてください。

うえの大臣政務官 三十二条の適用関係についての御質問かと思いますが、広島の土砂災害の被災地につきましては、確かに、三十二条の要件であります「土砂災害が発生し、又は発生するおそれ」という要件に合致するものだと思います。

 ただ、一方で、広島県におきましては、既に、八木地区等におきます警戒区域等の指定を今年度内に行うということで具体の作業に入っておりますし、その工程表も公開をされているところでありますので、指示を行う緊急の必要性といいますか、そのもう一つの要件には合致をしないのではないかな、そのように考えておりまして、今後、広島県の取り組み状況をしっかりと見守ってまいりたいと思います。

杉本委員 理由は伺いました。ぜひとも、殊に指定がおくれている広島について、フォロー、ウオッチをしていただきたいとお願いを申し上げておきます。

 次に、警戒区域等の指定の話ですが、これまた冒頭の質疑でさせていただいた八月二十八日の災害対策特別委員会で、イエローゾーン、レッドゾーンに加えて、そのときは資料は白かったのでホワイトゾーンと私は提案したかもしれないんですけれども、基礎調査を終えて区域指定がなされていないエリアを、配られている資料がグレーに塗られていたりするので、グレーゾーンと呼んではいかがかと。それによって指定を促進するという一助にはならないだろうか。

 あるいは、基礎調査を終えていない、まだ土砂災害危険箇所という段階でも、あえて、これはグレーゾーンでもホワイトゾーンでもいいんですが、問題意識を持っていただくという意味で、そういう名称の使い方を、俗称ですけれども、使っていった方が基礎調査の促進につながるのではないかと思いますが、この件について何かお考えがあれば拝聴したいと思います。

池内政府参考人 確かに、いろいろなリスクが出てきた段階で問題意識を持っていただくことは非常に重要だと考えております。

 土砂災害の危険性を住民にできるだけ早くお知らせすることは重要と考えておりまして、本法案におきましても、基礎調査結果の公表を義務づけることとしております。この公表によりまして、警戒区域等の指定促進を図ってまいりたいと考えております。

 また、土砂災害危険箇所につきましても、九月二日に、緊急周知を行うよう都道府県に対し要請を行っておりまして、ほとんど全ての市町村におきまして積極的に対応していただいておるところでございます。

 このような取り組みによりまして、土砂災害の危険性を住民の方に認識していただくことで、基礎調査等の促進もされると考えております。

 グレーゾーンという御指摘がございましたが、そう称するか否かは別として、危険箇所や基礎調査結果の周知の取り組みを促進してまいりたいというふうに考えております。

杉本委員 では、次の質問に移らせていただきますが、政府の中央防災会議が十月二十日に行われました。この防災会議において、防災基本計画を修正することを決めたようでございますが、その中で、特に危険性の高い地域からの建物移転を促進する施策を検討するということがうたわれております。そして、来春までに結論をまとめる、こうありますけれども、今次法改正で移転問題に踏み込んで対応していないのはいかなる理由があるのか、ちょっと教えていただければと思います。

池内政府参考人 お答えいたします。

 今回の法改正案は、広島での土砂災害で明らかとなった課題を踏まえて作成しております。

 移転勧告につきましては、現行の土砂災害防止法におきましても仕組みは設けられておりますが、一方、運用に当たっての基本的な考え方がなく、実績もございませんでした。

 このため、移転勧告制度が適切に運用されるよう、移転勧告の基本的な考え方を取りまとめることとしておりまして、これを取りまとめまして、都道府県の担当者や専門家の意見も聞きながら検討してまいりたいというふうに考えております。

杉本委員 ありがとうございます。

 現実問題として、移転勧告が実績ゼロということはやはり重たく考えていただきたいと私は思っております。

 ちょっと順番が変わりますけれども、さきの質疑で大臣がおっしゃられたことを含めて、移転勧告についてさらに質問しますが、移転勧告は、いわゆる勧告という言葉で、庶民にとって勧告というのは、避難勧告と避難指示、どっちが重たいのかなというと勧告の方が重たいんじゃないかというふうに感じてしまう、勧告という言葉はちょっと重みがあると思うんです。

 太田大臣は、所信的発言で、現場の声、瀬戸内海が見える、やっと手に入れたマイホームだ、住んで四十年だというような地元の方と直接話されたことを言われておられましたけれども、その思いも私は共有できる部分はあるんですけれども、同時に、大臣の所信的発言の中で、守るを主軸とするという所信的発言があったという記憶が強く残っております。

