衆議院

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第9号 平成27年5月15日(金曜日)

会議録本文へ
平成二十七年五月十五日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 今村 雅弘君

   理事 大西 英男君 理事 金子 恭之君

   理事 小島 敏文君 理事 坂井  学君

   理事 中村 裕之君 理事 伴野  豊君

   理事 井上 英孝君 理事 赤羽 一嘉君

      秋本 真利君    井上 貴博君

      岩田 和親君   うえの賢一郎君

      鬼木  誠君    加藤 鮎子君

      勝俣 孝明君    門  博文君

      金子万寿夫君    神谷  昇君

      木内  均君    工藤 彰三君

      古賀  篤君    國場幸之助君

      今野 智博君    斎藤 洋明君

      鈴木 馨祐君    鈴木 憲和君

      田畑 裕明君    高木 宏壽君

      津島  淳君    野中  厚君

      堀井  学君    前田 一男君

      宮内 秀樹君    宮澤 博行君

      山本 公一君    荒井  聰君

      神山 洋介君    小宮山泰子君

      松原  仁君    宮崎 岳志君

      本村賢太郎君    足立 康史君

      河野 正美君    下地 幹郎君

      横山 博幸君    北側 一雄君

      中川 康洋君    樋口 尚也君

      吉田 宣弘君    田村 貴昭君

      本村 伸子君

    …………………………………

   国土交通大臣       太田 昭宏君

   国土交通副大臣     北川イッセイ君

   国土交通大臣政務官   うえの賢一郎君

   国土交通大臣政務官    鈴木 馨祐君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  藤田 耕三君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 小川 晃範君

   参考人

   (九州旅客鉄道株式会社代表取締役社長)      青柳 俊彦君

   国土交通委員会専門員   伊藤 和子君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十五日

 辞任         補欠選任

  秋本 真利君     勝俣 孝明君

  神谷  昇君     金子万寿夫君

  今野 智博君     田畑 裕明君

  佐田玄一郎君     野中  厚君

  鈴木 憲和君     加藤 鮎子君

  野田 聖子君     井上 貴博君

  宮澤 博行君     鬼木  誠君

  横山 博幸君     河野 正美君

  北側 一雄君     吉田 宣弘君

  穀田 恵二君     田村 貴昭君

同日

 辞任         補欠選任

  井上 貴博君     野田 聖子君

  鬼木  誠君     宮澤 博行君

  加藤 鮎子君     鈴木 憲和君

  勝俣 孝明君     秋本 真利君

  金子万寿夫君     神谷  昇君

  田畑 裕明君     今野 智博君

  野中  厚君     佐田玄一郎君

  河野 正美君     横山 博幸君

  吉田 宣弘君     北側 一雄君

  田村 貴昭君     穀田 恵二君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第二五号)


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     ――――◇―――――

今村委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 本日は、参考人として九州旅客鉄道株式会社代表取締役社長青柳俊彦君に御出席をいただいております。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省鉄道局長藤田耕三君及び環境省大臣官房審議官小川晃範君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

今村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

今村委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。宮内秀樹君。

宮内委員 皆さん、おはようございます。自民党の宮内秀樹でございます。

 国土交通委員会の質問は初めてでございまして、気合いを入れてやりますので、ひとつ皆さん、御協力をよろしくお願い申し上げたいと思います。

 実は、私の選挙区は福岡四区というところでございまして、私の選挙区にはJR九州の駅が約二十個ほどありまして、まさにJR九州の公共性によって成立している選挙区でもございますし、大変元気な選挙区でありまして、人口がまだどんどんふえているということでありまして、駅を中心としたまちづくりが展開しているというようなところでもありますので、ひとつそんな例も引き出しながら、これからJR九州、こんないい会社になっていただきたい、そういう期待を込めて質問をさせていただきたいというふうに思っております。

 JR九州は、国鉄の民営化後、経営の合理化を始めまして、新しい積極的な挑戦や努力によりまして安定した経常利益を計上して、自立で経営基盤が確立されたということで今回の法律案の提出になったかと思います。

 特に、博多駅が新しくなった前後のことも私も見てまいりました。また、新しい取り組みで、上品な鳥料理の「うまや」、それから、卵をつくられたりして、羽田にも卵かけ御飯の店とか、新しい取り組みをどんどんされていらっしゃって、地域においても、「JR九州ウォーキング」ということで、地元のイベントに合わせてウオーキングイベントをつくっていらっしゃったりとか、いろいろやっていらっしゃって、そして今回このようなことになったわけであります。

 民営化後、どのような経営理念のもとにこのように会社を展開してきたのか、上場可能になったこの状況につながったのはどういう努力が一番効果的だったのかというようなことにつきまして、JR九州青柳社長からお聞きしたいと思いますし、また、上場後の展望についてどのように考えているかということについてお伺いさせていただきます。

青柳参考人 それでは、お答えをさせていただきます。

 当社は、民営化後からたゆまず取り組んでまいりました安全の確保とサービスの向上を全ての事業の基盤としながら、新駅の設置や列車運転本数の増加による御利用のお客様の利便性の向上に取り組むとともに、観光列車の運行による新規需要の創出、マンション事業等の新たな事業への挑戦など、創意工夫を生かしたさまざまな経営努力を行ってまいりました。

 特に、九州新幹線の全線開業とJR博多シティの二大プロジェクト完成を契機として、これまで以上に着実に経営改善を進めてきた結果、上場可能な状況になったものと考えております。

 上場後においては、駅周辺のまちづくりを通じた鉄道利用の促進やインバウンド施策の推進等による鉄道運輸収入の増加を図るなど、鉄道事業における営業赤字の縮小に努めてまいります。また、関連事業においても、駅周辺のまちづくりやマンション販売の拡大などにより、さらなる収益向上を目指してまいります。

 以上であります。

宮内委員 それでは、JR九州の今までの取り組みや、今後のJR九州に対して期待する点につきまして、政府の方から御意見をお伺いしたいと思います。

太田国務大臣 JR九州は、これまで、九州における基幹的な輸送機関として、鉄道ネットワークの維持向上の大事な役割を果たしてきたというふうに思います。

 例えば、鉄道サービスにおきましては、新駅の設置、あるいは列車運行本数の増加、そして、有名でありますけれども、「ななつ星」を初めとする観光列車、そして、農業や介護サービス、今、卵御飯という卵のお話もありましたが、多岐にわたる関連事業を展開してきているというふうに承知しています。

 今般、上場の前提となる安定的な経営基盤が確立されたことは、JR九州のこれまでの経営努力の成果であると評価しております。

 完全民営化によりまして、国による事業計画の認可など、経営全般にわたる監督から離れまして、文字どおり民間企業として、自立的な、機動的な投資判断、資金調達を行うことが可能となります。

 引き続いて、JR九州が、必要な鉄道ネットワークをしっかりと維持しながら、鉄道サービスの向上や、あるいは観光振興への取り組みや、関連事業を通じたまちづくりを機動的に展開して、九州全体の活性化、地方創生、こうしたことにさらに寄与していただくようにということを期待しているところであります。

宮内委員 ありがとうございます。

 まさに私も同感でございまして、特に、私もJR九州の利用者の一人といたしまして、今後のJR九州には、アベノミクスの成功のための九州経済の起爆剤となってほしいと思いますし、新しい資金力によって元気な九州をリードしていただきたいというふうに思っております。

 それともう一つ、私が特に期待したいと思っておりますのは、地方創生が叫ばれて、これからどうしても結果を出さなければいけないという状況の中で、JR九州さんには、その地方創生の一つの重要なプレーヤーであるというふうな御認識をいただきまして、まちづくりを中心として、地域の発展、振興にどんどん寄与していただきたいというふうに思っております。

 そこで、実は私の選挙区のことで大変恐縮なんでございますけれども、一つ、昨今の、新しい新駅とともにまちづくりができたというお話を御紹介したいというふうに思います。

 参考資料でお配りをしておりますけれども、写真が二枚あると思いますけれども、これは私の選挙区で、博多駅から約二十分ぐらいのところなんでございますが、糟屋郡の新宮町というところでございます。ベッドタウンとして発展をしてきているわけでありますけれども、ちょうど写真の中央部、平成十八年の写真の中央下の田んぼのところ、ここのところを区画整理いたしまして、このちょうどど真ん中に、新しい新駅を、新宮中央駅という駅をつくっていただいたんですね。

 それで、平成二十五年の写真がありますけれども、このちょうど真ん中に駅がありますが、何と十年たたない間にこのように町が変わったということでございまして、駅があって、その前に、緑の広場になっていますけれども、この中に実は下水道の終末処理場をつくったりとか、イケアが来て集客力がすごく上がっておりますけれども、何と周辺に、区画整理が、あっという間に売却いたしまして、人口が張りついたというような例でございまして、まさに新しい駅ができてまちづくりが展開した、ブレークしたというようなことでございます。

 新宮町は、大変今エネルギッシュな状況でございまして、特に、新しい新住民の方々は若い方が多く張りついていらっしゃいまして、何と新しい小学校を今建設中であります。来年にはまた新しい中学校をつくらなければいけないということでありまして、それはそれで町にとっては、うれしい悲鳴と同時に、大変財政上厳しいときに大変なんでございますが、平成十八年からスタートした事業で、平成二十二年にこの新駅ができました。そして、できたときの利用客が一日一千五百人だったのが、何と今現在約七千人ということで、利用客がふえております。

 そして、実は、この写真の右上のところの、森の中のグラウンドが見えますけれども、それは新宮高校という高校があるんですけれども、何と高校の偏差値も上がったというようなことになりまして、想像しなかったようなことが起きてしまうんですね、まちづくりというのは。

 やはりまちづくりには核が必要、それはやはり駅であるということを私は本当に実感をしておりまして、ほう、こんなことになるのかなというふうに思っております。

 人口が、平成十八年には二万三千四百十二人だったのが、平成二十七年の四月には三万四百二十四人ということで、人口が三〇%もふえたというようなことがありまして、私は、実際、現場が変化しているのを見ておりますから、駅ができるということのパワーは本当に実感をしておりますと同時に、このようなことがもっともっと新しいプロジェクトとしてできれば、大変、地域にとっても、地域振興、創生にとってもいいことだなというふうに思います。

 その意味において、JR九州さんに、そのプレーヤーとしての意識を持って、色濃く地域のそういう振興にかかわっていただきたいというのが、私の先ほどから申し上げているところでございます。

 一方、今までは政府の管理の中にあったものですから、自己規制がやはりきいてきて、地域の新しいまちづくりの展開に積極的にかかわろうというのはなかなか難しいような側面があったんじゃないかなというふうに私は思いますけれども、まさに、上場した後は自由度が高まるということでございますから、まちづくりにもっともっと積極的に関与していただきたいというふうに思っております。

 と申しますのは、この駅ができるに当たって、地域の方々、それから地方公共団体の方々がJR九州さんと今までやりとりをいろいろさせていただいてきたのでございますけれども、地域の方々からは、もう少し直接お話の機会があったらよかったとか、地域とJRが話し合う場、まちづくりをするに当たって、新駅ができて、こんな町にしようということを、もっと直接お話をして、コミュニケーションをしたかった、そのようなことの意見があります。

 それから、駅前ではもっともっとJR九州のノウハウを生かしてビジネスをやってくださいというんですね。新しいビジネスをどんどんやっていただいて、それに地域の中小企業も一緒にかかわることによって地域振興になったらいいんじゃないか。だって、JR九州さんにはノウハウがあるし、人材があるし、お金がある。だからもっともっと期待したいんですというのが地元の方々の率直な気持ちであるということであります。

 例えば、地域と一緒になって青空市場みたいなものを何かやっているようなんですね。今も一緒に協力を一部していただいているようなんですけれども、まさに、「うちのたまご」であったり、「うまや」の焼き鳥であったり、何でも一緒になってコラボをするようなことで展開できれば、また新しい、いろいろな意味のビジネスチャンスあるいは地域のチャンスが生まれてくるんじゃないかなというふうなことを言っておるわけであります。

 そこで、JR九州さんには、これから地方公共団体と都市計画についてかかわっていただきたいわけでありますが、この辺のことについて、JR九州さんの基本的な考え方、方向性についてお伺いできればと思います。

青柳参考人 ただいまお話がありましたとおり、当社といたしましても、九州という地域が持つポテンシャルにはまだまだ大きな可能性があると考えております。

 当社は、中期計画においてグループの基本的な考え方の一つとして成長と進化を掲げており、今後も、新たな事業への挑戦に取り組んでまいりたいと考えております。

 例えば、観光振興であれば、九州に数多く眠っている魅力的な観光地をさらに掘り起こすとともに、当社の強みである観光列車とつなげていくこと等により、国内外のお客様のさらなる増加を考えております。

 また、今お話がありました農業につきましても、九州の基幹産業の一つである農業への参入につきましても、さらに拡大を計画しているところであります。

 また、今お話がありましたまちづくりの件でございますが、駅は、列車の乗降に利用されるだけでなく、地域の玄関口として交流の拠点となる公共性の高い施設である。駅を中核とした都市計画を検討されている沿線の地方自治体もあると考えております。そういった自治体に対しまして、当社といたしましては、自治体の都市計画について、自治体と連携しながら、駅周辺のまちづくりを通じて、地域の活性化にさらに積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

    〔委員長退席、坂井委員長代理着席〕

宮内委員 ありがとうございます。

 まさに、そういうことでかかわっていただきたいと思います。住民の立場をぜひともいま一度深く考えていただいて、一緒の立場で取り組んでいただきたいというふうに思います。乗客の利便性につながることであれば少しは負担をして考えていくよというような思いで、ぜひとも捉えていただきたいと思います。

 また、そういうことを具体的にどのように進めていくかということでございますけれども、例えば、町役場の方と駅長さんが、日ごろから人間関係、スムーズにお話ができるような関係をつくるとか、そのようなことも大切だというふうに思います。特に、経営安定基金の振りかえといたしまして、今度、鉄道ネットワーク維持向上のために振りかえられるということをお伺いしておりますけれども、その振りかえ、ネットワーク維持向上のためにどのような対応を考えていらっしゃるのかということを具体的にお聞かせいただければありがたいんですが。

青柳参考人 先ほども申し上げましたように、そういったネットワークづくりのために、今後とも、投資を考えていく中では、先ほどの繰り返しになりますが、地方の自治体の皆様とよく協議をした上で、一緒になって積極的に取り組んでまいりたいというふうに思っております。

宮内委員 ありがとうございます。ぜひよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 一方、上場後もやはり赤字路線をたくさん抱えているわけでありまして、鉄道事業の経営の厳しさは、これから人口減少社会に向かって、ますますそんな簡単な状況ではないというふうに思います。また、この地域の公共性のために、不採算路線をおろそかにされては大変困るというのも、もちろん住民からしたら当然のことかというふうに思っております。

