衆議院

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第2号 平成15年6月25日(水曜日)

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平成十五年六月二十五日(水曜日)
    午前九時開議
 出席委員
   委員長 高村 正彦君
   理事 浅野 勝人君 理事 中谷  元君
   理事 浜田 靖一君 理事 松下 忠洋君
   理事 末松 義規君 理事 中川 正春君
   理事 赤松 正雄君 理事 一川 保夫君
      荒巻 隆三君    伊藤 公介君
      岩倉 博文君    金子 恭之君
      北村 誠吾君    倉田 雅年君
     田野瀬良太郎君    高木  毅君
      谷田 武彦君    谷本 龍哉君
      中本 太衛君    仲村 正治君
      西川 京子君    馳   浩君
      林 省之介君    福井  照君
      牧野 隆守君    松浪 健太君
      松宮  勲君    水野 賢一君
      宮腰 光寛君    森岡 正宏君
      山口 泰明君    伊藤 英成君
      大谷 信盛君    大畠 章宏君
      桑原  豊君    原口 一博君
      平岡 秀夫君    前原 誠司君
      山口  壯君    吉田 公一君
      渡辺  周君    佐藤 茂樹君
      丸谷 佳織君    佐藤 公治君
      中塚 一宏君    赤嶺 政賢君
      木島日出夫君    児玉 健次君
      春名 直章君    今川 正美君
      金子 哲夫君    山谷えり子君
    …………………………………
   内閣総理大臣       小泉純一郎君
   外務大臣         川口 順子君
   国務大臣
   (内閣官房長官)     福田 康夫君
   国務大臣
   (防衛庁長官)      石破  茂君
   防衛庁副長官       赤城 徳彦君
   財務副大臣        谷口 隆義君
   外務大臣政務官      土屋 品子君
   政府特別補佐人
   (内閣法制局長官)    秋山  收君
   衆議院調査局イラク人道復
   興支援並びに国際テロリズ
   ムの防止及び我が国の協力
   支援活動等に関する特別調
   査室長          前田 光政君
    ―――――――――――――
委員の異動
六月二十五日
 辞任         補欠選任
  小島 敏男君     水野 賢一君
  新藤 義孝君     山口 泰明君
  杉浦 正健君     馳   浩君
  平岡 秀夫君     大谷 信盛君
  木島日出夫君     児玉 健次君
同日
 辞任         補欠選任
  馳   浩君     杉浦 正健君
  水野 賢一君     林 省之介君
  山口 泰明君     岩倉 博文君
  大谷 信盛君     平岡 秀夫君
  児玉 健次君     春名 直章君
同日
 辞任         補欠選任
  岩倉 博文君     中本 太衛君
  林 省之介君     西川 京子君
  春名 直章君     木島日出夫君
同日
 辞任         補欠選任
  中本 太衛君     倉田 雅年君
  西川 京子君     小島 敏男君
同日
 辞任         補欠選任
  倉田 雅年君     新藤 義孝君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法案(内閣提出第一二〇号)
 平成十三年九月十一日のアメリカ合衆国において発生したテロリストによる攻撃等に対応して行われる国際連合憲章の目的達成のための諸外国の活動に対して我が国が実施する措置及び関連する国際連合決議等に基づく人道的措置に関する特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第一二一号)


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     ――――◇―――――
高村委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法案及び平成十三年九月十一日のアメリカ合衆国において発生したテロリストによる攻撃等に対応して行われる国際連合憲章の目的達成のための諸外国の活動に対して我が国が実施する措置及び関連する国際連合決議等に基づく人道的措置に関する特別措置法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。浅野勝人君。
浅野委員 自民党の浅野勝人です。自民党を代表して、歴史的意味合いを持つ特別委員会で質問の第一陣に立たせていただき、大変光栄に存じています。
 実は、前回の総選挙の折、「奪い合った二十世紀からわかち合う二十一世紀をめざします」というキャッチフレーズで、みずからの思いを伝えようとしました。ところが、現実は、二十一世紀の冒頭から九・一一テロという衝撃的な事件が発生し、長引くパレスチナ紛争、チェチェンからアフガンの戦いと、血なまぐさい紛争が続発して、穏やかな分かち合う世紀への期待は早々と裏切られてしまいました。
 それでもやはり、世界が分かち合うという理念を放棄したら、人々がこの時代に生き抜くすべが失われてしまいます。世界の中で日本が果たす役割をおろそかにすることはできません。
 今回のイラクに対する復興支援は、一つは、国際協力の一環として位置づけることができます。特に、日本とのかかわりについては、イラクの安定は中東の安定につながり、石油エネルギーのほとんどをペルシャ湾沿岸に依存している日本が、イラクの人道復興、安全確保のために人的貢献をすることは、日本の国益に沿うものと確信しています。
 まず、総理の基本認識を伺います。
小泉内閣総理大臣 奪い合う時代から助け合う時代、譲り合う時代、そういう時代になってほしいと思っております。
 今回のイラク支援に対しましても、日本としては、戦争前から、戦闘行為には参加しない、しかし戦後の人道支援、復興支援、国づくりに対しましては、日本の国力にふさわしい貢献をしていくということをはっきり申し上げておりました。
 現在、主要な戦闘が終結した状況において、国際社会がイラク復興支援のためになすべきことは何かということをそれぞれの国がみずから考えながら、どういう支援ができるかという状況に現在あると思います。
 そういう中で、既に多くの国は、イラクに入って復興支援活動している国もかなりあります。日本としても、国力にふさわしい、できるだけのことをやろうということで、今回、イラク支援法を提出しまして御審議をいただき、できるだけ早く成立させて、日本としてもできることをやっていきたいということでありますので、御理解を得ながら、この法案というのは決して戦争に行く法案ではない、戦闘に参加する法案ではない、イラク国民が自立できるように、復興支援のために日本国民ができることをやっていこうという法案であることを、この審議を通じてよく御理解と御協力を得たいと思っております。
浅野委員 もう一つの側面は、最近の世界の流れの中に占めるアメリカの存在がこれまで以上に大きくなっていることです。これは、九・一一以来、積極的に世界にかかわっていこうとするブッシュ政権の外交政策のあらわれだと思われます。
 ところで、テレビの画面は、幾ら隠しても喜怒哀楽を正確に映し出すものです。恐ろしいほどです。小泉・ブッシュの日米首脳会談の映像は、わかっていてくれて助かるよというブッシュ大統領の信頼感がにじみ出ています。
 アメリカの中東政策、イラクの民生の安定化に成功して、軌道に乗って、パレスチナ問題を含めて中東の混乱が安定に向かえば、日本の国益に沿うことは明らかであります。イラク支援法は、この視点からも極めて重要な法案だと認識をしております。
 改めて総理の決意を伺っておきます。
小泉内閣総理大臣 中東和平、どのように結びつけるか、これは長年の懸案であります。
 イスラエル、パレスチナ、これは過去をたどれば、それぞれ複雑な事情を抱えておりますので一言では言えませんが、この中東和平なくして中東に安定した平和はないのではないか。そういうことから、世界各国がこの中東和平にも関心を注ぐべきだ。もちろん、イラクの復興も重要であります。イラクの復興とは別に、以前からこのイスラエル、パレスチナをめぐる紛争は絶え間がなかったわけでありますので、イラク復興支援のみならず、今後も日本としては側面から、中東和平へ道を探るべく、国際社会と協力しながら、日本としてできることを考えていかなきゃならないと思っております。
 特に、我々は、石油は金さえ出せば安く手に入るという時代が、三十年ぐらい前までは続いていたんですね。ところが、昭和四十八年のイスラエルとアラブの第四次中東戦争を契機に、石油の値段が四倍、五倍にはね上がった。金を出しても安易に買えるような状況でなくなった。そこで初めて油断という言葉も思い出したぐらい、油が断たれるとこんなにひどいものかということを思い出したぐらい、中東問題にも関心を持たなきゃいけないと。ちょうど私が初めて当選してきた年に第四次中東戦争が勃発して、狂乱物価、インフレ状態が続いたわけであります。
 でありますので、日本としても、この中東情勢に無関心ではいられない。特に、日本が九割近く、エネルギー資源、石油資源、中東に頼っているということを考えますと、私は、非軍事的な面での中東に対する日本のかかわり方、非常に重要でありますので、イスラム諸国、アラブ諸国との友好関係も大事にしながら、日本として今後、何が必要か、また何ができるかということを真剣に検討していく必要があると思っております。
浅野委員 イラクでまだ大量破壊兵器が見つかっていませんが、フセイン政権がクルド人に化学兵器を使って大勢の人たちを殺傷したことははっきりしています。フセイン政権が大量破壊兵器を持っていたことは事実です。
 日本も率先して、国際社会が大量破壊兵器の開発、製造、拡散は絶対に認めないという強い姿勢を貫く必要が大切です。大量破壊兵器を開発している疑いの濃いイラク以外の国家、なかんずく、東アジアの平和と安全に脅威となっている北朝鮮に対する強いメッセージになるからであります。
 その意味では、今回のイラク戦争は、国連決議に反して大量破壊兵器を放棄しなかった国と、それを許さない国際社会との対立の構図という見方をすることが的確だと私は思っております。したがって、明確にアメリカを支持した日本政府の決断は的確そのもので、イラク戦争の正当性を、今、殊さら強調する必要はありません。
 その観点から見ると、法案の第一条の「目的」の中で、イラク特別事態の説明のため、わざわざ括弧の中に一連の安保理決議を引用して、この法案によって改めて武力行使の正当性を確認しようとしているのかなと受け取られかねないような形をとっていることに、いささかの疑問を感じています。
 この法案は、混乱の後始末のために、人道復興、安全確保にだれが何をするかを決めるのが目的です。一連の安保理決議を引用しなければだめなんでしょうか。
福田国務大臣 大量破壊兵器の脅威に対する認識、これは、私も全く委員と考えを共有する立場にございます。
 この法案におきまして、安保理決議一四八三を踏まえて、国際協調を保ちながらイラクの復興のために我が国にふさわしい貢献を行う、こういうことをこの法案は目的といたしております。
 イラクは、現在、復興のための国際社会の支援を必要とする状況にございます。そして、そういうような状況になったというのは、今委員御指摘の、また法案に明記されております国連決議六七八、六八七、一四四一、こういう一連の国連決議に基づきまして、米英軍を中心とするイラクへの武力行使、こういうことに至らざるを得なかった、逆に言えば、フセイン政権がそういう事態を招いてしまった、そういう一連の事態の中で起こったことでございます。
 そういうようなことでございますので、復興支援を行うというこの法案の根源に何があるかということを明確にしなければいけないという意味において、この法案の冒頭に、ただいま申し上げました三本の国連決議を明記した、こういうことになるわけでございます。
浅野委員 国連決議一四八三をイラクの復興と取り組む根拠にしているという、今福田長官からの説明でございますけれども、一四八三の前文パラグラフの十三に、「ジ オーソリティー」、当局という言葉が出てきます。これは、法案第二条で言う「イラクにおいて施政を行う機関」に当たるんですね。
 ところが、一四八三は、同時に、オーソリティーとは統合された司令部を指すと明記しております。そうすると、現在イラクを占領している米英軍が当局、つまり施政を行う機関に該当するわけですから、英米軍の傘下でイラク国内で動くということになると、結果として日本が占領軍に加担することになりませんか。これは自衛隊の活動を位置づける問題として極めて重要な点ですから、明確にお答えいただきたいと存じます。
福田国務大臣 一四八三国連決議におきまして、米英の統合された司令部、こういうようなことがございます。これは、決議では当局、そういう言葉に変わってございますけれども、これは、暫定的な施政をイラクにおいて行うということにこの司令部はなっておるわけであります。
 これにつきましては、この一四八三の中でこういうふうに言っております。ちょっとわかりにくいんですけれども、かかる当局のもとにある占領国、この当局というのは司令部という意味であります。かかる当局のもとにある占領国としての権限、責任及び義務を認識するとともに、当局に対して、領土の実効的な施政を通じたイラク国民の福祉の増進に関する権限等を付与しているものと承知している。これはわかりやすく言えば、国連決議が当局にイラク国民の福祉増進を行う役割等を与えたものである、こういうことになるわけであります。
 我が国は今後何をするかということになりますけれども、この当局と協力しながら、法律に定めます自衛隊等による対応措置を実施しながらイラクの復興等に貢献するということになりまして、これは、あくまでもこの一四八三決議に基づいて、国際社会の取り組みに我が国として主体的にかつ積極的に寄与する、そういうための我が国としての活動である、こういうことになりまして、我が国が占領国となる、そういう立場でもありません。また、我が国が米英軍の指揮下に入るというものでない、あくまでも当局と協力しながら、国際社会の中で主体的、積極的に貢献するものである、そういう考え方でございます。
浅野委員 この法案では、自衛隊の活動は非戦闘地域に限るという原則が明確になっています。現に戦闘行為が行われておらず、自衛隊が活動する期間を通じて戦闘行動が行われることがない地域を非戦闘地域の定義としています。
 地図の上に線を引いて、あっちは戦闘区域、こっちは非戦闘区域と区別ができるんですか。
福田国務大臣 まず、この法案において戦闘行為というのは、「国際的な武力紛争の一環として行われる人を殺傷し又は物を破壊する行為」こういう定義とされておるわけであります。
 この法案に基づく活動の区域をいわゆる非戦闘地域の要件を満たすように設定するに際しては、我が国が独自に収集した情報や、それから諸外国等から得た情報を総合的に分析して、活動期間中の状況変化の可能性なども含めて合理的に判断することは可能である、こういうように考えております。
浅野委員 実は、この問題は憲法との関連で重要な論点になります。非戦闘地域での活動はおおむね問題はありませんが、戦闘地域での活動は集団的自衛権の行使にかかわる指摘が惹起されて、憲法の範囲内かどうかという議論を呼ぶ可能性が強いからであります。どのようにして実施区域を定めるかは極めて重要です。
 先ほどの説明では十分得心がまいりませんので、国民の皆さんにわかるように、もう一度説明をお願いいたします。
石破国務大臣 お答え申し上げます。
 まさしく先生御指摘のように、戦闘地域、非戦闘地域という概念を用いますのは、憲法との関係が極めて重要だということでございます。
 当然、私どもの憲法は、海外において武力の行使は行わないということになっております。そして今回の行動も、決して海外において武力の行使、行うものであってはならない、これはもう大原則でございます。そして、戦闘地域というのは危ない地域なのであり、非戦闘地域は危なくない地域なのである、こういう御理解もありますし、それは比較的近い概念なのかもしれません。しかし同時に、戦闘というものは何か。それは、国または国に準ずる者による組織的、計画的なというようなものであって、要するに、国際紛争というようなものが行われる、あるいはそれが予測される地域というのを戦闘地域というふうに概念づけるわけであります。
 そういうところへ行って、国際紛争が行われておるような、国または国に準ずる者によってそのような行動が行われている地域に自衛隊が行くということは、そもそもあってはならないことだ。これは憲法上の要請として、そのようなことが行われる、または行われることが予測される地域に自衛隊が行くということはあってはならない、これは憲法上の要請に基づくものだと思っております。
 したがいまして、どういう地域がそういう地域なのかということは、いろいろな情報に基づきまして、それはわからないじゃないかと言われるかもしれませんが、どういう地域において国またはそれに準ずる者によって組織的、計画的なそういう行為が行われておるかということは、私は判断は可能だと思っております。
 いやしくも、日本国が外国において武力を行使する、そういうような法的な評価を受けないような地域において行動するということをきちんと担保しておかなければ、これは憲法の趣旨にもとるものになりますので、私どもは、そこの峻別は明確に行わなければいけない、これは当然のことだと考えております。
浅野委員 今の防衛庁長官の発言は極めて重要で、憲法の禁ずる集団的自衛権との接点のような問題が絶えず裏腹で惹起されてきますから、今の言動を厳密に守っていっていただきたいと存じます。
 イラクの情勢というのは事ほどさように混沌としていて、いまだにサダム・フセインが捕まっておりません。PKOの派遣は平和が回復した後の戦後の復興に当たるのが任務ですけれども、イラクへの派遣は、今おっしゃるように、比較的安全の地域といっても、絶えず危険と裏腹の任務になることが予測されます。一〇〇%に限りなく近い安全を目指すけれども、絶対に安全という保証はできないから、自衛隊を出すんでしょう。派遣する自衛隊員の安全は十分確保されなければなりません。
 武器は使わずに持って帰るにこしたことはないわけですから、例えば、十二・七ミリ重機関砲が据えつけてある指揮通信車や二十五ミリ機関砲を装備できる偵察警戒車ぐらい出して、隊員の安全に万全を期してはいかがですか。
石破国務大臣 まさしく委員御指摘のとおり、全く危険がないかといえば、それは危険があることは排除されません。全く危険がなければ自衛隊が行く必要はない、その議論はそのとおりだと私は思っております。そして、非戦闘地域というのは先ほど申し上げたような地域なのですね。
 そう考えてみますと、もう一つは、なぜ自衛隊でなければならないかということは、きのう本会議の答弁で申し上げましたように、そういう厳しい地域において自己完結性を持った組織、自分で何でもできますよという組織も必要であります。あわせまして、ほかの国の軍隊との協力も必要だ。しかし、それ以上に、なぜ自衛隊かということは、危険を回避する権限と能力、それを与えて、一般の人であれば回避できないような危険だって、自衛官が武器を持ち権限を与えられて行けば、それは回避できる。
 先生おっしゃるように、使わないのが一番いいのです。自衛隊はこういうものを持っている、それじゃ攻撃しても自分にも危害が及ぶ、それじゃ攻撃するのをやめようか、抑止力ですね、そういうものを持たせる。でも、余り常識外のものを持っていくわけにもいきません。それは、現地の状況がどうであるのか、どのような武器を持っていけば安全に、そしてまた確実に我々が与えられた国際的な責務を果たすことができるか、そういう観点でございます。
 したがいまして、この法案の十七条にそのことを規定しておりますし、あわせまして、自衛隊の九十五条をもちまして武器等防護ということができることになっております。
 武器の種類というものは、現場に合わせて、実情に合わせて持っていくということでございます。そしてまた、権限というものは、自衛隊法九十五条並びに本法案十七条、これによって自衛官の安全は確保される、私はそのように考えております。
浅野委員 ところで、テロ特措法との際立った違いは、武器弾薬の陸上輸送を認めている点です。テロ特は認めておりませんからね。なぜテロ特措法との違う仕組みにしたんですか。理由を説明していただきます。
福田国務大臣 外国領域におきます武器弾薬の陸上輸送は行わないということになりますと、これは防衛庁長官から答弁していただくと、よりその具体的イメージが浮かんでくると思いますが、この後御質問いただきたいと思いますが、結局、いろいろな物品を運びます、武器弾薬でないものも運ぶわけです。そういうものと混在して一つの荷物にまとめるというようなことは、戦地では往々に行われるというように聞いております。武器弾薬を、これを一つ一つ点検して選び出して、それを別にして、こういうようなことは実際のオペレーションとしてはなかなかしにくいというようなことはございます。要するに、円滑な業務が実施できなくなるおそれがある、こういうことでございます。
 テロ対策特措法では、テロ攻撃による脅威の除去のために戦闘を行う諸外国の軍隊等への支援を主眼としている、こういうようなことでございまして、これは議員修正がございまして、外国領域における武器弾薬の陸上輸送は行わない、こういうようになったものと理解をいたしております。
 これに対しまして、この法案におきまして、イラクの国内における戦闘が基本的には終了していると考えられますけれども、イラク復興のための国際社会の取り組みに対して寄与するということを目的といたしておりますので、あえて自衛隊が実施する業務から武器弾薬の陸上輸送を除外する必要があるというようには考えていないわけでございます。
 なお、外国の領域における武器弾薬の輸送は、それ自体としては武力の行使には当たりません。また、活動地域がいわゆる非戦闘地域に限られている、こういうことから憲法上の問題もないということが先ほどの防衛庁長官の答弁でございます。
浅野委員 もう一つ、テロ特措法と違っている点は、法律の有効期間です。テロ特の有効期間は二年ですが、イラク支援法は四年です。二年ぐらいで点検、見直しをする慎重さがあった方が私はいいと思いますけれども、四年とした根拠は何ですか。
福田国務大臣 このイラクの復興を中心といたしますと、もちろん、人道支援、復興支援、それからいろいろな支援活動ございますけれども、中心は恐らく復興支援ということになるのではなかろうかと思います。そうなりますと、復興というイメージから、やはり多少長い時間が必要なのではなかろうかというのが基本的な問題でございます。二年というような短い期間でもって復興というものが達成できるかどうかということもございまして、四年といたしました。
 この四年というのは、ほかに、例えばコソボで、これは一九九九年から四年を経過した時点においてもまだ国連の活動が続いているということもございますし、また東ティモールの国連活動は一九九九年からでございますが、これは二〇〇四年五月までの四年七カ月、こういうような見込みを持っておりまして、四年というのはそういうものも頭に置きながら想定したものでございます。
浅野委員 ここで一つ、この法案と国会との関連を確認しておきます。
 政府が決めた基本計画に基づいて自衛隊をイラクに派遣する命令を部隊に命じた日から二十日以内に国会の承認を求めることになっていますね。国会が閉会中でしたら、最初に召集される次の国会で速やかに承認を求めるという仕組みになっています。いうところの事後承認ですね。
 国会の承認にはさまざまな形式がありますけれども、自衛隊の出動ないし海外への派遣については慎重でありたいという歴代の政府・与党の配慮、また、十分歯どめをしておく必要があると考える野党の思いが積み重なってでき上がった仕組みです。
 日本がやられそうになった有事にとっさに自衛隊を動かした判断の評価を求めるのと、あらかじめ自衛隊を外国の領土に送る是非を問うのと、同じ感覚でいいんでしょうか。それでも政府が事後承認の方が適当と考える理由は何ですか、説明をいただきたいと存じます。
福田国務大臣 今回の法律は、法律の目的、イラクの復興、人道復興支援、また後方支援活動といったようなことでございまして、そういう、全体に、復興支援をするということは、これはもう最初からわかっております。その復興支援という範囲の中で自衛隊の活動を行う、こういうことになりますので、全体を今回の法律成立のときに御承認いただくということによって、個々のことについてはこれは事後承認とさせていただく。
 これは、事態が今後どういうことになるかまだ明確ではありませんけれども、必要な支援活動の要請があったときに迅速に対応するということも、これも大事なことだろうというふうに思いますので、そういうことを考えまして、今回、事後承認でいいのではないかという判断をしたわけでございます。
浅野委員 湾岸戦争の折に、海部内閣は、アメリカに協力するあかしとしてお金を一兆円出しました。戦後、クウェート政府は、ワシントン・ポストに、ありがとうアメリカそして地球家族の国々という全面広告を出して、湾岸戦争に協力した国の名前を挙げて感謝の意を表明したんです。アルファベット順に三十カ国の名前が列挙され、軍隊を五十人送ったアフリカの小さな国の名前はありましたが、お金を一兆円出した日本の名前はありませんでした。
 私の友人で、ワシントンDCに住んでいるアメリカ人のジャーナリストが、インド洋で給油という形で海上自衛隊がテロ対策に参加していることに触れて、日本はいつから政策転換をしたんだと言うんです。テロの撲滅を新しい国家目標にしたアメリカに、日本が軍事行動で協力してくれるのは大変ありがたいと言うんです。違う、憲法の範囲内で、新しい法律をつくって後方支援をしているだけで、戦闘行動に加わっているんじゃない、集団的自衛権の行使に踏み切ったわけじゃないから勘違いしないでくれと説明するんですけれども、いや、やってくれているじゃないかとひどく感謝するんです。
 アルカイーダを中心に、テロ集団の影があちこちでまだ見え隠れしていて、各国が引き続きテロとの闘いを続けているのに、日本だけ一抜けたというのはどうも感心しません。
 総理の決意を伺っておきます。
小泉内閣総理大臣 お互い、人間同士が、各国と協力して汗をかいている、これは目に見える一つの方法だと思いますね。資金の援助も大事です。しかし、人影が見えないというよりは、お互いが、国が違っても、肌の色が違っても、厳しい状況のもとで、その国の復興のために活躍するんだということから、机上の理論とは違った連帯感も出てくるんだと思います。
 そういうことから、私は、今回のテロ支援活動につきまして、多くの国から、日本の後方支援活動、実際に自衛隊員が派遣され、自衛艦も派遣されて、各国の円滑な活動に、あの暑い、厳しい状況の中で努力されている、そういうことに対する感謝の念が、今浅野議員が言われたような評価につながってくるんだと思います。
 今回テロ支援活動を継続するということにおきましても、いまだオサマ・ビンラーディン、見つかっておりません。生死も定かではございません。そして、バリ島でのテロ活動等、テロ活動も絶えることがない。アルカーイダのメンバー、かなりの数が拘束、逮捕されておりますけれども、それでもいまだにテロ活動をしようという、組織も健在だし、意欲もあるようでありますので、今ここでアフガニスタンが、国際社会が手を放しても十分今のアフガニスタン政権だけで復興できるかというと、必ずしもそうじゃないということで、二年の期限がもう少しで切れますので、日本だけ、はい、期限が来ましたから抜けましたということで、果たして国際社会の中で名誉ある地位を占めたいという憲法の前文にあるようなことになるのかどうかということを考えると、やはり継続して各国と協力しながら支援活動を続けていくことが日本の責任でもあるということから、二年延長の法案もあわせて今御審議していただいているわけであります。
 自分だけ抜けるということがないように、早目にそのような対応をとっていく必要がある。十月に決めればいいじゃないかという議論もありますけれども、今の審議している国会、時間があるわけでありますので、まだあるというよりも、私は、もうそんな時間がない、決めるんだったら早目に決めた方がいいと思っております。
浅野委員 橋本内閣の久間防衛庁長官のもとで政務次官をやらせていただいた折に、新しい日米防衛協力のためのガイドラインを日米双方で取りまとめました。これが土台になって周辺事態法ができ、さらに、日本が直接脅威にさらされたときの対応としての有事法制が先ごろ四十年ぶりに整いました。その一方で、宮澤内閣で三泊四日の難産の末に誕生したPKO協力法は、当初PKFを凍結しておりましたが、先ごろまたこの凍結も解除されて、世界の横並びに近づいています。
 これら一連の安保政策を推進することに賛同して一生懸命やってまいりましたが、これから先に踏み出すことについてはいささか憶病にならざるを得ません。集団的自衛権の行使が、よその国に行って外国の軍隊と一緒に戦うという意味であれば、党内外にさまざまな見解があることは承知しておりますけれども、私は賛成するわけにはまいりません。
 このイラク法案を早急に成立させていただくために、各党各会派、国民の御理解をいただく上からも、総理の安保政策の基本理念を一言確認しておきます。
小泉内閣総理大臣 日本は、専守防衛に徹する、そして自衛隊の任務としても自国の防衛に専念する、必要最小限度の自国の防衛のための装備を備えるということで、他国とともに他国を守るために戦うという憲法にはなっていないわけであります。
 そういう中で、自国の防衛のために何が必要かということから、アメリカと安全保障条約を締結して、日本の足らざるところを、アメリカと協力して日本の安全を確保する、同時に、日本は国際社会の中で責任ある対応をしなきゃならぬということで、今まで憲法の解釈、憲法九条、それぞれよく勘案しながら、自衛隊の活動というのはどこまでできるのかということで、時代の要請にこたえて、自衛隊も海外に派遣して、戦闘行為以外の活動を展開してまいりました。
 今や、自衛隊を海外に派遣しても戦闘行為につながらないという大方の国民の理解を得ていると思います。また、戦闘行為につながらないような地域で自衛隊は活動しているわけであります。
 これからも、憲法の範囲内で、日本は、自国の防衛のためと、そして憲法にあります、国際社会の要請にこたえて、国際社会の中で名誉ある地位を占めたいと思うという、高らかにうたったあの憲法の精神をどのように生かしていくか、これについて、十分国民的議論を踏まえて、日本の国力にふさわしい国際社会との協調体制をとっていくべきだ、それが日本の国益につながると私は思っております。
浅野委員 総理と両長官が真剣かつ誠実に答弁をしていただきましたことに敬意と感謝を申し上げて、同僚の中谷議員にバトンタッチいたします。
高村委員長 この際、中谷元君から関連質疑の申し出があります。浅野君の持ち時間の範囲内でこれを許します。中谷元君。
中谷委員 おはようございます。
 本委員会に提案されておりますテロ特措法について質問をさせていただきます。
 この法律がつくられたのは二〇〇一年の十月でありまして、二十一世紀になった年、そして九・一一の同時多発テロ事件がそのきっかけでございます。ニューヨークの貿易センタービル、またペンタゴンに民間旅客機が突っ込むという極めて異常な事態、このテロ行為を受けて、いかに世界じゅうがテロを防止するかということでつくられたわけでございますが、もうその支援活動を実施して一年八カ月になるわけでございます。
 私も、派遣したときの防衛庁長官でございまして、現場の状況を二回視察させていただきました。現場におきましては、ちょうど今のころですと、気温が四十度から五十度近くなってきておりまして、灼熱のインド洋上で、ちりとほこりにまみれて一生懸命燃料補給活動をしております。
 これはどういう活動をしているかということを国民の皆様方にお伝えしたいと思いますけれども、大体、補給する船と補給される艦艇が三十メートルから五十メートルぐらいの距離を保って、同じスピードで真っすぐ同じ距離を並んで、パイプを渡して燃料注入をする。言うと簡単なんですけれども、自転車で一緒に並んで走るということは結構難しいわけでありまして、非常に技術的にも難しいわけでございます。
 おまけに、気温が五十度近くなりますと、甲板の上は八十度の温度になりまして、卵焼きをつくれるような、そういうような高温にもなるそうです。それから、非常に、テロの警戒もしなきゃいけませんので、防弾チョッキにヘルメットをかぶり、防じんのマスクもかぶるということで、まさにサウナの中に厚着をして入るような蒸しぶろ状態、こういう中で大体六時間ぐらいかけて燃料補給をするということで、本当に隊員の苦労というものは大きいなと思いました。
 おまけに、隊内の士気を保つために常に心身を鍛えなきゃいけないということで、余暇時間は体力錬成をしたり機械のメンテナンスを行ったり、航行の安全に万全を期すということで、もう精神的にも大変つらい活動でありますし、おまけに、年ごろであります。ちょうど自分の赤ちゃんが生まれるころでありまして、子供の出生に立ち会うこともなく、身重の妻を案じつつ、そして、時には自分の父親や母親の訃報に接しても葬儀にも行けない。こういうふうな非常に厳しい環境の中でも黙々と任務を果たしているということでございます。
 それじゃ何のために頑張っているのかといいますと、これはひとえに、世界の安全を守り、そして日本を代表した目に見えた国際貢献活動をしようという非常に高い意識に基づいて活動しているということを、ぜひ日本の国民の皆さんも御承知いただければありがたいと思っております。
 一方で、海外ではどういう評価を得ているかと申しますと、これは大変すばらしいものがありまして、ただ単にお金を配って感謝されるというものではなくて、お金にかえられない評価がございます。
 例えば、ニュージーランドの外務貿易大臣は本年の五月に、テロ撲滅作戦において日本より燃料補給をいただいており、両国が緊密に連携していることは喜ばしい。シンガポールの海軍司令官は、グローバルなテロリズムの闘いに関して日本の支援活動の中で示している貢献に対しては、その努力に敬意と感謝を表する。アロヨ・フィリピン大統領は首脳会談におきまして、日本のテロ対策の取り組みを評価する、日本が国際的な安全保障の分野で幅広い役割を果たすことを期待する、日本は極めて重要な役割を果たすことを期待する。
 また、タイの外務副大臣は本年四月、海上自衛隊が「しもきた」の輸送艦におきまして輸送支援の協力を行いましたけれども、日本はアフガニスタンへの工兵部隊派遣に際し海上自衛隊による輸送支援を行っていただき感謝をしていると言いました。また、インドのバジパイ首相は、テロはインド、日本両国が協力して取り組むべき分野であるとの連帯を表明しましたし、ドイツのシュレーダー首相も、この不朽の自由作戦に協力しているドイツ海軍艦艇に対する日本政府の燃料補給活動に感謝を申し上げると。
 また、このほかにも、UAEの皇太子とか、バハレーンとか、イギリス、フランス、ギリシャ、これはアメリカについてはもう申すまでもありませんけれども、世界各国の首相から日本の貢献に対する評価と感謝が寄せられているわけでございます。
 このように、日本の洋上における燃料補給活動というのは、もう日本国内で考えている以上に国際社会が、大変日本はすばらしい、いい貢献をしているという点で感謝をし、かつまた尊敬もされているわけでございます。私は、人間として、自分の幸せを達成するということはそれなりにうれしいんですけれども、人から尊敬をされたり、人から喜んでいただく、これ以上のうれしいことはないと思っておりますが、日本国が世界の中でこれほど評価をされたテロ支援活動であるということで、派遣されている隊員の努力はもとよりでありますけれども、このような活動を行っている政府については非常に評価をしているわけでございます。
 総理は、これまでのこの燃料補給活動を中心としたテロ撲滅行動につきまして、どういうことをお感じになって、今後どうされるのか、この点についてお伺いしたいと思います。
小泉内閣総理大臣 今、中谷議員が言われたように、各国から自衛隊の活動に対しましては高い評価と感謝をいただいております。そのことは私も、じかにそれぞれの首脳と会った際には直接お話をいただき、自衛隊の諸君は立派にやっているなと心からうれしく、また自衛隊員の活動に誇りを持っております。
 特に、私は現地に行ったことはございませんが、ビデオで自衛隊員の活動を見る機会がございます。補給活動もなかなか容易なことではないようであります。しかも、サウナの中で活動しているという状況、甲板で卵を割って落とすと本当にフライドエッグができるというぐらいの暑さの中で服を着ながら活動しているわけですから、汗まみれになって、よくあそこまでできるなと。それも、みずから志願して、今言ったような、家族と離れて、自分の任務に誇りを持ちながら、任務をいかに立派に果たすかということで全力投球している自衛隊諸君に対しましては、心から敬意を表しております。
 これからも、このような活動というもの、経験を踏まえて、私は、自衛隊員が海外に派遣されるから戦争に行くんだという誤解を解くためのいろいろな我々の努力も必要でしょう。現に、女性隊員も参加して外国の国づくりのために努力している姿、こういうものを見るにつけまして、私は、かつて自衛隊を海外に派遣するだけでもう大反対、大混乱が起こった国会の審議の状況を見ると、やはり時代というものは変わってきたのかな、自衛隊に対する理解も深まってきたのかな。そして、お互い、法律もありますけれども、この法律というのは時代に沿って解釈も違ってくる場合もあるんだなということを認識しながらも、日本は平和憲法のもとで、自衛隊の活動というものが、決して戦闘行為につながらない、武力行使につながらないんだ、むしろ各国の平和づくり、国づくりに、一般の国民ではできないことを自衛隊員がやっている、またその能力があるということを、もっと国民に知ってもらうように努力する必要があると思っております。
 それと、各国から高い評価を得ているのは、自衛隊員の練度が非常に高いということであります。こういうことに対しても、日本の自衛隊員の能力の優秀さを私はちょくちょく聞く機会があるわけでありますが、そういう点についても、ふだんの研修の成果を存分に発揮している自衛隊諸君に敬意を改めて表したいと思います。
中谷委員 この活動に対する総理の御認識とこれまでの評価を聞かせていただきました。私も同感でございますが、しかしながら、私が今心配をいたしておりますのは、この法案は十一月一日をもって切れるということでありまして、この秋の状況がどうなるか。いろいろと、自由民主党の総裁選もあれば補欠選挙もある中で、非常に政治日程が不透明でございます。いろいろなことがあって、もし仮に秋に臨時国会が開かれないとなりますと、この法案は自動的に消滅して、今やっている艦艇が帰ってこなきゃいけないんですね。
 こういうことは政府としてはあってはならないことでありまして、やはり、これだけ高い国際評価を得ている活動を、日本がこういった事態で中断をしなきゃならないということは、日本国にとって損失でございますので、ぜひ必ずこの国会で成立をするように、政府もしっかりとした姿勢を持っていただきたいと思います。
 そこで、では、今後続ける必要性があるのかどうかにつきまして、官房長官にお伺いいたしたいと思いますが、現在のアルカイーダとかタリバン、またアフガニスタンの状況はいかがでしょうか。
 最近心配するのは、このアルカイーダの事項につきましては、本年五月にサウジアラビアで大爆発のテロ事件がありました。またモロッコでもありました。また最近は、米英に攻撃を呼びかけるというアイマン・ザワヒリ氏というアルカイーダの幹部の肉声と見られる録音テープが放送をされました。また六月七日には、このアフガニスタンのISAF、警備チームにバス爆破テロがありました。
