衆議院

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第3号 平成20年10月17日(金曜日)

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平成二十年十月十七日(金曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 深谷 隆司君

   理事 木村  勉君 理事 小池百合子君

   理事 後藤田正純君 理事 新藤 義孝君

   理事 中谷  元君 理事 鉢呂 吉雄君

   理事 渡辺  周君 理事 佐藤 茂樹君

      あかま二郎君    赤城 徳彦君

      秋葉 賢也君    新井 悦二君

      石原 宏高君    浮島 敏男君

      江渡 聡徳君    越智 隆雄君

      大塚  拓君    木原  稔君

      北村 茂男君    杉田 元司君

      鈴木 馨祐君    冨岡  勉君

      中根 一幸君    中森ふくよ君

      葉梨 康弘君    橋本  岳君

      松浪健四郎君    松本 洋平君

      三原 朝彦君    矢野 隆司君

      安井潤一郎君   吉田六左エ門君

      若宮 健嗣君    大島  敦君

      川内 博史君    田嶋  要君

      武正 公一君    長島 昭久君

      伴野  豊君    平岡 秀夫君

      松野 頼久君    三谷 光男君

      石井 啓一君    遠藤 乙彦君

      田端 正広君    冬柴 鐵三君

      赤嶺 政賢君    阿部 知子君

      下地 幹郎君

    …………………………………

   参議院議員        浅尾慶一郎君

   参議院議員        犬塚 直史君

   内閣総理大臣       麻生 太郎君

   外務大臣         中曽根弘文君

   防衛大臣         浜田 靖一君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     河村 建夫君

   外務副大臣        伊藤信太郎君

   防衛副大臣        北村 誠吾君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    宮崎 礼壹君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  野田  仁君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  高田 稔久君

   政府参考人

   (外務省大臣官房地球規模課題審議官)       杉山 晋輔君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 梅本 和義君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 石川 和秀君

   政府参考人

   (外務省欧州局長)    谷崎 泰明君

   政府参考人

   (外務省中東アフリカ局長)            鈴木 敏郎君

   政府参考人

   (外務省国際協力局長)  木寺 昌人君

   政府参考人

   (外務省国際法局長)   鶴岡 公二君

   政府参考人

   (外務省領事局長)    深田 博史君

   政府参考人

   (海難審判所長)     上中 拓治君

   政府参考人

   (海上保安庁長官)    岩崎 貞二君

   政府参考人

   (防衛省運用企画局長)  徳地 秀士君

   政府参考人

   (防衛省人事教育局長)  渡部  厚君

   衆議院調査局国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動並びにイラク人道復興支援活動等に関する特別調査室長        金澤 昭夫君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月十七日

 辞任         補欠選任

  あかま二郎君     浮島 敏男君

  橋本  岳君     安井潤一郎君

  石井 啓一君     遠藤 乙彦君

  冬柴 鐵三君     田端 正広君

同日

 辞任         補欠選任

  浮島 敏男君     あかま二郎君

  安井潤一郎君     若宮 健嗣君

  遠藤 乙彦君     石井 啓一君

  田端 正広君     冬柴 鐵三君

同日

 辞任         補欠選任

  若宮 健嗣君     橋本  岳君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 テロ対策海上阻止活動に対する補給支援活動の実施に関する特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第四号)

 国際的なテロリズムの防止及び根絶のためのアフガニスタン復興支援等に関する特別措置法案(参議院提出、第百六十八回国会参法第一三号)


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     ――――◇―――――

深谷委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、テロ対策海上阻止活動に対する補給支援活動の実施に関する特別措置法の一部を改正する法律案及び第百六十八回国会、参議院提出、国際的なテロリズムの防止及び根絶のためのアフガニスタン復興支援等に関する特別措置法案の両案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官野田仁君、内閣官房内閣審議官高田稔久君、外務省大臣官房地球規模課題審議官杉山晋輔君、外務省大臣官房審議官梅本和義君、外務省大臣官房審議官石川和秀君、外務省欧州局長谷崎泰明君、外務省中東アフリカ局長鈴木敏郎君、外務省国際協力局長木寺昌人君、外務省国際法局長鶴岡公二君、外務省領事局長深田博史君、海上保安庁長官岩崎貞二君、海難審判所長上中拓治君、防衛省運用企画局長徳地秀士君及び防衛省人事教育局長渡部厚君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

深谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

深谷委員長 これより質疑に入ります。

 内閣総理大臣出席のもと質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小池百合子さん。

小池委員 おはようございます。小池百合子でございます。

 総裁選の最中にはいろいろと鍛えていただきまして、まことにありがとうございます。麻生総理におかれましては、経営者感覚、国際感覚を生かして、今次の国際金融の混乱、そしてまた国民生活を守る、そして何よりも、本日審議させていただきます国際的なテロに対しての対処、これについてしっかりとリーダーシップをとっていただきますよう、よろしくお願いを申し上げます。

