衆議院

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第2号 平成15年3月13日(木曜日)

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平成十五年三月十三日(木曜日)
    午前九時五分開議
 出席小委員
   小委員長 杉浦 正健君
      伊藤 公介君    佐藤  勉君
      谷川 和穗君    額賀福志郎君
      葉梨 信行君    福井  照君
      島   聡君    末松 義規君
      中川 正春君    古川 元久君
      斉藤 鉄夫君    武山百合子君
      山口 富男君    北川れん子君
      井上 喜一君
    …………………………………
   憲法調査会会長      中山 太郎君
   憲法調査会会長代理    仙谷 由人君
   参考人
   (新潟県亀田町長)    阿部 學雄君
   衆議院憲法調査会事務局長 内田 正文君
    ―――――――――――――
三月十三日
 小委員金子哲夫君同月六日委員辞任につき、その補欠として北川れん子君が会長の指名で小委員に選任された。
同日
 小委員川崎二郎君同月十一日委員辞任につき、その補欠として葉梨信行君が会長の指名で小委員に選任された。
同日
 小委員北川れん子君同日小委員辞任につき、その補欠として金子哲夫君が会長の指名で小委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 統治機構のあり方に関する件(地方自治)


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     ――――◇―――――
谷川小委員長代理 これより会議を開きます。
 小委員長が都合によりおくれますので、その指名により、私が小委員長の職務を行います。
 統治機構のあり方に関する件、特に地方自治について調査を進めます。
 本日は、参考人として新潟県亀田町長阿部學雄君に御出席をいただいております。
 この際、参考人に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多用中にもかかわらず御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。参考人のお立場から忌憚のない御意見をお述べいただき、調査の参考にいたしたいと存じます。
 本日の議事の順序について申し上げます。
 まず、参考人から地方自治、特に小規模自治体の実態について御意見を四十分以内でお述べいただき、その後、小委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。
 なお、発言する際はその都度小委員長の許可を得ることとなっております。また、参考人は小委員に対し質疑することはできないことになっておりますので、あらかじめ御承知おき願いたいと存じます。
 御発言は御着席のままでお願いいたします。
 それでは、阿部参考人、お願いいたします。
阿部参考人 私、今ほど御紹介いただきました新潟県中蒲原郡亀田町町長の阿部學雄と申します。
 統治機構のあり方に関する調査小委員会ということで発言の機会をいただきましたことを非常に光栄に思っている次第でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 前もってお渡ししておりましたレジュメに従いまして、町の概要から申し述べさせていただきたいと思います。
 当町は、明治二十二年に町制をしきまして、以来、明治の終わり、大正の終わりに若干周辺を合併しまして、現在の姿になっております。
 私どもの地域は、いわゆる亀田郷ということで地域一帯を指しているわけでございますが、東に阿賀野川、西に信濃川、南に小阿賀野川という、いわゆる輪中地帯でございます。昔、湿地帯でございまして、アシ沼と言われた大変厳しいところでございます。戦後、土地改良の推進に従いまして大変今、美田化しているところでございます。
 位置は、新潟市の東南と申しましょうか、真南と申しましょうか、大体新潟市に三分の二包まれてございます。三分の一は南の横越町というところでございます。
 日常生活圏は新潟市への依存度が大変多うございます。通勤率で四二・六%。通学率で六五・四%。町にも医療機関は数ございますけれども、大きい病気になりますと、いわゆる通院率、新潟市五五・六%。買い回り品購買率五四・四%。全く、新潟市に依存と申しましょうか、そういう状態でございます。通勤率、通学率から見てもわかりますように、昼間の人口が激減、夜の人口が定着というところでございます。ちょうどこの千代田区と逆でございましょうか。そういった状態のところでございます。
 人口は三万二千六十一人、平成十二年の国調でございます。平成七年の国調で三万一千二百五十七、伸び率で二・六%の伸び率ということでございます。人口比率で申しますと、十四歳未満一四・九%、生産年齢人口、十五歳から六十四歳までといたしまして六七・二%、老齢人口、六十五歳以上でございますが、一七・九%。戸数にしまして一万七百七十七世帯でございます。
 面積が非常に小そうございまして、一六・八二平方キロ、大まかに申し上げますと、四キロ四方のやや正方形に近い町でございます。その約半数、八百ヘクタールが農地という状態でございます。
 産業といたしまして、特段大きいことはないのでございますけれども、農業の粗生産で十四億三千三百万、商業、販売額でございますが、約九百五十二億七千万、工業といたしまして、製造品出荷額七百三十二億八千万。これは、主なものは、亀田工業団地というのがございます。三十一社、三十七・六ヘクタール、昭和六十一年にできてございます。それからあけぼの印刷団地というのがございまして、十二社で約五ヘクタール、昭和五十八年にできてございます。
 町の基本といたしまして、大変平坦な土地でございます。大きな山もございませんし、川もございません。温泉も出ません。本当の平坦地のところでございまして、そういった中で、町の基本として、福祉、文教、そういったものに力を入れているところでございます。
 財政状況で申し上げますと、十三年度の地方財政状況調査によりますが、歳入が九十六億五千八百九十八万三千円、歳出総額で九十三億七千九百七十三万七千円ということでございます。経常収支比率七七・八%、公債費比率一六・三%、起債制限比率一〇・四%、財政力指数〇・五七三でございます。
 主な歳入構造構成比で申し上げますと、市町村税が三九・三%、地方交付税二五・四%、地方債四・九%、その他ということになっております。
 歳出の構造構成比でございますが、人件費が二一・六%、扶助費五・九%、公債費が一六・四%、物件費一三・七%、補助費八・一%、繰り出し金一〇・七%、普通の建設事業費で一四・三%等々となってございます。
 地方債の現在高、百四億二千万円ということでございます。
 町のパンフレットを御参照いただきまして、若干述べさせていただきたいと思います。これでございますが、開いていただきますと、御存じのように、大体さっき申し上げました正方形のところでございます。
 お話し申し上げましたように、福祉ということに大変力を入れてございまして、駅の東側に福祉ゾーンというのを形成してございます。この中には、町でつくりました、知的障害者の授産施設わかばの家、それからデイサービスセンター、特別養護老人ホーム、身体障害者療護施設、そういったのを一角でまとめてございます。また、県にお願いいたしまして、新潟ふれ愛プラザ、いわゆるA型センターというものをつくっていただいてございます。さらに、児童相談所とか婦人相談所、そういったのを、新潟市に散在してございましたのが老朽化したために全部まとめまして、新潟中央福祉相談センターというものをつくっていただいております。亀田公園という大体五ヘクタールぐらいございますか、それを中心にしてその福祉ゾーンというのをつくらせていただいてございます。
 亀田駅のすぐ左側に黒い線で道路が通ってございますが――大変失礼しました。それではお話を変えさせていただきます。
 町づくりの基本といたしまして、先ほど申し上げましたように福祉というものに力を入れているわけでございますが、平成五年の九月に都市計画マスタープランを策定していただきました。そのころからいたしまして、新潟商工会議所で、周辺の市町村で百万人構想というのを打ち出してございます。大まかな年次を二〇一〇年、平成二十二年を目標年次として、都市的産業の育成、魅力ある商業施設の整備、居住環境の充実、そういったのを目指しまして、そういう構想が浮上してございます。
 先ほど申し上げましたように、亀田町は、この図面を御参照いただきたいと思うわけでございますが、小さい町でございますけれども、ちょうど新潟市の真南、中心にございます。往時から、新潟市がセンターでございますと、私ども、新潟市のサブセンターということで発展してきたところでございます。バランスのとれた町づくりということで、既存の中心市街地を一つ、そして生産流通地区を一つ、駅周辺地区を一つ、そして亀田バイパスの鵜ノ子交差点というところがございますが、その辺を一つということで町づくりを進めてきております。
 私は、平成四年の一月から町へ入ったわけでございますが、五、六年かけまして、先ほど申し上げました鵜ノ子交差点、亀田バイパスの交差点周辺をある程度整備させていただきまして、駅周辺に現在取りかかっているところでございます。
 そういった状態の中で、私が入りますときに、選挙公約といたしまして五万人構想というのを打ち出してございます。このことは、市というものの行政、それと町、村というものの行政に大変差がございます。財政的な面はもちろんでございますけれども、行政権限といいましょうか、そういったことについても大変厳しい差があるわけでございまして、何とか地域のために五万人、市を目指したい、そういう希望を持ってございました。これは、町単独では三万から五万にはなれないわけでございまして、真南にございます、当時横越村でございましたが現在横越町になっております、ここが一万ちょっとございます、合併して市をつくりたい、そういう構想を持っておりました。
 その原因と申しますのは、昭和の合併、昭和二十八年に新潟市と周辺の町村がほとんど合併してございますが、亀田町と横越町だけが、理由ははっきりわかりませんが、取り残された経緯があるわけでございます。
 そういった中で、いろいろ構想を進めております中で、地方分権一括法それから合併特例法というのが施行されました。
