衆議院

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第3号 平成14年11月11日(月曜日)

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平成十四年十一月十一日(月曜日)
    午前九時開議
 出席委員
   委員長 保利 耕輔君
   理事 伊吹 文明君 理事 熊代 昭彦君
   理事 虎島 和夫君 理事 山本 幸三君
   理事 伊藤 忠治君 理事 金子善次郎君
   理事 山名 靖英君 理事 東  祥三君
      伊藤信太郎君    石田 真敏君
      岩倉 博文君    金子 恭之君
      小西  理君    河野 太郎君
      阪上 善秀君    谷本 龍哉君
      西川 京子君    萩野 浩基君
      菱田 嘉明君    福井  照君
      増原 義剛君    松島みどり君
      松野 博一君    宮澤 洋一君
      吉田 幸弘君    井上 和雄君
      岩國 哲人君    上田 清司君
      生方 幸夫君    大谷 信盛君
      鎌田さゆり君    佐藤謙一郎君
      鮫島 宗明君    首藤 信彦君
      田中 慶秋君    筒井 信隆君
      永田 寿康君    松原  仁君
      山井 和則君    山元  勉君
      桝屋 敬悟君    丸谷 佳織君
      都築  譲君    春名 直章君
      矢島 恒夫君    金子 哲夫君
      菅野 哲雄君    日森 文尋君
      井上 喜一君
    …………………………………
   内閣総理大臣       小泉純一郎君
   総務大臣         片山虎之助君
   財務大臣         塩川正十郎君
   文部科学大臣       遠山 敦子君
   厚生労働大臣       坂口  力君
   農林水産大臣       大島 理森君
   経済産業大臣       平沼 赳夫君
   国土交通大臣       扇  千景君
   国務大臣
   (沖縄及び北方対策担当大
   臣)           細田 博之君
   国務大臣
   (経済財政政策担当大臣) 竹中 平蔵君
   国務大臣         石原 伸晃君
   内閣府副大臣       根本  匠君
   外務副大臣        茂木 敏充君
   外務副大臣        矢野 哲朗君
   財務副大臣        谷口 隆義君
   文部科学副大臣      河村 建夫君
   文部科学副大臣      渡海紀三朗君
   厚生労働副大臣      鴨下 一郎君
   厚生労働副大臣      木村 義雄君
   農林水産副大臣      北村 直人君
   政府特別補佐人
   (人事院総裁)      中島 忠能君
   政府参考人
   (特殊法人等改革推進本部
   事務局長
   兼内閣官房行政改革推進事
   務局長)         堀江 正弘君
   政府参考人
   (特殊法人等改革推進本部
   事務局次長)       熊谷  敏君
   政府参考人
   (内閣府国民生活局長)  永谷 安賢君
   政府参考人
   (厚生労働省医政局長)  篠崎 英夫君
   政府参考人
   (厚生労働省医薬局長)  小島比登志君
   政府参考人
   (国土交通省航空局長)  洞   駿君
   衆議院調査局特殊法人等改
   革に関する特別調査室長  遠山 政久君
    ―――――――――――――
委員の異動
十一月十一日
 辞任         補欠選任
  西川 京子君     松島みどり君
  吉田 幸弘君     阪上 善秀君
  岩國 哲人君     生方 幸夫君
  佐藤謙一郎君     鎌田さゆり君
  田中 慶秋君     上田 清司君
  山元  勉君     筒井 信隆君
  瀬古由起子君     矢島 恒夫君
  菅野 哲雄君     金子 哲夫君
同日
 辞任         補欠選任
  阪上 善秀君     吉田 幸弘君
  松島みどり君     西川 京子君
  上田 清司君     田中 慶秋君
  生方 幸夫君     井上 和雄君
  鎌田さゆり君     大谷 信盛君
  筒井 信隆君     山元  勉君
  矢島 恒夫君     瀬古由起子君
  金子 哲夫君     菅野 哲雄君
同日
 辞任         補欠選任
  井上 和雄君     松原  仁君
  大谷 信盛君     佐藤謙一郎君
同日
 辞任         補欠選任
  松原  仁君     岩國 哲人君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 独立行政法人国民生活センター法案(内閣提出第一一号)
 独立行政法人北方領土問題対策協会法案(内閣提出第一二号)
 平和祈念事業特別基金等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一三号)
 独立行政法人通信総合研究所法の一部を改正する法律案(内閣提出第一四号)
 地方公務員災害補償法の一部を改正する法律案(内閣提出第一五号)
 独立行政法人国際協力機構法案(内閣提出第一六号)
 独立行政法人国際交流基金法案(内閣提出第一七号)
 電子情報処理組織による税関手続の特例等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一八号)
 独立行政法人日本万国博覧会記念機構法案(内閣提出第一九号)
 放送大学学園法案(内閣提出第二〇号)
 日本私立学校振興・共済事業団法の一部を改正する法律案(内閣提出第二一号)
 独立行政法人日本スポーツ振興センター法案(内閣提出第二二号)
 独立行政法人日本芸術文化振興会法案(内閣提出第二三号)
 独立行政法人科学技術振興機構法案(内閣提出第二四号)
 独立行政法人日本学術振興会法案(内閣提出第二五号)
 独立行政法人理化学研究所法案(内閣提出第二六号)
 独立行政法人宇宙航空研究開発機構法案(内閣提出第二七号)
 独立行政法人労働者健康福祉機構法案(内閣提出第二八号)
 独立行政法人福祉医療機構法案(内閣提出第二九号)
 独立行政法人労働政策研究・研修機構法案(内閣提出第三〇号)
 独立行政法人国立重度知的障害者総合施設のぞみの園法案(内閣提出第三一号)
 中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案(内閣提出第三二号)
 独立行政法人雇用・能力開発機構法案(内閣提出第三三号)
 独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構法案(内閣提出第三四号)
 独立行政法人医薬品医療機器総合機構法案(内閣提出第三五号)
 社会保険診療報酬支払基金法の一部を改正する法律案(内閣提出第三六号)
 独立行政法人農畜産業振興機構法案(内閣提出第三七号)
 独立行政法人農業者年金基金法案(内閣提出第三八号)
 独立行政法人農林漁業信用基金法案(内閣提出第三九号)
 独立行政法人農業技術研究機構法の一部を改正する法律案(内閣提出第四〇号)
 独立行政法人緑資源機構法案(内閣提出第四一号)
 独立行政法人水産総合研究センター法の一部を改正する法律案(内閣提出第四二号)
 独立行政法人日本貿易振興機構法案(内閣提出第四三号)
 情報処理の促進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第四四号)
 独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構法案(内閣提出第四五号)
 中小企業総合事業団法及び機械類信用保険法の廃止等に関する法律案(内閣提出第四六号)
 独立行政法人中小企業基盤整備機構法案(内閣提出第四七号)
 独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構法案(内閣提出第四八号)
 独立行政法人国際観光振興機構法案(内閣提出第四九号)
 独立行政法人水資源機構法案(内閣提出第五〇号)
 日本下水道事業団法の一部を改正する法律案(内閣提出第五一号)
 日本勤労者住宅協会法の一部を改正する法律案(内閣提出第五二号)
 東京地下鉄株式会社法案(内閣提出第五三号)
 独立行政法人自動車事故対策機構法案(内閣提出第五四号)
 公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第五五号)
 海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第五六号)


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     ――――◇―――――
保利委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、独立行政法人国民生活センター法案等特殊法人等改革関連四十六法律案の各案を一括して議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 各案審査のため、本日、政府参考人として特殊法人等改革推進本部事務局長兼内閣官房行政改革推進事務局長堀江正弘君、特殊法人等改革推進本部事務局次長熊谷敏君、内閣府国民生活局長永谷安賢君、厚生労働省医政局長篠崎英夫君、厚生労働省医薬局長小島比登志君及び国土交通省航空局長洞駿君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
保利委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
保利委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。伊吹文明君。
伊吹委員 おはようございます。
 それでは、四十六本という法律が付託されておる審議を始めるに当たりまして、私の質問時間は二十分でありますから、細かなことは一切伺いません。総理の今日に対する歴史認識、時代認識と総理の見識を伺いたいと思います。
 四十六本の法律は、特殊法人あるいは社団法人を独立行政法人化するものであります。つまり、国の指導とか補助とか役員の任命とか、そして、うまくいかない、最終的には国の援助、これは国は一銭のお金もありませんから、善意の国民の税金ということですが、それで援助してもらうという形態から、自分たちの判断で、自分たちの責任で仕事を行う、そのかわり人事もできるだけ自由、うまくいけばうまくいった範囲内で給料も上がるという経営形態に改めるという法案であります。自分たちの判断で、政府の命令や指揮ではなくてやっていくという一つの義務を負うかわりに、うまくいけばその結果については自分たちで自由にできるという権利を与えるという法律ですから、私はいわゆる小泉改革の一環だろうと思います。
 しかし、商法に言うところの株式会社にするわけではなくて、独立行政法人という法人体系をとっているわけですから、利益を求める株式会社とはおのずから違う、政府本来の役割があると思うんですね。ですから、できるだけ公から民へ、国から地方へという流れの中での小泉改革の一環ではあるけれども、しかし、利益を求めるのではなくて、国家本来の大切な役割を果たす法人であるという位置づけだと思います。
 これは小泉改革の大きな柱の中の一つだと思いますが、私は、実はこれで十九年政治家をやらせていただいていますが、最初に政治を志した二十年前に、ダイヤモンドという出版社から「シナリオ日本再生」という本を出しました。その中で、小泉さんが構造改革という言葉で言っておられることと全く同じことを実は私は二十年前から言っております。
 問題は、国民意識と社会システムの改革を行うという総理の今日的時代認識ですね。私は、戦前の国家総動員体制と、それから総司令部に来たアメリカのニューディーラー、つまり国がいろいろな分野に関与しながら国家や経済を引っ張っていくという戦後の日本の、言うならば社会主義的資本主義というのか国家資本主義というのか、こういうものは、日本人の本来の美徳である勤勉とかあるいは会社に対する忠誠心とか、こういうものと、戦争で需要が非常に抑えられていたという雰囲気の中で、結果的に非常にうまくいったと思います。その果実を使って社会保障を充実し、生活水準を引き上げ、そして世界に冠たる長寿国家をつくり上げたわけですが、ローマの昔から、うまくいくと必ず国民というのはそれになれちゃうんですね。ですから、繁栄した国はありますが、繁栄し続けた国というのは残念ながらないんですよ。
 だから、いま少し市場経済、自由社会、競争原理の方へ国民意識と社会システムを変えながら自助努力と自己責任社会をつくり上げていこう、そういう時代認識を持っておられると思うんですが、そういう理解で構造改革を進めておられるということは間違いないでしょうか。
小泉内閣総理大臣 伊吹議員は、この特殊法人改革の必要性が叫ばれて以来、一貫して、党にあってその推進の責任役として大きな役割を果たしてこられたわけでありますが、基本認識として私はほとんど同じではないかと思っています。
 いみじくも今言われたように、繁栄した国はあっても繁栄し続けた国はない、まさに歴史の必然ですね。そういうことから見ると、この特殊法人あるいは日本の戦後の社会主義的資本主義といいますか、自由市場体制をとりながらもむしろ国家社会主義的な色彩が強かったんじゃないかという御指摘は、私は大変当たっているんではないかと思っております。
 そういうことから、今回、戦後、いわば官主導といいますか、役所主導でむしろ民間を引っ張ってきた、これが、戦後、限られた資源を集中的に必要な分野に官民一体となって導入してきた日本の大きな成功例の一因だと思いますが、ここに来て、この手法が果たしていいかどうかというのが問われているんじゃないかと思います。
 今回の特殊法人改革にいたしましても、役所では本来の効率性あるいは民間の意欲というものが生かされるんだろうか、むしろ役所にある公共性と民間にある効率性を加味した法人も必要ではないか、民間だけじゃできない、そういうことから特殊法人が出てきたわけでありますが、必ずしもそれが目的、趣旨どおりに運営されていない、ここでもう一度見直してみようと。それで、民間でできることは民間、廃止できるものは廃止、そして、必ずしも廃止も民営化も今の時点では無理だなというものは独立行政法人という形で、より特殊法人よりも独立性を持たそうということで今回の改革ができたわけであります。
 そういう点からいきますと、御指摘の趣旨に沿うような改革が今後なされなければならない。独立行政法人も、今までの特殊法人に編成されたときの趣旨が本当に生かされているのかどうかというものをよく点検して改革していかなきゃならないという趣旨で今回の法案提出、御審議をいただいている、基本認識としては私は全く同じ方向であると認識しております。
伊吹委員 そのとおりだと思いますね。
 国民の皆さんも、現状の社会主義的資本主義というのか、真の弱者というのはやはり額に汗して納税をしている人ですからね、徒党を組んで弱者を称する人ではないと私は思いますから、改革をしてほしいということは間違いないと思います。
 問題は、総理、何を変え、何を残すかということなんですよ。ここでまさに国家の目的は何だということが問われるわけですね。そして、総理の見識が問われる、ここがまさに一番のポイントなんです。そして、効率化と競争ということと国家の目的が必ずしも一致しないということはたくさんあるわけなんですね。これをどういう形で調整していくかということに政府の大きな役割がある。
 私は、二つのやり方があると思うんですね。
 一つは、日本が従来とってきたように、あるいはリベラリズムという政治思想で表現されるように、ある程度国家が介入をしながら個人の権利あるいは国家目的を守っていくという方法。しかし、残念ながら、これは、民主主義という仕組みとこいつを一緒にくっつけますと、おれたちは弱いんだ、おれたちは国家目的を果たしているんだから、これやってくれ、あれやってくれ、そうすれば票を入れるからということになるんですよ。最終的にあれもこれもやらないといけないから、結局、社会主義に祖先帰りしちゃう。
 だから、基本的には、やはり私は、保守主義というのか、よき人間、そして我々が基本的に守ってきた徳目による人間の自己抑制、そのようなものによって、競争社会が弱肉強食、利益優先、成金的、拝金的システムに落ちないようにするということが一番大切だと思います。そういう認識で、何を守り、何を変えていくかということは、しっかりと見きわめていただきたい。
 今の全体の小泉改革の流れを見ていますと、大衆というのはやはりそういうものなんだけれども、とうとうとした流れの中で、あらゆるものを民営化しなければならない、あらゆるものを効率化しなければ何か時代おくれになっているというような風潮がなきにしもあらずだ。この点はお互いに心してやっていかねばならないと私は思います。
 そこで、総理、国家の秩序、私たちが住んでいるこの社会の秩序というものは、どういうもので守られていると思いますか。法律あるいは警察官、脱税をすれば査察が入る、そういうことで守られている部分と、やはり、祖先が営々として築き上げてきた日本の伝統文化あるいはまたよき慣習、こういうものの中での自己抑制、こういうもので守られている部分は非常に多いと思うんですね。
 今、問題は、この後者の力が非常に落ちているということだと思います。小泉改革をなさる上にこの後の方の配慮がありませんと、これは弱肉強食の嫌な社会になります。アメリカと日本とはやはり違うんですね。アメリカはまだ伝統的慣習が成熟するほどの長い歴史を持った国家じゃないんですよ。そのあたりどうですか。
小泉内閣総理大臣 これは、自由主義、放任主義、それと国家の役割、古くて新しい問題であります。
 例えば、国富論のアダム・スミスの言葉じゃありませんが、見えざる手によって導かれる、これが一番いいんだ、個人の欲望なり個人の嗜好なり、これが、広げていくと必然的に全体で見れば社会のプラスになっていると。しかし、そうなると、まさに弱肉強食、強い者だけが勝って、弱い者は見捨てられていく。それではいけないということで、むしろ、マルクス・レーニンじゃありませんけれども、共産主義、国家が大幅に計画し指導していくんだという両極端。しかし、どっちにも長所と短所がある。
 いわゆる両方のよさを組み合わせていこうというのが、混合社会主義といいますか混合経済の考え方で、これが、よく北欧スタイルの人間の顔を持った社会主義と言われるように、弱者に対して優しい国家の手を差し伸べようということでありまして、私は、どちらも、過ぎたるは及ばざるがごとしという言葉があるように、やはり、どこで国家がその役割を果たすか、どこに個人の創意工夫、自主性を生かすべきか、この中庸、これをうまくかみ合わせていくことが政治として必要ではないかなと思っています。
 しかし、基本的に、どの時代においてもどの国においても最も必要なことは、みずからを助ける精神とみずからを律する精神、これを強く国民が意識したその国というのが一番発展するのではないか。みずからではどうしても助けられない人に対して、国家が、社会がどういう手を差し伸べていくか。みずからを助ける精神、みずからを律する精神、自分でやろう、自分で努力しようという国民が多ければ多いほど、みずからの力ではどうしても助けられない、立ち上がれない人を助ける人がふえるわけですから、これまた国家にとってプラスなんです。
 基本的に法の支配は大事でありますけれども、国民が自分でやる気を持って、みずからの努力で立ち上がろう、そして、いろいろな欲望があるけれども、それはやはりみずからを律していこう、こういうみずからを助ける精神とみずからを律する精神こそ最も必要だということは、古今東西、どの時代を超えても変わらない大事な基本精神だと私は思っております。
伊吹委員 これが政府であろうと独立行政法人であろうと、あらゆる仕事は効率的でなければならない、これは当たり前のことなんですよ。国民の税金を使っていますから、最小限の税金で最大限の行政効果を上げてもらう。しかし、行政効果と利益は違うんですね。ここのところは間違っちゃいけないと思うんですよ。
 だから、商法上の法人の最終的な効率化は、利益を目的とする効率化です。政府や独立行政法人の効率化の目標は、利益ではない、何か国家にとって大切な役割なんですね。この抽象的な計量化できない国家目的というのが何かということ、これは人によって違うんですよ、みんなイズムが違いますから。これを歴史認識と深い見識を持って示すのが、一国の総理であり政治家の役割なんですね。
 そこで、総理も学ばれた慶応の先輩である、先輩というか教授であった文化勲章受章者の永井荷風は、「断腸亭日乗」という日記を書いています。この中で、非常におもしろいことを書いていますね。政府新しきことをたくらむことあれど、何事も利害相半ばするものなりと。効果もあれば副作用もあるということを言っているわけですよ。効果だけねらっても、必ず副作用は出てきますからね。
 今、大島農水大臣が来ておられるが、環境庁長官もやられました。この法律の中で緑資源機構法案というのがありますね。今、植林をしたりするということは、この自由化のもとじゃ、全く市場経済では成り立たないですよ。しかし、森があるということで災害が防がれ、そして京都議定書の計算ができるんですね。だから、効率化というのは何なんだということになると、よくこの辺考えないと、利益は出ないけれども国家のために大切だということはいっぱいあります。
 これからいずれ、大学の行政法人化が出てくるでしょうね。そうすると、工学系統、医学系統、あるいは社会のビジネスの要請があるロースクールだとかビジネススクールというのは花盛りになりますよ、効率化だから。しかし、人間の機微もわからない人に裁判官をやられちゃ困るんで、弱い人の弱みがわからない人に経営者をやられちゃ困るわけですね。ですから、こういうものはやはり全然市場経済には乗らないけれども、お経を読んでいるとか哲学書を読んでいるとか、あるいは永井荷風でいえば「墨東綺譚」のように江東のちまたをさまようとか、こういうことがみんな深い基盤になって出てくるんですよ。
 だから、今の総理の改革というのは、私は基本認識を同じくして、ぜひ成功してもらいたいと思いますが、やや利益とか効率とかということにウエートがかかり過ぎているように思う。やはり、もう少し深みのある日本社会、品性のある社会というものをつくる、そういう自民党総裁であってもらいたいし、そういう日本国のリーダーであってもらいたいと思います。
 時間がありません。最後に御感想を伺って、質問を終わります。
小泉内閣総理大臣 よく学び、よく遊べという言葉があります。これは、子供だけじゃない、大人も大事なんです。遊びほど勉強になるものはないです。親が遊びはむだと思って子供に勉強させる、勉強ばかり詰め込みをやる、そうじゃない。後になって、大人になってみればわかりますよ。勉強より遊びがいかに人間性の涵養に役立っているか。遊びの効用というものを、むだの効用というものをよく考えることが人間で大事じゃないかと思っております。
伊吹委員 ぜひ、そういう意味で、道路公団その他の改革もやってください。
保利委員長 次に、山名靖英君。
山名委員 公明党の山名靖英でございます。
 四十六法について、きょうは、個別法というよりも総括的な質問を総理並びに関係大臣にさせていただきたいと思います。
 先ほど伊吹委員より大変哲学的な御質問がございましたし、総理からもまた大変レベルの高い答弁があったわけでございますが、もう少し具体論に入りたいと思います。
 今回の四十六法、私は率直に、これを見せていただきまして、率直な気持ちですけれども、あれ、これは本当に特殊法人改革なの、こういう思いを持ちました。
 確かに、従来の特殊法人あるいは認可法人の弊害というもの、これが叫ばれて非常に長い年月を費やしたわけであります。なかなかそれにメスを入れようとして入れられなかった。そこで、行革担当大臣、石原大臣が本当に頑張っていただいて、各省庁と角突き合わせながら、時には石原大臣が涙している姿を私はテレビで拝見いたしました。その結果として、さきの五十九本、そして今回の四十六本、あと残された五十本近く、こういった従来にない改革のメスが入れられ、そしてアリの一穴ともいうべき突破口が開かれたことに、私は一つの大きな意義を感じるわけでありますが、どうも今回の改革の中身を見ておりましても、いわゆる組織形態論、これに走り過ぎ、重点化されたような、こういう印象を私は持たざるを得ないわけであります。
 そもそも特殊法人というのは、民間ができない仕事を国にかわって、そして特別の法律をもってこの特殊法人、さらに、民間が発想しますが、民間の申請ではありますけれども、また法律をもって事業を遂行していくための認可法人、こういった制度ができたわけで、それなりに今日まで仕事もやってきたし、効果も上がったことは否めない事実だと思います。
 しかし、問題は、ちまたに言われる、この特殊法人、認可法人に国民のお金が大量に使われ、財投を中心に、本当にそこにきちっとしたチェックが入らないし、また不透明部分も大いにある、効率も悪い、民業を圧迫している、天下り先になっている、こういった多くの批判が出された。それにメスを入れてどう改革していくかということが大事な視点であって、何のための改革か、この一点が私は問われなきゃならない。
 それは、省庁の権益のためでも省益のためでもない、内閣のためでもない。それは国民のための改革でなきゃならない。そういう観点から考えて、そういう視点から見て、今回の改革が本当に国民のためになるのかどうなのか、ここにやはり私どもとしてもしっかりとしたチェックをしていかなきゃならないと思います。
 きょうは時間が限られておりますので、もう少し具体論から申し上げますと、特殊法人の改革に当たって大事なのは、先ほども申しましたように、国の仕事なのかどうなのかというチェック、要するにマネジメントの問題だと思うんですね。単に組織を変えればいい、公務員型から非公務員型にすればいい、こういうことも一つの手法ではありますけれども、国家として、政府として、あるいは法人として今後マネジメントをどうするのか、そのガバナンスをどうしていくのか、このことが私は問われると思います。
 特に、先ほど申しました弊害の一つに、いわゆる天下りの問題がございます。どうしても、我が国のいわゆるキャリア制度、キャリアシステム、このあり方から、これを根本的に見直していかなければ、いかに組織形態を変え独法にしても、今のようなキャリア制度のシステムのあり方を温存していては、私は、将来、この独法も第二の特殊法人になりかねない、こういう危惧を持っております。
 一回限りの採用試験で、1種の合格者は、その道がまさにエリートの道を約束され、そしてその中で、最終的には、上り詰めた最高峰は事務次官。同時期に入った人たちは、その一人の最高峰の事務次官から漏れるわけですから、これは当然違うところへの再就職、それがいわゆる特殊法人、認可法人。五十歳前後で肩たたきに遭って、そして退職をして天下っていく。それは、やはり最初の採用問題、キャリアシステムというこの問題。
 これを、今のように1種、2種、3種、こういった形で区分をし、そして1種の人たちはキャリアとして最終的な事務次官に上り詰め、それに漏れた人は特殊法人等に、あるいは有力民間企業に再就職、それを省庁がいわば一生涯面倒を見る、それがあたかも省の責任のように錯覚をして取り入れているこの制度そのものに私はメスを入れなきゃいけないんじゃないかな、こういうふうに総括として、基本論として認識として持っているんですが、総理の御所見をお伺いしたいと思います。
小泉内閣総理大臣 私の内閣で、よく総論がないと言っていますけれども、総論はだれでもできるんですよ。各論がないから、小泉内閣では各論をやっているんです。だから、いろいろ反対が出ているんですよ。抵抗が出ているんですよ。一番各論を今までやってきているんですよ。
 いい例が今回の特殊法人。民営化できるところは民営化しなさい、役人だけが公共的な仕事をしていると思っているのか、そうじゃないだろう、民間人だって公共的な仕事をたくさんしているんだと。
 そして今までの役割。一度できた組織というのは、永遠に続くというどころか増殖していく、肥大化していく。今言ったような、役所がつくった特殊法人というのは、その役所の天下り先機関として当然視している。おかしいんじゃないかと。
 だから、民間にできることは民間にさせなさい、廃止できるものは廃止しなさい、民営化も廃止も当面できないものは、本来の公共性を十分考えながら、効率性、経営責任の明確化などを考えながら、独立できる組織として見直しなさいというのが独立行政法人。
 公務員制度も、今御指摘があったように、一度試験を通ってしまえば一律に昇進していく、最後、事務次官になる人以外は、同期入省した人を全部五十代で退職させる。これは一般の社会常識に合っているのか。国会議員を見たってそうですよ。私は今総理大臣になっているけれども、当選回数の多い人はまだたくさんいる、自民党にも。総理大臣になるたびに、自分のところの当選回数、全部やめさせろなんてことは考えられないでしょう、そんなことは。若い人が抜てきされても結構、年配の人が若い人を育てるのも結構。いわゆる老壮青、バランスをとっていいじゃないか。役所だけ、自分が事務次官になったら全部同輩はやめさせる、おかしいんじゃないかということで、今、公務員制度改革もやっている。
 そういうのを含めて、今まで総論を言われてきた。しかし、各論に手をつけると反対が出るからできないから。各論に入ったんでしょう、案の定、反対、抵抗が出てきますよ。今それをやり抜こうとしているのが、今回の改革であり、小泉内閣の使命だと。もう総論はみんなわかっている。総論を聞けば、与野党、大体似たようなもんですよ。しかし、各論に入ると反対が出るからできないから行かないんでしょう。私は、小泉内閣というのは、反対、抵抗を恐れず、ひるまず各論に入っているというのが小泉内閣だということを御理解いただきたいと思います。
山名委員 まさに不動の精神でやるという決意であります。
 おっしゃるように、総論賛成、各論反対というのは、これは世の常かもわかりません。しかし、さきに申しましたように、この公務員制度の改革、弊害は弊害としてきちっと認識をして、やはりしっかりした改革、このリーダーシップを総理がとっていただくことが大事なことだと思います。この採用区分の問題、それから早期勧奨退職の問題、これについてもしっかりと、総理みずからが、人任せじゃなくて、その思いをぜひ指示していただきたいと思います。
 それで、私は、この特殊法人改革の独法移行の際に、まだ残された法人もあるんですけれども、ぜひとも、この際、そういう人事慣行を廃して、民間から、あるいはこれは役人からでもいいんですけれども、いわゆるトップの人事については、この独法移行を契機に、そういった採用制度を、公募式、こういう方式を今回取り入れてやったらどうか、こういうふうに思います。
 我が同僚の総務副大臣の若松議員なんかは、いわゆるCEOといいますか、こういう提案もしておりまして、やはり広く、いわゆる弊害と言われていた効率性の問題や、あるいは特殊法人、独法もそうでありますけれども、国民からのそういう問題提起に対して責任を持って、三年なら三年、自主的に自律的にその独法の改革を手がけていく、それで効果がなければもう首にするしかないわけであって、そういった厳しい競争原理の中に立っていかなければ本当の改革の道は歩めない。同じような組織形態、事業内容、そこに緊張感もない、こういったものはもう永遠に続いてしまうと思うんです。日産のゴーン社長じゃないですけれども、やはりここに、思い切ったいわゆる民間の知恵とか庶民の知恵とか、こういったものをこの際取り入れるべきではないか、こういうふうに御提案を申し上げたと思いますが、これは総務大臣に。
    〔委員長退席、虎島委員長代理着席〕
片山国務大臣 今回の独立行政法人では、法人の長は主務大臣が決める、その他の役員は法人の長が決める、こういうことですね。それは、官民を通じて幅広く適材を選ぶ、知識経験があって、効率的な経営ができる人を選ぶ、もしやってみてちゃんといかなければ、独立行政法人の評価委員会が業務評価をやって、場合によってはやめてもらう、こういうシステムですね。
 そこで、今、山名委員は、公募制がどうか、こういうことなんですが、我々は、幅広く選ぶ、民間を含めて、こういうことでございまして、公募方式というのは名前はいいんだけれども、これは効率が悪いですね。だれが来るかわからぬし、数は多いし。そういう意味では、別に公募に限らず幅広く選べばいいんですから、そういうことでやらせていただきたい、こういうふうに思っておりまして、山名委員のお気持ち、御趣旨は十分体して今後選考する。各法人、そういうことでやっていくと思っております。
山名委員 いろいろな分野から、いろいろな優秀な、眠っているきらりと光る人材はたくさんいるわけですから、効率性の問題もありますけれども、そういった制度も今後ぜひ前向きに検討していただきたいと思います。
 それから、当然、今回の四十六本、さきの五十九本の問題、残された法人の問題、ここにはやはり国民の厳しい目が注がれていると思います。そのためには、組織形態がどうであったのか、事業の中身がどうなのか、まだこれは見えてこないんですね。具体的に中期目標をつくって、それぞれの過去の問題点を洗い直して新しい事業というものを展開させようということなんでしょうけれども、まだ明確に見えてこない。これはぜひとも、独立法人移行後の早い時期に、こういった事業計画といいますか中期目標、これを国民の前に明らかにしていただきたい。これはもたもたしていてはだめだと思います。
 とともに、いわゆる事業評価、これをしっかりやらないとだめです。各省に、評価委員会、こういうものが当然つくられている。それから、総務省の中にも、それを総括的に評価する評価委員会等もある。ここの部分がしっかり機能していかないと、これはやはり問題としては永遠に残ってしまう。
 ですから、特に個別省庁の評価委員会については、最初のチェックのもとになるわけですから、そこに省庁のいわゆる護送船団的な甘さがあったり、こういうことがあってはならないと思います。その人選に当たっては、まさに公平、中立、厳格にやっていく必要がある。さらに加えて、総務省の評価委員会、それ以外の新たな評価の機関をつくる必要はないと思いますが、総務省のいわゆる総括的な評価委員会、この体制をもっともっと強化しなきゃいけない、こういうふうに基本的には思いますが、いかがでしょうか。
    〔虎島委員長代理退席、委員長着席〕
片山国務大臣 今回の独立行政法人制度のポイントの一つは、評価委員会の事後評価ですね。最初は中期目標を与えて自由にやってもらう、しかし、事後はしっかりチェックしますよ、場合によっては責任を問いますよ、こういうことでございますから、各省の独立行政法人評価委員会も、いい人を選んで、そこでしっかり事後評価をしてもらう。
 こういうことなんですが、その後に、それは各省ばらばらでは、お互いの公平性やなんかで問題があるといけませんので、総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会というのがあるんです。全部の委員会を調整する、そこで再評価をやるんですね。それでいろいろ報告を出してもらって評価をして、問題があるなら意見を言える、意見については手当てをしてもらう、こういうことにしておりまして、せんだっても、各省庁の評価委員会の長を集め、さらに、私どもの方の総務省の全体を統べる政策評価・独立行政法人評価委員会の長も総理に会ってもらいまして、総理の方からもしっかりやるようにという指示をしてもらいましたので、今、十三年度の業務実績が出ておりますから、各省庁の評価委員会がやっておりますから、それを我々の方が再評価する、こういう今作業中でございまして、十一月から十二月にかけて来年度予算にそれが反映するように、しっかりと対応しよう、こう思っております。(発言する者あり)
山名委員 そうですね。私のかわりにありがとうございます。
 もう時間がありません。最後に、いま一度総理の決意等をお伺いして終わりたいと思います。
 あと残された五十本近い、道路公団、JR、NTT等々、非常に悩ましいといいますか、そういう法人が残されております。これについては、いろいろと論議を今している最中でありますけれども、やはり、効率性だけを、あるいは採算性だけを追求している、こういった改革であってもならないし、そこにいわゆる人と物と情報、夢を、こういうものがつなげられるような改革でなきゃならないし、冒頭言いましたように、国民のためになるのかならないのか、国が本来やるべき仕事なのか、こういった総合的な検討をもう一度加える必要があるのではないか。
 そういう意味でも、残されたものに対する総理の取り組みへの姿勢、決意を最後お伺いして、終わりたいと思います。
小泉内閣総理大臣 特殊法人改革については、いわゆる集中改革期間中、平成十七年度末までにあるべき改革をしていかなきゃならない。今、民営化できるものは民営化、廃止できるものは廃止、手をつけて、そして、必ずしもそう当面はできないものは独立行政法人として効率化を図る、独立性を発揮させるということでやっておりますが、今後も不断の見直しが必要だ。ある時期その組織は存在意義は十分発揮したけれども、今後、将来必ずしも現状の形態のままでいいのかどうかという見直しは不断に行っていかなければならないということでありますので、私自身も、当面、今回の特殊法人改革ですべて終わりというふうには考えておりません。
 今言われたような公募方式、総務大臣が答弁されましたけれども、民間からしかるべき適材を考えるのもいいではないかという点につきましても十分配慮しながら、トップに対して、あるいは役員等に対しては、役所の世界だけではないと、むしろ広くいろいろな分野から適材を起用してもいいんじゃないかという趣旨については私も賛成でありますので、若松副大臣、私もその意見をよく聞いております、なかなかおもしろいなと。今検討中でありますので、今の事務次官の人たちにも、自分たちが事務次官をやめれば自動的に特殊法人のトップになるという時代じゃないということをはっきり申し上げておりますので、その趣旨に沿って改革を進めていかなきゃならないと思っております。
山名委員 終わります。ありがとうございました。
保利委員長 次に、生方幸夫君。
生方委員 民主党の生方幸夫でございます。
 先週と先々週でクエスチョンタイムが行われました。なかなか議論が深まらない、与党の一部には本当にクエスチョンタイムをやる必要があるのかどうかというような意見も出ておりますが、基本的には、総理がきちんと質問に答えないというところが、私はその議論が深まらない大きな理由だというふうに思っております。きょうははぐらかさないできちんと答えていただきますように、まず冒頭お願いを申し上げておきます。
 長引く不況の中で、国民は非常に不安におびえながら生活をしている。自分の仕事がこの先どうなるんだろうかということとか、これから先、老後はどうなるんだろうか。まさに、ことしは冬が早いですが、北風の中に身を縮こませているような状態だというふうに私は考えております。
 総理は、口を開けば改革なくして景気回復なしというふうに叫んでおりまして、もう一年半がたちました。この一年半の間に国民生活がよくなったのかというと、残念ながら、よくなるよりも苦しくなったというのが現状だと思いますので、この国を一体どこに持っていこうとしているのかということをきちんと国民に説明する義務があるというふうに私は思っております。
 そこで、まず最初にお伺いしたいんですが、先月末に総合デフレ対策というのが発表されました。目玉は不良債権の処理を加速させるというところにございますが、そこでまず質問なんですけれども、不良債権の処理、もう十年間もずっとやってきたわけですね。それにもかかわらず、不良債権がなくならない。これは鶏が先か卵が先かの論議になるんですけれども、この不良債権がなくならないというのは、不況やデフレが原因なのか、あるいは不況やデフレの結果として不良債権がなくならないのか、どちらだというふうに総理はお考えになっていますか。
小泉内閣総理大臣 これは一概に言えないのであって、鶏か卵が先かといった議論と似ているんですよ。両方大事なんですよ。改革なくして成長なし、今言ったような特殊法人改革も、改革が必要だということは与野党一致しているでしょう、ほとんど。恐らくこのまま特殊法人を存続させて、改革、必要ないと言う人はいないと思いますよ、一部はいるかもしれないけれども。
 そういう点から見れば、それでは、今までのように不良債権を温存して、まず景気回復を待てといって、本当に景気回復するのか。私は、そうならないと思いますね。両方必要だというふうに思っております。
生方委員 両方必要だというのは、国民の皆さん、総意だとは思うんですけれどもね。今度の総合デフレ対策を見ますと、両方必要だと言いながら、デフレ対策、いわば景気対策ですね、こちらの方に力が入れられているのか入れられていないのかというと、どうも金融システムの改革の方に重点が置かれていて、肝心の不況やデフレ対策という部分に関しては力が入っていないような気がするんですね。デフレ対策もいろいろ列挙はされておりますけれども、残念ながら、肝心な予算措置がつけられていない。いわば絵にかいたもちになっている状態なんですね。
 総理は、今度の臨時国会では補正予算を組まないということを早々と明言いたしておりますが、今おっしゃったように、デフレ対策と不良債権の処理は同時にやらなきゃいかぬわけですね。不良債権の処理ばかり加速をすれば、当然総理も御存じのように、企業の倒産が出るし、新たな失業も発生する。それに対するケアをきちんとしないと、これは、不良債権はなくなるというふうに思ってやっていって、夏の道路の逃げ水と一緒で、近づくとまた発生するという格好で、不良債権を処理したんだけれども、その処理した額を上回る不良債権がまた発生する。
