衆議院

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第6号 平成14年11月14日(木曜日)

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平成十四年十一月十四日(木曜日)
    午前九時開議
 出席委員
   委員長 保利 耕輔君
   理事 伊吹 文明君 理事 熊代 昭彦君
   理事 虎島 和夫君 理事 山本 幸三君
   理事 伊藤 忠治君 理事 金子善次郎君
   理事 山名 靖英君 理事 東  祥三君
      荒巻 隆三君    伊藤信太郎君
      石田 真敏君    岩倉 博文君
      金子 恭之君    小西  理君
      後藤田正純君    河野 太郎君
      高木  毅君    西川 京子君
      萩野 浩基君    菱田 嘉明君
      平井 卓也君    福井  照君
      増原 義剛君    松野 博一君
      宮澤 洋一君    吉田 幸弘君
      岩國 哲人君    大石 尚子君
      佐藤謙一郎君    鮫島 宗明君
      首藤 信彦君    田中 慶秋君
      永田 寿康君    伴野  豊君
      平野 博文君    細川 律夫君
      山田 敏雅君    山井 和則君
      山元  勉君    桝屋 敬悟君
      丸谷 佳織君    一川 保夫君
      佐藤 公治君    都築  譲君
      石井 郁子君    塩川 鉄也君
      瀬古由起子君    春名 直章君
      菅野 哲雄君    中西 績介君
      原  陽子君    日森 文尋君
      井上 喜一君
    …………………………………
   文部科学大臣       遠山 敦子君
   経済産業大臣       平沼 赳夫君
   国土交通大臣       扇  千景君
   国務大臣         石原 伸晃君
   文部科学副大臣      河村 建夫君
   文部科学副大臣      渡海紀三朗君
   経済産業副大臣      西川太一郎君
   国土交通副大臣      吉村剛太郎君
   財務大臣政務官      田中 和徳君
   会計検査院事務総局次長  関本 匡邦君
   政府参考人
   (特殊法人等改革推進本部
   事務局長
   兼内閣官房行政改革推進事
   務局長)         堀江 正弘君
   政府参考人
   (特殊法人等改革推進本部
   事務局次長)       熊谷  敏君
   政府参考人
   (財務省大臣官房審議官) 藤原 啓司君
   政府参考人
   (文部科学省大臣官房長) 結城 章夫君
   政府参考人
   (文部科学省生涯学習政策
   局長)          近藤 信司君
   政府参考人
   (文部科学省高等教育局長
   )            工藤 智規君
   政府参考人
   (文部科学省高等教育局私
   学部長)         玉井日出夫君
   政府参考人
   (文部科学省スポーツ・青
   少年局長)        遠藤純一郎君
   政府参考人
   (文化庁次長)      銭谷 眞美君
   政府参考人
   (経済産業省大臣官房審議
   官)           広田 博士君
   政府参考人
   (経済産業省大臣官房審議
   官)           伊沢  正君
   政府参考人
   (経済産業省産業技術環境
   局長)          中村  薫君
   政府参考人
   (資源エネルギー庁省エネ
   ルギー・新エネルギー部長
   )            伊藤 隆一君
   政府参考人
   (中小企業庁長官)    杉山 秀二君
   政府参考人
   (中小企業庁次長)    青木 宏道君
   政府参考人
   (中小企業庁事業環境部長
   )            斉藤  浩君
   政府参考人
   (国土交通省大臣官房長) 安富 正文君
   政府参考人
   (国土交通省土地・水資源
   局水資源部長)      小林 正典君
   政府参考人
   (国土交通省都市・地域整
   備局長)         澤井 英一君
   政府参考人
   (国土交通省鉄道局長)  石川 裕己君
   政府参考人
   (国土交通省政策統括官) 河崎 広二君
   政府参考人
   (国土交通省政策統括官) 鷲頭  誠君
   衆議院調査局特殊法人等改
   革に関する特別調査室長  遠山 政久君
    ―――――――――――――
委員の異動
十一月十四日
 辞任         補欠選任
  石田 真敏君     荒巻 隆三君
  金子 恭之君     高木  毅君
  谷本 龍哉君     後藤田正純君
  岩國 哲人君     山田 敏雅君
  佐藤謙一郎君     伴野  豊君
  鮫島 宗明君     平野 博文君
  田中 慶秋君     大石 尚子君
  山元  勉君     細川 律夫君
  都築  譲君     佐藤 公治君
  瀬古由起子君     石井 郁子君
  春名 直章君     塩川 鉄也君
  菅野 哲雄君     原  陽子君
  日森 文尋君     中西 績介君
同日
 辞任         補欠選任
  荒巻 隆三君     石田 真敏君
  後藤田正純君     平井 卓也君
  高木  毅君     金子 恭之君
  大石 尚子君     田中 慶秋君
  伴野  豊君     佐藤謙一郎君
  平野 博文君     鮫島 宗明君
  細川 律夫君     山元  勉君
  山田 敏雅君     岩國 哲人君
  佐藤 公治君     一川 保夫君
  石井 郁子君     瀬古由起子君
  塩川 鉄也君     春名 直章君
  中西 績介君     日森 文尋君
  原  陽子君     菅野 哲雄君
同日
 辞任         補欠選任
  平井 卓也君     谷本 龍哉君
  一川 保夫君     都築  譲君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 会計検査院当局者出頭要求に関する件
 政府参考人出頭要求に関する件
 独立行政法人国民生活センター法案(内閣提出第一一号)
 独立行政法人北方領土問題対策協会法案(内閣提出第一二号)
 平和祈念事業特別基金等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一三号)
 独立行政法人通信総合研究所法の一部を改正する法律案(内閣提出第一四号)
 地方公務員災害補償法の一部を改正する法律案(内閣提出第一五号)
 独立行政法人国際協力機構法案(内閣提出第一六号)
 独立行政法人国際交流基金法案(内閣提出第一七号)
 電子情報処理組織による税関手続の特例等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一八号)
 独立行政法人日本万国博覧会記念機構法案(内閣提出第一九号)
 放送大学学園法案(内閣提出第二〇号)
 日本私立学校振興・共済事業団法の一部を改正する法律案(内閣提出第二一号)
 独立行政法人日本スポーツ振興センター法案(内閣提出第二二号)
 独立行政法人日本芸術文化振興会法案(内閣提出第二三号)
 独立行政法人科学技術振興機構法案(内閣提出第二四号)
 独立行政法人日本学術振興会法案(内閣提出第二五号)
 独立行政法人理化学研究所法案(内閣提出第二六号)
 独立行政法人宇宙航空研究開発機構法案(内閣提出第二七号)
 独立行政法人労働者健康福祉機構法案(内閣提出第二八号)
 独立行政法人福祉医療機構法案(内閣提出第二九号)
 独立行政法人労働政策研究・研修機構法案(内閣提出第三〇号)
 独立行政法人国立重度知的障害者総合施設のぞみの園法案(内閣提出第三一号)
 中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案(内閣提出第三二号)
 独立行政法人雇用・能力開発機構法案(内閣提出第三三号)
 独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構法案(内閣提出第三四号)
 独立行政法人医薬品医療機器総合機構法案(内閣提出第三五号)
 社会保険診療報酬支払基金法の一部を改正する法律案(内閣提出第三六号)
 独立行政法人農畜産業振興機構法案(内閣提出第三七号)
 独立行政法人農業者年金基金法案(内閣提出第三八号)
 独立行政法人農林漁業信用基金法案(内閣提出第三九号)
 独立行政法人農業技術研究機構法の一部を改正する法律案(内閣提出第四〇号)
 独立行政法人緑資源機構法案(内閣提出第四一号)
 独立行政法人水産総合研究センター法の一部を改正する法律案(内閣提出第四二号)
 独立行政法人日本貿易振興機構法案(内閣提出第四三号)
 情報処理の促進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第四四号)
 独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構法案(内閣提出第四五号)
 中小企業総合事業団法及び機械類信用保険法の廃止等に関する法律案(内閣提出第四六号)
 独立行政法人中小企業基盤整備機構法案(内閣提出第四七号)
 独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構法案(内閣提出第四八号)
 独立行政法人国際観光振興機構法案(内閣提出第四九号)
 独立行政法人水資源機構法案(内閣提出第五〇号)
 日本下水道事業団法の一部を改正する法律案(内閣提出第五一号)
 日本勤労者住宅協会法の一部を改正する法律案(内閣提出第五二号)
 東京地下鉄株式会社法案(内閣提出第五三号)
 独立行政法人自動車事故対策機構法案(内閣提出第五四号)
 公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第五五号)
 海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第五六号)


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     ――――◇―――――
保利委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、独立行政法人国民生活センター法案等特殊法人等改革関連四十六法律案の各案を一括して議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 各案審査のため、本日、政府参考人として特殊法人等改革推進本部事務局長兼内閣官房行政改革推進事務局長堀江正弘君、特殊法人等改革推進本部事務局次長熊谷敏君、財務省大臣官房審議官藤原啓司君、文部科学省大臣官房長結城章夫君、文部科学省生涯学習政策局長近藤信司君、文部科学省高等教育局長工藤智規君、文部科学省高等教育局私学部長玉井日出夫君、文部科学省スポーツ・青少年局長遠藤純一郎君、文化庁次長銭谷眞美君、経済産業省大臣官房審議官広田博士君、中小企業庁事業環境部長斉藤浩君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長伊藤隆一君、経済産業省大臣官房審議官伊沢正君、経済産業省産業技術環境局長中村薫君、中小企業庁長官杉山秀二君、中小企業庁次長青木宏道君、国土交通省大臣官房長安富正文君、国土交通省土地・水資源局水資源部長小林正典君、国土交通省都市・地域整備局長澤井英一君、国土交通省鉄道局長石川裕己君、国土交通省政策統括官河崎広二君、国土交通省政策統括官鷲頭誠君の出席を求め、説明を聴取し、また、会計検査院事務総局次長関本匡邦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
保利委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
保利委員長 文部科学省関係八法律案、経済産業省関係五法律案及び国土交通省関係九法律案について審査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐藤公治君。
佐藤(公)委員 自由党の佐藤公治でございます。きょうは、こういったお時間をいただきまして、本当にありがとうございます。
 私が何点か質問を、時間も余りございませんが、させていただく中、まず前提としまして、自由党の委員が、今まで、両大臣含めて皆さん方にいろいろなことを投げかけさせていただきました。文科大臣とは、前回の委員会でもいろいろと議論いたしましたが、このたびの法律も含めて、小泉総理、小泉内閣の、日本の国のあるべき姿、まさに哲学論というものの話がございました。この委員会でも、東委員を初め私どもの委員が、その哲学論のこと、日本の国のあるべき姿というのを論じ合ったわけでございますが、なかなか歯車が合わない、お互い理解し合えない状態の平行線のままだと思います。私は、きょう、その全体の話をまたさらにするつもりは今はございません。これは、いつまでたっても平行線なのかなという気がいたしております。
 そういう中で、今回の特殊法人等及び独立行政法人の整理等に関する法律、この全体の話の中で、特に文科省に関して、この管轄の八法案について少しお聞きしたいと思います。
 押してもだめなら引いてみなじゃないんですけれども、私は全体を見たときに、この八法案というものが、本当はまさに国でやるべきこと、基本は国でやるべきことが八法案すべてに言えるのではないか。それは、個々に一つ一つ細かく分散して検討していけば、民間に投げられることはございます。でも、この八法案というのは、逆に、独立行政法人という形、または外に出していくというのではなくて、本来国が基本的にやっていかなくてはいけない分野だと私は大変思うのでございます。こういう部分で、大臣が逆に、外に出すのではなくて、より国の方でこれは本来やっていくべきことなのではないかとお思いになられているのではないかと、私自身感じるところがあるんです。
 ここの部分を、大臣の思い、これを本当に独立行政法人にしてしまっていいのか、逆にこの八法案というのは、本来文科省が、国が責任を持ってやらなくてはいけないこと、そう思うわけでございますけれども、その辺に関しての御認識、御見解を教えていただければありがたいと思います。
遠山国務大臣 我が省の守備範囲、教育、科学技術、文化、スポーツにつきましては、私も、これらはまさに一国の将来にわたる基盤を形成するものだと思っておりまして、大変重要な事業が多いと思っております。今、委員の方から御指摘ございまして、まさに国がしっかりやるべきだというお話につきましては、私は、それらの分野について、まさに国がしっかりと基盤形成について責任を負っていくということは大変大事だと思っております。
 今回お願いしております八つの独立行政法人につきましては、それらに関するものではございますが、個別の事業ということになりますと、国が直轄で直接やりますよりは、それぞれの法人が自主性あるいは自律性を発揮して大いに活発にやっていただくことの方が、むしろ国が直接やるよりは効率的かつ効果的であるというふうに考えているわけでございます。そのようなことから、国が直接実施することは必ずしも適切でないということで、事務事業の効率的、効果的な実施の観点から独立行政法人にすることといたしたものでございます。
 独立行政法人にすることによるメリット、幾つかございますが、そういったものを最大限に生かして国民の期待や社会のニーズにより一層こたえていく、そのことが、私どもにとりまして大変重要な責務ではないかと考えております。
佐藤(公)委員 大臣がそういうふうにお考えになるのであれば、私は、今回こうやって独立行政法人にする前に、まず、やはりほかの独立行政法人にしていく団体、法律というものと文科省の管轄というのは、少し意味合い、中身が違うと思うんです。そういう部分からすれば、今回の文科省の管轄の独立行政法人、独立行政法人にするという前に、やはり一回国がきちんと責任を持ってやるべきことを引き取り、そしてそのほかの部分をきちんと分散させ、または検証し、考え、そして独立行政法人にできるものとをきちんと分けて考えていくべきことというのがあると思うんですけれども、そういうお考えはございませんでしょうか。
遠山国務大臣 そのことにつきましては、既にこれまでの組織づくりにおいて、国が直接やるものと、それから、現在は特殊法人でやっているものが多いわけでございますが、そういうものを区分いたしましてやってきた、これまでの経緯もございます。
 例えば宇宙開発の関係は、これは国がやるといいましても、それぞれ研究的にアプローチをしたり、あるいは国際的な動向などをその動きに的確に対応しながらとらえて、そして日本の宇宙開発について、むしろ、国が行政機構の中に取り込んで直接その事業をやるというよりは、世界的なロケットの打ち上げの状況でありますとか、いろいろな衛星の打ち上げの状況等を勘案しながらやっていく。そういう場合に、現在の特殊法人なりあるいは独立行政法人、既に先行しているものもありますが、そういったところがむしろやりやすくなっていく。
 今度、それらを、三つの機関を一緒にしまして、独立行政法人でお願いいたしておりますけれども、そういう組織形態の変更によりまして、かえってそれらの目的が達成しやすい組織形態になると私は思っておりますし、また、そうでなければこのような形でお願いするということに意味がないわけでございまして、そのことはしっかりと区分した上で、サポートすべきものはサポートしていくというのが国の役割かと考えております。
佐藤(公)委員 私は、やはりこの内容に関しては、本当に国が責任を持ってやるべきことというのが文科管轄に関してはかなり多いので、本来、この辺は、きちんと区分整理をしながら国がきちっと引き取ってやっていくべきだと思います。
 そういう中で、前回の、独立行政法人に移行した十六の文科の管轄で言います。
 この十六が独立行政法人に移行していったわけですけれども、これが独立行政法人に移行したことによって、どんなことが変わって、どういうメリットがあり、どういうデメリットがあったのか。総括はまだ早いかもしれませんけれども、今、現段階での総括というのはどういうことが言えるでしょうか。
遠山国務大臣 お話しのように、まだ独立行政法人となりましてから一年半程度しか経過しておりませんので、評価が難しい面もございますけれども、我が省が現在所管しております十六の独立行政法人につきましては、外部有識者から構成されます独立行政法人評価委員会において、独法化後の初年度に当たる平成十三年度の業務の実施状況についての評価結果を取りまとめていただきました。これは既にホームページ等によって公表されておりますし、各法人等にも通知したところでございますが、この評価結果によりますと、おおむねその業務は適切に実施されていて、従来の国の機関で実施されてきた業務内容と比較して、多くの法人において組織、業務の改善が見られたという評価がなされております。
 例えば、物質・材料研究機構がございますが、ここでは、研究ユニットを再編したり、それから組織のフラット化を進めるというような工夫もされておりますし、国立美術館におきましては、入館者に対するアンケート調査の結果、おおむね八割肯定的な回答を得ておりまして、職員のいろいろな努力もありまして、展覧会に対する満足度が高いなどの結果が出ております。
 その他さまざまございますが、今のような例を挙げることができますし、それによりますと、効果的な業務が実施されつつあるというふうに評価をいたしております。
佐藤(公)委員 大臣、今いい話しか聞いていないんですけれども、悪い話も幾つかあると思います。
 この悪い話、特に、もしかしたら、天下りのことということが非常にこの委員会でも話題になっておりますけれども、天下りを含め、組織構成、人事形態、こういう部分ではいかがでしょうか。
遠山国務大臣 組織の人的な構成につきましては、発足のときに、それぞれの独法の理事長を大臣が任命し、その他の理事等につきましてはそれぞれ理事長が任命するというような形で推移いたしておりまして、私は、それぞれの独法におきまして適材を得て運営されていると思っております。
 むしろ今後の課題としましては、研修事業の参加対象者の拡大、あるいは各種事務手続の電子化、アウトソーシングといったような業務運営の効率化の推進がさらに必要ではないか、そういった評価結果も得ておりまして、そういったことについては改善を図っていく必要があろうかと考えております。
佐藤(公)委員 いろいろとお話をされましたけれども、天下りということに関しては、数はふえているんでしょうか、減っているんでしょうか。
結城政府参考人 昨年の四月に発足いたしました十六の独立行政法人、文部科学省所管でございますが、常勤役員の数で申し上げますと、合計四十六人の定数でございます。
 その中に、国家公務員の出身者が二十名、全体の四三%でございますが、ございます。二十名のうちの十九名は文部科学省の出身者になっておるというのが現状でございます。
佐藤(公)委員 前との比較はどうですか。ふえているのか、減っているのか。やはり、天下りということ、言葉は僕は余り好きじゃないんですけれども、そこが大変注目されている部分ですけれども、これはふえているんですか、減っているんですかということです。
結城政府参考人 この先行して独法になっております十六の機関は、以前は国の機関でございました。国立研究所であったり、国立の美術館、博物館といったものでございまして、いわば、そういう意味では、経営のトップは全部国家公務員でございました。それが、独立行政法人になることによりまして、国家公務員の出身者が、今、半分以下になっておるということでございます。
佐藤(公)委員 物は言いようなのかなというふうにも思いますけれども、実際、そのあたりをやはりきちっと明確に考えて、大臣も見ていただけたらありがたいと思います。決していいことばかりではなくて、結果がうまくいっていない部分も幾つかあると思いますけれども、こういう部分はきちんと見て改善をしていく、また、考えていかなきゃいけない。こういうことに気を配っていただけなかったならば、やはり私は、この先、この法律自体もうまくいくとは思えないのであります。
 実際、石原大臣と東委員との間での話し合いをいろいろと聞かせていただいて、自由党というのがまさに対案を出させていただいて、サンセット方式ということで、三年の、一つの期限を設けて、原則廃止、民営化ということを考えていく。しかし、これは一つのやり方の違いにもなるのかなと。
 一回全部をやめて、きちんと、国で管理すること、やっていくことを拾い上げよう。逆に、今石原大臣がおやりになろうとしていることは、一回独立行政法人にして、その中から民間にできること、廃止にできることを拾い出していこうじゃないか。こういう上からか下からかという考え方の、方法論の違いにも感じられる部分というのがありますが、実際、あるものを、どこがむだがあるのかというのを拾い出すというのは、なかなかできない作業、やりにくい作業だと思います。一回全廃ということを原則論として、そして、やめることを前提に、そこから本当に大事なものをピックアップしていく、出していく、これが私は、本当に今の現状、改革の正しいやり方だというふうに考える部分がありますが、石原大臣、いかがでしょうか。
石原国務大臣 佐藤委員が御指摘されました趣旨については、私も理解はさせていただいていると思います。
 しかし、今回提出させていただいている独立行政法人等に関する法律案四十六本でございますが、ただいまの文部科学省との御議論の中でも、事業をスリム化している、こういうことが遠山大臣の方から指摘をされているわけであります。
 すなわち、事務事業を見直した上で、やはり国が何らかの関与をしていかざるを得ない分野というものがあるわけでございます。あったからこそ、特殊法人としてこれまで仕事をしてきました。しかしながら、時代の変遷とともに、また組織の見直し規定がない中で、また外部からの評価にさらされることもなく、特殊法人が自己増殖的に仕事をふやし、あるいは、もちろん株式会社じゃございませんので営利目的ではございませんが、しかし、親方日の丸ということにあぐらをかいて、つぶれないということにあぐらをかいて、非効率な、目に余る運営がなされてきたということは、数々の事例が証左しているのではないかと思っております。
 そんなものを、事務事業をゼロから見直して、民間にできないこと、地方にゆだねることができないもの、それでなおかつ公的な関与を残さざるを得ないものを、新しい評価目標を持ち、さらに、第三者による監視、そして評価というものにさらされ、組織自体も三年から五年で不必要とあらば廃止するといったような、新しい独立行政法人という仕組みを仕組ませていただいたところでございます。
佐藤(公)委員 だとするのであれば、民間にする、廃止にしていく、これはやはり、その各団体における努力というもの、また計画というものがなければ、また目標というものがなければ、それは廃止の方向には行かない、民営化という方向に行くとは思えないわけでございます。
 文科大臣、例えば、十六個の独立行政法人が今できているわけでございますけれども、では、そういうことの考え方にのっとって、そういう努力を各団体、独立行政法人でやっていると思えるでしょうか。そしてまた、この次新たに八部門が、これは私先ほど言ったことと矛盾する部分もあるかもしれませんけれども、民営化もしくは廃止という努力目標というものを立てられて、できますでしょうか。大臣、いかがでしょうか。
遠山国務大臣 独立行政法人として新たにお願いしているものあるいは既に出発しているものにつきましては、それぞれがそういう形態においてしっかりとやっていくことが、国の進めるべきいろいろな行政を補完する、あるいは事業をさらに活発化するということに大事だということで、私どもとしてはお願いをしているわけでございます。
 今後の推移におきまして、評価にたえ得ないものが仮に出てまいりましたら、それはそのとき何かあるのかもしれませんけれども、私どもといたしましては、なすべきことをやってもらう独立行政法人をしっかりとサポートし、また、それぞれの法人においてはその業務の目的に従ってしっかりやってくれていくものだというふうに考えております。
佐藤(公)委員 しかし、大臣、私もずっと、独立行政法人になった十六の団体、そしてこれからの八独立行政法人になっていくものを見ていくと、やはり民営化とか廃止という努力とか目標というものはほとんど感じられないと思うんです。実際、残さなきゃいけない、国でやっていかなきゃいけないものと一番最初には言いましたけれども、結局は、そういう目的も目標もきちんと余り持たずに、努力もせずに、ただ言葉だけが先行して、中身はそのままずるずるいく、これでは何の意味もないと思います。
 この辺の努力とか目標というものをやはりきちんと明確にし、やっていく、こういうものの中で、期間、期限というものも区切っていく、これはとても大事なことだと思いますけれども、石原大臣、いかがでしょうか。
石原国務大臣 今、文科大臣の方から、外部の評価にたえられないものが出たとしたら見直していくというお言葉がございました。
 先行した五十九法人、独法化したという意味でございますが、この評価というものは、集中改革期間の終了時、十七年度末には出そろうわけでございます。そしてまた、もう既に八月から、先月でございますか、十月にかけまして、かなり第一回目の評価というものも出てまいりまして、これの全体的な評価を総務省の方で今お取りまとめいただいておりますが、これも今月末あるいは来月の初めには出てまいりますので、そういうものを十分に、行革事務局といたしましても行革の立場で厳密に見させていただき、さらに、それをさらにチェックする機関として参与会議もつくらせていただいておりますので、参与の皆様にも、この評価のありよう、そして評価で指摘された点についても御意見をいただき、そのような意見を参考にさせていただいて、所管する省庁に、物を申すことがあればはっきりと申し述べさせていただきたいと思っております。
佐藤(公)委員 この評価というのが、一つの線引きとして非常に難しい。これは今までの委員会の中でも議論があり、たび重なる議論にもなりますけれども、文科大臣としまして、先ほどお話ししました、批判にたえられない、たえられる、こういう部分での批判というのはどういう線引きで考えられているんでしょうか。
遠山国務大臣 独立行政法人の評価のあり方につきましては、それぞれ独立行政法人評価委員会が設けられまして、そこにおいて評価のあり方、評価の基準等について御論議があった上で具体的な評価がなされるものだと思っております。
 当方の関係では、委員長が浜田広さん、これはリコー会長でございますが、そうした外部委員の、外部有識者の英知を集めて評価されるというのが評価だと思っておりまして、そのこと自体についてまたそれを左右するようなことを行政機関が何かやるということは、かえって評価の中立性なり公平性を欠くのではないかと思っております。
 私どもとしましては、独立行政法人はみずからの目的と業務内容に沿ってしっかりとやっていただき、それをまた公正な角度で評価していただき、その結果を待つ、そしてまた、それをむしろ改善に結びつけていくというのが本来のあり方ではないかというふうに考えているところでございます。
佐藤(公)委員 何か本当に、最初から今までの委員会もずっと聞いていて、抽象、あいまいな状態でずっと話の議論が来ていて、その線引き、やってみなきゃわかんないよ、こういうようにもとれることがたくさんございまして、私としては本当に雲をつかむような話であるようにも思えます。
 私は、これに関してはもう余り、議論しても平行線にもなるし、話がなかなか成立しないのかなと思いますので、ちょっと個別の話に移らせていただきます。
 今回の八法案の中の一つの放送大学、これに関してなんですけれども、放送大学、これは非常に内容のいい、私はいい教育システムだというように思うんですけれども、放送大学卒業者の方々、多くの方々に聞くと、普通の大学よりも、実際問題、低く見られる傾向が社会全体にある。それは、一つは就職ということが、就職率というのが悪い。また、学生さんがどういう方々ということの分析調査がどうなっているのかにもよりますけれども、実際、普通の大学よりも下に見られるということで、そういう意見を聞くことが多くございます。
 まず、この放送大学の在学生、または就職していく、または環境、社会、また家庭状況というのを調査されているのかいないのか、お答えください。
近藤政府参考人 お答えをいたします。
 放送大学、現在約十万人の学生が在学をしておるわけでございます。おっしゃるように、生涯学習機関でございます放送大学の学生は、ほかの一般の大学と比べますと、高齢者でありますとか、社会人等の有職者が多く、卒業後新たに職を得る人が少ないというのが現状でございます。
 そういったようなことでなかなか、先生がおっしゃいますように、一般の大学と比べての社会的な評価、こういう問題につきまして、私どもも、さらにいろいろと放送大学に対する理解、こういったもののPRをしっかりとやっていかなきゃいかぬな。さらに、おっしゃいましたように、私どもも、まだまだ一般の学生に対するそういう状況の把握という面におきまして十分でない点もあろうかと思っております。放送大学とよくまた相談をしてまいりたいと考えております。
佐藤(公)委員 何かあっという間に時間が来てしまいました。
 私が言いたいことは、文科省に関して、国立大学も今後議論がされます、このたびの放送大学もそうです。これは本来国でやるべきこと、これを独立行政法人にするのではなくて、きちんと国が責任を持ってやるべきだということを最後に申し上げて、そこを大臣、もう一回よく考えた上で、やはり、日本の、この国のあり方というものをよく小泉総理と話し合っていただけたらありがたく、よろしくお願いしたいと思います。
 以上で終わらせていただきます。
保利委員長 次に、石井郁子君。
石井(郁)委員 日本共産党の石井郁子でございます。
 文部科学関連法案は八本でございますが、本日は、主に独立行政法人日本芸術文化振興会法案についてお聞きをいたします。
 昨年の十二月七日に、議員立法によって、文化芸術振興基本法が施行されました。ほぼ一年がたとうとしておりますが、私は、この基本法を生かして、芸術文化活動を支援し、豊かな文化芸術をこの二十一世紀に花開かせていくことが今求められているというふうに思います。
 まず、お聞きをいたします。昨年の文化芸術振興基本法の審議の際、私は、予算を十分にふやして、希望する団体に広く当たるようにする、本当の意味での芸術文化の振興をすそ野から広げていくということを強調したいと提案者に問いただしますと、提案者は、全くそのとおり、トップレベルの文化芸術を引き上げるとともに、そのすそ野の拡大を図ることの双方が必要である、そのために、今後、予算の拡充ということはぜひやっていかなければならないと答弁されました。
 文部科学省もこの立場に変わりがないと思いますが、まずお聞きをいたします。これは、大臣、基本的な点でお答えください。
遠山国務大臣 芸術文化というのは、日本人のみならず広く人間にとっての心の豊かさを大事にするという意味で大変重要なことでございますし、先般成立していただきました文化芸術振興基本法のねらいそのものが、文化の豊かな、芸術の豊かな日本にしようということで、それを実質確保するための予算については、私どもとしても、しっかりこれについてはこたえていきたいということをお話ししたのを覚えているところでございまして、その予算の獲得の重要性ないし芸術文化の事業の重要性ということについては、私どもとしても全く同感でございます。
石井(郁)委員 文化芸術活動の底上げの予算といえば、主に、現在、日本芸術文化振興会から出されている芸術文化振興基金からの助成ということになるわけでございますが、この振興基金による助成額の推移というのはどうなっているでしょうか、ちょっとお示しください。
銭谷政府参考人 芸術文化振興基金による助成額の推移についてのお尋ねでございますけれども、その助成額のピークの時期は平成三年度の三十一億円でございまして、近年の助成実績を申し上げますと、平成十一年度が十三億円、平成十二年度が十億円、平成十三年度が十一億円という状況でございます。
 なお、平成十四年度につきましては、現在約十二億円の助成を予定いたしておるところでございます。
石井(郁)委員 大体そういう数字かと思います。
 基金による助成の推移で、一九九一年の三十一億三千四百万円から減り続けまして、二〇〇二年には十一億七千二百万円ですから、ほぼ三分の一まで落ち込んでいるわけですよね。基金による舞台と映画活動に対する助成というのは、九一年には二十億四千二百万円、それが今、六億二千万円と四分の一まで落ち込んでいるわけでございます。
 私は、底上げを図るというのであれば、金利も落ちていろいろ下がっているわけですけれども、政府出資金を相当ふやさなければふえていかないというふうに考えます。今後、政府出資金をふやす、私はふやすべきだと考えますが、そういうお約束、できるでしょうか。
銭谷政府参考人 日本芸術文化振興会の芸術文化振興基金につきましては、現在、いわゆる低金利の状況の中でございますので、運用益の減少はやむを得ないところでございますけれども、日本芸術文化振興会では、元本の安定化を図りつつ、基金の効率的な運用に努めているところでございます。
 当初、基金は、政府からの出資金五百億円と民間からの出捐金で構成をされていたわけでございますが、近年では、平成十三年度予算におきまして、三十億円の政府からの出資の増を図っているところでございます。
 今後の基金の増資については、民間資金の出捐状況、現在までのところ百十二億円ございますけれども、その状況や国の財政状況等々を勘案しながら、文化庁の芸術文化振興策全体の中で検討していく必要があろうかと思いますが、現在のところは、政府による追加出資については慎重な対応が必要かと思っております。
石井(郁)委員 どうも、大変後ろ向きな御答弁で、大変問題だというふうに私は思いますけれども、やはり、政府の出資金を、本当に文化芸術の底上げのためにふやすことができないというか、ふやすということを言明できないところが、今、大変重要だというふうに私は思います。
 それは、この法律の提案理由説明でもこういうふうにあるわけですね。「特殊法人等改革基本法に基づく特殊法人等整理合理化計画の円滑な実施に資するため、」となっております。この芸術文化振興会についての整理合理化計画は、基金について何と言っているでしょうか。「基金による助成については、原則として追加的な国費投入を行わず、基金運用収入、民間寄付等で賄えるよう業務の重点化を図る。」まさに今御答弁いただいたようなことだと思うんですね。やはり、幅広くではなくて、まさに重点化だということであります。しかも、追加的な国費投入は行わないということですから、これは底上げということにならないんじゃないですか。
 しかも、最初に確認させていただきましたように、文化芸術振興基本法ができたという状態のもとで、まさに国会の答弁と全く違うことを今行われようとしている。私は、国会の審議に対しても基本法に対しても、これはこのまま置くわけにいかない大変重大な問題だというふうに考えます。幅広い助成を行うために国費の投入というのは今後必要なんですから、それをきちんと行うということを、文科省として、文化庁としてきちんとやはり約束すべきだと思いますが、これは大臣、いかがでございますか。
遠山国務大臣 先ほど来の議論でおわかりのように、今金利が大変低いわけでございまして、基金の追加出資については、基金の運用状況あるいは民間出捐金の拠出状況等を考慮して慎重に対応するということでございますが、舞台芸術等に対する支援のやり方は、基金に対する国庫補助金による助成事業だけではございませんで、アーツプランによる文化庁の支援事業がございます。
 これを加味いたしますと、平成十三年にアーツプランが七十七億でございましたけれども、今年度は百九十三億円ということで急激に伸びております。したがいまして、基金による舞台芸術に対する支援に加えてアーツプランのものを足しますと、十三年度百二十一億でございましたものが十四年度は二百二億ということでございまして、急激に伸びているわけでございます。
 これらのいろいろな方途を使いながら、芸術支援についてしっかりやっていくというのが私どもの役割であるかと考えております。
石井(郁)委員 そういうことではだめなんですよ。全然だめなんです。
 芸術文化振興会で、応募をされます、そして助成をされるわけですけれども、昨年、千六百件応募がある。そのうち、六百七十三件に対する助成をされているんですね。しかし、今お話しになったアーツプランはどうですか。七十五団体ですよ。だから、アーツプランはやはりトップレベルへの支援策なんですね。私は、今申し上げているのは、底上げが大事だ、幅広い文化芸術団体、まさに日本の芸術を本当に支えている、そういうところへの助成をどうするのか、それをしているのがこの振興会の基金じゃないですか、そのことをお尋ねしているんです。ちょっと、ごまかさないでください。
 実際、今、芸術家、芸術団体の現状は深刻な状態です。私どもは、十一月七日に、この法案に関係して、映画・演劇団体三十四団体と懇談を行いました。それぞれの団体から極めて厳しい状況が御報告されました。
 具体をちょっと申し上げますと、もう七十年にわたって活動を続けている劇団がございますけれども、百五名の劇団員を抱えて、毎月一千万から三千万の赤字をやはり出す。五十七歳で手取りが二十万の収入でやりくりしなければならないということで、また銀行も今貸し渋りなわけでしょう。ですから、劇団にとっては、団体への運営費助成というのはもう悲願なんですよ。
 今、広くこうした劇団に対して助成を行わないと、多くの劇団がこうして、本当に大なり小なり深刻な状況を抱えていますから、我が国の文化芸術活動の重大な損失につながると私は思います。もうつぶれようとしている劇団が出てきているわけですから、これを放置していいのかという問題です。
