衆議院

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第12号 平成19年11月12日(月曜日)

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平成十九年十一月十二日(月曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 深谷 隆司君

   理事 田中 和徳君 理事 中谷  元君

   理事 西村 康稔君 理事 西銘恒三郎君

   理事 浜田 靖一君 理事 鉢呂 吉雄君

   理事 渡辺  周君 理事 赤松 正雄君

      新井 悦二君    伊藤信太郎君

      伊藤 忠彦君    石原 宏高君

      岩屋  毅君    小川 友一君

      越智 隆雄君    大塚  拓君

      木原 誠二君    北村 茂男君

      北村 誠吾君    杉田 元司君

      鈴木 馨祐君    冨岡  勉君

      中根 一幸君    中森ふくよ君

      西本 勝子君    野田 聖子君

      橋本  岳君    林   潤君

      増原 義剛君    松本 洋平君

      三原 朝彦君    宮澤 洋一君

      矢野 隆司君    吉川 貴盛君

      大島  敦君    川内 博史君

      近藤 昭一君    田嶋  要君

      長島 昭久君    伴野  豊君

      松野 頼久君    三谷 光男君

      谷口 和史君    富田 茂之君

      赤嶺 政賢君    笠井  亮君

      阿部 知子君    保坂 展人君

      下地 幹郎君

    …………………………………

   内閣総理大臣       福田 康夫君

   外務大臣         高村 正彦君

   防衛大臣         石破  茂君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     町村 信孝君

   防衛副大臣        江渡 聡徳君

   外務大臣政務官      宇野  治君

   防衛大臣政務官      寺田  稔君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  鈴木 敏郎君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 梅本 和義君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 廣木 重之君

   政府参考人

   (外務省中東アフリカ局長)            奥田 紀宏君

   政府参考人

   (外務省国際法局長)   小松 一郎君

   政府参考人

   (防衛省防衛参事官)   小川 秀樹君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房長)   中江 公人君

   政府参考人

   (防衛省運用企画局長)  高見澤將林君

   政府参考人

   (防衛省人事教育局長)  渡部  厚君

   衆議院調査局国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動並びにイラク人道復興支援活動等に関する特別調査室長        金澤 昭夫君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月十二日

 辞任         補欠選任

  河野 太郎君     岩屋  毅君

  中森ふくよ君     小川 友一君

  宮澤 洋一君     木原 誠二君

  田端 正広君     谷口 和史君

  赤嶺 政賢君     笠井  亮君

  阿部 知子君     保坂 展人君

同日

 辞任         補欠選任

  岩屋  毅君     河野 太郎君

  小川 友一君     中森ふくよ君

  木原 誠二君     林   潤君

  谷口 和史君     田端 正広君

  笠井  亮君     赤嶺 政賢君

  保坂 展人君     阿部 知子君

同日

 辞任         補欠選任

  林   潤君     宮澤 洋一君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 テロ対策海上阻止活動に対する補給支援活動の実施に関する特別措置法案(内閣提出第六号)


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     ――――◇―――――

深谷委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、テロ対策海上阻止活動に対する補給支援活動の実施に関する特別措置法案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官鈴木敏郎君、外務省大臣官房審議官梅本和義君、外務省大臣官房参事官廣木重之君、外務省中東アフリカ局長奥田紀宏君、外務省国際法局長小松一郎君、防衛省防衛参事官小川秀樹君、防衛省大臣官房長中江公人君、防衛省運用企画局長高見澤將林君及び防衛省人事教育局長渡部厚君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

深谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

深谷委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。川内博史君。

川内委員 おはようございます。よろしくお願いをいたします。

 まず、山田洋行さんの水増し請求問題について聞かせていただきたいと思います。

 本件は、平成十三年の三月に契約をされたチャフ・フレア・ディスペンサー、レーダー攪乱装置でありますけれども、この件に関して山田洋行さんの側から不正な過大な請求があったのではないかという問題があるわけでございますけれども、これに関して、平成十三年の十二月に防衛庁は、輸入調達専門官、本委員会にも証人喚問要求をしておりますが、鈴木さんからBAE社あてに、見積もりが過大なのではないかという問い合わせをしております。

 それに対して、BAE社から、平成十四年二月五日付で防衛庁に対して文書が、回答が来ているわけでございますが、この文書、BAE社から防衛庁にあてた調査の結果の文書の資料請求をこの間ずっと、私どもの同僚議員である三谷議員とともどもに、民主党として資料請求をさせていただいておりましたけれども、きょうやっとその文書をいただきました。平成十四年の二月五日付、防衛庁ニューヨークオフィスあてのBAE社からの文書でございます。この文書について幾つか事実をお尋ねさせていただきたいというふうに思います。

 まず、この文書はBAE社から防衛庁にあてられたBAE社としての文書であるということを確認していただきたいと思います。

江渡副大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 先生の御質問のその文書ですけれども、当時ニューヨークに駐在している駐在員にあてられたBAE社からの文書でございます。

川内委員 それでは、この中にさまざまなことが書いてございます。要約すると、まず最初にあいさつが、一枚目ですね、あいさつが書いてありまして、次にオーバービューということで、総括というか概要というか概括というか、そういうことが記されてございます。

 まず、その中で、このオーバービューの中の片括弧一、この文書の真ん中あたりでございますけれども、委員の皆さんは持っていらっしゃらないと思いますので、まず、片括弧一のところを訳していただいて、そのとおりに訳していただいて、読み上げていただけますか。

小川政府参考人 恐縮でございます、先生おっしゃいます片括弧一というのがちょっと必ずしもあれなんですけれども。

 二月五日の書簡の英文のものの……(川内委員「片括弧一、ここから」と呼ぶ)ここですね。ちょっと、英文なのでとっさに和訳があれでございますけれども。

 これらの書類は、BAEのIDSのレターヘッドにIDSの代表のサインがある、しかし、我々のファイルを調査したところ、これらの書類は実際にはIDSの書類ではなく、記載された単価はIDSが見積もったものより高かった。

 それでよろしゅうございましょうか。

川内委員 これらの書簡は、IDSレターヘッドに記載されており、IDS代表、IDSというのはBAEのことですけれども、の署名があります、代表者の署名があります、しかし、ファイルを確認したところ、この書類は実際にはIDSの書類ではない、したがって、レターヘッド、さらには署名については、BAE、IDSのものではないということでよろしいですか。

江渡副大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 今委員が御指摘のとおり、本書簡におきまして、BAE側からの見解といたしまして、当時の、この平成十二年度に山田洋行と契約いたしましたBAE社製のチャフ・フレア射出装置の調達に係る当初契約等において、防衛庁の予算のプロセスでBAE社の見積書とされた書類は、BAE社の関知または承認なく作成されたものであるという内容でございます。

川内委員 BAE社の関知、承諾なく作成された書類であるということが書いてあると。

 そうすると、大臣、このレターヘッドとかサインは偽造されたものだということになるわけです。偽造されたものであるということを、この書類のレターヘッドあるいはサインは偽造されたものであるということがここに書いてあるということを防衛大臣としてお認めいただけますか。

江渡副大臣 この時点ではその疑いがあるということであるわけでございますけれども、委員も御承知のとおり、いろいろとやりとりさせていただいておりまして、その後、BAE社の方からですけれども、他方、平成十四年の三月の二十日になりますけれども、同じ二月五日付で文書を作成して送付してきたBAE社側のグループ会社でありますIDSの副社長、同一人物からですけれども、また防衛省の米国駐在員に対して書簡が送られてきました。

 その書簡によりますと、最終的な調査の結果、平成十二年度のチャフ・フレア射出装置の当初契約におきまして、株式会社山田洋行が防衛庁側に提出した見積もりは、BAE社のデータベースから発行されたということが確認されたというふうな文書も新たにまた来たわけでございます。(川内委員「それはいつですか」と呼ぶ)これは三月二十日にです、その後に。

 ですから、その段階で、先ほど委員の方から御指摘があったように、二月の五日の段階では疑いがあるということで、また再度いろいろ調査した結果、今度逆に三月二十日の段階ではそういうようなものが送られてきた、そういう状況になったわけでございます。

川内委員 いや、まず私が確認したいのは、その後に、それは業者の方でさまざまに工作をしたんだろうというふうに思いますが、まず、平成十四年の二月五日にBAE社から防衛庁の問い合わせに対して書簡が送られてきた。そして、それには、山田洋行が勝手に見積もりをつくったものであって、自分たちはそういう見積もりはつくっていない、オリジナルではないというふうに言っております。このことを確認してくださいと。

 要するに、私が言っているのは、IDS代表者の署名がありますと書いてありますけれども、これはIDS代表者の署名ではないということを言っているんですねということを確認していただきたいんですけれども。IDS社の書類ではないと言っているわけですから、それを、私の言っている意味がわかりますか、サインは偽造されたものだということをこの文書の中で言っているんですねということを。

小川政府参考人 二月五日の書簡の記載内容の御質問でございますけれども、記載内容にありますのは、先ほど、とっさの訳ではございますけれども、申し述べたとおりでございまして、これらの書類はIDSのレターヘッドにIDSの代表者のサインがある、しかし我々のファイルを調査したところ、これらの書類は実際にはIDSの書類ではなく、記載された単価はIDSの見積もりより高かったという記載は、この時点、二月五日の書簡には書かれておるわけでございます。

川内委員 なかなか、御自分たちのおやりになられた仕事ですから、お認めになられるのは心苦しいのかと思いますが。

 それでは、調達本部事件の後、調達改革の具体的な対応策として、防衛庁長官のもとに防衛調達改革本部が設置をされ、調達改革の具体的措置というものが定められていますね。確認してください。

小川政府参考人 ちょっと直ちに資料が出てまいりませんけれども、したがって、名称がそのとおりであったかは別といたしまして、いわゆる調達実施本部の事件後に、調達改革のための措置が取りまとめられたというふうに理解しております。

川内委員 その中で、企業側提出資料の信頼性を確保するため、入札及び契約心得を改正し、制度調査の受け入れ義務及び虚偽資料の提出の禁止について規定している。虚偽資料の提出の禁止について規定しているということでありますけれども、調達に関する書類は真正なものを受け入れなければならない、あるいは、企業は真正なものを提出しなければならないというのは、この入札及び契約心得の中に既に規定されていたのではないですか。

小川政府参考人 御説明申し上げます。

 これもちょっととっさのことで、手元にその入札心得の資料がございませんけれども、当然のこととして、真正のものを提出するというのは企業側の義務でございまして、お読みになったような記載が心得の中にあったのではないかというような記憶を持っております。

川内委員 委員長、極めて今の御答弁は不誠実な御答弁だと思いますよ。

 調達にかかわることを私は質問いたしますということを申し上げているわけで、そのことに関して、その調達にかかわる防衛庁の中の大変重要な決まり事である入札及び契約心得に関して聞いたら、まあ、そういうことが書かれているんじゃないかと思います、とっさのことなのでわかりませんと。こんな不誠実な答弁、ありますでしょうか。

 入札及び契約心得というのは、あなた方の内部の規定ですよ。あなた方が自分たちで決めて、自分たちでこうしましょうねということを定めている規定ですよ。そのことについて聞いたら、いや、わかりませんけれども、まあ、そう書いてあるんじゃないかと思いますみたいな答弁では、どういうことなんですか。定めてあるでしょう。定めてありますと言ってくださいよ。

小川政府参考人 御指摘のような趣旨が定められていると承知しております。

 ただ、その文言については、ちょっと手元にありませんので、そのとおりかどうかは、ちょっと私、現在把握できず、恐縮でございます。

川内委員 手元にないんでしょうか、入札及び契約心得。役所に電話して今聞いてくださいよ、じゃ。どういうふうに書いてあるのか。(発言する者あり)

 いやいや、これは、規定に違反したか。要するに、平成十四年の二月五日に、委員長、虚偽の書類であるということをメーカー側が防衛庁に言ってきているわけですよね、虚偽の書類であると。この内部規定に従えば、虚偽の書類を提出した時点でアウトなんですよ。先ほど江渡副大臣は、いや、後でいろいろ調査した結果本物が出てきたんだみたいな答弁をされましたが、虚偽の書類を提出してはならないとこの内部規定に書かれているとすれば、虚偽だというふうに言っている時点で、もうその時点でアウトじゃないですか。

 まず、そこをはっきりさせていただきたいんですけれども。

小川政府参考人 御説明申し上げます。

 当時、その二月五日の書簡を受け取りまして、当然、そういう虚偽の見積もりがなされた疑いがあるということで調査をしております。その過程で、先ほど副大臣御答弁申し上げましたけれども、三月二十日の書簡が参りまして、二月五日の書簡の内容をほとんど全面的に否定をして、二月五日の書簡については抹消するということが述べられておったわけでございます。

 その後も当然引き続き調査はしておりましたけれども、したがって、当時の理解としては、二月五日のレターをそのまま受け取るという状況では三月二十日になくなったということは、当時のこととしては言えるわけでございます。

川内委員 いや、だから、その説明は合理性を欠くんですよ、その説明は。いいですか。虚偽の書類を提出してはならないというのが入札及び契約の心得なんです。

 それじゃ、このレターについている、BAE社から山田洋行に提出をされた見積もり、要するにBAE社がこの値段で買ってもらってくださいねということを言っている値段と、実際に、平成十二年の十一月十四日や平成十三年の二月七日、あるいは平成十二年の十二月十八日、いわゆる平成十二年度に山田洋行から防衛庁に提出をされた見積もり、これは明確に金額の相違がありますでしょう、明確に金額の相違がありますね。認めてください。

江渡副大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 委員御質問のとおりに、御指摘のとおり、差がございます。そのうちの一部を御報告させていただきたいと思いますが、この二月五日付の書簡に付された単価の状況なわけでございますけれども、SH60J用の、このヘリのつけるチャフ・フレアなんですけれども、山田洋行の見積もりでは、当時、単価二十五万七千百ドル、そしてBAE社からの見積もりが二十万七千三百四十四ドルということで、差があるわけでございます。

川内委員 一台につき五万ドル差がある。十八セット調達しているので、掛け合わせると大変な金額になるわけですけれども。

 もう一度申し上げますよ。そもそも山田洋行から防衛庁に提出をされた見積もりとBAE社が山田洋行に提出をした見積もりとで金額に乖離がありますということをお認めになられました。その時点で、その後の理由はどうであれ、平成十四年二月五日の時点で、防衛庁の規定である入札及び契約心得、企業から提出をされる資料は真正な資料でなければならないと。すなわち、BAEから山田洋行に提出された見積もりと山田洋行から防衛庁に提出をされた見積もり、これはレターヘッドが偽造され、サインが偽造されているというふうに言っているわけですから、これはもう明らかににせものの書類である、真正な書類ではない、この時点でこの規定に抵触するということをお認めにならなければならないんじゃないですか。

江渡副大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 ですから、今委員の御指摘があったものですから、我々も調査をさせていただいたわけでございます。その場で、その上すぐにというような今の言い方もあったわけですけれども、実際どうであったか。

 と申しますのは、あくまでも、契約上で防衛省が契約する側は山田洋行さんなんです。BAEの見積書というのはあくまでも概算見積もりであります。そして、実際契約するときには、山田洋行さんがそれなりに手数料とかいろいろ上乗せするとか、いろいろな形があるわけでございます。ですからこそ、きちんと調べなきゃいけないということで調査をさせていただいたわけです。

 そこで、先ほど私が委員にお答えさせていただいたように、三月二十日の段階では、まずはBAE社のデータベースから発行されたということが確認されたということでありまして、そして、この当初契約の見積単価というものが技術支援費を製品価格に上乗せしたものだったが、その後、技術支援費は別途予算化されるということを知ったために、技術支援費を減額する変更契約をBAE社側から申し出た、そういう中身の文書が来たわけでございます。そして、先ほど小川参事官の方からも御報告がありましたとおり、平成十四年の二月五日付の書簡というものは抹消していただきたいということが記されていたわけでございます。

 ですからこそ、これらのいろいろなやりとりがあったものですから、当時の防衛庁は、BAE社の二月五日付の書簡の内容についてはこの三月二十日付の書簡をもって取り消されたというふうに考えたわけで、ですからこそ、そういう流れの中において契約の変更を行った、そういう流れでございます。

川内委員 ちょっと私は今の副大臣の御答弁ではとても理解も納得もできないわけですけれども、そもそも調達に関する改革というものがなぜ必要になったのか、防衛調達改革本部というものがなぜ設置をされ、調達改革の具体的措置として定められたのかということは、調達本部事件にさかのぼるわけですけれども、これも水増し請求だったわけでしょう。メーカーから代理店に出た見積もりと代理店から防衛庁に出た見積もりが違う、偽造されている、過大であった。そのことが発端となって、調達本部事件というものに発展をした。その反省として、この具体的措置の中に、書類は真正なものでなければならない、本物でなければならないんだということを定めたんでしょう。違うんですか。

小川政府参考人 御説明申し上げます。

 調達実施本部の事件を受けまして、先ほど委員御指摘になりました入札及び契約心得を定める等の改革をしておるわけでございます。

 当時の調達実施本部の事案でございますけれども、御指摘のとおりいわゆる過払いの案件でございますけれども、当時の案件は、国内メーカーの原価計算における工数のいわゆる水増しによる過払いでございまして、御指摘になられたような輸入品の代理店にかかわる水増しではなかったということでございます。

 先ほど先生おっしゃられました入札及び契約心得でございます。大変失礼いたしました。第一章の一の三の項に「資料の提出・提示」というところがございまして、「相手方は、」契本及び管理局原価計算部、現在は装備施設本部でございますけれども、「に資料を提出又は提示する場合には、虚偽の資料を提出又は提示してはならない。」ということが規定されてございます。

川内委員 虚偽の資料を提出してはならないと記載されている。

 防衛庁と契約する企業は、入札及び契約の心得を遵守することという条件がついていますね。

小川政府参考人 この心得を守るべきことになっております。

川内委員 それでは、平成十二年度に防衛庁に対して提出をされたチャフ・フレア射出装置、山田洋行から提出をされたチャフ・フレア射出装置の見積書についている、アタッチされていたであろうBAEあるいはIDS、ソリューションズのオリジナルの見積書は真正な見積書でしたか。

小川政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のBAEの二月五日の書簡によりますと、提出された見積もりはBAE作成のものではないということが記述されておったわけでございますけれども、先ほど来副大臣が答弁しておりますように、三月二十日の書簡では、BAEが作成したものであるという記載があったということでございます。

川内委員 二月五日付の書簡では間違いだとBAEは言っていたが、その書類は偽造されたものだと言っていたけれども、三月二十日付の書簡では、いや、その見積もりが正しいのだと言っているということですね。言っているんですね。

小川政府参考人 三月二十日のBAEの書簡では、その見積もりはBAE社が発行したものであるという記載がなされておるわけでございます。

川内委員 その三月二十日付の書簡を今下さいよ。読ませてくださいよ。

 それは、余りにも後づけの理屈じゃないですか。そんなことを言い出したら、どんな契約だって正当化されますよ。入札及び契約の心得で、虚偽の書類を出してはならないと。それは偽造ですと言われたものを、後で業者同士で話し合って、あるいは、これは防衛庁も絡んでみんなでごまかしたのかもしれない、守屋さんも絡んで、証人喚問で出たけれども。それで、後で、BAE社に、いや、その書類で間違いありませんと言わせて、結局何も問題ありませんと。

 あなた方、一体何をやろうとしているんですか。入札及び契約の心得では、虚偽の書類を出しちゃいけないと書いてあるんですよ。さっき認めているじゃないですか。そもそも、山田洋行が出した見積もりと、BAEが最初に山田洋行に出した見積もりとでは、金額に乖離がありましたと認めているじゃないですか。その時点で虚偽なんですよ、後でどんな理屈をつけようが。違いますか。

江渡副大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 委員のおっしゃる意味はよくわかるわけでございますけれども、先ほどから答弁させていただいているとおり、当時、二月五日の段階で、我々も、疑わしい、そういう思いがあったればこそ調査をかけたわけです。そして、やりとりをしていったら、三月二十日の段階で来た書簡においては、BAE社のデータベースから出たところであるという形になったわけです。

 ですから、そこのやりとりで、ではどっちがどっちなんだろうという話になって、でも、結果的に、委員も御承知のとおり、流れ的な部分においては、山田洋行が意図的な形で虚偽の申請をしたかどうかということがはっきりしなかったということで、契約をやり直した、そして単価が下がったという形になったわけでございます。

 ですから、このやりとりがいろいろあったということ、それは御理解いただければありがたいなと思っています。ですから、確かに、委員がおっしゃるように、その時点でなぜすぐとめなかったか云々というのはあったかもしれませんけれども、我々としては、しっかりとした形のものを調べたかったという、そのことでやりとりをしていたということを御理解いただきたいと思います。

川内委員 では、見積書の金額に差異があっても、後で理屈をつければ、それは今後も防衛庁は認める、そういう答弁ですね。業者側は見積もりが違ったとしても、あるいはサインを偽造しても、レターヘッドを偽造しても、後でつじつまを合わせれば、防衛庁としてそれを理解すれば、それでいいですよ、納得しますよ、そういうことですか。偽造された書類なんですよ、そもそも。

江渡副大臣 お答えしたいと思います。

 ですから、その段階で本当の偽装だったのかどうなのかということで調べたということです。そういう流れの中であったればこそ、先ほどから御答弁しているとおりに、三月二十日の段階では、あくまでも、当初の契約の見積もり単価においては技術支援費を製品価格に上乗せしたものであったけれども、その後、技術支援費は別途予算化されると知ったために、この技術支援費を減額する変更契約をBAE側から要請したというそういう流れがあったわけです。

 ですからこそ、この段階で、先ほどからもお話ししているとおりに、意図的あるいは作為的な過大請求とまで断定するに至らなかったということで、その当時、契約変更を締結するということにとどめたという流れでございます。

