衆議院

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第10号 平成15年4月24日(木曜日)

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平成十五年四月二十四日(木曜日)
    午前十一時開議
 出席委員
   委員長 村井  仁君
   理事 逢沢 一郎君 理事 砂田 圭佑君
   理事 蓮実  進君 理事 松下 忠洋君
   理事 伊藤 忠治君 理事 細野 豪志君
   理事 漆原 良夫君 理事 東  祥三君
      荒巻 隆三君    石田 真敏君
      岩永 峯一君    大村 秀章君
      金子 恭之君    上川 陽子君
      亀井 久興君    北村 誠吾君
      左藤  章君    田中 和徳君
      田村 憲久君    滝   実君
      竹下  亘君    橘 康太郎君
      谷田 武彦君    谷本 龍哉君
      星野 行男君    松浪 健太君
      松野 博一君    宮澤 洋一君
      山口 泰明君    吉田 幸弘君
     吉田六左エ門君    石毛えい子君
      大畠 章宏君    鎌田さゆり君
      後藤  斎君    今野  東君
      島   聡君    中村 哲治君
      長妻  昭君    平岡 秀夫君
      山内  功君    横路 孝弘君
      西  博義君    桝屋 敬悟君
      黄川田 徹君    西村 眞悟君
      春名 直章君    吉井 英勝君
      北川れん子君    保坂 展人君
      山谷えり子君
    …………………………………
   議員           山内  功君
   議員           達増 拓也君
   総務大臣         片山虎之助君
   国務大臣
   (防衛庁長官)      石破  茂君
   国務大臣         細田 博之君
   内閣官房副長官      安倍 晋三君
   内閣府副大臣       伊藤 達也君
   内閣府副大臣       根本  匠君
   内閣府副大臣       米田 建三君
   防衛庁副長官       赤城 徳彦君
   外務副大臣        茂木 敏充君
   経済産業副大臣      高市 早苗君
   内閣府大臣政務官     大村 秀章君
   総務大臣政務官      岩永 峯一君
   総務大臣政務官     吉田六左エ門君
   政府参考人
   (内閣官房内閣審議官)  藤井 昭夫君
   政府参考人
   (警察庁長官官房長)   吉村 博人君
   政府参考人
   (警察庁警備局長)    奥村萬壽雄君
   政府参考人
   (防衛庁長官官房長)   山中 昭栄君
   政府参考人
   (防衛庁人事教育局長)  宇田川新一君
   政府参考人
   (金融庁総務企画局長)  藤原  隆君
   政府参考人
   (金融庁総務企画局参事官
   )            西原 政雄君
   政府参考人
   (総務省行政管理局長)  松田 隆利君
   政府参考人
   (総務省自治行政局長)  畠中誠二郎君
   政府参考人
   (総務省政策統括官)   大野 慎一君
   政府参考人
   (経済産業省商務情報政策
   局長)          林  洋和君
   政府参考人
   (経済産業省商務情報政策
   局消費経済部長)     小川 秀樹君
   衆議院調査局個人情報の保
   護に関する特別調査室長  小菅 修一君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月二十四日
 辞任         補欠選任
  大村 秀章君     山口 泰明君
  福井  照君     左藤  章君
  島   聡君     長妻  昭君
  中村 哲治君     鎌田さゆり君
同日
 辞任         補欠選任
  左藤  章君     上川 陽子君
  山口 泰明君     田村 憲久君
  鎌田さゆり君     中村 哲治君
  長妻  昭君     島   聡君
同日
 辞任         補欠選任
  上川 陽子君     荒巻 隆三君
  田村 憲久君     田中 和徳君
同日
 辞任         補欠選任
  荒巻 隆三君     福井  照君
  田中 和徳君     大村 秀章君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 個人情報の保護に関する法律案(内閣提出第七一号)
 行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律案(内閣提出第七二号)
 独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律案(内閣提出第七三号)
 情報公開・個人情報保護審査会設置法案(内閣提出第七四号)
 行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出第七五号)
 個人情報の保護に関する法律案(枝野幸男君外八名提出、衆法第一〇号)
 行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律案(枝野幸男君外八名提出、衆法第一一号)
 独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律案(枝野幸男君外八名提出、衆法第一二号)
 情報公開・個人情報保護審査会設置法案(枝野幸男君外八名提出、衆法第一三号)


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     ――――◇―――――
村井委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、個人情報の保護に関する法律案、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律案、独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律案、情報公開・個人情報保護審査会設置法案、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案及び枝野幸男君外八名提出、個人情報の保護に関する法律案、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律案、独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律案、情報公開・個人情報保護審査会設置法案の各案を一括して議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 各案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官藤井昭夫君、警察庁長官官房長吉村博人君、警察庁警備局長奥村萬壽雄君、防衛庁長官官房長山中昭栄君、防衛庁人事教育局長宇田川新一君、金融庁総務企画局長藤原隆君、金融庁総務企画局参事官西原政雄君、総務省行政管理局長松田隆利君、総務省自治行政局長畠中誠二郎君、総務省政策統括官大野慎一君、経済産業省商務情報政策局長林洋和君及び経済産業省商務情報政策局消費経済部長小川秀樹君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
村井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
村井委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。長妻昭君。
長妻委員 民主党の長妻昭でございます。よろしくお願いいたします。
 早速でございますけれども、放送番組についてお尋ねをしたいのでございます。この個人情報保護法案の閣法の部分でございますけれども、一つの番組に極端に言えば一秒でも報道があれば、それは除外されるということでよろしいんですか。
細田国務大臣 そのとおりでございます。
長妻委員 そうすると、番組ごとに判断をするわけですね。一つの番組がある、そしてもう一つの番組がある。そうすると、一つの番組には報道が、極端な例ですけれども、ちょっと入っていた、これは除外。もう一つの番組には報道が入っていない、その番組自体は除外されない。こういう理解ですか。
藤井政府参考人 お答えします。
 まず、第五十条第一項第一号の報道機関に当たるかどうかという判断が要ります。したがいまして、放送局が機関として報道目的で事業を継続的にやっているかどうかという判断が一つあります。
 その次に、報道を目的とした個人情報の取り扱いかどうかということがございます。この場合の報道目的というのも、個々の行為の報道目的というよりは、一連の行為としての報道目的ということになりますので、ちょっと今の御質問の点の、一秒でも十秒でもというよりは、やはりその番組なり放送内容全体、そういった中で総合的に報道目的を一部でも含んでいるかどうかという判断になろうかと思います。
長妻委員 ワイドショーなんかでは、報道的な話もあるし、そうじゃない話もあるわけでありますけれども、再度確認しますけれども、そうすると、番組の中で報道的なものが少しでもあれば、ワイドショーというか娯楽的な番組でもそれは除外ということでよろしいんでございますか。
藤井政府参考人 お答えします。そういう御認識で結構でございます。
長妻委員 そうすると、逆の聞き方をいたしますと、放送番組の中で著述にも報道にも当たらない番組というのは、例えばどんな番組でございますか。
藤井政府参考人 報道目的の放送ということにつきましては、今申し上げましたとおりでございます。
 ただ、あえて例を挙げよというようなことでございますと、なかなか難しいのでございますが、例えば、放送局、それがみずから通信販売事業なんかをやっている、そういう行為を放送の中で流されているという場合、例えば通信販売のための顧客リスト、こういったものはやはり我が方の法案のいわば個人情報でありますし、ましてやそれがデータベース化されているということであれば、それを、事業としてそういう通信販売事業をやっておられるということであれば個人情報取扱事業者になるということで、この法案の規制対象になり得るというふうに考えております。
長妻委員 ちょっと念のために聞いて恐縮なんですけれども、スポーツの試合の中継あるいはライブの音楽の中継、これはいかがですか。
藤井政府参考人 お答えします。
 スポーツなんかの場合は報道というふうに見られる場合もあろうかと思うんですが、演奏会とかあるいは演劇、お芝居と申しますか、そういうものであれば、むしろ著述の方にかかってくる可能性が強いと思います。
 いずれにしても、普通の場合は報道または著述ということで適用除外になるものと思いますが、ただ、繰り返しで恐縮でございますけれども、その前提としては、そういう番組をつくられるときに、個人に関する情報というものが取り扱われて、それがデータベース化されて、それが相当規模である、そういったものの個人情報の取り扱いがそういう番組の中で行為として行われているということが前提でございまして、そういうことがなければ、そもそもこの法案の適用を考える前提を欠くということになるということでございます。
長妻委員 著述について大臣にお尋ねしたいんです。
 大臣、本会議で著述の定義を言われましたけれども、この適用除外になる著述ですが、これは例えば成果物として名簿とか地図、これは含まれないと解釈してよろしいんですか。
細田国務大臣 著述と申しますのは、基本的には、小説とか評論等のジャンルを問わず、人の知的活動によりまして、創作的な要素を含んだ内容を言語を用いて表現することをいうものでありまして、また、その表現方法や手段を問うものではありません。出版物であるか、放送であるか、インターネット等であるかを問うものではありません。ただ、名簿や住宅地図等の出版は、単にデータを羅列ないし網羅しまして提供するにすぎないものがございますので、こういった場合には著述には該当しないと考えております。
 なお、名簿、住宅地図等の出版は、いわゆる社会の出来事としての客観的事実を記述し伝達するものではないということですから、報道にも該当しないと考えております。
長妻委員 そうすると、念のためにお伺いするのでございますが、報道でもない、著述でもない書籍とか雑誌というのは、まあ名簿とか地図がそうだということなんですが、それ以外で報道でも著述でもない書籍とか雑誌というのは、例えばどんなようなものがありますですか。
細田国務大臣 ちょっと御趣旨は、あれですか、こういうふうにお答えしていいかどうかわかりませんが、およそ出版物で、雑誌等で出ているものがございますね、本屋さんに行くと売っているようなものあるいは仲間内で編まれて流通しておるようなものがあると思いますが、これらは全部著述の中に含まれると思っております。
 ただ、法目的から、名簿、住宅地図等の情報だけを集めて最近はCD―ROM等で売られておりますので、これは、やはりそれ自体、個人情報等を目的とした出版等でございますので、これだけは入る、こういったところでございます。(長妻委員「その二つですか、大きくは」と呼ぶ)基本的にそう考えております。
村井委員長 御発言は、委員長の指名に基づいてやってください。
 長妻君。
長妻委員 そして、次の質問に移らせていただきますと、報道の部分でございますが、適用除外になっているわけですけれども、例えばの例としてちょっと事例的に挙げさせていただいて、御見解をいただければと思うんです。
 例えば、ある政治家がいた。Aという政治家がいて、その政治家が、何かスキャンダルのうわさがあったというような方がおられた。そして、新聞記者の方がその政治家の方の調査に動き始めた。ところが、その政治家の方は、その新聞記者の人が取材の過程で、その政治家自身は全然お金ももらっていないのに、何かもらったという前提で取材を進め、取材というか調査を進めている、そして、行ってもいない場所に行ったという前提で何か調査を進めていると。これは、新聞記者だけれども、この動き方は報道目的ではないのではないのか、報道目的ではない、そういうふうにその政治家が確信を持った。
 その上、その新聞記者は、その政治家がある人物と会話した電話の録音テープをなぜか持っている。そして、その政治家が会話をした相手に確認をしたら、いや、私はそんなテープを外に出していませんよ、テープなんかとっていませんよ、こういう話だった。
 どう考えても、これはその記者が不正に入手したに違いないというか、不正に入手する以外入手しようがない、こういうふうに政治家が判断をしまして、その記者を呼びまして、あなた、いろいろ調査しているようだけれども、個人情報保護法ができたんだから、ここでは、情報は十七条で適正に取得しなきゃいけないし、開示しなきゃいけないんだよ、余りそんな変なことをしちゃだめだ、調べた私の情報を全部教えてくれ、開示してくれ、二十五条に基づいて、あなたに個人的にまず言うよと。呼びつけてこういう話をするというのは、感想はどうですか。
細田国務大臣 そういう場合も含めて、客観的にどうも後から見ると事実でなかったなと思うようなこと、あるいは、その方がいろいろな手段を用いておったとしても、これはやはり報道の一部に当たるということで、この法律の対象になると考えておりません。
 こういった場合には、個人的に、これまでもいろいろ行われておりますように、民法とか名誉毀損とか別の法体系で扱うべきものでございまして、この個人情報保護法の対象ではないと考えております。
長妻委員 今、後から考えてみればというような、ちょっと誤報的な御発言だと思うんですが、まじめに調査したけれども結果的に違ってしまったというのではなくて、今のケースは、その政治家自身は、いや、この記者は何か報道の目的じゃない全く別の意図を持って動いている、結果的に誤報どころか、初めからうそを前提にこれは動いているに違いないとその政治家が判断した。
 そして、先ほど申し上げましたように、その政治家がある人と会話をした電話の録音テープを持っている、それは絶対流出するはずがないものを持っている、これは不正な、適正な取得をうたう十七条違反だとその政治家は判断をした。
 それで、民民で、民民といいますか、その記者とその政治家が個人的に話して、あなた、この法律を守りなさいと言った。それでも守らない。そうしたときに、その政治家は、今度内閣府にできる予定の個人情報保護室にちょっと相談をした。保護室の方に相談をして、こういう証拠もあるんだ、テープもこういうふうにとられちゃっているんだ、ちょっと調査というか、私は開示請求したけれども言うことを聞かないんです、これは何とかしてください、こういう相談を持ち込む。この仮定でちょっとお話をいただきたい。
細田国務大臣 そもそも、そういう案件について、これはそれを守ることをもって保護法益とする法案でございませんので、あくまでも対象外でございます。
 それから、ちなみに申し上げますと、普通はそれは他の法律、法令等で、脅迫があったのか、あるいは名誉毀損があったのか、そういうことで処理されるべきでありますし、また、そのような、通例におきましては、我々が想定しているような大量な個人情報の中からそれを処理しているとも思われない、普通はそういうケースはほとんどないと考えられますので、そういった意味からも全く対象外ではないかと思っております。
長妻委員 普通はないと言われたり全くと言ったり、若干ニュアンスが違うんですが。
 そうしたら、こういう聞き方をいたします。
 そうすると、記者は、報道機関に所属する記者は、ある意味では、逆の聞き方をするんですが、仮にその記者が本当に悪意を持って、全然報道目的じゃなくて、その政治家に個人的恨みを持っていて個人的に陥れようとして活動をしている、そういうことがかなり明らかになったとしても、記者であるということでそれは別に除外ということでよろしいんですね。
細田国務大臣 それはやはり報道目的であると推定されるわけでございまして、これはほかの法体系で処理すべき問題であると割り切っております。
長妻委員 そうすると、若干聞き方を変えますと、記者ではなくてフリーライター、例えば自称フリーライター、組織には所属していない方がおられた、フリーライターであります。その方が全く今と同じようなケースがあり、そのフリーライターの方は、その政治家が調べると、過去に言論活動の実績というのはちょっとない。だから、報道目的どころか、何の目的かさっぱりわからない、どこかにまだ発表も何にもしていないという人物がいたとすれば、これは話はかなり変わってくるんですか。
細田国務大臣 まず、個人情報取扱事業者は、法第二条三項に基づきまして、個人情報データベース等を事業の用に供している者をいうわけでございますので、御指摘のジャーナリストが政令で定める件数以上の個人情報をデータベース構築していないという場合には、そもそもこの対象ということにならないわけでございます。
 御指摘の自称フリージャーナリストが個人情報取扱事業者である場合において、報道機関であるか否かは、自称しているかどうか、怪文書であるかどうかではなくて、客観的に五十条第二項の報道の定義に該当するか否かで判断すべきものでありまして、自称フリージャーナリストの事業目的や怪文書の配布状況等の実態に即して判断すべきではないかと思っておりますが、その人が普通にほかの場面ではジャーナリストとして活動しておるのであれば、やはり本来、報道人として行動しているという強い推定が成り立つと思っております。
長妻委員 今、判断というお言葉がありましたけれども、そうすると、苦情が持ち込まれたとき判断するのは、内閣府に今度できる個人情報保護室のような名前の、そういうところが判断するということですか。
藤井政府参考人 御説明申し上げます。
 この法律のつくり方からしますと、第四章の義務規定というのは、むしろ個人情報を取り扱っている人その人に対する義務という形で出てきております。したがいまして、まずは、自称フリージャーナリストと称しておられる方自体が、自分は報道機関であるからこの法律の適用を受けられないのか、あるいは受けるのかということを判断していただくということになると思います。
 先生御指摘のように、本来報道は適用除外なんでございますが、何か仮に誤ったような形で行政機関に苦情が持ち込まれることは、それは予想されるだろうと思います。ただ、その場合においても、行政機関としては、それを苦情として受け付けるかどうかというときの判断というようなのは必要になってくるわけですが、その場合の判断というのは、今回、一つは、報道というものを客観的な基準という……(長妻委員「どこで判断するんですか。どこの部署で」と呼ぶ)
村井委員長 御発言は、委員長の許可を得てやってください。(長妻委員「答弁がちゃんとないんですよ」と呼ぶ)終わりまで答弁して……。下がってください。(長妻委員「どこの部署でと聞いているんですよ。答弁、ちゃんとしてください」と呼ぶ)
藤井政府参考人 苦情が受け付けられた機関ということになりますから、そこは、苦情を受け付けた人が、どこの行政機関に持ち込んでも、やはりまずその行政機関は受け付けの段階で判断せざるを得ないということだと思います。
 その上で、そういう場合でも、これはもう前から御説明しておりますとおり、報道の定義が今回客観化されております。それから、一部でも報道目的が含まれる場合は適用除外ということになっております。あと、もっと、三十五条ですか、主務大臣は表現の自由を妨げてはならないというような規定を設けておるということで、まず、行政機関、主務大臣は判断を誤ることはないと思っております。
 それと、もう一つのケースとしまして……(長妻委員「もういいです。ちょっと答弁、ちゃんと答えてください。全然違うじゃないですか。どこの部署で答えるんだと聞いているんですよ。貴重な時間なんですよ、これ。もう時間がないんですから、本当に。真剣に答弁してください、本当に。こっちは真剣に質問しているんですから」と呼ぶ)
村井委員長 答弁を続けてください、答弁を。質問者はちょっと……。
藤井政府参考人 再度、いろいろなケースがあるので、その第一のケースとしてお答えしておるわけですが、第一のケースは、その苦情を、それこそ国民はどこに、どういう仕事を行政機関がやっているかわからないわけですから、どこにだって持ち込む可能性はあると思います。消費者問題なんかでも、市町村のいわば消費者受付窓口とかそういうところが判断することが第一次的にはあるということでございます。そういうケースが一つと。
 もう一つのケースは……(長妻委員「ちょっと、いいです、いいです。もう、ちょっと時間もったいないです。妨害ですよ、これは。審議妨害だよ、本当に。ちょっとやめてくれよ。委員長、質問です」と呼ぶ)
村井委員長 では、ちょっと下がってください。一たん下がってください。(長妻委員「もう一回、ちょっと質問しますから。ちょっと質問しますから、もう一回」と呼ぶ)では……。
 答弁中に発言されますと、やはりそこは整理ができませんから。(長妻委員「きちんと答弁してください。時間がどんどん長くなるじゃないですか」と呼ぶ)委員長はきちんとやりますから。
 長妻君、御質問ください。
長妻委員 いやちょっと、今のお話だと、では、例えば市役所というか、市の消費者センターがありますよね、そこに持ち込んでも、その消費者センターの人が判断できればいいですよ、判断できない場合、例えば東京都に持ち込む、都道府県に、そこも判断できない場合、最終的に持ち込まれて、ある程度判断するところはどこですかと、こういうことなんです。ちょっと、一言でお答えください。
細田国務大臣 あくまでも、報道を装って、あるいは報道だと称して、そういう場合には、どこへ行きましても、それは報道でございますからと言ってお断り申し上げます。
 ただ、その内容が、例えば販売業とか小売業とか旅行業とか、そちらに関連づけて行動を行っているような場合には、その所管ということがあり得ますが、今おっしゃったような例は、専ら政治的目的あるいは悪意を持って個人を陥れるためにやっていることだと思いますし、しかも、それが報道の衣装をまとって言っているということでございますので、これは、この法律においては主務大臣はございません。したがって、どこへ来ても……(長妻委員「だれが判断するんですか」と呼ぶ)それは、その個々の大臣、主務大臣のところへ来たときに、つまり、どこかへ来るわけですから、そのときには全部お断り申し上げます。
長妻委員 今、報道をまとったというような御答弁がありましたけれども、そうすると、再度確認しますけれども、例えば、自称でも何でもいいんですが、大臣、自分は報道目的のフリーライターだ、こういうふうに自分が名乗って、かつ名刺もフリーライターという名刺を持って、自分はジャーナリストですと。ただ、それは自分が言っているだけで、実態は違うかもしれない。しかし、そういう人物が動く調査活動は全部適用除外になる、こういうふうに判断してよろしいんですね。
細田国務大臣 この法案は、このたびしっかりと出し直しまして、その規定をはっきり置きました。そして、本来この規定は、今社会でいろいろ起こっている、個人情報を大量に処理する人がそういう悪意その他いろいろな行為でもって個人に迷惑をかける、これを対象にする法案になっておりまして、報道に関連してあるいは個別の情報で特定の人を困らせるような行為については対象としていない。主務大臣がございません。つまり、どの大臣のところへ来ても、それはお断り申し上げます。経済産業大臣もお断りしますし、最終的に内閣総理大臣のところへ来ても、それは対象でございません。(発言する者あり)迷いはございません。
長妻委員 いや、大臣、ちょっと今混同されていましたね。ちょっと私の質問、混同されたんですけれども。大臣よく――ちょっと、説明いいですよ、事務方の方。さっきちょっと聞いていなかったので。
 大臣、今の質問、再度申し上げますと、今大臣、違うお答えされたんですが、私が聞きましたのは、自分で、私はフリーライターです、フリージャーナリストです、報道目的で自分は行動する、仕事をしている人物ですと自分が言った、しかし実際は本当かどうかわからない、そういう人が調査活動等をすることは全部そのまま適用除外になる、こういうことでよろしいんですかと。これは大変重要なことですからお答えください。
細田国務大臣 結構でございます。
長妻委員 そうすると、名刺にフリージャーナリストと、私は報道していますと書かないでも、フリージャーナリストというのはそういうことが仕事ですから、その名刺を持った人物が調査活動をするものは全部五十条の適用除外になる。これは大変重要なことですから、再度、もう一回確認しますけれども、本当にそれでよろしいんですね。ただ名刺にフリージャーナリストと持っていれば、本人が仮に詐欺師であっても何でも、それはいいんですね。この法律だけです、この法律だけのことです。
細田国務大臣 それはこの法律の目的ではございません。
 それから、もう一つは、本人が直接その相手といろいろ請求をしたり争ったりすることはあるかもしれません。したがって、それは裁判所が判断することはあるかもしれませんが、本来はそれはその他の刑法あるいは民法の規定によって処理されるべきものであると考えております。
長妻委員 ちょっとこれは重要なので、もう一回だけ詰めさせてください。
 そうすると、若干ちょっとあいまいだったんですが、名刺にフリージャーナリストというふうに書いた人がいて、いろいろ調査をしている。そうすると、その人物が本当はどういう人物か、フリージャーナリストじゃなくても、名刺を持って活動する。それは、ほかの法律はいろいろありますよ、それは、本当に詐欺師だったらいろいろありますよ。ただ、この法律では、名刺にフリージャーナリストと持って活動している人物は、あらゆる、どんないかなる人物でもこの法律の適用除外になりますと、これをちょっと確認したいんです。はっきりと確認したい。
細田国務大臣 フリージャーナリストとして活動している場合は結構でございます。
 つまり、全くのうそで、しかもこの法律に当たるような個人情報の処理事業者であって、ほかに名簿などをたくさん売買しておったり、個人のスキャンダルを売買したりする、しかも、この要件に当たるような者が、おっしゃったように、単に報道と何ら関係がないにもかかわらず、一点をぎりぎりと詰められますからそう言いますが、そういう場合までも救っているのかといえば、それは実態がないわけですから、自称というだけで客観的にはないわけですから、むしろ、そういう実態の方から詰める必要はあると思います。
 ただ、一体どういう目的で御質問になっているかということが、そうなるとだんだん目的が薄らいでまいりまして、あくまでも、個人のそういうフリージャーナリストと称する人が、悪意で、悪い、人を陥れようという目的でやっても、何でもそれは自由なのかというような御意見も、ちょっとこの法律の目的から外れる御質問ではないかとちょっと思うのでございます。
長妻委員 細田大臣ともあろう方がそんな御認識とはちょっと驚きます。
 報道というのは大変重要な問題ですから、例えば悪意があるかないかということになってしまいますと、これは、だから私は、悪意を持った人を全部保護しろなんて、そんなことを言っているわけじゃないですよ、全く。そうじゃなくて、悪意とかそういうものが入ると確認作業が入ってくるわけですよ。まじめにやっているフリーライターも、悪意を持っていると政治家が思えば確認しなきゃいけないですよね。本当にそれが詐欺師なのか、本当にフリーライターなのか、確認作業が入ってくるわけです。そうすると、やはりどこかでそれは判断をしなければいけなくなるわけでありまして、そういう趣旨で聞いているわけであります。
 それで、大臣、もう一回初めの問題に戻りますけれども、実態の方から詰めるというようなお話が今ありましたけれども、そうすると、最終的に判断するのはどこですか、細田大臣ですか、最終的に判断するのは総理大臣ですか。
細田国務大臣 そういう意味では、最終判断は裁判所でございます、この規定の適用については。
長妻委員 いや、ですから、聞いていますのは、これは直罰じゃないですよね。これは命令で、命令を聞かなければ罰ですから、命令を出すか出さないかの判断は、それはだれかしなきゃいけないわけですよ、命令を出すか出さないか。だれかというのは主務大臣ですから、ですから、命令を出さないという判断をしなきゃいけないわけですよね、その前の段階で。
 でも、主務大臣がわからないというか、報道的なものはないということですから、だから、どこが判断するんですかと。命令なんか、勧告なんか、こんな問題で出す必要はない、そういうふうに判断するのは、では、どこの部署ですかと。主務大臣がないんですからわからないですよね、苦情を持ち込む方も、どこに持ち込んでいいか。
細田国務大臣 どの官庁に来ましても、報道の関係と認められれば全部お断りいたします。除外でございます。
長妻委員 いや、だから、そう単純な問題じゃないですよ、大臣。
 私がさっき聞きましたのは、いい悪いは別にして、仮に名刺にフリージャーナリストと書いてある人を、有無を言わさず、その人はもう直ちに適用除外だと、この法律では。ほかの法律は知りませんよ、この法律では適用除外だというのであれば、いい悪いは別にして私も今の話は理解できるんですが、そうじゃないわけですよね。単に名刺にフリージャーナリストと印刷してあっても、先ほど、実態の方から詰めるというお話がありましたから、全部そういう悪い人も保護するわけじゃないよ、適用除外にするわけじゃないよというふうに言われましたから聞いているんです。
 だから、そこはだれが、ただ、それは難しい判断ですよ。ちょっとした窓口の人は判断できません。だから、それはどこが判断するのかと。私は、内閣府に今度できる、個人情報保護室という名前になるかどうかわかりませんけれども、そこが判断するんだと思うんですよ。だから、何でそういうふうに答えられないんですか。そこが一番詳しいんですから。
藤井政府参考人 恐縮ですが、議論の整理という意味もありまして、先ほどの苦情の問題から申し上げたいと思うんですが、だれかが行政機関なりに苦情を申し立てるときは、報道機関が自分の個人情報を不適正に取り扱ったというようなことで申し立てはできないんです。それは、そういう申し立てをすれば、もう明確に受け付けを拒否します。
 苦情申し立てをする人は、もし申し立てるのであれば、例えば、販売業者の個人情報取扱事業者であるにもかかわらず、不正な怪文書か何か、そういうものをやったということで苦情を申し立てる以外にしかないわけです。そういう場合は、販売業を所管するような主務大臣が……(長妻委員「違いますよ。審議妨害しないでください、本当に」と呼ぶ)いや、ぜひお聞きいただきたいと思うんですが、判断することになるんですが、そこで、そういう苦情を受け付けた販売業を所管する主務大臣は、これは先ほど来申し上げているように、報道であるかどうかは明確だということを申し上げました。
 しかし、さはさりながら、役所だって誤ることはあるわけでありまして、仮に誤って勧告とか改善命令を出しちゃった、誤って改善命令なんかを出しちゃって、それで罰則までいっちゃったということになれば、これはもうそれだけで十分に裁判所で争える、いわば行政事件訴訟法に基づく取り消し可能な処分ということになりますので、その段階では裁判所での司法判断が下されることになる。
 そういった場合でも、これも前から御説明しておりますが、そういう違法な処分についての立証責任というのは一般的に行政機関側にありますので、訴えられたその自称フリージャーナリストと申しますか、そういった方は報道でないことをかち取ることは非常に容易なことだというふうに理解しております。
長妻委員 委員長、ちょっと御注意をいただきたいんですが、質問に答えておられないんですね。今、販売業ということを、私は何にも販売業と言っていないのに、販売業だとすればというようなお話がありましたけれども、わからないわけですよね、フリージャーナリストといっても。それが販売業なのか何かわからない場合です。