 五万人構想というのは、町民にも一般に大体行き渡っておりまして、横越町とその間にいろいろ接触があったわけでございますが、とりあえず亀田、横越が一緒になっても、やはり昭和二十八年に取り残された新潟市がターゲットではないかということで、平成十二年の九月に、今度は亀田商工会議所と町内のあらゆる団体が亀田町行政合併問題研究協議会というのをつくったわけでございまして、いろいろ検討し、そして新潟市、亀田町、横越町の合併を推進すべきであると、私に対しまして、また私どもの議会に対しまして、請願と申しましょうか陳情と申しましょうか、そういったアドバイスをいただいたわけでございます。
 それを受けまして、十二月議会で設置条例を可決いただいております。それによりまして、亀田町合併問題調査委員会というのを設置いたしました。あらゆる階層の方に入っていただいて、三十五人体制ということで審議をいただいたわけでございます。
 翌年の六月、委員会から答申をいただきまして、ぜひ新潟市と亀田、横越一緒になって政令指定都市を目指した合併を推進すべきである、そういう答申をいただきました。それに従いまして、平成十三年十一月に、新潟市・亀田町・横越町合併問題協議会を設置したわけでございます。
 そのことが大変刺激になったと申しましょうか、導火線と申しましょうか、近隣の市町村で急速に動きが目立ってきたわけでございます。周辺の市町村と申しますと、豊栄市それから新津市、白根市、小さな町、村もございますが、そういう動きが、合併に向けてかなり濃厚な話し合いがなされたわけでございます。
 その前に、先ほどの図面を参照いただきたいと思うわけでございますが、十年ぐらい前から、新潟を中心としてお互いに成長、発展すべきだという機運がかなり高まりまして、凡例にもございますように、新潟地域合併問題協議会、あるいは新潟地域広域市町村圏協議会、あるいは新潟都市圏総合整備推進協議会、こういったものを立ち上げまして、いろいろ話し合いがなされてきたわけでございます。
 そういった背景を受けまして、亀田町、横越町が新潟市と任意協を立ち上げました。それが導火線となりまして周辺の動きが活発化し、先ほど申し上げました十三年の十一月に立ち上げました合併協、十四年の八月が第三回目でございましたが、そこで一応この任意協議会は解散いたしました。
 そして、新しく周辺の十二の市町村を入れました合併協議会が現在進んでございます。十二の合併協議会で既に任意協議会、五回進行しているところでございます。今、加わっておりますのは、新潟市、豊栄市、新津市、白根市、亀田町、横越町、小須戸町、西川町、味方村、潟東村、月潟村、中之口村、四市四町四村でございます。この面積を申し上げますと、六百十三・八一平方キロ、平成十二年の国調で、人口七十六万九千四百四十一人。
 ところで、最近になりまして、岩室村というところが名乗りを上げまして、合併に参加したいという申し込みが来ております。これは統一選挙が終わりました後で正式に加盟することになってございます。ここの人口が約一万ちょっとございます。
 そういったことで、合併特例法の枠を受けまして、今までの政令指定都市でございますとまだこの人口では足りないわけでございますけれども、特例の中で、いわゆる政令指定都市を目指していきたい、そういう機運でございます。日本海側で政令指定都市というのは一つもございません。そういった意味で、また日本のちょうど大まかな中央部にも当たるわけでございまして、東南アジア、あるいはそういったところとの交流も大変盛んでございます。ぜひ政令指定都市を目指してということで、今、力を入れて頑張っているところでございます。
 政令指定都市のビジョンといたしまして、「新潟都市圏ビジョン」という概要版が先生方のところに渡っていると思いますが、大まかに分けまして、将来像を設定してございます。お開きいただきますと、真ん中に、目指すべき都市像、都市の姿というのがございます。一から五までのこういった地域づくりを目指して、お互いに頑張ろうということでございます。
 これから、私どもの町の目標といたしまして、この地図でおわかりのように、亀田町が大変中心部に当たるわけでございます。現在、私どもの町から新潟駅まで車で十五分、飛行場まで二十分、高速道路が私どもの町を通ってございます。
 新潟市にインターチェンジが四つございますが、新潟西、新潟中央、新潟亀田インター、新潟空港インターと四つございます。北陸自動車道、磐越道、そして日本海東北道、これらのちょうど中心点に町が当たります。言い忘れましたが、新潟空港までやはり二十分ぐらい、新潟西港まで十五分くらいでございましょう。そういうところにございます。
 先ほども申し上げましたが、新潟市がセンターであれば私どもはサブということで位置づけてきたわけでございますが、これからは新潟市の副都心として発展していきたい、そういう希望を持っているところでございます。現に、新潟駅から私どもの町、約八キロございますか、四車線道路ができ上がってございます。その沿線に沿って副都心を目指すということでございます。
 大まかな町のあらましと今までの流れというのを説明させていただきましたが、これから新潟市の将来に向けての、内部でいろいろ話していることを申し上げますと、やはり今、新潟の飛行場が二千五百メートルでございます。超大型のジャンボはちょっと無理でございます。県知事も三千メートルの拡張に向けて一生懸命に熱意を示されているわけでございますけれども、何せ新潟県、大変大きい県でございまして、百十一市町村ございまして、その中で、新潟を中心にした新潟県の人口は二百四十万ございます。新潟市を中心とした私どもの地域で政令指定都市を目指しますと、大体、新潟県の人口の三分の一がまとまるわけでございます。やはり空港の拡張に力を入れ、港の規模に力を入れ、そして、近隣の山形県、富山県、長野県そして群馬県、そういったところとの交流を深め、将来像に述べましたように、商業集積あるいはいろいろな集積を図って発展していきたい、そういう希望をみんなで話し合いしているところでございます。
 大まかなお話、させていただきました。あと、細目につきまして、承知している範囲内において御質問にお答えいたしたいと思います。
 ありがとうございました。(拍手)
谷川小委員長代理 以上で参考人の御意見の開陳は終わりました。
    ―――――――――――――
谷川小委員長代理 これより参考人に対する質疑を行います。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。福井照君。
福井小委員 皆様、おはようございます。そして阿部町長様には早朝から御教授いただきまして、本当にありがとうございます。御苦労さまでございました。
 それではまず私の方から御質問をさせていただきたいと存じます。
 まず、阿部町長の五万人都市構想が発端となって政令指定都市構想まで発展しているということについて、大変な敬意を表させていただきたいと思いますが、亀田町民の立場に立って考えますと、比較をちょっと教えていただきたいのですけれども、亀田町としてのメリット、デメリットで、それだけ地政学的な位置関係があるならば、もともとの五万人都市構想でも十分な発展がこれから見込めるのではないかと今お話を伺いながら思ったんです。今の政令指定都市構想の、一部と言っては失礼でございますけれども、一環として発展を図るのと、横越町との合併で都市運営を図るのと、どういうメリット、デメリットがあって、その比較関係があって、どうなっているのかということについて、ちょっと若干のコメントをいただければというふうに思います。
阿部参考人 先ほども申し上げましたように、三分の二が新潟市に包まれてございます。そして、昼の人口、夜の人口ということも申し上げましたが、非常に新潟市に対する依存度が多うございます。
 ところで、行政権のお話を申し上げましたが、新潟市のいわゆるいろいろな制度、それと亀田町の制度がすぐ比較されるわけでございます。例えば、保育園の始まる時間、終わる時間、私どもも精いっぱい、先ほども申し上げました福祉に努力しているつもりでございますので、いろいろ努力はしているのでございますが、やはり小さい自治体には力が限られてございます。そういった面で、非常に遜色がすぐわかるわけでございますね。それを何とかという町民の声が非常に大きかったということでございます。
福井小委員 ありがとうございました。
 こだわっているわけじゃないんですけれども、私も田舎の方の選挙区なものですから、合併をすべきかどうかという御相談がいろいろあるんですけれども、ちょっと話が迂遠しますけれども、例えば川勝平太先生なんかは、合併ではなくて、まず県庁を分解すべきである、それでその三千三百の市町村もまた例えば二万ぐらいのコミュニティーに分解すべきである、そんなことをおっしゃっているわけで、それは、これから歴史と伝統文化が大事だということとか、日本の運営の根本的な価値観として美を追求すべきであるとか、川勝先生の価値観に基づいておっしゃっているわけです。
 しかし、現状から見ても、例えば今まで小学校、中学校、高校で教育したかというとそうでもなくて、会社に入ってから企業が日本人を教育してきたという現実があって、そして企業が、雪印に代表されますように、自分自身の倫理を失ってきて、日本人が魂とか倫理、道徳を失ってきているということがあって、だからこそ今から本当に必要なのは地域のコミュニティー、昔でいえば隣組とか、そういう大家族の延長のような、そういう物理的にも小さい範囲内において、そして人数もそんなに大きくない範囲内において、日本人がお互いに、日本人とは何か、価値観とは何か、人生とは何かということをお互いに追求するということが大事ではないか、そういう歴史認識が、私自身の思い込みですけれども、あるわけでありまして、一方でこういう広域合併も進んでいるし、しかし一方でまた、小さくてもきらりと光る町を目指して独立独歩で行くんだということをおっしゃる首長さんもいらっしゃるわけでございます。
 合併しなくても、一部事務組合とか広域連合とか、そういう行政的にはいろいろな手があるんじゃないかということもおっしゃるわけですけれども、そういった意味で、亀田郷として、輪中の町だったと冒頭町長さんがおっしゃった、広域合併に反対しているわけじゃないんですけれども、広域合併する一方で、我々日本人のコミュニティーを大事にするというような動きがあるのかないのか、あるいは今私が申し上げたようなことについてのコメントをちょっといただきたいんですけれども、よろしくお願いします。
阿部参考人 舌足らずで恐縮でしたけれども、私どもただ単に政令指定都市、大きくなればいいということを目指しているわけでございません。先ほど申し上げました任意協を五回やっているわけでございますが、これから詰めることもたくさんあるわけでございますが、あるべき姿として、地域を大事にするということはお互いにいろいろ話してございます。
 政令指定都市になりますと区制ということになるわけでございますが、区制も、いわゆる今までの政令指定都市のあり方じゃなく、区にある程度いわゆる権限と申しましょうか、力と申しましょうか、それを与える、そういった区制をしきたい。その区の中でもいろいろな意見がございまして、区は区でいいんだけれども、小学校単位、中学校単位のコミュニティーを大切にしよう、そういった機運も非常に醸成されているところでございます。
