衆議院

メインへスキップ



第2号 平成18年2月27日(月曜日)

会議録本文へ
平成十八年二月二十七日(月曜日)

    午前九時五十七分開議

 出席委員

   委員長 三原 朝彦君

   理事 石破  茂君 理事 岩屋  毅君

   理事 西村 康稔君 理事 松浪健四郎君

   理事 渡辺 具能君 理事 末松 義規君

   理事 伴野  豊君 理事 田端 正広君

      安次富 修君    石原 宏高君

      今津  寛君    宇野  治君

      越智 隆雄君    大塚  拓君

      金子善次郎君    清水鴻一郎君

      鈴木 馨祐君    谷本 龍哉君

      玉沢徳一郎君    冨岡  勉君

      中根 一幸君    中森ふくよ君

      丹羽 秀樹君    西本 勝子君

      橋本  岳君    林   潤君

      藤野真紀子君    馬渡 龍治君

      町村 信孝君    松本 洋平君

      後藤  斎君    神風 英男君

      田島 一成君    武正 公一君

      達増 拓也君    細野 豪志君

      山井 和則君    高木 陽介君

      谷口 和史君    赤嶺 政賢君

      阿部 知子君    野呂田芳成君

    …………………………………

   外務大臣         麻生 太郎君

   国務大臣

   (防衛庁長官)      額賀福志郎君

   内閣官房副長官      長勢 甚遠君

   外務副大臣        塩崎 恭久君

   防衛庁長官政務官     高木  毅君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  井上 源三君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  下川眞樹太君

   政府参考人

   (防衛庁防衛参事官)   西山 正徳君

   政府参考人

   (防衛庁防衛局長)    大古 和雄君

   政府参考人

   (防衛庁運用局長)    山崎信之郎君

   政府参考人

   (外務省大臣官房長)   塩尻孝二郎君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 鶴岡 公二君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 梅田 邦夫君

   政府参考人

   (外務省中東アフリカ局長)            吉川 元偉君

   政府参考人

   (外務省経済協力局長)  佐藤 重和君

   政府参考人

   (外務省国際法局長)   小松 一郎君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           長谷川榮一君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        近藤 賢二君

   衆議院調査局国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動並びにイラク人道復興支援活動等に関する特別調査室長        田島 秀男君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二十七日

 辞任         補欠選任

  江渡 聡徳君     丹羽 秀樹君

  土井 真樹君     馬渡 龍治君

  宮澤 洋一君     林   潤君

同日

 辞任         補欠選任

  丹羽 秀樹君     江渡 聡徳君

  林   潤君     宮澤 洋一君

  馬渡 龍治君     土井 真樹君

    ―――――――――――――

二月九日

 自衛隊のイラク派兵の中止に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第三〇三号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動並びにイラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動等に関する件


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

三原委員長 これより会議を開きます。

 国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動並びにイラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動等に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官井上源三君、内閣官房内閣参事官下川眞樹太君、防衛庁防衛参事官西山正徳君、防衛庁防衛局長大古和雄君、防衛庁運用局長山崎信之郎君、外務省大臣官房長塩尻孝二郎君、外務省大臣官房審議官鶴岡公二君、外務省大臣官房参事官梅田邦夫君、外務省中東アフリカ局長吉川元偉君、外務省経済協力局長佐藤重和君、外務省国際法局長小松一郎君、経済産業省大臣官房審議官長谷川榮一君及び資源エネルギー庁資源・燃料部長近藤賢二君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

三原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

三原委員長 この際、政府から説明を聴取いたします。防衛庁運用局長山崎信之郎君。

山崎政府参考人 イラク人道復興支援特措法に基づく自衛隊の部隊の活動状況について、お手元の資料に基づきまして、要点を御説明いたします。

 まず、現在、陸上自衛隊のイラク派遣部隊は、安全確保に十分配意しつつ、ムサンナ県内の各所において、学校の補修、道路整備、浄水場の補修等を引き続き実施しておりまして、これまで最大で一日当たり一千百人程度の雇用を創出しております。また、医療支援活動についても、継続して実施しております。

 昨年十二月十九日以降のサマワ市周辺情勢につきましては、十二月の二十一日、一月の二十一日、英軍と現地のサドル派部隊と見られる関係者との間で、手りゅう弾が投げられる、あるいは小火器射撃を受けるというような事故がありましたが、両者に被害はなかったということを確認しております。

 また、二月の二十二日、二十三日、例のサーマッラーおきますシーア派の聖廟爆破に基づきますスンニ派とシーア派との小競り合いあるいは衝突につきまして、サマワにつきましてはそういう小競り合いはございませんで、デモは発生をしておりますが、自衛隊の活動については、安全確保に十分配意されつつ、通常どおり活動を実施しておりまして、きょうに至るまで被害等は報告をされておりません。

 航空自衛隊については、総計二百七十三回、約三百六十九トンの輸送を行っております。

 引き続き、恐縮でございますが、お配りの資料の地図がございます。陸上自衛隊のムサンナ県内における活動状況等を示しております。学校、道路、PHC等につきまして、主としてサマワあるいはルメイサ、ワルカ、ヒドルといったところが大きなところでございますが、補修につきましては、実施済みあるいは実施中のものをわかりやすいように図示してあります。御参考にしていただければと思います。

 以上でございます。

三原委員長 次に、外務省中東アフリカ局長吉川元偉君。

吉川政府参考人 最近のイラク情勢に関して御報告申し上げます。

 まず、政治プロセスでございますが、昨年十二月の十五日に国民議会選挙が大きな混乱なく実施され、その最終結果が二月の十日に発表されました。定数が二百七十五議席でありますが、シーア派、統一イラク連合が百二十八議席、クルドのクルド同盟が五十三議席、スンニ派、イラク合意戦線が四十四議席となっております。

 二月の十二日、この第一党であります統一イラク連合が、現在のジャファリ首相を新政府の首相候補に選出しております。我が国は、幅広い政治勢力を包含した新政府が早期に発足することを期待しており、種々の機会を通じまして、バグダッドにおります鈴木敏郎大使がイラク政府の要人に働きかけを行ってきております。二月の二十二日には、麻生外務大臣が、ジバリ外務大臣と電話会談で同じような趣旨を伝えております。

 この週末にかけての動きですが、二月の二十二日、イラク中部のサーマッラーで、シーア派の神聖な廟、モスクと墓地があるところですが、これが爆破された事件を契機にいたしまして、幾つかの地域で、宗派対立が背景にあると考えられる事件が発生しております。事態の拡大を防止するため、二十三日から、バグダッドとその近隣の県においては外出禁止令などが講じられております。

 我が国としては、今回の事件がイラク国内での報復の連鎖につながらないことを希望しており、二十三日には、小泉総理から大統領、首相あてにメッセージを発出しております。

 イラク全体の治安情勢につきましては、地域により脅威の度合いは異なっておりますが、さきに述べました事件もあり、依然予断を許さない状況が継続しております。

 他方で、次のような幾つかの前向きの動きも見られます。

 まず第一点は、イラク治安部隊は、昨年一月に十三万人でしたが、本年二月十五日には二十二万八千人となっておりまして、NATOや各国の支援もあり、強化されております。

 第二点として、現在では、多国籍軍に対する武力勢力の攻撃は、バグダッドを初めとする中部地域、北部の一部、いわゆるスンニの三角地帯に限定されてきております。

 第三点、昨年十二月の国民議会選挙が大きな混乱なく実施されたことも、イラク治安部隊が強化されていることのあらわれではないかと見ております。

 なお、サマワの情勢につきましては、予断は許しませんが、イラクの他の地域と比較して安定しているという状況に変化はございません。

 以上で報告を終わります。

三原委員長 これにて説明は終了いたしました。

    ―――――――――――――

三原委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。西村康稔君。

西村(康)委員 自民党の西村康稔でございます。

 きょうは、今御説明ありましたイラク情勢、特に自衛隊の撤収についての考え方と、それから、日本の中東政策についてぜひ議論をさせていただきたいというふうに思っております。撤収につきましては、この後、公明党の田端議員も御質問されるそうですので、全体で総括的な話をまずさせていただければというふうに思います。

 時間がありませんので、早速質問に入らせていただきます。

 まず、自衛隊のイラクからの撤収についてなんですけれども、新聞報道もさまざま憶測記事も含めてなされておりますし、週末でしょうか、ロンドンで実務者の四カ国の協議が開かれたというようなことも書かれておりますけれども、どのような状況になれば撤収をしていくのか、ぜひ防衛庁長官にお伺いしたいと思うんです。

 今御説明もありましたけれども、治安の状況、治安部隊、アメリカは二十七万人ぐらいこの夏までにつくらなきゃいけないというようなことを言っているようでありますけれども、現実まだ二十二万八千人、二十三万人弱というところ、治安がイラクの政府によってしっかりと守られるのかどうか。

 それから、ある意味ではその前提となるイラク政府、本格政権がしっかりとつくられていくのかというところも、議会の召集も少し延期をするような報道がなされておりますし、そのあたりをどのように見るのか。

 あるいは復興の状況も、自衛隊は非常に地元からも、イラクの方々からも、サマワの人たちからも評価をされて、いろいろな調査によれば、例えば共同通信のアンケートでは、地元の方々の六六%、三分の二が引き続き自衛隊にいてほしいというようなこと、継続活動を望んでいるという状況。非常に評価をされてはいますけれども、自衛隊とそしてODAと合わせて、例えば必要な学校の修復で見ると、まだ三分の一ぐらいしか修復できていない。

 そのような状況等々いろいろな状況を見ながら判断されていくんだろうと思いますけれども、ぜひ、どういう状況判断によって撤収の判断をしていくのか、その点につきまして防衛庁長官にお伺いしたいと思います。

額賀国務大臣 今西村委員が御指摘のように、この二年余り、自衛隊は、陸自、空自ともども、文字どおり、イラクという本当に厳しい環境の中で、イラクのイラク人による復興のために汗を流してきておりまして、さまざまな分野で高い評価を受けていると思っております。御承知のとおり、医療関係とか学校のこととか道路のこととか、それぞれ、インフラ整備あるいは生活環境のために大いなる貢献がなされたものと思っております。

 これは石破長官も、送り出した責任者でありますけれども、その中で、例えば医療関係では、新生児の死亡率が当初と比べると三分の一に激減をしている、きれいな水が供給されていることが背景にあると思っておりますし、病院でもいろいろな設備が整って、バグダッドまで行かなくても市民の健康が保たれているとか、さまざまの貢献が、効果が、成果があらわれているというふうに思っております。かといって、委員御指摘のように、サマワ、ムサンナ県の生活状況が完璧によくなってきているわけではない。

 そういう意味では、地元の方々も、ぜひ自衛隊に引き続いて踏みとどまって仕事をしてほしい、貢献をしてほしいという要望は強いものがあるわけであります。

 一方で、多国籍軍の現地の治安部隊に対する教育、育成というものは着実に進んでいると思っております。今おっしゃるように、二十三万人弱のイラク全体の治安部隊、そして、ムサンナ県においても六千人、サマワ地域においても、これは、この地域の治安部隊を育成してきた英国、豪州軍の皆さん方、ことし一月にリード国防相とお会いしましたけれども、国防相の話によりますと、着実に現地の治安部隊の教育は進んでいる、英国、豪州軍としては、権限を移譲しても心配ないくらいであるという評価をしておりました。

 そういう中で、我々も、このサマワ、ムサンナ県においては、現地の地方政府あるいは民間の方々が、我々の援助がなくなってもしっかりと自立できるような経済環境、社会環境ができることが最も望ましいわけでございます。自衛隊のこういう人道復興支援の後に、民間人の方々あるいはボランティアの方々、あるいはイラク人による行政府だとか民間企業の方々、地域の方々が継承していく、そういうバトンタッチがスムーズにできることが望ましいというふうに思っております。

 政治状況も、昨年の暮れの選挙の後、本格政府がつくられようとしている重要な時期でございます。私どもは、そういう政治プロセスあるいはまた治安の状況、さまざまのことを総合的に考えながら、自衛隊の役割というものを、引き続いてしっかりと行動していきたいというふうに思っているところでございます。

 英国軍、豪州軍、アメリカ軍と密接に連携をとりながら、これまでの成果が引き続いてイラクの復興に役立つような環境づくりをする中で今後のことを考えたいというふうに思っております。

