衆議院

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第5号 平成16年11月25日(木曜日)

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平成十六年十一月二十五日(木曜日)

    午後一時三十分開議

 出席委員

   委員長 船田  元君

   理事 西田  猛君 理事 三原 朝彦君

   理事 渡辺 具能君 理事 小泉 俊明君

   理事 末松 義規君 理事 藤田 幸久君

   理事 佐藤 茂樹君

      宇野  治君    大島 理森君

      嘉数 知賢君    川上 義博君

      岸田 文雄君    斉藤斗志二君

      桜井 郁三君    竹本 直一君

      武田 良太君    谷本 龍哉君

      玉沢徳一郎君    寺田  稔君

      中山 泰秀君    西銘恒三郎君

      浜田 靖一君    平沢 勝栄君

      宮澤 洋一君    山口 泰明君

      市村浩一郎君    大石 尚子君

      大出  彰君    岡島 一正君

      岡田 克也君    吉良 州司君

      篠原  孝君    島田  久君

      神風 英男君    首藤 信彦君

      鈴木 康友君    中川 正春君

      長妻  昭君    鳩山由紀夫君

      本多 平直君    牧  義夫君

      赤松 正雄君    丸谷 佳織君

      赤嶺 政賢君    照屋 寛徳君

    …………………………………

   議員           末松 義規君

   内閣総理大臣       小泉純一郎君

   外務大臣         町村 信孝君

   国務大臣

   (防衛庁長官)      大野 功統君

   防衛庁副長官       今津  寛君

   外務副大臣        逢沢 一郎君

   政府参考人

   (防衛庁防衛局長)    飯原 一樹君

   政府参考人

   (防衛庁運用局長)    大古 和雄君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 鶴岡 公二君

   政府参考人

   (外務省中東アフリカ局長)            吉川 元偉君

   衆議院調査局国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動並びにイラク人道復興支援活動等に関する特別調査室長        前田 光政君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月二十五日

 辞任         補欠選任

  西村 康稔君     中山 泰秀君

  市村浩一郎君     岡田 克也君

  岡島 一正君     鳩山由紀夫君

同日

 辞任         補欠選任

  中山 泰秀君     西村 康稔君

  岡田 克也君     市村浩一郎君

  鳩山由紀夫君     岡島 一正君

    ―――――――――――――

十一月二十二日

 イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法を廃止する法律案(鳩山由紀夫君外七名提出、衆法第九号)

同月十六日

 イラク多国籍軍からの自衛隊の撤退に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二二二号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二二三号)

 同(志位和夫君紹介)(第二二四号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二二五号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第三一五号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法を廃止する法律案(鳩山由紀夫君外七名提出、衆法第九号)

 国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動並びにイラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動等に関する件


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     ――――◇―――――

船田委員長 これより会議を開きます。

 国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動並びにイラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動等に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として防衛庁防衛局長飯原一樹君、防衛庁運用局長大古和雄君、外務省大臣官房審議官鶴岡公二君及び外務省中東アフリカ局長吉川元偉君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

船田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

船田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。西田猛君。

西田委員 自由民主党の西田猛でございます。

 きょうは、総理、APECからのお帰りのすぐ後、国会への早速の御出席に心より敬意を表したいと存じます。また、防衛庁長官におかれましても外務大臣におかれましても、早速の国会御出席、ありがとうございます。心より敬意を表したいと存じます。

 さて、イラクに対します我が国の取り組みは、第二次世界大戦後の世界の平和と安全そして繁栄に対する世界と我が国の取り組みの大きな流れに沿うものでございます。

 すなわち、一国は世界のためにありますし、世界は一国のことを無視してはならない。そしてまた、主権国家だからといって、自分の国の中のことは他国には全く干渉させない、自分たちで好きなようにやるんだ、自国民はどう扱ってもいいというふうなことが許される世の中ではございません。したがって、世界のコミュニティーが世界の国々のこともしっかり考える、そういう時代でございましょう。そういう意味では、世界新秩序というふうな考え方がとられているところでございます。

 その意味では、今般のチリ・サンティアゴでのAPECの会議も、テーマがこのようなものでございました。ワン・コミュニティー・アワー・フューチャー、一つの共同体、我々の未来ということでございまして、まさに、今私が述べましたような第二次世界大戦後の世界の流れに沿うものでございます。

 さて、その中で、イラクの問題とともに、日本を取り巻くいろいろな問題が提起されたようでございまして、これは、総理がその首脳会議から帰られて最初の国民の皆様への露出でございますので、ぜひ総理御自身のお言葉でお話しいただければと存じておるのですけれども、中国の胡錦濤主席と総理との間で、総理の靖国参拝問題あるいは中国の潜水艦による我が国の領海侵犯なども含めた日中関係のお話がなされたと思います。どのようなやりとりがなされたのかも含めた、APEC全体の総理の御感想をお聞かせいただければと思います。

小泉内閣総理大臣 チリでのAPEC会合は、二十一の国と地域の首脳が一堂に会しての会議であったわけであります。経済交流、アジア太平洋地域の拡大を目指してこの会合が最初に創設されたわけでございますが、最近におきましては、経済が主眼でありますが、それだけではない、政治的にも、また安全保障の面においてもいろいろ議論が交わされるようになってまいりました。九・一一以後におきましては、テロ対策の面においても、一国だけの問題ではない、各国は協力してテロとの闘いに団結して立ち向かわなきゃならないという点も協議が行われました。

 そういう中で、北朝鮮に対しましても、核不拡散の問題、これは単に六者協議、いわゆる日本、韓国、アメリカ、中国、ロシアだけの問題ではない。核不拡散というのは、APEC諸国、これに対して真剣に対応しなきゃいかぬということから、たまたまAPEC首脳会議には、北朝鮮を除いた五者の首脳が一堂に会して話し合える機会があったわけでございます。

 そういう場においても、私は、北朝鮮に対しては、核廃棄、これが一日も早く達成されるように五者は協力して対応しなければならない、核を持つことによって得られる利益よりも、核を廃棄することによって得られる利益ははるかに北朝鮮にとっても大きいんだということを五者が協力して働きかけていこうということで、賛同が得られたと思っております。

 また、中国の胡錦濤国家主席との会談におきましても、日中間の今後の友好、発展、これを重視していこうということについては共通の認識が得られたと思っております。

 現に経済の面においては、日本にとっても中国にとっても、輸出においても輸入においてもお互いに利益を得る関係になっている、この関係はますます拡大していくであろう。そういう観点から、今後も大局的見地に立って日中の関係を友好、発展させていこう。未来に向かって、日中の友好関係は単に両国にとってプラスだけではない、国際社会の中でも、日本と中国との協力関係の分野は、今後ますます拡大することはあっても減ることはないという認識でも一致いたしました。

 また、中国との間におきましては、原潜の問題あるいは東シナ海における天然資源の開発の問題、それぞれ問題があったとしても、お互い、対立の海にしないで協力、協調の海にしていこうということにおいても、私は、お互いの理解が得られたと思っています。我が国領海における原潜の中国側の侵犯に対しましても、再発をいかに防止するかということにつきましても、私としてはしっかりとした対応を求めたわけでございます。

 また、中国側の胡錦濤主席からは靖国の問題について触れられましたけれども、私自身は、靖国に参拝しているのは、今日の平和と繁栄、この問題につきまして、日本は第二次世界大戦の反省から、二度と戦争を起こしてはならない、かつて敵国であったアメリカとも今は協力関係、協調関係、同盟関係にある、そして、国際社会と協力していくことが日本の平和と発展への道である、こういうことは、歴史を踏まえて、日本としては戦後一貫した外交方針であると。

 私の靖国参拝も、そういう観点から、今日の平和と繁栄は、現在生きている人だけで成り立っているものではない、多くの先輩の方々の努力、そして、第二次世界大戦において、心ならずも戦場に赴かなければならなかった、命を落とさなければならなかった、そういう方々のとうとい犠牲の上に今日の日本の平和と繁栄があるということを忘れてはならない、そういうことから、私は、戦没者に対する敬意と感謝、哀悼の誠をささげる意味で靖国参拝を行っている、二度と戦争を起こしてはならないという気持ちを持って靖国を参拝しているんだということをお話し申し上げました。

 今後、どの国の関係におきましても摩擦なり対立の問題は起こってくると思う。それは日本にとっても、アメリカと同盟関係にあるけれども、アメリカとの問題においても一つや二つは意見の違う問題、対立する問題はある。それはどの国にとってもあるだろうということから、たとえ摩擦や対立の問題があったとしても、大局的見地に立って日本と中国との関係は今後重視していこう、発展させていく、友好関係を増進していくという意味においてこれから協力していかなければならないというふうなお話を申し上げました。

西田委員 今、総理もおっしゃいましたように、一国は他国を無視してはならないのでありますし、言うなれば、一つの国は世界のために、また、世界は一つの国のためにあるという時代だと思います。

 そういう意味から考えますと、我が国が第二次世界大戦において周辺諸国を初めとする世界との関係でどうであったかとか、あるいはまた、逆に、歴史において周辺諸国が我が国日本や日本の人々に迷惑、害を及ぼしたことはなかったのかなどというようなことの一つ一つをあげつらうことは旧来的な主権国家思想に拘泥されたものであって、未来志向ではないのではないかというふうに私たちも考えております。その意味で、総理が今おっしゃったことをこれからも我が国の外交の基本方針としてまいりたいというふうに考える次第でございます。

 それとともに、冒頭申しましたように、イラクに対する取り組み、これも、イラクに対しては、アメリカや我が国を初めとする多くの国がこの取り組みを行っています。このイラクへの取り組みに異を唱え、反対をする人たちは、今申し上げたような、世界は一国のためにもあるということを全く理解しない、旧来的な独立主権国家発想しかない人たちではないかというふうに私は考えております。

 そこで、これからのイラクの政治プロセス、これは、来年一月までの暫定国民議会の選挙の実施、そして、イラク移行政府の成立後、来年八月十五日までには国民議会による憲法草案の起草、十月末までの国民投票、十二月十五日までの国民議会の選挙、そして十二月末までの正式なイラク政府の新しい出発という日程で進捗していく予定でございます。我が国は、自衛隊を中心とするイラクへの支援の取り組み、これにさらに力を込めていかねばならないと考えているのでございますけれども、ここの状況につきまして総理の御決意をお聞かせ願いたいと思います。

小泉内閣総理大臣 イラクの復興支援については、まず、イラク人自身が、みずからの国はみずからの国で復興、再建をなすんだという強い意欲を今示しているところであります。これに対して、国際社会が一致して、どのような形で支援するかということは各国がそれぞれ考えるべきことでありますが、日本としても、人的支援、資金的支援、物資の支援、できるだけのことをしていきたいと考えております。

 特に、このイラクの復興支援につきましては、今、イラク人自身が、みずからの国を、安定した民主的な政権をつくるために選挙を控えております。そして、テロリストの勢力は、何とかイラクの安定した政府づくりを妨害しようと必死であります。

 こういうイラクの状況におきまして、日本としては、今イラクの暫定政府が自分たちの国をつくろうとしているときにどういう支援があるかということを考えると、人的支援につきましては、一般の企業なりNGOの皆さんが行く状況にはないということを考えると、みずからの安全確保の面あるいは自給体制の面を考えると、自衛隊が撤収した場合には、民間企業も、あるいはNGOの方々も行くのはなかなか難しい状況ではないかということを考えると、私は、安全面に十分配慮しながら、イラクの政府も自衛隊の活動を継続してほしいという要請をしております、また、自衛隊が活動しているサマワの地域におきましても、住民の皆さんも自衛隊の活動を評価しております。そういうことを考えますと、現在、自衛隊の支援を十二月十四日までの間に撤収する理由はない、十二月十四日以降については、その時点の状況をよく考えながら今後の支援方法を考えていかなきゃならないと思っております。

