衆議院

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第3号 平成13年10月11日(木曜日)

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平成十三年十月十一日(木曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 加藤 紘一君

   理事 亀井 善之君 理事 河村 建夫君

   理事 久間 章生君 理事 鈴木 宗男君

   理事 安住  淳君 理事 岡田 克也君

   理事 田端 正広君 理事 山岡 賢次君

      逢沢 一郎君    赤城 徳彦君

      石川 要三君    石破  茂君

      衛藤征士郎君    大野 松茂君

      坂本 剛二君    実川 幸夫君

      下地 幹郎君    下村 博文君

      田村 憲久君    西川 京子君

      浜田 靖一君    原田 義昭君

      松宮  勲君    宮澤 洋一君

      山本 明彦君    米田 建三君

      伊藤 英成君    鹿野 道彦君

      桑原  豊君    玄葉光一郎君

      古賀 一成君    島   聡君

      末松 義規君    中野 寛成君

      横路 孝弘君    渡辺  周君

      上田  勇君    河合 正智君

      中塚 一宏君    赤嶺 政賢君

      木島日出夫君    山口 富男君

      今川 正美君    辻元 清美君

      井上 喜一君    松浪健四郎君

      近藤 基彦君

    …………………………………

   内閣総理大臣       小泉純一郎君

   総務大臣         片山虎之助君

   法務大臣         森山 眞弓君

   外務大臣         田中眞紀子君

   財務大臣         塩川正十郎君

   文部科学大臣       遠山 敦子君

   厚生労働大臣       坂口  力君

   農林水産大臣       武部  勤君

   経済産業大臣       平沼 赳夫君

   国土交通大臣       扇  千景君

   環境大臣         川口 順子君

   国務大臣

   (内閣官房長官)

   (男女共同参画担当大臣) 福田 康夫君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (防災担当大臣)     村井  仁君

   国務大臣

   (防衛庁長官)      中谷  元君

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当大

   臣)

   (科学技術政策担当大臣) 尾身 幸次君

   国務大臣

   (金融担当大臣)     柳澤 伯夫君

   国務大臣

   (経済財政政策担当大臣) 竹中 平蔵君

   国務大臣

   (規制改革担当大臣)   石原 伸晃君

   内閣官房副長官      安倍 晋三君

   防衛庁副長官       萩山 教嚴君

   外務副大臣        杉浦 正健君

   文部科学副大臣      岸田 文雄君

   国土交通副大臣      泉  信也君

   防衛庁長官政務官     嘉数 知賢君

   環境大臣政務官      西野あきら君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    津野  修君

   政府参考人

   (外務省条約局長)    海老原 紳君

   衆議院調査局国際テロリズ

   ムの防止及び我が国の協力

   支援活動等に関する特別調

   査室長          鈴木 正直君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月十一日

 辞任         補欠選任

  大野 松茂君     山本 明彦君

  山口 富男君     赤嶺 政賢君

  井上 喜一君     松浪健四郎君

同日

 辞任         補欠選任

  山本 明彦君     大野 松茂君

  赤嶺 政賢君     山口 富男君

  松浪健四郎君     井上 喜一君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 平成十三年九月十一日のアメリカ合衆国において発生したテロリストによる攻撃等に対応して行われる国際連合憲章の目的達成のための諸外国の活動に対して我が国が実施する措置及び関連する国際連合決議等に基づく人道的措置に関する特別措置法案(内閣提出第三号)

 自衛隊法の一部を改正する法律案(内閣提出第四号)

 海上保安庁法の一部を改正する法律案(内閣提出第五号)




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     ――――◇―――――

加藤委員長 これより会議を開きます。

 議事に入るに先立ち、一言申し上げます。

 去る九月十一日、米国において発生した同時多発テロ事件においては、数多くの方々のとうとい命が奪われました。

 ここに、犠牲となられた方々に衷心より哀悼の意を表し、黙祷をささげたいと存じます。

 御起立をお願いいたします。――黙祷。

    〔総員起立、黙祷〕

加藤委員長 黙祷を終わります。御着席ください。

     ――――◇―――――

加藤委員長 内閣提出、平成十三年九月十一日のアメリカ合衆国において発生したテロリストによる攻撃等に対応して行われる国際連合憲章の目的達成のための諸外国の活動に対して我が国が実施する措置及び関連する国際連合決議等に基づく人道的措置に関する特別措置法案、自衛隊法の一部を改正する法律案及び海上保安庁法の一部を改正する法律案の各案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として外務省条約局長海老原紳君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

加藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

加藤委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。衛藤征士郎君。

衛藤委員 私は、自由民主党を代表いたしまして、テロ対策特別措置法、自衛隊法改正、また海上保安庁法の一部改正法案について質問をいたします。

 先月十一日に米国におきまして発生いたしました卑劣なテロ攻撃は、米国のみならず我が国を含む世界の自由で民主主義的な開かれた体制に対する挑戦であり、我が国としても看過し得ない重大な問題であると認識をしております。

 また、日本時間八日未明に始まりました米英軍によるタリバン関連施設に対する空爆の実施とアフガニスタン人民に対する人道的物資の投下は、こうした許しがたいテロ攻撃に対する自衛権の行使であるとともに、かかるテロ攻撃によってもたらされた国際社会に対する脅威を根絶するための活動でありまして、私としても強く支持するものであります。

 今回のテロ攻撃に対する我が国の態度、我が国の姿勢を国際社会に明確にアピールするためにも、この法案に関する処理を迅速に、かつより多くの党派、議員の合意を得まして行うことが極めて重要であると考えております。こうした我が国の国家としての明確な意思表明が、テロリストに対する毅然としたメッセージにもなり、さらには国家の意思を体してこの法律に基づいて活動する自衛官の最大の精神的支柱になると確信するからであります。

 まず最初に、今般の米英軍の空爆に対する政府のスタンスを確認したいと思います。

 米国は今まさに非常事態でありまして、まさかのときの友こそ本当の友というように、このようなときこそ我が国は、アジアにおける最も重要な同盟国である、最も頼れる友人として、米国の行動を断固として支持する姿勢を具体的な行動をもって明確に示すべきであると思います。

 総理のこの点についての御見解を賜りたいと思います。

小泉内閣総理大臣 今回のテロは、まさにアメリカのニューヨーク、ワシントン等で発生しましたが、これはアメリカに対する攻撃にとどまらないで、世界人類に対する卑劣な攻撃だという認識は、今やほとんど世界各国で共通していると思います。

 日本も、これは人ごとではない、アメリカに対する攻撃だけれども、日本も主体的に米国を支援し、世界各国と協調して、このテロ撲滅、防止のために、できる限りの支援協力態勢をとることが日本政府の責任であろうということで、今、今回の法案も御審議いただいているわけであります。

 このような今までの想像を超えるようなテロ行為に対しては、アメリカはもちろん、今までの政党の争いを超越して、与党、野党ない、党派を超えてアメリカも政府の態勢を支援している。イギリスも、これまた与党、野党、平時においては激しい政府批判を展開する野党でさえも敢然と政府を支援している、党派を超えた態勢をとっている。

 私は、できれば、これは日本も人ごとではない、国際社会の一員として日本の安全保障をどう考えるのか、テロ撲滅に向けて世界がどう立ち向かっているのかということを冷静に御判断いただきまして、できれば党派を超えて、できるだけ多くの政党から、国民から支持を得られるような態勢をとって、日本も国際社会の一員としてこのテロ撲滅に立ち上がっているんだという姿勢を示していただければ、大変日本政府にとってもいいことではないかと考えております。

衛藤委員 外務大臣にお伺いをいたします。

 今般の米英両国による軍事行動は、武力の行使を容認した国連安保理決議なしに行われたものでありまして、国際法違反との見解がありますが、外相の見解を承りたいと思いますし、また、本来は犯罪行為とされているテロに対して自衛権を行使することは、国際法上認められるのか、この点についても、外相の御見解を賜りたいと思います。

田中国務大臣 お答えいたします。

 今回の米国及び英国の行動は、国連憲章五十一条に基づく個別的及び集団的自衛権の行使として、安保理に報告が既になされております。

 日本といたしましても、今般の英国及び米国による行動は、個別的自衛権の行使であると考えておりますので、国際法の違反とは考えておりません。

 自衛権の行使に当たっては、武力の行使を容認する安保理決議は必要とされてはおりません。

衛藤委員 重ねて外相にお尋ねをいたしますが、私は、河野外相が進められましたイスラム文明との対話、これを大変大事に考えております。昨年の当初から、またことしの春にわたりまして、アフガンとの話し合いも行われたことを私はよく知っているわけでありますが、今時のテロ対策特別措置法、これは、国際の安全と平和を堅持するための法律でありまして、決してイスラム文明社会、アラブ諸国と対立あるいは対決するための法律でもありません。

 しかるに、従前どおりイスラム社会との対話を続けるべきである、私はこのように思っておりますが、外相のアフガン外交を含めましたイスラムとの対話路線についての御見解を賜っておきたいと思います。

田中国務大臣 今回のことは、憎むべきテロリズムに対して国際社会が一丸となって対抗をするということでございまして、そして、これはテロリストとイスラム社会というものを完全に分離して、テロを撲滅していきたいというような立場に立っておることは、もう御案内のとおりでございます。

 そして、今回のことが起こりましたけれども、アフガニスタン周辺諸国や中東諸国に対して、鈴木先生もいらっしゃいますけれども、総理の特使を、何人かの方々に行っていただきましたり、それから、私からも書簡を発出いたしましたり、関係国の方々と電話をいたしましたり、機会をとらえて接触をいたしております。そして、意見交換をしながら日本の立場も理解していただいて、テロリズムとイスラムとは全然別であって、テロに対して一丸として私たちは立ち向かうのだという意志を言っております。

 ただ、基本的な問題は、やはりテロを根絶するといいましても、私も本会議等でも申し上げておりますけれども、貧困でありますとか差別とか、そういう問題についてもやはり取り組まなければいけませんし、中東和平というものを進めていくということも大変重要なことであるというふうに思っています。文明間の衝突がなくなるように最善のまた努力をしていきたい、イスラム社会とも仲よくやっていきたいと思っております。

衛藤委員 次に、集団的自衛権の問題についてお伺いしたいと思います。

 政府は、具体的な行動を示すためにこのテロ対策特別措置法を準備したわけでありますが、一方、NATOや豪州は、今回の攻撃に対しては集団的自衛権を行使し得るとの立場をとっております。また、共同で空爆を行った英国を初め豪州やフランスも既に軍事行動を起こし、韓国やシンガポールも軍事作戦への参加を申し出ていると聞いております。

 新しい法律をつくって具体的な支援をしようとしていることは、十年前の湾岸戦争の際、百三十億ドルもの資金協力を行ったにもかかわらず、時宜を得た、目に見える貢献をし得なかったために国際社会から全く評価されなかったことを思い起こせば、大きな前進であると私は思いますが、しかしながら、同盟国として、友人として、ただ本当にそれだけで十分だったのか。私は、憲法解釈を盾にして後方支援分野での協力だけにとどまっていいのか。

 また、日米同盟関係においても、よもや米国の方が攻撃されるなどということはだれもが想定しておらなかったことも事実であります。しかし今、そのよもやが起こったのでありまして、私は、この際、真の同盟国として集団的自衛権の行使が必要ではないかと思っております。それは今回の国連決議にも改めて言及されているところでありまして、まさに世界の常識と考えております。

 総理は、集団的自衛権を含め、憲法問題について研究していく旨を明言しておられます。私としては、この際、集団的自衛権の行使を認める方向で研究を進めるべきであると考えておりますが、総理としてはどうお考えでございますか。お伺いしたいと思います。

小泉内閣総理大臣 憲法解釈については、いろいろな意見があるということは承知しております。一番尊重しなければならない憲法の範囲内で何ができるかということを、今まで国会の中でもいろいろ論議を積み重ねてきたわけであります。

 特に、憲法九条のもとで、集団自衛権の問題という議論はたびたびこの国会でも議論されてきたところでございますが、今まで五十年余にわたって積み上げてきた議論を尊重しつつ、そして世の中の変化に対応していかなきゃならない。いろいろ解釈についても、事態の推移によって、あるいは時代の変化によって変わってまいりました。自衛隊に対する考えもいろいろ変化に応じて変わってきたのは御承知のとおりでございます。そういう中で、私は、さまざまな角度から集団的自衛権の問題についても議論していいのではないかと。

 衛藤議員が今言われたように、まさか世界最強のアメリカに直接攻撃する勢力が出てくるなんというのは想像していなかったわけですね、だれも。むしろ、議論の中では、日本が攻撃された場合にアメリカは本当に守ってくれるんだろうかという議論はあったけれども、アメリカを直接攻撃する組織なり国があるかというようなことは、想定しなかった問題が現実に起こった。

 そういうことを考えても、これからどういう事態が起こるかわかりにくい世の中になってきましたが、そういう意味からも、幅広い角度から、集団的自衛権は保有しているけれども行使できない、じゃ、集団的自衛権とは何かという議論までいろいろ展開されているわけですから、こういう問題については、いろいろ想定し得ることを考えながら、議論、研究を重ねてもよいのではないかということを言っているわけでありまして、今回の事態に対しては、私は、今まで積み重ねた憲法解釈を尊重します。

 そういう中で、日本のできることは何か。憲法の範囲内で、このテロに対して世界が一緒に立ち向かっていく。アメリカを初めとした世界各国と協調して、テロ撲滅のためにでき得る支援協力態勢はどういうことかということを真剣に考えるのが今回の新法でありますので、その点も踏まえて議論していただければありがたいと思っております。

衛藤委員 次に、個別的自衛権についてお伺いしたいと思いますが、先ほども申し上げましたとおり、今般のテロ攻撃は、我が国を含む世界の自由と民主主義、開かれた体制に対する重大な挑戦でありまして、その攻撃はいつ我が国に及んでも不思議ではありません。また、現に今般のテロ攻撃によって我が国国民にも約二十名の犠牲者が出ると見込まれておりますし。

 したがって、もしこのようなテロ攻撃が今後も続くのであれば、それはもはや我が国に対する武力攻撃であるというべきではないでしょうか。そのときは、我が国も個別的自衛権を発動して、米国などとともに断固として反撃の行動を起こすべきであると考えます。テロ攻撃が今後も継続する場合には、我が国も個別的自衛権に基づいて米国などと共同して反撃の行動に出るべきであると考えておりますが、その覚悟はあるのか、総理にお伺いしておきたいと思います。

小泉内閣総理大臣 今回のテロは、直接的には米国に対する攻撃であります。その中で日本人の多くの方々も犠牲になってしまった。世界各国の市民もこの事件に引き込まれて、五千人あるいは六千人とも言われるような多くの犠牲者を出している。

 そういう中で、日本として自衛権の発動はどうかという御質問でありますが、日本が個別的自衛権を発動するためには、今三つの要件が必要だと言われています、三つのね。一つは、まず、我が国に対する急迫不正の侵害があること。二つは、この場合にこれを排除するために他の適当な手段がないこと、自衛権を発動する以外に。三つは、必要最小限の実力行使にとどまるべきこと。これが、いわゆる自衛権発動の三要件と言われております。

 今回、九月十一日の米国におけるテロ攻撃においては、いまだ我が国に対する急迫不正の侵害はないので、我が国が個別的自衛権を発動する状況にはないと考えている、これが政府の、今、公式見解でございます。

衛藤委員 自衛隊員の派遣の問題について、政治家の、政治の責任の問題についてお尋ねしますが、この法律に基づきまして自衛隊を海外に派遣する際には、任務、派遣地域、携行する武器などに政治が責任を持って、派遣される自衛官が後顧の憂いなく任務を果たせる条件を整える必要があると考えておりますが、この点について、防衛庁長官、政治家としてのその立場からお考えを承っておきたいと思います。

中谷国務大臣 政治が、自衛隊を派遣する場合には、やはり政治がその行動に対して責任を持つということは当然のことではないかというふうに思っております。

 そういう意味で二つ大事なことがございますが、一つは、何のために派遣するかということでございますが、この点につきましては総理がお話をしたとおりでございます。もう一点は、やはり派遣する以上は隊員の安全確保を図るという点も政治が責任を持たなければなりません。

 そういう意味におきまして、やはり現場へ行く隊員が危機に陥ること、危険な状態に陥ることを避けるという点に留意をいたす必要がありまして、現場へ行ったらいろいろな事態が予想されます。そういう事態に際して、政治があれこれと制約をつけ過ぎますと、かえって危機に陥る場面がございますので、できるだけその状況に応じて隊員が適時適切に判断するということが必要でございます。

 そういう意味では、憲法を逸脱しないように、これとこれはやってはだめだということを明確に規定する必要がございますが、そういう観点でこの法案を作成いたしまして、この法律につきましては、その武器の使用権限と活動地域に関する枠組みによって、派遣される隊員の活動と安全の確保が十分に確保することができるように措置できたというふうに考えております。

 私といたしましては、今の状況につきまして、一日も早くこの法案の成立に向けて全力を尽くしてまいりたいと思っておりますので、この委員会の皆様方におかれましても、派遣される自衛官が後顧の憂いをすることなく任務を遂行できるように、御支持並びに御支援を賜りたいというふうに思っております。

衛藤委員 協力支援活動や被災民救援活動のために自衛隊を海外の領土に派遣するに際しては、政府の役人の調査団だけに任せず、政治家によって構成された調査団が現地に赴いて治安状況などを実際に調査することによって派遣地域を判断することが政治の責任でもあると考えておりますが、総理はこの点についてどのようなお考えをお持ちでしょうか。

小泉内閣総理大臣 本法案のもとでの自衛隊の派遣については限定されております。まず、戦闘地域でないということ。そして、自衛隊等が派遣されていろいろ活動する、実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる地域である。こういう限定がついていますから、このような限定の中でどういう活動をするかというのが本法案の中でも十分議論されなきゃならないというところであると思いますが、これは、成立した場合でも、それではそういう状況をどう判断するのかということだと思うんですが、その際には、今の議員の御指摘も踏まえながら、まず我が国みずから収集した情報に加えて、国連その他の国際機関、あるいは当該地域で中心的な活動を行っている外国部隊、外国の領域で実施する場合には当該外国からの情報をあわせて総合的に分析するということになっております。

 当然、政治家としても、自衛隊を派遣していい状況かということは政府としても判断しなきゃなりませんし、一部の人に任せるわけでもございません。その点は、まさに政治判断、状況判断、的確な判断、これが必要だと思っております。

衛藤委員 最後に、テロ対策特別措置法第十一条「武器の使用」についてお尋ねをいたしたいと思います。

 今回のミッションは、今までのPKOとは異なりまして、テロリストや暴徒化した民衆を相手にする可能性も排除できないと思います。そのような地域に派遣される自衛官が十分に任務を果たすためには、その地域の政治状況や環境に見合った武器を携行し、使用できることが不可欠であると考えております。そして、十分な条件を整えて自衛官を送り出すことが政治の最低限の責任だと思っております。

 例えば、テロリストから自分の身体や生命を守り任務を果たしていくためには、従来とは異なりまして、時には、相手に危害を加えられる前に先制的に武器を使用し、相手を撃破することもあるかもしれません。

 本法律では、正当防衛か緊急避難の場合しか相手に危害を与えられないとございますが、これで十分なのかと危惧をしております。防衛庁長官の見解をお伺いしておきたいと思います。

中谷国務大臣 この法律案の武器使用の規定につきましては、おっしゃるような場合、正当防衛、緊急避難に該当する場合には、相手に危害を与えることも許容されるというふうにいたしております。

 この相手に危害を加えられる前に武器を使用することが必要という点につきましては、例えばテロリストから襲撃をされたというようなケースにおいて、発砲等がなされた後でなければ武器を使用できないというわけではなくて、相手による危害が切迫し、かつ、相手による危害に備えなければ自己等の生命、身体を防護し得ないような場合には、まず武器を構えたり威嚇射撃をしたりするなどの形態で武器を使用することができる、さらに、急迫不正の侵害があると認められる場合には、自己等の生命、身体に具体的な被害が発生する以前であっても、自己の生命または身体を防護、防衛するためにやむを得ない限度で、武器により危害を与えることも許容されるということにいたしております。

 やはり活動する自衛官の安全確保のためにこのような規定を設けたものでございますので、どうぞ御理解をいただきたいというふうに思っております。

衛藤委員 本法律案は、従来の集団的自衛権の解釈を変えないという条件の枠組みの中における最大限の措置だと思います。しかし、現状においては、長期的には集団的自衛権の解釈の変更なしでは、米国、米国民から確固たる信頼される同盟国とはなり得ないのではないか、このように思っております。とはいうものの、現下におきましてできる限り早期に法制化されることが望ましい、私はこのように思っております。

 マンスフィールド大使がおっしゃったように、世界の二国間関係で日米関係ほど重要なものはない、このように論破されましたが、日米同盟の信頼関係維持が日本国民の安全と繁栄の維持に死活的かつ重要性を有することは、論をまちません。近い将来の問題としても、日本、アメリカともに不景気になるおそれがありますし、新たな日米経済摩擦の可能性もある現在、日米同盟の信頼感を確立しておくことは、国民の生活防衛、国民の生活の安全のためにも重要だと思っております。

 振り返ってみますと、一九九一年、湾岸戦争の後、一九九二年の選挙で成立したクリントン政権の初期の日米経済摩擦は、日米関係の歴史の中でも最悪のものであったように思います。米側の要求は数値目標の設定という理不尽なものもありましたし、日本に対する同盟国としての配慮は皆無であったように思います。

 これに対して、日米同盟が信頼関係にあった中曽根・レーガン時代は、工作機械の輸入制限の提案は大統領自身が閣議でこれを拒否した、こういう事実もあります。

 国民生活が少なくとも外から脅かされないようにしておくためにも、また日米同盟の信頼関係の維持強化は極めて大切であるという点を強調いたしまして、私の質問を終わります。

加藤委員長 この際、河村建夫君から関連質疑の申し出があります。衛藤君の持ち時間の範囲内でこれを許します。河村君。

河村(建)委員 おはようございます。自由民主党の河村建夫でございます。

 私は、今回のこのアメリカにおける同時多発テロ発生に伴い、国際テロリズムという人類の新しい敵に対して、小泉総理が、まごうことなく決然とこのテロリズムと闘うことを表明された、そして自衛隊派遣を初めとする七項目の対応措置等を示された、この総理の決断を高く評価するものであります。

 二十一世紀の日本、国際社会の中で平和と安定について積極的に貢献をする、いわば積極的平和主義とでも申しますか、このような国家であるべきだと私は考えておるわけでございまして、総理の決断というものは、まさにこの憲法前文にある、国際社会において名誉ある地位を占めていく、そして同時に、この際一国平和主義を排して、自国のことのみに専念して他国を無視しないというこの憲法前文の崇高な精神、これをまさに能動的に貢献していこう、新たな積極平和主義といいますか、そういうものを構築していこう、このあらわれだ、私はこのように考えておるわけであります。

 一昨日、NHKが世論調査をやりました。総理も御存じのとおりだと思いますが、小泉内閣の支持率は、先月より一%上昇して七五%という高い数字を示しております。また、このたびの大規模テロに対する政府の一連の対応についても、評価するが六七%、七〇%近く、評価しないは二二%にとどまっている、こういう状況下にあるわけでございまして、世論も、この際国民のために、また世界平和貢献のためしっかりやれと後押しをしている、このように思うわけであります。

 当委員会といたしましても、総理が、この際土日を返上してでもやるべきだ、こうおっしゃっておる。我々もそれに打たれた気持ちでありまして、既に土曜日には質疑をやることを決定いたしておるわけであります。野党の皆さんにも御協力いただいておるわけでありますが、一部の野党幹部の中には、APECのお土産にはしないのだとか、何か党利党略でこんなことを考えておられるのじゃないか、残念なような気もするわけでありますが、これはやはり一日も早く我々としてはこの法案を通していきたい、こういう思いで今この問題に取り組んでおるつもりでございます。

 今回、この世論調査を総理はどのように受けとめ、また、この法案を提出された基本的な認識を改めて伺いたい、こういうふうに思います。

小泉内閣総理大臣 今回、政府の対応について六〇%以上の国民の皆さんが支持してくれているということは、大変心強いことだと思います。

 これは、私自身、憲法の前文にある、いずれの国も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであってというくだりがございます。まさにその問題じゃないか。米国だけの攻撃だけじゃない、世界に対する、人類に対する卑劣な攻撃だ、人ごとでないという気持ちを持つことが日本にとって大事ではないかと思っております。そういう中で、憲法九条の、武力行使しない、世界の中で責任ある態勢をとって、テロ撲滅、根絶、抑止のために立ち向かおうということが、今日本に求められているのだと思います。

 そういう気持ちから、私は、この国際協調という精神と、憲法九条における武力行使はしない、その中でできるだけの支援、協力をしようというのが本法案の趣旨であり、我々が考えている支援協力態勢でございます。それを多くの国民が支持していただくということは大変力強いことであり、こういう国民の支持を背景に、日本としても、何ができるか、国際社会の一員としてテロ抑止、撲滅のために何ができるか、これを、人から言われるのではない、他国から言われるのではない、日本自身の問題として考えることが今大事なことではないかと思っております。

河村(建)委員 総理は、この問題をとにかく主体的に考えていきたい、こうおっしゃっているわけでありますが、この法案が、国際社会と協調してテロと対決する、このことを明確に打ち出しておるわけでありますが、今回のこの事件では、多くの日本人も犠牲になっているという事実があるわけであります。この点から考えますと、この法案は、単なる米軍に支援をするんだということだけではなくて、法治国家日本としても、まさに主権、当然の権利といいますか、それが発生しておると思うのですね。

 私は、この権利を行使することはできるという考え方に立ったときに、政府はやはり、よりもっと主体的に努力をしていかなきゃいかぬと思うのです。この場合、考えてみますと、犯人ビンラーディン氏が逮捕される、捕縛される、こういう状況になれば、私はこれに対する裁判管轄権といいますか、これはハイジャック防止条約あるいは刑法から考えても、それは発生すると思うわけであります。引き渡しを要求する権利がある、私はこのようにも思うわけでございますが、こういう考え方に立ってこの問題に取り組むべきだ、こう思いますが、いかがでしょうか。

福田国務大臣 一般論として申し上げますと、今回のように国外においてハイジャックが敢行された場合、これは犯人の国籍いかんにかかわらず、我が国も管轄権を持っております。これは航空機の強取等の処罰に関する法律第五条に基づいておるわけであります。ほかの国で管轄権を有するというそういう場合、その場合には、我が国が引き渡しを求めるか否かは、証拠収集の容易さなどの裁判手続上の問題などがございまして、そういう事情等を総合的に判断して決めるものであるということになっております。

河村(建)委員 この事件というのは、日本にとってもそれだけ主体的に取り組まなきゃいけない事件であるということを内閣としても認識をしていただいておる、こういうふうに思うわけであります。

 今回のこの悲惨きわまりないテロ事件、胸がつぶれるといいますか、我々はテレビ、日本国民はテレビを見てショックを受けたということでありまして、そして日本の犠牲者もたくさんあるということ、残念なことでありますが、自分のホームページに、ざまあ見ろと思っている国だってきっとあると思いませんかということを掲載されて、抗議メールにお遭いになって、これは謝罪とともに削除されたと、社民党の議員もおられたというふうに、これは新聞報道それからメールにもはっきり出ておる。残念なことでありますが、これは論外といたしましても、大部分の日本人が感じたことは、あの事件を通して、さてそして、日本でもしこんなことが起きたら一体どういうことになるんだろうか。日本の危機管理はどうなのか、政府はちゃんと国民を守ってくれるんだろうか、こういう思い、非常に私は高まっておると思うのですね。

 日本の安全神話が今崩れつつあるときでもありまして、この危機管理、これにどのような対応をしていくかということから二、三お伺いをしたいと思うのであります。

 この法案はテロ根絶に向かって今まさに審議をしているわけでありますが、この法案が通る通らない、通る以前の問題として、即でもやれることが、例えばハイジャック、今回の事件はハイジャックから発生しているわけでありますが、この防止対策。これは手荷物、入管を強める、これは当然のこととしても、例えば警察官を常時遠距離用の旅客機には乗せるということも、私はハイジャック防止上にも大変効果があるのではないか。これも、一人じゃなくて二人は要るんだろうと思いますが、こういうことが考えられるのじゃないかと思うのでありますが、まだ原子力発電も大丈夫かという意見もあるぐらいでありますが、旅客機に乗せるということは私は可能だと思うのであります。

 それから、これは総理の御決断をいただきたいと思うのでありますが、テロ資金防止条約がまだ署名ができていません。これはたしか塩川財務大臣も、G7では日本だけだという指摘、これは早く何とかしなきゃいかぬということをおっしゃっておりますし、また爆弾テロ防止条約の批准がおくれております。そのことも含めて御決断をいただきたい。

 また一方、アメリカでは炭疽病の問題でFBIが乗り出しておりますが、こうした核物質、細菌、毒ガス、こうしたいわゆるサイバーテロも含めて、そうしたテロに対する対策はどうなのか、このあたりについての対応をお聞きしたい。サリン事件の教訓が日本では生きているのかということも問われておるわけであります。あわせてお伺いしたいと思います。

田中国務大臣 テロに関する条約でございますけれども、十二本あるうち、今まで十本が批准されてきておりまして、残る二本は、今委員おっしゃいましたとおりに、一つは爆弾テロ防止の条約でございますし、もう一本はテロ資金供与の防止の問題です。

 爆弾テロに関する方の条約でございますけれども、これは実施するための国内法の改正、そういうものにつきまして関係省庁で今鋭意努力をいたしておりまして、本臨時国会に提出するということも含めて、できるだけ早くするように検討しております。

 もう一本のテロ資金の問題ですが、これは今までの委員会での討論も踏まえまして、大変厳しい御指摘もありますし、犯罪化を義務づけている行為の構成要件の明確化でありますとか、適正な金融規制の措置とか、いろいろな省庁、多岐の省庁にわたっている問題ではありますけれども、これもとにかくできるだけ早く、特にこの署名は年内に限られておりますものですから、年内のうちに署名もできるように総力を挙げております。

扇国務大臣 河村先生からハイジャックの御質問がございましたので、ハイジャックの件に関しては私から御答弁させていただきたいと思います。

 御存じのとおり、ハイジャック、先生もおっしゃいましたけれども、警察官を飛行機に乗せて乗客の安全を図るという、これは少なくとも今アメリカでも、それからドイツ、オーストラリアでもやっておりますけれども、我が国に一たん振り返って考えてみますと、それも一案ではございますけれども、現在、日本の警察の私服警官を乗せるというようなことも考えてはみましたけれども、警察官の職務執行法というのが、日本ではこれがございますので、警察官の銃器の使用について極めて厳重な要件が課されておりまして、果たして警官が乗って、日本の場合は何ができるかというようなこともございまして、まだこれは検討中ではございますけれども、警察当局と御相談しながら対処を図っていきたいと思います。

 幸い、先日、九月の二十三日からWTO総会というものが韓国と共催で開かれまして、そこでも、航空安全に関しましての、テロ対策に対しての、約百二十カ国が参加いたしましたし、九月の二十五日から、カナダで開きましたICAOによって、これも国際テロに対する国際的協調をしていこうということでテロ対策の決議を行っておりますので、そういう意味で、世界的な連携をとりながら、ハイジャック防止に努めていきたいと思っております。

村井国務大臣 私の方からは、一つは、今御指摘のBCテロと申しましょうか、生物兵器あるいは化学兵器等に対する対応でございますけれども、例の地下鉄サリン事件の経験、これは私どもにとりましても大変貴重な教訓でございまして、それ以来、防衛庁ともいろいろ連携をとりながら知識をふやしまして、また対応策もいろいろ練っているということをぜひこの機会に申し上げたいと存じます。

 それからもう一つ、サイバーテロの問題でございますけれども、これは大変深刻な問題でございますが、実は警察は情報通信局という部局がございまして、その流れの中で、約四千人の技術者集団を持っております。

 実は、この一つの特徴は、常時警察の通信体系を日々運用しているわけでございまして、その結果得られます知見に基づきまして、コンピューター上いろいろあらわれますサイバーテロに対しまして、サイバーフォースという非常に強い力を持ちました集団を編成いたしまして、これでかなり事前にいろいろな情報もつかみ、あるいは民間に対してもいろいろなウオーニングといいましょうか、警告を発しているというような状況でございまして、これはぜひ国民の皆さんにも御認識をいただき、警察に対する御相談をいただければありがたいのじゃないか、こんなふうに思っております。

 それから、ただいま国土交通大臣からお話ございましたいわゆるエアマーシャルの問題、これにつきましては、やはり御指摘になられました問題もございますが、心理的な問題としまして、警察官を乗せることによりまして犯人を刺激して、かえって機内で非常に被害を大きくする危険があるのではないかというような問題、それから一日の便数が非常に大きいというような問題等もございまして、なお事業者等も含めましてよく相談をさせていただかなければならない、現在鋭意検討中の課題だということを御理解いただきたいと存じます。

福田国務大臣 今、国家公安委員長からお話ございましたけれども、補足をさせていただきます。

 生物化学テロでございます。これは特に、昨今、米国において炭疽菌の疑いがあるという、そのこともありますので特に申し上げるのですけれども、我が国におきましてもそういう情勢というものは、恐ろしい、本当に恐ろしい時代になりましたけれども、そういう情勢を踏まえまして、従来の対策に加えまして、医療関係者への情報提供、感染症対策、関係物質の管理、そしてまた食品、水道関係への混入防止、そういうようないろいろな必要な措置をとっておるところでございます。

 特に生物テロ対策という意味におきましては、身体的な異変を機敏に察知するためのサーベイランス、これは極めて大事なわけでございます。この初動捜査を間違えますと大きな被害をこうむるということになりますので、このサーベイランスを徹底してやろう、こういう体制を今とりつつあるところでございます。

 また、緊急治療体制の確立、これはワクチンを準備する、こういうことも入っておるのですけれども、これも想定されるようなものについてのワクチンを十分に用意するための準備を今とっておるところでございます。

河村(建)委員 今、国民の生命財産を守る、これは政治の要諦でありますから、国民の側に立って、真剣にひとつこれからの検討を進めていただきたいというふうに思います。

 次に、防衛庁長官に一つお伺いしたいのでありますが、難民救援物資を積んだ航空自衛隊のC130輸送機、三日かかったということでありますが、無事にパキスタンに到着をした。それは大変よかったと思っておりますが、本件をめぐって、民間航空機なら一日でも輸送できる、もっとたくさん輸送できるという指摘も国会でありました。民間のことは民間でやらせたらどうかという話もあった。私は民間がだめとは思いませんけれども、湾岸戦争のとき民間航空に頼みたいということだったのですが、あのときと今は条件が違いますから一概に言えませんが、組合の反対等もあってなかなか進まなかったということもありました。