 このようなことが続いておりますけれども、官房長官として、この支援活動を継続していくかどうか、こういう点について、その状況も含めましてお伺いをいたします。
福田国務大臣 九・一一以来、テロとの闘い、これはもう二年近く続いておるわけであります。この間、人的、物的そして財的な打撃をアルカイダに与えたということは、これはもう間違いないことだと思っております。
 そういう結果、例えば、具体的に申し上げますと、テロの計画、立案、調整を担ってきたアルカイダの上級幹部、これは多数死亡、拘束されておる。これは、CIAのテネット長官も二月十一日に、アルカイダの上級幹部の三分の一以上が死亡、拘束ということになり、また三千名以上の関係者が拘束されている、こういうふうに言っております。
 また、アフガニスタンの訓練キャンプ、これも、このテロとの闘いでアルカイダは喪失しております。また、テロ資金規制といった国際的な反テロ措置が整備されてまいりまして、九・一一のような大規模なテロを起こすということは一般的には困難な状態になっているのではないか、このような見方がございます。
 ところが、他方、ウサマ・ビンラディンとかオマルといったような主要メンバーの消息はいまだに不明であるということ、また組織の再編の動きもあるという情報もございます。また、指導部が各地区に分散をいたしまして、そこで個々にいろいろな活動を行うといったような可能性も生じてきているということ、それから、経済的な規制も加えてはおりますけれども、引き続き豊富な財源も持っているというような情報もあるわけでございますので、決して油断ができない、こういう状況であります。
 そういうようないろいろなテロとの闘いの警戒態勢をついて、突発的に脆弱な標的をねらった作戦行動というのは十分にあり得る。したがいまして、このテロとの闘いは、決して今後もしばらく緩めることもできず、しっかりと体制を整えていかなければいけないということであります。
 今回、もうあと五カ月ほどで我が国のテロ特措法の期間が来てしまうわけでございます。そういう意味で、各国も、今申し上げましたような情勢を踏まえた上で、いろいろな活動をして、そしてその活動に多くの国々が参加しているという状況の中で、我が国も、我が国としてやはりそういう国際社会の努力に対して協力をしていくという姿勢、これは断じて揺るがすことのできないことであるというように思いますので、この特措法の延長ということについては、格段の御配慮をお願いしたいと思っておるところでございます。
中谷委員 それでは、イラク新法の必要性について総理にお伺いをさせていただきますが、私は、日本という国はどういう国かということであります。
 GNPが世界の一五%、アメリカは二五%ですから、日米で世界のGNPの四〇%を占めているわけですね。このように非常に影響力のある、責任のある国になったにもかかわらず、日本という国はどう生きていくのか。もう、アジアのごく一国地域でほくほくと自分たちの幸せだけを考えて生きていていいのか、本当に自分の国の繁栄だけを考えていいのかどうかという点でございます。
 世界のこれからのことを考えてみますと、もう冷戦時代は終わっておりまして、アメリカにお任せ、もうすべてアメリカの言うとおりという時代はないんですね。もう日本が自分で考えて、自分で汗をかきながら、世界の平和と安全を守ると同時に、自分の国はしっかり守っていく。アメリカにすべて、おんぶにだっこではなくて、自分が行動して、世界の中でその存在感を示さないと生き残っていけないし、またそれだけの、経済だけじゃなくて、安全保障にも責任のある立場になったんじゃないかなと思います。
 そういう意味で、総理は、さきのイラクの戦争におきまして米国を支持したわけでありますが、私は、このイラク戦争とは、中東のみならず国際社会の平和と安定を図る上での障害を是正しようとした国際的な行動であり、日本がこれを支持、賛成した意義は大きいし、フセインの排除を果たし、イラクが今後安定化に向かうために、人的、物的、そして精神的な面で日本が復興支援に取り組むことは、日本の国際的責務からしても当然のことであり、やらなければいけないわけでありまして、イラクの今後の問題を、世界の安全保障を考えますと、米英だけに負担を覆いかぶせるだけではいけないので、世界の中の日本の地位を考えると当然のことではないか。まして、国連決議があることでございます。その上、日本は石油を九割この中東から購入をして、まさに日本の経済にも生活にもかかわるということでございます。
 こういう点を踏まえまして、最後に総理に一言この認識を示していただいて、質問を終わらせていただきます。
小泉内閣総理大臣 日本がなぜイラク復興を支援するのか、自衛隊を派遣するのかというお話だと思いますが、アメリカ、イギリスを除いて、既に軍隊を派遣している国は十三カ国に及んでいるんですね。それは、アメリカ、イギリスの武力行使を支持しなかったカナダも既に軍隊を派遣しています。今、派遣を決定した国は十四カ国。ニュージーランドは、あの戦争を支持しませんでしたけれども、既に軍隊を派遣すると決定しています。
 そういうことの中で、私は、軍隊を派遣するというのは、これは国連で全会一致ですから、安保理で。戦争のための派遣じゃないんです。イラク復興の、人道復興支援のための派遣なんです。ですから、私も、国際社会の一員として日本にふさわしい貢献をする。自衛隊を派遣するのは戦争のためじゃない、人道復興支援のためだということをよく御理解いただきたいと思います。
中谷委員 そのように目に見えた貢献をして、世界から尊敬される日本として、しっかりとした貢献ができるようによろしくお願い申し上げまして、質問を終わります。どうもありがとうございました。
高村委員長 これにて浅野君、中谷君の質疑は終了いたしました。
 次に、赤松正雄君。
赤松(正)委員 おはようございます。公明党の赤松正雄でございます。
 与党の質問が続きます。私も、与党公明党の一員でございまして、小泉総理と連立政権を組んで二年と二カ月、その前々任からしますともう三年と八カ月、こんなふうになりました。ただし、与党とはいえ、緊張感を持った関係でありたいと思っております。
 私、最近、自分の仲間たちに、小泉総理ということについて二つ言います。
 それは、意外と小泉さんというのは我々と感性が合う。一つは、あの人は政治と金ということに関して非常にきっちりしている、とりわけ国会議員の特権、二十五年という国会議員が経験した場合に得る特権を、日本の国会議員の中で最初にみずからの意思で放棄した人だと。二つ目は、文化、芸術に対する造詣が際立って深い。この間も総理は、時間を見つけて「ゾルゲ」を見に行っておられたんですね。すごいなと僕は思います。率直に言って、公明党と感性が合うところがある。
 しかし、しかしです。経済についてはいささか、ここのところ一向に景気回復が成らない等々、いささか問題ありだなというようなことも一緒に言っているわけでございます。
 きょうは、そういったことをまず冒頭に申させていただきまして、今回のこのイラクの事態についての、まず冒頭に私の考え方を申し上げさせていただいて、順次総理のお考え、また関係大臣のお考え方を聞いていきたいと思います。
 まず、先ほど来もお話がございますけれども、今回のイラクにおける事態に対して、アメリカの決断に総理がいち早く支持をされた。私たちは、何とかこのいわゆる戦闘事態、武力行使というものをアメリカに断念させられないものか、そういう努力をし続けましたけれども、最終的にああいう格好になった。そういう流れの中で、国益重視という観点で総理がされた決断というのは理解をせざるを得ない、そういうふうな態度を私は表明をしてきたわけでございます。
 それは、イラクの前政権といいますかフセイン政権が、国連のたび重なる安保理決議を無視して、大量破壊兵器の査察受け入れを拒否したりあるいは妨害する一方、それを破壊し滅却したという証拠を挙げる行為というものを回避し続ける。一方で、先ほどもお話ございましたけれども、自国民を迫害する、こういったことが繰り返された。都合十三年間、トータルでそういった事態が続いた。こういう国際社会に対する公然たる挑戦というものは、残念ながら断罪に値すると言わざるを得ない、そういう側面があります。
 今回、自衛隊を主軸にした人道復興支援、安全確保支援というものをしようとする法案が出されるに当たりまして、その趣旨に基本的に賛同するものですけれども、細かい点をめぐって国民各位の賛同、御理解をいただくためには、十分な議論の上に、その結果として早急に結論を出さなくちゃいけない、そんなふうに思います。
 かつて我が国には、一国平和主義的な考えというものが横行していたと思うんですけれども、国際社会における貢献というものがおざなりになっていた。それは、あの一九九〇年八月の湾岸戦争というものを経て、それではいけないという教訓を日本は得た。以降、いろいろな紆余曲折を経て、PKO法の施行、そうして、先ほど来ありますような周辺事態安全確保法、あるいはテロ特措法、こういうふうな流れが、あの九・一一の悲惨な事態を挟んで法律の整備というものが行われてきたということ。
 そういう流れの中で、かつてあれだけ反対の声、さっき総理も、社会の物の考え方が変わる、自衛隊に対する考え方も変わるんだなということを思ったとおっしゃっていましたけれども、PKO法の成立のときにあれだけ強い反対が内外にあった状況の中で、今はすっかりとそういったことが日本社会の中に定着している、こういったことは非常に大きいものがあると思います。
 今回は、国連決議に基づくとはいえ、初めてPKO以外の活動で他国に、しかもイラクという大変に距離的に遠いところに日本の自衛隊が足を踏み入れる、こういったことになるわけでございます。これは、単に国際社会の平和というものを叫んでいるだけではなくて、先ほど来総理が盛んにおっしゃっている、武力行使をするんじゃないんだということを繰り返しおっしゃっておりますけれども、そういった、今のイラクの事態に対して日本ができることは何なのかということを懸命に求める行為、こういうことは、単に平和、平和を叫んでいるだけではなくて、実際にその平和に向けての、平和構築に向けて汗を流す、こういったことだろうと思うんです。
 私は、私はといいますか私ども公明党は、こういう行き方というものを、やはり一九九〇年湾岸戦争以前の行き方と大きく隔絶する意味で、新しい平和主義、こういうふうな言い方をしていきたい、そんなふうに考えているわけでございます。
 そこで、前置きはそれぐらいにさせていただきまして、きのうの本会議、あるいは先般の国家基本問題のいわゆる党首討論の総理の御発言を聞いておりまして、若干、生意気な言い方ですけれども、アドバイスをさせていただきたいなというくだりがございます。三つあります。三つあるんですけれども、そのうちの二つは裏表というか、大きく分けて二つ、細かく分けると三つ、そうあるんです。
 まず第一番目の問題でありますが、要するに、きのう総理も本会議でどなたか野党の委員から大義がない、今回のイラク事態というものに対して大義がないという批判をされておりました。これについて、国会の場における私たちの仲間の指摘だけじゃなくて、いわゆる有識者、学者の中から、分けると二つの、いわゆる大義がないということについての批判、二つあります、大きく分けて。一つは、要するにアメリカがやった行為というのは先制攻撃という国際法違反ではないのか、これが一つ。もう一つは、大量破壊兵器が見つかっていないじゃないか、あると言っていたのにないじゃないか、見つかっていないじゃないか、こういう二つの角度から大義がない、こういう言い方が国会の中でもあるいは外でもされております。
 それに対して総理の御答弁、きょう聞いていてくださっている国民の皆さんに総理のおっしゃったことを簡潔に申し上げますと、一つ目のことについては、大量破壊兵器をめぐる疑惑があり、そして、査察への非協力を初め国連安保理決議の重大な違反をイラクは犯してきたじゃないか、だから、大義がないというのは当たらない、これが一つ。二つ目は、大量破壊兵器の問題については米軍等が今捜索中である、我が国としてはそれを注視していく、こういう答弁を何回か繰り返しておられました。
 まずそこで、一点目の方、二点目の方は後で申し上げますので、一点目の、いわゆる先制攻撃という国際法違反ということについて、総理はもう一遍ここでどう反論をされますか。そのことについて、まず冒頭お伺いいたしたいと思います。
    〔委員長退席、中谷委員長代理着席〕
小泉内閣総理大臣 まず、国際法違反ではないかという疑点、疑問に対しましては、私は、国際法にのっとって支持した。それは、一四四一を初め六七八、イラクがクウェートに侵入した以降の状況を見れば、これは国際法にのっとったものであるということで、国際法違反という態度はとっておりません。
 それと、連続していいですか。また後の……(赤松(正)委員「後で」と呼ぶ)後で、はい。
 まずこれについては、私は国際法にのっとって支持しているということであります。
赤松(正)委員 という答えは、少しばかり、何というか、私が先ほどアドバイスと申し上げたのは、何か紋切り型というか、それはそうなんだけれども、ちょっと一般的にわかりづらいなという感じがいたします。
 確かに、一九九〇年十一月に、いわゆる国連決議、安保理決議六七八、ここで武力行使を国際連合加入各国、安保理加入国が決議をした。そして九一年の四月に、今度は六八七で停戦決議をした。そして一四四一、二〇〇二年の十一月、これは各国がイラクに対して制裁を加える、こういう容認をしたわけであります。それはそうなんですけれども、さっき言った先制攻撃ということ等について一般的に国民が抱いている、アメリカのやった行為について持っている疑念というものを的確に払拭するわけにはいかない、こう思うんです。
    〔中谷委員長代理退席、委員長着席〕
 そこで、私は思いますのは、要するに、あのクウェートに対するイラクのサダム・フセイン政権の侵略というところから事は起こっている、一九九〇年。そして今回の二〇〇三年の五月の一四八三の決議という流れの中、つまり、十三年間にわたって戦争状態が続いている。まあ直接の戦闘行動というものはずっと永続して続いたものはないにせよ、やはり先ほど言いました、六七八でいわゆる武力行使が容認されて、そして六八七で停戦決議があったとはいえ、それを言ってみれば壊してしまう行為というものがあり、その流れの中で、例えば九八年十二月には、米英両軍における砂漠のキツネ作戦というようなものが起こったりしている。要するに、ずっと戦争状態というものが続いていて、戦争が完璧に遮断された、終わったということは言えなかったと思うんですね。
 そういう流れの中で、アメリカが盛んに国連の中における決議をさらに得ようという努力をしながらやってきたけれども、その最終的な結論というのは一四四一で決断をした、合意を得たという判断をしたという形における武力行使というのは先制攻撃とは言わないというふうに私は考える。
 つまり、こういったことについて国際法云々と言う人たちについては、私は、この間、憲法調査会でも申し上げたんですけれども、現実というものが国際法よりも先に行っちゃっている。そういう起こっている現実をどう解釈して、どのようにそれを規定づけるのかということが、国際法は十分にそれに対応し切れていない側面があるということを申し上げたんです。
 私は今申し上げたように、何といいますか、そういう決議がいろいろ無視されてきたということもさることながら、十三年にわたる戦争状態というものがあったそのイラクと、それからその周辺というか国際社会との間にいわば決着がついた。そういう意味では、先制攻撃ではなくて、言ってみれば決着攻撃であった。これは新しい言葉でありますけれども、そういう側面があるんだということを私は自分の身の回りの人たちに強調しているんですけれども、このことについて総理の御感想をお願いしたいと思います。
小泉内閣総理大臣 私よりもわかりやすい論理展開だと思います。
 停戦決議を守らなかった、これが十数年も続いた、むしろ愚弄していた。できるわけがないとイラクは米英初め国際社会を甘く見過ぎていたと思うんです。たび重なる決議があるにもかかわらず、みずから大量破壊兵器は持っていないんだという証拠を示さなかった、示すべきだったのに。そうすれば戦争も起こらなかったんですから。
 大量破壊兵器ないじゃないかと言う方もいますけれども、いまだにないとは断定できないでしょう。あると断定できないじゃないかと言いながらも、ないとは断定できないのが現実の姿だと私は思うんですね。なかったらば、どうして査察を受け入れなかったのか。査察を受け入れなかったんです、妨害したり追い返したんですから。
 そういうことを見れば、国際社会は、疑惑を持っているというのは一致した見方でした。さらなる重大違反があった場合は一四四一で深刻な事態を招くという決議をめぐって、昨年の十一月からことしの三月まで、たび重なる議論を重ねてきたわけであります。そして、戦争突入状態になって、主要な戦闘が終結した後は、今まで反対した国も今度はイラク復興支援には全会一致で賛成ですよ、国際社会が。
 そういう状況を見て今日本はイラク新法を出すんです。大義がないなんて私はどこから言えるのかと。国際協調体制を構築していくのが日本の国益にかなうという立場ならば、過去の意見の対立はあっても、今はイラク復興支援について意見の対立はないんですよ、安保理でも。私は、そういう点において、イラク新法、大義がないというこの議論にくみすることはできません。
 過去の対立よりも国際協調体制が重要だということで、それを乗り越えて国際社会は全会一致でこのイラク復興支援をしようと。国連は、各国に、加盟国に対してイラク復興支援してくださいと要請しているんです。この要請を日本が拒否することは日本の国益にはならない、この要請にこたえてできるだけのことをするというのが日本の国益にかなう、またイラクの国民のこれからの国づくりに役に立つと私は思っております。
赤松(正)委員 今の点は、一つ目がそういうことでございます。
 二つ目ですけれども、大量破壊兵器の問題、今も総理が少し触れられましたけれども。
 実はこの間の党首討論、正直申し上げまして、総理は負けていたなという感じがするんですね、残念ながらと言うべきか。もうちょっと冷静にお答えになられたらよかったんじゃないかと思うんですが、だれかれの議論で負けていたとは申し上げませんけれども、正直、テレビで見ていた人、新聞を見た人たちはそういう思いを抱いたと思うんですね。
 それで、私がここで言いたいのは、総理はちょっとこの問題に限ってはアメリカ寄り過ぎちゃっている。大量破壊兵器をめぐる問題について、アメリカという、まあアメリカのだれかれというか、というよりもアメリカですよね、アメリカがこの問題について主張していることについて少し寄りかかり過ぎておられるという印象を持つんですね。
 私は、その問題でいうと、結局、まず二つ、はっきり言って二つあろうかと思うんですね、もう一つ、三つ目もあるんですが。二つは、大量破壊兵器をめぐってどうなのかということが二つのケース。一つは、持っていたけれどもこの戦争の過程でなくなった、いわゆる直前にですよ。二つ目は、直前に、もちろん持っていたんだけれども、どこかにある。それからもう一つは、かつて持っていたものを破棄し、持っていないのに査察を拒否したり、あるいは妨害という形であたかも持っているかのように見せかけたというケースもゼロじゃないかもしれない。
 今私が申し上げた三つのケースというのは、それぞれそんなすぱんと絵でかいたようなものじゃなくて、疑惑とか、何かそれに近いもの、グレーゾーンというか、そういういろいろな変形の状況があると思うんですが、総理は、昨日の本会議では、今私が申し上げた二つ目、持っていた、そして今も現にどこかにある、それは捜すんだ、米軍が捜す、それを日本は注目しているんだ、こうおっしゃいましたよね。この間の党首討論では、ちょっと少し、大変申しわけない言い方ですけれども、サダム・フセインの問題を言われて、サダム・フセインがいないからといって生きていなかったというわけじゃないでしょうと、こういうお話をされました。これは、私のこのケースでいえば、持っていたけれどもこの戦争の過程でなくなったということと類似した表現だろうと思うんですけれども。
 いずれにしても、今申し上げたそういう大量破壊兵器ということについては、かつては、このイラクの特別事態を迎えるまでは、盛んに外務大臣がよく委員会でおっしゃっていました、総理ももちろんおっしゃったと思うんですけれども、要するに、一生懸命どこにあるのか捜し回るんじゃなくて、ないというなら、イラクがどういう形でもってそれを処理したのかというその証拠を示せということをおっしゃっていました。
 そういう観点でいけば、あるとかないとかというんじゃなくて、ないというんだったら、ないという形をつくり得たその過程を示せという論法を、私は、少なくとも外務大臣は盛んに使っていたことは知っているんですが、総理は、その次元にとどまられたらいいのに、絶対あるんだ、ある、だからそれは捜せばあると、こういうふうに余り言われない方がいいんじゃないかと思うんですが、どうですか。
小泉内閣総理大臣 いや、なければないとイラクは言うべきだったんですね。そして、査察を受け入れるべきだったんですよ。それが、あるだろうという国際社会の疑念を持たれて、決議がされた。
 私は、別にこの前の党首討論で言ったのを詭弁でも何でもないと思っていますよ。フセイン大統領が見つからないのに、イラクにフセイン大統領がいなかったようなことが言えるのか。それは言えないでしょう。では、私を非難する、批判する人たちは、本当にイラクが大量破壊兵器を持っていないと断定できるのか。恐らく、断定できる人は一人もいないと思うよ、私を批判している中でも。あるとは断定できないけれども、ないとも断定できないというのが、率直な今の多くの国民の感情だと私は思うんです。
 そして、どちらが可能性が高いといえば、隠したんですから、拒否したんですから、査察団を。どこかに持っているというふうに考えるのが普通でしょう。そういうことから、今見つからないからないというのは、断定し過ぎると私は思っております。
赤松(正)委員 私は、程度問題を言っているわけで、力点をそういうところに置き過ぎられない方がいいんじゃないのかという言い方をしたわけであります。
 といいますのは、これは外務省のホームページで、まあ外務省のホームページだからといって別に外務省の見解が述べられているというわけではなくて、UNSCOMあるいはIAEA、ここの、いわゆる国連安保理決議一四四一による査察再開以前のそうしたものの査察の結果を見ると、化学兵器、生物兵器、弾道ミサイル兵器そして核兵器、この四つが大量破壊兵器なわけですけれども、いずれも廃棄の成果が強調されているわけですね。廃棄の成果が強調されている。そして、廃棄をかいくぐって隠されているという指摘は全くないんです。辛うじてそれに値する表現は、生物兵器の破棄を示す証拠がなく、検証されていない、こういう記述ぐらいなんですね。
 それからすると、どこかに大量破壊兵器が大量にあって、それが見つかっていないのはおかしい、捜し出せということを強調し過ぎる論法というのは、やはり若干の矛盾をするというふうに思うわけでございます。
 そういう意味で、このホームページというのは、外務省がそう考えるというのではなくて、先ほども申し上げましたように、関係各機関が出した結果というものを掲載しているわけですけれども、この問題について、外務大臣の御見解を確認しておきたいと思います。
川口国務大臣 委員が見てくださいましたように、外務省のホームページでは、過去においてイラクが実際に大量破壊兵器を使ったこと、そしてその後、虚偽の申告を国連の査察活動に対してし、そして九八年以降、特にさまざまな妨害活動をやっていたということを言っているわけでございます。
 先ほど委員がおっしゃられましたように、イラクというのは、決議の一四四一によって、今までの国連決議に対して継続的に違反をしているということが認定をされ、そして、みずから疑惑を晴らす最後の機会を与えられた、それで、この機会をイラクは使わなかったというのは、今総理がおっしゃられたとおりでございます。
 したがいまして、ずっと関連の安保理決議あるいは累次の報告で明らかになっていますように、イラクが大量破壊兵器についての義務に継続的に違反をしているということが言われ、これは国際社会の一致した認識であるということでございまして、イラクは引き続き、そういう意味ではみずから証明をしなければいけなかったのであり、それをイラクが現在政府としてはできないというような状況のもとで、米国が、あるいは英国が、当局がこれを行っている。しかも、資料がないところで、日本の一・二倍の国土で、千人ぐらいの人で資料を集め、分析をしということでやっているというのが現状であると思います。
赤松(正)委員 この問題について私が総理に申し上げたアドバイス、繰り返すようですけれども、あるかないかということの論法に巻き込まれるんじゃなくて、サダム・フセイン政権というのは大量破壊兵器を使う意図と能力と技術を間違いなく持っていたということを強調するということが大事だろう、そう思います。それは言っているとおっしゃるんでしょうけれども、さらにその点を留意していただきたいと思います。
 三つ目です。三つ目は、先ほど冒頭にも申し上げましたけれども、今回自衛隊をイラクに出す、これについて総理は、先ほども少しおっしゃっていたし、きのうの本会議でも繰り返しおっしゃっていたのは、要するに、戦闘に参加しに行くんじゃないんだ、武力行使するんじゃないんですよと、こういう言い方を盛んにおっしゃっております。
 そこで、私は、まず結論から先に申し上げて総理のお考えをお聞きしたいんですけれども、要するに、自衛隊の役割ということを考えた場合に、国内における自衛隊ということを考えた場合に、いわゆる実力行使をする。先般成立しました有事法制のように、日本が攻められる、直接攻撃を受ける、これに対してこれをはね返す、これは日本が自分の国を守るための自衛の力、そこに働く自衛隊員の役割、これは実力行使部隊としての自衛隊の任務です。
 もう一つ、大別して大きい任務は、国内的にいうと、要するに、災害救助活動に従事する自衛隊の役割というものが近年非常に強くなってきております。私は兵庫の生まれ育ちでありますけれども、阪神・淡路の大震災で自衛隊が大活躍をしてくれた。
 そういう背景もあり、自衛隊の持つ、こういう言い方をするとそれはちょっと短絡的過ぎると言われるかもしれませんが、大きく分けて、そういう防衛出動やあるいは治安出動というような観点の実力部隊としての自衛隊と、災害救助活動という言い方に代表される、言ってみれば人道支援ですよね、人道支援的側面を持つ自衛隊の役割、大別して二つあると。その後者の側、国内でいえば災害救助という役割をイラクという地でやるんだ、こう言えばわかりやすいんじゃないですか。どうですか。
小泉内閣総理大臣 大変わかりやすい解説をしていただきましてありがとうございます。
 自衛隊が活動すると、すぐ戦争に結びつける、こういう考えは今回のイラクの支援についても一部に根強くあります。しかし、過去そういう議論があった中で、PKO法案なりが成立して、自衛隊も海外へ派遣され、その国の復興支援活動に働く実績をつくってきた。
 私も、東ティモールで自衛隊の諸君が活動している姿を実際見てまいりました。本当に暑い中で、水もない、あるいは道路も整備されていない、そういう中を、自分たちで水の補給も考え、自分たちでテントを張って宿舎も考え、なおかつ、その国の主要な施設を建設、整備をする。そして地元との交流も図って、友好関係を図っていく。男性隊員も女性隊員も汗まみれで活躍している姿を見まして、これほどまでに厳しい環境の中でも明るく誇りを持って活躍してくれるんだなということで、非常に感銘いたしました。
 今回のイラク復興支援のために自衛隊の諸君が派遣された場合におきましても、私は、今までの実績を踏まえて、一般の日本国民にはできない分野が自衛隊だったらできるというのがたくさんあります。また、一般の国民、公務員にしても民間人にしても、復興支援に行きたいという方がかなりおられると思いますが、そういう際に、他国からの協力を得て自分たちの活動をするという場合が多いと思うのでありますが、自衛隊は他国を支援することもできるし、輸送活動、医療活動、あるいはいろいろな物資の足らざるところを支援するという活動もできると思いますが、他の諸国と協力しながらも、自衛隊だったら他の諸国の協力がなくてもできる分野もあるんです。しかも、その部分については地域を限定しなければならない。非戦闘地域というのはどういうところかというのを見きわめるのが非常に重要だと思います。
 今、巻き込まれたらどうか、巻き込まれたらどうかという議論が、今後も行われると思いますが、戦闘地域に行くのではない、非戦闘地域だと。そういうところに自衛隊の諸君あるいは日本の国民の皆さんに行っていただく、そしてイラクの国づくりに貢献してもらうということでありますので、あたかも好んで戦闘地域に行くというとり方は非常に一方的じゃないかということをよく理解できるように、これからもよく説明する必要があると思います。
赤松(正)委員 そこで、今総理がおっしゃいました非戦闘地域の話でございますけれども、昨日来といいますか、聞いていますと、私は、非戦闘地域の要件を満たすように設定する、こうおっしゃっているくだりの中で、繰り返しおっしゃっているのは、我が国で独自に収集した情報、諸外国からの情報を分析し、状況変化の可能性も含めて合理的に判断する、こう総理はおっしゃっていますね。それから、さっき官房長官も防衛庁長官も、この非戦闘地域のことについてはそういうことを、多少の違いはあれ、お話しされたと思うのですが、私は、この分析して合理的判断可能という、だから非戦闘地域というのはそうやって設定できるんだというのは、どうも決意表明のように聞こえる。何か言葉の説明をしているようであって、していないというふうに受け取れるんですね、ちょっとひねくれた見方かもしれませんけれども。
 では、これを言っても同じことが繰り返されると思いますので突っ込んで聞きませんけれども、それに敷衍して言うと、非戦闘地域といっていても、合理的な判断可能だといって決めた非戦闘地域がこれから、今、きょうから審議が本格的に始まったわけですけれども、やがてぜひ皆さんの合意を得て通したい、そして実際に基本計画ができて云々という状況になったときに、その非戦闘地域が戦闘地域に変化する、変わり得る可能性というのは、起こり得る。
 現実に、私の仲間がイラクに行って帰ってきた状況を見ると、治安は、もちろん、群盲象をなでるという言い方は適切じゃないかもしれない、行ってきたからといって全部わかるわけじゃないんですけれども、行ってない人間よりは少しはわかるかなという感じがするんですが、要するに、武器の遍在、あちこちに武器を持っている人がいる、そして治安状況というか、ライフラインが非常に悪くなっている、以前よりもいろいろな生活の部分が悪くなっているというふうな状況があって、気分もいろいろ変わってきている。
 そういう中で、今、非戦闘地域だといっても戦闘地域になり得る可能性があるんじゃないのかということ、そしてそれが時間の経過とともに非戦闘地域が戦闘地域になってしまうという可能性はゼロじゃないと私は思うんですけれども、防衛庁長官はどのように思いますか。
石破国務大臣 それは、情勢は刻々変わり得るものであって、今後、非常によくなることもあれば、あるいは悪くなることも否定はし切れないものだと思います。
 いずれにいたしましても、私どもとしては、戦闘地域というところには行かないことははっきりしておるわけで、委員おっしゃいますように、そういうような地域に変化してしまったということであれば、そこでは活動は行わないということに相なります。そしてまた、ここは戦闘地域ではないというふうに指定をしたとしても、そういうような行動に遭遇した場合、これはどうなるかということを考えてみますと、それは、そういう危険を回避する、一時中断する、そしてまた指示を待つということになるわけでありまして、状況は変わることを私は決して否定いたしません。
 しかしながら、私どもの隊員がそういう戦闘地域において武力の行使を行う、あるいは自分の身を守るため以外の武器の使用を行うということはあってはならないということでございまして、これはもう、私どもとして、そういうことがないように、きちんとそのあたりは見ていくということだと思っておりますし、それは可能なことだと考えます。
赤松(正)委員 時間が迫ってまいりましたので、今の防衛庁長官の御発言についてさらに突っ込んでいろいろな議論をしたいんですが、また別の機会にいたします。
 ただ、要するに、自衛隊員に、さまざまな武器の使用をめぐって、先ほど来お互いに言っていますように、戦闘地域に行くわけじゃない、非戦闘地域に、いわば国内における災害救助活動の類縁というか、敷衍したような活動をするんだとはいえ、不測の事態が起こるかもしれないといったときの武器の使用のあり方というものについてはしっかりと、この条文を見ますと、非常にややこしいというか、難しいことを隊員に課すということを連想してしまいますけれども、それは防衛庁長官、そういったことについては通暁しておられる方ですから、かつては今とは若干違うようなことをおっしゃっていたように私は思っているので、その辺しっかりと、隊員のいわゆる不安感というものを除去するために頑張ってもらいたいと思います。
 最後に、総理にお伺いします。
 今回、イラクで千人ぐらいというふうなこと、これは報道を通じて私は知ったからわかりませんけれども、自衛隊員を千人ぐらい出すという話があります。今、東ティモールで約六百人の自衛隊がPKO活動で活動しておる、アフガン対応で四百から五百と、数は正確に断定できませんけれども、合計しますと、約二千人の我が国の自衛隊のメンバーが海外に展開するという事態が起こります。こういうPKO活動あるいはそれ以外の特別時限立法という形で、テロ特措法にしてもあるいは今回のイラクにしても、自衛隊員を二千人も海外に同時に出す事態が近い将来に起こり得るということなんです。
 そういったときに、言ってみれば、一々こういう自衛隊の位置づけというものを明確にしない、例えばPKO活動一つとっても、日本の国における法的な規定からいうと、自衛隊の活動の正式な活動には規定されていない。今回のテロ対策、あるいはイラクにしてもそうです。つまり、極めて自衛隊の活動というものがはっきりしないという状況が法的にある中で次々と展開させていく、こういう事態について、私は、どこかでやはりきっちりと決着をつけるというか、いわゆる安全保障基本法とか防衛基本法とかという名称はともかくとして、そういった今の憲法の枠の中でどう展開していくのかということをきちっと定義づける必要があると思いますけれども、最後に、その感想をお聞かせいただきたいと思います。
小泉内閣総理大臣 時代の変化に応じて自衛隊がどのような活動をすべきかという点については、今赤松議員御指摘のように、考える余地が十分あると思っております。
 憲法の範囲内で自衛隊が海外に派遣された場合にも、戦争に参加するのではない、戦闘行為に参加するのではないという中で、その国の、地域の平和活動に果たして自衛隊がどのような役割を果たすべきかという点については、何か事が起こったたびに特別法あるいは時限立法ということでなくて、今の日本の憲法の範囲内で、自衛隊が海外でどのような平和活動がふさわしいかという点については、恒久法がいいじゃないかという議論も自民党内にもあります。そういう点も踏まえて、今後、将来の課題として、いろいろな国民的な議論を踏まえながら検討すべき問題だと思っております。
赤松(正)委員 終わります。
高村委員長 次に、山谷えり子君。
山谷委員 保守新党、山谷えり子でございます。おはようございます。
 この委員会の正式な名称は、イラク人道復興支援並びに国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動等に関する特別委員会ということでございます。
 イラク復興特措法の、踏まえてということで、国連安保理決議一四八三、総理は先ほどから、もう全会一致で採択されたんだというふうにおっしゃっていらっしゃいますけれども、これは八ページにわたる大変長いもので、加盟国に治安回復などの協力を求めているものでございますが、文化財の保存とか、民族や宗教、性別にかかわりなく平等な権利に基づくイラク人による政権がつくられるようにとか、難民を助けたい、それから、行政機能に対して何か貢献できるところはないか、経済の再建のための基金のあり方、さまざまなことが、思いと配慮が国連の加盟国みんなによって決議され、そして国際貢献がスタートしている。
 新聞報道によれば、もう四十数カ国が実際に派遣、あるいは検討、計画している。韓国ももう既に七百人派遣しているわけでございまして、日本もそれを果たしていくというのは国際的責務であろうというふうに思っております。EUの先ごろの首脳会議でも、亀裂を克服して、修復して、一致結束していこうじゃないかというような流れにもなっておりまして、日本としても、この法案を国民の皆様に理解をいただいて、気持ちを一つにして、自衛隊の方々に、人道復興支援のために思う存分、誇りを持ってお働きいただきたいなというふうに思うわけでございます。
 先日、私、ユニセフで、二〇〇一年からイラクでユニセフの代表として働いていらっしゃいますカレル・デ・ロイさんという方にお会いしました。人道復興支援と教育問題等々を伺ったんですが、まず子供たちの教育、学校に行こうというんじゃないんだそうです。一番教えたいことは、不発弾に手を触れるな、お水を飲んじゃいけない。上下水道のパイプがずたずたでございますから、でも水がない、その辺の水を飲んでしまう、下痢になる、そうするともう命取りになる場合が多いということで、不発弾に手を触れるな、水を飲むな、それがまず教育だというふうにおっしゃって、ああ、そのような国の治安を本当に一日も早く回復して、子供たちが元気に学校に行けるようにしてさしあげたいというふうに思ったわけでございます。
 一部繰り返しになりますけれども、日本の自衛隊が、得意分野、いろいろあると思います。どのような分野で、また、医療、教育、さまざまな分野でどのような貢献をなさっていこうというお考えがあるのか、お聞かせいただきたいと思います。
石破国務大臣 これは、現地のニーズにどのようなものがあるかということをきちんと把握した上でということになりますが、基本的には、今おっしゃいましたような人道的なことであろうと思っております。医療でありますとか輸送でありますとかインフラの整備でありますとか、そういうような人道的な行為であって私どもができることというものを、これから先、現地のニーズを踏まえながら確定をしてまいりたいと思っておるところでございます。
山谷委員 日米同盟、国連重視、国際協調、平和主義からいっても、自己完結型の自衛隊の派遣がベストであるというふうに考えておりますけれども、本当に、総理が繰り返し繰り返し、戦争に行くんじゃないんだ、人道復興支援に行くんだということをおっしゃっていらっしゃいますが、先々月、私は、チリでIPUという会議に参加いたしました。
 百十五カ国、五百七十九名の国会議員が参加したものなんですが、追加議題というのが一つしか採択されない。各国がいろいろな議題、手を挙げるわけですね。日本は、北朝鮮問題等テロリズムの問題を背景にして、大量破壊兵器である核兵器、生物化学兵器、ミサイルの不拡散、それのテロリストたちに使われることの防止というような議題を訴えてまいりました。
 私は起草委員だったものですから、ぜひこの議題を採択してほしいと思いまして、日本から出発する前に、外務省からODAの一覧表をもらいまして、それぞれの国々に多数派工作をしたんですね。元防衛庁長官の瓦団長でいらっしゃいました。日本はこんなに貢献している、すばらしいODAのプロジェクト、成功しているか成功していないか、もっとどうしたらいいかというようなことをお話しする中で、私たちの国の問題の考え方を訴えてまいりました。
