衆議院

メインへスキップ



第7号 平成27年5月8日(金曜日)

会議録本文へ
平成二十七年五月八日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 今村 雅弘君

   理事 大西 英男君 理事 金子 恭之君

   理事 小島 敏文君 理事 坂井  学君

   理事 中村 裕之君 理事 伴野  豊君

   理事 井上 英孝君 理事 赤羽 一嘉君

      青山 周平君    秋本 真利君

      池田 佳隆君    岩田 和親君

      うえの賢一郎君    鬼木  誠君

      門  博文君    神谷  昇君

      木内  均君    工藤 彰三君

      熊田 裕通君    古賀  篤君

      國場幸之助君    今野 智博君

      佐田玄一郎君    斎藤 洋明君

      鈴木 馨祐君    鈴木 憲和君

      高木 宏壽君    武井 俊輔君

      辻  清人君    中山 展宏君

      古川  康君    堀井  学君

      前川  恵君    前田 一男君

      宮内 秀樹君    宮澤 博行君

      山田 賢司君    山本 公一君

      荒井  聰君    神山 洋介君

      小宮山泰子君    松原  仁君

      宮崎 岳志君    本村賢太郎君

      足立 康史君    今井 雅人君

      横山 博幸君    北側 一雄君

      中川 康洋君    樋口 尚也君

      穀田 恵二君    本村 伸子君

    …………………………………

   国土交通大臣       太田 昭宏君

   国土交通副大臣     北川イッセイ君

   内閣府大臣政務官     松本 洋平君

   国土交通大臣政務官   うえの賢一郎君

   国土交通大臣政務官    鈴木 馨祐君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長)   原  敏弘君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  橋本 公博君

   参考人

   (東洋ゴム工業株式会社代表取締役社長)      山本 卓司君

   参考人

   (東洋ゴム工業株式会社取締役常務執行役員)    伊藤 和行君

   参考人

   (東京理科大学理工学部建築学科教授)       北村 春幸君

   参考人

   (福岡大学工学部建築学科教授)          高山 峯夫君

   参考人

   (一般社団法人日本免震構造協会顧問)       可児 長英君

   参考人

   (一般社団法人日本免震構造協会専務理事)     沢田 研自君

   国土交通委員会専門員   伊藤 和子君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月八日

 辞任         補欠選任

  木内  均君     辻  清人君

  工藤 彰三君     山田 賢司君

  津島  淳君     武井 俊輔君

  宮内 秀樹君     中山 展宏君

  下地 幹郎君     今井 雅人君

同日

 辞任         補欠選任

  武井 俊輔君     古川  康君

  辻  清人君     木内  均君

  中山 展宏君     熊田 裕通君

  山田 賢司君     前川  恵君

  今井 雅人君     下地 幹郎君

同日

 辞任         補欠選任

  熊田 裕通君     宮内 秀樹君

  古川  康君     鬼木  誠君

  前川  恵君     工藤 彰三君

同日

 辞任         補欠選任

  鬼木  誠君     青山 周平君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     池田 佳隆君

同日

 辞任         補欠選任

  池田 佳隆君     津島  淳君

    ―――――――――――――

五月七日

 旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第二五号)

四月三十日

 タクシー関連法を一部改正する法律並びにその附帯決議の早期履行に関する請願(田嶋要君紹介)(第九四四号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第二五号)

 国土交通行政の基本施策に関する件(東洋ゴム工業問題)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

今村委員長 これより会議を開きます。

 国土交通行政の基本施策に関する件、特に東洋ゴム工業問題について調査を進めます。

 本日は、参考人として、東洋ゴム工業株式会社代表取締役社長山本卓司君、東洋ゴム工業株式会社取締役常務執行役員伊藤和行君、東京理科大学理工学部建築学科教授北村春幸君、福岡大学工学部建築学科教授高山峯夫君、一般社団法人日本免震構造協会顧問可児長英君及び一般社団法人日本免震構造協会専務理事沢田研自君、以上六名の方々に御出席をいただいております。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として国土交通省住宅局長橋本公博君及び公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長原敏弘君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

今村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

今村委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。宮澤博行君。

宮澤委員 皆さん、おはようございます。自民党の宮澤博行でございます。

 本日は、質疑の機会をお与えくださいまして、まことにありがとうございます。

 本日は、東洋ゴム工業さんによります免震材料の不正案件、これについて質疑をさせていただきます。

 この事件の経緯については、もう御案内のとおりでございます。免震性能に不正のあった材料、それが使われている建物は百五十四棟と私は認識しております。この建物でありますけれども、言ってみれば、地震が起こっても仕事を続けなくちゃいけない、そういう重要な建物に使われている。消防ですとか警察ですとか病院ですとか、そういったものに使われているわけですね。そして、マンションにも使われている。安心を本当に買い求めた住民の方々がいらっしゃるわけです。

 本当に東洋ゴムさんの商品を信頼して購入した自治体の方、企業の方、住民の方は、もうやりきれない思いをされていることと思います。社会的な影響も大きい、責任も大きい。どのように責任をとって、どう賠償して、どう対応して再発防止を行っていくのか。

 本日は、大臣もいらっしゃっていることでありますので、東洋ゴムさんだけに限らず、さまざまな点から議論をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 まずは、原因について多少お話をお聞きしたいと思います。

 既に東洋ゴムさんの中には社外の調査チームが設置されているというふうに聞き及びました。そのチームの代表の方は弁護士の方、元検事の方ですね。そして、不祥事対応を専門とされている方というふうに私は関係の方から聞きました。

 ですので、社内の原因追求に関しては専門家の方にお任せしたいなと思うんですが、そのチームが指摘しているように、二つの問題行為がある。一つは、大臣認定を取得する際の問題行為、ここでデータの改ざんが行われたわけですね。これは余りにも悪質ですから、私は今回あえて取り上げません。もう一つは、出荷する際の問題行為。この二つが指摘されている。

 それに加えて、私は、不正を認識した後一年間対応がおくれたということも問題だとして、取り上げたいと思います。

 まず、出荷する際の問題行為なんですが、私も地元に該当する建物があります。御前崎市の消防庁舎、この地下に東洋ゴムさんの免震材料が入っております。幸いにして、一階部分のみコンクリートを打った状態でありますので、はっきり言って後戻りができる状況なんですね。

 しかし、関係者の方に話を聞きますと、納品、つまり出荷のときに検品に行くわけです。検品に行って、そこで検査のデータを見て、その後何が行われているかというと、工場見学が三十分行われている。その後で、計算されたデータを示していただいたということなんです。

 工場見学というのはほかの材料の場合でもよくあるパターンだというふうに言いますけれども、この三十分で何をしていたんですか。ここでデータを書きかえていたとしか私には思えません。もしこの三十分でできないような計算だったら、事前にそれが行われていたということになるわけです。開発担当者数名ではないという話にもなってくるんですが、この点はどのようになっているのか、まずそこをお聞きしたいと思います。

伊藤参考人 お答えいたしたいと思います。

 三十分の間に、測定試験機からデータを出して、開発技術の者がデータの解析をいたします。

 通常は、高減衰のものは、一〇〇%、二〇〇%、一〇〇%とかなりの振幅をやるのが普通の試験でございますけれども、立ち会いの場合には、一回試験をしているので一〇〇%の一回だけを振らせていただくということで御了解をいただいて、そのデータをとらせていただきます。それは製造の検査班の方がやります。

 そのデータを開発技術の方で解析いたしまして、そのデータをお渡しするためにチャートを描くというような作業を三十分間でいたしております。

 そのデータは、最終的には、品質保証の方が出荷成績書ということでお渡しするということで、この三十分の間にその準備をいたしております。

宮澤委員 検査から開発担当者に行って品質保証に行く、ここの開発担当者のところがデータを改ざんしていた可能性が非常に高いということで、その認識でよろしいんでしょうか。

伊藤参考人 その認識でよろしいかと思います。

宮澤委員 だとしても、その後、まだ問題があるんです。それは、なぜ一年おくれたかということと非常に関係が深いんですが、私が問題としたいのは、平成二十六年九月十六日の会議です。

 この午前と午後に行われている会議、当時社長さんだった現在の会長さんと当時専務だった現在の社長さん、これが参加している会議が九月十六日に開かれていますね。

 午前の会議でどういう決定がなされたかというと、出荷停止、この準備をしようというふうに決まった。もう一つは、国土交通省へ本件の疑い、この一報を入れよう、そういうことも決まったわけです。

 ところが、午後改めて会議を開いたら、本来振動の試験は〇・五ヘルツで行わなければいけないのに〇・〇一五ヘルツで行った場合の値を用いる、それに加えて、試験機の差異を解消するための補正を行うと性能評価の基準におさまる、そういう報告がなされたがゆえに、午前の方針を撤回して出荷を続けようというふうに決定してしまった。

 もしここで出荷停止の決定をしていれば被害は最小限に食いとめることができた、非常に重要な会議だったと私は今なら思います。

 まず、有識者にお聞きしたいんですが、〇・五ヘルツで行うべき実験を〇・〇一五ヘルツで行うことに何の意味があるんでしょうか。適切なんでしょうか。まず参考までにお聞かせください。お一人で結構です。わかる方で結構です。

北村参考人 お答えいたします。

 まず、天然ゴム系の積層ゴムでは、速度の影響を受けないために、百秒とかゆっくりした製品検査の値をそのまま基準値に対して確認をするということをやっています。

 ただ、今回の高減衰積層ゴムというのは、減衰性能を持っているために、速度依存というのが出てきます。そのため、〇・五ヘルツで実験をしたものに対して、〇・〇一五で実験をした場合に差異が出てくるというのは、こういった高減衰ゴム特有の評価方法になってきています。それだけ、天然ゴムに比べて高減衰ゴムというのは、製品検査のときに複雑だというか、難しいということが一つあります。

 あと、〇・五から〇・〇一五に対する速度の影響というのを調べるのと同時に、基準値というのは縮小モデルでやっていますので、それと実大との影響を確かめるという必要がありまして、それにつきましては、東洋ゴムの製品ではないんですけれども、長周期地震動対策で、建築基準整備促進事業でE―ディフェンスの振動台を使って直径一メートルの高減衰ゴムを周期四秒で加振するという実験を行っていまして、この二つのポイントが問題なく評価できているという、その妥当性の検証はしております。それ以外に、米国のサンディエゴ校の動的試験機を使っても検証がなされています。

 そういったことから、二秒から四秒ぐらいの周期で実際の建物は揺れるので、それでの製品検査ができれば一番よいのですが、全数を検査する製品検査では、メーカーが持っていないということで、やむを得ないのじゃないかというふうに考えて、これまでそういったゆっくりしたものでやる、しかし、その評価をちゃんと適切にやっていって、それで問題がないことを確認しているというのが現状でございます。

 ちょっと曖昧になったかもしれませんけれども、済みません。

宮澤委員 ここら辺になってくると、はっきり言って専門的な話になってきますけれども、でも、国土交通省が基準としている黒本においては、これは〇・五ヘルツでやるように、そういう旨が書かれているわけですよね、これというのは。どうですか、そこのところは。

橋本政府参考人 お答え申し上げます。

 大臣認定の基準として、二秒周期、あるいは〇・五ヘルツで試験をするということは明記はされておりません。

 ただし、東洋ゴム工業は、当然、実際の建物の揺れ、先ほど言った〇・五ヘルツを想定した場合の基準値として認定を申請されております。同時に、性能評価を受ける際に、速度依存性に関する資料も提出されております。要は、〇・五ヘルツと〇・〇一五ヘルツで試験をした場合、当然性能が変わるということを、みずから資料を添付して大臣認定を申請されておりますので、当然、同社におかれては、この差異については認識をされていたというふうに認識をしております。

宮澤委員 いずれにしても、この会議で出荷停止を決断しなかったというのが、被害が大きくなった一つの原因であると存じます。

 この会議、簡潔に御説明ください。どういう内容だったんですか。お願いします。

山本参考人 東洋ゴム、山本でございます。

 この午前中の会議は、先ほど御指摘のとおり、それまでのデータを見る限り、あるいは法律事務所等のリコメンドに従いまして、出荷停止になる場合に、国土交通省様への御一報を決めるというのが午前の会議でございました。

 午後の会議におきまして、先ほどの〇・〇一五ヘルツについてでございますが、これは私どもが行っておる実機の周波数の試験結果でございまして、この実測値の方が信頼性は当然高いわけでございまして、この数値を用いることが許容されるという間違った解釈で報告がございました。それに加えて、大小の試験機の機差、この機差の解消を行うと性能評価基準に適合するという今思えば間違った報告がなされた。その結果、午後のような決定になったという会議の次第でございます。

宮澤委員 確かに、間違った報告に基づいて間違った経営判断をしてしまったということになるかもしれませんが、この会議が行われてしまった以上、これは開発担当者数名の責任であるとはもはや言えないと思います。そこのところを御認識の上、今後の対応にお努めいただければ幸いでございます。

 次に移ります。

 これは国土交通省さんにもお伺いしなければいけません。これは、偽装を見抜けなかったと言って言い逃れすることは私はできないと思います。見抜けないような仕組み、それを温存した責任というものは私はあると思いますね。そもそも、平成十九年の耐火パネル偽装問題でも、この大臣認定の制度が問題となっているわけなんです。

 そもそも、この大臣認定の仕組みなんですけれども、企業が開発して、第三者の評価機関が審査をして、その評価書を添付して、大臣へ申請して認定をいただくという制度ですね。この評価機関の評価、これが書類審査だけだと。ここに偽装が生まれる当然の仕組みがあったとしか言いようがありません。はっきり言って、これは実地に検査するのが私は常識だと思うんですが、まずお聞きします。免震材料のほかに、書類だけで評価機関が評価するものは存在するんですか。

 それから二つ目。本来なら、評価機関の方々が検査機器を購入してでも試験すべきです。二十億から三十億かかると言われているんですけれども、本来やるべきだと思います。もしそれが不可能なら、メーカーへ出向いていって、検査をして、持ち帰って計算する、そういう御努力はやってしかるべきだと思います。これについて、現状、分析はどのようになっているでしょうか。お願いします。

橋本政府参考人 お答え申し上げます。

 免震材料のほかにも、特殊なコンクリートや鋼材等を含む指定建築材料につきましては、まず、免震構造のような新技術の開発や民間の創意工夫を阻害しないように配慮が必要と考えられること、あるいは、試験方法が普及しており検証も容易であるものについては自社試験データを認めても支障がないことから、自社試験データの提出を受けて指定性能評価機関が書類のみで性能評価をすることにしております。

 建築材料は、約五千種類ぐらい認定がございまして、全て自社検査データを認めておるところでございます。

 一方で、防耐火構造や防火設備などにつきましては、指定性能評価機関の試験所での立ち会い試験等を実施することとしております。

 この立ち会いをする理由でございますけれども、その理由は、性能評価に当たって、所定の試験方法で試験を実施しなくてはならないところ、防耐火試験などでは試験を実施する際に高い技能が求められるということで、これはメーカーにお任せするとちゃんとした試験ができないおそれがあるということで、立ち会い試験をやっておるところでございます。

 御指摘の、本来、検査機器を導入して試験体を試験すべきということでございますけれども、確かに指定性能評価機関が検査機器を導入することは正確性を期す上で有効であると考えますけれども、例えば免震構造のような新技術は、民間の創意工夫によって、各社が独自の製品を開発いたします。したがって、試験装置も各社それぞれごとに異なるということで、その製品一個一個に試験装置を指定性能評価機関が別々に備えて品質を確保するというのは、有効である一方で、大変やはり試験装置がさまざまなものが必要になるということで、困難な面があると考えております。

 したがいまして、検査機器を導入するのが難しい場合には、例えば製品の品質管理の見える化、あるいは製品の品質自体の見える化ということを推進するということも、一つの不正の抑制の手段だと考えております。

 そのためにも、指定性能評価機関が生産の現場あるいは品質管理の現場などの実地調査を行うことなども有効であると考えておりまして、これらの取り組みにつきまして、第三者委員会の意見も伺いながら、今後、具体的な方策として検討してまいりたいと考えております。

宮澤委員 評価機関が検査をするものもあれば会社のデータを使うものもある、まちまちということだろうと思いますけれども、全部の数を潔癖に調べていったら社会的コストがかかるわけですから、今後、偽装が起こらないようなシステムをどう構築していくかというのは、これは課題ですので、ぜひ国土交通省さんとしても考えていただきたいと思います。

 次の質問に移っていきます。

 今後の対応についてなんです。実は、ここのところが地元の方々にとっても非常に重要なところ、建物の所有者にとっても大事なところなんですね。

 実は、この免震ゴムに関しては、はっきり申し上げますと、東洋ゴムさんとブリヂストンさんぐらいしかもうつくっていない、そういうような状況だというふうに私は聞きました。

 そうすると、対応としてどういうことが考えられるのか。一つは、東洋ゴムさんが、大臣認定に合うような商品を開発して、認定をとり直して生産して交換するという方法が一つ。もう一つは、東洋ゴムさんとブリヂストンさんの製品は、上下の鉄板の厚さも違えば、ボルトの穴、数、位置も違ってくる。ブリヂストンさんが、東洋ゴムさんの製品に合わせた新製品をつくる、それを認定してもらって生産して交換する、これが二つ目の選択肢です。三つ目は、ブリヂストンさんの今の商品を使うために、建物の基礎、コンクリート部分を壊してでも新しいものにしていこう、これが三つ目の選択肢です。

 実は、地元の御前崎市さんでも、東洋ゴムさんの商品はもう使わないという決定をしておりますので、ブリヂストンさんの新しい商品を使うのか、それとも、基礎を壊してでも工事を後戻りするのかの選択を迫られている。ということは、これがいつ工事が完成するのか、いつその商品が出てくるのかの期間によって決断が変わってくる。これが、さまざまな建物で今行われている検討、調査待ちの状況なんです。

 ですから、どうしてもこれは聞きたい。

 まず、東洋ゴムさん。自社製品を新たに開発するとなったら、どれくらい期間がかかると見込んでいらっしゃるのか。

 国土交通省さんにも聞きます。今言ったもの、東洋ゴムさんのもので対応するとしたら、どれだけ時間がかかるのか。ブリヂストンさんの新しい商品だったらどうなのか。ブリヂストンさんのものを使って建物の構造計算を再度するとなったら、どれだけ時間がかかるのか。これをお聞きしたいと思います。よろしくお願いします。

伊藤参考人 今までの商品の認定に関しまして、最低でも四カ月ぐらいかかっております。

 今回は、やはり弊社の測定自体もまだ信頼されていないところもございますので、それも含めまして、いろいろなところでお願いしながらデータを出していかなくちゃいけないと思っています。

 かなりのところまで詰まってきておりますので、新しい商品に関しましても、今、必死に開発している状況でございます。

橋本政府参考人 具体的な期間をお答えする前に、一言お断りを申し上げたいと思います。

 東洋ゴム工業については、まだ今回の不正事案の原因究明、再発防止策が全く示されていない中で、新しい認定を出せるかどうかということについては、全くまだ議論の端緒についていないと思います。

 その前提で、一般論としてお答えをいたしますが、普通、このような免震材料の新製品を開発し生産できるようになるまでは半年程度かかるというふうに聞いております。

 それから、生産につきましては、中規模の建物で四十基程度設置する場合は、免震材料の組み立てには十日から二週間。ただし、これにはゴムをつくる時間は入っておりませんので、その前にどれぐらいかかるか、申しわけございません、ちょっと私どもでは把握をできておりません。

 それから、交換工事は、いわゆる建物のジャッキアップをして交換していくというのは、一基当たり一日ぐらい。ただし、場所によって取り合いの問題とか出ますので、通常、三から四カ月を見込むというふうに言われております。

 次に、他社製品を使う場合、具体的にはブリヂストンさんしか生産をしていらっしゃいませんけれども、まず、構造計算の前提として、もとの設計図書に東洋ゴム工業製品とブリヂストン製品の両方とも併記をして、どちらを使ってもいいという設計図書になっている場合がございます。この場合は、そもそも構造計算の変更は全く必要ございません。

 それから、そうでない場合、設計変更、構造計算の変更が必要な場合は、構造計算のデータが残っているという前提で、二週間から四週間程度、構造計算変更にかかると思います。

 それから、さらに、時刻歴応答解析等のいわゆる構造方法の性能評価、大臣認定については、通常は三、四カ月かかっておりますけれども、特に緊急を要する場合、最優先で処理をすれば一、二カ月程度で何とかなるのではないかと考えております。なお、これはブリヂストンの既存製品を使う場合の話を先にさせていただきました。

 新規製品につきましては、一般論で先ほど申し上げたのと同じでございまして、やはり半年の開発、それから生産一、二週間プラス、ゴムをつくる時間、それから交換工事三、四カ月という時間がかかるのではないかと考えております。

宮澤委員 東洋ゴムさんは四カ月とおっしゃいましたけれども、はっきり言って、国土交通省さんは、もうそんなものはなかなか認めがたい状況であるということですね。

 そうすると、ブリヂストンさんの製品を使うとなると、ざっくり言って一年はかかるということになってしまうわけですね。その数字を見ながら、これから現場の方々はどういうやり方を判断していくかになろうかと思います。国土交通省さんとしても、構造計算を早める、認定を早める等々でぜひ御協力をいただきたい。そうしないと、人件費等々、どんどん被害が広がっていきますので、ぜひ御協力をお願い申し上げます。

 次に、賠償の問題であります。

 これは本当に多岐にわたってくる。地元の御前崎市さんに聞いても、工事関係でも、交換とか工事の延長とか大臣認定の取り直しとか、いっぱい費用がかかってくる。また、マンションということになると、売れない損失利益はどうするのかとか、引っ越した場合の費用、住んでいる人がもしかしたら慰謝料を請求するかもしれない、かなり広がってくる。そこのところをどうやって賠償するお覚悟があるのかということ。

 もう一つ、まとめて聞きます。再発防止策、いつまでにこれを出すおつもりなのか。

 それを二点まとめてお聞きしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

山本参考人 まず、賠償についてでございますが、本件にかかわります相当因果関係、すなわち本件の改修に伴いますかかる費用については補償させていただく予定でございます。

 それは具体的にどういうものかと申し上げますと、まず設計関連費用。これは構造再計算、大臣認定再申請費用、行政手続費用等でございます。

 続きまして、代替免震装置費用。免震装置そのものの費用、それから、私どもの製品のアンカーボルト位置に合わせた台座プレートの特注費、構造再検討に伴う追加設備等。

 それから次に、三番目に工事費用。これは材料費、仮設費、労務費、交換に伴う管理対策費、夜間割り増し突貫費用等でございます。

 それから四番目に躯体補強費用。構造再計算検討や仮設計画に伴う本設躯体補強費用。

 五番目に諸経費。人件費、生産設計費、あるいは、建物使用者の一時的な引っ越しが必要になった場合の引っ越し費用、仮住まい費用、備品等の移設費用、それから工事保険料及び労災保険料等々でございます。

 ただ、これを基本に、それぞれのケースによってやはり状況が異なるかと思いますので、個々に相談させていただくことになろうかと思います。

 それから、再発防止策でございますけれども、今現在、今回のG〇・三九以外の調査を外部の法律事務所に依頼しておりまして、これの報告が今月中旬もしくは下旬というふうに伺っておりますが、私どもとしては、できるだけ早くこの報告をいただけるようにお願いしておるところでございます。

 それで、その報告書を受け取った後、私どもとして、再発防止策それから原因の究明、続きまして、懲戒やあるいは経営の責任の明確化等を含めましたものを、最終報告を受領後一、二週間で取りまとめたいというふうに考えております。

宮澤委員 これはもう起こってしまったものですから、真摯な対応をぜひお願いしたいなと思います。

 最後に、大臣にお伺いしたいと思います。

 今回は耐震材料ということでしたけれども、過去には耐熱パネルがあったわけですね。でも、ほかの省庁を見てみますと、自動車においては型式指定というものがある。一台だけ検査するということですね。船舶においても船級登録というものがある。それから、福祉用具においても認証制度があるわけですし、医療機器もまた第三者認証というものがある。製品の品質を国または第三者が保証する制度というのはいっぱいあるわけです。

 これがきっかけになって、そういう制度そのものの信頼性が揺らいでいってしまったらどうなるんでしょうか。特保だといって飲んでいる、あのペットボトルが信用できないという、そこまで波及しかねない。日本の商取引は信用できるんだろうか、そこまでの社会問題になってしまう。

 ですから、これは、全部を調べたら姉歯事件の結末のように社会的コストがふえていってしまいます。性能をどう担保するのか、社会コストをどう最小限に抑えるのか。そして、製品の性能を高めると同時に、大臣認定制度の不備を補っていかなくちゃいけません。それについて、ぜひ政府全体で話をするいい契機にしていただきたいんです。

 その点について大臣の見解があればお聞きして、質問の最後としたいと思います。よろしくお願いします。

太田国務大臣 大臣認定制度の見直しについては、第三者委員会を立ち上げまして議論を始めているところです。そこでの議論を踏まえて大臣認定制度の見直しを行うということが必要だ、このように考えています。

 その見直しに当たりましては、安全に直結する製品かどうか、そして、過去に不正を行った企業かどうか等により、チェックの程度を変えるべきだと考えておりまして、具体策をさらに詰めていきたい、このように考えています。

宮澤委員 東洋ゴムさんも国土交通省さんも、真摯な御答弁をありがとうございました。これが国民の皆さんの不安の解消につながるよう、これからもぜひ御努力をお願いいたします。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

今村委員長 次に、樋口尚也君。

樋口委員 公明党の樋口尚也でございます。

 日本は世界屈指の自然災害大国であり、とりわけ巨大地震大国でございます。その我が国において、建物の耐震性は、安心、安全のよりどころとなってまいりました。

 二十年前、阪神・淡路大震災が起こり、免震構造の採用が進み始めて、今約三千件の免震建物があるわけでございます。今回のこの免震装置性能偽装事件は、安心、安全を追求してきたこの社会を裏切ったこと、そして、メード・イン・ジャパン、日本の技術、日本の製品の信頼性に大きく傷をつけたこと、極めて悪質な行為だということをまずもって申し上げたいというふうに思います。

 今回の東洋ゴムさんのこの免震積層ゴム、G〇・三九について、合計五回の大臣認定を取得されていますけれども、各認定の取得に際し、技術的な根拠のない数字を記載して申請を行い、大臣認定を取得されました。まずこのことを東洋ゴムの山本社長、伊藤常務に伺いたいというふうに思います。

 まず初めに、五件のうち、二〇〇三年の二月二十八日に認定を受けた第二認定、二〇一一年十月二十五日に認定を受けた第五認定、この二件は、数字の改ざんどころか、実際の振動試験すら行わずに架空の数字を書き込んで申請をし、大臣認定を受けるという極めて悪質な事例だというふうに思いますけれども、第二認定、第五認定は振動試験を行っていないということでよろしいでしょうか。

伊藤参考人 第二認定に関しましては最終的に一基しかやっていないということ、第五認定は新しい認可が二方向性の強度ということに絞っておりますので、これに関しましては振動のデータがなくてもよろしいというふうな認識でおりましたので、はかっておりませんでした。

樋口委員 中間報告書を読ませていただきましたけれども、この七ページ、八ページにそういう記載がございます。七ページには、振動試験を実際に実施していないため推定にすぎずという記載、八ページの下の方には、実際の振動試験が行われておらず試験体が存在しない、こういうふうに書かれているところでございます。今お認めになったように、やっていなかったところがある、架空の数字を書き込んで認定をとったということだと思います。

 中間報告書には、大臣認定の取得に際して、A氏が技術的な根拠のない値を記載して申請を行ったという記載がありました。

 五件の大臣認定のうち、少なくとも三件、もしくは今おっしゃったように四件は振動試験は実施をしているようですけれども、振動試験というのは誰が行ったんでしょうか、そして何人で行っているんでしょうか。

伊藤参考人 弊社の免震チームというのは、多いときで五名、少ないときでも二名おりまして、試験に関しましては複数名で行っておったようでございますが、最終的なG〇・三九のまとめに関しましては、A氏が主にまとめていたというふうに承知しております。

