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第5号 平成14年7月11日(木曜日)

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平成十四年七月十一日(木曜日)
    午後二時開議
 出席小委員
   小委員長 保岡 興治君
      伊藤 公介君    西田  司君
      葉梨 信行君    平井 卓也君
      森岡 正宏君    渡辺 博道君
      筒井 信隆君    中川 正春君
      中村 哲治君    永井 英慈君
      山田 敏雅君    江田 康幸君
      武山百合子君    春名 直章君
      金子 哲夫君    井上 喜一君
    …………………………………
   憲法調査会会長      中山 太郎君
   憲法調査会会長代理    中野 寛成君
   参考人
   (三重県知事)      北川 正恭君
   衆議院憲法調査会事務局長 坂本 一洋君
    ―――――――――――――
七月十一日
 小委員筒井信隆君及び土井たか子君同日小委員辞任につき、その補欠として山田敏雅君及び金子哲夫君が会長の指名で小委員に選任された。
同日
 小委員山田敏雅君及び金子哲夫君同日小委員辞任につき、その補欠として筒井信隆君及び土井たか子君が会長の指名で小委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 地方自治に関する件


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     ――――◇―――――
保岡小委員長 これより会議を開きます。
 地方自治に関する件について調査を進めます。
 本日、参考人として三重県知事北川正恭君に御出席をいただいております。
 北川知事は、かつて、議席を国政に持たれておられまして、我々と一緒に国政に参画していただいたこともあることは御承知のとおりでございます。
 この際、参考人の方に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多用中にもかかわらず御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。参考人のお立場から忌憚のない御意見をお述べいただき、調査の参考にいたしたいと存じます。
 次に、議事の順序につきまして申し上げます。
 最初に参考人の方から御意見を四十分以内でお述べいただき、その後、小委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。
 なお、発言する際はその都度小委員長の許可を得ることとなっております。また、参考人は小委員に対し質疑することはできないことになっておりますので、あらかじめ御承知おき願いたいと存じます。
 御発言は着席のままでお願いいたします。
 それでは、北川参考人、お願いいたします。
北川参考人 どうも、皆さんこんにちは。今、委員長さんから御紹介いただきました三重県知事の北川正恭でございます。
 きょうは、何か、地方自治といいますか、地方分権について思っていることを自由にお話をという御要請をいただきましたので、心配になって、事務局の方にどういう内容をお話しすればいいかお聞きしたら、好き勝手にしゃべれ、こんな程度のことでございましたので、思いつくままに考えていることを申し上げて、御指導いただければと思います。発言の機会をお設けいただきました皆さん方に感謝を申し上げたいと思います。
 それで、私としては、どんな考え方で地方自治といいますか、知事職を務めているかということについて少しお話を申し上げたいと思います。
 小泉内閣の骨太方針の最後の方に少し書かれておりましたが、ニューパブリックマネジメント、パブリックセクターもマネジメントしていこうということを書かれておりまして、非常にいいことだと思います。実は、私も知事になりましてもう七年経過いたしましたが、七年ほど前からニューパブリックマネジメントでいこうというのが基本的な考え方でございますので、従来の管理型の行政システムとニューパブリックマネジメントの考え方の違いということからお話を申し上げたいと思います。
 そこで、今、私どもが心がけている行政のあり方というものは、顧客志向ということが第一でございます。
 従来でございますと、供給者側の論理に立った行政、こういうことになっていたと思います。県庁を取り巻く団体も三千とか五千とか言われますが、そういった団体の皆さんと話し合いをして、その人たちが県民だというようなことでエクスキューズをして行政をされてきたのでありますが、本当は、そうではなしに、税を納めていただく皆さん方のお立場に立たないと民主主義は語れなくなってきているということを考えておりまして、供給者側の論理とか、あるいは税をどうやって使おうという人々の立場に立った行政から、サービスの受け手に立った行政、タックスペイヤーの立場に立って行政を進めていこうということで、私が知事になって、県政の最大のコンセプトは、生活者起点ということです。
 これは納税者の立場に立った行政という意味ですが、税を納めていただく方は、お年を召した方とかお子さんとかは税は納めていただいていませんが、しかし、こう生きようというはっきりとした意思を持たれた方を総称して生活者という言葉を使わせていただき、当初、生活者重視とか優先という言葉を使ってやっておりましたが、何か、こちらが優先してあげるよとか、重視してあげるよという感じはどうも言葉的に限界があるなという感じで、主権在民ということからいけば、生活者起点というのが今たどり着いた一番いい言葉かなというので、私のキーコンセプトは生活者起点ということになっております。
 経済の、エコノミーの世界でも、顧客満足ということをよく言います。物が不足している時代は、供給側の方が圧倒的に強くなるのは当然のことで、生産の方の立場が強くなる。生産を強くすることによって物不足を補うということでございました。規模を大きくするとか、ロットを大きくして、安くしてという経済が行き詰まってしまったのは、物が充足してきたからだと思います。
 したがって、どんなにいい商品をつくっても、顧客が満足しない、買ってくれない商品は全然意味がないということで、エコノミーの世界も顧客満足ということになるわけでございますが、行政も、物がこれほど充足をいたしてまいりますと、県民の満足、いわゆる生活者起点ということがとても重要だというふうに思っております。
 さらに、情報は今まで非開示でございましたが、私どもは、情報開示が圧倒的に前提になるわけでございます。三重県では、情報公開という言葉から、さらに、政策を決めていく、意思を決めていく過程とか、予算編成過程も全部出そうということで、言われて出すというイメージの情報公開から、積極的に意思形成過程を出そうというので、情報提供という言葉を使っております。
 さらに、情報提供から情報共有まで今進めておりまして、一般用語として情報公開という言葉を使いますが、情報公開は、行政とか政治にとって、今まで隠してきたことをばらすわけですからとてもつらいことであることは事実ですが、一たん言ってしまえば実はすごく楽になるわけでございます。協調者になるわけですから当然のことだと思いますが。
 情報公開は、実は、一番つらくなるのは住民の方でございまして、私どもにとっては、県民の方の自己責任をはっきり問いますよ、こういうことを申し上げるために情報を提供しているということになるわけで、お任せ民主主義とか観客民主主義ということで、住民の方はスタンドにいて、風が吹こうが雨が降ろうがそんなことお構いなしに、エラーをしたら責めるというだけで何で民主主義が定着しますかと。
 したがって、三重県政が悪いのは知事のせいにするということは天につばする行為になりますよ、県民のレベルがその県政のレベルを決めるんだということを明確に申し上げていかないと、デモクラシーは成熟していかないというふうに実は思っているところでございまして、情報公開がキーワードになるわけでございます。
 それで、情報公開なんかでも、リスクマネジメントなんかを見ていても、国は少しおくれているなと正直思います。仕方なしに、情報公開できる点だけを出してしまっているから、最近次々と起こってきて、一体何のためのリスクマネジメントをしているんだという思いを強く持っております。リスクをマネジメントするという危機管理は、実は省なりその組織を守ることが危機管理と思っていらっしゃるのではないかとさえ思えるほどで、心配しています。
 私どもも、当然、危機管理というのは重要な要素で、失敗ばっかりしておりますが、やはり県民の皆さんのリスクをマネジメントすることがリスクマネジメントであって、その結果、私どもはどう対応をしたらいいかということで初めて職員が守られるというふうに思うところでございます。
 したがって、情報公開というのは、それほどのすごい意味合いを持ってきて、民主主義のありようとか行政のありようをすっかり変えてしまうほどのことではないかというふうに感じているところでございます。
 そこで、情報公開はさまざまな手法があると思います。ITを使うこともそうでありましょうし、予算の編成過程をお示しするのも一つの手法だと思いますが、実は、最もいい手法は分権をすることだと思います。
 主権者たる住民の皆さん方が、一般の御商売と違って先銭を納めていただくわけでございます。税金という形で先銭を納める、こういうことになったときに、その税の使われ方が、先銭を納められた住民の方に明確にわかることが一番の情報公開になると思うわけですね。
 ところが、ヒエラルキーが余り続きますと、官優先の、官尊民卑なる言葉があるとおり、先銭を無条件で納めた人に、要望に来いとか、陳情に来いとか、自分たちが勤める八時半から五時までのウイークデーに来いとか、こういうことが当然のように思われていることが、全く本末転倒しているんだということを私は思うわけでございます。
 そういった税がどう使われるかということが、一たん国に吸い上げられて、また配分されて地方へ戻ってくる過程で非常にわかりにくくなっている。したがって、分権をして、税の使われ方も、この消費税の一%はあなたの老後のためにとか、あるいはこの一%は道路の公共事業のためにとはっきりわかれば、自分の老後は不安だから、三%、四%に消費税を上げてほしいという話も出てくるだろうという考えを私は持っております。
 したがって、情報公開の大前提は、中央集権から分権へと行く流れはぜひ御理解をいただいて、お進めいただいておりますが、一層拍車をかけてお進めいただけたらな、そのように思っております。
 次に、顧客志向の次には生活志向というふうに言われますが、従来の行政は管理をしようというのが非常に強かったと思います。したがって、法令、規則による管理ということで、ねばならないという、どちらかというとブレーキ役の管理が多かったのかな、そういう感じがします。法令、規則によりますと、当然、行政のあり方は前例踏襲ということになりますから、ほとんど感動、感激がなくなってしまって、これはいけませんということで、どうなるのかなというふうに思います。
 したがって、ニューパブリックマネジメントの方では、目標設定をして、そして業績評価によるマネジメントサイクル、いわゆるプラン・ドゥー・シーというようなチェックアクションでもよろしいですが、そういったことによって成果を出していこうということで、管理から経営へ、アドミニストレーションからマネジメントへ、そういう感じを強く持って、最小の費用で最大の効果を出していこう、こういう努力をしておるところでございます。
 そうしますと、従来は、さまざまな法令、規則に従ってやらなければいけないというようなことから、どうも行政は予算主義といいますか、私どもも、一億円の予算をお国に要望するときには、十回も二十回も通って一生懸命涙ぐましい努力をするわけですね。一億円はいただけた、それで事業はできた。その結果、決算委員会は二年おくれで、いつ行われたかわからないようなことになっていたということは間違っているのではないか。
 したがって、私は、一億円の予算を使ったときに、どれだけ県民の満足度に資することができたかという決算主義に切りかえていかなければいけないんだというふうに思っているところでございます。それが成果主義になるわけです。
 予算主義になりますと、全くばかげた、使い切り予算だということで、これは守秘義務といいますか、情報非開示の時代の名残でありますが、国のメンツも、一たんつけた予算は使い切ってもらわなければ国会がうるさいとか、全く内々のようなことで情けない状態が続いているということは本当に反省してもらわないと、世間の常識が非常識になっているということを思うわけでございます。
 私どもも、次、予算削られるということで恐れていますから、そういう我々自身も大いに反省をしなければいけませんけれども、予算主義から決算主義へということで、三重県では、県の単独事業だけになっていますが、使い残し予算というのをやってみました。そうすると、やはりやれるものでございますので、ぜひその点は、国会の先生方、よろしくお願いを申し上げておきたいと思います。
 予算主義になりますと、予算をつくり事業をつくるときは、みんないろいろ勝手な自分たちに都合のいい指標を集めてきて、そして予算を組む。ほとんどそれがうまくいかなくて七百兆円の借金になっておるわけでございますから、ここは本当に、私どもも当然同罪でございますから、真剣に考えないと、政治、行政が県民の皆さんから信頼されないということは明確だと思っておるところでございますので、ぜひ決算主義にということで今後努力をしていきたいと考えているところでございます。
 そうしますと、憲法だから仕方ない点はあるんですけれども、現金主義会計、私どもでいうと、県民の代表の県議会の皆さんに毎年お金の動きをお示ししなければいけないということでございますが、現金主義にもかかわらず、私どもは起債を起こして借金をしているわけでございますから、当然その会計主義は無理があるわけでございます。本当言うと発生主義会計ということで、財務諸表つきでなければ、民間の経営者の方から、いまだに大福帳かということで、おくれているなという批判を受けざるを得ないと思います。
 したがって、私どもも、バーチャルでございますが、発生主義会計というのを取り入れているところでございます。
 そうすると、どう変わってきたかといいますと、役人の世界では、フローだけで、資産勘定がほとんどなかったと思うのですね。例えば坪五千万円の土地も、どう使うかというようなこと、資産を活用するというのはほとんどなかったと思います。
 都道府県会館に私どもも三重県の東京事務所を持っておりますが、あれもほとんど勝手に決められて一・八倍の面積になって、高い家賃を取られて、こんなばかげた話、どこにあるということになるわけでございます。あそこを本当にファシリティーをマネジメントしていこうというので、パーティションをとって、そして会議室を五十二平米から九十三平米に広げたんですが、例えばそれを発生主義会計でいくと、資産価値が年間二百六十万ほど上がったということに思考回路が変わってきまして、それで三重県庁の中のファシリティーが本当にどんどんと変わってきました。
 したがって、従来型は現金主義会計でございますが、世間がだれも相手にしないようなことをいつまでもやっておっていいのかねということで、発生主義会計は当然のことになってくるだろう、そう考えているところでございます。
