衆議院

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第4号 平成27年4月17日(金曜日)

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平成二十七年四月十七日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 今村 雅弘君

   理事 大西 英男君 理事 金子 恭之君

   理事 小島 敏文君 理事 中村 裕之君

   理事 伴野  豊君 理事 井上 英孝君

   理事 赤羽 一嘉君

      秋本 真利君    岩田 和親君

      うえの賢一郎君    加藤 寛治君

      門  博文君    神谷  昇君

      木内  均君    工藤 彰三君

      古賀  篤君    國場幸之助君

      今野 智博君    佐田玄一郎君

      斎藤 洋明君    鈴木 馨祐君

      鈴木 憲和君    高木 宏壽君

      津島  淳君    野田 聖子君

      堀井  学君    前田 一男君

      宮内 秀樹君    宮澤 博行君

      山本 公一君    荒井  聰君

      神山 洋介君    小宮山泰子君

      松原  仁君    宮崎 岳志君

      本村賢太郎君    足立 康史君

      河野 正美君    横山 博幸君

      北側 一雄君    中川 康洋君

      樋口 尚也君    穀田 恵二君

      本村 伸子君

    …………………………………

   国土交通大臣       太田 昭宏君

   国土交通副大臣     北川イッセイ君

   国土交通副大臣      西村 明宏君

   国土交通大臣政務官   うえの賢一郎君

   国土交通大臣政務官    鈴木 馨祐君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           福本 浩樹君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長)            滝口 敬二君

   政府参考人

   (国土交通省土地・建設産業局長)         毛利 信二君

   政府参考人

   (国土交通省都市局長)  小関 正彦君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局長)        池内 幸司君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局水資源部長)    北村  匡君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  橋本 公博君

   政府参考人

   (気象庁長官)      西出 則武君

   国土交通委員会専門員   伊藤 和子君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十七日

 辞任         補欠選任

  前田 一男君     加藤 寛治君

  下地 幹郎君     河野 正美君

同日

 辞任         補欠選任

  加藤 寛治君     前田 一男君

  河野 正美君     下地 幹郎君

    ―――――――――――――

四月十七日

 地域公共交通の活性化及び再生に関する法律及び独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構法の一部を改正する法律案(内閣提出第一九号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 水防法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一八号)


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     ――――◇―――――

今村委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、水防法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省総合政策局長滝口敬二君、土地・建設産業局長毛利信二君、都市局長小関正彦君、水管理・国土保全局長池内幸司君、水管理・国土保全局水資源部長北村匡君、住宅局長橋本公博君、気象庁長官西出則武君及び厚生労働省大臣官房審議官福本浩樹君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

今村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

今村委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小宮山泰子君。

小宮山委員 民主党の小宮山泰子でございます。

 本日は、水防法等の一部を改正する法律案に対しましての質疑をさせていただきたいと思います。

 多発する浸水被害に対処するとともに、下水道管理をより適切なものにするということで、本日の法案審査ということになります。

 昭和四十年代以降、全国の地方自治体により下水道の整備が本格化し、管渠総延長は四十六万キロメートル、処理場数は約二千二百カ所に達するストックを抱えております。

 公共下水道による雨水の浸水対策は汚水処理対策と一体として実施することとされており、人口減少や逼迫する地方財政から、本来は下水道整備を行う地域を縮小し、合併処理浄化槽などでの処理とするなどの見直しを行おうとする自治体の事例が見られるようになってくることは、現実的な判断がされているものと好感をし、注目をしているものであります。

 汚水処理手法を定める都道府県構想は、都道府県と市町村が連携し、下水道、農業集落排水、合併処理浄化槽等、それぞれの特性や経済性等を勘案して作成されているものであり、見直しにより、下水道による汚水処理を行わない地域へと変更される事例が生じてきてもおります。

 今回、そうした見直しの地域において、汚水処理は合併処理浄化槽とするものの、内水、雨水への対処の要請が高い場合には、雨水のみに特化した公共下水道を整備できるようにしようとしております。

 人口減少の中、また、コンパクトシティー化を国交省は進めております。この日本の現状を考えますと、将来的には、既に下水道の整備の行われている地域についても、その一部は雨水対策としてのみ活用するというような縮小の方法、方向性というものは確かにあり得るのではないかというふうに捉えているところであります。

 そこで、お伺いいたします。

 現状の下水道整備予定の地域とされていない地域においても雨水公共下水道を整備することが可能となるのか、議論をされていたかなど、このあたり、確認をさせていただければと思っております。

池内政府参考人 お答え申し上げます。

 現行の下水道法では、公共下水道は汚水処理と雨水排除を同じ区域で行うことを前提としております。

 一方、今御指摘ございましたように、汚水処理の計画の見直しによりまして、汚水処理の方法を公共下水道から合併浄化槽に見直した区域におきましては、雨水排除のための公共下水道の整備ができないという制度上の課題がございました。

 そのため、このような課題を解決するために、雨水公共下水道を法律で措置したものでございます。

 したがって、もともとは下水道の整備が予定されていた区域が、汚水処理がなくなって、今回の法案でやれるということで、もともと下水道の整備が予定されていない地域では、雨水公共下水道の整備は想定しておりません。

小宮山委員 今回の法案に関しましては想定をされていないということを確認させていただきましたが、将来的には、そのことも含めて、場合によってはエリアを小さくするなり、下水道の布設というものも恐らく変更されていくこともあると思いますが、その点に関しましては現実に即してぜひ対応していただきたいと思います。

 さて、下水道整備地域の住民は下水道使用料を支払っております。合併浄化槽による汚水処理地域では、浄化槽の維持管理のための経費を負担していただいております。

 雨水公共下水道は、汚水、生活排水が流れ込まないことから、水路や管渠の傷みの進行なども緩やかと考えられ、また、処理場を設け運営する必要もないことから、維持管理費用は合流式下水道や分流式での汚水管渠と比べて大幅に安価になると思いますが、それでも費用がかかることには変わりはないと思っております。

 そこで、雨水公共下水道の導入が、同じエリアに汚水処理を含む下水道網を整備するよりも建設費及び維持費が低く抑えられ、その地域内での合併処理浄化槽を使う住民にとっても、地方自治体にとっても、経済的メリットと内水への不安の排除、水害の危険性排除につながるということになるのかどうか。地方自治体にとっても住民にとっても、経済的負担が軽減されて、安全、安心に資する選択肢が提供できることになるか、伺わせていただきたいと思います。

 あわせて、時間の関係もありますので、雨水公共下水道の維持管理費の原資はどの財源から支出されているかもあわせて確認させてください。

池内政府参考人 お答え申し上げます。

 近年も浸水被害は多発しておりまして、全国各地で一日も早い浸水対策が望まれております。

 しかしながら、当初から公共下水道で浸水対策を行うことが予定されていた地域におきまして、処理方式を公共下水道から合併処理浄化槽に見直した場合に、現行の下水道法では公共下水道による浸水対策ができなくなってしまいます。

 したがいまして、今回の法案では、雨水公共下水道の制度を設けることによりまして、住民にとって最適で、地域の安全、安心に資する浸水対策の選択肢を提供できるものと思っております。

 また、御指摘ございましたように、下水道トータルとしてはもともと汚水と雨水があって、汚水の分が安くなりますので、トータルとしてはこの措置によってより負担が小さい方向に行くというふうに考えております。

 それから次に、地方自治体の負担でございますが、費用につきましては、これまでと同じ考え方で、これまでも雨水についてはいわゆる公共の負担ということで、その考え方は同じでございます。

小宮山委員 結局は地方自治体が決定するということもあります。ただ、そうなってくると、さまざまな負担というものも考えられるのではないか。

 現状、分流式下水道での雨水への対応は、管渠の布設によるもののみならず、オープンの水路を整備することで行われる場合もあると聞いております。内水を心配する地域において、既存の道路側溝を拡幅するとか水路を拡幅、拡張した方が安価に対応できるところを、管渠の布設による過度の費用支出がされてはならないとも考えております。

 また、オープンの水路での整備も可能ならば、下水道整備の予算を活用する雨水公共下水道の制度を新設しなくても、道路整備や河川関連の予算で同様の対応は可能だったのではないか。税金の無駄遣いにつながらないよう、国土交通省としてどのような対応を考えているのかも伺いたいと思います。

池内政府参考人 お答え申し上げます。

 確かにおっしゃるとおり、現状でも各地域地域において最適の雨水処理、例えば川に近いところで、道路の排水なんかは下水道を通さずに流すということをやっております。ということで、その考え方は同じでございまして、各地域地域によって最適の方法をとっていきたいと思っております。

 現状でも、雨水のうち道路に降った雨は道路側溝で流して、それを下水を通じて川に流す、あるいは宅地に降った雨は下水道で集めて河川に排水するのが一般的でございます。おのおの役割がございますので、その役割をうまく活用して、各地域によって最適の方法を実施してまいりたいというふうに考えております。

 以上でございます。

小宮山委員 最適の状況といいましても、ことしの予算委員会の質疑をずっと見させていただきまして、また、さまざまな報道、閣僚のお金の問題等、ずっと今回は、ことしは予算委員会はその問題が多く時間を占めたものであります。

 今回のことに関しましても、下水道管渠ということで雨水利用をするということによって、工事費用やさまざまな予算が、対象となる、もしくは今要望している地方公共団体は余り多くはないというふうに私も聞かせていただいております。

 太田大臣におかれましては、こういう老朽化管渠も含めまして、インフラの整備等を大変注目していただき、推進をされていただいている。これらは、裏を返せば、地方自治体にとっては大きな負担になっているのも現実であります。特に、下水道、また、今後は恐らく上水道も含めて、管渠に関しましての維持更新、その費用というものは、地方自治体に大きく大きく影響します。

 また、こうやって新しい制度というもので、雨水対策という名のもとに公共事業等をされるということで、ことしの予算委員会でもありましたが、これは相当な額の公共事業になるものかと思います。特に、今回、私が事例として伺った対象の地方公共団体の予算規模や住民の人口規模等から見ても、かなり大きな公共事業になるのではないかという思いもしております。

 そういった中において、下水道というのにかかわる土木事業というものを継続させるのが目的ではないかという意見も一部に見られますし、これが結局のところ、補助金がさまざまなところに還流されてしまっては、この法律の趣旨というものが大変残念な結果になってしまうということにもなります。また、事業を継続させることが目的であるならば、これはある意味、法律の趣旨からは違う、悪用されてしまうのではないかという懸念を示される方もいらっしゃいました。

 大臣におきましては、老朽化管渠、そういったものをどんどん長寿命化する。そういう意味では、インフラ整備というものに関して大変、私自身も県議会議員のころから、インフラの更新をすることによって、そういった公共施設、社会資本というものを大切にする、使い続けることによって、地方自治体の負担や、住民のサービスに資するところに行ってほしいという思いもございます。

 今回の法律によって、新たに布設するということになり、また、新たな還流の、水等が循環するのはいいんですけれども、補助金が別のところに循環されて流されていってしまっては、雨水が流れていくのはいいんですけれども、補助金が別のところに、利権のところに流されるような、そんな法律の立てにしてはならないんだと思います。

 その点に関しましてどのような配慮をされていくのか、ぜひこのあたりの大臣におきましてのお考えをお聞かせください。

太田国務大臣 御質問の懸念というのはよくわかります。

 ただ、私から見ますと、財政制約というのがもう常に頭の中にあって、この二年少しの職務を遂行してきました。あれもしたい、これもしたいというのを、むしろ削って申しわけありませんというような状況の財政制約というものを当然しっかり置いていかなくてはいけないと思っています。

 雨水公共下水道は、全ての地域で整備するわけではありません。雨水公共下水道は、今後、下水道の整備を進める予定の区域のうちで、汚水処理を合併浄化槽で行うこととなる市街地において、浸水対策の必要がある場合ということに限定しまして実施することとしています。

 ただ、近年、局地化、集中化、激甚化しているという雨の状況もありますし、山の中というか川の上流でそうしたものがあって、流木によって洪水が発生するというようなことも多々ございますものですから、そうした浸水被害が起きたり懸念される地域で、地元の要望というものをしっかり踏まえて、先ほども水局長から答弁させていただきましたが、これに対しては、国がこうやれと言う以上に、地元の要望をしっかりと踏まえて、早急に対策を実施する必要がある場合に行うということをさせていただきたい、このように思っているところでございます。

小宮山委員 地元の要望はもちろん大切にしていただきたいと思いますけれども、その点に関しましては、恐らく私ども国会の方も、決算行政、また会計検査院等、その予算の使われ道というのはしっかりとチェックをさせていただきたいと思います。

 さて、今回の法律によって、下水道管渠の総延長というもの、また、更新や改築などさまざまな発注業務というものが、地方自治体からある意味委託された事業団、下水道事業団の方もできるとなっております。

 これに関しまして、やはり今まで地域を支えてきた事業者などが大変心配をしているところでもございます。やはり地域密着であって、また、労務単価の引き上げなど、大臣におかれましては、二年連続で引き上げ、地域の経済がしっかりと回るように、また技術者というものが地域にいられるようにする配慮をされているというふうに私自身は理解をしております。

 当然、下水道管渠、こういった埋設物に関しての更新等は、年間で五千とも六千とも言われる陥没事故等さまざまなことが起きています。そういった技術者が地域にしっかり根差さなければやはり対応ができないのも、この事業のある意味大変かなめになるんだと思っております。

 そこで、これまでのこうした技術基準を、安易に地方自治体が、ある意味事業団の方に委託するということだけではいけないんだと思います。判断基準をどういうふうにつくられていくのか、維持修繕に関係して目標をより明確に、数値目標などを備えていく必要があるのか、お考えをお聞かせいただければと思います。

太田国務大臣 この法案におきましては、下水道の計画的な維持管理を推進するための維持修繕基準を定めることにしているわけですが、法案は定性的に書いてあるということです。定量的な基準というものも当然必要だというふうに思っておりまして、例えば道路陥没の主な原因であります管渠の腐食が発生しやすいという場所、こういうところについては、五年に一回以上の頻度で点検することなどを政省令等で定めていく予定にしています。

 今後とも、計画的な維持管理を推進しながら、定量的な目標の充実についても取り組んでいきたい、このように考えています。

小宮山委員 ぜひ、地方自治体、地方公共団体におきましても、技術者、またそういった判断基準が、委託することによって、年数がたつとそういったこと自体のノウハウというものも維持するのが大変厳しくなるかと思います。人材交流など、さまざまなことも今後検討を加えていただければと思います。

 そこで、事業団の業務範囲なんですが、法案の中に管渠の維持管理が加えられることによっての影響をどのように考えているのか、お伺いしたいと思います。

 事業団に管渠の維持管理が委託された場合にも、これまでは地方公共団体から受注していたそれぞれの地元中小企業、業者が業務を受注することがし続けられるのか。当然、エリアの範囲など、さまざまなものが変わってまいります。この点に関して確認をさせてください。

太田国務大臣 事業団は現在、官公需法の趣旨も踏まえまして、地元業者の受注にも配慮しながら下水道の工事発注を行っているという認識をしています。

 事業団が適正な価格を払うということや、地元の業者がしっかりとお金も、工事費をちゃんと支払っていただくということで、そこも強くしなくてはいけないというふうに思っています。

 事業団が、工事発注に当たって、発注金額や施工難易度等に応じて、一定の競争力を確保しながら、地元市町村に本店を置く業者に限る地域性、この地域要件を設定する等の措置を講じています。

 また、積算基準に基づいて適正に予定価格を算定しておりまして、民間事業者には適正な対価がしっかり払われていくということが大事だというふうに認識をしています。

 こうした事業団の取り組みは、今回加わる管渠の維持管理業務についても継続される、よく地元に、業者等に配慮するということについては貫かせるということを私としては考えているところでございます。

小宮山委員 ありがとうございます。

 やはりさすがに二年連続で公共工事設計労務単価の大幅引き上げを御決断された大臣だなというふうに思っておりますが、全国各地の建設現場で活躍する技能者の所得を向上させるという意味においては、残念ながら、下請、孫請となる場合、現実には公共事業の労務単価が上がったといっても、現場の職人たちの手取りというものが必ずしもまだ上がっていないという実態もございます。

 前に質問させていただいたときに、やはりこれが民間まで広がることが望まれているということは御確認させていただきましたけれども、やはりそういうことを勘案しますと、中間マージンのピンはねをされるということがないように配慮いただきたいと思っております。

 発注の場所が変わる、別法人になりますので、その点を考えますと、当然、手数料というんでしょうか、多少、下水道事業団の方も取らざるを得ないのではないか。発注は維持はされたけれども手取りが下がったでは元も子もございません。

 この点に関して、通告はしておりませんけれども、どのような対応をされるのか、現状もあわせてお聞かせいただければと思います。

池内政府参考人 お答え申し上げます。

 あくまでも、地域の民間企業に対する発注につきましては、これまでと、市町村が発注しておられたのと同様の考え方で発注されることになるというふうに考えております。

太田国務大臣 労務単価のことにつきましても、建設業者について、私は、日本の、アベノミクスなんかでもそうですが、全体的によくなったように思うけれども、現場にそれが落ちているかどうかというのは、景気、経済の点におきましても、また建設業界のことの事業につきましても同じことだと思っておりまして、そこは、現場に行く、手取りというふうにおっしゃったんですが、手取りということと、そこに社会保険というのがあったり、ここのところがなかなか難しいということなんですが、徐々に徐々にここは、そこに私は力を入れておりまして、何とか現場にそれが波及するようにということを指導しています。

 この件につきましても、まさに現場の維持管理ということについては、ここは現場の業者にやっていただく以外にありませんから、そこのところにしっかり留意するようにということについて指導してまいりたい、このように思っています。

小宮山委員 ぜひ指導していただきたいと思います。

 ある意味、もうそろそろ、こういった経済状況が長く続いております。ピンはね防止ということを言う方もいらっしゃいますし、公契約法などで、ヨーロッパ等ではもう既に法施行されている国もございます。こういったことも含めて、本当の意味で、出した金額がきちんと、適正な金額が技術者に渡る、末端に渡る、そういった法制度、またさまざまな仕組みというのをさらに進めていただければというふうに要望させていただきます。