 また、復興支援の資金的な問題におきましても、さきに復興支援会議を東京で開催したり、つい最近、債務削減の問題においてもパリ・クラブで合意されました。こういう問題については日本も協力していきたい。

 そういう、資金の面においても人的支援におきましても、人道復興支援、できるだけの支援をしていくことが、将来イラクが安定した国として発展していくためにも必要ではないかという面から、私は、日本も国際社会の責任ある一員として、さきに採択されました全会一致の国連決議の要請に応じて、日本にふさわしい支援をしていくべきだと考えております。

西田委員 今総理がいろいろとお話しくださいましたように、世界の平和と安定に対する我が国の取り組みが重要であると考えております。その意味では、世界の平和への貢献というふうなことではなくして、これはもう我が国の平和と繁栄のためにも、世界への取り組みとして必要なことであるということだと考えております。

 その意味では、今、自衛隊による国際協力への取り組みがかまびすしく言われておりますけれども、実は、自衛隊がまだ日本の国外に、いろいろな国際協力にも展開できるようになる前に、日本から初めての組織的な国連平和維持活動、PKOへの参加といたしまして、アフリカのナミビアへの選挙監視隊の派遣というものもございました。これは一九九〇年のことだったと記憶しております。ひょっとしたらその前後だったかもしれませんが。そのときは、外務省や自治省それから地方公共団体の職員の皆さんを中心として三十三名の選挙監視隊の皆さんが、まだ見ぬ土地で、まだ見ぬ任務に大変苦労をしたのでございます。実は、私もその中の一名として、かの地に赴いたのでございますが、何とか無事に任務を遂行してまいりました。

 そのような経緯からいたしましても、やはり、私たち文民や単なるNGOあるいは民間の人間だけではなし得ないことが国際平和への取り組みの中にあるのではないかというふうな観点から、自衛隊の皆さんに、国際平和協力業務、国際平和への取り組みに従事してもらおうという各般の法律ができてきたのであります。

 そういうことを踏まえますと、この自衛隊による取り組みは、これから強化されこそすれ、途絶えることのないように行っていきたいというふうに考えております。

 さて、根本的に、米英等によるイラクに対する武力行使に対してのいろいろな疑問なりが呈されているところもございます。ここは根本的なところでございますので、総理にもう一度その認識だけを確認しておきたいと思うのですけれども、累次の国連安全保障理事会の決議、特に決議一四四一などにおきまして、イラクが国連あるいは国連安保理から要求されていた義務を果たさなかったということが事実としてあって、それが武力行使につながり、今回のイラクへの取り組みにつながっているということなのでございますけれども、総理、そのようなことで間違いございませんでしょうか。

小泉内閣総理大臣 私は、累次の国連決議をイラクは誠実に履行してこなかった、そういう観点から、国連の安保理決議を踏まえて、日本としては、過去のイラクの一切の行動、そして国連での決議を総合的に判断して、国連決議を守られるようにイラクが対応すべきだった、そういうことが行われない状況で、国連決議を誠実に履行するためにイラクの戦争に踏み切った米英の行動を支持したわけでありまして、これについては、私は現在でも正当性があったと判断しております。

西田委員 ぜひ今後とも、イラクに対しましては、世界の平和と繁栄のために我が国も取り組んでまいりたいと考えております。

 以上であります。終わります。

船田委員長 次に、佐藤茂樹君。

佐藤(茂)委員 公明党の佐藤茂樹でございます。

 総理、APEC首脳会議、大変御苦労さまでございました。その一連の首脳会議の中でも、特にブッシュ大統領との日米首脳会談で、総理は、このイラク問題に関しまして、イラクの復興に対する協力を継続していきたい、どのような支援をしていくかは日本に任せてほしい、そういうふうに語られまして、延長自体については必ずしも明確にされなかったわけでございます。夏のサミットの段階に比べますと、非常に総理御自身も慎重であるな、初めに自衛隊延長ありきではなくて、ぎりぎりまで情勢をきちっと分析して慎重に判断するという姿勢は、私は本当に高い評価をしているわけでございます。

 ただ、十二月の十四日までもう三週間を切ってきたわけでございまして、国民から見て、今最後の決断をされようとしている総理が、何を考えて、もっと言うと、具体的にどういう判断基準、また条件等をいろいろ考慮されて慎重に検討されているのかということがもう少し国民に伝わった方がいいんじゃないか、私はそういう意見を持っております。

 それで、きょう、その取っかかりとして、今資料でもお配りさせていただいているんですけれども、私どもの公明党の神崎代表が、この十一月ずっと、外国特派員協会を初め各種の会合で、与党の責任ある立場の一人として、このイラクの延長問題についてはどのように考えるかということで、撤退する場合の四つのケースということを例示して、今いろいろ説明をしております。きょうはちょっとボードをつくらせていただきました。このようなものでございます。

 一つは「自衛隊が人道復興支援の目的を達成したとき」。これは要するに、イラクの再建がもう成った、そういう場合には自衛隊は撤退してもいい。二番目は「イラクの暫定政府から同意を得られないとき」。これは特措法の第二条三項にも、「外国の領域」については「当該外国の同意がある場合に限る。」ということになっているわけでございますし、そういうことからすると、二番目、このとおりだと思います。三番目ですが、今自衛隊が活動している「サマーワの地域が「非戦闘地域」でなくなったとき」こういうことを掲げております。四番目、今駐留する「自衛隊の安全確保ができなくなったとき」という、この四点の条件を具体的に例示して、こういうものになったときには撤退するけれども、そうであるかどうかというものをぎりぎりまできちっと分析しなければいけない、そういうことを我が党の神崎代表は言っているわけでございますが、最初に総理に、この神崎代表の示している四条件に対する評価と、最初申し上げましたけれども、総理御自身が考える今の自衛隊の撤退の条件、あるいはこの延長についての判断基準のようなものを披瀝していただければありがたいと思います。

小泉内閣総理大臣 今提示されました四条件というのは、極めてわかりやすく、理解が得られるものと思っております。私も賛成であります。

佐藤(茂)委員 そうすると、こういうものをも踏まえながら、今後、十二月十四日まで、きちっと分析をされていく、そういうことだと思うんですけれども、その上で、この三番目と四番目、これが非常に大事になってくると思うんですね。

 今、具体的に、駐留しているサマワの現状というものをどういうようにとらえておられるのか。特に、三と四は、よく似ているけれども、違うんですね。三番目は、非戦闘地域か戦闘地域か、そういう判断です。四番目は、要は治安が悪くなって自衛隊の安全確保ができるのかできないのか、こういう判断なわけでございます。

 十一月七日に非常事態宣言が出された後、総理は八日の段階で、報道で見る限りですと、非常事態宣言が出された後も、サマワは非戦闘地域であることに変わりはない、そういうふうに述べられました。それから大体二週間余り、サマワ自体を見たときに、大きな混乱も起こっていることもありませんし、十一月一日には確かにロケット弾が飛んでまいりましたけれども、それ以後途絶えているわけですね。また、ファルージャを逃れた武装勢力が南部の地域に逃げたという明確な報道も今の段階ではないわけでございます。

 そういう情勢も踏まえて、今のサマワの情勢について、具体的に、まず一つは、ここの三番目で言う、サマワは非戦闘地域の条件を満たしているのかどうか、さらに四番目の、治安面で自衛隊の安全確保をできる状態である、そういうふうに考えておられるのか、総理に簡潔にお答えいただければありがたいと思います。

大野国務大臣 まず非戦闘地域という概念でございます。これは、先生御存じのとおり憲法九条との関係でございます。非戦闘地域の定義につきましては法律上きちっと書いてございまして、これは、例えば、国際的な武力紛争の一環……(佐藤(茂)委員「結構ですが」と呼ぶ)よろしゅうございますね、もう定義はやめます。

 それでは、そういう意味でこのサマワは非戦闘地域である、あり続けているということを申し上げたいと思います。

 それから二番目に、これらの安全確保義務、総理大臣並びに防衛庁長官に自衛隊員の安全確保義務がございます。これは治安の問題と言いかえてもいいかと思います。イラク南東部、特にサマワを中心として考えれば、この地域は比較的に治安が安定している。ずっと時系列で見てみましても、今紛争、紛争というか、いろいろな事件の案件はふえておりません。しかも、ラマダンという特別な月を経過しておりますけれども、事件数は全然ふえておりません。

 ただ、我々が申し上げておりますのは、ロケット弾あるいは迫撃砲が飛んできている、このことは重大に受けとめておかなきゃいけないということでございます。今のところ、そういう意味で重大に受けとめているという意味のみ申し上げて、安全確保については十分に注意を払って頑張っております。

佐藤(茂)委員 今防衛庁長官が述べられようとした非戦闘地域の定義は何かというのはどなたかがどこかで質問されましたけれども、私、そういう初歩的な質問はもういたしません。資料二に、あえてもうそういう質問はせずに、きょう入れさせていただいております。その上に立って質問をさせていただきたい、そのように思うわけでございます。

 それで、サマワについては、先ほど防衛庁長官は、今提示したのでいうと、この三点目、四点目についても大丈夫である、そういうことでございますが、今、国内世論を見ますと、御意見の中に、非常事態宣言及びファルージャの総攻撃以後、イラクの情勢を見たときに、これは戦闘地域、非戦闘地域の峻別ができない情勢下にある、入ってしまった、そういうような主張をされる方々も国内にはおられるわけですけれども、政府としてはこういう主張に対してはどのような認識をお持ちか、お答えいただければありがたいと思います。

大野国務大臣 この問題は地域で見ている。イラク全体として見れば、確かに総攻撃があったりいたします。ファルージャに対する総攻撃があったりしますから非常に治安が悪くなったような印象を与えておりますけれども、実際に、南東部、サマワ中心で見ますと、全然そういう現象は起こっておりません。

 したがいまして、地域で見ていただきたいし、我々も、イラク特措法上は、国で見ているんじゃなくて、この地域は非戦闘地域である、この地域における自衛隊の安全確保はやっていきましょう、こういうことで御理解いただきたいと思います。

佐藤(茂)委員 今の防衛庁長官の御答弁からしますと、要するに地域で見ていくんだ。ですから、サマワの地域については、先ほどの答弁でもありましたが、今のところ非戦闘地域であり、また安全確保もできておる、そういう御答弁であろうかというように思うわけでございます。

 そこで、次に四点目としてお聞きをしたいのは、今現実に存在しているイラクの武装勢力、これは、来年の一月三十日の国民選挙をもう何が何でも暴力でもって阻止しようという行動に出ている、そういう勢力でございますけれども、その行為を特措法上どういうふうにとらえていくのかということが一つ私は大事でないか。イラクの武装勢力の行為及びそれを阻止しようとするイラク暫定政府軍、米軍の掃討作戦、それが、イラク特措法上で言う戦闘行為なのか、それとも、戦闘行為ではなくて単なる治安を乱す行為、それに対してイラク政府軍また米軍は治安活動をしているんだ、そういうように見ておられるのか。政府の認識としてどう見ておられるのか、伺いたいと思います。

大野国務大臣 まず非戦闘地域という概念でございますけれども、これは国際的に見て法律的に判断しているという国は、私、寡聞にして存じません。日本だけが、やはり憲法九条の問題があってこういう判定をしていかなきゃいけない、そこに問題があるんじゃないかと思いますけれども、まず、国際的な武力紛争の一環として行われる戦闘行為に当たるかどうか、これが、この問題について考える場合には、その行為は国または国に準ずる者の間で行われているかどうか、こういう問題が一つあるわけでございます。

 したがいまして、こういう問題を考える場合に、やはり当該行為の実態に応じて、国際性、計画性、継続性、組織性等の要素があろうかと思いますが、そういうことを総合的に勘案して見ていかなきゃいけない、そして個別具体的に判断をしていかなきゃいけない、こういう問題であろうかと思います。

