衆議院

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第2号 平成15年9月30日(火曜日)

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平成十五年九月三十日(火曜日)

    午後三時開議

 出席委員

   委員長 衛藤征士郎君

   理事 赤城 徳彦君 理事 浅野 勝人君

   理事 中谷  元君 理事 松下 忠洋君

   理事 末松 義規君 理事 中川 正春君

   理事 赤松 正雄君 理事 赤嶺 政賢君

      荒巻 隆三君    伊藤 公介君

      金子 恭之君    金田 英行君

      北村 誠吾君    小島 敏男君

      新藤 義孝君    杉浦 正健君

      高木  毅君    谷田 武彦君

      谷本 龍哉君    仲村 正治君

      福井  照君    松浪 健太君

      松宮  勲君    森岡 正宏君

      吉野 正芳君    一川 保夫君

      桑原  豊君    佐藤 公治君

      首藤 信彦君    中塚 一宏君

      長浜 博行君    原口 一博君

      平岡 秀夫君    前原 誠司君

      山口  壯君    吉田 公一君

      高木 陽介君    丸谷 佳織君

      木島日出夫君    今川 正美君

      金子 哲夫君    山谷えり子君

      山村  健君

    …………………………………

   外務大臣         川口 順子君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     福田 康夫君

   国務大臣

   (防衛庁長官)      石破  茂君

   防衛庁副長官       浜田 靖一君

   外務副大臣        逢沢 一郎君

   防衛庁長官政務官     嘉数 知賢君

   外務大臣政務官      田中 和徳君

   政府参考人

   (防衛庁運用局長)    西川 徹矢君

   政府参考人

   (防衛庁人事教育局長)  小林 誠一君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    海老原 紳君

   政府参考人

   (外務省中東アフリカ局長)            堂道 秀明君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          近藤 信司君

   衆議院調査局国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動並びにイラク人道復興支援活動等に関する特別調査室長        高木 孝雄君

    ―――――――――――――

委員の異動

九月二十九日

 辞任         補欠選任

  高村 正彦君     吉野 正芳君

同月三十日

 辞任         補欠選任

  伊藤 英成君     平岡 秀夫君

  大畠 章宏君     長浜 博行君

  渡辺  周君     首藤 信彦君

同日

 辞任         補欠選任

  首藤 信彦君     渡辺  周君

  長浜 博行君     大畠 章宏君

  平岡 秀夫君     伊藤 英成君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 平成十三年九月十一日のアメリカ合衆国において発生したテロリストによる攻撃等に対応して行われる国際連合憲章の目的達成のための諸外国の活動に対して我が国が実施する措置及び関連する国際連合決議等に基づく人道的措置に関する特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出、第百五十六回国会閣法第一二一号)




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     ――――◇―――――

衛藤委員長 これより会議を開きます。

 第百五十六回国会、内閣提出、平成十三年九月十一日のアメリカ合衆国において発生したテロリストによる攻撃等に対応して行われる国際連合憲章の目的達成のための諸外国の活動に対して我が国が実施する措置及び関連する国際連合決議等に基づく人道的措置に関する特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 お諮りいたします。

 本案につきましては、前国会において既に趣旨の説明を聴取しておりますので、これを省略いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

衛藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

 平成十三年九月十一日のアメリカ合衆国において発生したテロリストによる攻撃等に対応して行われる国際連合憲章の目的達成のための諸外国の活動に対して我が国が実施する措置及び関連する国際連合決議等に基づく人道的措置に関する特別措置法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

衛藤委員長 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として防衛庁運用局長西川徹矢君、防衛庁人事教育局長小林誠一君、外務省北米局長海老原紳君、外務省中東アフリカ局長堂道秀明君及び文部科学省初等中等教育局長近藤信司君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

衛藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

衛藤委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中谷元君。

中谷委員 法案につきまして質問させていただきます。

 この委員会が八月に、インド洋におけるテロ対策支援の現場、また、バグダッド及びアフガニスタンに行ってまいりまして状況を見てまいりました。このテロ特措支援につきましては、四十度を超える酷暑の中、頑張ってひたむきに困難な任務を続けている隊員を目にしまして、改めて彼らに対して敬意と感謝を表したわけでございますが、いろいろな国の活動も続けられておりまして、結論としましては、我が国もこの活動を継続していかなければならないということでございました。

 そこで、官房長官にお伺いをします。

 この法案が延長されましたら、当面の活動内容は現行の洋上における燃料補給でございますが、この活動を続けていくという基本計画はそのままで実施されるのか、何らかの変更を考えておられるのか、この点についてお伺いをします。

福田国務大臣 現在までに、この法律及びその基本計画に基づきまして、被災民救援活動や補給それから輸送等の協力支援活動を実施してまいりました。テロ対策特措法に基づく自衛隊のこれらの活動につきましては、テロとの闘いに対する我が国の積極的かつ主体的な取り組みを内外に示す、こういうことでございまして、国際協調の観点からも極めて重要であり、そしてこのことは今後とも継続していく、こういうふうに考えております。

 具体的に今後の対応措置の内容につきまして、これはテロ対策特措法期間延長後に、これまでの活動実績等を踏まえて具体的に判断していくということでありますが、基本的には、今までの活動を基本に今後もその活動を継続していくという考え方をしております。

中谷委員 これまでの活動を継続していくということでございますが、この支援の現場を見ましたら、かなり過酷なところで、出港して半年近く、隊員が洋上生活で、派遣も三度目になるという人もいました。

 海上自衛隊のオペレーションとかローテーションがかなりきついと思われますけれども、防衛庁長官にお伺いしますが、隊務の運営とか人事面で支障がないのか。今後、見た感じ、または聞いた感じでは、かなり長期間にわたってこのオペレーションが継続をされることになるというような気もするわけでありますが、海上自衛隊として、今後、実施上、どういう態勢を維持しつつ実施されるのか、防衛庁長官にお伺いします。

石破国務大臣 委員御指摘のとおり、かなり厳しいローテーションになっていると思っております。特に補給艦の場合には、「はまな」は三回続けて出ておるわけでございます、派遣回数が三回ということで。「とわだ」も三回、「ときわ」は二回でございますが、乗員の中で二回連続で出ているという者が「はまな」では七六%、三回連続ですという者も三〇%おります。そういうようなことで、非常に酷暑の中である。

 また、補給活動というのは、全く同じ距離を保って同じスピードで直進するということをやるわけで、それもテロの脅威というものと闘いながら、それの警戒を行いながら、六時間真っすぐ同じ距離を保って走る。百二十キロぐらい走ることもあるわけであります。その乗員の疲労というものには相当のものがあるであろうというふうに考えております。

 これは、赤城前副長官も在任中にインド洋に行って視察をされましたが、そのことの改善をどうするかという議論をいろいろしておるわけでございます。

 一つは、派遣前にメンタルヘルスケアというのをきちんとやりましょうということ、あるいは構成部品をきちんとそろえていきましょうということ、また、家族との間の通信というものをきちんと確保しましょうということ、あるいは特別協力支援活動等手当を支給するということをやっております。

 ただ、私どもとしては、テロとの闘いという中で、日本政府として、日本国としてできることは精いっぱいやるという中でやっております。隊員も厳しいやりくりの中で精いっぱいやっておるわけでございますが、今後とも、改善できる点があれば、鋭意最大限の努力をしてまいりたいと考えておる次第でございます。

中谷委員 各国それぞれ、国としてできることは精いっぱいやっているということで、バグダッドの市内とか、また、カブールの市内も見ましたけれども、本当にたくさんの国が軍隊を送り、国の持っている装備を持ち込み、可能な限りの支援活動を懸命に行っているわけでございます。

 そこで、この法律の枠内で、厳しいローテーションを緩和するために何かできないかといろいろと考えることがございますが、例えばP3C、これを派遣して、これは主に警戒監視を目的としてつくられた航空機でございますけれども、例えば護衛艦が行っている警戒監視、こういったことの負担を軽減すればローテーションも非常に緩和されるんじゃないか。

 また、アフガニスタンの国内における治安のための後方支援活動とか、日本も武装解除の部分で活動しておりましたけれども、こういったアフガン国内の復興支援の後方支援、こういうこともこの法律と照らしてやることは可能な分野に入っていますが、今後、法律を延長して、二年間ありますが、今の基本計画をこの二年間のうちに変更することを考えておられるのかどうか、この点につきまして官房長官にお伺いしたいと思います。

福田国務大臣 ただいま防衛庁長官から説明を申し上げましたけれども、海上自衛隊の活動につきましては、これは派遣の長期化、こういうことがございます。特に補給艦の派遣ローテーション、これは厳しいんで、初回から連続して派遣された乗員も相当の人数が存在する、こういうようなことも聞いております。

 そういう中でもって、補給艦の乗員の負担も考えなければいけないし、また、隊員のローテーションを可能な範囲で行ってきたということはありますけれども、今後もテロ対策特別措置法に基づきます協力支援活動を実施するという場合に、ただいま委員から御指摘のようなことも考えていかなければいけない、そして適切な部隊運用に努めていかなければいけない、こういうことはあろうかと思います。

 しかしながら、先ほど申しましたように、基本的な支援活動の内容というのは、従来と同じようなものを想定はいたしております。しかし、今後そういうような新しい事態が生ずるとかいったようなことになれば、またそれはその段階で考えていかなければいけない問題だというふうに考えております。

中谷委員 おっしゃるとおり、法律の枠内で政府として状況を見つつ対応していくべきだと思いますが、その際の手続といたしまして、派遣をする地域とか活動する内容、こういう基本計画の基本的なところを大幅に変更する際は、国会に対してどう対応をするのか。基本計画を万が一変更する際の政府の考え方を官房長官にお伺いします。

福田国務大臣 ただいまのところ、基本計画を変更するという予定は当面ありませんけれども、しかし、そういうような必要性が生じるという場合において、当然のことながら、基本計画を変更し、そして対応措置の内容も変わってくるということになれば、これは国会の方に承認を求める、そういう手続も必要なわけでございます。

 また、基本計画につきましては国会に報告をする、こういうことでございます。

中谷委員 今回の委員会の視察を通じて、各国のテロ対策とか地域の安定に対する取り組みというものをいろいろと見せていただきました。ある国は治安維持のために軍隊を送ったり、また、医療や施設をしている国もあります。また、洋上においては船舶検査に参加している国もありまして、各国それぞれ、国として判断をして実施しております。

 私は、国際社会の安全面で国際社会から求められていることについては、憲法の関係で整理をして、我が国のあり方というものを今後とも検討していかなければならないと思います。政府といたしましても、明石懇談会等の提言を生かして、今後、恒久法をつくって、いろいろな事態に国会と関与をさせながら政府として対応していくということで部内の検討を行っているというふうに認識をいたしております。その中で検討される項目として、国会の関与、武器の使用及び武力行使の定義等がございますが、どういう点を点検し、検討し、そして、いつごろまでにこれをおまとめになるおつもりなのか、現状につきまして伺わせていただきます。

福田国務大臣 今、恒久法というお話がございましたけれども、特別措置法というその限られた分野、地域、目的に限らず、国際平和協力といったような観点から、さまざまなニーズが今後発生するかもしれない。そういうときに機敏に対応できる、そういう法律的な体系というか体制というものは必要なのではないかということはさきの国会でもいろいろ議論があったところでございまして、政府としてもその必要性というものは感じておるわけでございます。

 したがいまして、これを、どのような理念と申しますか基本的な考え方に基づいて、具体的にどういう項目を盛り込んでいくか、どういう仕事を我が国としてやるべきかといったような、そういう範囲も含めまして、さまざまな検討を開始したところでございます。これは内閣官房で特別チームをつくりまして、そこで検討を始めた、こういう状況でございます。

 今後のことにつきましては、これは今予断を申し上げる時期ではないと思いますけれども、また、これが国際社会における我が国の活動として極めて大きな役割を果たすであろう、そういう観点から慎重に対応していかなければいけないと思いますので、国会でも十分な議論をしていただかなければいけない。また、その前に政府としての考え方を示し、そして各党において議論をいただく、特に与党の中で十分な御議論をいただく、こういうことも必要だろうというふうに思っておりますので、そう簡単にできるというふうには思っておりません。

 今準備段階でございますが、今後どういうスピードでそれが検討されていくかということは、もうちょっと様子を見たいというように考えております。

中谷委員 非常に時代が変化してきておりますが、日本の国際貢献につきましては、やはり、そもそもを考えてみますと、戦後の復興の中で、世界各国から復興に対する支援をもらい、そしてこの地域が安定する中で日本が順調に繁栄をし、国民が幸福になってきたということもございます。これからの国際社会を考えてみますと、やはり日本も世界の安全保障のために貢献をしなければなりません。

 こういう観点でイラクの問題につきまして伺いますけれども、法律が通りまして、現在、イラクで復興支援に当たるべく政府の調査団が調査をいたしております。

 現時点で、イラク国内で、任務と活動地域の選定、これは、どのような考え方においてどのように選ぼうとされているのか、また、派遣される隊員のいる防衛庁としての視点でいかなる調査が行われているのか、この点について防衛庁長官にお伺いをいたします。

石破国務大臣 それでは、私の方からまとめてお答えをいたしたいと思います。

 九月十四日から政府の調査チームをイラク及びその周辺国に派遣いたしまして、多面的、多角的な調査を行うことといたしております。

 これは、この法律が当然要請をしておることでございますけれども、非戦闘地域でやるのは当然のことであります。それに加えまして、治安状況はどうであるのか、現地の情勢を十分に把握し、我が国が具体的に行う活動の端緒となるような複数のイメージをつかみたいと思っております。これだけということではなくて、オプションA、B、C、D、どれぐらいあるのか知りませんが、複数のイメージをつかんでみたいと思っております。そして、多面的に、多角的に、いろいろな角度から検討したいということで調査団を出しておるわけでございます。

 これはさきの国会でもお答えをしたことでございますが、どんなニーズがあるのだろう。さきの国会で、例えば浄水でありますとか給水でありますとか給電でありますとか、そういうお話がございました。あるいは医療というようなお話もありました。どのような地域でどのようなニーズがあるのか。

 そしてまた、委員御指摘のとおり、実際に活動いたします自衛官の目で見るということが重要なことだと思っております。どのような装備を持っていくべきなのか、どういうような装備を持っていけば治安状況に応じたきちんとした正確な作業ができるのか、的確な作業ができるのかということ、そしてまた、どのような気候に対応するような装備であるのかということ。ニーズにいたしましても、あるいは治安状況にいたしましても、それに対応するような装備にいたしましても、実際に派遣される自衛官の目で見ることが重要であるということにかんがみまして、この調査チームには自衛官も加わっておるわけでございます。

 多面的、多角的に調査を行い、そのようなことを把握してまいるということだと承知をいたしております。

中谷委員 実際法案が成立して二カ月になります。岡本さんとか官房、外務省、防衛庁のメンバーで調査をしておりますが、しかし、自衛隊で参加している人が三名か四名しかいないんですね。やはり最も大事なことは、安全を確保する上においては、行く人間が現場を見て内容を判断して、部隊の規模、場所、そして内容、これを選ぶわけでありますが、部隊の特性また能力、安全範囲、これをわかった上で、活動内容、地域を決めることが大事でございます。

 また、過去の米軍などに対する襲撃状況を分析し、夜間の活動とか陸上の輸送、こういう点については安全が確保されるまでは実施しないなど、やはり安全に最大限留意した計画を立てる必要がございます。この基本計画を作成する前に、やはり自衛隊中心の専門的調査団を出して計画をつくるべきでございますが、そういったことに配慮した調査を行って決定されるかどうか。これは、官房長官に確認のためにお伺いをしたいと思います。

福田国務大臣 ただいまいろいろな形で調査しております。それは自衛隊だけでない、どれだけ向こうにニーズがあり、そしてまた日本がそれに対応できるかどうかということを総合的に検討するという観点から、さまざまな角度から検討している。

 しかし、委員の御心配されるように、もし自己完結型の部隊を派遣するといったような、これは人数からいってもそう小さくない人数だと思います、そういうような場合には、これは相当な調査というものが必要だ。その場合には、当然のことながら、自衛隊中心の調査団というようなことになるんだろうと思います。

 しかし、今調査しておりますのは、そういう可能性も調査することは当然ながら含みますけれども、と同時に、人道支援的にいかなるものがあるか、そういう、規模の小さいものも含めて調査をしておる、そういうことでございます。いずれそういう時期が来るんだろうというふうに思っております。

中谷委員 もう一点官房長官に申し上げたいことは、何のためにイラクに行くかということでございます。

 これは法律を作成したときに十分議論をされまして、イラク人を助けるため、イラクの国をしっかりした国にするためということで、やはりイラクのために日本もなすべきことをやろうということをぜひ国民の皆さんに御理解いただけるように、何のために行くんだということをしっかり説明していただきたいと思います。

 それからもう一点は、いずれこれは行かなきゃいけないんです。やはり私も行くべきだと思いますが、それまでについて、急にばたばたと行くようになってくると、準備不足でございます。

 例えば、安全確保のための防弾チョッキとか、車には防弾ガラスを据えたり、ハイテクの情報通信が得られる機材とか、やはり万全の安全対策、しっかりとした教育訓練、しっかりとした準備の上派遣をしなければなりませんが、そうなりますと、早く官房長官から準備指示というものを出していただけないと、日本の場合は予算が年度別で、予備費を使うのができないとか、いろいろな問題があって、防衛庁だけでは準備し切れない部分もございます。

 そういう点で、例えば東ティモールにPKOを出す場合も、三カ月前に準備指示が下って、そこで十分部隊として準備をして、しっかりとした貢献ができたわけでございますので、こういった準備指示につきましては早期に出していただいて、しっかりとした貢献ができるように、これはお願いでございますけれども、申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

衛藤委員長 これにて中谷元君の質疑は終了しました。

 次に、赤松正雄君。

赤松(正)委員 公明党の赤松正雄でございます。

 官房長官、防衛庁長官、そして外務大臣、引き続きのお役目、大変に御苦労さまでございます。かわりばえがしないなどと言わないで、しっかり頑張っていただきたいと思います。

 まず、私、大づかみなお話から始めたいと思います。

 まず、官房長官にお聞きをいたしたいと思います。

 民主党が自由党と合併されたことによりまして、多くのメディアでは、要するに、近く予想される解散・総選挙では政権選択が問われる、しかも二大政党制の流れで、こういうふうなことが言われているんですが、私はこれは正確じゃないと思います。なぜなら、今の政権与党というのは自公保三党であり、現実に参議院でも三党で多数を占めて、小泉さんの自民党総裁再選に当たりましても、三党連立でこれからもいくという合意をしているからであります。

 つまり、三党連立政権がいいのか、それとも民主党単独政権がいいのかがまず第一義的に問われると思うんですね。副次的には、民主党が仮に政権をとられたとしても、社民あるいはまた共産党にも声をかけられるという場面があるかもしれない、そういう政権選択というものがこれから待ち受けているということになる、その辺が私は正確なとらえ方だと思います。

 これは、自民党のトップである小泉総理が、自民党政治を変える、こう明言しておられるというところからすれば、私風に言わせますと、自民党政治を内側から変えるのか、それとも外から変えるのか、こういう選択ということになるんじゃないかというふうな位置づけを私はするべきだ、こんなふうに思っております。

 ところで、外交・安全保障の分野ということで限定して言いますと、連立に公明党が参加をいたしましてこの十月の四日で四年になるわけですが、この間、外交・安全保障分野における従来の公明党のスタンスからは大きく変わる態度をとってまいりました。

 周辺事態安全確保法からテロ特別措置法、有事法制、そしてイラク支援法に至るまでの法律選択というのは、一言で言えば、戦闘が直接行使されていない後方地域における非軍事の人道支援に踏み込む選択というものを支持してきた、こういうことになろうかと思います。これは、角度を変えれば、国際協調路線というものをとりつつアメリカとの協調というものを基軸にしていくという選択をとってきた、こんなふうな言い方で集約できるんじゃないかと思います。

 こういった与党三党の行き方に対して、野党の方からはそれは違うという指摘があって、アメリカばかりに歩調を合わせるんじゃなくて、より一層国連中心にというふうな言い方をされているというふうに私は受けとめております。かつて私なんかも国連中心主義ということを大いに叫んだものでありますけれども、現在の国連の状況というものを考えた場合に、必ずしもそういう言い方だけでは足らないという側面がある。

 この北東アジアにおける日本の安全ということを考えた場合に、アメリカとの関係というものをやはり重視していかなくちゃいけない、こういうふうなスタンスをとるべきだ、こんなふうに思っているわけでございますが、今私が申し上げましたうち二点について、一つは、そういう政権選択という部分において、自公保連立政権を選択するのか、それとも民主党を中心とした政権を選択するのか、こういうふうな位置づけが二大政党制という議論に行く前の段階として必要だ、こんなふうに思うということに対する官房長官の御感想と、それから、外交・安全保障分野における今の与党三党の行き方ということについて、官房長官の御感想をまず冒頭お聞きしたいと思います。

福田国務大臣 まず、前段の方、政治体制と申しますか、二大政党というのは論としてあるわけでありますけれども、我が国においては、現実としてはそういうことではないということです。

 二大政党がいいということもございますけれども、それは、国民にとっては非常にわかりやすい、選択しやすい、判断しやすい、そういうことはあろうかと思います。しかし、その場合に、今、世の中は考え方が非常に多様化している、そういったような国民のニーズに合うかどうか、そういう問題もあろうかというように思います。

 では、二大政党でない今のような体制が悪いのかといえば、必ずしもそういうわけじゃない。今申しましたような観点からいえば、いろいろなニーズを取り込んで、そしてそれを国政に反映していく、そういうことは今の体制でできるわけでありまして、まさに今それを実施しておる。

 自民党はもう長い間政権政党という立場でもって、それはそういう立場で物事を考えがちである。しかし、公明党が参加してくださるということによりまして、公明党はどちらかというと、平和主義とか国民一人一人の考え方を大事にするとか、それから弱者の観点というようなこともあろうかと思いますが、そういうようないろいろな自民党に不足しがちな視点というものをこういう……(発言する者あり)何ですか。そういうような国民のニーズを細かく拾い上げて、そして対応できるような状況というのは、これは私は、ここしばらく、四年間にわたり連合体つくって、与党を組んでやってきたということのよかった面であると思います。私は、そういう意味において現状のものを否定するつもりはございません。