樋口委員 複数でやっていたのか一人でおやりになっていたのかというのは、大事なポイントだと思うわけでございます。

 もしお一人でやられていたんでしたら、A氏をまさに刑事告発してしっかり調べるべきだというふうに思います。

 今おっしゃったように、二名から五名、複数で振動試験をやっていたとすれば、試験をしていない商品がリストの中にあるわけですから、試験をしていない商品がリストの中にあるということ自体で、A氏だけが不正をやっているのではなくて、周りの人も、やっていない実験が載っているということを知りながら目をつぶった、まさに会社ぐるみの不正行為に当たるというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

伊藤参考人 専らデータをまとめましたのはAでございまして、彼の供述の中では、上司からのプレッシャーとかがあったというふうな供述もございますが、逆に、上司のヒアリングに関しましては、そのような指示はしていないというところで、ただいま現在、その辺も含めまして調査を続行している状況でございます。

樋口委員 ぜひ調査を続けていただいて、御報告いただきたいと思うわけですが、一人でずっと専らやっていたんだということになりますと、これは内部統制の問題だと思うわけでございます。会社法は、内部統制、使用人の職務執行が法令に適合することを確保する体制を求めているわけでありますから、きちんとした体制がなければいけません。みんなで実験して、一人でまとめて、一人で誰も見なかったんだということは通らないわけでございます。しっかりとした調査をしていただき、御報告をいただきたいというふうに思うわけでございます。

 次に、東洋ゴム工業及び東洋ゴム化工品の社内に、建築基準法三十七条、大臣認定品を供給しているという意識や建築界に対する責任の重さを理解している技術者、すなわち構造設計の一級建築士が何人いらっしゃったのか伺いたいと思います。

伊藤参考人 ただいま現在は三名ございますけれども、構造計算を理解している建築士というのはございませんでした。

樋口委員 今は三名いらっしゃいますけれども、当時は理解されている人はいなかったと。よろしいですか。もう一度どうぞ。

伊藤参考人 今回の構造計算というのは非常に複雑ということで、弊社の子会社におります建築士も、構造計算に関しては理解が高くないという状況でございます。

樋口委員 これはもう大変な問題だと思うわけでございます。

 理解が高くない方が、日本の技術である建築基準法三十七条の大臣認定、わからずにやっていたということになれば、極めて重要な問題であるというふうに指摘をしたいと思います。

 続けます。

 東洋ゴム工業は、二〇〇七年十一月、先ほども御指摘がありましたが、断熱パネルの不燃性能試験で不正受験をしていたことが発覚をし、六件の大臣認定が取り消されました。これを受け、翌十二月、原因究明、再発防止策を国土交通省に提出しています。

 それによれば、原因として、不正をしてでも事業を継続しようと考えたことや、事業部での隠蔽体質などを挙げています。その上で、緊急の再発防止策として、品質監査室を設置し、全社の生産拠点において品質総点検を実施したとありますが、もちろん、この免震積層ゴムについても品質総点検を実施したということでよろしいんでしょうか。

伊藤参考人 二〇〇七年の事件に関しまして、全社的に、網羅的に監査をいたしました。

樋口委員 免震ゴムも入っているというふうに理解をさせていただきますけれども、この問題となっている免震ゴムの大臣認定は、二〇〇二年の六月十七日から二〇一一年の十月二十五日まで、九年間、五回にわたり不正取得をされたものであります。

 東洋ゴムが、断熱パネルの不正受験事案が発生し、全社の生産拠点において品質総点検を実施したと国土交通省に報告をしたのが二〇〇七年の十二月のことでございます。この時点で、既に免震ゴムで大臣認定を不正取得していたものが四件、その後に、先ほど御答弁ありました第五認定、架空のデータで取得をした事例が一件あります。

 東洋ゴムは、免震ゴムの性能偽装を行いつつ、そのさなかに平然と国土交通省に対して品質総点検を実施したと不正行為の再発防止を誓っていたわけでございます。明らかに所管庁を欺いた行為と言わざるを得ません。社長、いかが思われますか。

山本参考人 当時、断熱パネル再発防止として、緊急対応、恒久対応が発表されまして、それに基づいて活動は全社品質総点検が行われましたが、残念ながら、緊急点検におきましては、規格値と出荷成績書を突き合わせて行うということはやっておりましたが、今回のデータ測定の作業のフローがどうなっておるかというところまで踏み込んだ確認にはなっておらず、今回の問題を発見することができませんでした。

 それぞれの監査に対しまして深掘りして徹底的に実施することができなかったということに対しては、大変反省しております。申しわけございません。

樋口委員 もう一つ申し上げたいと思います。

 二〇一三年十一月、一昨年でございますが、東洋ゴムは米国において、米国司法省との間で独禁法違反に関する司法取引を行っています。それを受け、昨年七月、東洋ゴムグループは、「事態を厳粛に受け止め、コーポレート・ガバナンスの強化とコンプライアンスの徹底を最優先で推進していく所存です。」と当時の信木社長が高らかに宣言をされていらっしゃるわけでございます。

 米国司法省と司法取引を行った十一月には、関連会社の東洋ゴム化工品で担当者から開発技術部長に、G〇・三九の性能検査データの不整合が報告されておりました。また、コンプライアンスの徹底を最優先すると発表した昨年七月といえば、既に、技術的根拠のない免震ゴムの問題が関連会社から東洋ゴムに詳細に報告をされている時期でございます。東洋ゴムさんという会社が一体どういう会社なのかというふうに思わざるを得ません。

 そこで、自動車のタイヤでございますけれども、これは道路運送車両法の国土交通省令で保安基準が定められているところであります。まさかと思いますけれども、自動車の安全性に直結するタイヤの品質そして販売方法で不正な行為はないかどうか、念のためにお答えをいただきたいと思います。

伊藤参考人 タイヤ事業全体の業務に関しましては、ISOとそれからTS16949ということに適合させて、品質マネジメントシステムにのっとって品質保証をさせていただいております。

 商品開発に関しましては、商品企画、設計、生産化決定の各ステップでの審査が行われ、適正なタイヤが開発され、生産されております。設計審査及び生産開始時には、タイヤ性能が確認されております。生産後は、定期的に抜き取り検査にてタイヤ性能を確認しております。

 また、日本におきましては認証制度はございませんけれども、認証制度のある国に関しましては、その国の認証機関による監査が実施されております。

 タイヤに関しましては、評価の独立が行われておりますので、このような不正が起こらない仕組みで運営しております。

樋口委員 よくわかりました。

 建築物の話についても、同じように徹底した不正の追及をするべきであります。申し上げておきたいというふうに思います。

 次に、中間報告書の話に移ります。

 四月二十四日付の中間調査報告書についてお伺いをします。

 まず七月の十七日の会議、十四ページに記載がございますけれども、伺いたいと思います。

 七月十七日の会議は、この報告書によれば、この会議に伊藤常務は御出席でありました。席上、大臣認定において、測定値ではなく推測値で申請された可能性があることや、出荷時性能検査及び大臣認定の申請に際し、技術的な根拠がない補正が行われていたという非常に重要な報告を当時の社長とともに受けていらっしゃいます。

 単刀直入に伺いますけれども、この報告を聞き、伊藤常務は免震ゴムで偽装が行われていると認識をされましたでしょうか。

伊藤参考人 非常に重大な報告だという認識はいたしましたが、しかし、その報告自体が、当時の全四十八件の建物に関して本当にそうなのか、それのエビデンスとか、その辺の説明がございませんでした。それに関しまして、さらにきちっとした説明ができるような調査をすぐ進めるように指示いたしました。

樋口委員 山本社長はその会議は出席されていらっしゃいましたでしょうか。出席されているとすれば、このときにそう認識したかどうか。そうじゃなかったとしたら、社長が偽装を認識したというのはいつになりますでしょうか。

山本参考人 七月十七日の会議には私は出席しておりません。

 この問題について一番最初に情報が入りましたのは七月下旬から八月初めでございまして、このときはダイバーテック事業のG氏より免震ゴムについてのお話があったのですが、説明内容が全く理解できないような、何を言っているんだということで、きちんと報告してくださいということで、次に報告を受けたのが八月十三日でございます。

樋口委員 その八月十三日を経まして、先ほども質問がありましたけれども、重要な九月の十六日の会議が行われるわけであります。

 この会議は、一旦この積層ゴムの出荷を停止して、そして国土交通省に一報するということを一度は決めながら、その午後になってそれを覆すという、今回の事案を象徴するかのような出来事があった会議であります。

 山本社長は午前中の会議には出席をされていらっしゃいましたけれども、午前中の会議では、免震ゴムが技術的な根拠のない偽装データで大臣認定を受けたということを会社として正式に認めたというふうに理解をしてよろしいでしょうか。

山本参考人 明らかに間違ったデータかどうかというところまでは確認はできておりませんが、午前中の結論としては、国土交通省様に一報を入れようということでございました。

樋口委員 そして、午後の会議で一転して、性能評価基準におさまる旨の報告がなされているわけでございますが、この報告をしたのはどなたでありますか。また、報告に当たり検証していたのは誰なのか、教えていただきたいと思います。

山本参考人 報告いたしましたのは、先ほどの八月十三日の会議でも説明内容が非常に極めて不明瞭でしたので、そのとき以降、その事業部の、違うビジネスユニットの技術本部長を調査に加えることといたしました。それで、九月十六日には、その技術本部長からの報告でございました。

樋口委員 では、その報告に当たり検証していたのもそのチームだということだと理解をいたしますけれども、先ほど来お話がありますとおり、専門家がいらっしゃらない中で専門家でない方が実験してもなかなか難しいのではないか、こう思われるわけでございます。

 続きまして、その中に、試験機の差異を解消するための補正を行えば、免震性能が大臣認定の性能評価基準におさまる、こういう発言があるわけでございます。

 この発言ですけれども、ということになれば、それ以前には、東洋ゴムさんでは、試験機の差異を解消するための補正は行っていなかったというふうな理解でよろしいんでしょうか。また、行っていなかった場合があるという理解でよろしいんでしょうか。どうでしょうか。

伊藤参考人 それまでは、試験機の差異による補正は行っておりませんでした。

樋口委員 北村先生にお伺いをしたいというふうに思います。

 東洋ゴムさんでは、まさに試験機の差異を解消するための補正を行っていないというふうにお答えになっているんですけれども、当たり前のように行うんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。

北村参考人 試験機の特性がそれぞれありますから、同じ試験体を使ってその差がどうあるかというのは必ずチェックをして、それで補正を行うというのが一般的に行われています。

樋口委員 必ず行うということなんだと思うんです。それが一般的だということをやられていなかったということも御指摘をしておきたいというふうに思います。

 午前中の会議で一度結論を出した、そのことを覆すことに納得をした理由を、社長でも常務でも結構です、教えていただきたいと思います。

伊藤参考人 機差が存在して、弊社の場合、このG〇・三九は、ずっと同じ、大容量を持っている測定機ではかってまいりましたけれども、それのデータが、やはりある程度補正せざるを得ないということだったんだなということで、そのときは納得いたしまして、出荷が迫っている物件に関しまして、そのデータを適用すると基準値に入るということで、その場では、この出荷に関しては基準値に入るという結論になったという次第でございます。

樋口委員 先ほど来お話ししていますけれども、大臣認定を受けた五件のうちの私は二件だと思っておりましたが、一件だとおっしゃいました。一件は、明らかにデータの捏造、もともと試験体もない、実験もやっていないということを先ほど御証言されました。

 では、あとの四件はデータの偽造だというふうに思いますけれども、午前中の会議が終わって、午後の会議では、この事実を何かの理由をつけて正当化しようとしたものではないかと思うわけであります。このような行為を世間では不正の隠蔽工作というふうに言うんだと思います。

 社長は午後の会議に出席していらっしゃらないということでございますけれども、この午後の会議というのは偽装の隠蔽を決めた会議だ、こういうふうに思われませんでしょうか、社長。

山本参考人 データの確認をしたところ、適合するということを判断したということですので、隠蔽とは考えておりません。

樋口委員 五件のうち一件はそもそも試験もしていなかったわけですから、試験もしていなかったものを架空のデータで出してしまったことはもう否めない事実であります。このときもわかっていたことであります。

 社長、不自然だなとか、何かこれはいささか戸惑いがあるなというふうに思われませんでしたか。いかがでしょうか、社長。

山本参考人 データの欠損、欠損といいますか、認定時にデータがないということがわかったのは調査を本格的に始めたときでございまして、そのときはまだそのような認識はございませんでした。

樋口委員 今後の対応について伺いたいと思います。

 東洋ゴムの責任を明らかにしていくことも大事、再発防止に取り組むことも当然であります。だけれども、何の落ち度もなく、突然、ある日から建築基準法違反の建物の所有者になった、そのエンドユーザーの側の救済が最も重要だというふうに考える次第でございます。

 当初の問題の五十五件のうち、現在施工中の物件は十二件ございます。この十二件の物件は、建築基準法違反の扱いになり、仮に完成しても検査済証の交付が受けられないというふうに思います。そのため、エンドユーザーが受ける被害ははかり知れないものがあります。工期はおくれますし、イメージは悪くなりますし、資金繰りにも困りますし、テナントに逃げられてしまうかもしれない、風評被害があるかもしれないということもあります。特に病院などの公共性の高い建物に関しては、地域への影響を最小限にとどめる必要もあるというふうに考えます。

 こうした施工中の物件における早期の交換に向けて、国土交通省がどのように対応しているのか。また、仮使用承認、この仕組みを早期に積極的に活用することで柔軟な対応をする必要があるというふうに思いますけれども、国交省さんの見解を伺います。

橋本政府参考人 お答え申し上げます。

 国土交通省といたしましては、不正な免震材料の交換、改修が円滑に進むように、東洋ゴム工業を通じて交換等に向けた調整状況を逐次フォローアップしておるところでございます。

 また、御指摘の、特に工事中で、かつ防災拠点となる庁舎や病院につきましては、工事の遅延は平常時のみならず災害発生時にも住民生活や地域社会に多大な影響を及ぼしかねないことから、早期の完成に向け、交換の緊急性が高いと考えております。

 したがいまして、これら工事中の庁舎及び病院七棟での交換を促進するため、国土交通省内にプロジェクトチームを立ち上げて、関係者間の調整の支援を開始したところでございます。この七棟につきましては交換等の方針は全て定まって、一部ではもう既に交換部品の発注も行われております。

 次に、仮使用承認でございますが、特定行政庁が安全上、防火上及び避難上支障がないと認めて承認をすれば仮使用ができるわけでございまして、五十五棟中十二棟、それから、新たな九十九棟中四棟が工事中であって、それぞれ早期の使用に向けて仮使用承認を活用することも考えられると思います。

 ただ、実際に制度を運用する特定行政庁の意見を聞いて、具体的にどのように仮使用承認を出すかということについて、今後、第三者委員会の御指導もいただきながら、仮使用承認のガイドラインを策定してまいりたいと考えております。

樋口委員 仮使用のガイドラインをぜひお願いしたいというふうに思います。

 続けて、先ほどもありました、ジャッキアップをして免震ゴムの交換工事をするわけでございますが、大変厳しい工事だと伺っています。これまで日本でやったことがない工事であります。そして、専門工事業者は三社しかいないんじゃないかと言われている中でございます。

 工事の安全性を確保するため、また交換工事を円滑に進めるためにも、工事期間中にどの程度の安全性を確保すべきかという点について、国土交通省が指針を示すべきではないかと思います。

 技術的な話になりますが、免震装置の交換工事中の耐震設定をどのようにするのか。レベル1なのかレベル2なのか、この設定次第で費用も工期も随分と違いが出てくるわけであります。国土交通省、お答えをお願いします。

橋本政府参考人 免震ゴムの交換につきましては、一般に、ジャッキを用いて少しずつ躯体を持ち上げて、一つの免震ゴムを外して新たな免震ゴムに入れかえるという作業を繰り返すということになります。

 そのため、全体のうち、ごく一部ではございますけれども、免震ゴムが有効に機能しない時間帯が生じますので、その間の建築物の構造安全性をどの程度確保するかは重要な課題であると考えております。

 そこで、大手建設会社等の意見を聞きながら、第三者委員会の御指導もいただき、交換工事中の構造安全性に関するガイドラインを策定してまいります。

 なお、このような工事は、実は日本では一件だけやられたことがございまして、大手建設会社が既にノウハウを蓄積しております。

樋口委員 一件あるということ、わかりました。

 この耐震の工事期間中のレベルの設定、指針、ガイドラインを出していただけるということなので、ありがたいことだと思います。それもぜひお願いしたいと思います。

 次に、完成した建物でございます。

 完成した建物も、装置の交換までの間には長い時間がかかります。本来その建物が持つ経済的、社会的な価値は大きく損なわれてしまいます。適格性を取り戻すための時間のロスは、建物という資産に致命的なダメージを与えかねないわけであります。原因究明とは別に、被害をこうむったエンドユーザーの救済は必要だというふうに考えます。

 先ほど山本社長から具体的に、救済の措置、さまざまな覚悟についてお話をいただきました。設計から個別の相談に至るまで、全部対応するという覚悟をお示しいただいたことは大変重要なことだというふうに思っています。

 交換工事費以外の損失の補償についてもきちんと対応する、こういうお話をされたわけでありますけれども、国交省としてもそのことをしっかり指導していっていただきたいと思いますが、大臣の見解をお伺いいたします。

太田国務大臣 交換、改修については、東洋ゴム工業が、交換等に対する費用の負担に加えて、関連する損失、例えば、先ほどからありましたが、価値の下落を初めとするそうした損失についても補償を行うことは当然である、このように考えます。

 三月十八日に、所有者の意向について丁寧に把握して、誠意を持って対応するようにということを東洋ゴム工業に指示しているところでありますけれども、関連する損失の補償も含めて、東洋ゴム工業に、より誠意のある対応ということが行われるよう、最後の一棟まできちっとフォローしていきたい、このように思います。

樋口委員 最後に、社長、御社には、真面目に一生懸命働かれている、私もサラリーマン出身でございますけれども、従業員の方は連結ベースで一万人以上いらっしゃるというふうに伺っております。きょうも、多分このインターネット放送も、従業員の皆様やその御家族の皆様が本当に不安な思いで、会社がどうなっていくんだろうか、こういう思いで見ていらっしゃるんじゃないかと思うわけでございます。

 ぜひ、うみを全て出し切って、そして会社が発展されることを望みたいと思うわけでございますが、最後に、従業員の皆様や御家族の方に一言あればメッセージをお願いします。

山本参考人 今お話のありました社内の前に、やはり、今回私どもの免震ゴムの不祥事によりまして御迷惑をおかけしました建築物の所有者、使用者の皆様、施主様、建築関係の皆様、それから国や国土交通省様並びに国民の皆様に大変な心配と御迷惑をおかけしておりますことを、まず最初におわび申し上げたいと思います。大変申しわけございません。

 それで、次に私どもの従業員でございますが、今回、御指摘のとおり大半の従業員は本当に日々真面目に取り組んでいただいております。しかしながら、私どもの会社から起こった事案ですので、自分はかかわっていなかったということではなく、この問題に全員できちんと、被害を受けられた方のために努力していきたいということを、一緒にやっていこうということをお願いしたいと思っております。

 また、会社としては、私ども経営陣を含めて、私どもの企業風土、体質まで踏み込んで、もう一度、一から会社を立て直すんだという意欲で取り組んでまいりたいと思いますので、従業員の皆様、家族の皆様、今私たちは間違ったことをもう一度正しくしようという努力をしております。どうか自信を持って、誇りを持ってこの対応に取り組み、会社の再建に一緒に頑張ってもらいたいというふうに切に願う次第でございます。

 以上です。

樋口委員 終わります。ありがとうございました。

今村委員長 次に、宮崎岳志君。

宮崎(岳)委員 民主党の宮崎岳志でございます。

 最初にこの問題を国土交通委員会で取り上げさせていただきましてから今回で三回目の質問になるわけでありますが、やはり聞けば聞くほど不可解なことがふえてくる事件だなという思いを強くしております。

 これまでいろいろな方々からるるお話がありましたけれども、今回の件は、ただ性能を偽装したというものではない。これによって、警察や消防署がいざというときに機能しなくなる、病院で手術ができなくなる、テレビ局やラジオ局で放送設備が破損して災害の情報提供ができなくなるというような重大な事実を招く。

 これは、いつか起こるかもしれない地震のことでありますから、そして実際大地震が起こったときには、一々の、個々の部品の性能がどうだったかというものを検証しているような状況ではない。だから、どこで何人亡くなったかわからない、永遠にわからないであろう不正でありますけれども、それだけに罪は重いなというふうに思っております。

 その中で、私は、東洋ゴム工業株式会社の対応が、やはりこの期に及んでも何か及び腰なんじゃないか、十分この問題を解明しようという気が社内に見られないんじゃないかというような疑いを持たざるを得ないわけであります。

 まず一点目、伺いたいと思います。

 今回、四月二十四日に、会社側から依頼された弁護士事務所の方で作成したという中間報告書の概要が公表されました。二十二ページ、資料として今回提出をさせていただいております。

 しかし、これには本体部分というのがあるわけであります。本文百一ページ、別紙百七ページ、別添証拠二百九十六ページということでありますが、これを非公表としております。これはなぜ公表されないんでしょうか。社長、お願いします。

山本参考人 中間報告書は、最終段階のものではなく正確性が完全に担保されないこと、それにもかかわらず中間報告書を公開いたしますと、プライバシーの侵害の程度が大きくなる可能性があること、また、今現在、最終報告に向けて調査中でございますが、この最終版との整合を欠く記載がある場合も考えられ、それらの理由により、今回の公表は控えております。

宮崎(岳)委員 中間報告ですから、最終的な結論と変わるのは当たり前ですよね。

 そもそも、御社の方で調査をすべきなんですよ。御社の方で調査をして、それを公表する、これが最初にあるべきなんです。それを弁護士事務所に任せる。こういう場合は、通常、当事者がやるとそこに恣意的なものが入るかもしれないから、中立性を担保するために外部に出すわけですよね。その外部に出したものが正確性が担保されない。

 一部報道にもありましたけれども、この内容に会社側として納得できない部分があるから出せない、そのような報道もされておりました。それは違うんでしょうか。社長、いかがですか。

山本参考人 内容に納得のできないところはございません。事実として記載されておることは承知しております。

 それと、外部を中心にしておりますのは、今回、私ども経営陣も含めて詳細な調査が必要であろうということで、外部の法律事務所を中心に調査をしております。

 ただ、私ども自身も当然調査をしておりまして、その調査は、私ども独自によるものと、この大手法律事務所とともに調査する場合も含めて活動しております。

宮崎(岳)委員 弁護士の調査では納得できない部分というのは具体的にはどこですか。概要版でいうどの部分ですか。

山本参考人 今、私、納得できないとは申し上げていないと思います。(宮崎(岳)委員「違いますか」と呼ぶ)はい。

宮崎(岳)委員 では、内容については、会社側の見解と食い違うところは基本的にない、こういうことでよろしいんですか。

山本参考人 書かれている事実に関しては納得しておりますが、その事実と事実をつなぐ背景とか、なぜそのような記述になっているかというところに、確認したい部分はございます。

宮崎(岳)委員 これは、そもそも公表すべきものだと思うんですよね。それを中身が、自分たちで法律事務所に頼んでおいて、その結論について何か自分たちの見解と違うことがあるから、とりあえず出せません、次出すのはいつかわかりません、こういう話ではいけないと思うんです。

 これは大臣にお伺いします。

 この中間報告書本体については、国土交通省には提出をされておりますか。

橋本政府参考人 事実関係ですので、私の方からお答えいたします。

 国土交通省におきましては、四月二十四日に東洋ゴム工業から概要版の提出を受けた際に、全文について提出をするよう求めましたけれども東洋ゴム工業から提出がありませんでした。

 その理由として、プライバシーにかかわる記載があるということと、現時点において調査が全て終了しているわけではなく、新たな九十九棟の不正の原因究明に影響がある、要は、五十五棟と九十九棟で、推測でございますけれども、同じ人間が関与しているということも含めてあるので、現段階では全文の提出を控えたいとの説明がございました。

 国土交通省といたしましては、まず、中間調査報告書の概要において当初五十五棟の当面の安全性検証のために必要な情報は再確認ができたこと、それから、最終報告書は五月中に取りまとめられて全文が公表される見込みであること、それから、新たな九十九棟の不正の原因究明を正確にかつ速やかに行う必要があることから、現段階において、あえて全文の報告は求めないこととしたところでございます。

宮崎(岳)委員 百一ページ本文の全てが出せないというものではないと思います。出せる部分もあるでしょう。九十九棟の分に差し支えるとか、個人のプライバシーにかかわる部分があるとか、そこを例えば墨塗りにするにしても、やはりこの事案を解明するためには基本的に全文の提出が必要だというふうに、これは強く要求したいと思います。

 委員長、この委員会にぜひ提出をさせるように委員長の方でお取り計らいください。

今村委員長 理事会において協議させていただきます。

宮崎(岳)委員 それでは、続いて、この事案の中身についてお伺いをしていくわけでありますが、今回のデータの偽装を始めた課長代理のAさんという方、この理由、動機については概要版を見てもよくわからないんですけれども、これは結局、今会社の方で把握している動機、理由というのは何であったと思われますか。社長、お願いします。

伊藤参考人 この物件に関しましては、一件目はそこそこのデータになっていたのが、二件目、三件目、四件目と、引き続き基準を外れてしまったという状況にございます。

 その中で、我々が今調査した内容では、その当時の生産量もなかなか多くて、立ち会い検査までの日程も非常にタイトであったというところで、製造からのプレッシャーがあったという供述をしているということで、幾分それもあったかと思います。

 ただ、製造からのプレッシャーに関しまして、製造担当者も、通常の納期に間に合わせていただきたいという思いであったというような発言でございますので、これが本当にその動機であったかどうかに関しましては、またさらに今後の調査を継続したいという状況にございます。

宮崎(岳)委員 納期に間に合わせることについてプレッシャーを受けたということが概要版にも書いてあるわけでありますが、Gの〇・三九という製品、結果的には、そのおおよそ九割、出荷された製品の九割が大臣認定の基準を満たしていない。そうすると、納期に間に合うとか間に合わないとかというレベルの話ではないと思うんですけれども、一体そこはどういうことなんでしょうかね。

 一件目はデータができました。その製品で大臣認定を取ったということなんですか。

伊藤参考人 データとしましては、初期のデータは、縮小サンプルを積み重ねてまず認定のために必要なデータをつくり、それから実大のサンプルをつくって認定を受けるわけでございますけれども、それに関しましてはそんなに多くないサンプルでございます。それは、二〇〇一年から二〇〇二年にかかっておりまして、生産を始めたのが二〇〇四年からということがございます。

 縮小モデルとか最初の実大サンプルをつくっているころ、それから一件目、二件目の当初ぐらいまでは何とか基準に入っていたのが、以後、外れていったという状況にございまして、当人としても非常に戸惑ったとは思いますけれども、その辺のところの現実の供述は、いや、ゴムが変わったのだとかそういう供述でございますので、まだ真の原因までつかめている状況にございません。

宮崎(岳)委員 というと、最初はつくれていたものがだんだんつくれなくなった、その理由は当人にもわからない、こういうことでよろしいんですか。何か変わったことはないんですか。製造法とか材質とか、何か変わったものはないんでしょうか。

伊藤参考人 状況の情報を聞きますと、ゴムに関しましては、外注させていただいておりますけれども、練っているところは一緒でございますし、中身も一緒でございます。

 ただ、試作段階、あるいは、当初はシートを出すんですけれども、そのシートが非常に出しづらかった。それを出しやすくするためにいろいろな工程の加工条件をさわっていった中で何とかシートがとれるようになってきたことと、それから、認定条件から外れていったというのがほぼ一致しておりますので、加工条件が非常に当初は苦しかったというところを改善した中で、何らかゴムの方がやはりやわらかくなっていたものがかたくなっていったというふうにしか今推定できておりません。

宮崎(岳)委員 ということは、当初はつくれたけれども非常につくりづらかった。手間をかける方法を変えてつくりやすくしたら、今度は性能が合わなくなった、こういうことですか。