 さて、今回の法案で私は大変期待もしているのが下水の熱利用の促進であります。

 下水熱利用については、近年も立法措置により規制緩和を行ってきております。

 今回のことで私も知ったんですけれども、一都六県、東京、埼玉、神奈川、千葉、栃木、群馬、茨城の住民世帯数にほぼ相当いたします約千八百万世帯の冷暖房熱源に相当する大きな可能性を秘めたのがこの下水道の熱利用であるということでもあります。これはやはり生かしていくべきだと思います。

 今回の法改正で、民間事業者が下水道管渠内に熱回収用のパイプなどを設置することができることとしており、下水の熱を利用することでの完成後のメンテナンスもさほどかからないというふうにも聞いておりますので、大変有望な熱源であると思っております。

 特に、原発から早く脱却するにおいては、経済産業省主管でエネルギー政策は日本はしておりますが、ほかの省庁でとれる、発生できる熱源というものがあるならば、それはどんどん国交省であろうと環境省であろうと推進するべきだという立場でございます。

 そこで、法改正後どのくらい実際に活用されることになると予想しているのか、また、千八百万世帯の冷暖房相当分の下水熱ポテンシャルのうち、実際にはどのぐらいの活用を目指していかれるのか、下水熱活用に向けた決意をお聞かせください。

池内政府参考人 お答え申し上げます。

 確かに、御指摘のように、今の一千八百万世帯というのは、全ての下水道を流れている熱源を利用した場合でございます。ただ、実態上は、どうしてもエネルギーロスとか、あるいは利用できる管渠も限られておりますので、実態は一千八百万全部は無理で、多分その何%かになるというふうに考えております。

 例えば、最近の実験結果によりますと、実務的に熱源をとれるのは大体一度ぐらいの温度差でございます。それを、特に全国の商業、工業地域において全て利用したとした場合、約八十万世帯分の熱利用量に相当するエネルギーを得ることができるというふうに想定しております。

小宮山委員 大変大きな熱量がとれるんだと思いますので、ぜひ活用していただきたいと思います。

 時間の関係がありますので、先に進ませていただきます。

 今回、大臣におきましては、水循環基本法が成立されておりまして、太田大臣も水の関係の担当大臣となられました。

 今週の初めでありますけれども、韓国・慶州において開催された第七回世界水フォーラムの閣僚会議にも、国交大臣として、また水の担当大臣として、水資源に関する閣僚間円卓会議での共同議長も務められたと伺っております。この成果と、また、大臣におきましては、水循環基本法ができました。これから見ますと、実を言うと、今回の法案に関しては、水が、本来であれば、天から降り、地に入り、そしてまたそれを木が吸い、循環をしていくという流れをつくるというのも必要であるという法案だったかと思いますが、今回の法案ですと、雨水管渠を通って、土には返さず、川に流してしまうということになりかねません。そういう意味においては、この水循環基本法と今回の法律というのは多少乖離があるのかなという思いもしております。

 どちらも所管されます大臣におきまして、また今回の世界水フォーラムでの大臣の感想等、またこれからの課題、決意などをお聞かせいただければと思います。

太田国務大臣 世界で第七回になりましたけれども、この地域、会議をやってみますと、雨が多く洪水で困るという地域もあれば、アラル海が消滅をしようとするということに大変危機感を持っているという国もあれば、中東諸国を初めとして、とにかく淡水化ということについて全力を挙げて、その油、熱量というものと環境との対応ということで大変苦慮しているという国もあれば、あるいはメコン川の流域で、幾つかの国がまたいでいるという、国境を挟んで対応を連携をとらなくていけないという国もあればというような、国によっての違いの中で、協力して水循環ということをしっかりやっていこうと。

 水循環をしっかりということは、健全な水循環にしていこうと。洪水も健全な水循環ではありませんし、汚い水を流すということも健全なということではありませんし、世界的にどの国も健全で健康なそうした水循環にしようということで会議が行われて、いろいろ、自分たちはこうしているという知見が明らかにあって、地球の中で非常に大事な水環境整備ということが話し合われたということは、大変意義のあることだと思います。

 日本はその中でかなりリーダーシップをとる役になっていると思っています。

小宮山委員 ぜひ水の分野で、原発よりは水の分野で、さまざまなビジネス環境も含めましてリーダーシップをとっていただく、その先頭に立つ大臣でいていただきたいと思っております。

 そして、最後になりますけれども、以前にも予算委員会で私取り上げさせていただいていました。やはり、健全な水の循環、そういった意味においては、EUにおいて実行されております政策にグリーンインフラという手法がございます。緑のダム、緑の防潮堤など、国交省も今、力を入れ始めていると思います。自然をインフラ整備の中に生かしていくことで、維持管理費の少ない、また、年月がたつごとに強くなるという特徴もあるようであります。

 温暖化、さまざまな気候変動があって、今の内水が上がるような状況、高潮、そういった浸水被害等も起きているという、無謀というか進んだ宅地開発とか、さまざまなものが影響しているかと思います。

 こういったものも含めまして、改めてグリーンインフラの推進というものは大変有効な手段ではないか。新しい意味で公共事業をするならば、こういった、緑を、自然を生かした、自然と共存するまちづくりというものは、大変今後浸水被害等をおさめる、これはロンドンでも事例もございます。

 この点に関しまして、大臣の御決意を聞かせていただければと思います。

太田国務大臣 極めて大事な考え方であろうと思いますし、我が国の河川工学の歴史は、川をコントロールするという以上に、川をなだめる、自然と折り合うという姿勢の中で治水というものが行われてきたというふうに思っています。

 景観や環境の観点でもグリーンインフラは極めて大事でありますし、防災・減災という観点からも大事であります。緑の防潮堤ということをやらせていただいたり、あるいは密集市街地での緑化を進めているというみどりの防災・減災対策事業ということをやらせていただいたり、生物の生活環境や多様な河川景観を保全、創出する多自然川づくりを全ての川づくりの基本として取り組ませていただいているというところでございます。

 さらに一層、グリーンインフラの活用、そしてこの重要性について訴えていきたいと思っているところでございます。

小宮山委員 これまでの環境状況とは違っております。ぜひ、従来のやり方ではなく、自然と共生する新しいインフラ整備等にも力を尽くしていただくことをお願いいたしまして、御質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

今村委員長 次に、神山洋介君。

神山(洋)委員 おはようございます。神山洋介でございます。

 今、小宮山議員からもお話がございましたが、私も、類似の問題意識も踏まえつつ、質問させていただきたいと思います。

 まずは、御答弁は求めませんが、今、小宮山委員からもお話がありましたが、熱交換器を暗渠に設置することができるような規制緩和をするということに関しては、私もこれは極めていいことだというふうに思っております。

 これは太田大臣も恐らくもう御案内のとおりかと思いますが、地熱であったり地中熱であったり排熱といったいわゆる熱利用は、我が国では極めておくれているという認識を私は持っておりますので、今回の規制緩和においてそれがどれだけ進むかといえば、一歩二歩という類いかもしれませんが、私は大事な一歩だと思っておりますので、ぜひこれは国土交通省としても積極的に進めていただきたいということは、冒頭、お願いを申し上げさせていただきます。

 この後、大臣、参議院の本会議の都合で早目に出られるということですので、少し順番を入れかえながら質問をさせていただきます。

 まず、下水道に関してでございます。

 今回の法改正で、雨水排除に特化をした下水道整備を可能とするということでございます。近年のさまざまな浸水被害、ゲリラ豪雨等の頻発度ということを考えたときに、そういった手段もあるんだろうなということは理解をするわけですが、ここで、事実関係としてまずお伺いをさせていただきたいのは、今回の法改正によって、雨水排除に特化をした公共下水道を導入するということなわけですが、その整備計画と整備事業数及びそれに関しての必要予算をまずは明示いただきたいと思います。

池内政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘ございました、雨水に特化した雨水公共下水道は、汚水処理を合併浄化槽で行うこととなる市街地のうち、浸水対策を実施する必要のある地域に限られております。現時点では、全国六市町において実施を検討している、そんな状況でございます。

 したがって、現時点では、全国における今後の事業箇所数を示すことはできませんが、それほど多くない、そういう実態でございます。

 また、雨水公共下水道の整備に必要となる予算につきましては、防災・安全交付金の内数となっております。

 また、雨水公共下水道の事業費につきましては、今後、地域の事情を踏まえて各市町村で算定することになります。

 なおまた、実例をお示しいたしますと、例えば、この六カ所のうち、高知県の、いの町という町がございます。ここでは既に概算の全体の事業費を算定しておられまして、雨水公共下水道を含めた内水対策に、五年間でおおむね十五億円の費用が必要になるというふうに聞いております。

 以上であります。

神山(洋)委員 ありがとうございます。

 引き続きということではあるんですが、これも事実関係にかかわるかと思いますが、既に公共下水道は昭和四十年代から整備をされてきたということであるわけですが、今問題になっているのは、約一カ月前にここで太田大臣とも少し議論をさせていただきましたが、公共インフラのメンテナンスコストをどうこれから確保していくのかということであるわけでして、下水道に関しても、やはりそういった大きな問題、課題を抱えているということかと思います。

 その観点からなんですが、今、全国に既に布設をされている公共下水道、今後の保全費用というところに関してなんですが、一体どのぐらいだというふうに見積もられていらっしゃいますでしょうか。

池内政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、全国の管渠延長は約四十六万キロ、下水処理場は約二千二百カ所ございます。

 このうち、標準的な耐用年数とされております五十年を経過した管渠は約一万キロ、約二%でございます。また、機械、電気設備の標準的な耐用年数である十五年を超えております下水処理場は約一千三百カ所、約六〇%に上っております。

 今後の改築事業費につきましては、現行の技術水準を前提として、十年後には約〇・八兆円、二十年後には約一兆円というふうに推計しております。

神山(洋)委員 ありがとうございます。

 暦年、毎年毎年一兆円近くのメンテナンスコストがかかっていくということかと思います。

 その意味でいえば、雨水排除に特化をした公共下水道を新規に導入するということに関して申し上げれば、これは、五十年というところが一つのタイミングとすれば、五十年後にそこにメンテナンスコストがさらに乗っかるということにもなるわけです。だから直ちにだめだということを申し上げたいわけではなくて、そういった、点の判断ではなくて、線の判断がやはり大事なんだろうということをまずは申し上げさせていただきたいと思います。

 ここまでのお話も踏まえながらではあるんですが、ここは大臣に質問させていただきたいと思っております。

 今回の法改正に当たって、平成二十七年、ことしの二月に答申が出されております。「新しい時代の下水道政策のあり方について」ということで、答申が出されているわけです。内容を読ませていただきましたが、なかなかしっかりいろいろ書かれているなというふうには考えております。

 その中で一つ気になる記述がございます。少しだけ読み上げさせていただきますが、「下水道法で規定されている「事業計画」は新規整備を中心とした計画であり、維持管理や修繕、改築更新までを一体的にとらえた計画とはなっていない。別途、歳入・歳出の記載を含めた下水道計画を策定している地方公共団体は全国で約三割であり、」中略をいたしますが、最後のところに行きますと、「下水道事業そのものが「見える化」されているとは言えない。」ということが答申でも出されているわけです。

 大臣にお伺いをさせていただきたいのは、今回の法改正及び法改正を含めた全体の下水道政策ということも含めてではあるんですが、ここで問題意識として提示をされております、「維持管理や修繕、改築更新までを一体的にとらえた計画とはなっていない。」という問題意識が、今回の法改正の中にどの程度反映をされているのか、どの程度前提として踏まえられているのか。法案、法文を読む限りでは、余りそれを感じることができませんでした。その点、大臣、いかがお考えでしょうか。

太田国務大臣 まず、下水道の維持管理や修繕、改築更新ということにつきましては、下水道の老朽化が急速に進んでいるという中で、計画的かつ着実に進めていく必要があると思います。

 この法案では新たに下水道の維持管理基準を策定するとしておりますが、さらに、計画的に老朽化対策が進められるよう、先ほど小宮山先生のときにも申し上げましたが、政令や省令等を通じて管渠を何年にどのように点検するんだとか、そういうこともしっかりしていこうと思っておりまして、下水道の維持管理や修繕、改築更新までを一体的に捉えた計画ということの策定を促していきたい、このように思っています。

 また、公表、見える化につきましては、民間が参入しやすくするためにも重要だというふうに思っています。

 法案にその内容は盛り込んでおりませんが、広く公表が進むように地方公共団体に対してこれを促していきたい、このように思っています。

神山(洋)委員 ありがとうございます。

 今大臣に御答弁いただいたようなことが基本方針としてあるのであれば、私はこの法案の中に盛り込んでもよかったんじゃないかと思うわけです。

 先日来、というより大臣に一貫してお話をいただいておりますように、今、我が国の公共インフラが抱えている問題、先々にわたって解決をしていかなきゃいけない問題というのは恐らく私も共有をさせていただいていると思っておりますが、点の話ではなくて、三十年、四十年、場合によっては五十年というロングスパンの中で考えていかなきゃいけないという問題意識を強くお持ちだと思っておりますし、今の御答弁の中にもそういうお話はあったわけです。

 なぜ盛り込まれなかったというところまでは、ここではあえてお伺いはいたしませんが、そういう思いをお持ちであり、またそういう基本方針があるのであれば、それはきっちりとこの法案の中にやはりその思いなりその意図というところは盛り込まれてしかるべきではなかったかなということは、私はこの場であえて申し上げさせていただきたいと思っております。

 今大臣からもお話がありましたが、見える化というところはやはり大事なポイントであろうと思っています。特に、この答申の中でも記載をされていますが、約三割しか自治体の方では、それはトータルパッケージの事業計画とはなっていないというのが既にわかっているわけです。

 場合によっては、それは今回の話全体にもかかわる話ですが、専門的な技術、スキルを持った方が今減少しているというお話もあるわけですから、そういった部分でのバックアップをすることによって、各地方公共団体が行っているこの事業計画の立案、作成を国土交通省としてバックアップする、それによって地域で見える化がされて、地元の自治体の方々、住民の方々が現状を目の当たりにすることができるようになって、そして初めて、今大臣のお話にあったような、民間事業者が広く参入をしてくるというような形もつくり出す誘因になるんじゃないかと私は思います。

 今からこの法案の中にそういったことを細々と書き込んでくれということまでは申し上げませんが、ぜひそれは、ここで公式に御答弁をいただいたことでもありますので、強く推進をしていただきたいということを要望させていただきます。

 加えてもう一点なんですが、これは一月前に、大臣とここでグランドデザイン等々ということについても議論をさせていただきました。

 先ほどの答申に関連をしてというところでもあるわけですが、そもそも我が国は人口減少の局面に既に入っていて、高齢化ということであるとか産業構造の変化という中で、今までどおりの国土利用ではやはりまかりならないだろうという中で、国土のグランドデザインを再び描き直そうという意識で進められてきているんだと思いますし、コンパクトシティーの形成ということに関しても、これは今に始まった話ではありませんが、ずっと過去から、そうしていくことがある意味での論理的帰結であろうという中で話が進んできているわけです。

 今回の雨水排除に特化をした公共下水道を布設していくということで、先ほど、とりあえず六カ所ということで予定をされているということで、ひとまず現状についての御説明はいただきました。

 ただ、先ほど来の議論と同じで、ここで点で終わる話ではなくて、また来年、再来年、十年、二十年先というふうに、改正が途中であれば別ですが、続いていく話なわけです。

 この雨水に特化をした公共下水道の布設をしていくということに関して、人口減少に基づく国土のグランドデザインを描き直した後の、場合によってはコンパクトシティーの形成が進んでいった後の、新たな国土における雨水排除に特化した公共下水道の布設ということがどこまで考慮されているのだろうかということをお伺いさせていただきたいと思っているわけです。

 要は、下水道という話は、これは五年、十年という短いスパンではなくて、やはり五十年というロングスパンで物事を考えていかなきゃいけない。五十年後といえば二〇六五年なわけです。二〇六五年の我が国がどういう状態にあるか、またはどういう方向に持っていこうかというプランと整合性を持った中で、公共下水道及び今回でいう雨水に特化をした下水道の布設ということがなされなければならないのではないかと私は考えているわけです。その点、大臣、いかがでしょうか。

太田国務大臣 全くそのとおりだと思います。

 これは、老朽化対策ということが順番にずっと来る。そして、そこでのいろいろな技術開発も下水道を使いながらやっている。私もこの間も見させていただいたんですが、非常にこれが進んで、日本は世界一の技術を実は老朽化対策でも下水道について持っているという状況にもあります。

 町をどうつくるかということが一番大事な今の課題で、我が町はどういう町にして、どう生き抜いていこうかということをそれぞれの都市が考えていく戦略性というものの中に、公共事業、インフラ整備というのは常に視点がなくてはならない、このように思っています。コンパクトシティーにしていく、そういうネットワークをつくっていく、こういうことを常に踏まえながら公共下水道ということについても考えていかなくてはいけないんだと私は強く思っています。

 そして、直ちに、物すごい洪水が最近頻発しているというようなところもありまして、そこをどうするかということについてはできるだけ早く対策を打つ必要があるというふうに思いますけれども、そこも、どういうふうに下水道を絡めていくかということは生活そのものでもありますから、グランドデザインというか、むしろ、国土というよりは我が町のグランドデザインというものをよく考えていただく中で、この整備をしていくということを常に考えてやっていかなくてはならない。私たちとしても、そのための判断ということのいろいろな例をお示しするということが大事なことだと思っています。

神山(洋)委員 ありがとうございます。基本的な方針はそういう方針だということで理解をさせていただきました。

 少しそこで考えたときに、国土のグランドデザインというその大きな絵は、理念は既に出されています。これから、各自治体ごとであり、各地域ごとという形で、個別具体的なプランをまずは机上でつくるということがあって、その上で、これは政治的な意味でも、いろいろな意味でも非常に困難を伴うと思いますが、実際にその計画を実行に移していくという段階になるわけです。現状でいえば、まだそこまで至っていなくて、大きな理念、大きな方向感が提出されているということだと思うわけですね。