 そういう中で、本当に切実な声として、基金をぜひ守ってほしい、すそ野にとって、十万円という額でも数多くの団体がもらえた方がいいんだと。いろいろな団体のチラシを見ると、アーツプランはふえているようだけれども、若い演出家の劇団はもらえていない。やはり若い方を育てなければいけないでしょう。お願いはただ一つです、基金は現在六百四十二億円だが、これを例えば十年間で一千億円にする、こういう計画的な増資はできるんじゃないか、やってほしいと。それで助成額はふえていくわけでしょう、皆さん。
 こういう点で、基金に対する期待というのは本当に大きいものがあります。これにこたえることこそ振興基本法の具体化になるんじゃありませんか。何のために振興基本法をつくったんでしょうか。やはり振興基本法をきちんと守るべきですよ。その精神で文化行政を行うべきです。政府による基金の増資というのを私はしっかりとお約束していただきたい。いかがですか。
銭谷政府参考人 基金の増資についての重ねてのお尋ねでございましたけれども、先ほど来お答え申し上げておりますように、民間からの寄附の状況あるいは基金の運用の状況等を勘案しながら、やはり慎重に考えていくべき事柄だと思います。
 一方で、先ほど大臣の方からもお話がございましたように、文化庁として、文化芸術の振興について、トップから子供たちの文化芸術体験に至るまで、その振興策については、昨年の法律の制定を受けまして充実を図っているところでございます。特に、若手の芸術家の方のいろいろな公演活動の支援ということは、これは大変大事なことでございますので、平成十四年度からのアーツプランの中におきましても、トップそれから子供に対する文化芸術体験活動の充実と並んで、新進芸術家の発表機会の拡充ということで、本年度から特段の充実措置を講じているところでございます。
 私どもといたしましては、文化庁がみずから行います新事業と芸術文化振興基金による助成事業、これらを総合的に勘案しながら文化芸術の振興を図ってまいりたいと考えております。
石井(郁)委員 私は、やはりきょうの御答弁で、この日本芸術文化振興会に対する国費投入に慎重な態度を持ち続けるという点では、本当に遺憾だというふうに思うんですね。
 確かにいろいろな文化庁としてのメニューはつくっていますよ。しかし、今私が尋ねているのは、この日本芸術文化振興会の基金による幅広い団体への助成、これは今後もきちんと守っていくのかどうか、そしてその基金をちゃんと増資の方向で考えるのかどうかということなんですよ。わずかにこれまで三十億円一回増資をしただけということでしょう。だから、これから独法化になって振興会がいろいろな努力をするとしても、やはり国としての姿勢が問われている。何度も申し上げましたように、本当に幅広い文化団体、芸術団体への助成ということを、国が支援をするのかどうか、それが今ここにかかっているわけですから、私は到底そういう答弁では納得できません。
 文部科学大臣、基本法を成立させたんですよ、国会で。それとの関係で、こういうことをやっていいんでしょうか。矛盾するじゃないですか。全然基本法に反するじゃないですか。いかがですか。これは大臣、御答弁ください。
遠山国務大臣 文化芸術基本法のねらいは、トータルとしての文化芸術の振興であると思います。委員が力を込めて基金の出資金の額の増をおっしゃっておりますが、それらももちろん重要な一つではあろうと思いますけれども、私どもといたしましては、やはりトータルとしてどのように文化を、芸術を振興していくかという角度で仕事に取り組んでいるところでございまして、その成果は、先ほど申し上げたとおりでございます。
石井(郁)委員 整理合理化計画の中には、舞台芸術振興事業などの国からの補助金による助成、これは終了するということもございます。これも大変重大だと私は思います。
 舞台芸術振興事業は、今や舞台芸術への芸術文化振興会の助成としては大きな柱となっています。二〇〇一年でいうと、基金による映画、舞台芸術への助成は五億二千万円、舞台芸術振興事業の実績は八億四千八百万円となっています。だから、もしこれを終了するということになってしまうと、舞台芸術への助成額というのは半減してしまうということになりますが、この点はどうされますか。
銭谷政府参考人 日本芸術文化振興会の芸術文化振興基金による助成事業は、いわゆる基金の運用益による助成事業に加えまして、国からも日本芸術文化振興会に対して補助金を出しまして、その補助金を使っての助成事業もあわせて行っておるわけでございます。
 その中に舞台芸術振興事業があるわけでございますが、これにつきましては、平成十四年度におきましては、特殊法人に対する補助金を政府全体で削減するという中で、若干の減額を行ったところでございます。
 今後、日本芸術文化振興会が独立行政法人に移行していった際にも、この事業は基本的には私ども継続をしてまいりたいとは思っておりますけれども、やはりその事業の成果あるいは他の文化庁の芸術文化振興の諸事業との勘案をよく考慮しながら、今後の道行きについては考えていかなければいけないと思っております。
石井(郁)委員 本当に、予算に関しては大変冷たいというか、そういう姿勢に終始しているんですけれども。
 文化庁の来年度の概算要求で実際見てみますと、芸術文化活動援助業務経費、これは舞台芸術振興事業への補助ということに当たるはずですけれども、二〇〇二年度、九億百万円出されていたんですね。来年度、六億三千四百万円と三割もカットされているということで、これはもうまさにこの計画の先取りだというふうに見ることができるわけです。だから、私は、こういう形でなし崩しというか、削減するというのは本当に許されないというふうに思います。
 重ねて、何のためにこの文化芸術振興基本法というものを制定したのか、これは国会の意思として制定したんですから、そちらの方が優位なんでしょう、守るべきじゃないんですか。私は、それに逆行するようなこういうやり方は本当に許されないというふうに思います。
 この芸術文化活動援助業務経費、舞台芸術振興事業への補助というのは充実させるということについても、重ねて御答弁ください。
銭谷政府参考人 先ほども御説明申し上げましたが、芸術文化振興基金が国からの補助を受けて行っております舞台芸術振興事業については、十五年度概算要求では減額の要求をいたしております。
 ただ、一方、先ほど来再三申し上げておりますように、私どもといたしましては、昨年の文化芸術振興基本法の制定を受けまして、文化芸術の振興については全力を尽くさなければならないということから、例えばこの基金が行っております事業ともかかわって、映画なら映画の振興について、文化庁の直轄の事業予算といたしまして、例えば平成十五年度の概算要求におきましても、対前年度比で倍以上の概算要求を行ってその充実を図るとか、先ほど来繰り返し申し上げておりますけれども、文化庁の全体の施策の中で、この基金の今後のあり方も含めて、文化芸術振興が十分図れるように私ども考えていきたいというふうに思っている次第でございます。
石井(郁)委員 そんな答弁では到底納得できないわけですけれども、時間もありますので、私はもう一点、重要な問題について御質問いたします。
 これは、振興基本法の制定のときにも大変議論になったことでございますけれども、文化芸術活動に対する表現の自由の保障ということでございます。
 ことしの三月に、森繁久彌理事長の日本俳優連合は「「特殊法人の整理合理化計画」に対する日本俳優連合の意見」というのを出されたと思います。こう述べています。「今回閣議決定された整理合理化計画には、本来自由、自主、自立を基本として成り立つべき芸術活動、芸能活動、文化活動に国が介入し、規制を加えようと言う意図が見え隠れしている。国が政策目標を明確にし、厳格な外部評価を実施するとなれば、誰の目にも「介入」と「規制」が強化されることは明らかであろう」と。
 芸術文化振興会の独法化に当たって、こういう事態にならないということは確約できますでしょうか。これは大臣に、基本的な認識――じゃ、副大臣でもいいです。
河村副大臣 委員御指摘のように、特殊法人等の整理合理化計画において、日本芸術文化振興会の行う芸術文化活動における助成事業についても助成実施後の外部評価を行って、その結果を事業に反映する、こうなっておるわけでございまして、そういうものが政府の文化芸術への介入、規制につながるのではないかという御懸念だと思います。
 ただ、特殊法人の改革に当たっては、やはりその法人が持っている事業の効率性、透明性を高めるためには、その事業についても外部評価を行って、その評価結果に基づいて運営の改善を行ってもらわなきゃならぬという前提があるわけでございます。
 しかし、委員御指摘のように、文化芸術振興基本法の基本理念として、文化芸術の振興に当たっては文化芸術活動を行う者の自主性を十分に尊重する、第二条にそのことが強調されておりますし、また、さきの成立のときの文部科学委員会におきましても、文化芸術活動を行う者の自主性、創造性を十分に尊重して、その活動内容に不当に干渉することのないようにという附帯決議が行われたところでございますので、この文化芸術活動への評価の場合においてもその趣旨を体して実施するということが重要であると思っております。
 この芸術文化振興会の行う芸術文化活動の分野、その特性というものがありますので、そういうものを考えながら評価項目の設定も適切な方法で講じなければいけない、こういうふうに考えております。
石井(郁)委員 大変時間もなくなって残念なんですけれども、この独立行政法人について文化庁は、国とは別の法人格を設けて弾力的な運営を行うと。先ほども、その自主性は確保するとか尊重するとかいろいろなことを言われますけれども、やはり、この評価についていいますと、文科省所管の独立行政法人の評価委員会が評価しているんですよ。これは国が評価しているんですよ。決して公平なというか、客観的な第三者評価になり得ていないんですね。
 ことしの十月十日に、「文部科学省所管独立行政法人の平成十三年度における業務実績の評価について」が公表されました。私はこれをさっと見まして、「国立美術館・博物館の業務実績評価」というのを見まして、本当に大変な事態だなと。このままこれが芸術文化振興会の方にも適用されたら、これはまさに国がその芸術文化活動を評価するということなんですよ。私たちは、国が評価をするということについて大変問題を持っているということをこの基本法の中でも議論をしてきたんです。
 どういうことかといいますと、本当にちょっと細かくて詳しく申し上げられないんですけれども、いろいろな、全体評価、項目評価、そしてABCの段階的評定、そして定性的評定というのがなされているんです。つまり定量に対する定性的評価だから、内容にかかわった評価になっているんですね。
 これは、「京都の工芸 一九四五〜二〇〇〇」という特別展について、段階的評定はB、入場者数でC、定性的評定はどう言っているかといいますと、「目標入館者数に届かなかったが、京都国立近代美術館の方針に基いた企画であり、内容的にも優れた展覧会であった。また、展覧会の実績を分析し、入館者数を増やすように検討する必要がある」というようなこと。
 あと、特別展「主題としての美術館」というのがありまして、これは段階的評定でA。定性的評定ではこういうふうに言っています。いろいろ言っているんですけれども、「入館者が、作品を通じてその意図を理解することができたか疑問である。」と。
 だから、この作品展そのものに疑問を投げかける。つまり、内容的にすぐれているとか理解することができたかどうか疑問だだとか、これはまさに国が、行政機関がこういう展覧会の一つ一つに評価を下しているんじゃないですか。下したということでしょう。そういう評価に芸術活動がこれから左右されるということになりませんか。
 私は、これは文部科学省による芸術活動に対する干渉、介入ではないかというふうに考えます。こういう評価はやめるべきですよ。このことをきちんと明確にしていただかない限り、この審議は本当にできないというふうにさえ思います。いかがですか。
河村副大臣 委員御指摘の点でございますが、これは文部科学省の独立行政法人全体の評価委員会の中で行うわけでございまして、この評価委員会というのは官僚が行うわけでもなく、有識者の皆さんが集まって、芸術性に対する識見の高い方々が集まっていろいろ議論をされる中で生まれてきたものでございます。
 しかし、御指摘のように、この評価を始めて期間もまだ少ないわけでありますから、評価そのものに対しても、どうあったらいいかということについては、それぞれ評価委員会の中でもいろいろ議論がされなきゃいけない問題だろう、このように思っております。
 ただ、この文化振興会は、そうした芸術の内容もさることながら、劇場を持って運営しておりますから、当然、そうした評価もやって、改善もしてもらうという使命もございますので、そういうことも含めてやらなきゃなりません。
 委員御指摘の点については十分受けとめさせていただきながら、やはり立派な評価ができるように、一層評価委員会にも努力をお願いしなきゃいかぬ、このように思うわけであります。
石井(郁)委員 私は、基本的な認識を伺っておりまして、その点できちんと御答弁がいただけないというのは大変残念に思っているんです。
 具体例、もう一点だけ。日本芸術文化振興会が独立行政法人になりますと、国立劇場、新国立劇場の個別の公演などに対してもこうしたABC評価がなされるということが考えられるわけですけれども、そうなりますと大変重大だというふうに私は思います。これは行うんですか。私は、行わないということをきちっと言うべきだと思います。いかがでしょうか。
河村副大臣 これは国立博物館、美術館がやったように、やはり劇場の運営をやっているわけでございますから、そのことに対しては適正な評価をしなければいけない、このように考えます。
石井(郁)委員 大変重大な問題がいろいろ残されています。こういう点では、もっときちんとした議論が当委員会でも必要だというふうに思います。
 時間が来たんですけれども、最後にちょっと一点だけ、放送大学について一言お答えいただければと思います。
 放送大学法人化によって、学費の値上げがどうなるのか、また、国からの積極的な援助は放送大学に対して今後続けられるのかどうか、この一点だけお答えいただいて、質問を終わります。
近藤政府参考人 お答えをいたします。
 現在の放送大学の授業料でありますとかその他の学生納付金は、私立大学通信教育の学生納付金の平均額を参考といたしまして、放送大学学園が決定をしているところでございます。
 改革後の放送大学の授業料等の学生納付金につきましても、すべての国民を対象とする生涯学習機関として適切なものとなるよう、我が省としても放送大学学園に対して要請をしてまいりたいと考えておりますし、放送大学学園が特別な学校法人へ転換した後も、今申し上げましたような社会人等に対する大学教育を提供する役割が果たせるような、そういう観点から適切に支援をしてまいりたいと考えております。
石井(郁)委員 終わります。
保利委員長 次に、山名靖英君。
山名委員 公明党の山名靖英でございます。
 特殊法人の抱える多くの弊害を少しでも是正する目的を持って、今回、改革大綱あるいは整理合理化計画に基づいての法案が出されているわけでございます。
 確かに、特殊法人、いろいろな問題を持っています。もういっぱい、調べれば調べるほどいろいろな問題が散見されまして、少なくとも、だからこそ今回の見直しに着手したんだ、そういった意味では一歩も二歩も前進であろうか、私はこういうふうに思っておりますが、これは今回が決してゴールではありませんで、行政改革、その大きな流れをこれからもとうとうと流すためのスタートである、こういう認識を今持っているところでございます。
 石原担当大臣に大変御苦労いただいたわけでございますが、初日の総括質疑で総理にも申し上げましたが、国民にとってどうなのか、あるいは中小企業の皆さんにとってどうなのか、本当に役に立つのか、その役割をもう一度精査していただき、ぜひ大きな改革につながるように御努力を期待したいと思います。
 国は法律をつくるところでございますが、その法律に我々国会議員がタッチしても、後の政令、省令にタッチできないわけでありまして、どうしてもお役人の皆さん、官僚の皆さんは、政令あるいは省令、そういったもので、せっかくいい法律も使い勝手の悪い、そういうことにしてしまう傾向があります。壁を高くし、基準を高くし、本当にだんだん国民のために利便性のよくないといいますか、使い勝手の悪い、こういうケースが間々見受けられることがありまして、そういうことのないようにお願いをしたい。
 そういう意味で、国民の視点あるいは中小企業の皆さんの視点という観点に立って、何点か御質問をさせていただきたいと思います。
 きょうは、文科省、渡海副大臣に来ていただいておりますので、最初に、先ほど最後にちらっと出ました放送大学学園法、この問題についてお伺いしたいと思います。
 この放送大学学園は、昭和五十六年に設立をされまして約二十年、生涯学習、生涯教育という、だれもが学べる、学習意欲を持つ人にとってそれなりの大きな教育機関としての役割を果たしてきた、こういうふうに認識をしております。
 そこで、今日、この放送大学がどこまでそういう意味の当初の目的を果たしてきたのか、どのような効果があったのか、この放送大学を卒業した皆さんがその後いろいろな意味でどのように役に立ったのか、追跡調査等も含めて、功績、実績についてまずお伺いをしたいと思います。
近藤政府参考人 お答えをいたします。
 先生御案内のように、放送大学は、生涯学習の中核的機関といたしまして、放送等を効果的に活用した大学教育を推進することによりまして、レベルの高い学習の機会を広く国民に提供しているわけでございます。
 平成十年の一月に、放送エリアを、それまで関東地域に限っておったわけでございますが、全国に拡大をいたしまして、より一層国民に身近な高等教育機関となってきておるわけでございます。また、高度専門職業人の養成を目指しました大学院を昨年の四月に開設をいたしまして、この四月から修士課程の学生を受け入れているところでございます。
 放送大学は、現在、十五歳から九十歳代に至る幅広い年齢にわたる、しかもさまざまな職業を持つ方々が在学をしておりまして、平成十四年度の二学期現在、学部で約九万人、大学院で約一万人、合わせて十万人を超える学生が在学をしております。
 また、少し細かくなって恐縮でございますが、放送大学におきますこれまでの延べ学習者数は約七十四万人に達しております。また、放送大学を卒業した者の総数も二万三千人に上っておりまして、いつでもどこでもだれでもが学ぶことができる、そういう生涯学習の中核的機関としての成果を上げてきているのではないか、そのように承知をいたしております。
山名委員 七十四万人の卒業生を見た、大変すばらしい大学だと思います。
 そもそもこの放送大学は、いわゆる東京タワーに放送局を持ち、CSデジタル放送、スカイパーフェクTV、スカパーですね、それからCATV、そういったものを有して全国に配信をしている、全国五十カ所のサテライトスペースを持っている、こういうことで、さっきも御答弁ありましたように、国民に対する教育機会を与えたということで大変大きな実績を持っているわけでございます。
 そういった、まさに国民にとって有益なものが、今回の改革で、改正で特別な学校法人、ここに移行するわけでございます。この特別な学校法人、この意味がどういうことなのか。独法ではなくて特別な学校法人、より民間に近いといいますか、こういうことなんですけれども、そういうことにしたメリット、これはどこにあるのか。その改革の趣旨についてお伺いしたいと思います。
近藤政府参考人 お答えをいたします。
 委員御指摘のように、放送大学学園につきましては、特殊法人等整理合理化計画におきまして、「放送により社会人等に対し広く大学教育を提供するという役割を踏まえ、所要の法的措置等を講じつつ、特別な学校法人とする。」こういうふうにされたわけでございます。
 今回の改革の趣旨でございますが、独立行政法人よりも国の関与が少ない学校法人とすることによりまして、財務、会計面あるいは人事面における制度的な規制がより少なくなる、こういうことで、一つには、法人の自主性、自律性が一層向上し、迅速かつ機動的な運営がより一層可能になるのではないか、あるいは、国による監督が緩和されることによりまして、民間的な発想、手法による一層効率的な運営がより可能になる、こういうふうに考えたわけでございます。
 一方、放送大学学園は、先ほども申し上げましたように、社会人等に対しまして広く大学教育を提供するために、放送局を有し、放送による授業を実施しておるわけでありますし、全国各地五十カ所に学習センターを設置いたしまして、学生に対する面接授業を行っておる、こういう、ほかの学校法人にはない特色、特徴を持っているわけでございます。
 そういったことから、今回出しております法律案におきましては、そういった放送大学学園の授業が円滑に実施できるように、放送局免許の取得等に関する放送法上の特例措置でありますとか、あるいは現有資産の承継、経費の補助、そういった措置を法定化している、こういう趣旨でございます。
山名委員 特別な学校法人が、そういう意味でより一層自主的、自律的な運営が図れる、民間の発想で、あるいは手法で効率的な運営ができるというメリット、これは納得ができるわけでございますが、一方で、従来から、そういった国民に資するこの事業に対して国がおよそ五五%出資しているといいますか、補助金を出しているわけですね。今回、特別な学校法人に移行することによって、それが削減をされ、結局は今度は国民の負担、学生の負担につながっていくというおそれ、心配、こういう向きも当然出てくるわけでございます。
 学校法人移行によって、より私学に近くなるわけですね。一方で、私立大学等は全国平均で国庫補助は一二%、この特別な学校法人は五五%、ここの大きな落差というものに対して、またいろいろな意味での批判も出されてくる、こういったおそれもございます。
 しかし、本来の趣旨からいえば、この放送大学学園というのはまさに生涯学習の大きな、一大拠点であるということにかんがみて、将来的にも学園生の負担にならないような、こういった一層の工夫なり配慮が必要ではないか、このように考えておりますが、これは副大臣、お答えいただけますか。
近藤政府参考人 お答えをいたします。
 先生御指摘のとおり、放送大学学園につきましては、平成十四年度当初予算におきまして、収入全体の約五五%を国から補助しているところでございます。特別な学校法人へ転換した後も、放送大学学園が生涯学習の中核的機関として社会人等に対して広く大学教育を提供する役割が十分果たせるよう、もちろん学園側の自己努力、経費の節減を図るというような努力も必要でございますが、私どもといたしましても、適切に支援をしてまいりたいと考えております。
山名委員 ぜひそういう方向で、一層御努力をお願いしたいと思います。
 次に、きょうは副大臣に来ていただいていますので、副大臣の専門でもある科学技術問題についてちょっと伺いたいと思います。要するに宇宙科学の問題です。
 宇宙というのは、人類にまさに夢を与えてくれる、希望を与えてくれるものでありまして、宇宙の開発といいますか、これはまさに国民の大きな夢、期待があるわけでございます。
 今回、この取り組みによりまして、従来あった宇宙開発事業団、宇宙科学研究所、独法航空宇宙技術研究所、この三つの機関が統合されて一つの法人になるわけでございます。まさに、宇宙にかける夢が、とかく今まではその開発研究等がばらばらに行われていたものが、研究のための研究というか、開発のための開発、こういうところから、三つの機関が統合することによっていろいろと、新たなメリットといいますか、こういったものも生み出されてくる、こう思っております。
 一方で、この宇宙開発は物すごい費用を必要とするわけでございます。一回ロケットを打ち上げて、それが失敗すれば物すごい損失が生まれるわけであって、なかなか失敗が許されない。こういった中でやはり成功もしなきゃならない。それだけの宇宙開発、国際競争に負けないような、そういう開発もしなきゃならない。それは何のためか。やはり日本の国益あるいは国民の利益のため、こういうことだと思います。そういう費用の面、開発の面から考えて、今後、どのような合理化を図っていこうとされているのか。
 時間がありませんので、まとめて。もう一点は、今後、そういう意味での社会あるいは産業界、こういったニーズをまずしっかりとらえながら、それに対する、産官学といいますか、そういう連携、そういった今までとは違った新たな分野での展開というものが望まれるんではないか、私はこう思っておりまして、今後、そういった意味で、宇宙開発における産官学の連携の問題、これについてどのように取り組まれるのか。
 もう一点は、特にH2Aロケット、こういう開発についてはいろいろな、費用の面から、コストの面から、技術面から考えても、まさに民間活力をもっともっと導入すべきじゃないか。そういう意味では、民間移管といいますか、こういった方向、取り組み、これについてどのように検討をされているのか。
 三点まとめて、副大臣からお答えいただきたいと思います。
渡海副大臣 委員が御指摘になりましたように、宇宙というのは大変魅力があるといいますか、夢のある世界でございまして、我が国としても、これまで三機関を中心に、それぞれの特色を生かしながら研究開発を進めてきたところでございます。
 そういった中で、今回、三法人を統合するに当たっては、言うまでもなくこれは国の特殊法人改革の一環でございますから、そういった意味で、組織なりさまざまな施設なりまた人員なりを整理合理化するといった点があるわけでございますが、同時に、三機関の持っている特徴をしっかり生かして、より強力な推進体制ができるということも実現をしなければいけないというふうに考えておるわけでございます。
 その中でも、しかし、やはり効率よく、効果的にこの事業を実施していくためには、例えば十五年度の概算要求の段階においても、ミュー5ロケット、従来、固体燃料ロケットとして研究開発をしたわけですが、一定の成果を得たということで、これの研究開発は中止をするとか、先ほども申し上げましたように、試験施設、設備の整理合理化等を行っておるところでございます。
 人員の面におきましても、役員につきまして、理事長級二人、理事二人及び監事二人の合計六人の削減を行い、宇宙三機関の理事等の役員数の合計が、これまでは全体で十七人であったものを十一人というふうにしておるところでございます。また、事務管理部門全体でございますが、全体で約六十人の削減を行いまして、今度、例えば新たな重点分野、そういうものを設けておりますけれども、そういったところをより強力に進めていくような体制に組みかえていくというふうなことを実施いたしまして、今後、大幅な増員なしにその体制で研究開発が実施できるということを実現していきたいというふうに思っております。
 産学連携のお尋ねがございました。これにつきましては、宇宙分野だけではなくて、日本のさまざまな研究開発分野において大変重要な課題ということで、これは各省庁ともでございますが、今さまざまな試みが行われておるわけでございます。この宇宙分野におきましても、先ほどお話がございましたように、大変大きな費用を要するといったようなことから、例えば民間では整備できない大型の試験施設、こういうものを整備するとか、またリスクの大きな研究開発、こういったものを担うとか、また任期つき人事交流制度というのが、委員御存じだと思いますが、産学官が一体的に宇宙利用等を議論する連携会議、こういうものを常設いたしまして、産業界のニーズを的確につかんでやっていきたいというふうに思っておるところでございます。
 また、中小企業等につきましても、大学とか中小企業が資源を持ち寄って、そして先端的な研究を行うというオープンラボ共同研究という新たな体制を立ち上げることを考えておるわけでございまして、本年三月に、宇宙三機関・産業界等宇宙開発利用推進会議というのも設置をいたしまして、さまざまな意見を聴取しながら今後の体制を考え、なおかつ研究開発を進めていきたいというふうに考えておるところでございます。
 H2Aロケットの民間移転ということでございますが、三号機というのは初めての本格運用という段階に入ったわけでございます。一番大事なことは、四号機以降の打ち上げを成功させるということでありますけれども、このことをきっちりとやりながら、世界最高水準の性能を有したこのロケットを民間に着実に移行していくという意味で、今のところ、平成十七年度打ち上げからの新体制、これに向けて、移管する会社の選定等を行っている段階でございます。
 十月二十三日から十一月八日まで実は企業に募集を行ったところでございますが、現在のところ、三菱重工株式会社一社が応募をしてきております。一部で、これで決まったというような報道がされておりますが、現在は、宇宙開発事業団により、選定条件を厳しく精査、審査いたしておりまして、今月の二十日ごろには移管先が選定をされる。着実に進めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
山名委員 丁寧に答えていただいたのはありがたいんですが、答弁が長かったもので、あときょうは経産省に来ていただいていて何点か通告していたんですが、もう時間が参りましてできません。次の機会にしたいと思います。
 どうもありがとうございました。
保利委員長 次に、山元勉君。
山元委員 民主党の山元勉でございます。
 大臣、連日大変御苦労さんでございます。
 この特殊法人改革というのは長い間の課題でして、私自身も、平成の七年から、最初の改革のときから、江藤総務庁長官の時代からですけれども、ずっと論議をしてまいりました。石原大臣とも、去年の四月から何回も内閣委員会で御論議をさせていただきました。
 今申し上げましたように、大変大きな難しい問題です。国の行政サービスのありようを決めるといいますか、ですから、幾つかの問題、例えば法人の形の問題、業務の内容の問題、天下りやキャリアの問題、財政の問題、さまざまな重い問題が中にあるわけです。ですから、この一週間、随分と論議が深められているとは言えないかもしれないけれども、続いているわけです。
 きょうは文部科学大臣においでをいただいて、文部科学省関係、八本の法人法がありますから、主に私は遠山文部科学大臣にお尋ねしよう、こういうふうに思っておりますので、よろしくお願いをしたいと思います。そして、その八本のうち、科学技術関係は後で平野委員に担当してもらいますから、私は主に文部関係についてお尋ねをしていきたいというふうに思っています。
 今度の改革、文部科学関係で、独法化あるいは統合あるいは特別の法人の形というふうに改革しようという、一括、それが提案されているわけです。四十六本のうち文科は八本ですけれども、先ほどもちょっと言いましたように、深まりがなかなか難しいというふうに思います。
 そこで、こういう一括して出されている意味はあるんだろうと思いますから、一括して共通をしているこの改革の理念だとかあるいは目的、文科省としてどういうふうに考えていらっしゃるのか。小泉総理は、民でできるものは民へとか、あるいは改革なくしてと、こういうふうにおっしゃいますけれども、四十六本、文科八本を一括して審議するということであれば、共通した理念や目的がなければいけないと思いますし、そこには共通して、この法が言っているような効率化だとかあるいは自律性だとかあるいは採算だとかいうことがあるんだろうというふうに思うんです。文部科学行政としてこれに取り組まれる基本的な理念とかお考えをまず最初にお伺いをしたい。
    〔委員長退席、山本(幸)委員長代理着席〕
遠山国務大臣 我が省関連では八本お願いいたしておりますが、それらは、教育に関するもの、科学技術に関するもの、文化に関するもの、スポーツに関するものということで、幅広い分野にわたっておりますが、それらを共通した形で何を今回の改革の目的にしているかというお話でございます。
 今それぞれは大体特殊法人として動いているものを独立行政法人にするという基本でございますが、特殊法人といいますのは、それぞれ多様な目的あるいはさまざまな経緯によって設立されてきておりまして、その問題点もさまざまであろうかと思いますけれども、広く指摘されているのは、業務運営が非効率的であること、それから硬直性あるいは経営内容の不透明性などが指摘されているところでございます。
 特殊法人改革というのは、そもそも官から民へ、国から地方への流れの中で、肥大化した公的部門を抜本的に縮小して、簡素あるいは効率的、透明な政府を実現するために不可欠な改革であるということでございます。それによって、これまでの特殊法人の弊害を克服しようとするものでございます。
 私どもの今回お願いいたしております法人が、すべてがこういう問題点を持っていたとは私も思わないわけでございますけれども、そういう特殊法人改革の流れの中で、我が省といたしましては、新しい法人格、新しい法人になることによりまして、その法人の自律性あるいは効率性、それから透明性をより高めていく、これによって国民の先ほど申しましたような分野に対する期待あるいは要望にこたえるとともに、社会の変化により敏感に対応し得るようにしていくというのが今回の改革のねらいであるというふうに認識をいたしております。
山元委員 いや、私がお尋ねをしたのは、そういう全体の、今度の改革で効率だとか自律だとか採算だとかいろいろあるけれども、文部科学省としてどういうふうにお考えになっているか。
 私は、例えば今文部科学省が所管していらっしゃる文化や教育やあるいは芸術というものは、効率性だ、採算だということでは、先ほど石井委員からもありましたけれども、そういうことでは文部行政というのはできていかない、いっては間違うだろうというふうに思っているんですね。だから、この法案に対する、独法化していくときにこういうことが課題だ、こういうねらいを文部科学省は持って提案しているんだ、こうおっしゃっていただかないと、今のは、石原大臣に聞いても同じことをおっしゃるのです。私は文部科学大臣としてのお考えをお尋ねしているんですから。どうぞ。
    〔山本(幸)委員長代理退席、委員長着席〕
遠山国務大臣 新しい独立行政法人に転換していくことによりまして、私といたしましては、それぞれの業務そのものはより豊かに活性化して、国民の期待にこたえていくようにしなくてはならない、その意味では委員の御指摘と同じような方向性を考えているところでございます。
 しかしながら、その組織運営のあり方でありますとかあるいは予算の効率的な使い方、あるいは国民のいろいろな希望、ニーズに的確にこたえていくその迅速さ、あるいは事業の遂行についての透明性、そういったものは、これまでの特殊法人という形態よりは独立行政法人のあり方の方が、いろいろな意味でシステムとして確保されているというふうに思うわけでございます。
 確かに、教育とかあるいは文化とか科学技術とかスポーツとか、そういったのが、すべてが事業の中身において効率化とか何かというのになじまない部分が多いと思いますけれども、そうした事業がより活性化していくために、組織体としての法人の運営そのものが効率化していくということは、私はこれは必要なことではないかと思っておりまして、その辺の、今回の独立行政法人化によって何を目的として効率化ないし透明化というものを図っていくかということはきちんと見分けた上で、努力をしていくべき課題だというふうに考えております。
山元委員 いや、大臣として日本の教育や文化や芸術をどう考えるんだ、私はどう守るんだということについての血の通った思いが伝わらないのです。だから、さっきも言いましたように、失礼な言い方をしたんやけれども、それやったら石原大臣に聞いても同じことや、こう言ったんですが、文部行政としてという思いが。
 例えば、きのうも構造改革特区のところで、鴻池特命大臣とそして文部科学の河村副大臣が激しく、激しくと言ったら失礼になるか、やり合っていらっしゃって、株式参入の問題で。鴻池特命大臣は特区をつくるためにそういう教育にも医療にも株式会社参入をということをおっしゃる、けれども文部の副大臣も厚労の副大臣も反対だと。反対だということではないけれども、これはということで、きょうの新聞にも明確に出ていますよね、意見が対立をしていると。
 私は、大臣にも、やはりこういうことをするんやけれども、押しなべて同じようにやる独法化ということについては大変な課題意識を持っているということが伝わってくるような御答弁をいただきたかったんですけれども、この株式会社参入の問題もあります。
 ですから、どうか、文部科学省、役所として、全体で、日本の今の教育が置かれている状況や、芸術も、わあっと劇場へ集まる芸術やそういうものは残っていくけれども、日本の大事な大事な芸術というものがだんだんと忘れ去られていく、こういう状況のところで日本学術振興会がどういう役割を果たすんだということを、熱い思いをやはり文部科学省に持っていただきたいというふうに思います。
 それでは次ですけれども、放送大学が先ほどから問題になっていますけれども、私立学校振興・共済事業団だとかあるいは芸術文化振興会、単なる特殊法人から独法へ変わると。表を見ても、全く業務内容というのは一行も一字も変わっていなくて、これで独法化、こうなっているわけですね。こういうことで一体、文部科学省として一項目も変わらない単なる看板がえを改革というふうに言えるのか。この意義は何ですか。それぞれ、今私が挙げましたように、放送大学でも私学でもあるいは芸文でもそうですけれども、単なる看板のかけかえではない、そういう意義についておっしゃっていただきたいというふうに思います。
遠山国務大臣 八本の中身がすべて違っておりますので、私としては、共通した問題点なり改革の方向性をということでございましたので、あのようにお答えをいたしました。当然ながら、個別のことになれば、それはこういう意味で守るべきあるいはより活性化すべきというふうにお答えできたと思いますが。
 単なる看板のかけかえだけではないかということでございますが、これにつきましても個別に、例えばこういうことでどうだ、例えば特区について株式会社参入というふうに特定された御議論であれば非常にお答えしやすいのでございますけれども、八つの特殊法人に共通して言える看板のかけかえ論ということでございますと、これは比較的抽象的にならざるを得ないわけでございますけれども、今回の独立行政法人化に当たりましては、例えば役員につきましても大幅に削減をし、あるいは事業の必要性についても、厳しく見直した上で不必要なものを廃止して必要なものに重点化を図っていく、これによって、単なる看板のかけかえあるいは業務の平行移動ではなくて、それぞれその業務のスリム化なり効率化を図っていくということで考えているところでございます。
山元委員 共通して言うと答弁しにくいとおっしゃるんですけれども、実際に私どもは、何ぼ資料を見ても同じように看板だけがかわっている資料しかもらっていないのです。ですから、そういうことは生の声でしっかりと、今度の改革についてはこれはこうなる、こうなる、たとえ五分かかっても御答弁をいただきたかったというふうに思うんですけれども。
 それでは、人数を減らしていってとかおっしゃるけれども、例えば今、去年の四月一日に、五十七でしたか、独法が発足をしました。文部科学省関係でいうと十六の特殊法人が独立行政法人に変わっているわけですね。
 それの資料をちょっと調べてみましたけれども、旧組織、去年の三月三十一日だと思いますが、この十六の法人の職員数は三千三十七ですよ。現在二千九百七十六で、六十人ほどが減っているだけなんです。これは、一年以上たつ、二年近くなるわけですけれども、効率とかそういうことについては成果が目に見えていないという感じがするわけです。看板をかえたけれども、今のでいいますと、人数でいうとわずか二%足らずが減っていると。ふえておるところもあるわけですから。本当にそういう状況が今度の場合も起こるのであれば、余り意味のないことだというふうに思うんですよ。
 この既に先行している十六の独法の、今のこの一年八カ月ほどの成果についてはどういうふうに評価をしていらっしゃいますか。
