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第9号 平成28年4月20日(水曜日)

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平成二十八年四月二十日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 谷  公一君

   理事 秋元  司君 理事 秋本 真利君

   理事 金子 恭之君 理事 小島 敏文君

   理事 鈴木 憲和君 理事 津村 啓介君

   理事 水戸 将史君 理事 樋口 尚也君

      石川 昭政君    今村 雅弘君

      岩田 和親君    大塚 高司君

      大西 英男君    加藤 鮎子君

      門  博文君    神谷  昇君

      木内  均君    工藤 彰三君

      小池百合子君    國場幸之助君

      今野 智博君    斎藤 洋明君

      瀬戸 隆一君    津島  淳君

      中村 裕之君    丹羽 秀樹君

      西村 明宏君    藤原  崇君

      古田 圭一君    宮内 秀樹君

      宮澤 博行君    望月 義夫君

      山本 公一君    荒井  聰君

      神山 洋介君    黒岩 宇洋君

      小宮山泰子君    横山 博幸君

      岡本 三成君    北側 一雄君

      中川 康洋君    穀田 恵二君

      本村 伸子君    井上 英孝君

      遠藤  敬君    椎木  保君

      野間  健君

    …………………………………

   国土交通大臣       石井 啓一君

   国土交通副大臣      土井  亨君

   国土交通大臣政務官    宮内 秀樹君

   国土交通大臣政務官    江島  潔君

   国土交通大臣政務官    津島  淳君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            藤木 俊光君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  由木 文彦君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  藤田 耕三君

   政府参考人

   (国土交通省海事局長)  坂下 広朗君

   政府参考人

   (国土交通省港湾局長)  菊地身智雄君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 深見 正仁君

   国土交通委員会専門員   伊藤 和子君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十日

 辞任         補欠選任

  佐田玄一郎君     瀬戸 隆一君

  堀井  学君     藤原  崇君

  前田 一男君     石川 昭政君

  望月 義夫君     丹羽 秀樹君

  椎木  保君     遠藤  敬君

同日

 辞任         補欠選任

  石川 昭政君     前田 一男君

  瀬戸 隆一君     佐田玄一郎君

  丹羽 秀樹君     望月 義夫君

  藤原  崇君     古田 圭一君

  遠藤  敬君     椎木  保君

同日

 辞任         補欠選任

  古田 圭一君     國場幸之助君

同日

 辞任         補欠選任

  國場幸之助君     堀井  学君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 港湾法の一部を改正する法律案(内閣提出第一九号)


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     ――――◇―――――

谷委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、港湾法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省鉄道局長藤田耕三君、海事局長坂下広朗君、港湾局長菊地身智雄君、住宅局長由木文彦君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長藤木俊光君及び環境省大臣官房審議官深見正仁君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

谷委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。加藤鮎子君。

加藤(鮎)委員 おはようございます。自由民主党の加藤鮎子です。

 質問のお時間をいただきまして、ありがとうございます。

 まず冒頭、先週発生をし、今も余震が続く熊本県を中心とした地震において、亡くなられた方々に御冥福をお祈り申し上げるとともに、被災された皆様に心からお見舞いと、御家族の方々にはお悔やみを申し上げます。

 今般の熊本地震は、九州地方に大変大きな被害をもたらしております。ここは港湾法の一部を改正する法律案の質疑の場ではありますが、まず最初に、この地震についての質問をさせていただきます。

 今般の地震における我が国の港湾の被災状況と、港湾を通じた被災者支援の現状はどのようになっているか、お聞かせください。

菊地政府参考人 お答えいたします。

 平成二十八年熊本地震では、熊本港、八代港、別府港において、フェリーへの車両乗降用可動橋やコンテナターミナルにおけるガントリークレーンのふぐあい、岸壁や道路の沈下や液状化などの被害が発生いたしました。それ以外の港湾については、点検の結果、利用に支障を来すような被害はございませんでした。

 被災した港湾におきましては、早期に応急復旧や迂回路の確保を行いまして、一部利用上の制約はあるものの、緊急物資の受け入れ等の利用が可能となってございます。

 その結果、四月十六日より、熊本港等において、九州地方整備局の船舶、また海上保安庁の巡視船による飲料水の提供等を行っております。

 現在、熊本港、八代港、三角港、大分港が、地方整備局の船舶や海上保安庁の巡視船及び自衛隊の艦船による給水活動や緊急物資輸送の拠点として重要な役割を果たしているところでございます。

 引き続き、被災者支援に全力で取り組んでまいります。

加藤(鮎)委員 ありがとうございます。

 引き続き、被災者支援にしっかりと御尽力をいただきますようお願いをいたします。

 それでは、港湾法の一部を改正する法律案についての質問に入ります。

 今回の港湾法改正案では、港湾における洋上風力発電施設等の導入の円滑化に向けて、公募による占用許可制度を創設することとしています。こうした取り組みは再生可能エネルギーの導入促進に寄与するものと、まずもって評価をさせていただきたいと思います。

 報道でもありますとおり、近年、クルーズ船による外国人旅行者の数が急増しています。昨年は、我が国の百四つの港にクルーズ船が寄港したと聞いております。クルーズ船の受け入れ環境を整備していくことは、地方創生のためにも極めて重要であります。

 政府は、ことしの三月、明日の日本を支える観光ビジョンにおいて、訪日クルーズ旅行者を二〇二〇年に五百万人、日本の各地をカジュアルからラグジュアリーまで幅広く対応したクルーズデスティネーションにとの目標を掲げました。

 地方創生のためには、旺盛なクルーズ需要を地方に取り込むことが重要であります。クルーズ船の寄港促進に向けた国土交通省の取り組みについてお伺いいたします。

土井副大臣 お話がございましたとおり、観光立国の実現、また何よりも地方創生に向けて、クルーズ船の寄港促進を図ることは大変重要なことだというふうに認識しております。

 港湾管理者など全国百十六の自治体で構成をされます全国クルーズ活性化会議と連携をいたしまして、取り組みを進めているところでもございます。

 例えば、国土交通省におきましては、この全国クルーズ活性化会議の会員とクルーズ船社のキーパーソンとの商談会を開催しており、昨年十二月には青森市でも開催をいたしております。

 また、クルーズ船社が必要とする我が国各地の港湾の岸壁などの諸元データや寄港地からアクセスできる観光地の情報をウエブサイトを通じて一元的に発信をいたしております。さらに、具体的な寄港要請に対応した港湾施設の整備も進めているところでもございます。

 また、御指摘ありましたように、先月三十日に取りまとめられました明日の日本を支える観光ビジョンにおきましても寄港地の全国展開を推進することとされており、今後なお一層、全国の港湾へのクルーズ船の寄港誘致に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

加藤(鮎)委員 ありがとうございます。

 引き続き、積極的なお取り組みの方をお願いいたします。

 実は、私の地元の酒田港もクルーズ船の受け入れに熱心であります。クルーズ船の大型化が進む中、受け入れ環境の整備が急務となっておりますが、国土交通省の今後の対応はいかがでしょうか。

菊地政府参考人 お答えいたします。

 全国においてクルーズ船の寄港が増加しておりまして、特に今後増加する大型クルーズ船の寄港需要に対しましては、お断りゼロの実現に向け、受け入れ環境の整備が喫緊の課題と認識しております。

 酒田港におきましては、大型クルーズ船の入港に向け地元で取り組みが進められておりますが、酒田港には現状では接岸できる岸壁がないことから、今年度より古湊岸壁の改良に着手することとしております。

 具体的には、今年度末までに防舷材、係船柱の改良を行い、酒田港における大型クルーズ船の受け入れ環境を整備してまいります。

加藤(鮎)委員 ありがとうございます。

 クルーズ船の受け入れ環境整備をぜひしっかりとお願いしたいと思います。

 さて、地元の酒田では、港周辺地域の経済活性化、情報発信、環境整備などの取り組みを行っているNPOなどの団体が数多くあります。例えば、酒田港女みなと会議、元気王国、庄内海浜美化ボランティア、酒田みなとまちづくり市民会議などがありまして、皆さん一生懸命活動を頑張っておられます。

 地域活性化の取り組みを行っているNPO等の団体を今回の改正案にある港湾協力団体に指定することで、どのような効果が期待されるのでしょうか。

菊地政府参考人 お答えいたします。

 港湾におきましては、港湾管理者が港湾施設の管理等を行っておりますが、市民への港湾に関する情報提供やクルーズ旅客のおもてなしなど、港湾管理者のみでは十分に手が行き届かない面もございます。

 一方で、港湾には、住民参加による地域振興の拠点であるみなとオアシスの運営、あるいは港湾の清掃やクルーズ船入港時の歓迎イベントなど、今委員御紹介になられました団体のように、さまざまな活動を行っておる民間団体がございます。

 今般の港湾協力団体制度は、こうした民間団体を港湾協力団体として指定し、港湾管理者と連携して、港湾施設の管理や市民への情報発信などのきめ細かなサービスを提供されることを期待しているものでございます。

 港湾協力団体に指定された場合には、国土交通省及び港湾管理者から必要な情報提供や指導助言を行うなど、これまで以上に連携を強化してまいります。

 また、港湾協力団体がその業務のため港湾区域の占用を行う場合に、港湾管理者との協議の成立をもって許可を受けたものとみなすことができる特例措置を講ずるなど、側面からの支援を行うこととしております。

 このような取り組みを推進することにより、より質の高い港湾サービスが提供され、にぎわいのある港湾空間が創出されることが期待されます。

加藤(鮎)委員 官民連携して、関係団体の皆さんも活動しやすくなるというすばらしい法改正だと受けとめました。ありがとうございます。

 今ございましたように、クルーズ船の受け入れ環境整備や港湾管理、そういったものにおける官民連携に取り組んでいくことも肝要でありますが、また一方で、地域における物流産業拠点としての港湾の機能強化というものも重要であります。

 現在、地元の酒田港では、花王の中国、ロシア向け紙おむつの輸出が急増しております。昨年のコンテナ取扱個数が二万二千二十八本とおととしの約一・六倍、さらに、花王さんは、ことし秋の完成を目指し、工場の増設も進めており、さらなるコンテナ貨物の増加が見込まれております。その好調を受けて、酒田港では国際コンテナ航路便数が二〇一四年に二便しかなかったところから、昨年末までのたった二年弱の間で週七便へと実に倍以上に急増をしております。

 その結果、同じ曜日に二隻のコンテナ船が入港するという状況も発生しておりまして、一隻が岸壁を使用しているときは、もう一隻は沖合で時間調整して停泊している、そういうような状況がございます。このような状況であれば、二隻のコンテナ船が同時に岸壁を使用できるようにする対策が急がれると思います。

 せんだって開催された「酒田港と庄内地域の活性化を考える」という大変すばらしい講演会があったのですけれども、そのとき、花王の酒田工場長によるプレゼンテーションも行われました。工場長さんのお話によりますと、製品の輸出に際しては陸送コストの低減が重要であったが、港湾に近接した場所で生産できるということが大変ありがたいというふうにおっしゃっていました。

 花王酒田工場では、ことし秋の工場増設によりまして、二〇一三年末時点で百十三人だった従業員数が、年内に三百五十人を超す見込みだと聞いております。この三年間で実に二百人以上の雇用創出効果でありまして、酒田における経済効果は大変大きいものと感じます。また、中国では今後人件費も上がっていきますので、産業立地の我が国への回帰を図るチャンスもうかがえるわけでありますが、対岸貿易という観点から、酒田港を初めとする日本海側の港湾は将来有望とも考えます。

 一方で、日本海側は冬になると気象条件が厳しく、地元の酒田港においてはコンテナ船の港の出入りやコンテナ貨物の荷役に支障が生じているといった課題もあると聞いております。

 そういった将来性と、また今浮上している課題の両方を踏まえてお伺いをいたします。

 まさに中国、ロシアなどの対岸貿易の拠点として期待される酒田港について、地域の経済を牽引する拠点としてしっかりと機能強化を図っていくべきだと考えますが、この考えに対しての御見解を伺います。

菊地政府参考人 お答えいたします。

 酒田港では、背後に立地する工場からの紙おむつ等の輸出急増によりまして国際コンテナ定期航路が週七便に増加しており、岸壁の利用においても沖待ちが発生するなどの課題が生じていると認識しております。

 このような状況を踏まえまして、今年度は、国土交通省として、コンテナターミナルの岸壁に二隻のコンテナ船の接岸を可能とする方策を検討する調査を行うこととしており、必要な予算を措置したところでございます。

 また、今後、工場の増設によるさらなる貨物の増加が見込まれており、国土交通省といたしましても、地域経済を牽引する企業活動を支える港湾機能の確保に向けて必要な対応を図ってまいります。

 また、厳しい冬季風浪時に、入港や係留、荷役の安全性を確保し、酒田港が安定的に機能するため、防波堤の整備についても引き続き推進してまいります。

加藤(鮎)委員 ありがとうございます。

 調査をしていただけるとのことで、大変感謝を申し上げます。コンテナ船の二隻同時利用の実現に向けて、私も力強く応援をしてまいりたいと思います。

 酒田港は庄内地域の雇用と経済を支えておりまして、インフラのストック効果発揮の優等生でもあります。国土交通大臣室前の廊下に好事例としてのパネルも掲示されておりますほどで、我が地域の本当に期待の星であります。

 我が国の国際競争力強化のためには国際コンテナ戦略港湾の整備も重要ではありますが、庄内地域における酒田港のように、地域の基幹産業の競争力強化のための港湾整備、これにもしっかり取り組み、地方創生を支えていくことが重要だと私は考えております。

 最後になりますが、地域の基幹産業の競争力強化のために、港湾整備に対する大臣の御決意を伺わせてください。お願いいたします。

石井国務大臣 酒田港では、アジアの巨大なマーケットをにらんで、その背後に製品輸出のための工場が立地をしておりまして、港湾をフルに活用した生産活動が地域の雇用と経済を支えているということで、ストック効果の高い社会資本整備の好事例であると認識をしております。

 国土交通省といたしましても、このような地域の産業競争力強化に直結する港湾整備の好事例を全国で展開していく必要があると考えております。

 また、急増するクルーズ需要を地域で取り込むことは、観光を地域の産業の柱に育てる観点からも大変重要でありまして、酒田港のような地方の港湾で受け入れ環境を整備することによりまして、全国津々浦々にそのにぎわいを波及させていく必要があります。

 地方創生の実現に向けまして、地域の基幹産業の競争力強化を初めとしたストック効果の高い港湾施設の整備について、引き続きしっかりと取り組み、地域の雇用と経済を支えてまいりたいと思っております。

加藤(鮎)委員 ありがとうございます。

 今大臣からしっかり取り組んでいかれるという大変力強いお言葉をいただきました。

 庄内地域を支える酒田港の発展に私も引き続き取り組んでまいりますので、ぜひよろしくお願いをさせていただきまして、私からの質問を終えたいと思います。

 ありがとうございました。

谷委員長 次に、津村啓介君。

津村委員 日本の港湾政策について質問します。

 先ほども言及がございましたが、三月三十日、明日の日本を支える構想会議におきまして、政府は、クルーズ旅客五百万人という大変高い目標を掲げられました。私は、三つの課題といいますか観点があると思います。

 一つは、昨年、百十一万六千人のクルーズ客だったものを、あと四年間で五百万人にふやしていく。その中で、実は、外国船社のものを中心にということになっておりまして、ラグジュアリーを中心とする日本船社につきましては、船の数がボトルネックになって、これ以上余り伸びないだろうという予測になっているようでございます。やはり日本の船社のクルーズについてもしっかりと応援をしていく、そのことが一つの課題かなというふうに思います。

 そして、二つ目の課題としましては、日本人のクルーズ客は年間二十万強で推移していると思いますけれども、これから、外国人のクルーズ客が四年間で三百八十万ふえると相当高い需要見込みを持っているわけですけれども、これは、対象とする国の経済規模あるいは人口、そういったことも含めてしっかりとした需要見込みになっているのか、需要予測になっているのか、こういう観点もあろうかと思います。