 この赤字路線のことについて、国交省といたしましてはどのような立場であるのか、お聞かせいただけたらと思います。

藤田政府参考人 お答えいたします。

 JR九州は、完全民営化後におきましても、九州の基幹的な輸送機関として、必要な鉄道ネットワークをしっかり維持する必要があると考えております。

 JR九州は、国鉄改革の際に、当時の不採算路線を含めて事業全体で採算が確保できるように、国鉄長期債務を承継せずに経営安定基金を設置したという経緯がございます。今般の完全民営化に際しましても、経営安定基金を将来の鉄道ネットワークの維持向上に必要な鉄道資産に振りかえることといたしております。

 こうした経緯からも、JR九州は、完全民営化後も、現に営業している路線の適切な維持に努める必要があると考えており、指針でその旨を定めることとしております。

宮内委員 まさに、政府としてはそういうお立場だと思います。上場いたしました、企業として頑張ってください、一方、赤字路線は赤字路線で維持してくださいということでありますから、二律背反のことを要求するといいますか期待するというようなことでありますから、それはJR九州といたしましても、この赤字路線をどのようにこれから対応していくかということについては非常に悩ましいことだというふうに思います。

 やはり、国民の公共性を守るという観点を赤字を出してまでやっていただくということでありますから、平成二十八年度末で期限が切れる固定資産税の特例措置につきましては、私個人としましては、やはり引き続き、この赤字路線をどうするかということについては、これは政府としては別の整理をしていく上で、継続して特例措置をすべきだというふうに思っておりますけれども、政府の見解をお聞かせください。

藤田政府参考人 御指摘の固定資産税の特例、いわゆる三島特例、承継特例でございます。過去、五年ごとに延長されておりまして、前回延長時の平成二十四年度税制改正において、平成二十八年度までの適用が認められております。

 JR九州につきましては、前回の平成二十四年度の税制大綱におきまして、「株式上場の動向を勘案し、今後、必要な見直しを行います。」というふうにされております。

 今後、上場が見込まれる平成二十八年度の税制改正におきまして、その取り扱いを検討してまいりたいと考えております。

宮内委員 ぜひ前向きな検討をしていただきまして、もちろん財務省との協議等々はありますけれども、公共性をしっかりと担保していただきながら経営をやっていかなければいけないわけでありますから、政府としての考え方、公共としての考え方ということを大切にしなければ両方がうまくいかないというふうに思いますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 同じような話の中で、肥薩おれんじ鉄道の問題があります。

 御案内のように、平成二十五年度の決算においても約一億円の赤字ということでございますけれども、第三セクターをつくって、公共のために走らせておるわけであります。

 お聞きいたしますと、JR九州から肥薩おれんじ鉄道に対して、要員の派遣とか派遣要員のお給料の一部を負担されておるということもお伺いしておりますし、共同企画切符などの支援をされておるということで、大変地元の方からも感謝されておるということをお伺いしております。

 しかしながら赤字路線であるということでございますが、ここはやはりJR九州さんのノウハウと経験とそして公共的精神を生かしていただきながら、この支援は継続していただきたいなというふうに思いますけれども、上場後もこのような支援を続けるおつもりかどうか、もう一度、私、青柳社長さんに聞かせていただきたいと思います。

青柳参考人 今先生御指摘のように、これまで、肥薩おれんじが開業しました平成十六年度から十年間に八十九名の出向者を派遣するなど、肥薩おれんじ鉄道の負担金を大幅に引き下げる支援を行ってまいりました。

 また、平成二十六年度以降の支援につきましては、熊本県、鹿児島県、肥薩おれんじ鉄道と当社の四者で新たな支援の枠組みをつくり、協定書を作成したところでございます。引き続き、要員の派遣を継続するとともに、人件費の負担につきましても軽減措置を図っているところでございます。

 さらに、営業協力といたしまして、共同企画切符の販売や、肥薩おれんじ鉄道が運行しております観光列車「おれんじ食堂」の宣伝協力や、座席指定券の発売など、一緒になって実施をしておるところであります。

 当社といたしましても、今後とも、上場後も引き続きこの協定書にのっとって支援を行ってまいりたいと思っております。よろしくお願いします。

宮内委員 ぜひともよろしくお願いを申し上げます。

 同じように、おれんじ鉄道も含めた全国各地にあるこのような第三セクターの経営、大変厳しい状況があり、公共性を維持していかなければいけない。これらの観点について、政府としては、今後、どのような考え方で臨むかということをお聞かせいただきたいと思います。

太田国務大臣 鉄道は、地域住民の生活あるいは経済ということに極めて重要でありまして、その基幹的な輸送機関であるというふうに思っておりますが、大変経営的には厳しいというところが全国あちこちにございます。

 こうした中で、鉄道の維持について極力努力をしていただきたいというふうに思っておりますが、例えば、まちづくりや地域の公共交通体系のあり方を踏まえながら、各地域において、どうすれば人の足を確保できるかということもまた議論していただかなくてはならないというふうに思っています。

 BRTということとかバス、あるいはコミュニティーバス、こうしたことも含めまして、町の状況が変わってきますから、同じバスといっても、通勤の駅に行くバスというんじゃなくて、昼間の高齢者を病院も含めて巡回するというような、そういう時代にもなってきましたので、時代に即応して総合的にそうした輸送を考えるということが大事だと思いますが、鉄道はその中でも中核的な大事な役割を果たしているということを踏まえながらも、そうしたことになろうかと思います。

 国交省としまして、地域公共交通活性化再生法に基づく地域における協議会の枠組みを設けておりますし、協議会での議論を踏まえた鉄道の上下分離、あるいはバスへの転換等の取り組みに対して支援を行っているという状況にございます。この国会におきましても、先般協議いただきました公共交通活性化再生法の改正案を提出して、地域の公共交通の再編に向けた取り組みに対する出資制度を創設するということといたしております。

 大変困難な問題ではありますけれども、人の足を確保するということにしっかりと支援をしていかなくてはならない、このように思っております。

    〔坂井委員長代理退席、委員長着席〕

宮内委員 ありがとうございました。

 ぜひとも、いろいろな知恵を出していただいて、公共の足の確保をどうするのか、そして民間企業にどうやって新しい元気を社会に注入していただくのかということを、国土交通省といたしましては、ひとつ全力を挙げて対応をお願いしたいと思います。

 最後に、もう一つ私の心配な点は、本州三社とJR九州というのはやはり少し性格が違うというふうに思っておりまして、やはり赤字路線が大変多くて、ほとんど赤字路線であり、鉄道事業の損益が黒字のところに対して、JR九州は百四十億円の赤字を抱えて上場になるということでありますので、上場後に、本州三社にも課されております、当分の間配慮すべき事項ということでございます。これを、指針という形で一定の規制を課すということは、私はやはり必要なことであるというふうには思いますけれども、本州三社とは少し違う大変厳しい状況の中で上場するということでございますから、なるべく自由度を奪わないような指針にする必要が私はあると思っております。

 上場後のJR九州や九州経済にとって足かせとなるようなことになってはいけないということも、これは真理だというふうに思いますので、その指針の書き方につきまして、政府としての基本的考え方をお聞かせいただきまして、質問とさせていただきます。

藤田政府参考人 完全民営化によりまして、JR九州は、基本的にはみずからの責任と判断に基づく経営を行う自由な企業に移行することとなります。

 御指摘の本州三社につきましては、国鉄改革の経緯等も踏まえまして、必要最小限の措置として、路線の適切な維持や中小企業への配慮について指針を定めております。

 JR九州につきましても、こうした事情は基本的には本州三社と同様でありますので、今回も同様の指針を定めることとしております。

 いずれにしましても、指針は必要最小限のものでございます。これに沿った事業運営をしながら、最大限、自立的で機動的かつ積極的な事業展開をしていただきたいと考えております。

宮内委員 どうもありがとうございました。

 JR九州には、ぜひ上場をしていただいて、そして、地域のため、九州経済を引っ張っていただいて、ノウハウとそれからアイデアと人力をしっかり注入していただいて、期待されるべき成長を遂げていただきたいというふうに多くの多くの期待を込めまして、私の質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

今村委員長 次に、吉田宣弘君。

吉田(宣)委員 おはようございます。

 九州・沖縄比例ブロックから選出をいただいております公明党の吉田宣弘でございます。

 本日は、国土交通委員会で初めての質問をさせていただきます。いささか緊張しておりますし、さきの先輩の宮内議員の充実した質問に倣って、しっかりとした実のある質問にさせていただきたいと心得ておりますので、よろしくお願いいたします。

 また、本日は、JR九州にとって大変重要な法律に関する審議ということで、JR九州の青柳社長にもお越しいただいていますこと、まずもって地元九州選出の国会議員として深く敬意を表させていただきます。

 それでは、質問に入らせていただきます。

 本法案は、旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律、これは少々長いので、これからは端的にJR会社法と呼ばせていただきますけれども、このJR会社法の一部を改正することにより、JR九州が完全民営化を果たしていくということでございます。

 言うまでもなく、JR九州は、九州地域の基幹的公共交通機関として、また、九州内の都市間輸送や、九州のみならず日本の観光立国推進を担う重要な交通インフラであるとともに、通勤通学を初め日々の生活を支える必要不可欠な移動手段として、九州地域の経済及び社会生活にとって極めて重要な役割を担っておられるというふうに、私自身認識をさせていただいております。

 そこで、まず国土交通大臣の太田大臣に率直にお聞きしたいのですけれども、このような重要な役割を担っておられるJR九州が完全民営化をすることの意義とはどのようなものであるかについて、お聞かせいただければと思います。

太田国務大臣 国鉄改革、二十八年になっておりますが、分割・民営化によりまして、経営責任を明確にした経営形態、そして国鉄が行ってきました鉄道事業の再生を図ろう、こうしたものです。

 JR各社は、国鉄改革以来、累次の閣議決定によりまして、経営基盤の確立などの条件が整い次第、できるだけ早期に完全民営化することを基本的な方針にして、今日に至っています。

 今回、JR九州の完全民営化ということは、この方針に沿って行うものでありまして、既に完全民営化となっております本州三社を除きますと、会社の中では初めてのことだというふうに思います。

 完全民営化後におきましては、JR九州は、国による経営全般にわたる監督から離れ、文字どおりの民間企業として、みずからの経営責任のもとに自立した経営を行うということになります。

 JR九州におきましては、今委員からお話のありましたとおり、九州の基幹的な輸送機関である、そして必要な鉄道ネットワークであるということを十分に維持し、また自覚をしながら、鉄道サービスの一層の向上に努めていただきたいというふうに期待をしているところでありますし、あわせて、JRのみにかかわらず、九州全体がこれからさらに全域において発展をしていくということが極めて重要だというふうに思いまして、九州の活性化にも一層貢献していくことを期待しているところであります。

吉田(宣)委員 ありがとうございます。

 さて、このJR九州の民営化を法形式の面から一つ一つまたお尋ねをさせていただきたいと思います。

 このJR九州の民営化ですけれども、JR会社法の適用からこれを排除するということのようでございます。そして、このことが今回の民営化の大きな柱の一つと私自身認識をさせていただいておりますけれども、その内容については、これまで国土交通大臣の認可事項であった関連事業や社債の募集、長期借入金の実施、人事的な代表取締役や監査役の選任等、また毎年度の事業計画や重要な財産の譲渡について、これを国土交通大臣の認可としてまいりましたが、これを排除することによって、これからJR九州というのは今申し上げたようなことを自由にできるようになるというふうなことでございます。

 国土交通省によると、これを行うことによって、より機動的な事業経営により、地域の活性化そして観光振興に寄与すると説明をされておられますけれども、この点をもう少し詳しく教えていただきたいのです。この適用除外が地域活性化とどうつながっていくのか、また、この適用除外が観光振興等にどのように寄与をしていくのか、少々教えていただければと思います。

藤田政府参考人 適用除外によりまして、今御指摘のあったような事項につきまして国の認可を受ける必要がなくなりますので、まず基本的には、より機動的な投資判断それから資金調達を行うことが可能になるものと考えております。

 こうした環境の中で、今後、JR九州におきましては、例えば農業などの新規事業の積極的な展開による地域活性化や雇用促進、あるいは、例えば熊本駅周辺開発などによる駅周辺のまちづくり、こういったことをさらに積極的に進める方針と承知しております。

 それから、観光に関しましても、JR九州はこれまでも、九州全域におけるさまざまな観光列車の運行等、取り組みを行ってきておりますが、今後もさらにインバウンド施策の強化等に取り組むというふうに承知をしております。

 このように、JR九州を完全民営化することによりまして、地域の声を酌み上げながら、ビジネスチャンスを捉えた事業展開を行うことがさらに可能になるものと考えております。これによりまして、九州地域の活性化、観光振興に貢献していくことを期待しております。

吉田(宣)委員 ありがとうございます。

 加えて、今回の法案のもう一つの柱と申し上げるのが、国鉄改革の趣旨を踏まえた事業経営のための措置をとることだというふうにお聞きをさせていただいております。

 この柱の中にさらに二つの論点がありまして、その一つが、先日、太田大臣の趣旨説明にもございましたけれども、国土交通大臣は、JR九州が完全民営化した後も、路線の維持や利用者利便の確保等、事業運営上踏まえるべき指針を策定することが法案の内容になっているというふうにお聞きいたしました。先ほど宮内先輩の質問にもございましたけれども、私は、この指針の策定は大変に大切なことだと思料しております。

 JR九州は、先ほども申し上げましたが、通勤通学を初め、日々の生活を支える必要不可欠な移動手段として、九州にお住まいの方々を中心に、九州における社会生活にとって極めて重要な役割を担っております。

 ただ、皆様御承知のとおり、鉄道事業というのは極めて公益性が高い事業でございまして、であるがゆえに、採算が合わない路線が存在したとしても、利用者の利便の確保の観点からは路線の維持が不可欠でありまして、その意味からも、このことを指針として担保することについて私は大いに賛同をするものでございますが、一方で、これから民営化をされた後、JR九州というのは営利企業としての性質が強まってまいります。

 そこで、国土交通省にこの点からお聞きしたいことが、JR九州の民営化後のいわゆる赤字路線の維持について国土交通省はどのようにかかわっていくのか、それから、配当に対する株主の期待というふうなものと、今申し上げた公益性という観点からの赤字路線の維持、こういった相対する利益の調整について国土交通省はどのようなことができるのか、その点についてお聞かせをいただければと思います。

藤田政府参考人 御指摘のとおり、JR九州は、完全民営化後におきましても、九州の基幹的な輸送機関として、必要な鉄道ネットワークをしっかり維持する必要があると考えております。

 このため、この法律案におきましては、JR九州が配慮すべき事項として、現に営業している鉄道路線の適切な維持について指針を定めることとしております。また、国としては、この指針に照らして、必要な場合には、指導、助言、あるいは勧告、命令を行うこととしております。

 株主との関係につきましては、まずは、JR九州には、株主に対して指針の考え方についてしっかり説明をしていただきたいと思います。その上で、仮に、例えば株主からの意見などによりJR九州が路線を廃止しようとする場合には、国としては、先ほど申し上げましたとおり、指針に照らして、必要な指導、助言、勧告、命令を行うことになるものと考えております。