遠山国務大臣 評価につきましては、まだ発足以来一年半ということで、なかなか明確な評価というのは難しいのかもしれませんけれども、私どもといたしましては、独立行政法人の評価委員会が既に出されました報告、これはもう公表されているものでございますが、そういうものを参照しながら、どういう点が改良されたかということについて、このように考えております。
 これはむしろ具体例で申し上げた方がいいかと存じますけれども、例えば国立の美術館とか博物館は、すぐれた企画によっていい展覧会をやり、そして多くの国民の観覧を得るということは一つの使命であろうかと思っておりますが、その角度で申しますと、国立美術館におきましては、入場者数が当初の予定を約二十三万人上回りました。当初の予定は百四十万人でございましたが、それを約二十三万人オーバーし、そして国立博物館におきましては、入場者数が当初の予定百三十六万人を約二十九万人それぞれ上回っておりますし、国立科学博物館につきましては、自然観察会などの教育普及活動について、生涯学習にふさわしいあらゆる層を対象とした多様なプログラムの設定が多くの参加者を集めて、前年度比二三%増と考えられます。
 私は、これはやはり独立行政法人化することによって職員の意識も変わり、また広く外部評価も行われるということから、企画においてもより張り切ってやろうということが原因になっていると思いますけれども、そういう改良が行われております。
 また、放射線医学総合研究所におきましては、重粒子がん治療臨床試験におきまして、年度計画に沿って成果が十分に得られておりまして、高度先進医療の承認申請を行える状況になったということで、大きな前進があったわけでございます。
 つまり、それらは、やはり特殊法人からあるいは政府機関から独立行政法人になるということによりまして、より職員の意識、あるいはいろいろ財務の運用の仕方さらには人事の管理の仕方の弾力化によりましてさまざまな効果があらわれてきている、それは国民にとってプラスになっている、そういう成果を次々に上げているというふうに私は考えておりまして、今般お願いいたしておりますのも、そういう形で国民にとってよりよい運営がなされるということにおいて意義のある改革であってほしいものだというふうに思っております。
山元委員 成果を上げていただいている法人については、確かに職員の皆さんも頑張っていただいているんだろうというふうに、それは思います。
 ただ、先ほど言いましたように、職員の数だとかあるいは予算の面でいうと余り変わっていなくて、悪い言葉がよく使われるんです、焼け太りという言葉が。そういう部分があるということも聞きますから、ここで一つ一つについてはなんですけれども、ぜひこの八つについても、通則ではいいことを言っているわけです、中期目標を立ててきちっと評価を受けてとか、いろいろ書いてあるわけですから、そこのところがきっちりと進められるように、監督官庁としての文部科学省の仕事もしっかりとぜひ進めていただきたいというふうに思います。
 次ですけれども、きのうもこの委員会で大分問題になりました天下りの問題ですね。これは単に天下り、先ほどちょっと言葉として出ましたけれども、天下りが必ずしも悪いと言っているんではないのです。けれども、しっかりとこの問題について、国民の皆さんもわかりましたということにならないといけない、長く続いている問題なんです。
 きのう、同僚の山井議員が出しました新聞の社説の、官房長官は全部読んでへんとか忘れたとかおっしゃっていましたけれども、明らかにこれは全部の社説が、去年の大綱が出たときに、これは石原大臣にも前申し上げたと思いますが、例えば幾つかの新聞の見出しを言いますと、天下りの緩和だけではないか、「改革の実行を見極めよう」「「お手盛り」にしてはならぬ」とか、あるいは「中途半端な公務員改革」「お手盛り運用で道誤るな」、こういう社説の見出しがこれほど集中して批判をした事柄は余りなかっただろうと思うんですね。きのう山井君は、十九の社説すべてが批判の社説であったというふうに言いました。
 私は、この天下りの問題は、ただ単純な問題、数が多いとか少ないとかということではないと思っている、幾つかの問題があるんだと。これは改めて認識をしてほしいと思うのです、文部科学省にも。
 文部科学省も、先ほどあったように、二十人天下りがいるけれども文部科学省出身が十九人だ、こういう実態があるわけですね。確かに、高給で税金をむだ遣いしているのではないか、官僚は甘い汁を吸っているのではないかという批判があります。これは一つ言えることです。
 そしてもう一つは、政官業が癒着する。今度大臣が承認をしてということになるようですけれども、これも中島人事院総裁と石原大臣との意見は大分食い違っています。今ここで私はどっちに軍配を上げようとかなんとか思いませんけれども、やはりきちっとしないと政官業の癒着も起こる。
 そしてもう一つは、現場でよく言われるのです、僕らは二十年、三十年、この事業団で一生懸命になって働いてきた、けれども、ことしはだれが来るんだ、天下りがぴゅっと来て、全然違うことを言うし、全然仕事をわかってもらえない。そういう天下りが来るということについて、職員の皆さんが毎年げんなりとしているわけです。
 これは士気にかかわることです。効率よくとか、いろいろなことを言うそういう改革に当たって、しっかりとそういう、むだ遣いのこともあるし、癒着の問題もあるし、そうしてそこで長年働いている事業団の職員の皆さんの士気の問題を考えないと、この問題はすっと通ってしまうだろうと思います。やはりしっかり重く受けとめて処理をしないといけない。文部科学省としても、文部科学省からこういう事業団に行く場合に、やはり点検をあるいは評価をきっちりとする必要があるんだというふうに思うのですが、この問題について、大臣、どういうふうに認識していらっしゃいますか。
遠山国務大臣 独立行政法人の役員につきましては、これは私は、業務の性格に照らして、本当にその事業をよくしようとしている人がきちっと選ばれていくべきだと思っております。
 一たん官庁に籍を置いた人が異動するのがすべて天下りと言うのはどうかなと思わないでもないわけでございますけれども、本当にすぐれた実績を持ち、かつまた将来に対する展望も持っている人がしっかりと選ばれていくべきだと思いますし、その意味におきましては、各省ともそうだと思いますけれども、私どもといたしましても、その点についてはしっかりと対応していきたいというふうに考えます。
山元委員 くどく言いますけれども、また新聞の記事ですけれども、官僚は信頼せず七四%というのが大きな見出しになっている新聞があるのですね。官僚を信頼せず七四%というのは何があって信頼できないのか。一番、天下り四〇・九%。業界、政界との癒着が二番目です。三番目が無責任。官僚の皆さんがこういう印象を持たれているということは大きな問題です。
 官僚の皆さんは、わしら一生懸命になって汗流しているよ、そして、持っている技術や知識で次の仕事をしたい、するんだ、就職の自由があるじゃないか、職業選択の自由がある、こうおっしゃるのだったら、やはり胸を張って反論されて、そのことを国民がああわかったというふうになるようなことをきちっとしなければ、日本は不幸せだというふうに思うのですよ。官僚を信頼せずという国民が七四%、一番が天下り、二番が癒着、三番が無責任。これでは、特殊法人改革の中で役員の数を減らすんだなんとかいうことが通則にも書いてあるけれども、それでは余り効果を上げていかないというふうに思うのです。
 だから、国民の皆さんが、今度は信頼できる改革が行われるぞと。天下り、全部ノーとは言わない、仕事ができる、よくわかっている専門家であれば、それはそれでいいわけです。けれども、こういう国民の皆さんの理解を変えていくという努力は、これは全体の中でしなければならぬと思うのですが、このことについては石原大臣にもお尋ねをしたいし、文部科学大臣にも、これからそういうこと、このことは違うでと。そんなことは知らぬでとおっしゃるんやったら別やけれども、そうでなければ、どう受けとめていただいてこれから新しく生まれる独立行政法人なりあるいは法人に対応していくのか、そのことについて御認識をお伺いしたいと思います。
遠山国務大臣 その点につきましては、先ほどもお答えいたしましたように、それはやはり本当にその人に力があるのかどうか、そして業績なり将来の展望なりというものがしっかりと審査された上で選定されるべきであると思います。
 全体的な公務員制度改革も今進んでいるようでございます。何よりも残念なのは、確かに幾つかの不祥事がありまして、それらが公務員全体の評価に短絡的につながっていってしまう面もあろうかと思います。私は、官僚の中にも本当にしっかりやっている人もおりますし、また、官僚だけではなくて、大変残念ながら政治の世界なりあるいは企業の責任者たちにつきましても一般の国民は非常に厳しい評価をしているわけでございますが、それぞれの立場にある者が身を持し襟を正してそれぞれの業務に専念していくことが、そういう疑惑なり不信なりというものを正す道であろうかと思います。
 それで、そういうポストにだれを採用するかにつきましては、そのことについて権限と責任を持っている者が、そのことについて公正に、かつその目的に照らしてきちんと選定をしていく、そのことが非常に大事ではないかと思っております。
石原国務大臣 先日も、昨日でございますが、かなりこの天下りの問題をめぐりましては各委員といろいろなお話ができ、意見が深まったと思っております。
 官僚の方々が自分の所管する特殊法人に天下るケース、さらには自分の関係する業界に、民間企業に天下るケース、この二つがあると思いますが、やはり前段の、自分の所管する特殊法人、認可法人、これからは委員御指摘のとおり独法でございますが、これに天下るケースは、私は、これは外から見ておりますと、自分の子会社に行くんだからいいじゃないか、こういう思いがどうもあるような気がするのです。
 と申しますのは、同僚の山井委員が人事院の中島総裁に、それならば人事院が特殊法人や認可法人に天下る者に規制をつくったらいいじゃないかという質問に対して、人事院の総裁は、それは必要ない、こういう答弁をされました。この答弁に端的にあらわれておりますように、やはり、自分の子会社に行くのが何で悪いんだと。
 この問題は、やはり六十歳まできっちりと公務員の方が公務員として仕事ができるような仕組み、早期勧奨退職を是正するという形、役員出向制、そして退職金は六十歳でやめるとき一回しかもらえない、こういう仕組みで是正をしていかなければならないと思います。
 今、一方で道路公団の民営化論議がされている中で、道路公団の一番大きいファミリー企業に、残念ながら人事院から天下りをしているという現実を見ると、一体この天下りというのは何なんだ、担当の大臣といたしまして、そんな思いを持っております。
山元委員 時間がありませんから、もう少し申し上げたいことがありますので。
 文部科学大臣、短絡的に事件がつながるという部分もあるとおっしゃいましたけれども、私は、国民の皆さんがこれだけ根強う不信感を持っているのは、そういうことではなしに、たび重ねて起こる、身近に起こる、余りにもひどいことが起こるということでやはり公務員に対する不信感を持っているんだということをしっかりと腹に入れて、この問題については厳しく文部科学省が手本のように取り組んでいただきたい、これはお願いをしておきたいと思いますが、時間があと残っていませんので。
 この経営形態が変わるのです。そのときには、当然のことながら、そこで働いている人の身分だとかあるいは雇用だとかいうものに影響が出てくる。どう出てくるんだろうか。これは、そこで働いている人たちが雇用の不安や生活不安を持たないようにして、そして元気に仕事を続けていただくということが大事なんだろうというふうに思います。
 今まで、この特殊法人の問題、先ほども言いましたように平成七年から実際に取り組んできましたけれども、法にきっちりと盛り込んで、このことについては配慮すべしとか、あるいは附帯決議で書いたり、あるいは、きのう、石原大臣たしか調べるとおっしゃったと思うんですが、最初のときには内閣に雇用対策本部がつくられて、もし問題があったらそこへ駆け込んでくればよいという仕組みをつくりました。そういうことが、こういうふうに大きく改革をするときには、大丈夫なんだよという安心感がなければいけないし、そういう取り組みがされる。理事者もかわるわけですから、特殊法人の理事者から独法の、独立法人の理事者にかわる、そういうときに、体質が変わっていくだろうから、このことはしっかりと、そこの役職員の皆さん全体によくわかるようにする必要がある。雇用や生活不安というのは基本的にはないんですよということがしっかりとするような仕組みを、あるいは手順をとっていただかなきゃならぬと思うんですが、いかがですか。
渡海副大臣 中央省庁改革基本法というのを先生御存じだと思いますが、その四十一条に「政府は、それぞれの独立行政法人に行わせる業務及びその職員の身分等を決定するに当たっては、これまで維持されてきた良好な労働関係に配慮するものとする。」という項目がございます。
 今回の改革におきましても、各法人で、現在の形ですね、事前の労使間の話し合いの場をきっちりと設けることも含め、引き続き良好な労使関係が保たれるように適切に対処されるというふうに期待をしておるところでございます。
山元委員 副大臣、期待していますというのは、私から言うと、副大臣にあるいは文部科学省に期待をしているのです。そういうしっかりとした指導あるいは管理をしていただきたい。そうでないと、例えば、効率性が大事なんだ、採算が問題だということになってくると、業務も事業もカットしていかなきゃいかぬ。
 例えば、もう時間ありませんから申し上げられませんけれども、放送大学学園なんというのは、私の地元でもやっと学習センターができて、オープンのときにある私立大学の校舎を借りて、これはこの大学は借りてもいいことになっていますから、私もそこのところへ行って、オープンでみんなが喜んで、私、滋賀ですけれども、滋賀の山々、隅々までそういうことができるという出発を喜んだ。けれども、効率は極めて悪い。それは、琵琶湖の周りをぐるっとやらなければならないんですから。ですから、そういう学習センターの事業なども含めて、効率でどんどん狭まっていくんではないか。そして、そこに働いている、一生懸命になって頑張っている人たちのそういう生活不安も出てくるんではないかという思いがあるわけです。
 ですから、先ほども出ていました芸術や文化については、採算性だとかそういうことについては無理であって、どんどんと国が援助をしなきゃならぬという事業ですから、そこのところはしっかりと、採算性を大事にしてみんなが頑張った、頑張ったらそれは頑張っただけのものやというようなことでは文部科学行政はならぬということだけはしっかりとわかってほしいと思うんですが、大臣、どうですか。
遠山国務大臣 法人の組織あるいは業務の運営の仕方そのものについては効率的でなくてはいけないと思いますが、その目的たる業務については、これは私は必ずしも効率性、合理性だけが優先するようなことではないと思っておりまして、まさに教育、文化、そのようなものについてはしっかりと見守って、本来の果たすべき役割は果たしていく、そういうことを念頭に置きながら仕事をしていきたいと思っております。
山元委員 石原大臣、さっきの雇用対策本部というのはどうであったのか、どういう役割を果たしたのか、ちょっともう一遍改めて。
石原国務大臣 これは先般御質問がございまして、調べさせていただきました。
 まず、経緯から申し述べさせていただきますと、特殊法人の見直しについては、委員も御指摘のとおり、行政改革の一環として議論されてまいりましたが、平成七年二月十三日に「特殊法人の改革について」ということで与党の方から政府に申し入れが行われ、この中で、「内閣または総務庁等に「特殊法人職員の雇用関係に関する対策本部(仮称)」を設置する。」旨の御要望がございました。
 これを受けまして、政府として、平成七年二月二十四日に「特殊法人の整理合理化について」、これを閣議決定いたしましたその際、その中に、「雇用問題への対処」で、対策本部の設置として、特殊法人の整理合理化に伴って生じる職員の雇用問題を責任持って対処するため、内閣に特殊法人の職員の雇用問題に対する対策本部を設置したということが事実関係でございます。
 そして、開催の状況でございますが、平成九年五月二十七日に第一回目の会合が開かれ、その後開かれませんでした。その前後の経緯を調べさせましたところ、国鉄の分割・民営化によって生じた余剰人員に象徴されますような、当時は十万人程度だったと記憶しておりますけれども、そのような大きな雇用の問題というものが発生しなかったということで開かれなかった、こういうふうに調査をさせていただきました。
山元委員 確かに開かれなかったんです。それは私らも言いました、特殊法人の当事者のところへ。労使の間、話し合いがしっかりとまとまって、効率的な仕事をしようなという合意ができへんかったら、あるいは生活不安、雇用不安が出てきたら内閣へ駆け込む、一番先に駆け込まれるのはどこだという、不名誉な特殊法人はだれだというようなことを盛んに、おどかしではありませんけれども、言った覚えがあります。
 それで、幸いにして、そういう対策本部へ駆け込まなければならないような雇用不安は出なかったんです。けれども、やはりそのことはきっちりと受けとめる体制なり気持ちというものが内閣なりあるいは政府になかったらいけないだろうというふうに思いますから、ぜひこのことについてはこれからも努力してほしい。決してこれは労働者をかばうだけの問題というのではない、効率的なあるいは内容のすぐれた行政サービスを提供する事業を進める上で大事なことだというふうに御認識をいただきたいと思います。
 申し上げて、終わります。ありがとうございました。
保利委員長 次に、平野博文君。
平野委員 民主党の平野博文でございます。
 残り時間、この特殊法人改革特別委員会でいろいろな議論をもうされておるところでございましょうが、石原大臣も、ダブって質問する人とかいろいろあると思うので大変恐縮ですが、それだけダブるということは、同じ共通認識に問題として持っているという視点でお答えをいただきたいと思うのであります。
 私は科学技術の方を中心に御質問したいと思うんですが、まず根本的なところで聞いておかなければならないと思うところがあるんですが、特殊法人を独立行政法人にやはり改組をしようというその一番の崇高な理念というのはあるんでしょうけれども、実態的には何ら変わらない。したがって、名前をつけかえただけではないか、こんなような酷評もよく出てくるわけですね。
 私、名前だけではなくて、これは何人対象になるのか知りませんが、これは今回四十六法案ございますね、それにかかわっている人の数というのは大体どれぐらいおられるんですか。これは、済みません、通告はありませんが、大体で結構です。
堀江政府参考人 それでは、お答えさせていただきます。
 今回、四十九法人の関係で提案させていただいているわけですけれども、そのうちの四十二が独立行政法人化になります。そして、それ以外が特殊会社化も含めまして民営化等ということでございますが、手元の数字で四十九法人全体を合わせますと、原則十四年一月現在の数字でとりますと五万四千ないし五万五千ぐらいの職員数でございます。
平野委員 大体五万人ぐらいが対象になるというんですね。
 そうすると、これは名前をつけかえたときに、名刺が多分みんな変わりますよね。これは名刺を一つ、一番安いところで頼んでも二千円ぐらい要るんですよね。そうすると、一億円もそれで変わるんですよ。実際、運営上、名前は変わったけれども実態が変わらなかったら、一億円も税金を使って、名刺だけでそうなんですよ。名刺は自分でつくりますか、そんなことは絶対しませんよ、公費でつくりますよ。どうです、今。
石原国務大臣 現在は、名刺は役所でも自分でつくっておりますし、特殊法人への補助金が十四年度ベースでおよそ四兆二千億程度でございますので、そのほかの運営費は財投資金等々で賄われておりますので、御指摘のとおりではなく、逆に内需の拡大につながるのではないかと思います。
平野委員 そういう発想でこれを進めておるんですか。
 だから、今名刺は個人でつくっているよということであればいいんですが、名刺にかかわる問題ではなくて、私は、効果が出ないのに動かしますと、いろいろな附帯的な費用があちこちでいっぱい発生しますよと、したがって、崇高な考え方が本当に実態的にあらわれてこないことには、この効果というのは出てこない、このように実は思っております。
 したがって、ここで大臣にお聞きしたいのは、特殊法人を独立行政法人に改組したときの一番の相違点は何なのか、これをお聞きしたいと思います。
石原国務大臣 平野委員の御指摘は非常に本質論でございまして、委員御指摘のとおり、ただ名前が変わって名刺が変わるのであれば、一億円、名刺を刷る会社はもうかるかもしれませんけれども、その社会的損失の方は、私は大きいと思います。
 やはりこれは、では、なぜ特殊法人でこれまで事業をしてきたのか、そしてなぜ組織形態を変えなければならなくなってしまったのかというところが今の御質問のキーポイントではないかと思っております。
 すなわち、これまでの御議論を聞いておりまして、ほぼ大多数の方が、それなりにやはり特殊法人の担ってきた仕事、株式会社だけに任せることのできない、先ほどの御同僚の山元委員のお話で行政のサービスという言葉がございましたけれども、行政が行うサービスをアウトソーシングして特殊法人が行ってきた。それが時代の変遷とともに、非効率性が目につき、いろいろなところでファミリー企業をつくってそこに内部留保をつくってしまったり、あるいは先ほども御議論になった天下りの問題で、安易な自分の所管省庁の子会社のように取り扱われたり、さまざまな弊害が出てきたんだと思います。
 それでは、独法と、今問題が出てきたこの特殊法人の最大の違いは何かということでございますが、ただいま御指摘をさせていただきましたような特殊法人の弊害というものをどうやって除去していくのかという点に着目をいたしまして、やはり国が手とり足とり関与を日常的に行っていたのが特殊法人であるとするならば、国の関与というものは最小限、自律性を高める、これが独立行政法人だと思いますし、一方で、その法人の方も親方日の丸意識で、私もこの仕事につかせていただくまで、こんなに税金が使われているのかと驚いたように、補助金等々の形で、今年度は一兆一千億減額して四兆円台になりましたけれども、十三年度は五兆三千億も税金が使われ、過去にはもっと使われていたことがある。国に依存する体質を改める。
 そして、もう一つ大切なことは、やはり、一度法律で設立が決まってしまった特殊法人、さらには特殊法人に対する批判が出たことによって特殊法人もどきの認可法人等々がタケノコのようにできてきた。それは一本一本法律によって設立されていることによりまして、見直し規定もない、そしてまた、業務を自己増殖してまいる。そんなことで、そういうものを是正するという観点から目標管理と外部評価を導入するというふうに改めたのが独立行政法人の点であります。
平野委員 そういう考え方のもとに実際がやられるかどうかというのは、非常に疑問に思います。
 私は、そういう中で今回、特に科学技術の関係の特殊法人について御質問したいんです。
 私、科学技術というのは、日本は技術立国ということをずっと標榜してきておるわけでありまして、これは国策としてやらなければ、資源のない国ですから、やはり国がもっとしっかりとかじ取りをする、先行投資をする、こういう視点で物事を進めていかなければ、一つの視点はそうあらなければならないと思っています。しかしながら、貴重な税金ですから、やはり選択と集中という判断も要るでしょうし、選択をするときに、あるいは集中をするときにも、やはり何らかの評価を明確に持たなければならないのであります。
 しかし、今、日本のあらゆるところで見ましても、何かをつくろうというときには割合安易につくるんですが、それをやめるときの苦労というのは大変な苦労になります。声の大きい人が言えばなくなってしまう、幾らいいことを言っても声が小さければ存続する。私は、いわゆるひもつきが多くなればなるほどなかなか改廃がしにくい、こういう状態になっているのが今の社会だと思うんです。
 しかし、事科学技術に関して言うならば、国家の将来の運命がかかってくる新しい芽を育てていくという大きな国策としての大義があるんですね。そういう中で、同じようにこれは独立行政法人にしたらいいわという発想で物事をもし持っていったときに、先ほど石原大臣が言われた、国の関与をより薄くするんだ、あるいは自主性や自律性を高めるんだ、こういうもとに独法の考え方をもし用いるとするならば、私が先ほど言いましたように、もっと国がしっかりと、あるしっかりした評価のもとにかじ取りをし、先行投資をするという役割が私は科学技術においてはあると思っています。そういう視点で、ぜひ国の科学技術政策と独立行政法人との関係について、まず聞きたいと思っております。
 先ほど言われたように、経営裁量の拡大、運用によってはいろいろ柔軟性に富んだ経営形態をとりたい、そのために独立法人化するんだと。こうしますと、国策の反映との間に、どう国策を担保するのか、この視点が非常に難しくなってくると思うんですね、国の関与という視点では。私は、国の関与でも悪い関与といい関与がありますから、科学技術においてはいい関与をやはり国として持ってもらいたいという論者でありますから、そういう視点で今の選択と集中、これを特殊法人から独立行政法人にしたときにどうとらまえていくのか、その点についてお聞きしたいと思います。
渡海副大臣 平野委員とは長いおつき合いでございますが、私も前半の平野委員の認識は、全く同じでございます。
 そういったもとで、今回の特殊法人改革ということで、当然、科学技術分野においてもさまざまな意見があるわけでございますし、議論もなされたわけでございますが、御案内のように、独立行政法人というのは、中期目標を主務大臣がしっかりと示す、しかも各年次の評価を行う、また、中期目標の達成年次においてきっちりとした評価を行う。まだ途中でございますけれども、そういったことの中で、例えば、これも御案内のように、現在、科学技術基本計画の第二期の途中でございますが、そういった総合科学技術会議で資源配分の方針等決めたもの、それをしっかりと中期目標の中に埋め込んでいけば、国の戦略というものをしっかりとそれぞれの新たにでき上がった独立法人の中でも実現をしていけるというふうに考えております。
 ただ、やはり評価というものを今後しっかりしていかないと、なかなか現状、どういうふうに走るかということについては、まだ実績がそれほど重なっておるわけではございませんから、そのことについては今後きっちりとフォローしていく必要があるというふうには思っておりますけれども、そういう計画をしっかりと見据えていく中で国の政策を実行できるわけでありますし、また、これだけで国の政策を実行しているわけではないことは平野委員も御案内のとおりでございます。競争的資金とか重点分野とか、そういうものをしっかり定めて国の政策を、国民共通の資源でございますから、やっていくことは可能であるというふうに判断をしておるところでございます。
平野委員 ただ、今度独立行政法人になったら、経営裁量の拡大ということで、そこの理事長さんか経営トップが、これをやると経営的に非常に厳しいとなりますと、国策としてやらなきゃならないテーマであっても、そこが拒否する可能性だって出てくるんですね。このときはどうするんですか。
渡海副大臣 これは、先ほども申し上げましたように、中期目標というのはきっちりと大臣が示すわけでございますから。
 ですから、先ほどから独立行政法人が何かという議論がされております、石原大臣がお答えになりましたから、私から重ねては申し上げませんけれども。これは、では、なぜ民間ではいけないのかということも考えていろいろとこの独立行政法人というものを考えますと、やはり公益性、そういった性格が非常に強い、しかし、それを運営していく中では効果的、効率的な運営をしていくというふうなものを考えたときに、このような形態がいいのではないか、粗っぽく言えばそういうことであろうというふうに思っております。
平野委員 その中で、公益性ということと、税金を使うんですから、当然これは公益性ですよ。だから、その中で効率化というのは、どういう視点で効率化を目指すんですか。研究開発の時間軸を短くする、これも効率化ですよ、あるいは間接事務をより一元化してやっていこうというのも一つの効率化なんですが、科学技術の領域においてもしそういう視点で考えるならば、私は効率化という考え方がなかなか研究の中に――効率的研究をしろという視点で見たときに、どういうふうにとらまえますか。
渡海副大臣 平野委員のおっしゃるとおりだと思いますね。要は、研究開発の分野で、特に基礎研究等々を考えますと、実は、初めからタームを切って、現実にターゲットをつくってやるということが大変難しいという分野がたくさんあるわけでございます。
 例えば、そういう分野を考えますと、一概に、評価をどうやってやるかということを単一的にやることは非常に難しいわけでございますが、それは法人の形態がどうであれ起こる問題でございまして、やはり組織としての効率、例えば事務作業などを効率的に運用する、効果的に運用するというふうなことと研究開発の持つ特殊性というものは、分離はしませんけれども、うまく融合しながら組織というのは運用していかなければいけない、私はそのように考えております。
平野委員 これ以上詰めてもなかなか詰まらない、難しいんですね。特に、クリエーティブな領域あるいはリサーチの領域を担当しておる研究者、技術者といいましょうか、そういう方々に効率的に研究しろなんというのは、これは禁句なんですよ。どこで何が生まれてくるかというのはわからないです。この前のノーベル賞をもらった、今田中フェローというんでしょうか、田中さんにおいても、間違って何かに物を入れたために、それが一つのエポックになって一つの評価になった。日本ではだれも評価していないじゃないですか。ノーベル財団が評価するために、遠山大臣が、文化勲章か何かわかりませんが、後追いでつけているんじゃないですか。
 私が言いたいことは何かというと、やはりしっかりした評価システムがないからなんですよ。大体、文化勲章を受けた方、そういう功労賞を受けた方が選考されて、その延長線上に、よりすぐれた人がノーベル賞になるのかよくわかりませんが、後づけでやっている評価では、本当に科学技術に対しての評価を、日本の中でいろいろなことを、特殊法人いっぱいありますが、すばらしい研究はやっているか、僕はやっていると思いませんね。やっているんでしょうけれども、逆に、評価する仕組みがないのかもしれません。このことの方が非常に大事なことなんだろうと実は思っております。
 したがって、私は、特殊法人、独立行政法人、みんな行政改革だ、どこも、猫もしゃくしも全部独法に変えたらいいわという感覚で物事を進めていく官僚のシステムが問題だ、これが第一点です。
 愚直なまでに、これは特殊法人でないとできないと言った官僚、だれかいるんですか。文科の関係の中にそういう声はなかったですか。全部独立行政法人でよろしい、こういうことですか。
遠山国務大臣 私は、平野委員のおっしゃる、特に基礎科学、基礎研究につきまして、これはまさに、学問の自由は守られなくてはならないと思います。
 今回ノーベル賞をおもらいになった田中さんは本当にすばらしかったと思いますが、企業の中でもこれを十分に評価していたかというと、そうでもなかったわけでございます。他方で、もうお一人のノーベル賞受賞者の小柴先生は、これこそ、超新星から発信されてくるニュートリノ、それを追求することで一体世の中がどうなるのかというような議論が起こり得る可能性もあるんですけれども、そういうことは一切いたしませんで、私どもは基礎科学の重要性ということで守る、それが私どもの立場でございます。
 したがいまして、評価におきましては、特に研究の分野では効率性とかあるいは利益性とか、そういったものはなじまないと思います。それをしっかりやる。ただ、他方で、技術的ないろいろな研究開発なり、それを応用したいろいろな分野というのもあるわけでございまして、そうしたところについてはより効率的にというような目も必要な面があろうかと思います。そこはきっちりと分けて、しっかりと守るものは守り、評価すべきものは評価するというのが、私どもの守るべき姿勢だと思っております。
平野委員 だから、私が言いたいことは、これ以上議論しても、私、何時までになっているのかちょっとわかりませんが、研究助成事業という視点で、切り口を変えて申し上げます。
 資金の供給のあり方について聞きますと、例えば研究テーマ、限られた予算で的確に研究テーマとして挙げる、こういうテーマを選び出す審査機能と、選んだテーマをもって研究の内容を事後的にやはり検証する、先ほど言っている評価ですね。
 テーマを選び出すときの判断というのは、非常にまたこれは難しい判断が要るんですね。ところが、今のやり方でいきますと、何か事務的にテーマをいっぱい選んで、適当に、私に言わせたら適当に割っているんでしょう。後の評価というのは余りしていない。これは総合科学技術会議でも指摘されている一つの大きなテーマだ、永遠のテーマかもわかりませんが、テーマだと私は思うんですね。
 そこで、審査と評価の体制をやはり強化すべき、こういうところなんですが、再度聞きます、科学技術において国の進めておられる、研究開発、こういう団体に対する、そういう法人に対する審査と評価の現状のシステムはどうなっていますか。
渡海副大臣 一つの大きな助成金の問題、科研費というのがあります。約半分は国が直接やっておりますし、その半分は、今回対象になっております学術振興会が科研費を分担しておるわけでございます。たしか約九百億弱だったと思います、今年度予算で。
 これは、今現実には、この競争的資金をどうやって割り振るかというのは、まず、今三千七百人ぐらいいらっしゃると聞いておりますが、専門家の審査委員、それぞれの分野における大学の先生とか研究者とかそういう方々のピアレビューによってまず選んでいただいて、そしてそのことをきっちりと、細かいことまで言いませんが、情報公開をすることによって、本人の要請があれば、なぜ実はこれは採択もされなかったのかということも含めて、手を挙げていただいて、そして選んでいく、フォローアップもやっていく。
 同時に、全体の、確かに振興会の中で作業にかかわっている事務局等が少し弱いようでございますので、新たに、十五年度の予算の中では、システムオフィサーとかプログラムディレクターといったような、専門家でなおかつ全体がわかる方、そういう方を新たに要求して、そういった体制をつくっていきたいというふうに考えておるところでございます。
平野委員 この振興会の取り扱う科研費、これに対する申請数というのは年間数万件ですよ、テーマ。年間数万件のテーマが来るんですよ。いろいろなテーマがある中でどうやって、テーマの選定のときの判断というのは個人ですか、あるいは事務方がそういうレビューでとっちゃうんですか。ここがもう一つの一番大事なところなんですね。やっと研究経験者の配置を今回しますと言うけれども、実際十四人だ。十四人ぐらい入れて、数万件に一千七百億の科研費を配分していくシステムとして、余りにも、入り口の一番大事なところが大きなウエートを占めていない。
 アメリカというのは大体そこが非常にしっかりしていまして、まず、テーマを選定するときに極めて厳正にする、その厳正にした結果をオープンにする。日本というのは、何か、通った、よかった、通った人だけがよくて、落ちた人は何で落ちたのかようわからぬ。大体それが今の実態だと思うので、渡海副大臣が、透明性を確保とか、こういうことを言われましたけれども、一千七百億の科研費を配分する、その件数というのは大体年間数万件、約三万ぐらい来る。もっと来るんですか、審査件数。日本でいったら十三年度で十一万件ですよ。そんなのが本当にやれるんですか。だから、私は、少なくとも評価、審査プログラムをしっかりした上で、どう人員を配置するかというふうに決めておかないと、たった十四人を、今回研究経験者を配置します、それで事足りるような問題ではないような気がしてしようがないんですが、その点はどうですか。
渡海副大臣 委員御指摘の認識は、大変重要な認識だと思います。
 アメリカのシステム、NSFなのかな、これも、四、五百人そういう方がいらっしゃるんだというようなことも聞いております。
 ただ、先ほども申し上げましたように、そういった体制を補強すると同時に、我が国ではピアレビューをよりきっちりやろうということで、大学の研究者等にお願いをして、先ほども申し上げました、三千七百人ぐらいの方々に、きっちりと仕分けをして専門的に見ていただくという作業をしていただくわけでございます。しかし、その認識のもとに、先ほど申し上げましたこの十一人という管理者としての専門家以外にも、約九十名近い新たな職員の増強を要求して、そういう仕事に当たっていきたい。
 なお、私は、この評価というのは、ある意味日本では非常に新しいと思うんですね。我々も随分議論してまいりましたが、きっちりとやり出したのは最近だと。ですから、そういう意味でも、これからやはり不断の努力を続けて、この評価システムをきっちり確立することが、先ほどから平野委員がおっしゃっているように、資源を有効配分し、なおかつ戦略的に使っていくということは大変重要だと思いますので、今後とも不断の改善の努力をしてまいりたい、そのように考えております。
平野委員 例えば、日本学術振興会では、大体定員の七割ぐらいを文科省から派遣しているんですね。そこで、研究のよくわからない人が人員に比べて膨大な処理をするものですから、審査の質が実質的に上がらない、こういう要因になっている一つではないかなと僕は思うんですね。
 渡海副大臣が言われましたが、これ以上追及は、質問はいたしませんが、ぜひともここの評価システム、これは学問的にも成り立つ領域だと思うんです。特に、テクノロジーに対するマネジメントというこの領域は、今までなかなかないんです。一般的には、技術管理であるとか研究管理であるとか言われていますが、何か、技術屋のなれの果てがそういうところについておりまして、本来、テクノロジーマネジメントということが独立した学問になり得るんだけれども、日本ではまだそれを一生懸命やっているところというのはないですね。
 これが、やはりこれからの、経営をしていく、あるいは技術立国日本により育てていく、世界に冠たる科学技術立国日本にしていくためにマネジメントが一つの大きな領域を占めると思いますものですから、そこへの視点、そういう人材をどうこれから輩出していくかということをしっかりと持っていないと、この評価、審査、マネジメントしていく領域というのは絶対によくならない。研究者のなれの果てが研究管理者じゃないんですよ。これは、ノーベル賞をもらわれた田中さんも一生懸命言うていましたでしょう、私は研究したいんです、部長、偉いさんになっても、管理者にはなりたくないんです。違うんですよ、マターが。だから、しっかりとそこをぜひ要求しておきたい、このように思います。
 さらには、透明性の向上というのは非常に大事な視点であります。今回からは、審査で漏れたけれどもこういう視点でだめだったんだということを、やはり、漏れた人にとっても、こういう理由で漏れたんだなということがよりはっきりわかるように、また、税金を使って科研費を配分するわけですから、国民に向かってもしっかりわかる、透明性の確保をぜひお願いしておきたいと思います。
 特に、特殊法人ではしっかりと監査をする。独立行政法人になるとますます透明性がわからなくなる。これは現実的にわからなくなってきますよ、関与をしないんですから、関与を薄くするんですから。まして、数がたくさんある中にあって、今でも会計検査院だって定例的にきちっとやれているかというと、やれていないですよ。何でやれていないんだとこの間ある委員会で質問すると、数が多過ぎてとても手が回りませんと言っておるんですよ。まして、独立行政法人になったら非常に透明性を確保しにくくなるのではないか、このように危惧するところでありますが、その点については、より透明性が確保できるとお考えでございますか。
渡海副大臣 全くそのとおりでございます。