 そういった意味から、とにかく国民の生命財産を守るということが極めて肝要というふうに思います。

 その観点から、移転勧告実績ゼロということで、移転勧告という言葉が重ければ移転勧奨でもいいし移転誘導でも結構なんですけれども、とにかく現実問題として、これだけ集中豪雨が出たりして、そして都市計画が古いままずっと行われて、危ないところに人が住んでいるという現実があるわけでありますから、災害が起きる前に自発的に自覚されるようなソフトの面でのアプローチということで、この表現方法についても今後の検討課題であるとはわかっておるんですが、移転勧告を移転勧奨、移転誘導などという三段階に例えば分けるとか、そういった検討はあり得ないのかどうか、御答弁いただければと思います。

太田国務大臣 国民の生命財産、特に命を守るということは、災害対策で一番基本だと思っておりまして、非常に大事だと思います。

 ただ、こうした事態が起きますと、すぐ移転をしなさいという命令的なものになってしまうということについては、私は、やっとマイホームをというような気持ち、そして、そこが現実に財産権として存在しているという方の気持ち等々も十分踏まえていかなければいけないのではないかということもあわせて言ったところですが、その重心は、当然、命を守るということがあくまで大事だということについては私もよく承知をしているところでございます。

 災害の危険性がある場所からの移転を推進する対策としましては、御指摘の土砂法の特別警戒区域の中でも最も危険区域だというところの移転勧告のほか、また、条例に基づいて建築規制を行う災害危険区域などの制度が現実にはあります。

 そのうち、地域の特性においてどのような対策を行うかということについては、自治体の判断によるものです。

 一律に住まわせないということではなくて、気持ちは大切にしなくてはいけないんですが、あくまで命を守るという観点で、移転を希望される方、危険ということをよく理解をした上で移転を希望する方には、がけ地近接等危険住宅移転事業や防災集団移転促進事業などの支援策を説明するということが大事。

 また、とどまりたいという方もいらっしゃるというふうに思います。そのときに、土砂災害の危険性を周知するとともに、いざというときにすぐに避難できる仕組みを構築したり、あるいは木造等々ではそこに擁壁をつくるとかいろいろな手法もあるわけで、垂直避難ということも含めて、土砂災害に対する安全性をいろいろな角度で確保していくということが大事だというふうに考えております。

杉本委員 ありがとうございます。

 財産権と生命という意味では、やはり生命の方が重たいと思いますので、御本人がとどまりたいということに対して本当に危険だということで、自己責任でそれでも住むんだという、例外と言ったらなんですが、そういうことは許容しても、やはり言うべきは言うということはお願いしていきたいと思っております。

 次に、お手元にお配りしている一枚紙で、これは国交省の「社会資本整備総合交付金交付要綱」及び「予算概算要求総括表」という単なる目次でありますが、これを見ていただきながら、質問をさせていただきます。

 基礎調査の国庫補助として考えた場合なんですが、社会資本整備総合交付金における砂防基礎調査あるいは急傾斜地基礎調査と、防災・安全交付金における砂防基礎調査・急傾斜地基礎調査、こうあります。平成二十五年、二十六年のこの予算の状況を見ますと、社会資本整備総合交付金として基礎調査はなされていません。また、この基礎調査という部分に限らず、さきの質問でも申し上げたんですが、この交付金の重複が認められるということであります。

 先日の質疑で、大臣から、命を守るという角度の御答弁をいただきました。そして、二十七年度予算に臨まれるというふうに鑑みておりますけれども、防災・減災事業を、社会資本整備総合交付金と防災・安全交付金とそれぞれ設けて、それぞれ別個に上限を設けているということは、命を守る、あるいは予算の選択と集中という観点から余り適切ではないのではないかなという感じがいたします。

 この両交付金を、事業内容を整理統合、あるいは両者をまとめて予算上限を設ける、あるいは柔軟に予算の流用を認めるというようなことが大事かと思います。

 この点について、完全にこれを見比べていただくと、イ―10とロ―10、ロ―10はないんですけれども、都市再生整備計画事業は防災・安全交付金の事業としてはなっていないんですが、都市再生整備事業の中にも防災が必要なこともあるかというふうに私は認識しておりますので、こういった点を踏まえて、ちょっと御答弁いただければと思います。

太田国務大臣 項目立てにしますと、ダブるように見えたり、また欠けているように思いますが、現実に防災・安全交付金というものをつくりまして、よく地方自治体と連携をとりながら予算をつくったりするということにおいては、これはそんなに混乱したり、あるいは無駄なものとか重複がどうかというような観点は現実には起きていないということを私は感じています。