吉田(宣)委員 ありがとうございます。

 次の論点にちょっと移らせていただきますが、経営安定化基金というものについてお尋ねをいたします。

 太田大臣は、先日の趣旨説明の中で、完全民営化後も経営安定化基金が果たしている路線維持等の機能を実質的に確保するため、その全額を取り崩し、事業の運営に必要な費用に充てていくこととすると御説明をなされました。

 そこで質問をさせていただきたいことは、そもそも、この経営安定化基金というのは、その運用益で鉄道部門の赤字を埋めていくことに用いられてきたというふうに私はお聞きしておりますけれども、このたび、その全額を取り崩し、事業の運営に必要な費用に充てることによって、すなわち、なくなってしまうわけですね。そうなると、これから将来、これまでその運用益で埋めてきた赤字がこの方法では埋まらなくなってくるということを私は意味すると思っておりまして、結局、先ほど質問をさせていただいた赤字路線の維持などができなくなってしまうのではないか、そういった不安があるのですけれども、国土交通省としてこの点についてはどのようにお考えなのかについてお教えいただければと思います。

藤田政府参考人 まず、JR九州の全般的な経営状況でございますけれども、これは他の大手民間鉄道会社と同様に、鉄道事業に加えまして、駅ビルなどの関連事業を展開しております。連結決算ではおおむね二百億円程度の安定した経常利益を計上しておりまして、平成二十六年度は二百五十五億円の経常利益を計上しております。

 今後でございますが、JR九州におきましては、まず、鉄道事業につきまして、例えばインターネットを活用した新幹線の乗車率の向上、あるいはインバウンド施策の推進、人件費や減価償却費の縮減、これらによって鉄道事業の収支改善に努める方針と承知しております。

 それから、関連事業につきましては、駅周辺の大型開発やマンション事業といった事業に引き続き積極的に取り組み、収益向上を図る、そういう方針であると承知しております。

 それから、経営安定基金につきましても、これを完全民営化の際に取り崩しまして、鉄道関連資産等に振りかえることによりまして、例えば毎年度の新幹線貸付料の負担あるいは長期借入金の返済に係る負担が減少し、財務状況が改善されます。

 こうした状況を考えますと、経営安定基金の取り崩しに伴いまして今後年間百億円の運用益収入がなくなることを考慮しても、JR九州におきましては引き続き安定的な経営を行うことが可能であると見込んでおります。

吉田(宣)委員 ありがとうございます。

 これからは、以上の質問を踏まえて、JR九州青柳社長にお聞きをしたいと思います。

 先ほど太田大臣に率直にお聞きしたように、青柳社長にも率直にお聞きをさせていただければと思いますけれども、JR九州が民営化をされれば、九州の地元にとって具体的にどのようなメリットがあると考えておられるでしょうか。率直にお聞きしたいと思います。お願いいたします。

青柳参考人 お答えいたします。

 本法案が成案となりますれば、当社はみずからの責任と判断に基づいて経営を行うことになります。

 具体的には、事業計画を策定する場合や金融機関から長期借入金を借り入れる場合などに国の認可を受ける必要がなくなります。このことにより、機動的な投資判断や資金調達を行うことが可能になります。

 これにより、当社は今後、例えば非電化区間での蓄電池電車の導入など、新製車両の導入による利便性の向上や新規事業の積極的な展開により、地域活性化や雇用促進に努めてまいります。また、平成三十一年の春から着工いたします熊本駅周辺の開発など、沿線地域に密着したまちづくりを進めてまいりたいと考えております。

 このように、上場により、地域の声を酌み上げつつ機動的な事業展開を行うことが可能になり、これまで以上に利用者の利便性向上や九州地域の活性化に貢献していくことができるようになると考えております。

吉田(宣)委員 ありがとうございます。

 九州の地元としても、今仰せになったメリットに対する期待というのは大変に大きいところであるとも思いますし、私自身、先ほど申し上げたとおり、九州、沖縄から比例ということで選出を受けている議員でございます。そういう意味からも大いに期待をするところでございますが、一度大事故というものが起きてしまえば、そういったメリットも期待も、それまで築き上げてきた発展というのも、ある意味、一度に吹き飛んでしまう。

 建設は死闘、破壊は一瞬という言葉もございますが、民営化の前後で、私は安全対策という問題に関して特段変化するものはないとも思いますけれども、民営化という一大イベントを受けて、いま一度安全対策というものを再確認するよい機会でもあると思います。ぜひ、絶対に事故を起こさないというその決意のもと、安全対策に対するお考えを青柳社長にお聞かせいただければと思います。

 また、安全対策については、国土交通省としても後見的な役割があるかと私は認識をしておりますが、その点についてもお聞かせいただければと思います。

青柳参考人 JR九州は、発足以来、安全とサービスを全ての事業の基盤として、安全を最優先にした経営を行ってまいりました。

 また、安全に関する社員の声、ヒヤリ・ハットの収集も、毎年五千件を超える声が社員から上がっておりますし、社員の提案に沿った必要な改善もそれにあわせて進めておるところであります。

 また、安全創造館による社員全員への安全研修など、これはグループの社員も含めて行っているところでありますが、安全確保のための具体的な施策を計画的に実行しております。

 今後とも、安全を最優先にした経営を行い、全社員一丸となって事故防止に努めてまいりたいと考えております。

藤田政府参考人 完全民営化後のJR九州におきましても、鉄道の安全輸送の確保を最優先にした事業運営が求められるのは当然のことであると考えております。

 鉄道の安全輸送の確保に関しましては、従来から、鉄道事業法あるいは鉄道営業法、これに基づく技術基準、こういったさまざまな仕組みがございます。全ての鉄道事業者に適用されております。

 具体的には、まず、施設、車両が技術基準に適合していることを義務づけ、そういった状況を保安監査で確認する、あるいは、輸送の安全に関する事項を定めた安全管理規程の作成、責任者である安全統括管理者の選任を義務づける、さらには、経営トップの取り組みを確認し評価する運輸安全マネジメントを実施する、こういったさまざまな取り組みで国土交通省としても鉄道の安全の確保を図ってきております。

 これらの法令、仕組みにつきましては、完全民営化後のJR九州に対しましても引き続き適用されます。

 JR九州の安全確保のための取り組みについて、国土交通省として、こうした仕組みを使ってしっかりと監督指導してまいります。

吉田(宣)委員 ありがとうございます。

 少し話はかわりますけれども、私は、地元が九州で、熊本県で生まれ育ちました。先ほど来、局長の答弁にも、また青柳社長のお話の中にも、熊本駅周辺の開発というふうなお話が出てきて、私は大変にうれしく思っているのですけれども、生まれ故郷が熊本だということもあって、実家も熊本にありますが、そういった意味もあって、熊本にはよく立ち入らせていただきますので、そういった意味合いから、熊本駅にもよくおり立ちます。

 昔から熊本駅を私も見ておりますけれども、少しずつ少しずつ発展はしてきているのかとも思うのですけれども、まだまだ、周辺地域が開発等によってもっとよくなっていくような可能性を秘めているのではないかなというふうに私は思っております。

 先ほど宮内先生のお話にもありましたように、博多駅というものはきれいに大改築されて、今、物すごいお客さんが寄っておられますし、私も博多駅によく参りますが、本当に、人混みにもまれて、歩くのも大変なほどにぎわっております。また、最近では大分駅もきれいになりました。大分の皆さんも非常に喜んでおられることを私もよくお聞きしております。

 そういった意味におきましても、これから熊本駅がそういった形になっていってほしいなというふうに私は強く思うのですけれども、熊本駅周辺というのはこれから大いに発展をしていくというふうな可能性があるとも思っていますし、地方創生を踏まえたこれから先の地域づくりにおいて、やはり駅周辺の開発というのは大変に重要な意義を持ってきているというふうにも思っております。

 そういった意味からも、JR九州として、熊本駅周辺の開発について、何か見通し的なことをお持ちであるかどうかを青柳社長にひとつお聞かせいただければと思いますとともに、あわせて、国土交通省としても、こういった駅周辺の開発についてバックアップできるようなことが何かあれば、お聞かせをいただければと思います。

青柳参考人 ただいまの熊本駅周辺の開発についてでございますが、先日、新聞等で発表させていただいた内容を申し上げます。

 駅ビル、住居、駐車場等の開発を計画しておりまして、本年度、平成二十七年度より開発の基本計画を策定しておるところでございます。先ほども述べましたように、平成三十一年春ごろから工事に着工する予定と発表させていただきました。

 また、今後、熊本駅周辺が魅力的でにぎわいのある町となるよう、関係機関及び地元の皆さんと御相談をさせていただきながら、計画を深度化してまいりたいと考えております。

 当社といたしましては、熊本駅周辺の開発を含め、今後も九州各地においてまちづくりを推進し、地域を元気にしていくことのお手伝いを今後とも積極的に取り組んでまいりたいと思っております。

藤田政府参考人 国土交通省といたしましても、JR九州が熊本駅周辺の開発を含めまして関連事業を通じたまちづくりを機動的に展開することによって、九州各地における地域活性化に一層貢献していくことを期待しております。

 熊本駅周辺の開発、これから本格的に具体化するものと承知しております。今後、計画が具体化する中で、JR九州を含め関係者から要望等があれば、どういった対応が可能かということは検討してまいりたいと考えております。

吉田(宣)委員 熊本駅周辺の開発については、これはもう本当に熊本県民、それから私も含めて、大変に期待をしておりますので、ぜひ、よいまちづくりに向けてお力をお尽くしいただければと思います。

 これまで議論をさせていただきましたこのたびの法改正におきましては、やはり国民の視点に立てば、これは、利用者の利便性ということ、それから安全の確保ということが大変に大切になってくるのではないかなというふうに私自身思っております。

 そういった意味におきましても、国民の視点という立場から、利用者の利便性、安全の確保といった点に関しまして、最後に国土交通大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

太田国務大臣 民営化をしますと、利益を追求する余り、安全がおろそかになるのではないかということを考える人が多いと思います。

 鉄道の場合は、一触即発といいますか、一度事故が起きたら大変な、重大な事案になるということと、安全を確保するためには、物すごい技術陣やあるいは社内の仕組みというものをつくることが大事だと思いますし、安全あっての利便性であろうというふうに思います。

 そういう意味では、JR九州が民営化されるということの中で、このJR九州の中の安全ということに対しての技術的な取り組み、あるいは社内の仕組みのあり方、こうしたことをさらに磨いていただきたいというふうに思います。

 そして、安全ということに隣接しますけれども、例えば施設が悪いなんというのは、鉄道のことで言わないで、例えば病院のことを申し上げますが、私が行く病院で古い病院があります。耐震がされているのかなと思うような病院によく行くことがあるんですが、物すごくきれいです。掃除が行き届いて、そして、そこの従業員が本当にきちっとそれぞれ対応してくれるというようなことがあります。私は、この安全と利便性の間に、真ん中のところにそうしたことがあるという、そうした心遣いのある、そして小さなことを大切にということが、このJR九州の中により息づいていくようなことを期待しています。

 鉄道の赤字路線を切り捨てるというようなことについても大変懸念があることは承知をしておりますので、指針を出させていただきますけれども、その前に、今先生が言われた、通勤や通学を初めとして地元住民の足なんだということをよくわかった上での、ある意味での使命感みたいなものを社内の中に蓄えて民営化ということにスタートを切っていただければ、このように思っているところでございます。

吉田(宣)委員 本当に含蓄深い御答弁をありがとうございました。

 私も、JR九州の完全民営化に大いに期待をしております。そういった期待を込め、私もこれから何かお役に立つことがあれば、しっかり国民の皆様のためにお役に立ってまいりたいという決意を申し上げて、質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

今村委員長 次に、荒井聰君。

荒井委員 民主党の荒井聰でございます。

 きょうは、太田大臣とこういうふうに議論するのは二度目でございます。

 先般、私は東京駅を視察させていただきました。東京駅の駅長室に後藤新平の写真があったんですね。後藤新平が初代の鉄道院総裁であるということをそのとき初めて知りました。

 後藤新平の主張は、日本は鉄道の軌道の幅を標準にするべきだ、あるいは広軌にするべきだということをずっと主張していたという人で有名だというふうに聞いていたんですけれども、その彼が鉄道院総裁でありながら、結果的には、広軌鉄道にしていれば日本の新幹線というのはもっと早くに実現していたと思うんですけれども、それが実現できなかったのはなぜだったんだろうか、日本の鉄道の問題というのは基本的に何が問題だったんだろうかということを考えるきっかけになりました。

 ちょうど大正年間、後藤新平が活躍したのはそのころなんですけれども、そのころ、日本を代表する政治家でもう一人、原敬というのがいました。この原敬が唱えたのが広軌鉄道ではなくて狭軌鉄道だ、なぜか、日本じゅうに鉄道網をつくっていくんだ、張りめぐらせていくんだ、なぜか、日本の近代化のために、あるいは地域振興のために鉄道は必要なんだという主張です。

 原敬のこの主張と後藤新平の主張とが真っ向ぶつかって、結果的には原敬の主張が今の日本の鉄道の基本的な概念になっていったんだろうというふうに思います。それは、大正年間ですから、そのときはそういう必然性があったし、そういうことだったんだろうと思います。

 しかし、大正年間、あるいは明治の末から大正年間にかけて、日本は幾つかの誤った選択をしております。

 その一つが電気のサイクルです。東と西でサイクル数が違いました。それぞれ、アメリカ方式とドイツ方式を採用したために、今でもその調整に苦しんでいます。

 鉄道についても、狭軌と広軌の採用というのは、もう少し違う考え方があの当時しっかりと議論されていれば、今の日本の鉄道事業というのは大きく違っていたのではないだろうかというふうに思っております。

 さて、今回、JR九州が民営化をするということで、経営安定基金を与えられた三島の中で初めてというか、よくやったなと思うと同時に、大丈夫かなという思いを持ちました。

 今、国土交通省がつくってくれたこの資料なんですけれども、この資料を見ていただきますと、恐らく国鉄民営化の一番の優等生でありますJR東日本は、運輸業が六七%です。利益も、その六七%に匹敵するような六九%の利益をそこからたたき出しているということです。

 さて、JR九州に近い民営の電鉄はどんなところがあるのか調べてみましたが、東京急行電鉄は一兆円の規模ですので、ちょっと大き過ぎる。京王電鉄が四千億です、全体の収益が。四千億のうちの営業利益が三百四十六億あるんですけれども、ほぼ運輸業は収益と比例して、運輸業の輸送の方の利益をたたき出しています。

 こういう形が私は運輸関係の事業体としては自然体であり、かつ健全なんだろうというふうに思うんですが、九州を見てください。営業収益は三千五百七十四億ですけれども、その中で、しかも運輸サービス業というのが約五〇%を占めています。しかしながら、その中では運輸事業は百三十二億円のマイナスで、結局、駅ビルなどの不動産事業で利益をたたき出している。これでは、運輸業者なのか、それとも不動産業者なのかと問われてもやむを得ないような収益構造になっているのではないかというふうに思うんです。