 ただ一方で、先ほど既に御説明をいただきましたが、六自治体、六市町ですか、雨水に特化をした公共下水道の布設というものは既に明確に実行が決まっているわけです。個別具体的なコンパクトシティー化なり、国土のグランドデザインを踏まえた新たな都市形成というところはまだこれからです。でも一方で、六自治体に関しては、個別にもう公共下水道、雨水に特化した下水道の布設が決まっていますと。

 ここはちゃんと整合しているんでしょうか。どう整合させられるんでしょうか。この点をお答えいただければと思います。

池内政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、先ほど六市町と申し上げたのは、あくまでも、今公共下水道を整備していて、合併処理浄化槽で行うことによって汚水処理がなくなりそうだ、だけれども、一方で雨水排除が必要だというところで、まだ決定したわけではございません。その六市町で検討されているという状況でございます。

 したがいまして、あくまでも今回の雨水公共下水道というのは、新たにつくるのではなくて、もともと公共下水道を考えていた市町で実施されますので、町全体の都市計画あるいは町版のグランドデザインですか、そういったものの中でおのずと将来の整備のあり方が決まっていくものだというふうに考えております。

神山(洋)委員 ありがとうございます。

 大臣、時間もおありでしょうから、この後は、大臣はもしあれであれば御退室をいただければと思います。

 今御答弁をいただきましたが、公共下水道の布設の計画があって、でも現実にはまだ布設をされていないところなんというのは、こんなのは探さなくたって幾らだってあるわけですよ。では、そういったところに全部これからまた雨水に特化した形で新たな公共下水道をしくんですかといったら、多分それは違うんだと思うんですね。

 これから新たな都市形成を行っていく中で、そういった、今計画はあるけれども公共下水道がまだ布設をされていない地域というところに関しては、場合によっては、今後の新しいコンパクトシティー形成の中では、ではここは居住地域ではないかもしれないとか、これはいろいろなパターンがあるわけであって、今後五十年先までをも見据えたときに必ずしもそこは下水道マストな地域ではないかもしれない。少なくとも優先順位は変わるかもしれないわけです。

 だから、そういう意味でいうと、既に六市町において検討されているということで、もちろん、それぞれ個別具体的ないろいろな理由であり、必要性は恐らくおありなんだと思いますので、現時点でこれが直ちに問題だと言うつもりはありませんが、これが来年度、再来年度、場合によっては十年後も新たに新設をされていくということに関しては、コンパクトシティー化なり国土のグランドデザインという大きな方向感を踏まえた中で、そこは個別、一個一個の事業が決定をされない限りは、これはやはり整合的であるということは言えないんじゃないかなということをここでは指摘をさせていただきたいと思っています。

 大臣に御退室をいただきましたので、少し、本当はこれは冒頭に質問をしようと思っていたことで、水防法に関連して幾つか質問をさせていただきたいと思います。

 今回の下水道の話であり、想定浸水区域を広げるという話であり、その大もとは何かといえば、いわゆるゲリラ豪雨であるとか、時間五十ミリを超えるような集中豪雨によって浸水被害が多発をしてきているということが背景にあると思います。これは体感的にもそういう機会が多いなという感覚は持っておりますし、天気予報によれば、きょうもひょうが落ちるんじゃないかとか、そういう天気予報まで出ておりますので、体感的にはそこは理解をすることはできます。

 今回の、浸水被害の増大を踏まえて、例えばそれがビルの地下の施設であり、今の下水道の話であり、想定浸水区域を広げるという話であり、対応をしようということになっているわけですが、やはり入り口の、いわゆるゲリラ豪雨、時間降雨五十ミリ以上のような、場合によっては百ミリを超えるような豪雨が過去からふえてきているんだろうなというのは大体理解をすることはできます。

 では、先ほど来申し上げているように、この話は一年、二年の点の話ではなくて、三十年、五十年というロングスパンの話なわけであって、今後、いわゆるゲリラ豪雨的な、非常に強い、都市における、または町における、日本全体を降らせるような雨がどういうふうに推移をしていくのかというのは、実は入り口の問題ですけれども、極めて大事な問題じゃないかというふうに思っております。

 これに関しての見通し、要は、高頻度化がなぜ起こっているのかというここまでの原因も踏まえて、今後、科学的に、ではどういう形で雨がふえていくのか、場合によってはふえないのかということも含めたところ、現状認識及び今後の見通しを御答弁いただければと思います。

西出政府参考人 気象庁では、約千三百カ所の地域気象観測所、アメダスでございますけれども、これを運用し、毎時の降水量の観測を行っております。

 アメダスの運用を開始した一九七六年以降の三十九年間の観測データを用いて、一時間当たり五十ミリ以上の短時間強雨の年間観測回数を分析いたしましたところ、明瞭な増加傾向があらわれております。

 短時間強雨の増加傾向の原因として、地球温暖化に伴う大気中の水蒸気量の増加が寄与している可能性があるということでございますけれども、両者の関係を明確にするために、さらなるデータの蓄積や気候の変化に関連する研究の進展を踏まえた評価が必要であると認識しております。

 一方、気候変動に関する政府間パネル、IPCCでございますが、IPCCが二〇一三年に公表した第五次評価報告書によりますと、我が国を含む中緯度域では、今世紀末までに大雨等の極端な降水がより強く、頻繁となる可能性が非常に高いと予測しております。

神山(洋)委員 ありがとうございます。

 非常に高いということであるわけですが、そうあってほしいなと思いながらも、そうすると、いろいろ政策的には問題が起こるなと思っておりますから、そもそもの問題でして、今の高頻度化を前提として、将来もこれが続くであろう、もしくはもっとひどくなるであろうということを場合によっては想定をして、こういう対応をあらかじめとりましょうということだともちろん理解をしているわけですが、やったら、結果的には、人類が予知し得ない気候の変動の中で、そういう高頻度化していた過去の豪雨は実は何十年かしたらおさまってしまいましたということであったとすれば、それはやはり投資効果としては減殺をされるわけです。

 なかなか気象というものを、しかも先々にわたって今の状況からきちんと読み切るということが合理的に難しいということは理解をしているわけですが、できるだけ、やはりそこは精緻な論拠及び見通しがあって、そして資源配分をされるべきではないかなということを考えているというところは、ここで御指摘をさせていただきたいと思います。

 時間も限られてまいりましたが、一点だけ。

 今回の水防法の一部改正でいうと、想定し得る最大規模の降雨という表現がよく出てくるわけです。想定し得る最大規模の降雨、これは一体どうやって算定をするのかというところの質問でございます。

 そもそも、想定し得ない部分も恐らくあるんだろうと思いますし、想定し得る最大規模の降雨ということを一体どういう合理的な計算に基づいて算出をされようとしているのか、この点をお伺いさせていただきたいと思います。

池内政府参考人 お答え申し上げます。

 ちょっと具体的になりますが、まず過去のデータを分析いたしまして、そして日本全体を降雨特性が似ている地域に分割いたします。今検討中ではございますが、今の検討では十五地域程度でございます。

 その上で、各地域において観測された最大降雨量、これによって想定し得る最大規模の降雨を設定することが基本と考えております。

 なお、現在、学識経験者から成ります検討会を開催いたしまして、この考え方について御検討いただいているところでございます。

神山(洋)委員 ありがとうございました。

 今のだと、ちょっとまだざっくりだなという気はしますが。

 先ほど来、ちょっと、例えば予算の話であるとか、保全費用の話であるとか、あとは今後の雨量の見通しであるとか、それを算出する方法とか、やや細かい話をお伺いしておりますのは、基本的に、今回の法改正の中で、浸水被害が多発をしているからそれに対して対応しようというその趣旨そのものには、私も全くそのとおりだというふうには思っております。なので、特別これに対してぎゃあぎゃあ反対をしようという思いはないわけですが、ただ、これだけ財政制約が多くて厳しいと言われている中で一定の財政支出をしようということであるとすれば、やはりそこには合理的な説明なり合理的な理由づけというものが必要だと私は思うわけです。

 えてしてそれは、論理的に整合しているかどうかということも大事でありますが、忘れられがちなのは、やはり数字の議論なんじゃないかなというふうに思うわけです。

 こういうタイミングではなかなか数字を出せませんということがあり得るのも承知をしているわけですし、先々未来をどこまできちんと数字をもって、明確な動かざる数字として明示をし得るかといえば、そこにはおのずと限界があることもわかっていますが、しかし、でき得る限りそこは、数字というのは客観的な指標でありますから、そこを踏まえた議論、検証、そして決定をしていくという態度がこれからの時代にはやはり極めて大事だと私は思っているわけです。

 以上も踏まえながらではあるんですが、最後に、これは政務の方で御答弁をいただければと思いますが、特に、少し戻りまして、先ほど来の下水道事業に関してでいえば、今申し上げた数字の話というところはやはりちょっと不足をしているんじゃないかなというふうに思うわけです。

 前段の答申のところでも、数字のところをきちっと出さなきゃだめですよ、見える化しましょうよという話はありましたが、しかし、今法案を見る限りは、そこに対しての強い意思は、大臣の思いはわかりましたが、強い意思は少なくとも文面からはうかがい知ることができないわけです。

 最終的なビジョンがあるかどうかということもお伺いをしたいわけですが、少なくとも、そのビジョンも含めて、数字的な部分の検証も含めて、これで終わりじゃないですよねということ、要は、もっと精緻な数字のところも含めた議論をもっと徹底的にやっていく中で、必要なものはきちんと新設をしましょう、でも、将来かかり得るであろうさまざまな維持、メンテナンスコストも踏まえたときに、やはりここは我慢をしなきゃいけない、もしくは別の方法論を考えなきゃいけないということも含めたトータルなビジョンを含めて、これからさらにこれを一歩としてやっていくんですよねというその点、最後にお伺いをさせていただきたいと思います。

うえの大臣政務官 お答えします。

 委員からのさまざまな御指摘を頂戴いたしまして、私どもも、そうしたことを十分踏まえてこれから対応させていただきたいと思います。

 お話のあったコンパクトシティーの問題であったり、あるいはグランドデザイン全体との兼ね合いであったり、そうしたことは、これから下水道事業を進める上に際しても、やはり十分念頭に置いて進めていく必要があるというふうに思います。

 あと、御指摘のあったいわゆるマネジメントの問題ですが、これにつきましても、一定の計画づくりを促していくことによって、それぞれの下水道事業で対応をしっかりとできるように取り組んでいきたいというふうに思います。

 最終形かとかという話なんですが、必ずしも最終形だというふうなことを言い切るつもりはございませんが、ただ一方で、我々も、これまでのいろいろな対策を踏まえて、中長期的なしっかりとした取り組みをこれから進めていかなければいけない、そういう認識のもとでやっておりますので、その点につきましてもまた御理解をお願いしたいと思います。

神山(洋)委員 ありがとうございます。

 下水道のみではありませんが、下水道も含めた社会公共インフラをいかに維持してコントロールしていき、必要なものは必要に応じて、財政制約がある中ではありますが、新設をしていくということは、口で言うのは簡単ですが、極めて重たい課題だと思っていますし、ある意味では、これは誰がその権限を有するに当たっても大事な大事な問題であろうという認識を私は共有しているつもりでございます。

 ぜひ、そこには知恵も必要だと思っておりますので、本改正の中で出てきた、熱交換器を設置することができるような規制緩和というのはその一つのアイデアかもしれませんが、そういったことも含めて、これからも柔軟に、しかし緻密に御検討いただきたいということをお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

 以上です。

今村委員長 次に、工藤彰三君。

工藤委員 おはようございます。自由民主党、名古屋の工藤彰三です。

 本日、質問の時間をいただきましたことを、まずもって感謝申し上げます。国土交通委員会に所属させていただきまして初めての質問ですので、よろしくお願いいたします。

 私の地元は、昭和三十四年九月二十六日の伊勢湾台風が直撃した地域であり、愛知、岐阜、三重、和歌山で一晩で五千九十八名のとうとい命が奪われました。かつ、私の選挙区は、一晩で千八百六名亡くなった、名古屋港に面した海抜ゼロメーター地域が広がっている選挙区でございます。極めて浸水に弱い地域です。

 伊勢湾台風後、我が国で初めて、防災のため立法措置がされました。災害対策基本法が設置され、それに基づき、名古屋港に高潮防潮堤が建設されました。

 その防潮堤も、五十年がたちまして老朽化し、六・五メートルの高さのものが沈下しました。万が一のときには、地震、そしてその後発生する津波、高潮、これはもう役に立たないと地域の住民の方が危惧されまして、学区長を初め市会議員、県会議員の皆さんが苦労されて、国土交通省に対して新たなかさ上げ工事を行っていただきたいという署名、要望書を集めていただきました。その数が十万二千五百三十七名。

 その署名簿を持ち込みまして、国土交通省に出向いて嘆願し、要望させていただきましたところ、迅速に対応していただきまして、平成二十五年から工事がとり行われまして、高潮、津波対策用の、強固な八・五メートルの、要は強い防波堤につくり直していただきました。

 去る三月七日に概成式、まあ全部が完成したわけじゃないんですが、概成式が名古屋港湾会館で行われ、そのとき代表で挨拶させていただきました。そのことに対し、きょうは西村副大臣がお見えです。名古屋港のことで大変お世話になっております。また、国土交通省の皆さんに深く感謝申し上げます。

 そのときは感無量の思いでありましたが、浸水に弱い状況には変わりがありません。継続して災害そして水害に強いまちづくりを行っていきたいと考えておりますので、さらなる御指導をお願いいたします。

 まずは、西村副大臣にお尋ねいたします。

 今回審議されております水防法の改正において、洪水、高潮浸水対策は非常に重要だと考えますが、その対策について、基本的な考え方、災害に対する思い、そしてどのように迅速に対応されるかお聞かせください。

西村(明)副大臣 委員の、治水にかける、まさに国を治める思いに対しまして、まずその思いをしっかりと受けとめて、形にしてまいりたいというふうに思っております。

 また、委員の御地元におかれましては、二〇一三年、二〇一四年と、非常に大きな災害、内水浸水による激甚な被害が発生したということも承知しております。

 このように、近年、名古屋のみならず日本全国におきまして、時間雨量五十ミリを超えるような雨が増加するなど、雨の降り方が明らかに局地化、集中化、激甚化していると承知しているところでございます。

 こうした状況を踏まえまして、まずハード面、ソフト面、両面からその浸水対策にしっかりと取り組んでいかなければならないというふうに感じております。

 今回の法改正におきましては、まずハード対策としては、地下空間の利用が進んで、下水道を整備することが困難な地域、こうした地域において、民間による雨水貯留施設の整備を促進してまいります。

 ソフト対策といたしましては、最大規模の洪水、内水、高潮に対応する浸水想定区域を設定するとともに、内水に対しましても、地下街の利用者の安全を確保するために避難体制の充実強化を図ってまいります。

 これらにあわせまして、堤防や下水道などの優先順位をつけた整備、また関係者が事前にとるべき行動を時系列で示したタイムラインの導入、日ごろからの防災訓練や防災教育、こうしたことをしっかりと推進して、関係機関や自治体とも連携しながら、浸水対策の強化に全力で取り組んでまいりたいと考えております。

工藤委員 西村副大臣、力強い、そして温かい答弁、まことにありがとうございます。

 続いて質問させていただきます。

 次は、高潮浸水対策についてでございます。

 昨今、京都、広島、横浜、都市部でも水害が相次ぎました。広島では土砂災害、京都では観光地嵐山、そして、横浜でも寺院のそばから土砂災害等ありましたし、昨年十二月十七日、北海道根室は、爆弾低気圧と呼ばれる低気圧と強風に見舞われ、広大な地域が浸水し水没しましたことは、国土交通委員会の委員の皆さんは記憶に新しいことだと思います。

 私の選挙区は愛知四区という選挙区、市内でありますが、道続きで、平地でつながっている愛知九区、海抜ゼロメーター地帯なんです。生活区域でもありますが、その地域面積が二万ヘクタール、名古屋を含めて尾張平野では三・六万ヘクタールでございます。JRの山手線の面積が六千三百ヘクタールですから、いかにゼロメーター地域が多い地域かということを理解していただきたい。特に、広大な地域ですけれども、そこで生活もなされていることも理解していただきたいと思います。

 さて、今回、高潮浸水想定区域と明記されておりますが、どのような地域を対象に指定されると想定しているのか、また、最大規模の高潮はどのように設定されているのか、県知事等が指定をすることになっているが、国、国土交通省は県に対してどのようにかかわっていくのか、お尋ねいたします。

池内政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、高潮浸水想定区域を指定する海岸は、都道府県知事が、相当な損害が生じるおそれがある海岸を人口、資産の集積状況や経済状況などを総合的に判断して指定することとしております。

 国土交通省としては、少なくとも、多くの人的被害が発生するおそれのある海岸は指定される必要があると考えております。

 具体的には、これは現在考えていることでございますが、地形等の条件から大規模な高潮被害が発生するおそれのある三大湾、もちろん伊勢湾もありますが、あとは瀬戸内海、有明海等を想定しております。

 また、最大規模の高潮の設定につきましては、我が国を襲った最大級の台風でございます室戸台風が、これは上陸時点で九百十一ヘクトパスカルございましたが、各湾に対して最悪のコースを通った場合を想定する予定をしております。これによりまして、例えば伊勢湾におきましては、昭和三十四年の伊勢湾台風よりも大きな高潮を想定することになります。

工藤委員 明確な答弁、ありがとうございました。

 続きまして、内水浸水対策についてお尋ねいたします。

 名古屋市もゼロメーター地域と先ほどお伝えしましたけれども、各地域で水害対策、台風対策、浸水対策に対して貯留管の整備が既にされておりますけれども、まだまだ足りません。

 昨年から、名古屋中央雨水調整池の整備が始まりました。十万立米の水対策、そして内径が六メートルで、キロ数が、延長距離が五キロメートル、そして特徴は、非常に深いところにこの配管を整備するわけでございます。名古屋駅から東に来たところを南北に五キロ、これは、リニアが整備されますさらに深い五十メーターのところに貯水池をこれからつくるということであります。