 これは去年も、総理も御存じのように、六兆処理して九兆ふえたということになっておりますし、銀行業界全体でいうと、この十年間で七十八兆円の不良債権を処理したけれども、今現実に、現在残っているのは五十二兆というふうに言われておりますが、実際にはもっと多いんじゃないかというのが竹中さんのお考えですから、百兆とか百五十兆とかあるというふうに考えますと、不良債権を処理しても処理しても、デフレや不況が続く限りは不良債権がまた新たに生まれてきちゃうわけですね。
 したがって、両方に力を入れなければいけないのに、今度のは、肝心の不況・デフレ対策に関しては一切予算措置を取り組まれていない。両方やるというのであれば、何でここで補正予算をきちんと組んで、デフレ・景気対策もきちんとやるんだということを国民にメッセージをしないんでしょうか。
小泉内閣総理大臣 補正予算を組めということは、財政出動をもっとしろということですか。私は、国債をもっと発行して、今までのように……(生方委員「組み替えでいいんです」と呼ぶ)もっと需要をふやせという意見がいろいろ出ておりますけれども、今の時点において、金融改革あるいは規制改革、歳出の見直し、税制改革、これを目先のことだけにとらわれないで、中長期的な点も考えながらやることが必要だ。
 今言ったように、不良債権処理と総合経済対策、これはデフレ対策も含みます、両面が必要だ。そういうことから考えて、補正予算を組まないから景気回復しないという単純な構図ではないんじゃないか。今の経済状況というのは、実に限られた選択肢の中で、あちら立てればこちらが立たずという中で、やるべき改革をやるということが大事じゃないかと思いまして、補正予算を組めば、何兆円かの国債を増発して需要を回復すればすぐ景気がよくなる、私はそう思えないんです。
 一面、失業、雇用対策、これはしなきゃなりませんけれども、単に需要をふやすための補正予算で景気が回復するとは思っていないからこそ、あるべき改革を進める、これが必要ではないかと思っております。
生方委員 総理は三十兆円枠にやはりこだわっているんだと思うんですね。実際、去年だって三十兆円枠はもう超えているわけですよ。
 私は、この論議をしていると、九七年の橋本さんの財政構造改革論議をしているときのことを思い出すんですね。あのときも、十一月に山一証券が倒産をする、それからアジア発の金融危機が起こっていて、我々は、緊縮予算を来年組んだら大変なことになるよ、財政構造改革法そのものは大事ですから通ってもいいんですけれども、その執行を何年か見合わせるべきじゃないかというふうに主張したんですね。きちんと補正予算を今組まなきゃ大変なことになるよと言ったにもかかわらず、九八年に補正予算を組んだ。大分もう遅きに失して、結局その年は九八年に三回補正予算を組んだわけですよ。私は、きょうこういう論議をしていると、そのときのことを本当に思い出すんですね。何で早目にやらなかったのか。あのときはツーリトル・ツーレートというふうに言われて、遅出しで少数ずつやったから、せっかくその後緊急経済対策とか打ったとしても効果がなかったんですよ。
 だから、私は、来年一月に補正予算を組む予定のように報道されておりますが、来年の一月に組むというんであれば、早目に実施をした方が効果が大きいに決まっているわけですから、三十兆とか臨時国会ではやらないとかということじゃなくて、今やはり不良債権の処理を加速するんだということによって株価は暴落をしているわけですよ。
 税効果会計を取り入れる、取り入れない、これは後ほどお話をしますが、そういうことが取りざたされていれば、銀行はますます貸しはがし、貸し渋りに走ることは目に見えているわけで、こういう事態が発生して、もう株価も一万円割れをしているわけですから、九千円割れをしているわけですから、私は、両方やるというんであれば、補正予算を早目に組んだ方がより効果があるというふうに思いますが、もう一度お伺いします。いかがでしょうか。
小泉内閣総理大臣 私が三十兆円枠にこだわっていると言いますけれども、むしろこだわったのは民主党ですよ。三十兆円枠を法律で縛れと言ったじゃないですか、去年。それを私は、経済というのは生き物だから法律で縛る必要はない、大胆かつ柔軟に対応する、五十兆円の税収がある中で財政規律というものを考えなきゃいかぬと。当時は二十八兆円、まだ二兆円の枠がある、三十兆円の中でやっても、むだがあるのではないかと国民から指摘されている税金のむだ遣いをなくすということから、私は、一つの財政規律として、三十兆円というのはそんなにきついものではないということを言ったら、民主党が、いや、法律で縛れ、法律で縛れと。こだわっているのは民主党じゃないですか。それを忘れたんですか。私、覚えていますよ。
 そういうことから、経済は生き物で、私は、大胆かつ柔軟に対応している。せいては事をし損ずるという、株価が下がればすぐ国債を発行して補正予算を組めば株価が上がるのか、そんなものじゃないですよ。あるべき改革をしていくということが必要であって、私は、一つの基準、規律として三十兆円枠というのを言っているんです。しかも、当時は五十兆円の税収があるという前提だった。税収が落ち込む、柔軟に対応するのが何が悪いのか、全然こだわっていませんよ、規律として。こだわっているのは民主党だということを覚えておいてください、法律で縛れと言ったのは民主党だったんですから。
生方委員 我々も大胆かつ柔軟に対応するんですから、そんな別に三十兆円枠にこだわることはないじゃないですか。我々は、こだわらないで、今言っているように、大胆な国債を発行して公共事業をやれと言っているんじゃないんですよ。ちゃんと予算を組み替えることによってやることができるわけですよ。我々も大胆かつ柔軟に対応しているんです。当然じゃないですか、そんなものは、当たり前の話です。
 それで、もう一点言いますが、同じような観点で、今の景気がどうしてよくならないのかというところで、竹中さんと小泉さんは、だめな企業は市場から退場していただければ景気はよくなるんだ、経済はよくなるんだというようなお考えのようですね。だから、不良債権の処理を急ぐことによって、本来回るべきじゃないところへお金が回っているのを貸しはがして倒産してもいいんじゃないかというのが基本的な考え方だというふうに思います。
 私は、この話をするときに思い出すのは、かつてコンビニがコンピューターネットを導入したことがあったんですよ。全国的に導入をして売れ筋商品とか死に筋商品というのを収集したわけですよ。一番最初にやったのは死に筋商品を排除したんですね、棚から取り外した。これでもういわゆる売れ残りがなくなるだろうというふうに思ったんですけれども、結果はどうだったかというと、結局売り上げ全体が減っちゃったんですね。棚がからからになっちゃったので、売り上げ全体が減ってしまった。この話が、私は、今度の話で非常に思い出されるわけですね。
 確かに、中小企業というものの貸し出しを精査すれば、どちらかといえば不良債権に分類されるものがあるかもしれない。ところが、中小企業というのはそういうことでずっとやってきたわけですよ。その中小企業が多く存在をすることが日本経済の厚みになってきたわけですね。その中小企業に一律に、銀行の貸し出しの六割は中小企業なわけですから、不良債権を処理するといえば、当然その中小企業に対する貸しはがしというのを行わざるを得なくなっちゃうわけで、そして中小企業がすかすかになってしまえば、せっかく日本経済を立て直すという目的がありながら、いざ見てみたら中がすかすかになっていたという状況にならざるを得ないというふうに私は考えるんですね。
 竹中さんは今までずっと長く大学でいろいろ研究をなさってきたから、大学の理論の中ではそういうことになっているかもしれないけれども、机上で考えたことを中小企業という生身のものにいきなり実験されたんじゃ、これはたまらない。やはりそれは大学で論文を書くのとは違うわけですから、きちんと中小企業は中小企業として生きてきたわけですから、それをつぶすような施策、選別するような施策はとるべきではないと私は思うんですが、いかがでございますか。
竹中国務大臣 生方委員、中小企業をつぶすような政策というふうに決めてかかっておられますが、今回の政策の目的は断じてそういうことではありません。中小企業に、本当に資金を必要としてしっかりとした事業をやっていけるところにきちっとした本当の意味での資金が回るようにしたい。結局のところ、それは銀行の基盤を強化して、産業の基盤を強化することである。そのために何が必要か、それはやはり、資産の査定をきっちりとして、そうすることによって銀行の持っているリスクをできるだけきちっと管理してもらって、繰り返し言いますが、本当に必要なところにお金が回るようにしたい、そういうことになるわけです。
 加えて、もう一つ申し上げたいのは、今回の金融再生プログラムは、御承知のように、主要銀行を中心としたものであります。地域の中小機関、地域の金融機関に関して、いわゆる関係性を重視したリレーションシップバンキングの世界というのは、ある意味で、委員御指摘のように、これはグローバルな競争をしているところとは違う原理で動いているということで、これについては違う金融のシステムがあるということを前提にして、それはそれで別途考えていくということにしているわけであります。
 結局のところ、銀行が、本当に必要なところにお金がきちっと回るような健全な行動をとれるようにしてもらう、そのためにリスクの管理ができるように銀行の経営のガバナンスを強化して、自己資本を充実して、それで資産査定をきちっとする、そういう総合的な観点から今回の政策が打ち出されている点をぜひ御理解いただきたいと思います。
生方委員 実際問題としては、さっきも申し上げましたように、銀行の貸し付けの六割は中小企業なわけですから、そこへダブルスタンダードを持ち込もうとしてもそれは無理なわけで、銀行としてみれば、いずれ税効果会計が取り入れられるというようなことが、期間はいつからというのは明示されないとしても、それを達成しようとすれば、基本的には貸出部分を減らすしかないんですよ。これは、BIS規制もこれからまたもっと厳しくなるということであれば、結局どこにしわ寄せが一番来るかといえば、中小企業に来るんだ。
 これはもし、不良債権の処理を加速させて中小企業がたくさん倒産するというようなことがあれば、きちんと責任を、竹中さんはどういうふうにとるのかわかりませんが、とっていただきたいということを御指摘させていただきます。
 総理は、〇四年までに不良債権を、現在の額、八・四%ですか、これを半分にするということをおっしゃっておりますが、非常に短い期間ですね、その期間で不良債権の処理を加速するということになれば、非常に大きな、総理のお言葉で言う国民の痛みというのがあると思うんですが、現在それを加速した場合、大体どのぐらいの倒産が出て、どれぐらいの失業者が出るというふうに予想なさっていますか。
竹中国務大臣 基本的には、十六年度までに不良債権比率を半分にするというのは、大変厳しい目標であるというふうには思います。これはしかし、金融システムを安定化させない限り、経済全体が活性化するということはあり得ないわけでありますから、これは目標として立ててしっかりとやっていきたい。既存の不良債権については、例の五割八割ルールを適用していく。さらに、今後、資産査定の中でどのぐらい不良債権が出てくるかということはしっかりと見きわめて、その中でやはりきめ細かく評価していくということしかないと思います。
 そこで、ぜひ御理解いただきたいのは、例えばオフバランス化を進めて、バランスシートから取る中でどのようにそれが雇用等々に影響を与えるかということに関しては、これははっきり申し上げまして、技術的に明確なことを申し上げるのはほとんど不可能だということだと思います。
 オフバランス化といいましても、例えば、これは委員よく御承知のように、これを証券化してやってオフバランス化する、この場合は雇用には恐らく一切影響は生じないということになると思います。しかし、それが例えば回収とかそういうことになると、これは何らかの影響が生じるだろう。それが結局のところ、どのような形でオフバランス化していくかということにもよるわけですから、我々としては、とにかく雇用に影響ができるだけ起きないように流動化を進めるような施策をとる、さらには、委員御指摘のような中小企業に対してはできるだけ新規参入の貸し出しもふやしていく、そういうことを総合的にとる中で現実的に判断をしていくというのが、やはり行政のとるべき姿であるというふうに思います。
生方委員 数値をお示しいただけなかったですが、いろいろなところが計算をしているわけですね。日本総研の予想では、〇四年までに三百三十二万人の失業者が発生して、GDPが六・四%下落するというふうに予想している。UFJ総研でも百六十五万人の失業者が発生するだろうというふうに予想している。厚生労働省でも、最悪、完全失業率が七%になるんじゃないかというふうに予想しているわけですね。私は、やはりきちんとした補正を組まないでやれば大変なことになるということだけを指摘いたしておきます。
 それに関連して、今度のデフレ対策では、産業再生機構というのがつくられることになった。これは、今までの不良債権をRCCに送るものと産業再生機構に送るものの二つに分けて、産業再生機構に送ったものは生き延びさせる、RCCに送ったものは処理をするということなんですが、いわば国が企業の生き死にを決定する。財務大臣の言葉をかりれば、閻魔大王の役目を果たすということなんですけれども、民のことは民に任せるというのが総理の構造改革のいわば本質だと思うんですね。民のことは民に任せると言っておきながら、民の生き死にを官が決めるというのは全然おかしいんじゃないですか、違っていると思いますよ。いかがですか。
小泉内閣総理大臣 本来、民間の活力をいかに生かすかということの重要性は平時において変わらない、重要であると認識しております。しかし、その民間の機能が衰えるとき、やはり国としてやらなきゃならない仕事があるだろうということから考えれば、ある程度の介入というものは国家として必要ではないか、これは何事にも両論があるのも事実であります。
 実際そんな選別ができるのか、生きる企業、死ぬ企業、難しいじゃないかと言うからこそでき得なかった。しかし、それは一方では、やらなきゃだめだという議論もたくさんあったわけであります。何やっても批判が出るのはわかっていますけれども、今の民間の活力といいますか、なかなかその選別ができない、本来退場すべき企業も残っているために成長すべき分野が成長できないという状況をどうするかという判断から、産業再生機構という考えが出てきたのであって、私は、不良債権処理に伴う副作用というものをいかにいいように転換していくかという意味において、産業再生機構の面において国家としての一つの役割を果たさなきゃならないという観点から出てきたわけでありまして、これがうまくいけば、もうほっておいても民間活力が出るような状況にしていかなきゃならないのが産業再生機構の役割だと認識しております。
生方委員 ちょっと違った観点から質問いたしますが、金融再生プログラムについてお伺いします。
 これも金融再生に絡んで、柳澤大臣から今度は竹中さんにかわったわけですね。柳澤大臣は、基本的な考え方は、民のことは民に任せるんだ、銀行の再生は銀行の自助努力に期待しなきゃいけないということでこれまで通してきたわけです。ところが、竹中さんは、それに対して、いわば国有も辞せずという格好で、国が乗り出していかなければいけないんだということで、そういう姿勢をとっているわけですね。
 これは、両者とも小泉さんが指名をした大臣なわけです。我々から見れば、考え方は百八十度違うわけですね。ということは、百八十度違う大臣を据えたということは、政策を変えたというふうに国民は理解をするんですが、政策を転換したというふうに我々は考えてよろしいわけですか。
小泉内閣総理大臣 それは変えたというのじゃなくて、構造改革を進めていくためにはどういうことが必要かということから考えたものであって、私は、いろいろ、銀行の査定にしても自己資本の面におきましても、あるいは経営責任の面においても、銀行としてはよくやっているというけれども、果たして国民なり市場がどう見ているのかということを考えると、まだ甘いのではないかという判断があった。
 いわば改革を促進するために、もう一段のやる気を引き出す手法も必要ではないかということから、私は、今回、改革を加速させる手段として、竹中大臣の指導のもとに、より一層銀行にやる気を持ってこれからの金融機関としての健全性を発揮してもらおうという観点から今回の人事を断行したわけであって、私は、政策転換じゃない、むしろ政策を推進させるための一つの方法であるというふうに考えております。
生方委員 これはだれが考えても、政策が全く違う人が、大臣かわったわけですからね。政策を転換しないのであれば、別に柳澤さんずっとやらせていればよかったわけですから、柳澤さんをかえて竹中さんに兼務をさせたということは政策が転換されたということですから……(小泉内閣総理大臣「推進したんだよ」と呼ぶ)推進した、そういうごまかしじゃだめなんですよ。転換したのであれば、何で転換をしたのかということを国民に説明しないとわからないですよ。百八十度転換しているわけですよ。
 だって、民のことは民に任せるんだというのは、それを柳澤さんずっとやってきたわけですよ。金融危機はないんだということでやってきたのに、竹中さんになったら急に、今は金融危機だというふうになって、認識も変わっちゃったわけですよ。
 柳澤さんから竹中さんになった間、何が起こったのだ、何が金融危機になったのかと言われれば、それは竹中さんの発言によって株価が暴落した、それぐらいしか考えられないわけですよ。だから、いわばそちらの都合によって経済危機が起こっているわけですからね。政策を転換したのであれば、転換したことをきちんと国民に説明せにゃいかぬじゃないですか。それを、加速だとか強化だとかという言葉でやるから国民がわからなくなっちゃうんです。いかがですか。もう一度お願いします。
小泉内閣総理大臣 改革を加速したのであって、私の構造改革路線は全く変更ありません。一つの大臣の発言で株価が下がったから、一大臣の責任に転嫁すること自体おかしいんです。株価というのは世界の状況も影響します。今の世界経済の状況を見たって、一国の責任でやれる範囲と、世界情勢の範囲の中でどうしても影響を受ける範囲があるんです。一つだけとらえて、これに責任があるという、そんな短絡的な状況じゃないですよ、世界情勢。その点はわかっているでしょう、あなたも。
 そういうことを考えて、私は、構造改革路線を変換したなんかとんでもない、加速させるためにやっているんです。政策転換は何にもしていない。
生方委員 だから、構造改革路線の基本中の基本は、民のことは民に任せるわけでしょう。民間のことは民間がやればいいというのが基本中の基本で、ところが、金融システムの改革とか産業再生法を見ても、どちらも国が民間に介入しなければだめだという認識でしょう。ということは、要するに、総理が言っている経済構造改革路線というのがうまくいっていない証拠じゃないですか。うまくいっていないからこそ、官が口を出していかなきゃいけないということでしょう。もう一年半もたっているじゃないですか。一年半たって何にも効果が出ないで、逆に国が口を出していくということは、みずから総理の構造改革路線が破綻したということを認めたことになるんじゃないですか。
小泉内閣総理大臣 構造改革路線が破綻したどころじゃない、ますます構造改革が必要なんですよ。それは、民間の活力を発揮させるために、国がやるべき仕事をやっているんです。政治が果たさなきゃならない仕事をやろうとしているのが小泉内閣ですよ。構造改革路線を推進しようとしているんです。構造改革路線に変換など全くありません。
生方委員 総理の場合は、スローガンは非常に威勢がいいわけですよ。構造改革なくして景気回復なしとか、言葉は非常にわかりやすいのは大事なことだと思いますけれども、最初の言葉だけなんですよ。あとはみんな、ひとしきり叫んだ後は、全部丸投げなんですよ。金融再生プログラムだって竹中さんに全部丸投げで、党との調整も全部やりなさいというふうに言うし、道路公団の問題だって民営化推進委員会に全部丸投げだ。今度の特殊法人の改革の問題だって、せっかく特殊法人を廃止して民間に任せるんだと言っておきながら、中身をあけてみれば、肝心なところはほとんど、独立行政法人と名前を変えただけじゃないですか、中身は全然変わらないじゃないですか。(小泉内閣総理大臣「民主党はどうなんだ、民主党は。対案出しているのか」と呼ぶ)それで何か批判をすれば、まるで人ごとのように……(小泉内閣総理大臣「批判するばっかりじゃないか」と呼ぶ)全く人ごとのようじゃないですか。では、もっと自分の考えがあれば自分の考えを、ちゃんと指導力を発揮して、どういうふうにすればいいのかということを国民に説明する義務があるじゃないですか。そんな、わあわあそこで言っているんじゃなくて、国民にきちんと説明する義務があるじゃないですか。いかがですか。
小泉内閣総理大臣 説明しているんじゃないですか。では、対案はどうなんですか。対案を出してくださいよ、批判じゃなくて。私はちゃんと具体論を出しているじゃないですか、政府として。どこが悪いのか、具体論を言ってくださいよ。
生方委員 この間、補選が行われましたよね、参議院と衆議院の補選が。投票率が非常に低かった。何が原因かというと、要するに自民党は、総理が言っていることと自民党の中でほかの人が言っていることと違うから、国民は自民党というのは一体何なのかわからないわけですよ。こんないいかげんな政党がどこにあるんですか。総理が言っていることを平気で批判する人がいて、それで国民に判断してもらえといったって、国民は判断できないから、白けて半分も行かないわけですよ。
 きちんと総理の責任で自民党の中を一つにまとめてくださいよ。わかりづらくてしようがない。何が自民党なのか我々はちっともわからない、これじゃ。国民の皆さん方は全然わからない。それをきちんとやるようにお願いしますよ。
小泉内閣総理大臣 そんなに与党が悪けりゃ民主党が勝ってよかったじゃないですか。何で民主党が勝たなかったんですか。その方が不思議なんだ。これだけ自民党が悪い、与党が悪いと言いながら、民主党候補が勝てばよさそうなものを、国民はそう見ていない。その方が不思議でしようがない。
生方委員 それは、投票率が五割ちょっとしかいかないというのは、これは与党も含めて全部否定されているんですよ。あなたたちが言っていること、総理が言っていることと、いわゆる抵抗勢力と言われる方が言っていることと全然違うんですよ。違うことを言われて、国民にどう判断しろというんですか。そんなわかりづらい政治をやっていれば、それは政治不信になって、政治不信になれば総理が言っている改革だってできないですよ。政治に信頼があって初めて改革ができるんじゃないですか。
 やはり政治に対する信頼をきちんと取り戻すように、党内をまとめていただくようにお願いをして、私の質問を終わらせていただきます。
保利委員長 この際、筒井信隆君から関連質疑の申し出があります。生方君の持ち時間の範囲内でこれを許します。筒井信隆君。
筒井委員 民主党の筒井信隆でございます。
 私は、大島農水大臣の口きき疑惑の問題に集中して質問をしていきたいと思います。(発言する者あり)まさに、こういう問題を起こす農水大臣のもとで、それをあやふやなままにしながら法案の中身の審議に入れない。極めて前提条件ですよ、これは。こういう問題を解決しないで具体的な中身の審議には入れないから、それを聞くわけです。
 もう単刀直入に聞きますが、私の方で今お配りしました資料の一の一、農水大臣、見ていただきたいと思います。
 私は、いわゆるA氏、コンサルタント会社社長とお会いをしまして、その国会手帳に詳しくメモしてあった、金をA氏が宮内氏に渡した日を、この紙一枚に一覧表にしていただきました。これはだからA氏の自筆でございます。私の目の前で書いていただいた自筆でございます。
 平成六年の十二月二十一日の五百万円を渡したときから始まって、最後は平成九年の九月二十六日の五百万円、これを渡しております。この「五H」というのは五百万円という意味でございます。
 十五回、合計五千五百万円にわたってA氏が大島農水大臣の政策秘書に渡したこの事実、今まで全面的に否定されております。改めてまた、このメモを前にして大島農水大臣に聞きますが、やはり今までと同じように全面的に否定するんですか。それは間違いでしょう。こういうふうに渡っているんでしょう。
大島国務大臣 前秘書官の問題が報道されて、あるいは御質問等、たびたびに受けました。そのたびごとに私は前秘書官に問いただし、そして、そういう事実があったのかなかったのかということに対して、今までもお答えを彼の報告として申し上げましたとおり、何かを頼まれ、そしてお金を受け取ったということはありません、こういう彼の報告でございました。
筒井委員 それを私自身の、農水大臣自身の答えとしている、今まで繰り返してきたことでございます。
 それでは具体的にお聞きしますが、この一覧表のうちの下から二段目、平成九年七月一日、五百万円、振り込みの「振」とあります。これは前もって金曜日の午前中に、私、質問を事前通告しております。これは、宮内秘書からA氏に対して、私の友人の資金繰りが厳しいから、苦しいからその口座に五百万円振り込んでくれ、こういう指示を受けて振り込んだ、このメモでございます。
 多くは、いつ、現金幾ら幾らを持ってきてくれ、こういうふうに指示を受けて持っていったわけですが、この七月一日に関しては、振り込みの指示を受けてそこに五百万円を振り込んだ。それで、名前ももう私、事前通告しておりますが、振り込んだ先は、彼の友人である西部瀝青株式会社の樋口彰一郎さんの会社の口座でございます。この事実は認められますか。
大島国務大臣 筒井委員からの通告の案件は、その西部瀝青の案件でございました。この経過について少しお話を……(筒井委員「いや、今の質問に答えてください。振り込んだ事実を認めるかどうか」と呼ぶ)いやいや、西部瀝青に対して五百万円、あなたは貸したことがあるかというたしか通告ではなかったかと思うのでございます。
 したがいまして、そのことについて私が調べました。そして、その西部瀝青の社長さんである樋口さんという方とまずどういう関係か……(筒井委員「質問に答えてくださいよ。私は振り込んだ事実のことを聞いているんです」と呼ぶ)そしてお金の貸し借りについてはどうであるかということを聞きましたので、そのことの御報告を申し上げます。
保利委員長 筒井議員に申し上げます。
 指名を受けて御発言をしていただくようにお願いいたします。
大島国務大臣 その振り込みの用紙については初めて私は今拝見しましたので、そのことについてはさらに確かめてみたいと思いますが、その経過、そこのところの経過はやはり御説明をする義務が私にあるだろう、こう思いますので。
 西部瀝青の樋口氏とは前秘書官は大学時代の同級生でありまして、それ以来長い友人であったと聞いております。平成八年か九年ころ、樋口氏が上京し、そしてその後、資金繰りが苦しいということをたびたびに相談があったそうでございます。したがって、自分はお金がないので用立てられない、こう言ったとの報告でございました。
 しかし、その際、初めて上京した際にいわゆるA氏とたまたま引き合わせる機会があったので紹介したことがある、そしてその後、樋口氏とA氏は互いに仕事をする関係になったとのことでございました。そういうふうなことから、前秘書官は、いわばかつて引き合わせ、お互いに今仕事をしているというA氏に聞いてみてはどうかということから、宮内前秘書官はA氏に対し、余裕があるなら協力してやってくれないかと電話をして依頼した記憶がある、その後、A氏と樋口氏は話し合いをしたようで、金銭の貸借をしたようである、ただし、自分、つまり前秘書官自身は、貸借の内容等、金利、期限等については詳細の報告は受けていなかったとの報告でございました。
 A氏に依頼してしばらくしてから、A氏から、樋口氏にお金を貸したということは聞いたそうでございます。さらに、同時期に樋口氏からもそのようなことを聞いたので、前秘書官は、樋口氏に対して、責任を持って返しなさいというふうなことを言ったそうでございます。
 その後、しばらくしてから、A氏が樋口氏と連絡がとれないということであったので、彼自身からも連絡をとろうとしたそうでございますが、残念ながら連絡がとれない状況の中で、半年ほどしてから樋口氏から突然電話がありまして、今何をしているのか、人に迷惑をかけることをしていないのか問いただしたところ、樋口氏は、現在別の事業をしており、大変申しわけないということであったそうでございまして、以来、現在に至るまで連絡がとれない状況であるという報告を宮内からいただきました。
 これは、先生の質問通告がございましたので、土日かけてできるだけ問いただし、今そのような報告をお答えするところでございます。
筒井委員 全くうそをついておりますので、今、具体的にそれをお聞きしていきます。
 まず、資料の一の二をごらんいただきたいと思いますが、同級生であるだけではなくて、金を貸した会社、西部瀝青の役員にあなたの宮内氏はなっておりました、長年の間。途中でその役員を辞任しましたが、その後、宮内氏の奥さんが役員に就任をしております。同級生であるだけではなくて、そういう関係。A氏との関係なんというのは、まさに宮内さんから紹介されただけの話で、宮内さんとの関係があったわけでございます。
 そして、先ほど申し上げましたように、宮内さんからA氏に対して、この口座に金を振り込んでくれ、こういう指示があったものですから、A氏は直ちに、前から預けております貸し金庫に行って五百万円を引き出してきた。その証拠が資料の一の三でございます。これを見ていただきたいと思います。これは、貸し金庫をこの日にあけた、まさに、時間まで書いてありますが、七月一日、貸し金庫からこのときに金を取り出して、そして振り込んだわけでございまして、その振り込んだのが次の資料の一の四でございます。A氏の名前、ここには載せておりますが、しかし、私はA氏と言わせていただきます、いろいろな迷惑がかかりますので。そして、今言った西部瀝青株式会社に五百万円間違いなく振り込んでいる。
 これを、今大島大臣は、A氏が貸したんだという言いわけをしましたが、これは全くの事実に反します。
 その次の資料一の五をごらんください。資料一の五は、西部瀝青の樋口彰一郎さんから宮内秘書にあてた手紙でございます。宮内さんから借りた金、今返済おくれているけれども、こういうふうに返済します、こういう約束をした書面でございまして、さっき何か、その後どういうふうになっているかわからないとかなんとか言っていましたが、まさにこれは、樋口さんが宮内さんから借りた、この事実を宮内さんに言っている、この事実じゃないですか。
 この手紙自体、まあ、もう一つまた別のものがありますが、まずこの手紙自体、あなたのさっきの答弁がうそであること、宮内さんが貸したんだ、宮内さんが貸した金をA氏が宮内さんの指示に基づいて振り込んだんだ、この事実、はっきりしているじゃないですか。
大島国務大臣 この今の資料を私は初めて、きょう見せていただきました。
 それで、筒井委員に申し上げさせていただきますが、私は、長い友人であったということは申し上げました。ただ、前秘書官がこの会社の取締役になっていたかどうかということについては、お問いがなかったものですからお答えをしなかったわけでございます。
 それから、宮内自身が直接貸したかどうかという点についても、私は厳しく、本当にどうなんだということを言ったら、彼の報告としてそういうふうなことがあったものですから、そのことをお答えしていることでございますし、今出された、お示しいただいた資料につきまして、今そういう御質問あるいは改めての問いがあれば、私はその資料に基づいて彼に問いただすしかございません。皆さんが今お示ししたことについてなお調査してみたいと思っております。
筒井委員 私は、だから前もってこれを、宮内さんに対して、振り込ませた、こういう事実関係を事前通告しているんです。さっき、そういう言いわけも恐らく考えられるだろうと思ったから、別にA氏が貸したんで、私が貸したんじゃないと。だけれども、それを、だから私は、そうじゃなくて、A氏に振り込ませて、そして彼が貸したんだということをちゃんと確認している、事前通告しているんです。
 それで、この手紙は、明確に、宮内さんが貸した、このことを証明する事実ですよ。それを、後から調査するだとか、そんな、逃げることはできませんよ。ここではっきりその事実を認めてください。
 それで、これは、まさに金を宮内さんが受け取ったかどうかの、その問題なんですから。それは、前からあなた自身が受け取っていないと言っているんだから。もう十月二十四日から大分時間がかかっているんですよ。それを、今現在、ここではっきり答えてくださいよ。そんな、後で調べるなんてことを言わないでください。
大島国務大臣 今筒井委員がさまざまな資料をお示しされまして、そして問われているわけです。私は、事前に、先週のうちにその資料がございますれば、それに基づいて問いただす義務はあると思います。したがいまして、今お示しになられた資料に基づいて改めて彼に対して聞いてみたい、このように思いますし、それしか私には今できるすべはないと思っております。
筒井委員 だから、宮内さんが貸した、その事実について質問するというふうに私は言っていたわけです。あなたはまさにその調査をずっと今までやってきたわけでしょう。それで、こういうふうに証左、資料を示して、私は今も聞いているんですよ。判断できるでしょう、あなた自身の判断として。
大島国務大臣 今筒井委員から資料を示されまして、そのことについておまえの判断をといっても、やはりその資料に基づいてしっかりと調査をし、問いただし、そうすることが私のなすべきことだ、このように思っております。
筒井委員 では、午後に私はもう一度質問に立つ予定でございます、それまでに調べていただけますか。
大島国務大臣 午後までにできるかどうか。これは、その手紙あるいはその他について調べるには、努力はいたしますけれども、わかりましたという、それほど軽い資料ではないと思いますので、しっかりと調査をした上で、問いがあれば報告をする責務を負っていきたいと思っております。
筒井委員 今まで宮内さんが言ったこと、この事実が本当に正しいかどうか、裏づけの調査をされたことはありますか。それとも、宮内さんが言ったことをそのままあなたは委員会や何かに報告しているだけですか。どちらですか。
大島国務大臣 最初の週刊誌の報道以来、最大の、そこで言われたことにつきまして、住宅資金に充てられた、したがって住宅資金にかかわる資料は、本当にこれは彼のプライバシーそのものまでこじあけまして、私のできる限りの資料を出させ、言葉を裏づけるそういうふうなものを出しなさい、こう言って、今日まで努力してきたつもりでございます。
筒井委員 私の質問に答えてください。
 宮内さんが言ったことの裏づけ調査をしたことがあるのか、それとも、宮内さんが言ったことをそのままこの委員会あるいは予算委員会、いろいろな委員会で報告しているだけなのか。
 つまり、宮内さんが言ったことをそのまま信用して一切裏づけ調査していないのか、この点の質問なんです。それだけに答えてください。
大島国務大臣 彼の言ったことを裏づけできる資料を集める、そういう中で私の努力をして皆様方にお答えをしている、これが私の責務だと思ってやってまいりました。
保利委員長 筒井議員に申し上げます。
 この委員会は、特殊法人改革に関する特別委員会でございますので、特殊法人改革問題についてを念頭に置いて御質問なされますようにお願いをいたします。
筒井委員 委員長、今の発言は、それはおかしいと思いますよ。
 こういう問題を引き起こした大臣がそのまま職務ができるのか、そういう問題点、前提問題なんですよ。だから、私だって、こんな問題を引き起こさなければこんな質問はしたくないですよ。だけれども、こういう問題を引き起こした大臣がそのまま職務に精励できるのか。できないでしょう。だから、この点ははっきりさせなきゃいかぬのですよ。だから、私は聞いているんです。
 それと、委員長、今も、そういう発言も不公平ですけれども、先ほど私に対して、不規則発言、ちゃんと指示を受けてから発言してくださいというふうに言われましたが、自民党の筆頭理事自身が全くそれに反しているじゃないですか。筆頭理事の場合はそういう許可を受けないで発言できるのですか。そういう点は公平にやってください。
保利委員長 公平に運営をいたしますが、念頭に置いてと申し上げましたので、発言は制約はいたしておりません。
 筒井信隆君、どうぞ。
筒井委員 では、今の言ったことについて、まさに大臣が先ほど述べたことと全く反対の、その事実を否定する資料があるわけですから、早急にそれを確認した上で、この委員会でもどこの委員会でも明確にしていただきたい、このことを申し上げておきたいと思います。
 そして、いろいろな事実関係も否定しておりますが、まず宮城の会ですが、宮城の会については、平成十四年になって政治団体として届け出されましたね。これは大臣自身の御指示によって政治団体として届け出た。このことは、マスコミに対する答弁でも大臣は答えておられますね。
大島国務大臣 年に一度お招きをいただいて講演をしておった関係で、このままでいくのかどうされるのか、きちっとされた方がいいのではないかということを宮内に言ったことはございます。
筒井委員 その上で届け出されたわけですが、この宮城の会の会費が年間五万円。最高時は何社ぐらいが会員として入っておりましたか。
大島国務大臣 そのことの前に、一度お答えはしましたけれども、その会のやはり前提を。
 平成八、九年ごろでございましたでしょうか、大島はもちろんですが、若い人たちを応援したいという思いで、任意団体として集まって宮城の会というものをやりますということを、宮内から、そういう御趣旨があって立ち上がらせていきたいという人たちがおりますという報告は受けました。
 私は、それは、そうですかということでお招きをいただいたんですが、その後そういう御質問等もございましたので伺いましたら、確かな数字はわかりません、数十社か、個人も入れてそのぐらいの方々が会員です、そして年間五万円をいただいているようですという御報告がございました。
筒井委員 私はその名簿も見させていただきましたが、最高時百社ほど入っておりませんでしたか。
大島国務大臣 基本的に、私がお願いをし、私だけのための会という、そういう思いがございませんでしたので、数はわかりません。
筒井委員 百社だとすると年間五百万になりますが、では、この会費はどう処理されていたかもあなたは知らないと答えられるのですか。
大島国務大臣 任意団体として初め運営されておったとのことでございますし、一年一回の総会がございました。そこにお招きをいただいて私は講演をいたしておりましたし、これも筒井委員におしかりをいただきましたが、若い人たちを応援するということで、当時は自民党推薦でしたが、平成十年の参議院選挙で、今は御党の代議士さんでございますけれども、そういう方も熱心に応援されておった。そういう政治活動等々に使ったかもしれませんし、具体的にどういうふうにそれを使ったか、私は知るすべもございません。
筒井委員 資料二の一を見ていただきたいんですが、これも宮内秘書とA氏が連名で文書を宮城の会について出しているものでございまして、それから資料二の二、これは、今言いました年間五万円の会費、このことが記載されておりまして、資料二の三では、これは今大臣が言われましたことですが、このときも大臣をお迎えして新年会をやる、また別に会費を取っている、こういうものでございますが、このときも、今度はA氏と宮部氏が連名で出しておりまして、まさにA氏が一貫をしてこの会の主導的な役割を果たしてまいりました。
 そして、資料二の四を見ていただきたいんですが、これはA氏の自筆のメモでございまして、これも国会手帳の中に書いてあるものから書き写していただいたものでございます。
 このうち、A氏が直接参加しているのが平成十一年の一月二十五日の会合以前のものでございまして、その以降は直接参加していないということでございました。この以前直接参加しているときは、大臣が必ず参加をして講演をして講演料を、二十万から五十万ということでございますが、受け取っていたということでございます。
 この講演料、この前農水委員会でもお聞きしましたが、あのときもどう処理したか調査されるという約束をされましたが、その後調査が、どういう処理をされたんですか。
    ―――――――――――――
保利委員長 議事の途中ではございますが、ただいま日仏友好議員連盟フランス国民議会議員ニコラ・フォリシェ君、ジャン・クロード・ルノワール君、ジェラール・ヴォワザン君が当委員会の傍聴にお見えになっておりますので、御紹介申し上げます。
    〔拍手〕
    ―――――――――――――
保利委員長 大島農林水産大臣。
大島国務大臣 調査をいたしました。
 私の記憶にあったのは、平成八年か九年ごろからお邪魔したと思います。それは、平成十年の参議院選挙がございまして、先ほど申し上げましたように、多くの我が同志の応援をしてもらいたいという思いもあって行ったような記憶がございますし、調べました。
 確かなところは、まず、平成十一年の一月、平成十二年の二月と九月、十三年については七月というスケジュールがきっちりありましたし、そのことについて適切に処理したかと確認しましたところ、大変申しわけないということで、改めて、二十万の報告を受けておりましたので、その二十万の届け出をさせていただきました。その二十万については、スタッフの交通費、宿泊費等に使ったとの報告でございましたが、そのまま修正をさせていただきました。
 それ以前につきましては、総務省に相談したら、残念ながらそれは修正はできないということでございますので、返却をしなさいと。もう一度宮内に確認して、何年から幾らだったのか、そういうことを踏まえてそのように処置しなさいということで、その処理については言っておきましたけれども、そういうことで申しわけなく思っております。