 こういう中で、民営化というのは、私は理想というか夢だと思います。JR九州にとっても、ずっと三十年間追求してきたことで、夢だと思います。しかし、こういう状況の中で完全民営化を認めたということは、私は旧運輸省にとっても国交省にとっても大胆な決断だというふうに思うんですけれども、そこについて、鉄道局長、どうですか。どういう判断で健全な経営だというふうな判断をしたんですか。

藤田政府参考人 JR九州につきましては、これは他の大手民鉄と同じような事業形態でございますけれども、鉄道事業のほか、駅ビルなどの関連事業を展開しております。連結決算で見ると、平成二十六年、二百五十五億円の経常利益を計上しておりまして、これは一般的な上場会社と比べても遜色のない水準であると考えております。

 鉄道事業につきましても、御指摘のように赤字でございますが、JR九州が発足したときには、昭和六十二年度、二百八十億円の赤字でございました。これが、平成二十六年度は百四十億円まで縮小しております。

 これはいろいろ要因がございますけれども、例えば平成二十三年度の、九州新幹線の全線開業、これに当たりまして鉄道運輸収入が大きく増加した一方で、減価償却費が増加するとか電力料金の値上げがあるとか、こういったことがありまして、百四十億円の赤字となった。いろいろな要因がございます。

 こういった要因がございますけれども、今後さらに、鉄道事業につきましては、新幹線の乗車率の向上やインバウンド施策の推進によりまして、一層の収支改善を見込んでおります。

 それから、関連事業につきましても、さらに積極的な取り組みによりまして、会社全体の収益向上を図るという方針であると承知しております。

 あわせて、経営安定基金の取り崩しによりまして、財務状況の改善も達成されるものと考えております。

 こうしたことから、JR九州につきましては、経営基盤が確立し、完全民営化後も安定的な経営を行うことが可能であるというふうに見込んでおります。

荒井委員 では、JR九州の社長さんにお聞きしたいんですけれども、将来、運輸事業で収益を出せる自信はおありですか。あるいは、それはいつぐらいを考えておられますか。どういう抜本的な方策をとろうとお考えですか。

青柳参考人 JR九州としましても、これまでどおり、収益の増大と経費の節減ということを進めてまいることを考えております。

 ただ、先ほど先生が御指摘のように、現状は今、約百四十億の赤字ということであります。この鉄道事業の黒字化の時期を具体的に今ここで示すということは困難でございますが、これまでどおり、御利用がふえております新幹線の増収施策や、駅周辺のまちづくりを通した鉄道利用の増加、そしてインバウンド施策の推進による鉄道運輸収入の増加など、営業収益の増加策をこれまで以上に強力に進めてまいると同時に、自動券売機の増設等、システム化による人件費の削減などに取り組み、鉄道事業における赤字の縮小、収支改善に努めてまいる所存でございます。

荒井委員 大臣、JR九州は物すごく頑張ったんだと思いますよ。思い切った決断をしたんだろうというふうに思います。

 私の調べたところで、鉄道本体が赤字で経営をしているという民鉄はないのではないかというふうに思います。ここに京王電鉄を出しましたけれども、そのほかに東急だとか京急だとか、あるいは阪神の方の民鉄も幾つかあると思いますけれども、本体のところで赤字で経営をしているというところは、私はないのではないかというふうに思います。

 その意味で、九州のこの決断というのは大変大きな、大胆な決断だし、それを認めた国交省の決断というのも私は重いものがあると思うんです。

 このあたり、太田大臣、いかがお考えでしょうか。

太田国務大臣 当初二百八十億円だった赤字額が百四十億まで縮小したということの話が鉄道局長からありましたし、そして、荒井先生、後藤新平、原敬のときからの、一番スタートのときの大事さということの含蓄のあるお話を聞かせていただきましたが、ここは鉄道事業で黒字化するということに全力を挙げてもらいたい、そしてまた、バブルのときにいろいろな企業がそうでありましたが、本業を忘れるなということが随分言われたということを、改めて、きょうの質疑を通じてJR九州にはかみしめてもらいたいと思います。

 ただ、観光という点でも、今、今までとは違うステージに入りつつあるというようなことをどういうふうに受け入れていくのか、これからのやり方によってはかなりできる部分もあり、また、従来は、駅というのは、単に乗る、おりるということだけの駅だったと思います。本業ということに付随をしてあらぬことに投資をするというのではなくて、駅そのものと、そしてその市のまちづくりということが連動していくという中に、プラス要素というものは必ずあると私は思っております。

 時代状況の中で、本業を忘れず、そして時代の中で展開されてきている新しい要素というものをしっかり取り込んで、所期の目標と、そして完全民営化したことで成功したというところまで歯を食いしばって持っていってもらいたいということを強く期待しているところでございます。

荒井委員 民間企業で、かつて製造業で最大の赤字を出したのは日立製作所だと思います。年間で七千八百億だったかな、赤字を出したんですね。それを、川村さんという、かつて副社長で、子会社に転じていた人が戻ってきて、二年間で二千二百億円の黒字に会社を転換いたしました。

 そのとき川村さんというのは何をしたのかというと、赤字部門を徹底的に削減したんです。徹底したんです。そして、黒字の部門は何なのかということを社内で徹底的に議論をして、そこに資源、資金と人材を集中したんですね。これが私は民間企業ゆえんの経営方針だというふうに思います。

 私の地元の北海道でも、イオンという巨大な流通業がありますけれども、そのイオンに伍して、イオンよりもはるかに収益性の高い流通業を経営している経営者がおられます。ラルズという会社なんです。そのラルズという会社の社長さんがよくおっしゃっているのは、赤字の店舗から撤退することが経営の第一原則だ、赤字からの脱却の第一原則だということを常々言っております。

 鉄道部門が赤字だということは、その最大の原因は、赤字部門、赤字路線を抱えているからですね。先ほど私は後藤新平と原敬の話をしましたけれども、なぜ日本はこれほど赤字路線を抱えるようになったのか。

 原敬は、大正十年に日本の鉄道網一万キロ計画というものを立てます。そして、どこの地域でも鉄道が来るような、それが地域振興策だということを唱えて、多くの国民の喝采を浴びて、それで、当時、赤字であろうがなかろうが関係なく、どんどんつくっていったというのが原敬の計画だったと思うんですね。その呪縛に今でもとらわれているのではないか。

 昭和六十二年に民営化をするときに、赤字路線をどうするのかと。国鉄が、国有鉄道のときに、最大の赤字原因は何かというと、赤字路線がどんどんふえたことですけれども、それをなぜとめられなかったのか。政治家がそこに介入して、自分のところに駅を持ってくれば、鉄道を引けば、次の選挙はもう安泰だ、鉄道を廃線した人は次の選挙は落選だ。先ほど、大臣、病院の話をしましたけれども、町立病院が廃止になった町長は次の選挙では落選ですよ。鉄道も同じような境遇にあったんだろうというふうに思うんです。

 しかし、そこのところをもう一回考え直さないと、運輸事業についての健全な経営なり民営化というものは、私は、どこかで壁にぶつかってしまうのではないだろうか。九州は、壁にぶつかっているにもかかわらず、大胆にそこを踏み切ったんだろう。将来の、これだけの赤字路線を抱えていてもやれるという自信がおありなんだろうというふうに思うんです。

 ただ、不動産業というのは極めてリスキーな仕事だろうと思います。不動産の地価というのは、大変上がったり下がったりする業界でもありますよね。にもかかわらず自信をお持ちだということ、私はそれを高く評価するんですけれども。

 この赤字路線、昭和六十二年に民営化するときに、全国の一日四千人以下の乗降客しかない路線については、廃止をしていくか、あるいは第三セクターに移していくという整理をいたしました。それでも、ほかに代替の交通機関がないという場合には、四千人以下の路線であっても存続させるということをそれぞれの会社に義務づけたわけであります。

 もう一つ、JR九州の概要というこの図を見てください。

 四千人未満のところが、JR九州では、当時、十二の路線が残ったんですね。ほかに代替交通機関がないとか、あるいは特殊な事情があってそれを残したんだろうというふうに思います。このうち、今でも十一路線が赤字ですね。赤字というよりも、四千人未満です。四千人未満のところを赤字で記してありますけれども、かなりの距離のある路線です。これを生かしたままJR九州さんは民営化をやるということは、私は非常に厳しいのではないかというふうに思います。

 これは、JR九州さんに聞くよりも、そこのところをどう考えたのか、鉄道局長にお聞きしたいと思います。

藤田政府参考人 まず、全体の経営状況といたしましては、先ほど申し上げたとおり、関連事業を含めまして、JR九州は、完全民営化後も安定的な経営を行うことが可能であると考えております。

 それから、鉄道事業につきましても、これからの収支改善を見込むと同時に、関連事業も、例えば駅ビルでありますとか不動産でありますとか、そういった鉄道事業に関連する、鉄道事業あっての関連事業という形態でございますので、そういった意味でも、鉄道事業を大事にしなければいけないんだろうと思っております。

 それから、四千人という当時の特定地方交通線の基準につきましては、当時と経営効率等々が変わっておりますので、必ずしも今の時点で四千人が一つの目安になるかといえば、それはまた別途の議論が必要なのではないかと思っております。

 いずれにしましても、そういった状況、それからJR九州の鉄道ネットワークの意味、すなわち、地域において大変重要な役割を果たしておりますので、そういったことを踏まえて、今後しっかり維持する必要があると思っております。それはまた可能であると思っております。

荒井委員 この場で質問する多くの同僚議員は、鉄道網を維持しろ、赤字であってもそれを維持することが地域ネットワークの維持であり、あるいは地域住民の利便性、公共性を持つゆえんである、そういう主張をされております。私もそうだとは思います。

 しかしながら、先ほど、民間企業の原理というのは何なのかというと、赤字の部門を切り取っていくということで採算性を確保していくというのが株式会社あるいは民間企業の原理原則だと私は思うんです。

 そこからいくと、非常に大きなハンディをしょいながら、民間企業として、完全民営化機関としてこれから進まざるを得ないということの苦しさは、私はそのことを大変だなと思うと同時に、JR九州の決断を多とするところであります。

 大臣、この赤字路線問題というのは、これから北海道とか四国とか、そういう問題が出てくると思いますので、もっともっと大きな意味が出てくると思います。

 実は、民主党政権時代に、交通政策基本法、これは一年前にできたんですかね、交通政策基本法というのをつくって、いろいろな交通機関を総合的に利用していこうということを法律としてつくり上げていったわけであります。

 先ほどの原敬の話に戻りますけれども、原敬の時代は多分、バスだとかバストレーンだとか、あるいは道路もなかったんでしょう。そういうときには、唯一の鉄道が、ある意味の文明開化、そういう性格を持っていて、鉄道が来るということが、世の中にその地域が進出していくというか、脚光を浴びていく入り口だったんだろうというふうに思うんですけれども、時代は少し変わったのではないでしょうか。そして、それを後押しするような交通政策基本法という法律をつくり上げていったわけですので、もっとそこは柔軟に、さまざまな交通機関を多様に組み合わせていく、その役割を国交省は本来担うべきなのではないでしょうか。

 今のスキームでいくと、あるいは指針は、国交省が赤字路線の廃止について指針をつくって云々かんぬんということでしょうけれども、そのときに地元の了解を得てということでしょう。地元が了解するはずないですよね。地元が了解できないものを民間企業の中で、民営化企業の中で課しているというのは、私は少し無理があるのではないだろうかというふうにも思うんですけれども、いかがでしょうか、大臣。

太田国務大臣 地域の交通全般ということを考えるときに、BRTであるとかバスをどうするかとか、総合的な対策で、結論的には、その利便性やネットワークというものを、そして生活ができるという方に持っていかなくてはならない、そのために多様な公共交通システムを採用していくということが大事だというのが、交通政策基本法の中の、持続可能な交通ネットワークを形成する、役割分担が大事であるということの趣旨だと思います。そうしたことは、今後の方向性で、常に考えていかなくてはならない問題であるというふうに思っています。

 また、全国でもそうした試みがあって、路面電車等でも、LRTを使うとかさまざまなことが、そしてまたバスでも、コミュニティーバスやあるいはディマンドバスというような形がとられて、その任を担っているという状況だと思います。

 今回、JR九州がそうした決断をし、指針の中にも、基本としては赤字路線の維持ということを、こちらの支援という形もあるんですけれども、ということを位置づけ、そして、あそこにはイとロというのを書いていくようにしようというふうになっておりまして、ロの方では、よくその辺が、できないということを説明して住民が納得できるとか、いろいろなことがきめ細かく書かれているところであります。

 それらを総合的に考えていくということを基本方針にしながらも、JR九州は鉄道会社として新しく出発するわけでありますが、極力、私としては、日本の鉄道というのは、日本人の心の中で、鉄道が通ると物すごく喜んで、鉄道がなくなるということは物すごく落胆するというのがあってという特殊性もあるわけでありまして、その辺も踏まえて、JR九州は指針というものを受けて対応してもらいたい、こう思っています。

 当たり前だと思っておりまして、この間、アメリカ・カリフォルニアで、総理が行ったときに、あそこで日本の新幹線をということをやっているんですが、新幹線を喜ぶと思っていましたら、半分ぐらいの人が、車社会の中で反対であるということを言っているという。国情の違いということもあるんですが、日本は鉄道ということについてはもうちょっと違う感覚を、喜ぶ感覚を物すごく持っているということも私は大事にしなくちゃいけないなと思っていますが、先生の御指摘は非常に配慮の行き届いた御指摘だというふうに思っております。

荒井委員 大臣、ありがとうございます。

 そうなんですよね。鉄道気違い、鉄キチというのは我が党にも何人かいますけれども、鉄キチと大威張りで胸を張って言う国民性というのは、ひょっとすると日本ぐらいかもしれないですよね。鉄ちゃんというんですよね。鉄ちゃんにもいろいろ種類がありまして、そんな話をしているとあれですから、次に安全問題について、時間があと四、五分間なので、時間がないので、そこの話をしたいと思います。

 芳賀繁さんという方の書いた「事故がなくならない理由」という、この方は国交省の審議会のメンバーにもなっておられるようですけれども、その方がリスク・ホメオスタシス理論というのを、これはアメリカでできた理論らしいのですけれども、それを紹介しながら、安全問題について論じております。

 この人のこのリスク・ホメオスタシス理論というのは、安全対策を講ずれば、それを運営する人たちは心のどこかにすきが生じて、結果的には事故率はそれほど下がらないんだという理論なんですけれども、これは大規模な社会実験をやっていて、そういう面があるんだということを実証しているんです。多分そういうところがあるんだろうと思います。

 事故というのは、基本的な安全対策を講ずることはもちろん必要なんですけれども、最も必要なのは、この方が最後の結論で述べていることはとても示唆に富んでいます。今が大事だと思っている人たちは事故に遭いやすい、将来が大事だと思っている人たちは将来のためにいろいろな行動をする、そういうところでは事故が起きないんだ、そういう結論なんです。