 まず私は、自衛隊機ということは政府として当然のことだと思いますが、しかし今後、国際緊急援助隊というものができました、一刻を争うわけですね。こういうケースを考えますと、航続距離の長い、いわゆる足の長い輸送機が必要だ、私はこう考えておるわけでありますが、この整備についてはどのように考えておられるのでしょうか。

中谷国務大臣 海外の物資の輸送等、また邦人救出等に関しましては、お話しのように民間機でという話もありますけれども、経緯といたしましては、湾岸戦争のときの、民間がいざというとき飛んでくれなかったというような理由から、法律でそれを可能にいたしまして、政府といたしましては、安全確実に物資を届けるという見地で、今回も政府の、航空自衛隊の航空機で輸送いたしたわけでございます。

 この能力の問題ですけれども、現在航空自衛隊にはC1輸送機とC130Hの輸送機を保有いたしておりますけれども、C1、130Hをいたしますと航続距離が四千キロでございます。しかも、気象の影響を受けやすい二万フィートの高度を雲のすき間を縫いながら時速五百五十キロで飛行するということで、イスラマバードまで三泊四日かかったわけでございますが、やはりこういった国外に向けての航空能力を向上するために、現在C1の後継機につきましては六千五百キロ以上の距離を、また四万フィートの高高度を時速八百九十キロで飛行できることを念頭に置いて準備をいたしております。また空中給油機、これが導入されますと六千五百キロ以上の航続距離が可能になりまして、今回のようなイスラマバードまでは条件によっては直接飛行可能になってまいります。

 そういう意味では、今後ともこれらの能力向上のためにさらに全力を尽くしたいと思っておりますので、どうぞ御支援をお願いいたしたいというふうに思っております。

河村(建)委員 以上で終わります。

加藤委員長 この際、下地幹郎君から関連質疑の申し出があります。衛藤君の持ち時間の範囲内でこれを許します。下地幹郎君。

下地委員 十分間貴重な時間をいただきましたので、質問させていただきます。十分という限られた時間でありますから、私が一分質問しますので、二分間で答弁をお願いしたいなというふうに、しかも中身の濃い答弁をお願いします。

 総理、きょうは全国の国民が注目をしてこの委員会を見ておりますけれども、私は、この委員会の二つの大きな意義があると思うんですね。

 一つは、テロ撲滅のために国際社会で日本が何ができるのか、憲法の範囲内で何ができるのかというのをしっかりと示さなきゃいけない。

 そしてもう一つには、テロが起きることによって起こる被害。まず、とうとい命が失われるということですね。そして二つ目には、難民が出て大変な重荷になる。それと三つ目には、いかに政府が頑張って経済政策を打とうとしても、このテロが起きることで一瞬にして経済の歯車が狂ってしまう。

 実際、きょうのニュースを見ると、十二兆円の損害をニューヨークが受けていると新聞紙上に出ておりますけれども、それによって、企業はリストラをやむなくされて、失業者が出て、失業に遭った者は人生設計が狂ってしまう。だから、私たちはこのテロ撲滅をしなければ、絶対に経済にしても人生設計にしてもだめなんだという深い思いを、この委員会で多くの国民に知ってもらうことが私は大事だと思っていますから、ぜひそのことをしっかりとこの委員会で総理からアピールをしていただきたいなというふうに思っております。

 さて、沖縄の、このテロによって起こっている被害というのはまた膨大なんですよ。観光客が、十月の九日現在でも十万人のキャンセルを受けておりますし、大体四千四百億円の年間の売り上げのうち五百億円近くがもう損害を受けるんじゃないかと言われております。

 基地が七五%あるというのがその大きな要因になっているようでありますけれども、きょうも朝沖縄に電話しても、夜電話しても、平常でありますし、何の変化もありません。私の家族もしっかりと頑張っているようでありますから、そういう意味でも沖縄が安全なんだというアピールをしなきゃいけないと思っているんですね。それと、被害を受けている方々をしっかりと守っていかなければいけないと思うんですけれども、ぜひ緊急の融資制度を開発金融公庫において設置をして、今損害を受けている皆さんをしっかりと守ってもらいたいというのが一点。

 そして二つ目には、沖縄が大丈夫なんだというキャンペーンをやるために、予算を内閣府の中で組んでいただきたいというのが二点。

 三点目には、文部大臣だとか国土交通大臣、扇大臣が沖縄へ行って、かりゆしウエアを着て、沖縄が大丈夫なんだということをアピールしていただきたい。これは知事からもお願いがあったと思うんですが、この三つをやっていただきたいという要望があるんですけれども、総理、いかがでしょうかね。

尾身国務大臣 委員おっしゃいましたように、今回のテロ事件によりまして、修学旅行など沖縄観光のキャンセルがかなり起こっていることも事実でございます。

 私どもといたしましては、テロ対策に万全を期していろいろな対策をとっているところでございますが、テロということの性格から見まして、どの地域が安全でどの地域が危険だということは言えないと考えております。現に、沖縄米軍を代表いたしますグレグソン四軍調整官も、沖縄に具体的なテロの脅威があるわけではないとはっきりおっしゃっているわけでございます。

 そういう中で、私どもといたしましても、過剰な反応がされないよう関係方面に実はかなり要請をしてきておりまして、他方そういう過剰な反応がないようなことを我々は考えていかなきゃならない。先ほどおっしゃいましたように、沖縄も、暖かい光の中で、ゆったりとして、先日も那覇で大きなお祭りがあった、盛大に行われたというふうにも聞いているわけでございます。

 他方、沖縄県とも連携協力をいたしまして、積極的にいろいろな対応策をとってまいりたいというふうに考えております。

 一つは、沖縄県や関係の各省庁と協議をしながら、大規模な沖縄観光キャンペーン、あるいはイベントの開催等についてもぜひ実現をしてまいりたいというふうに考えております。

 これについての財源措置でございますが、機動的な対応が可能な沖縄特別振興対策調整費というのがございまして、その活用を図りながらやってまいりたいというふうに考えている次第でございます。

 それから、観光業等が影響を受けるという点に関しましては、沖縄振興開発金融公庫に資金調達等に関する相談窓口を実はきょうから開設をいたしまして、必要な対応をしてまいりたい、実情もよく把握した上で必要な対応をしてまいりたいというふうに考えている次第でございます。

 関係大臣が沖縄に訪問されることについては、私も大変ありがたいと思っておりますが、これはまた、過剰な反応にならない、沖縄は、テロ対策は十分にやっておりますけれども、沖縄が特に危ないわけではないということを国民に正しく理解をしていただくという意味において意味があるというふうに考えている次第でございます。

下地委員 寝た子を起こすというわけじゃないけれども、過剰な反応をしている現象があるので、ぜひ、安全性をアピールすることは大事だと思いますから、よろしくお願いします。

 それから二つ目なんですけれども、私が先ほど申し上げました日本ができる役割の中で、人道援助というのがあると思うんですね。一九九九年に僕は二回コソボに行って、避難民の支援活動、NGOの活動を見てまいりました。非常に日本の若者が頑張っている活動を見て感動を覚えたことがあります。

 きのう私どもの外交部会でも話があったんですけれども、鈴木特使がタジキスタンに行った。タジキスタンが今度、米軍の空軍の領域の通過だとか、米軍を支持するだとか、空港利用についても許可をするとか、大きな役割をこのテロ撲滅で果たすというふうな報告がありました。

 しかし、きのうの報告では、二年連続の干ばつにタジキスタンは襲われている、避難民も大変だけれども自国の国民も大変なんだというんで、人道援助を日本に対して大きな期待を持っているという話がありましたけれども、総理は、タジキスタン、このテロ撲滅に大きな役割を担うタジキスタンに、これから日本はどんな予算づけをして経済支援をしていこうと思っているのか、そのことについてひとつ総理のお考えをお伺いします。

田中国務大臣 鈴木特使がお帰りになったばかりでございますけれども、アフガニスタン周辺国への援助は大事でございまして、タジキスタンに対しましては、今回の鈴木特使の訪問を受けまして、二百万ドル程度を供与する方向で調整いたしております。

 そして、ウズベキスタン等のその他の周辺国に対しましても、難民支援は事態の推移を見ながら検討をしてまいります。

下地委員 早急なまた人道援助をお願いしたいと思います。

 最後の質問になりますけれども、自衛隊法の改正についてでありますけれども、今度の自衛隊法の改正で、警護出動をやると米軍基地を自衛隊が守るというふうなものになっておりますけれども、歴史的に非常に沖縄、しっくりちょっといかないような部分があると。

 沖縄の自衛隊、もうこの三十年間、地域とのコミュニケーションをとりながら、離島の急患輸送をしながら、非常に自衛隊に対する認識は大きくなってまいりました。昔は成人式にも自衛隊は参加させないという話がありましたけれども、今、もうそういうことのないような状態まで来ておるわけです。

 自衛隊が米軍基地を守るというのが何かまだしっくりいかないということは、現実の話として大きく聞こえるわけですけれども、ぜひその沖縄の歴史的配慮をしていただいて、警護出動が出ても、ある程度までは警察による機動隊によって警備をする、そういうふうなことがあっても、沖縄の特殊性からあってもいいんじゃないかなと私は思っているんですけれども、その件に関してお答えをお願いしたいと思います。

小泉内閣総理大臣 沖縄の米軍基地を警護する際に、自衛隊に出動を命じなきゃならないような事態が生ずるかどうか、これはそのときになってみなきゃわからないんですが、そういう状況にあるかどうかということを判断する場合にも、都道府県知事の意見を聞くということになっておりますし、県民の感情あるいは県内の実情、よく判断して警護出動を命ずるということになっております。

 そういう点からすれば、十分配慮しながら警護出動には当たりたいと思っております。

下地委員 ありがとうございました。

加藤委員長 これにて衛藤君、河村君、下地君の質疑は終了いたしました。

 次に、河合正智君。

河合委員 公明党の河合正智でございます。

 小泉総理初め各大臣に質問いたします。

 九月十一日に起きましたあの悲惨なテロにつきましては、劇場のスクリーンを見ているような、それが現実であったという、人類はかつて受けたことのない衝撃を受けておりますが、実は、ここに写真がございます。一九九八年八月、タンザニアそしてケニアで起きましたアメリカ大使館の爆破事件の、これはケニアにおける写真でございます。たくさんの死傷者が出て、悲惨な事件でございました。同じく、爆破事件後救援活動を行う人々の模様も、このように写真におさめられているところでございます。これは同じくケニアでございます。タンザニアとケニアでほぼ同時多発のテロが起きているわけでございます。

 それで、質問させていただきたいと思いますが、ウサマ・ビンラーディンの関与が取りざたされております事件、ほかにどのようなものがあるのでしょうか。外務大臣にお伺いいたします。

田中国務大臣 ウサマ・ビンラーデンの関与のことでございますけれども、具体的にまず申し上げますと、一九九六年六月のアルコバール、これはサウジアラビアでございますけれども、そこの米軍の施設の爆破事件がございまして、その次は、一九九八年にタンザニアとケニアの米大使館の爆破事件、それから、二〇〇〇年のイエメンでのUS、アメリカの駆逐艦コール号爆破事件等があると思っております。

河合委員 外務大臣にお伺いいたします。

 これに対して、国際社会はどのように対応してきたのでしょうか。

田中国務大臣 これは、いわゆる安保理の決議の一二六七、一三三三で対応したということに尽きますけれども、もう少し詳しく申し上げましょうか。要するに、安保理では、九八年のケニア、タンザニアの米国大使館爆破事件を受けまして、タリバンに対してビンラーデンの引き渡しを求める要求をいたしました。それから、資産の凍結等の制裁を科するということなどを内容とする決議を累次採決いたしております。

 それから、国連以外でも、ことしの七月にローマでG8がございまして、私が参りましたけれども、そこでも最初の議題になったのが、このテロリズムにどのように対抗するかということでございまして、それにつきましても総括的な文書を出しております。

河合委員 あわせて、沖縄サミットでの対応も大臣にお伺いさせていただきます。

田中国務大臣 これは、沖縄サミット、森内閣のときの宣言でございますけれども、テロ防止について、G8として、テロ及びその支援行為を容認せず断固たる態度で闘うことを確認いたしております。

 議論の結果発出されましたG8の外相総括及びG8のコミュニケにおきましては、テロ防止の具体策、具体的な策といたしまして、情報交換分野における国際的協力の強化でありますとか、それから、テロ活動への資金供与に関する対策の改善、テロリストを裁判にかけるための協力など、要するに、外交と法律とそれから経済等の分野でもって国際条約を早期に締結していこうということでございます。

河合委員 九月十一日の貿易センタービルの自爆テロ事件の容疑者とされておりますモハマド・アタが滞在したとされていますフロリダ州におきまして、先ほども話題になっておりました生物兵器ともなり得る炭疽菌が検出されましたし、また、同じくフロリダ州におきまして、農薬散布用の小型飛行機が化学物質散布のために検討された節があるとして、同州では空中散布が禁止されているところでございますけれども、国民の間には、なぜアメリカが行う戦争を日本が支援するのかとか、軍事行動という暴力的な解決では根本的な解決にならないのではないかといった素朴な疑問がございます。これに対して総理大臣はどのようにお考えでしょうか。

小泉内閣総理大臣 今回のテロは人ごとではないと思っているからこそ、日本のみならず、ほとんどすべてと言っていいぐらいの世界が一致結束してこのテロに立ち向かわなきゃならぬ、テロ撲滅、抑止のために何ができるかということを考えて今結束を固めているわけであります。

 この国会議論の中でも、この法案を対米支援法案じゃないかとか、何でアメリカを支援するのかという議論がたまに出ますが、私は、アメリカと協力して、世界と協力して日本が主体的に考えるべき問題である、人ごとじゃないととらえるのがまず大事だというふうに考えております。

 そういう中で日本に何ができるか。今言われたような過去の経緯からしても、国連においても特定の容疑者と見られるビンラーディン身柄引き渡しを決議されているぐらい、過去の事件も関与している。今回もほとんどの国が、ウサマ・ビンラーデン、さらにはそれを支援しているタリバン政権に対して、攻撃は正当性を持っていると表明しているわけであります。

 そういう中にあって、なぜアメリカを支援するのかということではなくて、それでは、支援しなかったらどうなるのかということを私は考えていただきたい。本当に人ごとだととらえていいのか、このテロの問題を。私は、人ごとだ、日本には関係ないと思えば、なぜアメリカを支援するのかという考えが出てくると思いますが、これを我が事の問題である、我が国自身の問題である、我が国国民も犠牲になっていると、世界と協力してテロ撲滅、抑止に立ち上がるんだったらば、これは、なぜアメリカを支援するのかという考えは出てこないのじゃないか。

 日本が積極的にこのテロに立ち向かわなきゃならないという観点から、アメリカと世界が立ち向かって協力している、そこに日本も協力するということが今日本に問われていることではないかと思っております。

河合委員 二つの異なったことについてあわせてちょっとお伺いさせていただきますが、以上、総理がおっしゃいました総理の基本的なお考えに立った上で、我が国には平和憲法があり武力行使はできないはずだ、このテロ対策法ではどのようになっているかという素朴な疑問に対してどのようにお答えになるでしょうか。

 また、これは、現在報道では報復という言葉が頻繁に使われておりますけれども、しかし私は、ブッシュ大統領は少なくとも報復という言葉を使っていないと認識しております。国際社会対、まさに総理がおっしゃるテロリズムの闘いと私は考えておりますが、いかがでしょうか。

小泉内閣総理大臣 このテロ根絶のために、抑止のためにはあらゆる手段を講ずるということをアメリカは表明しております。

 日本としても、あらゆる、できる限りの支援協力態勢をとりたいということでありますが、アメリカやイギリスは武力行使も辞さないということで、既に武力行使を展開しております。しかし、日本は、武力行使をしないという前提で、しかも憲法の範囲内で何ができるか、そういう中でできるだけの支援協力態勢をとりたいということであって、報復という言葉、それでは、向こうが武力攻撃をしてきたのにアメリカが武力攻撃をしない、だから日本も当然武力行使をしませんという中で、テロは防げるのか。過去、防げなかったわけです。何回も、犯人を特定して、身柄を引き渡せといって国連で決議しているにもかかわらず、出てこない。

 武力行使というのは最後の手段、あらゆる手段の中で最後の手段を講じて、今アメリカ初め世界各国が、武力行使を辞さないという中でこのテロに立ち向かおうとしている。しかし、その中でも日本は、武力行使はしませんよ、それ以外の点でできる限りのことをしますということを考えているわけでありまして、その範囲内で、国力に応じて日本の責任を果たしたいと思っております。

河合委員 ただいま総理から、日本国憲法の枠内で、したがって武力行使はしないという、枠内でという御答弁をいただきましたが、次に、このテロ対策新法と国連憲章との関係についてお伺いさせていただきたいと思います。

 第一条の「目的」の一に掲げられておりますように、一、テロ攻撃によってもたらされている脅威の除去に努める、国際連合憲章の目的の達成に寄与する諸外国の軍隊等の活動に対して我が国が実施する措置、これは私は周辺事態法の考え方、スキームを持ってきていると考えます。この周辺事態法は、日米安保条約に基づいて審議されました。

 二の方でございますけれども、国際連合の総会、安保理事会等が行う決議、要請に基づき、我が国が人道的精神に基づいて実施する措置というのは、これは日本においてはPKO法、国際平和協力法の考え方を持ってきて、この二つの大きな枠の中で、このスキームの中でこの新法が構成されていると私は考えます。

 ところで、PKOにつきましては、御案内のように、国連憲章第六章、紛争の平和的な解決、第七章、平和の破壊及び侵略行為に関する強制行動を規定しているわけでございますが、PKOはそのどちらにも直接的には規定されてない、六章半と言われているところでございます。しかし、安保理事会で設置される場合には、憲章第四十条の、事態の悪化を防止するための暫定措置というふうに位置づけられるのではないかと思います。

 ちなみに、国連のいわゆる集団的安全措置という概念がございますが、これは武力行使を伴わないという総理の答弁でございますから、違うカテゴリーに属すると思われます。

 したがいまして、以上のような私の整理に対しまして、新法と国連憲章との関係につきましてお伺いさせていただきます。

海老原政府参考人 新法と国連憲章との関係についてのお尋ねでございますけれども、委員まさに今おっしゃいましたように、そもそもこの新法の目的の中に、国連憲章の目的を達成することに寄与するという言葉が入っておりまして、この国連憲章の目的と申しますのは、いろいろとございますけれども、一番大きなものは国際の平和と安全を確保する、その他人権の尊重とかいろいろなものがございますけれども、国際の平和と安全を確保するということが一番大きな目的なわけでございまして、そういう観点からは、今先生がおっしゃいました、例えば六章半と言われておりますPKOのことでございますとか、あるいは七章に基づきます集団的な安全保障の問題でございますとか、そういうものもすべて国連がとり得る国際の平和と安全にかかわることでございますので、そういうものでは、大きな意味で目的を同じにしておるという関係にあると思います。

河合委員 ただいまの答弁にありました国際協力という場合にも、自衛隊が海外に派遣されるわけでございますから、私ども与党としましては、法案の目的を、先ほど申し上げましたように二つに限定しております。一つ、国連決議に基づくテロ撲滅対策に限った協力、二つ、難民等への人道的支援としたところでございます。

 さらに、私たち公明党は、この法律を、新法を二年間の時限立法ということを神崎代表初め主張させていただきまして、これが法文化されております。

 そして三つ目に、日本が活動を行う地域につきましては、現に戦闘が行われておらず、かつ、日本が活動を行う期間中は戦闘行為が行われないと認められる地域に限定したところでございます。

 そこで、総理にお伺いさせていただきたいと思いますが、国際的なテロリズムの防止、根絶のためとこの「目的」に書かれているところでございますが、テロのネットワークを考えますときに、首謀者ビンラーディン、それからそのテロ組織アルカイーダ、そしてそれを支援する者及び組織ということを考えていきますと、これはタリバーンという政権、そしてタリバーンが実効支配しておりますアフガニスタンという国、ここまでは想定されているところでございますが、その他の支援国に拡大していった場合、我が国の対応についてお伺いさせていただきます。

 ちなみに、報道によりますと、アメリカの国連大使は、タリバン支援であれば軍事攻撃も検討するということをイラクに警告したと本日の報道がございます。それに対しましてアナン国連事務総長は懸念を表明しているところでございますが、私は、アメリカ合衆国は個別的自衛権に基づいてこれに対応していると言われておりますが、自衛権というからにはおのずから制約があるというふうに考えますが、総理はどのようにお考えでございましょうか。

小泉内閣総理大臣 テロリストを支援する組織あるいは支援する政権、支援する国に対してあらゆる手段を講じてテロ根絶のために闘うとアメリカは表明しているわけであります。

 今現在のところにおいては、アフガンのタリバン政権あるいはウサマ・ビンラーディンをかくまっている組織、拠点についての攻撃でございますが、今後どういう形で展開していくかというのは、まだわからない点が多い。

 今、国連のアナン事務総長が、これより広がって攻撃する場合に対しての懸念ということでございますが、その点はブッシュ大統領も非常に慎重だと私は見ております。

 実際、先月ブッシュ大統領との会談におきましても、この闘いは数カ月で終わるかもしれないし、あるいは数年かかるかもしれない、冷静な対応が必要だ、忍耐強い対応が必要だということを表明し、なおかつ、長期戦になることも覚悟している、どの程度このテロ組織を壊滅させるかというのは、アメリカ一国だけではできないし、世界各国との協力が必要だということも表明しているわけですから、どういう事態になっていくかわかりませんが、日本としても事態の推移を見ながら主体的に判断するということしか現時点では言えないと私は思っております。

河合委員 武器弾薬の補給は認めておりません。これは周辺事態法の枠と同じでございますが、輸送はできる枠組みになっております。

 しかし、総理にお伺いさせていただきますが、米軍等から現実にこの輸送の要請が現在ありますでしょうか。

 さらに、現在の状況下で国民の理解を得るためにはその実施については極めて慎重であるべきではないかという我が党の田端委員の質問に対しまして、昨日の本会議で総理は、同感である、このようにおっしゃいましたが、具体的に何らかの歯どめが必要ではないかと考えておりますが、いかがでございましょうか。

小泉内閣総理大臣 昨日の私の答弁については、武器弾薬の輸送が殊さら大きく取り上げられているから、誤解を生じているんじゃないかという意味を持って私は答弁したわけであります。

 というのは、武器弾薬だけが物資輸送の前面に出ている。そうじゃないんです。各国と協力してこの物資輸送に当たる場合、中には武器弾薬を輸送する場合があるかもしれない。それは、多くの物資の中でごく一部でしょう。そういう際に、武器輸送の項目が入っているから、武器だけ、弾薬だけを一生懸命運ぶのに日本が専念するんじゃないかと受けとめる誤解があるから、そうじゃありませんと。

 万が一といいますか、仮に武器弾薬があった場合に、ほかの物資も一緒に協力している場合、日本だけが武器弾薬を輸送しないという規定が入っていれば、この物資は武器なんですかと一々確かめることなんかできますか、そんなことを言ったら足手まといだと言われちゃいますよ。そういうことのないように、できるという項目なんです。

 できるということは、運ばないで済むかもしれないんですよ。それを、武器弾薬だけを運ぶんだ運ぶんだというような宣伝をしている向きもあるから、そうじゃありませんよと。できるという項目さえ入れておけば、これは武器ですか、これは弾薬ですかと、各国が一生懸命汗を流しているうちに、日本だけがこれをやりません、あれをやりませんと言ったら、あなたたち、もう要らないから帰ってくれと言われちゃう。そうしたら国際協力にならないでしょう。

 そういう意味で、できるということと、できるという項目と、それに専念してやるんだという突出した言い方とは全く違うんだ。それを誤解しないでいただきたいので、武器弾薬の輸送については、そういう慎重な配慮のために、いかに国際協力できるか、各国と一緒にこのテロ撲滅のために日本は協力できるか、物資輸送のために汗を流すことができるかという中で、お互いの常識的な範囲で、そこまで確かめないでもいいでしょうということを規定しているのであって、武器弾薬だけを輸送するために自衛隊を派遣するのではないということをはっきり理解していただきたいと思います。

河合委員 総理の御説明にもかかわらず、この点につきましては、この国会の特別委員会の審議の中で、さらに国民の理解を得るための議論が必要であると考えます。

 むしろ日本は、PKOにつきましては非常に高い評価を受けている実績を持っている国でございます。難民支援等の人道支援にこそ日本はその本来的な力を発揮して国際貢献してまいるべきだと私は考えております。

 そこで、緒方貞子前国連難民高等弁務官はこのようにおっしゃっております。

 日本の方々は余りにも現実を知らない、難民支援に対して、難民の実態に対しまして。それは恐らく平和の国に長くいたからだろう、政治家の方にもっと現場に見に行ってほしいと言ったこともあるくらいですという前置きをつけて、自衛隊の武器使用に関しまして、それを緩和するというこの現在審議しております新法に対しまして、「空輸だけなら武器を持たなくともいいが、陸上輸送して難民がいっぱいいる地域に行くなら、それは武器を持っていた方がいい。難民も聖人ばかりじゃないですから。」と、これは武装難民のことをおっしゃっているんだと思います。「生きた人間が集団で動くときには、隊長に判断の権限を与えるのが大切なんじゃないですか」とおっしゃって、軍事行動でテロの根源を排除して、自衛隊の派遣を含めた積極的な役割を果たすことに同調する見解を表明されているところでございますけれども、この武器使用基準につきましてお伺いさせていただきます。

 官房長官にお伺いいたします。

 PKOで定めております武器の使用基準、要員の生命等の防護のために必要な最小限に限られることという、いわゆる五原則の中の最後の項目でございます。一方、任務の遂行を実力をもって妨害する企てに抵抗するための武器使用、これがPKOの国際基準とされているところでございますけれども、本法による基準は、このPKO法といわゆる国連PKOが行っている国際基準の位置づけに対しまして、どのような位置にあるとお考えでしょうか。

 そして、その法律的根拠につきまして、これは昨日の本会議におきまして、自然権的権利と考えるという答弁がございました。しかし、管理下に入った避難民というのは、必ずしも自衛隊の隊長が部下に指揮をするとか、いわゆる指図をする範疇に入らない人も管理下に入ってくると思いますが、その辺の法律的な根拠についてお伺いさせていただきます。

福田国務大臣 国際平和協力法、これはどのような武器使用の条件かと申しますと、これはもう御案内のとおりでございます。あえて申し上げれば、自己または自己とともに現場に所在する我が国要員の生命または身体を防衛するためやむを得ない必要があると認めた相当の理由がある場合には、その事態に応じ合理的に必要とされる限度で武器を使用することができる、こういうことでございまして、これは自衛のための手段、これはおっしゃるとおりでございます。

 今度、新しい法律でもって、「管理の下に入った者」、これが加わったわけですね。PKO法ですと、この防護は、「自己と共に現場に所在する他の隊員」、わかりやすく申し上げればですね。それから、今度の新法でございますと、自己、そしてまた、ともに現場に所在する隊員、さらに、今申しました「管理の下に入った者」、こういうことになるわけで、そういう意味では防御対象がふえたというように思います。

 「管理の下に入った者」というのは、具体的に言えばどういう事例というものか、これはイメージをつくる上に必要であろうかと思いますので、ちょっと申し上げます。

 まず、宿泊地でもって自衛隊の診療所にある患者である外国人、日本から見ての外国人であります。外国の兵員とか被災民、それから医療補助者である現地のスタッフ。また、自衛隊の宿営地にある現地機関や外国軍隊の連絡要員、視察者、招待者、まあ招待者というのはいるかどうか、報道関係者。それから、輸送中の不測の事態に際して保護を要することとなる輸送の対象者。それから自衛官が輸送中車両等に同乗させている視察者とか報道関係者。また、宿営地外での職務遂行、そういう部分もございまして、同行している通訳者、道案内、視察者。そういう事例において、今申し上げました、「共に現場に所在する」という、そういう項目が立ったわけでございます。

河合委員 橋本元総理初め積極的に政府特使として外交を繰り広げられていらっしゃることにつきましては高く評価させていただいているところでございますけれども、私はもっと、さらに一歩進めて、このテロ根絶のためにはもう一つの側面、いわゆる文明間対話、この重要性が今日ほど必要なことはないと思いますが、ここを日本がリーダーシップをとって、今こそ国連中心の文明間対話のリーダーシップを日本がとるべきではないかと考えますが、総理の御見解をお伺いして、私の質問を終わります。

小泉内閣総理大臣 今回のテロに対しては、私もブッシュ大統領も、これはテロとの対決であってアラブとの対決でもない、イスラムとの対決でもないということははっきり表明しています。現に、九月のブッシュ大統領と私との会談に際しても、私からもそういう意見を述べましたし、ブッシュ大統領も全くそのとおりだということを会談の中でも表明し、また公に表明しております。

 一方では、これはテロリストのグループの中にはイスラム対反イスラムの戦いだということを言っている向きもありますが、そうはとらえていない。

 日本としては、そうではなくて、アラブ諸国との外交関係あるいは中東外交、中東和平、この努力を今までも続けてきましたし、現にイスラムとの関係には、このテロが発生した後も、橋本元総理とかあるいは高村元外務大臣とか鈴木宗男議員とか、それぞれイスラム諸国との友好関係を今まで持っていた方々に特使として行っていただいて、それぞれ友好関係、友好増進を図る対話をしていただいた。そういう観点からも、我々は今後とも日本として、そういう中東和平とか難民とかアラブ外交、これについてはアメリカとか他の国ができない協力もできると思うんです。そういう点も含めて、外交努力を継続していきたいと思っております。

加藤委員長 この際、上田勇君から関連質疑の申し出があります。河合君の持ち時間の範囲内でこれを許します。上田勇君。

上田(勇)委員 ニューヨークでのあの忌まわしいテロ事件が発生して以来、世界じゅうの人々が大変な恐怖と不安に襲われておりまして、我が国も例外ではないというふうに思います。

 政府の最大の役割というのは、これは国民の安全、生命財産を守るということでありますので、政府のテロ対策本部でも先般発表いたしました緊急対応措置の中で、その最初に、この国民の安全を守るという目的で八項目にわたります警戒強化を挙げている、これは本当にそういう国民の安全を重視している内閣の姿勢がよくあらわれていることだというふうに思っております。そういう意味で、内閣を挙げて、政府を挙げて、ぜひ国民の安全、この確保を最優先の課題として今後とも取り組んでいっていただきたい、このことをまず御要請を申し上げます。

 そしてその上で、その八項目の中の何点かについてお伺いをしたいというふうに思います。

 この政府の緊急対応措置の中にNBCテロ等への対処の強化というのがございます。N、核、それから生物化学兵器への対処ということで、我々からするとちょっと耳なれないことで、当然そういう危険があるということが想定されるからこの警戒強化をするということなんだというふうに思いますけれども、先ほど具体的な対策については関係各大臣の方々からお伺いをいたしましたが、私がこれまで防衛庁、警察庁などさまざまな関係の省庁の方からいろいろお話を聞いている限りにおいては、余り対策というのがそう進んではいないのではないのかなというような印象を持っておりました。

 そこで、ぜひ官房長官に、これだけ対策が進んだんだ、国民の安全に対して政府としてこれだけのことができているというような評価をまずお伺いしたいというふうに思います。

福田国務大臣 自己評価、なかなか難しいのでありますけれども、先ほどもちょっと御説明申し上げたのでありますけれども、この問題につきましては、特にNBCというか、BCですね、特に昨今問題になっております。これは、サリン事件がございましたので、六年前でございますけれども、そのときの経験を生かしまして、かなり各省庁でもって対応してきております。

 各省庁ごとの取り組んできた中身について少し申し上げれば、例えば、防衛庁でも化学科部隊の待機態勢の実施とか、それから消防庁では、NBC災害への備えについての注意喚起、それから警察庁では、保健医療機関との連携強化。また、国土交通省では、農薬と紛らわしい形でという、そういう危険を考えまして、小型航空機及びヘリコプターの保管管理の徹底。それから農林水産省は、農林水産業に利用する、同じ、ヘリコプターの保管管理の徹底と、生物剤、有毒物質の保管管理の徹底。厚生労働省になりますと、これは最も主管官庁だろうというふうに思いますが、もちろん救急医療体制の点検から始まりまして、感染症発生動向の調査、情報の提供、異常発生時の対応、水道施設、それから食品への混入、医薬品の在庫流通調査とかさまざまな取り組みを今しておるところでございます。

 また、今回の炭疽病につきましても、また天然痘というような名前も時々出てくるのでありますけれども、このワクチンの確保というようなことにも最大限の配慮をいたしております。

上田(勇)委員 もう一つこの警戒強化のことでお伺いをいたしますが、空港、港湾、航空機などが含まれております。しかし、テロリストが我が国を攻撃するということを想定すると、そのインパクトとか被害の大きさを考えれば、新幹線とか鉄道といったことがその標的になりやすいのではないのかなということも考えられるんですが、どうも、私も毎日鉄道を利用しますし、新幹線もしょっちゅう利用をいたしますが、その辺の対策というのは、まあ比較的自由に乗りおりできるし、警戒が整っていないような面もあろうかというふうに思うんですが、今どういう対策を立てられているのか、あるいは今後どういうふうに強化をしていくのか、お伺いいたします。

扇国務大臣 上田先生も、大変皆さん方、一般の国民の皆さんが日常利用しているものに不安を感じるという、これが一番大事なところでございまして、御存じのとおり、新幹線はいかがか、飛行機はどうかというお話でございますけれども、飛行機に関しましても、先ほども申しましたように、少なくともコックピットに入れないような方法をとれないかということと、それから、飛行機におきましては、例えば……(発言する者あり)ということでございまして、飛行機よりも新幹線を先に言ってくれということでございますけれども、おっしゃるとおり、御存じのとおり、新幹線、これは一度走りますと千三百三十人というものが乗っておりますし、また一日で全部では七十五万人運んでいる、こういう大きさでございまして、少なくとも新幹線のホームから入る人とか、あるいは利用者全部に探知機でするということはできません。

 そのために、現在では、新幹線については各駅におきまして、少なくとも構内の防犯カメラ、それを充実するということと、それから巡回検査の増員、それから駅内あるいは車内での不審物の問題、それから運転室に入れないような施錠の確認等々、それらにつきましてはもっと厳重にする。そして、何よりも沿線、新幹線の沿線の警備というものも重要にしようということで今連絡をとっておりますし、また警察と関係を保ちながら車内での警戒に当たっていきたいというふうにやっております。

上田(勇)委員 もう時間でございますけれども、日米首脳会談でもアメリカの方から日本に、武力行使が終わった後、軍事行動が終わった後の復興についても協力してほしいというような要請があったというふうに承知しておりますし、ここは非常に、もうずっと長年内戦の続いてきた国でありますから、経済も社会体制も政治体制も立て直していかなければいけない。我が国としてはそのことも、これから貢献するということも含めて検討していかなければいけないし、そのための議論も進めていかなければいけない、必要があれば、いろいろな法制度の整備なども行っていかなければいけないのではないかというふうに考えております。

