衆議院

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第15号 平成28年5月18日(水曜日)

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平成二十八年五月十八日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 谷  公一君

   理事 秋元  司君 理事 秋本 真利君

   理事 金子 恭之君 理事 小島 敏文君

   理事 鈴木 憲和君 理事 泉  健太君

   理事 水戸 将史君 理事 樋口 尚也君

      今村 雅弘君    岩田 和親君

      大塚 高司君    大西 英男君

      加藤 鮎子君    勝俣 孝明君

      門  博文君    神谷  昇君

      木内  均君    工藤 彰三君

      小池百合子君    今野 智博君

      佐田玄一郎君    斎藤 洋明君

      津島  淳君    中村 裕之君

      西村 明宏君    堀井  学君

      前田 一男君    宮内 秀樹君

      宮澤 博行君    望月 義夫君

      山本 公一君    荒井  聰君

      井坂 信彦君    神山 洋介君

      黒岩 宇洋君    小宮山泰子君

      津村 啓介君    横山 博幸君

      岡本 三成君    北側 一雄君

      中川 康洋君    畠山 和也君

      本村 伸子君    井上 英孝君

      椎木  保君    野間  健君

    …………………………………

   国土交通大臣       石井 啓一君

   文部科学副大臣      冨岡  勉君

   国土交通副大臣      土井  亨君

   国土交通大臣政務官    宮内 秀樹君

   国土交通大臣政務官    津島  淳君

   会計検査院事務総局第三局長            須藤  晋君

   政府参考人

   (文化庁文化財部長)   村田 善則君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局次長)           苧谷 秀信君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           若井 英二君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術総括審議官)       大脇  崇君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長)            毛利 信二君

   政府参考人

   (国土交通省土地・建設産業局長)         谷脇  暁君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  由木 文彦君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  藤田 耕三君

   政府参考人

   (国土交通省自動車局長) 藤井 直樹君

   政府参考人

   (国土交通省海事局長)  坂下 広朗君

   政府参考人

   (国土交通省港湾局長)  菊地身智雄君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  佐藤 善信君

   政府参考人

   (観光庁長官)      田村明比古君

   参考人

   (独立行政法人都市再生機構理事長)        上西 郁夫君

   参考人

   (独立行政法人都市再生機構副理事長)       花岡 洋文君

   参考人

   (独立行政法人都市再生機構理事)         伊藤  治君

   国土交通委員会専門員   伊藤 和子君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十八日

 辞任         補欠選任

  門  博文君     勝俣 孝明君

  神山 洋介君     井坂 信彦君

  穀田 恵二君     畠山 和也君

同日

 辞任         補欠選任

  勝俣 孝明君     門  博文君

  井坂 信彦君     神山 洋介君

  畠山 和也君     穀田 恵二君

    ―――――――――――――

五月十七日

 都市再生特別措置法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一八号)

同月十六日

 海洋の環境と国民生活を守る事業の体制拡充に関する請願(照屋寛徳君紹介)(第一八九五号)

 同(小川淳也君紹介)(第二〇八〇号)

 気象事業の整備拡充に関する請願(照屋寛徳君紹介)(第一八九六号)

 同(小川淳也君紹介)(第二〇八一号)

 震災復興、国民の安全・安心の実現への建設産業の再生に関する請願(照屋寛徳君紹介)(第一八九七号)

 同(小川淳也君紹介)(第二〇八二号)

 精神障害者に対して公共交通機関の運賃割引制度の実施を求めることに関する請願(本村伸子君紹介)(第二〇七九号)

同月十八日

 海洋の環境と国民生活を守る事業の体制拡充に関する請願(玉城デニー君紹介)(第二一七六号)

 気象事業の整備拡充に関する請願(玉城デニー君紹介)(第二一七七号)

 震災復興、国民の安全・安心の実現への建設産業の再生に関する請願(玉城デニー君紹介)(第二一七八号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 会計検査院当局者出頭要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 都市再生特別措置法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一八号)

 国土交通行政の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

谷委員長 これより会議を開きます。

 国土交通行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として独立行政法人都市再生機構理事長上西郁夫君、同じく副理事長花岡洋文君及び理事伊藤治君の出席を求め、意見を聴取し、政府参考人として国土交通省大臣官房技術総括審議官大脇崇君、総合政策局長毛利信二君、土地・建設産業局長谷脇暁君、住宅局長由木文彦君、鉄道局長藤田耕三君、自動車局長藤井直樹君、海事局長坂下広朗君、港湾局長菊地身智雄君、航空局長佐藤善信君、観光庁長官田村明比古君、文化庁文化財部長村田善則君、厚生労働省職業安定局次長苧谷秀信君及び経済産業省大臣官房審議官若井英二君の出席を求め、説明を聴取し、また、会計検査院事務総局第三局長須藤晋君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

谷委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。木内均君。

木内(均)委員 おはようございます。自由民主党の木内均です。

 冒頭、先月十四日に、九州熊本県、そしてその後、大分県を中心に大きな地震災害が発生をしました。今日まで余震が続いております。被災された皆様方に改めてお見舞いを申し上げます。

 また、茨城県でも地震が起こるなど、やはり全国民を挙げて防災対策に関心が高まっている中、実は、首都機能、バックアップ機能をどうするんだというような大きな国土計画についても議論をしたかったところでありますけれども、きょうは二つ、地元に関する項目につきまして順次質疑をさせていただきたいと思います。

 まず一つ目といたしまして、インバウンド対策としての首都圏周辺、地方ホテルの有効活用について順次お聞きをいたします。

 外国人旅行者も、当面の目標であった二千万人がもう目前に控えております。東京都内の客室数というのは約十四万室で、二千万人を超えるときになると一万室が不足をしていくというような予想もあります。そして、ホテルの稼働率も八〇%を超えており、それが客室料金の上昇ということにつながってきてしまいました。ホテルプライスインデックスによりますと、日本の主要九都市のホテルの平均の宿泊料金は対前年比で一二%も増加をしており、今、高どまりをしているのが現状です。

 インバウンドで多くの外国人の皆さんに宿泊をしていただくと同時に、逆に今度はビジネス客がホテルをとれないというような状況も発生をいたしております。そこで、政府は民泊の推進ということで、いち早く東京都の大田区では、国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業、特区民泊の条例を制定していただきました。民泊とあわせて、周辺部、地方部のホテルも有効に活用していくことが大事ではないかという視点からお聞きをいたします。

 現在、東京都内のビジネスホテルの稼働率は、平成二十七年の一月から十二月、観光庁の速報値によりますと八六・三%、シティーホテルに関しては稼働率が八三・八%、さらに、首都圏近郊の埼玉県、千葉県、神奈川県でも八〇%を超えているのが実態です。

 一方、首都圏周辺の地方のシティーホテルの稼働率は、群馬県が七二%、茨城県は六八%、栃木県が六〇%、山梨県が六七%、長野県は七二%、新潟県も六六%と、全国平均の八〇%を下回っているのが現状です。

 地方創生、まさに、まちづくり、人づくり、仕事づくり、こういった観点からも、外国人観光客を首都圏から周辺県、地方へと分散させる施策が重要ではないかと考えます。

 具体的には、JRグループが出しているジャパンレールパスなど、こういったものに対してさらなる割引支援等が考えられると思いますし、さらに、首都圏に来ていただいた、あるいは中京圏、関西圏に来ていただいた外国人の皆さんを地方に分散させる、そういった具体的な施策についてまずお伺いをいたします。

田村政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のように、訪日外国人観光客の急増に伴いまして、宿泊施設につきましては、東京、大阪を中心とした都市部のホテルの客室稼働率というのが非常に高い水準で推移をしております。

 それで、いろいろな施策を講じて、もちろん大都市部の受け入れ能力の向上というのも図っていかなければいけないわけでありますけれども、地方への誘客というのを図っていく必要があるというふうに考えております。

 受け入れ能力に余裕のある旅館等への誘客促進のために、WiFi整備等、外国人観光客受け入れ体制整備の支援というものも実施しているところでございます。

 それから、外国人観光客の地方への誘客のために、テーマ性やストーリー性を持った全国で七つの広域観光周遊ルートを認定した上で、地域資源の磨き上げや観光地域づくり等を支援しているところでもございます。

 さらに、免税店を地方に広げるというような取り組みも今やっておりますし、今先生御指摘いただきましたような、ジャパンレールパスの利便性の向上、これにも取り組んでまいりたいというふうに考えております。

 三月に取りまとめました明日の日本を支える観光ビジョンにおきましても、地方での外国人延べ宿泊者数を、二〇二〇年には二〇一五年の三倍弱の七千万人泊とする目標を立てているところでございまして、地方部への外国人観光客の訪問を増大させていきたいと考えております。

木内(均)委員 今、観光庁長官から、WiFi環境の整備等、ほかにも取り組んでいるというお話をいただきました。

 実は、新幹線で移動する中で、東海道新幹線に関しては、全て、トンネルの中であろうと携帯通話ができるようになっているんですけれども、北陸新幹線等々、まだまだのところもあるんですね。これも調べさせていただきましたけれども、順次延伸をしていただけるということで、外国人の皆さんにとっては、我々もそうですけれども、トンネルの中でも通話ができていく、通信環境が整っていくというのはやはり非常に大事なことなので、そういったことにもあわせて政府としても御尽力をいただければありがたいと思います。

 外国人の宿泊数の伸びについては、伸び率だけで見ると、これは地方もすごい伸び率になっているんです。今私が質問で例示をさせていただいた群馬県も、外国人宿泊者については、前年比伸び率四五%、茨城県は何と一一五%、栃木県も二八%、山梨県三八%、長野県四六%、新潟県も九三%という本当にすごい伸びを示しています。三大都市圏の伸び率が四二%に対して、地方では六〇%という伸び率であります。

 これはパーセントで示すとこうなるんですけれども、やはり絶対数ということになってくるとまだまだ外国人の方が少ないですから、地方にはまだ受け入れる余地があるわけですね。そういった意味では、支援をしていくことは大事だと思います。

 例えば、ジャパンレールパスですけれども、これは結構お安いですね。利用条件、利用資格、国内での購入不可というような条件がありますけれども、例えば七日間普通車両を使った場合は大人の料金が二万九千百十円です。これを七日間で割りますと、一日当たりは四千百五十九円ということになります。

 そうすると、移動時間も旅行の一つだよという、そういった楽しみを外国人の皆さんに持っていただけるのであれば、首都圏よりも四千百五十九円安い地方のホテルであれば泊まるメリットというのは十分出てくるわけですよね。恐らく、比較をしても、地方のホテルの方が東京、首都圏よりも四千円あるいは五千円、もっと安いというのが実態だと思いますので、地方にお客さんを分散していくということは非常に大事だと思っています。

 私の場合、長野県ですから、長野市を例に出して旅行プランを提案するとしたら、例えば東京―長野間は、一番速い新幹線「かがやき」で八十三分、一時間二十三分なんですね。そして、長野から金沢までは六十八分、何と一時間八分で行けるわけです。そうすると、長野に滞在をしていただきますと、東京に観光に行くにも、あるいは金沢に観光に行くにも便利なわけですよね。

 おかげさまでといいますか、新幹線効果の逆効果で、長野市内のビジネスホテル、シティーホテルというのは結構あいているわけです。そうすると、もう少しここに対して補助等をしていただければ、長野市を拠点に金沢にも行ける、長野市を拠点にして東京にも行けるということになってきますので、今回の地方創生の観点からも、力強い取り組みを改めてお願いいたします。

 もう一点、地方にとりまして、特に雪の降る地方にとりまして死活問題であります除雪用グレーダーの確保について順次お聞きをいたします。

 平成二十三年度の第四次排ガス規制強化によりまして、平成二十五年度からはモーターグレーダーの新規生産が停止をされております。ようやくことし、年が明けましてからコマツによる受注生産が再開をされました。

 しかしながら、生産が再開されたのは、ブレード幅が三・七メートル、四メートル、四・三メートル級に対応する一機種だけなんです。この大きさですと、市町村道の除雪に必要な小型というわけではないんですね。市町村道は三・一メートル級のブレードの幅の機種が必要なんですけれども、これは、残念ながら製造はされないままです。

 かつては三菱重工も製造をしていたんですけれども、その権利自体、パテント自体をトルコの会社に売ってしまいました。そうしますと、国内の二つのメーカーで今生産をされていないというのが現状です。

 三・一メートル級の小型のモーターグレーダーの場合は、除雪のためだけの使用ではなくて、道路をつくる際の砕石をならす等、道路づくりにも使われております。建設業者の方からは、悲鳴にも近い要望が寄せられております。現在、建設業者の皆さんは、古いグレーダーを直しながら使っている状況であり、使用中のグレーダーが壊れた場合には、道路をつくったりすることも、あるいは除雪にも対応できなくなってしまうという不安を抱いております。

 除雪にも、そして道路建設にも使用されている三・一メートル幅の小型のグレーダーの必要性について、国交省の見解を求めます。

津島大臣政務官 木内均委員にお答え申し上げます。

 木内委員のお地元は長野、上田、佐久、小県郡、私は青森が地元でございまして、豪雪地帯という同じような悩みを共有しているところで、委員の御指摘、問題意識というものを私も共有するところでございます。

 御指摘のように、排出ガス規制に伴い、現在、国内メーカーは三・一メートル級モーターグレーダーを製造しておりません。したがいまして、海外メーカーが製造している排出ガス規制に適合した機械を国内の販売代理店を通じて購入可能な状況となっていると承知しているところでございます。

 これまでも、排出ガス規制への対応として税制優遇の措置を講じてきているところでございますが、販売代理店からは、現時点で販売実績はないものの、問い合わせがあるというふうに聞いております。

 この三・一メートル級モーターグレーダーは、市町村道の除雪などに当たり非常に有用な機械の一つであることは我が省国土交通省としてもよく認識をしているところでございます。

 委員の御指摘を踏まえまして、今後も税制優遇の継続に努めるとともに、現場の実態を注視しつつ、必要に応じて、どのような対応が可能か検討してまいりたいと存じます。

 いずれにしましても、いい御指摘をいただいたと思っております。ありがとうございます。

木内(均)委員 私の選挙区も、そして津島政務官の選挙区も雪国、まあ比較にならないほど青森の方が雪が降るわけでありますけれども、市町村道をかくに当たっては、どうしても小型のモーターグレーダー、除雪用グレーダーが必要になってきます。そういった意味では、国の方でも積極的に支援をお願いしたいと思います。

 私がこの問題を業者の方から指摘をいただいて調べ始めたのは約半年前だったんですけれども、もう全く製造がされておらず、あるいは輸入に頼ることもできないというふうに伺っていたんです。

 調べてみたら、どうもドイツの方で三・一メートルのブレードに対応する小型のグレーダーをつくっていただいているという実績があって、それを輸入すれば何とか間に合いそうだということも最近の調査でわかりました。

 解決をしていくためには、大きく二つ方策があると思うんですね。

 一つは、排ガス規制を強めておいてその例外を認めるということはいかがなことかとは思いますが、乗用車のように頻繁に走る車ではないんですね、めったに走らない車ですから、こういった特殊車両に関しては排ガス規制の例外を認めたらどうかというのが一つ目。そして二つ目は、ドイツからの輸入に頼るのではなくて、国産で小型グレーダーが確保できるようにメーカーの開発に関して国が支援をしていくこと。

 こういう二つの点が考えられると思うんですが、国の考え方についてお聞きをいたします。

津島大臣政務官 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、また先ほどの答弁にございましたように、現在は国内メーカーでは製造していない、海外メーカーが製造している排出ガス規制に適合した機械を当面の間、購入可能な状況であるということでございます。

 また、税制優遇等の措置によりまして、建設会社等の購入時の負担軽減とメーカーの開発を促すための措置を図っているところでございますが、当該機械につきまして製造がない状況、そして委員の御指摘等を踏まえまして、改めて現場の実態というものを調べながら、どのような対応が可能か検討してまいりたいと存じます。

木内(均)委員 今、津島政務官から現場の実態も調査をしていただける、必要性も調査をしていただけるという答弁がありました。

 そうしたら、もう一点あわせてお願いをさせていただきたいことがあります。

 というのは、きょうは除雪用グレーダーの話題を取り上げさせていただいておりますけれども、実は、建設関連業者の皆さんへの聞き取りをしますと、不整地運搬の大型キャリアダンプ、十一トンクラス、それと通称くるくるダンプというクローラダンプ、こういったものも、排ガス規制の強化によって製造が中止をされてしまっている機種があるということなんですね。

 その業者さんに言わせると、国交省が、国の方が排ガス規制を強化することによって、国交省、国の事業に支障が出てきてしまっているんじゃないか、矛盾した対応があるんじゃないかというような御指摘もいただいているわけであります。

 せっかく調査をしていただけるのであれば、除雪用の小型グレーダーだけではなくて、今申し上げたキャリアダンプとかクローラダンプ等についてもあわせて調査をしていただきたいと思いますが、御所見をお願いいたします。

