衆議院

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第2号 平成15年4月14日(月曜日)

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平成十五年四月十四日(月曜日)
    午前十一時十四分開議
 出席委員
   委員長 村井  仁君
   理事 逢沢 一郎君 理事 砂田 圭佑君
   理事 蓮実  進君 理事 松下 忠洋君
   理事 漆原 良夫君
      石田 真敏君    岩永 峯一君
      大村 秀章君    金子 恭之君
      亀井 久興君    北村 誠吾君
      滝   実君    竹下  亘君
      谷田 武彦君    谷本 龍哉君
      馳   浩君    福井  照君
      星野 行男君    松島みどり君
      松浪 健太君    松野 博一君
      水野 賢一君    宮澤 洋一君
      吉田 幸弘君    渡辺 博道君
      西  博義君    桝屋 敬悟君
      江崎洋一郎君
    …………………………………
   総務大臣         片山虎之助君
   国務大臣         細田 博之君
   内閣府副大臣       米田 建三君
   総務副大臣        若松 謙維君
   内閣府大臣政務官     大村 秀章君
   総務大臣政務官      岩永 峯一君
   政府参考人
   (内閣官房内閣審議官)  藤井 昭夫君
   政府参考人
   (総務省行政管理局長)  松田 隆利君
   衆議院調査局個人情報の保
   護に関する特別調査室長  小菅 修一君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月十四日
 辞任         補欠選任
  金子 恭之君     松島みどり君
  竹下  亘君     渡辺 博道君
  橘 康太郎君     馳   浩君
 吉田六左エ門君     水野 賢一君
同日
 辞任         補欠選任
  馳   浩君     橘 康太郎君
  松島みどり君     金子 恭之君
  水野 賢一君    吉田六左エ門君
  渡辺 博道君     竹下  亘君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 個人情報の保護に関する法律案(内閣提出第七一号)
 行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律案(内閣提出第七二号)
 独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律案(内閣提出第七三号)
 情報公開・個人情報保護審査会設置法案(内閣提出第七四号)
 行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出第七五号)
 個人情報の保護に関する法律案(枝野幸男君外八名提出、衆法第一〇号)
 行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律案(枝野幸男君外八名提出、衆法第一一号)
 独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律案(枝野幸男君外八名提出、衆法第一二号)
 情報公開・個人情報保護審査会設置法案(枝野幸男君外八名提出、衆法第一三号)


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     ――――◇―――――
村井委員長 これより会議を開きます。
 開会に先立ちまして、民主党・無所属クラブ、自由党、日本共産党及び社会民主党・市民連合所属委員及び衆法の提出者に出席を要請いたしましたが、出席が得られておりません。
 再度理事をして御出席を要請いたします。しばらくお待ちください。
 速記をとめてください。
    〔速記中止〕
村井委員長 速記を起こしてください。
 御出席を要請いたしましたが、民主党・無所属クラブ、自由党、日本共産党及び社会民主党・市民連合所属委員の御出席が得られません。また、衆法の提出者の御出席もありません。やむを得ず議事を進めさせていただきます。
 内閣提出、個人情報の保護に関する法律案、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律案、独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律案、情報公開・個人情報保護審査会設置法案、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案及び枝野幸男君外八名提出、個人情報の保護に関する法律案、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律案、独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律案、情報公開・個人情報保護審査会設置法案の各案を一括して議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 各案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官藤井昭夫君、警察庁刑事局長栗本英雄君、防衛庁長官官房長山中昭栄君、総務省行政管理局長松田隆利君、総務省総合通信基盤局長有冨寛一郎君及び法務省刑事局長樋渡利秋君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
村井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
村井委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松下忠洋君。
松下委員 自由民主党の松下忠洋でございます。
 個人情報の保護に関する法律案について御質問申し上げることにいたします。