 では、政体として全体を考えた場合にどうなのかといった場合には、これはいろいろな議論があるんだろうと思いますので、それは今ここで議論するテーマではないと思いますから申し上げませんけれども、今は、今の状態において何がよりよいのかという、その道を日々探っていくというのが好ましい姿ではなかろうかというように思っております。

 それから第二点、これは全く違う観点の話だけれども、国際協調もしくは国連中心主義と、それから日米同盟、同盟関係の重要さとてんびんにかけてどっちなのか、こういうような話になるかもしれませんけれども、私は、両方並列というように考えるべきであろうと思います。

 ただ、時々刻々状況の変化がありますから、その辺はどちらに重点を置くかというのは、若干の変化、違いがあるかもしれぬけれども、基本的に考えれば、それは両立すべきもの、両立させなければいけない、むしろ両立させたい、両立をさせて、我が国としての外交を今後両立するような、そしてまた、それが一致すればこれはもう最高なんだろうというふうに思いますけれども、一致するような努力を我が国としてもしていかなければいけない、そういうものではないかなというふうに思っております。

赤松(正)委員 今の最初の部分の話につきましては、これから私たちの立場で盛大に訴えていきたい、そんなふうに思っているところであります。

 次に、外務大臣にお聞きいたします。

 このテロ特措法というのは、原点に立ちますと、要するに、国際社会においてテロは断じて許さないという、その決意の表明であったというふうに私は思うわけですけれども、テロの恐怖というのは、やはり当事国にしかわからない。阪神・淡路のあの大震災が、やはり兵庫の中においても、神戸の人間と私のように姫路の人間とではかなりその受けとめ方が違うということと同じように、やはりあの九・一一を経験したアメリカというもののテロに対する恐怖感というものはほかの国とは違うんだろう、そんなふうに思います。

 そういう流れの中で、引き続き国際協力に基づいて対米協調をしていく、そういうことが大事だろう。いまだテロへの闘いに決着がつかないという状況の中で、二年間延長するというのは私は当然だろうと思います。

 ただ、テロを許さないための手だてとして、米英中心の艦船への燃料補給という、先ほど中谷委員からもありましたけれども、そういう協力、私は至って受け身の協力だと思うんです。国際テロを撲滅するため、どうすることが、どういうことができるのか、そういうことについて、日本の主体的なテロ撲滅への貢献策、広範囲な貢献策というものが必要だと思うんですが、外務大臣、その辺のところ、今こういうふうに取り組んでいるということを述べていただきたいと思います。

川口国務大臣 委員がおっしゃいますように、国際テロというのは、その活動が国境を越えて行われるものですから、当然に対応策としても、例えば、その資金の流れをとめるとか、あるいは人の動き、これに対応していくとか、あるいはテロ関連の物質、物ですけれども、それを国際的に動かないようにするとか、いろいろな角度の取り組みが必要であると思います。一国だけで対応するということでは十分でなくて、二国間の枠組みや多国間の枠組み、さまざまなことを使ってやっていくことが必要であると思います。

 我が国は、そういった観点からさまざまな取り組みを行っております。

 具体的に幾つか申し上げさせていただきたいと思いますけれども、基本的には、テロの資金対策、そして出入国管理、航空保安、税関協力、輸出管理、警察・法執行機関の協力といった六つの分野、これを対象といたしまして、アジア太平洋地域諸国を中心にいろいろなことをやっております。

 研修セミナーということもやっております。そのセミナーの中には、今年度から今後五年間で、生物化学兵器テロに対する危機管理、被害対処能力向上を目的としたセミナーを開催するということもございます。アジア太平洋地域からこれには総計百五十名を受け入れるということにいたしております。

 また、テロ防止関連条約の締結促進、これが重要ですので、この促進のためのセミナーというのも東南アジアの諸国を対象に行っております。これは十月に、来月東京で開催をする予定です。

 テロに関する情報の交換ということも重要でございまして、二国間のテロ協議をアメリカ、ロシア、オーストラリア等の主要国の間で実施いたしております。それに加えて、途上国との間でも、地域をまたがるテロ情勢についての意見交換、それからテロの対策協力を目的といたしました、地域のテロ協議というものを定期的に開催いたしております。どの国にもテロリストが安住できないという状況にしていかなければいけませんので、そういった能力が少ない発展途上国に対して、十分にその能力の移転をしなければいけないということでもございます。

 そういったような点で、資金、物、人の管理、航空保安、そしてその法執行の枠組みづくりといったようなことで主体的に取り組んでおります。

赤松(正)委員 インド洋における艦船の燃料供給という部分だけではなくて、今おっしゃったような、そういう多様な側面で日本がしっかりとテロ撲滅に対する貢献をしていくということをしっかりと国民にも呼びかけていっていただきたい、そんなふうに思います。

 次に、防衛庁長官にイラクの復興支援をめぐる問題についてお聞きします。

 この問題につきましては、私は以前、ここで総理にも質問いたしました。要するに、この戦争の大義あるなし論というのが横行しておりますけれども、私は、いかなる戦争にも義はない、今回もアメリカの決断に大義を見つけることは難しい、そんなふうに思っております。

 ただ、以前にも指摘いたしましたけれども、今回のイラクの事態というのは、やはり湾岸戦争に端を発している。つまり、九二年の湾岸戦争以来およそ十年にまつわる、断続的に続いた戦争に、言ってみればサダム・フセインの残虐的な行為というもの、そういう無謀ぶりに決着をつけるという意味があった、そんなふうな位置づけをいたしております。

 そして、いかなる経緯があるにせよ、そこに苦しんでいるイラクの住民がいるという限り、人道的支援を国際社会の一員として日本がするというのは当然のことだろうと思います。その意味で、決意を表明する手だてとして、さきの法成立は極めて的確であった、そんなふうに思っております。

 ただ、いつ、どこへ、どのような形で我が自衛隊員を送るのかというのは、これはまた別の問題で、基本計画作成の上における問題だろうと思います。

 先ほど防衛庁長官が、十分な調査を今していると言われました。法が成立して二カ月たって、九月十四日から調査を始められた、ちょっといかにも遅いなという気はいたします。そういったことに対して、自衛隊のというか防衛庁の中には、要するに、政治が決めたわけだから、行くということについてはやはり早急に行くべきだ、行かないというのは憶病であり、そしてひきょうだ、そういう考え方があるというふうに私は聞いておりますけれども、危険を顧みずに行くというのは無謀であろう。だから、それは、ひきょうだとかあるいは憶病だとは次元の違う話だろうと私は思うわけであります。

 この点について長官のお考えを聞かせていただきたいということ。つまり、大分時間がたった、それで、いつ、どこで、どのような形で送るのかということについて具体的にどう考えておられるのか。今の時点では、どこが非戦闘地域であるのかという判断は難しい、派遣の形態はまだ決まっていないということなのか、今検討中なのか、いつごろまでに決断を下すおつもりなのか。いつまでも検討中です、調査中ですというわけにはいかないと思うんですが、その辺の見通しというものを防衛庁長官はどう持っておられるのかということをお聞きしたいと思います。

石破国務大臣 この法律は、自衛隊をイラクに派遣することができる法律であって、派遣しなければならないという法律ではございません。

 しかしながら、国連決議一四八三を受けまして、自衛隊でなければできない、自己完結型であり、装備を有し、権限を有し、そしてまた能力を有した自衛隊でなければできない活動があるとするならば、国連決議一四八三を踏まえて自衛隊が派遣されることを可能とする法律がこのイラク特措法でございます。

 そういたしますと、いつまでも調査をしているというわけにもまいりますまい。非戦闘地域かどうかという議論と安全かどうかという議論は、当然、委員御案内のとおり別物でございます。

 非戦闘地域でなければいけないということは、憲法九条の趣旨を法的に担保するものでございますので、憲法九条の趣旨を体現した非戦闘地域というものを当然満たした上で、さてどのような治安状況なのか、そしてどのようなニーズがあるのか、それに対応するような自衛隊の装備があるのか。それは、ニーズに対応する装備もそうでございますし、そしてまた治安状況に対応する装備。すなわち、全く本当に四海波静かで平穏無事なところであれば何も自衛隊が行く必要はないだろう。持っていく装備や、あるいは与えられた権限や、そしてまた訓練の度合いによって、十分に任務を達成し得るような状況なのかということを的確に把握した上で、政府として基本計画を策定し、派遣を決定するというようなことになっていくのだと私は思っております。

 つまり、拙速ということは避けなければいけない。慌ててばたばた出すようなことは、私は絶対に避けるべきだと思っています。要は、法の趣旨にのっとってニーズに対応できるかどうか、治安状況に対応できるかどうか。そのことを的確に把握し、きちんと国会にも御説明をした上で、出すべきものであるならばそれは出すということになるだろうと思います。

 ただ、訓練というものがどれぐらいの時間がかかるのか。あるいは現地の気候、日本とは全然違うわけですから、それに対応した装備を整えるのにどれぐらいの時間がかかるのか。それは私は、その装備が十分に整えられていない、あるいは訓練が十分行われていない、仮に訓練が十分であれば、仮に装備が十分であればというようなことを後から言うようなことは、私は、このイラク特措法の第九条に反するものだと思っています。

 つまり、イラク特措法第九条というのは、防衛庁長官は派遣される隊員の安全確保に配慮しなければならないという明文の規定がございます。これをきちんと満たした上で派遣をするということが私は肝要だと思っております。それは、憶病だとかひきょうだとか、そういうことではございません。我が国がきちんとした国際的な責務を果たすために、そしてまた法治国家のそういうような規定にのっとってきちんとしたことを行う、そういうことだと私は考えております。

赤松(正)委員 非常に長々とお答えになりましたけれども、何だか二カ月前とほとんど変わっていないという感じがいたします。私が言った、いつまでに決めるのかということにもお答えいただいておりません。的確な状況を把握するということを今やっているんだということで、一言で済むお話だったと思いますが、つけ加えて言うことはありますか。

石破国務大臣 それは、いつまでだとおっしゃいましたときに、例えば一カ月とか二カ月とか三カ月とか年内とかいろいろなことが新聞紙面をにぎわせておりますけれども、今調査団を出しておって、どんなニーズがあるか、どんな治安状況であるかということがわかっていない段階で、いつということは申し上げることはできない、そのようなことを申し上げるべきではない。したがいまして、今申し上げたようなことになるわけです。

 しかし、それが把握された後は、それが治安状況あるいはニーズに対応できるかどうかということの判断は、これは早急に行わなければいけないと思っています。

赤松(正)委員 一番最初に長官が言われたことと今のお言葉をつなぎ合わせてみれば、大体、判じ物のようでありますが、わかったような気がしたということにいたしましょう。

 以上で終わります。ありがとうございました。

衛藤委員長 これにて赤松君の質疑は終了いたしました。

 次に、山谷えり子君。

山谷委員 保守新党、山谷えり子でございます。

 この夏、イラクそしてアフガンの調査に参りました。テロに屈せずという諸国の連帯の大切さを感じてまいりました。

 その前に、拉致はテロということで、北朝鮮の問題についてお話を伺いたいというふうに思います。

 この秋、国連総会での焦点は、イラク復興と北朝鮮問題でした。川口大臣は、北朝鮮の核ミサイル問題とともに、拉致問題を国連総会の場で初めて提起されました。

 小泉総理は、拉致はテロと本会議場で言われ、また、九月二十六日、所信表明演説の中でも、あるいはまたきのうの答弁の中でも、拉致問題の解決を強く言われました。

 五人の拉致被害者が帰国して一年以上になります。特定失踪者問題調査会には三百五十名の問い合わせが来ております。拉致されたかと思われる方々の職業に共通性がある、技術者、飲食業、建設業、医療関係者など。地域にも偏りがございます。

 さて、川口大臣の演説の後に、拉致は日本の敵対政策の産物であると、北朝鮮は違う次元での反論がありました。この北朝鮮の反論に対し、川口大臣はどのようにお考えになられるか、また、国際社会に改めて訴える姿勢がおありなのかどうか、お伺いしたいと思います。

川口国務大臣 今月の二十三日に国連総会で演説をいたしまして、その中で北朝鮮の拉致の問題を取り上げました。翌日の二十四日に、これを否定するということで北朝鮮側が答弁権を行使したわけでございまして、これについては大変に遺憾であると私は考えております。その当時、私はもう既に帰国の途上にございましたので、出席をしていた本村大使が答弁権を日本として行使いたしました。そして、帰国された拉致被害者の御家族の帰国実現を早期に図らなければならないということを指摘しながら、北朝鮮側に拉致の解決、これを求めたわけでございます。

 それで、今委員が御指摘になられた、北朝鮮側がそのときに言いましたことは、当時、日本が八百四十万人の朝鮮の人々を軍人や労働者として強制的に徴発したということを言っているわけでございます。日本といたしましては、私といたしましては、こういった主張、これの根拠が何に基づくものなのかということが不明であるというふうに考えております。

 それで、答弁権を行使いたしましたときには、まず、我々としては、拉致問題に国際社会の関心を集中させたい、論点を散らすということではなく、拉致問題について関心を持っていただきたいということでございましたので、この北朝鮮側が言った点、これについて反論権は後日に留保をするということでそういった対処をいたしましたけれども、この留保をした問題につきましては、今後、しかるべき機会をとらえて反論をしていきたいというふうに考えております。

山谷委員 ぜひ、しっかりした、事実に基づいた反論をしていただきたいというふうに思います。

 例えば、八百四十万人強制連行があったという発言でございますけれども、日本の場合は合法的な戦時労働力調達方法をとっているのであり、また、八百四十万人という数字も全くどこから出たのかわかりません。これが、反論がなければまた事実として定着してしまいます。

 外務省は、昭和三十四年、ほとんどが自由意思に基づいていたという調査結果を発表なさいましたけれども、現在の外務省の見解というのは、その辺はどういうものになっているんでしょうか。

川口国務大臣 委員がおっしゃいましたように、昭和三十四年の時点で外務省の調査がございまして、これは、「在日朝鮮人の渡来および引揚げに関する経緯、とくに、戦時中の徴用労務者について」という資料でございますが、昭和三十四年にその記事資料を発表しまして、その中で、戦前から終戦時に至る在日朝鮮人の方々の人数の動きについて記述をしているということでございます。

 その資料につきましては、引き続き、これは外務省としては資料として考えております。

山谷委員 私は、拉致問題に対して特別委員会を国会に設置すべきではないかというふうに考えております。災害対策特別委員会、青少年問題特別委員会、武力攻撃事態特別委員会、いろいろな特別委員会がございます。これは議運、国対の問題ではございますけれども、やはり余りにも拉致問題をきちんと議論する場所がないのではないか、特別委員会を設置すべきではないかというふうに考えております。

 川口外務大臣は、今のような体制づくりで十分なのかどうか、どのような見解をお持ちでございましょうか。

川口国務大臣 この特別委員会を設置するかどうかにつきましては、まさに、今委員がおっしゃいましたように、立法府の問題でございますので、私の立場から、すべきであるとか、あるいはどうだという御意見を申し上げる立場にはないと考えております。

 政府といたしましては、今、日本に帰っている拉致の被害者の人たちの北朝鮮にいる家族の帰国をさせるべきであるということを北朝鮮に対して言っております。それから、その真相の究明ということも強く北朝鮮に申し入れております。そういった政府のやっている対応に対しまして、国会の方で引き続き御理解、そして御指導、御協力をいただければ幸いだと思っています。

山谷委員 ぜひ、川口大臣の毅然たる対応、そして、しっかりした体制づくりを引き続きお願いしたいと思います。

 イラク、アフガンの現状を見てまいりまして、両国を破綻国家にしてはならない、テロの温床を再びつくるようなことがあってはならない、テロに屈してはならないというふうに考えてまいりました。ここで延長の法改正をせずに失効させるという選択肢は考えられません。

 八月五日、インド洋に派遣されている補給艦「とわだ」と護衛艦「はるな」に乗ってまいりました。甲板上は輻射熱で温度が五十度、皆様は玉のような汗を流し、自衛官の方たち、日本のため、そして世界平和のため、テロに屈せずと働いておられました。別れるとき、船と船が離れていくとき、私たちは手を振り合ったんでございますけれども、本当に、皆様のたくましい顔、平和への強い意思と誠実さ、責任感に胸詰まる思いがいたしました。誇りを持って仕事をなさり、隊員の四分の三の方々は、行くかと言われれば、再び、何回でも派遣に応じると考えているということでございました。

 自衛隊の方々が嫌々行かされているかのような報道や、日本の貢献を疑問視する一部報道もございますけれども、あの地に行って、平和の意味と、中東の安定、安全、各国の貢献により世界の平和を守っていくんだという毅然たる姿勢を見れば、これは日本の担う国際的役割でもあり、日本の安全保障、国益でもあると考えました。海上での行動自体が、アルカイダ等、テロへの抑止にもなっていると思いました。

 ところで、この大変な業務にかかわっている特別手当ですが、一日どのぐらい今払われているんでしょうか。

石破国務大臣 御視察いただきました御感想をお話しいただきました。私どもとしても、大変に意を強くいたしておるところでございます。

 手当につきましてのお尋ねでございますが、テロ特措法によりインド洋に派遣され、協力支援活動、捜索救助活動または被災民救援活動に従事する隊員に対しましては、インド洋の地域という遠隔地における任務遂行、熱帯性の気候における業務の困難性等を総合的に勘案いたしまして、業務等の区分に応じまして、一日につき四千円から四百円という特別協力支援活動等手当が支給をされておるわけでございます。

 このうち、艦船乗組員につきましては、乗組手当及び航海手当を支給しております。これにより一定の評価がなされていることを踏まえまして、港湾におきまして協力支援活動等に従事した場合について、一日につき千四百円、さらに、護衛艦等がインド洋上を無寄港で三十日以上の航海を行う場合につきましては、一日につき四百円を支給することとしてまいりました。

 しかし、いろいろな状況を踏まえまして、五月二十日に手当の改善を行っております。インド洋において行う洋上補給に関する業務をインド洋沿岸の港湾での燃料の搭載等の補給業務と同程度と評価をいたしまして、一日につき新たに千四百円、また、三十日以上の無寄港の航海というものを廃止いたしまして、新たに一日につき四百円、これは、新たにインド洋の沿岸の水域で長官の定める水域の航海についてでございますが、支給をいたしております。

 これで十分かどうかということにつきましては、いろいろな御議論があるのだろうと思います。それじゃ、お金がすべてなのかよといえばそうではありませんし、先生が御指摘いただきましたように、金のためにやっているわけではない、隊員たちはほとんどがそういう使命感に基づいてやっているわけでございます。しかしながら、国民の御理解と御支援を得てやるということが一番肝要でございますが、手当につきましても、今後とも、いろいろな御指摘をいただきながら、改善すべき点があれば改善してまいりたいと考えておる次第でございます。

山谷委員 一回につき数キログラム、隊員はやせて帰られるということでございます。国民全体から、御苦労さま、ありがとうと言われるような報道の努力をマスコミもしてほしいものでございますし、また、国民の理解が高まるよう、政府としても説明の努力を引き続きお願いしたいというふうに思います。

 さらに、アフガンに行ってまいりまして、アフガンの問題は道半ばと緒方貞子、今はJICAの理事長、おっしゃいましたけれども、カルザイ大統領を初め内務大臣、外務大臣、NGOの人々とたっぷりと話してまいりました。政治プロセス、復興プログラム、進んでおります。しかし、マルチエスニック社会の中での地域特性、部族、軍閥問題、いかに解決していくか。二十五年間の内乱で識字率も低うございます、不信のるつぼでございますという、そんな社会復興の困難さを深く思いました。日本のとっている意思、そして継続ということが大切だと思います。

 ことしになってイラク問題がクローズアップされておりまして、アフガンに入った日本の国会議員は私たちがことし初めてとカルザイ大統領に言われました。タリバン政権崩壊二年、あのままならテロリストの温床になっていたけれども、まだ、でもアフガンには二十万人の武装テロリストがおります。

 内務大臣と私はこんな会話をいたしました。日本は三千万ドル近く地雷処理について出してくれている。それでも一カ月百人ぐらいの被害が地雷によってある。あと数年、もう三千万ドルほど地雷処理にはかかるのではないかということでございました。この地雷処理のプログラムについて、引き続き日本はどのような貢献を考えているのか、お考えがあればお聞かせください。

川口国務大臣 今、国際社会の関心がイラクに向いている中で、アフガニスタンに対する関心がともすれば薄れてきそうになるということは私も大きな問題であるというふうに考えておりまして、日本政府としても引き続きアフガニスタンに関与をしていきたいと考えています。

 その中で、委員のおっしゃった地雷、これは重要な、アフガニスタンの復興のためにこの除去というのは重要なことでございます。

 私もアフガニスタンに行きまして、昨年の五月に地雷除去の現場を、NGOたちがやっているところを見ましたが、大変にたくさんの地雷がまだ埋めてあって、時間がかかる作業であると思います。したがって、これに対しては引き続き力を入れていかなければいけないと思います。

 地雷の対策といっても、その除去の話もありますし、それから犠牲者の支援というのもございます。また、子供たちに地雷をどうやって回避するかという教育も、私も現場で見ましたが、やっていく必要があると思います。

 こういったことに対しまして、我が国としましては、二〇〇二年の一月に千九百二十二万ドル、十月に約四百八十六万ドル、ことしの三月に三百七十八万ドルを国際機関に拠出いたしまして、地雷対策事業の支援を行っております。このほかに、二国間支援としても、アフガニスタンのNGOに対して、地雷の除去の活動に対しての支援を行っております。アフガニスタンの地雷の除去のNGOも幾つかございまして、それらの人々の活動が非常に重要であると思います。