 各都市においての内水対策を国土交通省としてはどのように進めていくのか、お尋ねいたします。

池内政府参考人 お答え申し上げます。

 都市の内水対策につきましては、おおむね時間五十ミリ程度の降雨に対しまして、雨水貯留管やポンプ場等の下水道の整備を進めております。

 一方、近年、雨の降り方が局地化、集中化、激甚化しておりまして、時間五十ミリを超えるような豪雨の発生によって、都市の地下街等においても浸水被害が頻発しております。

 このため、国土交通省では、地下街周辺やターミナル駅周辺などの都市機能が集積した地区においては、より高い整備目標を計画した下水道の整備を行う取り組みを支援しております。

 また、本法案によりまして、地下空間の利用が進み、下水道の整備が困難な地区におきましては、民間事業者による雨水貯留施設の整備を促進することとしております。

 あわせまして、ソフト対策につきましても、本法案によりまして、想定し得る最大規模の降雨による浸水想定区域を指定いたしまして、地下街等の安全確保を図ることとしております。

 このように、ハード対策とソフト対策を総動員して、都市の内水対策を推進してまいります。

工藤委員 ありがとうございました。

 今、ソフト面の質問をしましたら、ハード面のことについて局長から答弁がありましたので、そのことについてお尋ねさせていただきます。

 民間による雨水貯留施設の整備についてと明記されております。ハード面から、浸水対策、民間による雨水貯留施設の整備に関して、本年はまずどれくらいの予算がついているのか、そしてまた、必要な予算は確保されているのでしょうか。また、これは来年の話になりますけれども、来年度以降、この民間による雨水貯留施設に対する整備費はどのように進められるか、お考えを述べてください。

池内政府参考人 民間が整備する雨水貯留施設の支援につきましては、とりあえず本年度は、もしこの法案が通ったとして、まだ始まったばかりでございますので、必要な額といたしまして二億円を計上しております。

 また、来年度以降の予算につきましても、必要な額を確保できるよう努力してまいります。

工藤委員 ありがとうございました。

 なかなか予算も大変だと思いますけれども、頑張っていただきたいと思います。

 また地元の話になりますけれども、ゲリラ豪雨がよく名古屋を襲ってまいります。十年ぐらい、台風は名古屋を直撃はしていないんですけれども、ゲリラ豪雨は非常に多いんです。東海豪雨もありました。東海豪雨のときは、名古屋市北西部の新川の堤防が決壊し、私たちもボランティアで、舟には乗りませんでしたが、ごみの処理等で行った覚えがあります。

 また、降り方が尋常じゃありません。平成二十年八月二十八日には時間百四十六・五ミリ、そして平成二十五年九月にも百ミリを地元では計測しております。

 それに対して国土交通省は、時間百ミリ安心プランというものを策定していただいております。地元の名古屋市内、高さ二・五メートルの上を、天井川と言われる山崎川、そして名古屋城築城時に掘られたと言われています堀川、これに対して国土交通省は、時間百ミリ安心プランの指定をゲリラ豪雨対策として平成二十五年四月にしていただきました。

 これは各地で進められていくと考えられますけれども、今後、この時間百ミリ安心プラン等を全国展開されるのかどうか、そして、どこにどのようにして設置していくのか、それをお尋ねしたいと思います。

池内政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘ございました百ミリ安心プランは、河川、下水道の施設計画の能力を超える降雨を対象として、河川管理者、下水道管理者、住民等が連携して、ハード、ソフト対策を講ずることによって、浸水被害の軽減を図る計画となっております。

 平成二十五年度からこれまで、全国で十六地域において計画の登録がなされ、各地域におきまして取り組みが進められております。

 国土交通省としては、これまでもホームページ等において制度の概要や手続に関する解説を掲載し、地方公共団体に対して積極的な呼びかけを行っているところでございます。

 引き続き、このような広報に努めますとともに、防災・安全交付金による財政的支援、それから各地域の計画策定に対する技術支援などを通じまして、この百ミリ安心プランを強力に推進してまいりたいというふうに考えております。

工藤委員 明確な答弁、ありがとうございました。

 ぜひとも、このゲリラ豪雨に対しては対策を早急に講じていただきたいと強く要望したいと思います。

 続きまして、この水防法の一部改正の中に地下街対策というものが出てまいりました。

 皆さん、やはり大都市というと、東京、大阪と思われますけれども、名古屋は実は地下街が早く、古く、昭和三十二年から開発、建設されましたし、面積は若干東京にかなわないんですけれども、地下街の数は、実は、名古屋駅、そして中心地の栄、その間にあります伏見という駅もありますが、実に十四の地下街があります。

 そして、今回もこの水防法の改正は、まず異常気象による猛暑そしてゲリラ豪雨、そのようなことから改正がされたと考えております。

 全国で、中村理事の北海道も今当たり前のように夏は三十度を超えてくるわけです。名古屋においては、三十七度、三十八度とあります。そして、冬は伊吹おろしという、マイナス二、三度ですけれども、とてつもない突風が吹く地域でありまして、名古屋にお見えの方は、夏、栄を案内すると、人口の割に人が全く歩いていないじゃないかとよく言われますが、要は地下街に潜っております。冬も寒いから地下街に潜っております。要は、私たちは、名古屋は地底人だということを言っておるわけでありますけれども、それぐらい地下街が発達した商業地域があります。そのことの浸水対策を一遍ここでしっかり考えていただきたいと思います。

 過去に、平成二十五年九月四日、時間百八ミリ降りましたときには、サカエチカに水があふれました。あふれたというか浸水しました。平成二十六年八月六日は、百四・五ミリでこれも降りました。おととしのこの二十五年九月四日のときは、私は、朝名古屋から新幹線に乗って東京に来て、帰ろうと思ったら、名古屋が浸水して新幹線は大変だぞということで帰れなかったのを今でも覚えております。

 この地下街、地下で歩いている方は天候が変化したことについてわかりにくいと思いますが、そのときの避難や浸水対策に対して、国土交通省はどのように対策を打つのか、お聞かせ願います。

池内政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘のように、地下空間は浸水に対して非常にリスクが高い空間でございます。

 具体的には、一点目として、地上部における降雨や浸水の状況の確認が困難なこと、二点目としては、氾濫水が一気に流入いたしまして、歩行が困難な状況になるまで時間が短いこと、三点目といたしましては、地上部等への避難経路が限定されておりまして、避難者が集中することなどから、浸水時に多くの人的被害が発生するおそれがございます。

 このため、現行の水防法におきましては、洪水の浸水想定区域内にあり、不特定多数の利用者の避難確保が必要な地下街につきまして対策を講じることとしております。

 具体的には、市町村長から地下街の管理者等に対して河川の水位情報を伝達すること、それから地下街の管理者等に対する避難確保・浸水防止計画の作成の義務づけなどの措置を講じているところでございます。

 本改正案におきましては、内水及び高潮についても浸水想定区域を指定いたしまして、地下街に対して、洪水と同様の措置を講ずることとしております。

 また、本法案では、現行で対象としている既設の地下街だけでなく、建設段階のものも対象とすることとしております。これによりまして、建設段階から避難階段の設置や出入り口のかさ上げ等、浸水に関して安全な構造とすることが期待できます。

 実際、現在建設中の新大名古屋ビルヂングにおきましては、庄内川の氾濫を想定して、地下空間の浸水防止対策として浸水板の設置が計画されていると聞いております。

 さらに、本法案では、地下街の管理者等が避難確保・浸水防止計画を策定しようとする際に、地下で接続しているビル等の所有者に意見を聞く旨の規定を設けております。これによりまして、地下街と接続ビル等が連携して避難確保や浸水防止対策を実施することが期待できます。

 国土交通省といたしましては、本法案におきますこれらの措置を講ずることにより、地下街における浸水対策の一層の充実を図ってまいりたいと考えております。

工藤委員 しっかりとした答弁、ありがとうございました。

 残りの時間でございますけれども、きょうもすばらしい天気であります。昭和三十四年の九月二十六日の伊勢湾台風の日もこのような日だったと聞きました。私は昭和三十九年生まれですから、まだ生まれておりませんが、地域の年配の方にいろいろ尋ねました。

 午前中、物すごい天気がよかったので、まさか台風が来ると思わなかった、備えがなかった。そして、その日は土曜日だったので、いわゆる昔の半ドン、半日で役所は閉めて、警報等その他の連絡がおくれてしまった。地域で集会を行おうとしたら、こんな天気で何が台風が来るんだということで、見誤った。それが、その当時、五十五年前の悲惨な台風で死者を出してしまった。

 そういう教訓を生かしながら、苦言を呈するわけではないんですけれども、昨日、気象庁のレーダーが三時間にわたりとまってしまったり、私も、何かありましたらパソコンでXバンドレーダーを見ながら、今すごく雲の流れが変わってまいりますので、そういうことを注意しながら勉強を重ねてまいりますので、今後とも御指導賜りたいと思います。

 質問を終わります。ありがとうございました。

今村委員長 次に、本村賢太郎君。

本村(賢)委員 民主党の本村賢太郎でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 きょうは、水防法等の一部改正法律案ということでございまして、小宮山委員そして神山委員からも我が党から質問させていただきました。重複する点もございますけれども、関心がある点でございますので、ぜひ明快な御答弁、引き続きお願いをしてまいりたいと思います。

 今回の改正案の概要に関して、ハード、ソフトという両面の対策があるということでありますが、想定し得る最大規模の洪水、内水、高潮への対策、このソフト対策についてまず数点お伺いさせていただきたいと思います。

 現行の洪水に係る浸水想定区域について、先ほど神山委員からも、想定し得る最大規模の降雨を前提とした区域に拡充ということに関して御質問をさせていただき、データを分析し、十五ブロックの最大降雨量からはかれるというお話もございました。

 その十五ブロックというお話も先ほど聞きまして、例えば、私ども神奈川県で見ると関東ブロックという形になるんですが、関東ブロックも、例えば同じ神奈川でも、私は相模原市なんですけれども、横浜市と、あちらが雨が降っていて、こちらが晴れていたり、大分やはり同じ県内においても天気の予報というのは随分違うんじゃないかなと思うんです。

 その点において、例えば関東ブロックという大きなくくりでは、全国を十五ブロックというくくりにしたということでありますが、少し大ざっぱ過ぎるんじゃないかなというイメージがあるんですが、この辺に関してはいかがでしょうか。

池内政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど、短い説明で十分意を尽くせなかったので、再度説明したいと思います。

 まず、今回ブロックを大きくしたのは、これまでは、川の例えば最大を求める場合には、各河川ごとのデータの中で例えば分析してやっておりましたが、どうしても雨量の把握できる期間というのは限られておりますし、また、最近、ここ数十年程度しかデータがございません、たまたま台風が来なかったとか、そういうことがございます。

 そこで、そういったことを避けるために、できるだけ似た区域を限って、その中で、どこかに来ているだろうということで、その中での最大のものを持ってくるということで、むしろ、これまでよりも、よりきちんと最大のものを把握できるような形にしたということで、あくまで、十五ブロックに分けたのは、これまでの雨量観測のデータが少ないために、それを補完するために広げたという趣旨でございます。

 ですから、これまでより、より一層精緻に、どういったものが起こり得るのかということを想定できるというふうに考えております。

本村(賢)委員 今、十五ブロックで適正というお話でありますので、そこを期待して注目していきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 次に、このソフト対策の中にハザードマップのお話がございます。

 私も今回、下水道法のお話、水防法のお話、下水道事業団法のお話がある中で、我が地元、相模原市のハザードマップを見させていただきまして、百五十年に一度発生すると想定される大雨ということで、二日間の雨量が四百五十九ミリ、我が母なる川、相模川のお話も今回改めて勉強させていただいたわけでありますし、また、この洪水ハザードマップの現状の整備も今九七%ほど進んでいるというお話はレクでも勉強させてもらいました。

 そこで、今回、本改正案を受けて、先ほどお話しいただいた前提となる降雨量の話や、さらには浸水想定区域、そしてハザードマップの見直しが行われるものと思いますけれども、昨今の豪雨を思えば、可能な限り、この三つの見直しに関してはやはり早急に実施するべきじゃないかなと感じております。

 どのようなスケジュールで、誰が責任を持って行うのか、お伺いいたします。

池内政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、国が最大規模の降雨の設定方法について速やかに取りまとめ、周知する予定にしております。

 この設定方法に従いまして、国または都道府県が河川ごとに、すなわち、河川も川によって国管理あるいは県管理がございますので、おのおのの管理者でございます国または都道府県が河川ごとに最大規模の降雨を設定して、浸水想定区域を指定いたします。

 現在、浸水想定区域を定める必要がある河川は全国で約二千ございますが、このうち、多くの人的被害が発生するおそれのある国管理の四百二十九河川、それから氾濫域に地下街等が存在する都道府県管理の約四十河川の合計五百河川については、おおむね五年程度を目途に指定を完了させることを想定しております。

 その他の約千五百河川につきましては、これまでも洪水のハザードマップはつくってきておりますが、大体、県の体制等を考えますと、十年間で浸水想定区域の指定を行ってきたことを踏まえまして、今後おおむね十年間を目途に指定を完了させることを想定しております。

 それから、ハザードマップにつきましては、浸水想定の区域の指定後速やかに市町村が公表できますよう、浸水想定区域の検討段階から市町村に必要な情報提供を行ってまいりたいというふうに考えております。

本村(賢)委員 ぜひ、市町村との連携も、もちろん都道府県との連携もしっかりと図られて、降雨量や浸水想定区域、ハザードマップの見直しを早急に進めていただきたい、そうお願いしてまいります。

 次の質問でありますけれども、平成二十五年度会計検査院の報告におきますと、ハザードマップに関するさまざまな指摘がなされておりまして、例えば「十県管内の十五市町は、洪水ハザードマップを印刷物の配布その他の適切な方法により各世帯に提供するなどしていなかった。」という指摘もございます。現在では是正されたと承知はしておりますけれども、再発を防止することは非常に重要なことだと思っております。

 見直されたハザードマップについてしっかりと周知徹底すべきと考えておりますけれども、いかに取り組むのか、大臣のお考えをお伺いいたします。

太田国務大臣 地域によって違いますけれども、このハザードマップをつくった、しかし各戸に配布するということがなかなか十分ではなかったということがあったと思います。

 また、今回の法案におきましては、ハザードマップの周知対象を、その住んでいるといういわゆる住民だけではなくて、通勤者や観光客等を含めた住民等ということに改めることとしています。

 今後はこれを、印刷物の配布に加えまして、インターネットや掲示板の活用等によってハザードマップの周知を図ってまいりたいと思っています。

 また、防災訓練や学校の防災教育等のさまざまな機会を捉えてハザードマップを提供するなど、ハザードマップを確認する機会をふやしていくという取り組みをしたい、このように考えているところです。

 その際に、特に町内会や自主防災組織の防災訓練においてハザードマップを活用していただくということが有効で、きめ細かくそういう機会を捉えるということが大事なことだと思います。

 さらに、想定される水深、避難場所等について表示した標識を町の中に設置するなどの対策も進めていくこととしております。

 国交省としましては、これらの取り組みを推進することによりまして、住民等に対してハザードマップの周知をより一層できるように取り組んでいきます。

本村(賢)委員 ハザードマップを、観光客の方、住民等という話で広げていただくようでありますし、また、標識に関しても、日ごろから非常に目につきやすいことだと思いますので、ぜひ、そういったことを大臣主導で進めていただきたい、そのようにお願いしてまいりたいと思います。

 次に、比較的発生頻度の高い内水に対する地域の状況に応じた浸水対策、つまりハード対策について数点お伺いしてまいりたいと思います。

 官民連携による浸水対策の推進ということでありまして、特に神奈川県でいうと、川崎市そして横浜市の市街地の浸水対策においては官民の協力が必要不可欠であるというふうに認識しております。

 民間の雨水貯留施設への支援、税制優遇についてまずお伺いしたいと思っておりますし、また、百立米以上の施設を新設する際の国の支援制度が創設されたというふうに今回承知いたしましたが、小規模のものや、これまで雨水貯留施設をつくってきた、既存のものでも支援があるのかどうか、お伺いいたします。

池内政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案によりまして、市町村は、地下空間の利用が進みまして、特にターミナル駅の駅前等で地下空間の利用が進んでいるような場所が想定されますが、こういった場所の内水対策のために、雨水貯留管等の整備が困難な区域を浸水被害対策区域として条例で指定できるようになります。

 この区域におきまして、一定規模以上の民間の雨水貯留施設の整備費用につきましては、国が民間に直接支援する制度を創設いたしました。

 また、この区域では、新設だけでなく、建設から五年以内の既設の雨水貯留施設のうち、一定規模以上のものにつきましては、所得税、法人税の税制特例を措置しております。

 さらに、これまでも、地方公共団体が個人住宅等に設置いたします貯留タンクの新設費を助成する場合、国は地方公共団体に対して支援措置を講じております。

 これらの支援によりまして、民間による雨水貯留施設の整備を促進することで、河川や下水道への雨水の流出を抑制し、浸水被害の軽減を図ってまいりたいと考えております。

本村(賢)委員 今、一定の規模のものという話ですが、具体的にはどのぐらいなんでしょうか。

池内政府参考人 今回の、特定地域に応じた都市浸水被害対策事業というものでございますが、この中で対象となる雨水貯留施設につきましては、百立米、百立方メートル以上とすることを想定しております。

本村(賢)委員 それでは次に、持続的な機能確保のための下水道管理についてお伺いしてまいりたいと思います。

 先ほど各委員からも、全国で約四十六万キロともなる下水道管が整備されているというお話も伺いましたし、社会、公共インフラの整備も昭和四十年代に始まってきたということでありまして、間もなく五十年を迎える下水道管もあるんではないかなと思っておりまして、この下水道管の老朽化が非常に心配されるところであります。

 下水道管の維持管理、老朽化の現状と見通しはどうなっているのか、改めてお伺いいたします。

池内政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、全国の下水道管渠の総延長は約四十六万キロとなっております。このうち、標準的な耐用年数であります五十年を経過した管渠の割合は、現在約一万キロで二%となっておりますが、十年後には四万キロメートルで九%、二十年後には約十一万キロで二四%と急激に増加するものと見込んでおります。