 これは、北海道JRのことで考えるとまさしくそうなんですね。北海道JRは、ここ数年、恐らく数十年かな、民営化できないですよ。関連事業でも黒字にならない。あるいは、鉄道の赤字路線はうんと抱えたまま、鉄道事業でも黒字にならない。未来のないところの職場で延々と働くという人たちにとっては、これはなかなか、未来に夢を持って働く、そういう環境にないですから、事故を防ごうという気持ちに前向きにならないんだというのが彼の言っていることで、私は当たっているなというふうに思うんです。

 そういう意味では、安全対策の基本というのは、安全風土とか社会風土とかも大事なんですけれども、未来に希望を持つ、北海道の場合だと、九州が兄貴分で民営化した、その次は俺たちだ、その希望をどうやって持たせられるのかということに私は尽きているのではないだろうかというふうに思うんです。

 これは最後に大臣に、大臣の見解をお聞かせ願えればと思います。

太田国務大臣 人は、未来というもの、希望というものを、未来を現在に考えるという、その今ということと未来というものの一瞬の中だと思います。現在の判断と未来との十字路に今の一瞬をどう捉え、今ということをどう生きるかということだと私は思います。

 確かに、安全ということで、この会社に未来があるかないか、我が人生に未来があるかないか、一つ一つ大事なことだと思いますので、JR、特に北海道の問題でこの二年ずっと携わってきましたけれども、一人一人に少し芽が見えてきた、そういう、おもしろいという言葉は目の前がぱっと明るくなるというので「面白い」という言葉だそうで、インタレスティングということも、インタレストというのを、インターの中にエストがあるという、何物かが生ずるということがインタレストということだと聞いています。

 未来が描けるように、鉄道会社、それぞれ苦戦をしているところがいっぱいありますので、バックアップをしたい、このように思います。

荒井委員 どうもありがとうございました。終わります。

今村委員長 次に、河野正美君。

河野(正)委員 維新の党の河野正美でございます。

 ただいま議題となっております旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律の一部を改正する法律案について、本日はお尋ねを申し上げます。既にもう審議は進んでおりますし、我が党からも松木けんこう委員が質問をされていると思います。重なる部分もあるように思いますけれども、よろしくお願いいたしたいと思います。

 まず最初に、九州旅客鉄道株式会社青柳俊彦代表取締役社長におかれましては、御多忙の中、また遠路お越しいただき、ありがとうございます。まさにJR九州、私のふるさとの問題でもございますので、将来にわたって貴重な交通機関、鉄道を守るという観点から、四十五分間おつき合いを願いたいと思っております。

 まず初めに、三島特例、承継特例を受けていた会社のうち、先陣を切って完全民営化への道が開かれたことについて、地元出身の議員として極めて誇らしく、敬意を表したいというふうに思っております。

 また、観光列車、JR九州さんによれば、DアンドS列車ということで、デザイン・アンド・ストーリー・トレーンということでございますが、さまざまな経営努力をされているというふうに認識をいたしております。最近は、「ななつ星in九州」や「ゆふいんの森」といった観光列車が全国的にも有名になっているのかなというふうに思っております。

 私も「ゆふいんの森」には乗ったことがありますが、これも大変な盛況でございました。たまたま娘と二人で湯布院に行く機会がありまして、二席あいているということで博多駅に向かったんですけれども、ばらばらの席で、満席で、同じ車両であったのは幸いでしたけれども、全く違うところに座って湯布院まで行ったということがございます。本当にチケットがとりにくい。

 「ななつ星」に関しましては、問い合わせしてみましたら、来年分が今抽せんとかいうような状況を聞いておりますし、非常にとりにくいということを聞いております。

 今後もさまざまな企画をされることと思いますけれども、しっかりと頑張っていただいて、地域活性化の役割も担っておられますので、鉄道業務の黒字化に向けて頑張っていただきたいと思っております。

 本日の質問は、まず最初に、「ななつ星」のチケットがとりにくいので、どうやったらとれるんでしょうかということを伺いたいぐらいですが、こういったのは極めて不謹慎でございますので、真面目にいきたいと思っております。

 まず初めに、昭和六十二年、当時の日本国有鉄道、いわゆる国鉄が分割・民営化され、JR九州を含めて七社に分けられました。改めて、国鉄分割・民営化の意味と、当初の目的が順調に遂行されているのか、政府、国土交通省に伺いたいと思います。

藤田政府参考人 国鉄の分割・民営化は、当時の公社制度のもとで全国一元的運営が行われてきた国鉄の経営形態を改めまして、健全な事業体としての経営基盤を確立した上で、国鉄の事業を再生させるために昭和六十二年に実施されました。

 国鉄改革により発足したJR各社につきましては、国鉄改革以来の累次の閣議決定によりまして、経営基盤の確立などの条件が整い次第、できる限り早期に完全民営化するということを基本方針としております。

 この方針に基づきまして、JR本州三社につきましては、平成十四年度にJR東日本、十五年度にJR西日本、十八年度にJR東海、それぞれ完全民営化を達成しております。

 本州三社につきましては、完全民営化後、それぞれの鉄道事業の経営等を通じまして、いずれも安定的な利益を計上しております。

 残る三島、貨物会社につきましては、それぞれ安定的な経営基盤の確立に向けて取り組んでまいりましたが、そのうちJR九州が上場可能な経営状況になった、こういう経過だと認識しております。

河野(正)委員 今回、今おっしゃいました三島特例のJR北海道、JR四国に先駆けて、JR九州が完全民営化に向けて動いているということであります。

 こういったことについて、太田国土交通大臣、青柳参考人、それぞれの見解あるいは御感想をいただきたいと思います。

太田国務大臣 JR三島、貨物会社につきましては、経営基盤が脆弱と見られていたために、経営安定基金の設置や税制特例措置等を講じた上で発足し、今日に至りました。その後も、経済状況に応じまして支援を受けながら、経営自立に向けて取り組んできたところであります。

 こうした中で、JR九州が、近年安定的な経常利益を計上するなど経営基盤が確立して、今回完全民営化することになったということについては、JR九州のこれまでの経営努力の成果であるというふうに評価をしています。

 また、国鉄改革は、自立した経営形態とすることによりまして、国鉄が行ってきた鉄道事業の再生を図るものでありまして、本州三社以外で初めてJR九州が経営自立を達成したことは極めて意義深いことだと考えています。

 JR九州は、完全民営化によりまして、国による事業計画の認可など経営全般にわたる監督から離れて、文字どおり民間企業として、自立的で機動的な投資判断や資金調達が行えるということになります。

 これによりまして、JRが引き続き、必要な鉄道のネットワークをしっかり維持しながら、サービスの向上、そして観光振興への取り組みや関連事業を通じたまちづくりを機動的に展開し、九州全域にわたっての活性化ということに、また地方創生ということにも大きく貢献していただくことを期待しているところでございます。

青柳参考人 JR九州は、国鉄改革の基本方針に基づき、完全民営化を使命として、昭和六十二年に発足しました。人口減少や少子高齢化、高速道路網の発達等、厳しい経営環境が続く中、グループ社員一丸となり、これまでの二十八年間、たゆまぬ経営努力を重ねてまいりました。

 今回の審議は、当社の完全民営化に向けて大きな前進であると認識しております。当社は、地方自治体、地方の経済界、地方の住民の皆さんと連携し、九州のさらなる活性化に向けて貢献していくためにも、JR九州グループの総力を挙げて、完全民営化を必ずやり遂げたいと考えております。

河野(正)委員 ありがとうございました。

 上場になりますと、先ほど大臣の御答弁にもあったと思いますけれども、代表取締役の人事であるとか資金の新規借り入れ等に国土交通大臣の認可が不要になるというふうに伺っております。ある昨年の新聞記事によりますと、幹部のコメントとして、今までは認可には最低三カ月必要だった、今後は経営の自由度やスピード感が高まると強調するというふうに書かれております。

 株式上場のメリットについてどのように受けとめているのか、青柳参考人に伺いたいと思います。

青柳参考人 今先生がおっしゃられましたように、本法案が成案となれば、当社はみずからの責任と判断に基づき経営を行うことになります。具体的に申し上げれば、事業計画を策定する場合や金融機関から長期借入金を借り入れる場合などに国の認可を受ける必要がなくなり、機動的な投資判断や資金調達を行うことが可能になります。

 これにより、当社は、例えば非電化区間への蓄電池電車の導入など新製車両の導入による利便性の向上や、新規事業の積極的な展開による地域活性化や雇用促進に努めてまいります。また、先ほども申し上げましたように、三十一年には熊本駅周辺の開発なども手がけてまいりたいというふうに考えております。

 このように、上場により、地域の声を酌み上げつつ機動的な事業展開を行うことが可能になり、これまで以上に利用者の利便性向上や九州地域の活性化に貢献していくことができるようになると考えております。

河野(正)委員 ありがとうございます。

 次の質問は、松木委員がもう既にお話しされていて、かなり厳しい状況だというふうに思っているんですが、また改めまして、今後、残されたJR北海道、JR四国、あるいはJR貨物の現状と将来の見通し、民営化の道のりは極めて厳しいのじゃないかと思いますし、実際、そういった答弁もあったようですが、改めてお聞きしたいと思います。

藤田政府参考人 JR北海道、それからJR四国につきましては、多くの不採算路線を抱えるなど、現在厳しい経営状況にありまして、経営安定基金の運用益により経営を支えている状況でございます。

 また、JR貨物につきましては、中期経営計画におきまして、完全民営化の前提となる経営基盤の確立を図るために、平成二十八年度までに鉄道事業を黒字化し、平成三十年度に経営自立を達成することを目標に経営に取り組んでおります。

 しかしながら、JR貨物につきましては、景気変動に左右されやすい事業特性を有しておりまして、多少の経済変動があっても長期持続的に利益を確保することが可能な経営基盤を確立することが必要であると考えております。

 このように、これら三社につきましては、まだ経営自立が可能となるような安定的な利益を計上できる段階には至っておりません。

 国土交通省としては、平成二十三年度から、鉄道・運輸機構を通じて、実質的な経営安定基金の積み増しや設備投資支援などの支援措置を講じております。こうした措置を通じまして、まずは、完全民営化の前提となる安定的な経営基盤の確立が図られるように、しっかり取り組んでいただきたいと考えております。

河野(正)委員 JR九州の民営化後、JR九州に対して、安全輸送の徹底、不採算路線の保持などについて、国としてどのように対応していかれるのか、監督官庁としての責任と見解について、簡単にここで伺いたいと思います。

藤田政府参考人 鉄道事業におきまして、安全の確保は何よりも重要でございます。JR九州の完全民営化後も、安全投資、人材育成、安全文化の醸成等を通じまして、一層の安全性の向上に努めていただきたいと考えております。

 国としましても、鉄道事業法などに基づく技術基準、保安監査等を通じまして、安全輸送の確保について、しっかり指導監督してまいります。

 また、鉄道は、地域住民の通勤通学を初めとする日常生活、経済活動において大切な役割を担っております。完全民営化後も、路線を適切に維持する必要があると考えております。

 国土交通省としましては、JR九州が配慮すべき事項について、鉄道路線の適切な維持ということを指針として策定いたします。この指針に基づきまして、必要に応じ、指導、助言、勧告、命令を行うこととしております。

河野(正)委員 次に、税制特例措置の取り扱いについて伺いたいというふうに思います。固定資産税をどのようにするかという問題でございます。

 完全民営化ということになりますと、免除をしておくという合理性もないんじゃないかなというふうに思います。一方で、不採算路線を守れなくなることが大変危惧されるわけであります。

 現在、三島特例及び承継特例により、年間約六十億円強の税効果があるという資料も拝見いたしました。また、現在、JR九州は、連結決算でおおむね二百億円という経常利益の中で、平成二十五年実績で約五十二億円の税金が減免されているということでございますので、これらをどう扱うかというのは、決して看過できるような額ではないというふうに思っております。

 まず、政府に伺いたいと思います。

 完全民営化後の税制上の特例措置はどのようになるんでしょうか、お聞かせください。

藤田政府参考人 御指摘の三島特例、承継特例は、五年ごとに延長されてきております。前回延長時は平成二十四年度税制改正でございまして、平成二十八年度までの適用が認められております。

 JR九州につきましては、前回の平成二十四年度延長時の税制大綱におきまして、「株式上場の動向を勘案し、今後、必要な見直しを行います。」というふうにされております。今後、上場が見込まれる平成二十八年度税制改正におきまして、その取り扱いを検討してまいりたいと考えております。

河野(正)委員 この額は、先ほどもお話ししたように、五十億とか六十億とかいうふうに報道されておりまして、この減免措置がなくなった場合、非常に大きな経営上の問題が生じるんじゃないかなというふうに思っております。

 経営にどのように影響するか、JR九州としての見解を青柳参考人に伺いたいと思います。

青柳参考人 ただいまの三島特例、承継特例による固定資産税等の減税額について、市町村からの徴税額等の実績に基づく当社の独自の試算によりますと、平成二十五年度における影響額は、三島特例で四十六億円、承継特例で六億円と推定しております。

 三島特例並びに承継特例は、先ほど藤田局長の方から話がありましたように、五年ごとに延長されるとされており、前回延長時の平成二十四年度税制改正大綱において、平成二十八年度までの延長が認められているところであります。しかしながら、「株式上場の動向を勘案し、今後、必要な見直しを行います。」とされております。

 今後につきましては、こうしたことを踏まえ、税制改正に向けて議論がなされているものという認識をしておるところであります。

河野(正)委員 今後見直しする、これから決めるということでございますので、せっかくの機会でありますので、この税制特例について、社長として、青柳参考人の率直な御要望なり忌憚のない意見を伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。

青柳参考人 希望というものは現在この場では持ち合わせておりませんので、先ほど申し上げましたとおり、今後の議論の中で方針が決められるものだと考えております。

河野(正)委員 しっかり頑張って検討していただきたいというふうに思っております。こういった税制のことで、民間企業になると難しい問題はたくさんあると思いますけれども、こういったことで地域の鉄道網が守れないということになってもいけないと思っております。

 JR九州は、山間部、山合いを縫って走る路線も多いんじゃないかなというふうに思っております。

 近年、我が国は、ゲリラ豪雨等により鉄路に被害が生じる場合も多々あるかというふうに思います。鉄路に被害が生じた場合、速やかに短期間で修復させるには極めて大きな費用がかかるんじゃないかなというふうにも考えます。しかも、災害というのは想定外に訪れるものでございますし、あらかじめ予算を組んでおくというのもなじまない問題なのかなと思います。また、山間部で他人の土地から、民間地から流出した土砂による被害であれば、あらかじめ土壌を強化しておくなど、そういった事前の対策もとりにくいんじゃないかなというふうに懸念しております。