 地雷の除去の活動については、今後とも引き続き支援を行ってまいります。

山谷委員 引き続きの継続をお願いしたいと思います。

 また、私はカルザイ大統領と、緒方イニシアチブの進み方について話をさせていただきました。二百万人の難民が戻り、その方たちの定住、雇用創出、教育支援が大事になってきて、地元に定住できるようにする緒方イニシアチブ、現地では高く評価されております。

 また、アフガンの行政機関、暫定政府に入って、JICAなどとともに、行政マンを育てるプログラムに日本人の多くが従事しておりました。その方々の現場での話を聞きましたけれども、実によくやっていらっしゃる。これからどのような規模で、緒方イニシアチブあるいは行政マンを育てるプログラムの拡充、支援をお考えでございましょうか。

川口国務大臣 いろいろアフガニスタンで見ていただいて大変にありがたいと思っております。

 緒方イニシアチブ、これは緒方さんのおっしゃっていらっしゃる人間の安全保障の考え方をも根拠といいますか背景にしました、地域の社会を育ててそこに人を定住させてという考え方でございますけれども、このために、仮設の住宅の機材の供与、栄養失調対策、地雷除去等々、総計で約九千万ドルの各種のプロジェクトを実行いたしております。

 今後、緒方さんがことしの七月に四回目のアフガニスタン訪問をしてくださいましたので、そのときの提言、そして、来月カブールでワークショップを開催いたしますけれども、そこで行われる議論等を踏まえて、さらに効果的な支援を進めていきたいと思っています。

 今、緒方プロジェクトは、カンダハル、ジャララバード、そしてマザリシャリフ、三カ所でやっておりまして、こういったところにつきまして引き続き強化をしていきたいと思っております。

 それから人材でございますが、アフガニスタンの行政機構にJICAの長期派遣等々で五十四名の専門家を今までに派遣済みでございます。現在、そこに行っておりますのが十四名で、うち七名が民間の人、約半分が民間の人で行っておりますけれども、行政府の人材の育成をやっております。これらの方々というのは、今までの知見をそこに活用していただくということでございまして、今後も、アフガニスタン政府の要請を踏まえまして、人材派遣も引き続き力を入れていきたいと考えています。

山谷委員 テロは許さない、テロに屈しないというのは、世界平和を求める諸国との連帯であり、日本の国際責務でもあります。日本の責任ある行為を世界は求めていると思いますので、私どもも引き続き努力をしていかねばならぬというふうに考えております。

 質問は以上でございます。ありがとうございました。

衛藤委員長 これにて山谷えり子君の質疑は終了いたしました。

 次に、前原誠司君。

前原委員 民主党の前原でございます。

 テロ特措法の改正案につきまして質問をさせていただきたいと思います。

 今、小一時間、与党の三人の方の質問を伺っておりましたけれども、根本的な質問が全くなかったなというふうに私は思っています。つまりは、二年間のテロへの闘い、不朽の自由作戦、あるいは日本が行っていることに対する評価また総括、そして、なぜさらに継続をするかという必要性についての議論が私は全くなかったというふうに思います。

 総論としては、テロに対しては国際社会が連携をして、当然日本もその責任を果たさなきゃいけないという考え方は真っ当でありますし、そしてまた、アメリカの九・一一テロに巻き込まれた日本人の方もおられるわけでありますから、日本としても何らかの役割を果たすというのは、総論としてはそれは全く否定されるものではないと思います。また、現場で頑張っている自衛隊員の皆さん方の努力というのは相当なものだろうということについても、我々も認識をしていることであります。それと、実際多くの税金を使って日本が参加をしている。

 特に今回のテロ特措法というのは、自衛権の発動に対する後方支援ということで、これはもう広義でいったら集団的自衛権の行使に当たるわけですね。つまりは、日本は武力行使の一体化というところに憲法解釈を置いて集団的自衛権になるかどうかという判断基準を置いていますけれども、自衛権の行使に協力をするという初めてのことをやっているわけです。

 つまりは、今までの自衛隊の活動からすると、一歩も二歩も新たな境地に入ったのはこれは事実でございまして、そういう意味から、この二年間の総括そしてまた評価というものはおのずとしっかりやっておかなければ、今の総論で、テロへの協力が必要だから、また、アメリカとの関係は重要だからしようがないねという単純な議論でこれを看過してはいけないんだろうと私は思います。

 そういう問題意識に立って幾つか質問させていただきたいと思います。

 この不朽の自由作戦というものについては多くの国々が参加をしているということでございますが、例えば政府から説明を受けた資料によりますと、これまでに百カ国以上の場所でアルカイダのメンバーは三千人以上捕捉され、アルカイダの幹部の約三分の二が殺害、拘束をされている、こういうことでございます。

 しかし一方では、ビンラディンあるいはオマル、そういった主要メンバーはまだ捕まっていない。それどころか、カブール以外の地方では、後で首藤議員が詳しく質問されると思いますけれども、むしろ無政府状態、秩序が混乱をしている、こういった状況であります。

 そういった状況の中で、果たしてこの二年間、成果が上がったと考えるのかどうなのか、その点から質問させてもらいたいと思います。

川口国務大臣 成果が上がったかどうかということで、成果ということを、どれぐらいのテロリストを捕捉するかということで考えてみるというのは一つの考え方であると思いますけれども、その前に、このそもそもの目的が何かということをちょっとお話をさせていただきたいと思います。

 これは、インド洋を通過する船舶を対象として、作戦に参加する各国の艦船が、警戒監視活動を通じてテロリストあるいは武器弾薬等の関連物資が海上を移動するということを阻止するということで、それによってテロの脅威が拡散することを防止する、これが作戦の目的であります。

 それで、具体的に何をするかといいますと、インド洋を航行する船舶に対して、船籍、航行目的、積み荷等を無線で照会する、そして、十分な応答のなかった船舶や不審船に対しては船舶立入検査を実施するという地道な活動をやっているということでございます。件数でいいますと、ことしの五月までに約四万六千件の無線照会を行った、そして、約一千件の船舶に対する検査を行ったわけでございます。六月以降も同じようなペースで活動が行われておりまして、平均をいたしますと、月当たりで、無線の照会を約二千件、そして船舶に対する立入検査を月三十件というペースで続けているということでございます。

 そういうことで、作戦の目的自体は、捕まえるということだけではなくて、そういった物資の移動その他を抑止するということも含めて、基本的にテロリストの活動を抑止する、そして関連物資やテロリストの海上移動のルートを分断する、それによって活動を封じ込めるということが目的でございます。

 その一つの成果の一例として、先ほどの何人捕まったかということでいいますと、これは米国の数字でございますけれども、委員がおっしゃられましたように、百カ国以上の場所でアルカイダのメンバーが三千人以上捕捉をされたということでございます。アルカイダ幹部の約三分の二が殺害、拘束をされているということが今までの成果ということで挙げられるかと思います。

前原委員 日本がかかわった艦船への給油、そしてその給油を受けた艦船が船舶検査等を行うということについては、後でまた別個に質問します。

 そうではなくて、そもそもは、つまりは九・一一テロを起こしたテロ集団、そして、そのかくまっていた政権、タリバン政権、こういったものを壊滅させる、その首謀者を捕捉するというのが、これは大多数の日本国民のみならず、世界の全国民の共通のイメージじゃないかと私は思いますよ。

 したがって、そういう意味では、オマル師あるいはビンラディン氏が捕まっていない。今、それは拡散を防いでいるかどうかというのは、そういう回数はやっているということであります。それは後で伺います。しかし、全般的な状況をいろいろ調べてみますと、アメリカが自衛権の行使をして、そしてアフガニスタンへの攻撃を行ったときは、テロリストたちがばあっと例えばイエメンとか近隣の諸国に拡散をした。しかし、二年たってまたそれが集結をし、イラクと同様のテロ活動、ゲリラ活動を行うに至っているということになったときに、今大臣がおっしゃった観点以外で、果たしてその二年間の活動というものが妥当だったかどうだったかということについては、もう少ししっかりと克明なアカウンタビリティーを果たしてもらわなければ、今の説明だけでは不十分なんじゃないですか。

川口国務大臣 数字ということでもう一度申し上げさせていただきますと、テロとの闘いの成果ということでは、三千人に上るアルカイダのメンバーを拘束した、それからアルカイダの幹部及びタリバンの指導者が合わせて四十人、殺害または捕捉をされた。そして、これは、アルカイダ幹部については全体の約三分の二であるということで、この成果には、まさに、この不朽の自由作戦、MIOも寄与しているということでございます。

 我が国といたしまして、このMIO、海上阻止作戦の実績につきまして、米国のマイヤーズ統合参謀本部議長から我が国の在米大使への説明も含めまして、さまざまなレベルで情報の提供を受けております。

 個々の作戦を円滑に今後とも引き続き遂行する必要がある、あるいは作戦の参加者の安全の問題もあるということで、今申し上げた以上の詳細な内容を公表するということはできないということでございますけれども、いずれにいたしましても、そういった成果に、不朽の自由作戦、海上阻止作戦というのは大きな貢献を、重要な貢献をしているわけで、成果を上げていると政府としては判断をいたしております。

 政府といたしまして、そういったしかるべき成果を上げているという判断に立ちまして、テロ対策特措法の延長が必要であるということの決断に至ったわけでございます。

前原委員 多分、今の説明を国民が聞かれても、なかなか納得されないと思うんですね。ある程度の捕捉、逮捕者が出た、そしてまた船舶検査、無線照会を行っている、こういうことでありますけれども、何か本当に、不朽の自由作戦が前に進んでいる、そしてまた、目に見える成果を上げつつあるということが訴えられないのは、私はひとえに、やはりビンラディン、オマルが捕まっていないこと、イラクでもフセイン前大統領そのものが捕まっていませんよね。

 つまりは、そういったところに、私は、アメリカあるいはその協力をする国々に対する、テロ活動というのは本当に中身としてうまくいっているのかどうなのかという検証を、私は、アメリカの情報をうのみにするだけではなくて、しっかりと物を言っておられるのか。つまりは、活動内容について、本当に妥当であって、ビンラディン、オマルが捕まっていないことについてどう考えているんだと。

 アメリカに対してしっかり物を言うようなことは、今まで二年間やってこられたんですか。

川口国務大臣 日本とアメリカというのは非常に強い同盟関係にございまして、いろいろな問題、この問題も含めまして、かなり密接にアメリカとの間で連携あるいは情報の交換を行っております。

 その一つ一つを全部公表申し上げるわけにいかないということでございますけれども、この不朽の自由作戦につきましても、その成果は、先ほど申しましたように、大使と統合参謀本部議長との間でもきちんと情報の交換をやっているわけでございます。

 二年間やったわけですけれども、テロとの闘いというのは非常に息の長い闘いにならざるを得ないということであると思います。そう簡単に成果が上がるということは、アメリカ自身も考えておりませんし、ほかの国も考えていないということでございます。

 今国際社会では、世界の七十カ国以上の国が何らかの形でこのOEFに対して協力をしておりまして、そのうち三十の国が部隊、将校等を派遣するという形での貢献を行っております。

 この海上作戦、これに関連している国というのは十あるわけでございまして、皆が一生懸命にその長い闘いをやっていて、その結果として、アフガニスタンはもはやテロリストにとって安住の地ではなくなったということであると思います。その過程で、先ほど申しましたアルカイダ兵を捕まえたことに加えて、武器弾薬庫等も破壊をしているわけでございます。

 ビンラディンあるいはオマル師が捕捉ができるというのは一つの大きな前進としてとらえることができるだろうと思いますけれども、テロとの闘いというのはそれだけではなくて、これは、一人一人のテロリストが民間人に被害を与えていく、標的として攻撃をするということの芽を摘まなければいけないということでございます。ビンラディンあるいはオマル師が捕捉されればそれは大きな成果であるということですけれども、それがテロとの闘いを意味するわけでもなく、これは息の長い闘いを続けなければいけない、国際社会はみんなそう思って協力をしているということであると思います。

前原委員 いや、これは九・一一テロという文言がついているんですね。その首謀者、そしてまた、その中心人物がビンラディンでありオマルであるという話をしているわけです。一般的なテロとの闘いを続けるということの一般論でおっしゃるのであれば、そうしたら、特措法を引き下げて恒久法を出してくるのが筋でしょう、それは。

 そういう一般論を聞いているんではなくて、まさにこれは特別措置法なんだから、今の九・一一テロに対して首謀者が特定をされた、それに対しての効果というのは、首謀者を捕まえるというのが一番の肝であることはだれが考えても当たり前の話でしょう。だから、それが捕まっていないから効果が上がっていない、仮に捕まえたとしても、テロとテロリストというのは出てくる、そういうことだったら、今の特措法を引っ込めて恒久法で議論されるのが筋でしょう。だから、今の話は私はすりかえだと思いますよ。

 では、もうちょっと――いや、いいです、今のことについては。

 先ほど、無線照会それから船舶検査の話をされましたね、件数。これはアメリカからの情報提供ですよね。では、どこまでそのことについてコミットメントされていますか。どの船舶、つまりは日本が給油しているわけですよね。給油したどの国の艦船が船舶検査を行って、その成果はどうだったのか。そして、無線照会ではどういうものがあって、それについてはどういうそれこそ成果が上がったのか。

 それは、給油をしている立場として、その艦船が行ったことについてはしっかりとした情報を得るのが当たり前のことだと私は思いますけれども、どこまでコミットメントされていますか、情報について。

川口国務大臣 先ほど申しましたように、アメリカとの間ではいろいろな情報を得ております。それは、一番高いレベルにおける情報交換も含めていろいろ得ておりますけれども、そういったことについて、これは、今後の円滑な作戦の実行、施行という観点から今ここで申し上げるわけにはいかないわけですけれども、アメリカ以外の国とも情報の交換は私どもはやっております。

 そういった情報の交換の中で、アメリカからもらった情報、これに矛盾をするようなそういった情報は、我々としては受け取っていないということは申し上げられると思います。

前原委員 私は、どこまで主体的に日本政府として、情報を単に、ああそうですかということで聞き流さずに、それについての裏をとっているか。だれも、その無線傍受の内容を一つ一つ細かく教えろとか、あるいは、どの船舶が船舶検査をして何人捕まえたとか、今ここで言えなんということは僕は一言も言っていないんですよ。

 この間、これは前の通常国会でやりましたけれども、捕捉をしたテロリストたちの、つまりは氏名とか、あるいはどういった活動をしていたのか、ちゃんとそういうことも含めて情報を得ているんですか。得ているか得ていないかを聞いているんです。そこまで日本政府として主体的に、みずからが参加をしている活動に対してコミットメントしている意思を持ってやってきたかどうかということを聞いているわけです。別に、一つ一つの細かな中身を開示してくれなんということを言っていませんよ。

川口国務大臣 例えば、捕まえたテロリストの幹部の名前を知っているかという御質問でございましたら、それについては聞いております。

 そういうことでございますし、それから、先ほど申しましたように、情報について、それの裏をとるといいますか、判断をするということが必要ですので、これには他の国も関係をしていますから、そういったこと等の情報交換も行っておりますが、米国からもらった情報と矛盾するような情報というのは我々は手にしていないということを先ほど申し上げたわけでございます。

 それから、根本的に、日本とアメリカというのは、作戦をやる以上、さまざまなレベルで情報交換や協議をしなければ、作戦自体がうまくいかないわけでございます。そのために、例えば米海軍、これはむしろ石破長官がお答えになられた方がいいと思いますけれども、米海軍と海上自衛隊の陸上司令部間、それから現地部隊間で、それぞれ情報交換あるいは調整を密に行っております。また、米軍の中央軍司令部には自衛官も行っておりますし、バーレーンの第五艦隊司令部にはこれもまた連絡官が海上自衛隊から行っておりまして、こういった人たちは、毎日のように開かれる会議に出席をし、そして情報収集あるいは米国や他国の連絡官と細部の調整を行っているわけでございます。

 そうした密な情報の交換を行っているわけですし、それから、何よりも根本的な問題といたしまして、日本と米国は同盟国であります。同盟国同士で交換をする重要な情報、これについて、そもそも、裏をとる、あるいはそういったことの作業は、先ほど申しましたようにいろいろやっておりますけれども、基本的に、そこに信頼が置けないということであれば、いろいろなほかの分野での共同の活動ということができなくなるということですから、基本的に、米国と日本の関係は信頼関係に基づいているということで、これは当然のことだろうと思っております。

前原委員 総論の羅列はもう結構ですから、簡潔に答えてください。

 先ほどテロリストのリストは、捕捉した、あるいは殺害されたリストは知っているとおっしゃった。それは、要は、三分の二が殺害、拘束されているというものについて、すべて持っているのかどうなのかということが一つ。それは、はいかいいえで答えていただいたら結構です。

 そして、私が聞いているのは、日本が給油して、油を補給しているその艦船が行った、まさに先ほどの無線照会あるいは船舶検査、その結果についてもちゃんと、つまり、情報交換とか緊密な連携というのは、総論としてはもう当たり前のことですし、時間のむだなんです。つまりは、そういうものについてコミットメントをちゃんと情報として得ていますかどうかという、個別の内容を別に言えと言っているわけじゃなくて、総論として知っているのかどうかということを聞いているわけです。

川口国務大臣 先ほど、名前は聞いていると申し上げました。(前原委員「それは全体ですか」と呼ぶ)全部について聞いております。ただ、全部について名前を申し上げることはできないわけですけれども、例えば、一例を挙げれば、ムハンマド・アーテフ、この人とか、あるいはアブカイド・スネイヤン・アルハーリシー、その他何人か名前を聞いております。全部を申し上げることはできないということです。

前原委員 後半の方、無線照会と船舶検査の方。

川口国務大臣 細かい情報は持っております。持っておりますけれども、それは先ほど申しましたように、今後の作戦の円滑な施行、実行という観点から申し上げられないということでございます。

前原委員 それは、私は外務省を信用したいと思いますよ。

 ただ、これはちょっと総論としてお聞きをいただきたいのですが、実は私、今回のイラクへのアメリカの攻撃で、私自身がアメリカの情報収集能力あるいは情勢把握能力について大きな疑問を感じたんです。

 二月の五日だったと思いますけれども、パウエル国務長官が、国連の安保理だったと思いますけれども、そこで重要な資料があるということで発表されましたよね、イラクの大量破壊兵器の。私はあの時点までは、アメリカの情報収集能力というのは、これはすごいんだろう、アメリカの言うことなんだから本当なんだろうというふうに実は思っていたわけです。しかしながら、ふたをあけてみれば、いまだに大量破壊兵器が見つかっていないし、パウエルが安保理で話したことについては取るに足らないようなものであった、あるいは誇張、操作がされていたということが明らかになっていて、イギリスではそれにかかわった方が自殺をされている、こういう今状況ですよね。

 ですから、私は、同盟関係は信頼関係が必要だ、それも総論でわかります。総論でわかるけれども、私自身がやはり、このイラクへのアメリカの攻撃、そしてその裏にあった情報というもの、肝ですよ、大量破壊兵器が存在していたというのは彼らの大義であったのですから。それがいまだに見つかっていないということから考えると、どこまでアメリカの情報というものを信用していいのかどうか。

 先ほど、裏をとる努力はされていると言ったけれども、外務大臣、それでもアメリカの情報収集能力を完全に信用しているのかどうか、あるいは、やはり私と同じように、自前の情報あるいは裏をとる努力をして、同盟国とはいえども、しっかりとアメリカの情報に対して本当かどうかという検証を加えなきゃいけないと思っておられるか。それはどうですか。

川口国務大臣 これは前の通常国会のときにもどなたかの委員の方にお答えをさせていただきましたけれども、日本がイラクに対して感じた大量破壊兵器に対する懸念、これはアメリカの情報からそういう判断をしたということよりは、むしろ国連の情報をベースに分析をしたということであります。

 これは、UNSCOMあるいはUNMOVICの調査の段階で、イラクがみずから、これとこれは持っているということを言ったわけでございます。それに基づいてUNSCOMあるいはUNMOVICがチェックをしたということであります。そして評価をしているわけです。

 何を言っているかといいますと、例えばスカッドミサイルということでいいますと、これは破壊兵器を運ぶ方でございますけれども、使用、廃棄が確認できたと報告をしていたけれども、十四基の使用については確認できていない、液体燃料、弾頭約五十発についても廃棄が確認できていない。そして……(前原委員「私の質問に答えてください」と呼ぶ)そういった形で言っているわけでございまして、タブン、サリン、マスタード、みんな国連の報告でそういう懸念があるということを言っているわけです。

 したがって、米国がそういうことを言ったから、それを信頼して日本はイラクに対しての懸念を自分の懸念としたということではなくて、国連の報告書、これをきちんと読んで分析をし、それに基づいて、ほかの国と同様に、日本としても、大量破壊兵器に関する懸念、これがイラクにはあるというふうに考えた、そういうことでございます。

前原委員 それだったら、何で、国連は、九割方廃棄をしたということは確認できた、しかし、一割についてはまだ確認できていないと。したがって、UNMOVICとかIAEAが大量破壊兵器の査察を継続して、そしてイラクもある程度協力をするということで現地に行ったりしたわけでしょう。だけれども、IAEAにしたってUNMOVICにしたって、まだそれについての査察継続が必要であるということを言ったんですよ。そして国連もそういう結論に達したんだけれども、結局はアメリカが、国連決議を新たに得ずに、昔の国連決議を引っ張り出してきて、そして攻撃を加えたわけでしょう。

 今のような答弁だったら、アメリカの攻撃を支持せずに、国連が主張したようないわゆる査察継続について賛成するのが筋じゃないですか。もし国連の情報に基づいて我々は判断したと言うんだったら、矛盾があるじゃないですか。

川口国務大臣 矛盾はないというふうに考えております。

 安保理決議の一四四一、これを思い起こしていただきたいと思いますけれども、これは何を言ったかといいますと、まず、イラクが、停戦決議である決議の六八七、あるいは関連決議の重大な違反を犯し続けているということを国連が決定したわけです。安保理が決定をしているわけです。そして、それに基づいて、イラクに対して最後の機会を与えるということも決定をしたわけです。それで、さらにイラクが完全なる協力を行わない、これは実際に行わなかったわけですけれども、さらなる重大な違反を構成するということを決定、これも決定をしたわけです。そして、イラクが継続的な義務違反の結果、深刻な結果に直面するということを警告したということです。

