衆議院

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第1号 平成21年4月8日(水曜日)

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平成二十一年四月八日(水曜日)

    午後一時二分開議

 出席委員

  経済産業委員会

   委員長 東  順治君

   理事 梶山 弘志君 理事 岸田 文雄君

   理事 櫻田 義孝君 理事 中野 正志君

   理事 やまぎわ大志郎君 理事 大島  敦君

   理事 古川 元久君 理事 赤羽 一嘉君

      飯島 夕雁君    小此木八郎君

      越智 隆雄君    近江屋信広君

      岡部 英明君    川条 志嘉君

      木挽  司君    高村 正彦君

      佐藤ゆかり君    清水清一朗君

      新藤 義孝君    関  芳弘君

      平  将明君    谷畑  孝君

      土井 真樹君    冨岡  勉君

      中野  清君    林  幹雄君

      平口  洋君    藤井 勇治君

      牧原 秀樹君    武藤 容治君

      安井潤一郎君    山本 明彦君

      太田 和美君    北神 圭朗君

      後藤  斎君    近藤 洋介君

      下条 みつ君    田村 謙治君

      牧  義夫君    三谷 光男君

      高木美智代君    吉井 英勝君

  環境委員会

   委員長 水野 賢一君

   理事 北川 知克君 理事 小杉  隆君

   理事 土屋 品子君 理事 西野あきら君

   理事 岩國 哲人君 理事 伴野  豊君

   理事 江田 康幸君

      上野賢一郎君    浮島 敏男君

      小島 敏男君    木挽  司君

      坂井  学君  とかしきなおみ君

      中川 泰宏君    林   潤君

      福岡 資麿君    藤野真紀子君

      船田  元君    古川 禎久君

      馬渡 龍治君    盛山 正仁君

      末松 義規君    田島 一成君

      田名部匡代君    村井 宗明君

      吉田  泉君    古屋 範子君

    …………………………………

   経済産業大臣       二階 俊博君

   環境大臣         斉藤 鉄夫君

   経済産業副大臣      吉川 貴盛君

   経済産業大臣政務官    谷合 正明君

   環境大臣政務官      古川 禎久君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           戸谷 一夫君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           岸田 修一君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局安全衛生部長)       尾澤 英夫君

   政府参考人

   (経済産業省製造産業局長)            細野 哲弘君

   政府参考人

   (経済産業省製造産業局次長)           後藤 芳一君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局環境保健部長)       原  徳壽君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            白石 順一君

   経済産業委員会専門員   大竹 顕一君

   環境委員会専門員     吉澤 秀明君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第三四号)


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     ――――◇―――――

東委員長 これより経済産業委員会環境委員会連合審査会を開会いたします。

 先例によりまして、私が委員長の職務を行います。

 内閣提出、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 本案の趣旨の説明につきましては、これを省略し、お手元に配付してあります資料をもって説明にかえさせていただきますので、御了承願います。

 これより質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。上野賢一郎君。

上野委員 自由民主党の上野賢一郎でございます。

 それでは、早速でございますが、今回の化審法の改正案につきまして質問を始めさせていただきたいと思います。

 化学物質は、極めて広範な分野で活用される基礎素材として社会に不可欠であるのは言うまでもございませんが、一方で、これを適切に取り扱わないと、人体あるいは環境に著しい影響を与えかねない、そんな危険性もあるわけでございます。

 この化審法でございますが、PCBによる環境汚染問題を契機に制定をされまして、以後、時代の趨勢によって逐次の改正が行われてきたところでございます。今回の改正では、化学物質管理の世界的な進展を踏まえて、国際目標の実現等を目指して改正をされるものと思います。

 最初の質問でございますので、基本的な点を中心にして質問させていただきたいと思います。

 まず最初に、斉藤環境大臣にお伺いをしたいと思いますが、今回の改正法の意義、そして、これについての大臣としての意気込みのようなものにつきまして、お話をいただきたいと思います。

斉藤国務大臣 この法案の目的でございますが、二〇二〇年までに、化学物質による人の健康、そして環境への影響を最小化しようというヨハネスブルク・サミットで合意された内容を達成するために、今回の法律改正が行われます。

 その内容ですけれども、大きく言いますと、これまでの化審法では、新しい物質しか、その審査、評価、規制の対象になっていなかったわけですが、いわゆる既存物質と言われるものについても、これを対象にしていくというところが、今回一番大きく変わった点でございます。

 関係省庁、これは経済産業省、環境省そして厚生労働省、三省庁にまたがる、また、国民の安全、安心にかかわる非常に重要な課題と考えておりまして、私も、環境という面でございますけれども、ヨハネスブルク・サミットの二〇二〇年までに最小化させるという目標を達成させるべく、関係省庁と連携をとって全力で取り組んでまいる所存でございます。

上野委員 ありがとうございます。

 今お話のあったヨハネスブルグ・サミットの中でも言われていることでございますが、予防的な取り組み方法、こうしたものに十分留意をしていくことが必要ですし、その上で、科学的なリスク評価、そしてリスクの程度に応じた製造、使用の規制、リスク管理措置、あるいは事業者や国民の皆さんへの情報伝達、そうしたものが今回の法改正の中でも盛り込まれているものだと思います。こうしたことを基本的な考え方として、そのとおりだというふうに思いますが、その中で具体的な話につきまして少しお話をお伺いしたいと思います。

 今大臣の方からもお話がございました。これまでは新規の物質についてのみ、その規制の対象となっていたわけでございますが、今後は既存の化学物質についても、これをすべて規制の対象にしようということだろうと思います。

 その中で、では、今まで実際に、既存の化学物質につきまして、どの程度その安全性の評価というものが行われてきたのか、そしてその評価、ハザード評価が十分に行われていないまま使用されてきたというものも多数あろうかと思いますが、それは一体どういった危険性を包含しているのか、その点につきまして御説明をお願いしたいと思います。

細野政府参考人 お答えを申し上げます。

 化審法におけるいわゆる既存化学物質といいますのは、先ほど御説明ございましたように、立法の昭和四十八年のときに既に流通をしていたという化学物質でございまして、その数は約二万六百物質でございます。そのうち、国がみずから安全性点検を行った、これは新規ではございませんので国がみずから行ったわけでございますが、その数は約千六百物質でございます。

 その点検に当たりましては、物質の構造から特に有害性が高いであろう、そういう可能性が高いであろうというものや、あるいは事業者からの調査報告から、製造・輸入量が多いというものを順に着実に選んでまいりました。

 したがいまして、その他の化学物質につきましては、御指摘のように、数こそ少なくないわけでございますけれども、今言いましたような優先的な絞り込みをやって千六百をやっておりますので、有害性に危惧のあるものは極めて少ないということではないかと認識をしております。

 現に、これまでのところ、そのチェックをしてこなかった既存化学物質の中で、人への健康あるいは動植物への影響ということで影響があったということについては、事実を承知しておりません。

上野委員 そうすると、約一万九千近くの物質については、これまで安全性の評価というものが行われていないということだろうというふうに思います。そうした中にあって、影響、危険性というのは、現在、承知をされていないわけでございます。

 こうした問題について、今回の法律の改正によって、その安全性についてそれをすべて評価をしていこうということだと思います。一万九千、約二万の物質があるわけでございますが、そうすると、膨大な数の評価、物質についての評価等を行わなければいけないということになろうかと思います。二〇二〇年ということであれば、今から十年少ししかないわけでございますが、どういった具体的な手順、あるいは具体的な方策によって、これについてしっかりとした管理をしていこうとされているのか、簡潔にお願いをしたいと思います。

吉川副大臣 ただいま御指摘をいただきましたように、どのようにして二〇二〇年までにこのリスク評価をしていくのかということでございますけれども、まず、この改正法におきましては、製造・輸入数量あるいは既知の有害性情報等を勘案いたしまして、発がん性が疑われる物質や、有毒性の有無が不明な物質で環境への排出量が多いと考えられるもの等を優先評価化学物質に指定をいたします。その後、事業者に対しまして有害性情報の提出も求めながら、詳細なリスク評価を実施する予定でございます。

 優先評価化学物質の指定につきましては、まずは、現行法でも製造・輸入数量の届け出義務を課している第二種及び第三種監視化学物質である千物質につきまして、改正法施行後一年以内、すなわち平成二十二年度中をめどに選定作業を行いたいと考えているところでもあります。

 監視化学物質以外の既存化学物質等につきましては、約七千物質につきまして、平成二十三年四月から製造・輸入数量等の届け出を受けまして、発がん性が疑われる物質や、有害性の有無が不明な物質で環境への排出量が多いと考えられるもの等を選定してまいります。

 その結果、平成二十四年度の早い時期に優先評価化学物質のリストを公表する見込みでございまして、優先評価化学物質の数につきましては、既存化学物質等に係る届け出を受けて評価しなければわかりませんけれども、現時点では約千物質程度を想定いたしております。

 個々の優先評価化学物質の詳細なリスクの評価につきましては、毎年百物質強の評価を実施することとなりまして、これにより、環境サミットでの合意の期間であります二〇二〇年、平成三十二年まででありますけれども、すべての優先評価化学物質のリスク評価を終了させる予定でございます。

上野委員 ありがとうございます。

 今の点で、七千程度に絞り込みが行われるということだと思いますが、その具体的な手法はどのようにされるんでしょうか。それから、そのうちの優先評価化学物質は千程度ではないかというお話でしたが、それについてもどういったスクリーニングがかけられるのか、少し説明をお願いしたいと思います。

細野政府参考人 お答えを申し上げます。

 今副大臣から御説明を申し上げましたように、新しく、一定の数量を超えて製造、輸入する者については届け出の義務をお願いしたいと思っております。したがいまして、この数は、今申し上げた日程で届け出を開始してみないとわからないところがありますが、約七千というぐらいに見込んでおります。

 この七千の物質につきましては、これまで政府が持っております有毒性に対する情報、あるいは届け出によって得られます製造量、輸入量、あるいはどういう用途に使っているか、これが届け出の内容でございます。こういった量の概念とそれから有毒性の概念と両方足しまして、両方からチェックをする。この量と有毒性を両方考えるというのがリスク評価の考え方でございます。

 もちろん、有毒性情報がないものもございます。このないものにつきましては、情報のないことは疑ってかかる、そういう観点で考えますので、一定の量があるものについては、これもあわせて優先評価化学物質の候補として考えていくということになります。優先評価化学物質になりますと、今申し上げましたように、約千品目ぐらいに絞り込みがなされると思います。

 これにつきましては、その有毒性についての情報については、事業者等々からの情報の提供を受け、場合によっては、量が多いような場合については調査の指示を行うということによって、その内容について一層深い分析をさせていただく、したがって、その中身に応じて特定化学物質その他の規制に係らしめる、こういう段取りを考えております。

上野委員 ありがとうございます。

 基本的な考え方で、そのとおりだと思います。特に、情報のないものについては、その危険性というもの、予防的な観点からそうしたものを前提にして取り組みを進めていただきたいと思います。

 今までと比べて膨大な量の評価等を行わなければいけないということでございます。これは質問ではございませんが、今後いろいろ人員の体制の整備ですとか、そうしたものについても当然十分御考慮されていると思いますが、これまで以上の体制で取り組まないとなかなか二〇二〇年という目標をクリアできないと思いますので、その点につきましてもぜひお願いをしたいと思います。

 国際的な流れの中で、特にEUでは、二〇〇七年から新しい化学物質規制としてREACHという方式を導入されているというふうにお伺いをしています。これは、すべての化学物質についてそのリスク評価を行うため、一トン以上製造、輸入されるすべての化学物質につきまして、事業者に安全性情報の提出を義務づけているというふうに聞いています。

 今回の化審法の改正は、このEUの方式に比べて緩やかではないかというような指摘もあるようでございますが、これにつきましてのお考えをお伺いしたいと思います。

細野政府参考人 お答えを申し上げます。

 今御指摘のございました欧州におけるREACHも、我々今お願いを申し上げております改正化審法も、いわゆる環境サミットの合意を経まして、二〇二〇年までに既存物質も含めた化学物質についてリスク評価を完了させる、こういう目指すべきゴールは同じでございます。

 しかし、方法論においては両者で異なりがあるのは事実でございます。すなわち、今委員御指摘のとおり、REACHは、すべての化学物質について画一的に有害性データの提出やリスク評価を事業者に課するという制度でございます。

 一方、改正化審法、今御提案申し上げている我々の法律でございますけれども、これは、リスクが高いと思われる化学物質を絞り込んで、既に国が有しております有害性情報、安全性の情報等を最大限に活用しながら、順次安全性情報を求めて国がリスク管理を行う、こういう方式でございます。

 もちろん、REACHにおきましても、詳細に見ますと、化学物質の登録というのが今行われつつあるわけでございますけれども、製造、輸入の量の多寡に応じて異なる登録期限を設定しております。千トン以上のものは二〇一〇年の十一月、百トン以上のものについては二〇一三年の五月、それから一トン以上のものは二〇一八年の五月ということでございまして、評価を順次段階的に行うという面では、双方に一脈通ずるものがあるんだろうとは思います。

 他方、改正化審法について見ますると、すべての物質を対象にして、一定の数量以上の製造、輸入を行う業者につきましては、毎年その数量または用途の届け出義務をお願いすることになっております。

 一方、REACHは、製造数量に、さっき言った千トンとか百トン、こういう大きなカテゴリーをまたがない限りにおきましては、一度登録を行いますと数量等の提出が不要であるというようなことでありまして、そういうことにかんがみますと、量と有害性の両方からチェックしていくという、リスク評価を行うということの観点からは、我々の改正化審法の方がよりきめ細かなフォローができるという側面もあろうかと思います。

 いずれにしましても、双方、たてつけについては多少の違いはございますけれども、同じ峰を目指した上でのアプローチという意味では同じでございまして、緩いとかあるいは緩くないとかというような意味での差があるとは考えておりません。

上野委員 ありがとうございました。

 お話をお伺いしていると、我が国の方が若干きめ細かいような印象を受けます。また、詳細な分析が必要かと思います。ただ、その中で、リスク管理なり評価を事業者が主体的に行うのか、それとも国が行うのかという点で、思想的に違うような印象を持っております。

 これにつきましては、私は、やはり現実的な判断からすれば、これまでの化審法の流れをくんだ上で、国がある程度責任を持ってやっていくというような手法の方が望ましいというふうに思っておりますが、この点についてはいかがでしょうか。

細野政府参考人 お答えを申し上げます。

 今申し上げましたように、今のREACH、動き始めましたREACHと我が国の改正法も含む化審法の対応につきましては、だれがリスク評価の責任を持つかという点について違いはございます。

 ただ、国がやるのがいいか、事業者がやるのがいいかということについては、なかなか一概に断じがたいところがあると思います。REACHも、今般、御案内のような制度になっておるわけでございますが、その前は日本と同じように国がリスク評価をするという体系でございました。

 いずれにしましても、そこについては大変、風土とか歴史的な経緯もありまして、いろいろな意見があろうかと思いますけれども、我が国の化審法を今後どうするかということにつきましては、審議会でいろいろ御議論がございました。その過程でも、国がどういうふうに役割を果たすか、事業者がどう果たすか、あるいは両者の関係をどう考えるかということについては議論がございました。

 これにつきましては、議論の中で、これまでの我が国の化学物質に関するリスク評価の経験とか蓄積、あるいは経済の実態、これはもちろん大変広範な事業分野でございまして、関係する事業者も多いということも勘案して、今委員がおっしゃいましたように、基本的には国がリスク評価をする、それに当たるもろもろの有害性情報あるいは数量等については、適宜絞り込みを行うという観点の中で合理的な方法をとっていくということが我が国の実情に照らしてよりふさわしいのではないか、こういう結論を得たところでございます。

上野委員 ありがとうございます。

 それでは、今お話の最後にありました情報の観点からお伺いをしたいと思います。

 今回の法改正によって、いろいろなリスク管理等々の仕組みが新たにできるわけでございますが、では、一般の消費者等、一般の国民の皆様に対して、その結果といいますか、それがどういった形で情報提供等がなされるのか、お伺いをしたいと思います。

後藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 化審法の第一種及び第二種特定化学物質に指定されました化学物質、あるいはそれを含みます製品につきましては、製造、輸入などの規制が課されますとともに、表示義務の対象となります。したがいまして、消費者に向けられます製品につきましても同様でございまして、必要な情報を表示する義務が課されることになります。

 その表示の内容につきましてでございますが、例えば、特定化学物質あるいはその物質が使用されている製品であること、さらに特定化学物質の含有率、また取り扱い上の注意事項などを表示義務として想定してございます。

 なお、製品への化学物質の表示を円滑に進めるべく、二〇〇六年の九月には、事業者が業種横断的に集いまして、アーティクルマネジメント推進協議会というもの、アーティクルというのは固形物ですとか成形品というような意味でございますけれども、これを設立してございまして、化学物質を製造します川上の企業から最終製品を製造します川下の企業まで、化学物質の含有情報の伝達と開示が効率的に行われます仕組みづくりを進めてございます。これらにつきましても、私ども、支援をしてまいっております。

 引き続き、政府としましても、これらの取り組みを支援してまいるつもりでございます。

上野委員 そのような観点でぜひお願いをしたいと思います。

 一方、今の消費者に対する情報提供ということでございますが、一般的なと申しますか、化学物質の安全性情報の基盤というものをつくっていくことが必要ではないかというふうに思います。

 これは、EUなりアメリカでも同様のことが戦略的に進められているというふうに伺っておりますが、日本でも現在、化学物質についてはいろいろな法体系があって、それぞれ個別に規制をされている部分がございます。やや縦割り的な印象もあるわけでございますが、そうしたものをカバーするためにも、よりいろいろな化学物質について共通のデータベースのようなものを今後つくり出していく、そうしたことを検討すべきではないかというふうに思います。これは意見として申し上げさせていただきます。

 次に、やや個別の話になりますが、ナノ粒子につきまして少しお伺いをしたいと思います。

 最近、ナノ粒子の安全性というものが問題になっている場合があります。現実にもうたくさんの電子機器や家電製品等について、いわゆるナノテク製品と言われるものが市場に出回っているわけでございまして、ある調査によれば、二〇〇七年では三十兆円程度の市場規模だ、今後さらに増加するということが言われております。

 こうしたことは、日本の産業競争力の強化という観点から非常に意を用いていかなければいけない分野だというふうに思いますが、一方で、未解明の安全性の問題があるのではないか、そういった懸念があるわけでございます。幾つかの研究事例でも、ナノ粒子が人体あるいは環境に影響を与えるのではないかというような研究成果が公表されている場合があるというふうに聞いておりますが、これは対応を誤った場合にはPCBのように取り返しのつかないような問題が発生しかねないことも懸念をされるわけでございます。

 このナノ粒子の問題につきまして、化審法の世界ではどのようにお考えになるのか、お伺いをしたいと思います。

後藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 委員の御指摘のナノマテリアルでございますけれども、これが非常に小さい大きさを持っておるというところから、特別な機能を発揮するということで、新しい材料として大変期待をされているところでございます。一方、今御指摘のように、その形状が小さいということから、人ですとか動植物に悪影響を及ぼす可能性があるという指摘があるのも事実でございます。

 ただ、その有害性でございますとか、人の体内や環境中での挙動につきましては、現在も専門家の中でもいろいろな意見がございまして、日米欧などが参加いたしますOECDの場でもちょうど今検討しているところでございます。

 経済産業省といたしましても、ナノサイズの粒子に特有の性状、性質ということを把握する手法につきまして、平成十八年度からナノ粒子の特性評価手法の開発、こういうことを実施してございまして、二十一年度予算にも四億円を計上しているところでございます。

 今後とも、ナノマテリアルをめぐります知見の解明に向けました研究ですとか、それらを踏まえまして、事業者に対しましても予防的な立場からの取り組みを促してまいりたいと思っております。

上野委員 今いろいろな取り組みをされつつあるということだと思いますけれども、世界的に見て、EUやアメリカと比べてこの分野の日本の取り組みというのはどういう水準にあるんでしょうか。

後藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 この分野は、もともとは技術的には日本が大変ポテンシャルを、強みを持っている分野でございまして、物の性質の解明などというのは日本は世界の一番の水準にあろうかと思います。

 今の委員の御指摘は、その影響度の解明に対する水準かと存じますけれども、これにつきましては、まだどこの国が進んでいる、おくれているというわけではありませんで、いろいろな条件を課しながら実験をしている。その実験の中では、いろいろな極端な条件をかけて、害があるのないのということを言われる方もございます。

 この辺につきましては、きっちりと普遍的な、客観的な成果を得るべく、私どもも努めておるところでございます。

上野委員 何か若干よくわからないんですが。

 いずれにしろ、ほかの国際協調の流れはできつつあるんだろうと思いますので、ナノの分野においても、そうした状況を十分踏まえていただいた上で、前向きな検討をお願いしたいと思います。