津島大臣政務官 お答え申し上げます。

 御指摘の十一トンクラスの不整地運搬車、キャタピラがついて土砂運搬等を行う機械でございますけれども、また、くるくるダンプというのも同じように土砂を運搬する、そういう機械でございます。現在、メーカーによっては製造を中止しておるところでございまして、一部のメーカーでは規制に対応した機械を製造している、そういう状況でございます。

 そこで、委員御指摘の、現在、当省所管の事業に影響が出ているか否かという点につきましては、出ているという状況があるとは承知はしておりませんが、当該機械につきましても、やはり現場の実態というものをしっかり見ながら、必要に応じて、どのような対応が可能か、こちらの方も検討させていただきたい、そのように存じます。

木内(均)委員 ぜひ現場の調査をしていただきたいと思います。

 実は、国土交通省ですとか県が使うような大型のものに対しては、やはり対応ができているんですね。ところが、市町村が使うような小型のものについては、どうしても、調べていただくとわかると思うんですけれども、ニーズがありながらも供給の方が追いついていない、供給できないという現状が必ずあるはずです。それがわかった時点での対応を改めてお願いを申し上げます。

 特に、ドイツから輸入される予定の小型の除雪グレーダーについても、実は、四次規制の排ガス規制にはマッチしていないんですね、三・五次規制。ただ、この四次規制というのはことしの秋からということで、それまでに購入されていれば、壊れるまではこのままの排ガス規制のまま、車両はずっと使い続けることができるということでありますけれども、依然として綱渡りであることは間違いないわけですよね。

 本当に現場で御苦労されている皆さんは、今の重機、今の機種が壊れてしまったら次はどうするんだろうという不安を抱えながら仕事をしているのが実態であります。どうか、そういった皆さんの不安を取り除くためにも、国の方も、国産の生産に関しても積極的に支援をしていただきたいと思います。

 今、一社しか国産で製造していないので、先ほどもう固有名詞を言ってしまいましたけれども、あえて固有名詞は出しませんが、問い合わせをしましたら、やはり民間企業というのは、需要のあるところに先行投資をして、開発費用をかけてつくっていく。どうしても、需要の方が少ないものに関しては、後回しになるという表現はしてはおりませんでしたけれども、優先順位が低くなってしまうというのが実態です。それは当然のことだと思います。民間企業の経営を考えた場合は、そうなるのは当然のことであります。

 そういった意味では、国の方が積極的にインセンティブ、補助金というものもあるでしょうし、税制優遇ということもあるでしょうけれども、そういったインセンティブを与えることによって民間の国産のこういった特殊機械を確保していくというのは大事なことだというふうに思っております。

 石井大臣にもこのやりとりを聞いていただきましたので、ぜひ国土交通省、積極的に調査をしていただいて、地方の実態に合うような対応を改めてお願い申し上げまして、質疑を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

谷委員長 次に、岡本三成君。

岡本(三)委員 皆様、おはようございます。公明党の岡本三成です。

 質問の時間をいただきまして、ありがとうございます。

 本日は、二十分時間をいただきまして、我が国の観光政策について質問をさせていただきたいと思います。

 観光業というのは、実は世界ですごいことになっていまして、第三次産業の一部の部門ということではなくて、ここ数十年の中ではIT産業に次ぐ成長産業となっています。世界で、基幹産業の大きさとしては第四位、GDPの九%を占めていまして、何と世界の労働人口の十一人に一人は観光産業についています。国連のデータでは、過去五十年で最も成長した産業の一つで、今、世界を旅行している観光客は、二〇一四年は十一億三千万人なんですが、国連の予想では、二〇三〇年までに十八億人、五〇%以上ふえる産業というふうに予想されております。

 政府におかれましても、ここ数年、特段戦略的にこの分野を拡大いただいていると思いますけれども、率直に申し上げれば、私は、残念ながら潜在力が十分に生かされていないというふうに思っています。その意味で、きょうは幾つか提案もさせていただきたいというふうに思います。

 まず初めに、ことし三月三十日の明日の日本を支える観光ビジョン構想会議で、二〇二〇年の訪日外国人の数を四千万人に目標を定めまして、消費金額を八兆円という数字に定めていらっしゃいます。大変野心的な、いい数字だと思うんですね。ちなみに、二〇三〇年の目標は六千万人、十五兆円となっています。

 まず初めに、この意欲的な目標設定の根拠、何を根拠にこの目標を設定されたか、お伺いできればと思います。

田村政府参考人 観光は、地方創生への切り札でございますし、GDP六百兆円達成への成長戦略の柱でありますので、国を挙げて、観光を我が国の基幹産業へ成長させ、観光先進国という新たな挑戦に踏み切る覚悟が必要であるという認識であります。

 このため、従来の政府目標を大幅に前倒しし、かつ質の高い観光交流を加速するため、新たな目標を定め、広く関係者とともに共通の目標を目指して取り組むことといたしました。

 訪日外国人旅行者数につきましては、先ほど、二〇三〇年までに十八億人の旅行者になるというようなお話もありましたけれども、そういった世界そしてアジアの旅行市場の動向、それから我が国の最近のインバウンド市場の趨勢等も踏まえまして、さらなる政策的努力を上乗せして一層の高みを目指すために、二〇二〇年には約二倍となる四千万人、二〇三〇年には約三倍となる六千万人を目標として設定したところでございます。

 また、数だけではなくて、質を高めることで地方創生、経済の活性化を図ることが重要だという認識のもとに、訪日外国人旅行消費額につきましては、旅行者数の目標を前提に、ビジョン施策の実施によりまして一人当たりの単価をふやして、二〇二〇年までに八兆円等の目標を設定したところでございます。

 さらに、これに加えて、地方部での外国人延べ宿泊者数、それから外国人リピーター数等につきましても新たな目標を設定したところでございます。

岡本(三)委員 要は、気合いで目標を決められたんですね。

 ちなみに、数は、過去四年で訪日客は三倍になっていますので、いい目標だと思うんです。消費額も、過去四年で四倍になっていますので、気合いでいいと思うんです。一般企業でも、社長が売り上げとか利益の目標を決めるのは基本的には気合いですが、問題なのは、一旦気合いで決めた目標を実現するのは、物すごいサイエンスのセグメント化された世界に入っていくんですね。

 私が今回御提案申し上げたいのは、責任の所在が明確でないがゆえに、どうやって達成するかということを一つ一つの部門でセグメント化されていないことが問題じゃないかと思っているんです。

 ちなみに、本当に気合いで目標をつくるんだったら、先ほど申し上げたように、観光立国と言われているところはGDPの九%が観光収入ですから、日本は、六百兆円だったら、六、九、五十四、五十兆円ぐらいを本当は目標にしなきゃいけないんですね。その意味で、本当に八兆円というのは、第一歩としてはかなり野心的だとは思いますけれども、まだまだだと思うんです。

 何を申し上げたいかというと、例えば、企業が売上目標を決めたら、いろいろな商品のラインの中で、この商品で幾ら売り上げる、この商品で幾ら売り上げる、その顧客のニーズや市場の成長性を考えるわけです。例えば、今回の四千万人を、中国から何人、韓国から何人と。例えば消費動向を大きく金額でふやしたいのであれば、一般的に言われているのは、オーストラリアやドイツの方は一回当たりの消費額が大きいと言われていますので、それを伸ばそうと思ったら、ドイツはここまで伸ばす、オーストラリアはここまでと。また、年齢別でも、例えば、いろいろなマーケティング戦略を打つときに、同じ中国の方でも、二十代の方が何を魅力に日本にいらっしゃっているか、五十代の方が何を魅力に、違うわけですね。

 そこをセグメント化してやっていかなければ、例えば、二〇二〇年までに、途中で検証するときに、どこが目標より伸びていない、どこが伸びている、伸びていないところに対してはどうやっててこ入れをしていくかというふうに、追加の手も打てなくなっていくのではないかというのが私の懸念なんです。

 ちょっと私の私見を申し上げると、私は、数よりも消費金額が経済成長上は当然大切だと思っています。極論を言うと、例えば、韓国の方が日帰りで大韓航空をお使いになってお弁当を持って日本にいらっしゃったら、日本に残るのはごみだけです。地域に金が落ちないと意味がないんですね。

 その意味で、どういう消費性向を持ったどのターゲットにどういうふうにマーケティングしていくかというのを、それぞれ数値目標を入れて今後検討をして設定していくことこそが、この目標を達成するために最も大切だと思いますので、さらなるセグメント化されたマーケティング戦略を立てていただきたいとお願いしたいと思うんですが、いかがでしょうか。

田村政府参考人 先生御指摘のとおり、訪日プロモーション事業の実施に当たっては、国ごとにセグメンテーションを行って、ターゲットを絞った戦略的なプロモーションを行うことが重要であるというふうに認識をしております。

 これまでも、観光庁では、外部専門家も参画するマーケティング戦略本部におきまして、各国・地域の市場分析を踏まえて、ターゲットを絞った訪日プロモーション方針というものを策定して事業を実施してきたところでございます。しかし、観光ビジョンにおいて新たな目標が定められたことを受けて、マーケティングのさらなる高度化を図ってまいりたいというふうに考えております。

 その上で、新たな目標の達成のためには、戦略的なマーケティングだけでは足りないというふうに思っております。ビジョンで掲げられた、観光資源の魅力の磨き上げ、観光産業の国際競争力の向上、生産性の向上というようなこと、あるいは観光人材の育成強化、先端技術を活用した出入国審査、それからキャッシュレス環境の改善等々ストレスのない快適な観光ができる環境整備、こういった総合的な施策を実施していくことが必要だというふうに考えております。

 このため、観光ビジョンに盛り込まれた施策を、関係省庁と連携しつつ、政府一丸となって着実に取り組んで、新たな目標達成に努めてまいりたいと思っております。当然、マーケティングも高度化を図ってまいりたいと思います。

 ちなみに、八兆円というところとGDPの九%のお話を比較されましたけれども、八兆円というのは外国人の消費額だけでございますので、それを申し添えさせていただきます。

岡本(三)委員 長官、ありがとうございます。

 おっしゃるとおりなんです。ただ、先ほど申し上げたように、責任の所在を明確にして、一旦コミットした数字に関しては必ず達成をしていくということをぜひ頭に置きながら、さらなる施策を進めていただきたいと思うんです。

 今長官がおっしゃいましたお言葉は重要でして、五月の十三日に発表されています観光ビジョン実現プログラム二〇一六、さまざまなことが盛り込まれていて、大変有益な目標設定であったりアクションプランなんですけれども、この中につきまして何点かコアな部分を質問させていただきたいんです。

 まさしく長官おっしゃったように、大切なのは、どのようにその地域地域の観光をリードしていく人材を育てていくかということなんです。

 それで、各地域ではDMOが今までに二十四登録されていますけれども、これはビジョンの中ではゴールは百ですから、まだまだ道のりは遠いわけです。このDMOの中核になる経営感覚を持った人材をどのように育成していくかということが最も重要なんですが、このビジョン二〇一六の中では、例えば、そういう人材を育成するために、各地方の大学等と連携をしながらさまざまな教育の機会を考えていくということが掲げてありますけれども、大切なんだと思うんですが、教える人をどこから連れてくるかということもありますし、結構時間がかかると思うんです。

 私は、トップになろうと思ったら、初めは、まだ私たちはトップからかなり遠いところにいるわけですから、成功している人のまねをするというのがすごく大事なんです。ある程度トップティアに近いところになったら、あとは徹底的な差別化をしながら圧倒的優位性を築いていくというのが普通なんだと思うんです。

 例えば、日本の中でそういう教育機関を確立していくのはかなり時間がかかりますので、それはやりながら、一方で、世界にはトップのそういう人材を輩出しているような大学、大学院がたくさんあります。はっきり言いまして、この日本でも世界でも、トップ中のトップ、コーネル大学のホテルマネジメントの同窓生が、横のネットワークの中で、今産業はこういうふうに動いているので次はここだなということで、新しいインダストリーをつくるぐらいの勢いがあります。また、アメリカの中には、州立大学で、そこの州の魅力を発信するためにDMOの人材を育成するような州立大学のいいプログラムもいっぱいあるんです。

 ですから、提案といたしまして、それこそ国費で、国の公務員の方も地方公務員の方も地域のDMOの職員の方も、いい人を各地域から選抜して、毎年世界のトップスクールに送って、そこで知見も学んでネットワークをつくっていくぐらいのスピード感を持った人材育成が必要だと思うんですけれども、いかがでしょうか。

石井国務大臣 我が国におきましては、これまで諸外国のような観光地経営といった概念が希薄であったことから、地域のさまざまな関係者を取り込む組織づくり、マーケティング及び戦略の策定、経営的手法、PDCAサイクルに基づく観光地運営等を行うノウハウを持った人材が決定的に不足しております。

 このため、明日の日本を支える観光ビジョンにおきまして、世界水準のDMOを担う人材の育成等を実施することとしております。

 具体的には、まず、専門的な知識を有する人材と地域とのマッチングや、人材育成プログラムの開発、提供に取り組んでまいります。さらに、MBAを含むトップレベルの観光経営人材の育成拠点の形成、大学の観光学部のカリキュラムの変革による地域観光の中核を担う人材の育成強化、専修学校等の活用による即戦力となる人材の育成強化等にも取り組んでまいります。また、今御指摘いただいた海外の教育機関への研修派遣についても、有効な手段の一つであると考えております。

 国土交通省といたしまして、国内外の知見を幅広く取り入れまして、短期、中長期のさまざまな施策を通じ、観光地域づくりを進める人材の育成を総合的に支援していきたいと思っております。

岡本(三)委員 ありがとうございます。

 時間の関係で一つ質問を飛ばさせていただきます。

 続きまして、観光立国実現のためのハードルをどのように取り除いていくかということについて質問させていただきたいんですが、その一つが、国宝を初めとする文化財の活用をどのようにしていくかということだと思うんです。

 残念ながら、今までそれほど観光産業を戦略化してこなかったので、文化財を観光資源として整備されていないというのが現状だと思います。また、一部の方の中には、文化財は観光の目玉にするような類いのものではないと拒否反応を示される方もいますけれども、実際には、世界各国が文化財と観光を一つにまとめながら国の未来を開いているわけですので、ここにやはり力を入れていくべきだと思うんですね。

 それで、今、日本の文化庁さんの予算は若干ふえまして、ことしは八十五億から八十八億になっています。観光庁の予算は二・五倍になっているのに、実際に最終的な観光地である文化財の維持補修にはほとんどお金が使われていない。

 これは、諸外国で見ますと、例えばトップのフランス、イギリス、その他の国と比べますと、国家予算に占める日本の文化財に対する予算はほとんどびりに近いです。ですから、ここをどのように大きくしていくかということが重要だと思うんです。

 実際に、この予算を使って文化財の維持補修をしていこうということで、文化庁さんがまとめていらっしゃる根本的な修理は百五十年周期、維持補修の修理は三十五年周期なんですけれども、予算が間に合わなくて維持補修できない、長くかかっているようなところもあります。

 加えまして、こういうことを定期的に維持補修しないがゆえに、その専門家が育成できなくて、これを専門に扱っているような技術者の軍団で新しい人を雇えずに、もう技術者がいなくなってしまうというところもあるんです。

 ですから、はっきり言って、観光庁さんが二・五倍も予算をつけていたら、文化庁さんには十倍ぐらいつけるとか、また、文化庁個別でもらえないのであれば観光庁さんの予算を分けてあげるぐらいの、これは政治家の仕事なんですけれども、ぜひやらせていただきたいと思うんですが、ぜひ文化庁の方に政府に対するクレームをお願いしたいと思います。

冨岡副大臣 ありがとうございます。お答えします。

 我が国の貴重な文化遺産である国宝、重要文化財構造物の価値を保ち、確実に次世代に継承されるよう、適切な周期で保存修理を行うことは極めて重要なことだと考えております。

 平成二十八年度予算においては、保存修理のための経費として八十七億一千万円を計上するとともに、平成二十七年度補正予算において五億円を計上しております。

 国として、観光立国を実現するため、文化財活用・理解促進戦略プログラム二〇二〇を策定し、一つ、日本遺産を初めとする地域の文化資源の一体的活用、二つ、適切な周期による修理や次の修理までも文化財を美しく保つ美装化等の取り組みを進めているところであります。

 委員御指摘のように十分な予算とは言えませんけれども、国宝、重要文化財建造物は観光立国のための極めて重要な資源であることから、今後とも、文化的に価値の高いこれらの文化財建造物の保存修理に必要な予算の拡充に努めてまいりたいと思っております。よろしく御支援をお願いしたいと思います。

岡本(三)委員 これは予算が十倍になっても欧州の予算にも近づかないぐらいのレベルですので、文化庁さんは国土交通省の兄弟みたいなものですから、来年はこの委員会でもぜひ支援をさせていただきたいと思います。