 こうした議論はまた別の機会に譲らせていただきまして、時間でございますので、質問は終わらせていただきます。

加藤委員長 これにて河合君、上田君の質疑は終了いたしました。

 次に、井上喜一君。

井上(喜)委員 保守党の井上喜一でございます。

 去る十月の八日に、テロを撲滅するということで、アメリカ軍が英軍の協力を得ましてアフガニスタンのタリバンの基地等を中心に攻撃をいたしましたけれども、私も断固としてこの措置を支持するものでございます。

 私は、軍事行動、軍事作戦といいますのは、武器でありますとか、あるいは作戦そのものがきちんと立てられておりますと、これは勝てると思うのでありますけれども、テロの撲滅というのは、戦争に勝つだけで事が終わるということではないと思うんですね。私は、政治的な闘いに勝たない限りテロの撲滅はないと思うのであります。政治的な闘いといいますのは、国際的な世論を引きつけて、その世論の上でテロを撲滅していくということではないかと思うんです。

 そういうことで、私は、総理があらゆる手段、方法でもってテロに立ち向かうと言っておられることはもうそのとおりであると思いまして、これからも引き続きそういう措置をとっていただきたいということをまず希望しておきたいと思います。

 そこで、私は、提案されております三法と、それに関連いたします質問を三問させていただきたいと思うんです。

 第一は、テロの防止法であります。

 この法律を読みますと、協力支援活動、それから捜索救助活動、それから被災民救援活動、この三つの活動を政府が行うことになっておりまして、その中で自衛隊が果たすべき役割を大変細かく規定されているわけです。法律に書きますとこういうことでありますが、確かに、危険じゃないかと言われるようなことも書いてありますけれども、私は現実に自衛隊が活動します分野というのは案外限られていると思うんですね。

 したがいまして、あくまで想定であります。想定でありますが、自衛隊の活動分野というのは主としてどういうところがあるのか、現時点ではよくわかりませんよ。わからないけれども、今考えられる主たる活動分野について、防衛庁長官のお考えをお伺いします。

中谷国務大臣 非常に事態が流動的で、現時点において、具体的にどこで何をということはまだ想定はいたしておりませんが、実質何を行うかということにつきましてはこの法律によって定められております、補給、輸送、修理及び整備、医療等の物品及び役務の提供、また捜索救助活動におきましては、その地域において捜索または救助を行う活動、そして被災民の救援活動におきましては、UNHCR等と調整をいたしまして、食糧、衣料、医薬品の輸送、医療その他の人道的精神に基づいて行われる活動というふうになっております。

 実際に、おっしゃるとおり、現場ではいろいろなニーズがあると思います。ルワンダの難民支援のときも、給水それから防疫、医療を行いましたけれども、それに加えて、下水の溝をつくってくれとか、道路を直してくれとか、そういうふうな現地において要望がございましたけれども、それぞれ可能な範囲で支援をいたしましたけれども、これらの定められた法律に基づいて活動ができるというふうに思っております。

井上(喜)委員 まだこの十分な想定ができないということだと思います。これから具体的に目標を定めて検討していただきたいと思います。

 次に、自衛隊法の改正でありますけれども、警護出動という規定がございます。これは、自衛隊の施設でありますとか駐留米軍の施設・区域、これらについて出動するということでありますけれども、私は、大きな事件が起こったり、あるいは非常時におきましては、自衛隊と警察が協力することが間々あると思うのですね。

 先般の予算委員会におきましても、私、質問いたしましたら、お互いによく協力をしてやるんだ、こういうような御答弁だったと思うのでありますけれども、そういう意味では、私は、余り施設を特定しないで、もう少し幅のある規定で、臨機応変にこの警護出動ができる方が現実に合っているんじゃないかと思うのでありますが、あえてこの二つの施設に限定されました理由を防衛庁長官にお伺いします。

中谷国務大臣 平素から警察当局とは連携を密にして行っておりまして、基本的には民間の施設は警察が実施をされますけれども、自衛隊の部隊とか米軍の施設など防衛関連施設につきましては、平素から日米安保条約に基づきまして米軍と一緒に緊密に連携をとっておりますし、また、実際に有事の際は米軍との共同行動をとるという点で、こういった防衛施設であるという特性上、自衛隊が米軍基地等を警護することが可能、適当、適切であるというふうに考えております。また、実際テロ攻撃等もこういった我が国を最終的に防衛する基盤に向けられる可能性が高いという点で、今回自衛隊が米軍施設を警護するという規定を設けた理由でございます。

井上(喜)委員 最後に、有事法制につきまして総理に御質問をいたしたいと思います。

 有事法制の整備につきましては、前森総理も所信表明の中で、検討を進める、こういうことを言われましたし、小泉総理も先般の所信表明でその趣旨のことを述べておられるのです。

 この有事法制の検討というのはもう長くやっておりまして、私は、まあまあもう検討は終わってしまっているのじゃないか、だからどういうような制度を整備しなきゃいけないかということは、もう事務的には大体検討が終わって、でき上がっているのじゃないかと思うのですね。

 よく総理は、備えあれば憂いなしということを言われておりまして、もうぼつぼつ法案の提出を政治的に決断すべき時期に来ているのじゃないかと思うのですけれども、もしまだ検討状況が不十分であればその検討状況を、それから、提出の時期等についての政治的決断についての総理のお考えをお伺いいたします。

小泉内閣総理大臣 実際今回のテロ事件が発生してからは、危機管理というものの重要性を認識している方が多くなってきた。そういう観点から、何やっているんだという政府に対する批判も出ているのは承知しております。

 有事になって、事が起こってから対応を考えるというのでは、これは本当は遅いのであって、平時から有事を考える、これが備えあれば憂いなしという考え方だと思うのですが、中には、備えを考えると憂いがあるというような見方をする方もあるものですからなかなか今まで進んできてこなかったのですよ。ここら辺はやはりもう考え方を変えないといけませんね。

 平時から有事を考える、備えあれば憂いなし、危機になったらばどういう対応をするかということはふだんから考えなきゃならないことを、ずっとやってきたのですけれども、今、内閣官房の中にもその検討チームをつくりまして、いろいろ検討している最中でございます、有事という事態はどういうものか。

 その際に一番問題になるのは、今回のテロ事件を見ましても、ある程度一般国民にも不自由を強いる場合がありますね。飛行機に乗る場合にも、あるいは船に乗る場合でも、外国へ行く場合でも国内を旅行する場合でも。そういう人権に対する配慮と有事態勢、こういう点もありますからなかなか難しい問題もあるのだと思います。

 しかし、平時から有事のことを考えるということの重要性というのは、今回のテロの事件が起こってきても明らかでありますので、鋭意検討を進めまして、国会にいずれはこの有事法制に関する法案も提出しなきゃならないと思っております。そういう時期、状況、よく判断して、検討をこれからも進めていきたいと思います。

井上(喜)委員 いみじくも今総理が言われましたけれども、備えなければ憂いなしというような状況を一日も早く解消していただきますことをお願い申し上げまして、次は我が党きってのアフガンの専門家でありますので、もう少し詳しい質問をさせていただきます。

加藤委員長 この際、松浪健四郎君から関連質疑の申し出があります。井上君の時間の範囲内でこれを許します。どうぞ、松浪君。

松浪委員 おはようございます。保守党の松浪健四郎でございます。

 まず最初に、アメリカでの同時多発テロ事件で犠牲になられた皆さんに哀悼の誠をささげたいと思います。そして、負傷された皆さんの回復を心よりお祈り申し上げ、お見舞い申し上げたいと思います。

 冒頭、私事にわたり恐縮でございますけれども、私は、一九七五年から七八年、日本政府並びに国際交流基金からアフガニスタンの国立カブール大学に派遣をされまして、そこで体育学とレスリングを指導し、生活を経験したものであります。そして、帰国をして三週間後に共産革命が起こりました。翌年、七九年の十二月の末にソ連軍が十万五千の兵を侵攻させ、国は地獄絵図を見るような大変な国になってしまいました。そして、あの最強とうたわれたソ連軍をもってしてでもアフガニスタンを完全制圧することができなかったことは、皆様御案内のとおりであります。

 私は、たくさんの教え子をアフガニスタンに持ち、アフガニスタンという国をくまなく旅をし、そして長男が首都カブールで生まれ、家族があのアフガニスタンで平和を甘受した、その体験を持つものとして今の状況は大変心苦しい、また悲しいものがあります。

 しかし、ムジャヒディンがアフガニスタンを支配する、けれども、国民の平和の願いはかなうことはありませんでした。

 そして、タリバンが制圧をする。それでも、パキスタンに二百万の難民、イラン側には百五十万の難民がいて、やはりタリバンの政権も支持できない、そういう状況であり、そして、そのタリバンがテロリストをかくまうという形になり、現在を迎えておるわけであります。

 心中複雑ではありますけれども、この特別措置法は、今までの議論の中にございませんでしたけれども、真のアフガニスタン国民の平和を願うものにとりましては、極めて重要な意義ある法律であるというふうに私は思うものであります。

 したがいまして、一日も早く、与党野党を問わず、一千七百七十万アフガニスタン国民のために成立をさせていただきたいということをお願いしたいと思います。

 そこで、質問をさせていただきますけれども、この法律の第二条三項の二に、当該外国が認めれば我が国の自衛隊を派遣することができるという形になっております。恐らくはパキスタンを指している、こういうふうに思いますけれども、このパキスタンの国境線は、一八九三年、当時パキスタンはインド領でありましたけれども、イギリス人のデューランドが国境線を引きました。そのときに、アフガン族と言われるパシュトゥーン族が国境線によって二手に別れるという形になってしまいました。そこで、アフガニスタンは、この地域をパシュトゥニスタンと呼んでおりますけれども、このパシュトゥニスタンの返還運動が盛んでありました。しかし、そのパシュトゥニスタンの人たちは、自分たちは独立をしたいということで、パキスタンにプレッシャーをかけました。この独立運動は、パキスタン政府を悩ませるものでありました。

 そこで、アフガニスタン政府も頭が痛い、パキスタン政府も頭が痛いということで利害が一致し、アフガニスタンとパキスタンの友好関係がずうっと続いてきたわけでありますけれども、パキスタン政府は、このパキスタン側にいるパシュトゥーン人、パシュトゥニスタンを実は自治区にしたわけであります。自治区にしたことにより、国道はなるほどパキスタンの法律によってありますけれども、そこから数メートル離れれば自治区ですから、パキスタンの法律が及ばないという地域になっております。ここでは、武器をつくる工場があったり麻薬をつくる工場があると言えばパキスタン政府にしかられますから言いませんけれども、とにかくパキスタンの国が来てくれと言ったところで、そこに行くということは、パキスタンの法律が及ばないから、自衛隊の皆さんがそこで地域活動をする際には、若干の危険が伴う。

 そこで、自衛隊がその地域で活動をする場合、それらのことを十分に勘案されて、十分に研究されて、より安全な、また安全だと思われるところで地域活動をやっていただいて、そして、難民を救うだけにとどまらず、アフガニスタンの平和のために御尽力を賜りたい、こういうふうに考えておりますが、自衛隊が地域活動をするその地域について、総理の御見解をお聞きしたいと思います。

中谷国務大臣 やはり現場へ行って、どういう事態になっているかという点につきましては、直接行った人がその状況を見ることに尽きると思います。

 そういう意味におきまして、どこで何をやるかということにつきましては、政府としても、また与党としても、十分に人を派遣して、調査をして、決定されなければならないというふうに思っています。

松浪委員 ぜひ安全な方法をとっていただきたいとお願いをしたいと思います。

 もう一つ、百五十万人の難民が今イランのメシェッドを中心にいるわけですが、恐らくは四十万から五十万の新たな難民が出ると思いますけれども、パキスタン側に難民が出ておる、これはイスラム教のスンニ派の皆さんであります。もちろん、クエッタを中心に若干シーア派の皆さんも出ておりますけれども、イランに出ておる難民はシーア派の、つまりイランの人と同じ宗派の人、特に我々日本人とそっくりの風貌をしておりますモンゴル系のハザラ族という方がイランに出ております。

 我が国は、世界で一番熱心にこの難民の支援活動をしてまいりました。また、アフガン和平のために一番熱心に外交を展開してきた国であります。意外に国民に知られておりませんけれども、私は、二十数年間ずっとこの問題をウオッチングさせていただいて、日本政府が熱心であったということを十分に承知しております。

 それで、イラン側の難民支援、このハザラ族の支援のために、日本はもっともっと必死になるべきだと思います。多分、自衛隊をイランに入れるというのは難しい、こういうふうに思うわけですけれども、NGOあるいは政府のいろいろな機関を通じて、このイラン側の難民にも最大の支援をしていただきたいということを総理にお願いしたいんですが、いかがでしょうか。

田中国務大臣 すばらしい御経験、傾聴に値して感動して伺っておりましたが、委員のお気持ちも踏まえながら、今後の情勢もよく見きわめながら、できることはしていきたいと思います。

小泉内閣総理大臣 このイランに対する外交については、日本としても、アメリカにできない部分があると思います、アメリカと国交がイランはありませんから。日本は持っています、独自の。そういう点で、アメリカも日本とイランとの外交関係には注目しております。

 そういうことも考えながら、今、議員が御指摘のとおり、日本としていろいろな面で協力できる分野があるのではないかというふうに考えながら外交努力を進めていく必要があると思っております。

松浪委員 ありがとうございました。

 平和は願うものではなくてつくるものであるということを国民の皆さんに御理解賜りたいと思います。そして、アフガニスタンに一日も早く平和が訪れるよう願って、私の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

加藤委員長 これにて井上君、松浪君の質疑は終了いたしました。

 次に、鹿野道彦君。

鹿野委員 最初に、同時多発テロでお亡くなりになられた方々、被害に遭われた方々、御家族の皆様方に心から哀悼の意を表させていただき、お見舞いを申し上げたいと思います。

 そこで、あの九月十一日の同時多発テロ事件、世界じゅうを震撼させました。私たちも衝撃的でありました。卑劣な犯罪、まさに、私たちが今世界の平和、そして安全、民主主義を希求しているこの社会に対するまさに挑戦だ。これに対しては、民主主義の国たちにおいて、私たちも民主主義の一員として、国連を中心とした国際社会の中で、協調精神を持って一致協力して毅然たる姿勢で立ち向かっていかなきゃならない、これが民主党の基本的な姿勢でございます。

 そこで、私たちは、まずどうあるべきか、このテロを撲滅するためにどういう対応策を考えるべきか、真剣に考えてまいりました。私たち民主党は政権を担おうとする政党であります。責任を負わなければならない、これだけの覚悟を持っております。ゆえに、精力的にこの対応策につきましては議論をしてまいりました。

 そして、まず外交ですね。やはり外交が重要だな。私どもは、国連にテロ撲滅の監視機構というものをつくっていこう、国連中心になってこのテロ対策を積極的にやっていこうというような具体的な提案もいたしておるわけでございます。

 そして、同時に、アメリカに対するこの支援をどうするか。私たちは基本的に三つの考え方を持ちました。私どもは憲法によって国が運営されております。憲法の枠組みであくまでも考えていかなきゃならない。二つ目は、今回のテロというのはだれも想定しなかった、想定することができなかった脅威であります。新たなスキームで対応するきりない、新法によってやっていくきりありませんね、こういう考え方に立ちました。三つ目は、安全保障政策において今まで国会においても議論がなされてまいりました。周辺事態法におきましても、相当活発な議論が展開されました。周辺事態法におけるところの考え方を参考にしましょう、こういうふうな認識に私どもは立ったわけであります。

 それだけに、憲法というふうな枠組みの中で何ができるか、何ができないか、明確にしていかなければならない。同時に、我が党は、安全保障政策というものはできるだけ一元化でやっていかなきゃならないんじゃないか、国民合意というもの、その形成のために最善の努力をしていかなきゃならない、こんな認識にも立っておるわけでございます。

 特に、今回の法案は、自衛隊を初めて他の領域まで派遣するということであります。自衛隊の命、日本の国の命運がかかっておる、これだけ重要なテーマであります。

 そのような考え方に立ちまして、まず総理自身に御質問いたします。

 総理が、ブッシュ大統領とお会いになる前に、今回は自衛隊の人たちに危険なところに行ってもらわなきゃなりません、こういうふうな発言をなされたと報道がございました。また、過般の予算委員会におきまして、犠牲を覚悟してもらわなければなりません、こういうふうな発言がなされたということであります。真意をお聞きしたいと思います。

小泉内閣総理大臣 私の真意は、今やどこにいても安全でなくなったと。自衛隊が行くところは安全なところでなくては派遣してはいけませんよという議論が横行していた時期がございました。そうではないということを言ったまでであります。

 日本にいても危険がある、日本にいてもテロ行為が発生する場合がある。ある場合においては、当然、今は安全な地域においてもテロが発生するかもしれない、そういう場合においては、危険を覚悟で行かなきゃならぬと。そして、テロの防止策、根絶するための対応、抑止のための対応がなされた場合には、逆にテロから敵対勢力と思われる、テロの攻撃を受けるのではないか、だから危険だという考え方をする人もおりますが、では、何もしなくて危険から免れるか。ニューヨークを見れば、何もしなくたって危険を免れないんですよ。

 ということから、常に危険が伴うかもしれない、何もテロ防止策をしなくても犠牲になるかもしれない、そういう事態を想定してこれから考えなきゃいけないんだということを、私は、ある程度犠牲は覚悟しなきゃならない、そしてある程度危険を覚悟して、派遣する場合にはそれぞれ対応が必要ではないかということを言ったわけでありまして、その点が若干誤解されている面もあるのではないかと思っておりますが、基本的に今、鹿野議員の、民主党の基本方針を伺っておりまして、ほとんど同じだなと、自民党、今の政府の考え方と。憲法の枠内でやるということでしょう。そして……(鹿野委員「まず私の聞いたことについてだけ答えてください」と呼ぶ)そうですか。

 大きな違いはないと。やはり政権を担おうという政党だったらそんなに違いはないんじゃないかということで、私は、この危機に立ち向かおうとしている日本の態勢というのは、できるだけ多くの方から支持を得られるような態勢をとった方がいいということを考えているわけでございます。

鹿野委員 私たちは、何もしなくともいいなんということは申し上げておりません。明確に私どもの考え方を申し上げたところであります。

 そこで、総理大臣という立場は、危険というものを最小限にしていくんだ、そして、そのために最大の努力をするんだということを語ることが総理大臣の使命じゃないですか。だからこそ、今まで歴代総理大臣が、危険なところに行ってもいいですよ、行ってもらわなきゃいけませんなんということを言われた人は一人もいないんです。総理大臣の発言というのは重いんですよ。だから、私は、その真意というものをお聞きしながら、誤解を受けるような発言ということにならないようにしてもらいたいということを申し上げておるのであります。

 そこで、もう一つお聞きします。これも予算委員会で、総理がこのようなことを答えておられるということを報道で見ました。すなわち、今回の法案と憲法というふうなものにはすき間があるんだと。どのようなお考えなんでしょうか。

小泉内閣総理大臣 私が言ったのは、憲法の前文と憲法の九条との間にはすき間がある、あいまいさがあるということを言ったわけであります。だから解釈は今まで変わってきたんです、この五十数年間にわたって。そうではありませんか。

鹿野委員 憲法の前文に基づいて憲法というものが構成されているんです。すき間があってはならないんです。あってはならないんですよ。すき間があるならば、どんな解釈にもなってしまう。前文に基づいて憲法というものがつくられているわけですから。

 私どもも、ヨーロッパにも憲法調査会として調査に行ってまいりました。あるいは、その他の地域にも行ってまいりました。すべてのリーダーは、その憲法というものをいかに遵守するかというふうなことを、あるときは国民に誓いながらトップリーダーとしての使命を果たしているんです。それがすき間があるというようなことを総理みずから認めるということは、これは国そのものとしての秩序が成り立たない、私はそういうふうな認識に立つわけでございます。

 そこで、もう一点お聞きをいたします。総理自身、これまた予算委員会で、いわゆるアメリカのこの支援、アフガン以外にもこの攻撃対象となった場合には支援を行うことがあり得るんだ、こういうふうなことを言われたということであります。そういうことなんでしょうか。

小泉内閣総理大臣 どういう事態が展開するかわかりません。アフガン以外でも起こる可能性はあると思っております。

鹿野委員 これは、その答えというふうなものは、総理、ぜひ考えてもらいたいんです。それは、アフガン以外にもあり得る、このように答えました。しかし、では、他の国々の最高指導者はどうか。あの軍事行動を一緒にしておるところのイギリスのブレア首相でも、仮定の問題には答えられない、こう言っているんです。ロシア、あるいはフランスの指導者もそうであります。

 総理、すなわちそれはどういうことかといいますと、国際法違反だというふうなことのその判断を下すまでには、大変なプロセスがあるんですよ。まず特定する、そういうことも必要です。証拠というものを、あるときは出せというふうなことにもなるでしょう。それから、犯人がその国に入ったというふうなことが想定されるならば、もうその犯人を出してくださいよというふうなことにもなるでしょう。そして、そのようなテロを支援するようなことはやめろというふうなことも言い続けなければいけない。そして、国連に報告しなきゃならぬわけです。そして、初めてそこで国際法違反であるかどうかというふうな判断に立って、支援をきちっとするというふうな決断が下される。

 総理のように、あり得ると、そういうふうなことは、私は、新たな予見というふうなものの中で、最高指導者として果たしてそのようなことがいいのかということを考えたときに、やはり慎重であるべきだ。だから、国連のアナン事務総長も、それに対しては否定的な考え方を持っておるのであります。

 どうぞ総理、我々も真剣に議論をしているんです。重ねて、総理の発言というものは一億二千五百万の我が国の生命財産を守るあらゆる責任を負っているんだ、そして同時に、国際社会の中で日本が平和をつくり上げる、民主主義体制を築いていくということに対する大きな使命を負っているんだ、そういうトップリーダーなんだというふうな意識を持ってやはり対応してもらわなきゃならないということを私は強く求めてまいりたいと思います。

 そこで、総理に、まず今回のテロ事件につきまして、犯人の特定はなされているんでしょうか。

小泉内閣総理大臣 今までの議論を聞いていますが、可能性はあるかと言われたから、じゃ、あり得ないとは言えないでしょう。アメリカのテロ、みんなあり得ない、あんなことあり得ないと思ったのがあり得たんですから。可能性をとらえれば、あり得るという答えしかない。あり得ないという断言は、私はする自信はありませんね、ということを御理解いただきたい。

 そして、今、犯人を特定しているのかと言いますが、ウサマ・ビンラーディン、これはもう犯人としてほとんど国際社会で認めておりますね。そういう点からいえば、日本も、我が国政府も共有の認識を持っております。

鹿野委員 今の総理のお答えに対しまして、いわゆる新たな脅威、テロなんです。今までの行為というのは、戦争、これは国と国との戦いでありました。そうすると、テロは個人もあります、組織もあります。そして、それに対して支援国というふうなものを認定しながら判断をしていかなきゃならないのです。では、だれがその支援国というふうなものを認定するのか。今申し上げたようなプロセスが必要なんです。そういう中で、軽々にあり得るというふうなことは、あるかもしれないからあり得るんだというようなことは、余りにもそれは御自身の考え方、思いの先行したことではないかと私は申し上げておきたいと思います。

 そこで、犯人の特定というふうなものがなされておるということでありますけれども、証拠について、いわゆる総理自身お聞きになっておられるかというふうなことであります。どうなんでしょうか。

小泉内閣総理大臣 説得力ある情報、意見交換は受けております。

鹿野委員 それならば、明確に国会にも報告をすべきじゃないでしょうか。

小泉内閣総理大臣 公開できる分野もあると思いますが、事柄の性質上、また各国首脳との関係上、できない分野もあるということを御理解いただきたいと思います。

鹿野委員 それはイギリスにおいても国会に報告がなされております。イギリスはイギリスの事情がある、イギリスと日本は違うんだというふうなことを参議院で御答弁されているようでございますけれども、しかし、我が国は法治国家であります。このテロ法案の内容というのは、初めてのことをやろうとしているのであります。それだけに国民の理解が必要なんです。国会議員だけが理解して、それでいいんだなんというふうなことであってはならないんですよ。それならば当然、ぎりぎりのところまで情報を開示する、これは私は、国民の皆さんからしてもやってほしいなということではないか、このことを改めて申し上げておきたいと思います。

 そこでまず、外交につきましてお聞きをいたします。

 外務大臣、中東の方に外務大臣も足を運ばれたらよろしいんではなかったのかな、こんなふうに思っておりますが、どうでしょうか。

田中国務大臣 私も、もちろん全然拒否をしているつもりもございませんし、今後またいろいろな事態の進捗状況において、必要なときには喜んでどこでも飛んでいく覚悟でおります。

鹿野委員 これは非常に外交が重要なんです、我が国にとっては。

 外交というのは、あえて申し上げますならば、古典的には国益を追求する芸術、こんなふうにも言われると思います。しかし、これだけではもうだめなんであります。一国だけ幸せになればいいというふうな時代は終わりました。そこで、国際協調の中で、国際社会の中でどういう役割を果たしていくか、この二面性の中でしっかりと外交を展開していかなきゃならないんです。だから、私どもは、このテロ事件をなくしていく、テロを撲滅する、根絶するということにおいては、やはりまず中東の諸国と共通の認識を持つというふうなことが大事なんであります。

 そのときに、積極的に足を運ぶのが外務大臣ではないでしょうか。いわゆる、先ほど来、自民党が特使を派遣している、これも結構なことであります。しかし、政府の代表たる外務大臣が積極的に足を運ぶ、このことによって新たな展開というふうなものが期待できるのではないでしょうか。

田中国務大臣 足を運ぶことの重要さということもよくわかりますが、あちらから足を運んでくださっている方も実はたくさんおられまして、きのうもそうですが、もう連日いろいろな国の方が来られて、きのうもイランから議員団がいらっしゃったり、それからおとといもロシアのロシュコフ次官がいらっしゃったりしておりまして、連日直接お目にかかっておりまして、もちろん電話会談もございますけれども、イスラエルのペレス外務大臣ですとか、シャースさんでありますとか、それから、ほかの大使はもちろん、近隣の方は、関係の方は、皆さんお呼びしたり、私が会があるときに伺ったこともありますし、メガワティさんにお会いしたり、それからUNHCRもそうですし、あらゆる関係の方と連絡は密にとっております。

 そして、ふさわしく、やはり相手の国にはベテランの総理経験者の方が特使でいらっしゃるとか、副大臣が行ったりとかあらゆることを、できることを総合的にやっておりまして、昨日衆議院の本会議でもお話しいたしましたけれども、総合的にやはり元締めとして情報の集約もいたしておりますことを御理解いただきたいと思います。さらに加えて、機会があればどこへでも喜んで飛んでまいります。

鹿野委員 大臣、認識を改めていただきたいのですよ。要するに、お越しいただいたからそれでいいんだということじゃないのです。世界の各国の外務大臣はみんなもう率先して外交を展開しているんじゃないですか。特に、宗教上中立な日本の国が果たす役割というのは大きいのですよ。そして、中東の国々は、我が国に対しては、非西洋の近代化を図ったすばらしい国だという評価もしてくれているのです。そして伝統を大事にする国なんだなというふうな評価もしてくれるんですよ。それならば、絶好の機会です、外務大臣がみずから行って我が国のメッセージを送る、これは外務大臣の使命じゃないでしょうか。私は、このことを申し上げておきたいと思います。

 それから、大臣、アジア外交、大事なんです。総理が中国に行かれた、あるいは韓国に行かれた、こういうことですけれども、外務大臣はアジア外交をどう展開するつもりですか。

田中国務大臣 おっしゃるとおり、アジア外交もまた大事なことでございまして、もちろんアメリカもヨーロッパもすべて、やはり世界の、私は着任しましたときに、お聞き及びかどうかわかりませんけれども、外交の要諦は、やはり日本の国益を守りそしてなお世界と一緒に、平和で安定的な世界を築くために何をするかということですから、地球儀全体を頭に入れるような、私が大臣に着任しまして一番最初に外務省でないじゃないかと言ったのは、世界地図がなかったこと、それから地球儀がなかったのです。それを大臣室に立派なものを買ってもらったのですが、私は、オールラウンドで自分の視野に入れておかなければいけないし、そういうことを心がけております。

 したがって、アジア外交につきましてですけれども、もちろん今、本件に関係すれば、マレーシアでありますとかインドネシアとか、ほかのイスラムの国の方たちとのおつき合いもあります。それから、あすはまた会議がありましてシンガポールに行きまして、それの後もAPECもございますけれども、あらゆる機会をとらえて接触を図っております。

 ですから、今回の法律との関係でございますけれども、私なんかが申し上げるまでもないかもしれませんが、テロリズムと国際社会の対立でありますけれども、イスラム国家は、本当にすべて仲よくしていかなきゃならない国がたくさんございますので、あらゆる機会をとらえて、足も運んでもおりますし、今後も運びますし、また情報の収集にも努めております。

鹿野委員 アジア外交は大事です、中東外交は大事です、総合的に判断してやっています、それは言葉なんですよ。そこに実行が伴わなきゃいけないわけです。

 なぜテロが起きるのか。貧困問題ですね、人口問題ですね、環境問題ですね、教育問題ですね。大臣がみずから各国に行ってその思いを語ることが一つの撲滅に結びつくんじゃないんですか。だから、来てもらって、はい、何の会議もあるし、何の会議もあるしと。同時に、副大臣がたくさんいるんじゃないですか、大臣。何で副大臣が足を運ぶということを考えないんですか。やはりどんどんどんどん今こそそういう国々に行くことが大事だ、重要なことだと私は思いますよ。

田中国務大臣 副大臣も二人おられますし、政務官もおられて、本当にあらゆる国、全部の数、今事務方が数え切れないんですけれども、相当行っておりまして、中東にも政務官も行っておられますし、私も着任以来、この数カ月の中でもってあらゆる国際会議等に行っておりまして、そこでいろいろな方にお会いもしているんです。ですから、このことが十一日に起こったので、その後ばたばた飛んで歩けばいいということだけが、それだけがすべての外交であるかどうかということもやはりお考えいただかなければならないというふうに思います。総力を挙げて与党でやっているということを御理解いただきたいと思います。

鹿野委員 大臣、やはりもっと人の意見を聞くというふうなことも私は大事なことと思いますよ、弁解、弁明だけでなしにですね。本当にこのことを私は真剣に考えて、大臣に対して進言を申し上げているんですよ。それは、先ほど申し上げたとおりに、日本の国の本当に起点に立った大事な法案を審議しているという意識があるからなんです。このことはぜひひとつ大臣の胸にきちっと位置づけをしてもらいたい、こういうふうに思っております。

 そこで、なぜこういうことを申し上げるかというと、西欧の国々の外交というのは実にしたたかなんですね。やっているようなこと、これだけやったというふうなことをいかにして認識してもらうか、これも外交なんですよ。ところが、今見えないんです、田中大臣。だから私は申し上げているんですよ。

 そこで、大臣、もう一つ私は具体的に提言をしたいと思うんですが、やはり我が国の外交として一つのポイントはODAです。今までODAのあり方というものは、どちらかというと要請型でありました。それに対してどう援助していくかということであります。しかし、もう財政的にも非常に厳しい、限られたものの中で、貴重な財源、税金を使って平和な国際社会に貢献していくということでありますならば、一つの切りかえが必要じゃないか。提案型、そういうふうな方式もやはり考えていく必要があるんじゃないか。どうでしょうか。

田中国務大臣 ODAのことについてもお触れいただきましたけれども、まさしくこうした紛争がどうして地球上からなくならないのかということを、今回のテロなんかがありますときにもいろいろ私なりに考えておりますけれども、やはり避けがたい、貧困でありますとか、人間が本当に根源的に持ってしまう差別というか、それは、人間が自分と違うものに対して恐れるというか、それを認めたがらないというか、そういう人間の根源的なものがあって、それが大きな文明の衝突みたいなことになるのではないかと思うことがあります。

 この週末も、AFSの会議がありまして、世界じゅうの若い学生さんたちの前で短時間お話をさせていただきましたけれども、本当に、お互いの違いを認めることによって共存ができるという若い世代の実態を見ました。それはやはり、政治も機能しながらそういう世界を目指していくということが、紛争をなくしていくこと、戦争をなくすこと、そして世界にともに生きる人々が幸せになるということになると思いますので、あらゆる方の知恵をかりてやりたいと思います。

 ただ、私が、姿が見えないというのは、少しおしとやか過ぎるかと思いますので、今度はもう少し気合いを入れて頑張りますので、よろしく御指導くださいませ。

鹿野委員 大臣、今私はこういうことを期待したのです、大臣の答弁は。なぜ私どもがこうやってその提言をしているかというのは、すなわち、要請型から提案型に切りかえる必要がありますねということは、戦略的、外交を戦略的、そういうふうな一つの位置づけの中でやっていく必要があるんですよということを、答えが返ってくるという期待の中で私は質問したのですよ。そうしたら、何かわけのわからないようなことが、答えが返ってくるんですね。我が国の外務大臣なんですよ。私は、ぜひもっと大きな視点から外交というふうなものを考えて対応してもらいたい、このことだけ申し上げておきたいと思います。

 そこで、今回、国民の人たちも、今回の法案、いろいろ審議されている中でわからないことがたくさんあるんですよ。私たちもわかりませんから。いろいろな関心事がありますね。どこまで一体行くのか、何をやるのか、こういうことです。もっと具体的に言いますならば、パキスタンにも行くのかな、こういうことです。

 今日、パキスタンの政治状況というのはどういうふうになっていますか。

田中国務大臣 一番の直近のデータをもとにして申し上げたいと思いますけれども、総合的には、結論的には平穏でありまして、治安は当局の統制下、コントロール下にあるということを今現在の時点では申し上げられます。

 イスラマバード、ラワルピンディ、そういうところでは、町外れで約二十名程度の宗教学校の生徒たちが短時間気勢を上げましたけれども、抗議デモでありますとか集会というものは行われておりません。

 それから、あと二、三申し上げますと、ラホールでは特段のトラブルもなく、平穏であるそうでございます。それからあと、カラチにおきましては、当局関係者の交渉が功を奏しまして、行進を行うこともなく、平穏に集会が行われたという状態でございます。

 今後またどのような動きがあるかわかりませんけれども、今のところは少なくとも状態は静かな状態で推移をしているということを申し上げられます。

鹿野委員 どういうふうなところから、今平穏だ、平穏だというふうな情勢分析がなされたのか。

 実は、我が党の首藤議員が九日の日に党を代表してパキスタンに行かれて、実態を調査してこられたのです。それによりますと、国連の職員の人たちが一時自宅に待機というような状況なんですね。