 次に、環境省の方にお伺いをしたいと思います。

 近年、複数の媒体からの暴露の方が単一の媒体からの暴露よりも人の健康や生態系により多くの影響を与える化学物質が存在をする、これはクロロホルム等が言われております。あるいは、複数の化学物質による複合的な影響、例えば花粉症であったりアトピー性皮膚炎については、いろいろな化学物質に複合的に暴露することによって、その症状が悪化をするというようなことも報告をされているようでございます。

 こうした次の課題についてどのような対応を考えていただいているのか、お伺いしたいと思います。

原政府参考人 お答え申し上げます。

 化学物質の複合影響につきましては、御指摘のように、複数の化学物質による影響、あるいは単一の化学物質であっても、例えば吸入することによる暴露と口から入る経口の暴露、こういうような複数の暴露経由ということによる影響、これらをあわせて複合影響と申しておりますが、これらについて専門家の中でさまざま指摘がされているところでございます。ただ一方で、その影響について、試験評価手法等について必ずしも科学的な知見が十分であるとは申せない状況でございます。

 このため、環境省としましても、クロロホルム等の化学物質について、複数の経路による暴露影響がどうか、そのためのメカニズムの解明の研究、複数の化学物質に暴露された場合の健康影響、また、先ほど御指摘の化学物質によるアレルギー症状の増悪などについて、現在調査研究を進めております。一部の中では、いわゆる二つの経路によるものが、相加的というよりはそれ以上の影響があるという結果も出ております。

 いずれにしましても、メカニズムについてまで詳しくまだわかっている状況ではございません。今後とも、国内外の情報収集を進めますとともに、国内での調査研究を進めてまいりたいと思っております。

上野委員 ありがとうございます。

 ちょっと時間がないので先を急ぎますが、いずれにしろ、今のナノの問題にしろ複合影響の問題にしろ、化学物質を取り巻く状況の中で、まだまだよくわからないというか判明をしていない分野が非常にたくさんあるような気がいたします。そうした問題、今回の化審法の改正は改正としても、今後どうしていくかという問題はあわせて御検討を深めていただくようにお願いを申し上げたいと思います。

 最後になりますが、二階大臣にお伺いをいたします。

 今回の法改正によって一つ懸念されることがあるとすれば、中小企業への影響です。数多くの中小企業が化学物質を取り扱っていると思います。そうした中小企業の皆さんに今回の法改正が一体どういう負担をかけるのか、影響を与えるのか、それについてお伺いをしたいのと、それから、今後の長期的な見通しの中で、今回の改正法による安全性の確保と我が国産業界の競争力の確保、これは必ず両立をさせなければいけない問題だと思いますので、その点につきまして大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

二階国務大臣 ただいま、改正化審法につきまして、中小企業に対する配慮、このことに対して特に御質問をちょうだいしたことを大変ありがたく思っております。我々も、中小企業の負担ということを最低限に抑えるということを目標にしてこの仕組みを考えてまいりました。

 第一に、届け出の内容を製造・輸入数量等として、事業者にとってコスト負担の大きい有害性情報については、すべての物質について一律に届け出を求めることはいたしておりません。第二に、国が安全性を評価する際に、既に国が持っております有害性情報を最大限に活用してまいります。

 その上で、なお有害性情報が必要となる場合であっても、中小企業が製造、輸入の大部分を占める化学物質については、平成二十一年度の新規予算として約三億八千万円を計上し、事業者にかわって、国がみずから安全性試験等を実施することにいたしております。

 また、化審法は、一義的には化学物質が人の健康や動植物へ悪影響をもたらすことを防ぐことを目的としていますが、その規制に際しては、産業の競争力を損なわないように留意することも重要な要素だと考えております。

 このため、改正化審法においては、まず、環境への排出量を把握するとともに、化学物質の有害性を段階的に収集し、絞り込みながらリスク評価を実施してまいります。こうした制度とすることによりまして、事業者に過度の負担をかけることなく、安全の確保を合理的に実施してまいるよう努めてまいりたいと思います。

 中小企業の問題については、御指摘のとおり、我々も今後十分配慮をしてまいりたいと思っております。

上野委員 どうもありがとうございました。

 予算措置等を積極的に行っていただいているというところで感謝を申し上げたいと思いますし、今後は、税制等ほかの手法もあろうかと思いますので、また検討を深めていただきたいと思います。

 これで終わります。ありがとうございました。

東委員長 これにて上野賢一郎君の質疑は終了いたしました。

 次に、江田康幸君。

江田(康)委員 公明党の江田康幸でございます。

 私もかつてはこの経済産業委員会に所属しておりましたが、きょうは環境委員会側から質問をさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いをいたします。

 二階大臣、また斉藤大臣、大変に御苦労さまでございます。

 化学物質につきましては、先ほどもありましたように、衣食住を初めとする日常生活用品から、今日、工業分野や医療分野など経済産業を支える基礎的な材料まで幅広く活用されておりまして、私たちの文明を支え、また暮らしを豊かにしているわけでございます。しかし一方で、水俣病や、またイタイイタイ病などの公害を初めとして、有害な化学物質による環境汚染や健康被害の事例がございました。

 化学物質の安全性への国民の関心は大変強いものがございます。国際的にも、ヨハネスブルグでの環境サミットで、二〇二〇年までに化学物質の悪影響を最小限にする、そういう目標が首脳レベルで合意をされまして、欧州では、REACHという新たな化学物質の規制制度が動き出しているところでございます。

 国民の安全、安心を確保する上で、化学物質のリスクを評価してリスク管理を確実に進めるとともに、化学物質の安全性に関する情報をわかりやすく国民に提供していくことが不可欠でございます。

 今回の化審法の改正は、国際協調による化学物質管理の枠組みを確立するものでございますが、枠組みができても実施体制が十分でなければ、絵にかいたもちにすぎない。今回の改正法で、国民の安全、安心の観点から、何が変わるのか、またその仕組みが実効性があるものとしてどのように運営していくのかにつきまして、質疑を通して明らかにしたいと思っております。国民の目線に立って確認をすることとしたいので、専門的にならないように、わかりやすい答弁を求めますので、皆様、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 まず、先ほど申しましたように、二〇〇二年のヨハネスブルグ・サミットで、二〇二〇年までに化学物質の悪影響を最小限にするとの目標が合意されておりますけれども、この二〇二〇年という目標が明確にされている以外、その具体的な手法や基準等の詳細については必ずしも明確ではなく、各国ごとにゆだねられております。この合意を政府としてどのように達成していくのか、斉藤環境大臣にお伺いをいたします。

    〔東委員長退席、水野委員長着席〕

斉藤国務大臣 目標は明確だが、その方法はどうなのかという御質問かと思います。

 まず、目標については、ヨハネスブルク・サミットを受けまして、国内的には、第三次環境基本計画の中に明確にいたしました。すなわち、リスクの最小化を図るべく、人の健康及び生態系に与える影響について科学的知見に基づき評価を行い、適切な管理を促進することによってこの目標を二〇二〇年までに達成する、このように位置づけられております。

 その具体的な方法ですが、その大きな一つが今回の法改正でございまして、既存化学物質対策を中心とする化学物質管理を強化するということでございます。そしてもう一つが、国際化学物質管理戦略、いわゆるSAICMと言われておるものですが、このSAICMに沿って、関係省庁連絡会議を持ちまして、国内実施計画の策定に向けた検討を行っているところでございまして、これが二つ目の具体的な柱ということになろうかと思います。

 今後とも、関係省庁と連携しながら、この新しく改正された法律に基づいてリスク評価を行い、化学物質管理を進めることによってこの目標を達成したい、このように考えております。

江田(康)委員 ヨハネスブルグ・サミットの目標を達成するがための具体的な方法が今回の法改正であるということを大臣に述べていただきました。

 それでは、改正化審法の内容について質問をさせていただきます。

 欧州ではREACHが動き出しておりますが、このREACHの特徴としましては、第一に、予防原則に基づいていること、第二に、データがなければ市場なし、ノーデータ・ノーマーケットの考え方に立って、すべての化学物質について、製造・輸入事業者の責任で安全性データを収集してリスク評価を行う仕組みとなっていること、また第三に、化学物質の安全性に関する情報を流通させる仕組みを強化していることなどが挙げられます。

 それで、質問でございますが、これは古川環境大臣政務官に御質問をさせていただきます。

 今回の改正案がどのような特徴を持つのか、この予防的な考え方につきまして改正化審法ではどのように盛り込まれているのか、お答えいただきたいと思います。

古川大臣政務官 今回の化審法改正案と欧州のREACH規則、これは目指すところは同じであります。しかし、両者を比較しました場合に、我が国の改正案の方が目標達成のためにより効果的、効率的であると考えております。

 と申しますのは、REACHの場合は、事業者がすべての物質について安全性評価を行うという仕組みになっておりますが、我が国の場合は、その物質も、すべてではなくて、優先的にリスク評価を行う物質を国が絞り込む、スクリーニングした上で、国が事業者に対して安全性試験の結果と有害情報等を求めますものの、安全性の評価の責任は国が持つというような仕組みになっておるわけでございます。

 また、予防的取り組みということでございますが、これは科学的な知見が十分でないからといって放置しておいてはならない、打つべき手は打たなければならないという考え方であろうと思いますけれども、有害性が明らかでない物質でありましても、リスクが十分に低いと判断できないものは優先評価化学物質に指定をいたします。指定をいたしまして、有害性情報の収集や取引の際の情報伝達の対象とすることとしておりまして、こうした点に予防的取り組み方法の考え方が反映されている、このように考えております。

江田(康)委員 今、古川政務官からおっしゃっていただきましたように、今回の改正化審法は、REACHと同じ目標をより効率的に、効果的に実施できる仕組みであるということと、予防的取り組みについて、その考え方がちゃんと反映されている、こういうことをお答えいただきました。

 このノーデータ・ノーマーケットという考え方につきましては、化学物質を製造、輸入する事業者の責任を明らかにするものとして、我が国でも基本とすべきであると考えます。

 平成十五年の化審法改正以降、官民協力の化学物質安全性点検が進められてきていると聞いております。

 そこで、質問をさせていただきますが、平成十五年の化審法改正以降、約二万物質とされる既存化学物質に対して官民協力の化学物質安全性点検が進められてきましたけれども、現時点での評価済みの物質は約千六百物質にとどまっておりまして、今後の取り組みの一層の加速化が求められているところであります。

 このような現状について、これまでの政府の取り組みは十分なものであったのか、また、現行法では事業者の自主的な取り組み、参加を求めておりますけれども、これまでの事業者の取り組みをどのようにとらえているか、さらに、改正化審法において、自主的な協力だけでは事業者による安全性情報収集の取り組みが進まない場合、また安全性情報が十分でない場合、どのように対応をしようとするものなのか、谷合経済産業大臣政務官にお答えいただければと思います。

谷合大臣政務官 お答えいたします。

 既存の化学物質の点検につきましては、事業者からの調査報告から製造・輸入量が多いと考えるものから順次着実に実施してまいりましたけれども、委員御指摘のとおり、すべての評価が終わったわけではございません。ただ、現在までのところ、未点検の既存化学物質で、環境汚染が原因で人や環境に影響があった事案は承知をしておりません。このことから、既存化学物質の点検に問題があったというふうには認識をしておりません。

 自主的な取り組みについての言及がございましたが、平成十八年に官民連携による化学物質の有害性情報収集・発信プログラム、ジャパン・チャレンジプログラムを開始いたしまして、日本国内での製造・輸入量が千トン以上の化学物質につきまして、安全性点検を進めてきております。

 これも進んできてはおりますけれども、まだ残っているところもあるということで、要するに、これまで国や事業者が点検を行っていない物質でありましても、環境中への排出量が多い場合に、安全性に懸念を生じる可能性が全くないとは言い切れないということであります。

 今回、二〇二〇年の目標達成のため化審法を改正するわけでありますが、既存の化学物質を含むすべての化学物質につきまして、既に情報があります有害性情報、また製造・輸入数量等から安全性評価を行います。また、先ほど来説明がありますが、安全性に懸念のある化学物質を優先評価化学物質に指定し、有害性情報の提出を求め、安全性評価を実施することといたしております。

 なお、改正法案におきましては、事業者からの有害性情報の提出がない場合でも、長期毒性の存在が疑われ、人や動植物に被害を与える懸念がある場合には、事業者に有害性情報の提出を指示することができることとしております。

江田(康)委員 安全性情報収集の取り組みが十分でない、また安全性の情報が十分でない場合においても有害性情報を事業者に求めることができる、ここは非常に大事なことでありますので、確認をさせていただきました。

 さらに質問を続けさせていただきますが、改正化審法では、一定量以上製造、輸入される化学物質の届け出が義務づけられて、すべての化学物質の届け出が義務づけられ、管理体系に組み込まれることとなりますが、そのすそ切り値としては年間何トンとする予定か、またその場合の届け出される物質はどの程度か、さらに、リスクが懸念される優先評価化学物質はどの程度と想定されるか、最後に、すそ切り値以下の物質による問題は生じないのか、これにお答えいただきたい。

細野政府参考人 お答えを申し上げます。

 今回の改正の化審法におきましては、既存物質も含めてすべての物質が対象となりますが、届け出につきましては、一社当たり一トンをすそ切りとするということで予定をさせていただいております。その場合の届け出をする物質の数は、約七千ぐらいではないかと推測をしております。これにかかわる企業数、これは一社で何品目も扱っておる場合が多いものですから、約八百社というふうに見込んでございます。

 なお、欧州においても同様なすそ切りの体系を持っておりまして、REACHにおけるすそ切り値も同じく一トンでございます。アメリカにおきましては少し緩い格好になっておりまして、十トンというすそ切り値を採用するように承知をしております。

 製造・輸入量と有害性情報を勘案して優先評価化学物質を選定することになるわけでございますけれども、その数におきましては約一千物質程度を予定しておりまして、これにかかわる製造・輸入業者は約四百社ということを見込んでございます。

 また、そのすそ切りは一トンということだとして、それに満たないものはどうかという御質問かと思います。

 こういった、それに満たない化学物質につきましては、これは量的には大変少ないわけでございまして、全体の化学物質の出荷量と比べますと二百万分の一ぐらいの極めて小さいウエートになるわけでございますけれども、そういうものであっても、絶対大丈夫ということになるわけでは必ずしもございません。

 したがいまして、仮に、事業者等から有害性の情報がある、あるいは他国の当局との意見交換も頻繁にやっておりますから、そういったところからの情報、あるいはいろいろ学術的な研究も日進月歩で進んでおります。そういうことを通じて、これは量は少ないんだけれども危ないんじゃないかというようなことが懸念される場合は、その届け出がないことにかかわらず、国が試験を行って、その結果によってはより厳しい規制を課していくということを念頭に置いて、全体のスキームを考えてございます。

江田(康)委員 わかりました。

 ちょっと視点を変えますが、子供環境保健のことについて、環境大臣にお伺いをいたします。

 先般、公明党から環境大臣に申し入れをしたとおり、小児や子供に対して化学物質が及ぼす影響の解明が極めて重要でございます。環境ホルモンの影響もこれまで指摘されておりましたけれども、その影響が特に子供に顕著にあらわれていることが近年わかってきている。また、子供は小さな大人ではないということを踏まえて、これからの環境政策もしっかりと進めていく必要があるだろう。

 こういう少子化が進む中で、子供の脆弱性に着目した環境政策を推進していくということは、安全、安心な子育て環境の実現のためにもますます重要になってくるかと思っております。

 この子供の環境リスクに関する大規模疫学調査を二〇一〇年度から実施すると、環境大臣が強い決意をあらわされたわけでございます。また、今月にはイタリアでG8の環境大臣会合にも出席されて、我が国からこの問題の重要性を提言されていくということも聞いております。

 この大規模疫学調査についての大臣の決意をお伺いするとともに、改正化審法の運用において、ここがかかわるところですが、それらの成果がどのようにこの改正化審法の運用に生かされてくるのか、そこを明らかにしたいと思います。大臣、よろしくお願いします。

斉藤国務大臣 化学物質に対して、子供は、大人とは違う感受性、高い感受性を持っているのではないかということで、平成二十二年度から、数万人規模の疫学調査を行うことにしております。昨年度から予備調査を行っておりますけれども、ここで得られた知見は、この化審法、新しく出てきました審査体制の中に十分生かしていきたい、予防原則の観点から生かしていきたい、リスク評価にも生かしていきたい、このように決意をいたしております。

江田(康)委員 子供の健康に着目して環境政策を進め、またこの大規模疫学調査に基づいて改正化審法にそれを生かしていく、これは大変重要でございまして、大人だけの安全性ではなく、そういう子供に対する化審法の運用というのも大変重要かと思いますので、確認をさせていただきました。どうぞ、全力で大規模疫学調査に取り組んでいただきますように、しっかり応援しますので、よろしくお願い申し上げます。

 この化審法の改正によりまして、リスク評価、リスク管理をしっかり進めると同時に、化学物質の安全性に関する情報を今度は国民にわかりやすく提供することが極めて重要であるという観点から質問をさせていただきます。

 化審法改正によりまして、事業者間の情報伝達の仕組みは強化されるということでございますけれども、類型ごとにどのように強化されるのか、お答えいただきたいと思います。特に、特定化学物質のような有害な化学物質を含む製品に関する情報の伝達というのはどのように行われるか、そうした情報は消費者まで提供されるのか、お答えいただきたいと思います。

後藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 人や動物に対する有害性でございますとかあるいはリスクが高いと判断されました化学物質ですとか、その化学物質が含有されました製品につきましては、環境汚染を防止するために適切な管理を行う必要がございます。

 このために、化審法の第一種、第二種特定化学物質に指定されました化学物質とそれらが含まれました製品につきましては、製造あるいは輸入の規制を課しますとともに、含有率あるいは取り扱いの注意といった表示の義務を課すということにするつもりでございます。

 このことは消費者用の製品につきましても同様でございまして、したがいまして、消費者まで必要な情報が提示されるものと考えてございます。

 また、類型ごとということでございまして、監視化学物質に指定されました化学物質につきましては、その名称などの情報を購入者に対しまして提供するということを努力義務の対象にするということで、情報の流通を担保したいと考えてございます。

江田(康)委員 今、類型ごとの情報伝達についてお伺いをいたしました。

 これは事業者間の情報伝達の強化ということが非常に重要で、それが第一義だと思いますが、最終的には、国民がかかわる製品については、それが類型ごとに伝わり、また環境汚染の防止の措置に関するそういう表示をしっかりと義務づけていくということが重要かと思いますので、しっかりと進めていただきたいと思います。

 改正化審法の影響について、二階経済産業大臣にお伺いをさせていただきます。

 化学物質の安全性をきちんと確保する一方で、経済活動へ与える影響、事業者への負担につきましても、事前に把握して、その程度について考慮していくことが必要であると思っております。特に、化学物質の製造、輸入を初めとする事業にかかわる事業者には中小企業も多い。この中小企業への配慮が大変重要であるかと思っております。

 今回の改正化審法は、大変大規模な改正でございます。すべての既存化学物質について届け出を義務づけて、その中から知見によって絞り込み、そして優先評価化学物質に対して安全性情報を求める、こういうところの安全性試験等をやっていくというのは、私も医薬品の開発等に携わっておりましたけれども、大変莫大な費用がかかるわけでございまして、これは、ある意味では企業にとっては大きな負担になってくるわけでございます。

 この規制への対応に困難を伴う中小企業がいるかと思いますが、そういう中小企業に対する配慮について、どのように支援措置が講じられていくのかについてお伺いをすると同時に、また実効性のある化審法の実施へ向けて、大臣の決意をお伺いさせていただきたいと思います。

二階国務大臣 ただいま、この問題の御専門であります江田議員から、特に中小企業に対する配慮ということに対して御指摘をいただきました。大変重要な視点であるということを心得ております。

 改正化審法におきましては、事業者に対して製造・輸入数量等の届け出を求め、事業者にとって負担の大きい有害性情報については、必要な情報を段階的に求めることとし、すべての物質について、長期毒性、発がん性などの有害性情報を一律に求めるというようなことはいたしません。

 また、国が安全性を評価する際に、国みずからが行う安全性点検の情報や、既に国が有する有害性情報を最大限に活用してまいりたいと思っております。

 その上で、なお有害性情報が必要となる場合であっても、中小・小規模企業の皆さんが製造、輸入におきまして多くを占める化学物質については、今年度より経済産業省として予算措置を行い、事業者にかわり、国が外部の試験評価機関等を活用しながら安全性試験等を実施することにいたしております。

