衆議院

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第3号 平成17年10月17日(月曜日)

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平成十七年十月十七日(月曜日)

    午前十時一分開議

 出席委員

   委員長 船田  元君

   理事 石崎  岳君 理事 岩屋  毅君

   理事 中谷  元君 理事 三原 朝彦君

   理事 渡辺 具能君 理事 末松 義規君

   理事 伴野  豊君 理事 佐藤 茂樹君

      飯島 夕雁君    猪口 邦子君

      宇野  治君    越智 隆雄君

      近江屋信広君    大塚  拓君

      岸田 文雄君    斉藤斗志二君

      桜井 郁三君    清水鴻一郎君

      柴山 昌彦君    鈴木 馨祐君

      谷本 龍哉君    冨岡  勉君

      中川 秀直君    馳   浩君

      林   潤君    松本 洋平君

      御法川信英君    宮下 一郎君

      矢野 隆司君    山内 康一君

      山口 泰明君    山中あき子君

      若宮 健嗣君    後藤  斎君

      神風 英男君    田島 一成君

      武正 公一君    達増 拓也君

      長島 昭久君    古本伸一郎君

      細野 豪志君    山井 和則君

      鷲尾英一郎君    赤松 正雄君

      丸谷 佳織君    赤嶺 政賢君

      阿部 知子君    野呂田芳成君

    …………………………………

   外務大臣         町村 信孝君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     細田 博之君

   国務大臣

   (防衛庁長官)      大野 功統君

   防衛庁副長官       今津  寛君

   外務副大臣        逢沢 一郎君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  山浦 耕志君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  井上 源三君

   政府参考人

   (警察庁警備局長)    小林 武仁君

   政府参考人

   (防衛庁防衛参事官)   西山 正徳君

   政府参考人

   (防衛庁防衛局長)    大古 和雄君

   政府参考人

   (防衛庁運用局長)    山崎信之郎君

   政府参考人

   (防衛庁人事教育局長)  飯原 一樹君

   政府参考人

   (法務省入国管理局長)  三浦 正晴君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 高田 稔久君

   政府参考人

   (外務省大臣官房広報文化交流部長)        岡田 眞樹君

   政府参考人

   (外務省総合外交政策局長)            河野 雅治君

   政府参考人

   (外務省総合外交政策局軍縮不拡散・科学部長)   中根  猛君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    河相 周夫君

   政府参考人

   (外務省中東アフリカ局長)            吉川 元偉君

   政府参考人

   (外務省経済協力局長)  佐藤 重和君

   政府参考人

   (外務省国際法局長)   小松 一郎君

   政府参考人

   (外務省領事局長)    谷崎 泰明君

   政府参考人

   (外務省国際情報統括官) 中村  滋君

   衆議院調査局国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動並びにイラク人道復興支援活動等に関する特別調査室長        前田 光政君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月十七日

 辞任         補欠選任

  木村 太郎君     若宮 健嗣君

  玉沢徳一郎君     馳   浩君

  寺田  稔君     林   潤君

  西村 康稔君     近江屋信広君

  松浪健四郎君     大塚  拓君

  長島 昭久君     鷲尾英一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  近江屋信広君     越智 隆雄君

  大塚  拓君     矢野 隆司君

  馳   浩君     玉沢徳一郎君

  林   潤君     宮下 一郎君

  若宮 健嗣君     飯島 夕雁君

  鷲尾英一郎君     長島 昭久君

同日

 辞任         補欠選任

  飯島 夕雁君     木村 太郎君

  越智 隆雄君     西村 康稔君

  宮下 一郎君     柴山 昌彦君

  矢野 隆司君     松浪健四郎君

同日

 辞任         補欠選任

  柴山 昌彦君     寺田  稔君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 平成十三年九月十一日のアメリカ合衆国において発生したテロリストによる攻撃等に対応して行われる国際連合憲章の目的達成のための諸外国の活動に対して我が国が実施する措置及び関連する国際連合決議等に基づく人道的措置に関する特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第一二号)


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     ――――◇―――――

船田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、平成十三年九月十一日のアメリカ合衆国において発生したテロリストによる攻撃等に対応して行われる国際連合憲章の目的達成のための諸外国の活動に対して我が国が実施する措置及び関連する国際連合決議等に基づく人道的措置に関する特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官山浦耕志君、内閣官房内閣審議官井上源三君、警察庁警備局長小林武仁君、防衛庁防衛参事官西山正徳君、防衛庁防衛局長大古和雄君、防衛庁運用局長山崎信之郎君、防衛庁人事教育局長飯原一樹君、法務省入国管理局長三浦正晴君、外務省大臣官房審議官高田稔久君、外務省大臣官房広報文化交流部長岡田眞樹君、外務省総合外交政策局長河野雅治君、外務省総合外交政策局軍縮不拡散・科学部長中根猛君、外務省北米局長河相周夫君、外務省中東アフリカ局長吉川元偉君、外務省経済協力局長佐藤重和君、外務省国際法局長小松一郎君、外務省領事局長谷崎泰明君及び外務省国際情報統括官中村滋君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

船田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

船田委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。長島昭久君。

長島(昭)委員 おはようございます。民主党の長島昭久です。

 このテロ特措法の審議は、今国会で本当に短い、きょうとあしたしか行われないということは大変残念なことでありますけれども、私たちは、このテロ特措法にかかわるさまざまな国民の皆さんの不安、疑問といったことを代弁して、きょうこの委員会で徹底的に議論させていただきたい、こう思いますので、ぜひ政府の皆さんも説明責任をきちっと果たしていただきたい。

 やじが飛んでおりますが、私、最初から、審議もする前からこの法案の賛否を明らかにするつもりはありませんし、私たちは、願わくは、大臣、政府の皆さんがきちっと説明責任を果たしていただいて、ああなるほど、このテロ特措法に基づくインド洋での海上自衛隊による給油活動というのはこんな利点があるのか、こんなに有効なのか、こんなに必要なのかということをきちっと説得力ある形で示していただきたい、そのように思います。

 そして、私たち民主党は、かねがね申し上げておりますけれども、私たちの住んでいる環境とは全く違う、次元の異なる、本当に厳しい過酷な環境の中で、全世界で、特にイラクのサマワで、インド洋の洋上で、あるいはパキスタンの地震がありましたけれども、あのカシミール地方という非常に厳しい環境の中で、今もなお、その活動が国益に資するんだという信念を持って、確信を持って活動されている自衛隊の皆様方に心から敬意を表するし、その皆さんが任務を遂行して達成して、そして無事に帰ってきていただきたい、そのように心から願っているところであります。

 細かな活動の詳細については、きょう、私どもの民主党の委員がたくさんこれから登場して質問をさせていただくことになると思いますが、私の方からは、四年前にさかのぼりますけれども、この大事な政治決断を行ったその根拠、あるいは、今回再延長になるわけですけれども、特別措置法という時限立法には私は異例だと思いますけれども、こういう形で再延長せざるを得なくなった、そこの政治判断、政策判断を中心にお伺いさせていただきたい。

 それで、もう一つお断りをしなければなりません。私どもは、二年前の特措法の延長のときに反対をいたしました。その反対の一番大きなポイント、これは四年前にもさかのぼるわけでありますけれども、国会の関与が少し甘過ぎやしないかということであります。

 自衛隊という実力組織、武装組織を海外に派遣するわけですから、これはやはり国民の皆さんの関与、すなわち国会における関与というものを相当厳格に適用していただきたい、私はこのように思っておりますし、私どもは、そういう観点から、国会の事前承認をしてほしい。国会の事前承認というのは、事前承認だけが目的ではありません。なぜそうするかというと、なおざりに、活動が終わった後、報告だけで済まされないようにきちっと説明責任を果たしていただくという観点から、私たちは事前承認というハードルを掲げて、そして政府の説明責任を求めてきたわけであります。

 その点で政府と見解を異にしたということで、私たちは、この法律の趣旨そのもの、あるいは活動の内容について反対したわけではありません。その点をぜひ冒頭に確認させていただきたいというふうに思っております。

 まず最初にお伺いをしたいのは、この自衛隊派遣の、これはまさにそもそも論なんですけれども、法的根拠は何なのかという、これをちょっとさかのぼって考えてみたいと思うんです。

 二〇〇一年九月十一日に同時多発テロが起こりました、ニューヨーク、ワシントン、ペンシルベニア。そして翌日に国連決議一三六八が発出されました。そして十月の七日、アメリカは自国の個別的自衛権に基づいて武力攻撃を開始しました。イギリスを初めとするNATO諸国は、集団的自衛権の行使、発動として、このアメリカの軍事作戦に参加をいたしました。これが、オペレーション・エンデュアリング・フリーダム、OEFという、今まさに自衛隊が支援活動を行っている軍事作戦の名称であります。

 この多国間における合同軍事作戦、これは自衛権の共同行使ですね。この自衛権の共同行使に当たる合同軍事作戦に対する我が国の後方支援活動、これも立派な軍事支援活動であります。この後方支援活動が、集団的自衛権の行使、自衛権の共同行使の一部分を構成していないという政府の恐らく御説明だと思いますけれども、もう一度改めて、それが自衛権の共同行使に当たらないという理論的な御説明をいただきたいと思います。外務大臣、よろしくお願いします。

町村国務大臣 OEF、不朽の自由作戦の国際法上の根拠及び集団的自衛権にそれが当たるかどうかという御質問でございました。

 OEFについては、今委員御指摘のとおり、これは安保理決議一三六八ということでありまして、九・一一のテロ攻撃が国際の平和及び安全に対する脅威であると認められたことを踏まえまして、またさらには、累次の安保理決議が国際テロリズムの防止等のために適切な措置をとることを求めているということにかんがみまして国際法に従って行われているという考えでございます。この点につきましては、ISAF、国際治安部隊とOEFとの違いというのは委員既に踏まえての御発言であろう、こう思っておりますが、ISAFについては、安保理決議一三六八が、参加する国にそのマンデートを達成するためにすべて必要な手段をとるということを認めておりますけれども、これとは別に、今委員の御指摘のOEFにつきましては、安保理決議というものは必ずしもないわけでございます。

 集団的自衛権とのかかわりのお尋ねでございました。

 これも当時何度も政府側が答弁をしているようでございますけれども、このテロ対策特別措置法に基づき行っております給油等の活動は、それ自体は憲法の禁ずる武力の行使には該当するものではなく、あくまでも憲法の範囲内で実施しているものであり、憲法の禁ずる集団的自衛権の行使に当たることはないということを、当時からも申し上げておりますし、現在もまた同様の考え方でいるわけであります。

長島(昭)委員 その答弁は私も何度も読ませていただいたんですが、それでも納得いかないので説明を求めているんです。

 今、ISAFに言及をされました。ISAFというのは、きちっとした、さっきのは一三六八ですけれども、国連安保理決議一三八六で設置をされた。これは、集団的自衛権の行使でも個別的自衛権の行使でも何でもない、まさに治安を安定させていく、そういう軍事的な作戦であります。これに対する後方支援を仮に日本がやった場合には問題はないんですよ。私はそのことは全然問題にしていないんです。そこはすっきりしているんです、理論的に。

 しかし、私が問題にしているのは、アメリカが個別的自衛権を行使し、そしてそれの助太刀をしたヨーロッパ諸国が集団的自衛権の行使をしている軍事作戦の一部分を日本が構成しているんですね、紛れもなく。給油活動を行っているんですから。後方支援活動というのはまさに軍事支援活動そのものですから。にもかかわらず、その集団的自衛権を行使している多国間の取り組みの一部を日本の自衛隊の活動が構成していないという説明というのは、何度聞いてもどうも納得がいかないんです。皆さん納得されますか。

 政府は、武力行使はしない、武力の行使と一体化もしていない、戦闘地域とも一線を画しているから、自分たちは武力行使をしていないんだからこれは集団的自衛権の行使に当たらない、こうおっしゃるんですが、客観的にこの物事を見たときに、日本は集団的自衛権を行使している国々の作戦の一部を構成しているんですから、これは素人というか、常識的に考えたら、この集団的自衛権の片棒を担いでいると言われても仕方がないですよね。そこのところをどういうふうに法理論的に整理されているのか、もう一度御説明ください。

町村国務大臣 これも、私も議事録等を見て、当時何度も何度も同じ議論が繰り返されたということでございましょう。

 このテロ特措法に基づく給油活動、それ自体としては憲法の禁ずる武力行使に当たらない活動でありますし、その活動地域はいわゆる非戦闘地域であることなどから、他国の武力行使と一体化するとの問題を生ずることはないということを当時から申し上げているわけであります。

 この一体化の考え方は、仮にみずからは武力の行使を行っていなくても、他国が行う武力行使への関与の密接性等から我が国も武力行使をしたと評価を受ける場合もあり得るというものでありますけれども、いわばこれは憲法上の判断に関する考え方を述べたものであるということで、従前から同じ考え方を申し上げ続けているわけであります。

長島(昭)委員 今おっしゃった密接性というのは、これを議論していたら切りがないんです。神学論争になりますからそれは追及しませんけれども。

 これをもし突き詰めていくとどうなるか、私は少し考えてみたんですけれども、皆さん御承知のとおり、今回のテロ特措法の原型になっているのは九九年の周辺事態安全確保法でありますね。この周辺事態法の法理というのは、今まさに外務大臣が御説明なさったように、武力行使とは一体化していない、そういう活動なんだ、それから、戦闘地域から一線を画すんだということから、仮に米軍が我が国周辺で軍事作戦を行って、それに我が国が後方支援しても、それは米軍の軍事作戦と一体化するものではないんだと。

 つまりは、米軍がどういう理由でやるかわかりません、個別的自衛権でやるのか集団的自衛権でやるのかわかりませんが、仮に朝鮮半島で何かあった場合に、韓国は個別的自衛権、そしてそれを支援する米軍が仮に集団的自衛権を行使したとしても、それに対する我が国の米軍の支援というのは、今外務大臣がおっしゃったように集団的自衛権を構成するものではないんだ、こういう説明だと思うんですね。それと同じことを今テロ特措法で外務大臣はおっしゃったと思うんです。

 しかし、これを突き詰めていくとどうなるかというと、自分たちがやっている後方支援活動というのは、その支援対象である活動の主体がどんなことをやっていても関係ないという議論ですよ。そうではありませんか。仮に、先制攻撃を行っていたり、あるいは侵略のための作戦行動を行っていても、今外務大臣の説明でいけば、我が国の憲法にのっとって、日本の後方支援活動は、武力行使と一体化もしていません、戦闘地域の外でやっていますから、仮に支援対象となる国がどんな活動をしようが関係がないという議論になりますね。そこをお認めになりますか、外務大臣。

町村国務大臣 今、米国がどういう活動をやっているのかということを一定の仮定を置いてお話しになられました。

 米国がおよそ国際法違反の活動をどんどんやる、それについて日本が支援をするのかというお尋ねであれば、アメリカは、国連憲章に基づいて一定の場合にしか武力行使はできないわけでありますから、それに基づいてする活動というものは当然あり得る。今回のイラクがその一つのいい例だろうと思います。

 したがって、それに対して日本がどういう支援をするか、それはまた日本独自の判断があり得るわけでありますけれども、アメリカがおよそ国際法をすべて無視して、国連憲章も無視してありとあらゆる好き勝手なことをやるんだという前提の御議論であれば、アメリカがまるでアウトローの国家であるということを長島委員がおっしゃっているような感じがいたしますから、それは違うんじゃないんでしょうか。

長島(昭)委員 私は、別にアメリカがどうとかこうとかと申し上げているわけではありません。

 周辺事態法のときは、ここは、周辺事態というのは地理的概念ではない、そういう整理だと思いますけれども、しかし、まだ、我が国の周辺という地域的な限定がかかっていたんですね。しかし、この特措法では、それはもう地球上どこでもできるという話になっているんですよ。なっていますよね。これは、イラク作戦であろうがアフガニスタン作戦であろうが、とにかく我が国の憲法上の制約をクリアしているんだから、後方支援に限定されるんだったら、支援の対象がどんな軍事行動を行っていてもそこは見ない、こういう法理じゃないですか。しかも、さっき外務大臣がおっしゃったように、国連安保理決議がないにもかかわらず支援をしている、そういう根拠がないのにもかかわらずと。

 ですから、これでいくと、支援の対象となっている国がどんな行為をしているかも関係ない、それから国連決議の有無もほとんど関係なく、後方支援だったら地球上どこでも日本はやれるということになるんですね。そういう考え方も一つあっていいと思いますよ、私は。だけれども、国民のある意味でいうと今までのコンセンサス、あるいは政府が積み上げてきた、自衛隊の活動というのは自衛権に基づく必要最小限度にとどめるべきだというコンセンサスからかなり逸脱しているんじゃないか、こういう印象があるんです。その点についてどう思われますか。

町村国務大臣 今委員が、支援する相手国がいかなる活動をやっていてもとおっしゃったから、そこは違うのではないんですかということをさっき申し上げたのであって、それは一定の国際法で認められた範囲での活動、もしそれが国連憲章等にのっとらないものについて、いかなる活動であっても日本は支援できるんだ、例えばアメリカがやることならば何でも支援できるんだ、そういう議論にはならないのではないですかということをさっき申し上げたのであります。

長島(昭)委員 それは政治判断の問題なんですね。もちろん、そんな、支援の対象となる国がほかの国を侵略しているような行為に我が国の政府がどんなに間違っても支援するはずがないんです。それはわかるんです、それは政治判断としてあり得るんです。

 私は今、憲法解釈を問題にしているんです。憲法の枠というのはどうなっているんですかということを質問しているんです。

 憲法の枠組みに従って純粋に今の政府の説明を突き詰めて考えていくと、支援対象がどんな活動であれ、あるいはそれに基づく国連決議があるなしにかかわらず、後方支援活動であれば日本の自衛隊は地球上どんな場所に行ってもやれる、武力行使を直接するわけじゃないから何でもできるんだという話になりませんか、そういうことをお尋ねしているんです。もう一回お答えいただけますか。

町村国務大臣 だから、今、委員がどんな活動でもとおっしゃったから、そこは違うのではないですかということを私は申し上げているんです。

長島(昭)委員 外務大臣、はぐらかさないでください。それは政治判断の話でしょう。日本の政府としての憲法判断はどうなんですか。法的判断を聞いているんです。

町村国務大臣 憲法判断にもちろん、ですから、このテロ特措法が違憲の立法であるという御判断をもし今長島委員が言っておられるならば、私どもはそう考えないということを申し上げるしかないわけであります。

長島(昭)委員 これはもう最後にしますけれども、政府の説明はこうなっているんですね。仮に支援する対象が個別的自衛権を行使しようが集団的自衛権を行使しようが、それに対する後方支援というのはそういう活動の一環ではないという説明を政府はずっとしてきたんです。

 ということは、その対象となる活動がさらにエスカレートした場合でも、仮に侵略に及んだ場合でも、後方支援の範囲というものを限定すれば自衛隊はそのまま活動し続けられる、こういうことになりませんかという御質問なんです。

町村国務大臣 ですから、何度も申し上げておりますように、アフガニスタンにおけるテロ防止活動というものを多国籍で今やっている。ある意味では、国際的にみんなが、そうだよな、こういう活動は必要だというコンセンサスがある中での支援活動でありますから、もしこれが、仮定の話ですから、どこか全く関係ない国にテロ対策だと称してどんどん攻めていったというような活動について、では支援を続けますかといえば、それはそういうことはない。

 だから、当然、そこで行われている活動の、本来それらの多国籍軍がやっている活動の合目的性とか国際的な合法性というものを前提にして、私どもはそれに支援するしないというのを日本独自の判断で決めるということを申し上げております。

長島(昭)委員 外務大臣、法的枠組みの話をしているんですが、最後はいつも政治的判断の話になってしまうんですね。政治的判断は疑っていないんです、私は。だから、法的枠組みはこれでいいんですか、そういう質問をさせていただいたんですが、これ以上やっても仕方がないので次に行きたいと思います。

 テロ特措法は、テロ攻撃によってもたらされている脅威の除去に努めている諸外国の軍隊などの活動を我が国が支援する、こういうふうに言っているわけですが、このテロ特措法に言うテロ攻撃によってもたらされた脅威の除去に努める諸外国の軍隊の活動、これは今のところどうなっていますか。今OEFの話をしていただきましたが、ほかに何があるのか、実態としてどういう軍事活動が続いているのか、御説明いただきたいと思います。

町村国務大臣 OEFについては、先ほど申し上げましたが、約二十カ国が部隊、将校等を派遣しておりまして、アフガニスタンの南東部から東部の国境地帯を中心に、アルカイダ兵、タリバン兵の排除、拘束、情報ルートの分断等の活動をやっております。

 また、インド洋におきましては、このOEFの海上阻止活動ということで、米、英、カナダ、ドイツ、フランス、パキスタンの艦隊が海上阻止活動に従事をしておりまして、二〇〇一年の九月以降、十三万七千回の無線照会、それから約一万一千回の乗船検査を行っておりまして、テロの脅威が世界各地に海を通じて拡散するということを抑止する効果を上げている、こう考えております。

 そのほかにも、先ほどお話ししましたISAF、国際治安支援部隊でございますが、これは、アフガニスタンを再びテロの温床にしないという観点から、三十六カ国が参加をし、約一万一千人が首都カブール及びその周辺の治安維持活動をやっておりますほか、地方復興チーム、PRTと呼んでおりますけれども、これに二十二カ国が参加して、地方都市における治安維持及び復興支援活動を実施しているという状況でございます。

長島(昭)委員 テロ特措法は、行きがかり上と言ったら語弊があるかもしれませんが、OEFに限って活動しているわけですけれども、これはISAFやPRTの方に活動を拡大するというか、何でOEFに限定して日本の活動をしているのか、そこはどういうふうに御説明されるのでしょうか。

町村国務大臣 これは、日本の今の自衛隊の法上の制約、武器使用の問題といったようなことが一つ大きな制約にあるんだろう、こう思います。したがって、この陸上での活動、もちろん、最終的に憲法を改正し、あるいは自衛隊法を改正し、そういうもろもろの法改正をやればそれはできないことはないと思いますけれども、今の状態というのは、もう一つは危険の状況というものも多分加わってくるんだろう、こう思いますが、これらについては参加をしない、あるいは参加し得ないという判断をしているわけでございます。

長島(昭)委員 それから、OEFのMIOミッション、海上阻止行動、これも本来なら、給油ももちろん非常に重要な活動だと思いますけれども、船舶検査そのものを日本の海上自衛隊がすることはできないんでしょうか。

 周辺事態法と一緒に成立をした船舶検査活動法によれば、これは周辺事態に限ってでありますけれども、船舶検査を公海上ではやれることになっています。そちらの方の活動を控えている理由は何でしょうか。防衛庁長官に。

大野国務大臣 船舶検査ということを御指摘でございますけれども、現在、各国からの要請というものは、給油のニーズ、水のニーズということでございます。そういう各国のニーズを踏まえてこういう形にしているわけでございます。

長島(昭)委員 主体的判断ということでありますから、ほかにいろいろな活動があり得るんだと思うんですね。もちろん、これはさっき外務大臣からお話がありましたように、軍事的な活動の三本の柱を御説明いただきましたが、非軍事の日本の貢献というのもたくさんあるんだろうと思うんですね。

 今、アフガニスタンの復興支援を初めとして、軍事だけではなく非軍事の方で、これは特措法にももう一つの柱として、人道的精神に基づいて実施する措置、こういうのがあります。私どもは経済支援の九億五千万ドルというのを何度も聞いておるんですけれども、非軍事の人的な支援が今どの程度アフガニスタンで行われているのか。

 私は、自衛隊の皆さんは本当に御苦労なんですけれども、何か日本の人的支援は自衛隊の皆さんに頼り切っているような、私はそういうイメージがあるんです。外務省は、ほかの面で人的支援が行われているのであればそれをもう少しPRすべきだと思うんですが、いかがでしょうか。

町村国務大臣 アフガンへの日本の取り組み姿勢ということで一番典型的なのは、二〇〇二年一月に、アフガニスタン復興支援国際会議、東京会議というものを日本のイニシアチブで開催したわけでございます。その中で、政治プロセス、治安、復興、すべての分野での支援を進めるということを決めているわけでございまして、今委員御指摘のように、支援総額約十億ドルということであります。

 また現地でも、確かに必ずしも治安状態がよろしくないわけでございますが、それでもカブールを中心にして百数十名の邦人の援助関係者が現地で大変頑張っておられるという姿でございます。

 政治プロセス、治安、復興、それぞれについて簡単にお話をいたしますと、政治につきましては、昨年の十月の大統領選挙、また、ことしの九月の下院選挙、県議会選挙の実施につきまして約三千万ドルの支援を行ったほか、選挙監視団という人的貢献もしております。

 治安の部分につきましては、それぞれの国がある種の分担をいたしまして、日本は武装解除の分野で主導的な役割を果たしているところでございまして、既に、軍閥出身者から成る旧国軍兵士約六万三千人の武装解除を完了したところでございます。そのうち六万二千人が動員解除され、約六万人が今社会復帰の過程に入っているということで、この日本のDDRの面での活躍、活動というものは国際的にも非常に評価をされているというふうに理解いたしております。

 復興につきましては、インフラ整備、保健衛生、教育、こうした分野での支援をやっておりまして、日本がその一部を担当いたしましたカブール―カンダハル間の幹線道路が二〇〇三年に開通したほか、これは日本だけということではございませんが、教育分野での支援というものもやっておりまして、非常に数多くの児童が就学をするに至っている、こういうことでございます。

 ただ、このほかにも、麻薬の問題でありますとか非合法武装集団の問題でありますとか法の支配の問題でありますとか、いろいろな課題がまだまだ残っている。そういう意味では、本格的な国づくりは、これからまだやるべきことがたくさんあるということだろうと思います。

長島(昭)委員 さっき、自衛隊が何でISAFやPRTの活動に参加しないのですかとお尋ねをしたら、治安の問題もある、それから武器使用の権限の問題もある、こういうお話でした。にもかかわらず、百数十名の邦人が今なおアフガニスタンで活動されている。

 この方たちの安全確保はどのようになされているんでしょうか。

町村国務大臣 私も詳細を全部承知しているわけではございませんが、ことしの春に私もアフガニスタンに参りまして、現地で活動しておられますNGOあるいは日本の政府機関の方々、もちろん大使館の方々はもとよりでありますが、お目にかかっていろいろ話をいたしました。

 比較の問題でいうならば、カブールはまだ相対的にいい、しかし、それも町の中の場所にもよりけりだということでございまして、そういう意味では、彼らは比較的安全とおぼしきところ、もちろん道路などはやや郊外の方に行って仕事せざるを得ないわけでございますが、その分はできるだけ、例えば全体の監督をする役割にとどめて、実際の工事は現地の人を雇うというようなことでございます。

 したがって、私どもも、その百数十名の方々が本当に安全な状態であるかどうかということについては細心の注意を払いながら、十分いろいろな情報を入手し、彼らが危険な場所に陥らないような必要な情報提供、連絡等を常日ごろ心がけながら、できる限りの活動をやっていただくようにしているところでございます。

長島(昭)委員 カブール地域は比較的安定しているということなんですが、そうであるなら、先ほどの御答弁のようではなく、もう少しゼロベースで日本のアフガニスタンの復興に対する自衛隊のかかわり方というのも、さっき大野長官はニーズが給油しかないというようなお話をされましたけれども、それは我々、もう少し主体的に考えていけるんじゃないだろうか、こう思います。

 それで、この特措法の最大の難点は、活動の出口が見えないということなんだろうと私は思うんですね。時限立法なんですから、その性格に照らせば、期間内にこういうことを達成するんだ、そういうことが達成されたら活動を終了するんだ、こういうはっきりとした指標が必要だというふうに私は思うんですね。

 しかし、実態として見てみると、これはイラクも同じなんですけれども、イラクの話をしましょうか。

 イラクは二十八カ国がやっています。しかし、日本以外の二十七カ国は治安維持活動をやっているんですね。安定確保のための活動をやっているんです。それは、一方でイラクの治安部隊を育成しているわけです。イラクの治安部隊が育成されてある程度治安が回復してきたら、その活動はある意味で終息を迎えるんですね。ゴールを迎えるんです。すごくわかりやすいのです。だから、後はイラクの治安部隊にゆだねて、そして撤退することができるんです。

 しかし、イラクの自衛隊がやっていることは人道復興支援ですから、この橋も直してください、この道を直してください、この病院も直してください、この学校も直してくださいと、これはまさにエンドレスなんですよ。今、イラクで起こっている出来事というのは、他の二十七カ国に比べて日本の活動というのは本当にエンドレスになりつつあるという、そこを私は非常に危惧しているんです。

 同じように、このOEFでもそうなんですね。ISAFの活動やPRTの活動というのは、ある程度治安が安定して、そして復興が進んでいけば、これはお役御免になるんです、必要なくなるんです。しかし、洋上の活動、海上阻止活動というのは、これは際限がない可能性があるんです。つまり、テロリストが海上に出てくるかもしれない、テロリストをかくまう人たちが武器を搬出するかもしれない。ずっと世界じゅうでテロが起こっている限り、あの洋上での活動はエンドレスで続く可能性があるんです。

 そういう状況の中で、政府は、この特措法に基づく自衛隊の活動、どこで終止符を打とう、どういう基準で終止符を打とうとされているんでしょうか。

大野国務大臣 当然、我々、政治として考えるべき問題でございます。

 ただ、インド洋における我が国のテロとの闘い、全体の闘いというのは、当然のことながら、国際社会が、テロを追放しよう、地球から追放していこう、こういう使命に燃えまして、その中で国際社会の責任ある一員として日本が参加しているわけでございます。この闘い、アメリカなんかでよく言われておりますように、冷戦のように本当に長くかかるかもしれない、そしてまた忍耐を要する仕事である、こういうことは委員十分御存じのことだと思います。

 そこで、例えば、テロのリーダー、ウサマ・ビンラディン、あるいはアルカイダ、こういうような主要幹部が捕捉された、あるいは拠点が破壊された、これだけで終わるものだろうか。まだまだテロの可能性があるとすればそこを見きわめなきゃいけない、ここに非常に難しい問題があろうかと私は思っております。

 現状において、やはり我々は、アフガニスタン国内で行われているテロ掃討作戦が進展する、アフガニスタンを拠点とした海上における武器やテロリストの移動の流れが著しく減少していく、このような状況を総合的に判断していかなきゃいけない、その判断をこれからしていかなきゃいけない、こういう問題であって、では、いつごろそれがわかるんだ、こういうことはなかなか今の時点で申し上げにくいことでございます。

 アルカイダの関与が疑われるテロが世界各地で発生する、あるいは九・一一のような脅威は依然として存在するんだ、こういうような認識は我々十分持っていて、そしてテロをとにかくこの地球上から追放していくんだ、この理念でもって国際協調をやっていかなきゃいけない、このように思っております。

長島(昭)委員 私もその理念は賛成なんですよ。

 官房長官、忍耐が必要というお話が今ありました。いつ終わるかわからないというお話がありました。では、何で一年なんですか、延長期間が。これは前回は二年だったんですね。法律はもともとは二年になっていた。それをはしょって一年にする。では、一年間で今言ったようなテロの終息する見通しがあるんですか。

細田国務大臣 これまでは二年、二年と来たわけでございますが、今回、一年延長で御審議をいただいているわけでございます。

 今後の取り扱いについては、アフガニスタンにおけるテロリスト掃討作戦等々の進捗状況あるいは同国の内外の情勢、国際社会によるテロとの闘いへの取り組みの推移、我が国として果たすべき役割など種々の要素を総合的に勘案して、我が国として主体的に判断する必要があると考えております。

 今回、二年延長でなく一年延長にしたということも、政府としての考え方の方向を一年ごとにまた考えるべきであるということでお願いをしているわけでございます。

長島(昭)委員 全然説明になっていないんですよ、官房長官。一年で終息する見通しがあって一年にするんだったら我々も考えますよ。だけれども、全然見通しもなく今回は一年、まさに腰だめの数字なんじゃないですか。

 一般的なテロとの闘いだったら、なぜ一般法でやらないんですか。何で時限立法にするんですか。時限立法というのは、ある見通しがあって、短期間で終息するからこれだけはやらせてほしいといって出すのが時限立法でしょう。なぜ一般法にしないんですか。その理由をお答えください。

細田国務大臣 期限を付するような形での延長が適当でないから恒久法、一般法をつくるべきであるという御指摘でございますが、これは、総合的にそういった必要があるかどうか、つまり、どちらがいいかということで申し上げているわけでございますので、やはり総合的にテロ自体の今後の動向、特に九・一一テロに関してあれほど、三千人以上の死者を出し、世界を震撼させたテロ行為であり、かつアフガン内部でその種が強く残っておる現在は、まだもうちょっと今の掃討作戦等の様子を見る、こういう必要性を強く感じているわけでございます。