 ですから、報道によると、タリバンとパキスタン軍が衝突をしたというような報道もなされておるんです。ゆえに、パキスタンがどうなっているかというふうなことはしっかりと把握をしておかなければ、この法案そのものが成り立たなくなっちゃうんですよ。だから、平穏だ、平穏だなんというふうなことでは、本当にそれでいいのかというふうなことを私は申し上げておきたいと思うんです。どうですか。

田中国務大臣 報道等で、タリバーンの部隊とパキスタン軍の衝突があったということも報じられていることも事実でございますけれども、しかし、タリバーン政権のザイーフ駐パキスタン大使は、そういった事実はないと述べているという報道もございます。

 したがいまして、完全に、私たちが今感じているような平穏というものとはもちろん状況は違いますけれども、トータルで見ますと平穏に推移しているという報告を受けております。

鹿野委員 とてもじゃないですけれども、私らの認識とは大きなずれがありますね。いわゆる、大臣が平穏だというふうなことを言われれば、全く国民の人たちは、もう平穏なんだな、こういうことの認識に立つんですよね。実態は違うんですよ、実態は。それを、今盛んに杉浦副大臣が手を挙げて何か言おうとしておりますけれども、まず大臣がそれだけのことを把握するというふうなことですよ。いいですか。

 パキスタンのムシャラフ大統領も、命をかけて今あらゆる努力をしているんですよ。総理にも外務大臣にも、そういう気持ちというものを体して今回対応しなきゃいかぬじゃないかというふうな思いを、私は、一国民、気持ちを代弁させていただきながら申し上げているんです。中途半端な気持ちでこの法案を通す、とにかく行け行けどんどんで通せばいい、これであってはならないんですよ。

 我々は法治国家なんです。憲法を守っていかなきゃならぬ。今の憲法でできないならば、では、憲法というふうなものをどうするかということを考えよう、これが我が国のあるべき姿勢ではないですか。私は、そういうふうな意味で、きちっと把握をしていってもらいたい。

杉浦副大臣 まことに恐縮ですが、パキスタンへ行って帰ってまいったばかりでございまして、二日間の滞在でございましたが、ムシャラフ大統領、向こうの外務省、日本でいえば大蔵省、向こうの外務省のOB、歴代大臣、次官等、それから在留邦人、パキスタンの経済界の方々等から詳しく事情をお伺いしてまいりましたので、その受けた印象、二日間の滞在で間違っている点があるかと思いますが、若干申し上げさせていただきます。

 先生御指摘のとおり、大臣がお答えになったように、今、秩序は、マスコミの報道がいろいろありますけれども、平穏を維持しておることは間違いございませんが、内情は非常に複雑であります。

 私は、先生おっしゃいましたが、ムシャラフ大統領が、テロと敢然と闘う、国際社会の場で闘うという決断をされたことは、まさに、先生もおっしゃったように、国運をかけた英断だと思います。ああいう複雑な情勢の中で、しかもタリバンとパキスタン政府は従来、一心同体の間柄だったわけです。そのタリバンとある意味では断絶をして、そして国際社会と道を歩むということは、国内にどういう反応が来るか、いろいろなことが考えられるわけでございまして、あそこは民族的にも非常に複雑であります。州が四つありますが、四つとも一応民族が違うわけでして、それにパシュトゥーンという自治区があります、パキスタンではパターン人と言っておりますが。ハンドルを間違いますと大変な騒擾状態が起こる可能性も否定できません。複雑な状況でございます。

 ムシャラフ大統領は、この間テレビでも演説しておられましたし、私にも申されましたが、アメリカ等の軍事攻撃は最小限のものになるであろう、恐らくそういう話をされていると思います。そして、その次にアフガンの平和に向けた政治プロセスがやってくるとテレビ演説で申されておりました。もう既にそこまでにらんで政治決断を下し、さまざまな努力をされているというふうに認識をいたしております。

 お答えになったかどうかわかりませんが、そういうパキスタンであるからこそ、私どもはパキスタンの立場を、同じ立場にあるわけでございますので、しっかりと支え、できる限りの支援、協力を行っていくことが大切だということを肌身に感じて帰ってまいった次第でございます。

鹿野委員 とにかく、間違っておるかもしれないけれどもというふうなことでは困るんですよ。副大臣、あれはもう、間違っているかもしれない中でいろいろ判断されちゃ、一体どうするんですか、国民の人たちは。それは、いささか今遠慮をしてということですけれども、国民の人たちが聞いているんですから、それは責任ある答弁というものがやはり大事なんですよ。何か、内情は複雑だけれども平穏です、どういうことなんでしょうかね。ちょっと杉浦副大臣。

杉浦副大臣 表現が舌足らずで申しわけございませんでした。

 非常に内情は複雑でございますので、正確に申せば、現状は平穏であるけれどもあすは何が起こるかわからないというのが正確だと思います。ただ、パキスタン軍の現状は、ムシャラフ大統領、軍の総司令官でもあるわけですが、しっかりと団結して全土を掌握いたしております。

 多少遠慮してと申しますか、二日しかいなかったものですから、これ一週間ぐらいおればもっと実情を掌握できたと思うんですが、二日間ほとんど寝ずに事情を掌握して帰ってまいりましたので、私は若干、そういう表現でまことに申しわけありませんが、今まで申し上げたことは自信を持って申し上げられる次第でございます。

鹿野委員 どう見ても、何か笑いが出るような答えでは、余りにも、その実態把握を本当にしているのかというふうなことに対しての認識が私欠けていると思いますよ。これだけ複雑な事情、状況を抱えているならば、平穏じゃありませんよ。ましてや、杉浦副大臣が行かれたのは、もう何日かたっています。私どもの調査団というのは九日ですよ。毎日毎日、毎時間毎時間、刻々と状況は変わっているんですよ。だから私は申し上げているんです。そして、そのような状況の中でどう判断するかということを決めていかなきゃならぬわけでしょう。

 私は、そういうことを考えると、一体、この法案を出すに際しての基本姿勢を問われるんじゃないでしょうか、内閣全体として。どうですか、田中大臣。

田中国務大臣 この法案につきましては、御案内のとおり、今までの戦争ではなくて、テロが発生して、それに対して国際社会がトータルで、一緒に総合的に対応していかなければならないという事態が発生しているということに対応するために私たちが法案をつくらなければならなくなったということは御案内でいらっしゃるというふうに思います。

 そしてそれから、パキスタン情勢でございますけれども、時系列的に、もちろん九日の段階で民主党さんが人を送っていらっしゃるとおっしゃいますけれども、ムシャラフ大統領自身も、それはもちろん現場でもって情勢をもうつかんでいらっしゃると思いますが、パキスタンは、御存じのとおり大変大きな国土でございます。そしてムシャラフ大統領御自身も、パキスタン国内の一部でデモ等が発生している、それはメディアでもって報道されているものもありますが、全体として見ればコントロールのもとにあるということをはっきりおっしゃっているということであります。

 ですから、事態の推移を今後しっかりと注視することが大事であるという意味で申し上げているのであります。

鹿野委員 大臣は政治家なんですよ。政治家みずからが判断しなきゃならぬのです。政治家として、御自身がしっかりと、今のパキスタン状況はどうだと、自信を持った答弁を私はしてもらいたいという気持ちで先ほど来からお伺いをしているんであります。

 そこで、ではもうこれ以上、また同僚議員が聞きます。

 いわゆるパキスタンには異国の軍隊が入ったことがないんですよ、今まで。そうすると、難民支援のために軍隊をパキスタンに派遣しますというふうに表明している国はありますか。

田中国務大臣 少なくとも近年は、我々が承知している範囲では、ございません。

鹿野委員 私がなぜこういうことを聞いてきたかというと、冒頭に申し上げましたとおり、どこまで何をというふうなことが最大の国民にとっての関心事である。その際、この自衛隊が活動するのは、戦闘行為のない、戦闘行為がなされない地域である、こういうふうなことで、ある程度限定をしている。では戦闘行為というのは何であるのか、こういうふうなことについて、やはりはっきりその認識の中で判断がなされなきゃならない。

 こういうことを考えたときに、具体的にそれではお聞きしますけれども、いわゆる自衛隊が活動中にテロがあった場合は、戦闘行為が行われたというふうなことになるんでしょうか。

中谷国務大臣 先ほどパキスタンの、軍隊を受け入れるかどうかという話がありましたけれども、この法案におきましては政府の同意がない限りは活動できませんので、それが前提でございます。

 それから今の、テロについて戦闘行為かという問題でありますけれども、法律で定義をいたしております戦闘行為というのは、「国際的な武力紛争の一環として行われる人を殺傷し又は物を破壊する行為」を言いまして、この国際的な紛争というのは、国または国に準ずる組織の間において生じる武力を用いた戦いのことでありまして、その一部の現象でございます。

 いわゆるテロがこの戦闘行為になるかどうかという御質問でありますけれども、テロが当たるかどうかにつきましては、その国際性、そして組織性、計画性、継続性等によって、殺傷、破壊行為であるかどうかをそれぞれ判断いたすことにいたしております。

鹿野委員 いわゆる今までテロというふうな概念がなかった、テロの脅威というふうなものが、これだけの脅威が初めて起きたという中から、新たな、一つの戦闘行為というものの定義を、今言ったようなことで定義づけておるということだと思います。

 しかし現実的に、自爆テロ、診療所があります、その中で自爆テロに遭ったというふうなことについては、それは戦闘行為でないということなんですか。

中谷国務大臣 自爆テロにおいてもいろいろなケースがありまして、それが戦闘行為であるのかないのか、いろいろなケースがございます。そういう意味で、先ほどお話をいたしましたけれども、戦闘行為というのは国際紛争の一環としての行為でありまして、その自爆テロが、その国際性とか計画性とか継続性の一環であるかどうかというのを見まして判断するようにいたしたいと思います。

鹿野委員 いろいろなケースがある、こういうことです。

 それでは、また別の質問をいたします。

 自衛隊の活動地域で自衛隊が暴動に巻き込まれたというようなときには、これは、いわゆる戦闘行為がなされている、こういうことになるんですか。

中谷国務大臣 その暴動行為が、その国際紛争に関連したいわゆる計画的、組織的、継続的なものであるものであるかどうかという点を判断いたしまして、自衛隊の対処を決めていくということになります。

鹿野委員 だれが判断するんですか。

中谷国務大臣 あらかじめ実施する場合を基本計画において定めます。それは政府で定めます。

 その変更におきましては、その必要があって、変更する必要があるというときには防衛庁長官が判断をいたしますが、現在実施中の現場でそういう事態が発生したという危険性がある場合は、現場の指揮官が一時的に避難をしたり中断をするということはできるように法律では整備をいたしております。

鹿野委員 それでは、自衛隊の活動地域で、いわゆるパキスタンの親タリバンですね、ゲリラ、この活動があったという場合は、戦闘行為というふうなことが行われたということになるんですか。

中谷国務大臣 それが国内テロであるのか、それとも、国際紛争の一環であるテロ行為であって、計画的、組織的、継続的な行為であるのか、その事態をよく見て判断しなければならないというふうに思います。

鹿野委員 よく見てとか、あるいは国際性があるか計画性があるとか、それで防衛庁長官が判断したり現場が判断したり、先ほど来からパキスタンの状況がどうだかというふうなことも、正確なるところの実態というものをつかんでおらないという中で、まことにあいまいであります。だから私どもは、この法案というふうなものは国会承認が必要だよということを言っているんですよ。本当に、法案が通って直ちに基本計画がつくられて、実施計画がつくられるでしょう。そんなあいまいな形でというふうなことならば、国民は納得しない。だから申し上げているんです。

 では、別の立場からお聞きいたします。

 いわゆる難民支援というふうなことの中で、ペシャワールやクエッタ近郊など、アフガン近郊に、アフガンの国境に近い難民キャンプで医療活動をやるというふうなことを想定していますか。物資輸送も含めてお聞きします。

中谷国務大臣 いわゆる人道的な難民支援活動につきましては、その基本的な前提が、国連等を初めとする国際機関、いわゆる難民に関してはUNHCR、国連高等弁務官事務所でございますけれども、そこからの要請とかそこの計画とか、またパキスタン政府等の調整、また各国との情報交換等を通じまして計画をするものでございまして、現時点におきまして、どこでどういった活動をするかという点につきましては、まだ法律もできておりませんので、その点の検討は行っておりません。

鹿野委員 現時点でわからない、法律をつくってからやるというふうなことだけでは、これはもう大変な問題を起こしますよ、長官。

 それじゃ、ちょっとイメージとしてお聞きいたします。

 いわゆるパキスタンの方に大変な難民が今どんどんどんどん押し寄せております。その数二百七十万あるいは三百万を超すだろう、こんなふうにも言われております。それで、難民の実態というものは私も見たことありませんが、多分長官も見たことないと思いますが、今の現実はパキスタンに行っていないわけですから。

 しかし、話を伺いますと、イスラマバードの西側の川沿いにだあっと難民キャンプがある、こういうことなんですね。そこで、大規模な難民キャンプ、小規模な難民キャンプがありますということなんです。そこで、大規模な難民キャンプはある程度パキスタン軍の管理下にある、こんなふうに言われております。しかし、小規模の難民キャンプはそのような状況でない。

 そういうふうな中で、じゃ、この医療活動というふうなものをどういうことを考えておるのか。お聞きすると、そのキャンプの近くにでも診療所というものを設けて、そしてそこで医療の難民支援をやっていくのかという、こんなイメージなんですか、長官。

中谷国務大臣 現時点におきまして、難民がどの地域でどれだけいて、しかも難民の飢餓状況ですね、本当に食糧が必要なのか、医療が必要なのか。そして、UNHCR、またほかの国際社会がこれら難民に対してどのように対応するのか。そして、我が国としてそこにおいて実施をするのが適当かどうか。それはおっしゃるとおり、いろんな情報を入手して判断しなければならないというふうに思っております。

 ですから、我々としては、報道においていろいろと難民の状況を知り得るわけでございますけれども、実際に実施する場合におきましては、厚生省とかいろいろな政府の省庁を代表して十二分に現地を調査すると同時に、我々の防衛庁といたしましても、実際に人を派遣してその活動が本当に実施できるかどうか入念に調査をした結果、実施をするというふうになろうというふうに思います。

鹿野委員 いわゆる、診療所をつくって、そこで医療、難民支援をやるというふうなことの具体的なイメージとして私は申し上げたんです。

 私は、長官にもそういうイメージをきちっと持ってもらいたいんですよ。ただ官僚の人がつくった、その文書を読んでいればいい、その報告を聞いたものをそのまま国会答弁すればいいということでなしに、これ政治家が判断するんですよ。官僚の人に政治的判断をさせちゃならないんです。これが我が国の議院内閣制の根本的な欠陥なんですよね。だから、私は、私がこんなふうにイメージしますけれども長官どうなんですかというふうなことは、そういう意味でお聞きをしているんですよ。

 そして、医療の、その難民支援をやる場合、もう二、三百人の一団が行くわけでしょう。例えば、ルワンダにおいても二百六十名か二百七十名ですよ。医官の方が八名から十名くらい、看護婦さんも必要です、食事をつくる人も必要です、その他いろいろな仕事をやる人も必要です。三百人、何百人という人たちがそこに行く。

 じゃ、その人たちの安全はどうなるか、どういうような役割を果たし得るのか。そこには日本の国旗が立っているわけです。PKOの場合は中立です。しかし、今回の場合は、もう明確なるところのアメリカ支援ということです。そういうことの中で、本当にどういうふうな支援ができるのかということを、政治家が政治家の判断で、きちっと実態をわきまえて、そして基本計画をつくる、そして実施計画をつくる、こういうふうなことでなければならないんです。だから私は聞いているんですよ。

 もう一つ聞きます。イスラマバードへの航空機での物資輸送というものをこれからも考えておられますか。

中谷国務大臣 これの要請等につきましては、UNHCRから我が国が受けるわけでございまして、もし要請がありましたら、対応することも可能でございます。

 また、難民のキャンプ等の実際の内容等につきましては、私も、ルワンダの難民の支援のときには現地へ行きまして、実際に二百六十名の隊員が、現地に病院を開設し、数千人もの現地の人を診て、貴重な命を救って、非常に現地から感謝をされております。

 基本的には人道支援ということで、一人でも多くの命を救うという見地に立って、今、この法律の枠の議論をいたしておりまして、この枠に基づいて活動をいたしておりますが、状況が可能な場合はそれが実施できるように、この法律に基づいて枠をつくっていただきたい、そういう認識でございます。

鹿野委員 枠の議論だ、枠の議論だと、枠さえつくればあとは何でもやってもいい、こういうふうなことになるんではないですかというようなことになってはならないということで申し上げているんです。

 特に医療については、昨日、我が党の同僚議員の伊藤議員からも質問のときに申し上げましたとおりに、宗教上の理由から、あの難民の人たちは四分の三が女子の人たちと子供なんですね。そうすると、女の人を診るにはやはり女のお医者さんが必要だ。女の看護婦さんが必要だ。そうすると、果たしてそれだけの医官の方がちゃんと準備されているのか、看護婦さんが準備されているのかというふうな我が国の事情もあるわけですね。そして、そういうふうな実態だということもあるんですよ。

 だから、私は、きちっと防衛庁長官、外務大臣、総理大臣が、本当に今回の法案、その使命を果たしていくというならば、その実態をきちっと踏まえた中で、そして法律をつくったら直ちに基本計画を、実施計画をつくるわけですから、私どもとすれば、ただ法律をつくればいいというふうなことではなしに、ちゃんと国会承認を得る、こういうふうなことはどんなにしても必要だ。これは民主主義の基本ですよ。

 それは、法律をつくって、あとはどうでもいいから後で報告、こんなことは国民が許しません。どうぞそういう意味で、私ども民主党は、なぜ国会承認が必要かということを明確に申し上げさせていただくところであります。

 終わります。

加藤委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    正午休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

加藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。鹿野道彦君。

鹿野委員 午前中、私は、今回の特別措置法に対して、基本的な内閣の姿勢、基本的な考え方、何をやるのか、どこまでやるのか、そのようなことを質問いたしてまいりました。

 そこで、まだまだ、これだけ毎日毎日変化する状況の中で、実質的な実態もつかんでおらない、何をやるかについても、そのときそのときでまた検討します、このようなことでは、私どもは国民に責任を持てない、このような考え方から、この法案に対しましては、事前に国会の承認を求めるという考え方でございます。総理の考えをお聞きしたいと思います。

小泉内閣総理大臣 御意見は御意見として承りますが、今この特定の事件に対してどう対応するかということでありますので、こういう国会審議の状況、そして、武力行使はしない、戦闘地域へは派遣しない、戦闘行為が継続されてないという範囲内でできるだけのことをしようということでありますので、私は、今回の法案の審議の中で、成立させていただければ、それで御理解をいただけるのではないかと考えております。

鹿野委員 この点は、御理解をいただけるのではないかと総理の今言葉でございましたが、基本的に枠組みをつくれば、もうそれで歯どめがかかっているんだからいいですよ、これではだめなんですね。当然法律ですから、法の枠組みをつくって、直ちに基本計画、実施計画をつくる。それならば、きちっと、法案審議の段階で状況を分析し、正確なるところの実態というものを把握し、何をやるか、どこまでやるかというふうなことを国民の皆様方に提示をしなければならない。これがまさに、初めて他の領域に自衛隊を派遣するという法案を審議する上においての内閣の基本姿勢であるべきだと思います。

 私ども民主党は、あくまでも、包括的基本計画、事前における国会承認を求めてまいりますということを申し上げ、同僚議員に質問を譲ります。

加藤委員長 この際、安住淳君から関連質疑の申し出があります。鹿野君の持ち時間の範囲内でこれを許します。安住君。

安住委員 民主党の安住でございます。総理、連日本当に御苦労さまでございます。

 九月十一日のこの無差別殺りく、全く罪なき人々を巻き込むという点からいうと、いかなる理由があれ、テロに対して同情することなんか一切必要ありません。これは、国際協調の枠の中で、やはりテロを撲滅するということであれば、我が党としても、これに対して憲法の枠内でやるということに関しては、これは理解を実はしております。ただし、だからといって無原則に何でもやっていいということにはならないわけであります。

 ですから、きょうは、少々長くて恐縮でございますが、法案の細部にわたって、この法案が現行憲法の中でしっかりとした位置づけをされて、なおかつ国民の皆さんにしっかりと理解をしてもらって、本当に、自衛隊を派遣する、または自衛隊の皆さんが安心して行けるかどうかということを、少々詰めた議論をさせていただきたいと思っております。

 総理は、そういう話をすると、細かい話は私じゃなくて官僚を含めて所管大臣にしろと言いますが、しかしこれは、私は、総理、日本の外交・安保政策のやはり大きな転換点に実は立っているというふうに思っているんです。ですから、少々細部にわたっても質問をいたしますが、そこは誠実にお答えをいただければと思っております。

 さて、今度のこのテロ事件について、対応する法案を事件発生後、そして、アメリカに行かれてブッシュ大統領とも会って、かなり早い段階で七項目の支援、我が国が主体的に行う行動ということをとりました。

 まず最初に伺いますけれども、総理、法案の目的ですね、この法案で目的とするところは一体何なのか、そのことについてまず所見を伺います。

小泉内閣総理大臣 これは、テロ根絶、抑止、防止のために、米国を初め関係諸国と協力しながら日本としてもできるだけの支援協力態勢をとろうというのが目的であります。そういう中において、憲法の範囲内で何ができるか、何をしなければならないか、それを日本国政府として主体的に、積極的に取り組むというのがこの法案の基本的な考え方でございます。

安住委員 少々法律論的な話に入らせていただきますが、総理、憲法九条と、それから、一九四五年ですか、国連憲章ができました。そのときに想定しているいわば武力行使という概念がありますね。それをもとに実は我が国の国会論戦もずっと言ってきたんですよ。しかし、今回のテロリストたちによるいわば犯行というのは、ちょっとこの概念とは全く違う概念ではないか、私はそう思っているんですね。いかがでございますか。

小泉内閣総理大臣 憲法制定時からは想定できない、予測できない事態が発生した、そういうことから、いろいろ憲法にも解釈に幅があります。それをこの前すき間とか、あるいは、人によってとり方が違いますが、解釈も違ってきたわけであります。

 また、国力も違います。当時は日本は何もなかった。無だったんです。国際社会から無と、無に等しいと、敗戦後ですね。何もなかった。もちろん世界第二位の経済力を持つような国になるとは想像していない。援助されて、保護されて当然と思われていた国でした。それが現在、むしろ国際社会の中で国力に応じた責任を果たせという声にどう責任を果たしていくかということも問われている状況だと思います。

 自衛隊に対しても、憲法違反だという考えが当時から根強くありました。現在でもあります。しかしながら今、いろいろ、自衛隊も海外に派遣していいというのがほぼ常識的になってきた。かつては、自衛隊は海外に派遣するなんてとんでもないという声が多かったと思いますが、今ではむしろ、武力行使しなければ、PKO活動とかああいうことに対しては自衛隊を派遣していいじゃないかという声の方が多数になってきた。さまざまな、同じ憲法でもどうしてこれだけ解釈の幅があるのかというぐらいに変わってきております。

 そういう中で、今テロが起こった。これも、国と国との戦いが戦争であるというような行為でありますが、必ずしも国と国との対決じゃない、今のテロ事件は。そういう事態に国際社会が一緒になって立ち上がったわけですね、テロ撲滅のために、根絶のために。(安住委員「詳しいことは後でやりますから」と呼ぶ)はい。

 そういうことから、私は、憲法の解釈も変わってきたし、日本の事情も変わってきたし、世界の事情も変わってきたし、憲法の範囲内でできることも、過去と現在では違う点もあっていいのではないかなと思っております。

安住委員 私が申し上げているのは、武力行使の前提となる考え方というのは、総理、今までは国家対国家ですよね、戦争というのは。これは対称をなしていたんじゃないですか。しかし、今回の形態というのは、これは非対称ということになるんじゃないでしょうか、つまり国家対国家でないわけですから。そういうふうな考え方はできませんかということなんです。短くて結構ですから。

小泉内閣総理大臣 ですから、国家と国家ではない戦争だと、今お話ししましたとおり、違う態様の戦争状態であると、そこにどう対応するかということが問われているのではないかと思います。

安住委員 ということは、逆に言うと、個別的自衛権を発動するときの要件というのは、やはり相当考慮しないといけないということになると思うのですよ、これまでの概念と違うんですから。

 そこで、ちょっと具体的な話を聞きます。田中外務大臣、国連安保理決議一三六八があります。そうですね。これは、大臣はどのようにこのことを読み取っておられますか。

田中国務大臣 この決議ですけれども、それは、国連憲章に基づく自衛権が各国固有の権利であることが改めて言及されておりまして、その意味で、今般の同時多発テロに対応しては、米国等が個別的または集団的自衛権を行使し得るということを確認したものであるというふうに考えております。

安住委員 つまり、国連憲章に従って、この決議では、個別的または集団的自衛権の固有の権利というのを一回認識をしたわけですよ。それで、さらに、あらゆる手段を、手順といいますか、とる用意があるということを言いましたね。そうですね。

 それでは田中外務大臣、国連憲章五十一条をアメリカは、ブッシュ大統領は発言していますが、この具体的な中身はどういうふうになっていますか。

田中国務大臣 五十一条の中身を読ませていただきます。

  この憲章のいかなる規定も、国際連合加盟国に対して武力攻撃が発生した場合には、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間、個別的又は集団的自衛の固有の権利を害するものではない。この自衛権の行使に当つて加盟国がとつた措置は、直ちに安全保障理事会に報告しなければならない。

よろしいですか。

安住委員 今、総理、聞いていただいていたとおりで、つまり、私が申し上げているのは、この法律を適用するときの根拠、つまり我が国がどちらにリンクするかというのは非常に重要なことだと思うのです。

 アメリカは、国連憲章の五十一条に基づくこの個別的自衛権の発動というのを宣言し、NATOは、これに呼応する形で集団的自衛権を発動しました。

 それでは、我が国は、今回、このテロ対策支援法を作成するに当たって、どちらの側の対応措置ということを考慮に入れてこの法案の作成に当たったんでしょうか。

津野政府特別補佐人 今回の法案では、今回の法律の第一条の「目的」がございますが、この第一条の「目的」に書いてありますように、「我が国が国際的なテロリズムの防止及び根絶のための国際社会の取組に積極的かつ主体的に寄与するため、次に掲げる事項を定め、もって我が国を含む国際社会の平和及び安全の確保に資することを目的とする。」のがまず書いてございます。

 それで、さらにその一号で、「テロ攻撃によってもたらされている脅威の除去に努めることにより国際連合憲章の目的の達成に寄与するアメリカ合衆国その他の外国の軍隊」というふうに、およそ国際社会がいろいろと努力をしておるということを前提にいたしまして、我が国が主体的に協力するということを目的としているものでございます。

安住委員 ということは、これは外務大臣なのか総理かわかりませんけれども、アメリカが行った個別的自衛権に対する、言葉がうまく見つからないですけれども、サポートというか、支援ということではないということでよろしいですね。

小泉内閣総理大臣 国連はアメリカの個別的自衛権の発動を認めているわけです。そして日本としても、国連憲章の目的、いわゆるテロ根絶、これは平和と安全に対する脅威である、このテロ根絶のために何ができるかということを考えてやっているわけです。

 結果的に全世界が立ち上がった。日本としては、この法案で国連憲章の目的に合致した行動をしようとしている。結果的に、米国も世界も立ち上がって、米国を支援するという状況は、私は当然ではないかと思っております。

安住委員 つまり、国際協調の一環としてこの法案が立脚しているというところを我々としては確認したいんですよ。そういうことでよろしいですか。

小泉内閣総理大臣 そのとおりであります。

安住委員 そこで、総理はこれまで一貫して、主体的に日本政府として何ができるかということを決めてきた、その延長の中でこの法案ができたというふうなことを、私が少なくとも、直接は伺っていませんけれども、新聞、テレビ等を通じても、聞いている範囲ではそういうことをおっしゃっていると思うんです。

 では、この主体的に判断をしたその根拠というのは具体的にどういうことなのか。これは国民の皆さんにもう少しやはりわかりやすく私は説明していただかないといけないと思うんですね。主体的に、この国連を中心とした国際協調の路線の中で、我が国は新法をつくるわけですから、そのときに、主体的に判断した根拠というのは具体的にどういうことを思っていらっしゃるのか、そのことをちょっと聞かせていただきたいと思います。

小泉内閣総理大臣 これは、このテロ行為に対して、日本も国際協調のもとに、根絶のため、防止のために立ち向かわなきゃいかぬ、そういう中で日本が何ができるかということを考えました。そして、国際協調のもとで海外において活動する場合に、政府機関も含めて、自衛隊も含めて、民間も含めて、できるだけの措置をとろう、それは憲法の範囲内だと。

 ですから、何ができるかということを主体的に考えて、自衛隊ができることがあったらやってもらおう、今までの法律ででき得ないんだったら、法的裏づけをもって活躍の場を与えよう、新しい任務も付与しようと。しかしそれは、法律を制定しないと活動ができないんだったらば、法律の制定が必要ではないかと。自衛隊だから海外に行けない、自衛隊だから国際貢献できないという理由はない。

 憲法の範囲内で、あらゆる、持てる日本の国の力を総動員して、このテロ根絶のために、テロ防止のために国際社会の一員としての責任を果たそうということから、主体的に判断しなきゃならないと。このテロ攻撃は人ごとではない、我が国自身の問題であるととらえなきゃならない、テロとの対決において日本は傍観者になるべきでないと判断したからこそ、主体的に取り組むと言っているわけであります。

安住委員 私が伺っているのは、この法案、これが渡された法案、えらい長い文章で、読むだけでも大変でございますが、つまり、こういう長い法案の名前の根拠ですね、それをしっかり示してもらわないと次の議論に入っていけないから、私、こういうことを聞いているんです。

 そこで総理、実はこの問題には二点の大きな問題があると私は思っています。

 具体的な話をちょっと伺いますが、その第一点は、この法案の一条の一に、総理、これは官房長官の方が多分おわかりでしょうけれども、テロ攻撃によってもたらされる脅威の除去に努めることによりと書いてあるんですよ。つまり、これは官房長官、確認ですけれども、この場合、ここの法律に言っている「テロ攻撃」のテロは何を指すんですか。

福田国務大臣 この「テロ攻撃」というのは、平成十三年九月十一日にアメリカ合衆国において発生したテロですね、テロ攻撃、テロリストによるテロ攻撃、それを指しております。

安住委員 これは、総理、一般的なテロではないということですね。つまり、この目的、私なりに解釈すると、あの九月十一日にアメリカで起きたテロにかかわったもの、者になるのかグループになるのかわかりません。つまり、これを脅威というふうにこの法律では認定しているということですね。総理、よろしいですか。いいですね。

小泉内閣総理大臣 そうであります。

安住委員 ということは、総理、最初の質問に戻るんですけれども、総理は主体的に、このテロ攻撃によってもたらされる脅威の除去というのを言っている以上は、主体的にテロリストを犯人と認定しているわけですね。そうですよね。そうでなければ――いや、つまり私が聞いているのは、アメリカに頼まれてつくったり何かに頼まれてつくった法案でないということなんでしょう。ということは、テロリストがだれなのか、この法案で最初の目的に書かれているあの「脅威の除去」、どういうものの脅威の除去をやるのかを説明するのが総理の責任だと私は思いますよ。いかがですか。

小泉内閣総理大臣 このテロリストの特定については、日本だけではできません。アメリカ初め関係各国が今や犯人を特定しています。支援する組織も特定しております。そういうことから立ち上がっているのであって、総合的に判断し、情報交換をして、私も、それは説得力ある説明を受けております。

 そういう観点から、今はウサマ・ビンラーディンが特定された犯人でありますが、これまた、一人なのか複数なのか、まだわかりません。何人テロリストが出てくるのか、組織です、それを支援する政権も一つなのか二つなのか、まだわかりません。しかし、これからまだテロが起こるか起こらないかというのはだれもわからないのでありまして、しかし特定は、この法案は九月十一日のテロ行為のことに関して特定しているということであります。

安住委員 いや、私、ウサマ・ビンラーディンが犯人かどうか、状況的にはそうかもしれないなと思っているんですよ。ですけれども、やはり法案をしっかりつくっていくためにはそれ相当の根拠がないと、推定で法律をつくるというのは、法治国家としては私はいかがかなと思うんですね。

 ですから、総理、少なくとも総理は、言う話を総合すると、我が国の捜査当局や、我が国の、まあ言ってみれば公的機関で集めた状況によって犯人を特定したわけではないわけですよね。そうですね。

小泉内閣総理大臣 我が国の機関で判断したんです。各国との情報交換の末……(安住委員「いやいや、犯人を特定したんですか」と呼ぶ)特定したんです。我が国が米国や関係諸国との情報交換をして、我が国も、そのような情況証拠から、状況説明から、それは犯人であろうということの説明を受けていますから。我が国がそういう国際関係のいろいろな情報交換を総合的に判断して、これはウサマ・ビンラーディンが容疑者であり、その組織アルカーイダ、そしてそれを支援しているタリバン政権、これが今回のニューヨークで発生したテロの背景であるということを、我が国政府として判断しているんです。

安住委員 総理、私が言っているのは、独自の捜査機関で集めた資料があるんですかということです。アメリカからの情報提供を総合的に勘案してという話ではないんですよ。それはどうですかということなんです。

小泉内閣総理大臣 それは、我が国の情報機関だけで判断し得るものではございません。(安住委員「いや、集めたのかということ」と呼ぶ)我が国で集めております、いろいろ。それから、我が国だけで特定できるほどの、それほどすぐれた膨大な情報機関は日本は持っておりません。

安住委員 総理、そうであればなおさら、言ってみれば、犯人の特定をしっかりとしないと、ここでうたっている法案の第一の目的を達成することはできないんじゃないですか。

 だって、テロリストの攻撃の「脅威の除去に努める」。しかし、そのテロリストが漠としているんですよ、実は。アメリカはきのう二十三人かなんか指名手配しましたね、写真つきで。だけど、日本では、少なくともアメリカが情報を提供しているのは、小泉純一郎内閣総理大臣ただ一人ですよ、多分。つまり、それ以外の国民は知らないんですから、私らも含めて。

 総理、ですから、先ほどの質問にもありましたけれども、やはりアメリカの捜査機関が出すなと言うから出さないという立場というのは、私はいかがなものかなと思いますよ。だって、これは法律の前提となるものを特定しないといけないんだから。全部とは言いません、全部わかるわけないんですから。そんな、組織図書いて、犯罪捜査こうだったって書けるわけないんですから。

 しかし、今時点で少なくとも、ウサマ・ビンラーディンそのほかどういうのがおって、アルカイーダですか、総理今言いました、どういうふうにかかわったという状況があって、さらに、タリバンが本当にこの法律で言う脅威の除去の対象となり得るかということも、これは国会の質疑の中でしっかりとやはり説明をしてもらわないと、なかなか次の想定し得るものに私は入れないと思うので、できるだけやはり出せるところは誠意を持って出して、その言葉をもって国民の皆さんに信用してもらうというのが最初の最初じゃないですか。総理、いかがですか。