 そして、三点目。私は、きょう、この三点目についてフォーカスをさせていただきますけれども、実際の今の日本の受け入れ容量がこの需要予測にしっかりと合致したものであるのか。いわば供給サイド、サプライサイドがしっかりとした数字になっているのかということを皆さんと一緒に確認させていただきたいというふうに思っております。

 お配りいたしました資料をごらんいただければと思います。

 A4縦の、資料一と書いたものでございますが、これは、国土交通省の皆さんにもディスカッションに御協力いただきながら、私のクレジットでつくった試算でございます。それほど突拍子もない数字にはなっていないと思っているんですけれども、順に確認させていただきたいというふうに思います。

 まず、過去最高を記録した昨年、二〇一五年の寄港者数というのは百十一万六千人。これに対して、四年後の二〇二〇年に政府は五百万人までクルーズ客をふやすということを言っておられます。

 二つの前提を置いて議論をいたしますが、今後増加していく訪日クルーズ旅客は、定員三千人規模のクルーズ船に乗船するものと仮定をいたします。そしてもう一点、現在の実績に鑑みまして、外国船社が運航するクルーズは、我が国の港湾に一航海で一・四回程度寄港している、その現状が将来においても変わらないと仮定をいたします。

 そういたしますと、これから四年間でふえる三百八十八・四万人を、一隻当たりの三千人で割り込みまして、これが一・四回寄港するとすれば、これから千八百十三回の寄港が四年間でふえていくというのが一番上の丸のところでございます。

 二つ目。二〇一五年現在の大型クルーズ船の受け入れ容量でございますけれども、専らクルーズ船の利用に供するターミナルというのは、定員三千人規模のクルーズ船受け入れ可能なものは、現在全国に四バースしかありません。博多、神戸、那覇、長崎の四バースでございます。

 仮に、岸壁の稼働率を最大八割と仮定いたします。また、一つの岸壁当たりの一日の寄港回数は実態に即して一回というふうに置きますと、三百六十五日掛ける四バース、稼働率八〇%ですと、千百六十八回の寄港を受け入れる能力が現存するということになります。

 そういたしますと、二〇二〇年に必要となる大型クルーズ船の受け入れ容量は、二〇一五年の受け入れ実績が四百四十五回でございますので、これに千八百十三回ふえた二千二百五十八回。これを現在の受け入れ容量千百六十八で割り込みますと、現在の受け入れ容量の一・九三倍のバースを確保しておかなければいけない、受け入れ容量を確保しておかなければ、四年間でそれだけのバースをふやさなければ、これは受け入れが物理的に不可能だということが試算できます。

 資料の四枚目をおめくりいただきますと、実はクルーズというのは毎日均等に来るものではなくて、やはり夏場に集中する、季節のいいときに皆さん御利用になるということがわかるかと思います。これを十二カ月分足し上げますと千四百五十二回。これは邦船社も含まれていますが、一月当たり百二十一回のクルーズ船の寄港がある。そのうち、一番多い八月は百九十三でございますので、ピーク時には、年平均の一・五九五倍、百九十三回を百二十一回で割り込みますと一・五九五ですので、それだけ需要が増す、季節変動があるということでございます。

 これを掛け合わせますと、一・九三掛ける一・五九五は三・〇七八倍ですので、一番下に下線を引いておりますように、二〇二〇年の夏、ピーク時においては、現在の約三倍の受け入れ容量が必要というふうに試算をされます。

 先ほども申し上げましたように、この幾つか置きました前提は、この一週間ほどの議論の中で、質問通告の中で、国交省の皆さんと何度も議論した数字でございます。この三・〇倍ほどの受け入れ容量が必要という認識は、大臣の御認識と合致していますでしょうか。

石井国務大臣 クルーズ船の受け入れ容量をどういうふうに定義するかということは実は非常に難しいことでございまして、今委員がお示ししていただいた試算では、三千人規模のクルーズ船を受け入れ可能な専用の四バース、博多、神戸、那覇、長崎の容量ということでカウントされているかと存じますけれども、全国的に、では、果たして本当にクルーズ船の受け入れ容量はどれぐらいあるのかというのは、実はかなり難しいことだと思っております。

 仮に、クルーズ船の寄港回数に着目をしてみますと、次のように考えられます。

 まず、二〇一五年の外国船社が運航するクルーズ船の寄港回数は九百六十五回です。これによる訪日クルーズ旅客が百十二万人となっております。二〇二〇年の訪日クルーズ旅客五百万人に対応する寄港回数を、今後のクルーズ船の大型化動向などを勘案して推計すると約二千八百回程度に増加すると考えられます。

 したがって、訪日クルーズ旅客五百万人を受け入れるためには、二〇一五年の寄港回数の約三倍の寄港回数を受け入れることが必要になる、このように考えられるところでございます。

津村委員 ありがとうございます。

 大臣と私の試算の前提の違いといいますのは、現在の大型船受け入れの四百四十五回というのをどう評価するかというところだと思いますけれども、本日は深入りをいたしません、今後とも議論させていただきたいと思いますが、一つ申し上げますと、私の先ほどの前提というのは、ある意味でかなり甘い、受け入れ容量をかなり高く評価した前提でございます。

 と申しますのは、現在、二〇一五年の寄港一回当たりの訪日クルーズ客というのは、この注で書いていますように千百五十六人でありまして、三千人も一度に受け入れていないわけですね。逆に言うと、この二倍、三倍のバースが必要というふうにも計算できて、その場合、単純に計算すると約八倍ということにもなります。

 これから、私がこの受け入れ容量の前提に置いた専らクルーズ船の利用に供するターミナル、つまり貨物を扱わない専用バースということで置いていますので、貨物も供用できるものというのを、係船柱とか防舷材とかそういうものを改良されて取り組むということを今おっしゃったんだと思いますけれども、ぜひ精緻な需要予測、そして供給サイドの試算をしていただいて、四年間しかありませんので、半年や一年ではバースはつくれないと思いますから、しっかりとこれは計画的に国策を進めていただきたいというふうに思います。

 次の質問に移らせていただきます。

 今回、この法案には四つの新しいポイントがありまして、一つは無利子貸付制度にクルーズ旅客施設を追加するということ、二つ目が港湾協力団体、三つ目が港湾情報提供施設、四つ目が洋上風力、この四つのポイントから今回の法案が成り立っているわけですけれども、まず一つ目の無利子貸付制度というのがどれほど効果的な制度なのか。

 大臣、資料の三あるいは資料の二をごらんいただきますと、資料の二の方がわかりやすいかもしれません。これは、一年間で百回以上クルーズ船が来たところは、赤丸ですから三カ所しかないんです。五十回以上来たところが、ピンク色の丸ですので二カ所しかない。長崎、博多、横浜に鹿児島と神戸が加わった計五カ所しか五十回以上寄港していない。つまり、それ以外のほとんどの港は週に一回も来ていないんですね。週に一回も来ないクルーズに民間の企業がしっかり投資するのか。それだけのマンパワーとか、あるいは施設の賃料とか、非常に難しいことをおっしゃっているんじゃないかなと。

 実際に、港湾施設、旅客施設を整備するのは、地方公共団体あるいは国かもしれません、公共がやっていかなければいけないのではないか。民間の無利子貸付制度も、もちろんないよりあった方がいいんですけれども、私は、これは本命ではなくて、地方公共団体に対する支援の方を充実させることが現実的ではないかと考えるんですけれども、大臣、いかがですか。

石井国務大臣 従来は、我が国へのクルーズ船の寄港回数はそれほど多くなかったため、クルーズ旅客の受け入れ施設は採算性の確保が困難であり、港湾管理者みずからが整備を行ってきております。

 他方で、二〇二〇年に五百万人という訪日クルーズ旅客の目標が設定されるなど、今後の訪日クルーズ旅客数の急増が見込まれております。また、各地の港を抱えている自治体からも、ぜひクルーズ船が寄港できるような港湾の整備をという御要望も非常に高くなっております。

 このため、民間事業として成立し得る場合にあって、民間事業者による旅客施設整備が促進されるように無利子貸付制度を創設しております。

 一方、民間事業として成立し得ない場合には、これまでどおり港湾管理者に対する補助制度での対応を図ってまいりたい、そういうことでいえば、選択肢をふやしたということになろうかと思っております。

 国土交通省としましては、民間事業者と港湾管理者の両輪によりまして、訪日クルーズ旅客五百万人の受け入れ環境の整備に取り組んでいきたいと思っております。

津村委員 私どもも、クルーズ旅客五百万人、大変すばらしい目標だと思いますが、与党の皆さんにぜひお聞きいただきたいんですけれども、これはやはりまだまだ不十分だと思うんですよ。

 無利子貸し付けといっても、それは国がやるのは三割です、港湾管理者が三割です。つまり、無利子貸し付けの分は融資額の六割しかないわけで、あとの四割は市中から調達するわけですから、やはり金利は発生するわけですよ、今低金利ではありますけれども。

 ですので、しっかりとここは、これだけしかまだ現在の需要がない状態であさっての話をするんじゃなくて、まずは現実的に旅客施設をふやすことで、ここの黄色い丸あたりの、今、年間十隻、二十隻が寄港しているところを五十隻、百隻にして、採算ベースに乗せていくという施策をまずやらないと、その先の貸し付けというのはあさっての話だと思いますので、これだけではまだまだ不十分だということを、私たち野党もですけれども与党の先生方もぜひ御認識いただいて、活発な御議論をいただきたいというふうに思っております。

 クルーズ振興のために、ことしから気合いを入れるということで、クルーズ振興室というのを国土交通省さん、五人の定員で新設をされた。すばらしいことだと思いますが、地方整備局での体制強化というのはどうなっていますか。

土井副大臣 クルーズ振興には、クルーズ船の寄港誘致のノウハウを蓄積し、港湾管理者や経済団体に広めるなどの取り組みが重要であります。

 御指摘のように、このため、本年四月に国の体制を充実いたしました。国土交通省本省の港湾局産業港湾課にクルーズ振興室を新設させていただき、室長以下五名を配置いたしております。

 また同時に、全国の八地方整備局のうち四地方整備局、これは東北、中国、四国、九州でございますが、クルーズ振興を専任して担当する係長を一名ずつ、計四名増員いたしております。

 こうした体制によりまして、国土交通省と港湾管理者や経済団体等が連携し、一層のクルーズ振興に取り組んでまいる環境をつくり上げてまいりたいと考えております。

津村委員 ぜひ地方と連携していただきたいと思います。と申しますのは、港湾管理者というのは地方自治体でありまして、ここが本気にならないと、国が幾ら言ってもなかなかその現場は動かないということだと思います。

 それに関連しまして、私、きょう、四つのポイントがこの法案にありますよね、それを一つ一つ検証させていただくということを申し上げていて、一点目の無利子貸し付けがあさっての話になっていないかということを申し上げたんですが、二つ目の協力団体、三つ目の情報施設も私は非常に心配をしております。

 資料五をごらんください。

 港湾協力団体という今回のスキームに先行しまして、三年前には、河川法に基づく河川協力団体、二年前には、海岸法に基づく海岸協力団体というスキームがつくられております。基本的には似たような、これから新しい公共といいますか、民間の力と公共がしっかりと連携していかないと地域の活性化ができないというその哲学はすばらしいと思うんですが、実際にここまでどういうことになっているのか。

 まず河川の方ですけれども、こちらは三年弱の成果で、今二百三十件の指定があります。一方で海岸協力団体につきましては、間もなく二年たちますけれども二件ということで、北陸だけとなっています。

 これも、いろいろな議論をさせていただきました。二つほど可能性があるといいますか、河川と海岸は何でこんなに違うんだということなんですけれども、河川につきましては、一つは歴史的な経緯がある。川の流れというのは昔は結構変わっていたわけですから、それをどういうふうに治水していくかということは、これはもう戦国大名以来の地域の課題でありまして、複数の地域の共同体が議論をするという歴史的な経緯がある。それに対して、海岸をそういった形で紛争事にするということは余りなかったので、歴史的な違いがある。

 もう一つは、上を見ていただきますと、国の管理と地方管理でいいますと、河川の方は、国が管理しているところが一定程度あるので、左下の直轄を見ていただければわかるように、ほとんどは国直轄のところで協力団体をつくっています。逆に言うと都道府県管理のところの協力団体というのは余りふえていないんですけれども、これは都道府県がやっているからだと御説明いただいています。いずれにしても、国直轄のところは進みやすいんだ、一方で、海岸線については国直轄のところが非常に少ないのでなかなか進まないんだ、そんな御説明をいただきました。その認識でいいのかということがまず一点。

 大臣、今回港湾はどうなっているかというと、国管理はないんです。先ほど申し上げましたように、港湾管理者というのは地方自治体ですから国の管理はない。そして、港というのは、これは人工物ですから、今のように港湾がしっかりと整備されるようになったのは戦後のスキームですので、もちろん明治、大正でもある程度港は整備されていたわけですけれども、いずれにしても、河川よりも海岸よりも港湾の方が歴史的にも後にあるわけです。

 ですから、私が心配していますのは、河川と海岸でこれだけ実績が違うのが歴史的な経緯と国直轄であるということの違いであるとすれば、港湾の協力団体というのはどうなっちゃうんですかということを心配しております。港湾の協力団体の指定というのはこれからしっかり進んでいく、その根拠があるとすれば何ですか。

石井国務大臣 海岸協力団体の指定数が河川協力団体の指定数に比べて大分少なくなっております。厳密な理由は、私もなかなか把握しにくいところがあるのですが、おおよそ次のようなことが考えられるのではないかというふうに思っております。

 まず一つは、河川の直轄分が多いということなのですが、河川の直轄区域というのは、主に都市部、それも大都市部、人口が集中している地域を貫流する区間が多く、また、河川はさまざまな団体に利用されている、利用されているだけではなく、水防等の団体もそれぞれの地域にあるということで、河川管理者はそういった関係団体と長年にわたって密接な関係を築いてきているということがございます。このため、三年間で国直轄管理区間においては河川協力団体の指定数が順調に伸びてきたのではないかなというふうに思われます。

 一方、海岸については、海水浴やサーフィンなど個人の自由使用が主体でありまして、関係団体が海岸管理者と直接調整を図るような機会が少ない状況にある。

 こういう背景の違いがあるのではないかなというふうに思っておりまして、海岸におきましても、各地で清掃活動や自然環境調査等が行われておりますので、海岸管理者である都道府県に対しまして指定を進めるように助言をしていきたいというふうに思っております。

 港湾については、確かに自治体が管理をしておるのですが、ただ、御承知のように、主に都市部にあるということもございまして、住民参加による地域振興の拠点であるみなとオアシス、こういったものの運営団体や、あるいはクルーズ旅客へのおもてなしをするような団体、また港湾の清掃等を行う団体などが既に数多く存在してございます。

 港湾におけるこれらの団体は、クルーズ船の誘致や地域の物産品の販売などの活動を地域の活性化のために熱意を持って自主的に行っていただいておりますので、港湾協力団体制度は港湾施設の管理等を通じた質の高いサービスを地域に提供する団体を指定するものでありますが、今活動していただいている団体が順次指定されていくものというふうに考えております。

 今後、国土交通省におきましては、港湾協力団体制度の周知、普及に努めまして、港湾管理者と港湾協力団体の連携によるきめ細やかな港湾管理を図っていきたいというふうに考えております。

津村委員 ありがとうございます。

 将来、この質疑の会議録を読まれる方は、今の港湾の協力団体、あるいは、いずれ海岸法もまた改正する時期が来ると思うんですけれども、こういう協力団体制度というものが実際地域においてどういう役割を担っているのか、ぜひ前向きな形で議論を続けていただければというふうに思います。

 続きまして、三点目の特定港湾情報施設の件ですけれども、こちらは、ちょっと時間が押してきましたので私の方で御紹介しますが、これは港湾情報提供施設を港湾施設に追加し、官民が連携して港を拠点とした地域住民の交流、観光振興を促進というふうに法案説明の資料に書かれているんですけれども、港湾施設に追加することにどんな意味があるのかなということを考えたときに、そもそもこれに該当する候補として全国に存在する施設が五十六前後だというふうに伺っています。うち民間の施設というのは十七、八だと伺っております。