 いかなる者が国または国に準ずる者であるか、これも、具体的にいかなる行為が武力を用いた戦いに該当するかというような点については実態に即して慎重に判断していかなきゃいけない、こういう問題でございまして、確定的に申し上げることはなかなか困難なところがあります。

 しかし、一般的に言いますと、例えばフセイン政権の残党があって、そのフセイン政権の残党が、フセイン政権を復活させるんだ、こういう意図で何らかの行為をしているとすれば、これはやはり私は、そういう場合は国または国に準ずる者というふうに断定、判断する場合もあろうし、それから、そういうフセインの残党が、例えば生活に困って物取り、強盗に転じる、こういう場合もあろうかと思います。そういう場合には、私は、国または国に準ずる者とは判断し得ないな、こういうふうに思うわけでございます。

 国内治安問題にとどまるテロ行為、あるいは散発的な発砲や小規模な襲撃などのように、組織性、計画性、継続性が明らかでない、こういう場合もあろうかと思います。偶発的なものと認められる場合もあろうかと思います。これらが全体として国または国に準ずる組織の意思に基づいて遂行されているとは到底認められない場合もあろうかと思います。そういう場合には戦闘行為には当たらない、こういうふうになろうかと思います。

 現に戦闘行為が行われておらず、かつ、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められることが法律上求められておりますけれども、かかる地域においては、国または国に準ずる組織によるいわゆるイラク特措法による戦闘行為は行われていないものと考えられるわけでございます。

佐藤(茂)委員 今の防衛庁長官の答弁は私が資料二で用意しているもので、これはいつの時点の答弁かというと、前防衛庁長官が去年の七月の当委員会で私が聞いたときに具体的に判断基準を示されて、具体的例示として下の二つを述べられているんですね。

 当時はまだCPAが統治していたころなんです。だから、フセイン政権の再興を目指すというような、そういう今の例示の域でよかったんですけれども、今もう既に一年以上たって、現実に存在しているのは、先ほど私が質問で申し上げましたように、イラクには選挙を阻止しようとしていろいろなことをやりかけてくる、そういう武装勢力がいるわけですね。

 これはなぜそういうことを言うかというと、ファルージャは確かに総攻撃でほとんど今はもう制圧されたわけですが、脱出、逃亡している武装勢力がいるわけです。今のところは北部地域だと言われているんですけれども、これがイラク全土にそういういろいろなことをしかける。

 現に、十一月十五日ですか、十一の武装勢力もそういう共同声明を出しておりますし、また、ムサンナ県サマワだって将来あり得るシナリオだと思うんです。そのときに、この連中の行動、またそれに対するイラク暫定政府軍とか米軍の掃討作戦というのを三だと見るのか四だと見るのか、そういう問題。

 要するに、それは戦闘行動だと見るのか、あるいは、そうじゃない、治安活動だ、これはイラク暫定政府軍から見たらですよ、そういうように見るのか。その辺について少なくとも認識をある程度示すべきじゃないかと思うんですが、もう一度、防衛庁長官お願いします。

大野国務大臣 冒頭申し上げましたとおり、非戦闘地域、ノンコンバットエリアと言っていいんだと思いますが、言葉としてはあるんですけれども、法律上の言葉で使っているのは日本だけなんですね。しかも、その非戦闘地域はこういうところだというふうに言っておりまして、法律上、戦闘地域はこうこう、言葉としてはわかりますよ、だけれども、これが戦闘行為であり、これが戦闘行為でないとか、これは日常会話の言葉みたいなところがありますので、法律上の判断としては、防衛庁長官としては、非戦闘地域はこうである、ここは明確に申し上げられますけれども、それ以外の行動について、これはどうなんだということについては発言を差し控えさせていただきたいと思います。

佐藤(茂)委員 これはちょっと、時間を費やしておるともう時間もたちますので、全く違う質問に移らせていただきたいんですけれども、総理、自衛隊が人道復興支援活動を開始してからもう十カ月がたつわけですね。この十カ月の人道復興支援活動の成果と評価、そういうものについてちょっと総理の見解を伺いたいわけでございます。

 今、サマワの自衛隊というのは主に三分野やっておりまして、一つは道路であるとか学校、そういう公共施設の補修、整備、そういうものをやっている。二番目が給水活動です。三番目が医療活動ですね。これもそれぞれ非常に地元の皆さんに高い評価をいただいておる、そういうふうに私は認識しているんですが、ただ、ある一部では、自衛隊のこの活動というのはイラクの復興支援の手助けにはなっていない、そういう批判をされる方、主張をされる方もありますけれども、総理御自身が、今まで十カ月間、いろいろなイラクの首脳なんかにも会われて、自衛隊の今まで十カ月間行ってきた活動というのがイラクの復興にはどの程度本当に役立っているというように評価されているのか。

 さらに、私は、最も大事なことは、もっと日本国民に具体的にそういうものが伝わっていかなければいけないだろう、そういうふうに思うんですけれども、イラクの復興支援活動の成果と、成果に対する評価、また国民に対する発信の重要性につきまして総理の見解を伺いたいと思います。

小泉内閣総理大臣 自衛隊の諸君がどのような活動をしているかという広報、これはやはりもっとする必要があると思っています。国民の中には、自衛隊がどういう活動をしているのかということに対してまだ知らない方々も多いと思いますので、そういう点につきましては、どういう活動をしているかということについては、日本の国民にもよりよくわかるような広報活動を考えていく余地があると思っております。

 また、現地の皆さんは、自衛隊の皆さんが献身的活動をしていることに対して高い評価を与えていると思っています。だからこそ、イラクの首相にしても、あるいは外務大臣にしてもムサンナ県の知事にしても、私に対して直接、自衛隊の活動に対して感謝の表明と、今後とも活動を継続してほしいという要請があったわけであります。

 もちろん、今の活動よりももっと多くしてくれという要望は来ています。しかし、自衛隊の人道支援、復興支援ということに対しては安全確保という点も十分配慮しなきゃならない。自衛隊だけでなくて、できたら民間の企業も来てほしいという声も聞いております。しかし、だからといって、自衛隊の活動が必要ないという声は、責任あるイラクの今の政府の関係者からは聞いておりません。

 そういう意味においても、私は、高い評価と、自衛隊の諸君の頑張る姿が国民にわかっていただけるような広報活動はさらに研究していく必要があると思っております。

佐藤(茂)委員 さらなる国民に対するわかりやすい広報活動を期待いたしまして、質問を終わります。

船田委員長 次に、岡田克也君。

岡田委員 民主党の岡田克也です。

 このイラクの問題は、党首討論でもたびたび取り上げ、議論になりました。

 最初に総理にお願いしておきたいことは、こういう議論は私と総理の間の勝ち負けの問題ではもちろんございません。聞いている国民に対してきちんと説明をする、説明責任を果たすということであると思いますので、私の質問に対しても、私が聞いている後ろに国民の皆さんがいる、そういう思いの中で丁寧にお答えをいただきたいというふうに思っております。

 今の佐藤委員の質問に対しても、佐藤委員は、自衛隊がサマワでどういう活動をしているのか、そのことが国民に届いていないから総理の口から語ってくれ、こういうお話でしたが、総理は具体的に今語ることはありませんでした、広報が大事だということで。

 これでは、私は、現地で活動している自衛隊の皆さんが余りにも気の毒ではないか。せっかく今国会の場で、自衛隊が、政府からすれば大変重要な活動をしているということですから、そのことについてどうして総理の口から触れられなかったのか、大変奇異な思いで今聞いておりました。

 そこで、具体的に質問したいと思います。非戦闘地域の話であります。

 もう具体的な定義の話はいたしませんが、この定義の中で、もし計画が十二月十五日以降一年延長されると仮定すれば、一年間サマワにおいて戦闘行為が行われることがないというふうに政府あるいは総理は判断しているということになると思います。そうでなければ、非戦闘地域の定義には当てはまりません。

 どういう根拠をもって、これから一年間サマワが非戦闘地域である、つまり戦闘行為が行われないということを、どういう根拠をもって考えておられるのか。そのことをまず説明していただきたいと思います。

小泉内閣総理大臣 これは、今までの活動を通じて、サマワの住民も自衛隊に協力的である、そして現在も非戦闘地域である、継続的、組織的、計画的な攻撃が自衛隊に行われていないという点。そしてさらに、一〇〇%これから絶対戦闘が行われないというのは、一〇〇%ないということは、予断を許さないということは確かだと思います。だから戦闘地域だという理由にはならないと思っております。

 そういう観点から、私は、今の状況におきまして、これから一月に国民議会選挙が行われます。それを妨害する勢力がイラクにいるということも承知しておりますし、何とかこの選挙を妨害するための戦いが行われているということも承知しております。しかし、サマワにおきまして、自衛隊が活動する地域においては現在も行われておりませんし、そういう状況においては現在でも非戦闘地域であると言えておりますので、自衛隊が継続しているわけであります。

 これから十二月十四日近くなりますと、どういう活動が必要かというのは、そのときまでには対応を決めますが、私は、将来一〇〇%安全であるということは断言できませんけれども、よくそのときまでに状況を見ながら、今後も、非戦闘地域であるという状況を見きわめながら、自衛隊の人道支援、復興支援活動がどうあるべきかということについてはよく検討していく必要があると思っております。

岡田委員 総理、逃げないでいただきたいんです。

 まず、十五日以降のことについてはこれから検討する、こう言われますが、事実上は、十五日以降延長する、そういう前提でいろいろお考えでしょう。だって、延長しないというなら、もうその準備に取りかかっていなければなりません。つまり、十五日以降のことについてはもう事実上決めていながら、これから考えると言って、国会での説明責任をあなたは果たしていないんですよ。

 今私は、あえて仮定という言葉を言いました。一年延長すると仮定したときに、総理の今の御説明で、一〇〇%戦闘行為がないとは言えない。戦闘行為がないとは言えない、それは一〇〇%はそうでしょう。だけれども、法律の規定上、実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる地域。ないと認められる地域ということは、少なくとも七割、八割はないということがはっきりしていないとこう言えないわけですよ。

 ですから、どういう根拠をもって、これから一年間サマワにおいて戦闘行為が七割、八割ない、こう言い切れるのかというその根拠、そこを説明を求めているわけです。総理、お願いします。

小泉内閣総理大臣 それは今の答弁も、私はお話ししたんです。現在の活動におきましても非戦闘地域であると。将来一〇〇%安全であるということは断言はできない、予断を許さないと。しかし、十二月十四日の時点でよく見きわめながら判断すると、何回も私は答弁しているんですよ。

岡田委員 総理は全然答えていただいていないんですが、今非戦闘地域であるかどうか、これは見解が分かれますから、私はあえて触れません。仮に総理の前提に立って非戦闘地域だという仮定を置いたとしても、今がいいから将来一年間いいということには決してならないんですよ。

 ですから、これから一年間、七割、八割戦闘行為が行われることがないということについてきちんと説明責任を果たさなければ、非戦闘地域とは言えないわけですよ。そこを説明してくださいというふうに申し上げているわけです。

 そこで、総理は、いや、それはこれから十四日までかけて考えるとおっしゃるが、そこは逃げです。延長することはもう前提でしょう。もし今そのことで説明しないとしたら、いつ国民に説明責任を果たすんですか。サマワがこれから一年間戦闘行為が行われない、七割、八割行われないということの説明責任をどこかで果たした上で決断しなきゃいけないでしょう。その説明責任を果たすのは今しかないんですよ。だから私は説明を求めているわけです。お願いします。

小泉内閣総理大臣 それは、今が平和であるから将来永遠に平和であるということをだれが断言できるんでしょうか。

 日本が、今は平和である、侵略行為がなされていない、将来もなされない、永遠に平和である、侵略行為がないと断言できる人はいるんでしょうか。いません。だからこそ、日本に侵略の備えで自衛隊というものを、将来、万が一に備えて自衛隊という組織を今持っているわけであります。今平和であるが、将来平和でない、それはどこの地域でも言えますよ。それを、今が非戦闘地域であるから将来も非戦闘地域であると言えないじゃないかというのは、これはおかしいんじゃないですか。