 ですから、確かにその段階において、委員がおっしゃるとおりに、即これは作為的なものだというふうにとらえられたかどうかということになりますと、これはまた、私その当時いたわけではございませんので何とも言えませんけれども、ただ、やはり同じように問題意識は持っていたという、そのことは御理解いただきたいと思います。その問題意識があったればこそしっかりと調べたというそういう流れになるわけです。

 そして、今現在も、委員も御承知のとおり、この問題については我々は徹底して調査をしております。そして、実はBAE社側から口頭での答えもあって、どうもその辺のところの当時の流れもいろいろ問題があったかもしれないということが言われておるものですから、ですから、今我々は、きちんとした文書を出してほしいとBAE社側に申し入れをしております。

 そして、その形をもっともっと我々も徹底調査しなきゃいけないだろうというふうに考えておりまして、実は、委員あるいは三谷委員初め多くの方々からこの件に対しては御質問いただいているものですから、何度も何度も防衛省は調査チームをつくるのかと言われるかもしれませんけれども、実は、その件につきまして調査チームをつくりまして、今鋭意調べているところでございます。そして、口頭であれこれ言うのではなくて、しっかりと文書で答えてほしいということでBAE社にお願いしているところでございます。

 今までの流れとしてはそういうところでございます。

川内委員 調査をするとか調べているとおっしゃるんですが、では、これは虚偽ではないか、契約の心得に反するのではないかと言うと、いやいや、これこれこういう説明を受けているので心得には反しないというふうに御答弁になられるのは、そもそも論理が矛盾しているのではないかというふうに思われますが。

 それでは、三月二十日のそのBAE社からの見積もりは正しい見積もりだったという手紙を下さいよ、まず。それをちょっと今仲間にすぐ読んでもらって、もう私の質疑もあと三十分ぐらいですから、早急に分析をしないと、その三月二十日の手紙のことは防衛庁の方はだれも私に教えてくれなかったですから、それはもうここで答弁しているんだから、出さなきゃだめでしょう。

 委員長、出すようにと御指示いただけますか。

深谷委員長 新たな資料要求ですか。

川内委員 はい、資料要求でございます。

深谷委員長 それでは理事会で協議します。

川内委員 いや、理事会で協議したのでは、もう私の質問の時間が終わってしまいますので、今検討しなければ、これは大変な問題じゃないですか。(発言する者あり)

 いや、委員長にも御理解いただけると思うんですよ。

深谷委員長 川内委員のお気持ちはよくわかりますけれども、手続上、この場で資料を請求されても、直ちに出せと委員長では言い切れません。

川内委員 では、何て書いてあるか答弁してください。

深谷委員長 それでは答弁でお願いします。小川防衛参事官。

小川政府参考人 原文は英語でございますけれども、どういたしましょうか。日本語にして、そんなに長いものではございませんが、全文読ませていただきましょうか。

 三月二十日付でございますけれども、まず初めに、私からの防衛庁ニューヨークオフィス、ミスター鈴木に提出させていただきました二〇〇二年二月五日付の書簡が、当社の一方的な懸念を述べ、山田洋行を誹謗した上、防衛庁の、ちょっと仮訳でございますけれども、あくまで。関係者の方々にも多大な御迷惑をおかけしたことにつきまして、本状をもっておわびしなければなりません。最終的な調査が完了いたしましたので、防衛庁への御報告をまとめ、後日提出する考えでおりますが、先に次のことを御報告させていただき、そしてお願いを申し上げます。最終調査の中で、防衛庁に山田洋行から提出された次のクオーテーション、見積書は、当社IDSファイルの中から発行されていることが確認されました。このクオーテーションは、米国ヤマダインターナショナルと協議され、技術支援費が製品価格に上乗せされたものでありました。その後、技術支援費は、山田洋行からの通報で、別途予算にて行うことが明らかになりました。したがいまして、このクオーテーションをベースに防衛庁と山田洋行で契約されたものについては、IDSと山田洋行において調整が終わり、防衛庁に対して山田洋行より御報告して、技術支援費を減額した変更契約の履行を進めさせていただくことをお願いしております。

 三件のクオーテーションが書かれておりまして、ちょっとこれ、ずっと読み上げるとあれでございますので、その単価は、SH60用のものが二十五万七千百ドル、P3C用のものが四十三万ドルでございまして、これは当初契約で入っておる品代と一致すると考えております。弊社IDSは防衛庁に対し、今の一致するというところは手紙には書かれておりません、私が申し上げたところでございます。弊社IDSは、防衛庁に対し重ねておわびを申し上げます。勝手ながら、上記クオーテーションと私の二〇〇二年二月五日付書簡について抹消させていただきたくお願い申し上げます。御質問がありましたら、山田洋行を通じ御連絡くださいという、以上でございます。

川内委員 そうすると、そもそも、物品の調達に関して、技術支援費を上乗せして契約をする、契約をしようとした、違う違う、契約しているんだ、一回は。一回はもう契約しているんですね。技術支援費を上乗せして契約をしている。これは、では、幕も承知の上でやっていたということでよろしいですか。

小川政府参考人 御説明申し上げます。

 その点は、現在、調査、確認中でございますけれども、当時、企業が説明をしていたこととしては、幕との一定のやりとりがあったというようなことでございますけれども、幕の方としては、そういったことはないというようなことになっております。

川内委員 幕の方としては、そういったことはないと。幕は、そんなことは知らないと。技術支援費を上乗せして契約しろよ、そんなこと、幕が指示してないわけでしょう。指示してないのに、山田洋行は勝手に技術支援費を上乗せして見積もりを、契約をしようとした、したというのは、明らかに虚偽じゃないですか。一回は虚偽しているじゃないですか。これは契約の心得に反しませんか。

小川政府参考人 繰り返しで大変恐縮でございますけれども、その子細な状況につきましては、今、関係資料を当たり、関係者に事情聴取をして押さえておるところでございますけれども、現在まで、当時の資料を見る限りでは、山田洋行側に作為的、意図的水増し請求があるというところまで確認を当時し得なかったという模様でございます。

川内委員 いや、確認を当時し得なかったのではなくて、今調査をされていらっしゃるわけでしょう。

 山田洋行は、そもそも、いいですか大臣、整理すると、BAE社から出た見積もりに技術支援費と今になって称する金額を上乗せして一たんは契約したんですよ、防衛庁と。これは契約書もあります。契約したわけですよね。そして、何にもなければこの金額が払われるんですよ。指摘を受けて、BAEが、いや、そんな見積もりは私たちは出していませんと。出していませんということになったら、いろいろ調査が始まって、最後、変更契約になっていますが、では、そもそもこの予算要求を、契約を結ぶに当たって、技術支援費を上乗せして契約してもいいよ、契約しようねということを幕が山田洋行と相談していたんですかと聞いたら、相談していない、そんなことは幕は知らないと言っていると。

 そうすると、上乗せした技術支援費というのは一体何なんですか。普通は、技術支援費が必要ならば、これは役務の調達ですよね、物品の調達ではなくて。技術を支援する、まあ、教えるということです。役務の調達として別途の契約にしなければならないものでしょう。そんなもの、物品の調達に技術支援費を五百万も一千万も上乗せするような、そんな契約なんかないですよ。そんないいかげんな契約はないでしょう。あとは、込み込みという話もあるかもしれないですけれども、込み込みでサービスさせていただきますみたいなですね。しかし、技術支援費として項目を立てて契約するのであれば、それは役務の調達であって、物品の調達では決してない。

 しかし、山田洋行は、幕も知らない、BAEも知らない上乗せを山田洋行独自の判断でやっているわけでしょう。これは明らかに虚偽の契約である。入札及び契約の心得に明らかに反することを一度は契約としてやっているじゃないですか。防衛庁は山田洋行と契約を結んでいるじゃないですか。どうなんですか。

小川政府参考人 そのあたりの経過、状況について、まさしく子細に、現時点の目で見て確認調査をする必要があると思っております。

 ただ、御理解をいただきたいのは、過大請求でございますけれども、意図的、作為的なと申し上げておりますけれども、言いかえれば、故意または重過失によるという場合に一定の処分というのを、行政処分ではございませんけれども、するということになっておりまして、その作為性というのが、通常の過払い案件でございますと、もう過払いが済んで何かの極めて明確な証拠が出て事業者の方も認めた場合というケースでございまして、そうでない場合に、我が方のように捜査権を持たない者がどこまであれできるかということはあるわけでございまして、そういうことは一応申し上げなければならない。

 ただ、今日的な目で見て、当時の調査経過をいま一度極めて厳正に、徹底的に調査をしたいというふうに思っております。

川内委員 もうこの問題はこれだけ長い間いろいろ申し上げているにもかかわらず、肝心なところになると、ちゃんと調査しますとかおっしゃるのですけれども、この入札及び契約の心得にはもう一つ重要なことが書いてありまして、予定価格の決定に当たってはよく業者と相談するようにと書いてあるのですよ。見積価格の算定に関しては、よく相談して、よく資料を見て、ちゃんと適正な値段を定めなさいよということが書いてあるのですよ。

 当初の山田洋行との契約に技術支援費を上乗せするということを幕が知らなかった、幕はそんなことは承知していないというのであれば、そもそも、よく相談しなさいよということにも反するじゃないですか。どうなんですか。

小川政府参考人 要求側といろいろな事情を深く相談することの適否という問題はあるかもしれませんけれども……(川内委員「適否じゃなくて、ちゃんと事情を聞いて適正価格を定めろと書いてあるのです」と呼ぶ)恐縮でございます。それは、原価計算なり契約の仕事をします、当時でいいますと原価計算部あるいは契約本部、そういったところは、きちっとしたルールを守りながら、事業者の方から原価にかかわるきちんとしたヒアリングをして、その中から適正な原価を算出するということでございます。必ずしも要求元と直にいろいろなコミュニケーションをするということが望ましいということを定めておるわけではございません。

川内委員 何を言っているのかよくわからぬですけれども、当初の契約で、そもそも幕の知らない技術支援費を上乗せして契約している。それだけでも私は大変な問題だ、それだけでも大変な問題だというふうに思いますよ。

 幕が知らないと言ったんですからね。幕が知っていたというのだったらまだしも、幕は知らないと言っているというふうに小川参事官、おっしゃったでしょう。幕が知らない技術支援費を上乗せして契約をし、さらに、それはメーカーから出た見積もりとも違う金額である。この契約に関して、いや、まあ、後でBAEから手紙が来て、その見積もりは正しい見積もりであったと書いてありますからと。

 では、業者が後で何とでも言える、ごまかせば、防衛庁はごまかせる役所なんですかということになるじゃないですか。そういうことでしょう。では、そういうことなら、防衛庁は幾らでも民間からごまかしていただきますということを言ってくださいよ。幾らでもごまかされますからと。後で言いわけしてそれが通れば、防衛庁としてはそれでいいのですというのであれば、そのとおり答弁してくださいよ。

石破国務大臣 これは現在、当省の中で、五年も前のことでございますので、当時のいきさつも含めて全部調べております。

 それで、今、技術支援費とは何なんだ、一体技術支援費の中身とは何なんだということであります。それは私もこの件で、一体技術支援費って何、込み込みみたいな話で、何かわけのわからないものを乗っけて、締めて幾らというような話じゃないでしょうねということは、それはもちろん省内で確認をしておるところでございます。

 技術支援費とは何ですかといいますと、技術支援に係る交通費、事前準備費用、マニュアルトレーニングシステムの設置と確認、書類の準備、ソフトウエアの準備、バックアップ、つまりソフト及び人材、事前のトレーニング等々、これを技術支援費というのだということになっております。

 そうしますと、このチャフ・フレアというのはSH60Jに搭載しておるものでございますが、何もこの機会にチャフ・フレアが初めて入ったわけではない、新しいタイプのチャフ・フレアである、よって、物の値段プラス、プラクティスといいますか、そういうようなものの値段が必要なのだという理解をしたものと思われます。

 内訳はこうなるということなんですが、では、それぞれは一体何よ、それぞれは一体幾らするのよ、その事前の準備費用は一体幾らであり、書類の準備に幾らかかるのであり、ソフトウエアの準備に幾らかかるのでありみたいなことをきちんと本当に確認をしたのかということは、五年も前のことでありますので、その当時の書類から何から全部出して、何でこういうことになったのだということは現在確認しておるということを今事務方が申し上げておるわけでございます。

 先生御指摘のように、では、調本事案のときは相手が国内メーカーでございましたから、工数あるいは工賃、ここを上乗せすると幾らでも上がっちゃう。そうすると、それを見抜ける能力というものが当時の防衛庁側にあったのかということが問われておりました。これは幾らしますよ、この工程にこれぐらいの工数がかかりますよということ、それはうそでしょう、違うんじゃないんですかという能力を我々が持たねばならない、あれが調本事案の反省でございました。

 今回の場合は、相手のメーカー、そして代理店が入っております。そうすると、本当にその技術支援費なるものは一体幾らなんですか、とにかく高過ぎやしませんかという話をしたところ、いやいや、それは契約を分けてやることになります、技術支援費というものを込み込みでやっておりました、込み込みといいますかインクルードしてやっておりましたが、それは分けてやることになりましたということで、契約を結び直したというのが経緯なんであります。

 だけれども、では、それが一つになっていたということが何でその時点で見抜けなかった、やけに高くありませんかということが事後になって私どもの方から指摘されたということは、それはおかしくありませんか、その時点で何で気づきませんでしたかということは委員御指摘のとおりだと私は思います。

 そういうような能力を持つことができるのかできないのか、そこへ山田洋行がどう絡んでいるのかということについて、山田洋行がどう絡んでいるかについてはまだいろいろなことが言われておりますし、私どもも事実の確認をしていかなければいけません。ですけれども、事の流れとしてはそういうことで、技術支援費の中身というのはそういうものだということでございます。

 省内において、どうしてこんなことになったのかということについてはいろいろな事実を確認していかねばなりません。言われたとおり払うのかということは、そうではないというふうに私は思いますが、当時どのような確認がなされたかということについて、きちんとした調査をして、早急に御報告をせねばならぬものだと思っております。

川内委員 大臣、きちんとした調査をして報告をしなければならぬということは、それはそうなんですけれども、しかし、私が再三にわたって申し上げているのは、技術支援、要するにその機械をどう使うのかということを指導するのはメーカーの人なんですよね。代理店は代理店なんですから、間をとっているわけですよね。メーカーも技術支援費の上乗せをするということは知らない。そして、幕も技術支援費が上乗せされているなどということは相談を受けていない、知らない。山田洋行だけが、後になって、これは技術支援費を上乗せしたんですということを言っている。当初の契約は、BAEも知らない、幕も知らない、技術支援費と後になって説明されるものが、金額が上乗せされている。平成十二年の契約はですよ。平成十二年、当初の契約は。

 この当初の契約は入札及び契約の心得に明らかに反する契約であるということを防衛庁として言わなければ、私は、調査をするということの端緒にならぬと思いますよ。

小川政府参考人 御説明申し上げます。

 当初契約の際に技術支援費というものが上乗せされておったというふうに山田洋行が説明しておるわけでございますけれども、その技術支援の中身は、山田洋行は全くないかはちょっとあれですけれども、確かに、主としてBAE側が用意するものであろう、委員おっしゃるとおりであると思います。

 当時の説明としましては、BAE側がこの技術支援の中身について準備を技術スタッフを中心に行っていたという説明をしておりまして、先ほど来申し上げています三月二十日のレターでは、書かれておる内容としては、その内容についてはさらに精査が現段階では必要だと思っておりますけれども、BAE側が、技術支援費が当初の見積もりの中に上乗せされたものでありましたということを認めて、それがBAEのファイルから出ておるということもこの三月二十日の書簡の中では認めておるわけでございますので、その時点の書簡の内容としては、BAEもそこを認識していたという理解をしていた、当時はしていたということでございます。

川内委員 私が申し上げているのは、後になってメーカー側あるいは業者側から言われたことを、なるほどなるほど、そうかと言っていたのでは、防衛庁としての仕事じゃないでしょうということを言っているんですよ。当初の契約は技術支援費が上乗せされているということを、幕も知らない、BAEも知らない。山田洋行だけが後になってそれは技術支援費ですと言ったものが上乗せされた契約を防衛庁は契約しているわけですよ。

 その契約は、その時点において、明らかに入札及び契約の心得に反するでしょう、反した契約なのではないですか。それはそうですと言わなきゃおかしいです。大臣、どうですか。だって、そうですと言わなきゃおかしいですよ。

    〔委員長退席、田中(和)委員長代理着席〕

石破国務大臣 ですから、最初に、技術支援費なるものが入っていた時点で、これは高いんじゃないのということが見抜けなければならないということだと私は思いますね。

 その後、技術支援費が実はまじっておったので契約をセパレートして別にやりますということになった時点で、では技術支援費は一体どう使われたのだと。今までそういうようなことがあって、あるいはこれも、本邦初演で、世界初演で売ったわけじゃないわけですから、アメリカもそういうのを使っておったのでしょうし、では、そのときにそういうような技術支援費、もちろん、よその国に出すものですからアメリカの中で出すものとは違うでしょう、技術支援費の中身というものが本当に適正に要求されたものであったのか。その辺をきちんと精査していきませんと、委員御指摘のように、その時点で心得に明らかに反していたということを今の時点で断定することは難しい。

 ただ、その心得がきちんと、単なる紙に書いただけではなくて、それは虚偽のものであるとか、余計なものといいますか違う契約内容も含まれているということがちゃんと見抜けなければ、これはうそですよ。そうでなければならないということなので、一体どういう体制になっているのかということはきちんと見なければならない。

 委員御指摘のように、BAEも知らなかった、海幕も知らなかった、あるいは契約本部も知らなかった。山田洋行さんだけが委員御指摘のように知っていて、本来は払われるべきではないような技術支援費のようなものを不当に請求していたとするならば、それはそれで許すまじきことであって、技術支援費なるものが一体どのように使われているのかということまで含めて、全部、全体像を見た上で、本当に、だれがどんな能力を持つべきか、その心得に反していないかということは判断せられるべきものと考えております。

    〔田中(和)委員長代理退席、委員長着席〕

川内委員 入札及び契約の心得には、虚偽の書類を出してはならない、真正なものを出してくださいねと書いてあるわけで、山田洋行が、その物品のみならず、後になって、これは技術支援費ですというものも上乗せしている、これだけで真正な書類とは私は言えないというふうに思います。

 このことを押し問答していてもしようがないですから、では、この件が不問に付された、変更契約で不問に付されたことの理由として、三月二十日付のBAEの書簡もあったんでしょう、さらには、平成十四年三月二十六日付に、ロサンゼルス地区の駐在の輸入調達専門官石坂氏から防衛本庁あてに、この件は特に問題ありませんでしたという報告書が出ていますね。

小川政府参考人 委員御指摘の三月二十六日付の報告書でございますけれども、内容は四つぐらいございまして、会社の概要、それから、二番目がBAE社からの謝罪ということで、これは……(川内委員「あるかないかだけ答えていただければ。もう時間がないので」と呼ぶ)失礼いたしました。

 恐縮ですが、本件三件の変更契約について、それが正当であったとかそういう記述は必ずしもございません。

川内委員 朝日新聞に、その三月二十六日付の文書の前提となる「別の駐米の防衛庁職員がBAE社で調査」「三月二十五日」という日付が書いてあります。平成十四年三月二十五日、石坂さんがBAE社で調査したと朝日新聞が報道しています。

 石坂さんは、この平成十四年三月二十五日にBAE社に訪問していますか。

小川政府参考人 三月二十五日の点については、申しわけないです、まだ十分な確認ができておりません。

川内委員 これはひどいですよ。私は、石坂氏が三月二十五日にBAE社を訪問したかどうか、本人に聞けばすぐわかるじゃないですかと再三にわたって申し上げていますよ。BAE社に行った、君、と本人に聞けば、行ったか行かないかぐらいすぐわかるじゃないですか。それを、なぜこんなところでわかりませんなんて言うんですか。

 行ったんですか、行かないんですか。

小川政府参考人 御説明申し上げます。

 私どもは、昨日の夜、御指摘を伺いまして、本人にアクセスをいたしました。本人には一応のことは聞きましたけれども、非常に記憶もあいまいで、ふわっとした内容でございまして、そういった点を今後複数の事情聴取等を含めて確認していく必要があるというふうに考えております。

川内委員 いや、これだけ問題になっている事案に関して、石坂氏が、君、行ったのかと聞かれて、いや、ちょっとよく覚えていませんわみたいな、そんなことがあり得るわけないじゃないですか。

 行っていないでしょう。石坂氏はBAE社には行っていない、行っていないが、三月二十五日にBAE社に行ったということにして三月二十六日付の報告書を書いた。認めてください。

小川政府参考人 大変恐縮でございますけれども、その三月二十五日のBAE社に行ったかどうかについては、現時点で十分な確認ができておらない状況でございます。本人は、全体、本件について覚えていないという点が非常に多うございまして、十分な確認ができていないところでございます。

川内委員 公正な委員長にお願いします。

 このような不誠実な答弁が許されるのであれば、国会での議論などは何の意味もない。国民から信頼される防衛省・自衛隊でなければならないと政府も我々も思っています。そういう中で、何かおかしなことがあったのではないか、何か不正があったのではないか、それに守屋さんが絡んでいたのではないかということが疑われている事案に関して、本人に確認してくださいねと言ったら、確認したけれども本人はわからないと言っていますと、そんな答弁があるんでしょうか。

 私は委員長に申し上げますが、本委員会、まだ夕方までありますから、本人にしっかり確認して、本委員会にきょうじゅうにBAEに行ったか行かなかったかということを御報告いただけるようにお願いをしたいと思います。

深谷委員長 発言ありますか。

 石破防衛大臣。

石破国務大臣 私も、このような御指摘があるということをゆうべ委員からいただきました。けさ事務方から報告を受けたところでございますが、実際本人は記憶があいまいだということでございます。私も、直接聞いたわけではありませんので、どうなのかはわかりません。