小泉内閣総理大臣 その御意見はわかります。できるだけ説得力のある状況説明をするべきだという御意見はよくわかります。

安住委員 やっていただけますか。この委員会の場で、私はある程度出せるところはしっかり出すということをしっかりとやはり約束していただきたいと思うんです。いかがでございますか。

小泉内閣総理大臣 できるだけ説得力のあるような状況説明をいずれかの機会に出したいと思います。事柄の性質上出せるものと出せないものもございますが、そういうことも含めて、できるだけ理解を得るための方策は講じたいと思います。

安住委員 加藤委員長に要請しますが、今の発言は、私は、やはり委員会で総理が出せるものはしっかり出すという発言に受けとめました。ですから、これは質疑の中でやるというよりも、しかるべき時間をしっかり、あしたでもいいですから、質問の前にしっかりとってもらって、やはり総理からそういう説明を受ける機会を持っていただくよう理事会で私は協議することを要請いたしますので、よろしくお願いします。

加藤委員長 後ほど理事会で協議いたします。

 どうぞ。

安住委員 ありがとうございます。

 次に、もう一つあるんです。

 それは、総理、際限なきテロ攻撃への拡大に対してどのような歯どめをかけるのかは、これはちょっと、法律論じゃなくて最初政治論から入ると、やはり総理、無限定といえば無限定というのは極めて正直な答弁だったと私思いますけれども、それは国民の皆さんは大変不安に思っていると思いますよ。どこまでも、では、ついていくのかということにやはりなるんじゃないかと思うので、そのお考えを改めるお気持ちはございませんか。

小泉内閣総理大臣 テロはどこで起こるか想定できないのであって、地域の観点からいえば、これは無限定だと。しかし、日本としては、武力行使はしない、戦闘行為には参加しない、戦闘行為が行われるであろうところには自衛隊を派遣しないという、限定されているわけですよね。そういう点からいえば無限定じゃないと。無限定じゃない、限定はされている、はっきりと、ということを言っているわけであります。

安住委員 私はなぜ政治論かというと、法律的にはそういう解釈もできないわけではないんです。

 ただ、言っておきますけれども、それは総理、この法案の、だから最初の目的が大事なんですよ。だれを捕捉するための武力攻撃を例えばやるのか、何を目的にして……(小泉内閣総理大臣「武力攻撃はやらないんだよ」と呼ぶ)いやいや、そうではなくて、アメリカを含めた、それに対して日本は武力攻撃しないで協力するというのはわかりますけれども。

 つまり、私が言っているのは、主体はこれは米軍を中心とした、参加をする軍隊がテロを捕捉するためにさまざまなところで攻撃をするということになると思うんです。その場合、だから私がこだわっているのは、テロを、やはり何を捕捉するのかをしっかりしないと無限定になるおそれがあるんじゃないですかということなんですよ。

 つまりこれは、裏を返すと、アメリカの個別的自衛権の発動にどこまでもついていくんですかという議論にも私はなると思うんですよ。これは法律論で言っているんじゃないですからね。政治論で言うと、これは非常に実は国民の皆さんに不安を与えているんじゃないですかということなんですけれども、いかがですか。

小泉内閣総理大臣 それは、米国を初め国際協調のもとで、国際社会、国連憲章の目的に合致するということで目的になっているわけですから、国際社会と協力してやっていくということで、私はそれが歯どめと受け取れれば受け取れるんじゃないかと思いますが。

安住委員 中谷長官、この歯どめのことについては、この法案ではそれに対する歯どめはしっかりしているというふうに思っていらっしゃいますか。地域が無限定に例えば広がっていくとか、アメリカの個別的自衛権に対して一定の歯どめは本当にこの法律だけでかけられるかどうかということについていかが思っていらっしゃいますか。これは政治論ですから。

中谷国務大臣 自衛隊の行う活動におきましては、戦闘行為が行われていない地域、またその活動期間中に戦闘行為が起こることがない地域というふうに限定をされておりまして、そういう意味では歯どめはかかっているというふうに思います。

安住委員 ですから、私は、これは意見として言わせていただきますので。

 一三六八を中心にした決議に基づいてやるんですよ、今度の協力というのは、多分。しかし私は、ちょっと気になるのは、実はあの法律の中にはほかの国連決議のことも、官房長官、入っているでしょう、これは。過去の決議も書いてあるんですよ。要するに、私、気になっているのは、この国連決議を踏まえてとなると、九月十一日のテロだけでないということになっちゃうおそれがあるんじゃないですか、これは。だって、テロ全体に対する非難決議とかも実は書いてあるんですよね。

 だからこれは、法律の作成を急いだのだと思いますけれども、ちょっと内容からいうと私はおかしい法律だなと思っているんですよ。だって、この九月十一日の目的のテロだったら、ほかの国連決議のことなんか法律で書いたらおかしいんじゃないですか。一般論として、テロを非難している決議なんというんだったら、テロ全部に入っちゃうということになりますよ。どこかで行われているテロに対する非難ですからね。いかがですか。

津野政府特別補佐人 お答えいたします。

 これは、御承知のように、最初のところにいろいろな国連決議が書いてございます。これは、オサマ・ビンラーディンを捕まえてといいますか、ちゃんと差し出せといいますか、そういうふうにしなさいというような決議も含めていろいろなことが書かれている決議であります。

 そこで、そういった中の決議等で国際的なテロリズムが非難されているわけですね。この決議では、こういうことはけしからぬということがいろいろなところで言われておりまして、国際連合のすべての加盟国に対し、その防止等のために適切な措置をとることを求めていることにかんがみ、いろいろな主体的な寄与をするということ、それで国際の平和、安全の確保に資することを目的とするというふうに条文で書いてありますから。それで一号で、テロ攻撃によってもたらされているというその脅威の除去に努めることによりと。

 この脅威というのは、まさに一三六八号において、国際連合が、安保理が、国際の平和と安全に対する脅威であるということを認定しているわけですね、あの決議の中で。その脅威を除去するというようなことでございますから、そこのところは、どこまでも広がるというようなことにはならないということでございます。

安住委員 全部の国連決議がかぶるわけではないと。しかし、法制局長官、その答弁だったらその続きを聞かせてください。

 では、ここで言うテロリストの、犯人の特定はどうなっているわけですか。つまり、ここで対象とするものは九月十一日のテロリストになるわけですよ。そうでしょう、今の話からいったら。どこまでの範囲を認定しているのですか、この法律では。特定しているのですか、どこまでの範囲。

津野政府特別補佐人 どこまでの範囲というのはどういう意味か、ちょっと趣旨がよくわからないのですが。

安住委員 ウサマ・ビンラーディンほかだれがいるんですかということです、具体的にここで言う、対象になるのは。ウサマ・ビンラーディン以外にだれが、どういうグループがいるのか。

 つまり、これは後で話をしますけれども、総理、重要なんですよ。だって、空爆にしたって何にしたって何かを目的にやっているわけですから、アメリカは。それに対して我が方も国際協調の一環として協力するとなると、やはりそこは目的を逸脱したことはやれないのですよ。やれないからこそ、ここをしっかり特定しろということに私はなると思うのですよ。

 法制局長官、あなた、そこはしっかり答えないと、この法律そのものの根底、崩れますよ。

津野政府特別補佐人 この「テロ攻撃によってもたらされている脅威」というのは、これは安保理決議とかいろいろ見ていただければそれなりの特定はし得る問題であろう。しかも現在、安保理決議、安保理においてアメリカがあるいはイギリスが、個別的自衛権あるいは集団的自衛権を行使しているという報告をしているわけであります。(安住委員「そんなことを聞いていない」と呼ぶ)いやいや、だから、それによって当然特定されていく問題であるというふうに考えております。

安住委員 あなたは日本の国家の法制局長官として、状況だけ言ってそう判断できるなんという話がありますか。

 つまり、総理は主体的にこの法案をお決めになったと自分からおっしゃっているのだから、その場合に、では、ウサマ・ビンラーディンほかだれがいるのかということは、またどの集団だということは、これは主体的に我が国としてはやはり特定をしないといけないのじゃないかと私は言っているのですよ。

 状況がそうだからこうだああだということを、あなた、そんなことを言ったら責任問題になるのじゃないですか。私はそう思うのですよ。

津野政府特別補佐人 特定を必ずしなければいけないとおっしゃいますけれども、今回のニューヨークとかいろいろなところで起こりました事件といいますのは……(発言する者あり)いえいえ、ニューヨーク等でいろいろ事件が起こりました。そういうことが起こりましたことは、一定の、特定の組織によって行われているということが既に、国連決議等の、安保理決議等で、安保理等でいろいろ各国が報告したり、そういうことによって判明している部分があるわけでありますから、それでいいのではないでしょうか。

安住委員 それでいいわけないんですよ、法律をつくっているのですから。

 では、これは一応外務省の所管になるのでしょうかね。いや、あなた、条約局長なんか最初から参考人として呼んでいません。そこにいること自体私はおかしいと思いますよ。

 田中外務大臣、それでは、この法律で言うと、状況だけでそうであれば、例えばアルカイーダそれからタリバンもこの法律で言う脅威の除去に認定されると思いますか。いかがでございますか。(発言する者あり)

加藤委員長 田中大臣。

 田中大臣でしょう。(安住委員「答弁しないんですか」と呼ぶ)いや、指名しています。(安住委員「ちょっと、委員長、時間があれですから」と呼ぶ)田中大臣を指名しております。(安住委員「答弁に来ませんけれども」と呼ぶ)

 それでは、ちょっと速記をとめます。

    〔速記中止〕

加藤委員長 では、起こします。

田中国務大臣 一三六三でいきますと、これらテロ攻撃の実行者、組織者及び支援者、先ほど来おっしゃっているアルカイーダ等ですけれども、を法に照らして裁くために、すべての国に対して共同して迅速に取り組むことを求めるとともに、これらの行為の実行者、組織者及び支援者を援助し、支持し、またはかくまう者はその責任が問われることを強調するというように書いてございます。

安住委員 それは安保理決議に書いてあって、私もわかった上で、前提として言っているんです。総理、多分これ以上聞いてもなかなか田中大臣もお困りでしょうから。

 しかし、何で私これを言うかというと、これは、私たちは、武力行使をしないと総理もおっしゃっているでしょう。しかし、それと同時に、さっきの松浪議員の話ではないけれども、罪のない一般の人たちをできるだけ巻き込まないで、やはり犯人を捕捉するためのより限定的で効果的な武力行使であれば、それは一番いいんですよ。それに対して、例えば誤爆とかありましたよね。大勢の罪なき人を巻き込むようなことはあってはならない、また、それに加担してはならないというふうに我々は思っているから、このことを聞いているんです。

 ですから、総理、タリバンのことなんかは今聞いてもそうだとはなかなか……。えっ、わかった。じゃ、いいです。

田中国務大臣 済みません。一二六七、見つけました。一二六七で、これでは、タリバンが九八年の在ケニア、タンザニア米国大使館爆破事件の首謀者と目されるオサマ・ビンラーデンを庇護している、そして、決議の概要として、タリバンに対して、テロリスト及びその組織の隠匿と訓練の停止、その領域がテロ行為の云々と書かれておりまして、これでお答えがわかられると思います。長文になりますので。

安住委員 大臣、事前にやはり読んでおいていただかないと……(田中国務大臣「だって、いっぱいあるんだもの」と呼ぶ)いっぱいあると私に言われたってしようがないですけれども。

 それはやはり総理、いや、だからさっきの話に戻りますけれども、先をやらないといけないから。

 犯人については、我々もそうですけれども、やはり国民の皆さんが納得するような形をとるということを改めて私の方から要求をいたしますので、これはさっき委員長にも申し上げましたけれども、ぜひよろしくお取り計らいをしていただきたいと思います。

 さて、国会の関与について次に質問に入らせていただきます。

 国会には報告だけで十分であるというふうなことを申しておられますけれども、これはどうしてでございますか。官房長官で結構です。

福田国務大臣 この法律そのものが、今お話しされていらっしゃるテロですね、九月十一日でしたか、そのテロに対する対応措置、こういうことでございますので、その対応措置を決めた法律が、これがここで承認をいただければ、審議が終わって成立すれば、それが承認である、承認をしていただいたものと同じである、このように我々は考えておるので、そういうことで御理解をいただきたいと思っておるところでございます。

安住委員 何か質疑するのもがっかりするような答弁でございましたが。総理、笑わないでくださいよ、これは我々の身分の問題ですからね。総理だって衆議院議員なんですから。

 はっきり言わせてもらいますと、法案さえ承認すれば、行政府の方が言ってみれば基本計画も何も策定していくから、国会の諸君は報告だけでいい、承認も何も必要ないと言われているんですよ。これは、自民党の皆さん、そう思いませんか。皆さんだって、あなた、選挙区に帰って、仮に、自衛隊を派遣した、何であんなところへ派遣したと言われたときに、私は行政府の人間でありませんから知りませんと皆さん答えられますか。答えられるわけないと思いますよ、私は。

 これは、国会の中でしっかりとした具体的な中身をやらないと、そんなことを認定できないですよ。(発言する者あり)今やっているというお話ありましたけれども、やっていないですよ。

 では聞きますが、どこに派遣をするんですか。この法案が仮に通ったとしましょう。どこに派遣をしてどういう武器を持っていくかということは、これは具体的に、総理、どこで審議すればいいんですか。

 つまり、この法案はルールでしょう。ルールをつくるところだけは国会にかませて、具体的な出先の、行ったところ、何を持っていくか、どういう物資を運ぶかについては行政権がやるという、本当にそういう解釈で私たちいいんでしょうか。これは総理、いかがでございますか。

小泉内閣総理大臣 政府というのは、選挙で国民から支持を得て形成されているわけです。そして、今、国連憲章の目的に合致するために、国際協調としてどういうような協力態勢をとればいいかというのがこの法案であります。しかも、憲法の範囲内でやる、武力行使はしない、戦闘行為に参加しない、そういう厳しい限定のもとで、何をやってもいいということじゃない。この国会の審議を通じて、これからどういう具体的な地域にどういう具体的な人々が、また関係機関が派遣されるかというのは、この審議を通じておのずから私ははっきりしてくると思うのであります。

 そして、どこでテロが発生するかというのは確かにわかりませんよ。ニューヨークで起こったので、東京で起こらないとは言えない。あるいは、アフガンだけれども、将来どこに起こる、だれもわからない。わからないからいいかげんだという推測は、私は当たらないと思います。そもそもテロという事態、どこで起こるかわからないんですから。それに対応すると。

 今、オサマ・ビンラーディンというのが特定されていますけれども、これだって、オサマ・ビンラーディンだけじゃないですよ、実行者は何人いたのかわからない。もうアメリカは二十何人か出しています、特定。だから、一人とは限らない。しかも国際社会が、ほとんどの国がオサマ・ビンラーディンを指定していますね。オサマ・ビンラーディンもみずから犯行声明出していますよ。

 そういう中で、わからないから日本だけやらないと、逆にそうしたら。逆に、私質問したい気なんですけれども。そういうこともあるから、そういう点も含めて、私は、どこで起こるかわからないといえば、それはわからないのです。わからないからいいかげんだと言えないのが今の状況じゃないでしょうか。

安住委員 いや総理、それは逆ですよ。今の現時点ではわからないわけですよね。そうでしょう。そうしたら質疑できないじゃないですか、具体的なところを。

 だから具体的に、だって、仮に総理の言葉を逆にとると、例えばそれが本当に今想定されているような地域以外のところに行くというのも、これは基本計画の中で、総理の責任で策定するということになりますね。そうですよ。ということは、国会は議論できなくなっちゃうし、承認もできないんじゃないですか。

 つまり、逆ですよ、総理。総理の話を前提にするのであれば、どこに行くかわからない。つまり、この法案は自衛隊を出していいルールを書いてあるだけです、ある意味では。こういう要件を満たしたときに自衛隊は行けますよ、しかし、こういう状況のときは行けませんよというルールを書いてあるだけで、現実に例えばパキスタンに行くのかどこに行くかは書いてないのですよ。書いてないということは、私どもの考えは、やはりそこが一番、時限立法で、極めて緊急性を要する今回のテロに対する事態だからこそより具体の議論をきちっと国会のところでやって、そして承認をするのが筋じゃないかということを我が党は申し上げているのです。筋通らないですか。いかがですか。

小泉内閣総理大臣 これは、どういう状況でどういう地域に派遣するかというルールを決めているわけですから、その範囲内でどこでテロが起こるかわからない、今後。そして、そういう、どこでテロが起こるかわからないから、起こった場合に、また議論しろというのが委員の考え方だと思うんですが、これは今、決められたルールの中で派遣するわけですから、それはおのずから国連憲章のテロ根絶のための協力支援態勢の中で、しかも武力行使をしない、戦闘行為に参加しないという範囲内で私は御理解をいただけるのではないかと思いますが、あなたは理解できないと言っている。それはすれ違いかもしれない、それは。あえて私の意見に従えとは言いません。

 その意見は意見としてわかりますよ。しかし、私どもとしては、それで十分国民から納得いただけるのではないかと思って出しているんですから。それは違うというのは、違わぬと言えないです、私は、あなたの意見だから。そうでしょう。

安住委員 現時点ではそうだと思います。

 しかし、総理、では、逆に言えば、時限法である、根拠法であるということは多分想定し得る答弁なんで、それは最初に私言っちゃいますけれども、PKO法や周辺事態法で国会承認を認めているのはなぜでございますか。

中谷国務大臣 確かに、ガイドライン法においては国会承認を認めておりますが、この承認の内容は、法律を読みますと、周辺事態の対応措置について、「内閣総理大臣は、これらの対応措置の実施前に、これらの対応措置を実施することにつき国会の承認を得なければならない。」ということになっておりまして、この基本計画につきましては国会報告となっております。その決定または変更があったときは、その内容を、基本計画に定める対応措置が終了したときは、その結果を遅滞なく国会に報告しなければならないということでございまして、基本計画につきましては国会承認というふうにはなっておりません。

 これはなぜかというと、やはり、マンデートといいますけれども、いかに総理にこういう国家の緊急の事態にその裁量の措置を求めるかという、国会と総理との関係の御議論ではないかというふうに思います。

安住委員 私は、私の考えも多分総理はわかっていらっしゃると思います。

 私の根拠は、国権の最高機関がこの我々のハウスであるという憲法四十一条に基づけば、ここからはちょっと法律論から少し離れるかもしれないけれども、あえて言わせていただきますと、さっき総理は最初のところで、自衛隊の専守防衛という概念が大きく変わってきたとおっしゃいましたね。(小泉内閣総理大臣「専守防衛の概念じゃなくて憲法解釈」と呼ぶ)いや、そうじゃなくて、最初は専守防衛をずうっとやってきて、その後、私の解釈でいうと、つまり、国際貢献のあり方ということで新たにPKOに派遣をするということで、私は、自衛隊の活動のあり方というのは、当然時代に応じて変わってきたと思うんですよ。

 しかし今回は、最初に私が冒頭言ったのは、これはやはり、自衛隊の派遣ということだけでいいますと、戦後の大きな転換点になると私は思います。ですから、逆に言えば、二重三重の歯どめをしっかりかけて、逆に、自衛隊の皆さん安心して、国会の承認を得てやはり行っていただくということをやらないと、私は政治的にもこれは成り立たない議論になるんじゃないかなというふうに思っているんですよ。

 これは法律論ではないですから、総理の感想で結構ですから、おっしゃってください。

小泉内閣総理大臣 だからこそ新法を出しているんですよ。自衛隊に心配ないように活動してもらうために、任務をしてもらうために新法を出しているんです。新法の裏づけをもって自衛隊を派遣したいと、そうして、今この大枠を決めているわけですから。自衛隊の皆さん方に、出ていくんだったらばどういう地域がいいか、どういう状況なら出ていけるのか、また装備はどういうものがいいか、国民にも自衛隊にも心配ないように新たな法的な裏づけが必要だからということで今新法を提出しているんです。

安住委員 だから、それは、総理、私の解釈でいうと、法律を決めるのは、法律を承認するのはもちろんハウスの仕事なんですよ。これは国民の皆さん、なかなかわかりにくいと思うんですけれども、この法案はいわばルール、変な話ですけれども、私は、マニュアルを書いているものだと思いますよ。だって、パキスタンのパの字も書いてないんですから。

 つまり、派遣をするときには、政治的な意味合いを込めて、これは今私言ったでしょう、だから、自衛隊の活動のあり方が随分そういう意味で転換期を迎えるので、私はそこは、どこに行くかを含めて、やはり国会できちっと立法府が関与できるようにすべきだと思いますということなんです。

 もうこの話をそれ以上言いませんけれども、我が党としては国会承認を求めます。

 最後に、総理、このことについてだけもう一回御所見を伺います。

小泉内閣総理大臣 それは、一つの考え方だと思っております。

安住委員 続いて、私は法律に従ってやりますが、ただ、法律に従ってやるといっても、項目別にやってもなかなかテレビを見ている皆さんもわかりづらいので、自衛隊の活動領域、活動について大別するような形でやりますから、法案を、今までは目的のところからずっと来ましたけれども、種別に分けてちょっと質問をさせていただきたいと思います。

 その前に、外務大臣、恐縮ですけれども一問だけちょっと聞かせてください。

 先ほど私のところにファクスが来たので確認をしたいんですけれども、これはワシントン発共同電なんですが、実は、柳井駐米大使がアメリカ政府の意向を踏まえて、田中外務大臣に対して、情報収集のための自衛隊艦艇の速やかな派遣等々四項目から成る意見書を大臣に送っていたというふうな事実が明らかになったというんですが、こういう事実はあるんですか。

田中国務大臣 これにつきましては二つ申し上げなければなりませんけれども、意見書というものは参りました。ですけれども、これはこの記事をもとにしておっしゃっているのかと思いますけれども、読売か何かですね。これにつきましては、本来は、政府部内のやりとりについては申し上げませんけれども、これは政府部内全体で検討するべきことであろうというふうに思っております。

 それから、私たちが今一番にしていることは、現在この国会で今お諮りしているこの新法、まさしくこのことの成立が第一の優先課題でございますので、それをまだ今こうして皆様に検討していただいているときに、お先走ってこのような具申をしてくるのはいかがなものかなというふうに私は思っております。

安住委員 大臣、では、これは、柳井駐米大使、厳重注意するんですか。

田中国務大臣 やりとりの一々については、ちょっと今、現在の段階ではお答え申し上げかねます。

安住委員 いや、大臣、ちょっと待ってください。

 不愉快だと思っているということですか、この意見具申。

田中国務大臣 これはまたもう一度、今この新法についてやっている最中でございますので、ですから、とにかくやりとりの逐一についてもお答えできませんし、これはまた持ち帰ってちょっと検討しなければならないというふうに思っております。

安住委員 実は、これは意外と、私、大臣そこまで答弁するので、もうちょっと、今、一問でやめようと思ったんですけれども、踏み込んで質問させてもらおうかなと思っているんですけれどもね。つまり、これはとりようによっては実はえらい問題を内在しているんですよ。というのは、大臣、私もすごく不愉快に思っているんですよ。

 総理、総理は主体的に我が国のやり方、つまり国際貢献のあり方を決めたというふうにおっしゃっているわけですね。しかし、この報道を今大臣お認めになりました。やっぱりあったということですね。となりますと、アメリカ側の意向を踏まえていわばその四項目を送ってきたということは、我が国が主体的に決めたと言いながら、実はアメリカ側の意向を受けて何らかの対応をしろ、しろと。

 外務省、これは田中大臣を含めてということになるか含めないということになるかわかりませんが、外務省、あなた方は、アメリカの意向をどんどん政府内に伝えて、無理やり、これもしろ、あれもしろと、そういうことを言っているというふうにとられますよ。いかがですか、大臣、そういうことはないですか。

加藤委員長 安住委員、外務大臣ですか。

安住委員 外務大臣。

田中国務大臣 いろいろな意見があることは承知しておりますけれども、総理が再三おっしゃっていますように、我が国として、この内閣として主体的に判断をいたします。

安住委員 どうぞ田中大臣、これは私も主体的に決めたということを前提に話しているんですから、もしこういうことがあったら、これは柳井大使に対して、非公式に何か意見を言ってくるんだったらわかるけれども、意見書を出すなんというのは、これはただならないことだと私は思っているんですよ。つまり、ある意味では、外圧に応じて何かをやるということになると、これは法案の根底が崩れるよということなんで、これはまたお互い外務委員会でしっかり、鈴木先生もいらっしゃいますし、時間をかけて質疑をしたいと思いますので。大臣、次の外務委員会までこのことについては調べておいていただけますか。

 それでは、自衛隊の活動について何点か伺います。

 今回、中谷長官、自衛隊の活動の地域、地域の話はちょっと後にして、活動を二つに分けていますね。協力、支援ということとそれから人道的支援、その辺ちょっとわかりやすく、簡単に説明していただけませんか。

中谷国務大臣 活動地域のお話ですか。(安住委員「協力支援活動とか人道支援」と呼ぶ)活動の内容につきましては、三つございます。

 第一点は、協力支援活動ということで、諸外国の軍隊等に対する補給、輸送、修理及び整備、医療等の物品及び役務の提供、物品には武器弾薬を含みません、提供は。

 それから、第二点は、捜索救助活動。諸外国の軍隊等の活動に際して行われた戦闘行為によって遭難した戦闘参加者について、その捜索または救助を行う活動でございます。

 第三点は、被災民救援活動。これは、テロ攻撃に関連し、国連等の要請に基づき、被災民の救援のために実施する食糧、衣料、医薬品等の輸送、医療その他の人道的精神に基づいて行われる活動、以上三点でございます。

安住委員 それでは、その中で問題となるところだけ質問させていただきます。

 最大の問題は、法律で使っている用語ではなくて、国民の皆さんにわかるために少し簡単な言葉で言うと、後方支援、つまり武力行使を行う他国に対してサポートできるところはどこかということをまず話をしたいと思うんですね。

 その中で輸送、補給というのがあります。補給は今回は入っていないので、言うと、つまり武器弾薬の輸送、これはこの法案ではできることになっていますね。なっています。これはどうしてそういうふうな規定を盛り込まれましたですか。

中谷国務大臣 これは、ガイドライン法案、周辺事態法案でも、後方地域におきましては武器弾薬を輸送するということは我が国の憲法に違反しないという観点で議論をされて、お認めいただき法律になったわけでございます。武器弾薬を輸送するという行為が戦闘地域に入らない事態においては憲法上許されるという判断に基づきまして、今回の法律に入ったわけでございます。

 もっとわかりやすく言うと、今の時点で、国内で武器弾薬を輸送するということは、だれが考えてもこれは戦闘行為ではありませんよね。ところが、これをどこまで、じゃ、持っていけるかと。これはやはりその相手との密接性の問題だというふうに思っております。これが戦闘地域までとなりますと、これは武力の一体化に抵触する可能性が大いにあるわけでありますけれども、これが戦闘地域から離れた場所で行われるとなりますと、これは武力の一体化ではないということでございます。

安住委員 次に具体的な質問に入ろうといったら、長官、ちょっとそこまで踏み込んで答えをなさいましたので、じゃ、私も聞きます。

 総理、実はこれは意外と大事なんで、細かい法律の話でございますが、ちょっと答弁を、意見を、もしあれば後で聞きますので、聞いておいていただきたいんですけれども。

 つまり、私は、今の長官の解釈をこういうふうに考えているんですよ。これは、今まで言ってきたことの延長で言うと、二つの問題があるんですよ。二つの問題というのは、周辺事態法を含む今までの本土防衛ないしそれに付随する行為に対する後方支援というのは、これはある意味では私は当然必要だということで我々も賛成したんです、周辺事態法のこの会議では。

 しかし今回、これは全く、総理の言葉をもってすれば、どこに行くかわからないという法律なんですよ。そのときに、じゃ、どこまでも武器輸送を本当にできるかというのは、今までの法案で認められたから今回の法案でもオーケーですよということは、実はこれは全く違うことなんですよ。私そう思うんですけれども、総理、いかがですか。

小泉内閣総理大臣 それは、武力行使しない、戦闘行為が行われるところには行かないという中において、武器弾薬の輸送はできるということは、できないと規定した場合、ほかの物資、一々確認しなきゃならないのかという問題も出てくる。できるということにおいて円滑な支援業務ができるのではないか、そういう考え方も私は十分御理解いただけるのではないかと思いますが。

安住委員 私は理解しません。なかなかちょっと、今のは私の答えというか聞きたいのと違うので、私ちょっと今ざっと思いついたので言いますけれども、これ、総理、今ちょっとざっと書いたんですよ、皆さん。

 長官、つまりこういうことでしょう。A地点で戦闘行為が行われている。戦闘行為が起きている。日本からこのA地点に直接武器弾薬を輸送するのは、これは武力行使との一体化でできないということですね。まずこれはいいですか。

中谷国務大臣 それはいろいろな状況があって、砲弾、迫撃砲みたいなのがあって、そのすぐ横まで武器を運んで、はいどうぞと言えば、これは武力行使の一体化になりますけれども、それがどの距離まで許されるかという問題でありまして、戦闘地域の中なら武力行使の一体化となる可能性はありますけれども、戦闘地域じゃないところに関してはそういう疑念がないということでございます。

安住委員 いいですか。ちょっとこれは難しいんですよ。難しいというか、私は自分なりには理解しているつもりなんだけれども。

 日本が、例えば、これは具体的に言いましょう。戦闘地域というのはアフガニスタンだとしますね。ここに直接やはり武器をやるというのは、距離の離れているというのはA地点とB地点の距離の離れているという話だと思うんですよ、今言うのは。

 つまり、ここはディエゴガルシアだとしますよ、じゃ、B地点を。その場合、総理、ディエゴガルシアというのは、国民の皆さんに言うと、インド洋の、インド大陸の下の方にある英領のいわば補給基地、島になっているんです。そこに、例えばここをB地点だとすると、この日本からB地点に物を運ぶ、そして、それだけの行為は、実はこれは今は認められるということになりますね。

中谷国務大臣 個別的にディエゴガルシアがどうこうという話ではありません。基本として、その地点が戦闘地域の中か否かという問題で、その地域が戦闘地域でないという場合には可能だというふうに思います。

安住委員 つまり、問題なのは、そこまでいいんですよ。そこまでいいというのは、法律的にはそういう解釈ですねということですよ。その場合、どういうふうに解釈するかというと、日本がB地点まで物品を輸送した。しかし、さっきちょっと長官はこういうふうに言いましたね。これはどうですか。例えば、B地点というのは明らかにA地点との連続性がある場合、つまりこれが問題なんですよ、連続性。

 長官がおっしゃるのとは私も同じ考えなの。つまり、例えば国内で武器弾薬を輸送した。輸送した地点が戦闘地域でなければ、当然それは抵触しませんよ。それは当然なんです。しかし今回は、これは法律的に可能だと。ぎりぎり解釈すれば可能かもしれないけれども、例えば、明らかにこのテロを目的にしてもう現に空爆が行われているわけですよ。戦闘行為は、空爆によって既に軍事的行動は始まったと私はもう認定しています。

 その中で現実に、これは時限立法でルールを決めるといっても、現実の話をしないといけませんから、ディエゴガルシアまでもし補給をしたら、これは明らかに戦闘地域で使う武器というふうに連続性を持って認定される可能性はあるんじゃないですかということ、いかがですか。

中谷国務大臣 我々の認識は、戦闘行為が行われている場所であるか否かでありまして、その戦闘行為というのは何かというと、国際紛争の一環として行われる、人を殺傷したり、また物を壊す行為でございます。ですから、そのB地点が、戦闘行為が行われておらず、またその期間においても戦闘行為が行われることがないと認められる地域であるか否か、その問題だというふうに思います。連続性は関係ないわけです。

安住委員 つまり、そこからは総理、今何で聞いていたかというと、これは政治的な判断を必要とするという議論になっていくんだと思うのです。つまり、総理、ここでまた、法律論ではなくて、国際社会がどう見るかという認識が私は実は非常に必要だと思うのです。

 今私が言った連続性からいうと、多分ディエゴガルシアから飛んだであろうと言われているのですね、B52は。ですから、そういう点では、仮にディエゴガルシアという補給基地は戦闘地域でなくても、この地域に武器を輸送するということは、例えば世界の第三者、例えばイスラム社会なんかから見たら、これは日本の国内では法律的に武力行使との一体論ではないというふうにクリアしているかもしれないけれども、世界から見たら、武力行使と一体だと思われても仕方がない部分が出てくるのではないかというふうに私は思うのですけれども、総理、御感想はいかがですか。

小泉内閣総理大臣 それは、その国によって、テロと対決する国は全部支援国だと見る場合もあるでしょう。基地を提供するだけでもう武力行使一体と見る国もあるでしょう。それは私、否定しませんよ。(安住委員「ただ兵たんへの補給」と呼ぶ)兵たんも。ともかく、協力して活動するものは全部一体だと見る国もあるでしょう。私はそれも否定しません。しかし、日本としては、武力行使はしない、戦闘行為には参加しない、そして実際の密接性とか、濃さ、薄さがあると思います。そういうことで判断している。

安住委員 私は、だから、理屈はそうかもしれませんがと言っているじゃないですか。国際社会の中で、つまり兵たん部なんですよ、やはり総理、これは。兵たん部で武器を、だから、さっき言ったように、連続性が極めて密接なんですよ。多分ディエゴガルシアとアフガニスタンって、そうでしょう、総理。だから、そうなったときに、武器の輸送というのは、私は本当に、法律で仮に認められたとしても、日本はこれはやるべきことではないのではないかなと思うんですけれども、いかがですかと言っているんです。

小泉内閣総理大臣 その場合に、武器弾薬を輸送してはいけないという場合に、武器弾薬以外の物資もたくさん輸送する場合が出てくると思います。そのとき一々確認できるんですか。そういう場合を考えておいて、むしろ武器弾薬以外の輸送の方が多いと思いますよ、ほとんどは。そういう中において、武器弾薬は輸送できないといった場合に、一々確認して、本当に国際社会と一体となって、武器でもない、弾薬でもない、食糧だ、水だ、医薬品だというものまで、これは武器ではないですか、武器じゃないんですか、弾薬ですかと確認して本当にいいのかどうか。私は、そういうことにしておいておければ、いろいろな輸送が円滑に進むでしょう、また国際協力がうまくいくでしょう、国際社会の一員として責任を果たしているという、そういう活動ができるのではないかと。

 一時、こういう議論もあったじゃないですか。傷病兵も、自衛隊の医官が治せば、またその傷病兵が健康体になって戦場に戻ればこれは戦闘行為だ、民間の人が治せばそうじゃないと、そういう議論があったじゃないですか。だから、そういうことで解釈も違ってくるんですから。