長島(昭)委員 今の答弁は本当に無責任だと思います。もうちょっと様子を見る、こんなことで本当に審議が成立すると思っておられるんでしょうか。

 今、一般法の議論をさせていただきました。私は、政府は見通しが非常に甘かったと思いますね。さっき大野長官もちょっと触れられておりましたけれども、テロとの闘いというのは本当に冷戦に匹敵するぐらい長期の闘いになるということは、前からいろいろな専門家や政府関係者が言ってきたんです。にもかかわらず二年の時限立法でやった。これは、あのときに緊急性があったということは一つの理由だとは思いますけれども、しかし、それを延長するときに、一般法の議論もあわせてしていたはずなんですね。

 官房長官、お尋ねします。

 以前、これは平成十五年九月三十日の質疑の中で、中谷筆頭が当時の福田官房長官に一般法の作業の進捗状況について尋ねておられますけれども、そのときに官房長官は、「さまざまな検討を開始したところでございます。これは内閣官房で特別チームをつくりまして、そこで検討を始めた、こういう状況でございます。」と。二年たちました。一般法の進捗状況について端的にお答えください。

細田国務大臣 これまでそのような議論があったことはよく承知しておりますし、また、与党、野党内でもさまざまな意見交換が行われておるということはよく承知しております。

 これは、国会の側あるいは政府の側、ともに非常に大事な問題でありますので、十分今後のあり方について検討し、それを踏まえて考えるべき問題であると考えております。

長島(昭)委員 極めて無責任、不十分な答弁、官房長官、そう思われませんか。二年前から着手していまだに今のようなお答えしか、原則すら示すことができないのですか、アウトラインも。だから、これは一年後にもう一回再々延長をお願いするようなぶざまなことになりますよ、こんなことをやっていたら。本気で一般法の議論を始めてください、恒久法の議論を。私たち民主党も既に議論を始めております。

 委員長、ぜひこの機会に一般法の議論、こういう時限立法を延長、延長、延長という無責任なやり方ではなく、本当に、国連決議がしっかり存在する、あるいは広範な国際社会の共同の枠組みがある、そして国会の事前の承認が必要だ、こういうような三つぐらいの柱に絞って、ぜひこれから真剣に一般法の議論を始めていただきたい。そうでなかったら、このテロ特措法を延長するような、まさに法の趣旨をゆがめるようなやり方をいつまでも続けることはできません。そのことを申し上げて、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

船田委員長 次に、山中あき子さん。

山中委員 自由民主党の山中あき子でございます。

 官房長官がおられますので、ちょっと通告外でございますが、現在総理が靖国に行っておられますが、この時期を選ばれた配慮というものがあるのではないかと思いますけれども、一言いただければと思います。

細田国務大臣 小泉総理大臣は、十時過ぎに公邸を出られまして靖国神社に参拝されたと伺っております。ちょうど審議中でございましたのでその詳細は承知しておりませんが、そのような考え方であると、これから参拝したいというようなこともちょっと事前に連絡はあったところでございますが、私が今お答えできる内容を承知しておりませんのでこの答弁は控えさせていただきますが、十分に、総理大臣が国会等で適切に配慮したいとおっしゃっていましたので、適切に配慮されたものと考えております。

山中委員 それでは、本日はテロ特措法の一部改正に関する質問をさせていただきますが、その前に、パキスタンの地震におきまして亡くなられた方々への哀悼の意と、それから負傷された方々の回復をお祈りすると同時に、関連の質問を一つさせていただきたいと思います。

 国際緊急援助隊の派遣に関しましては、法的にはきちんと整っております。しかし、今回見ましても、救助、医療の援助隊員が民間機を乗り継いで行くというようなことがありまして、少し日数がかかっております。また、自衛隊のヘリコプターは解体をしてC130に一つずつ組み込むということで、三日、四日かかるということで、報道なども含めて、その迅速性が問われているわけです。

 当然ながら、被災国の要請がなければ自衛隊は派遣できないわけですし、あるいは、六カ月ごとの回り持ちの緊急援助ということもありますので、すぐに出発できない要件というのは理解もできます。しかし、それならば、日本の貢献として大変高くその技術あるいは態度で評価されている医療の面での貢献をもっと大規模に、量及び機動性ということでできないかということに関しての質問をさせていただきたいと思います。

 まず、町村外務大臣にでございますけれども、量の確保という点で、私は十月十四日時点でのJICAへの医者の登録数を調べましたところ、二百九名、うち女性が三十二名となっております。イスラム圏では女性の患者はできるだけ女性の医師が診るという習慣もありますから、本当は今回女性の医師を派遣したかったわけでございますが、あすすぐに出られるかというようなことで、病院の事情もあるでしょうし、母数が少ないとやはりなかなか派遣ができません。今回はゼロでございます。

 そのような中で、JICAは研修を行っておりまして、出発する方は皆様こういうワッペンをつけているんですが、その研修をもう少し充実させて、サーティフィケート、つまり認定あるいは認証、そういったことをきちんと出して、病院に患者さんが行くと、ああ、この先生は国際貢献している人なんだ、あるいはこの病院はそういうことに協力しているんだということが一般の人たちにもわかって、そして、医者のモチベーションは大変高いとは思いますが、環境をつくって人数をふやす。そういうことを配慮して、いわゆる医療による日本の貢献というのを国際社会にも定着させるPRの意味も含めまして、また国内的な支援も含めまして、ぜひJICAにそういうことの指導あるいは助言というようなものを考えていただきたいと思いますが、外務大臣、いかがでしょうか。

町村国務大臣 今パキスタンには、医療につきましては、十日の日に派遣をいたしまして、十一日から現地で活動を開始しておりまして、十四日現在で約二百六十名の方々の診療を行ったという実績がございます。

 今委員お尋ねの医療チーム、御指摘のような数字で医師二百九名、それ以外にも、看護師さんが二百八十七名、薬剤師二十五名、医療調整員百四十七名という方々が登録をされているということでございました。

 この数をふやすこと、さらにそのモチベーションを高めるための取り組みが必要ではないか、あるいは女性の医師、おっしゃるとおりだろうと思いまして、現実には、今JICAが二泊三日の研修というものを年二回やっております。また、専門研修を終日やっておりまして、これは年三回やっております。

 そのようなことで登録をされておりますが、例えば登録認定証とかというようなものをお渡ししていないのは事実でございますので、今委員御指摘のようなモチベーションを高めるための方策、貴重な御意見をいただきましたので、前向きに考えていきたいと思います。

山中委員 日本は医療援助大国と言われるように、千名ぐらいの医者の登録があり、関係三千名ぐらいの母体があるということができれば大変ありがたいと思いますので、御努力をお願いいたします。

 関連いたしまして、大野防衛庁長官にお聞きいたしたいのは、自衛隊の医官でございます。

 自衛隊の任務としては、輸送任務、医療任務あるいは給水などの中で、特に医官の方々は、語学もできるし、それから非常に医療の水準が高い、あるいは親切であるということで、海外でも高い評価を得ております。自衛隊の本隊の部隊として派遣されるのは自衛官でございますから当たり前のことなんですけれども、私は、G8の国で防衛医科大学を持っている国はわずか二、三しかないということを考えてみましても、この医官の方たちにもっと国際的に活躍していただきたい。そういう意味で、チームあるいは一つのグループとして、医官を中心にした何組かのグループを本隊と別途、医官を派遣するというような制度をもう少し検討していただけないかということが一点でございます。

 そしてもう一点は、そういう医官の活動も含めまして、現在定足数の七五%ぐらいしか医官の方々が任官されていない。そうすると、あと二〇から二五%というのは今空席になっているわけですから、そこに、例えばOBとかOGとか、いろいろな形で、海外への医官としての派遣ができる、そういうグループとして改めて任用できないかという点も検討いただきたいと思います。

 あわせてもう一点でございますけれども、当初に申し上げましたように、C130の航続距離というのは非常に短いわけで、安全保障委員会のときに私も何度も乗ったことがございますけれども、アジアにおけるこのようなさまざまな自然災害、あるいは事故もあり得るかもしれない、そういったときに、戦闘のためではなく援助のために日本が航続距離の長い輸送機を用意する、そういうことは、国際社会、特にアジアに訴える意味でも、また実際の活動の面でも、大変に必要なことではないかと思います。予算が軽減されている中で非常に厳しいとは思いますけれども、ぜひ防衛庁長官のイニシアチブで、そこのところ、さらに迅速に進めていただきたいと思います。

 この三点、よろしくお願いいたします。

大野国務大臣 山中委員から、もっともっと自衛隊として国際的な緊急援助活動をやれ、そういう観点からの三つの御質問でございます。

 いずれにしましても、基本原則をまず申し上げたいのは、自衛隊は実力組織でありますから、相手方の要請がなきゃいけない、こういうことでございまして、仮に一般的な国際緊急援助チームに自衛官の医官を参加させるとしても、これは身分としては自衛官でございます。したがいまして、私は、やはりそのことについての相手方の了承、要請がなければならない、このように思っておるところでございます。

 それから、そういう意味では、実績としましては、要請があった場合はたびたび、委員御存じのとおり、例えばインドネシア・スマトラ沖大規模地震のときにはきちっと医官を派遣しておりますし、また、中米ホンジュラスでのハリケーン被害に対しても医療活動を実施いたしております。

 今回のパキスタン大地震に際しましては、先方からのそのような御要請がなかったということは御念頭に置いていただきたい、このように思っております。

 それから二番目でございます。

 医官、不足しているじゃないか、これは私、長官としても大変頭の痛い問題でございまして、この問題をどういうふうに解決していくのか。私は、やはり医官の処遇の問題、それから防衛庁関係の病院を一般に開放していく。今十七か十八ありますけれども、そのうち一般に開放しているのはわずか四つでございまして、もっともっと一般に開放して、その意味は、自衛隊の医官にいろいろな症例を経験してもらう、症例が偏り過ぎない、こういうことに配慮していかなきゃいけないのではないか。

 その上で医官を充足させるということは第一の使命でございまして、その後をどういうふうに、今山中委員が御示唆くださいましたようなことも考えなきゃいけないな、このように思います。

 それから、もっともっと足の長い輸送機を装備していけばいいじゃないか、このことは我々も十分認識いたしております。平成十八年度から国際平和協力活動にも使用できる空中給油輸送機KC767が順次納入される予定でございます。現在四機を予定いたしております。それから次に、十八年度概算要求で、輸送機としての能力、能力というのは航続距離であり、また貨物搭載量を大きくするということでありますけれども、向上させるために、C130Hに受油機能、油をもらう機能を付加する改修案というものに着手させていただきます。それから、平成二十年度以降でございますが、輸送能力が大幅に向上した新しい輸送機、CXと言っておりますけれども、を調達する予定にいたしております。

 今後もなおこういう問題、大変私は、日本の自衛隊の活動として、もちろん昨年の新しい防衛大綱でも述べられておりますとおり、一つは日本を柔軟に、多機能、弾力的、実効性を持って守っていくこと、そしてもう一つは国際的な安全保障環境をよくしていく、これは大きな大きな日本の使命だ、自衛隊の使命だと思っておりますので、こういう面で努力してまいりたいと思っております。

山中委員 もう一度、済みません、防衛庁長官、速やかに政治的な意思で、ポリティカルウイルで進めていただくという御決意をお聞かせいただけませんでしょうか。

大野国務大臣 今申し上げましたように、これら、いずれにしましても国際協力をやって、そして国際的な安全保障環境を改善していくという、日本にとって本当に大きな使命でございます。政治的決断を持って、私、長官としても真摯に取り組んでまいりたい、このことを申し上げます。

山中委員 期待しております。

 さて、それではテロ特措法の方に移らせていただきますが、アフガニスタンも四年たちまして、そして曲がりなりにも総選挙ができたという段階で、延長の期限一年ということに関しまして、私は適切な判断であると思っております。それは、今後どのように展開していくかという対テロ作戦そのものが国際社会の中で変わっていく時期に来ているというふうに思っているからです。また同時に、それに関連いたしまして、基本計画や実施要項が半年というのもうなずけるところでございます。

 四月に実は米国のUSAID、援助庁の主催で、津波などの自然災害等における日米の軍と民間の協力に関するシンポジウムというのがございまして、私はそのモデレーターをさせていただきましたが、その折になぜそういうシンポジウムが行われたかという一つの理由は、実はテロ特措法によって自衛艦がインド洋におりましたときに、昨年のスマトラ沖地震のときに大変に迅速な救助、実際は遺体でございましたけれども、救助活動をして、その真摯な姿勢も含めて大変高く国際社会で評価された。このことが一つのきっかけとなってこのようなシンポジウムが行われましたし、欧米におきましても、特に私はヨーロッパにおりましたけれども、日本は早かった、日本は非常によくやっているという評価を得た。このことは今回のテロ特措法による活動の副産物ということで、一言つけ加えさせていただきます。

 そういうことも含めまして、私は、国の安全保障に関しては、ぜひ民主党も含め、与党、野党が協力して一緒に決議をしていく、一緒に賛成できるようにしていくということは非常に大事ですので、ぜひ民主党の方々とも、この二日間の議論を通して一致したところを見出すようにと期待しております。

 さはさりながら、自衛隊のここまでのさまざまな努力を非常に高く評価いたしますし、しかしもう一方、二〇〇一年の米国同時多発テロ以来、本当にテロは減少しているのかということに関して、私どもは事実をきちんと見る必要があると思います。

 外務省の資料によりますと、国際テロの発生件数は二〇〇一年に三百五十五件、二〇〇四年に六百五十一件となっております。また、国際テロによる死者数は二〇〇一年に五千八百九名、これはニューヨークのも含めてでございます。しかし、二〇〇四年には何と八千六百十一名という数字が出ております。したがって、国際テロは拡散し増加している、この現状に目をつぶるわけにはまいりません。すなわち、米英の力によるテロの抑え込みだけでは必ずしも一〇〇%の効果を発揮しているかどうかというところが疑問であります。

 ですから、このテロ特措法の延長が一年ということで議決されましたら、この委員会及び党の部会などでも、これまでの自衛隊の燃料、水の補給の動き、こういったものから得るものは大変多いと思いますけれども、一体今後日本ができるテロ対策の戦略的、総合的な方策は何かという検討を始めていただきたいというふうに考えております。

 宗教対立のない日本だからこそ、軍事的な準備と非軍事的な信頼醸成という両手の外交というものをきちんと提唱し、実践していくことができるのだというふうに私は信じておりまして、実は、英米もこの後どうしていいかということで悩んでいるのが現実でございます。ですから、同盟国としても、新たな視点を日本が提案していくということは大変意義があると思います。

 あるべき論を言うのは簡単なんですが、ドイツの名外務大臣と言われたゲンシャーが、外交はプラクティカルでなければならないというふうにお会いしたときにおっしゃったのを非常に印象深く思っておりますので、例えば、これからの検討の課題として、具体的にはアジアにおけるテロ活動を未然に防止するためにはどうしたらいいか。日本の特性を生かすとすれば、当然情報の交換、これは、外務大臣初め情報に関するネットワークを今日本はつくっております。また、交渉術、紛争予防などの専門家の育成、これもまだアジアでは行われておりません。

 あるいは、先ほどの答弁の中で、外務大臣の答弁の中だったと思いますけれども、DDR、つまりアフガンでの武器の回収、これも、戦時でなくても日本がイニシアチブをとれるかもしれません。あるいは、武器の輸出入制限に関する国際的な協力の喚起というのもあるでしょうし、それから、今経産省が試みております出入国の管理体制の強化というのも国際的に協力できる一つの分野かもしれません。

 また、テロや紛争が勃発したときに、平和構築の過程で、自衛隊をどのような条件でどのようなミッションで派遣するのかとか、民間人はどうするのか、NGOはどうするのかなどというように、平和構築に向けて日本がテロ対策の理論的、実践的なイニシアチブを特にアジアを視野に入れて積極的に進めることは、ひいては日本が信頼という国益をかち得て、そして国際社会においてますますその信頼を高めていくという意味で大変大事なんですが、しかし、こう申し上げていても、実際にこのような検討をするかどうかというのは、ポリティカルウイル、つまり政治の意思によるところが非常に大きいわけでございます。

 そういう意味で、官僚主導ではなく政治家がきちんと討論をしていくという意味で、ぜひ外務大臣の御所見を伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。

町村国務大臣 テロ対策、国際的、国内的、全体としてどのように取り組んでいくのか。今、山中委員から幅広く貴重な御指摘をいただきました。

 国内の問題につきましては、既に昨年の十二月、政府が総合的、網羅的な国内テロ対策、まだ今後やらなければならない、あるいは検討中のものも幾つもございますけれども、これでかなり今整々粛々とそれらの対応が進められている、こう理解をしております。

 国際的にどうするのか。当面軍事活動でやはりたたかなきゃならないという部分が当然あるわけでございましょうが、それで十分かと言われれば、これはモグラたたきのようなところも出てまいりましょう。

 したがって、さまざまなことをやっていかなければならない。多分、より根源的には、いろいろな理由があると思いますが、テロがなぜ起きるか、貧困だという有力説もございます。そういう意味で、日本は、テロという要素も加味しながら、開発問題のために一生懸命取り組んでいくということがまず必要なんだろうと思います。

 テロの原因は、しかし貧困ばかりではない。宗教対立とかあるいは民族対立だってあるではないか、それもそのとおりであります。ここまでいくと、有効な手段がどれだけあるかということはよほど考えなければなりませんが、日本も、日本とイスラムあるいはヨーロッパの方々等の参加を得て文明間対話というような場面を設定し、現実にそれを実行したりしておりますし、また、イスラムとの対話ということも今現実にやっております。

 あるいは、民族間対立になりますと、これは本当を言って大変難しい問題にはなりますけれども、やはり紛争の予防をする、あるいは紛争が起きてしまった後の平和構築の問題をどうするのか、これはまさに今国連で新しい委員会もできようかという状況でございますから、こうした取り組みに積極的に日本も参加をしていかなければならないだろうと思います。

 また、アジアにおけるテロ対策ということで申し上げるならば、それぞれの国がいろいろなテロ対策をやっておりますけれども、十分な人的能力がないケースがあります。警察力、軍事力あるいは出入国管理、そういう意味のキャパシティービルディングに日本のODAというものを積極的に活用していくという方法もあるんだろうと思います。そのほか、いろいろな形で総合的な取り組みをしていかなければいけないということであろうかと思っておりますし、そういう意味で、日本政府もこれからさらに努力をしていかなければいけない、かように考えております。

山中委員 ただいま外務大臣の、キャパシティービルディング、つまり人材の育成ということ、これは日本だけではなく、アジア各国も含めてさまざまな専門家を育てるということを強調されましたので、大変心強く思っております。ぜひ、それを進めていただきたいというふうに思いますと同時に、委員長に、このテロ特措法の一部改正が終了しました後の来年に向けての議題の中に、ぜひこのようなことも取り組んでいただくように要望したいと思っております。

 それから、関連いたしまして、先ほどの長島さんの方から、一般法といいますか基本法というものについての質疑がありましたけれども、現行憲法の中でできる範囲での基本法の制定というのは大変に必要なことだというふうに思います。

 私も委員をさせていただいておりました国際平和協力の懇談会、二〇〇二年の報告書の中で提案いたしまして、内閣府には、二十人の人数だと思いますけれども、既にプロジェクトチームができているわけですが、このような基本法というのは非常に複雑な問題を抱えておりますので、なかなか一つずつ行政の方で積み重ねていくというのは難しい。ここにこそまた政治的な必要性、ポリティカルウイルの主導がなければできないわけでございまして、私はきょう、官房長官が今おいでになりませんけれども、ぜひ、外務大臣、そして防衛庁長官から、そのような時期に来ているということを含めて、このプロジェクトチームの活動を加速させるというようなことについての後押しをしていただきたいと思いますが、防衛庁長官、いかがでしょうか。

大野国務大臣 大変大事なことでございます。

 一般法をという問題を考えた場合に、日本の海外での活動あるいは特別な活動というのは、やはり特別な法律をもってやっていこうという従来の考え方。それはなぜかといいますと、日本の自衛隊の活動をネガリストで書かないで、できることはこれなんだ、そこで制限していこう、こういうような問題点が過去にあったわけでございます。そのことは大変重要なことでございますが、そういうことをきちっと原則としてとらえて、そして一般法にできないのかどうか。

 先ほども申し上げましたけれども、これからの日本の国際的な活動、自衛隊の国際的な活動というのは、やはり私は、国際的な安全保障環境をよくしていくんだ、紛争を未然に防止する、紛争があった後はいち早く、鉄砲を撃たない人道復興支援活動でやっていくんだ、こういう日本のメッセージを伝えていかなきゃいけないし、今、戦争というのがナショナルインタレスト、国益同士のぶつかり合いでやる、この前は別です、全く別ですけれども、やはり妥当性、正当性という点から考えてやっていく時代に移っていっているような感じがいたします。

 そういう意味で、私はやはり一般法というジャンルの中で今後考えていきたいと思っておりますし、我々もそういう方向で頑張っていきたいと思っております。

山中委員 最後になりますけれども、まだ議論になっておりませんけれども、イラク特措法の延長問題に関して一言申し上げたいと思います。

 これはお願いでもございますが、八八・五%を中東に依存している日本の石油の事情を考えてみまして、中東の安定化というのは非常に大事なんですが、イラク特措法の問題を語るときに、多くはイラクの中のことだけにしか焦点が当たっていない。どこの国が引くからうちはどうか。そうではなくて、こういう状況の日本におきましては、中東の安定という日本のエネルギー源の獲得という意味での国益と、それからイラクの人たちの復興、国づくりをいかに手伝うかという国際的な利益と、この両方のバランスをとることが非常に大事だと思います。

 その点で、イラクが不安定になれば中東全体が不安定になるという予兆が大変多く見えている。そのことを一言申し上げますと、二〇〇四年以降、エジプト、イラン、カタール、サウジアラビア、シリア、バーレーン、ヨルダン、レバノンなどでテロが発生しておりますが、実は、十月七日のウォールストリート・ジャーナルによりますと、テロが起きていないということになっているクウェートでテロを未然に防いだ。これが大変大きなテロになりそうであったということで、早速に鋼鉄製のフェンスをイラクとの間に張りめぐらせて、ことしの夏、これは果物のスイカでございますけれども、イラクからのスイカの輸入をとめた。それは、スイカの中に爆弾が入っていたときにチェックできないというような脅威をクウェートの人たちも感じているわけです。

 その意味で、これ以上テロが拡散しないためにも、イラクの復興支援の中で、これから、本当に今イラクから自衛隊が撤退することがこの両方の益に資するのかどうか。

 つまり、自衛隊の場合には、例えばノンコンバットフォースという言い方でBBCで随分流されておりましたけれども、戦闘を行わない軍隊ということで、大変イラク国際会議でイラクの人たちが感激していたのは、小さなことではありますけれども、普通の国の軍隊が行くと、地域の族長に会っても、自分は占領軍という姿勢で行くけれども、日本の自衛隊はきちんと族長に対しておじぎをして礼を尽くす。つまり、イラクの人の尊厳を日本はきちんと守ってくれている、あるいは尊重してくれている、そういう礼儀正しい日本の自衛隊のあり方というものがテレビに流れた、それを見たイラクの人たちが大変感激したというようなこともございます。

 ですから、現在のミッションが終わるのであれば、これがいつ終えられるのか。延長するとしたら、いつごろまで、どのようなミッションをきちんと持たせるのか。すごく努力している自衛隊の方々に報いるためにも、日本政府としては、送り出す方がきちんと国内外に説明できる形をとるために、今のような周辺事情も加味した延長の議論をしていただきたいというふうに思います。

 ですから、日本が、本当に日本に復興支援を期待しているイラクの人々にも報いることと同時に、しかしながら、中東の安定のためには今すぐ引いていいのかどうか。これは、ほかの国の引く引かないによらず、日本の独自の考え方を示していくという意味で、このような観点からも検討していただきたいということを外務大臣にお願いしたいと思いますが、一言、いかがでしょうか。

町村国務大臣 今委員は、イラクについての出口戦略というお言葉を使われたでしょうか、今直ちに私どもがそういうことを検討しているわけではございませんが、いずれにしても、十二月の半ばには期限が参りますので、それに向けて、今委員が御指摘のような国内的な日本独自の要請ばかりでなくて、国際的な要請、中東の安定といった幅広い国際的な観点も含めながら、しっかりと検討していきたいと思っております。

山中委員 日本が温かい思考のできる国であるという国際的な信頼を得るという意味の国益をきちんと得て、そして、軍事的な準備は必要です。夢を言っていれば、今、世界じゅうから武器がなくなって、世界じゅうから戦争がなくなればいいんですが、人間の歴史はそうなってきておりません。ですから、軍事的な準備と非軍事的な信頼の醸成、この両手の外交というものを日本のアイデンティティーを築く柱の一つと考えていただいて、そのコンセプトを英米にも伝えていく、そういう同盟国としてのミッションもこれから日本が十分に果たしていけると思います。

 以上で私の討論を終わります。

船田委員長 次に、猪口邦子さん。

猪口委員 発言をお許しいただき、ありがとうございます。

 私は、国会議員として本委員会で初めて発言する冒頭におきまして、派遣命令のもとでイラク、インド洋にて活動している自衛隊員とその御家族の皆様に心からの感謝の気持ちを表したいと存じます。

 防衛庁長官は、隊員の活動と安全確保につき、大変立派な指導力を発揮してこられましたが、自衛隊員たちが、みずからの危険も顧みず、職域への多大な勇気と責任感を持って過酷な勤務環境において任務にいそしんできたことにつき、私は、防衛庁長官としてのお気持ちや認識を伺いたく存じます。

大野国務大臣 猪口委員の、インド洋等に派遣されております自衛官の御家族に対するお気遣い、そしてまた現場で働いている自衛官の活動に対する高い評価に対しまして、まず厚く御礼申し上げます。

 御存じのとおり、まず、インド洋ですと、本当に厳しい環境です。気温からいいますと、日中気温は四十度、一番最高でいいますと摂氏八十度ぐらいになってしまいますから、大変な状態になるわけでございます。また、艦上生活が四カ月ぐらいになります。そして、常時緊張感を持って勤務しなきゃいけない、こういう問題があるわけでございます。

 我々としましては、まず、現場で一生懸命頑張ってくれている自衛官に対しましては、例えば、酷暑用の被服を特別につくっておりますし、それから居住環境にすぐれた艦艇を派遣している、こういう配慮もいたしております。また、ローテーションの問題もあります。

 そして、特に家族との間の交流というのは、隊員にとっても、それから家族にとっても大変大事なことでございます。この点につきましては、例えばEメールがあります、それから、もちろん電話もございます。そういうことで、常にお互いに交流、触れ合いが、声とかEメールですけれども、そういう意味で通信ができるような形にしておりますことを申し上げたいと思います。

 いずれにいたしましても、過酷な条件のもとで、自衛官は任務の重要性を深く認識して士気高く精励しておりますことは、防衛庁長官としまして本当に誇りに思っております。自衛官の活動それから御家族に対する委員の高い評価、改めて厚く感謝申し上げます。

猪口委員 関連におきまして、外務省の職員におかれましても、過酷な武力紛争後の治安状況の中で勤務している方がたくさんおられます。外務大臣よりお気持ちを一言述べていただきたく思います。

町村国務大臣 サマワ、バグダッドあるいはカブール、委員御指摘のように大変危険な面もございます。そのようなことで、外務省の諸君も大変熱心にそういう環境のもとで活動しておられます。折に触れて日本に戻ってこられますので、来られた場合には、私もできるだけ会うようにして、いかなる状況で働いておられるか、何かお役に立つことはないかということで、直接話を聞くようにしております。

 いずれにしても、非常に敬意の念を持って接しているところでありまして、できるだけ待遇の面の改善、戦乱地加算というのがあるようでございますが、あるいはその後、帰国後の特別昇給等、待遇面等でも可能な範囲でできるだけのことをしていきたい、彼らの努力に報わなければならない、こう思っております。

猪口委員 それでは、パキスタンの地震との関連で一言質問いたします。

 パキスタンは、アフガニスタンにおきますアルカイダ、テロ組織掃討作戦の重要な前線国家であります。したがって、パキスタンにおきます被災民の救済あるいは被災地の復興、これは、人道的観点はもとより、テロ組織が人間社会の悲劇を舞台に暗躍、発展しないためにも非常に重要であります。

 言うまでもなく初動態勢の重要性がありますが、今回、他国の初動態勢と比較して、日本として問題として認識していることはありますでしょうか。例えば外務省と防衛庁の連携などは改善すべき点がありますでしょうか。外務大臣にお尋ねいたします。

町村国務大臣 今回の地震についての初動態勢、日本が、例えば緊急の救助チームは、地震発生が八日でございますが、十日に現地で活動を開始しておりますし、また医療チームは十二日に診療活動を開始するということでございまして、諸外国の初動態勢と比べましてほとんど遜色ない形で活動を開始できているのではないか、こう思っております。

 実際に、八日に発生をした後、九日に、被災地でヘリコプターが足りない、輸送のニーズが必要だ、輸送力が足りない、こういう話が参りました。そこで、防衛庁等関係部局とも早急に調整をした結果、これは先方の正式の要請がないと自衛隊は派遣できないわけでありますけれども、自衛隊の派遣をしたということでございまして、こういう際の関係省庁の連絡、これは、例えば先般のインドネシアの大地震そして大津波の際にも経験をしているところでございますが、密接な連携をとりながらやってきておりますし、今後ともそういう方向で努力をしてまいりたいと思います。

猪口委員 今回の地震におきまして、アメリカは非常に素早い対応を見せております。また、さきのスマトラ沖地震においても同様であります。

 今回のパキスタン地震につきまして、どのような日米の協力体制といいますか、そういうものが想定されているのでしょうか。そういうことは視野に入っているのでしょうか。お伺いしたく思います。

 また、それとの関連なんですけれども、災害救援の場合は、一般的にそれぞれの国が対応をするわけですけれども、パキスタンにおきましては、国連、アメリカはもちろんEU、中国、ロシア、また緊張関係にありますインドも積極的に支援の手を差し伸べております。

 そして、そういう災害支援は人道的救済の典型的なものであります。そういう作業を黙々と行う中で、さまざまな対立関係が緩和されたり、場合によっては和解へのプロセスというものも始まることがありますので、災害救済、やはり国際協力をもって推進していくということがとても重要だと思うのですが、その場合に、協力を効率化するために調整の国際的な拠点を設置することも考えられるかもしれません。

 我が国がそのような国際災害救援活動の拠点の枠組みづくりをするようなことにおいて積極的な役割を果たす用意があるのか、また、そのようなお考えを政府としてお持ちであるかどうか、外務大臣にお伺いしたいと思います。

町村国務大臣 パキスタンの地震、あるいは大津波、こういう場合に、一国だけで対応できるという性格ではもとよりないわけでございまして、国際協力の必要性、委員の御指摘のとおりであろう、こう思っております。

 一番最近の例でいうと、まさに津波が発生をした直後に、日本とアメリカ、インド、それとオーストラリアでしたか、この四カ国で、国連等が動き出す前にとりあえずこの主要な四カ国で動き出そうというチームをつくりました。そして、これはしかし、いずれ国連が動き出すまでのつなぎですよという位置づけで動き出して、これはこれで非常に有効であったという経験を私どもも持っているわけでございます。

 しかし、大規模に、かつ網羅的、包括的にやろうと思うと、どうしてもこれは国連の出番というようなことにならざるを得ないし、また、彼らはそうした機関もあるし、今までの経験も持っているということでございましょうから、私どもとしては、そうした国連の活動を中心としながらやっていく。

 また、日本は日本として、さまざまなみずからの地震災害等の経験もございますので、そうした経験を生かしながら、例えば神戸にアジア防災センターというのがあるわけでございます。これはまさに神戸地震の反省の結果できたものでございます。これを通じてアジアの域内各国の連携を強化するというようなことも既に始めているところでございまして、そのような形でさまざまな協力関係の、日本も一つの大きな柱としてこれからも活動していかなければいけない、かように考えます。

大野国務大臣 一言だけつけ加えさせていただきたいんですが、国際的な災害救助に当たって、実力組織、自衛隊等が協力し合うことは本当に大事なことであります。

 したがいまして、そういう意味で、ことしの、東京ディフェンスフォーラムという会を毎年やっておりますが、そこでもそういう議題を当方からイニシアチブをとってやっておりますし、また、タイでも、コブラゴールドという訓練をやっております。

 また、今回、トランスフォーメーション、米軍との間の再編成と言われる中でも、やはり一番日米関係、同盟関係をどういうふうに変化させていくか、それはやはり災害救助に当たってお互いに共同してやっていこうじゃないか、その場合の役割、任務をどうやっていくんだ、こういうことが非常に大きな課題でございまして、そういう方向で頑張っております。

 やっておりますのは、基地の問題だけじゃなくて、そういうような、お互いにどうやってやっていこうか、こういうこともやっておりますので、どうぞ御支援のほどよろしくお願いいたします。