 さて、補給支援特措法の審議に入るわけでございますが、これは大変重要な法律であるということから、昨年のこの時期は衆参合わせまして何と百時間近い審議を行ったわけでございます。ところが、ことしは一転して、一日でも早く、一時間でも早く結論を出そうという、ある意味で御協力を野党からもいただいているわけでございまして、そうはいっても賛成をしてくれるわけではなさそうでございますけれども、しかしながら、国際的な連携でもってこのテロ対策を行っているという意味からは、間断なく我が国のインド洋上におけます海上自衛隊の給油活動が行われるという、その点では歓迎をしたい、このように思うわけでございます。

 それでは、経緯がございますので、そもそも論から始めさせていただきます。

 まず、補給支援特措法、今回審議をするわけでございますけれども、そもそもを申しますと、国際テロ活動、これは古くて新しいものでございます。サミットでもテロ対策ということが主要議題にこれまでも何年にもわたって上げられてきたわけでございます。そして、国際社会の最重要課題の一つであり、長期にわたる困難な闘いということでございます。

 しかしながら、最も顕在化いたしましたのが、二〇〇一年、アメリカで起こりました同時多発テロでございます。皆さんの記憶にもまだまだ鮮烈に残っているものと存じます。その際、六十カ国以上の方々が犠牲になり、その数二千九百七十三人、そして、その中には日本人も二十四名の方々が含まれていたということを忘れてはなりません。

 こちらの年表をごらんください。テロの翌日、十二日には、国連安保理におきまして、決議一三六八号、これが全会一致で可決されておりまして、国際社会に対してテロ行為を防止、抑止するための努力を呼びかけたわけでございます。そして、十二月十日、我が国日本におきましてもテロ対策のための法律が成立をいたしておりまして、これがいわゆる旧テロ特措法でございます。

 そして、その後、十二月二十日でございますが、国連安保理の決議一三八六号に基づいて、国際治安支援部隊、いわゆるISAFと呼ばれる支援活動でございまして、現在でも四十カ国、約五万三千人がアフガニスタンの本土で治安維持活動を実施しているところでございます。

 けさの新聞を読んでおりますと、ドイツの議会では、このISAFに送っている部隊をさらに千人の単位で増強して、そしてその期間を延長するということを決めたようであります。

 このように、テロとの闘いというのは、これまでは国対国の戦争、紛争という形が多かったわけでございますけれども、非対称、国だけではなく、自爆もいとわないテロリストとの闘いということでございまして、さて交渉のテーブルに着いて解決に向けての話し合いをしようという、その場をつくることさえなかなか難しい、まことに困難な闘いであるわけでございます。

 さて、九・一一から七年が過ぎました。残念ながら、依然として世界じゅうでテロ事件は頻発をしているわけでございます。そしてまた、ウサマ・ビンラディンなどのアルカイダの残党は、今もアフガニスタン、そしてパキスタンの国境地帯で潜伏をしていると言われております。

 地図をお願いします。

 さて、一方で、我が国の活動でございますけれども、海上におけるテロ対策活動として行われておりますのがインド洋上での海上阻止活動でございます。

 これはかなり大きな地図で、日本も含めたものでございますけれども、パキスタン、アフガニスタンのあたりをごらんいただければと思います。そして、その下、南が、インド洋が広がっているわけでございますが、各国の艦船がインド洋を常に監視して、航行する船舶への乗船検査などを行う。それによって、テロリスト、そして、アフガニスタンで全世界の約九割のアヘンが生産をされていると言われておりますけれども、そのアヘンなどの移動、そしてまた、アヘンをもとにしてできた資金でもって購入をしていると思われる武器などの移動を阻止する、そしてまたそれを抑止するということを行っているわけでございまして、我が国はまさに、この海上阻止活動に従事をしているその各国の艦船に燃料と水を補給してきているわけでございます。

 そして、この海上阻止活動でございますけれども、現在は、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、パキスタン、ニュージーランドそしてカナダ、合わせまして七カ国十六隻の艦船がこれまで参加をして、また、ことしの九月からはデンマークも艦船一隻を派遣するようになってきているという状況でございます。

 そして、我が国の海上自衛隊は、これまでにも七百九十四回にわたりましてこの補給活動を実施しております。今七カ国と申し上げましたけれども、これは決して大きい数字ではございませんし、何よりも、走っている艦船に軽油を補給するというその行動、活動というのはまことに高度な技術を要するというわけでございます。