 ただ、記憶があいまいですからそのままうやむやうやむやということがあってはならないと思っております。当然、行ったとするならば、それは旅費も払っておるはずでしょうし、一体それがどのように支払われたのかということも確認をするように申してございます。どのようになされたかということ、どのような形でその確認をする、実際に行かなければならないというものなのか、あるいは書面等々でやるのか、ほかにいろいろな方法があるのか、確認というのは必ず行ってやらねばならないものなのかということも含めまして、現在、残っております書類等々、点検を命じておるところでございます。

 ただ、そのためには、何しろ五年も前のことでございますので、いろいろな記録等々の十分整理ができてございません。多少のお時間はかかりますが、うやむやにしたままで済ませようとは思っておりません。

川内委員 いや、委員長、ぜひきょうじゅうに、本委員会開会中に、石坂氏がBAE社を訪問しているのか否か。これは、三月二十六日付の報告書には、三月二十五日に訪問してこの報告書を作成すると明確に書いてあります。したがって、二十五日に石坂氏が訪問したか否かというのは本件に関する重大な事柄でございますので、本委員会に御報告をいただけるようにお願いを申し上げたいと思いますが。

深谷委員長 小川防衛参事官に申し上げます。できる限りの努力を尽くしてください。

川内委員 終わります。ありがとうございました。

深谷委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 私は、まず、海上自衛隊の給油活動をめぐる隠ぺい問題について聞きます。

 寺岡元海幕防衛課長は、七日の参考人質疑の中で、キティーホークへの給油問題が発覚したときに、みずからがブリーフィングすることになった経緯について説明をいたしました。

 統幕議長が記者会見で海上自衛隊が給油したのは二十万ガロンである、こういうことを説明したときに、ざわざわと、今の数字は何なんだという疑問が起き、記者会見が紛糾して一時中断した。その後、防衛庁の主要幹部と話し合いをして、実際の情報をつかんでいる海幕の防衛課長がブリーフィングをしなさいということになったと説明した。この点で、保坂議員がだれと相談したのかを秘密会議で詰めたのに対し、防衛局長、官房長、次官、それから長官もいらっしゃったと思う、このように証言しております。

 石破大臣、当時、寺岡課長とこのような話し合いを持ったのですか。

石破国務大臣 これは委員御承知の上で質問なさっておられると思いますが、寺岡氏はその時点で取り違えには気づいていなかったということを申しておるわけです。何について相談したかお尋ねですか。ちょっと教えてください。

赤嶺委員 寺岡課長が、石破大臣や、官房長、次官、長官もいらして相談したと言っているんです。まさに、何について相談したかというのを、私はその相談の場面を見ているわけじゃないですから、石破長官が答えるべきことですよ。

石破国務大臣 それではもう一度申し上げますけれども、そもそも寺岡氏が二十万と八十万の取り違えに気づきましたのは、統合幕僚会議議長の会見及び寺岡氏による記者ブリーフィングが行われた五月八日ではございませんで、翌日の五月の九日でございます。誤りに気づいた後はだれにも報告していないことについて寺岡氏は参考人質疑において明確に述べている、それはよろしいですね。それに気づいていないことは明確に述べている。それは委員がお聞きになったとおりです。私どもはその場におりませんでしたので、議事録で拝読するだけでございますけれども、その時点において気づいていなかったということを寺岡氏は述べているわけでございます。

 そうすると、したがいまして、統合幕僚会議議長会見の後、寺岡氏の記者ブリーフィングの前の時点において、寺岡氏と防衛省の幹部との間で給油量の取り扱いについて話し合いが行われたということは、当然あり得ないということでしょう。だれにも言っていないわけですから、そのことについて話し合いが行われたということは、当然ないわけでございます。

 委員が御指摘になりました寺岡氏の部分は何かといいますと、ざわざわと、今の数字は何なんだという疑問が起こりまして一時ちょっと紛糾して云々、一時中断しましたと。その後、防衛庁の主要幹部と、では、今後どのように対応していくかという話し合いを私も含めまして点々、私が記者ブリーフィングをしたという経緯でございます。また、一堂に会して話をしたわけではありませんと述べた後に、その際に関連する相談あるいは話し合いをした方は、運用局長、失礼しました、防衛局長、それから官房長も入っていたと思います、それから次官、長官もいらっしゃったと。

 一堂に会していたわけではないと言いながら、その後、あれもいた、これもいた、これもいたということを言っているわけで、どういう日本語なのか、私は後でこれを見ながら、よくわからないなというふうに思ったことでございます。

 大体、こういうような話し合いのときに、防衛課長が大臣室に入ってそのような相談をするということは、私も防衛庁長官も含めていえば二年少しの経験をいたしておりますが、そういうことはございません。そしてまた、寺岡氏はその時点において誤りに気づいていない、気づいた後もだれにも報告をしていないということでございます。一堂に会してそのような議論をするということもございませんし、その時点で寺岡氏がそのような認識も持っていない。

 ですから、何について相談をしたのか、相談した事実があるのかと言われれば、それはございませんとしかお答えのしようがありません。

赤嶺委員 相談したことはありませんという前に長々と私が知っているようなことを述べられましたが、もう一度確認します。

 防衛課長は別に大臣室に入っていって相談したとはおっしゃっていないんですよ。防衛課長は相談したとおっしゃっているんですよ、長官と。相談した事実はあったんですか、なかったんですか。

石破国務大臣 ですから、先ほどから、なかったと申し上げておる。

赤嶺委員 記者会見では記憶になかったというお話もありましたが、記憶も手繰り寄せた上で、調べ直した上で、なかったということなんですね。

石破国務大臣 手繰り寄せようが調べようが、ないものはないとしか申し上げようがございません。そのようなことの記憶も一切ございません。

 そういうことが実際に起こり得るのかといえば、それは、通常、防衛省の業務の中でそういうような相談が行われる。つまり、一堂に会したとは言っていないというふうに確かに言っている。しかし、その後、あれもいた、これもいた、あれもいたというふうに言っている。この二つの文章を一体どうやってつながりを持って読めばいいのか、私は極めて理解に苦しむところでございます。

赤嶺委員 文章の読み方はともかく、課長は防衛庁の長官に相談をしたというのははっきり読めるわけですよ。そこが何を話し合ったかわからない、そういうようなことは納得できない答弁であります。

 それで、高見澤局長に伺いますが、あなたは、当時、寺岡課長のカウンターパートだったのだということに会議の中でもなりましたが、この問題をめぐって寺岡課長とどういう話し合いをしたんですか。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 私は、五月八日から海外出張をしておりまして、この件で数字の間違いについてやりとりをしたことはございません。

赤嶺委員 そこは、課長が防衛庁長官に会った、こういう発言は簡単にできる発言ではないな、なかなか重みがあるなと思います。しかし、その中身というのが全く私の問いに対して明らかになっていないんです。

 ただ、やはりあの当時のやりとりを振り返ってみたときに、私は改めて石破長官に問いただしたいことがあるわけです。大臣は、当時、キティーホークへの給油の報道がありまして、それについて何か具体的な調査をするような指示を出されましたか。

石破国務大臣 その時点において議論になっておりましたのは、当然、取り違えに気づくのは後のことでございます、それでキティーホークに間接給油をしたのかどうかということが議論になっておりました。そこにおいて、間接給油が行われたかどうかということは、それは事実として確認をしなければならない、そういう議論をしたという覚えはございます。

 しかし、その時点において補給量の取り違えということに気づいていないからこそ、私がその後もその数字、つまり、取り違えた数字をもとに参議院の委員会で答弁をした。それは誤った数字に基づいて答弁をしているわけでございますから、やはり気づいた時点で報告がなされねばならなかったということが寺岡氏が言ったことではなかろうかというふうに文字からすれば推察をすることでございます。

 そういうことに気づいていなかったとするならば、そして私も当然知らないわけでございますから、間接給油という事実についてきちんとするという議論は、当然その時点でしておるものでございます。

赤嶺委員 この二十万ガロン、八十万ガロンが問題になっていたときに、防衛省の中では間接給油が問題だったというような議論に、これはなかなか、非常にわかりにくい説明なんですね。だれが聞いてもわかりにくいんですよ。

 しかし、当時のことを振り返ってみると、大臣は、アメリカ側に確認した結果として、イラク作戦に使われたことはないと説明をしております。ところが、守屋前防衛事務次官は、先日の証人喚問で、当時アメリカ側に事実の確認をしたのではなく、疑惑を及ぼす可能性があるのでそういうことはないと米側に言ってほしいとお願いした、このように証人喚問の中で明確に証言をしているわけです。アメリカ側の回答は、給油を受けたのは補給艦だとか、給油を受けた二十五日時点でOEFに従事していたという非常にあいまいなものであるわけですね。

 大臣、当時、このような米側への確認なるものを受けて疑問がわき、さらなる事実関係の調査を指示したということはなかったんですか。

石破国務大臣 御質問の意図が私にはよくわかりませんが、何をしなければいけなかった、おまえは何を怠ったというふうにおっしゃりたいのか、ちょっと私、はかりかねるところでございます。

 守屋氏が実際に証人喚問で、その委員がおっしゃったのは原文のままでございますか、そのとおり言ったのですか。(赤嶺委員「原文のままです、二十九日の引用」と呼ぶ)原文のままですか。疑問がとか、そういうふうに言っておりますか。

 それは仮に原文のままだといたしまして、アメリカに問いただしましたのは、それは法律の目的に従って使われたかどうかという確認をしなければならない、当然のことでございます。そのことを米側に確認をしたということであり、そして、クリステンセンですかの返事が来ておるということでございます。

 それは、合衆国大使館を代表する者から、そのような返答、つまり、法律に従って使われたという返答が来た以上、それ以上何の確認をせねばならないのか、そのことについて何を怠ったというふうに委員がお考えなのか、私には少し理解いたしかねるところでございます。

赤嶺委員 こういう確認をして何の疑問もわかなかったんですか、石破大臣。

 その直後に、二月二十八日時点でキティーホークの艦載機はサザンウオッチ作戦に参加をしている。そして、当時の政府の説明からいっても、対イラク作戦に使用されている可能性が高い。私は再調査をしてほしいと求めました。当時は、大臣はそれに応じませんでした。

 私たちは、この六年間、キティーホーク以外にも繰り返し転用疑惑を取り上げてきたわけですが、大臣は交換公文を盾に一切まともな調査をしようとしてきませんでした。今回の全件調査なるものも、結局、アメリカ側に確認したのではなく、日本側が推定したという表現があちこちに出てきます。これにすぎません。

 当時、我々はキティーホークの艦長だと指摘しました、パーカー艦長。テープもあるということも石破大臣に委員会で私はお示しをいたしました。政府はモフィット司令官だと。このようなやりとりもあった。しかし、八十万ガロン、二十万ガロンが問題になっているときに、それは一切問い合わせないで、法律どおりに使っていますかというような問い合わせをしたら、アメリカから法律どおりに使っていますという回答があった、これで本当に説明になるんでしょうかね。

 私は、やはり転用疑惑は、政府ぐるみで、石破長官にも大きな責任が負わされたと指摘されるんじゃないか、そういう経過を振り返ってみてそのように思いますが、いかがですか。

石破国務大臣 それは、そういう前提を置いてお話を組み立てられれば、そういうことになるのだろう。

 つまり、寺岡さんの質問からお話を始められました。その後、今度はOSWの話をお始めになりました。それとこれとは関係のないお話でございます。つまり、寺岡氏はそのときに補給量の誤りには気づいていなかったということを言っておるわけで、そこで相談も何も、その補給量について相談を行われたはずもございません。そこにおいてなされたのは、間接給油がなされたかどうかということであり、そして米側に確認をして、法律の目的どおりに使いましたという返事をいただいておるわけでございます。かてて加えて申し上げれば、イラク戦争が始まったという時点、それははるかに後のことでございます。

 そういたしますと、当然、私どもが考えなければいけないのは、我々の補給が法律どおりに使われたかどうかということでございます。そして、日本側の資料だけではなくて、それはアメリカ側から膨大な資料を取り寄せ、航泊日誌を読み、その私どもが補給しました油がどのように使われたか、あるいは補給艦に補給された油がどのようにその後使われたかということまで極めて子細に、極めて精緻に確認をしたものでございます。

 盾にとってとおっしゃいますが、交換公文というものは、盾にとるとかなんとかそのようなものではございません。政府と政府がきちんとした信頼関係に基づいて交換公文を結んだものであり、そんなものは信用できないとかいったら外交関係なんか何にも成り立ちません。それを信頼し、なおかつ多くの御指摘もこれあり、そして、現地バーレーンにおいて何に使いますかということもきちんと確認をした、それでもなお念には念を入れてということでアメリカ側の協力を得て膨大な資料を取り寄せ、全件調査を行ったというものでございます。

 それはでたらめだ、捏造だ、隠ぺいだ、おまえもそれに絡んで云々かんぬん、そういうふうに推論なさり立論なさるのは、それは委員のお考えでございますけれども、私どもとしてそのような考えは全くございません。

赤嶺委員 バーレーンでの現地の確認についても詳細に今まで聞いたんですが、ただ、今、もう一つちょっと確認しておきたいんですが、寺岡氏は当時二十万ガロンと思い込んでいたから八十万ガロンについて相談することはあり得ないというお話だったんですが、そうすると、この給油量以外について、その日、石破防衛庁長官に寺岡さんから相談があったんですか。記者会見、ブリーフィングでざわついている、ざわめいている、これは普通と違うということでいろいろな方々に相談した、給油量では相談はなかったけれどもそのほかの問題ではあったんですか。

石破国務大臣 委員は、あるいは防衛省内のいろいろな意思決定のシステムについてごらんになったことがないのかもしれません。これは防衛省で、大臣であれ副大臣であれ政務官であれ、多少なりとも仕事をしたことがある人間からすれば、海幕の課長が大臣にこれをどうしましょう、あれをどうしましょうという相談が行われることはございません。防衛省内の指揮命令系統からいいましても、幕の一課長が大臣に対して、あるいはそれは副大臣でもそうなのかもしれません、これをどうしましょうということを個別に相談するということはあり得ないことでございます。

赤嶺委員 あり得るかあり得ないかじゃなくて、そのときにあったのかどうか、事実関係だけ答えてください。

石破国務大臣 それはないと申し上げているじゃありませんか、さっきから。ですから、そういうことはどうなのだといえば、あり得ないと申し上げたので、ありませんということは冒頭申し上げたはずです。

赤嶺委員 これはまだまだ解明が必要であります。石破大臣、やはりもっといろいろな角度から議論をしていきたいと思います。ただ、きょうは私の時間も限られていますので、次に高村外務大臣に聞いていきます。

 政府は、これまで六年間、テロの脅威を除去する、このように言って、インド洋で米軍などへの支援活動を継続してきました。今回の新法で、テロリストや武器の移動を阻止する海上阻止活動への支援を継続するとしております。

 そこで聞きますが、そもそも、政府の言うテロリストというのは一体だれのことを指すんですか。

高村国務大臣 アルカイダ並びにそれを支援するタリバン、そういうことでございます。

赤嶺委員 アルカイダ、それとタリバン。タリバンもテロリストということですか。

高村国務大臣 タリバンというのはかなり幅の広い人たちで構成されておりますが、タリバンの中枢部分、明らかにアルカイダをかくまっていたり支援をしている、そういう人たちはテロリストの一部、こういうふうに思っております。

赤嶺委員 常識的には、九・一一テロの実行犯、これに限られるのではないかという疑問がわきますが、そうではないわけですか。そこに限定されないわけですか。

高村国務大臣 アルカイダという一つの組織があるわけでありますから、そういう人たちは組織的、継続的にテロ活動をやっている。そして、その人たちをタリバン政府が完全に支援をし、かくまっていた、こういうことでありますから、その実行犯だけということではありません。

赤嶺委員 そうすると、かなり幅が広くなっていくわけですが。

 米軍は、今、アフガニスタンでテロとの戦争を言い、掃討作戦を続けております。米軍は、掃討作戦を行う場合に、テロリストはどういう人たちなのか、だれなのか、そういう判別をして攻撃を行っているんですか。

高村国務大臣 作戦内容の詳細については私が知り得るところではございませんが、できるだけ無辜の民を傷つけることがないように、そういう配慮はしつつ行っているというふうに承知しております。

赤嶺委員 私たち日本共産党は、この法案の審議に入る前に、アフガニスタンに詳しい、あるいはアフガニスタンの国内で現に活動しているいろいろな専門家、NGOの方々にもお話を伺ってまいりました。

 その中で、日本国際ボランティアセンターのアフガン人スタッフのお母さんの話を聞かせていただいたんですが、二〇〇五年四月、現地人スタッフのお母さんが、乗り合いタクシーで移動中に米軍に撃たれ重傷を負った、家族が米軍に事件の説明と謝罪を求めたけれども何の返事もなかった、いまだにないというお話でありました。

 ペシャワール会は中村哲先生のところですが、二〇〇三年十一月、用水路を建設中に、米軍ヘリ二機が突然旋回し機銃掃射を加えてきた、このようなお話をされました。

 米軍は、一体だれがテロリストなのか区別しないまま掃討作戦を行っているのではありませんか。テロリストと一般住民を区別することなどできないということではありませんか。

高村国務大臣 今御指摘のようなことがあるとすれば、大変痛ましいことで、残念なことであります。そういうことがないように空爆のやり方その他について今カルザイ政権とOEF参加各国がいろいろ話し合っている、そういうことも聞いておりますし、ぜひそういうことがなくなるようなやり方をしてもらいたいとは私も思っております。

赤嶺委員 ペシャワール会の中村哲さんは、タリバンについてこのように言っておられました。実は大半が普通のまじめなアフガン農民そのものだ、このように指摘しているわけです。それが、外務大臣がおっしゃるようにアルカイダとタリバンもテロリストだということになれば、いわば中村哲さんたちから見れば、普通のまじめなアフガン農民もテロとの闘いの名のもとに空爆で殺され続けていく、こういうのが実態だと思います。それがやはり新たな憎しみと暴力を生んで報復の連鎖に陥っている、このことをもっと直視すべきではありませんか。

高村国務大臣 私はかなり注意深く言ったつもりで、タリバンの中核の人たち、アルカイダをまさにかくまっている、アルカイダとともに戦っているタリバンの中核の人たちと、そういうふうに貴委員の質問に対して最初申し上げたつもりでございます。

赤嶺委員 アフガニスタンの上院のことは、この委員会でも繰り返し出されました。タリバンのオマル師も含めて和平交渉、話し合いの対象、こういう議論も行われているわけであります。アフガニスタンの上院は、ことしの五月に、タリバンを含む反政府勢力との政治解決のための直接交渉を行うべきだとする決議を可決しております。決議は、米軍、ISAF、アフガニスタン軍に軍事作戦の停止を求めているんです。気をつけてやってくれというのではないんです。停止を求め、米軍撤退のスケジュールを策定する必要性に言及をしております。

 私は、今、日本政府がとるべき立場というのは、インド洋での報復戦争支援をきっぱり断念して、米国とNATO諸国に対して、まさにアフガニスタンの上院が求めているように軍事作戦の中止を求めるべきではないかと思いますが、どうでしょうか。

高村国務大臣 何度もお答えしましたように、カルザイ政権そのものは、あるいはカルザイ大統領は、つい最近、テレビのインタビューに答えて、米軍等はアフガニスタンを助けるためにアフガニスタンに来ているのだ、こういうことも言っておられますし、軍事作戦全体をやめてほしいとアフガニスタン政府が言っていることはない、こういうふうに思います。

 ただ、私たちは国民和解ができるということは大変望ましいことだと思っておりますし、既にカルザイ政権の求めに応じてタリバンもかなりの数の人たちが投降しております。カルザイ政権を認めて投降している。これも一つの、タリバンの中の一部の人たちが平和交渉に応じたとも言えるわけでありますが、さらに多くのタリバンの人たちとの間で国民和解ができればそれにこしたことはないし、日本政府もそういうことにお手伝いするのはやぶさかではない、こういうことであります。

赤嶺委員 私は、日本政府は対米支援にきゅうきゅうとするのではなく、アフガンの国内で今生まれている和平のための対話のプロセス、そのためには軍事作戦の停止が必要だとアフガンの上院も言っている、そこにきっぱり踏み切って和平の交渉の後押しをすることこそ日本政府がとるべき態度だというのを申し上げて、質問を終わります。

深谷委員長 次に、阿部知子君。

阿部(知)委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 先ほどの赤嶺委員の御質疑を多少受け継ぐ形で、冒頭、予告外のことをやらせていただきたいと思います。

 石破大臣は、せんだっての寺岡参考人のお話に関して、五月八日の記者会見でざわめきが起きて、その後、寺岡さんがまた記者会見を行うことになる合間にも、当時防衛庁でございましたが、何人かの幹部の皆さんと御相談をされたというふうに当日御発言でありました。議事録が後に出ておりますので、私どもの党の保坂がお伺いした部分かと思いますが、そこに何人かのお名前が出てまいります中に、例えば防衛局長、官房長、そして次官、それから長官もいらしたと思いますというお話をされました。

 私は、そもそも元自衛官でありますから、現場の方がこうした国会に来られてお話をなさるだけでも大変緊張したであろうし、誠実にお答えもしていただいたんじゃないかと思うのですが、先ほどの大臣のお話ですと、寺岡さんからはそのとき、五月八日ですね、全く相談を受けたことがないというふうに伺ってよいのでしょうか。それは、何万ガロンであったかとかそういうことではなく、記者会見でも大変に騒がれておる、そのことについて、間接給油問題であれ何であれ、全くその日、五月八日には相談を受けたことがないというふうなさっきの御答弁でしょうか、一点お願いいたします。

    〔委員長退席、田中(和)委員長代理着席〕

石破国務大臣 これは先ほどの赤嶺委員に対するお答えと重複したら恐縮ですが、防衛課長というのが単独で来るということは当然あり得ません。これは私どもの指揮命令系統からいってあり得ないことでございます、あってはならないことでございます。そういうことを行うことはございません。とすると、海上幕僚長あるいは統幕議長と来るということはあるのかもしれませんが、石川議長は統合幕僚会議議長でございますので、海幕の防衛課長が単独でついてくるということも極めて考えにくいことでございます。