 最終的に決選投票になりまして、イランと日本、日本が勝ちまして、私は、世界の国会議員の皆様の前で報告責任者としてスピーチをすることができたのですが、そのときに感じましたことは、中谷委員が防衛庁長官のときのお話を先ほどなさいましたけれども、日本の国の貢献がいかに世界の人々から評価されているか。一部マスコミが言うように、顔が見えないだの日本は何だのかんだの、そんなことはございませんで、それは恐らく小泉総理が、このところ首脳外交を本当に精力的にやっていらっしゃる、その中で肌で感じておられることと同じであろうというふうに思います。
 日本、それから政府、議員外交、しかしながら、それを支えている、戦後長い間積み上げてきた私たちの国際平和への思い、協調主義、そして産業、商業、物づくり、文化、デザインの発信、すべての総合力がいかに世界の人々から信頼を受けているか、それを肌で感じまして、傲慢になることはないですけれども、やはりひそかな誇りとして私たちは持っていていいんだというふうに思いました。
 首相も首脳外交でそのようなことをお感じになられたというふうに思いますけれども、これまでさまざまな首脳との対話あるいは成果、これからの考え方などをお聞かせいただければと思います。
小泉内閣総理大臣 とかく日本のことについては卑下する報道が多いのですが、私はそんなことはないと。日本は戦後、戦争を反省して、日米同盟と国際協調をいかに重視してきたか、この方針を忠実に実行してきたと思います。
 ODAをとりましても、それは見直しも必要でしょうが、日本の援助によって各国の国づくりにいかに大きな励みを与えているか、また、日本の協力がいかに必要かというのは、国会議員が外に出れば、多くの国からそういう感じを受けるはずであります。
 そして、日本が、国連理事国ではありませんが、世界第二の経済大国として、日本の活躍というのはますます各国から期待されている、そういう中で日本の国際貢献ということを考える場合に、私は、その経済大国にふさわしい役割というのはどういうことができるかということを改めて国民とともに考える必要があるのではないか。
 国力、これはなかなか難しい問題であります。自衛隊は海外で活動してはいけないということで今まで来たわけでありますが、今や自衛隊も海外で活動することによって、戦争ではない平和定着の分野で活動できるという、新しい分野を日本国民も発見したと思うんです。自衛隊が派遣される、自衛隊が海外で活動するからこれは戦争に結びつくんだという根強い一部の考え方から、やはり時代の要請にこたえて、一般国民ではできない活動が自衛隊でできるんではないかというふうに私は変わってきたと思うんです。
 現にそうです。我々市民には考えられないような厳しい訓練を自衛隊の諸君は毎日やっているんです。人から見れば、何でこんな厳しい訓練をするのか。いつも、役に立たないんではないかと思われながらも、想像できない厳しい訓練をしている。そういう面において、私は、今回のイラクの復興支援についても、一般国民ではできないことがあれば自衛隊に行ってもらう、やってもらうということは、日本の国力にふさわしい貢献活動として考えるのは当然じゃないかと思っております。
 そういう中で、私は、自衛隊を派遣する場合には、戦闘行為ではないんだ、平和活動なんだ、あるいは、その国の復興支援、国づくりのために自衛隊の諸君が活躍してくれるんだということについては、よく国会でも、また国民の間でも理解されるような努力が必要だと思っております。
山谷委員 東ティモールに派遣された自衛隊の方も、歩くとジャパン・グッド、ジャパン・グッドと言われるというようなことも聞きました。
 現地につく自衛隊員等の任務の遂行に当たりましては、安全の確保に必要な武器帯行等について最大の配慮をすることは当然のことというふうに考えておりますが、こちらの法律案、十七条で武器使用の基準がいろいろ書いてございますが、私自身は国際スタンダードを望んでおります。せめて、国連が認めている最低基準、これはもう当然なんじゃないでしょうか。例えば国連は、PKOに対して、民間人の保護、威嚇射撃などを認めておりますけれども、その辺はいかがお考えでございましょうか。
石破国務大臣 基本的にPKOにおきましてそういうことが定められておることは承知をいたしております。
 一つ、これはPKOではございませんので、PKOのものがそのまま使えるというわけではございません。PKOの場合も、例えばUNDOFの場合にはこのような武器使用基準、あるいはUNMOVICの場合にはこのような武器使用基準、それぞれにおいて分かれております。
 今回のイラクにおいて、これが国際スタンダードだというような明確なものが存在をしているかというと、それはある意味、客観的には存在をしていないのだと思います。そして、参加します国々は、それぞれが武器の使用基準を持っておりまして、これが統一ということはございません。逆に言えば、手のうちを明かすことになりますので、こうまでしか武器の使用はできない、あるいはできるということを公にしておる国はございません。
 その中にあって、我が国が、今回、先生御指摘のように、不十分ではないかという御指摘をいただきます。しかし、私どもがやりますことは、治安維持そのものをやりに行くわけではございません。復興、支援、協力という形で行くわけでございます。そして、戦闘地域というところには行かないということになっております。そうしますと、治安維持を行わず、なおかつそういうような非戦闘地域で行動しているにもかかわらず危険に遭遇した場合に、使うべき武器の種類、あるいは使うべき権限というものを考えましたときに、十七条そしてまた自衛隊法九十五条というのを考えておるわけでございます。
 これで十分かどうか、私どもも随分と議論をいたしました。これで本当に、これを超えてもやらねばならない行為というのは何なんだろうかということを考えてみましたときに、私はこれで自衛官の安全というものは保てるというふうに考えております。
 非常に謙抑的ということかもしれませんけれども、しかしながら、世間受けがいいように、あえて自衛官に危険を与えるような、そういうことで武器の使用基準を決めたというようなことは毛頭ございません。私は、これで十分安全は確保されるというふうに考えておる次第でございます。
山谷委員 職員の健康管理、五十度、乾燥、酷暑、砂じんの中での健康管理を十分に考えていただきたいということと、あと、隊員手当、これは政令で決めるというふうになっておりますけれども、例えばインドネシアの復興手当ですと一日三千円とか千四百円とか、たしかそんなものではないかと思いますけれども、どの辺ぐらい、政令で定められるおおよその見通しみたいなものはございますか。
石破国務大臣 イラク人道復興支援手当、これを支給したいと考えております。この額をどれくらいにするかということは、これも現地の業務の困難性ということをよく把握して、本当に努力をしておる、苦しい中で頑張っている隊員の皆様方の労苦に報いるようなものを設定したい、現在このように考えております。
山谷委員 これは非戦闘地での復旧支援にかかわることでございますが、二条の三項で、戦闘行為を「国際的な武力紛争の一環として行われる人を殺傷し又は物を破壊する行為」と非常にややこしいんですけれども、これは、泥棒とかそういう方、暴徒たちが来るという意味ではなくて、例えばイラクのフセイン残党軍とか、そういうことを言っているんですか。具体的にはどういうことをおっしゃっているんですか。
石破国務大臣 ここは非常にわかりにくいところで恐縮でございます。
 先ほどの答弁でも申し上げましたが、なぜこういうふうな規定をつくったかといえば、これは憲法の要請に基づくものだと思います。私どもは海外において武力の行使はしない、だとするならば、戦闘地域、すなわち「国際的な武力紛争の一環として行われる人を殺傷し又は物を破壊する行為」そういうようなことが行われている地域に行くわけにはいかないんだということでありまして、戦闘地域だとか戦闘地域じゃないという議論をしますと、まさしく先生がおっしゃるように、危ない地域と危なくない地域みたいな概念になってしまう。それはあながち間違っているわけではありませんけれども、同時に、我々が海外において武力の行使を行わない、そのことをきちんと担保するためにこのような概念をつくっております。
 ですから、泥棒であるとか野盗のたぐいであるとか、そういうような、国際的な武力紛争と無縁のものに対しては、これは戦闘地域の概念には当てはまりません。たとえ同じような行為が外見上は起こっていたとしても、それは戦闘地域なのか戦闘ではないのかということは峻別をしなければならない。それは、危険なのか危険じゃないのかということと同時に、我々が憲法上の要請にきちんと従って活動する、そのことを担保する要請からきておるものでございます。
山谷委員 八条の五項に、戦闘行為が行われるに至った場合、もちろんそういうところには行かないし、あれなんですけれども、予測される場合、活動は一時停止または避難ということがございます。そうすると、ほかの国のチームと何かやっている場合に、日本だけどこかに避難してしまう、そういうことでございますか。
石破国務大臣 それはケースによりますが、本当に戦闘行為が予測される、すなわち国際的な武力紛争に発展しそうだということになりますと、少なくとも我が国としてはそれは避けることになります。
 しかしながら、では、そこでほかの国の部隊がばたばたと倒れておって、私どももたくさん被害を受けてというような場合になったらばどうなのだろう。あくまで我々は武力の行使というものは行わないということになっているわけです。しかし、そういうような場面が生じたとして、私どもの場合だけを考えますと、それがみずからの身を守るために必要な武器の使用であれば、それは認められることになります。もちろん、危険を回避し、そしてまた休止しということを行うわけですが、それをしながらも、向こうからどんどん撃たれているというようなことがあった場合には、自分の身を守るための武器の使用までこれは排除したものではございません。
 他国を守るために使えるかということになりますと、これは自己の管理のもとに入ったということになって、彼らが全く戦闘能力を失って、例えば我々の病院に収容されたような場合であれば別ですが、それ以上のことをやろうと思いますと、これは憲法上の要請からいって極めて困難であるというふうに考えております。
山谷委員 武器使用基準も含めまして、日本と世界、いろいろな現実のありのままを見ながらやはり議論を深めていっていただきたいというふうに思います。
 国連決議に基づいてということでございますが、日本は国連への分担金、二〇%近い、世界第二位の貢献をしているわけですが、まだ旧敵国条項というのがあったり、あるいはそれにふさわしい役割、発言権が与えられているということは言えないのではないかと思っております。政府としては、国連の改革を積極的に進めるために、私はもっとアクションを起こしたらいいと思っているんですけれども、どのようにお考えでございますか。
川口国務大臣 国連の改革は、我が国にとりまして重要な課題であるというふうに考えております。これは、総理が先般ブッシュ大統領とお会いになられましたときも国連改革の重要性についてお話をしていただいておりまして、そしてブッシュ大統領から理解をいただき、今後フォローアップを一緒にしていきましょうという話にもなっております。
 おっしゃった敵国条項の話、あるいは安保理の改革の話、これは、人数をどれぐらいにするか、どこの国を新しい常任理事国にするかといったような問題もございます。この改革は十年以上、実はずっと我が国も非常にリーダーシップをとって今までやってきております。なかなか難しい問題でございますので、今までの十年の結果がそれほど目に見えるような形にはなっておりませんが、今後引き続き、我が国としては敵国条項の問題も含めまして、真剣に取り組んでいきたいと考えております。
山谷委員 勝負服の赤での答弁でございましたので、ぜひ力強いアクションを期待します。
 テロ対策特措法、そしてイラク復興の特措法と、何かあるたびに特別措置法、特別措置法という形でつくっていくわけです。継ぎはぎでございます。世界の平和のために私たちができる恒久的な法律をつくることをぜひ広く国民に理解を求めるべきではないかと思いますが、もう時間ですが、小泉総理、一言だけお願いします。
小泉内閣総理大臣 今後の検討課題だと認識しております。
山谷委員 ありがとうございました。
高村委員長 次に、前原誠司君。
前原委員 民主党の前原でございます。
 まず質問の前に、我が党のスタンスと、また、この委員会にかけられています二つの法律についての我が党の考え方を述べさせていただきたいと思います。
 まず、イラク支援特別措置法と、そしてテロ対策特別措置法の延長問題、二つかけられておりますが、我が党は切り分けて順番に議論すべきだという立場でございますので、私は、この場ではイラク支援特別措置法のテーマだけ取り上げさせていただきたいと思います。
 それと同時に、我が党のイラク復興支援についての考え方を若干、小泉総理、聞いていただきたいと思います。
 我が党は、後で御質問いたしますように、アメリカ、イギリスなどによって行われましたイラク攻撃については、その国際法上の正義、大義に疑義あり、こういう立場でございまして、イラク攻撃には反対である。そしてまた、なお国連軽視をして占領統治を続けていることについても、極めて問題であり、早い時期に国連を中心とした多くの国々がイラクの再建について責任を持つような形をつくるべきだというふうに思っております。
 さはさりながら、実際、サダム・フセイン政権が崩壊をして、そしてイラク国民が今一生懸命に国の復興、立ち上げというものを頑張っているわけでありまして、それについては積極的な支援をすべきであるというふうに思っております。したがって、我が党の立場というのは、イラク復興については何らかの支援というものを積極的に日本も行うべきであるという立場でございます。
 ただ、これから質問いたしますのは、自衛隊を派遣することの是非、あるいは日本が果たすべき内容、その点を国民の皆さん方の前に明らかにしていきたい、そしてまた、この法律の問題点についてもつまびらかにしていきたい、そういうスタンスで質問させていただきたいと思います。
 まず、小泉総理、一つお聞きをしたいんですが、以前、この部屋でございましたけれども、予算委員会で私が、これはまだアメリカによるイラク攻撃が行われる前でございましたけれども、小泉総理にこう質問いたしました。仮に国際法上の根拠がない、正当性がないアメリカの攻撃でも、日本はアメリカの同盟国として支持をするのかという質問をいたしましたところ、小泉総理は、国際法上の正当性のないものについては同盟国であっても支持をしない、こういう答弁をされましたけれども、今でもそのお考えにお変わりありませんか。
小泉内閣総理大臣 正当性があると思ったから支持したわけであります。
前原委員 それでは、その正当性について少しお話をしたいと思います。
 このイラク人道復興支援法の第一条「目的」のところに、国連安保理決議六七八、六八七、一四四一並びにこれらに関連する安保理決議に基づき、こういうことでございます。
 川口大臣に質問いたしますけれども、今小泉総理は、アメリカの攻撃というものが国際法上の正当性がある、だから支持をしたんだ、こういう話をされました。今もその状況は変わっていないというふうに断言されますか。
川口国務大臣 変わっていないと思います。
前原委員 二つの問題提起をさせていただきたいと思います。
 では、この国際法上の正当性の一つの根本になっている国連決議でございますけれども、六七八、六八七、まあ一四四一は武力攻撃の根拠にならないと、これは明確に国会で総理並びに外務大臣が御答弁されておりますけれども、この六七八、六八七というものはどういったときに武力行使を認められるかということでありますけれども、私が理解をする限りは二つだと思います。一つは、イラクがクウェートから撤退をしていない状況においてあらゆる必要な手段がとり得る、もう一つは、大量破壊兵器に対する国際的な取り決めというものをイラクが遵守していない、この場合にのみ国際社会はあらゆる必要な手段をとり得るということが書かれているんだと思います。
 我々は、一四四一というものが武力行使を認めていない、そして湾岸戦争のときにさかのぼって、ほこりをかぶった国連決議を持ち出して、そしてアメリカの攻撃の正当化をするのだということを申し上げました。したがって、そのスタンスは変わっていないわけでありますけれども、あえて政府の立場に立つのであれば、その二つの前提、つまりは、イラクがクウェートから撤退しない、これはもう撤退しています、湾岸戦争のときに。もう一つは、大量破壊兵器に対する国際的な取り決めというものをイラクが遵守していない、この二点だったと思うんですが、その前提条件は成り立っていますか、今の状況。御答弁ください。
川口国務大臣 大量破壊兵器の問題につきましては、これは前の委員からのお尋ねもございましたけれども、大量破壊兵器について、イラクが国連の決議にこたえて、みずからこれを廃棄した、あるいは持っている等々の証拠を見せてこなかったということから、一四四一によって与えられた最後の機会を生かさなかったということで、途中は省略いたしますけれども、武力行使に至ったというわけであります。
 そして、これはイラクの政府にかわりまして、イラクの政府がなくなってしまいましたので、現在、探索が行われているわけでして、この探索については、過去のいろいろな書類あるいはいろいろな証拠、そういうものを集め、それを分析するということを通じまして行っていますけれども、これに対して、米国あるいは英国が千人を超える人を派遣して今やっているということでございます。
 過去、イラクにおいて、あるいはイラクによって化学兵器等が使われたということ、それから、国連のさまざまなインスペクション、査察の過程において、これについての疑惑が指摘されている。二十九、三十にわたる項目も最後の段階で指摘をされていますけれども、そういった疑惑は依然として残っているわけでございまして、我が国としては、現在、その大量破壊兵器についての捜索の状況を注視いたしているところでございます。
前原委員 事実を申し上げたいと思いますが、まず一つは、現時点においては大量破壊兵器は見つかっていない。これは事実ですね、外務大臣。
 それからもう一つは、アメリカが新たな国連決議を求めなかった。一四四一、最後の機会を与える。それに対しての評価はいろいろあると思いますけれども、それに対してアメリカは、新たな国連決議を求めなかった。UNMOVIC、査察メンバー、あるいはIAEA、国際原子力委員会、こういった国際機関というのは、さらなる査察を求めていたわけですね。
 確かに、私もイラクが化学兵器を持っていたというふうに思います。そしてまた、クルド人に対して大量虐殺を行った疑いが極めて濃厚である、そのように思います。しかし、事実関係としては、今大量破壊兵器は見つかっていない。それと同時に、国連のいわゆる大量破壊兵器の査察メンバー、あるいは核の査察、IAEA、これはさらなる査察を要求していた。
 今、外務大臣は、まさにどこに隠されているのかということをアメリカ、イギリスが一生懸命やっているので、その推移を見守りたいということでありましたが、しかし、現時点においては見つかっていないわけですね。もっと言えば、疑いというものだけで果たして他国を攻撃するということが国連決議で認められているものなのかどうかというと、極めて疑問だと私は思いますよ。
 つまりは、ここにあるんじゃないか、確たる証拠があって、それを出してこない、出してこないから、これは幾らイラクに言ってもしようがないんだということで攻撃をしたならわかりますけれども、あるだろうあるだろう、捜したらどこかにあるんじゃないか、そういうことで攻撃をして、実際問題いまだに見つかっていない。そして、外務大臣の答弁は、捜している、それの推移を見守りたい、そして、イラク攻撃についての正当性の評価は変わらない。これはおかしいんじゃないですか。
 疑いを持って、そして、ここに何かがある、あるいは、この地域に隠されているということがわかった上でやったのなら、まだ私は、政府の立場、支持はしないけれども理解はできる、その言い方については。しかし、いまだに見つかっていないことについて国際法の正当性があるということは、私は今の外務大臣の御答弁では納得できません。
川口国務大臣 一連の以前の委員会で申し上げたことの繰り返しになりますけれども、そういう形でイラクは、一四四一によって与えられた最後の機会を生かさなかったわけですね。それで、我が国にとっても、あるいは国際社会にとって、大量破壊兵器の問題というのは大きな脅威であるという共通の認識がございます。そして、その時点で、我が国の一・二倍の国土を有するイラクにおいて、イラク側が積極的に、プロアクティブに査察の要求にこたえない、それから、それをさらに大きな武力がイラクの周囲に展開をして最大限に圧力がかかっている状態、ここにおいてもイラクはこたえなかったということから、世界の国々は武力行使をするのやむなきに至ったということでございます。
 武力行使なしには大量破壊兵器の脅威を除去し得ない、そういう状況になったということで、我が国は、国益に照らして米英を支持したということでございます。
前原委員 要は、外務大臣のおっしゃりたいのは、大量破壊兵器が見つからなくてもいいんだ、結論としては。つまりは、アメリカ、イギリスが中心として、これは国連と言ってもいいかもしれません、その段階は。求めたことに忠実に履行しなかったから攻撃したんだ。それについて認めたんだから、大量破壊兵器が仮に見つからなくても、アメリカ、イギリスの攻撃は正当性があった、そういう結論ですね。
川口国務大臣 大量破壊兵器は、先ほど言いましたように、今捜索を行っているということでございますから、我が国としてそれを注視しているということでございます。
 先ほど私が申し上げましたのは、イラクに対して武力行使が行われた経緯、そして、それが国際法上適切なものであった、そういうことを御説明申し上げたということでございます。
 イラクに対する武力行使は、そもそも、イラクによる、関連の安保理の決議に対して、これが不履行であったということに起因をしているということを申し上げているわけです。
前原委員 不履行に起因するものであった、アメリカ、イギリスなどによる攻撃は。
 ということは、私の質問にお答えをいただきたいんですが、大量破壊兵器が仮に見つからなかったとしても、政府の立場、見解は変わらない、イエスかノーかで結構です。
川口国務大臣 御質問が、我が国の対応に問題があったかどうかということであれば、問題はなかったということを申し上げているわけです。
 それで、大量破壊兵器、これについては今捜索が行われていますし、それから、例えばブッシュ大統領は、これは時間がかかってもずっと捜していくという旨の発言をしているということでございます。
 我が国としては、この捜索については注視をしていきたいということです。
前原委員 二つ私は質問しているわけです。
 一つは、今外務大臣がおっしゃったように、イラクの対応に問題があった。要は、国際社会に対して誠実に対応しなかった。アメリカ、イギリスなどによる攻撃については、イラクのそういった国際要請に対する不履行に起因したんだ、だから、その時点における日本の対応は間違っていなかった、こうおっしゃりたいということ、これはそれでいいですね。
 もう一つは、私が申し上げているのは、しかし、疑わしきは罰するで、それを認めていいのか、そして、その前提条件を加味した上で、イラクにおいて仮に大量破壊兵器が見つからなかったときにおいても、我が国の対応は間違っていなかったと言えますかということを申し上げているんです。それについてイエスかノーかと、お答えください。
川口国務大臣 仮定の御質問になりますけれども、私が申し上げていますのは、我が国の対応、これについて問題はなかったということであります。
 それで、大量破壊兵器について申し上げれば、繰り返しませんが、これは今までさまざまな疑惑があった。したがいまして、イラクに大量破壊兵器が存在をしなかったということは想定しがたいだろうというふうに我が国としては考えていますので、その捜索について、現在それを注視しているということでございます。
 我が国の対応にいずれにしても問題はなかったというのが考え方です。
前原委員 外務大臣、いつものことなんですけれども、仮定の質問で逃げないでください。
 つまりは、今の段階において大量破壊兵器は見つかっていないんですよ。ですが、見つかるかもしれません。そのときは、見つかったということで、やはり我が国の対応は正しかったと胸を張ればいいんですよ。
 私が伺っているのは、現時点において見つかっていない、後でまた別の質問をしますよ。私は、疑わしき段階で確たる証拠がないのにやったということに問題ありという立場で申し上げたいけれども、それは後できっちり聞きますけれども、私が今二点目に伺っているのは、大量破壊兵器が発見されなかった場合においても我が国の対応は正しかったと言い切れるかどうかということをお聞きしているわけですよ。そんな、あると思うとかどうのこうの、今が進行中なんということを何度もお答えいただかなくて結構です。
川口国務大臣 同じことを申し上げますけれども、イラクが国連の決議に従わなかったということは事実として残っているわけです。したがって、我が国は、国連の安保理決議に従って武力行使を行った英米を支持するということは、我が国の脅威に対する意識からいって国益であるというふうに考えますし、対応に問題があったとは考えておりません。
 いずれにしても、イラクが国連の決議に従わなかったということは残っているわけです。(前原委員「答えていないじゃないですか。答えていない、答えていない」と呼ぶ)
高村委員長 答え方がうまいかどうかは別にして、我が国の対応には問題がなかったと、場合を留保しないで、見つかろうが見つかるまいが。そういうことですから、質問を続けてください。
前原委員 何か総理がお答えになるそうですから、総理にお伺いします。
 二つのことを聞いているんです。目をつぶっておられたが、ちゃんと聞いておられましたか。私は二つのことを質問したんです。
 一つは、要は、イラクの大量破壊兵器に対する情報開示の不履行というものに起因したということについては、これは立場の違いはありますよ。国連、UNMOVICやIAEAは査察継続と言っていた。アメリカやイギリスはそれは打ち切るということを言った。そして政府は、そのイギリスやアメリカの対応について賛同して支持をした。だから、それについては、立場が違っても、私は認めているわけです。政府の立場というものを認めているわけです。それはいい悪いじゃない。
 私がもう一つ伺っているのは、大量破壊兵器が発見されなかった場合、それでも、イラクの不履行に問題があったんだ、イラクが要は大量破壊兵器の情報開示というものに従わなかったから、仮に見つからなくてもそれは問題なかったんだと言えますか、どうですかということをお聞きしているんです。
小泉内閣総理大臣 再三、川口大臣が答弁しているように、イエスかノー、それだけが答弁じゃないんです。今継続中なんですから、ないとは言えない、あるとは言えない、そういう段階で、疑わしきということは国際社会がみんな認めていたわけでありますから、今の時点でなかっただろうという仮定で答弁する必要はないし、答弁するべき問題でもない、それが私の答弁なんです。
前原委員 わかりました。
 でも、これ、総理、非常に重い発言をされたことですよ。つまりは、政府の対応が正しかったかどうかということについては留保されたということなんですよ。(小泉内閣総理大臣「いや、そうじゃない」と呼ぶ)いや、そういうことですよ。大量破壊兵器が見つかるかどうかということを、ずっと見つからなかった場合においては、それはまた違う話になりますよ。(小泉内閣総理大臣「それは違う」と呼ぶ)いや、それは違うんだったら、どうぞお答えください。
小泉内閣総理大臣 見解の相違は認めます。今までの米英を支持した対応は、私は正しいと思っています。見解が違う。
前原委員 総理、質問と違うことをお答えにならないでください。それは二つの質問のうち初めの方なんですよ。初めの方はもうわかりました。むしろ私が見解の相違ですねと言ってあげているんですから。それについては認めているわけですよ、いいか悪いかじゃなくて。
 私が伺っているのは、大量破壊兵器が見つからなかったときに、政府の今回の対応というものが正しかったか正しくなかったかということについて、総理はイエスかノーじゃないとおっしゃったんですね。それについては態度を留保されたんですよ。そういうことでいいんでしょう。総理に聞いているんです。
小泉内閣総理大臣 今捜索中ですから、それが仮にという時点での答弁は差し控えるということを言っているんです。
前原委員 それは、ですから、留保したということで、重大な答弁をされたということです。
 つまり、これは、なかったら、見つからなかったら私は大変なことになるということだけは申し上げておきたいと思います。だって、総理が先ほど、国際法に照らし合わせて、正義のない攻撃については、たとえ同盟国であるアメリカであっても、それについては支持しないということをおっしゃったわけですから、それと合わせてかなり重い答弁をされたというふうに私は思います。
 ただ、つけ加えますけれども、私は、イラクの大量破壊兵器の疑惑というのはあると思います。ある。先ほど申し上げたように、クルド人に対しての化学兵器が使われたことについては、それは私はかなり事実に近いんだろうと思います。これからいろいろ問題点が出てくるんだろうと思います。
 しかし、私が申し上げたいのは、出てくるだろうということで攻撃していいのかと。先ほどの話に戻ります。確たる証拠があって、ここに大量破壊兵器が隠されている、あるいは貯蔵されている、そういうものがわかった上で攻撃をしたのなら、まだ政府の支持した理由にはなるけれども、捜したらあるだろう、とにかく攻撃して壊して、そして、がらくたのおもちゃ箱をぶちまけて捜してみたらあるんじゃないか、こんなことについて私は正当性はないと。ただ、それは、先ほどおっしゃったように、見解が違うということなんでしょう。
 だから、私は、そのことについては、疑わしき段階で、また確たるものも、情報、証拠もないのにやったことについては、政府の対応は問題があったということは申し上げておきたいと思います。
 では、総理、外務大臣、どちらでも結構ですよ。今、アメリカやイギリスの中で相当問題になっていることがあります。つまりは、大量破壊兵器に対して情報操作、情報隠ぺいがあったんじゃないか、こういう問題がありますね。
 例えば、具体的に申し上げますと、アメリカについてでありますけれども、昨年十二月にイラクの核開発の証拠とされる文書がアメリカ、イギリスから国連に提出をされた。この内容については、イラクがニジェールという国からウラン五百トンを輸入しようとしていたことを示すニジェール政府の公式文書、そういうふれ込みで国連に提出した。しかし、国際原子力機関、IAEAエルバラダイ事務局長はすぐに、この文書は偽造である、にせものである、こういうことを言ったわけです。つまりは、アメリカ、イギリスが出した文書についてはにせものであったということをIAEAのエルバラダイ事務局長は言っているわけですね。
 それから、国連監視検証査察委員会、UNMOVIC、先ほどから何度か申し上げていますが、UNMOVICのブリクス委員長も、米英の情報をもとに査察を行ったけれども、何も発見できなかったと。つまりは、事前に米英からいろいろな情報を得たけれども、それによっては何も発見できなかった。ということは、米英の情報というものがにせものであったり、あるいは米英の情報に基づいてUNMOVICが捜査をしてもそれについては発見できなかった、こういう話があります。
 それから、イギリスのことも話をいたしますならば、イギリス国外の情報を収集する組織、MI6、この高官が証言しているのは、政府が機密情報を歪曲し、イラクの兵器が与える脅威を訴えるため恣意的に使ったと。
 つまり、イギリスでも大問題になっている、あるいはアメリカでも大問題になっている、そして、査察のよりどころになっていたUNMOVICのブリクス委員長あるいはIAEAのエルバラダイ事務局長もそういう発言をしている。あげくの果てには、ジェシカさんという二十で捕虜になったと言われる女性のことについても、あれは国防総省がでっち上げたものではないかという話までアメリカでは出ている。
 こういう情報をもとにして、それでも、先ほどおっしゃったように、アメリカを支持したことについては、それは間違ってなかったんだということを言われますか。
小泉内閣総理大臣 これは、査察団並びに国連安保理がイラクの疑惑を認定してきているんですよ。米英の情報のみに頼っているんじゃないんです。だからこそ、正しかった、今でも対応は正しかったと判断しているんです。
前原委員 国連は、アメリカ、イギリスの情報をもとにして査察をしたけれども、見つからなかったということを言っているわけです。それと同時に、米英は期限を切ってイラク攻撃だと言ったけれども、国連、UNMOVICは査察継続だと言ったんですね。IAEAもそう主張したわけです。
 私は、こういう情報操作あるいは情報隠ぺいというものがありながら、アメリカの情報しか日本は主に得るところはないわけですから、そういうものをベースに支持をしたということについては、大きな問題ありということを最初の観点とともに指摘をしておきたいというふうに思います。
 水かけ問答になるだけですから、結構です、答弁は結構です。
高村委員長 先ほどから随分主張されて、さっきから答弁……(前原委員「いや、委員長は交通整理だけしてくださいよ。意見を申し上げたのと質問をするのは私が決めさせていただきます」と呼ぶ)答弁者にも答弁の機会を与えてください。(前原委員「いや、総理が答えられたんですから。委員長がそんなことをおっしゃることじゃないでしょう。おかしいじゃないですか、委員長のその仕切りは。おかしいですよ。私は、要りませんと言っているんですから」と呼ぶ)いや、答弁者が答弁……。(発言する者あり)
 川口外務大臣。
川口国務大臣 先ほどの点でございますけれども、いろいろなことがあったとしても、そして、その大量破壊兵器の保有についての米英で起こっていることについては、これはブレア首相も明確に否定をしている。それからブッシュ大統領も、これは、サダム・フセインが大量破壊兵器を保有していたことは確実であって、長期間かけても発見をするという立場であるということでございます。
 それから、先ほど委員が幾つかの報道機関の報道を聞かれたということですけれども、そもそも、核の疑惑ということについてはイラクには余りなかったということでございますし、それからブリクス委員長も、イラクがプロアクティブに協力をしない、圧力がこれだけあっても協力をしないということであれば、そもそも査察をやっていくということについては非常に困難だという発言をしていらっしゃいまして、委員がおっしゃるように、米英の主張に基づいてやったけれどもできなかったということではなくて、そもそもイラクが協力をしなければいけないところをしなかったということが査察がうまくいかなかった、そういうことであるわけです。
前原委員 やはり答弁してもらわない方がよかったと思います。時間のむだだったと思います。
 つまりは、これは別に答弁をお伺いするつもりはなかったので、ここまでは申し上げようとは思いませんでしたけれども、外務大臣の今までの御答弁は全部、要は、すべてアメリカの武力攻撃を前提としたお話なんですよ。
 もっと言えば、パウエル国務長官が国連で、二月の六日だったと思いますけれども、証言しましたね。つまり、証拠があるということで、衛星写真とかいろいろなものを出しました。それについてはアメリカの中でも後には疑義が出てきたけれども、外務大臣の談話、そのパウエルさんの国連での報告があった六時間か七時間後ぐらいだったと私は思いますけれども、こういうものが出された、そしてイラクへの疑惑がますます深まった、こういう談話を発表されているんですね。どうやって六時間の間でパウエルが出してきたものを、それが正しいかどうか評価するんですか。
 つまりは、アメリカからもらった情報のすべてうのみ、あるいはそれをすべて言っているだけが今の外務大臣の御答弁じゃないですか。そんな答弁を前提に、私、外務大臣のお話は伺いたくないです。もう結構ですから、それは、それについては。――では、どうぞ。
川口国務大臣 談話をよく読んでいただきたいと思いますけれども、その談話で言いましたことは、アメリカが情報を提示したことを高く評価をする、そして情報が示されたことを重視している、また、これによって疑惑はさらに深まったということを言っているわけであって、これが事実であるとかないとかいう評価をこの談話でしたわけではない。ここで申し上げたことは、別にアメリカの言っていることが正しいという評価ではなくて、今私が申し上げたとおりであって、したがって、委員が今おっしゃったことは当たらないと私は考えております。
前原委員 子供のけんかみたいになりますので。疑惑が深まったということ、アメリカを認める立場に立っていないというのは、私は論理矛盾だと思います。
 別に質問したわけじゃないので、もうこれで切ります。次の質問に行かせていただきたいと思います。防衛庁長官、官房長官おられますので、次の質問に行かせていただきます。
 自衛隊を派遣するということでありますが、そもそもどういうニーズがあるのか、そして何をされようとしているのか、私はそれを前提に議論をしなければ意味がないと思っています。今の段階で具体的に自衛隊を派遣させて何をされようとしているのか、その点についてお答えください。
石破国務大臣 これは、各党あるいは政府、調査団を出しております。イラクにおいてどんなニーズがあるのかということよりも、日本の一・二倍なぞという広い国土ですから、それぞれの地域に応じたさまざまなニーズがあるということだと思います。これがイラクのニーズだということをぱっと言えることは難しい。
 ただ、考えておりますのは、やはり医療あるいは輸送、補給、施設、そういうような業務分野において、それぞれの地域にそれぞれの地域に合ったニーズというものは存在をしている。それは、各党から出ております報告を見ましても、そういうことが指摘をされておる。そういうような人道的なニーズは、私は存在をしていると考えております。
前原委員 防衛庁長官、この法律は特別措置法ですよね。つまりは、時限立法で、最大四年間、こういう期間が設けられておりますけれども、特別措置法というのは、恒久法、一般法と違って、枠組みを決めて中身は後で考えるという代物であってはいけないと私は思います。つまりは、今おっしゃった医療、輸送、施設、補給、こういったものを具体的にどうするのかというところまで詰めていないと、私は、特別措置法という性格上、議論できないと思います。
 どういうことかといいますと、その内容によって、いいんじゃないかという場合もあれば、後でお話しします武器使用の問題、武器使用基準の問題、危険地域の話、内容によって、それならやってもいいんじゃないかというものもあれば、これはやっちゃいけないという話もあるかもしれませんが、その具体的内容を示されないまま、一応こんなものがニーズとして挙げられます、日本の一・二倍の大きさなので、さまざまな地域のニーズがあるので今は特定できない、それでは、私は、この法律、特措法という性格上、議論できないと思います。
 もう少し、医療、輸送、施設、補給、具体的にどの地域でどういうことをやるのか、もっと具体的に示してください、特別措置法なんですから。
石破国務大臣 この後、基本計画を作成いたしますときに、どの地域にどのニーズがあるかということをお示しして定めることになると考えております。
 確かに、委員御指摘のように、これは特別措置法であって、そういうような概括的なものでいいのか、一般法と違って、特別措置法というのはそういうものではないかという御議論、それはあるだろうと思っております。しかし、それでは、この地域においてこのようなものという特定が今の時点でできるか。