 先ほど申し上げました振興会の科研費等につきましても、まず、利害関係者を排するとか、それから落ちた理由をしっかりと、これまではただ落ちましたよと言っていたものを、しっかりと理由を知らせるとか、あらあらの点数をちゃんとお教えするとか、開示請求に応じてきっちりと情報公開をするというふうにしておるところでございます。
 また、独立行政法人の評価委員会が各省庁に設置をされるわけでございますが、毎年度及び中期目標の終了時には、業務実態、状況について必要な情報収集なり調査分析、こういうものを行った上で厳しく評価をするということにしております。
 なお一層の情報公開について努力をしていきたいというふうに考えておるところでございます。
平野委員 ぜひそれはお願いをしておきたいと思います。
 もう一つは、私、同じような研究形態をとっておる、中身によっては違うという御答弁でしょうけれども、例えば今回、科学技術振興事業団が独立行政法人で科学技術振興機構、別に、事業団から機構に変わったからといって、名前を変えただけじゃないですか、これは。それと、日本学術振興会、これは独立行政法人で日本学術振興会、こうなっているんですが、これの業務範囲を見ますと、別に二つを一緒にしたって全く弊害がないような気がするんですね。これは、二つに分けておく方が弊害があると思うんですが、一つになぜしないのか、これが僕は一つの疑問でございます。
 いま一つは、特に資金の供給主体というのは、やはり両方に申請をする人だっているんですよ、同じテーマでも。だから、二重取りする可能性があるのです。これが一つの法人であれば一カ所しかないのですが、こちらにも請求して、こちらにも請求しようという、悪い意味なのかいい意味なのかわかりませんが、テーマによっては出てくるんですよ。そんなのだったら、これを一緒にした方がいいんじゃないですか。
 これはなぜ、独立して独立行政法人二つにする理由は何なんですか。
渡海副大臣 まず、この二つの法人は、時間があれですから細かいところは申し上げませんが、いわゆる学術振興事業団、これは、どちらかというと、これから新しいものにチャレンジしていくといったような国の戦略目的に基づいて、総合科学技術会議がございますけれども、トップダウン式に上から目標を与えて、そのことによっていろいろな事業を幅広く進めていく、そういった性格がございます。一方、学術振興会というのは、研究者の自由な発想、いわゆるボトムアップといいますか、そういった大学等の学問の支援を目的として設置をされた。これが経緯でございます。
 それだけに、例えば研究費助成につきましても、どちらかというと、少し種類の違う持ちかけといいますか提案をしておりまして、そういった意味では、それでも確かに委員がおっしゃるように重なる部分が、両方出している人がいるのかもしれません。しれませんが、基本的にやはり、同じ助成事業であってもやっていることは違うのだ。しかも、振興会の方は、どちらかというと、常に研究者と一体となったような、そういった形でございますから、独立してこれを一つの組織にした方がいいだろうという判断をしたということでございます。
 なお、業務の調整は行って、例えば情報を管理する問題等につきましては、よりどちらで一元化する方がいいのかというふうなことについては、連携を深めてやっております。
平野委員 しかし、今、渡海副大臣おっしゃったけれども、トップダウンで国が主導でやるのだったら、別に、では特殊法人でもいいんじゃないですか。それをわざわざ独立行政法人にする必要はないじゃないですか。まして、基礎研究、基礎的な部分、民間でできない、国がやる、特殊法人でいいじゃないですか。直轄でもいいと僕は思っているんですよ、特殊法人にしなくても。なのに、あえて独立行政法人にして、事業団から機構に名前を変えている。こちらはボトムアップだというのだったら、これはわかります。ボトムアップというけれども、ここは費用を割り振りしておるだけですよ。そういうのだったら、別にこれを一緒にしたからといって、一つの法人で、このボトムでやる部分、さらには中長期的にやる部分、分けたっていいのであって、なぜ二つに残しておく理由が、中身的に言うと、余りにも不透明だと私は思います。
 一言だけ、言いたかったらどうぞ。
渡海副大臣 資金の配分の点について、ちょっと特徴的なところを申し上げただけでございまして、もっとほかの事業もいっぱいおのおのの法人は抱えておるわけでございます。むしろ大学の連携機関といいますか、いわゆる学術的な部分の組織としての部分が非常に強かろうというふうに私は考えております。
 ただ、特殊法人については、これは実は、そのままの形態でもいいか悪いかというのは全体の議論でございますから、これをやると、私の意見もありますけれども、長くなりますので。
平野委員 時間が参りましたので、次に行きたいと思いますが、もう一つは、科学技術振興事業団、JSTという事業団があるのですが、文献情報の提供勘定について、産投特会から出資金を受け入れる形で予算化しているんですね。これは科学技術振興事業団の一般勘定とは別の勘定になっていますが、今回、独立行政法人化になった後も維持される、こういうふうに聞いておりますけれども、これはどういう根拠で維持するのですか。簡単で結構です。
渡海副大臣 JSTがやっております文献情報の提供というのは、高い公益性を有しているという性格の情報である一方で、利用者から実は料金をいただいておる、収益性が見込める事業でもあります。その趣旨で、産投特別会計の出資を受けてなじむ種類の事業であるというふうに考え、独立行政法人になりました以降もその体制で行いたいというふうに考えておるところでございます。
平野委員 それは本末転倒しているんじゃないでしょうか。一般会計から出せばいいじゃないですか。ここがこういうことをすると、あと人件費についてつけかえをしたり、今回の特殊法人の改革のポイントは一体何だ、人件費が下がります、何ですか、これは。文献情報提供業務の効率化、平成十五年十八億円縮減します、一層効率化します。よくその裏を読んだら、今まで特会の部分を別のところに振りかえておるだけじゃないですか、この中身は。
 こういうややこしい出資金のものを抱きかかえたような特殊法人は極めて問題だと私は思っているのです、ふだんから。電源特会でもいろいろありますが、今回また見たら、産投特会がここにひっついているということですが、よく見て、今回の改革のポイント、文献情報提供業務の効率化、もう大上段に書いているんですよ、削減していますと。削減しているんじゃないんですよ、どこかにそのあれを割り振っているだけなんですよ。ここはどうですか、本当に削減していますか。
渡海副大臣 その問題の中身については、私、申しわけありませんが、平野委員、細かい点について実は今承知いたしておりません。これは無責任に答えられないと思いますから、国会ですから。ですから、きっちりと調べて、改めてお答えをさせていただきます。
 ただ、会計システムとしていわゆる別の会計を持っているということそのものは、別にそのことによって、それがいけないじゃないかとは。もしそういうごまかしが行われていれば、それは問題だというふうには思います。きっちりと調べさせていただきたいというふうに思います。
平野委員 いや、二重のお金の出るところがあれば、使い方としては、一般会計予算についての仕組みとして監査は受ける、特会は特会として受ける。そうすると、使い方によって、あるときにはこちらに振ったり、あるときにはこちらに振る、こういう隠れみのをつくるシステムになるから、より透明性というのはない。したがって、こんなの別に特会でやる必要がなくて、一般会計からの出資金を廃止して、すべて補助金にすればいいんですよ。簡単なことなんです。今までやっていたから継続してやっておるだけで、そのシステムに乗って削減をいたしましたと言っておるだけなんですよ。
 これは渡海さん、ぜひよく見てください。紛れもなく人件費をこちらに振っているだけですよ。こんなやり方で、改革をしましたと石原大臣が旗を振って、そんなつけかえして改革しましたなんと言ったら、片腹、笑われますよ。
遠山国務大臣 これが文献情報提供勘定になっておりますのは、この組織は、国内外の研究者がやりました科学技術情報を加工してデータベースをつくり、それを利用するときに利用者がちゃんとその料金を支払うという収益事業になっておりまして、したがって、これは特別勘定になっているわけでございまして、むしろそこのところを切り離して、きっちりと扱うというためのものでございます。その点の誤解は解いていただきたいと思います。
平野委員 だったら、本体業務と性質が違うのだったら、切り離しなさいよ。切り離すことも改革の中の一つなんですよ。ずっとそのまま持ち続けることないんですよ。切り離して、そういう部分であれば、別の、国立情報研究所のようなところへひっつけたらいいんですよ。一緒にするからややこしいので、本体業務と違う、今まさに大臣おっしゃったとおりですよ。だったら、切り離したらよろしい。そんなこともせずに、つけ足しみたいに特会も一緒にひっつけてということですが、これは余りにも安直に独法化し過ぎている事例を私は申し上げておきたいと思います。もう時間が終了しましたか、宇宙開発のことについて最後に一つ申し上げておきたいと思います。
 宇宙開発の特殊法人に対しては、アウトソーシングを結構しておるんですが、今度独法になったときにこのアウトソーシング会社はどうなるんですかというのを最後に聞いておきたいと思います。
渡海副大臣 これまで同様アウトソーシングをできるだけ進めていきたいというふうに考えております。先ほど山元委員の質問でもお答えをさせていただいたところでございますが、これからさまざまな分野でいろいろなことが起こったときにできるだけきっちりとそれを推進できる、そういう体制をつくって、産学の推進体制を宇宙分野についてもつくって、その中でしっかりとアウトソーシングの具体的なやり方とか、それからスケジュールとか、そういうものも含めて検討していきたい、そのように考えておるところでございます。
平野委員 時間が参りましたので終えますが、アウトソーシングした会社だけがもうかる仕組みにはしないようにチェックを入れてくださいね。よろしくお願いします。
 終わります。ありがとうございました。
保利委員長 次に、中西績介君。
中西委員 私は、独立行政法人、特に文部科学省所管の問題について中心にお答えをいただきたいと思います。
 時間がわずか二十五分ですから前語りは抜きにいたしまして、「特殊法人等の改革のために講ずべき措置」として、独立行政法人につきましては、「廃止又は民営化できない事業であって、国の関与の必要性が高く、採算性が低く、業務実施における裁量の余地が認められる事業を行う法人は、事業の徹底した見直しを行った上で、原則として、独立行政法人通則法及び個別法に基づく「独立行政法人」化する。」ということになっております。
 そこで、特殊法人から行政法人化することのメリットは何があるのか、私、疑問視するようなことがございますので、この点についてお聞きをいたします。
石原国務大臣 独立行政法人が特殊法人に比べて何の点がすぐれているのかというお尋ねであったと思いますが、国の関与というものが特殊法人に比べて少なく、さらに自律性を高める一方で、経営責任を明確化し、そのことによりまして役員等々の報酬も業績主義で、低業績であるならば役員の方の解任ということもあり得ます。目標管理と厳格な外部評価を行うことによりまして、組織自体の廃止も含め、三年から五年で見直すという新たな見直しの仕組みを入れさせていただきましたなどなど、特殊法人に比べて独立行政法人はメリットがあるものと考えております。
中西委員 特殊法人については、いろいろ指摘されるところを今私、ここでは改めて申し上げませんけれども、特に、今言われたように、三年ないし五年で見直しをすると言っております。その内容的なものはそれぞれ具体的な中身によってこれが検証されていくと思っておりますけれども、こうした内容が出てくるに当たって一番留意をなさった点、今いろいろ理由は言われましたけれども、その中で最も改革に値すると思う一番重点は何であったかということをお聞きしたいと思います。
石原国務大臣 多々留意する点はございましたが、今ここで中西委員の質問に改めて頭をめぐらせますと、外部からの評価、そして責任の明確化、この二点、やはりこれからも留意をしていかなければなりませんし、重要なポイントではないかと改めて感じております。
中西委員 自己責任ということは、今まさに日本の社会問題として大きく浮上してきておる問題であります。すべてがだれかに責任をなすりつけてやっていけばその場しのぎができるものですから、そうした企業を初めとするモラルが荒廃しておるということは、もう私がここで申し上げるまでもありません。
 したがって、今言われた自己責任、外部からのそうした評価、こうした点が本格的にやられるといたしますと、これから後、今までの法人のそうした具体的な問題を全部検証し直しまして明らかにし、そのことがある程度公表される、公開されることによって、今言われた外部から云々という問題につながっていくと私は思います。
 ですから、これからやはり民間企業にいたしましても、このような法人にいたしましても、すべてこうした問題が当たり前になる、通念的になるということが一番大事ではないかと思っています。その点は同感です。ですから、これらを中心にして物を考えるときには、よほど皆さんが御納得いただける、そうした内容についてはこの独法化するにおいても言えるんじゃないかと思っています。
 そこで、もう一つ、このように改革するに当たって講ずべき措置としてその中に出てきておりました特別な組織形態として認められるものは、例えば、例は共済組合類型の法人四十七だとかいうふうなことが言われておるようでありますけれども、どういうものをしてこのように特別組織形態を認めていくおつもりなのか、この点についてお答えください。
堀江政府参考人 御答弁申し上げます。
 特殊法人等整理合理化計画におきましては、各法人につきまして徹底した事業の見直しを行った後で、その組織形態を検討いたしました。その結果、例えば特殊会社等の民営化でありますとかあるいは独立行政法人化等を打ち出したわけでございますが、これら以外のものを特別の組織形態等ということで整理をいたしました。
 この特別の組織形態等というのは三つございまして、一つが今おっしゃいました共済組合類型、二つ目が結果として現状の組織形態でいく、それから三つ目が国への直轄化という、その三類型の可能性でございます。
 最初の共済組合類型ということでございますが、特殊法人はいろいろな業務をやってございますけれども、例えば衆議院の共済組合でありますとか各府省の共済組合でありますとか、そういった共済組合がたくさんございます。これは一般の国民等を対象にいたしました普通の行政とまた違いまして、いわば各府省の政策実施機関とは性格が違うわけでございますから、他の特殊法人や認可法人と同列に扱うということではなくて、これらにつきましては特殊法人等の対象から除外して、いわば別くくりで共済組合という形で分類、整理をするということを行ったわけでございます。これが第一でございまして、繰り返しになりますが、具体的には、各府省の共済組合でありますとか、衆議院とか参議院の共済組合でありますとか、そういったものがこれに入るわけでございます。
 それから二つ目は、現状の組織形態により存続ということでございまして、この中には、例えば日本銀行でありますとか、あるいは時限を限って設けられております預金保険機構とか、そういったものが当たるわけでございますけれども、政府から高度の自主性が認められている法人、あるいは国民生活に重大な影響が及ぶような業務を時限的に行っている法人、こういったようなものにつきまして、現在の組織形態を維持するという結論に達したものでございます。
 それから三番目の、国への直轄化という類型でございますが、これは、国の関与の必要性が高く、また採算性が低い事業であって、独立行政法人化など他の組織形態をとることが極めて困難というものでございますけれども、組織丸ごと国へ直轄化するというものは、この整理合理化計画の中には入ってございません。しかし、事業といたしましては、例えば石油公団が行ってまいりました石油備蓄業務を今後国へ直轄化するといったような例があるわけでございます。
 以上でございます。
中西委員 ということになりますと、先ほど論議いたしました独立行政法人、これをするメリットについて先ほど言われましたけれども、そうした点で、挙げられた、共済組合型のものだとかあるいは現状維持型だとか国直轄型だとか言いますけれども、その場合に、そこの区分けというのが非常に疑問視する点が出てくるんじゃないかと私は思います。
 したがって、これらについてももう少し、この際ですから、改革をやるということであればあるほど、やはり国民の理解を得るために、国の財政措置を依然としてしなきゃならぬ部分が大部分でありますから、そういうことを考えてまいりますと、これらについてもやはり納得いただける体制を明らかにしていく必要があろうと思います。
 私、二十五分なものだから、個々の問題について取り上げることはできませんので、極めて抽象的ですけれども、そうした点を十分注意していただきたいと思います。
 次に、今度、独立行政法人についてお伺いをします。
 日本体育・学校健康センターを含む六法人、文部科学所管のものについては、解散して独立行政法人に移行いたしますけれども、その一切の権利義務は、国が承継する資産以外それぞれの独立行政法人が継承することは当然であると思いますが、この点については、法に規定されておるように、内容的なものを含めて移行していくということを私はここで確認してよろしいですか。
遠山国務大臣 御指摘のとおりでございまして、今回の改革の対象となっております日本私立学校振興・共済事業団を除きます七法人につきましては、それぞれ、法律案の附則におきまして、現行法人の一切の権利義務は、国が承継する資産を除いて新しい法人が承継することが規定されております。
 今言いました日本私立学校振興・共済事業団につきましては、現行法人の組織形態を変更していないため、影響がないというふうに考えております。
中西委員 では、民間法人化するのが二つあるわけでありますけれども、一つの放送大学学園につきましては、今までは、出資金一億円、これは増資もいたしたようでありますけれども、政府出資でなされております。特別な学校法人として今まで認められてまいりましたけれども、今回の場合には、この設置主体が学校法人になることと同時に、私立学校法を適用する、こうした中身が付随すると思います。
 従来は、校務に従事する職員について公務員並みに見たわけであります役員あるいは職員の問題でありますとか教員の身分等が、今回の場合は完全に非国家公務員になるのかどうか、この点についてお伺いをしたいと思います。
近藤政府参考人 お答えをいたします。
 これは委員御案内のとおりでございますが、現行の放送大学学園の職員は現在も公務員でないわけでございます。新しい法人に移行した後も、その点には変わりがないところでございます。
 ただ、おっしゃるように、現行の放送大学学園法第十七条で、学園の職員について、刑法その他の罰則の適用については公務に従事する職員とみなす、こういう規定があるわけでございますが、新法人は私立学校法上の学校法人となることから、今回の法案におきましてはこうした規定は置かないこととした、こういうことがございます。
中西委員 ちょっとお聞きするところでは、出入りをする人がおる場合には、この点については国家公務員並みの扱いをする、そして、今度はそれが帰った場合には継続をするという身分上の問題と、それから共済関係だとかいろいろなところ、あるいは退職金の問題も含めまして、勤務年限とのかかわりでそこいらが云々されておるようでありますけれども、この点はどうなんですか。
近藤政府参考人 お答えをいたします。
 放送大学学園は、確かに、現在、文部科学省でありますとか総務省あるいは国立大学等との人事交流によりまして出向者を多く受け入れているわけでございます。新法人への移行後も、国、地方公共団体との人事交流は不可欠でございますので、こういったことから、出向者の退職手当ですとか年金の支給の面で不利益をこうむらないように、所要の規定を置いているところでございます。
中西委員 もう一点お聞きしますけれども、学校法人として規定づけられていくわけでありますけれども、その場合、この放送大学学園がこれから以降、私立大学並みに財政措置からすべてを処していくということになるかどうか。この点、どうでしょう。
近藤政府参考人 お答えをいたします。
 放送大学学園は、社会人等に対しまして広く大学教育を提供するために、放送局を有し、放送による授業を実施している、あるいは全国各地に学習センターを設置し、面接による授業を行っているわけでございまして、そういった役割にかんがみまして、今回、所要の法的措置等を講じつつ特別な学校法人とする、こういうふうにされているわけでございまして、この法律案におきましても、放送法上の特例措置でありますとか、現有資産の承継あるいは経費の補助に関する措置等を規定し、所要の事務事業が適切に遂行できるように対応しているところでございます。
中西委員 次に、学校振興・共済事業団について一点だけお伺いします。
 特殊法人から民間法人化されて、共済組合類型の法人になるということを言われておりますけれども、少し私、イメージできませんので、この点どうなっていくのか。さらに、先ほど申し上げた新しい放送大学そしてこの振興・共済事業団、新法人は、権利義務を一切継承するものとして独立行政法人同等に両事業が継続性を担保する自信があるや否や、この点についてお答えいただきたいと思います。
玉井政府参考人 お答え申し上げます。
 事業団につきましては、既に先ほどの答弁がございましたように、特殊法人のあり方についてそれぞれの組織形態の見直しがそれぞれの事業の性格等に応じて行われたわけでございまして、この中で、日本私立学校振興・共済事業団につきましては、その主要業務の一つは共済業務でございますので、これは社会保障制度の一環として運営されておりますので、共済業務を行う他の法人と同様に、共済組合類型の法人として整理をされたわけでございます。このため、共済業務は、従来と同様の方法によって遂行されるわけでございます。
 一方、もう一つ主要な業務でございます助成業務でございますけれども、これにつきましては、中期目標を定め評価を行うなどの、いわゆる独立行政法人に準じた管理手法を導入することが適当と判断されまして、これを踏まえた今回の法改正を今お願いしているところでございます。これによりまして、経営責任の明確化や事業運営の効率化が図られ、事業の遂行に当たっての質の向上が一層図られる、かように考えております。
 既に、この事業団は、平成十年に今までの二つの法人を統合して出発しておりまして、これは私学振興の基盤を強化するためのものでございました。私立学校の経営から教職員の福利厚生に至るまでのさまざまな機能を同一の組織の中で密接に連携して行う、こういうことで、より強固な基盤に立った私学振興が機能的、効果的に推進されるわけでございまして、これまでもその効果はあらわれていると思っておりますので、今回の法改正によってより機能的、効率的な事業が運営できるものと思っております。
中西委員 これに象徴されますように、中身の全く異なる事業二つを、今自信があるということをおっしゃっておりましたけれども、やはり本来的には、独法化するに当たってこれほど論議をしてきた経過があるだけに、先ほどこれもある程度指摘をされた部分もありますけれども、本当に効果的に、そして皆さんから信頼できる体制づくりということになってまいりますと、こうしたやり方が果たしてよろしいかどうかということでございますけれども、きょうは私は時間の関係で申し上げませんが、一応自信があるということでありますから、きょうはこの分で終わりにしたいと思います。
 もう一つは、独立行政法人あるいは新法人は、民間の組織機関になっておるわけでありますから、理事者と職員との間における確認、約束事については、従来どおり変更なくお互いに理解し合った上で、信頼し合った上でやっていける条件が整備されておると思います。
 特にこのことは、所管の文部科学省担当者あるいは関係法人の理事者側との間における積み上げの中でも確認をされていっておると思いますけれども、この点はどうなっておられるのか、この点についてお答えください。
結城政府参考人 先ほど遠山大臣から御答弁しましたように、現行法人の一切の権利義務は、国が継承する資産を除いて新しい法人が継承することになっております。現行法人と職員の間の雇用契約についても、この一切の権利義務の中に入っておりまして、それは新法人に継承されます。
 ただし、新法人における具体の勤務条件など、組織変更に伴う職員の問題につきましては、現行法人、新設される独立行政法人等と職員の間で調整され、決定されるものでございます。
 今回の特殊法人改革に当たりましては、中央省庁等改革基本法において定められておりますように、これまで維持されてきた良好な労働関係に配慮されることが大切でございまして、法人と職員の間において十分な話し合いが行われ、引き続き良好な労使関係が保たれるよう適切な対応がなされることを期待しておるところでございます。
中西委員 今もお答えいただきましたが、近ごろのあり方、幾つか私はずっとこの特殊法人の統合あるいは閉鎖等をいろいろ担当してまいりましたけれども、その中で、やはり一番職員の皆さんが絶えず気にいたします、自分の身分というものをどのようにしていくかということが明確になされておらない限り、こうした問題について手をつけるときには、その後の、例えば目指した独立法人化ができたとしても、そういうものが中にうっせきをしておるということになりますと、その効果というのは決して十分ではないと私は思います。
 したがって、今お答えのあったように、これからも十分そうしたことのしんしゃくをしていただく中でお互いの信頼関係を醸成していただくことが、またこの改革の中でも一番重要な課題ではないか、こう思っています。その点を申し上げて、終わります。
保利委員長 午後二時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時六分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時六分開議
保利委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。河野太郎君。
河野(太)委員 自民党の河野太郎でございます。
 田中和徳政務官にお伺いをしたいと思います。
 政務官は先般、横浜ですか、税関の視察に行かれたというふうに伺っておりますが、現在、民間企業の税関業務に対する不満というのは大変なものがございます。
 私も、今度のこの質問の前にいろいろな業者のお話を伺いましたが、税関業務というか、税関の人間に対する不満の強さというのはかなりのものがございます。伺っていると、どうも役所の方には、そういう不満があるという認識が余りない。役所の方が、いや、どうもうちの行政に不満があって、うちの落ち度で困っていますというのは、これはまだわかるわけですけれども、民間に強い不満がある、しかし官の方はそういう不満があることにすら気づいていないというのは、これは非常にまずいと思います。
 政務官におかれましては、税関の視察もいいですが、港に行かれたら、まず民間の業者を歩いていただいて、どういうことを改善してくれと民間が望んでいるのかということを吸い上げて、この税関業務、適正に物事が行われるように、ぜひ活動をしていただきたいと思っております。
 きょうは通関情報処理センターの法案について質問をさせていただくわけですが、この質問に当たりまして、まず最初に、財務省から全く資料が出てこないんですね。資料要求をしても全然来ない。結局、最後は熊代理事からお願いをしていただいて、やっと資料が出てきたというありさまでございますが、これは一体どういうことなのか、財務省あるいは政務官から御説明を賜りたいと思います。
田中大臣政務官 資料を御要請いただいて、財務省の方から河野委員に対しての十分な資料を提出していない、けしからぬというお話でございまして、事実であれば、これは私も全くそのように思いますし、早速、私自身も、どのような資料がどのような形で出されたのか、後ほど、この場から帰りました後、調べて御報告を申し上げたいと思います。
河野(太)委員 この通関情報処理センターについては、OTOでしょうか、このセンターは情報開示を全くしていなくてけしからぬ、もっとそういうことをきちんと情報開示すべき、特にNACCSの利用料及びセンターの運営費に関する情報はすべて公開せよという強い勧告が出されております。
 そういう勧告を受けて、今、通関情報処理センターあるいはNACCSに関する利用料は、すべてインターネット上でこうした情報が公開されている、そう考えてよろしいですか。
藤原政府参考人 お答え申し上げます。
 ただいま御指摘がございましたように、平成十三年度のOTOの場におきまして、在日米国商工会議所から、ただいま御指摘のような問題提起をいただいておると承知しております。
 これにつきましては、平成十四年の三月二十日、市場開放問題苦情処理対策本部の決定を踏まえまして、情報公開を一層進めまして、利用料金の透明性を高めることといたしております。また、本年十月一日には独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律が施行されておりますので、この法律に基づきまして情報公開を進めているところでございます。
 独立行政法人下におきましても、センターは、NACCSの利用料それからセンターの運営費を含めまして、先ほど申し上げました独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律に従いまして情報公開を進めていくものと考えております。
河野(太)委員 政務官、今の答弁は何ですか。すべての情報がインターネットで見れるかという質問をしているんですよね。答えていますか、今の答弁は。政務官、どうですか、答えになっていますか。
田中大臣政務官 今の河野委員の質問について答弁をした内容についての御不満ということでありますので、再度、重ねて答弁をさせます。
藤原政府参考人 恐縮いたしました。
 先ほどのインターネット上で開示されているかどうかという点でございますけれども、インターネット上にはそのものは開示はされておりません。リストは開示されておりますので、それに基づきまして、御要求がありましたら提出を、開示をするということになっております。
河野(太)委員 政務官、こういう態度なんですよ。情報公開やっています、さんざん長々しく答弁をしておいて、では、インターネットで見れるのかと言ったら、見れないんです、それでやっていると言うんですね。こういうことなんです、一事が万事。今の財務省の体質なのか、この通関に関係している部門の体質なのかわかりませんが。
 大体、この通関情報処理センターがやっている業務、あるいはこのNACCSというシステムがやっている業務は、いわば関税の徴収を国にかわってやっているわけです。国にかわって税金を徴収するシステムをつくっておいて、国が金払うんじゃなくて、利用者から金を取っているというのは、これはどういうことですか。財務省の答弁を求めます。
田中大臣政務官 委員も御存じだと思いますが、NACCSは税関手続、これと密接に関連する民間業務を一体として処理するシステムでございまして、このため、税関の手続の単純な電子化にとどまらず、倉庫管理などの純粋な民間業務のほか、申告書作成の支援など付加的なサービスを行っております。国の業務に関するものにつきましては当然国も料金を負担しておりますけれども、民間業務や付加的なサービスに関するものについては応分の料金をいただいている、こういうルールになっております。
河野(太)委員 私はそれが問題だと思うんですね。
 要するに、国に関税を納めるシステムというのは、利用者が無料で使えてしかるべきものだと思います。それだとこういうわけのわからぬ法人をつくることができないから、民間業務をここに投げる、それで、それについては利用料を取る。このシステムは、関税を納めるシステムでありますから、これを使わなきゃいかぬ、そこまではわかります。しかし、民間業務をやるためのシステムに関しては、何もここを使う必要は全くないわけですね。もっとほかによりよいシステムがより安く提供されるのであれば、そちらを使ってもいい。そのかわり、最後の関税を払うところは国の提供したシステムを、これは国が提供するわけですからただになるはずですね。そういう選択肢が当然与えられていいんだと思います。
 このわけのわからぬシステムをつくるときに、いや、いろいろな民間の人も入れました、そういう答弁が、そういう説明があるわけですが、さっきの答弁ぶりを見てもわかるように、今の日本の税関の関係している業者がまともに役所に反論ができる、そういう体制になっておりません。そういう状況の中にあって、民間を審議会だか協議会の中に入れて民間の話も聞いているといったって、役所の言っているものに反対する人間が出るわけはないわけでございます。
 私がここでお願いをしたいのは、このシステムは八年で償却されて、新しいシステムに恐らくなるんだろうと思いますが、金がなければ多少延びるかもわかりませんが、しかし、この次にシステムをつくるときには、きちんと国の業務をやるシステムと民間の業務を代行する部分を切り分けて、国の業務をやるシステムについては、これは民間にも使っていただかなければならぬと思いますが、民間業務を代行するシステムにおいては、これはきちんと切り分けをして、ほかに民間でこういうシステムを提供するところがあればそれも使える、そういう選択肢をつくっていただくのが筋だと思います。いかがでしょうか。
田中大臣政務官 この業務については以前からいろいろと検討され、いろいろな業務のケース・バイ・ケースでいろいろと検討してきたわけでありますけれども、国と民間を一体としてやっていくというのが一番便利がいい、このような判断で今日このような形になっております。
 今後、いろいろなことで検討されることが出てくると思います。独法化されていけば、さらにやはり、民間としての立場も十分に考えていったり、あるいは、業務のディスクロージャーあるいは競争、これらの原理はどんな分野にも当然導入されていかなければなりませんし、利便性も高めていかなければなりません。特に港湾あるいはエアポートのワンストップサービスというのは私たちの政策の一番基本でもございまして、そういう取り組みにどのように即して対応していくか、これは非常に重要だと思います。今、河野委員からもいろいろと御指摘がありました。これらのことも含めて今後検討をさせていただきたいと思います。
河野(太)委員 財務省は、何だかワンストップサービスというのを勘違いされております。ワンストップサービスというのは別に、お客さんの方から見てワンストップであれば、裏のシステムがどう切り分けられているかというのはお客様には見えないんですね。システムがきちんと分かれていれば、それでいい話であります。それを、ワンストップだからシステムが国と民間と混然一体となっていなきゃワンストップだと思っていないというのが今の財務省の説明で、これは明らかに間違っています。そういう人間が行政をやっているところに大きな問題があるわけでございます。
 しかも、石原大臣もそこにお見えですから聞くだけ聞いておいていただきたいんですが、この処理センターが払っているシステム利用料……(発言する者あり)両大臣いらっしゃいますので、お聞きいただければと思いますが、この八十億円、年額にして八十億円というシステム使用料は、全く入札も何にもなく、随意契約で行われております。何で随意契約にせにゃいかぬのか、そういう問いに対して出てきたのは、A4一枚にわずか八行ぐらい書いてある、その書類一枚で、八十億円が随意契約になっている。これでは、システム使用料を下げるインセンティブなんか、新しくできている独立行政法人には何もないじゃないですか。
 あるいは、今、国が五十億円の支払いをこのセンターにしております。これも国が払っていますけれども、国は黙っていても払ってくれるわけですから、センター側に、こういう国の負担を下げよう、あるいは民間の業者の負担を下げようというインセンティブは全く何もありません。黙っていて、手を出したら出してくれるわけですから、こんな楽な商売はないわけです。
 少なくとも、今一生懸命民間がコスト削減に努力をしているときに、必ず通らなければいけないシステムを提供している人間がこんなあほなサービスをやっていたら、民間のコストダウンの努力はあっという間にむだになってしまうわけでございます。
 独立行政法人が新しくできたときに、こうしたコストを下げるインセンティブはどのような形でこの独立行政法人に与えるつもりなのか、財務省のお考えをお聞かせいただきます。
藤原政府参考人 お答え申し上げます。
 時間もありませんので、手短にお答えいたしますけれども、NACCSの利用料金でございますけれども、そのNACCSの運営に係る経費の総額を、システムの利用実績に基づきまして算出いたしました官民それぞれのコンピューターの使用度合いによりまして分担するということになっておりまして、国、民、それぞれ使用料はこれに基づいて適正に算定しております。
 それで、引き下げるインセンティブはあるのかというお尋ねでございますけれども、センターは従来から独立採算、企業的運営を行ってきているところでございますけれども、今般の独立行政法人化によりまして、例えば第三者機関の評価を受けるということになるなど、さらなる業務の効率性の向上、質の向上を図ることが当然求められているところでございまして、これを通じまして、先ほど御質問にありましたような、例えば国がセンターに支払うシステム利用料金の低廉化が図られていくものと期待されるところでございます。
河野(太)委員 政務官、今の答弁を聞かれましたか。八十億円を随契で丸投げして、そのコストを国と民間とどう分けるかという協議をやっているわけですよ。八十億を下げようなんて努力はだれもやっていないわけです。官と民でどうその八十億を分けるかというところに血眼になって、またコストが上がっているわけです。こんなばかなことをいつまでもやっていて本当にいいのかと私は思うわけです。
 このシステムあるいはセンターの運営がいかにおかしいかという一つの例を申し上げますと、例えば、このNACCSというシステムがダウンをして復旧するのに一時間かかってしまった。そのために一時間分の作業が民間業者で行われなかった。すると、当然、税関の業務は終わってしまったかもしれませんけれども、その一時間の分はその日のうちに処理しなきゃいけませんから、税関をあけておいてもらうわけですね。そうすると、臨時開庁手数料というのが発生をいたします。それで、今何が行われているかというと、この情報センターが持っているシステムがダウンしたことによって臨時開庁手数料の支払いが発生しているのに、その手数料をだれが払っているかといえば、このシステムを使っている利用者が払っているんですよ。
 八十億円を、技術があるからとかなんとかいう理屈をつけて随契でシステム業者に丸投げをして、その業者のメンテがおかしいからシステムがダウンをして、その結果、民間でこれを利用している方が一時間業務ができなくなって、一時間後ろに仕事がずれた。一時間税関はあけておいてもらわなきゃいけない。そのときに発生する手数料を何で民間が払わなきゃいかぬのですか。システムをダウンさせたシステム業者が払うか、この情報処理センターが払ってしかるべきじゃないんですか。政務官、どうですか。
田中大臣政務官 今の質問に対してでありますけれども、もちろん、これはトラブルが起きたときの危機管理というものをやはりきちっとしておかなければならないことは当然でありますし、だれがそれらのことを負担するんだ、こういう御指摘でありまして、もちろん、原因者というものが責任をとるということも当然であります。私どもも今、河野委員の話について、今後独法の中で、新しい時代を迎える業務でありますし、これは当然のことながらしっかりとチェックをして、正すところは正す、このようにしていかなければならないと思っております。