 イラクが、査察団の報告を見る限り、あるいは我々も情報としてみんな共有をしていると思いますけれども、例えば、科学者とのインタビューに応じない、応じさせない、それから、見せるべきところを見せない、そして報告書をきちんとしたものを出してこなかった、前に出した資料をまた再度出した、プロアクティブに行動をしていない。そういったことからもわかりますように、イラクが完全なる協力を行わなかったということは明らかで、これは重大なる違反を構成するということである。

 したがいまして、国連自体、イラクがこれに応じなかったということでありますので、大量の軍、二十万人の軍が周りにいて、それでもなおかつ、大変な圧力がかかっても協力をしようとしなかったということであるわけです。

 したがいまして、イラクの重大な違反によって停戦の基礎が壊された、損なわれたということで、六七八、これは武力行使容認決議ですけれども、そこに戻って武力行使が行われたということであるわけです。

前原委員 今までの国連の決議をまた引用してイラク攻撃の正当性がどうのこうのということを聞いているわけじゃないんです、私は。

 つまりは、国連事務総長あるいはUNMOVIC、IAEAは、少なくとも査察継続を主張していたじゃないですか。アナン事務総長も主張していたじゃないですか。それは今の日本政府の解釈であって、国連の事務総長、まあ、事務総長に判断する理由がないなんて、この間、暴言を吐いておられましたけれども、しかし、国連やUNMOVIC、IAEAは、少なくとも明らかになっていないから査察継続が必要だと言ったけれども、アメリカは、あるんだと言って攻撃をした。それについて日本は同調したわけですよ。

 だから、今聞いているのは、国連の情報に基づいてどうのこうのということでやるなら、それはそれでおいておきましょう。だけれども、私が言っているのは、私自身が、同盟関係はこれからも必要だと思っている私自身が、アメリカの情報収集能力に非常に疑問を持っている、それについて大臣はどう考えておられるのか。全く今までどおり、アメリカの情報については信頼関係に基づいて信用するのかしないのか、その点を聞いているんですよ。短く答えてください。

川口国務大臣 私は、同盟国アメリカの持っている情報収集能力、これには信頼を置いております。

 それで、それの結果として、ただ、それに対しては、おっしゃるように、常に分析を加え、あるいは、それが本当にそうなのかということは考えていかなければいけない。それを我々は、したがいまして、国連の文書を見て、国連のその報告書もそれを裏書きしているというのが我々の判断であるということです。

 もちろん、いずれにいたしましても、米国というのは日本の同盟国、一番重要な同盟国というか唯一の同盟国であるわけでございまして、その信頼関係に基づいて、アメリカの情報収集能力と、そのもたらす情報については、私は信頼を置いております。

前原委員 私は、今の外務大臣のような答弁を本当にされ続けたら、同盟関係はむしろ壊れると思いますよ。

 つまりは、アメリカの国内でさえ、イラクの大量破壊兵器の問題について、アメリカやイギリスが情報の操作あるいは誇張があったんではないかということが今問題になっているわけですよ。それについて……(発言する者あり)そんなあなた、いろいろな意見があるといったって、実際問題、アメリカでそういう非難を受けているわけですよ。そして実際、ブレア、ブッシュの支持率ががた減りじゃないですか。次、再選されないような状況ですよ、今のままいったら。しかも実際問題、情報の操作、誇張があった。それを信頼し続けるというふうなことを本当に言い続けられるんですか。

 私は、今の外務大臣の答弁というのは、アメリカに対しては信頼したいと思うと。しかし、アメリカも情報収集については真摯に、そしてちゃんとした分析を加えてほしいと言うことが、日米同盟関係を本当にこれからも続けたいという立場であれば、そう答えるのが外務大臣の務めでしょう。外務大臣としては、やはりあなたは官僚で、再選された、再任されたことについては私は本当に疑問が残りますよ。

 こんなことを言うのはいけないかもしれないけれども、ある方へ頼んで、そしてその人が受けなかったから再任されたということでありますけれども、私は今の答弁を聞いて、やはり外務大臣としては不適任だ。本当に同盟関係をこれからも維持しようと思うのであれば、民主主義国家というのは、国民の意思そして国民の気持ちというのを代弁して外交もやらなきゃいけないんですよ。そういう気持ちを無視して、アメリカからの情報については信用しますというふうなことを言い続ける、そんな、日本の立場に立たない、アメリカの立場に立ち続ける外務大臣だったら、同盟関係を逆に壊すことになるんですよ。

 言うことがあったら言ってください。

川口国務大臣 私は、民主党がいずれ政権をとられることがあったときに、前原委員は外務大臣として非常にふさわしい方ではないかとひそかに思っておりましたけれども、今の御発言を伺って、それは間違っていたのではないかというふうに思うに至りました。

 それはなぜかといいますと、やはり同盟関係というのは初めに信頼関係ありきであると私は思います。初めに疑いありきではない。私が申し上げていることは、初めに信頼あり、その上で、それを分析し、裏をとっていくということはしているということを申し上げているわけで、無条件にアメリカの言っていることを全部うのみにするということを言っているわけではないわけです。

 初めに疑いがある、初めに疑いからスタートした同盟関係というのは同盟関係として維持することができないというのが、私の今の前原委員のおっしゃることを伺っての感想でございます。

前原委員 いや、川口外務大臣に適任者だと思われる方が私は困ります、つまりは感覚が違うんですから。

 ゴルバチョフが書記長のときに、外交についてどう言ったか。外交には敵も味方もいない、あるのは国家利益だけだと。同盟関係を結んだのも、国益をいかに追求していくかということで吉田茂さんが結んだんでしょう。経済最優先で、軍事的にはなかなか資源が生かせない、だから同盟関係を選択したわけでしょう。

 つまりは、信頼ありきではあるけれども、いかに日本の国益というものを達成するかというところで同盟関係を結んでいて、民主主義国家というのは、北朝鮮じゃないんだから、トップがこうだと言ったらみんな、はい、わかりました、従いますということじゃないんですよ。

 私は、今のアメリカに対する、一般的に言われている追従発言というのは、すべてそれに対してよしとするものではありません。しかし、そういった感覚を国民全体が持っていったときに、本当に必要な同盟関係というものは壊れてしまうかもしれない、そうしたリスクマネジメントを民主主義国家というのはやっていかなきゃいけないんですよ。

 その中での情報というものを主体的にとる、そして、表ではそんなことを別に言わなくていい、あなたのもらっている情報、アメリカからもらっている情報は疑ってかかっていますなんて、そんな、ばかじゃないんだから言う必要がない。しかしながら、それを本当に日本がしっかりと分析をし、そしてそれを裏づける、そういったしたたかさというのは外交で持つのは当然でしょう。だから国益に基づいた外交、安全保障ができるんじゃないんですか。

 だから、私は、今の外務大臣の話というのは全く外務大臣としてはふさわしくない、不適任だということは申し上げたいと思います。

 最後に、官房長官来られたので、ちょっと質問をさせてもらいたいと思います。

 ちょっと実務的な話になります。今まで聞いておられなかったので話をかえてもいいと思うんですが、二つ伺いたいと思います。

 この法案、二年を、初めから四年ということで二年間延長するという仕組みになっていますけれども、法的に延長を国会承認とする必要性があるのかどうなのかということと、あとは、これは特別措置法ですね、一応、二年で終わるということを決めて、時限立法でつくった特別措置法。それをまた二年延長するということは、同じ活動をしていたとしても、国会承認を与えることが、つまりは、新たな、二年延長するのに国会承認を与えることが政治的に必要かどうか。

 前者の質問は法的に必要かどうか、仕組みになっているかどうかという技術的な質問、後者は政治的に必要かと思われるかどうか、その点について、二つ、簡潔に御答弁ください。

福田国務大臣 まず、最初の方ですね、法的な立場。この今般のテロ対策特措法の改正案、これは現行法の有効期限を二年延長する、こういうことでありまして、国会承認の枠組み、また、協力支援活動等の対応措置に関する規定の内容を何ら変更するものではありません。ですから、政府としては、既に国会から承認された枠内で自衛隊の部隊等が引き続き活動を実施する限り、改めて国会の承認を得る必要はない、そういう考え方をしております。

 政治的にというと、これ、何をもって政治的に、こういうふうにおっしゃろうとしているのか、正直申し上げまして、私、ちょっと明確にわからないんでありますけれども、要するに、政府として、既にもう国会でもって承認された枠内で自衛隊の部隊等が引き続き活動するということでありますから、その限りにおいて、改めて国会の承認を得る必要はない、こういう考え方をしております。

前原委員 最後に一つだけ質問します。

 基本計画の変更については、これについては国会への報告ということになっていますね。この国会への報告ということについても、どれだけ基本計画を大きく変えるかどうかによってまたそれは変わってくるんではないかというふうに私は思うんです。やはり、大きく基本計画を変える、例えば、先ほど中谷議員がP3Cの派遣というのは今後あり得るのかどうなのかということについても話をされていましたけれども、中身として大きく変わるようなときには、やはり基本計画、今の法律の枠組みでは国会報告でいいということになっていますけれども、活動の中身が大きく変わるということになれば、基本計画を国会承認にするという政治的な判断が私はあっていいんではないかと思いますが、その点についてお答えいただきたいと思います。

福田国務大臣 基本計画は、これは国会に報告をする、そして、その対応措置について、これは事後でありますけれども国会承認を得る、こういうふうな枠組みになっておりますけれども、要するに、基本計画の変更がある、そして、その対応措置の内容、これがどういうように変わってくるかということにおいて事後承認を得る、国会において得るということで、この中身が大事なわけでございまして、そういう意味において、私は、政府としては今の考え方でよろしいんではないかというように考えております。

前原委員 終わります。

衛藤委員長 これにて前原誠司君の質疑は終了いたしました。

 次に、首藤信彦君。

首藤委員 民主党の首藤信彦です。

 今、同僚の前原議員からこの法案の本質的な問題について質問があったわけですが、このテロ特措法の改正ということは何が改正なのかということで、外務省からも資料をいただきました。改正ということですね、改正。ぺらぺらのが一枚来ました。どこが改正なのか。簡単なんですね、二を四にしてくれと。特別措置法の二年というのを四年にしてほしい、これだけだ、こういうわけです。なるほどと、私もそう思うんですね。全く条件が同じなら、この法律ができた条件が同じなら、それはやはりそういうこともある、自動延長というのだってあり得るわけですね。

 しかし、この法律というものが、二年前の九・一一テロを受けて成立して、そして、その対象というのは極めて限定的なんですね。国会論議でも、結局はアフガニスタンとパキスタンの問題なんですよ、それとインド洋の問題。そして基本計画であります、そこにはきちんと「タリバーン」と書いてあるんですよ。

 ですから、この法律というのは極めて要件のきちっとした法律なんですよ。期間も要件もびしっと決まっている。だから特別措置法なんですね。時間を切って、時限が決まっているんですよ。我々は、これは二年も長いんじゃないか、一年でいいんじゃないかと言ったんですけれども、ずるずるとここまで来ました。

 同じように、全く同じで、対象も地域も期間も同じような条件だったらそれはいいのかもしれませんけれども、おっとどっこい、そうはいかない。

 私たちは、九・一一のテロ、物すごいショックを受けました。こんなことが可能なのか、本当に驚きました。どうですか、その後、テロというのはそれで終わったでしょうか。

 例えば、アルカイダのアメリカの攻撃、それからいろいろなのが起こりましたね。最近、ことしになってでも、例えばサウジアラビアにおける連続自爆テロ、インドネシアの、我々がよく行くジャカルタのホテルの爆破テロ、それから、パレスチナでは連日のようにテロが行われている。暴力の悪循環ということを川口大臣もおっしゃっているんですね。そして、何と、イラク戦争というのもありました。そして、今イラクで問題になっているのは、アルカイダがどんどんどんどんイラクに国境を越えて入ってきている、大変だ、こんな問題になっています。

 要するに、何を言いたいかというと、九・一一のテロ、私たちが、あっ、これは大変だと思って、ともかくこれに緊急対応しなきゃいけないと思ってつくった法律と今の国際テロというものは、全く次元が異質なぐらい大きなものになっているわけですよ。もう二次元と三次元の差ぐらいあるわけですね。私はそういうふうに認識しています。

 福田官房長官、政府の認識をしっかり言ってください。政府はこの二年間の認識を、変化を、基礎的な前提の、極めて限定的な、対象も地域も期間も限定的なこのテロ対策法、これが二年間、全く同じなのか違うのか、政府の公式な認識をここで述べていただきたいと思います。いかがでしょうか。

    〔委員長退席、赤城委員長代理着席〕

川口国務大臣 先ほど申し上げましたけれども、これはテロとの闘いで、アルカイダの掃討作戦をやっているわけでございます。(首藤委員「委員長、本質的な問題を聞いています。おかしい。政府のことを言っている。提案者のことを聞いているんです」と呼ぶ)

 それの成果という意味でいいますと、さまざまな成果ということがあるわけでございますけれども、これの成果ということで一つお話を申し上げれば、三千人以上に上るアルカイダのメンバーを拘束したということでございますし、それから、アルカイダの幹部及びタリバンの……(首藤委員「委員長、おかしい。本質的なことを聞いているのに、何で外務大臣が来るんですか」と呼ぶ)

赤城委員長代理 外務大臣、簡潔に答弁してください。

 外務大臣が簡潔に答弁いたしますから、その後指名しますので。

川口国務大臣 指導者を合わせて四十人の殺害、それを捕捉があったということでございます。これは、アルカイダ幹部について全体の約三分の二に当たる。この成果にはこのオペレーションが機能している、そういうことでございます。

首藤委員 委員長、これはおかしいよ。今の時間は削ってください。

 私は、そんな外務大臣の情報を求めているんじゃない。政府はどう考えているか、法案提出者はどう考えているかということを聞いているんですよ、最初に。それで、この法律を出した、今までもずっと同じ官房長官と話しているわけですよ。

 だから、政府は、この二年間の条件の変化をどう把握していますか。また、それに関して政府はどのようにこのことを国民にきちっと言っているのか。二年間、二を四にするというだけじゃなくて、どんなに変わったかということを国民にどういうふうに告げているのか。どういう報告書がありますか。国民の代表である我々が討議するベースは何かということを教えていただきたいということを内閣官房長官に聞いております。

福田国務大臣 今までどういうことをやってきたかというような実情についてお話をするのであれば、外務大臣から正確に答弁をしてもらった方がいいんだろうということで外務大臣が答弁をしていたわけであります。そういう、今までの実績についても申し上げる必要がありますか。(首藤委員「政府としての把握を言ってください」と呼ぶ)

 ですから、政府として、そういう実情を踏まえて、今どうなっているか、そしてこれからどうするか、こういうことでしょう。そうですよね。ですから、その実情について外務大臣から答弁をしたわけでございます。

 外務大臣も今までいろいろと答弁されていると思いますから、その先について、現状認識、それから今後、こういうふうなことでお話をさせていただきます。よろしいですか。

赤城委員長代理 福田官房長官、どうぞ答弁を続けてください。

福田国務大臣 それでよろしいですか。もういいんですか。

首藤委員 そうではなくて、私は――それでしたら結構ですよ。それでもいいですよ。

 ですから、政府の状況認識。この変化に対する、公式な例えば文書において、このような変化がありましたということを公式に述べていただければ結構ですが、我々が討議する何か基本、これを見れば政府の考え方がわかるというものは一体何になりますかということを質問しているのです。

福田国務大臣 ですから、どういうような変化があったかということになりますと、その数字を挙げるとかそういったようなことがありますので、外務大臣から答弁をした方がいいのではないかというように思って申し上げておるわけでございます。

首藤委員 官房長官、私が聞いているのは、そういう数値の問題ではなくて、テロという問題が質的な変化を起こしているのかどうか、この法律が対象としたテロと、今世界じゅうでいろいろ蔓延しているテロと同じものなのか、質的な変化を起こしているのかということを聞きたいわけですよ。

 それに関しては、もう時間がないのでくどくどは言いませんけれども、ぜひ公式見解を出していただきたい。よろしいですね。

福田国務大臣 その辺のことを、今御指摘の点についてお答えしようと思ったらば外務大臣の方が適当なんですけれども、しかし、私の認識をそれでは申し上げます。ですから、若干大ざっぱな話になると思いますけれども。

 これは、九・一一があって、そしてその後二カ月たっていろいろな活動が始まったというようなあのころと比べるのは適当でないかもしれませんけれども、初期の段階と比較して今はどうなっているか。それは一定の成果は上がっている。あのアフガニスタン領土内に、陸上においていろいろな掃討作戦等々があったわけで、それはそれなりの成果が上がって、そしてそのことは国際社会でもかなり認知をされてきている、こういうような状況にあると思います。

 ただ、だからといって、では手を抜いていいかという状況にはとてもない。それは、アフガニスタン国内におりますアルカイダの組織、これはせん滅作戦をしているけれども、しかし十分ではないということもあります。また、幹部はかなり掃討したけれども、しかし幹部が方々に拡散しまして、そして、またその地域地域でもって活動を始めているという新しい状況もあるということもありますし、そしてまた国外でもって活動する、そういう分子もいるということであります。

 日本の行っている活動というのは、まさに国外に海上を伝って逃亡しよう、そういうアルカイダもしくはテロのグループを捕捉しよう、もしくは情報を入手してその捕捉活動に協力をしようという、そういうような、我が国以外の、インド洋で活躍している諸国の艦隊に対する給油活動をしているということであります。

 そういう、状況がどうなっているかということにおいて申し上げれば、変化はあります。しかし、状況として、今まだ手を抜くわけにいかない。そして、これがどこまで続くかということになりますと、これも非常に難しい予測になるわけでありまして、それはその時々で判断をしていくということになります。

 いずれにしましても、我が国としてこの活動をいつまで続けるかということは、もちろんそういう状況もあり、また国際社会がその状況に対してどういう取り組みをするか、そういうことを見て、また諸外国と協議をしながら、最終的には自主的に我が国としての判断を立てていく、こういう考え方になります。

首藤委員 官房長官のおっしゃることは、いろいろ変化はあるけれども、変化、変容はあっても本質は変わらない、だから、要するに一度延長を求める、そういうことだと解します。

 そこで、では果たしてそうなのかなと次に思うんですね。

 例えばアフガニスタンです。アフガニスタンはもう、今ここに、国会議員がほとんどですが、もし例えばアフガニスタンの専門家あるいは中東の専門家に聞けば、アフガニスタンはもう全然違う世界になった、今は、テロの時代からタリバン以前の世界、すなわち地域紛争の世界に戻りつつあると、もうみんな言っているわけですね。

 特に一番重要なのは、今問題なのは、アルカイダでもタリバンでもなくて、ヘクマティアル派なんですよ。ヘクマティアル派が、東部、南部、特に東部に非常に大きな拠点を持ってどんどんどんどん広がっている。それをせん滅するためにCIAは大変な努力をやっているというのが今の全体の姿なんですね。ですから、地域紛争となってきているわけですよ。このことはもう明らかなんですけれどもね。

 外務省の提出してくれる資料、国会議員に対して説明してくれる資料が配られるんですね。五月十五日、外務省資料、ヘクマティアル派が拡大しているので非常に難しいという状況が書いてあります。七月二日、外務省の提出資料、ヘクマティアル派の動静について詳細な説明があります。ところが、このテロ特措法の改正が出てきた九月十六日には、何と、ヘクマティアル派の「ヘ」も出てこないわけですよ。

 私は二度も三度も外務省の方に、民主党でも呼んで、ヘクマティアル派の動静について聞きました。そうですと言うけれども、では、それを書き込んだ資料を提出してください、次回に出してください、持ってこないですよ。また主張する、ヘクマティアル派でしょう、そうですと言うんですよ。では出してください、出さないんですよ。

 だから、要するに、外務省というのは、アフガニスタンの現状というのが、実はもうテロ問題じゃなくて、アフガニスタンは地域紛争の時代にまた戻っているんだということを把握しているんですよ。それを隠してやっているわけじゃないですか。外務大臣、いかがですか。

川口国務大臣 アフガニスタンについては、委員が今地域紛争の時代に戻りつつあるとおっしゃいましたけれども、私は、地域紛争ということで何を意味されているかというのは定かではありませんが、テロ、アルカイダが関係ない九・一一以前のアフガニスタン、要するにアルカイダが関係がない、タリバン及びその地域の軍閥が戦っているということをおっしゃっていらっしゃるんでしたら、それはそうではないというふうに申し上げたいと思います。

 今、アフガニスタンの治安情勢について、何が起こっているかということで申しますと、これは、パキスタンと国境を接する南部、南東部、東部、こういった地域を中心としまして、タリバン、アルカイダ、そして今委員がおっしゃったヘクマティアル派、この活動が活発化をしているということであります。こうしたその反政府勢力は、潤沢な資金をもとに活発な採用活動を行っているということでありまして、これに対して米軍は掃討作戦を強化しております。

 例えば八月の下旬には、一週間で百人以上の反政府勢力を殺害するといったような成果を上げているわけでございますけれども、他方で、オマル師やビンラディンやアルカイダ、タリバンの主要メンバーが拘束をされていない。そして、それに加えまして、地方政府高官ですとか援助機関員といったいわゆるソフトターゲットに対する攻撃が増加をしているということで、テロとの闘いが引き続き続いているということでございます。

 他方で、アフガニスタンは非常に前向きな、いい方向にも動いているわけでございまして、例えば経済活動は非常に活発化してきております。経済成長率、これは最近の中で一番高かったということであります。

 また、和平プロセスが真剣に、また着実に進展をしていて、十二月の憲法制定のロヤジェルガがございますけれども、それに向けて前向きに動いているといった状況でございます。

    〔赤城委員長代理退席、委員長着席〕

首藤委員 外務大臣、今度の内閣改造でまた外務大臣、同じ外務大臣で、またあなたかと思う気持ちと、ああ、あなたでよかったと思う気持ちと両方あるんですけれども、今のお話でも、結局、全然ずれているわけですね。