安住委員 私は、総理がそういう発言を多分するだろうなと思って、きのう宅急便屋さんに聞きました、荷物をいつも運搬しているので。総理、それは違うと思いますよ。

 いいですか。一般論で言うと、武器弾薬は危険物じゃないですか。危険物の取り扱いを決めている法律もあるんですよ、国内には。これは村井さん、そうですよね。消防庁、そうですね、大臣。武器弾薬を運ぶときは、運ぶ側も危険が伴うんですよ、防衛庁長官に聞けばわかるけれども。

 これは衣料品ですか、これはお米ですか、この箱にあるのは手りゅう弾ですか、そんなことを聞くわけないんですよ。そんなことは総理が空想で言っている話。実は、ミリタリーの世界では、武器弾薬をほかの一般物資と一緒にして運ぶなんということはあり得ないですよ。それは日本の荷物取り扱いをやっている会社にぜひ聞いてみてください。私は聞いて言っているんですから。総理、いかがですか。

小泉内閣総理大臣 まず防衛庁長官に専門的な、技術的なことを答えてもらって……(安住委員「いや、技術的なことじゃなくて政治論」と呼ぶ)いや、武器といっても定義があるでしょう、いろいろ。本当の、銃でないものも武器の種類に含まれるでしょう。危険物でない武器もあるでしょう、定義で、一般の常識でいえば、今武器とか弾薬でいえば。定義になると本当に……(安住委員「いや、総理、それを言い出したら始まらないです」と呼ぶ)だから、それを言い出すと切りがないから、そういう技術論はやめようというんですよ。常識がないじゃないか、常識が。今、具体的なその武器の定義とかあるけれども。

中谷国務大臣 一緒に運ぶことがあるかどうかのお尋ねですけれども、それは国内においても、一緒に同じ船に載ったり、飛行機に載ったり、カーゴに載ったり、そういうことは十分あり得ます。

安住委員 総理、そうは言ったって、一般貨物と自衛隊の武器に関係するものを、一々一々、はいどうぞ、はいどうぞといって、それは余り想定できないんですよ。そうでなくて、法律論で私はだめだと言っているんじゃないですよ。わかってもらえますよね。

 つまり、私はそのものを、外交のこととか考えたときに、意外と、我が党で、パキスタンにテロの専門家の首藤議員とかいろいろ派遣したんです。その意見聴取の中で何となく感じているのは、普通の衣料品や物品、生活物資を運ぶのと武力行使に関係する物品を運ぶのは、やはりアラブ諸国を含めて、そこは意外と見ているというふうに言ってきた人が多いんですよ。

 だから、法律でやれるんだから何が問題なんだということじゃなくて、またこれ、政治論でということを私言ったじゃないですか。政治的に……(小泉内閣総理大臣「政治論での話」と呼ぶ)だから、トータルでこの紛争を解決しないといけないでしょう、総理。トータルで。この武力行使を、終わった後もPKOを含めていろいろなことをやらないといけないんでしょう。

 田中外務大臣、中東に対するイニシアチブをとるんでしょう、しっかりとして和平を。そのときに、武力行使と一体となったことをやらなかったということは、実は非常に大きなポジションを占めるきっかけになるんじゃないかなと私は思うからこういうことを言っているんですよ。総理、いかがですか。

小泉内閣総理大臣 それは、議論はわかりますよ。

 それで、武力行使をしない、戦闘行為に参加しないという、はっきり設けているわけですね。その中で、輸送の場合も、陸上だけじゃない、海上もあるわけですよ。船に載せる場合に、物資と武器と弾薬が一緒に載る場合があることぐらい常識でわかるでしょう。それを分ける、大きな船で、物資の中で、武器と普通の物資は一緒にしちゃいかぬというような事態がある場合もあるけれども、ない場合、一緒に、混同する場合もある。武器の中にだって安全な、危険のない武器もあるんですから、爆発しない武器もあるわけです。中には、ヘルメットだって武器の定義に入るんですか、そういうことをやると切りがないじゃないですか。

 だから、私は武器という定義も、今ここで言えません。武器とは何ぞやと言ったら、法律的に定義を言ったら、聞いている方がわからなくなりますよ。トラックまで武器になるんでしょう。軍服までどうなんだと、戦闘行為に密接である。軍服を運ぶのまでこれは戦闘行為と一体だからだめかというのならば、そういう議論は成り立ちますよ。そういうことも含めて考えなきゃいかぬということを私は言っているんです。

安住委員 だから、やれるということと、やらないということはあるんですよ。法律論でやれても政治的にはやはりここは考えないといけないということはあるんじゃないですかと総理に言っているんですよ。あなたのお話を聞いていて、私が一番ちょっとがっかりしているのは今のお話です、総理。

 つまり、何か、物品を運ぶ人たちが煩雑だからこういうことにするというような話は、私、主客転倒だと思うんですよ。もっと……(発言する者あり)だってそうでしょう。運ぶために、これは武器ですか、それが面倒だからという話を再三しているわけですよ。私は、そういう話じゃないんじゃないですかということを申し上げているんですよ。そういう話じゃないんじゃないですか。

 では、田中外務大臣、今の話、聞いていただいたと思うんですけれども、中東を含むイニシアチブを本当にとるときに、武力行使と一体となっていないと日本は言っていますが、世界、特にイスラム社会から見たときに、そこは非常に大きな、何といいますか、イスラム社会にとっては、その後テーブルにのって中東の安定を図るための交渉をするときには、私は日本のポジションを占めるための大きなきっかけになるんじゃないかと思うんですけれども、どうですか、大臣、御感想。

田中国務大臣 イスラムの国とも仲よくしても……(安住委員「中東和平です」と呼ぶ)もちろん中東和平でですね、そうです、わかっています。

 ですけれども、これはやはりテロリズムと闘うということなわけですから、そのことはイスラムの中でも……(発言する者あり)そうですよね、ちゃんとそういうことをわかってくれる国もありますから、中東和平はしっかりできます。

安住委員 それじゃ逆に、外務大臣、聞きますが、アメリカを含む他国の軍隊から、仮に、現時点も含めてですが、武器弾薬の輸送をしてほしいという要請は来ておりますか。

田中国務大臣 具体的な要請はなされておりません。

安住委員 今後のことを言ったら、また先のことなんかわからないということになるので聞きませんが、総理、我が党は、このことで申し上げると、非常にやはり、物品の搬送、医療器具を含めて、食糧も、総理がおっしゃるその他大勢のことは、私ら、もうそこはいいでしょうと言っているんですよ。しかし、武器弾薬の輸送については、相当慎重にやらないといけないのではないですか、政治的にも、いろいろなことを考えて。

 それで、なおかつ、具体論を言います。

 もしこのまま法案が、基本計画、何というか、国会承認、認められないとなると、もうこれで議論できなくなる可能性もあるのであえて言いますけれども、これは陸路、例えば想定し得るのはパキスタンということになりますが、そこまで考えるのは、私は非常にちょっと、政治的には極めて慎重を要することではないか。

 ポート・ツー・ポートという考え方があると、私はそれは思いますけれども、その辺はぜひ、我が党の考えは説得力があると私は信じております、私が言ったことも。総理も多分わかっておられると思いますので、そこは慎重な対応を私は求めたいと思いますけれども、最後にこのことについての御所見を伺います。

小泉内閣総理大臣 これは、武器弾薬の輸送のみならず、自衛隊の派遣に対しても慎重に配慮しなきゃならないと私は思っているんですよ、自衛隊の派遣についても。これが本当に戦闘行為にならないか、戦場としてなっていないか、武力行使にならないかどうか、それは、この派遣計画を決めるときにも慎重な配慮がなされなきゃならないということも御理解いただきたいと思います。

安住委員 総理は十五日に韓国に行かれるんですか。決まったんですか。

小泉内閣総理大臣 十五日に行く予定で準備を進めております。

安住委員 先に中国に行かれて、江沢民さん初め主要な幹部と会われたわけですね。そして、今回また韓国に行かれるわけですね。

 報道によりますと、自衛隊の海外への派遣については慎重にしてほしい旨、江沢民さん、総理におっしゃったんですか。何かそういうことを報道でちょっと聞きましたけれども、いかがでございますか。

小泉内閣総理大臣 個別の会談をどこまで公表していいかというのは相手の立場がありますから難しいんですが、私が言ったことに関して、公表しても差し支えない点を申し上げれば、今回、自衛隊が海外に派遣される場合は、武力行使はしません、戦闘行為に参加しませんということを私は言いました。(安住委員「相手は」と呼ぶ)

 相手が何を言ったか公表していいかどうかという点もありますから、今この時点で相手がこう言ったと言うことは、信頼関係もありますから、その点は、何を言ったか言わないかというのは、私は、どの程度まで相手が言ったことを言えばいいのかという点は、外交儀礼上確認する必要がありますので、その点は今言うのは差し控えさせていただきたいと思います。

安住委員 報道を見ても、中国の方からの会見もありましたので、私はそれを見ました。つまり、自衛隊の派遣については、歴史的なこともあるので、テロに対する国際協力であっても、やはり周辺諸国の理解を得て慎重にやってほしい旨の発言があったように聞いておりますが。

 私は、総理、ここで申し上げたいのは、実は、テロ撲滅ということでいうと、広い意味では極東地域が軍事的に安定することがやはり一番重要なことだと私は思うんですよ。中韓を含めた我が国の安定信頼関係がしっかりあって、それこそ捜査協力から何からできるようなしっかりとしたパートナーシップを持っていれば、アメリカを含む国際社会から見て、こんなに大きな国際貢献というのはないと私は思うんですよ。

 ですから、そういう点からいうと、韓国に行かれても、ぜひ韓国の金大統領の話もよく聞いていただいて、やはり、極東に私たちは生きているんだということを、武器弾薬輸送を行うかどうかの重要な政治的決断の、勘案する事項の一つにぜひ入れておいていただきたいということをお願い申し上げますけれども、いかがでございましょうか。

小泉内閣総理大臣 それは、中国とも韓国ともアジア諸国とも友好関係を図っていく、そして、お互いの率直な意見交換のもとで理解を深めていくということが大事だと思います。

    〔委員長退席、亀井(善)委員長代理着席〕

安住委員 次に、それでは、今、軍事的サポートと言うとちょっと語弊がありますが、その方がわかりやすいので、中谷長官、次に人道的支援ということについて、少し我々の問題点を指摘させていただきたいと思うのですね。

 具体的に、長官、基本計画で決めないといけませんが、どんなところで、どれくらいの規模で支援活動をするということを、例えばこれはやはりシミュレーションしているんじゃないかなと思うのだけれども、想定し得る範囲で何か答弁できることはありますか。

中谷国務大臣 実際の内容につきましては、基本計画を政府がつくります。それに基づきまして実施要領等をつくるわけでございますが、現在の状況といたしましては、こういう被災民の救援活動の前提が、国際連合の決議とか国連機関、UNHCR、これの要請が来るわけです。ですから、その要請の内容、それから現地政府の要望、現地の難民の状況、そして、それに自衛隊の持っている能力が伴うかどうか、そういう点を勘案して計画をするわけでございまして、現時点におきまして、どこで何をということは全く想定をいたしておりません。

安住委員 確認をします。

 つまり、被災民を含めた人道支援をやるときには二つの条件があると。それは、国際機関からの要請と、それから当該地域の属する国家、国家ですね、中谷長官、その同意が要るということでよろしゅうございますね。確認です。

中谷国務大臣 この人道的な協力、支援を行う上におきましては、この法律に基づきますと、国際機関の要請というものが条件になっております。

 被災民の救援活動、これにつきましては、テロ攻撃に関連し、国際連合の総会、安全保障理事会もしくは経済社会理事会が行う決議または国際連合等が行う要請に基づき、被害を受けもしくは受けるおそれのある住民その他の者の救援のために実施する食糧、衣料、医薬品等の輸送、医療その他人道的精神に基づいて行われる活動で、我が国が実施するものでありまして、その条件と、行う上においての関係国の同意というのが条件でございます。

安住委員 この話をするときに、国民の皆さんが、この間小牧基地から飛び立ったC130六機ですか、これはもしかしたら、何か総理が出した対米支援、失礼、テロ対策防止法のあの法案を受けて派遣されたんじゃないかという誤解をしている方も結構いると思うのです。国民の皆さんです、私は誤解していませんから。

 つまり、私が言いたいのは、被災民支援について自衛隊がどういうところで必要なのか、それは後でやりますが、この法律の中で認められている活動をする前に、これは、やれることというのは意外と私はたくさんあるなと思っているのですよ。やれることというのはたくさんあるんじゃないかなと思うのですね。

 もう通告してありますから、田中外務大臣、現行法でやれることを具体的にやはりお示しいただかないといけないなと思います。

田中国務大臣 例えば、テロ攻撃に関連して、国連の総会、安保理もしくは経社理等が行う要請に基づきまして、被災民の救済のために実施する食糧、衣料、医薬品そのほかの生活関連物資の輸送、医療そのほかの人道的精神に基づいて行われる活動をいいます。そして、そのような活動に含まれるものといたしましては、これら以外にも、例えば被災民の救出そのものでありますとか、それから施設等の設置とか復旧等、自然環境の復旧等も含まれております。

安住委員 大臣、被災民の支援で、PKO協力法の、例えば現行法の枠の中でいっぱいできることがあるのじゃないですかと私は質問しているのです。もう一回答えてください。ちょっと違いますよ、今の答弁。また事務方ですか。

中谷国務大臣 PKO協力法案の中では、補給、輸送、修理・整備、医療、通信、宿泊、消毒、このような活動が実施できます。

安住委員 今言った話でいうと、例えば毛布なども大量に送れるんですよ。すると、C130六機で何枚と言いましたか、毛布二百枚、テント三百十五張り。しかし、想定される難民は今だけでも百万人。実は、とても足りないのですね。これは日本だけで全部やれという話ではないのです。

 しかし、例えば、アフガニスタンで長い間実は医療活動に従事をしていた中村先生というお医者さんがいらっしゃるのです。平沼大臣、御存じですね、うなずいていらっしゃいましたから。この方は九州の出身で、九大の医学部を出た後、この難民活動をやっていて、実はあさって、我が党で参考人としてお招きをして意見を聞いてもらいますが、我々、党で話を聞きました。

 つまり、最大の問題は、例えばアフガンでいうと、実態論ですね、総理。カブールという町そのものが、難民がだっと集まってきて、誤解を受けるような発言をすると、非常にカブールという町自体が難民キャンプになりつつあるというか、そんな状況らしいのですね。それで、その食糧ですよ。つまり、この冬を越せるかどうかを考えてほしいということを言っているのですね。ペシャワール会というのがありまして、この中村さんという方、この方がやっていらっしゃることは、実は医療活動の一環として井戸を掘ろう、井戸を六百掘りしようと。つまり水さえないということなんです。そういう地道なNGO活動をやっている方は、本当に日本にはたくさんおられると私は思うのです。

 実際、C130六機で行って、それはそれで別に全く悪いとは言いませんよ。しかし、もっと工夫をして、逆に言うともっと多く、私たちの国力に応じた難民支援というのはできるんじゃないですか。いかがでございますか。これは総理ですかね、総理。

小泉内閣総理大臣 できるだけの協力をしようということで、自衛隊のみならず、民間にも協力してもらおうということでございます。

福田国務大臣 確かに、C130六機でもって物資を運びました。テントも三百十五張、少ないですけれども、十人入りなんです。だから三千人以上の人が入れる。そういうこともありますし、また六機で運べるといったら、やはり限度なんですね。もう本当に限度いっぱい。燃料も減らしてたくさん物資を積んでいこうとして、燃料補給のために途中とまらなければいけなかった、こういうこともあったのですけれどね。

 しかし、そういう物資の補給というか支援という以外に、それだけで済んでいるわけではないので、UNHCRを通しまして資金援助をする、これは向こうは大変評価しているわけでございますので、そういうことを、さまざまな支援を今やっているということを御理解いただきたいと思います。

安住委員 ですから、私は自衛隊ができることが何なのかということも今からちょっと話をするのですが、その前に、こういう現地に行っている方々の話を聞くと、本当に厳しい、厳冬のようですね。我が国は北海道までしかありませんから、本当のあの国の冬の厳しさとかは、我々は多分理解していないのかもしれないのですよ。

 そういう中で、国際機関からの要請を含めて、私は、やはりもっと積極的にやれることというのはたくさんあるので、官房長官、いや外務大臣でも結構ですけれども、私たちの国が持っているそれこそお米が役に立つのであれば、ことしは豊作ですから、余剰米等がもし出ればそういうことも何かやるとかね。炊き出しが大事だというのですよ、総理。とにかく今から炊き出ししないといけないと言っているのですから。そういう状況ですから。アフガニスタンというのは、それは戦闘地域ですから、なかなかこれは難しいのはわかるんです。

 しかし、パキスタンを含めて、被災民、難民の方々の支援というのはそれこそ、今の長官の御答弁、本当に返す刀で恐縮ですけれども、エアカーゴを雇って大量に物品、経済的に本当に潤すことだってできるんだから、パキスタン航空のエアカーゴがあるんだかどうかわかりませんが、雇って、もっといっぱい運んであげてもよかったと私は思うんですよ。

 そういうことをぜひやっていただきたいと思いますけれども、特に国連機関からの要請については、積極的に話をこちらから持ちかけて、やはりリクエストを聞いていただきたいと思いますけれども、大臣、いかがですか。

田中国務大臣 おっしゃっている御趣旨は非常によくわかりますので、精力的に、積極的にいたしたいと思います。

安住委員 そうなると、では自衛隊はどこでどういう活動を具体的にやるのか。自衛隊の皆さんに行ってもらってやらないといけない地域、また、やってもらわないといけない、自衛隊でしかできない理由というのを、やはりこれはないとだめなんですね。ですから、そこは長官、自衛隊がなぜやるのか、自衛隊でないとできないわけというのを、これを少しわかりやすく説明していただけませんか。

中谷国務大臣 現在でもNGOの皆さんが非常に献身的に立派な活動をされておりますが、自衛隊がやったらいいという状況は、治安が乱れてきて、そして通信が途絶をして、断絶をして、交通機関が麻痺したというような、環境が悪化した、やや悪化した場合ですね、そういう状況においてなぜ自衛隊かといいますと、自衛隊は非常に高い自己完結性を有しておりまして、食事や給水、また宿泊等、自分たちだけでやることが可能でございます。

 そういう点を考えますと、医薬品等の必要な物資の輸送から治療まで、一連の活動を一つの組織で実施することができますし、これまでルワンダの難民支援や東ティモールの救援活動等で蓄積されたノウハウがございますので、そういうことを生かせばお役に立てる場合もあるのではないかというふうに思います。

    〔亀井(善)委員長代理退席、委員長着席〕

安住委員 治安が乱れて、自衛隊でないとなかなか難しい地域ということなんですが、多分、中谷長官、そういうところでNGOの皆さんも頑張っておられるんじゃないですか。どう思いますか。

中谷国務大臣 もちろんそうでございます。

 そして、こういう軍隊が行くことのプラスとマイナスがございます。それで、マイナスの部分は委員会等で議論をして、余計危なくなるというケースも確かにあろうかと思いますが、プラスの部分は、やはりそういう集団や組織が近くにいてくれたら、いざというときに、そこに駆け込んで守ってくれるんじゃないか。各国、それぞれの国が軍隊を出してこういった支援活動をやっているケースもございますけれども、やはりNGOの人たちも、自分の国の国旗を見れば助けてくれるんじゃないかという期待を持っておられて、実際、難民を支援する会の方に聞きますと、やはりいざというときに、自分たちの国の軍隊がいるかいないかで安心の度合いが違うというふうにおっしゃる方もございます。

 そういったプラスの点、マイナスの面もございますが、有機的にNGOの皆さんと協力をして、目的は難民を助けるということでございますので、その方向に向けて努力をしたらいいというケースもあるのではないかと思います。

安住委員 これは総理になるか、官房長官になるかなんですが、また政治的な判断ですが、今の話でいうと、自衛隊の皆さんに被災民支援を本当にやってもらうのであれば、逆に言うと、さっきの武器弾薬の問題も含みますが、やはり武力行使からできるだけ距離を置いた方が現実的ではないかという意見が実はあるんですよ。

 つまり、これは相反する活動だというか、わかりやすいことを言うと、アメリカ軍が今攻撃していますよね、総理。そのアメリカ軍が仮にパキスタンに難民キャンプを設けたらどうなるかというと、これこそまさにテロの対象になる可能性が高いという、蓋然性が高いということですね。私、そういうことはあると思うんです。

 ですから、これは密接な話なんですけれども、日本の自衛隊が本当にパキスタンを含めたところで被災民支援を行い得る環境を整えるのは実は非常に難しいんじゃないかと私は思っているんですが、いかがでございますか、長官。

福田国務大臣 自衛隊が現実にどういうことをするか、またできるか、こういうことになりまして、いろいろ考えていかなければいけないことはたくさんあると思いますね。そういう中で、私どもといたしましては、これができてこれができないとかいうことでなく、できることはなるべくたくさんやっていきたい。ただ、いろいろ、先ほど来総理からも言われているような、そういう厳しい条件というものが日本の場合にはありますので、この新法でもきっちりそういうことは書いてある、そういう範囲の中でできる限りのことはしたいということなんでございます。

 ただ、これをやったらこっちの方がどうしてもまずいとかいうようなことがあれば、それはそれでそのとき考えていくしかない、こういうことであります。

安住委員 例えばアフガニスタンにしてもパキスタンにしても、私どもの解釈でいうと、非常に日本に対しては親日的な地域であります。我が党も首藤信彦議員を派遣しまして、きのうの朝、実はパキスタンから帰ってまいりまして、その話は鹿野委員からも説明がありましたが、これは法律論でなくて実態論でいうと、パキスタンの政府は、アメリカ軍の上陸ということは、決してこれはもう認めないと。つまり、基地も今のところは使用許可を出していませんね。これは、ムシャラフ政権そのものの政権基盤の問題にも実は非常にかかわってくるわけであります。

 ですから、そういう点から考えると、私、使える手段として自衛隊もありますということはわかるんですが、実際に本当に効果的な被災民支援をするときに、その自衛隊というオプションを使うかどうかというのは極めて政治的にやはり慎重にやってもらいたいと、実は総理、思っております。これは、自衛隊の皆さんの護身にかかわる問題でもあります。

 総理、その件についてぜひ御所見を伺わせてください。

小泉内閣総理大臣 できるということを規定することと、実際活用するということは明らかに違う。(安住委員「私、今説明しました」と呼ぶ)ええ、そのとおりだと思います。(安住委員「だから慎重に」と呼ぶ)当然です。状況を考えて、総合的に慎重に判断するのは当然であります。

安住委員 実は、個人的なことで恐縮ですが、私の地元に大きな松島基地というのがあるんです、航空自衛隊の。それに隣接したところに私も住んでいますから、自衛隊に歴代行っている父兄の方が結構いるんですよ。私、このことがあって、父兄の方の何人かにお会いしたら、やはり息子がそういうことを上官から言われて行く準備をしている、そういうことを話しているんですよ。

 長官、その父兄の方が何とおっしゃったかというと、やはり納得のいく形で行かせてくれと。息子を自衛隊に入れたんだから、身の危険は、これはあるかもしれませんと。しかし、例えば国民の皆さんを含めて、この法律に従った、やはり親御さんや保護者の皆さんから見たって、若い自衛官を行かせるんですから、安直なことで行かせたらだめですよということだと思うんですよ。どうですか。私は、そこは非常に重要だと思いますので、ぜひお考えいただきたいということでございます、総理。

小泉内閣総理大臣 そのために今法律を制定しなきゃいかぬと。しっかりと、行く場合には、法的な裏づけはもちろん、できるだけ不安を解消する努力をしなきゃいかぬということで、我々は自衛隊の派遣もできるという新法をつくっておりますが、自衛隊だけじゃないんです。できるといっても、地域に派遣しない場合もあるわけですから。ほかの自衛隊以外の組織が行った方がいい地域もあるわけですから。その点は慎重に、総合的に配慮しなければならないなと。ただ、自衛隊だから行ってはいかぬとか、この任務をやっちゃいかぬということでもないでしょうと。(安住委員「私はそんなことを言っていないですよ」と呼ぶ)

 だから、先ほども言ったように、自衛隊でも国際貢献できるという可能性を残していた方が、日本の立場として、国際社会の中で責任を果たすということを考えればいいのではないかということを言っているわけです。

安住委員 だから総理、そこで私と総理はちょっと違うのですよ、そこから先が。だからこそ国会承認が必要だという話を私どもは言っているのですよ。親御さんを含めて安心してもらうためには、やはり国会が多数で賛成した方が好ましいのじゃないですかと。

 さっきから塩川財務大臣は本当に深くうなずいていただきまして、多分そう思っていらっしゃるのじゃないですか。そこを塩川財務大臣に聞けと言われましたが、財務大臣どうですか、私の意見、正しくないですか。

塩川国務大臣 よくわかっておりますけれども、しかし、この法律によって国会に報告する義務がきちっと付せられておるのでございますから、ですから、緊急の場合にはやはり政府が基本計画に基づいて出動できるようにしておいていただいて、必ずこれを国会に報告するという義務をつけておく、それで十分だろうと私は思っております。

安住委員 やはり、意外と本当にかたい答弁で、しっかりしているなと思いました。

 それでは、活動の地域、武器使用ということに入ります。

 今まで言ったのは、自衛隊ができるエリアというか、分野ですよね。しかし、その活動をするに伴う要件は、つまり活動地域と携帯できる武器という大きな問題があると思います。

 それでは、活動地域というのは法律上どういうふうにして決めて、具体的にどんな要件を満たさなければならないのですか。

中谷国務大臣 活動する地域におきましては、我が国の領域及び現に戦闘行為、これは、国際的な武力紛争の一環として行われる人を殺傷しまたは物を破壊する行為をいいますが、それが行われておらず、かつ、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる地域です。公海及びその上空、外国の領域、これはその国の同意が必要でございます。

 これが基本原則でありまして、実際にどこでという場合は総理大臣が基本計画をつくりますが、この基本計画の中に、実際にこの活動を実施する区域の範囲、それから区域の指定に関する事項、そして部隊等の規模、構成、装備、期間、これが定められます。それに基づきまして、自衛隊の活動区域につきましては防衛庁長官が実施要領を定めますが、これについても内閣総理大臣の承認を得て、防衛庁長官が実施する区域を指定するというような手順になっております。

安住委員 防衛庁長官、要するに、私どもも、やはり周辺事態法に準じた歯どめが必要だと思うのですね。つまり、他国の領域に踏み込んでいくというのは、やはりこれは大変なことですから、その国の同意が必要である。しかし、そこで私は大きな問題があると思うのです。

 例えば、仮に他国の指導者がそれを同意したとしても、それをもって、では派遣できるかというと、それは違いますよね。この要件を満たしたからといって、行くということにはならないですよね。行けるということにはなるけれども、行くということにはなりませんね。

中谷国務大臣 当然、おっしゃるとおりでありまして、同意というのは大前提であって、実際に効果的な活動を実施し、そして安全に実施をするということ、それから、国際社会から評価を受けて、各国からも称賛されるというか喜んでいただける、そしてその地域の国の人にも喜んでいただける、そういうふうな活動でございまして、受け入れ国の同意というのは大前提でございます。

安住委員 中谷長官、具体的な話をちょっと聞かせてもらいたいんですけれども、これは、一番多分問題になるというか、行くか行かないかというときに大きな問題になるのはパキスタンですよね。どう考えても、それはパキスタンを想定せざるを得ないと思うんです。これは国会ですから多分なかなかそうですと言えないので、あえて言うと、想定し得る可能性のある地域の一つにパキスタンがありますね。私は、それは認めていただかないといけないと思うんですけれども、いかがですか。

中谷国務大臣 大前提は、その地域が戦闘行為が行われている区域であるかどうかという点でございまして、実施する時期にその条件が合うかどうかということでございます。

安住委員 そこまではわかりました。

 そこで、福田官房長官、こういうことになるんじゃないでしょうか。現実論で言うと、やはり基本計画策定時における一番大きな政治決断をしないといけないのは、パキスタンがそういう地域であるかどうかということになってくると思うんです、私は。

 しかし、実態論として言うと、我が党でパキスタンの政府の高官と意見を交わしまして、そのときにも出てきた話なんですが、やはり難民というか、アフガニスタンから仮にこぼれてきた被災民の方を救う、例えばその人たちのためのキャンプ、被災民のための、これはかなりアフガニスタンに近い地域を想定せざるを得ないと私は思うんですよ。つまり、そこからかなり離れた、これも国民の皆さんに言うとわかりにくいんですけれども、アフガニスタンとパキスタンとの国境線からカラチという港はかなり離れていますね、かなり。日本列島の端から端以上、もっと離れている。

 つまり、そういうところでやれる行為というのは確かにあるかもしれないけれども、現実的には、もしこれから真冬になって被災民が出てきたら、多分アフガン国境のところまで本当に、被災民ですから、リュックサックしょって来るわけじゃなくて、やっとの思いでたどり着くのですよ。そこから先どこかに搬送するとなったら別だけれども、とりあえずそこがやはり活動拠点になるとすると、これはなかなか行ける要件、つまり他国の、パキスタン政府の仮に同意を得たとしても、現実論としてなかなか行きにくいんじゃないですか。いかがですか。

福田国務大臣 これから、実際問題、行ってどういう事態が起こるかわからない、そういう状況の中で、今防衛庁長官も慎重に答えまして、地名も言わなかった、国名も言わなかった、こういうことはあります。

 しかし、今具体的にお話がありまして、これは想像上の話ですよ、仮想上の話ですけれども、おっしゃるようなことになるんだろうと私も思います。思いますが、これも仮想上の話ですよ、もしその地域で何の騒動もない、紛争もない、全く安全だということが仮に確認されるということがあれば、それは活動範囲の中に入るのではないのかな、こういう感じはいたします。これはあくまでも仮定の話で、安全度の問題もありますのでね。

安住委員 だから、官房長官、実のある議論をしたいですよね、仮想でなく。(発言する者あり)もうじきできる。できるためには、国会で基本計画の承認をするための質疑をやはりした方が、私は、仮想の、架空の話じゃなくて、実質的な議論が国民の皆さんの前でできると思うんですけれども、いかがですか。

福田国務大臣 今仮想の話と、こう申しましたけれども、これも仮想の話で、そのときに、例えばUNHCRのような国際機関から要請がなければいかぬ、こういう問題もあるわけですね。その地域でというようなこともあるでしょう。どういう内容のものかということもあるでしょう。それにこたえてやるということですからね。それがいつできるかということもあるんですよ。

安住委員 私は、派遣できる自衛隊の地域が他国の領域になったということは、これは本当に歴史的なことであります。しかし、何も侵略を目的に武力行使に行くわけじゃありませんから、しっかりとした歯どめをかけて、被災民の支援をやるために、あえて言えば、民間の方々が積極的にやっていらっしゃる、しかし、どうしても民間の方ではできないところで自衛隊というものを、今持っている自己完結型のそういう活動体を国家として派遣することで被災民の方々に貢献できれば、それはそれでいいと思います。

 しかし、逆に言うと、何が何でも自衛隊を行かせるという発想ではなくて、自衛隊でしかできない地域というのを、また要件というのを、これはしっかりと、具体になったときに、ぜひ総理、国民の皆さんにわかるように、なるほど、こうであれば自衛隊だなここはというところをやはりお示しをいただかないといけないと思いますが、いかがでございましょうか。

小泉内閣総理大臣 これは、先ほどから申し上げているとおり、今回は、自衛隊も新しい任務を担うことができるという法律であって、自衛隊じゃなきゃいけないということじゃないので、民間の方々がやっているところに自衛隊が出た方が好ましいという場合もこれから将来出てくるかもしれない、それに備えての法案である、だから、できるということとやらなきゃいかぬということとは別だ、そういうことで御理解をいただけるんじゃないかと思います。

安住委員 もう国会承認のことは申しませんけれども、だからということを私どもは申し上げます。

 そこで、武器使用の問題になるわけです。つまり、持っていく武器、そしてそれを使用するための基準ということはあります。まあこれまで本当に、PKO協力法のときも神学論争的なことをずっとやってきたわけですが、しかし私は、これは当たり前だと思うんですよ。武力行使と一体とならないように抑制的に武器を使用することによって、なおかつ、みずからを守っていくということがやはり大前提としてあると思うんですね。

 そこで、法制局長官、これまでの自衛隊の武器の使用のできる範囲というのは、どういうふうな認定の仕方をしていましたか。例えば自衛隊法上は、さらにPKO協力法、そういうところではどういうふうな武器使用の基準を定めておりますか。

津野政府特別補佐人 自衛隊法とかPKO法とか、それから周辺事態法とか、いろいろな法律が自衛隊の関係で武器使用ができるという規定を置いてございます。ただ、その場合で、委員がお尋ねの点は多分、PKOとか、それから自衛隊の百条の八とか、それから周辺事態法とか、そういうたぐいのだろうと思いますけれども、それでよろしいですか。(安住委員「はい、簡単に」と呼ぶ)あと、もちろん武力、防衛、実動のときとか……(安住委員「まだそこまで聞いていませんから」と呼ぶ)そっちは関係ないんですね。

 それで、武器使用の根拠規定についての基準とか対象とかのお話でございますけれども、まず、これは一番最初にこういったたぐいで規定が設けられましたのがいわゆるPKO法でございますけれども、これは二十四条の第三項におきまして、自己または自己とともに現場に所在する他の自衛隊員もしくは平和協力隊員の生命、身体を防護するためやむを得ない場合。

 それからもう一つは、自衛隊法第百条の八というのがございますが、その第三項におきまして、邦人輸送の職務に従事する自衛官につき、自己または自己とともに当該輸送の職務に従事する隊員のほか、その保護のもとに入った当該輸送の対象である邦人もしくは外国人の生命、身体の防護のためやむを得ない場合。

 それから三つ目に、これもいわゆる略称でございますけれども、周辺事態安全確保法及び周辺事態船舶検査法は、後方地域支援としての役務の提供の職務あるいは後方地域捜索救助活動における遭難者の救助の職務、及び船舶検査活動の対象船舶に乗船してその職務を行うに際して、自己または自己とともに当該業務に従事する者の生命、身体の防護のためやむを得ない場合に、それぞれ必要最小限度の武器使用権限を認めておる。これらはいずれも自己保存のための自然権的権利というべき性格を有するものであると説明してきているところでございます。

安住委員 つまり、自己防衛といいますか正当防衛、ちょっと余りこの話は専門用語を使うと国民の皆さんわかりにくいので、緊急避難ということをPKOの場合であれば言っている。

 それで、自衛隊法の例えば百条の八では、輸送業務をやっているときに、その輸送を自衛隊員がやっていて、その保護下にあった人についてもこれは武器の使用を認める。しかし、今回のものは明らかにやはり今までとは違うんだと思うんです、私は。そう思っています。