岡田委員 総理、ちゃんと答えていただきたいんですが、まず、永遠になどという話は私は一回もしていません。法律上のこの定義をちゃんと読んでいただきたい。そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる地域、これは政府がつくった法律ですよ。したがって、一年間サマワにおいて戦闘行為が行われることがないと認められなければ、これは非戦闘地域とは言えないんです、自衛隊を出せないんです。ですから、そのことを説明してくださいというふうに申し上げているわけです。

小泉内閣総理大臣 それは、十二月十四日以降どうなるかというのは、十二月十四日が近づいた時点で判断いたします。

 しかし、今まで、非戦闘地域であると認めているからこそ自衛隊を派遣しているわけであります。その状況に変化はない。そうである限り、十二月十四日までは、自衛隊は今の地域で活動を継続いたします。

岡田委員 一年前に自衛隊を出したときの状況と今の状況とどうなのか。相当混乱しているわけですよ、今イラクは。だからこそ、しっかりと説明をしていただきたい。これは自衛隊の、その命がかかった話なんですよ。あるいは憲法上の問題なんですよ。ここについてきちんと国民に対して説明責任を果たさなければ、私は出せないと思います。

 今、総理は逃げたんですよ、十四日まで考える。しかし、今説明しなければいつ説明されるんですか。全く法律のこの定義の趣旨を理解していないじゃないですか。政府みずからが書いた定義ですよ。いかがですか。

小泉内閣総理大臣 何回も、党首討論の場においても、きょうにおいても説明しているじゃないですか。説明責任を果たしていないと言うけれども、私は現在説明しているんです。非戦闘地域、向こう一年間にわたってといったって、まだ決めていないんですから。何で今、向こう一年間の様子を私がここで話す必要があるのか。

 その時期に、必要な時期に私は説明いたします。

岡田委員 それでは総理、お尋ねしますが、十四日までに延長を決めたときに、ちゃんと国会の場、党首討論なりこの委員会を開いて、きちんと我々に質疑の時間、機会を与えますね。そこで国民に対して、国会を開かずに記者会見だけで、そして出してしまったら、説明責任を果たすことになりませんよ。そこだけはお約束ください。

小泉内閣総理大臣 どのように説明するか、国会の場においてか、あるいは政府としてどういう場がいいか、私自身判断したいと思います。

岡田委員 非戦闘地域であるかどうかということは、これは一つは憲法にかかわる話です。そしてもう一つは、これは自衛隊の人たちの命の危険にかかわる話です。したがって、総理としては、国民に対してあるいは自衛隊の皆さんに対して、国会に対してきちんと説明責任を果たさなきゃいけないんです。そのことに対してお約束できないということは、一体どういうことなんでしょうか。

 では次に、安全の問題について質問させていただきたいと思います。

 総理は、自衛隊員に対してどういう責任をイラク特措法上負っておられるんですか。

小泉内閣総理大臣 自衛隊員の諸君が、イラクにおきまして人道支援、復興支援、これがしっかりと行えるように、安全面を十分確保しながら、されるように、政府としては全力を挙げておりまして、そういう状況の中において、イラクの政府からも、そして、現に自衛隊が活動される地域の住民からも評価されている。こういう人道支援、復興支援が今後も自衛隊の諸君の努力によってなされるように、政府としては全力を挙げていきたいと思っております。

岡田委員 総理は、イラク特措法九条で、防衛庁長官とともに自衛隊の部隊の安全の確保に配慮しなければいけない、そういう責任を負っているわけです。

 そこで、今まで自衛隊が展開をするサマワを中心とするムサンナ県で展開をしておりましたオランダ軍の撤退がほぼ決まったようであります。オランダ軍が撤退した後、この地域の治安はだれが責任を持つんでしょうか。自衛隊の安全はどのようにして確保されるんでしょうか。総理の御見解をお伺いしたいと思います。

小泉内閣総理大臣 この問題については、町村外務大臣が、最近、オランダの担当者とよく協議しておりますので、町村外務大臣から答弁した方が適切だと思いますが、私は、今後オランダが三月には撤収するという状況だと承知しておりますが、オランダとしては、イラクの国民に十分活動ができるような訓練もしている、そういう状況で、自分たちの任務を果たした上で三月には撤収するという報告を受けております。

 今後の状況については、イラクの政府並びに関係諸国と十分協議して、日本としてどういう活動がふさわしいか、よく検討していきたいと思います。

岡田委員 きょうのニュースでも、オランダ軍はイラクの警察に対して訓練をするという報道はされておりますが、しかし、それで本当に今までのオランダ軍並みの、それだけの治安というのは維持できるんでしょうか。私はなかなか難しいことだと思いますよ。

 しかも、この地域には、対米強硬派サドル派、そこの活動の動きもあるわけです。それが過激化したときに、果たしてイラクの人たちが自衛隊を守る、そこの地域の治安に責任持つ、こういう形になるかどうかというのはかなり疑問だと思いますよ。そこの保証はどういうふうにしてとられるんでしょうか。

町村国務大臣 先ほど、要旨は総理がお答えをしたとおりでございまして、二十三日に私はオランダのボット外相とお話をいたしました。先方よりは、サマワの治安というものはイラクの中では安定した地域でありますという説明、それから、地元の警察の能力向上等のためにオランダが行っているさまざまな努力というものについても説明がございました。

 仮に三月中旬にオランダ軍が任務を終了した場合のこの地域の治安維持のあり方についてでありますけれども、これは当然のことでありますけれども、多国籍軍においてイラク南東部について責任を持っているのがイギリスであるということから、イギリスそれからイラク暫定政府を中心にして今後調整が行われていくもの、かように考えております。

岡田委員 イギリスは、イラク南部全体について八千五百人展開して治安の維持に当たっているわけですね。しかし、オランダ軍は千三百人ですね。千三百人のその抜けた穴を八千五百人でどうやってカバーするんですか。別にムサンナ県だけじゃありませんね、イギリスが責任を負っているのは。それは一部にすぎないわけです。ここは本当に担保できるんでしょうか。

町村国務大臣 ここは今後、イギリス政府とも、あるいはイラク暫定政府とも話し合っていくことになるわけでございますけれども、今、イラク暫定政府の中の警察というか軍というか、治安維持をするための組織、相当の人数がNATOの支援も受けながら訓練をして、かなりの能力向上がいたされつつある。どれほどかと言われても、私も正確にお答えをする能力は今のところはございませんけれども、相当な訓練をやっているんだという話も聞いております。

 いずれにしても、今後、今委員が御指摘のあったイギリスの軍隊の問題なども含めて、よく関係国で相談をしていく。要は、そういう意味の力の空白とでもいいましょうか、そういうものが起きないようにしていくという幅広いコンセンサスは関係国の中においてはあると私は理解いたしております。

岡田委員 十二月十四日で期限が一たん切れるということですから、十五日以降派遣するに当たって、ここのサマワの治安の問題、つまり、今外務大臣がおっしゃったイギリス軍の話あるいはイラクの警察の話、そういったものがきちんとできていなければ、十五日以降出せないですね。だって、三月以降のことが白紙になっているわけですから。三月までの期限ならわかりますよ。しかし、一年という期限なら、そこの部分もきちんとできた上で出す、こういうふうな理解でいいですね。

小泉内閣総理大臣 十二月十五日以降のことについてはその時点で対応を決めたいと思いますが、現地の状況というのは、これからも、オランダのみならず、イギリス、イラク暫定政府、多国籍軍、米軍等、日本の協力関係諸国・機関とも十分連携をとりながら、また情報収集に努めながら、どういうことが必要か、これについては、十二月十四日までまだ期間がありますので、しっかりと状況を見きわめて判断したいと思っております。

岡田委員 今の御説明は、十二月十五日以降引き続き派遣する場合には、その時点において、サマワにおける治安を維持するためのイギリス軍あるいは地元のイラクの警察、そういったものがきちんと国民に対して説明される。つまり、三月以降、自衛隊の安全が維持されるような、そういう状況ができる、そのことを十二月十四日までに説明される、そのことが前提になっているというふうに理解をいたしました。

 さて、総理は自衛隊の派遣について力説されるわけですが、そもそも今の自衛隊は何のためにイラクに行っているんでしょうか。総理の御説明をまずいただきたいと思います。

小泉内閣総理大臣 自衛隊の諸君は、イラク特措法に定められた人道支援、復興支援のために現地に赴いているわけでございます。

岡田委員 今の総理の説明は、一つ、いつも総理が飛ばされる安全確保支援活動というものが抜けているわけです。これはイラク特措法上も、米英軍などの後方支援的な活動、もちろん非戦闘地域に限られますが、それを行うということが法律上明記されている。そして、現にそれも行っている、人道復興支援だけではないということ。

 そのことを総理はいつもわざと飛ばして説明されるわけですが、そのことは横に置いて、それじゃ、イラク人のための人道復興支援だ、こういうことですが、しかし、私、過去の記憶をたどりますと、あのイラク戦争が始まったときに、総理が、イラク国民のためにこの戦争を必要とするんだ、こういう説明は一度も聞いたことがないんです、私の記憶では。総理は、そのときにおっしゃっていたのは、日米同盟であり、あるいは北朝鮮もあるからアメリカとの協力が必要なんだ、こういうことを繰り返しておられたと思うんです。

 だから、そもそもこの戦争は、イラク国民のために日本は支持したんではないというふうに私は理解しておりますが、いかがでしょうか。

小泉内閣総理大臣 これは何回も私も岡田さんの質問で答弁しているわけでございますけれども、当時の国連決議、そしてイラクが国連決議を遵守してこなかった、そういう観点から私はイラクに対する武力行使を支持したわけでありまして、その後、国際社会から、イラクの支援のため日本として何ができるかという観点から、イラク人の安定した民主的な政権づくりのために日本としてふさわしい活動をしているわけであります。自衛隊の活動はその一部であります。

岡田委員 総理は、イラク人の人道復興支援、こういうふうにおっしゃるんですが、私は非常に違和感を持ってその説明を聞くわけです。

 というのは、例えば、先般、ファルージャで米軍の攻撃がありました。そのときに総理は、それに対して早々と、これを支持すると言われたわけです。イラクの中にも例えば大統領でありますとか、あるいは国連の事務総長などが大きな懸念を表明する中で、総理は、評価をする、こうおっしゃいました。

 しかし、ファルージャで多くの人命が失われたんじゃありませんか。ファルージャにおいてはイラク人の人命が失われることについて、そのことを顧みずにファルージャ攻撃を支持する、そしてサマワでは人道復興支援だ。ここは、私はどうも一つにつながらないんですが、いかがでしょうか。

小泉内閣総理大臣 これはつながっているんですよ。イラクに安定した政権をつくる、安定した政府をつくる、そのためには、このイラクに安定した政府をつくらせないとする武装勢力、これに屈してはならないということで、ファルージャで安全、治安の活動維持のための戦闘がなされた。だから、これは成功させなければならないということを私は言ったわけであります。

岡田委員 総理の今の御答弁ですが、ファルージャで何百人あるいは千人を超える人がかつての戦争では亡くなったし、今回も、まだ詳細不明ですが、かなりの人命が失われた可能性がある、こう言われています。イラク戦争そのものであれば五万とか十万、こういうふうに言われています。総理はそれも支持しました。

 そういった人の命というものに対する総理の感覚と、そして、サマワで水を供給しなければ、これが人道復興支援なんだ、こう言っているのが、どうも私はつながらないんですよ。本当に人の命が大切だというのであれば、それはやはりイラクの戦争に賛成しちゃいけないんですよ。支持しちゃいけないんですよ。あのファルージャの攻撃を早々と支持しちゃいけないんですよ。