本村(賢)委員 今、二%一万キロや、二十年後ですか、二四%という数字もいただきましたが、下水道管の維持管理について、今どのぐらいの自治体が維持管理をしているのか。もう一度答弁をお願いします。

池内政府参考人 お答え申し上げます。

 現状での下水道の維持管理は、各市町村、下水道管理者におきまして、定期的に、マンホール等からマンホールカメラを入れたり、あるいは人が入って中を見るとか、そういった点検等を行っているというふうに聞いております。

本村(賢)委員 ですから、どのぐらいの自治体が維持管理をしているのか。その数字を伺っているんです。

池内政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘ございました、実際にやっている市町村の割合でございますが、一千四百のうち約二割というふうに聞いております。

本村(賢)委員 一千四百自治体のうちの二割ということでありますので、数字的には非常に少ないなというイメージがありますので、ぜひ今回の法改正において、やはり千四百自治体の全ての皆さんが今回の社会公共インフラに対してしっかりと老朽化対策を進めていくことをお願いしてまいりたいと思います。

 今の現状を踏まえまして、下水道管の老朽化対策に対して国土交通省はどのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。

うえの大臣政務官 先ほど局長から答弁しましたとおり、約二割ということで、大変低い水準にとどまっている。我々もそれは大変懸念をしております。そのため、今回、この法案におきましては、計画的な維持管理、更新を推進すべく、維持修繕の基準を設けるというふうにしているところであります。

 これらを踏まえまして、国交省といたしましては、各地方公共団体に対し、点検、調査から修繕、改築までを一体的に捉えたマネジメントの計画の策定を促すということにしております。

 それに加えまして、財政面、技術面、体制面、それぞれ、さまざまでありますが、いろいろな形で強力に支援をしてまいりたいというふうに思います。

本村(賢)委員 何度も言いますが、社会資本インフラの老朽化、下水道管の老朽化でもありますし、また、数年前では笹子トンネルの問題もあって、道路や河川の維持管理の修繕の基準も見直しがあったと思うんですが、ぜひ下水道管も、見えないところでありますので、そういった意味では、国土交通省のリーダーシップによって、残りの八割の皆さんにもこの維持管理がより進むように、指導の徹底をお願いしてまいりたいと思います。

 次に、地方公共団体の支援の強化ということであります。

 今回、下水道管理の広域化、共同化を促進するための協議会制度を法制化する話なんかもございますが、地方公共団体の要請に基づいて、日本下水道事業団が高度な技術力を要する下水道管の更新や下水道の維持管理をできるよう措置するようなお話や、あわせて代行制度を導入するようなお話も今回ございます。

 そこで、日本下水道事業団について幾つかお伺いしてまいりたいと思います。

 まず、日本下水道事業団による代行制度が導入されるようでございますが、工事等で事故が起きた際などの責任の所在は日本下水道事業団にあるのか、それとも地方公共団体にあるのか、どちらにあるのかお伺いしたいと思っております。

池内政府参考人 お答え申し上げます。

 日本下水道事業団が代行する工事によりまして何らかの損害等が生じた場合、その責任は原則として日本下水道事業団が負うことになります。

本村(賢)委員 地方公共団体の皆さんからも、今回のことで、どちらが責任を負うのだろうかというお話もちょっとございましたので、改めて確認をさせていただきました。日本下水道事業団に責任が持たれるということでお話をいただきました。

 次の質問であります。

 この日本下水道事業団が特定下水道工事を行う場合、地方公共団体に対する国の補助金は日本下水道事業団に交付するものと規定がございますけれども、平成二十七年度予算に計上されている額はお幾らでしょうか。

池内政府参考人 お答え申し上げます。

 地方公共団体にかわって日本下水道事業団が整備する下水道施設に対する補助金の額は、平成二十七年度予算における下水道事業費補助のうち、国費約三億円を予定しております。

本村(賢)委員 次に、日本下水道事業団に関してでありますが、昭和六十三年以前から平成五年あたりまで、大手電機設備メーカー九社による談合入札が継続的に行われていた事件、まだ鮮明に覚えておるわけでありますが、談合は今はなくなったというふうに承知はしておりますけれども、このイメージがあるものですから、ちょっとここに関して数点お伺いしてまいりたいと思います。

 また、当時の理事長は建設省の下水道局長が天下りであったことや、平成二十六年八月からは東京都下水道局長が理事として再就職していることや、今の理事長さんは確かに公募でいらっしゃるわけでありますけれども、例えば今の副理事長さんはやはり国土交通省水管理・国土保全局の次長さんであったり、また理事の方は、国土交通省四国地方整備局徳島河川国道事務所長であった方が理事兼事業統括担当をやられているとか、そういったお話もありまして、天下りの有無についても懸念をしているところであります。

 現在、この日本下水道事業団が、しっかりとこういった反省を踏まえて、適正に運営をされているという形で理解してよろしいでしょうか。

太田国務大臣 御指摘の談合事件は、重電九社が事業団発注の電気設備工事の受注予定者を決定したことに対しまして、公取が課徴金の納付を命じるとともに、刑事告発をして有罪が確定をしたという事案です。十八人です。

 当時の建設省でも直ちに特別監察を実施しまして、建設大臣から事業団に対して業務の改善を指示したところです。

 その後、事業団では、大臣指示を踏まえまして、原則全ての工事の入札について一般競争入札方式を採用する、そして、外部有識者から成る入札監視委員会を強化する、入札契約等の執務室への民間事業者の立ち入りを禁止させる、こうした措置を講じておりまして、現在、適正な運営がなされているものだと承知をしています。

 また、御指摘のありました天下り等々のお話でありますが、事業団は地方共同法人ということで、都道府県が共同出資して自分たちのためにつくった法人でありまして、独立行政法人に準じて、国家公務員OBの役員は、公募の上で、外部有識者から成る委員会で適正に選任をされている、こういう状況にございます。

本村(賢)委員 ぜひ、下水道事業団が自治体にかわって入札をされているということもございますので、今後も適正な運営をしっかりと国交省としてもお願いしてもらいたいと思いますし、ぜひとも、どうしてもイメージで私どもも先行してはいけないと思うんですが、今の大臣の言葉を聞いてしっかり安心をしましたので、今後も御指導いただきたいと思っております。

 次に、再生可能エネルギーの活用促進について数点お伺いいたします。

 今回、民主党は、分散型エネルギー促進四法案を提出予定でありまして、熱エネルギー利用促進法が含まれてございます。日本では熱利用が、先ほど神山委員からも御指摘ありましたが、不十分でありまして、いまだ三分の二の熱は捨てているという状況にございます。下水熱の利用の状況についてお伺いしたいと思っております。

池内政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、下水熱の活用事例は十三カ所でございます。そのうち、下水道管理者が、今回の法改正と同じように、下水管内に熱交換器を設置して利用している事例は二カ所ございます。

 現在、福岡市、茨木市等五カ所において民間事業者による活用が検討されているというふうに聞いております。

 本法案による規制緩和によりまして、今後さらにニーズがふえていくというふうに考えております。

本村(賢)委員 今回の再生可能エネルギーのお話とはまた別に、下水の汚泥の活用を積極的に進められるということは評価をしております。今、再生可能エネルギーのお話も、民活の導入もこれから大きく規制緩和で広げていくということでありますので、大変期待しているところであります。

 下水道法改正案の第二十四条三項のハには、下水道管内に熱交換器を設置できる者について、国、地方公共団体、熱供給事業者のほかに、政令で定める者とございますけれども、どのような想定なのか。例えばマンションを建築する会社など、民間事業者も対象に入るのかどうか、お伺いしてまいりたいと思います。

うえの大臣政務官 お答えします。

 熱交換器が下水道管の維持管理に影響を及ぼさないように、一定の技術水準を有して適切な維持管理できる能力を有しているという方が前提となっております。

 この書きぶりですが、熱供給事業者というのはその例示でございまして、今申し上げたように、適切に維持管理できる方、これは下水道管理者が認めた者ということになることを前提としておりますが、今後、そうした規定ぶりに政令等で規定をしていく予定でございます。

 したがいまして、できるだけ私どもとしては幅広く民間事業者に参入していただけるように努めていきたいと考えておりますが、御指摘いただきましたマンションの建築会社、これにつきましても、一定の技術水準を有するなど適切に維持管理していただける方で下水道管理者が大丈夫だというふうに認められましたら、それも当然その対象となるというふうに考えます。

本村(賢)委員 今回、この法案を読んでいて、この二十四条三項のハを読む限り、民間事業者の参入が、さまざまな国交省の皆さんからのお話では民間の規制緩和が進むというお話でありましたが、なかなかこの二十四条三項ハだけでは、民間事業者である、例えばマンションを建築する会社というのは一例でありますけれども、そういった皆さんの参入が可能なのかどうか、ちょっとわかりづらい点があったものですから、下水道管理者が認めれば民間事業者が参入ができるというお話も今確認ができましたので、ありがとうございます。

 次に、熱交換器が設置できるようになるという規制緩和だけでは活用が促進されないという懸念がございます。

 そこで、積極的な支援がこれから必要だと考えておりますが、今後の下水熱活用に向けた取り組みについて、大臣の所見をお伺いいたします。

太田国務大臣 私は、今回のこの機会を通じて、かなりここを前進できるようにということを実は強く期待しています。

 規制緩和ということを法律というか紙面で出したというだけでなくて、いろいろな実例も示していかなくてはいけないというふうに思っていまして、具体的に申し上げますと、低コストで整備可能な新技術を活用した熱交換器の普及、SPR工法というのがありますが、大きなのもありますし、小さな管もありますけれども、そこを巻いていく、こういうのがありまして、実は、そこで工事をしながら、大きいところは工事を中に入ってもしますし、小さいものは機械でこう、そして、これは世界一の工法なんですけれども、その中に管を入れて、温かい水をヒートポンプで熱源としていくとかいうような、世界でもう本当に、世界一のような工法もあります。それに類するものも日本にはいっぱいありまして、私は、ぜひとも委員にも見ていただければなという気持ちです。

 ここを、こういう事例が広がっていきますと、それが話題にもなりますし、そうしたことを普及したいと思いますし、また、各マンホールでの下水熱の利用可能量に関する情報の提供も、熱量がわかるように地図に落とすということです。

 関係省庁と連携した補助制度、こうしたことにも情報提供の活用を促進していきたい、このように思っています。

 また、道路占用許可の手続の円滑化ということで、道路と下水道の両方を届け出るけれども、一方でいいということにするとか、いろいろな意味で、熱交換器の維持管理に関するマニュアルの整備、こうしたことの施策を行っていきたいというふうに思っています。

 これらの施策を通じまして、今後とも、民間事業者による下水熱利用が促進されるよう支援に努めていきたいと思いますし、こちらからも普及できるような発信をしていきたい、このように思っています。

本村(賢)委員 今大臣から、SPR工法というんですかね、私も技術職じゃないので余り詳しくはわかりませんが、これから民間を含めて熱エネルギーを使った再生可能エネルギーが促進されるように、ここはみんなで協力をして、原発に頼らない、やはり新しいエネルギーに転換できるよう、取り組みをお願いしてまいりたいと思います。

 先ほど、SPR工法という、世界で一番だというお話がございましたが、今これは実用例はございますか。

池内政府参考人 大臣の方がお詳しいんですが、実はもう既に、東京都区内でもこのSPR工法、こういうふうに管を巻いていって、要は下水を流しながらでも施工できる工法でございますが、そういったものが実際に現地で施工されております。

本村(賢)委員 ぜひ、このSPR工法、国内でもそうでありますが、海外に対しても今後また支援ができれば広げていただきたい、そのことをお願いして、質問を終わりにします。

 ありがとうございました。

今村委員長 次に、井上英孝君。

井上(英)委員 維新の党の井上英孝です。

 三十分という時間ですので、早速、今回の水防法の改正案について質疑をさせていただきたいと思います。

 まずは、やはり、近年多発する浸水被害への対応を図るため、想定し得る最大規模の洪水、いわゆる内水、高潮に係る浸水想定区域制度への拡充、さらには雨水貯留施設に係る管理協定制度の創設などの措置を講ずる、そしてまた、下水道管理をより適切なものとするため、下水道の維持修繕基準の創設等所要の措置を講ずるというのが、今回の水防法の改正案の趣旨だというふうに思っています。

 具体的には、多発する浸水被害への対応を図るため、ハード、ソフト両面から対策を推進するということでありますけれども、まずは、ハードについて質疑をさせていただきたいと思います。

 今回の法改正では、浸水被害対策区域において、予算措置を講じて直接所有者に設置費用の一部を補助することにより、再開発ビルなどの新設時に雨水貯留施設の設置を促進するとともに、当該所有者と管理協定を締結して、公共下水道管理者みずからが当該貯留施設の管理を行えるという制度が盛り込まれていると思うんです。

 その中で補助、今お聞きしているのでは、補助金を出すとか税の減免というのを聞いているんですけれども、それをまたどちらか選ぶというようなことになっていると思うんですけれども、民間の皆さん方にそういう施設をわざわざつくっていただく、協力していただくわけですから、それだけではなくて、もっとインセンティブをやはり出していった方が、より施設をつくっていただける、促進が考えられるんじゃないか。

 そういう意味では、その上屋ですね、建物の例えば容積率を緩和したりとか、そういった今想定している補助にさらにインセンティブを出すようなことは考えられていないのか、いかがでしょうか。

池内政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、雨水貯留浸透施設の整備を進めるためには、さまざまなインセンティブを強化していくことが重要だと考えております。

 まず、貯留管を置きますと、結構日常の維持管理とか大変御負担になりますので、この負担を軽減するために、今回の法案におきましては、市町村等が協定に基づいて雨水貯留施設の管理を行う制度を設けたところでございます。

 それから、今御指摘ございましたように、二十七年度予算におきましても雨水貯留施設の整備に対する補助制度を創設させていただきましたし、また、税制につきましても、国税である法人税、所得税の割り増し償却の特例も措置しております。

 さらに、今御指摘ございました容積率の点でございますが、雨水貯留施設の容積率の緩和につきましても、法に基づく都市再生特別地区ですとか、あるいは特定街区等においては、雨水貯留施設を置いた場合に容積率を緩和しているという事例もございます。

 国土交通省といたしましては、こういった事例あるいは支援策を周知して、民間による雨水貯留施設の設置が進むよう促してまいりたいというふうに考えております。

井上(英)委員 一定の場所でやると、容積率の緩和とかも今でもやられているということなんですけれども、貯留施設をつけてくれるところがあればどこでもそういうインセンティブが働くようにまた考えていただいて、その施設をつくったらちょっと割得感があるというふうにしないと、なかなかやはり費用のかかることですし、当然、補助金もいただくわけですけれども、持ち出す費用があるわけですから、少しでもインセンティブを感じ取れるような、どこの土地でも同じようなインセンティブを感じられるようなルールにしていただけたらもっとより設置が促進されるんじゃないかなと思うので、また御検討をよろしくお願いしたいと思います。

 さらに、市町村が必要と認める場合においては、条例で新築の住宅等については貯留施設等の設置を義務づけることができるという制度も盛り込まれている。要は、義務づけるという、できる規定が入っている。個人の住宅に対して条例とはいえ義務づけていることや、都市部の浸水対策を民間施設の活用により推進する観点から、再開発等で建設される建築物に対しても雨水貯留施設の設置を義務づけることができる、要は、できる規定をそちらにもやはり当てはめるべきじゃないかというふうに思います。

 つまり、種々の建物、施設を建設するゆえ、予算的には非常にそちらの方が平準化できるんじゃないかとも思いますので、再開発等で建設する建築物に対して義務化のできる規定、それを導入すべきだと思うんですけれども、いかがでしょうか。

池内政府参考人 まず第一歩は、先ほど御説明したようなさまざまなインセンティブ等によって民間の御協力を得て、雨水貯留施設の整備を進めていくことが有効だと考えております。

 このため、今回の法改正でもいわゆる協定制度を設けたところでございます。

 しかしながら、特に土地利用、浸水被害の発生状況によっては、このようなインセンティブだけではなかなか進まない、そういった場合も想定されます。

 そういった場合には、今回の法改正では、市町村等の判断によって、条例で民間に対して土地の面積等に応じて必要最小限の雨水貯留施設の設置を義務づけることが可能となるような措置を講じさせていただいております。

井上(英)委員 可能となっているのはわかるんですけれども、例えば新築の一戸建ての家にそれを義務づけるというところも、ひょっとしたら自治体によっては出てくるかもわからないんですね。でも、一つの家を買って、そこの下に貯留施設を義務づけるということを考えると、やはり家を買われる方は、これは一生で非常に大きい買い物をされるわけですから。

 ただ、先ほども申し上げたように、再開発で大規模な開発をするとなれば、一定予算の中でその貯留施設をつけることは、費用はかかりますけれども、全体の予算から考えると非常に平準化できるような話で、そういう大規模なところの義務化の、できる規定ですね、すぐに義務化をせいと言っているのではなくて。

 だから、ありとあらゆる建物に対して雨水の貯留施設を、一戸建ての家でも再開発するような大規模な開発事業でも、できる規定で結構ですので、義務化をすべきだと思うんですけれども、それも含めてちょっと考えていただけたらと思うんですけれども、局長、いかがですか。

池内政府参考人 どういったものを義務化するかというのはあくまでも市町村長さんの判断に委ねられておりまして、あくまでも各市町村の実情に応じて、あるいは浸水被害の厳しさですとか、あるいは本当に別の手段でできないかとか、そういった状況を踏まえて市町村長さんが個別に判断されることだというふうに考えております。

井上(英)委員 市町村がもちろんやることなので、でも、市町村も、本当に反発の多いことをやったら規定があってもなかなかできないというのはあると思うので、その辺をまた頭の中に入れておいていただけたらと思います。

 次に、先ほど申し上げたハード、ソフトの両面ということですので、ソフト面。

 今回、ハザードマップも含めて、前提条件が、想定し得る最大規模の降雨というのを前提にするというふうになりましたので、当然、被害想定の区域が拡充されるということにはなるかと思うんですね。