 次に、市場メカニズムの活用というので、今までは非活用が原則ではなかったかと思います。公の仕事は官がやらなければいけないという思い込みで、本当に非効率であろうが官がやってきた。
 競争がありませんから、どんどん非効率はきわまっていくということだと思いますが、ニューパブリックマネジメントでは、民営化、エージェンシー化、外部委託化や内部市場システムなどの活用をして、公の仕事であっても、官がやって効率がよければ官がやればいいし、民がやって効率がよければ民がやるべきだろう、そのように考えて、取り入れているところでございます。
 次に、権限移譲、分権化ということですが、従来は集権官治と申し上げていいと思います。中央集権で官僚が治める集権官治。これを私どもは、分権自治ということでやらせていただいております。
 実は、集権官治になりますと、どうしても国がヘッドクオーターになって、国でお考えいただいてお決めいただいたことを私どもが追認してまねをしてということになりますから、全国一律にならざるを得ないと思います。したがって、分権自治になってきますと、北海道では北海道の知恵が出てきて、そして北海道のよさが出て、そして、その結果よかれば、国が追認をしていただいてサポートしていただくということが、実はモザイク国家になって、私は、発展性がより高くなるんではないか、そのように思っているところです。
 もちろん、長い間そういうシステムが続いてまいりましたから、国の制度とか法律とか、あるいは通達なんかに依存する地方自治体の体質も本当に改めなければいけないと思っておりまして、政策法務とか、あるいはさまざまな政策立案を私どもも思い切ってやっていかなければいけないということは大前提でございますが、そのように分権自治ということに力を入れているところでございます。
 次に、単一の職務に特化した縦割りの分業システム、明確なヒエラルキーシステムというのが従来の管理型の行政であったと思いますが、NPM、ニューパブリックマネジメントでは、フラット化、ネットワーク化した柔軟な組織運営、業績評価の単位である組織との契約によるマネジメントということになろうかと思います。
 縦割りの弊害はきわまっていると思います。
 私もいろいろなところで申し上げてきたんですが、いじめの問題を教育長にお聞きをすると、まじめな教育長で力のある人ですから、このようにいじめの問題はいたしております、カウンセラーはこのようにやっておりまして、従来よりも充実しています。ところで、児童相談所とか児童小児科の先生とはどうなっていますかとお聞きしますと、あれは健康福祉部の仕事ですという返事でございます。
 健康福祉部の部長に私が尋ねて、いじめの問題はどうなっていますかと言うと、児童相談所の方は、保護者の方が自由にこそっと来られるように夜の八時まで延長して対応しています、このようにやっていますというまじめなお答えです。いじめの起こっているあの学校のことはどうなっていますかと言うと、あれは教育委員会の仕事ですというお話がきわまり過ぎていると思います。
 すなわち、優秀な教育長、優秀な健康福祉部長が、実はいじめの問題をほとんど全くと言っていいほどしていなかった。自分たちが勝手に決めた壁、教育委員会という壁の中で、単に自分たちがしてあげているという範囲で仕事をしているだけであって、公安委員会も、食の方からいえば農林水産の仕事の方も、地域の問題からいえば地域振興の仕事も、全部含めていじめの問題はやらなければいけないのに、それは他人事で、私は知らないというようなことが許されてきたこの官僚体制というものは批判されて当然だと思っております。
 そのあたりを本当に私どもは総合行政でやっていかないと、ほとんどの問題は解決しないと思っておりまして、国の縦割りによってどれほど我々が難儀し、どれほどばかげた労力を使っているかということを御理解いただけたら本当にありがたいと思います。
 それにならされた我々は、もう一回言っておきますが、我々も反省をし、本当に総合行政ができる体力をつけていかなければいけないと思っておるところでございます。
 そこで、ささやかなことですけれども、フラット化等々をしまして、私どもは課長制度をなくしました。次長、課長とか課長補佐、係長ですか、こういうものは全部なくしました。それで権限委譲いたしまして、迅速に事に対応できるようにしたところでございます。
 したがって、今まではややもすると、年度というのがあって、四月に定期異動というんですか、これをしたら、何か慣行があって、一年間人事が動かせないとかいう全くばかげた話があったので、本当にそうですかという話をして、必要なときに、忙しくなれば異動するのは当たり前じゃないですかというのでマネジャー制度にしたわけですが、どうしても課とかいうのがありますと、課長の仕事は、パーキンソンの原則ではありませんが、定数をふやすことと予算をふやすことが課長の仕事と錯覚して、そして、全く県民を忘れてやっているようなばかげたことは本当になくさないかぬと思うわけでございます。
 したがって、私が課長制度をなくしたら、随分県庁の職員にも怒られました。課長を目指して頑張ってきたのに、士気にかかわるではないか、来年、娘の結婚式に、課長のポストがなければ困るではないかと言われました。私たちは現実の行政の責任者でありますから、理想ばかり語っているわけにはいきません。現実を直視したときに、とても重要なことだと思います、そのことも。
 しかし、県民の生活者起点というサイドに立てば、どなたが課長であろうがなかろうが、ポストは関係なく、いかに最小の費用で最大のサービスが提供できるかということが問題であって、まさに内々の議論で、自分たちが働きにくいからとか、自分たちのことがということが、一つの体制が長く続きますとそういう錯覚が起こってしまっているんですね。
 思い込んでいるという、このことを打破しない限り、なかなか官尊民卑は取れていかない。取れていかなければ行政はばかにされるわけですから、だんだんといい人は寄ってこなくなるということを、我々世代は、次になる人たちが希望を持って来れるような体制を何としても今残しておかないといけないのではないかということを本当に考えて、やらせていただかなければいけないと考えているところでございます。
 次に、ビジョンとか戦略に基づいて県政運営をしていかなければいけないというのがニューパブリックマネジメントでございますが、今までは、こんなことだという思い込みで、前例踏襲をしながらやってこられたことが余りにも多過ぎたのではないかというふうに考えるところでございます。
 したがって、私は、最近、シャープ株式会社に上限九十億円の補助金をつけて、三重県に来てくださいということで決めました。これは、十五年間分割ですが、パブリックなお金をプライベートな企業に渡そうということは議論のあるところだと思います。そこで、もし、それはさまざまな問題でだめだと言われるなら、法廷に出ることも辞さないと思って決断をしたところでございます。
 今までは情報非開示でございましたから、そういったことをすると、何か癒着というようなことになったと思いますが、私は、情報開示は積極的な意味合いで使うべきだと思っております。私は、九十億円出しますよ、しかし、そのことによって四千億の売り上げが出て、そして税収はこれほどになって、雇用はこれぐらい確保できますよというようなことがアカウンタビリティーを果たすことになると思っておりますし、もっと申し上げますと、私は国の方にもお願いをしたいと思いますが、中国や東南アジアへどんどん、安いからというので海外へ出ていくことが当たり前の社会をつくっておくことが一体いいことかどうかということを思うわけでございます。
 本当に日本はそれほど力がなえた国になったか。今までのテクノロジーの蓄積とかノウハウの蓄積、それを本当に集積をして真剣にやれば、中国へ行くよりは国内に残ろうという企業が出てくるのではないか、私はそう思っておるところで、本当にすばらしいエクセレントなゾーンをつくることができれば、きっと液晶なんかは集積が集積を呼んで日本に残ってもらえるだろう。シャープさんも断固残るという、そういうお気持ちはとうといと思います。
 したがって、シャープさんに限らず、液晶のいろいろなメーカーさんがございますが、そういった方が寄っていただけるようにということで、私としては補助金を、大変なことでございますけれども、九十億、上限でありますが、辞さずということにしました。そして、それによって本当に地域が主体的につくっていけるとするならば、まさに地方分権の時代ではないかと思うわけでございます。
 今まで、いい世の中といいますか、右肩上がりでどんどんと経済はパイが大きくなって、開発志向型でよかったわけでございます。しかし、それがままならずということになったときに、本当に地域の雇用はどうするか、本当に地域の税収、財源はどうするか、こう考えたときに、従来は国がお決めいただいていたわけですが、私どもが決断した方が速かったら、私どもは先に決断しましょう、よければ、国もどうぞサポートしてくださいねということになるんだと思います。その九十億出したことがどうしてもだめなら、選挙に決まっておるわけでございますから、選挙で信を問うということになる。
 何か事なかれ主義で、うまくやっておけよというようなことの連続で今まで日本が来て、そこを打破するというような馬力、情熱が中央官庁の方にも少なかった。いわゆる利害調整のようなことが多過ぎた、私はそう思っておりますし、地方自治体はもっとそういう意味ではだめだったと思います。
 したがって、何とかそういうメッセージをお伝えしたいということで、液晶産業集積のために九十億を上限として出して、だからこそ真剣に一遍頑張って、いいゾーンをつくっていきたい、そう思っているところでございます。ビジョン、戦略に基づいて私どもはやります、それがだめなら選挙でどうぞ上げてください、落としてくださいということにしていかないと、無難に無難にということだけでは新しい時代は切り開いていけないだろう、そのように考えているところでございます。
 そこで、二年ほど前に地方分権一括法案が通りました。私どもにとってはすごく大きな法案でございました。これはどんどんと社会を変えていると思います。私も、きょうここで失礼なお話を申し上げておりますが、ここまで言い切れることは、実は地方分権一括法のなせるわざだと思っておるところでございまして、従来は、理不尽なことでも、予算とか補助金がありますし、いろいろな点でお世話になっているからというので、本当に国の都合のいいように文章を書かされて、そして補助金をもらうために本当に悲惨な状態であったということを御理解いただきたいと思うんですね。
 しかし、分権一括法で、原則的にいわゆる機関委任事務等々が廃止になりました。そして情報公開と相まって、説明責任、アカウンタビリティーは国に果たすのではなく、本来の主権者である県民の皆さんに説明をしなければ知事がもたないわけです。だから、国の皆さんにも、本当に筋が違えば物ははっきりこれからはどんどん言っていきますから、どうぞそのつもりでおっていただきたいということを申し上げたいところでございますし、国が正しければ私どもは当然従います。
 だから、従来の上下主従ということから、対等・対立じゃなしに対等・協力という形に本当にしていかないとこの国がおかしくなる、そして地域社会もおかしくなる。地域社会がおかしくなれば、当然国は活力を失うということになるんじゃないでしょうかということを申し上げたいと思うところでございまして、国も随分変わっていただいていることを、敬意と感謝を申し上げたいと思います。
 和歌山県の知事なんかと一緒に、山の持つ機能を、経済的な機能だけでなしに公益的な機能もということで、緑の雇用事業というのを内閣の方にお願い申し上げまして、御理解をいただいて、今それが進んでおります。すなわち、これから私どもも政策を自主的に立案しまして実行していく。それがよければどんどんとサポートしていただきたいなと思いますし、その過程において、やはり国のお知恵というものはすごいものがありまして、どんどんそれを直しながら、御指導いただきながら、そして、今緑の雇用事業なんかは進化の過程にあります。そういうふうに、どんどん対等の立場で協力し合って、そして本当にやっていくということを明確にお願いしたいなというふうに思うところでございます。
 その中で、経済特区のお話が出ています。考えてみればこの経済特区もいいかげんなものでございまして、日に日に変わっていますが、私はそれでいいと思っています。すごくいいと思います。がちがちに決めて、全部指標を固めて、こういった条件でこれこれこういうことだからこの事業はつけるというのは、ほとんどでたらめに近いような、都合のいい指標でやってきて七百兆円も借金つくったわけですから、もうやめた方がいいと思うんですね。よければ、感動は感動を呼んで、次から次へといい予算にどんどん切りかえていくという適応能力でいった方がいいと思います。
 私ども、経済特区を聞いたときに、最初、ああそうかなと思って頑張ってやろうと思ったら、日に日に変わってきて、聞くたびに変わったり、こっちが言ったら、ああそれいいねといって取り上げていただいて、これは非常にいいと思いますね。だから、それは協働でつくり上げていく、コラボレーションでやっていけば本当にいいと思います。
 この経済特区は予算措置が余りされないということですから、どうぞやってくださいといって、内閣もえらい熱心でありがたい。それでいいと思うんです。ところが、これは規制緩和だというと、また各省庁が自分たちの既得権益を守ろうとする。このことについては、国会議員の先生方、ぜひ断固闘ってほしい、本当にそう思います。
 そして、例えば、三重県なんか四日市のコンビナートがあります。四十年の苦労の歴史がありますよ、公害から脱却するための。あるいは、オールドなエコノミーになってしまったところをニューエコノミーに変えていこうという、すごい思いがありますね。
 やはり、現場にこそ神宿るでありますから、遠慮のない御議論はいいですけれども、自分たちの権益を守ろう、省庁の権益を守ろうというようなことは国会の先生方でぜひやめさせていただきたい。そして、それぞれの、各地から出てきた案をモデルケースにしていただいて、国だけで全部適用ではつらくなるだろうから、三重県なら三重県とか、ある県とか、ある市ならある市でやられるということについては、できたら大目に見ていただいて、そして時代を切り開くビジネスモデルをおつくりいただければ本当にありがたいなというふうに私は思っているところでございますので、ぜひそれをお願い申し上げたいと思います。
 私は、多くの先生方が御承知いただくとおり、衆議院議員も十数年経験させていただきましたし、知事も七年になります。未経験なところはジェラシーが起こるんですね。私は県会議員をしていましたから、国会議員ていいなあと思っていました。海外に一緒に旅行に当時連れていっていただくと、我々バスで、国会議員さんだけはさっと大きなリムジンでというので、うらやましいなこのやろうと思っていました。
 国会議員になると、なかなか苦労が多くて、月曜日に東京に仕事に来て、金曜日には仕事しに田舎へ帰って、ほとんど時間がなくてということで、すごい緊張感の連続でございました。したがって、知事なんていいなあ、こう思って知事になりましたが、知事になったらなかなかつらいことがございまして、思っているほどいいものでもなしにということになります。私は、両方とも経験していますから、両方ともわかるつもりでございます。