伊藤参考人 状況的にはそういうふうになっております。

宮崎(岳)委員 結局、生産効率を上げようとして質を落としたというふうにしか聞こえないわけでありますが、そういうことですよね。生産効率を上げて、そのために質が落ちたということであります。

 そして、通常、これは製品が出た後に検査にかけるわけですよね。そのうち、例えば何%ぐらいは大臣認定の基準におさまった、何ポイント外れていた。外れていたものはこれだからこれは使えませんとか、外すとか、あるいは、これが入るように修正するとかいう作業で、フィードバックを繰り返しながらつくるはずじゃありませんか。今回のものは、Gの〇・三九というものについては、では、そういう作業はなかったということなんですか、九割外れているということは。

伊藤参考人 今おっしゃるとおり、規格から外れるということは不良品でございますので、不良品が出たらそれをいかに基準に入れるかということでフィードバックをして、工程のばらつきを小さくするような活動が当然行われるべきだと思いますけれども、残念ながらそのような動きがなかったという状況にございます。

宮崎(岳)委員 そのような動きがなかったというのは、Gの〇・三九についてだけやっていないということなんですか。それとも、全般的に御社ではそういうことをやっていないということなんですか。いかがなんでしょうか。お願いします。

伊藤参考人 当然、免震以外では、通常のことで不良が出ますと、それに対する改善、工程改善が行われているというふうには認識しております。

 免震に関しましても、その他の製品をつくっておりまして、その他の製品でも今回九十九件で不良品が流出してしまっているという状況が起こっておりますけれども、何らかの改善方向はとられていたというふうに認識しておりますけれども、G〇・三九に関しましては、十数%しか合格がなかったということもあって、不正が続けられたという状況にございます。

宮崎(岳)委員 そういうフィードバックがなかったとしたら、製造部門の方とかは気づくんじゃないんですか。なぜこの製品にだけ、これは不良品で、不良品率が何%で、これははじく、こういうところを改善してください、こういうフィードバックがないのか。普通、製造工程の方は気づきませんか。これはいかがですか、参考人。

伊藤参考人 G〇・三九の生産を始める過程で、その他の場合には製造の検査班が特性の測定をしておりました。G〇・三九に関しましては、試験条件も複雑で、データも解析が非常に難しいというところで、スタート時点から開発技術で解析をしていたというところで、全データが全て検査班ではなくて、測定は検査班がしておるんですけれども、データの解析を開発技術の人間がやっていたということで、この人間一人がずっと解析をして、そのデータを品質保証に渡すという中で、不良を削減するということがほとんど行われていなかったという状況にございます。

宮崎(岳)委員 問題となっておりますAさんの後任としてBさんとCさんという方がいるというふうに聞いておりますが、この方々は、技術的根拠のない補正をかけている、これは不正だという認識はあったんですか。

伊藤参考人 Bに関しましては、違う部署から異動してまいりまして、Aに関しましては長い経験とそれから非常な知識がございますので、彼の言うことを信頼するというところで、彼の指示どおりの処理をしてきたということでございます。

 それから、Cに関しましては、以前は免震装置に携わっておりましたけれども、弊社に来る前は高減衰というものに関しては携わっていなかったということで、高減衰の挙動に関しまして十分知識がなかったということでAに頼るところが大きくて、不正で処理がされているんじゃないかという思いに対して時間を要したというふうに聞いております。

宮崎(岳)委員 概要版によりますと、「認識の程度に差異はあったものの、」というような表現があります。「認識の程度に差異はあった」ということは、完全に知らなかったというわけではない、何かこの作業には問題があるんじゃないかということには気づいていたというふうに読めるわけですが、そういうことではないんですか。

伊藤参考人 当初から気づいていたというわけじゃなくて、しばらくはA氏の言うとおりの引き継ぎあるいは指示のもとでデータを解析していたということでございます。徐々に自分に任される機会がふえてきたという中で、おかしいんじゃないかというふうな認識を特にCの方が先に感じたようでございます。

宮崎(岳)委員 この後任のB氏とC氏は、あるいはA氏本人もそうですけれども、動機、背景の一つとして「直属の上司の監督が適正でなかった」という表現があります。これはどういう意味でしょうか。

伊藤参考人 期間が長うございますので、直属の上司でも何人かございますけれども、A氏の場合には、認定を早くとれとか、それから期日が非常に近づいているとか、そういうことを上司から言われたというふうに申しておりまして、その辺のプレッシャーが大きかったという思いの発言がございました。それに関しましては、上司としてはそういうことを認めた状況ではないということで、今まだ調査中でございます。

 それから、時代がたちまして、B氏あるいはC氏が担当していたころに関しましては、上司といっても免震の担当をしていたわけではございませんので、言っていることに対する理解力が非常に乏しかったということで、相談しても、その相談に対する指導がなかったというような表現で述べております。

宮崎(岳)委員 今の話を総合しますと、結局、もともと手間をかければG〇・三九という製品はつくれた、しかし、製造部門なり上司なりが、認定を早くとれとか期日が近づいているんだとかいうことで、これはAさんの言い分ですよ、Aさんの言い分からいえば、そう言われたので、つくりやすいものに工法を変えた、製造方法に修正を加えてつくりやすくした、生産効率を上げようとした、そうしたら性能が落ちたけれども、落ちたままやってしまった、そういう理解でよろしいんですか。

伊藤参考人 言葉足らずで申しわけございません。

 もとに戻すことにはいろいろされたようなんですけれども、結局データがもとに戻らなかったというところで、生産効率を上げたというよりは、安全性を担保するために、ロールに過粘着しているシートをそのままつくり続けるというのはやはり非常に安全性に問題があるということで対応をされたと聞いております。

 もとに戻そうとしても、もとに戻らなかったということもあったようなので、生産性を上げるからこのデータで放置したという状況ではなかったというふうに思います。

宮崎(岳)委員 今のところがよくわからないんですが、過粘着しているものの安全性に問題があったのでということですか。それはどういう意味でしょうか。

伊藤参考人 ロールにゴムがひっつくと、やはり剥がすのに非常に手間がかかりますので、自動的にシートが出てくる状況にないということは、手動でいろいろな作業をせざるを得ないということに関しましては、やや安全性でも課題が残っているということでございます。

宮崎(岳)委員 結局、人の手をかけなければできないというところを自動でできるようにした。もちろん、それが正しくないことであるとは言いませんが、しかし、生産効率を上げようとしたということですよね。歩どまり率を上げようとしたとか、生産のスピードを速くしようとしたとか、それにかかる手間を少なくなるようにしたとか、もちろん、その過程で人の手が加われば安全性に問題があるということはわかりますが、そういうことだと思います。

 現実に、Gの〇・三九の製品、今、もう一度大臣認定を取り直しということも含めて製造に取り組んでいるということだと思うんですけれども、これはつくれているんでしょうか。

伊藤参考人 三月に御報告した後、全社を挙げて、タイヤテストとか自動車部品のゴムのメンバーを含めまして、今、開発をずっと継続しております。なかなかに難しいゴムであるということも認識しております。

 大体のめどがついてきておりますが、性能というのは、今回の剛性とか減衰性能だけではなくて、経年変化性とか温度依存性とか、いろいろなデータがございますので、今大体のめどがついてきているので、次はそちらの方のデータを今、一生懸命測定している最中でございます。

宮崎(岳)委員 結局、二カ月たっても、大臣認定の性能について、大体のめどというところまでしかたどり着いていないということですね。よろしいですか、そういうことで。

伊藤参考人 一番大事な剛性と減衰のバランスに関しましては目標に到達しているんですけれども、免震に関しては、その他いろいろな性能を兼ね備えて、きちっとした品質管理ができる工程でつくるという認定の条件がございますので、その他のデータを今、一生懸命解析しているという状況にございます。

宮崎(岳)委員 ちょっとその後の状況について、時間も余りありませんので、伺いたいと思うんです。

 資料の方を提出させていただきまして、そこに二枚目の資料二というものがあると思いますが、これは、登場人物、今回の概要版に登場する方々が、いつ、どうしたか、どのように報告が上がっていって、いつ認識を持ったかということについて調べたものであります。もちろん、登場していない場面もあるので、必ずしもここから認識が始まったとは言えないと思いますが、少なくともこの時点では認識があったということかと思います。

 さて、ここで言う代表取締役専務、Lさんという方が今回の社長の山本社長であるということですが、取締役常務執行役員・技術統括センター長のJさんというのが伊藤参考人ということでよろしいんですか。(伊藤参考人「はい」と呼ぶ)よろしいんですね。はい。結構です。

 では、先ほどのお話で伺います。

 先ほどの与党の質疑の中でも、昨年九月十六日の会議ですかね、出荷停止を決めた、国交省の一報を決定したけれども、方針が撤回されたという会議がありました。ここで新たに調査に加わってもらった方がそういう報告を会議にした。これは午前、一応出荷停止をして国交省に一報しようというふうに決めた、そして午後、方針が撤回されたきっかけとなったのは、きょう御出席いただいている伊藤参考人の報告ということでよろしいんですか。

伊藤参考人 九月の午前中、私も会議には参加しておりました。それで、午後の会議で、工場の方でデータをとっていた者が、こういう機差で整合性のとれるデータがあるという報告があったので、差し迫っておりました出荷に関しましては基準内に入るデータになるということで、その日はさらに調査を続けるという結論になったと理解しております。

宮崎(岳)委員 そうすれば、先ほどの社長が答弁をされた中では、新たに伊藤参考人をヘッドとするチームをその調査に加えたというような話だったと思うんですね。それで、そこからの報告が上がってきて、これは何とかおさまるよという報告があったので、当初の方針を撤回して、再び出荷することにしたというようなことであります。

 今、伊藤参考人は、自分はそこに報告はもちろんしたんだけれども、それは部下からそういう報告が上がってきたので、それを入れただけだというふうにおっしゃっていましたけれども、事実関係としてはそういう流れでよろしいですか。伊藤参考人、いいですか。

伊藤参考人 電話会議でそういう報告があったということで、午後の会議後はそういう結論になったというのは、それでよろしいと思います。

宮崎(岳)委員 通常、そこで一旦、何とかおさまると。しかし、その前にAさんに聞き取りはしているわけですよね。その段階で、不正な補正が行われているという認識は、これは社長に伺いましょう、なかったんですか。結果的におさまったとしても、そこに入れている数字に技術的な根拠がないということは変わりませんよね。捏造なり不正が行われたという認識はなかったんですか。社長、いかがですか。

山本参考人 まず、私は、この午後の会議の結果は後日お伺いしたわけなんですけれども、午後は私、出席しておりませんでした。(宮崎(岳)委員「午後、出席していない」と呼ぶ)はい。後日お伺いしました。

 その技術的根拠がないというお話ですけれども、そのときは、結果的には間違った解釈なんですけれども、報告としては、許容される方法で算出したデータであるという報告ですので、その方法が技術的根拠がないという指摘ができなかったというのが、そのときの問題かと考えております。

宮崎(岳)委員 そうすると、御本人には聞き取りをしているわけですよね、その段階で。ここで初めて出てきた話じゃない。これが二週間なり一月前に出てきたという話だったら今のお話も何となくわかるんですが、もともとその会議より一年以上前から話が始まって、少なくとも半年前には、技術担当の取締役等も含めて、例えば、半年までいきませんが、四カ月前には、本社の取締役とダイバーテックの事業本部長もその話を認識され、そして、その会議のやはり四カ月前には、当時の社長、今の代表取締役会長、信木さんですか、この方にも報告が上がっている。その後も何度か会議が繰り返されて、ここにたどり着いているわけですね。九月十六日が最初の会議ではない。

 そういった中で、御本人にも当然、Aさんにも聞き取りをしている中で、補正をかけている数字に技術的な根拠がないということについて、認識はないわけですか、そこに出席されている方々には。これは伊藤さんに伺えますか。

伊藤参考人 重大な課題であるというふうには認識はしております。

 ただ、この九月の時点で、今回出荷する件に関しては、基準内に入るということならばもう少し調査をして、どういうことが課題だったのかというところを明確にしようという流れだったと思います。

山本参考人 九月十六日までの会議でございますけれども、確かに報告事項は記載されているとおりなんですけれども、それに対して当然出席者からいろいろな質問が出るわけなんですけれども、これに対して、残念ながら、当時知識の不足もございまして、ほとんどはっきりした返事が事業部の方から出てこないという状況が続いておりました。それで、この九月十六日に至っておるということでございます。

 それから、先ほど、伊藤と免震のゴムがどうとかという中で、ちょっと彼が説明し忘れているところがございまして、問題発覚後、正規品をつくる際に、当然一番最初の条件のものは確認しておりますが、ところが、もとのとおりに戻らなかったということで、これはまだ理由がはっきりしていない部分もございます。

 一番最初の条件で、認定と第一物件がつくれた条件、その後、安全の話はこれはまた私は全く別の話だと考えております。それで、当初と同じことをしても、残念ながら、今回同じものが出なかったというのが非常に不思議なところでございまして、それを踏まえて、正しい性能のものをつくっておるというのが現状でございます。

宮崎(岳)委員 そうしますと、今重要なことをおっしゃったと思うんですが、当初、大臣認定のものを第一物件についてはつくれました、そのうちいろいろ条件をいじっているうちにつくれなくなった、もとに戻したけれども二度と同じものができなくなった、こういうことでよろしいんですか。

山本参考人 現実のデータ確認としてそのような結果となっております。

宮崎(岳)委員 それで、できなければ、これは不良品が何%出ているよ、この場合であれば、八十何%不良品でおさまっていないよ、もう一度これは修正したらどうかと打ち返すんだと思うんですが、そういう作業はやらないで、そのまますんなり、納期も迫っているしこれで行っちゃえということで進んだ、こういうことでよろしいんですか、社長。

山本参考人 今の御質問は、当時はそれを、A氏が正しいデータであるという判定をしておったものですから、正規品として考えておったというふうに理解しております。

宮崎(岳)委員 今の話でいいますと、最初正しいものがつくれたけれども途中でつくれなくなった、そのときに、補正に入れる数字を変えているわけですよね。最初に補正に入れている、最初も何らかの数字を入れているんでしょうけれども、このときの数字のままやっていると、その後できたものはみんなというか九割ぐらいは不良品になってしまうので、どこかで切りかえているわけじゃないですか、間違った数字に。間違ったというか根拠のない数字に。最初根拠のある数字を入れていたんだけれども、根拠のない数字に切りかえたわけですよね、第一物件から第二物件に至る間だと思いますけれども。

 このときに、結局、普通でいえば、どうも数字が出ていないよ、製造部門に、注文どおりの製造を見ていないからちょっと見直してよ、こういうことをぐるぐる回しながら不良品率を下げていくんだと思うんですけれども、こういうことは第二物件をつくるときにやらなかった、こういうことですか。

伊藤参考人 今の状況を見ますと、そのように、本来だったら、不良品が出て困るから何とか改善しようという動きをするべきですが、その動きがなくて、補正の係数を変えて、基準内に入る、あたかも基準内にあるかのような操作をして出荷したという状況にございます。

宮崎(岳)委員 第一物件から第二物件に至るその不正が行われた時期というのは、そうすると、いつだというふうに認識をされているんですか、第一物件と第二物件の間だと思いますけれども。

伊藤参考人 生産実績からいいますと、二〇〇四年の秋でございます。

宮崎(岳)委員 わかりました。結構です。

 二〇〇四年の秋にXデーがあって、もちろん、それ以前の九十九物件の件もあるので、それまである程度ちょこまかとは不正が行われていたんであろう。ちょこまかと、たまたまはないけれども、納期が合わないからこれを入れちゃえとかというようなことは恒常的に行われていたけれども、この二〇〇四年秋のある時点を機に、ほとんどまともな製品が出荷されないという状況が始まって、それが十年間継続をしていた、このようなことだというふうに理解をしました。大変な問題であるかと思います。

 時間もありません。ちょっと質問をかえます。

 最終的に、国交省に一報を入れるのがことしの二月九日であります。その後、三月十二日に国交省に対して報告をして、翌日、三月十三日に国交省に認定の取り下げを申請した。この十三日の時点でマスコミにも公表され、我々も知るところとなったわけでありますが、その三月十二日という日付なんですけれども、これは東日本大震災四周年だった本年三月十一日の翌日であります。翌日に国交省に報告を入れているということであります。

 三月十一日という日、意識したということはありませんか。

山本参考人 そのようなことは全くございません。

宮崎(岳)委員 三月十一日という日は、防災にかかわる方にとっては特別な日ですよね。その日が頭の中に全くないということはあるんですかね。意識は何かしたんじゃないですか、どういう意識かは別として。頭の中には、きのう震災の、あるいはあした、一カ月ぐらい前から報告の準備をずっとしているわけですから、震災の日が迫ってくるな、この前になるのかな、後になるのかな、こういう意識も全くないんですか。社長、いかがですか。

山本参考人 二月九日に第一報を御報告してから、私どもとしては、対象となる免震積層ゴムの特定、それから安全性の確認、他社製品との取りかえの可否、新認定取得手続の確認などを作業としては行っておりまして、それが完了した時点で御報告したのがその日ということでございます。

宮崎(岳)委員 意識したのかしていないかということについては今答えられていないと思うんですね。

 金曜日の午後三時、株式市場が閉まって、その後発表するというのが企業の発表の通常のところだと思います。そうすると、十二日という数字ももちろんあながち不自然ではないけれども、その一週間前であれば一報を入れてから一月以内というところにおさまるわけでありますし、そういったところで、これを避けたとは言っておりませんけれども、三月十一日に間に合うのかな、間に合わないのかなというような意識が全く浮かばないんですか。浮かばないとしたら、そっちの方もちょっと普通ではないと思うんですけれども、社長、いかがですか。

山本参考人 緊急事態として先ほどの作業をすることを一生懸命やっておりまして、そのような意識はございませんでした。

宮崎(岳)委員 にわかに信じがたいところもありますけれども、水かけ論でありますので、ここで終わりますが、この問題について、会社上層部の責任というのは非常に重大かというふうに思います。

 この問題について、誰がどのように責任をとるべきか。社長についても、御自身の責任のとり方について記者会見等でも発言をされているというふうに伺いますが、現在どのように考えていらっしゃるのか、山本社長にお伺いをいたします。

山本参考人 私どもが今最も果たさなければならないことは、当件の対応をきちんと行うということだと思います。

 その上で、今調査しております最終調査報告書の内容詳細を受け取ったところで原因究明、再発防止策及び処分、経営責任の明確化を行いたいと考えております。

宮崎(岳)委員 最終報告を受けて、原因究明等を行い、再発防止策をとった段階で御自身の進退についてもいろいろお考えがある、こういうことでよろしいんですか。

山本参考人 はい、そのとおりでございます。

宮崎(岳)委員 この件、問題が発覚というか社内で発覚してから非常に長い期間を要しております。その間に社長もお二人おかわりになっている。山本社長は、言ってみれば、これまでその部署にも余りいらっしゃらないようですし、天から降ってきたような話と御自身受けとめられてもおかしくないというふうに私は思います。

 例えば、当時社長であってこの問題について昨年の五月二十七日から認識していらっしゃったという信木会長、当時社長の責任についてはどのようにお考えでしょうか。いかがですか。

山本参考人 信木の責任につきましても、最終調査報告書を受けた後、再発防止策、原因究明、処分、経営責任について判断したいと考えております。

宮崎(岳)委員 これは進退についてということではないんですけれども、今回の件で最高責任者と言えるのは、恐らく六年余り社長を務められた中倉健二相談役。この問題、つまり断熱パネル問題で片岡善雄前社長がやめられて、そこから交代をされて、そして六年余り社長を務められてきた。この偽装が行われた中心的な時期には、片岡元社長と中倉現相談役、当時社長が主な時期だったと思うんですけれどもね。

 特に中倉氏については、断熱パネル問題で幕引きを図るために片岡氏が当時社長をやめられて、その後を受けて、再発防止等も含めて全指揮をとられていたはずの方だと思うんですけれども、この中倉さんの責任についてはどうお考えですか。

山本参考人 今現在、G〇・三九以外の物件についても全て調査中でございますので、こちらにつきましても、最終調査報告を受け取った後、外部の法律事務所とも相談しながら決めていきたいと考えております。

宮崎(岳)委員 中倉相談役については、この問題が社内で、社内といいますか子会社である東洋ゴム化工品の方でいろいろ問題になって、認識が始まり出した後に社長をやめられて、その後役員もやめられているような方というふうに思いますが、役員の退職慰労金というのは支払われているんですか。

山本参考人 弊社におきましては、二〇〇六年に退職慰労金制度を廃止いたしました。

 ただ、中倉につきましては、二〇〇六年までの退職慰労金につきまして二〇一四年四月にお支払いしております。

宮崎(岳)委員 二〇〇六年までの分については支払われているということでありますが、先ほどの話でいうと、二〇〇四年に、後戻りのできない、つまり、一般的な意味で不正品を紛れ込ませるとか不良品を何となくぎりぎりだから入れてしまえというようなことを超えた、完全に捏造と言われるところに踏み込んでいった、その時期にも既に社長をしていらっしゃる。

 こういったことも含めて、やはり社会的な責任を、これは現在山本さんが社長であるからとか信木さんが会長であるからということだけではなくて、あるいは辞任すれば済むという話ではなくて、自主的なことか法律的なことかはともかくとして、やはり幅広い意味で責任をとっていただくべきかと思いますが、これについて、社長、いかがお考えでしょうか。中倉氏について、退職慰労金の一部を返還していただくとか、それも含めての責任をおとりいただくべきかと存じますが。

山本参考人 ただいま御指摘の点も含めて、最終調査報告書を確認、検討の上、判断させていただきたいと思います。

宮崎(岳)委員 かなり時間もなくなっておりますので、まとめに入りたいと思います。

 今回の問題は大変重要な問題であるというのは、これまでるる、それぞれ私以外の質問者も含めてお話をしてきたとおりでありますが、特に問題なのは、前回、耐熱パネルの偽装問題、これも大臣認定の偽装問題がそれでありました、そしてさまざまな制度が導入をされました、そして再発防止を誓われて、社長もかわられて、体制も刷新をされて、それでも、それ以前からずっと不正が継続されていたということが決定的な問題かというふうに思うんですね。

 二〇〇四年に問題の、二〇〇四年の秋に決定的な時期があったわけですけれども、その後、二〇〇七年から八年にかけて断熱パネルの問題があった。これだけ大規模な偽装、捏造と言ってもいいと思いますが、行われているのに、ここでも全く気づかなかった。この理由についてはどうお考えでしょうか。社長、いかがですか。

山本参考人 先ほど申し上げましたように、当時、品質監査室を社長直轄で設置し、全社の点検をいたしましたが、残念ながら、その方法が少し徹底性が足りなかったということで、これを問題として把握できなかったことは大変残念でありますし、反省しております。

 この点を踏まえて、次に構築します再発防止策につきましては、かなり徹底性の高いものを必ず構築したいと考えております。

宮崎(岳)委員 時間でありますので終わりますけれども、二度と繰り返さないということは一度目のときに言うことであって、もう既に一度繰り返しているわけですから、相当のことをやっていただかないと困りますし、先ほどの報告書の公開も含めて、きちんとした対応をとっていただくようにお願いを申し上げます。

 ありがとうございました。

今村委員長 次に、本村賢太郎君。

本村(賢)委員 民主党の本村賢太郎でございます。

 参考人の皆様、どうぞ明快かつわかりやすい、短い御答弁をお願いしてまいりたいと思います。そして、東洋ゴムに関しましては、基本的に山本社長に御答弁をお願いしてまいりたいと思います。

 まず、東洋ゴムの社風についてお伺いいたしますが、一九九二年に断熱パネルの偽装がスタートして、発覚したのが二〇〇七年、つまり十五年後であります。そして今回、免震ゴムの偽装が始まったのが一九九六年、そして正式に二〇一五年に報告が国交省にあったということでありますので、約十九年間にわたって、長きにわたって、耐火パネルそして免震ゴムの偽装を行ってきたわけであります。

 会社の御挨拶の文書を見ると、「当社は、独自の技術を核に据え、たゆまずその進化に努めてきた「技術オリエンテッド」のモノづくり企業です。この基本的な在りようは今後も変わりません。」と社長がおっしゃっていますし、昨年から始まった中期経営計画では、コンプライアンスの徹底をうたっていらっしゃるわけでありますが、社長の物づくりに対する思いをまず冒頭にお伺いしたいと思います。

山本参考人 非常に幅広い御質問かと思いますけれども、物づくり、技術開発というのは、技術というのは、やはり人の役に立つ、自分以外の誰かが喜んでくれるということのために技術を開発し、物をつくっていくべきものであると。

 その喜んでくれたり役に立ったりすることが、新技術、画期的技術の場合もあるし、そうではなくて、丁寧にお客様の言うことをお聞きすることで既存の技術を組み合わせて物をつくる場合もあるかと思います。しかし、基本的には、製造業としては、常に新しい技術開発に取り組んでいくのが基本的な姿勢かというふうに考えております。

本村(賢)委員 今回、私ども民主党の部門会議で神奈川芸術劇場に視察をした際、伴野理事の方から、今回の免震ゴムの偽装に関して、たくみの心もなければ良心のかけらもないじゃないかという御指摘があったわけでありますが、今社長から物づくりに対する思いを聞きましたが、今回の一連の騒動を顧みて、本当にその物づくりの思いが正しいのかどうか、もう一度お伺いいたします。

山本参考人 物づくりに対する思いとしては、私自身としては間違っていないかと思います。

 ただ、それを会社の隅々まできちんと浸透させて実行していくということに関しては、結果としてそうなっていなかったことは非常に残念ですし、反省しておりますし、今後、改善していきたいというふうに考えております。

本村(賢)委員 物づくりは人に喜んでいただくというお話もございました。今回の一連の結果を見て、人に喜んでいただけるどころか、本当に人に大きな御迷惑をかけている点、この点をまず冒頭に指摘をしてまいりたいと思いますし、先ほどほかの委員からも御質問がありましたとおり、やはり、会社の皆様は御家族がありますし、東洋ゴムに入社をされて誇りを持って仕事をされておりますので、その点も含めて、ここのところはしっかりと反省をしていただきたいと思います。

 そして、まず、数についてちょっと幾つかお伺いしたいと思うんですが、今回のこの偽装問題は、我が日本の物づくり立国を代表してきた免震技術の信頼を失ってしまうような大きな事案だったと思います。

 物づくりを大切にしているのであれば、不明が発覚した時点で即時に出荷停止をするべきであったということでありますけれども、中間報告書によれば、二〇一四年二月に子会社社長が不正を認識してから十二棟に既にこの免震ゴムを出荷されているという記載がございますし、新しい担当者が不正の疑いを発覚したのが、二〇一三年二月にデータの不備に気づくということでありましたので、本来、このデータの不備に気づいた段階で出荷停止をするべきじゃなかったのかな、そう強く思うわけであります。

 この二〇一三年の二月の時点から今日までの時点で、国土交通省への報告までに出荷した免震ゴムの基数及び棟数についてまずお伺いしたいと思いますし、また、その間に不正の疑いがある商品を新たに販売、受注していたならば、さらに悪質だと考えます。新規受注基数及び棟数があったのかどうかも含めて、数についてお伺いしたいと思います。

伊藤参考人 まず、二〇一三年の二月からの出荷基数でございますけれども、弊社、G〇・三九以外にもつくっておりますけれども、全数では千三百九十五基でございます。うち、G〇・三九が七百十基でございます。(本村(賢)委員「棟数、棟数も」と呼ぶ)棟数……(本村(賢)委員「通告していましたよ、これ」と呼ぶ)二〇一二年からは……(本村(賢)委員「基数がわかるなら棟数もわかるでしょう」と呼ぶ)四十七物件でございます。(本村(賢)委員「四十七棟」と呼ぶ)はい。

 受注に関しましても、全部で九百八十六基を受注しておりまして、六百十三のG〇・三九を受注しております。

本村(賢)委員 不正の疑いが発覚してから商品を新たに販売、受注していくというのは、非常にこれは悪質だなという点を指摘してまいりたいと思います。

 そして、次の質問に入らせていただきますが、東洋ゴム製の免震部材については、二百九棟、五千七百二十五基に使用されていると承知をしておりますけれども、うち、高減衰免震ゴムが四千七百十七基、天然ゴム免震ゴムが八百五十四基、滑り支承百五十四基と伺っていますが、それぞれ何棟に使用されているのか、全体像をお伺いしたいと思います。