 現在、補給量の約九割はアメリカ以外の艦船への補給となっておりまして、中でもイスラム国でありますパキスタンへの補給が最も多くて、そのうちの約三割を占めております。

 私、昨年の八月二十二日でございますが、防衛大臣としてパキスタンを訪問いたしております。ムシャラフ大統領、イクバール国防大臣などとお目にかかりまして、日本の支援について確認をしてまいったところでございます。

 そして、その際でございますが、イクバール国防大臣、そして海軍の実際の責任者の方々ともお目にかかったわけでございますけれども、いかに日本の海上自衛隊の確実な活動に対して深く感謝しているかということを直接伺っております。と同時に、このインド洋におけます海上活動から日本が抜けるということは、いかに多くの活動の見直し、パキスタンの海軍としての見直しを迫られるのかということについて直訴を受けたわけでございます。

 インド洋の範囲といいますのは日本全土がすっぽりと入るぐらいの大きさでございまして、その活動距離というのは非常に大きい。その中で、インド洋上で補給をしなければ、そのたびに港に戻って補給をする、それだけで、その往復だけで、平均しますと大体三十六時間もしくは四十八時間ぐらいはかかるというものであり、その間は任務につけないということになります。海上自衛隊による補給活動が一時中断されたということで、パキスタンの艦船は自国の港に戻りまして燃料を補給していた、その間は稼働の効率が四〇%ほど低下したと言われているわけでございます。

 また、海上阻止活動が行われている海域でございますが、我が国にとりましても極めて重要な海域であることは言うまでもございません。インド洋は世界経済を支える原油の輸送の大動脈と言ってもいいわけでございまして、そして、この海域が安定するということは、すなわち我が国の国益に資するものと言うことができます。我が国の石油の九割がこの地域からのものであるということはここで数字で幾つかお示しをしているところでございますし、ホルムズ海峡を日本関連の船、一日平均で三・五隻、タンカーが航行しております。

 そしてまた、補給支援活動による、燃料を提供するということに関しての経費は、月当たりにいたしますと約一億六千万円、そういう数字になるわけでございます。

 そして、もう一点ございますが、特に近年、海賊が、特にソマリア沖、少し南のアフリカ大陸の方をごらんいただければ結構ですが、この地域でも頻発しております。

 昨年の十月のことでありますけれども、日本の海運会社が保有しているパナマ船籍のタンカーでゴールデン・ノリ号というものがソマリア沖でシージャックをされるという事件が発生をいたしました。そしてまた、ことしの四月には、ロケット弾による攻撃を、日本郵船のタンカー「高山」、これがアデン湾において攻撃を受けるということも起こっております。そして、このときに現場に駆けつけてくれたのが、インド洋上でともに海上阻止活動に従事しておりますドイツの艦船、エムデン号といいますけれども、この艦船が我が国の日本郵船のタンカーの支援に回ってくれたわけでございます。

 我が国の生存そして繁栄にとって重要な経路に当たりますインド洋上の海上活動の安全にも、我が国の海上自衛隊がこのインド洋に存在をするということでも極めて大きな役割を担うことになっているわけでございます。

 さて、昨年の十一月、残念ながら旧法の期限を迎えてしまいまして、活動を中止せざるを得なくなりました。その際は、国際社会からも、我が国が海上阻止活動から引くということに対しては、中止に対しては大変惜しむ声が聞こえたわけでございます。ねじれ国会の影響もございまして、衆議院で可決された、給油活動に絞りましたこの新法でありますけれども、参院では否決をされ、衆議院に戻されてようやく新法が可決された。法案が右往左往するのと合わせるように、海上自衛隊の艦船も右往左往したという結果に至ったわけであります。

 新法のもとに活動を再開したことしの二月以降、アフガニスタン、パキスタンを初めとする多くの国々からは、我が国が海上阻止活動にまた戻ってきてくれたんだということで、再開を歓迎する声が聞かれました。補給についても感謝をする声が多く寄せられております。ちなみに、パキスタンの艦艇からは、海上自衛隊補給艦へのメッセージとして「私たちは、偉大な国の偉大な船とともに活動できることを誇りに思う」というメッセージが寄せられたのであります。

 海上自衛隊によります補給支援活動は、国際社会が日本に求める活動であります。そして、我が国としても間断なくこの活動を継続するということが国際社会の一員としての責務と考えるわけでございます。