 私の質問は、結局、九・一一のテロがあって、この法律ができた条件というのは、このときにはまだタリバンは駆逐されなくて、タリバンが地方軍閥をせん滅していた時代の時代設定なんです。今、私の質問は、ヘクマティアル派ということをしつこく言ったのは、今は軍閥がテロを引き込んでいる設定なんですよ。もう時代背景や環境背景が全然違うんですよ。ですから、この法律は同じであるはずがない。だから、もしつくるんなら、別の法律をつくらないとこの問題はできない、そういうことを私は主張しているんですよ。

 一つのまた大きな問題があるんですが、先ほどから前原議員の質問の中でも出ていました洋上給油、こういう問題が出ているわけですね。今まで四万六千件の無線による照会をしている。これは要するに、船がたくさん通っているのを、おいこら、おまえの船はどこへ行くという無線の問いかけなんですね。そういうことはたくさんやっているんですね。そういうことをやって、給油もやっている。給油のレベルに関しては、また後で聞きます。

 しかし、二年前の法律というのは、このタリバンの上に、場合によってはバンカーバスターとかデージーカッターなんという強烈な爆弾を雨あられと落としていって、それでタリバンが海へ逃げ出したかもしれないということで、それを捕まえようとしていたわけですね。

 もちろん、最初のころはアルカイダも捕まりました。洋上で捕まった人も、今、キューバのグアンタナモ基地か何かにいる人もいるんでしょう。それの最近六カ月に洋上で逮捕された、拘束されたタリバンの数を教えていただきたいと思います。外務大臣、よろしくお願いします。

川口国務大臣 二つ御質問があったかと思いますけれども、最初の方のことです。

 アフガニスタンの現状というのは、おっしゃったように、さまざまな変化を時を経てしているというのは当然でございますけれども、今テロリストが引き続きアフガニスタンにいる、そこで、先ほど御説明申しましたような、いろいろな軍閥等とも結びつきがあって活動をしているという事実は変わらないわけでございます。

 そういったテロが広がっている中で、アルカイダの幹部を初めとして、アフガニスタンにテロリストを封じ込めることの重要性は全く変わっていないということでして、引き続きOEF・MIOが必要であり、我が国としてそれを支援することが必要であるということで、委員は、状況が変わったから法律は新しくなければいけないというふうにおっしゃいますけれども、では、そういった新しくしなければいけないような違いをもたらす変化がどこにあったのかというふうに考えますと、それはないわけです。引き続きアフガニスタンの内部ではテロリストの活動があるという事実は存在をしているということが先ほど申し上げたことでございます。

 それから、二番目の御質問の、六カ月以内に海上で捕捉されたテロリストの数は何人かということについてでございますが、先ほど来申し上げていますように、アルカイダ関係者の拘束は、百カ国以上において三千人以上に上る。アルカイダの幹部及びタリバンの指導者が合わせて四十人殺害をされ、あるいは捕捉をされ、そしてそれは、アルカイダ幹部について言えば全体の約三分の二に当たるといった成果があるということでございまして、これは、先ほどこれも申しましたけれども、我が国のアメリカにいる大使が参謀本部議長と話をし、一番高いレベルでの情報交換も行い、その他のさまざまなレベルでの情報交換も行い、その上で申し上げられる数字というのは今申し上げたものであるということです。

首藤委員 全く質問に答えていただいていないですね。そんな一般的な数字は、別にこんなところで、国会でやらなくたって、ニューズウイークを見れば、ワシントン・ポストを見れば、あるいは日本の新聞だってたくさん書いてありますよ。

 私が聞きたいのは、日本のとらの子の四隻の、中にはイージス艦もあり、ヘリコプター巡洋艦もあり、イージス艦に至っては、何と三隻しか稼働していないところを、こんなにミサイルの危機があるなんというときに張りつけていたんでしょう。それだけやって、一体何人のタリバンを拘束されましたか、この六カ月以内に。どうしてそれが答えられないんですか。それだけきちっと答えてください。これは国民にとって、本当に知りたいんですよ。これだけのお金をかけて、こんなに最新鋭の軍艦を張りつけていって、一体何人が拘束されたんですか。それはコストパフォーマンスがありますよ、どんなことにだって。いかがですか、外務大臣。

川口国務大臣 OEF・MIOの実績につきましては、先ほど申しましたように、マイヤーズ統合参謀本部議長からの我が国大使への説明も含めまして、これはさまざまなレベルで協議をしてきております。

 ただ、先ほど来申し上げていますように、個々の作戦、今後も作戦が続くわけですから、個々の作戦の円滑な実行、あるいは作戦に参加をしている人の安全の問題、そういうことがあって、これ以上詳細な内容を公表するということは、申しわけありませんけれども、差し控えさせていただきたいというふうに申し上げているわけでございます。

 いずれにしても、全体のその数字といたしましては、アルカイダ幹部については全体の三分の二が捕捉をされた、あるいは殺害をされたけれども、残り三分の一というのは残っている。そして、世界的にテロが広がっている中で、アフガニスタンの中に封じ込めていくということが引き続き重要であるということを申し上げたわけです。

首藤委員 今、三分の二とかなんとか言ったけれども、何を根拠に三分の二なのか、三分の二の母集団は何名なんだ。そんないいかげんなことで、これはもう今国会の最大の争点であって、日本の命運が決まってくるかもしれない。特措法というのは、日本が、今まで五十年間の法体系や自衛隊のさまざまな行動を一歩踏み越えたものなんですよ。これがもう大変な問題となってきている。だから、二年間はともかく猶予しようと言ったのが、これは自動的に四年間になってくる。こんな、恒常化していっちゃうわけですよ。大変な問題なんですよ。

 それを、例えば三分の二とか、そんな数字を言って、それが、何人、一体、本当に捕まえたのか。ひょっとしたらゼロかもしれないじゃないですか。タリバンやアルカイダがこの六カ月ゼロなのに、何でそんなところへ、日本の艦艇がたくさんいて、アメリカの艦艇もたくさんいるんですか。

 実際にインド洋で、既に、もう意味がないということで艦艇がどんどん引き揚げているんですね。アメリカの海軍の艦艇も、この法律ができたときには六十隻ぐらいインド洋にいましたよ、あの周辺に。今何隻だか御存じでしょう。二隻ですよ、アメリカの艦艇も。

 では、一体、今、洋上から既に撤退した艦艇は何カ国、何隻で、残っているのは何隻ですか。

石破国務大臣 現在の数字は、委員御指摘のとおり、アメリカの船は二隻でございます。アメリカ以外の国で申しますと、九カ国の十九隻ということであります。六月の数字を申し上げますと、アメリカの船は三隻でございました。六月にアメリカ以外は、十カ国、十五隻ということでありました。

 すなわち、六月と九月の対比で申しますと、アメリカは確かに一隻減った、しかし、アメリカ以外では四隻ふえたということでございます。これが激減ということになって、本当にそういうようなオペレーションの必要がなくなったというふうな判断、私はそのようなことにつながるとは考えておりません。

首藤委員 いや、防衛長官、もうその資料、たくさん出ているんですよ。例えば給油の量だって、最初のこの法律ができたころには、約九億円の一万六千キロリットルを給油していた。今、九月の実績はどうですか、二千キロリットルですよ、約七千万円ですか。八月の実績が三千キロリットル、約一億円。もう十分の一になっているわけですね。ですから実績はそうなんですよ。そこに、果たしてこんなに日本のとらの子の艦船、自衛艦を派遣する本当の意義があるのかということですね。

 そこで、私は、その今おっしゃった十六隻が一体どこにいるのかなと思ったんですよ。やはりインド洋で、これは周りに、本当に大洋ですから、ディエゴガルシアとかいろいろ島はありますけれども、大洋に船が十六隻浮いていて、そしてやはり日本の補給艦を、もうこれを母と頼って、そこへ寄ってきて給油してもらっているのか、そう思ったんですね。

 ところが、海上阻止活動に参加している各国艦船、どこが活動範囲か、これはわかっています。例えば、先ほどおっしゃったアメリカのフリゲート艦二隻、これはオマーン湾、ホルムズ海峡ですよ。何ですか、これ、インド洋じゃなかったんですか。それからイタリア、オマーン湾。ドイツ、アデン湾、紅海。どこですか、紅海って。紅海ってどこにあるんですか。それからバハレーンの船はペルシャ湾。当たり前ですよ、バハレーンはペルシャ湾にあるんだから。

 こんな状況で展開して、インド洋やディエゴガルシアにいるんじゃなくて、みんなオマーンや紅海あるいはアラビア海に行ったりアデン湾にいるのであったら、それこそバハレーンに寄港したときに、オマーンに寄港したときに、そこで給油を受ければいいじゃないですか。目の前に幾らでも基地があって、バンカーオイルとかCオイルなんというのを二束三文で供給してくれるときに、どうして日本からどんどんどんどん行って、そして大洋の真ん中に浮いていて、先ほどおっしゃったように、灼熱の海上に自衛官が苦労されて、そして、もう何か耐えがたくなって飲酒をして、規律違反ということで罰せられたり、こんなことをどうしてやっているんですか。ローカルな石油で十分じゃないですか。

 ですから、私は、テロ対策、そこで、いや、そうはいっても今引き揚げたら国際社会からばかにされるとか、テロ対策をないがしろにしてはいけない、そのとおりですよ。だったら、もっと国際社会で名誉ある地位を占めたいというような、名誉ある地位を占められるようなテロの根源的な対策、例えば、貧困、差別、民族紛争、こうしたものを、総合的なテロ対策を打ち出せば、今インド洋に浮かんでいる軍艦を引き揚げたって世界は何も言わないですよ。包括的なテロ対策を打ち出せば、さすが日本と言ってくれますよ。

 ですから、こんな非常にコストの高い、しかも余り感謝されない、本当に日本がそこでやっているかどうかもアフガニスタンの人も余りよくわからない、こんなものじゃなくて、むしろこの法律はもうこれで歴史的な使命を終わったので、もっとテロの根源対策に向けて世界にアピールする対策を打ち出されたらいいと思いますが、政府としてはいかがでしょうか、官房長官。

福田国務大臣 委員の御指摘の点、我が政府としては、これは今現在の仕事も、これも極めて大事な仕事だという認識を持っております。ですから、それは継続をさせていただくということであります。

 今後のことについて、どういうような必要性が生ずるのか、これはこれでまたその時々考えていかなければいけないことだと思いますので、これですべてというように思っているわけではありません。国際社会が、それも多数の国際社会の国々が参加しているこの課題に対して、我が国もそれは真剣に取り組む、この姿勢を崩すということはよくないことであると思っております。

首藤委員 この法律なんですが、官房長官、基本的には、私はよく覚えています、本当によく覚えていますよ。この法律、三つの部分から構成されているんですよ。

 その三つのパート、すなわち、米軍の後方支援みたいなのがあります、今残っているものですね、給油している。それから、もっと大きなものは実は被災民のパキスタンでの支援だったんですよ。ですから、カラチから陸上で物資を運ぶのか否か、これも大問題になりました。そしてもう一つの大きな問題は、これも今までの自衛隊から一歩踏み込んだ問題だと言えるんですが、そうした連合国やアメリカの、米英なんかが、何か飛行機が撃墜されて、それの捜索と救助をしなきゃいけない。これも日本の自衛隊にとっては大変チャレンジングな仕事なんですよ。そうでしょう。

 だから、これに対しては我々はいろいろなことを言いました。要するに三本柱。三本柱のうち今二本も欠けているわけですね。では、なぜこの法律が残るんですか。

 では、例えばパキスタンでの被災民の支援に関しては、今、日本は何をしておりますでしょうか。外務大臣で結構ですよ。いかがですか。

川口国務大臣 難民支援という意味では、一般的にはいろいろ日本は行っておりますけれども、この法律に基づく被災民の救援活動という意味で申し上げますと、掃海母艦による我が国からパキスタン・カラチ港への生活関連物資の輸送を行いました。平成十三年の暮れに行ったということでございます。

首藤委員 そうですよ。平成十三年の暮れに行ったんですよ。今平成何年ですか。(発言する者あり)十五年。もう二年もたってしまったんですか。どうですか、その間、ゼロでしょう。米軍の捜索、救援、ゼロでしょう。三本のうち二本が欠けたこの法律が、どうしてそのまま期間を二から四にしていいものだろうか、私は大変疑問を感じます。

 外務大臣、もう一度、もう一つお聞きしたいんです。

 先ほど、アルカイダメンバーがたくさん拘束された、そういう情報をおっしゃっていましたね。その中で、最近、もう仰天するようなニュースが入ってきました。その拘束されているメンバーの中で、一人がいるわけですが、ハリド・シェイク・モハメドが、アルカイダがアメリカへのハイジャックテロと東アジアへのテロを計画した、そうしたら、オサマ・ビンラディンがそんな二カ所もやるのは無理だよということで、アメリカだけに集中した、そういう記述がございます。九月二十二日に各紙が報道しています。

 このハリド・シェイク・モハメド、これが言っている東アジアというのはどこを指しておりますでしょうか。アメリカから聞いている情報で結構ですから、それでお伝え願いたいんです。

川口国務大臣 当初東アジアもテロの標的として対象にされていたという報道、これは承知をいたしております。

 テロに関しましては、米国あるいはほかの関係国政府と密接に協力を行って、関連情報の収集あるいは交換を行っておりますけれども、個別具体的な事例のコメントについては差し控えさせていただきたいと思います。

 それから、先ほどの避難民についての支援のことでございますけれども、それは一例を申し上げましたけれども、当然、今後必要が生じれば、それはいつでもその法律に基づいて実施をするということでございます。

首藤委員 これはやはり、よろしいですか官房長官、このテロ特措法なんですけれども、ここで今二年で終わって仕切り直ししていただきたいと私は本当に思います。本当にこの地域は今難しい状況になってきて、テロというものも、我々が考えた以上の大きな広がりを今もたらしています。特に、ある意味でテロの防波堤になってきたイラクのイスラム世俗主義というものが崩壊して、イラクがまさにテロの巣窟になろうとしている。こういうことになると、もう本当に腰を入れてやらなきゃいけないと思うんです。

 そうすると、テロ特措法というのが日本としては法律としてはあるわけですが、このテロ特措法を二年間延長した場合、今まではテロ特措法というのは、さっきから言っていますように、これは今までの論議を全部見ればわかるように、アフガニスタン、パキスタン、インド洋の問題なんですよ。しかし、最近のテロを見ればわかるように、当然のことながら、アルカイダと密接な関係を持ってきたサウジアラビアの問題、ここでは連続してテロが起こっています。それから、バリ島でのテロがございました。それから、ジェマー・イスラミアの問題、JIと言われるそうした問題、それからイスラエルのハマスなんかも出てきているわけです。こうしたテロが非常に大きくなっているわけですが、このテロ特措法を仮に、万が一そういうことはないと思いますが、仮に延長された場合、こうした世界のさまざまなテロも当然この法律のスコープに入ってくるか、どうでしょうか。

福田国務大臣 この法律の枠組みでもってどこまでやれるのか、その時々の状況において判断をしていかなければいけない、そういうことでありますけれども、今回のこの特措法の趣旨は、これは平成十三年九月十一日にアメリカ合衆国で発生したテロ攻撃による脅威の除去に努める、そのことにより国連憲章の目的達成に寄与する諸外国の軍隊等の活動を支援する、そして我が国を含む国際社会の平和と安全の確保に資する、これが目的なんですね。

 ですから、そのことをやはり中心に考えていかなければいけないということでありまして、我が国として、この法律に基づいて諸外国の軍隊等を支援するか否か。これは、この軍隊等の行う作戦がアルカイダ及びタリバンを対象とするか否かということによるものでありまして、この点について、我が国としてその時々に主体的に判断していく、こういうようなことなのだろうと思います。

首藤委員 ですから、アルカイダが今世界に広がっていて、いろいろな地域と活動を持っているんですよ。イラク、シリア、イラン、サウジアラビア、インドネシア、フィリピン、最近北朝鮮、全部関係しているんですよ。だから、そうすると、この法律があれば全部適用地域になってしまうじゃないですか。その危惧を私は言っているんです。

 それから、一つ、テロという問題に関しては、やはりイスラエルが非常に大きな問題ですね。というのは、ここには、ゴラン高原にもうPKOで出ているんですよ。そうすると、今度この地域が対象になると非常に複雑な状況になってくると思うんですが、最近驚くべき、私は確認したいんですが、この場でぜひ確認していただきたい、川口外務大臣。ハマスはテロ集団として日本政府としては認定されましたね、きょうの午前中では。いかがでしょうか。

川口国務大臣 ハマスの軍事部門につきましては、既に外為法に基づきまして資金についての対策をとっております。テロリストとしての認定をしているわけでございます。

 本日行いましたのは、ハマスの他の部門についても同様な措置をとった、そういうことでございます。

首藤委員 外務大臣、私は何度も何度も質問しましたよ、テロに関する資金の問題に関してハマスが対象になることがありますかと。ずっとこれを否定された。この問題は外務委員会の問題でしょうからこの場では言いませんが。

 最後に、この問題、私は一つ要望があります。

 委員長、今お聞きのように、この問題は、やはり余りにも状況変化が激し過ぎる、そしてまたアフガニスタンの問題も、これは余りよくわからない。だから、ぜひ委員で、この委員会でアフガニスタンへの現地調査を求めたいと思います。いかがでしょうか。

衛藤委員長 後刻、理事会で協議いたします。

首藤委員 とおっしゃることは、理事会での結果を受けて、私にもう一度質問時間をいただけるということでしょうか。

衛藤委員長 本件についても、後刻理事会で協議をいたします。

首藤委員 そのことに関しても、明確に通知していただきたいと思います。

 さて、もう時間も来ましたので、最後に私の意見を言いたいと思います。本当は質問したいんですが、もう時間がないということで。

 この問題に関しては、余りにもこの二年間で目まぐるしく変わって、テロも、我々は考えて、オサマ・ビンラディン、まだ生きておりますけれども、その間にもういろいろな変化があって、アフガニスタンというものも根本的に変わりつつあるし、イラクへの戦争があって、インドネシアももう崩壊の寸前というような状況の中で、私は、この問題というのは、もう一度仕切り直してきちっとした法律をつくるべきであり、二を四と変えるだけで改正すべきではない、そういうふうに確信しております。

 それからまた、そういうような状況において、基本計画もまた、今までのアフガニスタンにおけるタリバンやアルカイダをやっつける、それを後方支援するというような法律じゃなくて、テロ、アフガニスタンの安定と平和のために、あるいは中東の平和と安定のために本格的に取り組まなければいけないという点において、私は、これは基本計画も国会の事前承認とすべきだということを主張して、質問を終わります。

衛藤委員長 これにて首藤信彦君の質疑は終了いたしました。

 次に、一川保夫君。

一川委員 民主党の一川保夫でございます。

 前の国会の折には自由党に籍を置いておりましたけれども、当時の質問、やりとりを振り返りながら、今ほどのいろいろな質疑も参考にさせていただいて質問させていただきたい、そのように思います。

 先ほど来のいろいろなやりとりを聞いておりまして、私たちも、この通常国会の後、地元回りをしながらいろいろな方々の意見も聞いてまいりましたし、また最近は、選挙が近いということもありまして、非常に地元に行くことも多いわけですけれども、特にこのテロ問題とかあるいはイラクの問題も絡めて、一般の国民の方々も、我が国の安全保障とか自衛隊のあり方とか、あるいは我が国の外交の姿勢とか、そういうことに非常に強い関心を持ってきておりますし、また、いろいろな知識も豊富になってきているなという感じをつくづくと受けております。

 そこで、先ほど来からのいろいろな質問を聞いておりますと、私自身もお聞きしたいことと相当重複しておりますので、できるだけ重複を避けたいとは思いますけれども、念のためということで確認するわけでございます。

 まず、この法律を二年前につくる当時と現時点、二年経過した現時点で、先ほど来官房長官なりのいろいろな答弁をお聞きしておりますと、その状況は、こういう法律の目的に関する国際的な情勢、またインド洋を中心とするそういった地域のいろいろな情勢、アフガニスタンの情勢、そういったものがこの二年間で変化を恐らくしてきているんだろうと当然思いますけれども、しかし、法律自身は中身を変えないで期間を延長するだけということになっているわけですね。そうした場合に、本当にこの法律を取り巻くいろいろな諸情勢というものが大きく変化がないというふうに我々国民は理解をすればいいのか、いや、変化はあったんだけれども、この法律を残しながら期間さえ延長すればいいんだというふうに理解するのか、そのあたりはもう少しかみ砕いた答弁をお願いしたいと思うんです。

福田国務大臣 それでは、私の方からちょっと概括的に申し上げまして、詳細はまた外務大臣にお尋ね願いたいと思います。

 変化があったかないか、こういうことになりますが、これは、何のためにこういうような国際的な枠組みでオペレーションをしているかということなんであります。

 それは、アフガニスタンにおけるテロの根源、これを壊滅させ、そして、また同時にテロ分子が世界各国に飛散しないようにするということであります。そしてまた、もう一つは、アフガニスタンが独立国家として立派にやっていけるように、そういうことをあわせてしないと、将来的にもアフガニスタンがずっとテロの根源であり続けるかもしれぬということでありますから、アフガニスタンの独立、アフガニスタン人による独立ということ、これが大事なのだろうというふうに思います。

 そういう面において、アフガニスタンもかなり落ちつきを取り戻してきているというような状況にありますので、全般的に言えば、かなりの進展がこの間、二年間にあったというように考えていいのではないかと思います。

 ただ、今現在もそういうテロ分子というのがアフガニスタン内に、国内におりますし、また、そういう分子が国外に逃亡する、そういうケースもあるというようなことでありますので、海上警備というのは非常に大事であるという状況というのは変わっていないということだと思います。したがいまして、今もこのオペレーションを続ける、そして、今後も当分の間続けていかなければいけないという状況は変わっていないということだと思います。