伊藤参考人 G〇・三九は五十五棟でございます。

本村(賢)委員 質問に答えられていないんですが、全部で二百九棟、五千七百二十五基ございますよね、御社がつくられた免震ゴムが。そのうち高減衰ゴムが四千七百十七基、そして、天然ゴム免震ゴムが八百五十四基、滑り支承が百五十四基というふうに、基数は聞いたんですが、棟数について内訳をお伺いしているんです。

伊藤参考人 申しわけございません。五十五棟と、それから九十九棟で……(本村(賢)委員「内訳を聞きたいんですよね」と呼ぶ)おのおのでございますか。

本村(賢)委員 高減衰免震ゴムの四千七百十七基で何棟分に値するのか、天然ゴム免震部材八百五十四基で何棟分の建物に値するのか、滑り支承百五十四基で何棟分に当たるのかということを聞いているんですけれども。

伊藤参考人 重複がございますので、一棟に対して二種類を使っておりますけれども、それに関しましては、二百九物件に相当いたします。

 E4は、先ほど申しましたように、五十五件でございます。それから、G〇・三五が百二十二棟でございます。それから、G〇・六二という製品がございますが、これが四物件、天然が三十一物件、それから、戸建て免震というのがございまして、これが四物件、滑りが二十二件ということでございまして、総数は二百九物件ということでございます。

本村(賢)委員 次に、四月二十一日に、百五十四棟に使われた製品について、国に出した全十七件の一部でデータ改ざんしたような跡があったと国交省に報告されたというふうに報道がございますけれども、その後、改ざんがされたのかどうか事実確認はされているのか、確認をされているのは何件改ざんをしたのか、お伺いいたします。

伊藤参考人 疑義があるということで御報告した中で一番の課題は、G〇・三五を最初に認定をいただいたときのデータは一般仕様品のデータを使ってばらつきを申請いたしました。ところが、出荷品のデータに不正がありそうだというところで、この辺の調査をさせていただきたいということでしております。

 最初に建設省様の認定をいただいたときのデータは、それ以前に出荷させていただいたデータを使わせていただいたんですけれども、それの中に、これは十数%でございますけれども、不良なものを出荷させていただいた。そのデータを正常値として計算したものも含めて計算したばらつきで申請しているということも含めまして、今調査しております。

本村(賢)委員 次に、私ども、神奈川県相模原市選出なんですけれども、神奈川県内の御社のものを使用した物件について三カ所視察をしてまいりまして、かつ、相模原市内の東洋ゴムを使ったマンションにお住みの方からも聞き取りをしてまいりまして、その点を踏まえて幾つか質問をしていきたいと思います。

 まず、神奈川芸術劇場、これは全ての耐震ゴムでデータが偽装された五十五棟のうちの一つでありまして、ここは民主党の部門会議で視察に行ってまいりました。三月二十七日でありましたが、同行された当時の東洋ゴム化工品の社員が、大臣認定を取り消された三件、G〇・三九だと思うんですが、と同じ性能を持つ製品はつくれないという答弁をそのときにされているんですが、社長も同じ認識でいらっしゃるのか。

 先ほどは〇・三九免震ゴムについてめどが立ったようなお話をされましたが、この製品について、今後もつくれない免震ゴムを販売していく予定があるのかどうか、お伺いしたいと思います。

山本参考人 今の御確認はG〇・三九という理解でよろしいでしょうか。

 当時、その現場に居合わせた人間がなぜそのように答えたかはわからないんですけれども、今現在は、先ほど伊藤が申しましたように、ほぼ性能は達成しておるというふうに理解しております。

 ただ、販売ということにつきましては、先ほど国土交通省様からも御指摘がありましたように、私どもとしては準備はしておりますけれども、まだまだ、原因究明であるとか、品質保証体制であるとか、検査工程の最終確認であるとか、そういうことがございますので、そちらの方についてはまだ具体的な日程は立っておらないというのが現状でございます。

本村(賢)委員 当時の社員の方が同じ性能を持つものはつくれないというお話を私たちも聞いておりまして、きょうは大分めどが立ったという話でありますから、いい方向に進んだことはいいことなんですが、御社の皆さんが、全国の御社のゴムを使われた施設に行かれた際に、非常に誠意がない対応が目立っているというお話を伺っています。

 例えば、箱根町の職員の方が、この三月に五十五棟が発表されて以降何か動きはないのか、うちのさくら館の免震ゴムは大丈夫なのかという電話を四月二十日にした際も、まだ未回答であるというお話があったにもかかわらず、四月の二十一日、翌日には、三名の方が突然約束もなく町役場に訪れてきて、それで、今回九十棟のうちの一つに入るかもしれないというようなお話をされて帰ったということでありますし、そのときに、まだ途中とはいえ、質問に対しても答えが返ってこなかったというお話であります。

 先ほど社長も、これは社員全体の問題でありますので、各施設に伺うときには、しっかりとしたコンプライアンスを持って、かつ技術的なものもよく勉強された方が行かないと、ただ単におわびに行くだけでは、それも、約束もなく突然来られたということでありまして、箱根町の皆さんからもお話を聞くと、非常に困った形であるという指摘をされておりましたので、ぜひ、子会社の東洋ゴム化工品の社員がつくれないと言ったり、きょうはつくれると言ってみたり、やはり社としての統一見解をしっかりとお願いしてまいりたいと思います。

 私がお邪魔したのは、今お話ししたように、昨日、箱根町の総合福祉センターさくら館、ここは一部の免震部材でデータが偽装されていた九十棟のうちの一つでありますし、また、もう一つは厚木の市庁舎でありますが、ここはデータ欠損があるという疑いがあるところでありまして、その三つの施設と、それから地元相模原市の御社のゴムを使われているマンションにお住まいの私の友人からメールが来まして、今回お話や聞き取りをしたわけでありますけれども、そういう中で、やはり一番皆さんが同じ希望を持っているのは、建築基準法違反の建物ではなく、当初予定されていた正常な形にいち早く戻してほしいと。これは、先ほどからたくさんの皆さんから御質問がありますが。また、性能不足製品については早期に交換してほしいという点が共通の点でありまして、性能不足の免震ゴムについて今後の具体的な対策を伺いたいと思います。

伊藤参考人 今申しましたように、G〇・三九に関してはいろいろな課題がまだございますが、G〇・三五に関しましてはきちっとした品質管理をやること、体制も必要でございますけれども。それから、データを、検査の独立、それから品質保証の牽制、そういうものを確立して、何とか供給させていただけるように努力しております。能力の方も、プレスが能力なんでございますけれども、そのプレスの能力を上げるべく、今増設の検討をさせていただいております。

 あるいは、ブリヂストン様にも常にお願いをして、供給量の確保をお願いしているというところで、まだまだ足らないところはございますけれども、努力をしていく所存でございます。

 つくる方は、当初、二千基に関しましては一年ちょっとでつくらせていただけるような準備を今進めておりますけれども、さらに不良品が出ておりますので、三千基をどのようにつくるかというところで、例えば天然とか滑りに関しましても、供給を今していただけるところに何とかお願いできないかということもあわせて検討しております。

本村(賢)委員 検討ということで、ぜひ、三施設そしてマンションにお住まいの共同住宅の皆さんのお声は、早期に免震ゴムの交換をしていただきたいということでありますけれども、社長にお伺いいたしますが、全て免震ゴムを、違法の免震ゴムに対しては交換するということでよろしいでしょうか。あと、いつごろまでにやるということでお考えでしょうか。

山本参考人 基本的に、基準に外れたものにつきましては全て交換の方向で考えております。

 先ほど伊藤も申し上げましたように、まずは、G〇・三九につきましては、ブリヂストン様にたくさんの御協力をお願いして、具体的に調整が始まっておるところでございます。その他免震ゴムにつきましても、同様のものを製作しておられる会社様にお願いを始めておるところでございます。

 自社、他社問わず、とにかく早く装置をそろえていって交換作業に進めるようにと考えておりますが、最終的なスケジュールにつきましては、個々物件によって難しさであったり、いろいろ異なってまいりますので、まだ今のところ具体的に最終いつまでというところまではスケジュールは至っておりません。

 今後、きちんとスケジュールが出せるように、関係の免震材料供給メーカー様、ゼネコン様と相談しながら、早くスケジュールを確定したいと考えております。

本村(賢)委員 スケジュールが、なかなか先が見えてこないということでありますけれども、今回、建築基準法違反の物件に住まわれている方、そして仕事をされている方、そして入院をされている方、さまざまなケースがございます。ぜひとも、この交換の時期というのを明確に、いつまでに取り組めるのかということをしっかりと御報告をこれからお願いしてまいりたいと思います。

 報道によれば、三月二十六日に、先ほど御答弁いただいたように、ブリヂストンが免震ゴム交換に協力することを明らかにされておりまして、まず、ブリヂストンとの交渉状況について現在の状況をお伺いしたいのと、また、先ほどお話しした箱根町のさくら館では、遅くとも年内には交換をしてほしいというふうに担当の方がお話をされておりました。

 五十五棟及び九十九棟の交換にはどの程度の時間がかかり、どの程度の費用が予定されているのか、明らかにしていただきたいと思います。先ほど、国交省では、ブリヂストン型を使った場合、一年、東洋ゴムの答弁は、四カ月ぐらいかかるというふうな話もいただきましたが、どの程度の時間と、そして費用がかかるのか、五十五棟、九十九棟についてお伺いいたします。

    〔委員長退席、坂井委員長代理着席〕

伊藤参考人 この交換というのが非常に難しいというふうに聞いております。

 大体、一基、一日から二日かかるというところでございますので、仮に単純計算で一・五日かかるとして、G〇・三九の二千四十五基、あるいはE6を合わせて二千五十二基、その他今回の物件でほぼ三千基をかえるとなりますと、延べ四千五百日かかるという計算でございます。

 これを仮に五班が同時に進行したとしても、九百日、三年弱の日数がかかる、この交換に関しまして非常に日数がかかるという試算を今しておりますので、これをいかに縮めるかです。

本村(賢)委員 四千五百日ということでありまして、これは今、十年余を超えるお話でありますし、また五班でやったとしても九百日ということでありまして、三年近くかかる話であります。これではちょっと、皆様の製品を使われた方々が非常にこれは展望が見えてこない話でありますので、ここは強いリーダーシップを持って、他社とも協力をしながら、やはりこの日数を縮める努力をしていただきたいと思います。さくら館においては年内にという御希望もありましたので、ぜひともそれに近い対応をお願いしてまいりたいと思います。

 次に、四月十五日の国交委員会で橋本住宅局長が、天然ゴムとダンパーを使う別の免震装置にかえるという対応も可能と答弁しておりまして、これはブリヂストンで代替できる商品も相当数あるが、完全に同じものがない場合、例えばという話でされたわけでありますけれども、本当にこのことは可能なのかどうか、お伺いいたします。

橋本政府参考人 お答え申し上げます。

 高減衰ゴムを使った免震装置を天然ゴムを使った免震装置とダンパーを組み合わせた免震装置に組みかえるということは可能であります。今回の改修案件においては、他社製品をそのまま使うということとあわせて非常に有力な改修の工法だと思います。

 ただ、建物ごとにさまざまな制約条件がございますので、実際に適用できるかどうかは、また個別の構造計算等も必要になると考えております。

本村(賢)委員 技術的には、天然ゴムとダンパーを使う別の免震装置にかえるということも可能だということでありますけれども、皆さん、高減衰免震ゴム、ここを信じてこれを使われているわけでありますので、本来ならば高減衰免震ゴムでかえるべきだなと思います。ただ、今、橋本局長からお話があった代替のお話も有力な話だと思いますので、そこはぜひ施主の皆さんとも相談をしながら、前向きに取り組んでいただきたいことをお願いしてまいります。

 次に、厚木市庁舎では、現場を見させていただきましたが、データが欠損した滑り支承が使われていました。

 高減衰免震ゴムについてはブリヂストンの協力のもと交換するとのことでありますけれども、例えば、厚木市庁舎のような高減衰ゴム以外を使用しているケースにおいてはどのような対応を考えていらっしゃるのか、お伺いいたします。

伊藤参考人 データが欠損したことに関しては申しわけないと思っておりますが、天然とか滑りに関しましては、複数の会社で製造されているというところなので、ぜひともその御協力を得たいということで、今お願いをしているところでございます。

本村(賢)委員 複数の会社というお話でありましたけれども、具体的には、先ほど、高減衰ゴムはブリヂストンということでありましたが、滑り支承に関してはどういう会社があるんでしょうか。

伊藤参考人 済みません。ただいま、昭和電線様とかそれから日本オイレス様とかいう他の免震製造メーカーにこれからお願いに上がろうとしております。

本村(賢)委員 多くの建物の所有者の皆さんが可能な限り早い交換を望んでいますけれども、一度に全てを交換することは物理的に不可能だということは十分承知をしていますけれども、先ほども常務の方から、四千五百日、または九百日というお話もございましたが、建設中のものもあったり、また病院や防災拠点など公共施設が多い中で、どのような優先順位で交換を行っていくのか。大臣答弁の中では、五十五棟の中で、今建設中のところは急いで対応していくというお話もありましたが、優先順位についてお伺いしたいと思います。

橋本政府参考人 個々の建築物についてはそれぞれ事情がございますので、優先順位を単純に申し上げることはちょっと難しゅうございますが、ただし、御指摘のように、工事中で、かつ防災拠点となる庁舎や病院については、工事の遅延は平常時のみならず災害発生時にも市民生活や地域社会に多大な影響を及ぼしかねないことから、早期の完成に向けて交換の緊急性が高いと考えております。

 これにつきましては、私ども、省内でプロジェクトチームを立ち上げまして、個別に事情をお伺いし、また関係者間の調整の支援を行っておるところでございます。

本村(賢)委員 次に、一部報道によりますと、通常は居住したまま交換はできますが、小さなマンションでは、建物のバランスを考慮して一度に全てを交換することもあり得ると。その場合、入居者が一時退去する場合もあり得るとされていますけれども、今回、私の友人からも、資産価値の問題や交換時期、補償内容などについてもいろいろお話もありましたけれども、ちょっと、入居者が一時退去することがあるのかどうか、お伺いいたします。

橋本政府参考人 一部でそういう御指摘もございまして、私ども、大手の建設会社に伺いましたけれども、基本的には居続けたままで工事はできるだろうというふうに言われています。ただし、個別の敷地条件等は別途勘案する必要がございますので、全てということではございませんけれども、基本的には居続けのままでできると認識をしております。

本村(賢)委員 免震ゴムの耐用年数は約六十年ということもあり、一九九五年以降急速にふえた免震ゴムの交換実績は、先ほど一件あるという話も伺いましたけれども、日本免震構造協会の沢田専務理事は、技術的には十分対応できるだろうと発言されていますが、これに関しては大丈夫なんでしょうか。

沢田参考人 お答え申し上げます。

 免震ゴムの交換ということは、技術的には交換できるようになっております。

 ただ、一番問題は、その作業中の安全がちょっと課題となって残っておりまして、各建設会社ともその辺の技術を今一生懸命検討しているところと承知しております。

 以上でございます。

本村(賢)委員 次に、違法建築物の扱いについてお伺いしますが、大阪府の枚方市の枚方寝屋川消防組合消防本部庁舎は、隣接する寝屋川市などもカバーする新しい消防システムが七月から供用を開始されるということであります。先ほどこの点に関してもお話がありましたけれども、竣工しても完了検査に合格しない可能性があることを承知で工事を続行していると伺っていまして、建築基準法七条の六には、特定行政庁が安全上、防火上及び避難上支障がないと認めて仮使用の承認をしたときに仮使用ができると規定しているということで、今回、このケースが当てはまるということで先ほどお話をいただいたわけであります。

 国交省は、当該の自治体の意見や第三者委員会の意見を聞き、ガイドラインを作成するという答弁が先ほどございましたが、今回の枚方市のこの消防本部庁舎に関しては七月から供用を開始したいということでありますが、ガイドラインがいつごろ策定される予定なのか、お伺いいたします。

橋本政府参考人 仮使用のガイドラインにつきましては、六月の半ばまでには出したいと思っております。

 なお、枚方市の消防庁舎については、既に仮使用について特定行政庁と協議をされておりまして、基本的に承認をする方向で協議が進んでおると聞いております。

本村(賢)委員 構造安全性の確認についてお伺いしてまいりたいと思います。

 三月三十日に五十五棟、四月三十日に九十九棟のうち七十七棟について、倒壊するおそれはないと発表がされておりまして、倒壊するおそれはないというのは最低条件にすぎない話であります。防災拠点になるような建物は早急な機能復旧が求められておりまして、そのために免震構造を選んでいるんだと思います。

 水道、ガス、電気の確保等が求められているわけでありまして、例えばデータが欠損している厚木市庁舎は、四階が災害対策本部となる予定でありまして、災害後すぐに通常の機能が求められているわけでありまして、倒壊するおそれはないという結果では不満足だと考えていますが、国交省の見解についてお伺いいたします。

    〔坂井委員長代理退席、委員長着席〕

北川副大臣 御指摘の点についてお答えしたいと思います。

 国土交通省におきましては、やはり国民の安全、安心を確保する観点から、速やかに早急の安全性検証を行い、震度六強から七程度の地震に対して倒壊するおそれはないという最低限の安全性を確認したということであります。

 一方、御指摘のとおり、防災拠点などの建築物については、地震時の使用継続、早期機能復旧などを求めて免震構造が選択されています。

 これらの建築物では、倒壊するおそれはないものの、本来免震建築物が備えるべき建築物の揺れを抑える機能が低下しております。

 東洋ゴム工業では、基準に不適合である製品全てを、求められる性能を満たす正規の製品に交換するということを言っておられるわけであります。

 国土交通省といたしましても、全ての建築物について所有者の意向に沿った誠意ある対応がなされるよう、東洋ゴム工業株式会社に対して指導してまいりたいというように思っております。

本村(賢)委員 次に、建物の所有者や住民への補償についてお伺いいたします。

 視察の際、厚木市長から指摘もあったんですが、免震部材の性能不足は通常の買い手には見抜くことができないものだというお話の中から、今回の件については瑕疵担保責任が発生するのかどうか、国交省にお伺いいたします。

橋本政府参考人 まず、お答えする前提条件として、今回の不正な免震ゴムを使用したために必要となっている交換、改修等に要する費用については、当然、製造者である東洋ゴム工業が負担を行うべきであるということをまず前提条件にしまして、なお、今般の不正な免震ゴムを使用した建築物の売り主や請負人は、民法あるいは住宅の品質確保の促進等に関する法律に基づき、当該建築物について、それぞれ、所有者や注文者に対する瑕疵担保責任が問われる可能性がございます。

 それぞれの案件について瑕疵が存在しているかどうかは、当事者間で結ばれた契約の内容に照らして個別に判断されることとなりますが、いずれにしましても、瑕疵担保責任を果たすために要した費用については、最終的に東洋ゴム工業に求償されることになると考えております。

本村(賢)委員 次に、構造安全性が確認されたとはいえ、例えば、安心を求めて一生の買い物をしたマンションの住民にとっては、今回の件は非常に裏切られた気持ちが大きいというお話を伺ってまいりました。

 先ほど大臣は、丁寧に誠意を持って、関連する補償も含めて、最後の一棟まできっちりと指導するという御答弁をいただいたわけでありますけれども、住民の皆さんから、例えば精神的損害についてどう考えているのかというお話を伺ってまいりましたので、まずこれを一点。

 そして、資産の価値が下落する可能性は否定できないわけでありまして、資産価値の下落に対する補償についてなど、これは東洋ゴムの山本社長に、やはりお住まいになっている皆さん、生活をされている皆さんに対して、大臣が言われている、丁寧に誠意を持って、関連する補償を含めて、最後の一棟まできっちりと対応するということをお聞きしたいと思います。

山本参考人 先ほど御指摘のありましたとおり、最後の一棟まで、きちんと丁寧にお話を伺って、補償等につきましても、相談の上、対応させていただきたいと考えております。

本村(賢)委員 次に、免震ゴムの大臣認定、評価の方法についてお伺いしたいと思います。

 これは太田国土交通大臣にお聞きしたいと思うんですが、四月十五日の国交委員会で、大臣が、認定のあり方について、第三者委員会は夏ごろに結論を出す予定となっているが、もっと早めた方がいいのではないかと私は考えておりますと。

 今後の具体的な対応を、先ほど御答弁もありましたが、確認のため、もう一度お伺いしたいと思います。

太田国務大臣 第三者委員会におきましては、徹底した原因究明を図っていただいて、それを踏まえて再発防止策について御議論をいただくことになっています。

 一方で、新たな九十九棟の不正の原因がいまだ明らかになっておらず、東洋ゴム工業の社外調査チームによる最終報告書も公表されていない状況です。できるだけ早くという気持ちを私は持っておりますが、一方で、建物の安全、安心ということにかかわる重大な事案でありますので、一方では早くという気持ちは持ちながらも、慎重な検討ということは大事なことだというふうに思います。

 第三者委員会におきましては、今後、今回の事案の背景について十分に整理した上で、できるだけ早く再発防止策について取りまとめていただきたい、このように考えているところです。

本村(賢)委員 次に、再発防止策についてお伺いします。

 二〇〇七年に東洋ゴム第三者委員会が指摘している内容と、四月二十四日になされた中間報告の内容には、非タイヤ事業の部門の中に閉じて思考する傾向など、似たような指摘が多かったわけでありますが、再発防止は機能していなかったのではないかと考えますが、国交省と東洋ゴムの山本社長にお伺いしたいと思います。

橋本政府参考人 東洋ゴム工業は、平成十九年の耐火偽装を受けまして再発防止策を講じたにもかかわらず、また今回このような問題が起きてしまいました。

 平成十九年の問題を受けて、同社では、品質監査室による全出荷製品の品質検査の徹底、全従業員を対象としたコンプライアンス研修の実施、部門間人事異動の徹底などの再発防止策を講じるとされておりましたが、その一つでも確実に実施しておれば今回のようなことは起きなかったと考えております。

 今後、東洋ゴム工業に対しては、再発防止策をつくるに当たって、社内、社外に対する徹底した見える化、あるいは全社を通じた継続的な再発防止策の確立など、これまで以上に厳重に再発防止策をつくっていただきたいということを要望したいと思っております。

山本参考人 ただいま御指摘のとおり、二〇〇七年の後、項目的には網羅的ではございましたが、深掘り、徹底性、このあたりが不足しておったと反省しております。

 今後は、システム的な徹底はもちろんでございますが、技術者倫理教育を初め、企業風土の体質改善、変革に踏み込んだ再発防止策としたいと考えております。

本村(賢)委員 今回、二〇〇七年、平成十九年、断熱パネルにおける偽装が発覚したときに当時の社長も引責辞任をされておりますし、このとき第三者委員会が指摘している内容というのは非常に重い話であったにもかかわらず、同時並行で一九九六年から免震ゴムの偽装が行われていたわけでありまして、本来ならば、このときに全てうみを出して、断熱パネルのほかに免震ゴムも当社として不適合なところがあったということを認めて、やはりこのときの第三者委員会の指摘に沿った会社の立て直しをするべきであったんじゃないかなというのを痛烈に感じております。

 今後、御社が再発防止策を徹底するという話でありますけれども、先ほど冒頭に述べたように、中期経営計画におきましても、昨年、コンプライアンスを徹底していくという話がございました。言葉だけでは全く意味がない話でありますので、やはり身をもってここはしっかりと正していただきたいということを要望してまいりたいと思います。

 また、ことしの六月一日から、建築材料を製造するメーカーに対して国が立ち入りする権限を持つということでありまして、今回の件を受けて、ほかの免震部材メーカー二十六社も含め、ひとまずペーパーでは問題がないというお話もあったようでありますけれども、なかなか、東洋ゴムのような会社であっても高減衰の免震ゴムの作製ができないわけでありまして、他の二十六社に関してもペーパーだけの提出では非常に不可解だなというふうに思っております。

 国交省は今後、より積極的な対応をとっていくべきだと考えますが、どのように行っていくのか、太田大臣の御所見をお伺いいたします。

太田国務大臣 御指摘のとおり、今回の不正事案を踏まえますと、企業の責任ある取り組みを前提としながらも、大臣認定制度の見直しが必要だ、このように考えます。

 見直しに当たりましては、特に安全に直結する製品、そしてまた過去に不正を行った企業について、より厳重なチェックが必要であると考えています。

 現在は性能評価機関が認定時のみに行っているチェックを、認定後にも行う必要があるというふうに考えます。

 これを踏まえて、ISO9001など民間の認証機関の活用や性能評価機関による調査とあわせまして、六月から施行されます国の調査権限の活用も視野に入れて検討する必要がある、このように考えています。第三者委員会の意見も聞きながら、どうするかをさらに深めたいと考えます。

本村(賢)委員 ここは、大臣の強いリーダーシップを期待してまいりたいと思います。

 次に、データ欠損について、ちょっと数点お伺いいたします。

 四月の十五日の国交委員会で、北川副大臣が、非常に古いものでは、そのデータのシステムができていなかったと答えていらっしゃいますし、また、古いからデータ欠損はやむなしとして捉えかねないわけであります。

 東洋ゴムが免震ゴムの製造、販売を開始したのは一九九六年のことでありまして、データがないことがやむを得ないと思えるほど昔のことではないと思うんですが、非常に古いものとはいつを指すのでしょうか。

北川副大臣 お答えいたします。

 今回は、保管されていた製品検査成績書が改ざんされておるわけであります。出荷時の試験結果の生データというのがそれを照合するのに必要になってきます。出荷時の試験結果の生データが欠損しておりましたのが、十九棟の建築物に設置された百七十七基ですが、このうち、百六十六基が十年以上前に納品されたものということになっております。

 こうした状況から、非常に古いものを中心にデータ欠損、データというのは生データのことです、データ欠損が発生しているという事実に基づいてそういう趣旨の答弁をさせていただきました。

 しかしながら、そもそも出荷時の試験結果の生データまで確認せざるを得ない状況となったのは、製品検査成績書の改ざんが行われたためであり、言語道断の行為であるというように考えております。

本村(賢)委員 答弁の確認ですが、データが欠損していたのは、九棟百七十七基でよろしかったですか。今、十九棟と答えたような感じがするんですが。

北川副大臣 十九棟の建築物に設置された百七十七基です。このうち、百六十六基が十年以上前に納品されたものとなっております。

本村(賢)委員 では、そもそもデータがなぜ欠損を生じているのか、東洋ゴムにお伺いいたします。

伊藤参考人 古い時代にはもう既に廃棄しました試験機を使っておりまして、その試験機のデータをフロッピーに落として保管しておったつもりなんですけれども、そのフロッピー自体が壊れておりましたり、保管していたフロッピーの中のデータが壊れていたということで、ほかの問題がございました。この辺がすぐにデータが上がらなかった原因でございます。

本村(賢)委員 国交省にお伺いいたしますが、データの保管義務はないのか、あるならば、誰がどの程度の期間保管するべきなのか、お伺いいたします。

橋本政府参考人 大臣認定のデータの保管につきましては、告示を出しておりまして、製品、資材、工程、設備の管理や、外注管理、苦情処理等に関する記録が必要な期間保存されることを求めております。免震ゴム、免震材料につきましては十年間、製品検査成績書を保管するように定めております。

 東洋ゴム工業におきましても、この製品検査成績書は十年を超えたものについても保管をされておりますけれども、今回それが改ざんをされているので、もとのデータにさかのぼらなければいけない、試験の生データをチェックしなきゃいけない、これは保管義務を設けておりませんで、残念ながら一部が欠損してしまったという状況でございます。

本村(賢)委員 データ欠損などがないように、しっかりとした取り組みをお願いしてまいりたいと思います。

 最後に、山本社長にお伺いいたしますが、関連の今までの質問をしてまいりまして、やはり皆さんからの一番の要望は、社長の強いリーダーシップと、そして、今後の対応についてどのぐらいの意気込みを持って対応していただけるのかということを最後にまとめてお伺いしたいと思います。