猪口委員 言うまでもなく、テロリストたちはそのような秩序の崩壊、災害などによります秩序の崩壊などにも乗じて暗躍する可能性がありますので、ぜひ外務大臣、防衛庁長官には今の点、よろしくお願いいたします。

 それでは、アフガニスタンの方でございますが、よく知られているとおり、アフガニスタンにおきましては、冷戦の最終局面におきましてソ連軍が侵略し、そして戦乱が続き、ソ連軍が撤退した後もゲリラ同士の激しい主導権争いという形での内戦が起きまして、そして、勝利したタリバン政権は宗教原理主義による過酷な支配を行いまして、また、貧しい国家においてアルカイダ、テロ組織を宿すことになり、二〇〇一年の九・一一の同時多発テロ発生ということになったわけです。

 それ以来のテロとの闘い、困難をきわめて今日に至っているわけですけれども、政治プロセスとしましては、二〇〇一年の十二月にアフガニスタン復興のためのボン会議、そしてそれ以降のボン・プロセスというものが立ち上がっておりまして、そして今回、十二月に国会が開会される予定であります。そうなりますと、ボン・プロセスがようやく完了するということになります。

 私の質問は、ボン・プロセスという政治プロセスの終了後は、言うまでもなく、カルザイ政権みずからが自立して、治安の維持と発展、そういう路線を推進できることが前提でありますけれども、実際には、貧困あるいは軍閥の問題など、テロの温床となる課題をたくさん今日までも抱えているわけですから、ポスト・ボン・プロセスといった支援国会議の枠組み、あるいはそういうプロセスというようなものも考える必要があるかもしれません。そのような国際的な動きはあるのでしょうか。また、もしそうであるならば、我が国としてはどのような役割を果たすと考えておられるか、伺いたいと思います。外務大臣にお願いいたします。

町村国務大臣 委員が今お話しをいただいたようなボン・プロセスは、十二月に議会が開催をされることによって一応完了するということになるんだろう、こう思っております。そこで、政治的な意味合いでは、アフガニスタンは文字どおり政治的にはひとり立ちをするということになってまいります。

 いろいろな復興プロセス、経済成長もだんだん高まってきた等々の進展はございますが、他方、治安の問題は御承知のとおりまだまだということもございましょう。また、GDPの六割だか七割が麻薬によって賄われているという信じがたいような状況もございましょうし、一応武装集団は解除されたが、非合法の武装集団がまだまだ残っている、いわゆる軍閥といったようなものがあるといったようなこと。あるいは、相対的に言うと、中央はいいけれども地方はまだ治安も悪いし復興もおくれているといったような問題、非常に多くの課題があるわけでございます。

 こうした問題は、それ一つ一つの対応というよりは、やはり国際社会が全体として取り組んで支援をしていくということが必要ではないだろうかというようなことで、今、多分年明けに、一月あるいは二月ごろに、ヨーロッパのどこかでそういう国際会議をやるかというような話が内々進行中でございます。

 どういう姿形になるかわかりませんが、いずれにしても、日本も、東京会議を開いたといったような経験もございますので、今後とも枢要な役割を果たそう、こう思っておりますので、そうした国際的な動きを、日本も重要な役割を担う一員であるという認識のもとにしっかりと取り組んでいきたいし、国際的な連携も強めていきたい、かように考えております。

猪口委員 海上阻止活動について伺います。

 言うまでもなく、テロリズムはまだ続く危険性があり、テロリズムが根絶されていないという状況があり、そのようなことを考えれば、今回のテロ特措法の一年延長について、私は理解をいたします。

 そして、テロリストたちは、基本的には、武器弾薬、麻薬など資金源となる物資の密輸入、拡散、これによって活動を展開し、またテロリスト自身の移動、これも活発に行われ、海上阻止活動とはそのようなことを阻止し、彼らの活動基盤や活動の領域を崩壊させること、これが海上阻止活動の目的であるわけですから、これはいわば対テロ戦略の基本編をなすものと理解いたします。私は、政府はそのような活動の意義について十分に国民に説明してきたかどうか、それをお伺いしたいというふうに思います。

 それから同時に、そのような海上阻止活動を実行する、例えば乗船検査を決行する諸国があるわけですけれども、そういう国々と、押収できた物の情報あるいはテロリストの移動についての情報を共有できるような状態になっていますか。そのような情報を得ていくことは我が国の安全保障、テロ防止に非常に重要であることは言うまでもありませんけれども、共有させてもらえる情報の水準は十分であると認識されているでしょうかということです。

 それからもう一つですが、海上阻止活動については、例えば費用対効果の観点から疑問を投げる意見も一部あります。しかし、私としましては、テロ防止のような予防的な措置についての評価というのは非常に難しい。そして、私が随分軍縮に心を砕いた、例えば小型武器のような武器によって実際にはほとんどのテロが実行されていますが、その流出の阻止に失敗すれば、その小さな武器から何百、何千の命が失われる可能性の確率が高くなっていく。

 そういう意味では、費用対効果の考え方は必ずしもなじまない分野ではないかとは思いますが、しかし、その認識の上で、日本政府として、今後、海上阻止活動の効果が一層上がるような方法論の見直し等をお考えになっているかどうか、このような点についてお願いいたします。

町村国務大臣 まず、日本のインド洋上での活動というものが十分国民に理解をされているかどうか。委員みずから御指摘をいただいたように、なかなか、抑止ということを主としてやっているものですから、抑止力の実証というのは正直言って難しいところもございます。

 そういう意味で、政府全体あるいは外務省の広報などで十分国民の理解を得る努力ができているかというと、率直に言って不十分かなという点は反省をいたしております。特に、今回こうやってテロ特措法の改正ということまで国会の御審議をお願いしているわけでございますので、そういう意味からも、国民の幅広い理解を得るために、より一層の広報活動には急ぎ努力をしなければいけない、こういうふうに思っております。

 各国との情報交換、提供というものがどのように行われているかということでございます。これは、海上阻止活動参加国との間でさまざまなレベルでさまざまな情報交換が行われておりまして、例えばアメリカ政府、それから米軍の中央軍というのがフロリダに司令部がありますが、そこに各国政府から人が派遣をされているというレベルでの情報提供もございます。

 ただ、何しろテロにかかわることでございますから、一々全部これをお話しするということになると、これは手のうちを明かすような部分もあるものですから、なかなか具体に言えない部分もございますが、例示的に申し上げますと、二〇〇一年以降、この四年間で十三万七千回の無線の照会をやり、そのうち一万一千回は乗船検査までやったという実績もあるわけでございまして、これによってテロリストの移動であるとか関連物資の海上移動、拡散の抑止に成果を上げてきた。

 また、さらに幾つかの具体例を申し上げますと、例えば、ことしの五月、乗船検査で四千二百ポンドの麻薬を発見したでありますとか、あるいは二〇〇三年十二月以降の多国籍軍の艦船による麻薬の押収量は二万六千ポンド以上である、あるいは武器を押収した等々、いろいろな実績が上がってきているところでございます。

 また、今、委員の方からは小型武器のお話がございました。これは、委員御自身も軍縮代表部大使として大変御活躍をされたこと、私どももよく聞いておりますし、また、二〇〇三年の国連小型武器行動計画第一回中間会合の議長をお務めになられ、その会議の成功をもたらしたという大変な実績も上げておられることに心から敬意をあらわすものでございます。

 この小型武器の問題、大変に重要な問題だと思っておりまして、引き続き、小型武器非合法取引の規制のためのルールづくりということに貢献をしてまいりたいし、その実効も上げていかなければいけないだろう、かように考えております。さまざまな方法でテロ対策というものを日本としてもやっていかなければならない、かように考えております。

猪口委員 御親切なお言葉、どうもありがとうございました。

 では、イラクの方に移りたいと思います。これからの段階におきまして、自衛隊が撤退する出口戦略への立論を考えるべき時期に来ているのではないかという認識はおありでしょうかということであります。

 長島先生も御議論されましたとおり、治安任務である場合には、そのような能力、キャパシティーが先方に伝わったか、治安の維持のような場合には明確な区切りをつけることが比較的やりやすい。他方で、人道支援の場合は難しいという特徴があることは事実であると思います。

 そこで、私は、どういうふうに出口戦略というものを立論していくべきかということについて若干の考えを述べ、外務大臣の御意見を伺いたいと思いますけれども、イラク特措法に基づいて自衛隊が活動できる内容というのは、非常に緊要性の高いことへの応急的なものが中心であるわけですね。実際には、今日では地元住民の要望も、だんだん状況が安定してくるにつれ、ODAなどを活用した、例えば水道、電気など恒久的な生活基盤整備、あるいは社会基盤整備に移ってきているわけです。

 私が重要であると思いますのは、自衛隊が行ってきた今までの貢献が、今後、継ぎ目のない形といいますか、シームレスな形でODAや民間活動によるより恒久的な生活基盤や社会基盤の整備などにつながっていく、移行させていく、そういう展望を描くこと、そこが重要ではないかと思うんですね。例えば、オーストラリア軍の撤退に合わせて撤退する、そういう立論ではなく、中期的な、より構造的な復興計画への見通しが立つ、立たせる、そして立たせたところで撤退する、そういう外交論として整合性のある出口戦略を考えておくべき時期ではないかというふうにも思います。

 そして、時間の関係で続けてお伺いしますけれども、今後イラク支援について、ODAの本格的な供与あるいは民間投資などを考えますときに、特にODAの場合、日本としては限りある資源をどう投下していくかということが出てきます。そういう問題に直面するわけです。当然ながら、サマワを中心としますムサンナ県が将来的にイラク支援の中心であること、その地域が優先的な扱いを受けることは自然なことであると思いますけれども、同時にまた、イラクの南部には油田が存在しているということを考えれば、国益的観点からも、結果的にはかなり妥当な戦略かもしれません。

 しかし、私が思いますのは、今回の憲法の国民投票に関するいろいろな議論を見ていましても、イラクの国が安定した国家運営ができるためには、資源の偏在という問題もあるわけですから、やはりイラク全土の均衡ある発展、そしてクルド人、スンニ派、シーア派間の均衡ある未来への可能性を培っていくことができるような、そういうバランスのとれた支援の仕方というのも視野に入ってくるべきではないかと思うんですね。

 やや先取り的かもしれませんけれども、せっかく私にとって質問する機会ですので、今後我が国がイラクへのODA戦略を考えるときに、ムサンナ県の優先的な扱いという課題と、それからイラク全土をバランスよく発展させなければ政治的な安定がこの地において得られないという、そのバランスの問題について、政府のお考えを伺いたく思います。

町村国務大臣 今数多くお尋ねがあったので、ちょっとお答えが落ちる部分があったら御指摘をいただきたいと思います。

 今委員からも、撤退戦略、出口論の話がありました。今、私どもは、直ちにそれを考えなければならない状況であるとは必ずしも思っておりませんが、いずれにしても、十二月の十四日に期限が切れますので、それに向けて今後どうするのかという議論を政府部内では既に始めているところでございまして、もとより無制限にずっといつまでも続くという性格でないことは当然のことでございますから、その際、委員が御指摘になったようなことはしっかりと踏まえて考えなければいけないだろう、こう思っております。

 確かに、ODAにというお話、原則論、そのとおりだろう、こう思っております。ムサンナ県は、これは自衛隊がいるということもありまして、これまでの無償資金協力の中では、十五億ドルのうちムサンナ県には、人口は二%なんですが、実際には一三%の無償資金が出ているという意味では、確かに高い比率でありますが、これはこの地域が貧しい地域であるということも一定の考慮があったことは事実でございます。

 では、今後どうするのかというお尋ねもございました。今後のことにつきましては、もとよりイラク全体の地域のバランスある、均衡ある発展ということを私どもも考えなければいけない、こう思っておりますし、できるだけ継ぎ目のない形でスムーズに移行できればいいな、こう思っております。

 ただ、現実に、普通の治安のいいところであれば、日本の技術者が行き、コンサルティングもやり、いろいろな現地の調査をみずからやって、あるいは相手国政府と一緒になって調査をしてODAの展開というのはできるわけでありますけれども、今、大規模に日本人がイラクの地の中に入ってODAのための必要な調査等々をやれる体制にないという問題がございまして、どこまでそこの継ぎ目のないという形でうまく移行できるか。

 しかし、そうはいっても、今、ODAを出すための必要な調査をやっておりますが、いずれもヨルダンをベースにして現地の人たちを使った形での調査ということなものですから、必ずしもスムーズにこれができるかという問題もありますし、また、先方政府とも話し合っているのでありますが、まだまだ先方政府も、十分な行政能力がついているかというと、ようやっとできたばかりの政府でございますから、必ずしも私どもが期待するような形での資料の提供等々ができるわけでもないというようなこともありまして、率直に言って、ODAをどこまで大規模に展開できるのか。三十五億ドルの有償資金協力をやる用意はあるのでありますが、そういった悩みといいましょうか、制約があるという点も御理解をいただければ、かように思っております。

猪口委員 時間が来ましたのでこれにて終了いたしますが、最後に、私、世界で頻発しています戦争の様相について思いますとき、それがテロ、民族紛争、宗教対立にしろ共通の問題があると思います。それは、特定の政治目的のみでなく、深い恨み、あるいは憎しみ、あるいは反目の構図、こういう根の深い、ディープルーテッドなものを抱えているということであります。

 そのような戦争を再発ない終結に向かわせるためには、指導者間において和平協定を結ぶということも不可欠ですが、同時に、社会各層を浸潤するそのような恨みの構造がありますので、あわせて社会各層を浸潤するような、リコンシリエーション、和解のプロセスというものを立ち上げていかなければならないと思います。今後のテロの防止も含めて、さまざまな紛争解決、それを再発しない形で解決していくために、ぜひ和解のプロセスの必要性ということを日本政府として世界に発信していただきたいと思います。

 きょうは、発言の機会をいただきましてありがとうございました。

船田委員長 次に、武正公一君。

武正委員 おはようございます。民主党の武正公一でございます。

 テロ特措法改正案についての質疑を行わせていただきます。

 まず冒頭、ハリケーン・カトリーナによって亡くなられた方、あるいはけがをされた方、また、パキスタン北部地震によって亡くなられた方、けがをされた方に対して、お悔やみと、そしてまた一日も早い御回復をお祈り申し上げる次第でございます。

 特に、パキスタン北部地震については、民主党は、十月九日前原代表を本部長に対策本部を発足し、十一日にはパキスタン大使にお見舞いに伺い、そして同日調査団を自己完結型でパキスタンに派遣をし、ちょうどきょう帰国の途につくところでございます。

 大使の方には、調査団派遣については、あくまで民主党は自己完結型で行くんだ、パキスタン政府やあるいは外務省に御迷惑をかけない形で行きますよというようなことを申し上げ、大使からは大変感謝の意を表されたところでございます。きょう帰国した後、対策本部として、党として、政府にまたさらなる要請というものが行われるというふうに考えております。

 まず冒頭、官房長官もお戻りでございます。記者会見も既にお済ませでございますので、総理の靖国参拝については、先ほどの御答弁では杳としてまだ詳細はわからないということでありましたが、既に記者会見も済まされておりますので、このたびの総理の靖国参拝について、これがどのような形式で行われたのか、あるいは記名はどうだったのか、あるいは玉ぐし料等について、参拝形式については、報道では本殿に入らない一般参拝と同じというようなことも言われておりますが、御報告をいただけますでしょうか。

細田国務大臣 私も記者会見前に小泉総理にもお会いしまして意思を確認いたしましたが、これは内閣総理大臣という職務での参拝ではないということを明確におっしゃっておられました。

 それから、参拝の方式については、テレビ等でもございますように、通常のように、昇殿するなどの行為はとらず、あるいは記名とか献花料とかそういうことでなく、本殿前にて、どうも映像ではよくわからないのですが、おさい銭箱にちょっと小銭を入れられたような感じはあるんですが、ここは確認しておりません。そして、一礼されて参拝された、こう伺っております。

武正委員 先ほどの御答弁では、参拝する前にその報告を受けた旨、官房長官はお答えになっておられますが、きょうの参拝については、そのときに初めて聞かれたのか、もうちょっと事前にお聞き及びだったのか、あるいは、それこそきょうの参拝についての協議を総理あるいは総理周辺とされた経緯があるのか、それについてお答えをいただきたいと思います。

細田国務大臣 事前の話は一切ございませんで、けさ方針を決められ、記者団等にも連絡をしたようでございますが、それと同時期だと思いますが、九時ちょっと前かと思いますが、連絡が総理秘書官から私のところにあった、これから、十時ごろ公邸を出て参拝される、こういう連絡があった次第であります。

武正委員 九月三十日、大阪高裁の違憲判決が出た。総理のこの参拝については、いわゆる職務行為と認定をして、宗教的活動を禁じた憲法違反ということで違憲判決が出ておるわけですが、そのときの官房長官のコメントで、「首相は従来、私的参拝と言ってきているので、たいへん遺憾だ。」これは新聞報道でありますが、「私人としての参拝なので、(今後の参拝が)影響されるのかされないのか分からない。」こういうような細田官房長官の話が新聞に出たり、あとは、本人のことだから本人に聞いてくださいというような官房長官のコメントもありました。

 この大阪高裁の違憲判決が出た後の参拝というものは、それこそ官房長官としてどのようにお考えになられますでしょうか。

細田国務大臣 御存じのように、このところ高裁判決が次々に出されまして、それぞれに参拝の時期から提訴が行われたためにそうなったかと思いますが、三つの高裁判決がそれぞれ異なっております。

 いずれにしても、これは損害賠償等を求めることに対するいわば却下をする判決でございまして、それが本論でございますが、その判決理由の中のいわば傍らの論として判事の判断がそれぞれ書かれておって、その中の一つに、これは職務として行ったものと認められるというような判断が示されたということはあるわけでございますが、私どもとしては、これはあくまでも職務としての参拝ではない、本人も言っておられますし、政府としてもそのように考えております。

武正委員 そのように政府は一貫して述べておられますが、私的な参拝とか職務ではないというのは、どう見てもやはり無理があるというふうに私は言わざるを得ないところでございます。

 さて、テロ特措法の方に移らせていただきます。

 まず官房長官に、お手元に資料を理事会のお許しを得て配らせていただいておりますのは、このテロ特措法について、各国と結んでおります交換公文の官報告示をまず一ページ目に載せてございます。これは、アメリカとの交換公文でございます。大変小さい字で恐縮でありますが、政府が出されている官報でございますので、これはもうこれを読むしかないというふうに思うわけであります。

 皆様にも読んでいただきたいと思いますが、二段目、1、2というところを御注目いただきたいのですが、要は、アメリカに対する日本政府からの支援、これについては国連憲章と両立するものでなければならない、これが第一。そして第二は、日本から後方支援、物品、役務提供をした場合は、日本政府の事前の同意を得ないで、一時的あるいは永続的であれ、アメリカ合衆国の軍隊その他これに類する組織以外の者に移転してはならない。つまり、アメリカ以外の者に、日本から提供された、具体的には油になろうかと思いますが、これがほかに移転されてはならないと。第一は、国連憲章との両立、第二は、他国の組織、軍隊その他の組織に移転してはならない、こういうことが交換公文で約束をされております。

 これは各国とも同様でございますが、これについては、まず第一に、国連憲章と両立というのは第何条のことを指すのか。第二は、組織以外の者に移転してはならないということで交換公文を結んでおりますが、では実際に移転をしていないのかどうか、そしてまた、いないとすれば、それについて日本政府としてどう検証をしているのか。以上、官房長官、お答えをいただけますでしょうか。

細田国務大臣 国連憲章との関係という御質問の趣旨が私はちょっとはっきりいたしませんが、テロ対策特措法に従って行われる物品等の提供に関して諸外国と交わしている交換公文においては、これは十一カ国と交わしておるわけでございますが、法に従って相手国の軍隊その他これに類する組織に提供され、かつ、これらにより受領される後方支援、物品または役務の使用は、国際連合憲章と両立するものでなければならないといった規定が設けられておりますので、このような方針をもって提供しておるということを申し上げたいと思います。

武正委員 国連憲章の何条ですかという質問と、それから二番目、つまり、アメリカに提供したんだけれども、アメリカ以外の国に移転をしたことはあるのかないのか、ないとすればそれをどうやって検証しているのかということで、私は、政治家以外にお答えをいただくことは事前にお願いをしておりませんので、政治家からのお答えということで、官房長官、お答えをいただきたいと思います。

町村国務大臣 国連憲章と両立というのは、国連憲章二条四項に、武力行使は禁止するということが書いてあるわけでありますが、第七章で、さはさりながら、安保理の決定あるいは自衛権の行使あるいは集団自衛権の行使によってそれが解除されるということでありますから、その趣旨に沿ったものでなければならないということを言っているわけであります。

 それから、第三国への移転の問題でございますけれども、この点につきましては、一々の動きをすべてチェックするのは、物理的にそれは不可能でございましょう。現実には、やはりこれはそれぞれの国との関係で、信頼関係に基づいてやるわけでありまして、それを実際第三者に移転する際の事前の同意というものを先方が求めていない以上、そういうものは起きていない、こう考えるわけでございます。

武正委員 二番目の質問については、信頼関係ということで、検証方法はないというお答えでございます。

 この信頼関係が果たしていかがなものなのか。実際のところは、ここで書いておりますように、米国以外の国に転用されているのではないか、あるいは各国も同じようなことがないのかといったところが、検証ができないままこの四年間推移をしている。そしてまた、ここでさらなる一年間の延長を政府は求めてくるわけでございます。これはやはり、改正を求める政府の姿勢としては説明責任を果たし得ていないというふうに言わざるを得ないのでございます。

 さて、アメリカとの間には第三項目はこのような書きぶりですが、アメリカ以外の国との書きぶりは違っております。アメリカ以外のすべての国とは、「前記の1及び2は、法に従って第三国の軍隊その他これに類する組織に提供され、かつ、これらにより受領され、その後に日本国政府の事前の同意を得て」、例えばドイツならドイツ、「ドイツ連邦共和国の軍隊その他これに類する組織に移転される後方支援、物品又は役務について準用する。」つまり、アメリカ以外は、一回第三国に行って、そして日本政府の事前の同意を得て、ドイツならドイツに後方支援なり物品、役務を提供することもありますよということなんですね。

 では、実際こうした事例もあるのかということなんですが、こうした事例があったのか、これについて、官房長官、お答えいただけますでしょうか。いや、政治家しか答えていただかないという約束ですので、お願いいたします。

大野国務大臣 このようなオペレーションに関します調整につきましては、御存じのとおり、フロリダのタンパにおきましてコアリションビレッジというのがございます、そのいわば多国籍軍村におきまして、それぞれの派遣国から派遣されました者が、それでは何月何日、どこのどういう船に供給しましょう、こういうことをやっているわけでございます。その枠組みは今、交換公文ということで御説明がありましたので省きますけれども、それを確認して、そして、その国のその船がそのような目的のために使うんだということを確認して実行しているわけでございます。

 果たして実行しているかどうか、そこまでは我々は追求いたしておりません。それをもって、我々は信頼関係に基づいて行動している、このように申し上げているわけでございます。

武正委員 アメリカ以外の交換公文にすべて、いわゆる後方支援が一回第三国経由でその交換公文を結んだ当該国に移転をされる、このことを書いているわけですね。ただ、そのときには日本政府の事前の同意が必要だということなので、今お聞きしたのは、こういうことが過去あったんですか、四年の間にあったんですかと。

 今、フロリダのタンパの例は、これはこのテロ特措法とは違いますよね。両方対象ですか。あったのかないのか、あるいはどのぐらいあったのか。そしてまた、では事前の同意は得ているということでよろしいでしょうか。

大野国務大臣 そういう事実はございません。

武正委員 そういう事実はないということは、第三国経由で交換公文を結んだ国に提供された事実はないということのお答えだったわけですが、そうすると、先ほどのフロリダのタンパの例は、このテロ特措法の交換公文の対象でないことを言及されたということですか。

大野国務大臣 我々は、要するに、日本からの油等をどのように相手国に供与するか、こういうことをどういう枠組みでやるか、その枠組みが、交換公文の話はおいておきますけれども、タンパのコアリションビレッジでやっている。それは、先生おっしゃるようなルートもあれば、それからアメリカに対するルート、いろいろあると思います。総合的にやっているわけでございまして、日本の同意を得て、そして譲り渡したとか、そういうような例はございません。

 もう一度繰り返しますが、タンパで総合的にやっています。場合によってはバーレーンでもやっておりますけれども、それはきちっとお互いに、どの船に渡します、その船はこういう活動をいたします、こういうことを確認した上でやっているわけでございます。本当にそれをやったかどうか、そんなことは我々は、多国籍軍に国際的に協力してやっているわけですから、疑ってはおりません。

武正委員 要は、このテロ特措法の交換公文では、先ほどのお答えのとおり、ないということでありますが、ただ、実際にそのことをやっているかもしれないけれども、検証の手だてはないし、検証する必要もない、信頼があるからというお答えでよろしいでしょうか。

大野国務大臣 我々は、テロを地球から追放する、あるいはイラクを民主国家として再生していく、こういう国際的な協力の中で日本ができることをやっているわけでございます。それはお互いの国際的な信頼関係に基づいて行っているわけですから、我々は、今武正先生がおっしゃったような言い方は、こういう協力関係に影響するものとして大変残念に思います。そういう信頼関係の中で国際協力でやっていこうじゃないか、こういう精神のもとにやっておりますことを御理解いただきたいと思います。

武正委員 ここは立法府で、法律を制定し、また条約等交換公文については承認を与える。そしてまた、その承認については、大平三原則に基づいて、国会の承認を得ないものがあっても、外務委員会等に資料を提出するということで、これまで行政府と立法府の間での、特に国際間の取り決めについてはやはり国会の関与ということをこの戦後日本の国会は重視をしてきたわけでございます。その中で、この交換公文についての文言がこのとおり適正に守られているんですかということを聞いたのに、これについて聞くことが両国間の信頼を疑うようなことで大変遺憾であるというような防衛庁長官の答弁は、大変私としては残念であります。

 そうしたことで、時間もございませんので先を急がせていただきますが、このお手元の官報を、官房長官、見ていただけますでしょうか。

 これは既に外務委員会でもやっておるんですね。官報告示の実際の日月は平成十四年四月四日、上に書かれております。ところが、ハワード・ベーカー大使と当時の田中眞紀子外務大臣が結んだ日月は前年の十一月十六日でございます。すなわち五カ月間タイムラグがあるということでありまして、このときは、官邸のホームページには閣議案件として記載があります。ただ、いわゆる国会への報告というものはございません。すなわち、この官報での告示をもって済ませる。しかも、これだけ、五カ月たってから記載をする、こういったことが実際行われているんです。

 官房長官として、両国間の信頼という先ほどの防衛庁長官のお話もありました。であればこそ、特に、これだけ大きな議論を呼んだテロ特措法の以降に結ばれた交換公文についても、やはり国会に対してきちっと報告をしていく。まず第一に官報告示にタイムラグがあってはならない、しかも、その報告については国会の外務委員会等関連委員会にきちっと報告をしていく、これがあるべき姿だと思うのですが、実際これがこの四年間されていないといったことも踏まえて、どのようにお考えになりますでしょうか。官房長官、よろしくお願いいたします。

細田国務大臣 この交換公文の官報掲載が非常におくれているということは、私は、これは非常に残念であると思いますし、改善すべきであると思います。これは外務委員会でも外務大臣がお答えしているとおりでございますが、改善に取り組みたいと思っておりまして、指示も出ておるところでございます。

 大平さんのいわゆる原則については、この交換公文については、法律上の背景その他の状況等から、この範疇には属しないと思いますけれども、できるだけ早く決め、早く公表し、かつ国会の委員会等で御議論いただくことが適切であろうと思っております。

武正委員 時間が参りましたので、午後の時間に移らせていただきます。ありがとうございました。

船田委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時八分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時三分開議

船田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。武正公一君。

武正委員 午前に続いて質疑を行わせていただきます。

 官房長官におかれましては、午前の最後の質問のところを再度お伺いいたしますが、特に大平三原則のかかわりで御答弁をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

細田国務大臣 交換公文について申しますと、昭和四十九年二月の大平当時外務大臣の答弁では、国会承認条約を締結するに際して補足的に合意された当該条約の実施、運用あるいは細目に関する行政取り決めについて、政府は、国会の条約審議権を尊重し、当該条約の国会審議に当たっては、従来から、国会に参考としてこれを提出しております。これに加えまして、国会において条約の締結が承認された後に結ばれた当該条約の実施、運用あるいは細目に関する行政取り決めについても、国会として、その条約がどのように実施あるいは運用されているかを把握しておく上で必要と思われる重要なものは、締結後できる限り速やかに外務委員会に資料を提出することとしております。

 この行政取り決めの国会への報告については、引き続き、この答弁の趣旨を踏まえて適切に対処いたしたいと思っております。

 なお、御指摘のこの取り決め、交換公文につきましては、このような、資料を提出する案件に当たるものではないと判断して取り扱っておるものでございます。

武正委員 当時の大平外務大臣でしょうか、「その条約がどのように実施あるいは運用されているかを把握しておく上で必要と思われる重要なものは、」ということでございまして、そうした重要なものではないという判断に当たるのか、国会には提出をされていないということでございます。

 ここのところ、では、国会に、条約締結後、国会承認後に結ばれた交換公文をどの程度提出されているのかというと、大変少ないのが実態でございます。

 例えばアメリカとの交換公文は、平成十三年でございますが、国会承認条約は十六件、七百三十三件の行政取り決めがされておりますが、国会に報告された行政取り決め、交換公文はゼロでございます。そして十四年もゼロ。十五年に一つ、日米地位協定二十四条について。十六年は三つ、日米租税条約、刑事共助条約、日本・ウズベキスタン航空協定ということでございます。

 要は何を言いたいかというと、国会の関与を、民主党はこの四年間、当初の本法の審議のときから大変重要視してまいりました。ただ、残念ながら、この四年間、例えばこのテロ特措法に基づく交換公文についても、重要ではないという政府の認識のもと、国会に出されていない。

 こういう中で、果たして本法が四年間どのような効果を上げたのか、あるいは諸外国とどのようなかかわりをしているのかといったことが十分審議に供しないと言わざるを得ないんですけれども、この重要でないという認識、これは、官房長官、やはり、このテロ特措法に基づくこうした交換公文、そのようにお考えでしょうか。お答えをいただけますか。

町村国務大臣 先ほど官房長官が言われた第二のジャンルに入るというお話なんだろうと思いますが、このテロ特措法関連の交換公文は国会承認条約ではないわけですね。これはあくまでも国内の法律でありますから、国会承認条約の実施、運用あるいは細目に関する行政取り決めではないわけでございます。

 したがいまして、大平大臣の答弁との関係で申し上げれば、そもそも国会に対して資料を提出すべきものではないということがまず前提にあるということを踏まえた上で、なおかつ、重要なものであるかどうかという判断は政府みずからが判断をして、事案ごとに、今までも、御要望があればお出しをしたり、こちらから出したりしてきたということでございます。

武正委員 やはりこのテロ特措法に係る審議というものは、諸外国との間のさまざまな条約あるいは取り決め、これもすべてかかわってくるものでございますので、私は同様の扱いがあってしかるべきというふうに考えております。

 特に、この四年間の審議の中で、国会に政府は率先して提出をし、報告をし、委員会の審議に供すべきであるということを改めて指摘すると同時に、これでまた一年間の延長を政府がもし求めるのであれば、さらに、これからこのような交換公文を結んだ場合にはこのイラク特別委員会なりに提出していくということを求めてまいりたいというふうに思います。

 さて、お手元の方に資料を用意させていただきましたが、四ページをおあけいただきますと、これは防衛庁さんがつくられた資料ですけれども、海上自衛隊艦船による給油実績が、この四年間、棒グラフと、それから給油量は折れ線グラフで示されております。

 月々で申しますと、ピーク時の四分の一まで特にことしは減っている。年度ごとの総量でいえば、十分の一にことしは減るのかなという推移が上半期されているわけであります。

 一方、供給先を見てまいりますと九割はアメリカということでございますが、まず、給油実績が激減しているのを見ると、海上自衛隊艦船による補給、特に給油については役割を終えたのではないかというふうにこの棒グラフなり折れ線グラフからうかがえるんですが、これについて、官房長官、どのようにお考えでしょうか。

大野国務大臣 まず、給油実績というのは、委員御指摘のとおり減ってきております。最初の六カ月と最近の六カ月の給油量を見ますと大体八分の一ぐらいに減ってきているのかな、こういうことでございます。

 この原因を見てみますと、まず、補給対象となる艦艇の大きさが小さくなっている、縮小している。そういうことでございますので、その点は、かつて補給艦にどんどん給油していたということもございます。そのことをまず御理解いただきたいと思います。

 ただ、給油の回数という点で見ますと、同じく、最初の六カ月そして最近の六カ月で比較しますと大体九割程度かな、回数の方はほとんど減っていないと言って過言ではないと思います。

