衆議院

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第6号 平成17年7月13日(水曜日)

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平成十七年七月十三日(水曜日)

    午後三時三十分開議

 出席委員

   委員長 船田  元君

   理事 石崎  岳君 理事 中谷  元君

   理事 三原 朝彦君 理事 渡辺 具能君

   理事 小泉 俊明君 理事 末松 義規君

   理事 藤田 幸久君 理事 佐藤 茂樹君

      宇野  治君    嘉数 知賢君

      岸田 文雄君    近藤 基彦君

      斉藤斗志二君    田中 英夫君

      竹下  亘君    武田 良太君

      谷  公一君    谷本 龍哉君

      寺田  稔君    西村 康稔君

      馳   浩君    平沢 勝栄君

      宮澤 洋一君    山口 泰明君

      稲見 哲男君    大石 尚子君

      大出  彰君    岡島 一正君

      吉良 州司君    篠原  孝君

      島田  久君    首藤 信彦君

      高山 智司君    津村 啓介君

      永田 寿康君    長妻  昭君

      西村智奈美君    本多 平直君

      牧  義夫君    三日月大造君

      赤松 正雄君    丸谷 佳織君

      赤嶺 政賢君    山本喜代宏君

    …………………………………

   外務大臣         町村 信孝君

   国務大臣

   (防衛庁長官)      大野 功統君

   防衛庁副長官       今津  寛君

   政府参考人

   (防衛庁防衛参事官)   西山 正徳君

   政府参考人

   (防衛庁防衛局長)    飯原 一樹君

   政府参考人

   (防衛庁運用局長)    大古 和雄君

   政府参考人

   (防衛庁人事教育局長)  西川 徹矢君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 遠藤 善久君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 中根  猛君

   政府参考人

   (外務省欧州局長)    小松 一郎君

   政府参考人

   (外務省中東アフリカ局長)            吉川 元偉君

   政府参考人

   (外務省領事局長)    鹿取 克章君

   政府参考人

   (外務省国際情報統括官) 中村  滋君

   衆議院調査局国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動並びにイラク人道復興支援活動等に関する特別調査室長        前田 光政君

    ―――――――――――――

委員の異動

七月十三日

 辞任         補欠選任

  川上 義博君     谷  公一君

  桜井 郁三君     近藤 基彦君

  竹本 直一君     田中 英夫君

  市村浩一郎君     三日月大造君

  神風 英男君     高山 智司君

  鈴木 康友君     永田 寿康君

  本多 平直君     津村 啓介君

  照屋 寛徳君     山本喜代宏君

同日

 辞任         補欠選任

  近藤 基彦君     桜井 郁三君

  田中 英夫君     竹本 直一君

  谷  公一君     川上 義博君

  高山 智司君     神風 英男君

  津村 啓介君     本多 平直君

  永田 寿康君     鈴木 康友君

  三日月大造君     西村智奈美君

  山本喜代宏君     照屋 寛徳君

同日

 辞任         補欠選任

  西村智奈美君     市村浩一郎君

    ―――――――――――――

五月十七日

 自衛隊のイラク派兵中止に関する請願(山本喜代宏君紹介)(第一三〇七号)

同月十八日

 自衛隊のイラク派兵中止に関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第一三八一号)

六月十日

 イラクからの自衛隊の即時撤退に関する請願(水島広子君紹介)(第二〇〇〇号)

同月十四日

 イラクからの自衛隊撤退に関する請願(石井郁子君紹介)(第二六一一号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二六一二号)

 自衛隊のイラク派兵中止に関する請願(生方幸夫君紹介)(第二九二六号)

 イラクからの自衛隊撤退を求めることに関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第三〇五七号)

七月四日

 イラク多国籍軍からの自衛隊の撤退に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第三一七九号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動並びにイラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動等に関する件


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     ――――◇―――――

船田委員長 これより会議を開きます。

 議事に入るに先立ちまして、一言申し上げます。

 このたびロンドンにおいて発生した地下鉄等爆破テロ事件は、数多くのとうとい人命を奪う極めて卑劣かつ許しがたい行為であります。

 ここに、お亡くなりになられた方々の御冥福を祈り、黙祷をささげたいと存じます。

 御起立をお願いします。――黙祷。

    〔総員起立、黙祷〕

船田委員長 黙祷を終わります。御着席願います。

     ――――◇―――――

船田委員長 国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動並びにイラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動等に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として防衛庁防衛参事官西山正徳君、防衛庁防衛局長飯原一樹君、防衛庁運用局長大古和雄君、防衛庁人事教育局長西川徹矢君、外務省大臣官房審議官遠藤善久君、外務省大臣官房審議官中根猛君、外務省欧州局長小松一郎君、外務省中東アフリカ局長吉川元偉君、外務省領事局長鹿取克章君及び外務省国際情報統括官中村滋君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

船田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

船田委員長 この際、政府から説明を聴取いたします。防衛庁運用局長大古和雄君。

大古政府参考人 イラク人道復興支援特措法に基づく自衛隊の部隊の最近の活動状況について御報告いたします。

 現在、五月二十八日に第五次群から任務を引き継いだ第六次群においては、安全確保に十分配意しつつ、ムサンナ県内のルメイサ、サマワ、ワルカ、ヒラル、ダラージ、ナジミ及びヒドルにおける学校補修、サマワ及びルメイサにおける道路整備、ワルカ及びルメイサにおける浄水場補修等を引き続き実施しています。これらの活動により、これまで一日当たり三百人から千百人程度の雇用、一日当たり平均、四月約八百三十人、五月約八百七十人、六月約九百五十人及び七月、十一日までで約八百二十人を創出しているところです。また、医療支援活動についても、継続して実施しております。

 なお、七月七日、イラク復興業務支援隊の第四次要員がサマワへ到着しております。

 五月十二日以降のサマワ周辺の情勢について、主な事件等は以下のとおりです。

 五月十八日、宿営地北西二キロメートルの地点においてイラク警察が迫撃砲弾五発を発見したとの情報を得ております。

 五月二十三日以降、日の丸や日本を批判する内容の落書きを複数回確認し、また、通行中の陸自車両に対する投石も発生しました。

 六月二十三日、サマワ市内において、道路改修工事の竣工式へ向かっていた陸自車両四両の近傍で、IED、簡易爆弾が爆発し、車両一両のフロントガラスにひびが入り、右側面のドアがへこむ等の被害が発生しました。この事案の背景等の詳細についてはイラク治安機関等で捜査中ですが、ムサンナ県評議会が本件につき反対の意思を表明し、県知事に対し自衛隊の安全確保を全会一致で要求する等の反応があります。

 六月二十八日、サマワ市中心部において、雇用問題等への不満を背景とした数百人規模のデモが発生し、デモ参加者の一部と警察が衝突し、死傷者が発生したとの情報を得ております。

 六月二十九日、ロケット弾がサマワ市内に着弾したことを確認しております。

 六月三十日、現地部隊において、サマワ市街地方向で西から東に走る閃光及び二回の爆発音を確認しました。ロケット弾が二発発射されたとの情報を得ております。

 七月四日、現地部隊において、飛しょう音及び着弾音らしき音を数回確認しました。翌五日から宿営地内外を捜索したところ、宿営地内の空き地において、弾着痕を一個発見しました。なお、砲弾の回収については、砲弾が地中深く潜っており、回収作業に伴う危険性が高いことから断念したところであります。

 また、宿営地外を捜索した結果、宿営地外南東部の周辺で弾着痕を四個発見しており、引き続き調査を進めることとしております。

 これらの事案において、現地部隊の人員に異状がないことを確認しております。

 なお、現地部隊においては、六月二十三日以降、六月二十九日にキャンプ・スミッティにおいて多国籍軍との調整を行ったことを除き、慎重を期して宿営地外における活動を見合わせてきましたが、七月十二日、部隊の安全確保に十分配慮した上で、サマワ市内の養護施設における施工状況確認等を実施したところです。

 航空自衛隊の部隊については、五月十二日から七月十二日までの間、我が国からの人道復興支援関連、陸自関連及び関係各国、関係機関等関連の人員、物資の輸送を計十八回実施したところです。

 引き続き、イラク国内の各飛行場の安全性や輸送ニーズ等を慎重に勘案しつつ、C130機による輸送を行ってまいります。

 以上でございます。

船田委員長 次に、外務省中東アフリカ局長吉川元偉君。

吉川政府参考人 最近のイラク情勢及びイラクにおきます邦人行方不明事件に関し、御報告させていただきます。

 まず、政治プロセスにつきましては、イラク移行政府発足後、五月十日には、イラク国民議会に憲法起草委員会が設置されるとともに五十五名の委員が決定されました。その後、七月五日には、同委員会の委員としてスンニ派の十五人が新たに承認されました。

 我が国は、政治プロセス支援の一環として、ハサニ・イラク移行政府国民議会議長を初めとする同議会議員等十四名を本邦に招聘し、六月十七日から二十二日まで、憲法制定支援セミナーを実施いたしました。

 六月二十二日、ブリュッセルにおいて八十を超える国と機関が参加してイラク国際会議が開催され、政治、経済・復興、法の支配と治安の各分野での同政府の取り組みを国際社会が協調して支持、支援していくことを確認する声明が採択されました。我が国よりは町村外務大臣が出席し、日本政府の取り組みについて発言するとともに、経済・復興セッションの共同議長を務めました。また、その際に、町村大臣はジャファリ首相やジバリ外務大臣と意見交換を行いました。

 次に、治安情勢につきましては、移行政府発足後も、地域により脅威の度合いは異なるものの、依然予断を許さない状況が継続しております。イラク移行政府は、駐留米軍と協力しつつ、大規模な武装勢力掃討作戦を実施するなど治安回復に向け全力で取り組んでいるところ、このような移行政府の努力が奏功することを期待しております。

 七月七日、イラクのアルカイダ組織は駐イラク・エジプト大使を殺害した旨の声明を発表し、エジプト外務省は同大使の死亡を確認しました。テロはいかなる理由であれ正当化されるものではなく、我が国は断固としてテロを非難するものです。

 サマワにつきましては、六月二十三日、同市内における道路改修工事の竣工式に向かっていた陸上自衛隊の車両が簡易爆弾による爆発に遭遇し被害を受けるという事件が発生しました。

 また、七月四日、自衛隊の現地部隊が飛しょう音及び着弾音らしい音を数回確認し、翌五日、宿営地で弾着痕が一個発見されるという事件が発生しました。その後、イラク・イスラム軍傘下の団体が自衛隊を攻撃した旨の書き込みがウエブサイトになされましたが、その信憑性については明らかではありません。我が国としては、イラク治安機関等と協力しつつ、これら事件の背景等の詳細について、できる限りの調査を実施してまいります。

 最後に、イラクにおける齋藤昭彦氏行方不明事件につきましては、五月二十八日、イラクの武装組織であるアンサール・アルスンナが、ウエブサイト上に、齋藤氏であるとする映像を掲載するとともに、同氏が死亡した旨の声明を出しました。この映像について齋藤氏の御家族及びハート・セキュリティー社に照会し、また、警察庁による識別を行った結果を総合したところ、政府としては、残念ながら、映像の人物は齋藤氏と考えざるを得ません。

 ただし、齋藤氏の死亡については最終的な確認はできず、また、現時点の所在も明らかでないことから、引き続きイラク政府及び関係国政府、ハート・セキュリティー社とも連絡をとりつつ、さらなる情報収集に努めていく考えです。

 以上で報告を終わります。

船田委員長 次に、外務省欧州局長小松一郎君。

小松政府参考人 七月七日にロンドンにおいて発生いたしました地下鉄爆破テロ事件について御報告させていただきます。

 これまでのロンドン警視庁による発表等によりますと、事件の概要は次のとおりでございます。

 現地時間七日朝、シティー近接地域を含むロンドン市内中心部で四件の爆発が発生いたしました。このうち、地下鉄で発生した三件の爆発は、午前八時五十分ごろ、日本時間で午後四時五十分ごろ、約五十秒の間に同時に発生し、次いで午前九時四十七分ごろ、日本時間で午後五時四十七分ごろには、バス内で爆発が発生いたしました。これらの爆発によって、十二日までに五十二名の死亡が確認されたほか、約七百名が負傷し、うち五十六名が病院で治療中でございます。

 なお、十一日、ロンドン滞在中の邦人女性一名が本件事件により軽傷を負っていたことが判明いたしましたが、十二日現在、これ以外には邦人の方が被害を受けたという情報には接しておりません。

 本件爆弾テロ事件につきましては、英国の関係当局が慎重に捜査中と承知しておりますが、十二日午後五時過ぎ、日本時間十三日午前一時過ぎに行われましたロンドン警視庁の記者会見において、英国中部ウエストヨークシャーで男性一名を逮捕したとの発表がありました。きっかけは監視カメラの映像分析であり、四名の男性が七月七日午前八時三十分前にキングスクロス駅で撮影されていることが判明したことであると発表されております。なお、四名のうち一名は、オルドゲート駅での爆発で死亡したとの証拠があるとのことです。四人全員が死亡したとの報道もございますが、これについては確認できておりません。