山本参考人 それは現在でもございますが、この案件につきましては、全社の、私どもの最重要案件として取り組んでございます。対策本部長には久世専務取締役が筆頭に立ちまして、技術、生産、営業、顧客対応、それと、法務、メディア対応、全てにおきまして今チームを編成して取り組んでまいります。

 この問題がきちんと、一日でも早く解決できるよう努力してまいる所存でございますので、関係の皆様方の御協力をここでお願いいたしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

本村(賢)委員 これで質問を終わりにします。ありがとうございました。

今村委員長 次に、伴野豊君。

伴野委員 民主党・無所属クラブの伴野豊でございます。

 同僚議員に続きまして、質問をさせていただきたいと思います。

 まず冒頭、こうした事案で委員会を開催しなければならないことは甚だ遺憾に存じています。非常に残念であると思っております。

 この際、二度とこのような案件で再び委員会が開かれることがないように、この事案を徹底的に真相究明させていただいて、また、そのために当委員会が機能することを切に望みたいと思いつつ、質問に入らせていただきたいと思います。

 まず、これはとんでもない事案ですよ。言葉を選ばずに言わせていただければ、先ほど本村議員が図らずも、私が現地調査をさせていただいたときに、これは大臣のお言葉もおかりしますが、この地震大国というか地震国において、免震技術を普及させるかどうかというのは非常に重要な案件であると多分認識されている方々がこうした事案を発生させる。私は大罪だと思っています。しかしながら、罪を憎んで人を憎まずというスタンスで質問させていただきたいと思います。

 先ほどもまた本村議員の発言の中にもありましたように、先ほど社長が、人の役に立つ物づくり、そういう社風でありたい、あるいは、そうしたい、人に喜んでいただきたい、そしてまた新しいものにも挑戦していきたいと。

 私は、そのとおりだと思いますよ。しかしながら、それはあくまでもルールを守った上で、科学的な根拠、工学的根拠に基づいた上でやるという大前提があるはずでございまして、今回はそうしたところを踏み外したということが、私は、人の足を引っ張ることにつながってしまった。そういった意味で、たくみの心をぜひ今後は社風のど真ん中に、あるいは根底に入れていただきたいな、そう願う一人でございます。

 まず、そうした中で、ずっと、きょう半日近く、有識者の先生方あるいは免震業界の方にもおつき合いいただいて、お話を聞いておりまして、残念ながら、少し私の感覚もずれ出してしまう可能性があるので、あえてちょっとここは、通告していませんが、局長、教えてください。

 大臣認定を行う際のクライテリア、つまりは判定基準、それを満たさない材料は、一基たりとも一部材たりとも出荷してはいけないと私は理解をしております。そして、出荷した場合、あるいはその出荷された部材を使ってつくった建築物は違法建築となり、建築基準法違反になると思っておりましたが、住宅局長、この見解でよろしいですか。

橋本政府参考人 建築基準法は、建築物の安全を確保するために、使用する部材等について一定程度の性能を求めております。大臣認定というのはそれを守る制度でございまして、一部材でも不適合なものがありましたら、当該建築物は違反建築物となるということでございます。

伴野委員 だから、一個でも許されないんですよ、社長。

 今回、どれだけの支承が出荷されちゃっていますか。私がざっと計算しただけでも、皆様方がつくろうとしたG〇・三九、商品名SHRB―E4、これは残念ながら不適合確率が八八・六%の品物ですよ。それで、数として千八百十個ですか。

 それから、その後にも出てきた五十五棟以外の部分で、ここには主にHRB―G35、あるいは弾性滑り支承SLBシリーズが使われていますけれども、HRB―G35においても不適合率は二三・一%ですよ。数にして八百五十五、データ欠損も入れて。その中には弾性滑り支承も含まれていて、何とその不適合率は四五%近くになっている。

 これは、先ほど来、宮崎議員が、G〇・三九、特殊ゴムができていなかったという指摘もしましたが、特殊ゴムどころか、その前の通常ゴム、G〇・三五も本当にできていたのかと疑いたくなるような不適合確率ですよ。これはいかぬ、こんなことを天下の東洋ゴムさんがやっちゃ。

 社長、ある面、針のむしろでここにいらっしゃることに関して、私も同情したい部分があります。だけれども、ここは踏ん張っていただいて、こういう事案が発生しちゃった後に生まれ変わったと先ほど来各委員が言っていますように、ぜひ踏ん張っていただいて会社を再生していただきたい。そうじゃなければ、先ほど三年、五年とか言っていらっしゃったけれども、建築物は、ある方にとってはついの住みか、一生を担っていますよ。

 今回、自衛隊の病院まで対象になっちゃった。国家的危機管理の中枢になってもらわなきゃならない病院がそういう対象になっているということは、これは、免震に関して世界一だなんて、残念だけれども世界に言えない。それだけの案件を今回、結果的に起こしてしまった。だから、これはリカバリーショットを打ってもらわないと、あるいは打つまではきちっと見定めていただかなければ、変に中途半端に出処進退なんて言ってもらっては、私は、それは無責任過ぎるのではないかと、あえて個人的な意見を申し上げたいと思います。

 その上で、社長、社長も工学を学んでこられた人間だと思いますので、あえて、大変失礼かもしれませんが、基本的な質問をさせていただきたいと思います。

 工学、科学において、根拠のない、再現できない数字は存在しない、使ってはいけない、そう思いませんか。いかがですか。

山本参考人 技術、科学で使う数字というのは根拠が必要だと考えます。

伴野委員 私も学生時代、工学を学んだ一人ですが、社長あるいは常務ほど優秀ではなかったと思いますが、このあたりは指導教官から徹底的に指摘されましたよ。この数字の根拠は何だ、示せない以上は使うなと。これがやはり工学であり、科学であり、確率論は多少あると思いますが、同じ条件において再現できないもの、通常そうしたものは、工学的、科学的には存在しないと言うんじゃないでしょうか。社長、いかがですか。

山本参考人 根拠が見出せなければ、その数字の信用性はないと考えます。

伴野委員 大変初歩的な、失礼な質問であったらお許しいただきたいと思いますが、そうだと思うんですよ。

 それで、あえて順番に今回の案件を一つ一つひもとかせていただきたい、質問させていただきたいと思います。

 先ほど同僚議員あるいは他の委員からも質問があったと思いますが、山本社長が本件を認識されたのは七月下旬から八月上旬というふうに先ほどおっしゃっていましたけれども、まず、それでよろしいんですね。そして、きちっと事実を認識したのが八月十三日という解釈でよろしいんですね。

山本参考人 七月下旬から八月上旬にこの件のお話がありまして、このときは内容は非常に乏しく、再度報告するようにということで、八月十三日に報告を受けております。

伴野委員 では、その上でお聞きしたいと思います。先ほど宮崎議員が提示してお使いになった資料を私も使わせていただきたいと思いますので、お手元で確認していただきたいと思います。

 まず、資料の一番最初に、皆様方が、先ほど来話題になっている中間調査報告、私も黒塗りにされた上で本通を出すべきだと思いますが、これから行かせていただきたいと思います。

 その八月十三日に建物への影響は限定的であることを報告した方がいらっしゃいますが、それが、先ほど、伊藤常務なのかどこかわかりませんが、何か電話会議の結果というようなお話もあったですかね。少なくとも、山本社長の記憶で結構でございますから、建物への影響は限定的であると報告された方はどなたで、それはどんな根拠に基づいてと今認識していらっしゃいますか。

山本参考人 そのとき報告したのは、子会社の開発技術本部長Dでございます。これは、その子会社の免震開発技術担当者が地震発生時の建物への影響を評価する計算を行ったものを報告したものでございます。

伴野委員 子会社の方から報告というのもあるんでしょうが、後でまたそれはお話を聞くとしましょう。

 今おっしゃったのは、子会社のDという方が計算をし直したものによって、建物への影響は限定的であるという御報告を受けたということですね。

 では、その次ですが……(山本参考人「済みません、間違い」と呼ぶ)はい、どうぞ訂正してください。

山本参考人 申しわけございません。Dではございません。Fでございます。(伴野委員「F、引き継いだ方」と呼ぶ)はい。済みません。申しわけございません。

伴野委員 Fさん、引き継いだ方ですよね。その方、CIの取締役・技術・生産本部長F氏が四月に引き継いでいますから、その方が報告をされたということですね。

 続いて、このお出しになった中間調査報告書によって、平成二十六年九月十六日、先ほどもどなたかが、ここの九月十六日が一つのターニングポイントという御指摘もあったやに聞いておりますが、現在の山本社長も含めた会議で一旦出荷停止が準備され、国交省への一報が決定されたにもかかわらず、午後になったらそれが翻されて、技術的な根拠のない報告により出荷継続に転じてしまったようですが、このいわゆる技術的根拠のない報告をしたのはどなたですか。

山本参考人 先ほどの八月十三日に、最初の説明があったときの説明が非常に不十分でしたので、それの詳しい調査をするように命じた、同じ事業本部の他のビジネスユニットの技術本部長でございます。

伴野委員 そうした重要な、しかも決定を翻すような案件について、信用をされたといえばそうかもしれませんが、うのみにされた、あるいは、ほかの確かめをするということはしなかった。あるいは、仮に報告が偽りであったというような、そんな疑義も持たなかったんですか。

伊藤参考人 機差のデータは、その日じゅうではございませんけれども、その後、データを確認して、機差を補正すると基準値に入っているということは確認したので、その時点としては正しい認識であったというふうに解釈をしてしまっております。申しわけございません。

伴野委員 難しい話ですか、これは。

 御社が今もホームページに出されている資料は多分全部見られていると思いますし、第一回、第二回のいわゆる国交省で行われている再発防止の委員会に出されている資料は、当然、御社が出されている資料においては見られていると思いますが、剛性といわゆる減衰定数のあのグラフを見て、今回の商品がどういう位置づけにあるかとプロットすれば、四角からはみ出ているのがこんなにあるじゃないかという、普通、工学を学んだ人間だったら、私はそれぐらいの感覚がなければ技術で飯を食っちゃいけないと思いますが、いかがですか。見てなかったですか、そのグラフは。

伊藤参考人 グラフをまだその当時は作成しておりませんでしたけれども、ずれ量に関しては報告はされておりましたし、それが本当であるかどうか、真の値が何なのかを探していた、調査していたという状況でございます。

伴野委員 伊藤常務のようにこういう御経歴でずっとかかわられている方が、ゴムにおいて減衰定数と剛性なんて命じゃないですか、この数字がきちっとプロットされているような表をつくらせもしなかったんですか、あるいは見もしなかったんですか。私はそれは不可思議だと思いますが、いかがですか。

伊藤参考人 その九月の時点では、データの違いだけを把握しておりまして、まだプロットまではいっておりませんでした。

伴野委員 なかなか不可思議なことが多い中間調査報告でもあるんですが、次の話題に行きます。

 中間調査報告書によれば、平成二十七年一月三十日の現社長も含めた会議で、振動数〇・〇一五ヘルツを実測値とすることに技術的根拠はなく、出荷されたG〇・三九のほとんどが大臣認定に適合しないことが報告された。五十五棟の不正が決定的となったが、この報告を行ったのは一体どなたですか。

山本参考人 十月下旬から十一月、私が社長に就任したのは十一月一日でございますが、そのころに伊藤氏と相談して、さらに調査を早く進めるように中央研究所長に依頼いたしました。その中央研究所長が一月三十日の報告をしてくれました。

伴野委員 印象的なことを申し上げて恐縮ですが、肝心な報告に関してはいつも現場任せであって、その報告が疑義であったら、現場がインチキの報告をした。何か、そういったことを御自身で確かめもせず、ずっと、ずるずるこの一月三十日まで来てしまったような印象を受けます。印象を言って恐縮です。

 だけれども、例えば宮崎議員がつくったわかりやすい資料、資料二ですけれども見ていただいて、これは、二〇一三年の一月、前のときにも私はこの委員会で申し上げましたが、少し工学的な素養がある人だったら、前任者が何をやってどういうふうにしたかというのをトレースしたら、これはとんでもないことだと多分直観的にも、上司に報告するまでは悶々としていたんじゃないかということを申し上げたんです。

 本来、一三年の夏ごろに技術開発部長に御報告をされたら、私は、リスク管理ができている、いわゆるきちっとした組織立った報告がなされている会社であれば、技術開発部長にCさんが報告した時点で本体の社長まで行っている案件ではないかと思いますし、それが多分危機管理をきちっとやっている会社じゃないか、そう思いますが、社長はどう思われますか。

山本参考人 一三年の夏に関しましては、最終的に報告をしてくれたCもまだ確定的に、認識していたというか、何か変だという相談を上司にしております。

 ただ、御指摘のとおり、時間がかかっているじゃないかということに関しましては、重大な問題であり、しっかりと調査することが必要と考えておりましたが、調査の過程で、認定制度そのもの、製品の性能検査方法、データの信頼性、それから出荷済みあるいは出荷予定の性能基準の妥当性などを、事実はどうであるのかということを検証しておったのですが、今考えれば専門的な知識あるいは人材が不足しておったということもあって、事実の究明が進まず、結果的に多くの時間を要したということは大変反省しております。申しわけございません。

伴野委員 これも社長に申し上げるのは恐縮かもしれませんが、工学、技術で飯を食っている人は現場に全て情報があると思います。そこの人が意を決しておかしいと上司に告げたことというのは、これはかなりの確率で本当におかしいことがあり、あるいは根拠もなく大丈夫だと言っているときというのが一番危険だというのは、私は、工学、あるいは技術や現場を持っている人間なら普通の感覚、リスク管理じゃないかと思うんですが、そのあたりはいかがですか。

山本参考人 報告としては上がってきたのですが、その一つ一つについて……(伴野委員「上がってきたんですか」と呼ぶ)報告というのは、このデータがどうかというようなことで説明はあるんですが、そのデータは本当に正しいのか、それはどういう検査方法なのか、認定に入っているのかというような質問を当然するわけでございまして、その質問に対する答えが非常に不明瞭であったので、そこをはっきりさせてくださいということに残念ながら時間を要してしまったということでございます。

伴野委員 そうした方がいなかったと言われるとつらいんですけれども、技術開発部長がお聞きになってからは、これからは管理職の責任ですよ。その管理職の方が判断できなかったら、工学をきちっとやられた方、あるいは免震について素養のある方に匿名でもいいから聞くぐらいのことをして、その日のうちに確かめる、上司に報告するかどうかとやるのが、私は普通、管理職にある人のやることじゃないかな、それがいわゆる管理職の仕事なんじゃないかなと。

 何かあったら、それは現場の責任というようなことをおっしゃってみたり、あるいは、最初はAさんだけと言ってみたり、何か追及されると、いやいや、四人いたんだと。普通、四人もかかわっていて、継続的に十年もやっていれば、これは組織的だと言わざるを得ないんじゃないですか。これは単独だなどという方が私は無理だと思いますよ。しかも、御社には営業会議なり、あるいは営業了解という言葉がありませんか。どうですか、社長。

山本参考人 担当以外にほかの人間がかかわっていたかどうかということにつきましては、今、G〇・三九以外の調査もしておりますので、その中で明らかになるかと考えます。

伴野委員 ちょっと質問とかみ合わないんですが。

 では、百歩譲って、四人の方が中心に今回の案件が発生したと仮にしましょう。だけれども、現会長が認識をされた二〇一四年の五月二十七日からは、これははっきり言って経営陣の責任でしょう、ここから国交省への連絡がおくれたのは。いかがですか、この点は。

山本参考人 五月二十七日に報告された内容は、製造のデータにばらつきがあるということだけで、認定に対して外れているとか外れていないとかいうような報告はございませんでした。

伴野委員 報告を待つのではなくて、これは客観的に見て御社の存亡の危機の事象だと思いますよ。その日のうちに寝ずにでも経営陣挙げてチェックするというのはリスク管理じゃないですか、経営者の責任じゃないですか。仮に寝ずに一日でやれなかったら、有識者の方を交えて匿名でやってもいいじゃないですか。普通、そういうことをやって確認する。その後ずるずる数カ月たって、その後も不適合なものをずるずる出している。これは経営陣の責任ですよ。いかがですか。

山本参考人 Iが、五月二十七日に数値にばらつきがあるとのみ報告があったときは、特に指示はされておりませんが、七月八日もしくは七月十七日にIに初めてそのような疑いがあるという報告が入っています。その時点では、先ほど申し上げましたように、残念ながら明快な説明ではなかったので、きちんと調査するようにという指示を出されております。

伴野委員 こういう言い方をすると失礼かもしれませんが、御自身で運が悪かったなと思われているのかもしれない、この時期に社長になってしまって。だけれども、この時期に社長なんですよ。だから、先ほど、うみというような表現をされていた方もいましたが、社に潜む毒のようなものを全部排出して、ぜひこの際、生まれ変わってくださいよ。そうじゃなければ、これは御社のような会社がライバルとしてしっかり君臨しなければ、やはりいい競争は生まれませんよ。本当の意味での技術競争をする。

 大変失礼な言い方をすれば、できもしないものをできたと称し、コストパフォーマンスを上げようなんというくだらないことは考えなかったとは思いますが、そんな争いではなくて、本当に真の、先ほど、どっちが人の役に立てるんだ、そういうところでやはり技術屋は、たくみは勝負しなければ、日本の信頼性は回復しないと思います、とりわけ免震においては。

 ですから、きょうを境に、五月二十七日からはどう見ても、このおたおたぶりは、これは経営陣としてあるまじきことですよ。できたらその日のうちに、数日のうちに専門家なり、弁護士さんという法の専門家ではない、技術的な専門家にきちっと最初から最後まで検証してもらって、どうだったかというのを一両日に、あるいは一週間のうちにということでもやるべきだったんですよ。それが全然なされていなくて、ずるずるずるずる、誰々さんの報告、誰々さんの報告が何かよくわからない、よくわからない、よくわからない。

 社長、その報告を受けていて、あなたが工学的なことをわからないと言ったら終わりですよ。あなたは御社において最も優秀であり、最もわかっているということで社長であるはずだし、そういう地位だと思います。それをやはり、ぜひいい意味でリーダーシップを発揮していただきたいな、そう思う次第でございます。

 それで、なぜこんなことを申し上げるかというと、先ほどもありましたが、これが初めてじゃないですよね。もう二度目ですよ、わかっている限りで。

 社長は、平成十九年の御社がされた断熱偽装についての報告書、あるいは偽装自体をどう認識されていますか。報告書の存在は御存じですよね。

山本参考人 二〇〇七年の断熱パネルの問題の発表資料については認識しております。

伴野委員 その当時、八年前だと思いますが、社長の役職は何ですか。

山本参考人 タイヤ技術本部のタイヤ第一技術開発部長、いわゆる乗用車であるとかライトトラックであるとかのタイヤ開発を担当しておりました。

伴野委員 推測で言って恐縮ですが、御社におけるその当時のそのポストは花形のポストで、当時それは、いつか社長になられる器だと多分自他ともに認める存在であったのではないかと勝手に推測しますが、そうした方であれば、しっかりこの報告書をお読みになっていますよね。社長、どうですか。

山本参考人 はい、読んでおります。

伴野委員 その中に、これは通告してあるから多分お読みになっていただいていると思いますが、その報告書の四ページの十。

 まず、この報告書自体、平成十九年の断熱材というところを免震材に置きかえると、何か今回の報告書に読めちゃうんですよ。ほとんど置きかえができてしまう、断熱材というところを免震材に置きかえれば。

 今から特にびっくりした項について申し上げます。その報告書の四ページの十というところにこういう記述があるんです。

 水酸化アルミニウムを大量に混入された試験用の準不燃材料配合とは別に、同じ準不燃性能をイソシアヌレートフォームでするための配合開発、製品試作は並行して進められたが、合格しないことが技術部門から報告されたにもかかわらず、合格しないことが報告されたにもかかわらず、営業了解、先ほどもちょっと使わせていただきましたが、皆さん方の中で、売りに行け、そういう了解だと思いますが、営業了解との記載がある一九九三年三月の会議議事録が残っております。この営業了解は、販売部門が準不燃材料として合格しないトーヨーイソクリップとトーヨーイソテクニカの生産と販売を了解したことを示し、本会議の出席者は当時の事業本部長、技術本部長、営業本部長、福島ゴム社長で、全ての出席者が了解の上で意思決定されたものと推定されている。

 こういう記述があるのは御存じですよね、社長。

山本参考人 はい、知っております。

伴野委員 だから、過去のことかもしれませんが、御社は一度、合格もしていない、あるいはできてもいない製品ができたとして、そして、これだけの面々、事業本部長以下、技術本部長、責任者が全部そろった中で、営業了解という会議議事録を残して、行けと言ってやらせた会社なんですよ。今回も同様のことがあったのではないかと疑いたくなりますが、その前に、国交省は、この報告書の存在、記述があることを認識していますか。

橋本政府参考人 当該報告書につきましては、東洋ゴム工業から、原因究明、再発防止策の報告があったときに受領しております。なおかつ、当該記述があることも確認をしております。

伴野委員 残念ながら、そういう会議を堂々と、しゃあしゃあとやってしまう過去があって、今回も、経緯を見る限り、AさんとかCさんとか、かかわった四人とかじゃなくて、先ほど申し上げた、本当にできているのかなというようなゴムあるいは支承の、もっと言うなら、滑り支承なんというのは半分近くできていないわけですから、そういうのをきちっととめることもなく、逆に、幹部の方がやれやれと言ったことはないんですね。今回も同様の会議で営業了解をした事実は、社長、ないですね。

山本参考人 今回の免震ゴムに関しては、そのようなことはないと確認しておりますが、ただ、今現在、最終調査報告中でございますので、最終的にはその報告書を見てお答えしたいと思います。

伴野委員 最終報告書、これは早く出してくださいと再三、当委員会でもお願いしたことではないかと思いますので、早く出してください。これは、真相究明を早くしないと何も進められません。

 有識者の先生方、大変長らくお待たせしました。ここで、今までお聞きになっていたことをちょっと教えてください。

 まずは、福岡大学の高山先生、いろいろなブログやいろいろな書物でいろいろなことを提唱されております。また、今回、免震部材の委員長もお務めだということで、今までお聞きになっていた議論を、感想でも結構ですし、あるいは再発防止に期するような御意見でも結構ですし、先生がよく御提唱されている、実物大の製品を実速度で実験できる装置を導入すべきだとか、免震部材の大臣認定の、できるものからJIS規格にした方がいいんじゃないか、こういう大臣認定のあり方についても結構ですが、御意見をいただければと思います。

高山参考人 御質問に御回答したいと思います。

 まず、実大の試験装置の件ですけれども、我が国は、そもそも、直径一メーターを超えるような実大の積層ゴムを、実速度、地震のときに受けるようなスピードで実験できる試験装置はございません。

 私としては、このような試験装置を第三者機関として我が国に設置することができましたら、今回のような不正な事案は未然に防げるのではないかというふうに思っております。そういった試験装置がございましたら、メーカーに定期的にそういった試験装置で試験をしてもらう。そういったことができれば、今回のような事案で十年間もほったらかしにされるようなことはなかったんだろうというふうに思います。ちなみに、アメリカとイタリアにおきましては、このような、実大の製品を実速度で試験できるような装置を大学に設置しております。

 続きまして、大臣認定の件ですけれども、大臣認定につきましては、二〇〇〇年から導入といいますか、設定されておりますけれども、この大臣認定、免震用の部材につきまして大臣認定することによりまして、免震構造が普及するといいますか、そういったことに寄与したことは間違いないと思っております。ただ、大臣認定ができまして、もう既に十五年近くたちまして、それを利用する側といいますか、設計者の方も含めまして、やはり、信用し過ぎているというか、ブラックボックスになってきているんじゃないかというふうに考えております。

 そもそも、積層ゴムに代表されるような免震部材というのは、免震構造にとりまして非常に大事な部材でございますけれども、大臣認定、大臣認定品になったということで、設計と部材の性能というのが分離されているような状況です。免震建物の審査をする段階におきまして、免震部材は、もう認定品だからということで、特に審議がなく進行するということになっております。

 こうした現状を踏まえますと、私としましては、やはり、大臣認定品ではなくて、大臣認定制度ではなくて、日本工業規格、JIS等に移行するのがよろしいんじゃないかというふうに考えております。そうしたことが、免震だけに限りませんけれども、技術の向上に寄与するものだというふうに思っております。ちなみに、積層ゴムに関しましては、既にJISはできておりますので、あとはこれを実施に移していく段階だというふうに認識しております。

 以上です。ありがとうございます。

伴野委員 貴重な御示唆、ありがとうございます。

 続いて、審査をする第三者機関の一つである日本免震構造協会の沢田専務理事に、施工も経験されているお立場からもお聞きしたいと思いますが、まず、その前に、今回の、先ほど宮崎議員が提出した中間資料の八ページ、九ページを見ていただいてもわかりますように、これも御指摘があったところですが、第二認定、第五認定、ここについては、実際の振動試験が行われていず、試験体が存在しないものまで通してしまっている。また、第四認定においては、黒本に平気で平均値だけがぽんと記載されているというようなものまで今回スルーしてしまっている疑いがある。こういうことを踏まえながら、第三者機関として今後何ができると思われるか。

 あるいは、さらに、今回、取りかえをしていくときの指針づくりではありませんけれども、現在、免震材料の取りかえ事例は少ないと認識しています。さまざまなケースがあると思いますが、このあたりは、今後、指針等々をおつくりになることに寄与されるとか、何か、今回の大臣認定のあり方として、もしお考えがあればお聞かせください。

沢田参考人 先ほど、実験されていないということでございますが、全く、一体しか実験していないということをお伺いしたんですが、いろいろな経緯がありますので、五センチピッチで全部実験をする必要はないというのは事実でございます。ただ、中間も何も実験していないというのは問題。

 一番の問題が、推計値を記載している。通常、推計値を記載するときは、こういうことで、こういう推計値を記載したと書かないと、まるで実際に実験したかのごとく書いているということが、これは極めて問題であるということでございます。

 それから、今回の不正事案、一つは、見抜けなかったということもございますが、これは二重の評定が全て通過していまして、あとは、二百件に至る建物について、全て、設計者、施工者立ち会いのもとの実験もすり抜けているわけですね。ですから、このままでいいとは思っておりません。協会としましては、不正を見抜くのは難しかったというような安易な結論を導くのではなくて、どこに問題があったか、今後どうすべきかを真摯に検討していくということを考えております。

 もう一つは、製品のチェック機能を高める方法として、性能評価は別として、結局、出ていく製品がどうかということでございますので、やはり材料性能評価制度において抜き取り検査をするのも一つの方法かなと思っております。

 あとは、国土交通省と第三者機関で今討議が進んでいるということを伺っておりますので、それの結論も待ちたいと思っております。

 以上でございます。

伴野委員 貴重な御意見、ありがとうございます。

 社長、言葉が過ぎた点があったらお許しいただきたいと思いますが、私の思いは、先ほど申し上げたように、罪を憎んで人を憎まず、ぜひ再建、再生の先頭に立っていただきたいと思います。そして、できることなら、先ほど、うみとか毒とか言われた部分をぜひ排除していただいて、新しい気風をつくっていただきたい。

 社長も三十五年前にはそうであったように、四十二人の将来ある新入社員が入社されているわけですね。社長もそこでおわびされたと思いますが、今彼らは本当に落胆のどん底だと思いますよ。言葉を顧みず申し上げるならば、東洋ゴムさんというすばらしい会社に入った、天国だと思っていたら、何のことはない、恐ろしいところだというようなことになっているのかもしれない。この子たちが、この社員さんたちが、やはり東洋ゴムに入ってよかったと再び思っていただけるように、ぜひ先頭に立っていただきたいと思います。

 大臣、お待たせしました。いろいろお聞かせして恐縮ですが、最後に、今回の不正事案に対して取り組まれる決意をお聞かせください。

太田国務大臣 重大な事案だと思っておりまして、私は、耐震工学を専攻したということもありまして、また、振動台を現実に揺すってそれをマスター論文等にやったという経験もあります。極めて残念、遺憾、このように思っています。