筒井委員 そうすると、一部は政治資金規正法上の届け出義務違反があった、一部じゃない、全部そうなんですね。そして、一部は修正の届け出をした。一部はだれに返却したんですか。その中身を具体的に言ってください。
大島国務大臣 今、平成八年、九年のあたりの記憶が、まだしっかりきちっと調べなきゃなりませんので、そういうものについて調べて、そしてそういうものを宮城の会に返却するように命じておきました。
筒井委員 それから、今、この宮部さんですが、宮部さんと大島大臣との関係はどういう関係でしょうか。
大島国務大臣 今どうでしょうかといっても、今は連絡は何もございませんが、ただ、これも、先生でしたかどなたでしたか、お尋ねがございましたので、宮内前秘書官から、宮城の会の事務局長的立場、事務局長ということでお世話をしてくれている人ですということで、当然その宮城の会の総会、懇親会のときはお会いをしておりますし、私の東京で行うパーティー等においても、おいでをいただき、ごあいさつをする、そういう関係でございました。
筒井委員 その宮部さんの方にA氏から百万円が振り込まれている事実はお聞きになっておりますか。
大島国務大臣 私に、今まで、その質問があり資料があるまで、それを知るすべもございませんし、それはお二人の関係の中でのことだと思って、今までは知りませんでした。
筒井委員 先ほど、政治資金規正法上の届け出義務違反があったことは認められて、修正の届け出ができるものは修正する、それ以外は返す、この中身は後で具体的にしていただきたいんですが、贈与税の脱税も認められておりますね。宮内さんの贈与税の脱税、これはどう処理されるんですか。
大島国務大臣 家の原資で、私がそこが一番問題だということでもう予算委員長を通じてお示しをした中に、そういう説明がございました。
 私は、これは相続税を払ったのかと。そうしたら、大変申しわけありませんということでございましたが、なお、税務署へ行って相談しなさいと厳しく申し上げましたところ、税務署と相談をして、何とか支払う方法での手続に入っている、このように報告がございました。
筒井委員 その点の責任もあると思いますが、もう一点だけ確認しておきますが、大臣自身が、原資不明金六百九十万のうち、これは六百九十万はわからない、その後、三百六十万円については本会議で何か言っているようですが、この原資不明金六百九十万が不明金である理由として、みずほ銀行に聞いたところが、平成八年以前の資料はもう存在しておりません、こういう答えだったというふうに答弁されておりますが、これは事実に反しますね。
大島国務大臣 当時、私が彼に問いただしたところ、宮内夫人がみずほ銀行祖師谷支店に電話で問い合わせたところ、女子行員が平成八年以前の資料は残っておりませんとの回答があったとの報告でしたので、そういうことを私はお答えをさせていただきました。
 そして、それでもなお六百九十万について君がきちっと説明することが今大事なことだと言って、奥様が必死になった結果、資料を提出いたしたところでございます。
筒井委員 その事実自体がうそなんですが、それはまた午後聞きます。
 終わります。
保利委員長 次に、東祥三君。
東(祥)委員 総理大臣、おはようございます。各大臣も、御苦労さまでございます。自由党の東祥三でございます。
 先ほど、今委員会のメンバーに対して総理大臣は、対案があるのか、こういう御指摘がありました。自由党は、できるだけ議論するに当たって対案を用意させていただいております。前国会においても、いわゆる基本法なるものも八本出させていただいておりまして、個別関連においても、前国会、昨年そしてまたことし、合わせると十六本以上の法案を提出させていただいております。
 この特殊法人等についても、原則廃止もしくは民営化することを目的とした、特殊法人等及び独立行政法人の整理等に関する法律案を先国会において提出させていただいております。
 先国会においては、この特殊法人等改革に関する特別委員会がなかったため内閣委員会に付託されましたけれども、議論されないまま今国会を迎えるに当たり、今国会において本委員会が設置されましたので、今回、自由党案を内閣委員会から本委員会に付託がえするよう求めさせていただきましたけれども、理由がよくわからないまま、与党の反対により認められませんでした。その結果、先週末、内閣委員会におきまして自由党案の審議がされることになり、趣旨説明が行われたということを、まず総理大臣並びに各大臣に御報告させていただきたいというふうに思います。
 本来の趣旨から考えますと、先ほど総理からお話がありましたとおり、自由党として対案を出させていただいておりますので、本特別委員会で審議することが当然であると考えますけれども、残念ながらそうはならなかった。このことは、国会運営の問題であり、総理並びに国務大臣の管轄ではありませんけれども、総理大臣は自民党の総裁でもございます。総裁としての総理並びに特殊法人改革等の直接の担当責任者であります石原国務大臣に、政府提出法案とその対案である我々の提出した法案が別々の場所で議論されてしまうという、これは国会の運営全体を見ても、また国会審議の活性化という点から見たとしても、極めて不自然でならないと私は率直に思うわけでありますが、まず、この点について、総理大臣並びに国務大臣の御意見を聞かさせていただきたいというふうに思います。
石原国務大臣 この問題につきましては、ただいま委員が御意見として御開陳されましたように、政府としてコメントをするのは差し控えさせていただきたいと思います。
東(祥)委員 何といいますか、木で鼻をくくったような御意見で。
 先ほど、総理大臣みずからが、議論するとき、対案を用意してやろうじゃないかと。そのとおりやらさせてもらっているわけでありますが、余りにもそっけない。まさに今の国会のありようそのものが露呈されてしまっているんじゃないか。
 総理大臣、何かつけ加えることはありませんか。――国務大臣じゃない。私はちゃんと議長の指定に基づいてやらさせていただいているんですから。
 総理大臣、御意見。
小泉内閣総理大臣 法案の取り扱いですから、これは国会で、どの委員会で審議するかということについては、政府として、国会の判断にお任せしたいと思っております。
東(祥)委員 さて、総理大臣、戦後、数多くの特殊法人が設立された。その目的は何だったかといえば、結局、民間の活動を補充するために設立されてきたというところに第一義があるんだろうと思います。その意味で、私は、特殊法人等が果たしてきた今日までの役割というものを否定するものではありません。しかし、民間経済が発達してきた今日、特殊法人等が果たしてきた役割よりも、特殊法人等が民業を圧迫していることや、あるいはまた事業が非効率であること、あるいはまた官僚の天下り先となって政官業癒着の温床となっている、こういうことなどの弊害が多くなって、今日、特殊法人等そのものの存在が本当に必要なのかどうなのか、これが問われるようになったのではないかというふうに思うわけであります。
 しかしながら、平成十三年度、昨年度でありますが、十二月十八日、特殊法人等整理合理化計画で、百六十三の特殊法人及び認可法人のうち、乱暴な言い方をすれば、わずか十七法人のみが廃止され、そしてまた四十五法人が民営化、つまり、百六十三のうち、六十二だけが廃止あるいは民営化され、その他は何らかの形で存続することになっているわけであります。私は、ここに、政府提案の特殊法人等改革法案というのが、特殊法人等統合、あるいはまた、独立行政法人化してその実態を残そうとしているにすぎないという本音が浮き上がってきているのではないか、このように思うわけであります。小泉総理は、口を開けば、声だけ大きくて、とにかくやるべきことをやっていくんだというふうに言っているんですが、結果は惨たんたるものだと断ぜざるを得ないのであります。
 私は、政治家になって、総理から比べるならばまだぺいぺいかもわかりません。しかし、政治というのは結果そのものなんだろうと思うわけであります。特殊法人等改革だと大合唱して、百六十三のうち三分の一は何らかの形で残す必要があり、あとは全廃及び民営化ということならば、その大合唱の意味を何とか酌めと言われれば、うん、そうかもしれないなというふうになるわけでありますが、ふたをあけてみれば、それとは全く逆でありまして、各法人は名前を変え、あるいはまた役員の数や給与も、世間の目をそらすために余りにもひどかった状況を若干手直しするという、体裁だけを整えているとしか私には映らないのであります。
 これをどういうふうに説明されるのか、どのように思われるのか、まず総理大臣、そしてまたその後に石原国務大臣に、御所見をお伺いしたいと思います。
小泉内閣総理大臣 自由党の、趣旨は私は理解できます。
 しかし、自由党の提案が、三年以内に全部特殊法人を民営化か廃止しろという提案であります。しかし、実際、個々の法人を調べて、そんなことできるのか。例えて言えば、ゲノムなんかの研究をしている理化学研究所、これは民間で本当にできるのか。廃止して、ではどこがやるのか。あるいは、文化交流なんかやっている国際交流基金、これを本当に廃止しちゃって、どこがやるのか。あるいは、医療とか福祉等の事業団、これを今廃止しちゃって、民間でできるのか。できない部分も随分あるんじゃないか。政府がやらなくていいのか。そういう法人もあるんですよ。
 だから、我々としては、民営化できることは民営化しましょう、廃止できることは廃止しましょう、特殊法人のいわゆる経営責任がはっきりしていない、あるいは事業を見直ししなきゃいかぬというところはもっと独立性を生かしたような独立行政法人にして、これは永遠じゃない、社会経済情勢の変化に応じて独立行政法人も見直していきましょうという案を今出しているんです。
 それは、具体的提案を出しているけれども、全部を廃止、民営化しろという、これが果たして具体的提案と言えるかどうか、そういう問題もあるでしょう。そういうことを考えれば、我々としては、現時点で民営化できるもの、廃止できるもの、そして特殊法人として問題のあるものはもっと自主性を発揮しようという趣旨で独立行政法人にして、これも永遠に独立行政法人じゃないんです、見直していこうという法案でありますので、そういう点については、個々の法人を見れば、どうしても民営化は無理だ、廃止は無理だというのもあるのです。
 私が言っているのは、民間にできることは民間に、廃止できるものは廃止と言っているんですから、できないものはほかのことを考えなければいけないでしょう。政府としての役割を放棄することはできない。その点もよく考えて、これから見直していこうじゃないかということであります。
石原国務大臣 冒頭、木で鼻をくくったような御答弁と言われたんですが、実は、委員がその問題は院で決める問題だともう御自分で言われたので、質問時間を侵すことになると思いましたので、簡潔に答弁をさせていただいたということを謝らせていただきたいと思います。
 そして、総理が御答弁されましたように、御党提出の法律案を私も拝見させていただきましたが、三年以内に独法も含めて廃止すると。政府案は、事務事業の見直し、あるいは、委員御指摘のように特殊法人の設立意義はやはりあったわけでありますから、それを引き続いて担っていく法人をつくるという部分についても実は言及をさせていただいております。
 廃止の数が少ないじゃないかということでございますけれども、特殊法人は、言うまでもなく一本一本が設立法によってその論拠が求められているところでございますので、独法化するに当たりましても、法人の解散を法律案では明言させていただき、廃止、独立行政法人化が四十二法人、民営化等が七法人という四十六本の関連法案を今回提出させていただいたわけでございます。
 そして、国の関与の必要性が高い事業を行うものについて独法化する。独法というものは、特殊法人の弊害、すなわち、廃止するといっても法律を廃止しない限り廃止にならないので、事業を自分たちでどんどん増殖させていって、しかも天下りの温床になっているといったような、そういう弊害を除去するための仕組み、同僚の山名委員の議論の中でございましたような評価と情報の公開、こういうものによって委員の御懸念を払拭するように仕組ませていただきましたので、第二の特殊法人という御批判は当たらないのではないかと考えているところでございます。
東(祥)委員 総理大臣、総理大臣が言われていることは、一見もっとものようなイメージを与えると思います。ただ、基本的に、総理が考えていることと私が思っていることには大きなギャップがございます。私たちが申し上げているいわゆるサンセット方式は、いわゆる特殊法人あるいはまた国民の税金を使った法人なるもの、それがある年月を経てそれなりの役割を終わってしまった、そのときにどうするのか、そういう考え方であります。
 ここに数々の、官僚の皆さん方が頑張ってくださったいろいろな結果報告あるいはまた検証報告、そういうものがあります。総務省の官僚の皆さん方が頑張って、廃止すべきことができるかどうなのか、すべての各法人についての記載がなされている問題であります。
 私たちが申し上げているのは、三年の間にできるだけ廃止の方向に持っていく、その間、総理大臣が言われるとおり、これは果たして残すべきものなのか残さないでいいものなのか、その検討というのは当然必要になってまいります。しかし、結果として残す必要があるとするならば、それは国として扱わなければならない。国としてその役割を担っていかなくちゃいけないということであるならば、別に独立行政法人をつくらなくても、国がちゃんとして、それを管轄していきますよということを明確にしていけばいいではありませんか。
 先ほど来議論が出ているとおり、独立行政法人なるものを一九九九年の段階でつくって、現実にデータとして出ているとおり、また調査してみれば、役員の総数が特殊法人等と比較して増加したとか、あるいはまた幹部が九割余り天下りとの報道もあります。それが真意であるとするならば、まさに官僚によってつくられ、そして官僚が自分自身の、保身と言ってよろしいんでしょうか、すべての人間は保身を持っているわけですから、それを全面的に私は否定しません。しかし、小泉総理が言っている、政治主導のもとに行われている特殊法人改革とは別の方向に行ってしまっているんじゃないのか。
 そのことに対しての国民の非難が強くなってきたときに、改めて独立行政法人の中身をさらに審議していかなくちゃいけない。特別監査制度をつくりましたよ、あるいはまた、先ほど総務大臣がお話ありましたとおり、各省庁のもとに評価委員会をつくりましたよ、そこで検討していってもらう。すべて問題の先送りではありませんか。
 私が申し上げているのは、世界各国にいろいろな法人改革というものがございます。そのときに、官僚を入れて、官僚によって結論を出してしまえばうまくいかなくなるということは、古今東西の歴史を通してわかっていることですよ。石原国務大臣がその専門大臣としてちゃんと責任を与えられたとするならば、政治家同士がちゃんと決断をしてこうするんだということを決めない限り、それはできるものではないのではないか。総理大臣が言っていることと私が言っていること、一見して似ているように見えても本質的な考え方が違う。別の言葉で言えば、ビジョンといいますか、いわゆる民営化に持っていく、あるいはまた国家が担わなくちゃいけない、その問題をびしっと国民の前に説明すべきことなのではないかということを申し上げているわけであります。
 別の言葉で言えば、小泉総理が考えている特殊法人等の改革におけるビジョンとは一体何なのか。政治家がそれを示さない限り、官僚は各省庁と議論して、この幹部は多過ぎるね、いや、この幹部を半分にすればこれは大変なことになってしまう、腰だめで、それぞれ皆さん、みんな知っている人たちなわけですから、そんな改革をしていて本当に小泉さんが言っている改革なんてできるんですか。
 そういう意味で私たちは、先国会において、先ほど申し上げましたいわゆるサンセット方式、まず廃止するんだ、あるいはまた、まず民営化に持っていくんだ、その間、すぐにはできないだろうから三年間の暫定措置をつくりましょう、その上で、国が扱うべきもの、それは国がちゃんとやっていけばいい、独立行政法人なる何かわからないものをつくるという必要はないんじゃないかという、一つの基本的な考え方を示させていただいているわけであります。いかがでありますか。
小泉内閣総理大臣 いや、これは先ほど言ったように、趣旨はわかる。三年以内に全部民営化しろ、廃止しろと。どうやって民営化するかというのは、組織によって違うでしょう。今やっている道路公団の民営化。民営化しなさい。三年以内にどうやって民営化を、具体論が出てこなければしようがない。だから今、法案も、具体論を考えるのに第三者委員会も、さきの国会で通過をさせて、議論して年内に結論を出す。
 この民営化の問題についても、民営化するためには法案が必要です。あるいは住宅金融公庫もそうです。石油公団の廃止もそうです。廃止しろ廃止しろ、民営化しろ民営化しろ。どうやって民営化するか、廃止するかという具体案がないとできないんです。それは法律ですよ。今言ったように、何が何だかわからないと言いますけれども、独立行政法人だって、これは今後、民営化になじまない事業はどういう事業かということを見直すんですから。
 政治と行政、私は、これは敵対するものじゃないと。政治の主導性というのはあります。政治が方針を出す。行政、役所、役人はそれを執行する。別に敵対視するというんじゃないんですよ。一番わかっている役所、国民の公僕、公務員、これは敵視するものじゃない。やはり政治の主導性のもとに、しっかりと、その方針に乗って執行してもらう大事な役割を行政も持っているんです。ただ敵対すればいいというものじゃない。その辺をよく考えて、政治が、国民の公僕たる公務員に、その方針に従ってどう意欲を持って働いてもらうかということも大事なんです。
 この独立行政法人にしても、これは永遠に独立行政法人というんじゃない。中期的目標、これは常に見直さなきゃいかぬ。組織、業務の定期的な見直し、ちゃんと趣旨は入っているんです。そして、業績主義に基づく人事管理、財務運営の弾力化、さらに情報の公開、企業会計原則の導入、しっかりと入っているんですよ。
 そういうことを含めて、ただ廃止、民営化、三年間と言って、どうやって民営化するのか、どうやって廃止するかという具体論がなしに、それは単なるスローガンと同じじゃないですか。むしろ具体論を出しているのは小泉内閣だ。スローガンに終わっていないという一つの証拠が、この法案審議になっているんじゃないですか。
東(祥)委員 総理大臣、例えば道路公団ということを考えてみたいと思うんですが、各地域ごとにまたがる道路というものは、それぞれの管轄地域だけでは扱うことができない。道路というものは、ある意味で、国道なりあるいはまた県道なり、それはまた検討しなければならない部分というのは出てくるかわかりませんけれども、基本的には、国家が扱わなければできない問題じゃないですか。つまり、そういうことは国家がやるんだという一つのコンセプトなり基本的な考え方を持たない限り、決めることはできないでしょうということを私は申し上げているわけです。
 高速道路において一番多くのユーザーが心配していることは、道路公団が民営化であろうがどうであろうがということじゃありませんよ。最大に心配していることは、心配というか不便なことは、何で本線にあれだけ料金所があるかということですよ。首都高速に乗って、そして高速道路に入ろうとするときに、自分は例えば東京から乗って名古屋でおりたい、どうして幾つもの料金所を通過しなくちゃいけないんですか。おかしいじゃありませんか。コンピューター化時代にあって、首都高から今度高速道路に乗りかえるときに、何で料金所を経過しなくちゃいけないのか、こういう素朴な疑問を国民の皆さん方というのは持っているんですよ。
 そういう問題が国民にとって重要なことであり、道路そのものの建設なり、本当にそれが国家的に必要だとするならば、それは、民営化なりあるいはまた別の形での法人ではなくて、国家それ自体が真正面からとらえていけばいいじゃないか、そのことが私が言っている哲学じゃないのかというふうに言っているんですよ。そのことは、小泉総理は何にも説明することがない。何か評判になることがあるとするならば、それをただ単にスローガンのごとく言っているのは小泉さんじゃないのか。もっと私は具体的に聞きたいというふうに思います。
 政府が提出している独立行政法人、そのもとで、先ほど総務大臣が言われました、評価委員会ができるんだと。評価委員会というのはだれによって選ばれるんですか。これは同意人事ですか。だれが選ぶんですか。そしてまた、各省庁のもとにこの評価委員会ができて各法人ごとの評価をしていく。そこには官僚は介在しないんですか、どうなんですか。まず、その点についてお答えください。
小泉内閣総理大臣 最初の、道路公団の問題を言いましたけれども、今問題があるから私は組織の形態を見直そうと言っているんでしょう。今御指摘された、何で料金徴収所がたくさんあるんだと。現状は問題がある、だから民営化できるところは民営化しなさい、組織形態の見直しをやっているんですよ。今のが現状問題がなかったら、何にも、そのままでいいですよ。
 税金のむだ遣い、だれも負担しない、地方も負担しない、料金徴収所、このままいったら将来だれが負担するのか。みんな、道路つくれ道路つくれと言って、あとの問題は税金で負担してくれと。こんな税金のむだ遣いはないだろうということから、今の道路公団の問題はそのままでよくないと思っているから、民営化できるところは民営化しろ、民営化できた形態だったらもっと採算性も考えるだろうと。民営化でできる道路というのはどの部分なのか。しかし、民営化でできない部分の道路、だったら、だれが負担するのか。そういう問題があるからこそ、今、民営化の議論をしているんでしょう。
 総論がない、哲学がないと。とんでもない。現状維持ではだめだから組織の形態見直しをやっているんですよ。あなたの批判は全く当たらない。
 そういう面においても、私は、後の、どういう行政評価でやるのか、総務大臣に答えていただきますけれども、現状に問題があるからこそ見直ししているんでしょう。その辺を理解してもらわなきゃ困る。
保利委員長 東祥三君、時間が来ています。
東(祥)委員 今の、極めて厳しい口調で私に対して申されているので、私も厳しい主張で言わさせていただいておりますが、総理大臣、私が申し上げているのは、例えば道路公団という形式そのものも鋭く問われなければならない問題であると思います。しかし、私が申し上げているのは、道路そのもの、これに対して国家がどのように関与していくのかということも、当然、総理大臣の頭としてなければならないんじゃないですかということを言っているんですよ。そして、今総理大臣が言っている道路公団を民営化させていく、時間がかかるんではありませんか。
 同じように私たちは、まず基本的な考え方として、特殊法人等に関しては、まず日本銀行以外に関しては基本的に廃止であり、民営化の方向に持っていくんだという哲学のもとに見直し作業をしていくわけであります。やり方が違うんですよ。さらにまた、前提になっている基本的な考え方が違うということだけ申し上げて、時間が来ましたので、これでやめさせていただきたいと思います。
 ありがとうございます。
保利委員長 次に、春名直章君。
春名委員 日本共産党の春名直章でございます。
 今、国民が特殊法人改革にどういうことを期待しているんだろうか。私は、第一に、むだな部門を思い切って削減する、このことだと思います。本来企業や業界の責任と負担で行うような、そういう事業を肩がわりしたり、あるいは企業への補助金ばらまき機関、ないしは公共事業の浪費を進める部門、そういう部門はきっぱり廃止縮小する、これが大事だと思うんですね。第二は、特殊法人が所管官庁の高級官僚の最大の天下り先になっている、これを改めて、政官業の癒着、利権構造をしっかり断つ、これが二番目です。第三に、国民生活にとって必要な事業は、内容を改革して、むしろ公的部門として一層充実改善する、こういうことも大事なわけですね。私は、こういう三点を国民は望んでいると思いますし、私たち自身も積極的な改革の提案をしまして、国民的な呼びかけをしております。
 今度この委員会に出されている四十六本の法案なんですが、特殊法人を大体独立行政法人へ衣がえするということになっていまして、肝心のこうした中身の改革が見えてこない、このことをまず指摘をしておきたいと思うんですね。
 第一に、まず総理にお聞きしたいんですが、むだと浪費の事業、この部門をきっぱり廃止するという問題についてなんですが、具体的な個別の話をしないとよくわかりませんので、一つの例をまず挙げてみたいと思うんですが、石油公団の問題なんです。一兆円以上の不良債権を持っているということが明らかになって、小泉内閣が特殊法人改革の第一弾として廃止を打ち出されました。総理、これは本当に石油公団、廃止したんですか。
小泉内閣総理大臣 総論については、各党各委員、似たり寄ったりということだと思います。
 今、各論に入って、石油公団の問題が出ました。これも、税金のむだ遣いもあるんじゃないか、国としてやらなくてもいい部分があるんじゃないか、あるいは国としても、どうしてもやらない部分はどういう部分だということを点検して、石油公団の廃止を決めた。そういう中で、今後、一挙にできるわけではありませんので、国としてやる事業はどういうものか、民間に任せるものはどういうものかということで、今、平沼大臣のところでその法案を主管して、廃止という線でやっているわけであります。
春名委員 確かに、石油公団という組織自身は廃止をするということを決めたわけですね。ただ、一番批判が大きかった問題は何かといいますと、成功払い制度といいまして、なぜ一兆円もの負債が出てきたかといえば、発掘に成功しなければ融資したお金は返済しなくてもよい、こういう制度をつくって、二百九十三の石油開発会社、そこにどんどん融資をする、こういう仕掛け、成功払い制度、これに一番、何でそんなむだ遣いするんだという批判があったわけですね。
 石油公団という組織はなくなったけれども、新たに事業として独立行政法人がそれを引き継ぐことになった。結局、よく調べてみますと、石油会社による銀行からの借入金に対して債務保証を行うという制度がそのまま残っているわけですね。国民の税金を使って、石油の費用、石油会社を支援していくという仕組みが温存されている。これはどう見ても、国民の批判に本当にこたえたものなのか、疑問に思わざるを得ないけれども、これはどう考えますか。
平沼国務大臣 御承知のように、さきの通常国会におきまして、石油公団と、そして金属鉱業事業団というものを廃止いたしました。そして、平成十五年度を目途に、新たに、石油天然ガスそして金属鉱業機構、こういうものをつくることに相なりました。
 御指摘の石油というのは、国家のエネルギーの安全というのをいかに確保するか、これが非常に大切なことでございまして、しかし、今御指摘のようなこともございましたので、支援対象プロジェクトというものは厳選をしまして、支援比率も五割以下にする、こういうことであります。
 しかし、現実の問題として、日本は一次エネルギーの五二%は石油でございます。そして、そのうち八八%は中東に依存しなければならない、こういうことを考えると、やはり非常に、このエネルギーの大宗を占めている石油というものを安定的に自主的に開発していく、こういう面ではしっかりやっていかなければなりません。しかし、どうしてもそういう面もあるわけでございまして、私どもとしては、むだを省き、効率をしっかりと担保しながら国のエネルギー安全対策上やる、そういう措置も必要であるという形で、ここは厳としてやっていかなければいかぬ、こういうふうに思っています。
春名委員 要するに、国民が一番怒っているのは、成功払い制度で、発掘しなかったら全部それはいいですよという仕掛けをつくって一兆数千億円の負債ができたわけですね。エネルギー政策は大事です。しかし同時に、そういうやり方をそのまま、中身としては形を変えて引き継いでやっているということが大きな問題ではないかということを私は指摘をしているわけですね。
 第二番目に、もう一つ総理にお聞きしたいんですが、政策投資銀行というのがございますね。この政策投資銀行といいますのは、コンビナートの建設などの大企業のための産業基盤整備に長期低利の融資を行うということを中心にしてきました。大破綻した苫小牧東部開発、それからむつ小川原開発、大赤字の東京湾横断道路、アクアライン等々、採算の見込みのない事業に大変大きな、巨額の資金が投入されてきた。いずれも国民と自治体に重い負担を背負わせるものになっている。
 総理、なぜこのような部門、このような法人、これこそ私は見直す、廃止縮小するということが問われているんじゃないかと思うんですが、この点はどうですか。
小泉内閣総理大臣 だからこそ見直すと言っているんです。見直すと反対論が多いですね、必要だ必要だと。しかし、私ははっきり見直すと言っています。現時点で必要なことと中長期的に見て見直すべきこと、現時点では必要であっても中長期的に見て見直すんだったら、どの程度時間をかけて見直すか。
 政策投資銀行も例外ではありません。いかに税金のむだ遣いをなくすかというのが特殊法人改革ですから。税金で負担すれば国民の負担がないと思っている人は多い。道路一つとってもそうです。政策投資銀行でも、長期、低利、借りる方にとってみれば楽でしょう。では、一体だれが負担するのか。それをなくすというのが、むだ遣いをなくすというのが特殊法人改革なんです。しかし、一挙になくせないから、見直すと言っているんです。
春名委員 整理合理化計画の中には廃止するという選択肢はないんですよ。廃止するんですか。そういうことを考えているんですか。
塩川国務大臣 政策投資銀行につきまして、先ほどおっしゃいました苫東それからむつ小川原、これは北東公庫の貸し付けだったんですね。そこで、北東公庫が経営的にその使命を終わった、そして開発の見込みを他にゆだねていくということをいたしましたので、その債務を引き継いで、政策投資銀行で債務引き継ぎ、それでその整理に現在かかっておるところでございまして、それは整理合理化の一環として行ったものであるということであります。
春名委員 今出た苫東は九九年に破綻しまして、ところが政府は何とかこの事業を引き継がなきゃいけないということで、それこそ政策投資銀行から五四%の出資をさせて新会社を設立して無理やり事業を継続させたけれども、全く展望がない、今でもそういう事態になっているということですから、今、廃止の選択肢があるのかということを聞いたんですが、実際にはこの整理合理化計画の中ではそういう選択肢が示されているわけではないんですね。しかも、こういうむだな融資はなくなるという仕掛けは、私が見た限りは全然ないですよ。こういう問題になっているじゃないですか。
 それから、総理、水資源公団ですけれども、独立行政法人に今度衣がえいたします。水の管理、安定供給は大事ですが、それはともかくとしておいて、むだと環境破壊、大きな県民の批判がある例えば岐阜の徳山ダムとか栃木県の思川開発とか、こういう十三の事業を完成させる仕事はそのまま引き継ぐ、こうなっているじゃないですか。
 さらに、一期工事でさえ採算のめどが立っていない関西空港の株式会社、これは特殊法人ですが、一兆五千六百億円という浪費になりかねない二次工事がそのまま継続される、こういうことにもなっているじゃないですか。
 ですから、率直に言いますけれども、むだを削られる、私はその総論は大賛成であります。当然です。しかし、一つ一つのその姿を見ていけば、実際になぜここに手がつかないんだろうか、なぜこの部門が縮小されないんだろうか、だれが見てもむだ遣いだと思われる部分が独立行政法人に変わったり、そういう形で残っている。ここにメスを入れるのが本当の特殊法人改革だということを、私は改めてきょう指摘しておきたいと思いますし、今後の議論で詰めていきたいということであります。
 問題は天下り禁止をどうするかということなんですが、総理、天下りの禁止についてはこの特殊法人改革でメスが入るんでしょうか。
小泉内閣総理大臣 天下り、これをいかにやめていこうかという趣旨も、今回の特殊法人見直しの中に当然入っております。
 今回の問題におきまして、今塩川大臣から話がありましたように、北海道東北開発公庫が廃止になった。税金のむだ遣いと言いますけれども、一部の地域においては、民間がやってくれないところを国がやれという声が依然として強いわけです。地域の開発にとってもそうです。そういう点、今の特殊法人というのは、結局、民間はできないところ、廃止できないから財政出動してくれ、税金で面倒見てくれというのがどんどん広がるから肥大化してきたわけでしょう。採算と効率性を考えなきゃいかぬ。各論の反対の強いところはそこなんです。
 そういう中で、今、小泉内閣としては、一々各論を取り上げて、各法人を取り上げて、ほっておけばみんな、税金負担してくれ、税金負担してくれという意見が皆さんの、代議士のところに陳情に来るでしょう。廃止してくれというところになると、これは必ず存続してくれという声が出てくる。そういうことになると問題がある。
 天下りにしてもそうです。今言った各役所関係の法人というのは、全部、その特殊法人に対して役所からの人が出向なり天下りしている。この問題をどうやって直すかというのも今回の特殊法人の主眼の一つである、それを今進めているということを御理解いただきたい。
春名委員 ですから、その天下りの問題を今度の改革の中で何をどうされようとしているんですか。
石原国務大臣 ただいま総理から御答弁されましたように、今回の特殊法人改革の中で、この天下りの問題については取り組ませていただいております。
 先日、さわやか福祉財団の堀田力理事長、元法務省の官房長をやられた方からも私お話を聞かせていただいたんです。九〇年当時に官房長であったそうでございますけれども、今は違うかもしれないけれども官房長の仕事がOBの再就職のあっせんだ、これに頭を大変痛めた経験がある。すなわち、総理も申されたように、各府省のOB対策の一環として天下りがなされるようなことがやはりあってはならないわけであります。
 公務員の再就職については、国民の皆様方の厳しい批判というものがあるわけでございますので、昨年閣議決定いたしました特殊法人等整理合理化計画及び公務員制度改革の中でも、役職員の退職金の大幅削減あるいは給与の削減、内閣が、役員の人事及び処遇のあり方について透明的で客観的なルールを公表しますとともに、各府省に対する監視体制を強化する、あるいは、法人の子会社等への再就職を含め情報を徹底的に公開するなどの措置をとっておりますし、具体的にはもう既に、役員の給与が一割削減、退職金が三割削減、四月から実施をしております。
春名委員 退職金の話はいいんですよ。天下り、特殊法人が最大の天下り先になっているわけですね。そしてそこが、子会社にまたその役員が行って、そこに仕事を全部回して利益を得る、そこからまた献金が来る、こういう仕掛けがあるわけですよね、これを変えなきゃどうにもならない。退職金の一割削減というのは知っていますよ。それで全部なくなるんですかと聞いているんですよ。なくならないですよ。
 昨年四月から五十七の国立機関が実際独立行政法人に移行していますけれども、その実態、どうなっているか御存じでしょう。
 朝日新聞の四月十四日の調査でも、独立行政法人の役員数は、発足前の幹部相当職員数に比べて八〇%以上、七十六ポストもふえている。そのうち、横滑りした幹部と所管の省庁からの天下りが九〇%を占めている。中には、一たん公益法人の役員に天下っていた省庁の官僚が、もともと天下り前にいた部署が独立行政法人になって国と切り離されたことを機会に出戻りして役員に座っている、そういう例すらあると。
 ですから、特殊法人を独立行政法人に変えるからといって天下りがなくなるわけじゃないんですね。これはもうはっきりしていることなんです。ですから、具体的に禁止しなきゃだめなんですね、具体的に。
 具体的にお聞きしますけれども、典型的な事例は道路四公団です。総理は今、民営化の議論を盛んにされているわけですが、その議論によって、実際天下りや利権構造、この道路四公団はなくなっていくんでしょうか。
小泉内閣総理大臣 道路公団の問題につきましては、今、第三者機関で議論をしております。私は、その第三者機関の結論を尊重してこれから法案づくりに取りかかるということであります。
 要は、税金をいかにむだ遣いしないかというのが特殊法人改革の主眼の一つであります。私は、特殊法人が廃止になり民営化になった場合は、それはもう政府の関与するところはないんですから、その民営化した会社が、廃止された問題は問題ですけれども、民営化された会社がどうやって運営をするかということは民営化会社に任せればいい。もう天下りの余地、なくなるじゃないですか。だからこそ、民営化できるものは民営化にしなさい、廃止できるものは廃止しなさいと言っているんです。
 今回も、残されたものについても、もう役所が、この特殊法人というのは、そのまま役所のOBが天下り機関としていくというものはそうないからということで指示しているわけですから、私は、その趣旨に沿って今、改革が進められるというふうに御理解いただきたいと思います。
春名委員 民営化すれば、今構造的になっている天下りがなくなるということとは別問題なんですね。
 もう総理なんかはよく御存じだと思いますが、これは、国土交通省の幹部が道路公団へいかに指定席で天下っているかというのをちょっとつくってきたんですけれども、歴代事務次官、全部、道路公団副総裁にきちっと天下りしているんですね、指定席。道路局長、本四公団の理事あるいは日本道路公団の理事、ここにきちっと天下りしているんですね。指定席になっているんですね。こういう問題。
 あるいは、この道路公団の下に、子会社、ファミリー企業がたくさんありますね。大体七百社を超えて、公団からの天下りは二千五百人という規模に及んでいる。そして、それらの企業が道路関係の仕事をほぼ独占するということになっているわけですね。
 先日、九月の二十日ですか、道路公団の民営化委員会で公表された資料を見ましたら、二〇〇一年度ですが、日本道路公団からの調査測量業務を受注した七十六社のうちで、OBを受け入れた人数が一人の企業への受注額は四億二千万、二人を受け入れた企業へは五億六千万、三人を受け入れた企業へは六億九千万、四人を受け入れた企業には九億九千万、五人を受け入れた企業は十二億五千万、見事に比例して、OBを受け入れた人数に合わせて子会社への受注額がずっとふえていっている、こんな事態になっているんですよね。
 重要なのは、この七十六社というのは、全部、今、現時点、民間企業なんですよね。ですから、民営化をすれば天下りという構造がなくなって利権構造がなくなるなんて、全然そうじゃないんですよ。一番大事なことは、天下りそのものを重大な問題として政治がきちっと規制することじゃないでしょうか。その手だてが私は見えないんですね。
 公務員や特殊法人役員に対して、関連企業への例えば就職禁止。私たちは、就職前五年間在職していた国の機関や特殊法人と関係や契約関係があったり、密接な関係があるそういう営利企業、業者団体の一定の職につくことはできないようにするとか、あるいは、特殊法人役職員に占める国の行政機関出身者の比率を制限するとか、当然、渡り鳥を禁止するとか、そういう実効ある天下り禁止を法律にもして踏み出していくということが特殊法人改革じゃないんですか。なぜこれをやらないんでしょう。どうぞ。
小泉内閣総理大臣 今指摘されたような問題があるから、私は民営化なり廃止しろと言っているんでしょう。
 道路公団も、道路公団本体が、税金を投入する、債務は税金で面倒を見る。しかし、それに関連する民間会社は黒字だと。道路公団を民営化しない限りこの構図はずっと続くから、私は民営化が必要だと言っているんでしょう。その点をよく考えてくださいよ。私は、いかに税金投入しないで済むかということを、本体が道路公団なんだ。関連の民間会社は黒字で、道路公団は赤字で、税金を使って、あとはそれを吸い上げるという構図をなくしたいからやっているんでしょう。
 私は、道路をつくってくれ、つくってくれという声はわかりますよ。しかし、結局のところ、税金でつくれという声じゃないですか。それをやめさせようというのが今度の民営化論議でしょう。私は、そういう問題があるからこそ、特殊法人、財政投融資制度、郵政民営化、これは全部つながっているんです。それを一体としてとらえて、各論に踏み込んだのが、今やっているんじゃないですか。
 一部だけとらえて、これは民営化するからしようがない。本体を民営化する、こうなれば、民営化した後は税金投入しないということになれば、それは、民営化会社は独自の判断でだれを使おうがいいですよ。その辺をよく考えてください。
春名委員 その勢いで天下りを禁止しようと言っていますが、私もそうだと思いますよ。民営化をすればひとりでに天下りがなくなるわけではないということを私は先ほどから証明しているんですよ。
 それから、総理、一言言っておきますが、一層天下りを緩めようとしているんですよ、あなた方は。
 公務員制度改革大綱、何て書いていますか。民間企業への天下りについて、人事院という第三者機関が事前にチェックする制度を廃止して、事もあろうに、政治的利害関係が強い所管大臣の一存で天下りが認められるような方向に変えようとしているじゃないですか。公務員制度改革大綱はそうなっているじゃないですか。だから、人事院の総裁だって、閣僚がすべて審査できるのか、私は賛成できないと言っているじゃないですか。
 こんなことでは、特殊法人改革になりませんよ。そのことをはっきり申し上げておきたいと思います。
 最後に、国民の暮らしの問題で一言だけちょっと聞いておきたいと思うんですね。やはりそういう大事な分野、先ほど議論もありましたが、必要な分野は充実させるということは大事だと思うんですね。その点で、一つ気になることがございます。日本育英会が廃止されようとしています。