 だから、私も先ほど申し上げましたように、実態の方から詰めるというふうに細田大臣が言われましたから、その実態の方から詰める。最終的に判断する人は、内閣府にできる個人情報の部屋なのか、この法律の九条に書いてある苦情処理のための措置の関連でできる何か苦情処理の受け付けの組織なのか、そういうことを聞いているんであって、これは別に、何か逃げるというか、言われない話じゃないと思うんですね。はっきり明確に言っていただきたいと思うんですが、大臣によろしくお願いします。
細田国務大臣 どこか関係すると思われる役所にその方が、被害を受けたと思われる方が駆け込むかと思いますけれども、それぞれの判断で、これは関係ないと、あるいは、法律上もこれは報道に当たるようなので私のところでは受け付けないと、どこもがお断り申し上げるということであれば、その総合的な受け皿としては内閣府にもありますけれども、同じような判断をする可能性は大きいし、それはおっしゃったことの具体的な事例によっても異なりますので、それは仮定の御質問でありますので、なかなかお答えすることはできないと思っております。
 ただ、報道を自称して、ジャーナリストを自称して、その範囲内での活動であると言っておる限りは、基本的には報道に当たるとして処理するのがこの法律の趣旨でございます。
長妻委員 ですから、その窓口、きちんと判断する窓口がまだ不明でありまして、そういう意味では、内閣府の今度できます個人情報保護の部屋、そこに当然相談をしてもいいわけですね、それは。
細田国務大臣 レアケースだと思いますが、もちろんこちらへ来ていただいてもいいです。事業所管大臣だと思うところに来ていただいても結構でございます。
長妻委員 先ほど、内閣府が総合的受け皿という話がありましたけれども、そうすると、例えば、わからないけれども、経済産業省に今のケースを聞いてみる、そして経済産業省も、いや、よくわからない、では、ほかの、総務省に例えば聞いてみる、で、わからない。ですから、最終的に見解が、例えば総務省と経済産業省、主務大臣がないわけですから、両方に相談したら、ちょっと違う見解が出た、そういうときは、最終的な見解をまとめるのは、総合的受け皿という大臣の御発言ありましたけれども、この内閣府の個人情報、まだ名前は決まっていないようですが、何とか室というところが最終的に判断をするということになるわけでございますか。
細田国務大臣 これからの運用もいろいろあると思います。過去にたくさん主務大臣というのは書いてありまして、そういう法律はもう全く枚挙にいとまがないし、中には、自分の省に、これは自分こそ主務大臣だといって一生懸命引っ張る案件もあるし、いや、私はお断りだ、どこかほかへ行ってくださいという案件もあります。
 したがって、各省の間でよく連絡調整もする必要がありますし、ほとんどのケースでは大体主務大臣が極めて明確でございますし、それが二つにまたがるかなと思っても、片っ方に来れば御迷惑がかからないように、そこで処理しながら連絡体制をとるというような行政上のきちっとしたルールはつくります。
 ただ、どこもが球を受けないで落ちてしまうとか、どこへ行ったら、本当にわからないという方が内閣府の方にお見えになれば、当然、親切にいろいろ、主務大臣はここじゃないかと申し上げますし、どこも受けないという事情があれば、それではちょっと検討させていただく、こうなると思っております。
長妻委員 今の話は、私はちょっと危険な話だと思っております。というのは、どこの主務大臣、どこの役所でもいいよ、どこでも自由に相談してくださいという話ですよね、これは所管がないわけですから。
 そうしたときに、例えば、先ほど政治家の例を申し上げましたけれども、こういうことは考えたくないわけでありますけれども、大臣も政治家ですから、ある役所の大臣が、ある意味ではその派閥といいますか、あるいはその大臣がその本人かもしれない。そうしたときに、その役所に持ち込めば、その主務大臣はまさにある意味ではかばってくれるんではないのか、こういう期待を持ってその政治家なりが、どこへ持ち込んでもいいわけですから、その省庁の大臣に持ち込んで相談をする。それで、その大臣が、あ、これは、先ほど言われた実態の方から詰めるということを考えて、ちょっと問題だな、勧告出しましょうか、その前にそのフリーライターを呼んでちょっと聞いてみましょう。これは本人に、フリーライターにとっては大変な圧力になります。だから、そういうことが起こり得るということなんですよ、どこに相談してもいいというと。
 ですから、どこも主務大臣がないという場合はここだという窓口を、何も言われないというのはちょっと解せないのでございますけれども、そういう危険性がある。一つの役所が独断でそういう判断をするかもしれないですよ。だって、主務大臣が命令とか出せるんですから。
細田国務大臣 非常に局部的な事象を例示にして言っておられますが、普通、この個人情報保護法の対象となっているような個人が、これは私の名前が使われておかしいとか、そういう名簿が流通している、こういうものについてはほとんど、業態としてはほぼ明らかなわけでございます。横路議員とかいろいろな議員からも例示で出てきましたけれども、これは問題だというものはほとんど業種が明らかでございますから、それは主務大臣を決めることに何の苦労もございません。
 しかるに、今ちょっと御質問の中では、何か特定の大臣が、たまたま政治家がおられて、その大臣が個人的に判断できるんじゃないかと言うんですが、これは法律に基づいて所管について判断するんですから、普通、このような報道に関連する場合には、その役所が苦情を受け付けるときには、いや、これは報道に当たりますのでお断りします、あるいは、ほかに当省の事務に該当する案件がございませんのでお断りしますと言って、いかにそのトップにいる大臣が何か検討できないのかねと言っても、それは今の行政上無理でございます。
長妻委員 私も、この個人情報保護法というのは必要だと思っております。ただ、この報道の部分は、これは本当に、そんな楽観的な性善説に立ってお話をいただくと大変怖いことだというふうに思うわけであります。
 フリージャーナリストというのは、たくさん優秀な方が日本全国おられまして、そういう方が活動する場合、例えば雑誌社の契約のフリーライターもおられますけれども、例えば自分が何かネタを取材するというときに、まだそれが本当に物になるかどうかわからない、だからどこの雑誌に書くかどうかもまだわからない、あるいは書けるか書けないかもわからない、調査段階、そういう形でやられている方もおられる。
 そして、日本は、フリーライターの方はみんながなかなか、報酬をもらってそれだけで生活されている方というのは、かなりそれは難しいわけでありまして、例えば家業をやりながらフリーライターをやられている方もおられます。あるいは、広告宣伝の仕事をしながらフリーライターをやられている方もおられるんです。そういう方々が本当に自由に活動できるというためには、やはり主務大臣といいますか、どこに持ち込んでいいのかわからない、判断はしない、実態の方から詰めると言われながら、その実態の方から詰める最終責任者を言われないというのは非常に脅威であるというふうに私は思います。
 そして、その前段としても、委員長は首をかしげておられますけれども、これは本当に、後世に残る、このときにこの法律を通してどうなったんだ、こういう大変な危惧を私は持っておりますから、ぜひ御認識いただきたいと思います。
 そして、この法律は、当然政治家なりがこの法律に基づいて、別に個人的に話す、あなたはこの法律に違反していると私は思うからやめなさいと言うことも、それはその前々段でできるわけでありますので、ぜひその部分を本当に強く御認識いただきたいと思うんです。
 そして、それの関連で恐縮ですが、怪文書の問題でありますけれども、先ほども大臣ちょっと言われましたが、こういう聞き方で申し上げます。
 ある人物が、その人物は個人情報取扱事業者です。その事業者の人物が、うそとわかっていて、これは全く違う、でたらめな情報だとわかっていながら、何月何日、この人物、例えばこの政治家はここの料亭に行ってこうこうこういう悪いことをしたというのを、あたかも客観的な事実のように、全くうそにもかかわらず、文章を書いてばらまいたという場合は、これは報道でございますか。
細田国務大臣 基本的に、本人が報道と言っている限り、報道でございます。
長妻委員 そうすると、その客観的事実、報道の定義というのがございますけれども、「不特定かつ多数の者に対して客観的事実を事実として知らせること」というこの客観的事実、初めからでたらめ、うそと書いている人物がわかっていながら、客観的事実を装って書いたものも報道になるということでございますね。
細田国務大臣 そこで線を引くことが適当でないという判断のもとにこの条文ができておりますので、大変残念に思われるかもしれませんが、その線は引いておりません。
長妻委員 そうすると、もう一点聞きます。
 怪文書のもう一つの形態と言うのも何ですが、それは、例えば客観的事実を装った文章じゃなくて、例えば、この政治家はよくない発言をしている、この政治家はお金に汚いとか、この政治家は発言は本当にとんでもないとか、この政治家は犯罪行為を繰り返しているとか、そういう、意見といいますか主観、この政治家は発想が偏っているとか、そういうものを束ねた怪文書をばらまいた場合は、これは逆に言えば報道ではない、著述に当たるわけですか。
細田国務大臣 そういう、報道のような、事実であるかのような衣をまとって雑誌に出そうが、それは報道でございます。そのようにこの法案で割り切ることにしておるわけでございます。
 もちろん、政治家各位の皆さん方はそういうことにいろいろ悔しい思いをされたり、民法上あるいは刑法上の措置を申請された方は多いと思いますから、思いはわかるわけでございますが、この法案の目的ではなく、これは民法、刑法で処理しようということで割り切っておるわけで、そこを割り切らないと、そこでぎりぎりと詰めていきますと、表現の自由とか報道の自由は何であろうか、そしてまた、報道に携わるという人は、個人であれ報道機関であれ、我が身を律してください、そうでなければ民法と刑法の世界でいきましょう、こういうことでございますので。
長妻委員 もう一点お伺いしますと、五十条の適用除外のところで、放送機関とか新聞社とかありますけれども、出版社というのが入っていないということがいろいろ議論されておりますけれども、放送機関も、全く報道していない放送局もあるんじゃないですか。どう思われますか。
細田国務大臣 ちょっと、出版のことを聞かれたのでしょうか。
村井委員長 それでは、恐縮です、長妻君。
長妻委員 時間もないので初めに申し上げますと、出版を入れない理由として、出版社が一義的に報道機関ではない、報道機関じゃない出版社もあるというお話があったと思うんですが、放送機関も、例えば、個別名を出して恐縮ですけれども、WOWOWというテレビがありますよね。私、先ほど電話で聞いたんですが、ニュース、報道は一切流しておりませんという回答でありましたから、ある意味では報道機関ではない、報道していない、全くしていない放送局もあるわけでありまして、その意味ではこの中に出版社を含めるということも別に差し支えないと私は思うのですが、加える用意というのはありますか。
細田国務大臣 WOWOWの方が、自分のところはニュース等をやっていない、報道をやっていないと言いますが、厳密に言うと、最近は少しずつ、私もよく見ておりますが、ニュースはやっていない、それからいわゆるドキュメンタリーのようなものはやっていないかもしれませんが、見ていると、スポーツ番組をやったり、それに伴ってのいろいろなことがありますから、単に映画や演劇だけやっているわけじゃないですね。
 したがって、幅広い意味では私はやはり報道に当たると思いますが、私としては、著述に近い実態はあると思っております。
長妻委員 もう一点お伺いしますと、例えば、私も携帯電話を持っておりますけれども、今五百件入るんですね、電話番号が。目いっぱい、五百件携帯の電話番号を入れて電話していますけれども、多分すぐ五千件の電話番号を入れられる携帯電話が出てくると思うんです。
 そうすると、その五千件が入る携帯電話を持ってビジネス、ビジネスマンが電話をしたり、個人の方が仕事で電話を使ったりすると、その方は基本的にはそのまま個人情報取扱事業者になる、こういうことですか。
細田国務大臣 個人の利用については、事業でないということであります。(長妻委員「だから、ビジネスです」と呼ぶ)ビジネスで使って、人にまたその情報を供与するようなことがあれば、また事業に供しておるとすれば観念的には入るわけです。
 先日来、情報というのは処理の数が多いですから、基本的には個人が処理するのでも、時にいろいろ自分の事業の用に供する場合があるじゃないかと。確かに、定義上入ることはあるかもしれません。しかし、このことによってどういう問題が生ずるのか。
 結局、この法律の目的は、何万件というものを処理しながら、個人情報を不当、不正に利用したり譲渡したりすることによって社会的に非常に大きな問題を引き起こしていることに対応するための法律だと思っておりますので、そこで厳密に個人情報処理の事業者であるかないかということで議論をして、そこでいやしくも、ちょっとでも入ればそれは全部規制すべきだというふうには考えておりません。それは、むしろそういうことは大事な、IT社会の発展にとって大事なことでございますので、これを阻害する要因を何とか断ち切ろうというところに主眼があると考えていただきたいと思います。
長妻委員 いや、私もこの法律のいいところはあると思います、それはいっぱい。だけれども、それを質問しているのではなくて、やはり問題のところ、網をかけ過ぎる、個人情報取扱事業者、かけ過ぎないようにということで今お伺いしているわけであります。
 先ほど、携帯電話番号のところで提供みたいなお話がありましたけれども、私が申し上げたのは、例えば、五千件の携帯電話を持って、その電話番号を人に上げるわけじゃないですよ、人に渡さないで、その携帯電話の五千件の電話番号の中から自分がかけたい人にかけて、そこで仕事を、定期的に毎日携帯電話をかけて仕事をしている。その場合は、だから個人情報取扱事業者になるんですか、そういうことなんです。
細田国務大臣 これは、基本的に個人利用ではないでしょうか。
 ただ、お得意様名簿を全部自分の携帯電話に入れて、そのお得意様名簿が五千一人になったというときに当たらないのかといえば、当たると思います。それはあたかも、お店の中でも、本屋さんでもお米屋さんでも、お得意様をずっと集めているうちに、いつの間にか五千件を超えてパソコンに入っているケースと同じでございますが、本来の事業目的に供している限りは法律上全く問題はないものと思っております。
長妻委員 今、神田の古本屋さん等で名簿を販売されている古本屋さんがあるわけですけれども、これは、その古本屋さんというのはこの法律ではどうなりますか、名簿を販売している古本屋さんは。同窓会名簿とか。
細田国務大臣 古本屋さんについて言いますと、その販売する同窓会名簿の内容に関知せず、結果的に個人データを取り扱ったことになるものであると考えられます。
 本法の義務規定は、個人の権利利益の侵害を予防する観点から、大量の個人情報データベース等の形で事業の用に供する者に対して、個人情報の適正な取り扱いの確保を求めるものでありまして、こうした、内容に関知せず、結果的に個人データを取り扱ったことになるものにまで規律を適用する必要はないと考えております。
 したがって、このような方については、御指摘の古本屋さんのほか、運送業、倉庫業などを含めまして、第二条第三項第四号に規定される政令において、個人情報取扱事業者から除外することを今検討しております。
長妻委員 そうすると、大臣、名簿図書館と言われる、そういう名簿を販売するところはどうですか。インターネットで名簿図書館を見てみますと、こういう名簿を売っていますと。例えば、キャッチセールスで化粧品を買った人、五千百件あります、二〇〇〇年の発行です。あるいは、アダルトグッズを通信販売で買った人、七万八百七十五人いますと。
 だから、ここも、中身を全部一個ずつ見ているんじゃなくて、丸ごとこういう情報をどこかからもらって、丸ごと売っている。古本屋さんと同じだと思うんですが、これはどうですか。
細田国務大臣 名簿図書館というのはいろいろあると思います。この間、議員の中から提示された、まさに多重債務者の情報から、非常に個人の権利を侵害することが明らかであるようなたくさんの情報を名簿として売っているような事業者の話が出ましたけれども、そういうものは私は論外だと考えてはおりますが、御指摘の名簿図書館は、通常、名簿をデータベース化していることから、個人情報取扱事業者に該当すると考えておりますが、その場合は法二十三条の第三者提供に対する義務の適用があり、本人の同意を得るか、第二項に掲げるいわゆるオプトアウトの手続を講ずる必要があると思います。
 ただ、本当の古本屋さんと同じ程度の規模である、小規模な、実態がそれと余り変わらないような名簿図書館の場合は、政令において、先ほど申しましたような形で、個人情報取扱事業者から除外することを今検討しております。
長妻委員 もう一回定義を聞きますけれども、個人情報取扱事業者。
 例えば、これも一つの例ですけれども、高校の音楽クラブがクラブ活動をしている中で、定期演奏会、春、秋の文化祭とか、ほかの時期に定期演奏会をして、五千人以上の方にDMを、定期演奏会の案内を送っている、そういう高校のクラブ活動の音楽クラブ、これは個人情報取扱事業者になる可能性はありますか。
細田国務大臣 今おっしゃったような音楽クラブの演奏会活動等について見れば、個人情報データベース等を事業の用に供しているかを判断する必要があると思っております。事業に当たるかどうかにつきまして、当該行為が一定の目的のもとで反復継続性を有しているかどうか、社会通念上、当該行為が事業としての社会的地位を形成しているか否かということの理解によると思っております。
 例えば、そのクラブは年に一回は必ず演奏会をやる、そのときに名簿を、切符を買ってもらわなきゃならないからこれを使って出しておるというようなことは、社会一般の常識の範囲内でやっておることでございますが、これは、個人情報の有用性に配慮して、事業者の自主的な取り組みを基本としているこの法律の目的からして、行政が一々関与してどうこう言うようなものではないと思っておりますが、それを加工したり、人に上げて別の用に供したりという行為が発生したときには、そういう被害を受けた人からの申し出があって、それは注意されたり、いろいろな手続に入ることはあると思いますけれども、一般に、おっしゃったようなケースは御心配のようなことはないと思いますし、対象にならないと思っております。
長妻委員 最後に一問でございますけれども、二〇〇一年の八月に、百貨店から、同社のカード会員約三十八万二千人の顧客名簿が流出して、それは、その百貨店の社員が不正に情報を持ち出して信用調査会社に販売したということが判明したという事件がありましたけれども、その社員個人は個人情報取扱事業者ではないわけでありますけれども、そうしたときに、その社員個人に対しては会社の監督義務はありますよ、それはわかりますけれども、社員個人はこの法律でどういう規制になりますか。
藤井政府参考人 御指摘のとおり、基本的に、第四章の義務というのは個人情報取扱事業者にかけられております。ただ、従業者に対してはまた別途、従業者の監督責任を設けることとなっております。
 また、従業者が違法な行為をやって、どなたかの個人データを不正に取り扱って、それでいわば社会問題化したというような場合は、これはまた当然、改善勧告、改善命令を経てということですが、それでも直らない場合には罰則ということもあり得るんですけれども、その場合は事業者と従業者を両罰でかけられるという形にしてございます。
長妻委員 質問を終わります。ありがとうございました。
村井委員長 午後一時二十分より委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時三分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時二十分開議
村井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。今野東君。
今野委員 民主党の今野東でございます。
 きょうは、一時間、午後のトップバッターとして質問をさせていただきます。
 いろいろ質疑の中でわからないことといいますか、むしろわからないことだらけなんですけれども、その中の幾つかをまず質問させていただきます。
 まず、政府案の三十六条なんですが、「この節の規定における主務大臣は、次のとおりとする。」とありまして、さらに「ただし、内閣総理大臣は、」その間にあって省略しますが、「特定のものについて、特定の大臣又は国家公安委員会を主務大臣に指定することができる。」というところなんですね。
 ここは前にもお尋ねしているんですが、ここでなぜ、特定の大臣または国家公安委員長を主務大臣にすることができるじゃなくて、「特定の大臣又は国家公安委員会」となっているんですかとお尋ねいたしました。そうすると細田大臣は、委員長というのは会の一員でございますのでという説明なんですね。
 そこからしますと、例えば今お隣にお座りの総務大臣も、総務省の一員なのだから、「個人情報取扱事業者が行う事業を所管する大臣等」としないで、個人情報取扱事業者が行う事業を所管する省庁でいいということになりませんか、大臣。
細田国務大臣 どうも、いわゆる何々大臣という大臣と国家公安委員長である国務大臣とのありようが法令上も違うようでございまして、あくまでも、ほかの一般の省の主務大臣に該当するものは国家公安委員会であるという、そういう組織である、組織で意思決定をするのであって、したがって権限もその組織にある、その担当の大臣が国家公安委員長である、今でいうと谷垣国務大臣でありますけれども。そういうことだそうでございまして、これは、全くの行政組織上のこれまでの取り扱い上そうなっております。
 そして、国家公安委員会は警備業とか自動車教習所業というものを所管しておりまして、中には主務大臣として位置づけられるような事業者も所管しておるということから、このような規定を設けておるわけでございます。
今野委員 国家公安委員長は国務大臣ですよね。そうすると、わざわざ「国家公安委員会」とするのは、これは、国家公安委員会のほかの五人に主務大臣のような権限を委任したいからなんですか。
細田国務大臣 これは行政上の組織論でございまして、国家公安委員会というのは、全体の委員会で意思決定をする組織である、いわば集合体のような組織でございます。それに対して主務大臣というのは、国務大臣をトップとするいわば縦型のラインを組んでおります。
 国家公安委員会は、その性格上その方がいいということで、そこには委員長たる国務大臣が政治家として入るわけでございます。そして、かつてはこの委員長には自治大臣が兼務していたことが多いわけでございますけれども、いろいろな行政改革等によりまして、今は国家公安委員長である国務大臣が発令されております。これも、あくまでも、国家公安委員会という委員会の総合的な意思決定の中での役割を果たしているものと理解しております。
今野委員 さて、国家公安委員会という吏員組織と、いわゆる警察官とかあるいは警察という組織は、それぞれ独立したものでございますと大臣はおっしゃっておりますが、しかし、警察庁長官は国家公安委員会の管理に服しているんですよね。
細田国務大臣 前回もそういう御質問がございましたので、きょうもそういう御質問がおありになるということで、実は担当の部局ともよく内容を詰めさせていただきまして、次のようにお答えさせていただきます。
 国の警察事務の執行機関は警察庁であるところ。警察行政の民主的運営の保障と政治的中立性の確保のため、警察庁と別個の機関として合議制の国家公安委員会が置かれ、警察庁の警察事務の執行を管理している。まあ警察法の条文がそれぞれありますが。また、都道府県においても、都道府県の警察事務に関しまして、都道府県警察と都道府県公安委員会が同様の関係にあります。これも同法にいろいろ書いてございます。
 そして、国家公安委員会及び都道府県公安委員会は、それぞれ警察庁及び都道府県警察を管理しており、国家公安委員会と警察庁、都道府県公安委員会と都道府県警察は、互いに独立した行政機関であると言える。
 なお、国家公安委員会も都道府県公安委員会も、独立した行政委員会として、公正な立場から、それぞれしっかりと管理しておるところであるわけでございます。
今野委員 独立したものでございますというのはわかるんですけれども、しかし、警察庁長官は国家公安委員会の管理に服しながら、警察庁としての事務を行う、また都道府県の公安委員会も、これは都道府県の警察を指揮監督することになっている。ですから、実質は、監督する側とされる側という実態はありますね。確認です。
村井委員長 警察庁の官房長が来ておりますが、答弁させてもよろしゅうございますか。(今野委員「はい」と呼ぶ)
 吉村警察庁官房長。
吉村政府参考人 済みません、問いを詳しく今承知をしていなかったのですが……。
 御承知のとおり、警察法の十六条に警察庁長官のことが書いてございまして、その前の十五条に「国家公安委員会に、警察庁を置く。」と書いてございます。十六条で、警察庁の長は警察庁長官であると書いてございまして、「警察庁長官は、国家公安委員会の管理に服し、警察庁の庁務を統括し、所部の職員を任免し、及びその服務についてこれを統督し、並びに警察庁の所掌事務について、都道府県警察を指揮監督する。」という規定ぶりでございます。
 ちなみに、国家公安委員会は、第四条で「内閣総理大臣の所轄の下に、国家公安委員会を置く。」という規定でございまして、これは、国家公安委員会が行政機関というふうに私どもは承知をしているところでございます。
今野委員 別に答弁にしていただかなくてもその内容のことはわかっていて、答弁する前に、よく質問を承知していないなんて言いながら答弁するというのも、何とも不思議な人だなと思いますけれども。
 ですから、大臣にお伺いしているのは、国家公安委員会といわゆる警察官というか警察という組織、これは都道府県も同じですけれども、これは密接な関係にあるんですねという確認をしているんです。
細田国務大臣 先ほど申しましたような意味で密接に関係がございます。
今野委員 それでは、ちょっと違う質問なんですが、いろいろなところでさまざまな業務について、これは所管がどこですか、主務大臣はどこですかという質問がたくさん出てきておりますけれども、例えば質屋とか古物商というのは、これはどこが主務大臣になるんでしょうか。
細田国務大臣 質屋あるいは古物商については、質屋営業法及び古物営業法を施行する観点からいえば、国家公安委員会が主務大臣になっております。これは、やはり警察業務と非常に密接な関係にあることから、そのようなことになっておるわけでございます。
今野委員 密接な関係があって国家公安委員会が主務大臣となるというふうにおっしゃっているわけなんですけれども、それでは、質屋、古物商がネットオークションをやると、これはどこが主務大臣になりますか。
細田国務大臣 業種概念というのはIT時代でどんどん広がったり、境界の業務がふえているわけでございます。
 インターネットオークションは、インターネットを利用して、物資、商品の仲介サービスを行うということでございますので、あるいは質になったものを扱う場合もありましょうし、古物を扱う場合もありましょうし、あるいは生産物の売れ残りのようなものを、新品であるけれどもオークションにかけるという場合もあるかと思います。そういった意味では、物資、商品の卸売業、小売業あるいは仲介業等の流通の関係の業務であるとも言えるわけでございますので、幅広く申せば、経済産業大臣が主務大臣になると考えております。
 ただ、もちろん、質屋営業法及び古物営業法にかかわるような業務でありますと、これは両方で、国家公安委員会と経済産業大臣が適宜連携をとるということも想定されるわけでございます。
今野委員 つまり、質屋さんなら質屋さんという同じ業を行っていて、経済行為を行っていて、一方では警察に情報について取り締まられ、一方では経済産業省に取り締まられる。これはどこから取り締まられてもいいというわけじゃなくて、やはり警察から取り締まられるというのと省庁からチェックを受けるというのは、また大きな商売上の精神的なプレッシャーというのはあるわけですね。ここのところのあいまいな不安というのは、大臣、どのように解消されますか、この法案が世の中に出ていったときに。
細田国務大臣 やはり質屋営業法及び古物営業法の本来の趣旨から見て、警察が目を光らせなければならないような状況にあるかどうかが一つのポイントではないかと思います。
 したがいまして、先ほど申しましたように、一般の流通業、販売業でより幅広い、質屋と古物営業の狭い範囲に限定されないようなものは、どのような苦情があるかにもよりますけれども、まずは幅広く経済産業大臣が主務大臣になることは紛れがないのではないかと思いますが、それはまた、当事者がどこへ案件を持っていくかによっても異なりますが、これは相互によく官庁が主務大臣として連携をとる必要があるわけでございます。したがって、二つが主務大臣になるということもございます。しかし、先ほど申したような仕分けというものはあるわけでございます。
今野委員 どこに持っていくかによって主務大臣が変わるということは、例えば、警察というのは何となく嫌だなと思っている人は経済産業省の所管のところに訴えていく。要するに、要領のいい人と悪い人で、不愉快な思いをしたり不愉快じゃない思いをしたりするということですか。
細田国務大臣 複数にまたがる場合は、その関係の企業に御迷惑がかかってはいけませんので、個人情報取扱事業者の負担軽減を図るために、各主務大臣は、相互に緊密に連携し、協力しなければならないという三十六条三項の規定があるわけでございます。
 したがって、また、これを申し出る人の考えによって、どちらを主務大臣と考えて申し立てるかということは両方とも可能性があると思っております。およそ業の所管というのは古来ずっとそういう形で処理されておりまして、特に業の発展に伴って兼業というのもございますし、そういうことは間々あることでございます。
今野委員 持ち込む人の考えによって所管の大臣が変わるというのは、どうも筋のよくない法律だなということを露呈しているということが言えると思うんですけれども。
 さて、それでは次の質問をさせていただきますが、きのう、自衛官の募集のための適齢者情報の収集について報告をしていただきました。防衛庁から副大臣がおいでになっているんでしょうか。この収集に当たって、「地方自治体、学校等の協力を得つつ」というのがこの報告書の中にあるんですが、きのう防衛庁から出された、学校の協力を得つつというのは、学校はどういう協力をしているんですか。
赤城副長官 お答えをいたします。
 この学校等々の協力ということでございますけれども、自衛官の募集に当たって、学校に行って、自衛隊、自衛官というのはこんなものですよというふうな説明会を開いたり、あるいは学校に自衛官募集ポスターを張っていただくとか、あるいは募集に関する資料をそこに置いて生徒さんに見ていただくとか、そういった協力を行っております。そういう意味でございます。
今野委員 これは、学校から卒業者の名簿を受け取ったり、そして、そこに何らかの発送をしたりというようなことはしていないんですか。
赤城副長官 ここの学校等々の協力というのは、今申し上げたような内容でございまして、学校に対して、その生徒さんの名簿をいただいたりとか、そういうような意味での協力をお願いしているものではございません。
今野委員 なければないで、それはそのようなことがあれば大問題だなと思って、この学校等の協力ということをお尋ねしたわけですけれども、しかし、十分に注意しなければならないのは、学校に行って、その子供の、その生徒のセンシティブな情報等を収集するようなことがないようにぜひ気を配っていただかなければならないというふうに申し上げておきます。
 さて、この地方公共団体から自衛隊への情報提供なんですけれども、四情報については法的に問題がないということでしたけれども、四情報以外の情報提供をした市町村ですが、けさの新聞報道によりますと、さらに二十六市町村というふうになっております。新聞社の調査では、食い違いは四県と北海道管内の二十六市町村に上ったというふうにありますけれども、これはどういうふうに説明をされるんでしょうか。
赤城副長官 昨日、石破防衛庁長官から、自衛官の募集のための適齢者情報の収集について御報告を申し上げました。その際、これは限られた時間内でありましたけれども、防衛庁として力の限りを尽くして調べたものでございまして、その内容については自信を持っておりますということでございます。
 ただ、膨大な数を調べ上げるということでございますから、そのときも申し上げましたが、内容については精査をしてまいりますということでございます。その精査の過程で数字について若干入れかわりがあるということは御了解いただきたい、御容赦願いたいということでございました。
 ただ、大筋において、きのう御報告した中身についてはそのとおりでございまして、大筋においてと申し上げますのは、基本的には四情報、住所、氏名、生年月日、性別でございますけれども、それ以外の情報についても、一定の市町村、地方公共団体から情報をいただいたということであります。ただし、健康状態等センシティブ情報についてはその提供を受けていないということであります。
 これは、自衛隊法の九十七条また施行令の百二十条に基づいて情報提供をいただいておるものでありまして、その時々の考え方なり連絡の便宜とか、そういうことがあっていただいたものだと思いますが、住民基本台帳法十一条一項の規定に基づいて、何人も閲覧できるこの四情報に限ることが適当だということで、昨年の十一月にそのように指示をし、今後その徹底を図っていくということで考えてございます。
 よく精査しているということでございまして、御指摘の点、また、けさの新聞に出ていた点、そういうことについても今精査をしております。詳しくは局長から答弁をさせたいと思いますが、今申し上げましたように、基本的な事実関係については変わりはないということでございます。