 このように、中小・小規模企業を初めとした事業者に、御指摘のように過度な負担を強いることのないような仕組みを検討してまいりましたが、今後、いよいよ実施の段階におきまして、中小・小規模企業に対する十分な目配りをしてまいりたい、このように思っております。

江田(康)委員 ありがとうございました。

 大臣の答弁から非常に明確でございましたけれども、中小企業に対する支援に対して特段の配慮、そして迅速な、実効性のある化審法の実施をよろしくお願い申し上げます。

 時間になってまいりましたので、最後の質問は斉藤環境大臣にお伺いをさせていただきます。国際調和、国際的なリーダーシップの発揮についてでございます。

 我が国に化審法があって、そしてヨーロッパにはREACHがある、中国や韓国では独自の規制があって、企業がばらばらな対応を求められているのでは、経済的な負担も大変大きくて、そして化学物質の安全性の確保を効率的に進めることもできないということになってまいります。化学物質管理には国際的な調和がそれゆえ必要であるわけでございますが、さらに、化学産業の中心は、成長目覚ましい中国を初め、今後、アジア地域にシフトしてくると考えられます。また、化学物質やそれを利用した製品の輸出入が我が国との間で盛んな現状におきまして、アジアにおいて、化学物質管理の長い経験と知識を持つ我が国として、リーダーシップを発揮していくことが望まれます。

 そこで、質問でございますが、この化学物質管理に関する我が国の成果と新たな管理の枠組みについて、アジア地域を中心に幅広くアピールして、リーダーシップをとっていくべきではないかと考えますが、大臣、いかがでしょうか。

斉藤国務大臣 この化学物質管理の国際協力は、これまで、OECDなど先進国間が中心でございました。

 ところが、化学物質の製造量を見てみますと、今、国際的に、中国が二番、日本が三番、韓国が六番ということで、全世界の二割をこの東アジアの三国がつくっている、こういう状況がございます。したがって、このアジア地域での化学物質管理についての国際協力、また枠組みづくりが非常に重要だという江田委員の御指摘は本当に的を射ている、このように考えます。

 私も、先日、日中韓の環境大臣会合を韓国で行ってきたところでございますけれども、今、日中韓では、この三カ国大臣会合におきまして、日中韓化学物質政策ダイアローグを持とうということで合意をいたしまして、実務者レベルでございますけれども、対話を重ねてきているところでございます。

 今後は、こういう対話の場を通じて、化学物質管理の、東アジアを中心とした枠組みづくり、そしてREACHやアメリカとも連携した国際的な枠組みづくりということで頑張っていきたい、このように決意しております。

江田(康)委員 ぜひ、このアジア地域を中心に、化審法の新たな化学物質管理の枠組みについても情報発信を行っていただいて、日本がリーダーシップをとっていただきますよう、心からお願いし、また期待をして、二階経済産業大臣、また斉藤環境大臣、大変にきょうはありがとうございました。この大変重要な化審法の改正、一刻も早く成立をしていくことを望み、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

水野委員長 次に、近藤洋介君。

近藤(洋)委員 民主党の近藤洋介でございます。

 本日は、化審法の連合審査会で質疑の時間をいただき、委員長、理事の皆様に感謝を申し上げます。これから、民主党の同僚議員、私も含めて質疑に立つわけでありますが、経済産業委員会に所属をする議員の質問は私一人だけですので、民主党、経済産業委員会を代表してというとちょっと言い過ぎでありますが、短い時間でありますが、気合いを込めて質問させていただきたい、こう思います。

 早速質問に入ります。

 本法案は、先ほど来お話しになっておりますように、二〇〇二年の環境サミットの合意、すなわち、すべての化学物質による人の健康や環境への影響を最小化するとの合意を受けた、我が国における実施法の意味合いを持つものでありますが、それ自体、今回の改正は意義があるものだろう、このように思っております。

 ただ、大変気になるのは、この二〇〇二年の合意から七年間も経過して、ようやく今、実施法が提案をされている、こういうことであります。二〇〇三年、平成十五年には、化審法の改正が国会で議論されて成立しているわけであります。当時、私はまだ議席を預かっておりませんでしたが、そのときでも、この化審法の改正ということを今回のような考え方でやろうと思えばできたわけでありますでしょうし、なぜ今日までおくれてしまったのか。経済産業省、そして環境省、それぞれの理由があろうかと思いますので、それぞれお答えいただけますでしょうか。

二階国務大臣 ただいまお尋ねのように、二〇〇二年にそうした指摘をなされて、きょうまで少し時間がかかり過ぎたのではないかという御意見でございますが、私どもの方としましては、化学物質規制は、構築する制度の内容によっては、中小企業を含む多くの事業者にとって過大な負担を求めることになること、その可能性を持っております。このため、環境サミットの開催後、経済産業省としては、まず各国がどのような手法をとって環境サミットの目標達成に取り組んでおるのか、慎重に見定める必要がありました。さらに、我が国の実情にふさわしい規制のあり方について、業界を含め、関係者と議論を進めておりました。

 その後、二〇〇六年二月に、国連環境計画において、環境サミットの目標を実現するための具体的な行動計画が決定されました。

 それまでの議論の成果を踏まえて、化学物質政策の今後のあるべき姿について本格的な検討を開始したところであります。昨年一月から、化審法見直しのための審議会を経済産業省、厚生労働省、環境省の三省合同で開催し、検討を進め、その成案をパブリックコメントに付した上で、本年二月に法案を提出するに至った次第であります。

 今次のこの改正が実現すれば、環境サミットでうたわれておる二〇二〇年の期限までに安全性の評価を終了することが可能となると考えており、これまでの検討に二〇〇二年から二〇〇七年と、一口に申しますと相当の時間を無為に過ごしたのではないかということであろうと思いますが、我々は時を追って順調に対応をしてまいりましたが、今後、この法律をお認めいただいた上は、しっかりした対応に懸命に取り組んでまいりたいと思っております。

斉藤国務大臣 二〇〇二年のヨハネスブルク・サミットから今回の法改正まで、何でこんなに長期間を要したのかということでございますが、三つ、環境省的には挙げたいと思います。

 一つは、前回の改正、平成十五年、二〇〇三年でございますけれども、これは結構大きな改正でございまして、それまで人の健康だけが対象だったわけですけれども、これを動植物、生態系への影響にまで広げた、これはある意味で非常に大きな改正でございました。ここに全力を注入したということが一つかと思います。

 二つ目は、今回、既存の化学物質にもこれから幅を広げていくということで、これは、国が号令をかけてやれと言ってできるものではございません、官民の協力を得ながら一つ一つ合意をしていかなくてはならない、その自主的なプログラムを実行するのに時間がかかったということ。

 そして、その実行プログラムの中で得られるいろいろなデータを審議会、これは中環審また産構審等で、最初は別々にやりましたけれども、現実には中環審、産構審一緒に議論をしたわけですけれども、その間で官民の合意を得るのに時間がかかった。

 この三つが主な原因といいましょうか、この三つがあったからではないかと思っております。

近藤(洋)委員 それぞれ、二階大臣、斉藤大臣から、なぜここまでかかったのかという御説明がありました。

 それなりに理解できなくはないわけでありますが、しかし一方で、日本がこの七年間過ごしている間に、欧州は、御案内のとおり、先ほど来議論に出ているREACHを二〇〇七年に導入された。さらには、その前の二〇〇六年にRoHS指令というものも出している。こちらは家電製品にかかわる規制でありますが、そういったものを矢継ぎ早に出しているわけですね。その結果として、日本の企業は大きな影響を受けているわけであります。

 だとすると、やや意地悪な見方をしますと、今回の改正は、そうした欧州の動きに対抗するために日本としても何らかの機軸を出すんだということで出されたのかな、欧州への対抗措置という色彩も色濃いように見受けられますが、経済産業省、いかがでしょうか。

細野政府参考人 お答えを申し上げます。

 同じ環境サミットの合意を達成するためにどういうアプローチをとるかということでございますけれども、改正化審法におきましては、先ほど来、他の委員への御説明にもございましたように、いかに制度的にうまい仕組みをつくって、そして我が国の実情と、それから競争力等の観点も含めて、最もふさわしい、実情に合ったものをつくっていくかということが審議会等で検討がなされたわけでございます。

 若干繰り返しになりますけれども、REACHにおきましては、従来の国がリスク評価をするという体系を抜本的に改めまして、最初から事業者に相当広範な有毒性情報あるいは数量等について提出を求めて、それをもとにリスク評価をする、むしろ事業者に相当の立証責任を負わせるような格好で制度をスタートさせました。

 我が国は、先ほど両大臣から御説明がございましたけれども、そういったREACHの動きなんかも見まして、こういった動きが日本になじむのかどうか、あるいは日本がこういうアプローチをとったときにどういう影響があるか、これは、申すまでもなく、大変ポテンシャルのある広範な化学産業のことでございますし、その製品に使われる波及効果も大変広いわけでございまして、いろいろな観点からそれを検討し、我が日本においては、従来の、国が責任を持ってリスク評価をする、それを評価するときの仕組みとしては、既存の情報等を最大限活用しながら、かつ、情報の幅を広げるために届け出を出すとしても最小限の負担になるようにということで仕組みをつくり、絞り込みというプロセスを経て、非常に合理的かつ効率的な方式をとったわけでございます。

 結論において、REACHのアプローチとそれから我が改正化審法のアプローチは異なったわけでございまして、違う道筋をとったという意味では、あるいは議員御指摘のように対抗という言葉が当てはまるような側面があったかもしれませんけれども、あくまでも、我が国にとってどういう制度が一番望ましいか、なじむのか、これは繰り返しになりますけれども、これまでのリスク管理に関する我が国の蓄積でありますとかあるいは経済的な実態にかんがみて、最もふさわしいものを追求した結果、こういうことになったということでございます。

 もちろん、REACHは、御承知のとおり、既に予備登録が始まっております。大変多くの仮登録がございまして、当局も大変驚いているようでございますけれども、今後、この制度が欧州においてどういうふうに運用されるかということも引き続きフォローをする必要があろうかと思いますけれども、少なくとも、我が国が、REACHの内容について知った上で、いわゆる対抗するために何かをしたというよりは、あくまでも、国情に合った、最もふさわしい管理のあり方を追求した結果、こういうことになったということで我々は議論を整理させていただいております。

近藤(洋)委員 対抗措置ではないと。別に私は対抗せいと言っているわけでもないんですけれども、ただ、ここだけは認識した方がいいと思うんですけれども、化審法というのは、一九七三年ですか、社会的に問題になった事件を契機に我が国が制定をした法律であります。こういった手法というのは当時世界で最初の法律で、まさに、すばらしい法律だという評価を得てきたわけであります。

 この法律の制定に当たっては、役所もさることながら国会も大きな役割を果たした、このように聞いておりますが、その点においては、化学物質の安全について我が国はフロントランナーだったわけですね、一九七三年は。ところが、あれから数十年たって、残念ながら、結果として、フロントランナーがラストランナーになってしまっているという現実があるということだろうと思うわけであります。

 あわせて、先ほど局長も御答弁されましたけれども、私は、この化学物質に関する規制というのは、国の産業政策というか産業戦略と非常に密接にかかわる、こう思っております。例えば、携帯電話とか液晶テレビとか何でもいいんですけれども、ある部材の化学物質がこれは危険だと認定をされた、その瞬間に、その製品は市場から締め出されてしまうわけですね。安全という、一見これはだれもが反対できない表看板を使って、国によっては、非関税障壁をつくろうと思えばつくることもできるわけです。

 私が例えば欧州の産業政策の担当者だったら、日本製品のシェアの強い商品を選んで徹底的に分解して、この化学物質は何だと徹底的に調べて、厳しい、わざと黒ないしはグレーだということを徹底的に調べ上げますよ。そうやって日本製品を排除しようと思えばできなくもないことがこの規制の裏にはあるんだという認識を持たなきゃいけないわけであります。

 このことは欧州は実は認識しておって、委員長のお許しを得て参考資料を配付させていただいておりますが、REACHの前文に堂々と欧州は、和訳を付しておりますが、下線の部分です、「本規則は、競争力及び革新を強化させつつ、」と明記しております。そして、第一、目的に、いわゆる産業の競争力と強化を確保することにある、このことも明記しているんですね、REACHの中に。

 翻って我が国の化審法でありますが、どこをどう見ても、産業の競争力だとか技術革新を確保するという文言は見当たらないわけであります。私の見落としかもしれませんが、少なくとも目的規定にはないわけですね。

 そこで、経済産業省にお伺いしたいんですが、こうした、ヨーロッパはしっかりと、産業の競争力と革新を確保しなきゃいかぬということがこのREACH規制に入っている、その上での安全規制だ、両立させるんだというのを明記しているわけですけれども、こちらの法律には何もないわけですが、我が国の当局にはそうした観点というのは欠落しているんでしょうか。いかがでしょうか。お答えいただけますか。

細野政府参考人 お答えを申し上げます。

 結論から申し上げますと、産業への影響、これは重大なチェックポイントでございまして、審議の過程において、今御指摘のような視点は十分に配慮をしたつもりでございます。

 ただ、先ほど委員から御紹介がありましたように、本法律は昭和四十八年に、PCBの問題をきっかけにして、委員のお言葉をかりますと、当時としては世界に冠たる、最も先進的な人と環境への影響を最小限にするための規制体系であったということでございます。

 したがいまして、法律の生まれたときの背景はその後も引きずっておりまして、法の目的とか法律の中身につきましては、基本的に、環境あるいは人への影響ということをいかにうまく最小限化していくか、そういうことで整理をしておりますが、当然のことながら、この法律は、環境省と厚生労働省と我々経済産業省が三省でやっているところは格別の意味があると思っております。

 この法律を、人の健康とか環境に安全性を担保するということも重要でありますが、当然のことながら、それによって我が国の関係の業界あるいは企業が不当なディスアドバンテージになってはいけないということは当然でございまして、そういう観点は、先ほど御指摘のように、法律のたてつけとしては出てまいりませんけれども、当然の重大な配慮要因としてずっと認識をしてきております。

 御承知のように、REACHにつきましてはああいうたてつけになっておりまして、欧州を仕向け地として貿易等を行う者については、これは向こうの制度にのっとる必要がございまして、その限りにおいては対応する必要がございます。

 ただ、これは程度問題でございますけれども、この化学品につきましては、現在、我が国の出荷高の中で、欧州に向けられているのは三%でございます。三%だからいいというわけでは必ずしもございませんけれども、逆に言いますと、三%の仕向け地である欧州でこういう体系をつくったからといって、そのゆえをもって、では、我が国の事業者がみんなそれに合わせる必要があるかという観点からいいますと、当然のことながら、九七%は我が国の国内向けであり、また東南アジア向けでございます。したがって、そういう観点からしますと、REACHのようなスキームにのっとった制度を我が国の多くの事業者に課すことが適当かどうかというのは、当然、重大な検討課題になったわけでございます。

 したがいまして、先ほど来るる申し上げておりますように、我が国のそういった経済実態等々にかんがみて、どういう格好が一番いいかという観点で整理をし、そういう意味では、委員御指摘の産業への影響については当然の前提として配慮した上で、こういう新しい制度にさせていただいたということでございます。

近藤(洋)委員 そうだとすれば、やはりちゃんと法律に書き込んでいくべきだと思うんですね。

 いずれにしろ、ヨーロッパにしろ各国にしろ、アメリカも同じような規制を考えているようですが、これはもう国益と国益のぶつかり合いなわけですね。当然、守るべき法益は安全です。そして、人体への配慮であり、環境への配慮です、守るべき法益は。だけれども、同時に、産業の競争力という観点も守るべき法益の中に加わっている。これが、逆に言えば、ヨーロッパが提示した世界標準なんじゃないんですか。ヨーロッパが、REACHが提示した世界標準はそういうことなんじゃないか。こういうことをしっかり認識するなら、やはり法律にちゃんと書き込むべきだろう、こう思うわけですね。

 だとするなら、局長の御答弁のとおりにやっていきます、こういうことだとするならば、先ほども御質問がありましたが、日本の方式を世界標準にする、こういうことだと思うんですね。要するに、欧州の規制がいいのか、日本のスタイルがいいのか、どちらがいいのか。日本は後出しじゃんけんの形で提案したわけですけれども、こっちの方がいいというんだったらば、これを徹底的に世界標準にする必要がある。

 そうだとするならば、やはりアジア各国に日本の方式をどこまで広げることができるかという、これは競争になるわけでありまして、これについて、先ほど環境大臣の御答弁がございましたから、今度は経済産業省、こういった日本型の仕組みを、とりわけアジアについて普及させる戦略なり考えはどこまでお持ちなのか、ぜひお答えいただけますか。

谷合大臣政務官 アジアでの世界標準にということでございますけれども、今回の改正化審法でつくり上げた制度につきましては、これは、我が国におきます化学物質の適切なリスク評価の実施と産業活動の実態から見て、よりふさわしいものと考えておりまして、十分アジア各国で使っていただける余地はあると考えております。

 これまでも、APEC等の場を通じまして、日本の化学物質管理の経験をアジア地域に提供してまいりました。例えば、ODA事業を通じまして研修制度も実施してまいりました。

 今般の化審法改正の趣旨、また法改正後の具体的な運用の状況につきましても、アジア諸国に情報提供をし、アジア各国における制度構築への貢献を図ってまいりたいと思っております。

近藤(洋)委員 ぜひ、もっと積極的に頑張ってもらいたい、こう思いますね。

 こうした枠組みづくりというのは、残念ながら、ここ十年来というか、日本は負け続けてきているわけですね。例えばISO9000とか14000とかというルールがありました。これも、我が方はもっと立派な品質管理の手法は幾らでも持っていたけれども、欧米からこれが世界標準だと言われて、企業は一生懸命まじめにしこしこそれを守ってきた。上前をはねたのはヨーロッパですよ、変な話ですけれども。

 別の議論でありますけれども、例えば金融の世界でも、金融機関の自己資本比率規制、BIS規制なんというのも、これも、ルールづくり、勝手に欧米が押しつけて、それで、日本の金融機関はまじめにしこしこ守ってきている。今や、向こうが都合が悪くなったら、BIS規制なんかもう知らないということを言っているんだから、これはとんでもない話であるわけですけれども。

 要は、ルールづくりにどう関与するかというのが肝なわけでありますから、とりわけこの化学品については、製造業の根幹の産業でありますから、ゆめゆめ欧州勢に出し抜かれることのないように、日本版の仕組みを普及させてもらいたい、このように思うわけであります。

 先ほど、国がリスクを評価するというところが今回の法案の違いでございますという御答弁がございましたが、しかし、実際的には、コスト負担は民間なわけですね。先ほど来、中小企業の対策をどうするんだという懸念がございました。私も、その中小企業への対策、大きな負担になるんだろう、三億八千万円の予算を確保しているという二階大臣の御答弁がありましたが、本当にこの程度の予算で大丈夫なんだろうかという危惧がございます。この点、大丈夫なのかということが一つ。

 あわせて、むちだけでなくてやはりあめ玉も必要だと思うんですね、実効性を上げるためには。企業にどうやってやらせるか、こういうことでありますから。もちろん、安全な製品をつくるということは、それはもう有無を言わさず、これはあめもむちもないんだ、当然の責務だといえばそれまででありますけれども。しかし、いかに企業にこういった試験をやらせるか、負担を軽減させるかという制度は、国がリスクを評価するというたてつけになっている以上、しっかりやるべきだろうと思います。

 そこでお伺いします。第一点は、中小企業向けの対策がこの三億八千万円で大丈夫なのか、もっとふやす必要があるのではないかという点。もう一つは、企業の大小にかかわらず、我が国はさまざまな試験機関を持っているわけです。航空技術にかかわる各種の公的な研究機関があります、施設もあります。産業技術総合研究所、または大学の機関もあります。こういったものを企業が使いやすくするようなそういった補助の制度だとか、本気で二〇二〇年ということをやるのであれば、そうした体制も整えるべきかと思いますが、こちらはいかがでしょうか。大臣、お答えいただけますか。

二階国務大臣 先ほど来、近藤先生のお話を伺いながら、ヨーロッパよりもおくれてしまった、また、世界のそうした主要国の中でも随分おくれているのではないかという激励を兼ねたお話をいただきました。

 我々は、ヨーロッパよりもややおくれてしまったという嫌いはないではありませんが、依然として世界のトップ集団といいますか、トップグループの中にはおるわけでありますから、ここでしっかりした法改正を行い、中小企業を初めとする各事業者への負担等について最低限に抑えながら、業界の皆さんの協力も得ながらしっかりしたものに仕上げていって、これが日本版、アジア版のすばらしい政策だということを訴えられるようにしていきたいというふうに思っております。