 さて、国際的にも高い評価を得て、日本の国益にもかなっているこの補給支援特措法でございますが、民主党は、残念ながらかたくなに反対をされ、また対案も出しておられるということでございます。民主党の小沢代表は、海上での補給活動を憲法違反と決めつけて、そして、むしろアフガニスタン国内、つまり、陸上でのいわゆるISAF活動への参加を提唱しておられるわけでございます。

 今ごらんいただいているのは主要八カ国の活動状況でございますけれども、ごらんのように、日本、海上での活動、民主党がおっしゃるようにこれに反対であるといたしましたら、ロシアはまた、アフガニスタンとの歴史的なこれまでの関係もございますということで参加はしていない、であるならば、日本だけが主要八カ国の中で何ら実際の活動をしていないということになるわけでございます。

 さてそこで、早速でございますけれども、総理に御質問をさせていただきます。

 まず、補給支援特措法改正の必要性につきまして総理の御見解と決意をお伺いしたい。そしてまた、何よりも解散・総選挙そして政権奪取をすべてに優先されて、国家にとりまして最重要課題の安全保障をないがしろにしているとしか私には思えない、この小沢民主党代表の姿勢に対しての総理の御見解を伺わせていただきます。

麻生内閣総理大臣 この補給活動は、基本的には、日本が日本の国益をかけて、日本自身のためにもしてきた活動だったと、私はそう思っております。したがいまして、この補給活動というものは、継続はぜひとも必要、当然のことだと思っております。

 加えて、テロとの闘いは、二〇〇一年の九月十一日のあの事件から、今御指摘のありましたとおり、日本も多くの犠牲者をこの中に出しております。したがいましてアフガニスタンでのテロとの闘いに関して我々も参加するということでありまして、こういった中で、各国いずれも増強したりいろいろ増派をしたりしている中において、日本だけがこの地域から撤収するということは考えられない、基本的にそう思っております。

 したがって、テロとの闘いは今でも継続をしております、今、ここに限らず、あちこちで起きておりますので、我々としては、国際社会からの評価もこれは極めて高い活動の一つだと思っておりますので、継続はぜひとも必要と思っております。

 民主党に関するお話がありましたけれども、これは、旧法、昔のテロ対策特措法には一貫して反対をしておられたのは御指摘のあったとおりです。現行法でも、これは単に反対するだけではなくて、迅速な審議にも応じていただけませんでしたので、対策を示すことにも採決するにもなかなか応じられなかったというのが事実であろうと思っております。そのため、給油活動は、法律の期限切れをして、中断を余儀なくされたということだと思っております。

 私は、所信表明をさせていただいた中で、小沢代表に対して、日米同盟と国連と、外交の基軸というものをどちらに優先させておられるのか、されようとしておられるのか、また、日本が補給支援活動から手を引いていいのかということをたださせていただいたと思います。小沢代表は、この私どもの問いに対して答えられず、代表質問におきましては、外交と安全保障の基本方針の中で、日本の安全保障は国連の平和維持活動によって担保されると主張されたと記憶をいたします。

 私は、それに対して正直疑問を持たざるを得ないところであります。これは、日本が日本という国家の安全保障というものを確保するに当たって、現在の国連というものは少数国の方針でかなり左右され得るなど、国連にそのままゆだねる状況にはない、国運というものをそのままゆだね得る状況にはないと思っております。(発言する者あり)

深谷委員長 お静かに願います。

麻生内閣総理大臣 このような国連が行う活動を自国の安全保障の最終的なよりどころにするということを国連中心主義と言って、称しておられるとするならば、その主義のもとで日本という国と日本国民の安寧を守ることができないというのは明らかなのではないか。

 この二点において甚だ疑問と申さざるを得ないと思っております。

小池委員 憲法問題につきまして、この後も同僚議員からも御質問をさせていただきます。

 そして、本来であるならば、自衛隊の活動、そして復興支援、民生の支援ということ、これは総合的に行うというのはもちろん重要なことであり、現実に我が国も、JICAなどの活動、それからNGOの皆さんが地道な活動を行ってこられ、そしてそれぞれも実績を残してきておられます。

 ところが、残念ながら、ことしの八月、ペシャワール会で、井戸を掘るなど現地の住民の皆さんと力を合わせてやってこられた伊藤和也さんが拉致、殺害をされる。その前には、その一年前でございましょうか、韓国の宗教関係者のNGOも拉致され、誘拐され、二人が殺害をされるということで、丸腰の支援というのは現実にはなかなか厳しい。

 そしてまた、民主党案によりますと、抗争に対して、できるだけ両者、関係者を対話に導くというようなこと、それを前提とするというわけでございますが、ことしはノーベル平和賞をフィンランドのアハティサーリ前大統領が受賞されました。調停活動をされた。まことに立派だと思います。しかしながら、テロリストとどのような形で対話をしていくのか、これは模索はしなければならないけれども、なかなか簡単な話ではないというように感ずるわけでございます。