西村(康)委員 ありがとうございます。ぜひ、引き続き復興に向けてやれる範囲のことを最大限やっていただくとともに、各国との協調の中で撤収というタイミングになれば、それはそれで安全にぜひ撤収をできるようにその環境もしっかりと判断をしていただければ、こんなふうに思いますので、よろしくお願いいたします。

 その復興についてなんですけれども、これまで自衛隊の活動とそして無償協力によって着実に実績を上げているわけでございますけれども、今後、イラク政府が自立をして自分たちで復興をしていくという中で、日本の円借款が非常に重要な役割を果たすんだろうというふうに思っております。

 既に、三十五億ドルの最大用意をするということも表明されているようでありますけれども、日本がこのODA、例えばアジアの地域でいいますと、これだけアジアが発展してきたのは、日本の円借款、ODAによってインフラをつくり産業を興してきたということ、それから、日本の技術を積極的に移転し、技術協力、あるいは人材を育ててきたというところでこのアジアの驚異的な発展を遂げてきたんだろうと思いますけれども、この日本の最も得意とするインフラの整備であるとかあるいは人材育成、技術協力、こういった面をぜひイラクでこれから積極的に行うべきじゃないかというふうに思いますけれども、その円借を含めたODAの今後の方針について御意見を伺えればと思います。

塩崎副大臣 ただいまの西村議員から御指摘のとおり、このイラクの復興に対しては、まずは無償、そして切れ目なく円借につなげていくということで、イラクの足腰が強くなるようにということで、既に二〇〇三年の十月に、まとめて五十億ドルお約束をしてきたところでございます。

 無償につきましては、今お話にございましたように、インフラを整えるということが大変大事だという話でありましたが、ただいま、例えばJICAであるとかの調査を通じ、そしてまた、JBICももちろん円借でありますから調査を重ねているわけでありますけれども、政府とも話し合いをしながら、この三月末に向けて何とかプレッジが行えるように、いろいろな分野で、電力であるとか運輸であるとかかんがいであるとか、それから、お話がありました工業の面での、例えばセメントとかあるいは肥料とか、こういった基本的な産業における支援をできないかということで、今、年度末に向けて検討しているところでございます。

 そして、今、人づくりの話がございましたけれども、これも、既に延べ千二百人以上に上って、技術者や行政官についてこれまで支援をして技術指導をしてきたわけでありますけれども、今後、特に行政の足腰が強くなるということが経済を自立的に強くする意味でも大事なので、特に、これまでの分野に加えて、中央、地方の行政機関の人的な能力アップにつながるような支援をしていこうというふうに考えているところでございます。

西村(康)委員 ぜひ、日本の得意とするところのノウハウもうまく活用していただいて、イラクが自立できるような仕組みをつくり上げていただければ、協力をしていただければというふうに思います。

 いろいろ質問をしたいんですけれども、時間がありませんので、中東政策を幾つかちょっと御質問させていただければと思うんです。

 イランでありますけれども、これも、週末幾つか報道がなされて、ロシアと合意をしたというような報道もなされておりますけれども、日本の中東政策の中で、特にイランは、石油を一五%も日本は輸入をしているわけでありますし、非常に友好的な関係にある。例えばアザデガンについても、これは、大変な埋蔵量のある油田の権利を日本は持っているわけでありまして、非常に密接な関係にある。

 ただ、一方で核問題については、これはこれで、各国とも、国際社会とも協調しながら毅然とした態度をとるべき、これは当たり前のことでありますけれども、ロシアの提案、これは日本政府として基本的に支持をされていると思いますけれども、ロシアとイランが合意をし、ロシアの国内で濃縮活動をする、これは国際的な監視のもとでするということであれば非常にいい方向で議論が進んでいるんじゃないかと思いますけれども、そのことも含めて、イランとの関係をどうしていくのか。特にこのアザデガン油田、日本にとっては非常に大事な権益だと思います。いろいろな国際社会との協調はもちろんですけれども、エネルギー安全保障の観点から、ぜひこの点についてはできる限りいい形で開発を進めていくべきじゃないかと思いますけれども、外務大臣の御意見をいただきたいと思います。

麻生国務大臣 今、西村先生御指摘のありましたとおり、日本にとりまして、イラン、アラブじゃなくてこれはペルシャですから、イランとイラクと、たった一字でも全然あれが違います。このイランという国というのは、人口も六千八百万ぐらいの人口がありますので、非常に大きな国、しかも石油の埋蔵量が極めてでかいところでありまして、日本にとりましても輸入物としては三番ぐらいかな、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、イラン、三番目ぐらいに大きいんだと思いますので、他の、例えばアメリカ初め、ここから一滴も石油の取引がない国に対して、日本の場合はここに関係があるというのは事実として私ども認識をしておかないかぬところだと思っております。

 また、アザデガンの話がありましたけれども、これももう長い話ですけれども、この話、もうどうやら緒につきつつあるところだと思いますので、これは進めていかないかぬということは事実だと思っておりますが、傍ら、これによって向こうはある程度収入を得ることになりますので、その収入が核開発につながっていく資金源になるという懸念というのは、他国から持たれることも覚悟せないかぬところでもありますので、私どもとしては、そこらのバランスが物すごくとりにくい、難しいところだと思っております。

 先月、一月の十八日だかに、モッタキという外務大臣、もともと日本に五年ほどおりましたので、この人と電話で話をして、情報としてはいろいろかなり孤立した感がありますので、日本に来て第三者の意見も聞いたらどうという話をして、きょう日本で会談をすることにいたしております。

 それまでの間に、今、ロシアからの提案等々があっておりますのは事実と思われますけれども、その内容につきましては確認がまだとれているわけではありませんので、原子力長官とロシアの方の局長との間の会議が行われたという報道だけは一部されておりますけれども、合意に至ったとか、もし仮に至ったとしても、その詳細な内容について全くまだ私どもとしては報告をきちんとされておりませんので、よくわかっていないところであります。

 いずれにしても、こういった形でIAEAの意見を無視してかなりの長きにわたって隠密裏にやっておったというのは、国際的に見てもいわゆる信用をなくしているというところだろうと思いますので、そこらのところがあるとなかなか進まない話だと思いますので、私どもとしては、今回の外相会談を通じて、国際情勢をきちっとよく本人にわからせることと、今これをやるということにとりましての相手の国にとっての損得、もちろん、隣国にとりましても、また輸入しております私どもにとりましても、そういったところをきちんと話し合いをしなければいかぬところだと思っております。

西村(康)委員 御指摘のとおりで、非常に難しい状況にあるとは思うんです。それから、我々日本として、アメリカとの関係、あるいは国際社会との協調、これも非常に大事な話でありますけれども、ぜひしたたかに、日本の国益を実現すべく積極的な対応を、イランの説得も含めて、アザデガンの油田の推進も含めて、お願いをしたいと思います。

 今、外務大臣、麻生大臣から石油の売買の話もありました。中東との関係でありますけれども、産油国と消費国で、単なる石油の売買、日本は石油を買っているからこの国は大事だ、あるいは向こうも売っているから大事だということだけではなく、資源のやりとりだけではなく、もう少し包括的な幅広い経済関係、信頼関係を築いていくことが大事じゃないかと思うんです。

 特に、これまで日本の得意とするODA、先ほど御指摘させていただきましたけれども、ODAも、原油価格が上がっているために、小さな産油国まで含めて大分資金はあるものですから、お金は要らない、それから、日本からの投資も場合によっては要らない、金はあるんだというようなことになっている中で、外交ツールが限られてきておりまして、その中で、FTA、EPAというのは非常に大事な役割を果たしているんじゃないかと思います。

 これも報道にもなされておりますけれども、GCC諸国との間でFTAを推進するということで、非常にそのこと自体は評価をさせていただきますし、ぜひ進めていただければと思いますけれども、その中でも特に、これはアメリカも、バーレーン、カタールと個別に交渉、アラブ首長国連邦ともやっているように、あるいはシンガポールなんかも個別にやっていますけれども、もちろん、GCC全体との関税の引き下げを中心としたFTA、これは大事でありますけれども、プラスアルファは、バイで、二国間でそれぞれ信頼関係を築いていく。それぞれの国で経済社会の事情が違うと思いますので、それぞれの国に対して、日本の持っている、先ほどの技術協力であったり人材育成であったり、いろいろなことができるんだと思いますので、ぜひこのバイのFTAも、FTAと呼んでいいのか、むしろEPAという包括的な方がいいのかもしれませんけれども、進めていただければと思います。

 その点についての外務大臣の御意見をいただきたいと思います。

麻生国務大臣 御指摘のとおりで、これらの国々とバイの関係ということで、EPAの御指摘がありました。御存じのように、農業関係の難しさがないところですから、その面はほかのアジアの国々等々とは少し違うんだと思いますが、今、これを進めるべく、過日も外務省の中の省議でその方向ということで指示をいたしております。

 西村先生、どうでしょう、マレーシアとこの間終わりましたけれども、こういった委員会で仮に審査をしていただくと、大体これぐらい書類が一カ国について出ます。皆さんの机にこれだけ積んでいただくということになりますので、これは正直、経済協力局だけで主にやって、とても人が足りませんし、これはそれで過労死でもされたらとてもたまらぬので、私どもは、今、短期的に職員を雇えるシステムをつくっていただいておりましたので、これを使って、国際法の弁護士等々を日にちを決めて雇って手伝いをさせておっても、とてもじゃないけれどもというぐあいになっておりますので、私どもとして、これを進める物理的な問題も今えらい苦にしながらも、こういったところのEPA等々を、やるべき方向で今事を進めておるということだけ御報告させていただきます。

西村(康)委員 ありがとうございます。

 ぜひ、GCC全体とともに、バイの関係も進めていただければと思います。

 インド、オーストラリアを初めとする合同演習なんかの話も御質問したかったのですが、時間をとられましたので、また次回に回させていただきます。

 ありがとうございました。

三原委員長 次に、田端正広君。

田端委員 公明党の田端でございます。

 二十二日にバグダッド北方のサーマッラーで起こった、イスラム教シーア派のアスカリ聖廟が爆破されたというこの事件は大変心配な事件だと思っておりますが、これによってシーア派とスンニ派の抗争が激しくなって、日増しに激化していっているような感じ、ニュースを見ていて感じるわけでございます。既に二百人からの人が犠牲になっているというニュースもありますし、サマワにおいても千人規模のデモがあったとも聞いております。

 こういう、予想外といいますか、今まで順調に来ていたと思われていた新しい政権の樹立に向けての流れが、ここに来てそのスケジュールを変更せざるを得ないような事態に至ったということについて、まず防衛庁長官、撤退を見据えてどういうふうに今御判断されているのか、御所見を伺いたいと思います。

額賀国務大臣 今の、田端委員御指摘のように、二十二日にイラク中部のサーマッラーで聖廟が爆破されまして、多数の犠牲者が出られました。私といたしましても、心からお悔やみ、お見舞いを申し上げさせていただきたいというふうに思っております。

 と同時に、一方で、これからいよいよ本格政府がつくられようとしているときにこういうテロ行為的な事象が出ることは極めて遺憾であり、そういうことを行った方々に対しましては強い憤りを感じるものでございます。

 我々といたしましても、本格選挙の後、それぞれの、シーア派それからスンニ派、クルド族の政党が誕生し、それぞれの会派を代表するような形で立派な政権ができることが、イラク人によるイラク人の国づくりができる最も望ましい姿でありますから、一日でも早い本格政権ができることが望まれていただけに、残念な思いがするわけであります。

 我々自衛隊が行っているサマワ地区におきましても、その余波を受けて、確かに、おっしゃるような千人規模のデモ隊が行われたということでございますけれども、これは暴力的なことではなくて平和的な動きであったというふうに承知をしておりまして、我々の自衛隊の日常の活動に影響がなかったという報告を受けております。したがって、粛々と自衛隊はこれまでのように人道復興支援活動を続けさせていただきたいというふうに思っております。