 そこは私は、逆に言うと、総理が、サマワで人道復興支援だ、こういうふうに言われることが、本気で言っているとはとても思えないんです。やはり、ここは日米関係の中で言われているんじゃありませんか。日米同盟、それを重視するためにサマワに自衛隊を送った、これが総理の本音なんじゃないですか。いかがですか。

小泉内閣総理大臣 これは、今イラクの暫定政府が、みずからの力によって、イラク人の力によって安定した政権をつくろうとして努力している。この活動に対して、当然、死者が出るということは私も遺憾だと思っておりますが、もし、では、あのファルージャにおいて、私が成功させなきゃいけないと言うことを批判している場合に、この戦闘をしない、テロリストがばっこすること、武装勢力がばっこすることを許すということになるんじゃないでしょうか。そうしたら、本当にイラクに安定した政府ができるんでしょうか。そこはやはり考えていただきたい。

 今回、国連全会一致で、イラクの支援に加盟国がふさわしい活動をしようというその採択がなされた。こういう点において、私は、日本として何ができるかというのは、もちろんイラク特措法の範囲内で活動するわけでありますが、これは、国際協調、日米同盟、これを両立させていく、そういうことから、日本の必要な支援をイラク政府並びにイラク国民のためにするということでございます。

岡田委員 総理、今イラクから多くの国が撤退をし、あるいは撤退を決定しています。例えば、自衛隊の今のイラクにいる規模八百人、ここで切ってみても、八百人を超える兵士を派遣している国は十カ国であります。その十カ国の中で四カ国が、既に撤退をしたか、撤退を決定いたしました。そして残るのは、日本以外ではもちろんアメリカ、イギリス、イタリア、韓国、豪州、そして日本、六カ国であります。

 いろいろな国が、それぞれのその状況判断の中で撤退を決定しているんです。日本だけが撤退を決定できない。日米関係があるからできない、そう考える必要は全然ないわけです。しかも、治安維持活動をしているんじゃなくて、人道復興支援活動をしている。それが引いたからといって、イラクの国内状況がおかしくなるわけじゃありません。今の状況を見ていると、やはり、私はこの前申し上げましたが、我々、出すのは難しい、しかし引き揚げるのはもっと難しい、今まさしくそういう状況になりつつあるんです。

 しかし、これをこのまま放置しておいて、もう一回期限を延長すればますます、イラクに存在する軍隊を派遣している国は少なくなって、そして、日本が撤退することがより困難になっていきますよ。だから今なんですよ。今、勇気を持って撤退しなきゃいけないんですよ。今を逃せば、既にイラクにいる自衛隊の皆さんは一体何のためにイラクにいるのか。非常に制限された人道復興支援活動をしている。しかし、その本質は日米同盟だ。その日米同盟に縛られて、みずからの命を危険にさらしながら活動している。こういったことで本当にいいんでしょうか。

 本当にイラク国民の立場に立って必要な活動なら、将来自衛隊の皆さんにお願いすることもあるでしょう。しかし今、日米同盟のあかしのためにイラクにいる。そういったことに対して、私は、今勇気を出して、もちろん日米関係は重要ですから、日米間で話し合うことは必要です。しかし、そういった手順を踏んで、そして十二月十五日以降は出さないという政治決断が求められている、そう思っております。

 我々、特措法の廃止法案を国会に出しています。ぜひこの法案を、総理、賛成しろとは言いません、しかし、少なくとも本会議で採決してもらいたい。自民党の中にも公明党の中にもいるんですよ、これはだめだと、だから法案に賛成したい。一人一人の政治家がきちんとみずからの意思を表明できるような、そういう機会をつくるようにお願い申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。

船田委員長 次に、鳩山由紀夫君。

鳩山(由)委員 総理にお尋ねをいたします。

 私ども、実は、アフガニスタンそして中東調査団として、きのう、五日間の調査団としての日程を終えて帰ってまいりました。ぜひ総理にも、イラクに今行けとは必ずしも申し上げませんが、やはり百聞は一見にしかずということわざがあります、ぜひ中東にいらっしゃって、実情というものをよくごらんになりながらさまざまな判断をなさっていただきたい、まず、そのことをお願い申し上げます。

 そして、その中で、私が藤田議員あるいは大谷議員とともに見てまいりましたのは、やはり、中東、三つの紛争地域を見てまいったのでありますが、それぞれ色濃く、後ろにイラクがあり、そしてその後ろにはアメリカがある、さらにそのアメリカの後ろに日本がついていっている。結果として、アフガニスタンにおいても、私は、外務省の皆さんにお世話になって、防弾車を使わなければ町を動くことができない状況でありました。パレスチナでも全く同じでありまして、より危険度が高いということで防弾車を用意していただきました。

 そのことには感謝を申し上げながら、今、中東がイラク戦争の後徐々に、小泉首相がテロとの闘いとおっしゃればおっしゃるほどテロ自体がふえてきている、危険度が日本人にも外国人にも及んでいる状況になっているということをぜひ御認識をいただきたい。

 私は、こちらにおられる在日のイラクの高官の方にも伺ってまいりました。実は、イラクの戦争までは、ああいう自爆テロというものは我が国にはなかったんです、人質事件なども起きたことはなかったんです、大量破壊兵器もありませんでした、そういう話を率直にお話をしてくださった高官がおります。そのとおりだと思います。テロというものを、特に自爆テロ、イラクに輸入をされたのが一年半前だということであります。

 イラクもそうでありますが、アフガニスタンにおいても、ことしの後半になってテロが急増をしています。

 また、パレスチナは言うまでもありません。この問題は、もう長期にわたって大変な紛争地帯でありますが、この五年間だけでも二万四千回のテロ、あるいは反テロというんでしょうか、さまざまな襲撃事件が起きている。現実に、私が伺ったときには、パウエル国務長官が同じ日にパレスチナを訪問しておられるというゆえもあって、その前の日に三人のパレスチナ人がイスラエル兵によって殺されております。あえて挑発的にこういうことを平気で行っているわけでございます。

 小泉首相やあるいはブッシュ大統領がテロとの闘いだとおっしゃるごとに、現実にテロというものが急増しているという皮肉な結果に対して、総理はどのように思っておられるんでしょうか。まず、そのことからお伺いします。

小泉内閣総理大臣 これは、テロはイラク戦争開始があった後に行われたわけではありません。アフガニスタンの攻撃の前にも、テロは世界各地で行われております。また、多くの人が犠牲になっております。九・一一、ニューヨークのあのテロリストの飛行機で貿易センタービルに突っ込んだという、そして多くの人が犠牲になった、あれもアフガン戦争が起こる前に起こったわけでございます。

 私は、そういう意味におきまして、今、テロとの闘い、アフガニスタンにおきましても、イラクにおきましても、行われているからテロが行われているわけではないということはまず押さえていかなきゃならないと思います。そのまま放置しておいて果たしてテロがなくなったかというと、私はそうは思いません。

 このテロとの闘いは、生易しいものではない。自分たちがこのテロとの闘いを傍観していて、日本人だけがテロリストから安全であるという保証は何もありません。その点はしっかり押さえて、これからも世界各国と協力して、あの非道なテロリストとの闘いに立ち向かわなきゃならない。この点が大事なことではないでしょうか。

鳩山(由)委員 御承知のとおり、この九・一一事件がアメリカで起きたわけでありますが、イラクにおいてその九・一一とアルカイダグループとはかかわりがないということはもはや事実となっております。したがって、私が申し上げたいのは、数万人のイラクの方々が亡くなられた、このことに関して、確かにサダム・フセインという者が大変さまざまな悪い行いをしていたことは事実だと思いますが、そのこととは無関係に、九・一一、先ほどお話ありました事件とは本来かかわりのないイラクの方々が結果として多く命を失っているということ、そして、現実問題として、今、小泉首相やブッシュ大統領、あるいはブレア首相が闘っているはずのテロが、一向に減る兆しではなく、逆に、ファルージャなどを攻めれば攻めるほどテロというものがふえてきている、その現実をどうとらえておられるのか。

 むしろ、武力で抑えるということが、私はもう去年の初めのころから申し上げておりますが、憎しみの連鎖というものを生んでいる。決してその憎しみが消えることがない。憎しみを消さなければ、結果としてテロというものはなくなることはない。そういう現実を前にして、どのようにお考えになっているのか、もう一度お伺いしたい。

小泉内閣総理大臣 テロとの闘いというのは、単に武力との闘いだけではないということは私も承知しております。武力だけでテロがなくなるとは思っておりません。より深い原因があるでしょう。しかし、先ほども申し上げましたように、アフガンとの戦い、あるいはイラクとの戦い、今がこうなる以前から、どういう態度をとろうとも、テロは横行していたわけであります。そして、多くの無辜の人民が犠牲になっていたわけであります。私は、そういう意味において、この問題というのは根が深いということは承知しております。

 そういう中でのテロとの闘いであります。これは、世界一致してこのテロとの闘いに協力していこうということは、私は世界各国一致していると思います。

鳩山(由)委員 テロに対する、それを防ぐ方法として、武力ではない方法もあるという話をされました。まことにそのとおりで、いや、むしろ、本来ならばそちらが主流にならなきゃならないし、日本国憲法を持っている私どもとしては、戦争というものを一切みずから封じているわけでありますだけに、他の国においても同じようにその考え方を広めていく義務がある。

 そんな発想で、本来ならば平和的な形で、例えば貧困対策とか教育対策とか、そういうことを行いながらテロと闘っていくのが、私は、テロを本当の意味で、今のように急増している状況を急増させない、テロを減らしていく本当の正しいやり方だ、改めてそのことを申し上げておきますし、くどいようですが、一年前までイラクにはテロはなかったとイラクの政府の幹部の方がおっしゃっているわけですから、そのことをどのように判断されるか、本当はもう一度ぜひお話を伺いたいところでありますが、時間の関係で、それぞれ、きょうは私は、批判を申し上げるだけではなくて、むしろ提案を申し上げてまいりたいと思いますので、ぜひこれは、現地に赴いた中で、現地の要望を聞いた中での提案だと御理解をいただきたい。

 そこで、アフガニスタンのカブールに伺って、カルザイ大統領と面会をいたしました。その一時間弱の面談の中で、大変に自信を深めておられた。それはそうだと思います。あの大統領選挙というものを成功裏に終わらせた。ただ自分自身が勝ったということ以上に、例えば、女性が男性以上に、レジスターした方の中の投票率がはるかに高かったというようなことなど、国民の中で、平和を大事にしたいあるいは政治の体制というものをつくり上げていくことに協力をしたい、そういう積極的な声が大変に沸き上がってきているということを私も伺って、大変これはすばらしいことだと思って、感じたところであります。

 当然、言うまでもありませんが、国際的な協力というものがあって初めてそのことができたということに大変感謝をしておられました。そして、日本の協力も、いわゆるDDRなど、昔の軍人さんを軍人ではなく新しい職業につかせるために仕事をしている、そういう活動には大変に感謝をされておられました。

 ただ、残念ながら、さまざまな、例えばアブドラ外務大臣ともお話をさせていただきましたが、アフガニスタンの首脳の方々からは、日本の海上自衛艦の行為に関しては最後まで一言も感謝の言葉はありませんでした。言及も全くありませんでした。

 ある意味で、ショー・ザ・フラッグ、先ほど岡田代表から話がありましたイラクの問題もそうだと思いますが、ショー・ザ・フラッグと言われて、アメリカのためにショー・ザ・フラッグとして海上自衛艦の協力活動をしているとしか思えない。本来なら、アフガニスタンの国民にとってもっともっと大事な、切実な支援の方法がある。それを十分に行わないで、多額のお金を海上自衛艦の存続という方向に使うということは、これは国民の税金をむだにする話ではないか、そのように思いますが、いかがでしょうか。