 これまで日本が民生について、復興支援についてどのような活動をし、また、こういった調停に向けての活動、どのようなことをやってこられたのか、質問二と三を一緒に伺わせていただきます。

麻生内閣総理大臣 これは、インド洋におけます補給支援活動というのとともに、アフガンにおけます人道復興支援等々をいろいろ行ってきたところでありますが、具体的には、治安、インフラ、医療並びに教育を含む幅広い分野で総額一千六百億円以上の支援というものを実施してきたと思っております。

 これは、先ほど話をされました麻薬問題など、まだまだこれは道半ばというのが率直な実感でありますが、着実な成果も見られていると思っております。国際社会等々の支援によって、少なくとも五百万を超す方々がアフガニスタンに帰還されておられるという事実が一つ。また、学校に就学するという人は、総数百万人以下と言われておりましたけれども、二〇〇七年には五百七十万人に急増したりもしております。

 しかし、例えば、先ほど触れられましたペシャワール会の伊藤さんの話を初め、これはほかにも、韓国の民間団体や、またその他、他国のNGOの関係者が殺害されるなど、現地の治安状態は厳しい、これは報道にあるとおりであります。

 したがいまして、治安・テロ対策は人道復興支援というもので代替できないというのが国際社会の一致した見解、認識だと思っております。したがいまして、治安・テロ対策を含みます人道復興支援というものは車の両輪というように理解しておりますので、引き続きテロとの闘いを継続していくということだと思っております。

小池委員 テロリストとの対話ができればこれにこしたことはないというように思うわけでございますが、なかなか、ウサマ・ビンラディンの生存そのものが確認されていない、またナンバーツーのザワヒリ、彼も死亡説が流れておりますが確認がとれていない。友人の友人がアルカイダという方が以前おられましたが、ザワヒリ氏とは、氏と言っていいのかな、ザワヒリと私はカイロ大学の同級生でございますが、連絡先は存じ上げておりません。そういう中で、非常に厳しい状況であるがゆえに、まさに国際的な連携が必要ということでございます。

 その意味で、私がパキスタンを訪問いたしました際に、パキスタン、国内政治状況は、ムシャラフ大統領が実権から外れるなどまだまだ非常に不安定でございます。一方で、国内のパキスタン人の生活、停電が起こったり、また自爆テロなどもパキスタン内でも起こっている。FATAと呼ばれる、法の支配とか、それから国境というような感覚がそもそもないと言ってもいいような地域、これらも抱えている。パキスタンへの支援ということももう少し本腰を入れて行うべきではないだろうかと考えております。

 と同時に、一方で、報道によりますと、アメリカから、それからNATOに関連してと言った方がいいのでしょうか、対アフガニスタン支援、五年間で最大二百億ドル、ざっと二兆円ということになりますけれども、この支援要請があるというふうに聞いておりますけれども、こういうパキスタンへの支援、そしてアメリカからと言われている支援についてはどのような対応をおとりになるのか。

 二つまとめて伺わせていただきます。

麻生内閣総理大臣 アフガニスタンから見て東側に隣接しておりますパキスタン、これはパシュトゥンという、族が同じということもありまして、国境線というのはなかなか難しいというのはもう御存じのとおりです。

 そういった意味で、パキスタンが安定するというのも極めて大きな要素だ、私どももそう思っております。G8の議長国として、本年の六月のG8の京都外相会議において、アフガニスタンとの国境地域におけますパキスタンへのG8によります支援強化というのを打ち出させていただいた、御存じのとおりです。日本自身としては、本年五月、パキスタンに対しまして、インフラ整備を支援するために総額四百八十億円の円借款の供与に合意をいたしております。

 また、テロの温床となっておりますのは、やはりこれは貧困というのが非常に大きな理由と言われておりますので、これを削減すべく、アフガニスタンとの例の国境沿い、パキスタンから見て西側になります、あの国境地帯において、教育、医療、また国内避難民対策などの支援を実施しておりますので、今後とも、同国の安定、発展に向けて支援を続けてまいりたいと思っております。

 もう一つは、御質問の件に関しましては、アフガニスタンの情勢などに関しましていろいろアメリカとの関係というお話があっておりましたけれども、今、どうしてくれというような話が直接来ているということはございません。アメリカは終始一貫して、日本がどのような支援を行うかについては日本自身が決定する問題だということの立場をとってきておりますので、そのとおりに私どもも対応いたしておるところであります。