 そういたしますと、私もその場に全くいなかったか、あるいはそういう場があったかということを言われますと、私も本当に記憶はございません。しかし、寺岡氏がその後述べておりますように、取り違えについてはそのとき認識をしておらなかった。それは、委員のお言葉をかりれば、本当に誠実にお答えになった寺岡氏の言葉どおりだと思います。

 そうしますと、ざわざわとしました。統幕議長、こういうことになりましたというような報告、それは統幕議長からは、当日なのかどうなのか、とにかくこういうことがありましたということは報告を受けたと思います、統幕議長から。あるいは事務次官から、こういうことになっておりますということの報告は多分受けたんだと思います、その日は。それはもう指揮命令系統に従って当然行われたものでございますね。

 それで、寺岡氏から、どうしましょうかという相談を受けたという事実はございませんし、そういうことは私どもの組織の中で、当然、あってはならないことですので、寺岡氏もそのことはよく認識をしておるはずでございます。

阿部(知)委員 寺岡さんのお話も、それぞれの方と同じ内容の話ではなかったように思いますとはお答えであります。

 しかし、ここでやはり国民の多くが知りたいと思っているのは、もちろん、いろいろな入力ミスということはあるわけです。その入力ミスが、一体だれの判断で、どこまでが関与して、どう処理されてきたのかということが、ずっとこの審議の中でも実は見えてまいりません。

 そのことが果たして、例えば現場の部隊、現場の関係者だけで、いわゆる制服組だけでやったのであれば、今度はシビリアンコントロールの話になってまいりましょうし、文民の方も関係したのであれば、逆に言うと、防衛省自身の情報の国民への公開のあり方、あるいは大臣までが御存じであったならば大臣の御責任もあるということで聞かれているわけです。

 私は、もう一点、そのことは午後、なお保坂もお尋ねすると思いますが、大臣には、そのときも二十万ガロンだと思っていらしたと。一体、いつまで二十万ガロンだと思っていらしたでしょうか。「ときわ」からペコスに給油されたディーゼルが二十万ガロンであるという認識は、いつからいつまでおありだったでしょうか。

石破国務大臣 それは、恐縮でございます、市民団体の方から御指摘を受けるまで、きちんとした認識は持っておらなかったところでございます。

 ただ、補給艦に二十万ガロンということが極めて不自然な数字かといえば、それは、どうも調べてみると必ずしもそうではない。二十万ガロンという数字は少ないように見える。それは、もう一隻の方に八十万なので、比べると二十万は少ないね、大きな補給艦に二十万かねということになるのでしょうが、補給艦に二十万ということ自体が不自然かといえば、一連の補給活動を見てみると必ずしもそうは言えないというふうに報告を受けております。

阿部(知)委員 そういたしますと、この問題は、二〇〇三年の五月の六日のキティーホークの元司令官の会見から約四年間以上塩漬けされていたわけです、情報としては、誤った理解のもとに。

 そして、私が大変不思議に思いますのは、市民団体がこれを指摘されましたのが九月の二十日の記者会見でございます。今長官はおっしゃいました、市民団体の指摘を受けてと。そうすると、わずか一日、翌日の二十一日に防衛省の方は八十万ガロンであったというふうに変更されたんですが、わずか一日の間で、市民団体が指摘した、防衛省が、即日と言えるほどに、半日くらいだったかと思います、即日に近く訂正されていますが、その間どんなチェックをなさったんでしょうか。そして、だれが一番最初に誤りに気がついたのか。

石破国務大臣 細かい事務的な作業について全部私が承知しておるわけではございませんが、累次この国会で申し上げましたように、実際に正しい数字というのはあったわけでございます。つまり、現場からは、二十万、八十万、戦闘艦に二十万、補給艦に八十万という正しい数字が上がってきておった。市民団体から御指摘を受けまして見てみると、ちゃんと正しいデータは上がっていた。

 では、何でこういう誤った数字を統幕長なり私なりが申し上げたかということを調べてみると、海幕のオペレーションルームにおいてつくった数字というのに入力ミスがあったということでございまして、正しい数字と誤った数字、二つの数字が流れておったわけでございます。残念ながら、統幕議長あるいは防衛庁長官の答えには、その誤った数字がずっと確認されないまま上がってきたということで、御指摘を受けてチェックをしてみると、ここに入力ミスがあったということはかなり簡単に判明をするものでございました。

阿部(知)委員 では、現場サイドにお願いいたします。

 一体だれが最初に過ちに気がついたでしょうか。資料の中で出てまいりまして、書き込みがあるものも、ハミルトンとペコス、それの給油量は、それが誤りだ、誤っていたと寺岡さんに聞いたんでしょうか。あるいは、当時そこにおられた海幕の運用課あるいは需品課系統の自衛官、これは翌日に誤りに気がついた、五月の十日の時点でしょうか、その方たちがおられますが、一体だれに聞いたんでしょうか。済みません、おわかりだったらお願いします。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 この件につきましては、ピースデポの方でそういった会見をやったのはたしか九月二十日だったと思いますけれども、それで見たところ、取り違えということを言われました。私ども、大変驚きまして、その関係について実際どうなんだということを確認いたしたところでございます。

 ですから、数字の間違いについては直ちにわかりまして、こういった重要な事実について誤っていたということであれば、マスコミとの関係でも、あるいは防衛大臣に直ちに報告しなければいけないというようなことでございました。それで、私、具体的に高村防衛大臣に、大事な数字が間違っていたということが判明しましたというのは、たしか二十日か二十一日かどちらかだと思いますけれども、報告をさせていただいた記憶がございます。それで、大臣の方からは、そういったことについてはきちっと対応するようにということでございました。

 同時に、そういった数字をなぜ間違えたかということにつきましては、当時の海上幕僚監部が一番、今は統合運用でございますけれども、当時は海上幕僚監部の方でいろいろな運用をやっておったということで、海幕にも確認をし、どうしてこういうことが起きたのかというようなことの事実関係を確認した結果、そういうことがわかって、それで進んでいった。

 いずれにしても、私どもの方としては、二十一日の時点では、数字の間違いということは確かなので、そのことについてはマスコミに対しても御説明をした。その後、ではなぜそのような事実が生じたのか、どこからこういった間違いが生じたのかということについては、大臣の指示もあって事実関係を調査しておったということだろうと思っております。

    〔田中(和)委員長代理退席、委員長着席〕

阿部(知)委員 長い御答弁の割には、だれが最初に誤りに気がついたか、そして、当時、五月の九日に、海幕の運用課、需品課系統の自衛官に、その行った人に確認しましたかという二点はお答えではありません。

 恐縮ですが、私の時間がもうないので、きちんとこれは、私は瑣末なことと決して思えません。それは市民団体がここまで指摘して、一日でころりと変わっちゃう。その間、四年間、石破大臣は二十万ガロン、二十万ガロンとずっと答弁していらしたわけですし、こうした一つ一つの情報の確認過程というのをおろそかにしないでいただきたい。

 そして、石破大臣、もう一つ、情報ということで私が懸念します点、きょうちょっと伺わせていただきますが、実は今度は、ペコスからキティーホークに行った量、数値ばかりでややこしいですが、これも八十万ガロンだと言われていましたが、十月十日に六十七・五万ガロンに変更されました。

 こちらの方は余り問題にされていませんが、でも、これもたどってみますと、大体、石破大臣は、私どもは五月八日にアメリカに確認して、ペコスからキティーホークは八十万ガロン、この御答弁が五月十六日の赤嶺委員への御答弁でございます。そして、同日、アメリカから入手したメモ、これは防衛省がお配りになった資料の四十三ページにも八十万ガロンという数字が出てございます。ところがまた、今回の審議の中で、十月の十日、ある日突然、六十七・五万ガロンに変わりました。

 これまでもアメリカに確認していらした、メモももらった、なぜある日突然変わったのでしょうか。大臣、お願いします。

高見澤政府参考人 お答えをいたします。

 六十七万五千ガロンという数字につきましては、ペコスの給油量ということでピースデポの方の指摘がございまして、私どもの方としても、同種の資料を入手すると同時に、実際の給油がどのように行われたかということを米側に確認した結果、六十七万五千ガロンであるということが判明したという経緯がございます。

阿部(知)委員 では、この防衛省からいただきました十月二十九日に添えられた資料は誤りですか、うそですか。四十三ページ、ここには、キティーホークは不朽の自由作戦の二月二十五日、オマーン湾において米軍補給艦ペコスから八十万ガロンの燃料を受給したと。米側のメモです。それがどういう経緯で変わったのでしょうか。十月十一日、プレスリリースには六十七・五万ガロンになっておりました。

 しかし、いかにアメリカといえど、間違った情報を伝えたのなら訂正してもらわねばなりません。私ども国民は知る由がないわけですから。いかがでしょうか。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 五月八日の米側のメモにつきましては、これまでも国会で答弁させていただいているとおり、当時の状況を確認したものでございます。それに対して、六十七万五千ガロンというのは、事実関係を改めて確認した結果わかったものでございます。

阿部(知)委員 情報というのは、当時とその後とそんなにころころ変わっては、情報確認の意味がないのです。あなた方は、ずっとこの論議、この委員会はほとんどこの問題ばかりでした。いかにそれは情報確認がいいかげんで、では、大臣、いいんですか、それで。メモは八十万ガロンだった、確認したら六十七・五万ガロンだった。本当に確認したんですか、最初の段階。大臣が二回も三回も御答弁であります。

 私は、そうした確認作業が本当にこんなにずさんでいいかげんでは、国民にとって大事な情報公開、これからますます日米同盟はいろいろな形に展開するでしょう、そのときに、前の資料は間違っていたけれども黙っておられて、今度新たに確認したら、何年か後に、いや、違ったんだと。それでいいんですか、大臣。

石破国務大臣 経緯につきましては、今運用局長から御説明をしたとおりです。

 でありますからして、ぜひ御議論をいただきたいな、私どももきちんとしたものを出さねばならないなと思っているのは、仮に今の新法というものを御審議いただく上において、あるいは可決の暁に、どういう形で確認を行うのかということをちゃんとしなければならぬだろうと思います。

 それは、アメリカに確認をするといいましても、日本でも、現地から海幕に報告が来る、それからずっと上がってきてということで、数字を共有する、そしてまた正確を期すためには、相当のプロセスが要るわけでございます。アメリカに確認した、はいはいといってすぐに正しい数字がジャストに出てくるかというと、必ずしもアメリカもそうではないわけです。

 その辺で、どういうふうにして確認するというような手法を確立するか。その以前に、日本とアメリカの間において、ほかの国ももちろんあるわけですが、この新法の目的に従った補給がなされるということについて、何と何と何と何を確認し、お互いにそこで意識を共有するか、そういうシステムというものをつくっていかねばならない。

 委員御指摘のように、本当に私どもが今回改めて思いましたのは、アメリカとの意思の確認のプロセス、やり方、それについてきちんとしたものを確立しなければ、国会審議において国民の皆様方にちゃんとした情報が適宜適切に開示できないということはよく認識をしたところでございます。

阿部(知)委員 私が指摘したいのは、この四年間の石破大臣の答弁が、二十万ガロンにおいても、あるいはペコスからキティーホークの八十万ガロンにおいても、全く根拠がなかった、違っていたということなんですよ。そうしたら、これから先も本当に不安の種が消えません。

 そして、大臣、お願いがありますが、アメリカにおいては航海日誌は永久保存であります。我が国は三年間で廃棄。この問題、時間がないので駆け足で申し上げますが、今市民団体が情報公開を求めても、真っ黒塗りのものが出てきて、三年たったら廃棄、やみからやみになってしまいます。我が国にきちんとアメリカ並みの永久保存のシステムを、まず第一点は取り入れるべきです。検証ができません。

 それから、大臣は特に軍事のことはお詳しいと思いますが、船は女性の名前がつき、航海日誌はその船の一生のようなものでございます。それがぽんぽん捨てられていくということは、後々から、三十年、四十年、五十年たったときに、私どもが歴史を見直すときの大事なデータがとれないということにもなります。

 ぜひ、永久保存ということをきちんと今回のこの出来事にかんがみて決めていただきたいということと、情報公開の運用方法がこの件で明らかになったことは、市民団体が指摘すれば、それまではアメリカの了解を得ないとできないから、できないからと言ってきたことが、すべて一夜で、あ、間違っていましたと。こんなことでは、本当に我が国の情報公開の姿勢、根本が問われます。

 永久保存の問題と情報公開の運用について、大臣にお願いいたします。

石破国務大臣 この航泊日誌を含めましてどう取り扱うかというのは、実は海上自衛隊創設時に決まったもののようでございます。それは何の流れを引いているかというと、私も全部見たわけじゃありませんが、恐らく帝国海軍のそういう資料のやり方、つまり、船の中で一年、おかにのっけて三年、四年で焼却、こういうことになっておるわけですね。それは、恐らく帝国海軍はそういう考え方があったのだろうと思います。これが本当にいいのかどうなのかということは検討いたします。

 これを焼却しなきゃいかぬという明確な理由も私には見当たりませんので、委員おっしゃるように永久保存ということもあり得るのだろうと思いますが、永久保存していますと、どこに保管するんだみたいな話になりますので、また、だれが保管するんだということもあります。

 政府といたしまして、ではそれを公文書館にするのか、マイクロフィルムにおさめるのか、そういうことも含めまして、これは永久保存であってもよい、あるべきではないかと私自身思っております。それが一点。

 それからもう一つは、これから先、市民団体から言われればすぐぱっと直すんだ。これは私、本当に今回反省をしたのですが、アメリカの情報公開のあり方について全部知っておったわけではございませんでした。正直言って、アメリカのアーカイブズに行くとそんなものが出てくるということについても詳しく存じませんでした。大変に申しわけのない、不明の至りだと思っております。

 そういうことも含めまして、情報公開とはどうあるべきか、ただ、海軍、私どもでいえば海上自衛隊、これの使い方は各国で異なっておりますので、情報公開の基準が合衆国と全く一緒になるとは限りません。では、イギリスにおいてどうなのか、ドイツにおいてどうなのか、オランダにおいてどうなのか、そういうことも全部調べました上で、日米同盟のあり方も含めまして早急に結論を出すべきものというふうに考えております。

阿部(知)委員 質問予告をいたしました高村大臣と町村大臣には失礼をいたしました。時間を不足いたしまして、もっと審議があるといいなと思います。

 終わらせていただきます。

深谷委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時六分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

深谷委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 午前に引き続き、内閣提出、テロ対策海上阻止活動に対する補給支援活動の実施に関する特別措置法案を議題といたします。

 これより内閣総理大臣出席のもと締めくくり質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中谷元君。

中谷委員 自由民主党の中谷元でございます。

 この委員会でインド洋上の補給支援法案の審議が十月の二十四日から始まりまして、本日まで二十日、審議時間が四十時間を経過いたしております。この間の与野党の熱心な質疑によりまして幾つかの論点が明らかになりまして、これからそれを踏まえて総括質疑を行い、政府の考え方を確認させていただきます。

 まず、国家の安全保障というのは、国際社会での評価というものが大切であります。先日、カナダ大使館において、日本におられる十一カ国の大使が集まり、給油継続を求める意見交換、説明会がございました。日本の給油によってOEF・MIOに活動している艦船が洋上燃料補給を受けると、彼らは一週間助かるんだと言いました。

 つまり、テロ監視活動をしている船にとって、燃料の補給がなくなりますと港に帰らなければならない、そのために一週間のロスが生じてしまう、だからぜひ早く再開をしてほしいということでございました。これまで六年近く、五十度を超える灼熱のインド洋で海上自衛隊による補給支援活動は、このように国際社会から高い評価を得ており、日本の国益に資するものでございます。

 まず第一に、世界が平和でなければ日本の安全はありません。

 二〇〇一年九月十一日に、ニューヨークの同時多発テロによって三千人の方が犠牲になりました。その後、テロ事件は絶えず起こっておりまして、二〇〇五年には、バリ島でホテルの爆破によって二十三人が死亡いたしました。また、同年、ロンドンの地下鉄、バスのテロ事件によって五十名が死亡。その後、エジプトでも、インドでも、パキスタンでも、ロシアでも、世界各地でテロ事件が起こっておりまして、日本人の犠牲者も出ております。我々の身近な人が海外に旅行して、飛行機に乗っても、ホテルに泊まっても、ビジネスを行っても、いつ何どきテロ事件に巻き込まれるかわかりません。

 第二に、世界が平和でなければ世界を舞台に活動する日本企業の経済活動はあり得ません。輸出入にしても、金融にしても、日本という国は国際社会とかかわり合いを持たずして生きてはいけないのであります。

 現に、石油の九割が中東から来ております。この十一月一日にはまた石油が値上げになりました。この中東と日本は約九十隻のタンカーが常時行ったり来たりしておりまして、やはり原油の安定供給、価格の安定というものも日本にとっては必要なものでございます。

 つまり、日本は極めて対外的な経済依存度が高くて、テロのない平和国家こそこの日本の経済立国の条件であり、だから日本ほど国際社会の平和と安定のために積極的に貢献をしなければなりません。

 海上自衛隊は、国際社会から最も信頼を置ける、最も安上がりで、最も安全で、最も評価される、そういう活動をしているわけでございます。

 福田総理から、この活動を早期に再開させなければならない理由と決意を伺います。

福田内閣総理大臣 委員から今御説明いただきました。我が国は世界の中の一国なんですね。国際社会の中で生きている、そういう国であるということでございます。

 我が国の経済、今のような世界第二のGDPというように言っておりますものの、これは、国際社会、世界があってこそ、資源を調達し、そしてまた食料までも多くを輸入するというような形で、また、国内で加工したものを海外に輸出する、そういうような利益によって我が国の経済は成り立っているんだというようなことを考えますと、我が国は国際社会の一員である、こういう自覚を強く持たなければいけないんだろうというように思います。

 そういうような観点から考えますと、国際社会が取り組んでいる、それも多くの国が取り組んでいるような活動、そういうものに我が国が参加しなくてもいいのかどうかということは常々考えておかなければいけないことだというふうに思います。

 特に我が国の場合には、憲法の制約というものがございます。ですから、ほかの国がしても我が国はしない活動というのはたくさんあるわけですね。ですから、そういう中で我が国は限られた活動というものを有効に行っていく、そして国際社会の一員であるということを自他ともに認め合えるようにしていかなければいけないということが求められていると思います。

 そういう意味におきまして、今回のインド洋における給油活動ということは、非常に私は有効な方法であったというように思います。

 もう今、日本に向かって帰ってきておりますけれども、この艦隊がまたインド洋に行ってほしいなというような強い希望を私は持っておりまして、そういうような形でこの法案が成立することを心から望んでいるものでございます。

中谷委員 私は、この四十時間近くの審議を通じまして、与党も野党も、外交、安全保障というのは党利党略ではなくて国益を踏まえて考えなければならないということを感じました。この審議が始まって間もなく、福田総理と民主党の小沢代表が党首会談をされまして、何とか理解を得たいということでありましたが、それ以上に、この衆参のねじれ国会、お互いが歩み寄らなければ法律一本も通らない状況を何とか打開しなければならないという思いであったと思います。

 私たちが最も恐れるのは、あの細川内閣のときに、予算編成もできない、そして政治が党利党略によって法律も通らない、外交も弱くなる。これは米の自由化がそのとき決定をされたわけでありますが、非常に国家国民に対して弊害を及ぼすわけでありまして、下手をするとこの状態は、六年は確実ですが、九年、十二年と続くことも考えられます。その間何もできないと日本の活力さえも失ってしまうわけでありまして、与党といたしましては何とか野党の皆さんにこの法律が成立するようにお願いをする次第でございますが、現在の状況、極めてまだまだ不透明なところがございます。

 そこで、この審議が仮に参議院で行われて否決した場合に、再議決ということも選択しなければなりませんし、解散や、また幹事長や政調会長レベルで何か基本をつくるというようなことも考えられますけれども、こういった国の現状において、総理は今どういったことをお考えであられるのか、お伺いをさせていただきます。

福田内閣総理大臣 今現在は、国会も、法案が一つ先週成立したというようなこともございまして、動き出したという状況にございます。

 それまでの、私が所信表明いたしましてから一カ月間、これはもうほとんど対立の状態で、国会は膠着状態にあったということでございます。私は、やはり、国会は法案を審議するところであり、そして、お互いに協力し合って、よりよい法律をつくるというようなことでやらないと、これは国民にとっても、そしてまた国益ということを考えてもよくないというように思っておりまして、これは大変悩んでいたことでございます。

 そういう中で、私も小沢代表と党首対談をいたしました。その結果かどうかわかりませんが、今、動き出したなというような感じがいたしました。この動き出した国会を、これから順調に審議を進めていただいて、そして、お互いに対案を、対案と申しますか、意見の対立というものがあればそれを克服していくという努力をしていかなければいけないのだろうというように思っておりますので、ぜひそのようなことで今後ともよろしく国会審議をお願いしたいと思っているところでございます。

中谷委員 やはり、国民のことを考えれば、現状を工夫しなければならないというのは、両党首の思いだと思います。

 そういう意味で、この党首会談を通じて、小沢党首から積極的な安全保障協議の呼びかけがあったのではないかと私は理解をいたしておりますが、小沢党首が言われましたのは、自衛隊の海外派遣に際して、国連の安保理決議もしくは国連総会の決議があれば自衛隊を派遣してもいいのだということでございます。

 私が一つわからないのは、アフガンで行われているISAFというのは非常に危険な活動でありまして、現時点において自衛隊を派遣できるかどうかと考えますと、自衛隊の装備にしても対処訓練にしても、まだまだ十分な制度ができ上がっていないということで、非常に厳しい現実がございます。

 では、国連の決議ということになりますと、我々の認識というのは、このインド洋での海上補給活動というのは、海上をテロから守る阻止活動というのは、国連の安保理決議の一三六八と、これを感謝、継続をする決議一七七六を踏まえたものでありまして、国連や国際社会でも評価され、潘基文国連事務総長も、ぜひ続けてもらいたいと発言をした活動でございます。