 そのハザードマップ、やはりこれをやり変えるところも出てくるわけですよね。新たにハザードマップ自体をつくり直さないといけないという自治体も出てくるわけですよね。ですから、それはこのルールに従って、それぞれの地域でそれぞれのハザードマップをきっちりとおつくりいただくというのは必要だと思うんです。

 このハザードマップ、例えば何年に一回更新しないといけないとか、そういうルールというのが明確にはないというふうにお聞きをしているんですね。当然、地域の事情がありますから、時々刻々とまでは言わないですけれども、変化する町の環境を常にやはりそのハザードマップに反映させておかないといけないというのがあります。

 例えば大規模な再開発があれば立派なビルがたくさんできたりもするでしょうし、種々そういう町の環境が変わっていくので、やはり何年に一回変えるというような、そういうルールをつくることも考えてみてはと思うんですけれども、いかがでしょうか。

池内政府参考人 お答え申し上げます。

 まさに、ハザードマップ、大きく土地利用の状況ですとか、あるいは、場合によっては大きく土地の形状が変わったりする場合がございます。そういった場合には見直す必要があると考えております。

 具体的には、ハザードマップには浸水が想定される区域や水深、避難場所等を記載することとしておりまして、これらの情報に大きな変更が生じた場合には見直す必要がございます。

 このため、国土交通省では、河川整備の進捗や土地利用の大規模な変更等によって浸水想定区域が見直された場合ですとか、あるいは避難場所等の防災施設等の整備状況に変更が生じた場合などには、ハザードマップの情報が常に最新のものとなるよう市町村に周知しているところでございます。

 実際、平成二十六年度におきましても、十八市町村で洪水ハザードマップの更新がなされてきたところでございます。

 また、今回の法改正によりまして、洪水ハザードマップが最大規模の洪水を対象としたものに更新されますとともに、新たに内水、高潮に関するハザードマップも作成することとなります。

 国交省といたしましては、この機会に、施行通知等によりまして、ハザードマップの適切な見直しが行われるよう改めて市町村を促してまいりたいというふうに考えております。

井上(英)委員 それぞれの地域の事情もあるので、画一的にそういうルールがなかなかできないかとは思うんですけれども、もちろん、それぞれの自治体は、やはり、自分のところの自治体にお住まいになっている住民の皆さん方に、こういう危険といいますか、こういうことが想定されますよということを知らせるということは当然何よりも大事な仕事ですし。

 ただ、私、一応大阪市なので、大阪市の下水というか、その担当者に聞くと、ハザードマップはどれぐらいで考えているのと言ったら、まず言われたのが、最長でも十年に一回は変えなあかんと思っていますというような表現やったんですね。だから、このハザードマップをつくる作業自体が非常に大変なんだとは思うんですね。

 ですから、そのたびたびというのはなかなか難しいのかもわからないですけれども、でも、十年というと、かなり期間が長くて、町の様子も大きくさま変わりしているような地域もありますので、やはりそこは自治体に対して適切に、ハザードマップをしっかりと反映するように、しっかりと指導いただけたらというふうに思いますので、よろしくお願いをいたします。

 それでは次に、下水道法についての質疑をさせていただきます。

 私の住んでいる大阪もそうなんですけれども、非常に早期に下水道事業というのに着手した自治体の一つでありまして、そういう自治体だからこそ、合流式という、今、大雨の際にはさまざまな、汚水の一部が河川等に放流されてしまうというような問題もあるんですけれども、また、後々下水道を整備していったところは分流式という、それぞれの形態で、今、それぞれの自治体の下水が整備されてきていることかと思うんです。

 先ほど申し上げたように、合流式の場合はそういった課題といいますか問題が指摘をされているんですけれども、合流式下水道の改善の進捗状況というのをお聞かせいただけたら、できれば、合流式が日本全体でどれぐらいの割合なのかを教えていただけたらと思います。

池内政府参考人 お答え申し上げます。

 まさに委員御指摘のように、合流式下水道は、早くから下水道事業に取り組んでこられた都市に多うございます。具体的には、全国の百九十一の都市の公共下水道で採用されております。

 しかしながら、この合流式下水道、これはもう御指摘ございましたように、雨天時に未処理の下水が放流され、河川や海などの水質汚濁、それから悪臭の発生が問題となっております。

 そこで、平成十五年度に下水道法施行令を改正いたしまして、合流式下水道の水質改善を義務づけております。その結果、二十一の大都市の公共下水道につきましては、施行令で定められました期限であります平成三十五年度までに水質改善が完了する予定でございます。また、それ以外の百七十都市につきましては、東日本大震災の被災地の一都市を除きまして、平成二十五年度末までに対策が完了しております。

 引き続き、合流式下水道の水質改善の促進に向けまして、国交省としても積極的に支援してまいりたいと考えております。

    〔委員長退席、小島委員長代理着席〕

井上(英)委員 実際に、合流式を分流式に変えるというのはちょっと現実的には非常に難しいというふうにお聞きもしているので、合流式であっても、先ほど申し上げたような課題、そういう問題が出ないように手を打っていただくということで、残り百七十都市がそうだというふうにも聞いていますので、先ほど言ったように、分流式に変えるというのは現実的に難しいということですから、しっかりとこの合流式の下水道の課題を改善できるように努めていただけたらというふうに思います。

 次に、今後の下水道事業の整備、それから管理のあり方というのについて、少し質疑をさせていただきたいと思います。

 今回の法案で、自治体が財政的に厳しいという状況であるわけですから、それなら、整備や、そしてまた管理等、特に管理等経営を一元的にやった方がいいという議論がいずれ発生してくるんじゃないかというふうに私としては思っています。

 自治体で、下水も含めて、水道なんかもそうなんですけれども、やはり技術職員を採用するということが滞ってしまっている自治体というのもたくさんあります。一定の規模の大きい都市でしたらそれは可能ですけれども、実際、本当に小さい規模の単位で、市町村の町村ぐらいになってくると、そういう技術職員を採用するということも財政的にもなかなか難しいという問題もあります。

 そうなってくると、先ほども申し上げたように、やはりどこかで広域的に一元化をしていくという議論にはなってくると思うんですけれども、現状のように、国の、事業団も含めてそういう組織もあって、地方も当然組織もあるということになるんですけれども、こういうことをずっとやっていると、二重経費的にどんどんお金がかかっていくわけですから、やはりどちらにするのか。地方の自治体に任せるのなら任せる、それからまた、大きく広域的に、一元的にやっていくのならやっていくということで、やはり効率的な形態というのを検討する必要があると思うんですけれども、一元化ということを考える時期にもう来ているとは思うんですけれども、局長、いかがでしょうか。

池内政府参考人 お答え申し上げます。

 確かに、多くの市町村が、技術者が少なくて、非常にマンパワー的に厳しいというのは承知しております。一方で、大都市なんかは物すごく数多くの技術者を抱えておりまして、下水道の体制というのは本当にまちまちでございます。

 そこで、我々が考えておりますのは、やはりいろいろな個別事情に応じた支援策を提供していくことが重要だというふうに考えております。まさに今御指摘ございましたように、広域化というのも一つの手法でございます。

 そこで、今回、協議会という制度を設けました。これはなぜかといいますと、例えば、複数の市町村、あるいは県に入っていただいても結構なんですけれども、共同して汚泥処理ですとかあるいは維持管理、そういったものを行いやすくするように、そういった協議会の制度を設けてやっていくとか、あるいは、地域によってはもう既に実施されておりますけれども、一部事務組合、そういう形もございます。

 やはり各地域地域の実情に応じてさまざまな対応策がとれるように、我々は支援策を充実していきたいというふうに考えております。

井上(英)委員 今おっしゃっていただいたように、私も一元化というか、ただ、それが日本全国で一元化するとなってくると、それぞれの地域の、例えば整備するにしても、そのプライオリティーなんかも含めて、やはり地域で一定判断するというか、地域の方の方がよくわかっているわけですね。ですから、我々としては、今私も大阪なので、大阪の雰囲気でいうと例えば関西広域連合とか、その辺の単位でやはり広域一元化していく。

 ブロックで、それぐらいで一元化していって、下水の皆さん、水管理の職員の皆さんにもおっしゃっていただいたように、例えば大阪の場合は結構下水が、先ほども言ったように古くからやっていることもありまして、技術的には非常にすばらしいものを持っているというふうにもおっしゃっていただきましたけれども、そういうたけているところがより広域的になって、しんどいところにもしっかりと整備また管理が、要は、かゆいところに手が届くような範疇の広域での下水の一元化というのは、やはりこれから考えていくべきじゃないかというふうに思っています。

 全国の自治体全体で、先ほども申し上げたように、技術系の職員がどんどん減っていっているということで、事業団が事業を代行するという傾向がやはり強まっていくだろうというふうに思います。

 事業団自体が現状としてどの程度の規模なのかというふうにやはり思うわけですね。事業団は七百人ぐらいとかいうふうにちらっとお聞きもしているんですけれども、でも、それだけでは、先ほど申し上げたように、日本全国の下水のかゆいところにはちょっと手が届かないんじゃないかというふうに思っています。

 やはり、先ほどから何度も申し上げているように、事業の広域的な一元化というのが必要で、今ある日本全国という単位ではなくて、ブロック単位で一元化していくぐらいの効率性が必要だというふうに思うんですね。

 今現状で、日本下水道事業団は、東と西、東西に分けて、部長級の方がトップになって事務所というのがあって、その下に課長級をトップにした事務所がまた細かくあるというふうには聞いているんですけれども、もう少し格上げをして、権限を持って、それぞれのブロックで専門に考える、そういうブロック単位の広域の一元化というのはどのようにお考えでしょうか。

池内政府参考人 お答え申し上げます。

 日本下水道事業団というのは、もともと技術者の不足する地方公共団体を支援する目的で、都道府県の出資で設立された地方共同法人でございます。

 人数のお話がございましたが、現在、技術職員が約五百三十名、それから事務職員が百二十名、合わせて約六百五十名の体制で業務を実施しております。

 日本下水道事業団では、こういった技術者を全国でプールいたしまして、そして、地域の業務量に応じて機動的に人員を配置しているということでございます。

 また、全国七ブロックに事務所を置いておりまして、結構事務所の方に判断とか裁量権がございまして、地域のニーズに応じて現場に密着した支援を行っております。

 あと、もう一言申し上げますと、恒常的な業務についてはやはり各市町村あるいは都道府県等の各地方公共団体が担われ、下水道事業団というのはあくまで、瞬間的というのは言い過ぎですが、要は、非常に一時的に業務量が増大する場合に機動的に技術者を投入する、そんな組織でございます。

 いずれにいたしましても、今後とも、国交省といたしましては、事業団が適切かつきめ細やかな支援を行うよう指導してまいりたいというふうに考えております。

井上(英)委員 今本当に局長がおっしゃるように、管理者というのが明確にありますので、逆に言うと、余り事業団が出張っていくということが逆にできないというか、管理者のやはり一定のあれもありますので、よくわかります。

 先ほど言われたように、今回は協議会制度というのも創設されるということなので、一部事務組合は議会も要りますし、協議会は要らないというような部分もありますけれども、一方で、そういう議会といいますか、監視するということも、職員の方が好き勝手に工事をばんばんやっていくという意味ではないんですけれども、やはり健全性を担保するためには一定管理できるようなものも必要だ。

 では、協議会のメンバーもやはり人選をしっかりとしていただかないとだめですし、もちろん、下水道という非常に専門性の高い分野なので、我々は、僕もどっちかというと事務屋なので、技術系の皆さんの議論は余りわからないんですけれども、そういう人も選んでいただいて、なるべく健全な形で、そういった協議会も含めてしっかりお願いしたいなと。

 広域化自身は、やはりこれは絶対必要だというふうに思うので、管理者のあり方自体を根本的にこれから議論する、そういう時代が来ているんじゃないかなと我々は思っていますので、また頭の片隅にでも入れておいていただけたらというふうに思います。

 この法改正で、特定下水道工事の代行というのを事業団が一応するということになるんですね。先ほど言われた六百五十人ぐらいの体制だということなんですけれども、これでどんどん各地方から代行をやってくれという議論になってくることによって、当然、事業団はそれは職員も含めて派遣するんですけれども、まさか、これ幸いに、行革の流れに逆行して、事業団の人員がどんどんふえていくということはないでしょうか。どうですか。

池内政府参考人 お答え申し上げます。

 例えば、今回、下水道事業団は維持管理を実施することになっておりますが、この趣旨は、ずっとやり続けるという意味ではなくて、例えば、二、三年程度業務を代行して、そういった中で市町村の職員の方に実際のそういうノウハウみたいなものをお伝えして、お伝えできればまた去っていくというふうに、恒常的ではなくて、そういうテンポラリーにやることを想定させていただいております。

 したがいまして、業務量自体、現在見積もっておりますと、現在の下水道事業団の業務量に対して、私の計算では数%程度の業務量でございまして、そんなに大きなボリュームを占めるというものではございません。

    〔小島委員長代理退席、委員長着席〕

井上(英)委員 はい、わかりました。ありがとうございます。

 今回は、水防法ということで、内水と高潮というのがメーンになってくるんですけれども、関西の場合は、昔、阪神・淡路大震災というのもありまして、これは直下型でしたけれども、四年前には不幸にも東日本大震災というのがあって、やはりそういう地震や津波、そして今回言われているような高潮だとか内水だとか、そういったものに対する浸水対策というのは特に必要じゃないかというふうに思っています。そういう意味で、今回の改正については、想定を上回る最大クラスの対策に着手するというところですから、我々も一定の評価をしております。

 しかしながら、計画策定が先行している地震、津波対策も全国的な取り組みが始まったばかりであって、今回の水防法の改正案における洪水や高潮対策とともに、やはり最大クラスの災害を想定した堤防などの施設整備というのに引き続きしっかりと取り組んでいただきたいというふうに思っているんですけれども、大阪においても、東南海だとか南海地震のおそれで、津波に対しての警戒感というのは非常にあります。

 そういった中で、防災・減災ということに資する耐震対策、堤防などのそういう施設整備に対して、大阪府と市で出しているのは、十年間ぐらいでおおむね二千億ぐらいのお金がかかるんではないかと。でも、それをやはり住民の皆さん方の生命財産を守るということでやっていきたいということを大阪は言っているんですけれども、そのことについて、北川副大臣、何とかサポートをよろしくお願いしたいと思うので、いかがでしょうか。

北川副大臣 井上委員、十分に御認識いただいておりますように、委員の地元も含めて大阪というのはゼロメートル地帯が非常に多いわけでありまして、人口や社会経済の中枢機能というもの、あるいはまた地下空間、こういうものが非常に高度にゼロメートル地帯に集積をしておるという地域であります。

 このような状況で大地震が発生しますと、液状化によって堤防が沈下するというようなことも考えられるわけで、その後の津波あるいは高潮によって都市として壊滅的な浸水被害が発生するということが想定されます。

 したがって、委員御指摘のとおり、大阪の河川堤防や海岸堤防の耐震対策というのは非常に重要であるというように考えております。

 国土交通省としましても、大阪府の取り組みに対しまして、大変限られた予算ではありますけれども、防災・安全交付金により引き続いてしっかりと支援したい、こういうふうに思っております。

 以上でございます。

井上(英)委員 力強いお言葉、ありがとうございます。

 それでは、私の質疑を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

今村委員長 次に、足立康史君。

足立委員 維新の党の足立康史でございます。

 国土交通委員会に配属をいただきまして、最初の質問を三月二十日にさせていただきました。

 ちょっと声がかれていて済みません。自分の選挙より声がかれていまして申しわけございません。

 この委員会に配属をいただいて、三月二十日の最初の質問のときに、京大の同窓である藤井教授の都市計画の話をちょっと取り上げまして、太田大臣はたしか予算委員会か何かでちょっと外されているときでありましたが、きょうは関係ありませんが、都市局長に大分声を荒げてというか、いろいろやりとりをさせていただいて、また、北川副大臣にも御答弁をいただいて、何といいますか、この議場を荒らしまして、大変失礼しました。

 私は、当選一期目のときはずっと厚生労働委員会におりまして、今もそうなんですけれども、厚生労働委員会は議場が荒れることが多くて、それが普通かな、こう思っていたものですから、今村委員長を初め国土交通委員会の先輩議員の皆様方には大変不愉快な思いをさせたかもしれませんので、一言陳謝をしたいと思います。特に金子筆頭には、ふだん何かと御指導いただきまして、ありがとうございます。

 大臣、法案の審議に入る前に、ちょっと一言だけ、またこれで御質問すると申しわけないんですけれども、実は藤井さんの話を、大先輩、繰り返しになりますけれども、太田大臣と不肖私とそれから藤井教授は同じ学科でありまして、太田大臣の私は弟子みたいなものでありますので、一言御指導いただければ。

 実は三月二十日の質疑で、私が都市計画の話について、藤井教授が、都市計画の観点からいうと、言ったら今大阪で議論になっている、この話題はもうしませんけれども、大阪で議論になっている大阪都構想は大阪の人たちを不幸にするというか、大阪をだめにするんだという論陣を張っていらっしゃるんです。その論陣の根拠が都市計画論だったものだから、都市局長さんにいろいろ御質問したわけです。すると、私たちの同窓の藤井教授が、政治圧力だ、学問の自由を封殺する暴挙であるというふうに今ネット上でふれ回られているんです。

 私にすると、例えばピケティさんというのがありますね、資本主義の。ピケティというフランスの学者の議論を、予算委員会で与野党でアベノミクスをめぐってさまざまな議論が闘わされているわけですね。いろいろなピケティに賛成する意見も反対する意見も出る。それに対してピケティが、日本の国会は学問の自由を封殺しているなんということは言わないわけでありまして、やはり都市計画であれ、こういう地球温暖化の雨の問題であったり、いろいろなものについて学者さんの学説をここで取り上げて、ちょうちょうはっし政府と議員が国会で議論するのは何ら問題ない。うなずいていただいている方もいらっしゃいますが、先生ありがとうございます。

 何ら問題ない。大臣、一言、何ら問題ないということで御答弁いただければ、藤井教授に対する、ある種の後輩に対する指導にもなるということで、ぜひお願いしたいと思います。