 そこで問題は、今、こういう行動を通じて、抑止力、テロの脅威が世界各国に拡大するという抑止力の効果は当然のことでありますけれども、やはり非常に活動を効率的にしている、寄港地に余り寄らないで済む、こういう問題があります。そういうことで、OEF・MIOの効率性に大変大きな寄与をしているということであります。

 それから、日本の場合、これは補給技術というのは大変高い技術水準を要するものでありまして、数時間にわたって並行で走っていかなきゃいけない。並行で走りながら給油をやるわけですから高い技術と能力が必要とされておりますけれども、世界の補給技術というのは、日本が今ナンバーワンになっているということも御理解をちょうだいしたいと思います。

 もう一つ申し上げますと、このような補給艦、大変大きな役割を果たしているわけでありますが、補給艦を数多く持っている国は余りない、このような問題もございます。

 ただ、あと一つだけ、これは余談でございますけれどもちょっと触れさせていただきたいのは、思わぬ波紋がございまして、日本の海上自衛隊がフランスのブレストに寄港いたしましたとき、フランスの方から日本の艦隊に、今度はフランスの方から油を差し上げよう、こういうことで、三千万円相当の油をちょうだいいたしました。フランスに差し上げた油は六億円程度でありますから、まあ二十分の一でございますが、何となくそこにお互いの心の触れ合い、通じ合いみたいなものができてきているんだな、こんな感じがいたしております。

武正委員 今、補給艦への補給が減っているというふうに言われましたけれども、具体的にどの程度減っているのかお答えいただけますか。

大野国務大臣 補給艦への艦船用燃料を給油した回数で見ますと最近一年で七回でございまして、同じ時系列とりますと約六%ということでございます。

 それから、開始以来で見ますと、ちょっと具体的なピンポイントの答弁はできませんけれども、開始以来で見ますと百三十五回で、全給油回数五百五十回の二五%でございます。だから、全給油回数の二五%、しかし最近の例でいいますと六%、こういうふうに御理解いただきたいと思います。

武正委員 次に、ヘリコプターへの給油と飲料水の提供を可能とする閣議決定をお答えいただきたいと思うんです。

 これは既に参議院の外交防衛委員会で、我が党の白参議院議員に対して、防衛庁長官からは、これは各国からの要請である、そしてヘリコプター以外の航空機にも使用可能であるJP5という燃料であるということで、哨戒、警戒に使うヘリに使用をしているんだというような答弁があったわけなんですけれども、これは官房長官に、閣議決定ですのでぜひお答えをいただきたいと思うんです。

 この閣議決定で、ヘリコプターへの給油と飲料水の提供を可能とする、これを加えた理由ということでお答えをいただきたい点なんですが、そのときには、白参議院議員から防衛庁長官には、それならばそれで、ちゃんと警戒なり哨戒なり、そういう目的に使うということを閣議決定で明記すべきではないか。それが、ヘリコプターの給油そして飲料水の提供を可能とするというのみですと大変幅広に解釈されてしまう、こういう指摘があったんですけれども、閣議決定でそうした使用についてしっかりと限定をしていくというやりとりについて、官房長官として閣議決定についての御所見を伺いたいと思います。

細田国務大臣 艦艇搭載用ヘリ燃料及び水の補給を追加した理由は、各OEF・MIOを実施しております各国から、オペレーションの効率性の観点から、特に給油等のための寄港回数を減らすという意味での観点から、艦船用燃料に加え艦艇搭載ヘリコプター用燃料及び水の補給も受けたいとの具体的な要請があったことを受けまして、これを昨年十一月の基本計画変更時に実施したものでございます。

 艦艇搭載用ヘリコプター用燃料については米、英、独、仏、伊、パキスタン、水についてはパキスタンについて実施したものでございます。ヘリコプターについては、基本計画において、艦船に対して行われるものに明確に限定をされているものでございます。

武正委員 私が聞いたのは、そういう意味では限定をされているんだったら、閣議での決定のときに、限定した書きぶりをすべきではないのかということなんですが、その点についてはいかがでしょうか、官房長官。

細田国務大臣 これは当然限定されるという前提で議論をしておりましたので、特に問題はない、こう考えております。

武正委員 ただ、その前提は我々には伝わってこない、あるいは国会にもわからない。質疑でようやく答弁を引き出すということですので、このテロ特措法に基づくインド洋の自衛隊艦船の派遣については、後ほど触れますように、イラク戦争へのかかわりなども懸念をされる、あるいはさまざまな、もしかしたら、先ほどもお話があった第三国に燃料などが転用されているんではないか、あるいはアメリカ艦船が海上阻止活動ではなくてイラクに行っているんではないか、こうした数々の疑念があるんですけれども、防衛庁長官や外務大臣からは、それはもう信頼がある、両国の信義である、それについて疑うのはいかがなものかというようなニュアンスの御答弁もあったぐらいですので、私は、やはり閣議でもきちっと限定して決定をし、それを国会に報告あるいは国民に公表すべきだということを重ねて申し上げておきます。

 それでは、ちょっと時間もなくなってまいりましたので、この資料の三ページ目をお開きいただきたいんです。これは防衛庁さんがつくられた資料で、今回のOEF・MIOの成果ということで、右上に1、2、3、アフガニスタンへの武器の流入の阻止、麻薬売買による資金流入の阻止、テロリスト入国の阻止に効果を上げた、こういうことを防衛庁さんが挙げておられます。

 これもやはり防衛庁さん、二ページ目を見ていただきますと、一ページ前です、実際インド洋でどういう活動をしているのか、アフガニスタン陸上作戦と海上阻止活動の地図が載っているわけなんですね、十一カ国参加と。

 ただ、この海上阻止活動の矢印が太く、私が見る限りイラクに向かっているように見えてならないんですね。ですから、この地図を見ると、アフガニスタン陸上作戦と海上阻止活動は一体化した上、さらにこれがイラクにその影響を与えようというようなニュアンスで見受けられるわけですが、この点について、官房長官、私のこの感想はあくまで懸念であるということなんでしょうか。お答えいただけますでしょうか。

細田国務大臣 この矢印は、よく見ますと武器やテロリストの流れがこうであるというようなことでございまして、よく読むとわかるんですが、油を供給したらそれらがここに向かうというような感じでとられているとするとそれは誤解でございますし、誤解のある表現は避けた方がいいと思いますが、ここには、テロリストというものがどういうふうに広範に動いているかということに限定されて書いておりますので、御勘弁をいただきたいと思います。

武正委員 それでは、最後の質問であります。

 ちょっと話題がかわりますが、普天間の辺野古への移転について、今どのような状況にあるのか、これは外務大臣、防衛庁長官、それぞれお答えをいただきたいと思います。手短でお願いしたいと思います。

町村国務大臣 日米間で、できるだけ今月中ぐらいには取りまとめをしたいものだということで最終的な議論の詰めをやっているという段階でございます。

 普天間を出ていくということは既にSACOの段階で決まっているわけでありますが、辺野古をどうするのか、あるいはその他の場所をどうするのか、今、最終的な議論中でございます。

大野国務大臣 特につけ加えることはございませんけれども、普天間を移設しなきゃいけない、このことは両国で意見は合致しております。

 どこへ移設していくのか、このことについてまさに協議中でありまして、この協議もいつまでも続けておくわけにいかない、ぜひとも今月中には合意点に達したい。しかしながら、こういうアイデアがある、こういうアイデアがあると言いますと、やはり対米関係それから地元の関係ございますので、その点はしかるべき時期に説明責任をはっきりさせていきたいと思っております。

武正委員 民主党はこれまでも、マニフェストでも、県外移転を模索し国外移転を目指すということを打ち出しているのは改めて申すまでもございません。そしてまた、キャンプ・シュワブ周辺のジュゴンがいるあの海域に果たして飛行場を建設することがいかにということを、改めて問題があるということを指摘し、終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

船田委員長 次に、達増拓也君。

達増委員 冒頭、さきのバリ島でのテロ並びに九・一一テロ以降、関連する一連のテロで犠牲となって命をなくされた方々に哀悼の意を表したいと思います。

 さて、今回のテロ特措法でございますけれども、日本が、この法律に基づいて、いかなる活動に対してその協力支援を行うことになっているのかを確認していきたいと思います。

 冒頭まず、この法案には、タイトルを初め、「平成十三年九月十一日のアメリカ合衆国において発生したテロリストによる攻撃等に対応して行われる国際連合憲章の目的達成のための諸外国の活動」と書いてあるわけですけれども、この「諸外国の活動」というのは、よく話題になる海上阻止行動、MIOなどと呼ばれる海上阻止行動だけではなくて、いわゆる不朽の自由作戦、アメリカ初め各国がテロとの闘いとしてやっている不朽の自由作戦全体のことを指すものであって、ですから、海上阻止行動のみならず、タリバン掃討作戦も含まれるのか伺いたいと思います。これは、法案提出者で、内閣。

細田国務大臣 お尋ねのいわゆる九・一一テロに対応して行われる国際連合憲章の目的達成のための諸外国の活動といたしまして、現在、アフガニスタン及びその周辺地域において、米軍等を中心に不朽の自由作戦が実施されているわけですが、この不朽の自由作戦には、インド洋における海上阻止活動のほか、アフガニスタンにおけるアルカイダ及びタリバン残存勢力の掃討作戦も含まれているものと理解しております。

達増委員 この不朽の自由作戦というものの全貌を理解するために、幾つか具体的な例を伺いたいと思います。

 この不朽の自由作戦は、まず、アメリカ、イギリスが、十月に入って、自衛権の行使ということでアフガニスタンへの攻撃を開始するところから始まるのでありますけれども、そこにNATOが、NATO条約五条、集団的自衛権の行使ということを根拠に参加、また、組織として参加するほかに、NATO加盟諸国がそれぞれ個別に作戦に参加しています。このNATO加盟国の個別の戦争参加については余り議論されていなかったので、ここでちょっと取り上げたいと思いますけれども、これは防衛庁長官に伺いたいと思います。

 イギリスはベリタス作戦、フランスはヘラクレス作戦、カナダはアポロ作戦という名前をつけまして、かなり大々的な活動を行ったと言われております。

 イギリスのベリタス作戦でありますけれども、二十二機の艦載機を搭載可能な空母イラストリアス、駆逐艦サザンプトン、フリゲート艦コーンウェル、強襲揚陸艦フィアレス及び補給艦多数、また原子力潜水艦三隻、そういった部隊でインド洋に展開していった。

 フランスのヘラクレス作戦は、やはり空母ですね、シュペールエタンダールなど攻撃可能艦載機を搭載した空母シャルル・ドゴールやフリゲート艦三隻、原子力潜水艦一隻、補給艦一隻で四七三タスクフォースというものを編成して現地に向かっている。

 カナダのアポロ作戦は、フリゲート艦ハリファクスが、アメリカの空母や強襲揚陸艦の護衛、洋上補給また海上監視等に従事。

 ちなみに、この三カ国は日本が給油している実績がある三カ国なんですけれども、これら三カ国が以上のような活動を行っていたということは事実でしょうか。

大野国務大臣 我々も当然、今先生が御みずから御説明になったような報道を持っています。

 一々これは繰り返して申し上げませんが、まずイギリスの方は、二〇〇一年十月から、アフガニスタン及びその周辺において、不朽の自由作戦の一環といたしましてベリタス作戦を実施中で、いまだ継続中でございます。もちろん海上阻止活動もイギリスは続けているわけでございます。

 次にフランスでございますが、ヘラクレス作戦、二〇〇一年の十一月から、アフガニスタン及びその周辺において、不朽の自由作戦の一環として実施いたしております。海上阻止活動も実施しております。フランスはまだ継続中でございます。

 それからカナダは、二〇〇一年十月から二〇〇三年十月まで、アフガニスタン及びその周辺において、不朽の自由作戦の一環としてアポロ作戦を実施いたしております。作戦期間中、テロ掃討作戦、海上阻止活動のほか、航空部隊による物資輸送等をやっております。

 したがいまして、ベリタス、ヘラクレスはいまだ継続いたしておりますが、アポロ作戦は二〇〇三年十月までというふうに理解しております。

達増委員 この不朽の自由作戦は第二次世界大戦以来の大規模な海上軍事活動だという評価もあります。それで、今この特別委員会で議題となっているテロ特措法というのは、実はそうした軍事活動に全面的に協力支援できるような法律になっているのだということ、これは過去の審議の中で明らかになっているんですけれども、改めてそういったことを確認したいと思います。

 これは法解釈の問題なので内閣官房長官に伺いますけれども、今例に挙げたような活動に日本が、海上自衛隊が協力支援活動を行ってもいいんですねという質問であります。

 先ほど例に挙げたイギリスのベリタス作戦、その後の展開としては、空母イラストリアス、強襲揚陸艦フィアレスが途中で引き返しまして、かわりに、山岳戦や寒冷地戦を専門とする第四五コマンド部隊を乗船させたヘリ空母オーシャンを派遣しております。こういうコマンド部隊を乗船させたヘリ空母、そのヘリ空母からコマンド部隊が発進して山岳戦や寒冷地戦でタリバンと交戦するわけでありますけれども、これはそういうヘリ空母に海上自衛隊が給油をしてもいいという法律なのか。

 同様に、さっき例に出しましたけれども、フランスの空母シャルル・ドゴール、シュペールエタンダールという攻撃可能な艦載機、実際これはアフガニスタンを爆撃したりしているんですけれども、こういう空母シャルル・ドゴールに給油をしてもいいという法律なのか。

 カナダのハリファクスは、直接はアフガニスタン本土を攻撃せず、攻撃しているアメリカの護衛などを行っているわけですけれども、そういうハリファクスにも給油ができるのか。法解釈の問題としていかがでしょうか。

細田国務大臣 テロ特措法は、いわゆる脅威の除去に努めることにより国連憲章の目的の達成に寄与する諸外国の軍隊等の活動に対して我が国が実施する支援措置等を定め、日本を含む国際社会の平和、安全の確保に資することを目的としております。

 したがって、例えば不朽の自由作戦に参加する艦船の活動は、かかる目的に合致するものであることから、我が国が同法に基づく対応措置として当該艦船への給油を実施することは、当該艦船が、いわゆる非戦闘地域、すなわち、現に戦闘行為が行われておらず、かつそこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる地域にある限りにおいて可能であると考えております。自衛隊による対応措置は、いわゆる非戦闘地域の要件を満たす実施区域において実施されているものと判断しております。

達増委員 今の答弁にございましたように、このテロ特措法というものは、いわゆる非戦闘地域の中で協力支援活動を行いさえすれば、給油など役務の提供を受けた、協力支援を受けた外国艦船が、その後、大規模な軍事活動をしようが、アフガニスタン本土の攻撃をしようが、タリバン兵を直接殺傷するような活動をしようが、そこはお構いなしという法律だということであります。

 ヨーロッパだけじゃなく、アメリカについても例を挙げながら伺いたいと思いますけれども、不朽の自由作戦がスタートしたとき、アメリカは、十五機の爆撃機と並んで二十五の空母艦載機がアフガニスタンの爆撃を行っております。F14とかFA18、エンタープライズ、カール・ビンソン、そういうアメリカの大型空母、駆逐艦や補助艦艇に囲まれまして、船団で作戦を展開したわけであります。

 そういう活動をする艦船、また、これはイギリスと合わせてですけれども、約五十の巡航ミサイルトマホークをアフガニスタンに撃ち込んでおりますけれども、こうした爆撃、ミサイル発射、こういう活動に従事する艦船に対する給油もテロ特措法可能ということでよろしいんですね。これも内閣官房長官。

細田国務大臣 基本的には先ほど申し上げた要件で活動しておるわけでございまして、日本としては、国際的な大規模な九・一一等のテロ活動、それからそれに対する国際的な協力、その枠内で、日本国憲法の基本的な考え方、日本国の政府としてどこまで協力すべきかということで判断をして、国会にお諮りし、そしてこの給油活動についてお認めをいただいて実施しておるわけでございます。

 したがいまして、現時点においてもこれは問題がないと考えております。

達増委員 非常に大変な法律なわけでありまして、空前の戦争協力法なわけであります。

 そもそもこういう法律が成立してしまったことを問題とするわけでありますが、そういう法律に基づいて日本の自衛隊も活動を展開してしまっている。そういった事態に対して国会としてきちんと関与していかないと、シビリアンコントロールがきかないままに、日本もいたずらになし崩し的に戦争参加をしていく格好になってしまいますので、では、一体どういうことをやっているのか、また、不朽の自由作戦全体、アフガニスタン戦争全体が今どういうふうになってきているのかというような質問に移っていきたいと思います。

 そこで防衛庁長官に伺いますけれども、そういうわけで、海上自衛隊の給油活動というものは、戦闘活動に従事する空母とかあるいはミサイル発射駆逐艦でありますとか、そういった艦船にどんどん給油していいという法律になっているわけですけれども、海上自衛隊がタリバン掃討作戦に従事する艦船に給油した実績というのは実際あるんでしょうか。

大野国務大臣 まず、海上自衛隊は、テロ対策特別措置法に基づいて海上で協力支援活動を行っております。タリバン掃討作戦を含む九・一一テロの脅威の除去のための活動に従事する米軍等の艦艇に給油を実施しておるわけであります。

 しかしながら、給油をした艦艇が具体的にいかなる活動をするのか、これが問題でありますけれども、具体的な問題につきましては、我々としましては、テロ対策特措法の趣旨に基づいて、米軍等が決定するものであるためにお答えができない、こういう状況でございます。

 したがいまして、タリバン掃討作戦のために、何回、どのぐらいの量の給油をやったのか、このことについては、事実上情報はございませんので、お答えすることはできません。

達増委員 一国会議員としまして、また当委員会所属の委員といたしまして、麻薬流出の防止ですとか武器の流出防止というようなことへの協力支援と、アフガニスタンに対する空爆でありますとかミサイルを撃ち込んだりするような活動というのは、日本の協力がどちらの方に向いているのか、あるいはどちらにどれだけ使われているのか、さらに言えば、その結果どういう戦果が得られているのかということは知りたいと思います。ところが、この法律はそういうことを国会議員が知ることができない法律になっているということであります。

 なお、さっき同僚議員から補給艦相手の給油回数の質問があって、その際に、約五百五十回ぐらい給油の実績があるうち、最近の一年では七回だが、開始以来は百三十五回、大体二五%、補給艦相手に給油したという答弁でしたが、これはそのとおりでしょうか。

大野国務大臣 そのとおりでございます。

達増委員 これは実は、そもそも補給艦に給油してしまいますと、その補給艦がそれぞれの国のいかなる艦船に再給油するのかというのがわからなくなってしまうわけですね。それは大型空母に補給するかもしれないし、ミサイル発射駆逐艦に補給するかもしれないし、麻薬、武器の流出をチェックする小型舟艇に補給するのかもしれませんけれども。そもそも過去の補給の二五%は、構造上、相手が何に使っているのかもわからない、何に使ってもいいという前提で補給しているということを改めて確認しなければならないと思います。この点、シビリアンコントロール、国会の関与という点で、どうも手が届かないところでいろいろやられているという感を禁じることができません。

 もう一つ、ヘリの燃料の件でありますが、先ほど武正委員の質問の中で、ヘリ燃料の給油については、これは官房長官の方から、限定された任務のヘリのために使われているという趣旨の答弁があったと思いますが、まず、実態の問題ですから、実際、給油活動をしている防衛庁長官の方に伺います。

 これはさすがにヘリ一つ一つに何か突っ込んで給油しているわけではなく、タンクみたいなところに給油しているのが実態だと思うんですね。ということは、その給油されたタンクからいかなるヘリに給油しているかというのはつかめないと思うんですが、防衛庁長官、いかがでしょう。

大野国務大臣 まず、昨年十月に基本計画を変更して、協力支援活動としてのヘリコプター燃料、水を追加いたしております。

 これまでに五カ国に二十四回、ヘリコプター用燃料を供給いたしておりますけれども、これは相手のヘリコプターに直接給油するわけではありません。相手の艦船に給油するわけでございます。しからば、相手の艦船がそれをどういうヘリコプターに供給、給油するのか。これは我々は直接知るところではございませんが、したがいまして、相手のヘリの種類による区別はないと言っていいと思います。

 ただ、OEF・MIOの活動内容を踏まえれば、艦艇に搭載されておりますのは哨戒ヘリが一般的でございます。海上自衛隊が供給しました油、これは艦艇に供給するわけですけれども、この油等はテロ対策特措法の趣旨に基づいて相手が使っている、こういうことは確認しておるわけでございます。海上自衛隊が提供した燃料は同法の趣旨に反して使用しないことについては、各国とも、米国等も十分に理解しているわけでございまして、このことは我が国としても再三にわたりまして相手国に確認している、これが現状でございます。

達増委員 我が国政府と相手国政府の間では、タリバン政権、タリバン兵を攻撃したり、アフガニスタンで戦闘を行うことは国連憲章を逸脱しないという理解でやっているようですから、そういった活動に従事するのもオーケーということで、さっき例に出したように海上自衛隊はイギリスにも一度ヘリ燃料を供給していますが、イギリスも陸上戦闘部隊を運ぶヘリも空母に載せているわけですし、いつそういうのに使うかは、まあイギリス次第ということなのでありましょう。

 アメリカについても、アパッチですとか、あとはブラックホークですとか、そういう攻撃ヘリが既に戦闘に参加しています。それが空母に立ち寄ったりすることが今後ないとは言えないわけでありましょうから、そういう意味で、私は、先ほど官房長官がおっしゃられた限定任務、哨戒や偵察ですか、そうしたことに任務限定されることを前提にやっているとおっしゃったのはちょっと矛盾するんじゃないかと思うんですが、官房長官、いかがでしょう。

細田国務大臣 具体的な運用は防衛庁長官に聞いていただきたいと思いますが、公海上で給油をして、多くは海洋上のさまざまな海賊行為その他の取り締まり等にも非常に効果的であるということがあって、達増議員の言われたように、そのうち幾つかが本土に遠距離飛び立って攻撃的なことをしているんじゃないかというお疑いは、私は極めて小さいんじゃないか。今の役割からいって、我が国で、先ほど申しましたような方針に従って運用するということは守られているのではないかと考えております。

達増委員 私がいろいろ懸念いたします背景には、最近、実はタリバンの反撃というのは強まっている、アフガニスタンにおけるタリバンとの戦いは激化する傾向にあるという報道があるからであります。

 これは事実関係についての質問ですので外務大臣に伺いますけれども、ニューズウイーク誌、九月二十六日、十月三日合併号によりますと、米軍はアフガニスタンでの戦闘で、ことし一年間で五十一人の犠牲を出している。それ以前の三年間、去年までの三年間では六十人の犠牲だったにもかかわらず、ことし一年間で五十一人の犠牲を出している。また、同誌によれば、タリバン側の兵の死亡数もかなり出ていて、過去四カ月で四百五十人のタリバン兵が殺されている。これは事実でしょうか。

吉川政府参考人 事実関係でございますので、私の方から答えさせていただきたいと思います。

 達増先生、今御指摘いただきましたニューズウイークの記事につきまして、死亡者につきましては、アメリカの国防省、ペンタゴンがホームページで数字を出しております。

 それによりますと、これは先週十月十三日現在でございますが、アフガニスタン及び周辺国、パキスタン、ウズベキスタン、この三カ国でこれまでに戦闘で死亡した米軍兵は百十七名という数字を出しております。それ以外の、例えば病気ですとか、ほかの死因の人も入れますと二百一名ということです。

 アメリカ国防省の数字ではアフガニスタンのみの死亡者が何人であったかという数字は出ておりませんが、この周辺国、パキスタン、ウズベキスタン、二つ入っておりますが、圧倒的な大宗がアフガニスタンにおける死亡者ではないかと見ております。

達増委員 ポイントは最近戦闘が激化しているんじゃないかということでありまして、特にここ一年の犠牲が今まで三年間と同じくらいの数になっているという点はどうでしょうか。

 もし具体的な数字がないとしても、ことしになって戦闘が激化しているというような認識を持っているかどうか伺います。

吉川政府参考人 今のお尋ねはアフガニスタンにおける戦闘がこの一年間激化しているかどうかという点でございますが、これにつきまして、ことしの八月十二日に国連事務総長が安全保障理事会と総会に出しました報告によれば、アフガニスタンの南部及び東部の一部で治安状況の悪化が著しい、特にその攻撃数というのは、この一年間、二〇〇四年の五月とことしの五月を比べると四〇%ふえているという記述がございますので、私ども、現場で確たることを言える材料を持っておりませんが、今の国連事務総長の報告は、今先生おっしゃったように、治安情勢というのは、この一年ぐらい、よくなっているのではなく、逆に悪化しているという見通しを述べております。

達増委員 そういうときにこの法案をもう一年間延長ということは、これはかなり考え直した方がいいと私は思います。

 紹介したニューズウイークの記事は、アンホーリーアライズ、世界史に出てくる神聖同盟をもじって不神聖同盟というタイトルですが、これはどういう意味かといいますと、イラクとアフガニスタンのテロリストないしテロ支援の反体制勢力が手を結んでいるぞということがこの記事の趣旨でありまして、今までなかったような、イラク内の反体制勢力とアフガニスタン内の反体制勢力の結合ができている、武器の供与も密接になっている、訓練も密接になっている。そうした中で、アフガニスタン内のタリバン勢力は、これは新生アフガニスタンの防衛大臣が述べているとここの記事に紹介されているんですが、タリバンは、二〇〇一年末以来、最大最強の体制であると言っているわけですね。

 そういうときに、そういった事実関係、事情がよくわからないまま、日本として、テロとの闘いへの支援協力一年延長を決めていいのか。また、補給、燃料供給やいろいろな協力支援、その結果、米英初め、そういった国々がどういう戦いをこれからアフガニスタンで展開していくのかよくわからないまま一年間の延長をできるのかということを強く訴えたいと思います。

 これは本当に素朴な疑問でございまして、外務大臣に伺いますけれども、この不朽の自由作戦、アメリカやイギリス、自衛行動ということでスタートして、そういう自衛の戦いが四年間も続いているんですけれども、この不朽の自由作戦を通じ、敵、味方、民間人、合わせて何人亡くなっているんでしょうか。

吉川政府参考人 お答え申し上げます。

 アメリカ軍につきましては、先ほど、ペンタゴンのホームページで百十七名の戦闘における死亡者が出ているということを御紹介申し上げました。ほかの参加国では、例えばイギリスが同じような数字を発表しておりまして、これによりますと、イギリスの軍人では戦闘に従事して死亡した方が四人でございます。

 それでは、先生は敵、味方とおっしゃいましたが、タリバン側、武力行使の対象となったタリバン、アルカイダがどのくらいの死傷者だったのかということについての全貌は、残念ながら、そういう発表も出ておりませんので、明らかではございません。

 また、それ以外の方、非戦闘員である民間人の死傷者、この辺についても、つまびらかにするような数字というのは出ていないと承知しております。

達増委員 やはり、こういう状態でこれ以上この戦争に協力する法案を延長するということは、これはできないと私は思いますよ。

 テロとの闘い、テロとの闘いと言うのですけれども、クリントン政権で政府高官を務めていたジョセフ・ナイ教授が日米欧三極委員会に提出したレポートに書いているんですけれども、「テロに対する戦争という表現は誤解を招きやすい。軍事力はこの政策問題への主要な解決策ではないからである。」と。

 これは全くそのとおりでありまして、テロ対策というのは本来警察問題なんですね。九・一一テロも、基本的には、国内における爆弾の輸送、また航空機に乗り込む人のチェック。そもそも、テロリストが国内に入ってくるかどうか、入ったテロリストが国内でどう動いているかどうか、そういう警察の問題であったはずであります。それに加えて、国際的な警察協力、情報の交換、外交的なテロ対策、また、テロの土壌、温床をなくしていくための開発援助、経済協力。

 ジョセフ・ナイ教授は、そういったさまざまなテロ対策のスペクトラムを示しつつ、ただし、ある国ないし国に匹敵するような集団がテロ支援をしているとかテロリストをかくまっているとか、そこを攻撃しなければならない場合には軍事力による解決もその部分においては認められるということを述べていて、全くそのとおりだと思います。テロとの闘いというレトリックで軍事力中心の体制を国際社会としてつくっていくのは非常に問題があると思います。

 しかし、アメリカ政府は、今、どちらかというと軍事力中心のテロとの闘いを引っ張っていこうということを進めておりまして、十月十二日、これは空軍基地での演説ですから、軍人向けの演説なので多少そういう背景はあったかもしれませんが、先週、ちょうどラムズフェルド国防長官が、このテロとの闘いについてわかりやすい演説をしております。

 私の翻訳でございますけれども、幻想にすぎない防衛の陰に隠れておびえていることが米軍の任務ではない。なぜなら、防衛は機能しないからだ。唯一の防衛は攻撃を続けることだ、テロリストがアメリカをたたく前にテロリストをとめるために。グローバルなテロとの闘いにおいてアメリカのゴールは一つ、それはビクトリー、勝利だ。無条件、無謝罪、無譲歩の勝利だということをラムズフェルド国防長官は公式の演説でしゃべっている。

 一方で、同じアメリカですけれども、これはカーター大統領の安全保障担当補佐官をやったブレジンスキー教授、「ザ・チョイス」という本が最近日本語訳されまして、そこでブレジンスキー教授が言っているのは、「テロに対処するためには、テロリスト自体を排除するだけでなく、いかなる方法を用いてであれ、彼らの正体をつきとめ、その行為の裏にある政治的衝動に働きかけるための慎重な作戦が必要になる。」「アメリカは権力と軍事力だけでその覇権を維持することはできない。弾圧は新たな敵を生み出しこそすれ、敵が民主主義の隙間からしのびこんで、内側から攻撃することをほとんど防げない。アメリカが大切にしている国内の生活と自由を守りたいのならば、世界で優位に立つ者としての正当性を維持していかなければならない。それは、助けを求める者を支援するだけではなく、同盟国と真に協調することである。そして何よりも、現代の世界的混乱の複雑な本質を把握するために協力しあうことだ。」

 まず、日本政府として、アフガニスタンで今何が起きているのか、これから何が起きようとしているのかということをきちんと把握した上でなければ、このような延長法案を出す資格もないと私は言いたいと思います。これからどうなっていくのかわからないようなところに、何でもありの協力支援法案を一年延長するということの危険性を重ねて指摘したいと思います。

 もう一つ、タリバン掃討作戦関係の質問をしてきましたけれども、実は、海上阻止活動への協力支援というのも結構危険だし、かなり武力の行使そのものに近いことをやっているということで伺いたいと思います。

 これは防衛庁作成の資料で、海上自衛隊は二十七回不審船を発見してアメリカ等に通報しているというんですけれども、その不審船というのは、武器を持ったタリバン兵やテロリストが乗船しているケースがあるんではないかと思われます。現に、やはり防衛庁の資料で、平成十六年九月に、人員の負傷や船舶の損傷がある船が乗船検査を受けたと。人員が負傷したり船舶が損傷している船というのは、これは戦闘行為を行った船でありましょう。

 したがいまして、海上阻止行動という麻薬のチェック、武器流出のチェックという行動も、実はいつ戦闘になってもおかしくない、また現に、既に戦闘が行われているかもしれない、そういう活動だと思いますが、防衛庁長官、いかがでしょう。

大野国務大臣 まず、海上自衛隊の情報の提供という問題であります。

 これは海上自衛隊の艦船は、船舶の船籍、船名について、不審な船があればこれを多国籍軍の軍隊に通報する、こういうことをやっておるわけでございまして、現在まで記録に残っている範囲では三十二回、今達増委員、二十七回とおっしゃったように思うんですが、三十二回実施いたしております。

 通報するだけでありまして、これは海上自衛隊の自衛官が相手の船に乗り込んでいくわけではありませんから、それから後、どういうふうな状態になっているのか。米海軍等との情報交換により、テロ活動に従事している可能性がある船というのはある程度わかるわけでありますけれども、この情報に合致して、アメリカにも通報しているわけでありますが、これから先、通報した船舶の調査についてはアメリカがやっているわけでありまして、この船が実際にテロ活動をやったのかどうか、具体的な調査結果がわからないんですね。

 私はこれはおかしいと思っています。防衛庁長官をやっておりまして、こういう情報はもっともっとアメリカから提供を受けるべきだ、こういうことで、私はアメリカの高官に会うたびに、もう少しテロの情報、全体像がわかるように説明してくれないと、日本でも、このテロ活動は何をやっているんだ、実際に効果があるのかどうかという議論が起こってきますよ、こういうことを言っているわけでございます。

 それと同様に、先ほど、戦闘行為をやった船というお話がありました。これにつきましても、戦闘行為を行った船ではないかというのは私どもが調査しているわけではありません、アメリカからそういう状態の船があったという情報のみでございますので、具体的にその船が戦闘行為をやったのかどうか、これもまたわからないわけであります。

 私は、これから改善すべき点の一つとして、もっともっと、我々は油を供給する、水を供給する、これだけで終わったと考えちゃいけない、その行為がどういうふうな結果なり効果をもたらしているか、そこまできちっと、参加はしませんけれども、情報だけは得ていくべきだ、このように思っております。