 先生おっしゃいました日本全体ということの考え方で申し上げますと、私ども、はっきり申し上げまして、そこまで申し上げる力はないわけでございまして、県内のこと、あるいは限られた地域のこと、そういったのをまず最初に考えているところでございます。
 ちょっと話が戻るようでございますが、昼間の人口と夜の人口が違うということを申し上げました。しかし、町を何とか発展させるにはやはり人を動かさなくちゃだめだということで、面積が狭うございますから、固定人口ということはなかなか至難のわざでございます。そういった意味で、交流人口ということに力を入れてまいりました。例えば、先ほど申し上げました福祉ゾーンの中に公園がございますが、その公園を整備することによって近隣から公園に来ていただく、また、体育施設を整備させていただきましたが、それを整備することによってそこへ人が来る、そういったことで交流人口の増勢ということに力を入れてきたわけでございます。
 おかげさまで、今大変、大型店を誘致させていただいたり、交流人口、かなりたくさんの人間が入ってくるようになったわけでございますが、その中で最も気をつけなければならぬことは、町民の安全、安心、安定ということでございます。防犯ということでございます。
 それで、私どもの町、小さい町でございますけれども、区制をしいてございます。五十九区という、小さいところは五十戸足らず、大きいところで四百ぐらいでございましょうか、そういうところで行政区を、その区でいわゆる地域のコミュニティー、そういったのを非常に大事にしてございます。そのことによって、いわゆる交流人口がふえましても防犯、安全、安心、安定、これはみんな連動することでございまして、いわゆる隣組組織、そういうのを非常に大事にしているところでございます。
福井小委員 ありがとうございました。
 ちょっと残り時間短いんですけれども、やがて住民投票というステージをお迎えになるかもしれませんし、巻町も隣にありますので、あえて質問させていただきたいんですけれども、住民自体の、我々国民自体の一人一人の意識レベルといいましょうか、身の回りのことだけじゃなくて、新潟都市圏のレベルで考えるということもありましょうし、一方で、首長さんとかあるいは議会の方がマジョリティーに左右されない、そういう新潟都市圏のレベルで物事を考えるということで、それぞれレベルを上げないといけないと思うんですけれども、やがて来る皆さん方の民意のとらえ方について何かお考えがございましたら御紹介いただきたいと思います。
阿部参考人 合併問題につきましては、町内で六カ所で住民説明会をやってございます。それから、合併の是非ということで、二千人抽出いたしましてアンケート調査をやってございます。
 その結果を申し上げますと、合併をぜひ進めるべきという方と、どちらかといえば合併した方がいいという御意見が四九%近うございました。それから、合併に反対、どちらかといえば合併しない方がいいという意見が二五%弱でございます。残りの二五%はわからないという返事でございました。
 現在進めている中で、今まで協議した内容を全部住民に知らせるべきであるということで、今までも個々に断片的にはやってきているのでございますけれども、今、総合的なものを十二の市町村全域、各戸へ配付する準備を、間もなく、来月の一日までには間に合うということで進めております。
福井小委員 ありがとうございました。
谷川小委員長代理 次に、古川元久君。
古川小委員 民主党の古川元久でございます。
 本日は、阿部先生におかれましては、大変にお忙しいところをお時間をおとりいただきまして、貴重なお話を伺わせていただきまして、ありがとうございました。
 私から幾つか御質問させていただきたいと思うんですけれども、まず最初に、地方の時代と言われて久しいわけでございますけれども、ただ、ここのところ、特に景気がバブル崩壊後非常に悪くなってからを見ていますと、地方の時代と言われながら、むしろどんどんと地方が疲弊をしていっている。ですから、今の日本の問題は、実は、どんどんと地方が疲弊していっているというところに問題があるんじゃないかというふうに私は考えております。
 そういった意味では、地方をどう活性化させていくのか、活力を地方に与えるか。地方自治体の再編を考えるに当たっても、やはり、地方をどういうような形で活性化させていくか、そういう視点が極めて大事だというふうに考えております。
 この地方自治体の再編ということを考える際には、今町長が進めておられるような市町村合併のほかに、今ある都道府県、広域自治体レベルでどのようにこれを再編するか。私は、道州制のような形に日本の形を組みかえて、基本的なことは、もうその道州でほとんど、権限も財源もあってなされて、国が行うことは、本当に国家として求められている外交、防衛を中心として、あるいは最低限全国のユニバーサルで提供しなければいけない社会保障に限って、あとは地方でやるべきだというふうに考えておるわけでなんであります。
 今、町長は、政令指定都市を目指すことを考えておられるというお話を伺いましたが、私の地元も名古屋市という政令指定都市でありますけれども、今の地方自治体の制度でありますと、政令指定都市になりますと、ほとんど、県の存在というのは政令指定都市の中において非常に小さくなってしまっております。
 そういうことを考えますと、今後、政令指定都市になっていく中で、それでは、今の県のあり方はどうあるべきなのか。まさに道州というような形で、やはりもっと、少し大きな視点からの新たな再編が必要というふうにお考えなのかどうか。政令指定都市を目指していかれる中で、今の都道府県というもののあり方について町長はどのように考えておられるか、御意見をお聞かせいただきたいと思います。
阿部参考人 ちょっと、日本全体のことを考えるには私どもの立場では力不足だというようなことを先ほど申し上げましたが、私個人の町長という立場、もちろん入るかもしれませんが、個人の考え方としては、やはり、行くべきは県の合併というところまで行くのではないかと思っております。
 というのは、例えば、私ども政令市を目指して十二で今話し合いをしているところでございますが、こういう言い方はちょっと打算的になるかもしれませんが、十二で一つの市をつくりますと、十一人の首長が要らなくなるわけです。それから、十一の市町村の議員が要らなくなるわけでございます。簡単な試算でございますけれども、年間三十五億浮くという計算が出てございます。
 そういったことを申し上げるとちょっと打算的な話になるかもしれませんが、やはり、本当の自治というのを考えた場合に、地域地域で差はあると思いますけれども、二千人、三千人の村でこれからやっていけるんでしょうか。二万や三万の町で本当の意味の自治というのをやっていけるんでしょうか。
 県の自治もいろいろあると思います。大きい組織になって、大きい見地から行政をやる、その中で拠点をつくる。極端に申しますと、道州制ということになりますと六つとか七つとかというお話をお聞きするのでございますが、私もその意見には賛成でございます。
古川小委員 今、町長は都道府県も大きくなるべきだというお考えを示されましたけれども、じゃ、それでは、その大きくなった都道府県にどれくらいのことまでお求めになりますか。
 と申しますのは、今、多分、町長、県に陳情に行ったり、あるいは霞が関の方に陳情に来たり、いろいろそういうことがあろうかと思いますけれども、都道府県が大きくなった道州というものに求めるものとしては、例えば、今まで東京までわざわざ出てきたような話がすべてそういうところでおさまればいい、そこまで町長としてはお考えになる、あるいは、そうあるべきだというふうにお考えなのか。それとも、もう少し道州の役割といいますか権限は限られていて、あと中央政府に残るものもあってもいいんじゃないかとお考えなのか。
 御自分のいろいろなところへの陳情で大変にお時間もとられているかと思うんですけれども、その点についてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
阿部参考人 現在、国の出先機関が数多く、日本じゅうにたくさんあるわけでございますが、道州制になりまして、六つ、七つということになりますと、国の出先機関もそういったことで、権限も規模も出先機関の力が大きくなる、そのことによって道なり州なりのまとまりが今までよりも強くなるのではないか、そんな感じを持っています。
古川小委員 ちょっと角度を変えて、先生にもう一点ほど質問させていただきたいと思います。
 先ほど町長は、小さい自治体には力が限られている、ある程度の人口規模はやはり必要じゃないかというお話がありましたけれども、力が限られている原因というのは、最終的には人口という点にあるというふうにお考えなんでしょうか。あるいは、人口が限られていても、何か大きな産業があって財源がある、つまり、お金があれば小さい自治体でも自活してやっていけるのか。要するに、小さい自治体、自治体が自立できるポイントというのはどこにあるというふうに考えておられるのか、御意見をいただけますでしょうか。
阿部参考人 このことは、市町村の立地条件それから位置的な面でも随分違うと思うのでございます。
 例えば新潟県に東蒲原郡というところがございます。面積は大変膨大な面積があるわけでございますが、四つの町村がございます。ところで、全部人口を合わせましても一万五千人足らずでございます。ここは今、四つの町村で合併をしようということで話を進めていられるわけでございますが、これは産業とかあるいは財政とかというものじゃなくて地域的なもので、その地域地域によって目標あるいは考え方が違うんではないかと思うのでございます。
 私ども、政令指定都市を目指すということをさっき申し上げましたが、立地条件に合ったことで申し上げているわけでございます。
谷川小委員長代理 次に、斉藤鉄夫君。
斉藤(鉄)小委員 公明党の斉藤鉄夫です。阿部町長さん、きょうは本当にどうもありがとうございます。
 最初に、率直に疑問に思った点からお聞きしたいと思います。
 当初、五万人都市構想でお隣の横越町との合併を考えられたということだったんですけれども、なぜ最初から新潟市との合併をお考えにならなかったのか、この点についてまず最初にお伺いいたします。
阿部参考人 先ほど申し上げましたように、私、平成四年の一月の選挙で入れていただいたわけでございますが、昭和二十八年の合併のときに新潟市から漏れたというお話をいたしました。亀田町と横越町だけが漏れたわけでございまして、今、三分の二、新潟市と申し上げましたけれども、その三分の二は旧亀田郷で、それぞれ村が独立しておったわけでございます。そういった背景で、まず平成の初めの段階では、やはり横越と一緒になって市を目指そうではないかということで、五万人構想を掲げたわけでございます。