 これは、テロ特措法もやはり特措法でございました。いろいろな形ができるように書かせていただきました。しかし、そこにおいて行いましたのは、補給艦による補給活動ということを行いました。同意を得たる他国の領域というのに入らなかったわけでございます。
 したがいまして、今回のイラク特措法というものも、私は、それが本当に事細かになっていないので、この法案は審議ができない、あるいはこの法案は議論ができないということは、必ずしも論理的にそうなのかなという気はいたしております。
 しかしながら、本当にどこに何があるか全くわかりませんねというようなことではいけませんので、今、与党の調査団も行っております。御党の調査団も、いろいろな御議論、これからあるのだろうと思います。どの地域においてどのようなニーズがあるか、そしてどのような自衛隊の能力が要求されるかということは、できるだけ具体的な議論をすることは必要なことだというふうに、私どもも責任は感じておるところでございます。
前原委員 私は、もう少し詰めてもらわないとやはりいけないと思うんですね。今、防衛庁長官が、特別措置法だから具体的な活動内容に言及しなければ議論できないということは理解できるとおっしゃった。私は、でもそのとおりなんだろうと思います。
 きょうはテロ対策特別措置法の議論はいたしませんが、あえて申し上げると、このテロ対策特別措置法の問題については、おっしゃったように、補給なんですね、補給。これについてかなり、基本計画が定められる前に明らかになっていたんです。だから、そのことだろう、そのことだけやるんだろうという話になっていたわけです。しかし、今回の場合は、かなり多様なニーズがあるんじゃないかというようなことで議論されているわけですね。
 では、つけ加えて申し上げますと、我が党も、同僚議員の末松理事が団長で行かれました。末松議員はきょう御質問されますので、その内容については、御本人がしゃべられた方がいいと思いますので、私はしませんが、政府調査団で行った方から私は報告を受けました。もっと厳密に言うと、その受けた人の上官から私は報告を受けました。
 その中身は、医療についてはニーズはなさそうだ、そして施設についても、それがどういうものかどうかというのはまだ特定できない、そして輸送についてはかなり危険が伴う、できるとすれば水と油の定点補給ぐらいかなと。輸送についても、陸上の輸送はできれば避けたい、例えばクウェートとバグダッドのC130によるピストン輸送であるとか、ヨルダンのアンマン、そしてバグダッドのピストン輸送である、そういう輸送はある程度の安全が確保できるかもしれない、こういう話なんですね。
 つまりは、先ほどおっしゃった、医療、輸送、施設、補給ということにしたって、政府調査団が、これはニーズがないね、あるいはこれについては精査が必要だ、輸送は、先ほど申し上げたとおり、陸上輸送は危険が伴う、しかし、C130によるピストン輸送はできるかもしれない、つまりは、後で議論をする、まさに自民党の中でも議論があったと伺っておりますけれども、私は、自衛隊員をまさに十分な対応ができるような形で送ることが政治の責任だと思うわけです。不十分な形で隊員を送って、そして万が一死傷者が出たということになれば、我々は本当に大変な決断をしたことになるわけです。
 だから、そういうことを考えるならば、今のような漠然としたものではなかなか私は議論が煮詰まっていかないんだと思います。賛否について、それで決めてくれと言われてもなかなか難しい。さっき申し上げたように、輸送だって、陸上輸送もあればC130によるピストン輸送、同じ輸送という言葉だけれども、陸がやるのと航空自衛隊がやるのと全然違うわけでしょう。だから、もっと詰めてもらわないと、我々は、賛否まで含めて、議論できません。
 もう少し具体的に、どういう活動を想定されているのか、お話しください。――防衛庁長官の方がいいんじゃないですか。
福田国務大臣 私がまずしまして、しかる後に、必要があればお願いいたします。
 この法律は、そもそもここにちゃんと書いてありますよ、「国民生活の安定と向上、民主的な手段による統治組織の設立等に向けたイラクの国民による自主的な努力を支援」すると。ですから、この範囲なんですよ。そういうものを支援しようという国際社会の活動と行動をともにしていこう、そういう趣旨ですから、それはもうその範囲であるということをまず考えていただきたい。
 それからまた、個々の具体的なことになれば、これはやはり基本計画の段階でお示しをするということになるわけでございます。
 この基本的な枠組み、その中でもって行う行動であるということで御理解をいただきたいと思っております。
前原委員 ですから、それでしたら答弁を求めている意味が全くないんです。
 私どもは、先ほど一番初めに民主党としての立場を申し上げました。イラク攻撃に対しての問題は、問題というか正当性の議論というのは政府と我々は違うけれども、しかし、実際問題、イラクが崩壊をして、まさに建国のために一生懸命イラクの人たちも頑張っている、また国際社会も協力しようという国連決議もあった、したがって、何らかの形でイラクの復興支援に我が国も関与すべきだというのは我が党も同じ考え方なんです。
 私は何を申し上げているかというと、この法律の中で、賛否を決めるに当たって、あるいはこの法律がいいのか悪いのか、あるいは直すべきかという議論に当たって、もう少し詰めていただかないと賛否もできませんと、判断が。それはどういうことかというと、枠組みの話は一緒なんですよ。今福田官房長官がおっしゃったことと我々のスタンスは一緒なんですけれども、中身についての議論をしなくてはいけない。
 したがって、先ほど防衛庁長官が医療、輸送、施設、補給とおっしゃったけれども、そのもっと具体的中身も詰めていただかなければ、我々は、それは大丈夫だとか、危険性大丈夫だ、ニーズがある、我々も調査団を出しているわけですから、そういった判断をさせていただきたいんだけれども、今防衛庁長官がお答えになったものでは余りにも漠然としている、もっと具体的なものを出していただきたいということをお願いしているわけです。
石破国務大臣 結局これは枠組み法であって、メニューを提示して、そしてその中で何をやるのかということを現地に行ってさらに詳細に、これは行く自衛官もプロの目で、一人や二人、この間行きましたのは二人が行ったわけですね。しかし今度は、本当に部隊として行く場合に、もっともっといろいろな、輸送なら輸送、医療なら医療、補給なら補給、その目で見てどのような基本計画をつくりということになってくる。
 ですから、我々政府といたしましては、この法案は枠組み法である、その中でメニューを決める、この中のどれかをやる。当然、そこに書かれていないことはできないわけですから、とにかく書かれていること、そしてまた使うべき武器使用の権限等々を決めて、それを仮に国会で成立させていただきましたならば、現地にさらに詳細な調査団を出し、詳細に調べて、そして基本計画を決める、それにまた国会の御承認がかかるというようなことになるわけです。
 そうしますと、どちらのやり方をとるかということであって、委員も御指摘のように、我々日本としてこのイラクの復興にどのような協力ができるかという思いからすれば、私どもも委員も同じ考えなのだと思います。それをやる場合にどちらがよろしいかということであります。
 先ほどテロ特措法のお話をいたしました。これは委員もよく御案内のとおりでありまして、テロ特措法は何も補給だけが書いてあるわけではございません。輸送その他のメニューも並べております。しかしこれは、多分こういうことしかやらないだろうね、陸上に上がることはいかないだろうね、そういうような暗黙の了解のようなものがあって、枠組み法は枠組み法として通していただきました。したがって、枠組み法だからだめだという御議論は必ずしも当たらない、それは、テロ特措法は何も補給だけを書いたものではないから。えらい形式論理を申し上げるようで恐縮ですが、私はそのように考えております。
前原委員 防衛庁長官、議論をしっかり詰めるために、もう一度少し論点を絞ってお話をしたいと思います。
 この法律は特別措置法ですよね、恒久法、一般法じゃありませんね。ということは、時限立法で何をやるかということを事細かに決めて法律を出すのが本来のあり方じゃありませんか、特別措置法というのは。一般法であれば、私は、防衛庁長官がおっしゃったことについてはある程度の理解はできます、ある程度の理解は。
 しかし、この法律というのは物すごく簡単な法律でして、人道復興支援活動、これは政府の人間を出す、安全確保支援活動、自衛隊を出す、簡単に言えばこの二つだけなんです。そして、あとは基本計画をつくって国会承認を得る、これだけの法律なんです、今回のこのイラク復興支援法というのは。それを、まあほとんど白地のものに、特別措置法であるにもかかわらず、とにかく決めてもらわなければ調査ができないからというのは、まさにそれは防衛庁長官、政府のお立場、論理ですよ。
 我々は国民の代弁者として国会に送ってきてもらっている。その国民の中には自衛官もいるわけです。自衛官がどういう任務をさせられるかということについて、当然武器使用基準とリンクさせて、どういった内容になるのかということを真摯に議論するのは当たり前のことじゃないですか。それを、枠組みだけつくらせてもらって、中身については後回しだと。
 それであれば、我々国会で、例えばこの委員会で議決して、調査へ行ってきてください、法案の議論をする前に調査へ行ってきてくださいと。どういうニーズがあって、何が日本が求められているかということを、例えば臨時国会で基本計画と一緒に議論したらいいじゃないですか。私は、本来はそういう議論のあるべき姿だと思いますよ、特別措置法というのは。先に政府がちゃんと調査をして、どういうニーズがあるかを出してくださいよ、我々に。それをもとに我々にこの法案を議論させてくださいよ。
石破国務大臣 この法案がなければ調査にも行けないということにはならないと思います。それは私は、そういう理屈にはならないと思っています。そしてまた、この法案を、じゃ、なぜこの法案をこんなに早く出すのだと、委員御指摘のように、きちんとした調査に行って、どういうニーズがあって、詳細に把握をしてきてからでいいではないかと、こういうことは、確かに理屈としては成り立つ理屈だろうと思います。
 しかし、総理からもお話がありましたように、国連の決議が出ている、全会一致で出ている、国連から加盟国に対して、イラクの復興に対して協力をするようにという要請が出て、既に十三カ国がイラクにおいて展開をし、十四カ国がもう派遣を決めている、そういう状況であります。極めてイラクにおいて重要なことは、本当に米英の攻撃が終わって、秩序というものを確立する、法を確立する、もう軍も今はない、警察組織もまだ十分ではない、そこにおいて、どうやってある意味法と秩序を確立するかということが本当に喫緊の課題として求められているのだと思います。
 しかし、我々の自衛隊というものは、治安維持というものには行かない。じゃ、どういう形で本当にイラクの国民が待ち望んでいる復興に対して一日でも早く支援ができるかということを考えてみましたときに、この枠組み法というものを通していただき、そして現地に調査に行き、どのようなことが本当にあるのか、このメニューの中で何ができるのか、どの地域でやれば一番いいのか。そして私は、もう委員も御案内のとおりと思いますが、自衛官をいいかげんな権限で危険なところに出そうなぞということは一度も考えたことはありません。その地域において何が求められるか、我が国がどうやって、ほかの国がもうたくさんイラクの復興のために活動しているときに、我々が、じゃ、臨時国会でやったらいいじゃないかと。臨時国会がいつになるか私は全然存じませんが、じゃそれは臨時国会でやればいい、私は、そういうことにはならないだろうと思います。
 世界が望み、世界が要請し、そしてイラクの人々が待ち望んでいる復興に我が国がどういう形で速やかにやるかということは、私は、法案の形も大事かもしれませんが、ここにおいて可能な限りの議論をすべきものではないでしょうか。
前原委員 幾つか申し上げたいと思います。
 臨時国会と申し上げたのは、これは僣越でした。これは総理なりあるいは国会で決められることでありますので、それは別に臨時国会に限定する必要は全くありません。
 私が申し上げているのは、行ってきて、どういうニーズが具体的にあるか、もう少し詳しい前提で話をさせてくれということを申し上げているわけです。さっき申し上げたように、医療、輸送、施設、補給、これだけでは本当に行かせていいのかどうかということはわかりません。後で申し上げるような武器使用基準あるいはイラクの治安状況等含めて、これだけで判を押せと言われても押せませんというのが我々の立場なんだということを申し上げているわけです。
 それで、調査はできない、法律をつくってもらわなければ調査はできないとおっしゃるけれども……(石破国務大臣「そんなこと言っていない。そうではないと言っているんです」と呼ぶ)そうではないんですか。法律ができなければ調査はできないということじゃないんですね。(石破国務大臣「できないと言っているわけじゃありません」と呼ぶ)だったらなおさら、調査して、それで出して、具体的な内容を議論しましょうよ。
 つまりは、国連決議一四八三というものがある。日本は国連に加盟しているわけですね。国連憲章を遵守する、国連決議を遵守するということは国連憲章にのっとることですよね。憲法九十八条にいわゆる条約の遵守というのが書いてあるんですから、この国連決議一四八三、これは前提にすればですよ、一四八三があるんだから、もう行けるわけですよ、調査、しっかりとした、どんなニーズがあるか。
 我々は特別措置法、一般法、恒久法じゃない、具体的に、四年間の任期でまさに自衛隊が危険な地域に行ってどんな任務を行うか、その具体論でこの法案の中身を審議したいと申し上げているわけですよ。それを、医療、輸送、施設、補給というだけで、あとの中身については、まず枠組みをつくらせてくれということでは納得できないということを申し上げているんです。もう一度答弁ください。
石破国務大臣 これはもう考え方の違いになると思います。それは、どういう形が一番望ましいのだろうか。委員がおっしゃいますのは、それがもっと詳細にならなければ議論はできないよ、こういうことだろうと思います。
 私どもとしては、今与党の調査団も出ております。その前に、政府の調査団も出ました。そして、各国のいろいろな情報というものも入ってきています。あるいは、アメリカからもイギリスからも、あるいは派遣している国からもいろいろな情報が入ります。そこを前提に、このメニューでよろしいですか、そしてまた、具体的にはどのようなことができるだろうという御議論もいただいて、もし国会で御承認をいただければ、御可決をいただければ基本計画をつくるわけです。これも国会の関与というものがありますわけで、何も、ここで決めたら何を出してもいいというようなものでは全くございません。
 したがいまして、国会の関与というものもきちんと担保しております。どうすれば一番早い形で、一番きちんとした形で出せるかということは、この法の中でも、私は十分議論は可能だし、政府として、いいかげんな法案を出して、あとはもうお任せをというようなことを申し上げるつもりは全くございません。
前原委員 これは委員長に要望したいと思います。
 政府も調査団を出されているわけです。そして、ある程度のニーズというものについては、ぽろぽろと漏れ伝わってくることもあるわけですね、報道などを通じて。ですから、今石破長官がおっしゃったような医療、輸送、施設、補給、さまざまなニーズがあって、それについては法律が通った後に具体的に基本計画に定めるときにやるんだということではなく、もう少し詰めた内容というものを政府から提示をしていただきたい。具体的にどういう活動をするのかということを、この法案の審議中に出してもらいたいということを委員長に要望したいと思います。
高村委員長 理事会で協議します。
前原委員 総理、今委員会で協議をしていただきますが、私は間違ったことは言っていないと思うんです、このことについては。イラク復興については、我々も基本的には、イラクの復興支援、日本は貢献すべきだという考え方、そこの大前提は政府も与党も野党も一緒だと思うんですね。中身の話です。でも、中身の話について、こんなことをしますという総論だけ示されて、そして、それについて賛否を求めるということではなかなか私は理解できないと思いますので、委員会でも理事会で御議論いただくということですが、これは総理の御決断として、もう少し、この委員会の審議中に、どういう地域で具体的にどういう活動をしようとしているのかぐらい示していただくということ。
 もう一つ、基本計画にそれを譲るんであれば、基本計画は国会の事前承認ということが当たり前じゃないでしょうか。
 その二点について、総理のお考えをお示しください。
小泉内閣総理大臣 前原議員の議論を伺っていますと、非常に緻密な論点を整理されて、復興支援の必要性というものを肯定しながらされておりまして、感心しながら聞いておりました。
 今後、この議論を深めていくために、自衛隊が行く場合はどういう地域に行くか、また何を支援するかという点について、もっと判断できるような材料を提供できるように準備をさせたいと思っております。
 また、事前承認の件ですが、この法案自体が、自衛隊を派遣する、是か非かという法案でありますので、その点については、私は現在の法案でいいのではないかと思っておりますが、この点につきましても、また今後議論の余地があると思っております。
前原委員 委員会でも理事会でもそういう議論をしていただき、ぜひ、議論が中身の濃いものに、より具体的に相なるように、今総理がおっしゃったように御努力をいただければというふうに思います。
 次に、戦闘地域と非戦闘地域という分け方でありますが、これは、きのう同僚の中川理事が本会議場でまさに質問されたように、フィクションだと私は思っています。つまりは、戦闘地域、非戦闘地域と分けること自体が、今のイラクでは、私は意味がないんじゃないか。
 つまりは、国がない。なくなっているわけですね。暫定統治機構もない、そういう意味での国がないという、イラクという領土はありますけれども、政府がまだ確立をしていない、こういう状況であります。そういうイラクで、そして、治安が極めて悪い。
 そして、ちょっと調べてもらいましたけれども、実際に、イラクが崩壊したとアメリカから宣言をされてから、米兵で八十人以上、そしてイギリス兵で十一人以上、きょうまでに亡くなっておられるわけですね。百人近くの方が亡くなっている。しかも、ロケット砲や手りゅう弾あるいは機関銃、こういったものでゲリラ活動をしている残党とかいろいろなテロリストたちが、言ってみればイラク全土でうようよしているわけですね。
 私は、そもそも戦闘地域というのは、どこかの組織とどこかの組織が戦闘をやっている、あるいはどこかの国とどこかの国がやっている、あるいはどこかの国とどこかの組織が戦争をやっている、それが戦闘だと思うんですけれども、いわゆる占領統治が行われている中で、それに反対するいわゆるゲリラ活動が行われている地域で、危険な地域をそもそも戦闘地域と非戦闘地域に分けること自体がおかしいというふうに私は思います。それについて御答弁ください。
石破国務大臣 何度か答弁申し上げましたが、戦闘地域かどうかということを分けるのは、私は、我が国が海外において武力の行使をしないということを明確にするための制度的担保として必要なことだと思っています。
 ですから、委員はよく御案内のとおりで、野盗のたぐい、失礼、ヤトウというのは民主党とかそういうことを申し上げているわけではなくて、泥棒という意味の野盗ですが、野盗のたぐいとか泥棒のたぐいとか、そういうものは戦闘地域ではないのだ。なぜならば、国または国に準ずる者による武力の行使、そして、それが国際紛争に発展するようなものではないからだということだと思っています。
 それは、危ないとか危なくないとか、そういうような概念とオーバーラップする部分も多分にありますが、大事なことは、それが、我が国が海外において武力行使をしない、そういうことの制度的な担保なのだと思っています。
 そうしますと、結構、先ほど御指摘のように、アメリカ兵がたくさん死んだ、あるいはイギリス兵も死んだ、その中でどれぐらいがそういうような、バース党の残党、フセイン政権もう一度とかアメリカ許すまじみたいな形で亡くなられたのか、あるいは強盗のたぐいなのか、あるいは事故のたぐいなのか、そういう形で見てみますと、どういう地域で自衛隊は活動をすべきであり、どういう事態であればすべきではないか、そして、そこで起こっておることに、どのような武器使用権限と、そしてどのような武器を携行すれば安全に任務を遂行することができるか、私はそういう概念をつくることは何もフィクションだと思っていません。
 そして、現地へ行きました調査団も、今申し上げたような意味での戦闘地域、非戦闘地域、それを分けることは困難であるというような報告を、私は現在まで受けておりません。戦闘地域というものはそういうものであるということは委員よく御案内のとおりだと思いますが、民主党の方々が行ってこられたあの中において、そういうことだというふうに戦闘地域、非戦闘地域を仮に分けた場合に、それでも困難であるというようなことが、私はあの報告書を拝見しただけでは読めなかった。
 戦闘地域、非戦闘地域とは何なのかという概念が混在したまま議論をすることはいけないんだと思っています。
前原委員 憲法解釈の武力行使に当たるか当たらないかということで、戦闘地域をあえて法文上に書かなきゃいけないんだというような理屈づけに私は聞こえるわけです。私はそれはおかしい。現状に合わせて戦闘地域、非戦闘地域なんか分けられるわけはないし、それと同時に、先ほど赤松議員の質問を聞いておりまして、非戦闘地域は変わり得るとおっしゃっていましたよね。変わり得るということは、実施計画、常に国会承認で変えていくということですか。そんなばかな話はないと僕は思うんですね。
 つまりは、実施計画があって、基本計画の中に実施計画をつくって、そして非戦闘地域が変わり得るということになったら、その都度、国会承認にかけなきゃいけないという話になりますよ。そういうことを前提とされているんですか、防衛庁長官。
高村委員長 簡潔に御答弁ください。
石破国務大臣 それは、戦闘になることが予想されない地域ということでございますから、そこはかなり幅広くとることになるというふうに思っております。
前原委員 時間が参りましたので、これで終わりますが、武器使用基準の問題あるいは今の仕分けの問題含めて、まだまだ議論は煮詰まっていないし問題は多いということを申し上げて、私の質問を終わります。
高村委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時三分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時開議
高村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
 この際、伊藤英成君から関連質疑の申し出があります。前原君の持ち時間の範囲内でこれを許します。伊藤英成君。
伊藤(英)委員 民主党の伊藤英成でございます。
 私自身は、日本の外交というようなことを考えたときに、まずは日米関係の重要さを思い、そしてまたその中で、世界の中で日本がどういうふうに生きていくべきか、こういうことを思いながらいつも取り組んでいるつもりであります。だから、特にアメリカについて言えば、ほとんど毎年ワシントンにも参りまして、政府の要人とも、あるいは研究者の人たちとも意見を交換したりしながら、いかにしたら日米関係はよりよくなるんだろうかというような思いで取り組んでいるつもりであります。
 きょう午前中に、公明党の赤松先生、今いらっしゃいませんが、総理が映画を見に行かれた話をされていました。(小泉内閣総理大臣「ゾルゲ」と呼ぶ)ゾルゲですね。実は、私は、去年、ことしで映画を三本だけ見たんですよ。
 最初の、去年見たのは「宣戦布告」ということでした。それは、私自身が、今民主党ができてちょうど五年になりますが、民主党ができたときから、いかにいい有事法制をつくるべきかという観点で、いわば党の外交や安保の責任者として取り組んでまいりまして、そして、そういうものの一環としても、この間、「宣戦布告」という映画を見たりしました。
 有事法制につきましては、先般、ああいう形で民主党の考え方も入れて成立したことは、まだ一部ですが、成立したことについては、私自身もそういう立場でやってきたこともありまして、非常にうれしく思っています。
 その次に私の見た映画は「戦場のピアニスト」でありました。「戦場のピアニスト」。(小泉内閣総理大臣「見たよ」と呼ぶ)見ました。総理も見られたそうです。私は三本しか見ていませんが、総理はもっとたくさん見ていらっしゃるのか……(小泉内閣総理大臣「「海の上のピアニスト」と間違った」と呼ぶ)そうですか。「戦場のピアニスト」。そして、あの映画の中でも、戦争がすべてああではないかもしれませんが、ああ、戦争はこういうことなんだなということを思いながら、あの映画も見ました。
 そして先般、「スパイ・ゾルゲ」を私も見たんです。あの映画で、もちろん、上海事変、盧溝橋事件あるいは日独伊三国同盟があったり太平洋戦争等々、そういう経緯等も含めて、あの映画を見ながら、そして、たしか最後の部分だったと思うんですが、外交か戦争かという言葉が出てまいりました。外交か戦争か。よく、戦争か平和かという言葉は出るんですね。戦争か平和かという言葉は出ます。しかし、外交か戦争かという言葉を見たときに、ああ、そうだと私なんかは思いましたね。本当に日本の国益のために、あるいは将来の日本にとって、いかにいい外交を行うことが、適切なる外交を行うことができるか、それが日本を救うことである、日本をいかに繁栄させていくかということだ、そんなふうに思ったんです。
 もちろん、今回のイラク特措法は戦争のための法律ではないでしょう。そうなんですが、いかに日本の外交が重要か、そういう中で、いろいろな自衛隊の問題にしても何にしても考えなきゃいけないということなんですね。そういうことを非常に思っていますし、日本が世界の中でどういうふうに生きていくんだということを、確固たる信念と原則を持って世界の中に発信しながらやっていかなきゃいけないということを、ますます私なんかは痛切に思っているんです。
 総理、どう思いますか。
小泉内閣総理大臣 戦争か外交か、戦争を避けるためにあらゆる努力をしなければならない、これは実に大事なことでありまして、日本としても、戦後一貫して、いかに平和を守るか、二度と戦争をしないかということでいろいろな外交活動を展開してまいりましたし、だからこそ、日米同盟と国際協調体制、これが日本の平和と独立を守る基本方策だということでやってまいりました。
 現実に、戦争が終わってから六十年近く、日本は一度の戦争にも参加したことはないし、なおかつ自衛隊員を海外で失ったこともないし、平和を維持することができた、これは誇りにしてもいいことだと思います。
 これからも、日本は戦争を起こさないために、いかに国際協調が必要か、また、世界の中の日米同盟というものをよく認識しながら日本の平和と安全を確保する、この今までの方針は間違っていなかった。これからも、戦争を起こさない、このかたい決意を現実の外交の中でどのように展開していくかというのが、日本政府に課せられた使命だと思っております。
伊藤(英)委員 日本が自衛隊をどういうふうに活用しようかという話のときに、海外に自衛隊を派遣するという話は、振り返ってみますと、一九九〇年の湾岸戦争のとき、あのときに、国際の平和と安全の確保のためにということで自衛隊を海外に派遣しようということを考えて、そして、当時の国連安保理の決議に基づいてということで多国籍軍に対して自衛隊を派遣し、後方支援を提供することを目的として、当時、国連平和協力法案が国会に提出をされました。私もそのときの審議に参加をしておりました。そして、あのときには、国会ではこの国連平和協力法案は成立することができなかった、廃案となりました。
 そして、その後で、当時の自民党、公明党、民社党、私はその一員でありましたけれども、国連の平和協力という意味で、九二年に、国連の指揮下で平和の回復のために展開される国連平和維持活動、いわゆるPKOに対して、自衛隊を含む人的協力を行うということを目的として、PKO協力法ができました。そして今日、もちろんその後の経緯もありますが、今日も二つのPKOが派遣をされております。
 そして、今のこの経緯を見ますと、これは廃案になった部分というのは、いわば戦う軍隊への協力、それに対してはやめようということであり、戦わない軍隊への参加、協力でやっていこうという形になってきたわけですね。そして、日本が今の憲法をもとにして、どういうふうに取り組んでいこうかというときに、これは、国連の指揮下で活動する伝統的なPKOへの参加、協力、そして国連等の要請に基づく停戦後の人道復興支援等、こういうことをやることがいわば憲法の限界といいましょうか、そういう考え方でこういうふうに取り組んでいこうというふうになってきたわけです。
 そしてその後、先般のアフガンの問題、テロ特措法という形で一部出るようになりました。そして今回、この復興支援法ということで、この特措法でイラクに出そうとしているわけです。私が見ますと、いわば最近の状況は、何を原則にして、どういう考え方で日本は海外に自衛隊を派遣していこうとしているのかというのが、どんどんあいまいになっていやしないだろうかということを私は感じるんです。
 総理、現在のこの動きに対して、どういうふうに考えますか。
小泉内閣総理大臣 湾岸戦争の際にも日本は資金的な支援をしたわけでありますが、金さえ出せばいいのではないだろう、やはり人的支援というのも重要ではないかという考えが強くなってきたと思います。
 そして、自衛隊といえども、戦闘行為でなくて、平和定着に対して、一般の人にはできないことがあるのではないかということから、私は、自衛隊の部隊におきましても、戦闘行為でなければ、その国の国づくりに役立つことであったならば派遣してもいいのではないかということで、各地域に自衛隊を派遣し、そして、自衛隊の諸君の努力にもよると思います、また、能力の高さ、そういう点が評価されて、日本の役割というものが国際社会の中でも高く評価され出した。
 そういう中にあって、今の憲法の九条、国際紛争を解決する手段として、武力行使あるいは武力による威嚇をしないというこの憲法九条と、憲法の前文にあります、国際社会の中で名誉ある地位を占めたいと思う、自国のことのみにとらわれて、他国のことを無視してはならない、お互い隷従や圧迫というものを排除しなきゃならない、そういう目的のために、国家の名誉をかけて、日本はこの目的達成のために全力を尽くすという憲法の前文。こういう精神と、二度と戦争はしない、そういう中で、いろいろ日本は国際貢献のあり方を考えてきたと思うんです。
 今回も、自衛隊の派遣につきましては、必ずしもイラクという政府はまだできておりませんけれども、国連決議でも、イラク復興支援に国際社会が一緒に取り組むべしという要請を受けている。日本の国力にふさわしい貢献ということになれば、自衛隊も日本にとっては大事な国力であります。戦争行為ではない、そういう分野において、一般国民ができないことについては自衛隊の諸君に汗をかいてもらおうということで、各国と協調しながら、このイラク復興支援のために自衛隊を派遣することを認めていただこうというのが今回の法案の骨子であります。
 もちろん、自衛隊の諸君だけじゃありません。一般の国民も、政府の職員も、民間人も、このイラク復興支援のためには活躍していただけると思っておりますし、特に自衛隊が海外に出るということにつきましては、国会でも十分審議をいただき、国民の理解を得て、戦闘行為ではないんだ、平和定着のための、復興のための自衛隊諸君の活躍なんだという点については、政府としても十分な御理解を得られるよう努力したいと思います。
伊藤(英)委員 憲法の前文等々、その辺のことについては私も非常に重要な視点だと思いますし、日本としてもそういうことを考えて行動していくべきである、こういうふうに思っています。
 しかしながら、最近の状況は、原理原則がしっかりしていなくて、あるいはなし崩し的にいろいろなことが行われていく、こういう印象を抱くんです。きょうはテレビの放映も入っておりますので、私は、余り専門的なといいましょうか、細かいことよりは、どういう感じで今動いているんだろうかという視点で取り組みたい、こう思っているんですが、今の自衛隊の問題については、そういう印象を、私、非常に強く持っています。
 自民党のさる大幹部が、最近のようにどんどんどんどん行って恐ろしい気がするというような趣旨の発言があった由の報道をされておりますが、私も、日本が本当に世界の中で信頼される国としてやっていくためには、ああ、日本というのはこういう国なんだということが他の国からもちゃんと評価をされてやっていくようなことを考えないと、どうも日本はよくわからぬなという話になってしまうだろう、こういうことを危惧するから申し上げたところであります。
 今回のイラク戦争についてでありますけれども、これは、イラクが大量破壊兵器を隠匿し、それがテロリストの手に渡るおそれがあるというのが、ブッシュ大統領が挙げたこのイラク戦争の理由でありました。しかし、実際に名づけられた名前は、イラクの自由作戦ということでありました。
 今回のこの米国の武力行使の目的がそういうふうになっていった。そして、今回のこの武力行使は、国連憲章の前文の中で、「国際の平和及び安全を維持するためにわれらの力を合わせ、共同の利益の場合を除く外は武力を用いないことを」確保するというふうにうたい、さらに、その原則の一つの中に、「すべての加盟国は、その国際関係において、武力による威嚇又は武力の行使を、いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも、また、国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎まなければならない。」このように第二条に述べております。
 そういうことを考えたときに、今回の武力行使は、この国連憲章の枠内の武力行使と言えないのではないかと私は思うんです。
 そしてその後、御承知のように、あの安保理一四八三号ができたのは、これはさっき申し上げた、国連の枠外での米英等の行動を何とか国連の枠内に引き入れるようにということで、安保理の修復を目指したいわばぎりぎりの努力をしたんだ、こういうふうに私は考えますが、総理はどう考えますか。
川口国務大臣 今般のイラクに対する武力行使が、一連の、六七八、六八七、一四四一という国連の決議に基づいて行われたということでございます。したがいまして、これは、委員がおっしゃるように、国連憲章の前文あるいは第二条第四項の文言と矛盾をしない、すなわち国連憲章にのっとったものであるというふうに考えております。
 それで、一四八三、これにつきましては、イラクに対する武力行使後のイラクの復興につきまして、国連の関与を得ながら国際社会が団結して取り組むということでございますから、安保理の中で、投票しなかった一国を除いて、投票した国については全会一致でこれは採択をされたということであると思います。
伊藤(英)委員 最初に申し上げたように、あの武力行使がいわば国連安保理の枠外のことであった、だからこそ、フランスやドイツやロシア、中国などが賛成しないというようなことになっていったりしているんです。だから、そういう状況の中であの戦争は行われたんだよ、午前中も話がありましたけれども、民主党は、だからこそ、あの武力行使を行うときには、新たな安保理決議がなければ武力行使には民主党は反対しますということを事前に申し上げて、そして反対もいたしました。そういうことなんです。そういう流れで来ているんですよということです。
 そして、午前中にもこのイラク戦争の大義の話が出ました。私からもさらに聞きますが、総理は国会の場で、武力行使なしで大量破壊兵器を廃棄することが不可能な状態では、米国などの行動を支持することは国益にかなうんだ、こういうことを言われました。したがって、総理は、イラク戦争が大量破壊兵器の廃棄を武力で実現するための戦争である、こういう認識を示したわけですね。
 そして一年たっても、さっきも話が、午前中も話がありましたけれども、それは発見されていないですね。それは、やはり今回の戦争の大義が、その論理が覆されているというふうには思いませんか。
小泉内閣総理大臣 そうは思いません。正当性があるから、私は米英を支持しました。
 というのは、一四四一初め、最後の機会をイラクに与える、国連査察団を初め、疑惑を持つということは、当時は、最終的に、武力行使に反対する国も認めていたわけであります。イラクが大量破壊兵器を持っているのではないかという疑念。だからこそ、査察を継続せよという議論もあったくらいであります。
 そういう中で、確かに意見は分かれました。しかしながら、一方、イラクは国連の決議に誠実にこたえてこなかった、むしろ国連の決議を愚弄したと言ってもいいと思うんです。誠実に守っていればこの戦争は起こっていないのですから、本当に持っていないのだったら、はい、どうぞ遠慮なく調べてください、査察団を受け入れます、妨害しません。受け入れれば戦争も起こっていなかったんです。そうでないところに問題があったんです。
 そういうことから、私は、最後にもう一段の国連決議があった方が望ましいとは思っておりました。これはもう済んだことだから仕方ありませんが、あの場合、残念ながら分かれましたけれども、今、こうして大量破壊兵器、まだ戦争が終わって二、三カ月、見つかっておりませんが、この点については今後の調査を注視していかなきゃならない。
 私は、あの戦争の正当性については、伊藤議員とは違いますが、正当性があるから判断したと今でも思っております。
伊藤(英)委員 今、アメリカでもイギリスでも、この信憑性の問題について、虚偽があったのではないか、あるいは情報が操作されたのではないかということで大変な問題になっています。アメリカでも、上院でも下院でも、それについて調査をしようという状況が起こっています。もちろんイギリスの状況もね。ひょっとしたら、ブレア首相はますます窮地に陥るかもしれないという状況にあると私は思うんです。
 今のその状況をどういうふうに考えますか。
小泉内閣総理大臣 それぞれの国が実情があると思います。イギリスのブレア首相は、野党が賛成しました、与党の中でかなり造反が出ました。なかなか国によって違うなと。
 そういう中で、今、各国におきましては、民主主義の国ですから、いろいろな判断に対して、政府の判断に対して賛否両論あるのは、これはむしろ自然なことではないかなと思っております。
伊藤(英)委員 今回の経緯から見て、あの大量破壊兵器の問題について、証拠があるということでいろいろ言われてきた問題について、これは、アメリカの政府、イギリスの政府が出してきたことについて今言われているのは、その証拠が偽りであったのではないか、誇張であったのではないかという話なんですね。それはしかし、大問題ですね、大問題。
 では、ちょっと伺いますが、日本政府は、アメリカとかイギリス等々のその情報の信憑性についてはどういうふうに検証をしたんでしょうか。どういうふうに大量破壊兵器を所有しているという確信に至ったのか、その根拠は何なんだろうか。もしもその根拠が崩れるとしたときに、総理の責任、政治責任について、どういうふうにとるつもりですか。
小泉内閣総理大臣 私は、査察団、安保理の決議を尊重して対応を判断したんです。今でも正しかったと思っております。
伊藤(英)委員 実は、これは、今の状況をやはり私たちは厳粛に考えなきゃいけないんだと思うんです。
 この大量破壊兵器の問題についても、情報操作によって、ある、あるいは持っているというふうに言われてきた。それで、それは本当は事実でないかもしれないという状況だ。疑いのもとに武力を使って相手の国を攻撃してしまう、疑いだけで攻撃することなんかは許されるわけがないわけですね。