 いろいろな意味でアフガニスタンに対しての支援を強化してほしいというのは、他国から、これに参加をしております大勢の国々からいろいろな形で御要請があっておるというのは事実ですけれども、日本ができること、できないこと、いろいろ照らし合わせてみて、今、この補給支援活動というのは我々として許される範囲で最もいいのではないのか、我々はそのように判断をいたしております。

小池委員 今総理の方から、貧困がテロの温床であるというお言葉がございました。確かにその部分もございます。一方で、ウサマ・ビンラディンとかザワヒリというのは大変リッチな家庭に生まれているということも、ある種、彼らは彼らで、ある意味でいわゆるプライドというものも有しているのかなと思うところもございます。

 さて、ソマリア沖での海賊問題についても触れさせていただきましたが、その質問については同僚に譲るといたしまして、旧テロ対策支援法そして今回の給油支援特措法ということで、これまでずっと特別措置法の形で常に我々はやって対応してきたわけでございますけれども、危機管理の観点からも、即応性というものも重要でございます。自衛隊の海外派遣のルールを定めた恒久法の議論ということ、これは与野党が協力して行わなければならない、このように痛感をしているわけでございますが、総理並びに民主党の提案者から、この点について伺わせていただきます。

 総理からお願いします。

麻生内閣総理大臣 いわゆる一般法の整備と言われている、恒久法、一般法の整備というのは、今言われたような、こういうテロという、突発的にある日、何の目的だかわからず、一方的に、何の前ぶれもなく、特定されない人たちが大量に殺されるというような事件というものは、その対応は迅速かつ効果的にやらなければならぬというのは、これは当然のことであろうと存じます。したがって、国際平和協力に関する日本の基本的方針というものを内外に示す上におきましても極めて有意義だと思っております。

 ただ、一般法につきましては、与党における議論などもいろいろございますし、国民的な議論というものもいろいろ必要なんだと思っておりますので、この点を踏まえまして、野党の方々にもいろいろ御意見を、あると伺っておりますので、御理解いただきながらこれを検討させていただければと思っております。

犬塚参議院議員 恒久法についてお尋ねがありましたけれども、御存じのように、民主党案は、油ではなく水だ、こう言っているわけであります。水といいましても、火消しの水もあれば生活の水もあるわけですね。それでは、こういうものをどうやってきちんとした形で恒久法論議の中に入れていくのかという話だと思うんですね。

 民主党は、国連平和活動については積極的に参加すべし、これを担保する恒久法の論議についてはこれを否定するものではありません。

 しかしながら、今民主党が提案をしておりますこのテロ根絶法の中身をぜひ見ていただきたいんですけれども、今おっしゃいました国連の緊急展開能力、これは二〇〇〇年のブラヒミ・レポートで既に言われております。民主党の中にありますのは、もう既に、これをどうしたらいいかということについて、具体的な提案も含めてこの中で出してはおりますけれども、今までのところ、だれも質問してくれないという事態になっております。

 それだけではありません。民軍関係についても言っておる、長期的視野についても言っておる、現地のオーナーシップについても言っておる。それだけではなくて、保護する責任という、大変大事な、国家主権と介入についての議論をどういうふうにするかということについても民主党案の中には入っているんですね。

 ぜひこの辺も、恒久法を云々する前に、民主党案をきちんと審議していただきたいと思います。

小池委員 改めて民主党の方に最後に伺いますけれども、では、そもそも、もし政権が交代、これが実現したならば、今のこの補給支援特措法というのは廃止をされるんでしょうか。そしてまた、そのときには、海上自衛隊の船を戻すのか、ISAFには参加するのか。この決意、イエス、ノーだけお答えいただきたいと思います。

犬塚参議院議員 民主党は、先ほど申し上げたように、油ではなく水だ、本当に我が国がアフガニスタンについて平和活動をするに当たっては油より水だ、こう言っているわけですね。ですから、給油については、当然のことながらこれを中止するということを主張しているわけであります。

 ISAFについてはいろいろな議論があろうかと思いますけれども、今現在は、アフガニスタンの平和と安定をどうしたらいいかということを話しているわけであります。ですから、ISAF参加云々ということについてはここでお答えすることはどうかと思いますけれども、ただ、一般論を申し上げれば、ISAFに参加するということについては、まずISAFというのはNATOの指揮下で行われております。日本はNATOの加盟国ではありませんので、これに今すぐ参加することについてはどうかと思われる。

 もう一つは、今現在、NATOが行われているISAFは、ICC、国際刑事裁判所の規定について挑戦するがごときの地位協定を持っております。こういうことがある中で、果たしてISAFに今すぐ参加できるのか。