 なぜかというと、自己はいいんです。自己、つまり自分。自衛隊員の方が自分。しかし、次のところ、自分の管理の下に入った者のために合理的と思われる武器の使用を認める。これは今までの――私どもが言っているんじゃないですからね、これは言っておきますけれども。法制局が言っているんですから。法制局は、今も長官がみずから言ったように、自然権的権利ですか、それをずっと言い続けたんですよ。

 だから、PKOの五原則があって、PKFの本体業務の解除を早くやって国際貢献をすべきだって我が党は去年からずっと言っている。しかし、なかなかその法案が現実にならない。なぜですか。つまり、今までこういう概念で、本当にPKOでやってもらうときに、やはりなかなか武器使用の問題で憲法上クリアできない問題があったからです。しかし、言っておきますけれども、長官、これはあなた方が決めたんですよ。

 では、今回なぜ、自己の管理のもとに入った者、と言うとテレビの方はわからないので、これは人のことです。なぜそこまで広げることができたんですか。法的な根拠をちゃんと明らかにしてください。

津野政府特別補佐人 本法案に基づく活動に際しまして自衛官の武器使用を認めましたいわゆる根拠でございますけれども、これは、この法案に基づくいろいろな活動におきましては、例えば傷病兵とか被災民の治療とか、戦闘員の輸送とか、国際機関や各国との連絡調整や通訳とか、あるいは宿営地への物資搬入とか国内外からの視察者など、活動の実施を命ぜられました自衛官が職務を行うことに伴い、非常に幅広い場面で自衛隊員以外の者とも活動することがあり得るということがまず想定されるわけであります。

 このような自衛隊員以外の者が、例えば自衛隊の宿営地、診療所、車両内、航空機内といった、自衛隊員が秩序維持、安全管理を行っている場に存在する場合、あるいは通訳、視察員、視察者、連絡員等が自衛隊の職務に伴い同行しているような場合、こういった場合に不測の攻撃を受けることもあり得るということも考えられるわけであります。

 そして、このように不測の攻撃を受けた場合にも、当該自衛官とともに行動して対処せざるを得ない立場にあると考えられます自衛隊員以外の者が、自衛官とともに共通の危険にさらされた場合に、その現場におきまして、その生命、身体の安全確保につきまして自衛官の指示に従うことが期待されるというような関係にあるときにおきましては、当該自衛官において自己とともにその者の生命または身体を防護するために武器を使用することは、なおいわば自己保存のための自然権的権利というべきものと考えられるということで、このような関係にある人を、法案において、「その職務を行うに伴い自己の管理の下に入った者」といって表現しているわけでございます。

安住委員 法制局長官、何か元気がないんですね。もにょもにょとしゃべって、やはり都合が悪いからかどうかわかりませんが。

 あなたの今おっしゃっている話でいったら、私の認識では、それは正当防衛と、今までの概念と何も変わらないじゃないですか。緊急避難でしょう。何でこれはあえて自己または自己の管理のもとに入った者という話になるんですか。ちょっと違いますよ、それ。あなた、そういう概念で言うんだったらば、あえてこの法律にこういうことを付記すること自体、法律家としてはおかしいんじゃないですか。

津野政府特別補佐人 当然、法律の条文上、例えば第百条の八というような場合には、第三項におきまして、

 第一項に規定する外国において同項の輸送の職務に従事する自衛官は、当該輸送に用いる航空機若しくは船舶の所在する場所又はその保護の下に入つた当該輸送の対象である邦人若しくは外国人を当該航空機若しくは船舶まで誘導する経路においてその職務を行うに際し、自己若しくは自己と共に当該輸送の職務に従事する隊員又は当該邦人若しくは外国人の生命又は身体の防護のためやむを得ない必要があると認める相当の理由がある場合には、

ということで、ここで、隊員と、自衛官と、自己とともにある、現場にある、自己とともに当該輸送の職務に従事する隊員と、それからその保護の対象となっている邦人と外国人、これを、何といいますか、何か緊急のいろいろな事態が起きましたときに、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度で武器を使用する、身体を防護するために武器を使用することができるということを規定しているわけですね。

 ですから、要するに対象の範囲として、考え方は、しかも、このただし書きで、刑法第三十六条または三十七条に該当する場合のほか、人に危害を与えてはいけないということに、これは危害要件と言っていますけれども、危害要件をつけ加えているわけですね。だから、武器を使用する場合は、正当防衛に当たる場合以外ももちろん、ただし書き以外の場合もありますから、正当防衛とか緊急避難の場合以外も当然あるわけです。

 ですから、先生がおっしゃるように、正当防衛とか緊急避難の場合じゃないと武器が使用できないなんということはありません。それは、人に危害を加える場合にだけ、正当防衛とか緊急避難の要件に合致しないと人に危害を加えられないと言っているだけでありまして、例えば、地面を撃って威嚇するとか、それから、物を撃って、要するに人に危害を加えないように、ほかの射撃方法で、いろいろなことで武器を使用することは、この前段のただし書き以外の本文の方で当然できるというふうに考えられるわけです。

 そこのところは、現在の規定ぶりと今回の規定ぶりと、膨らましただけですから、ですから、追加しただけですから、何も基本的な考え方は変わっていないのです。

安住委員 それはおかしいですよ。膨らましただけだと言ったけれども、膨らますということが大変なことだと言っているんですよ。

 いいですか。自衛隊法の百条の八をあなたは引用なさいました。だから、それは認められているんですよ。しかし、それは輸送業務に当たった保護の者なんですよ。そうですよね。それを我々は別に否定していないんですよ。つまり、そこまでだと。だけれども、逆に言ったら、それ以外、それ以上は、今まではだめよという話だったんです。

 今度は含むわけですよ、管理に入った者を。(発言する者あり)それは、必要だからという話にはならないですよ。法律的に膨らませた根拠を示さなければおかしいですよと言っているんですよ。法治国家だからですよ。そうでしょう。膨らましたということは、何で膨らましたか法律上なければ……。

 いや、つまり、これは何でこういう話になるかというと、やはり武力行使との一体を避けると総理は再三おっしゃっているんですよ。我々はそう思いますよ。しかし、交戦というのは思わぬ状況になる可能性があるから、こういう宗教論争みたいなことをずっとやってきたんですよ。しかし、それをいきなりあしたから変えましたとは、国家の重みからいったってあり得るわけはない。ちゃんと法律的にやはりそこは証明してください。

津野政府特別補佐人 非常に、何といいますか、膨らましたというのは語弊がございますが、その部分は取り消しますけれども、対象が、者が、自己が職務を、自己とともに現場に所在する隊員で、自己とともに現場に所在する他の自衛隊員、もしくはその職務を行うに伴い自己の管理のもとに入った者という場合には、これはまず、現場に所在しているという条件がまずございます。現場に所在する条件があって、かつ、その職務を行うに伴い自己の管理のもとに入った者ということでございますから、まず、自衛官で、PKO法でございますと、現場に所在する他の自衛官とか、そういう要件で、従来はその他の自衛官は、自己以外でも、他でありますけれども、いわゆる防護対象として加えられてきている。

 今回の場合、そこが、自衛官のほかに、その現場にいる、自分と一緒に、いろいろと職務を伴うに際して現場にいる人、そういった人たちについては、自然権的な権利として、その生命、身体、そういったものを防護するということは、いわゆるこれは一番最初に武力の行使とそれから武器の使用という関係で政府が、我々が説明した範疇内に入る問題でありますので、それが法律的に、何といいますか、おかしい、問題があるというようなことでは全くないというふうに考えております。

安住委員 この話をやっていると、もう二時間も三時間もなっちゃいますから。あなたの答弁聞いていてもしようがない。後で議事録をしっかり読んで……(発言する者あり)静粛にしてください。議事録をしっかり読んで、また私の方で質問します。

 しかし、いいですか。つまり、私は反対しているんじゃないですよ。逆に言うと、これは総理になるかもしれません、長官に話してもしようがないもの。

 つまり、これ、本当に自衛隊が、例えばPKO協力法でもそうなんですよ、しっかりとした活動をするのに、こんな武器の使用の話でやれますか。逆に言うと、国際標準という話がありましたね、それをしっかり持たないと、やるんだったらそれぐらいのことをやはりやるという話になるんですよ。あなたが言っている話でいったらば、ここまでできて、そこまでできませんという話じゃないですか。

 つまり、私が言っているのは、やるんだったらばそれなりの根拠を示してくださいということですよ。いいですか。いや、あなたの答弁求めない。もう時間ないから。

 つまり、それなりの答弁を求めないと、この法案でいうと、国民の皆さん聞いていて、いかにも、被災民を守れるかというと、これは自己の管理、つまり、例えば自衛隊が仮にキャンプを張って、被災民の方を支援する、守ると。長官、例えばそのちょっと離れたところにいる被災民が襲われた場合は、この場合だって守れないですよね。(発言する者あり)守れないですよね、入ってくればいいじゃなくて。

 状況として、総理、テント張りました、活動しています、この中の人たちは多分守れるということになると思います。その例えば十メーター先、二十メーター先にも難民はたくさんいる、そこが攻撃されたり何かあったときには守れないということになるわけですね。そういうことですね。

津野政府特別補佐人 宿営地の外にいる、それがどこの範囲まで、例えば百メートル離れたらどうかとか千メートル離れたらどうかとか五十メートル離れたらどうかとか、いろいろな想定はあり得るわけですけれども、御承知のように、十メートル離れたら関係がないかどうかといいますと、それはまさに、先ほど言いましたように、その職務を行うに伴い自己の管理下に入った人というものに当たるかどうかということで判断するわけでありますから、十メートル離れている人がそういう状況にあり得るかどうかというのは、また具体的な状況を見なければわからないということはあります。

 だけれども、それに入れば、今回は、もしそれに当たればいいということになり得るわけでございますので、それは一概に、十メートル離れているからだめとか、そういう話だけでは済まないということであります。

安住委員 私は、もともと法制局長官は官僚の出身だけれども、それがまるで不磨の大典のようにがんとはびこって、はびこるという言い方、そうですね、立ちはだかって政治論をある種規制してきたやり方というのは間違いだと思いますよ。おかしいですよ、総理。逆に言うと、法制局長官は政治家でもいいじゃないですか。私はそう思っているんですよ。

 いかがですか、総理。武器使用のことはもうしません。しませんけれども、やはり法律をしっかりと納得できる形でやらないと、逆に言ったらば、今度は、ではバズーカ砲はいいのか、戦車はいいのかという話までやりたくないから私は言っているんですよ、そういう神学論争みたいなことを。常識的に、派遣した自衛官が仮に行ったとすれば、それは常識の範囲内でしっかりと任務を遂行できるだけの法律的な担保を与えるのが、総理、あなたの責任だと思いますけれども、いかがでございますか。

小泉内閣総理大臣 そのとおりで、もう神学論争をやめようと私は言いたいぐらいなんですよ。近くの仲間が危機に瀕して、自然の常識で助けることができるんじゃないかと。その場合には、この武器はいけない、あの武器はいけないというよりも、最初から決まっているんだから、武力行使はしない、戦闘行為には参加しない、そこはもう常識でやりましょうと。

 そういうことで法律をつくっているんですから、それは法律の条項で、法律をどう解釈するんだ、十メートル離れていたらいいけれども五十メートル離れていたらだめだとかいうのは、もうそういうのはやめようと。そこら辺はある程度現場の指揮官に判断できるのではないか。また、そのような判断を与えることができるために枠組みだけはしっかりつくっておこうというのが大事であって、これをやり出したら切りがないんですよね、だからそれは、御意見は全く私は同感な面が多いんです。

安住委員 総理、内閣法制局はあなたの統理のもとにあるんですから、あなたがやれることはたくさんありますよ、もし本当に私と同じことを言っているのであればですよ。

 私はぜひ、そういう意味では、PKO協力法でPKFというのは今凍結されているんですよ。Fというのは当てはまるかどうかわからないけれども、これは、アフガニスタンの戦後のことを言ったら大変恐縮ですけれども、トータルでいうと、戦闘状況にある中でのことと別に、アメリカのアーミテージ国務副長官も言っていますけれども、多分、我々がやはりやらないといけないことというのはたくさんあるわけです、戦後、地雷の除去を含めて。そういうときにまたこの話をする。しかしこの話をさせてきたのは内閣法制局を含め役人ですから、つまり政治の責任でこれからやりましょうということなんですね。そのことだけ申し上げておきます。

 自衛隊法の改正については、あした我が党の同僚議員がやりますが、一つだけ申し上げます。

 これは具体例で言います。今度のことでいうと、自衛隊が警護出動で守れるのは米軍の施設と自衛隊の施設ということになります。しかし総理、もう私は時間がないのであと二問ぐらいしか質問できないので、ある例を言いますね。

 今、日本の自衛隊の基地というのはほとんど住宅地と隣接したところが多いんですよ。駐屯地というのが多いんですよ。私の地元だってそうなんです。隣はもう住宅で、三百メーター離れたところに例えば町役場なんかあるんですよ。

 私はこの法案のレクを聞いたときに一言だけ聞いたんですよ、防衛庁に。防衛庁、この法案でいうと、自衛隊の基地は守れるんだというんですね。襲撃を受けて、例えば警護出動にして、この法案で。では、隣の民家ないし町役場が同時に被害を受けたときはどうなんだと言ったら、守れませんというんですよ。それは本当に警察のやることだというんですよ。こういうのは、本当に納税者に対して、こんな改正案というのはいいんですか。(発言する者あり)いいんだというふうに久間さん言いましたけれども。

 我が党はこのことに疑問を持っているんですよ。だって、それは総理、常識で考えてくださいよ。沖縄の皆さんだっています。だって、自衛隊の基地が仮に襲撃されて、付随して隣の家や町役場や公的施設も一緒にやられたら、それは助けないといけないというふうに思うんだけれども、助けられないんですね。総理、これ、どうですか、私の問題意識。

小泉内閣総理大臣 そのときがもう手に負えない状態、いわば治安出動が必要という場合は自衛隊が活動できるんですよ。しかし、そうでない場合は、警察でできる場合は警察でやるというのがそれは自然ではないのかということで今の現行法になっているんですから、それはそれで私はいいのではないか。

安住委員 つまり、これは警護出動という概念を新たにふっと持ってきましたけれども、やはり警察のやれる範囲、警察がどこまでやれるか、そしてまたその上に治安出動があるわけですね。それは多衆集合とかいろいろなことが時代に合わなくなってきたんです。だから、例えば治安出動の出動概念を見直すという方法もあるんですよ。そうでなければ、警護出動という概念をその中間にすっと持ってくるのであれば、それなりの根拠が私は必要だということを問題提起しておきます。

 最後に、これはあした多分あると思いますので、最後に外交努力の問題ですね。

 やはり日本は、キリスト教を中心とする国家群と例えばイスラム教徒の多い国家群とは全く違う国家形態、私は、民族の宗教観も違うと思うんです。だからこそ、逆に言うと、やはり今後やれることというのはいろいろ出てくるんです。私は、やはりジャパン・イニシアチブ、つまり日本は平和貢献をしっかりやっていく、そのためにやはりやらないといけない。

 今度のテロ事件がどれぐらい長くかかるかわからないけれども、いろいろなことが私はあると思いますので、外交努力をしていくんだというお気持ちを最後にお聞かせいただいて私の質問を終わりたいと思います。

田中国務大臣 長時間にわたって本当に安住委員からいろいろと勉強もさせていただきましたし、やはり幸せのために、世界の平和のために頑張らなきゃいけないと思っています。

 常日ごろ、私は文化の多様性というものは人類の財産であるというふうに思っておりますので、お互いこの地球上に生きている人間が幸せになれるように、譲るべきは譲り、そして理解をして、共生できるように努力をいたしたいと思います。そのために頑張ります。ありがとうございました。

安住委員 長時間にわたってありがとうございました。

 終わります。

加藤委員長 次に、桑原豊委員から関連質疑を求められております。鹿野さんの範囲内でお願いします。どうぞ。

桑原委員 民主党の桑原でございます。

 安住同僚議員と項目的にはダブるところがかなりございますけれども、少し角度を変えて質問をさせていただきたい、こういうふうに思います。

 まず最初に、今度のこの新しいテロ対策の新法でございますが、自衛隊というものを海外に展開をする、こういう内容になっております。従来から、自衛隊を海外に展開するに当たっては、その根拠というものがいかなるものかということが大変重要であったろうというように思います。

 そこで、自衛隊を海外展開するという、もちろん武力行使を伴わない、あるいは武力行使と一体化をするようなことはやらない、こういうことでございますけれども、この新法のいわゆる根拠というものをどのようなものとして考えておられるのか、このことを総理にお伺いしたいと思います。

福田国務大臣 この法律の根拠ということでございますけれども、これは、九月十一日に起こりましたテロについて国際連合で決議をしている、安保理で決議をしているということがございます。そしてまた、政府としても、国際的なテロリズムの防止及び根絶のための取り組みに我が国として主体的かつ積極的に寄与する、こういう立場に立ちまして、憲法の範囲内で、憲法の範囲内でもってできる限りの支援、協力は何かという観点から検討を行ってきたものであります。

 周辺事態安全確保法とか国際平和協力法とか、そういうような法律はございます、既存の法律はございますが、その改正とかそういうことでは必要な措置を講じるということは困難であるということから、このテロ対策特別措置法案というものを提出させていただいたというわけでございます。

桑原委員 私は、自衛隊を海外に展開していくということについては非常に重いものがあるというふうに思っております。

 例えば、周辺事態安全確保法の場合は、これはその事態を放置しておくならば日本の有事につながるような、大変日本の平和と安全にとって重要な影響を及ぼす、そういう事態だということで、自衛隊の活動をいろいろ認めていく、アメリカ軍への協力を認めていくという形をとっております。これは、一つのやはり根拠は、日米安保条約というものがあって、そのことをどう効果的に運用していくのかというのが一つの私は根拠になっているというふうに思います。

 それから、PKO法の場合は、これはやはり国連憲章、そしてそれに基づくさまざまな決議によって、国際的な平和と安全というものをどう守っていくのかという大きな一つの根拠があるであろう、こういうふうに思うわけです。

 そこで、今お話しになられましたのは、いわゆる国際協調のもとで新しいそういったテロというような、ある意味では人類、世界全体に脅威を及ぼすようなことに対してどう対処していくかということの中で出てきたものだというふうに言われるわけですけれども、確かにその事態は私はそのとおりだと思います。

 そして、いわゆる国連決議、安保理の決議も一三六八という形でそれが出されているわけでございますけれども、私は、その決議を見たときに、その決議だけでは極めて不十分ではないかというふうに思うわけです。

 なぜかと申しますと、確かに、テロに対して厳しい非難をし、そのことについて国際的に一致して対応していかなきゃいかぬ、こういうふうには述べているわけですけれども、そして、集団的なあるいは個別的な自衛権の行使というものを認識している、こういう表現になっているわけですが、具体的に、いわゆるこのテロの張本人と申しますか、そういう犯人というものがこの決議の中では特定されておりません。

 そして、国際的な連帯した活動についても、いろいろな必要に応じて手だてを尽くす用意がある、手順を踏んでやっていくんだ、こういう決意は述べられておりますけれども、具体的に、では、国際連帯のもとで、国連のもとでこういった行動をみんなでやろうじゃないか、このような具体的な提案は、そういう提起はこの決議には盛り込まれていないと私は思うんです。

 その点についてどういう認識をされているのか、お伺いをしたいと思います。

福田国務大臣 今おっしゃった、私も申し上げました国連決議一三六八号、これには犯人が書いていないというわけですね。ここでは、九月十一日、ニューヨーク、ワシントンで起こった、またペンシルベニア、そこで起こったテロということで、事件は特定しているわけですよ。そして、事件の犯人というものも、いろいろな情報でもって証拠があるということになっておるわけでございまして、そういう犯人が国際の平和及び安全に対する脅威である、この脅威を絶滅させるため、もしくは抑止するためというようなことでもってこの活動が行われる。そのための活動を規制するのがこの法律でございます。

 もちろん、この法律は、そういう国連決議もございますけれども、国連憲章の目的にも合致している、こういうことでございます。

桑原委員 この決議は、国連憲章の五十一条の、いわゆる国連が具体的に対応措置を決めるまでの間に出された決議だというふうに私は理解をしております。そして、我々が根拠として、何らかの行動を国際的な協調に求めてやるとすれば、国連における対応措置が具体的に決定をした、そういう根拠によってやるべきだというふうに思いますので、そういう意味では、この決議というものは直接の根拠にならないんじゃないか、今度の事象は特定しておりますけれども。

 そしてまた、その間のアメリカの個別自衛権の問題でありますとか、あるいはNATOを中心にした集団的な自衛権のそういう認識は示しておるわけですけれども、具体的な国連の対応措置というものは私はここでは決められていないのではないか、こういうふうに思うんですが、どうですか。

福田国務大臣 この決議自身は、何々をしなさいということは書いてありません。あえて言えば、あらゆる必要な手順をとる用意があることを表明するというようなことが末尾に書いてございます。しかし、それはそれとして、そういう決議、そしてまた国連憲章上も五十一条、おっしゃいました、もう委員もよく御存じのことで、私からこれ以上言うこともないんじゃないかと思うんだけれども、それに基づいてアメリカが自衛権、個別自衛権を発動する。そして、それに対してNATOなども集団的自衛権を発動して、そしてこの撲滅のために協力してやろう、こういうことでございますね。

 テロを撲滅しよう、絶滅させよう、そういう意思については我が国、日本も全く変わらない立場にあるんだ、こういうことでありますので、我が国は我が国として、できる範囲でもってこの国際的な協力に賛成しよう、そしてその活動に参加しよう、できる範囲でですよ、もちろん。そういうことでもって、その活動を規制しよう、規定しようということでつくるのが今回の新法案であります。

桑原委員 それでは、官房長官は、これは対応措置までも含めて国連が明らかにした決議だ、そういうふうに認識をされておられるということですか。(福田国務大臣「何ですか、何を」と呼ぶ)

 いわゆる国連としての対応措置を具体的に提起した、そういうことも含めた決議だというふうな理解だということでありますか。

福田国務大臣 ですから、その決議には、何々をしなさいということではないと思います、具体的に。具体的にこういうような方法でもってやりなさいということを言っているものではないというように私は思っております。

 しかし、その後の活動は、各国の活動は、これはテロを絶滅させようという国際世論と申しますか、国際的な諸国の考え方に基づいて行われていることであるということであります。

桑原委員 どうも何かかみ合わないところがあるようですけれども。

 外務大臣、今のやりとりをお聞きになっておられたと思うんですが、大臣はこの一三六八というのをどのような性格を持った決議だと。

 私は、先ほど申しましたように、これは国連が具体的な対応措置を決めるまでの間の一つの決議だ、こういうふうに認識をしておるんですが、大臣は、いわゆる国連憲章五十一条の、そういう具体的対応措置を決めた内容を含んだ、そういうものであるというふうに認識をされるかどうか。そこら辺、どうでしょうか。

田中国務大臣 今回の我が国の支援が、要するに武力の行使を伴うものではないということから、そもそも国連決議を必要とするものではないということは御理解いただけていると思うのですけれども、基本から申しますと、今回の多発テロ、これを受けまして国連安保理において、この決議のことですけれども、加盟国の個別的または集団的自衛権を確認しているということがありますね。そして、今回のテロを国際の平和及び安全に対する脅威であるということを認めているということ、これは午前中も申し上げたと思いますけれども。三点目が、テロの実行者、支援者等の処罰。テロ行為の防止、抑圧のための国際社会の努力を求めることなどを内容とする決議であります。これが採択されているわけですね。

 ですから、我が国は、今回の事態がこうした安保理の決議によりまして国際の平和とか安全に対する脅威と認められたこと、さらには、累次、安保理決議がいろいろされていますけれども、それが国際テロリズムの防止、今回のような国際テロリズムの防止等のために適切な措置を求めていることを踏まえて、日本は主体的に支援を行うことを決定しているという関連になります。

桑原委員 そうしますと、今のお答えの中で大臣は、自衛隊の海外展開による行動は武力行使を伴わないんだと。一体化もしないということは言わなかったけれども、そういうことなんだと。だから、いかなることをやるにしても、国連決議というのは必要条件ではないんだ、こういうことでよろしいんですか、今回のこれも含めて。

田中国務大臣 我が国は憲法の範囲内で行うわけですから、武力行使はいたしませんし、今までの、過去、今回を入れて六本になりますでしょうか、この国連決議で十分であるということでございます。

桑原委員 それではもう一度、新法の根拠についてただしたいと思うんですが、総理は、時々の御答弁の中で、いわゆる憲法のいうところの前文での国際協調主義といいますか、そういうものもこういうことの一つの根拠になり得るんだというような趣旨で発言をされておるようですけれども、そのことについてどうでしょうか。

小泉内閣総理大臣 憲法前文の趣旨、当然配慮すべき一つの要素だと思っております。

桑原委員 それもまた、ある意味ではこの法律の考え方の根拠をなすものだ、そういうふうな理解でよろしいのですか。

小泉内閣総理大臣 憲法の範囲内でありますから、憲法をよく読んで、当然、その趣旨をいかに生かすか、それに苦労と知恵を重ね合わせて練り上げたというのが今回の新法であるということを御理解いただきたいと思います。

桑原委員 私は、先ほどから、周辺事態法は安保という一つの後ろに控えた大きなものがある、それから、いわゆるPKO法は国連憲章あるいは諸決議というものがある、これは一体どうなんだ、こういうふうに聞いているわけですが、それは国連を中心にした国際の協調、連帯ということなんだということで、非常に抽象的なお答えなんですけれども、こういう別建ての根拠がある、そういうものがないというふうなことでよろしいのですか。

小泉内閣総理大臣 別建ての理由がないという点がちょっとわからなかったのですが、もう一回話していただけますか。

桑原委員 自衛隊というものを海外に展開していく、法律をつくれば、憲法の武力行使に触れないのなら、その法律を根拠にして自衛隊はできるんだ、そういう考え方で来ておられるわけですけれども、私は、あくまでも自衛隊というそういう重い存在を、特に海外に展開していくというようなことになれば、やはりそういう、その法律そのものの根拠を別建てに、しっかりした物の考え方がバックボーンにあって、そしてそういうことでこの新法があるんだというところが私は必要ではないかと思うのです。

 その点が、例えば今回のこの国連決議にしても、直接的にはそれになり得ないのではないか。あるとすれば、もう一つ具体的な措置を含めた新たな決議というものが必要ではないのか。あるいは、私は考え方として、総理が言われる、いや、これのよって来るところは憲法の国際協調主義なんだよと言うなら言うで、それも一つの考え方としてはあり得ると思いますけれども、そういった別建てのしっかりしたバックボーンはないのかということをお聞きしているのです。

 それで、一三六八では弱い、非常にそういう意味ではバックボーンになり得ないということを私は申し上げておるのですけれども、もう一度御返事願いたいと思います。

福田国務大臣 今度の九月十一日にあのような残虐非道のテロが起こらなければ、このような法律は必要なかったんですよ。新しい役割を日本が担おうということだろうと思います。憲法の枠の中で新しい任務ができたというように考えてもいいんではないかというように私は思っておるのであります。

 そこで、国連決議との関係では、国連決議でもって、国連の場において決議をされたわけですね。このテロの問題が平和に対する脅威になるとかいったような決議がなされたわけでございまして、そして、その犯人がだれであるかということも、別の証拠というものがありまして、それで特定されているわけでございます。

 そういう状況の中において、テロを何とかして絶滅させよう、もしくは抑止しよう、こういう目的を持って何らかの活動をしようということが今回の我々の日本の活動、これからやろうという活動でございまして、これは全く新しい任務なのでございまして、今まで想像していなかったんですよ、はっきり申しまして。だけれども、それは、あくまでも憲法の枠の中でやる活動であるということで御理解できるんではないでしょうか。

桑原委員 決議がなされて、その後犯人を特定した、そして支援者や支援組織というものも目星がついた、そしていろいろな国際的な協調の活動が行われているんだ、既に事実はそういうふうになっているんだからそれでいいじゃないか、我々もそれに一緒に加わってやっていくんだということなんです。

 私は、先ほどからくどいように言っておりますけれども、自衛隊をそういう形で、海外に異例な形で展開をしていくということであれば、そういった一つの事実というものをしっかりまとめた新たな国連決議というものを必要とするんではないか、そのことがあって初めて新法の裏づけもしっかりするんではないかというふうに私は理解をしております。

 ただ、犯人の特定だというふうにも言われましたけれども、犯人は本当にそうだというふうに言われてはいるわけですけれども、先ほど来のお話でも、そこが確かなものかどうかというのは、まだ我々の段階にもしっかりした裏づけというのは明らかになっておりません。そういったことも一三六八の中では全然触れられていないわけですから、そこら辺もやはり考えますと、どうもそういった根拠という点では弱いのではないかというふうに私は思います。

 そこで、今回のこのテロ行為に対する反撃ということでアメリカはみずからの個別自衛権というものを行使した、こういうふうに言って既に報告をしております。それからイギリスは、同じくアメリカと一緒に戦ったわけですけれども、これはいわゆる集団的な自衛権だと。そして、NATOの国々も、いち早く集団的自衛権を行使する用意があるということを言明して、既にそういう態勢に入っている。カナダも、何か新聞では相当数の兵員を送り出すということで行動するということですけれども、カナダの場合は、外務大臣、これは集団的自衛権の行使なんですか。これはどういう名目になるんですか。

田中国務大臣 集団的自衛権でございます。

桑原委員 さまざまな世界の国々が、軍隊を出すところもあれば、日本のように、そういうことではなしに、軍隊は出すけれども、軍事力を行使するような形はとらないという、そういう支援をするというところもあります。いろいろな、さまざまなやり方の支援があるわけですけれども、日本のような、軍隊は出すけれども、そういう実力の行使はしないというような、同じような内容の支援をする国というのはほかにございますか。あるいは、個別でもない集団でもない、自衛権の行使でもないような形で行動をするというふうなところはあるんですか。

田中国務大臣 日本は日本の独自なものではありますけれども、NATOでも、イギリスとか、今現在イギリスが加わっていますけれども、ほかの、武力行使を今後しない国は同じであるというふうに思います。

桑原委員 ちょっと今の答弁はよくわかりませんが、イギリスは武力行使をしましたね。いや、だから、ちょっともう一度。

田中国務大臣 先にイギリスと言ったので思い違い、ちょっと聞き間違いなさったかと思いますが、NATO諸国の中で、イギリスのように、今現在武力行使を一緒にやっていますね、アメリカと。それ以外の国ということでございます。

桑原委員 それ以外の国は武力行使をやっていない、集団的自衛権の行使をしていないという、そういう意味ですか。

 私の聞きたいのは、日本のように、集団的な自衛権の行使でも個別自衛権の行使でもなく、武力を行使しないという形で軍隊を出して、軍隊というか自衛隊を出して、まあほかの国でいえば軍隊になるんでしょうけれども、そういった支援活動をやっているようなところはありますかと聞いておるのです。

田中国務大臣 NATO諸国の中にも、日本のように、武力行使をしないで、それで協力をする国というのもあります。

桑原委員 その国はいわゆる集団的自衛権を行使しているのか、していないのか、それはどうなんですか。日本の考え方でいえばしていないことになるんでしょうけれども、それはどうなんですか。

田中国務大臣 集団自衛権はあるけれども、今やっていない国ということです。

桑原委員 日本のようなそういう集団的自衛権が認められていない国というのは、恐らくほかには余りないんでしょうけれども、いわゆる日本のような形で非軍事の支援をしている国というのはたくさんあるということですか。

田中国務大臣 だから、集団的自衛権がないのは日本ですが、NATOの国の中で、それがあってもそれをやっていない国のことを言っているんです。ですから、先ほどのことをもっとゆっくり言います。NATO諸国の中には、日本のように、武力行使をしない、しないけれども協力をする国というのがあると申し上げているのです。

桑原委員 私は、日本のようなこういう支援のあり方というのが世界的に一体どういう形で行われているのかということを、まあ日本の場合は今回初めてなわけですけれども、どういう形で行われているのかということを聞きたかったわけです。

 それで次に、新法の目的についてお伺いいたします。

 私は、先ほどもちょっと議論になりかけたんですが、この新法の「目的」の中に、最初は、九月十一日のテロ攻撃に対するこれは法案なんだ、法律なんだ、こういう出だしではあるわけですけれども、そして、その根拠的なものとして一三六八国連決議などを挙げているわけですが、途中に「あわせて、」ということで、一二六七、一二六九、一三三三、要するに、アメリカがかつてケニアの大使館を爆破された、あるいはタンザニアの大使館が爆破された、そういったことなども含めた決議というものをあわせてこの「目的」の中に出しているわけですね。

 そして、そういったことにかんがみて云々と続いて、我が国を含む国際社会の平和及び安全の確保に資することが目的だ、こういうふうに「目的」には、十一日のテロだけではなしに、あるいは一三六八というその国連決議だけではなしに、さまざまなことが書いてあるわけですけれども、目的がぼやけてしまうんじゃないのか、目的が広くなり過ぎるんではないか、こういうふうに思うんですが、この表現はどうなんですか。

福田国務大臣 これは、確かにそういう決議、列記してございますけれども、国連決議千三百六十八号において脅威と認められたことを踏まえ、こういうことでございまして、これがやはり大きな一つの中心的なテーマだというように思います。あわせて、その他がございますけれども、これはそれをサポートするような立場にあるんではないかというふうに思っております。

桑原委員 そういう位置づけであるということなら理解ができます。

 そこで、この目的を達成するために、具体的な手だてを二つ挙げておるわけですね。その一つは、アメリカを初めとしたそういう目的を達成するために活動する軍隊等に対する支援措置だ、こういうことになって、そこに自衛隊が出動する、出ていくということになるわけですけれども、この具体的な措置の中で、どういう目的を持って活動する米軍等を支援するんだ、このどういう目的の中に、「脅威の除去に努める」と。

 先ほども少し議論ありましたけれども、この脅威というのは具体的にどういうことを指すのか、そして、この除去というのはどういう状態を想定しているのか、これを少し明確に答えてください。

福田国務大臣 まず、脅威ですけれども、脅威というのは、このような、犯人も特定されている、この犯罪が再発をしないようにするということ、これが脅威を除去するということに当たるのではないかと思います。

 もう一問何かありましたね、もう一問……(桑原委員「脅威の除去、除去というのはどういう状態をいうのか」と呼ぶ)ですから、再発しないというように認められたとき、そのときが除去というふうに考えてもいいんではないかと思います。

桑原委員 この法律は、九月十一日のテロというものに限って、それをどう解決していくのかという、そういうための法律なんですね。ですから、脅威というものも、もうそういう抽象的な言い方ではなしに、いわゆるこの脅威のもとになるのはだれだれで、そしてどういう組織で、どういう支援者なんだということがこの脅威の中に語られなければ私は意味がないと思うんです、そこが特定されなければ。その点は中身として何を意味しているのかということです。