 しかし、全体的に見て、アフガニスタンの国内の状況は改善をされているということ、そしてまたテロの活動も、こういうような国際的な枠組みの中で抑止力として相当な効果を発揮しているのではないかというように考えておるところでございます。

一川委員 そういう御答弁にも関連するのかもしれませんけれども、先ほど外務大臣の方からも、この法律に基づくいろいろな派遣等に基づく成果の問題で、いろいろな具体的な、まあ具体的というか、我々にとっては非常にわかりづらいところもあったんですけれども、説明がありました。一般の国民の余り予備知識のない方々に、では、この法律をこれまで二年間施行してきまして、要するに、我が国にとっても非常にメリットもあるということをわからせながら、この法律に基づく自衛隊の派遣というのはこういう効果がありますよということをもう少しわかりやすく説明できないんですかね。

石破国務大臣 成果につきまして、先ほど来外務大臣お答えになっておられるとおりですが、ある意味、かくかくしかじかの成果が上がりませんでしたということは、逆に言えばどういうことかというと、そのようにして艦艇がおり、そしてまた補給体制が整っているから洋上にテロリストが出られないということ、私は、逆に言えばこれも立派な成果だろうというふうに思っております。

 個々具体的にこれを申し上げるということは、差し控えなければいけません。それは、どの地域で、どのテロリストが、どの船に捕まったかということを公にすることが、必ずしも、これから先、テロリストの流出を防ぐということにおいて効果的だと思わないからであります。

 それは、船が出ておるのは我が国だけではございません。多くの国の船が出ております。このことにつきましては、例えばドイツにおきましても、ニュージーランドにおきましても、オーストラリアにおきましても、我々の船がどのテロリストをどれだけ捕まえたということが公表されていない、するべきではない、それは我が国だけに限ったことではございません。この事柄の性質にかんがみまして、どの国でも、そのような情報につきましてはある程度開示を差し控えておるというのは、共通のことでございます。

一川委員 今日、日本の国内、御案内のとおり非常に不況が長引いておる中で、国民の皆さん方はいろいろな面で御苦労が多いわけです。そういう中で、相当、百億を超えるような、そういう経費をかけて、自衛隊の皆さん方も大変な御苦労の中でこういう対応をされているんだと思いますけれども、これを二年間延長する必要性なり、今までやってきてこういうふうに我が国のいろいろな国益につながってきているんだというようなところを、もう少し一般の国民の方々にわかりやすく説明できるようにしておかないと、なかなか納得できない面がたくさん出てきているような気がするんです。

 今おっしゃったように、いろいろなこれからの作戦上明らかにできないというような言い方で最後終わってしまうケースが多いわけですけれども、しかし一方では、先ほどのちょっとお話のように、米国の艦船なんかは当初の数が極端に今減ってきている。そういうようないろいろな状況変化といいますか、各国の対応状況というものがいろいろと変わってきているという中で、我が国が本当に従来どおり、これまで二年間と同等のそういう支援のやり方というものを継続する必要があるかなしかというところの判断が、非常に判断しづらい面があるわけですけれども、そのあたりいかがですか。

石破国務大臣 少なくとも、洋上における補給活動をやめるべきだというふうに私は判断をいたしておりません。

 それは、先ほどもお答えをしたことですが、委員も御案内のとおり、洋上で本当に補給業務というものが、洋上補給業務がこなせる海軍というのは、世界じゅうそんなにあるものではございません。補給艦に余裕がある、私どもも余裕があるわけではございませんが、かの地まで行って、そういうような高度な技量のもとにできる国はございません。

 また、そのようなことをやっても意味がないではないかというふうなお話がございましたが、やはりこれだけ広い海域で、洋上で補給が受けられるということは、受ける側からすれば大変に感謝の対象になっておるわけでございます。それは、山谷委員がおっしゃったように、本当にお互いに、受ける側もする側も大変な連帯感に基づいてやっておるわけでございます。したがいまして、私は、これをやめるべきだという判断をいたしておりません。

 他方、では、我々が船舶検査というものをやるべきか、加えてやるべきかということを考えましたときに、今、周辺事態法で周辺事態ということに認定をされ、かつまた国連の決議がある場合に船舶検査というものはできることになっております。それとの関連において、じゃ、ここでやるべきなのか、あるいはアフガニスタン内部においてテロ等の掃討作戦をやるべきか、それは憲法に触れるかどうかも含めて、いろいろな議論が対象となることでございましょう。

 少なくとも、今の洋上補給というものをやめるべきだという選択は、我が国はないと思っております。それ以外にこれをつけ加えるべきだということは、今後また、情勢の推移に応じて、基本計画の変更等々において論じられることだと思っております。

一川委員 では、確認のためにまたお聞きするわけですけれども、我が国以外の各国は、こういった特別立法に基づいていろいろな行為をやっているという国は少ないと思いますけれども、今後とも継続して、これまで二年間とほぼ同等のいろいろな支援体制を組んで取り組んでいくのかどうか、そのあたりの見通しみたいなものはどのように把握されているんですか。よその国々は。

福田国務大臣 要するに、いつまで支援を続けていくのかということについて、国際社会の認識……(一川委員「ほかの国々ですよ」と呼ぶ)ほかの国々がどういう認識をしているか、そういうことですね。

 そういう意味においては、ほかの国々においても、現状、現状というのはテロの脅威が依然と存在するという現状、こういう認識のもとに、テロ撲滅への道のりは、これは平たんではなく、テロとの闘いが終わったという認識をしている国は、これはないんですよ、今現在。

 それは、ブッシュ大統領も九月七日のテレビ演説で、テロとの闘いを粘り強く継続するという必要性を強調しておる。また、カルザイ大統領は九月六日に、在アフガニスタン大使との会見において、テロとの闘いは道半ばである、日本の自衛隊の支援を引き続き期待する、こういうような発言をしているということもございます。また、米国中央軍関係者によりますと、少なくとも今後二年間の作戦継続は必要であるといったような、そういうような考え方をしておるわけでありまして、したがいまして、国際社会も多くの国々がこの戦闘に何らかの形で参加している、こういうことでございます。

一川委員 では、我が国とほぼ同じような業務、任務を持って、インド洋等でこういう支援をやっている国というのはどこなんですか。

石破国務大臣 我が国と全く同じような任務をやっておる国はございません。

 例えば、補給艦を出しております国ということでいえば、イギリスは出しておりますが、同時にフリゲート艦も出しております。これは、そのフリゲート艦が何の任務に従事しているか。日本の場合にもイージスが出ることもあります、DDHが出ることもございますが、補給艦のいろいろな安全のための情報収集等を行っておるために出ておるわけでございますけれども、同時に、私どもは、そういうような洋上検査、船舶検査みたいなことをやっておらないわけでございます。

 法律をつくってといいますのは、先生御案内のとおり、私どもの場合にはポジリストというものを採用しておりますので、新しいことをやる場合には法律をつくらなければいけない。そして、これは後方支援に限定したものであるというような形で、法律をつくり後方支援にのみ限定をしておるというのは、私が知る限り、我が国だけだと思っております。

一川委員 それと、インド洋等で今のテロ掃討作戦を支援するようなこういう支援の仕方は、我が国のやり方は特殊なやり方かもしれませんけれども、こうして我が国は、今のところ、政府の方針としては、従来、この二年間とほぼ同等の支援をやっていこうという方針でこの延長をするわけですよね。ほかの国々も基本的にはそういうスタンスで臨むというふうに理解していいわけですか。

福田国務大臣 ほかの国がどういうふうにするかということは、これはわかりません。わかりませんが、我が国は、あのインド洋において、テロ逃亡者を捕捉するとか、いろいろな情報収集に努めるとかいったような、そういう作業のニーズがある限りは続けるということになります。

 例えば、ほかの国があそこから、インド洋から全部引き揚げてしまったということになれば、それはそういう必要性がなくなるということでありますから、そのときには任務は終了するということになると思います。

一川委員 今官房長官の御答弁にもありましたところをちょっと確認するわけですけれども、では、今のようなこういう法律に基づいての我が国の支援というか、自衛隊を派遣してのこういう業務というのは、どういう状態になればやめるのかというようなところは、今官房長官がおっしゃったようなことですか。そういうことに理解していいんですか。

福田国務大臣 要するに、その必要性がなくなれば、いる必要はないんですね。要するに、ニーズがあるかどうかということです。

 それから、艦船も極めて少なくなってしまったとか、我が国の艦船が行ってやるほどのことはないといったようなときに、他国の艦船がそのときにどこかで包囲する方法があるのであれば、そのときにはニーズはなくなるんだろうというように思います。

 しかし、アフガニスタンの国内で掃討作戦が続いているという限りにおいては、海上から脱出を図る、そういうアルカイダ分子がいるだろう、そういうことで、それが続く限りはニーズは存在するんだろうというように考えます。

一川委員 こういう支援の仕方をいつまで続けるかというところの判断というのは、それはそれで非常に難しい面もあろうかと思いますけれども、一方では、今の、先ほどちょっと触れましたように、アメリカの艦船が二隻ぐらいに減ってきたという、これまでのいろいろな経過を見たときに、数からすると相当減ってきておるわけです。

 こういうような状況変化を見たときに、それはゼロになれば、補給を受ける船がゼロになれば取りやめるのは当たり前でございますけれども、では、しかし、日本がそこまでやるのかなという、そういう状況判断でいいのかどうかということも含めて、こういった法律に基づく支援のあり方をどうするかという基本的な政府としての考え方というのは、もう少し何かしっかりとしたものがあっていいような気がするんですけれども、いかがですかね。

石破国務大臣 自衛隊に限って申し上げますと、幾つか考えられると思うんですね。では、例えば、アフガニスタンの陸上に上がって輸送をやるべきか否か、あるいはインド洋において船舶検査をやるべきか否か、あるいはインド洋において補給をやるべきか否か、いろいろなものがあると思うんです。私どもでなければできないこと、日本に最も適したことということを考えましたときに、洋上における補給活動というのは、我が国に最も適したものの一つではないかというふうに考えております。

 アメリカは確かに数は減りましたが、これは、アメリカの海軍というのは世界じゅうに展開をしておりますので、一時的に減ることはございましょう。しかしながら、例えば、では、ニュージーランドなどというのは、一回引き揚げました。引き揚げましたけれども、これは、かわりにアフガニスタンの陸上に部隊を派遣するという選択をいたしております。また、フランスというのは、新たに船を出すということをやっておりまして、私は、洋上におけるニーズというものがなくなったとは考えておりませんし、その国に最も適した活動というのは何なのかということを考えましたときに、洋上補給というのは今後とも必要だと思っております。

 遠く外洋で補給をするということができる能力を持った海軍というのは、先生も御案内のとおり、何度も同じことを申し上げて恐縮ですが、そんなにたくさんはございません。

一川委員 では、ちょっと念のために、これは官房長官にお聞きするわけですけれども、この法律に基づく業務、任務を延長するというこのことと――前国会で成立したイラク復興支援法に基づく自衛隊の派遣が一応その枠組みは決まったわけでございますけれども、イラクに対する復興支援のいろいろな任務、業務、そういうものと、この法律に基づく、テロ特措法に基づくインド洋を中心とした地域でのいろいろな任務というのは、一切関係ない、業務的には一切絡んでこないというふうに理解していいのか、場合によっては、効率的には多少協力体制を組むというふうに理解するのか、そのあたりいかがですか。

福田国務大臣 これは法律体系が違いますからね。したがって、その法律に基づいてそれぞれ活動するわけでございますから、これが一緒になるとかということは理論的にはないんですね。現実的にもないだろうと思うんですけれどもね。

 ですから、その辺は、それぞれの法律の目的に沿って自衛隊は活動する、こういうことになります。

一川委員 それは法律的には全くそのとおりなんだと思いますけれども、しかし、現実問題として、イラクに向けて例えばそういう船舶が移行するというようなことがあった場合に、そういうことは全然ないというふうに理解していいのかどうか、そういうこともちょっとわからないものだから質問するわけです。

 だから、イラク復興支援の目的で、例えばインド洋を通過するような船舶なり、そういう自衛隊の船があるとする場合に、このテロ特措法に基づく燃料補給、そういう業務というのは、それは一切、法律はもちろん別ですから関係ないといえば関係ないんですけれども、しかし、場合によっては、それをちょっと支援する、協力し合うということは、何かあり得るような感じもするんですけれども、それは一切ないんですか。

川口国務大臣 二つの法律の間の関係は今官房長官がおっしゃったとおりだと思いますけれども、アフガニスタンでの九・一一に起因する脅威、これを除去するということに失敗をした場合に、イラクの復興あるいは人道支援、復興に影響が及ぶ可能性はあるという意味で関係はあると申し上げることはできるかと思います。

 どういうことかといいますと、今アフガニスタンの中で、先ほど申しましたように、引き続きテロの活動が、テロリストの活動が行われている、オサマ・ビンラディンもオマル師も捕まっていない、そこでいろいろな活動があるわけでございますね。したがって、その九・一一によってもたらされたテロの脅威に対応するという必要性はまだあって、したがって、我々がこの法律の延長をお願いしているということはそこにあるわけですけれども、仮に、そういった封じ込め、あるいはそこに封じ込めの結果として捕捉をし、あるいは殺害をするということが、この法律の延長をしないということによって、海上経由で逃げ出したり、あるいはテロ関連物質の移動があったりということがあった場合に、それは、国際的なテロリストの拡散という形で、イラクで我々が行おうとしている人道復興支援、あるいはイラク自体の復興にマイナスの影響を与え得るということは言えると思います。

 テロリストが逃げてイラクに駆け込む、アルカイダの人たちがイラクに行ってしまう、そういったことがあり得るわけで、そういうことがないように、海上封鎖を引き続き行い、封じ込めをやろうとしているわけです。

 ですから、本来その二つの法律は全く関係がない。関係がないといいますか、それぞれの目的に応じて存在をしているわけですけれども、委員の御質問が関係があるかということでございますので、強いて関係がある部分を申し上げれば、そういう、テロリストたちは国際的に動くので、封じ込めに失敗をすればイラクに移っていく、その結果、我々のイラクの特措法によってねらいとしているイラクの復興にマイナスの影響が及ぶことになるだろうということだと思います。

一川委員 この特別委員会も、二つの法律を審議しているそういう委員会ですから、二つの法律は全然関係なければ、全然別の委員会でやってもいいわけでしょうけれども、それなりにやはりいろいろな面で関連するところが考え方としていろいろと出てくるわけだし、また、法律の施行期間がたまたまダブってくる、ある程度地域が近いということであれば、この法律に根拠を置いて、自衛隊の皆さん方の任務、業務が場合によっては錯綜することがあり得るんではないかなと。そういったときに、それは協力し合うこと自体は別に悪いということを言っているわけじゃないんですけれども、そういうことだって起こり得るんではないですかということをちょっと疑問に持つものですから、そこを確認するわけですけれども、よろしいですか、それで。

福田国務大臣 先ほどの質問について申し上げれば、これは特別措置法なんですね、テロ対策特別措置法、イラクの分はイラクの特別措置法ということで。特別措置法というのは非常に内容を限定されているものでありまして、その限定された活動範囲ということでありますから、目的が違ってしまうと、それを準用してほかのところにというわけにはいかないのは基本的な考え方です。それは、ですから、近くを通ったからついでに給油してあげましょうという、こういう法律ではないんだというように考えております。

一川委員 一つの、我々はこれから関心を持って見守っていく、そういう分野かなという感じもいたします。そのあたりはまた今後、引き続き、機会があれば質問させていただきたいと思います。

 それから、前の国会の折にもいろいろと質問させていただいた中には、この法律の一番根本の問題であった九・一一ニューヨークの同時多発テロの問題に関連するわけですけれども、最近、この二年間経過してきまして、米国のああいう中枢部が同時的にねらわれたということに対する、なぜああいうことが起こったのかということに対するいろいろな分析なり、いろいろな背景なり、そういうことについてのいろいろな論評がだんだんふえてきておるわけです。

 また、テロが発生した直後は、当然ながら、そんなテロはけしからぬということで、そういうものは完全に武力で制圧しろということの考え方が出てきたわけですけれども、いろいろと冷静に考えてきたときに、テロ行為そのものは許すべきものでないことは当たり前でございますけれども、では、なぜああいうテロ行為が発生するかということの背景なり、いろいろな分析、その本当の根っこのところを断たない限りは、なかなかこの問題というのはそう簡単にいくものではないんではないかなという感じを、私は個人的にもそう思うんです。

 それは、俗に言う、世界の各国の、経済がグローバル化する中で、いろいろな面で格差が広がり過ぎてきておるというような問題とか、非常に豊かなところと非常に貧しいところが目立ってきておるとか、あるいは、いろいろな考え方がそういうふうに国際的に動く中で、経済的には非常に貧しいと言われておる国々でも、経済力が弱いという国々でも、いろいろな長い歴史を持っておるわけですね。アメリカに比べれば、はるかに長い歴史があるわけです。そういう中で、当然ながら、民族としてはプライドがあるわけですね。いろいろなプライドを傷つけられるということの積み重ね、いろいろなことがテロ行為につながってきておるんではないかなというようなことを分析する専門筋の方もだんだんふえてきておるような感じもいたします。

 私自身も、テロは一方で制圧しなきゃならないというその必要性は十分理解できますし、当然だと思いますけれども、それと同時に、なぜそういうことが起こるかという本当の根っこのところを、やはり我が国としてはしっかりと問題意識を持って取り組んでいくべきだというふうに思いますけれども、そのような考え方についてどう思いますか。

川口国務大臣 テロの根源や背景が何であるかということは非常に難しい、テロの背景というのは根が深いものがあると思います。

 それで、いろいろなことが言われていますけれども、一般的に申し上げれば、これは、民族あるいは政治、宗教、思想、そういったことの対立があってテロという手段がとられるということでございましょうし、貧困や経済開発のおくれ、委員が先ほどおっしゃったような、そういったことがこの動きを助長するという考え方もございます。また、他方で、テロリストは必ずしも貧乏な人がなるわけではない、大変なお金持ちがテロリストになっているということもあるわけでございます。

 一般的にはそういうことだと思いますけれども、九・一一の要因、背景が何であったか、これは断定的に申し上げることは非常に難しいと思いますけれども、首謀者とされているオサマ・ビンラディン、この人が幾つかの声明文を九〇年代後半に出しています。その中で彼が言っていますのは、エルサレム及びメッカの解放、イスラム諸国からの異教徒の軍隊の駆逐等を目指して、これを実現する手段として対米テロ活動を行うべきだということをオサマ・ビンラディンは言っているということでございます。

 いずれにしても、いろいろな対立があるということであったとしても、その対立の解決の手段としてテロを使うということは卑劣きわまりないわけでございまして、テロは徹底的に糾弾をされるべきであると思います。

 国際社会がそういった問題に全体として一致して対応をしていく、取り組んでいくということが重要でありまして、そういう意味で、我が国は、例えば人の移動や資金の移動や法的な枠組みや、途上国にそういったものについての支援をしたり、我が国自身もそういったことについての条約を批准したりということをやっているわけでございますし、あわせて、貧困、開発のおくれがテロの温床にならないようにODAでさまざまな支援を行っている、そういうことでございます。

一川委員 大臣も今ちょっと触れられましたように、やはりこういったテロが発生する背景、要因という中には、確かにテロリストそのものに貧しい人はいないかもしれません、中には豊かな人もいるような感じもいたしますけれども。しかし、彼らがそういうことを起こす一つの理由づけとしては、やはりいろいろな経済的な格差なり貧困なり、そういったことを理由づけにしていろいろなことが動くケースも多いわけでございますけれども、我が国としては、やはり過去のいろいろな経験を踏まえながら、開発途上国なりそういう国々の気持ちを十分理解する中で、こういうことが発生しないように、根っこのところを絶やすように、いろいろな努力を引き続きやっていくべきだなというふうに私は思っております。

 そこで、文部科学省の方はいらっしゃいますか。もう二年間テロから経過し、それからイラクの戦争が三月に開戦された、そういう事実があるわけですけれども、この九・一一テロなりイラクの戦争ということについて、学校の現場ではどういうような教え方をしているか。それは単なる事実関係だけを教えているのか、それについては教科書等にはどういう記述がされているか。私は全部を見ているわけじゃありませんけれども、そこのところをまず教えていただきたいと思います。

近藤政府参考人 お答えをいたします。

 学校教育におきまして、我が国の将来を担う児童生徒が社会に対する関心を高め、国際的な視野を広げるということは大変重要なことであろうと考えております。

 お尋ねの米国同時多発テロ事件でありますとかイラク戦争につきましては、私どももすべてを知っているわけではございませんけれども、例えば、小中学校の社会科の授業などで、みずから調べたり、どのように考えるか討論をしたりするような、そういった授業でありますとか、新聞やテレビなどを通じてどの程度知っているかについてのアンケートを行い、こういった問題を考えるきっかけを提供するような授業、こういったもののいろいろな事例が見られるわけでございます。

 具体的にどのような社会的事象を取り上げ、どのように指導するかは、各学校におきまして適切に判断されるべきものではありますけれども、私どもの基本的な考え方といたしましては、その際、児童生徒の発達段階に応じまして、事実を客観的かつ偏ることなく伝えるとともに、公正な判断ができるよう指導することが適切であると考えております。

 なお、イラク戦争につきましては、ことしの三月のことでございますから、私ども調べた限りでは、小中高等学校とも教科書の記述はないのでございますが、二〇〇一年九月の米国同時多発テロ事件につきましては、中学校の社会科で四社ほど、あるいは高等学校の現代社会では九社ほど記述があるところでございます。

一川委員 この九・一一のテロの問題なり、またイラク戦争の問題、もうほとんど毎日ぐらい、その当時はテレビ等で放映され、そしてまた新聞等でも報道されていたということでございますので、小さな子供さんといえども、当然ながらそういうことに関心を持っているのは事実でございます。今御説明がありましたように、事実関係を正確にしっかりと伝えながら、子供さんにもいろいろな面で世界平和について考えていただくということは非常に大事な問題でありますので、文部科学省といたしましても、しっかりとした問題意識を持っての指導方をよろしくお願いしたい、そのように思っております。