 したがって、地方自治体と国会の先生方とが本当に議論し合って、さまざまな問題、例えば分権一つとっても、理論的にはそうだろうけれども、現実なかなか動かないというようなこともあろうかと思います。そんなことを虚心坦懐にいろいろな話し合いをしていただいて、単なる未経験によるジェラシーとか思い違いというのはいっぱいあると思うのですね。だから、そういうことを本当に議論して、お互い一足す一が十とか二十になるような、そういうこともお考えをいただければ、私どもにとりましては大変ありがたいことでございます。
 大変失礼なことを申し上げましたが、これのすべては、地方自治体もぬくぬくと国に甘えてきまして、そしていろいろなことで依存症でございました。これの体質を変えるために、私ども全力を挙げて、自分たちで政策法務はやるとか、政策を立案するとか、自己決定する努力をするとか、自己決定すれば自己責任をとるという、こういう努力があってこそ初めて言えることだということを肝に銘じながらお話を申し上げたつもりでございますので、今後そういう努力をいたしてまいりたい、このように思いますから、今後ともぜひ御指導をいただきますように、お願いを申し上げて終わらせていただきたいと思います。
 ありがとうございました。
保岡小委員長 以上で参考人の御意見の開陳は終わりました。
    ―――――――――――――
保岡小委員長 これより参考人に対する質疑を行います。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。渡辺博道君。
渡辺(博)小委員 きょうは知事、どうもお忙しいところ御苦労さまでございます。知事のお話を聞いて、本当に自信にあふれるお言葉でありました。私は知事の経験がありませんで、ジェラシーを感じております。
 知事の経験を今見させていただきましたら、大学を卒業した後、民間会社にお勤めになられた。そして、民間会社をやめられて自分で事業も起こされた。そして、県会議員、国会議員、現在は知事ということをお伺いしまして、やはり自分の経験というものが、今回知事になって大いに役立っているんじゃないかなというふうに思います。
 特に、お話を聞きますと、マネジメントという部分があります。これはやはり民間の指標というものをしっかりと身につけている一つのあらわれではないかというふうに思いますが、今回知事が大変トピカルな形で新聞にも報道されておりまして、昨日の報道がありましたけれども、知事の皆さん方五人とそれから経済人で地方分権研究会をつくったというお話が載っております。
 この内容につきまして少々お伺いしたいわけであります。全国にはいろいろな知事さんがいらっしゃいますが、それぞれの知事が自分たちの地域をどのようにしていくかということを真剣に今取り組んでいるというふうに思いますけれども、このように地方分権の研究会をつくったいきさつ、また、これからの内容について、ひとつお話をしていただきたいと思います。
北川参考人 どういうわけかあれは少し話が大きくなっただけの話であって、ああいう知事会議というのはいっぱい持っています。私でも十ぐらいあるんじゃないでしょうか。そんな感じでございまして、それぞれの政策によって分かれるとか、地域によって知事会議を持つとかいうふうにやっています。
 従来、ややもしますと、守秘義務のときは、各県が県境をつくって、ボーダーをつくって隠したものですが、最近多くの知事たちは、全部お互い見せっこして点数をつけ合いしているのがあるんですね。低かったら直せばいいというふうにどんどん変わってきています。
 そして、従来、知事会議ですと、何か企画部長あたりがいろいろなことをほとんど決めておいて、てにをはだけ知事にちょっと直させて、話す順序はだれからだとか場所はどことか、もう愚にもつかぬようなことが役人の仕事だと思っていたんですね。これは直させて、我々どんどん電話とかメールでやりとりして、トップダウンですよ。そして、実質的に議論をしましょうということです。
 きのうの会議は、あれだけ大きく報道されると、ほかの仲間の知事に、何でおれは入れなかったとしかられてかなわぬのですけれども、軽い意味で、我々、分権を、もう理論のときは終わったから、実践でやるなら一遍お互い出し合いして、そしてどんどんやったらどうということです。これは、最近国もうんと目を開いていただいていますから、ありがとうと、いいのがあったらどんどんとってくれるんですね。そうやってやっていった方が早いでしょうというような、そんな意味合いでつくらせていただいたんです。
 あしたも別の知事会議がありますから、私、出ますがね。それはもう各県知事、十ぐらいあるんじゃないでしょうか。その程度です。
渡辺(博)小委員 そうですか。ありがとうございました。
 もう一つ記事が載っておりました。きょうの朝刊でございますけれども、軽井沢でセミナーが行われまして、これは軽井沢トップ・マネジメント・セミナーということでございますが、そのテーマは「よい社会、よい経営とは―時代の変化を貫く本質」というテーマでありますけれども、その中で知事は、先ほどもちょっと触れておりましたけれども、「個性的な自治体の集合体が国であり、今の閉塞感を打破するためにも、そうしたモザイク国家となるべきだ」というふうな御主張がございました。
 このモザイク国家という、私自身はちょっと聞きなれない言葉でございますので、この辺をもう少し詳しくお話をしていただきたいと思います。
北川参考人 中央で統一して、北海道から沖縄まで一緒の政策というのはばかげていると思うわけですね。したがって、それぞれが自由に、沖縄は温暖的で土地は狭い、北海道は寒冷地で土地は大きいという、そういうことをどんどんそれぞれの違いを出していけばいいと。九州ならば東南アジアとか、北海道ならばロシアとか、そういったことを、それぞれの地域の特性に合ったことをできるようにしていこうと。それの方が私は、国家としては栄えていくから、それぞれがモザイク状態になって、三重県は三重県の地理的なこと、歴史的なことを生かしてやっていく、その総和が国の総力になれば非常にいいんではないか、そんな意味でお話を申し上げました。
渡辺(博)小委員 知事のお話の中に、国と地方の関係について、これからもう少し国に頼らず、また、地方は地方独自でやっていく、その体質改善が必要だというお話がありました。
 実は、前回の小委員会では、片山鳥取県知事のお話も聞くことができました。そのときも、知事はこんなことをおっしゃっておりました。国と地方の関係は、親離れ、子離れが必要な時期に来ているというお話でありました。
 そうしますと、地方自治体としての受け皿の問題が結構議論されると思いますけれども、地方自治体に対して、しっかりとした受け皿として成り立つのかどうか、こういった議論もあろうかと思います。その中で、地方自治体という一つの基礎自治体があります。市町村でありますけれども、この市町村に対しては、知事はどのように二十一世紀あるべきだというふうに思われますか。
北川参考人 地方へ任せればもっと利権が横行したり、もっとまずくなるだろうとよく国の方から言われます。そのとおりだと思います。だって、そういう訓練しかされていなかったものですから、我々は物すごくそこは、自主的な政策立案もしなければいけない、そう思って、うんと変えようと今努力をしています。
 ただ、お願いしたいのは、失敗する自由もお渡しいただけませんかと思います。失敗は成功の母といいます。成功ばかりしていると、成功は失敗の父ともいうわけですから、やはり、失敗はいけませんけれども、だからこそ努力するという、自己決定、自己責任ということをしていかないと、いつまでも国に依存していたんでは成長がなくなるだろうと思います。
 そのことは、同じことで、市町村と県の関係でも言えると思います。したがって、市町村の自主自立を妨げるような、県が集権的なことはやってはいけない、そう思っております。
渡辺(博)小委員 合併特例法が、平成十七年三月までに市町村の合併を促進するという法律ができております。そうした中で、現在の市町村の合併状況、この問題については知事はどのようにお考えでしょうか。
北川参考人 ちょっと三重県のことぐらいしか詳しくはわかりませんので、限定つきということでお許しいただきたいと思いますが、私は、合併はすべきだろうと思っております。
 ただ、一義的に市町村がお考えいただくことだということは思っておりますが、一番は人材の問題だと思います。例えば介護保険で、新しい、国がお決めいただいて措置をすることから、経営的なことにいこうといったときに、本当に介護をする専門家の方がいらっしゃるかというと、二人ぐらいいる。ですから、それは兼務でいろいろなことをしているから、本当の介護体制はどうかということはできない。あるいは、町づくりをしていこうというときに、本当に都市計画の専門家が、百人の役場で何人いるかといったら、ほとんどいないから県任せ、国任せというようなことではいかがなものかと思います。
 したがって、分権ということになれば、自主自立ならば一定の規模があった方がいいだろう。それで、小さな町もフルセットではなしに、機能分担するというような意味合いからいけば、一定の規模があった方が行政サービスは行き届くのではないか、私は個人的にそう思っておりまして、努力をしていこうと思っています。
 したがって、この十四年度いっぱいで特例法のいろいろな手続をしないと間に合わないだろうと思っていますので、今三重県も努力をしておる最中でございますが、もう少し見ないと、実際のさまざまな難しい点が出てこないと思います。今現在少しずつ出始めておりますので、それを丁寧に丁寧にほぐしながらやっていこう、こう思っておりますので、今のところ、ちょっと成否については申し上げかねるというのが実態じゃないでしょうか。そんな感じでございます。
渡辺(博)小委員 あっという間に持ち時間が終わってしまいました。
 これで質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
保岡小委員長 次に、山田敏雅君。
山田(敏)小委員 民主党の山田敏雅でございます。
 私は、議員になって二年ですけれども、昔、通産省の役人をやっておりまして、きょうの知事のいろいろなお話をお伺いして、非常にぴんとくるものがたくさんございました。
 私、入省二年目に初めて自分で予算をとれと言われまして、新エネルギーの十億円の予算をやったんです。このとき、大蔵省主計局に三十回ぐらい通ってこの予算をとってきたんですけれども、このときに、私、三十回もかかって何をやったかというと、このぐらいの分厚い資料をつくって、その十億円の予算の中身を、人件費だとか会議費だとか出張費だとか、ありとあらゆるものを積み上げて、それはなぜ正しいかということをやって、その予算をつくっていったんです。
 いざ、認められて、予算を実行するというときになりますと、当然、予算のとき考えたことと全然違うことが現実に起こってきます。例えば、十回会議をやるということでやっていたのに二回しかできなかったとか、調査をやろうと思ったらそれが現実的にはできなかったとか。僕は二年目だったものですから、予算は、僕が書いたとおり、大蔵省主計局はみんな知っていますから、このとおりやらなきゃいけないんだと思ってやっていたら、全然そのとおりいかないものですから、大変なことになったなと思って課長に相談して、これは大丈夫ですかと言うたことがあるんです。
 要するに、十億円の予算をとると、予算を許可した大蔵省主計局は一切この予算の執行に関しては関与しない、何の関心もないということになって、離れるわけですね。本当は、予算を要求したところが一番よく知っているから、これが本当に正しく使われたかどうかは一発でわかるわけですけれども、こういうことが行われている。
 すなわち、十億の予算をできるだけ効率的に使おうというのが普通の感覚なんですけれども、この十億を一年の間にいかに使うか、こういう発想に変わってしまうんですね。だから、さっきおっしゃった決算主義というのは、非常に重要なことだと思いました。
 そこで二、三お伺いしたいんですが、まず、知事のいろいろなアイデア、それから理念、そういうのをいろいろお話しになったんですけれども、これは、知事が行政の長としてやられて、実際に、どんな政策ブレーンというか、その発想、一人で全部お考えになるということはちょっと不可能だと思うんですけれども、どういうことでやられたのかということを一点お伺いしたいと思います。
北川参考人 私自身が考えたこともありますけれども、多くは、私も政治生活三十年ですから、それなりに人脈もありますし、いろいろな人にお聞きしたり、最近は、県の職員が発想してくるのが、ああ、こんなこといいのか、知事の座が危ないねと思うことが随分出てきて、循環し始めているんですね。だから、県の職員が出してくるのが圧倒的に多いんじゃないでしょうか。そんな感じがします。
 もう一つは、さっき主計局へ三十回通われたというんですが、それで十回というのは法令、規則を守っておるだけですから、ほとんど国民生活に資していないということをいみじくも言われたと思うんですが、三重県は財政課をなくしました。こんなの計数管理課でいいんだという話を盛んにしたんですけれども、私、負けまして、今、予算調整課なんですね。
 それで、予算を各部局に包括配分もしたんです。あなた方でやってこい、こういうことでやるわけですね。そうすると、今まで各部局は、いやいや、団体さん、私どもはやろうと思ったけれども、財政に切られましてね、こういうのがエクスキューズになっていて、部長と言われる人は、財務省の主計官ぐらいなものですわね、若い四十二、三の、そういう人に切られたというのは、何の誉れがあるんだと。
 だから、財政からの分権自立を三重県庁は徹底してやっていまして、そうすると、やはりいい知恵が出てきますね。御自分たちで説得を納税者にしなきゃいけないでしょう。だから、あなた任せでやっていると、責任を、国で言えば財務省ですかね、あるいは私どもで言えば総務局へ、そういうのをできなくするというシステムが必要じゃないでしょうか。
 だから、三重県では、査定という言葉は私以外には使わせないんです。主査とか課長とか部長と、選挙もせぬのが何を言っているんだという思いが私はありますから、そういう点はびしっといかないと。自分たち官優先だと、先銭を納めていただいた主権者の県民の皆さんに、予算に要望に来い、陳情に来いと平気で言うわけですから、そのあたりを本当に変えていかないとという決意が要るんじゃないでしょうか。そんな感じがします。
山田(敏)小委員 これに関連するんですけれども、今まで、知事がなられる前は非常に古い考え、古い体質の人たち、今の理念を実行するに当たっては、この人たちの頭の中を変えないといけないわけですね。さっきおっしゃった、課長制度をやめる、そうすると当然いろいろなフリクションがある。あるいは人事制度をいじると組合というのがある。あるいは、本質的なところで、行政の何かをカットしようと思うとその内部での、その頭の中身を根本的に変えるというのは、一番大きなポイントはどこだったんでしょうか。
北川参考人 私は、最初は職員の意識改革、県庁の意識改革、そして県政の改革という三段論法をとったんですね。それで、うまくやっておけよという話はほとんどやめまして、原理原則でやりまして役人の皆さんはずっと私より賢いんですけれども、私に勝てないところは、しつこさだと思うんですね。私が二回ぐらい言ったって、ああ、また知事が思いつきで言っておるなと思うのを、五回ぐらい言うとちょっと考え始めて、十回言うと本気にするとか、そういうところも一生懸命考えて、徹底的に職員と、何万時間になっていると思いますけれども、ほとんど私は表へ出ていないんですが、どっちが勝つかやろうじゃないかという話をしたということが一つ。