 そういう意味で、この問題について、どうだったんだろうかという検証が今行われつつある。ある意味じゃ、世界がこの戦争について、本当によかったんだろうか、大義があったんだろうか、あるいは証拠もなくてやってしまったんだろうかということが今ちょうど議論されているときだ、世界でも。そういうときだということを十分に私たちは認識しなきゃいけないんだろうと私は思うんです。
 さっきイギリスの話もありましたけれども、イギリスの保守党の党首も最近言っているのは、伝えられるところですと、首相の一言一言全部がもう信じられないという話もしながら、イギリスの話ですけれどもね、ということを言われ、そういうことで批判しながら、いろいろなことが起こったりしている。
 今や、もしも米英軍が発見したとしても、いろいろな情報等に、情報操作等々、こういう信憑性が疑われている中ですと、もしも何か発見されたとしても、それは本当なんだろうかということが言われることになるんですよと、あのUNMOVICのブリクス委員長も言ったりしていますね。今そういう状況だということを私は申し上げておきたいと思います。
 今、大量破壊兵器の話をしましたので、ついでながら聞くんですけれども、今回の法律案の中で、大量破壊兵器の処理支援活動が、当初の案ですとそれが入っておりました。そうしたら、その後で自民党の会議の中で、まあ、いろいろな見方があるんでしょう、世間が大量破壊兵器があるかどうか騒いでいるときに、本当にあるという前提で議論するのはどうかというような話もあったりして、あっさりと削除されました。
 大量破壊兵器のためにというふうな大義のもとに、この戦争はというふうに総理が言ってきて、そして、この大量破壊兵器処理支援活動があっさりと削除されてしまう。一体、この法律についてどのくらい真剣に政府が責任を持ってやろうとしているのか、私は疑わしいと思っているんです。どうですか。
福田国務大臣 この法律でもって我が国としていかなる国際的な協力ができるか、こういうことを考えたわけでございます。我が国の持てる能力、そしてまた、憲法とかを初めとする法制の枠の中で何ができるか。しかし、できるものはできるだけたくさんやるように法制を用意すべきではないか、こういうことを考えたわけでございまして、そういう意味で、復興、人道復興支援とかそういうようなものと一緒に、この大量破壊兵器の処理というものを加えたわけでございます。
 このことにつきましては、我が国も、中国の遺棄化学兵器の処理といったようなことで、多少の知見を持っておるわけでございます。ですから、その知見と、それから経験、これを活用する場があるのではなかろうか、こういうことでもってこの条項を加えたわけでございますけれども、これはまだ国連の決議一四八三に規定をしていない、大量破壊兵器の処理についての規定がない、こういうこと、そしてまた与党の方の御意見等もございまして、与党調整の中で、この処理活動を法案に盛り込まない、こういうことにいたしたわけでございます。
伊藤(英)委員 さっき申し上げたように、日本の政府が、今回のイラク戦争を大量破壊兵器廃棄を武力で実現するための戦争だ、そういうふうに位置づけてきた。だけれども、大量破壊兵器の部分については、ようわからぬから削除しよう。私は、今回の法律案も、いわば、いかにいいかげんで無責任な形で出されているんだということを申し上げますよということであります。
 ところで、伺いますけれども、総理、日本政府は米国にこの武力行使を支持するという話をいち早くされたですね。武力行使について支持するということと日本が自衛隊を派遣するということは、もちろん連動するものではありませんよね。
小泉内閣総理大臣 武力行使を支持するということと今の自衛隊の派遣と連動する、そういうことはありません。
 それは、国連で、イラクをめぐる問題については、アメリカとフランス、ロシア、イギリス等では意見が違いがありました。しかし、主要な戦闘が終結した段階においては、一致して、イラク復興支援のためにそれぞれの国が協力しようということについては全会一致ですから、そういう国連の決議を踏まえ、国連加盟国はそれぞれがイラク復興支援のために協力すべしという、その要請に日本としてどうこたえたらいいか、そういうことで今回の法案を提出したわけでありますので、その点は、これからの審議を通じてよく御理解いただかなきゃいかぬと思っております。
伊藤(英)委員 もう一つ、念のために。これは今までもいろいろなところで議論されてきたんですが、再確認するんですが、アメリカの政府から、大統領を初めとして、日本が自衛隊の派遣を要請されたということはないんでしょうね。それからもう一つは、総理から、今まで、ブッシュ大統領等に自衛隊の派遣を約束したということはないんでしょうね。
小泉内閣総理大臣 私がブッシュ大統領との会談で、ブッシュ大統領から自衛隊を派遣してくれとか、私は自衛隊を派遣しますとか、そんなことは一切ありません。私が言ったのは、日本は何ができるか日本自身が考える問題だ、任せてほしい。わかった。そうです、そういう話です。
伊藤(英)委員 民主党から、後ほど質問いたします末松さんが団長として、イラクに調査団も派遣いたしました。その調査内容等については後ほど彼が詳しく論ずると思いますので詳しく私は申し上げませんが、しかし、私の見方からすればこういう感じだと思うんですね。
 ひょっとしたら必要かもしれない治安の問題等については、必要性はあるかもしれないんだけれども、日本としてはそれは実際にはできない。しかし、日本が本当にできて、しかもイラク国民にとって本当に必要な話は、民主的な暫定政権なり民主的な政権をつくることやら、あるいは雇用の創出をいかにやるか、生活基盤等をいかに整備するか等々、これは後ほど詳しくやると思いますので多くは申し上げませんが、そういうことなんですね。
 今、私は雇用と申し上げました。民主党もジャパン・プランというので雇用問題をやったらどうかと、後ほど彼がまた詳しく言うと思いますからあれですが、例えば雇用の問題の話で、今あそこは約六〇%が失業者、こういうんですね。治安の最大の問題は、武器を持っていたりいろいろなことがあったりする、だけれども、仕事がないことですよね。仕事をつくること、それが本当は最大の治安対策かもしれません。そうなんでしょう。
 この間も新聞にも出ていました。アメリカの企業が復興支援等のものを行う、そのときの仕事をする、働く人はインドその他から連れていって云々というのが出ていました。そんなんじゃだめなんですね。イラクの人を使って、イラクの人に働いてもらっていろいろな復興支援等の作業をするなどなど、まさに、日本がいわば非軍事的な側面で、本当に国民に必要なことを日本が積極的に取り組む、こういうふうにやることが、本来、日本としては最もいいのではないだろうかというふうに私は思うんです。
 実は、私はこの二、三週間の間に、中東地域の在京の大使の皆さん、十数名の方と会いました。何人かは直接それぞれの方のオフィスで本当にじっくりといろいろ話をした。あるときは数人とグループで話もしたりしたんです。
 それで、日本は本当にどうするんだろう、どうすべきなんだろうということを考えたときに、私はこういうふうに思うんですね。あるいは彼らのいろいろな意見を聞きますと、アメリカ軍主導の占領軍の指揮官のもとにおいて、そういうところに派遣された自衛隊は、実質的に、もっと言えば、先ほどの議論からすれば、それは指揮下じゃないよという話が起こるかもしれません。私からすれば、実質指揮下である、あるいは指揮下であるように見える日本の自衛隊、そういうふうになった場合には、日本にとっていいことにはならない。
 今、反米感情や嫌米感情もさらに大きくなっているというふうに伝えられます。そういうことについて、反米感情、その中で日本がそうしてそれと一緒にやるという話は本当にいいんだろうか。もともと、イラクの人たちは日本に対しては非常に親日的だと聞きます。私が直接聞いた人の言葉をかりれば、イラクの人たちは日本に対して、あるいは日本の商品に対して尊敬の念も持ちながら、どんなにか親しみを感じているか、そういうものが失われていくことになりかねない、そういうことであります。
 もちろん、日本が、国連主導のもとの例えばPKOのような形で出るとか、あるいは国民が選んだ政権の要請に基づいて出るとかいうならばいい。しかし、今回は、いわば占領軍の一員として、実質一員として動くことになるんですよ。だから、そういうような話は決していいことにならない。ひょっとしたら、あるグループなりが日本を、あるいは日本人を攻撃するときの大義になるということを言われたりいたしました。
 実は私は、日本が、イラクに対しても、あるいは中東に対しても、将来これからどういうふうにやっていこうとするのか、それについて、そういうことを考えたときに、日本の自衛隊を今回のような形で送らない方がいいのではないかと思うんですが、今後の中東政策とか、そういう面でどう思いますか。
小泉内閣総理大臣 私は、イラクの復興に対して、雇用対策とか生活基盤づくりは重要だと思っています。しかし、その前提は、治安が確保されていないとそういうのができないんですね。ここをどう考えるか。
 非常に危険な仕事です、治安というのは。戦闘状況が終わって、完全に主要な戦闘状況が終わったとしても、まだ混乱が残っている。しかし、その部分は、日本はやらなくてもほかの国がやっているわけです。アメリカを初めイギリスも、ほかの国もやっております。そういう日本がしない仕事を各国はやって、治安状況が確保されて、日本は非戦闘地域において生活基盤づくりに支援をしようというわけであります。
 テロ特措法の審議のときにも、アメリカを支援すれば日本もテロを受けるんじゃないか、そういう議論がありました。アメリカと一緒になると、アメリカと同一視されてテロの脅威にさらされる、それで日本はしない、私は、これは日本として、政府としてとる立場じゃありません。テロは人ごとじゃない。自分の国だけが受けなければいいのか、そうじゃないんです。ニューヨークで起こったテロも、日本国民も犠牲になっております。アメリカと同盟を組んでいれば日本もアメリカのように敵視されるから、だから日本は同盟を組まない方がいいという議論もあります。私はそうじゃない。
 私は、そういう意味において、日本がしない仕事をほかの国が、治安状況、きつい仕事をやっている。日本は違う分野で、アメリカとかイギリスとは違った分野でまたイラクの復興にできるだろう、そういう範囲の法案が今回のイラク法案であります。できることはやっていく。
 そして、アメリカがたとえ反発を受けるような活動をして、日本はどうかという議論もありますが、日本は、イラクの復興、そしてアラブとの対話、イスラムとのこれからの交流を深めていかなきゃならない。アラブ諸国とともに、イラクの復興支援づくりにはどういう方法があるか、今も検討しております。既に準備も進めようと思っております。アラブ諸国と共同して日本がイラク復興に尽くす場面は、医療なりほかの分野でもあるんです。
 そういうことから、私は今回、まだイラクが暫定政府もできておりませんが、暫定統治機構があります。そことの協力を通じて、日本としてできることをやっていくというのがこの法案の骨子であります。
伊藤(英)委員 実は、総理が言われたこととの関連で言えば、私は、いわば、だからこそといいましょうか、最初にイラクを攻撃するときも、これは新たな国連決議で本当に国際社会としてみんなが取り組むようにしよう、国連でやったらどんなにか日本はやりやすいか、日本からすればね、ということですよ。だからこそ、私はそういうことを今までもずっと申し上げてきたりしたんです。本当に国連が、一部の国の占領軍がというようなのとはこれは明らかに違う。
 時々、話がちょっと前後しますが、有事法制の話とこの話と一緒にして民主党は云々という話が報道されたりします。冒頭申し上げたように、私は、有事法制がどんなに重要かということを申し上げてきたつもりです。有事法制はちゃんとしなきゃいけませんよと。しかし、この問題は全く次元が違うんですよ。イラクについて言えば、占領軍がやったんだよ、やって今占領軍が行動して活動しているんですよということなんですね。だから、日本は占領軍と一緒に、実力部隊たる自衛隊も出してやるんですかということを私は申し上げたりしているつもりなんです。
 それから、さっき、他の国々と共同でという話がありました。これは本当にいい話なんです。だから、民主党もそういうふうに提案をしています。私がさっき申し上げた在京の大使の皆さん方からも、何人からも言われました。そういう国々と一緒にというのはどんなにいいことか。だから、繰り返しますが、民主党も、それぞれの他の周辺国と一緒に共同のプロジェクトでやったら、これはぜひそういうふうにすることが重要だということなんです。
 私は外務大臣に次に聞きます。
 日本が中東政策でこれだけ一生懸命、中東に対して今までも僕は努力してきたと思うんですよ、ODAでもしかり。そして、私の理解では、多くの国が、日本の憲法をもって、平和を愛する国日本というイメージのもとに、ある意味では外務省も日本政府もよく言ってきた、日本は手が汚れていないという話もしながら、中東の地域の人たちに本当にいい関係を築いてきたんです。いいですか。だから私は、さらにつけ加えたい。ああ、日本はもっともっと声を大にして、こんなに中東の人たちからよく思われている国なんだから、もっと声を大にして外交面でやったらどうでしょうかと私に言ってくれるんですよ、もっとやったらいいと思うんです。
 今、イランの核問題でアメリカと、アメリカというか、アメリカなどと言った方がいいかもしれませんが、非常に緊張した状況にあります。この問題について、日本はイランとも関係はいいんでしょう、アメリカと違って。イランともいい。では、日本はこのイランの核問題についてどれだけのことを、いわば仲介といいましょうか、その平和のために何を今やっているんでしょうか。
川口国務大臣 イランのことでございますけれども、イランに対しては、今、アメリカだけではなくて、日本も含む国際社会が核の問題についての懸念を持っております。これは我が国も共有をいたしております。
 それで、最近ですが、十九日にIAEAの理事会で、事務局長が申告漏れというような報告を出しましたことを受けて議長総括が出されておりまして、これでは、追加議定書を締結するというようなことが要求をされているわけです。我が国もこれに賛成をしております。
 委員が御指摘になられましたように、我が国は従来からイランとは非常に親しい関係といいますか、近い関係を持ってコミュニケーションをしている関係です。外交官同士の会合も持っております。我が国としては、そういったイランが国際社会の懸念を一日も早く払拭して透明性を持って行動してほしいというふうに考えておりまして、追加議定書を早期に、そして無条件で締結し、かつ、さらにそれを完全に履行してほしい、そういうことをイランに働きかけております。これにつきましてはさまざまな外交努力もやっております。また、近い将来も、人を送る等をいたしまして働きかけるつもりでございます。
 それから、イラクにつきまして、先ほど委員がおっしゃった、例えば雇用をふやすというようなことは、既に我が国はやっております。UNDPを通じまして、そういう事実もございます。したがいまして、それに加えてということで、自衛隊の活動ということで考えているわけです。
伊藤(英)委員 私は、さっきイランの話も申し上げました。私は、この間も、ある外交官から、中東地域の外交官、こう言われたんですよ。さっき申し上げたように、日本に本当に期待する、どんなにか日本を頼りにしていますよと。そのときに、ある人から言われました。日本が最近はますます、いつもアメリカの弟、アメリカの弟みたいな感じさえ持ちますと言うんですね。実際にそういうふうに私に話してくれたんです。いいですか。
 だから、私は、本当に日本が世界のために、あるいは中東諸国のために、中東地域の安定のためにも、イスラエル、パレスチナの話ももちろんあるでしょう、要するに、こういうところに本当に日本がどういう役割をこれから果たしていこうとするのかということについて本気じゃないんじゃないか。そして、せっかく日本に対する親日感、いい感情を抱いてくださっている人たちをもっともっと大事にして日本はやっていくことこそが本当に必要なんじゃないかということで私は申し上げているんです。
 ところで、今イラクに軍隊を送っているところ、それから送る予定のところ、そこについて、その国名だけでも下さりますか。
川口国務大臣 今の時点で存じておりますところでは、既に派遣をした国、十三カ国ございます。オーストラリア、イタリア、ポーランド等でございます、必要であれば全部読み上げますが。
 それから、派遣を決定した国として十四カ国。これは、ウクライナ、オランダ、タイ等でございます。
 それから、フランス、ドイツ、ロシアにつきましては、軍隊の派遣は今のところ行っていないけれども、資金の拠出、食糧などの人道支援物資の供与等の形で協力を行っています。
 そして……(伊藤(英)委員「はい、いいですよ」と呼ぶ)よろしいですか。反対をした国も今協力しているということを申し上げたいと思います。
伊藤(英)委員 よく、派遣している国が何カ国、十何カ国、予定している国が何カ国、こう言ったりするんですよ。
 今言われたように、フランス、ドイツ、ロシア、中国は派遣していない。派遣するという話も聞かない。今そういう状況なんですね。私からいたしますと、フランス、ドイツは、EUのまさに中核ですよ。EUのまさに中核。そして、フランス、ロシア、中国は、国連の常任理事国五カ国のうちの三カ国ですよ。そういうところが軍を送っていないんですよ。送る予定も、今あるというふうには聞いておりません。
 では、伺います、もう一つ。北朝鮮問題。北朝鮮問題は、今、二国間はちょっとだめなんでしょうかね。いいですか。そして、米朝中三カ国協議、そしてそれに韓国、日本というふうに加わるという話を、加わってくれという話もしているわけですね。この協議にもちろん期待をいたします。しかし、これがうまくいかなかった場合には、どうしても国連の場で、あるいは国連の安保理の場で議論をしてもらうことにならざるを得ないと私は思うんですが、そう思いませんか。
川口国務大臣 北朝鮮に対しての懸念というのは国際社会全般で共有をしているわけでして、我が国は、安保理の国々も含め、いろいろな国とこの問題については議論をいたしております。
 それで、安保理で今後この問題についてどのような行動をとっていくかということについては、これはさまざまな要素、例えば北朝鮮側の対応ですとか、あるいは多者の協議が次回いつ開かれることになるだろうかとか、そのようなことのためにやっている外交努力、こういったことを見きわめて考えていく必要があるだろうと思います。
 それで、我が国としては、日米韓、ここで密接に連携をとりながら問題を議論しているわけでございまして……(伊藤(英)委員「今はその先のことを言っている」と呼ぶ)これの、その場での議論を中心に、また国連での議論もあわせて注視をしながら、北朝鮮との問題については、国際社会の中でこの問題を対話によって解決していこうと考えているわけでございまして、国連の外の場での議論というのも三者会談に限ったことだけではない。
 これはいろいろな国際社会の働きかけが今後ともあり得るわけでございまして、国連も重要でございますし、それから三者あるいは五者あるいはその他の場も重要であるというふうに考えております。
伊藤(英)委員 今外務大臣が言われたように、いろいろな場は必要なんですよ。いろいろな場でやるんですよ。やるんだけれども、国際社会の意思として、今、世界の平和を守っていくための意思を決定する機関は何があるのかといったときに、不十分かもしれませんが、国連を大事にせざるを得ないんでしょう。そういうことなんですよ。しなきゃいけないんですよ。いいですか。
 そうしたときに日本が本当に、さっき申し上げた、もちろんアメリカ第一だ、何度も言います、アメリカもしかり、それで、フランスやドイツやロシアや中国や、それぞれそういうようなところがどんなに大事であるかということですよ。そういうようなことを考えて日本の外交はやらないと、本当の外交はできませんよ、日本は生きていけませんよ。
 だから私は、何度も言いますが、日米関係がどんなに重要か。だけれども、僕は、最近のアメリカはいわゆる一国主義でやり過ぎていると思っています。私は、アメリカ政府にも申し上げたりしているんです。世界の平和は、国際社会がみんなで共同してやろうとするのか、いろいろな多国間の組み合わせもある、しかし、国連の場はどんなにか大事かと。これから、さらにさらに強化しなきゃいけないというようなことを考えたときに、アメリカに対しても日本の言うべきことは言わなきゃいけませんし、そして日本はまさに日本として、日本はこういう国なんですと堂々と、特に自衛隊の海外での活用の問題については、はっきりとした原則のもとにやらなきゃいけないと私は思っているんです。
 私は、国連としての活動をするときは、ひょっとして、できれば国連軍もしかり、あるいは多国籍軍もそうかもしれない、そしていわゆるPKOの問題についても、日本は、さっきから武器使用基準の話が出たりしておりますが、武器使用基準の問題でも、本当にPKOはまさに国際基準に合わせて、ちゃんとやるべきことはやった方がいい、そういう原則。
 しかし、国際社会として、あるいは国連が認知しないといいましょうか、国連としての派遣団でない場合には、原則それは慎まなければならぬ。そういう姿で日本としてこれからちゃんとやっていくんだよと。日本が憲法を改正してこういうふうにするというなら話は別ですよ。今はそうじゃないんですよ。そういうふうに考えるべきだと私は思います。
 もう残り時間は余りありませんので、もう一つ言います。
 午前中もちょっと議論されておりましたけれども、戦闘地域と非戦闘地域という話がありました。
 防衛庁長官に伺います、きょうの午前中の議論を踏まえて。今現在、戦闘地域はどこですか。
石破国務大臣 現在、戦闘地域、つまり、国または国に準ずる者が国際紛争をもたらすような、そういう行動を行っているということでおっしゃるとするならば、それはここというふうに特定するのは極めて難しいことかと思っております。
 ただ、特にサダム・フセインの残存勢力が残っているところ、そういう地域には、そういうふうにみなされてもやむを得ないというような地域が存在することは予想されますが、いわゆるアメリカの中将がおっしゃったようなイラク全国戦闘地域であるということは、我々が言っております戦闘地域とは概念が違いますので、それと同じに論じることはできないと思っております。
伊藤(英)委員 要するに、今回の法案でいえば、戦闘地域がどこだ、そのときに国または国に準ずる者云々、こういうことを言っているんですね。あれでいきますと、ひょっとしたら、全部非戦闘地域というふうになるかもしれないという状況ですよ。
 しかし、きょうも話がありました、安全か危険かといったら、極めて危険な状況ですね。さっきちょっと話に出た、これがあの日に出た新聞ですよ。テロ特措法、あれを決めた日の翌日、閣議決定した翌日の新聞です。米軍は「全土まだ戦闘地域」というふうに書きました。こういうふうに述べられたんです。防衛庁長官の言うそれとはちょっと違いますというふうな言われ方なんでしょう。
 しかし、もう私は時間がありませんから、ここの、なぜイラクがそういう状況になっているか。イラクの、これは宗教の問題なりあるいは部族の問題なり、極めて複雑な状況になっておりますし、私がそれなりに専門家等にいろいろ何人かに聞いたりしました。これはどんどん難しくなるかもしれないと。どんどん難しくなるかもしれないと。
 きのう、おとといでしたか、アメリカのジョンズ・ホプキンス大学のフランシス・フクヤマさん、彼が文章も書いています。アメリカの軍は戦闘をするためにどんなにか訓練を積んで、得意であるか。しかし、その後の国家建設についてはいかにもだめだ、アメリカは。そもそもアメリカはそうなんだと。そういうことを反映してだと私は思うんですが、今イラクの国内はどんどん危険になっていますよということを申し上げておきたいと思います。
 最後に、本当に、そういう状況の中でただ自衛隊を送ればいい、ただ自衛隊を送ればいいというだけの話でやっていたら、自衛隊はかわいそうだということですね。ということですよ。そして、ひょっとして、出したら自衛隊員からも被害者が出るかもしれません。非常に心配しますよ。さらに、もっとひょっとしたら、日本の自衛隊員がイラクの人を殺したというニュースが流れるかもしれませんね。だから、日本が本当にイラクに対して、中東に対して、あるいは世界の中で日本はどうしていくかということを考えてやる話だということを申し上げて、終わります。
 ありがとうございました。
高村委員長 この際、末松義規君から関連質疑の申し出があります。前原君の持ち時間の範囲内でこれを許します。末松義規君。
末松委員 民主党の末松義規でございます。
 私の方は、六月の頭でしたか、実際に民主党の方で調査団として、参議院議員の若林秀樹議員、そして首藤信彦議員、衆議院議員ですね、ともどもイラクに行ってまいりまして、それで、現地で感じたことなども含めてお話をさせていただきたいと思います。
 まず、この調査団として簡単に私の感想を述べさせていただきますが、バグダッドに行きまして、現地は三日間ぐらいいましたけれども、アメリカの攻撃は非常にピンポイントで、非常に正確であったということで、東京の大空襲のような大変な被害ではなかったということ。それから、バグダッドなんかでは三日間の攻撃だけだったんですね。メジャーな戦闘は起こらずに、なぜか戦闘もなく、そのまま明け渡されたという感じ。
 ですから、基本的なインフラというのは、米軍が軍事目標にしていた通信施設とかそういうところを除いては、あるいは要人の施設とかそういうところを除いては、それほど大きな被害というものはなかったように思いました。むしろ被害が多かったのは、同時に起こった略奪とか、それから強盗、放火、そういったことが被害を大きくしていた。例えば学校にしたって、いすも机もすべて持ち去られていて、あるいは電力施設に行ったら、窓もなければ、あるいはトイレに張っていたタイルなんかも全部引きはがされていた。
 そういう状況で、コンピューターはおろか、そういったかなり大きな被害があったというんですが、私、そう思いましたけれども、さらに中期的に見て、本質的なイラクの被害というのは、例えば国連の経済制裁、十三年間やられてきた。これがかなりボディーブローできいていて、しかもサダム・フセインという政権が、例えば巨大な世界一のモスクを建造中であったり、あるいは大統領府を幾つも幾つもつくって、そういったところでやって、民生あるいは生活の基礎インフラのメンテナンスというものを軽んじてきたんじゃないか、こういうところが一番私は率直に感じたところであります。
 ですから、そういったところ、イラクというのは、緊急人道援助、食糧とかそういったものはWFPとかそういったところがかなり配給計画、きちんとしておりましたので、私自身もバグダッドに行って一キロ以上太ってきたというような、そんなぐらいにそこはあったんですね。ただし、実際にレストランとかいろいろなところも、私が十七、八年前にいた、イラクの大使館に二年間いましたけれども、それとそれほど大きく変わらなかったというところはつけ加えておかなきゃいけないと思います。
 そういった調査団の報告をももとに、民主党の中で議論した考え方としてイラク復興支援のあり方というものをまとめましたので、本当にかいつまんで、民主党がどういった支援をしていこうとしているのかということについてもちょっと触れていきたいと思います。
 総理が先ほど言われましたけれども、別に私ども民主党は、国連決議に従って、私たち自身、イラクの復興ということについては大賛成であります。ただ、そのときの決議の有効性、米軍の攻撃の妥当性、大義の問題とか、あるいは実際に今送ろうとしている自衛隊、これについて大きな疑問があるということでございます。復興自体については、私どももきちんとそれは復興をしていこうということであります。
 簡単に述べますけれども、大体六点にわたっております。
 一点が、まず行政機構を整備しようということで、きちんと、今、米英の占領当局によって実際にやられています。行くと、本当に、GHQで、イラクのこれから政体をこういうふうに変えようとしているのかというぐらいに、何か歴史的な場に遭遇したような感じがしました、この是非はともかくとして。これを、私ども、国連主導できちんとやっていくべきだ、そういう形で米英の占領当局にも働きかけるべきだということで、国連特別代表室に日本人のリエゾンオフィサーを置くとか、そういう、ある意味では国連のもっと地歩を強めていこうという支援のやり方。
 あと、治安なんですけれども、いまだ強盗、略奪、発砲事件、本当に継続的に起こっていますので、この治安維持に対して協力をしていくことは重要であろう。これは復興するための本当に前提ですので、それに対して、例えば、私たちは、警察国家であるイラクの警察官を今度は民主的な警察に変えようよということで、交番システムとか民主的な警察の概念、あるいはガイダンスなんかをできるような、そういった協力もできるんじゃないかということを考えています。
 また、先ほど伊藤委員が言われましたけれども、緊急雇用。国民の六〇%が失業状態にある、これを何とか取り除いていかないといけない。特に、四十数万人いた軍隊が武器を持って消えたんですよ。これが一番治安の大きな問題にもなっているんですね。厄介な問題になっているわけですよ。それで、彼らは失業状態にあるわけですね。それは警察も秘密警察もあるいは諜報機関も、みんなそうです。失業状態にあるわけですよ。だから、物取り、強盗が当然出てくるし、治安も物騒になる。そして、公務員も今失業しているわけですよ。だから、彼らの失業問題をいかに解決していくかがイラク支援の大きなポイントにならなきゃいけない。こういうことで、民主党は、緊急雇用創出のためのジャパン・プランということで、失業中のイラクの国民を緊急に臨時雇用して、そういったいわばニューディール的な政策をやっていくべきじゃないかと考えています。
 それから、緊急人道支援ということで、特に女性、子供あるいは高齢者、こういった方々が一番今被害を受けておりますので、あるいは孤児とか、そういったところを、例えば相談所とか施設をつくって、緊急医療、緊急人道支援センターとか母子寮なんかをつくっていこう、こういうふうなことをやっております。
 また、生活基礎インフラの整備で、電力、上下水道、そして放送通信施設、こういうような復旧をきちんとやれるような形で協力をしていこう。ただ、インフラについて、繰り返しになりますけれども、別にイラクはインフラがないわけじゃない。だから、それを復旧をきちんとすれば、もとどおり動く。それをやっていけばいい話であります。だから、全く最貧国でどうこうと、一からつくり始めるという話ではございません。そういったもの。
 あと、六番目に自衛隊ですね。これは、私たちの調査団を含めて感じましたことは、自衛隊という軍事組織でなければ絶対できないというような、そういった具体的なニーズ、これは例えば、実力部隊ですから、反乱の鎮圧、治安の維持、そこはありますよ、それで武器を持って戦うというのは、それはそうでしょう。それ以外に何ができるんですかといったら、自衛隊を用いてやっていくというニーズは見つからなかったというのが私たちの、少なくとも私の見解であります。
 さて、ではちょっと自衛隊の問題について入っていきますけれども、まず、忘れてはならない基本的な事項についてなんですが、私が問題提起したいのは、イラク戦争というのは終了したんですか。これについて、終了したのかしていないのか。私の結論を申し上げれば、まだ戦争状態は続いていて、イラク戦争は終了していないと見るのが妥当だと思いますが、いかがですか。
川口国務大臣 御案内のように、ブッシュ大統領は、五月一日に、イラク国内における主要な戦闘は基本的に終了したということを言っておりまして、大規模な戦闘は行われていないということを認識として持っております。
 それで、戦後、戦後といいますか、現在の国際法において、これは委員の方がお詳しくていらっしゃいますけれども、何をもって戦争が終了したかということについて、これがはっきりした講和があるわけではないということでございます。したがいまして、今わかっておりますのは、その終了手続、何をもって終了したかという手続がはっきり決まっているということではないということでございます。
 基本的な戦闘は終了した、大規模な戦闘は行われていないというのが認識です。
末松委員 私もそれは見ましたよ。戦闘作戦、主要な戦闘作戦は終了したと言っている。それはそうでしょう。
 それで、米軍は、主要な戦闘で亡くなった人数が百数十名、そして、その戦闘が終わってから今まで亡くなった人命が百名近くと今話がございました。要は戦争状態なんじゃないですか。だって、イラクのサダム・フセイン政権、降伏しましたか。日本のときは降伏文書にサインしましたよ。ドイツもそうですよ。ドイツは、ヤルタ会談があった後、降伏文書に四五年六月に調印していますよ。イタリアも似たようなものですよ。
 では、サダム・フセイン政権、アラブの人たちというのは、私もアラビストということで外務省でお世話になりましたけれども、時間の時間軸が違う。そういった視点から見てみると、いや、とりあえずは今は逃げておこう、また復活するんだよと。それは、日本の視点で見たらすごくおかしな話ですよ。総理、笑っておられるけれども。
 事実、実はバース党の地域幹部に会ったら、アウダ党、これはリターニングバックという意味なんだけれども、そのアウダ党というのをサダム・フセインがつくって、再度米側に徹底抗戦しろという指令が出た、これが五月の半ばぐらいに出たという話が、私たちはバース党の方から情報を聞きました。
 だから、そういった意味で、では、戦争は終了していないじゃないか、だれが合意したんだ。どうですか、そこは。
川口国務大臣 イラク国内における戦闘は完全に終了したとは言えないということが見解でございます。ということでございまして、これは大体のことを言えば、戦闘が完全に終結をしていないということであるわけです。今、一部続いている。
 それから、死者の数ですけれども、先ほど百名というふうにおっしゃいましたけれども、私どもが把握しておりますのは、これは国防省のウエブサイトからですが、米軍の死亡者数、五月一日以降五十六名、それから、イギリスのウエブサイトですと、英軍は約十名。したがいまして、おっしゃった数字とは約三十名ぐらい差があります。
末松委員 それはいろいろな情報はありますよ。と同時に、あとまた一カ月、二カ月したら、それは絶対減らないんですからね、どんどんふえていくわけでしょう。きのうだって南部であったわけでしょう、アマラで六名死亡と。
 それで、いいですか。国連決議の一四八三で、占領当局のことですね、オキュパイングパワーズと書いてあるんですね。これは占領軍ですよ、基本的に。だから、考えてみて、外務大臣は何も言わないんだけれども、総理、どうですか。戦争状態は終わったという認識のもとにこの法案を出しているんですか、それとも、まだ続いているということなんですか。認識を問います。
小泉内閣総理大臣 主要な戦闘は終わったと認識しております。
 そして、戦争の定義というのはなかなか難しいんですが、国連の決議で、イラク復興に取り組もうという決議が出された、そして、今の暫定統治機構に協力しながら各国はそれぞれイラク復興支援に取り組むんだということで今復興支援活動が始まっているわけであって、米英の武力行使を支持しなかったスウェーデンにしてもサウジアラビアにしてもヨルダンにしても、既に軍隊を送っていますからね。
 そういうことから、私は、戦闘状況は終わった。厳密に言って、新しい時代の戦闘ですから、戦争の定義というのはどういうのか、定義にもよりますから、これはなかなか難しい問題だと思います。
末松委員 では、ちょっと立場を変えますけれども、要するに戦争状態が、私が言い方を変えましょう、戦争状態が終了していない、つまり戦争状態であるということに対して反論できますか。
小泉内閣総理大臣 主要な戦闘は終わったけれども混乱はあるということだと思います。そして、では、完全に終わっていないから何もしないかというと、既に現在の状況でも各国多数送っているわけですね、軍も含めて、普通の文民も。では、完全に、戦争という定義が何かわからないけれども、戦闘状況が終わらないから日本は絶対送っちゃいけないかという状況でもないと私は思います。
末松委員 いや、私が聞きたいのは、戦争状態が依然として続いているということなんですよ。要は、自衛隊の――どうもちょっと、今の、しかしひっかかるな。
 では、戦闘があるからといって戦争状態になっているわけじゃないんですよ。いいですか。でも、戦争状態が終わっているということは、戦闘状況も終わっているということですよね。いいですか。ならば戦争状態は、つまり戦闘状態があるのはわかっていますよ、戦争状態が終わっていると言い切れますかということをきちんと答えてくださいよ。
小泉内閣総理大臣 それは戦争という定義が何かということから判断できると思うんですが、私は、主要な戦闘状況が終わって復興支援活動をしなきゃならないというのが国際社会の認識だからこそ、国連安保理決議で各国、加盟国に対して支援活動をやれと言っているんですから、主要な戦闘状況は終わったけれども混乱は残っているというのが正しいんじゃないでしょうか、混乱は。
末松委員 サダム・フセイン前政権からいえば、それは今は政権の場からとりあえず追放されていますよ。でも、彼らの意思からいえば、何か外国から征服しようとして軍が来た、おれたちは、昔、パルチザンというのがありましたけれども、そういう形で抵抗勢力、と言ったって別に自民党のことを言っているわけじゃないんですけれども、抵抗勢力としてきちんとやっていくんだ、武器を持って、そして主力軍にいずれゲリラ的に戦っていくんだということを彼らが思っても当然ですよね。それでやっているわけですよ。彼らは武器を持って潜っているんですよ。そうしたら、そこはサダム・フセイン側から見たら、それは、外国軍が来た、それは戦術上でメジャーな戦闘にはならない、やるとやられるから。でも、ゲリラ的にやるということは当然考えられるわけですよ。
 これはどういうふうに違ってくるかというと、いいですか、もしここで、治安維持の中で彼らが攻撃をしてきた、それは基本的には反乱という位置づけなのか、あるいは今度は、いや、山賊だ、物取りだ、そういうふうな位置づけと変わってくるんですよ。だから、そこのところは、では防衛庁長官、ちょっと認識を示してください。
石破国務大臣 何が戦闘で何が戦争か、いろいろな定義があります。委員も外交官ですから御案内かと思います。例えば八月十五日というのは何なんだというと、あれは戦闘が終わった日だ、戦争が終わったのはミズーリ号で降伏文書に調印した日だ、こういうような議論もあるわけです。
 だから、何が戦闘で何が戦争かというのはいろいろな話がありますが、おっしゃるように、降伏文書の調印がなされたわけではありません。したがって、戦争状態は継続しているというのは、法的に見ればそういうことだと思います。
 それで、委員御指摘の、では、我こそバース党の残党なるぞ、そしてお家再興だ、日本は許せないというような形でやったとすれば、これは、国または国に準ずる者による武力の行使、国際紛争の一環としての、そういうふうな評価を受けることは、これは当然あり得ることだと思っています。そういう場合には、それは戦闘地域、戦闘行為ということになりまして、少なくとも、武力行使もしくは一体化するような、そういう行為をなしてはいけない、そういう対象になることだと私は考えております。
末松委員 日本の場合には、玉音放送があって、それでみんな、戦争が一応終わったと感じて、それで、降伏文書まで時間がありましたけれども。ただ、今のイラクの状況では、防衛庁長官言われたように、厳密な意味で、法的に言えば戦争状況は続いているということだと。わかりました。私もそこは確認しました。
 それでは次に、では、そういった地域において自衛隊が派遣される、そのときの自衛隊の位置づけというのは、これはどういうことかというのを明確にしておかなきゃいけないと思うんですね。
 官房長官が言われましたけれども、日本は占領軍あるいは占領当局の一部という形で加わることはないとさっき言われましたけれども、それは間違いありませんね。