 さて、最後に、最近、イラク戦争に関連して、特に国連のいろいろな動きが報道されております。私たちも、さきの国会においては、野党の皆さん方の御意見を集約してこの委員会でも決議案を出させていただきましたけれども、この委員会では否決されました。しかし、そこに書いてある精神は、国連中心的な、そういうしっかりとした国際平和、国際協調的な、そういうやり方を取り返すべきだということも踏まえたことがあります。

 最近の国連のいろいろな動きというのは、ある面では我々がかねてから主張していたことに近いような動きになりつつあるわけですけれども、我が国としては、今日、国連が動いていること、また国連に対していろいろ要請されているところが当然あるんだろうと思いますけれども、我が国はこの国連をこれから大いに前面に出してイラクの復興支援というものをやっていこうというスタンスに立っているのかどうか、そこははっきりしませんけれども、基本的に我が国の対応方針、それから我が国の役割というものをどのように考えておられますか。そのあたりを御説明願いたいと思います。

川口国務大臣 基本的な考え方ですけれども、我が国といたしましては、今安保理で新しい決議が議論をされているわけですが、安保理が新しい決議を採択しまして、イラクの復興や安全確保に向けた国際協調が一層強化をされるということが重要であるというふうに考えております。今後、引き続き安保理での協議の状況については注視をしていきたいと思います。

 そして、我が国といたしまして、国連、これはこの間国連に行きましたときにアナン事務総長にも申し上げたことでございますけれども、国連がこのたびのイラクでのテロの後でも引き続き国連職員を、削減はしましたけれども、イラクからは撤退をしないという立場を貫いているということを高く評価いたしております。そういったもとで、我が国として、我が国にふさわしいイラクの復興のための貢献を国際的に行っていきたいというふうに考えています。

一川委員 終わります。どうもありがとうございました。

衛藤委員長 一川君の質疑は終了いたしました。

 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 私は、六月に、日本共産党の調査団の一員としてイラクに行きまして、さらに八月には、本委員会の調査団の一員としてイラク並びにアフガニスタンに行ってまいりました。

 今でも非常に悔しい思いで思い出していますのは、イラクの国連特別代表デメロさんの死であります。私たちもバグダッドでお会いをいたしました。彼は、イラクの現状について、イラクは五千年の歴史を持つ古い国だ、国連の設立当初からの加盟国である、その加盟国であるイラクが安保常任理事国二カ国によって占領されている、本当にイラクの復興にとって必要なことは、イラク人のみしか運営できない政府の機能、これを早く打ち立てることが必要だ、このように言っておりました。

 それから、アメリカの占領、治安活動に対するイラク国民の憎しみの感情というのは、我々が六月に行ったときよりも蔓延している、こういう印象を非常に強く持ったわけです。

 さらに、アフガニスタンに行きましたら、結局、アフガニスタンのカルザイ政権というのは、カブールの範囲内にしかその統治能力は、それもNATO軍の治安活動によってようやく抑えられていて、地方には、地方の軍閥の暴力による支配に逆戻りしている、そのすき間をねらってタリバン、アルカイダ勢力が台頭してきている。そのことにカルザイ大統領は頭がいっぱいで、ここにおられる中谷前長官が海上阻止行動について説明をしたら、日本はそういうことをやっていたのかと。こういうことさえ知らないような現状があるぐらい、地上の治安の方が頭がいっぱい。

 結局、私は、暴力による介入というのは暴力の連鎖しか生まない、テロの脅威や土壌を除去するといいながら、テロの土壌を広げているんじゃないか、こういうことを、イラクにわたる二度の調査、そしてアフガニスタンに対する調査、さらには、二年前に私、パキスタンの国内も調査をしてきておりますので、このことを強く思っております。

 きょうはそのことについて逐一議論をしていきたいところですが、さらにもっとたくさんの議論の時間がこれからとられていくと思いますので、私は、去った国連総会でのアナン事務総長の発言について、ここで政府の認識をただしていきたいと思います。

 アナン事務総長は、今度の演説で、国連憲章五十一条は、攻撃された場合、すべての国が自衛の固有の権利を有することを規定している。しかしこれまでは、国家がそれを超えて、国際の平和と安全へのより幅広い脅威に対処するために武力の行使を決定するには、国連が与える特別の正当性が必要だと理解されてきた。こう述べて、この普遍的な原則が、こうした理解はもはや通用しないと唱えている国がある。国家には先制的に武力を行使する権利と義務がありとして、国家は安保理での合意を待つ義務はなく、かわりに、単独で、あるいは臨時の連合を組んで行動する権利を保持しているということになる。この論理は、たとえ完全でないにしても、過去五十八年間、世界の平和と安定が依拠してきた原則に対する根本的な挑戦である。このように演説をしているわけです。

 そして、もしこれが受け入れられるなら、それが先例となって、正当性のいかんにかかわらず、単独行動主義による不法な武力行使の拡散を招く結果になることを懸念する。今日の国際情勢について、こういう演説をアナンさんはいたしました。

 このアナン演説の発言、どのように政府は受けとめておられますか。

川口国務大臣 アナン事務総長が一般討論演説で言われたこと、今委員がおっしゃったことですけれども、これは一つの大きな問題提起であるというふうに思います。

 その問題提起は何かといいますと、一方で、大量破壊兵器による警告なしの攻撃といった平和と安全に関する新しい脅威というものがあるということでして、国際社会としてそれにいかに対応するかということについての問題提起をなさっていらっしゃるということだと思います。

 アナン事務総長が言われたことは、繰り返し言いませんけれども、それについて国連として、例えば、テロ等の特定の脅威に対する武力行使を安保理が認める際の基準づくりですとか、安保理を初めとした国連の機能強化に関する議論を進めていくという必要性を強調していらっしゃるというふうに理解をしています。

 私は、アナン事務総長とお話をしましたときに、国連改革の重要性についてお話をいたしました。アナン事務総長は、安保理等を含め、国連の改革をするために有識者の懇談会をつくって、一年とおっしゃったか、短い期間でそれについての結果を出してもらいたいと思っているというふうにおっしゃられ、私は、日本で国連改革の必要性について議論をする、あるいは、そのやり方について議論をするための有識者の懇談会を立ち上げたということをお話をいたしましたら、その成果について、ぜひそれを国連でやる有識者の懇談会での議論にも使いたいので教えてほしいということで、引き続き国連改革について議論を一緒にしていきましょうというお話をさせていただきました。

 重要な問題提起であるというふうに思っています。

赤嶺委員 私は、アナン事務総長の演説全般について重要な問題提起があったかどうかを聞いているんじゃないんですよ、外務大臣に。

 外務大臣は、私に聞かれた部分についての政府の見解は述べないで、アナン事務総長が演説全体の中で言ってきていることを、何となく国連改革だとかという形で言っているわけですが、アナン事務総長の重要な提案について、まあ、何度聞いてもぼかした答弁しかなさらないでしょうから、具体的に聞いていきます。

 アナン事務総長はこう言っていますね。国連憲章五十一条は、攻撃された場合、すべての国が自衛の固有の権利を有することを規定している。しかし、これまでは、国家がそれを超えて、国際の平和と安全へのより幅広い脅威に対処するために武力の行使を決定するには、国連の与える特別の正当性が必要。こう述べたわけですね。

 アナン事務総長のこの部分は、そのとおりですか、そうじゃないですか。

川口国務大臣 そのとおりかそのとおりでないかということの御質問の意味がよくわかりませんけれども、アナン事務総長は二つのことを言って問題提起をしていらっしゃる。それを先ほどかいつまんで申し上げたわけですけれども、もう少し丁寧に申し上げますと、一つは……(赤嶺委員「いいから、言われたことに答えてください。委員長、委員長、委員長」と呼ぶ)

衛藤委員長 ちょっと待ってください。(赤嶺委員「違う答弁しているんですよ。時間のむだですよ。委員長」と呼ぶ)今、ちょっと答弁中ですから、委員長の議事整理権に従ってください。しばらく。

川口国務大臣 一つは、これは、その安保理での合意を待つことなく武力の先制使用を行う権利と義務を国家が有しているという議論が受け入れられるなら、正当性の有無にかかわらず、一方的で無法な武力行使が拡散する先例になりかねないということをおっしゃり、同時にアナン事務総長は、それは単に一国主義を非難するだけでは不十分であって、警告なしの大量破壊兵器による攻撃の脅威にさらされていると感じている国々の懸念に正面から対処しなければならないということをおっしゃっていらっしゃいまして、したがって、テロ等の特定の脅威に対する武力行使を安保理が認める際の基準づくり、あるいは安保理を初めとした国連の機能強化に関する議論を進めていく必要性ということを強調していらっしゃる。

 それは大変に適切な問題提起であり、我々としても問題意識を共有し、したがって、意見交換をしていこうというお話をしたわけでございまして、これは、それぞれアナン事務総長の問題の見方でございますから、その一部をとって、それはそのとおりかどうかということについては、それは、そういう問題提起をアナン事務総長がなさったということであって、問題提起、二つの側面がある問題提起というのは、私は非常に適切な問題提起であるというふうに思っているわけです。

赤嶺委員 アナンさんはアナンさん自身の見解を述べたんじゃないんですよ。先ほど私が読み上げたところは、国連憲章第五十一条についての国連の普遍的な原則ですよ。その普遍的な原則の部分を述べた、これについては、そのとおりですねと。いわば五十一条は、攻撃された場合、固有の自衛の権利を持つとともに、それを超える行動に国家が出ようとした場合には、それは国連が与える特別の正当性が必要だと述べた、これは日本政府もそのとおりですねと。これは、アナンさんの見解どころか、国連の普遍的な原則じゃないですか。それはそのとおりですねと聞いているんですよ。裏ないですよ。何か別のことを聞こうとしているんじゃないんです。まさにそのことを聞いているんです。そのことにきちんと答えてください。

川口国務大臣 国際法的に正当な武力の行使というのは、五十一条による自衛、あるいは国連によって正当化された、国連決議等ですけれども、そういう場合であるということは、そのとおりであります。

赤嶺委員 最初からそういう答弁をやればいいんですよ。わざわざ時間をむだ遣いして議論を混乱させている。聞かれたことに答えてください。

 それで、先ほど外務大臣が引用したところです。国家は安保理での合意を待つ義務はなく、かわりに単独で、あるいは臨時の連合を組んで行動する権利を保持している、もしこれが受け入れられるなら、それが先例となって、正当性のいかんにかかわらず、単独行動主義による不法な武力行使の拡散を招くと。ここは、先ほど外務大臣も読み上げられました。

 そして続いて、この論理は、たとえ完全でないにしても、過去五十八年間、世界の平和と安定が依拠してきた原則に対する根本的な挑戦である、こういうことは。根本的な挑戦であるとアナン氏は述べました。これについて、政府はどのように考えますか。

川口国務大臣 国際社会として、今それは挑戦を受けている課題であるということで、これについての回答はみんなで出していかなければいけない。他方で、先ほど申しましたように、警告なしの大量破壊兵器による攻撃の脅威というのを感じている国があるということについて、対処が必要であるというふうにアナン事務総長はおっしゃっているわけで、そういった意味で、挑戦に国際社会として全体で対応していかなければいけないということであると思います。

赤嶺委員 そうすると、あれですか、政府としては、国連の普遍的な原則である五十一条の問題や、あるいは国連の合意という普遍的な原則に対する挑戦的なことが存在しているということは認めるわけですね。そうでしょう。だから次のことを考えていこうという提案をしたと言っているわけですから、挑戦であるということは認めるわけですね。

川口国務大臣 何が挑戦であるとおっしゃっていらっしゃるのか、主語がよくわかりませんけれども……(赤嶺委員「いやいや、アナン氏の言ったとおりですよ」と呼ぶ)アナン氏は、そういった問題意識を持って両方の立場を述べ、そして、それについて議論をしていかなければいけないということを言ったということであります。

 特に、今の世界において国連の憲章というのはきちんと守られているというふうに私は思っておりますし、特にイラクのことについて委員がおっしゃって、示唆をしていらっしゃるということであれば、イラクの場合については、これは再三御説明を申し上げているように、国連憲章にのっとって正当な武力行使が行われたというふうに考えております。

赤嶺委員 外務大臣、恥ずかしいですね。あなたも国連総会のその場にいたんでしょう。いて、あなたも演説しているわけですよ。

 この挑戦がイラク戦争を示唆するものであるかもしれないと委員がおっしゃるのであれば、それは示唆するものではない、今の国際社会はアナンが言った国連の普遍的な原則は守られている、政府の見解はそういうことですか。国連総会で、アメリカの単独行動主義、先制攻撃戦略について他国もみんないろいろ発言していますよ。私たちはそれを全部翻訳して目を通しております。どこの国がどんな発言をしたかというのはわかります。これを、今ここで言われている根本的な挑戦というのはあのイラク戦争のことではなかった、こういうことをおっしゃりたいんですか。

川口国務大臣 アナン事務総長が具体的に、何がそうであったというふうにおっしゃったわけではないわけでございます。

 私ども日本国の政府としては、前回の三月の武力行使、イラクに対する武力行使については、国際法上正当なものであったというふうに考えております。

赤嶺委員 そうすると、あれですか、アナン事務総長はイラク戦争とは無関係にああいう国連演説をやったんだ、こういう理解ですか。もう一度聞かせてください。

 全く関係ないんですか、イラク戦争とは。イラク戦争とは関係なしに、国連憲章五十一条や安全保障理事会の国連の合意という問題が今国際社会の挑戦を受けていると。考えられないですね。イラク戦争を除いてそういう国連の普遍的な原則が挑戦を受けているというのは、どこをどうひっくり返せば今の世界を見て出てくるんですか。この挑戦というのはイラク戦争とは全く無関係だということですか。

 アナンさんが言っているかどうかの話じゃないですよ。ここをそんたくするのが政府でしょう。アナンさんがアメリカのイラク戦争という文言を使ったかどうか、こんなことを聞いているんじゃないですよ。国際社会での見識を聞いているわけですからね。この挑戦というのはイラク戦争のことでしょう。

川口国務大臣 我が国といたしまして、アナン事務総長がおっしゃった問題提起というのは、それは、国際社会でさまざまな議論がなされているわけですから、そういうことを受けて、アナン事務総長御自身の問題意識として提起をなさったということであると思います。それが、アナン事務総長がイラクについておっしゃったかどうかということについては、それは私どもの立場ではわかりません。

 日本としては、我が国としては、この問題について申しますと、国際法上、国連憲章上、これは正当である武力行使であるということは、今までずっと申し上げているとおりでございまして、それについての立場には変更はございません。

赤嶺委員 つまり、あなたのような外務大臣がいるから、国連でこういうことが問題になったんですよ。(発言する者あり)どうしてそうなるんだよといって、朝日新聞の社説でどう書いてあったか。「今年の演説で攻勢に出たのはアナン氏だった。国連の承認がなくても先制攻撃の権利があるという米国の論理を、安保理決議に基づく武力行使と自衛戦争しか認めていない国連憲章に対する「根本的な挑戦だ」と、厳しく批判した。 その後にブッシュ大統領が登壇した。「中東全体が安全になった」と戦争の意義を誇りつつ、米英主導の復興に対する国連の助力を促した。だが、各国代表の拍手はアナン氏に対する方が高く、議場はさながら国際世論を映し出す鏡のようだった。」と。

 つまり、あなた方のこのアナン演説に対する認識そのものが、国際社会を映し出す鏡、いかに国際社会の立場からあなた方日本政府が違う見解を持っているか、国際社会から孤立した見解を持っているか、このことのあらわれた答弁だと私は思います。あなた方は今でも、アメリカの戦争が正しい、正しいの一点張りです。こんなことを国連で言う国なんか、ごくごく限られた国ですよ。

 アメリカの国内でも、最近世論調査が発表されております。アメリカが戦争するに値するというぐあいに、今度のイラクの問題で値する、これはCNN、USAツデー、ギャラップ社の共同世論調査になっていますけれども、戦争するに値するというのは、戦争直後、開戦直後は、四月は七六%、九月は激減です、五〇%です。戦争に値しないという答えをしたのは、四月は一九%、九月は四八%です。だんだん戦争に値しないという国民の声がアメリカでも大きく広がってきた。イギリスも、ガーディアンの世論調査が最近発表されております。正当化されると答えた人は、四月は六三%、九月は三八%、半分に減っています。正当化されないというのは、四月が二三%で、九月が五三%、この世論の変化ですね。

 国連憲章での、国際社会からのアメリカの単独行動主義への批判、先制攻撃戦略への批判、そしてアメリカやイギリス国内での世論の変化、これはどのように見ていますか。

川口国務大臣 米国について、先制攻撃戦略をとっているのではないかという批判が国際社会にあるということは、委員がおっしゃっていらっしゃるとおりだと思いますけれども、私は、それは当たっていない。

 というのは、米国みずから、米国の国家安全保障戦略は、米国が脅威に対して先制的に対処するために必ず武力を行使するとしているわけでもございませんし、また先制を侵略のための口実としてはならないということを言っているわけでございます。我が国がよその国の国際法の解釈について有権的にこれを行うということはできませんけれども、米国は、いずれにいたしましても、国際法上の権利と義務に合致をした行動をとるというふうに私どもは考えております。

 それから、世論調査の数字についてどう思うかということをおっしゃられましたけれども、我が国の例えば小泉内閣に対する世論調査の数字を見ても、高かったり、下がったり、また上がったりとしているということは委員もう御承知のとおりでございまして、それは広く全体を見て言わなければ、考えなければいけないということだろうというふうに考えております。

赤嶺委員 あなたは全然、答弁をそらしているのか、あるいは、アメリカの戦争が正義だと言うにはそういうごまかしをやらざるを得ないのか、どちらかわかりませんけれども、私がさっき聞いたのは、アメリカ国民とイギリス国民のイラク戦争への世論の変化であります。自国民でさえも、間違っているんじゃないかと言い出している。そして国連では、国連の普遍的な原則への挑戦であると言い出している。それに対して、今なおアメリカは正しいと言っている。非常に国際的に日本の外交というのは孤立していると思います。

 フランスのシラク大統領は、安保理の承認なく行われた戦争は多国間主義的システムを揺るがしたと。カナダの首相でさえ、我々のすべては我々が国連を通じて多くの世界的な挑戦に成功裏に対応してきたことを認めている、しかし、我々はそうではない方法では失敗してきたことを認識している。国連の理解なしに進める戦争は失敗してきている、カナダの首相がそういうことを言っているんですよ、カナダの首相が。

 ですから、皆さんが、首相の所信表明演説で、日本の外交は、日米同盟と国際協調が日本外交の基本ですと言っていても、国連で孤立して、結局残るのは日米同盟じゃないですか。国連の普遍的な原則に反する、日米同盟にしがみついている、私は今の答弁をこのようなものとして聞きました。

 それで、もう一つ聞きますけれども、国連安保理の多数国は、イラク戦争の開始前に、イラクの大量破壊兵器の問題を査察を通じて解決しよう、こう主張してきたわけですね。

 それで、イラクの大量破壊兵器は、先ほども質問がありましたけれども、情報操作の疑惑、あるいは、CIAのテネット長官はウラン購入疑惑については責任を認め、ラムズフェルド国防長官は、開戦前に新たな劇的証拠を持っていたわけではなかった、そして同時に、同時多発テロにフセイン政権が関与したことを示す証拠がないことも既に認めているわけですが、CIAは、私たち、バグダッドでサンチェス司令官にも会ったんですよ。大量破壊兵器はどうなりましたかという質問に対して、今一生懸命捜している、しかしイラク国土は広過ぎる、こう言っておりました。

 ところが、一生懸命捜していたアメリカのCIAを中心とする調査団が、近く中間報告を出して、大量破壊兵器は見つからない、これまでのところ見つかっていない、こういう中間報告を出すやに聞いているわけですが、報道でもあるわけですが、これについては政府はいかがですか。

川口国務大臣 このCIAの報告書についてでございますけれども、これは、米国政府は今作成中である、そして、中間報告であって、これは何らかの結論を予断するものではないというふうに説明をしているというふうに聞いております。

 私どもは、これを、作成中ということでございますので、その中身については今の時点で把握をしているわけではございません。

赤嶺委員 そのCIAの中間報告が出たら、もう一度議論したいと思います。最終報告が出たら、さらに議論をしたいと思いますが、しかし、イラクの戦争前に査察委員会の委員長を務めたブリクスさんは、最近のインタビューに答えて、イラクが大量破壊兵器のほとんどを九一年の夏に廃棄したとの確信をますます強めている、米国の攻撃を抑止しようと、そうした兵器を保有しているかのように偽装していたとの見方を示しています。ブリクスさんですよ、これ。ブリクスさんがそういう見方を示しているんですよ。

 もう、大量破壊兵器が存在すると断定して戦争を始めたアメリカの行為、これを支持していた日本政府の態度というのは間違っていたというぐあいに指摘せざるを得ません。いかがですか。

川口国務大臣 イラクが、これはUNSCOM、UNMOVICの報告書にもございますように、かつてみずから大量破壊兵器を持っていたということを申告している、そして、それがきちんと廃棄をされたかどうかということについては、これは国連の調査団が確証が持てないということを言っているわけでございます。

 我々としては、米国、英国等が引き続きこれについてただいま調査をしていますので、その状況を注視し続けてまいります。

赤嶺委員 今の川口外務大臣の態度こそ、アナン事務総長が指摘した、国連が与える特別の正当性を必要なしに始めた戦争に大量破壊兵器がまだ見つかっていない今でもしがみついている、こういう国際的な孤立を深める日本外交、対米従属外交を直ちに改めて、そしてテロ法、イラク特措法も撤回することを求めまして、私の質問を終わります。

衛藤委員長 これにて赤嶺君の質疑は終了いたしました。

 次に、今川正美君。

今川委員 社会民主党・市民連合の今川正美です。

 この法案を審議するに当たりまして、実は、昨日の本会議で我が党の土井党首が次のように政府に求めました。つまり、一昨年の十一月以来、約二年近くにわたって自衛隊がインド洋等に派遣をされました。少なくとも、この法案をあと二年間延長することにかかわる是非をめぐっては、この約二年近くの自衛隊等の活動の実績、その検証と総括をきちっとやることが前提だろうというふうに私は思うんです。