田端委員 外務大臣にお伺いしたいと思いますが、こういう事態に至って、日本としては、自衛隊の撤収という大きな課題もある中での事件であるだけに、ここのところは、政府として今どういう動きをするかというのはなかなか難しいところでありますけれども、既に、スンニ派の勢力は、連立政権あるいは連立協議というものをボイコットするような意思表示までしているわけでありますから、非常に先行きが不透明になってまいりました。だからこそ今、こういう危機を乗り越えるために政府として手を打つべきではないかと思いますが、いろいろな手だてはあるんでしょうけれども、今どういうことを手を打たれているのか。

 二十四日にロンドンで日米英豪の協議が行われたというふうにも聞いておりますが、ここでもそういった分析もされているんだと思いますし、見通しも議論されているんだと思います。また、英国及びオーストラリア軍の撤退とのこういう関係もあって、日本も当然連動して考えなければならない、こういう情勢になってきたわけであります。

 したがって、ここからこの事態をいかにおさめていくかということについては、あらゆる外交手段を使ってでもやらなきゃならない緊急事態だ、こう考えておりますが、外務大臣の御判断を、御所見をお願いしたいと思います。

麻生国務大臣 今、御存じのようにイラクでは、選挙が去る十二月の十五日に終わって、その選挙を、少なくとも、スンニ派も参加した上でのいわゆる選挙というのが既に実施をされております。それからかれこれ二カ月半ぐらいがたっておるんですけれども、政権は、いわゆるきちんとしたものが、政権のいわゆる枠ができ上がっていないというところなんだと存じます。

 ただ、この中で今どのようなことが行われているかというと、シーア派もスンニ派も一緒に入れた、もちろんクルドも入れた大連立政権というのでいかないとだめなのではないかということで、今はいろいろ運動というか活動が行われて、連立工作が行われていると言うべきなんだと思いますが、行われております。

 その中で、過日、ジバリというのは外務大臣なんですが、この外務大臣、前に十二月に日本に来て、選挙の前でしたが日本に来て、それが終わった後、今回の騒ぎが起きます前の日に電話でもう一回して、とにかくきちんとした政権をという話を、せっかく選挙が終わったんだから、その終わったのを受けて枠組みをつくらぬとという話をしておりますけれども、三月中には政権構想をつくりたいと言ったのはこの騒ぎの起きる前の日ですから、その後またどうなっているか、もう一回きちんと確認をしなくてはならぬと思っておりますが、いずれにしても、イラクの中のスンニ、シーア、クルド、とにかく三つ入れた連立政権をつくりたいという方向で今事を動かそうとしているのと、もうこっちは見捨てていっちゃおうというのとが分かれているように思っております。

 いずれにしても、アラブの中でいわゆる連邦政府というのをつくった経験は、過去アラブの国にないところにこういう憲法はでき上がっておりますので、いろいろな意味でこの憲法に基づいて初めての試みをやっておりますので、なかなか話は難しいとは思っております。

 ただ、私どもとしては、この地域が安定するというのは、我々にとりましては、この地域から私どもの石油の約七五%ぐらい、もっとか、九〇%近くを輸入していると思いますので、そういった意味では、中近東の安定というのは極めて大きな問題であります。このイラクに限らず、イラン、イラク、パレスチナ、この辺の中近東の政治的な安定、治安の回復というのは私どもにとって非常に関心の大きいところでありますので、私どもは、いろいろな形で人脈等々使って、事務官レベル、また局長レベルでもいろいろな形での交渉を他国とともにいたしておるというのが現状であります。

田端委員 小泉総理も、ジャファリ首相とかタラバニ大統領に対しても直接いろいろとお願いしているというニュースも伝わっておりますが、ぜひ、あらゆるチャンネルを使って、これは、この事態収拾に日本政府としても努力、汗をかくべきだ、こう思います。

 そこで防衛庁長官、六月以降になるともう大変な暑さで、五十度を超えるということになりますから、撤退、撤収ということになれば、その猛暑を避けなきゃならない、こう思います。そうすると非常に時間的な制約があるんだろうと思いますが、その中でこの事態が起こったために、非常に困難な状況になっているとは思います。

 そこで、仮にこの撤収に向けて決断する場合の手順というのは一体どうなっているのかということをちょっと確認させていただきますが、安全保障会議で決める、そして閣議で決定する、そしてまたイラク復興支援特別措置法に基づいた計画変更、次はこういう手順になるのかと思います。そして防衛庁長官の撤退、撤収に対する命令、こういう形で事態が動いていくのかなと思いますが、その辺のところについての流れは以上のようなことでいいんでしょうか。

額賀国務大臣 我々まだ具体的にそこまで考えているわけではありません。そして、実際に我々は、石破長官が送り出した時点から、一般論から言えば、撤収の時期のことも当然議論をし、そしてまた想定をしながら送り出しているというのが普通のことであります。

 我々は、安全を保ち、そして安全を確保するためにどうしたらいいかということについては、これまでの二年余りの経験と、あるいはまた、さまざまPKO活動や災害派遣活動等々においていろいろな体験をしておりますので、そういうことを考えながら全体的なことを考えているということでございます。

田端委員 いやいや、今のは、別にいつとかいうことではなくて、流れはそれでいいのかということを確認させていただいたんですが。

 結局、イラクの政治状況が変わって新しい政府ができる、それがおくれていく、変更になる、スケジュールが変わる、そうすると、それに伴って英国軍の撤退、撤収も変わる、オーストラリアも変わる、そうすると日本も連動して変更せざるを得なくなる、こういう私は流れになるんだろうとこう思うわけで、そういう意味では、六月以降になると五十度の世界になって撤収作業というのはできないんじゃないかという意味では、大変厳しいということを心配しているわけであります。

 それで、実はけさなんかのニュースを見てみますと、サマワの共同オペレーションセンター近くで三日連続攻撃を受けているというニュースが入ってきています。比較的安全だと言われているサマワにおいてすら今こういうふうになってきたということになりますと、英国軍は少しこれは撤退については見直すといいますか、やはり、こういう事態になってはもう少し考えよう、そういう声が上がっているニュースも出てきております。

 という意味で、そこのところは相当やはり我々が感じ取っている以上に厳しい状況に今現地はなっているんではないかなということを心配しているわけでございますが、こういう宗教対立の激化が、今後の日本の自衛隊の撤退、撤収、絡めてどういうふうに今防衛庁長官はお考えになっているのか。大変言いにくいことかもわかりませんが、しかし、ここのところは一番今国民も知りたがっているところですので、許せる範囲の中で答弁をお願いしたいと思います。

額賀国務大臣 今田端委員がおっしゃるような、サマワにおける英豪軍に対する攻撃というか小競り合いというか、そういう報道がなされているということは聞いておりますけれども、実際にそれを確認しているわけではありません。

 私は、英国軍も豪州軍も、これまで特に南東部においては、比較的治安もいいし、例えばムサンナ県それからマイサン県等々は、非常に治安部隊の教育も行き届いているので、権限を移譲しても心配ないのではないかという認識はしているものと思っておりますけれども、だからといって、何月何日からきちっと権限移譲をして撤収しますということにはなっていないというふうに思っております。その事案が起これば、それにいつでも柔軟に弾力的に対応していこうという態勢だけは整えていこうということだろうと思っておりますから、私は、状況を見ながら判断をしていくことが基本的な考え方であるというふうに思っております。

 したがって、英国や豪州軍としっかりと緊密な連携をとって、対応措置を考えていかなければならないということでございます。

田端委員 英国、オーストラリア、そしてアメリカと連携を密にして、この事態が円滑に進むようにぜひ御努力をお願いしたい、こう思います。

 さて、ちょっと一歩話を進めますが、自衛隊が撤収した後、撤収したからそれでよかったとはならないんだと思います。イラクというこの地域が、イラク人によって本当に自主的な国づくりが進んでいくように、今後も日本はやはり努力しなければならない。それは、どういう形でこの自衛隊後日本はかかわろうとしているのか、ここのところがいま一つまだ議論がされていないように思うわけでございます。

 これは外務大臣にお尋ねしたいと思いますが、日本にはODAという支援活動があるわけでありますけれども、このODAを軸にして、撤退、撤収後、イラクに対して日本はどういうことをされようとしているのか。例えば、具体的にいろいろな計画がございます。サマワの大型発電所計画とか病院の改修とか変電所の改修とか、いろいろあります。そしてまた、バスラ―モスル間千キロの携帯電話網のデジタルマイクロ波、これをインフラ整備する、これは総務大臣としてかつて決断されたことで、こういうこともありますが、しかし、なかなか、日本人が現地に、向こうに行って作業するというところまでは今の状況ではまだ決断できないんだろうと思います。そうすると、どういう形でイラクに対して支援をするのか。お金を出す、それだけでは済まないだろうと思います。

 例えば私は、アンマンならアンマンに、JICA、JBIC、そして大使館、総ぐるみの一つの共同事務所のようなものを、センターというものをつくって、そこから、治安が安定するまでまだ現地に入れないのなら、その入れない中でそういう図式をつくってイラクに対する支援活動をまず行って、自衛隊以後の復興に対しての日本のあるべき姿を国際社会の中でも示していくべきではないか、こう思っておりますが、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

麻生国務大臣 御指摘のように、イラクにおけます撤収をいつするかということにつきましては、先ほど防衛庁長官からの御答弁にもありましたように、今の段階でどうするというのは、細目決まっているわけでも全くありません。

 その上で主体的に復興計画をどうやってやっていくかという話だと思いますが、今御指摘のように、ODAを使うということで今既に総額十五億ドル、いろいろな形で決めておりますけれども、その上で、無償資金協力のほかにいろいろなものを計画いたしておるところでもありますが、治安状況がどうなるかというのと、これは物すごく、NGOが行けたり民間が行けたり、いろいろな形での状況が大分違いますので、治安状況にかかっているところは極めて大きいと思っております。

 ただ、基本的には、先ほどの防衛庁長官の答弁の中に、水の話とか幼児死亡率の話とかいろいろあっておりましたけれども、基本的なインフラの整備をきちんとやっていく必要があろうと思っております。細目につきましては塩崎副大臣の方から答弁をさせます。

 アンマンの話が出ておりましたけれども、このアンマンにつきましても、隣のところから遠隔操作というのは一つのやり方だと思ってもおりますので、私どもとしては、この支援センターという名前がどうかは別にいたしまして、いろいろな形で、ジョルダンの首都でありますアンマンからというのは、一つの重要な役割を果たせ得るところだと思っておりますので、ちょっとこの点につきましては、今後検討させていただきます。

 細目につきましては塩崎副大臣の方から。

三原委員長 塩崎副大臣、時間です、手短にお願いします。

塩崎副大臣 先ほど田端委員から御指摘のありましたサマワの大型発電所建設あるいは携帯電話の関係等々、それから病院、こういったものはすべて無償案件でありました。今先生御指摘のように、遠隔操作ということで、イラクのコンサルなどを使いながら調査をして進めてくるということでありまして、いささか隔靴掻痒の感があるわけでありますので、こういった点については、鋭意契約に結びつくべく今続けているところでございますが、今後のあり方については、今大臣の答弁のとおり、先生の御指摘を含めていろいろ考えなければいけない、このように思っております。

田端委員 では、終わります。ありがとうございました。

三原委員長 次に、武正公一君。

武正委員 おはようございます。民主党の武正公一でございます。質疑をさせていただきます。

 先ほど来、イラクの現状認識について、昨年の基本計画の変更に伴って、いわゆる政治プロセス、治安状況、多国籍軍の動向、復興状況、この四点の動向を見ながら一年間の派遣延長を決めたわけでございますが、先ほど来、現状認識についてはるる御説明をいただいておりますので、当初はこれをお聞きする予定でございましたが、次に質問を移らせていただきたいと思っております。

 そこで、各国の撤退をにらんだ状況ということをお聞かせいただきたいわけでございます。

 イタリアは、年末までに完全撤退をというようなことで、その段階的な縮小を既に発表しておりますし、二十四日にロンドンで会議があったので、このこともあわせてお伺いをしたいと思いますが、イギリスも数カ月内に段階的削減、現状は八千人ということでございますが、こうした各国の撤退をにらんだ状況、これについて、まず外務省、外務大臣でしょうか、お答えをいただけますでしょうか。

麻生国務大臣 イラクに部隊を派遣させておりました国のうち、現時点で活動を終了させた国は十三カ国でございます。現在も引き続き二十八カ国がイラクに部隊を派遣して、治安活動等々復興支援に全力で取り組んでおります。