 本件について、捜査当局によれば、アルカイダによる犯行を示す特徴はあるものの、その証拠はないとされております。また、本件事件に関しては、七日付で欧州におけるジハード基地組織、この基地組織と申しますのはアラビア語のアルカイダの日本語訳でございます、また、九日付でアブハフス・アルマスリ旅団による犯行声明が出されておりますが、その信憑性については、現在のところ明らかでございません。

 本件爆弾テロ事件を受けて、七日、グレンイーグルズで会合中のG8及び新興経済諸国、ブラジル、中国、インド、メキシコ、南アフリカでございますが、この首脳がテロを非難する旨の共同声明を発出するとともに、国連安全保障理事会においても、すべての国に対し、本件テロ行為の実行者、組織者、支援者を捜査し、裁判に付する努力に協力するよう要請する決議一六一一が全会一致で採択されました。

 我が国といたしましては、七日にグレンイーグルズにおいて、小泉総理から、本件についての強い憤り、ブレア首相への完全な支持と協力、被害者に心からのお見舞いを申し上げる旨のコメントを発出いたしましたほか、同日、町村外務大臣からストロー英国外相に対しましても、本件への深い憤りと強い非難を表明し、英国政府及び御遺族の方々への哀悼の意と負傷された方々へのお見舞いを伝達いたしました。

 また、七日及び十二日付で、外務省は、渡航情報、スポット情報を発出いたしまして渡航者に注意喚起を行うとともに、在英国大使館を通じて邦人の安否確認を行っております。

 ロンドンにおきましては、事件当日に全面的に運休した地下鉄、バスもほぼ復旧し、平常の姿に戻りつつありますが、ロンドン警視庁は、治安当局が引き続き高度の警戒を維持し、安全の確保に努める旨表明しております。

 我が国としては、現地情勢及び英国の関係当局による捜査の進展を注意深く見守りつつ、引き続き邦人の安否確認及び安全確保に努めていく考えでございます。

 以上でございます。

船田委員長 これにて説明は終了いたしました。

    ―――――――――――――

船田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。武田良太君。

武田委員 自由民主党、武田良太でございます。

 本当に絶対に許せないテロがまた、七月七日、ロンドンで発生いたしました。全世界の人々とその怒りと苦しみを分かち合うと同時に、被害に遭われた方々に対しましてお見舞いとお悔やみを申し上げたいと存じます。

 限られた時間でございますので、早速本題に入らせていただきたいと思います。

 ただいま、防衛庁そして外務省の皆さんから説明をいただきました。我が国の自衛隊が駐留しますサマワの本当の今の治安状況について、防衛庁長官にお尋ねをいたしたいと思っております。

 今の説明によると、決して治安は好転していない、だんだん悪くなっているような印象が我々に受けとめられるわけでございまして、そうしたことも含め、現在の本当のサマワの治安状況についてお答え願いたいと思います。よろしくお願いします。

大野国務大臣 サマワにおける治安情勢をどう考えているのか、どう認識しているのか、こういう御質問でございます。

 まず第一に申し上げたいことは、サマワにおける治安情勢、この点は、再々申し上げておりますけれども、イラクの他の地域に比べれば比較的安定している、こういう認識には変わりはございません。

 例えば襲撃件数で見まして、ムサンナ県、南東部は全体の数十分の一である。あるいは、サマワのあるムサンナ県だけとってみますと、多国籍軍の死亡者数は全体の数百分の一である。そういうことで、他の地域に比べれば比較的安定している、こういう認識は変わっておりません。

 これを時系列で見てみますと、自衛隊がサマワに駐留いたしましたのは、二〇〇四年、去年の一月からでございますけれども、去年の四月と八月にはかなりの案件がイラク全体ではございました。それから、四月と八月には、ロケットあるいは迫撃砲が自衛隊の宿営地に向かって飛んできた、こういう事案もございました。

 ただ、八月を過ぎてこの事案が落ちついてきて、そして十一月のファルージャ進攻のときにまた案件が上がりました。それから、十一月というのはラマダンとちょうど重なるのでありますけれども、ラマダンの影響はそうなかったのかなという見方でございます。

 その後、一月に国民議会選挙がありまして、そのときにまた襲撃事件、非常に案件が高くなってきましたが、この議会選挙が済みまして、襲撃案件が大きく落ち込んで少なくなってまいりました。

 しかし、ことしの四月になりまして、武装勢力が態勢を立て直したのかどうか、憲法制定という政治的プロセスが進んでまいっております、そういうことを阻止しようという勢力があるのか、かなり上がってきておるわけでございます。

 今現在の水準というのは、全体で見ますと、去年の十一月前の水準に比べまして、そこまではまだいっていないかな、いったかな、こんな感じでございます。ただ、武田先生御指摘のとおり、最近自衛隊を取り巻く案件が多いものですから、この点は特に注意していかなきゃいけない。

 特に申し上げたいのは、簡易爆弾、IED爆弾、これは、今までのロケットの襲撃と違いまして、まず宿営地外であったということ、それから昼間にあったということ、そしてまた爆発事件であったということ、これが今までのロケットなり迫撃砲の事件と全く異なるわけで、この点は十分注意していかなきゃいけないな。さらにもう一つは、最近ロケット弾らしきものが五発飛んできた、これも十分に注意を持って対応していかなきゃいけないな。

 安全確保に十分気を配りながら、六月二十三日の簡易爆弾事件以来、時々宿営地外で活動しておりましたけれども、昨日、七月十二日から宿営地外の活動を本格的に再開したところでございます。

武田委員 今長官の方から御説明いただきましたけれども、いよいよ十二月十四日で延長の期限が切れるわけでございまして、当初、この延長問題を議論しているときに、では、自衛隊はどういう状況になったら撤退するんだと。そうした中で、復興支援活動の目的が達成されたとき、そして、地元の方々の賛同が得られないとき、もう一つは、非戦闘地域でなくなったとき、そして最後には、自衛官の安全確保ができなかったときというふうになっておるんですね。

 一月から十回にわたっていろいろな攻撃を受けたということで、陸自の車両も被害を受けた。そして、最近の五発の中の一発は宿営地の内部に落ちておった。だれがどういうふうな動機でこうしたことを起こしたのかということは、それはそれとして、何らかの動機、そして目的、また日本に対する要求があったことには間違いないと私は考えております。

 一つには、我々は本気になったらこういう攻撃ができるんだぞ、その前に日本よ目を覚ませと、非常に我々としては想像したくないそうした要求がある場合と、そして、今日までいろいろな人道復興活動の中において地元の人たちの雇用を生んできた、いろいろなグループがあって、我々のグループはよそのグループよりも待遇が悪いぞということに対するねたみみたいな感じでの嫌がらせかもしれない。しかしながら、ありとあらゆる可能性というものを今から考えて対処していかなければならないと思うんです。

 我々は自衛官を派遣するときに、国会の決議で派遣したわけでございます。私の地元、築城基地がございますけれども、十九名の自衛官が行っております。家族の皆様も、本当にそうしたニュースを聞くたびに夜も眠れないような状況でございます。

 そうした今日までの流れを考えた中で今のサマワの状況を見ると、私はもう安全確保が十分できる地域ではないんじゃないかという気もいたすわけでございます。これは、今のところ、車両に被害があったぐらいで済んでいますけれども、その行為を働いた者は、十分に殺傷能力のあるところを誇示しておることだと思うんですね。

 ですから、私は、今から十二月十四日を迎えるに当たって、さまざまな状況というものがまた変わり、判断基準も変わってくるかと思っておるわけですけれども、長官は今の状況を、長官御自身が申された自衛官の安全確保をとる責任ということ、これが十分果たせる状況にあるとお思いでしょうか。お伺いしたいと思います。

大野国務大臣 自衛隊の安全確保、これはイラク派遣につきましては長官の最大の責務でございます。あらゆる角度から安全確保には万全を期していかなきゃいけない。

 と同時に、周辺の情勢がどうなっているか。これはもちろん、非戦闘地でなくなった場合には活動を中断するということであります。そういう判断は今のところありません。それから、もちろん一時休止という考え方があります。それは、そういうおそれなりなんなり、非常に安全確保が難しくなってきたときに部隊長の判断で一時休止をすることもあり得る。

 今、二十三日の事件以来、二十四日から昨日まで、二回ばかりは外へ出ていますけれども、活動を休止いたしておりましたのは、私は自粛ということでやってもらっています。私も二度ばかり現地の部隊長と電話連絡をして事実を確認し、さらに、安全第一だ、一に安全、二に安全、三に安全だということで十分判断してやってほしい、こういうことを指示しておりますけれども、そういうふうに、今の状態はまず自粛した、こういうことで、昨日から再開したことは御存じのとおりでございます。そういう判断をするというのは、先ほど治安の情勢で申し上げました、そういう状態であります。

 ただ、非常に警戒しなきゃいけないのは、簡易爆弾事件があったということと、ロケット弾が、去年も飛んできましたけれども、今回も五発ばかり飛んできた、こういうことは十分注意しなきゃいけない。したがいまして、私は、安全確保という点に十分責任を持って万全を期していきたい。

 では、一体どういうことをやるんだ。これは、余り深入りして答弁しておりますと相手側に手のうちをさらすようになりますので、深入りすることはお許しをいただきたいんですが、深入りしないで御答弁申し上げたいと思います。

 やはり一つは、自衛隊が活動するときの経路、ルートについていろいろと考える、それから時間帯も考える、こういうことがあると思います。それから、事前にいろいろな情報を収集する。これは、部族長の協力を仰がなきゃいけないし、多国籍軍、イギリス軍、オーストラリア軍の協力を仰ぎながら情報もきちっともらっていかなきゃいけない、こういう問題もありましょうし、いろいろな意味で、ヒューミントも含めまして情報収集し、そして事前にきちっと安全を確認した上で活動する。

 こういうことで今活動を開始したところでございまして、私は、安全確保の上、自衛隊が行っております人道復興支援活動、これが十分できる状態に今ある、そして、その何よりもの支えになっているのが地元住民、皆様の本当に応援でございます。

 一言だけ申し上げさせていただきますと、サマワの方で、例えば、最近のアンケート調査によりますと、日本のサマワからの撤退を支持するか、八九%の皆さんがノーと答えているんですね。それから、サマワにおける日本の努力継続を支持するか、八八%の人がイエス、支持します、こういうふうに答えてくださっている。この市民の皆様の応援が何より心強い支えになっているのではないか。

 安全確保には万全を期しますので、そういう意味で、御理解をちょうだいしたいと思います。

武田委員 安全確保に最大限の力を払っていただきたいと思います。そしてまた、最初、この延長を決めた段階でうたいましたように、非戦闘地域として考えられない場合と安全確保ができないと見込まれた早い段階で、長官には決断をしていただきたいと思っております。

 また、きょうは外務大臣お見えでございますけれども、撤退時期、また派遣に関しまして、外務大臣は、その局面局面で、これは我が国の独自の判断で主体性を持って行った行為であるというふうに答弁されておるように記憶しております。では、もし撤退するということが防衛庁長官の方から命令が下されたときには、やはりこのときも派遣したときと同じく、我が国の独自の判断と自主性を重んじた決断となることに間違いはないでしょうか。

町村国務大臣 これは委員御指摘のとおりでありまして、派遣についても、また撤退についても、それは日本独自で判断をしていくということが、我が国のこのイラクに関して、当然、基本的な姿勢であるということは言うまでもないことであろうと思います。

 もちろん、その際にいろいろな要素を考える。先般来から大野長官は、四つの要素を考える、こう言っておられます。それぞれが重要な要素であろうと思っておりますが、例えば、先ほど局長の方から御報告いたしました、ブラッセルでイラク国際会議というのが開かれまして、実に八十を超える国や機関がこの政治プロセスを支援する、さらに復興支援するということで、一致した意見を集約したところでございます。

 部隊ということでいうならば、現在二十八カ国ということであります。この間、ふえたり減ったりしてきておりますけれども、この一年ぐらいをとってみると、大体二十八、二十九、二十七というところでございまして、ここで何かばたばたとみんなが引き揚げようという雰囲気が国際社会の中にあるわけではございません。

 そうした国際状況などにやはり配慮しなければならないということも、当然、自主的な判断の一要素としてあり得るのではないかと考えております。

武田委員 もう時間が来ましたので終わらせていただきますけれども、日本が主体性を持った行動、決断というときにも、決して日本がわがままであってはならないと私は思っております。やはり国際協調、いろいろな角度から日本もそれなりに役割を果たしていかなければなりませんし、それともう一つ、何が何でも我が国の国民の生命と財産だけは守り続けていかなければならない。

 今から十二月十四日を迎えるまでの間に相当な議論が交わされると思いますけれども、とにかく関係諸国と緊密な捜査網、そしてまた情報網というものを駆使して、確実な情報をどうか吸い上げていただいて、この決断を迫られたときに過ちが起こらないような状況というものをつくるために全力を挙げていただきますことをお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