福田国務大臣 日本はイラクに戦争に行くわけじゃないんですよ。復興人道支援、このために行くんです。しかし、それにしては治安状況がよくない部分もあるというような、そういう調査結果を前提にしますと、文民が素手で行くということよりは自衛隊が行く方が、自己防衛という面においてはたけているというように考えるのは当然だと思います。
 それからもう一つは、インフラが極めて悪いという状況。先ほど委員からもそういう御指摘ございましたけれども、そういう状況の中で、やはり自己完結的な自衛隊が出動するのが好ましい、こういう理由もあるわけでございます。
末松委員 型どおりの、答弁資料のとおりにしゃべっていただくというよりも、要するに、現地でイラク人にもたくさん聞きましたよ。そうしたら、日本の自衛隊が行くということに対してどう思いますかと言ったら、それは日本軍だろう、ジャパニーズアーミーだろうと。連合国と一緒に仕事をするというんだったら、それは占領軍と一緒じゃないかという認識はたくさんあったんですよ。これに対して彼らの非常に複雑な思いが示されたから。
 私は、それは日本政府が、いや、これは実は軍とは違うじゃなんじゃらという話を、そんなことなんかどうでもいい話ですよ、彼らにとってみたら。それはどういう位置づけなんですかと、占領軍の一部でないとするならば、自衛隊はどういう位置づけで派遣するんですかというのを問うているんですよ。別に、人道支援をしよう、どうこうしようという、そういう役割を問うているんじゃなくて、位置づけを問うているんです。
    〔委員長退席、浅野委員長代理着席〕
福田国務大臣 自衛隊が参りますのは、そして向こうで活動するという場合には、国連決議の「当局」、当局に協力をする、これは当局に対して、多くの国際社会、各国が協力をするわけですね、そういう協力の中に参加するということであります。別に米国、英国だけに協力するとかいうようなことではなくて、これは、そこに参加している国、これが具体的な、基本計画でもって、どのような活動になるかわかりません、そこでもって決まっていくんですけれども、そういうときに、最も好ましい、最も自衛隊がすべきであるという、そういう業務と、どこかと共同する、こういうことが多くなるんだろうというふうに思いますけれども、いずれにしても国際社会への協力である、こういう位置づけであります。
末松委員 そうしたら、協力をするというのはそういう機能を言っているんじゃない。だから、占領当局の権限のもとに、その命令の中に入り込むわけじゃないですよね。それに対して、占領当局に対して協力をしていくということは、それは要するに、国際的に見て、軍事組織として協力をしていく、そういうことですね。いや、ただ私は、だからといってこれが海外派兵につながるとか、そう言う気は全くないのですよ。ただ、位置づけとして、軍として行くんですよねと。
 あるいは、どういうことなんですか、要するに政府職員として、武装された政府職員として、そういう位置づけで行くんですか、僕はそこだけ聞いているんですよ。そこは別にそんなに難しい問題じゃないでしょう。はっきりしてください、そこは。
福田国務大臣 我が国の自衛隊がイラクに行くというときに、この職務というものは明らかなわけでありまして、人道支援、例えば医療活動とかそういうこともあるわけですね。これは、ほかの国だって医療というのはあるわけですよ。実際に今参加を決定している国の中でも、医療活動というのは入っているわけであります。
 それを軍隊というように言うか言わないか、こういうことになるわけでございまして、そこは我が国の活動としては、実質的な業務の内容から、軍隊に参加するものではない、そしてまた、非戦闘地域で行う活動であるということもあるわけでございます。
末松委員 問題をはぐらかさないでくださいよ。
 なぜかというと、僕は後で話を進めますけれども、要するに捕虜という話になってきたときに、それは紛争国の軍隊のメンバーなのかどうかで全然待遇が違ってくるんですよ。だからその位置づけを聞いているんじゃないですか。
 外務大臣、じゃ、答えてくださいよ。
川口国務大臣 日本の自衛隊は、日本の自衛隊として行くわけであります。当局のもとにおいて当局のために働くわけではない。国連の決議一四八三に基づいて、主文のパラ一、パラ二にございますけれども、イラクの安全、安定の確保、そして復興、人道の支援、それを行うために日本の自衛隊として行く、そういうことでございます。
 位置づけは、したがって、そういうことです。
末松委員 自衛隊は、制服を着て、そして日本のセルフディフェンスフォース、フォースという言葉を使って行くんでしょう。違うんですか、防衛庁長官。
 武装された政府職員じゃないというのだったら、ないと言ってくださいよ、そこは。
石破国務大臣 武装された政府職員という概念が何を指すのか、これはよくわかりませんが、自衛隊を出します場合には、これは日本国自衛隊、セルフディフェンスフォースとして参ります。武力の行使は行わないということはございますけれども、何として行くかと言われれば、それはセルフディフェンスフォースとして行くわけでございます。
末松委員 英語でセルフディフェンスフォースと言った、このフォースですね、やはりどうしても軍として見られるわけですよね。それは、別にそれを否定する必要もない。ですから、そういった意味で、それは後の質問にまた絡んできますから。
 では、ちょっと私は、そもそも論に行きたいんです。
 自衛隊というのは、じゃ、もともとどんな目的、どんな組織なんですかというのをまず答えてください。これは余りにも当たり前かもしれません。でも、答えてください。
石破国務大臣 主たる任務は、我が国の平和と独立を守るためにある組織であります。今回のイラクもそうでございますけれども、いわゆる百条系列というものも別に持っておりますが、主たる任務は我が国の平和と独立を守るための組織だと認識をいたしております。
末松委員 おっしゃるとおり、自衛隊というのは、我が国の平和と独立、つまり、国民を守り、我が日本国土を守るというのが主たる任務ですね。そうですね。
 その中で、例えば赤松委員が言われたように、災害救助というようなこともする。でも、イラクに対して相当程度の武器を持っていくということは、そこはPKOのように国連の平和維持軍の一部として行くんじゃなくて、それとはまた違った枠組みの形で行くことになりますよね。そういうことは、全く新しい形での、特措法に比べて、今度は陸に行くわけですから、そしていろいろな活動をしようというわけですから。
 私が申し上げたいのは、総理は、自衛隊が行くことについて、何か戦争と絡めて問題視する人がいるけれども、それはおかしいという話はありました。でも、この問題は、私から見たら、先ほど言った、戦争地域、戦争状態がある地域に武器を持った軍事組織を持っていく、そこに大きな無理があるということを申し上げたいんですよ。だから、みんな、私たちも、政府の案を示されて、本当にある意味でも一生懸命検討していますけれども、いろいろなことで苦しんだり、それはおかしいだろうという話があるわけです。
 そこの一番の問題は何かというと、では、実際にニーズはあるんですかというところに移ってきますよね。私たち調査団で行って、ニーズがあるかといった場合に、いろいろと検討しましたよ、私たちも。例えば、地雷とか機雷の撤去はどうだ、シャトルアラブ川で機雷を撤去する、北部のクルド地域で地雷が埋まっているところ、これを撤去する、こういうこともあるんじゃないかとか、あるいは橋とか道路の補修、人道援助、邦人の警護とか、そういったこともあるんじゃないか。あるいは米英軍がやっている治安維持、このロジスティックサポートも、ひょっとしたらニーズがあるんじゃないかと、いろいろと私たちも検討していったんです。
 そこで、判断する側としてどんなポイントがあるかと私たちが考えたのは、では、自衛隊の能力、経験ありますかと。例えば、シャトルアラブ川の川の機雷をどんどん除去していく、これはなかなか難しいという話があった。地雷もそういった面では結構いろいろとあった。さらに、そういった経験があるかどうか。それから、民間でできるかどうか、これがやはり大きなポイントになるわけですよ。民間でできるんだったら民間にやらせりゃいいじゃないか。いいですか。そこが私たちの大きなポイントだったんです。さらに言えば、法的に大丈夫か。これは、反乱とか、そういう鎮圧はできない。それは、ある意味じゃはっきりしているでしょう。さらに、安全かという問題は当然出てくるわけですね。
 そして、最後、いろいろと検討していく中で、やはり米国との二国間関係じゃないかという、ここの視点からこれは決められたんじゃないかというのが私たちの、私の少なくとも結論だったんです。
 それで、民間でできるかということをもうちょっと言いますと、例えば橋とか道路の補修、そういったものは、イラクの失業した専門家がたくさんいるんですよ。こういった人をどんどん活用してやっていけばいいわけですよ。きちんとやれるんだから、こんなのは。また、例えば治安活動のロジスティックサポートという話で、水運びとか、私も聞きましたよ、自衛隊の方に。水運び、あるいは油の定点的な何か補給といいますか、そういうことをやろう、輸送調整とかやりましょうという話はありましたよ。
 でも、こういったことも、では、自衛隊でなきゃできないのか。できるんですよ。だって、今、もうジョルダンから何千台となく、見ればすぐわかりますよ、トラックが行ってペットボトルの水をどんどん運んでいって、さらに食糧を運んで、どんどんやっているんですよ。民間でできるんですよ。なぜ自衛隊じゃなきゃできないのかということ。これは絶対、国民の皆さんもすぐわかると思いますよ。行けばわかるんだから。自衛隊じゃなきゃできないというものはないんですよ。いいですか。
 そういった意味で、では、何かそこで、どうしても自衛隊でなきゃいけない具体的なニーズがありますか、今念頭に。答えてください、防衛庁長官。あるいは、総理が先ほど言われましたよね、自衛隊でなければできないニーズはありますと。それについて総理の念頭にあることをおっしゃっていただけますか。
小泉内閣総理大臣 後ほど防衛庁長官から答弁があると思いますが、私は、日本としてできる限りをやろうと。
 自衛隊が行くと危険だから一般国民に行ってもらおうというのも、ちょっとまた理解できないんです。非戦闘地域なんですから、むしろ民間人だって、そういう野盗ばりの、ヤトウと言うと失礼ですけれども、強盗とかそういう野盗です。いわゆる党じゃなくて、盗む方のね。野盗や略奪者がいるという場合に、では自衛隊だから危険で一般国民は危険じゃないかというと、そうじゃないですね。ねらう方から見れば、丸腰の方が安全だという場合もあるわけです。私は、どこが非戦闘地域で活動できるかというのは、今後の調査で判断できると思います。
 戦争状態だからどこまで危険だと言えば、これはもう神学論争みたいになってしまって混乱しますが、私は、周辺国から、では、組織的な輸送活動は自衛隊以外にどこができるか。(発言する者あり)民間よりも自衛隊の方がてきぱきとできる可能性がある。
 民間でもできる、自衛隊でもできる、両方やればいいと思っているんです。私は自衛隊だけやれと言っているんじゃないんです。民間もやりましょう、日本としてできるだけのことをやろうと。自衛隊がやって何でいけないのか、私はそこが不思議でしようがない。
浅野委員長代理 石破長官、補足はありますか、いいですか。
末松委員 ちょっといいですか。今、総理のお言葉ですけれども……
浅野委員長代理 委員長の許可を得てからにしてください。
 末松義規君。
末松委員 今、総理が声を荒げられましたよ。自衛隊だけじゃない、民間でもやるんだと。総理は今言ったんです、あなたが。自衛隊でもできる、民間でもできる。でも、あなた言いましたよね。危ないからといったら自衛隊しかないじゃないか。
 では、どうですか。ここで、この法律案が、自衛隊じゃない人を含んでいるんですよ。イラク復興職員、この人たちは、では危険じゃないんですか。おかしいじゃない、そこは。では、非戦闘地域、当然このイラク支援の職員の人も、それは非戦闘地域は当然ですよ。それは自衛隊もそうですよ。そして、安全だったら、別に自衛隊を行かせる必要はないじゃないですか。どうなんですか、そこは。
小泉内閣総理大臣 それはまた言葉じりみたいな論議になりますが、安全なところで自衛隊が活動する分野はたくさんあると思いますよ。(末松委員「どこですか」と呼ぶ)それは今後よく調査して、今、輸送部隊におきましても、医療だって、民間の医療が活動できる場合もあるし、自衛隊の医療部隊が活動できる部分もある。できることを日本はやればいいと思います。
末松委員 そこを総理にも現地に行って見ていただきたいんですよ。医療分野、医療分野というけれども、今、医療分野は、薬の供給が足りないとか最新設備が足りないとか、そういったところはニーズはあるんですよ。でも、自衛隊が行って、そして何か野戦病院を開く、どんなニーズがあるんですか。そこへ行ってくださいよ。実際に見てきたらわかりますよ。
石破国務大臣 これは、委員はイラクに御在勤でもありましたし、一番御存じだと思います。今、私どもでも、与党で調査団も出し、私どもの方からも長官政務官、小島政務官を出しております。きょうじゅうに帰国の予定でございます。
 地域地域でいろいろなニーズがある。だから、イラクにおいてどんなニーズかということを一くくりで申し上げるのは非常に難しいことだと思っています。医療も、それはシーア派がいるところとスンニ派がいるところ、そこにおいて医療の差は随分とあるはずですし、それはあると聞いております。そういうふうに、地域地域によってある。それはサダム・フセインがどの地域に厚い行政をしき、どの地域にそうでなかったか、そういうようなことも全部あるはずでございます。
 そして、自衛隊でなければできないのは何かということを申し上げれば、これは本会議で申し上げましたが、自己完結性ということが一つあります。民間ではできなくて自衛隊でなければできないというのは、そういう厳しい環境の中にあってすべてが自分たちで賄える、どの国のお世話にならなくても、そしてイラクの人々にも御迷惑をかけずに、きちんとしたニーズを充足することができる、それが自己完結性であり、そしてまた、本当に真っ平らで平和で、日本のような、日本も最近少し危ないところもあるが、真っ平らで本当にのどかな平和なところだというところもあるでしょう。しかしながら、まさしく強盗とかそういうような治安が悪い地域においても、自衛隊が行けばそのような危険が近づかない、そういう地域もあるでしょう。それは地域によって千差万別だと私は思っています。
末松委員 石破長官が博識の中で、シーア派の病院とスンニ派の病院、いろいろなニーズがあるでしょう、違いがあるでしょうと言われましたけれども、思いつきで言わないでくださいよ。
 いいですか。シーア派の病院とスンニ派の病院、確かに扱いは違うんですよ、そこは教義の中で。だけれども、では、自衛隊が行って、そこで彼らの違いがわかってやれるニーズがあるんですか。違うでしょう。
 私が今問題にしているのは、自衛隊が行かなきゃいけない、そこのニーズは何ですかというのをずっと問い詰めてきたんですよ。私も現地でずっと問い続けてきたんですよ。そうしたら、病院なんて、それもないじゃないかと。だから、最後に、この問題の究極の本質は日米関係だろうと。そういった中から、自衛隊を送るということが非常に大きな判断、考慮になっているんじゃないかと言いたいわけですよ。
 先ほど言われましたよね。総理がクロフォード牧場でブッシュさんに対して、いや、それは自分に任せてほしい、そう言われましたよね。実際に、自衛隊を派遣するということをあなたはそこで言ったんじゃないですか。答えてください。
小泉内閣総理大臣 自衛隊を派遣するかどうかという話はなくて、日本としてできることはやる、どういうことをやるかは自分に任せてくれということを言ったんです。
末松委員 私は、そういううそは言わないでもらいたいんですよ。
 いいですか。ホワイトハウスのプレスリリースで、五月二十三日、ブッシュ大統領が言っているんですよ。ここに何て書いてあるか。「ツデー ジャパン イズ コミッティド ツー プレーイング ア リーディング ロール イン イラクズ ロングターム リコンストラクション」、日本がイラクの長期的な復興に対して、リーディングロール、非常にバイタルな役割を果たすんだということをコミットしたと言っているのと同時に、「ジャパニーズ フォーシズ ウイル プロバイド ロジスティカル サポート フォー ヒューマニタリアン アンド リコンストラクション アクティビティーズ」、日本のフォーシズ、軍が、人道それから復興活動において、ロジスティック、つまり輸送の支援を行うということをブッシュが言っているんですよ。
 これは、ブッシュがどうしてここで言えるんですか。私は、これは別に、インターネットでホワイトハウスの方から取り寄せたんですよ。ということは、あなたが言っていないと、こんなことをブッシュさんが言うわけないじゃないですか。
小泉内閣総理大臣 これは誤解していると思うんですが、私は、既に周辺国の自衛隊支援は検討していると言ったんです。イラクの支援じゃないんです。もう日本は周辺国に自衛隊等派遣は検討していると。イラクだけじゃなくて、ヨルダンにも行く場合もあるでしょう、あるいは、ほかのアラブ周辺国ということもあるでしょう。自衛隊としても、周辺国支援、これはできることはやっていく。イラクの復興支援については、これから日本は独自の支援を考える。
末松委員 そこは、さっきは周辺国とも何も言っていないじゃないですか。(小泉内閣総理大臣「イラクの話だから」と呼ぶ)イラクについては、やるともやらないとも何も言っていないんですか。(小泉内閣総理大臣「よく読んでくださいよ」と呼ぶ)後で示していいですよ、これは。この文書の続きから、イラクの復興支援についてやると言って、その中で、日本の軍がロジスティカルサポートをやると言っているんですよ。
小泉内閣総理大臣 ロジスティカルサポート、周辺国で輸送支援、物資支援、それはやりますよ。イラクの国内だけではなくて、ほかの国へ運ぶこともできるでしょう。例えばパキスタンにテントを運ぶとかヨルダンに物資を運ぶ、そういうことはできます。今回は、イラク復興支援ができれば、国内でも自衛隊を派遣する、今要請している。法案ができれば、イラク国内にも自衛隊を派遣できるように検討したいと思っております。周辺国とは違います。周辺国とイラク国内は違うんです。
末松委員 では、ここについて、イラクについてロジスティカルサポートはするしないとも何も言っていないということですね。(小泉内閣総理大臣「周辺国からするんですよ」と呼ぶ)周辺国からバグダッドにするんですか、あるいはバスラか何かにするんですか。(小泉内閣総理大臣「どこの周辺国かわからない。それは考えるんですよ」と呼ぶ)でも、それはイラク国内に対してやるわけでしょう。(発言する者あり)あなたが話してきたんじゃないですか。(小泉内閣総理大臣「外務大臣に」と呼ぶ)何で外務大臣なんですか。あなたが話してきたんじゃないですか。周辺国からイラクに行くということを話してきたんでしょう。
小泉内閣総理大臣 これはイラクの支援のことじゃなくて、イラクに対しては周辺国から支援することもできるでしょう。今回の法案は、イラク国内においての自衛隊の支援活動ですよ。その前に、この法案ができなくても周辺国に対する自衛隊の輸送はできますから、そのことを言っているんです。(発言する者あり)よく読んでよ。法律がなくたって周辺国にできるんだよ、自衛隊員が。
浅野委員長代理 補足がありますか。
 石破長官。
石破国務大臣 総理がおっしゃっておられますのは、周辺国、つまり、イラク国内に入らないで周辺国で物資を運ぶ、それがある地域に集積され、そこから先はほかの国によってイラク国内に運ばれることがあるにしても、我が国は今、イラクに入るということは法律がないからできません。しかし、周辺国で、イラクに近いある地域に物資を集積するということはPKO法で今でも可能でございます。
 そういうことで、フォースというのはそういう意味でありまして、ロジスティックというのはそういう意味でございます。
末松委員 ちょっと私自身まだ納得していませんけれども、時間があれなので次に行きますけれども、そこの辺の文脈からいくと、どうもそこは詭弁のような気がしますが……(小泉内閣総理大臣「詭弁じゃないんだよ、誤解なんだよ」と呼ぶ)では、行かされる自衛隊員の立場に立ってちょっと考えてみますが、実際に、米軍と一緒に……(発言する者あり)
浅野委員長代理 静かにして、質問しているんだから。
末松委員 戦闘になった、それで自衛隊が巻き込まれちゃった、そうなった場合には、自然権的な自己保存の視点に立って正当防衛をやっていますから、米軍には支援をして、そして攻撃を、米軍を助けるということはできませんよね。防衛庁長官、さっきの答弁ですけれども、もう一回確認します。
石破国務大臣 できません。
末松委員 とすると、では、そこで米側が、あるいはほかの多国籍軍もそうですけれども、例えば、日本が一緒になって、日本だけが撤退をしていくということで、場合によっては国際的な信頼が失われるということも覚悟しなきゃいけない話になりますけれども、そういうことですよね。
石破国務大臣 これは、戦闘行為になる、あるいはそういうことが予測されるということであれば、任務を休止する、そして危険を回避するという措置をとります。では、そのまま日本に帰ってくるかといえば、そういうことではないのであって、本当に任務を中断するかどうかということは政府の指示を仰ぐことになります。ですから、さようなら、もう私たちは二度とやりませんと言って飛んで逃げるわけでもございません。
 そして、なぜそうなるかというと、アメリカ軍は、彼らは彼らで自分を守る能力を持っているわけですから、それでこそ軍隊ですから、それに対して日本が何かお助けをしましょうということはそもそもあり得ないことでございます。
 そういうようなことで、そういう国際的な非難は当たらないと考えております。
末松委員 自衛隊員が、では逆に、戦闘行為中、襲われてそこで拉致されちゃった、そうしたら捕虜としての待遇を受けるんですか、それともどういう待遇になるんですか。
川口国務大臣 今委員が、戦闘行為中、捕らわれてとおっしゃられましたけれども、戦闘行為をしないということでございます。自衛隊員は非戦闘地域で活動をするということでして、捕虜となるということは考えられないということです。
末松委員 急襲された場合、そのときはどうなるんですか。何者かによって攻撃を受けた場合、そのときに正当防衛で撃ち合いになった、そのときに拉致をされたらどうなるんですか。
川口国務大臣 派遣をされる自衛隊員が安全であるということは大変に重要なことであります。したがいまして、その地域の設定とか基本計画の策定あるいは活動の実施に至るまで、政府全体として安全について最大限の配慮をいたします。したがいまして、そのような事態が起こらないということのために万全を期すということでございます。
末松委員 あなたは、本当に行く自衛隊の人を考えて言っているんですか。捕虜となったらどうするんですか。いや、捕虜にならない可能性があるんですよ。つまり、捕虜じゃないんですよ、自衛隊は。どうなんですか。
 では、石破さん、どうですか。
石破国務大臣 基本的に、今外務大臣がお答えになったとおりでありまして、捕虜となる、つまり、ジュネーブ諸条約上の捕虜となる事態は想定されませんが、しかし、では絶対にないかといえば、そんなことはないなんてだれも断言はできません。そういうときにどうするかということは、当然考えておかねばならないわけです。
 つまり、我こそバース党の残党であるみたいな話をいたしましたが、そういうような人にとっ捕まっちゃったという場合はどうするのかといえば、これは、即時解放を求めるということになるわけであります。解放されるまでの間はどうなるかといいますと、これは、普遍的に認められる人権に関する基準並びにジュネーブ諸条約を含む国際人道法上の原則及び精神にのっとって取り扱われる。それは、仮にそういうふうにとっ捕まってしまった自衛官がどういう待遇を受けるべきかということを考えてみたときに、これは、ジュネーブ条約上の待遇というものを受けるのが当然のことであります。
末松委員 ジュネーブ条約で、私も見たんですけれども、捕虜というのは、紛争当事国の軍人あるいは武装民兵、そういったことが捕虜としての待遇を与えられるんですよ。いいですか。だから、この場合、さっき私が自衛隊の位置づけにこだわったのは、これは軍じゃないですよねという話のときですよ。いいですか。軍じゃない人がどうして捕虜の待遇を受けられるんですか。
 いいですか。私は、イラクの人たちも知っていますけれども、秘密警察のいろいろな仕打ちを見ていると、拷問から始まって、拉致されたらかなりいろいろな、つめをはいだり、とにかく大変なことを、そういった歴史を持っている。私も、何人も現地でも聞きましたよ。そういったままにさせておくんですか。では、あなたは話し合いで解決するといったって、だれと話すんですか。いないじゃないですか、そんな人。
 では、もうちょっと聞きましょう。
 捕虜になった隊員を助けに行くことはできるんですか、できないんですか。答えてください、防衛庁長官。
川口国務大臣 防衛庁長官がお答えになる前に、さっきのジュネーブ条約上のお話との関係で、これは委員がおっしゃったように、ジュネーブ条約上の捕虜ということになる事態は想定されない。要するに、ジュネーブ条約上は捕虜としては扱えない。ただ、その前に、自衛隊の職員を捕まえること自体が国際法違反であるわけです。戦闘員でないということですね。
 それで、もしも仮に捕まったということになった場合、万が一そういう不幸なことが起こった場合ですけれども、それは、そもそも戦闘員でさえジュネーブ条約上の扱いを受けるわけですから、戦闘員でないこの人たちについては、人権についての普遍的な法律、国際法あるいはジュネーブ条約の原則と精神、これに基づいて取り扱われるということは当然であります。仮にそういうことがあったといたしましたら、日本政府としては最大限を尽くしてその解放をしていくということです。
末松委員 だから、戦争状態にあるということを認識しなけりゃだめだということを最初に言ったわけですよ。戦争状態にある人に対して、ではそこで、きちんとそういった外交交渉、ルートがあるわけがないじゃないですか。だから、自衛隊員は、捕まったら、これはかなり無残な扱いをされるということも覚悟しなきゃいけないんですよ。そういったところまで覚悟しないでこの法案を考えちゃいけないんですよ。いいですか。
 それは、邦人が捕まったりしても、あなたはまた同じような回答になるわけでしょう。邦人が捕まったって、今の自衛隊員、自衛隊として救出に行くことはできないわけですよ。いいですか。そういうことを全く考えられずに、また逆に、勇気を持って救出に行った人、この人たちも、逆に言えば個人の資格で行ったということで後で罰せられることになるんですよ。これはおかしな話ですよ。
 時間がありませんからさらに申し上げますけれども、では、自衛隊員が逆にイラクの人を、例えば武装の民兵と思って、こちらをねらっていると思って、誤ってイラク人を殺したり、あるいは交通事故を起こしたら、これはどうなるんですか。
石破国務大臣 前段のお話ですが、それはそういう地域にならないように、つまり、武力行使もしくはそれと一体化になるようなことをしないようにということがこの法律の骨子なんです。
 仮にそういうことになったとしたら、奪還に行けないのはおかしいではないかというお話ですが、国または国に準ずる者というものが不法にも我が方の隊員を拉致してしまった、捕まえてしまった、その場合に本当に奪還に行くということが、この法律はそこまで予定しているだろうかということを考えてみなければいけないのだろうと思います。
末松委員 だからこそ、あなたがそこで、自衛隊員の人を守るために、こういうふうな配慮をしなきゃいけません、こういうことをしなきゃいけませんということをきちんと言わなきゃいけないんじゃないですか。予定していませんということだけで済むんだったら、これは防衛庁長官である必要はないじゃないですか。何を言っているんですか。
 だって、いいですか。さっきの、例えば誤ってイラク人を殺したとか、アラブの社会なんというのは、復仇、つまりあだ討ちというのがあるんですよ。だから、交通事故なんか起こしても、その場で殺した数だけ親戚、一族郎党が集まって殺したりするわけですよ、その交通事故を起こした外人なんか。私もイラクにいたときにそういう話は何回も聞きましたよ。そういったときだって、この法律は、安全な地域以外は行きません、あるいは非戦闘地域しか行けません、予定していません、そんな前提ありませんという形だけで自衛隊員が行かされたら、とんでもない話じゃないですか。その辺は防衛庁長官はどう考えているんですか。
石破国務大臣 したがって、そういうような危険のある地域には行かない。戦闘地域、非戦闘地域をきちんと分けるというのはそういうことなのであります。
 では、我々が武力の行使につながるようなそういう行為をそこで行っていいかといえば、それはいけない。それはもう憲法の要請ですから。したがって、戦闘地域か非戦闘地域かという峻別というのはきちんと行わなければいけないということだと思っています。
 そしてまた、今委員が御指摘の、撃ってしまった、誤って撃ってしまった、あるいは人をひいてしまったというような場合にどうだろうかということになってきますと、それは、現地等の国と当該自衛官との間をどうするかというお話をこれからしていかねばならないことだろうと思っています。
 しかしながら、過失、故意の場合によって違いますが、そういうような仮に我々の自衛隊の中の規則に照らしてそれが問題がある場合は、それは内部的に処分の対象となります。おとがめなしということにはなりません。しかし、相手の国との関係は、この後、相手の国との間の関係を詰めていくということになるだろうと思っています。
末松委員 つまり、相手の国がないんですよ、今。いいですか。イラク国法が通じるわけじゃないんですよ。無法状態なんですよ。そうでしょう。日本の法律が通じるわけでもないですよ。
 今、占領当局のディクリーというか命令、これでやられているんですけれども、それがまだほとんど軌道に乗っていないんですよ。九月をめどにそういったものを整備していこうねというのが、私たち調査団が行ったときに米軍側が話してくれたことなんですよ。まだまだ、法律あるいは監獄、警察、そんな諸制度もこれからなんだよねということを私たちは現地で聞いてきたんですよ。いいですか。そういうことも、例えば交通事故死したって、裁判管轄権がないんだから、何をしようにもどうしようもない。あだ討ちの的にされたり、そういったことがあるということ自体がおかしいじゃないですか。
 それで、最後、ちょっと総理にも聞きますけれども、こういう本当にまだ何が何だかわからないようなところに、だからこの法律では戦闘地域、非戦闘地域を分ける、そういった努力のあらわれですと。でも、石破長官でさえ、そういったことが起こる可能性は否定できないと言っているわけです。それは事実なんですよ。それはあなたもできないでしょう。そういったことに対して、一番ベストな方法は、そういった一番危ないところに自衛隊は送らないというのがもともと自衛隊の趣旨にもかなうし、いいじゃないかというふうに、私は、調査団で行った限りにおいて、そういう印象も得てきたんですよ。
 それについて、総理はどう思われますか。
小泉内閣総理大臣 可能性の議論をすれば、私は切りがないと思います。捕虜になったらどうなるのか、自衛隊が野盗のたぐい、略奪者のたぐいに襲われたらどうなるのか。可能性のたぐいを議論したら、一%でも可能性があるという前提で議論したら、これはもうある面においては言葉の遊びになりかねない。
 私は、非戦闘地域と戦闘地域は、日本の情報収集なり各国との情報収集から可能だ、その判断は。そういう中で、今、イラクの暫定統治機構ができているわけですから、完全な、イラク人のイラク人のためのイラク人による政府というものができるまでは、その機構と協力しながら、できるだけの国連決議にのっとった協力を日本がしていこうということでありますので、可能性といったら、五〇%の可能性と一%の可能性では実に違うわけですから、私は、十分、非戦闘地域の判断は、この法案が成立すれば、八月にはやはりまた調査をしなきゃならないでしょう、中にはいろいろな各国との情報交換もしなきゃならないでしょう。そういう中で戦闘地域と非戦闘地域の仕分けは可能だと思っております。
 でありますから、非戦闘地域に出せば自衛隊は戦闘行為には参加しませんし、武力行使にも参加しない、復興支援活動に従事することができる。
末松委員 時間がなくなりましたのでこれで終わりますけれども、本当に無責任な形にはならないように、しかと、本当にこの法案をまた考え直していただきたいと思います。
 終わります。
浅野委員長代理 これにて前原君、伊藤君、末松君の質疑は終了いたしました。
 次に、一川保夫君。
一川委員 自由党の一川保夫でございます。
 昨日の本会議の質疑に続きまして、質問させていただきたいと思います。
 我が自由党には、こういう分野に非常に詳しい方とか論客がそろっているわけでございますけれども、今日、こういったイラクの戦争を契機にしまして、国民の安全保障に対する関心度というものが非常に高まってきております。そういうことも含みまして、国民的な目線で政府に基本的な考え方をお聞きしたい、そのように思っております。
 まず、昨日も総理に基本的なところを幾つかお尋ねしたわけですけれども、我々は今回、イラクの問題で、各党皆現地に調査に行っておりますけれども、我々は、現地に調査に入って判断する以前の問題として、非常に大事な課題を抱えておるというふうな認識を持っております。そういう観点で質問させていただきたいと思います。
 一九九一年の湾岸戦争以来、我が国の国際的な安全保障に対するいろいろな姿勢というものが問われてきておりますし、また国会の中でもそれなりの議論がされ、一時期ちょっと中断したような格好にもなったと思いますけれども、一昨年の九・一一米国同時多発テロを一つの契機にして、またこういった問題についていろいろな議論もなされるようになりました。
 しかし、どうも我が国の国際的な安全保障に対する基本的な原則というものは依然として固まっていない、確立されていないという面で、非常に心配をいたしております。
 私たち自由党は、二十世紀あるいは昭和期の我が国の戦争経験、その教訓をしっかりと生かす中で、なおかつ、我が国の憲法の理念というものもしっかりと生かしながら、これからの二十一世紀の安全保障のあり方というものを考えた上での基本的な政府の考え方、日本としての考え方を整理すべきであるというふうに考えているわけでございます。
 そういう観点で、我々の安全保障に対する考え方も、我が国の自衛隊というものは、武力行使という観点からすれば、やはり極力抑制的に行使すべきであるというふうに思っておりますし、そういう面では、直接我が国が攻撃された場合、あるいはまた、そのまま我が国の周辺事態等のいろいろな事態を放置すれば我が国がまた直接攻撃される、そういうおそれが非常にあるといったような事態の場合に限って、自衛権の行使という観点での武力の行使はやむを得ないだろうというふうに思っております。
 しかし、また一方では、米国との安全保障体制の信頼向上ということも大変大事なことでございますし、もう一つの柱は、今議論になっているような国際的な安全保障に対する考え方、これはかねてから我が党が主張していますように、やはり、唯一の国際機関である国連という組織を中心に据えて、しっかりとその機関に有効に働いていただく中で我が国がそれに全面的に協力をしていくという体制が非常に大事だというふうに思っております。
 そういうことからいたしまして、今回のイラクの戦争が開始される前からいろいろな議論があったわけでございますけれども、私自身も予算委員会で総理にも質問させていただいたこともございます。その経過は経過として、今日、現状において、我が国の軍事力を備えた自衛隊というものをイラクに派遣するという非常に重い問題でございますので、先ほど来いろいろな質疑がありますけれども、どうも本当の肝心なところがちょっとわかりづらい、国民の方々もちょっと理解しがたいなというような気持ちを持っているんではないかというふうに思うわけです。
 そこで、総理にもう一回お聞きするわけでございますけれども、米国における同時多発テロ以降のこれまでのいろいろな動きの中で、本当に我が国としての国際安全保障に対する、あるいは国際的な平和に対する我が国らしい働きのできる一つのチャンスであったというふうに私は思っております。しかし、それを十二分に我が国としては生かし切れなかったのではないかという面の非常に残念な思いを抱いております。
 そういう面では、今回、自衛隊をイラクという国に派遣することについて、我々は、国連の明確な決議に基づいて派遣するのであれば、それはもう武力の行使を伴うことも含めて、国際的な常識の中でしっかりとした対応をすべきだというふうに思いますけれども、今日、どうもそういうことでもないような感じもいたしますし、昨日の総理の答弁では、国連の決議の有無じゃなくて我が国の自主的な判断で対応するんだというような趣旨の答弁があったというふうに思います。
 こういった国際的な安全保障に対する原則、基本的な考え方も含めた我が国の安全保障に対する基本的な法律をつくるべきではないかというふうに思いますけれども、総理は、依然として、国民の議論の推移を見てというような答弁に終始されているような感じがいたします。何かそんな点にちょっとリーダーシップを感じないわけでございますけれども、いかがですか。
    〔浅野委員長代理退席、委員長着席〕
小泉内閣総理大臣 ちょっと分けて議論をしたいと思うんですが、今回のイラクの支援は、国連の決議に沿ってイラク復興支援のために日本が何をできるかというための法案であります。そのために、自衛隊でできることがあるだろう、そういうものは自衛隊にやってもらおう。民間でやってもらおう、あるいは政府職員でやってもらおう、いろいろ分野があると思います。
 これは国連決議に沿ってイラク復興支援のためにやるんですが、これと離れて、じゃ、国際紛争を解決する手段で国連決議があるんだから、自衛隊を派遣して武力行使していいじゃないかという議論には、私は賛成できないんです。今の憲法の中で、いかに国連決議があったとしても、日本が自衛隊を派遣して武力を行使、戦闘行為に参加してもいいじゃないかということには、私は賛成できない。これはまた別の問題だ。
 しかしながら、これから自衛隊が海外で活動する場合にどのような基準で活動すべきかということについては、幅広く、恒久的に考えてもいいのではないかという議論につきましては、武力行使には参加しない、戦闘行為には参加しないけれども、平和の定着あるいは平和維持活動に自衛隊がどのような役割を果たすべきかということについては、今後検討することについては、国民的な議論を踏まえながら、よく議論を見きわめながら自衛隊の海外における平和維持活動についてあるべき姿を論じようということについては、私は賛成であります。
一川委員 国民のいろいろな議論を踏まえて論ずるということは、そういうふうな見方もあるかもしれません。しかし、私は、これから論ずるということに余り時間を要するような事態ではない。我々、この二十一世紀の節目を迎えた中で、冷戦時代も終えた中で、至るところでいろいろな紛争が生じている実態ですね。それで、我が国の周辺といえども安心できないような事態を迎えている中で、今回の、確かにこのイラクの問題はイラクの問題として、別の議論は当然あるわけです。
 しかし、その議論をする前提として、一つの問題意識として、我が国の安全保障に対する基本的な考え方をこれを機会にしっかりと整理しておくべきではないかというのが我が党の考え方でありますし、私自身も一般の国民の皆さん方と話しておりますと、アフガニスタンの戦争あるいはイラクの戦争、アメリカのテロというようなことが起こるたびに、何か法律をつくらないと日本の自衛隊は動けないというような考え方とか、そういうことについては非常に不信感みたいなものがあると思うんですね。