 もう一つは、先ほど申し上げた、システムを変えるということですね。例えば、財政課というのをなくして、予算調整課に変えて分権自立が進んだとか、税務課というのがありましたがこれは税務政策課に、今はもう課はありませんが、変えたら早速、法定外目的税で産業廃棄物を考えようというのは、税務政策を考え始めたから法定外目的税を考えたわけです。税務課のときは、国のお決めいただいた、総務省や財務省が決められたことをどうやって徴収するかだけでしたが、新しくそういうシステムを変えると本当に変わるのではないか。
 もう一つは、形から変わるというので、私は今、三重県へ帰りますと半そででノーネクタイなんですね。だから、二カ月以上はサマーエコスタイルで二十八度Cを守ろうということで、知事はダークスーツで来いというのはばかげていると思ってやっていますので、国会もぜひそうしてもらいたいし、カラーシャツがどんどんふえてきていますから、ダークスーツで白という霞が関は、それはおくれることは当然だと思いますけれどもね。
山田(敏)小委員 最後に、地方分権という大事な議論を今やっているわけですけれども、現実に、例えば厚生省などを見ると、ワンフロア全部、補助金の仕事を全員やっている。その同じ仕事を、県庁のあるフロアは、全員同じ補助金をやっている。市に行くと、その市の同じ補助金のことをやっている。三段階で同じ補助金を審査してやっているわけですけれども、補助金だけで役人の数がすごいと思うんです。それを順次おろしていこうというお考えだと思うんですけれども、最終的に、中央政府の機能はどこまでいけばいいのかということで、お考えがありますでしょうか。
北川参考人 理想系と現実対応系と二つあると思いますが、やはり国の根幹にかかわることを本当にお国でしていただいて、権限をどんどん移譲していただくことがいいと思います。やがて、これほど情報通信なり交通が発達していて、都道府県のありようというのは必ず問われると思うんですね。三層制の問題は議論が起こってくると思います。
 したがって、二層制になる可能性はあると思いますが、まず権限を本当に移譲していただければそのように育っていくと思いますから、物理的に変えるということが重要ではないか、そのように思います。それで失敗もしますけれども、それで努力をしていくということがいっとき必要な経過措置ではないかと思います。
山田(敏)小委員 時間が参りました。
 どうもありがとうございました。
保岡小委員長 次に、江田康幸君。
江田小委員 公明党の江田康幸でございます。
 本日は、北川知事、これまでのいろいろな経験を生かして、また現場の知事として非常にすばらしいことを考え、やろうとされているということをお聞きして、ありがたく思っております。
 幾つかお聞きしたいと思っているんですが、まず一つは、税源の移譲ということについてどのようにお考えなされているかということをお聞きしたいんです。
 確かに、これまでは政官財一体で護送船団方式で、こういう体制の中でやってきたわけでございますが、国としては、先ほども言われたように、最終的には七百兆円の借金もつくってしまっている。そこで、責任の所在が不明である。だからこそ、納税者には税金がどこに行ったかわかるような、今わからないからこそ閉塞感がある、その税金がどう使われているかということがわかるためにも、この地方分権をより進めていかなくてはならない。
 地方分権を進めていく上で非常に今注目されているのが税源の移譲でございますが、これはいろいろな考え方があるということでお聞きしておりますが、北川県知事のお考えについては、具体的にどのように思われているか教えてください。
北川参考人 私、先ほど、地方分権一括法は非常に大きい改革だったと思っております。あれには、税源は後回しということになってはおりましたが、必然の流れとして、税源は移譲されてくると思います。税源を移譲できない政府はつぶれると思います。したがって、その流れは当然だとは思っておりますが、先ほどの山田先生の御質問にもございましたが、とにかく形から、まずどんどん移譲していただければというふうに思います。そしてやっていこうということでございます。
 ところが、これは地方の問題の方が大きいと思います。権限を移譲していただいたり、税財源も、仕事がなく移譲していただくのはいいですが、ついてくるのは本当は嫌がっているところはいっぱいあるんですね。だから、合併の話でも権限の移譲でも、何か国からやらされているとか、そういうイメージでとらえがちの意識改革は、我々こそが本当に直していかなければいけないというのは痛切に感じています。そこは、先ほど私もお願い申し上げたように、そういう懇談会といいますか検討会を国と地方でお持ちいただいて、そして真剣な議論をして決めるというようなことも一方法かな、そのように思います。
江田小委員 地方分権一括法で機関委任事務が廃止されたわけで、それで法定外の目的税の創設は可能になった。だから、北川県知事がやられていますように、三重県においては産廃税というような形で自主税源を努力されておられますが、この自主税源には限界もあるということで、国からの税源移譲ということがはっきりしないと、本当の意味では地方分権は進まないというお考えだと思うんですね。
 それで聞いているんですけれども、できるところからということでございますが、例えば今までの議論においても、所得税から地方住民税の一部へ、それから消費税から地方消費税へ、そういうような幾つかの具体的な議論が地方分権検討委員会の中でもなされている。それと、今回総務大臣の方から、国から地方への五・五兆円の税源移譲策について具体的な話が出ておりますが、ここら辺を含めて、具体的にどう評価され、どうお考えになられているか。
北川参考人 片山総務大臣がおっしゃられたのは、全体的に前向きで、いいと思って、評価をさせていただいております。
 それで、地方自治体の問題点は、私、産業廃棄物税に挑戦したときに、私も含めて県庁の担当職員たちがやはり錯覚していたと思うんです。それは、消費税なんかもそうでしたが、内閣が幾つもつぶれるほど国で御苦労をいただいているんですが、地方は、税は国からいただくものだと思っていますから、気楽に考えているわけですね。
 したがって、事業をするときも、国へ陳情に来れば税はおりてくるものだ、こういう思いが非常にあって、私どもが産廃税をいただくときに、納税いただく人からこてんぱんにやられましたし、議会からもすごくしかられました。それで気がついたことはいっぱいございまして、だけれども、地方自治体もそういう苦労をしないと、事業は国よりひょっとすると甘くなっている面もあろうと思うんですね。
 今の形で自主財源を確保することは、もう目いっぱいお国の方で取っていただいていますから、目的税以外は難しいと思います。したがって、税全体のありよう、例えば外形標準課税なんというのは、当然安定した税収として私どもはとても希望するところではあります。それはタイミングの問題とかいろいろな問題はあろうとも、要望からすれば、私どもはそういうことを議論していきたい。
 いわゆる税全体の体系を、間接税でいくのか、あるいは直接税でいくのかというようなことも含めまして、安定した税収がない限り安定した福祉行政とか教育行政は当然できないわけでございますから、そのあたりは御一緒に、抜本的な、全体最適な税というものは考えさせていただき、もしあれなら我々も苦労するといいますか、税をいただくときに本当に大変だということをお互いが認識しながらということになればいい、そんな感じがしています。
江田小委員 ありがとうございます。税の話はそれぐらいで。
 小泉内閣も今聖域なき構造改革ということで進めておられますが、先生の著作でも、これを族議員とか既得権益の方々とか、そういう勢力から押されて、結局のところはそういう改革はなかなか難しいのではないか、したがって、地方分権、改革等においても、そうは大きく期待されてないような感じがするんでございます。
 それに関して、逆に国に先駆けてということでおっしゃられておると思いますが、全国の地方自治体から改革を起こす、そして中央の硬直化したシステムを変えていく、国をそういうふうな改革へと逆に地方が駆り立てていくということを知事はおっしゃっておられます。
 その実例に二つほど挙げられて、国の情報公開法が施行されたのも地方からの流れであった、さらには、行政評価法を、特に三重県では全国に先駆けて事務事業評価システムを入れられて、これがいわゆる今回の国の行政評価法、政策評価法につながってきたんだ、こういう大きく二つのことを挙げられながら、国の改革への流れを地方からやっていくことがより現実的であるということをおっしゃっておられますが、地方の方から中央の改革を、今後の改革では何をもくろんでいらっしゃいますでしょうか。
北川参考人 私は、小泉改革はそれなりに有意義だったという評価でございますので、いろいろなとらえ方はあると思いますが、そういうことでございます。
 ただ、地方も、地方でできることはどんどんやりますと、中央との対立じゃなしに協調で、ああ、いいのがあるねと言ってぱっととらえられる。中央で改革されたことも、我々随分、ああ、これはいただきだというのがあるわけですから、県の方がスピーディーにやれるのはいっぱいありますし、一つの県だけではなしに、五、六県が寄ってやっちゃおうよということになればビジネスモデルになるじゃないですか。だから、そんなのはどんどんやりましょうよというふうに思っております。以上でございます。
江田小委員 ありがとうございました。
保岡小委員長 次に、武山百合子君。
武山小委員 自由党の武山百合子でございます。
 きょうは、三重県の現場の御苦労、それからその奮闘している様子、また意気込み等、忌憚のないところをお聞きしまして、本当に頑張っていただきたいと思います。
 それでまず、北川知事は、本当に若くして、二十七歳で県会議員になられて、それでずっと政治家として奮闘してこられたわけですけれども、この間ずっと、分権、分権、分権と国も地方も言ってきたと思うんですよ。以前、なぜ分権が進まなかったかと学者の側から聞いたことがあるんですけれども、現場にいて、分権が進まなかった理由、何点か開陳していただけたらと思います。
北川参考人 制度的補完性という、これはマーストリヒト条約前文のサブシディアリティーの方じゃなしに、一つの制度ができると、その制度にまつわりついて全部が補完し合うというのがあると思うんですね。
 戦後、国破れて山河ありという貧しい状況から、キャッチアップの体制がとられて、そして、努力をすれば去年よりことしは必ず売り上げが伸びるというような、そういう前提になりますと、管理しやすい人がいっぱいできて、いい大学へ入ればいい大きな会社へ入れる、だから偏差値で子供のときから教育と、こういうふうに制度が補完し合っていますね。
 したがって、それが余りにもうまくいき過ぎたために、その制度がずっと定着をした、その中に中央集権というのがある。したがって、そういう完全に全部ヒエラルキーで制度ができ上がってしまっていますから、それを崩すのは異端者でありますからスポイルされちゃう、こういうことでなかなか変わらなかったと思うんですね。
 そこで、失われた十年とか言われまして、経済的にもこのままではとても立ち行かなくなりましたねとか、あるいは、豊かになりましたから、経済的な追求だけが政治の目的から、自己実現というような、価値が多様化、多元化していますから、それにどうこたえるかというようなことが出てきていますから、今、従来よりはより具体的に、より大きく分権の波が来ているんだと思いますので、このタイミングをとらえて、分権一括法もできたことですから、今、国会の皆さん方と御一緒に力を合わせていただいて、今こそ具体的に実現すべきときが来ている、そんな感じがします。
武山小委員 うまくいっていたときも生活者の視点というのは決してあったとは言えないと思うんですよ、過去の時点で。
 それで、まず、知事になられて、いろいろ国民も聞いておりますけれども、大統領制のようなあらゆる権限を知事は持っているというふうに一般の国民は思っておるわけです。それだけ権限を持っていたら何でもできるんじゃないかと思うんですけれども、実際は、議会とのいろいろな駆け引き、それから行政の側との、先ほど御苦労の、本当に粘り強く政策を議論されたということです。
 その権限を十分行使すれば、もっと生活者の視点というのは確かに移っていくと思うんですけれども、今まで、十年、二十年、過去を振り返ってきておりますと、最近だと思うんですね。北川知事を初め片山知事、それから長野県の田中さんとか、今までの知事とは違った側面を持った、中央集権的な発想ではなく、ただ待っていて予算をとるというような発想から、自主的に行動、県民のための、生活者の視点というところに置いていっていると思いますけれども、その権限についてちょっとお話を聞きたいと思います。
北川参考人 確かに県議会の皆さんとは車の両輪で、知事、理事者側だけが改革してもだめですから、三重県議会も本当に変わったと思います。したがって、成果が出てきている、こう思っております。
 それよりも、むしろ、国と市町村の間に挟まった中二階のような県でございますから、県が独走しますと国からすぐ文句が来ますし、市町村からもすぐ文句が来ます。面倒くさいと思いますね。だから、そっちの方が大きいですね。さっきの補助金の話でもそうです。国の言うことを聞かないと予算つけないぞというような、法治国家かと言いたいぐらいのことが平気でまかり通っているまだ未成熟国家の面があるわけですね。したがって、そっちの方が大きいと思います。
 したがって、そこも、私どもは理想ばかり追っておれない現実の行政の責任者ですから、そのあたりの実現可能な最大値を求めてやっていくときの権限行使をどうするかというのが一番大きな知恵の使いどころじゃないかと思います。
武山小委員 実は、私の今の質問は、国民から見ますと、知事というのは、人事権を持ち、税を徴収する権利と使う権利、執行権もあって、あらゆる権限を持っていて、やろうと思えばできるんじゃないかというふうに思うわけですね。でも御苦労が多いということで、その権限の内容をちょっといろいろ聞きたかったんですね。
北川参考人 それほど権限があるとは思えません、見方だと思うんですけれどもね。
 実は、中二階と申し上げたのは、県がなぜ中二階かというと、受益される方と負担する側のあれが県行政は非常に見えにくいんですね。だから基礎的自治体の市町村へ行くべきなんですね。自分たちはこれだけの負担をしたからこれだけの受益があるというと、それは政治にも投票率にもすぐはね返って上がっていくと思うし、参加意欲がわいてくると思うんですね。
 ところが、県は国からいろいろ委任を受けて、そして市町村を介してやっていくということになりますから、見えにくい点があります。したがって、そういうときは市町村の皆さんがパートナーとして、深い理解と一緒にやろうというコラボレーションの気持ちがないとできないわけですから、その点が権限行使の限界があると思います。
 私も相当、直接県が住民と、市町村を飛ばして接する努力を今もしておりますが、必ず摩擦が起きてきます。だから、国、県、市町村という三層があるのはどうこれから整理するかなというところは権限に大きくかかわり合いができてくるだろうと思いますので、人事とか予算の徴収、執行、両面、それはやはり御経験がない、先ほどの話で、未知の場所でありますからそう思われるのかなという気もしますが、私もそんなつもりで知事になりましたが、余りなかったですねという感じです。