 JR九州は、鉄道単体としては残念ながら赤字の企業でございます。一方で、総枠では黒字会社のために、こういった補修に関する費用が援助対象外となっているというふうに伺っております。

 実際に、近年では、大分県―熊本県を走る豊肥線が豪雨被害に遭い、自前で修復をしなければならなかった、約五十億円かかったというふうにも聞いております。

 災害時の復旧にかかる費用をどのように考えているのか、国土交通省に伺いたいと思います。

藤田政府参考人 ただいま御紹介がございましたように、被災した鉄道施設の復旧に対する国の助成措置、これにつきましては鉄道軌道整備法による補助制度がございます。

 この制度は、経営の厳しい鉄道事業者を対象としておりまして、具体的には、過去三年間の各年度におきまして鉄道事業及び全事業で営業損失もしくは経常損失を生じていること、それから災害を受けた鉄道の収益のみによって当該災害復旧事業に要する費用の回収が困難と見込まれること、こういった要件が規定されております。こういった要件に該当する場合には、国、地方公共団体がそれぞれ四分の一ずつ補助する、こういった仕組みでございます。

 JR九州につきましても、この制度に基づいて対応することになるものと考えております。

河野(正)委員 JR九州、鉄道は赤字でございますので、その辺の御配慮はいただきたいのかなというふうに思います。

 地域の交通を守るという責務を考えますと、一民間企業だからということで手助けをしないというのも厳しい、若干冷たい対応なのかなというふうに思っておりますし、公共交通を守るという考えから、今後政府としても考えていかなければならない課題であるというふうに思っております。これはJR九州に限らず、ほかのJR各会社についても同じような問題があるんじゃないかなというふうに思っております。

 次に、鹿などの野生動物による被害も深刻で、看過できない状態であるというふうに伺っております。

 報道によれば、ことし二月七日夜、JR篠栗線で、下り列車が鹿をはねる事故があった。死骸の除去や安全確認のため、乗員乗客約二百三十名の列車が約二時間半にわたって立ち往生し、上下線合わせて十本が運休、約三千人の足に影響が出たということでございます。

 こういった事故の対策として、侵入防止のためのフェンスを設けたり、あるいは忌避剤を散布したり、スピーカーから鹿の嫌う音を流すとか、いろいろと知恵を絞っておられるように伺っております。また、JR東海におかれましては、鹿対策として、先頭車両に衝撃緩和用のバンパーを採用したというふうな報道もございました。

 これらの鳥獣等の対策費もばかにならない額じゃないかというふうに思っておりますが、いかがでしょうか。青柳参考人に伺いたいと思います。

青柳参考人 ただいま先生から御指摘されましたように、先日、篠栗線でも今お話がありましたような事故が発生をしております。

 当社におきましても、JR東海と同じように、バンパーではないんですが、鹿等を巻き込まないためのガードを取りつけたりもしております。そういったぐあいに対策を、当社における動物との衝突事例の多くは鹿との衝突であります。昨年度の実績でいいますと、鳥獣等との衝突は全体で五百四十六件ございました。そのうち、四百二十一件が鹿でございました。

 それから、輸送障害の防止を目的として、鹿との衝突が多く発生する区間には侵入防止柵を設置しております。総額で約一億円の投資をこれまでにやってまいりました。そして、一部区間では、夜間に速度を落として注意運転とするなどの対策も実施をしておるところでございます。

 今後とも、衝突防止のための取り組みを継続して行い、安全、安定輸送の確保に努めてまいる所存でございます。

河野(正)委員 この問題は、鳥獣保護管理法にも関連して、環境省や農林水産省としても対応が必要じゃないかというふうに思っております。

 きょう、環境省の方に来ていただいていると思いますので、政府としてのコメントをいただきたいと思います。

小川政府参考人 お答えいたします。

 近年、ニホンジカやイノシシ等が生息の分布を広げておりまして、急速に生息数が増加しているところでございます。このため、自然環境や農作物への被害、さらには、今お話がありましたような、列車への衝突を初めとする生活環境に関する被害も深刻な状況にございます。

 こうした鳥獣被害の深刻化を踏まえまして、環境省におきましては、平成二十五年の十二月に、農林水産省と共同で、ニホンジカ、イノシシの個体数を十年後までに半減するという目標を定めたところでございます。鹿、イノシシ等の捕獲を進めるために、昨年改正いただきました鳥獣法によりまして、都道府県が主体となって捕獲を行う指定管理鳥獣捕獲等事業が創設されたところでございます。

 この事業の実施に当たりましては、事業を実施する各都道府県が、生活環境被害も含めまして、さまざまな被害の状況を踏まえて捕獲の実施の計画を策定するということになっております。

 環境省におきましては、この都道府県の捕獲事業を支援するために、平成二十六年度の補正予算で十三億円、平成二十七年度の当初予算では五億円という交付金を計上しているところでございます。

 今後とも、地域の実情も踏まえまして、鳥獣の捕獲対策が推進されるよう、都道府県を支援してまいりたいというふうに考えております。

河野(正)委員 ありがとうございました。

 先ほど、鹿の衝突、JR篠栗線というお話をしましたが、まさに私の出身地が篠栗町でございまして、つい先日は、実家の門扉に猿がいたということで、私、篠栗町に実家があって、病院もやっているんですけれども、病院との間の門のところに猿がいたということで、近所の方が通報されたみたいで、町役場の方が出動して、町内放送などで注意を喚起するということで、大変な騒動だったというふうに報告を受けました。

 福岡市内の住宅街等でも同様の事例が報告されていますし、さまざまな開発に伴いまして、野生動物と共生していくというのも今後難しい課題になっているんじゃないかなと思います。

 若干話題をかえていきますが、一見問題なく運行されているような鉄路におきましても、JR九州に限らず、鉄道各社は、各地域で相当に老朽化をしている部分があるというふうに伺っております。トンネルや鉄橋の補修をしなければいけないとか、あるいは全面的に建てかえというんですか、新しくつくり直さなければいけないという問題もあるんじゃないかというふうに思います。

 どのように認識しているかを伺いたいと思いますが、特に例を挙げますと、本州と九州を結ぶ関門トンネル、これもJR九州さんの持ち分というふうに伺っておりますが、こういったところの補修とか改修に関してどのように認識されているんでしょうか、青柳参考人。

青柳参考人 ただいま先生が御指摘されましたように、当社が保有する資産には設備の敷設から時間が経過しているものもございますが、当社といたしましては、これまでも、鉄道事業法そして鉄道営業法及びこれに基づく技術基準などに従いまして、必要な修繕、投資を適切に実施し、安全確保に努めてきたところでございます。

 ただいま事例に挙げられました関門トンネルにつきましても、鉄道総研等の御指導をいただきながら、設備の保全を確実に行っているところでございます。

 今後も、将来の鉄道ネットワークの維持向上に必要な鉄道資産への投資等に振りかえられるとされています経営安定基金の活用と自己資金による安全投資により、安全の確保に確実に努めてまいります。

河野(正)委員 例えば、福岡空港では、滑走路が一本しかないということで非常に不便をしているわけですけれども、将来滑走路の複線化をしたいということで、この事業に係る費用は、ターミナルビルを民営化あるいは民間委託するといったことによってやっていこうということが考えられていると思います。そういった中で、実は、福岡空港というのは多くの民間所有地が含まれておりまして、多大な借地料がかかっているわけであります。そういったものを、仮にターミナルビルを民間に委託したとしても、借地料は国が払っていくというような考えだと思います。

 こういったことを考えますと、将来JR九州が完全民営化して、その後もある程度やはり国が補填をしていくという考え方もあり得るんじゃないかなと思いますが、これに関して国土交通省の見解を伺いたいと思います。

藤田政府参考人 今の御趣旨は、路線の維持のために、例えば……(河野(正)委員「補修」と呼ぶ)補修ということでございますか。

 補修につきましては、これまでも、JR九州におきましては、自己資金で計画的に、修繕を含めて安全投資を行ってきているものと認識をしております。

 今後もそういった対応が基本になるものと考えております。

河野(正)委員 ちょっと話はかわるんですが、福岡空港ターミナルの話をしましたので。

 まだ正式な段階ではありませんし、たしか仙台の方が先というふうに聞いておりますが、コンセッションということで、地元企業を中心に数社、名乗りを上げているというふうに伺っております。

 JR九州さんについてはこういった名乗りを上げるおつもりがあるのかどうか、現時点で可能な範囲でお答えいただきたいと思います。

青柳参考人 福岡空港の民間委託につきましては、福岡、九州の振興、発展にとって重要な事項だと考えております。また、福岡空港の活性化によって、福岡や九州への国内外のお客様の増加が期待でき、地域の活性化につながると考えております。

 当社といたしましては、福岡空港のさらなる発展や活性化に向けてどのような貢献ができるか、ただいま勉強しているところでございます。

 空港独自の課題につきましては、情報収集を行いながら、今後、国の方針等を注視してまいりたいと考えております。

 以上です。

河野(正)委員 不採算路線の維持について伺いたいと思います。

 これは松木委員もお尋ねしているようでございますが、例えば、ことし一月二十八日の朝日新聞朝刊に、青柳社長のコメントといたしまして、「「いくらでも(赤字路線に)お金をかけられるわけではない。地元と議論していく必要がある」と、廃止の可能性を示唆している。」というふうな記事が出ております。

 この記事について、改めてコメントをいただけますでしょうか。青柳参考人にお願いします。

青柳参考人 当社の鉄道事業を取り巻く環境は厳しい状況が続いております。

 地域の皆様の通勤通学における利便性の向上や主要都市間における新幹線、特急のネットワーク充実に努めることにより、九州地域の基幹的な交通機関として重要な役割を担っております。また、九州の鉄道ネットワークの維持は、鉄道事業を中核事業としておる当社にとって重要な役割でもあり、今後も、観光振興や交流人口の拡大を通じた九州全域の活性化により鉄道ネットワーク全体の価値向上を図っていくことが、鉄道事業を初めとする全ての事業の自立的な運営に資すると考えております。

 人口減少や少子高齢化などが進行する中で鉄道ネットワークを維持していくために、御利用がふえている新幹線の増収施策や駅周辺でのまちづくりを通した鉄道利用の促進、インバウンド施策の推進等により、鉄道運輸収入の増加を図ってまいります。また、システム化等による人件費の縮小などに取り組むことにより、鉄道事業における赤字を縮小し、今後とも鉄道ネットワークの維持、活性化に努めていきたいというふうに思っております。

河野(正)委員 何か声がちっちゃくなっちゃったようで、心配をしております。

 JR九州さんは、営業収入の六割がマンション等の関連事業であるということでございます。今回、「中小企業者への配慮」という文言がございます。こういった文言で、いわゆる民業圧迫じゃないかという概念を強制されると、現在の収益に貢献している事業への萎縮効果が生じてしまい、立ち行かなくなるのではないかということも心配しております。

 政府として、この文言が持つ意味、あるいは強制力について認識をお示しいただきたいと思います。

藤田政府参考人 完全民営化によりまして、JR九州は、基本的には、みずからの責任と判断に基づく経営を行う自由な企業になります。

 ただし、JR各社は、会社の規模が大きく、大量の利用者が集まる駅を有しておりますので、関連事業の規模等によっては周辺の中小企業に大きな影響を与えるおそれがあります。

 このため、現在のJR会社法では、中小企業に配慮した事業展開を行うように求めております。また、完全民営化後の本州三社についても、指針に基づいて、同様の配慮を求めているところでございます。

 完全民営化後のJR九州につきましても、同じような趣旨から、必要最小限の措置として、指針に基づいて、中小企業に配慮した事業展開を求めることが適当であると考えております。これに照らして、必要な場合には指導、助言、勧告、命令といった措置が用意されております。

河野(正)委員 余り強い文言の口調でありますと、やはりどうしても他事業を展開するときに足かせになってしまうおそれもありますので、しっかりとそれにとらわれずにどんどん頑張っていっていただきたいなと思います。

 次に、三千八百七十七億円と言われております経営安定基金の取り扱いについてお尋ねしたいと思います。

 これを返さなくてよい、保持できたことは極めて大きな意味があるというふうに思っております。この経営安定基金を原資として、過去十年間で約千億円近い運用益を得ていたというふうにも聞いております。

 今後、基金を使い切るということで、これを全て振りかえてしまえば、今までのように運用益を振りかえることができず、いずれは消滅することになると思います。

 省令で定めるところにより、JR九州の事業の運営に必要な費用に充てるため全額を取り崩すということで、具体的には国交省内のPTが方向性を明示しておられ、一つは九州新幹線貸付料の一括前払いに二千二百五億円といった使い方をされるというふうに聞いております。

 例えば、これによって、九州新幹線の施設等の費用が約二十年から三十年は払う必要がなくなりますが、その後は自前で資金を捻出しなければならないこととなると思います。

 そもそも基金という形で残していてはいけないのか、あるいは、では、三十年後使い果たした基金問題にどう対応していくのか、施設料等を請求された場合払うめどがあるのかどうか、現役社長として青柳参考人の見通しに関する認識を伺いたいと思います。

青柳参考人 まず最初に、三十一年目以降の貸付料についての御心配でありましたが、それにつきましては、協定書に基づき、その時点での国との打ち合わせの上、決定されるものだというふうに認識をしておるところであります。

 また、経営安定基金がなくなることへの御心配でありますが、今後、先ほども申し上げました、繰り返しになりますが、御利用がふえている新幹線の増収施策やまちづくりを通した鉄道利用の促進、インバウンドの推進等、鉄道運輸収入の増加を図るとともに、システム化による人件費の縮小など、収支改善に努めてまいりたいと思っております。また、鉄道以外の事業におきましても、周辺のまちづくりやマンション販売の拡大などにより、さらなる収益向上に努めてまいります。

 このような取り組みにより、経営安定基金の運用益がなくなることを考慮いたしましても、引き続き安定的な経営を行うことが可能だと考えております。

河野(正)委員 ちょっと時間も余り残りありませんので、先に進みたいと思います。

 一点だけ、今後の事業展開の中で老人ホーム等を検討されているということが報じられております。

 九州の大手企業の中にもこういった事業に進出されている企業が幾つかあると思いますが、入居率が低いというようなことで、かなり苦戦しているという情報もいただいております。実際、私、いろいろ、九州で同様の事業展開をされている会社にお尋ねした資料もあるんですけれども、高齢化社会を迎えたといっても、なかなか完売というわけにはいかず、苦戦しているという現実があると思います。

 こういった、いわゆる老人ホーム事業に進出されることについて、大丈夫なのか、これから収益に貢献するものと認識されているのか、社長としての見解を青柳参考人に伺いたいと思います。

青柳参考人 ただいま御指摘のシルバー事業でございます。

 当社も、シルバー事業として、ことしの春までに三つの施設を運営しているところではございます。有料老人ホーム、SJRと呼んでおりますが、このSJRにつきましては、今後加速していく高齢化社会において、ニーズの高い成長産業であると考えております。引き続き、事業の拡大と安定した経営を目指して頑張ってまいる所存でございます。