 社会資本整備総合交付金は、地域の活性化などの地方の創意工夫を生かした取り組みを支援するという目的。昨年度からできました防災・安全交付金は、防災・減災、老朽化対策ということに、ここに限るといいますか、そうしたことを中心にして対象事業を限定していくという制度にしています。

 二つの交付金の内容が重複するという場合が見出しというような観点ではありますけれども、地域活性化等を進める場合にも地域の防災性向上を図る必要が生ずることもありますし、このことから、社会資本整備総合交付金においても防災・減災、老朽化対策の事業の支援が可能な制度とはなっているということでございます。

 また、命を守る予算の選択と集中ということから、二十六年度は、通常の社会資本整備総合交付金に対しまして、防災・安全交付金に一層の重点化を図っている、めり張りをつけているところでございます。

 地方公共団体のニーズ等を踏まえまして、この二種類の交付金を有効に活用するとともに、見直し作業が必要であれば、それは見直していかなくてはならないというふうに思っております。

杉本委員 御答弁ありがとうございます。

 趣旨はわかりました。ただ、不断の見直しということはぜひとも実行していただければと思っております。

 幾つか前の質疑者の質問と重なりますので飛ばさせていただきまして、次に、基本的な話かもしれないんですが、ちょっと都市計画法の質問をさせていただきます。

 都市計画法の地域の指定について、都道府県の所管というような問題もあるのかもしれませんが、例えば、私の地元一宮あるいは岩倉市というのがあるんですが、川を隔てて農地と住宅地、名鉄が走っているんですけれども、線路を隔てて農地と工業地区というような設定があって、地元からも変更の相談、陳情があったりしております。

 広島の被災の上に立った場合、かなり過去に設定された都市計画の線引きということが行われているんですけれども、都市計画の線引きについて、今後、広島の件も十分踏まえて、あるいは地域の、地方の活性化、地域創生、地方創生という意味からも、ここを柔軟に修正をかけていくということが必要かと思いますが、この点について御所見を伺いたいと思います。

小関政府参考人 まず、線引きの見直しのルールでございますけれども、おおむね五年ごとの都市計画基礎調査の結果をもとに公共施設の整備状況等を勘案して行う定期的な見直し、それに加えまして、土地区画整理事業など計画的な市街化が確実な区域などにつきましては、人口の将来推計を踏まえつつ随時見直しを行うというのが基本的なルールでございます。

 御指摘の広島の被災の上に立ってという点でございますけれども、線引きの際に、土砂災害特別警戒区域等の災害の危険のある区域につきましては、市街化区域内であっても、まだ市街化が進行していない場合などは市街化調整区域への編入を検討すること、またさらに、これは線引きとは少し離れますが、さきの通常国会で成立させていただいたコンパクトシティーの制度の中で、市町村が居住誘導区域というのを定めることができるわけでございますが、その定める際に、土砂災害特別区域等、災害の危険のある地域は含めないようにすることといったようなことを通じまして、災害の危険のある区域にはできるだけ人が住まないようなまちづくりを進めてまいります。

 以上でございます。

杉本委員 最後の質問をさせていただきます。

 アメリカの陸軍でAARという、アフター・アクション・レビューと呼ばれるプログラムがあります。別に難しい話ではなくて、いろいろ訓練をして、一日の訓練の終わりに全員立ったまま約十五分の反省会を行うということをAARと称するようであります。

 例えば、防災訓練、避難訓練に当てはめてみると、このAARのような、即座にショートレビューを習慣づけるといったことは、実際に訓練上効果を生む質の向上につながるのではないかと思います。

 ちょっとこれは私の変な解釈かもしれませんが、避難訓練をします、皆さん協力してください、ただ、協力している方は歩いて避難するという現実があって、実際、本当に被災したときは、皆完全に小走りなのか、本当に走るのか、それが実際の訓練であるべきであるという認識もあるんですが、こういったAARなどの活用についての御所見があれば伺いたいと思います。

兵谷政府参考人 御指摘のとおり、AAR、アフター・アクション・レビューは、米国陸軍で考えられ、多くの米国企業等でも取り入れられていると承知をしております。

 政府としては、毎年行っております緊急災害対策本部の図上訓練や現地対策本部の運営訓練等におきまして、訓練の終了後に、参加した関係省庁による反省会、これを振り返りと言っておりますが、この振り返りにおいて明らかになった課題を検証し、業務マニュアルの改定に反映するとともに、次の訓練の改善点としているところでございます。