 ただ、私も実際に関係者の皆さんと会いましたし、Sea―NACCS、Air―NACCSの方のいろいろな御不満も聞いてまいりましたが、システムそのものは、我が国のシステムは非常に優秀なんですね、評価は高いんです。ただ、そのことと、今河野委員の御質問されたことはやや違う話でありますから、これは当然、この点については、私どもも対応について今後しっかりと努力をして、やはりいろいろとユーザーの皆さんにおこたえをする責任があると思っております。
河野(太)委員 役所だけじゃなくて政務官も質問にお答えをいただけないのはまことに残念でございますが、手数料はだれが払うべきなんでしょうか。
藤原政府参考人 先ほどの問いでございますけれども、システムダウンの場合についてでございますが、一日の利用時間全部につきましてシステムの利用ができない場合に、センターのシステム利用規程に基づきまして、センターが利用者に対しまして損害を賠償することになります。
 それから、そのセンターが賠償する額は、センターがシステム契約先から受ける賠償額を限度とすることとなっておりまして、システム契約先がセンターに行う賠償額につきましては、データ通信サービス契約約款に基づきまして、システム契約先の責めに帰すべき理由によりまして各種システムサービスの提供をしなかった場合に、利用できなかった日数に対応するシステム使用料の合計額をセンターに対して賠償することとなっております。
 それで、先ほどのお尋ねの臨時開庁手数料でございますけれども、ここには含まれておりませんので、臨時開庁の承認の申請をされまして承認を受けられた方がお支払いになるということでございます。
河野(太)委員 要するに、システムが一日ダウンしたら面倒見てあげましょうというのが今のセンターなんですね。忙しいものを、早く届けなきゃいけないから、わざわざ航空便で送ってくるんじゃないんですか。わざわざ紙で申請をしないように、電子申請をやっているんじゃないんですか。紙の時代に一日だからというのはわかるかもしれませんけれども、電子の時代に、一日ダウンしたら面倒見ます、一時間ダウンしたら利用者が金払え、こんなばかなセンターはないでしょう。
 私は、委員長にお願いをしたいのは、この法案だけはぜひ一括の採決の枠から外していただいて、私はこれに反対をさせていただきたいと思います。質疑、まだありますが、時間が終了いたしましたのでここで終わりますが、私は、この独法には断固反対でございます。
 ありがとうございました。
保利委員長 次に、佐藤謙一郎君。
佐藤(謙)委員 民主党・無所属クラブの佐藤謙一郎でございます。
 きょうは、税金のむだ遣いの象徴でありますダム、とりわけ水資源開発公団の問題で質問したいと思うんですけれども、単なる国民の税金のむだ遣いではなくて、そうしたダム建設のしわ寄せが、健全な、善良な住民に水道料金という形でしわ寄せしてきている。その論点からお話をしたいと思います。
 まず、扇大臣は今、東京の渋谷にお住まいだということですけれども、毎日どこからの水を飲んでおられるのか、そして水道料金がどのぐらいなのか、御存じでしょうか。
扇国務大臣 私は東京に住んでおりますので、群馬県等々、あらゆる県外、都外と言った方がいいでしょうね、近隣のところから、利根川も含めて、水をいただいているというのはわかっておりますし、また、私は少し高台ですので、水が不足しますと時々水圧が下げられるということも経験しております。
 水に関しましては、一リッター幾らとかという計算は見ておりませんけれども、私、普通の世帯でございますから、大体月五千円から六千円というところが常識的な一カ月の水道料金です。
佐藤(謙)委員 東京ですから、東村山浄水場、多摩川系と、それにブレンドして利根川水系が一部入っているということですが、ここで何も扇大臣の水道料金を知ろうと思っているわけではありません。この後、実はそれが非常に重要な意味を持ちます。
 石原大臣、今、東京都の水道料金が確実に二、三〇%、このダムがつくられることによって上がるだろうと言われているダムが計画、着工されようとしていますけれども、どこのダムか御存じですか。
石原国務大臣 違ったら恐縮ですが、たしか群馬県のダムだと承知しております。
佐藤(謙)委員 群馬県の吾妻渓谷を水没させ、川原湯温泉を水没させる。草津から水をとってきます。酸性度の非常に高い、そこに石灰をぶち込んで中和をして、そしてそれが東京に引かれる。実は、そのために、今でも負担金が東京都で千百億、埼玉県が九百億円。これは確実に、大変大きな水道料金の値上げに結びつくことは必至だと思われておりますけれども、東京都のいろいろな仲間に聞いても、知人に聞いても、ほとんどそのことが知られていない。
 そこで扇大臣にお聞きしますけれども、三重県の亀山市というところ、ここで水道料金が一気に五倍にはね上がる、そういう議論がなされています。トン当たり三百八十円が、長良川河口堰の建設によって一気に二千六十円にはね上がる、こうしたことから、実は、亀山市は、この長良川河口堰からの導水計画、受水を見直そうということで、今大きな問題になっておりますが、その件について御存じでしょうか。
小林政府参考人 お答えをいたします。
 三重県が事業主体となっております北中勢水道用水供給事業の一部であります北勢系第二次拡張事業の給水対象の亀山市が、当該事業からの受水に関しまして、自己水源の依存量を検討した上で、市民や議会の意見も参考にして検討を進めるために態度を保留しておられるということにつきましては、新聞報道等から承知をいたしております。この新聞報道等を踏まえますというと、亀山市では受水時期等についての検討を進めておられるところでありまして、御指摘のような受水拒否という状況にはないものと認識してございます。
佐藤(謙)委員 受水拒否ということにはならないだろう、こう言われておりますけれども、私の知るところでは、確実にこれは受水を拒絶する流れになるだろう。三重県では、美杉村が一九九四年に受水拒否をして、それ以来、この亀山市が今問題になっております。現在の水道水源が鈴鹿川の流域の地下水を使って、これは大変おいしい水だそうですけれども、それに対して、今度長良川の河口堰の水を入れる、それに対する反対運動が実は近隣の鈴鹿市にも広がって、この流れはとめられない流れになるんではないかなというふうに考えられます。
 特に、三重県の北勢四市六町につきましてはいまだにその導水施設は未着工ということでありますし、いち早くそれをやむなく取り入れた愛知県の知多を中心とした五市五町、それから三重県の津を中心とした中勢二市七町一村につきましては、導水施設を引いたわけでありますけれども、水道料金の高騰が相次いでいるわけであります。
 これは、例えば工業用水と水道水が合わせて秒二十二・五トン、こうした取水可能トン数に対して、現実に、二十二・五トンのうち実際に使われている工業用水はゼロ、そして上水だけは二・九九トン、三トン弱ということでほとんど使われていない、水余りの典型だということでありまして、そのために、一部、三重県では、これ以上導水管を布設することをやめようという議論や、あるいは五年間の受水延期を決めたというふうに聞いているわけであります。
 私は、実はこの質問を申し上げるときに、国土交通省は、これは厚生労働省の問題であろう、そういうお話でありましたけれども、実は日本全国七水系で水資源開発公団がまさにむだなと思われるようなダムをあちこちでつくっているわけでありますけれども、その国土交通省が、一体どういう形で国民にその負担が強いられていくのか、あるいは住民にそうした問題が転嫁されていくのかという、その辺をしっかりと把握しておくことというのは、とりわけダムをつくる主体としては大事な考え、見方ではないだろうかと考えます。
 特に、水資源開発公団が批判をされているのはどういう点かというと、ダムづくりがとまらない理由の一つとして、不要な水を買って周辺の自治体はその負担がどんどん膨らんでいっても公団は一切腹が痛まない、そういうシステムがあるわけで、国土交通省が基本計画をつくりそれに従って地方自治体の負担によって建設するという、その構図がここまで大きくダム建設を推進してしまった原因ではないかなというふうに考えるわけであります。
 そこで、利水者、とりわけ住民への啓発というのが大変大事だと思いますけれども、ダム建設の是非を直接住民に問う仕組みというものが必ずしも十分にできていないんではないかなというふうに考えるわけであります。こうした意見を反映させる仕組みというものを、扇大臣はどういう形で実現をしていこうとされているのか、その辺についてお聞かせください。
扇国務大臣 今、水というものは、我々の生活に切っても切れない重要なもので、このごろはペットボトルの水を買う人の方が多くなったなんて一時言われるんですけれども、それよりも何よりも、私たちは、生活に切っても切れない水というものの大切さと、今おっしゃるように利水、治水両面での確保というものがいかに大事かということは、河川事業では両方言われるわけです。
 今、佐藤議員がおっしゃいましたように、もともと利水ということで始まった事業が、河川の下の方では工場がつくれなかったりなんかで利水の面の利用度が減ってきたということで、ダムを見直すというのは今大変重要なことである。治水に関しては当然だと思いますけれども、まず、今佐藤議員がおっしゃったように、ダムをつくるときにいかに住民の声を聞き取るかということで、これは既に平成九年、佐藤議員も御存じのように河川法を改正いたしました。そして、その改正した中で、地域の住民の意見を反映させることを河川法に、これは規定してございます。
 ですから、その規定どおりに、皆さん方に事前、そして説明をきちんとして、流域の皆さん方に住民参加となる委員会をつくっていただいて、その委員会で皆さん方に公聴会あるいは説明会、そしてセミナー等の開催によって、少なくとも河川法に、いろいろな工夫をして皆さん方の、住民の声を取り入れようということが明記してございますので、その実行を行うということを地方自治体に指導しているところでございますので、住民の声はそういう形でくみ入れているというのが事実でございます。
佐藤(謙)委員 水資源開発公団では、四十九のダムや堰を既につくっておりますが、そのほかにも、今十八のダムや堰をつくろうとしております。この見直しというものは非常に大事だろうと思いますが、実は河川法の規定では、そうした見直しについて住民の意見を聞く、そうした手続というのは実は行われていないはずであります。そういう、今、我々が問題にしなくちゃいけないのは、公共事業の見直しというものが全日本的に行われて二百三十の公共事業が見直されたにもかかわらず、水資源開発公団が担っているダム、堰については一部中止を含めてたった二つという段階でありますけれども、こうした住民参加というものが十分に反映されていない現場を私はあちこちで見てきているわけであります。
 必ずしも水資源開発公団だけの問題ではありませんけれども、全国のダムの、そうした問題のあるところを見ますと、先ほど申し上げましたように、とりわけ水道料金に影響を与えるということをほとんど知らされていない、そういう住民の反対運動というのは大変多くなっているわけであります。先ほどの三重でも、津市では水道料金がここ数年で一九・七七%値上げをして、さらに二一・七%というふうに大きく上がっておりますけれども、大体二割から四割の幅で水道料金が上がっているわけであります。
 こうした、ダムをつくると水道料金に影響があるということを事前に住民に示していく必要というのは、これは水資源開発公団としてだけではなくて、特に扇大臣が今言われているわかりやすい公共事業ということを考えれば当然そうしたことが必要だと思いますけれども、そうしたことをしっかりとやっていこう、そういう御見解がおありかどうか。
扇国務大臣 私が担当させていただいてから、なるべく情報公開というのを私は基本にしております。そういう意味では、今佐藤議員がおっしゃいましたように、この地方はどこの水をいただいて、そして今後どうなるということを、さっき河野議員からNACCSの話も出ましたけれども、すべて国土交通省はNACCSもただで提供しております、財務省はお金を取っていたんですから。
 私たちは、そういう意味では、国土交通省のあらゆるインターネットを通じて開放して、なおかつ、地域と連携しておりますので、各地方整備局も通じて、私は、そういうどこからもらってどうなるというものも、できれば情報公開していくことに努めたいと思いますし、今後そういうふうに指導していきたいと思っています。
佐藤(謙)委員 その推進の方をよろしくお願いしたいと思います。
 このダムの問題では、今まで、特殊法人改革計画でも指摘されているように、水の需給と実績が乖離している、そういうことがあちこちで見受けられます。ウォータープラン二〇〇〇から、このたび、一九九五年から二〇一五年までの水源の開発必要量を定めましたウォータープラン21が策定されたわけでありますけれども、この中で、例えば水源開発の必要量というものが日量二千百万トン必要だということが言われておりますように、水源開発の推進というのが非常に大きなテーマとしてまだ残っているわけであります。
 今までは、戦後、洪水調節から始まって、あるいは高度経済成長期には工業用水の必要性ということが言われました。しかし、第一次オイルショックの後から、水道用水の開発が、だんだん利水が必ずしも内発性を持たなくなって、ここに来て大渇水時への対応ということを盛んに言われるようになったわけであります。この水需要の増加がおさまったために、大渇水への対応、そうした点から方向転換をされようとしていますけれども、この水の需給と実績の乖離というものが大きくなってきている。そうした場合のルール化をどのようにこれから検討しようとしておられるのか。
 現実に、その乖離の数字として、上水道で大体三〇%から六〇%、工業用水に至っては二%から四八%しか実際には使用されていない、そういう数字が出てきているわけであります。計画達成度の中途点検というものが必要になっている時代だろうと思いますが、どうかその点について御見解をお示しください。
小林政府参考人 お答えをいたします。
 委員御承知のとおり、水資源開発基本計画は、おおむね十年から十五年程度の長期間を対象とする計画でございます。特殊法人等整理合理化計画を踏まえまして、今後、改定作業を行った計画につきましては、おおむね五年を目途に計画の達成状況について点検を行うとともに、その成果を公表し、必要があれば、目標とする年度以前におきまして、計画の全部もしくは一部を変更することとしてございます。
 また、吉野川水系の水資源開発基本計画につきましては、平成十四年の二月に計画の改定を行ったわけですが、その際に、必要に応じて計画の見直しを行う旨の文章を計画の本文に明示した上で閣議決定を行ってございます。
佐藤(謙)委員 こうした水の需要見通しという問題で、もう一つ国土交通省や水資源開発公団が頭に入れておいていただきたい問題に、節水という問題があります。
 例えば、地方自治体に行きますと、市で水道事業をやっている。水道事業が赤字になってはいけないということで、その推進を図らなければいけない。一方で、節水をしなければいけない、そういう議論があっても、前者が後者を否定するような、そういう関係があって、この節水という問題、例えば福岡市が非常に積極的にこれを推進しているわけでありますけれども、一九七八年に二百八十七日の給水制限、あるいは一九九四年にも日本全国を覆った渇水があったわけでありますけれども、これに対して、福岡市の節水の努力によって、私がおります横浜市に比べて、一人当たりの供給量が二〇%横浜市あたりよりも減ぜられている。
 そうした努力によって節水というものが進められているわけでありますけれども、水需要の見通しの中にこうした節水への努力といったようなものが当然入ってこなければいけないわけでありますけれども、水資源開発基本計画、このフルプランの中にこうした考え方をどういう形で入れ込むことができるんだろうか。その辺について、御見解をお聞かせいただきたいと思います。
小林政府参考人 お答えいたします。
 委員御指摘のとおり、これからの我が国の社会に対して安定して水を供給していく、そういう中におきまして、節水というものの重要性、これは申し上げるまでもありません。
 御質問にありますような、水資源開発基本計画を策定する際にそういった節水という要素を加味していくべきではないかという御指摘でございますが、まず、我々、水資源開発基本計画の中で需要量を推定する作業がございます。それは、基本的には、過去のある何年間かの実績、これを踏まえまして将来の需要値を推計する、こういう手法をとっております。さっき委員の御指摘がありましたが、福岡市等々の節水に努力しておられる自治体、企業体、そういったところの成果は、そういった過去の実績の中において反映されてきているというふうに考えてございます。
扇国務大臣 今の節水に関しましては、私自身も主婦でございますから、そういう意味でも、今、佐藤議員の、九州・福岡の、あのホテルまでお客様を断ってしまった水不足というものは私もよく知っておりますので、我々一人ずつが気をつけなきゃいけないということは、もう身にしみて皆さん方御存じだと思います。
 また、その水が汚水としてしかも再利用できるということも、今後は日本の環境問題ということからも、今、少なくとも、あらゆる面でその循環というものをどうしていくかということも、佐藤議員がおっしゃるように、私たちは、二十一世紀、この課題に対処していかなければいけないと思っております。それも開発中でございます。
 それから、先ほど私は水道料金のことを申し上げましたけれども、水道料金そのものは国土交通省ではなくて厚生労働省の所管でございますから、これは水道法で、少なくとも料金というのは一年に一回公表するということになっていますから、所管外でございますけれども、私がお答えしたのは所管外であるということも一言つけ加えさせていただいておきます。
佐藤(謙)委員 今度、水資源開発公団が、開発を抜かして水資源機構という形になるときに、事務局から盛んに言われるのは、多様性あるいは広域化、多目的化、そういうものを調整するためにはこの機構を生かさなければいけない、そういう指摘でありましたけれども、残念ながら、いろいろと質問について聞いていますと、どうも縦割り行政というものが目に見えてくる。
 もちろん、水は厚生労働省ということは私は百も承知ですけれども、例えば、そうした水道料金が上がる。それは、長良川河口堰の場合は、四日市コンビナートを中心とした工業用水に当て込んでいたそうした水需要が、結果として、高度経済成長期が破綻したために企業からの水需要が要らなくなる。そうすると、取りっぱぐれがないようにどうしたらいいか。結局、弱いところにそのツケが行ってしまう。実際には、千八百四十億円のうちの九百三十五億円が、結局、ツケとして受給者に押しつけられる。
 工業用水はノーという。結果として、亀山市ですとかそうした近隣の、愛知県や三重県の小さな市町村の、何も物を言えない、そうした善良な住民の水道料金に、それが結局、しわ寄せとして突きつけられてしまうということを考えれば、ダムをつくる側の水資源開発公団というものが、やはりそこまでしっかりと頭に入れた計画というものをしていなかったところに、公共事業のいろいろな反対運動の芽があるのではないかなというふうに思えてなりません。
 そこで、最後に、二つ三つまとめて質問させていただきます。
 この法案で、着手済みのダムについては、過渡的という形で十八本がそのまま継続というふうになっているわけですけれども、これは私、全国を回ってみて、徳山ダムですとか、そのほか思川開発にしてもそうですし、全国、大変問題があるそうしたダムが幾つも見受けられるわけであります。こうしたものをなぜ継続にしたのかという国民からの疑問にどういうふうにお答えになろうとしているのか、その辺についてお答えをお願いしたいと思います。
扇国務大臣 公共工事というものを見直しましょうというのは、もう佐藤議員も、民主党もおっしゃるとおりでございまして、我々もその声に呼応して、私たちは、ダムのみならず公共工事の見直しということに本格的に対処し、そして評価制度というものを取り入れて、今佐藤議員がおっしゃったように、計画したときは利水、治水でこれだけの工事を予定したけれども、利水面が減ったからこれを見直しなさいということも、時代が変わったんだということも含めて、当然あるものと私は思っておりますから、少なくとも私たちは、私が大臣になってからもこの工事というもの、ダムの工事を見直ししまして、百八十七の事業を中止したわけでございます。
 そしてまた、今御質問のように、水資源開発公団の事業の中でも、これは平成十四年十一事業でございましたけれども、これを評価制度を導入して見直しをしまして、まず、少なくとも評価制度で二事業を中止するということで、中止したダムの総事業費も、平川ダム及び栗原川ダムで二千三百億円ですし、また同じく残事業で二千二百億円というものもこれは中止するべきであるというところで、改めて公共工事、特にダムに関しては、皆さん方の治水、利水の見直しを含めて、評価制度を導入して見直していくという姿勢だけはぜひ御認識賜りたい。ただ、中止するときも、私たちは、事業を評価していただいて、事業認定するときにとった手続きと同じような手続を逆に各地方自治団体にお願いをして、いきなり切るというのではなくて、御協力いただいた地方公共団体の委員会等々の御論議を経て中止するという手段も配慮しながらとっております。
佐藤(謙)委員 先ほどお話ししましたように、水資源開発公団は一切腹が痛まないということで、結果として、ブレーキのない自動車のように突っ走っていったわけでありますけれども、こうした地元住民の真摯な声をぜひとも聞き入れていただけるような仕組みをこれからも重層的につくっていただければ、例えば、全国百九ある、水系流域委員会がつくられなければいけないそうした流域の中で、現実に今、流域委員会がつくられているのは十五、その中で、一般の市民が委員会の委員の中に公募で入っているのはたった三つ、淀川水系と紀ノ川水系と九頭竜川の三つの水系しかないわけでありますが、そうした住民参加とはほど遠い現実というものをぜひとも認識をしておいていただきたいと思います。
 最後に、水資源開発公団の目的というのは、基本計画に基づいてダムをつくるわけでありますけれども、現在、木曽川水系の基本計画は、二〇〇〇年度を目標年次とする、そうした期限切れになっている。それにもかかわらず、徳山ダムなどのダム建設が進められているわけでありますけれども、基本計画がないまま進められているということについて、最後に、この状況をどういうふうに認識されているのか、御見解をお示しください。
小林政府参考人 お答えいたします。
 水資源開発基本計画は、水需給の見通しを立てることを通しまして、ダム事業の利水の目的から見た必要性を明確にしているものでございます。水資源開発公団は、御指摘のように、この基本計画に基づきまして、施設の新築あるいは改築を行ってございます。
 御指摘の、木曽川水系の水資源開発基本計画につきましては、平成十二年をもって効力を失ったものではございません。ございませんが、近年の気候変動の影響を踏まえた上で、安定的な水供給を確保するよう、できるだけ早期に計画の改定を行うべく準備を進めてございます。
 一方、徳山ダムの建設事業は、洪水調節、都市用水の供給、流水の正常な機能の維持等といった複数の目的を達成するために実施される事業でございます。徳山ダムが建設されております木曽川水系の揖斐川では、過去四十四年間に十二回もの大きな洪水が発生してございます。徳山ダムは、揖斐川周辺に住む約四十七万人の方々の生命財産を守るために必要不可欠な事業でございます。
 また、木曽川水系では、過去三十年間に三十回の取水制限が行われております。近年の少雨傾向に伴う厳しい渇水にも対応し得る安定的な水供給の確保が求められています。徳山ダムの利水の必要性に関しましては、平成十三年度に、国土交通省中部地方整備局事業評価監視委員会におきまして議論され、将来の水需要増に備えておくとともに、渇水時の安定性確保等の観点から、引き続き必要であるとの関係県市の意向が確認されております。
 徳山ダムについては、治水及び利水の必要性に加えまして、岐阜県、愛知県、揖斐川流域二十五市町村等、地元から事業推進の強い要望が出されている。これを踏まえまして、事業を着実に進める必要があるというふうに認識してございます。
佐藤(謙)委員 時間が来たので終わりますけれども、水資源開発基本計画に基づいて事業実施計画というものが作成されることになっていますけれども、七水系のうち、吉野川水系を除いて、まだそれができていない。当初の計画期間が終了していないので、新たな計画を早急に策定するべきだということを最後に申し上げて、質問を終わります。
 ありがとうございました。
保利委員長 次に、細川律夫君。
細川委員 民主党の細川律夫でございます。
 私は、東京地下鉄株式会社法案、そして鉄道建設・運輸施設整備支援機構法案、これらについて質問をいたします。
 まず、東京地下鉄株式会社法案について伺います。
 これまでの民営化法案、例えばJRあるいはJTなどと比べまして、今回のこの法案につきましては、民営化ということについての度合いは大変強いものになっております。例えば、関連事業等の認可とか、あるいは社債の募集などにつきましては監督官庁の規制もほとんどないわけでございます。したがって、この法案につきましては問題にするような向きはほとんどなくて、むしろこの法案の成立に期待をしているところでございます。
 そこで、お聞きいたしますけれども、現在の営団地下鉄はとりあえず特殊会社にいたしまして、そして、その後完全民営化、こういうことになる予定と理解をしておりますけれども、まず、今回、この営団を特殊会社にするという趣旨はどういうものなのか、お伺いしたいと思います。
吉村副大臣 御存じのように、営団は、昭和十六年に、営団法に基づいて設立されております。最初の地下鉄は浅草―渋谷間、十四・三キロと言われておりますが、以後、今日まで、営々として八線を運営してきたわけでございます。そして、現在都営も含めまして十一線、十一号線、いわゆる半蔵門線が、今、水天宮まで通じておりまして、それを押上まで延伸しよう、それが平成十五年の三月に完成する。それによって、一応、地下鉄のシステムといいますものが、営団設立の趣旨に沿った形にほぼなってくる次第でございます。
 そこで、今申されましたように、特殊法人の合理化計画に基づいてまず特殊会社にするということでございますが、最終的には民営化を視野に入れておるのは、もう委員御存じのとおりでございます。それに、一気に民営化にする前に、申すまでもなく、体質を改善いたしまして、株式の公開に十分にたえ得る体制に持っていきたいという、一つの過渡期的な段階として特殊会社にする。
 そしてもう一つ、平成十九年度に十三号線が開通する予定になっておりますが、それはそれとしまして、特殊会社後、体質を改善し、また、今日の株式市場、御存じのように、必ずしも今はよろしいとは言えないわけでございまして、もろもろの、背景となります経済状況などを踏まえて民営化に進んでいきたい、このように思っておる次第でございます。
細川委員 再来年の四月一日に特殊会社を発足させて、そして、その完全民営化については、この法案によりますと、できるだけ速やかに、こういうことになっておるんですけれども、それはいつごろ完全民営化にする予定ですか。
吉村副大臣 これは、あくまでも、背景となります経済状況等々ございまして、有利な背景の中で、有利な条件で民営化していくというのが適当ではないかな、このように思っております。
細川委員 今度新しくできる、法律の廃止をし、あるいはまた株の放出などの時期については明確にちょっと答えられないようでありますけれども、完全民営化に向けては、この特殊会社ができましたならば、これはできるだけ速やかということに法文にもなっているわけですから、ぜひそういうことで進めていただきたいと思います。
 そこで、次にお聞きしますけれども、今、営団の方では約一兆円の長期債務を負っているというふうに聞いております。そもそもこの一兆円という大変膨大な長期債務が発生をしておりますのは、これは国策によりまして地下鉄をつくった、あるいはつくりつつあるということで、この債務が民営化後にも影響して、経営が圧迫されるということになってはいけないというふうに思います。今は金利が安いからまだ安心だというふうに言えるかもわかりませんけれども、しかし、一%上昇でこれは百億円も違ってくるわけですから、そうなりますと、会社にとって負担になってきて、経営が苦しくなる可能性も出てきます。
 そういう意味で、営団のこれからの財務状況の見通しについてどのように考えておるのか、これが、特殊会社、民営化されることによって問題にならないのかどうか、この点はいかがでしょうか。
石川政府参考人 営団の平成十三年度末の実績でございますが、先生御指摘のように、長期債務が九千五百四十一億円でございます。一方、営団の営業収入でございますが、三千百六十九億円ということでございまして、この営団の長期債務残高と営業収入の比というのは、約三・〇倍ということでございます。
 一般的に、現在、我が国経済の低迷によりまして、全国的に鉄道輸送需要が低迷してございます。各鉄道事業者は厳しい経営をやっているわけでございますが、こういう中で、この営団は、平成七年度以降、継続して税引き後当期利益というものを計上しておりまして、平成十三年度には六十一億円という数字を当期利益として計上してございます。また、累積欠損金というのもございません。さらには、東京の都心部というところをネットワークとしているすぐれた営業基盤というのもございます。
 したがいまして、このような状況の中で、今後とも着実に長期債務の償還等々が図られるものと考えております。
細川委員 そこで、先ほども副大臣の方からお話がありました、現在、営団の方では、着工中の路線が十一号線、十三号線ございます。十一号線は来年一応完成ということのようですけれども、十三号線、池袋―渋谷間についてはまだまだ時間がかかるようであります。特殊会社になったその後、この建設に対する補助金のようなものはどうなるのか。現在は、この資金というものは、地下鉄の補助金と借り入れによって賄われているわけなんですけれども、国策によってこういう路線が決められて、しかも特殊会社になる前、なった後もその工事が続いていくということになりますと、これは会社にとっては大変だろうと思うんですけれども、これについてはどのようにお考えなんでしょうか。
石川政府参考人 十三号線でございますが、御承知のとおり、池袋―渋谷間でございます。全長八・九キロの路線でございまして、これは実は、池袋で東武東上線あるいは西武池袋線と接続いたします。渋谷で東急東横線と接続いたしまして、相互直通を図るということになりまして、したがいまして、埼玉県、東京都、神奈川県、一都二県にわたる広域的なネットワークを形成するというものでございます。さらに、現在のJR山手線の混雑緩和、それから明治通りの渋滞緩和というものに寄与するというふうな重要な路線でございます。先生御指摘のとおり、平成十九年度の開業に向けまして現在建設を進めておりまして、これに対しましては、地下鉄補助等を行っているところでございます。
 したがいまして、このような重要な路線でございます十三号線の建設につきましては、平成十九年度の開業に向けて、平成十六年四月の特殊会社化以降も円滑かつ着実にこの工事を進めていく必要があると思っていますので、必要な助成は行うべきものと考えております。したがいまして、今後の予算編成の中等で適切に対処してまいりたいと考えております。
細川委員 扇大臣にお尋ねをいたします。
 一週間ほど前の新聞報道などによりますと、大臣は道路特定財源を地下鉄の建設にも充てる方針のような報道がなされておりました。私は、道路特定財源というものは、これはいずれ一般財源化すべきだというふうに考えておりますけれども、次善の策としては、さまざまな交通施設の整備にこの使途を広げていくということは、これは評価したいと考えているんですけれども、ここでもう一度、大臣のこの点についてのお考えをお聞きしたいと思います。
扇国務大臣 大変財政が逼迫しておりますところから、道路特定財源を一般財源化したらどうだという意見も多々出てまいりましたけれども、これは小泉内閣として、一般財源化するには、暫定税率の二倍というものを皆さん方に負担していただいておりますので、その暫定税率を、利用者負担ということであえて道路に使うということで御了解をいただいているものを、一般財源にして何に使ったかわからないというのでは、私はユーザーの御理解がいただけないと思っております。
 一般財源化することは大変困難であるということで、私は、それなれば、皆さん方に二倍の暫定税率を負担していただいているのであれば、できる限り車を利用する皆さん方の利便性あるいは環境等々も今後加味しながら、一般財源化するという意味ではなくて、特定財源の幅を広げるということで、十四年度も立体交差ですとかあるいはボトルネック等々にも利用しましたけれども、今回は、今念頭に置いていることは、十三号線という意味も含めてお尋ねだろうと思いますけれども、まだ特定はいたしませんけれども、私は、十一月八日の経済財政諮問会議において、小泉総理に、これは地下鉄にも利用させていただきたいと。
 そうすると、今の地上の混乱ぶりが、地下鉄を通すことによって一人でも二人でも多く地下鉄に乗りかえていただく、そういうことが地上の車のスムーズな運行にも利するということですし、また、今回東京の裁判でもいろいろ問題が出まして、我々も環境というものを加味しなければいけませんので、地上のCO2の排出量を少しでも減らすという意味で、地下鉄に使うということを乗用車の皆さん方に御理解いただくということで、御理解が得られるものと私は確信して、地下鉄に投入するということを申し上げました。
細川委員 次に、現在の営団の役員の構成についてちょっと申し上げますと、営団の総裁は旧運輸省、副総裁も旧運輸省、理事が十名のうち、旧運輸省が一名、大蔵省一名、建設省一名、都庁が二名、プロパーは半分の五名、こういうことになっております。監事につきましても、常勤が都庁の一名、そして非常勤二名はそれぞれ国の方から来ております。これはまさに、今の営団が官庁、とりわけ国土交通省、そして都庁からの天下り先になっていると言っても過言ではないというふうに思います。
 そこで、この法案が成立をして再来年には特殊会社になった場合、こういう役員の構成は当然変わるべきだ、とりわけプロパーの人などが多く役員にもならなければいけないと思うんですけれども、この点についてはどういうふうになるんでしょうか。
石川政府参考人 営団の特殊会社化における新しい会社の役員の人選ということにつきましては、新しい会社の設立の過程において、会社の経営を託すにふさわしい人物を創立総会で選任するということになるわけでございます。したがいまして、現時点では確たることを申し上げるわけにまいりませんけれども、そういう創立総会で選任するという段階において、今御指摘の営団の出身者も含めまして、広く、人物、能力、識見等を考慮して適切に選定されるものと考えております。
細川委員 どうもそれではちょっと、そんなことでは本当の民営化という意味が達成できないのではないでしょうか。
 大臣、この点、どのようにお考えですか。今、ほとんどこの役員は国交省あるいは都庁からのいわば天下りになっておりますけれども、民営化した場合には、役員などについてはこういう天下り先にならないようにするのが私は民営化だと思うんですけれども、この点、いかがでしょうか。
扇国務大臣 少なくとも、設立総会のときにどういう方をお選びになるかというのは、それは今回、特に民間ということから考えれば、適宜適切、能力のある方をお選びになるというのが私は民間だと思っておりますので、そういう意味では今までとがらっと変わるかもわかりませんし、あるいは能力があってどうしてもこの人と、これは、その自由があるというのが民間でございますので、私は適宜適切な人選が設立総会で選ばれるものと信じておりますし、また、それを自由に選ぶことこそが民間の特徴だと思っております。
細川委員 時間が参りましたからこれで質問を終わりたいと思いますが、こういう民間にするという一番最初の趣旨を踏まえた役員の構成にぜひしていただきたいと思います。
 一応、質問通告では、鉄道建設などの支援の機構につきましても質問をする予定でありましたけれども、後の質問の方にお任せしたいと思います。
 私はこれで終わります。ありがとうございました。
保利委員長 次に、伴野豊君。
伴野委員 本日は、特殊法人等改革に関する特別委員会での質問ということで、特に私の場合は国土交通委員会に属させていただいておりまして、扇大臣とはいつもお顔を拝見させていただいているところでございますが、そちらの立場を踏まえながら、我が党の委員が余り触れていなかっただろうと思われる鉄道建設公団、運輸施設整備事業団、国際観光振興会、それから日本下水道事業団、帝都高速交通営団、これら四つに絞りながらお話を承りたいなと思っているわけでございます。
 その前に、総論として、ちょっと幾つか質問をさせていただければと思うわけでございますが、私も、特殊法人、国鉄にいたわけでございますけれども、ちょうど私が入った昭和六十年というのは国鉄のまさに改革期でございまして、あのときはもう本当に、赤字のすべてが国鉄が悪いというような言われ方もして、職員の身として非常に心寂しい思いをしていたわけでございます。
 今回の特殊法人改革に当たりましても、当然多くの職員の皆さんは士気も高いであろうし、あるいは頑張っていらっしゃるであろう、そう期待しているわけでございますが、中で、一方で、やはり役員報酬が非常に高いのではないかとか、役員の数が多いのではないかとか、むだな部分があるのではないかという、改革をしていただかなければいけない、そういう部分はあろうかと思うんです。しかし、今まで特殊法人としてきっちり仕事をされてきて、成果を出してきた部分もあるわけでございますので、そういうところはしっかりと評価をした上で、次なる組織になったときに、その職員さんたちが士気が高められて、モチベーションの高い仕事をしていくための改革にしなければいけない。
 そういった観点で、まず最初に質問をさせていただきたいわけでございますが、先ほど申し上げた四つの組織、この改革をすることによってどういったメリットがあるんでしょうか。あるいは、どういったメリットを期待するのか。時間がございません、一言ずつ端的にお答えいただければ。副大臣、よろしくお願いいたします。
吉村副大臣 今おっしゃいましたように、今までの組織がすべて悪いということは当然ございませんし、いいものはいいものとして残して引き継いでいかなければならないのは当然だ、このように思っております。
 そういう中で、時間がないということでございますので簡単にさせていただきますが、日本鉄道建設公団と運輸施設整備事業団の統合、これは、鉄道と船舶の両分野において、基礎的研究から助成、施設整備、事業債の譲渡に至る業務を一貫して行うことができるようになるため、両分野でのノウハウや知見を融合することによって、業務執行能力の充実が期待できるものと考えております。また、組織の面においても、共通管理部門を統合すること、事業部門を可能な限り業務特性に応じた横割り型に再編することにより、業務執行体制の効率化はもとより、施設管理、債権管理、技術開発等においてノウハウの共有や総括ができるというメリットがあろうか、このように思っております。
 次に、国際観光振興会については、独法化によりまして中期的計画の策定ができるということでございまして、複数年にわたる事業管理体制が導入されるということ等のメリット、それから、民間の事業手法や経営戦略立案の活用等の改革を進めることにより、より戦略的な、かつ効果的な、旅行者の増大に向けた活動の展開ができるということでございます。
 また、帝都高速公団につきましては、先ほども御答弁申し上げましたが、自主的かつ効率的な経営が図られるということ、サービスの一層の向上が図られるということ等、また、関連事業の自由な事業展開も可能であり、社債の発行が自由になることによって資金調達が非常に機動的になるというメリットがあろうか、このように思っております。