河野(正)委員 それでは、もう本当に時間がないので先に進んでいきますが、経営努力の一つとして、JR九州では駅の無人化というのを進められております。

 そこで、無人駅対策について伺いたいと思います。

 経営合理化ということではやむを得ないのかもしれませんが、利用者にとっての利便性は低下するんじゃないかなと思います。インターホンによる対応、巡回等で大丈夫とお考えであるのかどうか、まず青柳参考人に伺いたいと思います。

青柳参考人 当社といたしまして、鉄道ネットワークの維持のために業務運営の効率化に向けた取り組みの一環として、安全や利便性を損なわない措置を講じながら、駅の無人化等、体制の変更を行ってまいりました。

 駅の無人化に際しましては、沿線自治体の住民の皆様に、当社の鉄道事業を取り巻く経営環境の状況や、実施に当たっての取り組み等につきまして、事前の説明等を通じて理解いただけるよう努めてまいっております。

 本年三月に実施いたしました、香椎線でのインターホン等を使った、またICTを使ったスマートサポートステーションを導入しております。十二駅に対してこのスマートサポートステーションというシステムを導入しておりまして、お手伝いを希望されるお客様の御利用に際しましても、前日までのお申し込みという前提にはなりますが、当日のお申し込みに必要な限り対応していくなど、インターホンのみならずシステム全体で、お客様の利便性の確保のために用意いたしましたし、それが現在のところきちっと稼働しておるという認識に立っております。

河野(正)委員 簡単に、ちょっと細かいことを伺いたいんです。

 インターホン回線が何回線あるのか。あるいは、現場に駆けつけるスタッフは、JR香椎線の場合、どこに待機して、何名いるのか。早朝、深夜の時間帯で、最少、一番少ない人数としてはどれぐらいの方が待機しておられるのか。また、どれぐらいの時間があれば、券売機に不調があったり、いろいろな問題が生じた場合、実際に現地に赴くということでございますが、どれぐらいの時間待てば来ていただけるのか。その辺の具体的なことを簡単にお伝えいただけますでしょうか。

青柳参考人 一つ、実際に何かトラブル等があった場合にスタッフがどれぐらいの時間で駆けつけるかということでありますが、オペレーターとしましては二十四時間対応しておりますし、機動的な要員としては常時三ないし四名の配置をしております。

 そして、例えば香椎から西戸崎までの区間でありましたら、一番最遠の西戸崎につきましても二十分でたどり着ける。また、宇美の場合でありましても三十分でたどり着けるという体制を整えております。

 また、インターホンの回線につきましても、予備の回線を備えた体制になっております。

河野(正)委員 実は、ことしの予算委員会の分科会で太田大臣に、羽田空港ターミナルのタクシー乗り場が非常に不便していて苦情が来ているというお話をしましたところ、大臣には本当に迅速に対応いただきました。実は、四カ所あるインターホンがいつもつながらないということだったんですけれども、受けるところが一本しかなかったということで、これはいつも話し中でもしようがなかったのかなということで、既に太田大臣の御尽力で二回線になって、今後三回線になるということです。

 やはりインターホンがついているからといって、受ける人が何人いるかというのは非常に大きな問題だと思いますので、きちんと対応をしていただきたいというふうに思っております。

 時間がありませんので、最後に、株式売却益についてお尋ねをしたいと思います。

 ことし二月三日の読売新聞によりますと、数千億円とされる株式売却益は法律で旧国鉄職員の年金財源に充てることになっている、ところが与党内には、法改正をして整備新幹線の建設費に使うよう求める声もある、厳しい財政状況を考えれば貴重な株式売却益の安易な流用は慎むべきだというふうに論じられた記事がございます。

 株式売却益をどのように活用されるのか、国土交通省に伺いたいと思います。

藤田政府参考人 JR九州の株式売却収入は、その株式を保有しております鉄道・運輸機構の収入となりまして、法律の規定に基づいて、旧国鉄職員の年金の支払い等に充てることとされております。

河野(正)委員 そういったことで使われるということですけれども、これは与党の、記事ですからコメントはしようがないと思いますので、ここまでにしたいと思います。

 そういったぐあいで、これから、民営化したといっても鉄道本体は赤字であるという現状がありますし、一方で、黒字である企業については、民間を余り圧迫しないようにというようなことも言われておりますので、本当に大変な経営が迫られるんじゃないかなと思います。

 本当に我が国は、だんだんいろいろなところで、災害も多いですし、そういったことに関する修復する費用というものも見込んでいかなければならないと思います。

 先ほど、ちょっと社長の声が小さくなったので、心配をしておりましたが、不採算路線が本当に守られるのか、九州出身の人間としてそれを危惧するところでもありますし、さまざまな厳しい状況があると思いますが、三島特例の中で先んじてまずJR九州から完全民営化が行われるということに対して本当に敬意を表したいと思いますし、プライドを持ってしっかりと先頭を切っていっていただきたいと思います。

 本日はありがとうございました。

今村委員長 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 JR九州の完全民営化法案について質問をします。太田大臣、青柳社長、よろしくお願いいたします。

 まず、青柳社長にお伺いをします。

 ずっと議論がされてきているんですけれども、株式上場に伴って一体どういうメリットがあるのか。経営計画、それから長期借入金のハンドルが自由になって、いろいろな利便性があるというふうに先ほどからも御答弁があったんですけれども、国民や住民にとってJR九州が完全民営化になるということはどういうメリットがあるのか、いま一度教えていただきたいと思います。

青柳参考人 先ほども回答いたしましたが、機動的な投資判断や資金の調達を行うことが可能になることにより、今後、新製車両の導入による利便性の向上や、新規事業の積極的な展開による地域活性化や雇用促進に努めてまいるわけであります。

 このように、上場により、地域の声を酌み上げつつ機動的な事業展開を行うことが可能になる、これまで以上に利用者の利便性の向上や九州地域の活性化に貢献していくことができるのではないかと考えております。

田村(貴)委員 いろいろなそういう側面はあろうかと思います。しかし、利潤を追求し、そして合理化を余儀なくされる民間株式会社の宿命というのは、やはりコストカット、コスト削減、そうしたところは絶対出てくると思うわけなんです。これまでの輸送事業の整理縮小や安全軽視につながっていくのではないか、こうした懸念はずっとつきまとっていくわけであります。

 そこでお伺いしたいんですけれども、おととい、十三日の委員会質疑で、我が党の本村伸子議員の質問に対して青柳社長は、九州の鉄道ネットワークについては、鉄道事業を中核とする当社として重要な役割であると認識しております、上場によってその役割が変わることはないと思っておりますと答えられました。

 しかし、昨年七月、社長はメディアのインタビューの中で次のように述べておられます。「鉄道事業の赤字削減に努めますが、上場後はさらなる効率化が必要です。路線存廃に踏み込んだ議論も必要となるでしょう。」「現在、鉄道事業の企画部門では、線区ごとの経営実態の把握に努めています。その中で、どの路線を廃止の対象にするかを検討していきます。」

 これはどういうふうに受けとめたらいいんでしょうか。

青柳参考人 一昨日もお答えしましたとおりでありまして、当社はこれまで、人口減少や少子高齢化が進む中で、長期的に鉄道ネットワークの維持を図るために効率化を行ってまいりましたが、これは、安全を最優先にしつつ、サービスや利便性が低下しないように実施してまいりました。

 引き続き収入の確保や経費節減に努めることにより、今後もネットワークの維持、活性化に努めていく所存であり、現在、路線の廃止を検討している区間はありません。

田村(貴)委員 もう一つ、別のメディアの記事にはこういうものがあります。

 JR九州は、鉄道収支改善に向けた赤字ローカル線の存廃問題で、指宿枕崎線も検討対象となることを明らかにした。これは去年の七月です。青柳社長はインタビューに答え、今すぐどうこうという話ではないが、区間によっては検討対象にはなる、いずれ相談し、検討をお願いする時期が来ると思うと言われているわけです。これは具体的に言及されているんです。

 本委員会での社長の御答弁は、それとして承ります。しかし、就任後社長がおっしゃった、これら具体的、しかも、これは鹿児島の新聞ですけれども、指宿枕崎線、区間によってはといったところまで踏み込んでおられます。これを読んだ私も鹿児島の人たちも、例えば指宿までは残して、それから枕崎までは廃止していくのかと受け取った人もおられるわけです。

 枕崎まで、これも路線を保つということでよろしいんでしょうか。

青柳参考人 今の質問に対しましては、指宿枕崎線というのは枕崎までを指すということで、維持するということで今考えております。

田村(貴)委員 では、上場によって廃止を検討するというのと、鉄道ネットワークは上場によってその役割が変わることはないと、社長が去年メディアの質問に答えておっしゃったことと本委員会でおっしゃったことは、この意味合いが百八十度やはり違うわけなんです。ですから、社長はおととい、本村議員の質問に曲解という言葉も使われたんですけれども、ちゃんと説明をしていただきたいというふうに思います。前言を翻すならば、そういうふうに。

 完全民営化によっても、九州各県における鉄道ネットワークは維持するということで理解してよろしいんでしょうか。九州の人たちは大変心配しています。よろしくお願いします。

青柳参考人 再三申し上げましたが、九州の鉄道ネットワークにつきましては維持していくということを申し上げたいと思う次第であります。

田村(貴)委員 国土交通省にお尋ねします。

 JR九州発足後、廃止、移管した路線はどれほどになっているでしょうか。簡単でいいですので、説明してください。

藤田政府参考人 JR九州の発足は昭和六十二年でございます。形式的に、その後の廃止路線または移管対象路線という意味では、廃止した路線が三路線、第三セクターに移管した路線が七路線でございます。

 このうち、九州新幹線開業に伴って第三セクターに移管した肥薩おれんじ鉄道を除く九路線、これは全て、旧国鉄から承継された特定地方交通線でございます。JR九州の発足後に、平成元年度までに廃止または三セクに移行されたものでございます。

田村(貴)委員 その総延長は四百キロを超えるものだというふうに理解しています。

 太田大臣にお伺いします。

 完全民営化に当たって、国土交通大臣は、JR九州が踏まえるべき事業経営の指針を策定するとしています。その一つに、路線の適切な維持や駅施設の整備に当たっての利用者利便の確保というのがあります。

 赤字線の廃止など、この後、完全民営化によってJR九州が打ち出したならば、住民、利用者のサービスが打ち切られようとするならば、これは指針でとめることができるんでしょうか。

藤田政府参考人 路線の維持につきましては、指針で、現時点の想定としましては、次のような事項を定めることを想定しております。

 一つは、国鉄改革の実施後の輸送需要の動向その他の新たな事情の変化を踏まえて、現に営業する路線の適切な維持に努める必要があること、二つ目には、現に営業する路線を廃止しようとするときは、国鉄改革の実施後の輸送需要の動向その他の新たな事情の変化について十分な説明責任を果たす必要があること、こういった内容を想定しております。

 JR九州が路線を廃止しようとする場合には、国としては、この指針に照らしまして、指導、助言、必要な場合には命令、勧告を行うこととしております。

田村(貴)委員 次の質問に移ります。

 青柳社長はおとといの本村議員の質問に答えて、「安全とサービスを全ての事業の基盤として、安全を最優先に経営をやってまいりました。」とお述べになりました。その決意は揺るがぬものとしていただきたいというふうに思います。

 また同時に、社長は社長就任時のインタビューの中で、「線路のメンテナンスの効率化など、できることはまだまだあるはずです。」というふうに、メンテナンスの部分においてもコスト削減につながるような発言に言及されておられます。私はやはり心配するんですよね。安全輸送よりもコスト削減が何かその上にあるような気がしてならないわけなんです。

 先ほど述べました指宿枕崎線、私、JR九州のほとんどの路線は乗ってきました。この指宿枕崎線も昨年利用したことがあるんですけれども、鹿児島中央駅から普通列車に乗りました。そうしたら、もうびっくりするぐらいの揺れがありまして、縦揺れですね、がくんがくんと。上下のバウンドが激しくて、私は福岡・北九州なんですけれども、都市部の列車の走行ではちょっと考えられないような揺れがあって、思わず舌をかみそうになったわけであります。

 あのひどい揺れを改善してほしい、それから飲み物を手にするのも怖いというふうに多くの利用者がこの路線で声を上げていること、またネット上でも揺れの激しい路線として有名になっている、このことを青柳社長は御存じでしょうか。

青柳参考人 私も以前、鹿児島支社長をしておりましたので、管轄でありました線区のことを御指摘いただいたと思います。

 車両の揺れにつきましては、定期的に、省令等に基づく検査のほか、線路の巡回等を実施しまして状況を把握するとともに、適切な補修を行っております。

 完全民営化をいたしましても、安全を最優先にした経営を心がけてまいるつもりでございます。

田村(貴)委員 私も、保線に当たっておられる社員の方に、これはどういうふうに理解したらいいのかということでお伺いしました。そうしたら、線路の噴泥、これは線路構造の老朽化または異常の噴泥なんですけれども、これを例えば保線に当たっている人あるいは運転士が見つけたとしても数が多過ぎて手が回らない、予算も人員も限られている、こうしたことも原因になっているんじゃないか、保線の作業はどんどん外注、移管されています、そして技術の継承ができていない、都心から離れたローカル線などではそうした問題が顕在化しているのではないかというふうにも教えていただきました。

 安全性第一を青柳社長は当委員会でも繰り返して答弁しておられます。しかし、その指宿枕崎線も、去年、大きな事故がありました。特急列車が線路上の土砂に乗り上げて脱線、十五人の負傷者を出したことは記憶に新しいところであります。その崩れた土砂現場の危険箇所というのは、対象の箇所に入っていなかったんですよね。

 全社員が一丸となって、社員の提案による必要な改革と御答弁がありました。これが単なるお題目になってはいけないというふうに私は思っています。現場の声、それから鉄道事業の最前線にいる社員、関係者、こうした人たちの声に応えて、安全対策を何よりも優先して行うことがやはり何よりも大事ではないかなと思いますけれども、いかがでしょうか。

青柳参考人 当社は、鉄道に関する技術上の基準を定める省令に基づき、実施基準を定め、計画的に補修を実施しております。必要な要員を適正に配置するとともに、直轄だけではなく外注工事等も活用しながら線路設備の整備を実施しております。

 また、修繕費等の予算につきましても適切に確保しているところであります。

 また、当社では、私や幹部が定期的に現場を巡回し、現場の社員と意見交換を通して十分なコミュニケーションを図るようにしております。

田村(貴)委員 必要な予算それから人員を配置していただいて、目に見える保線の改善をぜひ進めていただきたいと思います。

 今、九州各地で大きな問題になっているのは、先ほど質問もありましたけれども、九州全域に及ぶ大規模駅の無人化計画であります。

 これも株式上場の話の中で出てきた方向なんですけれども、既に無人の二百八十一駅に加えて、三十二駅の無人化を発表しました。上場に向けて、赤字の鉄道事業を効率化する一環とし、最終的には百駅弱を無人化に切りかえるという方針だと報道されていますけれども、事実でしょうか。また、人件費を圧縮するというふうにもありますけれども、これまで人員削減をどれだけされてきたのか、さらに、これからどれだけ減らしていくお考えなのか。