 そこで、この委員会の質疑を通じて、民主党の長島議員からすばらしい提案がありました。

 何かと申しますと、この国連決議というのは三種類あるんだと。第一に、一三六八の決議のように、自衛隊とテロ阻止活動を容認する決議。これを踏まえて、我が国の主体的活動とインド洋の支援が行われているということであります。二番目は、ISAFの一三八六の決議でありますが、これはアフガン国内の治安維持のためにNATOの指揮下で治安を担当するという授権決議であるということでございます。第三は、いつものPKO活動ですね。これは、国連の機構の中にもPKO局というものが存在をしておりますが、まさに正式な国連活動でありまして、我が国も一般の恒久的な法律が整備をされています。長島議員が主張したのは、この国連決議を検討することによって、何か合意できることがあるのではないかということでございます。

 福田総理は、小沢代表からこういった提案を受けて、政府で検討してみましょうと報道されておりますが、実際にこういったことは政府としてどう受けとめて考えておられるんでしょうか。お伺いさせていただきます。

高村国務大臣 長島委員から三つの国連決議の態様を示されて、私はもう一つ、四つあるのではないかと言ったんですが、それは、いずれにしても、そういうことを検討するということは非常にいいことだと思います。

 そして、今の海上自衛隊の給油活動も、まさに一三六八という国連の呼びかけに応じて、そして国連の意思を踏まえて行われている活動でありますから、これも国連の枠内の活動であるということは間違いのないところだと思います。

 国連の枠内以外でも、ミンダナオだとかスリランカだとかあるいはシナイ半島だとか、いろいろ平和活動というのは行われているわけでありますが、国連の枠内か枠外かということで区別すれば、この一三六八あるいは一七七六、こういう決議を踏まえて行われる海上自衛隊の給油活動は間違いなく国連の枠内、意思を踏まえて行われるものでありますから、こういう決議も評価していいのではないか、こういうふうに思うわけであります。

 憲法九条の政府の伝統的な解釈からいえば、国連決議と直接的な関係はないわけでありますが、立法論として国連決議をどういうふうに評価するかというのは、それは十分考えていくべきことでありますから、そういう中で、政府は主体的に考えて、そして、これは海上自衛隊、日本がやるべき得意な活動であるということでこの補給活動を定めて、そして国連の意思、呼びかけにこたえてやるものでありますから、これはぜひ認めていただきたいものだ、こういうふうに考えているわけであります。

中谷委員 長島委員は、もう一つ重要な提案をいたしております。それは、日本政府は、この一三六八を踏まえたとするならば、なぜ海上阻止活動本体、OEFのMIO、これに参加を検討しないのかということであります。

 このOEF・MIOの整理は、国連海洋法条約による旗国の同意に基づく合法的な活動であると答弁をされました。これを考えますと、日本は、非戦闘地域で武力行使はしない範囲での自衛隊の活動が許されておりますので、周辺事態法でも船舶検査活動が規定をされております。この船舶検査活動というのは、船長の同意があれば各国の船の中を検査ができるという内容でございますが、改めて、武器使用の国際基準というものがありますけれども、そうでなくても、船長の同意があればOEF・MIOに参加することも考えられるわけでございますが、海上阻止活動に参加するということについては御検討されているんでしょうか。

町村国務大臣 委員御指摘のように、政府としては、我が国が海上阻止活動そのものを行うということ、これは委員今御指摘のあった周辺事態船舶検査活動法というのがあるわけでございまして、こうした法律に基づくような、基づくというかこういうタイプの船舶検査活動と同様の活動であれば憲法上許されるというふうに考えております。

 今回、法律を出すに当たって、こういう活動がどこまでやれるか、いろいろな検討を行いました。その結果、過去数年間やってまいりました、今私どもが行っております補給活動の経験と実績、そしてそれに対する国際的な評価といったようなものを総合的に勘案いたしまして、今般の法案では、活動を補給活動に絞る、そして活動範囲もインド洋などに限定するという法律を新たに今回お示しをしているわけでございまして、したがいまして、頭から、こういった海上阻止活動そのものに参加することを決して検討外として置いてきたわけではないということだけは申し上げておきます。ただ、いろいろな検討の結果、今ある法案の形が一番いいのではないかという結論に至ったわけでございます。

中谷委員 私がお伺いしたいのは、このテロ対策、国際テロ対策に日本がどういう考え方を持って臨むかということでありまして、テロの根拠、根底には、やはり国連決議というものがある。そして、貧困、差別、宗教対立、民族対立があって、先進国が途上国の発展のために取り組む必要がある。我が国には憲法がありますが、この憲法には、国際社会における日本の名誉ある地位を維持するとありまして、自衛隊を派遣することも一つでしょうが、全体的にこのテロ対策を日本国政府がしっかりと考えていく。できれば、国連や国際社会に日本なりのロードマップを示して、世界をリードしていく立場で対応しなければならない。

 このテロ対策には、予防的な対処と、そして実行的な対処というものが考えられますが、まず予防措置としては、世界にテロ組織というものはどういうものがあるのか、各国が独自にハイレベルで調査研究していますが、その情報を共有して、個々の国が自国にとって最も有効な対策を開発していく、日本が主導していく、こういうプロセスをつくるということ。そして、対処措置、実行措置としては、自国の中のテロ対策レベルを国際水準にふさわしいものにレベルを上げておく、その中で、テロをやりにくい国際環境というものをつくり出していく。

 この点に我が国のロードマップを伴ったしっかりとした考え方が必要でございますが、外務省の国際テロ対策への国際戦略というものをお伺いさせていただきます。

高村国務大臣 委員おっしゃるように、テロ対策といっても、いわゆる対症療法的なテロ対策と、それから、予防といいますか体質改善的なテロ対策と、この両方あるんだと思います。

 そして、対症療法的なものとすれば、例えばOEF参加各国がやっているような、テロに直接対峙する、あるいは、もう少し引っ込んだ形で、テロの抑止、OEF・MIOのような形。さらに、それの後方支援活動をする、日本がやっている補給活動、こういうのも対症療法的なものの中に含まれるんだろう、こういうふうに思います。

 それからさらに、体質改善的なものは、これもまた二つに分かれまして、一つは、国際社会がテロに対処する体質を強める。例えば、国際的に条約をつくり、法的整備をする。そして、その法的整備をしたものを実行しやすくする国際的な基準をつくる。そういったことにも、日本は、国連を通じて、あるいはG8を通じて、その他の会合を通じて、あるいは二国間で、いろいろやっているわけであります。

 それと同時に、テロの温床となるような、例えば貧困だとかそういうものをなくしていく、そういうものはODAを通じていろいろやっておりますし、そういったことをなお一層これから、来年はG8サミットの議長国でもあるわけでありますから、積極的にリーダーシップをとってやっていきたい、こういうふうに思っております。

中谷委員 そういった考え方をしっかり持ってお願いしたいと思います。

 もう一点、日米関係について伺いますが、このテロ対策支援の活動と日米関係、どういった相互作用があるかということが国民が知りたいところであろうかと思いますが、せんだって、アメリカの国防長官のゲーツ氏が来日しまして、総理、外務大臣、防衛大臣と会談をされました。

 総理は今週アメリカを訪問するということでございますが、日本側の予算の問題において今俎上に上がっているのは、米軍のホスト・ネーション・サポート、思いやり予算の削減であります。

 この思いやり予算というのはどういうものがあるかといいますと、施設においては、米軍の兵舎とか家族住宅、格納庫、食堂、整備工場、はたまたガソリンスタンドやソフトボール場やテニスコート、プール、こういったものもありますし、日本人基地従業員の労務費や光熱費というものがあります。この協定は五年ごとに締結をされて、今、二年ごとに協議をすることになっていますが、現在のこの総額は、日本は六千二百五十七億円であります。

 金額でいいますと日本ほど米国に駐留軍経費を払っている国はありませんが、テロとの闘いは、私は、対米支援ではなくて、各国ともにテロ対策は自国のものでやっているという認識で取り組んで考えていくべきであって、日米関係とは別次元の問題としてこの駐留軍経費の削減の問題も考えていくべきだと思いますが、政府の考え方をお聞かせいただきます。

高村国務大臣 駐留軍経費の問題と海上自衛隊の給油活動がどうかという問題は直接リンクする話ではない、それは委員のおっしゃるとおりであります。

 今、日米間でこの問題は協議をしておりますが、要するに、日米安全保障条約の円滑かつ効果的な運営に資するに足るものでなければいけないと同時に、国民が納得するものでなければいけない、そういう両方の観点からアメリカと協議をしているところであります。

 世界的に見て日本はちょっと持ち過ぎではないかというようなこともおっしゃいましたが、それぞれ安全保障環境がどうあって、今どういうふうな状況にあるか、その他もろもろの観点から総合的に判断されるべきものだ、こういうふうに考えております。

中谷委員 最後に、この法律が国民の皆さんの理解を得るために、きちんと法律どおりに運用されていたかという問題について確認をさせていただきます。

 いわゆるイラクへの燃料転用問題でありますが、防衛省は、今回、米艦艇から補給を受けたすべての艦船の検証をしまして、六日に、給油活動に関する確認作業についての報告をまとめられました。膨大な資料を整理する省の担当者には大変な作業であったと思いますが、この確認をもってイラク作戦への転用がなかったと考えていいのか。野党からは個別の艦船に対してどうかという質問もありましたが、この中で答弁が多少私なりに整理されておりませんので、伺います。

 提供された燃料の用途について、官房長官は、米艦艇が任務を二つあわせ持つ場合には、先にOEFと別の任務をして、後でOEF・MIOをすればいいと。いつであるかは別にして、いつかMIOの活動をすればいいというような発言がございました。これに対して外務大臣は、OEF・MIOに従事している艦船に給油をする、時々艦船はほかの任務もあわせ持つが、すぐにMIOに使ってもらわなければ困るという認識でございます。防衛大臣は、これまでも実際に補給後にOEF・MIOの活動を実施してまいりましたというような発言でございますが、今後、OEF・MIOに限った運用になりますと。

 補給艦から補給艦への燃料補給はその先どうなるかという点もこの法律の議論の中にしっかりと押さえていかなければならない問題でございますが、供給された燃料とOEF・MIOとの関係、政府の統一見解、並びに、これから補給艦に給油した後、最終的な行く先や使い道がわからないような疑念が生じないような措置はどうあるべきか、この点についてお伺いをいたします。

石破国務大臣 委員御賢察のとおりでございますが、官房長官、外務大臣、私、その答弁にそごはございません。いずれにしても、実際にOEFに従事をしておるということでなければ、それは法律に基づいた燃料の使用ということにはならないということだと考えております。

 今後どうするかということでございますが、私どもといたしまして、定型化されたフォーマットを使いましていろいろなことを確認していくことが必要ではないかというふうに考えております。それは、補給の日時あるいは対象艦船の名称、補給量といった基本的な情報に加えまして、どの部隊に配属されているか、CTF150とかいろいろなものがございます、そういうものについて確認をしたいというふうに考えております。

 また、委員御指摘のように、補給艦から補給艦に補給された場合はどうなんだということでございますが、私どもが補給します相手の補給艦、それが今後どのような再補給のスケジュールになっておるか、そういうことも可能な限り確認をしてまいりたいと思っております。

 米側との確認で、私は前も申し上げましたが、本当にアメリカはきちんとやっているなということを得心した次第でございますが、今後さらに法に基づいた運用がなされますように万全を期してまいりたいと考えております。

中谷委員 以上で終わります。

 どうもありがとうございました。

深谷委員長 これにて中谷元君の質疑は終了いたしました。

 次に、赤松正雄君。

赤松(正)委員 公明党の赤松正雄でございます。

 きょう、私は二点に絞って、締めくくりに当たる総括質疑に対応したいと思います。一つは、与党・政府側と民主党を初めとする野党の皆さんとの合意点をどう形成していくかという観点からの質問が一つ、もう一つは現代における国際平和協力活動というのはいかにあるべきかという観点からの質問が一つ、この二つについてきょうは質問をしたい、そんなふうに思います。

 その二つの質問に入る前に、ぜひとも総理に確認をしたいことが二つほどございます。

 先ほど中谷委員からも指摘があり、また今日大変に話題になっております総理と小沢民主党代表とのいわゆる党首会談でありますけれども、私は、お二人の議論をしようというふうに至られた方向性、これについては十二分に理解ができます。もちろん、本当のことというのは、福田康夫回顧録とか小沢一郎回顧録というものにまたねばならないんだろうと思います。真実はやぶの中、こういうことだろうと思うんですが、それはそれとしまして、今申し上げましたように、政策協議に向けての合意形成、これをどうするかということでございます。

 私の持った印象としては、少し早過ぎたのではないか。総理は先ほど、そういう会談があったから国会の法案審議が進んだ、こういうふうな認識を持っているとおっしゃいましたけれども、ちょっと早かったのではないかな。

 今こういうねじれ国会になって、私、十月二十六日の質問の冒頭にも申し上げたかと思いますが、要するに、こういう事態を受けて、どちらに民意があるのかということで、解散というものを迫る動きと、一方で、未曾有の状況を前にして、要するにどうやって合意を形成していくのか、いまだかつてない状況の中で、じっくりとしっかりと議論していかなくちゃいけない、そういう状況にあって、さあこれからというときにいきなりトップの二人が会談をされたというのは、まさにボクシングに例えれば、リング上で対決しようとしておられる二人が、みんなの期待を裏切って、いきなりクリンチして抱き合っちゃったんじゃないのか、そういう印象すら受けるわけですけれども、そういった点で、少しこらえ性がなかったんじゃないか。

 いや、そうじゃなくて、総理大臣はそういった想定というのは十二分にできるわけだから、そんな時間を待つよりも、想像力を働かせて先に対応したんだ、こういうことだろうと思うんですけれども、そのあたり、総理のお考えを手短に聞かせていただきたいと思います。

福田内閣総理大臣 今回の党首会談につきましてはいろいろな評価がございますけれども、思いは、結局、国会を前に進めたい、こういうことであります。

 これは、私どもは大変危惧しておりました、いわゆるねじれ現象ということ、その必然としてお互いに対決姿勢ばかり出てくるのではなかろうかと。事実、一カ月間はまさにそういう状況であったわけですね。これでもって国民から評価されるかどうかということを考えました。ですから、これはどうしても動かしていかなければいけない、動かす方法は何か、こういうふうなことは恐らく小沢代表も同じように考えられたんじゃないかと思いますよ。私は、強くそのことは思っておりました。

 この状況は、通常であれば、特別なことがなければずっと続くわけですね、こういう状況というのは。ですから、そういうことでよろしかったのかどうかということでありまして、そこは一つの動機であったというように考えます。

 しかし、こういうことをすることによっていきなり連立するというのは、少し乱暴じゃないか、急ぎ過ぎじゃないか、まさにそういうことですよ。だから、それは政策協議をして詰めていかなきゃいかぬのですよ、本当に。

 ですから、小沢代表とも政策協議をしなければいけない。それは、まず二人が会って話を決めて、それで政策協議をしていこう、こういうふうなことであって、別に、すべて省略して何でも結論を出せばいい、そういうふうなことではありません。そのことははっきりと申し上げたいと思います。

赤松(正)委員 総理のそのお考え方はわかりますが、いわゆる世の中的には“大連立構想”なるものが飛び交っているわけですが、私に言わせますと、大連立という前に小連立の現在をしっかりと認識していただきたい。

 自民党と公明党との連立政権というのは八年を過ぎたわけですけれども、これを小連立、大連立、では中連立はあるのかという話にもなりますけれども、要するに、私は地元に帰るたびに、支持者の皆さん、周辺の皆さんから、公明党の存在感が最近ない、こんなふうなことを盛んに言われて、自民党との連立政権も見直すべきではないのかなどという声が一部にあるわけです。

 改めて、私は、四年前に総理が官房長官時代に、公明党と連立政権を組んでどういう利点があったかという話をしたことを思い出すわけですけれども、当時総理は、官房長官としての御答弁は、少し概括的な、いわゆる福祉とか平和とかという観点で自民党の政治にないものを公明党は提起してくれている、そういう点はいいと思うというふうなお話がありましたが、四年たってさらにその辺、深まったお考えをお持ちかどうか、聞かせていただきたいと思います。

福田内閣総理大臣 いや、もう実に深まっていると思いますよ。自民党と公明党というのは政策協定もしているんですね、ことしもしましたよ。ですから、そういう政策を実現するために両党協力し合おう、こういうことですね。

 我々も、我々というのは言葉が悪いけれども、自民党総裁の立場で、自民党も、公明党のお考えはもう十分に酌み上げていこう、こういうふうなことで、現実の問題としてまさにそういうふうになっているんですよ。国民の視線を常に意識して、そして細かいこともあわせ、丁寧にその政策を立案していこう、そしてまた実施していこう、こういう考え方はまさに公明党そのものじゃないですか。そこまで我々はすり寄っているんですよ。

 その上で、この間のお話がございましたけれども、それは、そういうことを前提にした上での話であるということでございますから、どうぞ御心配なくお願いいたしたいと思います。

赤松(正)委員 含蓄に富んだ総理の御答弁を聞きました。ありがとうございます。

 次に、本題に入ります。

 民主党との政策協議をどういうふうに進めていくかという点でありますが、私、今回のこの委員会における質疑、ずっと四十時間余にわたる間、ほとんど皆さん一緒ですけれども、座っていて感じますことは、法案そのものに対する、特に、代表的に民主党というふうに言わせてもらいますけれども、民主党とそれから自公両党との間の食い違いというのは余りない、そんなふうに思います。

 最大の問題は、これは防衛大臣にお聞きしたいんですけれども、やはりこの法案審議の最大の障害は、十月二十六日にも申し上げましたけれども、一にかかって防衛省守屋事務次官の不祥事、そしていわゆる自衛隊最前線、海上自衛隊の最前線におけるところのデータ取り違え、この二つの問題が大きな審議の障害になっている、こんなふうに思うんです。

 私は前にも申し上げましたけれども、任命責任、守屋氏を任命した責任、石破茂当時長官にありということを申し上げましたけれども、改めて、この法案審議を通じて、大臣も非常に内心じくじたるものがあると思いますけれども、そういう障害になっているこの二つの問題について、改めて国民の皆さんに対して、大臣としての今のとらえ方をお聞かせ願いたいと思います。

石破国務大臣 守屋氏を防衛事務次官に任命したのは私でございます。その守屋氏をめぐりまして、この法案の御審議に多大の影響が生じ、そのこともまた事実でございます。何と申しましても、任命したのは私でございますので、その責任は当然あるものというふうに考えております。

 ただ、あの時点でそういうことが予見できなかったかということ、それは、大変申しわけございません、私自身として、守屋氏が、そのことがすべて事実であった、今まで判明しておることも含めまして、そういうことを認識しておりませんでした。彼がそういうことをしていたということについて、次官就任前でございます、次官就任後もそういうことでございますが、そういうことについて認識をしていなかったということにつきましては、それはきちんとすべきであったというふうに申し上げることができると思います。

 任命責任という点は、それは私にございます。

赤松(正)委員 時間がありませんので、もう一点の方も聞きたかったんですが、シビリアンコントロール云々の問題については、私の受けとめ方は、大臣を初めとしてのこの委員会における質疑で十分私たちは納得をしている、ただ、その前段の守屋問題については大いに問題ありと。今後も、私は、この委員会というよりも、安全保障委員会等、あるいは違う場で、参議院に場を移して引き続きしっかりと議論されていかなければならない、そんなふうに今思っているわけでございます。

 さて、アフガンでの人道復興支援活動に関する民主党の考え方、こういう民主党の皆さんのここ数カ月の懸命の御努力の所産を見させていただきました。十三項目にわたっている考え方でありますが、これは、民主党の外交防衛部門の責任者をしておられる当委員会の鉢呂民主党筆頭理事に確認をしましたところ、外交防衛部門会議としての結論であって党全体の考え方には至っていない、こういうふうな規定のされ方であります。

 これを読ませていただきまして、私が一つ非常に感じたことは、先ほど中谷委員の質問にもありましたけれども、長島議員が言われた、今のこの法案で言うところのいわゆるインド洋海上における補給支援というものは、まだ手ぬるいというか、もっと多くのものをすべきだ、そういう考え方、海上阻止活動そのものにも手を出すべきだという御指摘が先ほどあったんですが、私は、実はあれは長島さん個人の考え方だと思っておりました。

 ところが、この部門会議でオーソライズされた民主党の考え方というものの十二項目めに「インド洋での海上阻止活動が国連の決議に基づく国連の活動として行われることとなった場合には、参加することを検討する。」こんなふうに堂々と挙がってきております。したがって、個人の考え方ではなくて、多数の民主党の皆さん、外交防衛部門の専門家である皆さんが一致して出された部分だろうと思います。

 先ほど外務大臣から御答弁がありましたけれども、この考え方は、補給支援活動とパラレルな関係にある対案ではなくて、人道復興支援活動に対して民主党はどう思うかという、そういう設定の仕方で、その中に、唯一と言っていいぐらい、接点としての部分はこの十二項目めであります。

 したがって、民主党との合意をどうやって形成していくかという場合、民主党の皆さんはもっとほかにいろいろな考えをお持ちかもしれないけれども、今私たちが目にするところではこれだけだと。そうすると、この部分の違いだけが解消されたら大いにこの法案に対する賛否あるいは修正等が進むのではないか、こんなふうに勝手に推測をするわけです。

 そういった部分で、海上阻止活動、いわゆる補給支援ではなくて、「海上阻止活動が国連の決議に基づく国連の活動として行われることとなった場合には、参加することを検討する。」とおっしゃっている民主党の考え方を外務大臣はどのように考えられますか。もし、そういったことが一つの、最大の違いだとするならば、改めてこの国連決議に対して挑むというお考えがあるかどうか、先ほど概要を聞きましたけれども、改めてお伺いしたいと思います。