 今後も、鉄は熱いうちに打てとの思いで、こうした取り組みをしっかり行い、さらに広げていくことで、議員御指摘のとおり、訓練の質の向上を図ってまいります。

杉本委員 改めて申し上げますが、とうとい命が犠牲になったこの広島の事案であったということを踏まえて、政府の方々からいろいろ御答弁いただきましたけれども、それを実行に移していただくことをお願いして、質問を終わります。

今村委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

今村委員長 この際、本案に対し、荒井聰君外二名から、民主党・無所属クラブ及びみんなの党の二会派共同提案による修正案が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を求めます。後藤祐一君。

    ―――――――――――――

 土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

後藤(祐)委員 ただいま議題となりました修正案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 平成二十六年八月豪雨により広島市北部で発生した土砂災害では、基礎調査が行われていなかった地域や基礎調査が完了していたが土砂災害警戒区域等の指定がされていなかった地域においても多くの方々が犠牲となられました。

 法が施行されてから十三年以上が経過した現在におきましても、多くの都道府県において基礎調査が完了しておらず、また、土砂災害警戒区域等の指定も進んでいない状況となっております。

 このような状況を踏まえまして、本修正案を提出するものであります。

 次に、本修正案の概要につきまして御説明申し上げます。

 第一に、都道府県は基礎調査を「行うものとする。」を、基礎調査を「行わなければならない。」と改め、基礎調査が義務であることを明らかにすることとしております。

 第二に、土砂災害警戒区域等の指定について、「指定することができる。」を「指定しなければならない。」と改め、基礎調査の結果によって土砂災害警戒区域等に指定すべきことが判明したのであれば、その指定をすることを義務とすることとしております。

 以上が、本修正案の趣旨及び内容であります。

 委員各位の御賛同をよろしくお願い申し上げます。

今村委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

今村委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、荒井聰君外二名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

今村委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。

 次に、原案について採決いたします。

 原案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

今村委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

今村委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、金子恭之君外五名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、維新の党、公明党、次世代の党及びみんなの党の六会派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を求めます。杉本かずみ君。

杉本委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 趣旨の説明は、案文を朗読してかえさせていただきたいと存じます。

    土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用について遺漏なきを期すべきである。

 一 基礎調査の実施については、都道府県における取組に差が大きい現状を踏まえ、早期に基礎調査が完了するよう、都道府県における基礎調査の実施目標や進捗状況を把握し、公表すること。

 二 基礎調査の結果公表については、地域の住民が、自ら居住する地域の現状について容易に理解できる内容を、ホームページ、掲示板、回覧板、地方公共団体の広報等伝わりやすい形で行うとともに、調査対象区域内の土地、家屋の購入予定者及び賃貸を希望する者に対し、公表された基礎調査の結果についての適確な説明がなされるよう必要な対応を行うこと。

 三 都道府県において土砂災害警戒区域及び土砂災害特別警戒区域の指定が確実に行われるよう、必要な措置を講じること。

 四 基礎調査及び土砂災害警戒区域等の指定が進まない原因に人員と財源の不足が指摘されている現状を踏まえ、都道府県のこれらの負担軽減のための支援措置を含め必要な方策を検討すること。

 五 移転勧告制度が適切に運用されるよう、移転勧告の基本的な考え方を示したガイドラインをできるだけ早期に示すよう努めること。

 六 土砂災害警戒情報の関係市町村長への通知及び一般への周知については、都道府県が気象庁と連携して行うとともに、雨量等きめ細かな情報の提供も行われるよう、十分配慮すること。

 七 この法律に基づく都道府県及び市町村が行う事務が適正かつ円滑に行われるよう、必要な助言、情報の提供その他の援助を行うために必要な情報の収集や土砂災害に関する人材の育成、能力向上に努めること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

今村委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

今村委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、国土交通大臣から発言を求められておりますので、これを許します。国土交通大臣太田昭宏君。

太田国務大臣 土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま全会一致をもって可決されましたことに深く感謝申し上げます。

 今後、審議中における委員各位の御高見や、ただいまの附帯決議において提起されました事項の趣旨を十分に尊重してまいる所存でございます。

 ここに、委員長を初め理事の皆様、また委員の皆様の御指導、御協力に対し深く感謝の意を表します。

 まことにありがとうございました。(拍手)

    ―――――――――――――

今村委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

今村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

今村委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時二十九分散会


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