 この個人情報の保護に関する法律案並びに行政機関法制の関係について、特別委員会を設置して審議することになりました。この委員会は、与野党一致して決めたことでございます。そして、これまで長い間の前国会での議論も踏まえて、論点も相当といいますか、しっかりと明確になってきたというふうに認識しております。
 仕切り直しの審議でございますけれども、この特別委員会には、野党の案も、政府案に対して出されているわけでございまして、あわせて、並行して審議していくということになっておりまして、大変重要な特別委員会であると理解をしております。
 しかるに、この第一回の、最初の委員会において、野党の皆さん方の出席を求めましたけれども、出席いただけませんでした。大変残念でございます。公報等であらかじめ、十六委員室で委員会を開催するというふうに通知しているわけでございますけれども、納得いただけなくて、第一委員室でなければできないというようなお話でございました。大変残念でございまして、委員長、この点についてはしっかりと委員会の運営をお願いしたい、そのようにお願いを申し上げておきます。
 まず最初に、細田大臣にお伺いしたいと思います。
 近ごろ、IT化の進展に伴いまして、民間事業者からの個人情報の漏えい事件や、いわゆる名簿業者による個人情報の売買など、個人情報の取り扱いが社会問題化するような事例が多発しております。
 私どもが調べた例でも、新聞報道から拾っただけでも相当の数に上がっておりまして、平成十四年の五月には、大手のエステサロン、そこのホームページで資料請求者等の個人情報が閲覧可能となったということがございます。約五万件でございまして、女性の名前や住所、電話、年齢、そして女性の身体の特徴等がきちっと書いてあるものが、それが漏えいしてしまっているということであります。しかも、どこの部分をどういうふうに改善したいということの内容まで、それが漏れているということがございました。このように、個人情報の取り扱いが社会問題化しているというのは広く理解をしているところであります。
 自民党は、個人情報保護法制は、IT時代の基盤法制として、健全なIT社会の発展に欠かせないものである、早期に整備する必要があると考えております。しかしながら、IT社会において国民生活を守るための法律の整備がおくれたことは極めて残念でございます。この個人情報保護法はIT化社会への対応であるということをしっかりと認識したいと思っております。
 改めて、この法制整備の意義、必要性を細田大臣にお伺いするものであります。簡潔明瞭にお願いいたします。
細田国務大臣 松下議員お尋ねのように、我が国といたしましては、世界最高水準のIT国家を目指しているわけでございます。既に、平成十三年以降、IT戦略本部、内閣総理大臣を本部長といたしまして、我が国のIT化の促進のためにさまざまな、e―Japan重点計画も作成してきているわけでございます。
 党の方におかれまして、松下議員が、このe―Japan重点計画の実施につきまして、政府と政府、あるいは政府と行政機関、政府と民間、民間同士、さまざまな意味で情報化を図り、IT化を図って、国家の効率その他、情報化の改善に御貢献いただいていることはよく承知しておりますので、釈迦に説法ではございますが、そういったIT国家を目指してさまざまな情報化を進めておるわけでございますが、このことにはマイナス面も発生する面があるわけでございまして、ただいま御指摘のように、企業等からの個人情報の大量漏えい、個人情報の売買事件が社会問題化しておるわけでございます。
 最近におきましても、先ほどおっしゃいましたけれども、医療機関ですとか、信販会社ですとか、あるいは予備校、不動産会社、金融関係、住宅メーカー、エステその他、枚挙にいとまがないほど、何千人分あるいは多いもので一万人以上の情報が流出する。しかも、始末に悪いことは、それらの情報が一たんホームページ等に載りますと、一瞬にしてそれをコピーすることも可能になってしまうというような非常に重大な事態も生じているわけでございまして、このようなプライバシー等の侵害が発生する、あるいは情報社会における弊害が発生する中で、国民生活を守るための必要な基盤法制というものを整備する必要があるということで本法案を提出しておるわけでございます。
 国際的に見ましても、OECD加盟三十カ国中二十五カ国は民間部門を包括的に対象とする個人情報保護法を有しておりまして、包括法を有していないのは我が国を含めて五カ国のみという状況でございますので、以上のような事態を勘案していただきまして、ぜひとも法案の早期成立をお願いしたいと思います。
松下委員 与党といたしましては、法案の早期成立を期するために、報道の自由とプライバシーの保護の両立を図るという旧法案の趣旨を一層明確にするため、与党三党修正要綱を取りまとめて政府に提示した経緯があります。
 今回政府から提出されました法案における修正のポイント、その趣旨について、細田大臣からの答弁を求めます。
細田国務大臣 旧法案を提出いたしまして、委員会においてさまざまな御審議をいただいたわけでございますが、それとともに、メディアの方からも大変多くの御意見をいただきました、あるいは国民の各層からも御意見をいただいたわけでございます。
 本来、旧法案もメディア規制を内容とするものではございませんし、またその意図も全くなかったわけでございますけれども、こういったメディアについて法の対象になるのではないか、不安、懸念が払拭されないという御指摘がございまして、そして審議の結果、昨年の臨時国会会期末に廃案とされたところでございます。
 したがいまして、新法案の立案におきましては、昨年十二月に与党から提示されました修正要綱も踏まえまして、表現の自由と個人情報の保護の両立を図るとの旧法案の趣旨を一層明確にすることを基本として修正したものであります。
 やや具体的に申しますと、第一に、旧法案で万人の努力義務として定めておりました五つの基本原則を削除いたしました。
 第二に、報道機関等に情報を提供する個人情報取扱事業者につきましても、表現の自由を妨げることがないように、提出者の主務大臣が関与しないことを明確化しております。
 第三に、報道の範囲が恣意的に判断されることがないよう、報道の定義を条文に明記しております。五十条第二項でございますが。