達増委員 やはりいろいろわからないまま危ないことをやっているなと思いますが、もう一つ、これは法解釈なので内閣官房長官に伺いますけれども、戦闘参加者の捜索救助活動です。

 これはあくまで非戦闘地域で行うというんですが、戦闘参加者が、けがした兵隊さんが、まあ海上を漂ってくるのか、そういう場所というのは本当に非戦闘地域なのかということです。限りなくそこは、戦闘地域がこっちに来ていると言っていいような、負傷兵を追って敵が来るかもしれないわけですし、ですから、戦闘参加者の捜索救助活動を基本計画に盛り込むというのは非常に無理があると思うんですが、いかがでしょう。

細田国務大臣 テロ対策特措法に基づく捜索救助活動については、我が国領域及び現に戦闘行為が行われておらず、かつそこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる地域において実施しなければならないこととされているわけでございます。

 万一予期せぬ情勢の変化が生じたとしても、実施区域の指定の変更、活動の中断といった対応をとることによって、戦闘が行われている地域で当該活動が実施されないことが担保されていることから、御指摘のような心配は当たらないのではないかと思っております。

達増委員 時間ですので、終わります。

船田委員長 次に、神風英男君。

神風委員 民主党の神風英男です。前国会に引き続きまして、今国会でも当委員会に所属をさせていただくことになりました。よろしくお願いを申し上げます。

 まず、本題に入る前に、前国会から多少気になっておりました問題について最初にお伺いしたいと思うわけです。

 七月ごろまで、外務省から出されている最近のイラク情勢というペーパーに齋藤昭彦さんの事件についての記述があったわけですが、最近はその記述もなくなったようでございますが、その後、この齋藤昭彦さんの事件についての新しい情報なり、何か進展した状態、状況というのはございますでしょうか。

谷崎政府参考人 お答えいたします。

 本件の御質問でございますけれども、五月八日に齋藤氏を含むハート・セキュリティー社の警護車列が襲撃されたわけでございます。その後、二十八日にイラク武装組織でありますアンサール・スンナがウエブサイト上で齋藤氏だとする映像を掲載いたしました。その中で、同氏が死亡した旨の声明を出しております。

 この映像につきまして、齋藤氏の御家族、ハート・セキュリティー社の方々に照会し、また我が国の警察当局にも識別を依頼しました。その結果を総合いたしますと、まことに残念ながら、映像の人物は齋藤昭彦氏と考えざるを得ないという結論を得ております。しかしながら、齋藤氏の死亡につきましては最終的な確認ができていないということもございますので、外務省としましては、引き続きイラク、関係国、ハート・セキュリティー社とも連絡をとりつつ、関連の情報入手に努めているところでございます。

神風委員 実はことしの一月に、全く一面識もない二十五歳の青年が、私の名前を気に入ったのかどうかわかりませんが、秘書になりたいということで事務所を訪れてまいりました。いろいろ彼と話をしておりまして、彼の履歴というかこれまでの経歴の話を聞いておったんですが、実は平成十五年、今から二年前に、フランスの外人部隊に入りたいということで、実際にフランスに単身渡って外人部隊の門をたたいたそうでございます。その後、約一カ月半ぐらいの試験期間というのがあったらしいんですが、それに見事彼は合格をしまして、実際に実戦の配属になる前になって、気を取り直して、契約をせずに日本に帰国をしたということであるわけですが、そのときの面接官がまさに齋藤昭彦さんであったということでございます。

 彼の話によりますと、その当時にも三十数名の日本人のフランス外人部隊の兵隊がいたと。通常は、非常に貧しい国から、食えない国から外人部隊に入っていくというパターンが多いようですが、西側の先進諸国、非常に豊かな日本という国から行っている人間は世界でも珍しい存在であったというような話もしていたわけでありますが、彼自身も自衛隊の出身者ではなかったわけであります。実際に、その一カ月半の試験の中で四人ぐらいの日本人に会ったということでありまして、そのうち一人だけが自衛隊の出身者であった、あとの三人は民間人、その三人の中にはスナイパーの方も一人いらっしゃったという話でございました。

 今、彼自身は、おかげさまで私の事務所の方で、実弾を使わない、選挙戦を目指した地上戦の方に参加をしていただいているわけでありますが、身近にそういう人間がいるものですから、この種の若者というのも潜在的に日本に結構多いのかなという気が私自身はしているわけであります。

 そこで、ことしの五月十二日であったと思います。当委員会において民主党の首藤議員が、フランスの外人部隊あるいは民間の軍事会社、PMCと呼ばれるような、そういうところに日本人あるいは自衛隊出身者が一体どれくらいいるのか調べてほしいといった質問をしていたと思いますが、その後、その確認の状況がどうなっているのか教えていただきたいと思います。

谷崎政府参考人 今御質問にございましたフランスの外国人部隊の中に日本人がどれだけ含まれているかということでございますけれども、私ども、フランスの外国人部隊の出身国別の内訳ということで、国別ではございませんけれども、地域別というものは情報を入手しております。

 それによりますと、極東諸国ということで、全体の中で五・七%、約四百人がおるということでございますが、日本人が具体的にどれだけ含まれているかということにつきましては、残念ながらまだ日本人の数については把握し切れていないという状況でございます。

神風委員 恐らく、西側の先進諸国から来ている中で日本人の比率というのは結構高いんではないかなという気がしております。ある新聞報道によりますと、二〇〇三年の入隊者ですが、一位がルーマニアの百三十八人、ポーランド六十五人、ハンガリー五十八人、ロシア五十四人、スロバキアは四十五人、多くが旧東欧の諸国から来ている兵隊であるということでありますが、ぜひここら辺も正確な情報というものを調べていただきたいなと思うわけであります。

 その一連の首藤議員の質問の中で、先般、大野防衛庁長官が、こうした「自衛隊を退職した方々がいかなる企業でどのような仕事をしているのか、これは、個人的な問題であります、私的な問題であります。防衛庁といたしましては、それは全く把握いたしておりません。退職者全員の再就職先や勤務実態等は把握いたしておりません。したがいまして、わかりません。」と、まことに正直に答えられているわけでございますが、この御認識は今でも変わりがないのか。私自身は、少なくとも自衛隊出身者に関しては何らかの把握をしておく必要があるんではないかなという気がするわけですが、いかがでしょうか。

大野国務大臣 これは、もし追跡調査をするとなると、莫大な仕事になってまいります。追跡調査をすることが果たして何らかの役に立つのかどうか。

 今、神風先生のお話では、やはり追跡調査して、そういうような雇われ兵みたいなことになっているのかなっていないのか、こういうこともきちっと把握したらどうかと、そういう意味じゃ有意義な話だと思います。全員についてそれを果たしてやる必要があるのかどうか、こういう問題があるものですから、十分検討はしなきゃ、私はここで軽々にイエスということは言えないのでありますけれども、先生のおっしゃるいいところもあれば、いや、これに対して莫大なコストがかかるな、こういう面も考えなきゃいけない。

 現在のところは、私どもは、ずっとそういうふうな追跡調査をして、何年何月に自衛隊におった者が今どうしているというようなことを調査するつもりは全くありません。

神風委員 仮に再びこうした齋藤昭彦さんのような事件が発生した場合、日本という国家としてどう対応していくのかという問題があろうかと思っております。つまり、民営化の話は郵政だけではなくて、もう世界では戦争の民営化が相当進展をしているという状況であるわけであります。

 この記事によりますと、イラクで働くPMCの外国人社員はおよそ二万人から四万人いると。この人数はアメリカ兵の十五万人の次で、イギリス軍、九千だと思いますが、イギリス軍を超えて二番目に多い外国人要員となっている。実に、イラクにいる外国兵の十分の一がPMCの派遣した戦争請負業の社員となる。これは湾岸戦争時の約十倍であるといった情報もあるわけです。

 現在、国家の軍隊とある意味では民間の軍隊、この垣根が相当低くなってしまっている。つまり、傭兵とPMC社員のこうした関係が相当複雑になっているんではないかな。PMCというのは、これはあくまでも民間企業で、ビジネス原理で稼働していく営利組織、戦争で利益を得る会社組織であるわけです。

 仮に、例えば齋藤さんのような存在の方がこういったPMC、この場合にはハート・セキュリティー社ということになると思いますが、そこで戦争任務に従事している中で、非戦闘部員というか、非武装無抵抗の人を殺傷したということになれば、ある意味では、日本の刑法の三条、日本人の海外での犯罪ということにも該当して処罰をされるということにもなるかと思います。ちょっと、この刑法三条の問題は通告をしていなかったのでどの範囲までお答えいただけるかわかりませんが、これについてはどういう御認識でいらっしゃいますか。

町村国務大臣 ちょっと私も不案内でよくわかりませんけれども、一般論で言えば、日本人が海外で犯した犯罪で、要件に該当すれば、それは日本の刑法の処罰の対象になり得ることはあるということのようではあります。

神風委員 そうした点を考えますと、これからますます、PMCというようないわゆる民間軍事会社の存在というのは恐らく世界の中では拡大していく一方であろう。そういう中で、日本からフランス外人部隊であるとかそういったところに入っていく方もこれからふえていく可能性もあるわけですから、そこら辺を十分に対応していただきたいなと思うわけでございます。

 それでは、本題の方に入りたいと思いますが、午前中の長島議員の質問とも重なる点でございます。ある意味では、この点について正確な説明責任というかしっかりした御回答をいただきたいと思うわけであります。

 テロとの闘いというのは、これは永遠に続いていく、今の状況では半永久的に続くような状況にあるわけであります。そうした中で、今回、テロ特措法、再度の一年間の延長ということであるわけですが、逆に言えば、どういう状況、どういう条件が成立すれば撤収ということになるのか。

 逆に、今回一年間延長せざるを得ないというのは、その条件がまだ成立していないから一年間延長するんであろう。そして、一年間たてばその条件が成立をするという見込みの中で、今回、二年ではなくてあえて一年間の延長を決定されたということであろうと思いますが、それでは、一年間たてば成立するであろうという撤収の条件というのは一体何なのか、それについて明確な回答をお願いいたします。

大野国務大臣 まず第一に申し上げたいのは、やはり、ウサマ・ビンラディン、アルカイダなどの主要幹部が捕捉された、それだけではテロの脅威はおさまらない、終息しない、このように思います。

 そうしますと、テロとの闘いというのはどういう時点で終息するのか。海上活動の成果もなくなってくるような場合、あるいはテロの脅威がどの程度減少したらいいのか、こういう問題が一つあります。これは、テロが長期化する、テロが冷戦のような状態じゃないか、こういう背景でございます。

 それから、もう一つ考えなきゃいけないのは、そのようなテロ掃討作戦が継続する一方において、アフガニスタンでどのような政治プロセスがとられているのか。例えば、大統領選出、この問題はもう済んでおりますが、首都カブール周辺における治安維持活動や地方都市における治安の維持復活活動がどのようになっているのか。

 こういうふうに、常に注目していかなきゃいけない背景で長くなるということと同時に、よくなるような状態がどんどん情勢の変化によって来るかもしれない、こういうことも注目していかなきゃいけない、私はそのように思っております。

 また、もう一つ申し上げたいのは、どちらかというと、インド洋における海上自衛隊の活動というものが余り論議されない。そして、どのような効果があってどのようなニーズがあるんだ、このこともきちっと国民の皆様にお伝えしていかなきゃいけない。そういうような要素が私はあると思います。

 したがいまして、このようなアフガニスタン内外の情勢がどう変化していくのか等々を見ながら、きめ細やかにこの問題を注目していく。したがって、一年後におきまして、日本がやっていることはどういう効果があるんでしょうか、こういうことを十分御議論いただく。そういう議論がなくなったとすれば、一年後に、もう必要性がないんだなという判断もあろうかと思います。

 しかし、私は、今インド洋における自衛隊の活動というものはいろいろな局面があって、その中で一番大切なことは、どういうニーズの中で、どういう必要性の中でどういうことをやっているんだ、このことを御議論いただいて御判断いただく、それが、二年に一度よりも一年の方がいいじゃないか、私はそう思いますよ。それからもう一つは、一年後に情勢が変化しているかもしれない。

 だから、そういう意味で、私は、一年というのは大変妥当な判断だと思っております。

神風委員 今の長官の回答ですと、いろいろな情勢分析をするために期間をより短くした方がいいから、今回一年で延長するんだという理解でよろしいんですか。

大野国務大臣 大変情勢が変化していく可能性が大きい。したがって、必要性というものについてやはり考えてみる必要があるだろう。そういう意味で、一年間でそのような議論をやれるようにしておいた方がいいのではないか、私はそのように思います。

 今まではそういう議論が、国会の中でも世の中の中でも、余りインド洋での海上自衛官の活動というのは、ニュースで報道されることが少ない。それから、国会でも、きょうは本当にこういう御議論をいただいて、私、感謝申し上げますけれども、ふだんは余り出てこないんですね。そういう問題をきちっと我々は考えて、テロとの闘いをしっかりやっていく、しっかり考えていく、そういう意味で、私は、一年というのは大変妥当な選択だと思っております。

神風委員 私を含めて多くの方が、今回、二年の延長ではなくてあえて一年にしているというのは、一年たてば撤収の条件が成立して、その時点で撤収する、つまり三回目の延長ということはあり得ない、そういう判断の中での一年間の延長であろうという気でおったわけですが、今の長官のお答えを聞くと、逆に三回目の延長もあり得るんだと。

 つまり、いろいろな情勢分析をするのに二年よりも一年の方がいいんだ、場合によっては半年の方がいい、そういう形で、その情勢分析を判断するための期間が短い方がいいから、今回、一年間の延長にするんだ、そういう御趣旨のように受け取れるわけですが、そういう理解でよろしいですか。

大野国務大臣 先生の御理解、半ばそのとおりでございます。

 一年で終結できる可能性、これもあるわけですよ。だから、そういうことを今から予断を持って判断できません。テロというのは、長い闘いになるかもしれない、忍耐の要る闘いになるかもしれない。と同時に、情勢の変化がありますから、私は、終わるならば早目に終われる可能性も残しつつ、きちっと日本が国際社会の中で協力していく道筋、これを考えておく必要がある、このように理解しております。

神風委員 ということは、一年後にもう一回見直して、三回目の延長もあり得るということですね。

大野国務大臣 これはそのとおりでございます。可能性としては残っております。

神風委員 今の長官のお答えを聞いて、認識を私も新たにいたしましたが、長島議員が言っていたように、恒久法をつくっていく方向でぜひ御検討をいただきたいなと思っております。

 それに加えて、現在、インド洋上で海上阻止活動を実施している多国籍軍の中に、昨年の七月からパキスタンの海軍も参加をしているということでありますが、今回の地震の影響というのは出ていないのかどうか。つまり、継続してパキスタンも、現在、海上阻止活動に参加しておるんでしょうか。

大野国務大臣 今、先生の御指摘のような角度からの情報はまだ得ておりません。

 そういうことで、現在、パキスタンのインド洋における活動も継続されているものと思料しております。

神風委員 報道によりますと、パキスタンが活動を続けるには、海上自衛隊からの無償の燃料であるとか水の提供が欠かせない状況である、補給回数についても、アメリカ海軍に次ぐ回数に上っているということであるわけですが、現在、どの程度補給の回数というか、補給の状況がなっているのか。日本からパキスタン海軍への補給の割合というんでしょうか、比率が現状でどうなっているのか。また、日本が仮に撤収した場合に、パキスタン海軍も撤収せざるを得ないというような状況になるのかどうか。ちょっとその点についてお答えいただきたいと思います。

大野国務大臣 まず第一に、パキスタンの艦艇に対してどの程度の油等を供給しているか、こういう問題であります。

 艦艇用燃料は、これまで五十六回供給いたしております。全体五百五十回に比べますと約一〇%であります。それから、量でいいますと、四十一万キロリットルの中の八千四百キロリットルでありますから二%程度であります。

 ヘリコプター用燃料でありますが、五回、全体二十四回中の約二〇%でございます。量にいたしますと六十キロリットルであります。全体の一六%であります。

 水につきましては、三十五回供給いたしております。そして、これは一〇〇%、パキスタンにのみ日本の水は供給しているという状況でございます。

 そこで、パキスタンがこの海上での活動から撤退したらどうなるんだろう、撤退ということはどう考えるんだ、こういうお尋ねでございますけれども、これは、日本がもしこういうような給油、給水活動をやめるとすれば、パキスタンは撤退せざるを得ないだろう、こういうのが国際的な評価になっているところでございます。

 特に、パキスタン海軍のインド洋上における活動については大きな意味があるわけでありまして、その意義というのは、パキスタンは海上活動に参加している中では唯一のイスラム教国でありますけれども、OEF・MIOに参加しているということは、大変大きな、重要かつ効果的なことだと思っております。我が国といたしましては、そうした意味からも、パキスタンの取り組みをできる限り支援していきたい、このように思っております。

 いずれにしましても、パキスタンの艦艇が港へ寄る回数を減らせるとか、そういう意味ではオペレーションの効率性に大いに寄与しているわけでありますし、また、我が国による水の補給によりまして、どちらかというとパキスタンの艦艇の造水能力は大変低いわけでございますので、これを補完して、パキスタンの乗組員の生活環境の改善などに日本の海上自衛隊の給水活動は大いに役立っている、私はそのように思っております。

神風委員 今回のパキスタン大地震がムシャラフ政権に与える影響について伺いたいわけですが、これまで六回死にかけたと御自身のホームページでも明らかにしているムシャラフ大統領であります。アルカイダによる暗殺未遂だけでももう何度となく繰り返されている、いつ暗殺されてもおかしくない、不思議ではない状況にあるわけであります。

 そうした環境下にあって、今回の大地震に、国際テロ組織、そういったものがつけ込んで、ムシャラフ政権の弱体化というようなことをはかるような事態になれば、かなり危険な状態になるのであろう。恐らく、アフガニスタンを含めて周辺諸国、パキスタンが大混乱に陥るという状況になるのかなという気はしておりますが、そうした分析を今どのようにされているのか、教えていただければと思います。

町村国務大臣 まだ地震発生後間もないこともあるので、正確な情報はなかなかわからない部分もございますけれども、とにかく今政府は全力で復旧復興に取り組んでいるという姿だろうと思います。

 そういう中で、ムシャラフ政権が何かテロリストたちの活動によって不安定化しつつある、あるいはテロ組織が非常に活動を活発化させているというような情報には接しておりません。

 ただ、地震後であってもやはりテロ対策はしっかりやっておられるようでありまして、十月十二日、十月十四日それぞれ、過激派と目される活動家を逮捕しているというような報道がありますので、政府としてしっかりとしたテロ対策は、地震があったわけでありますが、しっかりやっているという姿勢に変わりはないようでございます。

神風委員 ムシャラフ政権は、旧タリバン政権と決別をして、現在、反テロでアメリカと協調姿勢をとっている。そうした中で、今回の地震をきっかけに政情が不安定化するようなことになれば、ある意味ではテロとの闘いにとっても非常にまずいシナリオになるであろう。

 そういう中で、日本も二千万ドルの無償支援を決めたようではございますが、むしろ、ここでいっそかなり大胆に方針転換をするのも一つではないかな。

 つまり、現在の給油活動、ピーク時の四十分の一の供給量にまでそのニーズが落ちている。いろいろな新聞報道を見ても、その必要性であるとかあるいは効果には疑問だらけである。中には、海上の無料ガソリンスタンドであるといった悪口まで言われているような状況であるわけです。

 そういうことではなくて、むしろ今回のパキスタン大地震への支援体制というものを強化した方が、ある意味では必要性が高く、また結果的にはテロとの闘いという視点からもはるかに実効性が上がる。ある意味で日本らしい、先ほど防衛庁長官もおっしゃっておりましたが、何をやっているのかわからないような支援ではなくて、ある意味で日本人が誇りを持てる支援になるのではないかなという気がしておりますが、そういったことについてはどういうお考えでいらっしゃるのか、お聞かせをいただければと思います。

大野国務大臣 まず、今四十分の一に給油量が減ったというお言葉でありましたけれども、これは過去のある一月をとりますと、ある一月で四万キロリットル供給している月がございます。ある一月をとりますと、千キロリットルしか供給していない月もございます。

 したがいまして、四十分の一というのはそういうことをおとりになったのかなと思うわけでありますけれども、実は、先ほども御説明申し上げましたが、出だしの六カ月と最近の六カ月、こういうふうに見てみますと、大体八分の一ぐらいに量は落ちてきている。ただし、繰り返しになって恐縮ですが、回数はほとんど変わらない。最初の六カ月と後の六カ月をとってみますと約九割の回数になっているということで、我が国の活動というのは、大変、そういう意味では、縮小というのをどう考えるかという意味で考えていただきたいと思います。縮小というのは、当初は船が大型であった、補給艦が対象であった、こういう問題がありました。今は、油を受け入れる船が小さくなっている、こういう問題があります。

 いずれにしましても、我が国の高度な給油技術、それから給油を受ける艦艇が寄港する回数が減るということでオペレーションが非常に効率化していく、こういうことは御理解をいただきたいと思います。

 そこで、それは一方に置いておいて、やはりパキスタンの今回の地震問題につきましては、防衛庁もいち早く対応して事に当たっておるところでございます。詳細についてお尋ねがありましたらお答えいたしますが、私は、今、両面できちっとやっていくべきだ、このように思っております。

神風委員 ぜひ、本当に日本人が誇りを持てる、そういった支援体制をつくっていただきたいなと思うわけでありますが、もう時間もなくなりましたので、最後に一点だけ、イラクについても伺っておきたいと思っております。

 先般の十月十一日の本会議において、公明党の佐藤議員の質問で、サマワの治安権限がイラク側に移管されても陸上自衛隊の安全確保に支障はないかという質問がございました。それに対して、大野長官が

  陸上自衛隊派遣部隊は、安全確保に必要な装備を携行するとともに、事前に十分な訓練を実施しているところであります。また、宿営地内外において各種安全確保策を実施いたしております。いずれにせよ、これら施策により、比較的治安が安定しており、治安組織も育成されつつある現地ムサンナ県の状況下で、みずから安全確保を図ることが可能であります。

  以上でございます。

と言い切っているわけでございますが、いつから、イギリス軍とオーストラリア軍が撤退しても支障はない、必要ないということになったのか。

 つまり、ことしの二月の下旬にオーストラリアのハワード首相が小泉総理の要請を受けて、サマワに派遣されている自衛隊の安全を確保するためとして四百五十人の兵員を増派した。しかも、オーストラリア国内ではその増派反対が七割以上に上るという大変な反発の中を、ハワード首相が、多くの国民には不人気だろうが、日本との関係も重視して、苦渋の決断として増派をしたわけであります。

 それを、日本の防衛庁長官が、日本の国会、本会議の答弁で、自衛隊はみずから安全確保を図ることが可能であって、オーストラリア軍が撤退しても支障はないという発言をしているというのであれば、何もわざわざ自分たちが危険を冒してまで日本の自衛隊を守ってやる必要はないということになって、即刻撤退するという方向に傾くと思いますが、これについてどういう御認識でいらっしゃいますか。

大野国務大臣 まず、イギリス軍、オーストラリア軍の撤退問題であります。これは、いずれにしてもそういうようなことは決定もいたしておりません。

 ただ、問題は、御存じのように、段階的な治安権限移譲の条件策定に関する共同委員会というのがつくられておりまして、そこで問題点は、イラクの治安部隊の能力はやはり大きな問題だな、これが一つの要素です。

 それからもう一つは、イラクの武装勢力の脅威のレベルをどう考えるか、こういう問題があります。

 それからもう一つ考えなきゃいけないのは、現地の情勢は極めて柔軟的に考えていかなきゃいけないんじゃないか。変更される可能性があるから、今、いつから撤退するというような議論はなかなか難しいな、こういうことが言われておるわけであります。

 逆にまた、今、いつから撤退するよ、こういうようなことが議論になりますと、相手方は、地元の武装勢力は、じゃ、それまでじっとおとなしくしていて、撤退した後頑張ろう、こういうように敵に塩を送るようなことになりますから、こういうことは今申し上げたような共同委員会で議論され始めておりますが、イギリスとかオーストラリアがいつどうするということは一切ありませんし、そういう決定はなされていない、これが一番の問題であります。

 それから、二番で考えますと、先ほど本会議で申し上げましたようなことでございますから、我々はそこは安全にみずからを守っていける。しかしながら、ここが大事なところなんです、オーストラリアなりイギリスのマンデート、負託条項というのは、やはりイラクの治安を維持すること、そしてイラクの治安部隊を養成していくこと、育成していくことであります。だから、イラクの治安がよくなって、イラクの治安部隊が育てば引き揚げていく。

 日本は、それプラス人道復興支援という問題がありますけれども、そういう意味で、私どもは、日本は十分にそういう安全措置を講じているし、訓練もしているし、情報収集もしておるし、そして、治安が他の地域に比べて非常に安定、非常にと言うとまたしかられますので、取り消して比較的と言い直しますけれども、比較的安定している。そこでもしオーストラリアとかイギリスが撤退という、これは全く仮の話ですけれども、そういうことになるということは、イラクの治安がそういうイギリス、オーストラリア部隊から見ても安定し、かつ地元のサマワの治安部隊が育った状況、そういう状況を推定しているわけでございます。

神風委員 最後に一点だけ。

 先般の新聞報道でも、十月の十二日にオーストラリア軍が襲撃を受けたというような報道がございました。オーストラリア軍は自衛隊の警護も担っているという報道でございましたが、みずからの安全確保を図ることが可能であると言い切れるということでよろしいんですか。

大野国務大臣 我々は、そのような安全確保のために最大限の措置をし、努力をいたしております。その上で、世の中には絶対ということは絶対に言っちゃいけない、キッシンジャーの言葉でありますけれども、我々としてはベストのことをやらせていただいている。外国と違うのは、オーストラリア、イギリスは治安がよくなるから撤収する、日本の場合は治安が悪くなって非戦闘地域になれば撤収する、ちょっと考え方が違うのでありますけれども、我々の場合は、治安がよくなって撤収するようなことがあっても、我々は治安もみずからの手で守ることができる、その詳細についてはきょうはもう御説明しませんが、そういう理解でおります。

神風委員 時間が参りましたので終わりにします。ありがとうございました。

船田委員長 次に、古本伸一郎君。

古本委員 民主党の古本伸一郎でございます。私からも、引き続いて、時限立法である本法を一年に限って延長するというこの事案につきまして質問をさせていただきたいと思います。

 手元に、防衛庁から「「テロとの闘い」と自衛隊の活動」という大変わかりやすいパンフレットといいますか、いただいておりますので、少しこれに沿いながら伺ってまいりたいなというふうに思います。

 まず、我が党の基本スタンスといたしまして、テロとの闘いというのは、これはなるほど国民的な共鳴をする課題でありますし、もちろん国際社会の一員として我が国もその役割を果たしていく、これはまことにすぐれてそのとおりだというふうに思います。

 しかしながら、本日の議論、与野党超えて各委員の皆さんに共通していることは、やはり場当たりの議論ではなくて、本当にテロとの闘いを、法理論も含めその裏づけを担保した上で、それこそいつテロに遭うかわからない、つまり期限が切れるわけがないわけでありまして、その意味では恒久的な法整備が必要である、その上に立脚いたしまして、二、三質問をしてまいりたいというふうに思います。

 一枚めくりますと、最初のページから「「テロとの闘い」は国際社会が一致団結する長期的かつ困難な闘い」である、こう書いておられます。このパワーポイントの一枚目です。また、先ほど来長官がおっしゃっておられる、忍耐ですとか長期的ですとか、いわゆる五里霧中的な、この先どうなっているかわからない、これはやむを得ないです。

 その意味で、本当に一年の限りで切って、まずはその場をしのぐというやり方で問題がないのかどうか、その点について御所見を求めます。

大野国務大臣 私は、こういうテロとの闘いというのは、我が国が国際社会の責任ある一員としてどう行動するかという判断の問題であり、その判断というのは、自衛隊が絡みますから、やはり国会が関与して判断していく、こういうことが一番大切であると思います。仮に、このテロ特措法が二年であろうと三年であろうと、用が済んだら一年でやめるとか、そういうことであっていいわけだと思います。そういう意味で、私は非常に柔軟にその辺は考えておかなきゃいけない。

 そういう考え方からいたしますと、日本のこれまでの法体系が、どちらかというと、自衛隊はこのことはやっていいよとだけしか規定していないものですからなかなか難しい。このことを、特別立法じゃなくて一般法に直して、その範囲で行政府なり立法府が判断していく、こういう形が一番いいのではないか、このように思いますけれども、そこは、今回の一年にした理由というのは先ほど来御説明申し上げておりますのでもう繰り返しませんが、私は、そういう意味で、今回、どうぞよろしく御賛同のほどお願いいたします。

古本委員 もちろんこの場は立法府でありますから、野党委員である私たちにもよろしくということでありましょうが、ただ長官、これは国民の皆さんの支持支援、そして財源が伴う話でありますから、なるほど海上自衛隊ようやってくれておる、その指揮をとっておられる防衛庁長官あっぱれ、そういう声が国民世論から沸き上がってこないと、これは、現場を見ない、この部屋だけの論理で物事が決まっていく部分も一方ではあると思います。

 その意味で、この資料の最後の方に「日本の協力支援活動に対する評価・感謝の言葉」という、大変丁寧に、アフガニスタン大統領以下、各国から寄せられた称賛の言葉が書いてあります。恐らく、国民的にはこちらの「国際テロの根絶を目指して テロ特措法の四年」というパンフレット、足取りを簡単にまとめたパンフレットで出しておられる、こういうことだと思いますが、国民の皆さんは、本当にインド洋上で、目玉焼きが焼けるんじゃないかという灼熱の甲板の上で日々御奮闘いただいている姿が理解をいただけているというふうに思いますでしょうか。そして、いただけていないとするならば、残念ながら、このパンフレットは恐らく国民の多くは見ていないと思います。

 どういう理解活動、広報活動も含めて行っていくおつもりなのか、お伺いをしたいと思います。

大野国務大臣 まず、先ほどから申し上げておりますとおり、インド洋における海上自衛官の活動、日本が国際的に責任ある立場としてテロの撲滅に一生懸命頑張っている、このことは、私は、残念ながら国民の皆様の目になかなか映りにくいことだなと。その原因の一つとして、どこで活動しているのか、どこの港に寄っているのか、活動の秘匿性の問題としてなかなか発表できないことがあります。

 しかし、一般論としてこの海上自衛官の活動というのは私は申し上げることができるわけでありまして、特に今回のこの委員会で先生からそういう質問をしていただく、このことが大変大きなPR活動になるんじゃないか。そういう意味で、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 そこで、簡単に申し上げますけれども、先ほど来申し上げておりますが、本当に厳しい生活環境の中で、何しろ気温が摂氏四十度、場合によっては八十度まで上がるんですよ。そういう中で一生懸命テロ退治のために頑張ってくれている。それから、少なくとも四カ月ぐらいの間は船の上で生活しているわけですね。しかも、テロ対策、テロの追放ということで緊張感が大変高まっている、こういう中での仕事でございます。その中で、日本の海上自衛官が本当に一生懸命、数時間かけて補給、給油をやらなきゃいけない。これは、言うは易しくて、本当に技術的に見ると難しいことでございますが、今や、日本の海上自衛官自身がこの補給技術は世界一だと誇れるぐらいになってきております。

 海上自衛隊の隊員の声を聞いてみましても、日本が参加国の一員として受け入れられている、本当に誇りだという声もありますし、それから、国際貢献に我々が本当に役立っているんだな、こういう声も聞こえてまいります。また、Eメール、携帯電話で家族と話ができてうれしい、こういう声も聞こえてくるわけでございます。

 そういう活動を地道に、本当にテロ追放のために縁の下の力持ちとして頑張っている自衛官の諸君に、どうぞ先生も声援を送ってくださいますよう、よろしくお願い申し上げます。

古本委員 もちろん、隊員の皆さんの御労苦は想像にかたくないわけでございますが、これをいかにして国民の皆様にわかっていただくか、その意味で私は質問をしたわけでありまして、残念ながら具体的にはお答えいただけなかったというふうに今思います。もちろん、こういう場に制服組の現場を呼ぶことができないということは重々わかっておりますが、しかし、生の声を聞く機会がない中で、背広組といいますか、そういう意味ではシビリアンである長官が幾らおっしゃっていただいても、なかなか伝わりにくい面はもちろんあります。

 ここを払拭し切れない中で、やはりメディアの力というのは大きいです。いろいろなところに出向いていって取材をなさるわけでありますから、その仕掛けも含めて、一年の限りじゃなくてその次の延長もあり得べしと、今、きょうの質疑で長官はおっしゃったわけでありますから、今後この委員会でどういう判断になるかは別にいたしまして、あわせて、隊員の皆さんがどういうことを現地でなさっておられるかということを国民の皆様に広く理解を深めていただく、新しい、これまでにない仕掛けをお考えいただきたい、そのことについてお約束いただきたいと思います。