斉藤(鉄)小委員 五万人都市構想をまずワンステップとして達成し、それからより大きな政令都市へ、こういうお考えだったというふうに理解してよろしいでしょうか。
阿部参考人 そのとおりでございます。
斉藤(鉄)小委員 済みません、ありがとうございました。
 それから、先ほど古川委員からの質問もございましたが、政令指定都市を目指していらっしゃるということなんですが、私も実は広島市に住んでおります。一市民として率直に感じますのは、市と県が物すごく仲が悪くて、一つの事業を起こすにも全く相談をしない、別々に行う。重複も多いし、かつ非常にむだも多いということを本当に強く感じております。
 その一つの原因は、一国二制度といいましょうか、政令指定都市は、国と市が直結をした、ある二段階構成、普通の市町村はその間に県が入った三重構造、この二つの構造が同時に存在している、二制度があるようなもので、その矛盾点が顕著に出ているように私は思うんですが、きょう阿部町長さん、政令指定都市への強い方向性をおっしゃっておりましたけれども、なぜ政令指定都市にそこまで強い方向性を強調されているのか、この点についてお伺いします。
阿部参考人 何回も申し上げましたように、行政権の弱いと申しましょうか、私どもは、何をするにもやはり県の指導、それから許認可、いろいろ経なければ、なかなか仕事が進まないわけでございます。そういった苦労と申しましょうか、つらさと申しましょうか、しみじみ感じてきているわけでございます。志を同じくする者がそろって政令指定都市を目指せるならば、ワンステップ除かれるわけでございますので、ぜひということでございます。
斉藤(鉄)小委員 次に、教育の問題についてお伺いしたいと思います。
 福祉と文教に力を入れているということでございました。今ちょうど国会でも、文部科学委員会で義務教育費国庫負担法の改正の議論をしておりまして、特に義務教育についての国と地方のあり方が議論になっております。教育についてのお考えを、特に地方分権という観点からお伺いできればと思います。
阿部参考人 私、正直申し上げて教育の専門家ではございませんから、まとまったお話ができるかどうかわかりませんが、やはり教育というのは国の礎でございます。とにかく、将来に向かってその国が繁栄するかしないかというのは、やはり次の世代を担う子弟、これの教育の力というのは非常に大きいと思います。そういった意味で、やはり教育の基本は国として定めるべきものである、私は、基本はそうだと思っております。
 しかし、日本の国、東西に非常に長く、立地条件も違います。地域地域で文化、生活様式も違います。大まかな基本は国で決めていただいて、幅を少し持たせていただいて、地域地域の独自性を加味した教育システムというものができないものかな、そんな考えを持っておるところでございます。
斉藤(鉄)小委員 次に、福祉ですけれども、合併反対論の一つの大きな流れに、地域の皆さんの細かな要望に対して目が届かなくなる、そういう意味で、できるだけ首長さんは、我々、身近なところにいてもらった方がいいし、細かい意見をその方が聞いてもらえるという意見もございます。広域合併とそういう地域の皆さんの率直な声との関係についてのお考えをお聞かせ願えればと思います。
阿部参考人 先ほども申しましたように、地域によっていろいろ差があると思うわけでございますけれども、私ども、福祉の点を考えましても、自治体によって内容が違うわけでございます。
 同じことを申し上げるようで恐縮でございますけれども、やはり身近な新潟市と比較される。現在やっている中で二百二十七項目を比較しているわけでございますが、私どもの町で新潟市より福祉の面で秀でていることが一〇%ございません。六〇%近くは新潟市の方の制度がやはり高うございます。そういったことを地域住民もよく知っているわけでございまして、そういった面では余り異論はないようでございます。
斉藤(鉄)小委員 ありがとうございました。
谷川小委員長代理 次に、武山百合子君。
武山小委員 きょうはどうもありがとうございます。早速、お話を聞いておりまして私も何点か疑問に思った点があるものですから、お聞きしたいと思います。
 五十年ぐらいにわたって、昭和二十八年の昭和の合併のときに合併しなかったということで、大変御苦労されて町づくりをされてこられたのであろうと思うんですね。少し未来志向のお話をずっと聞いておりましたけれども、過去の経緯の中で、本当に頑張ってこられたんだと思うんですよね。ただ、そこには自主財源がない、それから権限もない、三割自治ということを重々わかっておりますけれども、その中で本当に頑張ってこられた。
 それで、五十年にわたって合併をしてこなかったということで、このたび五万人規模から大きな政令指定都市を目指すということですけれども、地政学的に、地図を見ておりますと、本当に合併しなかった方が不思議なくらいに私感じたんですね。ですから、その当時、頑張ろうという気がきっとあったんだと思うんですよね。その辺の経緯、今まで聞いてきたんですけれども、地政学的に見てきまして、本当になぜ合併しなかったのかなという、その辺ももう少し聞かせていただきたいと思います。
阿部参考人 往時のことはいろいろ聞いた範囲内でしか、そのころ行政にタッチしてございませんので。
 簡単に申し上げますと、亀田町が大変貧乏でございまして、相手にされなかったというのが本音のようでございます。
武山小委員 本当に信じられないようなお話を今聞いたわけです、厳しい状況であったということですけれども。
 それでは、このたび急遽五万人から政令指定都市を目指すということですけれども、どちらがいいかということは私自身はわかりませんけれども、でも、今まで頑張ってきたんだから、これから地方主権の時代になるんだから、もう一押し頑張って、地域が地域らしさを出してこれから頑張っていけないのかななんという気も実はしているわけなんです。
 それで、合併することによって、今までも合併しなくても広域でいろいろなものをやってきたと思うんですよね。その広域でやってきた点をちょっとお話しいただけますか。
阿部参考人 話が重なるようで恐縮でございますけれども、小さい自治体でやれない面がたくさんございます。それを近隣で大きくなったらやれるのではないかということで、先ほど申し上げました、十年来いろいろな協議会をつくって、話し合いの場を持ってきたわけでございます。そういった内容を詰めれば詰めるほど、やはり地域性もございますね、ちょうど。そういったことで、この辺はまとまった方がお互いにいいじゃないか、そういう空気にだんだん流れが変わる、十数年かかっているわけでございます。
武山小委員 例えば、広域でやってきたものはどんなものがあるんでしょうか。
阿部参考人 例えば、ごみ処理がございますね。これは一昨年新潟市と合併しました黒埼町というのがございますが、新潟市と黒埼町、そして私ども亀田と横越町と、四つで広域清掃事務組合をつくって、現在もやっております。
武山小委員 ほかにもう少しお話ししていただけますでしょうか、広域でやっているもの。
阿部参考人 公共下水道がございますね。処理区を新潟を中心にして、周辺で全部やっております。
武山小委員 そうしますと、県の方は、亀田町のそういう本当に大変な状態をよくわかっていて、それでも今まで合併の話に、ここ何年かで進んだようですけれども、実際はいってなかったわけですけれども、昭和二十八年からですからもう約五十年はたっているわけですけれども、その中で常に結局権限と財源がなかったということに対して、県はどういう対応をとっていたんでしょうか。
阿部参考人 これは歴史のあることでございますから、五十年というと長うございまして、歴代の町長さんも数おられるわけでございます。県がどういう態度をとっていたという……。
 町発展のために町自体は独自で努力してきたわけでございますが、町自体独自で努力してきたと申しましても、やはり先ほど申し上げました県の許認可事項とか指導とかいろいろございます。そういった意味で、やはり県は県の立場の役割はいろいろ果たしていただいたんじゃないんでしょうか。例えば、先ほど申し上げました工業団地をつくる、つくることについても町独自ではできないわけでございまして、県の指導あるいは国のいろいろな手続、やはりそういった御援助はいただいていると思います。
武山小委員 もう少し、何か核心に触れて実は聞きたいんです。
 亀田町が今目指している行政の合併をすることによって、新潟市と同じような行政のサービス、特に福祉、教育、それを亀田町の住民が新潟と同じようなサービスを受けたいということですか、物すごい格差があるということはわかっているんですけれども。そのための、すなわち合併のメリットですね、同じものを受けたいという意味なんですか。ちょっと核心に触れたいんですよね。
    〔谷川小委員長代理退席、小委員長着席〕
阿部参考人 先ほども申しましたように、この合併、町が合併というのを、当初横越町と合併、そして新潟市と、その一段階を飛び越えて、新潟、亀田、横越という合併の話を申し上げました。
 これは行政主導でございませんで、先ほども申し上げましたように、町の商工会議所が町の将来をということでいろいろな人の英知を集めて、いろいろ会合を開いて、そして私、あるいは私の議会へアドバイスしてくれたということを申し上げました。そういう流れでございまして、基本的にこれは民意が先に出てきた問題でございます。
武山小委員 では、町長さんはどう思われているんですか、その辺は。
阿部参考人 もちろんそのつもりでございます。
武山小委員 町長さんは十年、平成四年ですか、町長さんになられて。そうしますと、十年いろいろと町づくりに努力なさってこられたこの思いがこういう形になっておるんだろうと思いますけれども、未来志向で、考え方には私自身も賛成なんです。ただ、その経緯をやはり知りたいなということで、過去の経緯を知って、過去があって未来があるわけですから、質問という形でしておるんです。
 町長さん自身は、この十年ちょっとに余るいわゆる首長としての中から、自分も合併に賛成だということですけれども、そのしたいという一番の根本の理由は何なんでしょうか。
阿部参考人 新潟市と亀田町と、行政区は違いますけれども、全くもう生活環境は同じでございます。むしろ、境界があるのが不思議なくらいに思っています。
 ただ、行政上困りますのは、亀田町、新潟市、ひっついているところがたくさんございます。例えば境界の隣に学校ができる、町から水道を引いた方が近いという場合には町の水道、あるいは下水道もしかり、こういうときには、やはり町の議決、新潟市の議決、全部やるわけでございます。
 これは本当にささいなことでございますけれども、煩わしさと言うと語弊があるかもしれませんが、そういったことも、これは一緒であれば何ともないんだがなということでございますね。
武山小委員 どうもありがとうございました。
杉浦小委員長 次に、山口富男君。
山口(富)小委員 日本共産党の山口富男です。
 きょうのお話は、亀田町の町づくりにかかわる問題と合併にかかわる二つのお話だったと思うんです。