 第四に、フリージャーナリスト等の不安、懸念に配慮し、義務規定の適用除外となる報道機関に個人も含まれることを明確化しております。
 第五に、著述を業として行う者についても、大量の個人情報を取り扱う可能性があるとの認識に立って、これを義務規定の適用除外とすることを明記しております。
 これらの修正によりまして、旧法案に関連いたしましてさまざまな不安、懸念が提起されたわけでございますが、これらの不安、懸念は解消されたものと考えております。
松下委員 IT化は世界的に共通する状況でございます。諸外国でも個人情報保護法制の整備が進んでいると聞いております。先進諸国における個人情報保護法制の整備状況について簡潔に説明をしていただきたいと思います。米田副大臣、お願いします。
米田副大臣 お答えをいたします。
 OECDでは、プライバシー保護のための各国の法制度は国際的な情報の流通に支障を及ぼすことを防止するという、こういう考え方のもとに、一九八〇年に、プライバシー保護と個人データの国際流通についてのOECD理事会勧告を採択いたしました。その結果、いわゆるOECD八原則を盛り込んだガイドラインを加盟各国に示しているわけであります。
 各国の法整備状況でございますが、OECD加盟国三十カ国中二十九カ国で法整備がなされております。このうち、公的部門と民間部門を包括的に対象とする法制を有しているのは二十五カ国でありまして、公的部門のみの法律を整備しているのは、日本、アメリカを含め、四カ国となっております。
松下委員 先進諸国の状況がよく理解できたわけですけれども、我が国においてのこの法整備の必要性、これは本当に喫緊の課題だということが認識できるわけであります。
 次に、報道の自由とプライバシー保護の両立についての法案の考え方についてお尋ねいたします。
 総理は、先日の本会議におきまして、表現の自由や報道の自由について憲法上も保障されており、個人情報保護法案についてもその自立性が確保されるべきものということを明快に答弁されておられます。
 この法案における報道の自由との調整の考え方について、細田大臣からの答弁を求めるものであります。
細田国務大臣 小泉総理大臣からも本会議において御答弁申し上げたとおり、報道の自由は、憲法二十一条の表現の自由の一つとして憲法上も保障されていることは最高裁判例でも明確にされているわけでございます。個人情報保護法案におきましても、その自立性が確保されるべきものである、報道の自由、自立性が確保されるべきものであると認識しております。
 こうした観点を踏まえまして、政府案においては、報道分野に対しまして、主務大臣による勧告、命令などの関与を伴う法案第四章の「個人情報取扱事業者の義務」について適用を除外しております。
 一方、報道分野におきましても、人格尊重の理念のもとに個人情報を慎重に取り扱うべきことには変わりはなく、政府案では、努力規定を設けまして、個人情報の適正な取り扱いを確保するための必要な措置をみずから講じていただくように五十条三項において規定をしておるわけでございますが、これはあくまでも、みずからの措置として講じていただきたいと書いておるところでございます。
松下委員 今大臣から、報道の自由とプライバシー保護の両立についての考え方についてお話ございましたけれども、政府案については、報道、表現の自由を侵害しないように細心の注意を図っているというふうに認識をしております。
 一方、野党からも法案が提案されましたけれども、野党四党から提出されました法案につきましては、この点についてどのようになっているのか。表現の自由との関係で幾つか問題があると考えておりますので、政府の方にお尋ねしたいと思います。
 まず、野党案におきましては、自己情報コントロール権と称しまして、目的規定に規定するとしておりますけれども、この自己情報コントロール権につきましては、総理は、先日の本会議におきまして、内容、範囲及び法的性格に関しさまざまな見解があり、明確な概念として定着していないと答弁されておられます。
 諸外国の法制で自己情報コントロール権を明記している例があるのかないのか、把握している範囲で、簡潔に答弁をお願いいたします。
藤井政府参考人 お答えいたします。
 諸外国の法制における自己情報コントロール権の条文の有無についてでございますが、立案当局といたしましては、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス等主要諸国について調査しているところでございますが、条文上、自己情報コントロール権という文言を規定している例はございません。
松下委員 自己情報コントロール権というのがどういうことなのかということも含めて、国民に少しわかりやすいように御説明いただきたいと思います。簡潔に、わかりやすくお願いいたします。
藤井政府参考人 自己情報コントロール権という考え方自体、まだ学説上で今いろいろ検討されているところでございますので、簡単に御説明ということはなかなか難しいのでございますが、私が知っている限りにおいては、一つは、ドイツにおきまして、自己を表現するような権利、そういったものは人格権で認められるべきだというようなことから、自己決定権という考え方が生まれております。それからまた、アメリカの方でも、いろいろの判例、これまでのプライバシー侵害についての判例を分析された学者の方々が、従来のような消極的に公権力からの自由、そういった観点からの救済だけでは足りないので、もっと積極的な権利としてプライバシーの権利を認めるという物の考え方が出てきているということでございます。
 そういったいろいろな考え方が日本でも紹介されて、我が国の学者の方もいろいろな考え方をお示しになっておられるのですが、なかなか共通項は難しいのでございますけれども、平たく言えば、自分の情報については自分が一定程度関与できるというようなこと、それも、根っこといたしましてはやはり憲法上の、十三条に見られますような人格権、そういったものに由来する重要な権利というようなことかと思います。ただ、本当のところ、学説ではいろいろな考え方がありますし、消極説もあるという状況でございますので、そういうところでございます。
松下委員 私たち自民党は、このような学説上も不明確な概念を安易に導入して法案の文章として明記することは、報道、表現の自由を侵害するおそれがあると考えております。