 そして、物づくりということからいいますと、品質管理、技術開発、これはもう本当に念には念を入れて、生命線だと私は思います。それを逸脱して、平然と十数年間いたということは重大なことだと思っています。

 今回のことについて、安全、安心の確保。今、この九十九棟、そして五十五棟、そういうことで大変心配をしているという不安の中にいらっしゃる。ここを早く免震の交換をするという、安全、安心ということについて、私は強い指示をして動かしたいということ。そして、他の大臣認定案件の調査ということもやる。そして、原因究明を図っていく。そして、再発防止策。

 きょうは、評価機関とかさまざまなこともありましたし、あるいは実物大の振動台という、そうしたこともありますから、そうしたことも含めて、大きく、安全、安心の確保と他の大臣認定案件の調査と原因究明と再発防止策、四点を分けてやってきましたけれども、さらにきょうの審議を通じて明らかになったことを含めて、全てのことで急いで対策ができるように進めていきたい、このように思っています。

伴野委員 終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

今村委員長 午後一時二十五分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時二十八分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時二十五分開議

今村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。今井雅人君。

今井委員 維新の党の今井雅人でございます。

 きょうは、参考人の皆様におかれましては、大変お忙しい中、貴重な時間をいただきまして、まことにありがとうございます。

 午後は、我が党、私と足立委員とで始めさせていただきたいと思います。

 午前中、質疑をいろいろ伺っておりまして、私の聞きたいことも大分ほかの委員が御質問されていたようでありますので、できるだけかぶらないようにしながら、あと、確認をさせていただきたいところを確認してまいりたいというふうに思います。

 今回の問題は、簡単に言えば、行政側の対応というのももちろんありますけれども、大半は会社側の問題であるということはもう皆さん御承知だと思います。

 午前中の質疑を聞いておりまして、技術的な面というよりは、やはり企業の体質あるいはガバナンス、もうここに尽きるんだろうなというふうに正直感じたわけでありますけれども、そういう観点を中心に質問させていただきたいと思います。山本、伊藤両参考人を中心に質問させていただきたいと思いますので、ほかの参考人の皆さんにはどうか御了解をいただきたいというふうに思います。

 最初に、この問題を考えるに当たって、二〇〇七年、平成十九年の出来事にもう一度戻って考えなきゃいけないんじゃないかなというふうに私は感じました。伴野委員の午前中の最後の質疑のところで、当時山本参考人はタイヤの方の生産本部の開発部長であられたというふうに伺っておりましたけれども、その際にこの十二月に出た報告書もよくお読みになったというふうに伺いました。

 まず、開発部長ということであれば、当然、役員ではありませんが、管理側にいる人間として、そのとき、その報告書が出た後、さまざまな対策が会社側ではとられたと思いますけれども、危機感も含めて、全体的にどういうムードであって、どんなことがなされてきたか、それをちょっと思い出していただきたい。御答弁いただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

山本参考人 お答えいたします。

 まず、二〇〇七年十一月四日に社長直轄として品質監査室が設置された、その後すぐに全社に対して緊急コンプライアンス教育ということが行われてございまして、私どももそれを受けておりました。

 その内容の説明であったり、それからコンプライアンスの研修であったりということが各拠点において順次行われてまいりまして、私どもの方も、これはとんでもないことやということで、その教育を受け、それからまた、私ども技術ですので、技術者倫理教育というのも開催されまして、能力はもちろんのこと、高い倫理観を持って仕事につくべしというようなことの教育を図ってございました。

 ですから、当時としては、とんでもないことが起こって、もう一度きちんと一から考え直そうというような雰囲気でございました。

今井委員 開発部長として山本参考人が御自分で独自にやられた、こういうことを心がけて自分のチームを引き締め直した、そういうことはございましたでしょうか。

山本参考人 そのことを受けてとだけ言えるかどうかわかりませんけれども、やはり上司と部下のコミュニケーションといいますか、日々、部下がどのような環境下、気持ちで仕事をしておるか、当然、会社には階層がございますので、各階層に、それぞれの上下、あるいは一つまたいででもコミュニケーションをよく図るようにということをまずは意識した記憶がございます。

今井委員 その教訓が果たして生かされたかということが一番問題なんだと思うんですね。

 この報告書を見ますと、先ほど伴野さんも、まるで同じような報告書だというふうにおっしゃっていましたけれども、ここに原因についての報告概要として六つのことが書いてあります。

 そのうちの三つなんですけれども、まず、「経営判断の甘さと監査機能の不足」と書いてあります。それから、「事業部での隠蔽体質」とあります。三つ目、「コンプライアンス意識の希薄さ」。六つあるうちの三つは、これはまさに今回起きたことそのものなんですね。

 先ほど、品質監査室の設置をしました、ただ、それが機能しませんでしたので、もう少し強化しますというお話だったんですが、実は恒久対策というのもここに書いていらっしゃいます。

 恒久対策は何かというと、今おっしゃられた、コンプライアンスの研修を継続的にやりましょう、とりあえず二回やりましたというふうに書いてあります。それから、社員教育の徹底。事業監査、品質監査の徹底した推進。新事業、新製品、設備投資、出資に関する決定プロセスの改善強化。内部通報制度の活用促進。企業ブランドにかかわる価値観の共有と伝道。体制とともに社員の意識を変えようということが恒久対策であるということをここに書いているんだと思いますね。

 ところが、今回出ております中間報告を見ますと、既存のガバナンス制度は全く機能しておらず、活用されることが今回はありませんでしたというふうに指摘がされています。

 開発部長から執行役員になられ、常務になられ、専務になられ、そして社長になってこられたわけでありますが、この間、先ほどは当初の話をお伺いしましたけれども、数年間の間に、このコンプライアンスの体制、いろいろな体制というのはどこかに形骸してしまったんですか。業務をしている中で、こういうところにはどういう御意識を持ってやってこられたでしょうか。

山本参考人 このとき掲げられました恒久対策、これは一つ一つ施策は打たれております。

 特に社員教育は、先ほど御指摘のありました二回のコンプライアンス教育というのは緊急のものでございまして、それ以降、まず、階層別拠点研修などは延べ千八百名近く、職種別研修は約一千名。階層別研修につきましては、二〇〇八年から二〇一四年、継続して行っております。職種別研修は、二〇〇八年から二〇一四年で一千名。

 それから、一一年まではどちらかというとボトムアップということで、職場にコンプライアンス伝道師というものを設けまして、ボトムアップ型。

 それから、二〇一二年以降は、逆に、拠点のコンプライアンス推進責任者を育成いたしまして、一二年から一四年、研修を受けた者が百七十八名でございます。どちらかというと、後半はトップダウン型のコンプライアンスを徹底する。

 それからあと、テーマ別セミナーとしましては、二〇〇八年から二〇一五年まで延べ二千人。

 あと、Eラーニングとしまして、Eメールによるコンプライアンスの研修を延べ約四千名。

 それから、コンプライアンスに関するハンドブックというのを社内でつくりまして、それを各職場でみんなで読み合わせをしてコンプライアンスの意識を徹底するということを、これは二〇〇九年から約二万二千八百名、実施しております。

 ですから、コンプライアンスの教育に関しては、結果が今の状況ですので苦しいところはあるんですけれども、教育に関しては一生懸命やってきた。ただ、回数だけではなかなか、教育の中身ということが問われるかと思いますので、今後は、教育の中身も含めて見直していきたいというふうに考えております。

 当時、それぞれの品質監査等につきましては、一応ルールどおりに各拠点で開催されておりました。

 以上です。

今井委員 今、山本参考人がおっしゃったように、回数はたくさんやったんだけれども、中身は見直す必要があるかもしれないということでした。

 中身は、当然御自分もかかわっておられると思いますけれども、あえて言うとどういうことが問題だったかという問題意識はありますか。

山本参考人 この活動を通じて、職場内でそういう意識が醸成されたことは事実かと思います。ただ、今回の問題がなぜ発見できなかったか、あるいはなぜ自分から手を挙げられなかったかということに関しては、まだ反省の余地があるかなと思います。

 特に、キャッチする方は、教育とあわせて、システム的なチェックの徹底性ということをやっていかなければならないというふうに感じております。

今井委員 もう一点なんですけれども、これは「再発防止策についての報告概要」というところで、「性能評価試験の不正受験の再発防止策」というところに書いてあるんですが、「試験体については、指定性能評価機関において製作するか、指定性能評価機関職員の立ち会いの下で申請者が製作することが必要。」というふうに指摘があります。

 つまり、第三者の目を入れろということなんです。自分だけで調査したものを出すのではなくて、第三者の目を入れてこういう試験体というのはちゃんとデータをつくってくださいというふうに指摘をされているんですが、このことの御認識はありましたか。

山本参考人 第三者を入れるべしという御指摘は、今回もそのようなことがございまして、今後、第三者の目を入れた、品質と不正監査を行っていく予定でございます。

今井委員 今いろいろ御答弁ありましたけれども、やはりこのときの教訓が生きていないからこそ、今回の中間報告に指摘されている原因、そしてこちらの、以前の報告書の原因というのはほとんど同じことが書いてある。コンプライアンスが甘いとか、あるいは営業が、なるべく大ごとにせずに内部的に問題をおさめたい、取引先の関係で出荷停止は妥当でないといったような事業部門の考え方が優先される傾向にあるという指摘がありますけれども、まさに同じことが書いてあるわけですね。ですから、全く教訓が生きていないと言わざるを得ないということであります。

 そこで、今回起きたことについてもう一回検証したいんですけれども、今回起きた問題が果たして個人の問題か会社の問題かということが先ほども議論になりましたが、改めてこの中間報告を見ながら確認をしてまいりたいと思います。

 先ほど伊藤参考人の方に質問があったと思いますが、この製造自体、二名から五名ぐらいで製造していたけれども、ほとんどはAさんという方がつくっていたので、ほかの人はわからなかったんじゃないかというような御答弁があったと思いますが、その認識でよろしいですか。

伊藤参考人 Aさんが主にかかわっておりましたので、特に申請に関しては、大まかな作業全体はAさんがやっておられたと思います。

 ただ、周りでどの程度知っていたかどうかというところがまだまだわかっていないところがありますので、これは今調査をお願いしているところでございます。

今井委員 もう随分時間がたっていますから、その方たちにヒアリングをする時間はあったと思いますけれども、ヒアリング結果はいかがですか。

伊藤参考人 初期のころの、例えば上司の方にヒアリングしているんですけれども、記憶にない、覚えていないとか、そのような指示はしていないとか、そういう相対するような回答がありますので、今調査の方を第三者の事務所の方にお願いしているというところでございます。

今井委員 今、上司の話をされましたけれども、上司以外に一緒に作業されておられた社員の方がいらっしゃるんじゃないですか。その方たちへのヒアリングは行っていないんですか。

伊藤参考人 数人は行っておりますけれども、まずは一名、ほぼ九六年から一緒に仕事をされている方は、残念ながら亡くなられておりますので、ヒアリングはできておりません。

 その他、特に一緒に仕事をしてきたのがBとかCとかいう後任、二〇一〇年から三年間とか、二〇一三年から二年間とか、そういう彼らなんですけれども、そのころはA君が主にやっておったというようです。初期のころには、上司である人間がかなりのいろいろな指示はされておるんですね。その辺が、どれだけのプレッシャーだったとか、本人はかなりのプレッシャーだったというふうに供述しておるんですけれども、そこまでの指示はしたつもりがないというような状況でございます。

今井委員 引き続き、しっかり第三者委員会でこのことは調査していただきたいと思います。

 それと、四月二十四日に出ました中間報告、先ほど資料に配られておりましたけれども、これを見ますと、このA氏というのは二〇〇四年七月から二〇一二年の十一月までで合計三十二件を出荷、その後、引き継ぎのB氏、C氏も同様の補正をしたというふうに報告書にはあります。

 そこでお伺いしたいんですが、このB氏、C氏にもヒアリングされたんじゃないかと思いますが、このB氏もC氏も、データを補正して改ざんしている、不正をしているという認識があったんですか、ないんですか。どちらですか。

伊藤参考人 B君に関しましては、ちょっと違った職場から異動してきて、A氏がオン・ザ・ジョブで指導しながら教えていたというところで、特にA氏の長い経験と豊富な知識量、それから非常にお話もうまいというところで、かなり彼が言っていることを信用していたということで、なかなか気づかなかったということです。ただ、一点、任された仕事に関して、どうしても入らなかったというところで、ついデータをさわったことがございましたというような供述をしております。

 それから、後任者、これはAさんが異動するというか、本来はローテーションが必要だったんですけれども、なかなかローテーションできていなくて、ようやく一三年の一月にやや経験を持っておる方を採用できたというところなんですけれども、残念ながら高減衰ということに関しては前のところでやっておられなかったというところで、高減衰の補正の仕方、試験条件の複雑さということがございまして、しばらくの間、理解するのに時間がかかったというふうに申しております。

今井委員 では、審査の件をもう一度確認したいと思うんですけれども、一月に来られて、夏ぐらいにちょっとおかしいんじゃないかなと報告をされたというふうにあります。今のお話をもう一回確認したいんですが、最初のころはわかりませんでした。それで、夏の段階になってちょっとおかしいなと思って、おかしいと思った段階ですぐに上司に相談した、こういうことでよろしいですか。

伊藤参考人 私の方は、二〇一四年になって、技術の伝承という、社内のいろいろな品種の技術者が集まっておるので、その中で免震というのを説明するためにまとめようとしたときに、いろいろ今までの問題があったということで、最終的に疑義を感じてきたというふうに聞いておりましたけれども、最終的に調査結果を見ますと、二〇一三年の夏から少しおかしいと思っていた。

 いろいろな話を聞きますと、天然ゴム支承をはかりますと、摩擦というのがおおよそとれるわけで、彼は一三年の夏に天然ゴム支承で荷重の違うデータをとっていたらしいんです。それから、二〇一三年の十一月に、測定していた試験機の摩擦係数を、これは弊社のメンテナンスの悪さで長い間とっていなかったのをようやくとった、この二点に関してかなり大きなインパクトがあったというふうに後で聞いております。

今井委員 わかりました。

 午前中の御答弁の中で、BさんとCさんに関して、相談はしたかったんだけれども、上司が余りこの部分は素人で相談できなかったというお話があったと思うんです。

 これもわかるようでわからない話でして、上司が素人だから相談しなくていいのかという問題です。大体そんな人を何で置いたのかという問題もありますけれども、答弁になっていないと思うんですね。わからない人がいれば、もっとその上の人に聞けばいいんですし、なぜこの段階でそうやって諦めてしまったのか。そこに問題があると思うんですが、山本参考人、ここの問題意識に関してはいかがでしょうか。

山本参考人 C氏が上司に相談したときに、上司が余り知識が深くないということできちんと対応をしてこなかったということは、確かに御指摘のとおり問題であるというふうに思います。

今井委員 私が考えますに、御社の問題は二つあると思うんですね。

 一つは、まず、体制をきっちりできていなかった、社員の意識づけをしっかりできなかったという問題。それから二番目は、事が起きてからの対応です。問題が生じた後の対応が果たして適切だったかという問題ですね。

 今の点もそうなんですけれども、午前中もありましたが、二〇一三年の夏に問題が発覚して、結果的に、一度国交省に報告をしようとなったのは翌年の九月十六日でしたよね。一年以上たっているんです。一年。問題が発覚してから一年という状況で、さまざまないろいろなところのやりとりがこうやって書いてありましたけれども、私はこんな会社は見たことがありませんよ。

 問題が起きてから、一度国交省に報告しようというまで一年という時間が余りに長いと思いますが、この時間は仕方なかったんですか。御社の意思決定というのはそれぐらい遅いんですか。それとも、これは特異で、大変これは問題の行動だったなということなんでしょうか。山本参考人、御見解をいただきたいと思います。

山本参考人 一三年の夏の段階は、まだ、C氏が直接の上司に相談したけれども、結果を、返事をもらえなかった。会社の中で相談が上に上がったのは、年末から一四年の年明けでございまして、このときC氏は、E氏に言ってもなかなか返事がないので、E氏の上司に説明したということでございます。その後、順番に上に報告がされていった。それから、七月に本社の方に上がっていきまして、それから九月の会議、こういうふうな順番になっております。

今井委員 つまり、山本参考人は、それぐらい時間がかかったのは仕方ないとおっしゃっているんですか。それとも、こんなに報告がおくれて、もっと早く、すっと早目にトップのところまで報告が行くべきだったというふうにお考えなんですか。どちらですか。

山本参考人 まず、報告が結果として大変時間がかかった理由は、各ステップで非常に理解をするのに不十分な情報であったということが一つ性格としてあったと思います。

 ただ、それにしましても、その過程において、認定制度それから製品の性能検査方法、それから現有の測定値の信頼性、出荷済みあるいは出荷予定品の性能基準の妥当性、これをきちんと確認していくには少し専門的な知識が不足していたこともあって、事実かどうか、正しい値なのかどうかというところで事実の究明が進まず、結果として社内での展開がおくれたというふうに考えております。この点に対しては非常に深く反省しております。

今井委員 私は製造業の出身じゃありませんけれども、どんな仕事でもそうだと思うんですが、小さなミスとか小さいことに実は大きなリスクが潜んでいるというのは、私は民間企業にいるときは常にそういうふうに教わりましたし、今政治の世界でも同じだと思うんですね。

 先ほどお伺いしていて、これはちょっとどうなんだと思った点が二点あるんですが、まず一つは、二〇一四年の九月の会議のときに、午前中は出ておられたとおっしゃっていました。当時は代表取締役専務でいらっしゃいますね。代表取締役ですから、会社の代表なわけであります。午後は出ておられなくて、後で聞いたというふうに伺っていました。

 しかし、午前中、そこまでの報告が、一応一つの意思決定がなされて、代表取締役がおられた会議で意思決定されたことが、午後、その後ひっくり返って、そして報告が来て、そうかと言って受けてしまうというこの経営感覚はどうなんだ、正直、どうしてそうなるのかということを、私は、これはとことんやはり詰めなきゃいけないんじゃないかなということをまず一点お伺いしたいと思います。そこら辺についての経営判断がどうだったのかというのを今自分でどう考えるかということです。

 それから、同じ話なんですけれども、先ほど答弁の中で、営業部に問い合わせしたけれども、返事が返ってこなかったというふうにおっしゃっておられました。これもあり得ない話というか、返事が返ってこなかったからそれでいいんでしょうか。返事が返ってこなかったら、返事が返ってくるまでとことん詰めるというのが経営者のあるべき姿なんじゃないでしょうか。

 どうも伺っておりますと、大変失礼ですけれども、途中でやめているんですね。最後まで追跡して、何か変だな、何か変だなというふうに言って突き詰めていれば、もっと早くこの問題は発見できたんじゃないでしょうか。

 その辺についての現在のお考えを山本参考人にお伺いしたいと思います。

山本参考人 当時、午後についてですけれども、後日その結果を伺いまして、周波数の実測値での方が信頼性が高く、この数値を用いることを許容される、後からは間違ったとわかったんですけれども、そのときはそういう解釈をしたということと、大小の試験機の機差を補正するということで、性能評価基準に適合するという前提で判断したということでしたので、それは適合するということであったので、そうなのかということです。そのときに解釈が間違ったかどうかを判断できたかどうかというのは、これはちょっと疑問なんですけれども。

 それから、先ほどの、営業部に確認したのではなくて、その職場の上司なり、あるいはその説明内容なりに対して確認して、明快な返事がないという意味でございまして、この段階では営業は入ってございません。

今井委員 では、その点はちょっと聞き間違いだったかもしれません。

 大変失礼なことを申し上げるようですけれども、何かがおかしいと言ってきたものが簡単に午前午後でひっくり返ったときに、あれっと思うのが経営感覚なんじゃないか。私も小さいながら会社を経営していますけれども、やはり、部下には、とにかく悪いことは全部報告してくれ、もういい話は要らないから、どんな細かいことでもいいから悪い話は報告してくれというふうにやっています。そういうことで未然に防げることも結構あるんですね。もう釈迦に説法だと思いますけれども、やはりそういうところの企業体質も非常にまだ甘いんじゃないかなというふうに感じざるを得ない。この点は指摘だけにしておきますけれども。

 この数年間ずっと経営に携わっておられた山本参考人が今この現状をつくってこられたお一人だと思いますから、私は一定の経営責任があるというふうに思っておりますけれども、御自分はこの経営責任についてどうお考えでいらっしゃいますか。

山本参考人 今このような状況で、問題を起こしたことに対しては素直に反省しております。大変御迷惑をおかけして申しわけございません。

 経営責任ということにつきましては、最終調査報告書を確認いたしました後、再発防止、原因究明並びに処遇について判断していきたいと考えております。

今井委員 世の中の人がしっかり見ていると思いますから、経営者らしい、しっかりした判断をしていただきたいと思います。

 もう時間もなくなってきましたので、少し確認したいことがありまして、先ほど大臣の答弁でもありましたが、賠償について、さまざま、五つのものがありましたけれども、それ以外にも、やはり資産の価値が落ちてしまった、そういうものに対してもしっかり補償をしなければいけないという大臣の答弁がありましたが、山本参考人も同じ認識でよろしいかということ。

 それからもう一個、私も、先日、神奈川の芸術劇場へ行って拝見してきましたけれども、ああいう商業施設もあります。商業施設は、当然ビジネスの方に影響が出ることもありますね。観客動員が減ったりとか、そういうことによる減収というものがあります。これも賠償の対象として考えてよろしいですか。

山本参考人 損害賠償という観点からは、発注者、建物使用者等からの損害賠償費、発注者、建物使用者等からの営業補償費、裁判費用、係争費、あるいはその他ゼネコン様がこうむった直接、間接の費用等につきまして、もちろん個々のケースがあろうかと思いますが、基本的には賠償していく方向で考えたいと考えております。

今井委員 ちょっと今よくわからなかったので、もう一度確認します。

 資産価値が落ちたことに対する補償、あるいは営業で減収になったことの補償も検討されるということでよろしいんですか。そこをちょっとはっきりお答えいただきたいんです。

山本参考人 資産価値につきましては、基本的には免震装置を交換していくという前提でございますので、交換した後の資産価値をどのように考えるかという点についてはまだちょっと不明な点がございまして、もちろん全く関係がないということではないかと思いますので、その点についても当然相談させていただこうと思っております。

今井委員 先ほど大臣が答弁されたことと少しトーンが違うと思うんですが、今の御答弁をお伺いしてどうお感じでしたか。

太田国務大臣 何を資産と、そしてその価値をどうはかるか、現在から改修に至る間のそうした価値の事実上の下落というものをどう考えるか、改修した後ということについて、この影響というものをどう考えるか、さまざまな場面があろうと思います。

 しかし、これは社長に聞いていただいたら結構だと思いますが、現在の姿勢としては、常識といいますか、あるいは法的なことといいますか、そうしたことで東洋ゴム工業が払わなくてはならないことについては払うべきである、私はこのように思っています。

今井委員 ちょっとまだはっきりしない部分もありますけれども、今後、その部分に関してはしっかり詰めてやってまいりたいというふうに思います。

 ちょっと時間がなくなりましたので最後なんですが、先ほど交換の話がありましたけれども、実は、この間、神奈川芸術劇場に行ったときに、東洋ゴムさんのクレジットで資料をいただきました。きょう、資料を配ろうと思ったんですが、皆さんに許可をとっていなかったので配っておりませんが、一番最後のページに、今後のスケジュールというのが載っていました。

 そこには、ことしの十月末までに新しい認定基準を取得して、十一月から製造開始、そして、それから二年をめどに全部を交換するというふうに明記をしてありまして、それを見たときに、一緒におられた国交省の人も、これは初めて見たと、神奈川県のそこにおられた方も、こんなの見たことない、今初めて出たんですかということで、確認をさせていただいたんですね。

 皆さんに相談する前に、私どもの党に一番最初に言っていただいたのは、それは光栄なのかわかりませんけれども、でも、先ほどちょっとお話を聞いていたら、今度は全部交換するのに三年かかるとおっしゃっていました。それから、技術に関しても三、四カ月ということで、あのペーパーと今おっしゃっていることが違うんですよ。あそこには二年と書いてありました。それ自体も問題なのかなと思ったんですが、きょうの御答弁では三年かかるとおっしゃっています。こんな出すもの言うことばらばらなようでは、誰も信用しませんよ。

 やはりちゃんとした統一見解を出していただきたいということと、それから、十月末までにまた認定をとって新しいのをつくってかえますと言っているんです。そんなことよりも、早く他社のものにどんどん交換してあげるのを優先するべきじゃないですか。そのことがしっかり書かれていないで、自社のものだけこうやってやっていきますというふうなペーパーでした。

 私はこれは大変問題だと思って見ていたんですけれども、現物をごらんになっているかわかりませんが、後で何でしたらお渡ししますけれども、山本参考人、私は、こういう姿勢は本当に誠意がない、出す数字がばらばら、そして出し方も雑、やはりこれが企業風土だと思いますよ。こういうところはやはり変えなきゃいけないと思うんですが、今、私の話を聞かれてどういうふうにお感じになったでしょうか。

山本参考人 スケジュールに関しまして、社内でそういった統一が図られていないことをまずはおわび申し上げます。

 それから、神奈川でごらんになられたスケジュールは、営業部隊が非常に営業として希望する記載をしたと理解しておりまして、その点も、会社としてやはり統一のものをきちんと統制すべきであったと反省いたします。申しわけございません。

今井委員 大変きついことを申し上げますが、こういうことはとても大事なんですよ。言う人によって違うことを言ってしまうと本当に不信感を招きますから、やはり統一見解を出して、できるだけ早く出すことはもちろんですけれども、ばらばらにならないようにきっちり出していただきたいということでお願いをしたいと思います。

 今、九百日を少しでも短くしたいというお話がありましたけれども、五班に分けてやるとおっしゃっていましたね。あのときも、神奈川に行ったときも説明があったんですが、交換をできる業者さんがそんなにたくさんいないので、作業がそんなに早くできない、そういうお話だったんですけれども、これは本当に少ないんでしょうか。そんなに特殊な技術が必要なんですか、これを交換するのに。いかがですか。伊藤参考人、よろしいですか。

伊藤参考人 まず、日本でこのような仕事をされていたところが非常に少ないというふうに聞いておりまして、それでも数社いらっしゃる。そこにお願いした場合に、先ほどはあくまで仮の話で、例えば四千五百工数かかりますから、五班が並行に進んだ場合には九百日で済む。それを、例えば六班になるのか七班になるかというのは、これからお願いしていかなくちゃいけないことでございますので、まだこれは確定しておりませんので、ちょっと数字がひとり歩きをして、申しわけございません。

今井委員 以上で終わりますが、神奈川の方に行きましたし、多治見の国道事務所にも行ってきましたけれども、二年ぐらいかかるそうですよとお話ししたら、皆さん、ええっとおっしゃっていましたよ、もっと早くできるんじゃないのと。二年というのは、二年の間に震災が来るかもしれませんし、非常に長い時間です。

 ほかの方も御指摘ありましたけれども、本当にできる限り総力を挙げて一日でも早くやる、自社のものじゃなくても、他社のものでも、一日でも早くやる、それがやはり今回被害に遭われた方に対する一番の誠意だと思いますので、そのことをお願い申し上げまして、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

今村委員長 次に、足立康史君。

足立委員 維新の党の足立康史でございます。

 きょうは、大臣初め政府の皆様に加えて、東洋ゴムの社長初め関係者の方、それから学識経験者の方々にもおいでをいただいております。そういう意味では、産官学と三者がそろい踏みでお出ましをいただいているということだと思いますが、そういう観点から、今回の問題が、これは構造的な問題だ、私はこう思っているわけであります。

 ちょっとこれは通告にないかもしれませんが、差し支えなければ三者から、まず東洋ゴムの山本社長、それから、学識の参考人の方はもし御希望があれば、それから最後に大臣にも。

 要は、この問題は東洋ゴムの問題なのか。そうであれば、東洋ゴムにしっかり指導していけばいいわけです。これは被害に遭われている方にとっては大変な問題でありますが、この問題は、少なくとも東洋ゴム一社をとっても二度目の改ざんである、不正である。これはもう会社の文化である、会社の問題である、そういう見方もあるかもしれません。きょうは比較的そういう観点からの質問が多かったわけですが、私は、これは構造的問題じゃないか、こう思っています。