 まず最初の亀田町の町づくりにかかわることなんですが、阿部参考人から、福祉と文教に力を入れているというお話がありました。これは、憲法からいっても地方自治法からいっても、ここに自治体の大きな仕事があるというのははっきりしていると思うんですが、今、行政をやっていく上で、国や県との関係で、福祉の問題、教育の問題に力を入れるときに、障害になっていることですとか改善してほしいというようなこと、何かありますか。
阿部参考人 福祉行政を進めますのに、町単独でやれることはほとんどございません。もっとはっきり申し上げますと、補助金、措置費、そういったものにお世話になる点がたくさんあるわけでございます。そういったことで、その手続あるいは許認可、大変苦労しているというのが実態でございます。
山口(富)小委員 先ほど広域行政の問題で、ごみやし尿処理の問題ですとか水のことが出ておりましたけれども、今のお話ですと、介護保険なんかも広域でやられているんですか、補助金や措置費の問題がちょっと出たんですけれども。
阿部参考人 介護保険は町独自でございます。
山口(富)小委員 それから、平成五年といいますから九三年ですが、都市計画のマスタープランがつくられたという紹介がありました。それで、特養ホームですとか障害者の皆さんの施設ですとか、一定のところにまとめてつくったり、いろいろな計画をやっているようなんですが、このマスタープランそのものは、合併ということを別に前提にしたプランではないんですね、確認のようなものですけれども。
阿部参考人 合併と別でございます。
山口(富)小委員 では次に、合併の問題なんですけれども、私は、この問題は、やはり住民の意思がどこにあるのかというのが一番の基本だと思うんです。その点で、情報の公開ですとか、住民の皆さんの判断を尊重するというのが基本に据わるべきだというふうに思います、先ほど説明会やアンケートのお話もありましたけれども。それからもう一点は、地域間の格差もありますので、一連のサービスの後退にならないということもよく見なきゃいけない問題だと思うんです。
 それで、まず初めの住民の意見の尊重にかかわる問題なんですけれども、六カ所で説明会を開いたというお話だったんですが、この説明会というのは、きょうのお話にありましたどの段階のものなんですか。新潟、亀田、横越の合併が最初に先行いたしますね、ここの話なのか、それとも、その次の新潟地域合併の方の話なのか、その点はどうなんでしょうか。
阿部参考人 新潟地域の合併の話が出てからやらせていただきました。
山口(富)小委員 それはあれですか、六カ所というのは、各地域ごとに何か全体を覆うようなことで六カ所を選んだのか、それからまた、説明はどなたが当たったのか、もう少し具体的なところを教えてください。
阿部参考人 大まかに、いずれも小さい町でございますけれども、人口の集積を考えまして、学校、保育園、そういったところでやらせていただきました。
 お話は私が申し上げたわけでございまして、ただ、いろいろな質問が出た場合にということで、担当課長二十人ばかりいるのでございますが、全員出ました。
 そういう態勢でやらせていただきました。
山口(富)小委員 そうすると、アンケートの方なんですけれども、二千人ということで、亀田町としてはかなり力を入れた調査だったと思うんですが、その結果自身は、進めたい、どちらかといえばという方も含めて四九%余り、それから、慎重や反対と答えた方が二五%といいますから、一つの町の中で考えるとかなり意見が割れた調査結果になったと思うんです。
 この点は、ここでのアンケートというのは、やはり新潟地域合併にかかわる、そのアンケートなんですね、意見がこれだけ割れたというのは。
阿部参考人 そのとおりでございます。
山口(富)小委員 そうしますと、町の方は、この六回の説明会、それからアンケート結果を踏まえまして、これからこの問題では住民の皆さんにどういう働きかけといいますか意思の尊重をするのか、そのあたりの何か検討をやられているんですか。
阿部参考人 住民からよく聞かれるのはメリット、デメリットということなんでございますが、これは、完全に任意協が終わってしまいますとはっきりするのでございますが、今話し中なのがたくさんございます。そういったことで、返事を保留している部分と申しましょうか、もうちょっと待ってくれというような点もはっきりと申し上げているところでございます。
 しかし、決まった点から、決まったというか、こういうふうにしましょうというふうに内部で意思が統一されたことについては、すべて逐次お知らせしているところでございます。
山口(富)小委員 議会とのかかわりですと、住民の皆さんへの説明会は行われたそうですが、議会には、何らかの特別委員会とか、そういう形で常時意思の交換というのは行われているんですか。
阿部参考人 議会でも、合併特別委員会を独自でおつくりになって、もうかなり、どのくらいでございましょうね、十回前後やられていると思います。
 その中で、今まで議会で大体決められたことは、新潟市に対して編入合併でやむを得ないだろうということが一つ。それと、議員の身分でございますけれども、いわゆる特例法の中で定数特例を利用して、大体人口一万で一人というあたりで議会もお話ができているようでございます。
山口(富)小委員 それから、先ほど私、お話を聞きながら一点ちょっと聞き漏らしてしまったんですが、広域合併の、レジュメの三と四なんですが、三の方の最初の協議会というのは解散したわけですか。
阿部参考人 発展的解消でございます。
山口(富)小委員 よくわかりました。発展的解消というのは、次の新潟地域合併問題協議会に改組したということですね。(阿部参考人「はい」と呼ぶ)わかりました。
 次に、もう一枚の地域の図なんですけれども、三つが折り重なっておりますね、合併問題協議会と広域市町村と都市圏にかかわるものと。これだけ錯綜し始めるとなかなか行政もやりにくくなるような気が一方ではするんですが、これはどういう区分けになっているんですか。
阿部参考人 一番外側の青い線と申しましょうか、これはいわゆる広域行政ということで県が示した一つのモデルパターンでございます。それから、赤い線が都市圏総合整備推進協議会ということで、独自でつくった協議会でございます。それから、緑色のところが合併ということで今話し合いをしているところでございます。
山口(富)小委員 どうもありがとうございました。
杉浦小委員長 次に、北川れん子君。
北川小委員 本日は、どうもありがとうございました。社民党・市民連合の北川れん子と申します。
 私は、お話をお伺いしていて、阿部町長がおっしゃった議員が要らなくなるというお話の中で、端的に言えば三十五億円の経費節減になるんだというお話をされたんですけれども、実は、生活のライフラインとかが一定程度整備され、人々の暮らしというのが戦後の復興期の中で先人の人たちの努力の上で立ち上がってきて、一定暮らしに関しての落ちつきを持った今、どちらかというと、賛成、反対の議論が屹立するというか二分するような問題というのが昨今は提起されております。
 例えば、有事法制の是非について、原子力発電所の誘致の問題とか、今までとは違って、自分たちの生活が向上するならよりいい方へ行こう行こうと言っていた時代の議論とは違って、意見の対立といったものが持ち込まれる話というものが来る時代になったというふうに思うんです。
 その折に、住民の自治とか政治参加の問題からいくと、私は、議会というところが消えていくということに関して、三十五億円の経費の面からだけではない点というのが多々あると思うんですよね。結局は、行政マンの、地方公務員の大リストラというか合理化の問題に町村合併というのはいくと思うんです。そういう点からいくと、地域に住む、兼業として住む場合、公務員と農業、公務員と林業とか、いろいろな形でベストミックスをされていた面ができなくなる点等々があると思うんですが、この点においての阿部町長のお考えというものをもう少し具体的に聞かせていただけるんでしたらありがたいんです。
阿部参考人 首長、議員の数、三十五億円ということは、試算した結果を申し上げたわけでございまして、それだけ、一年に三十五億というお金、これを住民の福祉あるいはいろいろな方に向けたらすばらしいなということで申し上げたのでございます。ただ、先生おっしゃいました、物事、非常に意見がたくさんあると、それを判断する一つの立場としての重要性、そういったことを決して、おろそかと申しましょうか、そういう意味で申し上げたのではございません。やはりそういった制度そのものは大事だろうと思います。
 しかし、今、情報あるいはいろいろなことが、交通にしましても、非常に身近になりましたし、時間がかからなくなりました。そういった意味で、範囲を広げても支障がないんじゃないかという気もするわけでございます。
北川小委員 亀田町の地政学的な意味からでの御発言がきょう今回はすごく多いと思うんですが、二〇〇五年を迎えての今、逆に言えば、市庁舎がうちにとか、名前が消えるのがどうとか、それが選挙のことにでも絡んでいろいろ生臭いお話とかも伺う昨今でありますので、三十五億円の議論を積み上げるそういう合理的な仕組みというものがなくなるということの方が、私自身はもう少しシビアに見ていった方がいいのではないかという立場をとっているんです。
 例えば、だんだん大きな構想になっていったというのがよくわかったんですが、青い線引きになっている巻町などの笹口町長の御発言では、結局、原発誘致の問題で巻町がつくり上げてきた住民自治が他の町村に理解を得られなかったので協議は打ち切った、合併問題では、自分たちは合併をしないと。逆に言えば、自分たちの意向が組み入れられないということがよくわかったので取りやめたということで、町民の皆さんにいろいろな発行文書をつくっていらっしゃるんですけれども、そしてまた、五億三千万以上の自分たち自身の大合理化をして初めてメリットが来るとかということを具体的な数字としてもあらわして広報されているんです。
 亀田町長としてのお立場というのはすごくよくわかるんですが、広域になったときに、そういう御意見を言う笹口町長のようなお立場、もしくは加茂市の小池市長がかなり強固な合併反対の主張というものをされていらっしゃいますよね。同じ新潟県でいらっしゃるわけですけれども、毎年五百億円の地方交付税交付金が国から来なくなること、これはすなわち新潟県自身が立ち行かなくなることをあらわしているんだというような御意見でもって発信をされていらっしゃる点、また町村議会長の皆さんの昨今の御意見、強制的な合併をしていこうとしむけている国の立場が、国のありようがおかしいのではないかというような意見等々、阿部町長とは違う意見の方が身近にもいらっしゃる、市長さんにも町長さんにも。そして、全国では町村会自身が意見を出している。今のこういう様相に関しての御関心といいましょうか、そういうところはいかがでいらっしゃいますでしょうか。
阿部参考人 それぞれ首長さんのお考えもあろうかと思いますし、その首長さんのお考えを生む立地というのもあろうかと思います。