 そこで、細田大臣にお尋ねいたしますけれども、自己情報コントロール権を法案に明記することの問題点について御説明いただきたい。お願いします。
細田国務大臣 自己情報という場合には、自分のさまざまな、日常の生活とか過去のいろいろな経緯、出生から、その後結婚したり住所を定めたり、財産を取得したり病気にかかったり、ありとあらゆる自己情報というのがありまして、それについては他人に知られたくないという要素もたくさんございます。一体、自分が自己情報というものについてどういうふうな考え方を持つのかということについては非常に複雑な態様があり得ると思います。
 その中で、およそ自己に関連する情報であればすべて開示、訂正、利用停止、第三者提供に当たりましてアプリオリに権利として認めるということになると、例えば報道が行われる場合、それが非常に自分の個人の情報にかかわる場合に、それはすべて権利だから差しとめるとか何らかの制約を加えるということになりますと、やはり報道の自由との調整原理というものにも触れるのではないかなという気もいたします。
 他方、野党案のように、「目的」の中に書き込んでいれば足りるというものでもなく、私ども政府としては、個人の権利利益を保護する観点から、事業者による個人情報の取り扱いに対する本人の関与を重要な仕組みと位置づけて、開示、訂正、利用停止、第三者提供に当たっての幅広い本人同意などについて明確に規定しておりまして、それで足りるのではないか、こういうふうに考えておる次第でございます。
松下委員 同じように考えているものでございます。
 もう一つ、野党の方の提案の中に納得できないところがございますので、きょうは野党提案者がお見えになっていませんけれども、問題の指摘だけはここでしておきたいと考えております。
 それは、義務規定が適用除外となる表現活動の範囲についてでございまして、この表現活動の範囲について、報道、著述に加えて、政令で定めるものを除くと野党案ではしております。そもそも政府案におきましては、適用除外が設けられた趣旨は、憲法上の自由権に関する活動に行政機関が介入しないということを保障するためと理解をしております。このような適用除外の趣旨から考えて、野党案のように、憲法上の自由権である表現の自由にかかわる適用除外の範囲を政令に委任して、行政の裁量で決められるような仕組みにするというのは、これは問題ではないのか、大いに問題である、本当にそれでいいんですかというふうに考えるわけであります。このことを野党案の提出者の方に問題を指摘して、後でまたお話を伺いたいと考えております。
 次に、行政機関法制関係についてお尋ねを申し上げます。
 片山大臣にお願いいたしますけれども、行政機関につきましては、現行法である行政機関の保有する電子計算機処理に係る個人情報の保護に関する法律によって規律されております。現行法は昭和六十三年に制定されましたが、その当時の大型コンピューターによる処理を前提として法律は制定されたものであります。しかし、今日では、ほぼすべての職員に一人一台のパソコンが配備されて、行政部門においても情報化の進展が著しいわけであります。これに伴い、行政機関における個人情報保護を一層推進する必要があると考えております。
 政府は、電子政府の推進を重点政策の一つとして、e―Japan重点計画に基づき計画的に推進しているところと聞いておりますし、自由民主党も、数々の提言を行い、これを推進、後押ししているところであります。既に各省庁におきましては、LAN、一人一台パソコンの整備のほか、省庁間、さらには地方公共団体とのネットワークも整備されるなど、情報通信基盤はかなり整備されております。こうした基盤を活用して、インターネットによる行政手続のオンライン化、行政情報の提供などに取り組んでいるわけであります。
 この電子政府について、国民の利便性、行政サービスの向上、ITを活用した業務改革の観点から積極的に取り組んでいくことが重要と考えておりますし、行政改革等についても重要な役割を果たすと考えております。
 そこで、電子政府の構築状況に関しまして、現状と今後の展開について総務大臣に答弁をお願いいたします。
片山国務大臣 今松下委員から御指摘ございましたが、電子政府の実現は内閣にとって最大の課題の一つでございまして、御承知のように、二〇〇五年までにというと、もうあと二年しかありませんが、日本を世界で一番進んだIT国家にすると。それは幾つかの大きなテーマを決めておりますが、その中でその最大のものが電子政府、電子自治体の実現ではないか、こういうふうに私は思っております。
 e―Japan戦略あるいはアクションプラン、プログラム、いろいろなプログラムでその推進を図っておりまして、御承知のように、まず政府に対する行政手続、これをオンライン化しようと。おかげさまで去年の臨時国会でそれを通していただきまして、今着々と準備しておりまして、来年度中には、政府についてはほぼ一〇〇%、地方自治体については、ネック解消を約一〇〇%やる、こういうことでございます。
 国民の政府や地方自治体に対する手続が二万一千件あるんですね。それから行政機関相互、国の機関相互、国と地方の行政機関相互は三万二千あるんですよ。これをすべてやりたい。まず国民の皆さんの申請のものからやろう、こういうことでございまして、今もパスポートを初めとしていろいろな手続を進めておりますので、これは、一〇〇%は無理にしても、ほぼ一〇〇%近く進むのではなかろうか。
 それから、今電子入札というのをやっているんです。これは十三年の秋から、例の国交省が直轄事業等を中心に電子入札を始めました。それから、公共事業以外については、去年の十月から私どもの方の総務省が電子入札を始めました。十五年度中には全部の省庁が足並みをそろえる、こういうことになると思いますし、電子申告、電子納税も、国も地方も来年の二月ないしは三月からそれを始める、こういうことになっておりますし、あるいは電子投票も、これは地方自治体だけでございますが、一部始まっているということで、我々は、進行管理をしながら大々的に進めていって、国民の皆さんの利便の向上に資してまいりたい、こう思っておりますし、自民党を初め与党の各党の関係の委員会等には大変な御支援や御指導をいただいておりますことを、あわせてこの機会にお礼を申し上げます。