大野国務大臣 大変、我々にとって激励になるお言葉をちょうだいしました。

 本当に、先ほど申し上げましたとおり縁の下の力持ちになっていますが、この姿をこれからあらゆる手段を講じて皆様に御理解をいただきたい、このように思っております。これまでも、いろいろな文書、パンフレット等を通じてやっておりますけれどもなかなか行き届かない、これを反省して、今後こういう活動を国民の皆様に御理解いただけるように頑張ってまいります。

古本委員 そこで、同時に、国民の皆様に開示をしなきゃいけない、こういう数字もございます。

 これは、この間に、テロ対策特措法に基づく協力支援活動に係る予算措置並びに執行実績の一覧でございますが、事前に役所の方からもらっている紙でございます。これによりますと、総額で四百四十三億円、今年の八月末現在で予算を執行なさっている。このうち、仕分けをいたしますと、三十八億が既定経費、つまり御庁の予算の中で使われている、残りは予備費ということになると思うんです。

 そこで、この原価について二、三お伺いをしてまいりたいわけでありますが、もとより在日米軍に対しては、いわゆる駐留経費、思いやり予算と言われている部分、ホスト・ネーション・サポートの部分を加えまして、恐らく総額で六千億近いお金が使われているというふうに理解をいたしております。

 その六千億の予算の中を仕分けいたしますと、在日米軍駐留経費日本側負担分、平成十五年度内訳、これはかつて外務委員会で質問をさせていただいたときに役所からいただいた資料に基づいておりますが、この中でいわゆる労務費の負担という欄がございます。つまりは、例えば横須賀に停泊なすっておられる米国艦船の給油作業を職員の方がする際の、いわゆるこの労役に対する給料はホスト・ネーション・サポートの中から出ているんですか、出ていないんですか。

 そして、インド洋の洋上で給油する。なるほど、すぐれた日本の技術のおかげで各国から称賛をいただいていることはよくわかりました。その際の自衛隊員の、海上自衛官の皆さんの労務費というのは、既定経費の中で、あるいは予備費の中で賄われている。

 つまりは、横須賀にいた艦船がインド洋に展開しているかどうか、それは追跡しなきゃいけませんが、理論的に、同じ船が一度横須賀で給油を受ける際にはホスト・ネーション・サポートで手当てがされ、インド洋に行ってさらにここから出るということは、まさにこれは二重取りじゃないんですかという細かな議論といいますか、本質的な議論があるわけですが、この点についてクリアにしていただきたいんですが。私が間違っておるというのなら、間違っておるで結構です。

山崎政府参考人 お答えいたします。

 突然の御質問でございますので、ちょっと詳細な資料は持ち合わせておりません。

 まず、労務費として、横須賀の労務の方が給水をするというのはたしか労務費の中に含まれると思いますが、そこがどのぐらいの経費がかかるかどうかについては、恐縮でございますが、資料を持ち合わせておりませんので、後ほどお届けをさせていただきたいと思います。

古本委員 今、小泉さんが改革を唱え、大変御党は大勝なされました。そして、聖域なき改革をしていくとおっしゃっておられます。そういう中で、残念ながら、冷厳なる事実として、向こう十年間で新たに三百兆円の、普通国債ベースで、いわゆる残高がふえる。わずか十年後であります。八百兆を超えていく。国分だけです。地方分を入れれば一千兆を超えていく。

 こういう中で、前段申し上げた、隊員の皆さんは大変頑張っておられる。一方で、先立つものが要るわけでありまして、こういう部分もいずれいろいろな面で、甲板で真っ黒になって日焼けして頑張っておられる姿を開示すると同時に、こういう議論にも恐らくなりますね。その意味では、これは事前に御庁からいただいている資料でありますから、事細かな通告はいたしておりませんが、少なくとも、洋上で給油なさっている隊員の皆さんの労務費がどこから出ていて、これは仕分けの問題ですよ。一方で、ホスト・ネーション・サポートと呼ばれる思いやり予算で在日駐留米軍の艦船に対する給油作業の労務費と、その仕分けさえも担当局長が、事務方ができずして、どうやって原価と闘うことができるんでしょうか。

山崎政府参考人 先生御指摘になりました、私どもから提供いたしました約四百四十三億円の内訳の中に職員手当等がございますが、これは特別手当でございまして、一般に補給艦で補給をする隊員の給料は別途普通の防衛庁の予算の中に含まれておりまして、この中には含まれておりません。

古本委員 つまりは、在日米軍の艦船に給油する際の、これは横須賀で、そういうふうに仮に置かせてください。横須賀で給油する際は思いやり予算で別途出ている。他方、インド洋上で給油する際の労務費も、これは別途出ているというお話でありました。手当類がこの四百四十三億円の内数として計上されていると言われました。つまり、本給という概念で申し上げられたならば、これはまさに二重に払うことになりませんかという指摘を今しております。

 きょうの本論から少し離れているようではありますが、私はいいことはいいということでぜひ宣伝してもらいたいですし、やればいいです。このことは同時に、冷厳なる事実として、三百兆の国債をふやすと御党が言われておられるわけですから、そのことを含めて、こういう一つ一つのことといい悪いを突き詰めていかないとなかなか国民の皆さんの理解は得られないということを、きょうは指摘にとどめておきたいと思います。こういうことが大事だと思いますね。こういうことをやらないから、だんだん予算が膨らむんだと思うわけでございます。

 そして、先ほどの、防衛庁からいただいている資料に戻りまして、我が国の給油船からの給油作業が非常に世界的に技術がすぐれているという評価もありました。そして、伺いますれば、重油というんでしょうか、船舶重油というんでしょうか、その精製も非常に技術的に高いという話も、各国から称賛をいただいているというふうに聞いております。

 これは、もっと言えば、日本の技術という意味で申し上げれば、もうなくてはならない存在になっておるのか、はたまた他国の給油船でもできるのか。もっと言えば、日本のこの給油船がないと、このオペレーションを代替できる船舶がないのか、そう言っていいほどに技術的な水準が高いかどうか。このことについて簡潔に、高いのか高くないのか、代替できるのかできないのかだけ教えてください。

大野国務大臣 代替できるといえばできます。ただし、補給艦の数が日本は多い方でございます。アメリカとイギリスが日本の上に、上位一、二位で、日本は三位の補給艦の艦数を持っておりまして、それ以下は補給艦の数が少ないものですからなかなか、代替するとなるとオペレーション上問題があるんじゃないか。しかし、代替はできるけれども、技術の上で見ると、やはり海上自衛官は本当に世界一の技術を身につけたな、こういう誇りを持っているということを申し上げました。

古本委員 そういういい話がもしあるのであれば、それは技術的にですよ、技術的にいいという話があるのであれば、それは国際社会の中でもアピールしていっていいと思いますので、そのことも含めて国民への理解活動の際にはお含みをいただけるとありがたいなと思いますし、国民もまた、そういう技術が涵養されているということに対して恐らく支持してくれるんじゃないかというふうに思います。

 さらに、少し話題を変えまして、そもそもテロとの闘いというふうに先ほど来長官はおっしゃっておられます。テロの定義づけ、どこまでがテロかという意味からいきますと、防衛庁からいただいている中で、三ページに、インドネシアでのテロ、ロシアでの劇場占拠事件、トルコのイスタンブールでの連続爆破、地下鉄、それからスペインのマドリッド等々、これは国際的なテロ組織と言われているアルカイダの関与があるかどうかが明確になっているかどうかの事実は別にして、大体世界各国で起きているテロが入っているというふうに理解しております。

 その上で、よその国を心配する前に、まず我が国のテロ対策が大丈夫かどうかということも、これは同時に国民に理解活動を広めていく上であるわけでございます。例えば、水際の空港関係施設、あるいは、先生方もいつも乗られると思いますが、新幹線での対応等々、今、よその国を心配する前に、国際社会に貢献をする前に、まず足元が盤石であるかどうか、この点についてお聞かせを願いたいと思います。

細田国務大臣 御指摘のとおりでございまして、我が国は島国で、陸続きの国やほかよりはかなり有利だとはいえ、いついかなる時点でテロを行う勢力が侵入しないとも限らないわけでございます。

 そこで、昨年十二月に、私が本部長を務めます国際組織犯罪等・国際テロ対策推進本部におきまして、諸外国の制度も参考としながら、我が国におけるテロ未然防止対策の問題点、そして改善策等について取りまとめましたテロの未然防止に関する行動計画を策定し、その確実な推進を図っております。

 また、最近はさまざまな、ロンドンあるいはバリ島等、国際的に拡散もする傾向にございますし、手口が鉄道その他を利用するようなものもございますから、そういったときに、日本の国内の対策が万全かどうかということを絶えず、関係当局を通じながら、あるいは民間企業も含めて点検する、こういう体制を強化しているところでございます。

古本委員 ぜひ、もちろん他国のことも国際社会の一員として心配しつつ、足元も盤石にしていただきたいと思うわけであります。

 そこで、けさ総理が靖国参拝をされました。その直後だと思いますが、北京発時事ということで、「中国在留邦人に注意喚起、日本大使館」。日本大使館は十七日、総理の靖国参拝を受け、「中国当局は靖国参拝に一貫して厳しい態度を示しており、中国政府や民衆から強い反応が示されることもあり得る」として、在留邦人に注意喚起を呼びかけた。大使館は云々、こう続くわけですが、町村大臣、仮に、きょうのこの総理のことを受けて、中国で思い出したくもないあのおぞましい光景がまた日本大使館周辺で起きたとしたならば、これはテロですか、何ですか。

町村国務大臣 ことしの春、いろいろな形態があったので、普通の、日本で言うところのいわゆるデモというものもありましたし、また建物等々の破壊行為もありました。また、邦人に対する暴行というものもありました。ほかにも我々が気がつかないことがあったのかもしれませんが、思い出すのはそういったことであろうと思います。

 これは一般的にはテロという言葉は該当しないんだろう、テロの定義というのはいろいろあるかもしれませんが、常識論からいって、それをテロとは言わないんだろうなと私は思います。

古本委員 これは谷内次官が、御案内のとおり、これは次官の出張ですから、大臣の指示、ミッションにより出たということだと思いますが、中国の外務大臣とこの十五日にお会いになりました。その際に、中国の外務大臣は初めて、日本の常任理事国入りを理解できるという趣旨の御発言をなさっておられます。

 そこで、大臣にお尋ねを申し上げます。

 事前にきょうの総理の参拝が中国サイドに察知をされ、そして、今までリップサービスでさえ一度も言ったことのない、靖国参拝をやめたならば常任理事国入りを支持してもいいとにおわす発言を初めてなさった。それでもなお総理はきょう行かれました。これは事実関係を申し上げているわけであります。

 そこで、お尋ねが二点ありまして、中国というお国は、こういう警告といいますかアラームを発したにもかかわらず、行った日本国政府の判断が間違っている、あるいは、私人として行かれたかどうかはもうここで議論しませんが、こうなっては、小泉さんが行ったというのは事実でありますから、そういう判断をした小泉さんが悪いんだから、せっかく常任理事国入りを認めてあげようと思ったんだけれども、これはもうしようがないですよねというシナリオをつくろうと思ってこういうことを発信されたのかどうなのか。どういうふうに分析なさっておられるか、まずお伺いしたいと思います。

町村国務大臣 まだ総理が靖国訪問をされて、その直後であります。この段階で、中国側のこうした行動あるいは発言について、まだ私も、谷内次官が帰国をしておりませんので、どういうやりとりがあったか、私も一応電報では受け取っておりますが、どういう全体のニュアンスだったか等も把握しないうちに彼らの発言の趣旨というものをいたずらに推測することは適切ではないだろう、こう思いますので、今の段階で私はあえてコメントすることは避けたいと思います。

古本委員 時間が参りましたので、終わります。ありがとうございました。

船田委員長 次に、伴野豊君。

伴野委員 民主党の伴野豊でございます。

 民主党にいただいている時間が四十五分まででございますので、できるだけ重複を避けて、その時間内で吸収させていただきたいと思いますが、まず冒頭、先ほど来各委員がおっしゃっていますように、テロの被災者の方々並びに昨今パキスタンの地震でお亡くなりになられました方々にお見舞い申し上げたいと思います。

 その上で、本題に入らせていただきたいんですが、やはりちょっと、きょうのきょうなものですから、これは官房長官、通告していなくてまことに恐縮ですけれども、一点だけ確認させてください。

 今も同僚議員の古本議員、それから御党の山中議員もおっしゃっていました。きょうのきょう、十時ですか、総理が靖国に参拝されました。その詳細、事細かについてこの委員会でやるつもりはありませんが、一点だけ確認させていただきたいんですが、先ほど午前中に、官房長官も御存じなかったということで、先ほどから記者会見とか、正直言ってきょうはもううんざりだと思いますよ、官房長官のお立場になってみれば。女房役ということで、我が家に例えますと、家の重要なことを女房に言わずにやったら、私もう敷居またげないですよ。だから、そういうことから考えますと、本当に個人的には御労苦は感じるんですが、一点だけ。

 総理は、この靖国に限らず、御判断に窮される、あるいは答弁に窮されるときによく使われる、適切に判断すると。今回もずっと、適切に判断するとおっしゃっていました。今回の靖国参拝、本日の十時が適切な判断の時期であったかどうか、官房長官、どう思われますか。政府見解をお伺いしておきます。

細田国務大臣 議員御存じのように、この靖国を総理が参拝されるかどうかということについては、何度も御質問があり、適切に判断しますという答弁がまた何十回と行われたわけでございます。

 ただ、本日も私、小泉総理にも、この委員会を中座して会見前にちょっと伺ったわけでございますが、やはり内閣総理大臣としての参拝ではない、職務としての参拝ではないということを言っておられましたけれども、そのほかのことは特に言っておられませんでした。

 そして、伺いますと、おさい銭を出して、平服で、中に入らず、昇殿をされずに、献花料、玉ぐし料等は当然お払いにならずに、一礼をして参拝されたということですから、いろいろ意識をされて、いわば私人としての参拝、私的参拝をされたんじゃないかなと思いますが、これが適切に判断されるということとどういう関係にあるのか、私も聞いておりませんので、またいろいろクエスチョンタイム等の機会があると思いますので、そちらで御党からもお尋ねいただきたいと思います。

伴野委員 女房役の官房長官、多分我が家でしたら、もう即刻、敷居はまたげない、不適切な発言と言われそうなんでございますが、お立場、本当にお苦しいんだと思います。

 私は正直言って、私もどちらかというとみたまに誠をささげたい方でございます。それならば、九月におやめになるのかどうか知りませんが、私人になられたときに毎日御参拝いただけばいいんじゃないかな、今が適切な時期かどうかというのは非常に、先ほど古本議員も指摘しましたように、私自身、靖国神社の方も迷惑じゃないのかなという気がしてなりません。ですから、やはり本当に適切なことをお考えいただいた方がいいのではないかと思います。

 この靖国に関してはこれぐらいにさせていただいて、本題に入らせていただきたいと思います。

 きょうも朝から、テロとの闘い、テロの対策をずっと議論してきたわけでございますが、テロとの闘いをする、あるいはテロの対策をするということをノーと言う人の方が私は確実に少ないと思いますし、逆に、ノーという理屈をつくる方が難しいんだと思います。また、辛抱強く、長期にわたるということを否定される方も私は少ないんだろうと思うんですね。

 ですから、これはもう本当にどうやっていくかという問題なんだと思います。あと、手続の問題が私は国民的な議論になるべきだと思うんですね。テロとの闘いあるいはテロの対策を我が党も否定しているわけでは全くございません。やり方、手続、シビリアンコントロールをどうするんだ、政府が説明責任をきちっと果たしているのか、ここがやはりポイントであるんだと思うんですね。

 私ごとで恐縮なんですが、私も学生時代から公共事業というのをずっと、特にコスト・アンド・ベネフィットという視点から研究してきた一人でございます。浅学でございますから大きなことは言えないんですが、私が学生のころ、評価できないから公共事業だと平気で言われた学者もいらっしゃる。今そんなことを言って、道路とか空港の需要予測やあるいはコスト・アンド・ベネフィットを考えないというようなことを言ったら、これはもう大変なことになる。多分各大臣、御賢明な大臣ですから御案内だと思います。

 今我々がやっている、我が国がやってきたテロ対策というのは、これは税金を投入してきたわけでございますから、確かにオペレーション中は、オペレーションの関係でできない、あるいは戦略的にここは明かせないということがあっても私はしかるべきだと思います。しかしながら、例えば五年後、全部オペレーションが終わって、計画が全部終わった時点で、これは白日のもとになってもいいという覚悟で、さまざまなデータやあるいは資料を用意しておくのが、私は税金を使っている政府の責任であると思うんですね。だから、今議論していて、その油が、水がどうなったんだというのは、それは今は言えない、あるいはようわからぬときょうは言えても、五年後、国民の目線がそのとおりになっているか。

 先ほど申し上げた公共事業が、昔は、二十年前は、費用対効果がわからないから公共事業でやっているんだというようなことを言われた時代です。今はそんな時代ではありません。税金を一円でも投入すれば、国民の皆さん方からいただいた税金をどう使わせていただいているかという説明責任を果たすのが、私は総理初め政府の役目だと思っております。きょうもそういう視点で各委員がいろいろ質問をさせていただいたのではないかと思うんですけれども、そういう観点からぜひきょうも、あと三十分弱ですけれども、十分な説明責任をお果たしいただければ、そんなふうに思うわけでございます。

 ではまず、今回のテロ特措法につきまして最初に報道ベースで最近載ってきたのは、たしか五月末ぐらいだったと思うんです。その当時はまだ選挙のセの字もなくて、これからといいますか、郵政法案の話がいろいろ議論にあった時点だと思いますけれども、そのような時点でたしか総理は、それは当然人の命にかかわることでございますし、事が事でございますので、逡巡される、あるいは迷うということも当たり前だと思うんですね。

 しかしながら、選挙という国民の皆さん方に意思を問う機会があったにもかかわらず、余りこのテロ特措法の話やテロの話というのは、私はなかったように思うんですね。これは、ある人は郵政一本のイシューだったと言われるんですけれども、国民の意思を問うときがあったにもかかわらず、余りこれを話題にされなかった。それで、先週郵政の法案が通ったわけですから、これからはじっくりこのことについて、総理もいろいろテロ対策について心を砕いていただければと思うわけでございます。

 そうした中で、いろいろ、選挙中にも小泉総理はテロ特措法の改正はやらないという意向を漏らしていらっしゃったというようなことも漏れ伝え聞きますし、それに慌てた町村外務大臣が、きょうお越しいただいていますが、直談判に行ったというお話も伺います。選挙戦で対米追随の批判をかわしたいとか、イラク支援との二面作戦では負担が多過ぎる、あるいは、特別国会では、まあ通りましたけれども、郵政法案を最優先させたいから非常に日程が難しいだろうというようなことで、外務省初め皆さん方お慌てになったということも漏れ伝え聞きます。

 まず、事実関係の確認でございますけれども、町村外務大臣、選挙直後に直談判に行かれたというお話がございますけれども、本当に直談判に行かれたんでしょうか。また、そのときにどんなお話をされたか、もしお聞かせいただければありがたいと思います。

町村国務大臣 総理がこのテロ特措法の延長に否定的であった、反対であったという話は、私は聞いたことはございません。それどころか、むしろ、例えばグレンイーグルズ・サミットでそれは一つの当然大きな話題であり、それはもうロンドンであれだけの連続爆破事件も起きた直後というか最中でございました。そういう意味で、国際的にもまた改めてテロへの関心が高まっているという時期でございましたから、総理御自身がテロ対策の必要性を感じられないはずがない。現に、そういう熱心な議論もサミットの中でしておられる。その直前に開かれたG8外相会談でも、当然テロ対策ということが一つの大きなテーマでございました。

 また、これは時期はちょっと後になりますけれども、九月中旬、国連首脳会議でも、テロの問題が安保理首脳会議の二つのテーマのうちの一つであったなどなどから判断をいたしまして、この問題について、国際的な関心の高まりの中で、総理自身も当然お考えであった、こう思っております。

 もちろん、内閣の中にそれはいろいろな考え方があってある意味では当然だろうというふうに私は思いますし、人によりいろいろな意見の違いもあったんだろうと思いますが、最終的には閣議決定という形で私どもはこの法律の延長を決定し、国会の御審議をこうやってお願いしているわけでございます。私自身も、総理とこの問題について何度か話し合った。一々の場面でどういう議論があったということをまた申し上げるべきでもなかろうし、実は正確には覚えていないわけでございますけれども、最終的には閣議の決定という場面でそれが政府の方針になったということでございます。

伴野委員 ですから、先ほど来申し上げているように、国民サイドに立っても、テロと闘う、あるいはテロ対策をするということで批判をされる方はいないと思うんですね。だから総理もテロ対策は絶対に必要だと思っていらっしゃったかと思いますが、アフガンを続けようとしていたか、アフガンに対するテロ対策としての行為を、つまり今回のテロ特措法の延長を考えていたかどうかというのは、女房役の官房長官にも言わずに行っちゃう人ですから、本当の真意というのはわからないんだと思うんです。

 ただ、もし閣議決定された、あるいは御自身が腹を決められた時点で、国民の生命と財産にかかわる本当に重要な問題でございますので、三十分ぐらいテレビを独占してでもいいから、なぜそういうお気持ちになったかを語られる方が私はよかったのではないかなと思います。それが、先ほど来申し上げている一国の総理としての、国民の生命と財産を預かっていらっしゃる、しかも税金をそれによって使っていらっしゃる総理であるがゆえに、その三十分は選挙前のお話よりも感動を呼んだんじゃないかなと思います、もし本当にきちっと説明をされれば。

 先ほど来、御本人がいらっしゃらないので、真意をといってもなかなか難しいんですけれども、あるいは真意を聞かせてもらえなかった官房長官にお伺いするのも酷かもしれませんが、先ほども外務大臣がおっしゃっていましたけれども、今の時点でトータルに考えて、私はやはり総理は今からでも説明責任を果たされるべきだと思いますが、本当のところ、選挙前と選挙後でお気持ちが変わったのか、いや、一貫していたのか、揺るぎなかったのか。官房長官、どうお考えになりますか。

細田国務大臣 心の動きがどうであったかということは、なかなか私もよくはっきりしないのでございますが、テロ特措法自体は、まさに四年前のあれほどの大事件、ペンタゴンも襲撃され、あるいはほかに墜落した飛行機がどこを襲撃しようとしていたのか。そして、トレードセンタービル。そして、三千人以上の方が亡くなり、我が日本の同胞も何の罪もないのに二十数名の方が亡くなるというあの憎むべきテロに怒りに燃えて、そのまた根拠がタリバンであり、ビンラディンであり、アルカイダでありということについて、この法律がむしろ四年前には非常に強い熱意も込められて議論をされた。

 もちろん、憲法上の議論とかさまざまな利害得失の議論はありましたけれども、断固このようなテロに対して闘わねばならぬという気持ちは非常に大きくあった。そしてまたそれが、残念ながら、短期で解決せずに四年を要しておる。

 そして、我が国としては、いろいろなことを協力するという気持ちはあるけれども、内陸部でいろいろな活動をするという選択をとらずに、いわゆる給油活動で側面的な協力をしましょうというところで、二十四人が亡くなった日本国として、ひとつここまでやりましょうという合意をした。その後、四年の間に、特に皆様方から非常に強い御批判も受けまして、何かガソリンスタンドをやっているだけじゃないか、何やっているんだ、よくわからないじゃないか、やめたらどうかというのは前回の延長のときにもありまして、相当ずしりと心には響いていたなという感じはいたします。

 しかし、このところの、地下茎がつながっているのかどうかわかりませんが、テロ行為が各地で、スペインだイギリスだインドネシアだ等起こってみますと、やはりテロ対策の原点これにありという面もございますし、我々、万感を込めて一年延長をすると。いろいろな基本計画等で、これからもどういう選択をするかということは余地があるわけですから、そういったことを含めて内閣として方針を定めた、こういうことだと私なりには理解しております。

伴野委員 総理の真意は御本人からまた別の機会に伺いたいと思いますが、いろいろな思いやいろいろな逡巡があったとすれば、やはり、そういう機会があったわけですから、選挙中にもそれをテーマにして、ぜひ国民に信を問うていただきたかったなと思うわけでございます。

 それはそれとして、二十一日の閣議の後の記者会見で、これは官房長官、御本人ですから、御本人がいらっしゃいますから御説明いただきたいと思うんですが、きょうもずっと長島委員や、先ほど神風委員も、一年延長する意味についていろいろ質問をさせていただきましたけれども、九月二十一日の記者会見では官房長官は、特にないという、具体的な説明をほとんどされなかったわけでございます。

 しかしながら、きょうの議論を横で拝聴しておりましても、テロに対して辛抱強く長期にわたって対策していかなきゃいけないというんだったら、やはり一年で本当にいいのという話になるし、また、ようわからぬというんだったら、ようわからぬと言う前にもっと調べた方がいいと思いますし、また延長があり得るというんだったら、先ほど来お話が出ているように基本法や一般法で、仮に一年間ということであれば、この一年にそこまで結果を出すぐらいの勢いでやらないと、私はずるずるやっていても仕方がないと思うんです。

 さらには、先ほど古本議員も指摘しましたけれども、予備費に頼っているところが多いんですね。これだけ、次やると五年になるわけですから、五年間も予備費のものをちょろちょろちょろちょろというのは、これは予算的にいってもいかがなものかということも思います。

 官房長官、いま一度お聞きしますが、今の時点で一年間延長する意味というのをお聞かせいただけませんか。

細田国務大臣 このようなことを判断する意味が、情勢の変化もいろいろございますし、二年単位でこれまでのように判断するよりは、より短い単位で判断する方がいいということでございます。もちろん閣議決定等で、基本計画の見直しは半年ごとに見直せるわけですから、判断自体は半年ごとにできるわけでございますが、その判断の期間をより短くして、また今後の情勢の変化等を見きわめたい、こういう気持ちでございますので、御理解いただきたいと思います。

 また、御党も先ほど来いろいろお話がございまして、そもそもテロ対策のためにどういう活動をするか、そういう一般法をやるべきじゃないか、そういう方もおられますし、必ずしもそういうことを、一般法化してあらゆるケースに対応できるようにすることには余り賛成じゃないぞという方もおられないわけではないようでございますので、どういう形ならばそれがいいのか。与党にもたくさんそういう方がおられます。

 さらに、どういう条件ならば、一般法、恒久法で、これからはずっとテロ対策はこういうふうにやったらいいんだというふうに合意ができるのかできないのか。これは国会の御議論にも期待しておるところでございますし、我々も、主として与党との協議というものが多いと思いますけれども、今後とも十分考えてまいりたいと思っております。

伴野委員 では、逆に問いたいわけでございますけれども、仮に、それだけ大変な、逡巡するようなこと、迷うことである、一年間の猶予をくれということでしたら、もう総理の大好きな郵政も終わったわけですから、きょうから、靖国に行っている場合じゃなくて、テロ、テロ、テロ、テロ対策が本丸だ、テロをとめる、こういうスローガンでやっていただいて、一年後、先ほど来指摘があるように、また延長なんて格好悪いことをするんじゃなく、この一年でどうするかという決着をつけていただく。

 また決着をつけてくれと言うと適切に判断すると言われちゃうんですが、官房長官、この一年間でテロに対してどう我が国は対策をとり、国際貢献し、そしてまた、さらには国内的にもどういう法整備をしていくのか、意気込みだけでも見せていただけませんか。いかがでしょうか。

細田国務大臣 民主党さんも前原代表になられまして、かねてから強い御指摘も受けておりますし、武正理事あるいは中谷理事初め皆さん、この問題、非常に深い関心と識見をお持ちの方がたくさんおられるわけでございます。しかも、立法論であるわけですから、どういうふうに我が国は憲法論との整合性あるいは国際的なテロへの対応性、そういったものを考えるべきかということは、材料はいっぱいそろっておりますから、そして自衛隊の機能だとかそれから民間の機能だとか、そういうものをぜひ、我々も議論しますが、政府が一方的にもうこれしかないぞなんて言って出すのもいいんですが、双方キャッチボールをしながらこれから考えるべき事柄ではないかなと思っております。

伴野委員 繰り返しになりますが、もう郵政も終わりました。ですから、テロ対策が本丸だ、テロをとめろというスローガンで、ぜひ総理にこの一年、また官房長官にも女房役としてぜひその姿勢を見せていただければと思っております。

 総論的なことはこれぐらいにさせていただきまして、少し細部に入らせていただきたいと思います。

 けさほどの議論の中でも少しあったかと思いますが、これは時限立法だったからこういうことになっちゃっているのかもしれませんけれども、やはり現場へ行かれている自衛隊員あるいは留守を預かっている御家族の皆さん方の、特にメンタル部分の疲弊というのはかなり大きいのではないかなと推測されます。

 当初最高四回というローテーションを大体上限で決められていたと思うんですけれども、今後は五回以上も認めるという、これもちょっとなし崩しだと思いますし、やはり長期にわたるならきちっとした、対応をされる方のそういう、先ほど技術というお話も出ましたけれども、いろいろな教育もあるんでしょうし、研修もあるんだろうし、現場を踏ませるということもあるんでしょうから、延べ投入が九千二百名ですか、もうかなりの数になってきております。そういった派遣のあり方と、それから御家族、特に私はメンタルな部分のケアというのは非常に重要じゃないかと思いますが、防衛長官、どうお考えですか。

大野国務大臣 まず、事実関係から申し上げます。

 これまでにインド洋における活動に参加しました海上自衛隊員、九千三百人でございます。そのうち複数回派遣されている者が千八百人を超えています。それから、現在では四回までの派遣であります。五回目以上につきましては、必ずしも五回目以上はやめる、やめさせるのではなくて、本人の希望を聞きながら柔軟に対応していこうということでございます。

 そこで、大変御心配いただきました身体面での健康管理、特にメンタルヘルスの問題でございますけれども、やはり四カ月にわたる海上、艦上生活でありますから、まず第一には、医官を必ず同行させているということであります。

 そして、メンタルヘルス面では、派遣前に講習をやっておりますし、メンタルヘルス・チェックシートというものによりまして、出航直後、派遣中及びインド洋からの帰投中に派遣隊員のストレス状況をきちっとチェックする、こういう体制をとっているわけでございます。帰国後、ストレスが蓄積していると判断される隊員に対しましては、医官が面接を行います。そして、ストレス軽減に努めているところでございます。

 さらに、そのほかは、帰国後はストレスの軽減や疲労の回復に資するよう、任務に支障のない範囲で隊員が交代して十分な休養をとれるよう、休日をとれるように配慮を加えております。

 以上でございます。

伴野委員 今までの委員の中にも、本当に現場に日の丸をしょって命令一下で行っていただいている自衛隊員の皆さん方、それから、留守を預かっていらっしゃる家族の皆さん方に対する感謝の気持ちというのはたくさん述べられたわけでございますが、私もその気持ちと全く一緒でございます。ぜひとも、あらゆる手だてをしていただければなと思うわけでございます。

 そうした中で、特別措置という中で行われているということが、やはり目に見えないストレスを与えているんだと私は思うんですね。特別な措置というのは異常な状態、普通に考えれば、ちょっと普通のときよりも日常的ではないことが起こっているからそうなっているんですよと。だから予算もどちらかといえば予備費でやっていらっしゃるわけですから、ぜひ現実とさまざまな仕組みが合うようにしていただくべきではないか。派遣隊員あるいは御家族の立場からも、そういうことを考える時期にもう来ているんだろうと思います。

 時間がどんどん過ぎておりますけれども、次の質問に行かせていただきたいと思います。

 二〇〇一年十二月にいわゆるボン・プロセスというのが合意を見て、それからそのすぐ翌二〇〇二年一月に東京会議が行われたわけでございます。

 そうした中で、約十億ドルのアフガニスタンに対する復興支援をされるということを合意したわけでございます。それによって日本らしい貢献がされているものと期待したいわけでございますが、先ほど来申し上げておりますように、税金を使うものあるいは公の行使というものはすべていつかは白日のもとにさらされるというもとで、今回も、例えば人道支援に一億五千四百万ドル、それから復興などに八億四千六百万ドル使われているわけでございます。

 こうした中で、この使途のチェックは外務大臣のもとできちっとされていると期待をしておりますけれども、やはり今後できるだけ定量的に、それから、先ほどの二十年前の公共事業の話じゃないですけれども、公共事業だからそんなものははかれなくて当たり前なんだ、そんなものは効果がようわからぬで当たり前だという議論にはぜひしていただきたくない。できるだけ、このお金はどういうふうに使われて、どういう効果がもたらされたのか。特に人道支援で使われたものは、よく横から抜かれたりとか、本当に現地に行っていなかったりということも間々聞かされます。