 これらについてお答えいただきたいと思います。

青柳参考人 ただいま先生から御指摘をいただきました、本年春の駅務体制の見直しでございますが、三十二駅という御指摘がありました。これは、先ほどのスマートステーションの十二駅を含む三十二駅でございます。また、四月には、この三十二駅のうち一駅が、これは鹿児島県の日豊本線の駅でございますが、これにつきましては、自治体から簡易委託の要望がありまして、簡易委託化することによって、現在は有人化しております。

 今年度以降の計画につきましては、現在のところ、まだ未定でございます。

 また、人件費の圧縮ということの御指摘でございますが、今後数年間は採用数よりも定年退職者数が上回り、いわゆる自然減により、人件費は減少していく見込みであります。

 当社がこれまで実施してきた効率化としましては、駅の自動改札機の導入やワンマン化、駅信号取り扱いの自動化などがございます。

 今後、効率化の計画につきましては、現時点でお示しする具体的なものはございませんが、今後とも、鉄道ネットワークの維持、活性化に向け、安全の確保を大前提とした上で、収入の確保はもちろんのことでございますが、効率化等による経費削減も進めてまいりたいと考えております。

田村(貴)委員 我が党の真島省三議員が、三月十日、衆議院予算委員会分科会でこの無人駅の問題を取り上げました。

 ワンマン運転で、危険な状態が放置された駅まで対象になっており、安全性が損なわれる、障害者など介助が必要な人が自由に駅を利用できなくなり、バリアフリー化に逆行する、定期券や特急券の購入もできなくなるなど利便性が後退する、人の目が届かなくなり、治安が悪化するなどを指摘しました。

 自治体の首長の中には、利便性の低下がはっきりしていると、無人化反対を表明されている方もおられるわけなんです。地元自治体や住民、あるいは経済団体などからも反対の声が上がっているんですけれども、こうした反対の声があったとしても、今後はわからないと言われましたけれども、計画を進行させていくおつもりなんでしょうか。お答えいただきたいと思います。

青柳参考人 先ほども申し上げましたように、当社はこれまで、人口減少や少子高齢化などが進行する中で、鉄道ネットワークの維持に向け、業務運営の効率化を進めてまいりました。引き続き、沿線自治体や地元住民の皆様に対しては、当社の鉄道事業を取り巻く経営環境や実施に当たっての取り組み等につき、事前に御説明をいたしまして、御理解をいただくよう努めてまいる所存でございます。

田村(貴)委員 太田大臣にお伺いします。

 真島議員の質問に、三月、大臣はこのように答弁されています。「大事なのは、安全ということが大事であるし、そして、それを利用する方が困るというようなことがあってはならないというふうに思いますので、よく調べさせていただいて整理をさせていただきたいというふうに思っています。」「地元との連携、また説明というのは、私は当然必要なことだと思っておりますので、取り組みができるように後押しをしたいというふうに思います。」と。

 この間、無人駅の問題をどのようにお調べになって整理されたのか、また、地元との連携の後押しというのはどういうふうにされていくのか、お答えいただきたいと思います。

太田国務大臣 国交省としまして、無人駅の状況や御質問にあったような事案等々については、事情聴取をさせていただいたところです。

 鉄道ネットワークの維持を図るために、JR九州を含めた鉄道事業者におきましては、過疎化の進展などにより利用者が著しく減少している駅等については無人化が行われているというところです。無人化に際しては、安全性等の確認を行っているところです。

 JR九州に対しましては、駅の無人化に当たっては、その経過や理由などについて地元に十分説明をした上で実施するように指示をしているところでございます。あわせて、無人化された駅については、状況を注視し、安全性や利便性上の問題が生じた場合には、迅速に必要な措置を講ずるよう指示をしています。

 JR九州は、当省からの指示をしっかりと受けとめ、対応に万全を期す旨の考え方を示しているところであります。

田村(貴)委員 無人化される駅の乗降客、一日約五万人であります。安全とサービスを全ての事業の基盤としてと青柳社長はおっしゃいました。

 最大の安全策というのは、人による点検そして確認、監視ではないかというふうに思います。完全民営化、株式上場は、やはりコスト削減、効率化が優先され、公共交通機関の果たすべき大事な安全性、公共性の確保がおろそかになっていく、無人化駅の問題というのはその象徴である、典型であるというふうに言わなければならないと思います。

 青柳社長、この上場の論議の中で、私、残念に思ったのは、車内販売の終了です。三月にも、「ソニック」も「かもめ」もなくなりました。お客さんの中からは、道中が味気なくなった、不便だという声も上がっています。

 例えば、博多―長崎間の「かもめ」は二時間九分乗車します。鹿児島―宮崎の「きりしま」は二時間二十五分、そして最も長い博多―宮崎間の「にちりんシーガイア」は五時間三十五分ですよね。これは、途中でおりて物を買うことができません。車内販売がないことを知らずに乗車したお客さん、それから駅で買い物をする間がなくて乗車したお客さん、大変な思いをするわけであります。

 航空会社のキャビンアテンダントを参考にされたJR九州の客室乗務員さんの接客サービスは、私はすばらしいものだったというふうにも思っていますし、私自身もいろいろな思い出がございます。

 こうした観光列車、観光特急以外の特急から全て姿を消してしまったというのは、お客さんが次に乗ってみようかなというその思いに照らしてどうなのかなと。全てが上場の論議の中で、いろいろなコスト削減、こうした現象が出てきたわけであります。JR九州らしさがなくなっているんじゃないかという声が上がっています。いかが受けとめておられますか。

青柳参考人 お答えいたします。

 当社といたしましては、車内販売の御利用が年々少なくなる中で、駅周辺などの購入機会の拡大などから、客室乗務員の乗務列車の見直しを実施いたしました。

 客室乗務員としてのおもてなしを十分発揮できる観光列車等の業務に特化することで、お客様に対する質の高いサービスを提供していきたいと考えております。

 お弁当などの事前購入をいただくための御案内や、列車内に飲み物の自動販売機を設置するなど、サービスの低下にならないよう、できる限りの対応を行っております。

田村(貴)委員 できる限りの対応は自動販売機だけなんですよ。もうちょっと工夫のしようがあるんじゃないかなと思っています。

 次の質問です。

 JR九州は、株式上場後も鉄道事業の赤字解消のめどが立っていません。そこで、税金の軽減がないと利益率が下がるとして、現在認められている税金の軽減を国に求めるのではないかというような報道がされています。

 先ほども議論があったんですけれども、JR九州として、これらの税の軽減策をこれからも政府に対して望んでいくおつもりなのか、その一点について教えてください。

青柳参考人 三島特例並びに承継特例の今後につきましては、税制改正に向けた議論の中でされていくという認識でおりますので、その動向を我々は見てまいりたいというふうに考えております。

田村(貴)委員 青柳社長としては税の軽減を求めたいというお立場ですか。

青柳参考人 これは法律で定められていることですので、それに従ってまいりたいというふうに思っております。

田村(貴)委員 太田大臣にお伺いします。

 もしJR九州の方からこれまでの税の軽減策を引き続き継続を要望された場合、国としてはこれを認めていくということになるんでしょうか。

太田国務大臣 現在、JR九州に対して講じられております三島特例は、五年ごとに延長をされています。前回延長時の平成二十四年度税制改正大綱におきまして、「株式上場の動向を勘案し、今後、必要な見直しを行います。」とされているところです。

 こうしたことを踏まえまして、今後、JR九州の上場が見込まれる平成二十八年度の税制改正におきまして、その取り扱いが検討されるものと考えております。

田村(貴)委員 三島特例の減税六十億円、このうち九割の五十億円を今後五年程度の継続を求めるというような報道もあっています。それはおかしいんじゃないか、では何のための株式上場なのかというような声が民間鉄道会社やいろいろなところから出てきているわけであります。

 減税がないとやっていけない上場とは一体何なんでしょうか。だったら、経営安定基金を活用した運用益、これをなぜやめてしまうんでしょうか。上場しようとするからいろいろとこういう問題が起こってくる、矛盾が出てくるんではないでしょうか。ますます完全民営化の意味がわからなくなってまいりました。

 最後にお尋ねします。

 JR九州の営業収益のうち、運輸部門に占める割合は四八%にすぎません。上場三社の六割、七割と比べると低く、民営化後も一度も黒字になったことはありません。駅ビル不動産事業、そして流通、外食事業、ホテル等の関連事業によって全体の経常利益を押し上げています。これをもって安定的経営状況にあるとし、上場の条件を満たしているというのは理解ができません。完全民営化によって、鉄道運輸以外の事業が主要事業に取ってかわるのではないか、利潤を出すために不採算部門の鉄道事業がこれから切り捨てられていくのではないか、こうした懸念は尽きないところであります。

 JR九州の主体は、あくまでも鉄道事業であります。民間会社といっても、歴史的経過から見れば、それはいわゆる私鉄とは全然違うものがあります。九州七県の地域住民に対する社会的責任の度合いは非常に、格段に強いものがあるというふうに私は思います。

 JR九州の青柳社長に最後にお尋ねします。

 公共交通事業者の自覚を絶えず持って、そして安全輸送に徹していただきたい、国民へのサービス向上、沿線住民の利便性を失うことなく努めていただきたいと思いますけれども、社長としての決意を述べていただきたいと思います。

青柳参考人 ただいまの先生のお言葉を胸に刻みながら、安全とサービスを基本に、今後ともJR九州グループの全事業に邁進してまいることをお誓い申し上げまして、私の決意とさせていただきます。

田村(貴)委員 それをすべからく実践していただきたいというふうに思います。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

今村委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

今村委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。本村伸子君。

本村(伸)委員 日本共産党を代表して、旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律の一部を改正する法律案に対し、反対の討論を行います。

 本法案は、JR九州を完全民営化するためのものです。JR九州は、鉄道事業が赤字のまま無理やり株式上場するため、コスト削減など、利益獲得へ合理化、効率化へ邁進しています。

 法案に反対する第一の理由は、完全民営化により、営利中心主義の経営姿勢がさらに強まり、駅無人化や外注化、赤字路線の廃止、不採算部門の切り離しなど合理化に拍車がかかり、利用者、労働者、国民の皆さんの生命と安全、利便性が一層脅かされることになるからです。

 JR九州は、一九八七年の分割・民営化後、本業の鉄道事業は毎年赤字を続けています。駅ビル不動産事業や医療品販売、農業、教育などを強化し、鉄道事業は、もうかるところのみを強化する巨大サービス企業となっています。

 二〇一六年度中の株式上場に向け、安全を二の次にした事業計画を立て、不採算部門の切り捨て、外注化、非正規職員化、大規模駅を含む駅の無人化、車内販売の終了など、合理化を推し進めています。

 九州新幹線の並行在来線肥薩おれんじ鉄道の切り離し、高千穂線の移管、廃止など、ローカル線切り捨ても行ってきました。

 このような状況下で完全民営化することで、公共交通機関が担うべき安全性と公共性は一層軽視されることは目に見えています。

 法案に反対する第二の理由は、株式上場を目的に、経営安定基金を取り崩そうとしているからです。

 経営安定基金は、その運用益で経営の厳しいJR九州などの赤字を補填するために設置され、その取り崩しは現在禁止されています。鉄道事業は赤字が続き、基金の運用益による経営支援はこれからも必要です。

 にもかかわらず、無理やり株式上場をするためとして、そもそも国民の皆さんの共有の財産である基金を取り崩すことには賛成できません。

 以上、反対の討論を終わります。

今村委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

今村委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

今村委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

今村委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、金子恭之君外四名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、維新の党及び公明党の四会派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を求めます。神山洋介君。

神山(洋)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 趣旨の説明は、案文を朗読してかえさせていただきたいと存じます。

    旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用について遺漏なきを期すべきである。

 一 JR九州は、純民間会社化後においても、施設の老朽化対応等の設備更新や運賃・料金を適切な水準に維持するよう鋭意努めるとともに、輸送の安全があらゆることに優先する最も重要かつ基本的な事項であることに鑑み、輸送の安全の確保に万全を期すこと。また、利用者ニーズに対応した適切な輸送力の確保に努めること。

 二 JR九州は、今般の法施行後にあっても、できる限り経営努力により地方鉄道路線維持に努めるとともに、取り巻く環境の変化等を十分踏まえ、引き続き沿線地域の交通利便の確保に万全を期すべく沿線自治体等と密接な連携を図ること。

 三 JR九州は、関連事業分野において事業展開をするに際しては、大量の利用者が集散する駅施設を保有すること等を十分に留意し、当該進出地域の振興、中小企業者への影響等に適切な配慮を図ること。

 四 本法附則第二条第一項の指針は、JR九州の健全な経営に配慮し、過度の規制とならないよう適切に定めること。

 五 本法附則第七条の経営安定基金の取り崩し及び振替に際しては、JR九州の安定的経営が長期的に可能となるよう十分配慮するとともに、JR九州の経営の自由度が確保されるよう留意すること。

 六 国等は、九州地区における鉄道を取り巻く厳しい経営環境を十分勘案し、適切な輸送の確保に向けて、適切な支援措置を講じること。

 七 JR北海道及びJR四国は、経営自立に向けた経営基盤の確立に努めるとともに、国は、両社を取り巻く現下の厳しい経営環境に鑑み、引き続き安全な輸送サービスの提供に資する鉄道インフラ基盤の維持・強化等に対して所要の支援措置を講じること。

 八 JR貨物は、経営基盤の確立に努めるとともに、国は物流政策として掲げる物流モーダルシフトの促進を目的として引き続き適切な支援措置を講じること。

 九 人口減少や少子化等、鉄道事業を取り巻く環境が厳しさを増す中、交通政策基本法の理念に則り、JRは、民営鉄道やバスなどとの連携を深めるとともに、国は、公共交通全体を見据えた輸送のあり方とJRの位置づけを踏まえつつ、上下分離方式など、地域との更なる連携に向けた具体的方策について検討を図ること。

 十 国は、各鉄道事業者において、今後とも高齢者、身体障害者等の移動の円滑化を図るため駅等鉄道施設のバリアフリー化を推進するよう必要な支援を行うこと。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

今村委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

今村委員長 起立多数。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、国土交通大臣から発言を求められておりますので、これを許します。国土交通大臣太田昭宏君。

太田国務大臣 旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律の一部を改正する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま可決されましたことに深く感謝申し上げます。

 今後、審議中における委員各位の御高見や、ただいまの附帯決議において提起されました事項の趣旨を十分に尊重してまいる所存でございます。

 ここに、委員長を初め理事の皆様、また委員の皆様の御指導、御協力に対し、深く感謝の意を表します。

 まことにありがとうございました。(拍手)

    ―――――――――――――

今村委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

今村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

今村委員長 次回は、来る二十日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時五十三分散会


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