太田国務大臣 国会は、自由に、みずからあるいは党の考え方について、また普遍的な理論ということを闘わせる、そういう場であろうというふうに思います。品というのはちょっと大事なことかなと思いますけれども、自由に論議をするというのが国会の場であると思います。

足立委員 ありがとうございます。藤井教授に対しても指導いただき、また私に対しても品の点で御指導いただいたということで、心から感謝を申し上げたいと存じます。

 きょうは水防法の改正案ということで、ちょっと根本的なところから御質問したいと思うんです。

 大臣、実は、私はそれこそ大学で勉強したという意味では素人だとは言えないんですが、久しくかかわっておりませんで、なかなか勉強不足なところがございますが、法律改正をするときに、その前提となる立法事実みたいなものをしっかりと確認しておくことは当然であると思っていまして、例えば今、安全保障の議論を与党でずっとしていただいています。これは質問しませんよ。安全保障の議論をしていただいていますが、例えば日本の安全保障環境が変わっているんだ、こういう議論をして今そういう議論がある。すると、日本の安全保障環境はどう変わっているんだということをけんけんがくがく議論するわけです。

 そういう観点でいうと、今回の水防法の改正案に当たって、法案の趣旨等に、とにかく想定を超える浸水被害が多発しているんだ、こういうことが前提になって議論が始まっているわけでありまして、私も実は実感としては全く同意です。

 私の地元は大阪府の一番北なんですね。ちょうど町と山の端境というか、町と山に両方重なるところの、摂津の国の北側で北摂という地域がほぼ私の選挙区なんですけれども、すごいんです、最近の雨が。アメダスの図でいうと、真っ赤なのがぱあっと抜けていくんじゃないんですね、真っ赤な塊がばあっと滞留して、本当に大丈夫かと思うぐらいの雨が結構頻発をしています。そういった意味では、想定を超える雨が、何か最近違ってきているなという印象は強く持っているわけであります。

 想定を超える浸水被害が多発しているんだ、この入り口のところについて、大臣の御認識を伺えればと思います。

太田国務大臣 最近は雨が局地化、集中化、激甚化していると多くの人が実感をしていると思います。しかし、その実感というものは、例えば地球温暖化によるんだ、こういうことを言いがちでありますけれども、そんな感じは、例えば北極海航路が始まったというようなことを見れば言えるかもしれませんが、しかし、科学的な知見としての原因としては、地球温暖化と断定は現在のところしていないというふうに思います。

 長期的な視点からいいますと、今世紀末にはというような言い方はされておりますが、短いスパンの十年とか二十年というようなことでは、温暖化ということの関連性は、なおかつ研究をするという課題であろうというふうに思います。

 しかし、統計的に見ますと、時間雨量が五十ミリを上回る雨の発生件数が、一九八〇年代に対して直近十年までは一・四倍に増加しているという統計的な現象がございます。

 また、足立委員が土木の出身だということもありますからあえて申し上げますと、このあらわれている現象ということが、今までにない現象があらわれてきている。

 例えば、平成二十三年、四年前でありますが、紀伊半島の山地において、深層崩壊という新しい大々的な現象が起きました。伊豆大島における二十五年の土砂災害では、上から見ましてもどこに土砂が流れるかわからない、争奪戦のような、河川争奪という現象が起きています。また、昨年の広島でも、線状降雨帯というのが構成されて、バックビルディング現象というようなことが起きています。また、竜巻もこれほど起きてきているという状況はないと思います。この数日間は非常に天気が荒れてきているというような状況もございます。

 こうした質の点で今までにないことが起きているということと、統計的に見てこの直近十年と八〇年代を比較しますと一・四倍になっているというようなことから、私たちは、実感ということも加えて、局地化、集中化、激甚化してきている。こういうことを、むしろ、災害対策という私たちの観点からいいますと、学問的にどうかというよりも、現実に起きてきているということを直視して、それに対応していかなくてはならないということが私の一番考えていることでございます。

 そういう意味では、そうした科学的知見と、そして実感ということの両面、しかし、まずそうしたことが現実にいろいろなところで起きてきている以上、私たちは対策に乗り出すということが大事だろう、こういうことで、河川であれ、下水道であれ、都市水害であれということで対応させているところでございます。

足立委員 ありがとうございます。

 おっしゃっていることはよくわかります。今まさに、災害対策という観点から現実を直視して、これは当然放置できないわけですから、今回の法改正も含めて御対応いただくということで、御趣旨、大変よくわかります。

 一方で、もちろんそれはわかった上ででありますが、実は、今おっしゃっていただいた一・四倍、この一・四倍に、いわゆる短時間の強雨、こういったものがふえているということであります。

 きょうは、私、紙をちょっと配付させていただいています。これはもう皆さんからすればよく御存じのことかもしれませんが、異常気象レポートというのを気象庁さんが出しておられて、これのあるページを印刷させていただいたものであります。

 今大臣から一・四倍ということは御紹介をいただいたわけですが、もう少し丁寧にというか、こういう最近の短時間強雨を初めとする降雨の傾向、これをちょっと御紹介ください。

西出政府参考人 気象庁では、約千三百カ所の地域気象観測所、これはアメダスでございますけれども、アメダスを運用いたしておりまして、毎時の降水量の観測を行っております。

 アメダスの運用を開始した一九七六年以降の三十九年間の観測データを用いまして、一時間当たり五十ミリ以上の短時間強雨の年間観測回数を分析いたしましたところ、明瞭な増加傾向があらわれております。

足立委員 ありがとうございます。

 詳細はこの紙にありますので、今長官がおっしゃっていただいたとおりであります。

 私の主たる関心は、今こうして御紹介をいただいた、この図を見ていただいたらおわかりいただけるように、いわゆる雨の降り方は明確に、おおむね多くのケースで、多くの切り口で、傾向としてふえてきている。それが、これを見ると一五〇ポイントが二五〇ポイントまで上がっていたりとか、大変大きな変化だと私は思うんですね。

 この雨の降り方の変化が、では、いわゆる水局でハンドリング、マネジメントしていただいている関連の施設をつくるときの基準になっている考え方にどう影響しているか、端的に言うと流量にどう影響しているかというのが主たる関心なんです。ちょっと余り御答弁を先にあれしていただくと質疑が終わっちゃうんですが、きょうはこのテーマだけで通告させていただいています。

 まず、順番に行くと、今のような、ここのグラフにあるような雨の降り方の変化が河川の流量にどう影響していると考えたら、要は理解をしたらいいのか。これは一般論で結構ですので、ちょっと御答弁いただきたいんです。

池内政府参考人 お答え申し上げます。

 一般論でございますが、降雨の量、時間分布、それから地域分布、こういったものが変化すれば河川の流量に当然影響を与えます。ごくごく簡単に言いますと、雨の量が増加すると洪水の流量も増加することが一般的でございます。

足立委員 おっしゃるとおり、素人でもそう思います。

 一方で、ごめんなさい、ちょっと時間がなかなかなくて、十分なデータというか、事前のやりとりを事務方とやらせていただく時間がなかったんですが、資料の裏側に、私の地元である大阪、いわゆる淀川と、それから、本当の地元で北摂に茨木市というのがありまして、その茨木市の安威川、今ちょうど安威川ダムを国の御支援もいただいて、これも京大の同窓の皆さんが一生懸命今取り組んでいただいているプロジェクトであるわけでありますが、これがちょっと、流量についてわかるものがあればということでいただいたのがこれなんです。

 これは、それぞれの基準地点の年最大二十四時間雨量というこの数字ではよくわからないんですけれども、今局長がおっしゃったように、雨の降り方は当然流量に影響する。それは、施設整備をする、ハードの整備をしていく、河川関係の、水関係の整備をしていくに当たっての基準となる流量、これに影響はあるんですか、ないんですか。どっちですか。

池内政府参考人 お答え申し上げます。

 雨の、単純な雨量だけではなくて、降り方とかあるいは分布によって変わってまいります。例えば、非常に大河川ですと、ピンポイント的に集中豪雨が降った場合は影響はなくて、むしろ流域全体にじわじわ降った場合がききます。一方で、都市河川の場合ですと、非常に流域が小さいですから、ピンポイント的に短時間でも降ると非常に流量がふえますので、あくまでもその河川の流域の大きさ、それから雨の雨量分布、そういったものに左右されるものでございます。

足立委員 おっしゃるとおりなんだけれども、すると、局長、大臣も先ほど御答弁くださったように、局地化、集中化、激甚化しているんです。していると思います。みんなそう思っています。それはさまざまな施設整備に今影響を与えているんですか、どっちなんですか。

池内政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、局地化、集中化といった場合には、いわゆる流域の小さな河川あるいは下水道等に影響が出てまいります。

 そういった意味では、昨今、下水道の整備目標が例えば五十ミリとやっておりましたが、これもしばしば出てきておりますので、地域によっては、今までの五十ミリより、より高い、例えば東京都では七十五ミリとか、地域によっては六十ミリとか、より高い目標に設定し直して対策を講じております。

 また、河川の場合も、これは各河川によるんですけれども、例えば、非常に、従来考えていなかったような雨あるいは洪水が発生して被害が大きく出た場合には、その時点でやはり整備の内容を見直したりということはございます。

足立委員 くどいようですけれども、すると、例えば、別に地元に引っ張るつもりはないんですけれども、きょう御提示をしたこの二つの川、規模は全然違います。淀川と、本当に安威川というのは私が小さいころから遊んでいた川なんですけれども、この二つの河川を管理する上においての前提となる流量の基準みたいなもの、私が言っている基準というのはもしかしたら理解が違うかもしれません、私は素人なので。

 例えば、原子力で基準地震動というのが今問題になっていますね。あれはまさに防災の観点から原発の安全性を考えるときに、これぐらいの地震は起こっても大丈夫だという基準地震動というのを定めるわけだけれども、それを福井地裁がひっくり返したりして、むちゃくちゃになっているわけです。

 そういうのと同じパラレルでいうと、もし局地化、集中化、激甚化しているんだということであれば、私もそう思います、そうあるんだと思うと、普通はいろいろな基準が変わっていくんだと思うんです。

 ただ、私は、基準が変わったからといって、日本じゅうのいろいろな施設に急に手を入れるとか、あるいはお金をどんどんつぎ込むとかいうことを希望して申し上げているんじゃないんですよ。もっとニュートラルに申し上げているわけです。

 ちなみに、この淀川のそういう基準となる流量というのは見直されているんですか、されていないんですか。

池内政府参考人 ただいま委員の方からこういう資料提供がございましたが、このグラフを見てもわかりますように、淀川流域の基準地点枚方における、お示ししていただいたのは雨量でございますが、雨量を見てもちょっと明確な傾向はございませんが、流量で見ても、淀川の基準地点の枚方における昭和二十七年から平成二十五年までの六十一年間の年最大流量というのをちょっとプロットさせていただきました。そうすると、大ざっぱに申しますと、全体として顕著な傾向は淀川では見られていないということでございます。

 また、これまでの最大洪水は平成二十五年九月に発生しておりますが、もしこのとき、ダムによる調節や氾濫がなかったとした場合には、その流量は一万二千トン。それから、二番目は昭和二十八年九月で同じく一万二千トン、三番目は昭和三十四年九月で一万トンとなっておって、さまざまな年代でも大きな洪水が発生しております。

 それから、今御指摘の安威川、大阪府が管理しておられますが、この安威川の桑原橋地点における昭和四十五年から平成二十年の三十八年間の流量を見た場合でも、やはり、雨と同様、顕著な傾向は見られないということで、例えば、この桑原橋地点の最大洪水は平成十一年六月で、その流量は約六百トン、二番目は平成五年七月で約四百トン、三番目は昭和五十八年九月洪水で三百トンとなっておって、やはりさまざまな年代で大きな洪水が起こっている、だけれども、明確な傾向は今のところは見られていないというのが実態でございます。

足立委員 ありがとうございます。

 これは本当に興味深いというか、興味深いと言ったら怒られますけれども、この二十年、三十年、雨の降り方が変わってきていることは、先ほど気象庁長官からいただいたもの、あるいは私がお配りしているデータを見ても明確に出ているわけでありますが、一方で、今局長がおっしゃったように、実際の河川の挙動というかを見ると、必ずしも明確な変化が観測されたとは言えない。あるいは、動きが激し過ぎて、例えば過去に大きな台風とか大きな洪水とかがあった時代の、昭和二十年代、三十年代とかのいろいろな事象が大き過ぎて、もしかしたらその変化が統計的には消えてしまうだけなのかもしれません。それはわかりませんが、ただ、今局長から御答弁いただいたことは確認をさせていただきました。ありがとうございます。

 その上で、最後に私が残る時間で確認したいことは、もう数分しかありませんが、今後ですね。

 釈迦に説法でありますが、皆様というか国交省でマネージをいただいている施設、土木施設、インフラ、河川の関係のいろいろな施設、これは耐用年数、法定の耐用年数だけでなくて、実際それが供用される期間は、七十年から百年か、もっとかもしれません。大変長いわけですね。では、それを見越して施設整備をしなくていいのかなと素直に思うわけであります。

 まず、この気象レポートにもございますが、今後の降雨の見通し、五十年後でも百年後でも結構ですが、この報告書でまとめておられる内容を簡潔に御紹介ください。

西出政府参考人 今後の降雨の傾向に関する見通しでございますけれども、気温の上昇に伴って大気中に存在し得る水蒸気量の上限は増加しますので、例えば地球温暖化の進行により、強い雨によってもたらされる降水量は増加することが考えられます。

 気候変動に関する政府間パネル、IPCCでございますけれども、IPCCが二〇一三年に公表した第五次評価報告書によりますと、我が国を含む中緯度域では、今世紀末までに大雨等の極端な降水がより強く、頻繁となる可能性が非常に高いというふうに予測してございます。

足立委員 この数字を見ると、本当に大変な予測がされているわけです。

 だから、私は、先ほど申し上げたように、余り過度に、まあ激甚化という議論もありますが、そこにお金がとにかく集まっていくということが、必ずしも全体の、ハードとソフトという議論もありますから、必ずしも最適だとは思いませんが、ただ、今紹介があったような将来のIPCC等の見通しもありますので、いわゆるそういう降雨の将来見通しを踏まえたような施設整備が、少なくとも頭の体操はしておく必要があると思うんです。

 今でもそれをされているのかもしれませんが、されているのかされていないのか、あるいはする必要があるのかないのか、そのあたり、ぜひ大臣から御見識を賜れればと思います。

太田国務大臣 今世紀末にはという、今、一・一倍から一・三倍ぐらいに、大河川での最大流域雨量がそうなるという大きな流れというものは見ておかなくてはいけないと思います。

 それから、短期という、今考えてみても、集中化し、激甚化し、局地化しているという現象は間違いなくあるというふうに思います。

 それへのということをよく踏まえて、そして、私たちは、さっき言いましたように、防災ということの責任を担っておりますから、現在とちょっとステージが今までと変わったぞということで、私が指令を出して研究しておりますのは、ステージが変わったということをむしろ直接直視して、それへの対応をするということの準備を始めていこうということです。

 そして、そのことの施設等の、何によってそれをなすかということについては、例えば河川ということは堤防を強くすればいいというお話ではありませんで、常に河川というものについては、川をなだめるという、従来の、江戸時代以来の日本の伝統手法というものを堅持しながら、堤防を上げるということ、そして川幅を広げるということ、京都やいろいろなところではそういうことが必要だと思います。

 川幅を広げる、そして川底を掘る、遊水地をつくる、放水路をつくる、ダムをつくる、この合わせわざをどのようにしていくのかという手法が大事であり、都市の水害ということにおいては、下水道の整備ということや河川ということの今申し上げたような手法の中で、流すということ、そして調節池などの整備によってためるということ、そして浸透升などの整備によりしみ込ませるというようなこと、それぞれのところで、多様な手法をもってバランスをとって、何の手法が一番いいかということをよく吟味しながら、施設の整備ということをしていくということが大事だというふうに考えているところです。

足立委員 時間が来ましたので終わりますが、今まさに大臣から御答弁いただいた内容、全く異論ございません。

 まさに今、きょう私が御指摘申し上げたような点について、大臣の御指示で検討いただいているということも伺っておりますので、ぜひ精力的にこういった分析も進めていただいて、防災に努めていただきますようお願い申し上げて、私の質問を終わります。

 大変にありがとうございました。

今村委員長 次に、本村伸子君。

本村(伸)委員 日本共産党の本村伸子です。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 下水道法の改正に関連して、お伺いをしたいというふうに思います。

 東日本大震災で被災された自治体の皆さんへの支援について、ほかの地域の各自治体の職員の皆さんの応援が、下水道の復旧、被災地の皆さんの復旧復興に大いに役立ったというふうに皆さん方もお感じだというふうに思いますけれども、まず、水道の方のお話で少し確認をさせていただきたいというふうに思います。

 二〇一二年三月二十二日、参議院の総務委員会の中で、東日本大震災の支援を行った水道事業の職員の皆さんについての日本共産党山下芳生参議院議員の質問に対して、藤田一枝大臣政務官はこのように答弁をされました。「職員数は年々減少しているという実態もございます。しっかりとこの応援体制が十分であったかということについては検証してまいりたい、そして今後の広域災害に対する応援体制の構築、ここに反映をさせてまいりたい、」という答弁をされました。

 きょう、厚生労働省にも来ていただいておりますけれども、藤田大臣政務官の、東日本大震災の応援体制が十分であったか検証し、広域災害に対する応援体制の構築をしていくという答弁について、この検証結果と応援体制の構築がどうなったのかをまずお示しいただきたいと思います。

福本政府参考人 お答え申し上げます。

 厚生労働省では、東日本大震災の水道被害への対応につきまして、水道関係者への調査などを行いまして、平成二十五年三月でございますけれども、東日本大震災水道施設被害状況調査最終報告書として取りまとめを行っております。

 その報告書の中身についてかいつまんで申し上げますと、一つには、被災対応の応援状況でありますけれども、当時被災をしました九十三の水道事業者でありますが、そこに全国五百五十二の水道事業体から延べで四万六千人の人的支援を実施しております。