今野委員 そうすると、この四情報、四項目以外の情報提供をした市町村は、きのうの段階では三百三十二の市町村というふうになっておりますが、この数字はきょうの段階ではどうなっているんですか。
宇田川政府参考人 ただいま副長官から御答弁申し上げましたように、ただいま精査中でございます。その精査の結果についてどうなるかは今の時点ではちょっと申し上げられない状況にございます。
今野委員 きのう、あなた、これ以上ありませんと言ったじゃないですか。現段階では幾つですか、わかっているのは。
赤城副長官 これは、きのうも石破長官から申し上げましたし、今私が御説明申し上げましたように、何しろ、全国、調査をかけます。したがいまして、その数字については入れかわりがありますということでございます。そのことは御理解をいただきたいと思いますが、基本的なところで、三百三十二、まあ三百を超える都道府県、地方公共団体から四項目以外の、例えば父兄、保護者とかそういった情報について提供を受けていたということについては、基本的にそのとおりでございます。
 具体的に今段階で幾つか、こういうお尋ねでありますけれども、これはまさに精査をしているところでございますので、今段階というのはなかなかお答えはしにくいというところでございますが、基本的に、そういうふうな市町村から四情報以外の情報を提供いただいていたということでございます。
今野委員 何で、きのうの段階ではこの段階で三百三十二と言って、きょうの段階になるとこの段階で説明できないというお話になるんですか。この段階で数、出してくださいよ。
赤城副長官 これは、委員会からの御指摘、御指示がございまして、きのうの委員会に間に合うようにということで、きのうその調査をかけ、限られた時間ですので、その数字について全く一〇〇%確定ですということは申し上げられませんが、それはさらに精査をし、数字についての若干の入れかわりがあることは御容赦願いたいということの前提のもとに、基本的にはこういう事実関係でございますということを報告させていただき、その後精査した中でも、例えば健康状態等のセンシティブ情報については提供は受けておりませんし、また、四情報以外については、一定数の市町村からそういう情報をいただいていた、大筋においては、事実関係はそのとおりでございます。
 それは、きのうの段階で、きのうの委員会に間に合うようにということで調査した結果が三百三十二ということでございまして、さらに、現在精査をする中での入れかわりがありますということはそのとおりでございますので、今さらにその精査をしておるというところでございます。
今野委員 ですから、今精査しているのならば、あしたになってまた数字がふえるかもしれない、市町村がふえるかもしれないということなんでしょうが、それはそれでいいですから、現時点では何市町村ですかと聞いているんです。あしたふえたっていいですよ。今の時点で幾つなんですかと聞いているんです。
山中政府参考人 昨日御報告を申し上げました。これは、二十四時間で調査をした結果、その時点で、私ども最大限努力をして判明した結果を御報告いたしました。
 昨日、この委員会の冒頭で大臣の方からも申し上げましたが、この問題については引き続き精査をしていく。これは、御報告をした調査結果の数字についても、当然、限られた時間の中で調査をしたという前提でお出しをしておりますので、当然時間をかけて、一〇〇%ともちろん申し上げられなかったわけでございますが、異動等があるのかないのか、それを昨日来引き続き精査を続けているということでございます。
 そこで、けさほど一部の新聞報道がございました。私ども、これは地連が全国五十、さらにその下に募集事務所がございます。さらに、募集事務所には恐らく二千名前後の広報相談員、これは、実際に末端の各市町村との間において必要な情報を提供いただいたりという事務を担当しているわけですが、地連限りにおいて限られた時間の中で調査をした結果でありますが、中には、当然、事務所あるいは募集広報員、そういったところに、市町村との関係において事実関係をきちんと把握させるという必要がございます。そういう意味で、一〇〇%ではないにしましても、数字の異動があり得ることは、これは避けられないということの事情がございます。
 そういう中で、全国もう一回精査をかけているわけでございますが、特別に、きょう一部の報道で、いわば私どもがお出しした調査報告との間にそごが生じているというものがございました。その関係で、そういうところに焦点を当てて精査を今いたしております。
 これは、個別に、報道の内容それぞれについて、この県あるいはこの市町村はこうということを確定的に申し上げられるだけの情報は今の時点では持っておりませんが、中には、報道で指摘をされているものがあった、私どもの昨日の報告において記載がされていなかったというものがあったのではないかということで今その確認をいたしております。
 問題は、どうしてそういうそごなりが生じたかということでございますが、これは、先ほど申し上げた募集事務所なり募集広報員、そういうところにどこまで徹底した確認をとるかという問題がございます。
 それから、私ども、昨日、現存する資料において、その限りで調査をしたというふうに申し上げました。これは、他方、新聞報道のもとになっている調査がどういうものか私ども存じ上げませんけれども、市町村との関係におきましては、調査の対象等についての認識をいわばすり合わせるといいますか、共有する時間的な余裕が十分なかったというような事情もございまして、さらに精査を要すべき状況にあるというふうに申し上げたいと思います。
今野委員 そんなに時間がかかるものなら、何で一日で三百三十二と出てきたの。
山中政府参考人 これは昨日も申し上げましたが、一昨日、報道等がされまして、私ども鋭意、限られた時間の中で、当委員会において御審議いただく資料として最善のものを出すべく努力をしたということで御理解をちょうだいしたいと思います。
今野委員 それではその最善のものは今幾つですかとさっきから聞いているんじゃないですか。きのう、間違いないと言ったでしょう。それで、きょうの段階で幾つかふえているでしょう。普通に考えたって、これは四情報以外に提供した市町村をチェックするだけですよ、そんな面倒なチェックじゃないでしょう、精査、精査と言うけれども。幾つなんですか、これは現時点で。何で言えないんですか。
赤城副長官 これは、ただいま山中官房長から答弁いたしましたように、限られた時間の中で調査をする、その中で、きのうの時点で三百三十二ということで御報告をしたわけでございます。これは、限られた時間の中で、一斉に調査をかけましてフル稼働したわけでございますので、その調査の中で多少の、どの範囲でまたどういう中身でということの、担当者同士できちっと意思の疎通ができたかどうかとか、そういうことはきちっと精査していかなければいけないと思います。
 そういう中で、御指摘のありました、あるいは新聞等に出ています、こういうものがあるのではないかというふうな御指摘がありますので、そういうものに焦点を当てて、さらに、調査できちっとそれが把握できているのかどうかというふうなことを精査してまいるということでございます。
 これは御理解をぜひいただきたいのは、きのうも、またきょうも申し上げたように、完全に一〇〇%これを確定するというのは、限られたマンパワー、時間の中でございますので、それはなかなか難しいということでございますから、その数字についての若干の違いは出ます。(今野委員「だから、いいから、現時点でと言っているじゃないか」と呼ぶ)しかし、その事実関係について、それは基本的なところは変わりありませんということでございます。
 その現時点ということでございますが、これは今まさに、その後新たにこういうものがあるのではないかというふうな御指摘等もありますので、それについて確認をするという、その作業をしているというところでございます。したがいまして、今、ではその数字が幾つ幾つで、今から一時間後にはこの数字ですというふうに御報告するのは、これは必ずしも適当ではございませんので、今まさにその確認を急いでいるという状況でありますことを御理解いただきたいと思います。
今野委員 現時点で幾つかというのをお尋ねしているんですよ、現時点で。だから、別に、精査している、調べているんだったら、それはふえることも可能でしょう、それは理解しますよ。今の時点で幾つなんですかと聞いていることになぜ答えられないんですか、きのう三百三十二と言っておいて。
赤城副長官 お答え申し上げます。
 これは大変恐縮でございますが、今も申し上げましたように、さまざまな情報に基づいて、また御指摘に基づいて、それを確認し確定をしていくというまさに作業中でございますので、今時点で幾つ幾つということを時々刻々、ここは確かではないかということになっても、それがまたふえたり減ったりということがあっては、かえってそれは混乱を招くと思いますので、しっかりとその確認をし、きちっとした御報告をさせていただきたいと思います。
今野委員 これはきのうちゃんと質問通告もしているんですよ、三百三十二で変わりませんかというチェックをしてくださいと。それで、チェックをしているんだったら、現時点で幾つですかという易しい質問じゃないですか、これ。そんなに厳しい質問じゃないでしょう。ふえることもあるかもしれませんね、今幾つですかと聞いているんじゃないですか。
赤城副長官 これはまさに今確認中でございますので、確認中の数字をとりあえず御報告するというのはかえって当委員会に対して失礼に当たると思いますので、あえて、今、現時点でどうかとお尋ねでございますと、これは、きのう御報告申し上げたところでございます、さらに今精査、確認中でございますということをお答えするしかございませんので、どうか御理解をいただきたいと思います。
今野委員 きのうは三百三十二と言いました。そして、これで間違いがないと言いました。つまり、防衛庁の調査はいいかげんだったということを認めるわけですね。
赤城副長官 きのう長官から御報告申し上げまして、この別表にありますような数字でございました。これは、きのうの御報告にもありましたように、さらに精査をいたします、数字については若干の出入りがございますことは御容赦くださいということでございましたので、この三百三十二で確定で、これは一〇〇%間違いないということではございませんで、現在それをさらに精査中である、確認中であるということでございます。
今野委員 三百三十二ということなんですけれども、それではこの三百三十二の市町村名を明らかにしてください。今読み上げる必要はありませんけれども、資料で出してください。
山中政府参考人 これは相手方市町村との関係もございますので、個別の市町村名については御容赦をいただきたいと思います。
今野委員 これは相手側市町村じゃないんですよ。自分の情報を四項目以外のを出されたんですよ。それはどこなのかと聞いているんです。出してください。これは言ってありますよ、前もって。出してくださいよ。出せないわけないじゃないですか。
村井委員長 ただいま今野君の御要求の資料の扱い方につきましては、とりあえず……。
 それでは、山中官房長。
山中政府参考人 これは相手方からいただいている情報でございます。相手方との関係があってと申し上げましたが、相手方の御了解をいただく必要があると考えております。
今野委員 では、そこに名前、情報を出されている人はどうなるんですか。私の住んでいる市町村が、四情報以外に自衛官募集のために情報を出しているかもしれない。知りたいじゃないですか。当然、知る権利はありますよ。出してください。
山中政府参考人 私ども、住民基本台帳法等に基づいていただいているいわゆる四項目、これはあくまでも私どもが行っております募集事務に必要だという観点からいただいている情報でありますので、その目的においてのみ取り扱うという性格のものであると考えております。
今野委員 これは市町村が持っている情報ですね。四項目以内ならばやむを得ないというのがあるんでしょう。それ以外のことをどこかに伝えられているわけですね、情報提供されているわけですね。それを市町村がやっているわけですね。
 四項目以外の情報を提供している市町村は三百三十二と、これは正確じゃないかもしれないけれども、きのうの段階で出ているんでしょう。三百三十二の市町村を明らかにしてくださいと言っているんです。
赤城副長官 ただいま官房長から答弁申し上げましたように、市町村から提供いただいている資料でございますので、その相手方市町村との関係もございまして、その了解がなければ、それは、相手方市町村との関係で、お出しするのは困難でございます。
今野委員 この自衛隊の適格者名簿に当たるであろうという個人が、自分はどうなんだろうと問い合わせたら、これはわかるんですかね。
赤城副長官 これは、自衛隊法の九十七条また施行令の百二十条に基づいて、そういう募集の目的のために必要な情報提供をいただいているという性格のものでございますので、基本的にはそういう目的にしか使わない、また、一定の期間が過ぎたらそれは廃棄される、こういう性格のものでございます。
今野委員 目的のための情報は四項目でしょう。それ以外を教えているところがあるわけでしょう。それはどこなんですかと聞いているんですよ。
赤城副長官 これは、今申し上げました自衛隊法また施行令上、募集に必要な情報としてそれを提供いただいているわけでございます。法律的には具体的にどういう情報をということの限定はそこには書かれていないわけでございますが、一方、住民基本台帳法の十一条第一項では、何人でも閲覧できるものとして、氏名、生年月日、性別、住所の四情報が挙げられております。
 これまで、各地方連絡部等々で、募集のための必要上、例えば父兄、保護者とかそういうものがあれば連絡をとるのに便利だとか、そういうことがあって情報をいただいてきたということがあるかと思いますが、これは、本来、募集のためのダイレクトメールを発出するとかそういうことからすると必要最小限の方がいいだろう、必ずしも必要のない部分まで情報をいただくことはないだろうということで、昨年の十一月に、四情報に限るようにということで、担当者会議でその旨連絡をし、周知徹底をしているということでございます。
今野委員 ですから、ある個人が、この四項目以外の情報を自衛官募集のために、私の情報は四項目以外提供されていますかとお尋ねすると、これはどういう返事になりますかと聞いているんです。個人の情報ですよ。
松田政府参考人 現在の情報公開法におきましては、何人も、政府の説明責任の観点から、行政機関の保有する行政文書の開示請求を行うことができるわけでございますが、その中に非開示情報というのがございまして、個人情報も非開示情報でございますので、情報公開法においては、個人情報は開示請求ができません。
今野委員 個人の情報がそのような形でどこに使われているのか、つまりわからないんだ、個人は知る由もないのだということですか。
松田政府参考人 したがいまして、情報公開法におきましては、本人の、自分の個人情報の開示請求もできない、そういう制度になっておるわけでございまして、まさに本人の個人情報の開示請求等々の制度を設けたいということで、電算処理された個人情報にとどまらず、すべての行政機関の保有する行政文書に記載された個人情報の開示等の制度を設けようというのが、今御提案申し上げている行政機関等の個人情報保護法でございます。
今野委員 この市町村の数とか町村名とかいうのはこれぐらいにしますけれども、これはぜひ委員長、この三百三十二の市町村名、委員会で明らかにしていただきたいと思います。
山中政府参考人 これは国会の御審議とは別の局面のことを申し上げますが、情報公開制度におきましては、市町村名は情報公開請求があった場合には開示をするという扱いになっております。そういう趣旨にかんがみまして、いずれにしても、先ほど申し上げましたように、これは相手方のあることでございます。相手方の御了解が得られればしかるべく取り扱いたいというふうに考えております。
今野委員 これは、この委員会でもぜひ検討していただくというわけにはいかないんでしょうか。
村井委員長 ただいまの件につきましては、理事会でまた御相談をさせていただくことにします。
 お続けください。
今野委員 さて、きのうの我が党の中村議員への質問に、御出席いただいていた、そのときは長官でしたけれども、これは防衛庁といたしましては、隊員の採用に当たりまして、志願票に記載された事項の確認、自衛隊法第三十八条第一項に規定する欠格事由の有無、その他隊員として真にふさわしいかどうかに関するものなどについて必要な調査を行っているものでございますと答弁していらっしゃいます、時間がたってから。
 それで、どういうふうにこれは自衛隊側から調査依頼をし、また警察は何に基づいて自衛隊側に確認をしてやっているんですか。
赤城副長官 自衛隊法の第九十七条二項に基づく警察庁及び都道府県警察に対する協力依頼の件だと思いますが、この九十七条二項によりますと、「長官は、警察庁及び都道府県警察に対し、自衛官の募集に関する事務の一部について協力を求めることができる。」ということになってございます。昨日、防衛庁長官、石破長官の申し上げましたのは、防衛庁として、その記載事項の確認あるいはその欠格事項等々の調査を行っているということでございます。
 一方、この自衛官の募集に関する事務の一部については、ただいまの規定に基づきまして、警察庁に対して必要に応じ協力依頼を行っておりますが、その協力は、具体的にどういう中身について、具体的にこれこれこういうことについて協力を依頼しているということにつきましては、これは採用業務を適正に執行する上で、あるいは警察庁との信頼関係もございますので、具体的にこれこれこういうものについて警察庁に対して協力を依頼しているということをお答えすることは差し控えさせていただきたいと存じます。
今野委員 これは何も出てこないじゃないですか。
 それでは、今の九十七条二項の次の三項ですけれども、「都道府県警察の行う協力に要する経費は、国庫の負担とする。」というふうにあるんですけれども、これはどれぐらいの予算で、どういうふうに執行されているんでしょうか。
宇田川政府参考人 御質問の都道府県、地方公共団体が行います募集事務に関する経費、募集事務委託費と申しますが、十五年度予算で約一億三千万円でございます。
今野委員 一億三千万の予算をかけて個人の情報がこの四項目以外でも情報提供され、しかも、その個人はそのことを知ることすらできないという、非常に疑義の多い状況というのが今ここで明らかになっているわけなんですが、時間もありませんから、次の質問に行きます。
 自己情報コントロール権なんですけれども、諸外国の例を見ますと自己情報コントロール権が概念として確立していないということをよく大臣言われました。
 これは、ドイツの個人情報保護法の場合は、自己に関する情報の開示請求、データファイル登録簿の閲覧、第三者機関的制度である連邦データ保護監察官への苦情申し立ての権利が与えられております。それから、イギリスのデータ保護法では、個人のアクセス権を、個人は、データ利用者の保有するデータが自分の個人データを含んでいるかについて知らされる権利を有するとともに、自身がデータ主体である個人データ、処理目的、データ受領者を通知される権利を有する。それぞれの、ドイツもイギリスもフランスもアメリカもあるんですけれども、具体的に表示して、自己情報コントロール権について認めているわけですね。
 これは、政府案は、この中に入っていないわけなんですけれども、かなり自己情報コントロール権についても研究したというふうにおっしゃっていますが、なぜこの法案には入れなかったんでしょうか。また、野党案は、「個人情報の取得、利用、第三者に対する提供等に関し本人が関与することその他の個人の権利利益を保護することを目的とする。」としてありますが、もう一歩踏み込んで、自己情報コントロール権を認めてもいいのかなと思うんですけれども、そのあたりはどうでしょうか。大臣と野党法案担当者にそれぞれ伺います。
細田国務大臣 政府案におきましても、野党案におきましても、本人関与の仕組みが重要であるという認識は私は共通のものがあると思っております。したがって、野党案が一概にこれはおかしいというようなことを申しておるわけではございません。
 ただ、政府案の方は、通知、公表、開示、訂正、利用停止、第三者提供に当たっての本人同意など、本人関与の基本的な措置も非常に共通しておりますので、いわば幅広く、あらゆる可能性に備えてオープンにしてあるという意味があると思っております。
 また、自己情報コントロール権という権利概念を法律に明記するかどうかという点につきましては、先日の参考人質疑においても、参考人の方から、自己情報コントロール権が保障されているかどうかは法案全体として評価すべきとの御意見もあったやに聞いておりまして、政府案は全体としては諸外国に劣らない具体的な本人関与の仕組みを規定しており、問題はないものと思っております。
山内(功)議員 よく消費者や市民団体の皆さんから、こういう訴えがございます。入進学したり成人式になったら、突然、進学塾の通知が来るとか、晴れ着を買ってくださいという通知が来ると。市役所はそういう業者に情報を教えているんだろうかというような不安ですね。
 このEU指令に基づいて法案ができますと、多分、施行後、フランスのボルドーから、ワインの購入をしませんかというようなDMがどんどん来ると思うんですよ。だから、ワイン好きにとってはいいかもしれませんけれども、そういう問題ではなくて、例えば、どういう履歴あるいは境遇の人がどこに何人住んでいるかというような情報も、この高度情報通信社会のもとでは世界各国に飛び回ってしまう。
 だから、先ほどからお聞きしています自衛隊の募集の問題につきましても、その自衛隊が教えてくれという情報、教えてくれという項目については、市町村は、住基四情報のほかに、権限がなくても、集めてきた職業や電話や父兄や保護者の情報も含めて全部自衛隊に教える。自衛隊は受け取ったその情報を今度は警察に渡して、警察の方で適格者についての調査をする。つまり、一たん情報が入ってしまうと、私たちの知らないところで、私たちの関与できないところで情報が流通してしまう、それは困るんじゃないかというような思いが私たちにはあるんです。それが自己情報コントロール権だと私たちは思っているんです。
 もう一度整理をさせていただきますけれども、私どもは、自己情報コントロール権は生成中の概念であるものの、基本的人権にかかわる重要な権利であることに間違いはなく、その趣旨や精神を法案に盛ることによって社会的な認知を後押しするという考え方をとっております。ですから、確定的なものとして概念を目的中に明記はしていないものの、本人関与の重要性という基本的考え方はしっかり盛り込めたと思っています。
 具体的に三点お話をさせていただいてよろしいでしょうか。――それでは、もし質問がありましたらお答えさせていただきます。
今野委員 先ほど、自衛官の募集と警察との関係についてのお尋ねで、一つお尋ねし漏らしていたことがあったので、時間がありませんからお尋ねしたいと思うんです。
 警察が持っている情報、自衛隊に提供する情報、かなりセンシティブなものも含まれる個人情報もあるわけですね。ですから、それを、今回、新聞に報道されたりなんかしたことによって、私は嫌だ、それを警察の所有する目的以外に使わないでくれというふうに市民が警察に言ったら、使いませんか。それはどのようになりますか。
吉村政府参考人 委員御承知のとおり、現行法の行政機関の保有する電子計算機処理に係る個人情報の保護に関する法律におきましては、個人情報ファイルに記録されている個人情報は、九条一項で、「ファイル保有目的以外の目的のために利用し、又は提供してはならない。」と定めてあります。ただ、この法律におきましては、九条二項各号におきまして、一定の要件の場合には行政機関等へ提供ができるという定めがございます。
 このような法の規定に従いまして、一般的に申し上げまして、必要に応じて第三者への提供を行うこととなるわけでありますが、警察におきましては、例えば、指名手配被疑者の水際検挙のために入管局、入国管理局に当該被疑者の関連情報について提供を行う、あるいは、暴力団員から不当要求等の被害を受けた民間企業から、その被害を回復したい、そのために当該人物が暴力団構成員に該当するかどうかの確認を求められたというような場合等には、本人が第三者への提供を行わないようにしてほしいと要望したといたしましても、今のようなケースに当たりましては、必要な範囲で、あくまでケースケースでございますが、情報を提供する可能性はあるというふうに思います。
今野委員 これは、市民にとっては自分の情報すらもコントロールできない状態が続いているということが明らかになりました。
 さて、時間が来ましたが、総務大臣おいでいただいておりますので、一問だけ。
 市の職員採用に際して、正規も臨時もありますけれども、例えば募集案内をする、これは自衛隊はよくあって、市ももちろん募集案内するわけなんですけれども、その場合、市当局は住民基本台帳の利用はできるんでしょうか。これは質問通告していないので、大変申しわけないんですが、もしお答えいただければで結構です。
 それから、市の職員採用に対して、その採否の判断をするために、市当局は住民基本台帳の利用はできるんですか。市の職員採用に関して、その採否の、採用するか採用しないかの判断をするために市当局は住民基本台帳の利用はできますか。もしできるとすれば法的根拠を示してください。
片山国務大臣 住民基本台帳の情報は市の行政のためにも使えるんですよ。だから、今お話しのように、市の内部で採用試験に使うとか採否に使うとかということは可能だと思いますし、その根拠は、我々は、目的規定なりその他、地方自治法全体の精神の中で、法的には十分可能だと考えております。
今野委員 途中、数字やら市町村名やらで時間をとってしまいまして、用意していた質問ができませんでしたが、時間が参りましたので、これで終わります。
 いかにこの法律、個人情報保護法が不安定なものかということがよくわかりました。
 ありがとうございました。
村井委員長 続いて、東祥三君。
東(祥)委員 自由党の東祥三でございます。
 個人情報保護法案をめぐる諸問題について、これまで当委員会で種々審議を重ねてきたわけであります。しかし、これまでの議論を聞いていて、本日の前半での議論もあったと思いますが、主務大臣が明確にできない分野だとか、個人情報の取扱業者の定義が非常に不明確であるとか、そういう不明確さが一方において残ると同時に、他方、野党から提出されている新しい概念といいますか、生成中の概念であるとはいえ、個人情報を保護するに当たって自己情報コントロール権という概念を提唱させていただいたり、あるいはまたセンシティブ情報の取り扱い等、これらたびたび議論されてきたものがある一方において、この委員会においてはほとんど全く議論されていない重要な問題がある、そういう視点から、本日は、約一時間にわたりまして質問をさせていただきたいというふうに思います。
 つまり、国の存立にかかわるような重要な情報のあり方が全くと言っていいほど議論されていないのではないのか。乱暴な言い方をすれば、顧客名簿を名簿屋さんに売り渡す問題が国の重要政策課題というならば、国家機密を諜報機関に売り渡す問題は国の重要政策課題ではないのか、こういう問題であります。
 人権は重要であることは間違いない、したがって、個人情報は確実に保護されなければならないと私は思います。しかし、その重要な個人も、国家があってこそ人権が保障され、そして安全が確保され、さらにまた幸福な生活が実現されるものだと思います。にもかかわらず、国家の存立にかかわるような機密情報がどのように守られるかという議論が全く欠如してしまっているわけであります。
 国益が何かということを国民も政府も政治家ももっと明確に認識をする必要があるのではないのか。その上で、国際社会に対し、言うべきことははっきりと言うのが主権国家であります。さもなければ、それは従属国家であり、あるいはまた植民地国家になってしまうのではないのか。
 お歴々の大臣、副大臣がいらっしゃるわけであります。今、拉致家族の皆さん方は、日本は本当に頼りない国だ、拉致というものを国家テロとしても認証することのできない国、アメリカに行き、欧州に行き、この国家テロの問題に対して国際社会の喚起を促している。ところが、拉致を受けているこの日本、これはまさに国家テロである、外務省はまだ、政府はまだ、それに対して明確な方針も示すこともできない。人権が侵害されて久しい歳月がたつわけでありますけれども、この問題に対しても無視し続けている。そういう状況の中で、今極めて重要な個人情報保護法案なるものを議論しているわけであります。
 現実の世界を見渡しても、いかに多くの地域紛争が発生し、重大テロが頻発しているか。中には戦争になることもまれではない。戦争が一たん発生すると、国民は不幸のどん底に長く落とされてしまう。すべての人々が知っているわけであります。このような国の安全を侵す事態を未然に防止するためには、国の安全に関する情報をいかに保護していくかも議論しておく必要があるのではないのか。
 我が国では、第二次世界大戦後以降、国防とか国家機密がタブー視されている風潮があるわけであります。今でもそうであります。だから、本来やるべきことがほとんど手をつけられていない、このように断言しても構わないのかもしれません。あらゆる国で、国である以上、守るべき秘密があり、秘密保護法のない国はない。そういう国があったらぜひ教えていただきたい。日本以外にないのではないかと私は思っております。
 情報公開法の先進国であるアメリカでも、当然、国家機密保護令がある。国の安全にかかわる秘密は厳重に保護され、その上での情報公開法である。
 外務省からも来ていただいている。総務省からも、あるいは防衛庁からも来ていただいているわけでありますが、御存じですか、皆さん、世界じゅうで日本ほど秘密が守られない国はない。
 二年ほど前にも、いわゆる九・一一の問題が起こったときに、アメリカの本部が別のところに移転している。どこかの外務大臣がそれをしゃべってしまっている。つまり、世界各国から見るならば、一番信用できないのは日本の政治家だというふうに言われているわけであります。簡単にしゃべってしまう。そういう状況の中で、唯一、日本であるのは、いわゆる国家公務員法等による守秘義務があるという程度であります。
 ところが、先日、同僚の西村議員が指摘させていただいているとおり、罰則はというと、わずか一年以下の懲役。単なる行政上の秘密であろうが、私人の秘密であろうが、はたまた漏れたら国民全体に危害が及ぶような国家の重大機密でも、一年以下ということになってしまう。余りにもバランスがとれていないのではないのか、このように思うわけであります。この点に関しては、全く西村議員が指摘するとおりなんだろうと思います。しかも、国家公務員法は、漏らす側の公務員だけを対象としているわけであります。
 そこで、片山総務大臣にお聞きいたしますが、守秘義務の罰則の見直しを検討する考えはおありでありますか。
片山国務大臣 せんだっての委員会で西村委員からもいろいろなお話がございました。私も、東委員と似たような認識を持っております。やはり、国家の安全に関する重要な秘密については保護する法制が必要だとは考えておりますが、そのためには大いに国会で議論していただいて、国民的合意が必要ではないか。そういうことを西村委員にも申し上げたところでございます。
 今の国家公務員法の守秘義務の罰則規定は、これは御承知のように国家公務員法ではいろいろなことを禁止していますね、それを破った場合にはこういう処罰規定があるということで、大体二種類なんですよ。一年以下の懲役、三万円以下の罰金と、三年以下の懲役、十万円以下の罰金なんですね。
 そこで、守秘義務といっても、今言われたとおりなんです、物すごく幅広いんですよ。大した秘密でないものから、大変な秘密まであるんです。そこで、公務員が行う行為とのいろいろなバランスを考えて、今言いましたように、一年以下の懲役または三万円以下の罰金。
 最重要な秘密を漏らした場合にこれでいいのかという議論は私は当然あると思いますよ。そういうことで、今公務員制度の見直しを検討しておりますが、その中で直ちに結論が出るかどうか、もう少し時間が要ると思いますけれども、私は、いずれにせよ、罰則規定のあり方については公務員制度全体の議論の中で検討して位置づけていくべきではないかと考えております。
東(祥)委員 ぜひ、片山総務大臣、その線で頑張っていただきたいというふうに思います。
 また、総務大臣にお聞きいたしますが、国家機密を盗んだ者、あるいはまた、盗んだ秘密を国外に持ち出した者に国家公務員法の守秘義務は適用することができるのか、この点についていかがですか。
片山国務大臣 今の国家公務員法の決め方は、「職員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。」こうなっているんですね。だから、職務上の秘密、実質的に、非公知の事項で、秘密として保護するに値すると認められる事項について、一般にそれを知らしめることが秘密を漏らすなんですね。それがなければこの処罰規定の対象にならないんですよ。
 だから、単に盗んだだけ、例えば公文書を盗んだら、これは窃盗罪か何かに、犯罪の構成要件に該当すればそっちでいけますよね。しかし、少なくとも国家公務員法の守秘義務違反にはならないんです、盗んだだけでは。それをまた、盗んだものを持ち出すだけでもならないんです。だから、知り得た秘密を漏らすという行為が必要なものですから、その構成要件としては恐らく東委員が言われるように広くない、こういうことは言えると思います。
東(祥)委員 今の御答弁のとおり、一番悪質なのはやはり盗むことだろうと僕は思うんですが、さらにまた、盗んでこいというその主体があるんだろうと思うんですが、そういう一番悪質な盗んだ者などが直接罰せられず、また、ある意味で、公務員を教唆したり共同で実行した場合に限るという意味なんだろうと思います。そういうことでは、国家公務員法では、罰則の面だけでなく、そもそも限界が生じてしまっている、この認識は多分共有するんだろうというふうに思うわけであります。
 国の安全にかかわる情報というのは、多かれ少なかれ全省庁が持っていると言っても過言ではないわけであります。近年、先端科学技術が国の安全保障と密接ということも認識されてきている。その面においては、やはり一番多いのは防衛庁なんだろう。後ほど外務省にも聞かさせていただきますが。その意味で、昨年の内閣委員会の個人情報の審議で防衛庁の事案が何度も議論になっているわけであります。