 最後に、日本下水道事業団について、これは御存じのように国の出資の廃止でございまして、役員の自主的な選任、また、国の関与を極力縮減し、地方共同法人化することによって、事業団の経営の自律化が図られるということと同時に、知事会が推薦する評議員会によりまして、定款の変更、重要事項に関する評議員会の権限を強化することにより、地方公共団体が主体的に事業団の運営に参加していくというようなメリットがあろうか、このように思っておる次第でございます。
 以上です。
伴野委員 今、副大臣からお話がございました、そういったものを例えば大目標とするならば、ぜひ、そういう大目標を達成するために、役員の皆さん方、職員の皆さん方の士気を高めていただいて、きちっとした評価に基づく運営をしていっていただければな、そんなふうに思うわけでございます。
 それで、そういった大目標を達成するにしても、いろいろな、中目標といいますか、小目標もあると思いますし、先ほど申し上げた職員なりのモチベーションを高めていくためには、やはり厳正な、きちっとした評価をしていくことだろうと思います。例えば研究成果とか何かでも、田中さんの例じゃないですが、やはり見る人は見ていてノーベル賞というようなことがあるわけでございますし、こういった職員さんの中でもきっちりやっている人、あるいは役員さんの中でもきっちりやっている人とやっていない人、これを分けることによって、多分、モチベーション、一生懸命やれば認めてもらえるんだ、これはもう政治家も一緒だと思うんですけれどもね。
 そうした中で、今回の独立行政法人の評価委員会というのがあるわけでございますけれども、やはりここはポイントじゃないかなと思うんですね。ここがきちっとした評価をしていただく、さらに、委員の構成の客観性が担保されるということは非常に重要じゃないかなと思うわけでございます。
 例えば、民間会社に例えてみれば、この評価委員会での評価というのは株主総会における評価ではないかなと思うわけですね。民間会社と違うのは、業務実績あるいは営業成績というけれども、かなり定量的に、あるいは株価とか、数字で把握できるもので、非常にわかりやすい、だれが見ても、この役員の運営がいいのかどうかというのは非常にわかりやすいわけでございますが、この独立行政法人の評価というのはどの程度のものになるのか。
 平成十三年度、土木研究所の業務実績評価というのを少し見せていただきました。そういうのを見ていくと、例えば「研究開発の連携・推進体制の整備」という項目に対して、着実な実施状況にある、なし、これでマル、ペケをつけて終わり、項目とすればそういうことなのかもしれませんし、実際に細かくいろいろ議論をされて、ここに出てこない議論なりがいっぱいあるんだよということも理解できないわけではございませんが、やはりその辺はできるだけ定量的に把握できるということが、ひとつ評価としては重要なことじゃないか。
 それが例えばホームページか何かで公開されて、国民の皆さん方が見られた。そうしたときに、おお、これはよくやっているね、ああ、ここはちょっとだめなんじゃないかというのが、比較的数字で、ある程度の人が客観的に把握できるような評価をしていただけるということが、先ほど申し上げた職員のモチベーション、いい仕事をやっていただくということにもつながるんじゃないかと思います。
 そんなようなことで、どうお考えになっていらっしゃるのか、御意見をいただければと思います。
河崎政府参考人 国土交通省所管の独立行政法人の業績評価でございますが、独立行政法人通則法の定めによりまして、外部の有識者から成ります第三者機関でございます国土交通省独立行政法人評価委員会において、その中で、専門性及び実践的な知見に基づいて、客観的かつ中立公正の見地から評価をいただいているところでございます。ただいま先生からも御指摘がありましたように、十三年四月に発足した十一の独立行政法人、この中に土木研究所も入っておりますが、十三年度の業務実績の評価を行いまして、この九月にその結果を公表したところでございます。
 先ほど、委員の構成というのは非常に大事だということを言われたわけでございますが、評価委員会の委員につきましては、こうした委員会の位置づけ等を踏まえまして、評価の客観性、それから中立公正性を確保するという観点から、経済、法律、経営、財務などの一般的な分野の有識者、それから各独立行政法人固有の業務に関する専門的な知識を有する有識者など、総合的にできるだけバランスよく人選をしているところでございます。
 それから、評価の仕方につきましても評価委員会で決定をするという仕組みになっておりまして、その中で、ただいま御指摘のありましたように、できるだけ客観性の高い評価をしていくという観点から、数量化できるようなものについては極力数量化をするといったようなことで進めているわけでございます。
 今後とも、評価委員会において厳正な評価をいただけますように、委員の人選を含めて適切に対応してまいりたい、かように考えているところでございます。
 以上でございます。
伴野委員 そういう方向で、ぜひ、厳格な評価及び委員の構成の客観性を担保すべく御検討いただければ、そんなふうに思うわけでございます。さらには、できるだけその評価項目を定量的、わかりやすく挙げていただいて検討していただければ、そう思うわけでございます。さらには、中期目標ということで、三年から五年というのが一つの目標になっているわけでございますが、ドッグイヤーと言われているぐらいのかなりスピーディーな時代に入っています。最低、やはり単年度、もっと言うならば、月々にチェックしていってもらってもいいぐらいじゃないかな、タイムリーな評価をしていただければな、そんなふうに希望いたします。
 続いて、いわゆる独立行政法人の評価委員会というのが一つの評価をするところであり、いま一つ、今までも特殊法人、特に国の金が入るということで会計検査院のお働きがあったわけでございます。会計検査院法第二十条でそれは的確に示してあるかと思うわけでございますが、今後、独立行政法人になっていく中で、かつ独立行政法人評価委員会との関係で、会計検査院の仕事等に何らかの変化があるのか、このあたりのことをお聞かせいただければと思います。
関本会計検査院当局者 お答え申し上げます。
 独立行政法人に評価委員会が設けられたということに関連いたしまして、会計検査院の検査はどうなるかというお尋ねでございますが、御案内のとおり、会計検査院は国の財政監督機関といたしまして内閣から独立した立場から検査を行っているところでございまして、国の機関はもとよりのこと、独立行政法人など国が資本金の二分の一以上を出資した法人につきましては、必ず検査しなければならないということになってございます。
 そして、検査に当たりましては、決算の表示が正確かどうかという正確性の観点、あるいは事務事業が法令等に基づいて適正になされているかという合規性の観点、さらには経済性、効率性、また事業の効果が発現しているかという有効性の観点等々から検査を行うこととされておりますが、独立行政法人に対しましても、評価委員会の評価が行われることになるわけでございますが、それはそれといたしまして、検査院といたしましては、今申し上げたような観点から今後も検査をするところになるということでございます。
伴野委員 いずれにしましても、そういった会計検査における一つの評価というのもこの独立行政法人評価委員会に反映されるような、しかも、それがタイムリーに反映されるような仕組みといいますか働きぐあいをぜひお願いしたいな、そんなふうに思うわけでございます。
 総論につきまして以上にさせていただきまして、ちょっと各論に入らせていただきたいわけでございます。
 実は、これも本当に偶然なんですけれども、きょう十一月十四日、三十一年前の十一月十四日といいますと、青函トンネルの起工式だったんです、大臣御案内かどうかあれですが。御案内のように、これは鉄道建設公団、そのときの中心的な人は持田豊ということで、豊という名前はいいなと、私、伴野豊というんですけれども、そんなふうに勝手に思っていたわけでございますが、この方が五月に亡くなられたということで、非常に御冥福を祈るわけでございます。
 私自身、土木技術者を目指した一つのきっかけが、「海峡」という高倉健さんが主役で、たしか吉永小百合さんが支える女性ということで非常に、トンネルを掘るとこんないい女性と結婚できるのか、そんなふうな錯覚をしていたわけでございますけれども、その余談は別として、ただ、今いろいろな評価がこの青函トンネルというのはあるわけでございます。例えば、メンテナンスをする場合には、非常にメンテナンスがいろいろあるとかですね。
 ただ、トンネル技術、これは当然、英仏海峡トンネルの顧問もこの持田さんがやられていたというようなこともあって、いろいろなところでこの技術というのは反映されて、そこだけで培ったものではなくて、いろいろなところに反映されて役に立っているわけですね。こういうようなこともきちっと評価されるべきであると思うわけでございます。
 そうした中で、これは国鉄時代から脈々とその鉄道技術を鉄道建設公団さん、現鉄道公団さんはずっと蓄積されているわけでございます。そういったノウハウをぜひとも積極的にいろいろなところに活用して、これから独立行政法人の職員さんは前かけをしていただく営業マンのような感じで、こんないい技術がありますよ、こんなことを取り入れてみると立体交差はうまくいきますよとか、そんなことをどんどん積極的に営業してもらって、さらには、いわゆる民鉄の建設部門よりよほどノウハウがあって、コストも安くて、ここの技術を利用すると非常にいいことばかりだというようなことが出てくると、当然レーゾンデートルも高まってくるわけでございます。
 そんなようなことで、ぜひ、そういった次なる組織に向けてどうお考えになっていらっしゃるのか、お聞かせいただければ。
石川政府参考人 鉄道建設公団の技術力につきましては、今先生お話がありましたように、青函トンネルを初め、各種の新幹線、それから都市鉄道等の建設を進めてきておりますし、さらに、新しい建設技術の開発も進めております。そういう意味で、鉄道建設にかかわる技術、ノウハウというものにつきましては、各方面において高い評価を得ていると私どもも考えている次第でございます。
 それで、公団は今まで、もちろん新幹線とか都市鉄道、あるいは地方線、建設をしてございますけれども、それだけではなくて、これらの技術、ノウハウを活用いたしまして、例えば地方自治体あるいは第三セクターなどが鉄道建設をやる中で、彼らが必ずしも十分な技術要員を持っていないというようなところからの委託を受けて、効率的な鉄道整備をやってきております。今まで上飯田連絡線など十線にわたって受託工事による事業をやってきておりますし、現在では、愛知環状線でありますとか中部国際空港連絡線というふうなものにつきまして、四線につきまして受託工事を実施してございます。
 今回、独立行政法人化いたしますと、この受託業務を行う際の国の認可というものがなくなります。したがいまして、より経営の自主性が増します。そういうことで、より機動的に業務を行うことができますし、今先生御指摘のような営業活動というものも含めまして、これらによって公団が今までに蓄積したこういう技術というものを十分アピールしていって、新法人の収益力の向上というものにつなげていきたいと考えております。
伴野委員 この青函トンネル、御案内のようにNHKのあの「プロジェクトX」でも取り上げられた、非常にやはり、その当時の技術者魂といいますか、やってやろうといいますか、国家プロジェクトを推進してやろう、こういう気概に燃えてやったものだと思います。ぜひとも、組織が変わられてもそういうモチベーション高く、いい仕事をしていただけるような仕組みづくり、それから、積極的に営業マン的なセンスを身につけていただいて、自分を売り込みに行くんだ、組織のいいところを売り込みに行くんだという思いでやっていただければレーゾンデートルは必ず残ると思います。よろしくお願いいたします。
 続きまして、そういうふうに励ましておきながら指摘するのもなんなんですが、ただこれは、私、自分の生まれ育ったところでずっと昔から、この橋脚はどうなるのか、このコンクリートはどうなるのかと、いつも学校に通いながら見ながら、本当にどうなるんだろうな、高架橋、どうなっちゃうんだろうな、そんなふうに思っていたものがございます。これは愛知県の南方貨物線の話でございます。
 それで、先般十一月八日の読売新聞に出ておりました、まずこれに書かれていたことの事実関係をお話しいただければということと、さらに、もしその内容どおりであるならば、「旧国鉄用地 売却完了時二百億赤字 会計検査院試算」というのが出ていたわけでございますが、今後、こういった、南方貨物線跡地、更地にするのは二百億円かかるが、売却しても四十億円にしかならないという、この現実と向き合ってどうしていくのか、御説明いただければと思います。
 それで、先ほど申し上げたように、いいことはいい、悪かったことは悪かったということはやはりきちっと認めて、もしそういうことであれば、それなりの説明責任というものを持つべきではないかと思います。いかがでしょうか。
石川政府参考人 鉄道建設公団のいわゆる特例業務、昔の清算事業団の関係の業務についてのお尋ねだと思いますが、旧国鉄などから承継した土地というのはたくさんございますが、当初から、今先生御指摘のような、南方貨物線みたいな工事を保留した線、あるいは線路敷用地、それから山林、トンネル、こういうふうななかなかその立地条件等から売却するのは難しいというふうなものがあります。あるいは、処分したとしても、その処分益が極めて少ないというものも数多くあったわけでございます。さらには、バブルという時期をこの十年間経験したわけでございますので、そういう意味で、予想し得なかった地価の下落というのがございまして、結果としてやむを得ず売却のための工事費が土地の売却収入を上回るケースが生じたということもあろうかと思っております。
 お尋ねの南方貨物線につきましても、国鉄改革時にほぼでき上がっていたわけでございますが、工事を凍結するということになりまして、その後、その利用方法につきまして関係方面とるる協議をしてきたわけでございますが、ついにその有効利用の方法については関係者の合意が得られず、このまま放置しておきますと問題があるということで、これを撤去した上で売却をするということになります。その部分について言いますと、先生がおっしゃるように、差し引き約百五十億円ぐらいの赤字が出てしまうということがございます。
 しかしながら、この清算事業団あるいは鉄建公団の用地売却というものについてちょっと御報告させていただきたいのでありますが、承継した土地が約九千二百ヘクタールでございます。このうち、平成十三年度までにその九五%に当たる約八千八百ヘクタールを売却しておりまして、これまでに、この売却収入というのは約六・八兆円でございます。この売却をするために、更地であるとかさまざまな工事の必要なものがありましたが、この工事費等は約七千三百億円でございますので、そういう意味では、差し引き約六兆円の売却益を上げてきたということでございます。
 いずれにしましても、まだ残っている土地がございます。なかなか売りにくい土地ばかりが残っているという感じでございますけれども、引き続き、関係機関と密接な協議をするなどして適切な処分に努力をしていきたい、そのためにも鉄道建設公団を指導していきたいと考えております。
伴野委員 不良債権というと言い過ぎかもしれませんが、いわゆる負の遺産、今までガンになってきたという見方もあれなんでしょうが、ぜひ、そのあたりもクリーニングアップしていただけるようお願いしたいなと思うわけでございます。
 ちょっと通告の順番が違って申しわけないのですが、先ほど鉄道局長にもお話しいただいた中で、関係関連としまして、東京地下鉄株式会社法案の関係でございまして、今後のこの団体のいわゆる完全民営化までの見通し、スケジュール、民営化の見きわめについていかがかなということを伺いたいわけでございます。
 一つは、完全民営化の基準や、特に債務と収益の割合をどこで見きわめて、今、非常に株価が厳しい状況の中で、例えばどこで上場目標をするか。例えば、JR東日本さんですと二・七倍、東海、四・四倍、西日本、一・六倍というような一つの目安もあるわけでございます。そういった民営化の目標と基準、さらには、別に民営化したから安全確保が難しくなるとは思いませんが、非常にむだなものに、むだではないんですけれども、すぐ目に見えないものにお金をかけるということをしなくなる傾向はやはり出てくると思うんです。そういったときの技術継承等々、先般の中目黒での事故等もあったわけでございますので、そういうところを踏まえて、どういうスケジュールをお考えになっているのか、お聞かせいただければと思います。
石川政府参考人 東京地下鉄株式会社の完全民営化の時期その他についてのお尋ねでございますが、先ほど副大臣の方からも一部お答えしてございますけれども、会社の安定的な経営基盤の確立がされた段階で、株式市場等の社会経済情勢等も総合的に勘案して行っていくということになると思います。
 それで、具体的にどうかということになりますと、これも不透明なところがございますけれども、少なくとも、現在建設中の営団十三号線の開業が平成十九年度でございます。こういう時期も一つの判断の時期、タイミングではないかなと思っておりますが、御承知のとおり、国鉄がJRになり完全民営化していく中で、十何年以上かかっているというようなこともございます。できるだけ早くやるということも必要でございますが、いろいろな要件を勘案しながら見ていかなきゃいかぬというふうに考えております。
 そういうときに、少なくとも、会社の経営状況の見通し、つまり、経営収支の安定的な推移、あるいは、株式を上場した場合に、市場がどう反応して株価がどう安定していくかということでありますとか、安定的な配当が可能かどうかというふうなさまざまなことについて、総合的に見きわめていく必要があると考えております。
伴野委員 いずれにしましても、利用者の方々本位のスケジューリング、民営化の見きわめをお願いしたいな、そういうふうに思うわけでございます。
 では、時間も来ているようでございますので、以上で終わらせていただければと思います。ありがとうございました。
保利委員長 次に、日森文尋君。
日森委員 社民党の日森文尋でございます。
 私も、週二回は扇大臣のお顔を拝見しておりますので、きょうはまた御苦労さまでございます。
 最初に、先ほど扇大臣がおっしゃいました、道路特定財源、一般財源化ということよりも、少し枠を広げて使った方がいいだろうと。私も全くそのとおりというふうに思っていまして、再三再四そのお話は国土交通委員会で申し上げているんです。特に環境という意味では、モーダルシフト、数値目標まで決めたわけですから、それをしっかりと確保していく、もう少し公共交通全体を維持発展させるというところで活用していけたらいいのではないかということで、先ほどの発言について、大変感動いたしました、これは総理の言葉ですね、失礼しました。
 ちょっと時間がないものですから、簡潔に、要点だけ質問していきたいと思います。
 最初に、鉄道建設・運輸施設整備支援機構についてなんですが、附則の中で、公団は機構の成立のときにおいて解散するものとし、一切の権利及び義務はそのときにおいて機構が承継するというふうに書かれているわけですが、この段階で、雇用、大変重要な課題なんですが、これとすべての労働条件が新法人に継承されるというふうに理解してよろしいのか。
 それと関連して、今度の役員の任期が、理事長、副理事長が一年延びて四年になった、それから、理事、監事は逆に二年に短縮された。これは一体、経営責任や、これから出すことになっている中期目標、これらと関係があるのかどうなのか。そして、それに関連して、独立行政法人の役員の責任体制、当事者能力、それはどのように確保されているのか。
 また、非公務員型の法人になるわけですけれども、職員の処遇などの労働条件、これは労働組合との団体交渉や労使協議で自主的にしっかり決めていくことができるのかどうなのか、そのことを最初に確認をしておきたいと思います。
石川政府参考人 御質問の独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構における雇用と労働条件の問題でございますが、まず第一に、先生お話しのように、承継するかどうかということでございます。
 御指摘のように、一切の権利及び義務を機構が承継するということでございますので、労働条件等を定める職員との雇用契約関係、こういうものにつきましても、現在の法人と労働組合との間で特段の合意がなされない限り、基本的には機構に承継されるというものでございます。
 それから、これは非公務員型の独立行政法人でありますので、民間の労働者と同様に労働関係法規の適用を受けるということになりますので、労働条件は、従来どおり、組合や職員団体との話し合いなどを通じて決定されるということになろうと思います。
 それから、機構の役員の責任につきましては、まさに独立行政法人通則法に定める中期計画の範囲内において、機構の自主的な業務の実施が認められる一方、その実績については第三者機関である評価委員会における厳格な評価が行われるということ等を通じて、役員の責任が確保されるものでございます。
 そういう中で、機構の理事長及び副理事長の任期につきましては、この独立行政法人では、その長が業務運営の最終責任者ということでございまして、そういう意味で、法人の長が持つ役員の任命権というものを実質的なものにするという必要がございますので、理事長の任期と他の役員の任期というものにつきましては、整数倍というふうになるように定めることにしてございます。したがいまして、この機構におきましても、この原則に基づきまして、理事長、副理事長を任期を四年、その他の理事を任期を二年、こういう形にしたところでございまして、そういうことによって、理事長、副理事長と理事の経営責任ということを明確にする方策の一つであると位置づけております。
日森委員 ぜひ、当該の機構と労働組合との間でしっかりと協議ができるように、もちろん監督権限は少なくなるんですが、見守っていだだきたいと思っています。
 次に、都市再生本部の都市再生基本方針の中で、活力のある都市基盤の確保として、IT等を活用した交通渋滞や交通事故対策、あるいはボトルネック踏切や渋滞ポイントの解消、民間投資誘発効果の高い都市計画道路等の優先整備、通勤通学混雑解消等々が盛り込まれているわけです。
 この機構は、都市鉄道の新規建設は行わない、これはそう明言していないんだというふうにちょっと事務方から聞いたんですが、そういうふうにされているんですが、政府の都市再生方針を進める上で、都市における鉄道建設、これには前向きに取り組んでいく必要があるのではないかというふうに思うんです。その辺の決意についてお聞かせをいただきたいと思います。
石川政府参考人 先生今御指摘の都市鉄道線事業というのは事業の名前でございまして、現在、無利子貸付制度を使って鉄建公団が施設の整備を行っているところでございます。これは常磐新線を建設中ということで、この制度については、常磐新線を最後に新規採択をしない、こういう意味でございます。したがって、この新しい法人機構が、およそ都市鉄道の整備をしないという意味ではございません。
 御指摘のとおり、大都市の鉄道の整備というのは極めて重要だろうと思っております。そういう意味で、都市鉄道の整備について、新しい機構は鉄道整備を行う公的主体として今後とも一定の役割を担っていく必要があると私どもも考えております。
日森委員 これは、都市鉄道の建設について具体的にどういう施策をお持ちいただけるかというのは、これから時間がかかる問題ですから、これからもお互い議論していきたいと思っています。
 それから、東京地下鉄株式会社について、引き続き御質問申し上げたいと思います。
 これは、最初の話、先ほどの話と同じなんですが、経営形態が変更になります。この雇用労働条件の変更については、特段の理由がなければないというふうに判断してよろしいのかどうか、お聞きをしたいと思います。
石川政府参考人 現在の営団の職員数は平成十三年度末で九千五百六十八名でございますが、御質問のように、営団の一切の権利及び義務は、東京地下鉄株式会社法附則第十三条によりまして、新会社に承継されることになっております。
 したがいまして、この規定に基づきまして、職員と営団との雇用契約につきましても、新会社にそのまま承継されるということになる。したがいまして、経営形態の変更に伴う雇用労働条件の変更はないものと考えております。
日森委員 それでは、最後になりますけれども、先ほど細川先生からもお話がありました、二〇〇八年の開業予定で営団十三号線の建設が今粛々と進んでいるというふうに聞いています。当初、特殊会社化するのはこの十三号線の建設が終わった後というふうに聞き及んでいたんですが、前倒しになりました。
 そうしますと、相当お金がかかって、キロ三百億円かかるとか、地下鉄は物すごい莫大な金がかかることは皆さん御存じのとおりで、そうすると、再来年の段階で特殊会社になることによって、資金が大変巨額であるために、財政状況が大変心配されます。この辺について一点お聞きをしたい。
 それから、特殊会社になった場合、もちろん社債などを発行して自前の資金を調達していくということになると思うんですが、そうなると、かなり厳しい状況に追い込まれるのではないか。地下鉄補助の取り扱い、私どもは公的資金を投入することというのは当然必要ではないかというふうに思っているんですが、その辺について、二点お聞かせいただきたいと思います。
石川政府参考人 十三号線の建設につきましては、あるいは十三号線の重要性につきましては、先ほど御説明させていただいたと思います。
 そういう中で、これが平成十六年四月の営団の特殊会社化後も建設が続くということで、これを円滑かつ着実に進めていくという意味で、巨額なお金もかかります。そういう意味で、必要な助成というものは行っていくべきものだと私どもも考えておりまして、今後の予算編成過程の中で対処していきたいというふうに考えております。
日森委員 どうもありがとうございました。
保利委員長 次に、原陽子君。
原委員 社会民主党の原陽子です。よろしくお願いします。
 私も、民主党の佐藤議員に引き続きまして、水資源公団、今回の独立行政法人水資源機構法案について、集中的にお三方の大臣に御質問させていただきたいと思います。時間も限られておりますので、大変恐縮ではありますが、まず扇大臣と平沼大臣に御質問させていただきたいと思います。
 扇大臣に三点質問させていただきたいんですが、今回のこの法案の概要に、新規の開発事業を行わないということが書かれています。そして、参議院の中村敦夫議員から出た過剰水源開発問題に関する質問主意書で、既存計画のダムすべてが明らかになっておりまして、水資源公団ダムに関しては、この答弁の中にある九つのダム以外、ダムはこれからは建設しないという解釈でよいかという点。
 二つ目が、この答弁で、目的未確定のダムのうち、栗原川ダムは十月に中止となっております。同様に、目的が未確定の小石原川ダムに関しても、水資源機構に移行する前に中止すべきではないかという点です。
 三点目が、きょう……(扇国務大臣「一遍に聞くの」と呼ぶ)済みません、時間が限られているもので。三点目が、きょう用紙をお配りさせていただいているんですが、グラフになっているこの用紙を見ていただきたいんですが、木曽川水系のフルプランは実際の需要を大幅に上回っております。水増しされた予測によってダムがつくり続けられてきたことが、このグラフによって一目瞭然にわかると思います。
 この一番上にある徳山ダムは現在も建設中でありまして、この受益者である岐阜県の流域自治体と、長良川を一本越えた愛知県の名古屋市でありますが、名古屋では、長良川の水が余っています。このような状態でなぜ徳山ダムをつくり続けるのかという、この三点の部分を扇大臣にお聞きをします。
 続けて平沼大臣にお聞きをしたいんですが、こうしたダムの建設が中止できない理由の一つに、水資源開発促進法の存在があると思っています。この法律の中で、広域的な用水対策を緊急に実施する必要があるとき、国土審議会の意見を聞いて、水資源開発水系を国土交通大臣が指定をし、フルプランを立て、それに基づいて公団、そして改正されれば機構がダム建設を続けていくことになっています。
 しかし、広域的に緊急に水が必要な時代というものはもう過ぎてしまっていると思います。経済産業省が所管をしております工業用水に関しては、長良川河口堰では一滴も使われていないという実態にあります。工業用水を所管する経済産業大臣の御見解をお聞きしたいと思います。
 まとめて、済みませんが、お答えをお願いします。
扇国務大臣 原議員に、これは大変大事な話でございまして、まとめて三つ答えろというと、私一人で答えているだけで時間になっちゃうので、どうお答えしようかと思って今迷っておりますけれども、まず第一問の、新たなダムは水資源公団は設置しない解釈でいいか。簡単に言います。着手済みのダム以外は、新規の開発事業は行いません。それでいいですか。事情は説明していると長くなるので、三つありますから。
 二つ目の、小石原川ダムの中止についてもお尋ねがございましたけれども、これは、御存じのとおり、昨年の十二月に、特殊法人の整理合理化計画におきまして、新規利水の見込みが明快でない、そういう実施計画調査中の事業の中止が決定されたこと、それを踏まえまして、私たちは、実施計画調査中の栗原川ダム及び小石原川ダムについても新規利水の見込みを確認いたしました。
 そこで、その結果、栗原川ダムについては、早期には利水参画の見込みがない、そういうことが明らかになりましたので、これを踏まえて、ことしの十月の二十五日に中止を決定いたしました。
 けれども、一方、小石原川ダムにつきましては、福岡県県南の広域の水系というものが、御存じのとおり、先ほども御論議になりましたけれども、本年の五月十五日に、利水者として少なくとも参加する意思を表明されました。そういうことで、地元の皆さんの新規利水の見込みが明確になったということによって、この地区は過去たびたび洪水が生じたという事例もございますので、二年に一回程度の渇水がございまして、その渇水も含めて慢性的な水不足に見舞われているというのも、先ほどこの委員会で御論議になりましたので、最近では、平成六、七年の渇水では三百三十日の渇水という大変大きな迷惑をこうむっておりますので、ここでは取水の制限が今日までは百日以上にわたって継続しております。そのために、福岡県の知事あるいは地元の市町村、そして利水参加予定者から、繰り返して事業促進の強い要請がございましたので、これは事業を着実に実施していくということで決定をしたのがその事情でございます。
 三点目。三点目の徳山ダムの建設事業に関しては、洪水節水あるいは都市用の供給、利水の正常な機能の維持等といった複数の目的を達成するために実施される事業であることはおわかりいただいていると思います。御存じのとおり、揖斐川では過去四十四年間に十二回の大きな洪水があったことは原議員もきっと御存じなんだろうと思います。そういう意味で、揖斐川の沿川では少なくとも四十七万人の生命財産が脅かされている、そういうことで、必要な事業であるというのは御存じのとおりでございまして、ことし七月の台風六号では、大垣周辺では、浸水面積約二百十ヘクタール、そして床上、床下浸水が約四百五十戸、この浸水の被害として出ております。
 そういう意味で、徳山ダムは最大一メートル四十センチの揖斐川の水位を下げられることから、これは徳山ダムが達成していれば今回のような被害がなかったという地元からの強い御意見もございました。そういう意味では、この木曽川水系では過去三十年間に三十回の取水制限が実施されておりますし、近年の少雨傾向に伴って、厳しい渇水にも対応し得る安定的な水供給の確保が求められております。そういう意味で、徳山ダムの利水者である岐阜県、愛知県、名古屋市では、徳山ダムによる水資源の確保を前提に水道用水あるいは工業用水等の将来計画を立てて、徳山ダムが利水上も必要不可欠であるという地元の御要請と結果が出ております。
 私どもは、これは十二年度よりダムの全体工事を鋭意実施しているところですけれども、岐阜県、愛知県あるいは揖斐川流域の二十五市町村長から事業推進の強い要請が出されているということを踏まえまして、現在引き続いて事業を、より早く、より皆さん方に安全、安心を確保すべく努力して事業をしているところでございます。
平沼国務大臣 原議員に簡潔にお答えさせていただきます。
 平成七年に完成をした長良川河口堰により確保された工業用水というのは、これまでのところ、御指摘のように未利用でございます。平成十年に策定された第七次愛知県地方計画等によれば、中部国際空港の開港がございます。また、高速交通網の整備等による企業立地に伴う工業用水需要量の増加、現在は地下水から取水をしております用水の工業用水への転換等の理由から、中部圏地域の将来の発展に必要とされているものでございまして、当省といたしましては、将来の工業用水需要の水源を確保していくことは地域の発展と健全な経済活動の確保の観点から必要と考えておりまして、今後とも水資源機構による水の安定的な供給の確保への取り組みがなされることが重要と考えているところでございます。
原委員 ありがとうございます。両大臣から将来計画を立てた中の水の安定的な供給という、お二方からの御答弁に共通する点があったと思うんです。
 それで、私がきょうこのグラフを配らせていただいたところで、これはぜひ扇大臣に再度お聞きをしたいんですが、この折れ線グラフ、この三角のものが需要です。実際に使われている水の量です。この四角でなっている直線のものが需要予測です。実際に、実際の需要と需要予測というものがやはりこれだけ今現在でもかけ離れている。いいかげんなと言うとちょっと乱暴ですが、余り当たらない需要予測によってダムがつくられていくということが行われているということに関して、私は、需要予測という観点からダムをつくっていくことをやはりもう一度考え直すべきだと思うんですが、その点、一点だけもう一度お答えを聞かせてください。
扇国務大臣 原議員がおっしゃいますこともよくわかります。それは利水という面での需要予測が狂ったということは当然あり得ることですけれども、治水という面から私は先ほど御説明したようでございますので、それは御理解いただける。水害があって、だれも喜ぶ人はいません。やはり、生活するときにいかに安全であるかということを治水面で我々は考えておりますので、利水、治水、両面から推測するというのが一番公平な公共事業に対する目でございますから、片方だけで近視眼的に物を見るということではなくて、両眼でかっちりと世の中を見ていくという工事をしていきたいと思っています。
原委員 それでは、最後に石原大臣にお聞きをしたいんですが、今回、こうした各特殊法人改革の中で、詳細が見落とされている部分も多々あると思います。公団から機構に看板がかけかわるだけの改革では全く意味がないものになってしまいますし、一度組織を改編したら、次にまた改革するにはなかなかやはり時間がかかってくるものだと思いますし、今回、本当に日本を大きく変える大切なチャンスを逃さないためにも、全体の審議の中で問題点が指摘されたような法人については、私は、ぜひ継続審議をして再検討していくというような姿勢が求められると思うのですが、最後に石原大臣の御見解をお聞きして、質問を終わりたいと思います。
石原国務大臣 原委員の御指摘はごもっともでございますので、独法という新しい組織形態は、三年から五年に、事業がやはり適切でなければ組織の廃止も含めて見直すということを明記させていただいております。
 ただいま御議論になりました水資源公団から水資源機構への独法化、これは扇大臣がるる述べられましたように、例えばもう新規の開発事業はやめるとはっきり大臣申しましたし、栗原川ダムですか、このダムの建設もしないということを決めたそうですし、すなわち事業のスリム化をした上で、残る事業の効率化、利水者が負担金を前払いする方式の導入等々、効率化を図りながら運営をいたしますので、独法にまさに変わるということだと思っております。
 その他の法人でこぼれるようなことがありましたら、御指摘をいただき、三年から五年の見直しで、十分行革の立場からチェックをさせていただきたいと考えております。
原委員 ぜひ、こうした、日本を大きく変えるチャンスだというこの機会を逃さないように、この審議を続けていっていただきたいと思います。ありがとうございました。
保利委員長 次に、一川保夫君。
一川委員 自由党の一川保夫でございます。
 私の方から、もう既にこの委員会である程度議論されている部分があるかもしれませんけれども、確認の意味を込めて、基本的なところをちょっとお伺いしたい、そのように思っております。
 ちょっと通告の順番が変わるかもしれませんけれども、まず石原行革担当大臣にお聞きするわけですが、今回のこういった特殊法人等を独立行政法人に移行させるという、既にそういうふうに移行されたところもあるわけですけれども、我々、こういった国会の場にいても、このそれぞれの特殊法人がどういう業務をやっているかということが非常にわからないケースもあるわけです。一般の国民の皆さん方が、こういった特殊法人をこういうふうに一応政府側は改革するというふうにおっしゃっていますけれども、こういう独立行政法人の組織に切りかえていくということについて、国民の皆さん方の理解がどの程度進んでいるというふうに認識をされておられるのか。
 特に大臣、何か具体的に、ああ、こういう反応があるからこういうふうに理解されているなというように思うケースがあれば御披露願いたいわけです。どうも、国民の世論といいますか皆さん方が、そんなに問題意識がないのかもしれませんけれども、真に、こういった特殊法人等を独立行政法人に切りかえるということについて理解というのが余りされていないんじゃないかと私は思いますけれども、その点、大臣はどういう御認識を持っていらっしゃいますか。
石原国務大臣 ただいま一川委員は、特殊法人から独法化の点に言及されてお話をされたわけでございますが、そのほか、廃止や民営化等々、今回の特殊法人改革は、事務事業をゼロベースから見直して法人の組織形態を決定する、そしてまた、なかなかだれも言い出すことのなかった道路公団の民営化、あるいは住宅金融公庫の廃止等々、かなり国民の皆様方に今回の改革というものは浸透していると私は理解をしております。
 行革断行評議会、私の個人的な、私的な諮問機関でございますが、この会でも全国四カ所で公聴会も開かせていただきましたし、道路の民営化推進委員会等々でも全国五カ所で公聴会を開くなど、また、私もできる限りメディアに露出をさせていただきまして、今行われている改革の意義等々を説明させていただいているところでございます。
一川委員 そこで、次に経済産業大臣にお聞きするわけですけれども、お二方のほかの大臣にも基本的にお聞きしたいわけだけれども、こういう特殊法人等、我が国の今日までの経済社会活動の中で果たしてきたそれなりの、そのときのいろいろな役割はそれなりに意味があったというふうに私も思います。
 今日の我が国のいろいろな経済状況、社会的ないろいろな背景等を踏まえて見た場合に、従来と同じような業務をやっている限りにおいては、非常に民間活動が活発化してきた今日においては、いろいろな民業を圧迫してきているんではないかとか、あるいはまた地方公共団体もそれなりに力をつけてきておるときに、もっと地方に任せてもいいじゃないかとか、それから俗に言ういろいろな天下り的な現象の中でそういういろいろな癒着現象が起こっているんじゃないかとか、あるいはまた、特殊法人には相当の職員等が張りついていますから、その人たちのために不要不急の仕事を無理やりつくっているんではないかというような批判というのがあるのは御案内のとおりだと思います。
 こういうような一つの時代の背景の中で、こういう特殊法人を独立行政法人に切りかえていくわけですけれども、こういう組織というものがこれから将来の我が国にとって必要かどうかというところの認識を、そのあたりの個人的な見解でも結構ですけれども、お聞かせ願いたいと思います。
平沼国務大臣 一川先生にお答えをさせていただきます。
 具体的に、私どもといたしましては、NEDOとそれから中小企業総合事業団、ここを中心にお話をさせていただければと思います。