 また、公的研究機関等をうまく活用してやっていけるような道を開くべきではないか、私は大変重要な視点だと思います。そして同時に、本気でやれというお話でございましたが、全くそのとおりでありまして、そうした点につきまして、国みずから行う安全性の点検や、また、事業者からもちょうだいしております情報等、国が有するそういう今日までの知見を最大限に活用しながら、おくれがあるとすればおくれを取り戻していく。トップリーダーと言われるようになるまでにはどこまで頑張るかということでありますが、しっかりやっていきたいと思います。

 アジアという点についての御指摘もございましたが、私は、前々からも申し上げているとおり、東アジア・アセアン経済研究センター、これを活用して、しっかりした、アジアにこの日本の改正化審法についての御理解をいただくと同時に、アジア挙げてこうした問題について協力し合っていくということに努めてまいりたいと思っております。

 そして、重ねて申し上げますが、中小企業を初めとした事業者に過度の負担にならないように、その配慮は十分してまいりたいと思っております。

近藤(洋)委員 ぜひそうした配慮を進めていただきたい、このように思います。

 化学産業というのは、私、実は昔、新聞記者時代に取材をしたことがありまして、当時から、出荷高は多いんだけれども、日本の化学産業というのは余り国際競争力がないと言われてきました。それぞれ企業が努力をして、再編を繰り返して、今何とか頑張っておるようでありますけれども、やはり基幹産業だと私は思っております。大変すそ野も広い。先ほど公明党の先生もお話ありましたが、医薬も含めて化学だとすれば、研究開発費の負担が大変大きい分野でもあるわけであって、この分野というのは、日本の製造業の本当に根っこでもありますし、知恵の勝負の産業でありますから、日本的なといいますか、日本にとって非常にこれから戦略的にも重要な産業群だと思うんですね。

 私は、甘やかせと言っているつもりはないんです。要は、そういった産業群が世界的にきちんと活躍できるような土俵を国を挙げてつくられたらいいということを重ねて申し上げまして、また、くどいようでありますけれども、こういった国際的なルールづくり、日本は連戦連敗でありました。ぜひこの分野で、両大臣とも、現場の官僚の方々を鼓舞して、国際交渉で負けるな、ヨーロッパ勢ともきちんと交渉してこいということを鼓舞していただくようお願いを申し上げまして、時間ですので、私の質問を終わりたいと思います。

水野委員長 次に、村井宗明君。

村井委員 民主党の村井宗明です。

 今、近藤議員がおっしゃられた、まさに配られた資料にあるように、REACHの方は、競争力の向上と健康面での安全性と両方セットできているのに、日本は競争力の向上、産業の競争力の部分が目的に入っていないということを質問するというふうに通告していました。

 質問がかぶるので、ちょっとだけ切り口を変えさせてもらいたいんです。

 先ほど返答があったときに、産業面にマイナスにならないようにという言い方をされたのがちょっとあれっと思ったんですね。リスク評価とかハザードを我々がきちんと評価すること自身は、国際的な展開をするに当たって、いや、日本のこの製品、これは安全なんですよと反証する材料にもなるからこそ、徹底的に調べるからこそ経済競争力を強める効果もあると思うんです。

 そういった視点で見たら、どうでしょうか。

細野政府参考人 お答えを申し上げます。

 近藤委員に引き続いての御指摘でございます。

 これからのビジネスにおいて、安心、安全というのは、欠くべからざるキーワードでございます。したがいまして、REACHのような方法をとるか、あるいは我々のような方法をとるかにかかわらず、これによって、化学物質にかかわる人と環境に与える影響を最小限にするということ自体は、大変なセールスポイントであるというのは御指摘のとおりでございます。先ほど来の御指摘においておっしゃられましたことは、基本的に、我々産業政策を預かる立場からすると、大変重要な御示唆だと思います。

 先ほどのように、この日本の制度が、いわゆるデファクトスタンダードとして、デジュールをねらうことももちろんでございますが、デファクトの分野においても、ぜひ近隣国、特にアジアの諸国については、先ほど大臣から御紹介がございましたERIAのスキームを使ったり、あるいはほかのいろいろな国際的な影響力のスキームを最大限に使って、ファンをたくさん広げていく。それによってこの日本の強みが、まさに安全という観点からではありますけれども、日本の商品とか何かについても信頼度を高めるということは十分考え得ることでございまして、重要なセールスポイントとして活用するという観点から、この制度の運用についても心を配ってまいりたいと思っております。

村井委員 ちょうどその競争力の向上というところの話でありましたとおり、近藤さんが例え話に出しました。REACHと日本の化審法と基準がちょっと違っている。REACHの方で、日本の製品をどんどんどんどん売っていったときに、分解して、ここの化学物質がグレーじゃないかということで日本製品が締め出されることがあるんじゃないかという話があったときに、日本の化審法でこれが安全だと立証されていたら、REACHの方でたとえグレーだとしても、反証するということはあり得るんですよね。どうでしょうか。

細野政府参考人 お答えを申し上げます。

 先ほどの近藤議員の御指摘は、欧州において一定のルールをつくりまして、それにかなわないものについては、例えば商品をマーケットに入れないということを逆手に使うという意味で、いわゆる非関税障壁、意地悪をするというようなことは論理的にはあり得ると思います。

 ただし、先ほど言いましたように、日本と欧州との関係は、化学品の分野については格別のウエートにとどまっておりますけれども、むしろ、委員が今おっしゃいましたように、ネガティブにこれを逆手に使って何とか締め出すというような発想ではなくて、繰り返しますけれども、REACHも化審法も、目指すべきアウトカムといいますか成果は、自分のところの製品、化学品そのもの、あるいはそれが含まれている製品は安全なんだ、ちゃんと管理して安全につくられているんだということをいかに証明するかというその方法論の問題でございます。

 したがいまして、我が国は、これをどう証明するかというプロセスは我が化審法のスタイルがすぐれていると思いますが、それによって運用されたいろいろな化学品の物質あるいはその製品は、十分安全が確保されたものであるということを、ネガティブではなくてポジティブに活用するということでむしろ戦略を組むべきだと思います。

 そのアピールにおいては、我が国国内だけではなくて、近隣諸国あるいはアジアというのは非常に重要な領域だと思います。繰り返しになりますが、ERIAその他、これからデファクトスタンダードをともに考え、ともにキャパビルをして、関係者の能力を上げて同じような管理ができるように、同じような素地で製品の貿易でありますとか投資が促進される、そういうことの基盤をぜひ広げていきたいと思っております。

村井委員 そういう意味で、今大臣に一言だけお聞きしたいんですが、安全面の立証、リスク評価で安全だと立証していくこと自身が日本の競争力の向上にもつながると思うのですが、大臣はどうお考えでしょうか。

二階国務大臣 極めて当然のことであります。私どももこの化審法の改正について、委員各位の御理解、御協力をいただいた上で、この改正が成立した上は、今まで当委員会でも御議論いただいたようなことを十分考えながら、先ほど局長が御答弁申し上げましたように、日本だけではなくてアジアにも十分我々の考え方をお伝えして、御一緒に新しい時代の化審法としての成果を上げるべく、ともに努力をしてまいりたいと思っております。

村井委員 さて次に、知的財産基盤の強化という話をしたいと思うんです。本当に日本の化学産業を発展させていこうと思えば、知的財産の基盤、これは財産権で保障されるんでしょうが、それをどんどんどんどん強めていく必要があるんですが、先ほど、中小企業に過度な負担にならないように国が支援するというお話がありました。

 確かに、このジャパン・チャレンジプログラムという計画ベースだと六百四十五物質とかというふうに言っておられるんですが、予算ベースで三億八千万円、一物質の分析に当たり大体三千万円ぐらいかかる、もっと安いのもあればもっと高いのもあるんでしょうけれども。

 さて、その計画ベースではなくて予算ベースで見た場合、実際、公費で何物質ぐらい分析できると考えておられるのか。そして、実際必要な予算はどのぐらいで、これで足りるのかどうか。そういった点ではどうでしょうか。

細野政府参考人 お答えを申し上げます。

 まず、三億八千万の予算を毎年、これは予算でございますので、できれば次年度以降もぜひ確保してまいりたいと思います。

 その前提としての考え方でございますけれども、先ほど来、他の委員からも御指摘がございましたように、有害性をチェックするためには、かなりお金がかかります。いわゆる基礎的な試験をするというだけであっても、全くゼロからスタートをするというような場合は三千万円以上の、もちろん平均的にですよ、物質によっていろいろチェックの度合い等がありますし、また、難しさも違いますので、あくまで平均でございますけれども、三千万円超の費用がかかるわけでございます。

 基本的には事業者にいろいろ負担をお願いするわけでございますけれども、中小企業等が大宗を占めるような製品についてはなるべく目配りをしたいということで、先ほどの予算額を計上したわけでございます。

 その基本的な考え方は、例えば七千品目というのがまず出発点でございますけれども、七千品目があり、だんだん絞り込んでいって、千品目ぐらいを優先評価物質にするということでございます。その構想の中で、これまで我が国がいろいろな法運用の中で蓄積した、これはもう三十五年以上やっておりますので、国が有している有害性情報、こういったものを最大限活用するとすれば、根っこからやるというところはかなり少なくて済むだろう。

 それから、中小企業が主に扱っておられる製品と大企業が中心の製品、こういったものは大体比率でわかっておりますので、結論からいいますと、細かい計算は省略させていただきますけれども、今後、二〇二〇年までにちゃんとしたチェックをし、その中で、もし中小企業の方に御配慮するとすれば、先ほども言いました、中小企業性などを勘案して、大体百品目ぐらい国が費用負担を覚悟して、あるいはそれを負担することによってやっていくということだろうと思います。

 これは二〇二〇年まででございますので、約十年といたしまして、大体毎年十数品目ぐらいずつやっていくということはあり得ると思います。したがいまして、先ほど三千万円超と申し上げましたけれども、三千万円超で十品目ぐらいが毎年コンスタントにいくとすれば、大体三億八千万円ぐらい。これは年によってでこぼこはあるかもしれませんけれども、それぐらいの計算で回っていくんじゃないかなということで積算をさせていただきました。

 もちろん、これは、届け出を受けまして、実際にリスク評価をし始めたときにいろいろなことが起こると思いますけれども、恐らく、今のような経験的な範囲内で動いていけば、三千八百万円の予算で、過不足はあろうかと思いますけれども、ほぼ回っていくのではないか、足りるんじゃないかというふうに計算をしております。

村井委員 さて次に、先ほどから論点になっていました国際的な情報の共有化の仕方の話なんです。

 もちろん、日本でもどんどんどんどん化学物質の安全性を解明していく中で、海外でも同時にどんどんどんどんやっていくわけです。さて、これが、どういうルールにするかの中で国益と国益がぶつかり合うこともあるんですが、そうじゃない、これが安全だという証明がされていくプラスの部分は、どんどんどんどん取り入れていった方が、我々も余分な経費を使うことなく、本当に競争にかかわる、それからもっと本当に新しく出てくるような物質、さらに、既存化学物質でもここは譲れないというところに集中投資ができるはずだというふうに思うんです。

 さて、そんな中で、多国間協議のルールそれから様式を統一化していくということ自身が、やはり今、この化学物質の解明にとって必要だと思うんですが、今、ICCAなど民間ベースでのそういったものをある程度活用していくことを考えるかどうか。そして、そういった分析データをできるだけ共有化していくべきだという発想は、どう思われるでしょうか。

原政府参考人 化学物質の管理に対しまして、OECDで、安全性試験をどうやっていくのかとか、あるいは国際調和に向けて国際協力が既に行われてきております。

 具体的には、化学物質の分解性や蓄積性あるいは毒性などについてどのような試験をやればいいのか、その試験方法や手順を定めたテストガイドラインを定めております。

 また、では、そういう手順、試験をどのようなところでやるのかということでは、優良試験所の基準なども定めておりますし、また、多種類ございます化学物質において、どのような項目をまず初期にデータとしてとるべきか、そのような初期評価のためのデータの種類、これらについての共通の報告様式を定めております。

 さらに、物質ごとに、先ほども出ましたけれども、官民協力して、国ごとに分担してやっている部分、官民でやる部分、そのようなものの情報収集を協力しながらやっている。このように、さまざまな分野での国際的な共有が推進されてきております。

 ただ、現在のところ、こうした国際調和はOECD加盟国等に限られておりますので、我が国としても、途上国を含め関係のところとも、この調和活動への参加を呼びかけてまいりたいというふうに考えております。

村井委員 先ほど江田議員の方からの質問のときに、日中韓の連携という話がありました。

 さて、その中で、中国の部分でちょっと思ったのが、例えば、中国で出た化学物質は、黄砂などによって日本にも影響があるわけです。ほかの国の化学物質などに比べて、特に中国などの場合は日本人の健康にも影響を与えるという視点が必要だと思うんですが、環境省としてはどうでしょうか。

原政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のように、中国は近年、化学工業が非常に発達をしてきております。それらを含めた製造業の著しい発展の中で、化学物質、またそれらを使いました製品の貿易において我が国の主要な相手国となっておりますし、そのため、御指摘のような、日本と中国の間での化学物質のリスク情報についての共有化ということは非常に重要な課題だと考えております。

 こういう背景もございまして、環境省においても、化学物質の管理について日中韓の三カ国の協力を強化する、そのための事務レベルでの日中韓化学物質政策ダイアローグを毎年開催しているところでありまして、こうした中で、先ほどから述べておりますような化学物質の管理やあるいは検査方法等々について、意識の共有化を図っていくというふうに考えています。

村井委員 では、その日中韓の化学物質政策ダイアローグのときに、例えば中国の方で、どうしても中国がやりたいと言っている、だけれども、それはこっちでやってみたリスク評価としては、これはかなり危険だな、もしくは、風に乗って日本人にもある程度の被害を与えるんじゃないかと思われる物質がある場合、日本から中国に対してはどのように指摘し、そしてどのように改善させることができるんでしょうか。

原政府参考人 中国において製造等される化学物質について、危険が考えられる場合がある。これにつきましては、私どもとしても、同等の試験を行って、中国の方に注意を喚起するということ、また、中国国内においても当然ながら環境への影響は出るわけですので、そういう意味においては、日中の間で注意を喚起していく、そういうふうに考えております。

村井委員 ぜひ、できるだけ、特にそういった形で、黄砂や何だといって、昔は黄砂といったら砂だけだったのに、今、いろいろな弊害があるようなことも言われています。そういった意味で、ぜひ日本のハザード情報、それから管理の手法というものを、連携しながら、日本人の健康や安全のためにも、しっかりとそういった対話をやっていただければ、そして、場合によっては、しっかりとした意見を言うべきところは言っていただければというふうに思っています。

 さて次に、縦割りの問題をちょっとお話ししたいなと思うんです。

 こうやって連合審査になってわかるように、ふだんからでもこの法律、化学物質の関係でいえば、環境省もかかわる、経済産業省もかかわる、そして厚生労働省もかかわるというふうになってしまいます。同じ化学物質なのに、ちょっとずついろいろなところに、いろいろな法律にかかわるからといって、届け出を出して使ったりしなきゃならないようになる。

 私は、できれば窓口を一つにして、大体一つの化学物質を使う場合は一つの書類、まあ、合わさったら多少量が多くなってもいいから、そういった形で窓口を一本化する方がはるかに企業にとっても使いやすいし、安全性面の点検などにしても、省庁の窓口を一本化してやる方がより効率的ではないかと思うんですが、そういった縦割りの弊害を克服するためには、大臣、どのようにお考えでしょうか。

斉藤国務大臣 御指摘のとおりだと思います。

 今回、これまでこの化審法におきましては、新規化学物質の届け出ということについてはワンストップ化を進めてまいりました。例えば、環境省に持ってきてもらえば、同じ情報を役所の側で経産省や厚労省にも送るという形で進めてきたところでございますが、例えば、その物質がこの化審法の対象にもなり、かつ、例えば労働安全衛生からもいろいろな問題があるというような場合は、どうしても二つの役所に行っていろいろな手続をしなくてはいけないということが残っております。

 これを根本的に解決するのはeガバメント、電子政府化というふうな根本的なものが必要になろうかと思いますけれども、これからも事業者の方の無駄ができるだけ少なくなるようにしっかり取り組んでいきたいと思います。

村井委員 ぜひ、役所任せになるよりも政治がリーダーシップをとって、環境大臣などにもリーダーシップをとっていただいて、できるだけそういった窓口を一本化し、集中してやっていただければいいんじゃないかと思うんです。

 例えば、その中の例でも、今ここに持ってきたのは、三つ資料があるんです、ナノマテリアルについてだけで三省からこれだけ分厚い報告書が三種類出る。厚生労働省も出すし、経産省も出すし、それから環境省でも出す。これで本当にいいのかな。

 もちろん、それぞれ調べることは、経済発展の視点で調べるか、環境への影響で調べるか、それとも作業環境の部分で調べるかということでいえば、それぞれ違う視点で調べるにしても、今ナノマテリアルというものが私は非常に有益なものであるというふうに認めています。そして、その上で、今まだわからないことが多過ぎるんです。同じ組成でも、ナノであれば違った反応をすることもある。

 そういった中で、本当に今のまま、ほかの化学物質と同じような、同じ組成だからということで扱っていいのかどうか。例えば、作業環境における安全管理マニュアルなどでも、きちんと三省が連携したりしながら、ナノはナノで別につくり直すべきだと思うんですが、厚労省はどのようにお考えでしょうか。

尾澤政府参考人 お答えいたします。

 ナノマテリアルにつきましては、工業用材料としまして今利用が拡大している中で、これの製造また取り扱いに係ります労働者数、急速に増加しているところでございます。

 こうした中で、労働者に係ります作業環境の安全管理につきましては、今先生御指摘のように、ナノマテリアルに関しましては十分な知見は現在得られておりませんけれども、予防的アプローチの考え方に基づきまして、昨年、平成二十年の二月に通達を出しております。特にこのナノマテリアルに関します暴露防止のための予防的対応ということで通達を出して、その周知を図っているところでございます。

 さらに、より具体的には、作業現場の実態を踏まえまして、人に対する有害性等々について十分な検討を開く中で、昨年の十一月に報告書を取りまとめているところでございますが、この検討に当たりましては、関係機関とも十分連携をとって検討を進めてきております。

 そのもとに、先ほど申しました通達を見直しまして、ことしの三月、二十一年の三月三十一日にナノマテリアルに対する暴露防止等のための予防的対応という通達を出しまして、全国の労働局あるいはその関係事業者団体を通じまして、関係事業場に対する周知を図っているところでございます。

 今後とも、この通達の周知を図りまして、労働者の暴露防止対策を進めてまいりたいと考えているところでございます。

村井委員 さて、そうやって労働者の安全管理の部分でしっかりやっていただくと同時に、やはりこの三省でそれぞれナノマテリアルを別々に扱うんじゃなくて、話し合って、安全性の立証こそが競争力の強化につながるという視点に立って、しっかりと統一してこのナノマテリアルに対応していただきたいと思うのですが、どうでしょうか。

原政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど先生お示しになりました幾つかのガイドラインでございますが、環境省としては、ナノ材料の使用実態等から環境中にどれだけ放出されるか、そのような観点から、製造工程等々について注意を呼びかけるという意味のガイドラインを作成いたしました。

 また、経済産業省さんの方でも、安全対策のために事業主としてどのような管理が必要か、そのためのガイドラインも出されましたし、また、厚生労働省でも医薬食品局の方では、一般消費者向けの製品におけるそのための検討会での報告書、そのようなものが取りまとめられております。

 このことも、ナノマテリアルそのものが実際に使われたときにどのような状況にあるのかとか、あるいは量がどれぐらいかとか、実は、量の測定方法自体から検討しなければならないような状況でもございますが、三省とも、関係省庁と協力しながら、情報交換をしながら、適切な管理方策を立てられるように取り組んでいきたいと考えております。

斉藤国務大臣 今、厚労そして環境省から答弁があったとおりでございますが、先ほど二階大臣とも、合同審査のいいところで、隣で話ができるものですから、今のナノ材料についての御指摘もごもっともでございますし、また窓口の一元化ということも大変重要でございますので、近々厚労大臣にも呼びかけて、経産、厚労、環境の三大臣会合を、ちょっと打ち合わせを持とうとしたところでございますので、対応させていただきたいと思います。

村井委員 本当にそうやっていただいて、ナノは危険かもしれないけれども、きちんと使いこなして、日本の競争力そして安全性を担保しながら、ぜひ、三大臣で力を合わせて、この分野を発展させて、進めさせて、そしてかつ安全に使っていただければというふうに思います。

 さて次に、複合暴露の話をしたいと思うんです。

 この化学物質審査規制法そのものは、単体でそれぞれの化学物質が安全かどうかということをやっていく。もちろん単体では安全なものでも、一足す一が、もっと言うと、ゼロ足すゼロがゼロになるかといえば、化学物質の世界ではそうじゃない場合があるんです。