 それとまた、派遣される自衛隊あるいは自衛官そのものについても、やはり士気に影響するでしょうし、国民全体の大方のコンセンサスの中で、派遣されるかどうか、あるいは、そういう事態がしっかりできれば先ほど来の議論のような心配もなくなるんだろうと思いますけれども、そういう面で、私は、小泉総理の考え方は、もう少し踏み込んだ考え方があってよろしいんではないか。
 私たちは、先ほども言いましたように、これからの安全保障の考え方というのは、前世紀、二十世紀のような戦争に対する考え方を前提にする、そういう考え方じゃなくて、やはり国際協調という中でしっかりとした対応をしていかないと安全保障というのは確保されないと思いますし、それからまた、よくこの場で議論されていますように、いや、前方支援だったらだめだけれども、後方支援だったらいいんだというような考え方とか、近代戦争では私は後方も前方もないような気がいたしますし、むしろ、後方支援がその勝敗を決めてしまうということだってあるわけです。武器弾薬があっても、食糧がなければもう兵隊さんは動けないわけですから、そういうことを考えれば、むしろ、我々の先輩が大変御苦労された、さきの太平洋戦争の折にも、兵たん作戦で負けてしまったという事態もあったわけでございます。
 そういうことを考えれば、近代的なこういう時代の戦闘であればあるほど、私は、前方、後方を仕分けしたような議論というのはおかしいと思いますし、そういう面では、そういったところをもっと脱皮した中で新しい安全保障に対する考え方というものを持つべきではないか、そのように思っております。
 そういう中で、我が国の誇りとか、あるいは日本国民の生命財産、そういったいろいろな自由を初めとしたもろもろの基本的な人権なり、また、場合によっては文化というものをしっかり守るためにも、私は、その体制づくり、法制づくりというものをやはりしっかりと再構築すべきだというふうに思うわけです。
 そういう観点で、もう一度、総理大臣のそのあたりの基本的な御認識、お考えをお聞かせ願いたい、そのように思います。
小泉内閣総理大臣 議論の趣旨はわかりますが、日本が戦後一貫してとってきた専守防衛、そういうことの上に立って、日米安全保障条約を締結して日本の安全を確保している。
 確かに、最近の国際紛争の姿形はかつての形態とは違ってきている面も随分あります。そういう中で、それでは、今の憲法のままで、国連の決議があった場合に、日本も国際紛争を解決するために、ある場合によっては他の諸国の軍隊とともに戦闘行為に参加してもいいのではないかということについては、私は、これはちょっと無理があるんじゃないかなと思っております。いかに国連決議があったとしても、現在の自衛隊を、どんなに多くの国々と一緒だから戦闘行為にまで参加すべしという議論には、私はくみすることはできないんです。
 これについては、将来はわかりません。将来、国民の議論が熟して、国連決議があれば、やはり他国の軍隊と一緒に、国際紛争を解決するためには自衛隊も一緒に活動しろという議論が出てくるかもしれません。その際には、私は、憲法というものに対しての改正論議がもっと沸き起こってくる時期ではないかなと思っています。
 私は、現行憲法の精神を大事にし、また、現憲法の中で自衛隊の平和維持活動をしようということでこのイラク支援法を考えているわけでありますので、憲法を改正してまで新たな自衛隊の国際社会での活躍を広げようとか、あるいは、現憲法の中でも、解釈によって自衛隊の活動の幅は広がるんじゃないかという点については、私は極めて慎重であります。
一川委員 憲法改正云々という話は、今、国会の中にも憲法調査会がスタートしましていろいろ議論されている最中ですから、今、そこでどうのこうのということを私は言うつもりもございません。
 ただ、先ほど触れましたように、今日の国際的な情勢、また、我が国の国内的な世論の動向というものを見たときに、いかにして我が国の憲法の理念を生かしながら、国際社会の中で信頼されるような行動をとるにはどうしたらいいかということだと思うんです。
 そこは、やみくもに自衛隊が武力行使をするということを私は言っているんじゃなくて、唯一の普遍的な国際機関である国連という組織の中で一つの方向が出れば、その方向に従って、我が国が各国と同等のそういう考え方のもとで協力するということは、それはあってもよろしいんじゃないかなというふうに思っております。
 そういう観点で、我々は、今回のこのイラクの支援法案、以前の有事法制の問題あるいはまたテロ特措法の段階でも、我が党のいろいろな考えを述べてまいりました。基本的には、安全保障なり、それから、非常事態に対する基本的な考え方をこの機会にしっかりと整理しておくべきだという問題意識を持っているわけでございます。そういう安全保障に対する原則、そういうものを明確にする中で、おのずとして自衛隊の行動に対する原則も定まってくるわけでございますし、そして、国内はもちろん、国際的にも内外にしっかりとそれを宣明するということをしておかないとまずいんではないかという考え方を持っております。
 そういう議論の中で、おのずとして、国内でもいろいろな意見がありますように、現憲法に対するいろいろな解釈といったようなものももう少し整理されてくるんではないかというふうに考えるわけでございます。
 そういった安全保障に対する基本的な考え方は、総理自身もそういう問題意識を持ちながら、今後の課題としてはあるというお答えでございますので、次の問題に移らせていただきます。
 今回、先ほど来ちょっと議論されている中で、イラク戦争の今の現状をどう見るかというようなところがございました。戦争は、終結宣言はされているから主要な戦闘は終わっているんだということの説明でございましたけれども、しかし、連日報道されるイラクにかかわるニュースを見ておりますと、何か、そういう戦闘的なものが終結したというふうに思われないようなニュースが結構流れておるわけでございます。
 これは外務大臣にお聞きするか、どなたかちょっとわかりませんけれども、今回のイラク戦争、今日まで総括いたしまして、イラク戦争で得たものといいますか、結果として、現状においてプラスだというふうに判断されるもの、あるいはこのイラク戦争で非常にマイナスだったという面、こう仕分けしてみた場合に、それを幾つかの項目に整理されるとどういうふうに認識されますか。プラスとマイナス。
川口国務大臣 イラクの戦争につきまして、得たもの、失ったものという形で整理するのはなかなか難しいと思いますけれども、そもそも、大量破壊兵器の拡散についての国際的な懸念があったわけでございます。そういった問題に対して、国際社会が一丸となって毅然とした態度をイラクに対してあらわし、そして最後、武力の行使のやむなきに至った段階でそれが行われ、今後イラクの政府による大量破壊兵器の拡散についての懸念がなくなったという意味では、それは一つの目的を果たしたということであろうかと思います。
 それから、もちろん、失ったものという意味では、これは武力行使があったわけでございますから、双方、関係者の間に失われたものがあった、命が失われたということについては、これは非常に残念なことであったと思います。
一川委員 フセイン独裁体制という体制が崩れ、見方によっては、国民が解放されたという見方もあるでしょうし、それから、今ほど大臣が説明されましたように、非常に心配していた大量破壊兵器的なものの拡散が防止できたと。そこまで評価するのはまだちょっと早いような気もしますけれども、大量破壊兵器そのものがあるかなしかわからない状態ですから。そういう見方がプラス面ではあるじゃないか。
 マイナス面では、軍人、市民も含めて命を落としているという評価がございましたけれども、私は、そういう評価にプラス、評価といいますか、特にマイナス面として考えておくべきことは、国連の機能が著しく低下したんではないかなという感じを受けるわけです。国連に対しての信頼度、また、国連という機関をもっと有効に働けるようにこれから世界各国が協力して盛り上げていこうというやさきにこういうことになってきておるという中では、非常に心配な面が私は感じられます。
 それからもう一つは、国際社会の中で非常に大きな力を持っておりますフランスあるいはドイツ、そういう国とアメリカとの関係、イギリスとの関係がちょっとぎくしゃくしてしまったんではないか、そういうマイナス面もあるような気がするんですね。
 そういうことをいろいろ考えますと、私はもっと政府の方にもそのあたりの認識を強く持っていただきたいわけですけれども、国連という機関を我が国はもっともっと大事にしていくべきだと思いますし、また、国連という機関がより有効に働けるような、そういう条件整備、環境整備のために、もっともっと汗をかくべきであるというふうに思うんです。
 これは、イラクの開戦が行われる前にも私たちが主張しましたように、できるだけ新たな決議を国連でできるように日本は最大限の努力をする中で、そして、世界的にそのコンセンサスが得られた中で最終的にイラクに武力行使するのは、それはやむを得ないだろう。しかし、何となく、そういう合意が得られないままにアメリカ、イギリスが先行して開戦することは非常に問題があるということを指摘させていただいたわけでございます。
 この国連という機関に対する我が国の負担金というのは相当なものがあるというふうにお聞きしていますように、国民の方々も、その数字を聞けばびっくりすると思うんです。しかし、常任理事国でもない。そして、国連という機関が何となく力を失うのではないか、これから世界平和をコントロールするのはアメリカが中心になってやってしまうのかと。
 しかし、本当にアメリカと日本が同盟国であれば、きょうも議論がありましたように、アメリカに対して言いづらいこともしっかりと言うのが日本の役割ではないか。さきの戦争でいろいろな経験をし、もちろん苦しい経験もし、周辺諸国にも迷惑をかけているわけです。どの国よりも世界の平和を願っているのが日本だということからすれば、私は、やはり世界平和のために、国連という機関を中心として、我が国がもっともっとしっかりとわかりやすい働きをすべきじゃないかというふうに思います。
 今回のイラク戦争、今の段階までを振り返りながら、これからの国連という機関をどういうふうに持っていきたいと考えているのか、また、我が国はどういうふうな働き方をしたいと考えているのか、そのあたりを御説明願いたいと思います。
川口国務大臣 今回のイラクの問題をめぐりまして、ずっと国連が果たしてきた役割、あるいは国連の今後の役割について、クローズアップをされ、議論をされたと思います。それはそれで一つの意味があると思いますけれども、決して今回のことを通じて国連の役割が減じたわけではないと考えております。アメリカも決してユニラテラリズムということではございませんで、一四四一あるいは一四八三、これをめぐる過程で国連に話を持ち込み、そして、国連の場での議論を通じて一四四一、一四八三が出てきたわけでございまして、国連の役割というのは今後も引き続き大きいというふうに考えます。
 我が国として、国連において、あるいは国連の役割を強化するために、今までもかなり多くのことをやってまいりました。分担金の負担ということもそうでございますし、また国連の改革、より透明性があり、より効率的な国連を目指して、我が国としては十年以上改革に取り組んできたわけでございます。
 それで、国連の今の問題点というのは、必ずしも今の安保理が国際社会の現状を反映する形になっていないということがあると思います。かなり国連の安保理の改革につきましては、例えば、安保理の常任理事国の数を幾つにすべきかとか、あるいはどのようなやり方をするべきかとかいうことについて議論があり、ある程度論点が煮詰まってきているということでございますけれども、各国の意見が収れんをするのはまだ難しい状況にあると思います。
 それから、敵国条項ということも我が国としては問題意識にございます。総理からも、ブッシュ大統領との会談の折に国連の改革の話についてはしていただき、ブッシュ大統領からも理解をいただいて、フォローアップを日米両方でしていきましょうということになっております。
 引き続き、国連の場において、あるいは国連の外で、国連の改革についての議論のリーダーシップを我が国としてはとっていきたいというふうに考えます。
一川委員 そこで、イラクの今の現状を踏まえまして、この新たな支援法をつくって自衛隊を含めて支援していくという政府の考え方も、それは一つの考え方ですから、あると思いますけれども、現在、現行の法律の中で、今のイラクの現状を見て日本が最大限に何か支援するとすれば、どこまでできるというふうに思いますか。
福田国務大臣 現行法でありますと、自衛隊がイラクに行って活動する、これはできません。その都度、法律でもってその規模とか、それから活動範囲とか、そういうものを規定していかなければいけない、こういうことになります。
 今現在、現行法でできますのは、周辺国支援というものはこれはございます。これは、周辺国と申しますから、イラク国内ではございません。周辺の、例えばヨルダンとか、ああいう国に対する支援、ですから間接支援という形になります。ヨルダンに物資を運んで、そこからまた、我が国でないどこかの、ヨルダンでもいいんですけれども、物資をイラクに持ち込むとか、そういうことは可能なわけでありますけれども、いずれにしても間接的な支援になる。
 それからまた、直接的なことで言えば、主体がはっきりしていれば、湾岸戦争のときと同じような経済的な支援というものもあろうかと思います。
一川委員 今、人道的な支援だとかあるいは民生安定のための、そういうようなもろもろの支援的なものが先ほどの議論の中でもされていたと思いますけれども、そういう分野については、現状の対応としてはどこまで可能だと思いますか。
川口国務大臣 現状におきまして我が国が今やっておりますことは、国際機関それからNGOを通じて人道上の支援をしているということでございます。
 それで、例えば、けさからお話が出ていますけれども、国連、教育についてはユニセフを通じて、あるいは雇用促進という意味ではUNDPを通じてといったような形で行っております。八千六百万ドルほどの金額を、国際機関及びNGOを通じて今行っております。
 NGOは、NGOの支援をする、あるいは日本のNGO、ヨルダン、エジプトのNGOの支援をして間接にイラクの国民の支援をするといったような形での支援も行っております。
一川委員 これは防衛庁長官にお聞きするんですが、先ほど来ちょっと議論が出ていますように、イラク国土全域が戦闘状態にあるというアメリカサイドのそういう認識があるというふうな報道もありましたけれども、現実、今、この法案が通った段階で、政府が考えているのは、イラクの国内を戦闘地域と非戦闘地域に仕分けをする中で自衛隊を派遣したいというような考え方だと思うんです。先ほど総理のお話を聞いておりましても、要するに非戦闘地域にしか行かないんだというような一方の言い方があるんですけれども、それはそれで、そういう説明もありますけれども、その戦闘地域か非戦闘地域かというような仕分けを、だれが責任を持って、どういう段階で判断をするんですか、それは。
石破国務大臣 非戦闘地域イコール安全な地域ということは意味しません。それはまた、マキャナン中将がこの間言いましたコンバットゾーンなぞというものは、これはイラクからクウェートからサウジアラビアからオマーンからバーレーンからカタールから、そんなところまで含んでおりまして、コンバットゾーンというのは、それは戦闘地域と訳すんだろう、こうよく言われますが、それはそういう訳になるのかもしれませんけれども、これは、アメリカ軍が展開をいたしますときに、例えば医療でありますとかお給料でありますとか税金でありますとか、それを、コンバットゾーンなるところに指定された地域にはそういう取り扱いをしますよというものなんでありまして、戦闘している地域ということとは必ずしも同義ではございません。
 我々が言っております戦闘地域というものは、先ほど来るる御説明をしておるとおりでございまして、これはどこに指定をするかというのは、現地の状況等々を勘案しながら、これは内閣として決定をするというものでございます。
一川委員 これは当然、現地でいろいろな情報を収集し、現地を踏査する中で、それで内閣で最終的に決定するということなんだろうと思うんですけれども、それは、常時だれか現地に駐在しながら、いろいろな情報を収集して、そして我が国が自主的にその判断をするということなんでしょうか。あるいは、占領軍等のいろいろなそういう考え方を参考にしながら、情報交換をしてやるということになるのか、そのあたりを、どの程度のことを考えていらっしゃいますか。
川口国務大臣 ただいま、イラクには我が国の大使館も再開をされてございます、職員がおります。それから、当然、外国の公館あるいはその当局等々と密に情報交換を行いながら情報を収集しておりますし、今後ともそうやってまいります。
一川委員 そういう面では、地域の仕分けというか、その判断は非常にあやふやなものがあるような感じもいたします。先ほど、我が国の自衛官が現地に赴くことについてのいろいろな心配事が議論されておりましたけれども、そういう面では、我が国の自衛隊の皆さん方が本当に自分たちのそういった仕事に誇りなり責任を感じて、派遣するということであれば、もうちょっとそのあたりを、しっかりと考え方を整理しておかなければならないというふうに思います。
 さて、今のこのイラクの問題に関係して、ちょっと、当面のこともさることながら、イラクという国の中長期的な復興ということを考えてみた場合に、私は、我が国の果たす役割は非常に大きなものがあると思うんです。
 それは、今当面、自衛隊の話が中心になっておりますけれども、しかし、あそこの国は、御案内のとおり大変古い国でございますし、大きな河川も中央部に流れている地域でもありますし、いろいろな開発の仕方によっては非常に豊かな国になる潜在力を持った国だというふうに、私は個人的にそういう先入観を持っているわけです。
 また、民族としても相当優秀な民族だというふうにお聞きしておりますように、そういう面では、我が国のこれまでの、戦後、今日まで復興してきたいろいろな経験なり技術力、そういったことをしっかりとイラクの支援のために投入していくという壮大なプロジェクトがあっていいというふうに私は思いますけれども、そういったビジョンづくり的なものを含めてしっかりとした支援をする、そういう考え方に対しては総理はどう思いますか。
小泉内閣総理大臣 イラクの資源を考えても、イラクは、イラク国民自身の力によってみずからの復興支援に立ち上がることができる能力を持った国だと思っております。残念ながら、こういう戦争状態で今混乱をしておりますが、今後、国際社会が復興支援に手をかすことによって、一日も早くイラク国民の力によって自国の再建に乗り出すことができるように日本としてもできるだけのことをやっていきたい。
 そのためには、まず、日本自身ができること、これからいろいろ検討します。今も既に検討しておりますが、同時に、現在、イラクの暫定統治機構、この協力によって今後やる、これはこの新法が成立すれば直ちにやる準備を進めていきます。さらに、国際機関を通じてイラクの復興支援にできることもいろいろあります。
 そして同時に、これから日本として新たな視点から進めようと考えているのは、アラブ諸国とともに日本がイラク復興支援のために何ができるか。先日、アメリカ、エジプト、サウジを連続して訪問してまいりましたが、そういう点につきましては、エジプトのムバラク大統領、サウジのアブドラ皇太子殿下とも会談いたしまして、既に、日本がアラブ諸国とともにイラク復興支援のために何ができるかという、その準備を進めております。
 今回のイラクの問題についても、イラクと不幸にして戦争状態にアメリカとイギリスは突入しましたけれども、決してアメリカとイラクの問題じゃない、国際社会全体とイラクの問題であるという観点から、日本としては、アラブ諸国との友好関係をどのように発展させていくか、イスラム諸国との協力関係、交流をどのように進めていくかということも大変重要な視点でありますので、そういう諸国とともにイラクの復興支援に手をかしていくべきではないかなと思っております。それが、今後、中東和平に結びついていけば、さらにあの中東地域は安定する。
 長年、イスラエルとパレスチナの問題で紛争が継続しておりますが、この問題について主導権をとっている国ではございませんが、側面から、中東和平にも日本は、アラブ諸国、イスラエル当局とも連携をとりながら、また、国際社会の中で日本の国力にふさわしい支援ができるのではないか、いろいろ考えるべき余地はたくさんあると思いますので、そういう視点からイラクの支援にも取り組んでいく必要があると思っております。
一川委員 私はちょっと個人的に思いますのは、九・一一、米国の同時多発テロが発生したときのことを思い起こしますと、アメリカという国は、やられたからやり返すというような一つの考え方のもとに、そういうテロの危険性のあるような国だとか、あるいはいろいろな大量破壊兵器の疑いのあるようなところについては徹底的にそういうのを武力で抑えつけるんだというような感じに見受けられますけれども、なぜああいうテロが発生したかということについてのしっかりとした総括をアメリカという国はやっていないんじゃないかというような感じもいたします。
 それは、基本的には、私は、貧困の問題とか、そういう世界各国の一種の富の格差みたいなものがやはりその根底にあるのではないかなという感じもいたしますし、当然、それぞれの国々は皆それなりの名誉、誇りを持っているわけでございますので、そういうものを尊重しながら国際協調を図っていくという配慮がなければ、私は、やはりこういう問題はいつの時代でも絶えないんではないかという心配をするわけです。
 外務大臣も環境大臣もされましたけれども、例の京都議定書に対するアメリカの対応とか、ああいう状況を見ておりましても、何かちょっと、アメリカという大国、世界をリードすべき国にしてはちょっと情けないなという感じも私はいたします。
 そういう問題も含めて、やはり日本という国が、先ほど言いましたように、アメリカと同盟国だということであればなおさらのこと、米国に対してしっかりと意見を述べる。それは総理大臣も、いや、それはやっているんだということなんだろうと思います。しかし、国民の期待は、もっと、言いづらいことでもどんどん言ってほしい、そういう中でお互いに信頼関係というのは出てくるんじゃないかというふうに思っている人もたくさんいると思うし、私自身も、アメリカという国は、論理的にちゃんと筋道を立てて話をすればわかってもらえる国民性があるというふうにも思いますけれども、そのあたり、いかがでしょうか。
小泉内閣総理大臣 私はいつも率直に意見交換しておりますし、言うべきことは言うというのは当たり前のことであって、余りひがみ根性を持つ必要はないと思うんです。
 アメリカは何でも受け入れる国であります。フセイン大統領は、戦争前には一〇〇%、イラク国民の支持があったそうでありますが、戦争が終わって、今どこにいるかわかりませんけれども、すぐ銅像が倒されたり、フセインがいなくなってよかったという姿を見ていると、あの一〇〇%の支持というのは何だったのかなと。
 民主主義諸国では政府を批判することは自由でありますが、民主主義でない、一党独裁の体制の国はなかなか言いにくいこと。それに比べれば、日本は、アメリカとも率直に、お互い言うべきことを言い合いながら、率直に意見交換をしている。信頼関係を持つということは、お互い信頼しつつ、言うべきことを言う、率直に意見交換をする、そういう中からはぐくまれるものではないかと思います。
一川委員 以上で、時間が参りましたので終わらせていただきますけれども、引き続き当委員会で、また疑問点を質問させていただきたい、そのように思っています。
 どうもありがとうございました。
高村委員長 次に、赤嶺政賢君。
赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢でございます。
 私も、六月の十三日から二十一日まで、日本共産党調査団の一員としてイラクに調査に行ってまいりました。私は出身が沖縄県であります。あの沖縄戦の悲惨な体験者に囲まれて、それから、米軍の直接の占領当時、このもとで育ってまいりました。外国の占領軍に占領されている側の国民の気持ち、沖縄の立場をもってすればいろいろなことが見えるだろう、こういう思いも持ってイラクに出かけたわけであります。
 それで、イラクに行ってみまして、人道支援、復興支援、これが国連の機関や各国政府を通じていろいろな形で行われて、日本政府もまた国連に対する資金を提供している、こういうこともつぶさに見てまいりましたけれども、それでもなお今日、イラクが十数年にわたる経済制裁で疲弊し、この戦争で、そして戦争後の略奪でインフラが破壊され、イラクの国づくりには今後国際社会の巨大な支援が必要だと、これは国連開発計画の代表の方がおっしゃっていたんですが、そういう国際社会の今後の巨大な支援を一層強化していかなければいけないなということも感じたわけです。
 国連開発計画にも行きましたし、ユニセフにも行きました。世界食糧計画、ここにも行きました。
 それで、先ほどから出ていますように、雇用が非常に深刻だと。向こうも統計をとっていないわけですから、統計をとっていなくても、おおよそ六割が失業だろう、このように言われている。その雇用対策のために、戦争や略奪で壊された公共施設やあるいは橋や道路の建設事業、ここに雇用対策としてやっていこうという計画もありました。
 それから、バグダッドのヨルダン大使に会ったんです。お隣の国ですから、イラクのことを大変心配しているんですね。何を心配しているかというと、水と電気と下水道、こういうインフラが復旧していない状態のもとで、夏場を迎えると五十度を超えるようになってくる、私たちが行ったときに四十六度ですから、五十度を超えるようになってくると、これはもう伝染病の大流行が心配されると。ヨルダンの大使は、こういう夏場に向かって早く電気や水や下水道の再建をしていかなければいけないということも言っておりました。
    〔委員長退席、浅野委員長代理着席〕
 それから、日本はODA予算を使いましてイラクの十三カ所の病院に支援をしているんですね。これは大変喜ばれている。大変喜ばれているんですが、日本のNGOが今度の戦争と略奪で破壊された建物の復旧、薬品の提供、こういうのもやっています。でも同時に、今後のことを考えると、経済制裁のもとで、医者の、医療の技術の水準が上がっていないんだと。本当にイラクの国民にこたえるような医療技術を、あるいは医療のトレーニングを日本がもっともっと支援できるんじゃないか、そういう医療機関の支援の強化を訴えておりました。私は、本当に日本という国はやることがたくさんあるなと思ったんです。
 バグダッドから二百キロ離れた農村地区に行ったんです。農家の方とお話ししました。ことしから世界食糧計画がイラクの穀物を購入するようになったというんですね。ところが、農民はその価格に不満を持っているんですよ。国連の側は、そこには虫が入っているから、安い値段で買いたたかれていると思うんです。
 私、亜熱帯や熱帯の地域の農業というのは虫との闘いなんですね。日本の国は、その亜熱帯農業、沖縄でも虫との闘いで大きな成果を上げているんです。そういう農業生産、これに対する支援もできる。
 ドイツやフランスの大使に会ったときは、当面の緊急対策だけではなくて、これだけの広い国土の国民、これを再建するためには、例えばイラクにどんな産業を興していくか、若者を建設現場や復旧作業のそういうところでの雇用対策だけじゃなくて、どういう技術を身につけさせていくか、こういうイラクの国民の独立した気概を尊重し、イラクの国民の人格を尊重して、そしてイラクの国民の力を引き出すことによってイラクの国づくりをしていく、こういう国際社会の支援というのが今後求められている、こういうお話をずっと聞いてきたんです。
 ですから、日本の人道支援、復興支援というのは、今日やってきたものに加えてまだまだこの分野でたくさんやることがある、こういうことを感じたんですが、外務大臣は、これまでイラクのそういう復興支援等に取り組んでこられた国連とのかかわりを持って、どういうぐあいなお考えをお持ちか、ちょっと聞かせていただきたいと思います。
川口国務大臣 委員が今いろいろおっしゃってくださいましたけれども、我が国に対しての国際社会の期待、これは大変に大きなものがございます。おっしゃったような、人道面、医療、その他ございますけれども、それぞれについて大変に大きな需要がございます。
 我が国として、そういった国際社会、そしてイラクの国民の期待にこたえるために一生懸命に対応をいたしておりまして、現在のところ、国連からのフラッシュアピールが一億ドル、上限一億ドルということで、そのうち八千六百万ドルまでこれはもう拠出をいたしております。引き続きいろいろな需要が我が国に対しては向けられる、我が国に対しての期待は高まると思いますので、それについてこたえていきたいと思います。
 つい二、三日前に、国際社会で一緒になってイラクの復興を今後どういうふうに考えるかという国際会議がニューヨークで開かれました。IMF、国連、それが一緒になりまして、実はこの会議というのは、我が国からこういうことをやったらどうかということを言いまして、そして、サミットの場でそういうことをやろうということをエンドースしていただいて、それが開かれたということです。
 それで、これは一回目の会議でございましたけれども、二回目以降、我が国がほかの国と並んで中心の国の一つとなって、今後の国際社会全体としてのイラクの試み、イラクへの対応を考えていくという場になると思います。我が国として、主体的に積極的な役割を果たしていきたいと思いますし、それに対して非常に必要なのはODAでございますので、ぜひその面でも御支援をちょうだいできればというふうに思っているところでございます。
    〔浅野委員長代理退席、委員長着席〕
赤嶺委員 私、そういう方向の支援というのは本当に大事だと思うんですね。
 それで、国連機関も、その国際社会の二、三日前の国際会議について期待を表明しておりました。日本の国力を生かした貢献というのは、当面の災害復旧にとどまらず、イラクの国づくりにも大いに役立てるようなそういう技術も、それから科学も文化も持っているという感じをしました。
 それで、NGOに聞いたら、地雷の撤去でも、日本政府、日本がもっと頑張ってほしい、こうおっしゃるんですね。地雷の撤去というのは、はて自衛隊のことかと思いましたら、やはり日本の民間NGOは世界的にも地雷撤去で大きな役割を果たしているということを言っておりました。民間の仕事として非常に大きな仕事であります。地雷の撤去で、いわば戦闘部隊がやる地雷の撤去というのは国土の再建につながるような撤去の仕方ではないということも、私はアフガンのときに向こうの国連の担当の方から聞いてきたんですが、いろいろな意味で、民間の、あるいは政府の人道支援、復興支援の分野がたくさん残されていると思うんです。そういうところをまず我々は議論しなければいけない。
 また、そういうところの復興支援でいえば、何も自衛隊を派遣しなくても済む問題なんです。何も新しい法律をつくらなければできないという問題でもないんです。現行法でもっともっとたくさんのことができる、こういうことを申し上げておきたいと思うんです。
 それで、委員長、今総理が退席をしておられまして……
高村委員長 もう戻られた。
赤嶺委員 それじゃ、総理、伺います。
 人道支援、復興支援の面では今のような大いな可能性を持ちながら、しかし、今何でこの法律が問題になっているか、こういう分野の議論を排除したまま自衛隊がイラクの国に行く、こういうことになっているんですね。
 私たちが行ったときに、ちょうどイラクの人たちがデモをしていたんです。そのデモは、米軍占領当局のオフィスの前あたりの広場をずっと埋め尽くしておりましたが、交通渋滞に巻き込まれておりましたけれども、仕事よこせのデモなんですね。それに対して、米軍の占領当局は発砲したんですよ。二人死んだんです。それで、私たちは幸いにしてその混乱には巻き込まれませんでしたけれども、それから数時間たって、ガソリンスタンドで米兵がイラクの国民に殺される、こういうことを聞きました。非常にこれは不穏な空気が町全体に流れている。
 夜はホテルで、ここは自家発電のホテルなんですが、休んでいますと、銃声が聞こえてくるんですね。夜は銃声が聞こえてくる。翌日のニュースを見ると、やはり米兵が殺されたり、あるいはイラクの側で殺されたりしているというような事件が起きている。こういう面でも非常に不穏な状態なんですけれども、同時に、私、きょうここにこういう絵を持ってまいりました。これは「占領後もイラク全域に広がる米英軍の死者」という、残念ながら六月上旬までの絵なんです。
 きのうも六人、イギリス兵が襲われて死んでおります。それから、さっきの議論の中で八十人とか五十人とか五十六人とかという数字がありましたが、戦闘で死んだ米兵が百四十数人。いわば、ブッシュ大統領が主な戦争は終わったと宣言して、亡くなった米兵の数は五十六人。毎日毎日ふえていっている。
 そして、見てください、これは、どういう地域で米兵が犠牲者になっているかという、イラク全土なんですね、イラク全域なんです。いわばイラク全域で犠牲が出ていない地域はない、こういうことになるわけですけれども、総理はきのうの答弁でこのように言っております。散発的、局地的抵抗があるものの、戦闘は基本的に終了している、こういうことを言っているわけですが、やはりイラク全土は、大きな戦闘が終了した、主要な戦闘が終了したとはいっても、戦闘している地域が残っている、こういう認識でよろしいでしょうか。
小泉内閣総理大臣 主要な戦闘は終結した、特に米英軍は一番危険な地域でも活動しておりますから、そのようなかなり危険な状況に遭遇しているんだと思います。しかし、今アメリカ、イギリス以外に十三カ国ですか、イタリアとか韓国とかタイとかポーランドとか、もう既に千名、二千名というような単位で軍隊を派遣していながら、イラクの復興支援に活動している部隊もあるわけです。
 日本としては、これから、日本独自の情報収集を含めまして、外国等の情報も交換しながら、いわゆる非戦闘地域、そういう地域での自衛隊の必要な活動というのはあるんじゃないかとよく見きわめながら、非戦闘地域に限って、イラクの生活基盤あるいは復興の基盤の安定のためにできることもあるのじゃないかと思っております。もちろん自衛隊以外の方々にも御協力をいただきます。先ほど指摘されました医療活動やらあるいは農業活動面においても、人的な支援というのは私はできると思っております。そういう意味において、いろいろな分野において幅広く私は日本ができることを考えていきたい。その中に自衛隊の活躍の場もあるのではないかと思っております。
赤嶺委員 総理、私が聞いたのは、非戦闘地域があるかどうかということじゃないんです。主要な戦闘は終わったと言うけれども、いろいろな抵抗が残っているというきのうの答弁がありましたから、それではイラクには戦闘が行われている地域がまだあるわけですねと、こういうことですが、これはいかがですか。
小泉内閣総理大臣 それは戦闘、散発的な地域が、行われている地域はあると思います。
赤嶺委員 そういう戦闘地域があるわけですね。
 先ほどからの議論で、野盗のたぐいがまだ残っているとか、それは日本の政党の野党のことを言っているんじゃないとか、そういうやりとりもありましたけれども、先ほどから出ていますマキャナン司令官は、五月二十九日の記者会見でこのように言っている。アメリカ兵に対する攻撃は、犯罪行為ではなく戦闘行為である、戦争は終わっていないと発言しているわけですね。犯罪行為ではない、戦闘行為だ、こういうことを言っているわけです。
 それで、イラク国民も、バグダッドでアメリカ軍の占領の最初の一週間はウエルカムムードがあった。ところが、今、日に日に反米感情が広がっていっている。むしろ反米感情によってあのイラクの米英占領軍当局は取り囲まれている、こういう状態であります。いわば非常に敵意が広がってきているということです。そういう地域に自衛隊が行くわけです。それも、今度の法案の中では、いわば安全確保支援活動を行うということになっているわけですね。これは、明らかに復興支援、人道復興支援とは違う、安全確保支援活動ということになるわけです。
 それで、米軍は、ちょうど私たちがイラクに着いた日に、砂漠のサソリ作戦というものをやっておりました。バグダッド近郊ですよ。規模は一千人の米軍が出動しているんです。これは大きな戦闘行為ですよ。そういう、米軍は現に大規模な、いわばバース党あるいはフセイン政権の掃討作戦というのを各地でやっています。そうすると、この法律にあります安全確保支援活動というのは、こういう戦闘行動をしている米軍の行動に対する支援活動も行うことになるわけですね。
小泉内閣総理大臣 支援活動においては非戦闘地域に限りますから、そこが私は見きわめが大事だと思うのであります。アメリカとは戦争しているんですから、イラクの国民感情から見れば米軍に対する感情はやはり他の諸国の軍隊と違うでしょう。その点もよく見きわめながら、日本としては、自衛隊を派遣する場合、非戦闘地域というものをよく見きわめながら派遣しなきゃいけないと思っています。
赤嶺委員 自衛隊がどこで活動するか、こういうことを聞いたんじゃないんですよ。自衛隊が非戦闘地域で活動するのかしないのかという話じゃないんです。この法律で言う安全確保支援活動というのは、バース党やフセイン政権の残党の掃討作戦を展開している米軍の安全確保活動、これに対する支援も行うんですねということです。
 いや、総理答えてください、総理。
石破国務大臣 恐縮ですが、人道支援活動のことをおっしゃっておられるのでしょうか。(赤嶺委員「いや、安全確保支援活動です」と呼ぶ)安全確保支援活動ですか。それは、アメリカが行っているいろいろなことがございますが、私どもが言っておりますのは、そこの法案に書いてありますとおり、医療でありますとか補給でありますとか、そういうことを行うわけでございます。
 ですから、そういうようなアメリカの戦闘行動というものを支援するのかと言われれば、それはほかのものとは概念が異なっていると私は思います。
赤嶺委員 自衛隊が向こうで、非戦闘地域で医療や輸送や、そういうことをやる。それは、輸送というのはだれのために、だれのためにというか、いわば米軍の、そういう砂漠のサソリ作戦とかと名づけられるような戦闘作戦に対して、物資を輸送したり兵員を輸送したり弾薬を輸送したりということをやる活動もこれはあるわけですよね。実際にそれをやるわけですよね。
石破国務大臣 武力の行使及び武力の行使と一体化しないそういう活動を行うことになっております。
赤嶺委員 武力の行使だとか武力行使活動との一体化とか、そんな話をしているんじゃないんです。実際にイラクに行ってみたら、米軍は砂漠のサソリ作戦と名づけるような掃討作戦を展開していた。自衛隊は、その米軍の掃討作戦などに対する支援活動もやるのかやらないのかということを聞いているんですよ。
 総理、お答えください。
小泉内閣総理大臣 掃討活動が行われているという地域は戦闘地域であります。そういうところには自衛隊を派遣しないんです。
赤嶺委員 話をそらしても、ごまかしてもだめですよ。戦闘地域に行くか行かないかじゃないんです。そういう米軍を支援するわけですね。弾薬の輸送は、イラクの国民の橋の建設のために持っていくんですか。そんなことじゃありませんでしょう。医療といったって、先ほど申し上げましたけれども、野戦病院なんか必要ないですよ、イラクの国民は。本当に、ODA予算で日本が資金援助したあの病院を立派に修復し、そして医療の技術も上げてほしい、こういうことなんですよ。
 ところが、自衛隊がイラクでやる安全確保支援活動というのは米軍に対する支援活動も行うことになるのかならないのか、ここをはっきり答えてください。
石破国務大臣 お答え申し上げます。
 結局、こういうことだと思います。