 今御指摘のありましたイタリア、英国を含め、これらの国のうち、派遣部隊の撤収につきましては、撤収日程につきまして、これをいついつまでにという表明をしている国はないというのが現状でございます。

武正委員 ちょうど二十四日に日英米豪の会議があったわけでございますが、そのときに、当初からイギリスの撤収をにらんださまざまな発言が出ているわけなんですけれども、この二十四日の会議では、その点はイギリスから何かそういう話があったのか、あるいはそういったことも、撤収をにらんだ協議も当然議題の中に入っていたと思うんですが、この点はいかがでしょうか。

塩崎副大臣 武正議員御指摘のように、二十四日、ロンドンにおきまして日米英豪四カ国の会議がございました。しかし、中身につきましては、定期的に行っているものでもございますし、実務レベルの一般的な意見交換を行ったということでございまして、特に新たな決定を行うといったようなものではございませんでした。細かいことについては、またコメントはこれは差し控えさせていただきたいと思います。

武正委員 細かいことについてお伺いをしているわけでございますので、それを控えてしまいますと困っちゃうんですが。

 昨年、この一年間の派遣延長を決めたわけですよね。そのときには、やはり先ほど言った四条件ということを明示して、具体的には、人道復興支援活動と安全確保活動の条件には、いわゆる復興状況と治安プロセスを削除したというようなことも含めて、先ほど言った四条件、その動向を見ながら、我が国とすれば、来年の七月三十一日でしょうか、法律の期限もこれあり、一年間の派遣延長を決めてはおりますが、当然この一年間は、撤収ということを視野に、先ほど言った四条件について状況も把握をする、そして米英豪と密接な連携、連絡をとる、こういったことを当然進めているわけですので、二十四日の会議も当然そういった詳細についての話もあったわけですので、その点についてお聞きをしているので、やはり外務省としてその内容についてお答えをいただきたいと思います。再度、いかがでしょうか。

塩崎副大臣 先ほど申し上げましたように、通常から行っている意見交換ということでさまざまなことを議論しているわけでありますが、何分にもこれ、日本単独でやっているわけではございませんで、日米英豪四カ国でやっていることでございますので、具体的な内容についてはコメントは差し控えさせていただきたい、こう思います。

武正委員 そうしましたら、過日、キミット准将が、三月に日本が撤収を発表するのは今の状況から見て難しいんだというような発言が出ておりましたが、こうした点、何かアメリカの方から、そうした日本の撤収時期、三月発表の四月―六月の二段階でという新聞記事も既に報じられておりますが、この点についてやはり指摘があったんでしょうか。いかがですか。

塩崎副大臣 先ほど大臣からも答弁申し上げましたように、具体的な撤収等々についての表明をしている国はないという答弁をしたとおりでありまして、今回の二十四日の会議におきましてもさまざまな意見交換が行われたわけでありますが、とりわけ、そういった具体的な点のことについては、さまざまな意見の交換が行われたということで、それ以上の具体的なことについては、四カ国のフレームワークでもございますので、差し控えさせていただきたいと思います。

武正委員 やはりことしは、撤収もにらんだ年になってきます、大変大事な年です。そうした年で、国会でのイラク人道復興支援活動等に関する審議で政府からの説明がきちっとなされないと、その撤収をめぐっての国民に対する説明責任も果たし得ないばかりか、イラクで大変御苦労されている自衛隊員の皆様にとっても申しわけない、そういったことになりかねないわけでありますから、きちっとやはりその説明を政府からいただいて、それをこの委員会で議論をする、これがやはり基本ではないかというふうに思うんです。

 外務大臣、先ほど来、二十四日のこの話、詳細は四カ国のフレームがあるから一切言えないんだということでございますが、盛んに新聞に、三月発表、四月―六月二段階撤退とか出たり、一方アメリカから、いやちょっと待てよというような報道が、これはキミット准将のコメントとしてテレビでも流れておりましたよね。こういうようなことがメディアを通じて出されているのに、この委員会ではそうしたことについてお答えできませんということでは、この委員会の審議が深まらないわけなんですね。

 この点について先ほどから伺っているのは、各国の撤退の状況どうですかということで、実際にそれを表明した国はありません、こういうふうに言われるわけでありますが、日本の撤収プロセスをめぐって実際今どういう話がされているのか、進んでいるのか、そして、何かそれに冒頭触れた四条件の中の変化が微妙に影響を与えているのか、今まで同僚委員も指摘をしておりますこの聖廟の爆破、そして今、シーア派、スンニ派の大変な対決というようなことも出てきているわけですが、やはり説明をいま一度、この日英米豪との日本の協議内容、これについて、撤収もにらんでお答えをいただければと思います。

麻生国務大臣 四カ国での協議でありますので、その内容について各国がこういった内容でと漏らしていることはないと思いますので、日本だけが漏らすということもないんだと存じますが、いずれにいたしましても、政府としては、イラクにおけます自衛隊の今後の活動というものにつきましては、これはどう考えても、今、政治プロセスが進んでおります、政権構想に向かって。まずこの進展状況を見ないと何とも言えない。大連立ができるのかできないのかわからぬというところだとまた話も込み入りますし、また、いわゆるイラクの治安部隊というのは、二十三万までふえたというのは確かないい傾向なんだと思いますけれども、少なくとも、それがどれぐらい精強になったか、訓練が上がったか等々に関しましては、これは治安にかかわる状況として非常に大きな状況だと思いまして、これも見にゃいかぬ。

 また、ムサンナという南部等々において任務についております英国並びに豪州軍の行動、今度の行動等々がどうするのかという、多国籍軍の活動状況等々も見て考えにゃいかぬなどといういわゆる諸情勢を見きわめない限り、現地の復興状況ももちろんでしょうけれども、そういったものを踏まえた上でどうするかということで決めていかにゃならぬところなんでありまして、今、私どもとして、先ほど田端議員からも御質問がありましたように、六月になれば物すごく暑くなる等々、これはもう間違いない事実でもありますので、撤収というのは、いつの話でも撤収が一番難しいのははっきりしておりますので、そういった状況の中にあって、どのようにいわゆる現地に派遣されている隊員の負担を軽くし、かつ安全に撤収をというのは最も大きな問題だと思っておりますので、私どもとしては、この件については非常に細心の注意を払わなければならぬと思っております。

武正委員 今、三条件についてお示しをいただいたのですが、見きわめない限りということでありますが、やはりその見きわめを連日進めておられると思うのですが、今、政治プロセス、治安状況、多国籍軍の動向、それをどのように見きわめておられますでしょうか。

麻生国務大臣 物すごく難しいところです。

 私どもは、正直申し上げて、この政権が、選挙が終わって二月いっぱいぐらいには政権構想ができるんだと、電話をしながらそういった状況で思っておりましたけれども、この間の電話の状況ですと、三月と言っているけれどもどうかねというような感じがするぐらいであります。

 少なくとも、何となく、片っ方切り捨てて突っ走れというのも、結構元気のいいのも出てきているのも確かですので、そういった意味でいきますと、もう一回御破算に願いましてはみたいなのは勘弁してください、こっちはみんな期待して待っておるんだから、みんなでおたくらの国のことを心配してやっているんですからという話をして、今の外務大臣、これはクルドの人ですけれども、これはクルドだけが勝手にというわけにはいかないでしょうと言って、いや、それはそう思うと。そう思うんだけれども、同じスンニの中でまた意見が違うものですから、非常に話が込み入っている。もう武正先生御存じのとおりでありますので、この最初に申し上げましたところが一番肝心、これが一番どうやら難しくなっておりますので、ちょっとなかなか判断が私どももしにくいというのが率直なところです。

武正委員 先ほど言った三条件の見きわめがかなり厳しい状況なんだということを認識を示されたわけでありますが、ただ、先ほど言ったように、六月が大変暑くなるというこの酷暑ということについても、防衛庁の方に聞けば、暑さも八月、九月が一番暑いんでしょうか、ちょっとそれも伺わなければなりませんが、いや、でもそうはいっても、撤退は大体四百キロぐらいでしょうか、クウェートまで。そんなに暑さといってもというような話もあるわけですので、実際にその六月というのは、今一つ示された撤収の期限というふうに考えた場合、今のこの大変厳しい認識の中でどうやって先ほどの三条件を整えていくのかということだと思います。

 それで、既にこれも報道で示されているんですが、これで陸自が撤退した後に、航空自衛隊の輸送業務は継続してほしいというそんな要望がアメリカからあったとか、あるいは、それも二地域に対して拡大をというような報道もあったり、あるいは、これはまた別な観点ですけれども、バスラへの、治安、行政能力向上を目的とした新規事業、地方復興チームに参加させるよう打診していることが、これは共同電で、米政府、陸自幹部に対してということでありますが、特に昨年秋から求めてきたのだが、具体的な地名を明らかにしたのは初めて、バスラについてということも報道がされているわけです。

 このような、陸自が撤退した後に航空自衛隊、あるいはまた今の、陸自幹部をバスラにというようなことが、実際今、先ほど来の日米英豪の協議も含めて、米国政府あるいは米軍との協議の中で示されているんでしょうか。防衛庁長官、いかがでしょうか。

額賀国務大臣 暑さでございますが、十七年度ですと、五十度を超えたのは、六月に一回、七月に五回と聞いております。

 今御指摘の、空自に対する要請とか、あるいはまたバスラにおいて治安の関係で協力をしてほしいとかいうことについて、具体的な要請はありません。

 原則的にアメリカは、我々に対して政府として要請をすることはないと思います。さまざまな人が個人的な意見を述べたりそういうことはあるかもしれませんけれども、そういうことに対して我々は、自衛隊として、防衛庁として、また政府として主体的に考えていくことが大切であるというふうに思っております。

武正委員 個人的にいろいろ意見を言うということが、先ほど言った日米英豪の会議での内容は、皆さん個人的な意見の発表ということでしょうか。

額賀国務大臣 日米英豪の実務的な話でそういう話が出たということは聞いておりません。

武正委員 そうすると、今の個人的にというのはどういうことでしょうか。

額賀国務大臣 いろいろと新聞とか報道で、何々筋だとか、そういう話でいうとだれかが言っているわけですから、個人的に話を言っているのではないかということであります。

武正委員 これは仮の話になりますが、きょうは内閣官房もお見えでございますので、この法律が七月三十一日という期限を決めての法律でありますし、民主党は即時撤退を求めてきておりますので、この一年間の延長の期限の中で当然撤退を求めていくわけでございますが、仮に今のような、個人的に、あるいは報道でさる筋から、航空自衛隊の支援はさらに継続あるいは拡大を求めてきた、あるいはまた、新たに陸自がバスラに幹部の派遣というようなことを、もしこれからの協議の中で個人的ではなくて正式に求められて、それを政府として、これはもうあり得ないと思うんですが、それを受けるというような決定をした場合に、この法律の改正というものがもし必要だとすれば、どういった観点になると考えられますでしょうか。

長勢内閣官房副長官 現在、自衛隊は、イラク特措法及び同基本計画に基づいて人道支援活動及び安全確保支援活動を行っているところでございますが、今大臣からお話がございましたとおり、現時点で自衛隊をどうするか、今お話しの、御指摘の点も含めて、何ら決定をいたしておりませんので、御質問の特措法あるいは基本計画をどうするのかということについて、今現時点で私から申し上げることはございません。

武正委員 これで実際のところ、こうして協議の内容についてもあるいは進捗状況についても、イラクのこの特別委員会で実際の議論がなかなか深まらないといったところは、私はやはり、政府の説明をきちっとしていただかないと国会としての責任を果たせないなというふうに思わざるを得ないのでございます。

 改めて、これは来月でしょうか、日米豪でしょうか、外相会談ですか、外務大臣、これも三月に予定をされているようでございますが、当初の計画からは今若干いろいろ変化を来しているのを、先ほど大変苦しい胸のうちを外務大臣も示されておりますが、例えば来月の外相会談、これについてどのようなことをこの外相会談ではそれこそ話をしていく予定なのか、期待をしているのか、この点は外務大臣、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 この本来の外務大臣会議は、去る一月に行われる予定だったものであります。それが、イスラエルの状況等々を考えて延期をさせていただいたという経緯でありまして、まだ三月に正式に決まったというわけではございませんので、ちょっと今の質問に対しましては、三月というのを前提とされますと、私どもも、なるべく早くこの会議をした方がいいのではないかということを言っておりましたけれども、まだ三月いついつとかいうような形で決定をされてはいないということだと存じます。