 最後に、文化庁さんはそこまでおっしゃっているんですが、文科省さんは文化財の使い方に関して大変厳しい通達を出していまして、平成八年に、国宝、重要文化財の公開、使い方の制定を出していまして、例えば、公開するのは原則年間二回以内として、延べ日数は六十日以内とするというふうに一律の目標を出しているんです。

 例えば、たった一回で六十日ずっと公開するのか、二回に分けて三十日ずつとするのか、梅雨どきにするのか、乾燥している時期にするのか、いろいろな環境で違うと思うんです。また、梅雨どきは傷みやすいので、そのときは、移動できるものであれば、乾燥した地域、北海道に持っていって公開するということもあるかもしれません。なので、もっと柔軟にしていただきたいんです。

 例えば、各自治体からこういうふうに利用したいというのを全部聞いて、それに対してテーラーメードで応えていくような取り組みを今後やっていただきたいと思うんですが、最後にこの件を質問させてください。

村田政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御指摘がございましたとおり、美術工芸品である国宝、重要文化財につきましては、できるだけ多く国民の皆様に公開をして見ていただくことが大切というふうに認識してございます。

 一方では、我が国の美術工芸品については、紙、絹、木等の脆弱な素材でできていることから、公開を行う場合には、そうした保存についても細心の注意を払う必要があると考えているものでございます。このため、御指摘がございました文化財の公開の回数や期間等について、取扱要項によって定めているものでございます。

 大変厳しいという御指摘がございましたけれども、現在でも、文化財の性質によっては例外を認め、あるいは、全体として要項の基準によりがたい場合は個別に文化庁に御協議いただくなど、一定の弾力的な運用は行っているところでございます。

 その上で、今後の改善といたしまして、国宝、重要文化財、美術工芸品の公開の現状について、今年度、文化財を多く公開している博物館等を対象にアンケート調査を実施する予定で準備をしてございます。その中には、展示している文化財の材質でございますとか、展示設備、展示環境など、各博物館の実態等もよくお聞きした上で、今後、さらに適切な公開のあり方について考えてまいりたいというふうに考えております。

岡本(三)委員 効率的に運用しようということで、ことし三月七日に、観光庁を中心にスポーツ庁、文化庁さんと三庁連携を結んでいただいておりますけれども、民間でいうと、対等合併というのは、責任の所在がないがゆえに意思決定がおくれて、大体うまくいきません。なので、観光庁さんが中心だというぐらいの責任感を持って、文化庁さんとスポーツ庁さんを巻き込んで、観光戦略を実際に実現して目標を達成していただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 以上です。ありがとうございます。

谷委員長 次に、井坂信彦君。

井坂委員 神戸から参りました井坂信彦です。

 ふだんは厚生労働委員会を担当しておりますが、本日は、国土交通委員会にて質問の機会をいただきまして、本当にありがとうございます。

 本日は、旅館の耐震改修の問題、それから小型船舶の不法係留の問題、そして三つ目にURの独立行政法人改革について、三点お伺いをしたいと思います。

 まず、旅館の耐震診断についてです。

 平成二十五年に改正された耐震改修促進法で、不特定多数の人が利用する建物のうち大規模なものについて耐震診断が義務づけられ、その結果が公表されることとなりました。その対象には病院や店舗と並んでホテルや旅館が挙げられ、新しい耐震基準になる昭和五十六年より前に建てられた床面積五千平米以上のホテル、旅館は、平成二十七年末までに耐震診断を行い、その結果を報告しなければならないとされました。

 そこで、まず参考人にお伺いいたしますが、まさに昨年末が期限であります。耐震改修促進法に基づく旅館の耐震診断結果の公表はいつごろ行われる見通しでしょうか。

由木政府参考人 お答えいたします。

 今御紹介をいただきましたように、二十五年の法律改正によりまして、いわゆる旧耐震に基づき建築された建築物でございまして、ホテル、旅館等の不特定多数の者が利用する建築物あるいは学校、老人ホーム等の避難弱者が利用する建築物で大規模なものにつきましては、耐震診断を行っていただき、その結果を平成二十七年末、昨年末までに地方公共団体に報告するということが義務づけられております。また、報告を受けた地方公共団体は、建物の用途ごとに一覧できるよう、取りまとめを行いまして公表するということにされているところでございます。

 公表に当たりましては、法律改正の際の衆議院の附帯決議におきまして、「地域における建築物の個別の状況や営業上の競争環境等にも十分に配慮し、丁寧な運用を行うこと。」とされておりますので、こういったことも踏まえまして、現在、各地方公共団体におきまして、提出された報告内容について誤りがないことを確認するための精査が行われているものと承知しております。

 また、一部でまだ報告が行われていない場合や、あるいは報告内容が不十分な場合があるというふうに聞いております。こうしたものにつきましては、公平性を確保する観点から、そうした未報告の建物所有者への督促等が行われていることもあると承知をいたしているところでございます。

 したがいまして、公表の時期の見通しを現段階で定かに私ども持っているわけではございませんが、今申し上げました対応が完了いたしました公共団体から順次公表されていくものと考えているところでございます。

 以上でございます。

井坂委員 ありがとうございます。

 大臣にお伺いをしたいんですけれども、そもそも、耐震診断はいいと思います、しかし、耐震診断の結果を公表していく、この公表するという目的は何でしょうか。

石井国務大臣 今回の熊本の地震でも、住宅・建築物の倒壊で亡くなった方が多数おられます。住宅・建築物の耐震化は喫緊の課題と考えております。

 耐震改修促進法では、旅館に限らず、不特定多数の者が利用する施設や高齢者、障害者など避難弱者が利用する建築物のうち大規模なものについて重点的に耐震化を促進することとされております。

 これらの診断結果を公表することによりまして、利用者などが建物の耐震性を把握し、安心して利用できる環境を整備するとともに、所有者の耐震性に対する認識を高め、耐震改修の契機とすることで、その耐震化を促進することを目的としているものであります。

井坂委員 今、目的として大きく二つ答弁されたというふうに思います。一つは、旅館の利用者、宿泊客への情報提供、そしてもう一つは、旅館の所有者、ホテルのオーナーがちゃんと耐震改修を自覚を持って早く進めるように、この二点だというふうに思います。

 ちょっと突っ込んでお伺いしたいんですけれども、情報提供と一言でおっしゃいましたが、それはつまるところ、こういうことを目的として持っておられるのかということ。つまり、耐震改修がまだの旅館を公表して、こういう旅館は危ないと利用客が判断して宿泊しないために情報提供をしているということなんでしょうか。

由木政府参考人 お答え申し上げます。

 耐震結果の公表につきましては、基本的に、旅館等五千平米を超えますものについて、耐震性はどうなのかということにあわせて、耐震改修の予定等についても情報をきちんと報告していただいて公表することにしておりますので、そういった全体をあわせて、利用者の方々が安心して利用できる環境を整備する目的というふうに考えているところでございます。

井坂委員 ちょっと納得できない答弁なんですが。

 つまり、耐震診断の結果、耐震改修が必要ですとなった、しかも、それが早々に公表されてしまう、ホテルのオーナー、旅館のオーナーは、近々耐震改修を何年何月には行います、そういうときはホームページにそれもあわせて載せます、それをあわせて利用者が判断ということであります。

 例えば、利用者の気持ちになれば、この旅館は、自分が泊まりに行くこの日には耐震改修がまだだけれども、しかし一年後には耐震改修をやるとホームページに書いてあるから安心な旅館だと思って利用者は泊まるんでしょうか。やはり自分が泊まるときに耐震改修済みなのかどうなのかで判断をせざるを得ないというふうに思います。

 ですから、将来の耐震改修の予定を横に書くから配慮しているんだという答弁は私はちょっと納得がいかないんですが、今のことに関して参考人の御答弁をいただきたいと思います。

由木政府参考人 お答え申し上げます。

 公表の内容について、先ほど申し上げましたように、耐震診断の結果そのものとあわせて耐震改修の予定等についても記載をすることになっております。

 さらに、私どもの方で、この公表に当たりましては、あくまでも、今回耐震診断をお願いしております診断結果につきましては、六強から七に達する程度の大規模な地震に対する安全性を示すものであるということをきちんと公表、周知をすることをお願いしております。

 それぞれ、仮に耐震性についてやや問題があるような数値等が公表される場合にも、特に違法に建築されたもの、あるいは劣化が放置されたものでない限りは、震度五強程度の中規模地震に対しては損傷を生じるおそれは少なく、倒壊するおそれはないというようなこともあわせてきちんと周知をするように、今、特定行政庁の方にも求めております。

 こうした正しい情報をできるだけきちんと利用者の方々にお伝えをすることで、全体として利用者が安心できる環境を確保することであると認識をいたしております。

井坂委員 正しい情報を利用者にと言えばさらっと聞こえるんですけれども、それは要は、利用者はそれをもとに判断して宿泊するかしないかを決める材料になるんだ、こういうことだと思います。

 私は、耐震診断の結果を公表する、これは、まさに耐震診断でだめだとなったのをずっと放置していることがあってはならないですから、これはまさに耐震改修促進法ですから、耐震診断公開法ではありませんので、それを促進をするという意味での半ばワンテンポおくれたペナルティー的な公開ならまだわかります。しかし、今おっしゃったように、近々耐震改修するとまで言っているようなところを、なお、ここはまだなんですよ、一年後にはやると言っているけれどもここはまだなんですよと公表することにいかほどの意味があるのかというふうにも思うわけであります。

 耐震診断の結果、改修が必要だ、でも、まだここは改修をしていないんですよということが公表されれば、これはホテル、旅館にとっては死活問題であります。附帯決議で、商売に影響を与えないような丁寧な運用をと先ほど答弁にもありましたけれども、旅館、ホテルは別に耐震改修をやる気がないわけではありません。耐震改修工事の補助金単価がこれまで低過ぎたという問題、また、耐震改修で休業中の職員に雇用調整助成金が使えなかったりという理由があって現段階で耐震改修ができていないところが大半だというふうに思います。補助金の単価はようやく今年度から引き上げられたということでありますから、まさに、まともな単価で耐震改修工事ができるのは今年度からだということではないんでしょうか。

 大臣にお伺いいたしますが、ことしようやく補助金が引き上げられて、今から耐震改修工事を行う旅館が大半だと考えますが、この旅館の診断結果の公表を、やる気があるところは近々やるわけですから、それぐらいまでは待って、本当にやる気のないところをペナルティー的に、余り遅いと公表しますよ、こういう運用に変えるべきではないでしょうか。

石井国務大臣 耐震改修促進法におきましては、旅館等のうち大規模なものの耐震診断結果につきましては、平成二十七年末までに地方公共団体に報告いただくことになっておりますけれども、公表の時期については定められておりません。

 耐震診断結果の公表については、仮に誤った情報が公開された場合、利用者や建物所有者に不利益を及ぼしかねないことから、公表する際には、診断結果や今後の改修予定内容など、報告内容に関し誤りがないことをきちんと確認する必要がございます。このため、現在、報告を受けた地方公共団体において報告内容の精査を行っているところと承知をしております。

 また、早く取り組んだ建物所有者が遅く報告した者より不利になることのないよう、結果を用途ごとに一覧に取りまとめて公表することとされたことから、未報告の所有者に対する督促などを行っている場合もあると承知をしております。

 公表の時期につきましては、こうした対応の状況を踏まえ、地方公共団体において適切に判断されるものと考えております。

井坂委員 大臣、お尋ねしたことに正面からお答えいただいていないのではないかと思います。

 未報告のところは、ここは未報告ですよということを公表することは私はあっていいと思います。去年の十二月末までに耐震診断をやりなさいと義務づけられていて、しかも、それをちゃんと報告しなさいと法で義務づけているわけですから、それすらやっていない、診断すらやっていない、あるいは結果を報告していない、これは、ある種ペナルティー的に、ここはそもそも報告すらしていないんですよと公表することは現時点であっていいというふうに思います。

 ただ、私がお聞きしたのは、古い旅館は一九八一年より前につくられたところが多いです。そして、以前、まさに御党の議員がちょうど一年ぐらい前に質疑をされておられましたが、単に普通の建物の耐震改修とは違って、見ばえ上の問題、景観上の問題、いろいろな理由で、当時設定されていた耐震改修の工事補助金の単価では全然できないという実情があって、そして、この春からようやく補助金の単価が引き上げられたというふうに聞いております。ですから、まさに仕組み上も耐震改修の工事をやるのは今からだというホテル、旅館が多いと思うんです。今からやる。

 しかも、さっき参考人が答弁されたように、ホームページにも、今はまだですけれども一年後に工事しますよとか、そこまで書くのであれば、そんなものは、一年後に工事をするところに、なお、このホテルは一年間は耐震診断でアウトになっていますよと公表することに一体何の意味があるのかというふうに思うんです。

 これは、法律の趣旨、そして公表制度の本来の、本当に狙うべき目的、ここをいま一度原点に立ち返って考えていただいて、公表の時期はまだ今見通しも立っていないんですから、附帯決議どおり丁寧に運用をして、そして私は一定おくらせるべきだと思いますが、大臣は政治的にどうお考えになりますか。

石井国務大臣 現在、用途ごとに一覧でまとめて公表するということは附帯決議にのっとってやっていることでありまして、報告していないものを報告せよとは附帯決議にはなってございません。そういう意味で、委員会の趣旨に基づいて私どもはやっているところでございます。

 なお、先ほど申し上げましたように、公表の時期については、地方公共団体において適切に判断されるものと思っております。

井坂委員 私は、ペナルティー的に、要は耐震改修を進めるためにこの公表制度を使うならいいと思います。しかし、耐震改修を近々やる、ようやく補助金の単価がまともな金額に少し近づいたから今からやると言っているホテル、旅館を、この旅館は危ないですよと公表することに何の意味があるのかというふうに思うわけであります。

 その目的を最初お伺いしましたら、それは単に促進するという目的と、もう一つは、利用者、宿泊客への情報提供だというふうにおっしゃいます。

 しかし、そこまでおっしゃるのであれば、私はお伺いをしたいのは、先ほど民泊の議論もありましたけれども、では、民泊宿泊者への情報提供はどうなんだと。

 私は、民泊はどんどんやったらいいと思っている側ですよ。民泊を何か強烈に規制強化すべきという立場でも特にありませんけれども、ただ、既存のホテル、旅館は、もう間もなく工事をやると言っているのにここは危ないといって公表される。一方、民泊の方は、今は全然そんな仕組みも何にもない。これでは、本当に競争の条件が全くイコールではないというふうに思います。

 これは通告どおりですからお伺いいたしますが、まさに宿泊客、利用者への情報提供というのであれば、例えば、古い大型マンションで、多くの部屋が民泊として旅行者に提供されているようなマンションが既にあります。こういうところは、まさに耐震診断と耐震改修、そして、改修がまだなら、ここの民泊は危ないですよという情報公開、結果の公表が利用者への情報提供のため必要だ、こういう理屈になってしまうのではないですか。

由木政府参考人 お答えいたします。

 民泊につきましては、民泊サービスのルールなど、制度設計そのものの構築に向けまして、現在、「民泊サービス」のあり方に関する検討会において議論がなされている段階でございます。したがいまして、いわゆる民泊そのものについて耐震改修促進法上どのように取り扱いをしていくべきか、例えばホテル、旅館と同等と考えていくべきなのか、あるいは住宅と同等と考えていくべきなのかについて、まだ決まっていないというのが現状でございます。

 また一方で、この耐震改修促進法上は、今ほど話題になっております耐震診断の義務づけ措置そのものは昨年末の時点を捉えて講じられている措置でございますので、例えば、ことし以降増築をいたしまして五千平米を超えてしまうホテル、旅館がある場合においても義務づけの対象にはなってまいりません。

 では、今後どうするのかということでございますが、耐震改修促進法におきましては、旧耐震でつくられました建築物のように、既存不適格の建築物でございます三階建てかつ二千平米以上の例えばホテル、旅館等につきましては、必要な耐震診断や耐震改修が行われていないときには、地方公共団体は所有者に対して必要な指示をすることができるという規定がございます。この指示に従わなかったときは、その旨を公表することができることになっております。

 したがいまして、今後、仮に、民泊がホテル、旅館と同等と扱うということで整理がされると仮定をいたしまして、古い三階建て以上のマンションで二千平米以上の部分が民泊の用に供されるようなマンションが出てきた場合には、この制度の公共団体の指示の対象になってまいります。

 したがいまして、例えば、そうしたものの中でも特に大規模なもの、五千平米を超えるようなものについては、必要に応じてこの指示の措置を講じることによりまして耐震化を促進していくことになるものと考えているところでございます。