福田国務大臣 今、ビンラディンですか、それとアルカイダという組織、それがそういうテロを起こしたもの、こういうように考えられておるわけであります。

 アルカイダも、先ほどちょっとどなたかの質問があったときに申し上げてもよかったんですけれども、アルカイダについては、米国と英国が安保理議長に対して、今回の軍事行動に関する書簡というものを発出しておりまして、その中に、今申し上げましたアルカイダという組織、これを特定して名指しにしておるわけでございます。

 これは、そのことをもって自衛権の発動、個別自衛権、そして集団的自衛権の発動ということを安保理の議長に対して申し出たということでありますから、それはそれなりに重みのあるものだというふうに思っております。

桑原委員 このアメリカの報告、イギリスの報告の中には、アルカイダ、そしてもちろんビンラディンですか、あわせてタリバーン政権に支援をされているというふうな表現もあるわけですね、彼らが。そういったものも脅威なんだというふうに考えておるということですか。

福田国務大臣 この書簡にはこう書いてあるんですよ。アフガニスタンにおけるタリバン政権に支援されたアルカイダという組織という記述になっておりまして、このタリバンが、これがすべてそうなのかどうか、タリバンというこういうグループがあって、それがすべてそうなのかどうか、ちょっとここのところは私もわからないので、明確に申し上げなくて申しわけありません。

桑原委員 アメリカの、あるいはこの書簡の意図がよくわからないというのはわかりましたけれども、我が国としては、先ほどから、主体的にいろいろなことを考えて、諸外国の情報を集中して、そして判断をしたんだ、そういう結果の法律だと言われているわけですから、我が国として、ではこの脅威というものはどういうものなんだというふうに考えておるのかということです。

福田国務大臣 それは先ほど来申し上げていますように、テロが再発しないようにする、再発するということは脅威でありますので、そうしないようにするということ。これは前回はアメリカで、米国で起こりましたけれども、しかし、今後どこで起こるかわからないということもあります。アメリカで起こったけれども、我が同胞も多数犠牲者となったという事実をしっかりと私どもは胸に秘めてこの新法案に臨まなければいけない、そういうふうにも思っております。

桑原委員 それともう一つ、このくだりに、国連憲章の目的の達成に寄与するアメリカ合衆国その他の外国の軍隊と、こうなるわけですけれども、この国連憲章の目的達成という部分を具体的にちょっと説明していただけませんか。

福田国務大臣 国連憲章は、要するに国際社会の平和と安全の維持ということだと思います。これを維持することが、これが国際連合憲章の一番大きな柱であるというように考えております。

桑原委員 そういう目的を示していると同時に、いわゆる集団的自衛権あるいは個別的自衛権、そういうことをも国連憲章の中では認めているわけですね。アメリカのいわゆる今度の行動というのはそういう自衛権の発動だ、こういうことを認識しているわけですから、おのずから、アメリカあるいはアメリカ以外の軍隊がそういう目的達成のためにとる行動というのは、自衛権というものの制約、そういう範疇にあるべきだ、私はこういうふうに思うわけです。その点について、どういう認識を持っておられるでしょうか。

福田国務大臣 アメリカの自衛権の発動であるということでありますけれども、委員のおっしゃりたいのは、アメリカの自衛権の発動だから日本は関与しなくてもいいんじゃないか、そういうことでございますか。

桑原委員 そうではなしに、アメリカの自衛権の発動だから何をアメリカがやってもいいということではないんだよと。要するに、自衛権というもののおのずからの範疇の中にアメリカの行動は制約をされるんではないですかということなんです。

福田国務大臣 それは、アメリカは自衛権の発動ということを理由にして何をしてもいいんだということにはならぬわけですね。当然、国際法というものもございますし、国連憲章もあるわけですから。やはりそういう国際法規のもとでもってアメリカが行動しているというように考えております。

桑原委員 もちろんそうでありまして、私が言いたいのは、アメリカがいろいろなことをやるわけですが、そのことをアメリカの自衛権の発動だというふうに判断をし、評価をするのは我が国なんですね、この法律では。そうですね。これはアメリカが判断するわけじゃないので、我が国がそれを判断するわけですね。

 ですから、日本の自衛権というものに対する考え方がしっかり定まっていないと、それはアメリカに対して、アメリカが何をやっても評価できないということになるわけですから、そこら辺はそういうことなんですねということです。

福田国務大臣 米国は、自衛権の発動については、これは宣言をしているはずでございます。そして、それに基づいてNATOも集団的自衛権を発動する、こういうことになっているわけですね。

桑原委員 我が国は自衛権というものを考えたときに、三原則といいますか、あれがございます。急迫不正の侵害であるということ、あるいは反撃のほかにとるべき手段がない、そして過剰防衛になるようなことがあってはならない、こういう三つの考え方があるわけですけれども、アメリカの自衛権の行使に対しては、そういった考え方というのは当然日本の判断として当てはまるんですか。そこら辺はどうですか。(福田国務大臣「アメリカの行動ですか」と呼ぶ)アメリカのこれからとっていく行動に対しては、一つの制約として、日本の考え方としてそういう判断が当てはまるんですか。

福田国務大臣 一般国際法上、自衛権というのは、国家または国民に対する外部からの急迫不正の侵害に対して、おっしゃるとおり、これを排除するのにほかに適当な手段がない場合に、当該国家が必要最小限の実力を行使する権利であるということになっているんですね。

 ですから、米国がそういう自衛権の概念の中で行動をしているわけでございまして、米軍がとっている軍事行動が、我々は自衛権の範囲であるというふうに考えているわけです。

桑原委員 そうすると、後で少し具体的なことも聞きますけれども、基本的な考え方としては、そういうアメリカの自衛権の行使について我々は協力をする、支援をしていく、そういうふうに理解してよろしいわけですね。

福田国務大臣 自衛権に基づいてと、こういうお話でございますけれども、それは確かに、自衛権に基づいてそういう行動をしたというその事実はございます。しかし、日本は日本で自主的に考えた、その自主的な考え方に基づいた行動をとるということでございますので、米国の自衛権ですべて云々ということでは私はないと思っております。日本はあくまでも自主的に判断して行う活動であるというふうに考えております。

桑原委員 それもまたちょっとおかしいと思うんですけれども。日本は、自衛権についての考え方は持っているわけですね。だから、自衛権だけでそれは判断できないというのは多少わかるような気もします。しかし、アメリカが自衛権の行使であるとすれば、それをはかる尺度というのはやはりそういう尺度になるんじゃないかと私は思うんですが、どうですか。

 では、具体的にちょっと聞きますと、例えば、米軍の戦闘行為で爆撃があって、たくさんの市民が殺傷される、あるいはアフガンで本当に多くの難民が出て、それがどっと都市やあるいは国外にあふれ出る、そういったこと、また、現在アフガンの場合には、非常に深刻な干ばつによる食糧危機といいましょうか、そういったものもあるわけでして、爆撃によってそういう厳しい状況が非常に一層厳しくなるという可能性も十分にあるわけですけれども、そういった事象に、この爆撃がさらに続いて戦闘行動がさらに続いて、そういうことになったときに、アメリカの行動をさらに支援するということになるんですか。

福田国務大臣 まず、アメリカの爆撃によって市民が死ぬかもしれぬ、殺傷されるかもしれぬ、こういうことはありますが、その前に我々が忘れてはならないことは、あの残虐非道な、ああいう事件を起こす人がいるということですね、この世の中に。その人が、ほっておいたらばまた何か事件を起こすかもしれぬ、今までの経緯を見ればまた起こすだろうということで、それを何とか抑止しよう、そして根絶させよう、こういうための行動であるということですね。ですから、この原点を忘れてはいけないと私は思っております。

 それからもう一つ。アフガンは確かに今までもひどかったんですが、この結果、さらにひどい状況になってきている。しかし、今までも相当ひどかったんですよ。何がひどかったか。タリバン政権がひどかったんですよ。ですから、そういう政権、政治を改めない限り、そのアフガンの悲劇というのはおさまらないだろうというように私は思っております。

桑原委員 私も、残虐非道なそういうテロの芽を絶つという大目標は当然だと思いますし、それには全く異議はありません。ただ、それを急ぐ余りに、いろいろな意味でむだなというか、無辜の人たちがたくさんの命を落としていく、あるいは一層厳しい状況になって、その国が、その国土が、そして、ある意味ではテロを培養していくような土壌というものがますます強くなるというか、そういう状況、逆の状況だって考えられるわけですよ。

 そこを考えたときに、そこら辺のバランスというものをやはりしっかり考えて対応していかなければ、自分の主観的な思いはテロ根絶かもしれませんけれども、客観的に出てくる現象というのは逆の現象にあるということだってやはり十分考えられるわけですから、そこは私は、我が国としては、アメリカは直接もうねらわれて大量のアメリカ人が殺された、やはりそういう思いはあると思います。これに対する激しい怒りというのはやはりあると思いますけれども、我々は確かに同胞を殺された、しかし、我々がねらわれたわけじゃないのです。

 そういう意味では……(発言する者あり)いやいや、違う。我々が共有しているような価値観とか、そういうものに対する攻撃であったことは事実ですけれども、直接ねらったのはやはりアメリカなんですよ。ですから、そこをちゃんと冷静にしっかり、アメリカの反撃行動をどこでチェックしていくのか、そのことをやはり私は、協力、支援をしていく以上ははっきりさせるべきだというふうに思います。

小泉内閣総理大臣 今、バランスという言葉が出ましたが、まさに日本の国際感覚、そのバランス、国際感覚が問われている面も今回あると思います。アメリカに対する攻撃と言いますが、これはアメリカだけの攻撃ではないと我々は考えています。日本人が犠牲者になったからこれは日本人の問題とも考えていないんです。これは、世界、人類に対する攻撃だと受けとめているのです。

 そこが随分違うようですが、私は、そういう中で、今アメリカの、またイギリスの戦闘活動が、タリバン政権なりアルカイーダなりウサマ・ビンラーディンの拠点に対する攻撃がこれからまたテロリストの報復を招くんじゃないかという御議論ですが、何もしなくたって今まで出てきたんですよ。何回テロ行為で多くの国民が被害を受けているんですか。戦闘行為をやったからまたテロの報復を受けるということは、テロのおどしに屈することですよ。

 我々は、そういう観点から、今度は、アメリカに対するあのテロ行為というのは人ごとじゃないと思っているんです。日本は傍観者ではいけないと思っているんです。我が国自身の問題だと受けとめて、これに対応しているのがこの法案なんです。できるだけの努力をする。しかし、アメリカやイギリスやNATO諸国と違って、集団自衛権の発動だとはとらえてない。憲法の範囲内で、武力行使はしない、戦闘行為には参加しないという中でできるだけの措置をしたいというのが今の法案であり日本の立場であるということを御理解いただきたい。個別自衛権、集団自衛権の問題じゃないんです。

桑原委員 大変力強く、力まれておっしゃっていますけれども、私も、あのテロの攻撃というのは、人類の共有するある意味ではいろいろな価値観、そういうものに対する攻撃であろう、こういう意味では我々自身に向けられた攻撃でもあるというふうに理解いたします。

 しかし、テロを起こした彼らの意図は、やはり反米であり、アメリカが世界の、彼らにとってはいろいろな問題の元凶だ、こういうねらいどころであの象徴的なところを撃ったわけですね。そのことを私は言ったわけです。そのことを言ったわけですよ。ですから、アメリカにすれば、直接ねらわれたわけですから、それはもう大変な怒りを持って、彼らは既に自衛権を発動して爆撃をやっているわけですね。そのことはそのこととして、私は認めているわけです。

 しかし、日本はそれを支援するわけですから、そういった日本のある意味では節度というか、アメリカが余りにもそれにのめり過ぎて、そして逆にいろいろな意味でのテロのそういう芽をさらに、反撃をさらに買うような、そんなことにしてはいけない、そのことをやはり日本は一歩置いて、冷静に見て協力をしていくという姿勢をとらなきゃならぬのじゃないかということを言ったわけでして、そういう意味で、先ほど来長々と、自衛権というのはどういう制約があるのか、自衛権のあり方というのはどうなんだという議論をさせていただいたわけなんです。

 そこは、ぜひ私は、テロをなくしたいという、そういう意気込みは意気込みとして私も当然ありますし、みんなそれはあると思うんです。ただ、その意気込みだけでそれがなくなるのか。やはり冷静な判断が必要であったり、そういう意味での制約を大切にしていったりということがあって初めて私はそういう目的が完遂するんだと思うんです。そこをぜひ強調して申し上げておきたいと思います。

小泉内閣総理大臣 確かにテロリストたちはアメリカを憎んでいます。アメリカ人を殺すんだということで、各地でテロ行為を起こした。今回のニューヨークもそうです。しかし、そのアメリカが立ち上がった。もう許せないということで、アメリカは個別自衛権を発動して立ち上がったんです。それを国際社会が、国連も支持したわけですね。

 それで、NATO諸国は、今度は、これはアメリカの問題だけれども自分たちの問題だということで、集団自衛権を行使しようといって立ち上がったわけです。行使している国もあります。行使しない国もあります。

 しかし日本は、それはアメリカを敵にしているんだから、そのアメリカと一緒になってこれをやると日本も被害を受けるんじゃないかという、危惧はわかりますけれども、それをやったら私は国際社会から孤立すると思いますね。アメリカを支援するからテロリストの報復を日本も受けるんじゃないか。それよりも、テロの根絶のために、アメリカと協力して、関係諸国と協力してテロの脅威に屈しない、この毅然たる態度が必要ではないか。

 そのために、日本は冷静なんですよ、アメリカと一緒に協力する、世界と一緒に協力するけれども、武力行使はしない、戦闘行為には参加しない、節度を持って冷静に対応しよう。しかし、テロ根絶のためには、武力行使はしないけれども、外交努力とか経済努力とか医療活動、難民支援、いっぱいあるんです、できるだけのことをしよう。その支援態勢に惜しみない協力態勢をとるのが日本の国際責任を果たす任務ではないかと私は考えています。

桑原委員 日本が攻撃をされるから、それがどうのこうので私はさっき言ったわけじゃないんですよ。いわゆるアメリカの反撃行動、その他の国の集団的自衛権の行使、そういうものはやはりおのずから制約があるんだと。そのことをちゃんとしっかりと日本は、支援する以上は、何でもかんでもやってもいいんだ、アメリカがやれば何でもやるんだ、そういうことであってはいけないということなんですよ。そのことを強調したわけです。何か途中でおかしなとられ方をして、いかにも我々がテロを容認するかのような、そういう言い方に転じたり、あるいは自分たちがやられるからそれはどうだというような言い方になったりというふうにおっしゃっておりましたけれども、そういうわけではない。あくまでも、ちゃんとした協力をする以上は、国連憲章の目的を達するとかいろいろなそういう理想を掲げているわけですから、そこはちゃんとした節度のある支援というものをしっかり、アメリカにもちゃんとある意味では直言していかなければならないことが私は起きてくると思います。

 例えば、戦線がいろいろなところに拡大したときに、じゃ、どうするのか。それはアメリカの報告の中でも、これから自衛権の行使のためにほかの組織、国家に対してさらなる行動をとることがあるかもしれない、こういうことを言っているわけですから、今後どういう展開があるかもわかりません。そういうときに、やはりちゃんとした対応というのを我が国がやれるようにしておかなければならない、それがまた本当の意味でのテロ根絶、世界の平和につながっていくのではないかということを申し上げたわけでして……(発言する者あり)最初からそう言っているんですよ。

 それと、次に、具体的な支援活動について少しお聞きをしたいと思います。

 自衛隊はさまざまな支援活動を行われるという法案になっております。ほかの、米軍を初めとした軍隊等に協力支援活動をやられるとか、あるいは被災民の救援活動も行われる、そして捜索救助活動、そういったあらゆる分野ができるようになっているわけですけれども、それぞれの分野で医療活動というのができるようになっております。

 私は、自衛隊の医療活動というものがこういった地域でどういう必要性があるのか、民間のさまざまな医療活動というのは、恐らくNGOを含めて行われていくと思いますけれども、自衛隊が必要だということの意味、それをぜひ聞かせていただきたいと思います。

中谷国務大臣 現在においてもNGOの方々がそういったボランティアでやられておりますけれども、ある程度NGOの方々が実施が困難な状況も、地域もあると思います。そういった地帯において難民というものは発生するわけであって、国際社会においてそういう人たちを助けないというのは非常に残念な話でありまして、そういう事態には、UNHCR等が各国に呼びかけて、また各国の軍隊にも呼びかけて、そういった軍隊と民間の方々が混合になってそういう方を救う状況も出てくるのではないかというふうに思います。

 そういう意味におきまして、せんだって、朝日新聞でしたか、緒方貞子さんが、日本は余りにも難民の現場の状況を知らな過ぎる、やはり現場の状況をよく見て、ありとあらゆる支援をやるべきだというふうなことが書かれておりましたけれども、日本にある自衛隊の能力と性格を生かして国家としてそういった難民救済のために役に立てるということは、国際社会からも求められていることでもございますし、自衛隊が、そのような活動がふさわしい地域、条件もあろうと思います。そういう条件に対して、政府が行う活動の一つとして自衛隊がやればいいと私は思っております。

桑原委員 もちろん、やるとすれば戦闘地域ではない非戦闘地域で行われるわけですけれども、私は、こういった状況での病院をイメージいたしますと、いわゆる野戦病院、そういったものをすぐ思い浮かべるわけですけれども、具体的に、非戦闘の地域で、どういったところでどんな活動をするのかというイメージがもう一つわいてこないんです、自衛隊がやるという場合に。

 もっと言えば、パキスタンでやられるということを想定しているのか、あるいは中央アジアの国々でやるということを想定しているのか、そこら辺はよくわかりませんが、具体的に、どういったところでならそういう活動がやれるというふうに考えておられるのか。今の段階でそういう具体的なイメージがあれば、ぜひ教えてほしいと思います。

中谷国務大臣 具体的には、現地の難民の状況や安全の状況、受け入れ国の同意等が必要でございます。この医療活動を実施する地域の前提としましては、その実施地域において受け入れ国と密接に協議をして、その受け入れ国の同意の上にその地域を決めるというふうに法律で書いております。

 ですから、そういった関係国、また国際機関のUNHCR、NGO、皆さんと協議をしてやりますけれども、イメージとしては、ルワンダの派遣のときに約三百八十名の自衛隊員が出まして、野外に病院を開設いたしました。その病院において、地元の皆さんが患者として参って、数千人の患者を診ましたけれども、日本は手術車とかを持っておりまして、非常に高度な手術をできる装備、能力を持っております。ですから、NGOの方々がキャンプの中で診療的に病気を治療する、と同時に、そういったのに手に負えない患者がいたら、自衛隊が開設する病院施設等で高度な手術、高度な医療を実施することによって、一人でも多くの難民の生命を救うということができるのではないでしょうか。そういう事例は過去ございます。

桑原委員 今、イメージも含めてお話をいただいたのですが、いわゆるこの医療活動は、アメリカ軍のような兵隊さんも医療活動の対象になっていますね。要するに、傷ついた兵隊さんですね。それから、一般のというか被災民の皆さんの医療活動もあるわけです。

 そういう意味では、軍隊も被災民もひっくるめた、そういう病院になるのか。あるいは、例えば軍隊で、軍で傷ついた人ということになれば、戦地に近いということが十分考えられるわけですから、軍の病院は、軍隊の皆さん相手の病院は、また違う地域、被災民は違う地域というようなことになるのか。そこら辺もちょっと、どういうふうにこの医療を考えているのか、教えてください。

中谷国務大臣 そのいずれも可能ではないかというふうに思っております。

 要するに、その活動を実施する前には、念入りに国連の機関とか地元の関係国、また地元の難民の状況等を勘案してやるわけでございますが、基本的には、やはり赤十字といいますと、もう国際的に中立公正というイメージがありまして、苦しんでいる人を救うところに対する攻撃というものは、相当地元の皆さんから見ますと少ないのではないかなというふうに思っております。

 いずれにいたしましても、よくその活動内容等を検討して、そしてそのためには何が必要なのか、そしてどういう部隊が必要なのか、念入りに調整して派遣をいたしたいというふうに思っています。

桑原委員 私は、この医療行動というのは非常に大切な活動だというふうに思います。それで人の命を救うわけです。人の命を、ある意味では死からこっちへ持ってくる、そういう大変大事な仕事ですね。

 そこで、何を言いたいかといいますと、絶対に安全なところで、いかなることがあっても、この行為が中断をさせられたり、一時休止をさせられたり、あるいは大変な変更を余儀なくされたりというようなところで、こんな医療行動というのは行ってはならないのではないかというふうに思うんです。ほかの輸送とかいろいろな支援行動がありますけれども、そういうものとはまた違う、非常に重要さというか、いかなることがあっても、やはり医療行動は、攻撃を受けたからそれは中断だ、もう途中で医療行動は打ち切らざるを得ない、それはあってはならないことだと思うんですよ。

 そういう意味では、私は、その地域というものは相当厳しく見ていかなければならないと思うんですけれども、そこら辺はどうですか。

中谷国務大臣 緒方貞子さんも言っていますように、非常に、難民が出てくるという地域は、状況がどうなるかわからない不安定な要素がございます。ですからやらないというのではなくて、やはり何らかの、国としてのそういった難民の方々を救う行為の一環として、できる限りのことはやってみたいというふうに思っておりますが、そういうことを実施する場合には、十二分にその条件や、また将来に対する安全の面も綿密に検討して、実施をする以上はしっかりしたものにしたいというふうに思っております。

桑原委員 この法律は、周辺事態法の物の考え方というものをさまざまなところで取り入れておるわけですけれども、しかし、幾つかの点では、周辺事態よりもさらに自衛隊の活動を踏み込んでやれるような、そういう内容にもなっております。

 例えば、武器使用の範囲をある意味では広げていく、あるいは後方地域といいましても、周辺事態のときには、ある意味では周辺という地域的な一定の枠というのは想定をされていましたけれども、今回は遠く海外、どこでやるかわからない、こういう意味での広がりというものが出てくる。

 あるいは、例えば捜索救助活動というのもございます。これは周辺事態でもできるようになっておりましたけれども、今回は陸でもそういった活動ができると。これもよくわからないんですけれども、戦闘地域でないところで、特に陸あたりでどういう捜索救助活動というのが想定をされるのか、これも周辺事態法とはちょっと違う考え方が入ってきているというふうに思いますし、それからもう一つは、周辺事態のときには、当然のことながらアメリカのさまざまな活動を支援する、こういうことだったんですけれども、今回はアメリカ以外の国々も支援できるようになった。そういう意味では、私は、周辺事態を援用しているけれども、さらに踏み込んだところがたくさんあるというふうに思うんです。

 そこで、この一つ一つ根拠をお聞きしたいんですけれども、まず、この武器使用の範囲を広げることの今回の必要性、それについてお聞きしたいと思います。

中谷国務大臣 まず、武器使用につきましては、基本的に自己保存のための自然権という根拠でやっておりまして、これは従前と同じでございます。ただし、その対象者が自己と同じ現場にいる、管理のもとにいる人たちというようなことでございます。

 これはどういうことかといいますと、やはり現場においてさまざまな人との接触をしながら活動をしていく上において、やはりそういった危機に際して、そういう近くにいる人が危ないときに何も知りませんというのは人間として余り好ましくないというような見地で、今回、そういった人たちとともに安全を確保できるという意味で、その対象を広げたわけでございます。

 それで、お尋ねの救援活動等につきましては、その対象といたしましては、米国のみならずほかの国の人たち、また民間人、そして交戦をしている相手でも、そういった救援が必要な場合にはできるということでございます。

 具体的にどういうケースがあるかといいますと、陸上で行われる場合において、近くに航空機等が墜落した場合に、要請によってその救援活動を実施するというようなケースが考えられるのではないかというふうに思います。

桑原委員 捜索救助活動について、これは今回のような場合に具体的にどういうことが想定されるんですか。私は、とてもこのような事象がここで大きな条文を形成するほどの内容があるのか、よくよく考えてもよくわからない。何かあったときには人道的なそういう措置として当然なし得るのではないかというふうに思うんですが、どうもそこら辺、一条を起こすほどのものなのかということがよくわかりません。

中谷国務大臣 この条を起こした理由としては、すぐ近くで危機に瀕している人がいて、その人を見て見ぬふりをすることが人間として平気ですかというような、いわゆる自然の見地から来ております。

 例えば、先ほどもその事例として言いましたけれども、戦闘行為に参加した諸外国の軍隊の航空機が帰投する途中で捜索救助活動の実施区域内で墜落した場合に、その飛行機の乗組員を救助するというようなことが想定されますけれども、これも法律がないとできないわけでございます。そういう場合に際して、やはり関係国としてそういった捜索救助活動を実施するための根拠の法律でございますので、何とぞ御理解をいただきたいというふうに思います。

桑原委員 海上での可能性というのは、確かに私は否定できないと思います。しかし、陸上でそういうことがあり得るのかと。とても、ちょっとイメージが浮かばないんですけれどもね。まあそれはそれで、またさらに議論したいと思います。

 そこで、先ほど来の議論にもございましたが、国会のいわゆる基本計画の承認であります。私は、ここも周辺事態法とは違う部分ではないかと思います。周辺事態法は確かに、基本計画の承認ではなしに、それぞれの対応措置を承認する、こういう条文になっております。

 私は、今回のこの法案では、基本計画の承認ということを我々は主張するわけですけれども、なぜかといえば、その中に、いわゆる具体的にどこへ出かけていくのか、どれだけの規模、装備なのか、一番ある意味では大事な具体的な部分が盛り込まれているがゆえに、我々は、周辺事態と横並びというなら、周辺事態は具体的な対応措置を承認するわけですから、今回も基本計画を承認して当然ではないかと。

 あくまでも法律は、やれることはこれこれだ、これがやれる、あれがやれる、そういうメニューを提示しているわけでして、具体的にどのメニューを選択するのか、そして、どのメニューのどういう部分を、例えばさっき言いましたような区域をどうするかというふうなところは全部基本計画に入るわけですから、私は、周辺事態に横並びをするなら、考え方を援用するなら、当然事前の対応措置が含まれた基本計画の承認というのがあってしかるべきだ、こういうふうに思うんですけれども、総理、いかがですか。

小泉内閣総理大臣 一つの考え方だとは思いますが、政府も民主主義的手続によって選ばれて、行政の裁量範囲というのはあると思うんですね。それが、国会の御審議いただいている法律で基本的な枠組みを決めていただいて、その中での政府としての判断があると思うんです。

 これだけ十分皆さんから御心配をいただき、審議をいただく。かなり限定したルールを定めておりますので、御意見はわかりますが、それは、与党もあるわけです。国会の審議の経過もよく踏まえなきゃいかぬという中で、認めていただいてもいいのじゃないか、ある程度、政府に裁量を任せていただいてもいいのではないか。しかも時限立法です。今回のテロ事件に限っているんです。そういうことを考えると、その辺は政府にもある程度の行政裁量権を認めていただいてもいいかと私は思っております。

桑原委員 私は、ほかの問題ならある意味ではそういうことがあり得てもいたし方ないという気もいたしますが、事ある意味ではこういう危険な、いかに戦闘地域と画されているとはいえ、いろいろな問題をはらんでいる地域に自衛隊を出して、そしてその人たちのいろいろな意味での、ある意味では非常に危険な状態、そういうものがあり得るかもしれない。そして、実力組織である自衛隊というものを国民がある意味ではしっかり見て、運用を誤りのないようにしていくということを、やはりほかの問題よりは重視をして考えなきゃならぬのじゃないかと私は思うんです。

 そういう意味で、基本計画の国会承認というのは、どうしても私は、我々としても譲ることができないシビリアンコントロールの中心的な課題ではないか、こういうふうに思うということをつけ加えておきたいと思います。

 そこで、最後に外務大臣にちょっとお聞きをしたいと思います。

 アフガンの情勢あるいは隣のパキスタンの情勢、本当に毎日動いておるわけでございますけれども、基本的には大変な波乱含みの状態だと思います。

 その基礎にあるのは、やはり国民生活の窮状といいましょうか、これは単に経済的な要因だけではなしに自然要因も絡んでいると思いますし、もちろん政治の要因があることは言うまでもございません。大変な状態にあるわけですけれども、外務省として、既にいろいろな情報をあれしたり、あるいはそこに出かけていったりして、直接いろいろなことをつかんでおられると思うんですけれども、アフガンのこの状況、聞くところによると、きのうも我々は中村さんというお医者さんからいろいろなお話を聞きました、現地でNGOで頑張っておられる。もうカブールあたりにたくさんの難民が来て、百万以上の人口に膨れ上がっている、ひょっとしたら、この厳しい冬を越せない人が一割ぐらいいるのじゃないか、こういうようなお話もしておりました。水も乏しい、食糧もない、大変な状態だと。これを一体どうしていくのか。彼は、雇用機会というものをつくってほしい、そのためには、日本じゃ公共事業は問題だと言われているけれども、アフガンは公共事業が必要なんだ、そんなお話もしておりました。そういう意味では、雇用の機会がないという痛切な叫びもございました。

 どのようにアフガンの状況というものをつかんでおられるのか、そして、何が問題で、これを改善していくときに日本として何をなし得るのか。私は、アフガンとの間に我が国が非常にいい関係をつくってさまざまな接触をして今日に至ったということも承知をいたしております。そういう意味では、非常に、恐らく日本も頼りにされていると思いますし、日本もまたそれに力を尽くすことができる位置にある、こういうふうに思うんですけれども、その点について、外務大臣、どうでしょうか。

田中国務大臣 アフガニスタン、それから隣接するパキスタンといろいろ厳しい状況であることは報道もされていますけれども、アフガニスタンの自然環境の厳しさ、それから、地政学上のことだけではなくて、あらゆる長い、二十年にも及ぶ紛争、内戦によって、もう人心も荒廃し疲弊している中で、そういうところがテロリストを生む土壌になっている、少なくともそういう核になっているということが、本当に世界の人の不幸につながっているし、もちろん、言うまでもなく、アフガニスタンの人々の悲しみにつながるわけですから。

 ですから、そういう意味からいっても、アフガニスタンの方々のためにも、私たちは早くテロを根絶するということをやって、根本的に世界が幸せになるということをやらなければいけないということを考えておりますが、実情を教えてくれということでございますけれども、実情はなかなか、詳しいことが今すぐ必ずしも十分に、正確に把握できるという情勢ではないということはおわかりになると思います。

 ただ、ですけれども、国民の皆さんの窮状はもう大変進んでいて、感染症とか食糧の不足とか、特に幼児死亡率も高いですし、女性の人権の問題、娯楽がないそのほか、そういう中でもって、これからもうじき雪も降るし、七千メートル級の山が九つもあるというところで、非常に地政学上恵まれないところでこういうことが続いているわけですから、早くにアフガニスタンの人たちの民意をくみ上げた国を、政権をつくる、そのために私たちも参画をしていかなきゃいけない、そこまでの展望をしっかり持ちながら、継続的な力強い援助を日本がやっていくべきであるということを私は感じております。

 そのほかいろいろなことがございますけれども、大体先生もよく御存じでいらっしゃると思います。

 それから、あと、パキスタンについては、午前中御質問がありましたので、きょう昼休みにパキスタンの沼田大使に電話をしました。ちょうど九時何分かでございましたが、一番アップ・ツー・デートな情報を民主党の先生方に御報告しないと、またサボっていると言われてはいけないので、今委員会中でございますので、電話をかけましたけれども、やはり日本、東京と同じような安定ではもちろんありませんけれども、今、ここ数日は、少し平穏な状態になっている、しかし、どのような情勢になるかわからないという状態でございました。

 いずれにしましても、政治の力で国際社会と一緒に日本もテロを撲滅して、そしてアフガンの皆さんにも、教育の機会ですとか、人間として、同じ地球市民として人生のあらゆるよさを享受できるようになるようにバックアップしていきたい。それが小泉政権のまず使命であるし、みんながそのために努力をしているというふうに思います。

桑原委員 私は、今こそ日本の外交、今まで蓄積してきたそういう力というものを平和に向けて有効に発揮すべき時期ではないか、こういうふうに思います。

 特に、アメリカが一方で、ビンラディン、アルカイダ、そういった基地を中心に爆撃をして、そのことによってまた副次的な難民が出てくる可能性があるわけですね。一方では、そのテロの起きる土壌、そういう者をかくまう土壌というものを何としても改善をしていかなきゃいかぬ、そういう使命があるわけですね。私は、ある意味では非常に難しい、そういう時期だと思います。やっていることが時には矛盾する、そんな可能性もあるわけですね。ですから、そこら辺でやはり外務大臣、日本の外交の真骨頂が問われていると思うのです。

 一般的にそういうことなんだというのは今わかりましたけれども、やはり私は外交的な努力というのが、長い時間がかかって大変しんどいけれども、これがテロ根絶の最大の武器だと思うのです。そういう意味で、ぜひ具体的に行動を起こしてほしい。

 本当にアフガンの現地にいる人たちの話も聞いて、例えばタリバンに対する評価もございます。きのうお話を聞いた限りでは、タリバンは、九割方実効支配したというだけあって、国民からはいろいろな評価があるようです。そういう意味では、タリバンの評価についても、先ほど官房長官でしたか、いわゆる脅威の中でビンラディンとアルカイダ、言及されましたけれども、タリバンについては内部的にはいろいろある、こういうようなこともおっしゃられましたけれども、私は、ぜひそのタリバンの評価というものについても、ちゃんと現実を見て誤りなきようにしてほしいと思うのです。

 タリバンについて、どう評価されていますか。

田中国務大臣 タリバンについて、今日本の国内で、外国のメディアを通じてもそうですけれども、掌握できる情報というのは限られておりますけれども、しかし、内戦に次ぐ内戦の中で、一般のアフガニスタンの、また近隣の方たちが避難民、難民等で苦労しておられるわけですから、先ほど申し上げましたように、やはり基本的な、人間として生きていく上で幸せなことのために、日本も外交というのは、外交努力というのは、私は決して華やかなことばかりではなくて、今委員もおっしゃったように、地味だけれども確実に積み上げていく、そして、そこに住んでいる方たちの民意をくみ上げながら、国際社会の中でともに生きるようにどういうふうにするかという地道な努力も積み重ねていかなければいけないと思います。

 ですから、タリバンについてのコメントですけれども、いろいろな見方もあると思いますけれども、とにかく、タリバンの方たちも含めて幸せになるような努力を、外交だけではなくて政治でも、あらゆる意味で頑張ってまいります。

桑原委員 今こそ外交の重要さ、そして支援の中身も、現実の、一次情報と言われますけれども、そういう現実の、現場の状況というものをしっかり見据えて、効果的な支援をやっていくということをいま一度申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。

    ―――――――――――――

加藤委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 各案審査のため、来る十三日土曜日、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

加藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、明十二日金曜日午前九時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時一分散会




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