船田委員長 次に、佐藤茂樹君。

佐藤(茂)委員 公明党の佐藤茂樹でございます。十五分間質問をさせていただきます。

 まず、七月七日、イギリス・ロンドンにおいて同時多発テロが起きました。このような卑劣な無差別テロ行為は断じて許すことはできません。さらに、極悪非道のテロ犯罪者に対して強い強い憤りを禁じ得ないわけでございます。我々も国際社会と結束して断固として闘わなければならない、そのように決意をしている次第でございます。

 また、犠牲となられた方々に対し心から哀悼の意を表しますとともに、英国国民並びに被害に遭われた方々、また御家族に心からお悔やみとお見舞いを申し上げる次第でございます。

 そこで、まず外務省にお聞きをしたいんですが、こういう事件が海外で起きますと、大事なことは、まず、被災者への救援活動、日本でできることをきっちり支援することが一つと、もう一つは、日本の方が事件に巻き込まれたかどうかということを早急にきちっと掌握して明らかにすることが大事ではないかな、そのように思うわけでございますが、先ほど欧州局長の御報告にもありましたけれども、七月の十一日に、隣の車両に乗っておられた三十七歳の女性が軽傷に遭われていた、そういうことが外務省からも発表されました。

 その上で、私がさらに気になるのは、七月十日の産経によると、「邦人四人と連絡取れず」、そういうふうになっているわけですね。私は、ぜひ情報収集に万全を期して、この邦人の安否確認については全力を挙げていただきたいと思うんですけれども、イギリス在住者並びに旅行者の安否確認の状況というのは今の段階でどうなっているのか、外務省の方からまず御答弁いただきたいと思います。

鹿取政府参考人 今回のロンドンの連続爆発事件が起きました直後、私どもとしては、あらゆる方面に邦人の安否確認を行っております。また、その結果、先ほど先生がおっしゃったように、邦人の方が一名軽傷を受けたということがございます。これまでのところ、それ以外に邦人が被害を受けたという情報はございませんが、我々としては、今鋭意調査しているところでございます。

 また、大使館と外務省に対して、百十件程度の安否の照会がございました。この件につきましては、先ほど先生がおっしゃったように、しばらく前までは四件について未確認でございました。現時点においては、まだ一件について安否の確認がとれておりませんが、鋭意今調査しております。また、この一件につきましても、必ずしもこの爆破事件と関係があるかどうかは明らかでありませんが、私どもとしては、まだこの事件の全貌、被害の全貌が明らかでありませんので、引き続き、邦人の安否確認については、関係方面とも連携をしながら鋭意調査していく所存でございます。

佐藤(茂)委員 ぜひ引き続き安否確認に全力を挙げていただきたい、そのように申し上げておきたいと思います。

 それで、私は、テロ対策として考えましたときに、大きく二つの角度から行うべきである、そのように考えております。一つは、やはり国際社会が結束してこの対策を行うことというのが、当然国際テロに対しては一つでございますし、さらにもう一点は、各国が国内のテロ対策をもう一度総点検して、見直すことをしっかりとやって、現状のテロ対策をさらに向上させることというのが二点目として大事であろう、そのように考えるわけでございます。

 そこで、外務大臣にまずお聞きしたいのは、今回、実はサミット開幕直前のこういうテロ事件ということでございます。グレンイーグルズ・サミットは、アフリカ対策をどうするのかとか気候変動をどうするのかということが当初はメーンのテーマと言われていたんですが、急遽テロサミットにさま変わりした、そういう報道も言われているわけでございまして、最終的に、最優先課題に急浮上しただけではなくて、議長総括であるとか首脳声明で対テロ対策の強化を確認した。これはもう日本の各紙が報道しているわけですね。

 ただ、テロ対策としては、このサミットが初めてではなくて、今まで何回も、サミットだけではなくて、いろいろな国際会議で対策は打たれてまいりまして、例えば、テロ防止関連の十二条約の批准も進んでおりますし、さらには、テロリストへの資金の流れを断ち切るための金融的措置とか、また、航空安全の確保とかテロ行為に対する制裁の強化とかさまざまな点で、今まで国際社会では提唱されてきたそういうものがあるというように認識しているんです。

 まず外務大臣にお聞きしたいのは、今回のこのサミットの議長総括であるとか首脳声明の採択によって、国際社会のテロ対策で具体的にどのような前進が図られたと評価されているのか、お聞きしたいと思います。

町村国務大臣 佐藤委員御指摘のように、今までのサミットでも、累次、テロの問題は取り上げられてきたところでございます。

 そういう中にあって、今回、衝撃的な初日の、まさに始まらんとしているときの事故だったということで、急遽この議長総括及び特別声明がまとめられたということでございます。

 声明の中では、七項目ございまして、テロリストの活動阻止、新たな世代のテロリストの出現の予防、テロ攻撃からの防御、テロ攻撃による被害の最小化、テロの脅威と個人の権利、国際的なテロ対処能力の構築、国際的なパートナーシップの強化の七項目におけるこれまでの成果を確認するとともに、今後の取り組みということで、途上国等に対するテロ対処能力向上支援を重視するとともに、包括テロ防止条約交渉の早期妥結、これは、今まで十二本のテロ関連の、例えばハイジャックをどうする、シージャックをどうする等々の条約があったわけでございますが、包括的なテロ防止条約交渉というのを早くまとめようではないかということ。さらには、交通機関の安全を確保しよう、こういうことが求められて、声明の中に盛られているわけでございます。

 したがいまして、こうしたことを受けて、日本は日本として独自にやっている部分もございますけれども、こうした国際的な動向を踏まえながら、また一層、国際の対策、日本国内の対策、両面にわたって可能な限りの努力をしていく必要があろうと考えております。

佐藤(茂)委員 それで、私は、その包括的テロ防止条約等については、日本が相当イニシアチブを発揮して進めていただきたいと思うんです。

 その上で、外務大臣、所管大臣でないのは重々承知の上でお聞きをしたいのは、国内のテロ対策の見直しについての外務大臣の所見を伺いたいと思うんです。というのは、今回の事件は日本にとっても人ごとではなくて、日本全土、あるいは日本関連の在外公館を含めて国外施設もテロの標的になり得る、そういう覚悟の上で、さまざまにもう一回対策を見直すべきであろう、私はそのように思うわけでございます。

 実は、町村外務大臣も、このテロが発覚した七日の夜に、これは読売新聞にも出ておりましたけれども、外務省内で記者団に、イギリスは日本よりはるかに厳しくテロ対策に取り組んでいる国だが、それでも事件が起きる、世界じゅうの国がしっかりとした対策をとらなければならないし、日本も今の対応で十分か政府全体でもう一度よく考えなければならない、そういうふうに強調したと言われているんですが、私は、冒頭申し上げたように全く同感でありまして、もう一度、今まで積み上げてきたものでいいのかどうかということをチェックしておく必要があるだろう。

 特にイギリスは、いろいろ報道でも言われておりますが、今回も実行犯四人が監視カメラである程度わかった。そういうこともあるように、監視カメラを全国で二百五十万台、ロンドンの主要駅周辺でも六千台が設置されていて、なおかつ、あらかじめ登録されていたナンバーを監視カメラが映すと警報が鳴る、そういうところまでのシステムになっておりますし、さらにテロ対策法をつくって、不審な外国人は拘束できる、そういう厳しい取り締まりもやっているのが一面あるわけですね。

 もう一面は、イギリス社会を考えていきましたときに、伝統的に民族や宗教に寛容な国がイギリスでございまして、長年、政治亡命者などもずっと受け入れてきたわけですね。その中には、アラブ諸国で死刑判決などを受けたイスラム活動家なども相当ロンドンに来て、セーフヘブン、安住の地だ、そういうように言われるぐらいに、そういうメンバーもきちっとイギリスでは受け入れる。そういうことがあって、そのことが、ほかの国からはテロリストの温床と言われる面があったにもかかわらず、イギリスにとっては、一方でテロなどに対する安全保障としてもそういう体制が働いてきた、そういう特殊性があるんですけれども、今回のテロ事件によって一遍にその特殊性が吹っ飛んだ、そういう背景もあるわけですね。

 なぜこんなことを一々言うかというと、私は、八日の午前中に官邸に集まって各省の関係局長が会議をされて、日本の公共交通機関の主要駅に監視カメラを置きましょう、また巡回の警察官を大幅に増員する、こういうような政策、これは私はそれなりに非常に具体的な対策として評価するんですけれども、テロ対策というのは、そういう緊急対応というか対症療法的に行うだけではなくて、もう一度、底の深いというか、そういう抜本対策に知恵を絞っていく必要があるだろう。

 特に国際テロの場合に、海外のそういう進んだ国の状況と、なおかつ、進んでいながらなぜテロに遭ったのかというところをしっかりと検証する必要があるのではないか、そのように私は考えておりまして、そういう点から、外務省に期待するのは、ロンドンの同時多発テロを徹底的に検証して、その教訓から学んで日本の対策に生かせるような、そういう情報収集にぜひ努めていただきたいということが一点。

 そして、アルカイダも含めて、テロリストの詳細な情報を含めた情報の共有、交換を関係国との間でさらに速やかにできるような、その連携の強化に努めていただきたいと思うんですけれども、七月七日の時点で記者団に言われた、テロ対策の見直しという発言もされた外務大臣、具体的に感じておられることも含めて、何かテロ対策で考えておられることがありましたら、御答弁いただきたいと思います。

町村国務大臣 大変貴重な御指摘をいただきまして、感謝をいたしております。

 多くの教訓をきっと今後学ぶことができるんだろう、こう思っております。今はとにかく、まだ行方不明の方もいらっしゃるということで、そちらに今外務省も全力を挙げておりますが、一段落したところで、いろいろ先方政府等とも意見交換をしながら、さらに学んでいきたいと思います。

 御承知のように、イギリスは、IRA、北アイルランドの、まあ政府から見るとテロリストといいましょうか、破壊活動をする人たちがいるということで、九・一一以前からかなり法的な整備を含めてやっている国でございました。それでもなおかつああいう事件が起きてしまう実態というのは、まことに恐ろしい限りでありますし、また、対策の充実が必要であるということを痛感させられるわけであります。

 ちなみに、昨年十二月に、閣僚が集まりまして、テロ未然防止に関する行動計画というものを確認したところでございます。その内容については今は時間の関係で一々は申し上げませんが、これについても、直ちにやれることはやるし、また、十六年度にやらなきゃならないこと、十七年度、十八年度までにと、今後もやらなきゃならないことがまだまだ残っておりますし、さらに検討を続けなければならないといって、やるかやらないかまだはっきりしていないこと、例えばテロリスト及びテロ団体の指定制度というものは、やるのかやらないのか、まだ引き続き検討事項になっております。

 私は、こういうものは、もう検討するまでもなく大至急にやるべきことではなかろうかと思っておりますが、こうした政府全体で決めた中にもまだ検討事項というものがありますものですから、こういうものを含めて、早急に、既に相当幅広くの網羅的な対策は項目としては挙がってきておりますので、それの充実と、さらに新規項目の追加ということも、ロンドンの実例に学んで強化していく必要がありますし、また委員御指摘の、各情報機関との国際的な情報協力といったような面について一層緊密化を図ってまいりたいとあわせて考えているところであります。

佐藤(茂)委員 それで、防衛庁長官、幾つか質問を用意していたんですが、先ほどのIED、簡易爆弾に対する安全確保の問題等はもう御答弁いただいたので、済みませんが、別の問題で一問だけ簡潔にお聞きしたいと思うんです。

 最近、防衛庁長官が話をされていることで、新聞が大々的に取り上げていることに、これは四月ごろにも委員会でも答弁されているんですけれども、六月の末に在日米商工会議所の会合で講演された。それは何かというと、イラクの自衛隊の派遣期間の延長についてのことなんですね。これは当委員会でもこれから議論していかないといけないと思いますので、ぜひ、その前提として、確認の意味でお聞きをしたいと思うんです。

 記者会見でも、防衛庁長官はいわゆる四つの切り口ということを言われております。日本が主体的に判断すると強調した上で、判断基準としては四つの切り口があるんだと。一つはイラクの復興状況、二番目に治安状況やイラク治安部隊の能力向上の状況、政治プロセスの進捗状況、四つ目が国際社会や各国の動向、こういう四つを挙げられていたんですけれども、まず、三点まとめてお聞きしたいのは、この時期にこの四基準を示されたのはなぜなのかということをまず伺いたい。

 その四つの基準というのは、マスコミは物すごく新しい基準であるかのように大々的に取り上げられているんですけれども、実は、よくよく思い出すと、昨年の十二月の基本計画の変更のときに、「必要に応じ適切な措置を講じる」というところで、大体よく似た表現でこの四点が言われているんです。もう時間がないのであえて挙げませんけれども、そのときの四点とほぼ同じ意味で使われているのかということを二点目に確認したい。

 三点目に確認したいのは、この特措法で要求されている、あくまでも自衛隊の活動する地域が非戦闘地域であり続ける、そういう大前提があっての四つの基準、切り口を示されたのかどうかということ。

 三点、確認の意味でお聞きをしたいと思います。

大野国務大臣 自衛隊がサマワで活動するためには、大前提といたしまして、やはりサマワが非戦闘地域でなきゃいけない、この上に立ちまして四点を申し上げておるわけでございますが、この四点は、何も目新しく私は言ったわけではありません。前々からそういうようなことを申し上げているわけであります。前々からというのはいつからかといいますと、基本計画を変更したときに、より柔軟に対応していこう、こういうことで四点を申し上げておるところでございます。