 初め、巻の町長さんも、この青線の中で協議会を一緒にやっておりました。おられましたが、私の町は合併に入らないということを明言されてございます。
 それから、県で示しましたいわゆる素案、大体新潟県をこういうふうなぐあいでどうだろうということで示された案がございます。その中に、巻町さんそれから西川町さん、中之口村さんというのが入っております。それから、この地図にございませんけれども、巻町さんの下に岩室村さんというもの、これが県の示したパターンでは一つということでございました。
 ところが、こういうことを申し上げていいかどうかわかりませんが、巻町の笹口町長さんが、県の示された方たちに、原発の立地を断る約束で合併しましょうという申し入れがございました。それを受けて、周辺の町村が巻町さんと離れたという経緯がございます。
 そして、巻町さんの下に、先ほど申し上げました人口一万ばかりの岩室さんという村がございますが、これが飛び地になるわけでございます、私どもの。しかし、今十二でやっていますが、先ほど最初に申し上げましたように、加入させてくれということでお話が来てございます。
 ですから、是々非々は申し上げませんが、首長さんの考え方、それからその首長さんの所属する地域の客観情勢と申しましょうか、いろいろな要素を加味してそういった独自の立場をとられるのではないかと思うわけでございます。
 ただ、加茂の市長さんのお話も出ましたけれども、私は、加茂の市長さんの考え方がわかりません、はっきり申し上げて。
北川小委員 独自の立場をおとりになる方のことは尊重するという御意向でいらっしゃったと思うんです。
 私は、どちらかというと、力不足だとおっしゃった阿部町長の力不足ではなくて、多くの規制や福祉に対して立ち向かうときの大きな国からの税源移譲がない点とか、そちらの方にどちらかといえば道を切り開く努力をすれば、この亀田町は、五万都市構想とかでも十分に住民自治を一緒に、ともに立ち上がりながらやれる町ではないのかというのをきょうつくづくと聞かせていただいて感じたんですけれども、その点に対しての、逆に言えば御自身の努力の向け方というものに関してはいかがでいらっしゃいますでしょう。最後になるんですけれども、今後ともそちらの方への努力への御関心もぜひ強めていただきたいと思うんですが、いかがでいらっしゃいますでしょうか。
阿部参考人 私も町へ入れていただいて十一年が過ぎたわけでございますが、私が入りましたとき、福祉施設というのは一つもございませんでした。これは申し上げていいか、私、医者でございます。そういったことで、非常に福祉に力を入れているわけでございまして、かなり、まあまあ考えたことは達成させていただいた。
 しかし、さっき申し上げましたいろいろなことで、許認可のことを得る、財政の問題、苦労をしたと申し上げましたが、その苦労にだけ目を向けて合併をということでございません。合併というのはあくまでも将来、この地域が将来、これが一番のポイントだ。将来に向けて発展するには、位置的な関係あるいは人の交流、いろいろな面を考えて、合併が最高のベターだ、そういうことでございます。
北川小委員 どうもありがとうございました。
杉浦小委員長 次に、井上喜一君。
井上(喜)小委員 保守新党の井上喜一でございます。
 きょうは、参考人、本当に御苦労さまでございます。
 私は、昭和四十年代でありますから、今から三十年余り前に亀田郷を訪れまして、役場にもお伺いしましたし、有名な土地改良区の方にも伺って、話を伺いました。ともかく、田んぼに入れば腰までつかるというような田んぼだったそうでありますけれども、立派に乾田化をして立派な農地ができ上がっておりまして、私自身は、こういうところはずっとやはり農地として残していく、農地が農地として活用されていくようなことがいいんじゃないかなというような、そんな感じを持って帰ってきたわけであります。
 今、県とか市町村といいますと、どうしても、選挙になりますと、首長というのは、向こう任期の間にこうこうしますというようなことを公約されるのでありまして、大体やはり自己完結的なことを言われるわけですね。何をします、これをしますというようなことですね。つまり、自分が責任を持ってやれるようなことを公約されるのでありますが、どうも土地利用というような点から見ますと、私はやはり、一つの自治体の中でいろいろなものをつくっていく、つまり、工業団地を隣がつくればおれのところもつくる、あるいは図書館をつくれば自分のところもつくる。今同じような自治体ができ上がってきておりまして、どうも土地利用というような点から見て、国が本当に金をかけていろいろなことをやっているんだけれども、それが生かされていないというようなこと。あるいは、投資なんか見ましても、これはダブった投資も随分あるんじゃないかと思うんですね。
 あるいは、今財政の問題も出ておりましたけれども、財政の効率化というような点から見ましても、私はやはり、この時点では、より広域の合併に志向していくというのは、これは当然のことだと思うのでありまして、今、新潟市を中心にした政令指定都市構想が浮かんできているというのは、これは大変結構なことだと思いますが、さらに進みまして、越後の国というのは割かし一体感がある地方だと思うんですね、しかも人口も二百四十万ぐらいでありますから、もう県を一つの市にしてしまう、それで、市の区域を区に分けましてやっていくようなことをした方がよりいいんじゃないか。
 つまり、県というのがありますと、町長さんも御存じのように、いろいろなことを理由にしまして抑えつけようとするわけですね。行政機構というのは本来そういうものだと私は思うのでありまして、県もなくなるし、大変いい市になっていくんじゃないかと思うのでありますけれども、もう一歩進めて、そういう構想というのは新潟県の場合はとり得ないものなのかどうか、これをお伺いしたいんです。
阿部参考人 前もってお断りしておきますけれども、知事さんはどういうお考えだかわかりませんが、私個人の考え方としては、今、新潟県というのは、上越、中越、下越と三つに分かれてございます。いろいろな面から、地域性やあれから考えると、三つくらいに分かれるのが一番ベターかな、そんなふうな考えも持っております。
 しかしながら、今、合併の流れを見ておりますと、下越で、北の方が大体二つくらいになるんでしょうか、新潟を中心とした周辺が一、二、長岡を中心としたところが二つ三つ。全部で新潟県、今二十一で分類の案が出ているわけでございますが、これも仮説で申し上げると、一つの過渡期ではないでしょうか。そういった意味で、やはりこれからある程度まとまりというのは必要でないかと思うんでございます。
井上(喜)小委員 次に、首長の多選の問題についてお伺いしたいんです。
 きょうは合併の話のようだったんでありますけれども、大体、全国どこでも同じような問題があるんだと思うんでありますが、この多選の問題、私、これは知事さんと市町村長さんを一応別に考える必要があると思うんです。
 知事というのは、新潟県もそうだと思うんですが、殿様ですよ。それは、大きな予算を持って、自分のブレーンを抱えて、しかも県会議員なんというのは、あれは知事のコントロール役を果たせないんですね。知事は全県から選挙される、県会議員はたかだか五万とか六万ぐらいの小さなところから互選されて、どだいそういう代表制が違いますので、どこの県もそうだと思うんでありますが、圧倒的に知事の権限が強い。こういうことで、知事は、私は多くても三選だと思うんですね、二選または三選ぐらいじゃないかと。
 市町村長さんは、大きな政令都市は若干事情が違うと思うんでありますけれども、これは選挙区の母体が市町村会議員と同じなものですから、割かし市町村長に対して市町村会議員というのは発言権があるように私は思うんですね。
 これはちょっとやはり別に考えるべきだと思うんでありますが、その二つを分けまして、多選禁止の要があるのかどうか、あるとすれば何期ぐらいが適当なのかということをお聞かせいただきたいんです。
阿部参考人 大変難しい御質問でございますが、これは長の性格にもよるんじゃないんでしょうか。人それぞれ、みんな考え方それから基本が違うわけでございまして、ちょっときつい言葉になるかもしれませんが、おれがという考え方を持って当たられる方は、余り長くしていただきたくないと思います。
 私は、部下によく、部下というか担当によく言うんですけれども、一人で仕事はできないんだよ、おれがやるとかおれが命令するとかということはやめようやと。おれはにしてくれ、おれはどういう立場だ、おれはだれと相談しなくちゃだめだ、そういったスタイルでいかなければということをよく申しておるんでございますが、私もいろいろな首長さんを見ているわけでございますけれども、なかなか、それぞれまちまちでございます。
 ただ、多選を一様に年数あるいは期でもって縛りつけるというのもどうかと思うわけでございますが、やはりこれは地域住民の、選挙民の判断に任せるべきでないか。お答えになるかどうかわかりませんが。
井上(喜)小委員 どうもありがとうございました。終わります。
杉浦小委員長 次に、佐藤勉君。
佐藤(勉)小委員 自由民主党の佐藤でございます。
 きょうは、町長さん、御苦労さまでございます。
 私は、栃木県の出身でございまして、先ほど来からお話を伺っておりますと、新潟県は二百四十万で百十という自治体を持っておりまして、どうしても比較してしまうんですけれども、栃木県の場合は二百万で四十九市町村という立場にあります。
 先ほど来からお話を伺っている中で、町長さんの基本的な考え方をちょっとお伺いしたいんですけれども、今度の合併の論議というのは、その百十を確かに少なくしていくという基本があるんだろうというふうに私は思っております。したがって、地域格差があって当然だと思うんですが、何となく国のもとに合併論議が非常に進んで、またまた栃木県の場合はもっともっと大きな合併が進んでいくというふうになりますと、イタチごっこのような気がいたしますが、基本的に町長さんとしては、その百十をいかに縮めることの方がいいのか、町長さん個人として、亀田町が新潟市と合併をすることの方がメリットがあるのか、その辺の基本的な考え方をお伺いしたいと思います。
阿部参考人 やはり、先ほども申し上げましたように、今市町村間の距離感、あるいはいろいろな意味で交流の圏域が広くなってきているところでございますから、小さくそこそこやっているよりも、ある程度まとまって、似たような地域は同じような考え方でやった方がいいんではないか、私個人はそんなふうに考えておるところでございます。
佐藤(勉)小委員 そこで、合併をするに当たって新潟市にという考え方は伺いましたが、亀田町を新潟市との合併に当たっていかに有利に展開をするかというのが基本的になくてはいけないことなんではないだろうかというふうに私は考えておりますが、町長さんの御意見はいかがなものか、お伺いをしたいと思います。