高村国務大臣 今でも国連の呼びかけに応じて、国連の意思を踏まえて行っている、今中断しておりますけれども、行っていた、そしてまたこれから行いたい活動であるわけであります。

 この決議ではだめなんで、さらに国連決議、何かOEF・MIO部隊みたいなものを結成するという決議があれば、こういう意味だとすると、そういう決議を国連でとることは非常に難しいと思うんですね。難しいというか、そういうふうに、国会でそういうことを決めれば外務省はとるように努力いたしますけれども、非常に困難だと思います。

 今、一般国際法で既にできることをやっているわけで、国連が新たに授権をする必要もなければ、今普通に行われていることを、日本が参加するためだけに新たに国連でそういう枠組み結成の決議をしなければいけないということになると、これはやろうとするとなかなか、国際社会もどう思うかなという感じはあります。

赤松(正)委員 今、外務大臣の御認識、私もそういったところだろうと思う次第でございますが、引き続き、民主党が直接この法案に対してどう考えられるのかという点、いろいろな場面でお話を聞かせていただき、総理おっしゃるところの政策協議の場、どういう格好になるか知りませんけれども、今後、参議院に移った場合、そういったことを踏まえて協議を進めていく必要性がある、そんなふうに思う次第でございます。

 二点目の、国際平和協力活動というものをどのようにこれから進めていくのか。私は、民主党の皆さんがおっしゃっている人道復興支援に関するとらえ方、考え方というのは非常に大事な視点だろうと思います。

 ただ、この中には停戦合意という言葉が三カ所ほど出てまいります。停戦合意というものが必要である。例えば、PRTという活動は「停戦合意後もしくはアフガニスタン民間人への被害の生じない地域に限定して行う。」こういう考え方が随所に出てくるわけですけれども、私ども、十五、六年前ですか、湾岸戦争以降のPKO法に尽力をした政党の人間として見ますと、いわゆる停戦合意というものが生み出されるそういう国際紛争の現状というものはなかなかない。そういったものができない紛争がいろいろふえているから苦労しているのであって、停戦合意がすんなりとできるものなら苦労しないということを実は思い続けているわけでございます。

 したがって、停戦合意ができた後にどのように人道復興支援をするのかという観点も非常に大事ですから、民主党の皆さんの考え方を大いに参考にし議論したいと思いますけれども、一方で、そういういわゆる停戦合意にも至らない、伝統的なPKO活動が、なかなかそういう間尺に合うものがないという状況の中で、どうやって日本がその現状に対して貢献をするのかというのは非常に難しいと思います。手をこまねいて見ているだけというわけにはいかないということから、イラクのああいう対応あるいはまたアフガンへの対応、こういったことが特別措置法という格好で行われてきた、そんなふうに思うわけです。

 さて、ここで、私、ぜひお聞きしたいというか、改めて確認をしたいのは、現在の時点で、自衛隊はどれぐらい海外に出ているのか。そして、これはいわゆるPKO活動ということを指すわけですけれども、それは過去と比べて、あるいはまた先進諸国家と比べてどうなのか。そういった現状の数字について、的確にお答えいただきたいと思います。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 国際平和協力法に基づきます自衛隊の活動というのは、時とともに変化をしてまいりますけれども、現在行っておりますのは、平成八年二月以来行っております国連兵力引き離し監視隊、UNDOFと、それから国連ネパール政治ミッション、UNMINの二つでございまして、派遣人数は、UNDOFが四十五名、それからUNMINが六名ということでございます。

 それぞれ、ゴラン高原におきまして、一つは、兵力の引き離し地域に展開をいたしまして監視を行い、そして後方支援あるいは司令部の関連業務を行うということでございます。UNMINの方は、軍事監視ということで、武器及び兵士の管理がきちっと行われているか監視をしているということでございます。

赤松(正)委員 私が言った質問に答えられていないんですが。

 先ほど私の方から申し上げたように、そういった推移というのは、かつてのカンボジアPKOとかあるいは東ティモールPKO等に参加をしたころに比べてぐっと少ない数字に今なっている。あるいはまた、各国と比べても、日本のPKO参加というのは、海外におけるそういう自衛隊の活動という格好での国際平和協力活動というものは非常に貧弱になっているという状況がある。それは、さっき申し上げましたように、なかなか伝統的なPKOが活躍する場というものが少なくなってきている、そういうことに由来するんだろうと思います。

 そういった観点で、実は、先ほどもお話が出ておりましたけれども、自衛隊をどう出すのかという点ももちろん人的貢献という部分で大事ですけれども、もう一方で、民主党の皆さんが言っておられるような人道復興支援に関する活動という部分では、いわゆる民間の、NGO、あるいはまた国連の職員、あるいはまたJICAがリクルートしたそういった活動に従事する人々の、人的資源というものをどうふやしていくか。自衛隊だけではなくて、民間のそういった人たちの活動をどう支援していくかという観点が非常に大事だと私は思うわけでございます。

 実は、公明党は、こういったいわゆる国際平和協力活動、その民間部分の、自衛隊ではない部分の国際平和協力活動に従事できる、そういう人々の数をふやそうということで、マニフェストに、一万人への増加、国際平和協力に従事する、そういう民間の人々の養成をしていくべきだというものを掲げてきているわけでございます。

 そういった点で、今申し上げたようなそういう民間の人々の活用というのは非常に大事だというふうに思うわけですけれども、現時点で、先ほど自衛隊の部分をお話しいただきましたけれども、民間のこういう国際平和に貢献できる専門家と称される人はどれぐらいいるかという掌握はされているでしょうか。

廣木政府参考人 お答え申し上げます。

 世界における紛争地域は、刻々と変化する政治情勢等により、その時々で変動するものではございますが、我が国が平和の構築への支援を実施している代表的な国としては、アフガニスタン、スーダンなどが挙げられます。

 我が国政府は、外交政策の一環として、JICA、NGOなどと連携しつつ復興支援活動に主体的に取り組んでおります。これら国々において、復興にかかわっているJICA関係者、NGO関係者などの日本人の人数についての御質問でございますが、概数は、アフガニスタン約五十名、スーダン約三十名となっております。

赤松(正)委員 私が問うたのは、事前にはそういう問いかけをしたわけですけれども、今ここでは、直接アフガニスタン、スーダンにはそういう数なんですけれども、もっと、日本が全体的に、日本国が持っているそういう世界の国際平和に貢献できる潜在的な能力、人的資源はどういうふうな感じになっているのかということを聞いたわけです。

 こちらの方から申し上げます、調べましたので。

 それは、二〇〇四年、今から三年前の時点で、JICAの専門家等派遣者数は、専門家が千五百十五名、青年海外協力隊が二千五百二十四名、シニアボランティアの数が八百五名となっておって、JICAの国際協力人材センターには、二〇〇四年末の時点で五千六百六十八人が派遣可能な人として、専門家として登録をされている。もちろん、この人たちがすべてそういうアフガンとかスーダンとかイラクとかに行けるわけじゃありませんけれども、そういう能力を持っている人たちが潜在的にそれだけいる。

 新たに、その後、現時点でどれぐらいかということを調べましたら、二〇〇六年、一番新しい数字で、先ほど申し上げた数字と対比させますと、専門家が四千五百四十一名、協力隊が千五百二十九名、シニアボランティアが三百六十六名で、国際協力人材センターに登録されている人は八千四百九十七名というふうに、非常に大きくふえてきているという数字が上がってまいりました。

 私どもが言っている一万人に近づいてきた、こういうことでありますけれども、外務省は、ことしの九月ですか、いわゆるパイロット事業として、国際社会におけるこういう平和貢献に活躍できる人材を育成する、そういうパイロット事業として、十五人とりあえず初年度育てるということを決めて、それに今取り組んでいるということであります。

 そこで、実は、この間、私どもの代表の太田昭宏が難民高等弁務官事務所の緒方貞子さんとある場所で会ったときに、緒方さんがこう言っているという話を聞かせていただいて、非常に印象に残りました。それは、日本の政治というのは今、少し前の話ですけれども、集団的自衛権問題がどうしたこうしたというようなことが国会で議論になる、もちろんそれも大事だけれども、今、世界の現場で非常に大きな課題になっているのは、国境を越えて噴出する難民をどう処理するのか、どう対応するのか、そういう問題が非常に大きいのに、そういったことに余り熱心でない国会というのは非常におかしいという意味合いのことを申されたということを聞きまして、非常に印象に残ったわけでございます。

 福田総理も、今回のこの法案の審議過程の中で、政策協議が行き詰まってこれからどうするかといったときに、一般法ということをおっしゃって、恒久法の制定というものが大事だと。また、石破大臣も、この間アメリカの国防長官に対して、そういう一般法、恒久法の議論を進めていかなければならない、こう思っているという話がございましたけれども、私は、そういった議論ももちろん一方で進めていかなければなりませんけれども、もう一方で、先ほど来申し上げておりますような、平和を構築していく、そういう人材、国連にも国連平和構築委員会というものができている。

 平和を維持していく、そういうことはもちろん大事だけれども、新たにそういう平和的な環境を構築していく。そのために、現実に世界の紛争現場で、あるいはまた難民が大勢出てきて非常に混迷をきわめている、そういう現場で活躍する日本人をしっかり育成していく、そういう観点というものが非常に大事だ。

 そういう点では、私ども、外務省のこのパイロット事業は、いい着想、大事な着想だと思いますけれども、いかにも十五人は少な過ぎる、こんなふうなことを今まで指摘させてきていただいたわけですけれども、そういった人的資源の養成という問題について、総理大臣、お考え方を聞かせていただきたいと思います。

福田内閣総理大臣 国際平和協力活動というのは、かなり専門的な知識と、それから技能が必要とされる分野だと思います。もちろん語学の問題もあるかもしれませんけれども、そういうことをあわせて、どういうふうに、そういうものを兼ね備えた人材を育成するか。これは経験も必要です。ですから、短時間で養成するというわけには私はいかないだろうと思います。そしてまた、国際機関との連携ということも考えるということになりますと、やはりそういう分野でもって相当な時間を経て、その上で、そういう国際平和協力活動の現場に入っていくというようなことができるような仕組みを考えていかなければいけないと思いますね。

 その分野は議論はいろいろあるんです。必要だという議論はたくさんありますけれども、なかなかそういうものがうまく立ち上がっていかないというか、今努力している最中ですけれども、これからもっと力を入れて、その分野の人材確保をしなければいけないと思います。そのためには、一般法と申しますか、国際平和協力についてどこまで日本はやるのかという腹を決めなきゃいかぬということなんじゃないかと思います。

赤松(正)委員 今、大臣、考えているんだけれどもなかなか難しいというふうにおっしゃいましたけれども、やはり国家百年の大計という観点で、こういう側面をしっかり重視していかなくちゃいけない。

 同時に、私ども、先ほど申し上げた、一万人のそういう平和に貢献する人材育成ということと同時に、ODA予算の五%程度をNGOの皆さんの活動に充てていくべきだ、こういうふうな観点の主張も今日までしてまいりました。

 先ほど総理大臣がおっしゃったように、そういう一般法の論議の中でまたこの今回の法案の論議の中で日本が取り組む姿勢、腹を決めていかなくちゃいけない、こういう御指摘でありましたけれども、同時に、先ほど来申し上げてまいりました、そういうソフトパワーの充実、こういうことにしっかり取り組んでいっていただきたい、このように申し上げさせていただきまして、きょうの私の質問といたします。

 ありがとうございました。

深谷委員長 これにて赤松正雄君の質疑は終了いたしました。

 次に、松野頼久君。

松野(頼)委員 民主党の松野でございます。

 総理、きょうはよろしくお願いをいたします。どうもお風邪を召されているようですが、大丈夫でしょうか、ぜひよろしくお願いをしたいと思います。

 総理は、先ほどお伺いをしていると、どうも、ねじれ国会だから法案が通らない、党首会談の後随分法案が通るようになった、こういう認識をお持ちのようですけれども、私は少し違うのではないかというふうに思っております。違いますか。どうぞ。

福田内閣総理大臣 ねじれ国会だから通らないということを私は言っているんじゃなくて、その運営を間違えると永久にそういう状況が続いてしまうということを恐れているということです。

松野(頼)委員 実はそういう状況ではなく、冒頭、九月十二日に安倍総理が辞任をされて、総裁選がありました。九月の二十五日に首班指名が行われて、二十七日までに副大臣等の人事がすべて決まっております。この間、最初に法律が通りましたのは、要は、いわゆる前国会の積み残しでありました平成十七年度の決算が通ったのが十月の十八日、そして、最初の法案が通ったのが十一月の二日であります。きょうまでに、閣法、内閣提出法案が十一本、議員立法四本、承認案件二本、これはすべて民主党は賛成をさせていただいております。

 ですから、私たちは、決して、ねじれ国会だから抵抗するということではなくて、国民の生活のためになるもの、そしてまた、人道的にこれは一刻も早く通さなければいけないというものに関しては、どんどん賛成をさせていただいて通しているつもりでございますので、どうかそういう認識に立っていただければありがたいと思います。一言どうぞ。

    〔委員長退席、田中(和)委員長代理着席〕

福田内閣総理大臣 ごもっともでございます。

松野(頼)委員 それで、このテロ特措法に関しましても、これはもう総理に申し上げてもしようがないことかもしれませんが、八月の七日に参議院選挙の後の臨時国会を召集されました、その国会を閉じずに開催をしておれば、たとえ六十日かかろうとも十一月一日に十分間に合ったはずであります。どうも、野党が、民主党が抵抗しているからこの法案が通らないかのように言われているのは、私たちは大変心外であります。どうかそういう認識をお持ちいただきたい。要は、政治の空白を、三週間ほどおくらせたのは皆さんの方だということをどうか御認識いただきたいというふうに思っております。

 それで、お話をさせていただきたいんですが、石破大臣、先日の議論の中で、七百九十四件の六年間の給油に対して三百七件の確認をされたということであります。そのことは間違いございませんでしょうか。

石破国務大臣 これはすべて確認をいたしておりますが、その中には、例えば合衆国以外の船でありますとか、明らかにこれは除外をして考える正当性があるというものは除外をして検証を行ったものでございます。

松野(頼)委員 七百九十四件という給油が六年間のこのオペレーションに対する一つの形ですけれども、実は、私たち国会の中で、ぜひテレビをごらんになっている皆さんも見ていただきたいと思うんですが、この七百九十四件の給油に対して、一体どこでどれだけの給油量をどういうオペレーションの船に対して行ったんですかということを、再三、見せてくださいということを申し上げてまいりました。

 その中で、(パネルを示す)こういう資料がたくさん出てきておるんです。ほとんど黒塗りです。要は、ピースデポという民間団体が指摘をした、「ときわ」からポール・ハミルトン、ペコスに対する給油量、ここだけ唯一、相手の船名と場所と量、これがたった二件出ているだけなんですね。ほとんど黒塗りであります。

 こういう状況の中でこの法律がきちっと運用されてやられているんですよということをおっしゃられても、これだけの情報でどうやって賛成、反対を考えろというのか、私は不思議でなりません。なぜこんなに黒塗りにしなければいけなかったのか、その理由を、大臣、お聞かせいただきたいと思います。

石破国務大臣 それは、私どもだけでやっておるわけではございません、合衆国に対しまして行っている補給でございます。どこでどのような船に対してということをすべてつまびらかにするということについて、我が国だけの判断で行えるものではございません。

 私どもの補給艦が私どもの艦船に対してやっておるとするならば、日本の判断でこれは出せる、これは出せないというものはございましょう。しかしながら、合衆国のオペレーションに係るもの、そして、そういうことを明らかにすることによって、相手はテロですから、いかなる情報をもって裏をかくかわからないという状況がございます。この国会の場で明らかにするということは、それは全世界に対して明らかにするということと全く一緒でございます。そうしますと、本当に議会の場においてどのような秘密が保全されるのか、そういう議論もあわせてやっていただく必要があるんだろうと思います。私どもの判断だけで出せるものではない。

 では、おまえたちの七百九十四回の確認はいいかげんなのかと言われれば、そのようなことは全くございません。

松野(頼)委員 それも前回お伺いをいたしましたけれども、アメリカではホームページにどんどん情報を出しているんです。例えば今やっているオペレーションを出してくださいということを私たちも申し上げているわけではありません。例えば五年前、六年前、四年前、過去の分でも構わないからその資料をぜひ出してくださいということを再三申し上げてまいりました。

 これはアメリカと日本の文化の違いだと思うんですけれども、アメリカでは、国民の税金を使って国民の生命と財産を守っているこの軍隊の活動に対して、どんどん公開をして、感謝の念を持つ、そしてまた誇りを持つ、こういう文化が私はあるのではないかというふうに思っています。

 ただ、日本の場合はどうでしょうか。自衛隊の皆さんが、現場で汗をかいて大変な思いをして、日本の国のためにといって働いていらっしゃる。その活動が私たち国民の代表者である国会に対してこういう状態で黒塗りというのは、余りにも気の毒なのではないかというふうに私は思っているんです。

 これは、要は、自衛隊員の皆さんの活動は黒塗りをしなければ出せないんですよということなんですよ、大臣。そうじゃないですか。アメリカではどんどん情報開示をしている。そのアメリカで情報開示をしているものをもとにして質問をしても、いや、それは出せないんですという状況なんです。

 これに関して、私たちは、国会、立法府として自衛隊の皆さんが自信と誇りを持って働ける環境をつくること、これが私たち国会の責務だと思います。法的にこれはどうだ、これはどうだということは国会でやればいいんですけれども、派遣をするということを決めたならば、自信と誇りが持てる、そういう状況をつくり出すのが私たち国会の役割ではないかというふうに思っております。

 黒塗りというのは余りにも気の毒だというふうに私は思いますが、大臣、感想を一言お願いいたします。

石破国務大臣 それは気の毒だとか気の毒じゃないとか、そういう問題だとは私は思いません。そこについて明らかにしないことがなぜ気の毒だというような御判断になるのか。

 私たちは、海上自衛官たちがこの酷暑のインド洋で、委員もごらんになったことがあると思います、どれだけの苦労をしているかということはよく承知をしております。そのことと、情報について、日米できちんとした意思の疎通を図りながら、ではアメリカで出せるものは日本で全部出せるのかといえば、それはそうではないと思います。海軍の運用の仕方というのは合衆国と日本で違いますし、委員の方がよく御案内かもしれませんが、それは文化の違いというのもございます。

 今後、私どもとして、アメリカで公開しているものが日本でできるかどうか、そして、それを公開するかどうかの判断は、それは日本独自で行う部分もあるのです。アメリカが出しているから、すなわち全部日本で出すかといえば、それはそういうことにはならない。すべてアメリカと合わせればいいというものではございません。どういうような国益のためにどのようなことを保全してその国の実力組織を使うかは、その国の判断でございます。

 敬愛する委員のお話ではございますが、そういうふうにして黒塗りすることが自衛官にとって気の毒だ、私はそういうようなことにはならないと思います。それは、すべて自衛隊の活動というものは国益に資するものであり、世界に対する責任を果たすべきものである。それと黒塗りにしているかどうかは別の問題でございます。

松野(頼)委員 これは本当に私たちも、自衛官の皆さんが大変な思いをされて国のために働いている、この思いは共通なんですよ。

 ただ、七百九十四件、六年分の活動の公開状況がこれというのは、これはシビリアンコントロール上どうなんでしょうか。私たちは、決めた法律に関してはきちっと守る、そして、何よりもの情報公開が必要なのではないか、それに伴うてこのオペレーションはこうだ、このオペレーションはこうだという議論をこの国会でしたいというふうに思っております。

 ですから、一つこれから例を挙げさせていただきますけれども、この間もやらせていただきました、アンティータムという船であります。(パネルを示す)これは繰り返しになりますけれども、これもアメリカの第五艦隊のホームページに入って翻訳をしたものであります。資料の一ページにつけてございます。

 先日も申し上げましたけれども、二〇〇一年の十二月十八日、ムンバイを出港して補給艦「はまな」から給油を受ける。その後クリスマスをシンガポールで迎え、その後ハワイへと向かう。この行動に関して、一体どこがOEF及びOEF・MIOなんですかということをこの間からお話しさせていただいているんです。ぜひ御答弁ください。

石破国務大臣 アンティータムというのは、議員御案内のとおり、CGという船でございます、クルーザーですね。それがOEFという任務を帯びておった。

 すなわち、あの当時のことを想起していただきたいのですが、テロというのは、いつどこでだれがだれから、なぜ、どのようにして攻撃を受けるか、そういうことが全くわからないのがテロだ、そういう認識であったと思います。

 私どもの補給の範囲というのは、それは定まっております。インド洋(ペルシャ湾を含む。)ということになっております。そして、それではあの時点でのアンティータムがOEFの任務を帯びていなかったかといえば、それは明らかにシンガポールに至りますまでOEFの任務を帯びておった、そういう判断を私どもとしていたしております。

 そして、私どもが補給しました燃料というものは、シンガポールに至るまでに費消されている。それは、CGという船の大きさあるいは燃料の消費量等々から推しはかりまして、そういうことが極めて合理的な判断であります。

 そうしますと、シンガポールまでの海域を何を目的として航行しているかといえば、それは、テロリストというものあるいはその船舶、そういうものがいないかどうかということを監視しない方が極めて不自然なことでございまして、そのときにOEFの任務に従事しておったというふうに考えるのは、十分合理性のあるものだと考えております。

松野(頼)委員 一応、その前の活動記録もつけてございますけれども、少なくとも、これで見る限りOEFというものは考えられません。一つあるのはMIO・イラクですね。九月の十五日、これは湾岸戦争の後にイラクの国連経済制裁を実施するための海上阻止活動、これは国連決議六六一に基づいているであろうと思われる活動ではないかと思うんですが、唯一これぐらいなんですよ。