 東洋ゴムさん、山本社長に伺うのもなんですが、まず、山本社長、これは俺たちの問題だ、東洋ゴムの問題なんだということか。いや、実はそうじゃないと思っているんだと、言いにくいかもしれませんが。

 一つだけ山本社長に、御参考に。

 十九年に断熱材の問題がありました。当時、全ての防耐火関連の認定製品について国交省が実態調査をされたんですね。一万三千九百六十五の認定件数に対して、検査をしたら不正が四十五見つかった、会社は二十一社見つかった、こういうことが当時あったわけでありまして、私はそういう観点からも構造的問題だと思っていますが、これは、山本社長、いかがでございますか。

山本参考人 今回、私どもが起こしました不祥事は、本来守らなければならないルールを守っていない、それから、守っていないことを監視できるはずのシステムがきちんと機能していなかったということで、全く私どもの問題です。

 企業体質という厳しい御指摘ですけれども、こうして問題を繰り返しておる以上、そこは素直に反省して、今後、企業風土、企業体質を改善して、新しい会社に生まれ変わっていきたいというふうに考えております。

足立委員 では、参考人の皆様、もし可能であれば、今申し上げた、これは東洋ゴムの問題なのか、あるいはもう少し広がりのある構造的問題なのか、もし御所見があられる方がいらっしゃったら、手を挙げにくいですか、よろしくお願いします。

高山参考人 また私の個人的な見解ですけれども、先ほども申し上げましたが、もちろん、東洋ゴムさんの会社的というか組織的な問題だとは、それが第一義的な問題だと思いますけれども、大臣認定制度、そういったものについてもやはり問題があるんじゃないかというふうに思っております。

 ここら辺は第三者委員会の方で見直しが図られるということですが、それも、私個人としましては、やはり全面的な見直しが必要ではないかなというふうに考えております。

 以上です。

足立委員 ほかはよろしいですね。ありがとうございます。

 今、高山先生からお言葉を頂戴しましたが、私は、まさにこれを奇貨として、契機として抜本的な対策を国交省としてもとっていくべきだと思います。

 大臣、これは通告はありませんが、先ほどもおっしゃった、第三者委員会ですか、検討はされているということですが、これは私が構造と申し上げました。この世界、いわゆる産官学、三者で回っているところもありますので、これは構造問題ではないかという私の問いに対して、もし御所見がありましたら御教示ください。

太田国務大臣 構造的という言葉の内容が一体どうあるかということだと思います。

 今回の事案は、東洋ゴム工業の問題、そして東洋ゴム工業の社内の構造的問題にかかわる問題であるということが第一義的に私が感じていることです。

 日本の社会、あるいは日本の企業全体の構造的問題かというと、逆に、日本は、品質管理ということにおいては物すごい努力をし、そして人員をそこに投入し、そして企業のお金も投入して、技術開発をし、そして品質管理をするということからいきますと、東洋ゴム工業の今回の事案というものは日本の企業全体にかかわる構造的問題ではない、私はこのように思います。

 そして、国交省として今回の問題にかかわることは、そのチェックの体制というようなことの、それに付随するチェック体制の問題というものをどう考えるかということについては、ここはしっかり考えて、見直すべきものは見直していかなくてはならない。大臣認定を初めとするそうしたことについては、これを全体にかかわる、構造というかどうかわかりませんが、問題としては対処をしていかなくてはならない、このように判断しています。

足立委員 ありがとうございます。

 おっしゃるとおりで、私も同感でありまして、日本企業のある種優秀さ、この点に関する卓越した取り組み、これは、歴史を振り返る、過去を振り返るまでもなく、皆が認めているところだと思います。

 ただ、今ここに来てこういうことが余り出てくると、大分年をとってというか、年がたって、そうした企業の体質も劣化をしてきている部分が一部あるのかなということで心配になりますし、特に、今大臣がおっしゃった国交省の所管分野、あるいは今回の件でいえば建築基準法周りの話についても、総合的に大臣の方でリーダーシップをとっていただいてしっかり対策をとっていただきたいと思います。

 先ほど私が若干御紹介をした防耐火認定に関するサンプル調査ということをやってこられているわけでありますが、これはきのういただいたので、十分にきのうの時点ではやりとりできませんでしたが、十九年に全数調査というか、要すれば実態調査をされています、自己申告だそうでありますが。その後、一年置いて、平成二十一年からサンプル調査をされています。

 これは、局長、解釈をちょっと教えてほしいんですが、二十一年は、サンプルが七十三なんですね。そのうち、不正件数は三十三なんです。これはどういうサンプリングなんですか。その後、不合格または認定不適合の会社が、二十一年から二十五年にかけて減っていきます。これは、ちゃんとこの数字に沿って実態が改善されているのか、サンプリングのミスか、あるいはサンプリングが偏っているのか、どうですか。

橋本政府参考人 御指摘の資料について御説明申し上げます。

 まず、平成十九年は、一万三千九百六十五の認定件数全てについて、各社に自主的に申告をしていただいた結果、四十五件二十一社から不正がありますという申告があったというものでございます。

 これを踏まえまして、国土交通省では、社会資本整備審議会の下に委員会を設けまして、防耐火の試験の不正受験に関する対策を策定いたしました。

 それは、一つは試験体の不正をいかになくするかということで、もう一つがサンプル調査でございまして、サンプル調査は、防耐火に関する会社、製品、全く無作為抽出で、年間七十件ぐらい抜いて、第三者機関で実際に燃やしてみるということをしました。

 その結果、平成二十一年度は、七十三件抜いたところ、三十三件で何らかの不適合が見つかったということでございますが、その後、二十二年以降だんだん減ってきまして、平成二十五年は不正件数ゼロになりました。

 これは、関連する業界の中で、ある意味緊張感が出て不正が減っていったということで、サンプル調査の効果があらわれたものだというふうに認識をしております。

足立委員 このデータだけで、今局長がおっしゃったことは私もここで検証できませんが、ただ、全数調査をしたときの不正件数四十五件、一万四千弱の中で四十五件、それに対して、二十一年、二年後に七十三を抽出したら、そのうち半分近くがアウトだった。非常に不思議な数字。

 全数調査したときは、これは全数とはいえ自主申告でありますから、そういうところが反映しているのかもしれませんが、相当広がりのあるテーマであり、問題であり、今いみじくも局長がおっしゃったように、毎年調査されるものだから、もう関係者はびっくりしちゃって、緊張感が出て減っていったということかもしれませんが、それが行われるのと並行して、実はこの耐震の分野では全く同じ会社で全く同じ不正が行われていたということで、私は、これは先ほど申し上げた構造的側面が非常に大きい、こう思うわけであります。

 私、若干、二、三分いただいて、ちょっと地元の話をしたいんですけれども、これは、一週間前に国交省から、五十五件以外のもので物件の名前が公表されたものを配付いただいていまして、大変びっくりしたんですが、大阪市の中央公会堂、これも性能を有していない、こういうことでありまして、注意書きのところに、中央公会堂は重要文化財に指定されているため建築基準法の適用対象外である、こう書いてある。その辺はよくわかりませんが、これは安全なんでしょうか、中央公会堂。

橋本政府参考人 文化財につきましては、建築基準法でそもそも最初に対象外にしておりますので、そういう注釈をつけたものでございます。

 ただ、安全であるかどうかにつきましては、調査をする必要があるというふうに考えております。

足立委員 まだ安全性確認中だということだと思いますが、大変重要な建物でもありますし、我々もそうですけれども、大変不特定多数というか、市民の方々、府民の方々、あるいは、大きな会場ですから、関西じゅうから人が集まってくる建物ですから、ぜひ速やかに状況確認をいただきたいと思います。

 もう一つ、ちょっと地元の話で、これは参考人の皆様、あるいは東洋ゴムの皆さん、申しわけありませんが、きょうお越しの北村先生、高山先生は、先ほどから御意見を賜っていて、さすが学識経験者でいらっしゃると感服をしているわけであります。

 地元大阪出身の河田恵昭先生という防災の、きょうは松本政務官においでいただいていますが、これは防災一般ということで、防災担当の政務官ということで、東京で活動されていると思いますが、東京都内選出の松本政務官にお出ましをいただいています。

 この河田恵昭先生というのは、内閣府なんかでは大変有名な方で、私ら、太田大臣も、御同期ではない、ちょっとずれていますかね、ほぼ同じ世代だと思うんですが、同窓の先生で、私も大変尊敬をしているんです。

 大阪の防災、実は、大阪は今、行政の仕組みが変わるか変わらないかという大変なときにあるわけですが、この河田先生が、政令市をやめて東京と同じ都制度、特別区制度、都区制度に変えると防災上問題があるんだというような発言をされています。藤井先生と一緒に。みんな同窓なんですけれども。

 橋下代表はそれに対して、いや違う、大阪の防災を強化するためにも大阪都構想が必要なんだ、こういうふうに反論をし、そして、今まで大阪市内は二十四の行政区がありましたから、行政区ごとの住民向けの防災対策は貧弱というか、なかった、ないに等しかった、それに対して、これから特別区になれば、しっかりと湾岸区という形で防災対策をしっかりやっていくんだ、こういうことを表明されています。

 要は、大規模な防災対策は大阪都庁がやるんだ、名前が変わればね。(発言する者あり)こういうのに反応するなと秘書から言われていますのでやめておきますが、都制度にちょっといろいろ不規則発言があるので、一応誤解のないように言っておきますが、大阪府の名前は、大都市法、自民党さんが提出をされた、公明党さんも提出をされたその大都市法で、五月十七日の住民投票でこれを決すれば都とみなすと書いてあるんです。要は、行政の機能上は都政をしくんです。(発言する者あり)

 委員長、ちょっと静かにさせてもらえませんか。

今村委員長 続けてください。

足立委員 それに対して、安倍総理初め今の政権の方々、政権に入っていらっしゃらない方はわかりませんが、政権に入っていらっしゃる方々は、これは住民が決めれば、それに必要な関連する法整備は粛々と、しっかりとやっていく、こう答弁していただいているので、何ら問題ないわけですが、ちょっと寄り道をしました。

 政務官、橋下市長は、大規模な防災対策は大阪都庁で行うと。それから湾岸区は五区つくります。特別区です。東京にいらっしゃる松本政務官はよくおわかりだと思います。松本政務官は東京の区部じゃないと思いますが、湾岸区は基礎自治体としての防災対策に専念するのであると。これは橋下さんですよ。

 その発言を取り上げて、産経新聞が、湾岸区の防災対策について、大阪都構想でも行えると報道したんです。それに対して橋下さんは、いや違う、今の政令市の体制よりも強化されるんだと……

今村委員長 足立君、本題に入ってください。質問してください。

足立委員 基本方針、大規模対策は大阪都庁が行う、湾岸区は基礎自治体としてより丁寧な対策を講じることができる、こう言っているわけです。

 政務官、都区制度が政令市制度よりも防災上何か問題がある、そういう事実があるのであれば、ちゃんと国民に言っておいた方がいいし、もし河田先生が今おっしゃっていることが間違いであれば、やはり間違いだとはっきり言っておいてもらった方がいいと思うんですね。ちょっとお願いします。

松本大臣政務官 河田教授の発言の真意につきまして私たちは承知をしておりませんので、それについてのコメントはなかなか……(足立委員「通告しているじゃない、通告を」と呼ぶ)発言の真意は私たちはわかりませんので、ぜひ、それは直接、河田教授に聞いていただきたいと思いますが、一般論といたしまして、切迫性が指摘されております南海トラフ地震を初めとした大規模地震対策は喫緊の課題でありますから、国、地方自治体、地域住民の方々など、関係者全てが連携して災害に備えることが重要であります。

 府市制度や都区制度といった制度にかかわることなく、防災対策は地方自治体においてしっかりと取り組んでいただかなければならない問題であると考えております。

足立委員 松本政務官、今、東京都の防災は何か問題ありますか。

松本大臣政務官 東京都の方で対応していただいていることでありますけれども、しっかりと取り組んでいただいていると考えております。

足立委員 委員長、若干の時間はいただきましたが、不規則発言もありましたので若干長くなりましたが、以上、都区制度、東京都の制度あるいは特別区の制度に防災上何ら問題ないということが確認できました。

 なぜ、今こういう話をするかというと、結局、先ほども申し上げたように、きょうお越しの有識者の先生方は、先ほどから伺っているように、高山先生、北村先生、御見識はよくわかってきました。一方で、この分野は、東洋ゴムのような会社、それから役所、何かいかがわしい話をするつもりはありませんが、実態として、会社、産業界と役所とそして学界が連携をしながらやっている分野ですので、私は、あえて、学者を装って政治的活動をする部分について紹介をした、言及をさせていただいたということであります。

 さて、東洋ゴムの問題でありますが、経緯をきょうずっと拝見していて、去年の建築基準法改正で、建築材料について立ち入り権限とか罰則の強化、こういうのがなされていますが、あたかも、東洋ゴムの問題が先にあって去年の法改正があったなら非常によくわかるわけですが、ちょうど現場で起こっている事実と立法が対応しているわけですね。

 私、去年は国土交通委員会におりませんでしたので恐縮ですが、去年の建築基準法の当該部分、該当する当該部分についての改正の提案理由、立法事実は何ですか。

橋本政府参考人 お答え申し上げます。

 当該部分、建築材料の製造者等に対する報告徴収、立入検査の規定の部分でございますが、これは、平成十八年六月に発生をいたしました港区竹芝のエレベーター事故に関しまして、エレベーターの製造メーカーに対し関連資料の提出を求めましたが、拒否され、報告を得ることができず、原因究明に支障を来したということを背景として、違反事実を確認し、同様の不正な製品が用いられている建築物を把握して迅速な違反是正を行うために、製造者等の工場への立入検査、製造者等に出荷先を報告させることを定めたものでございます。

足立委員 ありがとうございます。

 局長、もう一つ確認させてください。

 一連の御報告で、国交省が東洋ゴムの今回の事案を最初に知ったのはことしの二月九日ですか。それ以前は一切、いわゆる国土交通省という役所は知らなかったということを確認させてください。

橋本政府参考人 事案が発覚後、当時いた職員にいろいろヒアリング等もいたしましたが、一切誰も知っておりませんでした。

足立委員 ヒアリングをされたのは、国交省の中の職員だけですか。

 建築基準法というのは国交省で閉じているわけではありませんね。さまざまな行政庁が実際にやっていらっしゃるわけであります。そういうところには、例えば、この東洋ゴムの関係の物件を監督している行政庁、そういうところは知っていたが、国交省までは上がってきていなかったというような可能性、これはありますか。ないと言えますか。

橋本政府参考人 全ての特定行政庁に照会をしたわけではございませんけれども、今回の場合は、構造計算等に用いるデータは全て整合性がとれていて、そのもとになるデータが改ざんされていたということでございますので、恐らく特定行政庁等も今回の件は見抜けなかったというふうに推測をいたします。

足立委員 はい、よくわかりました。

 次に、こういう偽装の話ですと、よく出てくるのは姉歯の話であります。

 姉歯のときは、何か公的な支援、特に税金の投入はなかったという理解でよろしいでしょうか。

橋本政府参考人 御指摘の構造計算書偽装問題、いわゆる姉歯事件でございますけれども、このときには、震度五強で倒壊するおそれのある危険な状態の分譲マンションが生じましたことから、居住者等の安全の確保と居住の安定の確保を最重要の課題として、危険状態の解消は極めて緊急性、公益性が高いという判断をいたしました。

 しかしながら、当時、分譲マンションの売り主である建築主に瑕疵担保責任があるにもかかわらず、その責任が果たせる見通しがなかったということで、国としてこの状況を看過することができないという判断で、売り主である建築主への徹底的な責任追及を行うということを前提に、相談窓口の設置、あるいは仮住居の費用、それから物件の建てかえ費用に対する補助金を国庫からも支出しております。

足立委員 報道でも知られているところでありますが、国庫から補助を出したという御紹介がありました。

 大臣、今回は技術的支援はする、こういうのは既に表明されていると思いますが、これは当然だと思います。そういう公的な、税から支援を投入するお考えが、用意があるかどうか。

太田国務大臣 今回の事案につきましては、不正な免震材料を出荷した東洋ゴム工業が、交換等に要する費用の負担や関連する損失の補償について責任を持って対応することを表明しています。同社は、近々、交換等の費用負担、関連する損失の補償の範囲や支払い方法を全ての建築主等に明示するとの方針だと聞いているところです。

 これを踏まえて、国交省としては、公的な財政的支援を行うことは現時点では考えておりません。

足立委員 現時点では考えておらないという御答弁でありますが、きょうも委員の方々からあったように、これは関係者にとっては大変重たい事態が起こっているわけでありまして、先ほど局長の方からも、瑕疵担保責任の履行というか、そういうことも言及がありました。

 今は東洋ゴムさんが頑張るよとおっしゃっているわけでありますが、将来、仮にこれがどう展開するか、局長、これはまだわかりませんね。将来ずっと展開していったときに、今さっきおっしゃった先ほどの姉歯の件は個別論です。

 一般化して言うと、国交省という、今の政権は、政府は、どういう要件を満たすと税金を投入するお考えなんですか。大臣でも局長でも。

橋本政府参考人 類似の案件は、恐らく構造計算書偽装問題以外にないと思います。

 先ほども申し上げましたとおり、まず、危険状態の解消が極めて緊急の課題である。当時は、震度五強でも倒壊するおそれがある危険なマンションというのが複数あったわけでございます。こういう危険な状態があること。

 それから、本来責任を果たすべき、姉歯事件のときは建築主でございますけれども、その建築主が瑕疵担保責任を果たせる見通しがないということで、早急に対応する必要があるという前提で、かつ、建築主、本来負担すべき者にでき得る限りの責任追及をするということを前提に支援を行うというのが前回の事例でございます。

足立委員 ありがとうございます。よくわかりました。

 これは、今回の件がこれからどういうふうに推移していくか見守る必要がありますが、少なくとも、まだ安全かどうかわからない。例えば、先ほどありました、御紹介をしました、公共施設ですから名前が公表されているわけですが、大阪の公会堂はまだ安全かどうかわからないと。

 繰り返しになりますが、もし、今局長がおっしゃったような状況というものが、姉歯以外でも、今回の件でも、あるいは第三の事件でも仮にあれば、これは税の投入の検討の余地は一応あるということでしょうか、大臣。

橋本政府参考人 申しわけございません。具体的な事案に即して非常に高度な判断を必要とする事項だと思いますが、現段階で具体的なことはちょっと申し上げられません。

足立委員 これは予算のことなので、財務省と相談せなあかんのでしょうが、しかし、これは私、建築基準法の分野について、やはり規範、ルール、これは先ほど申し上げた産官学が、しっかりとこれからこの分野の信頼を取り戻していっていただくためには、やはり恣意的な行政ではいかぬわけでありまして、しっかりその辺の、どういうときに税が入るのか。

 それからもう一つは、今回の件でも、名前が今公表されているものとされていないものがあります。例えば五十五件について最初名前を公表したときも、私のところはお願いだから名前を公表しないでといった病院はしていないとか、そういうのがあるそうであります。

 これは、物件名の公表というのは、私は大変大きな問題だと思います。特に、建築基準法の分野は異なる法益がいろいろかかわってきますね。例えば財産権を保護するということからいえば、要すれば、そういう問題があるということを言われるとマンションの価値が下がる、物件の価値が下がるわけですね。一方で、それを隠しておくと、倒壊すると隣の人も被害をこうむるわけでありまして、安全の問題。建築基準法の目的規定を見ると、そういうさまざまな法益を含んでいる大変高度な法律だと思います。

 そういう意味で、安全の問題と財産権の保護、その他いろいろなそういう問題について考えたときに、一体、物件名の公表というのはどういうルールで、規範で今行われているのか。私、この一連の話を伺ってよくわかりませんでした。これは大臣にお答えいただけますでしょうか。

太田国務大臣 情報開示の方針についてでありますが、一つは、不特定多数の者が利用する庁舎、公立病院等については、その公共性に鑑みて公表することとしている。二つ目に、民間の病院、ホテルにつきましては、所有者の同意が得られ次第、速やかに公表するということ。そして一方、利用者が特定の者に限られるマンション、倉庫、工場、オフィス等については、構造安全性の検証の結果、危険であることが判明した場合は速やかに公表することとしている、こういうことでございます。

 危険性が明らかでない段階で情報開示をしますと、資産価値が損なわれるおそれがあるため配慮が必要だ、このような考え方で今公表しているということでございます。

足立委員 ありがとうございます。

 これは、大臣が今整理をしておっしゃった、ある種のルール、規範だと思っていまして、よくまた議事録をそしゃくしながら深めていきたいと思います。

 もう一つ、先ほども、同僚の今井委員初め、賠償の話がちょっと出ましたが、これは国が訴えられるケースも幾つかあるようですね。二十三年から二十五年にかけて三件、居住者あるいは建築主から国賠法訴訟が提起をされ、指定検査機関に対する監督権限の不行使の可能性が問われているわけですが、結果的には、役所の、行政の監督権限の不行使の違法性についてはないということで結審をしているようでありますが、一方で、行政庁が違反是正命令をした建築物件数は数百件から最近は数十件ということが毎年、これは是正命令ですから、要はもう行政指導では言うことを聞いてくれないというケースが毎年何十件とあるんですね。

 したがって、そういう物件名の公表についての先ほど大臣が御紹介くださったルールもそうですが、あるいはさっきの公的な支援もそうですが、要すれば、今回もたくさんの方が苦しんでいらっしゃる、被害者がいらっしゃいます。これは、是正命令をした件数が何十件と毎年あるんですよ。すると、是正命令までいっているということは、まだ被害者は救済されていないんですね。

 では、困り果てた方々が、これはどういう方かわかりませんが、国を訴えると、司法府が、裁判所が、法律上これは国交省を責めるのはもう無理だ、こうなっているわけでありまして、行くところがないわけですね。私は、これは場合によっては法律の不備じゃないかなと。要は、これは消費者特ではありませんが、消費者保護という観点からいえば、救済し切れていないことがどうも見てとれるわけであります。

 いずれにせよ、公表とか税の投入とか、いろいろきょうは取り上げましたが、何か建築基準法周りで、先ほど大臣は一定の検討はしていくんだということでおっしゃっていますが、私は、今申し上げたように、今つぶさに是正命令の状況それから裁判の状況を見ると、どうも法律上まだできることが、しなければいけないことが、特に消費者保護の観点からあるのではないかと思いますが、大臣、どうでしょう。ちょっと通告していませんね。局長でもいいですけれども。

橋本政府参考人 まず、賠償の話をちょっと先にさせていただきたいと思います。(足立委員「短目でいいです」と呼ぶ)はい。

 建築確認でも、建築主事が本来払うべき注意をもって書類を確認せずに漫然として不適合の建築物ができた場合には、これは当然国家賠償法の適用があるとする判例もございます。決して、基準法だから全て抜けているということはないと思います。

 なお、今回の不正案件に関しましては、国としても、大臣認定制度ほか、見直すべきところはあろうと思いますので、今後、我々としても、第三者委員会に意見を聞きながら、しっかり見直してまいります。

足立委員 今ずっと私が申し上げてきた点について、参考人の皆さん、特に北村先生、高山先生、今私は、もちろん大臣認定制度ということもありますが、大臣認定制度を中心とするこの建築基準の世界、これは法律の整備も含めてやるべきことがあるんじゃないか、こう申し上げているわけですが、もしその点御見識がおありでしたら御紹介をいただければと思います。簡潔で結構ですけれども。なければいいですよ。

 控え目な先生方で、河田先生もぜひ控え目にやっていただきたいと思うんですが。

 あと一分か二分か、あと一点だけ、耐用年数なんですね。

 先ほどもあったように、免震ゴムというのは、これは法定耐用年数が六十年か何かかもしれませんが、一方で、耐久性、この免震ゴムというのは何年ぐらいもつものなんですか、一般的には。

橋本政府参考人 免震ゴムにつきましては、加熱を行うことで経年劣化のいわゆる促進試験というのをやっておりまして、六十年以上の耐久性、耐用年数が確認されております。

 ちなみに、オーストラリアでは、百年前の橋に設置された免震ゴムが現在も全く問題なく使用されているという事例もございます。

足立委員 わかりました。ありがとうございました。

 私も国土交通委員会でこうして質問させていただくのは今国会が初めてでありますが、きょうるる申し上げた問題、きょうは参考人の皆様にもおいでをいただいて、大変貴重な機会をいただきまして、御礼を申し上げたいと思います。また引き続き国交委で取り上げて、深めてまいりたいと思います。

 ありがとうございました。

今村委員長 次に、穀田恵二君。

穀田委員 日本共産党の穀田恵二です。

 まず、東洋ゴムの山本社長に聞きます。

 不正の対象となった最初の五十五件の一つ、独立行政法人国立病院機構舞鶴医療センターに対してどういう対応を行ったのか、まずお答えいただきたいと思います。

山本参考人 個々の対応の詳しいところは把握しておりませんが、今現在、交換に向けて相談しておる状況と伺っております。

穀田委員 私は、この五十五件というものの中で、医療機関や、また地方自治体を初め、いわば、いざというときの人命にかかわる機構、またはそういう司令塔になる部分について、どういう説明を行ったかについて一々把握していないというのは困ると思います。

 少なくとも、我々だって全員の数の名前を覚えるということはできませんよ。しかし、五十五件のうち、医療機関は何ぼある、そして、自治体に関係するのはなんぼやという話について知らぬようでは、本当は反省しているのかということをまず言わなければならない。

 私は聞いてまいりました、だと思ったから。五月一日に、その舞鶴医療センターを私どもの党の本村伸子委員とともに訪問し、院長に話を伺ってきました。

 院長は、最初にマスコミから偽装免震ゴムが使われているのかの問い合わせがあり、何のことかわからなかったと。次に、三月十六日、京都府の土木事務所から免震ゴムの偽装についての報告があり、同日、東洋ゴムに説明を求めたとのこと。東洋ゴムが来たのは翌々日の十八日、説明資料もなく、元担当者がと個人の責任であるかのような説明だった、無理やり謝らされている感じだったと、そのときの東洋ゴムの対応を振り返っておられました。また、地震の際に医療機器が保持でき、一時間後には、いや、すぐにでも医療行為が再開できること、地域医療に責任を果たす上で免震構造がどうしても必要、免震が頼りとの話でした。

 その免震ゴムの性能が偽装されていた。レベル2、揺れるが倒れないで済まされる話じゃない。そういう問題を順番を含めて一つ一つ調べて、頭の中に入れてくるというのがあなたの仕事と違うのかと私は言いたい。どう思います。一言。

山本参考人 まずは、大変申しわけございません。

 特に初動の連絡体制のおくれがございまして、当初、三十名弱で連絡体制を組んだのでございますが、これが、私どもの予測が甘く、人数不足でありました。今現在は、この対応メンバーは百五十四名、総勢二百二十名で対応させていただいております。

 今後は、そういった情報の不徹底がないように進めてまいりたいと思います。申しわけございません。

穀田委員 情報の不徹底じゃないんですよ。情報をしっかりつかんで、みずから物にし、会社の責任者として、どういう被害があるかということをしっかり見定めてここに来ていないということを言っているんですよ。今言いましたように、みずから連絡していない、直接の説明がない、今後の対応についての説明がない、こういう点で極めて不誠実と言わなければならない。

 そして、医療センターの職員の方々からも私は話を伺いました。

 職員が知ったのは新聞報道によってで、課長の説明は、東洋ゴムから何の情報もなく、移転が延びることのみ。移転延期の影響として、患者さんにとっても、現施設の老朽化で震度四から五で倒壊の危険を感じておられる、そういう不安の中にいる、働いている方もそういう事態が生まれることによってストレスを感じておられる。古い空調で、もともとこれは建て直すから新しい空調は待ってねということなんですよね、患者さんに我慢してもらっている状況だというふうに述べておられるわけであります。そして、新病棟への移転が待ち望まれている。工事のめども立たず、方向性も定まっていないことに怒りがある、補償、賠償をきちんとしてほしいと訴えておられました。