小泉内閣総理大臣 その点は違います。私は、カルザイ大統領とも会談しております。カルザイ大統領は、私に対して、日本国の支援活動全体に対して感謝と高い評価を与えております。そして、アフガニスタンへの、現在の、選挙が行われた、女性が選挙にも参加した、女性の地位が向上した、これは、アフガンへの、国際社会のタリバン政権を倒そうという声がなかったらなされなかったことであります。

 ドイツも部隊を送っております、アフガンに対しては。そして日本も、武力行使はしませんが、武力行使以外のアフガンに対する支援を、自衛隊のインド洋の活動を含めて、DDRあるいは選挙監視等、あるいは資金援助等、日本としてできるだけのことをしております。それに対してカルザイ大統領は高い評価を与えておりますし、これからも日本の支援を要請している。それは、私がじかにカルザイ大統領と会談して確認しているところでありますので、日本としては、アフガンの安定した民主的な政権づくりに、これからも日本にふさわしい支援活動を行っていきたいと思っております。

鳩山(由)委員 それでは、確認させていただきます。カルザイ大統領は、確かに日本の支援には感謝をしていると私どもにも話がありましたが、海上自衛艦の行為に対して深く感謝しているという言及があったんですね。

町村国務大臣 これは、九月二十日、ニューヨークにおける小泉総理とカルザイ大統領との会談の結果のエッセンスでございますけれども、まず、選挙が成功裏に実現することがよかった、日本の選挙監視団の派遣を歓迎し、そうした支援に感謝をする、これが一点。

 二点目は、これまでの日本の寛大かつ一貫した支援に感謝をしている、DDR、教育、医療、インフラ等、幅広い分野での支援をいただいている、アフガニスタン人も復興を成功させるために熱意を持っている、また、自衛艦のインド洋での後方支援活動も評価をしているとはっきり述べられております。

 またさらに、今後のこととして、アフガニスタンの経済についても、復興支援はまだ道半ばであるので日本のさらなる支援をよろしくお願いしたい、また、テロとの闘いや麻薬問題など大きな課題も残っているので御支援をよろしくお願いします。このようにはっきり、自衛艦のインド洋での後方支援活動を評価するということが明言されております。

鳩山(由)委員 わかりました。いろいろな感謝の中の最後に入っているということだけは確認をいたしました。

 ただ、大統領に再選をされて、まだ就任式前でありますが、カルザイ大統領は、最近はタリバンよりも軍閥の方が脅威であるという発言をされております。そして、その中で、タリバンといっても、五十人から百人ぐらいの人たちに関しては、これは排除すべきだと考えているけれども、本来、タリバンの穏健の方々とはこれからはうまく和解をして進めていきたいという話がありました。

 これは大変私は重要な発言だと思っておりまして、タリバン掃討というところに力を入れる米軍の方向に対して、むしろ軍閥というものに焦点を当てて、そちらの、軍閥の力をいかにそぐかという方向にもっと大きな視点を当てていくべきではないか、それはカルザイ大統領との話の中でもそんな発言がありました。特に麻薬問題というものが極めて大きいと。世界の大半のアヘンを密輸しているのがアフガニスタンでありまして、それが軍閥に流れている。多額のお金を援助するならば、むしろこういう方向に使う方が、まさにショー・ザ・フラッグで、アフガニスタンの国民の皆さんにも喜ばれる支援ではないか。あえてそのことを私としても注文を申し上げておきたいと思います。

 それでは、先ほど御答弁いただいたように、決して海上自衛隊に対する感謝がなかったということではないということは承りましたが、その中で、むしろ、政策的により充実をさせるべき方向というものが違うところにあるのではないかということを申し上げたいのであります。いかがでしょうか。

町村国務大臣 日本もいろいろな形で今支援協力をやっているところでございます。既に、民生安定事業を初め、麻薬対策、司法改革、警察再建、DDR等々、さまざまなことをやっておりますが、これはもちろん、アフガニスタン政府が、G8が主導するこういった、日本だけじゃありませんが、G8が主導する国際社会の支援を受けてやっているということでありまして、特にこのDDRというのは、まさにこれは軍閥解体なんですね。これを日本が一生懸命やって、軍人さんだった人に職業を与えて、民間人としてしっかり仕事ができるようにしていこうというようなことをやっているわけであります。

 麻薬対策も、なかなか御指摘のようにそう簡単に解決する問題ではない、根の深い問題ではございますけれども、日本がある意味では得意にしているさまざまな農業支援等々を通じて、できるだけケシではない作物への転換の農業指導協力といったようなことも始めているところでございまして、今後もそういった面で一層の努力をしていきたいと考えております。

鳩山(由)委員 ぜひそちらの方向に力を入れていただきたい。

 アフガニスタン、余り長くやりますと時間がなくなりますのでこのぐらいにいたしますが、当地の大使館の高官の方も、実は、アフガニスタン人には海上自衛隊の貢献は全く見えていませんねという発言があり、それよりも別の支援の方がありがたいという気持ちを伝えておられましたので、あえて私からこの場で申し上げておきます。

 それから、パレスチナに関しては、もう時間がありませんので、一言だけお伺いを申し上げたいと思います。

 それは、パレスチナ、御案内のとおりアラファト議長が亡くなられて、私ども献花をしてまいりましたが、そのアラファト後の選挙というものが、このアフガニスタンと同じように、非常にクルーシャルに重要な選挙ということになります。

 あえて挑発的にイスラエル兵がパレスチナ人を殺害するというような事案が出ていることも先ほど申し上げておきましたが、パレスチナ人も自制をしなければならない。こういうときに、今までですと、やられたときにはまた怒りからさらにテロ行為を行う、それがさらにテロ行為を生むというテロの連鎖、憎しみの増幅ということにつながってきたわけでありますだけに、これは選挙監視団を日本として早急に派遣をしていただきたい。

 これは、選挙監視団を派遣するということは、政府の決定として伺っております。一番大事なことは、先ほど申し上げたように、選挙のときまでにさまざまな挑発行為というものが行われる可能性がある。これが大変怖い。もし挑発が行われてそれに乗ってしまうようなことがあったときに、選挙自体が全く意味をなさない可能性すらある。そう考えたときに、選挙監視団をお出しになるという話であれば、我が党からも選挙監視団を派遣することを、準備を考えておりますが、ぜひ政府として早期に派遣をしていただくように心からお願いを申し上げます。いかがでしょうか。

町村国務大臣 一月九日であったと記憶をしておりますけれども、来年一月のパレスチナ自治政府の長官選挙というものが非常に重要な意味を持っているというのは、委員の御指摘のとおりでございます。

 私どもとしても、どういう形の協力ができるかということで、一つは、前回九六年のときもそうでございましたけれども、今回もまた資金面での協力を、今、どのくらい、どういう形で、どういうものが必要であるかということを、先方自治政府と話を始めているところでございます。いずれ、まとまり次第、これは財政当局ともお話をして至急手当てをしたい、こう思っております。

 今委員お話しの選挙監視でございますけれども、九六年のときは日本から七十七名の方々が行っておられます。そのうち国会議員は十三名前後であったというふうに資料では載っております。今回も、どういう形でやるのか、期日が迫っておりますから、できるだけ前向きに考えていきたいと思っておりますが、ただ、委員御指摘のような治安情勢というものもあるものですから、どこまでそれが十分なものになるのかどうか、その辺はどこまでリスクを負っていくべきものかどうかということもよく考えながら、しかし、基本的には前向きに、選挙監視を含めてやっていきたいと思っております。

 なお、選挙が重要なのは、イラクの一月三十日の選挙も極めて重要であるということをぜひ付言させていただきます。

鳩山(由)委員 そのイラクの選挙に関しても、また後で申し上げたいと思います。

 それでは、ぜひ、パレスチナの中東の問題に関しても、三年間、これは、インティファーダ以降、極めて政府の支援額が激減しておる状況でありますだけに、それを早期に回復していただくことを心からお願いをいたします。

 最後に、イラクの問題に関して、時間が残り少なくなりましたが、申し上げたい。

 それは、実は、フランスのNGOでACTEDという、サマワで給水活動をしておられるNGOの方々と二日間ほど話をしてまいりました。彼らは、七カ月間の間で三十五万ドルと言っていますから、一カ月で五万ドル、五百万円くらいを使って六万七千人の方々に給水活動をしているということでありました。

 先ほどの資料を拝見いたしますと、防衛庁の資料では、サマワの自衛隊の給水活動は約五・六万人程度の所要量を満たすということが書いてありました。

 まあ大体似たような量だと思いますが、だとすれば、彼らも、イラクの人たちに、むしろ働いて、そこに何がしかの雇用対策としての給料を差し上げているようでありますが、そういうイラク人の雇用対策の問題も含めて、圧倒的にNGOの方がコストが安くできておる給水活動。そこに自衛隊が果たして、サマワで自衛隊がやっておられることを決して私としてすべて否定するつもりはありません。しかし、その給水活動というものを中心的に行っているように皆さん方がお話をされている。それは実は、フランスのNGOでもそれに匹敵する、あるいはそれ以上の仕事がもう既に圧倒的に安いコストでできているということに対してどのようにお感じなっておられるか、聞かせてください。

大野国務大臣 まず、三分野で活動をしている、このことは御存じのとおりでございます。その三分野で雇用も創出している、このことも御存じのことだと思います。今までに延べ八万人程度の雇用を創出いたしております。

 それから、給水についてのお尋ねでございますけれども、給水は、まず、一人当たりどの程度必要か、最低必要量を四・五リットルと計算しまして、自衛隊が給水、配水しておりますのがまず一日五万人程度。それで、この自衛隊が給水しておりますのは、浄水しておるわけであります。浄水した水を配水するのはイラクの方々が配水している、こういうことであります。また、NGOのやっている方は浄水ではありません。配水をしている。こういうところに違いがあるのではないかと思います。

 そして、今後、この配水あるいは浄水、配水活動というのは、まさにODAでこれから進めていって、最終的には、ODAの浄水機で浄水された水が、イラク人自身によって浄水し配水されていくものと理解しております。

鳩山(由)委員 それはちょっと認識違いでありまして、ACTEDがやっているのは、これは給水活動をやっております。一人平均四リットルほどの水を供給しているということでありますから、それは認識をぜひ新たにしていただかなければなりません。

 私が申し上げたいのは、国民の税金を使っている仕事でありますだけに、もっとより効果的なやり方があるにもかかわらず、なぜ自衛隊を使ってそのような仕事をされているのかということになれば、これはやはり、アメリカというものを見て、アメリカのために我々はこれだけのことをやっているよ、しかも自衛隊を使っていますよということを見せたいからにしか見えないのでありまして、もしそうでなければ、これは、本来ならばもっと必要なことをはるかに少ないコストでイラクの人たちを、イラクの人たちのことを思えばですよ、イラクの人たちのためになる仕事は十分にあるわけであります。そのことを私どもは確認をして帰ってまいりました。

 ただ、確かに、イラクの国内で日本人があるいは外国人が仕事をするということはなかなか難しい。我々の民主党としての復興支援策は、やはりイラクの外から、今話したような方々もイラクの外からさまざまな活動をしておるわけでありますが、そういう活動を支援するために、イラクの人たちのことを思えば、例えばファルージャで二十五万人の人たちがファルージャから追い出されて、ファルージャ以外のところであるいは海外で生活しなきゃならない、そういう人たちのためになる仕事にもっと精を出していただくべきだ。それをされないで、これは自衛隊が必要なんだ、自衛隊が必要なんだというそちらの一点張りで自衛隊の延長をされるというのは、私は論理的に間違っているということを申し上げたい。

 もう時間がなくなりました。最後に、これは、先ほど公明党さんの佐藤議員から「自衛隊が撤退する四つのケース」というお話があって、先ほど総理は、その四番目の「自衛隊の安全確保ができなくなったとき」というのも撤退する四つのケースの中に入れられましたが、それはそれでよろしいんですね。