 その報告書の中で、二つ目に、体制面から見た復旧状況についてでありますけれども、発災直後から初動体制や応援の受け入れ体制が確保できたような水道事業者においては、速やかな復旧により断水期間が短くなっているというような状況がある一方で、被害状況を確認する漏水調査の人員でありますとか、あるいは復旧の計画を策定する人員の不足をしたような水道事業者においては復旧がおくれる要因になったというふうに整理をいたしております。

 三つ目には、今後の体制整備に関する課題として、広域的な応援体制の確立でありますとか、現場実務を効率的、効果的にする工夫などが必要だということで総括をいたしております。

 これらの報告書の検証結果を受けました対応としては、水道事業者から成る団体でありますけれども、日本水道協会において広域的な災害対応のマニュアルの改定をいたしました。それとともに、各水道事業者において、広域連携の訓練の実施等によりまして職員の災害対応に対するスキルアップを図ってきておるところでありまして、今後とも災害対応の体制整備に努めてまいりたいと考えているところでございます。

本村(伸)委員 今、水道の事例でお伺いをいたしました。

 下水道の分野でも、各自治体の職員の皆さんが応援に行って、下水道の被害について、先遣隊としても地震の翌日に現地に到着をしたり、一次調査や二次調査などなど、奮闘されていたわけでございます。被災地の下水道の復旧復興についても、ほかの地域の自治体の職員の皆さんが大変大きな役割を果たしているというふうに思いますけれども、太田大臣の認識をお伺いしたいと思います。

太田国務大臣 東日本大震災におきましては、下水道施設も大きな被害を受けました。その復旧復興につきましては、被災直後から現在まで、全国から、下水道につきまして、延べ七千人の地方公共団体職員が被災地に派遣をされました。現在も約七十人が派遣をされているという状況で、ほとんどが下水道に関しての技術者でございます。

 派遣された職員は、発災直後には、管渠、処理場などの緊急点検や調査、仮設配管などによる応急工事、あるいは、施設の本格的な復旧が始まってからは施設の設計及び工事に当たっての施工管理、これらを行うなど、迅速な復旧に向けまして重要な役割を果たしていただいている、このように認識をしております。

本村(伸)委員 ありがとうございます。

 大臣も言われましたように、東日本大震災で、下水道の職員の方々が大変重要な役割を果たしておられるわけでございます。今後想定をされます南海トラフ巨大地震のことを考えましても、やはり下水道職員の皆さんの役割については決して軽視をされてはならないということを、このことからも痛感をしております。

 次にお伺いをいたしますけれども、下水道の老朽化の実態、老朽化等によって起こる問題、そして、今後の改築更新コストの見通しについてお示しをいただきたいと思います。

池内政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、全国の管渠延長は約四十六万キロメートル、下水処理場は約二千二百カ所に上っております。

 このうち、標準的な耐用年数とされる五十年を経過した管渠は約一万キロメートルで、約二%になっております。

 また、機械、電気設備の標準的な耐用年数でございます十五年を超えている下水処理場は約一千三百カ所で、約六〇%に上っております。

 今後の老朽化の進展によりまして、管路の破損等による道路陥没や汚水の流出、それから処理施設の停止による公共用水域の水質悪化などが考えられます。

 今後の改築費用につきましては、現在の技術水準を前提として計算いたしますと、十年後には約〇・八兆円、二十年後には約一兆円と推計しております。

本村(伸)委員 改築更新コストというのはどんどんふえていくということが、今後予想されております。

 次にお伺いをしたいんですけれども、管路施設の点検、調査を実施している自治体というのはわずか二から三割ということですけれども、なぜ点検、調査さえ行われていないのか、その原因についてお伺いをしたいと思います。

池内政府参考人 お答え申し上げます。

 下水道事業を実施している自治体のうち、下水道管渠の計画的な点検を実施している割合は現在約二割でございます。

 一方、標準耐用年数である五十年を超えた管渠の延長は全国で約二%、それから、管理する自治体の数からいいますと約一割でございます。他のインフラと比べますと、老朽化施設の占める割合は低い状況にはございます。

 また、これまで下水道管渠は、普及の観点からやはり建設事業が中心となっておりまして、維持管理への意識が十分ではなかったというふうに考えております。

 これらのことから計画的な点検、調査が実施されてこなかったということで、今般法改正を提案しておりまして、その中で維持修繕等の基準を設置してまいりたいというふうに考えております。

本村(伸)委員 点検、調査されていないという現状の中で、やはり人が足りないという点もあるというふうに思います。

 もう一つお伺いをしたいんですけれども、自治体の下水道職員がどんどん減っているという実態とその原因、そして、下水道職員の皆さんが減っているということによる問題点についてお示しをいただきたいと思います。

太田国務大臣 地方公共団体の下水道技術職員は、平成十四年度から二十四年度の十年間で約二割減少をしています。そのうち、建設職員は約三割、維持管理職員は約一割減ということでございます。

 この原因は、地方公共団体における下水道の建設の方を中心にしてきたというこれまでの傾向がありましたものですから、下水道の建設事業量が減少したということ、そして財政状況の悪化に伴う行政改革等によるものであると考えています。

 このような中でも、地方公共団体においては、民間企業への業務委託や新技術の導入等によりまして、最大限の業務効率化に努めていると認識をしています。

 今後、施設の老朽化が進展していくので、より適切に維持管理、更新を行っていくためには、地方公共団体の執行体制の確保は重要である、このように認識をしております。

本村(伸)委員 ありがとうございます。

 現場の方のお話ですと、下水道職員をふやすことをせずに、人がいないからということで安易に広域化しますと別の問題が出てくるんだ、広域化、遠隔化となると、現場に行く機会が減って関心が薄れ、技術もなくなっていくんだ、機器の現場操作もわからない職員となってしまって、非常時に対応できないんだ、地震で遠隔操作ができなくなれば現場操作は必ず必要なんだ、こういうことができなくなっていくんだというお話をお伺いいたしました。

 そして、もう一つ、人がいないからといって、またこれも安易に民間活用ですとか民営化をどんどん進めてしまうということになれば、下水道管理において最終責任を負わなければならない自治体がチェックできない、そういう行政になってしまうという問題も発生してまいります。

 国土交通省の下水道政策研究委員会でも、そして社会資本整備審議会の分科会の資料でも、新下水道ビジョンなどの資料でも、監視、評価する自治体職員の技術力低下など課題があるんだというふうに指摘をされております。とりわけ、先ほども申し上げましたように、非常時の対応ということはいつも考えておかなければならない問題だというふうに思います。

 民間委託、民間活用ということで安易に行えば、非常時の対応、大規模災害時の対応が本当に確保できるのかということが問われるというふうに思います。最終責任を負っている自治体職員であれば、やはり迅速な判断や対応ができることにもつながっていくというふうに思います。

 非常時はグレーゾーンということが結構出てくるということで、結局、対応のおくれにつながって、責任が曖昧になってしまうということにもつながってまいります。やはり、必要なところに人材あるいは機器、予算を確保しておくべきだということを思います。

 先ほども大臣がお話しされましたけれども、今、自治体リストラということで、職員の数を一律に減らしている現状があるわけですけれども、必要な人材まで削っては絶対にならないというふうに思うわけでございます。

 技術、技能を失った自治体では、やはり技術、技能を持った職員を十分確保するように国としても責任を持ってやるべきだというふうに思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

太田国務大臣 そういうメンテナンスを初めとして維持管理をしっかりしていかなくてはいけない、道路の陥没というようなこともある、気象状況も変わってきた、こういう中でどう対応するか、そこの担い手ということについては極めて大事な課題であるということを認識しておりますし、それゆえに、今回法案を出させていただいて、そこの執行体制の確保ということについて、担い手の確保ということも含めて体制をとらせていただきたいと思っているところです。

 この執行体制の確保は重要な課題であるということは認識しておりますが、方策はいろいろ地方公共団体が判断をしていくということになります。

 国交省としましては、下水道事業が適切に実施されるように、職員の技術力不足やマンパワー不足の対策として、さまざま支援措置を講ずることとしています。

 具体的に、この法案で、対策の一つであります下水道事業の広域化、共同化を進めるために、協議会制度の創設を盛り込みました。

 また、日本下水道事業団による地方公共団体への支援策を充実するということにしています。

 国交省としては、地方公共団体が実情に応じた方策を選択できるよう支援をしてまいりたいと思っております。

本村(伸)委員 入札、発注するにしても、それがよい技術なのか、安全性は大丈夫なのかということを見きわめる力が、自治体職員、行政の側に必要だというふうに思います。人がいない、現場を知らない人ばかりだ、長年、知識、技術などを研さんした人がいないということになれば、やはり公としての責任がとれないということにもつながりかねないというふうに思います。ぜひ、技術、技能を持った自治体職員の方を十分に確保していただくということを求めて、次の質問に移りたいというふうに思います。

 次は、水防法の改正について御質問をさせていただきます。

 今回の水防法の改正の一つに、洪水想定区域について、想定し得る最大規模の降雨を前提とした区域に拡充をする、内水、高潮の区域も含めて拡充していくと。それは、避難の確保、災害の軽減という点で大事な内容だというふうに思っております。住民の皆さんの安全を確保するという点でとても大事だというふうに思います。

 この洪水想定区域とまちづくりという観点からお伺いをしたいというふうに思います。

 先ほどもお話がありましたけれども、私が住んでおります愛知県というのは何度も水害の被害に遭っております。

 近年、大きな被害をもたらした災害では、二〇一一年九月の台風十五号の被害がございました。名古屋市守山区桔梗平では、庄内川につながる排水路の水門を閉めた後に排水路があふれて、新興住宅街が浸水をいたしました。その年の五月に入居したばかりという方で、水路を閉めることの広報がおくれ、一時自宅で取り残されたという方もみえました。広報については、岡崎市でも、広報がおくれ、亡くなった方もおみえになられました。

 私どもも国土交通省に要請をさせていただき、庄内川の堤防のかさ上げの工事などは次の年の出水期までにはやっていただける、堤防の高さを確保するという工事を実施したわけですけれども、この二〇一一年九月の守山区の水害による被害に関連して国土交通省がとった措置について、まずお伺いをしたいと思います。

池内政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十三年九月の台風十五号による豪雨では、庄内川の堤防から越水するなどの事態となりまして、名古屋市や春日井市などにおきましては、浸水面積約百九十ヘクタール、浸水戸数約六百九十戸の被害が発生しております。

 この被害を契機といたしまして、国土交通省は、平成二十三年十月に庄内川において緊急的な治水対策に着手しております。

 具体的には、名古屋市守山区におきまして、二・四キロにわたる堤防のかさ上げ、それから七百メーターにわたる河道掘削などを実施し、これらの対策を平成二十四年五月に完了しております。

 これらの対策を行った区間では、平成二十三年九月の洪水に対しても、堤防からの越水は生じないようにすることはできると考えております。

本村(伸)委員 この守山区の新興住宅街は、そもそも名古屋市のハザードマップで三メートルから四メートルの浸水する地域となっておりました。しかし、住宅が建設をされ、開発をされ、結局、浸水をしてしまったわけでございます。住宅を買った皆さんが災害リスクを認識するような説明も受けていなかったし、建築基準法の安全上の必要な措置も事実上講じられていなかった。名古屋市が災害危険区域として指定をしておらず、法律上の建築物の建築の禁止、その他建築物の建築に関する制限もありませんでした。

 家を買うというのはやはり人生最大の買い物だ。床上浸水しない安全なところに建てて安全が確保されるというのは、私は最低限確保されるべきだというふうに思います。

 もともと浸水して大きな被害が出るということがわかっている地域に住宅などができて被災をするという事例は、愛知県内でも多々あるわけでございます。

 今回の改正では、ハザードマップも想定し得る最大規模の降雨を前提としたものになるわけですけれども、そのハザードマップで深刻な水害に遭うということがわかっている地域については、住宅建設などの開発行為を事前に規制し、災害を予防することが必要だというふうに思います。少なくとも、床上浸水しないようなしっかりとした対策をとらなければ建設してはならないというふうに国としてもやるべきだと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

太田国務大臣 日本全国を回ってみますと、ここに座っていらっしゃる人の地域で、床上浸水の可能性があるところを全部規制してしまって、そこには家を建てないというようなところまではこの水防法の改正では考えておりません。

 土砂災害防止法においては、ここは、建築物に損壊が生じて住民等の生命または身体に著しい危害が生じるおそれがある区域として、これを特別警戒区域としまして、特別警戒区域において建築物の構造規制等を設けているという状況にございます。

 この水防法改正では、洪水のほか、内水、高潮につきまして浸水想定区域を指定することとしておりますが、これは土砂災害とは異なりまして、建物自体が壊れるという危険性が小さく、二階等にも避難することによって命を失うというような被災を回避できるケースが多いということ、避難のためのリードタイムを確保できること、そうしたことで、どうこれを回避するかという、ハードだけでなくて、ソフト面ということも考えての今回の法の構成になっています。人命を守るためには、的確に避難をするということも極めて重要なことだと考えているわけです。

 このため、水防法では、土砂災害防止法における特別警戒区域に相当する制度は設けず、的確な避難を促すためのソフト対策ということについて、ハザードマップを初めとして対応しているというのが法の構成になっているところでございます。

本村(伸)委員 これからのまちづくりの観点でお話を伺っているわけですけれども、ことし一月に国土交通省から出されました「新たなステージに対応した防災・減災のあり方」という文書の中でも、災害の発生の危険性が高い区域にはできるだけ人が住まないようにすることが重要だということが指摘をされております。そのこともよく認識をしていただければというふうに思います。

 先ほども申し上げましたけれども、名古屋市守山区の水害の例では、名古屋市が災害危険区域として指定をせず、建築にかかわる規制がかからなかったということが問題であったということも思いますけれども、二度とこうしたことがないようにということも強く要望したいというふうに思います。

 先ほどもお話をいたしました「新たなステージに対応した防災・減災のあり方」という文書の中には、次のような指摘もございます。「住民の生命又は身体に著しい危害が生ずるおそれのあるような非常に危険な区域においては、新たな住宅の建築を抑制したり、既に居住している住宅を安全な構造のものへと改修することや移転すること等を促すため、建築基準法に基づく災害危険区域や土砂災害防止法に基づく特別警戒区域等の指定の促進を図る必要がある。」というふうに書かれております。

 この指定の促進というのは、少なくとも早急に行うべきだというふうに思います。国としてどのようにこの指定の促進というものを図っていくのか、災害危険区域、土砂災害の特別警戒区域、それぞれお答えいただきたいと思います。

橋本政府参考人 お答え申し上げます。

 国土交通省におきましては、災害危険区域について、水害あるいは土砂災害等さまざまな災害に対応して、建築基準法に基づく災害危険区域の指定を行うよう強く地方公共団体に今までも促してきたところでございます。

 さらに、先ほど御指摘をいただきました「新たなステージに対応した防災・減災のあり方」の公表に合わせまして、土砂災害等によって特に大きな被害が生じる可能性がある箇所については、災害危険区域の指定による住居の建築禁止なども有効である旨を改めて通知いたしました。

 今後の方策といたしましては、例えば、既に災害危険区域の指定を行っている地方公共団体を参考に、区域指定を行う際の考え方、あるいは用途ごとにどのような建築制限をかけているかなどの実態を把握した上で、担当課長会議などのさまざまな機会を通じて、水害に対応した指定のあり方について具体的な事例を示し、災害危険区域の指定がさらに促進されるよう努めてまいります。

池内政府参考人 続いて、土砂災害についてお答えいたします。

 昨年八月の広島での土砂災害を受けまして土砂災害防止法が改正され、本年一月に施行されております。

 法に基づく基本指針では、今御指摘ございました特別警戒区域等の指定を促進するために、おおむね五年程度で、区域指定の前提となります危険箇所の基礎調査を完了させることを目標といたしました。

 これを受けまして、各都道府県において基礎調査完了予定年を検討していただきました結果、全ての都道府県におきまして、今後五年以内、すなわち平成三十一年度末までに基礎調査を完了させる目標が設定されたところでございます。

 国土交通省といたしましては、基礎調査及び区域指定の促進のために、財政面、技術面での支援が重要というふうに考えております。

 財政面では、平成二十七年度予算におきまして、防災・安全交付金を優先的に配分するための制度創設を行いまして、基礎調査を行う都道府県に対して積極的に支援を行っているところでございます。

 また、技術面では、地方ブロックごとに会議を開催いたしまして、国が所有しております地形データの提供、それから先進県での効果的な取り組み事例の提供などを行っております。

 さらに、都道府県が基礎調査の実施マニュアルを作成する際に、地方整備局の職員を派遣して助言を行っているところでございます。

 このように、国土交通省では、財政面、技術面で各都道府県をしっかり支援し、区域指定の促進を図ってまいりたいと考えております。

本村(伸)委員 最後に、水防法第十五条二にかかわって、八六%が地下であるリニア事業の事業主体であるJR東海は、利用者の避難の確保及び浸水の防止のための措置に関する計画をつくることになりますねということを確認したいというふうに思います。

池内政府参考人 お答え申し上げます。

 現在のリニア中央新幹線の計画では、幾つかの駅が地下に建設される予定と聞いております。

 一方、現行の水防法では既設の地下街等を対象としていましたが、本法案におきましては、建設中、それから建設予定のものも対象とすることとしております。

 このため、これらの駅が浸水想定区域内にあり、市町村地域防災計画に位置づけられた場合には、本法に基づく避難確保・浸水防止計画の作成が義務づけられることになります。

本村(伸)委員 国土交通省の水災害に関する防災・減災対策本部の地下街・地下鉄等ワーキンググループの中間取りまとめの中でも、やはり地下空間というのは、閉鎖的であり、地上に比べて浸水スピードが速いんだ、また、ある程度水深を超えると水圧により扉があかなくなることや、機械電気設備の機能停止による停電で視界不良となり、利用者は位置関係や周囲状況が把握できず避難困難となること等の危険もあるため、地下空間への浸水開始後、避難に係る時間の猶予はないということも指摘をされております。

 ぜひこのリニアの問題でも、避難という点では必ず安全性を確保していただきたいということを申し述べ、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

今村委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

今村委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、水防法等の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

今村委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

今村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

今村委員長 次回は、来る二十一日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時二十三分散会


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