 なぜ最近になってそういうことを目新しく報道したのか、私はよくわかりませんけれども、基本的に、やはり四点の切り口をもって総合的に自主的に判断していこう、これが我々の考え方でございます。

佐藤(茂)委員 この国会、まだ日がございます。国会は郵政民営化だけではございません。このイラクの派遣延長の問題、その前のテロ特措法の延長の問題もしっかりとこれから精力的に議論していくことが大事であるということをお訴えして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

船田委員長 次に、小泉俊明君。

小泉(俊)委員 民主党の小泉俊明でございます。

 七日朝、英国ロンドンにおきまして多発テロが発生し、多くの死傷者が出ました。人道と正義に反するテロリズムは断じて許しがたく、強い憤りを禁じ得ません。まず、被害に遭われました英国国民の皆様に心よりお見舞いを申し上げたいと思います。また、政府に対し、事案解決に向けて英国政府に協力するよう求めるとともに、民主党としても全面的に政府に協力することを表明し、質問に移りたいと思います。

 理事会で、英国テロに関しましてもこの委員会で取り上げるということになりましたので、まず、質問通告に従い、英国のテロに関してお伺いをしたいと思います。

 この英国のテロは、私は、決して対岸の火事のお話ではないと思っております。サミット参加国中、イラクに派兵をし、撤退を表明せずにテロに遭っていない国は、実はこの日本、我が国だけであります。これは、日本に対する、もちろん海外での邦人の安全、そしてまた国内に対するテロの可能性を考える上でも、犯人の特定が極めて重要でありまして、そのためには情報の収集、分析ということが私は何よりも大切であると思っております。

 その中で、きのうときょう、新しいニュースが飛び込んでまいりました。十二日、十三日、BBC、スカイニュースTV、そしてまたイギリスの新聞各紙におきまして、先ほど政府委員からも説明がありましたが、犯人が一人拘束をされ、また、実行犯四人がパキスタン系英国人であるということがわかったわけであります。

 そしてまた、これは、ヨーロッパにおきます初の自爆テロの可能性が極めて高い。さらに、報道によりますと、民家でもかなりの量の爆弾が押収をされるとともに、駅周辺の車両からも爆弾が発見された、こういったことが、連日、十二日、十三日の共同通信を初めイギリスのニュースで大分報道されておるわけでありますが、外務大臣、この点につきましては、どういう情報を収集し、分析をされていますでしょうか。

町村国務大臣 まだ事件が発生をしてそう時間がたっていない状況であり、これは日本でもこういう事件が起きるとそうでしょうが、警察等の関係当局はなかなか軽々に物を言えないという状態もきっとあるんだろうと思います。

 十二日の午後五時過ぎ、したがって日本時間の十三日の午前一時過ぎにロンドン警視庁の記者会見というものが行われ、そこで、英国中部のウェストヨークシャーで男性一名を逮捕したという発表が公式にあったところであります。そのきっかけは監視カメラの映像分析であり、四名の男性が七月七日午前八時半前にキングズクロス駅で撮影されていることが判明したことであるということが発表されております。

 この四名のうち一名は、オルドゲート駅での爆発で死亡したとの証拠があるということであります。四名全員が死亡したとの報道もありますが、これについては確認がまだされていないということでございます。

 ロンドン警視庁は、その会見の場においても、捜査はいまだ初期段階であると述べておりまして、今後の捜査状況を私どもとしては見守りたい、かように考えているところでございます。

小泉(俊)委員 これは、テロの背後関係、そしてまた犯人を当たる上でも極めて貴重な情報でありますので、外務省としても全力を挙げて、英国政府とともに、情報の収集と分析に当たっていただきたいと思います。

 その間で、もう一点、十日の共同通信によりますと、ドイツ紙におきましては、実は爆弾が、暗号名CX123、中国製の最新鋭のプラスチック爆弾ではないか、そういった報道もされている、これが共同通信で出ておりますが、この点につきましては何か情報収集ないし分析をされておりますでしょうか、大臣。

小松政府参考人 委員が今おっしゃいましたように、ドイツ大衆紙のビルトが、ロンドン同時テロで使われた爆弾が、二年前にイスラエル中部テルアビブのナイトクラブで起きたテロで使われたのと同じ型の中国製高性能爆弾であった可能性が高いと報じておりまして、十二日付の共同通信がこれをキャリーしているということは承知してございますが、英国捜査当局、今捜査中でございますけれども、十二日現在、ロンドン警視庁はこのことについて何も発表を行ってございません。したがって、私どもとしては、捜査を注意深く見守りたいと考えております。

小泉(俊)委員 次に、これは七日、御案内のように、欧州聖戦アルカイダ組織と名乗るグループがウエブサイト上で犯行声明を出したわけであります。また、引き続き九日、アルカイダ系のアブハフス・アルマスリ旅団と名乗る組織もウエブサイト上で犯行声明をしたわけであります。この信憑性、また内容について、そしてまた、今回の、パキスタン系英国人と言われる、犯人と言われている方々、この関連性等については外務省としてはどのような情報収集、分析をされていますでしょうか。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 今議員御指摘の二つの報道等にあらわれました組織でございます。

 まず第一点は、七日に声明を出した欧州におけるジハード基地組織アルカイダ、正確には、秘密組織団というのを最初に触れまして、欧州におけるジハード基地組織(アルカイダ)ということでございます。ただ、我々といたしましては、この組織につきましては、今回の声明、そしてまたそれ以外の事件については承知しておりません。このために、同組織の犯行声明の信憑性につきましては、現時点において我々として判断する材料はございません。今後、イギリス政府の捜査等によって明らかにされる事象に照らして、さらに解明をしていきたいと思っております。

 もう一点、御指摘ございました九日の共同通信による組織でございますが、アブハフス・アルマスリ旅団でございます。本組織につきましては、これまでにも犯行声明がウエブサイト上に掲載されたという事実を私どもも承知しておりますし、また、この組織の犯行声明につきましては、二〇〇四年、昨年の三月のスペインの同時多発テロにかかわりますものを含めまして、これまで多数、この組織によっての犯行関与ということは言われていますが、現実のところ、実際の関与についての証拠というものを含めて、確認はされておりません。

 例えば、おととしになりますが、アメリカの東海岸におきまして大規模停電が発生したわけですが、同組織がみずからの犯行というふうに声明を出したということですが、現実問題として全くこれは違った内容であったということでございます。一般的に言いまして、本組織における犯行声明についての信憑性は低いものというふうに観念しております。

 ただ一方、この組織によって、我が国を名指しにしたテロを示唆する内容も含まれておりますので、軽々に対応するものではなく、やはりこの組織については、引き続きその動向等につきまして注視していかなきゃいかぬ。

 最後の御指摘の、ロンドン警視庁によるいろいろな発表とこれらの組織とのかかわり合い、このところは、まだイギリスの捜査当局においても関連性について一切発表がございませんし、我々としては、今後の捜査の解明の中で、いかなる組織が関与されていたか、そこに注視していきたいと思っています。

 現状においては、ちょっと、その意味での情報はございません。

小泉(俊)委員 ぜひとも、引き続き注意深く、英国政府と連絡を密にとりながら、この関連性、そして声明の内容の信憑性、また内容を詳しく検討していただきたいと思います。

 次に、一昨日になりますが、十一日発売のアメリカのタイム誌によりますと、アメリカで拘束されているアルカイダのナンバースリー格とされるアブファラジ・リビ容疑者がロンドンでテロの起きる可能性を取り調べ官に指摘していた、所持品の中にロンドンの地下鉄路線図が含まれていたと、捜査関係者の話として、これも共同通信で伝えております。

 この情報をどのように分析されているかということと、また、アメリカ政府に照会をされたのかどうか。いかがでしょうか、大臣。

町村国務大臣 このテロ事件全体、先ほど来申し上げておりますように、基本は、まだ初動の段階であろうということで、イギリス政府の捜査を注意深く見守っていくということがまず必要なんだろう、こう思っております。もちろん、情報交換等をしっかりやっていかなければなりません。

 御指摘のタイム誌の情報、報道は承知をしておりますが、今の段階で、この真偽について米政府に照会をするということまでは考えていないところでございます。

 いろいろな報道が出るので、その一々を全部照会するというわけにもまいらぬとは思うんですが、ただ、関心を持ってこの成り行きというのは見守っていかなければいけないと考えております。

小泉(俊)委員 大臣、場合によると、報道はこの限度でありますが、日本に対する何らかの言動が含まれている可能性もあるわけです。そして、これは、一たんテロが起きた場合は大変な多数の国民の生命が失われるわけでありますので、私は軽々に、情報が多いといっても実際そんなに多いわけじゃないんですよね。やはり一つ一つ見逃さずに、チェックできるものに関しては真摯に各国政府に照会をするということ、私は外務大臣にぜひともこれは要請をしておきたいと思います。

 次に、アンケート等によりますと、今、日本の国民の最大の関心は何といっても治安ですね。今回の事件が起きました後に、いろいろなテレビでインタビューしておりましたが、やはり国民は、これは日本でも似たようなテロが起きるんじゃないかということを非常に今心配しているわけであります。

 そこで、この日本国内で、このような多発爆弾テロ、こういったことが起きる可能性を両大臣はどのように御認識されていますでしょうか。大臣の見識としてお尋ねいたします。

町村国務大臣 ただいま現在、政府が、日本国のいずれかの場所でいずれかの方法でテロの可能性があるという情報を持っているかどうかと言われれば、それは端的に言ってございません。しかし、さはさりながら、今委員御指摘のように、本当にいつ何どき、こういうことが日本で起きないという断言ができる状態でもないこともまた事実であろうと思います。

 そのようなこともありまして、先ほど、直前に佐藤議員のお尋ねもございましたが、昨年の十二月に、閣僚レベルで改めてテロ対策を総ざらいし、さらに、今後とるべき対策も含めてまとめたわけでございまして、今後、それで十分かどうかを含め、また今回のロンドンの経験を含め、さらに引き続きその対策の強化を図っていき、まさに国民の皆さん方の日々の生活、それは簡単な犯罪も心配でありましょうし、こうした大きな犯罪も大変心配でございます。国民の生活の安定のために政府が最大限の努力をすることは政府の務めのイロハであろう、こういう認識に立って、今後ともしっかり取り組んでいかなければいけないと考えております。

大野国務大臣 政治の要諦は、やはり国民の皆様に安心、安全をお届けする、このことに尽きると思います。

 テロというのは、どこでいつ起こるかわからない、こういう意味で、いかに抑止力を持っていてもテロの対応にはならない。そういう意味で、昨年末の新しい防衛大綱におきましては、ミサイル防衛からテロ、ゲリラまで幅広く多機能、弾力的に対応していこう、こういうことを決めているわけでございます。

 そういう意味で、まずテロが起きないようにどうするか。これは、町村大臣が今おっしゃったとおりでございます。そしてまた、テロが起きた場合どう対応していくか、被害をいかに少なくしていくか。今、いつどこで起こるかわからないわけですから、そういう情報はありません。しかし、情報をしっかりと、省庁の枠組みを外して、垣根を外してお互いに共有して対応していくべきだ、このように考えております。

小泉(俊)委員 あれだけの、世界最高と言われる予防の力を持つイギリスでもああいった事件が起きました。これはやはり、これを防いでいくためには、国民一人一人、もちろん政治家も大臣も行政もしっかりとテロの危険性があるということをまず認識する。そして、国民一人一人が、今、日本はテロとの戦争に参加をしている、ですから常に国内でテロの起こる危険性があるんだということを、その可能性があるということをやはりきっちりと認識をし、そういった認識があるから不審者とかそういうのが目に入るわけですね。ですから、やはり大臣方も、いろいろなところで発言する際、また直接国民に向かってしゃべるときには、ぜひともそういった認識をきちっと国民にもお伝えいただきたい。それをお願いしておきたいと思います。

 いずれにいたしましても、町村外務大臣も先ほどからお話ししていただいておりますように、情報収集というのは、これはキーになるんですね。しかし、我が国の情報収集能力というものを歴史的に検討してみますと、日露戦争のときにはかなり優秀だったと私は思います。それ以降、太平洋戦争以降、非常にこの日本という国は情報を軽視する。情報収集等につきましても、いまだに、イギリスないしはほかの先進国と比べて、かなり格段に落ちているんじゃないかと私は思いますね。その一つとして、外務大臣、外務省の情報収集に関する予算というのは年間幾らでしょうか。

町村国務大臣 外務省の情報収集・分析関連経費、中身は、衛星画像による情報収集関連経費、民間情報収集関連経費、在外公館における情報収集機能強化費等でございまして、それが総額六億四千七百万円ということでございます。

 ただ、なかなかここに直接計上できていないといいましょうか、ある意味では、これもいい悪い、議論はあると思うんですが、外務省の職員が可能な限りいろいろな情報収集をやっておりますので、そうしたいろいろな活動経費が全部合計されればこんな金額ではないと思うんですが、直接的に予算書上計上されるのは六億円強ということで、まことにささやかなと言ってはいけないのかもしれませんが、やはりささやかな経費であるなという率直な感想を持っているところであります。