 世界一の高学費に加えて、戦後最悪の不況。経済的理由から、中途退学、修学旅行すらあきらめなきゃいけないような学生さんがふえている。今、奨学金制度に必要な改革は、貸与制、有利子偏重、そういう制度から、欧米並みに、無利子奨学金の拡大、給付制への移行、枠の拡大、そういう改革が問われているわけですね。そのときに、わざわざ日本育英会を廃止して独立行政法人化するという。何でこんなことするんですか。
遠山国務大臣 日本育英会につきましては、昨年十二月の閣議決定におきまして、これは一たん廃止はするけれども、他の学生支援業務と合わせて新しい独立行政法人にするという決定がなされました。今回の法案、今回は法案としてお願いいたしておりませんけれども、平成十六年四月を目途にいたしまして、そういうしっかりした業務をやるための新しい組織に転換するわけでございます。
 しかし、その際に、奨学金の今の無利子あるいは有利子の制度についてはしっかりと受け継いでいくということでございますし、奨学金の重要性につきましては、これは総理もいつも御心配をいただいておりまして、先般の党首討論でも明確におっしゃいましたし、閣議決定でもなされておりまして、来年度の概算要求におきましては五千八百一億円要求いたしておりますが、これは、ことしに比べて六万九千人増、トータルで八十六万七千人に対する奨学金の増を今要求しているところでございます。これは、しっかりやっていきたいと思っております。
春名委員 時間が参りましたので終わりますが、今、人数がふえているというのは、有利子化の奨学金がふえているんですね。ローン化になっているんじゃないかという意見だってあるんです。
 しかも、最後に行きますけれども、「新たな学生支援機関の在り方について」というのを十月の七日に出されておりますけれども、それを見ると、学生と新しくつくる独立行政法人の間に民間の債務保証機関を介在させて、奨学金を借りたい学生は、債務保証機関に年間二万四千円から三万六千円、保証料を払わねばならなくなる。それから、回収業務を民間の業者に委託させて徹底的に催促する、取り立てをする。貸金業じゃないですか、これでは。こういう事態。大学院の修了者の返還免除制度も廃止するという計画でしょう。これ、改正ですか。改悪じゃないですか。こういうものはやめて、本当に暮らしを応援するところは拡充する、これが本当の特殊法人改革だということを申し上げまして、私の質問を終わります。
保利委員長 次に、日森文尋君。
日森委員 社民党の日森文尋でございます。
 個別の課題は後ほど論議をする時間がたくさんあるようですから、きょうは、総理初め関係大臣に基本的な問題を改めてお聞きしたいと思っています。
 先ほど来、総理からもおっしゃられていますが、現在の特殊法人、確かにたくさん問題を抱えております。
 責任体制のあいまいさということも指摘をされています。それから、経営の自律性が欠如している、天下りが常態化、今お話ありました。それから情報開示、これが全く不徹底である。あるいは運営実態、これも非常に不透明さがあって、なかなか外から見えにくいというのがありました。それから、これが持っている宿命と言ってもいいのかもしれませんが、組織、業務が自己増殖をしていく、どんどん肥大化してしまう。これらの問題、整理合理化計画の中にも前文で触れられていますが、こうした問題が共通の認識になっていると思うんです。
 それ以外にも、むだな公共事業によって巨額な債務を抱え込んでしまって財政が悪化をしている。それから、いわゆるファミリー企業といいますか、子会社などの関連企業、このあり方をめぐっても大変大きな問題が指摘をされているわけです。
 これらの問題について、だから見直しをして民営化を進めるんだというのが総理の御主張なんですが、しかし、問題は、その前に、何がこういう結果をもたらしてしまったのか、このことについてきちんと総括をする必要がある。責任の所在も明らかにする必要がある。
 どうもこの国は責任を明確にしない。銀行の問題もちょっと私はひっかかっているんですが、銀行を破綻させておいて、これは竹中さんの話じゃないからいいですが、そちらに質問は振りませんけれども、銀行が破綻をしても、結局、経営者の責任を問わないという体制がずっと続いてきた。今回も、特殊法人がこんなにひどい状況になっている。しかし、一体何が原因で、だれが責任をとらなきゃいけないのか、だれも、どこも明らかにされない。それで、そこを抜きで、ともかく民営化しなきゃいけない、見直ししなきゃいかぬという話になっているんです。
 これはどうも、実は、こういうことが起きてきたのは、全部が全部ではありませんが、政治が介入をしてこれだけ財政を悪化させたり、ファミリー企業の問題を起こしたり、いろいろなことがあったんじゃないでしょうか。私は、そのことについて総理自身もしっかりと総括をする必要がある、認識をきちんと持つ必要がある、こう思っているんです。
 こうした実態をもたらしたことについて、改めて、どのように受けとめているのか、総括をされているのか、見解をお聞かせいただきたいと思います。
小泉内閣総理大臣 民主主義の国では、大体似たり寄ったり、政治家は選挙がありますから、選挙区の有権者の声には耳を傾けるのがこれまた当然であります。そうなりますと、ああ、これをやってください、あれをやってくださいという声を聞かないと次の選挙には当選できない。
 そういう点で、できるだけ負担は軽く、税金で面倒見てくださいという声が有権者の中には強いわけであります。税金で負担するというのは、今のうちには自分の懐は痛まないから負担もないと思っている人が多いんですが、実際はそうじゃない。どこかでだれかが税金を負担してくれないと、その事業はできないわけであります。
 そういう観点から、特殊法人にしても、これは民間でできないから特殊法人になっているんだろう、できないから国でやるのは当たり前だということでどんどん増殖してきた。しかし、では、どこでだれが負担しているかということも考えなきゃならぬ。あるいは、本当に今の時代に、三十年前だったら民間がやることはできなかったかもしれないけれども、現時点では民間でできるものはあるだろう。あるいは、当初の目的は終わって、役割を果たして、廃止してもいいものはあるだろう。あるいは、今回、民営化もできない、廃止もできないという点は、では今までの特殊法人よりももっと効率的な運営が可能じゃないのかという点を含めて、今、具体的に個々の法人を整理しているわけです。
 そういう観点から、私は、今の認識のもとに改革を進めていくということでありますので、全く、総合的な認識の中に、ただ廃止すればいい、整理合理化すればいいという観点じゃない、整理合理化できるものはしていきなさい、本当に国でやらなきゃならないものは国でやる必要があるということから、今の見直しを進めているということであります。
日森委員 私の質問はそういうことではなくて、大変失礼なんですが、つまり、政治が介入をした結果そういうさまざまな問題が生まれていたという側面について否定できないのではないか。私に言わせれば、まさに自民党的なる政治がこういう問題を、全部が全部とは言いませんが、ある特殊法人の幾つかの中で大きな問題を生み出したのではないのかということ、つまり口ききですよ。陳情されて、そして役所に口をきいて、道路をつくらせたりダムをつくらせたり、いろいろなことをやってきた政治の体質そのものが、こういう特殊法人のさまざまな問題を生み出した一つの大きな要因になっているのではないか。
 総理は、自民党をぶっつぶすとおっしゃいました。こうした問題があるからこそそうおっしゃったんじゃないんでしょうか。その辺の認識について最初に伺ったんです。
小泉内閣総理大臣 私は、自民党も変わらなきゃいけない、自民党が改革に反対するんならつぶすと言ったのであって、改革に賛成すればつぶす必要はないですよ。前提を忘れないでくださいよ、前提を。
 それと、口ききといいますけれども、口ききというと今悪い言葉になっていますけれども、社民党も自民党も共産党も民主党も、どの政党も、口ききと言っちゃ悪いけれども、有権者の要望にこたえて役所に働きかけるということはあるんですよ。それを、口きき悪いと言っているけれども、口ききがなかったら、有権者が政治家に陳情なんかできませんよ。そこもよく考えなきゃならない。政治家として有権者の声を聞いて、各役所は言うことを聞いてくれないという場合にも政治家が話せば耳を傾けてくれるだろうと思って、有権者は政治家に陳情するなり頼むんですよ。それを口ききといって禁止したら、政治家は有権者の言うことを聞くなとなっちゃう。これはまた行き過ぎなんです。口ききはやっていいんです。
 問題は、不正をしちゃいかぬということなんです。それが問題だ。口ききなんというのはどの政党もやっているじゃないですか。一概に口ききは悪いことじゃないんだ。有権者の声を真剣に聞いて、その声を役所に届けるというのも政治家の重大な役割なんです。その中で、金をもらったり不正なわいろをもらったり、それは断じて許しちゃいけないということなんです。
日森委員 私も、口ききについてはそういう意味で言いました。
 結局、金をもらって、その事実がたくさん明らかになったわけじゃないですか。それは我々、役所に話をしますよ。だめだと言われれば、だめだと言われましたというふうに返答するしかないんです。それを、無理やりそれを通して、うまくいったからその受注業者から金をもらうようなこと。
 総理は、この質問はおしまいにしますけれども、ぜひ、公共事業請負業者からの政治献金、総理何度もおっしゃいました、これはやめさせましょうよ。そういうことをやって少しきれいにしていかないと、これは総括したことにならないですよ、今の特殊法人が持っている問題がなぜ起きたのかということについて。ぜひそれはお願いをしておきたいと思います。
 それから二点目に、特殊法人は確かにさまざま、今申し上げたような問題点を抱えていますが、特殊法人を一概に否定するものではないというふうに私どもは思っているんです。現在もこれからも、例えば、むしろ市場の支配であるとかあるいは失敗に対して、公的な規制手段、その一つとして活用すべき特殊法人というのももちろんあるはずなんです。これはもう総理御存じのとおりで、だから見直すんだというふうにおっしゃっているわけなんですね。
 しかし、中身を見てみると、将来の話も含めてなんですが、財政出動を大胆に削減するんだということに強調されているように、これまでずっと税金も投入した、財投も投入した、こうつくってきた国民の資産、これを何か資本に売り渡してしまうんじゃないのか。負債もずっと残っていくわけですから、それについてはどうも税金で国民に負担しろよというふうに見えるんです。国民生活の向上という視点が非常に足りないのではないかという気がしてなりません。
 その意味では、責任のすべてを特殊法人に押しつけてしまう、そんな感じがするんですが、そういう一方的な整理合理化ではなくて、もうちょっと、先ほど春名さんもおっしゃいました、私も後で触れたいと思うのですが、もう少し国民生活を向上させる立場に立った、余りにも効率性とか財源だとかいうことだけではなくて、そういう改革の視点が必要なんじゃないかと思うのですが、総理の見解をお伺いしたいと思います。
小泉内閣総理大臣 それは、社民党ですから、より国の関与を深くした方がいいという議論もあるでしょう。しかしながら、私は、国がやらなきゃならない事業にしても、これは結局、国がやらなきゃならない事業は税金です。どこまで税金を負担するのかという点については、それぞれ各論によって違います。どの分野においてどこまで税金を使っていい仕事か、自分でやらなきゃならない仕事か、それはケース・バイ・ケースだと思います。
 しかし、今、この特殊法人をそのままにしておいたら、何でも、国がやらなきゃならないんだから、税金を使うということで、野方図になって、いつまでたってもむだ遣いが直らないということで、ことしの予算においては、特殊法人に対する財政支出を一兆円以上削減したでしょう。これは、厳しい見直しをしようということだから。一兆円どころか五千億円も無理だと最初は言っていたんだ。しかし、現実に、十四年度予算で、国からの税金投入は特殊法人に一兆円削減したんですよ。こういう見直しがあったからなんです。これも、今後とも厳しく見直していかなければならない。国がやれ、国がやれといって、では、どこまで税金を使っていい仕事かという見直しを、これから、個々の法人について厳しく見直す点は必要だと私は思っております。
日森委員 確かにそのとおりでありまして……(発言する者あり)そのとおりと言ってはいけませんね。
 特殊法人が国民の役に立っているのか。計画の中で、今後の進め方の中で、事業の意義が低下していないか、著しく非採算ではないか、民営化の方が効率的じゃないかとか、幾つか基準があって、整理合理化計画の中で見直すようになったとなっているのですが、私が言いたいのは、国民生活を向上させるための視点というのが、非常に、効率化とかいうことだけが問題にされていて、不足しているのではないかということを主張したかったのです。
 例えば、今、奨学金の問題が出ました。ほかにも、今回幾つか問題になっていますが、国民の生命、身体、安全ということを取り扱うところが、本当に民間に丸投げしてしまって大丈夫なのか、つまり、ちゃんと独立した機関でやらなくていいのかという問題だってあるわけです。
 そういうことから考えると、そういう視点を少し盛り込んだ改革というのがあってしかるべきで、そうすると、見直しの中身が変わってくるんじゃないか、こう思っているんですよ。それについてもう一回お聞かせいただけますか。
小泉内閣総理大臣 この点は国でやらなければならないということは、当然行政でやらなければいけない、役所がやっているわけです。その見直しがあるから今進めているわけであって、私は、国でやる仕事を全部放棄しろなんということは全然思っていません。
 むしろ、今、国の役割というのを多くの国民は期待している、税金でなければできない仕事もたくさんある、そういう点をよく見きわめながら、しかし、今までの状態の特殊法人のままでいったならば、今の税金の負担は目に見えないから、民間ができないから特殊法人でやれとなると、どこでだれが負担しているのかわからない、結局、税金が後になって後の世代にツケとなって回るから、それを今の時点で見直しましょうといって、この特殊法人改革は、将来、必ず、税金のむだ遣いをなくそうという有効になる改革だと。目先の、二、三年先の問題じゃないんです。将来、税金のむだ遣いをなくすための改革を今しているということであります。
日森委員 くどいようですが、また私の主張を少ししゃべらせていただきますが、特殊法人を、一律といいますか、そういう意見も確かにありますが、縮小、撤廃、民営化しようということであってはならないというふうに思っております。
 先ほどの話と関連しますけれども、例えば、住宅や個人・中小企業向けの融資の問題、今、不況の中で極めて重要になっていますね。住宅金融公庫がそうですし、これは扇大臣にも申し上げたことがあるのですが、そういう問題や、あるいは先ほど出ました奨学金。それから、各種研究事業、これは余りすぐお金にならないけれども、しかし、実際に基礎研究をちゃんとやっていかなければいけないわけですから、ここは、だれか公が責任を持つというようなことが当然必要じゃないのか。それから、私学の助成であるとか、そういう国民生活に欠かせないような事業であるとか、それから、先ほど申し上げました国民の生命、健康に関する事業。
 今回、医薬品医療機器総合機構というのができまして、例の薬害エイズの問題の総括を全く無視した、そういう改革が行われようとしている。これは国民の生命、健康に対して、本当に国が責任を持たなければいかぬことに対して全く逆行するような改革も含まれているわけですよ、一例を申し上げれば。
 ですから、幾つかきちんとコンセプトをつくって、これについては公が責任を持つようにしよう、しなければいけないということがないと、それこそ、総理が幾らおっしゃっても、一律の画一的な改革になってしまうんじゃないか、そういう気がしてならないのです。
 ですから、むしろ、拡充すべきところはこれからも拡充するぞ、その視点は、今言ったような国民生活に密着した問題、それを扱うところについてはしっかりと公が、国が責任を持って充実していこうという見解を持つべきじゃないか、こう思いますが、どうでしょうか。
小泉内閣総理大臣 一律に廃止、民営化しろと言っているんじゃないから、民営化するものは民営化、廃止するものは廃止、残すべきものは独立行政法人にしているんですよ。全然一律じゃない。私が言っているのは、一律に民営化、廃止しろと言っているんじゃないですよ。民営化できるところは民営化しなさい、廃止できるものは廃止しなさい、しかし、国としてやらなきゃならないものは役所でやりなさい、政治でやりなさい、そして、特殊法人として残すものは残しなさい。
 さっき言いましたゲノムの研究なんというのは、すぐ利益が出るものじゃないでしょう。では、理化学研究所を廃止していいのか。民営化できない、今の特殊法人でもよくないだろう、独立行政法人にしてもっと経営責任とか事業の見直しをしなさいと、独立行政法人に残している。医療の問題、今言った医療の事業団、これは、民間で本当に医療関係者に融資できるのか。できない問題は、それは独立行政法人なり将来の見直しを含めて全部廃止するものじゃない、残しなさい。国際社会の役割を果たさなきゃならないということで、国際協力事業団とか国際協力基金、本当に民間でできるのか。国の役割、発展途上国への援助、できないものは、それは廃止も民営化もできないのだったら、事業の見直ししかない。
 私、一律に全部、廃止、民営化するだなんて言っていませんよ。そこをよく考えてもらわないと。いかに細かく配慮しているか。政治の役割と民間の役割、よく考えてやらなきゃいかぬというのが今回の特殊法人改革だと。
日森委員 わかります。わかりますが、視点が、総理の言っている視点は、結果として一律の話になってしまう。
 つまり、僕が先ほど申し上げたような、国民生活を向上させる、あるいは我々の生命、健康であるとか安全であるとか、そういうコンセプトはちゃんと持った上で見直しをしなさい。ここに出している話は書いていないんだ、そんなことは。全然書いていないんだよ。効率化ばかりなんです、効率化。いわば経済市場原理に基づくような話しか出ていないんですよ、見直しの基本が。だから問題だと言っているわけですよ。それについて明言をいただきたかったということですが、それはもう結構です。後で、個別のところでまたお話をしたいと思います。
 時間が余りなくなりました。最後になりますけれども、先ほど挙げたようなさまざまな問題点については、実は現場の労働者、また批判が出るかもしれませんが、これが的確につかんでいることは事実なんです。実際、仕事をしているんですから、一番知っているわけですよ。それから、当該の事業を利用している利用者、こういう方々が一番問題点についても知っているし、どうしてほしいという要望も持っているわけなんです。そういう意味では、当該特殊法人の労働組合、職員団体でも結構ですが、職員としっかりと事前協議をするとか合意をするとかいうことを含めて、この事業を推進しなければいけないと思っているのです。(発言する者あり)いや、自民党の中にも抵抗勢力がいっぱいいるんだから、そんなこと言ってもらったらおかしいんだ。そうではなくて、同じく働いている仲間ですから、ここはきっちりと労働組合と協議をしていく。
 この間、話を聞きましたら、その協議はこれからだ、枠をつくってから労働組合などとは協議をして方向を決めていくんだ、こう言うのですが、それは逆だ、逆さまだと。むしろ、合意を積み上げていく、協議を積み上げる中でよりよい形をつくっていくということも必要なんじゃないかと思っております。
 その意味で、では、これまでどういう取り組みをしてきたのか、これからの展望をどう持っていくのか、これを最後にお聞きしたいと思います。
小泉内閣総理大臣 みんな現状維持を望むんですよね、廃止されるところは。自分たちの身分をどうしてくれるんだ、これが民営化されたら国家公務員じゃなくなっちゃう、あるいは廃止されたらどうなんだ、そういう点について心配があるから、各論になると反対が強いわけですよ。それをやろうとしているんです、今。
 私は、労働組合の待遇も大事でありますけれども、しかし、現状維持でいいとは限らない、その辺のやはり政治的な指導性も大事じゃないかと。それぞれの特殊法人を見ながら、組合があるのもわかっています。組合の、待遇を維持していこうという要望もわかります。しかし、それを全部受け入れていたら何にもできない。現状維持がいいに決まっていますよ。だから、既得権益にメスを入れるというのはいかに難しいか。だから、みんな、総論賛成で各論反対になるんでしょう、行政改革というのは。そこの各論反対に踏み込もうと今している。その努力もやはり理解していただかないと、これから改革はなし得ないんじゃないかと思います。
日森委員 労働組合を誤解されてもらっては困るんですが、労働組合も反対しているんじゃないんですよ。これまで経過を見ればわかる。経過も含めて聞かせていただきたいと言ったのは、それぞれ協議をして、合意をしながらこういうふうに組織を変えることにも協力してきたはずですよ。だから総理、そうじゃないんだよ、労働組合は現状維持だというのは全く認識が違う。そこは改めていただきたいと思う。
 ただ、例えば、具体例を挙げると、これから合併なんかがありますよ、そのときに、非公務員だった職員が公務員に一たん入る、なるんです。しかし、期間が過ぎてある程度方向が出てくると、また非公務員になるんですよ。つまり、こういう流れの中で、公務員であったり非公務員になったり、ごろごろ立場が変わるの。自分の地位が不明確になるんですよ、不安定になるんですよ。そういうことも当然あるわけです。賃金だけじゃないんですよ。
 そういう心配を持っている人たちが一生懸命これまでも仕事をしてきたんですから、その気持ちに立ったら、そういう不安を解消していく、これは現状維持じゃないですよ。改革していくためにも、そういう方向に合意できるかもしれないんですから、そのためにも、そこはしっかりと協議をしてやっていっていただくということだけをぜひ、どなたですか、だれかお話ししていただければありがたいと思います。
石原国務大臣 ただいま日森委員が御指摘されました点は、非公務員型と公務員型が合併したときに公務員型になったり非公務員型になったりする点だと思います。原則的には非公務員型と非公務員型が一緒になって非公務員になるわけですから、それであるならば、過渡期ではありますけれども、すべて非公務員型というこの改革の方針に沿っていただければ、そういう、今言われたような御懸念はなくなるのではないかと思っております。
日森委員 いや、違うんです。非公務員が公務員になってまた非公務員にされるという例もあるんですよ、この中で。だから心配しているんです。
 いずれにしましても、最後になりますけれども、労働組合あるいは職員としっかりと協議をする場を保障していただいて、そごのないような進め方をしていただきたい、そのことをお願い申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
保利委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時一分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時開議
保利委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。熊代昭彦君。
熊代委員 それでは、テレビの入っていない一番手で質問をさせていただきます。これからが本当に実のある議論になるというふうに思いますので、力を込めて御質問させていただきたいと思います。
 特殊法人等の改革を、民でできることは民でという大方針のもとで積極的に推進していただきまして、四十六法案の提出にこぎつけていただきました小泉総理並びに石原行革担当大臣及び関係各大臣、その命を受けて働かれました副大臣、大臣政務官、そして職員諸君の労を多とします。大変に多といたしますが、三権分立でございますので、必ずしも甘い質問になるというふうに考えていただかない方がよろしいと思います。(発言する者あり)それもありますけれども。
 また、小泉総理が国債発行枠は三十兆円にとどめるんだと設定したことは、最低限の財政規律を重んじようということでありました。財政改革を進めるという姿勢を天下に宣言したことでございますので、大いに評価すべきことであるというふうに考えております。
 しかし、特殊法人等改革もこの視点を決しておろそかにしてはならないというふうに思うわけでございます。しかし、それはもろ刃のやいばでありまして、もしも伝統的手法にとらわれるならば、その方針はデフレ圧力を著しく強化することであります。したがって、改革を進める一方で伝統にとらわれない知恵を発揮することが必須の条件であるというふうに思います。
 なぜならば、伝統的に確立された金融財政の手法、それに金融財政の専門家の知識もそうでございますけれども、通貨の価値を保つこと、すなわち、インフレを防ぐためのものであるのですね。ですから、デフレスパイラルを防ぐというのが現在の一番の重要な課題でございますから、伝統的な価値をしっかりと守っていてはだめなわけでありまして、これまで禁じ手とされたことを積極的にやらなければならないということでございます。これこそが伝統にとらわれない知恵であるということであります。
 例えば、国債発行三十兆円というならば、新発国債三十兆円のうちの二分の一は日銀で直受けする、そうすれば、今六十七兆円しかない日銀券発行残高は一挙に十五兆円ふえます。新札が出てくる。八十七兆円になるということであります。これは、大原一三衆議院議員が御主張のことでございますし、高橋是清が昭和七年に使った禁じ手と同じ発想でございます。
 二番目に考えられますことは、政府保有の特殊会社等の株式でございますが、現在十兆円、そのうち九兆円は売れないわけでありますけれども、これは法律を改正して買い戻し条件をつけて、株主権は政府と日銀が共同して行使する、そういうことで十兆円を日銀に売却する、十年後には買い戻す。こういうことで、そのお金で補正予算を組む。何に使うかという問題もありますけれども、例えば少子化対策、私が主張しております児童手当とか児童年金にずばっと使っちゃおう、こういう話でございます。久間政調会長代理、現在の政調会長代理でございますが、同じお考えだと伺っております。
 それから、政府紙幣の発行、四十兆ないし五十兆円政府紙幣を発行しようではないか、すべきであると榊原英資氏が毎日新聞で主張しておられました。これは、産業の再生をすると物すごい金が要る、四、五十兆になるのではないか、その金をこれで補おう、いずれも国債を増発しない考え方であります。これは、法律をつくればできるということは確認してございます。一対一で日銀券と交換するということでありますから、借金にもならないということであります。通貨発行権を政府が一部分いっとき取り戻すということですね。
 それから、銀行にはお金が十五兆円、今度改正しまして二十兆円当座預金に積んでありますけれども、これは実体経済に出ていかない。借り手がいない。いいところはすべて、借りてくれと頼むんですけれども、逆に返してくる。それで、貸してくれというところは不良債権になるおそれが極めて高いところが極めて多いということでございます。二十兆円積んで、銀行が要るなら使ってくれ、いわばレッセフェールで通貨供給量をふやそうとしておるけれども、このレッセフェールが動かないんですね。
 ですから、そこからお金を借りる、例えばFBを発行して五兆円ぐらい借りて補正予算を組む、それを借りかえていく、三カ月物ですからね。しかし、いずれ政府の株を売る。先ほど私の申し上げたことと組み合わせるようなことになると思いますが、これは何と宮澤喜一元総理大臣が御主張でございます。
 こういうことでございまして、とにかく日銀、政府の閣僚もそうでございましょうけれども、伝統的考え方にとらわれて、こうやったら恥ずかしいんじゃないかと思うことがすべて裏目に出ているということであります。
 こういうことを考えて、三十兆と言わず、三十兆でも十年やれば三百兆になりますからね。ですから、どんどん国債を減らしていく。しかし、通貨供給量はふやしていくということがなければならない。しかも、銀行システムの中にとどめるんじゃなくて実体経済の中に出ていくんだということでございます。一般国民の中に出ていく。
 ちょっと演説が長くなりまして恐縮ですが、最初に全部言わせていただきます。
 株価が急落しておりますけれども、これは国際的な要因もありますが、しかし、国内的要因がある。国内的要因が厳しいときには国際的要因は激しく国内に襲いかかってきます。増幅してきます。
 何が原因かといいますと、よく言われていることでございますけれども、源泉分離課税をこの際廃止しようということでありますが、これは、従来から株をやっている人たちが嫌がる、資産家、個人の株主が出ていってしまう。あと十二月三十一日まででありますけれども、これを何とかしなければならない。
 それから、銀行持ち株の規制の法律を昨年つくりました。平成十六年九月までに自己資本の範囲内にとどめなければならないということですね。そうしますと、その法律ができてからことしの三月三十一日までに、銀行は何と八兆円売り続けてきたわけです。これからまた、六兆ないし七兆売り続けなければならない。当初の株価総額は、時価総額は二百五十兆を割りましたね。その中で、ただ売りに売り続ける。しかも、持ち合いですから相手も売るということになりますと、これは株価を下げる極めて大きな要因になります。
 個人の株主を勧誘しなければならないというふうにしておりますけれども、個人が株を持つのならば、個人は株の危険を判断してみずから株に投下する。銀行は自分の頭で考えられないんでしょうか。銀行は個人よりもはるかにすばらしいスタッフを持っている。これは、過保護ママと申し上げたら過保護ママに怒られるかもしれませんが、何で過保護ママのような規制を加えたのか。一九三三年のアメリカのグラス・スティーガル法を猿まねしたということであります。タイミングが悪過ぎる。法律施行の前でありますけれども、これを直していく、こういうことが必要であると思います。思い切った発想の転換、思い切った政治の決断での行動、そういうことでございます。
 また、株式投資比率を制限する規制がいろいろございます。年金はこれ以上しちゃだめだ、それから基本財産はこれ以上やっちゃだめだ、閣僚や副大臣、大臣政務官は株を買っちゃいけない。インサイダー取引があるわけでございますから、こんな規制は要らないんじゃないか、インサイダー取引で厳しくやるということでございます。そういうことを考えれば、総理の方針は立派に守れるんじゃないかということでございます。
 今、目的とすべきことは、一、二%の緩やかな物価上昇のある、すなわちデフレスパイラルを克服した日本経済をつくることではないでしょうか。そうすれば、日本国民全体が元気を出して事業に精を出す、景気を回復することができる、その中でこそ不良債権を確実に処理することもできる、また、行政改革、財政改革を進めることができます。現在の日本でITだとか特定業種を推進すれば、そこにみんなが集中して直ちにバブルになってしまう、こういうことでございます。それほどの規模のある日本の経済であります。物価上昇率が仮に四、五%になれば、国債や株の売りオペをかけるということで、インフレを防ぐのは日銀の得意わざであります。これはすぐにできます。
 インフレターゲットの導入論がありますけれども、インフレターゲットというのはインフレを防ぐために設けるわけでありますから、まず、私の申し上げたような状態をつくってインフレターゲットを働かせる。そういう意味では、インフレターゲットを導入することも大変いいことだというふうに思います。
 そして、円が若干弱含みになるかもしれない。しかし、現在のレートでは、日本の賃金は世界で一番高いんですね。私は、為替の修正はあってしかるべきであります。給料を削るといっても、これはなかなか厳しい。本当に厳しいことでございます。それよりも、為替レートの修正が当然あるべきであるというふうに思います。
 不良債権を早急に処理すれば、構造改革ができて日本経済が再生するだろうという考え方は、検証されていない、根拠のないオブセッション、強迫観念ではないかと、この時点になれば思います。
 後で詳しく申し上げますが、日本の銀行は、既に九二年以来、九十兆円もの不良債権を処理しました。アメリカは幾ら処理したか。十三兆円弱にすぎません。しかも、デフレ下でなくてインフレ下でありました。日本は、デフレスパイラル下に九十兆円を処理した。デフレ下だから、処理すれば処理するほどデフレが進行する。不良債権はふえてくる。そういう状況で、さらに会計原則まで無理やり修正して激しく不良債権を処理して、デフレスパイラルをさらに悪化させようとしているというのは、私の言葉で申し上げれば、正気のさたではないというふうに思います。
 不良債権を早急に処理して公的資金もさらに銀行に投入しろという助言はアメリカから来ているのは周知の事実であります。だから、これを批判する人たちも何となく歯切れが悪いのでございますが、しかし、ここで私は、アメリカに対する態度を確立する必要があると思います。
 米ロの核軍縮交渉のときに、当時のエリツィン大統領がレーガン大統領に、トラスト・バット・ベリファイ、信頼せよ、しかし検証せよということを言ったことを御記憶の方もいらっしゃると思います。アメリカに対しては、このトラスト・バット・ベリファイという言葉がキーワードだ。もう一つは、アメリカは悪代官ではない、水戸黄門に出てくる悪代官ではない。この二つのキーワードを持って臨まなければならないと思います。
 私は、合計二回、アメリカに住んでいました。十九世紀のフランス人、トクヴィルが、アメリカにアメリカ以上のものを見たと言いましたけれども、私もその一人であります。アメリカにアメリカ以上のものを見ました。間違いなく、プロアメリカンであります。
 アメリカは、基本的には信頼できます。しかし、一つ一つのアメリカの要求や助言は、注意深く検証して、正しさを確認してから実行する、日本の実情に合わなければ、詳しく説明して、丁寧に断ることが大切であります。
 アメリカが悪代官だったならば、丁寧に断れば命の保証はないと思います。しかし、アメリカは悪代官ではありません。理路整然と説明すれば、理解してくれる雅量を持った国であります。パクス・アメリカーナが長く続いているのは、アメリカが正義と公平を、理屈を重んずる国であるからでございます。決して力だけではないと思います。それを再確認して議論を進めたいと思います。
 総理を除く主要閣僚が出席していただいている委員会でありまして、かつ、この議事録は全国民が読んでいただく可能性がある、ビデオ・オン・ディマンドで全国民が見ていただく可能性がございます、あくまで可能性でございますが。日本語の堪能なアメリカ人などの外国人もたくさんいます。世界の人も読んだり見たりしてくれる可能性が極めて高いと思います。私は、日本と世界に向かって発言する心意気で質問をさせていただきます。答弁もその心意気でお願いをしたいと思います。
 まず、石原大臣にお願い申し上げます。
 既存の独立法人は、研究所や訓練学校などがほとんどでございました。しかし、今回は本格的な独法化が行われます。
 この際、初心に返って検証する必要があると思います。特殊法人を独立行政法人にしたのは、意味もなく名前を変えただけではないかとの批判が、我が自由民主党の議員の中にすらございます。この批判にこたえるために、独法化のメリットを明確に全国民に向かって明らかにしていただきたい。
 特に、次の点については必ず触れていただきたいと思います。第一に、国民すなわち国会による監視は可能なのか。第二に、予算の効率的使用はこれで可能になるのか。効率的経営は可能であろうか。特に、独法の理事等は、トップはリーダーシップを発揮できるのか。収益を十分上げられるのか。民間などから寄附金を受けられるのか。民間企業や大学と協力しやすくなるのか。役職員のやる気を出させることができるのか。天下り批判にこたえられるのか。天下り批判を受けた業者との癒着を排除できるのか。オープンな入札を採用できるのか。そして、財政改革にどう役立つのか。
 大変盛りだくさんではございますが、これを、まず大臣にお願い申し上げたいと思います。
石原国務大臣 大変多岐にわたりまして独法の御質問があったと思います。
 ポイントはもう既に総理が御指摘されておりますけれども、特殊法人の抱える弊害を克服する上でこの制度が仕込まれたということが一つのポイントであり、その弊害は何であるかというと、特殊法人の持つ閉鎖性あるいは非効率性、独善性、自己繁殖性といったものでございます。独法は、そういうものを克服するために、経営の自律性、さらには業務拡大、自己増殖を防止する、あるいは委員御指摘の、評価を入れていく、あるいは中期目標を設定して三年、五年ごとにその実態を検証していく。特殊法人の場合は、つくればつくりっ放しであったというようなものに立っているんだと思います。
 非常に細かい御質問でございましたが、一つ重要なことは、当委員会で御審議をいただいているように、国会すなわち国民の監視は可能か。これはもう当然のごとく、評価委員会の評価というものが公にされますので、それをもとに、先ほども、一体どんな人を評価委員にするんだというような御質問もありましたけれども、それもすべて白日のもとにさらされるわけでございます。
 あるいはまた、特殊法人の場合は、退職金が高いとか給与が高いといったような批判もあるわけですけれども、今回は、自主性を持って決定はいたしますけれども、だれがどれだけ取っているかということもすべて公になるわけでございます。
 そして、予算の効率的というのは二番目にありましたか、ちょっと多岐にわたっていたもので、いろいろあったものですから、重要なことだけ、今覚えている限りで申しますと、やはり天下りの批判、これも午前中の論議でかなり多くございました。
 天下りにつきましては、これは、熊代委員も副大臣あるいは党の事務局長等で釈迦に説法ではございますけれども、早期勧奨退職というものがボトルネックになっていて、これを段階的に改めていくということが一つございますし、役員、先ほどもいろいろ議論になって、どなたかが、次官がそのままそこの団体の長に代々なっているじゃないかというような御批判がございましたけれども、既に、さきの通常国会で廃止され独法化が決まりました石油公団につきましては、平沼大臣がトップに民間人を据えるということを明言されております。そういうことを所管している大臣の方が全員やっていただいたら、これまで次官の指定職と言われたようなポストというものは完全になくなることができるのではないか。
 また、収益を上げられるのか。これは非常に意見の分かれるところで、収益を上げられて、営業利益を第一の目標にするのであるならば株式会社化ということでございますけれども、今回は、民間に任せられることは民間にするけれども、民間に任せられないものがやはりあるから、特殊法人の弊害を除去した新しい独立行政法人、そういうふうになっておりますので、利益を内部で留保して積み立てることもできますし、予算を使い切るということじゃなくて使い回すこともできますし、中期的な計画というものを持っておりますので、その中期目標がどれだけ達成できているのかできていないのかということも国民の皆様方の目に明らかになりますし、できていない経営者、トップであるならば、その経営者は首になることも十分に可能である。そして、三年から五年の組織の見直しで、時代の変遷とともに公が関与する仕事がもう必要なくなったんじゃないかということであるならば、法人自体の廃止ということも議論の俎上に上ってくる、こういうふうに整理をさせていただいているところでございます。
熊代委員 多岐にわたる質問にまことに明快に簡潔に答えていただきました。
 それでは、もう一つ石原大臣にお伺いしたいんですけれども、今回出されている法案は、既に独立行政法人通則法があるわけでございますので、それを踏まえて、独立行政法人通則法にないもの、あるいは修正しなければならないものを出したということだと思いますが、それはどういう点でございましょうか、ちょっと御説明いただきたいと思います。
石原国務大臣 この点につきましても、通則法の審議の中では熊代委員が御答弁されていることもございますので、私が申すのもなんでございますが、通則法は独法制度の共通事項を規定してあるのが基本でございますが、今回は、各法人に関する個別の事項について、単純に言えば法人の名称、これもなかなか決まらなかったものもございます、あるいは目的、業務範囲というものを個別法で定めているところでございます。
 通則法と個別法の共通の法律事項を規定するものというのがいわゆる通則法なんですけれども、それは、さっき言いました特殊法人の弊害を除去するような中期目標の設定と、それに基づく管理あるいは事後評価、定期的組織の見直し、これは廃止を含めてと先ほど御答弁させていただきました。あるいは、私、もう一つ重要なのは、企業会計にのっとった財務諸表等々の公開だと思います。時価会計でその法人が一体どれだけの資産を本当に持っているのかということも明らかになってまいりますし、それだけ経営がシビアになるものだと思っております。
 今般の三十八の独立行政法人について四十六本の法案という形で取りまとめさせていただいておりますけれども、各法人に関する個別の法律事項として通則法で個別法にゆだねられている主な事項を定めるというような整理をさせていただいておりまして、さっき言いました、もめた名前とか業務範囲とか目的とかあるいは事務所等々を主務大臣等々が定めるというふうな整理になっております。
熊代委員 ありがとうございました。
 それでは、関連事項としまして、今進んでおります道路四公団民営化につきまして、扇国土交通大臣とそれから石原大臣にお伺いしたいと思いますが、道路関係四公団民営化推進委員会の議論、相当進んでまいりました。私も副大臣を辞しましたので、自由な立場でちょっと批判をさせていただきたいという思いでございます。