 これだけの施設を、しかも指定をして、連携した拠点づくりと。別に予算がつくわけでもなくて、一体何が変わるのかなと。全国で十七しかありません。私は、ここは、大きく書かれている割にはどういう実効性があるのかなということが論点だと思っていますが、次の、より大きな論点だと思います洋上風力の方に質問を移します。

 資料の六ページ、七ページをぜひごらんいただきたいというふうに思います。

 着床式の洋上風力発電につきましては、水深五十メートル、六十メートル以下のところが適地といいますか、物理的、技術的に設置可能な海域だというふうに伺っておりますけれども、水深五十メートル以下の日本の領海のうち港湾区域が占めているシェアというのはどのぐらいなのか。

 つまり、今回は港湾区域で応援していこうということですけれども、そこが非常に狭いので、ちょっと応援するには力不足なんじゃないのか、一般海域までしっかりと洋上風力を応援するスキームを早くつくるべきではないかということが私の論なんですけれども、港湾区域の水深五十メートル以下の海域に占める割合というのをお答えください。

石井国務大臣 着床式の洋上風力発電施設が導入可能な海域を水深五十メーターより浅い海域とした場合、その面積は、これは平成二十七年九月、NEDOから出されております着床式洋上風力発電導入ガイドブックによりますと、約八万七百三十平方キロメートルであります。また、全国の港湾区域の面積の合計は約五千九百六十一平方キロメートルとなります。このため、着床式の洋上風力発電施設の導入が可能となる海域に対する港湾区域の面積の比率は約七%程度となります。

津村委員 皆さん、資料六をぜひごらんください。こちらは、洋上風力発電に適地とされるところはどこかというのが、上に、カラーで出ています。

 つまり、洋上風力ですから、風が吹いていないところだと発電できないわけですよね。風がたくさん吹いているところはどこかということです。この赤いところ、黄色いところ、色が濃いところが洋上風力の適地でありまして、ごらんのとおり、北海道と九州、そして一部、伊豆諸島あたりが適地なんだと思います。

 実際に、六ページの下をごらんいただきますと、洋上風力発電の導入実績及び計画地点というのは、北海道、青森、秋田、山形、福島、そして静岡、長崎、まさに北海道、東北、九州に集中をしているわけであります。

 一枚おめくりいただきますと、一体、港湾というのはどのくらいあるのか。皆さん御想像いただけますように、北海道あるいは東北、こういったところは余り港はないんです。経済的なものですね。もちろん小さな地方港湾はたくさんあるんですけれども。港湾区域の面積ということで見た場合、ごらんいただきましたとおり、海岸線の延長と港湾局の所管している港湾区域の海岸線の比率を割り出したものです。

 一番下を見ていただきますと、全国平均では二四・六%、海岸線のうち二四・六%は港湾区域です。しかし、七五%は港湾区域じゃない。一番洋上風力の候補地、適地とされている北海道に至っては、港湾区域が七・三%しかない。つまり、残り九三%の海岸線で、ここいいぞ、風が強いな、しかも地盤が安定しているなとなっても、そこが港湾区域でない可能性が九三%あるということであります。

 まだ洋上風力は始まったばかりですから、そういった、日本じゅうの適地を全部掘り返さなきゃいけない段階にはまだ来ていないわけですけれども、港湾区域から始めるというのは、ある意味では安易なやり方なんですが、これから洋上風力をもっともっと世界に伍する展開をしていくためには、今回の港湾区域だけの占用手続ではまだまだ力不足だということを私は申し上げたいんです。

 解決方法としては二つあると思います。

 一つは、港湾区域そのものを拡大すること。これは法律じゃありませんので、国交省さんの運用で、例えば北海道ですとか青森、長崎の港の港湾区域の指定を拡大するということは運用でできると思います。これを積極的に進められるお考えはないのかというのが一点。そしてもう一つは、一般海域についても、こうした占用手続のルールを早く決めていくべきだというのが二つ目の御提案ですけれども、大臣の御見解を伺いたいと思います。

石井国務大臣 今般、洋上風力発電等の導入ニーズを踏まえまして、港湾の機能を維持しつつ、港湾区域等の有効活用を図るため、本改正案に港湾区域等の占用者を公募により決定する制度の創設を盛り込んでいるところであります。この制度の創設によりまして、港湾機能と調和した洋上風力発電の導入が図られるというふうに思っております。

 港湾区域の拡大につきましては、港湾の一体管理の必要性等から港湾管理者において判断されるということになりますけれども、国土交通省といたしましては、その判断を踏まえ、適切に対応していきたいと考えております。

 一般海域における再生可能エネルギーの利用促進につきましては、引き続き総合海洋政策本部が中心となって必要な取り組みが進められていくものと考えております。

 なお、再生可能エネルギーのうち洋上風力発電につきましては、海洋基本計画に、先導的な取り組みとして港湾区域への導入の円滑化に取り組む旨が示されております。

 このため、まずは洋上風力発電の導入ニーズが高い港湾区域から洋上風力発電施設の導入を進め、実例やノウハウを積み上げていきたい、このように考えております。

津村委員 もう時間となりますのでこれで終わりたいと思いますけれども、大臣も、そして与党の皆さんにも申し上げたいと思いますが、私ども、今回の法案、党内手続、賛成の方向でまとめようということで議論をしております。クルーズ客五百万人、これはすばらしい目標だと思いますし、また、洋上風力発電は、これから原発依存を何とか脱していこうという中で、国策としても非常に有望な、力を入れるべき課題だと思いますので、ぜひ力を合わせて私たちも一緒に取り組ませていただきたいと思っているんです。

 やはり、今回の港湾法の施策というのは、どれも非常に課題が多いというふうに思います。一番最初に申し上げたように、五百万人の需要予測、あるいは供給サイドの準備がしっかりできているのかということは、もうことし、来年で筋道をつけないと四年間では達成できません。そして、洋上風力についても、今おっしゃったことは非常に現実的な一歩としては理解いたしますけれども、やはりこれから、北海道、そのほか、洋上風力の適地をしっかりと活用していくためには、港湾法の枠組みだけでは不十分だというふうに思います。

 大臣、ぜひリーダーシップを発揮していただいて、国策を前に進めていただきたいと思います。

 終わります。

谷委員長 次に、水戸将史君。

水戸委員 民進党の水戸将史でございます。

 三人目となるとかなりダブってまいりますけれども、今の津村委員の緻密な御質問とは打って変わって、アバウトな質問を何点かさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

 今のお話にもあったんですけれども、私も聞いていまして、ちょっとわからないというか、わかりづらいというのか、港湾協力団体に関してなんですが、もう一回お尋ねしますけれども、新たに港湾協力団体という指定をするんだ、そして、官民連携協力しながら港の管理を、より質の向上を促していこうではないかという目的があるということはよく承知をしているんですね。

 では、実際に、潜在的なことも含めてなんですけれども、指定を受けるであろう、そういう団体というか組織というのは、どの程度国交省は見込んでいらっしゃるんですか。もしわかれば、具体的にお答えください。

菊地政府参考人 お答えいたします。

 港湾協力団体として想定しております団体は、例えばクルーズ船の寄港時におもてなしのイベント等を企画、運営されている団体、あるいは、みなとオアシスに代表されるような港湾における地域の情報や観光情報の発信など、港湾を核とした地域の魅力づくりを行っておられる団体、あるいは、港湾における清掃活動、海浜環境のモニタリングに関する調査研究などを行う、こういったような団体を想定しております。

 今現在、こうした団体で私どもが把握している団体としては、約三百を超えるぐらいの団体を想定しておるところでございます。

水戸委員 もちろん三百が適正な値か、もっともっとあるかもしれませんけれども、それを掘り起こすという、これは今後の取り組みの経過かなと思っておりますが、こういう団体、今、有象無象いらっしゃるという話の中で、実際にそういう団体を協力団体として登録するというか指定をするというんですか、そうなれば、港湾を占用する手続が非常に煩雑であるから、かなり手続が簡略化するというような話がありますが、実際、今、現状において煩雑さがあるのか、その指定を受けることによって煩雑さがどの程度緩和されるのかについては、具体的にどうなるんですか。

菊地政府参考人 お答えいたします。

 港湾協力団体の指定を受けた場合には、その業務のために港湾区域の占用を行う場合につきまして、港湾管理者との協議の成立をもって許可を受けたものとみなすという特例措置を受けることができます。

 例えば、港湾の区域におきまして、カッターレース、ボートのレースなどを定期的に実施されておられるような団体がございます。こうした年間の活動計画につきまして港湾管理者と協議が成立するということであれば、その後の占用の手続については、この協議をもって許可を受けたものとみなされるということで、手続の大幅な簡素化が図られるというふうに考えております。

 このほかにも、国土交通相あるいは港湾管理者から、この活動に必要な情報の提供であるとか、あるいは助言を受けるといったような具体的なメリットもございます。

水戸委員 この法改正的な話を聞いたとき、ぱっと私の頭に思い浮かんだのは、私の地元は横浜市でありますが、私の地元に岡津太鼓さんという太鼓のグループがあるんですね。

 この岡津太鼓さんは、毎回、海外からクルーズ船が来るとき、横浜港湾局から電話がかかってきまして、実際に、そういうクルーズ船が来るから太鼓をたたいて出迎えてくれとか、太鼓をたたいて見送ってくれということで、頻繁に電話がかかってくるというわけで、横浜市さんの港湾管理者の要請を受けてそちらの方に行くという話なんですね。

 もちろん、お足代ぐらいはいただきますよ。そういう形で横浜市さんに協力をして、おもてなしをしている。海外から来る観光客に対してそういう活動をしているんですね。

 このグループはもう既にやっているし、では、改めて港湾協力団体に登録の許可を得てした方がいいのか。今までは別に手続の煩雑さもないし、横浜市の管理者が一応オーダーに基づいてやっているからこそ、ましてや、ある程度のお足代もいただいている。

 今回の法改正でも金銭的な支援はないよという話になってきた場合、逆にこの金銭を切られてしまうのかなというような話もありますものですから、こういうことについて国交省はどのような対応をされるというか、こういう具体的なことについてはどういうコメントを出されるか、ちょっと御提示いただきたいと思います。

菊地政府参考人 お答えいたします。

 港湾協力団体制度は、港湾管理者に協力して港湾施設の管理など、港湾に関する情報収集、提供、調査業務等の業務を適正かつ確実に行うことができると認められる団体につきまして、指定を行うものでございます。

 ただいま御指摘ございましたような、港湾協力団体に指定されると助成金を受けられなくなるというような、まさに、港湾協力団体の指定と助成金を受けられるかどうかということについては全く関係はございません。

水戸委員 では、結局は、港湾管理者のさじかげんというか、あとは港湾管理者の裁量によって、そういう団体に対して金銭的な支援をしてもしなくても、それは国交省はあずかり知らぬ、あくまでも港湾管理者に任せる、そういう意味ですか。

菊地政府参考人 お答えいたします。

 今般の港湾協力団体につきましては、港湾におけるさまざまな利用者へのサービスであるとか、港湾管理をよりきめ細かく行っていこうという趣旨で、港湾管理者と協力してこうした業務を行う団体を港湾協力団体として指定するということを想定してございます。

 こうした趣旨から、港湾管理者と一緒になって港湾のにぎわいをつくるであるとか、こうした取り組みを行っていただく団体が指定されていくものと思っておりますし、そうした団体と港湾管理者で、これまで以上によりきめ細かなサービスが提供されるというふうに考えてございます。

水戸委員 ですから、余りここにこだわりたくないんですけれども、別にお金の話ばかりじゃないんですが、結局、後の具体的なフォローとかケアについては港湾管理者と協力団体がうまく連携して、あと何か経費がかかる場合は港湾管理者がある程度、一定の工面をするとか、そういう意味ですね。

 もう一回、そこら辺はちょっと微妙な話なものですから、よろしくお願いします。

菊地政府参考人 まさに、今委員御指摘のように、港湾管理者と港湾協力団体との間でしっかりと連携をとっていただいて、今御指摘のような点も含めて適切に対応していただけるものと考えてございます。

水戸委員 それを聞いて安心しました。

 それで、港湾協力団体を指定する際においても、いろいろな団体があるからこそ、そんなことはないと思いますけれども、いかがわしいというか、悪意を持ってそれに参画しよう、そういう者が仮にあるとした場合、いわばフィルター等々含めて、何でもかんでも、何というんですか、有志で支援をするという目的で港湾協力団体に登録する、指定を受けるという人ばかり、そういう団体ばかりじゃないということもある程度想定をしなきゃいけないということもあり得るかもしれませんが、このフィルター、港湾協力団体を指定する際のいわゆる基準というんですか、それはどういう形でされるわけですか。

菊地政府参考人 お答えいたします。

 港湾協力団体の指定の申請があった場合に、港湾管理者は、港湾協力団体としての活動を適正かつ確実に実施できる法人や団体であるかどうかにつきまして審査を行うこととしております。

 具体の審査の基準につきましては港湾管理者において適切に定められるべきところでございますが、国土交通省におきましては、制度の円滑な運用が図られるよう、港湾管理者に対しましてガイドラインを示すことにより技術的な助言を行ってまいりたいというふうに考えてございます。

水戸委員 これはないにこしたことはありませんから、ぜひ適正な形でその申請を審査するということを含めて、よりいい協力環境を構築していただくことを強く要望し、期待をさせていただきたいと思っております。

 次に、クルーズ船の話、これも既にお二方からも御質問がありましたけれども、大臣、津村委員の話も踏まえてなんですけれども、もちろん、二〇二〇年に向けて五百万という一つの大きな数字もあります。現在におきましても、五年前倒しをして、外国人の受け入れ百万人を達成することができました。この成果というんですか、この要因につきまして、大臣は、過去の経過の中で、これからの展望もありますけれども、これだけ前倒しをして実現できたことに関してはどのような形で評価されていますか。

石井国務大臣 クルーズ船の寄港は、観光立国を掲げる我が国にとっては極めて重要であります。クルーズ船が寄港することによりまして、寄港地に観光の消費や、またにぎわいをもたらすということで、地方創生の観点でも大きな期待が持たれているところでございます。

 こうした状況を受けまして、訪日クルーズ旅客数を二〇二〇年に五百万人とする新たな目標が掲げられたところでございます。

水戸委員 見込みよりも五年も前倒しということは非常に喜ばしい話でございますから、これはこれとしていいんですけれども、これからの展望で、同じような形で上向けばいいという、もちろん悲観をする必要はありませんけれども、余り楽観的に構えても、先ほど津村委員からも指摘したように、やはりそういうことも想定をしながら物事は進めていく必要があると私も思っているんですよ。

 実際に具体的な数値でちょっとお話をいただきたいんですけれども、ここに至るまでのクルーズ船の入港、国別、どのような国々がこうした形で寄与してきているのかということなんですね。これについては、今国交省はどう分析されていますか。

菊地政府参考人 お答えいたします。

 我が国へのクルーズ船の寄港回数は、外国船社、日本船社が運航するものの合計で、二〇一三年に千一回であったところ、二〇一五年に千四百五十二回まで増加しております。

 これは、外国船社が運航するクルーズ船の寄港の増加によるもので、二〇一三年に三百七十三回であったところ、二〇一四年には六百五十三回、二〇一五年には九百六十五回へと急増しております。

 また、日本船社が運航するクルーズ船の寄港回数につきましては、二〇一三年に六百二十八回、二〇一四年に五百五十一回、二〇一五年が四百八十七回となっております。

 また、出発国で見ますと、外国船社によるものの多くが中国発となってございまして、クルーズ船により訪日する外国人全体の約八割が中国発というふうになっております。日本船社によるものは、ほぼ全て我が国発ということでございます。