 内容につきましては、そのときまでにまたどういう状況になっているか何とも申し上げられませんけれども、豪州もおりますことでもありますので、今の撤収の問題等々については話し合われる確率は高いということだと存じます。

武正委員 話し合われる確率は高いということですが、そうしますと、そのときに、政治プロセス、治安状況、多国籍軍の動向について、今の現状の変化というものがそのときの話し合う状況に影響を与える可能性というのはあるんでしょうか。

麻生国務大臣 影響という言葉がちょっとよく理解を、いろいろ言葉をとられるところだと思いますが、基本的な問題としては全く従来ずっと申し上げてきたとおりなので、この問題を、その情勢をどう判断するかという話の内容が行われるということだと思いますが、私ども、先ほど三点ほど申し上げましたけれども、そういったところの見方の話になるのであって、それが基本ということに関しましては変わりはないというように御理解いただければと存じます、撤収するという話につきましては。

武正委員 きょうは、先ほども官房副長官に答弁をいただいたんですけれども、お手元に、これは理事会のお許しを得て資料を配らせていただいておりますが、これからイラクへのODA、五十億ドルの残り三十五億ドル、これを特に円借款を活用して行っていく、四月からということでございます。

 外務大臣にはこの実際の内容を伺いたいところでございますが、ちょっと時間の関係もありますので、官房副長官に、このODA改革、今、安倍官房長官の私的審議会として取りまとめを行って、あしたでしょうか、最終報告も官房長官に提出されるということで、政府・与党内でもその詰めの協議が行われているようでございます。

 先週も外務大臣には、いわゆるJBIC解体、そして円借款はJICAに統合、こういったことで御答弁もいただいているわけですが、今、その最終取りまとめの状況について、私は官房副長官にぜひ、これはお手元を見ていただくとわかるように、JBICの国際金融等の勘定貸借表も出ておりますが、特にJICAに円借款の部分を統合するについては、これは独立行政法人でございますので、勘定を分ける、こういったことが報道されているわけなんです。

 私は、勘定を分けてしまうと、JICA、これは今緒方貞子理事長のもとなんですけれども、外務省、財務省、この二つのそれぞれ所管のもと、そのくくりが勘定ということで分けられて、ODAの主体的な改革と、あるいは、日本政府としてのODA戦略を一元的にということで新しい閣僚会議も設けるという中で、そうはいっても、結局、実際に実務を執行するJICAが勘定が分かれているようでは、それこそ言っていることと実際のやるときにうまくそれが機能しないのではないかというふうに危惧をするわけでございます。

 特にこのJICAへの統合について、独立行政法人の勘定が統合を重ねると全部勘定ごとに分かれているという、こういった過去の二の舞はもう今回は避けてほしい、やるべきではないというふうに思うんですが、この点、今の進捗状況とあわせてお答えをいただきたいと思います。

長勢内閣官房副長官 海外経済協力についての政策金融改革のあり方は今御指摘のとおりでございまして、昨年来、検討会を設け、現在まで八回の会合を開催してきておるところでございます。

 これまでの検討会の議論では、政府内体制のあり方については、援助の戦略的実施のために、総理主導のもとに、海外経済協力の司令塔的な機能をつくるということについて大きな方向性が見えてきておるものと承知をいたしております。また、実施機関につきましても、ODAの実施機関を統合して、具体的には、国際協力銀行の円借款部門を分離しJICAと統合する、また、国際協力銀行の国際金融等業務については、小さな政府の観点から、新政策金融機関に統合するという方向が見えてきておるわけでございます。

 御指摘のとおり、明日、官房長官に検討会の結論が示されることになっております。これらを踏まえまして、国家戦略、国際貢献のための海外経済協力を実現していくために、戦略的な援助政策の効率的な実施に相ふさわしい体制づくりをしっかりと行ってまいりたいと思っております。

 今御指摘の勘定の区分についてでございますけれども、今お話をいたしました方向に沿って、どのようにしたらいいかという観点から、さらに検討会で御議論がされていくものと思っております。一体的な統合した考え方に基づく経済協力をしなければならないと同時に、また、資金の配分その他の整理をどのように具体的に、効率的に行うかという観点も必要でございますでしょうから、こういう点について、検討会の御議論を踏まえまして、今後検討を進めていくことといたしたいと思っております。

武正委員 検討会の御議論はもう終わって、あしたもう最終報告でございますので、やはり官邸としてこのODAを、それこそ官邸主導という言葉がいいのかわかりません、関係閣僚会議をもって、そして機能的に、戦略的にODAを使っていくんだということでありますので、官邸でそれを決めても、現場のJICAが頭が二つあるようなことでは一体いかがなものかということになりますので、やはり私は、勘定区分は撤廃して一本化すべきということを重ねて申し上げておきます。

 さて、時間もちょっと限られておりまして、本来、イランの話も聞きたかったんですが、防衛庁長官に官製談合のことをお伺いしたいんです。

 今、いわゆる天下りの自粛、五年に延長というようなそういう改革というか、出ておりますけれども、しょせんは、やはり天下りが今回のこの事件の根っこにあるわけですね。きのうの報道では、何か、再就職が決まったところに対して五億円以上の工事をお土産と称してつけた、こういったことがずっと行われていたということも指摘をされているわけなんですが、私は、もうこの際、防衛庁、防衛施設庁からのそうした関連企業への天下りは根絶するんだ、このぐらいやはり打ち出していかない限り、実はもう既にいろいろな不祥事が出ております。

 第一空挺団の二曹が万引きをした、その理由は、イラクに行きたくないから万引きをしたんだという報道が出ていたり、あるいは、海上自衛隊の秘密の情報がインターネットで流出をして、海図ソフトですか、これは大変問題があるという指摘がされていますよね。全艦艇用で、GPSと連動して、日米合同演習も想定して、空母機動部隊の陣形配備例もこれが実は載っている、流出により戦術精度を分析され、日本への敵対行動を容易にする恐れがあるということで、全部ソフトを見直さなきゃいけないという、大変これは大きな問題になっていくというふうに危惧をするわけです。

 こういった不祥事も出ている中で、天下りの自粛を五年に延長しました程度ではとても済まされない。あるいはまた、防衛庁長官がその日に解体を示唆しましたけれども、解体して済むという問題ではない。しかも、今の検討調査が防衛施設庁の中で行われている。いつまでたっても外部からの厳しいチェックというものを打ち出していかない。こういった体制も含めて、改めてその決意、覚悟、これについてお聞かせをいただきたいと思います。

額賀国務大臣 今、武正委員が御指摘のように、施設庁の不祥事、そしてまた、それぞれ、海幕の秘密情報流出の問題、それから、今おっしゃられた航空自衛隊あるいはまたサマワ派遣隊員の問題、いろいろなことが起こっておりまして、本当にこれは国民の皆さん方の信頼を裏切る行為であるというふうに思っておりまして、事態を極めて重大に受けとめておるところであります。

 したがいまして、先週末、防衛庁・自衛隊の幹部を急遽集めまして、私は、綱紀粛正とそれから秘密保全体制の万全を期すために、それぞれの部署部署において再発防止のための検討委員会、対処をするための協議ができる機関をつくらせていただきました。

 二十一世紀の初頭に当たり、新しい防衛庁そして自衛隊が、日本の安全ばかりではなく、地域の安定あるいはまた世界の平和のためにどういうことができるかというスタートを切ろうとするときにこういうことが相次いでいるわけでございますから、私は、武正委員おっしゃるように、しっかりとそれぞれの問題について、施設庁の不祥事については、入札問題を、競争原理を導入していく、あるいはまた再就職の問題については、先ほど言った、言ってみれば五年間の自粛の問題を初め、第三者的な監察、監視制度をきちっとしていくということ、あるいはまた、それぞれの部署部署でチェック体制をしき、相互牽制システムが構築されること、それからまた、秘密情報流出の問題については、緊急措置として、言ってみれば個人の情報と業務用の情報はきっちりと区分けしなければならないということ、うちに持ち帰ることは相ならぬということ等々を行いながら、抜本的な対策を講じてまいりたい。

 そういうことで、国民の信頼を取り戻すために全力を注ぎたいというふうに思っております。

武正委員 もう終わりますが、であるからこそ、こうした審議の中でやはり説明責任をきちっと政府は果たすべきだと思います。特に、憲法七十三条に規定されているように、外交処理あるいは条約締結、これは内閣の専権だ、こういったことがあるからといって、やはり国会に説明責任を果たさないということは決して許されない。特に、ことしは撤収をにらんだ大事な時期でございますので、国会に対する説明をきちっと果たしていただくことを要望申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

三原委員長 次に、達増拓也君。

達増委員 いわゆる予言者ムハンマド風刺漫画というものがデンマークのある雑誌に掲載をされまして、そのことがもとで、世界じゅうでいろいろ暴力的な騒ぎになっている。この予言者ムハンマドといいますのは、日本ではマホメットという名前でむしろ広く知られていると思いますけれども、イスラム教の開祖であります。このイスラム教開祖ムハンマド、イスラム教の中ではその絵をかくことすらタブーである、偶像崇拝になるからということで、いかにきれいにきちんとかこうとも絵にしてはならないというものをこのデンマークの雑誌が漫画にして、あまつさえ、爆弾などテロと結びつくようなそういう漫画を雑誌に載せてしまった。

 このことが、ヨーロッパでは、表現の自由の問題ということで、その表現の自由を守る立場から擁護する動きもあって、またその対立が複雑な様相を呈しているわけでありますけれども、ちょっと前のこれはアメリカのニューズウィーク誌に、当該デンマークの雑誌の編集者で、この問題になった風刺漫画を掲載することを決めたその編集者のインタビューというものが載っておりました。

 インタビュアーが、どうしてあんな漫画を載せてしまったのかと質問したのに対して、この編集者は、ヨーロッパにおける自主規制、セルフセンサーシップと書いていますけれども、自主規制の傾向について自分は懸念を持っていた、そこで、その傾向をテストして議論を起こそうとして掲載したのだというふうに答えております。ヨーロッパにおける自主規制傾向をどのくらいなら許されるのかを試し、そして、やることでわざと物議を醸して、問題提起ということではありますけれども、非常に浅はかな考えで行われたことだというふうに私は思います。

 日本では、自主規制問題というのは、これはかなり日本国内では議論されている問題で、私が思い出すのは、小説家のあの筒井康隆さんが、自分の小説で差別的表現があるという批判を受け、それで、そういう自主規制問題にまさに問題提起をしようとして何をしたかというと、断筆宣言ということで小説を書かなくなる、自分を犠牲にしながら問題提起をするという、そうしたことに比べますと、このデンマークの雑誌がやったことは本当に浅はかな形で、やらなくてもいいことをやってしまったというふうに思います。

 この問題、今は世界じゅうに飛び火しまして騒動になっているわけですが、私は非常に胸を痛めておりまして、本当に、そういうやらなくてもいいようなことがきっかけになって暴力的な騒ぎにまでなっているし、また、これが、文明と文明の衝突でありますとか宗教対立でありますとか、そういう文脈の中で広がっていくということは本当にあってはならないことでありますので、日本政府としても、もう少し積極的に鎮静化する方向でメッセージを発信していかなければならないと思うんですね。

 特に、このイスラム教徒の間に生じている反発というものへの理解をもう少し日本政府としてもきちんと強調しつつ、相互理解の重要性というものをよりはっきりと日本政府として世界に発信していくべきと考えますが、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 達増議員の方は既に御存じだと思っておりますが、去る二月の七日、外務省として正式に談話を発表いたしております。

 省略いたしますが、日本は、「本件似顔絵の掲載を巡りイスラム教徒の間に生じている強い反発を十分理解するものである。同時に、いかなる理由にせよ、暴力や破壊行為は容認できるものではない。わが国は、全ての当事者に対し、緊張を緩和することおよび状況を悪化させる行動および言動を避けることを求める。」等々ざっと書いてありますが、それに対して、今、在京のいわゆるイスラム外交団というのはチュニジアの大使なんですが、チュニジアの大使は、外務大臣あてに、日本政府がとられた啓発的な立場に対し、東京のアラブ及びイスラム外交団を代表し、また、私個人として感謝と敬意を表しますというあれを寄せられておられます。