 今後、こういった十億ドルの使途のチェックや、あるいはそれを踏まえて、私は、ポスト・ボン・プロセスに関しても日本が主体的にかかわっていくべきだと思っております。そういった今後のプロセスのあり方、どんなふうに、そのためにはやはり前のプロセスをチェックし、かつ、我が国がどうお金を使ったかをチェックし、それを生かしていくということが必要だと思うんですね。

 外務大臣、今どんなお考えを持っていらっしゃるか、お聞かせいただけますか。

町村国務大臣 委員御指摘のように、約十億ドルの支援をこれまで実施、決定をしているわけであります。政治プロセス分野一億二千八百万ドル、これは、大統領選挙とことし九月の下院選挙、県会議員選挙で選挙の実施費用として約三千万ドルの支援を行い、そのほか選挙監視団を派遣するということで、この政治プロセスは一応着々と来ているわけでございます。

 治安改善の分野では、特に日本が担当いたしました武装解除、DDRと呼んでおりますけれども、六万三千人の武装解除が完了いたしまして、このうち六万人が社会復帰過程に入るということで、ここは国際的にも非常にうまくいったなということでございまして、この分野に約一億五百万ドルが使われてきたということでございます。

 さらに、復興の分野につきましては、インフラ整備、保健、衛生、教育等の分野でございますが、例えば、日本がやっていたのはそのうちの一部でございますけれども、カブール―カンダハル幹線道路、これは二〇〇三年に既に開通をしておりまして、この道路を初めとして、約五億七千二百万ドルのうち、道路関係では一億九千八百万ドルが使われているということ。そのほか、教育分野三千二百万ドル、農業・農村開発四千七百万ドル、草の根・人間安全保障無償が三千五百万ドル、日本のNGOに対する支援四百万ドル等々という形で、残念ながらすべてが定量的にきちっと出せるものばかりではないとは思いますけれども、こういう形での成果は上がってきている、こう思っております。

 ただ、すべてがそんなにうまくいっているわけではもとよりございません。麻薬の関係というのはなかなか手つかずのままで来ておりますし、非合法の武装集団の問題などなど、あるいは治安情勢も依然として地域によって不安定さが強いということであります。

 こうしたことを踏まえたときに、今委員お話しの、ポスト・ボン・プロセスをどうするのかということであります。来年の早い時期にヨーロッパのどこかの都市で国際会議を開こうではないかといったような話し合いが今進行中でありまして、その際、日本も主要な構成員の一人としてこのポスト・ボン・プロセスに積極的にかかわりを持っていきたい、こういう考えで、今関係方面といろいろ話し合いを行っている最中でございます。

伴野委員 これも学生時代に指導教官から言われた言葉で恐縮なんですが、よくコスト・アンド・ベネフィットを計量するときに需要予測や供給予測をやっていくんですね。先生、これ、なかなか当たりませんね、やってもやっても外れるじゃないですかと。そうしましたら、教授は、いや、外れるからおれがずっと仕事をしていられるんだということをおっしゃった、これは逆説的なんですけれどもね。

 だから、定量的にとらえることは、物差しをつくるというのは非常に難しいんですよ。特にこういう、復興支援がどう効果があったというのは難しいと思いますが、難しいからやらないじゃなくて、難しくてもできるだけできるところから一つの、一定の物差しを探していくということはぜひやっていただきたいと思います。

 私は、十年後には、多分それは、白日にさらされたときにこうであったという説明責任が果たされないと、やはり説明責任を果たさなかった責任をとることになろうかと思いますので、そういった観点からも、ぜひチェックをしていただいて、できることならわかりやすい評価と効果分析もしていただければ、そんなふうに思います。つまりは、一リットルの水、油を供給するにはいろいろな方法があると思うんですね。だから、それをいろいろきちっと評価していく、これが今必要じゃないかなと思います。

 最後に、時間が来てしまっておりますので、これは質問じゃなくて意見として申し上げたいと思います。

 現在、アフガニスタンにおいて、奥田大使初め二十数人ぐらいでいろいろお仕事をしていらっしゃるというふうに伺っているんですけれども、その数あるいは規模が適正かどうか。非常に危険な地域であるわけですから、その辺は私も考えるところではありますけれども、やはりテロにかかわる情報がこれからは、いろいろな国を通してではなくて、できるだけ日本独自なものがとれる体制をぜひ構築していただけないか。

 今のアフガニスタンでそれをすぐやれというのは難しいにしても、現在、パキスタンが地震で大変な状況になっているわけで、これを支援あるいは復興していく中で、パキスタンで、アフガンあるいはテロの情報が、日本の国だからこの情報を提供すると言ってくれるような人があらわれる、あるいはそういうルートが開拓できるような地震復興支援をぜひ政府を挙げてやっていただければ、これもテロ対策につながっていくのではないかと思いますので、期待して、質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございます。

船田委員長 次に、鈴木馨祐君。

鈴木(馨)委員 自由民主党の鈴木馨祐でございます。新人ではございますし、若輩者ではございますけれども、よろしくお願いいたします。

 まず、審議に当たりまして、私、新人ということで、さきのテロ、九月十一日のテロ以降、さまざまなテロで犠牲になられた方々の御冥福をお祈りしたいと思います。

 私、実は二〇〇一年の九月十一日、ワシントンにおりまして、現場の近くにおりました。そういったこともございまして、当日のその場の雰囲気、空気、におい、音、そういったものをひしひしと覚えているわけであります。そういったこともございまして、テロ撲滅、テロリストをせん滅するというところへの決意という意味では、人に引けをとらないというふうに自負しておるところでございます。

 今回のテロ対策特別措置法の審議に当たりましては、まず、現状のテロのリスク、そういったところの評価を行い、その上で、我が国に対する攻撃といったものへのリスク、そういったところを総合的に勘案して、かつ、その他の国際政治情勢を総合的に考えて、延長か否か、または延長の幅というものをしっかりと検討していくべきであるというふうに考えております。

 そういった意味で、まず第一に、テロの現在の一般的な状況、現状につきまして議論を進めてまいりたいと思っております。

 先週、バリ島のテロの容疑者が特定されたという報道もございました。また、九月十一日テロ以降、ことし、ここ数カ月でも、ロンドン、バリ島と、非常にテロが頻発しております。

 テロとの闘い、また、我が国がインド洋で行っております給油活動等の対象は主にイスラム系のテロ組織が中心かと思われるところではありますけれども、現状が、四年前の九月十一日、その時点に比べて改善していると言いがたい状況にある。その理由としては、私個人的には、テロ組織のイスラムの一般市民社会に対する浸透ですとか深化また拡散といったところが挙げられるのかなというふうに思っております。

 四年前の時点では、アルカイダなりジェマー・イスラミアなどのテロ組織そのものをせん滅することでテロの抑止というのはかなり図られた可能性は高いんですけれども、現在はまさに、こういった例えが適切かどうかわかりませんが、広がってしまった悪性腫瘍のように、本当に広がって手がつけられない状況になりつつあるという話を報道などではよく聞いております。よく言われますように、一人のビンラディンを殺しても二十人のビンラディンが出てくるよ、そういう状況になってしまったのかなというふうに現状を認識しております。

 ただし、イスラムの一般市民全体が、果たしてテロ組織に同情を持っている状況なのかといえば、まだそういった状況ではないのかなということも思われるところではあります。

 先週、十月の十一日になりますけれども、アメリカのDNIから公表されましたザワヒリからザルカウィへのレターというものがあるわけであります。これは信憑性がどうかというところは非常にまだわからないところではありますけれども、アメリカ政府が公表したということで、ある程度の信憑性というところで議論を進めていきますと、やはり彼らのテロリストサイドの認識としても、今回のテロリズムは、メディア、広報の闘いである、いかに一般市民に浸透していくかがかぎであるといったような認識を彼らも持っているようであります。

 そこで、まず外務大臣に、そういったテロ組織の一般市民社会の中への広がり、浸透ぐあいですとか形態の変化、さきのテロが起こった九月十一日以降の変化について御認識を伺いたいと思います。

    〔委員長退席、岩屋委員長代理着席〕

町村国務大臣 平成十三年九月の今委員がお触れになった同時多発テロ以降、アルカイダを初めとする国際テロ組織に対するテロとの闘い、ブッシュ大統領は、アルカイダの本体の組織やネットワークは大きな損害を受け、その活動は大分低下しているというような分析もされておられるようでございます。

 他方、今委員お触れになりました、国際的にむしろ分散してしまっているということで、大小無数のテロ組織がインターネット等いろいろな手段を通じてお互いに連携したり、あるいは単独でテロ活動をやっているというような様相もあるわけでございまして、なかなか、本当に収縮に向かっているのか拡大に向かっているのか、にわかに判断をしがたい状況かな、こう思っております。

 特に中東地域ではイラクがテロとの闘いの最前線になっているわけでございまして、アルカイダの関連組織でございますメソポタミアのジハード基地組織とかアンサール・アルスンナといった組織が現状では非常に活発なテロ活動をやっているということのようでございますから、私どもとしては、この国際テロ組織の活動、予断を許さないどころか、十二分の注意をしながらその対策をやっていかなければいけないだろうと思います。

 ただ、委員お触れになりました、イスラム社会全般あるいはイスラムの教えがそもそもこういうものの根源ではないだろうかというような御指摘も一部には確かにあるのでありますが、私は、あるイスラムの著名な、お坊さんと言うと変なのかもしれません、宗教指導者とでも言った方がいいのかもしれません、実際には学者の名刺をいただきましたが、その人と話をしていたときに、本来、本質的にイスラムの教義の中にこうした暴力を肯定するようなものは一切ない。何か目には目をというようなことばかりが言われておるけれども、しかし、コーランの教えの中はむしろ極めて平和主義的であって、こうした暴力的なことを否定する、これが本来的なイスラムの教えなんだということを私に大変熱心に語っておられた方もいらっしゃいます。

 でありますから、テロ組織というものが、イスラムの教えを信じるがゆえに、どんどんどんどん今後際限もなく広がっていくという性格では必ずしもないのではないのかなと、若干の期待を込めて、そんな思いも持っているところでございます。

鈴木(馨)委員 今のお答えを伺いまして、非常にある意味安心したというか、望みがあるなという思いを非常に感じたところであります。

 そういった状況でございますれば、まだ、テロ組織というものを徐々に弱体化させて、だんだんこの世の中からなくしていくというようなことも可能性としては残っているところであるかとは思われます。

 もちろん、テロのリスクというものが全く、全くというかほぼ改善していない状況においてはテロとの闘いというのは当然継続させるべきですし、それに対する日本のスタンスというのをいろいろと変えないでこのまま継続していくことは非常に重要なところであるとは思われますけれども、その一方で、ただ、やはり一つ、このようなテロの細胞というものが広がってしまった現状においては、考えられるかと思われるわけであります。

 それは何かといいますと、テロ組織というものを、今まさしく大臣がおっしゃいましたように、その教義、一般市民のイスラム社会というものがそもそもテロを許容するものでないのであるならば、一般のイスラム社会からいかにテロ組織を隔離するか、そういった議論というのも当然あってしかるべきかなというふうに思うわけであります。

 かといって、その一方で、先ほど触れました書簡にもありますとおり、今のアルカイダ、そういったテロリスト、テロ組織は非常に宣伝に巧みであります。また、そこに重点を置いている。そういった状況にあって、いかに彼らを一般社会から隔離させるか、彼らの正統性をなくすかという考えが必要なのでありますけれども、そのときに一番大事なのが、いわゆるイスラムの一般市民たちがいかにアルカイダとかそういったテロリストに対して同情しないか、彼らに正統性があるのではないということをしっかり認識させることが非常に重要になっていくのではないかと思う次第であります。

 そういったところで何が本当のかぎになるかということを考えますと、その書簡の中にもある話ではありますが、彼らにとって一番のレジティマシーというか正統性の根拠となっている根源的なものは、やはりパレスチナ問題というところがあると思うんですね。そのパレスチナ問題における特にアメリカ政府の、これは言葉は適切かどうかわかりませんけれども、一般に世の中で言うダブルスタンダードが非常に彼らに正統性をある意味与えてしまっているという状況があるのかなということも考えられるわけです。

 そこで、日本政府としても、我が国自身の安全保障、テロ撲滅というのは安全保障に直接関与してくるわけですから、そこでいかにパレスチナ問題についての公正な解決というものにコミットしていくか、そこが大事な話ではないかなと思うわけであります。特に、報道で見る限りは、イスラム諸国におきましても、イスラム、ユダヤ両方に深いしがらみというものがない日本にその解決を期待する声というのもかなり強くあるやには聞いております。

 そこで外務大臣にお尋ねしたいんですけれども、以前、五月ぐらいに多少話があったかとは思いますが、日本として今後パレスチナ問題にいかに取り組んでいくのか。具体的に言えば、多少強目のコミットとして、総理が主導して和平会議を東京で開催するとか、そういった意味で積極的に関与していく御予定があるのか、そういった可能性について伺いたいと思います。

    〔岩屋委員長代理退席、委員長着席〕

町村国務大臣 イスラエル、パレスチナの問題、歴史をさかのぼりますと大変古い話にもなってくるわけでございますし、さきの大戦の最中のこともございます。今ようやくある種のロードマップにまた戻りそうな形で、事態が少しはいい方向に向いているのかなとは思いますけれども、これまた予断を許さない。

 しかし、少なくともガザ地区からの撤退という、これも歴史的な動きが今進められているわけでございますから、そうした状況を私どももできるだけバックアップしていこうではないかという姿勢で中東和平問題にはこれまでも積極的に取り組んでまいりましたけれども、これまで以上にまた取り組んでいく必要があるし、そのことが、ひいては今委員御指摘のようなテロ対策、広い意味のテロ対策の一環になるであろうということを私も確信しているところであります。

 ことしに入ってからだけのことについて言いますと、私は、一月にイスラエル、パレスチナ両方を訪問いたしまして、それぞれの首脳に会い、平和の実現のためにそれぞれが努力してもらいたいことを話してまいりました。また、ことしの一月以降だけではありますけれども、一億一千万ドルの対パレスチナ支援も行っておりますし、五月にパレスチナのアッバース自治政府大統領を日本にお招きいたしました。小泉首相と大変いい会談をやっていただいた、こう思っております。

 シャロン・イスラエル首相の訪日も実現すべく働きかけをやっているところでございますが、両者を一遍に同時に日本でお呼びをして平和会議というアイデアもないことはないのでありますけれども、なかなか言うべくして難しい点もございます。それぞれの国の首脳の日程というものがあるのだろうと思いますけれども、できればそういう方向に向けても努力をしていきたい、こう思っております。

 いずれにいたしましても、これも息の長い取り組みを必要としているところでございまして、私どもとしては、今委員が御指摘のように、日本が深いかかわりをさほど持ってこなかったがゆえにできる部分と、またやれない部分と、実は両方あるのだろうと思います。

 それともう一つは、特にパレスチナについて言いますと、私どもの政府特使として有馬元大使が現在も活躍をしていただいておりますけれども、有馬さんの話によりますと、日本の戦後の復興というものにパレスチナは大変学びたいという気持ちが強いんだということをいつも言われます。それは、先方の要人と話をすると、日本の復興に我々も学んで国づくりをやっていきたいんだ、決してパレスチナの一部にあるような暴力的な動きだけがパレスチナ人のすべてではないんだということをよく言うわけであります。

 そういう意味からも、日本が独自の役割を果たすことがこの中東和平問題で可能なんだろう、こういう思いで取り組んでまいりたいと思っております。

鈴木(馨)委員 非常に前向きなお言葉をいただきまして、しっかりと見守っていきたいというふうに思っております。

 多少話はかわりますけれども、今申し上げましたのはテロ組織をイスラム社会からいかに切り離すかという面で、長期的に見れば金と人の流れを切り離すというのが一番大事なところかな、そういうふうに考えるわけです。

 主に人の面を見てきたわけですが、もう一つ、金の流れをいかにとめるか、資金源、資金の流れというものからいかにテロ組織を締め上げていくかといったような考え方も非常に重要かと思いますし、これについてはいろいろと国際的な取り組みというのもされてきたかと思いますけれども、そういったところについて、これまでの具体的な取り組みやその成果について伺えればと思います。

河野政府参考人 お答えいたします。

 資金面の締め上げということですが、テロ資金の規制ということは、テロリストの活動を根元から封じるという視点から、国際的なテロの防止、根絶のために最も重要な柱の一つであると考えておりまして、さまざまな国際的な取り組みが行われておりますし、日本も主体的に参画しているわけでございます。

 例えば、我が国としては、九・一一事件の後には、テロ資金供与防止条約を締結するとともに、他のG8諸国と協調しつつ、世界各国に対してこの早期締結を呼びかけてまいりました。昨年の十二月には東京でテロ資金供与防止条約締結促進セミナーというのを開催いたしまして、東南アジア諸国などを対象に、我が国における条約締結の経験を紹介するなど行って早期締結を呼びかけたといったところがございます。

 それから、資金の凍結措置についてでございますけれども、関連の国連の安保理決議に基づきまして、現在、安保理の制裁委員会により指定されたタリバン及びアルカイダ関係者など四百五十五の個人及び団体に加えて、そのほかのテロリストなど二十七の個人、団体、総計四百八十二の個人及び団体に対して資産の凍結措置を講じております。

 また、我が国としては、こういったテロ資金源対策に関する国際的な取り組みについても積極的かつ主体的に取り組んでおりまして、二国間会議の場、G8あるいは国連、そのほかさまざまな国際的な枠組みを活用しながら、途上国を含めた幅広い協力体制の構築に取り組んできておりまして、この姿勢を引き続き維持したい、そういうふうに考えております。

鈴木(馨)委員 どうもありがとうございます。取り組みを伺いまして、非常に心強く思っております。

 多少また話は飛んでしまうんですが、二〇〇二年の暮れでございましたか、イエメン沖で北朝鮮船籍の船舶が発見された。いろいろと、ミサイルがどうとかそういった報道があったように記憶しておるんですけれども、先ほどの質疑におきましても、自衛隊のインド洋における活動の中で、ほかの諸国との間でいろいろそういった情報のやりとりといったようなものもされているというような話も伺いました。

 その中で、北朝鮮とイスラム系のテロ組織の間の何らかのつながりですとか、もしくは、これはアメリカが非常に気にしているところではあるんですけれども、北朝鮮から第三国もしくは第三者、テロリストとかそういったところになると思うんですが、そういったところに、核関係物質、核兵器といったものが流出する可能性についての懸念につきまして、多少、今話せる範囲で構いませんので、伺えればというふうに思います。

町村国務大臣 いろいろな情報収集、私どももやっております、必ずしも十分であるかどうかわかりませんけれども。ただ、現時点で、北朝鮮が特定のイスラム系のテロ組織と何か緊密な連携にあるとかいった確固たる情報に接したことはございません。また、北朝鮮が持っていると言われている核兵器が、テロリスト等第三者向けに渡ったという情報にも今の時点では接していないわけでございます。

 ただ、いずれにしても、北朝鮮によります核の拡散を防止するということは大変重要なことであろう、こう思っております。だからこそ六者協議の重要性というものが指摘されるわけでございまして、この六者協議の成功に向けて、今後引き続き、さまざまな会合が開かれるわけでございますが、私どもとしても全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。

鈴木(馨)委員 どうもありがとうございます。

 さて、時間も押してまいりましたので、次に、今回の法案でございますけれども、延長の期間についての質問をさせていただきたいと思います。

 その前提として、先ほど多少関連の質問もほかに出ておりましたけれども、インド洋における自衛隊による給油活動についての諸外国の評価、もしくは、実際に運用上、例えば自衛隊による給油がないと、どの程度米軍の作戦、運用等に支障が出るのか、そういったところについての簡単な認識を伺えればというふうに思います。

大野国務大臣 委員は二〇〇一年九月十一日にワシントンにおられたということでございますけれども、私は、当日、サンフランシスコ平和条約五十周年記念の行事でミネアポリスにおりまして、ホテルをチェックアウトした途端にニュースを知りました。その中で、ブッシュ大統領が、これは新しい戦争だ、そして、国境のない戦争というようなことをしきりに言っておりました。

 そのとき、いろいろな議論がありましたけれども、私が一番感じましたのは、テロというのは、いつ、どこから出てくるかわからない、そして、仮にニューヨークで起こったとしても日本人の大勢の犠牲者が出る、国際的に協力して撲滅していかなきゃいけない、こういう国際協力というのはテロ撲滅のための本当に大事な考え方だなということを強く認識したところでございます。

 そういう意味で、今委員が御質問になられました、国際的にどう評価されているんだ。一々申し上げるとこれはいっぱいございますけれども、アフガニスタン大統領、ブッシュ大統領それからライス国務長官、町村外務大臣におっしゃっています。ストロー英外相その他いっぱいございますけれども、私自身の経験でいいますと、例えばラムズフェルド長官から、テロとの闘いにおける日本との協力は大変重要である、アメリカもこれをよく認識しており、大変感謝しておるということがございました。また、シーファー大使との会談でも随分と評価してくれておりまして、特にパキスタン問題に大使は言及しておりました。

 そういう意味で、国際的な評価は大変大きいものがありますけれども、これはこれまで何度かお答えしておりますので簡単に申し上げますが、やはりMIOの活動の効率性に大変効果を上げている。寄港回数が減りますから効率性に寄与している。それから、給油には高い技術と能力が必要ですが、日本の自衛官はそれを見事に果たしている。そして、補給艦をたくさん持っている国というのはアメリカ、イギリスぐらいですから、日本という国が補給艦を五隻持って大変このことに有効に参加している、こういうような問題があります。

 そういう意味で、この日本の活動というのは大変各国からも評価されておりますし、効果的な活動をしているものと私は信じております。

鈴木(馨)委員 どうもありがとうございます。実際にそのように高い技術が評価されていると聞きまして、非常にその重要性に思いをいたすところでございます。

 ただ、テロとの闘いの重要性、ここは私も、先ほどみずからの体験も申し上げましたが、そこに何ら疑義を挟むところではないのでありますが、日本の外交戦略、ここに一言申し上げられればと思います。

 私が思いますには、日本の外交戦略というのは、それぞればらばらなトピックをやっていくのではなくて、やはり一つ、国益という軸、国益の追求を軸として総合的に立てていくものであろうというふうに思うわけであります。

 現状、周りを見渡しますと、北朝鮮ですとか中国、国連問題、事実上、問題は山積でございますし、これは特に同盟国であるアメリカの協力等も得ないとなかなか日本の思うような解決というのが非常に難しい状況にあるのかなというふうに、国際情勢を見渡して思うところでございます。

 そこで、アメリカの一方的な善意ですとかボランティア的な親日的な態度、そういったところに頼っていて本当にいいのかなというところを私はかねがね疑問に思っておる次第でございます。

 あえて申し上げますと、ここは極論ですので多少不適切な表現もあるかと思いますが、今大野長官おっしゃいましたように、日本のインド洋における自衛隊活動がある意味非常に高く評価されているという状況であれば、アメリカも含めた諸外国としては、撤退してほしくないな、下世話に言えばそういった気持ちというのは非常に強いのかなというふうに思うわけであります。

 そこで、それを、日本の外交上のほかの対外的な政策における何らかの果実をとるための有効なカードという認識を持つのも非常にあり得る考え方なのかなと思いますし、私個人としては、外務省、外交というのは失敗が許されない、国益を確保する、これは失敗が許されない。ゲームと言うには余りにシビアな業務なわけですから、そのぐらいは考えた上で戦略的な外交というのをしていただきたいというふうに思っている次第であります。

 そういった観点からしますと、今回、延長幅を二年でなくて一年にしたということによって多少の効果も出てくるわけであります。それは何かといいますと、二年間の延長幅ということであれば、よほどの事態がない限り自動的に継続されてしまう。一年にした場合には、一年後には自主的に日本として見直しをして、延長をしっかりと正当化できるような理由を見つけなくてはいけない。逆にそれは対外的にもそういうことは言えるわけでして、日本の国民が納得いかないんですと。

 まあこれは仮の話です、本当に全く仮想の話ですけれども、例えばあえて具体的に言えば、国連安保理の問題、いろいろございますし、そういったところで日本に積極的に協力していただけなければ、これは国内世論はもちませんよ、そういったプレッシャーをある意味ほかの国にもかけられる。そういった意味で、この見直しの時期というのは二年ごとよりも一年ごとの方が、そういったカードとしての価値は上がるのかなというふうな認識も持つわけであります。

 今回、ほかのいろいろな御判断もあったのだとは当然認識しておりますけれども、そこは承知しておりますが、そういった意味で、対外政策上、国際的な総合的な外交戦略上のカードとしての価値を高めるという意味も今回の延長幅一年とされた理由にはあると考えてよいのか、そういったところを一言御見解を伺えればと思います。

町村国務大臣 私ども外務省は、どうも委員のように余り戦略性がないのかなと思って今反省をしていたところでございますが、今回の一年を外交カードとして使うという意識は、率直に言って、ございませんでした。

 国際的なかかわりについて申し述べるならば、仮に今ここでテロ特措法をやめてしまう、こうした活動から日本ひとりが脱落するということが持つむしろ国際的なネガティブなインパクトというものは大変大きなものになるであろうなということを私どもはまず第一に考えたところでございまして、テロ対策をむしろ強化していかなければいけない、あるいはアフガニスタンに対する支援をさまざまな形で強めていかなければならないという折に、一つの大きな手段であります自衛隊の存在というものをみすみす手のうちから落としてしまうということは、やはり日本国として適切な選択ではなかろう、こう考えまして今回この一年延長というものをお願いしているところでございます。しかし、委員から貴重な御示唆をいただきましたから、今後よく考えてみたいと思います。

鈴木(馨)委員 若輩者にしては大変生意気なことを申し上げまして、失礼いたしました。

 私も、派遣しているということ自体が持つ戦略的な意味というのは非常に大きいと考えておりまして、その観点からも、いろいろと今後とも活動を続けていただければなというふうに考える次第でございます。

 最後に、時間も押してまいりましたので一問だけ。今回、対象地域ということで、パキスタンについて伺いたいと思います。

 パキスタンという国は、冷戦期以降、中国の友好国という位置づけでいたことが非常に長いわけであります。また、最近のインドの経済、軍事両面における台頭ということから、南アジアの地域が中国の戦略上非常に重要な地域となっていることは容易に想定されるわけであります。同時に、日本としても非常に重要な地域であるわけですけれども、日本の外交戦略を考える上で、中国がどういう戦略で今後動いてくるのか、そういったところも多少は考えないと、誤った外交政策を打ってしまう可能性も出てくるのかなというふうに危惧するわけであります。

 そこで、今回の地震、本当にある意味、ちょうどそういったスタンスがわかるトピックではございまして、トピックと言うと非常に不謹慎でございますけれども、そういった状況でございますので、ここのところの中国の首脳部の例えばパキスタンに対するコメントですとか、あとは、今回実際にパキスタンに対して出した援助の人、物、金、その内訳等、そういった情報からいろいろ分析をされて、今後の中国の対南アジア政策というものについて何らかの御見解等があれば、分析等があればお聞かせ願えればというふうに思います。

町村国務大臣 委員御承知のように、中国は今非常に国際的に活発な外交活動を展開しているわけでございまして、特に地理的な問題からいえば、インド洋にいかに出やすい環境といいましょうか、これをつくっていくのかということに大変な力を入れている。そういう意味で、周辺国外交とでもいうんでしょうか、これを活発にやっております。一つはASEAN、なかんずくミャンマーの方を通じて出ていくこと、それから、インド、パキスタン方面というのがあり得るんだろうと思います。

 そういう意味で、今回のパキスタンの地震について、中国はパキスタンに対して、緊急援助隊であるとか物資の援助、それから六百二十万ドルの支援表明を行っております。そういう意味で、大変積極的な地震対策支援ということで取り組んでいるようでございます。

 そういうことを見据えながら、私どもとしても南アジアは大変重要な地域であるということで、ことしの四月、総理自身もインド、パキスタンを訪問するなど、あの地域の重要性というものを認識しておりますし、今回私どももさまざまな形で、二千万ドルの支援を含めてパキスタンの地震対策というものにも取り組んでいるところであります。

 何も中国と一対一で競り合うという意識ではなくて、日本にとっては日本から見た重要性というものもあるわけでございまして、そういう意味で、この地域の安定というものをしっかり念頭に置きながら積極的な外交を展開していかなければいけない、このように考えます。

鈴木(馨)委員 時間となりましたので、これで終わらせていただきます。ありがとうございました。

船田委員長 次に、松本洋平君。

松本(洋)委員 自由民主党の松本洋平でございます。新人でございます、何分よろしくお願いをいたします。

 残された時間も少なくなってまいりましたので、重複されました質問に関しましては割愛させていただきながら進めさせていただきたいと思います。

 まず、質問の冒頭に、テロ並びに地震等災害によりまして被災者となられました方々に対しまして心からお見舞いを申し上げたいと思います。

 特に、先般発生いたしましたパキスタンの地震におきましては、死者が三万九千五百人、またけが人が六万五千人というような非常に大きな被害となっているわけでございます。こうしたパキスタンの地震におきまして、我が党自由民主党といたしましては、先日、有楽町の駅前におきまして、武部幹事長、そして安倍幹事長代理、中川国対委員長を先頭といたしまして、また私ども八十三名の自由民主党新人議員の大勢が参加をいたしまして募金活動をしてきたところでございます。そして、その中におきまして、国民の皆様方からの助け合いの心といいますか、そうした温かいお気持ちを私自身非常に強く感じてまいった次第でございます。

 また、昨年は、新潟の中越地震が我が国におきましてはありました。私が選挙区としております東京十九区というところは、西東京市、小平市、国分寺市、国立市、四市で構成をされております。新潟中越地震の直後に、各市一時間半ずつ、合計六時間しか時間がとれなかったんですけれども、自由民主党の仲間たちと一緒に募金活動を実施しました。その際、六時間の募金活動の中で、六十万円を超える募金をいただけたわけでございまして、こうした活動を見ましても、こうした実績を見ましても、我が国日本というのは本当に助け合いの心にあふれた国だということを強く感じたわけでございます。私たち国民のこうした気持ちの上に、ぜひとも政府がリーダーシップをとりまして、このパキスタン地震被災者の皆様方に対しましての救援活動をさらに進めていっていただきたい、そのように考えているところでございます。

 さて、パキスタン地震に関連いたしまして、一つだけ御質問をさせていただきたいと思います。

 先般、一部報道によりますと、このパキスタン地震におきましてビンラディン氏がどうも死亡したんじゃないか、そういう報道が一部なされておりました。これに関しましての御見解をお聞かせいただきたいと思います。よろしくお願いします。

町村国務大臣 十一日付のドイツの大衆紙、ビルトという新聞ですか、これが、今委員御指摘のウサマ・ビンラディンが死亡したのではないかという報道をしたようでございますが、私どもとして、これが確実な情報であるということを確認できるには至っていないところでございます。

松本(洋)委員 あくまでも、本当に一部の新聞報道がされただけで、正式発表等は何もされていないところでございます。ビンラディンが死亡したからこれでテロが終わるかといえば、そういう問題ではないのは重々承知しております。しかしながら、この情報が非常に大きなインパクトをもたらす可能性があるのではないかということで、あえて御質問をさせていただいた次第でございます。

 また、先ほどの質疑の中におきまして、パキスタンの地震によりまして、アフガニスタンそしてパキスタン国境付近で行われておりますテロ掃討作戦に関しましては特に影響が出ていないようだ、その後も粛々とその活動が続いているというような御答弁が外務大臣からなされていたところでございます。

 こうしたテロ対策という観点からいたしましても、パキスタン地震に対しましての我が国の支援、ぜひとも強化をしていただきますように一言申し添えさせていただきます。

 続きまして、アフガニスタンの情勢に関しましてひとつ御質問をさせていただきます。

 先ほど来、OEFを中心といたしまして我が国日本が貢献をしてきた、そういったことに関しましての御質問が各委員からされてきたところでございます。もちろん、国際社会、一致協力しての支援活動というものは極めて重要でございます。しかしながら、私は、その根本には、アフガニスタン政府によります自分たちの努力での政治情勢の改善というものが何としてでもその一番の根本になければならない、そのように考えているところでございます。

 そういった意味合いにおきまして、アフガニスタンの政治情勢に関しまして改めてお伺いさせていただきますと同時に、カルザイ政権の基盤強化のために、地方軍閥の解体等々の問題、アフガニスタン政府はいかように取り組まれているのかをぜひとも教えていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

町村国務大臣 去る九月十八日にアフガニスタンの国会の下院選挙それから県議会選挙が行われまして、開票には多少時間がかかるようでございますが、結果は今月下旬以降確定をする。それを受けて、新しい本格的な議会が十二月には開会をする予定だそうでございます。

 そうなりますと、昨年の新しい憲法制定、大統領選挙とあわせて、一連の政治プロセスというものは完了するということになるわけでございまして、それはそれで大変すばらしいことであるということで、私どもも高く評価をしているわけであります。