阿部参考人 政令指定都市を目指して今一生懸命に話しているところでございますが、政令指定都市になりますと区制がしかれるわけでございます。現在、新潟市単独で五十二万、これは一つの区にはなれないはずでございます。いわゆる中心部を二つくらいに分けても、端々がほかの区へ動くということになります。
 私ども、今内々希望としているところは、亀田、横越を中心として、いわゆる亀田郷という、昭和二十八年に新潟市に合併しました大江山村、石山村、曽野木村、両川村、ちょうど亀田をくるっと包んだ亀田郷でございますが、これを今全部寄せますと十二万人くらいになります。そういう区ができたらなという希望でございます。
佐藤(勉)小委員 そこで、もちろんいい方向にばかり進むとは思えないと私は思っているんです。合併のメリットというお話になろうかと思いますけれども、先ほどお話が出たかもしれませんけれども、どうしても住民サービスの向上が挙げられるというふうに私は思います。
 そこで、合併協議会の資料を拝見いたしますと、先ほど、さすが、町長さんのお仕事からも、児童福祉や高齢者の福祉の分野で、私は新潟市にまさるとも劣らないという立場でいらっしゃるんではないかとは思うんですが、合併によってその分野での住民サービス等々はいかような方向に進まれるか、向上すると考えていらっしゃるのかどうか、その辺をお伺いしたいと思います。
阿部参考人 先ほども一部触れましたけれども、二百二十七項目を挙げていろいろ比較検討しているわけでございますが、さすがに新潟市の方がまさっていることが半分以上ございます。今それを詰めているところでございますが、合併した場合、新潟市と統一する、あるいは同じ考え方でいく、そういったのを比較いたしますと、町としてメリットは大変大きゅうございます。
佐藤(勉)小委員 そこで、もちろん地方分権ということがこれから当然進んでいくわけだと思います。私は、大事なことは人材の育成だというふうに思っておりまして、自治体においての人材の育成が一層重要な課題となっているというふうに私は考えますが、その点について町長さんはどのように考えていらっしゃるのか、また亀田町において何らかの具体的な取り組みをしていらっしゃるのか、その辺のところをお伺いしたいと思います。
阿部参考人 私も今までのお話の中でその点も申し上げようと思っておったのでございますが、本当に大変光栄な質問だと思います。
 小さい自治体では、財政上の関係で、役場職員というのが非常に制限されます。ちなみに申し上げますと、私どもの町で、議会からいただいている人数が三百十一名でございます。ところが、今実際やっている人員は二百八十五名でございます。
 これはなぜか、入れればいいじゃないかということになるわけでございますが、内部を機械化するとかいろいろな方法で節約に努めているところでございます。そういったことで、いわゆる仕事の量と機械力を使った人員の量とのバランスを考えながら、財源の節約に努めているということでございます。
 そういった背景で、職員を勉強に出すとか研修に出すとかということがかなり制限されてまいります。そういったことで大変苦慮している面があるわけでございます。やはり大きな自治体は、職員の能力アップ、識見の広がり方、そういったのはやはり違うようでございます。しみじみとそういったジレンマもふだん持っているところでございます。
佐藤(勉)小委員 最後になりますけれども、先ほど来からお話を伺っておりますと、冷静に将来的なことをお考えいただきながら亀田町の町民のことを基本に考えているというのは、私も非常にひしひしと感じるものがございます。
 そこで私は、ぜひこれから合併に向かって御注意をいただきたいというのは、もちろん新潟市と合併をするという中での流れは私は決して批判するものではありませんが、ぜひとも亀田町の存在をしっかりとこれからも維持できるようなことで進めていただきたいという御要望を申し上げまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。
杉浦小委員長 次に、中川正春君。
中川(正)小委員 民主党の中川正春でございます。
 町長さん、ありがとうございます。長時間にわたって本当に申しわけないことでございます。
 全国そうなんですが、私は三重県の鈴鹿市を中心にした地域なんですけれども、やはり合併論がございまして、先ほどお話を聞いていますと、私の地元と比べると、合併の方向に対する方向性というか、それの基礎的な条件というのはすばらしくそろっている地域だなと。うちはもめてもめて、今何ともならなくなっているのですが、そのことと比べるとすっきりしているなと思いながら聞かせていただいていました。
 地理的条件にしても、あるいは歴史的なさっきの御説明、それからまた行政的に、特に福祉のその二百二十七項目からのレベルの比較、あるいは職員の研修ということ、ちょうど国が進めている条件のモデルになるようなことだと思うんですね。
 ところが、それでも、さっきの賛成反対の割合を聞いていると、反対というか、この方向に対してだめだと言っている人たちが、トータルでいくと三割ぐらいですか、三割から四割あるということですね。これだけ条件がそろっている中で、この人たちはなぜ反対だ、こういうことになるのでしょうか。ちょっとそこのところをもう少し参考に聞かせていただければありがたいと思うのです。
阿部参考人 個人それぞれお仕事をお持ちでございます。例えば商店でも、合併してメリットがあるという判断の方と合併してもらったら大変だという方といらっしゃいます。あるいはまた、建設業というのがございます。建設業に携わっている方でも、町の中でやれば僕の立場も立つ、一緒になってしまったらおれの立場がなくなっちゃう、いろいろあるわけでございまして、ただ全体の将来像という点から判断していただければいいのでございますけれども、個人個人、身近なところを単位に考えられますと、どうしても反対者というのはお出になります。
中川(正)小委員 非常に興味のある話で、うちもそうなんですね。まず、大きな市と合併をしていくときには、土木業界が非常に反対を大きくしてきまして、入札の範疇が広がってくると大きいところにやられるじゃないかと、損得から始まるというか、そういう構造というのは、恐らく小さい町が大きい町に吸収されるときには共通項としてあるのかなということでしょうね。
 同時に、新潟市の場合は、いわゆる周辺を固めていくことによって政令指定都市、そういう目標を持ちながらやるということですが、ここで政令指定都市というのは強いなと思うのは、さっきお話の出た区ということをもう一つ取り込みながら、合併した後のそれぞれの小さな自治体の独自性というのを描けるような仕組みが求めていけるわけですね。中核市とかそれ以下の市になると、その後のビジョン、合併した後のビジョンというのがなかなか具体的に描きにくいという仕組みになっているのです。そこも問題なのかなという気が私はしているのです。
 そういう意味で、さっきの区という構想をお話しいただきましたが、その区を中心にして、恐らく住民の皆さんは、吸収合併されていく中で、いかにして行政あるいは政治に参加をしていくか、そこのところが不安だということがあるんだと思うんですね、端の方だからほっておかれるのじゃないかと。そんな議論もあるんだと思うのですが、それに対してどのように説得されているか。いわゆるその後のビジョンというのを、特に参加をしていく形態の中でどのような議論が中で行われているか。もしあれば、お話をいただければありがたいと思うのです。
阿部参考人 私どもの合併のお話の中でメリット、デメリットということがよく出てきますが、デメリットの中に、中心から遠いからとか端だから置いていかれる、そういう話がよく出てまいります。それを解消するために私どもが目指しているのは、政令指定都市は政令指定都市で、政令指定都市の中で分権型政令指定都市を目指そう、そういうことで意思統一ができてございます。合併してもすぐ政令指定都市になれないわけでございますから、二年なり何がしの日時が必要でございます。それまでの間は地域審議会的なもので対応させて、地域の個性、特徴を大事にしていこう、今そういうことも話し合っております。
 ですから、中心だから、端っこだからということじゃなく、一番大事なのは、今までの個性をいかに大切にしながら融合していくか、それを一生懸命に今模索しているところでございます。
中川(正)小委員 以上です。ありがとうございました。
杉浦小委員長 次に、伊藤公介君。
伊藤(公)小委員 きょうは早朝から、そして長い時間、阿部町長さん、御協力大変ありがとうございました。
 私の質問で終わりですから、これまでの皆さんとのいろいろなやりとりの中で、せっかくおいでいただきましたから、強調しておきたいことがありましたら、どうぞ私の質疑の中で、質問に答える中でなくても結構ですから、おっしゃっておいていただければと思っております。
 質問する前に、端的に、町長さんは、我が町の誇るもの、私の町の誇り、三つを挙げてくださいと言ったら、何を挙げられますか。
阿部参考人 まず第一に挙げます。災害が少ない町でございます。
 それから、常に気をつけているのは、治安ということでございます。先ほども申し上げました安全、安心、安定、これは一人でできるものでございません。事あるたびに、さっきもちらっと申し上げました区制を利用し、あるいは隣組、そういった組織あるいはいろいろな会合の中で、常にそれはお話し合いしているわけでございます。小さいことですけれども、例えば、おうちをあけるときは黙ってあけるな、必ず前、隣に、あけるということを言ってあけなさい、そういったことが、交通事故とかそういうのはございますけれども、割合と平穏な町である。防災それから防犯、これが一番大きな特徴でございます。
 それから三つ目としては、これも、交流人口をふやすということで政策をやらせていただいて、今町に非常に活気が出てきております。想像でございますが、人口三万の町でございますが、恐らく推定で百万以上は入ってきているんではないか、そんなふうに考えておるところでございます。
 自慢ということになりますといろいろございますが、ということで。
伊藤(公)小委員 ありがとうございました。
 亀田製菓というのは町長さんのところが発祥なんですか。
阿部参考人 私の自宅の前でございます。
伊藤(公)小委員 全国的に有名ですから、我が町の誇るものといったらそれも挙がるのかなと思いましたが。
 なぜそんなことを伺うかというと、私は今東京が選挙区ですが、私の町は四十万、隣の相模原が六十万で、合わせますとまさに百万になります。私、生まれは長野県の、町長さんの隣ですが、長野でも少し南の方の高遠町で、旧三義村という、一町四カ村が合併した町で、実はうちのじいさんはそこで村長をやっておりました。今町は合併しましたけれども、旧村は非常に過疎なんですね。私が通っておりました小学校、中学も廃校になりました。しかし、とんでもない過疎なものですから、今むしろ東京の人が非常にここに住み始めている。中途半端でない方がいい。作家だとか、それから陶器をする人だとか、それから音楽家が全国コンサートをやった合間にはそこに住んでいるとか、天文、星を見るなんということも、そういうことを考えると、私は、基本的に合併をしていかざるを得ないということだと思います。