松下委員 平成十七年、二〇〇五年には世界最先端の超一流国家になるという目標で努力をしているわけであります。
 この政府案は、昭和六十三年に制定されました行政機関の保有する電子計算機処理に係る個人情報の保護に関する法律の全部を改正するものでございます。
 改めて大臣にお伺いしますけれども、この行政機関法制の整備の意義について簡潔に御答弁をお願いします。
片山国務大臣 あのころはITの始まりのころですから、今とは全然違いますね。だから、これを全面的に変えようと。
 現行法は電子関係だけですよ。電子情報だけでございますが、今回は紙を対象にする。それから、行政機関ももうほぼ全部対象にする。それから、本人関与も、現行法は開示請求と、訂正も申し出だけなんですね。今度は全部、開示も訂正も利用停止も全部権利として認める。あるいは第三者機関の関与を認める。御承知のように、情報公開審査会を個人情報保護まで広げる、こういうこと等でございまして、そういう意味ではもう大変な拡充でございまして、そういう意味での今回の法律の意義は大変大きい、こういうふうに考えております。
松下委員 私どもも先日、自由民主党として社会保険庁や特許庁等に実地に入りまして、どのようなシステムで、どのようなハードの仕組みで、どのようなソフトを使ってやっているかということを実地で勉強してまいりました。こういった中にどういう仕組みのものが入っているかという、そのシステムそのものにもこれから改良していくべき問題がたくさんございますので、これは改めてまた議論をしていきたいと考えております。
 今大臣から意義についてお話ございましたけれども、この個人情報の保護に関する法律案、この基本法制と同様に、昨年の法案は残念ながら廃案となりまして、今回新たに行政機関の職員等に対する処罰規定が加わってまいりました。
 行政機関の職員に対する罰則は、国家公務員法の守秘義務に対する罰則や懲戒処分、それから刑法上の、公務員に着目した職権乱用罪などが既にあります。今回行政機関の職員等に対する処罰規定を新設した理由は何か、総務大臣に簡潔にお答えいただきたいと思います。
片山国務大臣 今松下委員言われるように、我々は、国家公務員法の懲戒処分等の運用あるいは守秘義務や職権乱用や公文書毀棄罪がありますから、それを総合的に組み合わせてやれば十分ではないかと考えておりましたが、国会等で大変な御議論がある、また内外にいろいろな要請がある、こういうことで、国民の個人情報保護に対する信頼を拡充させるためには、この際、処罰規定を新たにこの法律に入れるということも必要ではなかろうかと。与党の方もそういうお考えでございますし、我々も同じ考えに立って、御承知のような処罰規定を置いた次第でございます。
松下委員 最後になりますけれども、これは要望ですけれども、制度は人によって維持されるものでありますし、罰則もさることながら、全行政機関の職員に制度の趣旨を徹底させる、必要な行政上の研修等をしっかりと行っていくということを要請しておきます。
 最後に、この個人情報保護法制は、IT時代において国民生活の保護のために必要欠くべからざる基盤法制であります。本法案を一日も早く成立させることが必要であるということを再度申し上げて、私の質問を終わることにいたします。
 ありがとうございました。
村井委員長 続いて、桝屋敬悟君。
桝屋委員 公明党の桝屋敬悟でございます。
 今、同僚の松下委員からもお話がありましたが、いよいよきょうから、この国会で六回目の国会となります個人情報保護法、関連法案の審議が始まるということで、私自身も感慨無量であるわけでありますが、野党の皆さんが御出席にならないということは本当に残念でなりません。
 委員長、私は、きょうは、まずは野党の皆さんに、ほとんど政府案と同じ骨格で対案をおまとめいただいた、私にはそう見えるわけでありますが、本当にその努力を高く評価し、敬意を表したいと思っておったんですが、敬意を表することができません。
 どうぞ委員長、委員長の委員会運営に瑕疵があるとは思いませんけれども、ぜひ御努力をいただいて、与野党、政府案そして衆法、野党案も含めて、並べて議論をするということが国民の皆さんに一番わかりやすい形だろう。論点も絞られてきたという話も先ほどありました。ぜひそうしたいという、私のきょうの質問の構成はそうなっているわけでありまして、委員長、質問ができないんです、私。答弁拒否をされたような、本当に残念な、悲しい思いをしております。
 本当に国民の皆さんに、最後の詰めでありますから、ここはきちっと理解をしていただかなきゃならぬ。野党も法案をお出しになっているわけでありますから、野党だけ質問すればいいということではないわけでありまして、そのことをぜひ委員長に御努力をお願いし、野党の皆さんにも、私個人としても、ぜひ参加して審議をしてもらいたいという願いを込めて議論を進めたいと思います。
 したがいまして、本当は政府からの答弁と野党提案者の答弁と並べて私の頭を整理したいと思っていたわけでありますが、それがかないません。野党の皆さんへの質問はぜひいま一度機会を持ちたいと思いますが、時間があるかどうか心配であります。
 細田大臣、私、感慨無量と申し上げましたが、先ほど自民党の先生からも経緯についてお話がありましたが、本当に、思い返せば、十一年のあの住基法改正、きょう片山大臣いらっしゃいますが、住基ネットから始まりまして、個人情報保護の万全の措置をとろうということを国会の決議で決めて、そして個人情報保護法、基本法をつくろう、こういう流れになり、片山大臣のところでは、IT推進ということで、先ほどお話がありましたが、電子署名法とかIT基本法とかさまざまに我が党も一生懸命汗をかきながら来て、そして行政手続オンライン化法まで来たという、本当に隔世の感があります。
 細田大臣、隔世の感というのは、恐らく大臣もずっとごらんになってきたと思いますが、実は最初は、きょう名前は申し上げませんが、余り政府の中で、私ども公明党も、個人情報保護をやろう、こういったときに、渋々といいますか、嫌々といいますか、決して本気ではなかったように私は感じているんですね。その中を、二十一世紀のIT社会のためにぜひやろうということで叫んで、一気に変わったのが、あの沖縄のサミットです。私は本当に驚きましたけれども、なかなか与党三党で議論していても法律が前へ進まない、大丈夫かなと思ったんですが、あの沖縄のサミット以降、急遽この個人情報保護が、まさにIT社会のベースだということで、にわかに舞台に躍り出て、見事な法律ができた。いい法律ができたんですね。