井坂委員 誤解があってはいけないんですが、私は、民泊にも耐震診断とか結果公表を義務づけろ、こんな規制強化を言っているわけでは全くないんです。

 そうではなくて、現状、民泊はこのルールから外れていて、民泊に宿泊する人は、自分が泊まる場所が耐震改修済みなのかそうでないのか、いわゆる目的の一つである情報提供を受けることが全くできていないわけで、それでも野放しなわけですよ。

 片やそういう取り扱いをしておきながら、もう一方の既存のホテル、旅館に対しては、もう間もなく耐震改修工事をやると言っているところまで、でも、ここは一年まだなんです、来年やると言っているけれども、ことしは耐震診断でアウトなんです、こんなことを公表することが、情報提供上意味があるとおっしゃいますけれども、情報提供とおっしゃるなら、民泊だって必要だ。でも、この法律の本当の趣旨は耐震改修を進めることですから、この公表制度に関してはここが今大きくずれているんではないか、そのように思うんです。

 大臣、最後にお聞きしますけれども、宿泊者への情報提供、一定わかります。一定わかりますけれども、民泊に泊まる人、あるいは小規模なホテルに泊まる人には一切こういう情報提供はされない、大規模なホテルに泊まる人にはここは耐震改修がまだだという情報提供がされる、ここのギャップ。また、本来の目的である耐震改修を進める、そして、そのための一手段としての公表制度だ、この原点に立ち返れば、それは、公表をずっと未来永劫おくらせる、こんなことはおかしいと思いますが、例えば、近々改修をやると言っているところは公表しなくてもいいんじゃないですか、もうやるんですから。全然もう改修の予定も見通しも立っていない、あるいは、もっと言えばやる気がないところ、これは、余りやる気がないんだったら公表しますよ、こういうことでむしろ促進をしていけばいいのではないでしょうか。お伺いいたします。

石井国務大臣 民泊につきましては、今、特区制度で一部先行的に実施が可能なところはありますけれども、本格的にはこれからルールづくりをやろうという段階でございますので、今、民泊と旅館、ホテルを同等に議論するのはなかなか難しいというふうに思っております。

 それから、耐震診断のことにつきましては、これは法律に基づき実施をするということで、法律につきましては、現状それから今後の改修予定等をあわせて公表するということになりますので、法律に基づいて適切に公表されることになると思っております。

井坂委員 なかなか納得のいく答弁ではありませんが、次に移りたいというふうに思います。

 二点目に、小型船舶の不法係留についてお伺いをいたします。

 私は地元は神戸でありますが、船舶は、まさにグローバル社会の今日に、大量に物資を運べる重要な物流手段であります。日本は海洋国家と言われて久しいわけですけれども、しかし、最近、船員の確保、海、船で働く人の確保が難しくなってきている。そして、その一つの理由としてよく言われるのが、日本では小型船舶の普及が余り進んでいないんじゃないか、こういう話もあるわけであります。

 また一方で、小型船舶でずっと問題としてあるのは、不法係留、港の中とか川とかいろいろなところに、自分のとめる場所ではないのに勝手につないでとめている、これは防災上も非常に問題だ、危ない、こういうことになってきております。

 そこで、まず参考人にお伺いいたしますが、この小型船舶の不法係留というのは、現状、全国で何万件ぐらいあるんでしょうか。

菊地政府参考人 お答えいたします。

 国土交通省と水産庁では、プレジャーボート全国実態調査を実施しておりまして、平成二十六年に実施をいたしました調査の結果によりますと、港湾、河川、漁港の三水域全体で十七万七千五百十六隻のプレジャーボートが確認をされております。このうち、約四九%に当たる八万七千五百三十六隻が水域管理者等の許可を得ずに係留、保管等をされております。

井坂委員 全国に十七万隻あるうちの実に半分が不法係留をされているというふうに国土交通省は確認をしているわけであります。何でこういうことになってしまうのか。

 自動車で、車庫を持っていない自動車というのはまずありません。なぜかといえば、自動車の場合は車庫証明という制度があって、車庫がありますよという自動車しかまともに道も走れないし、車検も受けられない、こういうかっちりとした仕組みになっているからであります。

 そこで、大臣にお伺いいたしますが、小型船舶、十七万隻あるうちの半分が不法係留である、この事実に対して、例えば、小型船舶の定期検査は六年に一度だということでありますが、こういう定期検査の際に、自動車の車庫証明のように、この船はここに係留場所をちゃんと確保しています、こういう係留場所を届け出るような仕組みにしてはどうでしょうか。

石井国務大臣 放置艇対策につきましては、平成二十五年の五月に、国土交通省と水産庁が連携をいたしまして、今後十年間の対策を取りまとめております。その内容は、保管場所の整備、放置艇禁止区域の設置による規制措置を実施することによりまして、平成三十四年度までに放置艇をゼロとすることを目指すものであります。

 これを踏まえまして、自治体を中心に取り組みが進められておりまして、この結果、放置艇は、先ほど平成二十六年は約八万八千隻というふうに申し上げましたが、平成二十二年の段階では約九万九千隻ございましたので、若干減少している状況でございます。

 今後、引き続き取り組みを進めまして、保管場所の十分な確保を行った上で、放置艇の発生を防止するための仕組みについても検討していきたいと思っております。

井坂委員 現状の取り組み、また、そこで別に成果が出ていないわけではないということは理解をいたします。

 ただ、最後に大臣がおっしゃったように、最後はやはり、自動車と同じように、この船はここにとめる場所は確保できていますよということが一対一できちんと対応して届け出られる、証明をされる、こういう仕組みが私は決め手になると思っておりますので、ぜひ、これはきょう御提案申し上げたばかりですので、目標は私はそれでよいと思いますから、有効な手段として今後御検討いただきたいというふうに思います。

 次に、URの問題について伺います。

 まず、お配りしております資料ですけれども、都市再生機構、資料の一枚目、独立行政法人に関する基本的な方針ということで、これは平成二十五年の年末に閣議決定をされて、そして、これに基づいて、今、URの中でも鋭意改革が進められているということでありますが、時間がないので一点だけお伺いをいたします。

 この中で、URの関係会社の整理合理化ということで、半減をすると書かれております。これは一枚めくっていただいて、二枚目の(九)のところ、現在二十六社ある関係会社を平成三十年度末までに半減する、それに対して、現在の進捗状況はもう十七社まで減っていますよということであります。

 どういうふうに減っているのかということで、もう一枚めくって三枚目を見ていただきますと、居住者サービス会社が七社あるうちの五社は、資本関係の解消、つまり、もともと日本総合住生活という会社がここに資本を出していたのを、資本関係を切ってもう全然関係のない会社にしましたよ、それから、その下にある業務支援会社五社は経営統合をして二社にまとめましたよということであります。

 そもそも論をお伺いしたいんですけれども、URの関係会社の整理合理化はそもそも何の目的で行っているんでしょうか。

由木政府参考人 お答えいたします。

 URの関係会社につきましては、旧公団時代から、公団本体の組織をスリム化すると同時に、多様化する業務を安定的、効率的に実施するために必要なものとして設立をされてきたものでございます。この結果、URが設立された当初、平成十六年でございますけれども、この時点では関係会社が三十六社ございました。

 この関係会社については、UR本体は多額の繰越欠損金を抱える一方で、例えば、関係会社は多額の剰余金を有している、随意契約で契約がなされている割合が非常に多い、あるいはURからの再就職の者が多いといった非効率、不透明な業務運営が指摘をされているという状況でございました。

 このため、URでは、利益剰余金を返納させる、あるいは契約に競争原理を導入する、関係会社への再就職に係るあっせんを禁止するといった措置をとるとともに、関係会社について、二十五年の十二月時点では二十六社まで整理統合を進めてまいったという経緯がございます。

 二十五年に基本的な方針が閣議決定をされたわけでございますが、この閣議決定がされるに際しまして、さらに、出資目的を達成した関係会社については整理合理化をして株式売却を行う、また、民間企業のグループ経営の手法を活用できる関係会社についてはホールディングス化して経営基盤の強化を図る、こういった手法によりまして、さらにより一層経営の透明化や効率化を図ることを目的といたしまして、平成三十年度までに二十六社をさらに半減し、十三社とするという目標が定められたところでございます。

 以上でございます。

井坂委員 実は、事前に担当者の方にお聞きした中では、例えば、居住者サービス会社七社を二社にしましたと言えば、何か物すごい合理化が進んだような気がするんですが、この五社は、もともとほとんどURと関係のなかった会社になぜか資本を出していたのを、ただ切りましたということであります。

 また、その下の、業務支援会社五社を二社にまとめましたということでありますが、では、二社にまとめて一体実態としてどれだけスリム化をされたのかということになると、これもまたどれほどスリム化をされたのかという状況ではないかと思います。

 しかし、単に会社の本数を減らす、何か改革しているぞというためだけの改革には決してならないようにしていただきたいということだけ申し上げておきます。

 URの改革なんですけれども、そもそもURは、この間、国会からたび重なる、数次にわたる民営化要求の波に洗われ、襲われてきたわけであります。

 めくっていただいて最後の四ページ目ですけれども、これはUR改革に関するこれまでの経緯であります。

 もともと、平成十九年十二月の閣議決定では、組織形態を検討して三年後に結論を得るとなって、その後、あり方検討会。その後、政権交代があって、今度は民主党さんの政権下で、URに対しては分割、さらには一〇〇%出資の特殊会社に資産譲渡して、将来は民営化、こういうところまで議論が進んだ。ところが、また自民党政権に戻ったときに、早々に、この一番下に書いてありますけれども、平成二十五年度予算編成の基本方針でこれは凍結をされて現在に至っているわけであります。

 私は、実は予算委員会からずっと甘利前大臣の問題の質疑を続けてまいりました。実際、甘利事務所の秘書に、UR側が、決して言ってはいけない金額を言いましたということで、予算委員会の議場でお認めになるような場面も当時ございました。

 私のそもそもの疑問は、なぜ、この疑惑の舞台となった千葉県白井市とは全然関係のない神奈川県の甘利前大臣の事務所が、この地における業者とURの補償金交渉に十回以上も介入をしたのか、ここがそもそもの疑問点だったんです。これは、地理的なつながりでなければ、職務上のつながりを次には考えるのが自然であります。

 URの予算を承認する直接の所管官庁は国交省。しかし、今申し上げたたび重なる民営化の議論の中で、甘利前大臣も、麻生内閣では行革担当大臣、そしてその後も経済財政担当大臣ということで、与党内で非常に大きな力を持つ議員だった。このことをもって、国会議員の権限に基づく影響力が十分あったんじゃないか、こう言う法律の専門家もいるわけであります。

 そこで、参考人にまずお伺いをしますが、私は、やはり、URの改革、民営化の結論に対して甘利前大臣は強い影響力を持っていたというふうに思いますが、いかがですか。

由木政府参考人 お答えいたします。

 甘利前大臣は、平成二十年九月から平成二十一年九月までの約一年間、行政改革担当大臣として、URを含む独立行政法人等の改革を担当なさっておられました。

 この時期は、平成十九年十二月に閣議決定をされました独立行政法人整理合理化計画に基づきまして、URの改革につきましては、政策目的に沿って業務の見直しを行った上で、組織形態を検討し、三年後に結論を得るとされた三年間の検討期間に当たる時期でございました。

 具体的には、国土交通省の関係局長の諮問委員会として有識者による検討会が立ち上げられて、省内において検討が続けられてきた時期でございます。また、この検討会は、結果として、平成二十一年九月の政権交代によりまして、結論を得るに至らなかったという経緯がございます。

 その後、政権交代を経まして、甘利前大臣は、御案内のとおり、経済再生担当、経済財政政策担当、あるいは社会保障・税一体改革担当などの大臣を歴任なさっていらっしゃいますが、いずれもUR改革には直接かかわらない大臣でございます。

 また、平成二十五年十二月には、独立行政法人改革に関する基本的な方針が閣議決定をされておりますが、甘利前大臣はあくまで閣僚の一人としてかかわられたものというふうに承知をいたしているところでございます。

 したがいまして、甘利前大臣が、今委員が御指摘いただきましたような、URの改革の結論に対して強い影響力を持っていたという認識はございません。

 以上でございます。

井坂委員 本日、二〇〇七年十二月二十日の新聞記事を持ってきたんですけれども、独法改革、町村氏が仲裁、行革大臣案から大幅後退、こういう記事で、当時、なかなか進まなかった行革大臣の案に対して、町村氏が仲裁案を出して、それでまとめてしまった、後退をした、そのとき甘利氏は、会談後に記者団に、提案を全部丸のみせよというのが改革ではないと当時の行革担当大臣を皮肉った、こういうことも書かれております。

 この段階で、要は、行革担当大臣になる前も、独法改革に対しては行革大臣に対してかなり皮肉るような強烈な一言をおっしゃって、そして、行革担当大臣、また、最後の平成二十五年の予算編成の基本方針、これで民主党さんの方針が凍結されたわけでありますが、予算編成の基本方針、これはホームページに載っていますけれども、まさにこれも内閣府の経済財政担当が問い合わせ先、そのページに載っているわけであります。これは、ホップ、ステップ、ジャンプで、三段階にわたって一貫して甘利前大臣はURの民営化に対しては慎重な立場でずっと発言、行動を続けてきておられるという事実があります。

 本日はもう時間が参りましたので、同じことをお聞きしてもあれでしょうけれども、私は、今日URが、独法改革、民営化されずにいまだに独法のままいられるのは、事実だけ並べてみれば、甘利前大臣の御尽力が非常に大きいというふうに思いますよ。

 これはお聞きしようと思っておりましたけれども、もう時間がありませんのでお聞きをしませんが、本日は、まず、事実に基づいて、甘利前大臣と独法の民営化の流れについて質疑をさせていただきました。

 長時間、どうもありがとうございました。

谷委員長 次に、横山博幸君。

横山委員 おはようございます。

 今週も愛媛県の松山空港から飛行機に乗ってやってまいりました民進党の横山です。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 通告はしておりませんけれども、大臣に一言お聞かせいただきたいんです。

 松山空港は液状化現象がありまして、先般、東亜建設工業がその工事をされたということでございます。私の調査では、東亜建設工業には、国交省の再就職組、天下りがいらっしゃるということで、大変私ども残念であるというふうに思いますけれども、この工事の不正の経緯、それから、対策を緊急にとらなければならないと思いますけれども、どのようにお考えか、見解を求めたいと思います。

石井国務大臣 東亜建設工業からは、羽田空港に続きまして、今委員御指摘の松山空港につきましても、いわゆる曲がり削孔プラス、バルーンによる薬液注入工法による工事においてデータの不正があったという報告を受けておりまして、これはあってはならないことでありまして、極めて遺憾であるというふうに思っております。

 報告を受けまして、国土交通省といたしましては、調査の対象を全国の薬液注入に係る公共工事に広げて、施工不良がなかったかどうか、東亜建設工業の方に五月二十日までに報告するよう指示したところでございまして、今後、全容が明らかになった段階で、東亜建設工業に対しましては厳正に対処していきたいと思っております。

横山委員 ぜひ早く対策をとっていただきたいと思います。

 松山空港は、各航空会社とも大変なドル箱の路線でありまして、利用客が大変多いということで、大変危惧をしております。よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 それでは、先ほど井坂委員からもありましたけれども、URさんについてお聞かせいただきたいと思います。今や改革最前線にあるURという立場でございますけれども、質問の通告の手順を少し変えて、話の流れで質問をさせていただきたいと思います。

 先ほど国交省からのOBの話を東亜建設工業でさせていただきましたけれども、URも、副理事長を初め四名の方が、これは天下りじゃありません、現職で出向されておるということで、まさに国交省の直轄の機関であるということで、大変重要な組織であると思います。

 その組織の中で、まず、URから、卒業生、OBが建設会社あるいはコンサル会社、そういうところに再就職をされておるのかどうか、実態をお聞かせいただきたいと思います。

上西参考人 お答え申し上げます。

 平成二十七年度に施行されました改正独立行政法人通則法におきまして、役職員の再就職のあっせんが禁止されておりますが、URといたしましては、平成二十年二月、当時の冬柴国交大臣が役職員の再就職のあっせんについては自粛するという国会答弁をされておりまして、これに従いまして、以降、URとしては役職員の再就職のあっせんは行っておらないということでございます。

 よって、機構から建設会社やコンサルティング会社への再就職のあっせんをされた方、いわゆる天下りに該当する方は現在おらないということでございます。

 なお、平成二十七年度に施行されました改正独立行政法人通則法におきましては、役職員が在職中に営利企業等に再就職することを約束した場合は、その内容について、法人の長へ届け出義務が規定されているところでありますが、機構を退職後、みずからの求職活動により再就職をされた方についてはその届け出を求めておらないために、再就職先の人数を把握する仕組みにはなっていないということでございます。