水戸委員 中国が非常にメーンである、中国のお客様の日本に対するこうしたアプローチの結果、日本に対してこれだけ寄与しているということがよくわかりました。

 結局、そうなったとき、先ほどの話もありましたけれども、クルーズ船の受け入れの施設、無利子貸し付けという話になります。今回の法改正の一つのメーンテーマでありますけれども、今までの経過をたどって、国別で見ても中国が圧倒的に多い、八割が中国だというふうになるならば、恐らく国交省も、今後、民間資本がここに参入をしてくるであろうという、こういう施設をつくる、そこに無利子貸し付けを行うわけでありますけれども、大体場所的にどこら辺がこういうような民間参入をしてくる可能性があるかなということを見込んでいらっしゃいますか。

石井国務大臣 今般の旅客施設の整備等への無利子資金貸付制度は、民間の知見とノウハウを活用し、質の高いサービスを旅客に提供できるよう、民間事業者による整備及び運営を促すものであります。

 対象となる港湾でありますが、国際戦略港湾、国際拠点港湾及び重要港湾の全国百二十五港となります。

 本制度の活用には一定の需要が見込まれることが条件となりますけれども、先ほど申し上げたように、政府としても、訪日クルーズ旅客五百万人との想定、想定といいますか目標を掲げておりまして、今後、地方の港湾での需要はふえるというふうに考えております。

 このため、国土交通省におきましては、各港における訪日クルーズ旅客需要を適切に見きわめつつ、民間事業者による旅客施設の整備が促進されるよう取り組んでいきたいと思っております。

水戸委員 もちろん、大臣の答弁からして、全国的な形でこれを広げ、拡充していくということはよくわかるんですよ。

 しかし、そうはいうものの、やはり中国がある程度の大切な大切なメーンのゲストということになれば、先ほど、無利子貸し付けにつきましても、いわゆる港湾管理者に対する補助もあるけれども、民間資本に対して、民間のそういう企業に対しても支援をしていくという、選択肢をふやすんだという話もありました。実際、先ほど言ったように、五百万人を目指すということの中において、やはり今後、ではどういうお客さん、国別等々含めて、これから日本の戦略としてどういう人たちを引きつけていくのかということもありますよね。

 実際は、今は八割が中国人だという話になる。ですから、恐らくこれから、仮に私が想定するに、この施設は、無利子貸し付けを受けて民間企業が進出すると、やはり中国側から近いそうした港湾に、例えば九州地域、日本海側地域、また沖縄はさはさりながらも、いわゆる中国側から向いているそうした側の方に多くの多くのそうした希望がふえるのではないかと私は想定しているんですね。

 しかし、さはさりながらも、やはり中国だっていつまでこの景気が続くかどうかわからないという昨今でありますからこそ、果たしてこういう中国頼みでいいのかなという気もするんですね。

 大臣、もう一回、大臣のお気持ちの中で、今後の戦略という形の中で捉えていくならば、いわゆる無利子貸し付けについて、適正な場所とか今後の見込みについて、大臣御自身はこれを今後どのような形で描いていかれるおつもりですか。

石井国務大臣 現状は中国発が非常に多いものですから、西日本、特に九州に非常に集中的に寄港しているという状況でございますけれども、これをなるべく全国的に拡充していくということがやはり重要な課題であるというふうに思っております。

 先日、外航クルーズ船を運航している会社の社長さんが訪問されてきまして、お話をいたしました。今、東アジア地域においてクルーズという文化を定着させようとしている、順次、日本各地の港に寄港していくということも考えているんだ、そんなこともおっしゃっておりましたので、私は、そういう各地に寄港していただく可能性も十分ある、それをやはり追求していきたいというふうに思っております。

水戸委員 私もそうあっていただきたいと願っている一人でありますから、もちろん中国から来やすい場所ばかりではなくて太平洋側も含めてなんですけれども、もちろん中国人のみならず東南アジア系の方々とか、そもそも欧米諸国の方々、そういう方たちが、本当により多くの外国人のクルーズ観光客が日本に押し寄せてくることを期待しているわけでありますが、もちろん戦略的にもっともっときめ細かな形でやっていただくことを強く要望したいと思っています。

 時間がありませんので、先ほど若干大臣も触れていただきましたけれども、私は横浜でありますから、横浜港、いわゆる国際戦略港湾というのは、まさにクルーズ船も増加を見込む必要もありますけれども、そもそも民主党政権下において国際戦略港湾というものを立ち上げて進めてきた経過がありましたけれども、これについて今どうなっているのかということも、若干時間がありますものですから、やはり非常に私の関心事の一つでありますから、これについてお聞きしたいんですけれども。

 やはり、こうして国際戦略港湾という形で立ち上げて、今いろいろな形で集中的に、京浜港、阪神港、二つの港湾を指定して戦略的に進めていくんだという話になっております。しかし、さはさりながらも、残念ながら、やはり押され押されているんですね、状況的には。

 この国際戦略港湾、例えば一つの事例として韓国の釜山港、いろいろな意味で、今、後塵を拝しているんじゃないかということが懸念をされておりますけれども、現在、今までの過去の経過を含めて、この国際戦略港湾の競争性についてどのような御認識でしょうか。

石井国務大臣 現在、コンテナ貨物量が世界トップの上海港に代表されるように、それから、今委員から釜山港の御指摘もございましたが、アジアの主要港は地域の高い経済成長を背景にその取扱貨物量を大きく増加させておりまして、残念ながら、我が国港湾の地位は相対的に低下をしております。

 また、コスト面につきましても、例えば釜山港は我が国よりも低廉なコストを実現して貨物の集約を推し進めている状況でございます。

 このため、我が国港湾に寄港する基幹航路の便数も減少傾向にありまして、大変厳しい状況でございます。

 一方、世界のコンテナ港湾の生産性のランキングでは横浜港が第一位となるなど、我が国の港湾で提供されているサービスは高い競争力を持っている、このように考えております。

 国土交通省といたしましては、こうした我が国の港湾の強みを踏まえつつ、国際コンテナ戦略港湾政策をしっかりと推進することによりまして、基幹航路の維持拡大を図っていきたいというふうに考えております。

水戸委員 今の大臣のお話なども、いろいろなポイントをちりばめているものでありますので、ちょっと具体的にお話をしていただきたいんですけれども。

 確かに、他の国の港湾と比べて横浜港等々のお話をいただきました、私の地元の港でありますけれども、しかし、いずれにいたしましても、上海港や釜山港、いわゆる日本の近隣の世界をもはや代表するような港湾となっているわけでありますが、国家戦略としてこういう港湾が今まで建設をされてまいりました。この港湾に比べて、日本の戦略港湾は、物流コストの面やリードタイムの短縮の面も含めてなんですけれども、やはり非常に限界が我が国日本はあるんじゃないか。

 コスト面とかそういう時間的なリードタイム等々を含めて、こういうことで競争しても、もはや太刀打ちできないところまで来ているんじゃないかということに関しては、今当局はどのような御見識でしょうか。

菊地政府参考人 お答えいたします。

 国際コンテナ戦略港湾政策では、公設民営の考え方に基づきまして、国際コンテナ戦略港湾の岸壁、荷さばき地等の国有港湾施設を低廉な料金で港湾運営会社に貸し付けることによりまして、コストの低減に努めてございます。

 この結果、例えば阪神港におきましては、港湾運営会社の設立に伴い、二〇〇二年と比較いたしましてユーザーへのターミナル貸付料が約五〇%減額になっているというふうに伺っております。こうした取り組みを進めることによりまして、さらなるコストの削減に努めてまいります。

 さらに、地方の港湾から釜山港を経由して欧米向けに輸送されている貨物を国際コンテナ戦略港湾利用に転換することを目的といたしまして、国際戦略港湾競争力強化対策事業を創設いたしまして、港湾運営会社が事業を実施しているところでございます。

 この取り組みによりまして、阪神港におきましては、西日本の諸港と阪神港を結ぶ国際フィーダー航路の寄港便数が約四割増加をいたしまして、平成二十六年度は約十三万TEUを集貨したところでございます。

 今後とも、このような政策を総動員することによりまして、地方の港湾から釜山港に流れている貨物の国際コンテナ戦略港湾への転換を図ってまいりたいと考えております。

水戸委員 でも、いろいろなお気持ちがあって、いろいろな耳ざわりのいいことをおっしゃっていただくんですけれども、しかし、実態的に、やはり現場の話を聞くと、本当に深刻の度合いを増しているんじゃないかという思いになってしまうんですね。

 例えば、今若干お話がありましたけれども、積み荷のトランシップ。もちろん、日本国内の地方港湾から直接釜山港に運ばれる荷が多いんですね。我々自身、戦略港湾といたしましては、横浜港やまた神戸港を含めて、京浜港や阪神港に地方の荷物をこちらにトランシップしてもらって運んでもらって、そこから大きなコンテナ船に積んでまた海外へと輸出をするというようなことが好ましいとしているにもかかわらず、なかなかそうはならない。もちろん、物流コストの問題もありますから、そうならないという限界があります。

 そもそも、そうはいうものの、いわゆる地方港からの荷物もさはさりながら、やはり戦略港湾からのトランシップもかなり多いんですね。結局、いわゆる戦略港湾が直接海外に持っていくんじゃなくて、戦略港湾の荷を釜山港を経由してそこからまた外へ持っていく、こういう傾向に拍車がかかっているんじゃないかという話もありますけれども、これでは、言っていることとやっていることにかなりギャップがあると言わざるを得ないんですが、これについてはどうでしょうか。

菊地政府参考人 お答えいたします。

 釜山港におけるトランシップについてのお尋ねでございます。

 ただいま委員の方から御指摘がございましたように、地方港からのトランシップに加えて、戦略港湾からのトランシップも多いという点でございます。京浜港あるいは阪神港からも一定の量は釜山港でトランシップされているのは現状でございます。

 これにつきましては、京浜港、阪神港における基幹航路のサービスレベル、こういったものとの関連で、何がしかの量について釜山港でのトランシップが行われているというふうに考えております。

水戸委員 ですから、今後の港湾政策、戦略を考えていくならば、もちろんこれからの可能性をあくまでも追求していく必要はありますよ、諦める必要はないんですけれども、しかし、やはり自分たちの置かれている状況をちゃんと踏まえた上でやっていく必要があるんです。

 もちろん、集貨、創貨という形で、この戦略港湾に、京浜港や阪神港に対してこれを集約していこう、荷物をいっぱい集めて、そして送り出していこうということはいいんですけれども、そういう形で民間の知恵とか人材を使って民間の企業を立ち上げてやっていくことはいいんですけれども、そういう中でも、政策を進めることもさはさりながら、京浜港、阪神港、そして釜山や中国のトランシップを使っている地方港湾という地域性を考慮した上で、やはりそれぞれに応じた港湾の政策を使い分ける必要があるんじゃないかなと。

 戦略港湾の行うべき使命と地方港湾のあり方というものも含めて、やはりもうちょっと使い分けをして、日本全体の港湾というものを考えた方がいいんじゃないかという意見があるんですけれども、これについてはいかがでしょうか。

菊地政府参考人 お答えいたします。

 我が国の経済活動を支えるという観点では、基幹航路の維持というのは大変重要な課題だというふうに考えてございます。このために、京浜港、阪神港を国際コンテナ戦略港湾に指定をし、この両港に東日本、西日本それぞれから集貨をし、基幹航路の維持拡大を図ろうというふうに考えてございます。

 一方、地方の港湾におきましても、地域の基幹産業を支えるという重要な役割を担ってございます。そういった意味で、それぞれその地方の港湾が担っている役割についてもしっかりと果たせるような機能の確保というのを進めていく必要があると考えております。

水戸委員 これは一筋縄にいくような話じゃありませんし、本当に今までもいろいろ腐心しながらやってきた経過がありますから、具体的にはこれがベストであるという選択肢はないにしろ、やはりいろいろな形で試行錯誤、模索をしていく必要があると思っているんですね。

 本当に、我が国はある意味、生き残りですよ。発展というよりも、もっともっと、悲痛な思いも含めてなんですけれども、生き残り戦略として、この港湾ですよ、やはりいろいろな形で、若干先ほど大臣も触れましたけれども、サービス面では日本は世界に冠たるものがあるという話もいただきました。だからこそ、やはり成長著しいアジア向けの、そうした高品質のものを短時間に届ける、そういうサービスに特化して、外国の港との差別化も図る必要があるんじゃないかという、そうした意見も私もよく伺います。

 ですから、こういうことを含めて、我が国日本の、戦略港湾も含めてでありますけれども、やはり港湾全体の役割は何なのかということにもう一度立ち返ってもらって、そして今後明確なビジョンをもう一回指し示していく必要があるんじゃないかと思います。

 この港湾戦略、港湾政策について、大臣、もう一度、先ほどのお話も踏まえた上で、どういう形で生き残り戦略を我々自身は目指していくのかということについてお答えいただきたいと思います。

石井国務大臣 今委員から、アジア向けも重視すべきじゃないかというお話がございました。

 アジア地域におきましては、今後も高い経済成長が見込まれており、我が国企業による製造拠点や物流拠点の整備も進んでおりますので、アジア航路の充実に向けた取り組みも進めてまいりたいというふうに考えております。

 また、国際コンテナ戦略港湾について、やはり海外の港湾との差別化を図っていくということが重要というふうに思っております。日本の輸出入貿易額のシェアは世界四位でありまして、我が国の港湾は、こうした貿易の状況を反映して自国貨物を豊富に有しているということが強みであるというふうに考えております。

 また、TPPが大筋合意されまして、今後、アジア太平洋地域の貿易の増加も見込まれることから、我が国の地理的優位性を生かした、特に北米との貿易がさらに活性化していくだろうということを考えますと、アジアにおける東側のゲートウエー機能も高まっていくものと考えております。

 国土交通省といたしましては、こうした我が国の港湾の強みを生かしまして他国の港湾との差別化を進め、基幹航路の維持拡大を図ることで、我が国経済の国際競争力強化に貢献をしてまいりたいというふうに考えております。

水戸委員 その取り組みについてこれからも見守っていきたいと思っています。よろしくお願いします。

 ありがとうございました。

谷委員長 次に、横山博幸君。

横山委員 引き続いて、民進党の横山です。

 質問をさせていただきますけれども、きのう申し上げましたとおり、国交大臣には地震対策という大変なお仕事が残っておると思いますので、私の三十分間の質問の中には大臣に答弁を求めませんので、もし必要であれば離席をしていただいて結構でございます。

 それでは、質問をさせていただきます。

 先ほどからの質問をお聞きしておりますと、法改正の論点は三点しかありませんので重複をしているところがかなりあると思いますけれども、ぜひ真摯にお答えを願いたいと思います。

 まず、無利子貸付制度の対象施設についてお聞きします。

 クルーズ旅客施設を追加するということでございますけれども、これまでクルーズの旅客施設の整備また運営は非常に事業採算性が低いということで、民間企業の参入が非常にしにくいという部門でもありましたけれども、その点について国交省としてどのようにお考えになっているのか、お聞かせいただきたいと思います。

菊地政府参考人 お答えいたします。

 これまでのクルーズの寄港状況につきましては、例えば昨年につきまして、外国の船社が所有するクルーズ船の寄港回数は九百六十五回でございまして、訪日クルーズ旅客数は百十一・六万人ということでありましたが、二年前の二〇一三年には、寄港回数がわずか三百七十三回、旅客数は十七万四千人というような状況になってございます。

 二〇一三年以前のクルーズの寄港回数についても同様の傾向でございますので、やはりこれまでは旅客の需要が大変少なく、旅客施設の整備、運営を民間事業として実施するには採算性が極めて低かったものと認識しております。

横山委員 ありがとうございます。

 要因が旅客数が少ないということで、次の質問に移りますけれども、今現在の旅客数というのは、先ほどから質問が出て、また答弁もされておりますけれども、中国を主体とした訪日の旅行者が多いということでございますけれども、中国だけを主力の顧客対象にしておりますと、これからいろいろな経済の変動もあり、長期的に見れば非常に不安定要素が高いのではないかと思います。

 一方、民間事業者は、例えば金融機関から借り入れをする場合に、ほぼ二十年の事業計画を立てて、その事業計画に基づいて事業を行っていく、こういう考え方に基づいていると思いますけれども、そういった長期で考えたときに、中国だけをターゲットにするという考え方でいいのかどうか、若干私は不安を感じるわけでございますけれども、この点について答弁を求めたいと思います。