 これは全く今回のテロ特措法に基づく活動とは違いますし、特に、「はまな」から給油をした後にシンガポールに向かってハワイに帰る、こういう船じゃないんですか。

    〔田中(和)委員長代理退席、委員長着席〕

石破国務大臣 ですから、私は先ほど当時のことを想起してみてくださいということを申し上げたのです。

 このアンティータムに補給したというのは、二〇〇一年の時点のことをおっしゃっておられるのだと思います。二〇〇一年末時点ですね。それで、あの九・一一というのは、まさしく二〇〇一年の九・一一ということでございます。その後に私どもは、委員も多分参画されたと思いますけれども、あの法律を成立させた。テロというのは本当にどこで起こるかわからない、そういうような全世界的な緊張が走った中で、インド洋をシンガポールに向けて航行しているアンティータム、それがOEFの任務に従事をしていないというふうに考えること自体が、私は不自然なことだと思います。

松野(頼)委員 ですから、この図で見てください。ムンバイ沖というのは、CTF150というこのエリアと全く外れているところなんですね。そこからシンガポールに向けて帰っていくというのは、とてもOEFの活動とは私は思えないんです。これは何度も大臣と議論をさせていただきましたけれども。

 そして、その後、航行記録で実は読ませていただきました、十二月十七日、明朝出港して正式に帰ることになる。要は、ウイー・ウイル・ビー・オフィシャリー・ヘッデッド・フォー・ホーム、家に帰るというふうにこの前日の航行記録の中に書いてあるんです。

 先日の議論で大臣は、帰るわけじゃないんだ、この後OEFに従事をしているかもしれないんだみたいなことを御答弁されましたけれども、少なくとも航行記録の中に、あしたから帰途に帰る。帰り道は空車じゃないんだから何の任務も負わずに帰ることはないんだというふうにおっしゃっているんですが、その後の航行記録は、ほとんど任務のことは書かれておりません。この赤線で引っ張ったところの内側がCTF150のエリアであります。ムンバイからマレーシア、シンガポール、そしてさらに言うと、十二月の二十七日には、南シナ海、フィリピン海峡を通って太平洋に行く、次はハワイだというふうに書いてあるんです。ですから、ほとんど帰りはストレートで帰っているという状況なんですね、航行記録で見る限りは。

 それが一体どういう形でOEFの作戦に従事をしているのか、どのようにアメリカに確認をされたんですかということをこの間から再三聞いているんですけれども、全く理解できるお答えが返ってきていない。もう一度ぜひお答えをいただきたいと思います。

石破国務大臣 もう何度も同じお答えで恐縮でございますが、このアンティータムへの補給の件につきましては、これまで米側にいろいろな確認を行ってまいりました。

 そのことは以前申し上げたかと思いますが、米側に確認をしたところでは、平成十三年十二月当時、インド洋では米国などの艦艇がOEFの一環としてテロリストを拘束するための活動を行っており、アンティータムについても、こうしたOEFの任務を支援するための警戒監視活動や情報収集活動に従事した、そういうふうに確認をしておる。

 それで、CTF150というのはこの時点でできていないんです、まだ。それで、それからどうであるかということを考えたときに、委員とどういう問題意識が共有できないのかと思っているのですが、あの時点で、九月十一日にああいうことがあった、本当に、全世界でどこにテロがあるかわからないという極めて緊迫した状態にあったわけです。そこで、シンガポールへ寄るのは、それはこれまた合衆国の文化なのかもしれませんが、クリスマスのお祝いというのをそういうところで、きちんとおかの上にも上がれる形でやろうということだったのかもしれません。

 しかしながら、回送電車でもございませんし、回送という札を掲げたタクシーでもございませんし、その間何もしないでただただ帰途につくということではなく、その間も、あの時点から考えれば、当然、オペレーション・エンデュアリング・フリーダム、OEFというものに従事をしておったと考える方が私は自然ではないかと思いますが、その時点でOEFに従事をしていない、単に帰るだけというふうに委員が御判断になる理由は何でございましょうか。

松野(頼)委員 いや、それは航行記録にはっきり書いてあるんですよ。

 要は、十二月の十七日、明朝出港し家に帰ることになる、あと三十二日でホーム、家に着く、母港に着く。もう完全にここから、三十二日からカウントダウンを始めているんですね。十二月の十八日からあと三十一日後、三十一日後にはサンディエゴでイベントがあり、家族に呼びかけた。十二月二十二日、マラッカ海峡を通過。十二月の二十三日から二十七日はシンガポールでクリスマスを過ごし楽しかったと。

 要は、ムンバイの沖で「はまな」から給油を受け、そのままシンガポールに寄ってハワイに帰り、あとサンディエゴまでの道のカウントダウンをしているというのが航行記録に出ているわけです。この中で一体どこがOEFなんですかということを申し上げているんですよ。

石破国務大臣 あるいは私の説明の仕方が悪くて御迷惑をかけているのかもしれませんが、第五艦隊のホームページを見ますと、CTF150の設立は二〇〇二年一月ということでございます。ぜひ御確認をいただきたいと存じます。それが一点。

 それから、委員御指摘のホームページ、どれだかよく私はわかりませんが、第七艦隊のホームページというものを見てみますと、「アンティータムは、日本の補給艦「はまな」から二〇〇一年十二月十八日に給油を受けた。両艦は共に不朽の自由作戦(OEF)を支援する多国籍部隊に属している。アンティータムはサンディエゴを母港とするミサイル巡洋艦であり、OEFを支援しているカール・ビンソン戦闘群に属している。アンティータムは僚艦USSオケインと共に、インドのムンバイ港訪問を終えたところである。」こういう記述もあるわけでございます。

 それは、米艦というものが、十二月十八日に補給を受けた後、クリスマスをシンガポールで祝うために寄港をした、そこでまたいろいろな補給を受けたのでございましょう。しかし、そこに至るまでの過程においてOEFという任務、ましてやそこはインド洋を走っておるわけでございます、そこにおいてOEFという任務を帯びておるというふうに考えるのが、私は当然合理的ではないかというふうに考えております。

 だから、そうではない、それは非合理なのだというふうにおっしゃいますが、それは帰るんだろう、帰っているんだからOEFを帯びていないんだろうとおっしゃいますが、それは、艦船の運用として、帰るときにそういう任務は当然帯びておると考えるのが合理的だと私は存じております。

松野(頼)委員 だから、それで大臣にお伺いをしているのは、アメリカに確認をしたところ、十二月の十八日以降、補給をした後にいつどこでどういう任務をされたのかアメリカに確認をされたんですかということを聞いているんですよ。

石破国務大臣 たびたびの答弁で恐縮であります。

 OEFに従事をしておるということを確認しているということを申し上げているのです。

松野(頼)委員 要は、OEFに従事をしているということだけを確認されているんですけれども、そうじゃなくて、合理的に、一体、給油した後にその船がどこでどういう活動をされたから、これはOEFで法律の趣旨にのっとっているんですよという説明を受けたのかということを聞いているんです。

石破国務大臣 それは、OEFという活動が船を使って、テロリストでありますとか、あるいは麻薬でありますとか、武器でありますとか、資金でありますとか、そういうものが入ったり出たりしないように、そしてまた、海は全部つながっておるわけですから、どこにどのような者がおるのかわからない。そこの海域においてそういう船がいないかどうかということは、当然哨戒をするのではないでしょうか。そして、それは、その地域、ムンバイからシンガポールに至るまで、その海域においてもそういう船がないというような断言はだれにもできないことであって、そこにおいて哨戒活動を行うというのは、それは米海軍がOEFの任務をしておったということを、違うということを言う合理的な根拠を私は持ちません。

松野(頼)委員 では伺いますが、この時点でバーレーンに人は送っていたんでしょうか。

石破国務大臣 この時点ではまだバーレーンには送っておりません。したがいまして、ここで補給をする、確かに例外的な場所ではございます、ここで補給をするということについてどうなのかということは、横須賀の多分SFの司令部で確認をしているのだと思います。そこにおいて、つまり、バーレーンにおいてやっておりません。しかしながら、どこで補給をするのか、どのような量であるのか、それは本当にOEFに従事をするのかという活動の確認は、横須賀において行っていると承知をしております。

松野(頼)委員 それでは、何キロリットル及び何ガロンの給油をされたんですか。

石破国務大臣 この補給量については公表は今できないということになっております。ただし、それを私どもの方で確認をしましたところ、補給した量、あるいはこのアンティータムという船の大きさ、そこから推量いたしまして、シンガポールに到着する前に私どもの補給しました油というのはOEFに費消されたということを確認いたしております。

松野(頼)委員 私たちは、今回の、今議論をしていますテロ特措法や給油新法も含めて、要は、法律はこうです、ですから、この法律に従ってきちっとその運用がされているかということを確認したいから、この一つの事例にこだわっているわけです。

 法律を決めたけれども実際には違うオペレーションに使われていたということは、これは自衛隊のオペレーションですから、大変危険なことなんですね。このシビリアンコントロールをしっかり国会できかすために、どういう船にどういうオペレーションのもとに一体幾らの量を給油して、これが決めた法律の中にしっかりおさまっているんですよという担保が欲しいからこの議論を続けているんです。

 アメリカの航行記録を見ると、とても私たちはそれが納得できないわけです、このアンティータムという船の。大臣から御説明を受けても、いや、これはアメリカに問い合わせたらOEFに従事しているんですよという漠とした最終的な答えだけで、どういうオペレーションをアンティータムはこの後しました、だからOEFに従事をしているんですという理論的な説明が全くないわけですよ。ですから、それでこだわっているわけです。

 どう考えても、ムンバイ沖で十二月十八日に補給をした後にシンガポールでクリスマスをしてハワイに帰り、サンディエゴの母港に三十二日後に到着をする、帰りの船に補給をしたとしか思えないわけです。その中でOEFの活動に従事をしているんですということをおっしゃられても、これは納得できませんし、ひいては、今議論をしている今度の給油新法が次に運用された場合に、きちっと法律の範囲の中で運用できるのかということを心配しておるわけです。大臣、御答弁ください。

石破国務大臣 帰りの船に補給してはいけないということがよく理解できないのですね。なぜ補給をしてはいけないのか。

 OEFの任務をなお負っており、そして、インド洋のムンバイよりも西の地域でまさしくスタンダードなOEFをやる、しかしながらシンガポールまでもその任務を帯びておるのが当然である。それに補給をしてはいかぬのだ、それが目的外使用なのだというふうにおっしゃいますが、それでは、委員のお考えとして、何に使われたという疑念をお持ちなのでいらっしゃいましょうか。

 その船がシンガポールに帰る、大体日数からしまして、それはシンガポールに帰る。そういう日数です。その間に補給を行った、その間もOEFを行っておる、そのことを疑うに足る合理的な根拠を私どもは持っておりません。それは、きちんと向こうの資料も確認をした上で申し上げておるのでございます。

 ほかに何に使われた可能性が大である、だからおまえたちはそのことを調べよ、つまびらかにせよというふうな御指摘なのか、できれば御教示賜りたいと存じます。

松野(頼)委員 帰り道で悪くはないんだというふうにおっしゃいますけれども、その帰り道の前の活動、九・一一の後の活動に関しても、どこにもOEFに合致するような行動が見当たらないんですよ。

 その前には、例えばWTO閣僚会議が開催された際に防空任務を遂行、これもOEFじゃありませんよね。等々、その後の活動を見ても、一体どれがOEFに従事をしたのか、これは明らかにOEFに従事をしていない船の帰り道に給油をしたのではないかという疑念を持っているから、しつこく質問をさせていただいているわけです。

 ですから、一体、どこでどういう活動をしたからOEFなんですよという理論的な説明をどうかしてくださいということを何度も何度も申し上げているわけです。ぜひ、ありましたらば、答弁ください。

石破国務大臣 それは、私思うのですけれども、アメリカのホームページを、どこを信用し、どこを信用しないのか、また、その場で都合のいいことは信用し、都合の悪いことは信用できないということであってはならないと思っております。そうあるべきではございません。

 先ほど申し上げましたけれども、七艦隊のホームページにはこのように書いてあるわけですね。アンティータムはOEFを支援する多国籍艦隊に属している、アンティータムはサンディエゴを母港とするミサイル巡洋艦であり、OEFを支援しているカール・ビンソン戦闘群に属している、アンティータムは僚艦とともにインドのムンバイ港訪問を終えたところである、このように書いてあるわけですね。るるその後の行動も書いてございますが、それはOEFをきちんとやっている船であるということがこの七艦隊のホームページには書いてあるわけです。

 そうではないのだということであるならば、なぜそれはそうではないのか。OEFでないとするならば、委員御指摘のWTO閣僚会合にこのような任務があったはずだ、それは日本のテロ特措法の書かれてある法律に反しているのだということは、それは委員の方で御指摘をいただきたいものだと思います。

松野(頼)委員 いや、違いますよ。わからないから聞いているんですよ。別に、ホームページをうのみにしているわけじゃないんですよ。だから、防衛省でこれを確認して、きちっと理論が、すとんと落ちるような説明をしてくださいということを申し上げているんです。

 一体どこの、これには出ていないところでもしかしたら従事をしているかもわからない、していないかもしれない、そこを確認してほしいということを言っているんです。(発言する者あり)

石破国務大臣 いや、かみ合わぬなというのをお互いに言っておってもなかなかいかぬのでありますが、恐らく、私が申し上げておるのは、「はまな」から補給を受けた後にシンガポールまで航行している、そこはOEFに従事をしている。その前のことはとりあえず置きましょう。補給を受けた後、何をしているかということは、シンガポールに向かっているわけですね、そこはインド洋です、インド洋で「はまな」から補給を受けた後にシンガポールまで航行している。そこにおいて、あの六年前の時点で、どこにテロに関係する船がいるかわからない、そのことについてきちんとした哨戒活動を行う。それは極めて当然のことであり、米側に確認をしたところ、そのとおりであるというふうに言っておるわけで、これ以上何かを示せということになりますと、一体何が出てくれば委員の御疑念が氷解するのか、ちょっと私ども推察をいたしかねるところでございます。

松野(頼)委員 この議論を続けてもしようがないので、そろそろ時間が来てしまいましたけれども、ただ、私どもからすると、これだけ黒塗りの状況の中で、ポール・ハミルトンの船は以前にイラクに従事をしていたかもしれない、このアンティータムにしてもOEFに本当に従事していたのかわからない。そういう中で、アメリカが、いや、これはOEFに従事をしていたんだ、だから信じろと言われても、信じる理論がないわけですよ。このつくった法律が誠実に守られて、シビリアンコントロールがきいているのかきいていないのかということがわからない。確証を持ちたいからこそ、この質問をしているつもりであります。

 拡大解釈されて、いや、アメリカがOEFと言っているんだから、OEFと言っているんだからということだけで説明をしようというのは、無理がありますよ。(発言する者あり)いや、しているじゃないですか。

 とにかく、この拡大解釈をしていくということ、そして、法律を守っているのかという担保がとれないということは、大変危険なことだというふうに思います。

 何かありましたら。

石破国務大臣 お言葉ですが、私はそのようには思いません。

 つまり、シンガポールまでの間、航行している、それに補給をする、それはOEFに従事していると考えるのが自然じゃないですか。そうじゃないとおっしゃるのならば、それこそ一体どのように船を動かすのかということになります。それ以外のことに従事をするという方が、船の回し方の話としては極めて非合理なことでございます。

 私どもは、シビリアンコントロールというものを担保するためにきちんと交換公文を結び、この時点においてはまだバーレーンにそういうものは立ち上がっておりませんでした、したがって日本において確認を行った。そして、これから先は、もっときちんとそのことをフォーマットに落とし、ちゃんと確認をする。これから先もシビリアンコントロールはきちんと確保していかねばならない。今までもされてまいりましたが、これから先、さらにそれを精緻なものにして文民統制の実を上げていかねばならない、そのために御審議をいただいておると承知をいたしております。

松野(頼)委員 時間が参りましたので終わりますけれども、ただ、少なくとも、つくった法律が誠実に守られているか、拡大解釈されていないかということを、どういうオペレーションにも給油ができるようなやり方では私たちは到底危険だということを申し上げさせていただいて、もう一言、私たちもこのテロとの闘いということに対して反対をしているわけではありません、そのことを一言申し上げさせていただいて、質疑を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

深谷委員長 これにて松野頼久君の質疑は終了いたしました。

 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 防衛省の守屋前事務次官への過剰接待が明るみに出た軍需専門会社山田洋行は、一九六九年の設立当初、旧防衛庁にナットやビスなど部品類を細々と納入する小さな会社だったといいます。その山田洋行が、九〇年代以降、総合商社と渡り合うほどの有力企業に急成長をしたということは、業界内でも七不思議の一つだったと言われております。

 そこで、石破防衛大臣に伺います。

 現在防衛省に資料があるとする、一九九八年、平成十年度から今日までの間、山田洋行が防衛庁、防衛省から受注した契約の総額というのは幾らになりますか。額を端的にお願いします。

江渡副大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 平成十年度以降の中央調達で申し上げさせていただければ、契約総額は五百八十一億円となります。

笠井委員 受注総額も極めて大きく、そのほとんどが随意契約だったということであります。

 宮崎容疑者は、こうした山田洋行の巨額受注の背景について、周囲の人に対して、おれが防衛省の幹部に頼んだからだと得意げに話していたということであります。実際、山田洋行の急成長は、守屋前次官の防衛省内での昇進と軌を一にしている実態があります。

 お手元の資料をごらんいただきたいと思います。パネルにしました。これは、山田洋行が二〇〇五年の九月一日付でまとめた「防衛庁契約本部 商社別契約ランキング」と題する内部文書であります。これを見ますと、宮崎容疑者が代表取締役専務に就任した一九九三年度から二〇〇四年度までの十二年間に、山田洋行が上位十社の中で何位だったかが記されております。

 守屋前次官は、一九九〇年七月に航空機課長に就任したころ、宮崎容疑者との関係を急速に深めたと言われておりますが、その後、山田洋行は、九三年度になって一気に伊藤忠商事に次ぐ第二位ということで、七十七億円にランクをされております。九四年七月に防衛政策課長となり、宮崎容疑者からゴルフ接待を受け始めますと、九四年に第八位だったランクが、九五年度に再び第三位に上がっております。そして、九八年十一月に官房長になったころ、輸送用ホバークラフトLCACなどを受注して、ついに九九年度、二〇〇〇年度、激しい競争の中で三菱商事や伊藤忠商事などを抑えて第一位に上り詰めております。その後防衛局長、事務次官となるわけですが、その期間も山田洋行は三井物産や丸紅をしのぐ契約実績を維持し続けているわけであります。

 総理、このように山田洋行の急成長というのは守屋前次官の防衛省内での昇進と軌を一にしているという実態があります。事は軍需産業と防衛省のなれ合い、相互依存ともいうべき関係の中で起きた問題であります。それだけに、問題の当事者である防衛省に調査を任せているというのでは私はだめだと思うんです。政府の最高責任者として、御自身が先頭に立ってこの一連の疑惑について徹底解明に乗り出すべきじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか、総理。

福田内閣総理大臣 今回の事件につきましては、今事件の実態解明をしているところでございます。ですから、それはそれとして当局にお任せするしかないというように思いますけれども、一公務員がそういうことにかかわるというようなことがあったならば、それは大変深刻な問題だというように私は思います。ですから、まずはこの事実解明ということをしっかりやってもらう必要があると思っております。

笠井委員 解明を見守っていくという態度では、私はだめだと思うんです。政治家、しかも、防衛庁長官経験者まで関与していたという問題が出てきているわけであります。そういう問題を担当者に任せて成り行きを見守るということで、後で問題は重大だということが明らかになったとき、それこそ総理御自身の政治責任が厳しく問われる、このことを強く指摘をしておきたいと思います。

 さて、総理はこの間の御答弁の中で、アフガニスタンにおける人道復興支援、治安維持の活動ということとともに、テロリストの掃討作戦の進展、継続の必要性ということを繰り返し強調されております。そこで、この米軍などによる掃討作戦がどのようなものかという問題であります。

 総理、これまでの国会論戦の中でも取り上げられてまいりましたが、例えば昨年九月に補給艦「ましゅう」が給油した米艦船イオージマに載っている攻撃機のハリアーというのがある、これがどのような掃討作戦の行動を行ったというふうに承知されているでしょうか。総理、いかがですか。

高村国務大臣 米軍の作戦行動については、直接承知をしておりません。

笠井委員 ごまかしちゃだめです。承知しているということで参議院の予算委員会で石破大臣自身が言っているんです。

 このとき、「ハリアーは九月二十一日に最後となる百三十六回目の任務飛行をアフガニスタン上空で遂行し、不朽の自由作戦を支援するため、短期間ではあるが生産的な任務を終えた」このように承知しているとちゃんと政府は答弁しているんですよ。短期間に生産的な任務、とんでもないと思うんです。

 米海軍のホームページを見ますと、この米艦船イオージマから出撃した攻撃機ハリアーが、アフガニスタンのカンダハル近郊を空爆して、十三日間に百三十六回の攻撃飛行を行って、精密誘導弾十七個、それから二十五ミリ機関砲約五百発で攻撃したと明記している。米軍自身が言っているんです。大変な規模の空爆であります。

 それだけじゃありません。イラク戦争が始まった二〇〇三年以来、米軍の三十三もの航空母艦や強襲揚陸艦の艦隊がイラク作戦、アフガニスタン作戦、海上作戦を展開しておりますけれども、その中で、ことし二月から七月の五カ月間、米空母ステニスという艦隊がペルシャ湾とアラビア海を三往復もしてこれらの作戦に従事をしております。

 防衛省が十一月六日に発表した給油活動に関する確認作業の報告文書を見ますと、このステニスと一緒に行動する四隻の巡洋艦や補給艦などに対して海上自衛隊による給油の実績がございます。

 このステニスの艦隊は、派遣期間中のイラク作戦とアフガニスタン作戦で実に八千回以上の攻撃飛行を実施して、精密誘導弾百六十個以上、弾薬一万一千発以上も撃っております。こんな大規模な掃討作戦で一般市民の犠牲者が出ている。