 他国がイラクにおいてフセイン政権の残党に対して実施している掃討作戦、これはアメリカが行っている掃討作戦のことを頭に描いていただければよいのですが、掃討作戦に対しまして、我が国がこの法案に基づきまして後方支援を行えるのかどうかということにつきましては、その国が行っております活動が、この法案に基づきまして我が国が行う支援の対象となる、イラクの国内における安全及び安定を回復する活動に該当するのかどうなのかということにおいて判断をすることになります。
 したがいまして、ほかの国が行いますこのような活動に対します支援を我が国が実施しましても、本法案の定める枠組みのもとで行えるとするならば、他国の武力の行使と一体化するということにはならないということでございます。
赤嶺委員 他国の武力行使と一体化することになるんじゃないか、私がそういう指摘をするんじゃないかと気にして、そういうところの答弁ばかりしているんですが、私が聞いているのはそういうことじゃないんです。
 ですから、この法律に該当するようになれば、米軍がやっているあの砂漠のサソリ作戦、ああいうような戦闘行為に対しても、安全確保支援活動として、日本は、自衛隊は行うことになるんですね。そういうことですよ、総理。
小泉内閣総理大臣 そうじゃないんです。決めつけないでくださいね。
 まず、掃討作戦をやっている地域というのは戦闘地域なんですよ。そういう戦闘地域には自衛隊は派遣しない。非戦闘地域に限って自衛隊を派遣するんですから。掃討作戦なんというのは、まさに、完全に戦闘地域だと私は思いますよ。
 安全確保も、これはイラクの社会全体の安全確保ですから、戦闘行為の治安活動、そういうのとは違うんです。武力行使はしない、そういう前提でこの法案を考えているんですから、あくまでも、自衛隊が行く場合におきましても、非戦闘地域であり、戦闘を準備した形で行くわけじゃない。その点、よく御理解いただきたいと思います。
赤嶺委員 総理、答弁をそらしておられます。戦闘地域で行っているのは安全確保活動ですよね。いわば安全確保活動の分野ですよ、戦闘地域で行っているのは。自衛隊は、私は安全確保活動をやるとは言っていませんよ、安全確保支援活動をやるんでしょう。
 そうすると、アメリカがやっている砂漠のサソリ作戦のような安全確保活動、これに対する支援は排除されるんですか、されないんですか。
小泉内閣総理大臣 安全確保支援活動においても、戦闘地域の安全確保と非戦闘地域の安全確保と両方あると思います。
赤嶺委員 わかった、わかったと言うから本当にわかったのかと思ったら、何もわかっておられません。
 総理、やはりイラクの現状を知らないからいろいろな言い方でごまかそうとしているんですが、例えば、非戦闘地域での安全確保活動というのは治安警察活動ですよ。これは、米軍が前面に躍り出て治安警察活動をやって、大変な不評を買ったんです。軍隊には警察の役割はできない。警察活動をやるなら、路地の裏々まで知っている、住んでいる人の顔も知っている、こういう警察官を養成しなきゃだめだということで、占領当局も今警察官の養成というのを、遅まきながら、現場では間に合わないんですが、始めているんですよ。そういう活動もあるでしょう。
 しかし一方で、戦闘地域での安全確保活動というのは米軍は現にやっているわけですよ。それは支援活動の対象になるんですか、ならないんですか。
小泉内閣総理大臣 その活動が戦闘地域であれば、それはなりません。
赤嶺委員 戦闘地域で展開をしている米軍に対して、非戦闘地域で、例えば米軍が燃料を入れに来ました。いや、あなたは戦闘地域で今戦闘を展開中ですから入れませんということでお断りするわけですか。
川口国務大臣 お答えは、単純に申しますと、いいという場合とそうでない場合とあるということでございますけれども、その考え方は、先ほどこれは防衛庁長官がおっしゃいましたけれども、他国が行う活動、おっしゃった例で言うと、アメリカ軍のやっているその作戦、それが、この法案に基づきまして日本が行う支援の対象となる、イラクの国内における安全及び安定を回復する活動等に該当するかどうか、それによって判断をされるということでございます。
 したがって、されるものとされないものとあろうかということでございます。
赤嶺委員 該当するものとしないもの、つまり、米軍への支援活動は排除しないということだけは確認しておきたいと思います。同時に、これがこの法律に合致するということになれば、米軍の戦闘支援もできると。実は、やはり、私はここにこの法律の核心があると思うんですよ。
 それで、次の質問に移りますけれども、では、総理がさっきからおっしゃっている戦闘地域、非戦闘地域、これを区分けする問題について聞きたいと思います。
 区分けをできるとおっしゃいました。その区分けをする方法として、他国からの情報の収集や日本が独自に情報を収集して判断する、こういうことになったわけですけれども、情報の収集の主要な相手国は、これは米軍だと思いますが、いかがですか。
石破国務大臣 それは、主要な国といえば米軍になります。アメリカと我が国との信頼関係に照らしましても、そして、現地で一番行動を行い、現地を一番知悉しておるという点におきましても、それはアメリカということになりますが、アメリカからの情報のみに基づいて、だからアメリカの言いなりに決めるのだろうという御指摘は全く当たらないというのは、総理がおっしゃったとおりのことでございます。
赤嶺委員 石破長官、私、質問の中で、だからアメリカの言いなりになっているということを言いましたか。言わないようなことまで、ゆがんだ答弁しないでくださいよ。
 アメリカから情報をとる、主要な相手国はアメリカだということを認めました。この主要な情報を寄せるアメリカ。私、ヨルダンで日本大使にお会いしたんです。いろいろお話ししました。その中で印象に残ったのが、やはりイラクで一番正確な情報をつかんでいるのはアメリカだ、こういうことも言っておられました。
 それで、そのアメリカが、言ってみれば、先ほどマキャナン司令官の問題で、石破長官、コンバットゾーンのことだというぐあいに言っておりましたが、マキャナン司令官は、全土が戦闘地域、こう言っているわけですよ。
 この記者会見ではこう言っているんです。イラクにおいて恒常的な非戦闘地域はあり得るのかとマキャナン氏に聞いているんです。それに対してマキャナン氏は、いいえ、すべての正当な理由により、イラクは今なお戦闘地域と考えられる。イラクは今も戦闘地域である、非戦闘地域なんかないと言っているんですよ。皆さんが主要な情報を収集しようとするアメリカは、しかもイラクの現場のマキャナン司令官が、非戦闘地域はないということをはっきり記者会見で述べているわけですが、そうなってくると区分けのしようがないじゃないですか。どうやって区分けするんですか。
石破国務大臣 これは何度もお答えをして恐縮でございますけれども、この記者会見でマキャナン氏が全体的に何を言っているかということを見ないで、部分をとらえて、コンバットゾーンだから、イラクは全土が戦闘地域だというのは、それはためにする議論だと私は思っています。(発言する者あり)委員長、ちょっとお願いできませんか。答弁中はお静かにお願いしたいと私は思っております。
 申し上げておりますのは、マキャナン氏はこのようなことを言っているわけですね。皆さんに留意をしてもらいたいのは、コンバットゾーンという言葉は真に軍のために使われている言葉であるということだと。なぜならば、コンバットゾーンと宣言されることにより、行政的、財政的、医療あるいはそのほかの人事的な一連の行動を行うことができるように設定されることになるからだ。
 それは軍の、先ほど申し上げましたように、どのような医療が受けられるのか、あるいはどのような手当がもらえるのか、そのようなものに税金がかかるのか、かからないのか。ここはコンバットゾーンですよというふうに宣言をすることによって、軍はそういう待遇を受けられるようになる。コンバットゾーンというのはそういう目的で設定をされたものであるということを、わざわざマキャナン氏は、この会見の最後の方で言っているわけですね。
 申し上げましたように、それではペルシャ湾地域の周辺のコンバットゾーンはどこか。イスラエルであり、トルコであり、そしてまたアフガニスタン、ペルシャ湾地域、あとはクウェート、イラク、サウジアラビア、オマーン、バーレーン、カタール、アラブ首長国連邦の全土、こういう指定がなされているわけでございます。それはコンバットゾーンではありますけれども、ではその地域が戦闘地域なのかというふうになれば、それは違うでありましょう。アメリカの行政的に言うコンバットゾーンであったとしても、それが我々日本国において言う戦闘地域というものとは重ならない。これは論理的にそういうことは明らかだと私は思います。
赤嶺委員 防衛庁長官、テロ特措法のときから繰り返されてきた、アメリカのコンバットゾーンとは何かという、こんな概念の論争をしているんじゃないんです。
 マキャナン司令官が記者から聞かれた問いはこれですよ。イラクにおいて非戦闘地域はあるのかと聞かれているんですよ。そのときの答えが、いいえ、すべての正当な理由により、イラクは今なお戦闘地域と考えられる、こう言っているんですよ。しかも、この中で、私はそれが地域化されていると思う、一般的に、私の評価では、旧政権に忠誠を尽くす残党によるものだと思う、しかし、先ほども言ったとおり、他の影響が含まれる可能性はあると。つまり、イラクは、今一番正確な情報を握っている米軍でさえ、どこで何が起こるかわからない、非戦闘地域と定められるような場所はないということになるんですよ。
 私、政府の調査報告書を見て大変びっくりいたしました。日本政府が現地に行って出した調査報告というのはたった二ページなんですね。後ろに一枚地図がついているだけ。そして、会ってきたところはというと米軍の機関だけ、あるいは占領当局だけ、そういうところですよ。
 それで、その中で治安について言っているんですが、バグダッド市内及びバグダッド以南などの地域、治安状況は改善されている、こういう報告があるんですね、以南ということで。
 私も南部地域に行きましたよ。でも、連れていってほしいという町には、ちゃんと断られました。まだわからない、不安だ、イラクの国民でさえそう言うんですよ。南部は安全だ安全だと言ってきたら、けさの報道では「英兵六人を殺害 イラク南部 武装組織が攻撃」こうあるんですね。アメリカでさえ不意打ちを食らって犠牲者を出している。いつゲリラが攻撃をしてくるか、フセイン残党が攻撃をしてくるか、そういう情報が正確であれば、こんな犠牲者なんか出さなくたって済むじゃないですか。結局、アメリカでさえ非戦闘地域は決められない。なのに、何で日本が非戦闘地域を決めることができるんですか。
石破国務大臣 先ほど申し上げましたように、コンバットゾーンの話は、全部の記者会見の部分を明らかにし、なおかつ用語の定義をきちんとしてから議論をいたしませんと、先生のようなことを聞かれる方がありますのであえて言っておくけれども、コンバットゾーンというのはあくまで軍のためのものなんですよということをマキャナンは言っておるわけでございます。そのあたりは本当に全部きちんと整理をして議論いたしませんと、ごちゃごちゃなことになってしまうと私は思います。
 そして、先生のお尋ねにお答えをいたしますとするならば、それは、本当に正確な情報というものをきちんと把握をする、それが極めて重要なことだと思っております。私どもは、憲法の要請に従いまして非戦闘地域で行動するということでございます。それは、海外において武力の行使をしない、その憲法の要請に基づくものでございますから、我々は我々の情報もきちんと集め、そして米軍の情報も、あるいは友好国の情報もきちんと集めて、そういう地域でなければ自衛隊は送らない、それは責任ある政府として当然のことでございます。
赤嶺委員 派遣される自衛隊は、PKOのときよりも武装が重武装化されて行きます。非常に危険な地域に行くという認識があるからこそ武器使用の問題も出てきております。不意打ちを食らえば、不意の攻撃を食らえば、その武器を使って日本の自衛隊がイラク国民を殺すことになるかもしれない、あるいはイラク国民から襲撃されることにもなるかもしれない。こういう危険なことを冒して、そして他国で武力の行使に転換するような危険を冒して自衛隊を派遣するようなことは、文字どおり憲法違反であり、直ちに中止することを求めまして、この法案の廃案を求めまして、私の質問を終わります。
高村委員長 次に、今川正美君。
今川委員 社会民主党・市民連合の今川正美です。
 私、具体的な質問に入ります前に、一言、委員長にお願いしたいことがあるんですが、今回、この特別委員会にはイラク支援のための特措法と、もう一本、いわゆるテロ対策特措法の二年延長を図る法案も、二本提出をされております。できれば、与党側がおっしゃっているような一括審議ということよりも、国民の皆さん方からよりわかりやすいように区分けをして、一つずつきちっと時間をかけて審議していくということをぜひお願い申し上げたいと思っております。
高村委員長 理事会で協議します。
今川委員 今、野党各党からもイラク現地に調査団を出した報告がありました。我が社民党としても、私が団長になりまして、今月の十七日から二十三日まで約一週間、イラク現地それからヨルダンの国境側、視察をしてまいりました。その何点かをちょっと、せっかくきょうは小泉総理がおいででございますので、御報告申し上げたいと思います。
 私どもは、例えばUNHCRあるいは現地の国際赤十字あるいはユニセフ、それから国連の代表部あるいは米軍などのCPAの本部、それから赤新月社、あるいは現地のジャーナリストや日本人のジャーナリスト、それから現地の皆さん方、いろいろな角度から、多様な、いろいろな貴重な意見を聞くことができました。
 一つは、湾岸戦争のときと比べますと、なるほど、今回、米英軍などはかなりターゲットを絞って攻撃をしかけているという様子がうかがえまして、そういった意味では、無差別に、例えばバグダッドの市内がひどく攻撃を受けたという印象はありませんでした。
 ただし、これは、現地の皆さん方もそうですし、イラクの市民のために戦争の前から働いているNGOの皆さん方も訴えがあったんですけれども、例の劣化ウラン弾あるいはクラスター弾、さらにバンカーバスターなど、非常に特殊な爆弾を米軍などは今回使ったわけですね。そうしますと、その被害が非常に深刻だろう。
 特に、劣化ウランの場合には放射能を持っていますので、これがどういう地域で使われたのか使われていないのか、一定の地域がはっきりしないことには、せっかくNGOの皆さん方を初めイラクの国民のためにいろいろな支援活動をしているのに、支援する側が健康を害してしまっては支援が中断してしまうということの問題もあります。これはぜひ、やはり我が国政府としても米国などに働きかけて、そうした状況をはっきり見定めていただきたいなというふうに思います。
 それから、これはイラク国内で、イラク人同士の中ででしょうけれども、略奪や放火などがひどいですね。驚いたのは、イラクの人たちや現地のジャーナリストから伺ったんですけれども、一部には、駐留している米軍がこの略奪などを唆したり手引きをしたということを聞いています。これにはもう驚きました。
 それから、何といっても、先ほど共産党や民主党の方からも報告がありましたように、生活インフラが破壊されている。これは、今回の戦争だけではありません。湾岸戦争以降この十二年間ほどの経済制裁のもとで、大変な状況に陥っている。しかも、今回、フセイン体制は崩壊したわけですから、いわゆる行政機構が完全に停止、麻痺している中で、日々イラクの皆さん方の生活が大変な不自由に直面しているということであります。
 イラクの国民の九割ぐらいが米軍を歓迎しているという報道も一部ありましたが、これは、現地に行ってみて地元の人たちの話を聞いてみますと、そうじゃないんですね。その九割、イラク国民の約九割ぐらいは、フセイン体制が崩壊したのは非常にうれしい、歓迎しているということなんですね。ところが、いつまで米英軍などが駐留するのか、できるだけ早く立ち去ってほしい、そういうふうに訴えるイラクの人たちが非常に多いんです。
 それと、これはバグダッドだけではなくて、先ほどもるるお話がありましたけれども、まさにイラク全土にわたってゲリラ活動はかえって拡大している様子であります。バグダッドの中心部はかなり治安が落ちついてきた、私どもはそういう話を聞いてイラクに入ってみますと、バグダッドの中心部でも、米英軍などに対する反発、反感がかえって増大しています。そういった意味では、残念ながら、治安の状況はかえって悪い方向に行きつつあるんではないかというのが私たちの実感であります。
 さて、もう一つは医療や教育の問題です。
 当初、最終日はユニセフの案内で、ユニセフなどの国際機関の支援を受けている小学校に入る予定だったのが、手違いがありまして、ユニセフなどの支援を受けられていないバグダッド市内の小学校に行くことができました。そこの女性の校長とか男性の管理責任者などが口々に言っていることは、ユニセフなどの支援を受けることのできるような学校はまだいいんです、中流家庭以上のところが通っている、ですから、自分たちのところはもっと貧しくて、使っているぼろぼろの黒板は、そういうユニセフの支援などを受けた学校が使い古したものを、お古をいただくと言うんですね。
 そこにたくさんの子供たちが目を輝かせていました。ちょうど、学年を上がるための昇級試験の日でありました。筆箱を持っている子は三、四人です。ノートもありません。こういう紙切れ一枚持っている子はまだいい方なんです。そういう人たちが、私たちはユニセフなど国際機関の支援すら受けることができない、こんな貧しい学校なのにやはり強盗にやられちゃったと言って、失礼だけれども、何か盗まれるものを持っていたんですかと言ったら、お金は余りたくさん入っていない手持ち金庫がやられたとか、ロッカーが持っていかれたとか、手当たり次第にそんな貧しい学校がやられちゃって、もう何もない状態なんですね。
 そこで働いている学校の先生たちのお給料は幾らですかと聞きました。何か日々為替レートが変わるみたいですけれども、私たちが行ったときは、一ドル千五百イラク・ディナールぐらいですね。そうすると、三千ディナールぐらいしかいただかない。つまり、月に米ドルで二ドルぐらいしかいただかない。ほとんどボランティア、完全ボランティアの状態で、しかし、本当に意欲を持って子供たちのためにいろいろなお世話をしておりました。
 そういった意味では、どうやら政府や与党の皆さんは、まず何をさておいても自衛隊を派遣したいということのようでありますけれども、私は、今、国連やユニセフ、国際機関の目や手が届かない、そういうより貧しいところに、日本だからこそやはりそういうところにもっと意欲的に、積極的に支援をしていくということが必要じゃないか。だから、そういうためには、戦争前から、戦争中も、そして戦争が終わった後も、日本はよその国と同様に、あるいはそれ以上に、さまざまなNGO、民間団体が医療支援とか教育支援とか生活インフラの支援をやっているわけですから、そこを日本政府として全面的にバックアップしていくということの方が、国際社会にもより高く評価をされるんじゃないかということを私は思うわけであります。
 今非常に断片的に申し上げましたけれども、小泉総理、いかがでしょうか。
小泉内閣総理大臣 ただいまお話しいただきましたような自衛隊以外でできることも、当然日本はやっていきます。そして、自衛隊もできることをやっていこうと。自衛隊だけがやるんじゃないんです。両方、日本ができることをやっていこうということであることを御理解いただきたい。
 今言われたような、イラク国民が真に必要な分野に日本が支援する。特に、日本は非軍事的な分野での協力というものについては各国やってきましたので、その経験も踏まえながらやっていけば、私は、両方の活動というのは必ずやイラク国民からも評価されるであろうと思っております。
今川委員 まず今回の、今イラクの状態は、事実上米英軍の占領下にあるわけですね。もちろん、イラク人による政府は、まだ暫定政府もでき上がっておりません。非常に困難な作業になるかと思います。
 私は、社民党として、この戦争が始まる前から、米英軍などによるイラク戦争には一貫して反対してまいりました。それは、今、国際社会でははっきりしていると思うんですね。国連の安全保障理事会も意見が割れました。御存じのとおりであります。
 問題は、きちっとした国連決議もないまま、そして国連を事実上無視してやった戦争である。そして、確かに建前上は、米国などは、イラクが隠し持っているかもしれない大量破壊兵器ということを大義名分に立てましたけれども、しかし実態としては、いわゆるブッシュ・ドクトリンで言うところの悪の枢軸、イラクのフセイン体制を倒すことに真のねらいがあったことは、もう国際社会では常識だと思います。
 そこで、問題なのは、イラクにおける戦闘終結宣言を一たん米国は出しました。五月の初めであります。それから約二カ月近く、問題にしてきたはずの大量破壊兵器は、イラク全土どこからも出てきていない。これから先も米国などは捜索するでしょうけれども、出てこない可能性もあります。かつてUNSCOMのときのアメリカの査察官だったスコット・リッター氏は、自分たちが湾岸戦争後入っていって約八年間調査をしたときに、大量破壊兵器の大方、九〇%から九五%は見つけ出し破壊した、残っているとしてもあと五%であろうということを証言されておりました。
 小泉総理、ではあなたは、米英などが行ったイラク戦争を理解し断固支持するとおっしゃった。全世界で一千万人を超える反戦デモやいろいろなアクションが起こったけれども、そういう反戦世論は間違っているとまでおっしゃった。現状、たとえ建前上とはいえ、理由として掲げた大量破壊兵器がいまだに見つかりっこない、これをどのように受けとめておられますか。
小泉内閣総理大臣 これは、国連におきましても、イラクは大量破壊兵器を持っている疑惑があるということだからこそ、早く証明しなさいという決議がなされたわけであります。そういう中で、今、持っていない、大量破壊兵器はないと断定できますか。私はできないと思いますね。
 先日、フセイン大統領はまだ見つかっていない、見つかっていないからフセイン大統領はイラクにいなかったのかと。だれも断定できないと思います。フセイン大統領ですら見つかっていないんです。生死もわかっていない。それでは、フセイン大統領が存在しなかったとは言えない。似たような形で、大量破壊兵器はまだ見つかっていないから大量破壊兵器はないと断定するのは、早急に過ぎるんじゃないですか。(発言する者あり)決して詭弁じゃないですよ。
 私は、大量破壊兵器がないんだったら、何でフセイン大統領を初めイラクは査察を受け入れなかったのか、みずから証明しなかったのか。イラクが正しい、正しいと言う前に、何で国際社会の疑念にこたえなかったのか、それを言いたい。そうすれば戦争も起こっていなかったんです。
 そして、現在では、あの武力行使を支持しなかったスウェーデンでもアラブのサウジアラビアでもヨルダンでも、既に軍を送って復興支援活動をしようと決定しております。こういう中にあって、日本は自衛隊を派遣しちゃいかぬと。日本は自衛隊以外の支援も行います、自衛隊でもできることはやります、しかし、武力行使はしません、非戦闘地域に限ってイラクの復興のお手伝いをしますということなんです。
 しかも、これは、あの国際社会が国連でイラクに対する武力行使をめぐって意見が対立した国も、今回の五月末での国連決議は、イラク復興支援のために、アメリカ、イギリスだけじゃないんです、フランスもドイツもロシアも、反対した国も一致結束してこのイラク支援の国連決議をなしたんです。そういうことにおいて、現在、フランスはまだ派遣していないと思いますけれども、支持をしなかったスウェーデンなりあるいはカナダなりサウジアラビアなりヨルダンなりは、軍を派遣することを既に決定しております。
 そういうことにおいて、日本は、非戦闘地域に限って、武力行使はしない、復興支援のための活動は、文民も政府職員も、そして自衛隊も、できるだけのことをやろうというための今回の法案であるからこそ、こうして国会の審議に付して、国民からの理解と協力を得ようと努力しているわけであります。日本はできるだけのことをやる。自衛隊も、日本の重要な能力ある組織であります。自衛隊も復興支援活動に必ずや立派に活躍してくれると私は思っております。
今川委員 私が質問したのは、フセインの生死を問うているんじゃないんです。今はもうフセイン体制は崩壊しているんですね。今総理がおっしゃったのは、フセイン体制がまだあるとき、おっしゃったように、湾岸戦争の後も、国連の査察団を妨害したり、うそを言ったり、確かにしていますよ。今そういう妨害する対象はもうないんですね。そして二カ月間、妨害する相手もいないのにどうして見つからないんですか。少なくとも、パウエル国務長官が、戦争が始まる前に、我々は国連とは別に独自の情報を持っているということを発表されたじゃないですか。そういうところを全部調べてみて出てこないんですよ。(小泉内閣総理大臣「どうしてフセイン見つかっていないんだ」と呼ぶ)だから、話をそらしてもらったら困るんです。
 時間の関係がありますから次に移りますが、今、CPAなど、いわゆる米英軍の事実上の占領下にあります。そして、国連の代表部とも会いましたが、残念ながら、米軍などの占領軍と国連が肩を並べて相提携しながらイラクの復興支援に当たっているという姿はないですね。明らかに国連の方はずっと下位にあります。そして、そうした事実上米英軍の占領体制のもとに、今総理がおっしゃったような自衛隊を組織的に派遣するということは、これは、不法に行った戦争を合理化するということはもちろんでありますが、占領行政に占領軍の一員として参加をするということになるはずですね、武力行使をする、しないにかかわらず。これは憲法九条に照らしてみると到底認められない。
 これは、防衛庁のウエブサイトから政府の見解を見ていますけれども、こうありますね。「憲法第九条第二項は、「国の交戦権は、これを認めない」と規定しているが、ここでいう交戦権とは、戦いを交える権利という意味ではなく、交戦国が国際法上有する種々の権利の総称であって、相手国兵力の殺傷及び破壊、相手国の領土の占領などの権能を含むものである。」このようにありますね。
 そういう意味で、どうして事実上の占領行政下に自衛隊が入ることができるんですか、よその国は別です、我が国の場合に。総理、いかがですか。
石破国務大臣 ですから、それを行わないということを申し上げているわけです。それは、交戦権の内容としてそういうものを含みます。そして我が国は、憲法九条二項によりまして占領行政というのは行わないということになっております。
 今回、イラクにおいて、我が国は占領行政の行いようがないんです、占領してもおりませんから。占領行政の行いようのない国が交戦権の使いようがないということを申し上げておるわけでございまして、そしてまた、指揮のもとにというか、命令のもとにということをおっしゃる方もありますが、これは、るるお答えを申し上げておりますように、我が国は主体的に行うのでございます。米軍の指揮のもとにとか、そういうことをやるのではございません。もちろん、行動を行う場合に、調整ということはいたします。どのようにするかという調整は当然行いますが、そこに指揮関係というものは存在をいたしておりません。
今川委員 米軍の指揮下に入る入らないという問題は、きょうは時間がありませんから、そこはちょっと省きたいと思うんだけれども、これは、安全保障委員会などでも石破長官ともやりとりしました。インド洋、アラビア海方面に派遣されている自衛隊の補給艦などは、AOEという、事実上、米軍のそういう高速戦闘支援艦グループの中に入らざるを得ないんですね。それはもう平行線をたどりますから、きょうはそこはちょっとやめておきますけれども。
 さて、今政府がやろうとしている自衛隊派遣問題に関して、幾つか総理にお尋ねをしたいと思います。
 先ほど申し上げましたユニセフとか国際赤十字などは国際機関ですから、私は率直に聞いたんです。日本政府としては、それはNGOもそうだけれども、自衛隊を専ら派遣したがっているんだがどうだろう、こう聞きました。そうしますと、非常に政治的な問題であり、答弁はしにくいとおっしゃいまして、しかし、個人的見解を申し上げれば、できるだけイラク国民を刺激しないように、迷惑にならないような形のもので支援をお願いしたいということをおっしゃっていました。
 NGOの皆さん方はもっと辛らつです。この長い期間、戦争が始まるずっと以前から、アフガニスタンでもそうでしたけれども、さまざまな日本のNGOの皆さん方が、ある種の危険を覚悟しながらも、イラクの市民たちのより貧しい人たちを中心に、子供とかお年寄りとか、そういう人たちのために医療活動を中心にいろいろな活動をしています。非常にもともと親日感情の深い国でありまして、彼らは特に、非常に慕われもし、信頼関係もあります。そこに、米軍のまさに指揮下に入るか入らないかを問わず、米軍などが事実上占領しているところに、米軍のいろいろな支援活動をするという形で自衛隊が入ってくることは、大変な迷惑である。
 仮に、今米軍があるいはイギリス軍がやられているみたいな、制服を着ていくわけですから、もしそういうゲリラ的な攻撃に遭って自衛官が命を落とす、あるいは、そうなる前にゲリラ側を撃ち殺してしまったりということが生じれば、これまで何とか続けてきた支援活動そのものが中断してしまう、NGO自体が危険にさらされかねない、このように訴えていました。だから、自衛官を派遣することだけは何とかとどまってほしい、このように訴えているんです。
 小泉総理、今、自衛隊でできることはやる、民間でやれることもやればいいじゃないかとおっしゃった。では、今NGOが、何ら政治的野心もなく、国際的な評価があろうがなかろうが熱心にやっている、こういう活動をどの程度評価をされますか。答えてください。
小泉内閣総理大臣 NGOの皆さんが、その国のためにいろいろな支援活動をやっている、これは高く評価されてしかるべきだと思います。自衛隊も、今までPKO活動をやってまいりました。中東のゴラン高原においても、あるいは東ティモールにおいても、それぞれ大変高く評価され、感謝されております。今や、自衛隊員も、女性隊員も含めて、海外で活躍し、ああ、自衛隊の諸君、ありがとうという声をたびたび聞いております。
 自衛隊が行くから戦争に結びつくということではないと思います。戦闘行為には参加しない、武力行使はしない、その国の発展のために自衛隊の諸君が汗をかいていただいている。こういうことは、どの人がやっても私は評価されると思います。NGOの諸君も評価されるでしょう。政府職員が行っても評価されるような活動をしてくれるでしょう。民間の方々が行ってもそうでしょう。自衛隊の諸君も、戦闘行為ではない、武力行使ではない、生活基盤の安定のために、イラクの復興のために、あるいは人道の支援のために、自衛隊諸君もできる分野は必ずあると思います。
今川委員 一度、小泉総理もイラク現地に実際に行ってみられたらよろしいと思います。自衛隊を派遣することでの危険性、コスト、いろいろな面から見て、NGOなど、もう既に実績があるわけですから、もっとほかにやることはたくさんあるし、日本だからこそ着目してやらなければいけないことがたくさんあると思うんですね。
 先ほども申し上げたように、ユニセフなど国際機関からの支援も受けられていない人々がたくさんいる。今はほとんどの、与党、野党を問わず、我が国の中でもバグダッドには目が向いていますけれども、バグダッドの郊外、地方都市、もっと貧しく、ひどいんですね。そういうところで、もっとやはり民間の力を活用してやることは幾らでもあると思うんです。
 これは新聞報道ですから、総理のお気持ちをじかに聞きたいんですけれども、なぜ自衛隊派遣か。自衛隊派遣ありき。そこには、ボランティア、NGOなどがやっていることは、政府としては認めるんだけれども目立たない、だから米軍等の支援のために自衛隊を派遣することで国際社会に日本のアイデンティティー、存在感を認めさせたいんだという報道があるけれども、これが正しい報道なのかどうかわからないものですから、私はあえて自衛隊とNGOを並べて今申し上げたんですけれども、そういう政治的意味合いで派遣するんですか。
小泉内閣総理大臣 このイラクの戦争前から私は常々言っておりました。日本は、イラクの状況がどうなろうとも、対イラクのために武力行使はしません、戦闘行為には参加しません。しかし、戦後、イラク復興支援、人道支援のためには日本ができるだけのことをやっていきます。
 イラクの主要戦闘状況が終結した。そして、イラクの武力行使をめぐって、アメリカ、イギリス、フランス、ロシア、対立していた諸国までが今一致してイラク復興支援の安保理決議を採択した。そういう状況にあって、あの武力行使を支持しなかった、例えて言えばニュージーランドとかサウジアラビアとかヨルダンの国までが軍を派遣したり既に派遣を決定している。そして、イラク復興支援のためにできるだけのことをしようとしている中、日本は、NGOもやってもいいでしょう、民間の人もやっていいでしょう、政府の職員もやっていいでしょう、自衛隊もやっていいでしょう。ただし、非戦闘地域に限り、武力行使はしない、戦闘行為にも参加はしない、そういう厳しい条件のもとに、日本としてできるだけのことをやっていく。
 これは、国際社会の中で日本の国力にふさわしい貢献をする、なおかつ、国連が加盟国に向かって、イラク復興支援のためにできるだけのことをやってくれと要請しているんです、現在。憲法の前文にあるとおり、日本が国力にふさわしい貢献をする、国際社会の中で名誉ある地位を占めたいと思う、自国のことのみにとらわれず、他国の支援のためにできるだけのことをすべきだ。この崇高な目的に向かって、国家の名誉にかけて日本は尽くそうじゃないかといって、憲法の前文でうたっているんです。
 そういう中にあって、自衛隊ができるのに自衛隊はやらない、戦闘行為でないのに自衛隊は嫌だ、武力行使でもないのに自衛隊は嫌だ、自衛隊だからゆえにできることをやらないというのが、果たして今の日本の国力、国際社会で許されるだろうか。私はそうは思いません。自衛隊も日本の国力です。重要な、一般市民にできない能力も持っております。
 そういう中にあって、イラクが自力で復興できるように、一般国民と一緒に、政府職員と一緒に、自衛隊の諸君がイラクの国民の自立のためにできることをやるというのは、私は、日本政府としてやらなきゃならない支援だと思っております。
今川委員 我が国の自衛隊という武装組織は、諸外国の軍隊とは違う独特の歴史を持っているんじゃないですか。自衛隊の原点を見忘れたような議論はしてほしくないですね。
 一九五〇年に朝鮮戦争と同時に警察予備隊の名前で生まれて、一九五四年に陸海空三自衛隊が創設される。その中で専守防衛、例えば、石破長官どうですか、自衛隊の基本任務、自衛隊法第三条、そうでしょう。
 皮肉なことに冷戦が終わり、この十年余、カンボジアPKOに始まり、その前にはもちろんペルシャ湾への掃海艇派遣もありましたが、歴代内閣は、そういう憲法とのかかわり合いにおいて、自衛隊の組織の運用に関しては極めて自己抑制的で、非常に慎重でした。この十年間、見てくださいよ。国内でさまざまな演習、訓練はしているけれども、幸いなことに攻めてくる国がないから、今は専ら海外での軍事行動、こういうふうになってはいませんか。
 そこで、もう時間が余りありませんので……(発言する者あり)歴史に対する謙虚さをもっと持ってほしいのですね。
 では、これは別途、テロ対策特措法の延長問題で詳しくは申し上げますが、きょう、あと五分ほどありますので。一昨年の十一月からインド洋、アラビア海方面へ自衛隊の艦船を派遣してから、約二十カ月です。どういうことがありましたか、石破長官。
 半年置きに延長を繰り返すたびに、政府は一応この国会に報告書を上げました。覚えておいででしょう。去年の五月に、一人の自衛官がアラブ首長国連邦のドバイという港で残念ながら亡くなりました。その後、もう一人。政府報告書に一行も報告が出てこない。そうだったですね。
 そして、こういうこともありました。佐世保から出港した護衛艦「あさかぜ」の艦長や護衛隊司令などが、作戦行動中に、後方支援活動中に、船が動いているのに、内規を破ってしょうちゅうなどを飲んで、これは処罰されましたね。ところが、今回は、同じ横須賀の護衛艦「はるさめ」でまたまた飲酒事件が起こっているじゃないですか。あの反省はどこへ行ったんですか。
 今、佐世保から出ていった補給艦「はまな」は、これでもう三度目です。補給艦は三隻しかないから、八千百トンクラスは。一年のうち三分の二以上、はるかかなたのインド洋、アラビア海です。乗組員のストレス、不安、たまったものではない。一度、佐世保に来てください、長官。家族を養うために、命令があらばそれは行きますよ。個人個人は、とてもじゃないと言っています。
 一番肝心なことは、今皆さん方政府は、今度はイラクに、きょうの読売新聞で見ますと、陸海空千人ほどを約半年間派遣するというふうにもう早々と出ている。具体的なメニューも入っている。どうしてこういう具体的なことを報告しないのですか、そして国民の了解を取りつけるというのが手順じゃないのですか。
 肝心なのは、自衛官の船が、例えば亡くなった自衛官はドバイという港で停泊中だということがはっきりしているのに、そういう肝心の情報をほとんどこの国会の場でも明らかにしない。我々議員だって、燃料を幾ら補給した、その燃料代が幾らだったかという程度の報告書はもらっていますよ。問題は、より危険度の高いイラクに派遣する。自衛官の立場に立って物事を考えたときに、実際にイラクに足を運んでみたら、とてもじゃない、自衛隊に対するニーズなんかあるはずがないです。もしイラクに派遣するならば、やはり、米軍のいろいろな作戦に支障を与える、あるいは自衛官の、自衛隊の行動を逐一報告できない、このような形で情報は封鎖されてしまうんじゃないんですか。
 小泉総理、いかがですか、その点は。これまで二十カ月の経験から私は言っています。
小泉内閣総理大臣 日本は、戦争の反省をして、戦後、二度と戦争を起こしてはいけないという中で、自衛隊という組織を整備してまいりました。
 当然、自衛隊の規律も大事だと思います。現在、時代が大きく移り変わっておりますが、そういう中で、自衛隊も日本の重要な国力として、組織として、外国の平和活動あるいは自立支援活動に活躍の分野があると思っております。今までの経験の中で得た実績や、あるいは行動の中で批判を受けた点、反省しながら、よりよい、信頼される自衛隊として、各分野において活躍してきてくれることを期待しております。
今川委員 もう時間が来たようであります。
 最後に、一つだけ、小泉総理、お願いがあるんです。NGOが今いろいろな形で支援活動をしています。彼らから頼まれたことは、先ほど申し上げた、難しいことであるかもしれませんが、劣化ウラン弾の撃ち込んだところとそうでないところは、そういう民間団体がもう今でも支援活動をやっておるわけですから、そこを、一つは米国とじっくり協議をしてはっきりしていただきたい。
 それと、いま一つです。国際社会で目立つ必要はないと思います。本当に、イラクの貧しい人たちが、助けを求めている人たちが必要としているものに対して積極的に我が国として支援をしていく、そのことが一番大事だと思います。
 小泉総理、その劣化ウランの問題、いかがですか。米側の方と話をしていただけませんか。
高村委員長 簡潔にお願いいたします。
川口国務大臣 劣化ウラン弾の使用につきましては、米軍は、今回イラクでそれを使ったかどうかということについては何も言及をいたしておりません。劣化ウラン弾の問題につきましては、これは国際機関でいろいろ調査をしておりますので、我々としては、その国際機関の健康への影響の調査、これを見守ってまいりたいと思います。
 それから、NGOの御活躍については、これは非常に貴重でございまして、ぜひイラクの復旧のために引き続きお力をいただきたいと政府として考えております。
今川委員 時間が来ましたので、これで終わります。
高村委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時三分散会


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