 以上でございます。

横山委員 大変健全な対応だと思います。国交省からは大手のゼネコンのほとんどに再就職をされておるという実態から見れば、URの対応は健全であるというふうに思います。

 それで、先ほど井坂委員から甘利事務所の関与について、改革の面での質疑がありましたけれども、私も少し時系列的にこの甘利事務所の関係を整理してみます。

 ちなみに、平成二十五年の六月七日、これは甘利事務所の秘書が状況調査でURの方とお会いになった。続いて、同年八月六日には物件移転補償契約をされている。そして、同年の八月二十日、わずか数日後に、その物件補償契約の振込金の中から五百万を引き出して、薩摩興業は甘利事務所にお礼に行っている、所長に手渡したという報道がございます。さらに、同年の十一月十四日に、公表はされておりますけれども、甘利元大臣に五十万円を手渡した、こういう関係が時系列的に見ると見えてきます。

 そうすると、全く関係ないというようなことについては疑義があるということで、私は三回目の質問を続けさせていただきたいというように思います。

 まず、二億二千万の物件移転補償について、一億八千万のものを、報道では、即時二千万、約一割をアップした、その後に電話でさらに要求されて二千万アップした、合計で二億二千万円になったという経緯がございましたけれども、副理事長の前回の答弁では、いやいやそんなことはありません、数日間検討して、そしてその回答をされたということでございますので、報道とはかなり違った内容となっております。

 それで、通常の場合、補償金額を増額する場合は、副理事長おっしゃるとおり、十分検討されて、その提示額について内訳を相手方に明示するということが通常の流れでございますけれども、その二千万円を二回増額されたものについて、薩摩興業に対して書類で明示をされておりますか。

花岡参考人 お答えを申し上げます。

 委員御指摘の経緯につきましては、先日もお答えいたしましたけれども、まず最初に、先方の求めに応じて、概算額ということで、これだけは間違いなく積み上がるだろうというものをお示ししたといったような経緯でございまして、その段階では特に内訳といったようなものはお示しをいたしておりません。

 それから、中間で、先方とお話しする中で、その時点でいろいろ検討していて、数字は多少ふえるかもしれないけれども、随分幅があるというか、また、ふえるという確認もまだできていないという中間的なお話をしているようでございますけれども、これも中間的な、非常に幅のある話でございますので、内訳といったようなものは特にございません。

 それで、最後、契約するときに、契約の直前にどういうことをお示ししているかということでございますけれども、これは公共工事の補償契約一般に言えることだと理解をいたしておりますけれども、まずどういうものを補償するかということについては、物件の調書、例えば、どういう建物があってどういう構造でどういう面積だ、あるいは先日の議員の御指摘で言えば、立木は何本あるとか、そういったような物件の調書というものは分厚いものをつくりまして、これだけのものがあるので補償するといったような確認をすることになっております。

 それについてどういう形で金額をお示しするかということでございますけれども、建物については幾ら、立木については幾らということで項目ごとにまとめて金額を紙でお示しをして、それで御理解をいただくように交渉させていただく、そういう段取りになっております。国の直轄工事なんかにおいてもほとんど同じやりとりがされているといったふうに承知をいたしております。

 以上でございます。

横山委員 何度お聞きしても非常にラフな交渉だと思いますけれども、これは他の交渉案件でもURはこういう事例が多いんですか。お答え願います。

花岡参考人 お答えいたします。

 一言で申し上げれば、ほかの案件も含めて、通常そういうやり方をさせていただいているということでございまして、補償するべき対象については細かく積み上げをやりますけれども、金額につきましては、例えば立木であれば立木一式とかそういう形で個別の金額をお示しするということをやっております。今回だけ特別なことではございません。

横山委員 立木補償の件が出ておりますけれども、立木補償というのは、突然木が育ったりしませんから、最初から補償数は明確なんですよね。そういうものに対して応用的に補償することになると、各補償対象者との協議は非常に長引くと思いますけれども、その点について、いかがですか。

花岡参考人 お答えを申し上げます。

 実際に補償金額の積算をどういう形で行うかということを御説明いたしますと、先ほど申し上げましたように、補償対象の物件を一つ一つ積み上げます。もちろん案件によりますけれども、場合によってはこんな分厚い、相当分厚い物件調書というものをつくりまして、これについて補償をさせていただきますということをまず確認をさせていただきます。

 金額につきましては、先ほど申し上げましたように、それぞれの項目ごとに幾らということで紙でお示しをしてというやり方をやっております。

 これはなぜかということを若干補足させていただければ、補償対象物件が決まれば、それぞれの物件ごとに補償するときに使う単価表というのがございますけれども、この単価表というものが用対連の申し合わせとしてございまして、その単価表を使えば、物件さえ決まればほぼ自動的に金額が出てくるという構造になっております。

 ちょっといろいろなことがございまして、その単価表自体は用対連の会員限りという取り扱いに現状なっておりますので、それを公表していないということもございまして、先ほど申し上げましたように、金額の積算については、物件の数はお示ししておりますけれども、単価まではお示しせずに、そういう全ての補償項目に使っている単価を掛ければこういう金額になるということで御理解をいただくように御説明を尽くしているということでございます。

横山委員 それでは、かなり精査をされて出されたということでございますけれども、第一回目の二千万円のプラスと、二回目の電話で依頼された二千万というものについて、もともとこの基本の補償金額の査定は、前々回の答弁で、外部のコンサルタントに発注されたということでございましたけれども、追加の四千万について、同様に外部コンサルタントのチェックを受けたのかどうか、お答え願いたいと思います。

花岡参考人 お答え申し上げます。

 結論から言いますと、外部のコンサルタントに積算をお願いいたしております。その積算が終わる前でございましたので、概算額という段階では少しかた目の数字を申し上げた、そういう経緯でございます。

横山委員 そうすると、整理すると、その場で二千万を上げられた、それから電話で依頼して二千万上げたというのは、この過去の報道は虚偽である、こういうことですね。

 外部コンサルタントは当初から二億二千万の補償の金額を算出しておって、URが交渉で一億八千万から始めたということでしょうか。お答え願います。

花岡参考人 お答え申し上げます。

 本件の補償につきましては、一番最初に平成二十三年に一回目の物件調査を行っておりまして、それに伴って金額を積算いたしております。実際の契約は平成二十五年でございますので、物件の経過年数とかも変わっておりますし、また、当時は建築物価が随分上がっていた時期でございますので、単価も変わっておりますので、もう一度改めてその積算をやり直してもらうということをやっております。

 まさにそういった金額の交渉と並行して積算のチェックをやっておりまして、その積算の再チェックが終わった段階で、それに基づいて最終的な金額をお示しして、それで契約をさせていただいた、そういうことでございます。

横山委員 段階的にかなり精査をされて二億二千万の補償金額を提示したということでございます。

 そうすると、少し中身に立ち入っていきたいと思いますけれども、その物件移転補償、再配置の工事に支障が出る、そういうことで、これは再配置のための物件移転補償だったというふうに記憶しております。それを、途中でこの契約を改定して、新たな契約で、移転をしなくていいというふうに契約をされたという報道がありますけれども、これは事実ですか。

花岡参考人 お答え申し上げます。

 こういう、いわゆる直接公共工事に係る物件ではなくて、公共工事に関連をして再配置といったような、関連した移転補償が必要になるというものにつきましては、工事に支障になる物件につきましては、ですから、工事の影響があるだろうとか、あるいは工事のための出入りに必要であるといったような部分につきましては、移転義務を、いついつまでに移転をしていただくという内容を契約書に明記をすることになっております。それ以外のものについては権利者の方の御判断といったような形で、二本に分けて移転義務を整理するのが通常行っている方法でございます。

 その前提でお答えをさせていただきますと、本件の場合に、そういった支障があると想定されるラインにまたがって建っている建物が一件ございまして、その建物について、当初はその建物全体を移転してくださいということでお願いをしていたわけでございますけれども、なかなか移転がうまくいかないということで、では、その建物については、支障のある、ラインの中側の部分について切り取っていただく、それ以外のものについては残していただいても構わないといったような変更を行ったということでございます。

横山委員 当初の契約から、移転をしなくていいというふうに契約を変更されたわけですから、先ほど、かなり精査をされて二億二千万、補償金額を出された、それは移転を前提にして契約をされたわけですから、それの中で、移転をしなくていいということになれば、その契約金額は変更されましたか。減額をされておりますか。

花岡参考人 お答え申し上げます。

 補償の考えといたしましては、非常に土地の面積が狭くなるわけでございますので、建物全体を、場所が構内であるにせよ構外であるにせよ、全体を再配置する必要があるだろうということで金額は積算をいたしております。

 実際に検討の途中過程の図面とかも拝見したことがございますけれども、建物全てについて一旦撤去した上で新しい建物を建てるといったような検討をされていた図面も拝見したことがございます。

 ということでございますので、全ての建物について移転をする必要があるということですので、金額の積算自体は、そういう補償の考え方は変わっておりませんので、変更はいたしておりません。

 ただ、関連補償でございますので、工事支障エリア以外のものについて移転期限というものを設けるか、要するに、移転を完了しないと残金をお支払いしないというものの対象にするかどうかということについて変更したものでございまして、あくまでも補償の考え方としては、全ての建物を再配置する必要があるということでございますので、金額は変更いたしておりません。

横山委員 通常の場合、契約内容に変更があった場合、増でも減でも当然に契約変更契約をしなきゃならない、これはもう国交省は当たり前でしょう。副理事長、国交省から出向されたんですから、きちっとそういうことを指導されるべき立場である方だと思いますけれども。

 契約変更があって、内容の変更があって、契約金額を変えずにそのままにしておく、そして、いついつまでの期限を延期して、そうすると、その期限までに移転しなければ払わないということで答弁をされましたけれども、現時点でその二億二千万の支払いは全て終わっていないのか、終わっているのか、どちらですか。

花岡参考人 もう少し全体像をおわかりいただけるように御説明をさせていただきますと、もともと、当初の契約においても、全ての建物について移転期限というものを設定しているわけではございませんでした。先ほど申し上げましたように、工事のために必要なエリア、支障となるエリアについて移転義務を課す、それ以外のものについてはいついつまでという移転義務は課さないんですけれども、しかし、補償の考え方として、移転しないと何とも営業が継続できないだろうという考えに基づいて補償をいたしております。

 そのラインをまたがる建物について、建物全体を撤去するということから、ラインにまたがる部分について建物を切り取って対応するというふうに考え方を変えたものでございます。したがいまして、変更後の契約に基づきまして移転義務が課されているものについて、その期限までに移転が完了したということを確認した上で残金をお支払いした、そういうことでございます。

横山委員 残金は全てお支払いをされたということで、この契約は満了されておるというふうに思いますけれども、副理事長、今答弁あった物件移転は、物件移転の最初の千六百万が路線上の案件なんですよね。工作物を移転した、しかも、建物ではない工作物、コンクリート構造物を移転した、これが物件移転の千六百万でしょう。この二億二千万は、道路工事をするときに支障が出るということで再配置をするということでの補償ですから、今の答弁は少し的を射ていないと思いますが、どうですか。

花岡参考人 お答え申し上げます。

 二億二千万というのは、もともと営業されていた土地が道路によって分断され、非常に狭い土地しか残らないということに着目をいたしまして、そこにある建物が従来どおりでは営業は継続できないだろう、具体的に申し上げれば、資材置き場等が確保できないだろうということで補償をいたしているものでございます。

 先ほど、道路工事に支障があると申しましたのは、実際に現場では相当大がかりなくい打ち工事等を行いますので、そのために、例えば機械が出入りをする、あるいは、相当太い鋼管ぐいを打ちますので、それに近いところでは大きな振動等で影響があるだろう、そういった部分を線を引きまして、その部分について補償するということでございます。直接道路になる区域ではないことは、先生御指摘のとおりでございます。

横山委員 航空測量図を見ますと、路線に隣接している建物が二つほどありますよね。それが、工事のときに、下が産廃の状況ですから、恐らく想定で、鋼矢板を打って土どめをして工事をする、そのときの振動でその建物が損傷を受けるから、そこに対して補償された、それを再配置するということだったのではないんですか。

花岡参考人 お答え申し上げます。

 なかなか個々の財産のことはお答えしにくい点もありますけれども、ここまで先生といろいろやりとりさせていただいていますので、あえて、私の責任でお答えをさせていただきたいと思います。

 先生御指摘の、建物とおっしゃっているものは、航空写真で見ますと屋根があるように見えますけれども、あれは、いわゆる建物というよりは、簡単な屋根が上にかかった資材置き場のような建物でございまして、私が建物を再配置と申し上げている中には、実はその分は入っておりません。

 私が建物と申しますのは、あくまでも、お渡しした航空写真でいえば、道路用地になる区域の北側にございます区域の中にあった建物のうち、道路工事に隣接する部分については、工事のための出入り、あるいは工事による影響ということで移転が必要だと。

 もともと、全体の再配置をしないと営業は継続できないだろうということで補償するという考え方は別途あるわけでございますけれども、先ほど申し上げましたように、そういう工事のために必要な土地、言いかえれば工事期間中に使用しなければいけない土地、あるいは工事の影響があってとてもそこに建物を存置できないだろうというところについては工事の前に移転をしてくださいということを契約内容に盛り込んだ、そういうことでございます。

 以上でございます。

横山委員 今答弁ありましたように、計画道路の隣接地の建物は、もともと建築許可をとれないから、簡易な資材置き場であったということでございましたね。簡易な資材置き場であった。

 では聞きますけれども、関連ですから質問させていただきますけれども、損失補償された建物というのは、航空写真でいうと、どの建物にひびが入って、土間のコンクリートのどの部分にひびが入ってその損失補償をされたのか。要は、その隣接した建物、私は経験的に、道路工事の隣接地にありますから、用地幅の隣接地にありますから、その建物は恐らく影響を受けると思いますけれども、それを移転させなかった。そして、その後に、整理しますと、その建物には、ひびも入らなく、損傷はなかったのかどうか、お聞かせいただきたいと思います。

花岡参考人 お答えを申し上げます。

 私が答弁させていただいておりますのは、そういう工事の影響範囲というものを線を引きまして、その中については移転をしていただくというお願いをし、移転が完了したのを確認してお金をお支払いしているということでございます。

 ただ、実際に工事をやりましたところ、事前のボーリング調査等とは異なりまして、中に埋まっております廃棄物の大きさとか、なかなか事前のボーリング調査と違ったところがございまして、結果として影響範囲が広がってしまった。その分について追加で補償させていただいたのが三件目の補償だということでございます。

横山委員 その損失補償の契約日は、私に提示された契約日は、二十七年度で、月日は黒塗りでした。これは何日になっておりますか。

花岡参考人 お答え申し上げます。

 私どもに限らない話だと思いますけれども、国とか独立行政法人の情報公開制度の運用といたしまして、個別の補償契約の日付とか金額というのは、個人情報とか法人の競争条件に影響を与える情報ということで、公表を差し控えさせていただくというふうになっております。

 ただ、最初の二件、千六百万円と二億二千万円の補償については、週刊誌の報道がされた段階で相手方の会社の社長さんに確認をいたしまして、公表していただいても構わないということでございましたので、社会的な影響の大きさも含め勘案して公表させていただいたものでございますけれども、その後、相手方のお考えが変わりまして、通常、情報公開制度によって公表されない情報については、以後は公表してもらっては困るということでございましたので、三件目につきましては、厳密な金額とか日付といったようなものは公表を差し控えさせていただいているところでございます。

 なお、少し幅がある答え方で恐縮ですけれども、実際には、二十七年の三月から七月の間といったような範囲でお考えをいただきたいと思います。

横山委員 二十五年の八月六日に物件移転補償契約をされて、二十四年の十二月から二十五年の三月三十一日ということで工事契約をされておりますけれども、もとの条件で再配置させておけば建物への影響はなかったのではないでしょうか。恐らくその要因は、再配置をさせなかった、一時的に契約を変更して再配置をしなくていいという建物があった、その関係が損失の対象物件になって、さらに五千百万というものを補償されたのではないんですか。お答え願います。

花岡参考人 お答えを申し上げます。

 私どもといたしましては、契約の時点で把握をしておりました産廃を含む地盤に関する情報等をもとに、工法を設定して施工業者に指示をするといったようなことをいたしております。

 私どもの経験に照らしまして、選定した工法であれば建物への影響が生じるとしてもこの範囲にとどまるだろうということで補償契約も行っているわけでございますけれども、結果として、埋まっております産業廃棄物の状況等が事前のボーリング調査等と食い違った点がございまして、もう少し具体的に申し上げれば、少し大きなものが埋まっていたということでございますけれども、その結果、残っていた建物に被害が生じたということでございます。

 そういった意味で、工法あるいはその影響範囲というものの設定が結果として不適切であったのではないかとおっしゃられれば、結果として想定した範囲を超えていたということは、そういうことがあったというふうに認識をしているところでございます。