 最近は専らマスメディアを通して議論をフォローする以外にはないわけでございますけれども、これまでの議論でいろいろ問題があるんじゃないかと感じております。
 まず、保有・債務返済機構と新しい民営会社をつくって、分離して、上下分離方式に収れんしつつあるというようなことでございます。これは、道路の安全を守る意味からも、貸していれば、同じ賃貸料ならば、補修をしない方がもうけは多い、もうけと言っては恐縮ですが、ネットの収入は多い、そういうことになりますし、それから、新しい会社は責任を持って、そして将来に対して希望を持ってやることができないというようなことでございます。新会社が意欲を持ってやれないということで、道路公団の中の改革派ということで小泉総理がピックアップされました職員からも、これでは絶望だというような声も出ております。上下分離を上下分離でないと詭弁を弄する口先ばかりの改革派もいらっしゃるようでございますけれども、上下分離はあくまでも上下分離でございます。
 そういうことでございまして、小泉総理大臣は、今いらっしゃいませんけれども、午前中見事な答弁をされましたが、小泉総理大臣に対しても、私は、アメリカに対すると同じく、トラスト・バット・ベリファイで臨まなければいけないというふうに思います。基本的には信頼する、しかし、一つ一つのことはやはり検証していかなければ国会としての役割は果たせないわけでございます。総理がたった一人で御熟慮の上、マスメディアもあっと驚くような御意図を持って結論を下された人選は、結果的に見ると検証にたえないものが多いというふうに思います。
 しかも、総理は、道路四公団民営化推進委員会の答申どおりに実行すると言っておられる。丸投げというふうに批判されると大変怒っておられますけれども、しかし、答申どおりにやるなら総理の判断は入らないわけですから、これはまさしく丸投げではないかというふうに思います。
 そういうことでございますが、まず扇大臣にお伺いしたいんですけれども、大臣は上下分離論者ではなくて上下一体論者であるというふうに伺っております。現在、上下分離の案が徐々に固まりつつあるように報道では見受けられますが、それに対してどのような感想をお持ちか、お伺いしたいと思います。
扇国務大臣 熊代議員、いろいろ今までも御意見をお出しになっていることも私も存じ上げておりますし、また、今、道路四公団、この問題に関しては、日本じゅう、あるいは地方自治団体が大変な注目をいただいておりますし、国民の皆さん、あるいは地域の皆さんに直結する問題でございますから、本来は公共工事というものは何であるかという私は大原則ももっとあろうと思いますね。それはやはり国として、税金をいただいている以上、公共というのは、空港にしろ道路にしろ港にしろ高速道路にしろ国が全部税金でつくって、そして土台ができ上がってから民営化して、さあ、どうぞお使いください、本来は私は公共というのはそういうものだろうと思うんです。
 国自体の大原則が私は論じられていないと思うんですけれども、その大前提に立つ中で、今の財政ではとてもそれが実行できがたいということで、この高速道路自体も、かつて、使う人からお金をいただこうということで有料道路にしてきた。しかも、有料道路、私は東京都内におりますので、最初に百円で首都高速に乗ったときには、やがてただになりますと言われて乗りました。ところが一度もただになったことはありません。
 そして、道路公団一つとってみても、四十路線の中で償還できているのは五路線です。そして一番償還のできていない本四からも料金を値下げしてということを漏れ承っておりますので、私はそういうことが利用者の皆さんは御納得ができるのかどうか、これも大きな反省材料だと思いますけれども、私は今基本的に、私としては、国土交通省としまして、昨年でございますけれども、太平洋セメントの顧問の諸井さんに基本問題を御検討いただいて、そして総理に昨年答申を出しておりますけれども、その後で今の委員会ができ上がりまして、私は今熊代議員がおっしゃったように、今の道路公団では、これはこのままでいったら大変だ、また三公団、本四は別にしても三公団というもののあり方、きょう午前中にも御意見がございました、道路に乗って行くたびに料金所が違うのはどういうわけだというお話もございました。そういうことも考えますと、今の道路公団の体質が果たしてそれでいいかどうかということは、これだけ私は国民の皆さん方に御議論をいただいているということ、本当に今一番大事な時期で、むしろいいことだと思って感謝もしながら反省もしております。
 それは、今分離の問題が出ましたけれども、この委員の中に国鉄の分離問題の経験者もお入りになっています。けれども、私は、旧国鉄を分離した、今民営化されてうまくいっているといいますけれども、果たしてどうなんだろうかと。旧国鉄の役員というのは十八名でございました。ところが、七分割して、今全部で、七分割したJRの役員というのは百二十三名いるんですね。ですから、これでさえ、十八名の役員が、分割して百二十三名になった。JR東海だけで三十一名いますから。
 そうしますと、道路公団を分割して、道路公団は今役員が九名です。これを上下に分離して分割していったら、倍々で、今の国鉄以上に役員をふやすということに手をかして、先ほどから御意見がありました、そういうポストをつくるとみんな役人が天下りじゃないかとおっしゃる。またその場所をつくるということで、私は、ある程度逆行するのではないか、そういうことも私は心配しながら、どういう答申をお出しになるか。
 ただ、今一点、熊代議員がおっしゃったことで、総理のおっしゃったことは違う点がございます。総理は、委員会の答申を重視するとおっしゃったので、全然そのとおり実行するという言葉は一言もおっしゃっていませんので、念のためにそのことを申し添えておきます。
熊代委員 総理はそのとおりに実行しますと言われたような気がしますが、それを重視してみずからの頭で考えられるということならば、それはまさしくありがたい、賛成でございます。ぜひ大臣、それを確保していただきたいというふうに思います。
 それから、上下分離反対の御所見を伺いまして、大変心強い限りでございます。私も、道路建設はやはり国が計画してやらなければいけない。実際はそれは新しい会社に委託してやってもいいんですけれども、建設する意図とどこにつくるかというのはやって、財政的にもやって、それでどういう条件で委託するかということだと思いますね。それが一番いいことだと思います。
 民営化するというならば、すべての道路財産を、でき上がったものですけれども、でき上がったものについては新しい株式会社に任せて、しかし、債務も何もすべて任せるというのが一つでありましょう。
 もう一つは、債務だけは全部国が受けて、デット・エクイティー・スワップで、四十兆の債務でありますけれども、そうしますと、無借金会社で二兆一千億円の収入がある。ですから、これは何もつくらなければ二十年で簡単に返しちゃうわけですよね、四十兆でもね。こんなの、だれがやってもそんなことは簡単でありますから、これから将来いろいろつくりながらやるためにはどういうことかということでありますので、デット・エクイティー・スワップでやれば四十兆円の債務はなくなる、一割配当をしても、税金を四、五千億払っても、猛烈な立派な会社になります。それで、一本でやれば、どんなに安くても六十兆円に売れるようなものですよね。六兆円の株を出して一割配当して、六十兆円に売れる、そういうものでありますから、新しいものもつくることができる、一銭も税金を使わなくて。
 ただ一つ、大臣のおっしゃったことで、私は違うところがございます。新しいところで収入が上がっていないところを安くするというのはけしからぬという話がございましたが、私は、貴重な資源を早い段階で東名、名神などに投下した、その上がりを全国民で使う、高速道路網をつくるということは正しいことだと思います。
 瀬戸三橋も、あそこを最初から独立させるべきではなかったと思います。四国もJHの道路ですし、こちらもJHの道路です。それで真ん中だけが独立しているんですね。ですから、これはJHに吸収、あるいは四つを全部一つにしますと、それは当然立派な会社になります。
 そして、片道五百円とか、一キロ二十四円六十銭で計算するとそうなるんですよね、今三千九百円のを五百円にする。三千九百を半分にしたって収入は上がりゃしませんよ、減るばかりです。三千九百円を五百円にすれば、これは物すごいショックで、みんな遊びに使うようになります。そうすると全然状況は変わってきますし、中・四国の高速道路も大いに使われます。そういうことでありますから、そこだけはやはり一本で考えて、二十四円六十銭で統一する。それで値下げの可能性があれば下げる。サプライ・アンド・ディマンドでやはり考えないといけませんね。
 アクアラインなんというのは、四千円を三千円にしたから大して収入が上がらない、それでもちょっとプラスになった。片道四千円を五百円にすれば、みんな渋滞するほど使いますよ。これだけの人口後背地がありますからね。
 そういうことで、思い切ったことをやらないといけない。それが民営化のメリットであろうというふうに思います。
 いずれにいたしましても、ただ一つ、現在の委員会の構想でまるで抜けておりますのが、国民が株主として参画することであります。イギリスのサッチャー改革は、それまで、労働党政権では三%の人しか株式なるものを持っていなかった、しかし、国有化をやめまして、どんどん民営化したらば、国民の九割以上の人が株を持つようになった。
 しかも、持っていて得な資産株、こういうようなものを国民の皆様に広く持っていただくということですね。たとえ株式会社にしても、五十年後には株を全部買い上げて、無料にする。五十年したら国の財政が徹底的によくなればですね、よくしないといけないと思います、無料にする。それでもだめなら、また五年、十年延ばせばいいわけですからね。そういうことでございまして、ぜひ道路行政もすばらしいものにしていただきたいというふうに思うわけでございます。
 竹中大臣にお伺いいたしたいと思います。
 これは、行政改革、特殊法人改革の前提条件としての、先ほど申し上げました、経済をよくするという話の一環でございますけれども、アメリカは信頼できますけれども、しかし、一つ一つの要求は検証しなければならないというのは申し上げたとおりでございます。不良債権を早急に処理せよというブッシュ大統領の要求は慎重に検証しなければなりません。景気を早急に回復してくれ、その方法は日本で考えてくれというならば、ブッシュ大統領が言われるのも、まあまあそれは納得できる。しかし、特に不良債権に言及するのは内政干渉のように思えます。
 日本は、九二年以来、先ほど申し上げましたように、九十兆円の不良債権を処理してまいりました。アメリカは十三兆円弱、それも一行当たり預金額三億ドルの小さなSアンドL銀行ばかりであります。預金総額は、日本円に今百二十円で換算しまして、二十六兆円ちょっとですね。そういうものを国有化して処理したわけです。小さい、七百以上もあるものを国有化して処理した。それと、一社で四十兆を上回るような預金量のある巨大銀行とを同一に扱うというのはおかしいわけでありまして、不良債権を早急に処理すれば構造改革ができる、日本経済が再生するだろうというのは、今やこの時点に来れば一つのオブセッションであり、強迫観念にすぎない。
 九十兆円を処理して、その上で、処理すればするほどデフレが強くなってくるということでありまして、会計規則まで変えて、それで国有化する、金融社会主義、そんなことをやっていいのだろうか。
 大銀行の株主が訴えると言っています。当然のことであります。憲法は私的財産の絶対をうたっております。今まで金融庁や財務省、大蔵省にぺこぺこしていたのがおかしい。みずからの権限を使って、預金者を守って、株主を守って闘わなければならない。断固として闘う自由主義の銀行の長は、我々自由民主党、少なくとも私は断固として支持したいというふうに思います。この問題について、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
竹中国務大臣 アメリカを基本的に信頼はするけれども、検証しなければいけない、一般論として私も全くそのとおりだと思います。
 まず、基本的に重要な点は、例えばブッシュ大統領から、ないしはアメリカ政府から、日本に対して、不良債権問題を早急に処理せよという要求があったというような事実は、私は全くないと思います。日本の不良債権問題に対する関心が高いというのは、これは世界的に事実だと私は思いますが、委員御指摘のとおり、これは国内の問題であり、私たちが私たちのために責任を持って解決していかなければいけない問題だと思っております。
 冒頭で委員がおっしゃったように、やはりいろいろな策を使って、今マネーがふえるような状況を絶対につくらなければいけないと私は思います。そのマネーをふやすための一つの仕組みとして、金融仲介機能が今のままでよいのかという問題がやはり根本的にあると私は思います。その意味では、不良債権問題というのは、やはり長ければ長くなるほど私たちの首を絞める面がある。
 特に、資産の査定等々についてはやはりきちっとやっていただかなければいけない。委員御指摘の中で、国有化を前提としている、会計ルールを変更する、そういうことは今回の金融再生プログラムでも一切ございません。銀行の経営者には、それは当然、高い見識を持ってしっかりと経営をしていただかなければいけない、それが私も基本であると思います。
 ただ、先週の金曜日に発表させていただきましたが、銀行の自己査定と金融庁が行った査定の間には、平均で見ても、これは去年の第一巡でありますけれども、三六%もの乖離がありました。さらに、分布を見ると、五〇%乖離があったところが十五行中五行もあった。
 そういうところ、まさに銀行経営のガバナンスをしっかりしていただくというのが今回の金融再生プログラムの趣旨でありまして、これは、私たちは枠組みをつくる、銀行経営者にはぜひとも、まさに民の活力を存分に発揮していただいて、この問題を解決していく必要があるというふうに思っております。
熊代委員 時間が参りましたので終わりますけれども、しかし、一言だけ申し上げると、金融仲介機能とおっしゃいますが、財務省がFBを発行しまして、三千億でしたかね、三カ月物で若干利子があるわけですね。それに対して応募したのは何と千八百兆円、吹っかけに吹っかけたわけです、少しでも取ろうと思って。お金はやたらに余っているわけです。金融仲介機能というのは十二分にあるというんですが、また後ほど機会を得まして、御質問させていただきたいと思います。
 まことにありがとうございました。
保利委員長 次に、桝屋敬悟君。
桝屋委員 公明党の桝屋敬悟でございます。
 引き続き、質疑をさせていただきます。
 大きな話は午前中、大分総理も声を大きくされて議論されたわけでありまして、ずっとそれを見ながら感じたことも含めて、議論を続けさせていただきたいと思います。
 今回の特殊法人等改革に関する法律につきましては、この法律策定に至るまでは、午前中も議論がありましたけれども、整理合理化計画に基づきまして、まずは既存の特殊法人の事業の徹底的な見直しを行う、その上で、より効率性あるいは自律性、透明性の高い独立行政法人等に移行するものというふうに理解をしておりますけれども、本当に今回の四十六の法律について、そうした作業がきちっと今日まで積み上げられてきたのかどうか、入り口部分の議論として、まずそこを確認させていただきたいというふうに思っております。
 最初に、石原行革担当大臣にお伺いしたいと思いますが、午前中も話が出ておりました。相当各法人とも徹底的な見直しを行ったという話が出ておりますが、役員数、対象法人全体として見て削減をされているというふうに聞いております。法定数、それから常勤数等で相当切り込んでいるという話は随分説明を受けているわけでありますが、石原大臣、どうでしょうか。
 相当各省の抵抗もあったというふうに思います。かつて、私、抵抗の一員でもあったわけでありまして、そんな思いからすると、担当大臣として、正直ぎりぎりまで切り込むことができた、こういうお気持ちなのか。あるいは、課題は残ったと、ここで全部をお話しするのはなかなか難しいかもしれませんが、実はこういう問題は残っているんだというようなことがあれば、私、それを追及はいたしませんので、どこまでやれたのか、自己採点をまずお伺いしたいと思います。
石原国務大臣 ただいま委員が御指摘されました役員の数というものは、さきに独法化いたしましたいわゆるRアンドD関係のものでふえてしまったという経験がございますので、やはりかなり抑制しなければならないという立場に立って、今回は取り組ませていただきました。
 合併等々もございますので、法人数でいいますと、五十一法人を三十八法人に整理する形の中で、法定数、法定数は非常勤も入っておりますが、これが三百三十八、そして常勤役員で見ますと二百八十一でございます。これを二百四に削減する。法定数でおよそ四割、常勤数で見まして二五%のカットと、かなり切り込んだと思っております。
 しかし、ここから先が実は問題でございまして、先ほども御同僚の委員の質問の中に出てきましたように、そのポスト、理事長、副理事長、理事、これが全部各役所の当てはめになってしまったら、何のための改革であったのかと。
 やはり独法というものは、経営感覚というものを十分に発揮していただかなければ、三年から五年ごとにその組織のありようまで含めて見直すわけでございますので、そこで働く人たちのことも考えますと、優秀な経営者、これまで次官をやった方ならば、だれでもそこの理事あるいは副理事長、理事長になれるというようなお考えではないということを公に示して初めて、委員御指摘の答えに対して胸を張って答えられるのではないかと考えております。
    〔委員長退席、山本(幸)委員長代理着席〕
桝屋委員 採点を聞かせていただきたかったわけでありますが、やれるだけはやった、まだ課題は残っている、ここから先が大事だ、こういう御認識かと思います。そのために今回は新しい評価制度、評価システムを導入したわけでありますから、永続的に、継続的にこれから改革の作業を行わなきゃならぬ、こう思っておるわけであります。
 そこで、午前中の議論を聞いておりまして、私本当に、与党の一員ではありますけれども、小泉総理と野党の皆さんの議論を聞いていて、いつも激しい言葉の応酬はあるんですが、終わった後冷静に考えると、一体何の議論があったんだろうかといつも思うわけでありまして、かみ合わないのは実に残念であります。けんか両成敗という言葉がありますが、どっちもどっちじゃないかといつも思いながら、何でもっとかみ合わないのかなと。
 実は、先ほども話していた天下りの問題も、とてもいいところまでさっき議論が行きました。そこから先の議論をぜひやってもらいたいなと思うと、大きな声で終わるわけでありまして。
 さっきの続きをやりますと、先ほど石原大臣は、今から役員の天下りの問題になるわけでありますが、恐らく大臣がおっしゃりたかったのは、今まで数次にわたる閣議決定等を経て、天下りの問題は相当手が入ってきておるということが一つあるんだろうと思います。ただ、そうはいいながら……(発言する者あり)入っていないという声が今ありましたけれども、実態として、適材適所という言葉もありますけれども、現実に続いているということもあるということで、具体的には、この特殊法人改革とそれから公務員制度改革、両方でやっているんですよ、こういう話がありました。
 もう一回確認なんですが、今回の一連の作業、この特殊法人改革の中で、では天下りの問題は、三割、一割の削減というのはそれはもうわかりましたけれども、天下りをやめるという方向では、具体的にどういう作業が今日まで行われ、これから何をしようとしているのか、特殊法人の改革という観点でもう一度確認をさせていただきたいと思います。
石原国務大臣 この点につきましては、午前中も各党の委員から質問の出た点で、実は私も非常に一番関心のあるところではあります。
 一言で言えば、公務員の方々の再就職の自由をなくしてしまうということを決めれば、天下りを全廃することはできると思います。それともう一つは、六十歳まで全員働くんだ、そういうことによってどういう弊害が起こるかということも過渡期の中では考えていかなければならないと思います。
 当然、今、平均五十二、三歳で退職しているそうでございますが、これが六十までなれば、あと八年間あるわけでございますので、単純に考えますと、既存のポストの昇任年数が、半分としても四、五年はおくれる。そうしますと、現在、本省の課長で四十二、三歳と聞いておりますけれども、課長になるのが五十前ぐらいになる、こういうことでございます。
 四十の後半、四十代の前半、どちらが現場の最高指揮官として有効に働くことができるのか、こういう問題も考えていかなければなりませんし、今のシステムが非常に弊害が多いのは、課長さんぐらいまでは同期入省の人が大体自動的に行くという弊害があるわけでございます。これに差をつけて、優秀な人は三十代でも課長にする、そういうシステムが樹立されると、なった人は働きますが、では今度はなれなかった人は、待っていれば四十八、片や同僚は三十で課長、もうやめたと、そういう方もまた出てくる可能性もある。
 こういうものをすべて考えていかないと、要するに、行政でありますので、天下りを全廃するということは論理的には可能でありますけれども、かなりむちゃなことをしないと天下りを全廃することはできない。
 その次善の策として、今最初に、冒頭申しました、これも総理の強い指示で、早期勧奨退職制度というものは段階的に引き上げて、やはり五十七、八歳を目指していくのが当然であろう、そういうことが一つございます。
 それと、批判の多い、先ほども渡りの話が出ましたけれども、ぽんぽんぽんと渡り歩いて何千万円も退職金をもらうというようなことのないように、六十歳まで、途中で出向するとしても、六十歳になって初めて退職金を一回もらう、公務員としての退職金を一回もらうというような制度も今検討している最中でございます。
 これらのわざを複合的に重ね合わせて、一番国民の皆様方から批判のあるこの天下りというものに対処策を考えていかなければならないと整理をさせていただいております。
桝屋委員 ありがとうございます。
 今、私、聞きたかったのは、特殊法人の改革の中ではどうなんだということを伺いたかったわけでありますが、恐らくそれは、評価システムをきちっと導入して責任をとってもらうということなんでしょう。その上で、今石原大臣がお答えになった内容を聞くと、そこはやはり公務員制度改革、この基本的な問題にメスを入れない限り抜本的な改革はできないというお答えかなと思っております。
 そういたしますと、お役人が退職後の仕事をどこを選ぶかというその自由をどれほど規制できるか、これはちょっとのけておいて、特にキャリアの公務員制度の問題なんですが、今大臣は、総理から恐らく指示があって、在職年数を延ばそう、こういうことでお取り組みになって、その方針がいつごろ出るのかということも聞きたいんですが、しかし、どうも今のお答えでは、段階的にいくんだと。それがいつからか。どうも政府の今の公務員制度改革の流れを見ておりますと、キャリア制度そのものに、私は、まずはキャリアだと思うんですね、キャリア制度にしっかり手を入れるという意欲は今余り感じられません。
 もちろん、能力等級表を新たに入れよう、それから新しい国家公務員法を目指して今お取り組みはされていますが、このキャリアの問題をどう見直すのか。特に在職年数をどう延ばすかということ。それは、逆に言えば、まさに公務員制度の、公務員の世界のパフォーマンスをどう維持できるかというまことに難しい問題になるわけで、そこはどうなんですか、大臣。
 いつぐらいまでにどうなるのか。今、段階とおっしゃったけれども、今見直しをされている最大の問題は、来年の1種の採用試験をどうするかという問題でありますが、そこを乗り越えて、その先の、これはいつごろまでにどう本当におやりになるのか。私は、その問題は本気でやれる、やれば大きいから、ちょっとなかなか手がつかないというふうに見えるんでありますが、その辺はどうでしょう。
石原国務大臣 来年の通常国会に国家公務員法の改正案を出す準備をしております。そして、集中改革期間が終わる年からは新人事制度に移行する。
 その中で、早期勧奨退職のお話を、現在、総務大臣のところで御検討いただいておりまして、それもあわせて段階的に引き上げていく。それと、さっき話しました退職金を何度も取らないようにというようなものも、その新人事制度のときには実現させたい、こんなふうに考えております。
桝屋委員 重ねて伺いますが、ちょっとしつこいようですが、キャリア制度、本当に私は必要だと思います。だからこそ見直しが必要なわけで、それは本当にどれぐらいまでにどうやるのか、言えるだけ語ってもらいたいなと。
石原国務大臣 この点は、桝屋委員と気持ちは同じだと思います。
 さっき言いましたように、幾つになったら課長になると大体決まっている。すなわち、最初試験に通ってしまったら課長までが約束されていて、そのほかに2種、3種という方々、優秀な方々もたくさんいらっしゃるわけですけれども、片や約束されている、そして、片や2種、3種の方が局長に就任すると新聞でニュースになる。これは非常におかしな話で、これは新人事制度の中で、将来的にはやはり、私の個人的な考えは、どんな社会でもある程度のエリートというものは必要ですけれども、では、1、2、3と分ける必要があるのかないのか。今は分かれておりますけれども、これからは、入ったときにすべてが決まるのではなくて、これはもうイギリスで既に実施されておりますけれども、ファストトラック、課長までは行くけれども、そこから先は2種の方も3種の方も試験の採用に関係なく、同じ競争になって局長になる、部長になる、そういうもっと開かれた競争の体制をつくるということを今回の公務員制度改革の中に盛り込ませていただいておりまして、新人事制度の実施とともに実行に移させたいと考えております。
    〔山本(幸)委員長代理退席、委員長着席〕
桝屋委員 ありがとうございます。
 ぎりぎりの御答弁をいただいたと思っておりますが、公務員の、特に1種の皆さん方のパフォーマンス、公務員の世界のパフォーマンスを生かすということは、本当にこれは大変な問題だと思っております。
 ある意味では、今回の特殊法人、今まで天下りをしてきたというのは、まさに適材適所という観点からそこへ人を配置することが最もベターであるというふうに思われてきて、今日、この姿になったんじゃないかと思っております。そういう意味では、私は、やはり公務員制度改革と相まって一緒にやらなきゃいかぬ作業ではないかなと思っております。
 きょうはこれぐらいにいたしますが、どうぞ、見ておりますと、その辺の周辺部分の議論は十分、公務員制度改革は行われておりますが、本質論が少し置いていかれているんじゃないかと、最近、個人的に感じておりますから、きょうはしつこく申し上げさせていただきました。
 最後に一点、評価システムなんですが、今回は、各省にもそれぞれ評価委員会、そして総務省にも評価委員会を置かれるということですが、行革担当大臣と総務省にある総合的な独立行政法人の評価委員会、指揮命令関係はどういうことになるのか、ちょっと、イロハのイで結構ですが、教えていただきたい、どちらが責任を持っておられるのか。
片山国務大臣 ちょっと今の質問じゃなくて、勧奨退職年齢の引き上げは三歳ぐらい引き上げようと、来年度から五カ年で。そうすると、今、各省庁のその引き上げ計画を私どもの方と内閣官房でヒアリングしておりまして、計画をつくってもらってやろうと。大変なんですよ、これは石原大臣言われましたように、今までのいろいろな任用の、昇進のルールを大幅に改正しまして、退職管理に絡みますから。しかし、各省庁と十分相談してまいります。
 それから、今の評価というのは、独立行政法人については各省庁が評価委員会を持って、私のところも、総務省だけの評価委員会はあるんですよ。そういう全体を横断的に調整する、いろいろな意見を言うお目付みたいなものですな、そういう全体の政策評価・独立行政法人評価委員会というのがある。法律は私どもの所管ですから、所管は私どもの方になりますが、評価委員会独自で評価活動をやってもらうんですよ。意見も独自で言ってもらう。まあ監督というのかどうかわかりませんが、そういう意味では法律上は私の方の担当ですが、よく行革担当大臣の方とはコミュニケーションを密にしてやってまいります。
桝屋委員 現に今ついておられるお二人の姿を見て、つい、私もどう考えていいのか悩んだわけでありますが、独立して行うということのようです。
 ただ、やはり行革担当大臣の存在というのは、私、極めて大きいんだろうと。午前中、激しい議論がありましたが、あの総理の強い御決意のもとにこれから進めていくのは、これは実は大変な大きな山があるだろうと思いまして、行革担当大臣の責任も大きいだろう、総合的な評価委員会の中で、ぜひとも大いなる力を発揮していただきたいというふうに思います。
 あと、金目の問題をきょうは聞きたかったんでありますが、財務大臣、時間がなくなりましたので、個別の中でまた御質問をさせていただきたいと思います。
 ありがとうございました。以上でございます。
保利委員長 次に、筒井信隆君。
筒井委員 今審議されております独立行政法人通則法によりますと、主務大臣は独立行政法人の長及び監事を任命する、こういう規定になっております。さらには、独立行政法人の中期目標を定めてこれを指示する、こういう規定にもなっております。まさに主務大臣の資質が問われているわけでございます。
 さらには、この通則法によりますと、政官業のうち特に官業の癒着を規制する、そういう規定もございます。これも今大きな問題になっている。特殊法人において、政官業の癒着構造、これがその舞台になっていた、こういう問題にもなっているわけでございまして、今私が農水大臣に追及しているのは、まさにその政官業の癒着構造の最たる構造でございまして、これをここで追及するのは当然の話で、この点、農水大臣と委員長に重ねて強調しておきたいと思います。
 さらには、あの井上参議院議員が、議長を辞任しただけではなくて議員も辞職をいたしました。これは、まさに今の私が追及しております農水大臣の口きき疑惑と全く同一の構造でございます。この中身であれば、まさに辞職しなければならないんですよ。辞職しなければならない大臣のもとで今審議をそのままやっていけるか、こういう問題になっているんです。本来、筋を一貫すれば、私は農水委員会に所属しておりますが、農水委員会の全部の審議もとめるべきなんです。だけれども、私たちは、やはりきちんとした政策の議論もしなきゃいかぬから、それも織りまぜながらこの追及もやっているわけですよ。
 これは本来なら予算委員会でやるべきです。だけれども、予算委員会に全然応じないのは自民党じゃないですか。さっき予算委員会でやれと言っていたけれども、では、予算委員会でやらせるんですか。それを全然やらせないから、あらゆるところでもってその追及もやる、政策の追及もやる、こういう姿勢でやっているんです。それを、そういうことをやってそういう追及を逃れようとしたって、それは無理な話ですよ。
 そして、井上参議院議員は、同じ構造の問題について、秘書の監督責任を痛感し、政治的、道義的、社会的責任をとる、こう述べて議員辞職したんですから。議員辞職しなきゃならない大臣の、そのすべきかどうかというところがまさに最優先の課題でしょう。
 そういうことをまず強調した上で、大臣の姿勢は、宮内秘書の言うことをそのまま言っているだけで、具体的には調べていない。しかも、うそはわかっているのに、それをそのまま言っているだけ。
 その具体例として、午前中にちょっと、最後それで切れましたが、みずほ銀行に問い合わせたところが、平成八年以前の資料はありませんと、だからこれを解明するのは不可能になりました、こういう答弁をされております。しかし、これは全くうそですね。私の方でも、ほかのところでもそうですが、いろいろなところで、みずほ銀行に問い合わせました。十年の保管義務があります、書類は、閉鎖してから十年間保管義務があります、間違いなく存在します、本人からの要請があれば必ずそれは出します。そして、商法の規定ですが、商法の規定でもはっきり、帳簿が閉鎖されてから十年間は保管義務があるんですよ。
 だから、前から言っている平成八年以前の書類はないから調べられない、これは完全に事実に反するでしょう。これは、宮内秘書に聞くかどうか、こんなの聞く必要もなく、事実に反するということははっきりしているでしょう。大臣、どうですか。
大島国務大臣 当時、報道されて以来、その家の原資というものをしっかりと調べて、そして報告をさせることが私の責務と思って、そして、本当に宮内家のプライバシーの中まで調べてくれ。そういう中で、最初に返ってきた答えが、先ほどもお話し申し上げましたが、宮内夫人がみずほ銀行祖師谷支店に電話で問い合わせたところ、女子行員が平成八年以前の資料は残っておりませんとの回答であったと報告がありましたので、そのことを私はお答えさせていただきました。
 しかし、六百九十万についての本当に裏づけ資料というものがほかにもないのかどうなのか、さまざまに皆様方から御指摘があるから、そういうことでもう一度調べてください、そういうふうな結果として、筒井委員、予算委員会の委員長のところに、全部ではございませんけれども、奥様が調べ上げてその資料を届けた。うそを言ったということではなくて、最初のその報告のときに率直にそういうふうな回答があったものですから、そういうふうにお答えしたのでございます。
筒井委員 私の質問に答えてください。
 私は、平成八年以前の書類はないという答えは事実に反しますねという質問なんです。十年間の保管義務があるから銀行はとっておりますね、だから最初に答弁されたことは事実に反しますねという質問なんです。そのことについて答えてください。
大島国務大臣 同じことで恐縮でございますが、最初に私は、そういう調査のときに、宮内及び奥様からの報告がそうでございましたので、そういうことを答えたということでございます。
筒井委員 だから、今の言っていることは、まず一つはっきりしたのは、本人がそう言われただけで、そのまま答えて、大臣の方で直接銀行に問いただそうともしなかった、この点はまずはっきりしていますね。直接聞けばもうそれですぐわかるんだから。それが一つ。
 それから、今私が申し上げた、十年間は保管義務があるから、間違いなくございます、本人からの要請があれば、それは提出します、こう銀行は私の方の質問にも答えているんです、みずほ銀行は。だから、その点を確認して、当初の八年以前の書類がなかったことは事実に反しますね、こういう質問なんです。
大島国務大臣 どの口座に何を持っているかということは、私は報告を受けて初めて伺いました。そして、十年間の保存義務というんでしょうか、そういうことがある、ないということは、大変恐縮ですが、私の知識の中にはございませんでした。
筒井委員 いや、だから、今は事実に反することはわかっているでしょう。あなたは、私の農水委員会での質問に対しても、ほかの人の質問でもそうですが、平成八年以前の書類はありませんので調査することは不可能になりました、こう答弁されているんですよ。それが事実に反するということは認められるんでしょう。先ほどからはっきり聞いているのに、そんなことでは質問できませんよ、いろいろ逃れてばかりいて。
大島国務大臣 十年の保存義務があるという知識は、私、持ち得ていませんでした。したがって、宮内夫人からの報告をそのままお答え申し上げたわけであります。
 しかし、その後皆様方からさまざまなまた御意見等があり、それはそのとおりだなと、できるだけの、その六百九十万、その裏づけある資料をもう一度探してくださいというふうに私は宮内の方に問いただしました。その結果として、資料を今、わかり得るものの資料を提出させていただいたということでございます。
筒井委員 私の質問に答えてくださいね。みずほ銀行に問いただしたところが、平成八年以前の資料はありませんといった答弁、これは事実に反しますねという質問なんですよ。それは認められますね。
大島国務大臣 宮内夫人が、もう一度お答えしますが、みずほ銀行祖師谷支店に電話で問い合わせたところ、女子行員が平成八年以前の資料は残っておりませんとの回答であったと言うんです。それで、このそれぞれの通帳に関しては、そういうふうな、御本人、奥様が問い合わせたところそういう回答であったと言うものですから、私はそのことをお答え申し上げたということでございます。
筒井委員 そんなの、宮内さんがどう答えるかの問題じゃないんですよ。そんなの聞く必要ないんですよ。みずほ銀行に問い合わせばそれではっきりするでしょう、資料があるのかないのか。私たちの質問にも答えているんですから。それを一切今まで聞こうともしなかったんですね。
 では、その点だけ、ちょっと確認してください。
大島国務大臣 もう一度お答えしますが、みずほ銀行そのものに奥様が問い合わせて、そういう結果を御報告しました。私は問い合わせておりません。
筒井委員 それが、事実を解明するのが自分の責任だと言っていた大臣の姿勢なんですか。事実を解明しようなんという気は全くないじゃないですか。自分で直接確認すれば、あるいは秘書に確認させればそれですぐわかることじゃないですか。すぐわかることさえも全くやっていないじゃないですか。それは、宮内秘書に何回も聞くなんて必要性ないことなんですよ。銀行に問い合わせればそれで済むことなんです。
 それで、午前中に聞きました振り込んだ事実、これを大臣は、あれはA氏が貸したんだというふうな、まさにこれも事実に反する答弁をされました。あれを聞いていたA氏が早速マスコミの方にコメントを出したようでございまして、大臣の方に渡っているかどうか知りませんが、あれは明確に宮内氏からの指示で、頼まれて振り込んだ、A氏が貸すなどということは全くあり得ないことだというコメントを出しました。
 そして、午前中に示しました証拠の手紙、これは、その借り手の西部瀝青の社長から宮内さんに対する手紙でございます。しかも、この手紙のあて先は、大臣の議員会館の部屋ですよ。大臣の議員会館の部屋内の宮内さんあての手紙なんです。
 そして、もう一つ、大臣がどう答えるかによって出そうと思っていた手紙があるんですが、やはりもう一つの手紙がございます。これは、同じように、この西部瀝青社長の樋口さんから宮内さんに対する手紙でございます。それもあて先は、もう一度確認しますが、衆議院の第二議員会館の五〇二号室、大島理森先生事務所内の宮内さんあての親展になっておりました。大臣の議員会館の部屋に届いた。
 ここでどういうふうに言っているかと見ますと、大臣の午前中の答弁を全く否定しているんです。その部分だけ読み上げます。「入金が確実にあることを見越して、貴殿に対し、」これは宮内さんに対する手紙ですよ、「貴殿に対し、金銭の借入れの御願いをし、貴殿から快く実行して頂きました」と。
 A氏からの借り入れだったら、何で宮内さんにこんなことを言うんですか。これは明確に、宮内さんから借りたことだとはっきりしているじゃないですか。原本を持っていますから、これは見せてもよろしいです。
 そして、午前中示した手紙は、宮内さんに対して、こういうふうに分割して返済します、だからもう少しお待ちください、金利はこういうふうにしますと、宮内さんに対してそういうことを記載した手紙を送っているんですよ。
 これははっきりしているじゃないですか。それをいろいろな言い逃れから、後で調べるとか何かよりも、もうはっきり認めるしかないんじゃないですか。
大島国務大臣 午前中に委員からそういう質問がございまして、また資料もちょうだいしました。
 そこで、私のスタッフが改めてそのことについて確認をしたそうでございますし、この資料一の五の手紙をよく読みますと、なるほどいろいろなことを書いております。「お詫びに御伺いいたしました際、御約束申し上げましたように、その後銀行とも協議を重ねてまいりましたが、」云々から、なかなか貸してくれません、「下記のような分割返済にて御願い申しあげたいと思います。」ということを言い、最後に、A様によろしくお伝え願えれば幸いにも思いますと、こういうふうにも書いてありました。
 したがって、スタッフを通じて聞かせましたのは、こういう手紙を僕は初めて見た、君はこういうことの記憶はないのかあるのかということ。そしてまた、改めて、西部何とかという会社の方の五百万についての経緯はどうかということに対して、自分の記憶としてはその手紙というものが記憶には本当になかったと思います、ただ、こういう手紙があったとすれば、そうかもしれませんと。しかし、この点につきまして、午前中に答弁いたしましたように、A氏と西部瀝青との金の貸借であり、自分、つまり彼は、両者の間でどのように貸借したのかは、そこに入って細かなことは本当に承知しておりませんとの返事でございました。
筒井委員 こういう手紙があったとすればということですが、これが議員会館に届いたことは間違いないので、この中に、五百万をこういうふうに四回で分割して返しますからもう少しお待ちくださいというふうに宮内さんに対して言っている。そして、今読み上げた別の手紙ではっきり、宮内さんから貸していただきましたと、これを樋口さん自身が書面で述べておられる。今の言いわけは全然きかないんじゃないですか。
大島国務大臣 午前中にこの経過は私も答弁をさせていただきました。
 それは確かに、何回か相談に来られて、そしてその来られた中で、自分にはお金がないので、かつて紹介をしたA氏との関係の中でと思い、A氏に、もし余裕があれば相談に乗ってやってくれないかと、そこのところははっきり申し上げますが、もし余裕があるなら協力してくれないかという電話は、宮内からA氏にいたしたということは申し上げました。
 ですから、全く関係がないということではなくて、そういう協力のお願いはした、そして、その後、A氏から樋口氏に金を貸したという報告を受けた記憶がある、また、樋口氏からもA氏から云々という電話で報告された記憶がある、したがって、迷惑かけないようにしなさいよと、こういうふうなことも先ほど申し上げました。