菊地政府参考人 お答えいたします。

 我が国にクルーズで訪れる旅客につきましては、おおむね八割程度が中国からのお客様ということになってございますが、これは、アジアにおけるクルーズマーケットが非常に急激に拡大している、その中で中国が主なターゲットになっているということであろうと思います。

 他方で、欧米系のクルーズのお客様も日本に入ってきておりまして、こちらも増加傾向にございます。中国のみをターゲットとするということではなく、急増するアジアのクルーズマーケット、こうしたものをしっかりと日本で取り込むということが重要であるというふうに考えております。

横山委員 今、欧米系の入国者も多いということですけれども、ちなみに、わかれば、中国に対して欧米の比率はどの程度でありますか。

菊地政府参考人 お答えいたします。

 ただいま具体の数字を持ち合わせておりませんけれども、中国と台湾を合わせて約九割を超える水準でございますので、欧米系については一割以下というような水準になっているというふうに想定してございます。

横山委員 ぜひ、一割を二割、三割と伸ばす施策もとっていただきたいと思います。

 次に、先ほど津村議員から詳細なデータを出していただきましたけれども、年に十回以下の寄港しかない港がかなりあります。これは今回の措置の対象になりにくいと思われますが、無利子貸し付けによるクルーズ旅客施設の設置が見込まれる、これは全国的なベースで考えていただいて、どのような港を想定しているのか。先ほど図示をしていただいて、ある程度の方向性はわかりましたけれども、この点について、全国的なレベルでの観点を土井副大臣にお聞きしたいと思います。

土井副大臣 先ほど大臣からも御答弁ありましたように、対象となる港湾につきましては、法律上、国際戦略港湾、国際拠点港湾及び重要港湾の全国百二十五港となりますが、本制度の活用につきましては、民間事業者の採算性が必要となりますので、一定の需要が見込まれる港湾が対象となるものと考えております。

横山委員 答弁ありがとうございます。

 今一定の需要があるというのは、具体的にどういった観点で見られておりますか。

土井副大臣 無利子貸付制度によりまして、質の高いサービスを旅客に提供できるように民間事業による整備を促すものでありますから、その整備によりまして、その港湾がしっかりと経済活動ができる環境になるということだと私は思っております。

横山委員 ありがとうございます。

 少し視点は変わりますけれども、今、海外から入ってくるクルーズについてお尋ねしてまいりましたけれども、一方、日本国籍のクルーズというのは非常に少ないと思います。日本郵船の飛鳥があるんでしょうか。

 この関係、日本船籍によるクルーズの現状と、それからその振興に向けた、一方、海外の方に出かけていかれると思いますけれども、双方向で考えたときに、この点についても少し質問をさせていただきたいと思いますけれども、御答弁をお願いしたいと思います。

坂下政府参考人 お答えいたします。

 日本籍船によりますクルーズにつきましては、現在、日本の船会社三社がそれぞれ一隻ずつ、いわゆるラグジュアリークラスの船を運航し、日本発着の旅客を対象として、日本の特色を生かした国内の周遊クルーズ、あるいは数週間から数カ月かけて海外をめぐります長期外航クルーズを実施しております。

 近年、外国の船会社が運航するクルーズ船で来訪する訪日客が急増しておりますけれども、日本籍船によるクルーズも人気が高まっております。二〇一五年の乗客数でございますけれども、九万六千百三十六人でございまして、二〇一一年の八万二千五百九十九人から約一六%の増加を見せているという状況でございます。

 国土交通省としましても、引き続き、関係団体と連携をいたしまして、日本のクルーズ市場の拡大に貢献したクルーズ会社の表彰制度、クルーズ・オブ・ザ・イヤーと言っておりますけれども、こういった制度を通じて、良質なクルーズ商品の開発を促進いたしますほか、訪日クルーズの市場として有望なASEANにおけるプロモーションを強化して、我が国のクルーズ市場拡大に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

    〔委員長退席、秋元委員長代理着席〕

横山委員 ありがとうございます。

 先ほど、国交大臣からも答弁がありましたけれども、日本各地の港に海外から寄港していただくことでクルーズ文化を醸成したいということでございましたけれども、国内でもそこの関連づけをして、クルーズ文化というものをつくっていただくという方向性でぜひお願いしたいというふうに思います。

 続きまして、入国審査についてお伺いしたいと思います。

 これは、たくさんの方々が海外から入ってこられて、いろいろチェック機能も含めて大変だと思いますけれども、各港に旅客施設が整備された場合は、入国審査場が公的施設に入居する可能性があるというふうに思いますけれども、できるだけ入国時にスムーズに審査をされて、国内の消費活動が長くなるように入国手続の迅速化というのが求められると思いますけれども、この点について問題は生じないのかということも含めて見解をお聞かせいただきたいと思います。

菊地政府参考人 お答えいたします。

 民間事業者がクルーズ旅客施設の建設を行う場合には、一般的には、その施設の設計段階から港湾管理者や関係省庁と十分に協議した上で整備されることになってございます。

 その際には、クルーズ旅客の入国手続の迅速化の観点から、適切な規模やレイアウトとなるよう協議することとなりますので、特に問題は生じないというふうに考えております。

横山委員 ありがとうございます。

 ぜひスムーズに入国できるように取り計らいをしていただきたいと思います。

 続きまして、最近日本に入ってくる中国の船を含めて大変大型化している。平均でどのくらいの人数が一度に一隻で来られるかも含めてお答え願いたいと思いますけれども、たくさんの方が一気に来られると、受け入れ側で、船からおりて、そこから観光をするわけでございますけれども、バスの問題、それから交通体系の問題も含めて、これは大きな問題になると思います。

 一方で、国交省は、バス事故を踏まえて、バスの許認可についての制限をしていくという考え方がございます。今までは五台以上のバスを持っていれば許可が受けられるというのを、台数をふやしていくことによって、恐らく初期投資が高くなって新規参入が少なくなるということも踏まえると、受け入れた後のバスの問題、交通機関の問題で、これは一つ大きな課題ができるんじゃないかというふうに思いますけれども、この問題について少し見解をお聞かせいただきたいと思います。

菊地政府参考人 お答えいたします。

 ただいま委員の御指摘にございました大型クルーズ船につきましては、日本に入ってきております最大の船でありますと定員が四千百八十人、実際には四千八百人ぐらいのお客様が乗ってこられているという状況にございます。

 こうした日本に寄港するクルーズ船の大型化に伴いまして、観光バスの不足や、あるいは人気観光地周辺での渋滞などの課題が生じているということは認識してございます。

 課題の解決に向けまして、観光バスにつきましては、安全確保を前提とした営業区域の拡大による供給量の確保、またショットガン方式の実施など、駐車場スペースや待機場所の確保といった取り組みを地方自治体あるいは関係団体等と連携し、推進しているところでございます。

 また、寄港地におきましては、官民の関係者から成る地域協議会を活用いたしまして、こうした諸課題の解決や、また新たなクルーズビジネスの確立などを進めてまいりたいと考えております。

横山委員 ありがとうございます。

 今、地域協議会ということを言われましたけれども、地域協議会というのは地方自治体が加わった協議会でしょうか。地方自治体が加わって、バスの協会とか十分連携をとって対応されることが必要だと思いますので、その点をちょっとお聞かせいただきたいと思います。

菊地政府参考人 地域協議会につきましては、港湾管理者あるいは関係の団体等々、クルーズに関連するさまざまな関係者でもって組織されるということを想定してございます。

横山委員 先ほど申し上げましたけれども、ぜひ港湾の自治体とも十分連携をとっていただきたいというふうに思います。自治体と地元のバスの協会とか港湾の関係者というのは日ごろから十分に連携ができておりますから、自治体に入っていただく方がスムーズにいくというふうに考えておりますので、ぜひ御検討いただきたいというふうに思います。

 続きまして、今回の法改正で、港湾協力団体という団体名が出ております。この港湾協力団体というのは、通常、港湾管理者がNPO、非営利団体を指定する。あるいは一方、非営利団体だけでなくて営利団体も含めてこの港湾協力団体に指定するのか、また指定するときの懸念材料はないのかどうか、お答えをいただきたいと思います。

菊地政府参考人 お答えいたします。

 港湾協力団体には、港湾管理者と連携協力をいたしまして、地域に根差した活動やきめ細やかなサービスの提供がなされることを期待しております。

 このため、港湾協力団体の指定の候補といたしましては、営利団体か否かにかかわらず、これまで港湾における自主的な活動を行っていただいているNPO、企業、あるいは自治会、町内会、ボランティア団体など、幅広く想定しているところでございます。

 また、港湾協力団体の指定に当たりましては、港湾協力団体としての活動を適正かつ確実に実施できる法人や団体であるかどうかということを審査することになります。

 国土交通省といたしましては、指定の際に懸念が生じないよう、審査基準の例といたしまして、例えば経理が適切に行われているか、あるいは反社会的な団体ではないかなどのガイドラインを示すことで、制度の適切な運用に努めてまいりたいと考えております。

    〔秋元委員長代理退席、委員長着席〕

横山委員 ありがとうございます。

 かなり幅広い方々の参加を認めるということで、一方、その方々でいろいろな協議をしながら進めるということになれば地域コミュニケーションも十分図れると思いますので、ぜひそういう方向性で進めていただきたいというふうに思います。

 引き続きまして、港湾の情報提供施設を港湾施設に追加して、官民が連携をして港を拠点とした地域住民の交流、先ほども申し上げましたけれども、地域コミュニティー、観光振興を促進するということでございますけれども、この施設の追加によって具体的にどのような活動が予測されて、どのようなことを期待されておるのか、お答えをいただきたいと思います。

菊地政府参考人 お答えいたします。

 港湾情報提供施設は、港湾の利用者に対しまして必要な情報を提供するための施設でございます。具体的には、港湾施設や地域の観光地への交通アクセスなどの情報を提供するための案内施設であるとか、あるいは港湾内の施設の配置や稼働状況を一望できる見学施設など、こうしたものがございます。

 これらの施設を港湾施設に追加いたしまして、施設の適正な整備や管理を促進することによりまして、近年急増しておりますクルーズ旅客に対する情報提供の充実、ポートセールス活動の促進等に寄与するものと考えております。

横山委員 ありがとうございます。

 続きまして、もう一点、もう一方の洋上風力発電についてお聞かせいただきたいと思います。

 今回、港湾区域内の水域を占用する洋上風力発電施設の設置に関して手続を創設するということでございますけれども、今電力の問題については非常に関心を持たれておるところでございまして、この方向性について賛同するものでございます。余り、日本ではまだ進んでいないのではないかと思いますけれども、海外、恐らくヨーロッパでかなり進んでいる事業だと思います。

 参考までに、海外における洋上風力発電の導入量はどのくらいで、日本と比べてどうなのか、この点をお聞かせいただきたいということと、港湾区域における洋上発電の設置適地は大体どのような港にどの程度存在しているのか、予測をお聞かせいただきたいと思います。

菊地政府参考人 お答えいたします。

 欧米諸国におきましては、遠浅な地形を利用いたしまして、沖合に大規模な洋上風力発電が導入をされております。

 例えば、二〇一四年時点におきましては、イギリスでは約四百五十万キロワット、デンマークでは約百三十万キロワット、ドイツでは約百五万キロワットが既に導入をされております。一方、我が国の洋上風力発電導入量につきましては、二〇一五年時点におきまして約五万キロワット程度となってございます。

 我が国の港湾区域における洋上風力発電の設置適地としては、既に港湾計画に導入区域を位置づけている稚内港、石狩湾新港、むつ小川原港、能代港、秋田港、鹿島港、御前崎港、北九州港の八港がございまして、この八港の導入区域の面積を合計いたしますと約五千六百ヘクタールとなります。その導入の電力量といたしましては、約百万キロワットの導入量が想定されているところでございます。

横山委員 ありがとうございます。

 今答弁の中で、ヨーロッパは比較的浅い海域で事業を組み立てておられるということで、コストが比較的低いと思うんですね。しかし、日本の場合、日本の港湾の外側でこの事業を行うとなると、当然、深さはかなり深いわけですね。港湾ですから、大型船が入ってくるところが多いでしょうから、当然、海の深さが深いところにある。ということは、想定で、海底の工事にかなりのコストがかかるということになると思います。

 そういったかなり高いコストをかけて、一体、事業採算性が合うのかどうかということを含めて、公募のときにある程度の条件をつけられて、理解していただいた上で公募に応じていただく必要もあると思いますけれども、公募に当たって、どのような手続で、どのような基準をお持ちになっておられるのか、そして事業者をどのような基準で選んでいかれるのか、この点についてお聞かせいただきたいと思います。

菊地政府参考人 お答えいたします。

 港湾管理者が港湾区域内の水域等を占用する者について公募を行うに際しまして、対象となる施設、占用の区域、占用の開始の時期、認定の有効期間、認定のための評価の基準等を記載した公募占用指針を定めることとしてございます。

 事業者は、公募に参加するため、占用の目的、区域、工事の施設の構造、維持管理の方法あるいは撤去の方法、資金計画等について記載をした公募占用計画を提出いたします。

 港湾管理者は、事業者から提出された公募占用計画につきまして、公募占用指針に照らして適切であるか等、基準への適合について審査をいたします。

 基準に適合している者のうち、公募占用指針に定める評価基準に従いまして、最も適切な者を総合評価により選定することとしてございます。

 評価の基準につきましては、事業者の技術力や事業の採算性等の項目につきまして、港湾管理者が個々の港湾や地域の実情に照らして設定することとなってございます。

横山委員 ありがとうございます。

 それでは、洋上風力発電導入に当たっての財政的、特に税制的な支援措置ですね。

 今現在、太陽光等は、グリーン減税で優遇税制をかけておられる。しかし、これは時限的措置で、記憶では二十九年度で終わるのではないかと思いますけれども、今から始めましても二十九年度にできるはずはありませんから、そういった財政的あるいは税制的な面での支援措置についてどのように考えておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。

藤木政府参考人 お答えを申し上げます。

 洋上風力発電の実施に当たりましては、陸上と異なる特殊な機材、ノウハウが必要になります。また、大規模な建設工事を伴うということで、そのコスト負担が課題となっております。

 このため、固定価格買い取り制度におきましては、陸上の風力発電がキロワットアワー当たり二十二円という価格でございますが、陸上から直接アクセスできない洋上風力発電については、三十六円という別の価格区分を設けまして推進をしていくこととしております。

 また、海底の地質、風況の調査、環境アセスメント、風車の基本設計といったようなものに対する補助というものも予算的な措置として盛り込んでございます。

 また、先生御指摘の税制でございますが、一万キロワット以上の風力発電設備を導入する際に、三〇%の特別償却という税制措置、いわゆるグリーン投資減税を講じているところでございます。先生御指摘のように、政策減税でございますので期限が平成二十九年度までということになってございますが、今後、こういった洋上風力発電の開発動向等も踏まえまして、私どもとしては、必要に応じてその延長要望等々に対応してまいりたいと思っております。

 以上でございます。

横山委員 大変ありがとうございました。以上で質問を終わります。

谷委員長 次に、本村伸子君。

本村(伸)委員 日本共産党の本村伸子でございます。

 港湾法にかかわって質問をさせていただきます。

 最初に、本日も九州地方地震の問題について質問をさせていただきたいと思います。

 連日亡くなられる方の数もふえているということで、亡くなられた方々に心からの哀悼の意を表したいと思います。被害に遭われた全ての皆様に心からのお見舞いを申し上げたいというふうに思います。

 今回の九州地方の地震で、港湾の被害と復興復旧というのはどういうものになっているのかということをまずお示しいただきたいと思います。

菊地政府参考人 お答えいたします。

 平成二十八年熊本地震におきましては、熊本港、八代港、別府港におきまして、フェリーへの車両乗降用可動橋やコンテナターミナルにおけるガントリークレーンのふぐあい、岸壁や道路の沈下あるいは液状化等の被害が発生してございます。これ以外の港湾につきましては、点検の結果、利用に支障を来すような被害はございませんでした。