 そこで、防衛庁長官はきょうは別のところへ行っているということで、赤城副大臣に来ていただいているわけでありますが、防衛庁に、防衛機密の保護についての法令の概略、そしてまた、防衛機密の管理の現状について説明していただきたいと思います。
赤城副長官 お答えいたします。
 委員御指摘のように、防衛庁は特に国家の平和と独立を守るということで、その持っている情報についても大変大事なものがございます。
 そこで、自衛隊法を改正しまして、一定のものについては重い罰則を科すということになってございまして、具体的に申しますと、まず一般の場合ですけれども、自衛隊法第五十九条、第百十八条と関連規則によりまして、防衛庁・自衛隊の保有する秘密について、これを漏えいした者に対し、最高で懲役一年の罰則を科すというのがまず一つございます。その上に、自衛隊法九十六条の二、百二十二条及び関連規則によりまして、自衛隊の運用や防衛力整備等に関する一定の事項のうち、我が国の防衛上特に秘匿を要する事項を防衛秘密に指定しまして、これを漏えいした者に対して、最高で懲役五年の罰則を科すという措置がございます。さらに、これは日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法によります規制でありますけれども、米国から供与された装備品等に関する秘密について、これを漏えいした者に対しては、最高で懲役十年の罰則を科すというふうに、それぞれに応じて重い刑を科しているということでございます。
 それから、秘密の管理の実態でございますけれども、大変重要な秘密文書がございますので、こういう秘密文書等に関する関係規則を設けまして、関係者以外の者が秘密文書等にみだりに触れることのないように、その取り扱いは厳格に定め、保全の責任者が責任を持って保全に当たるというふうに、常日ごろから厳格な秘密の管理に心がけているところでございます。
東(祥)委員 最も厳しいものが日米という両国間にまたがる問題であるということが明らかになっているわけであります。
 防衛庁副長官、次に、昨年の三等海佐の事例、これも驚いてしまっているわけでありますが、だれかがメディアに情報を漏えいしたということになるんじゃないのか。もしそうであるとするならば守秘義務との関係で問題はなかったのかどうなのか。この点についてどうですか。
赤城副長官 昨年のこのリスト事案についてでございますけれども、お尋ねの、だれかがメディアに情報を漏えいしたのではないかということでございますが、これは昨年調査しました結果、この元三等海佐は、開示請求者のリストを情報公開室等々、部内の九名に配付いたしました。その開示請求者リストを受領した者がさらにこれを再配付した結果、合計で十四名の隊員がこのリストを受領、閲覧また保管にかかわることになったわけでございますが、この調査ではそれ以上のところは確認されてございません。
東(祥)委員 ということは、守秘義務との関係は問題ないということですか。
赤城副長官 これは、昨年の調査でこういうところまでしか確認されておりませんで、メディアとの関係でどうかということにつきましては、昨年の調査では確認されていないということでございます。
東(祥)委員 副長官、国の防衛に対して破壊工作を仕掛けようとする者を調査することは、防衛庁の所轄事務から外れることになるのか、どうなんですか。
赤城副長官 自衛隊というのは我が国の平和と独立を守るということを任務としてございますので、特に厳正な規律を維持して、職員が特定の個人や団体の影響を受けて規律違反などを行ったりすることがないように、それを防止するという必要があります。
 そこで、防衛庁設置法第五条第四号に基づきまして、各自衛隊に情報保全隊というものを置いてございます。基地や施設に対して襲撃とか破壊等を企てるような者等からの働きかけに対して、部隊や職員等を保全する、そのための必要な資料とか情報収集、整理を行ってございます。
 したがいまして、先生御指摘の、自衛隊に対して破壊工作を仕掛けようとする者に対して必要な調査を行うというのは、ただいま申し上げましたような、五条四号に基づく必要な資料、情報収集ということで、防衛庁の所管事務の枠内であるというふうに考えております。
東(祥)委員 自衛隊に対してのみならず、国の防衛に対して破壊工作をしようとする者、それは事前にはわからないわけですね。常時、どういう人間がそういう行動に及んでくるか、それを調査しておくことは防衛庁の管轄内に入るのか、これが僕の質問です。
赤城副長官 お尋ねの、国に対してというところがちょっと……。
 一般的に、国、日本の中でいろいろな工作活動を行う者に対して調査とかそれを防止するとかいうのは、当庁の任務というよりは一般的な警察活動なのかと思いますが、今申し上げましたように、自衛隊に対して破壊工作を仕掛けようとするような者に対して、自衛隊という我が国の独立を維持するための大変大事な機関でございますから、それを保全するということで、防衛庁設置法上、そのような者に対しての必要な調査を行うということが防衛庁の所掌事務として行われるということでございます。
東(祥)委員 赤城副長官は多分僕の趣旨はわかっていると思うのですけれども、自衛隊というのは、自衛隊を破壊しようと思う、そういう人もいるのかわかりませんが、国の安全を脅かそうとする、そういう者があらわれてきたときに、国民の生命と財産を守るために自衛隊はあるんですよ。自衛隊を守るために自衛隊というのがあるんじゃないんだろうと思うんですね。そういう意味で私は申し上げているのです。
 例えば、工作員が日本の中にもういるかもわかりません。そして、日本を混乱に陥れようとするそういう工作員がいて、いざ、指令のもとに原子力発電所に何か爆薬を仕掛ける、地下鉄を利用して何かする、そして、全国に展開されている種々の道路網に対して何らかの行動を起こそうとする。それは結果を見ない限りわからないわけですが、事前にそれを防止しない限りそれはだめなんでしょう。そういう者に対して、防衛庁の任務の中にそういう人間たちを調査する業務が入っているのかどうなのか、これを聞いているんですよ。
赤城副長官 これは、一般的に例に挙げられました、日本の国内に、どこかに潜伏して工作員がいるとか、それが破壊工作活動を企てているのではないかとか、そうした情報なりそういった者の調査は、これは警察なりが行うものだというふうに考えてございますが、防衛庁設置法上、基地、施設等に対しての襲撃などを企てる者に対して必要な資料、情報の収集、整理を行うということでございます。
 そういう所掌事務でございますので、自衛隊に対して破壊工作を仕掛けようとする者に対して必要な調査を行うということが防衛庁の所掌事務ということでございます。
東(祥)委員 聞いている人たちも多分驚いちゃうんだろうと思うんですけれども、防衛庁の最も重要な任務というのは、多分防衛のための事務。
 要するに、日本では、とにかく日本の国内ではいろいろなハードの側面ばかりが語られていて、いざ日本の国家の安全あるいはまた防衛が脅かされる、それは何もミサイルが飛んでくることだけじゃないわけですよ。まして、こういう超近代的な状況になってくれば、いろいろな形態があり得る。
 そういうときに、常に人間がその媒体になっているわけでありますから、その人を国として、つまり防衛庁が、国民の生命財産を守るという目的を掲げている庁であるとするならば、当然、それにかかわる人、潜在的に工作員に化すかもわからないそういう人たちに対して、皆さん方は目配り、気配りをできるそういう権限を有しているのかということを聞いているんですよ。なければ、ないと言えばいいんです。
赤城副長官 ちょっと私の説明が舌足らずだったかと思います。
 自衛隊・防衛庁としましては、自衛隊の活動にかかわる、行動にかかわるものがございます。防衛出動とか治安出動とか、そうした行動にかかわる必要な情報収集というものは行えるということでございまして、一般的に、お尋ねの、犯罪者がいるとか工作員が潜伏している、そういう情報ということでありますと、これは警察なりが対応することだというふうに考えております。
 我々は、防衛庁の任務にかかわって必要な情報の収集ということは行っているということでございます。
東(祥)委員 国の安全を守るべき防衛庁の内部情報というものが、正規の手続を経ずして安易に漏えいする。これは最近でも見られているわけでありますけれども、そこには問題が存在していると言わざるを得ない。だから、そういう意味においても、防衛庁、本当にしっかりしてもらいたいというふうに僕は思うわけであります。
 昨日の、例えば防衛庁における集中審議を聞いていて驚くわけですよ。赤城副長官、ぜひ聞いていただきたいんですが、それは、官僚の皆さん方がどうのこうのということではなくて、国の防衛を預かる自衛官を募集するに当たっての事務、それを多分トップの人間たちはほとんど知らないんじゃないのか、そのように思わざるを得ない。答弁の仕方がどうのこうの、そういうことではなくて、副長官を初めとして、どのように日本全体の中で自衛官というのを募集しているんだろう、それを実地で体験しているトップの官僚も多分いないんだろうというふうに、僕はずっと話を聞いていて思いました。
 地連の中で一生懸命頑張っている人たちがどのような思いでその募集人員を探しているのか、そういうことを知らなくちゃいけないんでしょう。国のために供してくれる、いざというときに自分自身の生命をかけて戦ってくれる人を選んでいる以上、他の省庁と全く違う特徴がそこにあるわけであります。
 ところが、人事局長にしても、官房長にしても、はたまた副長官にしても、長官にしても、実態を余りにも知らなさ過ぎるんではないのか。ただ上がってくる情報だけを見ているから、あのようなめちゃくちゃな答弁になっているんだろう。そこをもう一度防衛庁というのはやり直していかない限り、ただ単に内局と制服組のどうのこうのというそういう次元ではなくて、この国を本当に任せられる庁なのかと、きのうの話を聞いていて私は思わざるを得ませんでした。
 防衛副長官、そういう意味におきまして頑張ってもらわなくちゃいけないんですよ、防衛庁は。だめなもの、今できないもの、そういうものを、皆さん方は政治家なんですから、一体どうすればいいのか。防衛の事務にあずかっている人たちを萎縮させちゃいけないんですよ。自分たちがやっていることに対して皆さん方は守ってあげなくちゃいけないんですよ。しかし、そういうことを明確に言うことができず、すべての問題は官僚の皆さん方にするとするならば、あなた方は何のためにバッジをつけているのか、こういう話になってくるわけであります。
 国は、先ほど言ったとおり、大変な状況を迎えているんですよ。拉致問題で、未確認も含めるならば、百人以上とも言われる人たちが拉致されちゃっているんですよ。それを外務省も認めることができない。もし認めてしまえば、それに対してちゃんとした対処を示さなくちゃいけない。何もできない国になってしまっているんでしょう。
 そういうことを含めた上で、いわゆる国の防衛にかかわる情報、こういうものを漏えいする、そういうものがもし今後さらに起こるようなことになるならば防衛庁なんて要らない、こういう話になってくるわけであります。そのことをぜひ、私の真意を理解していただきたいというふうに思うわけであります。
 いずれにいたしましても、機密情報を保護するためには、機密情報の窃取、漏えい等に対する厳しい罰則、あるいはまた、機密情報の管理のための制度、システムを総合的に整備することが不可欠だと私は思います。片山総務大臣あるいはまた赤城副長官、この点についての認識をまず聞かせていただきたい。
赤城副長官 委員から、特に昨日来の、自衛隊、自衛官募集についての御指摘がございました。
 これは私、石破長官を初めトップに当たる者は自衛官の募集に対して深く認識を持たなければならないという御指摘のとおりだと思っております。私も、いろいろ折に触れて自衛官募集のポスターとかパンフレットとか見聞きいたしますし、現場のいろいろな御苦労も聞いております。
 これはもう改めて申すまでもありませんけれども、自衛隊というのは、人間、人が基盤でありますので、いかにいい人材を確保していくのか、そのために大変な苦労が必要でございます。
 昨日来さまざま御指摘いただいておりますが、そういう自衛官を確保していくという努力の中で、ダイレクトメールを送ったり、いろいろな相談あるいは説明会を開いたりというふうなことを、現場がそれなりの、一生懸命努力をしている。そのために必要な情報収集に努めたり、地方公共団体と協力し合ってそれに努めていくというものでございまして、基本的にそういうことは大事だというふうに認識しております。
 一方で、個人の情報でございますから、それが過度にわたってはいけないということで、だれでも閲覧できる四つの情報に限って、その趣旨は徹底しようと、こういうことは昨年来努めておるところでございます。
 また、防衛上の秘密事項は、先ほども申し上げましたように、これは厳密な罰則、それぞれのレベルに応じて一年、五年、十年という罰則を設けて、また、その管理についても厳正に管理するようにということで、この点についても万全を期してまいりたいというふうに考えております。
片山国務大臣 所管外のことでありますけれども、主権国家である以上、自分の国は自分で守るという、こういう気概は要りますね。どこまでどうかというような議論がある、日米安保条約もありますけれども、私は、主権国家である以上、自分の国は自分で守るという気概が必要だと。
 その中心は防衛庁なんですよ。その防衛庁の中でも自衛官なんですね、その衝に当たるのは。そういう意味では、いい自衛官を得る、しっかりした自衛官を得るということは大変な仕事なんですよ、重要な仕事なんです。そういう意味では、今回のことを一つの大きな学習体験にして、しっかりした体制をつくってもらう。
 それから、必要なものだけでいいんですよ、少なくとも募集については。国会でいろいろな議論をされないような、そういう範囲でのしっかりした体制をつくって、国民が信頼できる防衛庁なり自衛隊にぜひなってもらいたい、そういうふうに思っております。
東(祥)委員 赤城副長官、頑張ってください。何のために副長官になっているのか、ただ単にポストを転々としても意味がないんですよ。赤城副長官はそうじゃないと思います。国の防衛、なっていないんですよ、この国は。僕が言うまでもなく。だから、それをどういうふうにつくり上げていったらいいのか。そのために副長官、種々の背景もお持ちだし、またいろいろなDNAも僕はあると思っています。そういう意味におきましてぜひ頑張っていただきたい。
 そこでぜひ、もう一度僕は言いますが、これは提案ですけれども、官房長を初め官僚のトップにいられる方々に現場を視察させるべきですよ。監察官は多分見ているんだろうと思いますよ。しかし、現場の声というのは、ちゃんとダイレクトに多分副長官のところに通じてこないでしょう。つまり、そこには何か問題が起こらない限り何をやっているかわからないんですよ。
 昔、勝海舟が、御案内のとおり、咸臨丸に乗っていって、帰ってきたときに、幕閣からみんな聞かれますよね、アメリカという国はどういう国だったと。勝海舟の一流のアイロニーを込めて、アメリカという国は本当にすごい国だと。トップが一番働いているということですよ。
 まさに本当にトップが働いているのかということです。そして、本当に国家公務員、つまり自衛官を、今片山総務大臣が言われるとおり、いい人材をちゃんと掘り起こしているのか。もしそういう気概があるとするならば、この自衛官の募集に関して真っ先にトップが行くはずですよ。自分が行けなくても、一番自分の信頼する人間に回させるはずですよ。そういうことからやっていかなければ、幾ら装備をきれいにしたってだめだということを一貫して申し上げているんですよ。魂がおかしくなっているんですよ。
 そこからもう一度鍛え直していくために、ぜひ副長官、僕は提案でございますが、副長官みずからというと大変忙しいと思いますが、トップの官僚にまず現場を見てこい、行ってこい、そして事情がどうなっているのかみんな聞いてこい、現場の声を十分聞いてこい、こういうところから始めるべきなんでしょう。そうでない限り、今片山総務大臣が言われた、これを他山の石として、同じ間違いを繰り返さない、必ず繰り返すと思いますよ。
 また、各現場で働いている人たちが、自分たちがやっていることに対してちゃんと責任を持てるように、それを守れる体制をつくっておかなければ防衛事務というのは今後おかしくなってしまうと僕は思います。副長官、いかがですか。
赤城副長官 まさに御指摘のように、私も時間の限り各駐屯地や現場を拝見させていただいておりますし、事務方としても、日々その業務が忙しいということはございますけれども、現場を知るということは大変大事だと、それぞれ努めているというふうに思っております。
 組織というものはおよそすべて上にある者は見られている、その姿、その努力、心がけ、そうしたものが組織全体に伝わっていくんだということを肝に銘じて、それなりの地位にある者が真っ先に先頭に立って頑張っていかなきゃいけない、まさに御指摘のとおりだというふうに考えております。そういう心構えで今後とも努めてまいりたいというふうに考えております。
東(祥)委員 ところで、情報公開法は政府の情報を公開するための法律でありますけれども、何でもかんでも公開してよいはずがないと私は思います。
 そこで、総務大臣、情報公開法では、国の安全にかかわる秘密は公開しなくてもよいことになっているのか、あるいはまた、そうであるとするならばどのような基準になっているのか。基本的なことを教えていただきたい。
片山国務大臣 情報公開法は、今お話しのように、できるだけ情報を公開する、こういうことでありますが、国の安全に関する情報につきましては、第五条の第三号において、公にすることにより国の安全が害されるおそれがあると行政機関の長が認めることにつき相当の理由がある情報が記録されている場合には開示しないと。ちょっと持って回った書き方をしているんですけれども、これは大変、国の安全に関する情報については、高度の政策的判断を伴うという特殊性があることから、行政機関の長の第一次的な判断を尊重する、こういう趣旨の規定なんですよ。だから、いずれ訴訟になっても行政機関の長の判断ができるだけ尊重される、こういうことでこういう持って回った書き方になっております。
 委員も言われますように、我が国には一般的な秘密保護法制はございませんけれども、情報公開法では国の安全に係る情報はこれは守るといいますか保護する、こういう仕組みになっているわけであります。
東(祥)委員 国の安全にかかわる情報は外務省もたくさん持っているわけであります。
 そこで、外務省、きょうは茂木副大臣に来ていただいておりますが、情報公開法の施行以来、国の安全等に関する情報の請求がどのくらいあるのか、そして国の安全等に支障があるとして拒否した件数がどのくらいあるのか。この点を御開示願いたい。
茂木副大臣 平成十三年の四月の情報公開法の施行からきのうまでの段階で、外務省に対する開示請求は三千六百八十八件来ております。そこの中で、今片山大臣の方から説明のありました情報公開法五条三号を適用して、一部しか開示しない部分開示決定もしくは全面的に開示しない不開示決定を行ったものは千八十件ございます。
東(祥)委員 ありがとうございました。
 さて、個人情報保護法にも、本人には情報開示する仕組みがあるわけであります。本人に対する開示だから国の安全保障は関係ないということではないんだろうというふうに私は思います。
 そこで、総務大臣、例えば秘密工作員、これが、日本の政府としてちゃんとしたリストを持っているかどうかはわかりません。しかし、それらしき人間の手先あるいは仲間が、自分の活動を当局が、つまり日本政府がどの程度把握しているか、そういうことを調査するためにこの制度を悪用したらどうするのか。行政機関の個人情報保護法はこんな場合にきちんと対応できるような仕組みになっているのかどうなのか。この点についていかがですか。
片山国務大臣 行政機関の個人情報保護法案も、何人も自分の情報の開示が請求できますけれども、開示することにより国の安全が害されるおそれがあると行政機関の長が認めることにつき相当な理由がある情報については不開示情報とする、それからまた、そういう、今お話しのような秘密工作員あるいはその仲間の情報があるかないか、それを教えることによって国の安全が害されるような場合には、情報があるかないかも拒否できる、それも教えない、こういうことにいたしておるわけであります。
東(祥)委員 そういう人が来たときに、願わくは事前の段階でキャッチできればいいわけでありますが、でも、そこにもまた情報が必要であるわけでありますが、先ほどの防衛庁のお話を聞いている限りにおいては、多分そういう状況には至っていないんだろうというふうに思うわけであります。
 さて、赤城副長官並びに茂木外務副大臣に聞きたいんですが、国の安全を背負う内閣の一員として、あるいは政治家の立場でもよいわけでありますが、国の安全情報の保護、管理のあり方について、考えがあればぜひお聞かせ願いたい。
赤城副長官 大ぐくりにお尋ねになりましたので、どうお答えしていいか難しいところでございますけれども、まさに国の安全にかかわる情報というのは、先ほど申し上げましたように、この扱いいかんによっては我が国の平和と独立に対して大変大きな影響があるということで、防衛庁としても、また国全体としてそうだと思いますけれども、その管理については万全を期すことが大事であるというふうに考えております。
 防衛庁に限って言いますと、先ほど申し上げましたように、防衛秘密、我が国の防衛上特に秘匿を要する事項を防衛秘密に指定をして、それについては重い罰則を科す、こういうふうな法改正も行ったところでございまして、防衛上の秘密というのはしっかりとこれを守っていくということに心がけてまいりたいというふうに考えてございます。
茂木副大臣 情報公開法のもとではどういった形でのコントロールを行うかということでありますけれども、まず、どういう人が請求してきたか、これにつきましては、行政機関としては、請求者本人が開示請求の際に示した名前、住所、連絡先以外の情報は知ることはできない、こういうことになっております。したがって、だれが請求してくるか、それよりも、先ほど申し上げたように、どういう内容の請求であるか、こういうことを中心にしながら、きちんとした管理体制をとっていきたい。
 外務省としましては、外務大臣のガイドラインのもとで、官房を中心としながら、そういった請求に対して、内容を精査いたしまして、これが外交上問題が起こらないか、安全保障上問題が起こらないか、こういう管理のもとでこの情報公開の請求には応じております。
東(祥)委員 国の安全情報の保護、管理ということで、茂木議員個人の考え方といいますか、どうあらねばならないのかということをお聞かせ願いたかったわけでありますが、時間の関係もありますので、次に進めさせていただきたいと思います。
 次に、個人の権利とメディアの関係という視点から、これも、当委員会の議論を聞いていて、私は非常に不可思議だなと思ったものの一つであります。
 前回、先週お話をさせていただいたところにも関連するわけでありますけれども、個人情報の保護というのは国民の一番大事な人権の保護に関することであると言いながら、その保護についてメディアは聖域かということ、個人の人権よりメディアの権利の方が重いのか、そういう議論というのは、僕は、国民が理解して、納得できるはずがない、こういうふうに思うわけであります。
 そこで、細田大臣、個人情報保護法というのは報道の自由と個人情報保護の両立を図っていると言うけれども、本当は個人の権利の方が重いんではないのか、このように僕は思います。メディアは、個人情報を一番大量に使っている、また社会全体にばらまくのだから、その影響も一番甚大であるわけであります。この点についていかがですか。
細田国務大臣 先般来、東議員の御見解は承っておりますし、そういう面も確かにあるわけでございます。
 御指摘のとおり、憲法十三条は、「すべて国民は、個人として尊重される。」と明記しており、また、国民の権利につきましては、公共の福祉に反しない限り、国政の上で最大の尊重を必要とする旨も明記しておるわけでございます。これを踏まえまして、政府案第三条におきまして、個人情報の適正な取り扱いと個人の人格尊重の理念との関係を明確に規定しております。
 しかし、本法案は、個人情報の不適正な取り扱いに起因する個人の権利利益侵害を防止するために、個人情報の適正な取り扱いに関する規律を定めるものであります。この規律を設けるに当たりましては、個人情報の有用性と保護の調和を図ることが重要と考えられまして、このため、有用性の代表例である報道についても表現の自由と個人情報保護の両立を図るものとしたわけでございまして、私といたしましては、今後、やはり一つ一ついろいろなことが起こってきて、その都度判例等、民事、刑事にかかわらず、徐々に積み上がっていって一つの感覚が出てくると思います。
 「宴の後」という判決を契機にプライバシーの権利が認められて、以来三十年くらいにわたって、今やプライバシーの権利に対する最高裁の係争中の訴訟がもう十件近くに及んでいるそうでございますが、そういった権利を徐々に定着させるための歴史的な積み上げが必要であると思いますし、我が国において、まだまだそのような積み上げが足りないような現状ではないかと思料しておるわけでございます。
東(祥)委員 大臣、メディアを適用除外しているわけでありますけれども、そうすると、メディアが個人情報をどんな方法で、何のために使ってもよいということになるんですか。いかがですか。
細田国務大臣 御存じのように、これまで相当数の、内閣委員会での審議も含めまして、この特別委員会での審議でもございまして、国会においてすら両様の議論が行われておるわけでございます。
 報道等の分野におきましては、表現、報道の自由が憲法上も保障されておりまして、個人情報保護法案においてもその自立性が確保されるべきものと認識しておるわけでございます。政府案におきまして、報道等の分野に対しまして、主務大臣による勧告、命令などの関与を伴う法案第四章の個人情報取扱事業者の義務について適用を除外しておるわけでございます。
 したがいまして、報道の問題につきましては、今回の法案の対象としては東議員のお考えとは少しく離れたものではあると思いますけれども、報道に対しては自主的な規律を期待しておるわけでございますし、また、個別の案件においてそれぞれいろいろな国民の批判もあるかもしれません、国民のこれに対する感覚も東議員がおっしゃったような方向に変わっていくかもしれませんし、これは、今後さまざまな積み上げのもとで議論すべきことであろうと思っております。
東(祥)委員 細田大臣、三分しゃべってくれているんですが、僕の質問に答えてくれていないんですよ。メディアが個人情報をどんな方法で、何のために使ってもよいということになるのかということ、これに対して答えてくれと言っているんですよ。そうじゃないんだ、いや、そうなんだ、どっちかしかないじゃないですか。どっちなんですか。
細田国務大臣 報道の分野におきましても、人格尊重の理念のもとに個人情報を慎重に取り扱うべきことに変わりはないのでございまして、適用除外されているがゆえに個人情報をどのような方法、目的で用いてもよいということにはなりません。このような観点から、政府案五十条三項において、個人情報の適正な取り扱いを確保するために必要な措置をみずから講じ、かつ、公表に努めるべきことを明示しているわけでございます。
東(祥)委員 野党提出者にもお聞きさせていただきますが、野党案では、メディアの自主規律を条文に入れていない。メディアは個人情報を適正に取り扱わなくてもよいという意味なんでしょうか。
達増議員 野党案におきましては、報道に限らず、国民の社会的言論行為を適用除外したものでありまして、また個人情報保護法ができるに当たり、国民一人一人が、また報道機関が、それぞれ判断して自主的に努力すればよいのであって、条文にそれを書くのは逆にいかがなものかというふうに考えているところでございます。
 しかし他方で、例えば三条二項のところを見ていただきますと、「思想及び信条、心身の状況、経歴等に関する個人情報であって、一般に公表されることを欲しないとされるもの及び差別の原因となるおそれのある個人情報は、特に慎重な取扱いが図られなければならない。」と規定しております。
 すなわち、いわゆるセンシティブな個人情報に関しては、一般の個人情報よりも特に慎重な取り扱いが求められるべきであるということを、これは報道機関を含めまして、社会一般に示すというような規定ぶりになっておりまして、この点、政府案よりも強い理念を示していると考えているところであります。言いかえますと、報道機関を含め、社会一般がそのような理念を踏まえてもらいたいという趣旨を規定しているところでございます。
東(祥)委員 本日、安倍副長官にもお忙しい中、来ていただいておりまして、安倍副長官に質問する箇所をすっ飛ばしてしまいました。ただ、副長官のことですから、国の安全の問題のみならず、今申し上げているメディアの問題に対しても深い見識があると思います。
 そこで、先週も申し上げてきたんですけれども、メディアはこれまで誤報や個人の奥深い私生活を暴いてきていることに、良識ある国民は、僕はまゆをひそめているというふうに思います。個人に回復しがたい傷をもたらしてきた例は少なくないのではないか。
 先週、種々の例示をさせていただきましたけれども、最近は、メディアスクラムといって、犯罪や不幸な事件、事故に遭った被害者という、一番社会が守ってあげなければいけない人たちの感情、私生活をずたずたに暴いているのではないか、こういうことも懸念されているわけであります。
 メディアが国民に信頼され、その役割を果たすためにも、しっかりと自主規律を行うべきことは最低限必要なことであり、また当然なことだと私は思います。メディアだけを性善説に立って聖域化すること、この個人情報保護法案においてはぽっかりあいちゃっているわけであります。聖域化することは、むしろ健全な民主主義の発展を阻害する。
 今後、メディア自身がメディア批判を増大させることのないよう、万全の自主規律を確立すべきことを指摘しておきたいというふうに僕は思うんですが、この点について、官房副長官の立場として、また一政治家として、どのようにお考えか。
安倍内閣官房副長官 私も東委員と全く同じ考え方でございまして、メディアの報道いかんによっては、個人の人生が破壊され、そして家族そのものが大変な被害をこうむる、また、場合によっては命そのものも奪われるということになりかねないわけであります。
 今回、私どもとしては、メディアに自主規制をということになっているわけでありますが、それはメディアにとっては大変な責任があるということでございまして、それを十分に自覚しながら、個人の権利あるいはプライバシーを侵害することのないように当たってまいりたい、このように思います。
東(祥)委員 副長官、どうもありがとうございました。
 最後に、これも個人情報保護法の議論において、そのまま聞き流せないことについて取り上げていきたいというふうに思うわけでありますが、メディアへの情報提供という問題であります。
 細田大臣、政府案は、メディアに対する情報提供者について、主務大臣の監督下から外す修正をしたということでありますけれども、これはメディアへの密告を奨励するということなんでしょうか。いかがでしょうか。
細田国務大臣 御指摘の点は、政府案の第三十五条の二項だと思っておりますが、この趣旨は、個人情報の提供先が五十条第一項に定める報道機関等である場合は、憲法のもとで保障された表現の自由等に対する公権力の関与を排除するために、主務大臣はその権限を行使しないということにしたものでございます。
 しかしながら、情報提供者である個人情報取扱事業者は、個人情報の適正な取り扱いに関する義務規定が適用され、例えば本人への適切な開示等の義務をみずから講ずる必要があります。
 すなわち、第三十五条第二項の趣旨は、メディア等への情報提供について、義務履行の最終的担保措置としての主務大臣の関与を排除することにあり、みずから適正な取り扱いを実施すべき義務があることは一般の個人情報取扱事業者と何ら変わることはありません。
 したがって、御指摘のように、メディアへの密告を奨励するものではございません。
東(祥)委員 きょうは、内閣府の副大臣であります根本副大臣にも来ていただいておりますが、内閣府では、会社の従業員が告発することを保護する法律を検討しているという報道が以前ありました。検討しているなら、その検討状況を説明してほしいんであります。
根本副大臣 最近、食品の偽装表示の問題あるいは自動車のリコールの問題、消費者の信頼を裏切る企業の不祥事が生じておりますが、実はこれらの不祥事、企業内部の従事者などからの通報を契機として明らかになる、こういった事例が相次いでおります。
 このような状況を踏まえまして、国民生活審議会消費者政策部会におきまして審議を行っておりまして、昨年十二月に中間報告が公表されたところであります。
 中間報告の内容は二点あるわけでありますが、一つは、事業者による法令遵守を確保し、消費者利益の擁護を図るため、公益通報者保護制度を整備することが必要であるというのが第一点、それからもう一点は、制度の具体的内容について早急に検討を進め、必要な法制化を図るべきだ、こういう中間報告が昨年十二月になされました。
 この中間報告を受けまして、国民生活審議会の消費者政策部会の下に、幅広い関係者によって構成しておりますが、公益通報者保護制度検討委員会、これを発足させまして、現在、制度の具体的な検討を行っている、これが現在の状況でございます。
東(祥)委員 根本副大臣、メディアへの密告というのは保護対象として考えていらっしゃいますか。
根本副大臣 実は、そのことを含めまして、公益通報者保護制度はどうあるべきか、これは公益通報者保護制度検討委員会で今審議中であります。公益のために通報を行う従事者を保護する制度の具体的内容についてまさに今議論中でありますので、今委員の御指摘いただいたようなことも含めて、まさに通報先はどこが適当か、あるいは通報者が保護されるためにはどのような要件が必要か、こういった点を含めまして、今、審議会の報告を踏まえて、内閣府としては必要な措置を講じてまいりたいということを考えているところであります。