 これは単体では安全、この単体では安全だけれども、合わせて両方やってみたら違う効果が出たということは非常にあることで、この複合暴露という視点ももっとやっていかなければなりません。例えば、アスベストと喫煙が合わさることによってさらに被害が大きくなるという話などもありました。

 こういったところをしっかり調べて、そして情報などを公開していかなければならないと思うのですが、どうでしょうか。

原政府参考人 お答え申し上げます。

 複合暴露につきましては、先ほども申し上げましたけれども、まだまだ未解明な部分が確かにございます。

 御指摘の、例えばたばことアスベスト、これについてはいわゆる相乗効果があると言われております。これは、毒性を発揮する場合に、独立した作用ポイントがありますと、当然ながら掛け算でそのリスクが高まるということも考えられるわけであります。

 ただ、どのような形で毒性を発揮しているか、単体においてもなかなかそこの分析が進んでおりませんけれども、今いろいろと着目されております物質等につきまして、環境省としても幾つか影響を調べていこう、それを手がかりにいわゆるゲノムの発現状況、そういうようなところも含めまして、これから一生懸命研究を進めていきたい、そういう意味で科学的知見をしっかりと集積していきたいと考えております。

村井委員 さて次に、また経産大臣にお聞きしたいと思うんですが、化学産業にはやはり無限の可能性があるというふうに私は思っています。

 その発展というのは、私たちの国が、今経済が非常に低迷していますけれども、そういったものを再生させたり発展させたり、また他国との激しい競争に打ちかっていったりする可能性が非常に高い。そういった最先端の化学産業分野を支えるケミカルテクノロジーの技術開発が大事だというふうに思っています。

 そして、私は、その中で特に三つ、一つはバイオマスのエネルギー転換、そして燃料電池の実用化と普及、さらには海水を淡水処理する、こういった三つの技術というのは二十一世紀のまさに産業革命につながることであり、二十一世紀、どの国も、どの世界も求めている技術であり、それがあればさらに経済に競争力を持てるというふうに確信しています。

 そういった技術革新などに対して、国はどのように支援をしていかれるでしょうか。

二階国務大臣 我が国の化学産業は、今日までも、その高い技術力により、我が国製造業の競争力の一翼を担っておるわけでありますが、ただいま議員からも御指摘がありましたように、将来の展望として、バイオマス、燃料電池、海水から真水へ、私は大変すばらしい視点であるというふうに考えております。

 私どもの経済産業省におきましても、燃料電池の問題につきましてはかなり意欲的に対応いたしておりまして、海外の研究所ともいろいろ提携をしながら取り組んでいるところであります。海水から真水へということにつきましては、これは基礎的なところといいますか基本のところは、みんながそのことの必要性を十分承知しておられるわけでありますが、まだ、いま一歩これに対して深く突っ込んでいく体制はできていない。バイオマスについては、相当の前進を見ておるというふうに思っております。

 今御指摘のような、これらの三点を含めて、重要な課題が山積しておると思います。それは一面重要な課題であります。また同時に、資源の少ない私たちの国にとっては、これは宝の山でもあるわけでありますから、そうした問題に対して我々は今後積極的に対応していきたいと思っておりますので、また引き続きいろいろな面で御指摘をいただきたいと思っております。

村井委員 特に、海水を真水にするということができたら、世界全体の環境問題なども大きく変わっていくんじゃないかというふうに思うんです。

 今、世界の水不足が言われている中で、もし、ある海水を、もしくはさまざまな汚れた水を飲み水に変えられるということを、化学技術が本当に進歩していったら、そのうちできるはずだし、それさえすることによって、まさに世界の多くの人類を救うことができるから、そういった意味で、この国のそういった化学技術を使って世界に貢献していっていただきたいというふうに私は思います。

 また、バイオマスのエネルギー転換がもっともっと効率よくなれば、今のところ、残念ながらやはり化石エネルギーをたくさん使わなければならないことが多いんですが、バイオマスにはもっともっと無限のエネルギーがあって、本当は、この技術開発に成功し、この化学産業もしくは化学技術がちゃんとあれば、私は、そういったところからエネルギーをもっと効率的に引っ張り出すことができるんじゃないかというふうに思うんです。

 そして、最後の燃料電池でいっても、もちろん今、家庭用の方はどんどんどんどん普及していく。でも、やはりそれだけじゃなくて、そのうち車にも燃料電池が積めるような、そういった技術開発をしていく。人類は、もちろん今、新しい電気、太陽光や風力といったエネルギーも使うし、水素なども使うことができる、そうすることによって地球温暖化問題なども解決していけると思うので、ぜひそういった視点でこの技術開発に取り組んでいただけたらというふうに思います。

 そして、最後にもう一問質問させていただきたいんですが、厚生労働省の方にお聞きしたいと思うんです。

 労働安全衛生についてなんですが、この法の運用や化学物質の評価などのときでも、勤労者団体の意見を聞いて労働安全衛生をやっていくべきじゃないかというふうに思うんです。

 新しく法律をつくるというときは、審議会をやるんです。審議会をやったら、いろいろな人を呼んで、いろいろな意見を聞くんですが、実際、新しい法律が適用されていったときに、その労働安全の現場にいる、そういった例えば労働団体などからも、ちゃんと定期的な協議をすることが必要だと思うんです。

 法律をつくるときに、審議会に呼んだからいいんじゃないかと言ったらだめで、実際にやってみてから、ああ、こういう現場でこういう問題があった、労働安全衛生ではこの分野が足りないということが十分あり得る、それがこの分野だと思うので、ぜひ法が成立してからでも定期的に、審議会とは言いませんが、労働団体などとの定期協議をしていってほしいと思うんですが、どうでしょうか。

岸田政府参考人 今回の化審法改正によりまして、化学物質全般について、安全性に関する情報を収集し、安全性評価を進めるというところでございますけれども、この枠組みの中でもって収集された安全性情報、これをいろいろな方面の安全対策にやはり活用していただくということが必要なんだろうというふうに思います。

 したがいまして、そういう安全性情報を関係するいろいろな部門、部局に情報提供する、その部局において必要な措置をとっていただく、こういうことがまた重要だと思っております。

 先ほど、化審法の運用や個々の化学物質の評価に当たって、労働衛生部局の問題について提起がございました。

 私どもは、労働安全衛生を担当する部局を含め、さまざまな関係部局との緊密な連携、こういったものが重要だろうというふうに思っておりまして、その連携のもとに、さまざまな方面の、あるいは関係者の意見をよく伺いながら、化学物質の安全対策をやっていきたい、こう思っております。

村井委員 再質問になるんですが、ちょっと今の話はあいまいで、関係部局と連携をとりながらだったので、具体的にこの化学物質審査規制法を実行してから、政労使で定期的な協議を持って運用について議論していく気があるかないか、イエスかノーかだとどうでしょうか。

岸田政府参考人 先ほど、労働安全衛生部局との連携というふうに申し上げましたように、そことの関係におきながら、労働関係のさまざまな意見を、定期的がいいのか必要に応じてがいいのか、そこはいろいろ考えさせていただきたいと思いますが、そういったさまざまな意見を聞きながら進めていきたい、そういうことを考えております。

村井委員 最後に、安全面の部分、製造現場での安全面、それから周りの環境に対しても安全だと立証すること、そして、その商品を使う人に対しても安全だとちゃんと立証できることこそが本当に競争力の強化にもつながっていくと思うんです。ぜひそういった分野、そういった視点に立って、この化学物質審査規制法を強化しながら、日本の化学産業というものをさらに進めていただければと思います。

 どうもありがとうございました。

水野委員長 次に、吉田泉君。

吉田(泉)委員 民主党の吉田泉です。

 私からも、化審法改正案について質問をさせていただきます。五番目になりましたので、若干ダブるところも出てくるかと思いますが、一応通告に従って質問をいたします。

 まず最初に、今回の改正に当たっての立法事実といいますか背景について何点かお伺いしたいと思います。

 役所のペーパーによりますと、今回の立法事実の第一に挙げられているのは、国民の化学物質に対する関心の増大である、こういう表現がございました。

 化審法は、一九七三年、カネミ油症事件を契機に制定されたわけでございますが、四十年近くたって、今でも、この事件に遭われた方々の二世、三世の世代にも被害が続いているという大変な状況でございます。ここがこの法律のもともとの原点だということが一つあると思います。

 それから、一方で、この法律が制定されたおかげで、特定物質それから監視物質、こういうものが指定をされ、規制をされてまいりました。新規物質の事前審査も実行されてきたわけであります。

 そこで、この四十年来のPCB以降の被害の状況というのをここで確認しておきたいと思いますが、本法が対象にしているのは人工化合物でありますが、それによる健康被害、環境被害状況はどういうものか、お伺いします。

原政府参考人 お答えを申し上げます。

 昭和四十年代のPCBによる環境汚染を契機に、工業的に製造される化学物質による環境汚染の防止のために本法律が制定されたわけでありますが、その後、PCBと同じような、難分解性であり高蓄積性、そして人への長期毒性を有する物質につきましては、順次、第一種特定化学物質に指定をいたしまして、原則、製造、使用等を禁止しているところでございます。

 また、その後、塩素系の有機溶剤でありますトリクロロエチレンなど、難分解性があるけれども蓄積性はそれほど見られない、しかしながら人への長期毒性がある、あるいは生物への蓄積性というようなものについて、地下水汚染などが特に問題になりました。そのために、昭和六十一年に、第二種特定化学物質の規制をする仕組みを新たに導入したところでございます。

 その結果、化審法において、これらの措置によりまして化学物質による環境汚染の未然防止を図ってきておりますので、トリクロロエチレン等による局地的な地下水あるいは土壌等の汚染は依然として見られますが、化学物質による広範な地域での環境汚染が生じている例や、あるいは健康被害が生じたという例は承知しておりません。

吉田(泉)委員 未然防止という法律ですので、それが効果を発揮してきたということだと思います。

 そんな中で、十年ほど前だと思いますが、環境ホルモン物質という問題がマスコミでも大変大きく取り上げられたわけであります。ビスフェノールA等の物質が男性の精子を減らしているんではないか、こういう疑いを持たれました。

 そこで、これは政府としても取り上げていろいろ調査研究されたと思いますが、結局、この環境ホルモン物質による健康被害、環境被害はどういうことになったか、またこの化審法によってそういう物質はどういうふうに規制されたのか、お伺いいたします。

原政府参考人 お答え申し上げます。

 化学物質の内分泌攪乱作用、いわゆる環境ホルモン問題でございますけれども、人や生態系に対して影響をもたらすおそれがあると指摘されている一方で、ただ、科学的に未解明な部分も確かに多うございます。このため、環境省において、調査研究を積極的に実施してまいりました。

 これまでの調査の結果では、我が国におきまして、内分泌攪乱作用による環境リスクが強く疑われる物質は今のところ見つかっておりません。また、国際的にも、どのような形で見ていくのか、その評価手法についての検討を行っている段階でありまして、現時点では、いわゆる内分泌攪乱作用というような面における審査項目を立ててこの化審法の中に取り入れることは予定しておりません。

 ただ、引き続き化学物質の内分泌攪乱作用について、国内外の関係機関と協力しながら、科学的知見の充実に努めてまいりたいと思っております。

吉田(泉)委員 今の答弁にはありませんでしたけれども、結局、環境ホルモン物質による人的な被害、動植物を含めて、これは実例が出ていないという報告もありますね。そういうことだと思います。

 そうしますと、この問題は、先ほど申し上げたカネミ油症の問題とは全く逆に、非常に大騒ぎされて、一生懸命政府も研究をしたわけですが、その割と言ってはなんですけれども、実は大した問題ではなかった、少なくとも今の時点ではそういう状況だと思います。私は、別な意味で、やはりこういう事態も我々は気をつけていかなければいけない、こういうふうに感じているところでございます。

 この環境ホルモン問題のときにも議論されたわけですけれども、リスクという考え方が非常に今強くなって、基本的な考え方として採用されてきたわけであります。物質の単位当たりの有害性だけではなくて、いわゆるその摂取量、暴露量というものをあわせて、その両方を総合的に考えてその物質のリスクを判断していこう、ハザードからリスクへと、こういう考え方の転換が起こってきたわけであります。

 私もその考え方は理屈だろうというふうに思っているわけでありますけれども、この考え方の転換が、国際社会そして国内法制上、いつごろ、どんな格好で起こってきたのか、その背景にあるものは何であるか、これを教えていただきます。

細野政府参考人 お答えを申し上げます。

 国際的には、一九九二年の、リオで開催されました環境と開発に関する国連会議、ここの場におきまして、持続可能な開発と人類の生活水準の向上を図って、かつ、ここで話題になっております、有害な化学物質の適正な管理を実施する方法としてリスク評価という言葉が出てまいりまして、これに基づく管理の必要性が合意された、これが大きく取り上げられた最初だと認識をしております。

 国内では、一九八六年、昭和六十一年になりますが、その年の化審法の改正において、第二種特定化学物質という規定を導入いたしました。これは、従来、原則、製造とか輸入を禁止するという当時の特定化学物質、今でいいますと、第二種ができましたので第一種という名前になりましたけれども、第一種特定化学物質だけであったのに対して、排出量の多寡、量によっては一定の管理のもとにその製造または輸入を認めるというものでございまして、その有害性と排出量の双方を勘案するという意味で、化審法におきますこの改正が、リスク評価の概念が導入されたものとしては嚆矢だろうと思います。

 このようなリスク管理の考え方をたどってまいりますと、比較的古い時代からこういう発想はあったんだと思いますけれども、最近、環境排出量の推計方法やあるいはデータの蓄積がかなり進んでまいりましたものですから、化審法の今回の見直しにつきましても、この全体の規制体系をハザード規制からリスク評価、リスク管理へということで大きく軸足を移させていただいた、こういうことでございます。

吉田(泉)委員 ハザードからリスクへと、大変重要な考え方の転換だと思いますが、私は、この考え方がまだ国民共通のものになっていないような気がしているわけでございます。いろいろな化学物質の論点がありますけれども、必ずしもそこは足並みがそろっていないというふうに思います。一体、その広報とか教育、いろいろなことが考えられますけれども、リスク管理という考え方の普及は進んでいると考えていいんでしょうか。

原政府参考人 化学物質のリスク等に関する正確な情報の普及、あるいは国民の化学物質に関する不安の解消、そのためには化学物質のリスクコミュニケーションというものが必要だということで取り組みを進めております。

 このリスクコミュニケーションの推進のためには、情報を整備すること、要するにわかりやすい、そういう媒体をつくって提供すること。例えば、私どもで「かんたん化学物質ガイド」、例えば今のリスクの問題でありますとか、あるいは身近な洗剤の問題でありますとか、そういうようなものについてこのような簡単なガイドをつくって提供しておりますし、あるいは市民や産業、行政間における情報の共有化、あるいは相互理解のための場の提供も行っております。また、さらには身近なところでの例えば勉強会、学習会がございましたときに、そのアドバイスができるアドバイザーの制度も設けております。このような形でリスクコミュニケーションを推進してまいっております。

 今後とも、できるだけ正しい知識を普及するため努力をしてまいりたいと思います。

吉田(泉)委員 ぜひとも努力を続けていただきたいと思います。

 さて、もう一つの立法事実の方ですが、国際目標達成の必要性ということであります。

 先ほどから出ていますように、二〇〇二年、環境サミットでヨハネスブルグ実施宣言というのが決められまして、二〇二〇年までにすべての化学物質による影響を最小化しよう、こういう宣言が決められたところでございます。

 しかしながら、いろいろ聞きますと、一体化学物質とは何ぞや、この化学物質の定義とか、さらには登録の仕方等、各国で、日本とアメリカとヨーロッパと、それぞればらつきがあるというのが実態であります。

 そこで、この実施宣言がなされたわけですけれども、ここでうたわれているすべての化学物質というその範囲をどのように考えているのか、お伺いします。

原政府参考人 ヨハネスブルグ宣言における化学物質、原文を見ますと、ただケミカルズとしか書いてございませんで、必ずしもその範囲をどうこうというふうには書いてはございません。

 それぞれの国で、化学的に言うと元素であるとかあるいはその化合物であるとか、そのような定義の仕方でいろいろとやっているところでありますけれども、ただ、目標にしているところのケミカルズというのは、それらも含めてできるだけ幅広く考えていく、そのようなものを対象にしてやっていくものだ、そのようなことを内意として含んでいるのではないかというふうに考えております。

吉田(泉)委員 できるだけ幅広くということでいいと思いますが、そうしますと、国によって実際やる内容というのが違ってくるというふうに考えてよろしいんですか。

原政府参考人 お答え申し上げます。

 実施目標については、これは抽象的な言葉ですが、先ほどから出ていますが、二〇二〇年までにすべての化学物質による影響を最小化する、このようなことが目標にされておりますので、これは世界共通の目標であります。

 ただ、そこに至るアプローチとしてやり方がいろいろあるわけでございまして、例えば欧州ではREACH規則というものでやっておりますし、米国では、環境保護庁が年間製造・輸入量約十トン以上の化学物質についての有害性情報の収集をするというようなことが計画されております。

 私どもとしては、今回の化審法の改正でその目標を達成しよう、さらに言えば、目標は共通であるけれども、アプローチの仕方が、少しずつやり方が違う、そのように理解をしております。

吉田(泉)委員 アメリカは十トン以上の物質をやろう、我が国は一トン以上の物質をやろうと。目標は同じだが、アプローチの仕方が違ってくる。いわばこれは条約ではありませんので、非常にざくっとした目標であるという理解でいいと思います。

 それから、二〇二〇年までの目標を達成する、大変大きな目標でありますけれども、国際的な分担とか協力ということが大変大事になってくるというふうに思います。

 最終的なリスク評価というのは、暴露量を考えなければいけませんので、生産量とかは国によって違いますので、リスク評価自体は各国それぞれやるしかないと思いますが、有害性情報については、これは物質固有の問題でありますから、どこの国で使っている物質でもみんな共通だということであります。

 有害性については分担してやろうという動きがOECDを中心に出てきているということでございますけれども、その際、有害性について、試験方法が統一されているのかどうか、それから、試験した結果、有害性がわかった、その結果をお互いに相互承認するような仕組みになっているのかどうか、それを確認します。

原政府参考人 お答え申し上げます。

 国際的に化学物質の有害性データを共有することを可能にするために、OECDにおいて、加盟国間で有害性試験データを相互に受け入れる仕組み、ミューチュアル・アクセプタブル・データ・システム、MADと言っておりますが、こういうものを構築しております。

 そのためには、まず試験方法が共通でないといけない。だから、どのような試験をするかというガイドライン、それに沿った試験方法をやること。それから、その試験を行う実験所といいますか試験所が正しく、信頼性が置けるかどうかという意味で、信頼性のある試験の実施のための基準、GLP基準と言っておりますが、これを定めております。

 これらによりまして、GLP基準に合った試験所で、定められたテストガイドラインに沿って試験をした結果については各国で共有化する、お互いに受け入れる、こういうようなシステムができ上がっております。

吉田(泉)委員 結構だと思います。

 それから、ちょっと最初に戻りますけれども、すべての化学物質をリスク評価して必要なら規制しようということですが、実質的には、我が国がこれからやるべきリスク評価の物質の数、これは今のところどのぐらいだと見込んでおられるでしょうか。

原政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の改正法案におきましては、すべての化学物質について、一定数量以上の製造、輸入されたものについての数量等の届け出を義務づけております。

 この化学物質の絞り込みにつきまして、まず届け出対象につきましては一応一トン以上というものを想定しておりますが、その場合には約七千物質がその対象になるのではないかと考えております。

 また、これらの物質につきまして、その量や用途あるいは既存の有害性情報、それらを用いてまずスクリーニングとして絞り込みを行いますが、その結果、詳細な安全性評価が必要になると思われる物質が約一千物質程度になるのではないかというふうに見込んでおります。

吉田(泉)委員 実際、この詳細評価まで踏み込むのが大体一千あるということですが、これを二〇二〇年度までに評価するわけですが、年度別に大体どのぐらいの割り振りでやる予定になっておるか、特に初年度の評価というのはどのぐらいを見込んでおられるのか。

原政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇二〇年度までに達成していくためには、約十年程度しかございませんので、単純に、先ほどの約一千ぐらいであると、やはり年間百程度は進めていかなければならない。ただ、立ち上げ時期でなかなか進まないのか、あるいは既存情報等が豊富にあってかえって進むのか、その点は見込んでおりませんが、やはり年間大体百程度は見込んでいくというふうに考えております。

吉田(泉)委員 今までも既存の物質について有害情報を集めてきたという実績がございますが、大体、法施行後四十年近くたっていますが、千六百については情報を集めてきたということであります。一年間に平均すると大体四十種ということですので、今のお話ですと、今度は百のペースでリスク評価までやろうということですので、そういう意味では、速度を倍以上に上げていく必要があるんじゃなかろうかというふうに思ったところでございます。