小泉内閣総理大臣 それは、自衛隊の安全確保、これは当然であります。これに対してもう十分な配慮がなされなければならないと思っております。

鳩山(由)委員 この公明党さんの考えておる「自衛隊が撤退する四つのケース」の三番目は、非戦闘地域でありますから、国または国に準ずる者という主語がつきます。

 しかし、自衛隊の安全確保ができるかできないかということは、言うまでもありませんが、国または国に準ずる者が攻撃していようが、だれが攻撃していようが、それは、自衛隊の隊員の安全確保ができなくなったときという発想で当然よろしいわけですね。ここにまた主語が、国または国に準ずる者なんというのがつくんだったら話が全く変わります。いかがでしょうか。

大野国務大臣 おっしゃっていることは当然でありまして、国または国に準ずる者というのは非戦闘地域の判断の問題であり、それから安全確保というのは、自衛隊の皆さんが本当に安全に人道復興支援に精励できる、こういう状態をつくり出すのが総理大臣、防衛庁長官の責任でございます。

鳩山(由)委員 となれば、先月ですか、ロケット弾が飛んできた。たまたま自衛隊員がいなかったから、コンテナに当たって貫通したけれども、負傷者も亡くなる方も出なかった。たまたまです。でも、現実問題として自衛隊の安全確保ができていると思いますか。たまたまうまくそれたから助かったというだけの話じゃありませんか。現実問題として、もう既に自衛隊の安全確保はできなくなっているのではないですか。さまざまな、監視のヘリコプターを飛ばしているとかいうような話がありますが、それでもこのようなことを防ぐことができなかったということは、現実問題として自衛隊の安全確保ができなくなったと私は考えています。

 そこで、総理に最後の質問でありますが、水野君という国連の職員がこれからイラクに入るということで、直前にお会いをしてまいりました。私はそのときに、アナン国連事務総長は、今回もし国連職員をイラクに大量に送って結果として何らかの死傷者が出たときには、彼はみずから事務総長の職を引くという決意を持って臨んでいる、そういう話がありました。

 総理にも、この自衛隊員の安全確保が私はもうできない状況になっていると思いますが、まだ安全であるという話であるならば、もしそうでない事態が発生したときに、アナン事務総長と同じような覚悟を持っておられるか、最後にそのことだけをお伺いしたい。

小泉内閣総理大臣 現状において、自衛隊の安全確保ができなくなった状況にあるとは思っておりません。今後も安全確保には全力を挙げて取り組んでいきたいと思います。

鳩山(由)委員 では、もう時間がなくなりましたからこの辺にいたしますが、今、覚悟のお話を伺ったのでありますが、総理には覚悟が残念ながら見えない。それは、覚悟がない中で自衛隊が派遣されるとすれば、自衛隊の方々に大変かわいそうな哀れな話であるということを申し上げて、質問を終わります。

船田委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢でございます。

 私は、きょうはファルージャの問題を中心に伺っていきたいと思います。

 米軍は、サマラ、ファルージャに引き続き、バグダッド南郊のバビルで総攻撃を展開しております。ファルージャでは、十万余の人々が残っている町を封鎖して、そして空爆と地上戦闘を繰り広げました。ファルージャの作戦は、四月の空爆のときに六百人の犠牲者を確認し、告発し続けた総合病院をまず占拠する、こういうことから始めたわけであります。それでも、ファルージャ在住のジャーナリストそれから医師、そして避難してきた人々からファルージャの現地の様子がマスコミに告発をされ続けております。

 避難してきた住民の話によりますと、川を泳いで逃げるときに米軍にねらわれ撃たれた、あるいは、米兵は建物の屋上に上がり、そこから老人、女性、子供の区別なく、動くものすべてに銃撃を加えた、このように話をしております。無差別の殺りくだと考えます。二千人以上の民間人が犠牲になったとも言われております。人道援助まで妨害をされました。多くの遺体が放置をされて、町には異臭が漂っている、まるでゴーストタウンだ、こういう状況であります。

 総理は、ファルージャについて、成功させないといけないと述べてきましたけれども、これほど多くの民間人が犠牲を出した事実が明らかになった今日、このような作戦は中止するよう米国に求めるべきだ、このように考えますが、いかがですか。

小泉内閣総理大臣 それは、イラクの安定した民主的政権づくりに関して、ファルージャの戦いにおいても、武装勢力のばっこを許さないために成功させなければならないと思っております。できるだけ民間人の犠牲がないように配慮するのは、これまた必要なことだと思っております。

赤嶺委員 今、武装勢力というぐあいに言われましたが、最初は、テロとの闘いとか言われてきたわけです。しかし、本当に外国人テロリストは少なかったとか、このように言われています。

 それから、今度のファルージャ攻撃というのは、米軍の司令官が、テロリストのザルカウィは既に脱出した可能性があるということを作戦開始の翌日に認めているわけですね。それ以後も、地上攻撃が続く、民間人が犠牲になる。

 そして、国連の人権高等弁務官は、今回の衝突で一般市民と戦闘員を保護するための戦争のルールが侵害されているとの多数の報道がある、こういうことまで言われております。そして、人権高等弁務官は、国際人道法や人権に対する違反行為を調査しなければならない、このように言っているんですよ。

 民間人が犠牲になるような、そういう武力闘争というんでしょうか、戦闘をやめるように言うのは当然のことじゃないですか、人道の立場に立てば。

町村国務大臣 イラクの暫定政府は、このファルージャの武装勢力に対する活動について、これまで、恩赦をするとか退出を呼びかけるとか、いろいろやってきた。しかし、いろいろやってきたけれども、結果的に残る人がどうしても一割、二割いた。

 そこで、今回の非常事態宣言、あるいはこの掃討作戦、これはやはり、明年一月三十日に選挙を実施する、そのための法の支配を回復するために、これは万やむを得ざる措置であったというふうにイラク暫定政府は発言をしているわけでありまして、私ども日本政府としても、そういう意味で、治安情勢が速やかに回復をされる、そして選挙がきっちり行われるようにしようということについて、それに賛同することは当然のことだろう、こう思っております。

 現実に、先般、十一月二十三日、エジプトで開かれました国際会議、これは二十七の国際機関・関係諸国、中国も含めてのG8諸国、これらが参加をし、私も参加をしてきたわけでありますけれども、その中で、まさに国際社会の一致した意見、これは完全一致であります。この選挙を含む政治プロセスを成功させよう、そしてテロとの闘いはしっかりとやらなければいけない、テロリストに屈してはいけないということもまた、これは完全に国際社会の一致した意見であるということについては、ぜひ委員も御理解をいただきたいと思います。

赤嶺委員 ファルージャで民間人がこれほど犠牲になった悲惨な実態について答弁の中で一言も触れない、こういう日本政府のあり方というのは、イラク国民から見れば本当に、どんなふうに見られるか、よく考えていただきたいと思うんです。

 武装勢力といいますけれども、イラクの国民ですよ。イラクの国民が今のアメリカの暫定統治に不満を持っている。ですから、アナン事務総長は、このファルージャの作戦の前にアメリカに対して、こんなことをやったら、イラクにまだ占領が続いていると思わせることだというぐあいに指摘しているじゃないですか。

 それが国際社会の合意と言いますけれども、G8・周辺国閣僚会議声明の要旨を見ましても、すべてのテロ行為を非難する、そして、全当事者に対し、過度の武力行使を避け、一般市民に対する暴力を避けるよう要請すると。一般市民に対する暴力を避けるよう、過度な武力行使をやめるよう要請している。これがG8閣僚会議で発表された、マスコミでも発表されている要旨であります。まさに、アメリカに対して周辺国その他は警告を発している。こんなことをしたらイラクに安定は訪れないと言っていると思います。

 それで、私、もう一つファルージャに関して聞きたいんですが、民間人の虐殺が問題になっている中で、今度は、負傷した無抵抗のイラク人がモスクの中でアメリカの海兵隊員によって銃殺される様子が報道されました。

 アムネスティ・インターナショナルも、直ちに脅威とはならない非武装の負傷した戦闘員を意図的に銃撃する行為は、国際法に照らして戦争犯罪であり、全容を調査し、犯罪人に法に基づく責任を負わせる義務がアメリカ当局にある、このように指摘しております。

 総理は、国際人権団体も厳しく批判しているこれらの行為をどのように考えていますか。総理、お願いします。

小泉内閣総理大臣 こういうことがないように配慮しなきゃいけないと思っております。

赤嶺委員 まさに、そういうことが繰り返されている、これがイラクであります。国際社会からも過度の武力の行使というぐあいに警告をされるアメリカのやり方、そして、そのアメリカのやり方に対して、民間人の犠牲についても批判できない日本の姿。結局、多国籍軍の一員であり、そしてイラクの国民にまだ占領が続いていると思わせる、そのアメリカの占領当局の一員とも自衛隊が見られるようになってきております。

 サマワに自衛隊がいるわけですが、既に、イスラム教シーア派有力指導者であるムクタダ・サドル師、そのサドル師の報道官アブデルハーディ・アルダラジ氏は、我々はすべての外国軍を拒否しており、自衛隊も占領軍とみなしている、このように述べています。サマワでは、占領軍の自衛隊は帰れ、こういうデモも起こりました。皆さんの報告書の中にも入っております。

 イラクの国民の中でこういう発言、こういう行動が出始めているということ、これを総理はどのように受けとめますか。

小泉内閣総理大臣 イラクでは、自衛隊、継続してくれ、サマワでは、自衛隊、帰らないでくれというデモも行われているということも承知しております。いろいろな意見があると思います。

赤嶺委員 今、いろいろな意見があると言われましたが、やはり日本はイラクで占領軍の一員と見られている、そういうイラク国民の声も起こってきている、このことはお認めになるわけですね。

小泉内閣総理大臣 いろいろな意見があると思っております。

赤嶺委員 これはまさに、いろいろな意見の中に、占領軍の一員、そして人道法に違反するような戦争犯罪を繰り返しているアメリカの立場を支持している。成功しなければならないという立場に立っている。そうなれば、日本は人道法違反の戦争犯罪の共犯者ですよ。イラク国民からそのように指摘されても、返す言葉はないと思います。

 もともと、そういう占領に加わるということ自身が憲法違反であります。それから、法律上の要件である非戦闘地域というような要件も崩れております。自衛隊が人道復興支援というぐあいに言ってきたサマワでの給水活動も、これを上回る人道復興支援活動をNGOがサマワで展開している、こういう状況があります。

 私は改めて、自衛隊はイラクから撤退をすべき、そして国連中心の枠組みで、本当にイラク国民が占領されているという意識を持たないような、そういう主権を持ったイラクの回復こそが必要だということを申し上げて、私の質問を終わります。

船田委員長 次に、照屋寛徳君。

照屋委員 社会民主党の照屋寛徳でございます。

 まず最初に、総理にお伺いをいたします。

 私は、ファルージャにおけるアメリカ軍とイラク治安軍による無差別攻撃は、国際人道法に違反をする残虐非道な行為であるというふうに思っております。

 先ほども質問に出ましたけれども、モスクで傷ついた者を、まだ死んだふりをしているんだと言って射殺する映像が日本でも流れましたが、総理はその映像をごらんになりましたでしょうか。ごらんになったとすれば、そのような行為をどのようにお考えになっておりますでしょうか。

小泉内閣総理大臣 私は、その射殺している行為を見たことはございませんが、そのような一般市民に及ぶような行為がなされないように配慮する必要がある、また、テロ武装勢力が残虐な行為をしているということに対して、これを阻止し、安定した政権をつくろうとしているイラク国民の努力を支援しなきゃならないと思っております。

照屋委員 総理にお伺いいたしますが、総理は、先ほど、サマワで自衛隊に対するいろいろな行動があるというのを承知しているという話でございました。十一月の十二日に、サマワでイスラム教シーア派による自衛隊撤退要求デモというのは、私はかなり計画的、組織的なデモであったとマスコミ報道では感じておるんですが、総理は、この期に及んでシーア派が自衛隊撤退要求のデモをしたということについては、どのように思っておられますか。