東(祥)委員 私は、メディアへの密告は、先ほどもちょっと触れましたけれども、本当に社会のためだけに使われるという保証はないんであります。それこそメディア性善説にでも立たない限り説明できないのではないか、このように思います。
 また、情報提供でも告発でも、密告とそうは違わない。密告がさもよいことのように受けとめられ、密告の危険性に対して抵抗感がなくなることに重大な懸念を感じている人間のうちの一人であります。
 これまで密告制度は、独裁国家、全体主義国家を支える最も典型的な基盤であったと思います。密告社会や人民裁判は民主主義国家原理に一番反するものである、このように思っています。三等海佐の問題もしかりでありますけれども、密告が歓迎される社会は病気になりつつある社会である、このようにも思っているわけであります。
 本日、時間が参りましたが、個人情報保護の調査審議で、また、参考人の質疑を通じて参考人の方もおっしゃっておられました、個人情報保護法案そのものをつくり出していくその土壌そのものが、欧米諸国に比べるならば、日本というのは二十年もおくれてしまっていると。
 そういう状況の中で、国家機密法それ自体もないこの国、この個人情報保護法案が、できるだけさらにまた議論を深めて、いい形でもって成立することを僕は祈るわけでありますけれども、そうするともう一方の方はもっとおくれてしまう、そういう国であるということをまず我々自身が深く認識しておく必要があるんではないのか。政治家としてやらなくちゃいけないことはたくさんあると思います。そうでなければ、結局そのツケを支払うのは全部国民であるというふうに思っております。
 これでもって、時間が来ましたので終わります。どうもありがとうございました。
村井委員長 続いて、吉井英勝君。
吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。
 先日の春名議員の質問にかかわって最初に伺っておきたいと思います。
 春名議員の質問で、政府として、今度の個人情報保護法にかかわって個別法が必要と考えている分野があるということで、どういう分野かという質問に対して、現時点ではっきりと検討に着手しているものはとして、医療、金融、電気通信の三分野を挙げて、必要なものは個別法で対応すべきだと、これがこの間の細田大臣の答弁でした。
 確認しておきたいんですが、この政府案六条三項について、この分野は必要な法制上の措置に当たるとして、個別法を政府としてこれから考えていく、こういうことであるというふうに理解しておいていいですね。
細田国務大臣 政府案では、第六条第三項におきまして、「個人情報の性質及び利用方法にかんがみ、個人の権利利益の一層の保護を図るため特にその適正な取扱いの厳格な実施を確保する必要がある個人情報について、保護のための格別の措置が講じられるよう必要な法制上の措置その他の措置を講ずるもの」としております。
 これについては、既に検討に着手している省庁があるということは本委員会の質疑で明らかになっておるところでございます。また、五千人分の情報ということを下回っても国民の権利利益の保護のために必要だというケースもございますし、そういった点も加味しなければなりません。
 また、政府案第七条は、政府が、一体となって個人情報の保護に関する施策を総合的に展開するため、基本方針を定めるべきことを規定しております。その中で、各省庁が講ずべき措置等の考え方、事項などを明確にすることとしております。各省は、この基本方針に沿って、今後とも必要な法制上の措置やガイドラインなどについての検討を進めていく必要があると考えております。
 各府省におきまして、現時点で検討が進められておりますのは、先般も御答弁申し上げた三分野でございます。
吉井委員 前段の答えは六条三項を読み上げていただいたんですが、要するに、これに基づいてまず三分野は検討に着手をしているということで、全省庁でそれぞれに検討するにしても、「必要な法制上の措置」に当たる個別法として、この三分野はまず検討に着手しているわけですから、こういうところから進めていくというふうにまず理解しておいていいんですね。ちょっと重ねて伺っておきます。
細田国務大臣 三分野におきましては、各党の御質問の中でもありましたように、個別の情報漏れが著しくて、かつ、多重債務のデータが流れておるらしいとか、現に流れておるようでございますが、そういった非常に問題の多い案件もあるわけでございまして、そういったものをまずこの基本法で対象にしていこうというのがねらいでございます。
 特に、それだけでは足らず、各個別の分野で必要なものは各担当部局におきまして検討をしているわけで、金融分野につきましては金融審議会等において検討することとしておりますし、医療分野におきましては、先般は看護師等について守秘義務をかけるための法改正が行われたところでございますが、先般厚生労働省からも御答弁があったと思いますが、さらにいろいろな必要性について検討しておられると思います。電気通信分野におきましては、個人情報保護に関するガイドラインを運用するとともに、本年二月から、研究会で必要な措置のあり方について御議論いただいているところでございます。
吉井委員 そこで、金融庁の方の政府参考人に最初に少し伺いますが、金融庁のガイドラインの中身を見ると、かなり現在は簡潔なわけですね。ガイドラインでは、収集の段階では、「収集・登録できる信用情報の範囲」「事前の同意」という簡単な項目です。
 そこで、金融庁に伺うんですが、このガイドラインのもとで信用情報の被害が頻発しているというのは、これは事実なわけですよ。この委員会でもそういう議論がありました。このガイドラインで現在十分だというふうに考えているのかどうか、ここのところを伺っておきます。
西原政府参考人 個人情報保護に関する事務ガイドラインの関係でお尋ねでございました。
 金融機関がその業務の性格上、大量の個人情報を取り扱うということでございますので、金融庁といたしましても、金融機関においてこの個人情報の適切な取り扱いということは、それを確保していくということは大変重要な課題であるというふうに認識をしております。
 今御指摘のありました現行の事務ガイドラインにおきましても、そういった面では個人情報保護の観点から一定程度の手当てをしているものではございますけれども、今回この個人情報保護法が成立しまして関連法令等が整備された際には、改めて、その法令において求められる個人情報を取り扱う事業者が遵守すべき義務、こういったものを踏まえまして、この事務ガイドラインとの整合性を確認、精査の上、規定の整備について検討してまいりたい、このように考えております。
吉井委員 ちょっとそこ、一言だけ重ねて聞いておきますね。
 現状のガイドラインよりも、今よりも充実させる、そういう立場で臨むというふうに理解していいですね、今のお話は。
西原政府参考人 今の点につきましては、この個人情報保護法が今後法令の体系がきちっと整備をされた段階におきまして、その整合性の観点から、改正すべき具体的な事項について検討してまいりたい、そういうふうに考えております。
吉井委員 要するに、一言でいいんですよ。
 現状のガイドラインで不十分なわけですよ。金融分野の信用情報にかかわっていっぱい問題が起こっているんです。ですから、基本法ができた場合、この基本法を受けて、現状のガイドラインを今よりさらに充実させるという立場で臨むんですねと。非常に簡単な質問です。
西原政府参考人 その趣旨を踏まえて対応させていただきます。
吉井委員 それで、信用情報被害が随分問題になってきておりますが、これはこの委員会でも随分出されましたし、実は、私も何度か財務金融委員会の方でも取り上げてまいりました。せんだって、我が党の春名議員の方からも出されましたように、日栄と子会社の問題とか、この間、財務金融委員会では、武富士の問題とか、さくら銀行からUFJに至るまで、あるいは暴力団系を含むやみ金融まで、被害は本当に深刻です。
 なぜブラック情報と称する個人情報が金融業者に流れているのか、なぜ悪用をされるのか。これはみんな怒りを持っているんですよ。どうして金融庁や経済産業省が厳しく対応できないのか。ここに国民は不信や怒りを持っていますよ。ですから、ここにはやはり信用情報を扱う業界の意向が影響しているのではないか、こういう問題があります。
 そこで、金融庁の政府参考人に重ねて伺います。
 二〇〇〇年十一月十五日の金融審の第二部会で、富士銀行の常務執行役員の上杉純雄オブザーバーから発言がありました。これはもう皆さんの方が専門家だから、どういう発言だったかよく御存じのことと思いますが、「個人の信用情報について、個別法をつくる必要があるのではないかという御意見について、金融機関の立場から申しますと、」と。途中、長くなりますから少し省略させてもらいますが、「基本法で十分な保護措置の実効性は担保できるのではないか」「業界の自主ルールを整備していく」ので、「引き続き自主的に個人情報の保護に取り組んでいくという考え方でいくべきではないか。したがって、個人信用情報をくくり出して、特別な法手当てを行うことは、必ずしも必要ではない」という意見なんですね。それから、「法制化委員会などでも、」まあ二〇〇〇年のことですからその段階だったんですが、その辺を踏まえた議論ですが、「例えば、思想や信条などのハイリーなセンシティブ情報についての取り扱いについて議論はされたように承知しておりますけれども、結局、情報のセンシティブ性による区別をつけておられません」、そういうことを挙げて、金融業界の方からは、センシティブ情報の収集やあるいは個別法の制定には否定的な意見表明が出されている。
 これは皆さんの方が専門ですが、私も、この間の金融審での議論を読ませていただいたら、実際には、業界の方からはそういう意見も出ているようですが、この点について少し伺っておきたいと思います。確認しておきます。
藤原政府参考人 お答え申し上げます。
 金融分野におきまして、今後、業態を問わず、個人と金融仲介機関とのかかわりにおきまして個人情報の取り扱いが重要な論点になると考えられることから、これまでも、個人情報の保護に関する法律案に加えた追加的な措置の必要性等について、金融審議会等において御議論いただいてきたところでございます。
 今後も、個人情報保護法案の審議における意見を参考にしつつ、個人信用情報の保護等について何らかの立法措置が必要か否かを含め、金融分野における個人情報の取り扱いについて検討してまいりたいと存じております。
吉井委員 立法化するかどうかを含めという話なんですが、これは業界の方からこういう意見が出てきて、それで、さっき大臣の方は、この三分野の個別法を、もう着手しているんだ、つくっていくんだという方向を示したわけですが、今の、実のところ、原課の方ですね、担当の衝に当たるところは、審議会の方で議論してもらって、つくるかどうか含めて検討だと。しかし、現実には、その審議会では、業界の方は、要するにそういう個別法は要らないと否定的な見解も示し、センシティブ情報の収集などについても否定的な意見表明をしている。
 私、気になりますのは、そういうのを踏まえて、先日、二十二日、春名議員の質問に高市経済産業副大臣ですね、これは会議録に出ているから会議録の部分だけちょっと読み上げておきますと、私、聞いておりましたし、大臣も聞かれたと思うんですが。経済産業省のガイドラインはこの法律案よりはるかに厳しいという印象を私も持ちます、法律案に沿った形でガイドラインは見直しをすることというのと、何が特定の機微な情報に該当するかというところがまずあいまいな点も多く、ここは見直しの必要がございます、本人同意の点についても、法律に基づく一律の措置として運用するには困難と。
 つまり、ガイドラインは、これは旧通産省の時代からの、民間部門における電子計算機処理に係る個人情報の保護に関するガイドラインなどでも、もともと、人種、民族、門地、本籍地、信教、宗教、思想、信条、政治的見解、労働組合への加盟とか保健医療及び性生活の内容を含む個人情報については、類型化したリストを挙げて、これを収集し、利用し、または提供してはならないということを示すなど、実は、旧通産省時代から経済産業省は取り組んできているわけです。しかし、この間の話でいくと、このガイドラインの事実上の引き下げという内容の答弁になっているわけですね。そこから先は、時間が来ましたので、残念ながら、春名議員は細田大臣に聞くことができなかったわけですよ。
 銀行などの金融業界は、個別法について、個人信用情報をくくり出して特別な法手当てを行うことは必ずしも必要でないというのが、さっき紹介しました富士銀行常務執行役員の上杉さんの金融審での意見表明です。こうした意向が影響してか、経済産業省の副大臣は、政府案成立に合わせて今のガイドラインさえ見直しをして、センシティブ情報について類型化して示している収集を規制することも本人同意ということも見直しをするとして、現行のガイドラインを後退させる意向を示していると理解せざるを得ない先日の答弁でした。これでは、政府案成立によって現行ガイドラインは後退するおそれがある。その上、必要な個別法もできないとなると、これはなかなか進まないとなると、政府案はない方がましだということになってくるわけですね。
 政府案を提案しているのは内閣なんですから、内閣として、個人情報保護の立場で、金融信用分野での多数の被害者が出ている現状に立って、個別法はきちんとつくる、そしてガイドラインは後退させない、このことを細田大臣としてはっきり示されるかどうか、ここのところを伺っておきたいと思うんです。
細田国務大臣 現状では、ガイドラインでやっておるところは、必ずしも法的なバックグラウンドがないものもございますね。それでも、社会的に問題があるから、一定の基準で、いわば主務官庁、事業所管官庁対業界団体その他、実際の事業者の間で、常識論で、こういうガイドラインで従っていきましょう、これは社会の要請ですよという、いわば説得的な行政指導でやっておると思います。
 今度は、いやしくも法律上しっかりとした根拠を与えるわけですから、まず、いろいろな措置について、もちろん罰則もありますし、これはちゃんとやるというのが前提でございます。
 しかも、ここで一つの枠組みができましたから、さらに個別に、この間もいろいろな議員から、この業種は問題じゃないか、この名簿配布は問題じゃないかということがございまして、確かにひどいものは散見されますね。これは、委員の、野党の先生方の御質問も両方あるから非常に答えにくいんですが、本当に悪いものはびっしりやる、大して悪くもないし、個人がちょっと使ったぐらいのものまで縛るというものじゃない。これは、やはり行政のあり方として当然なんですね。
 したがって、社会的な問題として、まずこの基本的な枠組みができた、さらに、この法律のバックグラウンドでもう一段深絞りをして、きちっとした体制をとるべきものは法律をつくるというのは、当然のことだと思っております。
 ただ、今まであったガイドラインについてどう思うかというと、いろいろな発言が出てくると思いますが、それは今までのガイドラインが行政指導の基準でやっているだけのことであって、法律ができた以上、そして、各議員の先生方もそこまではやれということになれば、この間もちょっと申し上げましたけれども、立法府の御意見というのが非常にこの辺は大事で、もちろん立法というのは国会がおやりになるわけで、政府としては、議院内閣制でありますから、与党の皆さんからぜひこういう法案をつくれとか、与野党挙げて、こういうことをやれ、規制をしろということであれば当然法律というのはできていくわけでございますから、そういう御議論をいただきたい。
 ところが、この法律ができた、次の法律をつくるつもりがないのかというふうに言われますと、役人の皆さんは、自分たちのそういう権限はむしろないといいますか、これは立法府の権限なものですから、いろいろな言い方をしますけれども、これは我々の責任であり、私は、国会議員としても申し上げますと、国会の責任としてやらなきゃならないことは必ずやりたいというふうに思っております。
    〔委員長退席、松下委員長代理着席〕
吉井委員 行政指導の時代のガイドラインの方がなかなかきっちりしておって、法律ができてしまってからのガイドラインの方がゆるゆるになってしまう、こういうことだったら、法律としては意味がないわけですよね。
 そういう点で、さっきも七条の話をされましたが、あなたは担当大臣ですから、立法時の説明員ということではないわけで、各省庁に任せきりじゃなくて、各省庁の取り組みをやはりきちんと指導監督といいますか、そういう立場で、行政指導時代のガイドラインを見直しと称して緩めるようなことはさせないと。もちろん、法律については冒頭に答弁をもらっていますから、そういう立場できちっと臨むということだけは明確にしておいてもらいたいと思います。
    〔松下委員長代理退席、委員長着席〕
細田国務大臣 当然の御指摘でございまして、与党野党を問わず、各議員の方々、政党の方々にいろいろなお知恵、御提案を賜ってまいりたいと思っております。
吉井委員 いや、その知恵はみんな出し合っているんですけれどもね。要するに、そのガイドラインを、法律ができたからといって低めることはありませんね。このことだけなんです。
細田国務大臣 今までは法的なバックグラウンドがありませんから、何かきついように見えても法的には緩いんですよ、もともと。そういうことも踏まえて、もともとがきつくやっていますよというような話でも必ずしもないので、今度は法律というしんができますから、いろいろな事態に対応することができたわけですから、私は、それが弱まるんだということではないと思っておりますが、その上にさらに主務官庁が今後いろいろな検討を重ねるわけでございますから、当然、問題のあるものについてはより厳しくする点もあると思います。
 ただ、余り厳しくするのはいけないという議論もこの間からあってあれですが、金融とかいろいろな信用情報とか、もう余りにもひどい案件も横行していまして、それを、本当の意味でとらえられないようなものがふえておりますから、これらはしっかりやろうということで、各省とも連携をとってまいりたいと思います。
吉井委員 今の答弁は、要するに、厳しくすることはあっても緩めることはしないということですから、それは当然のことだと思うのですが、なぜこれをくどいように言ってきたかといいますと、信用情報を所管する金融庁の方の、きょうは政府参考人に答えてもらっていますが、もう一つは経済産業省、この間の副大臣の答弁、要するに、両省庁がああいう姿勢では、これは簡単な話じゃないということで言ってきたわけです。ですから、ガイドライン、当然、法律ができたからといって緩めることはないという、その立場で指導をしてもらいたいと思います。
 総務大臣に伺っておきたいと思うのですが、ちょっとお疲れの模様だけれども、よろしゅうおますか。
 電気通信事業における個人情報に関するガイドラインですね、これでセンシティブ情報の収集について類型を示して収集制限をしているということは、これは大臣もよう知ってはるところです、担当のところですから。これも、法律をつくったら、法律に合わせてガイドラインから類型を示したセンシティブ情報収集禁止の部分を削除させるような、そういう後退させるということはありませんね。これだけ確認しておきたいと思います。
村井委員長 松田行政管理局長。(吉井委員「きのうもルールで言っておいて、政府参考人に聞くときは政府参考人を指名するからねと言っておきましたから。私は今は大臣と言っていますから」と呼ぶ)はい、承りました。
 片山総務大臣。
片山国務大臣 かなり前の委員会でもお答えしましたけれども、基本的には我々も今議員が言われたような認識を持っておりまして、とりあえず二月に研究会を発足しまして、そこで議論いたしておりまして、今のガイドラインをどう見直すかということ。ガイドラインというのは、今のガイドライン。それから、法律制定を必要とするかどうか。必ず法律制定をするということを決めたわけじゃないんです。しかし、方向としてはそういう方向で検討を進めてもらおう、こういうふうに考えておりますので、そういう中で、いろいろな点については対応をしっかりしてもらいたいと思っております。
吉井委員 ちょうど大臣お休みのときに、私、細田さんとやりとりしていましたので、ちょっとそこを聞き漏らさはったのかもしれぬけれども。要するに、細田さんとのやりとりで、今あるガイドラインが、政府案が仮に成立した場合、政府の立場としては、法案ができたからといって、ガイドラインで示している内容、例えば電気通信事業における個人情報保護でも、思想、信条、宗教に関する事項とか、人種、門地、身体その他センシティブ情報を類型化してリストを示して、これの収集はしないということを決めておったわけですが、そのガイドラインを後退させることはありませんねと、これだけのことなんです。
片山国務大臣 私、細部を丁寧に見ているわけではありませんが、基本的には、ありません。
吉井委員 それから、もう一つ伺っておきたいのは、地方自治体の個人情報保護条例の中で、センシティブ情報の収集禁止に当たるデータの種類による収集規制というのを設けておる自治体がかなりありますね。これは大臣もよう御存じのとおりで、近年急増しています。総務省が出している個人情報に関する条例の制定状況によると、センシティブ情報について収集規制を設けているのが、九〇年には六十七自治体だったのが、二〇〇一年に千二百五十二自治体、六二・八%、約二十倍にふえたわけですね。このことは、地方自治体においてセンシティブ情報の収集規制の必要性が近年ますます高まってきている、これは流れだと思います。
 個人情報保護法案、行政の個人情報保護法案が成立した場合、現在の地方自治体が施行している個人情報保護条例で類型を示してセンシティブ情報の収集を規制しているこの部分、政府案はないわけですから、これを、国の法律よりも上乗せだとか横出しだとかいって、この部分の条例の規制を削除させるなどということは、これは当然やっちゃならないと思うのですが、この点は総務大臣に伺っておきたいと思います。
片山国務大臣 今言いましたように、六割を超える地方団体の条例の中でセンシティブ情報の規定が入っていますよ。これについては、それぞれの地方団体が十分検討して決めたものですから、これについてどうにかしろなんということは、こちらは言うつもりはありません、地方自治ですから。だから、これからつくるところが今回の個人情報保護法で影響を受けるかどうか。私は、ほとんど受けない、こういうふうに思っておりますが、いずれにせよ、当方が介入をして、こうすべきだなんと言うつもりはありません。
吉井委員 私、実はこれを確認しましたのは、かつて大型店規制の条例、これが国の大店法よりも、これはけしからぬということで、これは上乗せ、横出し基準だ、はみ出している部分は取れということで、随分、国が圧力をかけたわけですね。その結果、現在、全国の地方自治体の商店街というのは惨たんたる状況になったわけですね。ですから、地方が独自に取り組んできたこの問題について、今答弁がありましたように、削除させるなどはやらない、これは当然ですが、これからも、ほかの自治体がやっているようにやっていこうとする独自の取り組みについても、応援することはあっても、これを抑圧するようなことはしないように求めておきたいと思います。
 野党案は、この点では、個人のプライバシーにとって大事なセンシティブ情報の収集禁止ということを、条文を立てて提案しております。このセンシティブな情報を含めて、本人が知らない間に個人情報が不当に収集されたり、しかも、誤った情報によって傷つけられるということから、みずからの尊厳を守る手だてとして自己情報コントロール権をこの法案全体を貫く精神にしているというのが野党案の大きな特徴の一つです。
 そこで、最後に細田大臣に伺っておきますが、政府案を成立させることが、現在の個人情報保護の水準を、それさえ低下させるというものになってはならないのは当然ですし、国でも地方でも民間でもこうした事態が絶対起きないように、担当大臣として、どのような手だてを考え、個人情報保護を実効あるものにしていこうというお考えを持っておられるか、これを最後に伺っておきたいと思います。
細田国務大臣 今既に問題となって、しかも、法律的な対応ができないために野放しに近い状態になっておりますようなものについては、当然、しっかりとやらなきゃいけません。
 ただ、ちょっと念のため申しますが、各与野党の御質問の中にも、角を矯めて牛を殺していいのかと。つまり、個人情報を違法に、違法にと言うと変ですが、勝手に流したり、非常に大変な多重債務の情報とか、特に例示は横路議員がされましたけれども、こういう個人にとっても大変な事態を流している、そういうものをしっかりとつかまえるということと、それから、一般的な、ここで御質問された方が心配されていたように、もうほんのちょっとのことで、何も個人情報を侵したことでないのに法の対象となって、それがどんどん規制強化につながるようなことはすべきでないという御意見もあわせて伺っておりますので、それはやはり本来の常識論に従いながら、縮めて言えば、悪いものには徹底的にきつく、それから、悪くないものについてはできるだけ、経済活動の範囲内でどうぞ御自由におやりください、こういう考え方で取り組まなきゃいけないということはありますので、そのことを念のため申し上げた上で、本来保護すべきものはきっちりと縛っていく、こういうことを御認識願いたいと思います。
吉井委員 これで最後にしますが、行政としての利便性という発想ではやはりこれはだめなわけで、一人一人の個人の基本的人権、主権者の個人的人権の尊重、そのために、センシティブ情報の収集の禁止であるとか、あるいは自己情報コントロール権というプライバシーの中心をなすものについて法律全体をぴっちり貫いたものにしていかなきゃいけない、そのことを申し上げまして、時間が参りましたので、質問を終わります。
村井委員長 続いて、北川れん子君。
北川委員 社民党・市民連合の北川れん子です。
 きょうは、昨日から問題になっています防衛庁の適齢者名簿情報、その問題と行政の個人情報保護法の方を絡めて質問させていただきたいと思います。
 きのう、宇田川局長のお話などを聞いていますと、依頼された自治体が自主的にいろいろな情報を提供していたというような御答弁があったわけですが、自衛隊法の、法律と施行令で縛りがあって行っていたことであるにもかかわらず、自治体間によって提供の仕方に格差があった、そういう問題が判明してきまして、自治体によっていろいろと対応が違っていたということがわかりましたが、自治体間で提供する情報の内容が異なるというのはどうして起こってきたのでしょうか。
赤城副長官 そもそも、自衛官の募集に関しては地方連絡部が行っておりますけれども、その事務の一部については、自衛隊法の九十七条、また施行令の百二十条に基づきまして、法定受託事務として地方公共団体が行っております。
 したがいまして、地方公共団体が募集活動に必要というふうに認められるものについて資料を収集するということになりますし、また施行令百二十条の趣旨を踏まえまして、防衛庁が情報の提供の依頼を行っておる中でその情報をいただいているということでございます。
 基本的には、地方公共団体の法定受託事務として募集の事務を行う、それについて必要と思う情報について収集をしている、それについて防衛庁が提供を依頼して提供を受けるということでございますので、それぞれの地方公共団体に応じて、それぞれの地域の特性に応じて、情報の収集の範囲が違っていたということではないかと思います。
 いずれにしましても、これは必要最小限の情報をいただければいいわけでございますので、四情報、名前、生年月日、住所、性別というものに限るということで、昨年の十一月に、担当者会議にその旨を連絡、通知いたしまして、その趣旨は今後しっかりと徹底をしてまいりたいというふうに考えてございます。
北川委員 それは、行政の対応が、受けとめ方が違っていたのか、それとも、防衛庁の依頼の仕方にさまざまなものがあったのか、それはどちらなんでしょうか。
赤城副長官 情報の提供について依頼をするということで、自衛隊法の施行令百二十条の趣旨を踏まえて、昭和四十一年に、防衛庁の人事局長から募集事務の主管部長に文書をあてております。また、平成十二年、防衛庁の人事教育局長から都道府県の事務主管部長にそれを改めました文書をあてて、提供の依頼を行っておりますけれども、この文書、それぞれの提供の依頼においては、具体的に、これこれこういう項目について情報を上げてこい、こういうふうな依頼をしておるわけではございませんで、正確な文章上の表現は、ちょっと手元に今見当たりませんけれども、募集に必要な情報ということで概括的にこの提供をお願いしているということでございまして、統一的に、これこれこういう項目について上げなさいという形にはなってございません。
北川委員 防衛庁の方も統一のものはなかったということで、きのうは石川県の手引というものが出されたんですが、きょう、長野県の方の自衛官の募集事務の手引といったものもあります。
 それを見させていただきますと、市町村が絡んでいくのは採用予定通知、ですから、本籍調査とか志願者名簿の記録までが市町村の業務として挟み込まれていっているわけなんですけれども、これはやはり、防衛庁の所管の地連によって依頼の仕方が違っていたということになるのではないかと思うんですが、その辺、いかがでしょうか。
宇田川政府参考人 ただいま副長官の方から御答弁申し上げましたが、平成十二年四月一日、防衛庁の人事教育局長から都道府県募集事務主管部長殿という文書がございます。「地方公共団体による自衛官の組織募集の推進について」という文書でありますが、この中で各市町村にお願いしていますのは、自衛隊地方連絡部に対する適齢者情報の提供ということになっておりまして、この適齢者情報の提供については、それぞれの実情に応じまして対応してきたというふうに承知しているところであります。
北川委員 それは、具体的な施行令ではなくて、三十七年間の積み上げ、慣例、慣習がそうさせてきたというのでしょうか。どちらなんでしょうか。具体的なものが各地連によって違いがあるということをお認めになったというふうに受け取ってよろしいんでしょうか。
宇田川政府参考人 委員御指摘のように、今御説明申し上げました自衛隊地方連絡部に対する適齢者情報の提供、この適齢者情報につきまして、それぞれの地連の方で統一的な解釈をしていなかったということでございます。
北川委員 ということは、自治体の方は依頼の意向を受けて真摯に情報をあわせて提供したということになると思うんです。そうしますと、法令の所掌事務の遂行のために必要な範囲と利用目的を明確にしておけばと、そちらはそちら側で政府側はおっしゃるんですが、八八年法が現在はありまして、保有の制限というのは明確にされているわけですよね。ということになりますと、住基の四情報以外の個人情報が提供されるということにはならないのではないかというふうに思うんですけれども、その辺は、防衛庁は依頼する側の無理があるのではないですか。
赤城副長官 お答えいたします。
 この情報提供をいただいているのは、自衛隊法の九十七条、またそれを受けた施行令の百二十条に基づいてこの依頼を行っていたわけでございまして、住民基本台帳法の規定に基づくということではございません。したがって、これまでは、施行令百二十条の趣旨を踏まえ、その募集に関する情報をいただくということで、そこら辺は地域の事情に応じてそれぞれ違いがあったというふうに思いますけれども、具体的に法律上の限定ではございませんでした。
 例えば、父兄とか保護者とかあるいは郵便番号とか、募集の便宜のためにそういうのが必要だというふうに判断されて、そういう情報が上がっていたんだ、こういうように思いますが、今後は四情報、要するに住民基本台帳法の十一条に基づいて、何人でも閲覧できるという情報、必要最小限に限ろう、こういうことで、昨年の十一月に担当者会議でそれを連絡いたしまして、またその趣旨を徹底するということで、昨日、石破長官からも答弁申し上げました。そのことについては、通達をもってきちっと末端まで周知徹底するようにしてまいりたいというふうに考えております。
北川委員 今のは同じ答弁の繰り返しなんですけれども、依頼の仕方にはさまざまなものがあったというふうにお認めになりました。住基台帳法では閲覧ということが明記してあるだけでありまして、抽出や提供ということができるというふうにはなっていない。厳格に地方自治体にはそういう条例の縛りがあるということを申し伝えておきたいと思うんです。
 委員長、先ほど今野議員に対して、現在時点でわかっている三百三十二市町村、これは四情報以外の情報が今の段階でくっついていたという市町村なんですが、先ほどの政府答弁では、その市町村名を出すことははばかる、国会に対して出すことができないというような御答弁があったんですが、委員長、この三百三十二の市町村自身がどういうふうな依頼を防衛庁から受けていたのかというのが明確にわからないことには、私たち、この場で審議がしようがないというのが今の答弁でもわかったと思うんです。今現在わかっている三百三十二市町村名ですが、それを提出するように求めていただきたいんですが、いかがでしょうか。
村井委員長 申し上げます。
 三百三十二の市町村名の開示につきましては、先ほど理事会で協議をさせていただく旨、私はとりあえずお預かりを今野委員の質問に関連してしたところでございます。
北川委員 私は、その点に関しましては、三百三十二の市町村がどこであったのか、市民が自分のところなのかそうじゃないのか厳格に調べるということがまずできなければ、どのような依頼の違いがあったのかという精査もできないということになり、それを審議する、まとまった国会の審議の内容にも十分さを欠くと思いますので、三百三十二、情報公開制度で引けば出せると言っているわけですから、国会に出さないというような御答弁はあり得ないと思うんですけれども、いかがですか。
山中政府参考人 先ほどの今野委員の御質問、やりとりの中でもお答えをいたしましたが、情報公開制度の趣旨もございます。他方、その市町村の方の御了解をいただくということもございます。今も委員からそういう御要請がございました。そういうことを勘案いたしまして、私どもの方でしかるべく取り扱いたいというふうに申し上げたところでございます。
北川委員 先ほど八八年法の四条の問題をお伝えしましたが、四条がかかるのは、自治体のみならず防衛庁にもかかるわけですよね、この四条の目的の厳格さ。特定をしなければいけないということは防衛庁にもかかっていると思うんです。