横山委員 かなり反省点もあると思います。

 URの公開資料、甘利事務所の秘書との協議録の中には、秘書が、薩摩興業に対してこんなに補償をしているのかと驚く表現がありました。

 これは、前回の副理事長の答弁では、この三件、千六百万の補償、二億二千万の補償、そして五千百万の補償については甘利事務所は関与していないということでございますけれども、甘利事務所は、冒頭申し上げましたように、二十五年六月七日には既にUR本社において状況確認をしているわけですよね。状況確認をしている。その後、数回にわたって、七月六日は視察の件でお礼に来た。まあ、視察をして、そのお礼を、UR側が居酒屋で接待するなんということも、国交省の考え方からするととんでもないことだと思いますけれども、そうした経緯でもって、二十七年の十月九日、このあたりでも秘書は物件補償についてのいろいろな問い合わせをしている。そして、その後、前回の答弁でありましたように、二つの産廃の処理について甘利事務所が関与してきた、こういうことであります。

 産廃の処理というのは、再配置計画のときに、建物を移動する関係で千葉県から指導が入った。それは、産廃が埋まっているので、取り除かなければ建物を建てさせませんよと。もともと調整区域ですし、建物は建つはずもないんですけれども、そういう指導を千葉県から受けている。その産廃の処理について、道路の部分については企業庁からURは三十億八千万の契約を受けて処理した。しかし、残りの部分について、面積比でいけば補償金額が余りにも少ないではないかということで秘書が関与してこられたんでしょう。そういう経緯があったんじゃないんでしょうか。

花岡参考人 お答え申し上げます。

 委員の御指摘していただいたことをもう少し整理させていただきますと、既に私どもがお支払いをしております補償契約というのは三件でございます。その三件の間に、甘利事務所の秘書さんとの接触というのは、記録によれば一回だけ、それも十分程度の短時間、内容証明郵便の返事をいつくれるんだといったような話にとどまっているわけでございまして、これが補償金額に影響を与えたということは非常に考えにくいことだというふうに理解をいたしております。

 それ以外に、現在まだ交渉がまとまっていない案件が二つございまして、一つは、今御指摘があったように、敷地内に産業廃棄物があって、建物を建てることが千葉県の関係部局に認めていただけないことをどう処理するかということが中心でございます。こういった点につきまして、昨年の十月五日以降、計八回にわたりまして甘利事務所の秘書さんと私どもの本社の職員が議員会館あるいは地元の事務所でお話をしている、そういったような状況にございます。

横山委員 せっかく理事長が来られておりますので、一言御答弁をいただきたいと思いますけれども、今の流れを見ても、一般常識では、問い合わせをしたりいろいろな内容について問題提起をしたりするということを普通の場合、関与というんですけれども、これは、甘利事務所は関与してきたということは事実じゃないでしょうか。御見解を求めます。

上西参考人 この案件をめぐって、関与とか介入とかいろいろな言葉が飛び交っているわけですけれども、何をもって関与というのか、何をもって介入というのか、これははっきりしませんけれども、要するに、我が社にお見えになったということで関与とおっしゃるのなら、それは関与であるということですが、金額についてどうこうしたということはないというふうに考えております。

 以上でございます。

横山委員 冒頭の繰り返しになりますけれども、一般の方は、関与されたと思います。

 状況を判断して、時系列的にもう一度言いますと、二十五年の八月六日には物件の移転補償契約をされた、同年の八月二十日にはその振込金から薩摩興業が五百万を甘利事務所の所長に渡した、それから、十一月十四日には甘利大臣に五十万を手渡した、こういう事実でありますから、私自身は関与だと思っています。

 冒頭の繰り返しになりますけれども、改革最前線にあるURがもっとしっかりと事実確認をして、再起を促したいと思います。

 以上で私の質問を終わります。

谷委員長 次に、本村伸子君。

本村(伸)委員 日本共産党の本村伸子です。

 三菱自動車燃費不正事件、東亜建設工業の羽田空港液状化対策工事の不正事件についてお伺いをいたします。

 先回の質問でも申し上げましたけれども、三菱自動車の燃費不正は、二十五年前から法令と異なる方法で燃費データをはかり続けるなど、三段階で不正を行っておりました。国交省は、いずれの段階でも不正を見抜くことができず、三菱自動車が提出したデータだけをうのみにしておりました。これまでの四つの車種以外でも、プラグインハイブリッドのアウトランダーでも燃費偽装が明らかになりました。

 きょう三菱自動車から報告がされると、さらに地域経済への影響があるのではないかということも懸念をされますけれども、まず確認をさせていただきたいと思います。

 三菱自動車が行った不正はどういう不正だったのか、概略についてお話をいただきたいと思います。

藤井政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の三菱自動車工業の燃費試験における不正行為につきましては、これまでのところ、軽自動車四車種以外も含め多くの車種について、長年にわたり、国が定めた方法と異なる方法で走行抵抗値の実測を行っていたこと、軽自動車四車種については、一部を除き、実測を行わず机上で走行抵抗値を計算していたこと、さらに、軽自動車の一部について、実測した走行抵抗値のデータを改ざんしていたこと等が判明しているところでございます。

本村(伸)委員 二十五年前から法令で定めた測定方法を守らず違反を続けてきたことが言われておりましたけれども、本当にひどい話だというふうに思います。

 二点確認をさせていただきたいんですけれども、まず、法令に定めた測定方法かどうか、国交省はチェックをしてこなかったのかという点が一点目、二点目ですけれども、実際に走行試験を実施していても目標の数値に届かなかったら都合のよいデータだけを意図的に選んで報告する、さらには、実際に走行試験も行わずに机上で計算をしていたというデータ偽装なわけですけれども、こうした詐欺的行為をなぜ見抜くことができなかったのか、お答えをいただきたいと思います。

藤井政府参考人 お答えいたします。

 自動車の型式指定に関する国土交通省の審査におきましては、基本的には、審査の実務を担う独立行政法人自動車技術総合機構が審査に必要なデータをみずから測定しております。

 ただし、今回の走行抵抗値につきましては、一定の気象条件のもとで複数回測定する必要があることから、型式指定の事務を円滑に行うなどの観点から、自動車メーカーから提出されたデータを使用しているところでございます。

 これにつきましては、先ほど委員の御指摘にもございましたけれども、一定の条件で走行させ、決まった方法で計測をする、さらには複数のデータをとった形でその平均値をとる、そういったことを私どもは定めているわけでございますけれども、そういったデータも含めて今回改ざんがあったということでございます。

 こういったデータについては、これまでのところ、私ども、実際にそのデータがどのように計測されたかというところまでのチェックは行わずに、そのデータを用いて型式の審査を行ってきたところでございまして、そのために、今回のような三菱自動車工業による長年にわたる不正行為を見抜くことができなかったものと認識しているところでございます。

    〔委員長退席、小島委員長代理着席〕

本村(伸)委員 二十五年間測定方法についてもチェックをしないということであれば、監督官庁としての責任を果たしていないことになるというふうに思います。結局、メーカーを信頼して、メーカーの提出したデータに間違いはない、不正はない、こういう検査の仕組みだったということだと思います。

 これから検査の方法を見直していくんだというふうにされておりますけれども、見直していくというのであれば、メーカーの言うことをうのみにしないで、不正を犯すかもしれないということを前提に、データの信憑性そのものを疑って検査、検証していくことを求めたいと思います。

 また、確実なのは、国交省自身が、正しい方法で、走行試験などもみずから、実際にデータそのものを検証するということを行うべきだと思いますけれども、抜本的に検査の体制を変えるということを明言していただきたいと思います。

石井国務大臣 自動車の型式指定に関する国土交通省の審査においては、今御説明申し上げたように、一定の気象条件のもとで測定する必要があるもの、複数回にわたり測定する必要があるものなどについて、自動車メーカーから提出されたデータを使用してきておりました。これらのデータについては、自動車メーカーとの信頼関係を前提に、特段のチェックを行わず使用してきたところであります。

 今回の三菱自動車工業の不正行為を踏まえ、この点については見直しが必要であると考えており、四月二十八日に省内にタスクフォースを立ち上げ、検討を開始したところであります。

 これらのデータを国土交通省が全て実測することは、型式指定の手続を円滑に進める観点から難しいと考えておりますけれども、自動車メーカーが提出したデータについて、不正を防ぐ方策を幅広く検討してまいりたいと考えております。

本村(伸)委員 過去の過ちを生かすことができなかったわけですけれども、そのことについても聞いていきたいというふうに思います。

 三菱自動車は、二〇〇〇年、二〇〇四年にリコールを隠してそれが発覚をしたほかに、二〇〇八年から二〇一二年にかけてリコールの実施が大幅におくれるなど、たび重なる不正行為が指摘をされてまいりました。

 三菱自動車の過去の不正の概要と、国交省としての対応をどうしてきたかという点、まず確認をさせていただきたいと思います。

藤井政府参考人 お答えいたします。

 三菱自動車工業におきましては、平成十二年に、乗用車のオートマチックトランスミッション等において、虚偽報告やリコール隠しが発覚をしたところでございます。また、平成十六年には、トラックのハブなどの破断による死亡事故について、再び虚偽報告、リコール隠しが発覚したところでございます。

 なお、これらの事案につきましては、道路運送車両法に基づき、虚偽報告について警察に告発するとともに、リコール隠しに対して過料を適用するなど、厳正に対処してきたところでございます。

 さらには、先ほど委員の御指摘もございましたけれども、平成二十年から二十四年にかけて、軽自動車のオイル漏れ等のふぐあいに関して、リコール届け出が大幅におくれるという問題が発生をしております。これにつきましても、立入検査等を行い、改善策の早急な策定、実施について私どもの方から強く指導したところでございます。

本村(伸)委員 過去に何度も不正を行った企業が不正を繰り返すのはなぜか、国交省としてはどのように考えているかという点を伺いたいと思います。

 また、不正を見逃してはいけない国交省が、過去も今回も不正を見抜くことができず、結果として三菱自動車のたび重なる不正を許してしまっていることになっておりますけれども、どこに問題があるというふうに考えているのか、お答えをいただきたいと思います。

石井国務大臣 三菱自動車工業におきましては、平成十二年及び十六年にリコール隠しが発覚したほか、平成二十年から二十四年にかけてはリコールの実施が大幅におくれるなど、たび重なる不正行為等が指摘されてきたところであります。

 このような経緯にもかかわらず、今回再び不正行為が行われていたことにつきましては、三菱自動車工業のコンプライアンスに対する基本的な姿勢に疑問を持たざるを得ず、極めて遺憾であります。

 十一日の三菱自動車工業からの報告におきましては、今回の不正行為の背景として、燃費目標の達成の困難さにもかかわらず、関係者の積極的な関与、実務状況の確認、外部からのチェック等が不足していたなど、業務運営に当たっての問題点が挙げられているところでございます。不正行為の再発防止に当たっては、こういった企業風土の変革が不可欠であるというふうに考えております。

 なお、過去になぜ不正を見抜くことができなかったかという質問でございますが、本来、安全対策を最優先すべき自動車メーカーが行ったリコール隠し、虚偽報告等の悪質行為をチェックする仕組みや体制が当時は十分でなかったことによるものと考えております。

 このため、国土交通省としましては、リコールに関する不正行為については、リコールに関する国土交通省の情報収集、監査、技術的検証等の体制の強化等の対策を講じまして、こういった不正を未然に防止するよう、リコール制度の運用に万全を期してきたところでございます。

 一方、今回の事案につきましては、型式指定の審査時に使用するデータを自動車メーカーが改ざんしたものでありまして、こうした不正行為を把握できなかったことは、自動車メーカーとの信頼関係を前提に、自動車メーカーが提出するデータについては特段のチェックを行わず使用してきたことによるものであると考えております。

 今回の不正行為を踏まえ、データの真正さを確保し、不正を防ぐための方策を検討しているところでございます。

本村(伸)委員 具体的にお伺いをいたしますけれども、二〇〇四年の欠陥隠しの発端となったのは、二〇〇二年、横浜市で、大型トレーラーの車輪が突然外れて歩行者を直撃いたしまして、ベビーカーを押して歩道を歩いていた親子三人に直撃をし、二十九歳のお母さんが亡くなり、二人の子供さんがけがを負った、こういう深刻な事故があったわけでございます。この問題は、「空飛ぶタイヤ」という池井戸潤さんの小説にもなっております。当時の国会でも取り上げられております。

 一連の三菱自動車の欠陥隠しの事件は、国民の命、安全をないがしろにして、もうけのためなら違法行為も隠蔽する大企業の体質を浮き彫りにいたしました。

 二〇〇二年一月の横浜市の事故の後、三菱自動車は、一貫して、タイヤ脱落はユーザーの整備不良が原因と説明をしてきました。国交省も、この三菱自動車の説明をうのみにしておりました。

 そこで、確認をします。

 二〇〇二年五月二十二日、国会のこの委員会で日本共産党の議員が、ベテランの整備士の、整備不良が直接の原因とは思えない、こういう声も紹介しながら、立ち入りしたのかということを質問いたしましたけれども、当時の自動車交通局長の答弁は何と言っていたか、御紹介をいただきたいと思います。

    〔小島委員長代理退席、委員長着席〕

藤井政府参考人 お答えいたします。

 今委員御指摘の点につきまして、平成十四年五月二十二日の衆議院の国土交通委員会におきまして、十四年一月のハブ破断による死亡事故に関して、以下申し上げるとおり答弁を行っております。

  本事案におきましては、ホイールの取りつけ等の際、ホイールナットなどの締めつけが適正な方法で行われ、かつ適切な点検整備がなされていればハブの異常摩耗が生じないと考えられること、また、実際に調査した結果におきましても、そのような実態であることから、設計または製作の過程に原因があるというふうに判断するのは困難でございまして、現時点ではリコールには該当しないというふうに判断しております。

 以上でございます。

本村(伸)委員 国交省は、当時も三菱自動車の言い分をうのみにしておりました。しかし、結果は、整備ミスではなく設計上のミスだったことが明らかになり、この事件は、二〇〇四年、虚偽の説明をしておりました当時の副社長など元幹部が逮捕、起訴され、六年前、二〇一〇年には道路運送車両法違反の罪で罰金が確定した上で、業務上過失致死傷に問われた幹部二人も二〇一二年に有罪が確定をいたしました。

 三菱自動車は、自動車メーカーとして存続する、これが最後の挑戦であると再建計画を策定し、事業を続けてきました。反省したのかと思ったら、今回はこの不正を引き続き起こし、型式認定検査では不正をずっと続け、皆さんを裏切り続けてきたわけでございます。

 この事件を受けて、三菱自動車の言い分をうのみにしてきた国交省は深く反省し、少なくとも企業の言い分をうのみにしないような検査、監査の体制をつくるのが筋だったというふうに思いますけれども、この欠陥隠しの事件後、検査の体制はどのようになっていたのかという点、具体的に、国交省は、リコール隠し、欠陥隠しの教訓をどう導き、検査の体制等の見直しをどのように行ってきたのか。

 国交省は、二〇〇四年五月十九日の衆議院のこの委員会の中で、メーカーの保有情報の収集、実務専門家による検討会や外部専門家から意見を聞く委員会の設置、リコール業務、監査体制の強化を図りたいと答えておりました。具体的にどのように反映させていたのか、お聞きをしたいと思います。

藤井政府参考人 お答えいたします。

 平成十二年及び十六年の三菱自動車工業の虚偽報告やリコール隠しを受け、国土交通省としては、リコール隠しや虚偽報告等に係る罰則の強化、国土交通省によるリコール命令制度の導入、リコールに関する国土交通省の情報収集、監査、技術的検証等の体制の強化等の対策を講じ、このような不正を未然に防止するよう、リコール制度の運用に万全を期してきたところでございます。

 先ほど、国会でのその後の質疑について委員の御指摘もございましたけれども、そのときに国土交通省から御答弁申し上げました委員会の設置あるいはリコール業務、監査体制の強化につきまして、以下のとおり具体的な対応を行っているところでございます。

 まず、省内にリコール案件について調査検討を行う会議体を置き、リコール案件の調査、技術的検証等を行ってきているところでございます。

 また、情報収集、監査、技術的検証に関する体制の強化につきましては、情報収集体制の強化について、自動車メーカーからの事故につながるおそれのある安全上重要な情報についての四半期ごとの報告徴収、警察や外国の関係機関との連携強化、ユーザーからのふぐあい情報収集の強化などの措置を行ってきているところでございます。

 また、監査体制の強化につきましては、原則年一回のメーカー監査にかえて、疑義のあるメーカーには集中的な監査をするなどの措置をとってきているところでございます。

 さらに、技術的な検証につきましては、独立行政法人交通安全環境研究所、現在の自動車技術総合機構でございますけれども、こちらに高度な知識を有する専門家から成る部局を設置し、自動車メーカー等が提出する書面の確認だけにとどまらず、実車実験などにより技術的な検証を行ってきているところでございます。