 それから、これからの作業について、さらに何点かお伺いいたしたいと思います。

 今の答弁にありましたように、一トン以上製造、輸入した業者について、製造量、輸入量の届け出をしてもらうわけでありますけれども、その際に、暴露情報というのは具体的にどういうものをもらう予定なんでしょうか。

細野政府参考人 お答えを申し上げます。

 今までの御説明にありましたように、一トン以上製造、輸入をする事業者からは届け出を受け付けます。

 暴露情報でございますけれども、事業者から届けられました製造量あるいは輸入量というものがございますが、これは実は、どういう使い方をするか、どういう用途でそれを消費するかということによって、環境に出ていく程度というのは差がございます。

 これは我々の方で排出係数と言っておりますけれども、物の扱いによっては随分違うんじゃないかなというふうに思っております。

 例えばでございますけれども、塗料の揮発性の溶剤は、ぺたぺたと塗った後、揮発をしますので、こういうものは基本的に使用とともにどんどん環境中に排出をされてしまう、これが一番わかりやすい例でございますが、こういったものについては、今申し上げました排出係数は一とする。

 それを一として考えた場合に、例えば、逆に樹脂の原料にしてしまう、あるいは非常に管理された閉鎖的な生産工程できっちり管理をして使う、気圧なんかも工夫をして外へ出ないようにするというようなこともありますが、そういうふうに使用されるものについてはほとんど環境には出ていかない。同じ生産量あるいは輸入量であっても、そういう使い方、用途によって違うということであります。例えば、今のような場合ですと、百分の一ぐらいの係数でいいんじゃないかということでございます。

 こういった使い方についてきめ細かく排出の係数を考えまして、それを製造量、輸入量に掛け合わせて、全体の数量、日本全体で足し合わせて、いわゆる暴露量、暴露情報ということ、排出量を計算していく、こういうことだろうと思います。

吉田(泉)委員 用途別に排出係数というのをつくっておいて、それで最終的な暴露量を推定するということだと思います。

 その用途情報等も含めて、届け出を受けて約七千ぐらいの数を約千ぐらいに絞り込もうということになりますが、改めてその絞り込みの基準をお伺いしておきます。

細野政府参考人 お答えを申し上げます。

 今の御質問でございますけれども、基本的に、まず、排出量と有害性を両方勘案してリスク評価をしていくわけでございます。

 したがいまして、例えば人とかあるいは動植物に対して一定程度の有害性が認められるもの、あるいは有害性が情報がなくてわからないもの、こういうものは、ある程度量があれば基本的にはスクリーニングによって優先評価化学物質の方に指定をしていくこととしております。逆に、有害性は比較的低い、大したことはないんだけれども、環境への排出量が非常に大きい、これはさっき言いました、有害性と量は掛け算でございますので、有害性は低いけれども環境への排出量が大きいというようなものについても、同じように優先化学物質に指定をしていくということでございます。

 今申し上げましたように、排出については、先ほど申し上げましたような排出係数等を勘案してやっているわけでございまして、こういった作業を受け付け後やり、また既存の、いわゆる二監とか三監と言っておりますけれども、監視物質についてはなるべく早くそれをこなしながら、優先化学物質についてできるだけ早く絞り込みをしていきたいと思っております。

吉田(泉)委員 不明なところがあるものとか、二監、三監のものについて優先的にこの詳細評価をしていくんだということだと思います。

 この優先評価化学物質に選ばれると、業者に対して有害性情報の提出をさらに求めるということになるケースが多いと思うんですが、一体どういうデータをさらに求めるものなのか、さらには、同じ物質を複数の業者がつくった場合に、代表的な業者からいただくのか、すべての業者からいただくのか、その辺はどうでしょうか。

細野政府参考人 お答えを申し上げます。

 絞り込みを今申し上げたようなプロセスを経てやっていくわけでございますけれども、その先につきましては、いわゆる分解性、分解しやすいかどうか、それから蓄積がしやすいかどうか、高蓄積かどうか、それから簡易毒性についてのこういった情報を求めていくことになろうかと思います。

 その上で、毒性試験の結果あるいは各種の文献等々から、これは化審法の肝でございますけれども、やはり長期毒性があるんじゃないか、そう疑われるような場合においては、改めて残留量なんかも勘案をしながら長期毒性試験ということを行う、こういうステージになろうかと思います。

 御指摘のように、化学物質は必ずしも一業者一品目ということはあり得ませんので、いろいろな事業者の方々が同一の化学物質を使っておられる。したがって、それにかかわる量でありますとか情報を、程度の差はありますけれども、共通に持っておられるということがあろうかと思います。したがいまして、情報の提出あるいは試験を実施するに当たって、複数の関係者の間でしかるべき費用分担を考えなくちゃいけないんじゃないかというふうに思っております。

 その際、その関係者の範囲でございますけれども、実際には、それぞれがどれくらい輸入あるいは製造に携わっておられるか、事業者の数、それから、恐縮でございますけれども、比較的大きい企業なのか余裕のない小さい企業なのか、あるいは、いろいろ事業者間の公平性をある程度勘案しながら一定の配慮をしなくちゃいけないと思っております。

 御案内のように、REACHにおきましては、ちょっとたてつけが異なりますけれども、事業者に大変広範な情報提供を求めております。これについてはSIEFという制度がございまして、関係者間でみんな集まって、その費用分担をそれぞれ相談しろという制度があるわけでございます。

 発想は共通でございますが、調整の仕方がなかなか難しいところがあるようでございますけれども、我が国におきましても、長期毒性試験は大変費用がかかるものでございますので、関係者が複数いらっしゃるような場合については、今申し上げましたいろいろな観点を考慮いたしまして、一定の公平性を担保できるような工夫をさせていただきたいと思っております。

吉田(泉)委員 それから、先ほども質問に出ていたと思いますけれども、リスク評価の主体であります。ヨーロッパでは事業者がやる、日本では行政の関係三省の大臣がやる、一体この違いはどこから来るのかということであります。

 考え方によっては、物質の使われ方、非常に事情に詳しい事業者にリスク評価まではやってもらったらどうだ、そしてそれを国が受けて最終的に審査するような仕組みも考えられるというふうにも思うんですが、その辺も含めてどうでしょうか。

細野政府参考人 お答えを申し上げます。

 既にほかの委員からも同種の御質問をいただいておりますので、お答えが重複して恐縮でございますけれども、国がリスク評価をするのが望ましいか、あるいは事業者にお願いするのが望ましいかというのはなかなか一概に、それぞれ一長一短があろうかと思います。あるいは、両者の関係も、先ほど言いました費用負担の話などもございますので、なかなか難しい問題があろうかと思います。

 御指摘のように、物を扱っている事業者は、それなりに扱っているものについての専門的な知識はあろうかと思いますが、新化審法で目指しておりますのはリスク評価でございます。有害性にかかわる情報と、それから国全体としてどれくらいの量になるか、両方を勘案しなくちゃいけないわけでございまして、したがいまして、それぞれの業者がお持ちの情報はそれなりに尊重したいと思いますけれども、国全体のリスク評価をするに当たってのたてつけとして、事業者の方々から出されているものを中心にやることが必ずしも適当かどうかは議論があろうかと思います。

 いずれにしましても、我が国におきましては、化審法はこれまで三十五年以上の運用がございます。それから、繰り返しになりますから詳細は省きますけれども、これまでのこの事業に携わる、経済構造におけるいろいろな事業者の方々の実情などを勘案して、改正化審法においても、基本的には国がリスク評価をする、それに必要な情報については絞り込みという方式をとって効率的に集める、こういうことで整理をさせていただいております。

吉田(泉)委員 改めて、国が評価するのが一番ふさわしいんだという答弁でございました。

 そうしますと、その場合、評価の後に何か問題が発生した場合には当然責任の所在は国にあるということになると思いますが、どうでしょうか。

細野政府参考人 お答えを申し上げます。

 化学物質の評価は、主観的にどうこうというような要素よりは、専門家の知見を踏まえて、OECDの基準でありますとかいろいろな適合の客観的な指標を使い、あるいは基準を使い判断をしていくわけでございますが、今申し上げましたように、リスク評価については責任を持って国が万全を期してやっていくということでございます。

 問題が起きた場合というような話につきましてはなかなかお答え申し上げにくいのでございますけれども、むしろ、今申し上げましたこれまでの蓄積等々を踏まえた上で、問題が起きないような格好で運用をしていく、これに全力を傾ける、そういうことでございます。

吉田(泉)委員 もちろん問題が起きないようにやってもらいますが、問題が起きた場合、リスク評価が間違っていたというようなときは責任をとって当然だというふうに思います。

 いろいろ細かい点も含めて今質疑をさせていただきましたが、最後に、両大臣に総括的にお伺いしたいと思います。

 経産大臣、二〇二〇年までに、そして千物質の評価、毎年百個ぐらいやろうと。私は、日本の場合はできるような気がしておりますけれども、これは国際宣言ですので、さあ、よその国も一体どうなのかということも含めて、目標達成の見通し、そして決意をまずお伺いしたいと思います。

二階国務大臣 先ほど来お話しのとおり、平成十四年に開催されました継続可能な開発に関する世界首脳会議において、二〇二〇年までということで、リスク評価を終了するという合意がなされておるわけでありますから、この目標に向かって、我が国はもちろんのこと、世界各国においても取り組みが行われておりますことは当然のことであります。

 特に我が国においては、製造・輸入数量や有害性情報等を勘案しながら、千物質程度の優先評価化学物質を指定しておるわけであります。その後、優先評価化学物質について、先ほど来お答えを申し上げましたように、毎年百物質以上のリスク評価を実施することにより、目標は達成できるという我が国の方針を申し上げております。

 そこで、諸外国はどうかということでありますが、欧州では二〇〇七年に、すべての化学物質についての登録を求めるREACHが施行され、この法律により目標を達成しようとしております。

 アメリカにおきましても、トスカに加えて、事業者の自主的な協力のもとで有害性情報を収集し、目標を達成しようとしております。

 その他の先進国におきましても、目標達成に向け、それぞれ取り組んでいることを承知いたしております。

 先ほど来御答弁で申し上げましたが、アジアにおける日本の役割ということは当然あるわけでありますから、アジア諸国との間におきましてもよく連携をとって、世界の化学物質の審査制度等の規制法を改正するこの際に、我々日本として果たすべき役割をきちっと心得て対応してまいりたいと思っております。

吉田(泉)委員 最後に、環境大臣にも一言お伺いします。

 先ほど村井議員の方からも、複合的な影響とかナノマテリアルの問題とか、なかなか今の法律では対処できないような問題が提起されておりますが、もう少し包括的な法律を考えたらどうだという意見も非常に多いんですけれども、それについての御見解はどうでしょうか。

斉藤国務大臣 複合的な影響それからナノマテリアル等、まだ知見が得られていないものもあり、複合的影響という場合は、一つ一つの物質ではないけれども一緒になったらあるだとか、接種のルートによって、別々のルートで入ってきたときにまた複合的影響がある。また、ナノマテリアルについて、いわゆる物質については知見が得られているんだけれども、それが形としてナノの形をとったときにどうなるのか。こういう問題があるので、もう少し、より包括的な法体系をつくったらどうかという御意見があるのは承知をしております。

 現段階では、私ども、複合的な影響といいましょうかもの、それからナノ物質等のものについても、知見が得られれば、その知見をリスク評価に生かして今の法体系の中でリスク評価ができて管理できるもの、このように考えております。したがいまして、この科学的知見をしっかり今集めていくということが大切ではないか、このように思っております。

吉田(泉)委員 終わります。ありがとうございました。

水野委員長 次に、田島一成君。

田島(一)委員 民主党の田島一成でございます。

 民主党のバッターでは、きょうは私が最後でございます。皆さん大変お疲れの中、うつらうつらしたくなるところだと思いますけれども、どうぞひとつよろしくお願いを申し上げます。

 もう既に多くの委員の先生方が質問をなさいましたので、通告しておりましたものも随分重なっております。通告どおりといきたいところでありますけれども、そこは時間の省略を図っていきたいと思いますので、重なった部分は省略をさせていただきたいと思います。

 それ以上に、きょうこうして経済産業委員会と連合審査でこの化審法の審査に当たれること、私は大変光栄に思っております。

 今まで、私は環境委員会が非常に長かったものですから、やはり環境委員会の一委員としての視点でずっと化学物質対策を見てまいりました。その一方で、中小企業を含め、日本の国際力等々の視点という見方もきょう改めて勉強させていただく機会があった。

 これこそ、化審法に限らず、ありとあらゆる法律が省庁にまたがっているケースなんかも相当ございます。そういう意味では、ぜひ今後、私たち国会の中でも、このように委員会を飛び越えた審議が数多く開催されることを、私自身、きょうの経験を通して強く願ったところでもあります。どうか、政府の皆様におかれましても、今以上に縦割りに対する壁を取っ払っていただきたい、そのことを強く念じて、質問に入らせていただきたいと思います。

 冒頭、両大臣の方に化学物質政策の認識について通告をしておりましたけれども、もう既に御答弁をいただいておりますので、省略をさせていただきたいと思います。

 ただ、多くの皆さんが御心配をされている既存化学物質の評価、まだ千六百しか進んでおらず、これから百物質程度のペースでピッチを上げていくというような御答弁があったわけなんですけれども、例えば、今回この改正法案に盛り込まれている優先評価の化学物質の規定、公布から二年以内というような猶予が設けられており、二〇二〇年目標から逆算をしてもあと十年、しかも、そこからまた二年以上の残余期間、猶予期間を設けていこうとすると、さらに具体的な作業というものに着手するのがおくれていくんじゃないかということを私は心配しております。選定基準も、どうも絞り込みの部分も、まだまだ漠として見えてこないところがあります。

 御答弁にもありましたけれども、どうぞその辺の不安を払拭していただけるような丁寧な説明をこれからぜひしていただきたい、そのことだけ強くお願いをして、次の質問の方へ入らせていただきたいと思います。

 これまでの化審法の中では、少量新規化学物質の届け出については、一年間の製造・輸入量が一トン以下については簡便な届け出で済まされていたところであります。毎年同じ物質についても同様に、随分たくさんの届け出がされていて、これを受け皿として対応するのが非常に煩雑になってきているという声も聞いているところでもあります。

 しかしながら、これを簡素化するというと、一方では、見落としであるとか抜け穴といったものをやはり心配しなければならないということも、危険性として同時に考えられるのではないかというふうに思っております。そういった見落としや抜け穴等々をつくらない対策というものが今回の改正で何らか講じられているのかどうか。

 それともう一方、届け出される事業者等々に何らかの緩和策、簡素化に対する策として条件をつけるような、そんな仕組みというのは用意されているのかどうか、その点について御答弁をいただきたいと思います。

細野政府参考人 お答えを申し上げます。

 いわゆる少量新規という制度でございます。これまでの化審法におきましては、全国で一トン以下のものにつきましては、毎年毎年、一トン以下であるということの確認を受ける、これは複数あった場合は、複数全部足して一トン以下という確認でございますが、そういうことを受けることを前提に、御案内のような、通常の審査でない軽微な扱いをしております。

 全国で一トンという数字の妥当性については、いろいろ議論がこれまでもございましたけれども、人の健康あるいは動植物の生息等に影響が生じないということの一つの数量的なメルクマールとして、いろいろ専門家の間でも議論がございまして、基本的には、審議会等での議論も踏まえて、この一トンという数字は使わせていただいているものでございます。

 幸いにして、これまでのところ、この確認を受けて運用している少量新規という制度について、実はそのとおりになされていなくて重大な問題が起こったりというようなことは承知をしておりませんけれども、委員おっしゃるように、例外というのは常にあるわけでございます。

 仮に一トン以下のものであっても、その化学物質の構造、これは専門家に言わせると、化学式を見ただけで相当危なそうなものかどうかというのはある程度の推測がつくようでございますけれども、そういった知見でありますとかほかからの情報、いかなるソースであれ、一定の危険性があるというふうに判断された場合には通常の審査に戻るということで、少量新規の通常の審査をとらないという恩典を外すことになっております。

 仮に、これまで問題を起こしておりませんけれども、制度的には、こういった一トン以下でやるという前提で確認をして、その範囲において認めているわけでございますので、実は一トンを超えていたとか、あるいは想定されていたものとは違う有害性等の話があり、被害を生じかねないということになった場合には、この確認は取り消すことになっております。しかも、取り消さないまでも、実際そのとおりなされているかどうかについては、制度上、立入検査とかあるいは報告徴収という制度もございますので、必要に応じて、そういった方策も発動していきたいと思っております。

 そういう制度について、事業者の方に何らかのインセンティブといいますか助成、少し励ましになるようなことはないかということでございますけれども、これは、今申し上げましたように、全体としては、新化審法の中で、リスク評価をきっちりやっていくという国際約束に基づいていろいろチェックをしていくということとの兼ね合いでは、ある種の特典、少量であるがゆえの特典でございます。

 したがいまして、これは確認をする際に、いろいろ全体の中での少量の扱いについても、格別のメリットといいますか、そういうものについてはよく周知をさせていただき、もし心配があれば、そういったものについてはほかの代替品なんかも検討していただくというようなこともぜひお願いをするわけでございます。そういった範囲内で、この少量新規というものが、従来問題は起こしておりませんけれども、引き続き、有効な格好で使っていただける制度にさせていただきたいと思っております。

田島(一)委員 ありがとうございます。

 私も実は、この一トンという一つの基準が本当に妥当なのかどうか、余り専門的ではありませんから、正直不安があったわけであります。とにかく、できる限り届け出を簡便にしていきたい、それは、事業者の思いとしては多分共通しているところがあろうかというふうに思います。

 ただ、それがきっかけとなって、申し上げたようなリスクが拡散していくような事態になることだけは、何があってもやはり避けていただきたい。それだけに、先ほどお話があったような、立入検査であるとか報告を求める等々、また、有害情報がさらに新しく出てきた場合にはしっかりと代替品を検討させるというような前向きな取り組みを速やかに行っていただくようにぜひ心がけていただきたい、そのことをお願いしておきたいと思います。

 さて次に、暴露の状況についての質問に入りたいんですけれども、今回、人への健康被害だけではなく、生態毒性試験というのを審査項目に入れられたことは、私、高く評価をしているところであります。しかし、残念なことに、この毒性試験は、急性毒性に特化しているところがやはり問題だったのではないか、そんなふうに思っているわけであります。急性の反対、いわゆる慢性的な暴露についてどのような認識を持っていらっしゃるのかをお伺いしたいと思っております。

 そもそも、生態系における動植物が化学物質の影響を受けるというのは、時間をかけて、慢性的な暴露によるものであって、必ずしも急性的なケースばかりではありません。先ほどからもお話があったように、とりわけ化学物質の複合的な影響というものも相当考慮をしていかなければならないというふうに考えているんですが、残念なことに、この部分がやはり抜けておりますし、科学的知見が必ずしもそろっていないというような御答弁も先ほどありました。

 国際的な協調というのもさることながら、この慢性的な暴露であるとか複合暴露についての検査や項目を追加していくことがやはり必要なのではないかというふうに私は考えるわけであります。その点について、今回のこの改正で抜け落ちた点等々について、どういう背景があったのか、御説明をいただきたいと思います。

原政府参考人 お答え申し上げます。

 生態毒性試験につきましては、今現在、候補物質を絞り込む段階で、第三種監視化学物質、このようなものの指定をしておりますが、その判定に当たりましては、先生御指摘のように、藻類あるいはミジンコ、それから魚を使った急性毒性試験の結果を用いて行っております。

 ただ、慢性毒性と急性毒性は一定の関連もございますので、これらのデータやあるいは既知のいろいろな情報等も含めまして、さらに必要な場合は、動植物への慢性毒性試験を行いまして、第二種特定化学物質へ指定をしていく、このような体系を現在とっておるわけでございます。

 今回の改正案におきましても、段階的に絞り込みながら、より規制の厳しい物質を指定していくという段階においては、その慢性の試験についても当然ながら試験結果を求めていくということになっております。

 また、複合暴露でございますが、これは先ほどから何度か答弁をいたしておりますが、やはり影響のメカニズム自体がまだ十分わかっていない、あるいはどのような評価がいいのか、その評価の方法についても必ずしもまだ確定したものがございませんので、今後どうしていくかというものについては、極めて重要ではありますけれども、検討課題というふうに現段階では考えているところでございます。

 今後、各国の情報や国内での情報も含めまして、知見の十分な集積をしてまいりたいというふうに考えております。

田島(一)委員 急性毒性の試験と比べて慢性的な試験はやはり時間もかかったりすることでありますから、当然、そのデータ、知見をそろえていくには時間がかかる、このことは私も認識をしております。