 そこで、きのうもお伺いして、不確かな点があったんですが、昨年何度も、四情報に限定した、三十六年間やってきたことを変えたというふうに言われたわけですが、その所掌事務に必要な個人情報の範囲を変更したのか。変更したということと受けとめてよろしいんでしょうか。もし変更をしたならば、この四情報を、募集事務、きのうもお話ししました、きょうも長野県の例を引きながら、採用の通知までが募集事務に入るということも御紹介しているわけですけれども、もし変更したならば、何を変更したのかもお伝えいただきたいと思うんです。
松田政府参考人 現行電算機個人情報保護法、行政機関の電算機個人情報保護法の御指摘でございましたので、私の方から御説明申し上げますと、現行の電算機個人情報保護法の対象にいたしておりますのは、あくまで行政機関、国の機関でありますので、地方自治体が行っている個人情報の収集業務については対象にならないわけでございます。かつ、この国の行政機関が行う個人情報の収集業務につきましても、個人情報を電算ファイル化する場合に規制の対象になるわけでありまして、あくまでそういう前提で現行法は規制がかかっているわけでございます。
 今、ちなみに、本事案の関係で申し上げますと、地方公共団体から適齢者名簿の提供を受けて、一部の地連でそれを電算ファイル化されておったという御報告がきのうはございましたが、その報告の内容は、先ほど申し上げました四情報のほか、世帯主ですとか、あるいは父兄ですとか、あるいは保護者ですとか、対象が中学生、卒業者等々でございますから、そういう方々もそのファイル化の内容になっておったようでございますけれども、基本的には、規制の内容でございます利用の目的の関係で、具体的、個別的に特定するということであるわけでありますが、一概に不必要なものということにはなってないのではないかと考えております。
北川委員 やはり総務省が防衛庁の弁解をしているようにしか聞こえなくて、私は、防衛庁に所掌事務に必要な個人情報の範囲を変更したんですかとお伺いしているわけですから、別に松田局長に答えていただきたいと言ったわけではないんですけれども。
赤城副長官 お答えいたします。
 住民基本台帳法上何人も閲覧できる四情報に限定をする、こういうふうに昨年の十一月に担当会議で通達、通知し、それを周知徹底を図る。この趣旨は、募集に係る事務上、必要最小限でいいだろうと。ですから、これまでは、父兄、保護者名とか、あるいは郵便番号とか、あるいは電話とか、そういうものがあれば便利だと、それぞれの判断があって、そういう情報について提供していたということはあります。
 これは、それ自体は自衛隊法の九十七条、また施行令百二十条に基づいて、募集に関し必要な情報ということで提供いただいていたものでありまして、法律上その点の問題はないというふうに考えておりますが、あくまで個人の情報でございますから、その募集に関して、例えばダイレクトメールを送るとか、連絡をとる上で必要最小限であることが望ましいだろうということで、その必要最小限というのは、何人も閲覧できる四情報に限るのが適切ではないかということで、昨年の十一月にそのようなことで連絡をしたということでございまして、法律上あるいは施行令上の必要な情報の範囲ということについては特に変更はない、法律上の文言についてはそれは変わりはないということでございます。あくまで、実態、運用上、必要最小限に限ってこの運用を今後図っていくということでございます。
北川委員 今の御答弁では、範囲を変更したものではないということなんですけれども、そうすると、一体この利用目的は何なんだというのがまたわからなくなるわけですよね。
 だから、あるいは健康情報、あるいは職業、きょうの新聞報道では、あるいは無職。無職を抽出して依頼していたというのも出ていましたよね、新聞報道では。言葉で言われるときに、今ダイレクトメールというのを言われたんですけれども、募集事務というのは、きのうもお話ししましたけれども、志願手続等に関する事務まで。ですから、それがもう少し走って、この長野の例のように、採用通知、本籍を調べることまでが自治体の仕事に、依頼になっていた。
 先ほどダイレクトメールを殊さら強調されているわけですけれども、明確に何も範囲は変更しなかったということなんですけれども、この広報宣伝、不特定ですね。その中で、不特定だったら割に合わないので、いわゆる十八歳から二十四歳という年齢抽出の、それも男性のようでありますけれども、もしくは不特定プラスこの範囲という事務に利用目的を適齢者名簿はしたんだというふうに、きょうの段階で、範囲は変えないんだ、募集事務なんだと言われると、同じ問題が繰り返し起こると思うんですよね。今の御答弁では、範囲は変えていないと言われたら、また同じ問題が起こるんですねと言わざるを得ないんですけれども、その辺はいかがでしょうか。
赤城副長官 これは、要するに、どんな情報でもとれるかということであれば、そうではありませんで、あくまで法律上、自衛官の募集に関する事務の一部を地方公共団体が行うとなっておりますし、施行令上も、自衛官の募集に関し必要があると認めるときは、必要な報告、資料の提出を求めることができるということになっておりますから、この情報の提供をいただくのは、あくまで募集目的、募集に関して必要があるというふうな限定がかかっているわけであります。
 その具体的な中身はどうかということになりますと、これは法律や政令で具体的にこれこれこうこうという限定があるわけではございませんで、ただ、運用上、募集に関し必要最小限、個人の情報でありますから必要最小限であることが望ましい、あるいは必要であるということで、その四情報に限定をした。今後、そういうふうに運用していくということでございます。
北川委員 限定は、表立った限定はそこにしたけれども利用範囲は変えないということでは、この問題性が何ら解決をされていないということになると思いますし、今回の実態、三十七年間の積み上げが何であったかは、やはり真摯に審議をして、十分な情報の中で国会が審議をする必要があるということを申し伝えたいと思うんです。
 結局、目的外利用とか外部提供する、そのとき、今最小限というお言葉を使われたんですが、よく言われているのが、「相当な理由」や「特別の理由」という客観的な合理性の判断について、これはできないんじゃないかというふうに思うんですよね。
 行政機関法の運用では、行政法の従来のものの運用では、所掌事務の遂行のために必要な範囲の個人情報かどうかはどういうふうに判断をされてきたのか、利用目的はどの程度明確にすればいいというふうに思っていらっしゃるのか。野党案の方はその辺を明確に定義をさせていただいたんですけれども、必要な個人情報の範囲や利用目的はどのような形で明確にされているのか、お答えをいただきたいと思います。
松田政府参考人 お答え申し上げます。
 行政機関法案の方でございますが、行政機関が個人情報を保有するに当たりましては、「利用の目的をできる限り特定しなければならない。」というふうにさせていただいているところであります。もちろん、その前提として「法令の定める所掌事務を遂行するため必要な場合に限り、」ということであるわけでありますが。「できる限り」というのは、利用目的を単に抽象的、一般的に特定すればいいということではございませんで、まさに可能な限り具体的、個別的に特定していくことが必要である、そういう趣旨で書かさせていただいているところでございます。
 それに基づきまして、その後の利用とかあるいは目的外の提供とかいうような議論になっていくわけでございますが、それは、先般来御説明申し上げておりますように、法令の定める事務に使う、本人や第三者の権利利益を侵害しない、それから、だれもが認めるような相当の関連性がある、そういう限定のもとで厳しく制限をし、なおかつ、その取り扱いについて不服がございます場合に、事後でございますけれども、第三者機関の情報公開・個人情報保護審査会で客観的、公平に調査審議がなされるということでございまして、そのような仕組みによって担保されるものと考えております。
北川委員 ということなんですが、防衛庁、ということになりますと、募集事務という目的はもう既に崩れている。募集事務と言葉で聞くと、ただパンフレットを発送するぐらいというふうに思うんだけれども、三十七年間はそうではなかったわけですね。今の総務省の見解を聞かれて、この募集事務という言葉ではなくて、明確に、四情報を何に使うのかというのを改めて防衛庁にお伺いしたいと思うんですけれども。
赤城副長官 これは、先ほど来答弁申し上げていますように、そもそも、地方自治体から情報をいただいているというのは、募集に関し必要があると認められるときは、そういう報告、資料の提出を求めることができるという根拠に基づいて資料の提供をいただいているわけでございまして、当然のこととして、募集目的以外には使用しない、自衛官の募集に関する事務のみに限定するということで、このいただいた適齢者情報については、適切に保管をし、募集担当者以外が閲覧しないように、そういう適切な管理に努めているところであります。
北川委員 内実は何も変えないということだろうと思うんですが。
 では、総務省にお伺いしたいんですが、そもそも論になると思うんですが、住民基本台帳法では、先ほど言いましたように、住基四情報というのは閲覧ができるとなっています。適齢者名簿では、自治体がこの住基情報を閲覧ではなく写しをとって提供している、渡していた、それも自衛隊からの依頼の内容に沿った名簿を渡していたということがわかったわけですが、この閲覧の中にコピーまで含むというふうに総務省は見解をお出しになったと認めてよろしいんでしょうか。
松田政府参考人 所管外の話でございますが、お聞きしておりますところ、住民基本台帳法のお話のように御指摘がございましたが、今の適齢者情報の提供という行為につきましては、これは自衛隊法に基づく情報提供ということであるというふうに承知いたしております。
北川委員 松田局長、すりかえられたと思うんですけれども、コピーをしてお渡しになっているわけですよね。一々口頭で、閲覧したのを口で言ったわけじゃなくて、紙に書いてお渡しになった。コピーをしたわけですよね。
片山国務大臣 住基法は閲覧と写しの交付なんですが、住基法じゃないんですよ、渡しているのは、自衛隊法と施行令に基づいてやるので。それは、写しているのかコピーをやったのかわかりません。どっちでも、どういう形でなきゃいかぬということは法律は決めているわけじゃない。だから、いずれにせよ、内閣総理大臣に施行令上はなっておりますけれども、地連から求められて市町村がそれを出している、こういう話であります。
北川委員 しかしながら、自治体によってはこの申し入れを拒否している自治体もあるということで、住基法の読み方というのは自治体独自の自主判断だろうと思うんです。
 この問題、大阪の情報公開条例で、一九九五年二月、最高裁まで行って争われた問題でもあるんですね、写しの交付というもの。それで、閲覧の中には写しの交付までは含まれていないと判断を下されています。ですから、これは当時の自治省が主張して、最高裁がこういうことを認めて言っているわけですから、この判例によると、日本では閲覧の中には写しの交付は含まれないもの、それも自治省みずからが申し出になって、裁判の方で九五年、判決が出ているというふうになっているんです。
 今のは、自衛隊法からなんだというお話なんですけれども、でも、依頼されて出す側は、コピーの写し、これは閲覧の中に写しの交付までは入っていないんだと自治省の方みずからが争われて言われているわけですから、矛盾するんじゃないでしょうかね。
片山国務大臣 全然矛盾しないんですよ。住基法で、何人も四情報について知りたければ閲覧するので。閲覧というのは、閲覧ですから、閲して覧する、資料を見るわけですからね。それから、写しの交付というのがまた別にあるんですよ。写しの交付は、何らかで写したものを交付する、こういうことなんですが、今回のこれは住基法の手続じゃないんですよ。
 何度も言いますけれども、自衛隊法と施行令に基づく手続なので、しかも、その事務は市町村の事務になっているんです、法定受託事務で。だから、市町村が求められたら、どういう形かわかりませんが、それを出している。四情報が中心ですけれども、保護者とか父兄だとか、何か少しは附帯的なものがついているというお話ですけれども、それを出しているわけで、閲覧か写しの交付かという議論をする実益はないんです。住民基本台帳法の手続じゃないんだから。自衛隊法及び施行令に基づく手続なんですから。
北川委員 ですから、冒頭に、自治体によってさまざまじゃないですかと。自治体の判断というのはさまざまであるわけで、皆さんは、自分のところの情報公開制度の中で、閲覧の中に写しの交付は入っていないということを強固に主張されて、それが最高裁で認められているわけですよ。そういうことじゃないですか。
 それで、今のお話を聞いていると、これは住基法の問題ではないんだからいいんだという話というのは、全体的に、個人情報保護法というのは、従来の八八年法からすべてにかかっていたということも含めて、今の御答弁は本当にあり得ないと思いますけれども。
 きのうは、長野は一〇〇%応じていたということも報道されたんですが、しかしながら、長野の個人情報保護条例、長野の条例でも、行政機関法と同様に、相当な理由や特別な理由がある場合は、結局ここですり抜けになって、ファイル簿に登載しなくてもいいとかというふうになっていくわけです。相当な理由、特別な理由がある場合は目的外利用や外部提供を認める規定になっているのを、知事がこれは見直していこうという意向を出したというふうにも言われているわけなんですけれども、自治体の方も、これから以降対応をどうしようかと考えているというふうに伝えられてもいます。
 前回、松田局長は、目的外利用や外部提供が公表される場合、一定の規模のものは、逆に言うと、されないんだというふうに言われました。その一定の規模の一定とは、一体、具体的に何を指すのか、教えてください。
松田政府参考人 お答え申し上げます。
 総務大臣への事前通知及びその後の個人情報ファイル簿の公表という制度によりまして、法の統一的な運用ですとか、あるいは透明性の確保を図ってまいるわけでありますが、その際、一定のものにつきましては事前通知の対象外にいたしておる。例えば、国の安全ですとか、あるいは犯罪捜査ですとか、そういう非常に高度な、機微に触れるような、そういう内容のものにつきましては、総務大臣の事前調整の余地がないということで例外としているわけでありますが、そのほかのものにつきましては、非常に軽微なものでありまして、国民の権利利益の侵害の度合いが少ないということで対象外にしているわけでございます。
 例えば一年未満で消去されてしまうようなものにつきましては、仮にそれが個人情報ファイル簿に載ったとしましても、その後開示請求とかそういう手続が行われるまでの間に消去されてしまうというようなものもございますし、それからいろいろな資料の送付リスト等々、そういうようなものは、まさに本人も開示請求をしたくなるような、そういうものでは全くございませんし、そういうものがございまして、それを例外にさせていただいているわけであります。
村井委員長 北川君、時間になっておりますが。
北川委員 済みません、わかっています。
 しかしながら、松田局長、その規模を教えてくださいと言ったわけですから。今、名簿の話をしてきているわけですよね。防衛庁リストのときも問題になったわけですよ。なぜ公表できないのか。その規模、リストの規模の問題、何件以下ですか。
松田政府参考人 その中には、一定の規模以下ということで、政令で定めることにいたしておりまして、国会の御審議等の状況を踏まえまして、政令の制定段階で考えていきたいと思っております。
北川委員 従来のは千件だというふうに言われて、防衛庁リストのときは公表しなくていいんだ、そういう問題も噴出したわけなんですよね。答弁がすごくすりかえられていっているわけです。
 今回の問題は、調査結果というのも不十分であり、国会に出さなければいけない資料さえも出そうとしない政府の姿勢がわかったわけですから、この問題の議論はこれで終わるということではないということを申し伝えて、私の質疑は終わらせていただきます。
村井委員長 次に、中村哲治君。
中村(哲)委員 民主党・無所属クラブの中村哲治でございます。
 私に与えていただいた時間は六十分であります。おおよそ前半の部分に対しましては、細田担当大臣を中心に個人信用情報の問題について伺います。そして、後半の部分につきましては、昨日の議事録を中心にいたしまして質問を行います。
 その際、通告していたのとは順番が逆になりまして、細野委員の質問に対する答弁に対して改めて再質問をさせていただくというのが初めでして、次に私が昨日した質問に対する続きをさせていただく、その順番でさせていただこうと思っておりますので、担当大臣、副大臣の方は御準備をよろしくお願いいたします。
 それでは、細田大臣に、個人信用情報についての質問をさせていただきます。
 私の立場をまず委員の皆様にお知らせいたしますと、私は、個人信用情報については個別法が必要だと考えております。そのことについて、今回の基本法の法律案の条文に沿って、皆さんにできるだけ理解していただきやすいように具体的に質問させていただこうと考えております。
 まず、細田大臣にお聞きいたします。
 四月二十二日の平岡秀夫委員の質問に対しまして、細田大臣は、第三者提供の問題に関しまして、二十三条四項三号の規定に関しまして、このようにお答えになっております。「政府案の第二十三条四項三号では、グループを通じて総合的なサービスを提供する場合など、特定の会社が取得した個人情報を本人への便益提供や企業の事業活動の適正化のために一定の契約関係のもとに特定の他者との間で相互に利用することが極めて有益であることから、一定の要件を満たす場合に個人情報の共同利用を認めるものであります。」このようにお答えになっております。
 つまり、この二十三条四項三号の規定というのは、余りこの委員会でも議論されていないんですけれども、グループ会社、グループ企業によれば、広範に個人情報が目的外使用されてしまう危険性がある、その条文なんです。
 ここにも書いてあります。ここの四項三号には、四つの要素が定めてあります。一つは「個人データの項目」、二つ目は「共同して利用する者の範囲」、三つ目は「利用する者の利用目的」、四つ目は「当該個人データの管理について責任を有する者の氏名又は名称」、この四つです。つまり、個人データの項目、範囲、利用目的、責任者の名前についてホームページなどで「本人が容易に知り得る状態に置いているとき」という場合においては、グループ企業のほかのところにデータを回せることになってしまうんですよ。
 まず、この条文の解釈について、細田大臣、これでよろしいですね。
細田国務大臣 先般御答弁申し上げた内容はそのままで結構でございますが、解釈論ですね。しかしながら、若干追加して申し上げますと、法案二十三条四項第三号に定める「利用する者の利用目的」は、共同利用に参加する個別の個人情報取扱事業者の利用目的であることから、これを変更する場合には法の第十五条の二項が適用されまして、「変更前の利用目的と相当の関連性を有すると合理的に認められる範囲を超えて行ってはならない。」ということになるわけでございます。
 したがいまして、中村議員御指摘のように、与信の目的のために集めた個人情報を物品販売の勧誘など相当の関連性を有すると合理的に認められる範囲を超えて利用することは許されない、このような場合には改めて本人の同意が必要となる、こう解釈しております。
中村(哲)委員 まだ私、その部分はお聞きしていなかったんですけれども、今おっしゃったところを確認させていただきますと、個人情報、個人の信用情報を集めてデータベースをつくっていた、しかし、そのデータベースを、例えば物品の会社に横流しして使わせるということはできないと考えてよろしいですね。
 例えば、こういうケースが考えられます。住宅ローンを組んでいます。そういった与信の情報は銀行に集まります。そういった情報で、あと何年たったら返済かわかるんですよね。そうすると、そろそろ建てかえの時期なんじゃないかと、その名簿をグループの住宅会社に流す。もちろん、法定の手続はやっておくんですよ、ホームーページで知らせたりしておく、そういうことはしておくんですよ。そして、住宅会社の方から、その名簿を使って、ダイレクトメールを住宅ローンを借りている人に流す。
 こんなことはできない、本人の同意を逐一とらなければできない、ここは四項三号の規定があるけれどもできない、そのように考えてよろしいですね。
細田国務大臣 今委員が御指摘になったような場合は、二十三条一項で第三者提供の原則禁止ということになりますので、本人の同意が必要でございます。
中村(哲)委員 それでは、四項三号の規定というのは、具体的に、例えばどういうケースがこれは考えられるんでしょうか。これは、信用情報以外の部分でも結構なんですけれども、この四項三号の規定というのは、この委員会ではほとんど議論されていませんから具体的にお聞きしたいんですけれども、これはどういう場合に使うんでしょうか。もちろん、四月二十二日の細田大臣の議事録が手元にある上で聞いておるんですが、具体的にはどういうケースが考えられるでしょうか。
細田国務大臣 グループによる共同利用といたしましては、金融機関の間で延滞や貸し倒れ等の情報を交換する場合、観光旅行業などグループ企業で総合的なサービスを提供する場合などでございます。
 ただし、共同利用者の範囲、利用する情報の種類、利用目的、情報管理の責任者の名称等について、あらかじめ本人に通知し、または本人が容易に知り得る状態に置かなければならないわけでございます。
中村(哲)委員 細田大臣、つまり、これは、四項の三号というのは、五項との合わせわざで拡大していくんですね。利用目的の変更について、ホームページで記載しておけばできるということになっていますけれども、今おっしゃったように、金融機関同士が与信のために使う場合とか、旅行会社が、旅行業をやっている会社同士が旅行を勧誘する場合とか、そうしたら、目的の範囲内では一致していないといけないというところでよろしいですね。
 きょうは、政府参考人、指定していませんので、大臣で答えていただくということになっております。
細田国務大臣 おっしゃるとおりでございまして、そのとおりでございます。
中村(哲)委員 はっきり言っていただいたので、これは非常にすばらしい答弁だったと思います。
 さて、信用情報についての確認もさせていただきたいんです。
 信用情報においては、ある程度、もちろん、与信のときに情報を共有していかないといけないわけです。信用情報センターなどをつくって、与信業者がお互いに情報を共有していく、そういうシステムがありませんと、安全、簡便に与信をすることはできない、そういった状況に置かれるわけでございます。
 そして、懸念されることは、二十三条五項におきまして、利用目的等、また責任者の名称についての変更のときには知らせる、本人の個別の同意のかわりに、あらかじめ通知し、または本人が容易に知り得る状態、つまり、ホームページに載せているような状態で足りるんですけれども、例えば範囲の拡大については、同じ目的であれば許されるのかどうか、二十三条一項の原則に戻るのかどうか、そこは非常に議論を先にしないといけないところだと思うんです。
 つまり、具体的に申しますと、あるA社という会社に私が消費者金融でお金を借りていたとします。しかし、そのときには、そこのA社に対する同意書には、この情報機関には構いませんけれども、ほかのところはなかったと。新しくB社に借りに行ったときに、そのときには、新しい会員さんが入っていたような場合、前のデータというものに関して利用する場合には、改めて私の同意が要るのかどうか。
 目的の範囲が同じであれば、範囲というものを変更するときには改めて同意が必要になってくるのかどうか。ここは非常に重要な問題なんですが、いかがでしょうか。
細田国務大臣 まず、利用目的の方を厳格に適用すれば共同して利用する者の範囲は自然と規定されるのだから、二十三条五項は、むしろ利用者の範囲、管理責任者の名前を規定する方が適切ではないかということにつきましては、本法案の考え方は、利用目的の変更については、第十五条第二項におきまして、「変更前の利用目的と相当の関連性を有すると合理的に認められる範囲を超えて行ってはならない。」とする一方、目的外利用の最も典型例である第三者提供につきましては、第二十三条一項で原則禁止としているところでございます。この考え方から、共同して利用する者の範囲の変更は、新たな第三者提供と同じことでありますので、第二十三条五項において、変更の場合の規定を置かず、本人の同意を必要としております。
 また、後段の、共同利用者全体を一人の事業者とみなすためには、個人情報の本人にとりまして共同利用の範囲の外延が明確である必要があることから、同条第五項においては、共同して利用する者の範囲を変更することは認めておりません。
 個別具体のケースについて申しますと、同条第一項の規定の適用も含め二通りの可能性がありますが、御指摘の、信用情報機関の間で新たな提携をする場合等につきましては、共同して利用する者の範囲の変更に当たることから、いずれにせよ、改めて本人の同意が必要でございます。一方、信用情報機関において加盟会員をふやす場合には、あらかじめ明確にされている共同利用者の範囲内で会員をふやしている限りは、改めて本人の同意をとる必要はございません。
中村(哲)委員 つまり、信用情報センターの方が新しく会員を募集する場合に、貸金業規制法の対象になるような貸金業者ということで範囲を決めておけば、会員が一社ふえた二社ふえたとしても、その一社ふえ二社ふえのことに関しては同意は必要ないということでよろしいですか。
細田国務大臣 そのとおりでございます。
中村(哲)委員 それでは、信用情報センター同士の提携の場合においても、ある程度の範囲内の提携を前提としているような同意書であれば、それは改めての同意は必要ないということでしょうか。
細田国務大臣 今、例えば信用情報機関というのが、クレジットカード関係、あるいは金融、銀行業務関係、それから消費者金融関係というふうに、大きな三つのグループがありますね。そういったところでは、基本的には、新たな提携をする場合については、共同して利用する者の範囲の変更に当たるのではないか。そこで一つの歯どめがあるというふうに考えております。ただ、いろいろな対応が、あらかじめの同意とか、そういう対応が現実にはいろいろあるようでございます。
中村(哲)委員 さらなる議論はまたの機会にさせていただこうと思います。
 次の質問は、今はどちらかというとユーザーにとって不利益な話かもしれない内容でしたが、もう一つの例、こういう例があります。十六条の一項の反対解釈によると、こういうことがあるのではないかと思います。
 十六条の一項はこのように書いております。「個人情報取扱事業者は、あらかじめ本人の同意を得ないで、前条の規定により特定された利用目的の達成に必要な範囲を超えて、個人情報を取り扱ってはならない。」と書いております。逆に言うと、本人の同意があれば利用目的の範囲を超えて使ってもいいのかということなんです。
 つまり、信用情報の場合に、このような使い方が考えられます。例えば、私が新しい会社に就職する場合、その会社から信用情報センターでシロだという情報をちゃんととってきてと言われた場合に、就職したいですから、そう会社から言われた場合に、それでまた同意がありますよね、情報センターにしてみたら本人の同意がありますから出さざるを得ないですし、そして、私は就職したいから持っていかざるを得ないですよね。これは、もともとこの信用情報センターが持っている社会的機能なり与信の適切な管理という意味からすると、社会的には認めちゃいけない目的外使用だと思うんですよ。
 実際、運用でこういったことを防ぐための手段をとられている信用情報センターもいらっしゃいます。こういった意味での目的外使用というのは、この法案ではどのように担保されているのか、禁止はどのように担保されているんでしょうか。
細田国務大臣 今、中村議員がおっしゃったような現象といいますか、そういうことは実際にも最近例が出ておるようでございますね。これは、本来望ましいのかどうかという点はあると思います。法の解釈としては、利用目的が極端に離れているわけでございまして、大変違和感を感じるところでございます。つまり、雇用とか人事考課とか、そっちの関係をこれで使うという意味でございますから。
 しかし、新たな目的を示して個人情報を取得し直すか、同意を得てそのまま転用するかは、当事者間双方にとっての選択の問題でありまして、民間部門は双方の合意による社会でもありまして、同意を尊重した制度にも一定の合理性はあると考えられますが、しかし、これが弊害が本当にないかという点は、実社会においてはいろいろ起こりますね。逆に、いろいろな状況が今度は不利に働くということもございますし、無理やりそういうものを持ってこさせるということも問題がある場合もあると思いますね。
 したがって、これは金融分野の非常に大きな課題の一つとして、この法案の審議状況にもよりますが、引き続き金融審議会等におきまして、金融分野における個人情報の取り扱いについて、こういう問題をさらに深掘りして検討していただかなきゃならない問題の一つではないかと思っております。
中村(哲)委員 委員の皆さん、お聞きになったとおり、こういった問題に関しては、この法律は直接には対応できていないんですよ。だから個別法が必要だという議論になってくるということの例が一つここの例としてあるということをお感じになられたと思います。
 また、個別的な法律が必要だというときに、今も吉井委員の質問にもありましたように、今のガイドラインの状況であっても、また今回の法律ができても、不正流出に関しては具体的な手段がないんです。例えば、貸金業者を装って、または貸金業者になって信用情報機関から情報をとって横流しするようなケース、こういったケースに関して、ガイドラインも、またこの法案も無力なんです。不正流出に対する直接的な罰則とかペナルティーが定められていませんので、私は、この法案をつくっただけではなかなか力を持たないのではないか、実効性を持たないのではないかと感じているんです。
 細田大臣にお伺いいたします。悪意の第三者について、この法案で対応できるんでしょうか。
細田国務大臣 基本的には、委員御指摘のような漏えい事件、盗用事件の発生を防止するために、安全管理措置や従業者の監督など、個人情報を適切に保護するための措置を事業者に義務づけておると思っております。
 また、個人情報の取り扱いにおいて、社会問題化した場合は、実態に即しまして、主務大臣が報告の徴収、助言、勧告、命令を行うことになっておりますので、適切に運用すれば、実効性の面では確保できる仕組みはできておるわけでございますが、世の中、日進月歩で、いろいろな事態が発生するということの可能性は、今、議員がおっしゃるとおりでございますので、現実の問題として、そういう手当てが必要だぞ、これはつまり一般法でございますから、金融の世界ではもっとすごいことが起こっていて、さらに、これは非常にセンシティブな情報でもあるので、個別法上の手当ても必要であるということであれば、これは十分また検討していかなきゃならない一つの課題であるということは、よく認識しておるつもりでございます。
中村(哲)委員 非常に積極的な答弁をいただいたと思っております。
 委員の皆さんに具体的にイメージしていただきたいのは、やみ金業者の問題があります。やみ金業者がだれに貸すのか、どういったことをするのかといったときに、名簿があったら非常にいいわけですよね。そして、先ほど大臣がおっしゃったような、適切な運営で、適切なやり方をするというのは、善意の人たちの集まりの場合では有効なんです。しかし、もともと、この信用情報制度というものを不正に利用しようとしている悪意の人たちに対しては、今の制度は現実的には力を持たない、また、基本法では対応できないということが、今、明らかになりました。
 では、次の質問に参ります。
 信用情報においては、二十三条二項のいわゆるオプトアウト権というのはそぐわないのではないかというふうに私は印象を持っております。これは、民主党の私が言うのに対しては疑問に思われる方がいらっしゃるかもしれませんけれども、信用情報において、一々、この会社から借りているということを横に流さないでくれということをその都度言えるとしたら、これは信用システム自体が成り立ちません。そうすると、借りてきたときに、すべて、自分の親戚縁者、また資金状況、ローンの残高、それも全部一々申告して借りないといけない。そうすると、簡易に少額のお金を借りるという手続はできないことになってしまいますので、やはりこの二十三条二項ということに関しては、オプトアウト権というものを認めているというのは、少し信用情報にはそぐわないと考えているんですが、細田大臣、いかがお考えでしょうか。
細田国務大臣 そこまでいきますと、実際は、金融庁の専門家にもお聞きいただきたいと思いますし、私自身の考えで申し上げるにはちょっと、行き過ぎがあってはいけないと思います。
 今は、与党案、野党案に限らず、その辺は、あいまい、かつ現実に一〇〇%対応するかどうかという点については、さらに検討することが必要な場面もあると思いますが、特にこれは、一般の分野にあることよりは、金融の分野に特有の問題がありますし、それから、今や個人の金融状況、資産、債務の状況というものが極めてセンシティブな、私は、センシティブ情報という言葉ができたときに、最初は、去年は怒られましたけれども、あらゆる情報の中でこの金融情報というのは実は一番センシティブなんだということを申し上げたぐらい大事な分野でございますので、これはやはり専門家の中できっちりとしたことを決める必要があると思います。
 ただ、この法律は、もともと無意味なものを決めているんじゃないかということじゃなくて、今までないわけですから、基本的な考え方で、一応対応できる仕組みは入れた。ただ、特殊な、金融的な分野としては、まだもっと深掘りしなきゃならないという御趣旨には賛成でございます。
中村(哲)委員 金融分野においては深掘りをしないといけないという大臣の答弁、非常に心強く思います。