小泉(俊)委員 これは、今お答えいただきましたように、予算書に出てくる情報収集経費は、平成十七年度で約六億四千七百万ですね。大臣、昨年は七億一千六百万、何と七千万円減額しているんですよ。大臣お答えいただいたように、ささやかな金額をさらに減額している。先ほどから、私は質問の最初からお話ししています。情報収集がすべてのキーなんですね。

 小泉総理は、この前サミットで、約百億ドル、一兆一千億円を向こう五年にわたってODAに増額するという発表をいたしました。確かにこういったことも必要でしょう。しかし、情報というのは、これは人からしかとれないんですね、大臣。私は、これは国の国力を示す大きな力が情報収集能力だと思っています。そういう意味で、大臣、百億ドルもODAに出すのであれば、これは幾ら何でも、世界の先進国でこんな少額の情報収集費用なんてないと思うんですよ。なおかつ、日本は世界第二の五百兆円のGDPを持つ大の経済大国で、やはりこれは情報収集に対する軽視がいまだに日本の国の中に引き継がれている。大臣、私はこれはしっかりと増額すべきだと思うんですが、いかがですか。

町村国務大臣 結論において、小泉委員御指摘のとおりである、こう思っております。

 戦後に限って申し上げるだけでも、一貫してこうしたインテリジェンスの関係の活動そのものすら、むしろ国家は忌むべきことであり、やってはいけないんだというような雰囲気の中で、こうした長年にわたる予算というものが築かれてきているということであるわけでありますが、今まさに御議論をいただいておりますようなテロ一つとりましても、まさに国民の生活がそこから不安を発生せしめているという大変大きな問題があると私は考えております。

 そんなようなこともありまして、大変おくればせではありますけれども、この春から対外情報機能強化に関する懇談会というのをとりあえず我が省に設けて、外務省の機能強化、そして政府全体の機能強化のためにどういうことが必要なのかということを、大変おくればせではありますが、改めて今そうしたことを御提言いただき、それを実行に移していこう、こう思っておりますが、この提言を待たずして、来年度の予算要求もしなきゃなりませんので、今、委員の叱咤激励を背に受けて、しっかりと頑張ってまいりたいと考えております。

小泉(俊)委員 情報収集能力はその国の国民の生命に直結する極めて重要な問題だと私は思いますので、今御答弁いただきましたように、私は、これは思い切って増額をぜひとも大臣に要求したいと思います。

 また、現実に日本で、国内でテロが起きるとした場合、私は予想されるものは四つあるんじゃないかと思っています。まず一つは、ロンドンと同じように公共交通機関の爆破ですよね。もう一つは、河川や浄水場に対する毒物や生物兵器の投入。さらに、大都市などでのデパートや量販店等に対する同時多発放火、それに伴う市街地でのテロなんですね。四つ目が、原子力発電所に対する武装テロだと思います。

 この中で、実は、時間がありませんので一点に絞りますが、防衛庁長官、通常の市街地のテロ等について、また原子力発電所もそうですが、第一義的には、これは警察が警備に当たるわけですね。そして、テロの犯人が殺傷力の高い武器を持っていたり警察力を超える場合に、自衛隊の治安出動や防衛出動ということになるわけであります。しかし、これは、現実に事が起きたときには、私は警察と防衛庁のこの二つの連携がいかにうまくいくかというのが極めて大切だと思いますが、この点につきまして、連携強化そして訓練などにつきましてはどのようになっていますでしょうか、防衛庁長官。

大野国務大臣 小泉先生おっしゃるとおりでございます。まさに、省庁の壁を破って、お互いに、消防庁、警察それから自衛隊、すべてが連携し合いながらやっていくということでございます。

 どちらの例でお答えすればいいのか、市街地の場合でお答えをさせていただきたいと思いますけれども、市街地の場合には、まず今おっしゃった警察と自衛隊の前提は抜きにしますけれども、自衛隊自体でやっておりますのは、例えば各普通科部隊ごとに市街地戦闘訓練をやっております。これはもう日常的にやっていると言っていいぐらいだと思います。それから、専門の訓練施設を持っておりますアメリカにおきまして、実動訓練をやっております。また、アメリカにおける実動訓練の成果を持って帰ってそれを部隊に普及していく、こういう問題もやっております。このような訓練を効果的に行えるよう、都市型の訓練施設を各方面隊に整備しておりますけれども、訓練用の資材等も整備している段階でございます。

 今後とも、そういう意味で、あらゆる機能を持ったものがお互いに連携し合いながら心を一つにして対応していかなきゃいけない、このように思っております。

小泉(俊)委員 図上訓練等はかなりおやりになられたり、海外での訓練もされているということは聞いておりますが、やはり現実に日本国内、市街地での武装テロがあった場合の現実的な訓練、これをぜひとも警察とも連携強化しながら進めていただきたいと思います。

 そしてもう一つ、テロが現実化した場合、七日のまさに英国でそうでありましたが、膨大な数の死傷者が出るわけであります。このときに一番大切なのが、やはり、これは救急隊を持っています消防庁と自衛隊の後方支援部隊、衛生科、この連携がうまくいくかということが私は極めて大きいと思っておりますが、この点について、防衛庁長官、いかがでございましょうか。

大野国務大臣 委員おっしゃるとおりでございます。

 まず、消防機関との連携でございますけれども、生じた被害を最小限にとどめるための対応が不可欠でございまして、自衛隊と消防機関との間で医療面を含む連携が重要であることは、もう言うまでもありません。例えば、過去のサリン事件におきましても、自衛隊の病院に六十人ばかり収容させていただきました。

 また、国民保護基本方針におきましても、大規模なテロにより多数の傷病者が発生している場合、例えば防衛庁長官は衛生部隊を派遣する。もちろん、これは都道府県知事の要請という問題はありますけれども、あるいは対策本部長の要請という問題はありますけれども、そういうふうに派遣していく、衛生部隊を派遣する、こういう問題であります。また、地方公共団体の長からの依頼等に基づきまして、防衛庁を含む関係省庁というのは、傷病者の搬送とか救護班の緊急輸送のために輸送の支援あるいは輸送手段の優先的確保をやっていく、こういうことに特段の配慮を払っていかなきゃいけない。

 今後の問題といたしまして、やはりテロ事案に迅速かつ的確に対応できる体制を再点検していく、こういう問題があろうかと思います。防衛庁・自衛隊といたしましても、今後とも、消防機関などの関係機関との間で、これは初めてのことなんですけれども、本年十月末、あるいは十一月末に共同で国民の保護に関する訓練を実施する。このような緊密な連携を強化して、万全を期してまいりたい、このように思っております。

小泉(俊)委員 防衛庁長官、何しろ備えあれば憂いなしですので、ぜひとも現実的な訓練、そして自衛隊の持っている潜在能力をしっかりと連携を強化することによって生かしていただくことをお願いしたいと思います。

 最後に、時間がなくなりましたけれども、イラク情勢について。

 五月十六日、実は、齋藤昭彦さんの勤めていましたハート・セキュリティー社に、民主党の鳩山由紀夫イラク邦人拘束事件対策本部長と私、あと橋本清仁議員と、一時間半にわたりハート・セキュリティー社の三人の幹部と会談をしてまいりました。その席上、初めてわかりましたことが、ハート・セキュリティー社がウエブサイト上で出していた事件発生の場所と現実に起きた場所が三十キロも離れていたということが、実はこの直接ロンドンに行った会談の中で明らかになったわけであります。

 これはどういうことかといいますと、襲撃地点を確認できないほど極めて治安が悪化している、内乱に近い状態に近づきつつあるのではないか。これはサマワじゃないですが、いかがですか、外務大臣。

町村国務大臣 イラクの治安情勢、地域により脅威の度合いが異なるというのは委員御承知のとおりでございます。

 どの程度脅威の度合いが高いか低いか、私ども、これまたなかなか直接的に情報を得る手段はないわけでございますが、ずっと言われておりますことは、バグダッドを含んでいわゆるスンニ・トライアングルという地帯を含みます中部地域、齋藤氏が襲撃されたとされておりますヒート近郊を含む西部地域、それから北部地域の一部において事案の発生が多いということからして、やはりこの地域については危険度が高いんだろうかな、こう思われるわけであります。

 イラク移行政府が中心になって、今そうした地域を中心に武装勢力の掃討作戦というのを実施している最中であると承知をしておりまして、こうした治安回復努力が成功することを私どもは期待しているわけであります。

小泉(俊)委員 実は大臣、過日来日をいたしましたイギリスのイラクに対する責任者の方にも全く同じ質問をいたしました。そうしたところ、そのとおりだ、ただし四つの州だということを明確にお答えいただいたわけであります。十八州のうち四つが、確かに極めて内乱状態に近いような状態になっていると。私は、こういったことも正確に国民に伝えていただきたいと思います。

 最後に、十日の共同通信によりますと、十日付のイギリス紙メール・オン・サンデーは、英国リード国防相が、イラク南部サマワを含むムサンナ州の治安権限を十月にイラク側に移譲し、撤退することを強く望んでいるとの秘密文書を掲載した、文書にはリード国防相が署名し、英軍が撤退すれば、リード国防相は日本の自衛隊も残りたがらないだろうと言及した、こういった報道がなされています。

 この点について事実関係を、まず大臣、これは日本の自衛隊にとっては極めて重要な情報でありますので、イギリス政府に照会したのかということをお尋ねいたします。そしてまた、防衛庁長官につきましても、直接利害関係がありますので、この情報を調査されたのかどうかについて最後にお尋ねしたいと思います。

町村国務大臣 当然、サマワを中心とする自衛隊の活動の関係、また今、英国と豪州がこの地域の治安に当たっているということもこれありますもので、イギリスとは常にいろいろな情報に関して緊密な連絡をとり合っております。したがって、この件についてということはあえて申し上げませんが、常に緊密な連絡をとり合っているということは申し上げられるわけでございます。

 ただ、この御指摘の報道を私も承知はいたしておりますけれども、イギリス政府が今後のイラクにおける活動の、いつまでであるといった期限とかあるいは規模の削減、こうしたものについて何か公式の決定をしたかというと、それはまだ何ら決定をしていないということであると理解をいたしておりまして、今後とも、アメリカそしてイギリスあるいはオーストラリア等、関係国と綿密な、また緻密な連絡をとり合いながら私どもの意思決定の参考にしていきたい、かように考えております。

大野国務大臣 このような情報があることは存じ上げております。それから、イギリスにおいては何ら公式の決定はしていない、このように伺っております。それから三番目のポイントとして、もしイギリスが方針を変更する、このようなことがあれば、必ず日本に事前に通報あるいは協議してくるものと思っています。

 なぜこのようなことを申し上げるかといいますと、例えばオランダ軍が撤退した、そしてオーストラリア軍がかわりに入ってきた、この場合にも、私自身体験しておりますので言えますけれども、やはりお互いに電話連絡で十分話をしながらやってまいりました。そういうことから、私は、イギリスなりは、方針変更する場合には必ず事前に相談してくるもの、あるいは通報してくるもの、このように信じております。

小泉(俊)委員 何しろ、サマワにおきましても大変多数の若い日本の青年たちが出ております。小さな情報でもぜひとも見落とすことなく、全力でその情報の収集、分析に努めていただくことをお願いして、質問を終わります。

船田委員長 次に、大出彰君。

大出委員 民主党の大出彰でございます。

 今、同僚の小泉議員がロンドンのテロにつきまして申し述べましたように、同じく、被害に遭われた方に心よりお見舞いを申し上げたいと思います。

 そして、今の小泉議員と私は、党の中で、テロ対策といいますか、テロを未然に防ぐにはどうするかというようなプロジェクトを実は組んでおりまして、余り議員の人たちが多く来るプロジェクトではございませんけれども、多くの省庁の方をお呼びいたしましていろいろなことを聞いたわけです。特に一番重要なのはテロリストが入ってこないようにするということ等ありますので、いろいろな方にお聞きをしました。

 たまたまそのときは、羽田飛行場に暴漢が入って、勝手に車を使って逃げ回って、なかなか捕まえられなくて塀の外に出たとかいうことがありまして、全然危機管理ができてないなという話がありました。そんな中で省庁の方をお呼びしたときに大変気がついたことは、やはり縦割りなんですね。横の連携というか横の情報の共有がないということがはっきりわかりまして、それではだめなのではないかと省庁の方々に申し上げたことがございましたので、今、小泉議員が質問したように、まさにそこのところを、しっかりと質問に対するお答えを実行していただきたい、そのことをまず最初に申し上げて、質問に入ります。

 ロンドンのテロ、当然テロを憎みながらのことでございますけれども、それと同時に、イラクの問題については、我が党は撤退の問題も含めて申し上げているわけですけれども、イラク戦争が始まる前から、戦時中あるいは戦後も私もこの問題の追及をしてきまして、今回、前に質問したときと状況がいろいろ変わってきていますので、その辺のところも含めた質問をしようかと思っています。