 我が国の経済を取り巻く環境というのは、景気の低迷が続く中で、国際的な競争が一層激化するなど、一層厳しい状況にあります。このため、日本経済の活力を取り戻しまして再生することが喫緊の課題、こういうふうに考えております。また、地球温暖化などの環境問題もその重要性が高まっておりまして、これに対する取り組みも進めなければなりません。
 これらの問題を克服するためには、産業技術政策とエネルギー政策の分野ではNEDO、新エネルギー・産業技術総合開発機構、そして中小企業政策の分野では中小企業総合事業団の役割がこれまでにも増して重要になる、このように考えているところでございます。
 NEDOにつきましては、経済産業省といたしましては、産業技術とエネルギー政策の中核的な実施機関として位置づけておりまして、産学官の能力を活用して研究開発を実施するとともに、新技術の開発と利用を促進するための補助金を交付することを主たる業務としているところであります。
 これらの業務といいますのは、民間ベースでの自主的な取り組みに任せていては開発の成功や普及が困難なものを対象としていることから、民営化にはなじまない、このように思っておりまして、独立行政法人として国が財政上の措置を講ずることが不可欠である、このように思っております。
 独立行政法人化後は、産学官を活用した研究開発をこれまでよりも一層効果的、効率的に推進すること等により、我が国の産業技術力の抜本的な強化を図ってまいらなければならないと思っています。
 また、エネルギー政策においては、地球環境対策が重要な課題となってきております。エネルギー関連技術の開発とその導入の促進を強力に推進していく、こういう必要があるわけであります。
 また、中小企業総合事業団につきましては、中小企業政策の総合的な国の実施機関と位置づけておりまして、高度化融資事業でございますとかベンチャー出資事業等の資金面での支援、それから中小企業大学校研修や専門家派遣等による経営のアドバイス、さらには小規模企業共済事業、倒産防止共済事業など、幅広い事業を行っております。
 こういった事業は、中小企業の連携や地域における産業の集積でございますとかあるいは大学発ベンチャー等、多様で活力ある中小企業の活性化を図るものでございまして、その実施に当たりましては、中小企業者が、経済的、社会的環境の変化に対応しつつ行う多様な取り組みを円滑に支援する必要があることから、これも民営化が困難であって、独立行政法人として引き続き国が財政上の措置を講じていくことが必要と認識しております。
 したがいまして、両法人は、産業技術政策、エネルギー政策、中小企業政策という将来の我が国経済の発展にとって重要な政策分野を担う機関でございまして、今後、その役割は一層大きなものとなると考えております。
 委員御指摘のように、やはり肥大化でありますとか、あるいは地方公共団体に対するそういう配慮、そういうことは十分していきたい、このように思っております。
一川委員 次に、国土交通大臣。
 私、国土交通委員会にいるものですから、別の案件で毎日やりとりしているわけですけれども、きょうは、国土交通省としましても、今回、独立行政法人化ということで六法案、それから民間法人化等で三法案を提出されております。私は、この特殊法人、先ほどもちょっと触れましたように、いろいろな時代経過の中で今日に来ておるわけですけれども、今この時期、この時代、これから将来を見通す中で、特殊法人等が今抱えている業務というものを、すべてこれは独立行政法人等に移すとかあるいは民間に移すとかという機械的なことじゃなくて、今日の課題とか将来を見通したときに、場合によっては、業務によっては、国みずからもう一回責任を持ってそれを受け持つという業務が中にあっていいというふうに思いますし、また、それ以外の部分については、先ほど言いましたように、できるだけ計画的に地方公共団体に移していく、あるいはまた計画的に廃止するなり民間に移していくというふうに私たちは考えておるわけです。
 扇大臣は、今所管のこの九つの法案、一応そういうふうに六つと三つに分けて、やや民間化に近いようなところに三つの法案を持っていますけれども、こういうふうに、将来、いろいろな業務の点検の中ではできるだけそういう民間サイドに業務を移していこうというお考えなのかどうか、そのあたりを確認したいと思います。
扇国務大臣 今一川議員がおっしゃいましたように、私たちは、戦後から今日まで行ってきた日本の基本的な政策の中で、それぞれの分野において努力してきたことで日本の今日があるということは、私は認めざるを得ないと思っています。
 けれども、その中で、余りにも偏り過ぎているのではないか、民間にゆだねられるものはなるべく民間に、今一川議員がおっしゃったように、地方にゆだねられることはなるべく地方にゆだねるという、私たちは今、その基本的な転換期に来ていると。二十一世紀でございますから、二十世紀に行ったことのメリット、それを私たちは是としながらも、二十一世紀にデメリットで残る部分はないかという、そのデメリットの部分をいかに今度は二十一世紀型のメリットにしていくかという、今その転換期にあるのだと認識しております。
 その中で、特に、国土交通省は四省庁を統合いたしましたので、旧運輸省、旧建設省といって全く競争しておりました、相反すると言ったら言い過ぎですけれども、お互いの壁を競り合っておりましたものが、四省庁統合いたしましたので、全部体質を入れかえて、四省庁統合したメリットというものをいかに出していくか。
 ですから、今度の法人の統合でも、我々は単独だけではなくて、治水なんかも考えてみますと、農林水産省との共管でございますけれども、それもというような長期計画も含めて見直していくという時期に来ておりますので、私たちはこれだけで済むとは思っておりませんけれども、少なくとも私は、スリムな政府ということをつくっていく上に、何としても、今回のことは第一歩であるという認識を持ちながらも、これからもこれを見直していくということの姿勢だけは絶えず持っていきたいなと思って、今、第一段階をお出ししているというのが現実でございます。
一川委員 私自身も、国土交通省の現在の特殊法人等の抱えている業務を見ているときに、例えば観光に関するような施策とか、こういったところは割と今、今日的な大きな課題だというふうに私は思います。大臣もよく言われますように、日本から海外へ出る観光客は一千六百万とか七百万とか言われていますね。逆に、入ってくるのはその四分の一ぐらいだと。そういうような実態の中で、しかも今こういう経済、不況の長期化の中で、それぞれの地方も、経済の活性化という中では、観光に対する関心というのは非常に強いですよね。そういったときに、本当に観光というものに対してもっと本腰を入れてやるんであれば、その部分、政府がみずから責任を持って直轄的に抱えてやるという業務をもっと拡充していいのかなという感じもしないでもないわけです。
 そういうことも含めて、先ほどの水資源の問題にしたって、絶対量のある程度の水資源の開発、確保みたいなものはある程度見通しが立ってきていると思いますけれども、あとは質の問題だと思うんですよね。だから、良質な水を安定的に確保するということからすると、水資源ということも、日本にとってはある面では非常に大事な部分だというふうに思います。
 そういうこれからの国づくり、いろいろな産業基盤ということを考えていった場合の業務の内容を見たときに、ただ機械的に業務を移していくということじゃないと思いますけれども、国全体の業務を見直す中で、それぞれの分野の役割というものをしっかりと点検していく非常に大事な時代だなというふうに思います。
 石原大臣はそのあたり、一般論でございますけれども、基本的にどういうお考えでしょうか。
石原国務大臣 ただいま委員のお話は、いわゆる観光に着目されまして、海外に一千六百万人出ていくのに日本には四百万人の観光客しか来ませんので、このような分野は国が率先して、観光立国としてやっていくことが必要ではないかということを例に出されて、官と民の役割分担についてどのように考えるかという質問だったと私は理解をさせていただいたんでございますが。
 今回の特殊法人改革は、言うまでもなく、委員がこの御質疑の冒頭申されましたように、特殊法人は、やはり民間が担うことのできない仕事を、同僚議員の言葉をかりますと、行政サービスの代行というものをアウトソーシングの形でやっていた。それなりの意義というものはありましたけれども、時代の変遷とともにその役割の意義が終わったものもこの官主導の運営の中で自己増殖し、経営の責任の所在が不明確になってきた。さまざまな弊害が指摘されている中、それでは民間に任せるものは民間に、地方にゆだねることは地方に、そういう基本原則のもと、それでも外に出すことのできないものを独立行政法人という新しい法人形態で、事業を引き続いて行っていっていただく。
 しかし、万々が一、三年、五年の見直し期間の中で、その事業に必要性が感じられないということがはっきりしたときは法人の廃止も含めて検討するというような、大胆な法人なりに整理をさせていただき、その中で今回の法案の御審議がなされているものだと理解をしております。
一川委員 ちょっと平沼大臣に、事前通告していない案件なんですけれども、よくこういう特殊法人、我々自由党も民営化ということを提案させてもらっていますけれども、今特殊法人等が抱えてやっているような業務、今の日本の民間の力からすれば十分やっていける、また今の特殊法人等のスタッフをそれなりに使いこなして民間の力で十分こなしていけるんじゃないかという見方も当然あるわけだけれども、大臣としては、そのあたりは現段階でどういう所見をお持ちですか。
平沼国務大臣 お答えさせていただきます。
 小泉内閣の基本方針というのは、民にできることは極力民に、それから地方にできることは極力地方に任せる、こういう基本方針がございます。そういう意味ですから、民にできることは、私は積極的に民に任せるべきだと思っております。
 先ほど御答弁をいたしました、例えばNEDOでございますとか中小企業の事業団、こういったものはどうしても、いろいろな観点から、ある意味では国が財政措置等をしなければならない、そういった場合を除いては、私は、基本的に民間ができることは、民間の活力を伸ばすことが日本の経済にとってその活性化につながる、このように思っております。
一川委員 では次に、これは石原大臣と扇大臣にお聞きしますけれども、こういう特殊法人等の改革ということですから、改革をすれば業務が効率化される、国民に対するいろいろなサービスが向上するということを当然ながら期待するわけだし、またその改革に伴っていろいろなコストが節減される、当然ながら、国民の税金もそういうことによって非常に節約されるという期待があって、その改革を言っているわけですね。
 業務が余り効率化されないで、何か予算がふえていくだけだったら、何のための改革かということに当然なりますので、どうもそのあたりが、今回の一連のこの独立行政法人化という一つの流れの中では余り具体的に説明されていないのではないかなと。また、一般の国民の皆さん方にそういう話題を出しますと、ではそういうことによって職員はどれだけ計画的に減らすんだとか、あるいは予算がどれだけ減っていくんだとか、では我々に対してどういうサービスがプラスされるんだということを聞かれた場合に、何か答えづらい感じがするわけですけれども、お二方の大臣に、何かそのあたり、答え方を教えていただきたいと思います。
石原国務大臣 ただいまの一川委員がお示しされました点は、私は非常に重要なことだと考えております。
 すなわち、今、組織形態が変わるときは、事務事業の見直しをして事務量というものは減っておりますし、独法になった法人も効率化をいろいろな面で図るというような取り組みをしておりますが、では将来的にどうなるのか、そういうところは、実は通則法上に、業務運営の効率化に関する事項及び財務内容に関する事項という二つの項目等々で、主務大臣が定める中期目標の必須項目にさせていただいております。
 業務の効率化や、今委員が御指摘になりましたように、財政支出が効率化したと言っておきながらふえていくようなことのないように、節減を着実に実施するためにも、この中期目標というものをしっかりと管理していくことが肝要であると考えておりますし、総理も昨日、特殊法人に関する参与会議の飯田座長との懇談の中で、私も同席させていただいたのでございますが、委員の御指摘と同趣旨な、官業が行っている仕事というものは、後から後から自分たちで仕事を見つけてくるし、改革するということを言っておきながら予算の要求というものも大変多くなっている、こういうものには、厳に、必要なものはやるけれども不必要なものは切っていくという不断の努力が必要であるというお話をされておりまして、まさにその考えにおきましては、御党の考えと申しますか、一川委員の考えと私どもの考え内に相違はないのではないかと考えております。(一川委員「簡潔にどうぞ」と呼ぶ)
扇国務大臣 簡潔にということでございますので。
 少なくとも今回の独立法人というものに関しましては、私たちは、新たな時代にふさわしいというものをつくっていかなきゃいけないし、法人の業務のあり方はどうなんだ、今一川議員がおっしゃいましたように、少なくとも、必要な業務の効率化とあるいは国費の節減、そういうものをどうしていくかということが大きな国民の目に見えたものにならなければ私は意味がないと、一川議員がおっしゃることと同等のことを考えております。
 そういう意味では、少なくとも十四年度において、私どもは、役員の給与の平均一割削減、それから退職金の平均の三割削減等々、目に見えた改革はやりつつありますけれども、それを完全に目に見えたものにするという意味でも、前年度予算に比べまして私たちは平均二割減ということでしておりますので、少なくともスリム化というものが国民に評価されるようなものを、今回の法案成立後、来年の予算に向けての我々の努力というものが世の中にわかるようにしていくことが一番大事なことだというので、今一川議員がおっしゃった、国民にわかりやすく、どう変わるんだということを私たちも今後努力していきたいと思っております。
一川委員 今両大臣からお話がございましたように、これについては当然そういう考え方で取り組むということでございますので、我々もその成果に十分関心を持って眺めていきたいと思いますし、また、タイミングを見ていろいろな提言をさせていただきたいと思います。
 以上で終わります。
保利委員長 次に、田中慶秋君。
田中(慶)委員 民主党の田中慶秋です。石原大臣に最初にお伺いいたします。
 今度の特殊法人の問題、少なくてもこの問題で、何回となくあなたが言われているように、あるいは総理が言っているように、ゼロベースを含めながら、必要なもの、見直しをするもの、そして民間にゆだねること、あるいはまた地方にできること、そして独立行政法人、こういう形になっているわけでありますけれども、その前提とするのは、やはりわかりやすく、なおかつスリムで、こういうことだと思うんです。
 ところが、従来の特殊法人の問題を検討してみますと、役員となっているOBが現実に約四二%、特殊法人の関係では四二%占められておりました。しかし、今度、私はそういう点では率が下がっているのかなと思っておりましたらば、約六〇%になっているんですね、今回対象になっている三十八の独法だけ見ても。この辺はどう思いますか。
    〔委員長退席、山本(幸)委員長代理着席〕
石原国務大臣 ただいま委員の御指摘は、特殊法人の役人OBの方の役員に対する割合と今回の独法の役員の割合、これをどういうふうに考えるかという御質問だったと思うんですが、細かい数字は事務方に聞いていただきたいと思うんですが、七十四特殊法人ベースで、八百人弱の役員のうち、たしかおよそ三百五十人ぐらいが役人OBということで、委員御指摘のとおり、四十数%、割合を占める。今回どういうふうな独法の仕組みになっているかと申しますと、法定数で四〇%減、常勤数で二五%減、現行の法人の役員数から減少をしているというふうに仕組ませていただいております。
田中(慶)委員 先ほど、従来の独立行政法人は、少なくても役員数が九百十二人、そしてOBが三百七十九人、結果として四二%になります。今回は、対象になっているところが、役員総数が四百九十六人、そしてOBが三百七十人、六〇・二七%になっております。こういう点で、ただ数字だけでは一概に言えないかもわかりませんけれども、基本となっているこの問題について、私は、ある面では少なくても官僚の天下りを容認している、こういうふうに指摘をせざるを得ない、こう思います。
 まして、非常勤の問題でありますけれども、非常勤も大変まだまだ多い。特に独法以外に、石原大臣、認可法人なりファミリー企業、こういうところになってきますと、隠れみのになっております。認可法人で国関係の直接の問題、約七千社、七千団体、地方を含めると約二万強ですから、そこに大体事務局長、常務クラスが、ほとんどOBの人たちがそこに勤務されている、こういうことであります。さらには、非常勤という形の中でも、ばらばらでありますけれども、週一回のところもあれば、あるいは一カ月に一、二回の人もいる、こういうことであります。
 報酬については、私ども調べさせていただいて、例えば前回議題となりました石油公団のときも、あのときのファミリー企業といいますかその系列が、非常勤ながら関連して役員になって、非常勤役員として、ひどい人は八社も非常勤役員になっている。現実なんです。
 確かに報酬は出ておりませんけれども、しかし、会議費であるとか交通費の名目で出ていることは事実であります。それを給料ベースに換算しますと、一時間当たり、せいぜい一時間ぐらいしかいないんですから、そうすると、それを換算、逆算していきますと、大体十万円ぐらいになるんですよ。これが現実に、十社続けてごらん、百万円ですよ。こういうことがある面では隠れみのになり、ある面ではまかり通っている。
 ですから、今回の独法ではどこまでこれらの問題についてメスを入れられるのか、この辺をまず大臣の考え方をお伺いします。
石原国務大臣 公務員の方が特殊法人にあるいは独立法人に、また地方でも、委員御承知のとおり、地方の第三セクターやあるいは協議会等々の公益法人等々にも天下っているこの実態というものは、やはりその数を今委員がお示しになりましたように、地方公務員のOBの方含めてたしか四十一万人ぐらい、公益法人白書をのぞいてきましたら、役員がいて、二万人強ですね、この数字は五%と、かなりの数であるなと。
 今御議論いただいております法人でいうならば、四十六本の法案で、三十八法人に、合併等もございますので数が減るわけですけれども、法定数で見て三百三十八から二百四、先ほど言いましたように四割減。常勤数で二百八十一から二百四、二五%減。まあ割合でいけばこんなものかなという感じはするんですが、今委員御指摘のように。
 その勤務実態というものは、一体あなたは、非常勤の方は週何回来て、ボードがあるわけですから、そのボードは必ず出ているんですか、出ていないんですかというような調査までは残念ながら当方でも把握しておりませんし、その実態というものは必ずしも明確になっていない。
 御議論になっておりますように、国民の皆様方から批判のあるこの点につきましては、公務員の皆さん方もしっかりと自覚して、やはり役所の人事の延長線上で安易に独法に天下るというようなことは厳に慎んでいかなければなりませんし、その方向でしっかりとフォローアップをしてまいりたいと考えております。
田中(慶)委員 大臣、これは、ある面では本当に一つ一つの独法にメスを入れて、この独法が本当に必要なのかどうか。おととい申し上げたように、最初、まず第一ラウンドが省の中で検討されるんですから。そして行革の方に上がってくる。評価委員会なり外部、ここで議論をされて、これはどうしてもこの国のために必要だ、この議論をしていなかったんですよ、はっきり申し上げて。だから、数合わせだとか、看板のかけかえだと言われているんですよ。現実にそうなんですからね。ぜひその辺を、石原大臣は担当大臣としてどのように指導していくのか、指導されてきたのか、もう一度聞かせてください。
石原国務大臣 ただいま田中委員が御指摘の点は、私も昨年来の議論の中で、所管しておりますのは省庁ごとでございますので、当方の考えを取りまとめ、その考えを省庁と話をする、そういう中で、おたくのやっている事業と似たような法人のやっている事業、どうも同じじゃないか、それなら一本にした方がいい、あるいは端的な例を申しますと、旅行代理店をやっていたり、旅館をやっていたり、ホテルをやっていたり、レストランをやっていたり、目に余るようなものも大分あったわけですけれども、こんなものはもうあなた方、やめた方がいいじゃないですか、研修施設もやっていたり、これも民間に任せたらいいじゃないですか、こういうやりとりで整理合理化計画をまとめ、今回は四十六本の法案の中に、独法化を中心とした、特殊法人から独立行政法人に組織を変える、業務内容をもちろんスリム化した上で法案を取りまとめさせていただきました。そこで、やはり委員が御指摘になりましたように、冒頭申しましたように、要らないんじゃないかとこちら側が言うと、いや、要るんだ、そういうものがあったことは事実でございます。
 そしてもう一つ、さまざまな内閣委員会等々の審議の中で、要らないんだと組織をなくす。そうしますと、そこで働いている方もいらっしゃる、雇用の面には十分に配慮をしていかなければならない。今はこういう時代でございますので、何百人、何千人の方が新しい職場に移るということはなかなか大変なことでもあります。そういうことも国会の決議の中でも、法人なりが変わるときには十分配慮をしろという決議もちょうだいしておりますし、そんな点も注意して今回の整理合理化計画を取りまとめ、今回は独法化の法案を提出させていただいているところでございます。
    〔山本(幸)委員長代理退席、委員長着席〕
田中(慶)委員 確かにもろもろの条件があったと思いますけれども、しかし、かつてイギリスのサッチャーがやったときには、例のエージェンシー方式もさることながら、やはりダイナミックにやったと思うんです。日本はやはりそのことを含めてやっていかないと、日本の文化みたいなものがありますから、そういう点ではなかなかそういうしがらみを断ち切ることができない部分があろうと思いますけれども、しかし、それをいつまでもやっていたならば、はっきり申し上げてこの国が沈没するわけですから、そういうところまで来ているわけであります。ですから、その問題についてはやはりいま少しダイナミックにやる必要があるだろう、このように思っております。
 そこで、大臣、先ほど公益法人の問題がありましたでしょう。これから出資しないということに決まっておりますけれども、今まで出資したものをどういう形で回収するかということについての議論はされていますか。
石原国務大臣 出資金の話は、実は公益法人に限らず特殊法人もかなりな部分、出資しております。それを今返せと言えば運営がままならなくなる会社がたくさんありますし、本四に代表されるように、国の出資部分をふやしていっているような企業もある。この問題は長いスパンをかかって、国が出したということは国民の皆さん方の財産でありますし、その財産を持っている会社が火の車になって発散をしてしまうような事態は防がなければいけませんし、ましてや天下りの温床となり国民の皆様方の批判の対象となることのないように、厳しく見詰めていかなければならない重要な点だと考えております。
田中(慶)委員 やはりいろいろな諸問題がありますけれども、納税者が困っている、はっきり申し上げて。このベースをどう考えておられるのか。国だけがいい、出資したところだけがいいというわけじゃないと思うんです。ですから、ある面では、何も今すぐと言わなくても、長期プランを出して、いつまでにどういう形で、こういうスキームがあっていいと思うんです。しかし、現実にはそういうスキームが何も見られていない。これが現実なんですから。いつまでもぬるま湯に入って、その厳しさを現実に何も考えていない。ある面では生産性がないわけでありますから、そういうことを含めて、そういうスキームを検討されたらどうなんでしょう。
石原国務大臣 先ほど本四の出資金の話をしました。これは割と衆人の目にさらされておりますのでわかりやすい例なんですが、実は特殊法人等々はこれまで公会計でディスクロージャーされております。しかし、この公会計というものは、今委員御指摘のような問題を明らかにしていく上では非常に不透明であります。
 そこで、独法に特殊法人等々が組織の形態を変えますと、企業会計が原則となってまいります。すなわち、BS、PLというものが年度ごとに明らかになり、さらに監査というものを外部の監査法人が行います。そうしますと、個々の独法が抱えている財務の状況や、今御指摘された出資金のありよう、そして出資金を返済することができないのか、あるいはその前にその企業が債務超過であるのかないのか、こういうものも初めてそこで明らかになるわけであります。
 予断を持って言うことは、現在残念ながら私にもわかりませんが、ふたを開いてみたら実はもっと大変なのかもしれませんし、思ったよりいいのかもしれない。この点は、委員の御指摘のとおり、企業会計で見たものの中で本来あるべき解決策をまとめなければなりませんし、まとめた後には国民の皆さん方の前に現実をお示しして、国会等々の場で真摯に御議論をしていただき、解決に当たらなければならないと考えております。
田中(慶)委員 いずれにしても、やはり、日本の国全体の体力がおっこって国全体がおかしいときに、国の出資をされている、そういうところも厳しくちゃんとしていかなければいけないんだろうと私は思っておりますから、少なくてもその点を明確にした上でこれから取り組んでほしいと思うし、独法自体がそういう趣旨ではしっかりとしなければいけない。必ずこの独法が必要なんだということなんですから。私は、これから経済産業とやりますけれども、むしろ必要じゃないということをこれから始めますから。
 それじゃ、最初に平沼経済大臣にお伺いします。ジェトロの問題、いいですね。
 せっかくこんな立派なパンフレットをつくっているんですよ。一番最初を開きますと、ジェトロは輸入拡大を目指してと書いてあるんですよ。今、日本は輸入拡大を目指す時期ですか。そういう時期じゃないと思うんですよ。こういうことを平気で書いて、また独立行政法人として残そうとしている。そればかりじゃない。海外投資を目指してと書いてあります、この中に。これはどういう意味ですか。
平沼国務大臣 最新のジェトロのパンフレット、これは、確かにジェトロの業務というのは、現状及び今後の進むべき方向としては、御指摘のように、現下の社会情勢にかんがみまして、輸入促進というのは縮小しなければならないと私は思っています。対日直接投資の促進でございますとか、それから今喫緊の課題でございます中小企業の輸出振興、こういったことにシフトをぴしっとしてやっていかなきゃならないと思っています。
 田中先生も御承知だと思いますけれども、ジェトロがみずから策定をしました今後の重点指針の中では、重点項目の第一として、我が国の雇用創出に寄与する対内直接投資、それから中堅・中小企業の輸出促進等への支援、こういうのを挙げているわけでありまして、また実態的には、輸入促進につきましても、ここ数年、輸入促進関係の予算は大幅に削減をしているところでございまして、また来年度予算も今年度に比べて半減する、こういうことに相なっております。
 そして、そのパンフレットの件でございますけれども、私は、輸入促進ということが入っているということは非常に言語道断だ、こういうふうに思っておりまして、私は、輸入促進を位置づけとしては変更して、そしてそれは削除する、こういうことで指導をしていたわけでございますけれども、本当に、お手元にあるとおり、そういうことは言語道断で、何かの行き違いで、最新の版では輸入拡大がおっしゃったように一番に掲げられたままになった、こういうことですから、厳重にそれは担当大臣として注意をし、そしてそれは回収するようにさせていただきます。
田中(慶)委員 実は、今回の独法の関係で、ジェトロから一番最初、これは資料として提出していただいた。これは古いものを持ってきたんじゃないんですよ。今回、ジェトロの問題をきょう質問するので。そうしたら、開いたら輸入拡大と書いてある。輸入の拡大と書いてあるから、今まで経済産業省で言ってきたことと全然違うじゃないか。
 だから、もう役割は終わったんです。これは昭和三十三年から始まって、今までは一定の役割は果たしてきたと思うんです。そのときはまだ、昔は民間企業が海外にこれだけいろいろな形で出ていけない状態だったから。しかし、今はすべての、大手を含めて、商社を含めて、世界じゅうネットワークをしているわけですから、私は、そういうことを含めて、ジェトロの役割はもう終わった、こういうふうに思っております。
 まして、ここに国の政策と全然反対のようなことを平気で書いて、こんなパンフレットを全部配っていること自体がおかしい。まさしくここでそんなことを幾ら、いや、それは何かの間違いだろうと言われたって、これは全然違うわけですから。きょうのために資料をもらって、ここに持ってきたんですから。やはりおかしいことですから、そういう感覚が今のジェトロの、少なくても存亡をかけたジェトロのあり方ではない、私はこのように思っております。もはやその役割は終わった。民間でやった方がよほど、自分たちが、日本の国のために、自分の企業が生き残れるために懸命に努力をされますよ。私はそう思いますけれども、大臣、どうですか。
平沼国務大臣 お答えさせていただきます。
 重ねて私申し上げますけれども、本当にそのパンフレットというのは私の指導に反する形になっておりまして、これは私も早速改めるように強力に指導したいと思っております。
 資源に乏しい我が国にとっては、貿易の振興によって国富を拡大していくということは、時代を問わず政府の使命だと私は思っております。
 今お触れになりましたけれども、一九五八年にジェトロを設立して以降、一九六〇年代から七〇年代に関しては、おっしゃるとおり、輸出の振興でどんどん経済を伸ばしてまいりました。しかし、日本がひとり勝ち、こういうようなことになって、諸外国から大変な批判が出て、そして日本はもっと世界から物を買え、こういう形で、これも御承知のように、八〇年代から九〇年代前半にかけては、そのパンフレットはその流れの中でできちゃったんじゃないかと思っておりますけれども、輸入促進ということを一生懸命やってまいりました。
 しかし、一九九〇年代の後半以降、これは、我が国が、バブルの崩壊後、長期低迷化をしまして、そして我が国企業が激しい国際競争の場にさらされておりまして、今、内外のマーケットで生き残りをかけて、そういう闘いを強いられているわけでございますから、諸外国と同様、我が国においても、先生御指摘のように、海外の市場動向の調査ですとか法制度の調査等により我が国企業の事業活動を支援する、貿易振興を図る専門的な、民間とおっしゃいましたけれども、専門的な国が裏打ちしたそういう機関が私はやはり必要だ、そういうふうに思っております。
 私も、経済産業大臣として諸外国に出させていただいています。そうすると、諸外国の方々から、特に発展途上国を含めて、あるいは産油国、そういったところから、ジェトロに対しては大変な評価があることも事実であります。それがやはり日本の貿易振興の一つの大きな役割を担っている、こういうことでございますから、私どもとしては、本当に反省の上に立って、この国の経済活性化、そして輸出を促進して中小企業を助ける、さらには、我々としては、そういう意味では、役割を今の状況に合わせて、そして国がしっかりと裏打ちをしてやっていく、そういう体制をとっていきたい、このように思っております。
田中(慶)委員 大臣の言っていることと現場の動きは違いますからね。今大臣がいみじくも、諸外国から喜ばれていると。それは、物を買うから、輸入拡大しているから喜ばれるんであって、輸出競争は、今もう世界の三十一番目まで下がっちゃったんですよ。きのう、おととい発表されたでしょう。
 そのぐらい現実は厳しいわけですから、やはりこのジェトロのあり方というものを、ある外務省の大使館の大使ですね、ジェトロの役割はもう終わったと。同じ外国で仕事をしている人がそういうふうに言われているわけですから、やはりそういうことを含めて、しっかりとさせないと、何のためにこれがあるのか。まして、ウィーンなんという何もないところに、何もそこに出張所なんて置く必要ない。やはり全部、そういう点ではあらゆることを、これを百歩譲って残すといったって、あらゆることを見直しをしないと、今、日本の国民が望んでいる、また日本が厳しく対応しようとしているところ、しかし、ぬるま湯につかっていますから、従来のそういう延長線にありますから、こんなことでは輸出の拡大になりませんよ。
平沼国務大臣 それは見直すということは、先ほどの答弁でも申し上げたとおり、やはり根底からあり方というものを変えて、そして日本は何といっても貿易立国ですから、その力点を変えてその役割を果たしていかなければいかぬと思っております。
 それから、先ほどの御答弁の中で、諸外国に行って喜ばれている、こういうふうに言いました。それは、輸入の面も確かにそれは一部加味していると思いますが、しかし、ジェトロのやっている仕事は、例えば、そういった国々に対して、中小企業政策をどうやるか、あるいはITの共通の認証基準をどうするか、そういったことも幅広くやりながら、その国の活力を高める、そういうことで非常に評価をされているという側面もございます。ですから、そのことだけは、蛇足でございますけれども申し上げさせていただきました。
田中(慶)委員 それは大臣の外交辞令で言っていると思いますよ。
 私たちが調べた中では、はっきり申し上げて、もうジェトロの役割は終わった、こういうふうに。いま少しマーケットリサーチをちゃんとして、そして日本の輸出が拡大できるようなそういう仕事をちゃんとすればいいんですよ。ところが、現実問題としてそれをしてないんですから。この問題は、また山田君が、次、詰めますから。
 もう一つは、情報処理振興機構というものが今度出ておりますけれども、これも民間で、むしろこれはもう民間でやった方がよっぽどいい。いいですか。役所というものは役所仕事と言われるように遅いんです。スピードがないんですよ。IT関係なんというと、三年過ぎたらもう古いんですから。そういうことを含めてこの情報処理、一歩間違えたら、違ったデータが来たら本当にこの国の大きな損害になってくるわけですよ。そういうことを含めながら、このITの問題については、むしろ私は、もはやその役割は終わった、とっくに終わったと思っております。
 例えば、今までこの協会の財務状況を見ても、開発ソフトに対する投資、償還金、収入と支出のバランスを見ても、今、当初からすると七百四十八億の赤字を出しているんですよ、はっきり申し上げて。それからもう一つは、今度これと一緒になる技術事業の問題についても同じようなことであります。百六十億の赤字を出しております。
 こういう形で、財務処理その他についても、大変、私はこれらの問題について、もはやこの情報処理というのは、民間企業がソフトも含めて、いろいろなことを含めてあらゆる知恵を出しながら日本の情報産業というものが大きく躍進をしているときに、役所があるために、はっきり申し上げて弊害になっている部分がたくさんある、こういうことを言われているのです。だから、私もこの役割はむしろ終わったんじゃないかな、こんなふうに思うんです。これこそ看板のかけかえですよ。その辺、どう思いますか。
平沼国務大臣 経済社会における情報化の進展に伴いまして、ソフトウエアが産業や生活のあらゆる局面で活用されておりまして、今後、ソフトウエアが産業分野を超えて経済社会全体の効率性と競争力、さらには安全性、信頼性を与えるインフラ的機能を持っている、このように私どもは認識をしているところであります。
 このような状況下の中で、我が国のIT戦略としましては、次世代をにらんだ戦略的なソフトウエアの開発をしなきゃいけない。それからセキュリティー対策、ソフトウエアの信頼性、安全性の向上、それからIT社会を支える人材の育成、こういった施策を重点的に推進していくことが必要不可欠だと思っておりまして、IPAでは、これらの三つの施策を柱として、独立行政法人としてより公共性の高い、そしてかつ、真に必要な事業を実施しているところでございます。
 長くなりますけれども、ソフトウエア開発に関しましては、従来から量的拡大を目指して実施してきた財務や会計などの汎用的な業務に使用されるプログラムの開発をやめまして、例えば、情報家電でございますとか携帯電話のオペレーティングシステムとして広く普及をしておりますトロンのように、次世代を担うオペレーティングシステムのそういうプログラミング言語などの基盤的な役割を果たす、そういう開発を一生懸命やっております。
 そういう意味で、セキュリティーでございますとかプログラミングですとか、公的な面がやはりこれからやっていかなきゃいかぬ、そういう観点に立って、民間に任せればいい、こういうお話でございましたけれども、私どもとしては、そういう公的な関与を国の基本的な戦略の一環としてやはりやっていかなければならない、こういう観点で独立行政法人化、こういうことでお願いをしているところでございます。
田中(慶)委員 今の大臣の発想でいくと、すべて、特殊法人も認可法人も全部残さなきゃいけない。まして大臣、あなたがつくっているペーパー見てくださいよ。一生懸命、それは残すために必死になって書いているんだから。そんなの棒読みされたって、僕なんてはっきり言って全然納得しません、我々一生懸命調べてきたんですから。
 ですから、むしろ、この今回の独立法人、経済産業四法案ありますけれども、やはり国家戦略として本当に考えていくのであれば、私はこういうことはもう終わりだと思っています。むしろ、民間にゆだねた方が機動力もスピードも、いろいろな形で、そういうことを含めて効果が出る、私はこのように思っていますよ。これも山田君にまた詰めてもらいます。
 私は次、中小企業の基盤整備の問題でいきます。
 これは大臣、今大変なことですよ。今まで工業団地を整備してきておりますでしょう、これが、売れ残りが二千二百二十二億円もあるんですよ、はっきり言って。そしてもう一つ、これは一部国土省にも関係がある部分でありますけれども、ここでも二千六百億あるんですよ。
 こういう形で、今までの債務処理を、はっきり申し上げて、これは今回の独法にそのツケを回すような形になっているんじゃないですか。もし本気でこれを処理するんであれば、それこそJRの清算事業団みたいな形でしっかりとその分を処理しないと、いつまでたっても、この価格を見てくださいよ、従来の簿価から、全部造成をしてやっても、今買う人なんていませんよ、こんな高いものを。これが現実なんですよ。こういうことを含めて、この地域振興公団の売れ残り団地をどうするんですか。
平沼国務大臣 これは九〇年代景気が非常に低迷をいたしまして、それまでは日本の各地の要求で工業団地というのをつくっていこう、こういう形で造成が進みました。しかし現状の中、こういう経済の中で、御指摘のような事態になっていることは事実であります。
 しかし、私どもとしましては、やはりこれは、そういう地方の都道府県や市町村、そういったところとよく連携をとりながら、そして理解と協力を得つつ、やはりある工業団地ですから、そういう意味では、この譲渡業務というのを完遂するためには、総合的な分譲促進策を早急に策定していかなければならないと思っておりますし、また既に、もう廃止をする、こういったところも幾つか出てきております。
 そういう意味では、確かに今は厳しい状況になってきておりますけれども、しかしこれから先行き、そういう形で努力をすれば、まだまだそういう形で利用ができる、そういう観点に立って、今回、独立行政法人という形の中で、私どもは、徹底的な合理化も図りながら、さらにこれの利用というものを図っていかなきゃいけない、こういう考えでおります。
田中(慶)委員 むしろ、これは金利はかさむ一方だし、まして、こういう形で処理をしていかないと、より高いものになって買う人なんてだれもいませんよ。見てください。あなたは経済産業大臣として中小企業をいろいろな形で面倒見ているでしょう。