 だとすれば、大臣、やはり具体的には、従来の通達や今のガイドラインや自主規制でやっていたことが、本法案によっては緩くならない、ハードルが維持されるような、そういった仕組みにすべき必要があると私は思うんですよ。平岡委員も懸念されていたことなんですけれども、今法案が出てきたことによって、今ガイドラインがここまでやっているのががくっと下がってこうなる、個別法ができた途端にまた同じレベルまで後日引き上げられる、そういうことになると、またころころと実務を変えないといけないことになってしまいます。
 そういったことを考えると、やはりこのような個別法が必要だと言われている分野、例えば、私が今回申している個人信用情報や医療や情報通信の分野においては、施行時期をずらすとか、そういった、附則で対応するなどの規定を設ける、または何らかのそれにかわる手段が必要なのではないかと考えるんですが、いかがでしょうか。
細田国務大臣 政府としては、当初案をお示しして以来、二年が経過しております。その間にもどんどんどんどん実態が進んだ分野があるわけでございます。他方、役所も、各官庁において、行政指導という、明確な法律的根拠はないけれども、経過的な混乱を防ごうと思っていろいろな知恵を出してきておるということがありますが、やはり根っこのこの法律をできるだけ早く決めまして、それでは、次の問題はこうじゃないか、法律にもこういうことが書いてあるぞという、IT社会における基本の法律でございますので、これに基づいてできるだけ早く次の手を打つということが最も適当なのではないかと思います。
 それから、先ほど吉井議員にもお答えしたんですが、先生方の御質問の中には、両面あるんですね。これだけIT化が進んで、利便性を増して、そして営業活動も余り阻害されない、まじめに普通にやっている人が変に阻害されないような法律にしろ、こういう御心配も受けて反対している人もいますよね。そういう前向きのことについては、よほどの問題が起こらない限りは、何でも主務大臣だ、介入だ、権限だという必要はないわけでございますから、本当に問題のところはこの法律によって実行すると同時に、深掘りが必要なものは深掘りする、やはり問題点に焦点を当てながら今後問題を拾っていく、そういう考え方でございまして、何でもかんでも規制をかけたらいい、何でもかんでも緩やかならいいということはとれないのではないか。
 その一環として、ぜひとも、建設的な御意見でございますので、関係各省も考えていく必要がある。しかし、また延ばすとまた延びますので、むしろ、タイムリミットじゃないんですが、できるだけ早期にやれという信号として、もし法律が成立しますと、国会の御意思でもあるわけですから、それは大事な行政庁への圧力にもなると思っております。
中村(哲)委員 大臣、ちょっと整理したいんですけれども、ガイドラインで今ここまで高いレベルでやっている、しかし、個別法ができるまでは基本法に下げないといけないのか、それとも、個別法でやるのかどうかと決めるところまでは今のガイドラインは当面維持しないといけないというふうに考えるのか、そこはどのように整理したらよろしいでしょうか。
細田国務大臣 ガイドラインというものが、多くは法的拘束力を持っておりませんので、一見厳しそうに見えても、実行上は単なる姿勢で、行政庁の責任逃れに使われているかもしれません、こんなことを言うとあれですが。実行上の効果というのは、ガイドラインというのはそういうものだと思います。
 したがって、ここで法律的にきっちりとした規定を設けたわけでございますから、やはり実効性のあるきっちりした監督体制をとってもらう必要がある、そのことが一番大事でございますので、余り形の上で、今までは厳しくやっていたじゃないかと、実はそうでもないところもありますので、その点の配慮が必要ですが、実際の運用も甘くなる、この法律をもって甘くするというのはおかしいと思っております。
中村(哲)委員 伊藤副大臣、また高市副大臣も、今の大臣の答弁をお聞きになって、新法が成立したとしても、ガイドラインは緩くしない、また、個別法制定も視野に入れてガイドラインの維持も考えていくということを確認させていただきたいんですけれども、それぞれ一言ずつだけお願いいたします。
伊藤副大臣 お答えをさせていただきたいと思います。
 緩くするということはございませんで、現行の事務ガイドラインにおいても、個人情報保護法の観点から一定程度の手当てを講じているところでございます。
 また、現行のガイドラインにおいては、個人情報保護法が成立した際には、当該法律の規則に各銀行が服することになる旨も確約的に規定されているところでございまして、今後、個人情報保護法が成立をし、関連の法令が整備された際に、事務ガイドラインとの整合性を確認、精査の上、規定の整備について検討してまいりたいと考えております。
高市副大臣 経済産業省のガイドライン、かなり厳しい内容になっております。特定の、それぞれの業界におきまして既に使っていただいているガイドラインを必ずしも全部緩めていただかなきゃいけない必要はございませんが、ただ、今回の法律案との整合性について、数点見直すべき事項がありますので、そこは見直させていただきたいと思っております。
中村(哲)委員 決して緩くしないという御答弁をいただいたということで、この質問は終わらせていただきます。副大臣お二人、結構ですので退席してください。
 それでは、ここからはかなり厳しい質問になるかと思いますけれども、質問をさせていただきたいと思います。通告の順番ではありませんが、通告はきちんとしてありますので御答弁をよろしくお願いいたします。
 私は、昨日の細野委員の質問に対する答弁に対する質問をいたします。
 昨日の細野委員の質問の中で、このような質問がありました。いわゆる電子ファイルの事前通知の問題であります。一年内規定の問題であります。
 自治体から電子ファイルで提供を受けていたのが、五十のうち十七ですか。残り三十三はもらっていなかった。しかし、タックシールにするときに、すべて、保有個人情報、電子ファイルですね、それを、住所をタックシール化するときに、電子ファイルに打ち直すわけですよ。その電子ファイルが総務大臣に通知しないでいいファイルなのかどうかということについて、現行の行政機関の保有する電子計算機処理に係る個人情報の保護に関する法律、いわゆる電子計算機行政機関個人情報保護法と言われるものなんでしょうけれども、そこの六条の規定のところに当たります。第六条の二項三号の人事情報に当たるのか、それとも六号の一年以内に消去するものなのか、ここが論点になっていました。
 そして、細野議員がかなり突っ込んでお聞きになっていたんですけれども、一年内に破棄するという内規はあるんですかと、このように議事録に載っておりまして、お聞きになっております。それについて山中政府参考人は、このようにおっしゃっています。「申しわけございません。私の記憶では、訓令か通知があったかと思いますが、確認をして当委員会の時間の中でお答えをさせていただきたいと思います。」ということでお答えになっておりますが、結局出てきたのが昨日の晩になってからでございまして、その中の通知、または防衛庁文書管理規則、私いただいて拝見しました。しかし、これによっても、具体的な、細野さんがおっしゃっていた一年内に廃棄をするという内規はあるんですかということの答えはないわけですよ。
 つまり、「防衛庁の保有する電子計算機処理に係る個人情報の安全確保等に関する訓令の実施について(通知)」の中の第二の七には「個人情報を含む行政文書については、その保存期間を明示し、保存期間満了後速やかに廃棄するものとする。」と書いてありまして、それを受けまして、この保存期間を定めたものとして、防衛庁文書管理規則の別表を示されております。その別表の中の一番最後のところに、「その他の行政文書 一年未満」のところにはこのように書かれています。幾つかあります中で、三つあるうちの一番最後、「一年以上の保存を要しないもの」。つまり、一年内に破棄をするということの内部規定があるのかと聞いたときに、「一年以上の保存を要しないもの」としか書いていない部分を根拠にしているんですよ。本来、これがあって、さらにこれに当たるものはこうこうこういうふうにして廃棄をしないといけない、そういうところまで決めないといけないんですよ。
 細野さんがせっかく聞いて、資料まで、それも約束に反して時間内じゃない晩に出してきて、根拠になっていないんですよ。どう説明をつけるんですか。防衛庁長官、答弁をお願いいたします。
赤城副長官 行政文書の保存期間についての取り組みでありますけれども、行政文書の管理については、情報公開法の第三十七条に基づき、各行政機関の長が行政文書の管理に関する定めを設けているということで、御指摘のように、防衛庁の文書管理規則を制定して、別表におきまして、それぞれの区分においてその保存期間や該当する行政文書の類型例を示して、その保存期間基準を規定しておるわけでありまして、その「一年以上の保存を要しないもの」につきましても、その保存期間が来ましたらそれを廃棄するということとされております。
 具体的には、廃棄の方法として、不開示情報が記載されているものについては、当該不開示情報が漏えいしないよう細心の注意を持って廃棄することとなっております。特に秘密文書の廃棄については、焼却、粉砕、裁断等、確実に処分をするということで、その保存期間が過ぎたものについては、それらの方法をとって確実に廃棄をするという取り扱いをしております。
中村(哲)委員 それは読んだらわかりますよ。私が聞いているのは、一年内に廃棄をするという指示文書がないということですよ。
 わからないようですから、具体的に申します。
 各自治体から防衛庁は、DMを送るための個人情報、四情報でもいいですよ、四情報を初めとした情報を集めてきているわけです。そして、それから案内を出すために、一度そのリストをコンピューターの中に入れてファイル化するわけです。そのファイルが一年内のものであれば、総務大臣に対する事前通知が要らないわけです。だからこそ、そのファイルが一年内に廃棄するものであるかどうかというのは作成時点でわかっていないといけないわけです。
 自治体から得たその情報をタックシールで送るときにつくるファイル、これを一年内に消去するという規定はどこにあるんですか。その資料はあるんですか。もともと消す予定になっていたんですか。そこをお聞きしたいんです。
赤城副長官 ちょっと私の方が誤解しておったようで申しわけございませんが、昨日の調査報告にも書いてございますように、地方公共団体からの情報の提供につきましては、文書または口頭によって提供を受けておりまして、電子情報によって提供を受けているものではございません。
 実際の扱い方なんですが、そういう募集に関する情報提供をいただきまして、基本的にはその四つ、名前とか住所とか、そういうものをいただきます。募集の適齢になった方々に、基本的に、ダイレクトメールとかそういうものを送る、こういうことに使いますので、具体的にその地区地区によってやり方は違うかと思いますけれども、あて名をワープロで打つ、そのときに記録媒体に保存されたとしても、ダイレクトメールを送れば必要なくなりますから、それはすぐ廃棄される。そういう意味で、実際上一年以上の保管を要しない。要するに、ダイレクトメールを送ればもうそれで用済みになるということで、廃棄されるというものでございます。
 一方、文書の場合は、これはまた別ですから、文書によって別途保存されるということはありますけれども、基本的に、電子情報としては一年以上保存を要するというものではない、実際にもそういうような扱いはされていないということでございます。
中村(哲)委員 少し整理しましょう。
 自治体からの情報提供が何年かに一遍、何年か分をまとめてもらうケースは恐らくあるんだと思います。しかし、その当該年度においてタックシール化するのは一年分に限っておったという御主張だと思うんですね。
 つまり、何年かに一遍文書でとっていたケースもある、しかし、少なくとも、電子ファイルでもらっていたケースにおいては一年分しかもらっていなかった、そういうふうに考えてよろしいですね。
赤城副長官 地方公共団体からの情報の提供でございますが、昨日の「自衛官の募集のための適齢者情報の収集について」という文書の中にもはっきり明示してございますが、地方公共団体からの「適齢者情報はすべて紙媒体または口頭で提供されており、電子情報として受け取ったものはない。」ということでございます。地方公共団体から受け取ったものは、すべて紙媒体または口頭でございます。
 では、その紙媒体で受け取ったものはどうなのかとか、そういうことはございますが、これは行政機関電算処理個人情報保護法とはまた別物でございますので、この行政機関電算処理個人情報保護法上の一年の保存期間がどうかということにつきましては、各地方連絡部、防衛庁において電子情報として作成したものがどうなのか、こういうことになります。
 そこで、紙媒体で住所とかそういうものをいただきました、それをダイレクトメールであて名を書いて発送しますというときに、その当該年齢に達した方に対して送るわけですから、そこでフロッピーなりになったとしても、それはダイレクトメールを送ればそれで用済みになりますということで、一年以上の保存は要しないものでございます。
 紙媒体につきましては、これはまた別物でございまして、それぞれの管理規則上、一定の保存期間というものがある。これも、保存期間が過ぎれば廃棄されるということでございます。
中村(哲)委員 確認なんですが、今回の行政機関個人情報保護法ができれば、その取り扱い方は変わると思ってよろしいですね。――委員長、早く答えさせてください。
赤城副長官 失礼しました。
 今回の改正によりまして、電子情報だけでなく、紙情報もその対象になるということでございます。電子情報だけでなく、紙情報も通知の対象になるということでございます。
中村(哲)委員 つまり、今までのように何年かに一遍紙でもらっていたものを、今後は事前通知の対象になるということでよろしいですね。
赤城副長官 失礼しました。ちょっと勘違いしておりまして、紙媒体のもの、紙情報も保護の対象にはなりますが、御指摘の総務大臣に対する通知の対象としては、新しい法律によっては変わりませんので、電子情報のみが今後も通知の対象になるということでございます。
中村(哲)委員 その答弁はまた後日問題になるかもしれませんが、もう一点の確認をいたします。
 一年内に消去する文書に電子ファイルが当たる、つまり、タックシールを打ち出すためにパソコンに入力したファイルですね。それをすぐ廃棄するようにという指示はきちんとされているんですか。きのういただいた文書においては、そこまでの資料はなかったんです。具体的にどのような指示が各地方連絡部にされているんでしょうか。
赤城副長官 先ほどの御質問については、行政電算機処理の電子ファイルについての扱いは変わらないということでございます。
 それから、いただいた情報、またそれをダイレクトメールで送るに当たってフロッピーなりに入れたということがありましても、実際の扱い上、これは、ダイレクトメールを発送すればそれで用は済んだわけでございますから、文書管理規則上、一年以上保存する必要がないものということで、その規則の趣旨にのっとって、必要のないものについては、用済み後直ちに廃棄をする、こういうことで扱っております。
中村(哲)委員 それは、信じる者は救われるという考え方ですよ。一年内に廃棄するものというふうに判断しているかどうかというのは証明できないじゃないですか、具体的な指示がないんだから。去年つくったファイルがことしも存在していないということを証明する証拠を見せてください。
赤城副長官 これは、およそ行政機関内のあらゆる文書がそうだと思いますけれども、それぞれ保存期間を定めて、保存期間が過ぎたらそれを廃棄するということで、どの官庁でもきちっと扱っていると思いますが、御指摘のこの適齢者情報については、特に事務連絡で、ダイレクトメールなどの発送のために使った場合でも、厳正に管理して、保存期間は一年未満とするということで、関係規則をきちんと遵守しろというふうな事務連絡もし、厳正に扱っておりまして、遺漏のないように取り扱っているということでございます。
中村(哲)委員 今の答弁を誠実に私なりに解釈しても、疑問は残るんですよ。それなら、なぜ今おっしゃったことを証明する資料を昨日私たちに提出いただけなかったんですか。
 つまり、タックシールをつくるための文書というものの保存期間は、この通知の七番によると、保存期間を明示しないといけないわけですよね。つくった文書の期間は一年内とするというような、明示する規定が行政内部にだってあるはずなんですよ、ちゃんと法の規定や通知に基づいて行政をしようとするならば。
 しかし、その資料が提出されていないことに問題があるんですよ。だから、それは今、副長官の答弁を私は信じるしかないわけですよ。それを示す資料を出してくれと。それは、少なくとも昨日の晩に細野委員に届いていないといけなかった。ここは非常に重要なところなんですよ。適切な文書管理、情報管理、個人情報の管理が防衛庁の中でなされていたのかどうか、そこを確認する非常に重要なポイントなんです。今まで私たちは適正に運用していますから信じてくださいと。それはだめですよ。だから、証拠を出してください、資料を出してくださいと言ってきたんじゃないですか。こんなんじゃ質問になりませんよ。きのうからずっとやってきた議論がここで吹っ飛んでしまいますよ。私は納得できません。
赤城副長官 これは、行政機関、官庁の中での業務の行われ方を考えていただければ大体御理解いただけるんではないかと思うんですけれども、ありとあらゆる文書があって、その重要度、軽重に応じて、保存期間何年何年と決まっています。保存期間何年とされている文書は、まとめてファイルに入れて、保存期間が来たらそれはもう廃棄します、こういう扱いをしております。
 御指摘の適齢者情報というのは、文書で来たものについて、あるいは文書で保存されているものについては、そういうふうに保存期間が来れば処理します、廃棄します、こういうことです。
 フロッピーとか電子情報になっているものというのは一体どういうふうに実際はなっているかといいますと、まさにダイレクトメールを発送する、当該学年、年齢に達した方々に、ぜひ入隊してくださいとか、そういう案内を出すわけでございますから、基本的には、文書を見ながら住所、氏名を打ち込んでいって、あて名を印字して、その過程でフロッピーの中に入ったとしても、これはもう、そのとき限りで、後は必要ないものだ。ですから、日々、いろいろな行政文書が出てきても、そのときそのとき、もう要らなくなったらすぐ廃棄されるという意味で、一年以上保管の必要のない文書というふうな規則上の扱いになっています。
 そのことについては、きちっと規則に従って、また、用済み後は直ちに廃棄しなさいということを事務連絡もし、周知徹底をして、そのように扱っているということでございますから、実際の業務上あて名を書いて、それはその年齢の人にしか意味のないものですし、あて名を打てばもうそれで用がなくなるという性質のものでありますから、用のなくなったものはすぐに廃棄をする、そのことは、きちっとやりなさいということを、事務連絡を徹底してやっている、そういうことから御理解をいただきたいと思います。
中村(哲)委員 その事務連絡を徹底しているという仕組みを教えていただきたいんですよ。
 事務連絡を徹底しているというときには、何らかの文書は、行政でやるときにあるわけでしょう。すべての文書においては、口頭で、このファイルについてはやりなさい、こういう一般的なものですよね。各自治体から地方連絡部が受け取って、そしてつくる文書ですよね、電子ファイルですよね。その扱いについて、紙で書かれたものが何もないというはずはないんですよ。だから、そういうものがあるのかないのか、そこだけでも答えていただけませんか。
赤城副長官 これは、今の、きちんと保存期間とか廃棄を遵守しなさいということについては、住民基本台帳等の対応についての事務連絡をしまして、その中で、ダイレクトメールなどの発送のためにやむを得ず保存するときは、厳正に管理するとともに、保存期間は一年未満とすること、電子化した場合は、地連部長等を保護管理者として、保有目的、記載項目、担当者等を記載した個人情報ファイル管理簿を作成するとともに、関係規則を遵守することということで……。
 失礼しました。ここですね、当該部分は。
 あて名ラベル印刷のために電算機へ入力する場合を除き電子化はしないこと、あて名ラベル印刷のために電算機へ入力した場合についても、用済み後は保存せず破棄することということで、これは事務連絡の文書ですけれども、あて名ラベルを印刷のために入力しても、用済み後は保存せずに破棄しなさい、こういうことで連絡を徹底しているところであります。
 今後、委員の御趣旨を踏まえまして、この廃棄のルールについてはきちんとしてまいりたいというふうに考えてございます。
中村(哲)委員 委員長も理解していただいたと思うんですけれども、そういった、最終的には証拠になるような文書があるんですよね。そういう文書があると今おっしゃっていましたから。しかし、それだったら、きのう出しておいていただければ、きょう、こんな議論をする必要はなかったわけです。
 次の質問に移ります。
 私がきのうした質問でございます。午後に、大臣から、不思議なことに追加の答弁がありました。
 私は昨日どのような質問をしたかと申しますと、自衛隊法九十七条の二項で、警察に防衛庁は求人のために協力を求めることができると書いてあるけれども、その協力というのはどういうものがありますかということで、そのときの御答弁は、協力というのは住所地を確認するものですと。その理由は何ですか。数が多いからですという答弁でした。私は公安上の理由じゃないですかと聞いたんですが、それは違いますという御答弁でした。
 しかし、昼に出てきたというかおっしゃった答弁に関しましては、これは、「防衛庁といたしまして、隊員の採用に当たりましては、志願票に記載された事項の確認、自衛隊法第三十八条第一項に規定する欠格事由の有無、その他、隊員として真にふさわしいかどうかに関するものなどについて、必要な調査を行っているものでございます。」こうおっしゃっているんですよ。
 そして、自衛隊法の三十八条の一項を見ると、一号は「成年被後見人又は被保佐人」、二号は「禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又は執行を受けることがなくなるまでの者」、三号「法令の規定による懲戒免職の処分を受け、当該処分の日から二年を経過しない者」。この一、二、三号は警察とは関係ないんですよ。四号なんですよ。「日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを主張する政党その他の団体を結成し、又はこれに加入した者」、これの判断のために警察の協力が必要なんじゃないですか。そのためにどういうふうな協力を求めているんですか。改めて長官にお聞きいたします。
赤城副長官 これは、昨日の委員会で、防衛庁としまして、隊員の採用に当たりましては、志願票に記載された事項の確認、自衛隊法第三十八条第一項に規定する欠格事由の有無、その他隊員として真にふさわしいかどうかに関するものなどについて必要な調査を行っている、こういうふうに答弁を申し上げました。
 これは、防衛庁として、三十八条一項に欠格事由というのがあるわけでございますから、あるいは隊員としてふさわしいかどうかということをその採用に当たって調査をするということは当然あるものと、これは御理解いただけると思います。
 一方、自衛隊法第九十七条第二項で、募集に関する事務の一部については、警察庁に対し必要に応じ協力依頼を行う、こういうことになってございます。
 この協力内容、具体的な内容につきましては、きょう、別の委員の御質問に対してお答えいたしましたけれども、具体的にこれこれこういう内容について照会をしているとか、あるいは情報を得ているとか、そういうことを明らかにすることは、これは自衛官の採用業務の適正な執行についても、あるいは警察庁との信頼関係という面でも非常に問題がありますので、具体的にこれこれどうだということについては、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。
中村(哲)委員 時間が参りましたのでこれで終わりますけれども、委員長、聞いて御存じのとおり、昨日の私の午前の質問の答弁と今の答弁と全く内容が違うんですよ。これは非常に問題ですよ。午後に長官が御答弁なさったから、それを確認するために私は今回も聞いたんですけれども、午前と午後と全く違うし、きのうときょうと全く違うんですよ。これは非常に問題です。
 このことを最後に申し上げまして、私の質問を終わります。
村井委員長 次に、吉井英勝君。
吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。
 先ほどの質問に引き続いて質問いたします。
 昨日の春名委員の質問で七尾市の例を挙げましたけれども、文書は紙で来た情報だから、電算個人情報保護法に言う総務省への個人情報ファイルの通知義務には該当しないというお話でした。この文書で来たものが電算処理されたかどうかとか、そこらについては照会中で、きのうの段階では、まだきちんとしたお答えはありませんでした。
 そこで、防衛庁長官に聞く前に政府参考人の方に伺っておきますが、地連の方で文書のまま保存していたのか、この適齢者名簿の文書をもとに電算処理したファイルになっていたのか、その辺などについて調べられたのかどうか、調べられたのなら、そのことを伺っておきたいと思います。
宇田川政府参考人 地連の方で地方公共団体から提供いただきました情報につきましては、紙媒体あるいは口頭でいただいております。それを実際に使う場合にはどうしますかというと、大体一年分が必要でありますので、その紙媒体からあて名ラベル用に電子ファイルにしまして打ち出します。打ち出しますと、ほとんどもう必要ありませんので、それを廃棄しているというのが現状でございます。
吉井委員 私たちは、七尾市に改めてまた問い合わせをしているんですが。そうすると、ペーパー、紙で市から地連へ行く。地連の方からは、封筒にあて名シールを張りつけて、封をして市へ持ち込むわけですね。それで、市の方が投函する。妙なことをするなと思ったら、これもやはり募集事務への協力ですか、そういうことでそういうことをやるようなんですね。今おっしゃったような仕組みで、要するに、文書で来ても電算処理して、そしてあて名シールとして打ち出して使うわけですね。
 それで、昨日も紹介しておりますように、七尾市あての、自衛隊の石川地連の七尾出張所からの文書によると、これはもともと一九九九年の十月二十九日に最初に出して、それから適齢者名簿を送ってもらったんだが、その名簿の資料の期限が切れておりますと、つきましては、更新のため下記のとおり適齢者名簿の御提供をお願いしますというのが、昨年の十月十日、つまり三年後なんですね。つまり、三年たったら更新しなきゃいけないということになっているんですね。
 提供内容はといったら、本人の氏名、保護者名、住所。対象者はということで、昭和六十二年四月二日生まれから六十三年四月一日までの中学三年生、十五歳とか、二つ目に十四歳、三つ目に十三歳と。だから、十三歳の適齢者名簿を紙で送ってもらっても、それを電算化して持っているんだけれども、更新しなきゃいけないのは三年目。こういうことで、改めて出してください、こういうことで来ているわけですね。
 そうすると、電算処理したものは一年未満で廃棄だ、廃棄しないものは総務大臣に通知だ、これが法律だという、これはこれまでからのお話でずっと来ているわけですが、そうすると、電磁情報を三年保管していたという場合、これは総務大臣に通知しておかなければいけないんですね。
 そこで、伺っておきますが、これは総務大臣に通知した上で、この扱いはしてこられたんですか。
宇田川政府参考人 御質問の前に、ちょっと事実関係を申し上げます。
 石川地方連絡部七尾出張所におきましては、三年に一度、管内の市町から、中学校の一年生から三年生に係る適齢者情報の提供を受けております。三年に一度であります。したがいまして、これは紙媒体でありますので、紙でこれは保存しておりまして、一年と二年生分については五年後、三年生分については三年後には廃棄する。それまでこの当該情報を利用して募集事務を実施しているわけであります。
吉井委員 問題は、その証明が全くないんですよね。あなた、わしを信じてくれというお話なら、それはそのお話なのかもしれないけれども、そんなに何十万、何百万件もこの地域であるわけじゃないですね。十三歳から十五歳の、紙で来たものを固めて電算処理をしておいて、とりあえずそれはすぐ出てきますから、十五歳の分をプリントアウトする、これで十分いけるわけなんですね。それはきちんと確認されたんですか。
赤城副長官 この扱いにつきましては、先ほど中村委員の御質問に対してもお答えしましたように、地方公共団体からいただく情報というのは基本的に紙媒体または口頭であります。これは調査もしまして、報告書にもそのように記載してございます。
 そのような、例えば一年生から三年生に係る情報については紙媒体でいただきましたと。そうしますと、一年生、二年生はそのまま年齢が上がっていきますから五年とか、あるいは三年生であれば、その後、中学生から高校生ですか、というふうなので、まあ三年とか、一定の保存期間というのはあります。
 ただ、それを実際どういうふうに使うかという、使う場面を考えてみますと、これは、そろそろ卒業だねと、そういう年齢の方々にダイレクトメールで御案内を発送するということでございますから、そのときにそのあて名を打つ。そのダイレクトメールのあて名入力に際してフロッピーとか記憶媒体に記録されるということはありますけれども、これはもう発送したらそれで用済みですので、利用後は廃棄される、こういう扱いでございまして、電子情報としてそれを何年も置くというような扱いにはなってございません。
吉井委員 今のおっしゃった話、三年間分をもらって、分量がうんと膨大であればともかくとして、それほどでない場合に、コンピューターに打ち込んで、そして、その年度が来たらプリントアウトすればいけるわけですね。そういうふうにやったのかどうなのかということを調べたのかどうかということをお聞きしたのですが、結局、そのことについては調べておられないわけですよね、今のお話では。
 ですから、それでは、最初にコンピューター処理してありますと三年間は保存していたということになるんです。その場合はきちんと届け出をしなきゃいけないんです。これは文書のまま持っておったと、そのことを政府参考人の方で言い張っておられたら、それ以上は、皆さんの方は、きちんと調べた結果でない限りその証明はできないということであります。
 私は、基本的には、三年間集めたということは、三年間分これはコンピューター処理されていた、そういうファイルとしてあったものということを考えるのが普通だというふうに言わなきゃいけないし、それでは情報の管理として極めて危ないものといいますか、そもそもそのファイルが総務大臣に通知されてきちんとした手続をとってやられたものとは、とても普通の見方では考えられないということを申し上げて、次に、このことを伺っておきたいんです。
 文部科学省初等中等教育局長と厚生労働省職業安定局長が毎年政府機関にあてて、これは、もちろん全国の都道府県教育委員会教育委員長あて、それから知事あてにも出しておりますが、国の方には、「任用を担当する国の機関の長及び特殊法人の長殿」ということで、毎年出していますね。
 その中では、「新規中学校卒業者を対象とする文書募集の取扱い」で、「新規中学校卒業者を対象とする文書募集は行わないこと。」つまり、中学生本人には来年度採用しますという国の機関の側から文書募集は行わないこと、これが、文部科学省と厚生労働省からその通達が来ていると思うんですが、これは政府参考人の方に確認しておきたいと思います。
宇田川政府参考人 今委員御指摘の通達は、私どもにも参っております。
吉井委員 そうすると、防衛庁長官にここで伺っておきたいんですけれども、これは今、もちろん個人情報の問題でそちらの方をやっているんですが、同時に、そうして出てきた採用者名簿に基づいて今度は中学生本人に採用の御案内のダイレクトメールを発送するとなると、これは両省の局長通達に照らしてみて、通達無視でダイレクトメールを発送したという問題が出てくると思うんですね。これは防衛庁長官として、やはりこういうことはやっちゃならない、同じ国の機関の中で国の通達無視はやっちゃならない、このことを長官としてきちっとやはり示す必要があると思うんですが、どうですか。
石破国務大臣 通達の趣旨に反するようなものであれば、それは行うべきではないと思っております。ただ、私どもが行います、きのう以来御議論がございますが、例えば自衛隊生徒というようなもの、対象の方々、そういう方々に対して、実際に自衛隊というのはこういうことをやっておるというようなことを発送することが通達の趣旨に反するものなのかどうか、そこの御議論かと思います。
 いずれにいたしましても、国の通達の趣旨というものは尊重していかねばならない。要は、その通達の趣旨と私どもの募集というものがどういう関係に立つかということであろうと思います。
吉井委員 学校の生徒案内じゃなくて、就職、採用にかかわるものについてはきちんと通達が出ておりますから、ですから、私も、なぜ保護者名のこの情報を必要としておられたのかということを非常に不思議に思っていたのです。
 つまり、これは、父兄や保護者あてですと、これはまだ、ダイレクトメールの発送は、いわば通達逃れといいますか、通達の穴をくぐって、そういうことでお考えになられたのかなということも思うわけでありますが、四情報ですと保護者名は出てきませんから、そうすると、これでは、本人に直接となりますと、両省の局長から出ている通達違反ということになりますから、だから保護者名を必要として、それで地連の方からは提供の内容として保護者名を求めた、こういうことではないのですか。
宇田川政府参考人 今先生御指摘の、いわゆる生徒募集の話だと思います。
 生徒募集につきましては、基本的には、まだ判断の整われていない中学生でありますので、親御さんに送るのがよろしいかと思うのですが、かといって、必ずしもそのようなことが禁じられているということではなかろうと思います。