 ですから、そういう経過の中で、彼は、再度私は、筒井委員からそういう質問をされましたので、もう一度我がスタッフが確認したところ、午前中に答弁しましたように、A氏と西部瀝青さんとの金の貸借である、私自身が、つまり宮内自身が貸したお金ではないという報告でございました。
筒井委員 大体、午前中に出した手紙自体だって、宮内さんに対してこういうふうに分割返済しますからお待ちくださいと言っているんですから、今の言いわけなんか全然きかないんですよ。
 だけれども、今の言いわけもまた予測されたものですから、もう一つの手紙も、そのときは出そうと思って準備していたのがもう一つの手紙で、今読み上げたとおりですよ。まさに、宮内さんに金銭の借り入れのお願いをし、宮内さんから快く実行していただきましたと。
 見ますか。こう書いてあるんですよ。樋口さんの、これは自署、署名があります。自署があって、しかもこれを議員会館の部屋あてに出した。だから、宮内さんは受け取っているんですよ。知らないなどということはありっこないんですよ。受け取って、それをA氏に渡しているんですよ。この二通の手紙とも、宮内さんに借金の申し出をして、宮内さんから快く実行していただきましたと明確に言っているんです。それを、今みたいな言い逃れは通らないでしょう。
大島国務大臣 そのお手紙を、またコピーでもお借りできれば確かめたいと思いますが、彼からの、その西部何とかという会社との金銭の賃貸のありようは、何回も申し上げますが、相談は受けた、相談は受けて、その以前に紹介し、A氏と西部瀝青さんとの仕事もその後されておったようで、そういう関係から、A氏に宮内がお願いしたのは、そういう、先ほどお話ししたように、電話でお願いしたのは事実であると。その後、両氏、つまり、A氏からお金は貸したという報告も受けた記憶があるし、それから、西部何とかという会社からもそういうことがあったという話を受けております。
 ですから、その賃貸の中に彼が全く関与していないということではなくて、関与はそういう形でしておりましたが、自分がお金を貸したということはないということでございましたので、もしよろしければ、そのコピーでももう一度お貸しいただいて、精査をしてまいりたい、こう思っております。
筒井委員 もちろんコピーも渡しますし、原本も見せますが、こういうふうに証拠が明確なのを、そういうふうにこじつけて全然否定する。まさに、まともな審議なんかできないじゃないですか。はっきり書面の証拠として来ている。これも、単にA氏の方に来ている手紙だったら別ですよ。宮内秘書の方に来ている手紙ですよ、しかも議員会館あてに。
 その中で、本人が、こういうふうに宮内さんから借りた、こういうふうに返しますと明確な証拠がある。それを今みたいな、全く証拠を無視した言い方でしょう、今のは。そんな答弁で納得できるはずがないでしょう。
大島国務大臣 午前中お示しいただいたお手紙にも、実名が入っておりますが、何々さんによろしくという手紙が最後に書いてあります。
 つまり、かれこれ、これこれあって、これは、この議論ではありませんけれども、何々さんによろしくと最後に書いてあるのは、多分、今まで宮内が、前秘書が、先ほど来申し上げたように、Aさんにもお願いをした、そういう形の中で、そういうことではないかと思いますし、私は、改めて今示されたその手紙のコピーを拝見して、さらに彼にしっかり確かめてみたいと思います。
筒井委員 A氏の名前が、A氏によろしくお伝えください、当たり前ですよ、A氏の名前で五百万円を振り込んでいるんだから。これは、宮内さんの指示に基づいてA氏の名前で振り込んでいる。そのA氏に対してよろしくお伝えください、こんなの書いてあったって全然不自然じゃないでしょう。そして、午前中に示した書類でも、貴殿にこれ以上迷惑はかけられないので、下記のような分割返済にてお願い申し上げますと。分割返済をお願いしているのは宮内さんあてですよ。午前中にあなたに渡した手紙でもはっきりそのことを書いてあるんです。
 そして、それでも恐らくあなたは、今までの態度から見たら言い逃れするだろうと思って、今、別のもう一つの手紙で、はっきり宮内さんに頼んで宮内さんから借りた、こういう文章の手紙があるんです。それを、全くそういう証拠を無視した形での明確な――もう時間ですか。
 ちょっと納得できない答弁ですが、引き続いて、これは先ほど言いましたように極めて重要な問題ですから、聞かなきゃいかぬと思っています。
 終わります。
保利委員長 次に、山井和則君。
山井委員 民主党の山井和則です。
 三十五分間にわたりまして質問をさせていただきます。私は、厚生労働分野の九件の法案を主に担当しておりますが、きょうは初日の総括ということで、特殊法人改革についての象徴的な問題について、主に石原大臣と扇大臣に質問をさせていただきます。
 独立行政法人の天下り官僚の役員給与や退職金の異常な高さが、我が民主党の上田清司議員の調査でも明らかになっております。
 さらに、私の尊敬する石井紘基衆議院議員が、先日暴漢に襲われて亡くなりましたが、悪を憎み、正義感の塊であった石井議員が最も力を入れて取り組んでおられたのが特殊法人改革であり、道路公団の問題、天下りの問題でありました。先日の告別式でもナターシャ夫人が、民主党の議員の皆さんが紘基さんの遺志を継いでほしいということを涙ながらにおっしゃっておられましたが、私も、この問題、その遺志の一部でも継がせていただくという気持ちで、本日質問をさせていただきます。
 まず、石原大臣にお伺いします。
 ごく端的に、この特殊法人の独立行政法人化の目的、ごく端的にで結構ですので、お答えください。
石原国務大臣 これは、午前中の御審議、また、先ほど来の御同僚の御審議の中でお話をさせていただきましたように、やはり公的部門が担っていく行政の実務の仕事はあるだろう。しかし、それをこれまで担ってきた特殊法人という組織形態が、自己増殖をし、あるいは非効率性に陥り、また、透明度が大変低く、さまざまな弊害が指摘され、それを是正するために今般、四十六本の法案を提出させていただいておりますけれども、その中で、特殊法人にかわる独立行政法人という新しいスタイルで行政のアウトソーシングの仕事をしていっていただこう、これが一つでございます。
 それと、やはり民間を圧迫している部分があるのではないか。時代の変遷によりまして、官が主体的に行う仕事ではなくなったもの、昔は、端的な例は、やはり、宿を経営したり施設を経営したり、民間が十分でなくて官民の格差があったりしたわけですが、今ほとんどなくなっている。こういう部分に象徴されるような官業ビジネスを是正していく。
 それと、さらには、運営している資金ですけれども、これは実は国民の皆様方の郵貯、簡保のお金をお借りしてきて、利子を乗っけてお返しするということで事業が成り立っていたわけですけれども、さらに税金で補てんもされていたわけですけれども、どうも経営が放漫であることによりまして、借りたお金に利子を乗せて返せないおそれが出てきているし、さらには、法人によっては、どうも資産がかなり劣化しているものがある。こういうものを変えていくということで、今回の特殊法人改革がスタートいたしました。
 その方法は、組織論に目が行きがちではございますが、これも御議論の中でございましたように、事務事業を徹底的に見直し、同じような仕事をしているものは一つに集約する等々の見直しを行った上で、組織形態に踏み込んで議論をさせていただいているわけでございます。
山井委員 今の御答弁をまとめますと、行政の肥大化を防ぐ、それで効率化する、スリム化するということであります。
 しかし、先行して独行法人、独立行政法人になっておりますものに対して、我が党の上田清司議員が調べました資料が、きょう目の前にお配りをしてございます。
 これを見てもらいましたらわかりますように、年収でも、真ん中の、経済産業省の産業技術総合研究所の一番高い理事長さんは二千六百五十万円。また、その二つ上の日本貿易保険に関しては二千四百万円というふうに、年収二千万円以上の理事長職が十一件、また、千九百万円台が十四件。
 また、一期二年とか四年の退職金が、例えば物質材料研究機構では二千百三十三万円、二千万円以上が二件、千九百万円以上が七件。
 また、人数に関しても、農業工学研究所などは、こういう独行法人化によって十八人ふえ、また、酒類総合研究所は十五人ふえている。全体で、五十七法人で九百人以上ふえている。
 今の、非効率をなくす、行政の肥大化をなくす、スリム化するといううたい文句と全然反して、結局は焼け太りをしているんではないですか。このような現実に対して、石原大臣の見解をお伺いします。
石原国務大臣 この資料は、御同僚の上田委員がお示しされたというものを私もそのとき拝見しまして、随分高いものだな、大臣の給与よりも高い人がいるのかとびっくりもし、それだけの仕事をしてくださっているならばいいなと思って、特に、一番高い経済産業省の産業技研ですか、これを調べましたら、この理事長は、もう委員も御指摘のとおり、東大の学長さんをされていた吉川先生、こういう方を引っ張ってきまして、給料が安くなって引き受けてくれないということもあって高くなったのかなと、善意に解釈はさせていただいておりますが。
 実は、道路公団の初代の総裁も民間人でありました、これも私、調べてびっくりしたんですが。しかしその後は、先ほど同僚の議員がお示しされましたように、全部指定席になっている。これはけしからぬな、高い給料を先につくっておいて、その後、万々が一、自分たちの先輩たちがはめ込まれるようなことをやっちゃいけない、そういう今回の反省に立ちましたし、このRアンドDの理事がふえてしまったということも承知しておりましたので、先ほど桝屋委員の御質問の中でお答えさせていただきましたように、法定数でいえば四割、常勤でいえば二五%、今回は役員の数も減らさせていただいたわけでございます。
山井委員 個々の事情はあるにしても、トータルとしてこれだけ焼け太りしているという現状を私は指摘をしているわけです。
 もうちょっと、これ、トータルで見てみますと、例えばこの理事長も所轄大臣が決めることにはなっておりますが、ほとんどが官庁OBになっておりまして、具体的に、役員の退職金の算定方法について、先行した独立行政法人の場合どうなっているのかを調べてみました。それがこのパネルになるわけですが、ここでまた石原大臣に一つお伺いしたいと思います。
 例えば、本俸が百万円の国家公務員の方が五十五歳から四年間さらに働いた場合の退職金は、四年分ですから五百万円アップとなるわけですけれども、それと同じようなケースで、独行法人で天下りをして本俸百万円で四年間働いた、その場合の退職金は大体幾らになりますか。
保利委員長 特殊法人等改革推進本部事務局堀江事務局長。(山井委員「これは大臣にということで通告してあります」と呼ぶ)
 これは事前の問題がありますので、行革大臣から一応御説明をいただきたいと思います。石原大臣。
石原国務大臣 私、退職金の算出方法等々、十分に認知しておりませんので、幾らになるということしか申し上げられませんが、単純に計算いたしますと、おおむね千三百万円程度になると考えております。
山井委員 石原大臣、今非常に問題な発言をされたと思います。自分自身はその算出方法をそれほどよく知っていないということなんですが、そう思って、まさにこのパネルにつくってまいりました。二ページ目も見てみてください。
 これ、どういうことになっているかというと、引き続き、例えば五十五歳の役人の方が本俸百万円で五十五歳から五十九歳まで四年間勤め続けたら、退職金は五百万円しかプラスにならないわけですよ。ところが、そこで天下りをして独立行政法人に行ったら、四年間いれば、今御答弁されたように約一千三百万、二・六倍にアップしているわけです。これはふえてしまっているわけですよ。
 おまけに、午前中も議論にあった、早期退職加算がつくから、実際には天下った方が、独行法人に行った方が、一千万円以上これまた税金が使われていることになるわけです。そういう意味では、この問題、独行法人化で効率的にやっていくという趣旨に全く反しているわけです。
 独行法人の役員は、身分は非公務員といっても給与は国家公務員並み、さらに退職金は国家公務員よりも二倍以上こうやって高くなってしまっている。こんなことでいいんですか。同様のことが起こるんだったら、独行法人化の意味がないと思います。石原大臣、いかがですか。
石原国務大臣 私が算出方法を明確に認知していないということは、法人によりまして加算方法に幅があるわけであります。ですから一千三百万円程度と申したわけでございまして、このようなことは、もう既に、渡りがあって、短期間しか在職しないのに数千万円の退職金を複数からもらうことはけしからぬと御同僚の委員から出てきておりまして、それに対しまして、そういうものを是正していくために今回の仕組みを仕組ませていただいているともう既に答弁させていただいておりますし、委員の御指摘と私の考え方に相違はないものと承知をしております。
山井委員 今個々に幅があるという答弁でしたが、実際には、どこを調べてみても、私、今回調べてみましたが、すべてこの計算式に当てはまるんですね。つまり、本俸掛ける百分の二十八、これは十一月一日からこうなっています、掛ける四十八カ月、月で計算するわけですね。国家公務員のもとの場合は年で計算するけれども、特殊法人や独行法人に天下ると月で計算するから、これだけ膨らんでしまうわけです。
 幅があるといいますけれども、これがルールになっているわけですよね。このルールでこれから独行法人化されるものもやっていくんですか。そうすると、独行法人に行けば行くほど焼け太っていく、退職金がかさんでいくという今の状況は変わらないですよ。いかがですか、石原大臣。
石原国務大臣 その点は、先ほども御質問がございまして御答弁させていただきましたように、早期勧奨退職で出て、そこで退職金を取って、また退職金をもらうというような、二重に退職金を取るような形は是正をさせていただき、御指摘のような問題に対応させていただきたいと考えております。
山井委員 今まさにこの法案の審議をしているわけですが、御指摘の趣旨に沿って対応していきたいということは、具体的にどうするわけですか。今では、四年前に出たら二・六倍に退職金がふえてしまう、このプラスの部分、そういう部分をこれ以下に下げるということですか。具体的に幾らに、どのようにするかということをはっきり言ってもらわないと、ここで審議ができないじゃないですか。
石原国務大臣 もう既に御答弁をさせていただいておりますように、今回御審議をいただいております特殊法人から独法化する法人につきましては、退職金で三割、四月から減額をさせていただいております。
山井委員 今度新しく独行法人化することに関してはどうするわけですか、石原大臣。
石原国務大臣 同様に当てはめていきたいと考えております。
山井委員 三割でも十分だとは思いませんが、もっとそこのところをきっちりこれからやっていっていただきたいと思います。
 ついては、国民の将来負担の無原則な増加を防ぐ真の改革というのがこの独行法人化の目的なわけですが、その趣旨に反して、現時点で独行法人化されている、先ほども言ったように、職員数がふえたり、こういうふうな高い給与や退職金が野放しになっているわけです。
 次に、特殊法人の一つであります阪神高速道路公団の入札妨害の事件についてお伺いしたいと思います。
 今回の事件は、大阪管理部が発注した遮音壁工事の入札工事をめぐって、公団OBの天下り業者に入札情報を漏らし、公団関係者ら四人が逮捕されるという、天下りを介した官民癒着構造が明らかになったものであり、極めて問題であると思います。
 まず、この事件、両大臣御存じだと思いますが、扇、石原両大臣から、この事件に関する御見解をお伺いしたいと思います。
扇国務大臣 今山井議員がおっしゃいますように、この今回の阪神道路公団に関します事件、私も公共工事の入札と契約に関する適正化法というのを一昨年の十二月、皆さんの、超党派で、自民党から共産党まで全部賛成していただいて通していただいて、その中にも既に書いてあるわけですけれども、今回このような事件が起こったということを聞きまして、まことに遺憾な話であるし、また、国民の皆さんに、道路公団等公団の話が今まさに論議されている最中にいやしくもこういうことが起こったということは、私はあってはならないことだと思うし、なお一層公団に対する国民の信頼が失われるということに関しては、私は、すぐその日でございましたけれども、四公団の総裁、理事長全部呼びまして、こういうことがあってはならない、しかもほかにはないのかということを全部通達をし、もう一度自分たちで、どうしてこういうことを防げないかという答えを持っていらっしゃいということで、一週間の猶予を与えて、今週末までには各公団から、どういうことでこういうことが起こったか、反省も含めて案が来るものと思っております。
石原国務大臣 この問題は、やはり、一般競争入札が原則であるはずの公共事業がファミリー企業等々によって、この入札妨害をした形がどういう形かわかりませんけれども、随意契約のように思われてもいたし方ないというような事例が複数報告されていますことのように、私はゆゆしき問題であると認識をしております。
山井委員 この問題は、阪神道路公団において受注先企業への天下りと談合が表裏一体になっているわけであります。
 十月三十一日付の毎日新聞によれば、阪神公団のあるOBは、建設会社への再就職の際、阪神公団から五億円分の工事受注を約束したと証言しておりますし、またOB受け入れ企業も、阪神公団在籍時の給料を保証してやれば数億円の工事がもらえるというのが業界内の常識だと証言をしております。
 先ほど扇大臣、今指示をしているということをおっしゃいましたが、再発防止策、もうこれは構造的な問題になっているわけですが、どうされたらいいと扇大臣本人は思われますでしょうか。
扇国務大臣 きょう、午前中にもお話があって私も話を聞いておりましたけれども、道路公団等々、いわゆる阪神もすべて含めて、補修とかあらゆる面で、メンテナンスの部分でなるべく地元の業者を雇うべきであるという御意見が今までもございましたし、また、そのようにしております。
 ですから、いわゆる遮音壁、これも一つなんですけれども、なるべく地元の業者に公平に仕事が行き渡るようにということでこの制度を取り入れているんですけれども、たくさんの業者を入れれば入れるほどコスト高になっているということもこれあり、私がなぜこういうことになるんですかと言ったら、いざ何かあったときにすぐその仕事が、応急処置に対応できる業者に仕事をさせたいというお話がございました。
 だったら、私は、その材料を持って、道路のすぐそばに倉庫をつくって、何かのときにすぐ対応に出られるような、そういうところに契約が落ちるとどうしても一定の業者になってしまうから、そうではなくて、高速道路をつくるのであれば、かさ上げしているんですから、その下がいっぱいあいているんですから、そこに公団としての材料を保管して、その材料を使ってメンテナンスをする業者を選べばいいじゃないですかと。何も民間の業者が道路のそばに倉庫をつくって、すぐ対応できるような整備をしていなくても、公団自体が、空間もあるんですし、道路をつくったときの材料もそこに保管して、あまねく公平な競争をして入札をすればいいんじゃないですかということも私は申し上げましたけれども、四公団に、それぞれ自分たちでみずから考えなさいということで申し渡したというのが現在の状況でございますけれども、私は、単純に考えても、それくらいのことは是正できるのではないかなと思っております。
山井委員 今の、発注と談合、それと天下りというのが表裏一体をなしているわけですけれども、そこで高値入札になって税金のむだ遣いになっているという構図があるわけです。
 そこで、扇大臣に改めてお伺いしたいんですが、受注関係にある民間企業への天下りについて、国家公務員の場合は、御存じのように、退職後二年間はクリーンオフ期間として、直前の五年間に担当した業務と関係が深い企業に再就職することは禁じられていますが、例えば今回の阪神公団のような、公団から受注先企業への天下りには規制はないんですか。
扇国務大臣 ございません。
山井委員 それはおかしいのではないでしょうか。今回も、この資料の中身に、三ページ目以降、過去五年間、七十八人、阪神高速道路公団からファミリー企業やいろいろな受注先の企業に天下っているわけですね。
 今なぜ私がおかしいと言ったかというと、要は、阪神公団などの公団は、官庁と同様に、いや、それ以上に建設会社などの受注先企業との結びつきが強く、職務権限が強いことも十分考えられます。にもかかわらず、規制がないというのはおかしいのではないでしょうか。だから、今回の事件のように、仕事の発注と引きかえに天下りがふえるんだと思います。この資料にもありますように、毎年十数人、過去五年間で七十八人、また、歴代では三百人ぐらいが、受注関係のある企業や公団のファミリー企業に天下っているわけです。
 実は、私の知り合いの建設会社に勤める友人にも聞きましたら、こう言っていました。阪神公団からの天下りを受け入れないと仕事がもらえない、余り仕事をしないのに公団からの天下りの役人には高い給料を払わねばならないと嘆いておりました。結局、談合による高値入札でまたその会社は元を取る。このような税金のむだ遣いは許せないわけであります。
 そういう意味では、道路公団から受注先企業への天下りは規制すべきではないでしょうか。扇大臣、そして石原大臣にもお伺いします。
扇国務大臣 今四公団統合の委員会で御論議をいただいておりますけれども、きょうはたまたま山井議員は阪神道路公団のお話をなさいましたけれども、これは阪神のみならず、道路公団自体にも、私も何度も国土交通委員会で数字を出しておりますけれども、少なくともいわゆる維持管理業務、これは四業務ございますけれども、もう山井議員御承知のとおりでございまして、各公団、すべて道路公団は四業務の分割をしております。
 そして、その四業務の中に、例えば道路公団一つとってみましても、道路公団の料金の収受だとか、あるいは交通だとか保全とか補修とか、あらゆる四業務の中でも、道路公団一つとってみましても、少なくとも百六十三社あるんですね。そして、百六十三社あって、その百六十三社のうち公団からの天下りというものも四十六社に天下っているわけですね。
 そして、その四業務の、公団から分割されて維持管理しているその業者一つ一つが民間会社になっていまして、そしてそこで、民間会社がほとんど、八五%以上道路公団からの仕事を落としているわけですね。そしてそこでいわゆる受益が起きているという意味では、私は、受益額というものが六百八十五億全部であるんですね。余剰金というものが一社十四億あるんですね。これだけ民間がもうかっていて、普通だったら、普通の民間会社では五、六千万というのが常識です。けれども、そういう天下りといいますか、天下りしているからたくさんあるというわけじゃないですけれども、そういう民間という名に隠れて道路公団の仕事を一手引き受けにして、そして余剰金を一社で十四億も持っているということ自体が、一般の民間の皆さんから見れば、どういうことなんだという声が起こるのは当然なものですから、私はどうしてもそういうことを、先ほどから焼け太りという言葉をお使いになりましたけれども、私はそうではなくて、こういう、道路からの下請を四業務見ただけでもこれだけの民間らしくないものがある。
 一定のものが大変もうかって、しかも道路公団は赤字で困っているということでは、私は民間の賛意が得られないということで、その体質を改善しようというのが今の論議の最中でございまして、ですから私は、特に上下分離して、下は一生懸命つくって、上でそういうもうかる業務というもので、私は、民間が、焼け太りではなくて、食い逃げしてはいけないな、そう思って是正していこうというのが今の論議の大事なところだと思っています。
石原国務大臣 ただいまの点は、道路民営化推進委員会でも重要なポイントということで、実は、これも一般入札で、調査会社に依頼いたしまして、千二百社の会社にファクスアンケートを実施いたしまして、そのうちの内容を精査して、六百五十社、行政コスト子会社が百三十六社、アンケート回答企業が二百八十社、アンケート辞退企業が二百四十社、ここに訪問調査をしまして、実態を詳細に検証していこうと道路民営化委員会で検討させていただいている最中でございます。
 そして、先ほどちょっと退職金の支給率のお話がございまして、正確なお話ができませんでしたので、補足をさせていただきますと、退職時俸給月額掛ける在職月数、これは委員の御指摘でございます、掛ける支給率が、これまで〇・三六でございましたのを〇・二八に削減することによりまして、委員は三割で少ないと申しますが、三割の削減を図らせていただいていることと相まちまして、現在、公務員制度改革の中で検討中でございますが、在職者と途中で他の特殊法人、独立行政法人に行った人間との給与、退職金の差が出ないように、役員出向制という形で一度だけ六十歳に退職金を取るという形に改めるべく準備をさせていただいております。
山井委員 もうちょっと扇大臣からも具体的な答弁をいただきたいわけですけれども、具体的に言いますと、公団から受注先の民間企業に天下るときに、公務員の方が天下るのと同じように、二年間のクリーンオフ期間というものをやはりとるべきじゃないかと思うんです。
 このことについて、扇大臣にお伺いします。
扇国務大臣 むしろそのことよりも、民間の皆さん方が、公団の職員を天下りで採ったら仕事がふえると思っていらっしゃること自体が私はおかしいと思いますので、そういうことをさせないという基本的なことを、何年たったらいいというのではなくて、基本的なものを我々はもっと、そして、天下ったから受注できるということを思っていること自体が封鎖できるということが、私が入札と契約に関する適正化法をつくった大原則でございますので、法律ができているんですから、私はそういうものを市町村まで徹底さすべきであるというふうに思っております。
山井委員 今のようなマインドの問題にしてしまうから、いつまでたっても天下りの問題はなくならないんではないかと思います。やはりきっちりと制限していくということが必要だと思います。
 そこで、公務員制度改革のことにも少し触れたいと思います。
 午前中も質問がありましたが、中島人事院総裁にも来ていただいておりますが、この大綱は、これまで不十分とはいえ、第三者機関である人事院が天下りの審査を行ってきたのを、各省の担当大臣の権限にしようとするものであります。これではますます各省の省益を背負った天下りを助長して、現在の問題を解決するどころか、さらに事態を深刻化させるのではないかと思います。
 天下りを助長して、改正ではなく改悪だ。要は、今までは人事院さんがきっちりチェックしていたのを、これからは独行法人の中での天下りというものは各省庁に任せてしまうということでは、結局、後退しているんじゃないかと思います。
 このような公務員制度改革大綱について、石原大臣、そして中島総裁の御意見をお伺いします。
石原国務大臣 ただいまの点は、内閣委員会等々でこれまでもかなり御論議をさせていただいた点でございます。
 天下りの基準が甘くなるという御指摘でございますが、もう既に、人事院の事前チェックにおきましても、十二年と十三年を見ますと、三十人近く天下りの数がふえるわけであります。人事院の基準をクリアしたら、人事院が、その基準をクリアしているものを、人数がふえるから減らしますということはできないわけでございますので、内閣が、承認基準を政令で定めて、承認制度の運用について総合調整を行い、所管大臣は、内閣が定めた承認基準に基づいて、内閣の総合調整のもとに再就職の承認を行う。各大臣がリスクを背負うことによりまして、野方図な天下りというものを是正しようというように、二重にも三重にも厳しくした内容でございます。
中島政府特別補佐人 ちょっと石原大臣の御答弁には誤解があると思います。
 現在の天下りの法律を読んでいただきますと、各大臣が申請してこられて人事院が審査をしているということでございますので、それぞれの大臣が申請する前にきちんとチェックをなさればふえることはない、そこのところをしっかり認識していただきたいというふうに思います。
 なお、天下り一般につきましては、民間企業に対する天下り、あるいは特殊法人、認可法人等に対する天下り、非常に国民的な関心が高くなっております。そして、この問題は多方面にわたる議論が必要だということで、我々は当初から、内閣、官邸自身が直接この問題を所管すべきである、すべてを一括して所管すべきであるということを申し上げております。
山井委員 今の中島総裁の答弁と石原大臣の公務員制度改革大綱の趣旨、違っているんじゃないですか。石原大臣、いかがですか。
石原国務大臣 中島総裁は、大変お言葉を選ばれて御発言をされております。申請をするのが大臣で、申請を大臣が控えたら承認が少なくなるというお話をされました。これはまさに予算と一緒でありまして、今度の予算を見ていただければわかりますように、二割アップまで申請をすることはできるんです。しかし、承認を小さくすることによりまして絶対の数を減らす、そういう予算の組み方をやっている。これと全く同じ理屈であって、私は、不一致はないものだと承認しております。
山井委員 全く不一致であります。
 中島総裁にもう一度お伺いしますが、今回の公務員制度改革大綱によって天下りは減っていくと思われますか。各省に任せてきっちりできると思われますか。いかがでしょうか。
中島政府特別補佐人 この大綱というものが発表されましてから、いろいろな方面から御意見が出ております。その御意見はほとんどが、やはりお手盛り天下りになるだろうという御意見でございます。そのこと自身をやはりよく考えて、どういう制度にするかを御議論いただかなきゃならないんじゃないかというふうに思います。
山井委員 人事院総裁の言っていらっしゃることと石原大臣のお考えと違うんですけれども、ここを統一してもらえませんか。どっちの言っていることが本当なんですか。
石原国務大臣 内閣が責任を持って物事を決めているのが日本の民主主義だと考えております。
山井委員 人事院総裁のおっしゃることは、石原大臣、どう思われますか、先ほどの御意見は。
石原国務大臣 言葉を選んで御発言されていると考えております。
山井委員 今回のことでまた天下りのことが逆行するのではないかということでは、私、非常に危惧を感じております。
 もう一つ石原大臣にお伺いしますが、先ほど三割削減するとおっしゃって後で訂正されましたが、要は、百分の三十六から二十八に減らした、それでもう三割削減したという、それだけですか。その時点でも既に二・六倍高いという質問を私はしているわけで、これからどうするのかということを聞いているわけです。石原大臣、いかがですか。
石原国務大臣 三割もう既に四月一日から退職金は減額になっておりますし、独法も同じでございます。
 また、政府の見解に統一的なものが見られるということは、もう既に内閣委員会でも答弁をさせていただいているとおりでございます。
山井委員 先ほどの中島人事院総裁と石原大臣の御見解と正反対だと思うんですけれども、もう一回整理していただきたいと思うんです。中島人事院総裁、お願いします。
中島政府特別補佐人 日本の天下りというのは、組織対組織のもとで行われておるということでございます。したがいまして、そこに癒着が生ずるということでございます。アメリカとかイギリスのように、個人が就職先を探して民間企業に就職するという体制ではないということでございますので、この天下りを承認するのがだれであるかということは非常に重要な問題だというふうに思います。
山井委員 質問時間が来ましたので終わりますが、これはきっちりとちょっと整理をしてもらいたいと思います。全く正反対のことをおっしゃっておられます。委員長、これ、ちょっと統一をしてもらいたい。
保利委員長 後刻、理事会で協議をいたします。
山井委員 本当は労災病院のことも質問したかったんですが、またそれはあすさせていただきます。どうもありがとうございました。
保利委員長 次に、大谷信盛君。
大谷委員 大阪九区選出、大谷信盛でございます。
 きょうは、特殊法人の改革、特に空港周辺整備機構を独立行政法人化していくことの是非について、また、それに関連して、この国の航空行政、そして空港行政というものについて議論をさせていただきたいというふうに思います。
 まず最初に、大きな議論は、今、山井議員の方からございましたし、午前中もたくさん議論をされましたので、この空港周辺整備機構を独立行政法人化した場合のメリット、今までより、もちろん、効率化ということでいうならば、人員であったり予算であったりするようなものも含めての効率化が高まっていくということだというふうに思うんですが、その辺はどんなメリットがあるのか、航空局長の方に教えていただきたいと思います。航空局長で結構です。
洞政府参考人 お答え申し上げます。
 独立行政法人制度は、中央省庁等改革の一環として創設された制度でございまして、国による事前チェックを極力排除して事後チェックへの移行を図って、弾力的、効率的で透明性の高い運営を確保するということに眼目が置かれておりまして、空港周辺整備機構についても、今後、独立行政法人になるということで、このような効果がまさに期待されているわけでございます。
 また、今回の改正では、独立行政法人化とあわせまして、旧来、認可法人として周辺整備機構が行っておりました共同住宅建設事業を廃止するとしているほか、今後、住民の移転先として用意されております代替地の保有数を削減していくとか、あるいは既存の共同住宅をできる限り処分していくこと等、いろいろ改革が予定されておりまして、これによって費用を削減するということが期待されています。
 また、組織につきましても、役員数の削減であるとかあるいは職員数の削減であるとか、今後、理事長の裁量等によって思い切った見直しをするということ、これがまさに期待されているわけでございますけれども、そういうこと等を通じまして効率化を図るということが可能になると考えておりますし、ぜひそういうふうに実現したいと思っています。
大谷委員 地域でも大事な役割を担っている機関でございましたので、ぜひとも、効率を高めつつも、本来の目的というものをしっかりとできるようにしていただきたい。
 特に、空港がある地域において、町づくりを含めて、いわゆる空港と共生をする町づくりを、非常に町づくりの中で役割を担ってきた機関だというふうに思っておるんですが、では、今回これを独立行政法人にする必要性、国が直轄でできるのではないかなというふうに思うんですが、その辺はいかがお考えですか、局長。
洞政府参考人 周辺整備機構が行っておりますいわゆる環境対策は、大阪国際空港と福岡空港に限られているわけでございますが、この両空港は、空港周辺の市街化が非常に進んでいるということで、いわゆる航空機騒音防止法という法律に基づきまして周辺整備機構として指定されております。
 これらの空港というのは、人口が非常に稠密な既成市街地に立地しておりまして、国が行います移転補償とかそういったものとあわせまして、その周辺の町づくり等の地域整備をあわせて行うということが必要であるということでございます。
 それからまた、先ほど来申し上げておりますとおり、騒音によって影響を受ける住民の数が圧倒的に多くて、防音工事等を国が直接行うよりも、独立したそういう実行組織、実行部隊に行わせる方が効率的であるということから、国と地方公共団体の出資を得まして、参画を得まして、地域に密着した組織を独立して環境整備をこれまで行ってまいりました。
 これらの空港周辺の面的整備がまだ途上にある現時点にございまして、仮に機構の業務を昔に戻って国の直轄へ移管した場合には、空港周辺整備機構がこれまで地域との連携の中でいろいろ蓄積しました知識とか経験というものが活用できなくなるという問題が生じることに加えまして、片一方で、定員管理という面からも、多くの定員増というものが国にかかってきますものですから、国家行政の肥大化を招き、かえって非効率的であると考えておりまして、今後とも引き続き独立行政法人としてこれらの環境対策事業を行っていくことが適当ではないかと考えた次第でございます。
大谷委員 騒音の被害を受けている地域は、都道府県また市、またがってのことでございますので、やはり一つの機関が専門的な視点でもって運営していくということは確かに理解ができます。行く行くは、騒音の対策というものがある程度のラインまで行けばきっとまた考えるときが来るのかなというふうに私は思っておりますが、この町づくりという観点、また、この空港との共生という観点から、扇大臣に、まずは、我が国の航空行政、空港行政というものについて、大きな役割、これからの方向性について教えてほしいんです。
 一九九六年十二月に第七次空港整備五カ年計画がございました。ここで大きな政策の変更があったというふうに私は理解をしております。それは何かというと、今までは、地域にたくさん空港をつくって、人、金、物、情報を空で運んでいけるようなネットワーク、システムをつくっていこうじゃないかということが重要視されていた。しかしながら、ある程度、今九十四港、この国には空港がございます。軍用のものも入れるならば百ございます。その中で、量的には大体これでいけるのかな、これからはソフトというか、最大限つくったものの活用が必要だな、特に拠点空港と呼ばれているものの活用が必要だなというふうに方向転換がされて、これで五年、ことしで終わるわけなんですけれども、これから先どうなっていくのか、今までの総括がどうだったのかということを、ぜひとも、関西のエリアに絞ってはこうですよというような方向性について教えていただけますでしょうか。
扇国務大臣 大谷議員は国土交通委員会にも所属していらっしゃいまして、この話は既にお聞き及びだろうと思いますけれども、私が言っておりますことは、少なくとも、航空行政という限った中で御質問でございますので、果たして日本の航空行政というものは世界的に通用するかしないかという観点から私は考えなければならないと思います。
 しかも、一時は、四十七都道府県、一県一空港という案まであったんですね。一県一空港という案があったというような時代は通り過ぎてしまって、数つくれば国際的に対応できるという時代は過ぎました。
 なおかつ、今、関西に限ってという大谷議員のお話でございますから、関西に限って言えば、私は、伊丹空港の今日まで果たしてきた役割というものは大変大きいと思っております。けれども、現段階まで、私も伊丹空港をいろいろ考えておりますけれども、先ほど局長から言いましたように、都市の中にあってこれ以上伊丹にどんなに便をふやそうと思っても、滑走路を拡大できる構想はゼロでございます。できません。
 それから、今までこの伊丹に関する、周辺整備機構の話をなさいましたけれども、環境対策費の負担というものをやってまいりました。そして、伊丹には今まで、国費で累計で六千三百三十四億円の環境対策費を使っております。けれども、伊丹自体に関しましては、空港自体の整備は千百十億円なんですね。これだけ環境対策費に使って、なおかつ、先行きどうにも延ばせない。
 なおかつ、御存じのとおり、私、今、この伊丹空港の経緯というものを持っております。一番最初から言いますと長くなるのでやめますけれども、まず、昭和四十四年、空港周辺住民から夜間の飛行差しとめ、それから、伊丹空港の廃止を含む調停の申請が出されております。伊丹空港、やめてくれ。なおかつ、四十八年には、関西国際空港の開発時点にもこれを撤去することを含めて検討するようにしろと。
 しかも、四十九年八月には、関西の国際空港は、伊丹空港の廃止を前提として関空をつくるということを決定しているんですね。ところが、関空ができたら、今度は出ていかないでくれ、こうおっしゃる。それではどうしたらいいんだろうということになるし、今、少なくとも、伊丹は関空ができて国際線が飛んでいないんですから、第一種から二種に見直すということも、これは必要なんですよ。ですから最初から、出ていってくれと、私、これはずっと見ていますけれども、何回訴訟が起こっているかわからないんです。やめてくれ、出ていってくれ。関空ができて、関空をつくるときには伊丹は撤去しますという約束になっているから、出ていきますと言ったら、今度はまた方向転換になっちゃったんです。
 私は、そういう意味で、今の国際空港という状況から見れば、韓国の仁川に四千メートル級が二本、二〇〇七年にはこれは四本。そして上海、香港、マレーシア、あらゆる空港が、全部、国際空港として二本以上の滑走路を持っています。日本は、表玄関と言った成田が、二十五年たって一本しか滑走路ありません。関空も、二十四時間と言ったのに一本です。これでは、国際空港の国際という看板は、世界的には通用いたしません。
 そういう意味で、私たちは、今後、できる限りの予算の中で、今後の二十一世紀を見渡して、どう空港行政があるべきかを、国土交通省としてはグランドデザインをことしじゅうにお示しして、限られた予算で集中的にどこをするかということを御検討申し上げたいと思います。
大谷委員 最後の部分だけ、一二〇%私は同感でございます。
 二、三個、大臣、少し誤解をなされているようなところがございますので、ちょっと言わせてもらいますけれども、伊丹、大阪国際空港は、今何で便数がふやせないかといったら、三百七十に抑えているからでございまして、最大キャパでいきますと、四百五十、五百便まで一日ふやせます。騒音対策上とめているだけなので、物理的にはまだまだふやせます。
 また、羽田にせよ成田にせよそうですが、駐機場をふやすだとかいろいろなマネジメントを変えていくことによって、まだまだ二割から三割ふえるのではないかというのが航空業界の常識でございまして、何もわざわざ新しいものをつくらなくたって、今ある既存の空港を最大に活用することを考えるのが私は優先ではないかなと。
 私、関空の二期工事は必要だというふうに思っております。そして、人、金、物、情報がこの日本にどんどん集まってくる、そんなハブとスポークの空港になるべきだということは思っております。そのためにも、空港の需要、航空の需要というものを高めていくために、既存の今ある空港というものを最大限に活用することを考えなかったら、将来の航空需要を活性化、高めていくことができないのではないかなというのが私の考えでございます。