 また、被災した港湾につきましては、早期に応急復旧やあるいは迂回路の確保を行いまして、一部利用上の制約はありますが、緊急物資の受け入れ等の利用が可能となってございます。

 その結果、四月十六日から、熊本港におきまして、九州地方整備局の船舶あるいは海上保安庁の巡視船による飲料水の提供、こうしたものを行ってございます。

 現在、熊本港、八代港、三角港、大分港におきまして、地方整備局の船舶、海上保安庁の巡視船あるいは自衛隊の艦船による給水活動、また緊急物資の輸送の拠点として役割を果たしているところでございます。

 引き続き、被災者支援に全力で取り組んでまいりたいと考えております。

本村(伸)委員 被災者の支援のためにも港湾が果たす役割というのは大変大きいということを今回改めて認識させていただきました。

 港にかかわって、国土交通省は、ホテルシップということで、フェリー二隻を用意して八代港などに配備をする、被災者の方にそこで過ごしていただくということを出されております。そして、観光庁も、避難所にいらっしゃるお年寄りなどをホテルや旅館で受け入れるということも発表されております。今も激しい揺れを警戒しなければならない、九万六千世帯で断水になっているという中で、少しでも安心して過ごしていただけるというための早急な対策が必要だというふうに思います。

 昨日も、車の中で避難生活をされておられた熊本県の女性の方がエコノミークラス症候群で亡くなったということが発表されております。今回の地震で、エコノミークラス症候群によって亡くなられた方というのは初めてだという報道でしたけれども、エコノミークラス症候群の疑いで少なくとも二十三人の方が熊本市内の病院に搬送されて、複数の方が重体となっているということが報道されております。避難所で亡くなられている方もお見えになります。

 一刻も早く、プライバシーが確保されてエコノミー症候群になるようなことがないような場所で、落ちつけるような場所で被災者の方が過ごすことができるように、あるいは障害を持った方や女性の方も安心して過ごせるようにということで、ホテル、旅館などへ移っていただくことや、仮設住宅、借り上げ住宅、公営住宅、UR住宅、雇用促進住宅など、早急な対策をとることが必要だというふうに思います。

 被災者の方が見通しが持てるように、国土交通省の計画についてお伺いをしたいというふうに思います。

由木政府参考人 お答えいたします。

 住む場所の確保に関しましては、それぞれのニーズに応じまして段階的に措置を講じていくことが必要だというふうに考えております。

 現在は、まさに自宅が被災をされたとか、あるいは余震が不安で帰れないとか、あるいはライフラインがそもそも自宅で使えないなどの理由によりまして、学校や公民館などの公的施設に一次避難をされているという状況だというふうに承知をしております。この後、先生お話ございましたように、ホテル等の二次避難所に移っていくということもあろうかというふうに考えております。

 この点に関しましては、全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会、いわゆる全旅連でございますけれども、こういった団体等に対しまして、九州全域におきます旅館、ホテルへの被災者の受け入れを要請いたしております。旅館、ホテルでの受け入れが進みますよう、所管の厚生労働省とも連携をして対応してまいりたいというふうにまず考えているところでございます。

 それから、まだ余震が続いている状況ではございますけれども、要は、自分の家に本当に戻れるだろうかということを一刻も早く確定させるということが必要でございます。

 そのために今開始をいたしておりますのは、被災建築物の応急危険度判定というものを行い始めております。これは、それぞれの判定士が現地、一軒一軒を見て回りまして、住めないところは赤い紙、大丈夫なところは緑の紙、注意を要するところは黄色の紙を張りつけていくという作業でございますけれども、これまで益城町と熊本市において既に着手をされております。益城町では、昨日までに千五百十八件、実施しているところというふうに聞いております。

 この判定士はかなりの人数を要しますので、県外、九州外からもたくさんの今応援を求めてやっているところでございます。その応援をするときの県外からの派遣のコーディネートを国土交通省の方でやらせていただいているところでございます。

 それから、だんだん災害が落ちついてまいりまして、自宅が壊れている等の理由によりましてすぐには自宅に戻れないという方々に対しては、再建あるいは取得までの間に仮住まい、応急的な住まいを御用意する必要があろうかと思っております。

 これは、基本的には地方自治体、公共団体、熊本県を中心に行われるわけでございますけれども、お話ございましたような公営住宅等の公的住宅の活用や、あるいは災害救助法に基づきまして、これは内閣府の所管の法律でございますけれども、応急仮設住宅の建設やあるいは民間の賃貸住宅を借り上げるみなし仮設住宅、こういったものによって対応していくことになるというふうに承知しております。

 まず、公営住宅等の活用につきましては、四月十八日付で、私どもの方から全国の地方公共団体宛てに、公営住宅等の空き住戸を報告していただきたいということと、被災者の入居に対し協力をしていただきたいということを要請する文書を発出しているところでございます。

 また、民間の賃貸住宅を行く行くはみなし仮設として使っていくということも出てこようかと思います。そうしたものに対応する準備をしていただきたいということで、四月十七日付で、全国賃貸住宅経営者協会連合会、あるいは全日本不動産協会、それから全国宅地建物取引業協会連合会等の団体に対しまして、被災者に対する民間賃貸住宅の情報提供を県等から求められましたときには速やかに協力をするようにしていただきたいということを要請してまいっております。

 また、応急仮設住宅を建設するという局面になった場合にも、できる限り迅速に対応できるように、これも四月十四日付でございますけれども、一般社団法人のプレハブ建築協会に対しまして、熊本県からの要請があり次第、速やかに対応できるよう準備を進めてほしいという要請をいたしているところでございます。

 今後は、一連の地震災害が落ちついてまいりますのに伴いまして、熊本県を初めといたします関係地方公共団体において、できる限り丁寧に被災者の方々の御意向を確認していただいて、適切な住まいの確保を図っていくということが必要になると思っております。私どもも最大限御支援を申し上げてまいりたいというふうに考えております。

 以上でございます。

本村(伸)委員 いつまで続くのかと不安な思いで被災者の方はいると思いますので、少しでも安心していただけるようにということで、私どもも力を尽くしますけれども、国交省の方もよろしくお願いをしたいというふうに思います。

 法案に話を移しますけれども、今回の港湾法改定案では、洋上に風力発電設備を設置するということを想定して、港湾区域内水域等の公募による占用許可手続を新たにつくるというふうにされております。

 洋上風力発電というのは、設置については当然ながら開発を伴うものでございます。決して乱開発にならないようにということの視点が大事だというふうに思います。周辺住民の皆さんの声を計画に反映しながら、自然環境、生活環境に配慮しなければならないというふうに思います。

 そこで確認をさせていただきますけれども、現在の法律では、港湾区域内水域等で風力発電の事業者に港湾の利用を認める場合にどういう法的な根拠があるのか、仕組みがあるのかということをお示しいただきたいと思います。

菊地政府参考人 お答えいたします。

 港湾区域内に洋上風力発電施設を設置する場合には、港湾法第三十七条第一項に基づき、港湾管理者が事業者に対して港湾区域等の占用の許可を行うこととなります。

本村(伸)委員 現行において、占用許可を与える場合に審査基準はあるのかということ、特に環境への配慮はあるのかということをお示しいただきたいというふうに思います。

菊地政府参考人 お答えいたします。

 占用許可の審査基準についてのお尋ねでございますが、占用許可の審査基準につきましては、港湾管理者が地域の実情に応じて定めるものでございまして、国として定めてはございません。

 なお、港湾管理者が審査基準を定めるに当たっての参考として、国から港湾管理者に対する技術的な助言を示しております。その中におきまして、環境を悪化させるおそれがないことというような内容を示しておるところでございます。

本村(伸)委員 一九九四年九月の通達だというふうに思いますけれども、文字どおり、環境を悪化させるおそれがないことということを実行することが大事だというふうに思います。

 この通達の中には、周辺の船舶航行に支障を与えないことということも書かれておりますけれども、熊本や大分を中心とした九州地方の地震でも港湾の役割というのは大変大事なものだと痛感をいたしましたけれども、水とか食料とか毛布なんかを船によって運んでいる、こういう被災した際にも港湾というのは重要な役割を果たすわけですけれども、この港湾内に洋上風力を設置するということです。

 洋上風力の耐震化の確保ですとか、台風とか地震とかなどによって倒れるとか折れるとか、あるいは風車の部分が飛ばされるということがないように、被災したときに航行を塞ぐようなことがないようにということも大切だというふうに思いますけれども、その安全性の確保についてはどうなっているか、お示しいただきたいと思います。

菊地政府参考人 お答えいたします。

 国土交通省におきましては、風力発電に関する有識者等から成る委員会を設置いたしまして検討を進めておりまして、平成二十七年三月に、洋上風力発電施設の導入に関して占用許可の審査の際の技術的なガイドラインを取りまとめて公表してございます。

 このガイドラインには、洋上風力発電施設の設計に当たって、地震発生時の施設の滑動、あるいは津波発生時の基礎部の洗掘に留意すること、並びに、万が一倒壊したとしても港湾施設に影響を与えない離隔を確保すること、こうしたことが示されております。

 港湾管理者による占用許可に当たりましては、このガイドラインを参考にすることによりまして、港湾の開発、利用、保全と調和がとれた洋上風力発電施設の円滑な導入を図ることができるものと考えてございます。

本村(伸)委員 ありがとうございます。

 今回、当該公募対象施設等のための港湾区域内水域等の占用の区域を指針に定めるというふうにありますけれども、洋上風力発電による低周波被害、健康被害を発生させないことや、あるいは港湾内の生態系、生物多様性、自然環境を守る上で、この占用の区域をどこに決めるかということはとても重要なポイントだというふうに思います。二十年という長い間占用を許すということであれば、少なくとも厳しい審査をクリアしてもらわなければ困るというふうに思います。

 風力発電によって、私の地元の愛知県でもあるいは静岡県でも低周波の被害、健康被害が既に発生をしておりまして、やはり低周波被害や健康被害を発生させないエリア、区域に設定するということが必要だ、人家から離すということが必要だというふうに思います。

 私の地元の愛知県内には、港湾内に貴重な干潟もございます。名古屋港にあります藤前干潟は、住民投票による直接請願署名の運動など、住民の皆さんの大きな運動の中で保全をされ、ラムサール条約に登録をされたという経過がございます。そして、三河湾では、豊川河口に、日本一アサリが湧く六条干潟という干潟が、これも港湾内にございます。

 この六条干潟を初めとする三河湾の環境というのは、もう既に瀕死の状況にございます。三河湾では、苦潮が毎年発生してアサリが全滅するということが頻発しております。なぜ三河湾で赤潮や貧酸素の水塊、苦潮が発生するかといえば、干潟や浅瀬の区域が減少しているということが大きな原因になっております。

 干潟や浅瀬というのは、ほかの自然環境では代替することが困難な、本当に多面にわたる機能を持っている貴重な環境でございます。海の環境を浄化したり多様な生物を育むということと同時に、渡り鳥の中継地としてもその保全は国際的な責務となっております。

 この占用の区域を定めるに当たっては、低周波被害、健康被害が生じないようにすること、そして、生態系、生物多様性、自然環境の保全のためにかなめとなる重要な干潟、浅瀬を守るということ、こういう生活環境や自然環境への配慮は当然必要だというふうに思いますけれども、大臣の認識を伺いたいというふうに思います。

石井国務大臣 洋上風力発電施設を導入する区域を定める場合は、まず、港湾計画に再生可能エネルギー源を利活用する区域を位置づけることとしております。

 今般の公募による占用許可手続において、公募対象となる洋上風力発電施設のための占用の区域は、この範囲において位置づけられることとなります。

 港湾計画を策定する際の方針となる港湾法第三条の二に規定する基本方針においては、自然環境の積極的な保全について定めております。

 さらに、港湾計画の変更等に際しましては、地方港湾審議会の審議等を経ることとしておりまして、環境について十分な配慮がなされているものと認識をしております。

本村(伸)委員 区域を設定する際に、第三者がちゃんと環境影響を調査分析して、一番自然環境に負荷を与えないエリアの選定が必要だと思いますけれども、大臣の認識を伺いたいと思います。

菊地政府参考人 お答えいたします。

 洋上風力発電施設を港湾区域内に導入するに際しましては、港湾計画におきまして、港湾利用との調整はもとより、一万キロワットを超えるような洋上風力発電施設については環境アセスメントの対象となるということでございます。さらには、パブリックコメント等も実施している港湾もございます。

 こうしたことで、しっかりとした対応が図られていくものと考えてございます。

本村(伸)委員 洋上風力を設置するエリアを定めるのは、先ほど来お話がありましたように、具体的には港湾計画ということになるというふうに思いますけれども、この港湾計画を策定する際に、低周波被害や健康被害を予防する立場で物を言うような有識者の方や、あるいは、浅瀬や干潟の脆弱性について理解をし、生態系や生物多様性、自然環境の保全の立場で物を言う有識者の参加、住民の皆さんの参加が必要だというふうに思います。

 審議会の委員にぜひこうした方々を入れること、公募委員も含めて、こうした方々を入れるようにするような開かれた住民参加型の審議会にするべきだというふうに思いますけれども、大臣の認識を伺いたいと思います。

石井国務大臣 港湾法の規定によりまして、港湾計画を策定するに当たりまして、港湾管理者は地方港湾審議会の意見を聞くこととなっております。

 地方港湾審議会の委員は港湾管理者が選定しておりますが、多くの地方港湾審議会において、環境に関する有識者も委員として参画をされております。

 なお、委員の選定方法につきましては、港湾管理者の判断に委ねるべきものと考えております。

本村(伸)委員 ぜひ住民参加型の開かれた審議会にしていただきたいというふうに思います。

 この区域の設定に当たってはパブリックコメントや説明会というものもあるというふうに思うんですけれども、よくあるような、ガス抜きで意見を聞くだけで反映しないということがあってはならないというふうに思います。出された意見をしっかりと区域の設定に生かしていくことも大事だというふうに思いますけれども、大臣の認識を伺いたいというふうに思います。

石井国務大臣 港湾管理者が港湾計画の策定に当たりましてパブリックコメントを実施している例があることは承知をしております。

 パブリックコメントを実施した場合、その意見につきましては、しっかり検討を行った上で適切に対応することが重要であると考えております。

本村(伸)委員 次に進みますけれども、環境アセスメントもやはり重要だというふうに思います。

 環境省にお伺いをしますけれども、洋上風力発電施設の設置において、必ず環境影響評価はなされることになるのでしょうか。

深見政府参考人 お答え申し上げます。

 アセスメントの対象事業についての御質問でございますけれども、出力が一万キロワット以上の風力発電所の設置につきましては、洋上、陸上を問わず、環境アセスメントの手続を実施する必要がある第一種事業として環境影響評価法の対象となっております。

本村(伸)委員 なぜ一万キロワット以上なのかという問題もございます。一万キロワット以下の風力発電では騒音や低周波の被害、住民の健康被害、こういうものがないのだろうか、鳥の風車への衝突、バードストライクの問題は生じていないのかということを確認したいと思います。

深見政府参考人 お答え申し上げます。

 環境影響評価法は、規模が大きく、環境影響の程度が著しいおそれがある事業を、ナショナルミニマムの観点から対象事業規模を設定してアセスメントの対象としておるところでございます。

 風力発電につきましては、以前から騒音やバードストライク等の環境影響が報告されていたことを踏まえまして、事業者や環境保全に関する専門家等の関係者の御意見をお伺いしまして、中央環境審議会で御議論いただいた上で、平成二十四年十月より、対象規模要件を一万キロワットと定め、環境影響評価法の対象としているところでございます。

本村(伸)委員 内閣府の規制改革会議に環境省が出した資料の中でも、千から二千キロワット程度の風力発電からも希少種を含む鳥の衝突死の発見例が相当数見られるということが書かれておりますし、健康被害の訴えも千から二千キロワットの風車一基からでも生じているということが環境省の資料の中でも指摘をされております。

 やはり港湾内に風力発電の施設をつくれば、いずれにしろ環境への負荷は生じるわけでございます。一万キロワットに限らず、ぜひ必ず環境の影響調査というのをやっていただきたいというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。