 というのは、一つは、二〇〇四年の十月六日にドルファー最終報告というのがアメリカの方で出ておりまして、もう一つは、最近、五月の話だと思いますが、イギリスの方でダウニングストリート・メモというのが出てまいっておりまして、要するに、イラク戦争に対する大義、正当性にかかわる問題でございます。そのほかにも、イラクについてはアブグレイブやあるいはグアンタナモの問題とかございまして、その言葉を聞きますと、虐殺とか拷問とか凌辱、そのような言葉が浮かんでくるわけです。

 また、破壊兵器の問題も、ナパーム弾だとかあるいはさまざまな非人道的な兵器をイラクに落としているということもございまして、さらに、最近は劣化ウラン弾の問題も、放射能被害ということで、いずれ、がんだとか白血病、先天性の障害とかが起こる可能性のある問題もありますが、きょうは、特にイラクの大義、正当性について質問をしていきたいと思っております。

 それで、ドルファーの最終報告の前に、質問通告的なことはしておきましたが、イギリスの方でハットン委員会という調査機関が動きましたし、報告も出しておりますし、さらに、バトラー委員会というのも動いて報告を出しております。この種の調査をすべきであるということを前に言ったことがあるんですが、あるいは理事会で協議してくれということもあったのですが、残念ながら、そういう動きは日本にはありません。私、今から質問しますが、そういう委員会をつくるべき性質のものだろうと思っております。

 ハットン委員会とバトラー委員会、簡単でよろしいんですが、特徴的に、何がどうなったということを御説明ください。

小松政府参考人 お答え申し上げます。

 イギリス政府は、イラク問題につきまして四つ委員会を立ち上げて調査を行ったというふうに理解しておりますけれども、まず、御指摘のございましたハットン委員会の方でございますが、こちらは、イギリス政府がイラクの大量破壊兵器に関して公表いたしましたいわゆるドシエという文書、これは、イラクにおける大量破壊兵器の開発等についてイギリス政府が把握している情報を公表したものでございます。

 この中に、イラクの大量破壊兵器が四十五分以内に使用可能であるという記述があったということがまずございまして、このドシエが出たのは、二〇〇二年の九月及び二〇〇三年の一月、計二種類でございます。今の四十五分問題の記述がございましたのは、前の方の二〇〇二年九月の方の文書でございます。

 この文書につきまして、事実関係でございますが、二〇〇三年の五月二十九日にBBCラジオが、匿名の情報機関幹部の発言として、このイラクの大量破壊兵器が四十五分以内に使用可能というくだりは原案にはなかった、我々情報機関は、これは信頼性がない情報だと考えていたが、意思に反して含められた、こういう報道をいたしました。

 これを契機に、イラクの大量破壊兵器の脅威に関してイギリス政府による情報操作が行われたのではないかという議論が行われまして、まず下院の外交委員会、それから情報安全保障委員会が調査を行いました。

 そのような過程で、匿名の情報機関幹部の名前として、国防省のアドバイザーをされておりましたケリー博士という方の名前が浮かび上がりました。この方が、二〇〇三年の七月十五日に下院外交委員会で証言を行った後、十八日には遺体で発見されるということになりまして、この事件について事実関係を調査するということで、ロード・ハットンという方が委嘱を受けまして、八月十一日に調査が開始されまして、九月二十五日に公聴会が終了し、翌二〇〇三年の一月二十八日にハットン卿による調査報告が出たというのがハットン調査委員会の方でございます。

 それからバトラー報告でございますが、こちらの方は、イラクのみならず、懸念国のWMD、大量破壊兵器の計画及び国際取引や戦争前のイラクの大量破壊兵器に関するイギリスのインテリジェンス活動について調査し、提言を行うことを目的といたしまして、ロード・バトラー、この方は元内閣府長官というふうに承知してございますが、を委員長とする調査委員会を設置いたしまして、二〇〇四年の七月十四日に調査報告書を出したというふうに理解をしてございます。

大出委員 そのハットン委員会とバトラー委員会が報告を出す前に私は質問をしておりまして、そのときに、政府側は、バトラー委員会の方は、移動式の生物兵器製造施設だとか、あるいは核兵器の絡みですがアルミ缶の話だとか、あるいはタージ化学工場の話等について、まだその時点では、そういうのはなかったといいますか、事実ではないということをおっしゃっていません。私が質問したのは平成十五年の六月三十日の段階でございまして、そのときは、タージの施設とかあるいは移動式トレーラーとか、カルバラの移動式実験車、こういうふうな形で答えられているんですが、これについては、この報告書では事実ではないということでよろしいんでしょうか。

小松政府参考人 申しわけございません。今御質問のございました点につきましては、私どもがいただきました質問の中に入ってございませんでしたので、大変申しわけございません、今、手元に資料がございません。調べて、またお答えさせていただきたいと思います。

 それから、先ほど、ハットン委員会の調査、二〇〇三年一月と申しましたが、二〇〇四年一月の発表の間違いでございましたので、おわびして訂正をさせていただきます。

大出委員 当時、この調査報告が出る前でございましたから、政府委員の方々もいろいろおっしゃっていましたけれども、疑わしく言っていたわけですね。ですが、要するに誤報であるということで決着がついたということでございます。

 ハットン委員会の方は、結果的に、イギリスのBBCの情報操作だということで、誇張したということで、誤報という結論を出してトップ二人がやめる、こういうことになっているわけですね。

 それはそうなんですが、もう一つ、この間のイギリスの選挙の前にダウニングストリート・メモというのが出てきまして、これは要するに、この間のハットン委員会やバトラー委員会に至る情報についての、例えば情報を捏造したとか、あるいはそういった問題について、政府の機密文書といいますか、後で公表しますから機密じゃありませんが、暴露されたという話なんですね。

 それはどういうことですかと聞くと、またちょっと長くなりますから説明をしますが、暴露された極秘文書、ダウニングストリート・メモというようなことで、最初にイギリスのサンデータイムズが二〇〇五年の五月一日に書いたということなんです。

 中身は、二〇〇二年の七月二十三日、いわゆるイラク戦争が始まっているのが二〇〇三年の三月二十日ですから、その前の年の七月の段階で、九・一一が起こるその年の七月の段階で、MI6のディアラブという長官が、要するに、もうそのころからアメリカはイラクを攻撃する気だったよ、こういう話をしているわけなんですね。

 ですから、アメリカでは、そのことを受けて、重大な暴露情報だということでブッシュ大統領の弾劾までいくんではないかというような話になっているんですが、イギリス自体は、先ほど言ったようなハットンやバトラーの調査もやっていますから、当然あったんだろうなと思われているわけです。

 そういう話なんですが、そのことについてアメリカでは、ナイトリッダー紙というのが二〇〇五年の五月六日付で一社だけ書いているということなんです。その中で重要なのは、このころブッシュさんは、当然のことながら、イラク攻撃はしませんよというようなことを国民には言っていたわけですね。

 ところが、今言ったMI6の長官は、ブッシュ大統領の決心が固まっているのが感じられる、軍事行動はもはや避けられない模様、メモの中で、MI6長官は会議中にそう発言していると。ブッシュはテロリズムと大量破壊兵器を絡ませて軍事行動を正当化させ、サダムを排除したがっているというようなことをナイトリッダー紙が説明しているわけなんですね。メモにはこう記されているというわけですね。イラク侵攻の政策に合わせて情報と事実が仕組まれつつある、訳し方はいろいろあるかもしれませんが。

 その中で、もう一つは、ある合衆国の政府高官が匿名を条件に語ったところではというのが記事の中にありまして、メモの内容について、英国情報部長官がワシントンを訪問した際に発生した事実について正確に記述されているとのことだ、こういうふうになっているわけですね。

 それで、その中にもう一人、イギリスの外務大臣であるジャック・ストローさんの話もありまして、漏えいしたメモによれば、当時の国務長官コリン・パウエルと親しかったジャック・ストローが、ブッシュは軍事行動を決心していると発言したことを記してあると書いてあるんですね。この時期に、つまり九・一一の前の、その年の七月二十三日の段階でこのことが話されているんですね。

 それで、いろいろなことを質問しているんですが、当時から、二〇〇二年の七月五日にニューヨーク・タイムズが、アメリカはイラク攻撃の計画を持っているというのをすっぱ抜いているんですね。このメモの話は七月二十三日なんですよ、イギリスで。ということは、現にイラク攻撃が行われたわけですから、当然そのころからイラク攻撃というシナリオができ上がっていたということなわけなんですね。だから問題になるわけですよ。

 まずは、ブレアさんが公表したわけですから、このメモは事実であるということをお認めになりますよね。

小松政府参考人 いわゆるダウニングストリート・メモでございますが、これは、本年五月一日のイギリスのサンデータイムズという新聞に報道されております。

 このメモ、二〇〇二年の七月二十三日に首相官邸で行われた会議の記録とされているわけでございますが、それが真正なものであるかどうかということにつきまして、日本政府としてはコメントする立場にはないわけでございますが、六月の二十九日にイギリスの下院において質疑が行われておりまして、質問を受けまして、ブレア首相は、本件メモその他の文書は、先ほど御議論になりましたバトラー委員会報告書でカバーされている、さらに、これは、我々が国連に行き、全会一致で安保理決議一四四一に到達する前の話である、こういうふうに答弁をしておられると承知しております。

大出委員 選挙中に出てきたので、ブレアさんもやばいので、秘密文書じゃなくて公式に出したということのようなんですね。

 これの日本版なんですが、これは朝日新聞の二〇〇四年の九月二十五日なんですが、「インテリジェンス 情報力」というので連載物なんですね。その5のところで、要するに、大量破壊兵器がなかったということを、時間がないのでドルファーのことは今聞きませんけれども、なかったということを受けて検証しているんですよ。そのときに、当然日本についても、なかったのは事実なんですから、なかったということで、だけれども、一応米ロを支持したということになっていますから、それで、どういう状況で支持したかというところを検証しているわけなんです。「米支持の結論ありき」というタイトルになっているわけですよ、大量破壊兵器について。

 どんなことが書いてあるかというと、要するに、九・一一の同時多発テロが起こった後に、外務省が在外公館に一斉に、イラクに大量破壊兵器があるかどうか確認せよとの訓令を出したと書いてあるわけですね。これに防衛駐在官も加わり、米国防総省の国防情報局、DIAやイギリス情報本部、DISの対応相手に対して接触をしたと。

 それで、その中に、政府関係者によればということで、こうした米英の当局からの情報の一つに、ケミカル・アリの異名がある元国防相のアリ・ハッサン・アルマジド将軍が、大量破壊兵器を製造しているとフセイン大統領に報告したという趣旨の内容があった。ただ、この情報を検証するすべは日本側にはなかったと。あの情報をうのみにしたことで我々も判断を誤った、情報担当の自衛隊幹部は後にこう悔やんだと書いてあるわけなんですね。

 その次が問題なんです。それでどうしたかというと、報告書をつくっているわけなんですよ。報告書をつくっているんですが、その作成された報告書は、当初、大量破壊兵器について、保有していると言われているが、明確な証拠はないと書いてあったんですと言われているんですね。

 ところが、情報本部の上層部は、米国がイラクの大量破壊兵器保有の疑惑をアピールしているときに、この結論は何だと怒った。報告書を検討する会議で、幹部の一人はみずからペンをとって、保有する可能性は否定できないという趣旨に書き改めたというわけなんですね。書き改めたわけですよ。

 それで、ここで小泉さんは何と言っているかというと、こういう流れの中で、事務的なことはいい、米国の行動を支持すると言える材料をできる限り持ってきてくれ、後は自分で考えるとこれには書いてあるわけですね。

 ですから、ここで聞きたいのは、まず、最初の報告書というものに、要するに、こういう在外公館の方々とかいろいろな方が、これを会議と言うかどうかわかりませんが、報告書の最初のときに明確な証拠がないというふうに書いてあったのかどうかを事実確認したいのですが。

吉川政府参考人 大出先生のその新聞の記事の話については、突然のお尋ねでございますが、私はそういう調査報告というのを承知しておりません。

 そもそも、イラク、サダム政権の動向につきましては、外務省にとってはこれは非常に重要な案件でございますから、関係する国、関係する国際機関に対して日常業務の一環として情報収集をしろというのが出ておりましたから、私も国連代表部ではそういうことをやっておりましたし、同僚はそれをやっておりました。

 具体的に申し上げますと、国連の中には、イラクの大量破壊兵器を見るための、最初はUNSCOMと呼ばれ、その後はUNMOVICと名前を変えますが、国連の査察委員会がございます。そこに日本は専門家を委員として送り出すだけではなくて、その委員会と日常的に情報収集をしておりました。

 国際原子力機関、IAEAの査察報告、それから、具体的に、いつ、どういう訓令を打ったかという詳細はお答えを差し控えさせていただきますけれども、日常的に大量の情報があり、それをベースにいたしまして、基本的には、国連とIAEAの査察報告に基づいてイラクの大量破壊兵器の疑惑について日本政府は判断を行った、これが、その後の総理また外務大臣の国会における御答弁のベースになっているものでございます。