 ただ、治安情勢その他、非常に不確定な要素、不安定な要素も多々あるのは先ほど来から申し上げているとおりでございまして、こうした問題に彼らがどこまできっちりと取り組むことができるか。カルザイ大統領というのは、私もお目にかかりましたが、なかなか魅力的な、かつ能力の高い大統領であるとお見受けをいたしましたが、リーダー一人がしっかりしていても、問題は、それを支える言うならば行政機構がどこまでしっかりしているのかというと、まだまだそういう面で不十分な点もあるようでございまして、そうした点が次第に整備をされてくると彼らの統治能力ももっと高まってくるんだろう、こう思います。

 今お尋ねの軍閥でございますが、これは軍閥出身者から成ります旧国軍兵士の武装解除、動員解除、社会復帰、DDRと呼んでいる部分でございますが、これは約六万三千人の武装解除が完了し、そのうち約六万人が社会復帰過程に入った。この分については日本が国際的なイニシアチブをとってやってきた部分でありまして、ここは非常にうまくいった仕事だなということで評価を得ているところであります。

 ただ、これ以外にも非合法の武装集団というものがあるようでございまして、千八百十グループ、約十二万七千人いるということのようであります。これらの者を正業につけるというのは、これはなかなか難しいんだろうなと想像ができるわけであります。しかし、こういう人たちが麻薬取引でありますとかあるいは人身売買等に関与しているのではないか、こう言われているわけでございます。

 したがって、こうした人たちの武装解除、正業に復帰をするというようなことは、アフガニスタンの長期的な安定、発展のためにはどうしてもやらなきゃならない重要な仕事であろう、こう思っておりまして、今後、国際社会と協力をしながら、武器の回収でありますとか、あるいはその対価としての地域開発を推進していく、いろいろな努力を積み重ねていきましてアフガニスタン政府の努力を支援していかなければいけない、このように考えております。

松本(洋)委員 ありがとうございます。まだまだアフガニスタンが抱える国内情勢というのは非常に大きなものがありまして、そのためには国際社会の協力が必要不可欠というようなこと、よくわかりました。

 その上での今回のテロ特措法一年延長という話であるわけでございますけれども、テロ特措法が今回一年延長ということに関しましては、先ほど来さまざまな議論がなされてきたところでございます。しかしながら、今回、二年から一年と延長期限を半分にしたということは、私は大変評価に値することではないかというふうに考えているところでございます。大野長官も先ほど、この一年間の間に自衛隊が撤退できるような状況が生まれるかもしれない、そういったお話もされておりました。

 また、この二年から一年という期限の短縮という問題に関しまして言えば、ある意味、政府にとりましてはハードルを上げたとも言えなくもないわけでございまして、その分、我々立法府のチェックをするような、そういった機会が多くなるわけでございます。

 もちろん、私も一般法にする方がいいんじゃないかと思っているような人間ではございますけれども、その状況にはない今の我が国の状況下におきましては、やはり二年から一年に短縮というのは非常によろしいことなのではないか、そのように思っているところでございます。

 その一年延長でございますけれども、ということは、当たり前のことですけれども、一年後に期限を迎えるわけですけれども、その際のこの法律の取り扱いにつきまして、どのような判断をされるのかというのをぜひともお伺いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

井上政府参考人 お答えを申し上げます。

 今回、テロ対策特別措置法の期限を一年延長させていただきたいというふうに考えておるところでございますけれども、その期限後どうするかという取り扱いでございますが、当委員会におきましても官房長官の方から御答弁がございましたけれども、アフガニスタンにおきますテロリスト掃討作戦等の進捗状況、同国の内外の情勢、国際社会によるテロとの闘いへの取り組みの推移、我が国として果たすべき役割等、種々の要素を総合的に勘案いたしまして、我が国として主体的に判断する必要があるものと考えているところでございます。

松本(洋)委員 今回の延長に際しましても、当然、政府は慎重な上にも慎重な審議を重ねられて出された、そういった結論だというふうに信じているところでございます。

 そういった意味合いにおきましては、ぜひとも、一年後にもしこれを再度延長するというような形になるにしても、さらなる慎重審議をしていただきまして、そして、ぜひとも私ども立法府に対しましても十分な情報をお与えいただけ、よりレベルの高い審議ができるような、そういった状況をつくることにさらなる御協力をいただければというふうに思っております。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 次の質問に移らせていただきます。

 こうした国際社会におきますテロへの取り組みがございまして、テロ勢力というのはだんだん弱まってきた。しかしながら、これが世界各国にだんだんと分散をされるような結果になっている、そういった各委員からの質問もあったところでございます。そうしたことから、これから先、テロ対策におきましては、本当に全世界一致いたしましてその対策を実行するということが極めて重要なことになってくると思っております。

 午前中の審議の中でもお話がございました、テロ対処能力が低い国に対しましてキャパシティービルディングの支援というようなことを我が国日本はこれまで行ってきたわけでございます。しかしながら、そうした取り組みの中におきまして、先般、バリ島におきますテロ事件が発生したわけでございます。

 そうした意味合いも含めまして、この我が国が実施してきましたキャパシティービルディングの支援についての内容、評価、そしてアジア各国に対しましてのテロ対策への取り組みに関しまして御質問をさせていただきたいと思います。よろしくお願いをいたします。

河野政府参考人 おっしゃるとおり、近隣のアジアとの協力というのは極めて大事なことだと思っておりまして、そういった中で、特にキャパシティービルディングと申しますか、いわゆる人材の育成を通じて、専門家の派遣あるいは研修員の受け入れ等を通じて、ODAを通じたキャパシティービルディング支援ということが重要だというふうに心得ております。そのような考えに基づいて、我々は東南アジアの諸国を中心として、さまざまな分野でそういったODAを活用しているというのが現実でございます。

 具体的にどんな分野かと言われれば、例えば航空の保安であるとか、出入国の管理であるとか、あるいはテロ資金対策であるとか、さまざまな分野にODAを通じた協力を続けてきているということでございます。

 また、加えまして、アジアとも協力しながら、国際社会の大きな流れの中で、東南アジアもアジアの一員として一緒になって動いていくということも重要でございます。例えば、そういった政治意思を示すという意味では、昨年の十一月には、日本とASEANの首脳会議の際に、国際テロリズムとの闘いにおける協力に関する日本とASEANの共同宣言というものを出して、国際社会と連帯してこのテロの問題にアジアも一緒になって取り組むといった姿勢も示してきているところでございます。

松本(洋)委員 アジアの安定化というものは、本当に我が国にとりましては生命線とも言えるような、そうした大切な地域であるというふうに考えているところでございます。そういった意味合いにおきまして、我が国におきましてテロ対策のためにできることはぜひとも何でもやっていただきたい。まさにそれこそが我が国の国益に非常にかなう重要な問題ではないかというふうに私自身は強く感じているところでございます。

 自衛隊のようないわゆるハードパワーの支援ももちろんございますけれども、こうしたキャパシティービルディングのようなソフトパワーの支援というものも、ぜひとも我が国におかれましてはこれからより一層認識をしていただきまして、積極的な取り組みをしていただきたい。また、こうした取り組みに対しましてぜひとも国民が理解できるような情報公開といいますか、そういったものも含めた対応というものをよろしくお願いいたしたい、そのように思っているところでございます。

 もう残された時間も本当に少ないので、ちょっと駆け足ですが質問をさせていただきます。

 先ほど、質疑の中におきまして、日本国内におけるテロ対策ということで御質問がございました。そして、それに対しましては、引き続き日本国内において、テロを未然に防ぐような、そういった対応を一生懸命やっていくというような御答弁があったかに思われます。しかしながら、先ほど申し上げましたように、バリ島でのテロ事件におきましては、邦人の死亡者が出たわけでございます。

 そこで、我が国におきます在外邦人に対するテロへの安全確保の取り組み状況に関しまして御質問をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。

谷崎政府参考人 お答えいたします。

 外務省は、テロ関連情報というのを、いろいろ広範囲な情報収集に努めております。情報としましては、危険情報、それからスポット情報、このスポット情報と申しますのは、具体的な事件等を踏まえて、迅速に海外渡航者等に注意を喚起する情報でございます。さらには、テロの概要、そして爆弾テロのパンフレット等を外務省のホームページに載せております。

 これらの情報をいかに伝達するかということでございますけれども、まず旅行者への情報提供ということでは、この外務省のホームページの情報を旅行者に提供するよう旅行業者に要請をしております。また、さらに、大手旅行業者との間では、定期的に外務省との間で連絡会を開催いたしまして、常に新しい情報を提供するように努めておるところでございます。

 御質問にありました在留邦人への情報提供でございますけれども、これにつきましては、在留邦人へ大使館からメール等で送付しておりますし、さらに、在留の企業との間で安全対策連絡協議会というような方法で、新しいテロに関する情報を提供するようにしております。

 いずれにしましても、テロの情報の内容、さらには伝達方法という点につきまして、よりきめ細かい対策を今後も続けていきたいというふうに思っております。

松本(洋)委員 我が国の国民が海外におきましてテロに巻き込まれ、そして命を落とすというのは本当にあってはならないことでございます。そのためにできる手段というのはぜひともいろいろと講じていただきたい、そのように思います。

 最後になりますけれども、一つだけ御質問をさせていただきます。

 ちょっと通告とは順番が後先になってしまっている部分があるんですけれども、以上のような観点から、私も、ぜひとも、テロ根絶のために我が国ができることは何としてでもやっていかなければならない。そのためには、このテロ特措法を通じまして、我が国ができる協力というものはやっていく、そして、テロの撲滅に対しまして、我が国が一定の役割をきちんと果たしていく、こうしたことは極めて重要なことだと思っているわけでございます。

 今回のテロ特措法がこれで通りました場合には、一年間活動が延長されるわけでございます。そうした、テロ特措法が一年延長された場合につきまして、防衛庁長官の決意を最後にお聞かせいただきたいと思います。よろしくお願いをいたします。

大野国務大臣 ただいま松本委員から、テロ特措法、一年間延長がなされた場合と御質問でございますが、ぜひとも早く国会を通していただいて、延長のほどよろしくお願いいたします。

 もう細かなことは申しません。日本の活動によりましてOEF・MIOの活動が本当に効率的に行われるようになっている。それから、日本の給油技術というのは高く評価されて、日本の海上自衛隊、この活動に本当に貢献しております。また、補給艦を持っている国というのは数少ないものですから、そういう意味でも日本は高く評価されている。こういうことでございます。

 ただ、私は、国際的には評価されているけれども、日本の国内でまだまだ我々の海上自衛隊の隊員が行っている活動が理解されていない、広報の不足もあるかと思います。ために、例えばフリーガスステーションとか、あるいは効果がないとか、どこに効果があるんだとか、そういう議論が出てくるわけでございまして、こういう意味で、私は関係国にもっともっと情報を提供してほしいということを言っておりますけれども、国民の皆様にもこの意義を十分御理解いただきたい。

 その上で、私は、テロを地球から追放するために、防衛庁長官として、日本が国際社会の責任ある一員、ぜひともこのテロ追放活動に有効に参加させるべく、自衛隊の諸君にも頑張ってもらいたい、そしてまた、国民の皆様にも御理解いただきたい、家族の皆様にもどうか安心して活動できるように、自衛官の安全確保に十分留意しながら、ぜひともこのテロ活動に海上自衛官の諸君が大いに貢献するよう、私といたしましても最大限頑張ってまいりたいと思っております。

松本(洋)委員 もう時間が参りましたので、最後に一言だけ申し述べさせていただきたいと思います。

 今、防衛庁長官から決意がございました。今のこの時間も灼熱の海上で作業をされている自衛官の方がいらっしゃいます。また、イラクを初め、各国、全世界に散らばりまして、我が国民の負託にこたえ、そして世界平和を実現するために一生懸命汗を流して活動されている自衛官、そして家族の方々がいるわけでございます。こうした方々に対しまして心の底から敬意を表しますとともに、ぜひとも政治がそうした皆様方の御期待に沿うような活躍といいますか、そうしたことをしていかなければならないということでございまして、私もこれから一生懸命頑張ってまいりますことを心からお約束申し上げまして、私からの質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

船田委員長 次に、丸谷佳織さん。

丸谷委員 公明党の丸谷佳織でございます。

 最後の質問になりましたので、きょうの六時間にも及ぶ質問の中でなるべく質問の内容が重ならないようにというふうに考えながら質問させていただきたいと思います。

 まず冒頭、通告申し上げていないので大変に恐縮でございますけれども、本日、小泉総理が靖国に参拝をされたという件で外務大臣にお伺いをさせていただきたいと思います。

 今回の参拝については、小泉総理は公的なものではないということでいろいろな工夫をされたのであろうというふうに思いますけれども、なかなか外交面では、特にアジア各国から理解をいただけるところというのは果たしてどこまでなんだろうかというふうに思います。

 今月の二十三日また二十四日、外務大臣は訪中をされる御予定だというふうにお伺いをしております。今回の小泉総理の靖国参拝が、この大臣の訪中、外相会談あるいは訪中の日程自体に影響を与えるのではないかと心配するところでございますけれども、この点について外務大臣の方から、御答弁いただけるところを御答弁いただきたいと思います。

町村国務大臣 この週末にかけまして、先方外交部長と久しぶりに話し合いをしてこようかな、こう思っていたところでございます。まだ日程が必ずしも最終的にフィックスした状況ではなかったわけでございます。私どもの方からこれをどうこうするつもりはございません。先方から何か考えがあれば言ってくるんだろうな、こう思っておりまして、先方の反応いかんであろう、こう考えております。

 私としては、こういう問題がというか、こういうことになったからこそ、逆に私は、外務大臣同士の率直な話し合いがむしろ必要なのではないだろうか、こういう期待を持っているところでございます。

丸谷委員 ありがとうございました。

 外務大臣、日中間にはエネルギーの問題あるいはさまざまな問題が今本当に深刻に横たわっております。ぜひ外務大臣の訪中における会談が成功裏に終わるように、私どもとしては期待をさせていただくわけでございます。と同時に、小泉総理に対しましては、追悼施設の建設も含めまして、外交面での配慮、あるいは総理の、英霊のみたまにこうべを垂れたいというその思いが本当にかなう形で、だれもが認めていただけるような形でかなうように、熟慮を重ねていただきたいということを申し上げさせていただきたいと思います。

 ではまず、先日パキスタンで起きました地震について幾つか質問をさせていただきます。

 十月の八日にこの大地震が発生をしたわけでございますけれども、まず一点目、自衛隊派遣の時期についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 この自衛隊派遣の決定、命令、そして実際に派遣をし、現地に到着をし、きょうから物資の輸送等で現地で活動されているというふうにお伺いをしておる次第でございますけれども、この一連の流れをとらえて、いろいろな見方をされる方がいるのも事実でございます。一方では、スマトラ沖の津波の災害のときから比べると非常に短い、スマトラ沖のときの派遣を教訓にして今回は非常に対応が早かったという評価がある一方で、八日に地震が発生して十七日に物資輸送を自衛隊として現地で行っているわけですから、やはり遅いのではないですかという御意見が聞こえてくる次第でございます。

 この今回のパキスタンの地震発生から実際に現地で救援活動をするまでの派遣期間というのをまずどう考えるのかという点と、また、これは国際援助法ですか、要請主義にのっとって行っているということから、これはもうぎりぎりのところで、一番最短の時間の中で今回は現地に赴くことができたという考え方もあるわけでございますけれども、もし実際に現地で救援活動をするまでの期間が長いというのであれば、この要請主義というものをどう考えるのかという点も一点あると思います。また、要請主義は要請主義ですから、要請主義が前提にあるままで、どのように現地に行くまでの時間を短くしていくか。

 この三点について、今後考えていく必要があると思いますけれども、防衛庁長官のお考えをお伺いさせていただきます。

大野国務大臣 まず、今回のパキスタン地震に対する自衛隊の派遣のスピードの問題であります。

 スマトラ沖地震・津波の場合には、ちょうどインド洋で活動いたしておりました海上自衛隊の艦船が通り過ぎたところで、私どもは直ちにこの艦船に対して引き返すように指示したわけでございます。したがいまして、大変早い派遣ができました。このことにつきましては、タイ等の国防大臣から私のところへ直接感謝の電話がかかってまいりました。

 今回でございます。第一に考えなきゃいけないのは、現地のニーズが何であろうか、現地で何が必要なんだろうか。十月八日に発災いたしましたけれども、そのときの情報では、まず物資と金銭、こういうような情報でございました。しかし、九日にムシャラフ大統領の話、ステートメントによりますと、これはヘリコプターとブルドーザーである、ヘリコプター輸送とブルドーザーである。これはぜひとも日本で早急に考えて準備しなきゃいけない、こういうことでございました。

 ただ、ブルドーザーということになりますと、ブルドーザーを搬送していくには一カ月ぐらいかかります。我々は船ですから、一カ月かかります。我々は、ヘリコプター輸送ということで絞って考え始めております。

 十日にそれをはっきりさせまして、十一日に準備命令、それから十二日に派遣命令、こういうことになるわけでありますが、その間に、今先生御指摘の、自衛隊はやはり実力部隊、実力組織でありますから、どうしても勝手に行くというわけにはいきません。現地パキスタン政府の了解をもらわなきゃいけない、こういう手順が一つあります。

 最後に残りますのは、今度は、いかに早く現地にヘリコプターを持っていくか。実際には、十三日、十四日出発で、UH1ですけれども、ヘリコプター三機、それからC130という輸送機をやはり四機持っていっております。そういうことで、C130の一機に対してヘリコプターは一機しか入りません。それは、なぜというよりも、まず解体をして、そしてこん包をして積まなきゃいけない、こういうことがあります。そこまで順調にもちろんいっておるわけでございますけれども、あとは、どういう経路で、安全性とか時間とかそういう問題が残ってくるわけであります。

 最初、大変安全に確実にということで案をつくってまいりましたのが、三泊四日という案でございました。そうすると、十三日に派遣いたしますと、最初の便が十六、二つに分けて派遣しておりますから、次の便、二陣目が十七日に着く、こういうことでありましたけれども、私は、発災後の災害救援というのは一刻を争うことであるからというので、何とか短縮できないか、再検討してもらいました。その結果、安全航路でとにかく効率的に搬送していくということで、二泊三日ということに一日短縮できたわけでありますけれども、これはやはり自衛官に大変負担がかかる話でございます。

 C130というのも、五トン近くの荷物を積みますと、足がせいぜい四千キロぐらいになってしまいまして、そして全体の経路が七千キロぐらいなものですから、どうしても時間がかかってしまう。この点はやはり、午前中にも質問が出ましたけれども、もっともっと効率のよい、足の長い搬送手段を今後考えていかなきゃいけない、こういう反省は残ります。

 さらに、ヘリコプターUH1というのは、荷物をせいぜい〇・五トン程度しか積めません。ですから、現地へ行ってもっともっと活動できるようなことも考えていかなきゃいけないなと思いますし、また、現地からの要望をよく聞いてみますと、ヘリコプター、せっかく送ってくれてありがとう、しかし三機では不足だな、こういうような声も聞こえてまいります。それに対してこれから十分に対応していかなきゃいけない、そういう宿題もあります。

 スピードという点で振り返ってみまして、やはり相手の情報、ニーズを的確に把握する、それから要請を早く受ける、それから何とか工夫して現場に持っていく時間を短縮していきたい、この三点だと私は思っておりますけれども、今回は外務省と十分連携しながらできるだけ早い時間帯で派遣できたな、私自身としてはそのように思っております。

丸谷委員 では、実際にパキスタンでの復旧作業についてお伺いをさせていただきたいわけでございます。

 十月の八日に地震が発生をして、現場では、大地震で死者の数も三万人以上に上るというふうなぐあいで、迅速かつ適切な救援策が当然求められているというふうに考えております。ムシャラフ政権が、迅速かつ適切な救援ニーズに、国民にこたえることができなければ、残念ながら、パキスタンというのは政情が不安定になってくる。後に議論をさせていただきます不朽の自由作戦における海上のテロ阻止活動においても、日本とパキスタンは密接に協力をして行っているということを考えても、テロ対策の面、また当然パキスタンの国民の皆様のためを考えても、パキスタンの復旧作業というのは急いで適切にやらなければいけないというふうに考えております。

 日本にとってパキスタンの復旧作業の意味というのは、復興作業、復興というのは非常に大きな意味を持つと考えますけれども、この点は外務大臣、どのようにお考えになり、今後の支援をどのようにされていくおつもりなのか、お伺いいたします。

町村国務大臣 日に日に死者がふえていくという状況、三万八千人、この勢いでいくと四万人を超えるかという大変悲惨な事故であることが日を追って明らかになっていくわけでございます。谷川外務副大臣、現地視察を終えて帰られたようでありますので、きょうの夕方、話を直接聞こうかな、こう思っているところであります。

 九日には緊急援助隊の救助チーム、そして十日には医療チームを派遣したこと、また物資面の協力、さらには資金面の協力、二千万ドルの資金協力というようなことなど、また、今お話しになった自衛隊の活動などなどでございまして、さまざまな活動をやっているところでございます。

 こうしたことが私は、やはり地域情勢がどんどん悪くなると、これがまたテロの温床になっても、政府に対する不満がテロ活動に、直接的な影響はまだ出ていないと思いますが、今後そういう事態の悪化というのが起きないようにするためにも、地震対策をしっかりやっていくということが大切なんだろうと思います。

 今後どういうふうにやっていくのか。また、国際的な機関の要請というのも出てくると思います。私どもも、二千万ドルのうち、千二百万ドルは直接パキスタン政府の方にお渡しをする、八百万ドルは国際機関を通じてと、一応そういうふうに仕分けをして対応していくことを決めておりますけれども、今後、こうした被害の拡大状況を見きわめながら、さらに必要な追加的な対応もやらなければいけないのかなと思っております。様子を見ながら、また現地の報告を聞きながら、しっかりと対応してまいりたいと考えております。

丸谷委員 では、続きまして、テロ対策特別措置法の改正について質問をさせていただきます。

 国際テロ組織アルカイダが九・一一にニューヨークで同時テロを行ってから、各国と協力いたしまして、我が国としてもテロ対策に取り組んできました。もう四年近い月日が流れるわけでございます。

 この間、不朽の自由作戦によりまして、実際にアルカイダの国際ネットワークはかなりのダメージを受けたというふうにも言われておりますけれども、しかしながら、残念なことに、G8中のイギリスでの同時テロ、またインドネシアのテロ等を見ていますと、ネットワークの消滅というところにはいっていないというふうに私は認識をしております。その意味において、今回の延長というのは必要な延長であるというふうに考えます。

 ただ、この海上阻止活動におきまして、実際には、ことしの九月から護衛艦二隻だったものを一隻にし、また給油の実績も最大時に比べてもかなり下がっております。最大時は油を補給した金額が月額十三億円でございましたけれども、ことしは大体一月一億から二億円の油の補給の実態となっております。

 このことをとって、実際にこの海上阻止活動をしている場所の安全性が向上したというふうに考えていいのでしょうか。また、自衛隊の補給のニーズが低くなったと考えるべきなのでしょうか。この点をお伺いします。

大野国務大臣 まず、給油量の変遷でございます。

 当初に比べまして、先ほども御説明申し上げましたが、始まった当初の六カ月とそれから最近の六カ月とを比較いたしますと、給油量は確かに八分の一程度に減ってきております。ただ、注目すべきは補給回数ですね。補給回数の方はほとんど減っていません。比較いたしまして、九割程度でございます。つまり、それはどういうことを意味するかというと、我が国の海上自衛隊の補給艦が補給する相手の艦船が小さくなってきている、このことを意味しているものでございます。また、先ほども御説明いたしましたけれども、補給艦に対する補給というのが数少なくなってきたということでございます。

 また同時に、日本の態勢でございますが、二〇〇一年十二月からの発足当時には補給艦二隻それから護衛艦三隻、そしてまたその後は補給艦一隻、護衛艦二隻という態勢を組んでおりましたが、今回の見直しによりまして、一隻・一隻態勢というふうに縮小はできております。

 なぜ縮小できたのか。これは、非常になれてきた、そして、お互いにいろいろな相手国と相談するのに、通信でやりとりできるようになった。例えば、一度港に寄ってみんなで集まって調整しようというようなことがなくなってきておる、このように理解いたしております。

 ところで、たびたび御説明はいたしておりますけれども、日本のこのような活動というのは、各国艦船が寄港する、港へ立ち寄って補給を受ける、この回数をうんと減らすわけでございまして、活動の効率性に大変役立っておりますし、それから、日本の技術というのはこの活動に大変貢献をいたしているわけでございます。

 また、そのほかのバックグラウンドとしては、補給艦を持っている国が割合少ないという問題もありますけれども、いずれにしましても、諸外国の艦艇がインド洋上においてテロとの闘いの一環として行っているこの海上阻止活動というものが、テロリストや武器など関連物資の海上移動を阻止するということによりまして、テロの脅威が世界各国に拡大することを抑止しているわけでございます。

 こういう抑止力並びにもう一つ、実際にどういう効果があるかといいますと、一例だけで申しわけございません、長くなりますので一例だけ申し上げますが、それは、これまでに麻薬等でいいますと六千キログラムの麻薬を捕獲している。これは、末端価格でいいますと五百億円程度になる。このような実績プラス抑止力、こういう両面の効果があるわけでございます。

 いずれにいたしましても、自衛隊がこのような活動を行っていることにより、テロ活動の抑止並びに実績について大いに貢献している、そのことを私はもっともっと国民の皆様の御理解を得たいな、このように思っております。

丸谷委員 ありがとうございました。

 私がお伺いしました、実際の海上の安全性が向上したのかどうか、あるいは自衛隊のニーズが低下したのかどうかということに関しては、今の御答弁の中から考えますと、これは、安全面は依然脅威があるということで、自衛隊の参加する意味もあり、またニーズというものも低下していないという受けとめ方をさせていただければいいのかというふうに考えます。

 では、続いて、今回延長します期間が一年ということでございます。今まで二年にしていた、ところがことしは、今回は一年延長するということで、二年ではなく一年にしたからには、この一年後のビジョンというのを政府はお持ちなのではないかと考えます。

 というのは、自衛隊を撤退するかどうかは一年後の状況を見て考えるということになると思いますけれども、一年後に不朽の自由作戦がすべて終わっているということはないでしょうし、テロ対策もすべて終わっていることはないと思います。この一年後の我が国のテロに対する取り組み方のビジョンというのを、延長期間を一年という短い期間にしたからには今から持っていていただかないと私は困ると考えるわけでございますけれども、これからこの一年間、テロ対策についてどう取り組むのか、また、一年後の日本のテロ対策に参加するありよう、この展望をどのような形で持っていらっしゃるのか、この点についてお伺いをいたします。

細田国務大臣 いろいろな思いも込めまして、これまでの二年単位でなく一年にしているわけです。したがって、これからいろいろな情勢変化等も踏まえまして、そして日本の果たすべき役割も考えながら適切に対応してまいりたいと思っております。

 その中には、今、議員がおっしゃいますようなさまざまなことも検討をしていかなければならない。最も効果的な対策をとるべきでありますし、また、日本としては、あの九・一一テロの被害者でもありますので、これは断固アフガン地域のテロリズムに対しては対決していかなきゃならないという思想が片方であるわけでございますが、あとは各国の態勢その他を考慮していく、こういうことでございますので、お酌み取りいただきたいと思います。

丸谷委員 海での活動、例えば一年後にやめるとしたら、では今度はどのような形でアフガニスタンの安定に寄与していくことができるのか。陸なのか空なのか、あるいはODA等々、人的な貢献も含めて、これから一年間、これはしっかりと見きわめてまた議論していかなければいけないと考えておりますので、この点も今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

 では最後に、もう時間がなくなりましたので、イラクの情勢についてお伺いいたします。

 ちょうど先日、憲法草案に対する国民投票が行われたばかりでございます。この国民投票に関しては、無事に行われるのかどうか、また、全国十八県のうち反対票が三分の二を超える県があるのか、何県あるのか、この点が非常に心配をされていたところでございますけれども、報道によると何とか無事に終わったものと思っております。

 この憲法も承認されそうな状況でございますが、直近の外務省がつかんでいる情報をお伺いさせていただきたいと思います。また、今後、十二月に議会選挙等あると思いますけれども、今後の政治プロセスについても、今わかっているところで見通しをお伺いいたします。

吉川政府参考人 現地時間で十月十五日、イラク全国で憲法草案に対する国民投票が大きな混乱なく行われました。テレビでも放映しておりましたが、皆さん、列をつくって、投票した人は指にインクをつけておりました。一月の選挙では投票をボイコットいたしましたスンニ派の地域でも、非常に高い投票率が報じられております。

 現在、投票結果はイラクの独立選挙委員会が集計中であります。きのうの発表ですと、暫定的な投票結果が十七日、イラク時間のきょうですが、もしくは十八日にでも発表されると伝えられております。丸谷先生御指摘ありましたように、出口調査のようなものでは、スンニ派が多数を占めております三つぐらいの県があるんですが、そのうちのアンバールとサラハディン、サラハディンはサダム・フセインの出身地ですが、この辺では相当反対数が多いんじゃないかということが伝えられております。今のところ、どういう結果になるかはこの結果を注視してまいりたいと思っております。

 この後、可決されますと、安全保障理事会の決定や基本法によりますと、十二月十五日までに国会選挙が行われます。これは新しい憲法に沿っての国会の選挙が行われ、その結果をもちまして、早ければ年内、現実には多分年を越えると思いますが、本格的なイラク政権が成立する、こういう運びになっております。

丸谷委員 イラク特措法の基本計画の中に四点記されておりまして、一点目には復興の進展状況、そして二点目には政治プロセスの進展状況、三点目にはイラク治安部隊の能力と現地の治安の状況、そして四点目には多国籍軍の状況等を踏まえて我が国として活動については判断をしていくということが書かれているわけでございますけれども、憲法もでき、そして国民投票も終わり、議会もでき、来年の一月ぐらいには本格的な政権ができる。政治プロセスにおいては状況がかなり大きく変わってきたと思いますけれども、実際には、イラクの治安の状況についてはなかなか見えてこないところがございます。

 報道を見ていましても、十月十二日のニューズウイークに載っておりましたけれども、実際にこのイラクの治安の状況の報道をしておりました。治安を維持するために武装勢力ですとか民兵を正規のイラク軍あるいはイラク警察に移行していくという計画が、もう二年ぐらいたつけれども、実際にはなかなか順調に移行していない。また、各県の地方自治体とその武装勢力が結託をして、中央の、治安維持のための協力というのがなかなか実行できていない等の報道もされているわけでございます。

 こういった治安状況はまだまだ今後も見きわめていかなければいけないと考えておりますけれども、今、対立するようなスンニ派もシーア派も、実際には憲法草案の投票には行って、そしてみずからの意思を示すことができたので、イラクは一安心かなという気はするものの、今申し上げたような形では、各県によって治安状況が大きく違うということでございます。現在自衛隊が活動している南部の県においては、もうすぐイラク人に治安活動も移譲できるという話もございますけれども、治安は実際どうなのか、最後にお伺いをいたします。

大野国務大臣 サマワでございます、ムサンナ県でございますけれども、このところ一貫して申し上げておりますのは、他の地域に比べますと治安情勢はよい。一例で申し上げますと、例えば、多国籍軍で事件に遭って殺害、殺されてしまった者、これはムサンナ県で二名でございますが、全体でいいますと千数百人、二千人近い数になっております。事案発生件数も、見ておりますと、落ちついているとはなかなか言えませんが、予断は許されませんが、ほかの地域に比べますと随分件数は少ない、このことは言えます。

 ただ、問題は、例えばIED、簡易爆弾とかあるいはロケット砲が自衛隊に向けて飛んできたじゃないか、こういう問題がありますけれども、この背景を探ってみても、これは日本相手に、日本目がけて撃ったんだということがわかりません。そういう意味で、なかなか断定的に言うわけにいきませんけれども、サマワの治安情勢は他の地域に比べて良好である、このことは言えると思います。

 そういうことで、先ほども申し上げましたけれども、例えば治安権限の移譲に向けた共同委員会等も始まっております。政治プロセス、治安の状況、これは国際的にそういう問題で考えているわけですが、日本にとりましては、人道復興支援をやっております。これはほかの国と違うところでありまして、人道復興支援をやっている。

 ですから、私どもはやはり実力組織でありますから、出口ということは十分考えておかなきゃいけないけれども、まだまだそこまでの段階ではないのかな。そして、自衛隊が撤退するときには、せっかく自衛隊がソフトパワーとしての力を発揮したわけでございますから、第二走者、つまりODA、民間による、後を走ってくださる、そういう力とバトンタッチをきちっとしてやっていけば、自衛隊とサマワの人々が築いた心のかけ橋が未来永劫に残っていくのじゃないか、こんなふうに思っております。ただし、いつどのように展開していくのかということはまだまだ言える段階ではない、このように思っております。

丸谷委員 以上で終わります。ありがとうございました。

船田委員長 次回は、明十八日火曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時十四分散会


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