 ただ、そういった点においては、やはり国際的なデータを参考にしていくかどうか、そういった取り組みで、できる限りリスクは最小限に抑えていくという視点に立っていただいた、この慢性的な暴露に対する対策というものが何よりも求められていくんだろうと思います。それこそ国内だけで取り組もうといったって、それはしょせん限界がある話でありますから、その点についてはぜひ大きな視野で、さまざまな知見の収集活動もあわせて進めていただきたいということをお願いしておきたいと思います。

 それと、毒性データの届け出についても、今回、出させるというふうに言いながらも、これは必ずしも義務化ではありませんよね。そう考えていくと、今後、この毒性データについては届け出はそこそこ義務化をしてもいいんじゃないかなというふうに私は思っているんですけれども、その点について、あえて義務化しなかったというお考えがあったのかどうか、お聞かせいただけないでしょうか。

細野政府参考人 お答えを申し上げます。

 リスク評価に当たって、量と有害性の両方の情報がないとリスク評価ができないということから考えますと、有害性情報をできるだけたくさん集めるということは非常に重要でございます。既に国が保有しているデータもございますけれども、すべてではございません。したがって、今回届け出制度というのをつくりますときに、それに際して、もし当該事業者が有害性情報をお持ちであった場合には出してくれということを義務づけるかどうかということは、これは一つの考え方として現にございましたし、審議会においてもいろいろ議論はございました。

 これにつきましては、まず、これまで、いいか悪いかは別の問題として、既存化学物質についてはほとんどしかるべきオブリゲーションがかかっていなかった中で、とにかく、国際的合意に基づいて、すべての品目を対象に、ただ一定のすそ切りを超えたものについては毎年届け出をしていただくということでございますので、これは、いかに安全、安心のためとはいえ、かなりの規制強化という側面を持っております。したがいまして、そういう観点をまず考えること。

 それからもう一つは、先ほど七千ぐらいその対象になるだろうと申し上げましたけれども、これまでのいろいろな運用の中で、千六百のチェックも含めて、大体国が三千六百ぐらいの情報を持っております。したがって、全体の中では、より少ない情報をいただくだけで済むんじゃないか。

 それから、法的には、この届け出事項をお願いするに当たって、もし届け出違反になりますと罰則を適用してしっかり担保していただく、こういうことでございますので、全体の規制強化の側面、それから既に活用可能な有害性情報の存在等々、今のリーガルなバランス等も考えまして、今回につきましては、いわゆる法律上の義務という格好にはさせていただかなかったわけでございます。

 もちろんこれは、そうだといって、出さなくてもいいというわけじゃ決してございませんので、届け出をしていただくに当たって、事実上、お持ちのデータを出していただくような慫慂はさせていただきたいと思います。

 一概に有害性情報といっても、どこまでの情報がそれに当たるのか、自分はこの何十年も営業していて、どこまでその情報を持っているかということについてもなかなか範囲を確定しがたいところもございますが、そういった制約も勘案しながら、できるだけ出していただけるような環境をつくってまいりたいと思っております。

田島(一)委員 国の負担等々も考えていけば、できる限り事業者に協力してもらうことがやはり望ましいんだろうと私は思ったところでもあります。実際、国がすべての情報、七千集められているならば問題ないんですけれども、できる限り事業者に対しても協力してもらわなければならない、けれども任意の提出だと。任意であったら、事業者にしても、余計な経費等々をかけていくわけにはいかないからと、やはりついついこの義務規定でない部分に甘えてしまうのではないかというふうに私は思っているところでもあります。

 さりとて、いかにこの情報、七千対象をきちっと評価していくのかというところがやはり肝要であろうかと思います。この点については、一たんここで議論は、いつまでやっても多分妥協されるとも思えませんのでやめますけれども、そういった視点で今後、これから先、単に規制強化だ、規制緩和だというような次元ではなくて、いかにリスクを軽くしていくか、危険な化学物質を市場から追い出していくかという点に立った取り組みをこれからぜひ検討していただきたい、そのことだけ申し上げておきたいと思います。

 続いて、リスク評価についてお尋ねをさせていただきます。

 もう既に何人もの議員の方々もお尋ねになっていらっしゃる部分がありますけれども、化学物質のスクリーニング評価に当たってでございますが、多くの国民の方、消費者も含め、どういった優先順位で行っていかれるのかが非常に関心の高いところではないかというふうに思います。

 とりわけ、化学物質の感受性が高い高齢者であるとか胎児、乳幼児、また化学物質過敏症の皆さんなどは、そのあたりの評価順位というものを非常に気にされていらっしゃるかというふうに思うんですけれども、環境省の方はどのような認識をお持ちでいらっしゃるのか。私自身は、この感受性の高い胎児や乳幼児、そして高齢者への影響というものをやはり優先して行うべきではないかというふうに思っておりますが、どのような優先順位を考えていらっしゃるのか、お聞かせください。

原政府参考人 お答え申し上げます。

 化学物質のスクリーニング評価に当たって、御指摘のように、感受性の高い胎児あるいは乳幼児等の影響を重く見る必要がある、これについては、そのリスクを適切に評価していく必要があると考えております。そのため、実際には、どの物質がどの程度、特にお子さんに影響があるのか等々については、調べていかないと、厳密に言うとわからない部分がございます。

 そういう意味において、私どもとしては、子供の健康に着目した、特に環境中の化学物質がその健康に与える影響についての数万人規模の疫学調査を実施することを計画しております。この予備調査を現在やっておりますけれども、それらも含めまして、これらの調査の結果については、できるだけこのような評価に対しましても反映させていきたいというふうに考えております。

田島(一)委員 ありがとうございます。

 ぜひ速やかに調査を進めていただくことを心からお願い申し上げたいと思います。

 次に、生態系への影響評価についてなんですけれども、この生態影響評価について、どのような手法を確立されようとしているのか、また、効率的なデータを収集していくことについてどのような認識をお持ちなのか。昨年、環境委員会の方で生物多様性基本法をつくった者の一人として、この生態系への影響評価を大変重く受けとめているものですから、ぜひこの際、お聞かせをいただきたいというふうに思います。

原政府参考人 現在、生態毒性の影響に係る評価方法については、先ほども少し御答弁させていただきましたが、藻類やミジンコや魚を使いました急性毒性試験、これで行うということで一応確立をされておりますし、さらに慢性毒性につきましても、同じような、ミジンコの繁殖試験でありますとか、それからユスリカの試験でありますとか、それらの慢性影響を判断するための方法というものを確定している段階であります。

 ただ、今後、このようないろいろな動物実験によらない迅速かつ効率的なデータ収集も課題となっておりますので、例えば化学物質の構造から毒性等を推定する手法でありますとか、あるいは、例えば魚の卵を使った、そのような細胞毒性というものの手法の開発あるいはそれらの評価、これらの調査、開発を進めていきたいと考えております。

田島(一)委員 とにかくいろいろな方法が多分これから先、開発されていくのではないかというふうに思っております。技術開発という点についてもぜひ力を入れていただきたい、お願いをしておきます。

 あと、今回の化学物質のリスク評価における透明性であるとか客観性を確保していくということについて、この法改正に当たってどのような御認識をお持ちなのか、ぜひお聞きしたいんです。評価結果はもちろんのことなんですけれども、そのデータであるとか手法、そして評価計画などを公開していくということがこれから求められていくのではないかというふうに思っておるんですが、経産省の方はその点についてどのようにお考えなのか。

 また、あわせて、評価、審査にはいろいろな主体の参加というものが必要だというふうに考えておりますけれども、その主体の参画等々について体制整備を行うつもりはあるのかどうか、その辺の意気込みをあわせてお聞かせいただきたいと思います。

後藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 国が化学物質のリスク評価をします際には、先ほど来も御答弁で申しておりますとおりに、暴露の量ですとかハザードの大きさなどを勘案いたしまして、総合的なリスクの評価をしてまいります。

 こういう評価をしてまいります際には、新しい化審法、これを成立させていただきますと、そのリスク評価の手法を公表してまいりまして、幅広い関係者に御活用いただけるようにしたいと考えております。

 また、その手法に基づきまして実施しますリスク評価の結果につきまして、どういうぐあいに公表するかというお尋ねでございます。

 この評価の結果につきましては、審議会の意見を聞くこととしてございまして、その審議会と申しますのは、客観性ですとか高度な専門性というようなことから、毒性でございますとかこうした分野の学識経験者で構成する審議会を設けまして、そこで科学的知見に基づく意見を聞くということを予定してございます。

 その結果につきましてでございますが、これは、個別企業の競争上の地位、一社しかつくっていないとか二社とか、そういうのは、どれだけの活動量でしているというのはそれが反映されたりということになりますので、こうしたところに影響を及ぼさない、そういうことも考えまして、可能な限り公表してまいりたいと思っております。

田島(一)委員 確かに、この化学物質に関しては、企業活動においては企業秘密と紙一重の部分でありますから、もちろんその情報の公開という点についても大変制約があることは想像できます。

 しかしながら、企業秘密というのが一種の隠れみのになってしまわないかという点もやはり我々は心配をいたします。この辺の線引きが、経産省にとってきちっと見破れるのかどうか、多くの皆さんが知りたいと思う情報が入らない理由として妥当というふうに思われるのかどうか、その点が、やはりこの先不安を何かかき立てているところがあります。

 そういった点を、企業秘密という一言ですべて隠す理由にすることのないような工夫がやはり私は必要だと思うんですけれども、何か特段お考えの部分がありますか。

細野政府参考人 お答えを申し上げます。

 いわゆる有害性情報というのは、それ自体は恐らく企業秘密にダイレクトにはならない可能性が強いと思っております。もちろん、いろいろな試験をしたり、いろいろな物質の組成を支えている諸条件、こういったものはかなりビジネスシークレットになると思いますが、有害性情報そのものは、比較的、国民の財産として活用したらいいというふうに思うところがあろうと思います。

 それから、累次の御説明で、国が試験をする場合もあるんだということを申し上げました。これは国がやるわけでございますので、これについては、その試験の結果をかなり幅広く共通財産にさせていただきたいと思っております。

 したがいまして、有害性情報そのものについて、できるだけいろいろな方に情報提供するべきだという御指摘はそのとおりだと思いますし、先ほどの国費をもってやるものも含めて、そこについては、できるだけ情報を共有という観点で最大限の工夫をしてまいりたいと思っております。

田島(一)委員 非常に悩ましい、ぎりぎりのラインでの公開か秘密かという部分だというふうに思います。後々、出さなかったことが大きな問題を及ぼすことのないように、そのあたりだけはぜひ心していただきたいとお願いをして、次の質問に移りたいと思います。

 サプライチェーンを通した管理及び表示についてお尋ねをしたいと思っております。

 今回、表示について義務づけられているのは第一種特定化学物質と第二種特定化学物質で、GHSに準拠すべきことというのが明記されていないんですね。私は、やはりすべての化学物質を対象に、GHSに準拠した表示を義務づけていくのが妥当なんじゃないかなというふうに実は思っているところでありますけれども、今までのお考えからして、大変厳しい状況の答弁しか多分返ってこないんだろうというふうに思います。

 ただ、適正な管理というものを促進していくためには、事業者の川上から川下まできちっと、GHSに基づいた表示であるとか、化学物質の安全情報、そしてリスク評価結果や管理の手法についての情報が共有し合える状況、また伝達し合える環境というものを整えなければならないというふうに思っているんですけれども、経産省の方ではどのような御認識をお持ちですか。

細野政府参考人 お答えを申し上げます。

 御指摘のGHSでございますけれども、これは、御指摘の趣旨に即すまでもなく、一定の危険有害性があるものについて情報を伝達するという仕組みとしては非常に有効なものだと思っております。

 現に、いわゆる化管法の方では、化学物質安全データシートの交付を義務づけているわけでございますけれども、このデータシートの様式を定めたJISについては、当然GHSに準拠すべきものということで、少しずつ全体の取り組みが始まっているものと思います。

 ただ、実際は、どういう場合にこのシステムを使うかということと、それから事業者がみずからGHSに基づいて判断をするということになった場合に、用いるデータとかデータの解釈というのはかなり幅が出てまいりますものですから、実は分類結果が変わってしまうということもあり得るわけでございます。したがいまして、そういう中で、一定の表示を義務づけするというところまでいけるかどうか。これが今、我々の方でもぎりぎりの議論になっているところでございます。

 したがいまして、できるだけいろいろな工夫をさせていただきたいと思っておりますけれども、事業者が自主的にGHS分類をやりやすくなるような、そういったある種の基盤整備というのが先にあった方がいいのかなというふうに思っております。先ほど申し上げましたGHS分類方法のJIS化でありますとか、あるいはGHS分類を含む有害性情報のデータベース、こういったところについてもできるだけ充実を図っていくという中で、使いやすさを増進させていくということをさせていただきたいと思います。

田島(一)委員 消費者への理解を促していくということを考えるならば、例えばこの化学物質に関する安全情報、それと製品の表示についても課題が随分たくさんあるように私は思っております。もちろん、表示に関しては、法律が違いますから、今回の議論にそぐわないところがあるんですけれども、ただ、PRTRで登録されている名称と一般で使われている名称が違う化学物質、同じ成分が、医薬品にも医薬部外品にも使われている、それから洗剤にも使われている、それからまた化粧品にも使われている。しかし、その使われているものによってまた名前が違っているというケースがやはり随分あるんですね。

 一つ御紹介いたしましょう。私もこれを読むのに何度練習しても舌をかんでしまうんですけれども、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、速記者の方ごめんなさい、また後で見せますが、これの名前が、それこそ化粧品でも毛染め剤においてはパレス硫酸ナトリウム、それから、洗濯用の洗剤に使われているときにはアルキルエーテル硫酸エステルナトリウムと名前が変わっていたりと、化学がどんなに得意な人でも、私は多分、これが全部一緒なのかどうなのかわからないと思うんですね。

 しかしながら、同じ成分でありながらも、商品名によっては名前が違っている、一般名とPRTRの登録名とも違っている、こういう事実をやはり整理していくという点では、先ほど申し上げた、いわゆる表示や管理についての姿勢を改めることの延長線上にこういう問題も多分出てくるのではないかというふうに私は思うわけであります。

 もちろん、これは製品表示の関係ですから、今はお答えいただく範疇を超えているかもしれませんけれども、実際に私たちの周りにある化学物質が、同じ物質でありながらも名前が違うのがこうやって社会にいっぱい出回っている。これが本当に安全なのか有害なのかもわからない状況に今さらされているんだということを考えると、今回、化管法、化審法の見直しの部分で、私は、派生した形での見直し、手直しというものを相当しなきゃならないんじゃないかなというふうに思うんですけれども、何かお考えがあったら、ぜひ聞かせてください。

細野政府参考人 お答えを申し上げます。

 御紹介ございましたように、大変難しい名前が多い上に、体系や規制体系によって言い方が変わるというのは、実は我々も認識をしております。

 通常、国際純正・応用化学連合、IUPACというのがございまして、大体これに基づく命名法というのを使われているものが多いと思います。現に、化審法あるいは化管法においても、このIUPAC命名法というのを採用しております。

 今委員が御指摘になりました化粧品につきましては、これは実は化粧品原料国際命名法というのが別にございまして、多分これが少しIUPACとは違うルールを定めているために、御紹介のようなことが起きているんだろうと思います。そういうようなことについては、実はほかの法令についても大なり小なりございます。

 したがいまして、これはそれぞれの法目的が違うものですから、一概に言いづらいところがありますが、我が化審法あるいは化管法におきましては、いわゆる一般名というのがある場合にはこれをなるべく併記する、あるいは慣用名があったような場合についてもこれを併記するということで、なるべく、言い方は違うけれども同じものを言っているんだということがわかるような工夫をさせていただいております。

 もちろん関係法令はたくさんございますので、一挙にとはいきませんけれども、できる範囲内でそういう工夫をさせていただきたいと思っております。

田島(一)委員 実際に、化管法と化審法でも、化学物質の定義というのが違って書かれていますよね。隣接法であってもやはり違うという部分がある。

 もちろん名称だけではない、いろいろな部分で、すき間であるとか問題点がやはりあるということは、ぜひ、今回、こうして法改正をされる際でありますから、本当にこれでいいのかどうかということも改めて考え直していただきたい、私は、そのことをお願いしておきたいと思います。

 時間がなくなってまいりました。あと二問だけ、ぜひお聞かせください。

 人材関係であります。

 事業者による自主的な化学物質管理を進めていくためには、やはり人材の育成であるとか研究機関の充実に努めなければならないと考えます。大学であるとか大学院においてのQSARであるとか計測、そしてリスク評価、また化学物質管理についての教育内容というものを今後見直していく必要があるのではないかというふうに思いますけれども、御認識はどうなのか、お聞かせください。簡潔にお願いします。

戸谷政府参考人 お答え申し上げます。

 本分野の重要性につきましては、文部科学省としても十分認識をいたしております。本分野につきましては、学際的な領域ということでございまして、大学の方もなかなか、いろいろ工夫をいたしておりますけれども、既に、大学院レベルの教育組織につきましても、横浜国立大学あるいは京都大学等でも設置をされておりますし、あるいは文部科学省みずからも、この分野の人材育成の促進を図るといったような観点から、科学技術振興調整費等の競争的資金も活用いたしまして、各種支援策も今講じております。

 今後とも、この分野につきまして、また各大学から教育研究の充実をしたいといったようなお話がございましたら、私どもとしても積極的に対応してまいりたいというふうに考えております。

後藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 経済産業省といたしましても、化学物質のリスク評価、管理に関します研究開発といたしまして、産業技術総合研究所ですとか製品評価技術基盤機構などとともに、化学物質のリスク評価及びリスク評価手法の開発ですとか、化学物質の最適管理を目指すリスクトレードオフ解析手法の開発などの事業を実施しております。

 こうした事業をやることを通じまして、新たな手法の開発という成果、それ自身とともに、リスク評価、管理のために必要な人材が育成されるということも期待してございます。

 こうした人材が適切に活用されまして活躍できますように、産業界ですとか研究機関におきますニーズをも踏まえまして、人材を育成してまいるということを関係者と協力して進めてまいりたいと思っております。

田島(一)委員 ありがとうございます。

 最後の質問に入りたいと思いますが、私は、きょう午前中、消費者特別委員会で質問しておりまして、今消費者政策の方にもかかわっているんですけれども、消費者庁がつくられる今回の目的というのは、やはりすき間事案をきちっと埋めていくという話でありました。

 ところが、今回、この化学物質に関しても随分すき間があるんですね。例えば、ハエや蚊なんかの殺虫剤は、これは厚生労働省の薬事法がきちっと埋めているんですけれども、不快害虫と言われているアリやナメクジの駆除剤、シロアリ駆除剤というのは一切、規制の法律がありません。こういうものもやはり問題があるんです。このシロアリの駆除剤なんかは、健康被害が相も変わらず絶えない状況にあります。

 こういった、いわゆる化学物質の法体系もいろいろな省庁にまたがっている、いろいろな法律で所管されているんですけれども、これを全部横ぐしで通すような基本法であるとか管理法みたいなものが一切ないから、例えば、今回は三省の共管でやりましたけれども、私は、やはりこの際、基本法なるものをつくって、化学物質とはかくあるべきだという定義も統一をさせていく。また、同じような見方で、化学物質についての法体系を整えていく必要があろうかというふうに思うんです。

 両大臣に最後にお伺いしたいと思いますけれども、今後、化学物質関連法を包括していくような基本法が必要だという御認識があるかどうか、お聞かせいただきたいと思います。

斉藤国務大臣 今、その横ぐしになるような基本法を制定すべきだという議論があることは承知をしております。

 私どもといたしましては、まずいろいろな情報、データを各省庁で共有していくこと、そのことが今最も大切なことではないかと思っておりまして、いわゆる国際化学物質管理戦略、SAICMに基づいて関係省庁連絡会議を設置して、そのようなすき間をなくしていくということが重要ではないかと努力しておりますが、今後、その基本法については御議論があるもの、このように認識しております。

二階国務大臣 ただいまの環境大臣からの御答弁とほぼ私どもは同じ見解でございますが、先ほども環境大臣から村井議員の御質問に対して御答弁の際に、これから三省の閣僚でもよく話し合っていこうということを御答弁で申し上げたわけでございます。これは単にきょうの御答弁だということだけではなくて、本当に三省で十分話し合って、今後の問題に共通の責任で対応していくと同時に、いろいろな問題点について、三省の連携をさらに強めてまいりたいと思っております。

 ただいま、この基本法の問題について御提言がありましたが、我々、このことも十分受けとめて、今後に対応してまいりたいと思っておりますが、要は、二〇二〇年までにすべての化学物質の安全性評価を行う国際目標を達成するという、この重大な任務に向かって、我々はまず真剣な取り組みを進めてまいりたいと思っております。