 よ過ぎて、あらぬ疑いといいますか、我々は決して、これでメディアを規制するなんということは夢にも考えていなかったわけでありますが、メディアの皆さんから二法案、一機関なんというような言葉を言われて、随分国民の皆さんに誤解を与えたなというふうに思っております。ただ、それぐらいこの法律というのはやはり時間をかけて議論しなきゃならない、そんな大きな法律だなというふうに感じているわけであります。
 そんな感慨を持ちながら、きょうは本当に双方いた方が一番いいわけでありますが、一つは、先ほどの自己情報コントロール権、大臣のお話を聞いて大体わかりましたが、実は大臣、私は、十一年以降ずっとこの法律作成にかかわってきて、自己情報コントロール権というのは何とか法律の中で具体化できないかなというふうにずっと悩んできた一人であります。
 できれば、自己情報コントロール権というものを、まさにこの法律でもって、法的な野心といいましょうか、確かに、大臣もおっしゃったように、まだその定義も概念も範囲も定かでないというのは確かであります。けれども、考えてみれば、先ほど御説明があったように、欧米等の自己情報コントロール権の議論というのはもう何十年とやってきているわけでありますから、そろそろ私は、我が国の中で、まさにこの自己情報コントロール権という概念がこの法律で固まっていくという、その一助にしたいな、その一歩にならないかな、こう思ってきたわけであります。しかし、実定法として具体的に明文化するということになると、先ほど大臣がおっしゃったようなことが確かに問題としてあるんだろうというふうに思いますが。
 あえて大臣にお尋ねしたいのですが、私は、この法律の中で自己情報コントロール権が具体化されているというふうに国民の皆さんにぜひ申し上げたいというふうに思っておりますが、大臣の率直な御見解を伺いたいと思います。
村井委員長 桝屋君の冒頭の御発言、まことにごもっともでございますので、私も、政府案それから衆法として提出されました対案、ともに審議されるように、委員長として精いっぱい努力をさせていただきたいと存じます。
 細田国務大臣。
細田国務大臣 桝屋議員の御見解に心から敬意を表するものであります。
 いわゆるプライバシーの権利というのがありました。私どもが大学で法律を学んでいるころは、伊藤正巳教授が、プライバシーの権利というのがある、これを何とか、判例上も定着させ、学説上も裏打ちをして、一つの権利として定着しようということを非常に御熱心に言われて説かれておったわけでございますけれども、いわゆる「宴のあと」事件東京地裁判決が昭和三十九年に出たことをきっかけにいたしまして、幅広く、権利としてのプライバシーの権利、これも、よく考えてみますと、民法上の不法行為の要件を考えるときに、単なる故意過失、具体的な財産上の損害等あるいは名誉毀損的なもの以外にプライバシーの権利があるということで、初めてそのような適切な具体例が出て、プライバシーの権利というものが認められ、今や押しも押されもしない権利として確立しているわけですね。
 したがいまして、最近、個人の情報について、さまざまな要素で情報漏れが起きたり、個人としては非常に困るような情報がどう取り扱われるんだということについては、非常に関心が深いことは事実でございます。ただ、そのことを、個人のいわゆるコントロール権ということで定義を今できるかといえば、もうちょっとさらに実例を積み重ねていって、学説等においても徐々に確立していくような筋合いのものではないかなと思うのでございます。
 先ほど桝屋委員がおっしゃいましたように、この法律におきまして、それぞれ規定がございまして、本法案の「目的」におきまして、明記はしておりませんが、個人の権利利益を保護する観点から、事業者による個人情報の取り扱いに対する本人の関与を重要な仕組みと位置づけて、開示、訂正、利用停止、第三者提供に当たっての本人同意について明確にしたということは、おっしゃいましたような、それを何権というかは別といたしましても、一つの人格尊重の権利を組み込んだものだと考えておりまして、それを御理解いただきまして、この法律に基づきまして、今後さらに、こういった概念を精緻に組み上げていくことが必要ではないか。
 外国の例を見ましても、例えば労働組合における問題とかいろいろなことが入っておるようでございますし、自己情報コントロール権という中身を見ましても、非常に学説等も分かれているようでございますので、私は、この権利の名称を表に出して議論することは余り適切でないという観点で申し上げたいと思います。
桝屋委員 野党案も、自己情報コントロール権という明文の表現はないわけでありますが、本人関与というこの仕組みを明文化しているわけであります。私は、この法律がスタートだろうというふうに、今大臣がおっしゃったように、これから学説の議論が進むことを期待したいと思っております。
 それからもう一つ、不幸なことは、先ほど大臣もおっしゃったように、せっかく今回、我々与党は、本当に今までの国会での苦労といいますか、誤解をされた、メディアを決して規制するものではないということで随分苦しんできて、結果的に基本原則を外したという、思い切った、私自身にとっては大変思い切った作業を経て今日に、この国会に至っているわけです。そういう意味では、せっかくそこまでやってきて、野党案のように、本人関与ということを、自己情報コントロール権ということを入れていただくと、やはりメディアの方は、また改めて、それこそ改めて、取材活動への不当な関与、干渉に道を開きかねないという懸念が恐らく生まれてくるでしょうし、既にそういう記事もありますので、その辺は、今までの経緯も十分踏まえながら、よく国民に理解をしていただきながら法制化を図るということが大事だろうということを私は野党の皆さんとも議論したいところなんですが、残念であります。
 それからもう一つは、センシティブ情報なんですが、これも野党案では、第三条の「基本理念」の中に慎重な取り扱いを改めて明記し、さらに第四章の中で、本人の同意なしでの取り扱いを禁止するという規定を置いておられるわけであります。