武山小委員 実はきのう、文部科学委員会で、品川区の学区制廃止と、ユニークな教育をしているところを視察に行きました。戸越台中学というところなんですけれども、区立なんですね。そこは希望者が多いということで、抽せんで、中学ですから、各学年、三百人おりまして、一階から五階までを学校が使って、五階から上が特養老人ホームになっているんですね、同じ建物の中に。それで、プールが一年じゅう使えまして、大変ユニークな教育をして、そこで出たお話で、何が一番御苦労かというと、人事権がないことだと言うんですね、教育長さんも、それから校長先生も。
 私は、以前から、県が教育委員会の人事権を持っていますね、それを分権の中で各市町村が持った方がいいと思うんですね。特に、私は埼玉県なものですから、人口八百万近くで九十二市町村があるものですから、さいたま市の埼玉県庁の方ですべて人事権を握って、公立の先生の人事を決めるわけです。
 例えばそういう場合、北川知事は、今の状態で人事権を市町村に渡して、市町村が自分たちで教育を、教育は最も身近だと思うんですよね、分権の中でする、そこに一番欠けている人事権というものをお渡しする気持ちがありますか。
北川参考人 部分最適と全体最適ということはあると思うので、教育の問題を語るときに、その部分的なことだけでどうするという返答はしかねます。
 それで、教育委員会が今の教育委員制度で、実は私は、予算権、人事権、かなり本当は持っているんでしょうけれども、教育委員会は独立しているわけですね。あんなの独立していていいのかねという気は、そういう抜本的な課題が一つあると思います。
 あるいは県と市町村教育委員会との関係もなかなかうまくいっていない点がありますね。三重県なんか見ていてもそうです。だから、それをどうするかというのは抜本的な議論ですから、それをどうこうするというのは、今ちょっと私の立場から発言を差し控えますが、そういったいっぱい問題がありますね。
 例えば、先ほどのように、いっぱい生徒さんが来られるというのは、今まで教育改革は、何か学校の先生のための、文部省のための改革というのが多かったんじゃないでしょうか。だから、学生のための改革となれば、学区制を取り払えば、行きたいところへいっぱい行くというのは、これは生活者起点の改革になりますから、そういったことは相当公立の方も思い切ってやっていく必要があるだろうと思います。
 プールの問題は、特に東京都なんか何で各校にプールが一つずつ要るの、全くばかげたことだね。一年間に二十日か一カ月しか使わないプールを一坪一億のところにいっぱいつくって、そして、インストラクターは、泳げない先生が監視していて何なのと。だから、あんなのは年じゅうインストラクターをちゃんと置いて、品川区なら品川区で一カ所ぐらいで本当にいいと思うんですね。そういうふうなことは、どんどん今変化させていかないといけない課題が教育委員会には私はいっぱいあると思っています。
武山小委員 時間が来てしまいました。ありがとうございます。
保岡小委員長 次に、春名直章君。
春名小委員 北川さんには、本当にきょうはありがとうございました。大変興味深いお話を聞かせていただきました。
 私、ここは憲法調査会の地方自治小委員会なものですので、参考人に来ていただいた方にいつもこういう御質問をさせていただいているので、御了解いただきたいんです。
 憲法に、第八章で、地方自治の章ができましたね。これは戦前にはなかったもので、わずか四条なんですけれども、非常に私は、地方行政にとって、地方自治を担う方にとって、大事な規定だと思っておりまして、この地方自治、第八章についてどういう御感想をお持ちかということ。
 それから、憲法は、第八章だけではなくて、例えば二十五条に生存権の規定がございますけれども、それは国が責任を持たなきゃいけないと書いてあるんですが、今日では、その責務というのは大体地方自治体を介してやっているわけなので、そういう点で二十五条も地方自治体を担う者にとって非常に大事な規定でもあると思うんですね。
 そういう点で、憲法に盛られているこういう規定を、どう日常の活動に生かして、どういうふうに受けとめられてやっておられるのか、そこらあたり、ありましたら聞かせていただきたいと思います。
北川参考人 私は、憲法八章などと言われてもわからないので、お答えする能力ありませんが、地方自治の本旨というか、そういうことについてもっともっと議論は必要だ、そのように思っております。それで、国と地方の関係という問題も整理をする必要があるだろうというふうに今思っておりまして、憲法があって、しかも中央集権でというところは議論の余地はまだいっぱい残っていると思っておりますので、そういう感じでとらえておりますが。
春名小委員 もう一つお聞きしたいことは、ニューパブリックマネジメントの話なんです。
 三重県政は、北川知事になってから、その点では全国のモデル的なことになってきているという認識を私も持っておるんですけれども、地方自治体の使命と、民間企業における経営手法、あるいは事例を可能な限り行政に導入して、そのことを通じて効率化あるいは活性化を図っていこうという考え方かと、私は、そういう薄い理解なんですが、しているんですけれども、それと地方自治体の役割ということとの関係をちょっとお聞きしたいんです。
 つまり、素朴な疑問なんですが、地方自治体が行う仕事の中には、例えば社会扶助における介護や扶助がありますね。それから、学校教育における教育効果など、行政の効率性、そして費用対効果分析にそういう点ではなじまない分野も少なくなくあるわけですね。
 行政に市場原理、民間経営の手法を導入するということと、そういうなじまない分野をしっかり支えていく、ある意味非効率な部分かもしれません、そこをしっかり支えていくということをどう両立させていくのか、そこがすごく全国でも悩ましいところでして、ともすれば福祉の分野をばさっと切っちゃって、それで住民の批判も出る、しかし財政的にはそれはやむを得ないんだということで摩擦が起きる。そんなことがいろいろ出ているわけですね。
 そこら辺はどのようにお考えになって、先ほど生活者の起点ということを、すごく大事なことだと思うんですけれども、執行されているのか、お聞かせいただけたらと思います。
北川参考人 ニューパブリックマネジメントは、最小の費用で最大の効果を上げようというのは、当然なんですね。それで、三重県は、県行政がかかわるものというので、五つプラス一つ、六つで、それ以外はやらないというようなことにしてあるわけです。
 それで、例えば先ほどの扶助のようなこととか弱者をどうするというのは、当然市場の原理に乗らない弱者については、私どもは徹底的にパブリックサービスだというふうなことは決めてあります。さらに、教育の問題なんかは、これはいい方の外部経済、良循環の方の外部経済ですね。これは受益者が特定できないから、我々が持ちましょうと。あるいはO157が起こった。これは外部不経済の方だと思うんですけれども、こういったことは市場の原理にも乗らないですし、外部不経済で、しかしパブリックな使命としてはとても重要なことですから、そういったことは全力をかけてやろうと。
 すなわち、行政は、民間と比べて、非常に非効率な点がいっぱいあるんですね。だから、効率よくしておいて、そこから余ってきたものはそういったところへできるだけ回そう、こういうことが重要であって、市場の原理だけでパブリックセクターは動いてはならない。
 逆に、行政だからというので、余りにも効率を追求しなさ過ぎて、競争がないために、モノポリー、独占ですから、三重県には県庁が一つしかないんですから、それに甘えちゃっているということは、情報非開示の世界で起こり得たことですから、それにかわるものとして、私は、情報開示、第三者評価というのがとても重要だというふうに思って、ついついパーキンソンで予算はふえ、人はふえるという体質を持っていますから、そういったことをなくするための自戒の念を持ってやっていかなければいけないとは思っています。
春名小委員 もう一つ、シャープに九十億円というお話が出て、非常に意見もあるところだけれども努力をしているという話なんですが、そこで率直にお聞きしたいんですけれども、今まで外部から企業を誘致して、それで採算が合わなくなったら残念ながら出ていっちゃって、海外にも出ていくということになって、あと残ったところは野となれ山となれになっているようなところが少なくないんですね。そういう意味では非常に心配があるわけです。
 同時に、九十億円というお金がありますと、例えば三重県でいえば真珠産業は非常に大事な地場産業だと思いますし、それから、農林業、先ほどの話もありましたし、そういう内発的な経済の活性化といいますか、ということにも大いに役に立つお金として使えるだろうと思うし、そこら辺のバランスですね。外から導入することが全部僕はだめとは思いませんけれども、その辺は公共のお金を使うことになるので非常に難しい問題だと思うんですよ。その辺はどのようにお考えになってやられているのか、お聞かせいただきたいと思います。
北川参考人 九十億も、十六年度に開業されてから十五カ年かけて、途中でやめられたらそんなのストップですよ、そういうさまざまな規約は当然決めてあるわけですよ。だから、そういう形ですね。
 実は、真珠なんかも冷害で、大変なアコヤガイが死亡したりというのはあります。では、それに回す財源は一体どこにあるかといったら、今はほとんどないわけですね。だから、そっちで生み出そうよという発想がなければいけない。
 企業誘致だけでは問題はありますから、仕事誘致だとか人材誘致だとか、あるいは地場産業の内発的な振興というのは当然やっていきますが、それの財源となるものは、私どもとしては、希少産業を中国に持っていくのをとめていただいているわけですから、よりいい、すぐれた地域をつくれば集積は可能ではないかということで努力をしていこうということでございます。
 管理するだけではいけないから、経営という形でいけば、九十億が高いか安いかという議論は当然沸き起こってきますから、だからやらないんじゃなしに、議論が起こることは想定していましたが、だけれどもやろうよということで、いわゆる税財源をみずから確保するという努力、雇用の場の確保ということで、七割ぐらいは関連企業の中小企業の皆さんに、一万二千人ぐらい雇用を確保できるだろうというのはいくわけですね。だから、そういうふうなことも含めてチャレンジをした、こういうことでございます。
春名小委員 どうもありがとうございました。
保岡小委員長 次に、金子哲夫君。
金子(哲)小委員 社会民主党・市民連合の金子でございます。きょうは、貴重な御意見をありがとうございます。
 先ほどもちょっと出ておりましたけれども、地方自治の本旨ということが憲法の中にも書かれております。そのことはいろいろ考えなければならないことだと思いますが、国と地方との関係で、さっきの質問の中でもお話がありましたけれども、地方分権が進んでいくということと同時に、地方が中央に対して意見を言うということですね。例えば住民に直接かかわるようなさまざまな法律の策定とか、そういったことも出てくる場合があると思いますけれども、そういったことに対して、必ずしも今、地方から中央に対してどのような意見が反映されるかという方法論も含めて、余り定かではないように思うんです。
 例えば、私は国会に出てまいりましてまだ二年ですけれども、地方議会で、私どもの同僚が意見書をつくろうということで、意見書を採択するということを一生懸命やるわけですけれども、国会での扱いというのは、公報に掲載されることはされるんですけれども、後はほとんど国会の審議に反映をされていないという感じがあると思うんですね。
 地方分権、地方自治というものがうたわれている背景の中に、やはり戦前の誤りも含めて、中央だけの権限によってどんどん進んでいくことに対して、ある意味では、地方からもそうしたことに対して意見を言うことで誤りなき道といいますか、そういった機能も果たすべきだというふうに思うんです。
 そういった点について、今のシステムの中にあって、例えば北川参考人はどのようにお考えで、またどうあるべきだというふうにお考えでしょうか。
北川参考人 ぜひ国会の方もそれは改めてもらいたいと強く要望しておきたいと思うんですね。意見書を何か書類でというだけではいけないと思います。
 それで、実は、先ほどの地方分権一括法ができまして機関委任事務が原則廃止になりますと、自治事務が大きくなることは事実ですね。そうしますと、三重県議会なんかも条例をつくるというのが非常にふえてきて大変喜んでおります。
 すなわち、自分たちで自発的に、あの一括法のせいでどんどんと条例ができてきているんですね。これは、自分たちで自分たちのルールを決めてということになれば、意見書というのは若干そこで減る可能性はあるわけですね、自分たちで自律されるわけですから。そういうふうなことが非常にふえてきているということは言えると思います。
 さらに、紛争処理委員会というんですか、ちょっと名前は忘れましたが、まだまだ余り使われてはないですが、あれがあることによって随分とプレッシャーになっていると思いますね。
 そこで、私先ほど申し上げたように、我々も国に対して意見といいますか、あるいは多少の不平不満を言わざるを得ないときがありますね。今までは下手を言うと予算で徹底的に、江戸のかたき長崎というのが今でもありますけれども、だけれども、これは言わざるを得ないんですよ。
 それは、情報公開で、地方分権一括法で、説明責任は県民に果たすわけになったんですね。今までは八割も機関委任事務があり、補助金はほとんど国ですから、各省庁に説明責任、これがほとんどだったんですね。これが変わってきたことはすごく大きいことですから、国が理不尽なことをされたら、我々は裁判もやりますし、意見も言いますし、文句も当然言いますというのは、従来とは全然違いますよというふうに国の方も御理解をいただいておいた方がいい。それで我々も、間違えばどんどん意見を言っていただいて、よりいい方向へ直していけばいいんだということを私は申し上げておきたいと思います。
金子(哲)小委員 次に、財源のことでちょっとお伺いしたいんですけれども、財源がこれから地方に移譲されていかなければならない。そうならなければ本当の意味で地方分権にならないと思いますけれども、今、各自治体が自主財源のような形で決めていかれる。
 今、三重県の産廃税もそうですけれども、これはある程度目的税になっておりますけれども、先ほど外形標準課税の問題が出てまいりましたけれども、かなりこれは、都道府県の規模によっては大きな財源になるところとまたそうでないところが出てくる、県における格差が出てくるというような問題もあると思いますね。それから、先般の東京都のホテル税、これまた鳥取県の片山知事から異論が出たということもありますけれども、いわば、地方と地方とのそういうことによっての意見の違いなども出てきたケースだと思います。
 そういった一定の自主財源の問題とか考え方とかについて、もし北川参考人の御意見があればお聞かせいただきたいと思います。
北川参考人 自主財源はほとんど不可能だと思います。県の予算を左右するほどまではいかないと思います。したがって、税全体を、お国と一緒に全体最適な税というものを考えていかなければいけないと思うんですね。
 それで、外形標準課税なんかは、時期的な問題はありますよ、タイミングはありますけれども、外形標準課税で私はぜひいってほしいとは思っておりますが、そのときには法人税はどういうふうな変化をしているかとか、本社へ全部吸い上げられちゃって東京が栄えるのはいかがかという問題もあわせて、そういった全体最適で議論をしていかないといけないと思うんですね。