深見政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどもお答え申し上げましたとおり、環境影響評価法は、規模が大きく、環境影響の程度が著しいおそれがある事業を、ナショナルミニマムの基準を設定する観点から規模要件を設定して対象事業としておるところでございます。

 さらに、個別のアセスの審査に当たりまして、個別にアセスをやるかどうかを判断する事業として第二種事業という区分もございます。これにつきましては、七千五百キロワット以上のものが第二種事業の対象の事業になっておりまして、これにつきましては、個別事業ごとにアセスをやるかやらないかの御判断をしていただいてアセス対象になるというような仕組みになっているところでございます。

本村(伸)委員 ぜひ環境影響の評価は事前にしていただきたいというふうに思うんです。

 二〇一五年十二月二十二日、内閣府の規制改革会議の第十七回投資促進等ワーキング・グループでは、「風力発電における環境アセスメントの見直し」というタイトルで、環境影響評価の規模要件を一万キロワットから五万キロワットに緩和するべきという提案が議論をされております。主な理由は導入コストの軽減だというふうにされております。

 現在も、近隣で同じ事業じゃないかというふうに思われるところでも、わざわざ計画を二カ所に分けてアセス逃れをしている事業者がおりますけれども、五万キロワットというふうにしますと、余計こうしたアセス逃れということもふえるというふうに予想されるわけでございます。

 環境影響評価の規模要件を一万キロワットから五万キロワットに緩和すべきという議論は、生物多様性を守る立場に逆行し、許されないというふうに思いますけれども、環境省の見解を伺いたいと思います。

深見政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、規制改革会議において、風力発電に係る環境アセスメントに関し、規模要件の見直しについて要望がなされておるところでございます。

 他方、風力発電につきましては、再三御指摘いただいていますとおり、騒音であるとかバードストライク等の環境影響が報告されておりまして、現在においても、環境影響評価法に基づく大臣意見などで環境への配慮を求めているところでございます。

 このような点を踏まえまして、再生可能エネルギーの促進の観点と、地域の環境保全であるとか地域住民のさまざまな御要請に配慮しまして、環境アセスメント手続の迅速化の取り組みも含めまして、風力発電の立地が円滑に行われるよう、関係者の意見を聞き、関係省庁とも協力しつつ、必要な対策を検討してまいりたいと考えております。

本村(伸)委員 環境影響評価の規模要件を一万キロワットから五万キロワットに緩和するということなど絶対に許してはいけないというふうに思いますし、むしろ、この規模要件を厳しくするということを求めておきたいというふうに思います。

 風力発電所の環境影響評価の手続における評価項目はどう決まるのかという点についてもお伺いをしたいというふうに思います。例えば、低周波音について必ず評価されるのか、その点について確認をしたいというふうに思います。

深見政府参考人 お答え申し上げます。

 環境影響評価法に基づく環境アセスメントでは、一般的な事業が行われる場合に、環境に影響を及ぼすおそれがあるものとして、調査、予測、評価されるべき環境要素を選定する際に参考とすべき項目を主務大臣が参考項目として示しております。

 風力発電に関しましては、施設の稼働に伴う騒音、低周波は参考項目に含まれているところでございます。

 事業者は、参考項目を勘案しつつ、事業の特性や地域特性を踏まえて評価する環境要素を選定することとなりますけれども、これまで行われてきた風力発電の環境アセスメントにおいては、施設の稼働に伴う騒音、低周波音は基本的に評価対象となっているところでございます。

本村(伸)委員 結局、参考項目ということで、事業者が環境アセスの評価項目を選ぶという仕組みになっておりまして、やはりこれはおかしいというふうに思います。

 騒音とか低周波ですとか景観ですとか、漁業への影響、海洋生物への影響なんかは、洋上の風力発電の建設においては必ず評価しなければならない項目だというふうに思いますし、必ず評価しなければならない項目というのははっきりしているというふうに思うんです。

 こういうふうに、事業者に環境影響の評価項目を選ばせるという制度は改めるべきだということも強調させていただきたいというふうに思います。

 低周波被害についてさらにお伺いをしたいんですけれども、低周波によって不眠とか頭痛とか目まい、吐き気、耳鳴り、こういうことで住民の皆さんの健康被害が各地で生じております。

 洋上風力発電でも人家に近ければ同様の被害が予想されるわけですけれども、そもそも低周波被害に関する環境基準がないということで、やはり国としてこの環境基準をつくるべきじゃないかというふうに思うんですけれども、お答えをいただきたいと思います。

深見政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、風力発電施設からの低周波音につきましては、環境基準のような基準は設定しておりません。

 現在、環境省では、風力発電施設から発生する騒音等の評価手法に関する検討会を設置しまして、風力騒音特有の音の性質や設置される地域の音環境の違いを踏まえた風力騒音の評価方法について検討を行っているところでございます。

 いずれにしましても、環境省におきましては、風力騒音に関する影響について今後も最新の科学的知見等の集積を図ってまいりたいと考えておるところでございます。

本村(伸)委員 低周波に対して敏感な方や弱い方々に合わせて、ぜひ国として基準を定めていただきたいというふうに思います。

 低周波被害については、被害者の側で根本的にその影響を避けようと思えば、住んでいる場所を移転しなければならない、そういう深刻な被害だというふうに思います。国が、健康被害を生まないように環境基準をしっかりと定めて、風力発電では低周波による被害について環境アセスで必ず評価させ未然に防ぐということが大切だと思いますけれども、もう一度見解を伺いたいと思います。

深見政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、現在行われております風力発電に係る環境アセスメントにおきましては、施設の設置場所を住居からしかるべき距離をとるとかいう形で低周波騒音が起こらないように、被害が防止できるように、しっかりとした、環境大臣意見などを申し上げて、個別の審査に当たっているところでございます。

 いずれにしましても、まず、風力発電施設から発生する騒音等の評価手法をきちんと確立していき、そういう評価ができるようにしていくことが重要だと思っておりますので、風力騒音に関する影響について今後も最新の科学的知見の集積を図ってまいりたいと考えております。

本村(伸)委員 やはり未然に健康被害については防ぐというのは当然だというふうに思いますので、早急に対策をとっていただきたいということを要望しておきたいというふうに思います。

 そもそも、洋上風力発電における環境影響評価について、現在、中央環境審議会でアセスの技術面の検討がされているということですけれども、どういう内容で、その検討の結果はいつ発表されるのかということをお示しいただきたいと思います。

深見政府参考人 お答え申し上げます。

 洋上風力発電所につきましては、現在も陸上風力発電所と同様に環境影響評価法の対象となっているところでございますけれども、ただ、洋上風力発電は海洋生物への影響など陸上風力発電とは環境影響が異なる点があることから、環境省におきましては、平成二十七年度より、洋上風力発電に係る環境アセスメントの基本的な考え方について検討しておりまして、本年三月二十九日に開催された中央環境審議会環境影響評価制度小委員会に検討状況を報告したところでございます。

 二十八年度も引き続き、洋上風力発電に特有の事業特性や海域の環境の特徴に着目して、環境アセスメントの項目や手法について技術的な検討を進め、年度内に基本的な考え方を取りまとめる予定としております。

本村(伸)委員 要するに、洋上風力発電における環境影響評価については、まだ技術面で検討されているということで、確立をしていないという段階なのだというふうに思います。

 そういう段階でもあるということを踏まえて、洋上風力においても乱開発は防がなければいけないということで、自然環境への負荷、生活環境への負荷、これをどうやって最小限に抑えるかということに関してやはり知恵を尽くさなければならないというふうに思います。

 公募による占用許可手続を運用するに当たっては、自然環境への負荷をできるだけ小さくする、低周波被害、健康被害がないようにするということで、ぜひそうした方向で心を砕いていただきたいというふうに思います。

 最後に大臣の決意をお伺いしたいと思います。

石井国務大臣 現在、我が国においては、エネルギー事情等に鑑み、再生可能エネルギーの最大限の導入が求められております。

 こうした中で、今般創設いたします公募占用許可制度は、港湾区域等へ洋上風力発電施設等を導入する際に、その手続の透明化を図るものであります。

 その際、環境への負荷をできる限り小さくすることは非常に重要なことでありまして、洋上風力発電施設の港湾区域への導入が環境悪化を招くことであってはならないものと考えております。

 洋上風力発電施設の港湾区域等への導入は、港湾計画における区域の位置づけ、公募占用計画の審査、環境アセスメントの各段階において、環境への影響を検証しつつ、適正に行われるべきものと考えております。

本村(伸)委員 環境への負荷を本当に最小限に抑えるためにぜひ力を尽くしていただきたいというふうに思います。

 今回の法案に関して、日本共産党は、そもそも、国際コンテナ戦略港湾事業など大規模開発とともに、公共施設である港湾の民営化に以前から反対をしてまいりました。民間事業者の行う施設整備の無利子貸し付けにも反対をしてまいりました。本法案は、民間事業者のクルーズ船旅客の施設に対しても無利子貸し付けを可能とするものですけれども、対象となる港湾には国際戦略港湾などの大都市部の港湾も排除しておらず、そして、イオンなんかのそうした大手事業者などの行う集客施設に対する貸し付けも排除されていない、対象となっているという点で賛成できないということを申し述べさせていただいて、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

谷委員長 次に、井上英孝君。

井上(英)委員 それでは、港湾法の改正案について質疑をさせていただきますけれども、朝から数多く課題も指摘をされてきているかと思いますので、重なる点も多々あるかと思いますけれども、御理解いただいて、おつき合いをお願いしたいと思います。

 まずは、先月三月三十日に発表されました明日の日本を支える観光ビジョンというのが公表されたわけですけれども、その中で、訪日外国人の旅行者というのを、東京オリンピックが開催される予定の二〇二〇年に約四千万人、それから二〇三〇年にはそれを六千万人という目標ということになっています。

 そういった中で、訪日のクルーズ旅客で、二〇二〇年までに五百万人という目標が掲げられたかと思います。カリブ海のような世界的なクルーズ市場にするというのが目標と掲げられておりますけれども、これにより各地の港湾施設の活用が図られるならば、それはまことに結構なことであるんですけれども、そのために無駄な投資が行われないようにというのを願う限りであり、やはり選択と集中、これは昔から言われて、かれこれ大分なりますけれども、本当にしっかりと選択と集中というのをやっていかなければならないんじゃないかなというふうに思います。

 そういう中で、二〇一三年には十七万四千人だった訪日クルーズ旅客というのは、このわずか二年で、昨年の二〇一五年には百十一万人に増加し、倍数でいうと約六・四倍という驚異的な伸びになっているかと思います。

 一方で、同じ二〇一三年の訪日の外国人旅行者数全体で比較すると、二〇一三年は一千三十六万人から二〇一五年の一千九百七十四万人、倍数にすると一・九倍という増加にとどまっている。

 もちろんインバウンド市場というパイが広がっているというのはあるんですけれども、クルーズ市場の独自の拡大というのがあったということを示唆していると思うんですけれども、その原因についてどのようにお考えか、お聞かせいただけますでしょうか。

菊地政府参考人 お答えいたします。

 昨年、日本政府観光局が中国の旅行会社を対象に実施したアンケート調査によりますと、二〇一五年に人気となる海外旅行目的地として日本が第一位となっております。このように、我が国近隣諸国の海外旅行市場におきまして、日本の人気が高まっているというふうに考えております。

 また、北東アジアの経済発展等を背景に、外国の船社が次々と大型クルーズ船をアジア地域に配船しておりまして、同地域の人々にとりましてクルーズ旅行の選択肢が広がっているというふうに考えております。

 こうした状況を踏まえまして、政府におきましては、ビザ要件の緩和であるとか、あるいはCIQ体制の充実などに取り組んできております。また、港湾におきましては、受け入れ環境の整備やクルーズ船社が必要とする情報の発信などの取り組みを行ってまいりました。

 こうした取り組みによりまして、近年の訪日クルーズ旅客の急拡大につながっているものと考えております。

井上(英)委員 さまざまな要因というか、今お答えいただいたようにあると思います。どんどんそのパイが広がっていくということは我々も否定しませんし、それが広がり続けるように今後も鋭意御努力いただけたらというふうに思うんです。

 今言われたように、外航クルーズ船の寄港がふえているという一方で、日本船社のクルーズ旅行については伸び悩んでいるというのを、正直、私個人的には感じています。

 二〇一三年と一五年、先ほどからの比較年数でいいますと、一三年と一五年の寄港回数だけで比較いたしますと、外航クルーズ船は、三百七十三回というのが九百六十五回というようにふえている、先ほど局長が答弁いただいたような内容になっていると思うんですけれども、本邦クルーズ船は六百二十八回から四百八十七回に減少となっています。

 近年では、外国船社が大型クルーズ船を整備し、アジア各国をめぐるツアーを積極的に造成しているということでありますけれども、日本船社に限っては、その波には乗り切れていないんじゃないかなというふうに思います。

 訪日クルーズ客五百万人というのを目指すのであるなら、施設整備はもちろんでありますけれども、日本船社が大型クルーズ旅行を造成して、各国から訪日クルーズ客を呼び込んでこられるような、そういう環境を整えなければならないんじゃないかなというふうに思います。

 外航クルーズ船の来訪というのを待つだけになると、結局はそれは風任せといいますか、また日本のそういう経済環境の足腰もなかなか強くなってこないというふうに言わざるを得ないと思います。

 そういう意味で、日本船社の国際競争力というのが強化されるためのビジョンを国として策定しているのか、大臣にお答えいただきたいと思います。

石井国務大臣 外国船社は、外国発着の旅客を対象といたしまして、中国等から国内の主要都市を寄港地としたクルーズを近年急増させております。一方、日本船社は、日本発着の旅客を対象としまして、日本の特色を生かした国内周遊クルーズや長期の外航クルーズを継続的に実施しております。

 クルーズに注目が集まる中、日本船社も旅客のニーズを捉えた多様なクルーズ商品の提供を図っておりまして、人泊数で見ますと、日本船社、二〇一三年に比べて二〇一五年の人泊数は約一二%増加をしております。

 国土交通省といたしましても、引き続き、関係団体と連携をしまして、日本のクルーズ市場の拡大に貢献したクルーズ船社の表彰制度などを通じて良質なクルーズ商品の開発を促進するほか、訪日クルーズの市場として有望なASEANにおけるプロモーションを強化いたしまして、我が国クルーズ市場拡大に取り組んでまいりたいと考えております。

井上(英)委員 ありがとうございます。

 それで一二%ふえているという御答弁も先ほどいただいているんですけれども、それならもっと上がるように、ぜひ頑張っていただきたいと思います。

 訪日クルーズ客が美しくきれいな日本を訪れたいと思っていたのに、到着したのは貨物施設が山積みになった埠頭だったというのでは、やはり問題があるかなというふうに思います。そういう意味では、施設整備をしっかり行っていける環境を整えるという面で、それを財政面から支援するという今回の無利子貸し付けという制度はいい話だというふうに思います。

 先ほど冒頭にも申し上げたように、しかし、無駄な投資が行われないように、やはり選択と集中というのを進めるべきだというふうにも考えます。今回の法案の対象も、民間活力を生かした旅客施設に対する支援であると伺っています。今回の法案に基づく無利子貸与の対象は重要港湾以上の港湾だというふうに伺っていますけれども、その重要港湾というのだけでも全国には百二十五港存在をいたします。これらに対してのべつ幕なしに支援するというのではやはり無駄が出てくる、ばらまきと言われても仕方がないんじゃないかなというふうに思います。

 無利子貸し付けを行うにはどのような考え方にのっとって優先順位をつけてやられるのか、お聞かせいただけますでしょうか。

菊地政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、旅客施設等の整備への無利子貸し付けも限られた予算の中からの支出となるため、個々の案件について、その需要や採算性を見きわめていく必要がございます。

 国においては、民間事業者が作成する管理運営計画及びこれを実施するための資金計画、収支計画を確認し、事業の確実性を審査することとなります。

 国土交通省といたしましては、審査の過程を通じ、需要動向を適切に見きわめ、案件の採算性を十分に確認しつつ、優先順位を判断し、案件の選定を行ってまいりたいと考えております。