 また、これも朝日新聞の十面で、二月の十四日、出ておりますけれども、在日エジプト大使、この人は日本語もできる人なんですが、「日本のメディアは、今日まで賢明にも、ムハンマドを侮辱する風刺画掲載を自制してきた。日本政府は風刺画に対して感じるイスラム教徒の苦痛を理解し、平和的な対話と敬意を通じて相互理解を促進することの大切さを訴える声明を出した。双方が示した分別を私たちは評価している。」という文章を寄せておられます。

 私どもは、この種の話というのは、表現の自由とかいろいろな問題にも話を広げていけば幾らでも行くという感じがしないでもありませんけれども、いずれにいたしましても、こういったものでそれがさらに暴力的な話になってみたり、何か要らぬ暴力的な話にどんどん広がっていって、デンマークとは全然関係ない、あっちこっちでわんわん広がっていくということに関しましては、先ほど、浅はかであったという達増議員の御発言もあっておりましたけれども、何となくこのデンマークの話は、私ら余りイスラム教徒でないのでも偶像は絶対ないという事実を知っておりますので、かなりその種のことに詳しい人がやったとすれば、結構浅はかではなかったかなと、私自身の個人的な感情で言わせていただくと、そういう感じがいたします。

達増委員 今の外務大臣の答弁、まさにそういう事態の理解、深い答弁を外務大臣というハイレベルで発していただくことが今非常に重要だと思いますので、外務報道官談話は私も読みましたけれども、やはりそういう事務方の紙だけではなくて、いろいろな機会に、外務大臣、あるいは総理大臣でもいいと思います、いろいろなことにコメントを出される中で、こんなことには一々コメントを出さなくていいんじゃないかと思われることにもコメントが出ている感じもしますけれども、こういう、世界が一種危機的状況にあることについて、日本のそういうハイレベルな発信というのを今後もぜひぜひ続けていっていただきたいと思います。

 さて、先ほど以来、イラクからの陸上自衛隊撤退問題についてやりとりが重ねられておりますけれども、やはり、国民の一番知りたいことが全くわからないままやりとりだけが続いている感じがするんです。

 これは端的に防衛庁長官に伺いますけれども、要は、三月撤退開始、五月末までに撤退完了ということをもう英豪軍とすり合わせて、日本もそうするということを決めている、問題は、政治プロセスが若干おくれていて、若干というかおくれていて、本当は二月には新政府が発足することが期待されてはいたんだけれども、どうも二月中には発足しないんだけれども、三月撤退開始して五月までには完了ということがもう日英豪で決まっている、そういうことなんでしょうか。

額賀国務大臣 今、達増委員がおっしゃるようなことが連日新聞やテレビで報道されて、雑誌で報道されたりしておるわけでございますけれども、我々は、先ほど来申し上げておりますように、先般、この一年間、十二月十四日まで自衛隊派遣を延長し、その中で、イラクの政治的な進展の状況、それから治安の状況、多国籍軍の対応、そういうことを考えながら適切に判断をしていきたいというのが基本的な考え方でございます。

 英豪軍とのそれぞれのリーダーと話し合っていく中で、確かに英国軍は、南東部においては治安の状況も比較的よいことだし、あるいはまた、南東部における現地の治安部隊の教育、育成は順調に進んでいるので、英国軍、豪州軍は一部撤収して、例えばバスラに集合して、その現地に治安をゆだねた後、見守っていくことはできるのではないかというようなことを言っていたことは事実でございますけれども、では、いつからいつまでということについて、きっちりと期限を区切って話しているわけではない。むしろ、こういう現場の状況でございますから、ある意味では、何が起こっても大丈夫なように、弾力的にそのイベントを中心にして考えていくというのが基本的な考え方ではないのかというふうに思っております。

達増委員 今、何が起こっても大丈夫なようにとおっしゃいましたけれども、二月二十二日の聖廟爆破事件のように、やはり予想しなかったようなことも起きるわけであります。イラクの治安部隊が形を整えていって、そしてイラクの治安が安定化していくことが一つの大きな撤退の条件なんでありましょうけれども、二月二十二日の爆破事件があり、そしてまた宗派対立が今激化している。

 そして、これもまたニューズウィークの最新号でありますけれども、デススクワッド、死の部隊と訳すんでしょうか、そういう死の部隊というものが暴れ始めているということで、このデススクワッドというのは、イラクのポリスフォース、イラクの治安に当たる警察組織の中にそういうのがあって、それが警察として正規の活動をするんではなくて、シーア派のそういうデススクワッドはスンニ派を勝手に殺し、そして、スンニ派のデススクワッドがシーア派を勝手に殺すなどということも起きている。したがって、イラク治安部隊ができていくことが、うっかりすると、かえってその中に構造的にさらに治安悪化の要因もつくっていくというような一種の悪循環も生じているということが今あるんだと思います。

 したがいまして、去年基本計画が変わりまして、その中で政治プロセスの進展や治安の状況や、そういうのを配慮すると書いてあるんですけれども、結局は、英豪軍が撤退するときが陸自も撤退するときということなのかなと思うわけであります。政治プロセスも不透明、治安状況も不透明な中で、結局は、英豪軍が撤退するときに日本も撤退するということなんだと思うんですけれども、防衛庁長官、いかがでしょうか。

額賀国務大臣 南東部の治安は、英豪軍が中心的な役割を果たして、現地部隊と連携をとっているということであります。と同時に、我々自衛隊も、現地の人たちと緊密な話し合いをしたり英豪軍と連絡をとったりして、みずからの安全確保に万全を期す努力をしているわけでございます。したがって、我々の安全を確保することが最も大事なことなので、英豪軍と緊密な連絡をとりながら活動をしているということは紛れもない事実であります。

 今後のことを考えていく場合も、もちろん、自衛隊の活動が続けられている限り英豪軍と連携をとっていかなければできません。それだけの能力を持って来たというよりも、人道復興支援の作業のために来ているわけでありますから、英豪軍と連携をとりながら対応していくということは、おっしゃるとおりでございます。

達増委員 今まさに答弁の最後で、人道復興支援のために行っているということで、基本計画の中でも、「現地の復興の進展状況等を勘案して、」というそこが最後に書かれているわけですけれども、今のようなイラクの政治プロセスも治安も不透明な中で、結局何のためにこのイラク戦争というのは始まっているのか、また、その中で何のために日本がやっているのかということも非常に不透明になってきていると思うんです。

 もともと、大量破壊兵器があるから、非常事態措置、そういう武力攻撃ということをしてでも事態を打開しなければならなかったという建前で始まったわけですけれども、大量破壊兵器はなかった。いつの間にか問題は、民主的なイラクをつくるということになっているんです。

 この戦後のイラクの状況をよく日本の戦後と比較する人もいますけれども、私はむしろ満州国と比較した方がいいと思うんですね。何にも政府のないところに全く新しい政府を外国軍隊の力を背景につくる。満州国がうまくいかなかったように、世界じゅうで、そういう外国軍隊の力を背景に全く新しい政府をつくるという、成功したためしはなかなかないと思うんです。日本の場合には、曲がりなりにも明治憲法下の政府が残り、帝国議会も残って、その手続を踏んで新憲法もつくりましたし、新しい国づくりが進んだわけでありますが、それとは全然違う状況なんだと思います。

 そういう中で、我が国の基本計画の中にも、政治プロセスとか治安とかそういったことも書かれているわけですけれども、かといって、さっき答弁の中にあった復興さえ続けられればいつまでもいるのか、復興がまだ十分でなければいつまでもいるのかというと、結局そうでもないんだと思います。ですから、結局、英豪が退くときが陸自も退くときというふうにさっきから私は言っているんですけれども、この点いかがでしょうか。

額賀国務大臣 前段、達増委員のおっしゃるように、馬上の上から戦争には勝てるわけでありますけれども、馬上の上から統治がスムーズにいくのかどうかというと、これは、歴史を見ればなかなか問題がある。そういうことでは、我々に考えさせられるのがこのイラクの問題であるということについては共通の思いを持つものでございます。

 さて、我々自衛隊をどうするかということについては、二年余り人道復興支援に汗を流し、現地の人たちにも高い評価を受け、多国籍軍のほかの国からも高い評価を受けていると思っておりますし、国民の皆さん方からも理解を得ているものと思っております。そういう中で、おっしゃるように、イラク人によってきっちりと行政それから社会生活、経済活動等々がスムーズに展開されていくことが最も望ましいことでございます。そういうことになれば我々も堂々と撤収ができるわけでございます。そういう流れの中で我々の活動を民間人やイラク人にどういうふうにバトンタッチをしていくかということが一つの課題であります。

 と同時に、先ほど言ったように、それは、政治あるいはまた治安の問題等々と一つのかかわり合いがあるわけでございますから、そこは我々の判断だけではなくて、英豪軍との連携をとりながら、しかも、なおかつみずからの主体性を持って判断をしていくことが大事である、その今途中経過にあるということであります。

達増委員 陸上自衛隊の撤退問題と絡んで、陸上自衛隊を撤退させるかわりに航空自衛隊の方を強化するのではないかということが取りざたされています。

 しかし、現在、航空自衛隊、任務についていろいろ運んでいますけれども、安全を守りながら、その中で物を運んでいる。陸上自衛隊のいろいろな備品を細かいところまで運んで、もう運ぶものはなくなっているというような状況になっているんじゃないでしょうか。そういう航空自衛隊の活動を拡充するということになると、もはや危険な輸送領域にまで踏み込んでいかなければならなくなるわけでありまして、陸上自衛隊撤退のかわりに航空自衛隊を残して活動を拡充するというのは危険であって、むしろ航空自衛隊も同時に撤退すべきではないかと考えますが、この点はいかがでしょう。

額賀国務大臣 先ほど来話をしておりますように、もう既に陸上自衛隊は撤収することが決まったような話しぶりでございますけれども、陸上自衛隊については、先ほど言ったように、まだそういう決定をしていることはない。それから、航空自衛隊についてもそうでございます。

 一般論として、やはり送り出すときに、その責任者たる者は、どういう仕事を安全にして、どういう成果を上げて、どういうときに撤収をしていくか、どういう段取りを考えていかなければならないのか、そういうことは当然想定にあるわけでございます。そういう議論はするけれども、現時点で決定しているわけではありません。

達増委員 次に、先ほど武正委員も取り上げましたが、海上自衛隊の機密データ流出問題について伺います。

 これは、本当に決してあってはならないことが空前のスケールで起きた事件だと思います。極秘の暗号書類、また訓練文書、そしてさらに海図ソフトなどなど、本当に諸外国がどんなことをしてでも手に入れたいと思うようなことが、海上自衛隊のある隊員のパソコンから流出をしてしまった。このウィニーというファイル共有ソフト、いろいろ著作権の問題などトラブルの多いそういうソフトでこういう大規模な機密データ流出が起きてしまったというのは、まさにこれも浅はかなことだと思います。

 先ほど長官は、綱紀粛正といったことで一人一人の自覚を促すという趣旨の答弁をされたと思いますけれども、これはもう一人一人の自覚では済まない、もっと組織的に問題があって、そこを変えていかなければならないことなんじゃないかと思いますが、いかがでしょう。

額賀国務大臣 委員もうおっしゃるとおりだと思います。それぞれの一人一人が、きっちりと国家国民の安全のために命を投げ出して仕事をするということで自衛隊員、防衛庁職員に高い志を持って入隊なさってきたわけでございますから、その原点に返ってしっかりと今後の仕事についてもらわなければならないということが前提でありますけれども、その上に立って、委員御指摘のように、制度的なこととか変えていかなければなりません。

 そのために、先週末、高木政務官を中心として、再発防止のための検討委員会をつくらせていただきました。緊急措置として私はこういうことをまずしました。

 職務上使用する私有パソコンからファイル共有ソフトの削除を全員確認させるということ。私有パソコンに業務用データが保存されている場合には、秘密の情報及び必要のないデータを直ちに削除すること。現在、許可を得れば、職場において、私有パソコンにより秘密の情報の取り扱いが認められていることになっておりますけれども、これは全面的に廃止をしました。