 例えば、東京の私のところですと、今産業廃棄物、廃棄物が大変な問題です。今、私の町だけじゃなくて、首都圏はもう一年でとにかく廃棄する場所がない。東京の一番奥の日の出町に我々もお世話になって、既に第二処分場、これも法廷闘争までやってきたわけであります。空港、これも大きな問題、あるいは原子力発電も、今全国的に問題です。
 そういうようなことをいろいろ考えると、私は、広域的なことを考えざるを得ない。また、先ほど来、町長さんからも、財政的なこともお触れになりました。
 しかし、西尾私案について、全国の町村会の会長さんは若干これに反論をされているということも伺いました。それは、全部は違うということではないと思いますけれども、この分権型社会というものを、それぞれの市町村の個性というものを失ってはならないのではないかということが、多分その反論の趣旨だと思います。
 例えば、東京の私のところは、今小選挙区になりましたから分かれましたが、一番奥の檜原村というのは、私の旧選挙区です。私は、この村長さんに会うたびに、檜原だけは東京の中で永遠に村がいいと。これはもう大変な大自然でございまして、東京の都心とあの奥座敷の檜原村を考えたときに、東京の中に将来的にも檜原村はあっていいのではないか、むしろあの檜原村をそのまま残しておくべきだということもございまして、一律に物事を全部やっていくということはどうなのかなと。
 日本の国土政策も、たしか池田内閣の時代、昭和三十七年に全国総合開発的なものがスタートして、歴代の内閣で国土政策を次々とつくってきました。最後につくられたのが多分、橋本内閣の連携軸だと思います。これは非常に大きく変わりました。
 地方に工場を持っていけば人口がそちらに行くだろうと言ったけれども、なかなかそうならない。そこで、福田内閣の時代には定住圏構想、やはり若者は文化もなければだめだ。しかし、なかなか成功しない。そこで、橋本内閣になってきて、むしろ農村は農村、そのよさを残して、大都市とそのものを連携していく、お互いに交流していく、よさをむしろ残して連携していく方がいいのではないかという国土政策をつくってきました。私も実は、その国土政策にかかわってきた一人であります。
 そういう国の大きな流れも見ながら、今、町長さんは積極的にこの合併を進められて、私もその方向が全体としてはいいと思いますが、やや日本全体が画一的で個性を失ってきたというものも一面ではあると思います。何々銀座が全国にあったり、すかいらーくがあってデニーズがあって、みんな、どこへ行っても同じ顔になってきてしまった。
 むしろ、そうではなくて、最近、たしかNHKですか、商店街の活性化をやっている中で、もうとにかく新しいことをやってもなかなかだめだ、そこで全部昭和に戻そうといって、みんなが昭和のお店に全部直していった。そうしたら、非常に客がふえてきて、その中心になった人が感激をして、つい最近の少し長い番組でしたけれども。
 そういう大きな流れを考えながら、町長さんが今、どんなふうに亀田町の町づくりを考えながら、将来を展望されるのか、お伺いしておきたいと思います。
阿部参考人 基本的には、今先生がおっしゃいましたことと同じような考え方であるわけでございますが、地域地域でそれぞれ異なっているわけでございます。
 町村会の山本会長さんが必ずしも合併賛成でないというようなお話でございますが、会長さんは、合併そのものに反対ということは申されておりません。ただ、どうしても合併できないところ、あるいはどうしても地域として残らなければならないところ、そういったところに配慮した発言をなさっていると私は解釈しております。いわゆる強制的な合併は断固阻止という言葉を使っていられるわけでございまして、地域によっては当然合併しなければだめだろう、そういうことがあるだろうと思うわけでございます。
 ただ、私どもの目指しております政令指定都市についてでございますが、私ども、穀倉地帯でございます、新潟というのは。いわゆるキャッチフレーズに田園型政令指定都市、これを目指そうと。先ほど申し上げました私の町も半分は田んぼでございます。そういったことで、田園型政令指定都市、こういうキャッチフレーズは今まで十二ある政令指定都市で一つもないわけでございまして、こういうことを申し上げてちょっとはばかるかもしれませんが、東京みたいなコンクリートジャングルの町をつくろうなんて気持ちは持っておりません。既存の農業を中心とした、それを軸にした、それを生かした将来発展を目指そう、これは十二市町村長全く同じ気持ちでございます。
 そういったことで、地域によっていろいろ考え方は異なるかもしれませんが、正直申し上げて、私ども、土地柄、政令指定都市を目指す可能性のある位置にくみしているということを大変幸せに思っております。
伊藤(公)小委員 ありがとうございました。
 まだ二、三点聞きたかったんですけれども、もう時間が参りましたので、どうぞ、町長さんの御活躍をお祈り申し上げて、質問を終わります。
杉浦小委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。
 この際、一言ごあいさつを申し上げます。
 阿部参考人におかれましては、御多忙のところ御出席をいただきまして、貴重な御意見をお述べいただきまして、ありがとうございました。小委員会を代表いたしまして、心から御礼申し上げる次第でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
杉浦小委員長 これより、本日の参考人質疑を踏まえまして、小委員間の自由討議を行います。
 一回の御発言は、五分以内におまとめいただくこととし、小委員長の指名に基づいて、所属会派及び氏名をあらかじめお述べいただいてからお願いをいたします。
 御発言を希望される方は、お手元にあるネームプレートをこのようにお立てください。御発言が終わりましたら、戻していただくようお願いいたします。
 発言時間の経過につきましては、終了時間一分前にブザーを鳴らさせていただきます。また終了時にもブザーを鳴らしてお知らせいたします。
 それでは、ただいまから御発言をお願いいたします。
島小委員 きょうは、地方自治でございますので、憲法の九十二条、九十三条及び九十五条についての発言をさせていただきます。
 きょうは、亀田町の話のポイントは、合併の問題でございました。合併は、今合併特例法で、法定署名五十分の一、有権者署名の五十分の一を集めれば合併協議会を設置するかどうかということを議会に付議することができるという話になっています。
 杉浦小委員長と私は選挙区が隣同士でございますが、私の近くに、安城、刈谷、知立、高浜、碧南という町がございます。その五市で合併をしようということで、五十分の一の法定署名でいいんですが、人口四十七万、有権者署名、約四十万のところ、九万九千六十四名の法定署名を集めました。九万九千六十四名の法定署名を集めたんですが、一つの市、碧南市という市が、結局、住民発議による合併協議会を設置することを否決したものですから、それで終わってしまったんです。
 これは何が言いたいかといいますと、いわゆる代議制と間接民主主義と直接民主主義の問題であります。
 憲法は、九十二条で「地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める。」とありますが、住民自治、団体自治のうち住民自治に関しましては、九十三条で、地方公共団体には、その議事機関として議会を設置する、それから、地方公共団体の長は、直接これを住民が選挙するということで、基本的にいわゆる代議制、選挙を通じてのものしか規定していないわけであります。もちろん、九十五条で「一の地方公共団体のみに適用される特別法は、」とありますけれども、どうしてもこの間接民主主義というのをかなり意識した構成になっている。
 今、各地で住民投票その他があるわけでありまして、その問題について、今後憲法を議論していく間において、いわゆるその間接民主主義と直接民主主義、住民自治の関係をどのように考えていくかということをきちんと整理していく必要があると私は思います。
 それから、及び九十五条で、例えば今、道州制の話も出ましたが、道州制をもしやるとして、都道府県合併をする場合には、これは現在、私も総務委員会で聞いたんですが、例えばある県が発議して、その地域三つぐらい一緒になろうと思った場合には、この九十五条の、地方公共団体の住民の投票においての過半数の同意を得るということが必要なんだそうであります。
 したがいまして、もし本当に道州制を進めるのであれば、特別の都道府県合併の立法が必要となるか、あるいはこの九十五条をどのように解釈するかということになると思いますので、地方自治に関しては、今後、住民自治の観点からいくと、直接民主主義、間接民主主義をどのように考えるかということが大きな論点になっていくというふうに思います。
 以上です。
谷川小委員 ちょっと今の島委員の御発言にも関連をすることなんですが、憲法の九十三条は住民自治、九十四条は団体自治を規定しているんではないかという、これは学説的には相当定着していると思うんですが、私は、日本国憲法の中で、この地方自治の問題をこの二つの問題の切り口だけでそろそろ議論できないところへ来ているんじゃないだろうかと思っておるんです。
 一つの例ですが、アメリカ・オハイオ州のデイトン、これはシティーマネジャーシステムというものを世界で一番最初に始めた市です。市町村の外に、わきにそのシティーマネジャーというのが、これは契約で身分が成立するわけですが、議会に対しては責任を持つけれども、一般有権者に対しては責任は持たない。そのシティーマネジャーが、いろいろなプランニングがあって、そのプランニングがうまくいったときには次のまた契約が続くというようなシステムを導入したシティーマネジャーシステムというのがありますが、この日本の憲法の規定からいう、特にその九十二条の、地方自治の本旨に云々ということから、法律の定めるところによりという形で地方自治法その他を見ると、とてもこういう制度を日本に導入はできない。
 しかし、やはりこれからの分権という話を議論する以上は、現行の憲法の中でしか議論できないのかどうかということもあわせてやはり当小委員会では議論すべきだ、私はそう思います。
杉浦小委員長 他に御発言はございませんか。
 それでは、討議も尽きたようでございますので、これにて自由討議を終了させていただきます。
 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午前十一時三十一分散会


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