本村(伸)委員 クレーム情報の問題ですけれども、不正のあった軽自動車の三菱と日産の販売台数でいえば、日産の方が多いわけです。

 日産が不正を発見したということですけれども、国交省が収集するメーカーが保有するクレーム情報などの中に今回の報告はなかったのか、日産は国交省に報告したのか、確認したいと思います。

藤井政府参考人 お答えいたします。

 国土交通省では、リコールの迅速かつ確実な実施のために、ユーザーからふぐあいの情報を収集しているところでございます。

 燃費値と実際の走行時の燃費値が異なるとのふぐあい情報につきましては、平成二十七年度に寄せられたふぐあい情報五千九百一件のうち二件であったということでございます。

 これが日産の関係かどうかにつきましては、済みません、今、私の手元に情報がございませんので、また御報告申し上げたいと思います。

本村(伸)委員 クレーム情報を軽視しないように求めておきたいというように思います。

 今回の燃費不正事件では、三菱自動車の社員の方や家族の方や下請中小零細業者、そこで働く人たち、取引業者など、地域社会に多大な、甚大な影響を及ぼしております。不正の責任は三菱自動車の経営陣にあり、ほかの利害関係者の責任はないはずだというふうに思います。その点、大臣の認識をお伺いしたいと思います。

 また、労働者等、一次、二次だけではなく最終的な下請中小零細企業まで、そこに働く人たちにまで損害を三菱自動車にしっかりと補償させ、責任をとらせるべきだという点、そして、三菱自動車がうそをついて車を売ったわけですから、ユーザーへのエコカー減税の差額分などを負担させることなく、三菱自動車の責任で負担をさせるべきだというふうに思います。

 国交大臣として、三菱自動車に対して、正式にこうしたことをちゃんと直接に言って指導していただきたいと思いますけれども、答弁をお願いしたいと思います。

石井国務大臣 今回の三菱自動車工業の不正行為は、国の自動車審査の信頼性を根本から損なうだけでなく、我が国の自動車産業への信頼を傷つけ、ユーザーにも大きな不信感を与えるものであり、極めて遺憾であると考えております。

 まずは、三菱自動車工業が、会社を挙げて今回の不正行為の全容を明らかにするとともに、責任を明確にし、再発防止策を策定すべきと考えております。

 特に、ユーザーに対しては、三菱自動車工業は最大限誠実に対応すべきであると考えております。

 社員及び下請企業に対する三菱自動車工業の対応について、国土交通省はお答えする立場にはございませんけれども、一般論として申し上げれば、三菱自動車工業が責任を持って対処すべき事柄であると考えております。

本村(伸)委員 三菱自動車に対してしっかりと罪に対する責任をとらせるべきだということを強く求めておきたいと思います。

 そして、経済産業省と厚生労働省にも伺いたいと思いますけれども、今回の三菱の不正事件で、重層的な下請中小零細企業への影響について、どのような影響があると考えているのか、また、下請中小零細企業が多い岡山、愛知、東京などのそうした業者の損失について三菱自動車にしっかりと補償させること、そして、信用保証協会の保証の割合をふやすセーフティーネット保証について早急に対象にするべきだというふうに思います。これは経済産業省にお願いをしたいと思います。

 厚労省ですけれども、厚労省に対しては、この三菱の不正事件の働く人への影響についてどのように考えているのか。この点でも三菱自動車にしっかりと損害を補償させる、責任をとらせるべきですし、三菱自動車で働く人たちはもとより、岡山、愛知、東京など、重層的な下請中小零細企業で働く皆さんを救済するべきだというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

若井政府参考人 経済産業省でございます。セーフティーネット保証等についてお答えを申し上げます。

 今回の三菱自動車の不正を受けまして、経済産業省といたしましては、三菱自動車に対しまして、取引先等への対応には万全を期すこと、そして、事実関係、原因等について報告を行うことを指示してございます。

 これまでのところ、三菱自動車からは、同社が調査した不正の事実関係や経緯の内容、及び、取引先を訪問し状況の把握や個別相談への対応を行っている旨の報告を受けてございます。

 今後とも、三菱自動車が丁寧な対応を行うよう、状況を注視し、必要に応じ適切な対応をとってまいりたいと考えてございます。

 また、三菱自動車の取引先企業への影響を把握するため、まず、経済産業省職員を現地に派遣いたしまして、下請、孫請企業や地元金融機関から資金繰りの実態を直接ヒアリングしてございます。

 あわせまして、岡山県、倉敷市といった地方自治体とも連携をいたしまして、広範にアンケート調査を実施しておるところでございます。これらのアンケート等によりまして、影響の最も大きい岡山県を初め、愛知県など三菱自動車の取引企業の多い地域も含めて影響を把握してまいりたい、このように考えてございます。

 これらの調査の結果、三菱自動車の生産の再開の見通しが立っておらず、今後も仕事を続けていけるかどうか先行きが不安である、また、資金繰りや雇用確保に不安を感じているといった取引先企業の声も、我々として把握をしておるところでございます。

 そして、委員御質問のセーフティーネット保証二号でございますけれども、先ほど申し上げました調査の結果を踏まえまして、必要性が認められますれば、できるだけ早期に適用することとしたいと考えてございます。

 いずれにいたしましても、今後とも、三菱自動車の取引先企業への対応に経済産業省としても万全を期してまいりたい、このように考えているところでございます。

苧谷政府参考人 続きまして、厚生労働省の取り組みに関して御説明いたします。

 今般の三菱自動車の問題に端を発した雇用への影響につきましては、関係労働局や自治体等と連携して情報収集に努めておりますが、現時点においては大規模な雇用調整等の事案は承知していないところでございます。

 しかしながら、問題となっております軽自動車を生産している岡山県の水島工場周辺を中心といたしまして、地域経済や雇用の先行きについて大きな不安が広がってございます。このことにつきましては、まずは三菱自動車工業がサプライチェーンの従業員の雇用の維持などにつきまして、しっかりと取り組んでいくことが必要であります。

 このため、関係労働局におきまして、県や市、事業主団体、金融機関等により構成される岡山県三菱自動車工業株式会社関連企業支援対策会議に参画いたしまして、連携協力の上、必要な対策を講じております。

 また、関係労働局におきましては、関連企業に対し雇用の維持のための要請を行うとともに、事業主が休業等により労働者の雇用の維持を図った場合に、それに要した費用を助成いたします雇用調整助成金制度の積極的な利用を呼びかけておりますが、関連企業は他県にも広がっていることから、管轄の他の労働局におきましても、当該助成金の申請に対してしっかりと対応してまいりたいと考えてございます。

 今後とも、関連企業で働く方々の雇用の維持、安定のために必要な支援を迅速に行ってまいりたいと考えてございます。

本村(伸)委員 必要な支援はぜひお願いしたいんですけれども、三菱自動車にしっかりと罪の責任をとらせること、この点についても強調をさせていただきたいというふうに思います。

 次に、羽田空港の工事に係る不正の問題についてお伺いをしたいんですけれども、五月六日、東亜建設工業により、同社が受注をしました羽田空港C滑走路の地盤改良工事について虚偽の報告の公表がなされました。さらに、十三日に、羽田のH誘導路、先ほどもお話がありました松山空港、福岡空港において新たに同様の事案が判明をいたしました。

 東亜建設工業が施工しましたものはほかにもあったわけですけれども、バルーングラウト工法を採用した工事はほかにもあったのではないかと思いますけれども、示していただきたいと思います。

大脇政府参考人 お答え申し上げます。

 バルーングラウト工法で施工した工事につきましては、東亜建設工業の発表によりますと、空港工事のほか、港湾の岸壁工事で実績があるということでございますが、これらの工事を含めまして、公共発注による工事につきまして、施工不良の有無とあわせて、確認の上、報告するように指示をしたところでございます。

 また、民間の工事につきましても、東亜建設工業に対しまして、民間工事における同種の工事の有無を確認し、該当する工事がある場合には、当該の民間発注者に対しまして誠実に対応するとともに、その対応状況を報告するよう指示しておるところでございます。

 以上です。

本村(伸)委員 民間を含めて、全て、施工状況、達成率を調査、公表するべきだということを求めておきたいというふうに思います。

 そもそも、このバルーングラウト工法そのものについて、国交省として安全性などを評価したことがあるのかという点をお伺いしたいというふうに思うんです。事前にお伺いしたら、ないのではないかというふうに疑念が持たれるわけですけれども、そのことは後でお答えをいただきたいと思います。

 東亜建設工業が液状化対策工事を以前にやったことがある、それはバルーングラウト工法ではない工法にもかかわらず、それを実績として、実績がある東亜建設工業が提案したものだから大丈夫だとここでもうのみにして、バルーングラウト工法の評価もせずに採用したのではないかというふうに疑われるわけでございます。しかも、国交省は、このバルーングラウト工法を、公共事業で活用しようということで、無責任にホームページでも事実上推進をしているわけです。

 大臣にお伺いをしますけれども、こういうやり方は余りにも無責任ではないでしょうか。大事な命を預かる省庁であること、大事な税金を使っている意識があるのかというふうに思いますけれども、大臣の認識を伺いたいと思います。

大脇政府参考人 まず、委員御質問の、いろいろな工法について公表しているということにつきましてでございますけれども、バルーングラウト工法につきまして、私ども国の方で、この工法に対して特にお墨つきをつけているというようなことではございません。

 ただ、例えば、一般財団法人の沿岸技術研究センターという財団法人がございます。こちらで民間技術の評価事業というのを行っております。これは、民間企業が開発した技術を、その企業の依頼に基づいて、客観的、中立的な立場から確認、評価を行うという同センターの自主事業として行われているものでございます。

 また、新技術活用システム、通称NETISというふうに呼んでおりますけれども、これにつきましては、新技術に係る情報の共有及び提供を行うためのデータベースでございまして、このデータベースに掲載されている情報をインターネットにより公開しているというものでございます。

 委員御指摘のように、このバルーングラウト工法につきましても、結果的に羽田空港その他の工事で採用したことになるわけでございますけれども、採用する工法につきましては、施工の開始の前に受注者が提出します施工計画の手続の中で、受注者が提案する工法をもとに、同種工事の施工実績あるいは試験施工の報告、こういったものを確認することなどにより採用を決めているということでございます。

 御指摘いただいております、今問題になっています三空港の工事におきましても、この工法を採用するに当たりましては、過去の空港工事における同種の工法の施工実績があること、あるいは、羽田空港につきましては、民間事業者の行いました工法の試験施工で薬液注入を適切に行えたという報告に基づきまして、この工法を採用したというふうに聞いております。

 いずれにしましても、そうした判断の根拠としました施工実績にデータ改ざんあるいは国への虚偽の報告というものが含まれていたということでございますので、これについてはまことに遺憾に思っているところでございます。

 以上です。

本村(伸)委員 終わります。ありがとうございました。

谷委員長 次に、畠山和也君。

畠山委員 日本共産党の畠山和也です。

 短時間ですが、きょうは、東日本大震災後に宮城県石巻市が新渡波西A地区に整備した十五戸の災害公営住宅をめぐり、四次下請で植栽工事、外構工事を請け負った三社の合計一千七十六万三千円の代金が未払いになっている問題について質問を行います。

 本工事の事例を捉える上で、まず一般論として確認しておきたい。

 重層下請構造の建設業界で下請代金の未払いが発生した場合に、下請事業者を救済するためにどのような措置がありますか。

谷脇政府参考人 お答えいたします。

 建設工事の請負代金の支払いにつきましては、基本的には当事者同士の問題であり、双方が話し合って解決すべき問題であるというふうに考えております。

 一方、今御指摘ございましたように、建設工事におきましては、下請建設会社に不当なしわ寄せが行われるということも考えられるわけでございまして、建設業法の第十八条におきましては、建設工事の請負の当事者は、おのおのの対等な立場における合意に基づいて公正な契約を締結し、信義に従って誠実にこれを履行することを建設工事の請負契約の原則ということで規定しているところでございます。

 また、同じ建設業法の第二十四条の三の規定がございまして、元請の建設会社が注文者から請負代金の支払いを受けたときの下請建設会社に対する下請代金の支払いの期日などについても規定をしているところでございます。

 個別の事案につきましては、そもそも未払いの有無等について争いがあることも多いわけでございまして、当事者で話し合いがなされることが重要でございますけれども、今申し上げました建設業法の規定などに基づきまして、国または都道府県において事実関係を確認の上、必要な指導を行っているところでございます。

 なお、建設業法の第四十一条第二項及び第三項におきまして、発注者から直接工事を請け負った特定建設業者に対する立てかえ払い等の勧告の規定がございますけれども、立てかえ払いが下請代金の二重払いという側面を持つなど難しい面もあることから、この点につきましては、まず当事者間で十分な話し合いが行われ、円滑に解決を図られるよう努めているところでございます。

 以上でございます。

畠山委員 業法においては、対等な関係であったり、信義、あるいは誠実な立場で臨むことと記されております。

 そこで、石巻市の事例ですが、今回、石巻市に建設された災害公営住宅は、民間会社等が市町村の定めた規格等に適合するよう建設した住宅を市町村が買い取るという買い取り方式によって建設されたものです。石巻市は、株式会社パナホームと基本協定書及び建物譲渡仮契約を結び、パナホームが建設した公営住宅の完成物を石巻市に譲渡する契約となっています。パナホームは梅本工務店を元請会社として契約をしました。

 この梅本工務店は今どのような状態になっていると認識していますか。

谷脇政府参考人 今御指摘がございました梅本工務店でございますけれども、許可行政庁でございます宮城県知事から、平成二十八年三月二十八日付で建設業許可が取り消されております。

 原因といたしましては、営業所の所在地を確知できず、宮城県告示第百三十七号、平成二十八年二月二十三日で告示したが、同日から三十日を経過しても申し出がなかった、このことは建設業法第二十九条の二第一項に該当するという理由でございます。

畠山委員 このように、元請が今、建設業の許可を取り消されて、実質的な倒産状態というわけです。

 現地からは、パナホームが設計や下請企業の社会保険加入を行うなど、実質的には元請ではないかという指摘もありますが、今回のような買い取り方式のもとで、パナホームは発注者であって、先ほど言いました未払い代金の立てかえ払い責任を問うことは建設業法上は困難だと国交省から説明も受けてきました。また、パナホームと契約を結んだ石巻市も、完成物を買い取る契約のため、施工業者に対して責任を負う義務はないというのが法律のたてつけです。

 ただ、これでは代金が支払われていない下請会社が納得できないのも当然で、我が党のもとへ次のような苦境を訴えるメールが寄せられています。私どもが一番憤りを感じているのは、石巻市とパナホームの計画で進めているこの公共事業に、なぜ我々下請業者が無償で労働力を提供しなければいけないのか、また、それに伴って発生した労務費や材料費は、結果として自社が負担することになり、それが原因で我が社の経営が非常に厳しい状態に陥っているという内容です。

 災害公営住宅の建設ですから、業者にとっても、被災者支援に役立てるという誇りとも言える仕事です。でも、現実には、起きないと思われていた元請会社の事実上倒産が起きて、未払い事案が発生した。誇りさえも失われるような状況です。

 そこで、大臣、最後に二つ伺います。

 このような事態を知ってどのように認識されたかということと、私が心配するのは、熊本地震が今起きて、同じような災害公営住宅の建て方をした場合に、同じような事例が生まれないかということです。先ほど紹介したメールも、最後に、今後も進んでいく復興事業で同じようなことが起こらないよう強く願っておりますと結んでいて、国を初め関係者が知恵を出し合って、同じような事態を生まないために何らかの方策を検討すべきではないかということを最後に伺いたいと思います。

石井国務大臣 まず、石巻市の件について申し上げますが、石巻市の災害公営住宅の建設工事に関連して、下請代金の未払いが問題となっている事案が生じていることについては承知をしております。災害公営住宅の整備という重要な復興事業において、被災地の復興に尽力した建設会社が被害を受けているとすれば、大変に遺憾であるというふうに思っております。

 次に、今後の熊本の復興に関してでございますが、復興関連も含め、建設工事において適正な元請、下請関係を構築することは重要であると認識をしておりまして、下請建設会社に対する適切な代金の支払いはその基本となるものであります。

 このため、国土交通省といたしましては、従来から、下請の取引ルールに関して、建設業法令遵守ガイドラインを策定し、指導を行っているところであります。今後、下請代金の未払い等の個別事案が発生した場合には、関係者から事情を聞き、必要な指導を行ってまいりたいと思います。

 また、元請建設会社からの債権回収が困難となった際に、下請代金等の債権を保全する仕組みといたしまして、下請債権保全支援事業による支援を行っているところであります。一種の保証制度かと存じますが、こういった制度の活用も図りつつ、復興事業に貢献する下請建設会社に対して適切な支払いがなされるよう、引き続き取り組んでまいりたいと存じます。