 どうも日本人の場合は、昔ながら、職場で仕事をやり残すとうちへ持っていってきっちりと仕事をして、みんなに迷惑をかけないようにしようなんというそういうものが残っているものが、こういうIT化されていく中で不祥事が起こっている、問題が起こっているということでございますから、意識改革はもとより、制度的にしっかりと改革をしなければいけないというふうに思います。

達増委員 今、高木政務官の名前が出ましたが、今小泉内閣で、政務官、これは英語でパーラメンタリー・セクレタリーと言うはずなんですけれども、バイス・ミニスターを名乗って活動する政務官が小泉内閣にいるようであります。

 これは外務省に伺いたいんですけれども、何でそういうことをしているのかという理由で報道されているのは、パーラメンタリー・セクレタリーと言うと議会事務局員と間違われるからバイス・ミニスターにしてほしいということなんだそうですが、不思議だなと思うのは、パーラメンタリー・セクレタリー、政務官制度は、日本独自の制度ではございませんで、平成十一年の、あの国会審議の活性化及び政治主導の政策決定システム確立のための法律で党首討論制度などと同時に政務官、副大臣制度が導入され、イギリス型の議院内閣制を参考に、イギリスで確立した制度を導入したものなんですね。したがって、イギリスにもパーラメンタリー・セクレタリーというのはいて、活躍していますし、これはオーストラリアもそうですし、カナダもそうですし、インドやシンガポールやマレーシアもそうだと思います。

 そうした中で、パーラメンタリー・セクレタリーと言うと議会事務局員だと思われるよねなんということを日本で言っているというのがそういう国々のパーラメンタリー・セクレタリーの耳に入ったらどう思われるだろうか。また、それぞれの国で閣僚になっている皆さんも、経歴を見るとパーラメンタリー・セクレタリー経験者が多いわけでありまして、失礼な話なんじゃないかと思います。

 このイラク問題についても、イギリスやオーストラリア政府と日本政府が真剣な議論をしているときに、そんなお互いの議会制度に無理解なことが余計なトラブルを生じさせるとまずいんじゃないかと思って、金曜日、私、経済産業委員会で片山経済産業政務官にそう聞いたところ、いや、もともと外務省の政務官がそうしたいと言って、外務省でオーケーということになっているから私もやっているんだという趣旨の答弁をしたものですから、本当にそうなんでしょうか、外務省に伺います。

塩尻政府参考人 外務大臣政務官でございますけれども、この一月から、バイス・ミニスターということで名刺で使っております。

 これにつきましては、今、達増委員がお話しになりました外務政務官の英語表記でございますけれども、各省間で特に統一的にこれだということは存在しておりませんけれども、委員が御指摘になられたように、これまでパーラメンタリー・セクレタリーということを使っております。他方、最近幾つかの事例で、国際会議への参加に当たってどうもスムーズに行かなかったという例があったということでございます。

 二月の十四日でございますけれども、政務官会議で本件が話題になっております。その政務官会議における議論を受けまして内閣官房で検討された結果、各大臣政務官は、それぞれ大臣と相談、了解の上で名刺等で使用する英語表記を決めて差し支えないというふうになっていると承知しております。

 それを受けまして、外務省におきましては、麻生外務大臣と御相談申し上げまして、大臣政務官についてはバイス・ミニスターを名刺の上では使っているということでございます。

麻生国務大臣 外務省にいらっしゃったのでよくおわかりのところだと存じますけれども、セクレタリー・オブ・ステートというのが、アメリカの場合はミニスター・フォー・フォーリン・アフェアーズと同じことになっております。

 今言われましたように、パーラメンタリー・セクレタリーという言葉を使っている国は、大体大臣のことは皆セクレタリーと呼んでおる国が、イギリスにしてもアメリカにしても大体そうなんだと思います。あそこはパーラメンタリー・セクレタリーと皆呼んでいると思います。セクレタリー・オブ・ステートになっていると思いますが、少なくとも、アメリカの場合は間違いないと思っております。ミニスター・フォー・フォーリン・アフェアーズといってコンドリーザ・ライスが出たという記憶は一回もありませんので、セクレタリー・オブ・ステートなんだと思っております。

 そういった意味で、そういうところでは今言われたように通じるとは思いますけれども、こっちは皆ミニスター・フォー・フォーリン・アフェアーズとか呼んでおいて、いきなり、同じバッジでも、この人はシニア・バイス・ミニスターですけれどもこちらはセクレタリーというと、二枚名刺をもらって、両方ともバッジがくっついて、片っ方は元議員かなとか、いろいろこれは、正直、現実問題として、会場に入れてもらえなかった、ここはバッジしか入れないんですと言われて入れなかったということが国際会議で二度ほどあったというのに基づきまして今のような話が出てきたというのが経緯でございます。

達増委員 これは、平成十一年の法律作成に私も深く関与して、もとになるイギリスに行って視察もして、若手の国会議員を大臣の秘書役をさせることで若手議員を育て、そして、議員が政府の中に入って、与党・政府が一体になって政策を推進していこうというための制度なんであって、ミニスターの下にあえてバッジがセクレタリーとしてつくところにこの趣旨があるんです。

 そういう政治改革の、さっき外務省だったとか云々おっしゃられましたけれども、私はその外務省員だった立場からこの問題にこだわっているんではなく、平成十一年の政治改革の法案を推進した立場からちょっとこれは見逃せないと思って質問しましたので、ぜひぜひ政治改革の趣旨ということを踏まえて対応していただきたいと思います。

 以上で終わります。

三原委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢でございます。

 先ほどから陸上自衛隊の撤退について議論をしておりますが、政府の説明というのは全く不可解であります。

 そこで、もう一度質問をいたしますけれども、報道では、三月から五月、あるいは四月から六月にかけて撤退をするということが繰り返し伝えられております。防衛庁長官に聞きますけれども、具体的なタイミングは別として、今後数カ月のうちにサマワから撤退するという理解をしてよろしいですか。

額賀国務大臣 もう何回もお話は申し上げておりますけれども、先般、向こう一年間、自衛隊の人道復興支援活動の延長をしていただいたわけでございます。これについて、イラクにおいては、選挙が終わった後の本格政権ができるかできないかの重要な時期を迎えているということ、それから、多国籍軍で我々が行っている自衛隊の南東部というのは、比較的治安もよくて、そして多国籍軍の治安部隊の教育も行き届きつつあるということ、そういう状況の中で、では、自衛隊の復興支援活動がもう十分で、もういいのかというと、現地の人たちはもっと仕事をやってほしいという強い要望を持っているということ、そういうことを考えながら、今我々は、しっかりとイラクの国家がイラク人によって建設されていく道筋ができることをちゃんと望みながら仕事をしているということでございます。

 撤収するかしないかについては、一般論として、送り出した時点からさまざまの議論をしております。安全を確保し、どういうふうにすれば成果を上げることができるのか、どういう時点になれば撤収できるのか、撤収する際にはどうしたらいいのか、そういうことは常々考えていることであります。しかし、結論を、決定をしているわけではない、決断をしているわけではない。英国や豪州軍やアメリカとよく相談しながら今後のことは考えていきたいということでございます。

赤嶺委員 送り出した時点から撤収については考えてきたというお話なんですが、実は、今月四日に、柳澤官房副長官補が都内の講演で、イラクの出口がことし最大のテーマだ、もうことしのテーマだ、いずれにしても数カ月のうちに陸上自衛隊は引いてくる、このように述べているわけですね。そういう発言を官房副長官補がなさったんじゃないですか。

井上政府参考人 ただいま御質問の講演におきます発言についてでございますけれども、この講演は、我が国の危機管理のあり方をテーマとして行われたものでございます。そして、その中で我が国の国際平和協力のあり方についても触れておりまして、イラクやインド洋におけます活動が終了した後の自衛隊の国際平和協力活動については、いわゆる一般法の検討も踏まえて考える必要があるという趣旨を述べたものでございます。

 そして、このような文脈の中で、現在、イラク特措法やテロ特措法に基づきまして行われております自衛隊の活動は、それぞれの法の目的が達成されるなどした場合にはいずれ終了することになるとの趣旨を一般的に述べたものでございまして、特定の撤収時期を示唆したものではございません。

 いずれにいたしましても、先ほど防衛庁長官からお答えがございましたとおり、現在、政府におきまして、自衛隊の活動の終了時期につきまして決定している段階ではございません。

赤嶺委員 私、朝の理事会でも指摘をしたわけですが、私の質問は、柳澤官房副長官補の発言に関する質問であったわけです。それで、先ほどから額賀長官が、撤退については、それは派遣した時点から繰り返し検討しているんだと言いながら、柳澤さんは、ことし最大のテーマだ、いずれにしてもこの数カ月で陸自は引いてくると言っている。その発言のことについて聞いたら、いや、一般論だということをほかの政府委員が出てきて説明する。こんなの説明にならないんじゃないですか。

 実際には、政府の中では、やはり陸自がこの数カ月以内に引いてくる、今最大のテーマになっている、そういうことじゃないですか。

井上政府参考人 お答えを申し上げます。

 先ほど申し上げましたけれども、お尋ねの講演におけます発言の趣旨は、あくまでも、自衛隊の活動は、法の目的が達成されるなどした場合にはいずれ終了することになるとの趣旨を一般的に述べたものでございまして、特定の撤収時期を示唆したものではないというものでございます。

 政府といたしましては、今後、自衛隊の活動につきましては、イラクにおけます政府プロセスの進展の状況でありますとか、現地の治安の状況、多国籍軍の活動状況等の変化をよく見きわめながら、現地の復興の進展状況等を勘案して適切に対応するという方針に変わりはないところでございます。

赤嶺委員 柳澤官房副長官補が明確に講演会で述べておきながら、そのことについて国会で説明を求めたら、一般論だといってその話の中身をごまかしてしまう、こういうところに、日本にとって、自衛隊を海外に送った、この問題について国民が真剣に考えている、私たちは即時撤退だという主張をいたしますけれども、こういうやり方で、こんな説明で納得いくはずはない。私は、改めて、柳澤官房副長官補が国会に出てきてきちんと説明することを強く求めたいと思います。

 それで、陸上自衛隊の話がありますが、同時に、航空自衛隊、この輸送活動は、陸上自衛隊が撤退を仮にした場合でも継続をしていくのですか。いかがですか。

額賀国務大臣 先ほども申し上げましたように、陸上自衛隊についても航空自衛隊についても、引き続いてしっかりと人道的な復興支援活動をしていってもらいたいというのが、今の段階の状況でございます。撤退も継続も決めたわけではありません。

赤嶺委員 この件に関して先ほど額賀長官は、アメリカはいろいろな筋の人たちが個人的にいろいろなことを発言していると申し上げておりました。そのいろいろな方の発言というのは、本当に、国会で解明していかなければならない重要な発言がたくさんあると思うんです。

 例えば、イラクを担当している米中央軍のキミット准将、ワシントンの記者会見で、これはある筋がこのように語ったんじゃないんです、ワシントンの記者会見でキミット准将が、自衛隊の活動が今後も適切な形で継続されることを期待している、そして、日本はこれまでとは違うタイプや方法の支援を検討していると思う、航空自衛隊のC130輸送機の活動に関する変更が決定されるであろうと、立ち入って具体的に述べているわけですね。政府は検討しているんじゃないですか。

 これまで航空自衛隊の活動というのは、サマワの陸上自衛隊の人道復興支援物資が中心でありました。ここに来て、活動の変更ということではなく、陸上自衛隊が撤退するのであれば、それに合わせて航空自衛隊も撤退すればいいことではないかと思いますが、いかがですか。

額賀国務大臣 先ほども申し述べておりますように、我々は、自衛隊が今まで二年余りやってきた仕事が、イラク人の民間の方々に引き継がれたり、あるいはまたイラクの政府あるいは地方政府がしっかりとそれを受けとめていく、そういう環境づくりのためにどうしたらいいかということは、年がら年じゅう考えているわけでございます。

 陸上自衛隊、航空自衛隊について、いろいろなことを総合的に、日米英豪軍と治安のことやそれから情報交換をしたりすることでは協議をしたりしますけれども、赤嶺委員が言うように、撤収のことで我々が決断をしたことはありません。