 もう一つは民軍関係のことでありますが、ISAFの活動は軍が優先であるという批判もあります。

 こうした中で、現行のやり方で果たして本当にアフガニスタンの平和と安定に寄与できるのかということを含めて、しっかりと検討したいと思っております。

小池委員 よく小沢代表と打ち合わせを、意見をまとめた上で、法案の提出をよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

深谷委員長 この際、中谷元君から関連質疑の申し出があります。小池さんの持ち時間の範囲内でこれを許します。中谷元君。

中谷委員 引き続き、民主党の法案提出者に憲法九条につきまして質問させていただきます。

 小沢党首は、国連の決議が出た場合は海外で自衛隊の活動は武力行使ができるという主張をされておられます。

 これは、昨年の論文、「世界」十一月号で、「国連の活動に積極的に参加することは、たとえそれが結果的に武力の行使を含むものであっても、何ら憲法に抵触しない、」武器の使用も特に法律を制定する問題ではないと主張しておりますが、これは民主党の憲法九条の解釈としてとらえてよろしいですか。

浅尾参議院議員 お答えいたします。

 民主党の安全保障につきましては、政権政策のマグナカルタというところでまとめておりまして、その中では、自衛権の行使と集団安全保障というものを分けております。国連憲章に定めております集団安全保障と自衛権とを分けているというのが民主党の立場でありますので、今の御質問に対するお答えとしては、そういう形でお答えをさせていただきたいと思います。

中谷委員 それでは、国連決議が出たら自衛隊は武力行使をしてもいいということですね。

浅尾参議院議員 国連決議イコール必ずしも自衛隊を派遣するという形で政権政策のマグナカルタをまとめているわけではありません。集団安全保障を認める国連決議が出た場合に、我が国が主体的判断のもと、また、「民主的統制」というのは国会の関与のもと、判断をするという形になっております。

中谷委員 そこが民主党と我々の大きな違いなんですね。

 政府・与党は、現行の憲法九条のもとでは、国連の明確な決議が出た場合でも、その目的、任務が武力行使を伴うものであれば、自衛隊がこれに参加することは憲法上許されないとしております。この憲法解釈を否定されるんですか。

浅尾参議院議員 繰り返しのお答えになりますけれども、民主党の政権政策のマグナカルタにおきましては、自衛権の行使と集団安全保障というのを分けて考えている。したがいまして、集団安全保障に属する活動については自衛権の行使とは性格を異にするというのが政権政策のマグナカルタに明記されているところであります。

中谷委員 それでは、その前提でお伺いしますが、例えばISAFであれ、スーダン・ダルフールのPKO活動であれ、治安活動とか警護活動とか、国連の決議に従って活動が行われ、いろいろな国が参加しておりますが、そういう活動の中で、いわゆる戦闘行為も伴うような活動にも自衛隊を参加させることができるということですか。

浅尾参議院議員 PKOにつきましては御案内のとおりでありますが、その他の集団安全保障の活動につきましては、先ほど申し上げましたとおり、国連の要請に基づき我が国の主体的判断、すなわち国連の要請があったからすぐに行くということではなくて、主体的判断をした上で、国会が関与をした上で決定をするということであります。

中谷委員 私がお伺いしておりますのは、憲法上それが可能かどうかという質問でございます。憲法上、そのような行為が、武力行使を伴う行為が可能であるかということです。

浅尾参議院議員 お答えをしておると思うんですが、憲法が定めております自衛権の行使と集団安全保障とは性格を異にするというのが政権政策のマグナカルタに書いてあるとおりであります。

中谷委員 この辺は大事なところなんですね。皆さんも、民主党のホームページをごらんになっていただきたいと思います。

 このホームページで、小沢氏は、政権をとったら、ISAF、スーダン・ダルフールに参加する、武力行使を含むものであっても憲法に抵触しないとはっきり掲載をされておられます。

 民主党は、政権をとったらこれらの地域に自衛隊を派遣する考えでございますか。

浅尾参議院議員 先ほど来、政権政策の基本方針、政策マグナカルタというところの「外交・安保政策」というところ、これは基本方針でありますから、そこを正確に読み上げさせていただきたいと思いますが、「国連平和活動への積極参加」。

  国連は二度に亘る大戦の反省に基づき創設された人類の大いなる財産であり、これを中心に世界の平和を築いていかなければならない。

  国連の平和活動は、国際社会における積極的な役割を求める憲法の理念に合致し、また主権国家の自衛権行使とは性格を異にしていることから、国連憲章第四十一条及び四十二条に拠るものも含めて、国連の要請に基づいて、わが国の主体的判断と民主的統制の下に、積極的に参加する。