 実は、ここも私は悩んできました。当初、アメリカ型、ヨーロッパ型、随分研究をしながら、EU指令等を見ますと、その中には特別な慎重に取り扱うべき情報として整理してあるわけでありますから、そういう参考資料等も見ながら、ここはやはりセンシティブな情報というその概念はあるんじゃないかということもずっと考えてきた一人であります。
 ただ、いろいろ考えましたけれども、すべての情報というのは、結局、すべてセンシティブな情報になり得るという可能性を持っているわけでありまして、野党案が幾つかのジャンルを書かれていますが、こういうように限定列挙することの困難性というものを実際に感じているわけであります。
 これは両者にぜひ伺いたいところでありますが、まず大臣からお伺いしたいと思います。
細田国務大臣 個人にとりまして、センシティブな情報というのはさまざまな態様もあると思います。先祖からあるかもしれません。人間が、生まれて、育って、どういう教育を受けて、どういう経歴を経て、どういう財産を持って、どういう病気をして、親族がどういう状態になって、今日その人があるのか。あるいは、その後の子供たちや家族や知り合いや、そういったことも含めて、個人にとっては、自分の生涯であり、また由来であり、しかも、その中には人に知られたくない情報は幾らでもあるわけでございます。それを特別に、例えば思想、信条とか、医療だ福祉だ犯罪経歴だというふうに列挙した瞬間に、まだまだあるぞということになりまして、同じように、個人にとりましてはセンシティブな情報もたくさんありますね。
 したがって、野党案も、見ますと、最後に、いろいろ、「法令上の義務の履行のために必要な場合その他これに準ずる正当な理由がある場合」というものについては云々というような規定を置いたりしまして、結局、除外をしようじゃないか。「特に慎重な取扱いを要する個人情報」として列挙はしていますが、完全な分類が非常に難しいわけです。
 したがいまして、どちらかというと、こういう問題は結局使われ方次第でございますので、その使われ方等においてどのように対処するかという、考え方、手続等をはっきりと定める政府案の個人情報保護法案のあり方が、最も公平かつ公正、客観的で、かついろいろな場合に対応できる案ではないかな、今のところ、一番、最大限出し得る知恵はこの程度ではないかなと思うわけでございますが、桝屋議員の思いは我々も同じでございまして、できるだけ今後の例の積み重ねをしていく必要がある。これも、IT時代が始まって、さまざまな、大量の情報漏れがあったり、いろいろな問題が発生する事態が出てきておるところでございますので、今後の問題かと思っております。
桝屋委員 大臣とほぼ同じ気持ちでおります。何とかできないかなと随分考えてまいりましたけれども、結局、野党案、恐らくそんな思いで野党の皆さんも取り組みをされて、結果的に、文章を見ますと、公表を欲しないとされるものとか、差別の原因となるおそれのあるとか、どうしてもそういう表現が冠についてしまう。そこは極めて主観的、相対的な表現でありまして、ここはやはり法律上の混乱を招くのではないかな。大臣おっしゃるように、ここは積み重ねをしていくことが肝要であろうというふうに私も考えております。
 それからもう一点、第三者機関の問題でありますが、これも実は、法案をつくるときには、当時我々公明党だったですか、党名は違ったかもしれませんが、第三者機関は、特にチェック機関ということで随分議論いたしました。ここは、苦情処理あるいは救済の対応をするというようなことで、チェック機関がどうしても必要ではないかという議論を随分してまいりました。
 ただ、大きな行政改革の流れの中で、いかほどの組織が必要なのかということを考えますときに、相当の困難さがあるなということも考えましたし、今ある既存の体制の中で、主務大臣の関与、あるいは民間業界の自主的な取り組み、各相談機関の活用など、総合的、複層的なチェック体制をつくり上げるということで何とか形をつくり上げたというふうに私は思っておるんですが、政府、大臣の答弁をお聞きしたいと思います。
細田国務大臣 政府案におきましては、個人情報取扱事業者に対する義務規定の実効性の確保、いわゆるチェック体制について、次のようにしておるわけでございます。
 まず、苦情の適切かつ迅速な処理に努めることを求めるということ。それから、第四章第二節で、民間団体による個人情報の保護の推進に関する規定を置くということ。それから、当事者間での自主的な義務履行確保のための仕組みとして、本人の関与が可能となるよう、開示、訂正、利用停止等の規定を設けること。そして、このような自主的な対応で解決が困難な場合には、国や地方公共団体にも必要な措置を講ずるよう努めることを求めることによりまして、国民生活センターとか地方公共団体の消費者相談窓口のネットワークも活用しながら、各省庁及び地方公共団体を挙げて、複層的な、多重的な苦情処理を行うということにしておるわけでございます。
 ここで、おっしゃいましたような独立した委員会をつくるということも、それは一つの考えではありますけれども、今IT社会が始まりまして、違反事例が大分出てきておるわけでございますが、まず第一に必要なことは、典型的な、いろいろな産業、業態もあると思いますので、そこで、先ほど出ましたエステの、来た人の情報がふとホームページを見たらみんな載っていて、氏名や何かが出ていたというのは、恐らく単なる過失なんですね。わざわざ出していこうと思ったんじゃないと思うんですよ。そういうふうに、非常にまだ幼稚な段階にあるものもたくさんある。したがって、関係者がいろいろな形で個人の情報を守るために何をしなきゃならないかということを討議もして体制も組み上げていくと、大きなものはだんだんなくなると思うんです。
 そこの中で、今度は、故意のようなもの、あるいは内部にそういう情報を漏らす者が出たり、いろいろなケースが生ずる、悪いものが生ずる可能性もある。そこで、さらにこの法律に基づいて対応を検討しなきゃいけないわけでございますが、今、最初の段階でこれありきだと、まず、主務大臣に任せるとかいうことは望ましくないからすべて第三者機関を立ち上げてやるということになると、全国的に支部を設けたり、それから苦情が来たときの処理のために四六時中それにかかわる専門的な要員を設けるなど、行政職員というものが一体どのぐらい必要であるのかもよくわからないような状態に最初からなる。そういうことを考えますと、私は、この法律に基づく体系が、日本の行政の対応、あるいはこれまでいろいろな問題が生じてきたことに対する対応としては、最も適切なのではないかなと思います。