赤嶺委員 私は、航空自衛隊の活動について、キミット准将の記者会見の言葉を引いて、いわば陸上自衛隊の仮に撤退があれば、航空自衛隊の活動を、キミット准将が言うように任務の変更ではなく、撤退するのであれば一緒に撤退すべきじゃないかということなんですが、その点はいかがですか。

額賀国務大臣 今の時点で撤収のことを決断する段階ではないと。決断はしておりません。

赤嶺委員 政府が決断していないとか撤収を検討していないとかと言っても、一方で、航空自衛隊の活動の任務の拡大というのが報道ではるる繰り広げられているわけです。国民は、まさにそういうところをきちんと説明してほしいと思っているわけですよ。それについて、撤収なんか検討していないと言って一切の説明を拒否する態度は私は本当に許されないと思います。

 去年の基本計画の延長の際に、実施要項で、航空自衛隊の活動できるイラク国内の空港を従来の十三の空港からイラク国内のすべての空港に広げた、二十四カ所にふやした、こういう報道があるわけですけれども、それは事実ですか。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年の十二月八日にイラク支援特措法に基づく基本計画を変更いたしまして、これを踏まえまして、自衛隊による対応措置の実施に関しましても、防衛庁長官が定める実施要項について、総理の承認を得て所要の変更を行っております。

 ただ、実施要項において、自衛隊の部隊の活動の実施期間とかあるいは活動し得る場所または地域を示す実施区域を定めておりますが、自衛隊自体の活動の安全確保及び関係国との信頼関係の確保の観点から、従来よりそのすべてを公表することは差し控えさせていただいております。

 以上によりまして、やはり実施要項のうち公表可能な部分については、お示しを五つぐらいの空港につきまして、例示としてバスラ等を挙げておりますが、それ以外については、上記観点からお答えを差し控えさせていただきたいと思います。

赤嶺委員 今、実施要項は変更しているとおっしゃいました。その内容については説明することはできないというお話であります。

 私の質問は、キミット准将が航空自衛隊輸送機の任務の変更について検討しているということを記者会見で述べておられる、それで、任務の変更があるということになったら、これまで政府が説明していた、陸上自衛隊への人道復興支援活動の支援が中心だと言ってきた、そこから任務の拡大が起きるわけですよね。任務の拡大が起きることについてこれは説明を求めるのは当然だと思いますよ。そこについて説明しないというのも、私はこれまた受け入れられない態度だと思います。

 一方でブッシュ大統領は、いわばイラクの治安部隊が育成をされたならば、米軍の駐留規模を縮小すると繰り返し言っているわけですね。米軍は規模を縮小する、あるいは実施要項の変更はあった、米側は日本の航空自衛隊に対して任務の変更を求めている。そうすると、アメリカが縮小した分、日本の自衛隊が任務を引き受けなければならなくなる、こういう疑問が当然起こるんですが、その点はいかがですか。

額賀国務大臣 航空自衛隊にしても陸上自衛隊にしても、イラク特措法に基づいてしっかりと仕事をすることのみであります。

赤嶺委員 私は、イラク特措法に基づいてあなた方が派遣をしてきた、そして、自衛隊の撤退が今まさに国際社会の中で話題になっている、議題になっている、多国籍軍についてもそうですよ、そういうときにどういう政府の姿勢があるかということの説明を求めているのであります。

 ですから、航空自衛隊がアメリカの規模の縮小に伴って別の任務を与えられる、イラク全土の空港に輸送の任務を持った場合に、それは、あなた方が説明してきた、人道復興支援活動中心だ、こういう説明は通らなくなるということを申し上げているのであります。

 最後に、新たな陸上自衛隊の派遣の問題です。

 これは、ラムズフェルドと額賀長官との会議の中でラムズフェルド長官が、イラクの治安維持やイラク人部隊の訓練への自衛隊の参加を打診した、また額賀長官は、現行ではそれは無理だとおっしゃったと。取りざたされているPRT、いわば軍民一体の地方復興チームを含めて治安維持活動やイラク人部隊の訓練への自衛隊の参加、これはないと理解してよろしいですか。

額賀国務大臣 治安のことで自衛隊が仕事をすることはありません。

三原委員長 赤嶺君、もう時間が来ていますからね。

赤嶺委員 はい。

 私るるいろいろ聞いてきたんですが、やはり、当初の説明から違う活動領域に自衛隊が入っていこうとしている、その問題について明確にお答えにならない、これは政府の説明責任を果たしたことにはならないし、柳澤官房副長官補の姿勢に見られるように、言ったことさえ責任を持って国会で答えない、こういうことは絶対に容認できないということを申し上げまして、私の質問を終わります。

三原委員長 次に、阿部知子君。

阿部(知)委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 私は、二〇〇三年のたしか七月であったと思いますが、このイラク特別委員会の海外視察で、当時、高村委員長のもと、そして与党の筆頭は中谷・元防衛庁長官でありましたが、イラクへの視察に伺わせていただきました。その直後に国連本部が爆破され、そしてその後、当時ですが、奥参事官そして井ノ上書記官が亡くなられるという事態を受けた中で、私ども社民党としても一貫して反対しておりましたイラクへの自衛隊派兵と派遣というものが行われました。

 自来、私どもの党もそうですが、恐らくほとんどの国民が、一日も早くイラクの復興と、そして自衛隊が無事で帰ってくることを望んで、待って、そして、きょう例えばこの委員会の質疑も、そうしたことに何らかの展望が見える、そういう思いを国民は持っていると私は思います。

 きょう、私が先ほどの赤嶺委員の御質疑を含めて伺っておりますと、やはり何か奥歯に物が挟まったような御答弁が多くて、これを国民から見た場合に、本当に一体これは何を論議しておるのかということも見えづらいし、国民の思いからも遠いもののように思います。

 私は、冒頭、額賀防衛庁長官に二点お願いしたいと思いますが、自衛隊がイラクに派遣され、そして約二年を迎える中で、実は、派遣前と今とで異なった事柄があると私は思います。

 それは、アメリカとの関係において、一つは、昨年の十月に、日米同盟の再編と変革でしたか、再編と今後の展望でしたか、いわゆる2プラス2、未来のための変革と再編という取り決めがなされ、今長官は、鋭意、地元側の納得も含めてこの日本国内の米軍基地の再編問題を担っておられるわけですが、私は、ここで掲げられた文章の冒頭に、この「日米同盟 未来のための変革と再編」は、「世界における課題に効果的に対処する上で重要な役割」という形で、当然、私たちはみんな世界の中に生きておりますが、世界という地理的にも非常に広い概念の取り込みがなされ、そして、これは麻生外務大臣にもお伺いいたしましたが、ことし明けてから、QDR、四年ごとのアメリカの国防政策の見直し等々の中でアメリカが、対テロ戦略も含めて迅速に稼働、移動できる態勢を組むと。

 果たして我が国は、日米同盟と言われる関係の中で、このアメリカの動きと、どのように本来我が国が守るべきものを守って行動していくかということにおいて、ともすれば、やはり非常に懸念されるような事態が起こる。例えば、地理的な制約である、安保条約に言うところの極東事項、あるいはガイドラインでは、フィリピン以北という、周辺という概念をとったこと、今はもう広く中東まで自衛隊が行っているわけですから。

 きょうは非常に抽象的な御答弁しかいただけませんので、しかし、それでもいただいておきたいと思いますのは、額賀長官に、我が国としてきちんと守るべき諸法制、そして、もちろん憲法の制約もあります。安保条約もそうであります。先ほど赤嶺委員がお聞きになった、航空自衛隊が残り、各地で米軍の後方支援をするようになった場合に、おのずと問題が生じるだろうという認識で聞かれたのだと思いますが、防衛庁長官としては、我が国の守るべきのりを当然ですがきちんと守って一つ一つに当たっていかれるということと、そのためには、何がのりであるかということを、国民に、今何が問題になり、何が論じられて、例えばラムズフェルド長官とのお話の中で長官が、額賀さんが答えられたこともそうですが、やはり、やぶの中では国民が不安でならない、この船は乗ってどこまで行くんだろう、そういうことがありますので、一つ一つ明らかに明言し点検していく覚悟を、まず冒頭、一点お願いいたします。

額賀国務大臣 日本の防衛とか安全保障問題を考えるときに最も基本になることは、国民の信頼の上に立つことであるというふうに思っております。その象徴的なことは、それは、法治国家でありますから、憲法そして法律に基づいて実力部隊の自衛隊を動かす、シビリアンコントロールが生かされていくことであるというふうに思っております。

 したがって、日本の自衛隊は、日本の国民の皆さんと国家の安全と周辺の安定に関心を持ち、それをきっちりとフォローしていく、そのために日米同盟関係があるということであります。

 世界の中では、これは先ほどのイラクの人道復興支援もそうでありますし、国際的な災害が起これば、それは、自衛隊にできることであれば、受け入れ国の要請があれば、いろいろなところへ行って世界のために働くこともやぶさかではないということであります。

阿部(知)委員 イラクでの事案は災害ではございませんので。今の件はしかと私も承りました。

 そして、先ほど長官は、自衛隊員は命をかけてお国のために頑張ると思っていられると。確かにそうでございますが、と同時に、私たちは、その自衛隊員の命がけの行為というものが、本来守られるべき命が守られないような状態に決して置いてはいけないという意味で、いろいろな意味での、自衛隊員を守る、その仕組みも同時に私は全力を挙げてつくらねばいけない。

 きょう、もう一点お伺いしたいのは、実はイギリスで、イラクに派遣された方々の中で、いわゆる精神的なストレスによるもの、あるいはPTSDと呼ばれるようなものが数多く報告されているということで、現在、二〇〇三年一月から五年の九月までの間に派遣された軍人の約一・五%にストレスによるさまざまな障害がある、必ずしももちろんストレスが直対応に見られないものもありますが、やはり、いわゆるメンタルヘルスケアにかかわる部分がとても重要になっているという指摘なんだと思うんです。

 私は、国会に参りましてから、自衛隊員の自殺や、あるいは先般明らかになりました横須賀における薬物の問題、あるいはいじめの問題、先ほどの秘密漏えいの問題、やはり、人を本当に健やかに育てなければ国の守りはできないわけですから、長官として、このイラク派遣ということも含めて、行かれた方々の、隊員の身体的あるいは精神的なメンタルヘルスケアも含めてどのようなフォローアップ体制をとられるのか、この点を明らかにしていただきたい。

 ちなみに、米国の湾岸戦争後では、湾岸戦争症候群と呼ばれるものが非常に問題になったということはもう皆さんに周知されたことですので、自衛隊員の一人一人を本当に元気で心身ともにやっていただけるようなためにどんなフォローをなさるのか、お願いいたします。

額賀国務大臣 もうそれはおっしゃるとおりだと思います。

 私も長官に就任をして、これは歴代長官みんなそうだったと思いますけれども、やはり、イラクで自然の過酷な中で仕事をしている人たち、隊員の姿を考えると、それはまず、健康で、安全で仕事をきちっとやってほしいということであります。そのために、私も現地に行ってまいりまして、どういう生活をしているのか、どういう仕事ぶりなのか、治安はどうなのかということをこの目で見て、耳で聞いて、足で確かめてきたわけでございます。

 精神的な意味でのフォローについても、その道の専門家の先生方が行っておられていろいろな相談に乗っている、あるいはまたストレス解消のために休暇も与える、そういうことがなされていく、あるいはまた、家族とテレビ電話とかメールとかそういう交流ができるように気を配っている。

 そういう中でも、この前行ったときに聞いたところ、余り原因がわからない発熱の症状を訴えたりとか、あるいは、過酷な自然の状況でありますから風邪を引いたりすることがあるわけでございますけれども、そういうことについて我々はできる限りの対応策をとりたいし、とっているというふうに思っております。

三原委員長 時間になりましたので、阿部君。

阿部(知)委員 私のお願いしたのはもう少し中長期的なものも含めてでございます。ぜひお願いします。

 あと、麻生外務大臣にはいつも済みません、予告してあって質問の機会を得ませんでしたので、また日を改めてよろしくお願い申し上げます。

 ありがとうございます。

三原委員長 次回は、公報をもってお知らせいたすことにしまして、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時二十三分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.