 舞鶴医療センターに対して、東洋ゴムとして補償、賠償はきちっと対応しますね、一言。

山本参考人 きちんと御相談の上、対応させていただきます。申しわけございません。

穀田委員 私に謝ってもだめなんですよ。

 そこで、東洋ゴムは、二〇〇七年にも断熱パネルの偽装が発覚し、再発防止策を講じています。そして、免震ゴムと同じ、建築基準法に基づく大臣認定案件であります。

 そこで、確認しますが、断熱パネルの偽装は何年から何年まででありますか。そしてもう一つ、社長が免震偽装を認識したのはいつか、正確にお答えください。

山本参考人 断熱の問題は九二年から二〇〇七年の問題と承知しております。

 それから、私が今回の問題の最初の報告を受けたのが七月下旬から八月でございますが、この際はまだ不明瞭な説明で、次に報告を受けたのが八月十三日、このときも、やはり内容を質問しましても的確な返答がなかったので、再度調査するということをお願いいたしました。

 以上です。

穀田委員 あなたの言い方も、先ほど述べた、わからないから再度やらせた、再度やらせたという話と同じじゃないですか。あなたはいつ認識したのかと私は聞いているんですよ。経過を聞いているんじゃないんですよ。いつですかと聞いているんです。

山本参考人 はっきりこれが不正の問題であると認識したのは一月三十日でございます。

穀田委員 二〇一五年、ことしの一月三十日、それほどまでずっとかかっていたということがはっきりした。先ほどは八月十三日だの何なのといろいろ言ったけれども、結局、起点となるのは一月三十日だということですね。それは今おっしゃった。あなたが認識したのは一月三十日だということですよね。いいですね。

山本参考人 二〇一五年一月三十日でございます。

穀田委員 免震ゴムは二〇〇二年から二〇一五年までの十三年間やっています。そして、断熱パネルは十五年間ということになりますよね。

 そこで、断熱パネルを偽装し、みずから認めた再発防止策の実施中に今回の免震ゴムの偽装を行っていた、重なっているというところがまた特徴なんですね。実施中にもかかわらず、それ以降も、要するに再発防止の決定に基づいてやっている最中にも八年間継続していたということであって、全く自浄作用がないというのが特徴だ。

 二〇〇七年の断熱パネルの偽装問題の教訓がなぜ生かされなかったのかということですよね。

 一つは品質、先ほど随分言ってはりましたわ、品質監査室による全出荷品の云々かんぬんということで、これは深掘りが足りなかったと。あとは、コンプライアンスの研修は随分やったという話をされているわけですね。これらのいずれかが確実に実施されていたら、今回の不正事案は生じ得なかったというふうに考えておりますというのが、国交省の橋本さんの答弁だ。ところが、あなた方は、一は深掘りはなかった、しかし、二は随分やったということをおっしゃっておられるわけですよね。

 みずから決めた再発防止策が、同じ大臣認定案件の免震ゴムの偽装防止へどう実行されたのか、なぜ再発防止ができなかったのか、社長の見解を聞きたい。

山本参考人 二〇〇七年十一月に品質監査室を社長直轄で設置いたしまして、全社の品質総点検を実施いたしました。

 この品質監査につきましては、残念ながら、規格値と出荷成績書との突き合わせを行っており、今回問題となりましたデータ測定の作業時のフローまで至っておらないという点が、発見できなかった一番のポイントであると思います。

穀田委員 それは、確かに、自分のところの社のそういう考え方からするとそうなんだけれども、どういう経過でやっていたかというのはそのとおりなんですよ。しかし、あなた方が出した文書との関係でどうなのかということを言わなあきませんのやわ。

 あなたのところはこう言っているんですよ。原因についての報告概要によりますと、まず、事業化検討の不足ということを言っているんですよね。次に言っているのは、経営判断の甘さと監査機能の不足と言っているんですね。ここでは、商品開発のおくれが市場参入の障壁となるとの判断が、不正をしてでも事業を継続しようとする動機となったと言っているんですよね。

 となると、不正をしてでもやるということがあったということからして、それを厳しく反省しているという項目を言っているということは、不正をしちゃならぬということについて徹底したかということが問われているんじゃないんですか。そこはどうなんですか。

山本参考人 不正をしてはならないのはもちろんのことで、その不正をいかに見つけ出すかということで活動いたしておったつもりですが、残念ながら見つけることができなかったということでございます。

穀田委員 それでは済まぬですよ。多くの方々が納得しませんよ。

 その前に何と言っているかという問題が次にあるんです。では、言いましょうか。

 自社の人的、技術的対応力を含めた検討が不十分なまま事業を開始したと言っているわけですやんか。そして、今度の中間総括の中にもそういう文言が書かれている。

 つまり、あなた方のところでいうと、少なくとも不正をしてでもという、もうけるためには仕方がないということがある。それからもう一つは、人的、技術的対応力がないにもかかわらずやってしまったという二つの欠陥がある。その二つの欠陥を取り除くためにとことん努力したのかということが問われているということなんです。

 これは私が言っているんじゃないんです。あなた方が総括した文書の中にそう書いているんですよ。そのとおりやったのかと聞いているんですよ。

山本参考人 不正をしてでも事業をやるというようなことを防止するために、例えば投資検討会に監査部が入るであるとか、そのようなことは実施しておったのでございますが、今回の問題を、既に起こっていた問題を引っ張り出すということには、残念ながら効果がなかったということでございます。

穀田委員 これ以上やっていても本当に無駄だなという感じがしますね。効果がなかったんじゃないんですよ。そういう角度から物を見ていなかったということが起きているんですよ。同じことをやっているんですから。その原因の本質をあなた方が総括した内容に基づいてどないしたかという角度が欠けていると私は言っているんですよ。そこがないとだめなんですよね。

 では、国交省がこの問題を指摘しているわけですけれども、この問題について、再発防止策の実施状況について国交省から点検や指導はありましたか。

山本参考人 当時の御指導があったかどうかは、申しわけございません、私にはちょっと記憶がございません。

穀田委員 これほど大事な問題が、再発防止策も提出し、それを翌年の一月の段階で国交省が通知をし、それを教訓として学び、全社に徹底する体制をとっているにもかかわらず、それらの項目についていかような点検があったかも知らない。これは困りますよね。では、後で国交省に聞きます。

 だから、この点で、私は、中間報告がありますけれども、規範遵守の意識の鈍麻と言うほかはない。問題は、そういう鈍麻がなぜ起こったのかということなんですよね。先ほど言った二つの点、すなわち、自分のところの会社の能力を超えている問題、そしてまた安全よりも利益を優先する、少々の不正をしてでももうけたらいいじゃないかという考えがあるというのがここに書いてある内容だということを改めて言っておきたいと思います。

 そこで、指定評価機関並びに有識者の方々に、せっかくですから、各党が私に聞けと言うものですから、聞いていきましょう。

 それでは、高山参考人と沢田参考人にお聞きします。

 まず、大臣認定制度の問題はどこにあると考えるか。先ほども高山参考人は問題があると言っていますけれども、中身についてもう少し踏み込んで、どれが問題だということを言っていただければよいし、どうしたらいいのかということについて、お二方からお聞きしたいと思います。

高山参考人 まず、今の現状の大臣認定制度ですけれども、先ほどから議論にもなっておりますが、基本的には書類審査だけですので、我々としましては、メーカーさんといいますか申請者側から出てきた資料に基づいて、その資料が妥当なものであるか、あるいは申請されている内容が妥当なものであるかということを評価するということになります。ですので、実地審査とかもやっておりませんし、そういった意味では、大臣認定制度は、あくまでメーカーさんが真面目にというか、ちゃんとした試験をやって正しくデータを評価して申請されるという前提に立っておるということになります。

 今回こういった不正な事案が出てきたわけですけれども、これにつきましては、今の大臣認定制度をそのまま生かすとすれば、我々が出向いて、どんな試験をしているのかとか、どんなデータの処理をしているか、やはり見に行くしかないかもしれませんが、審査時はそれでも結構かもしれませんが、今度、出荷するとき、実際製品を納めるときに、それはどうなるんですかということまでは、では、我々は全部出荷するところまで見に行くんですかというと、僕は別の仕事をせざるを得なくなってしまいますので、それは現状の制度では難しかろう。

 ですので、今の体制のままやるというのは、僕らがそれにかかり切りになるのかということになってきて、ちょっと難しいかなという気はしておりますが、現状を維持するのであれば、何がしかの、そういった体制といいますか、変更は必要かなというふうには思っております。

 以上です。

沢田参考人 高山先生のおっしゃったことの繰り返しはいたしませんが、それにプラス、やはり、私どもとしては性善説に立っている。いわゆる書類だけの審査というのは基本的に性善説なんですが、効率がいいことは効率がいいんですが、性悪説に立った場合、開発時の試験、それから出荷時の試験、もう我々が一緒になって開発するみたいな、そういうものに全て立ち会って、データ処理についても立ち会うとか、そういう手間をかければ見抜けたかなという考えはあります。

 ですから、どこまでやるか。人間というのは、やはり見ているところではちゃんと正しくやるんだけれども、見ていないところでやらない。そうすると、結局、性悪説に立って全部見なくちゃいけない。そこら辺に非常にジレンマがあるのと、やはり出ていく製品を時々チェックするというのが一番効率的にはいいのかなと考えております。

 以上でございます。

穀田委員 そうしますと、今、偽装をやっていないと言われている二十六社について、これまた検査をしているわけですけれども、自主検査の結果、問題ないということだけれども、今度は可児参考人に聞きましょう。

 東洋ゴム以外の二十六社について、自社検査で問題ないということなわけだけれども、問題ないということで考えていいんですかね。そして、本来、今、第三者機関として、そういうものについて、二十六社についてでも、これが一つの大きな話題になっているもとで、どのように関与していったらいいのかということをちょっと。

可児参考人 今のお話ですけれども、二十六社は、これは免震の積層ゴムだけなんですよね。積層ゴムをやって認定をとった方々なんですけれども、そこへ質問して、自分の会社を全部自分たちで調べて、その報告をしたということで、それにつきましては、性能評価機関として我々が立ち会ったわけじゃないので詳しくはわかりませんが、国交省の報告によりますと問題なかったということなので、我々も、書類だけで見るのであれば、それは問題なかったと思います。ただ、今後、もし本当に中まで立ち入るようなことができるとすれば、最初の一つの試験データをつくるところまで、やはり一度、目で確認するという必要はあると思います。

 それから、その後、一番効果的なのは、できた実機を抜き取りで試験をする。これは、メーカーとしては、実機で確認されてしまえば何も隠すことはないわけですから、できないんですよ。だから、本当のところがわかる。だから、抜き取りによるそういう確認は一つやった方がいいというふうに思っております。

 以上です。

穀田委員 貴重な御意見、ありがとうございました。

 いずれにしても、今の東洋ゴム以外の二十六社についても、私は、国交省が安心だ、大丈夫だというだけでは、ちょっと、別に大臣を疑っているわけちゃいますねんで、今の事態のもとで起こっていることからすれば、やはり二十六社が自社検査して大丈夫でっせというような話をそのまま信用するわけにはいかへんかなと思っています。

 そこで、評価機関の問題に少し行きたいんですけれども、もともと国民の安心、安全のために基準を守らせることが、今回の問題を考える上で基本的立脚点としなくちゃならぬ、これは当然なんですね。

 建築基準法というのは、御承知のとおり、第一条において、「この法律は、建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低の基準を定めて、国民の生命、健康及び財産の保護を図り、もつて公共の福祉の増進に資することを目的とする。」こう書いているわけですね。だから、これはあくまでも国民の命と健康及び財産の保護のための最低の基準なんですよね。

 この最低の基準のところが破られているということの結果について、基準のある意味では番人としておられる経験豊かな可児さんはどういうふうにお考えですか。

可児参考人 基準法の第一条、今お話しされたとおりなんですけれども、ここが一番大事なところであります。やはり、国民の生命と財産を守るという、そこに帰するわけですね。ただ、最低の基準だということは書いてありますので、こういうのだけは少なくとも守ってほしいということを言っているわけですね。

 ですから、我々も、何かをつくるとき、物をつくるときは、そこは必ずキープしますけれども、やはり最終目的である生命と財産の保護というのはもうどんなことがあってもやらなきゃいけないというふうな心があれば、今回のようなメーカーさんが不正なデータをもって大臣の認定を得るなんてことはあり得なかった。だから、我々エンジニアの倫理といいますか、そういうものが全くなかったのではないかというふうに思っていまして、我々エンジニアとして情けないというふうには思っております。

 以上です。

穀田委員 では次に、北村参考人にお聞きしたいと思います。

 免震ゴムの性能評価についてちょっと聞きたいんですけれども、天然ゴムに比べ、高減衰ゴムというのは製品ごとにばらつきやすいとおっしゃっていますよね。また、高山さんは、高減衰積層ゴムの場合は速度によって特性が変化するので係数による補正では本当かどうかわかりにくい、こうもおっしゃっています。そうであれば、先ほど来ありましたように、実大実験、実物実験、また、抜き取り検査というものなどを行うことが不正を見逃さないためにも必要じゃないかと思うんですね。

 私は、その意味で、何かというと免震先進国と、この問題についてのいろいろな書類を見ますと割と書いていますわ。先ほど高山先生からは、アメリカとイタリアにそういうのがあるということで、実大の検査機器があるという話がありましたけれども、二十億から三十億かかるということなんです。だけれども、いわば、何かというと、東日本大震災以降、この問題についての免震という問題が新たな課題として提起され、そのことで日本では大きな分野であって、しかも、東洋ゴムさんも比率を、確かに比率はほんのちょっとかもしれないけれども、それ自身の売り上げはばんばんと伸ばしている、今後の未来における重大な問題だとまで言っておられる。

 こういうもとで日本のチェック体制としてはどうだったとお考えか、そして今後どうすべきかということについてもお聞かせ願えればありがたいと思います。

北村参考人 なかなか難しい御質問なんですけれども、ちょっと考えていることを御説明いたします。

 まずは、日本には動的な大きな試験機がないということで、二〇〇三年の長周期地震動問題、十勝沖地震以降、長周期地震動問題が出てきまして、二〇一一年でも長周期が出てきました。それで、国土交通省の方で、建築基準整備促進事業というので、実大の積層ゴムを動的に評価をしよう、特に長周期地震動に対する能力を評価するよというのをやっています。

 そのときは、三木のE―ディフェンスの振動台を使って、あれに治具をつくりまして、それで、高減衰積層ゴム、それから鉛プラグ入り積層ゴムとか、滑り支承とか、鉛ダンパー、オイルダンパー、そういったものの長周期に対するチェックを動的に行いました。

 それで、そこの製品はよく流通しているものから選んでチェックしまして、メーカーが言っているような指標を出しましたし、長周期についても大きなデータが得られたということで、免震構造に使っている積層ゴムとかダンパーについてはある程度の性能を持っていると僕自身は思っていました。今回こういうのが出てきまして、そういえば、東洋ゴムの積層ゴムは全然試験していなかったなというのが、ちょっと後悔はしています。

 ただ、国のお金とかでやる場合ですから、やはり多く使っているものに対して性能を確かめるというのがいいだろうというので、母数の多いものから選んでいる。それに対しては、そういう性能が確認できているというのをやっています。

 そういう意味では、そういった試験機があってやるというのはいいんですけれども、実は、基準整備事業も国の税金でやっていますので、使命が終わったら、一応、加力治具を解体してしまうということをやっています。ですから、現在はないところであります。これから、今後、いろいろな地震とか考えると、先生がおっしゃるように、そういうのがあればもっといい技術が生まれるという余地はあるかと思っております。よろしいでしょうか。

穀田委員 貴重な意見を本当にありがとうございました。

 大臣、今ありましたけれども、国のお金も大変だけれども、これがあったら将来に大きな発展が遂げられるということも、現に調査をし、今後もということがありましたし、入れませんか、あの例の試験台。

太田国務大臣 振動台自体は私が実験をしていたときからあるんですが、免震ということで、上から圧をかけて、そして地震動と同じような周期で二秒というようなことではかるというようなことについて、なかなか、それが今日本にはないということについては、どうやって検査をするかという、全てをやるかどうか、どういう場面でやるかということはあるんですが、免震のための振動台がきちっとそろうということは私は大変いいことだと思っておりますし、それにかかわった人間としては欲しいと私は思っています。

穀田委員 貴重な答弁ですよね。必要だ、欲しいということですから、これは、きょうはみんな聞いたから、いいなということで承認していただくということにしたいと思います。

 そればかり言っていたのではまだだめなものですから、そこで、今度の問題でいいますと、国交省の対応とその責任についても一言しなければなりません。

 最初に、私は舞鶴医療センターのお話をさせていただきました。本来の機能が発揮できる免震ゴムへの交換のめどが全くない。大臣も、一刻も早く免震ゴムの交換ができるようということで、今工事中のものなどを初めとしたいろいろなことをおっしゃっています。私は、東洋ゴム任せにせず、他社にも協力を求め、国が責任を持って取り組むべきではないのかと思うんですが、お考えをお示しください。

太田国務大臣 今原因究明とともに、まず、この段階でやらなくてはならないというのは、交換への工程表とかスケジュールは具体的に動くことだというふうに思っています。今までは、三月の段階では、すぐさま倒れないかどうかということで、三月末までにという指令を出しまして、もうちょっとかかるというのはもっと前に倒せということで、三月いっぱいかけて、震度五強ということに耐えられる。そして、四月に入りまして、六強から七ということにも耐えられる。震度ということからいきますと、最大の震度七ということで、それ以上ありませんので、それに耐えられるということで、まず、そこまでやらせていただいて、今の段階、現段階では、まさに免震の交換ということ、それと原因究明、二つが一番大事なことだというふうに思っています。

 多くの方、特に工事中というのが十二ほどあります。それで、長野市とか御前崎とか、あるいは舞鶴もそうなんですが、そこは私の方から、直接国交省が入っていって、いわゆるゼネコン等の業者、そして役所とかそういう方、そして東洋ゴム、全部を引き合わせる役に立って、それで、早くこれを進めなくてはいけないということで、主導的に今やらせていただいておりまして、工事中というのが十二ほどあるんですが、庁舎と病院ということについて、まず国交省が入って、そうした調整をして、動きが始まっているという状況にございます。

 工事がおくれたらどうしようとか、さまざま、一番迷惑をかけているのは工事中のところだと思いますので、そこには直接、今申し上げたように国交省が入ってやり、そしてスケジュール等も持っていったり、あるいは、他社の免震材を使うというようなことについては、今、力を注いで、間に入ってやっているということでございます。

穀田委員 お話しのとおり、その点は積極的に頑張っていただきたいと私どもも思います。

 そこで一つ、国交省が、先ほど橋本局長がおっしゃっていました三つの点のいわばフォローアップということについて、この間も、十五日でしたか、私が質問したときに、耐火偽装の再発防止について六年前にそういうことをやったと。その後、フォローアップはどないやと聞いたらば、橋本さんは、市場から調達した試験体を用いたサンプル試験も調査して、その結果、性能がないことが確かめられたものについては改修を指示しているところであります、こう答えたんですね。私、この答弁をどこかで聞いたことがあるなと思って見ていたら、二〇〇九年の、この事件が起きた後の参議院の国土交通委員会で同じ答弁をしているんですよね。

 だから、どうも、そのときに起きた、いわば耐火パネルという問題が流布している、それを追いかけているという点は私わかるんですよ。だけれども、あのとき質問したのは、先ほどありましたよね、社長はそういうことは記憶にないと言ってはるわけですわな。私は、どんな点検とどんな監査や検査でいいけれども、やったのかということをもう一遍聞きます。

橋本政府参考人 防耐火の不正事案があった後の再発防止策については、前回も答弁申し上げましたとおり、不正な試験体が試験に使われないようにちゃんとチェックをすることと、サンプル調査、いわゆる抜き取り調査を行うということを実施いたしました。

 抜き取り調査、サンプル調査につきましては、毎年七十件程度でございますけれども、先ほど御答弁申し上げましたとおり、だんだん減ってはきております。

 ただ、今回の反省点として、製品のチェックというのを今まで我々は一生懸命やってまいりましたけれども、品質管理とかあるいは製造、検査の現場のシステムのチェックということに関しては、今まで我々としてはやってこなかった。この点に関しては、今回、大臣認定制度の見直しに当たって、再発防止策も一つの品質管理のシステムだと思いますので、そういうことも今後取り入れていかなければいけないと考えております。

穀田委員 橋本さん、あなたの報告は、前はこうした、今度からこうすると。この間がないねんね。わかりますか。

 私が言っているのは、あなた方が三つあると言ったことの一番目の品質管理というのは、当然の必要な仕事なんですよ。今後だけではないんですよ。この数年間に再発が出てきている、再発しないと言ったけれども起きたという問題の責任との関係で、何してきたんやと言っているわけですよ。

 一般論として、私、わかりますよ。一万何千件あったような耐火パネルについて追いかけている、それは否定していないですよ。問題は、その会社がそういう約束をしたことについて、受ける側は聞いたことがないと言っているけれども、おたくは行ったのかと聞いているんですよ。

橋本政府参考人 東洋ゴム工業の再発防止策について、現場に入ってチェックをしたという事実はございません。

穀田委員 つまり、そこなんですよ。あれほどの大事件を起こして、建設業界に大きな波紋を投げかけ、その後も何年間も追わなければならないという事象に対して、その出された総括報告、そして原因究明報告を何ら手本にしていないというところに問題があるんじゃないかということを私は前回言いたかったわけですよ。

 それで、私、だからどうも話がおかしいなと思って、もう一遍議事録を読んで、待てよと思って見たら、同じことを言っているなということに気がついて、この調子じゃ、そりゃあかんでと思ったわけですよ。

 だから、本当にここは心して、そういうせっかく、会社も会社なら、言っていることはさっぱり覚えてへんし、それから国交省は国交省で出されたら聞きっ放しということ、両者があかんということを我々は言っておきたいと思います。

 そこで、私は、最後にこの議論をしたいのは、大臣認定制度そのものを考えなければならないというところに来ているんだと思うんです。

 二〇〇七年の耐火パネル偽装の問題の際も、当時、冬柴大臣は、もう一度こちらから検査するとか、そういうことで国民に御不安をかけないような手をとらなければならないと答弁をしているんですね。ところが、国民の不安を払拭するどころか、さらに不信を倍増する事態になった。

 それで、先ほども、いわば学識経験者のお二方からはそういう問題提起もあったということですから、大臣認定そのものが建設業界全体の不信の大もとに結果としてはなった。したがって、前回も提起しましたけれども、制度そのものの根本的な再検討が必要な時期に来ているんじゃないでしょうか、大臣。

太田国務大臣 今回、品質管理という、技術開発とかそうしたことは日本の企業はもう本当に力を注いでやってきたのに、ここはやれていないということが一番問題だったと思います。

 そして、同じ業界でいえば、例えばタイヤならタイヤというものを考えても、これは実際に車で走ってみて、いいものか悪いものかというのはそこの現場の中からはね返ってくる。しかし、免震というのは、なかなか、きいているのかきいていないのか、物すごい地震がないとよくわからないというようなものがあると思います。

 そうしたことからいいますと、一つは、安全に直結する製品かどうかということが非常に大事なことだと思います。それから、検証が現場でされないというものには、特別この認定ということについてはきちっとしておかなくてはいけないということ。そして、過去に不正を行った企業かどうかというような点。三つ私申し上げましたが、そこでのチェックのあり方というものをほかのものと変えるべきだ、このように考えています。

 具体的には、性能評価機関によるISO9001、品質マネジメントシステムも活用して、製造、検査や品質管理システムのチェックを強化すること。性能評価機関により生産現場、品質管理現場の実地調査を行うこと、今参考人からもお話があったとおりです。そして、認定後においても国や性能評価機関が一定のチェックを行うこと。これらについてどうしたらいいかということを、これらを柱にして第三者委員会の意見も伺いつつ検討したい、このように考えているところです。

穀田委員 その御意見は御意見として、私はある意味で当然だと思うんです。ただ、先ほど来ずっと三つの、例えば安全に直結する商品、これは私前回も提起しましたし、せめて何万件とあるような中でそういうものは特別にということも提起しました。それはそれでわかりますし、現場の検証もそうだし、過去に不正というチェック、それもそうだと思うんですね。

 ただ、問題は、例えば建築と住宅ジャーナリストの細野透さんは、大臣認定制度のシステム設計に致命的欠陥があると指摘しているんですね。だから、国民の安全にかかわる大臣認定が、認定試験というときと、それから出荷という二回にわたって、二重に欺かれた。このことからどういうふうに反省すべきかということが我々に問われているんだと思うんですね。これは、立場の違いを超えて、どういう問題があるかということはお互いに議論する必要があるんじゃないかなと率直に思うんですね。

 私は、結局、当時、この一連の作用がずっと起こった根本に、規制緩和の名のもとに、自社の検査で事足りるという制度の根本が問われているんだと思うんです。何回も私、二〇〇〇年、一九九〇年代の後半に議論しましたけれども、規制緩和のもとで、悪いものは市場がチェックし、退場を促す、結果はそうなるんだということをずっと言ってこられました。しかし、十九年も十五年も見逃して見抜けなかったということは、このことが実際は機能していないということを示していると思うんですね。

 しかも、ここには何があったかということで再度私は社長にも見てほしいんですけれども、耐火パネルのときには、先ほど述べたように、事業拡大のため、早く大臣認定をとるように現場に指示していた、他社との競争もあり、開発現場はプレッシャーを感じていた。ここで、消費者への配慮ではなく、利益を優先する気持ちがあった。これは誰の発言か。これは、ニチアス、当時問題になった片側の方の記者会見での発言です。

 今回の偽装で東洋ゴムの幹部は、国交省の立ち入りに対して、営業からの納期のプレッシャーがあり、焦りがあったのではないかということを発言しています。

 つまり、建築材料を売る側は安全よりも利益優先、それを使ってつくる側も、コストパフォーマンスがよいと称して、安かろう悪かろうが事実上まかり通っている事態もある。

 したがって、自主検査を前提とせずに、偽装を見抜く力をどう強くするかが私は改革の鍵だと思っています。その上で、不正を起こさせない、起こしにくい制度設計が必要だと思っています。したがって、建築材料の大臣認定制度の穴、設計、試作、実験、製造などの各段階で重層的に外部のチェックする仕組みが必要だ、こういう点も含めて提案して、きょうのところは終わります。

今村委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

今村委員長 速記を起こしてください。

     ――――◇―――――

今村委員長 次に、内閣提出、旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。国土交通大臣太田昭宏君。

    ―――――――――――――

 旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

太田国務大臣 ただいま議題となりました旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。

 JR各社につきましては、累次の閣議決定により、経営基盤の確立等条件が整い次第、できる限り早期に完全民営化することとされております。九州旅客鉄道株式会社につきましては、経営の効率化や多角化を進め、近年では安定的に経常黒字を計上し、他の鉄道会社と比べても遜色ない経営状況にあります。このような状況から、同社の経営基盤は確立したと言える状況にあり、早期に完全民営化に向けた手続を進める必要があります。また、完全民営化後も、九州の基幹的輸送機関として、必要な鉄道ネットワークを維持するための措置を講じる必要があります。

 このような趣旨から、このたびこの法律案を提出することとした次第です。

 次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。

 第一に、九州旅客鉄道株式会社を旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律の適用対象から除外することとしております。

 第二に、国土交通大臣は、路線維持や利用者利便の確保等について、九州旅客鉄道株式会社が完全民営化した後も事業運営上踏まえるべき指針を策定し、必要な場合には勧告、命令等を行うことができることとしております。

 第三に、九州旅客鉄道株式会社の経営安定基金については、完全民営化後も同基金が果たしている路線維持等の機能を実質的に確保するため、その全額を取り崩し、事業の運営に必要な費用に充てることとしております。

 そのほか、これらに関連いたしまして、所要の規定の整備を行うこととしております。

 以上が、この法律案を提案する理由であります。

 この法律案が速やかに成立いたしますよう、御審議をよろしくお願い申し上げます。

今村委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

今村委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 本案審査中、参考人の出席を求め、意見を聴取する必要が生じました場合には、その出席を求めることとし、日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

今村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、来る十三日水曜日午前十時二十分理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時三十六分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.