吉井委員 どこかの何々高校の生徒案内というのとは違うわけですよね。給料をもらう採用の話なんですよ。採用、任用の話なんですよ。それについてこれを出すということはやはり問題が出てくるし、そして特に問題になっている、保護者名を知らせてもらわないことには保護者に発送することができない、こういうことから、四情報を離れてこれをさらに求めたというのが実際ではないのですか。
宇田川政府参考人 今の文書募集の話でございますが、ダイレクトメールはそもそも文書というふうに考えられるわけでありますが、広報活動、いわゆる募集広報の一環であれば、必ずしも文書活動とは言い切れないのじゃないかというふうな解釈だと思います。
吉井委員 そこで、大臣に伺っておきたいと思うのですけれども、四情報しか集めないというのが昨日の防衛庁長官の冒頭の報告なんですね。しかし、四情報でダイレクトメールを発送しても、これは国の両省の通達の趣旨には反してくるということになるのじゃないでしょうか。
 ですから、結局、個人情報保護というのは、四情報といえども、基本は、本来収集しない、個人のプライバシーを大事にするという方向へ今全体として行っているときなんですが、これは防衛庁長官としても、四情報しか集めないからこれでよしということだけじゃなしに、やはりそういう情報の扱い方そのものについて防衛庁長官として考えていくということが、私は、今の個人情報保護の流れの中での基本的に考えなければいけないことだと思うのですが、この点は大臣に伺っておきたいと思います。
石破国務大臣 これは御趣旨のとおりだと思います。
吉井委員 それで次に、昨日ありました文書、「自衛官の募集のための適齢者情報の収集について」というものの中で、市町村に対し、自衛隊地方連絡部に対する適齢者情報の提供の依頼ということがまず書いてありましたが、防衛庁長官にこの点を重ねて伺っておきますけれども、そうすると、これまでやってこられたことは、あくまで依頼ですね、地方自治体に対しての。お願いしている、依頼している、そういう趣旨のものですね。ここはちょっと確認しておきたいと思います。
石破国務大臣 依頼でございます。したがいまして、自治体の方からそういうことはできないというふうにおっしゃるというケースもございますので、その場合には、私どもの方で、また別の所定の手続、法に定められた所定の手続ということをとることになります。
吉井委員 それで、依頼という形をとっているということですが、これは、実は一九六七年のころからもいろいろ議論がありまして、当時の人事局長の答弁として、名簿のつくり方につきましては、命令、強制するというつもりはございませんと。それから、都道府県知事に対し、もし命令という形のお願いであったら内閣総理大臣名になるということとか、この通達は都道府県の主管の部長にお願いしている、依頼ということだということで、繰り返し、これは国会答弁もありますから、まずこの点は、今の防衛庁長官のお話のとおり、依頼という内容のものだというふうになると思うんです。
 そこで、総務大臣に伺っておきますが、自治体側は、住民基本台帳の閲覧、これは法に基づいて認めているものですよ。報告を求められて、適齢者名簿をつくって協力するかどうかは自治体の判断にゆだねられるものであり、今の長官答弁のように、依頼というものであって、国が義務的に強制するものではない、自治体の側はもちろんそういう立場で臨む。これは総務大臣に確認しておきたいと思います。
片山国務大臣 何度も同じことを言っておりますが、住基法は、何人も閲覧ができるし、写しの交付を求めることができるわけですね。
 そこで、この自衛隊の募集の仕事というのは、自衛隊法九十七条で、法定受託事務で市町村の事務になっている。したがって、その募集のいろいろな事務をやる、適齢者名簿をつくるということも法定受託事務の中身だと私は思いますよ。
 ただ、それを地連が求めることについては、今言うように依頼ですから、施行令の百二十条があるんだけれども、百二十条の発動としてでなくて、防衛庁側、地連の方は事実上の依頼を行っているんです。だから、依頼に応じるところは出す、応じたくないところは出さない、こういう法律関係だと私は思いますよ。だから、それはそれでいいんじゃないでしょうか。
 防衛庁側の方が、事実上の依頼で、協力要請だから、協力してくれるところは出してくれる、協力していないところは、そうはいきません、こういうわけで、別の方法で何らかの対応をとられている、こう思いますから、それは法律の解釈運用としてはそれでいいと私は思っています。
吉井委員 私、あなたの昨日の答弁を聞いていますと、国が求めるのに対して協力するのは当たり前だ、そういう趣旨の御発言がありましたから、そうではなくて、防衛庁長官が言っているように、あくまでも協力を求めるのであって、自治体の方は、これは決して国の方が自治体に義務的に強制するものではない、そういうことをはっきりさせておかなきゃいけないと思うのです。
 ただしかし、現実には、防災対策でお世話になっているのでということで協力要請は断りづらいとか、それから実際には適齢者名簿提供の一覧表が関東近県では配付されたり、大阪の方では市町村別に、協力的、非協力的、一覧表にして働きかけるとか、それから地連の方が、広島だったら、非協力的と地連が見ている自治体を含む十七自治体に対して、ことしに入ってから、広報官や各事務所長などが直接出向いていって情報提供を求める。つまり、災害協力だとか、そういう災害出動での協力をちらつかせて、適齢者名簿の作成を事実上強要していく。こういう自治体への圧力と自治体の側から見られるような、そういうことは、これはやはりやってはならない、あってはならないことであって、全然違う話ですからね。
 これは防衛庁長官に、そういう自治体の側から圧力と見られるようなことはしない、そういう立場で臨むということが筋じゃないかと思うんですが、これは長官に伺っておきたいと思います。
石破国務大臣 報道で、それに協力をしなければ災害派遣のときに十分な対応が受けられないというような圧力を感じたという自治体の方のお話がありました。
 私どもは、協力していただければ本当にありがたいと思います。そういうところは本当に感謝をいたします。しかし、協力をしてくださらなかったからといって、そこにいらっしゃる方々が災害であるとかいろいろな場合に、危難を受けられたときに、自衛隊としてすべきことは当然のことであって、それは、自治体が協力してくださった、くださらないということと何ら関係のあることではございません。
 したがいまして、かりそめにも自治体の方がそういう感じをお受けになるということであるとするならば、そういうことは厳に慎まねばならないと思っております。しかし、協力してくださることに対しては心から感謝をいたしておるということもあわせて申し上げさせていただきます。
吉井委員 次に、時間がもう少なくなってまいりましたので、第三者機関の問題について、私、以前から聞きたいと思っておって取り上げることができていない問題について伺っておきたいと思います。
 先日も参考人の方々から陳述があり、参考人質疑の中で、第三者機関の問題について、改めてその必要性がはっきりしたと思っております。
 政府の個人情報保護検討部会の座長を務めた堀部参考人が、日本は個人情報保護は世界から二十年おくれている、具体的に第三者機関が機能するような時期というのができるだけ早く来ることを期待していると陳述もされ、各国の個人情報法制化は九五年十月のEU指令を軸に動いておりますが、このEU指令では、監督機関について、完全に独立して活動しなければならないとしています。
 先進諸国で、大臣が出てくるような監督機関は、私はないというふうに理解しているんですが、大臣が出てくるような監督機関、これは、まず第三者機関というのがグローバルスタンダードになっているというふうに理解しておりますが、これは細田大臣に伺っておきたいと思います。
細田国務大臣 特に表現の自由との関係というふうにおっしゃいましたですか、やはり第三者機関が必要だというお説でございますが、特に野党案と対比いたしますと、表現の自由との関係においてということが規定されております。第一条におきまして、個人情報の有用性に配慮しつつ、個人の権利利益を保護することを目的としておりまして、三十五条、五十条一項、二項、こういった規定によりまして、十分主務大臣において権限行使に当たりまして実施することが可能であると思っております。
 また、欧米との対比においてどうかということにつきましては、私から何遍か申しておりますが、日本の歴史的な行政庁のあり方から見まして、非常に効率的かつ効果的にいろいろな行政面での対応ができるわけでございます。新たな第三者機関をつくることが絶対に必要であるということは、私は考えておりません。
 よく対比で出しておりますので具体的に調べておりますが、例えば経済産業省で、消費者相談室、いろいろな消費者相談があって、品質だとか標準だとか特許だとか、あるいは個々の製品等ございますが、年間一万四千件以上の相談を処理しておりますし、また、国民生活センターで受けて各省に割り振っておるものも年間九千三百件ほどありまして、こういった経験は十分役に立つのではないか、当面の需要には適応できる、こう考えております。
吉井委員 私、時間の方があと十分あると思ったら、そうじゃなかったので、ちょっと配分を間違えまして、十分間なら第三者機関をきっちりやりたいと思ったんですが、時間が迫ってきましたので、最後に改めて、私は防衛庁長官にこれはきちんと伺っておきたいんです。
 文部科学省と厚生労働省の通達の中で、新規中学校卒業者を対象とする文書募集の取り扱いで、新規中学校卒業者を対象とする文書募集は行わない、これはきちっとうたっているわけですね。
 それで、七尾市長あての問い合わせの方では、十三歳、十四歳、十五歳の、父兄を含めた、四情報だけじゃなくて、情報を出させて、それで文書を実際に発送しているわけですが、今後、この通達に基づいて、新規中学校卒業者を対象とする文書募集、直接の文書募集、これはやりませんね。このことだけ防衛庁長官に質問しておきたいと思います。
石破国務大臣 委員御指摘の、厚生労働省そしてまた文部科学省両省によります、私どもに対します文書というものが出ました。平成十四年の四月の一日のことでございます。それに基づきまして、私どもといたしましては、募集広報というものを少し形を変えるということにいたしました。直接文書によるということはいたしません。
 それはどういう形になるかといいますと、中学生に対する募集広報につきましては、当該中学生の保護者の方、つまり中学校に就学させる義務を負う方のことでございますが、または当該中学生が就学する中学校の進路指導担当者、先生でありますね、を通じて行う場合に限るということにいたしました。ただし、新聞、雑誌、ポスター、テレビ、ラジオ、ホームページ、そういう形で広く一般に対して行う募集広報についてはこの限りではないということでございます。
 したがいまして、今後はそういう形で行うということを本年の四月三日付で通達を出させていただいたところでございます。
吉井委員 出ている文書は、要するに、新規中学校、高校卒業者の就職に係る推薦及び選考開始期日及び文書募集開始時期で、高校生は七月からとかありますが、中学生に関しては文書募集は行わない、これはきちんと通達で出ているものですから、それを守って、直接ダイレクトメールの発送などは、やること自体が間違いだ、やっちゃならないということを、今それは、方法を変えるという意味はやらないということですが、しちゃならないということを申し上げまして、時間が来ましたので、終わります。
村井委員長 続いて、保坂展人君。
保坂委員 社民党の保坂展人です。
 防衛庁の問題に入る前に、先週の委員会で私は報道の定義について藤井審議官にお尋ねをしました。出てきた最高裁の事例というのが、調べてみたら、昭和二十八年、まあ大分昔ですけれども、三期社会党の参議院議員を務められた、私が生まれる前ですけれども、先輩であったということがわかりました。これが報道の定義なのかと。
 改めて、きょうはそこのところを聞きたいと思いますが、藤井さんに伺いますけれども、判決と決定の違いというのはおわかりですね。
藤井政府参考人 不勉強でありますので、正確にお答えすることはできません。
保坂委員 藤井審議官、これは大変な問題ですよ。この報道の定義、これは、去年からことしにかけてさんざん、去年の教訓を経て、最高裁判決に照らしてということで考えられたんじゃないですか。「不特定かつ多数の者に対して客観的事実を事実として知らせること(これに基づいて意見又は見解を述べることを含む。)」というのが、五十条の二項関係で報道の定義であると。
 それでは、根拠はいかにというふうに私申し上げました。藤井さんは、前回の答弁で、「立案に当たって参考にいたしました最高裁の判決についてでございますが、」と言って、先ほどの愛知県の労働組合の機関紙に名古屋市長は近藤さんという方にというふうに書いたことが公選法違反だと、こういう事件の最高裁の決定を示したんですよ。
 いいですか、決定なんです。決定というのは判決ではないんです、これは。最高裁判所において、刑事訴訟の場合には、判決の場合は原則として弁論を開くんです。公判廷において宣告するんですよ。刑訴法三四二ですよ。これに対して、決定は、弁論など開かず、書面審理が可能で、どんどん出していくわけですね。判決ではないんですよ。このことを認識して答弁しましたか。
藤井政府参考人 御指摘のとおり、資料を見ましたら、はっきりと決定と書いてございます。
保坂委員 そうすると、少なくとも、先ほどの最高裁の判決というふうに答弁したのは、不正確な説明でした、おわびして訂正します、こういうことですか。これだと大変な問題なんですよ。決定も判決だという議論をここでして、これから以降の日本の報道に全部定義するわけですから、重大な答弁ですよ。審議官、もう一回お願いします。
藤井政府参考人 確かに、判決と決定を明確に区別しないまま御説明したことは誤っていたと思います。
 ただ、私が御説明したかったのは、そういう最高裁の決定そのものには、今政府案が用いているような文言による決定や判示はないわけでございますが、そういう最高裁におけるお考えを参考にしながらこの定義を考えた、こういうことを申し上げたところでございます。
保坂委員 そうすると、これでよく読んでみると、また驚くんですよ、私は。どこにも出てこないんですよ、これ、この決定の中には。判決と決定、区別できずに、参考にしたとはいえ、報道全体を定義するこれは大変な定義ですよ。それを、読んだらどこか出てくるのかなと思いきや、ないんですよ、これ。どこにあるんですか。どういうふうに参考にしたんですか。
 これは労働組合の機関紙の事件ですよ。不特定かつ多数の者に対して客観的事実を事実として述べるというこの定義、どこから出てきたんですか。具体的な箇所を示して説明してください。
藤井政府参考人 前回の御質問の趣旨は、定義を検討する際に参考にした最高裁の判決等があればそれを知りたいということでお尋ねになったものですから、私どもが参考にした、正確には決定でございましたが、その決定をお示ししたということでございます。
 今の政府案の定義を導き出したその理由をお聞きになるのであれば、それはまたそれで、全体、詳細に御説明したいと思います。何もこの最高裁の決定そのものであの定義を導き出したというふうには申し上げておりません。
保坂委員 前回と違いますね。
 いいですか。この事件は日本全体のこれからの報道を定義するんですよ。この決定を参考にして考えたんですよ、政府が。内容を考えてくださいよ。「不特定かつ多数の者」というのは、これは不特定または多数の者じゃないんですね。不特定にしてまた多数という加重の要件を課していますよ。
 ということは、事件そのものを見ると、五百四十部の新聞を組合員に配付したわけですから、これは「不特定かつ多数」ではなくて特定多数です。そうすると、この決定自体は報道に当たらないということになっちゃうんです、政府の定義だと。
 どう説明しますか。
藤井政府参考人 今も申し上げましたとおり、あの定義は、この決定のみで導き出したものではないということでございます。
 それで、よろしければ、全体、報道の定義について私どもがどうしてこういうことを考えたかというのを御説明させていただければと思いますが。
村井委員長 ちょっとお聞きいただいた方がよろしいんじゃないでしょうか。
保坂委員 いや、もう一回聞きますが、この事件が、参考にした事件として、一つだけしか挙げていないんですよ。一つしか挙げていないんですよ。五百四十部配った事件なんですよ。五百四十部新聞を配った事件なんですよ、労働組合の新聞を。それが公選法違反だという事件なんですよ。これは「不特定かつ多数」じゃないんですねと。
 それの事実関係だけ、審議官、どう判断しますか。大事な問題ですよ、これ。報道全体を定義するんですよ、これから。
藤井政府参考人 私どもがこの最高裁決定に関して参考にさせていただきましたところは、一つは、労働組合の機関紙であっても、その内容が特定候補者の当選を目的とした単なる宣伝文書にすぎないものは報道の自由の対象外であるとの趣旨を述べたところでございます。
 この判決におきましては、報道を直接定義しているわけではないわけなんですが、その趣旨から、特定候補者の当選のための宣伝という主観的な意見、見解のみを述べることは報道に当たらず、客観的事実を知らせることが報道の要件として必要であるということを示唆しているというところを参考にしているということでございます。
保坂委員 細田大臣、この例を示されて、ちょっと法制局とも相談してみるというふうに言われました。私、ちょっとこれは、一週間ぐらいありましたからね、あれから時間。準備不足も甚だしいですよ。だって、五百四十人の組合員に配付するというのは、「不特定かつ多数」に余りいい事例とは言えない。しかも、その決定の中にその要素はないんですね。参考にしたといっても、何を参考にしたのかわからない。これでいいですか。
細田国務大臣 この違反事件は、最終的に最高裁まで上告されまして棄却されたわけでございますが、今から見ると非常に単純な事件でありまして、労働組合の機関紙に大々的に何々さんを名古屋市長にしようと印刷して、それを配ったわけですね。したがって、何部かという問題はあるにしても、それを配ったと。それで、当然、これは今だって、党の機関紙にそんなことを書いて配れば公選法違反に決まっています。したがって、だれもやりませんけれども。
 当時は、昭和四十年前後ということで、知らずにやったのかもしれませんが、被告は、これは報道の自由にもひっかけながら、公選法違反じゃないということを一生懸命主張したわけですよ。
 それに対して、もう明らかに公選法違反の事件でございましたから、控訴しても棄却、上告しても棄却ということになって、そのときに、そんな表現の自由を主張するなどとんでもないという意味のことがちょっと書いてありまして、多分被告がそういう主張をしたことは事実でありまして、そういうことは若干書いてあります。
 しかし、おっしゃるように、判決をよく読みますと、そもそも明らかな公選法違反でありますから、表現の自由について憲法訴訟として十分審査されたのではございません。したがって、これは、表現の自由というものをずっとさかのぼったらここに書いてあるということは事実でございます。判決をよく全部お読みになると書いてありますが、全然傍論でございまして、主論でございません。
 したがって、私どもは、これをもって報道の定義にしたかのように受け取られるとすると、これは間違いでございまして、これは法制局においても過去をさかのぼったときに見ましたけれども、独自に報道というものを新たに定義しなければならなかったということで、苦心をして定義をしたということでございます。
保坂委員 委員長、委員会の議論をしていますけれども、これは、報道の定義というのは大問題ですから、今、細田大臣率直に答弁していただきましたけれども、傍らの例を引き出してというのはやはり無理があったと。
 これは当委員会で集中的に議論していただきたいと思います。委員長に求めたいと思います。報道の定義。
村井委員長 細田国務大臣。(保坂委員「いや、もういいです」と呼ぶ)お聞きください。
細田国務大臣 報道そのものがこの法の対象になって、それを除外する、これがやはり権利義務との関係を招来するわけですから、報道は何であるかを全く書かずに法律が成立するものではありませんので、そこは私ども政府は、原案をつくるときに非常にこの表現、「客観的事実を事実として知らせること(これに基づいて意見又は見解を述べることを含む。)」と定義するに当たっては、十分な議論が行われた上での表現でございますから、そして、この解釈においてもこれははっきり申し上げておりますので、社会的事実であって客観的事実というのが結果的に誤りであったらどうかとか、これは幾つも議論がございまして御質問にお答えしておりますので、確たる内容であると考えております。
保坂委員 全く納得できません。報道を初めて法律に書くんですよ、この内閣提出法案。その国会で答弁した、判決判決と言っていたものが決定だった、違いもよく区別していなかったと。担当大臣が、まあこれは昭和四十年代の単純な事件でしてと。
 公選法違反を争った事件ですよ。だから、報道で一生懸命探しても、ないわけです、これは。指摘をして、これは絶対議論を続けなきゃだめです。
 防衛庁長官、来ていただいていますけれども、きのう審議がございました。私は、昨年の問題で教訓を酌み取っていただきたい点として、余り慌てずにきちっと正確な内容で報告などは出すということがあるんじゃないでしょうかというふうに申し上げました。その際、これははっきり言っていますが、一字一句、数字の間違いとか誤植とか、そういう問題は、一々重箱の隅をつついたような議論はしませんと。
 しかし、北海道の函館管内の四町に絞ってお尋ねしたわけです。いかがだったでしょうか。私の指摘をした部分についてお調べになって、事実とわかりましたか。報告が間違いないというお話でしたけれども、いかがですか。
石破国務大臣 函館のケースについてでございます。
 函館地方連絡部は、氏名、生年月日、性別及び住所の四情報のほか、親御さんの名前を、今金町、椴法華村、大成町、北檜山町から提供されていたということが判明をいたしております。これは、現地の地方連絡部とその出先であります募集事務所との間の連絡が必ずしも密接ではなかったというふうな原因ではないかというふうに考えております。
 これは、私、何も言いわけを申し上げるわけでも何でもございません。きのう冒頭に申し上げましたように、現在精査中ということを申し上げました。しかし、きのうの時点で可能な限り正確に調べた結果がああいうことでありましたが、その後さらに精査をかけました結果、こういうことが出てきておるということでございます。
保坂委員 つまり、間違っていたということでしたね、結果としては。
 四町のうち、今、二町の名前を挙げられました。上ノ国町と大成町です。他の二町はどうなっているのかもわかりませんし、私、午後の時点で、午後二時ごろでしょうか、防衛庁にどうなっているんだというお話をしたら、そのときの話と、五時の段階の話と、また違うんですね。今金町と椴法華村というのは先ほど出てきたんです。
 宇田川局長に伺いますけれども、これは、今、午後六時現在の情報だと。全然精査できていない。昨日の間違いないというのは全く間違いでしたということを認めますか。
宇田川政府参考人 ただいま大臣から御答弁申し上げましたが、先生御指摘の函館のケースにつきましては、報告の方と数字が違っております。
保坂委員 個人情報をどうするかという大切な審議をしているわけです。その中で、事実でないことを述べてしまったら、どういうことになったか知りませんが、述べてしまったら、これは、間違えていました、事実でないことを言って申しわけないという謝罪の言葉があっていいんじゃないですか。
石破国務大臣 いずれにいたしましても、事実ではないということでございます。それは大変申しわけないことでございました。おわびを申し上げたいと思います。
 これは私、きのう申し上げましたように、繰り返しになりますが、現在精査中であるということを申し上げました。
 これはもう先生もよく御案内のことかと思いますが、地方連絡部、私も軽く、軽くというのはいいかげんにという意味ではありません、もう少し早くわかるのではないかと思っておったところが自分自身ございました。
 というのは、地連は全国五十カ所だ、そこを調べればわかるはずだろうということを申しました。ところが、考えてみますと、地連というものが直接募集の事務をやっておるわけではない。それはそれぞれの出張所がやっておるわけです。そうしますと、全国四百カ所ということになります。そこに広報官がそれぞれおります。そこへ、本当になるべく早くということで、大車輪でやりましたが、そこでこのような連絡の間違いというようなことが発生をいたしましたことは、いずれにいたしましてもおわびを申し上げねばならないことだと思っております。
保坂委員 私は事務方が大変なっていないと思うんですよ、今長官自身がそういうふうにおっしゃいましたけれども。こういう大事なタイミングで、急いだのはわかりますよ、急いだのはわかるけれども、自信を持って報告したんだとしたら、随分この国会審議というものを、はっきり言って尊重していない態度だなと、非常に不愉快です。
 宇田川局長に伺いますけれども、例えば秋田だとか北海道の留萌では、十八歳から二十八歳の無職青年のリストが提供された等々、出ていますよね。これは全部わかっていますか、今。わかっていないのだとしたら、いつわかるんですか。この委員会にいつ報告できるんですか。はっきり局長が答弁してください。宇田川局長。委員長、指名してください。
宇田川政府参考人 昨日、再度大臣の指示を受けまして、全部、五十個地連について再度見直しを行っているところであります。
 今委員御指摘の地域につきましても、再度精査中でございます。
保坂委員 いつ精査したものをこの委員会に出すのかと聞いているんですよ。それを答えてもらわなきゃ、これ以上審議できないですよ。いつ出すんですか。
宇田川政府参考人 可能な限り速やかに作業を終了する予定にしています。(保坂委員「審議できません、これじゃ。そんなのはだめだ」と呼ぶ)
村井委員長 保坂君、恐縮ですが、質疑をお続けくださいませんか。(保坂委員「いえいえ、だめです。前回あんなに言ったんだ」と呼ぶ)
 石破防衛庁長官。
石破国務大臣 これは大臣として答弁をさせていただきますが、今局長が申し上げましたのは、可能な限り速やかにということを申しました。それは、いついつというふうに期限を切りまして、そのときまでにできなかったらどうするかということもございます。あるいは、大車輪でやった結果、それよりも早くなるのかもしれません。
 これは本当にもう、いついつまでということがきちんと申し上げられるだけの、私も、これだけ作業が膨大なものかと思って今、ゆうべも、けさも見ておるところでございますが、決して逃げておるわけでも何でもありません。できるだけ急いで正確なものを出せるようにさせていただきます。
 今までの、きのうお話ししましたことがでたらめだとか、私は、そのようには思っておりません。実際に現場も見まして、どれだけのものを実際に見ておるか、各地連から上がってきたファクスを人事教育局で全部精査しながらやっております。できるだけ速やかに正確なものを出させていただくよう努力をさせていただきたいと存じます。
保坂委員 では、宇田川局長、できるだけ速やかにやって、この個人情報の審議でやっているんですから。一日で、私は無理があると思いましたよ、だからそういうふうに聞いたんですよ。一日で、これだけのデータです、これで間違いありませんと何回も言ったでしょう。長官の答弁にもありますよ。それが間違っていたことが今わかったわけですから、調べなければいけないということもわかったわけですから、これはこの特別委員会の審議中に必ず出しますね。
 これは答弁してください。答弁しなければもうこれ以上できないですよ。(発言する者あり)
村井委員長 保坂君。
保坂委員 それでは、きのう、実は出たんですよ、これは報告書ということで、間違いないというものが。それはもう何回もおっしゃいました、長官、きのうの時点で。きょうこれだけぼろぼろ出たわけですから、これを可及的速やかにということで、いつ出しますか。あした出せますか、午前中に。
石破国務大臣 可及的速やかにということでございます。これは、委員会としての御指示というものを仰ぐことになります。
村井委員長 それでは、保坂君、委員長として申し上げますが、本日中あるいは明朝までに可能な限り正確な資料を出していただくということでお願いをいたしたいと存じますが、いかがでございましょうか。
保坂委員 今委員長から指示があったように、これは、では長官に確認を求めます。しっかりとした資料を出していただきたい。
石破国務大臣 委員長の御指示に従って、最大限の努力をいたします。
保坂委員 宇田川局長、私、今回、本当はあなたが一番問題だと思いますよ。いいかげんなものを出したら混乱するんですよ、これは。その自覚、ありますか、あなたに一体。今までの姿勢を見ていると、違っていました、それだけじゃないですか。一言言ったらどうですか、きちっとやるならきちっとやると。きのうと全然違うんだから。
宇田川政府参考人 精査中でありますが、可能な限り努力させていただきます。
保坂委員 ということは、最後まで、防衛庁長官は、私、長官に別に言っていなかったですね。私は、まずは、第一義的には宇田川局長に聞いているんですよ。これをまとめて、間違いないと言っているわけですから、そのことに対して一言ないのかと言っているわけですよ。ないんですね。ただ間違っていたということだけですね。
石破国務大臣 防衛庁をお預かりしております私として、これはもう、だれの責任とかそういうことではなくて、責任はすべて私が負うべきものというふうに考えておる次第でございます。
 それは、私も、ゆうべも遅くに人事教育局長ともお話をいたしまして、とにかく正確なものを早くということで督励をいたしておるところでございます。
 委員長の御指示に従って、私ども、最大の努力をさせていただきます。
保坂委員 その正確なものを見たいと思います。
 最後に、細田大臣、よろしいですか。
 いろいろな例を挙げてきましたけれども、きのう挙がった、大臣がお使いになったのは多分電話帳ソフトというものだと思います。あれは四千万件入っているんですね、一つに。私のところにちょっといろいろな声がありまして、これは日本の企業は大体使っているというんですよ。それで、加工しない企業というのはないらしいですよね。やはり顧客管理でいろいろそれなりに情報を入れていく。
 ですから、このままはっきり定義をしないままいくと、まじめな企業は、日本企業は遵法意識が高いですから、これは違法行為になっちゃいかぬということで莫大な人手とコストをかけちゃう、でたらめなところはもう勝手にやっちゃう、こういうことになったら経済にも大変な影響がある。
 そしてまた、IT担当大臣ですよね。IT革命、この言葉も懐かしいですけれども、しかし、現実にこのITの部分で日本はこれからやっていくしかない。それが、ITが萎縮したり凍結したりするようなことになることを本当に恐れています。いかがですか。
細田国務大臣 まさにおっしゃるとおりでございまして、そこで私どもも腐心をしております。
 そこでお答えいたしますが、これまでの国会の御議論を踏まえまして、市販のカーナビ、CD―ROM、電話帳等を単に利用するだけの者は政令において個人情報取扱事業者から除外される方向で検討したいと考えております。
 具体的には、政府案第二条第三項第四号に基づき制定される政令に、例えば、氏名、住所、電話番号のみの個人情報を他の個人の属性に関する情報と結合せずに取り扱う者を含める方向で検討をしたいと考えております。
 以上を含めまして、個人情報取扱事業者の範囲につきまして、改めて整理させていただきたいと思います。
 個人情報取扱事業者につきましては本法案第二条第三項において定義されており、具体的に個人情報取扱事業者に該当するかどうかは、利用するデータベース等が個人情報データベース等に該当するかどうか、データベース等を事業の用に供しているかどうか、取り扱う個人情報の量及び利用方法から見て個人の権利利益を害するおそれが少ないものとして政令で定める者に該当しないかどうかという三つの要件により定まることになると思っております。
 先日来議論のあったものについて整理いたしますと、まずインターネットにつきましては、検索エンジンについては個人情報データベース等には該当せず、携帯ナビを含め、インターネット上で公開されているデータベースを利用することは、単に他人が提供するサービスを利用するものにすぎないことから、一般には事業の用に供していると言えない。
 また、カーナビ、CD―ROM、電話帳等は、定義上、個人情報データベース等に該当するものを事業の用に供する場合があり得るが、実態として、市販のカーナビ等で氏名、住所、電話番号、他の個人の属性に関する情報と結合せずに利用する場合には、個人の権利利益を害するおそれが低いと考えられること。
 名簿業者で売買されている名簿等の利用には本法が適用されるべきであるが、これと上記の市販のカーナビやCD―ROM、電話帳との違いは、氏名、住所、電話番号以外の、例えば特定の学校の卒業生、特定の物品の保有者、特定のサービスの利用者、債務残高、病歴といった個人の属性を示す情報と結合されているか否かと考えられることから、第二条第三項第四号に基づき制定される政令に、氏名、住所、電話番号のみの個人情報を他の個人の属性に関する情報と結合せずに取り扱う者を含めるように検討するということで今考えておるところでございます。
 なお、本法案は、議員もおっしゃいましたように、そもそも個人情報の有用性に配慮して、事業者の自主的な取り組みを基本とした制度となっておりますので、個人情報取扱事業者に該当したとしても、利用目的の範囲内で通常の事業活動を行っている限り、事業に支障を来したり行政が関与したりするおそれはないと考えております。
保坂委員 たくさん例を持ってきましたが、時間が来たようです。まだまだこれは徹底した議論が必要だということを申し上げて、終わります。
村井委員長 次回は、明二十五日午前九時三十五分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後六時三十七分散会


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