 あの金融を見たってわかるじゃないですか。担保一つ、昔の担保と、土地担保自体、土地が十分の一になってしまったじゃないですか。それではお金を貸してくれないでしょう。ましてこれが、この土地そのものを政策的にちゃんとしていかないと、金利が膨らんで高くなる一方で売れっこなんて絶対ありませんよ。
 あなた、これからもずっと努力をしてなんというようなことを言っておりますけれども、これだけまた赤字が余計ふえる一方だと思いますよ。こんなこと放置していてはだめだと思います。独立法人じゃなくして、むしろこれは清算事業団的な仕事をして、ちゃんとしないとだめだと思うのですよ。どうですか。
平沼国務大臣 今の現状では、日本の経済というのは非常に厳しい。そういう観点で見ればそういう見方もできると思いますけれども、やはり、日本がこれから経済活性化をし、みんなが努力をして、そして、これだけのポテンシャリティーがあるわけですから、日本がまた経済安定軌道に乗れば、こういった形で地方の公共団体とも協力をしてやっていけばさらに活用する道がある、そういうふうに私は認識をしております。
田中(慶)委員 大臣のそのことは非常に期待をしておりますけれども、そんなにポテンシャル上がるのですか。右肩上がりなんという時代は終わったと思いますよ、はっきり申し上げて。
 それはやはり真剣に、国民の財産と同じなんですから、考えていかないと、今のような、もうこれだけでも、あなたのところの在庫が少なくても五千億ぐらいあるんですよ、五千億。そして、いや、いま少し、右肩上がりの時代なんて、金利ばかりかかる一方で、おかしくなってしまう。
 こんなことを考えたときに、私は、この問題については、やはり清算事業団、こういう形でちゃんと処理をしない限りツケがふえていくばかりですから、その辺で、むしろ独立行政法人とするのだったら、それこそ清算事業団の独立法人みたいなことをして、ちゃんと処理するような努力をされないとだめだと思いますよ。そのことを大臣に警告を申し上げて、私の質問は終わりにさせていただきます。
 また、これ、石原大臣、よく私ずっと調べておきましたから、見ておいてください。
保利委員長 次に、山田敏雅君。
山田(敏)委員 民主党の山田敏雅でございます。田中委員に引き続きまして、御質問をさせていただきたいと思います。
 まず最初に、石原大臣それから平沼大臣にお伺いしたいのですが、今回の特殊法人の改革、中身をよく一つ一つ見てみると、ほとんど普通の常識からかけ離れて、こんなものは要らないのに、こんな改革では全然改革にならない、あるいは看板だけかけかえているという内容がいっぱい出てくるんですね。それでお聞きしました、どうしてこういう内容が出てきたんですかと、経済産業委員会できのうやりました。
 そうしますと、まず、この特殊法人の改革の案、原案はどこから出てきたかというと、省庁の中で議論して出てきましたというお答えですね。こういう改革のやり方で、本当に国民のために、あるいは貴重な国民の税金を正しく使える、こういう改革ができるのでしょうか。石原大臣、ちょっとお答えいただけますか。
石原国務大臣 言うまでもなく、特殊法人という法人は、委員御承知のことで、釈迦に説法でございますが、社会的な意義があったからこそ設立もされ、存在もし、きょう今日まで生き長らえてきたと思います。
 しかし、その間、見直し規定が何も入っていない、その一方で、補助金等々の税金に、言葉をかえますと、国に寄り添う法人の姿勢、また国の側は、手とり足とり、OBの人事のはけ口として子会社のように使うような形でやってきたという負の側面、両面持っていると思います。今回、そのような弊害を除去して、独立行政法人という外部の評価が入り、さらに、責任が明確化する。
 ですから、今、御同僚の田中議員がおっしゃられていたような法人の抱える負の資産の問題、これは、事業を行っているキャッシュフローに対して、一体どれだけの資産の割合があり、どれだけ負債があるのか、企業会計原則にのっとって示せば明らかなわけであります。ですから、債務超過の企業は発散する可能性が極めて高い。そういうことが、これから間もなく、法人が変われば明らかになってまいります。そのときに、その法人、存続することが可能なのか不可能なのか、初めて法人の廃止も含めて議論をされる。そういう意味では、これまでの特殊法人とは全く違う組織なりだと考えております。
山田(敏)委員 ちょっと質問と答えが違うので。私の質問は、この改革の中身ですね、例えばジェトロ、貿易振興協会、こういうふうにします、輸入促進業務の一部をやめます、こういう改革ですと、こんなアイデアはどこから出てきたんですか、そういう質問をしているのですね、そうしたら、省の中から、省内で議論してこの改革案を出しましたと、それについて、そのやり方は国民の立場に立った改革のやり方ですかどうですかと、それを聞いているのですよ。それを答えてください。
石原国務大臣 質問の趣旨を若干取り違えまして恐縮に存じますが、特殊法人整理合理化計画では、貿易振興事業について外部評価を求めろと。すなわち、貿易振興を本当にしているのか。ですから、今お示しされたように、輸入促進になっているとしたら、これは全然、設立意図とは全く逆でありますし、その点については経産大臣が善処すると明確に御答弁をされておりますし、既に実施した事業については、事後評価の結果を踏まえ、真に必要なものに限定する。当たり前といえば当たり前ですけれども、これまでやっていないと思ったからこそ、こういうことを書かせていただいたわけであります。そして、受益者の負担を引き上げる。これも、民間法人に近い運営をなされていく上であるならば、同じであります。
 そういうことをしろと、これは一部でありますけれども、言って、それを所管する省庁が法案の形で提出してきたのがこの四十六本の法律であると御理解をいただきたいと思います。
山田(敏)委員 また質問の意図がわかっていただけないのですが、私が言っているのは、プロセスを言っているのですね。どういうプロセスでこの改革案を出してきたか、これが正しかったか、正しくなかったかと。
 例えば、貿易振興協会というのは、今から四十五年前にできて、貿易を振興するためにやりました。世界に百十六の事業所をつくった。そして、どんどん広がっていったのですね。それを今改革しようという議論を国会で国民のためにやる。そうすると、ではどうしましょうかと、その原案は、省内で議論したものが出てくるのか、それとも、国民を代表する政治家の立場としてこれはどうすべきなのかという議論だったら、全く違う議論が出てくるわけですよね。
 今出てきているのは、例えば貿易振興協会でしたら、今まで輸入住宅の展示会をやって莫大なお金を使ったが、輸入住宅は売れない。輸入自動車の促進をやりましょう、そんなものは全然必要ない。やってきたわけですよ。そんなものは国民の目から見たらおかしいから、では貿易振興協会としてはどうすればいいのか。それは視点が違うということを言っているのですよ。
 それについては、正しいということで御答弁なさるのですか。私の質問の意味をよく考えて答えていただきたいのですけれども。
石原国務大臣 質問に沿ってお答えを申し上げておりますが、ジェトロという組織が今の時代に合ったものになってほしい、そういうことを行革の立場から申し上げ、経産省の方でジェトロの改革案というものが今回出てきたと御理解をいただきたいと思います。その中で、委員が御指摘されたような批判にこたえるには十分ではないようなものもあるということは、私も承知しております。
山田(敏)委員 平沼大臣にお伺いします。
 今私が言っていることは、今回の特殊法人の改革案、例えばジェトロは輸入業務の一部をやめますというようなことが出てきたのですが、これは委員会でちょっとお伺いしました。これは省内で議論して原案をつくって出てきた。ほかの特殊法人も全部そうなんですけれども、行政の長としてというよりは、国民の代表として、政治家として、このやり方はよかったのか悪かったのか、どういうふうにお考えですか。
平沼国務大臣 これは、一連の行革の中で、国としての基本方針が出ました。そういう中で、その衝に当たって、そして日夜努力をしている、そういう役所の担当、それから責任者、それが現状の問題点についていろいろ議論をしました。ですから、ジェトロのことをおっしゃいましたけれども、確かに、七〇年代、八〇年代とは状況が違った。そしてこれからは、輸入促進だったのが、バブルがはじけてこういう世界の状況になってきた。ですから、おのずとやはりジェトロのあり方も変えていかなきゃいけない。そういう中で、その衝に当たっていた者が、やはり独善的じゃなくて、いろいろ、議論をする過程においては周りの方々の意見も聞きながらまとめていった、私はそう思います。
 しかし、御指摘のように、やはり衆知を集めて、そして公の場でやるという手法も、それはとれればよかったかな、こういうふうに思っています。
山田(敏)委員 平沼大臣、よく言っていただきました。私は、このような改革は、第三者、経営的なセンスのある人、あるいは国民、納税者としての感覚を持った人がこれをまず第一に議論するべきだと思います。
 例えば、今の貿易振興会のことをお話ししますけれども、世界に百十六の事業所があって、これは在外公館とほぼ同じ条件で皆さん働いていらっしゃいますね。非常に大きな人件費がかかるわけですね。家賃も五十万円とか百万円のところに住んでいらっしゃる。
 先日、ウィーンに行きました。ウィーンは音楽の都でございます。このウィーンにジェトロの事務所がございます。大臣、いかがお考えですか。ウィーンに、音楽の都なんですが、貿易振興のための何か重要な情報があると。これは百十六もあれば、もっとひどいところはたくさんあると思うんですけれども、普通に考えたら、ちょっともうこれはやめた方がいいなというふうに思いますが、普通の感覚、これは大事だと思うんですが、いかがですか。
平沼国務大臣 ちょっと訂正をさせていただきますけれども、ジェトロの海外事務所というのは、五十九カ国、八十事務所、そういうふうに認識があるわけでございます。
 ジェトロの海外事務所の配置については、従前から、その必要性を十分に吟味して随時見直しを行っています。だから、九〇年代に入りましても、例えば一九九六年にヤンゴン、さらには二〇〇一年にはベトナム、これから非常に大きく伸びるホーチミンに事務所を開設しましたし、また、上海だとかシンガポールの事務所の体制を強化したところでございます。
 ウィーンについての御指摘がございました。これは、東西冷戦下において、旧ソ連、東欧の情報の窓口として長年機能してきました。現在も、中東欧に関する情報の集積地となっていて、非常に重要な役割を担っておりまして、今後、中東欧の諸国がEUに加盟が見込まれるわけでございまして、欧州に拠点を有する日本の企業等にとってはウィーンのセンターの必要性は、私どもは依然として大きいものがあると。
 しかし、確かにいろいろな拡大をしてきましたから、随時見直しをしていく、こういうことは必要だ、そういう意味では、不断の見直しを行っていきたいと私は思っています。
山田(敏)委員 先ほど平沼大臣の話で、非常に専門的な調査をやっているので喜ばれるということだったんですが、私どもは、ジェトロを全部廃止してなくしてしまえという議論もあるんですが、もう四十五年前に貿易振興のためにできた組織を、この際、今の時代に合ったものに抜本的に変えるべきだと思うんですね。
 今の時代、大きな問題が今日本の企業の中に対外的にいろいろあるんですが、例えば、今の在外公館は邦人保護、邦人企業の保護というものが正しく機能されていない。要するに、海外で、特に今中国、アジア地区が多いわけですけれども、投資をやった場合、特に中小企業の方が、今何千社という方が出ていらっしゃいますけれども、大変なトラブルが起こった、あるいは被害を受けた、こういう話がいろいろな中小企業の団体の方に聞くといっぱい出てくるんですね。それに対して在外公館が邦人保護、邦人企業保護の役目を果たしたかというと、残念ながら、今の外務省はほとんどこれは機能しておりません。これは実例を挙げたら切りがありません。
 ちょっと簡単に一つだけ申し上げますけれども、九月十一日のテロのときにニューヨークで起こったことを、内田忠さんというジャーナリストの方が私に手紙を送ってこられました。
 九月十一日にテロが起こって、そのとき日本人がたくさんニューヨークにいらっしゃったんですが、空港がすべて閉鎖されました。飛行機は一便も飛ばない。もちろん、旅行ですから帰ることはできない。その方たちがニューヨーク総領事に行かれました。何とかしてください、泊まるところがありません、行くところもありませんと。普通の在外公館であれば、日本以外の国、これは総領事館を開放して、八畳あれば二十人ぐらい寝られるわけですから。たくさんの方が路頭に迷われたら、総領事の公邸でも開放すればいいわけです。それは普通やりますよ、戦争状態なんですから。
 日本の総領事は門を閉じたんですね、一人も中に入れるなと。そして、何をやったかというと、ホテルのリストの一枚の紙を、助けてくれと来た人に渡したんです。そんなホテルはとっくの昔に満杯で行くところがないからみんな来ているんです。こういうことがあったんですね。これは世界じゅうの在外公館で行われています。
 中国もそうなんです。中国は今、上海だけでも二千社に近い日本と中国の合弁企業が操業しているんですね。それ以上にたくさんの方が行かれて、そしていろいろなトラブルに巻き込まれている。そして、失敗して帰られた話も大臣もたくさん聞かれると思うんですけれども。
 では、上海にある貿易振興会の事務所が一体何をしたのか、それから、これから一体何をすべきなのかということをちょっと御提案したいと思うんです。
 きのうの夜、上海の事務所長に電話をしていただきました。恐らく、何百社、何千社という方がトラブルに巻き込まれて、相談するところがありませんから、ジェトロの方に行かれて、これはどうしたらいいでしょうか、弁護士はどうしたらいいんでしょうか、こういうことを言っているけれども本当に中国側の言っていることは正しいんでしょうか、こういうふうにたくさん来られたと思うんですね。その問い合わせあるいは相談に来られた方のリストを出してください、何件ありましたか、そしてこれからどうすればいいか教えてくださいと。きのうの夜です。
 きょうの昼、返事がありました。中国進出の中小企業の相談の事例、トラブルがあったというふうに報告をいただいたのはたったの一件です。ということは、ジェトロという組織は、日本の会社、企業を守る、邦人企業の保護ということですけれども、こういう機能を全く果たしていないということですね。
 私はこれは、今後のジェトロの機能として、今大臣が調査、情報が大事だとおっしゃるんですけれども、そんなものより、今、中国と日本の関係、特に中国ですね、こういう役目をジェトロに大きく負わすべきではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
平沼国務大臣 上海の事例をお出しになって、トラブルが一件だというお話ですけれども、私は各国に出張して、そしてジェトロの駐在員ともいろいろ話をしますけれども、非常に日本から進出している企業とは緊密な連携をとってやっているわけでありまして、私は、非常にそういう機能は十分果たしている、こういうふうに認識をしております。
 そして、御指摘のように、やはりグローバルの時代でございまして、日本から海外に進出をしている企業もたくさんあります。ですから、従前以上にそういった機能を高めていくということも必要でございますし、また、法律も御審議いただいておりますけれども、これからはいわゆる知的財産等もいろいろ大きな、国際的なそういう問題が出てきますから、そういったことも対応できるように、やはりジェトロ自身が脱皮をして、そして対応力を高めていくということは必ず必要なことだ、私はこう思っています。
山田(敏)委員 大臣、ぜひその方向で、抜本的な機能の改革、そして必要ないところはどんどん事務所を閉めるということを、これは役所の中からそういう発想は絶対に出てきませんから、国民の代表である政治家としての大臣の見識がなければできないことだと思いますので、よろしくお願いします。
 次の議題でございますけれども、地域振興整備公団、今回統合されるわけです。
 先日、北海道の旭川に行ってまいりました。これが旭川のパンフレットです。非常に緑が多くて、ごらんになったらわかる、ほとんど緑ですね。どういう意味かというと、ここに工場が建っていないということです。ほとんど緑の公園みたいになっているんですね。
 それで、先ほどの田中委員の質問にもありました。一体全体、日本全国でどうなっているのかということで、出していただきました。平成の後半から分譲を開始された工業団地、いろいろな、リサーチパークとか、テクノパークとか言われた団地ですね。ほとんど、五%とか一〇%とか、分譲が全く進んでおりません。
 この実態は、何でこんなことになったかというと、もちろん需要予測を誤った。これだけ来る予定でお金をかけたけれども、全然来なかった。それが非常に甘かったんですね。それから、もっと厳密に言いますと、営業をやらなかった、こういうふうにおっしゃいました、ちょっと意見をお聞きしたんですけれども。売りに行くとか、売れ残ったら、普通の会社でしたら、お客さんが来たら値引きしてくれと言いますから、値引きしますと。これをやらなかった。それから、ありそうなところに営業に行って、どうですかと。これもやらなかった。これは、そういう努力を何もしなかったということですから、当然こういうことになる。
 こういうことを次から次に莫大な費用をかけてやっていくと、国民の税金は幾らあっても足りない、こういうことになりますが、今までやってきたことについて、御所見をお願いいたします。
平沼国務大臣 地域振興整備公団は、地域振興整備公団法と地域産業の高度化に寄与する特定事業の集積の促進に関する法律、それから地方拠点都市地域の整備及び産業業務施設の再配置の促進に関する法律に基づきまして、昭和三十七年以来、全国で百九十一の団地、これは総面積が六千三百六十五ヘクタール、大変膨大な工業用地や業務用地を造成しまして、分譲を開始してきました。平成十四年三月末までに五千七十五ヘクタールが既に分譲されて、分譲率は八〇%に達しております。
 ですから、一定の分譲実績を上げていることは事実だと思っています。こうした取り組みの結果、二千九十企業が新規に地域に立地をしまして、地域の雇用の創出、地域経済の発展に大きく貢献したとは考えております。
 しかしながら、ここからなんですが、山田先生御指摘のとおり、近年分譲実績が伸び悩んでいることは事実でございまして、私どもはこれは大変厳しく受けとめております。
 したがいまして、こういった状況の中で、私どもはさらに努力をしなければならない、こういうふうに思っておりますが、今御指摘のように、営業をほとんどしていなかったということは、私はちょっと信じられないことでございます。これがそういうことで事実であれば、私としてはこれは非常に大きな問題だと思っておりまして、やはり、そういう形で国民の皆様方の税金を使いながら、そして国民の皆様方の御期待におこたえするためにこういう事業をやらせていただいたわけですから、これは、当事者としてさらなる努力をしていかなきゃいけない。
 いずれにいたしましても、今厳しい中で、私どもは、工場用地ですとか業務団地の分譲を促進するために一層の努力をしていかなきゃいけない、こういうふうに思っております。
山田(敏)委員 これもちょっと私の提案をしたいんですが、この旭川リサーチパーク、これは、数字からいきますと、分譲率が四六%ということになっているんですね。ところが、よく中身を見ると、分譲率を上げるために、何か細工というんですか、仕掛けがしてあるんですね。
 どういうことかといいますと、ここに進出した株式会社、純粋の民間企業というのはたったの二社しかないんです。あとの分譲はどうなったかといいますと、北海道立の研究所をつくったんですね。北海道、道がお金を出してつくった。もう一つは、リサーチセンターという第三セクターをつくっていった。要するに、純粋に民間が買った分譲地というのはたったの二カ所しかないということで、数字を見ると分譲率が上がった、こういうことを数字を合わせるためにやられたんじゃないかなというふうに思います。こういうこともあわせて、近年の分譲率というのは、もうほとんど一〇%とか二〇%になっていることはよく御存じだと思います。
 ただ、私が提案したいのは、今、田中議員も申し上げましたように、これだけ膨大な土地を分譲して、もう企業のニーズがほとんどない、幾ら値下げしても幾ら営業努力をやっても、私は大変難しいと思うんですね。ですから、抜本的に考え方を全く変えてしまわないと、この土地を利用することはできない。
 この旭川リサーチで唯一成功しているのは、リサーチセンターというのを第三セクターでつくって、アメリカでやるインキュベーター、これを第三セクターは一生懸命営業したわけですね。だから、この中だけは一〇〇%近い分譲になっているんです。第三セクターがこれは営業をやったんですね。そして、机と小さな部屋を月々わずか五万円で貸して、企業を起こしたい、あるいは一人で会社をつくりたいという人にいろいろなサービスを提供している。これはうまくいっていますね。
 ですから、こういうことを全国で一生懸命やらないと、今のまま独立行政法人になりましたということであったら、営業はやらない、センスとかそういうものも全く民間と違うことをやっていたら、ますますこれは金利がかさんでいくばかりだと思いますが、そういう点を一つ申し上げたいと思います。
 もう一つは、土地を売るということはもうできないわけですから、ぜひ、リースを導入するとか、もっと抜本的にこれが活用できる方法、団地だけには限らないで。そういう議論の場をもう一回持っていただきたいと思うんですが、いかがですか。
平沼国務大臣 お答えさせていただきます。
 非常にいい御提案をいただいたと思っております。今、経済産業省も、例えば、地域の産業クラスター計画というのを全国の十九の拠点で展開して、いろいろな企業も四千社参画する、これがどんどん育ってくる。こういったこととも、やはりできたら、せっかくあるところですから、リースをするだとかいろいろな知恵を出して、せっかくあるものを積極的に利用し、それを拡大する、こういったことは私どもも取り組んでいきたい、こういうふうに思います。
山田(敏)委員 時間も参りましたが、最初の私の質問ですね、だれの見方でこの改革をやるのかという根本的なところが間違っていると私は思います。石原大臣、その質問には答えていただけませんでしたけれども、ぜひ、もう一回これをやるのであれば、根本的に見方を変えてやっていただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
平沼国務大臣 今はそういう形でスタートをいたしました。したがって、御指摘のそういう点も私どもは今後の中に十分取り入れながら、やはりよりよいものをつくっていかなければいけない、こういうふうに思います。
山田(敏)委員 では、時間が参りましたので、質問を終わります。
保利委員長 次に、塩川鉄也君。
塩川(鉄)委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 きょうは、新エネルギー・産業技術総合開発機構、いわゆるNEDOについてお聞きします。
 このNEDOについて、経済産業省は、研究開発から実用化支援までを包括的に支援、マネジメントする中核的研究開発実施機関として創設すると、このいわゆる新NEDOをうたっておられるのを拝見しているわけなんです。
 そこで、研究開発予算についてですけれども、委員長、大臣に参考資料でお渡ししたいんですけれども。
保利委員長 はい、どうぞ。
塩川(鉄)委員 ここにグラフでお示しした中身ですけれども、三本のグラフを立ててあります。一番高いものが経済産業省の技術開発予算の総額であります。一九九一年度二千五百五十九億円が、来年度の二〇〇三年度では六千五百九十一億円となっています。次のグラフがNEDOのいわゆる研究開発、技術開発予算の推移ですけれども、二〇〇三年度を見ていただきますと、三千百十五億円ということで、全体の技術開発予算の半分がNEDOから支出をされているということになります。その上で、中小企業庁が実施をしている中小企業向けの技術開発予算、これは人件費の入らない正味の技術開発予算ですけれども、百二十三億円ということで、そういう点でも、私、実際の今の技術開発予算というのが、日本の経済の中で大きな役割を占める中小企業、これに非常に小さい割合になっている、ここを改める必要があるんじゃないか、そういう点でNEDOの組織のあり方ということが問われているんじゃないかと思うんです。
 そこで、研究開発予算についてお聞きしたいわけですが、これは経済産業省の研究開発課からいただいた資料ですけれども、研究開発プロジェクトの一覧であります。これだけの量をやっておられるということで、準備をしていただきました。なかなか手間がかかったようで、きのうの遅い時間でいただいたものですから、今後改めて精査をしていきたいと思うんですが、拝見をしますと、それぞれのプロジェクトで名前が並んでいる企業というのが、本当にどなたも御存じのような大手のメーカーが列記をされている状況です。
 私、こういった研究開発予算がNEDOを通じて大きくこういった大手のメーカーに流れている、これが実態だと思うんです。そういう点でも、何で中小企業が見てとれないのか、NEDOから支出される技術開発予算というのは大企業向けの補助金ばかりになっているんじゃないか、この点を率直に思うんですけれども、まずそのことをお聞きしたいと思います。
平沼国務大臣 NEDOが実施しております重点四分野を中心とした研究開発というのは、先端技術というのが対象でございまして、一つは、リスクが高いことから、研究開発を効率的かつ効果的に実施し、すぐれた成果を得るためには、大企業だけではなくて、すぐれた技術力や経験を有する中小企業や地場産業、柔軟な発想で研究を行う大学の活力を活用する、いわゆる産学官の英知を結集して実施されているところでございます。
 この採択基準についてでございますけれども、NEDOの研究開発資金の配分に当たりましては、原則として一般に広く公募する方式を採用しておりまして、その審査に当たりましては、大学や産業界の専門家等から成る外部審査委員会を設置して、公正かつ透明な審査を確保すべく努めているところであります。
 具体的に申し上げますと、当該技術または関連技術についての研究開発実績があること、研究開発目標の達成及び研究計画の遂行に必要な人員等を有していること、研究開発事業から得られた研究開発成果の実用化を図る計画及びその実現について十分な能力を有していること、こういったことを勘案しつつ、中小企業を含む民間企業や大学などの研究機関の中から最も効率的かつ効果的に研究開発が実施できる実施体制を選定して、研究開発事業を行っているところでございます。
保利委員長 塩川議員に申し上げます。
 資料の配付につきましては、理事会に諮って、各委員に全部配付ができるような手だてを講じて配付する取り決めになっております。
 したがいまして、今回、委員長において許可をいたしましたけれども、全員が皆審議に参加をしておられることにかんがみまして、今後は理事会においてお諮りになりますように御注意を申し上げておきます。
 どうぞ質問をお続けください。
塩川(鉄)委員 失礼いたしました。今後そのように対応していきたいと思っております。
 その上で、私、中小企業向けの予算ということで経済産業省にお話をお聞きしますと、SBIRという事業につきまして、スモール・ビジネス・イノベーション・リサーチ、これに取り組まれているというふうにお聞きしているわけですけれども、この実績というのはどういう形であらわれているものでしょうか。
中村政府参考人 お答えいたします。
 ちょっと今手元に正確な資料はございませんが、NEDOのプロジェクトをちなみにとってみると、NEDOの福祉機器の開発補助金、それから産業技術重要補助金、これらのものについてはSBIRに指定されておりまして、それぞれ実績を見てみると、福祉機器については八割が中小企業、それから重要技術につきましても三割が中小企業という実績になっております。
塩川(鉄)委員 それぞれのSBIRに該当する補助事業につきまして、八割とか三割という数字をいただきました。SBIRの指定の補助金、それが大きな枠で、そのうち中小企業に向けられるというのが八割とか三割となっているわけですね。ですから、全省庁合わせますと一千二百億円ぐらいあるこのSBIRの対象補助金のうち、実際に中小企業向けに出されていると言われているのはことしの目標でも二百五十億というのが実態だと思うんです。
 その中身ということで続けてお聞きしようと思うんですが、お手元の資料で、めくっていただきますと、二枚目以降に、このNEDOが実施しておりますSBIRの対象事業の一つ、提案公募型国際共同研究事業というのがあります。これは十二年度と十三年度を紹介しているわけですけれども、十二年度を見まして、数字のところに丸がつけてあるのが実際に中小企業向けということで挙げられているものであります。
 十二年度、上からごらんいただきますと、例えば二番、中小企業向けと言われている事業というのが実施者はどこかと見ると、日本鋼管テクノサービス株式会社、これは日本鋼管グループの企業であります。それから、三番の株式会社日鉄技術情報センター、これは新日鉄の一〇〇%の子会社であります。さらにめくっていただきまして、二十一番の日本鋼管テクノサービス株式会社というのも先ほど紹介した日本鋼管のグループ企業。二十四番の日鉄技術情報センターというのも先ほど紹介した新日鉄の一〇〇%子会社。それ以外に、二十五番に地熱エンジニアリング、三十番に原田電子工業、これが私たちが率直にいつも思っているいわゆる中小企業であります。
 つまり、十二年度を見ましても、六つの企業が中小企業向けということで補助金を受けているわけですけれども、そのうちの四つまでが実際には大手企業の子会社になっている。
 十三年度も同様であります。十三年度も同じように、新日鉄の日鉄技術情報センターですとか、九州電力のグループ企業、十番がそうですけれども、九電産業株式会社、こういうのがずっと並んでいる。
 つまり、中小企業向けと言われていますけれども、実際にはその大半が大手企業の子会社ばかりになっている。何でこれが中小企業なのか。経済産業省の言う中小企業というのは、こういう大企業の一〇〇%子会社のことをいうんでしょうか。大臣、いかがでしょう。
平沼国務大臣 今、具体的な表でお示しをいただきました。しかし、範疇としては中小企業には間違いないわけでありまして、大企業があって、その中で中小企業がたくさんあるというのがある意味では日本の産業界の実態、こういうこともあるわけですから、そういう意味では、それを反映しているということも私は言えるかもしれない。ですから、大企業の中の一つの中小企業だから全部大企業、こういう見方は私は妥当ではない、このように思います。
塩川(鉄)委員 経済の過半数の役割を占め、雇用の七割を支える中小企業、それこそ身近な、地元で、地域で頑張っておられる中小企業というのを大いに支援してもらいたいというのが国民の声であるわけで、SBIRを大いに進めるのであれば、実際にはそういった中小企業の支援であるべきであって、大手企業の一〇〇%子会社、まさに大企業と一体のところにこういった形で中小企業向けの名で補助金を出すというのは、これは逆立ちしているんじゃないかと私は率直に思うわけです。
 経済産業省の技術開発補助金も、全体として私は特定の大手企業に偏っていると思うんですね。例えば、二〇〇〇年度の予算分で見ても、日立一社で五十八億円の補助金が出されている。三菱電機にも四十八億円、東芝は四十七億円、三菱重工が三十八億円です。これに対して、五百万中小企業向けの中小企業庁の技術開発予算は、同じ二〇〇〇年度はわずか七十四億円です。日立と三菱電機の二社の合計だけで中小企業の分を上回るようなのが実態だと思うんです。
 ですから、私、中小企業を本当に支援して、日本を振興するという立場に立つのであれば、何でこの技術開発予算が中小企業向けにもっと行かないのかと率直に思うんですけれども、改めて、いかがでしょうか。
平沼国務大臣 先ほどの答弁でお答えをさせていただきましたけれども、これは審査に当たりましては、そういう意味では非常に公正で、有識者も入れて厳正な形で審査をしています。その結果として御指摘のような形に相なっている、こういうふうに思っているわけでありますが、やはり日本の一つの産業構造として、全国で企業が五百万社ございまして、そのうちの九九・七は中小企業、こういうふうに言われておりますけれども、しかし、主体的に日本の経済を引っ張っている、そういった技術力だとか、新しく新技術を起こすというその比率というのは、やはり構造上、大企業に連なるそういう中小企業というものが持っている、そういう実態も私はあると思っています。
 しかし、御指摘のように、やはり中小企業の中でも本当に新しい技術開発で頑張っておられるところはございまして、そういったところをなるべくピックアップできるような、そういう体制は私はとっていく必要がある、このように思います。
塩川(鉄)委員 私は、率直に、中小企業に向けての視野が狭いんじゃないかと思うんです。
 今申しましたように、十二年度、十三年度のこの事業を紹介しました。どちらも提案公募型ですよ。広く募るということでやっておきながら、合わせて十二の事業のうち八つまでが大企業の子会社でしょう。私は、大企業がわざわざ中小向けのSBIRの予算をとるために子会社に話を回して補助金をもらうようにしたんじゃないか、こういうことも率直に思わざるを得ないような状況じゃないですか。もっとしっかりと中小企業に目を向けて、その技術開発を光らせるような、そういうところにこそ全力を挙げるべきだというふうに率直に思うわけです。
 そういう点で、例えば大田区に行って、熱心な中小企業の方にお話を聞きました。大学の教官の方とも共同研究をされているような熱心な中小企業の経営者の方のお話を伺いましたけれども、NEDOについてどうですか、NEDOで利用できるような仕組みがありますかというふうにお聞きしましたら、私たちにとってはNEDOは遠い存在だと。これが率直な実態じゃないですか。
 従来型の、それこそ護送船団方式の、大手メーカーに重点的に支援をしていく、そういう枠というのがずっと引きずられて今でも行われている、これがこのNEDOの組織の現状じゃないかということを、先ほどの提案公募型の補助金の支出の内容を見ても率直に言わざるを得ないわけです。中小企業に顔を向ける、その気そのものがないんじゃないかということを疑わざるを得ない。
 というのも、例えば、去年経済産業委員会でもバイ・ドール制度について議論させていただきました。これは、日本版のバイ・ドール制度はアメリカのバイ・ドール制度と違うところがある。それは、アメリカのバイ・ドール制度というのは、その法律の制定時に、中小企業優先というのを明確にしているんですよ。八〇年制定のこのバイ・ドール法の第一の目的には、連邦政府の支援を受けた研究開発から生じた特許権などを中小企業と大学に帰属をさせて利用促進を図るとあるわけです。
 日本のバイ・ドール制度には、こういった中小企業優先というのはあるんですか。
平沼国務大臣 お答えさせていただきます。
 米国において一九八〇年に制定されましたいわゆるバイ・ドール法の当初の目的というのは、連邦政府の支援を受けた研究開発から生じた特許権等を大学や中小企業等に帰属させることにより、その利用を促進することであったと承知をしております。
 しかしながら、一九八三年には、大統領メモランダムによりまして、バイ・ドール法の対象を大企業も含めてすべての企業に拡大していることから、結果的に、日米のバイ・ドール制度間には本質的な差異はないものと考えております。
 経済産業省といたしましては、中小企業向けの委託研究開発制度につきましても日本版バイ・ドールを適用するとともに、例えば十三年度実績で、地域新生コンソーシアム研究開発事業、これは百億、二百七件、また、課題対応技術革新促進事業、これは二十一億円、二百八十件など、各省においてもその徹底を図るべく、中小企業技術革新制度、先ほど来出ておりますSBIRに係る関係省庁連絡会議において、日本版バイ・ドールを適用するように働きかけている、こういう現状でございます。
塩川(鉄)委員 八三年からアメリカでは大企業にも拡大した、だから日本のバイ・ドールも同じだというわけですけれども、でも、アメリカの場合には、スタートから中小企業優先というのをはっきりうたっているわけですよ。日本には、そもそもつくったときにそういうのもないわけでしょう。
 アメリカのこのバイ・ドール制度については、各大学からの技術移転などについても、わざわざベンチャーと中小企業と大企業という区分をとって統計も出すような、こういう状況ですね。ですから、過去の累計をとってみても、ベンチャーに対して一割、中小企業向けには五割以上、合わせて六割以上というのが中小企業向けということ、そういうデータを示しているわけですから、私、そういうところがそもそも日本の制度にないというところに、日本の中小企業に目を向けていないという今の政府の実態が如実にあらわれているんじゃないかと思うのです。
 その上で、来年度予算では、政策の選択と集中というのを掲げて、いわば選び抜いた三十プロジェクトに五百五十億円を投入するという、フォーカス21と言われる経済活性化のための研究開発プロジェクトに取り組むとされています。実用化直結型、実用化を視野に入れた研究開発プロジェクトということですけれども、その予算の多くもNEDO経由で行われるものです。
 こういう実用化、市場化直結型というので本当にいいのかというのを思わざるを得ないのですが、実用化直結型というのは、すぐにもうけにつながるわけですね。ということは、特定企業の目先の商品化や実用化に直結する研究開発ビジネスに国民の税金を投入することになるんじゃないか。それは、失敗したら国民にツケ回しですし、成功すれば大企業の懐を肥やす。こういった商品化に直結する開発費用というのはメーカー負担できちんと行う、このことを行うべきじゃないか、それを原則とすべきだと思うのですが、いかがでしょうか。
平沼国務大臣 我が国の経済を活性化するためには、産業技術力の強化を図るということは、言うまでもなく極めて重要でございます。特に、研究開発の成果を新たな成長市場や事業の開拓に結びつけることが必要でございます。
 かかる認識のもとに、経済産業省といたしましては、平成十五年度概算要求におきまして、研究開発の成果が迅速に事業化に結びついて、市場創出に直結するような研究開発プロジェクト、フォーカス21の創設をいたしました。それからもう一つは、産学官連携の強化や研究開発型ベンチャーの創出等を通じたイノベーションの加速化等を実施して、我が国産業の競争力強化を図ることにしております。
 このうち、いわゆるフォーカス21については、市場化に向けた産業界の具体的取り組みが示されること、企業が資金、人材等を負担すること等を前提として、短期間で実用化、事業化に直結するプロジェクトを厳選して、予算を重点四分野で、御指摘のとおり三十テーマでございますけれども、投入を図ったところでございます。
 いろいろ御指摘がございましたけれども、私どもとしては、今の日本経済にとっては、やはりすぐ活性化に結びつく、そういったことが喫緊の課題だ、こう思っておりまして、厳選をして、御指摘のような国民に過度な負担が生じないような、そういうことを厳に私どもはしっかりと踏まえてやっていかなければならない、このように思っています。
塩川(鉄)委員 ディーゼルの排ガス規制が今大問題になっていますけれども、こういった技術開発について、これはメーカー負担でやっているというふうに経済産業省も説明しているわけですよ、目先のもうけにつながるということで。そういう点でも、私、メーカー負担できちんと行うべきだということを改めて求めて、質問を終わりにします。
保利委員長 次回は、明十五日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後六時二分散会


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