 その前提となるのはやはり、私は毎回委員会でも申し上げていますが、一つの例として、インド洋、アラビア海方面に派遣をされている自衛隊の艦船の活動の実態、その一番肝心なところは、残念ながら我が政府は、軍事機密を盾にとって、この国会でも明らかにしてくれません。もっと情報をオープンにして、与野党の我々議員が真摯に検証をし、議論をする、そういうことがやはり基本でなければならない、私はそう思います。

 ちなみに、半年置きにこの派遣期間を延長してきましたけれども、そのたびに福田官房長官の方からは、半年間にわたる政府報告ということをこの場で御報告がありました。私どもは、そのいわば演説のもとになるこういうペーパーをその都度いただいています。

 しかし、今回、この特措法の期限そのものが十一月一日で切れるという状況に入っているわけですから、今申し上げたように、この約二年間の自衛隊による活動実績はこうだった、あるいはこの法律が目的としている国際テロを防止する、そういったことの国際的な活動に関して、この約二年間、我が国としてそういう活動にかかわってみて、成果のあった点、あるいは不備があった点、いろいろな点を少なくともきちっと内閣としてこの委員会に報告をなさるということがあってしかるべきだと思うんです。

 しかし、残念ながら、半年置きにこういうペーパーを出されておるものの、この期限が切れるこの委員会で一切そういう報告が省略をされてしまっておることに、私は非常に問題を感じるわけであります。

 さて、具体的に質問いたしたいと思いますが、まず第一は、私のところの佐世保の地元紙、長崎新聞の九月十四日付の新聞報道をもとに質問いたしたいと思います。

 この新聞報道によりますと、米国テロ事件があった直後の話です。二年前の九月の下旬、いわゆる海上自衛隊が米海軍佐世保基地の米警備艇に海自隊員を乗艦させて、米兵とともに強襲揚陸艦エセックス周辺の警戒任務につかせていたことが米基地関係者の証言で明らかになった。防衛庁の海上幕僚監部は、そうした乗艦の事実を認めた上で、佐世保港内での海自艦艇の安全運航を確保するための連絡官、通訳が目的だった、防衛庁設置法第五条に基づく調査研究の一環というふうに説明をしたとありますけれども、まず、この事実確認をしたいと思いますが、防衛庁、いかがでしょうか。

石破国務大臣 先生御指摘のように、平成十三年九月下旬、佐世保地方隊の隊員が佐世保港内、恵美須湾におきまして米海軍の警戒用ボートに乗艇をしたということは、これは事実でございます。

 これは私どもの方でも調べてみましたが、おととしの九月の下旬というのは、九・一一の直後でもあり、海外に展開をする合衆国としても、極度の警戒態勢、そしてまた緊張状態にあったということは、これは事実でございます。

 当時、この恵美須湾に錨泊をしておりました船が、私どもの護衛艦「おおよど」「せんだい」「とね」、掃海艇「おぎしま」「なおしま」などが錨泊をいたしておりました。そのときに、本当にその近づいてくる船、それが遊漁船であれ小さなボートであれ、そうなのですが、それがテロではないかということに対する極度の警戒心があった。

 それで、その場合に、無用のトラブルというのを避けていかなければ、我々の船というものの安全も図ることができない、円滑な運航というものも図ることができない。その一環といたしまして、我々の隊員がアメリカの艇に乗りまして、通訳ということをやっておった。すなわち、この船に近づいてはならないとか、この船から離れよとか、あるいはそういうようなことを、意思の疎通を図るというような目的でこの船に乗っておったということだと考えております。

 これは何に基づくものかと考えてみますと、これは我々の隊務の一環としてそういうことを、安全に我々の船が運航するというような、隊務の一環として行ったというふうに私としては現在把握をしておるところでございます。

今川委員 これは、防衛庁長官、この時期ですね、二年前の九月の下旬でありますから、まだこのテロ対策特措法が成立をする以前でもあります。それから、それに関連した、いわゆる在日米軍基地等の警備に当たる、そういった警戒任務を追加した一部自衛隊法の改正の成立の以前でもあるわけですね。

 もう少し具体的に申し上げますと、地元の海自総監部によると、九月の二十日から三日間、佐世保地方隊の英語ができる隊員、延べ二十八人を米警備艇に乗艦させたんだと。さらに、その際、自動小銃などで武装した米兵が指揮する米警備艇LCU、三百七十五トン、三隻がエセックス周辺で二十四時間体制で警戒を続けた。海上自衛隊は、それぞれに隊員一人を乗せ、一尉の幹部を責任者に海曹ら数人がローテーションを組んでいたというわけですね。

 これは事実上、今申し上げたとおり、米国テロの直後ですから、当然、米海軍は臨戦態勢をとっています。そこに、米警備艇に乗艦をして、事実上米軍の指揮下に入って、通訳であろうが何であろうが、やるということは極めて問題があるんじゃないですか。海自の説明では連絡官、通訳と説明しているけれども、国際法では、国旗を掲げた軍艦などはその国の領土の一部とみなされて、米警備艇の指揮を受けていたと見るのが当然なんですね。

 今、ここに私は記事を持ってきていますけれども、ここに写真がありますように、明らかに米国旗を掲げた警備艇に、この左から二番目は、これは海上自衛隊の自衛官です。これは、事実上、集団的自衛権の行使という概念の中に入り込む行為ではないですか。石破長官、いかがですか。

石破国務大臣 形式論理で恐縮でございますが、そこにおいて行っておったことは、当然武力の行使を行っておったわけではございません。通訳ということをやっておったわけでございまして、集団的自衛権の定義には当たらないということだと思っております。

 加えまして、先ほど申し上げましたように、この恵美須湾内には我が方の艦艇が錨泊をしておったわけでございます。民間船舶と合衆国船舶との間にトラブルが起こったといたしますと、それは、結果として我々の海自艦艇の運航にも大きな支障を来すということになります。

 これは、アメリカの指揮のもとに入り、アメリカの船を守るために通訳をしておったとか、情報の伝達をしておったということではございませんで、これは、私どもが同じ恵美須湾に錨泊をしておったわけでございますから、その極度の緊張状態にありますアメリカの船に民間の船舶が近づいていく、それによって、アメリカのROEを私は全くつまびらかには存じませんが、それによっていろいろな行動が起こることによって、結果として、我々の海自艦艇の運航というものに支障を来すということを回避するために行ったものでございまして、これは隊務の一部というような評価をいたしております。

 集団的自衛権に当たるかと言えば、これは武力の行使でないから当たりませんし、指揮下に入って行ったのかといえば、アメリカの船を守るために指揮下に入って何かを行ったという事実はございません。

今川委員 石破長官、言葉を返すようですが、集団的自衛権をめぐっては、あなたも以前ホームページにも詳しくお述べになっているように、そういう武力行使を直接したかどうかとか、米軍を守るために警備艇に乗ったかどうかというふうに、意図的に狭く解釈すべきじゃないと思う。

 実際には、通訳だったら、佐世保の米軍基地の日本人従業員の中に幾らでも通訳できる人がいるわけですから、それを乗せれば済むことですよ。それから、佐世保の港の中で、そういう艦船等の、民間船も含めて、トラブルを防止するためというのであれば、海上保安庁がいるじゃないですか。そういう問題ではないんです。

 地元紙があえて問題にしたのは、もう一度申し上げますけれども、当時、佐世保の港内では、海上保安部などが連日五隻から十隻の巡視艦艇とヘリコプターでエセックス周辺を警戒しておったんです。そういう状況ですよ。その中で、今申し上げたとおり、海上自衛隊の自衛官たちが、米兵が指揮している警備艇に乗って、通訳ができる自衛官、米軍とともに行動している。武力行使をしていないのは当たり前です。そういうことが自衛隊法の一部が改正される以前にできるのですかということを問うているんです。

 だから、このテロ特措法が通ったときに、石破長官、いいですか、米軍基地を警戒任務につけるように一部改正されました。そういう法改正ができる以前の状態であるにもかかわらず、こういうことが行われている。

 あわせてもう一点聞きたいのは、これは防衛庁長官としての指示があってからの行動じゃないですね。少なくとも、海自佐世保地方総監部の独自の判断で行われたと思うんですが、どうですか。

石破国務大臣 これは先ほど来御議論がございますが、集団的自衛権もこれは広義と狭義とございます。

 委員がおっしゃいますように、広義に解するとするならば、すなわち情報の交換まで含めてこれは集団的自衛権だ、後方支援も含めて集団的自衛権だということになりますと、武力の行使をしていませんからと申し上げました私の議論というのは通らないのだろうと思います。

 ただ、日本政府として集団的自衛権というのを解釈いたしますときには、それは武力の行使、我が国が攻撃を直接受けていないにもかかわらず云々かんぬんというものでございまして、これを狭義というふうに仮に申し上げるとするならば、私は、狭義の集団的自衛権には、当然武力の行使をしていないのだから当たらないということを申し上げただけでございます。

 後段のお尋ねでございますが、これは、米側の要請に基づきまして我々の海自の自衛官がこのアメリカの船に乗船をしたものではございませんで、私どもの方から要請をし、この米側の艇に乗艇をしたものでございます。

 それは、先ほども申し上げましたように、そのアメリカの船に民間の船舶が近づく、そこにおいてトラブルが発生することによって我々の艦艇の運用に影響を与える、そういうことが起こらないために、我々の方から隊務の一環といたしましてアメリカに申し入れまして、これに乗船をいたしたものでございます。

 したがいまして、これは防衛庁長官の命によって行ったというわけではございませんで、委員御指摘のように、佐世保総監部の判断により、隊務の一環としてそのアメリカの艇に乗艇をしたというふうなものが事実関係でございます。

今川委員 石破長官、いわゆる自衛隊の艦船が一番最初にインド洋に派遣されるときには、まだこのテロ対策特措法が成立する以前でしたから、同じく防衛庁設置法に基づいて、調査研究という名目で、かなり苦し紛れに佐世保から三隻の護衛艦等を派遣したんでしたね。その後、この同法が成立をしてからインド洋で合流をしていく、そういう経過が二年前にありました。

 ですから、今回も総監部等の説明によると、防衛庁設置法第五条、調査研究を法的根拠としているという、非常に苦し紛れの釈明をせざるを得なかったんですね。

 集団的自衛権に関しては、長官との間で限られた時間の中で空中論戦をやろうと思いませんが、少なくともこの間の委員会の中で、石破長官とこういうやりとりをしました。例えば、インド洋、アラビア海に派遣されている補給艦等が、米海軍の高速戦闘支援艦グループ、いわゆるAOEグループの中に、艦隊に、指揮下に入っている、実態としては。ただ、この国会の中で素直にそれをお認めにならない。こういうやりとりをしました。

 しかし、仮に政府の立場、長官の立場に立つにしましても、集団的自衛権行使を避ける意味からも、海上自衛隊は米軍の戦術指揮統制を受けていないというふうに説明されてきたんですね。そうでしょう。しかし、今申し上げた、アメリカの国旗を掲げた警備艇の中に入って、通訳であろうが何であろうが、実際にそういう警備任務についたという事実というのは、武力行使をしていないにしても、集団的自衛権という概念の中に踏み込んでいるではないですか。そこをきちっとやはり見きわめをしなければならないと思います。

 もう一点申し上げたいのは、似たような事態がありました。これも二年前の米国テロ事件の直後でありましたが、米空母キティーホークが、実際はインド洋に直接向かったわけじゃなかったんだけれども、オーバーホールの後、点検、訓練のために一たん出港しますね。そのときも、もちろん当時の防衛庁長官のそういう指示、命令があったわけでもなく、いわば横須賀の海自の独自の判断で空母を護衛するような形をとって物議を醸したことがありましたね。

 私が申し上げたいのは、この佐世保の一件にしましても、まだそういう米軍基地の警護任務につけない状態の中で、防衛庁長官の指示がないにもかかわらず、地方総監部レベルでこういうことをやっていいのかということを問題にしたいのです。(発言する者あり)そうしたら、キティーの関係を、こちらでぶつぶつ言っていますから、ちょっと御答弁ください。

石破国務大臣 私のお答えぶりが悪いのかもしれませんが、佐世保の件に関しましては、純粋に私どものニーズに基づきまして、総監部の判断により、隊務の一環といたしまして、米側に申し入れ、乗船をしたものでございます。この目的は、アメリカのエセックス、この場合、新聞報道によればエセックスでございますが、エセックスの警護が目的ではございませんで、私どもの隊務の円滑な運行、運営というものが目的でございます。

 したがいまして、これは委員御指摘のように、アメリカの警備のために、集団的自衛権の行使はできないという政府の解釈を踏み出し、かつまた長官の指示もなく、法的な根拠もないにもかかわらずやったのだ、こういうような判断を、私としては評価もいたしておらないところでございます。

 キティーにつきましては、今、前長官の方から、それは許可をしたというようなお話がございました。私もそのように承っておることでございまして、これはシビリアンコントロールに反するものでもございません。そして、これを警護という形で行ったのではなくて、調査研究ということの一環として、長官の許可のもとに行ったということに私は何ら問題がないと考えております。

今川委員 実質的に、佐世保の港あるいは横須賀の港もそうなんですが、主要な米艦艇が出ていくときに、見送る態勢で海上自衛隊の艦艇が港内にいるという状態はよく見かけます。しかし、今申し上げたキティーホークの関係は、実質的に警戒任務につく姿になっておったんじゃないですか。それを調査研究とかといったって、何の意味だということになりますよ。

 先ほど申し上げたように、港内の船舶の、軍用船と民間船舶のトラブルが生じないようにするためには、そのための任務というのは海上保安庁にもありますし、通訳が必要であれば米軍基地の日本人従業員もいるわけです。なぜ、わざわざ海上自衛隊の自衛官がそこに乗り込んでいってそういう態勢をとったのかということが問題なんですよ。

 この件はこれで終わりたいと思います。

 二番目ですが、いわゆる米海軍の原潜の寄港に関しまして、例の事前通告にかかわる問題であります。

 まず一点、これは外務省の方にお尋ねしたいのですが、原子力潜水艦の日本寄港は、六〇年の安保条約改定を受けて、最大の政治課題となっていました。そこで、これは一九六四年八月二十四日の米政府の口上書並びに外国の港における合衆国原子力軍艦の運航に関する合衆国政府の声明、この中に明らかに、合衆国海軍は通常、受け入れ国政府の当局に対し、少なくとも二十四時間前にその原子力軍艦の到着予定時刻及び停泊または投錨の予定位置につき通報する、いわゆる二十四時間前の事前通報の問題でありますが、これが、なぜあの当時、約四十年前です、事実上の事前通告制度というのが日米間で確認され、尊重されてきたのか、その意味合いを外務省の方から御説明ください。

海老原政府参考人 お答え申し上げます。

 これは、昭和三十九年に、今川委員の地元であられます佐世保市に初めて米国の原子力潜水艦シードラゴンが入ってきましたときに、日本の中で相当な論議がございました。一番の論点は、原子力に対します日本の国民の方々の感情の問題でございますし、また安全性の問題ということもございました。

 その間、日米間でかなりのやりとりがございまして、それを受けた形で、今先生がおっしゃいましたエードメモワール、そして米国の声明というものが行われまして、いわゆる二十四時間事前通報の制度というのができたわけでございます。

 これによりまして放射能のモニタリングということも可能になりまして、その後、この制度の重要性ということにつきましては日米間で認識が一致して、現在も行われているということでございます。

今川委員 今、政府の方からおっしゃったように、これは、当時、六四年十一月にシードラゴンが入るわけですが、地元佐世保では全国規模の反対闘争が起きました。そういう非常に大きなうねりの中で、我が国は世界で唯一の被爆国でもありますし、原子力というものに関しては、日米両政府とも、非常に慎重にといいますかデリケートでした。

 しかしながら、今回、二年前の米国テロ事件を契機にして、この約二年近く、確かに米海軍側からは我が国の外務省に対して二十四時間前に通報はあっているんでしょう。それが、横須賀、佐世保、そして沖縄というふうに、各自治体までは連絡が来ているんですけれども、米側の要請によって、事前にそうした情報を公開することを避けてほしいという要請があり、今日に及ぶまで、横須賀だって佐世保だって沖縄のそれぞれの地元の住民、市民は、事前にこれまでのように情報を知ることができません。

 そういうふうに情報が伏せられてから、以来、原潜は、佐世保に三十九回、横須賀に二十九回、沖縄のホワイトビーチに二十三回、合計九十一回寄港しているわけです。そして、横須賀、佐世保、それから沖縄の各自治体の首長さんたちは、こうした措置が恒久的なものになる危惧を抱かざるを得ないとして、事前公表を速やかに認めるよう外務省に何度となく要請をしていると思うんですね。

 そして、今は、横須賀でも佐世保でも、米海軍基地は、七月の四日、アメリカの独立記念日には市民に基地そのものを公開している。そういう落ちついた状況下にあるんです。それでなおかつ、なぜ、従前のような、二十四時間前の事前通告があったものをそれぞれの地方自治体の市民に公にしないのか。なぜできないのか、いつになったらできるようになるのか、そこをはっきり外務省の方は御答弁を願いたいと思います。

海老原政府参考人 これは、二十四時間事前通報につきましては、先ほど申し上げましたように行われておりまして、放射能のモニタリングも行われておりまして、その結果については公表もいたしておるわけでございます。

 それでは、その事前通報そのものをなぜ公表しないのか。これは、もうよく委員も御存じのとおり、テロリズムの危険というものが依然として存在している、そういう中で、万が一にも、日本に寄港している米国の原子力艦船に対する脅威が行われる、与えられるというようなことがないようにという警戒の措置ということでございます。

 我々も、地元の方々から、なるべく早く、以前のように事前通報については公表してほしいという強い要望があることは承知もいたしておりますし、米側にも伝えておりますけれども、米側は、依然としてテロリズムの脅威というものは厳然としてある、そういう中において、現時点において公表を再開することはできない、ただ、地元の要望については十分配慮をしてまいりたいということを述べているということでございます。

今川委員 これは、外務省を統括する外務大臣に聞きたい。いいですか。今のような木で鼻をくくったような答弁は、どういうことですか。

 今申し上げたように、この約二年間、では、アルカイダか何かわかりませんが、国際テロの影らしきものが、横須賀、佐世保、ホワイトビーチであったんですか。今申し上げるように、基地そのものをもうオープンにしているんです、米海軍は。原潜だけがテロ組織からねらわれるんですか。通常の艦船を含めて、頻繁に出入りしていますよ。全く理由にならない。

 私が冒頭に、三十九年前に日米政府が、エードメモワールのことも含めて、少なくとも原子力艦艇に関しては二十四時間前に通告をするという事実上の制度化をした、そういうものの歴史的意味合いを私は冒頭に確認したかったからお尋ねしたんです。そういった歴史的な重みがあるはずです。なぜもとに戻せないんですか。米側には言うけれども聞いてくれないということですか。まさしく、小泉総理がおっしゃるように、日本の主体的な判断で、在日米軍基地をオープンにするような状況下にまでもう安定し落ちついているんですから、従来どおり二十四時間前に市民に知らせても何ら問題はないはずです。川口大臣、どうですか。

川口国務大臣 政府といたしまして、原潜に関する情報の公表を地元の方が重視をしていらっしゃるということについては、十分に承知をいたしております。したがいまして、政府といたしましては、寄港についての情報の公表が可能になり次第速やかに再開をしてほしいということを、米軍に対しては引き続き今申し入れをしているわけでございます。

 この件は米軍の警戒レベルに関することでございまして、政府としては、頻繁に申し入れはしておりますけれども、いかなるタイミングで米軍がこれを改めるかということについて、今の時点で確たることを申し上げることはできないということでございます。

 まさに原潜というのは、一たん上からの攻撃にさらされるということがあった場合には、非常に無防備なものである。もし何かあった場合には、その影響は非常に大きいということが背景としてあるかと思います。

 政府としては、引き続き米軍に対して、その公表が可能になった時点で、できるだけそれは速やかに再開をしてほしいということの申し入れは続けていく所存でございます。

今川委員 外務大臣、一度、私の地元、佐世保に来てみてください。米海軍基地がどのような、フェンスの中で厳しい警戒態勢のもとにあるのか。今、警戒ランクとおっしゃった。二年前の、米国であの痛ましいテロ事件が起こったときには、確かに警戒ランクがぐんと上がりましたよ。今は通常に戻っているんです。

 佐世保の港の形状を見てほしいんです。どこに接岸しているのか、あるいは、最近はちょくちょく、沖合で二、三十分停泊して、すぐ、そのままUターンして出港するケースもありますけれども、およそ、テロ組織らしきものがねらいをつけ、今おっしゃった、空から攻撃をしかけるなんということは、現場に来て判断してみてください。そんな寝とぼけた答弁にはならないですよ。

 三自治体の首長が、それぞれ地元の事情に一番明るいわけですから、もう従来の状態に戻してもいいではないですかということを切実に求めているんですよ。あなたは日本政府の外務大臣でしょうが。なぜその程度のことができないんですか。本当に国際テロ組織がねらうんですか。佐世保に来て、ごらんになったことがあるんですか。もう一度答えてください。

海老原政府参考人 一つだけ事実関係を御指摘させていただきますけれども、今、在日米軍の警戒レベルが一昨年の九月十一日のときと同じ状況に戻っているという御指摘がありましたけれども、これは、あの当時がノーマルという警戒度でございますけれども、現在は、それの上のAというもののさらに上のAプラスという警戒レベルを依然として維持しているということでございます。

今川委員 時間が参りましたので、これで終わりたいと思いますが、あと、具体的に、インド洋に派遣された問題に関しましては、また後日、この委員会で質問いたしたいと思います。

衛藤委員長 今川君の質疑は終了いたしました。

 次回は、明十月一日水曜日午後零時三十分理事会、午後六時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後七時四分散会

     ――――◇―――――




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