 やはり自主財源は要ると思います。それは先ほども申し上げましたが、国から税はもらえるものだと思っていますと本当に甘えの構造になりまして、例えば知事とか県会議員が落選覚悟で二代にも三代にもわたって将来のために税をというのは、国の皆さん方は本当にそういうことをやられるんですね。我々はそういう苦労が足りなくて、依存症といいますか、甘えの構造が地方自治体にもあったと思います。
 したがって、自主財源をして、いただける税がどれほどつらいかということを身にしみて感じて事業予算を執行するということを習慣づけなければいけませんので、私どもも、県庁の職員には最大限、新採で採ったときには税務政策課なんかを通して、そして事業課へ回していくというような努力をしていますが、まだまだそれは足りないと思っております。
 したがって、自主税財源の確保ということは、税全体を考えて、国の皆さんと一緒にアロケーションといいますか配分比率を決めていかないと、自主的に今の形で税源をつくり上げるということは非常にしんどいことですし、予算に影響を与えるほどの税財源は得にくいという感じがします。
金子(哲)小委員 それから、緑の雇用事業というお話がありました。私も、環境委員会におりまして、地球温暖化対策を含めて、山といいますか、緑についての保全がこれから大きな課題になってくると思うんです。
 しかし、実際には、林業そのものが、日本の国内産材がほとんど使用されない、価格の問題も含めて。という中で、今、山の機能を含めて、緑の雇用事業ということを参考人はおっしゃっておりますけれども、例えば山林そのものが、木材の販売も含めて、今価格競争に国内材が行かないという問題なども含めた対策として、これから森林対策というものが重要な柱になっているだけに、国なり県の助成の範囲も含めて、どのような点まではやるべきだ、その点から考えてももっと積極的にやるべきだ、その点も含めて少しお考えをお聞かせいただきたいと思います。
北川参考人 徹底的にやるべきだと思います。
 生産財としての林業は、WTOもあって惨敗しました。したがって、今、相続税も払えないとかいろいろな問題がいっぱいあります。しかし、山をこのまま放置しておけば、今百億円を入れれば公益的機能が残りということになるのが、二十年たってしまえば、一千億投下してもそれはほとんど不可能だろうということがあると思うんですね。したがって、補助金行政ではなしに、そこで雇用の確保ができれば、そちらの方へ予算を使えばよりいいものができていくだろうと思います。
 さらに、いわゆる公益的機能として山林は七十五兆円持つのではないかということ、さらに、京都議定書のあれを達成するために三・九%というようなことで、山の持つ価値を十年間で一兆円ぐらいというのが農林水産省と環境省の方でお話しいただいているというのは、私はとてもいいことだと思うんですね。
 したがって、山を経済林として見るのと、もう一つは環境林として見ていただいて、ここにうんと、国土形成という意味、あるいは酸素を供給する、水源を涵養する、フィトンチッドをばらまく、こういうような感じの、非常に公共財として貴重な価値を山は持っているというふうに思いますので、これは林野庁と環境省と本当に力を合わせて、国を挙げてお取り組みをいただければ雇用の確保にもなりますし、さらに、山を保全していくということは今とても重要なことだ、そう思っておりまして、三重県も環境林というのをゾーニングいたしまして、そこに、雇用の確保と、さまざまな快適な環境の条件整備をするために、一般財源をどんどん入れておりますので、国におかれても積極的にお取り組みをいただきたい、そう思います。
金子(哲)小委員 ありがとうございました。
保岡小委員長 次に、井上喜一君。
井上(喜)小委員 北川知事、きょうは本当にありがとうございます。保守党の井上喜一でございます。
 北川知事は本音で物を言われる知事さんだというふうに考えておりますので、いささか意地悪な質問もさせていただきたいと思います。本音でもってお答えをいただきたいんです。
 改革をやろうという場合に、関係者の意識改革というのは絶対必要でありますけれども、とりわけ県におきましては、県庁の職員の意識改革というのは非常に重要だと思うんですね。
 しかし、私の経験から申しますと、県の職員というのは非常に変わり身が早いわけです。知事さんがかわると、ぱっと変わるわけですよ、物の見事に変わる。どうしてこんなに変わることができるのかというぐらい変わるわけですね。
 私は、今、北川イズムのようなものがずっと浸透しているんじゃないかと思うんですが、本当に北川イズムに心酔をして、それを自分の考えとして実践する、それほどまでに意識改革が進んでいるかどうか。その辺をまずお伺いいたしたいんです。
北川参考人 北川イズムが浸透しているのかと思うと、恐怖政治かなというのが連続ですね。だから、あらゆる手を使って、本質的に、内発的に変わってもらえるように、朝から晩までそれをやって、才能がないものですから、しつこさ、時間で、十回でだめなら百回いこう、こんな感じで努力しています。
井上(喜)小委員 大体、それは説得ですか。それとも、あめとむち、特に知事さんは人事権を持っておりますが、それを利用するということですか。
北川参考人 説得という意味合いと納得という意味合いとは違うと思うんですが、納得をしてもらうためにあらゆる手を使って全力投球でやるところに、私の仕事の大半はそこに注入していると申し上げていいと思います。
井上(喜)小委員 私は、北川知事の就任前、三重県を見ておりまして、三重県というのは各省から非常にいい人材を集めているんですね。自治省だけじゃなしに、大蔵省とか他の各省からも人材を集める。しかも、概して言えば、非常にいい人を集めてきた県庁の一つじゃないかと私は思うんですが、北川知事になりましても、悪い言葉で言えば天下り人事、これはやっておられるんですか。いかがですか。
北川参考人 います。それで非常にいい効果を与えていると思うんですね。
 私も詳しくわからなかったものですから、本当に間に合わなかったらあした返すからそう思っておってくれというのを官房長に言いながらもということですが、そういう鍛え方をしておかないと、三重県へ来て、何だということではいけないので、思う存分、プロパー職員よりももっと鍛えて、間に合うようになってお返しをする、こういうつもりで頑張っておるんですが。
井上(喜)小委員 交付税、これは普通交付税と特別交付税、両方ありますが、この二つ含めて、現在の運用につきまして何か御意見があったらお聞かせいただきたいんです。
北川参考人 やはり調整的な意味合いの交付税は、今直ちにどうこうするというのはちょっとつらいところがあります。
 しかし、基本的には、まず交付税のあり方論、あるいは算定基準というのが不明確な点もございますから、そのあたりはもう一回洗い直すということは、補助金の問題とあわせて、当然とても重要なことだ、そのように思っております。
 したがって、今喫緊に一発でなくせとか、そういう議論はとりません。順次、現実に即応しながら、分権が進むような交付税のあり方にしていただきたい、そんな感じがしています。
井上(喜)小委員 今は町村合併が進んでおりますが、恐らく私どもが想像するより速いテンポでこの町村合併が進むんじゃないかと私は思うのでありますけれども、これと並行しまして、都道府県制につきましてのお考えです。
 県を廃止するというようなお考えもあるし、県連合みたいなものをつくっていくというような考えもありましょうし、あるいは、そういうものを廃止して国の出先をつくるなんというような考えがありますが、割かし近々の問題としてこれは出てくるんじゃないかと思うんですが、この点についての知事のお考えをお伺いいたします。
北川参考人 市町村合併とあわせまして、県がどうするかという議論は避けて通れない課題だと思っております。
 それで、合併、道州制、連邦制、さまざまな点があると思いますが、最近、各県またいで、例えば私はISOの認証機関をつくりましたが、そのときはお隣の岐阜県、愛知県にも資金を出していただいて、それで三重県がそれをやりました。それで、ITの、自治体の講習の職員は岐阜県さんにお願いして、愛知県と名古屋市と三重県がやはりお金を出してやるというので、機能分担が始まってきております。
 そういうことをどんどん今やっておりますので、その延長線上で、合併も、あるいは道州制もというので、まだ私も理論的には煮詰めていませんが、そういう流れができていくんだというふうに思っています。
井上(喜)小委員 今、憲法論議が始まっておりますが、私どもは、やはり憲法は改正すべき点がある、そういう点については当然改正すべきだ、こういうような考え方で今臨んでいるわけでありますけれども、一政治家として、今までも多彩な政治経験、経歴のおありになります知事でありますけれども、日本の憲法についてのお考え、もちろん基本法でありますから、当然尊重するのでありますけれども、どこを改正すべきなのか、あるいは改正は一切考えるべきではないのか、こういった問題についてのお考えをお伺いしたいと思います。
北川参考人 県政の責任者としては言葉は慎まなければいけないとは思いますが、基本的には私どもは、改正すべきは改正していい、そのように考えております。
 そこで、いわゆるマネジメントといいますか、さまざまな、例えば先ほど申し上げました会計規則的なことももう行き詰まってきているなというような感じが私にはしてならないところでございますから、そういった公会計の問題等々なんかは憲法問題に抵触しているなと。だから、ここを真剣に御論議いただいて、そして改正できるものなら先生方でぜひしていただけたらなという点はございます。
井上(喜)小委員 知事というお立場で、なかなかはっきりと意見を言うのは難しいと思うのでありますけれども、憲法九条、それから基本的人権、この二つについては、現行憲法をどういうぐあいに評価をしておられますか。
北川参考人 私は、それなりの歴史、伝統がございますから、尊重すべきものだ、そのように思っておりまして、今私は知事として多面的な要素をいっぱい持って仕事をしておりますので、それ以上のコメントは控えさせていただきたいと思います。
井上(喜)小委員 終わります。
保岡小委員長 次に、伊藤公介君。
伊藤(公)小委員 自由民主党の伊藤公介でございます。
 北川知事さんとは、しばらく同じ政策集団で席を同じくさせていただいて、大変御指導いただいた時期もございます。
 先ほどから、いろいろ北川知事の政策が披露されてきましたけれども、県知事として大変な御活躍をいただき、さすがに、県会議員、民間企業に働いた、あるいは国会議員として日本の政治の最前線で活躍をされた、そういうものが今の知事の活動の中に非常に生かされているというふうに思っています。県民から支持をされるというだけではなくて、三重県北川知事の次々と展開する政策は日本を動かす、そういうことにもつながっているわけでありまして、ますます御活躍をいただきたいと思います。
 そこで、いろいろ既に先生方からも御質問がございましたが、余り細かい条文のことを伺おうとは思いませんが、国と県とその下にあります市町村、そういう関係についても触れられました。
 日本の憲法の中に地方自治に関します規定もあるわけです。「地方自治の本旨に基いて、」というふうにあるわけですけれども、いわゆる画一的な、日本全体が一つの基準によって地方自治というものが行われるというこの憲法の規定といいますか、その地方自治の本旨ということをどのようにとらえていくかということが大変大事な問題だというふうに思っていますが、例えば、具体的な問題を申し上げます。
 最近、私たちの地元でも、議員の定数削減が花盛りです。私の町も、隣の町も、来年は地方統一選挙がありますが、かなりの市町村で定数削減ということをやられる。
 実は、地方自治法の九十条にも、都道府県議会の議員の定数が、上限ですけれども書かれている。私は、むしろ憲法でこういうことを規定する時代ではないのではないか。いろいろの地域には地域性がある、面積もあれば人口もある。また、それも大きな変化があるというときに、国が全国画一的な、こういう非常に大事な議員の定数を規定するということは、私はむしろ改めていくべきではないのかというふうに思いますが、知事の立場からどんなふうにお考えか、お考えを聞かせてください。
    〔小委員長退席、葉梨小委員長代理着席〕
北川参考人 憲法問題まで私は言及は差し控えさせていただきたいと思いますが、法律マターで、さまざまな点で大変な御努力をいただいている点はそれでいいと思うんですね。したがって、法律的なことで対応できるものの最大限は御検討いただきたいと思います。憲法につきましては、この委員会を初め、国会の先生方でぜひいろいろな御議論をいただきたいと思います。
伊藤(公)小委員 国政を経験されたという立場から少しお話も伺いたいんですが、この私たちの国会は、恐らく憲政史上初めてというほど、国民から選ばれた議員の方々が辞職をするというような国会になりました。その中で特に指摘をされているのは、政と官との関係、一言で言えば、政治家がどこまで口ききができるのか、そこは法律でどうしていくのかということが非常に問われた国会でございます。
 実は、最近は東京都も、具体的には入札の問題をちょっと伺いたいんですけれども、丸投げが今非常に大きな問題になりました。
 この入札制度というものは、私は、日本の建築業界もいろいろな議論をしてきたけれども、まだ抜本的な改革になっていない。最近、横須賀市で電子入札制度を実際に導入された。今私たちは党として、そういうところを既に実行しているところから、具体的に、どういう問題が克服されて、なおどういう問題があるかということも聞き取りしようという段階なんです。
 意欲のあるところは電子入札でだれでも受け付ける、そして最も安いところにやらせる。しかし、それが実際に工事ができないというところまで入札すると大変だということが今まで問題になっていて、最低価格などが決められてきたんですけれども、例えばアメリカの場合なんかはボンド制で、もしできなかったところは、そこは民間の保険会社が補てんするというような制度まで考えられているわけです。
 実際に、さまざまな現場に行きますと、たくさんの業者が毎日名刺入れをしている。いつとれるかわからない公共事業に半日つぶして、少なくとも社員が日本全国で、市町村から県から国の仕事まで、毎日名刺入れをしています。私はあんなことは早くなくした方がいいと思う。これだけ情報が進んでいるときに、きちっとしたルールの中で、皆さんが自由競争で、よりいいものをより安く提供できるという時代に、最もコストがかかる公共事業にかかわるこの制度を、私は改革していく必要があるんじゃないかというふうに思います。
 北川知事のように、非常に画期的な提案をされ、政策を次々と展開している知事として、どんなふうにお考えなのか。きょうここで具体的にどうしろということではありませんけれども、何か新しい試みをしていく必要があるんじゃないかと私は思っているわけですけれども、お考えがあれば聞かせてください。
    〔葉梨小委員長代理退席、小委員長着席〕
北川参考人 一つは、きのうの日経でしたか、朝刊に載っていましたが、私ども今試行的に、支払いを頭で四割納めるということじゃなしに、毎月払いにしてやり始めると丸投げがなくなるとか、これを今やっています。これで相当抜本的に変わっていくだろうというのが一つですね。
 もう一つは、建設CALSの問題で、今懸命に取り組んで、国土交通省さんのお知恵もかりながらやっております。そうすると、これは一つの試算でございますが、三重県だけでも四十数億円、事務手続に、例えば名刺配りとか、こう書いて仕様書を届けて入札に、そういう手間暇は除きますと、四十数億浮くという話でございます。