大出委員 報告書は、最初は、保有していると言われているが明確な証拠はないと書いてあったのかとお聞きをしたんですが、そこについてはどうでしょうか。

吉川政府参考人 そういう報告書というものの存在について私は存じ上げておりませんし、したがって、どういうふうにそれが書かれていたのかは、もちろん存じ上げておりません。

大出委員 どなたならおわかりになるんですか。

飯原政府参考人 一般論でございますが、私ども、我が国の安全保障にかかわります情報につきましては、広く諸外国との情報交換あるいは公開情報の分析等々をいたしております。

 また、イラクにつきましても、当然、その当時の状況から深い関心を持っていたのは事実でございますが、基本的に、私どもとしてどのようなことをどのように分析していたということは、諸外国との関係もございますので、申し上げるべきではないし申し上げられないことは御了解いただきたいんですが、具体的に我が国が独自に独自の判断を下したというようなことはないというふうに考えております。

大出委員 独自の判断、いろいろな言い方はありますよ。総合的に勘案をして独自に判断したと言うときもあるでしょう。独自に判断したことはないというのは、主体性がないという意味にとられますよ。

 今のだと、要するに報告書みたいなものはないんだという言い方ですね。あるいは、私が、最初はこう書いてあったんですかと言ったら、それについても言及をしていないわけですね。だからこそ調べてくださいと言っているわけですよ。調査しませんかと言っているのはそこなんですよ。

 小泉さんと外務省と防衛駐在官と防衛庁情報本部が関与しているわけでしょう。こういうのがあるから、イギリスの場合もアメリカの場合も調査委員会というのを立ち上げて調査しているわけじゃないですか。本当にその情報が、例えばアメリカだったらCIAから上がったのか、CIAの情報が間違っていたのか、その後に捏造したのかというのを見きわめようとしているわけでしょう。

 日本は、私は前から言っているんですが、最初は明確な証拠はないと。現実に、ドルファー最終報告では証拠がうそだったとなっているわけですよ。うそだったんですよ。それを大量破壊兵器、大量破壊兵器と騒いだんですからね。これはやはり調査すべきだと思うんですが、委員長、うちの理事もそうなんですが、調査すべきじゃないでしょうか。理事会で協議をしていただけませんか。委員長、どうでしょうか。

船田委員長 ただいまの件につきましては、後日理事会等で協議をさせていただきます。

大出委員 何で先ほどハットン委員会とバトラー委員会を時間をかけて説明してもらったかというと、イギリスはイギリスでしっかり、国民が、おかしいのではないかというので、そのことについてちゃんと調べる委員会をつくっているわけですよ。アメリカの方も、ドルファー調査団の最終報告だけじゃないんですよ。ケイ調査団というのもちゃんとつくっているわけでしょう。

 それで、おかしいではないかという、だって現になかったんですから、一番の大義だったのが大量破壊兵器のはずだったわけですよ。その間、戦前も戦時中も戦後も、私は一貫して質問しているわけですよ、大量破壊兵器について。あるかもしれないとかいろいろな答えをなさっているわけですよ。それに、フセインが捕まらないからといってフセインがいないとは限らないとか言い始めたんですからね。

 それで、現実にドルファーの最終報告書で、なかったとなっているんですから、これは調査すべきじゃないですか。最終報告、日本の場合の報告書というのが最初と違ったということになったんだとすると、だれが判断、これをだれがやったのか、そして、どうしてここで判断を間違えたのかというのをるる検証するというのが民主国家の当たり前のことじゃないかと思うんですよ。

 もう時間ですので、再度、うちの理事も含めましてしっかりと調査をするということで、真相究明とともに、大義、大量破壊兵器に基づいてイラクに派遣をしたわけですから。

 そして、時間がなくなりましたが、イラク情勢も、ちょっと混乱の状況といいますか泥沼と言われるような状況になっております。武器なども、あるいは兵士なども新しい精鋭が出てきていると言われているようなときでございますから、ロンドンのこともあり、この機に撤退をすべきだということを申し上げて、質問をやめます。

 ありがとうございました。

船田委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢でございます。

 サミット会議の当日の七日朝、ロンドンで同時爆破テロが発生いたしました。亡くなられた方々に心から哀悼の気持ちを申し上げます。

 一般市民を犠牲にする無法で残虐なテロが、いかなる理由であれ許されないのは当然であります。今回の同時テロを受けまして、政府の中からは、テロに屈してはならないという発言が繰り返されております。屈しないのは当然です。問題は、そのためにどうするかであると思います。

 九・一一以降、アフガニスタンでの軍事攻撃で米国はテロとの戦いを進めてきたわけですが、その後も、バリ島、モロッコ、トルコ、マドリードなど、テロ事件は世界各地で相次ぎ、一向におさまる兆しがありません。

 そこで、外務大臣に伺いますが、こうしたテロが繰り返され、一向におさまらない原因について、これをどのように認識しておられますか。

町村国務大臣 テロがいろいろなところで発生する背景、それはいろいろな理由があると思いますし、また、いろいろな組織がそれにかかわりを持ったりしておりますから、一概に、何がこうしたテロの背景にあるかということを一義的に述べることは大変難しいことであろう、こう思っております。

 いろいろな方がいろいろな分析をしておられます。それは、基本的には貧困が背景にあるとか、別にそれらが一つ一つ間違っているとも私は思いませんし、しかし、だからといって、すべての行動が、それによって説明できたり、また、もとより正当化できるものでもない、こう考えております。

赤嶺委員 今回のテロについて改めて伺いますが、イギリスの捜査当局が実行犯四人を特定した、このように伝えられております。日経の七月九日付ですが、「経験を積んだイスラム過激派に影響された比較的新しいメンバーが実行犯だろう」、こういう報道も出ておりますけれども、この点、政府は現在どういう情報を得ておりますか。

小松政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど来御答弁申し上げてございますけれども、まだ捜査は初期段階にあるということで、一人を逮捕、それから、四名のカメラ映像があって、家宅捜査が行われたということは発表されてございますけれども、その人定事項については、イギリスの捜査当局から明らかにされていない段階でございます。

赤嶺委員 そこで、そのテロの真っただ中で行われたG8サミットの首脳声明の中に、テロ対策に関する声明が採択されました。この中で、非常に注目をしたわけですが、「テロリストの活動阻止」だけではなくて、「新たな世代のテロリストの出現の予防」、これがうたわれております。

 ここに盛り込まれている内容、盛り込まれるに至った背景、これについて説明していただけますか。

遠藤政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘の今回のG8首脳声明、七つの項目から成っておりまして、その二番目に「新たな世代のテロリストの出現の予防」、こういう項目がございます。

 この中には、長期的にテロとの闘いに勝つためには、現在のテロリストの活動阻止のみならず、人々が新たにテロリストになることを阻止することが重要である。G8は、過激化及びテロリストの勧誘問題と、そのためのテロリストによるインターネットの利用について共同分析を実施する。その他、紛争解決・予防、貧困削減、グッドガバナンス、社会的、政治的権利の促進、民主的な革命、文明間の相互理解の促進等がこれらのテロリストのプロパガンダ対策に資する、こういう文言になっておりますので、このような内容が恐らく今回の声明の発出の背景にあるものと考えております。

赤嶺委員 アフガニスタンへの報復攻撃のころは、ビンラディンを逮捕すればテロがおさまるのではないかというような向きもありました。しかし、あれからテロが各地に広がり、新たなテロリストの出現、ここに着目しなければ、テロの阻止だけを言っていてはテロの広がりを抑えることはできない、そういう流れもあっただろうと思います。

 それで、その首脳声明の中に、今も出ましたが、個人が暴力の道を選択する理由を分析するとしております。政府は、個人が暴力を選択する、あるいは暴力の連鎖に入っていく、この理由は何だと認識していますか。

遠藤政府参考人 お答え申し上げます。

 同声明の五項に「テロの脅威と個人の権利」という項もございまして、先生の御質問を私がもし正しく理解しておればということでございますが、テロ攻撃の程度に相応した対応をとるべきであり、かつ対応に当たっては民主主義の共通価値が尊重されるべきである、テロから個人を守ると同時に、テロとの闘いでは、国際法に従い人権を尊重する必要がある、こういう内容というふうに承知しております。

赤嶺委員 首脳声明というのは、我が国も一緒に入って声明をつくってきたわけでしょう。先ほどあなたが答弁した中に、こう言っているわけですよ。「我々は一丸となって、なぜ個人が暴力の道を選択したのか、そして例えばテロリストが過激化の促進や勧誘の実施のために、インターネット」云々と続いているわけですよ。なぜ暴力の道を選択していったのかということについて一丸となって研究しなきゃいけないと。その研究テーマさえも、今のような程度の答弁では、本当に、何を認識しているかと言いたくなります。

 もうちょっと声明の中身を聞いていきますが、その声明にこういうのがあります。「テロの脅威と個人の権利」という項目もあると思うんですが、ここではこのように言っています。「我々の対応はテロ攻撃の程度に相応したものであるべきであり、」これはさっきあなたが読み上げられたところですね、「また我々共通の民主的価値を尊重しなければならない。我々は国際法に従って人権を擁護しつつ、個人を保護しなければならない。」

 このくだりは、具体的には何を指しているんですか。

遠藤政府参考人 お答え申し上げます。

 宣言、私が先ほど申し上げたとおりでございまして、先生からも御紹介があったわけでございますけれども、この宣言以上に我々の方として申し上げる立場にはございませんが、私の方として考えられますのは、やはり、テロ攻撃の程度にふさわしい、それに見合った対応をとるべきである。それから、もちろん言わずもがなでございますが、対応に当たっては、いわゆる民主主義の共通価値が尊重されるべきである、こういう趣旨であろうかと思われます。

赤嶺委員 テロ攻撃の程度に相応したものでなければいけないという場合に、例えばグアンタナモ基地での虐待、人権侵害、これが国際的な大きな問題になったわけですね。これをテロとの闘いと言うのか。あのグアンタナモ基地での虐待、テロとの闘いの大義で行われたものとしても、やはり許せない。

 ですから、「国際法に従って人権を擁護しつつ、個人を保護しなければならない。」というのはこのことを指しているというぐあいに理解してよろしいですか。

遠藤政府参考人 お答え申し上げます。

 この「テロの脅威と個人の権利」の第二項に、先生御案内のとおり、テロから個人を守ると同時に、テロとの闘いでは、国際法に従い人権を尊重する必要がある、こういう文言があるわけでございますが、この二番目のパラグラフ自体が、具体的なイシューについて、それを念頭に発出されたものというふうには承知しておりません。

赤嶺委員 一般的、抽象的に声明をまとめたということになりかねません。やはり具体的に、テロとの闘いによって起こるさまざまなあつれき、矛盾というようなことについて言われている、その具体的な中身をきちんと掌握しなければいけないと思うんです。

 もう一つ聞きますが、さっきの話で、「我々の対応はテロ攻撃の程度に相応したものであるべき」、このように言っているわけですが、これはまさに、ファルージャを初めイラク各地で行われてきた米軍による住民虐殺に対して行われた指摘だと考えますが、それはいかがですか。

遠藤政府参考人 お答え申し上げます。

 若干繰り返しのようなお答えになって申しわけございませんが、同じくこの第五項の第一パラグラフ、すなわち先生御指摘の、テロ攻撃の程度に相応した対応をとるべきであるという部分について、イラクで行われた、先生御指摘のような個別のケースを念頭に置いてこの声明案がドラフトされたというふうには承知しておりません。

赤嶺委員 政府はテロとの闘いを声高に叫ぶ割には、G8の首脳声明で、日本政府も参加した声明について、本当に、説明すべきものを持っていないという感じがいたします。

 今の、イラクで、ファルージャで起こったことを、その具体的な事例を指しているかどうかわからないと言って、この事例を除いたら何がありますか。こういう事例を、ファルージャでの無差別な攻撃はだめだというようなことを除いて、ほかに何が、首脳声明で言われているような、攻撃にふさわしい、程度に相応したものであるべきという説明になりますか。説明するものが全くないということ自身、本当に厳しく指摘されなきゃいけないと思うんです。

 私は、今度のG8のテロの問題についての首脳声明は、我々が懸念してきた内容についても踏み込んで声明の中に取り入れているというぐあいに受けとめております。

 そこで、外務大臣に伺いますけれども、テロに力で対応すること、これは、テロリストを孤立させるどころか、かえってテロの温床を拡大するということはこれまでも繰り返し指摘されてきました。また、イラク戦争というものが、国際的なテロ根絶に向けた取り組みを進めていく上での障害をつくり出してきたことも、今まで広く指摘されてきたことであります。テロの根絶のためには、宗教や民族間の対立をあおるのではなく、テロを生み出す土壌をなくす努力と、法と理性に基づく行動、対策が求められると思います。

 ところが、ブッシュ大統領は、十一日の演説でも、テロリストを倒すまで闘い続ける以外に道はない、アメリカと同盟国は断固として行動し続けるだろう、自由の大義は勝利するだろう、このように述べています。そして、今後も軍事的な対応を継続するという意思を表明しております。

 ところで、昨日、政府はライス国務長官との一連の会談を行っておりますが、この中でも、テロとの闘いを継続することで一致したと報じられております。日本政府は、このような米国の方針を今後も支持し、支援していくということになるんですか。