 それともう一つ。ウン十年前、騒音が本当に激しゅうございました。727、DC8という飛行機、本当に耳が痛くなるような音だったというふうに言っています。これが、科学の進歩、技術の進歩でどんどん音が小さくなっていきました。その中で、ああ、これだったら何とか、空港がある町に住む者として共生ができるな、そんな空港がある町であることを特色にして町づくりをしていこうじゃないかということが、この十年間、国と地域の自治体とで歩んできた姿でございます。その姿があるのに、都市再生、ことしの二月、総理が発表されましたが、その中でも出ているように、各町々が特色あるものをこれからつくっていかなきゃいけないんだ、金太郎あめの行政じゃだめなんだと。
 例えば、北大阪の地域においては、明らかに空港がある、また梅田という大阪駅から非常に近い、利便性が高い、だからこそ、関空に国際線が全部持っていかれたけれども、一千三百万人だった人が一千七百万人、四百万人もこの間に利用者がふえている。これはやはり利便性がある証拠であるんだというふうに思う。そう思うと、この空港の最大限の活用というものをやはり考えていかなければいけないのではないかなというふうに私は思っているんです。
 これは大臣に聞いた方がいいのか、局長に聞いた方がいいのかわかりませんが、大臣、やはり一言言っていただいた方がいいと思うのですけれども、そもそも審議会の中でこの空港行政のあり方について今議論をされていて、特に関西においては、三空港、いわゆる神戸空港を含んで、大阪国際、関西国際の三つのあり方について考えようじゃないかという議論があった中で、発着分を、これは結局、出てきている議論は、大阪国際空港の分を少し、例えば関西国際空港に持っていくとか、環境対策費を利用者の方に使っていただくというような意見が今議論されているというふうに聞いておるんですけれども、一体、急に出てきた理由というのはどのようにお考えですか。
扇国務大臣 冒頭に大谷議員が、航空行政というもののあり方というお話からお入りになりました。
 私は、あの狭い関西の中で、関空、伊丹、神戸、この三空港が一種、二種、三種。そして、安全性という面から見ましたら、それぞれ管制空域というものがあります。その管制空域の中で、関空と伊丹の管制空域の谷間を縫って神戸空港が飛び立つというこの安全性は果たして正か否か、そういうこともありますし、伊丹と関空との距離、料金、国際線というものがついて国内線と乗りかえるのに時間とお金がかかったのはもう成田と羽田で十分です。私たちは反省の上に立って、成田から羽田の国際、国内線に乗りかえるのに、タクシーで二万数千円高速道路料、こういう外国の国際線というのはありません。
 私は、今関空の二期工事、御賛成いただいておりますのも、少なくとも関空の二期工事を完成すれば、十万回の離発着が二本目にできます。そうすると、需要が少なければ伊丹をそこへ持っていってもいいわけです。そうして、神戸がもっと本当に空港をつくってほしいというのであれば、関西国際空港と神戸は、それこそ地下トンネルをつくるぐらい、国際線と国内線が一番距離近いんですよ、目と鼻の先。ですから、私は、伊丹に取ってかわって、お金の要らない国内線との乗りかえも可能ではないですかと。今すぐではないですよ。二十一世紀に、私はそういう政策というものこそが日本の将来を期する大事な政策であるということを今論議していただいて、その理想像というものを出して、一歩でも近づいていきたい、そういうふうに考えている次第でございます。
大谷委員 方向性だけは全く一緒でございます。そのためにも、最大限、今ある空港の活用というふうに私は考えております。
 少しテクニカルの部分に議論を移したいと思いますので、局長にお尋ねをいたします。
 では、今議論がされているといえばされていて、結果が出ていないわけですけれども、大阪国際空港の役割というのは、関西の中、もしくは九十四港ある空港を日本の中でどんなふうに位置づけられていて、これからどんなふうに位置づけようとされているんでしょうか。
洞政府参考人 大阪国際空港、伊丹空港の現在の利用状況でございますけれども、先生御存じのとおり、年間約十万回の離発着が行われて、千七百万人の乗降客数があるということで、羽田、新千歳、福岡に次いで四番目ということで、実際の利用の便数を見てもおわかりのとおり、国内の幹線空港として利用されております。
 それで、今、審議会でいろいろ議論されておりますけれども、先ほどの、夏に発表されました中間報告におきましても、関西圏の需要は、関空は国際空港あるいは国内の拠点空港として位置づけて、伊丹は関空と補完しつつ、やはり国内の拠点空港、神戸は三種空港として地域需要にこたえるものだという整理もされておりますけれども、まさしく伊丹はそういうふうに基本的には今位置づけられていると思います。
 しかし、先ほど来大臣の方から御説明申し上げていらっしゃるとおり、伊丹につきましては、環境問題であるとか、あるいは関空という国際ハブ空港ができたわけですから、それとのすみ分けとか、そういったものをも含めて、今後この辺をどういうふうに整理して、どういうふうに適切に運用していくべきかというのをまさに議論されているということでございます。
大谷委員 ちゃんとこれから議論をさせていただくということで、まだ決まっていないということだというふうに思うのですけれども、私、聞きたいのは、これは発着枠の配分を考えていく話なのか、それとも騒音対策の話なのか、一体どっちの観点から出てきたのか、ちょっと局長に。
扇国務大臣 これは、審議会の前に、国土交通省の政策として、冒頭におっしゃった航空行政というものがどうあるべきかという基本線から私は申し上げているので、審議会はその後でございまして、審議会の答申で国土交通省の政策がどうこうされることではありません。これは国策でございますので、政策として、まず国土交通省が議論を出して方向性を指示するというのが正しいと思っています。
大谷委員 それは正論でございます。まさに正論でございます。
 私が一番知りたいのは、では、国土交通省として、局長にお伺いいたしますが、同じ質問になってしまうんですが、この時期何を優先されての政策決定をなしていこうという方向なのか。提案ですと、便数の縮小、もしくは利用者による騒音・環境対策費の負担、もしくは二発エンジン以外はだめだとかいろいろな議論が出ておるんですが、国土交通省、国としては、責任を持って利便性ということを損なわないでやっていこうとしているのか、それとも環境対策が大事なのか、そこら辺のところで議論いただけたらと思います。
扇国務大臣 それはすべてです。それはなぜかといいますと、今、たまたま大谷議員が関空の二期工事賛成とおっしゃってくださいました……(大谷委員「将来は」と呼ぶ)将来は。でも、今、もう予算がついております。今、埋め立てもしております。
 この二期工事ができれば、二本目の滑走路は十万回の離発着量が可能です。けれども、今、十三万回で、将来どれくらい離発着が伸びるかということは、予測が、去年の九・一一以来減っております。けれども、二本目の滑走路ができて、十万回離発着できるのに、なぜ、ここに国内線も持ってきて、外国からのお客様にぜひここで乗りかえてください、できる限り国内線も、ここから飛べるのもありますよと。
 これは、つくったものを利用するのは国策として当然のことなんです。そういう意味では、国際的にも、日本の航空行政というものがおくれているということを取り戻す意味にも、我々はつくったものは有効に活用する、そして、要らなくなったものを少しずつリストラしていってこっちへ移すということも私は考えとしてはあるんですから、国内的な利便性からだけいうのか、国際線、国外からのお客様を考えた利便性を考えるのかといえば、私は、国際的なことを考えなければ、日本は、ヨーロッパはもちろん、アジアからも沈没していくと思っています。
大谷委員 ですから、そのとおりなんですけれども、箱をつくったから必ず飛んでくるかといったらそうじゃありませんで、今までの航空需要予測とか将来の経済、関西の求心力というものがどうなるかということがしっかりしていなかったら、幾ら滑走路をつくっても飛んでこないわけで、それは経営が成り立たないわけで、私は経営が成り立つ関空というものをつくらなきゃいけないと思うから、既存の空港を最大限に活用して、もっともっと航空需要、町の集客力というものを高めていこうという手法を優先すべきだと言っているわけであります。
 それについては、あしたも来週も再来週も委員会の中でぜひとも議論させていただこうというふうに思いますので、ちょっと次の課題に行かせていただきます。
 これは局長にどうしても聞きたいんですけれども、まさか大阪国際空港に利便性がないから発着枠を関空に持っていくという話じゃないですよね。あくまで、どんな議論があるにせよ、利便性というものが重要視されなければ、航空行政、空港行政の目的である、だれにでも、一人でも多くの方に安く安定的に空港チケットをお渡しできるという目的を達成できないんだということを絶対に曲げない中での議論なんだなということを、ぜひとも局長に教えていただきたいです。
扇国務大臣 これは、国内、国際すべての航空行政ですけれども、今これだけの人が乗っているから、その人たちがすべて喜んでいるとは思えません。少なくとも、日本はハブ空港の地位も危うくなっている。そういうときに、国際的にどうすべきかという大原則がなければ、近くの人が近いのを利用するのは当たり前の話。
 そうではなくて、大阪空港と言っていますけれども、これは兵庫県の土地も入っているんです、伊丹は。大阪も入っているんです。それに大阪と名前がついているんです。ですから、兵庫県で神戸空港をつくると言っていますけれども、その三角形というものがどうあるべきかという基本的な論議なしにあっちもこっちも予算をつけたら、まさにむだだとおっしゃるのは当たり前の話で、私は、そういう意味では、国際的な政策というものをきちんとつくって、そして、最大限に予算を節約しながら、国際的にも認知される、国内の皆さん方が外国へも行って、国内にも飛び立つのに便利ですと、こういう空港をつくるべきである。
 しかも、港と空港が一体でなければ国際というものは看板が成り立たないんです。諸外国は、空港も港湾もすべて近くで一体になって初めて国際都市が成り立つんです。その国際都市という看板には、大阪も兵庫も京都も奈良も全部関西という中に入っています。その中でどうあるべきかという総体的な論議をしないで、今、伊丹の人は近いから便利だからその利便性をなくさないでください、では、今度、新しいところに行ったら、新しいところはまた利便性で人数がふえますから、そういう基本的な論議を政策的にしてから、私は国民の皆さんの御理解を得ようと思っています。
大谷委員 大阪国際空港の地域の利便性だけを言っているのではなくて、九十四個ある空港の中での利便性をここで損ねたら、全部でも同じようなことになってしまうので、気をつけてくださいよということを言っているのであります。
 また繰り返しになりますから、最後に一つだけ聞かせていただきます。
 地域におきましては、平成二年に、国とそして十一市協を含めて地域の団体と存続協定というのを結びました。なくすんじゃなくて、これから空港と、これだけ静かになったんだから共生していきますよ、空港のある町づくりをしていきますよということを言いました。そうなると、何も訴訟をするというようなことを言っているんじゃなくて、もっとこれからともに、一緒になってすばらしい空港、地域をつくっていきましょうねということになったんだというふうに私は思っています。
 それなのに、今の議論を見ていると、大臣がおっしゃるように、今考えているだけでそれは決まったわけじゃないというふうに言っているので安心をばいたしましたが、では、もっともっと意見を地域と交換できるような場、ただのヒアリングではなくて、例えば審議会の航空分科会に地域の代表の方に入っていただくとか、それがだめだったら、また別のシステムをつくるとか、何か必要ではないでしょうか。
 土地収用法を去年、私は担当させていただきまして、大臣と議論をさせていただきました。そのときも、何が問題だったかというと、構想段階における地域住民、市民と言われている人たちの意見交換がないままにどんどん進められていってしまうがゆえに、途中で驚いて、ああ、これは何なんだ、こんなのは私は知らないうちにつくられている、こんなのは困るということになって、一坪トラスト運動、立ち木運動みたいなものが出てくる。それをなくすためにも、構想段階での意見交換、議論が必要なんだというふうに強く強調させていただきました。
 この場合も、僕は同じだというふうに思うんですよね。発着枠の縮小、拡大、どちらにするにせよ、もっともっと何らかの形での地元との議論が必要だというふうに思うんですが、そのシステムみたいなものは考えているんですか。国が責任を持ってやるから、国が決めたものを、おまえら、これでやるんだというような言い方をまさかされているわけではないと思うんですが、そんな工夫、現状について教えていただけますでしょうか。
扇国務大臣 すべてが私は政策だと思います。私たちは過去の先人の偉大な業績を否定するつもりはございませんけれども、公共工事のむだというお話になりますと、我々は、成田と羽田の関係、そしてアクアライン、四国三橋、あらゆる面でどうしてだということを言われますので、政治的にいけなかったなと思うことは反省しながら、二十一世紀になったんですから、二十一世紀らしい政策をつくっていくということに、私たちは改めることにいささかもひるみもいたしませんし、住民の意見を聞く前に国がきちんと政策をつくって皆さん方に供する、これは大事なことだと思っていますので、基本的に、航空行政自体の基本線がなくてどたばたにつくったということがなきにしもあらずということを私は反省しながら、二十一世紀型をつくってまいります。
大谷委員 航空行政、空港行政の議論がちょっと膨らまなかったので、またやらせていただきたいと思いますし、今、審議会で議論されていることは、私は、もっともっと深く議論をして時間をかけるべきである。それが、例えば関空の二期工事が終了した後に、たくさんの航空会社がそこに乗り入れてくることになるために絶対必要なんだ。既存の空港の最大限の活用、そして何よりも町づくりの観点から、地域の自治体、団体ともっともっと意見交換をした上でつくっていかなければいけないんだということを強く強調させていただき、質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
保利委員長 次に、都築譲君。
都築委員 自由党の都築譲です。
 既にもう、各論に入っての議論が大分熱を帯びてきております。法律四十六本自体がそれぞれ特殊法人改革ということでの各論の法律でありますから当然であろうと思いますが、私は、午前中の我が党の東議員の質問に引き続き、特殊法人改革の哲学の問題をもう少し掘り下げてみたいと思います。
 と申しますのも、行政改革を橋本内閣のときにいろいろ手がけ始めてから既に六年が経過をしておるわけであります。あの当時に、実は私どもが掲げた、三年間で特殊法人すべてやめてしまえ、本当に必要なものはもう一度法律を出し直してこい、こういう議論をやっていたら、既に問題は片づいておって、今、こんな各論をやっている時代ではなかったのではないのか、そんなふうにも思うわけでありまして、もう一度、その改革の哲学、基本方針についてお尋ねをしたいと思います。
 もう一つは、実はバブルがはじけてもう十二年になります。先ほど来、デフレの問題、不況対策、金融、不良債権処理の問題、さまざまな議論が行われておりました。竹中大臣の経済学の学識に基づいて、今、いろいろな経済政策、金融政策が打たれておるわけでありますけれども、ただ、一説の学説によりますと、好況期の構造改革といったものと不況期の構造改革と、およそ実体経済に与える影響は全然違うんじゃないのか、こんな議論もあるわけであります。
 実際に小泉政権になってからこの一年半、改革、改革と、絶叫すると言っては失礼かもしれませんが、大きな声で、改革をやるんだ、やるんだということで旗を振られてきた結果、今一体何が起こっているかというと、株価は一万四千円台から九千円を割る状況にまでなってしまいましたし、そして失業者は、今や五・四%、三百六十万から七十万という膨大な数に実はふえてしまったわけであります。今、構造改革を本当にやって、政府が本来、民間需要を引き起こすための政府投資といったものをふやして民間の景気を引っ張っていくようなことをやらなければいけないときに、どんどん金融機関をつぶして、中小企業をあわせてつぶして、失業者をちまたにふやしている、そんな構造改革で本当にいいんだろうか、こんなふうにも思うわけです。
 というのは、今また、構造改革ということで、特殊法人が独立行政法人に変えられておりますけれども、本当の意味での特殊法人の改革、いわゆるむだをなくす、あるいはまた無理な税金の使い方をやめる、こういったものではなくて、実はやはり今までどおり、全く看板のつけかえだけで同じことをやっていくんだったら、何の意味もないということになってしまうのではないか、こんなふうに思うわけであります。
 まず石原大臣に、行政改革、本当にどういうふうに、これからもまだ公務員制度改革がございますし、まだまだ大きな行政改革を政治改革とあわせて進めていかなければいけない、こういうふうに思うわけでありますが、お考えを聞かせていただきたい、こんなふうに思います。
石原国務大臣 この点につきましては、午前中、総理が熱弁を振るわれましたが、やはり小泉改革の基本というものは、官から民へ、国から地方へと。そして、四十六本今回お出しさせていただいております特殊法人関連法案は、これを推進するものであるという位置づけを私どもは持っております。
 小泉行革は、聖域なき構造改革の重要課題の一つであり、ただいま御紹介いたしました、総理が髪を振り乱しておっしゃっております官から民へという流れを一層加速化し、平成十七年度いっぱいを集中改革期間と決定させていただきまして、その間に各般の行政改革を実施しようというものでございます。
 法案に若干触れさせていただきますと、この四十六法案は、昨年決定いたしました特殊法人等整理合理化計画に基づいて、各種法人につきまして、一に事業の見直しがあり、その上で、独法化、民営化、廃止等々を行うというふうに整理をさせていただいております。この改革によりまして、先ほどの議論から、看板のかけかえ論というものがよく出てくるわけですけれども、法人に自律性を持たせる、効率性を追求する、透明性を高めるという利点が、この独立行政法人、すなわち独法というものは、特殊法人の抱える弊害を除去するために仕組んだ制度であるということを再度御確認いただければと考えております。
都築委員 今、独立行政法人の特色といったものを言われました。それは、また後ほど触れたいと思いますが、冒頭に総理も言われた官から民へ、こういうことであります。この官から民へということで、では、本当に今回の改革で官から民へいっているのか、こういう思いを私は大変強くしておりまして、それはまた後ほど触れてまいりたいと思います。
 私ども自由党が、基本政策「日本再興へのシナリオ」の中で訴えておりますのは、いわゆる今の中央官庁、それこそ明治維新以来、官僚制度で日本の近代化を進めてきたこの日本の仕組みの中で、官僚機構が果たしてきた役割というのは大変大きかったと思うんです。
 ただ、今は余りにも大きくなり過ぎてしまって、何でも官僚が全部支配をするような仕組みになっている。例えば、民間企業に対しては過剰な規制をかけて、そして業界のことを一つ決めるにも、全部役所の許可を得ないと何も進まない、それこそ護送船団と言われるような行政が行われているような実態。あるいはまた、もう立ち上がった産業が、十分ひとり立ちできているのに、相変わらず官業でお金をつぎ込んで、そして、本来民間に任せるべきところを官業が圧迫しているような問題、さまざまな議論があると思うんです。
 ただ、それはあくまでやはり現象面の問題であって、本当は、戦後の民主主義という状況になった時点で、私はもっと、国民が本当に主役、主権者あるいはまた納税者ということで、国民が主役の社会をどうつくり上げていくのか。官僚の皆さんにはしの上げ下げまで教えてもらう、手とり足とり指導してもらうような、そんな社会を改めていく改革の全体としてまず政治改革があり、そして行政改革があり、その一部として特殊法人の改革があり、公務員制度の改革があり、あるいは民間に対する規制緩和、規制撤廃、こういったものがある。物すごく大きなグランドデザインがあるべきだろうと思うわけであります。
 ところが、実際に、この官僚主導の政治あるいはまた官僚社会、こういったものが、では、これで本当に変わるのかといったら、私は、官から民へというキャッチフレーズとは別に、全然そうなってはいないんじゃないか、こんなふうにも思うわけであります。
 ぜひもう一度、ちょっとそこら辺のところを、各論に入る前に石原大臣に、官僚社会を改めるんだ、官主導の政治というものを改めていくんだ、政治家が国民から選挙で選ばれた以上、有権者の皆さんが納める税金の使い道は政治家が主導権を握って決めて、どこに配分して、そしてまた、民間に実際に業を委託するというか、請け負わせるようなときは、それこそ透明な公平な競争入札でやっていくんだとか、そういう仕組みに改めていくという考え方がおありなのかどうか、それをお聞きしたいと思います。
石原国務大臣 都築委員が御指摘されました趣旨は、私は賛同いたします。そして、私も、日本の官僚が優秀であり、これまでの日本の発展、明治維新以降の発展、あるいは第二次世界大戦後の発展にかなりの部分寄与してきたということは事実だと思います。特殊法人も、実はまた時代の申し子として、行政の出先の機関として、私は、有効に機能してきた部分も事実としてあったと思います。
 しかし、特殊法人が、その生い立ち、一本一本の法律によって倒産することもなく設立され、時代の変遷、時代の変化に対応できなく、その中でなおかつ自己増殖的に民業を圧迫して、みずから仕事をつくっていったという歴史もその一方にあり、この特殊法人改革が、昭和四十二年以来、何度も何度も俎上に上り、数を減らすということに終始してきたということもまた事実だと思います。
 私も、一九九五年、これは村山内閣の当時でございますが、こちらにいらっしゃいます塩川財務大臣等々と一緒になりまして、整理合理化というものに初めて手をつけさせていただきました。そのときの経験を申しますと、このときは金融機関の統廃合を主にやらせていただいたわけなんですけれども、二つの機関を一つにするということをやるだけに、実は七カ月かかったわけであります。それだけ、既得権益また応援団もいろいろなところにはびこっている、日本の社会のある意味では一つの構図を象徴しているような組織体になっている。
 そういう実態を十分に見据えた上で、ただいま都築委員が指摘されたような日本の新しいグランドデザイン、総理は非常に端的な言葉で言われますので、官から民に、国から地方へとその言葉が躍っておりますけれども、その根底には、哲学と大きな流れというものを、私はそばにいて十分に感じることができるわけでございます。
都築委員 今の大臣のお話を聞いておりまして、賛同していただける、趣旨については賛同するということですから、大変ありがたいですから、ぜひそのことをいつもいつもお考えいただいて、これから、もう既に実際こうやって動き出しておるわけでありますから、それをまたフィードバックしながら、実態をフィードバックさせながら、改革を進めていく上で、ぜひお考えをとめておいていただきたい、こんなふうに思うんです。
 ただ、先ほど各論の一部として、独立行政法人にするのは、特殊法人の今の体制を改めて、経営の自律性とか効率性とかあるいはまた透明性を高めるんだ、こういうお話がございました。
 まず、経営の自律性の問題でありますけれども、先ほど来いろいろな議論が出ております。天下りの問題、これもまた一部の問題かもしれません。ただ、独立行政法人という形にして、その人事が、まず主務大臣が結局、いろいろな役員の選定とかそういったところに絡んでいく。そしてまた実際に、職員の定数の問題、こういった問題についても、実際のところ、今まで総定員法や何かの関係でいろいろ議論をされたり、あるいはまた、以前だったら大蔵省主計局の給与課の方で政府関係特殊法人の給与や定数を全部チェックして、各省の担当者はみんな指令を受けて、だから、統一していたから、特殊法人の勤務条件なんて全部一律だったわけでありますけれども、こういった人事をまず主務省がまだ握っている、こういう状況。
 さらにまた、運営交付金といったものについても、既に独立行政法人化したものの実態を見ると、平成十三年度と平成十四年度を比べてみれば、実際にはほとんど変わっていない。運営交付金という名目が変わっているだけの話ではないのか、こんなふうにも思うわけであります。そうすると、結局、運営交付金の額をふやしてくださいとか、ここをつけかえたいとか、こういった話についても、また役所の担当課の係員までその独立行政法人の担当者がお願いに上がって全部やらなければいけないということだったら、何にも変わっていないじゃないか。
 人事と予算の面で、確かに五年間、中期目標を設定して、そしてその中で独自性を発揮してくださいといいますけれども、では、その金がどこから来るんだというふうな話になったら、ほとんどの独立行政法人がそういうことで縛られてしまっている。では、全く同じじゃないですかと思うんですが、いかがでしょうか。
石原国務大臣 ただいま都築委員が御指摘された点は、私、本質論だと思うんです。すなわち、民にすべて任せられるんだったら民がやればいいんです。地方にすべてゆだねられるんだったら地方がやればいいんです。国の行政の実務を実行する機関として何らかのものがやはり必要だろう。
 それはもちろん、自由党の案はサンセット方式でありますので、まず全部ゼロにしろ。しかし、それから必要なものがあればつくっていけばいいと書いてありますね。やはり必要なものがあるということを認めているわけであります。それは民間サービスではなくて、やはり行政の代行機関というふうに都築委員は整理されているんだと私は思います。私も同じ考えであります。そして、国の関与を最小限にしろというのは、これまた当然でありますし、はしの上げおろしまでをまた所管省庁にやってもらうんであったならば、経営の自律性というものは全く発揮されませんし、明確化というものも明らかになってこないと私は思います。
 そういう特殊法人の抱える弊害を除去した形で、実はこの独立行政法人というものを組ませていただいたわけですけれども、この制度というものが、まだ正直申しまして、RアンドDの先行五十九法人ですか、そこに対して、先ほど来同僚議員からもいろいろな批判がありましたけれども、その批判を乗り越える仕組みというものも、先ほど退職金の話、給与の話等々でも、それはまだまだ高いという御批判はありますけれども、かなり思い切った対策というものもあわせてやっておりますし、先ほども御紹介させていただきましたように、先行して廃止した石油公団にかわる新しい組織の長は民間人を持ってくると所管大臣が申している。こんなことも実はなくて、先ほどどなたかが示した表の中に全部、次官をやった人とかが当てはまっていた。
 そういうことが、今度はまさに法人の責任として、あるいは所管大臣の責任として、そんなことをやったら情報公開の世界の中で、こいつは何をやっているんだ、今まで言っていたこととやっていることが全く逆じゃないかと批判にさらされるわけですし、国会、国民の皆様方がしっかりとチェックをしていくことができるように、この法人というものをセットしているわけであります。
 そこのところの御理解というものがやはり、私どもの説明が不十分なのかどうかは別といたしまして、看板のかけかえだ、看板のかけかえだ、その一方で、もっと行政の側が仕事をする分野があるんじゃないかというような御議論も、きょうのこの審議の中で出てきているわけであります。それを考えてこの法人をセットしたということを、ぜひ御理解いただきたいと思います。
都築委員 言いわけと言っては失礼ですけれども、その議論はわかるんですよ。もちろん、だから行政として全然民間ベースに合わないようなものを、例えば戦争直後の社会資本をどう整備していくかなんというのは、民間に任せろといったって、そんなものはできるわけないですよ。税金を使ってみんなでやるしかなかったんです。そういう議論と、今言われた、そういったものの弊害をなくしてできるだけ民に行くという話の割には、特殊法人から独立行政法人になるのが余りにも多過ぎるんですね。
 それからもう一つ、今回、特殊法人から独立行政法人へ移行する、あるいはまた一部は民営化、一部は廃止、こういった議論については、結局、どこで議論したのですか。
 今ここで、私たちが委員会で議論をしましょうと言われているけれども、聞くところによると、タイトな日程の中で、ほとんど審議の日数さえもない中で四十六本の法案をチェックしなければいけない。国会議員がただただ、役所の皆さんが、いろいろ有識者に集まってもらって知恵を出してもらって、これはこうだろう、これはこうだろうということで選別して、ただ、実際には役所がみんな音頭をとって案をつくって、これでお墨つきをいただけますかと出てきたのが去年の十二月の特殊法人合理化計画だ、私はそうだと思うんですよ。それに基づいて法案を役所の皆さんがまたつくって、そしてまたこの委員会に出てきて、わずか一週間か十日で成立してしまうんじゃないかなんということをうわさとしてでも言われるということ自体が、国会議員としてまことに情けない思いが私はするわけです。
 石原大臣が政治家の立場として、国会議員の立場としてそういうことを言われるんだったら、ぜひその実を、正直言って、本当に一本一カ月かけたって本当はいいわけですよ。それぐらいの議論を深めていって、本当にこの特殊法人は実際に独立行政法人にした方がいいのか、本当にこの業務は廃止できないのか、こんなことをやっていったら民業圧迫になるんじゃないか、そういう議論をやればいいのに、そうではないところに今の日本の問題がある、こんなふうに私は思うんですが、ちょっと、いつまでもそこをやっていると前へ進みませんので。
 先ほど来、天下りの問題がありました。それで、天下りの問題の議論もありますし、退職金の問題も大変大きく取り上げられております。
 退職金というのは、日本の労働法関係の説では、一般的には給与の後払いだ、こんなふうに言われているわけであります。ですから、以前、私も議運のメンバーになっておりまして、民主党の上田議員が提案した、審議会の委員で膨大な給料をもらって、ほとんど働いていないのに退職金だけまたたくさんもらっている、こんなケースがあったりして、実際どうなんだ、こういうことで私もいろいろ見させていただいたら、本当にすごい、びっくりするぐらいの退職金を常勤の理事さんとかはもらう。常勤といったって、ほとんど一週間に一回役所に出てくるかどうか、そんな状況の方たちもおられるわけです。
 それは給与の後払いだからしようがないんです、こういうふうなことを言うんですけれども、でも実際に、今、給与表が明細をざっと出されておりますから私たちは大体わかりますけれども、本当はそうじゃないんじゃないか、こんなのはやみ給与じゃないか。
 実は、例えば今、竹中大臣が、日本のこの経済社会全体、構造を全部欧米化しようとされておられるのかどうかはわかりませんけれども、欧米の社会でも確かに退職金みたいなのはあるかもしれない。ただ、今勤務しているその状況に対してどれだけの報酬を与えるか、そしてどれだけの能力があったらどれだけの処遇をしなければいけないのか、そういう観点でやるとしたら、私は本当に優秀な、先ほど名前が出ておりましたけれども、吉川先生、東大総長さんを引っ張ってくるなんというのは、それこそ月給二百万、三百万上げたっていいのかもしれない。その分、退職金はありません、やはりうまくいかなかったらその場でやめてもらいましょうとか、何かそれぐらいのことを考えていくような改革をこれからやっていかなければいけないんじゃないか。
 ここまで独立行政法人できれいにしますとかなんとか言っているんだったら、それぐらいのことをやって、例えば財務省の局長さんでも、あるいはまた偉い方でも、本当に今、国民の借金が毎年三十兆も四十兆もふえていくような状況の中で、これを一兆、二兆減らすといったら、これは一億、二億の給与を与えたっていいぐらいだ。
 それぐらいの処遇を、例えばマレーシアだったと思いますけれども、大臣とか副大臣の方に大きな処遇を与える、それで失敗したら潔くやめてもらうというふうなことを考えなきゃいけないのに、相変わらず何か、今までの特殊法人の給与慣行、三割カットしました、こんなにカットしたんですなんて言われたって、だれも納得しないし、国民の皆さんはそんなことはわからないし、今、野党の皆さんが民主党の皆さんを中心に退職金だ何だ何だって騒いでいるから一生懸命新聞も取り上げるけれども、だれも取り上げなかったら知らないままいっていたんです。知らないままみんないくんですよ。国民の皆さんがみんな税金で負担しているのに、何でこんなことになっているんだ。今言われてようやく気がつく。そういったところをどういうふうにお考えですか。
石原国務大臣 私は、当委員会で、この後都築委員が、各大臣いらっしゃるわけですから、所管している法人について、これは独法じゃなくて廃止がいいんじゃないかというのがあったらぜひ言っていただきたいと思いますし、民間にできるんじゃないかといったら民間にしろとぜひ言っていただきたい。
 それと、自自公連立政権であればきっと一緒に御議論をすることがあったと思いますが、私たちは今、自公保連立政権で、この自公保連立与党の中ではこの問題について、昨年、かなりかんかんがくがく、けんけんごうごうの議論をしました。先ほど桝屋委員がおっしゃられたように、私も桝屋委員に大分つるし上げられた経験もありますし、それだけ真摯に議論をしてこの案を決めて、昨年は大分私も疲れたなという印象を持っているぐらい、与党の人間は、これはやはり残した方がいいのか、あるいは、総理が廃止だと言うけれども、経過期間をどういうふうに置いたらいいのかとか、すごい議論をして今回取りまとめて法案として提出させていただいた。
 もちろん、役人の方々が行政を担っているわけでありますから、役人の方を使って、役人の方が法律案という形で出してくるというのは、役人の方が給料をもらっているんだから私は当然だと思っております。
都築委員 退職金の問題に触れたのは、公務員制度改革の問題ともこれはやはり一体なんですよね。
 官庁に、今、利権の共同体というような意識が芽生えてしまって、実は、戦前は、それこそ天皇の官吏ですから、勅任官だ判任官だと言われる中で、天皇陛下に対する忠誠ということで、清廉潔白が当然官吏には求められている。ところが、戦後、この天皇制が象徴天皇という形になって、これは行政学の辻清明先生の学説の受け売りでありますけれども、結局、各省ごとに忠誠心が集中するようになって、そして各省の本流の流れに逆らわなければ、ちゃんと、就職してから退職するまで、退職してからも十年、十五年ぐらいはどこかに仕事をあてがってもらって、一生面倒見てもらえる、そういう仕組みになってしまった。
 それが今、余りにも国民にぶら下がり過ぎている傾向にあるんじゃないかということで、だから、公務員制度全般を変えないとこの特殊法人の役員の退職金の問題も変わっていかない、私はこんなふうに思います。
 だから、公務員制度の改革の問題に入りたいんですが、その前に、官僚主導の今の仕組みの中で、結局官庁権益の温存というようなことを私自身は大変心配するし、実際、企画部門と実施部門を分けて実施部門を独法化するんだとか、あるいは、今まで実施部門だった特殊法人を独法化するんだ、こういうふうに言われております。
 ただ、先ほどもお話がありましたように、農水大臣のお話が出ておりました。政官業の癒着の構造の温存ではないか、こんなふうな議論がありました。私自身は、私がいろいろなところから聞くお話だと、そもそも問題になった事例というのは、青森県の公立病院の建設に当たっての口ききの疑惑ということですよね。正直申し上げて、大島大臣は厚生大臣をやられたわけでもないし、あるいはまた青森県の県知事をやったわけではないし、八戸の市長をやったわけでもない。しかし、何で、そんなことに大島大臣の、あるいはまた以前だったら大島議員の秘書のところにこういった方が行って口ききを頼むような仕組みになっているのか。
 そのこと自身が一番の問題であって、そういうものになっちゃっている。中央官庁に金と力があり余り過ぎて、病院一つ建てるにも、どこかの役所から補助金をどんともらわないと全然建たないんだ、地方の公立病院といったって、自前の財源で建てることなんかできないんだ、昔だったら自治省とかあるいは厚生省とか、そういったところから金をもらわないと。それをやるためには国会議員に口ききして動いてもらうしかないじゃないか。
 こんなことをやっているからおかしいのであって、これが、今回独立行政法人というふうな形に今までのものが変わった。特殊法人だって、今までたくさんの例えば施設をつくったり、いろいろな事業をやったり、あるいはまたいろいろな公契約の中でお金を民間業者に渡していくわけでありまして、そういったところに口ききの問題が必ず生じておったわけでありますから、では、独立行政法人になったら、これでその問題が変わるのか。それが変わらなければ、官庁利権の温存、本当の官から民へという改革の哲学に反するんじゃないかというふうに思うんですが、石原大臣、いかがでしょうか。
石原国務大臣 今の点は多分に政治家の倫理の問題であると思っております。先ほど総理が、口ききはいいんだ、陳情を受けてやることはいいんだ、そういう御議論があったと承知しておりますけれども、私は、そこで不明朗な金品の授受あるいは人間関係の構築等々があったのが問題であるのであって、行為自体は、政治が民間と行政の間に必然する以上はやはり多かれ少なかれある、あとは政治家の倫理観の問題ではないかと考えております。
都築委員 大島大臣にもちょっとお願いいたします。
大島国務大臣 独立法人、これは先ほど来都築委員がお話をされている、そして石原大臣がお答えしているように、自律性と透明性というのが目的だと思います。
 しかし、どういう形であっても、私は、法に照らして、あっせんして利得を得る、あるいはまた要請をするということは絶対あってはならないし、そのことに対して、私どもは周辺に対しても厳しく問いただして、そして律して政治をやることが根本に大事だと思っております。
都築委員 その点は、また各論を我々もぜひいろいろただしていきたい、こんなふうに思っております。
 それから、もう時間がほとんどなくなってしまいまして、実は、公務員制度改革、先ほど言及をいたしました。今、公務員制度改革大綱に基づいていろいろな作業が行われておりますけれども、先日の新聞に、ILOの結社の自由委員会が日本の公務員制度改革について大きな疑問を呈するということで、来週には、最終的にILOの理事会で採択をされて勧告案が出てくるのではないか、かなり厳しいものになるのではないか、こんなお話があります。
 私自身、以前も、天皇陛下の御製の歌を小泉総理が代表質問でやられたことに対して大変疑問に思っておりました。また、その前は、テロ特措法で憲法のすき間を縫ってアフガニスタン支援ということで、むしろ、それだったら憲法の解釈を変えるとか、あるいは法律の措置をしっかりやるとか、そういったことをやらなきゃいけないのに、今までの、人類の歴史というと大変大げさかもしれませんが、もともと日本にはなかった人権とか自由とか、そういった概念がヨーロッパから導入されて、そして労働三権といったものが憲法でしっかりと書かれたわけでありまして、今も消防職員の団結権の問題とかいろいろな問題がまだ残っております、一部は何か調整が済んでいるのかもしれませんけれども。そういった中で、日本というのは、本当に、ヨーロピアンスタンダードというかアメリカ、国際基準にのっとってやっている、こんなふうなことを言いながらも、実は相当違う。
 今回の公務員制度改革大綱、私も、労働組合の皆さんからお話を聞いたら、とんでもない話ではないか、こんなふうに思うわけでありまして、坂口厚生労働大臣にぜひちょっとその点についてのお話を聞かせていただければと思います。手短で結構です。
坂口国務大臣 今お話しいただきましたように、ILO結社の自由委員会におきまして今議論をされているというふうにお聞きをいたしております。この十九日から二十二日の間に結論が出るということでございまして、我々、それを真摯に聞かせていただきたいというふうに思っているところでございます。
 この消防の話を初めとしまして、かなり歴史の長い話でございまして、私、前回に労働大臣をやらせていただいたときに、そのときもうスタートしておりました話でございますので、こうした問題、やはり決着をつけるべきはちゃんとつけていかなければ、また後送りになってしまいますので、ILOのお話はよく聞かせていただいて対処したいと思っております。
都築委員 終わります。
保利委員長 次に、春名直章君。
春名委員 午前中に続いて質問をさせていただきます。
 総理との関係で、特殊法人改革というのであれば、国民の暮らしを支える部門を、また事業を充実させるということも改革の非常に大事な柱なんだということを申し上げました。その角度から、きょうは、提出されている四十六本の法案の中で特に二本を取り上げて、具体的に議論をしてみたいと思います。
 第一は、竹中大臣所管になると思いますが、国民生活センター法案についてであります。この法案は、国民生活センターを独立行政法人化するということになっております。
 端的にお聞きしますが、この移行によって国民サービスが手厚くなる、消費者行政が充実するというものになるのかどうか、この点をまずお聞かせいただけたらと思います。
竹中国務大臣 消費者から寄せられる苦情相談、これは大変重要な、国民生活に直結する問題だと思います。この苦情相談に関しましては、住民に身近な行政主体であります市町村において、あるいは、市町村が消費生活センターを設置していない場合でも、都道府県の消費生活センターにおいて受け付けの処理は行われているというのが現状であります。