 したがって、これは電子入札との直接の関係になりますので、認証の機関もとりましたので、全力をかけてその成功のために、国土交通省さんの外郭にJACICという機関がございますが、そこと一緒に今頑張っているところでございます。
 そこで、ボンド制もそうですし、もう一つは、ちょっと名称は忘れましたが、要するに、相談して、本当に適切ないいものをということで、適切な値段というのがやはりあると思うんですね。その過程を公開してやっていくという決め方もあろうと思います。あるいは、一札、全社入れてどうぞ御自由にという場合もあると思います。
 一長一短だと思いますが、両方あわせ持って、今のところ私どもがやろうとしておるのは、電子入札の検討をしています。CALSも検討中でございますが、今スタートしたのは、毎月払いということで、これが一番実質きくことになるだろう、そう考えています。
伊藤(公)小委員 もう一問すると時間をオーバーしますから、では、とりあえずありがとうございました。
保岡小委員長 次に、中村哲治君。
中村(哲)小委員 民主党の中村哲治です。今、政治倫理審査会の幹事会があって、急遽の日程で抜けさせていただきまして、申しわけございません。
 私は、知事の隣の奈良県出身の議員でございます。三重県の取り組みを県会議員などに聞いておりますと、かなり私たちの県と違うんだなと思います。今自治体間競争という時代に入ってきていると思います。知事のお考えとして、どういう点でほかの自治体よりまさっているのか、三重県としてはどういう取り組みを、ほかの都道府県と比べて先進的にやっているとお考えでしょうか。
北川参考人 他県との比較は正直できかねる点がありますが、私が喜んでいるのは、一つは県議会との関係でございまして、緊張感のあるパートナーシップが確立できていると思うんです。
 私は、平成九年でしたかに、三重県がやるべき事務事業は一体幾つあるか計算したら、三千三百ありました。三千三百のうち、先ほど申し上げた五つプラス一で県が公的に関与すべきでないというので調べたら、二百七十五本出てきたんです。それを意思決定する前に県議会にばっと出して、さああなた方どう思うというのをやったんです。当然、三重県議会は情報公開ですから、全部県民の方はお入りになっているわけですが、何と二百二本一遍にとれてしまったんですね。
 それはほとんど補助金です。いろいろな団体の補助金とか、かつて県の実力者のためにとか、私、知事の集票マシンに変わるものだとかというのがあったんでしょうね、恐らく。そういう補助金がほとんどだったんですが、ほとんど一遍に取れてしまって、県議会の先生方もそこがきっかけになって、どんどんとタックスペイヤーの立場で我々に対して厳しい御注文をいただくことになって、本当にすっかり変わってきたと思います。
 その背景は、私は地方分権一括法だと思います。機関委任事務が八割もありますと、やはり執行機関とうまくやってという思考回路になるんですが、原則廃止になりましたから、御自分たちがちゃんとチェックをしよう、あるいは条例を立案しようというふうに変わってきている背景もあり、情報公開もこれありで変わってくれて、三重県の改革は車の両輪で動き始めたというのが一つ。
 もう一つは、県の職員組合との話し合いで、例えば特勤手当というのがありました。御自分たちで、いろいろ困難職場だとか危険職場は特別勤務手当がつくというもの。ところが、そんなの形骸化していて、同じ県庁の中で課が違うと、こういう部屋の中で、こっちは特勤手当はつくけれどもこっちはつかないという、そんなばかげたことがどこにあるのという話なんかを本気でやりまして、労使も共同委員会を開いて、マスコミ入れてやろうよという話を真剣にしました。五年かかりましたが、県の組合の委員長から、知事やろう、我々なれ合いはだめだからマスコミにも入ってもらってやろう、こういう申し込みをいただいて、私は大変喜んでおります。
 さまざまなボトルネックはどんどん解け初めて、そしてこれも緊張感のあるパートナーシップが確立して、私は、組合ともあるいは議会とも、相当毎日厳しくやられていますから、つらいんですけれども、そういうことがあると大きなけがをしなくて済みますし、緊張感がありますので、マスコミの方も入られていますから、なれ合いととられないですから、そういった点で回転し始めている面は三重県はあるんだろう、そんな感じがします。
中村(哲)小委員 今、自治体間競争の話からそういうふうな話を聞かせていただいたんですが、もう一つ、今のお話を聞くと、非常に緊張感のあるパートナーシップがなされているというのは、それは県民から見ても非常にわかりやすいなと思うと同時に、その動きなりが、今度は広域化しているときに、どういうふうに考えたらいいのかなということを思うんですね。
 ちょっと趣旨がわからないと思うので簡単に申しますと、自治体間競争と同時に、今度は隣接する自治体との協力の話がやはり大切だと思っております。先ほど和歌山との森林の整備についてのパートナーシップというか協力についてお考えになられていると思うんですが、今後の道州制などもにらみ、県と県が協力していくことが広域化行政にとっては非常に大事だと考えているんですけれども、自治体間協力について知事はどのようにお考えでしょうか。
北川参考人 積極的にやっていけばいいと思うんですね。それで機能分担をし合えばいいと思うんです。
 例えば、紀伊半島がありますね。奈良、和歌山、三重と三県にまたがる半島は紀伊半島だけなんです。東京から離れているということでロストワールドになっていたということですね。それで、三県で協力して、熊野古道、あるいは紀伊の高野山に行く道、熊野三山に行く道なんかを一緒に世界遺産に努力しようというので、世界遺産暫定リストに載りました。あと二年かけて暫定リストを取って世界遺産に、我々の努力、うまくいけばなると思いますね。それは、大峯道も入っていますので、三県の協力があって初めてできるわけでございます。
 そういうことはどんどんやろうということで、紀伊半島なんかでは、例えば防災も一緒に、ヘリを飛ばそうというのは一緒にやっています。あるいは、三重県の県民は、三重県の小学校か中学校に行くのに一時間もかかる、だけれども和歌山県に行くなら十分で行くというのには、そんなの取ったらどうというようなこともしています。あるいは警察の関係とか、そういったことで、お互いが協力し合ってやるということはとても重要なことだと思っておりますので、今後これは物すごく加速していくと思います。
 その形が広域連合に変わってみたり、あるいは合併に行ったり道州制にというのは、やがてそういう方向に行くんだろう、そういう感じで取り組んでおります。
中村(哲)小委員 機能分担というお話でしたが、今現実に協力をしていく上で、何かネックになっていることとか、文化の違いとかで困っていることとか、そういうことは見当たりませんでしょうか。
北川参考人 いっぱいあります。こんなはずじゃなかったということの連続ですから、なかなか連携するとうまくいかないというのは、事実いっぱいあります。
 しかし、時間をかけてやっていきますと、だんだん溶け合ってくるんですね。県の行政も、今まで情報非開示が一番大きかったんですけれども、全部悪いところは隠していたんでしょう、県のボーダーで。これを知事同士でやり始めると、職員じゃありませんから、どんどん取っ払った方が楽になるんですね。
 そういう点では変わってきていると思いますから、まず、県の職員の行政に対する意識の改革度合い、感覚の違いが一番ネックになっているんだ、そんな感じがします。
中村(哲)小委員 感覚の違いというのは徐々に取れてきているというふうにお感じになっておられますか。
北川参考人 度合いはありますけれども、そのように確実に流れはできていると思います。
中村(哲)小委員 私は、知事のきょうのお話をお伺いして、一つの県が頑張っていただくと周りの県が非常に活性化していくんじゃないかなということを実感しているわけでございます。
 私たちの会派の議員でも、北川知事がおっしゃるから非常に勉強になるということをよく聞かせていただいています。例えばこの間、知事はきょうスーツを着ていらっしゃいますけれども、京都議定書の時代なんだから、国会議員は私たちがいつもやっているように開襟でやればいいんじゃないかというようなことを言われて、ああそうだなと言われたというふうに言っておったんですけれども、今後、理念の面で、地方の知事と国会議員の関係というのはどうあればいいとお考えでしょうか。
北川参考人 先ほども申し上げましたけれども、食わず嫌いということもあれば、未知の世界でジェラシーもありますから、やはりいろいろな議論を忌憚なくやって、ああそうかとわかり合えることがあれば、すごく私は進むと思うんですね。
 だから、私、先ほども申し上げたんですが、国会議員のときは知事っていいなと思っていますし、知事になったら国会議員っていいなと思って、勝手なものなんですね、立場立場で。だから、勝手同士がしゃべっていても何も解決できませんから、お互い忌憚なく話し合って、成果を上げていこうと。それは、一足す一が三とか五とか十になる。今、中央と地方の関係で、一引く一はゼロになる場合もあるんだろうと思っておりますので、きょうもちょっと、いささか失礼を省みずに申し上げているのは、私どもも一生懸命変わる努力をしますので、ぜひ御一緒に問題解決できればという意味で申し上げたつもりでございます。
中村(哲)小委員 ありがとうございました。終わります。
保岡小委員長 それでは、次に実は森岡正宏君の質疑の時間なんですけれども、幹事会で御了承いただきまして、お許しを得て、私から、その枠内でちょっと質問をさせていただきたいと存じます。
 北川参考人は本当に、先ほど伊藤公介議員からもお話がございましたとおり、政治改革、選挙制度改革その他、日本の政治を変えて新しい時代を切り開くということで非常に情熱を示された国会議員時代のお姿が思い出される、そういう知事としての御活躍をきょう伺って、本当に心から敬意を表し、御活躍を今後も期待したいと存じます。
 そこで、先ほど来、諸先生からもお話があった趣旨と変わらないと思いますが、明治以来、日本は欧米モデル、西洋に追いつき追い越せということで、はっきりした国家ビジョンを持ってというよりかは、国家ビジョンを象徴するようなしっかりした価値観というものを持って、中央の官僚に優秀な人を教育して据えて、そして一瀉千里に足並みそろえて国の発展を目指して努力した。
 その結果が、戦前の近代国家の仲間入り。そしてまた、戦後、焼け野原からあっという間に、五十年足らず、十数年前に、既に世界の経済の半分とは言わないが、四割を日米で占めるというような状況、あるいは、アジアの経済の六割の経済の立場を手にするという、世界から見ると奇跡みたいな発展を遂げるわけですね。
 しかし、今、国家目標が消えましてというか、達成したというようなこと、あるいは豊かになったというようなことで、国が目指すべき目標というものがはっきりしなくなっている。しかも、優秀な官僚が国民の税金をいただいて一生懸命頑張っても、なかなかこれ以上国の発展を成熟に向かわせたり、あるいは、環境と変化のスピードについていくように変わっていくということがなかなか難しい。すばらしい資源を持っているはずなのに、各国にどんどん国際競争力も地位を奪われていくというか、どんどんトップクラスから落ちていくというような状況にある。
 こういった状況を知事の目から見て、私はやはり、中央集権という国家目標を達成する手段と、それともう一つは、欧米に追いつき追い越せという政策理念というんでしょうか、向かうべき国家像の形とか目標、こういったものをもう一度構築しなきゃならぬ。これは車の両輪みたいなものだ、政策理念とそれを実行する体制ですね、あり方、ガバナンスというんでしょうか。こういう点で、新しい国家像というものを北川知事がどう考えられるか、伺いたいと思います。
北川参考人 生意気を申し上げるほどの知識は持ち合わせておりませんが、私は、一つの体制が長く続きますと、ついつい内向きの議論が勝ってしまうと思っております。
 したがって、事の善悪が、私にとってあるいは私たちの組織にとって有利か不利かという議論がまさってしまう、そういう問題を内包していると思います。まさに日本はそうなってしまって、閉塞感に満ちているという感じがするんですね。
 それは、実はいい時代で、そうしていても生き残っていけたからだと思うんですね。今、パラダイムシフトが起きて、本当に問題を右するか左するかという大激論が起こり始めている。これを起こさなければいけないと思うんです。
 私は、とっちゃん坊やのような話をして恐縮ですが、明治維新がなぜ成功したかといえば、やはり危機感から、五カ条の御誓文に書いてありますが、「天地ノ公道ニ基クヘシ」という理念に基づいて、あらゆるものがそこで収れんされて、そしてとうとう天下回天事業が起こったと思うんです。
 したがって、今優秀な官僚と言われましたが、本当に今、優秀な官僚かということを我々は分析する必要があると思います。事なかれ主義で、うまく事を処理しろよというような形で一つの体制が続き過ぎますと、そういうのが優秀な官僚になってはいないのかということを本当に分析しなければいけないと思っておりまして、優秀な官僚の皆さんが、本当に政治家と一緒になって、天地の公道に基づいて、そして判断していくということがなければ、なかなか今の閉塞感はとれないだろう、こう思っているところでございます。
 ぜひ、優秀な官僚論とは何かということも議論をしていただかないと、今のままでは、残念ながら、パブリックサーバントといいますか、本当の公僕というのは一体何かということが、ついつい小手先の、うまくやっておけよとか、今の問題を糊塗しながらやっておけよというようなことが起こってはいないかということを、私は、素直に申し上げて、大変心配をしているところでございます。
 これは地方公務員全体もそうです。三百二十万人地方公務員の方おっていただくんですが、その人たちが本当に、国が悪いとか民間が悪いということでなしに、三百二十万人の地方公務員の方が一回自己否定していただいて、新しい価値を創造するという強い情熱とプライドを持ってやっていただければ、私は簡単に閉塞感はとれる、そう考えているところでございますので、まさに今委員長おっしゃられたように、理念、ビジョンをしっかり掲げて、そういう体制をつくっていくことこそが今本当に重要なことだ、大変失礼な言い方をしましたけれども、強くそう思っております。
保岡小委員長 それと、きょう話題になりました道州制の導入ですね。
 これはある意味で、基礎自治体が適正規模に合併していって、例えば生活レベルのことがほぼそこで自主決定ができる。もちろん財源も手当てする。しかも、自主財源というような財源移譲なども工夫していかなきゃならない。
 あるいは、例えば九州とか関西道とか北海道とか、こういう単位でいえば、関西道はカナダにGDPが匹敵する世界第七番目の経済の規模だとか、九州は韓国に匹敵するとか、こういったいろいろなことを考えて、経済単位で考えた場合、日本が独自性を発揮して、いろいろ競い合って地域交流をして、魅力あるところに経済資源が集まるという流れを生かしていくとか、いろいろなことがあると思うんです。
 さらに、そういった道州制の上でどうしても国がやらなきゃならないことに限定してくると、いわば県は中抜きというようなことになる。実は、我々、道州制実現議連で、県を中抜きすることによって、資源が大体三十兆ぐらいは浮くだろう、そこにむだがあるんじゃないか、もっとすっきりした国の統治、ガバナンスの仕組みを工夫すべきだ、そういうことに道州制の実現を位置づけているんですが、知事はどういうふうにお考えでしょうか。