 総理は、十月三十日の私の質問に対して答弁されて、アフガニスタンで平和と和解のプロセスが始まっていることについて重要であると考えている、我が国としては国際社会と協調しつつアフガニスタン政府のこのような努力を支援してまいりたいと答弁されました。そう答弁されましたが、一方でこんな大規模な掃討作戦の進展や継続が必要だと言われたら、それと和平努力というのはおよそ両立しないんじゃないでしょうか。総理の認識を伺いたいと思います。

福田内閣総理大臣 それは、テロ対策ということでいろいろな活動をしている、そういう中で不幸にして一般の方が巻き込まれるということは現実の問題としてあるわけですよ。ですから、そのことを私は否定するつもりはありません。しかし、この活動を続けることがアフガニスタンの国民にとってどのぐらいプラスになっているかという部分も考えなければいけないでしょう、そしてまた、各国軍隊も何も民間人を殺傷しようということを目的としているわけじゃないんですから、そのことを総合的に考えて、この作戦を続けるということについては、私は今の段階で意味があることだというふうに思っております。

笠井委員 今、巻き込まれるような事態があるかもしれない、しかし、それが目的ではないと言われました。

 しかし、この間の質疑の中でも、テロリストというのは一般市民の間に隠れているんだ、紛れているんだということも政府自身が言ってきた。そして、テロリストを追い詰めて、捕まえて、テロをなくすということで、それに対して空爆ということをやる。そのことによって、どうしても、一般市民が巻き込まれるんじゃなくて殺されるという事態に必然的になるわけです。つまり、テロに対して、テロリストを捕まえて、そしてテロをなくすということで空爆をやること自体が間違いである、ここは明確にしなければいけないと思うんですよ。

 掃討作戦ということで大変な規模の弾薬も使い攻撃もする、これを米軍などがやっている。まさにそういうことに対して、この委員会の中でも参考人の方が言われました、アフガニスタン人の先生の方、お医者さんでしたけれども、レシャードカレッド参考人が言いました。軍事的な攻撃が治安を悪化させ、一般市民や国民を恐怖の渦に巻き込んでいる、二〇〇一年のアメリカの空爆後、いい方向に国が動いて、みんなに長いトンネルから少しは出ていけるんだなという希望を持たせた、しかし、その希望ももう一回トンネルの奥深くにはまったような感じで、先が見えないような状況になっている、アフガニスタンの人々が求めているのは、豊かでなくてもいい、静かな暮らし、安心して眠れる日々が欲しいということだけだ、だからそういう軍事行動をやめてほしいという思いを込めて発言をされました。まさにそういう問題だと思うんです。

 政府は、双方とか両立とか車の両輪ということで、一方で和平努力は大いに結構と言いながら、他方で一般の市民を殺すような掃討作戦についても必要だと言っている。これはまさに両立どころか相入れないということは明らかじゃないでしょうか。まさに、そういう問題としてこの問題は問われている。

 総理、もう一度御答弁いただきたいと思います。

石破国務大臣 私はそうは思いません。

 精密誘導兵器というのは、いかにして民間人の犠牲を少なくするかと同時に……。信教の自由も基本的人権も民主主義もすべてタリバン政権のときは否定をされていたのです、そして、あの九・一一を引き起こしたアルカイダというのをかくまっていたのはタリバン政権なのです。そういうものに対して立ち向かう各国の軍隊、それは日本はアフガニスタンの陸上には派遣をしていませんが、アメリカだってISAFに参加する各国だってOEFに参加する各国だって、みんな自分の国の若者の命をかけてこのテロと闘っているんです。そういうときに、精密誘導兵器を使って、どうやって民間人の死傷者を少なくするか、それと闘う自軍の若者の犠牲を少なくするか、そのために精密誘導兵器というのは使われる合理性があるものだ、私はそのように考えております。

 それは、北爆とか、ああいうふうに無差別に爆撃をして民間の人も全部殺りくをする、そういうような戦い方ではない。今の精密誘導兵器の使い方というのは、どうやって民間人の犠牲を少なくし、どうやって自軍の犠牲を少なくするか、そのために考えられたものだと私は思います。

笠井委員 精密誘導兵器と幾らいったって、そのもとで大変な被害が起こっているという実態があるんですよ。しかも、何回も空爆をやっているという実態がある。まさにそういう中で、こんなことは許されないわけであります。平和と和解のプロセスに賛成というならば、自衛隊が撤収している今こそ平和の努力を後押しする、そういう方向に外交を転換する、それが必要です。

 さらに徹底審議を求める、そして、この法案の廃案を求めて、私の質問を終わります。

深谷委員長 これにて笠井亮君の質疑は終了いたしました。

 次に、保坂展人君。

保坂(展)委員 社民党の保坂展人です。

 石破大臣、二〇〇三年には防衛庁長官でいらっしゃいました。この年の五月にキティーホークが横須賀に帰ってきて、米司令官の発言がもとで、テロ特措法でインド洋で給油をしていた海上自衛隊の「ときわ」から間接の給油があったのではないか、あった、これが問題になって、五月八日、統幕議長が記者会見をいたしました。

 この記者会見の様子を、先日の参考人質疑で海幕の元防衛課長が記者会見の様子を問われて、民主党の山口委員の質問に対して、ざわざわと、今の数字は何だというような疑問が起こり、記者会見が一時中断、その後、防衛庁の主要幹部と、今後どう対応していこうかという話し合いを私も含めてしまして、実際の情報をつかんでいる防衛課長、君がブリーフィングをしなさい、こういうふうに言われたと。

 私は、それを受けて、協議、相談されたというのは一体だれですかと。これは、一堂に会したわけではないと確かに言われています。その際に、関連する相談、話し合いをしたのは、この赤い字で書いた、防衛局長、官房長、次官、長官だったと思う、こういうふうに発言をしています。

 午前中のやりとりで大臣は、この海幕の一課長がわざわざ長官室に一人やってくるなんということは組織の実態上あり得ないんです、こうおっしゃっていました。私どもの阿部知子に対する答弁では、海幕長か統幕議長とともに来ることはあったかもしれない、こういうふうに答えられています。

 これは実際どうだったんですか。つまり、何年も前のことをそんなにつぶさに思い出せませんよと石破大臣は言われていますが、この事態、統幕議長の会見が中断したのが二時半過ぎですよ、その二時半過ぎにざわざわしたという報告は石破大臣も受けていたとさっき答弁をしています。防衛庁の当時幹部と話し合いをしたという記憶はあるんですか。そこにもしかすると課長がいたという可能性もあるんじゃないですか。

石破国務大臣 何にしても、海幕防衛課長というのが、大臣と、どうしよう、こうしようということで相談に来るということはございません。そのようなことがありとせば、これは大変なことでございます。防衛課長が、防衛部長も通さず、海幕長も通さず、何にしても、どうしようかということを大臣と相談する、そのようなことがあれば、防衛省は組織の体をなしません。そのようなことはございませんということを、まず申し上げておきます。

 そして、この時点において、海幕防衛課長というのは数字を取り違えておったということを認識していないということは、委員も御確認になったとおりですね、その時点で認識をしていませんでしたね。だとするならば、この統幕議長の会見と防衛課長のブリーフィングとの間において、一体何があったのかということでございます。

 統幕議長がこのような会見をいたしました。あのときの関心は、それでは、キティーホークというものに間接補給がなされた、つまり、アメリカのモフィット氏が、日本から間接補給を受けた、日本の支援に、八十万ね、感謝をいたしますというふうに言った。本当にキティーホークに間接補給なんかやったんですかということが議論であった。そこでざわざわざわとしたのは、二十万、八十万でざわざわしたわけでは全然なくて、そういう間接補給が行われたということについてざわざわした。では、それはどういうことなのかということで海幕防衛課長がブリーフィングをするわけです。あの時点で何が問題になっておったかはそういうこと。

 そして、海幕防衛課長が、そのとき本人が申し述べたとおり、二十万、八十万のことについては全く気づいていなかった。

 そうすると、委員がおっしゃりたいのは、私が、そのときに寺岡氏が、この前後の文章はよくつながりませんが、つまり、一堂に会したわけではない、しかし、相談したのは、防衛局長、次官、そして長官、それが一体どういうふうにつながるのかと思いますが、間違いに気づいておって、委員のお言葉をかりれば隠ぺいというようなことの相談がそのときに行われたということは、論理的に全く成り立ち得ないことでございます。

保坂(展)委員 私が聞いたのは、一課長が長官室を訪ねることはないだろうけれども、よろしいですか、二時三十六分にこの統幕議長の会見、中断しているんですよ。そして、まさに委員長が守屋さんの証人喚問でお尋ねしているんですね、守屋さんに。いつ守屋さんはこの二十万ガロンの問題を聞いたんですかと言うと、当時の統幕長の記者会見で、アメリカの補給艦に二十万給油したことを記者会見で報告したことを、私は国会に、帰ってから、部下からその話を聞いて承知をしたという経緯がありますと証人喚問で、この場で述べているんですよ。

 ということは、少なくとも下の防衛局長と相談したというのは合っているわけですね。された方もしたと言っているわけですから。つまり、防衛局長にはその情報は入っていたということじゃないですか。

 もう一つ大事なことがあります。二時半から五時の間に、アメリカ海軍、それからアメリカ大使館にメモを求めているんですよ。メモを入手しているんです。それを踏まえて、この防衛課長は五時に会見しているんです。

 ですから、だれがそのときどういう形で集まったのかではなくて、当時、重要事態だと防衛庁として認識をして、幹部がそのことを知って、少なくとも課長にこの経過について説明しろという、いわば意思伝達があったんじゃないですかということを聞いているんですよ。時間がないので短くやってください。

石破国務大臣 それはモフィット氏がそのように述べた、それがOEFに従事した、すなわちテロ特措法の目的どおり使われたのだろうかということについて、防衛庁から米国側に対して照会をし、確認をし、返事が来た。

 それでは、日本の補給艦から補給を受けた船がアメリカの空母に補給をし、それが何に従事していたかということについてだれがきちんと説明をするのだというような議論は、それは当然行われたことだと思います。だれが望ましいのか。それは事実関係を最も了知している防衛課長、海上幕僚監部防衛課長が最も望ましいのであろうというような議論は、それは当然なされたのでしょう。

 そこにおいて、こういうことがありましたよ、統幕議長がこのように会見をしましたよ、その後プレスの方々から、どういうことなんだろうというような疑問が提示をされ、もう一度きちんと説明をすることになりましたが、どの者が一番ふさわしいでしょうかということは、それは内局ともいろいろな意思の疎通の上行われるのは、これまた極めて当然のことだと存じます。

保坂(展)委員 今の石破大臣の答弁を伺っていると、これは私も想像したんですが、会見が中断しましたよ、これは重大な事態ですねと言って、では答弁をどう整理するかということについて、やはり防衛庁内で当時、意思伝達等はあっただろう。それはどういう形かわかりませんよ、随分前のことですから。

 福田総理、よろしいですか。福田総理は当時官房長官として、キティーホークへの給油を問われて、そういうことはありませんと五月七日に言って、五月九日には、二十万ガロンなんですよ、二十万ガロンというのは空母が大体一日に消費する燃料ですね、ほぼ瞬間的になくなるんですよ、こう答弁をされていますよね。

 しかし、どうでしょうか。今の防衛省の中間報告では、この海幕の防衛課長が、この人が、二十万ガロン、これは間違えたということを後で知って、これは重大な事態だな、大変だなと思いながら、国会が鎮静化しているから、もう言わなくていいだろう、そして、今これを出すのはどうかといって、まさに自分にとめ置いていたと。御本人も、これはおかしいんじゃないかと思っているようですよ、防衛省の報告は。ほかの、いわば燃料系統の海幕のところは、ほかにも燃料を直接さわっているところは八十万ガロンと認識していたわけですから、何で私だけなのかなという気持ちがあったようですけれども。

 福田総理、どうですか。要するに、二十万ガロンと言ってしまって、これが間違いだと気づいて、当時、官房長官も、それから石破長官も、間違った数字でずっと答弁し続けたんですよ。これは、文民統制、なってないということじゃないですか。総理、答えてください、もう最後なんだから。総理。

福田内閣総理大臣 実際問題言って、そういうことが起こったんですね。ただ、当時の官房長官として、今もそうだと思いますけれども、そのような防衛省もしくは防衛庁の関係の事実関係というのは、これは防衛庁から資料が上がってくるわけですね。数字も来るわけです。それを官房長官としては報告している、こういうふうなことであります。

 そういうことがあって、それが数年後に、それがそうではなかったということがあったわけでございまして、これはまことに遺憾なことと言わざるを得ないというか、お粗末な実態があったというふうに私は思います。

 ですから、そういうことが起こらぬように、情報管理のあり方、そしてまた組織の点検等々、防衛省としてしっかりやらなければいけない、そのことは防衛大臣にもしっかり申し上げておるところでございます。

保坂(展)委員 これは国会を、福田官房長官も含めて国会やメディアを、誤った数字でずっと言い続けたという責任があるんですよ。そして、今回のピースデポの発表で翌日すぐもうわかってしまう。これは本当に防衛省の調査が行われていたとは思えません。全然疑惑は晴れていない、審議は続行すべきだということを申し上げて、終わります。

深谷委員長 これにて保坂展人君の質疑は終了いたしました。

 これをもちまして締めくくり質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして本案に対する質疑は終局いたしました。(発言する者、離席する者あり)

    ―――――――――――――

深谷委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、順次これを許します。田中和徳君。

田中(和)委員 自由民主党の田中和徳です。

 私は、自由民主党を代表して、議題となっておりますテロ対策海上阻止活動に対する補給支援活動の実施に関する特別措置法案に賛成の立場から討論を行います。

 去る平成十三年九月十一日、アメリカのニューヨークで起きた極めて凶悪なテロ攻撃は、日本人二十四名を含む三千人ものとうとい人命を奪い、世界の平和と安全に大きな衝撃と脅威を与えました。

 これを受けて、国連安保理は、その決議第千三百六十八号により、全会一致で国際的なテロリズムの行為を非難し、国連のすべての加盟国に対して、その防止などに向けて適切な措置をとることを強く求めたのであります。

 その後、国際社会は、世界の平和と安全確保のため、長く険しいテロとの闘いに取り組んでおり、日本もその国力にふさわしい取り組みを主体的かつ積極的に実施してまいりました。

 具体的には、ODAを活用した約千四百億円にも上る対アフガニスタン復興支援の実施などとともに、旧テロ対策特措法に基づき、海上自衛隊の艦船をインド洋に派遣し、海上阻止活動を展開する各国の艦船に対する給油や給水活動を実施してきたのであります。

 自衛隊の艦船によるこの補給活動は、先般採択された国連安保理決議第千七百七十六号にも示されたように、国際的に大変高く評価され、活動の継続が強く求められています。

 しかし、極めて残念ながら、今月、十一月一日の二十四時をもって同法が失効したことから、現在、海上自衛隊の艦船は、補給活動を中断し、帰国の途上にあります。

 でも、これにより、我が国がテロとの闘いから脱落するわけにはいきません。

 我が国は、既に述べたとおり、ODAを活用した復興支援にも取り組んでいますが、これをもって海上阻止活動に代替できるものではなく、実際、国際社会では各国とも車の両輪ともいうべき部隊派遣と復興支援の双方の活動を実行しております。

 テロとの闘いは、日本自身の問題でもあります。我が国が、引き続き国際社会の責任ある一員として、積極的かつ主体的な取り組みを継続すべきことは明らかです。

 これまで六年間に及ぶ活動実績や、国際社会からの評価を踏まえて、海上阻止活動を実施する各国の艦船に対する補給活動を、本法案に基づき、再び実施する必要があります。

 本法案においては、いわゆる国会承認に係る規定が置かれておりませんが、一方、活動の種類及び内容を補給に限定し、かつ、派遣先の外国の範囲を含む実施区域の範囲についても法律で明示しており、この法案の国会審議をもって、国会によるシビリアンコントロールは的確に確保されているものと考えます。

 さらに、本法案の有効期限は一年とされております。日本が引き続きテロとの闘いに取り組んでいく姿勢を示す一方で、活動継続の必要性について、より幅広い国民の理解と支持を得るため、一年後に改めて継続の可否について国会の判断を仰ぐこととなっており、妥当なものと考えます。

 なお、政府においては、国民の理解と協力のもとに補給活動を実施するためにも、今後とも、補給活動の透明性の向上を図るなどの努力を続けていくべきことは言うまでもありませんが、そのような取り組みを推進するとともに、補給活動そのものは、早期に再開できるよう、我が国が取り組んでいくべきことは当然であります。

 これらの理由により、我が国が再びインド洋における補給活動を実施するための本法案をぜひとも成立させる必要があると考えます。

 以上をもちまして、テロ対策海上阻止活動に対する補給支援活動の実施に関する特別措置法案について、賛成する立場からの討論を終わります。(拍手、発言する者あり)

深谷委員長 次に、富田茂之君。

富田委員 公明党の富田茂之です。

 ただいま議題となりましたテロ対策海上阻止活動に対する補給支援活動の実施に関する特別措置法案について、賛成の立場から討論を行います。

 十月二十四日、本法案の提案理由の説明を聴取後、本法案に関する総質疑時間は四十時間五十五分、うち、野党各党の質疑時間は合計二十八時間に及び、十分な質疑時間が確保されました。

 その結果、審議において、これまでの海上阻止活動の成果、給油活動継続の必要性、給油活動中断の影響、国会承認のあり方、補給支援活動の実施範囲等々、多くの論点が取り上げられ、さらには、民主党の複数の委員からは恒久法の必要性が指摘され、おのおの、政府側より丁寧な答弁がなされました。

 野党委員の質疑者は延べ五十名となり、各委員の質疑も論点が重複することが多くなりました。この点から見ても、当委員会における採決の機が熟したと考えます。

 防衛専門商社山田洋行宮崎元伸元専務と、守屋武昌前防衛事務次官との間の過剰接待を初めとして、防衛省の装備品調達をめぐるさまざまな疑惑が当委員会で指摘されました。

 しかし、十月二十九日、守屋前次官に対する証人喚問が実施され、十一月七日、総理の出席を求め、防衛省問題の集中審議も行われ、装備品調達のあり方に関し、真摯な議論がなされました。いまだ解明されていない点があるとの御主張もありますが、これに関しては、安全保障委員会等での審議にゆだねるべきと考えます。

 本法案の審議の前提として、旧テロ特措法下における給油取り違え案件につき、多くの委員からさまざまな指摘がなされました。

 この案件につきましては、防衛省より、十月二十二日、同月二十九日と二度にわたり報告書が提出され、当事者である寺岡正善元防衛庁海上幕僚監部防衛部防衛課長に対する参考人質疑が実施され、同参考人からも真摯かつ丁寧な説明がなされたところであります。

 補給燃料の転用疑惑につきましても、米国防総省より転用を否定する声明が出され、防衛省からも当委員会に詳細な調査資料の提出がなされました。

 現在、防衛省において、大臣を長として、文民統制を図るための抜本的対策検討委員会で詳細な調査と再発防止策が検討されており、国民の信頼を取り戻すことのできる結論を出されるよう期待いたします。

 最後に、連帯してテロとの闘いに取り組む諸外国から給油継続を望む声が強まる中、一刻も早く海上自衛隊のインド洋における活動が再開できるよう、本法を成立させる必要性を強調して、私の賛成討論といたします。

 ありがとうございました。(拍手、発言する者あり)

深谷委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 私は、日本共産党を代表して、新テロ特措法案に反対の討論を行います。

 まだ審議が尽くされていません。本日採決することに断固反対であります。

 本委員会での短い審議を通じても、本法案が違憲の報復戦争支援をこれまでどおり継続し、テロ根絶に逆行するものであることは明らかです。本法案を廃案にすべきが当然であります。

 第一に、政府は、新法では補給対象をテロ対策海上阻止活動を行う艦艇に限定すると言いますが、米軍は、インド洋、ペルシャ湾の海域で、海上阻止活動と対アフガン、対イラク作戦を一体で進めているのが実態です。政府自身が複数の任務につく米軍艦船への補給を除外しないと答弁したことは、そのような限定などできないことを認めたものにほかなりません。米軍の判断次第で、空爆を含むあらゆる米軍活動を支援することになるのであります。

 政府が転用否定の根拠にしてきた二十万ガロンも、米側への確認も、いずれも虚偽であったことは重大です。全件調査なるものも、米軍艦船の海域から勝手に推定したにすぎません。対アフガン任務を兼ねてさえいればイラク作戦への転用を容認してきたことは明らかです。

 第二に、政府は、民生支援と掃討作戦は車の両輪だと言いますが、テロに戦争で対応してきたことがアフガン情勢の泥沼化をつくり出してきたことはこの六年間の経過で明らかです。だから、今、カルザイ大統領自身が、タリバンを含む反政府勢力との政治的対話の道を模索し、アフガン国会も軍事作戦の中止を決議しているのであります。

 総理は、和平プロセスの推進は重要だと答弁し、外務大臣は、軍事作戦が自爆攻撃を急増させたのは一面の真理だと認めました。ならば、本法案は撤回し、アメリカに軍事作戦の中止を求めるのが当然であります。

 第三に、守屋前防衛事務次官と軍需専門商社との癒着問題は、兵器調達にとどまらず、政治家、さらには米軍再編をめぐる利権疑惑にまで広がる様相を見せています。この疑惑の徹底究明こそ必要です。

 最後に、本委員会審議を中断し、総理が小沢民主党代表と密室協議を行い、恒久法まで議論しながら、その真相を明らかにしていないことは重大です。

 日本共産党は、恒久法の危険な動きを許さず、本法案の廃案のため全力を尽くすことを表明して、討論を終わります。(拍手、発言する者あり)

深谷委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

深谷委員長 これより採決に入ります。(発言する者あり)

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

深谷委員長 起立多数。よって、原案は採決されました。(発言する者あり)

 お諮りいたします。

 委員会報告については、委員長に御一任いただきたいと思いますが、賛成の方の御起立を願います。

    〔賛成者起立〕

深谷委員長 起立多数。よって、そのように決めました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

深谷委員長 本日は、これにて散会いたします。

    午後三時十五分散会


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