 日本の行政庁がそれに過剰な介入をするのではないか、独立行政機関を設ければそれはそういうことにはならないのじゃないかとか、いろいろな議論がありますけれども、その逆の議論もあると思います。まずは、いろいろな対応に応じて経験を積むことと、そして、必要に応じて対策をきちっととれる体制をとることが今の段階では最も必要なことでありまして、そのためには、この法律で必要で十分な措置がとれるというふうに考えておるわけでございます。
桝屋委員 それから、時間もなくなりましたので、もう一点だけ。
 適用除外なんですけれども、適用除外の問題も随分議論をしてまいりましたが、きょうは一点だけ。野党の皆さんに本当にここもぜひ伺ってみたいところでありますが、野党案、適用除外を受ける者の自主的努力義務まで削除されているわけであります。ここは本当にどうかなというふうに私自身は思っております。
 今回の法律によりまして、我が国に初めて、個人情報は守らなければならない、こういう社会的な価値を醸成するその作業が始まるときに、自主的な努力義務まで、恐らくメディアの皆さん、マスコミの皆さん、それを取っ払うということは、私は、著しく法のバランスを欠くというふうに思いますし、何よりも国民の理解が得られないのではないか。
 もともと、基本原則もそうであったわけでありますけれども、罰則もない、ともかく自主的に努力をしていただく。現に、すべての業界といいますか、特にマスコミの皆さん方は自主的な努力は今日までもされているわけでありますから、そこを取り払うというのは、私は、野党の皆さんの考えがなかなか理解できない、国民の皆さんにどう説明されるのか疑問があるところでありますが、細田大臣のお考えを伺いたいと思います。
細田国務大臣 適用除外の範囲は、個人にも事業者にも重大な影響を及ぼすものでありまして、関心は極めて高いわけでございます。このため、御指摘のとおり、明確であることと必要以上に広範になってはならないことは、非常に重要なことであると考えております。
 政府案では、まず、報道機関、学術研究団体など、だれが適用除外の対象となるかを掲げまして、さらに、報道目的の取り扱い、学術研究目的の取り扱いなど、どのような行為が適用除外の対象になるのかという二段構造になっている。つまり、主体、だれが、そして何をという二段構造となっておるわけでございまして、このように、適用除外の範囲の明確化を図るとともに、必要以上に適用除外の範囲が広範とならないように留意しておるつもりでございます。
 行為だけで適用除外の範囲を画する場合には、例えば一般企業の宣伝、商品開発などにおける個人情報の取り扱いも報道または学術研究として適用除外かどうかという議論が生じてくるなど、さまざまな検討課題があると思っております。
桝屋委員 今大臣の方から、適用除外の考え方、可能な限り明確にする必要がある、こういう御答弁をいただいたわけでありますが、何度も言いますけれども、自主的な努力義務まで削除するということは、私は、著しく法のバランスを欠くということを、きょうはいらっしゃいませんが、野党の皆さんとぜひ議論をしたいというふうに思っている点でございます。
 時間もなくなりました。片山大臣、質問がなくて申しわけありません。でも、顔を見ていると何か言いたくなるものですから、大臣の顔を見ると何か言いたくなるのでありますが、まるで関係ない話を一つ。
 大臣、四月から郵政公社がスタートいたしました。実は、私の地元で公社職員の不祥事が相次いで出ておりまして、本当に悲しい思いをしておりますが、大臣、余り怒っちゃいけぬですよ、叫んではいけない。
 私、何を言いたいかというと、変わりばなというのはいろいろな出来事が起きる。今までのさまざまな問題が今噴き出しているんだろうというふうに思います。大臣におかれては、大きい心で現場の皆さんに、くじけずに、しっかり出すべきうみは出して、そして本当に国民の皆さんに喜んでいただける公社にしていただくように頑張っていただきたいなと、そういう激励をしていただきたいと思っております。
 ただ、もう余り、不祥事はこらえていただきたいと思っておりますが、いかがでしょうか。
片山国務大臣 おかげさまで、郵政公社、四月一日から発足しまして、今、大変張り切っております、真っ向サービスをやるんだと。国民本位、新しい価値を創造するんだというので生田総裁以下張り切っておりますから、ぜひ国民の期待にこたえるような公社になってもらいたいと思います。今までもよく頑張ったんですが、しかし、百点でないところもありますので、この機会にそこはぜひ是正をする、革新をする、こういうふうに思っております。
 私の方は、もう後ろにずっと寄りまして、今後は郵政公社のよきサポーターに徹しよう、こう思っておりますので、公社に自主的に大いに頑張っていただきたい、こう思っております。
桝屋委員 大臣、不祥事がないようにしっかり言ってくださいね。それはそれでお願いしますね。今は国民の信頼を得る極めて大事なときだろうというふうに思っております。
 次回は、ぜひ野党の皆さんとけんけんがくがくの議論をしたいという願いを申し上げて、とりあえず終わりたいと思います。ありがとうございました。
村井委員長 午後一時十五分より委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時二十四分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時二十七分開議
村井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 再開に先立ちまして、民主党・無所属クラブ、自由党、日本共産党及び社会民主党・市民連合所属委員及び衆法の提出者に出席を要請いたしましたが、出席が得られておりません。
 この際、暫時休憩いたします。
    午後一時二十八分休憩
     ――――◇―――――
    〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕


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