小泉内閣総理大臣 いろいろな意見があると承知しておりますが、現地の責任者等は自衛隊の支援活動継続を要請しておりますし、現地の住民からも自衛隊の活動に評価をし、感謝をし、今後とも自衛隊の活動を継続してくれというデモも行われているということを伺っております。

照屋委員 自衛隊がサマワへ派遣をされてかなり時間が経過をしてまいりました。総理の御認識をお伺いしたいのは、サマワは比較的安全だ、安全だというのがこれまで外務大臣や防衛庁長官あるいは総理からも表明をされましたけれども、少なくとも、自衛隊が派遣された当時よりもサマワを含めてイラクの治安状況は悪化をしているんだという御認識は持っておられるでしょうか。総理にお伺いします。

小泉内閣総理大臣 予断を許さない状況であると思いますが、現在の状況が自衛隊の人道復興支援ができない状況だとは思っておりません。

照屋委員 自衛隊の宿営地に迫撃砲やロケット弾が撃ち込まれたということは総理も御承知だと思います。いまだに犯人が特定をされない、こういう状況にあるわけですが、私は、この迫撃砲やロケット弾による宿営地へ向けた攻撃は日本の自衛隊そのものを標的にしたのではないか、こういうふうに考えるのでありますが、総理は、犯人がわからないから、この攻撃が、例えば国際性、組織性、計画性、継続性を持つものであるかどうか、そういうことが判然としない以上、依然としてサマワは非戦闘地域であり、また自衛隊の安全確保も十分にできる、このような御認識でしょうか。

小泉内閣総理大臣 警戒する必要があると思いますが、安全確保により万全の体制をとっていかなきゃならないと思っておりますし、今後とも自衛隊が活動できるような状況に政府としても全力を挙げていきたいと思っております。

照屋委員 総理や外務大臣や防衛庁長官、要するに政府を挙げて、国民に向かって、自衛隊はイラク人道復興支援という目的で行っているのだ、これを繰り返し繰り返し唱えても、私は、日本はアメリカを支持するために自衛隊を派遣しているのだということは、中東だけではなくして、もう国際社会の常識だろうと思うんですね。

 最近も、イスラム教シーア派のムクタダ・サドル師派の幹部が十一月の十六日に、細かく言いますと、自衛隊は復興支援のために来たと主張しているが、米軍やオランダ軍と同様に占領軍である、我々は占領軍と戦っており、日本もその戦いの、戦争の相手の一部になった、こういうふうなことを言っております。

 それについての総理の御認識と、私は、また、最後にお伺いをしたいのは、自衛隊を派遣した最高責任者として、私たちがこれまでの日中戦争やあるいは太平洋戦争、シベリア出兵の歴史に学ぶのであれば、総理としては常に常にこの自衛隊の撤兵のタイミングと条件については心しなければいけない、そうでなければ、ずるずると日本がアメリカ軍と一緒になって戦闘行為に加担をしてしまう、こういうふうに思いますが、最後に総理の御見解をお伺いいたします。

小泉内閣総理大臣 自衛隊は戦闘行為に参加しているわけでもありませんし、武力行使をしているわけでもございません。日本の活動として、日米同盟、そして国際協調、イラク復興支援、これが国際社会の一員として日本の利益に合致するということから、自衛隊の諸君に汗をかいていただいているわけでありますので、自衛隊の諸君の献身的活動がイラク国民から評価されるように、これからも政府を挙げて全力を尽くしていきたいと思っております。

照屋委員 終わります。

    ―――――――――――――

船田委員長 この際、政府から説明を聴取いたします。防衛庁運用局長大古和雄君。

大古政府参考人 イラク人道復興支援特措法に基づく自衛隊の部隊の最近の活動状況について御報告いたします。

 まず、サマワの陸自部隊においては、安全確保に十分配意しつつ、宿営地における給水活動を初め、ムサンナ県内のヒドル、ブサイヤ、ルメイサ及びダラージにおける学校補修、ナジミ及びサマワにおける道路整備を引き続き実施しています。これらの活動により、これまで一日当たり三百から五百名程度の雇用を創出しているところです。また、病院における医療活動も引き続き実施しています。

 給水活動に関しましては、これまで一日当たり二百トンから二百八十トン程度を給水しております。これは、仮に一人一日当たりに必要な水を四・五リットルとした場合に、給水量を二百五十トンとしても、約五万六千人程度の所要量を満たす計算になります。なお、三月二十六日から十一月二十四日までの間に、計約四万一千トンを給水しました。

 また、現在、現地で活動する第三次復興支援群は、十一月中旬より順次サマワ入りしている第四次復興支援群に部隊交代を行い、業務の引き継ぎを実施後、十一月から十二月にかけて帰国する予定です。

 十一月十日以降のサマワ周辺の情勢について、主な事件等は次のとおりです。

 十一月十一日午前、サマワ宿営地前において、自衛隊を支持する約百四十人の規模のデモが実施され、関係行政機関や部族の関係者を含む人々から、自衛隊の支援への感謝があらわされ、さらなる支援や活動の継続を望む書簡が復興支援群長に手渡されました。

 十一月十二日午前、サマワ市内において、パレスチナを支援することを目的とする約二百名の規模によるデモがあり、自衛隊部隊に関しては、現地サドル派関係者より、日本はさまざまな支援を行った、自衛隊は任務を達成したので帰るべき旨の言及があったことを確認しました。

 いずれの事案においても、現地部隊に異状がないことを確認しておりますが、現地部隊においては、さまざまな情勢を踏まえ、その活動も慎重に行っているところであり、引き続き安全確保に細心の注意を払いつつ活動を実施してまいります。

 航空自衛隊の部隊については、十一月十日から二十四日までの間、我が国からの人道復興関連物資、陸自関連及び関係各国、関係機関等の物資、人員の輸送を計六回実施したところです。

 引き続き、イラク国内の各飛行場の安全性や輸送ニーズ等を慎重に勘案しつつ、C130機による輸送を行ってまいります。

 以上でございます。

船田委員長 次に、外務省中東アフリカ局長吉川元偉君。

吉川政府参考人 最近のイラク情勢について御報告いたします。

 今後のイラクの政治プロセスにおいて、国民議会選挙が予定どおり明年一月末までに実施されることがかぎであると認識しております。

 選挙準備につきましては、本年五月末に独立選挙管理委員会が発足し、現在、同委員会が国連等の支援を受け準備作業を進めているところです。十一月一日には有権者登録が開始され、国連の発表によれば、五百カ所を超える全国の有権者登録センターの大半で有権者登録作業が開始されました。登録手続は十二月十五日まで行われる予定であると承知しています。また、政党及び個人立候補者の登録につきましても十一月一日から開始されたと承知しています。十一月二十一日、独立選挙管理委員会は、国民議会選挙を明年一月三十日に実施すると発表いたしました。

 イラクの治安情勢につきましては、脅威の度合いは地域により異なるものの、駐留多国籍軍と武装勢力の衝突、民間人の拘束、殺害等さまざまな事件が国内各地で頻発しており、依然予断を許さない状況が続いております。

 十一月七日、イラク暫定政府は、七月七日に公布した国家治安維持令に基づき、北部のクルド地域を除くイラク全土に対し非常事態を宣言しました。その具体的な内容につきましては、アラウィ首相が八日の記者会見において、イラク暫定政府の決定として、現地時間八日午後六時よりファルージャとラマディに外出禁止令を発令する、バグダッド国際空港を八日夕方から四十八時間閉鎖する、シリア及びヨルダンとの国境を封鎖し、食料運搬車両以外の通行を禁止する等の措置をとった旨述べました。

 二十四日現在、非常事態宣言を受けてとられている措置は、バグダッド、ファルージャ、ラマディ、モスル、バイジ、ハウィジャ、ナジャフにおける外出禁止令等であると承知しています。

 なお、二十四日現在、自衛隊が活動しているムサンナ県では、今回の非常事態宣言を受けて、同県の治安維持のための何らかの具体的な措置がとられたといった情報はありません。引き続き状況を注視してまいります。

 ファルージャにつきましては、イラク暫定政府は、これまで事態の平和的解決に向けた努力を行ってきましたが、八日、イラク治安部隊と駐留米軍はファルージャの反政府武装勢力に対する掃討作戦を開始しました。二十四日現在、戦闘はおおむね終了した模様です。

 イラク暫定政府はこれまで、治安要員の強化、国家治安維持令の公布、恩赦の決定等硬軟両様の措置を講じてきていますが、国家治安維持令に基づき発出された今回の非常事態宣言やファルージャにおける掃討作戦は、法の支配を回復し、明年一月末までに選挙を実施するためのやむを得ざる措置と認識しています。日本政府としては、このような措置が早期に奏功し、治安情勢が速やかに改善されることを期待しています。

 十一月二十三日、エジプトのシャルムエルシェイクにおいて、二十七の国と機関の外務大臣、事務総長等の参加のもと、イラクに関するG8及び近隣国等の会合が開催され、我が国より町村外務大臣が出席しました。今次会合では、イラク暫定政府の進める政治プロセスに対し、国際社会が一致団結した支持を示したことが最大の成果であると認識しております。

 以上で報告を終わります。

船田委員長 これにて説明は終了いたしました。

     ――――◇―――――

船田委員長 この際、鳩山由紀夫君外七名提出、イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法を廃止する法律案を議題といたします。

 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。末松義規君。

    ―――――――――――――

 イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法を廃止する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

末松議員 末松義規です。

 私は、民主党・無所属クラブ、日本共産党、社会民主党・市民連合の提出者を代表し、ただいま議題となりましたイラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法を廃止する法律案について、その趣旨を説明させていただきます。

 政府は、イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法に基づき、現行の基本計画が終了する十二月十四日以降も基本計画の派遣期間を延長し、自衛隊の部隊等による対応措置を継続しようとしています。

 しかし、基本原則を定めた第二条に、対応措置は、現に戦闘行為が行われておらず、かつ、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる地域、いわゆる非戦闘地域において実施すると明記されているのです。

 サマワの自衛隊の宿営地はどうなっているのでしょうか。迫撃砲やロケット弾の攻撃が連続して行われるなど、第二条の要件を満たしているとは到底考えられません。また、このような情勢で派遣期間を延長することは、同法第九条の定める自衛隊の部隊等の安全確保義務も果たせず、対応措置を継続する余地はありません。不測の事態が起こってからでは遅いのです。

 そもそも、イラク特措法が想定する非戦闘地域が一定期間存在したと仮定しても、イラクの現状を踏まえれば、相手側の意思により一瞬にして戦闘地域に変わり得ます。同法に基づく自衛隊の派遣の枠組みは、武力行使との一体化に係る憲法上の問題を回避するため、現実を無視して無理やりつくり上げたレトリックに基づくものであり、その論理は、まさに党首討論で小泉総理が述べたように、自衛隊の活動する地域は非戦闘地域であり安全であると本末転倒の答弁をしたことの一事をもってしても明らかであります。

 さらに、小泉総理がイラク攻撃の大義としてすがりついていたイラクにおける大量破壊兵器の存在は認められず、戦争の大義も否定されてしまったことにより、イラク特措法の枠組みは完全に破綻しているのです。

 よって、まず、同法を廃止し、自衛隊の部隊等による対応措置を直ちに終了することが重要なのであり、その上で、イラクの現状を踏まえた、我が国にふさわしいイラクの復興支援活動を実施していくことが必要なのです。

 以上が、同法を廃止する法案を提出した理由です。

 委員各位におかれましては、本案の趣旨につき十分に御理解を賜り、慎重御審議の上、速やかに可決なされることをお願い申し上げます。

船田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時四十三分散会


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