畠山委員 政治の力で現場を救うべきですし、同じことを繰り返さないよう求めて、私の質問を終わります。

谷委員長 次に、椎木保君。

椎木委員 おおさか維新の会の椎木保です。

 初めに、我が国の航空保安検査に関してお尋ねいたします。

 これまでの航空保安検査は、ハイジャック対策として、航空運送事業者が検査機器を設置し、その費用負担については、空港設置管理者と航空運送事業者とが二分の一ずつ負担することになっています。

 このたび、国際テロの脅威が高まる中で、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック競技会の開催や訪日外国人旅行者数の激増を踏まえて、国際線が就航している国内の全空港にボディースキャナーを導入し、保安検査の高度化を図るとのことですが、導入計画はどのようになっているのでしょうか。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 昨今、国際テロの脅威が高まる中で、航空保安対策の強化を速やかに進めることが喫緊の課題となっており、国土交通省としては、先進的なボディースキャナーを平成二十八年度から導入していくことといたしております。

 具体的には、平成二十八年度には、国際線の利用客が多い成田、羽田、関西及び中部の四空港に導入をし、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会までに全国の主要空港に順次拡大することにいたしております。

椎木委員 このボディースキャナーは一台当たり四千万から五千万円すると聞いておりますが、この費用負担についてはどのように考えておるのでしょうか。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 費用負担につきましては、先ほど委員から御指摘がありましたように、従来の航空保安検査では、ハイジャック対策として航空会社が検査機器を整備し、空港管理者がその費用の二分の一を補助してまいりました。

 一方、今般のボディースキャナーの整備費用につきましては、ハイジャック対策のみならず、国際テロ対策として、従来の空港管理者による航空会社への二分の一補助に加え、国が新たに航空会社に対して二分の一補助を行うことにいたしております。

椎木委員 次に、インフラの老朽化対策についてお尋ねいたします。

 戦後、東京オリンピックや大阪万博の開催等を控え、東海道新幹線や東名、名神高速道路等、交通インフラを初め、国内各地でさまざまな社会資本整備が急ピッチで進められ、その結果、我が国の経済は飛躍的に成長、発展し、いわゆる高度経済成長によって、国民総生産、GNPは米国に次ぐ世界第二位の経済大国となりました。

 昭和の高度経済成長から約五十年が経過した今日、そのころに整備されたインフラに対するメンテナンスが喫緊の課題となっております。政府は、インフラ老朽化対策について、これまでどのような取り組みを行ってきたのでしょうか。答弁を求めます。

石井国務大臣 高度経済成長期以降に整備したインフラが、今後一斉に老朽化してまいります。平成二十四年十二月の笹子トンネル事故は、インフラの維持管理、更新の重要性を改めて認識させたところでございます。

 国土交通省では、戦略的な維持管理、更新を推進するため、まず、平成二十五年度に緊急点検を行い、翌年には、インフラ長寿命化計画や維持管理の統一的な基準、マニュアルを策定したところであります。平成二十七年度から、これらにのっとり、国や地方公共団体、高速道路会社など、各施設の管理者による計画的な長寿命化対策が始まっております。また、昨年九月、閣議決定をいたしました社会資本整備重点計画において、個別施設ごとの長寿命化計画を平成三十二年度までに策定するよう各施設管理者に求めたところであります。

 あわせて、インフラの大部分を管理する地方公共団体に対しまして、防災・安全交付金による財政支援や研修等の人的支援を行っております。さらに、インフラメンテナンス国民会議をこの秋に創設いたしまして、幅広い業種によるメンテナンス産業の育成、創出を図ってまいりたいと存じます。

 老朽化対策は喫緊の課題でありまして、こうした取り組みを通じて、引き続きインフラ老朽化対策に全力で取り組んでまいります。

椎木委員 本年五月十二日付の日本経済新聞において、東洋大学の根本祐二教授が行った、日本全国に現存するインフラを維持するために必要な予算の試算が示されております。対象となっているインフラは、国、地方の公共施設、道路、橋梁、水道、公共下水道の五種類で、年間合計金額を八兆九千億円と見積もっております。試算の方法はいろいろあると思いますが、いずれにしても莫大な費用がかかることには間違いがありません。

 政府としては、メンテナンスに関して、年間どの程度の予算が必要であると考えているのでしょうか。また、国民の生命、安全、財産等を守る立場として、どのように予算を確保しようと考えているのでしょうか。あわせて答弁を求めます。

毛利政府参考人 先日の新聞記事、私も拝見いたしましたけれども、その試算は私どもの行っております試算と若干違っておりました。

 私ども国交省所管の社会資本の将来のメンテナンスコストにつきましては、平成二十五年の社会資本整備審議会・交通政策審議会におきます審議の中で、当時の技術で維持管理、更新を行うことなどを前提として推計を行ったところでございます。この推計では、国と地方を合わせた事業費ベースで、平成二十五年度には約三・六兆円、十年後には、幅がございますが、年間約四・三兆円から五・一兆円、二十年後には約四・六兆円から五・五兆円になるという試算でございました。

 このままでは相当な額を維持管理、更新費に充てなければならないという深刻な事態が想定されますので、まず技術開発による効率的、効果的な維持管理を推進いたしますとともに、新たに予防保全という考え方を導入いたしまして、計画的な維持管理を行うことにより、まずはできるだけその費用の縮減、平準化に取り組んでまいりたいと考えております。

 このため、平成二十六年五月には国交省の行動計画であるインフラ長寿命化計画を策定して、現在、これに沿って計画的に取り組んでいるところでございます。

 また、予算の確保という御指摘がありましたけれども、現在、国交省の公共事業関係費の半分以上を防災・減災、老朽化対策などに重点化し、かつ、それらについて一定の伸び率を確保してきております。引き続き、今後もこういった必要な予算の確保に努めてまいりたいと考えております。

椎木委員 私も地方行政でこの分野の担当セクションで仕事をしてきましたけれども、本当に大事なのは維持管理なんですね。特に、先ほど申し上げましたけれども、これは国民の生命、安全に非常に直結する内容ですので、しっかりとメンテナンスの認識というのを高めていただいて、同時に予算の確保をしっかり行っていただきたいと思います。

 次に、平成二十四年十二月二日に中央自動車道笹子トンネル天井板落下事故が発生し、インフラの老朽化とその対策が大きな社会問題となりました。

 国交省では、平成二十五年を社会資本メンテナンス元年と位置づけ、国土交通大臣を議長とする社会資本の老朽化対策会議を設置し、社会資本の維持、更新に関し当面講ずるべき措置が策定されております。また、政府全体の取り組みとしては、平成二十五年十一月に、インフラ老朽化対策の推進に関する関係省庁連絡会議が設置され、インフラ長寿命化基本計画が策定されております。

 以後、さまざまな取り組みが行われてきたとお聞きしていますが、メンテナンスを実施する際、新技術の開発、導入も大切ですが、何よりも重要なことは、点検や診断、補修等を行う際に必要となる知識や技術を持った人材の育成、確保だと思います。昨年の十二月四日にインフラ長寿命化計画のフォローアップが示されておりますが、インフラ老朽化対策に関して、人材の育成、確保等を含めて今後どのような対応を考えているのでしょうか。答弁を求めます。

毛利政府参考人 御指摘いただきましたように、今後一斉に老朽化いたしますインフラの大部分を管理する公共団体が計画的に長寿命化対策を推進していく上では、それを担う人材の育成、確保が重要な課題でございます。

 国土交通省におきましては、メンテナンスを中心とした研修の機会の提供、これは平成二十六年に四千人以上を対象にして実施しております。また、メンテナンスの実務におきまして公共団体の技術職員の補完的役割を担います民間資格の登録制度を創設して、今、百近い登録を行っております。それから、民間の活力やノウハウを活用して、外部で管理をしていただく包括的管理委託の制度の普及を図ったり、そのほか、ロボットの導入等を支援したりという取り組みを行ってきているところでございます。

 こういった取り組みを今後さらに充実させるとともに、先ほど大臣からも答弁ありましたように、公共団体の財政負担の軽減の方もあわせて図っていくということで、いろいろな補助制度の創設、それから社会資本整備交付金や防災・安全交付金の活用を図っているところでございます。

 引き続き、インフラの長寿命化計画を的確に推進していく観点から、国と地方の適切な役割分担のもとに、国土交通省として可能な支援を行っていきたいと思っております。

椎木委員 今の答弁で非常にすらすらとお答えいただいているので、何となく理解したような気はするんですけれども、今後、直近で、何かこういった人材の育成、確保に対する具体策みたいなものは検討されているんでしょうか。

毛利政府参考人 先ほど答弁申し上げましたように、今後五年以内に公共団体には個別の施設の管理計画をつくってもらって、これに基づいて着実に仕事をしていただくことが必要でございます。

 このため、メンテナンスの人材の育成、確保についての取り組みは極めて地道なものだと考えておりまして、先ほど申しましたように、研修の機会を新たに設けて、二十六年から四千人以上を確保したところでありますが、こういった研修の機会の充実ですとか、あるいは、これは道路の場合でございますが、直轄が技術的に点検を代行したり、場合によっては補修も代行できる制度を創設したり、さらには、公共団体の人材の育成、確保だけにとどまらないで、それを補うための民間のいろいろな技術の開発を促したり人材の投入を促す上で、インフラの国民会議の創設ということをこの秋に新たに考えているところでございます。

 こうした取り組みを、地道ではございますが、着実に充実させていきたいと考えております。

椎木委員 できるだけスピード感を持って取り組んでいただきたいと思います。

 最後の質問になるかと思います。

 最近、鉄道事業における乗務員等の不祥事が問題となっております。乗務員の走行中の居眠りや読書、喫煙、スマホの使用、本来停車しなければならない駅を通過、乗降ドアのあけ忘れ等々、公共交通にかかわる者の行いであるとはとても信じられません。

 公共交通の使命は、利用者の安全、安心な輸送が全てであると言っても過言ではありません。

 鉄道事故や航空事故等でよく引用されるハインリッヒの法則というものがありますが、一つの重大事故の背後には二十九件の軽微な事故があり、さらにその背景には三百件のヒヤリ・ハットがあるとされている労働災害における経験則の一つです。ヒヤリ・ハットの積み重ねが軽微な事故、災害を引き起こし、やがて重大事故につながるということであるならば、一連の不祥事はゆゆしき問題であると言わざるを得ません。

 国交省は、不祥事を起こした乗務員が所属する運輸事業者に対してどのような監督指導を行ってきたのでしょうか。また、このような事態を防止するため、国交省としてはどのような取り組みが必要であると考えているのでしょうか。答弁を求めます。

藤田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、本年に入りまして、運転士が運転中に私物のスマートフォンを見ていた事案でありますとか、乗務中に居眠りをしていた事案、あるいは本を読んでいた事案、こういった事案が発生をしております。

 列車の運転に直接かかわる乗務員には、安全の確保あるいは利用者の信頼の確保のために確実な業務の執行が求められることは申すまでもありません。このため、鉄道事業者には、適切な教育訓練の実施が義務づけられておりまして、国土交通省としましても、監査等の機会を捉えてその状況を確認して必要な指導を行っております。

 それから、先ほど申し上げたような個別の事案が発生した場合には、その都度、事案発生当時の状況の確認、あるいは再発防止対策についての報告、こういったことを鉄道事業者に指導しておりますし、法令に抵触する場合には必要な処分を行うこととしております。

 今後の対応でございますけれども、こういった対策を徹底すると同時に、各鉄道事業者におきまして、乗務員の教育訓練のあり方そのものの検証も含めて、きちんと必要な教育訓練が実施されるような指導をしてまいりたいと考えております。

椎木委員 何か非常に軽い答弁にしか聞こえないんですけれども、私が国立国会図書館から資料をいただいたんですけれども、最近の半年の新聞記事の内容だけでも二十一件あるんです。二十一件。これは御認識はありますでしょうか。

藤田政府参考人 事案をどう拾うかということも含めて、今ちょっと手元には件数の数字はございません。

椎木委員 だから、私は軽い答弁だということを申し上げたいんです。

 この二十一件の中に、居眠りとかスマホとか読書とか、そういうのはもちろんあります。ただ、中には、ベビーカーを挟んだまま電車が走行しているとか、幼児があわや衝突されるとか、こういった命にかかわる事例がこの半年で二十一件も出ている。これ以外にもあるかもしれない。

 それで、さっきの答弁は非常に軽々しい、非常に薄っぺらいものだと私は思うんだけれども、それについてどうでしょうか。再度答弁を求めます。

藤田政府参考人 例えば、御指摘の、ベビーカーを挟んで出発をして、その結果ベビーカーが破損してしまった事案、これは九段下駅の事案でございますけれども、これにつきましては、例えば東京メトロの方に、社長に直接注意喚起をして、その再発防止策の報告を求め、その実施の状況を確認しておるところでございます。

 そういった意味で、それぞれの事案に応じて、きちんと一件一件状況を確認して再発防止に努めている、こういう状況でございます。

椎木委員 再発防止に取り組むのは当然なんです、当たり前なんですよ。だから、私はこういう二十一件の事例のお話をさっきしましたけれども、これも手元にないから認識していないと。やはり、せめて頭の中に入れておいてもらいたい、このぐらいのものは。

 私は何を申し上げたいかというと、これは人の命を運んでいるんですよ、人の命を。そういう意味では、適時適切にみたいなそんな答弁ではなくて、これは毎年同じことの繰り返しだと思いますよ。徹底した厳しい指導のもとでどこかで歯どめをかけていかなきゃいけない。そういう自覚をもっと持った、もっと厳しいといいますか、そういう姿勢の答弁を私は今後期待したいと思いますし、やはり答弁をすべきだと思います。それについて、どうでしょうか。

藤田政府参考人 厳格な指導をしてまいります。

椎木委員 だから、私は、そういう薄っぺらい答弁が非常に納得できないと言っている。

 要するに、これまで厳しく指導はしてきたと思いますよ。それでもやはり、この直近の六カ月でこれだけの事例が出ている。そういうことを重く受けとめて、何が何でも歯どめをかけるような、そういう決意で取り組んでいただきたいし、そういう答弁を私は求めたいということを申し上げたいんです。

 別に、きちっと取り組んでいないということを言っているわけじゃないんですよ。やはり、人の命を運ぶという意識に基づいて、今までとは違うより強力なスタンスで、厳しい姿勢で臨んでいただきたい。そういう趣旨で繰り返し答弁をもらったということです。

 本当に、この半年で二十一件というのは、ちょっとこれは異常だと私は思います。異常だと思います。ですから、国民の皆様も、いろいろ報道等で見ては記憶から離れて、聞いては流れてでしょうけれども、これはやはり現実的におかしいですよ、異常ですよ。

 そういう認識のもとで今後しっかり取り組んでいただければと思います。これは、私は個人的にも切にお願い申し上げますので、よろしくお願いしたいと思います。

 以上で終わります。

     ――――◇―――――

谷委員長 次に、内閣提出、都市再生特別措置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。国土交通大臣石井啓一君。

    ―――――――――――――

 都市再生特別措置法等の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

石井国務大臣 ただいま議題となりました都市再生特別措置法等の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。

 我が国の大都市については、我が国経済の牽引役として世界の都市間競争に対応し、世界じゅうから企業や人、投資等を呼び込むため、国際競争力や防災機能を一層強化する必要があります。

 また、地方都市においては、人口減少や少子高齢化の進展に対応し、地方創生を実現するため、コンパクトでにぎわいのあるまちづくりを進める必要があります。

 加えて、高度経済成長期に大量に供給され、老朽化が進んでいる住宅団地について、地域の拠点として再生を図ることが求められております。

 このような趣旨から、このたびこの法律案を提出することとした次第です。

 次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。

 第一に、都市の国際競争力と防災機能の強化を図る民間都市開発事業への支援を強化するため、民間都市再生事業計画の認定申請期限の延長、国際競争力強化に資する国際会議場施設等の整備に対する金融支援制度の創設、災害時においても一定の区域内にエネルギーを継続的に供給するための協定制度の創設等を行うこととしております。

 第二に、コンパクトでにぎわいのあるまちづくりを進めるため、市街地再開発事業について、既存建築物を有効に活用するための個別利用区の創設、医療、福祉、商業施設等を誘導する特定用途誘導地区の施行区域への追加等を行うこととしております。また、官民連携により町のにぎわいを創出するため、低未利用の土地や建築物を市町村やまちづくり団体が有効に活用するための協定制度の創設、自転車駐車場や観光案内所等の設置に係る都市公園の占用許可特例の創設等を行うこととしております。

 第三に、住宅団地の再生を図るため、共有土地において市街地再開発事業を行う際の組合員数の算定方法の見直しを行い、住宅団地の建てかえを進めることとしております。

 その他、これらに関連いたしまして、所要の規定の整備を行うこととしております。

 以上が、この法律案を提案する理由であります。

 この法律案が速やかに成立いたしますよう、御審議をよろしくお願い申し上げます。

谷委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る二十日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時七分散会


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