町村国務大臣 今、赤嶺委員の意見を聞いて、いろいろな解釈の仕方があるんだなということで、大変勉強をさせていただきました。

 「我々の対応はテロ攻撃の程度に相応したものであるべき」、これは、ファルージャにおける、あるいはイラクの国内における米軍、多国籍の軍隊の軍事行動をテロと先生は今決めつけて、攻撃の程度という言い方で、あの軍事行動がテロであるという定義は、正直言って、まことにびっくりしたわけであります。

 ここは、テロ攻撃の程度に応じたというのは、例えば九・一一のようなテロ攻撃に対して国際社会がいかなる対応をどの程度とるべきであるかということを取り上げているのでありまして、米軍の行動が、あれがテロ攻撃だという定義はどこにも書いていないということをまず御理解いただきたい。

 したがって、私どもは、アフガンに端を、多分そこが根拠地になって行われた九・一一、それに対応する形でテロ特措法というものをつくって、それを今オペレーションをやっているわけでございますから、そうしたテロとの闘いはいまだに続いているんだ。

 それでは伺いますけれども、あの九・一一が起きた後、赤嶺委員はそれを黙って見ておけばいいのかということになるので、やはりそれに対してきちんと反撃すべきは反撃すべきということは、私は当然のことではないだろうかと思います。ただ、それで十分なのかどうなのかということについては、それはいろいろな議論があろうかと思います。

 私どもとしては、例えば貧困も確かにテロを生む一つの背景かもしれないということを考えたときに、今回のグレンイーグルズ・サミットで、特にアフリカの貧困、それはアフリカばかりじゃないわけでありますけれども、そうした貧困対策のために主要先進国がどれだけの経済協力をできるのかといったようなこと、あるいは、それらの国々の政治経済体制というものがどれだけいわゆるグッドガバナンスと言われるような形になっているんだろうかというようなこと、さらには、教育問題といった、地味だけれども、そういうことを背景として、ODA等を活用して支援していくということが大切ではないだろうか。

 あるいは紛争の予防というような意味で、例えば日本が大変力を入れてまいりましたアフガニスタンにおけるDDR、武装解除、あるいは武装を解いて新しい仕事につくといったようなことも、これもまた一つのテロを助長する要因の除去として役立つのではないだろうか。

 さらに、もっと広く言えば文明間の対話といったようなことも、直接的なテロ対策ではないけれども、背景としては大切ではないだろうか。

 あるいは、中東和平について今さまざまな国際的な外交活動が展開をされておりますが、そういったことも一助になるのではないかというようなこと。そうしたことは、それは背景として必要だろうと思います。

 ただ、そのことと、では、テロが起きました、それについてはただ黙って見ていればいい、そうおっしゃったんではないのかもしれないけれども、そのようにしか私には受け取れない。これに対して、一切のカウンターテロリズムといいましょうか、テロ対策としての武力行使は一切認めないんだというような言い方というのは、率直に言って、私どもは全く納得しかねる委員の御意見だということを申し上げておきます。

赤嶺委員 大臣は、答弁しているのか、何か言いたいことがあって言っているのか、よくわかりませんけれども、私が、米軍の行動がテロだというようなことを言ったかどうか。私は、サミットの首脳声明の文書を引用して、「我々の対応はテロ攻撃の程度に相応したものであるべき」と、「我々の対応は」ということを言ったんですよ。アメリカの軍事行動がテロであるとかなんとかという議論を今やっていないですよ。

 私は、アメリカが大義なきイラク戦争を始めた、それに対して、イラクで、ファルージャなどで虐殺をしている、そういうことについてサミットの首脳声明では注意を喚起したんじゃないか。幾らテロを旗印にしても、ああいうことまでやっていいのか。これはテロを撲滅する障害になることは目に見えていますよ。そして、そういうことについて検証もしないで、アメリカと一緒に軍事行動一本やりでやって本当にテロを撲滅することができるのか、こういう問題提起をしたわけです。

 外務大臣も、言いたいことがあればもっとはっきり言って、人の質問はゆがめないできちんと答弁していただきたいということを要望いたしまして、質問を終わります。

船田委員長 次に、山本喜代宏君。

山本(喜)委員 社民党・市民連合の山本です。

 まず冒頭、ロンドンにおける爆弾テロ事件、極めて卑劣な行為でありまして、強い憤りを覚えます。被害者の皆さん、そしてイギリス国民の皆さんに対して、哀悼とお見舞いを申し上げます。

 そこで質問でありますが、まず最初に、現在のイラク情勢についてお伺いをいたします。

 イラク暫定政府に昨年の六月、主権を移譲しました。一年たって、四月に移行政府が発足したという状況でございます。そして八月には憲法をつくるというふうな流れでございますが、この移行政府に四月に移ってから、テロで二カ月で千二百人の方々、市民が亡くなっているというふうな状況もございます。そして、八月の憲法の制定ということも極めて不透明になっておるわけでございます。こうした情勢についてどのようにお考えなのか。

 また、イラクの情勢の安定化にはスンニ派の統治への参加が不可欠というふうに指摘されています。このプロセスですけれども、これも極めて不透明ですね。連邦制を採用するということで各派が一致をしているというふうに言われておりますけれども、石油の権益をめぐっての対立も深刻になっている。ですから、こうした状況に対する外務省の見解。

 さらには、エジプト・アハラム戦略研究所のディーア・ラシュワンさんが朝日新聞に投稿しておりますが、多発する自爆テロが世界のメディアの目を奪い、地元の武装勢力による抵抗の激しさを覆い隠しているというふうに指摘しています。このイラクにおける戦争を対テロ戦争だというふうにアメリカは主張しているわけですが、アメリカが戦っている相手はテロ勢力だけではなく、アメリカの駐留に反対しているイラク国民ではないのかというふうに思いますが、これに対する外務省の認識をお尋ねいたします。

町村国務大臣 今、山本委員がお触れになりました、まず政治プロセスでございますけれども、これは着実に今進展をしてきている、こう考えております。八月十五日の憲法起草、さらには年末までの新しい憲法に基づく議会選挙というスケジュール、このとおりにいくかどうか、現時点では予断を許しませんが、一応、今までのところは着実に進んできている、こう理解をしております。

 そして、こういう中にもさまざまな多様性を含んだ、そうしたものにしなければいけないということで、私は先般のブラッセルの会議でも、ジャファリ首相あるいはジバリ外務大臣、ハサニ国民議会議長とも話をいたしましたけれども、例えば、この憲法制定プロセスにできるだけバランスのとれた各民族、宗派の方々の代表に入ってもらいたいというようなことで、起草委員会の委員として、国民議会のメンバーよりもはるかに数多いスンニ派の十五名を新たに加えるといったようなこと、あるいは十名のスンニ派委員をまた顧問としてさらに認めるといったようなことでありまして、そうした多様性を反映したものにしようということで、起草作業が今精力的に行われているというふうに理解をしております。

 また、そうしたプロセスを我が国も、選挙の支援でありますとか、憲法制定のための支援のセミナーを六月に日本で開催するというような形で、積極的に支援をしております。

 こういう政治プロセスが着実に進むということは、逆にこの国の、短期間にはそれはうまくいかないかもしれませんけれども、次第次第に、時間とともにしっかりとした国の形がつくられていくわけであります。そうすると、旧体制に属する人でありますとか、あるいは外国から流入したテロリストたち、こうした人たちの活動基盤が当然狭められてくる、弱くなってくる。これに抵抗していこうという動きが強まるというのは、私は、テロリストたちの立場から見れば、ある意味では当然のことであろう、こう思いまして、盛んにそうした自爆テロ等々を繰り返しているという状況が今あるんだろうと思います。

 これに向けて、イラクの移行政府は今、治安部隊を強化したりして、多国籍軍と一緒になって武装勢力の掃討作戦の実施など、治安回復に向けて努力をしているという現在の姿であろう、こう思っておりまして、私どもとしては、そういう努力が成功することを期待しているわけでございます。

 治安の情勢、それは地域によりいろいろ、さまざまでございまして、先ほど前の方の御質問にもあったように、一部地域においては、それは決して予断を許さない、安定した状態でないだろうということは事件の発生状況等からも言えるわけでございますが、私は、例えば多国籍軍がいるからそれがテロの原因になるという考え方については、現在の政府の皆さん方は、多国籍軍の撤退を求めるイラク人は明らかに少数派であり、治安が安定するまで引き続きその協力が必要だということを彼らもいろいろな機会に、ブラッセルの国際会議等の場でも述べていたということを申し上げます。

山本(喜)委員 認識の違いがあると思うんですが、大臣は、着実にプロセスは進展しているというふうな答弁でございましたが、しかし、イラクの現状を見ると、泥沼化しているというのが現実ではないか。

 例えばアメリカのワシントン・ポストとABCテレビの世論調査、アメリカの国内でも、泥沼化しているというふうに答えた人が六五%ですね。ベトナム戦争の二の舞になるという答えも四五%。それから、ギャラップ社の調査でも、イラク戦争に反対するアメリカ国民の割合が五九%というふうに、アメリカの国内でもイラク戦争に対する懸念がかなり強まってきているわけでございます。そうした状況を受けて、多くの国で撤退の議論が出てきております。

 先ほど来の質疑の中でイギリスの撤退というふうなことも言われておりますし、アメリカの議会でも共和党から撤退開始を求める決議案が出ているというふうな報道もあります。それから韓国、そしてイタリアで撤退の動きが出てきていますが、こうした世界の流れの中で、日本の自衛隊員をいつまでも危険な状況に置いておくわけにはいかないんじゃないかというふうに思うわけでございます。

 この撤退、十二月十四日が期限でございますが、このほかに、インド洋に展開しているテロ特措法に基づく部隊、これも十一月には期限が切れるというふうな状況になっていると思うんです。この撤退のプロセスについてどのように考えているのか、お伺いします。

大野国務大臣 自衛隊が極めて危険なところに駐在しているではないか、こういうような御発言が山本先生からありました。私はそう思っていません。

 治安については、たびたびこの席で申し上げましたけれども、他の地域に比べましてサマワというのは比較的安定しているところである。ただ、このことは申し上げましたが、簡易爆弾の事件、あるいは最近のロケットと思われる弾丸が飛来した事件、これは極めて真剣に、あるいは深刻に受けとめていかなきゃいけない。そういうことがあったればこそ、いろいろな安全確保策の万全を期しまして、昨日から自衛隊の活動を再開したところでございます。

 その上で申し上げたいと思いますが、これは十二月十四日に基本計画が期限切れになりますけれども、これから検討していかなきゃいけない問題であります。その点につきましては、何度か申し上げておりますけれども、四つの切り口ということで私は申し上げております。

 一つは、政治プロセスがどうなっていくんだろうか、これをはっきりと見届けていくのが国際社会の責任ある一員としての責務であると思っております。それから、治安の情勢がどうなっていくんだろうか、これも見きわめていかなきゃいけない。復興の過程はどうなるんだろうか。もう一つは、国際社会の動向であります。

 先ほど、例えば国連決議一五四六でございますけれども、これには……(山本(喜)委員「十二月十四日の期限があるわけですから、これに向けてどのように議論していくのか」と呼ぶ)これから議論してまいる、その議論の中身は、今申し上げたようなことも判断しながら、主体的に判断していく、これは当然であります。

 私が今申し上げようとしたのは、国際社会の動向というところで申し上げようとしたんですが、やはり、国際社会はどうやっていくんだろうか、どう見ていくんだろうか。私は、ロンドンの今回の事件で、実質的には各国の姿勢に、政策に何の変更もない、このように感じておりますけれども、もう一つ、一五四六ということを今申し上げようとしたのですが、この一五四六というのは、例えば、プロセスが終わっていること、それが十二月三十一日までだ、こういうことを書いてあります。別項で書いてあるものですから、この辺の議論も国際的には出てくるだろう、このように思っております。

 いずれにいたしましても、これから自衛隊というのは、今申し上げました四つの切り口を中心として、総合的に、かつ主体的に判断していく、こういうことでございます。

山本(喜)委員 四つの切り口はわかりますけれども、法律の期限があるわけですね、法律の期限が。撤退をしますと言って、あしたですぐ帰ってこれるわけじゃないですね。数カ月かかるわけです。ですから、そのためにはもう既に具体的な検討を始めなきゃならないでしょう。十一月ですよ、テロ特措法は。そこを聞いているんですよ。

大野国務大臣 これは、委員十分御存じのとおりでございますが、基本計画が十二月十四日に切れるんだと。法律の問題ではありません。それからもう一つの問題は、これから今のような切り口をもって検討していく、こういうことを申し上げているわけであります。(山本(喜)委員「インド洋のことがあるわけです」と呼ぶ)

 インド洋の方は、法律の問題でございますから、これはやはり、これからきちっと諸般の事情を考えながら検討していく。いまだ何ら決定しているというわけではありません。

山本(喜)委員 時間が過ぎてしまいましたのでこれで終わりますが、このイラクの治安の悪化ということを踏まえた場合、やはり今の現状で果たしていいのかという懸念を申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

船田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時五十五分散会


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