北川参考人 失礼ですが、それでいいんだろうと思っております。行政改革なんかは、要らないものがなくなっていけばいいわけですね。そういう粗っぽい議論をすると、そういうことになろうと思います。
 ただ、分権をする場合に、やはり自己決定、自己責任がとられる体制だけは必要だと思うんですね。政策を自主的に立案し実行する、そういうのも要ると思いますので、市町村合併なんかは相当慎重にやらなければいけませんが、それが多分前提になると思うんです。そして、三層制より二層制の方が多分私は機能しやすいんだろうなと思っておりますので、これは将来展望になりますが、県が中抜きになることはいいんだろう、そのように思います。
 そこで、FBIのような、カウンティーといいますか、そういった全く広域的なことだけ扱う国の地域機関の、いろいろな機関ございますが、そういったことと合体するとかいうような形も、そういう補助的なことはあると思います。
 したがって、そういうふうなことをIT社会を前提にして考えるならば考えていいんだろう、いわゆる二層制プラス補完機能といいますか、それはそれでいいんだろう、そんな感じがしています。
保岡小委員長 ありがとうございました。
 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。
 この際、一言ごあいさつを申し上げます。
 北川参考人におかれましては、貴重な御意見をお述べいただきまして、本当にありがとうございました。小委員会を代表いたしまして、心から御礼を申し上げます。(拍手)
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保岡小委員長 これより、本日の参考人質疑を踏まえ、地方自治について小委員間の自由討議を行いたいと存じます。
 一回の御発言は、五分以内におまとめいただくこととし、小委員長の指名に基づいて、所属会派及び氏名をあらかじめお述べいただいてからお願いをいたしたいと存じます。
 小委員の発言時間の経過につきましてのお知らせでございますが、終了時間一分前にブザーを、また終了時にもブザーを鳴らしてお知らせしたいと存じます。
 御発言を希望される方は、お手元にあるネームプレートをこのようにお立てください。御発言が終わりましたら、戻していただくようお願いいたします。
 それでは、ただいまから御発言を願いたいと思います。
伊藤(公)小委員 短く申し上げます。
 知事がいなくなったので、知事がいられたら知事にむしろ聞きたいと思ったことですが、地方分権がこれから恐らく急速に進むんだろうと思いますが、そういう中で、地方自治にどれだけの人材が育っていくかということが私はとても大事だと思います。三重県の人事を見ましても、副知事は総務省、それから総合企画局長は財務省、生活部雇用特命担当監は厚生労働省、健康福祉部長は厚生労働省、こうやって聞くと、確かに知事の発想は私はすごくいいと思いますけれども、何だか県なのか国なのかよくわからないみたいなところがあるんですね。これは三重県だけでなくて、日本全国私は多分同じような状況だと思うんです。
 だから、これから本当に北海道から沖縄まで違った顔をつくる、自治体が本当に独立した地域の町や村をつくる、県をつくっていくというなら、この人材の出向制度というものもむしろ考え直していく必要があるんじゃないか。もし私が知事だったら、中央の役人に力をかりるのではなくて、むしろ民間から自分のスタッフに加わっていただくようなシステムを考えたい。ただ、そのときに、その採用した民間人が、自分が知事を終えたときには身分保障がないというような問題もありますよね。
 ちょっと長くなって恐縮ですが、これは私たち党の中でも、小泉内閣が非常な勢いで構造改革でスタートした、しかし、いろいろな抵抗勢力がある、そこで、我々の党の部会長などは全部、副大臣、政務官に入れようという、英国式の制度に今大きく変えようという議論がかなり具体的です。
 フランスは役人を使っています。アメリカは民間人です。アメリカの大統領は全国から、ローヤーだとか大学教授だとかジャーナリストだとか、すべての人たちをアメリカじゅうから集めて、自分の考え方を実行している。そういうときに、少なくとも、私は、国も自治体ももっと民間の発想とか活力を活用できるようなシステムを考えていくべきだというふうに思いますので、知事がいたらちょっと伺いたいと思ったんですけれども、そんなことをちょっと考えて御発言をさせていただきます。
森岡小委員 自由民主党の森岡正宏でございます。
 私も、知事さんがいらっしゃったらちょっと聞きたいなと思ったんですけれども、行政評価システム、非常にうまく独自のものをつくっておられる。各部局で事業をやっても、結果を反省したり、また評価し合って、成果がどれぐらい上がったかということを県民に見せて、そして、わかるようにしておられる。ところが、監査委員の制度とどういうふうにすみ分けができているのかなという気がいたしました。
 それから、先ほど民主党の山田先生もお触れになったことでございますけれども、大蔵省は、国の場合、予算をつけたらそれっきりで、後のことは構わないと。私は、国会に議席を持たせていただいて、決算委員会に所属しているんですけれども、決算委員会はついこの間まで平成十年、十一年のことをやっていたんですね。そして、予算委員会も決算委員会もそうですけれども、中身は何かスキャンダルがほとんどで、まじめな予算の審議とか決算の審議がほとんど行われないような形になってしまっている。
 先ほど北川知事がおっしゃった決算主義というのは非常に大事じゃないかなと。予算をつけた後どんなふうに使われて、それが、消費者の起点ということもおっしゃいましたけれども、国民に対してどういうサービスがなされたのか、そして、どういう成果が上がったのかということを我々国会議員も余りにも追っかけなさ過ぎるんじゃないか。
 先ほどの知事のお話を聞きまして、私は、そういう点で、改革の先取りをうまくやっておられるなというふうに思いましたのと、我々国政に参画している者も、予算委員会のあり方、また決算委員会のあり方、こういうことも考え直さなければ恥ずかしいなというふうに思わせていただいたわけでございまして、感想を一応申し上げておきたいと思います。
中野会長代理 私も若干感想を申し上げたいと思いますが、きょうもお話を聞きながら、今日本は民主主義の民主化の時代を迎えているという言葉を使う方がいらっしゃいますが、まさにそういうことを実感として聞かせていただいたような感じがいたします。
 日本は民主主義国家だ、民主主義が発達している国だ、こう言いながら、いつの間にかその民主主義のいろいろなルールを壁としてつくってしまっている。そして、そのルールを守れば民主的な手続を経たものだという錯覚、そういうものが積み重なってきてしまっている。それが現在の状況ではないか。日本の国会が時に形骸化するような様相を見せるというのも、ある意味ではそういうところがあるような気がしてならないわけであります。
 そう考えますと、この議会のあり方というのもやはり考えていかなければいけない。今森岡先生言われましたけれども、予算主義から決算主義という話から思い起こすのですが、例えば、日本は二院制度をとっておりますが、予算審議は衆議院がやる、決算は参議院がやる、衆参の役割分担を憲法の規定上明確に振り分けていく。そしてまた、その選ばれ方、選挙制度も基本的に違う仕組みにする。二院制を維持するとすれば、そういうことなどの区分けも明確に考えていくことによって二院制度が機能するのではないか。こんな感じもいたします。
 また、同時に、この民主主義の民主化の欠かせない要素は、情報公開。北川知事がいみじくも、情報公開ではなくてもっと一歩も二歩も進んでいる、ただ、便宜上公開という言葉を使っているだけだと言われましたが、大変これは感銘深い表現であったというふうに思います。そのことが、公開をするときにはしんどい思いをするけれども、結果としては気持ちが楽になり、そして、言うならば市民あるいは県民、国民がその情報を知り、決断をするという自己責任をみずからが負うことになるということは、大変重要な意味がある、そこが本当の民主主義なんだろうというふうに思います。
 それでは、決定は直接するよとなれば、議会は何のために存在するかということになりますが、その提供される、または、ある情報を分析する、そして、その情報が的確であるかどうか、真実であるかどうか、そして、その後の判断について、議会はそれぞれの立場から大いにディベートをする、議論を重ねる。その議論、ディベートがまた国民に公開をされている。言うならば、国民みんなで議論をするわけにいきませんから、議論をする人は、その代表選手としての議員がやる。
 そして、ある範囲のものは議会で採決をするが、むしろ、その判断をみずから国民がする、市民がする、その住民投票のシステムの拡大などをやはり憲法上で示していくということは、大変重要な意味を持つのではないか。地方分権と情報公開こそ、民主主義の民主化にとっては欠かせない要件ではないかなというふうに感じました。
中川(正)小委員 私自身が三重県の出身で、しかもさっきの北川知事とは非常に近い関係にありますので、身内で余り質問をしないようにということもありまして、遠慮をさせていただきました。
 ニューパブリックマネジメント、北川さんの立場というのは、特に強調されているのは、いかに県庁をマネージしていくか、新しい住民あるいは生活者起点という観点から見直してマネージしていくか、こういう議論であったと思うんです。こういうふうに知事が頑張ってくると、おもしろいのは、議会の方もつられて頑張ってきまして、三重県議会も非常にあか抜けしてきました。特に、議定議案等々含めて、活発に、主体的に議論がされるようになってきまして、本当にいい刺激になっているというふうに思っております。
 それを見ているだけに、私も県議会の経験があるんですけれども、日本は、国の方がこういう形で議院内閣制をやって、地方自治体になると一律大統領制なんですね。これが本当にふさわしいのかどうかということ、これについても再点検がやはり必要なんだろうというふうに思うんです。
 しかも、大統領制であるにもかかわらず、マネジメントで、アメリカなんかと比べると、議会と首長の関係というのは、首長が断然に強いんですね。予算の提出権もあれば、条例の立法のマネジメントも全部そこから出てくる。議会の方は、これまでですと、それに対してよっしゃよっしゃと、予算でも修正したらえらい騒ぎになる、そういう雰囲気でやってきたということなんです。
 ここまで来ると、逆に、基礎自治体レベル、本当に身近なコミュニティーから出発するようなところは、例えばヨーロッパであるようなカウンシル制度、これは議院内閣制をもっと身近に持っていったようなマネジメントですが、そういうあり方であるとか、あるいは大統領制にするのであれば、知事の権限、あそこまで自信を持ってというか、別の言い方にしたら、大きな顔をして、私がやっているんだ、こう言わせずに、議会の方も一緒にやっているんだということになると、例えば予算権を議会の方に持たせてバランスをとるとかいうような、そういう工夫も、住民の参加ということを本当に考えるなら必要なんだろうなという気持ちがしております。
 そんなことも、次の私たちの地方自治体のあり方を議論する中では、ぜひテーマにしていきたいなというふうに思っております。
永井小委員 民主党の永井英慈でございます。
 もう話はほとんど出ておりますけれども、私、特に強く感じておることを一点申し上げさせていただきたいと思います。
 旧憲法の前後に府県制、市町村制がスタートしました。そのころの我が国は、人口五千万人弱だったと思います。世界の中での経済規模は数えるに足らないくらいの国力であったことは、御承知のとおりです。それから今日まで、大戦を挟み、大きな改革もやって、経済大国になり、人口も一億三千万人にも膨れ上がりました。人口インフレーションが起きたと私は言っておるんですけれども、同時に、経済規模も世界のGDPの約一六、七%、五兆ドルに達するという本当に大きな国になってしまったんですね。
 その中で特に感ずることは、何ともグロテスクな国になってしまったというのが私の率直な気持ちなんです。それは、外交とか通商とかそういう面も充実しなければならない、拡充しなければならないのに、その面がややおくれてというか手抜きされたというか、内政部分が特に強烈に肥大化してしまったのではないかと思うんです。
 したがって、この二十一世紀の初頭は、中央政府は何を担当すべきか、地方政府はどういう守備範囲を担当すべきかということをかなり峻別して、精査をして、それぞれの分野で国の発展を図っていかなければならない。もうそこに来てしまった。そのゆえに閉塞感が充満していると言っても過言ではないと思うんです。
 そういう意味で、最後に申し上げますけれども、このグロテスクになった巨大な日本を、バランスのとれた国家にして機能させていくことが何よりも大事だと感じておるところでございます。
 失礼しました。
保岡小委員長 ありがとうございます。
 他に御発言ございませんか。
 私もちょっと感想がないわけではないんですけれども。
 先ほど中野先生から、情報公開と地方分権といいますか地方自治、これがこれからの民主主義の目指すべきところじゃないかというお話がありましたが、私も、先ほど三重県知事に質問したことについて自分はどう考えているかというと、やはり、透明な自治の国というか、そこに活力、成熟社会を求めるというのが、中央集権にかわる、明治のときに設定した国のガバナンスの次なる国家目標だ、私はそういうふうに思っているところです。
 これを実現することは、今のように市町村合併を、鼻の先にニンジンをぶら下げて、ハードの事業の採択等で優遇して促進するというんじゃなくて、県が市町村合併の暁には必要のない組織になってくる。そうすると、今、県が頭の上にある状況から見て、これがぱっと消えて、天井が、青空が見える。そこから、その向こうから、国からしっかりした権限と財源がちゃんと措置されるというようなことになれば、国じゅうが沸いて、頑張る方向を目指し始める、こういう流れをきちっとつくるのがやはり政治だと。
 そういう意味では、今度の政府の地方制度調査会の諸井会長のもとで道州制の導入の議論が本格的に始まったことは、小泉さんがいろいろな指示を出して強く促していることは、私は非常にすばらしい流れになるというふうに感じております。以上。
春名小委員 一分だけ、済みません。今のお話を聞いていて、今後、道州制について考えていくべき視点を投げかけて、一点だけ。
 つまり、九十二条で言っているのは、住民自治と団体自治なんですね。住民自治というものをいかに具現化するかということが地方自治の観点では非常に大事なことなので、この道州制というものがまだ私もイメージはよく浮かんでいないんですけれども、道州制というものを想像するに、やはり住民の立場、声が行政に反映するという点で非常に難しくなるなという印象を私は持っていますので、そのことをよく検討することが私は大事かなというのが、そこだけちょっと感じましたので、一言申し上げておきます。
保岡小委員長 ほかに御発言ございませんか。
 他に御発言がないようですので、議論も尽きたようでございますので、これにて自由討議を終了いたします。
 本日は、これにて散会いたします。
    午後四時三十九分散会


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