 これを踏まえまして、今回の合理化計画では、消費者の苦情相談に関して、いわゆる重複行政を避けるという意味から、国としては、消費生活センターへの支援、市町村、都道府県への支援に重点化するという観点から、国民生活センターが行っている直接相談を段階的に縮小する、最終的には地方公共団体の設置する消費者センターからの経由相談に特化するということになっているものでございます。
 今後、この国民生活センターは、消費生活センターでは処理が困難な事案でありますとか、広域的な処理が必要な事案で、送られてくる経由相談に重点化することになる。いわば、こういった相談というのは非常に複雑多様化しておりますので、行政の重複を避けながら、より実効のある相談業務をしていきたいというふうに思っているところでございます。
春名委員 今のお話でどういう改革をするかということが語られたんですが、消費者からの相談でいえば、国民生活センター、そこへの直接の相談件数、これは大臣じゃなくても結構なんですが、どういう傾向になっているのか、どれぐらいふえてきているのか、そのあたりを御答弁いただけますか。
永谷政府参考人 お答えします。(発言する者あり)参考意見を述べさせていただきます。
 数字の話でございますけれども、国民生活センターに寄せられる相談件数でございますが、現在、平成十三年度で九千二百九十九件ということであります。そのうち、直接相談、直接消費者からセンターに寄せられる相談でありますけれども、四分の三です。それから、残りの四分の一が経由相談ということで、消費生活センターから処理を移送してくるものとか、処理の一部を依頼してくるものとか、あるいは処理方法の助言を求めてくるもの、そういうものが全体の四分の一を占めているという状況にあります。
春名委員 今、二〇〇一年度は九千二百数十件、四分の三が直接相談、四分の一が経由相談だということですが、その前も大体七千件から七千六百件ぐらいの相談が寄せられていて、二〇〇〇年には八千件、二〇〇一年には九千三百件、毎年非常にふえているわけですね、国民生活センターに対する相談が。
 それから、国民生活センターと各地の消費生活センター、これが受け付けた相談件数も調べてみましたら、九二年十九万一千二百件、増加の一途をたどって、二〇〇一年には最高の六十二万四千七百六十二件ということで、非常にふえているわけですね。
 大臣にもう一度お聞きしたいんですが、こういう激増している中で経由相談に特化してしまうと。国民生活センターに対する直接の相談も非常に多い、なぜ経由の相談だけに今大事なときに特化してしまわなければならないのか、そこがどうもわかりません。いかがでしょう。
竹中国務大臣 消費生活が多様化する中で、また最近のさまざまな安全の問題等々も踏まえて、今、委員御指摘のように、傾向としては、やはり消費者からの相談というのは当然のことながらふえてきましたし、これは今後もますます多様化してふえていくということなのだと思います。
 こうした問題に関しては、やはりネットワークといいますか、地域に密着した、地元に密着したところで一義的に相談をしていただく、さらに、それに加えて経由相談という形で国民生活センターが関与していくという、そのネットワークを活用した相談というのが、長期的にやはり集中管理よりは私はすぐれた方式になっていくのではないかなというふうに思います。
 同時に、これまた、こういう相談を官が、公的な部分が一体どこまでやるべきかというような中長期的な問題もあろうかと思います。今後、NPO、NGO等々でそういう活動をするということもふえていくというふうに期待されますし、実際そうなっている国、社会も多いと思います。
 我々としては、この相談業務というのはそれはそれで大変重要であり、であるからこそ、今後とも、こういった経由相談を通して、社会全体としてこうした機能がしっかりと保たれていくように、注意深く要請をしていきたいというふうに思っております。
春名委員 今大臣も言われたように、例えばこれから、今もそうですが、インターネット被害とか、それから金融商品関連など、そういう専門性、複雑性も増してきているわけですね、相談の中身が。それから、企業のモラルの崩壊と言われるような、雪印食品の問題とか、三菱自動車のリコール隠しとか、電力会社の事故隠しとか、目を覆うばかりの状況があるわけですね。それに伴って消費者の被害がふえて相談もふえている、これはもう間違いないことで、これからもそうなるでしょう。したがって、そのときに経由相談だけに特化していくということがどうしても私は納得し切れない。
 特に、地方の消費生活センターと役割分担して、直接の相談は地方にやってもらって後は経由してもらえばいいというお話なんだが、実際に地方の消費者行政というのが今実態はどうなっているのか、そこが問題だと思うんですね。そこを抜きに役割分担すればいいということになりませんので、大臣は今、地方の分担というふうにおっしゃっているので、地方の消費者行政というのは今どんな現状になっているのか、どんな傾向になっているのか、その辺、概略をお伝えいただければと思います。
永谷政府参考人 まず、地方公共団体の消費者センターの設置状況でありますが、平成十四年の四月の一日現在で四百六十三カ所に設置されております。ちなみに五年前、平成九年と比較しますと、五十四カ所ぐらいの増加になっているということであります。その内訳でありますけれども、都道府県で百六十七カ所、政令指定都市が十六カ所、それから市町村が二百八十カ所ということであります。
 先ほど大臣答弁の中でございましたけれども、市町村での設置がないところについては、少なくとも都道府県レベルでは置かれているということで、極力重複を排しながらも、身近なところで苦情の処理ができるような体制になっているということでございます。
春名委員 今、設置箇所は多少ふえているという御答弁をされているんだけれども、全国消費者団体連絡会が、一九九七年から二〇〇一年の五年間の四十七都道府県の消費者行政を調査しております。この五年間で、何と消費者行政、消費者を守る行政の予算はマイナス二五・六%、四分の一も激減しているわけですね。非常に大変な状況になっているんですね。例えば、大阪では、府の消費者生活センター相談業務は今年度から民間のNPOに委託、神奈川県は、近い将来相談センター全廃、こういう方向になっているわけなんですね。
 要するに、地方は、お金は減らして、人も減らして、だんだん薄くなっていっているんですよ。数は、まだセンターをつくっていない自治体なんかが少しずつふやしたりしていますので、そう減っていないんだけれども、予算の面も、人事の面も大変な状況になっているんですね。
 ですから、そういうときに、今まで国がしっかり支えてきた役割を放棄して地方に分担するというふうに言っても、これは全体として見れば、消費者行政を国からも地方からも撤退させていく、弱めていくということになってしまうんじゃないでしょうか。そういうときに、こういう改革なるものをやっていいのかということを聞いているわけなんですね。
 ですから、例えば去年の八月十日に「特殊法人等の個別事業見直しの考え方」という文書が出されて、その「考え方」の中では、内閣府自身が、こういう縮小をするのはまずいという判断を下しているんですね。
 高度、複雑なものなど地方消費センターではなく国の機関に相談することが適切な苦情相談を直接受けることはセンターの重要な任務だ。電子商取引のような新分野への地方の苦情対応はいまだに十分でない、センターの対応が期待されている。初めて各地センターに対する適切で実践的な援助が、生活センターでやって、そういう処理能力があってこそできる、こういうことを内閣府自身言っているし、商品比較テストを四月に大体廃止するというふうにやっていますけれども、これも廃止は適当でないと内閣府自身がおっしゃっているわけですね、去年の八月に。何で変わっちゃったのかなと。
 私、今こそ、国民生活センターなどの消費者行政というのは、国自身が積極的に厚くしていく、暮らしを支える糧として厚くしていくことが大事じゃないんですか、このことを思うんですが、大臣、どうですか。
竹中国務大臣 私が担当しております国民生活センターに対して非常に高い期待があるということで、私自身もその点は大変うれしく思います。
 御指摘の点が、前回の十三年八月の我々の考え方を述べた中で、それは不適切であるとしていると。ただ、これは政府内の検討段階のものでありまして、我々内閣府が提出した意見も踏まえて、実は、当初案では認められていなかった経由相談というのが国民生活センターの役割となってこの合理化計画に明記されたということであります。
 ですから、そんな意味では、先ほども申し上げましたように、できるだけ地元の、地域に密着したところで第一義的な相談をしていただく。その上で、必要なものについて経由相談という形でということで、そういうシステムが織り込まれたことによって、我々としては、トータルとして有効なシステムがむしろ築けるというふうに考えたわけであります。
 先ほどから、例えばインターネット被害、非常に高度な、食の安全もそうだと思いますが、例えば、インターネット関係、ネットワーク関係のものということが出ておりますが、むしろそうした意味で、やはり相談といいますか、それの質を上げることが大変重要であると思います。
 国民生活センターとしては、限られた資源をそういった問題に集中的に投下して、質の高い消費者相談がシステム全体として保てるようにしたいというふうに思っておりますので、むしろ、今回のシステムによって、そういった意味での国民生活、国民の消費に利便を与えるようなシステムをぜひつくっていきたいというふうに考えているところでございます。
春名委員 余り説得力がないんですけれども。やはり国民の生活、そういう相談を受けながら、そういう相談能力を身につけて、集約をして、そしてまた地方に返していく。また、比較テストもしっかりやっていく。こういうことが今こそ問われているときに、どう見ても撤退をしている方向だとしか見えません。そのことは指摘をしておきたいと思います。
 第二番目に、暮らしと安全を支えるという問題でゆるがせにできない法案の一つとして、医薬品医療機器総合機構の問題について、厚生労働大臣にお聞きしたいと思います。
 そもそもこの機構ですが、薬害被害救済、医薬品の審査、こういう部分は、国民の健康と命を守る、国の責任が最も鋭く問われている分野だと思います。
 御承知のとおり、独立行政法人といいますのは、公共性があって続けるべき業務で、民間にゆだねると実施されない可能性があるものの中で、国がみずから主体となって直接実施する必要がないものだというふうになっています。私は、国がみずから主体となって実施する必要のあるもの、これはそういう分野ではないかというふうに思えてならないんですが、これはどういうお考えで独立行政法人に合体していくということになるんでしょうか。
坂口国務大臣 医薬品の審査あるいはまた医療機器の審査等につきまして、独立行政法人の方に移行するわけでございますが、従来と同様に、承認に係ります最終的な判断でありますとか、あるいは緊急、安全性の情報の発出指導でありますとか、あるいはまた薬事法に基づきます回収命令でありますとか、そうしたいわゆる行政措置にとりましては、これは厚生労働省に残すわけでございます。そして、審査でありますとか、あるいはまた安全対策の検査でございますとか、そうした部分を独立行政法人の方に回すということでございまして、これは独立行政法人で十分でき得ることであるというふうに思っております。
 したがいまして、一番大事な部分は、これは今後も厚生労働省がつかさどっていく、こういうことでございます。
春名委員 それで、今度のこの法案、四つの機構が一体になるんですね。医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構、これを廃止して、国立衛生研究所審査センター、医療機器センターなどと統合する。三つですか。そして、独立行政法人医薬品医療機器総合機構というのを新たに設置するということになっているわけですね。
 機構の前身は、医薬品副作用被害救済基金と言われるもので、一九七九年、薬害スモン事件の教訓から薬事法が改正をされて、それに合わせて発足をしたものです。副作用被害がもともとの本来業務なわけですね、旧機構は。そこに、八七年、九三年と、医薬品技術の試験研究、それから医薬品の品質、有効性などの調査業務というのが加わって、当初の組織の性格が変更させられてきたという歴史を持っている機構です。
 今回、さらに、承認審査業務全般を扱う国立衛生研究所審査センター、医療機器に係る同一性調査などを行う医療機器センター、これを統合するということになっているわけです。
 そこで、大臣、御認識をお聞きしたいんですが、単に効率的だからという理由で、薬の副作用による被害者の救済、審査や安全対策を担当するそういう機関と、医薬品や医療機器の研究開発業務を行う機関、これが同一機構の業務として行われていく、そのこと自身が果たして本当にいいのだろうか、こういう根本的疑問を私は持ちますが、この点はいかがでしょうか。
坂口国務大臣 厚生労働省の今までかかわってまいりました分野は非常に広範囲にわたっておりまして、現在、先ほど御指摘になりましたように、研究部門もございますし、それから薬剤等の副作用に対します問題等もございます。しかし、それらのことを総合的に一つの独立行政法人としてやっていくということは何ら違和感を私は持っておりませんし、それは一つの独立行政法人の中で十分にやっていけることだと思っております。
春名委員 今、例えば原子力発電の問題をめぐって、推進する機関と規制機関が両方、経済産業省が担当しているということについて、大変大きな問題になって、知事自身がこれは切り離すべきだということを要求する、こんな事態が起こっていますね。効率優先の統廃合ということでいえば、私は、被害者救済という、こういう原点、厳格な審査、最も国と製薬企業の責任が問われるそういう業務からやはり後ろ向きになっているというふうに思われても仕方がないと思うんですね。
 第一、薬害エイズのときのあの痛苦の教訓から、厚生省自身が九七年に旧薬務局の組織再編を行われて、医薬品の安全対策と振興対策を分離させる、研究開発振興課と経済課が医政局に行き、その他の部門が医薬安全局の所管になる、こういう組織改編をしていますね、改正。
 つまり、研究開発というアクセルの部門と医薬品の監視、審査というブレーキの部門をきちっと分離をしてやらなければならないということを、厚生労働省自身が薬害エイズの教訓から導き出して、そういう変更をされたのじゃないでしょうか。そういう歴史から見ても、今回のこのやり方、いかがなものかと思うのですが、その点はどうですか。
坂口国務大臣 規制と振興の問題は、確かにエイズのときにはそういう話があったわけでございまして、分離をしたわけでございますが、今度はBSEのときには、規制と振興が分かれているからうまくいかないというので、どうだというふうに言われたわけでありまして、これはなかなか、どちらもいいところ悪いところがやはりあるんですね。だから、そこをどううまくやっていくかということだろうというふうに思うのです。
 一緒にやりますけれども、業務ごとの組織や勘定は明確に区分をいたしておりますし、それから、業務内容だとか経理内容の積極的な情報公開をやりたいというふうに思っております。
 薬剤それから医療機器の審査等も非常に少ない人数でやっていたわけでありまして、やはり、厚生労働省の中でやるということになりますと、それも人数にも限界があるわけですね。その点、今度独立法人になりますので、この中で人数もこの分野は増加をさせまして、そして国民の負託におこたえをしていきたい、そう考えております。
春名委員 今、大臣がおっしゃったのでお聞きしますが、例えば情報公開のことを少し聞きたいと思うのですけれども、薬害エイズ事件の重大な教訓というのは、議事録などを含めて、必要な情報が隠され続けてきたというのが大きな問題だったと思うんですね。独立行政法人になりますので、独立行政法人の情報公開法の適用を受ける機関になるだろうと思いますが、問題は、情報開示をやはり法人自身が、たとえ医薬品の開発、その業務を請け負っている先の医薬品会社、製薬企業というものに都合が悪いものであっても積極的に開示するというふうにならないと、また同じことを繰り返すわけですね。そのときに、同じ機構の中に推進する機関と審査や救済をする機関があって、本当にそういう姿勢が貫かれるのだろうか、私、当然疑問に思いますね。これは大丈夫ですと本当に言えるんでしょうか。
 そういう情報公開という非常に大事な問題、今も少しお話がありましたが、どうお考えですか。
坂口国務大臣 そこはどうぞ御心配なく、明確に情報公開をやっていきます。
春名委員 何の根拠もなく御心配なくと言われるので、非常に不安が先に募るわけであります。
 私、新法人で、特に医薬品被害の救済それから研究開発、中できちっと業務を切り離してやりますということをおっしゃるのであれば、例えば、二つの具体的な提案をしますけれども、少なくとも機構の名称の中には、副作用被害救済、そういう組織の名称を残したらどうでしょうか。二つは、新しい機構の理事の中に少なくとも薬害の被害者の代表の方ぐらいを選出して、そういう措置もきちっとやる、そういう議論ができるというようなことも当然検討されなければならないのじゃないかと思いますが、そのあたりはどのように御見解を持っていますか。
坂口国務大臣 名前は、そんなに長い名前をつけるのは、僕はいかがなものかというふうに思っています。むしろ中身の問題で、中をどうちゃんとやっていくかということが大事でありまして、名前は、今までの名前も入れて、今度、医療機器の問題も入れて、そう長たらしい名前にする必要はない。中身をちゃんとやっていくということが大事。それから、いろいろな方の御意見を伺って、そしてやっていくということも大事。その辺はどういうふうにやっていくかはちょっと考えなければいけませんけれども、考えていきたいというふうに思っております。
 しかし、名前は、そう長い名前もつけられません。どうも私の方の名前は長いんです、皆。一行ぐらいずっと続いておる名前があるぐらいでありまして、二遍とよう言わないほど長い名前があるわけで、それは私は、もっと簡潔明瞭な名前にすることの方がいい、こう思っております。
春名委員 名は体をあらわすという言葉もありまして、本当に救済機関という原点をきちっと守っていくという姿勢が、私は、率直に言って、名前にもあらわれているように思えてならないわけですね。今までずっとさまざまな、スモンの問題、最近の薬害エイズの、本当に悲惨なあの問題、苦しめられ、そして解決のために努力をしてきた。そういう今の国民の気持ちからして、こういう、合体してしまうと、私から見れば、本当に、効率優先といいますか、そういう角度からしか見えないわけですけれども、名前もそういう形になると、やはりそこに姿勢があらわれていると思わざるを得ないわけですよね。
 今大臣がおっしゃったけれども、審査の厳格性や透明性を確保するために審査官を増員するということをおっしゃいましたよね。五割程度増員するという計画ですか。これは確実に達成されるということになりますか。
坂口国務大臣 これは必要に応じてふやしていかなければならないと思いますが、五割は確実、もう少し要るのではないかというふうに思っております。それはそうせざるを得ないと思っております。
春名委員 そうなるにこしたことはありませんが、ただ、今まで審査官は、国立でしたから公務員ですよね、大臣。今度の機構によって、その国立のセンターが独立行政法人の方に移行するわけですね、非国家公務員になるわけです。審査官の人件費というのは基本的に製薬企業からの手数料収入で賄うことになるんでしょう。つまり、その増員というのは、確かに五割以上ふやすという意気込みは大事ですけれども、その組織の形態からいって、率直に言って、企業の姿勢次第ということにゆだねられてしまうのじゃないかと思うのですが、そうじゃないですか。
坂口国務大臣 それは薬剤であれ医療機器であれ、他の研究もあると思いますが、それは、そこの依頼をされたところからちょうだいをするということでありますから、それは当然だと。そのことがどうのこうのということではない。
春名委員 依頼をされたところから審査をする、どうのこうの言うことはないというんですけれども、だから心配ですね。五割ふやすというけれども、そんなことは企業の姿勢にかかわっているということだと思います。保証がないわけです。
 承認審査業務というのは採算性を重視する独立行政法人にはなじまないなと私は思いますし、冒頭に言いましたように、そもそも国の責務ということが本当にこれで果たせるのかということに根本的疑問を持っております。そのことを申し上げまして、私の質問を終わります。
保利委員長 次に、菅野哲雄君。
菅野委員 社会民主党の菅野哲雄でございます。
 石原行政改革担当大臣に御質問していきたいというふうに思っております。
 まず、特殊法人改革、行政改革という大合唱のもとで、平成十三年の十二月十八日に特殊法人等整理合理化計画が決定され、そして今日、法律案提出という形になりました。ずっと一連の流れの中で、政府として、従来の特殊法人、この特殊法人と言われるものの問題点をどうとらえてきたのか、そのことが次の改革の方針につながっていくというふうに思うんですね。
 午前中も多くの議論がこのことでなされました。小泉総理大臣は一つの言葉で、民間にできるものは民間に移していくんだということだけを繰り返しているんですが、総理からは、このことを問いただしても具体的な答弁として返ってきていない。担当大臣としてこのことをどうとらえているのか、見解をお聞きしたいと思います。
石原国務大臣 ただいま委員御指摘の基本論は、先ほど都築委員との御答弁の中でも議論になった点でございますが、私も、特殊法人が戦後の発展過程の中で一翼を担ってきたという事実は否定しがたいと思っておりますし、今、最大の焦点となっております道路公団等々につきましても、国に財力がないときに民間の資金を吸い上げてモータリゼーションの発展に備えたという意味では、時代の申し子であり、優等生であったんだと思っております。
 しかし、時代の変遷とともに経営責任が、親方日の丸ということもございまして、不明確になり、そして財源も保障され、最高の技術で最高のものをつくっていくというような形で、自律性の欠如というものも出てきた。さらには、これは総じて言えることだと思うんですけれども、業務運営が実はかなりの部分で非効率的な部分が見られる。もちろん、これは民業でありませんので公的な仕事ということを勘案したとしても、まだまだむだな部分が目につくようになりましたし、時代の変化とともにその役目、仕事が終わったとしてもその仕事をさらに拡大していくような、先ほど来自己増殖という言葉を使わせていただいておりますけれども、そのような弊害が目に余るようになってきた。
 これはもう昭和四十二年当時から言われていたことでもあるわけですけれども、今般は、そのようなものを、組織の事務事業を見直していく上で、組織にも踏み込んで効率性を高め、さらには法人経営の自律性、パブリックカンパニーといえども自律性を持ったようにしていかなければならない、特殊法人の抱える現存する弊害というものを除去していく形で問題の解決に当たっていこう、そのように考えているところでございます。
菅野委員 大臣、今道路公団を例にとって説明されましたけれども、私は、道路公団でもいいと思うんです、組織形態は。改革すべき中身が問題だということを申し上げたいと思うんですね。
 それで、ずっと行政改革が叫ばれたころというのはどういうことかというと、国民の行政に対する大きな信頼の失墜ということから起こったというふうに思っています。その国民の声というのは何であったかというと、今でも解決されておりませんけれども、政官業の癒着構造の問題、そして自民党の族議員との癒着の問題というふうに、まだ解決されていませんけれども、このことに対してどうメスを入れていくのか、あるいは特権官僚の支配構造というものにどうメスを入れていくのかが私は行政改革の中身だというふうに思っているんです。そのことがこの特殊法人改革の中にどう盛り込まれているのかが全然見えていない。
 あるいは、道路公団でいえば、子会社、ファミリー企業の問題、そして道路公団からの天下り、この天下りの問題は後でも議論しますけれども、こういうものにメスをどう入れてきたのか、そしてメスを入れてきてここまで来たということが形として見えなければ、私は、単にこの特殊法人を独立行政法人にしたにしても改革というものは進んでいかないんじゃないのかなと。
 改革の方向性を大臣としてどのように道筋をつけていかれようとしているのか、このことをお聞きしておきたいと思います。
石原国務大臣 道路公団が、非常にトピックスとして、そしてまた例として今委員が御指摘をされましたメスを入れるべき問題を抱えておりますので、また例に挙げまして御答弁をさせていただきたいと思います。
 冒頭委員が御指摘されましたように、組織の形態論、特殊法人というままでいいんだと委員は御指摘されましたけれども、これは仮定の話でありまして、仮にそこの法人のマネジメントとガバナンスというものが担保されていればきっとうまくいったんでしょうけれども、やはり親方日の丸であり、つぶれなく、資金が自分で調達することなく入ってくる、そういう形の中で、やはりこのままの組織形態ではにっちもさっちもいかない、こういうところで、今回の大胆な改革、道路公団を民営化する、あるいは住宅金融公庫も廃止する、都市基盤整備公団も廃止する等といった思い切った改革案が出てきたわけであります。
 その際、委員御指摘のとおり、実は、やはりそこに付随する根本的な問題にメスを入れなければなりません。そして、この問題は、これまで言われてはいましたけれども、実はだれも深くまでメスを入れる、表面上切るぐらいの手術はしてきたと私は思うんですけれども、なかなか入れることが難しかった。すなわち、言われてはいますけれども、実は実態も今回のこの改革に着手して初めて明らかになりつつありますし、まだ不透明な部分もあります。
 先ほども御同僚の委員の御質問にお答えいたしましたように、道路公団の子会社、さらには関連企業、また受注者、そこに道路公団の職員の方が天下っている。七百社ぐらいあると言われております。そういうものの実態を調査するために、これまでは所管する省庁に私たち政治家も聞いておりましたけれども、今回は民営化推進委員会の中で、一般競争入札の中で調査会社を選定し、その調査会社が、このファミリー企業は一体どのような実態になっているのかということを解明する、委員が言われるところのメスを入れるということに取り組んでいるわけでございます。
 さらには、これも御同僚の委員の中で議論がありましたけれども、いわゆる渡りと言われて、ぽんぽんぽんと渡り歩いて多額の退職金を取るというような問題、あるいは給与の問題、こんなものにもメスを入れさせていただきましたし、私は、やはり一番今回の改革で特記すべきものは、情報公開を徹底する、それによって国会で国民の代表である委員の先生方がこの問題を正面から議論することができるようになった、ここに今回の改革のポイントというものがあるように考えております。
菅野委員 政府全体もそうなんですが、今行革担当大臣が、石原大臣が、親方日の丸という言葉を使うんですね。そして、総理大臣も、民間でできるものは民間、要するに、民間が効率がよくて公務部門が効率が悪いんだ、そういう観点が貫かれていることに対して、私は非常に憤りを持つ部分もあるんです。
 今から言うように、そういう意味で、官が行うべきものは官が行う、民が行わなければならないものは民間に移していく、そういう観点が必要なんであって、今、四十六法案が出ておりますけれども、そのことをどう精査してきたのかということが重要なことだというふうに思います。
 先ほど、大臣の答弁では、与党ではもう徹底した議論を行ってきたんだ、それでここまでたどり着いたんだと。それで、国会論議は実はきのうから始まったわけですね。この個々の部分をどうしていくのかという観点は、与党はやったかもしれませんけれども、国会の中では全然行われていない状況だというふうに思います。
 そういう意味では、この特別委員会を設置して十分な時間をとって議論すべきだというふうに私は思うんですが、今回の改革の論議というのは、もう先ほども、午前中、総理大臣に同僚の日森議員が質問していましたけれども、国民生活にとってどうなのかという観点をどう議論していくのかというふうな点だと思っております。本当に、この国会の中でも、与党はやったかもしれませんけれども、この国会の中で政策的な精査というのをどう精査が行われたのか、この検証も必要だというふうに思っております。
 この表面に出てきているのは、先ほど申し上げた、改革しなければならないそのことは先送りして、組織論や経営形態論に終始してきているんではないのかなというふうに見えてなりません。そして、この特殊法人が独立行政法人という形で一括して進んでいく、そういう流れに今なっているわけですね。
 そういう意味では、この特殊法人が独立行政法人になって、どう変わっていくんですか。どう変わっていくんですか。この基本理念というものを国民の前に示していただきたい。そして、この変わっていくということと同時に、先ほど申し上げた、改革しなければならない改革課題がどう改革の方向に結びつくのか、この点を明らかにしていただきたいと思います。
石原国務大臣 ただいま委員御指摘の点はもっともであると思っておりますが、実は、内閣委員会でさきの通常国会のとき、二カ月間にわたりまして道路民営化推進委員会の設置をめぐって御議論があった中で、この民営化委員会の問題だけではなくて、先ほど来御議論をいただいている天下りの問題、あるいは公務員制度の問題、個別法人の問題等々も通常国会で私は真摯に議論を続けてきたと承知をしておりますし、私もできる限り知り得ることを御答弁してまいりました。
 そして、ただいま委員御指摘の点は、再三再四同僚議員から御質問のある点で、なぜ特殊法人をやめて独立法人にするのか。私どもの説明は、特殊法人に大きな問題があるから、それにかわる制度として独立行政法人という新しい制度を仕組んだわけでございます。この独立行政法人という制度を仕組む上では、党がイギリスの方まで視察に行ってエージェンシーの制度を見る、あるいは各国の民営化を見る、私自身もいろいろなところに行きまして、実態というもの、民営化の成功例、失敗例を見てまいりました。
 そんな中で、この独立行政法人のポイントは、これも再三再四総理も御答弁されておりますけれども、中期目標を立てて中期計画を策定した目標管理がある。そして、これは総務大臣の所管でございますので、詳細につきましては片山総務大臣にお尋ね願いたいんですけれども、第三者機関による政策評価あるいは法人評価を行っていく。その調査結果を踏まえて、定期的な事業の見直しはもちろん、組織の廃止まで踏み込んだ見直しを行う。さらに、余りにも業績が悪い、パブリックな仕事をしているということを差し引いたとしても業績が悪い役員の方にはやめていただく、給与を低くする。思い切った、民間企業のいい視点はこの独立行政法人に入れていこう、そういうふうに改革をさせていただこうと考えてこの制度を仕組んだということをぜひ御理解いただきたいと思います。
菅野委員 大臣、今の答弁で、中期的な目標管理、評価、そしてその評価の上に立って事業の見直し、そして成果が乏しい部分については理事者が悪いから理事者に交代してもらう。これは、公的部門が担うべきものなのか、民間が担うべきものなのかをしっかりと精査した上で、公的な部門というのは、非効率的な部分、営利を目的とすることができないものだから公務が担うんです。その部分も評価の対象にしていくという論法は、私は、成り立っていかないんじゃないのか。そういう意味で、個別の部分を十分議論する必要があるという形で申し上げているんです。
 この部分については、回答は要りません。ただ、本当にそういう意味での、今後もまだこの特殊法人改革で残っている部分もあると思います。そのことに対してしっかりとしたものを政府としてつくり上げていただいて、そして進んでいただきたいというふうに思うんです。
 そういう意味でいうと、今言われているのが役員数の問題ですね。法定数が三百三十八、役員数が二百八十一、そして、今度の特殊法人改革で法定数を二百四にしますと。これだけが本当に、ある意味では目に見える形でのものではないでしょうか。先ほど言ったように、改革すべき課題が具体的な形で、独立法人にしたからといって改革の方向性は、今大臣が答弁できないように、道筋としてつけることはできないという状況もあるわけですから、ぜひその辺の議論というものをしっかりと行っていただきたいというふうに思っております。
 それから、次に移りますけれども、特殊法人の職員の労働条件の問題。
 先ほども同僚議員がこのことに触れました。そこで、今、改革の俎上に上っているところで働いている人たちは、非常に大きな不安を持っています。この不安をどう払拭していくのかということは、私たちの責務ではないでしょうか。
 平成七年四月二十八日に閣議決定して、当時は自社さ政権のときだったというふうに聞いておりますけれども、この雇用の問題を、しっかりと政府として責任を持った体制をつくり上げていかなければならないということで、特殊法人の職員の雇用問題に関する対策本部が内閣府に設けられているんですね。今度の改革の流れの中では、この特殊法人の職員の雇用問題に関する対策本部というものがつくられていませんね。この改革を円滑に進めていくためにも、労働者の雇用問題に万全を期していく、どのようにして万全を期していく決意なんでしょうか。
 そしてもう一つ。この雇用労働条件も、継承されるという部分がある一方では、個別法にその規定がないものもあるわけです。この権利義務の継承というものをどのように政府として行っていくのか、見解をお聞きしておきたいと思います。
石原国務大臣 ただいま委員が御指摘されました特殊法人の雇用の問題のみならず、国政の中で国民の皆様方の適切な雇用を確保していくということは重要な問題であると認識をしております。そのため、今般の総合対策でも、坂口大臣が御苦労されまして、雇用問題の対策を取りまとめているところでございます。
 特殊法人につきましては、これはもう委員も整理合理化計画をお読みでございますから御承知だとは思いますけれども、現在特殊法人で働いている職員の雇用の安定に配慮しつつ必要な対策を検討する必要があると的確に明記をさせていただきましたし、私の聞き及びした範囲ではございますが、特殊法人並びに特殊法人を所管している監督官庁が、労組の御意見あるいは職員の方々の意見を聞きながら協議をしているものと承知をしております。
 職員の雇用問題については、これまで維持されてきました良好な労働関係というものに配慮しつつ、今後とも所管する各府省が適切に対応していかなければなりませんし、さきの国会の中で特殊法人等改革基本法の審議をしたときに、これは全会一致でございますが、院としても、附帯決議として「特殊法人等の改革の推進に当たっては、これまで維持されてきた当該特殊法人等の職員との良好な労働関係に配慮するとともに、関係職員団体の理解を求めつつ、その雇用の安定に配慮すること。」という附帯決議も付され、政府として、その点についても私は委員会で言及をさせていただいたところでございます。
菅野委員 総論としては、今そういう方向で流れていることは私も承知しております。それは総論の段階ですね。各論に行ったときは、これは大変な議論でございます。そんなにスマートな形で労働条件が決まっていくという話じゃないです。
 というのは、今、この特殊法人改革で、先ほども申し上げましたけれども、理事長あるいは理事の方々が、非常にどうなるか不安に思っているんですね。その人たちが、現在の理事長、理事の方々が、そのまま新しい法人に移行するとはなっていません。そうしたときに、今各省庁がそのことを行うと言っていますけれども、省庁は、そういう意味では現場対応は行われていないのが現実です。
 そうしたときに、現在の理事長や理事の方々と協議するしかないんですね。当事者能力はその人たちに現時点であるんでしょうか。その人たちも非常に今不安を覚えています。そういう人たちが、次に引き継ぐ労働条件を本当にその人の責任でもって交渉して妥結まで行けるんでしょうか。こういう各論が存在するんです。
 そのことに対して、やはり私は、政府として対応をとる必要があるんじゃないのか。平成七年の四月二十八日に閣議決定したその中身というものを、今回の改革に当たっても私は検討すべきだというふうに思うんですけれども、大臣、いかがですか。
石原国務大臣 ただいま委員が御指摘されました点は、組織の移行期、すなわち過渡期における問題として十分に私もお話を聞かせていただいておりまして、留意をしなければならないと痛切に感じた点でございます。
 と申しますのも、先ほど御紹介いたしましたように、整理合理化計画では、特殊法人等で現在働いている職員の雇用の安定に配慮しつつ必要な対策を検討する必要があると明記させていただき、関連特殊法人並びにそれを所管する行政の側に対して、検討すべきであるとくぎを刺した整理をさせていただいております。
 一義的には、もう委員御指摘のとおり、これは、雇用主である法人、新設する独立行政法人と解釈していただいても構わないんですが、そこと職員の皆さん方との間の問題でありますが、特殊法人、今はまだ特殊法人ですから、特殊法人並びに監督官庁においても、今委員の御指摘のような問題点の必要な検討というものがなされるべきであると私は考えております。
菅野委員 平成七年の四月二十八日に閣議決定した、特殊法人の職員の雇用問題に関する対策本部を設ける意思があるのかないのかと聞いているわけです。私は、過去の経験を踏まえて、そして円滑に移行するためにもそういう機関を設けるべきだというふうに主張しているんですけれども、そのことはどうなんですか。
石原国務大臣 平成七年の当時にどのような過程で本部が設置されたかということを精査させていただきまして、改めて御回答させていただきたいと考えております。
菅野委員 改めての回答はよろしいです。ぜひ精査して、本当に職員が不安を持たないで移行できるような体制というものをしっかりとつくっていただきたいというふうに思っております。
 最後になりますけれども、天下り問題ですね、多くの議論がされました。そして、特殊法人を独立行政法人にして天下りが減るのか減らないのかという議論も多くなされてきました。私は、天下りというものが、先ほどから議論があるように公務員制度改革の中でしっかりと行っていかなければ、特殊法人を独立行政法人にしたからといって、これが解決するとは思えません。
 そういう意味で、実効ある天下り規制に取り組むべきであるというふうに思いますが、石原行政改革大臣、石原大臣がこの公務員制度改革の中でずっと言ってきていることは、大臣承認制に移行することによって責任の所在が明確になり天下りが抑制されると当初は言っていました。その後は、内閣が責任を持って総合調整を行うという答弁がなされております。そして、大臣に任せるんじゃなくて内閣が責任を持って行える仕組みを考えていきたいというふうに、ずっと答弁が一貫していないんですね。
 ということは、天下り規制問題についてどのように大臣として今の段階で行おうとしているのか、このことを明確にしていただきたいというふうに思うんです。
石原国務大臣 この問題は古くて新しく、また解決は簡単なようで大変難しい問題だと思っております。
 すなわち、公務員の方の退職年齢が現実として五十二、三歳であるという現実がございます。これは、早期勧奨退職の是正ということで、先ほど総務大臣が御答弁いたしましたように、引き上げていくということを総理の指示のもと決定をしているわけでございます。しかし、では、あしたからもう引き上げよう、一年、二年引き上げようということによって起こってくる弊害、これも先ほどお話をさせていただきました。
 それともう一つ、公務員の方は再就職しちゃならぬ、もう公務員は公務員で人生を終えて、はいそれまでよと、そこまで乱暴なことができれば天下りはなくなります。これは民間企業でも、子会社等々に再就職をしていることがあるわけであります。先ほども話をいたしましたように、官庁があっせんしてそれを仕事の中にビルドインしてやり、しかもその天下った方々が過去の職権あるいは権威を利用して仕事をしているのではないかという懸念、そしてまた退職金が何度も支払われるといったような非合理性、これらに対して国民の皆様方が御批判をし、同僚の国会議員の皆様方も、我が党、友党を含め野党の皆様方も共通の問題意識を持っていられるのではないかと思っております。
 私の答弁は決してぶれておりませんで、要約いたしますと、内閣が新たな再就職の承認基準を政令で定めて、承認制度の運営については、これはもちろん各役所も内閣に属しているわけですから、内閣が総合調整を行い、各省大臣が内閣で定めた省令基準に基づいて、総合調整のもと、再就職の承認を行うというふうに整理をしたら、今の点よりも改善されるのではないかと話をさせていただいているわけでございます。
菅野委員 この天下り問題、しっかりとした形で取り組むという方向を明確にしていかない限り、私は、国民の公務員に対する批判というのがおさまらないというふうに思うんです。
 これは、先ほどから議論されておりますけれども、一般の公務員じゃないんですよね。キャリア公務員と言われる人たちがそういう道をたどっているということをしっかりととらえて、先ほど大臣は、来年の通常国会で公務員制度改革を議論すると言われておりますけれども、こういうものを、方針もつくれない、つくりかねている状況で公務員制度改革なんというのはできる話じゃないということを申し上げて、私は質問を終わらせていただきたいと思います。
保利委員長 次回は、明十二日火曜日委員会を開会することとし、委員会及び理事会の開会時刻等につきましては、公報をもってお知らせいたします。
 なお、委員長において申し上げますが、おおむね九時過ぎから開会の予定であります。
 本日は、これにて散会いたします。
    午後五時一分散会


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