    〔水野委員長退席、東委員長着席〕

田島(一)委員 ありがとうございました。

 必ずしも、化学物質に関する法律を所管しているのは三省だけではありません。国土交通省もあれば農水省もある、また消防法の関係で総務省もかかわっています。こういった横断的な、横ぐしを通すという連携をとっていただくことをぜひ肝に銘じていただいて、頑張っていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

東委員長 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。

 私は最初に、法律そのものについて両大臣から幾つか確認をしておきたいと思いますので、最初、経産大臣にお伺いします。

 今度の法律の改正の目的といいますか、ねらいとするところは、新規化学物質の事前審査体制は従来どおりだが、新規については有害性、ハザード評価を中心に据えるということ、これがねらいの一つだと思いますが、まず、このことから確認をしておきます。

二階国務大臣 今回の改正は、二〇二〇年までに化学物質によるリスクを最小化するという国際的合意に基づき、本法案制定以前から存在しておりました化学物質を含むすべての化学物質についてのリスク評価を着実に実施するために行うものであります。

 我が国が締約国となっております残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約への対応のため、第一種特定化学物質の使用要件等を見直したいと考えております。

 御指摘の新規化学物質に関する審査につきましては、国民の皆様の安全、安心を引き続き確保することができますように、今回の改正の後にも、現行法に基づく支援策と同様に、有害性評価を行ってまいりたいと思っております。

吉井委員 今も触れられましたストックホルム条約の規制対象の追加物質については、条約で許容される例外的使用を、厳格な管理のもとでの使用を認めるため、第一種特定化学物質に係る規制の見直しを行う、こういうふうにしているわけですが、現行は、第一種特定化学物質は、製造、使用禁止ですね。

 今回、条約で追加される九品目の例外使用を認めるというものですが、そのときに、現在の第一種の十六種類は全面禁止、この十六種類は、これについては絶対に例外規定を適用しない、こういうことでいくんだろうと思うのですが、念のために確認しておきます。

二階国務大臣 改正案におきましては、第一種特定化学物質について、例外的な製造、使用等を認める規定を盛り込んでおることは御承知のとおりであります。

 この改正の背景となっておるのは、御承知のとおり、ストックホルム条約で新たに九物質が規制対象となることであります。そのうち、PFOSについては、世界各国で半導体の製造等、他の物質に代替することができません。このため、条約でその製造等が例外的に認められる見込みであります。

 我が国は、ストックホルム条約の対象物質を化審法の第一種特定化学物質に指定することなどにより、同条約を担保しております。仮に、現行法のもとでPFOSの指定をすると、我が国にとって不可欠の用途である半導体の製造等に使用することができなくなってしまいます。今回の改正では、PFOSについて、条約で認められる必須の用途に限り、厳格な管理のもとで、その製造等を認めることができるようにしたいと考えております。

 なお、新たにストックホルム条約において追加となる、先ほど申し上げました九物質のうちのPFOSについては、代替物質がないことから、条約上も認められた範囲において、我が国においても、半導体の製造等の不可欠な用途に限って製造等は認めたいと考えています。

 現在、第一種特定化学物質として指定されている物質は、全面的に製造、使用等が禁止されております。PFOS以外の化学物質については、従来の規制対象物質及び今回追加される物質とともに、PFOSのような例外措置を適用するということは想定しておりません。

吉井委員 十六種類については例外規定を適用しないという確認ですから、それで結構なんですが。

 現行の化審法では、第一種特定化学物質について許容される用途が極めて限定されているわけですね。実質的には製造・使用禁止ということですが、五月の国際会議での対象物質の追加に対応して、POPs条約等において、国際的に許容されている用途による例外規定を化審法に設けるということが今度の法改正ですが、その運用は、やはり厳格なリスク管理措置等は当然のことであり、早急な代替物質への転換を行うということが必要になりますが、具体的に代替不可能であって、かつPOPs条約等において国際的に許容されている用途であっても、環境中への放出などが厳格に管理されているといった一定の条件のもとで許容できるようにするべきだというふうに思うわけです。

 それで、エッセンシャルユースとして一たん許容された場合であっても、事業者による代替化とか、あるいは低減化に向けた取り組みを担保できるようにどう取り組むかということが、やはり一つの大きな課題になってくると思うんです。

 特に、今後追加規制されるPFOSは、原則は禁止ですが、今おっしゃったように、半導体触媒とか、それから粉末消火剤など、自動車、電機・電子業界、フィルムメーカーなど、幅広く現に使用されているという問題があり、当面例外的に認めるものですが、やはり政府としては、代替物質へのプログラムを明確に示して、それで転換を誘導していくということが大事だと思うんですが、どういうふうに進めるかを大臣に伺っておきます。

細野政府参考人 お答えを申し上げます。

 ストックホルム条約における対象物質は、御指摘のとおりのような性格でございます。これを国内法で担保するために、いわゆる一特、第一種特定化学物質というカテゴリーを使っておるわけでございまして、これにつきましては、今も御指摘がございましたように、原則、製造、輸入については許可制のもとで、禁止でございます。

 したがいまして、今回は、累次御説明のとおり、ストックホルム条約に対象が追加をされますので、当然のことながら、何の担保措置もしなければ、一特に入って禁止になるわけでございますが、これは我が国だけではなくて、各国もこのPFOS、パーフルオロオクタンスルホン酸というこの特殊な物質については、半導体あるいはメッキ剤、あるいは界面活性剤、それから泡消火剤、こういったところで非常に有用であり、かつ、残念ながら代替物が今のところないということでございます。したがいまして、代替物がない限りにおいて例外的に認める、こういうことでございます。

 したがいまして、これは、一たんその使用を認めるということにした場合にあっても、だれかがどこかでこの代替物を開発するなり何かした場合においては、これを当然使うことが慫慂されるわけでございますので、その当事者についても、技術開発その他を慫慂いたしますし、もし他の事業者によって、その代替物が開発されれば、当然そちらにシフトをする。自分ができなかったからという理由で引き続き使わせるということはない、こういう運用をさせていただきたいと思います。

吉井委員 あくまで当面例外的ということですから、これはずるずるずるずるいったらだめですから、やはり代替物質へのプログラムをきちんと明確に示す、これが一つ大事だと思うんです。

 それから、代替物質についても、新しい代替物質の開発とか、それを伴うこともありますから、アセスメントをきちっとやって進めるということが大事だということを申し上げておきたいと思うんです。

 次に、環境大臣に伺いますけれども、WSSDの二〇二〇年目標達成の政府の目標と見通しについて伺いたいと思うんです。

 WSSDの、予防的取り組み方法に留意しつつ、透明性のある科学的根拠に基づくリスク評価手順を用いて、化学物質が、人の健康と環境にもたらす著しい悪影響を最小化する方法で使用、生産されることを二〇二〇年までに達成することを目指すとしているこの目標は、そこへいくことはなかなか、やはりこれだけでは、この化審法改正だけで本当にそうなるのかなということがあるわけです。

 とりわけ、二〇〇六年四月七日に閣議決定をしている第三次環境計画、ここでは二〇二五年が目標になっていますね。これでは国際標準になかなか合わないわけですから、やはり閣議決定の見直しということをやっていかないと、そこの矛盾が合わないのじゃないかと思いますが、大臣のお考えを伺っておきます。

斉藤国務大臣 第三次基本計画そのものはたしか二〇二五年目標でございますが、この第三次環境基本計画の中を見ていただきますと、二〇二〇年までのリスク評価に係る記載がございまして、ちょっと読みますと、「持続可能な開発に関する世界首脳会議における目標を踏まえ、平成三十二年(二〇二〇年)までに有害化学物質によるリスクの最小化を図るべく、」云々と、二〇二〇年を目標にこのリスク評価はやるんだということを明確にこの基本計画の中に書いているところでございます。

 そして、今回の法改正、先ほどもほかの委員に答弁申し上げましたけれども、国際化学物質管理戦略、SAICMに沿っての関係省庁連絡会議、各関係省庁との綿密な情報共有と協力によって、この二〇二〇年目標を達成してまいります。

吉井委員 おっしゃる話もあるんですけれども、さらによく御存じのように、ちゃんと書いているわけですよね、「二〇二五年頃の社会において以下の事項が達成されることを目標として、各種の取組を進めていきます。」と。これが閣議決定ですから、やはり、その決定を超えて、新たな方向へ目指して進むんだということをきちんとやっていくことが必要だと思うんです。

 次に、大臣にあわせて伺っておきますが、先ほどもお話ありましたけれども、化学物質政策基本法を求めるネットワークの皆さん、それから化学物質問題市民研究会、WWFジャパン、有害化学物質削減ネットワークの皆さん方などからも声が随分寄せられております。既存化学物質を対象にしたことなどは評価できるけれども、二〇〇二年のWSSDで決めた二〇二〇年目標を達成するためには、今回の化審法改正だけでは不十分だという御意見ですね。そして、やはり化学物質政策基本法制定が不可欠だということを意見としても述べておられます。

 そこで、環境大臣に伺っておきたいんです。

 この化学物質については、研究開発段階から製造、流通、使用、廃棄、それからさらに、熱その他さまざまな条件が加わるもとでの新たな化学変化による影響とか、やはり、全段階であらゆる化学物質について安全に取り扱うためには、くし刺しにした化学物質政策基本法というものの制定を、実際に法律は、今度の化審法のほかにも、化管法もあれば、労働安全衛生法、有害家庭用品規制法とか、薬事法、農薬取締法とかさまざまなものが、さまざまに、それぞれにあるんですね。しかし、基準を合わせるということもそうなんですけれども、扱いとしては、化学物質については全体としてきちんとくし刺しにして扱うということをやらないと、やはりまずいんじゃないか。

 そういう点では、化学物質政策基本法の制定というものは、やはり緊急に真剣に考えていかなきゃいけないと思うんですが、これは環境大臣に伺っておきます。

斉藤国務大臣 さまざまな化学物質が、さまざまな目的で使われている。それぞれの用途に応じて、例えば医薬品であったり、例えば構造物であったり、違う省庁、違う法体系で扱われている。これは、ある意味で当然のことだろうと思います。

 それは非常にわかりにくい、先ほど吉井委員指摘のような観点から、これを横ぐしにするために基本法が必要なのではないかという議論があるということもよく承知をしているところでございます。しかしながら、それぞれの用途によって、目的によって、それぞれの省庁がそれぞれの法律を所管しているというのも、非常に、ある意味では合理的なことでございまして、要は、化学物質の毒性や性状を各省庁できちんと共有して対応していくということが何より大切であるということも事実でございます。

 この二つをどうつなげていくかということが今後議論のあるところだろうか、このように思っておりますけれども、我々としては、関係省庁による情報交換、安全性評価における連携協力を進めて、関係省庁一体となって、化学物質の適正管理を推進していくことが重要だと考えております。

吉井委員 私も、基本法によって個々のものすべてが、一つ一つに応じて対応しなきゃいけないものがありますから、いけるということじゃなくて、やはり、くし刺しにする基本法というものがあって、同時に、今薬事法の例も挙げられましたけれども、それぞれの省庁が抱えている、それに対応したものが当然必要になってくるわけです。ただ、化学物質としての特性からして、基本的に共通するもの、横ぐしを刺すように、きちんと対応しなきゃいけないものがありますから、これはやはり真剣に考えていく必要がある、こういうふうに思います。

 次に、既存化学物質について、化学物質審査制度を、ハザード評価からリスク評価を優先するスクリーニング評価に変えるわけですが、これは、有害な物質でも管理して使用すればリスクを低減できるとするものであります。この審査体制の見直しは、有害でないことがわかるまで製造を制限するという現行の化審法の考え方とは少しギャップがあるんじゃないか。スクリーニング評価というのは、科学的ハザード評価と科学的暴露評価のいずれも実施する保証がない簡易評価であって、科学的リスク評価とは少し言いがたいんじゃないか。

 化審法をハザードベースからリスクベースに変えて、有害な物質でも管理使用さえすれば安全に規制できるというこの考え方というのは、実は、振り返ってみますと、アスベストの例からしても、管理しながら使えばいいんだという発想というのは、やはり危険な面を持っているというふうに思うんです。

 例えばアスベストの例でいいますと、日本のアスベスト産業というのは百年の歴史を持っていますね。戦前は軍需産業として発展したわけですが、既に戦前の一九三七年に健康障害の発生というのを政府は調査でつかんでいました。これは大阪の泉南の方ですけれども。戦後も、一九七二年のWHOやILOなどで発がん性が指摘されたわけですが、世界で規制されていても、日本政府は、一九八八年に管理濃度という言葉で、作業環境評価基準という、この管理濃度という考え方を導入して、石綿使用禁止措置をとらなかったということが被害を大きくしてしまう、こういう問題があったと思うんです。ですから、管理して使用すれば大丈夫だという発想になってしまうと、これはやはり大変だと思うんです。

 私はこの点で環境大臣に伺っておきたいのは、日本のアスベスト産業の経験からして、この管理濃度という発想、その範囲内でだったらという発想で石綿使用禁止措置をとらなかったことが被害を拡大してしまったというこの事実は、やはり重く今受けとめるべきだと思うんですが、大臣のお考えを伺っておきます。

斉藤国務大臣 アスベストの問題については、我々、公害対策、また環境政策をこれから考えていく上で、まさに教訓にしなければならない重要な歴史的教訓だと思っております。

吉井委員 今度は経済産業省の政府参考人に伺っておきますが、管理濃度に抑えれば安全であるとして、結局、アスベストによる甚大な人的被害と莫大な損失を出し続けました。この教訓を生かすならば、難分解性、高蓄積性、長期毒性の性状をあわせ持つ有害性物質というのは、リスク管理ではなくハザード管理をしなくては、人の健康と環境は守れないのではないかというふうに思うんですが、これは参考人の方に伺っておきます。

細野政府参考人 お答えを申し上げます。

 高蓄積、それから難分解、それから長期毒性、これは化審法ができましたときのしょっぱなの、最初からの重要な要件でございました。これに当たるものにつきましては、現在も第一種特定化学物質ということで管理をしております。これは先ほど来の累次の御答弁でも申し上げましたように、原則、製造、輸入については、許可制のもとで、もう許可をしないという意味で禁止ということでございまして、このたてつけと中身につきましては、今後も引き続き維持をしたいと思っております。

 それから、その前におっしゃいました有害性の問題と量の問題でございますけれども、ここはちょっと誤解があるといけませんので改めて申し上げますけれども、有害性について、それがあるもの、有害性情報があるもの、それが疑われるもの、こういうものは量がゼロでない限りにおいては優先評価化学物質に指定をすることを考えております。

 他方、何度も申し上げますけれども、有害性があるかどうかわからない、情報はないというものについては、従来のノーインフォメーション・ノーレギュレーションではなくて、ノーインフォメーションは疑ってかかるという意味で、どちらかというとノーデータ・ノーマーケットという方にかなり近い対応をするわけでございます。したがいまして、そういうことからいいますと、確実に量がゼロでない限りにおいては、やはり情報のないことについては疑ってかかるという意味で、かなり安全サイドに寄った対応をするということでございました。

 したがいまして、何でもたくさんやればこしたことはないのでございますけれども、今度の制度においては、かなりそういったいろいろな懸念については配慮をする体系になっていると思います。

 それでは、その有害性と量がそこそこあるものについてはどうかということになるんだろうと思いますけれども、これはまさにリスク評価の真髄でございまして、どちらかが極端に少なくても、片一方が物すごく多ければ常にチェックをしていくという意味でございますので、必ずしも、一定の有害性であれば、何となくごまかしながら使ってもいいというよりは、むしろ量が少なくても有害性の高いものについては捕捉をするというようなサイドで制度設計をしているつもりでございます。

吉井委員 次に、対象物質について伺っておきたいんですが、良分解性の化学物質でも、人の健康や動植物に影響が生じる可能性というものがあるものですね。特に、重篤な毒性を有する化学物質とか、それから内分泌攪乱物質など、こういったものも対象として考えていくべきではないかと思いますが、参考人の方に伺っておきます。

細野政府参考人 お答えを申し上げます。

 先ほど来の内分泌攪乱物質等の扱いについては、これはしかるべき科学的知見が一定のところに成熟するとすれば、化審法における対応というのは当然その段階で考えていくべきであると思っております。

 それから、前者の方の御質問でございますけれども、良分解性については、これは先ほど申し上げました四十八年の立法の際には、分解しないもの、難分解、高蓄積、長期毒性、こういうことをやったわけでございますけれども、今回は、先ほど御説明を申し上げました経緯を踏まえて、リスク評価というアプローチをとることになりました。

 そうしますと、量と、それから有毒性との関連で、牽連の中で判断をしていくということであれば、必ずしも良分解性のものだけを入り口で排除をするという必要はないんじゃないか。既にこれまでの改正法において、蓄積性の少ないもの、これはもう既にこの化審法の中に入れております。したがいまして、この際、リスク評価のスキームの中で判断をしていくとすれば、良分解性についてもこれは入り口で排除しないで、同じような評価の対象にしていくということで、今回の改正のスキームをつくらせていただいております。

吉井委員 リスク評価が必要な化学物質について考えてみますと、これは約七千種類あるわけですが、これは産業界の負担とか国のコスト負担から考えて、スクリーニング型に絞るという発想が一つあるわけです。しかし、同時に、すべての物質について網羅型にすることによって、リスク評価というものを確立していくということも考え方としてあるわけです。これは本来は、やはりすべての物質について網羅型にして二〇二〇年までに科学的なリスク評価を行う、このことを基本にしていくべきものではないかと思うんですが、参考人の方にこの点の考え方を伺っておきます。

細野政府参考人 お答えを申し上げます。

 環境サミットの合意で提唱されましたのは、できるだけ最大限のことを各国がやって、人の健康あるいは環境に対する悪影響を最小限にするということでございます。

 したがって、チェックの仕方については、数え方によりますけれども、化学物質は二万とか三万とか、あるいはREACHの表に登録させてみたら十五万もあったということもあります。これは、多分ダブったり名称が重なったりすることで、恐らく数万のオーダーで今化学物質はつくられておりますが、これをすべてやればやっただけのことはあると思います。

 しかし、二〇二〇年までに各国がこれを全部やるということについては、これはもういい悪いの問題ではなくて、やはり効率的なやり方ということは当然考えなくちゃいけないわけでございます。すそ切りの発想もそうでございますし、それから、我が国においては、これまでの知見を最大限に活用し、そして先ほどの、リスク評価の真髄である量と有害性の掛け合わせの中で考えていくときには、いわゆる最初から全部やるのではなくて、非常にその可能性の高いものから順次やっていくという方式は非常に効率的であり、かつ合理性を持ったやり方だと思っております。

 したがいまして、多々ますますという意味で全部やればいいというのではなくて、これは国がリスク評価をするわけでございますので、国民の税金を使っている以上、しかるべき効率的なやり方を追求するのは当然であろうと思いますし、また、これまでの経験にかんがみて非常に有効に機能すると考えております。

吉井委員 これは、アスベスト対策で今国は幾らお金を使っているかということを考えてみることは、こういうときに非常に大事な視点ではないかと思っているんです。今、大体、毎年百億円の健康被害対策費と、それから建物などのアスベスト除去費用を予算化して取り組んでいるわけですね。一度に環境に影響を与えてしまうようなものが出てくると、人命の方の、あるいは健康被害も深刻ですし、事後対策にも非常に、コスト負担も大きいわけです。

 そういう点では、EUのREACH並みに、すべての物質について二〇二〇年までに科学的なリスク評価をすることを基本とするということで、やはり網羅的にやったとしても、コスト比較をやれば、皆さんの方も既に検討しておられる報告も出ておりますが、四十億円と二百八十億円の差ということですが、これは日本の化学工業界の付加価値創出額の十七兆円の大体〇・一%ぐらいに、大体オーダー的に合うんですね。

 そうすると、そのときは金がかかっても、やはり将来を考えたときに、人的な被害あるいはその他の被害補償あるいは損失対策を考えたときに、やはり網羅型で、そして二〇二〇年までに科学的なリスク評価をきちんと組み立てるということが大事じゃないかと思うんですが、時間が参りましたので、最後にこの点だけ大臣に簡潔にお答えいただいて、終わりたいと思います。

二階国務大臣 二〇二〇年の目標に向かって政府を挙げて取り組んでいかなくてはならないと思いますが、今議員の御指摘のような点につきましても、その過程において十分検討してまいりたいと思っております。

吉井委員 終わります。

東委員長 以上で本連合審査会は終了いたしました。

 これにて散会いたします。

    午後五時散会

     ――――◇―――――

  〔参照〕

 化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律の一部を改正する法律案は経済産業委員会議録第六号に掲載


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