 なお、貸付対象の旅客施設は一定のクルーズ需要を前提として採算性が検討されることになりますので、需要が少なければ当然事業として成立しないという観点から、ばらまきとなるような状況は想定しておりません。

井上(英)委員 先ほど津村委員の質疑のときにもそういう議論があって、大きく言えば、長崎、博多、横浜、神戸、鹿児島、その五つが非常に大きいクルーズとしての港として活躍しているけれども、それ以外のところはやはり少ないじゃないかという話でありまして、僕も全くそのとおりだと思うんですね。

 ただ、今は五港なのを行く行く十港なり二十港なりしていってもらうというのが本法の改正の意義かなというふうにも思いますし、それがまた、各港が活性化すれば地方創生にもつながっていきますし、先ほど言いましたように、経済の根本的な足腰がしっかりとついていくんじゃないかなと思うので、ポジティブにぜひともやっていただきたいし、この法改正を契機にしていただけたらというふうに思います。

 次に、どのような形で民間活力を活用するのかということをお尋ねいたします。

 今回、対象施設が拡大する。港湾法五十五条の七を見ますと、港湾管理者が港湾管理者以外で政令の基準に適合する者に無利子貸し付けを行おうとする場合に、一定の基準が満たされていれば、国から港湾管理者へ無利子貸し付けを行えるという制度になっています。

 港湾管理者を経由して施設整備を行う事業者に貸し付けを行うということになっていますけれども、港湾管理者といえば、実質的には、ほとんどというか、地方自治体かそれに準じた組織になっていると思うんですね。ですから、現実的には、旅客ターミナル施設の運営というのも必然的に地方自治体かそれに準ずる組織というふうに思います。

 純粋な民間企業がクルーズ旅客施設の整備や運営に積極的に参入してくるというふうにすることが、やはり真の意味での民間活力の活用ではないかなというふうに思いますし、先ほど申し上げたように、そうなるようにするのが本法改正の意図というか意義だというふうに思います。我々からすると、やはり逆にそれを必ず実現させてほしいと思っています。

 そこで、純粋な民間企業が施設整備と運営を行おうとする場合、今回の無利子貸付制度の対象となり得るのかということと、そうした施設整備や運営が行われるよう、どのように取り組むのか、お聞かせいただけますでしょうか。

菊地政府参考人 お答えいたします。

 今般創設いたします民間事業者が整備する旅客施設等に対する無利子貸付制度につきましては、第三セクターであるとか、あるいは純民間企業であるとか、こういった民間企業について貸し付けの対象となります。

 民間事業者の知見やノウハウを旅客施設の運営に生かし、効率的で質の高いサービスを旅客に提供し、インバウンド需要を喚起するよう、受け入れ環境を改善することが制度の趣旨でございます。

 こうした観点から、委員御指摘のとおり、純民間企業による事業参入が促進されることを私どもとしても期待しているところでございます。

 国土交通省といたしましては、港湾管理者と連携をしながら、旅客施設運営の成功事例などの情報提供を行っていくとともに、クルーズ船社に対する誘致活動を行うなど、事業環境の向上に努めてまいりたいと考えております。

井上(英)委員 ぜひお願いしたいと思います。

 三セクはちょっとあれですけれども、本当に純粋な民間企業に出てきてもらおうと思うと、先ほど指摘があったような、まだまだ寂しさがあると思いますし、本当にこの制度が機能するのかというふうに聞かれても、聞きたくなる気持ちもよくわかるんですね。でも、我々としては、逆に純粋な民間企業がどんどん出てくるような環境になっていただくように、ぜひお願いをしたいと思います。

 今回の施設の活用という点では、クルーズ旅客施設の運営にコンセッション方式というのも導入してみたらどうだというふうに我々は思っています。具体的には、クルーズ旅客施設だけに導入する形、港湾施設全体に導入する形とあると思いますけれども、各港湾の個別事情を勘案して、最適なスタイルでコンセッションというのがいいんじゃないかなというふうに我々は思っていますし、期待もされているのではないかなと思います。

 実際、そういった形で、大阪なんかでは先進的に、関空、伊丹空港の運営権が売却されて、純粋な民間企業で関西エアポートというのが運営を開始されています。そういったことも受けて、純粋な民間会社にどんどん元気になって出てきてもらうようにするためには、潜在的に国がどんどん関与していって、実際の港を管理している港湾管理者だとかそれに準ずる組織に本気になってもらう必要があるかと思いますけれども、どのようにお思いでしょうか。

菊地政府参考人 お答えいたします。

 訪日クルーズ旅客を受け入れる旅客施設の運営に当たりましては、より高いサービスをより低コストで実現する観点から民間のノウハウを活用することが期待されておりまして、コンセッション方式の導入もその一つの方策であるというふうに認識をしております。

 本年三月九日に行われました産業競争力会議実行実現点検会合におきまして、福岡市から、博多港におけるクルーズ旅客の急増が見込まれる中で、クルーズ船旅客施設の運営にコンセッション方式を導入したいという意見が表明されたところでございます。

 この点検会合には私どもも参加しておりまして、この提案に対しまして、国としても積極的に協力していく旨を申し上げたところでございます。今後、福岡市ともしっかりと連携し、検討を進めてまいりたいと考えております。

井上(英)委員 ぜひ、ありとあらゆる手法を考えていただいて、ベストな形になるように、また近づくようにお願いをできたらというふうに思います。

 それでは次に、本改正で港湾協力団体の指定制度というのも盛り込まれています。クルーズ船の寄港に合わせて、地域を挙げておもてなしをするということですね。クルーズ船の寄港が地域に経済効果をもたらすことを地域みずからが認識してもらうという意味で大変意義があると思いますし、また、逆に地域に経済効果をもたらしてもらわなければ意味がないというふうに考えます。

 このような制度は、海岸法や先般成立した道路法などにもよく似たような考え方が盛り込まれておりますけれども、一方で、このように指定団体をふやすというのは天下りの温床になったり、そういったような懸念も一方で感じるわけであります。

 そこで、港湾協力団体が行う事業は港湾法に法定されていなくても実施可能だというふうに思いますけれども、今回あえて港湾法に指定制度として明示することとした背景と、どのような団体が指定される見込みか、お聞かせいただけますでしょうか。

菊地政府参考人 お答えいたします。

 今般改正する港湾法では、港湾協力団体の業務といたしまして、港湾施設の整備及び管理、港湾に関する情報収集及び提供、調査研究、知識の普及啓発等を掲げているところでございます。

 港湾協力団体制度の目的は、港湾管理者と協力をしてきめ細やかな港湾の管理等を行うことでございまして、港湾管理者による指定を通じた団体との連携強化を期待しているところでございます。

 また、港湾協力団体がその業務のために港湾区域内の水域等の占用を行う場合については、港湾管理者との協議が成立することをもって占用許可があったものとみなすことのできる特例措置を設け、手続の簡素化等を図ることとしてございます。

 このような港湾協力団体として指定することを想定している団体といたしましては、みなとオアシスの運営団体であるとか、あるいはクルーズのおもてなしをする団体、さらには港湾において清掃活動や環境調査などを行っていただいている団体、こうしたものなどを想定しているところでございます。

井上(英)委員 法定にするかどうかというところまではあれなんですけれども、趣旨として意図はよくわかりましたので、いずれにしても、港のことを非常によく考えてくれる方々にも、そういう機会といいますか、持ってもらって、多くの意見を出し合って、すばらしい各港が発展するようにぜひお願いをしたいと思います。

 港湾情報提供施設に関し、このような施設が設けられるというケースが近年よく見られるように思います。今回の法定化も契機として、港湾情報提供施設が道の駅のように地域の魅力の発信基地として多くの来訪客を集めるような施設に発展してもらいたいなと思います。

 どうしても、港というとそういうふうにはならずに、船を乗りおりする場所、それから荷物を積みおろしする場所といったような施設だと捉えられがちですけれども、港の風景を見るだけで訪れたいというような、そういう集客、港のにぎわいを創出するのが必要だというふうに考えますけれども、どのように取り組まれるか、大臣、お答えいただけますでしょうか。

石井国務大臣 地方創生の実現の観点からも、我が国の津々浦々の港が多くの来訪者でにぎわうよう、さまざまな取り組みを行うことは極めて重要であります。

 国土交通省といたしましては、例えば、住民参加による地域振興の取り組みが継続的に行われている港の施設をみなとオアシスとして認定しておりまして、現在全国で八十八カ所が認定されております。

 みなとオアシスにおきましては、地域産品等の物販や飲食、各種のイベントや体験学習会の開催等が行われておりまして、例えば、愛媛県のみなとオアシス八幡浜みなっとには年間百万人の方が来訪され、にぎわっております。

 また、横浜港の大さん橋、神戸港のメリケンパークなど、にぎわいの拠点となる港湾施設にも多くの方が訪れていらっしゃるところであります。

 今後は、今般の港湾法改正案に盛り込んでおります港湾情報提供施設や港湾協力団体の制度も積極的に活用いたしまして、港のにぎわい創出に積極的に取り組んでいきたいと考えております。

井上(英)委員 先ほども申し上げましたけれども、港はほんまに人が余り寄らないといいますか、海岸に行けば行くほど立入禁止になっていたり、やはり近寄りがたい施設なんですね。そういう意味で、先ほども言いました、道路でいう道の駅のように、地域の魅力というかその港の魅力を発信できるような施設にもなれるように、そういう環境整備もぜひ考えていただけたらというふうに思います。

 きょうは経済産業省からも藤木部長にお越しをいただいていますので、少しお話を聞かせていただこうと思いますけれども、港湾区域内の水面の占用許可に関しまして、洋上風力発電施設等の設置を見据え、長期間にわたり占用する者を公募で決定する制度というのが盛り込まれています。洋上風力発電については全国で幾つか取り組みが進むように伺っておりますけれども、イメージがなかなか湧きにくいので、その点をお聞きしたいと思います。

 まず、今後の電力需要を見据えた場合に、洋上風力発電についてどの程度将来的なニーズがあるのかというのをお尋ねしたいと思います。また、洋上風力発電を行おうとする主なプレーヤーといいますか事業者はどのような事業者を想定していて、事業普及のために、そしてそういった方々に対する支援措置を行っているのかどうか、お聞かせいただけますでしょうか。

藤木政府参考人 お答えを申し上げます。

 昨年夏に策定いたしました政府のエネルギーミックスにおきましては、再生可能エネルギーを全電力のうちの二二%から二四%に拡大していくと。今足元が約一二%でございますから、大体倍にしなければならない。その中で、風力、洋上、陸上を合わせてでありますが、足元の大体四倍くらいの水準に引き上げていかなければならないということでございます。特に、陸上のいわゆる適地がだんだん限られてくる中で、今後、洋上風力に対する期待というのは大きいところがあるわけでございます。

 現在、我が国におきましては、港湾の内、外、合わせて十カ所くらいで今導入の計画が進められているというふうに承知しております。

 港湾の中につきましては、先ほど御答弁ございましたけれども、八港湾について合計で百万キロワットを超える計画の検討が進められているというふうに承知しているところでございます。

 大体、いずれのプロジェクトも幾つかの企業がジョイントベンチャーのような形で進められるという形になってございますが、その中には、風車をつくられている機器のメーカーでございますとか、その据えつけをなさる建設事業者、運転維持を行われる発電事業者、さらには金融等々を絡めた商社、金融機関といったような方々が御参画いただく中で事業が進められているというふうに承知してございます。

 それで、洋上風力発電を進めていくに当たりまして、いろいろ課題があるわけでございますが、最大の課題はやはりコストがどうしても高くつくということでございます。

 このため、私どもといたしましても、固定価格買い取り制度におきまして、陸上風力発電はキロワットアワー当たり二十二円ということでございますが、洋上については三十六円という価格を設定しておりますし、また、ブレード、風車の羽根の開発でございますとか、あるいは我が国の海象、気象に最適な風車の設計あるいは施工技術の開発といったようなものに対する実証あるいは補助事業といったような支援を申し上げているところでございます。

 また、海域の調整その他もろもろ、関係省庁とも協力しながら、洋上風力発電が進むよう我々としてもできる限りの支援をしてまいりたいというふうに思っております。

井上(英)委員 ありがとうございます。

 今お答えいただいたように、固定価格買い取り、二十二円が三十六円でというような支援もあるということですし、ただ、洋上風力発電はやはり安定性がちょっと心配な部分もあるので、そういった洋上風力発電は新しいビジネスというふうに思いますけれども、当然、進出しようという事業者は、年間を通じての風量データを調査したり、しっかりと見込んでスタートをしてくれるとは思うんですけれども、なかなか本当にそれがうまくいくかどうか。もちろん、うまくいってもらいたいと思っていますし、そのための準備というのをしっかりとやってもらいたいと思っていますけれども、規模によっては何千億、それから何百億といったような投資額になるというふうにも聞いていますので、しっかりとやっていただきたいと思うんです。

 ただ、もし失敗したときに、その巨大な構築物が港湾区域内に放置されるのかなとかいうようなことをちょっと懸念するんですけれども、いかがでしょうか。

菊地政府参考人 お答えいたします。

 占用公募制度におきましては、事業者が策定する公募占用計画において、港湾管理者が定める公募占用指針を踏まえて、撤去の方法、資金計画、収支計画を記載することといたしております。

 港湾管理者は、事業者の提出する公募占用計画に記載される資金計画及び収支計画を審査し、事業が継続可能なものであるかについて確認をすることとしております。

 また、公募占用計画に記載される撤去の方法が妥当なものであるか、また資金計画上考慮されているかについても審査を行い、事業期間終了後の撤去の確実性を確認することといたしております。

 このように、占用公募を行う過程の中で、港湾管理者において事業の採算性及び撤去の確実性について確認することを制度化しているところでございます。

 なお、仮に事業者が倒産した場合にありましても、事業者の一般承継人等は事業者が有していた計画に基づく地位を承継する規定を整備しております。一般承継人等の責任において撤去が適切に行われるものと考えております。

井上(英)委員 ありがとうございます。

 ちょっと時間もなくなってきましたので、失敗を考えるのは事業者に対して大変失礼ですし、ぜひ成功してもらえるように、経済産業省ともども取り組んでいただきたいと思います。

 もう時間もないので、洋上風力発電を行うという上において、やはり選定、今言われたような、公募して適切にやってもらえる事業者を選定するということになっていますけれども、事業者が競合するという前提に立って制度設計をされているんだとは思うんですけれども、先ほども言ったように、新たなビジネスということもあって、事業者が競合するという事態が必ずしも起こるというふうには考えにくい環境があります。

 単独の事業者の事業を追認するだけの手続になってしまうのではないかというような懸念もありますけれども、多くの事業者が逆に手を挙げてもらえるようにする必要ももちろんありますし、占用を最も適切に最終的に行える事業者に選定するというための判断基準も含めて、しっかりとぜひ考えていただけたらというふうに思います。

 最後に、時間もありませんので大臣に、この法案で、港湾が人や物の結節点としての役割を十分に果たすというような思いで、今後も、そしてまた、今、九州、こういう災害の状況もあって、災害復旧もやっていく、また港湾施設もやはりしっかりと整備していかなければならないという中で、ぜひとも港湾全体の振興を、大臣の決意をお聞かせいただけたらと思います。

石井国務大臣 港湾につきましては、産業や観光の拠点としての側面も極めて重要でございますので、関係省庁とも連携して、港湾の振興に積極的に取り組んでいきたいと思っております。

 きょうも御審議にございましたように、クルーズ振興あるいは産業基盤という点での洋上風力発電等々、積極的に取り組んでいきたいと思っております。

 港湾の振興は、津々浦々の地方の創生に大きく寄与いたしますので、今後とも、関係省庁と連携して、にぎわいの創出などに積極的に取り組んでいきたいと思っております。

井上(英)委員 ありがとうございました。

谷委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

谷委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、港湾法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

谷委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

谷委員長 次回は、明後日、二十二日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    正午散会


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