ということでありますので、そういう範囲での答えでございます。

中谷委員 どこが違うかというと、我々与党は、国連で決議があったとしても、その目的、任務が武力行使を伴うものであれば、自衛隊がこれに参加することはできないとされています。

 ところが、民主党は、国連の決議が出たならば武力行使が可能な活動も自衛隊ができるんだということですね。

浅尾参議院議員 ですから、先ほど来申し上げておりますように、自衛権の行使と集団安全保障とは性格を異にするということでありまして、その上で、我が国の主体的判断と民主的統制のもとに、国連の決議があるから自動的に出るということではありませんが、国益に基づいてそれが必要であるとなれば参加をするということです。

中谷委員 これは、大変大きな憲法の解釈の変更になります。

 この憲法解釈というのは、我々国会の場で、この五十五年間、ずっとこの憲法九条について野党も含めて議論をして、それによって積み上げられたいわゆる国民の合意でございます。

 したがいまして、私が申し上げたいのは、この憲法解釈というのは、政府がその政策のために従来の憲法解釈をころころと変更することは、いわば憲法の権威を失墜させ、ひいては内閣全体に対する国民の信頼、政治に対する信頼、安全保障に対する信頼、こういうことを損なうことになりますが、この点に関して、民主党は、仮に政権を担った場合に、この憲法解釈を変えるということですか。

浅尾参議院議員 今回提出をさせていただいておりますテロ根絶法の中では、憲法解釈は、これは特措法でありますから、変えている形にはなっておりません。

 しかし、そのテロ根絶法の中で、集団安全保障のものも含めて恒久法を制定すると。その法律を制定する中で、憲法というか、私どもの考え方、集団安全保障と自衛権の行使とは性格を異にするというものが法律の中に反映されるものと理解しております。

中谷委員 それでは、今提出されている法案は従来の政府の憲法解釈の中で考えるということでよろしいですか。

浅尾参議院議員 現在提出をさせていただいておりますのは特別措置法ということでありますので、特別措置法の中でその新たな考え方を盛り込むのは法律の構成上いかがかという観点でありますので、特別措置法の中で新たな憲法解釈、従来の憲法解釈を超えるものは入っておりません。

中谷委員 特別措置法であろうが一般法であろうが、党が法律を考えて立案するわけですから、特に特措法ということでお考えになる必要はないんじゃないかと思っております。

 こういうことで、今まで憲法について議論をさせていただきましたが、これまでの議論を聞いておられて、麻生総理にお伺いしますが、小沢代表の、現行の憲法でも国連の決議が出たら武力行使を伴う活動にも参加できるという考え方、そして現行の憲法の解釈を自分は変えるという考え方、これにつきまして総理のお考えを伺います。

麻生内閣総理大臣 あれはたしか「世界」という本でしたかね、月刊「世界」というものの中で書かれた論文の中だと思ったので、私、一回だけ読ませていただいたので、正確な記録は少し違っているかもしれませんが、少なくとも、今言われた論議にありましたように、武器の使用も特に法律を制定することは問題ないというようなことが書いてあったと記憶するんですね、国連の決議がありさえすれば。

 そういうことだと思うんですが、私は、国連の果たす役割の重要性というのは極めて大きい、これはもうはっきりしていると思っております。ただ、他方、政府としては、従来から、国連決議に基づく措置であっても、今、中谷先生言われましたように、憲法第九条によっていろいろ制約があります。したがって、武力の行使に当たる行為というものも、これを日本が行うということは国連の決議があっても許されないのではないかというのがこれまでの我々の考え方であったと思いますし、それで五十五年来たんだと思っております。

 小沢代表の話は、国連の活動であれば武力行使を含むものであっても憲法に抵触しないというように読めたんですが、私の記憶が少し違っているのかもしれませんが、今、中谷先生と浅尾先生との話を聞きながらいま一つよく明確じゃなかったんですが、少なくとも私としては、政府としては、従来の憲法解釈というものを踏まえて今後やっていく、少なくともこの特措法においては、そういった見解に基づいて、いろいろ我々として国際社会からの期待にこたえるこれが限度と思ってやらせていただいているというのがこれまでの我々の考え方であります。

中谷委員 この民主党の憲法問題については、小沢党首が論文の中で、これは民主党の党内議論を経て決定したものである、民主党の名誉にかけてもそう申し上げるといってマグナカルタが出たと思いますが、伺うところによると、まだいろいろと党内で議論があるような気がいたします。

 そこで、私が申し上げたいのは、憲法の解釈というのは非常に幅があって、国際貢献をしなければならないし、憲法というものはだれが読んでもきちんとこういうものだなと国民が理解できるものにしておかなければなりません。そういう意味で、憲法をつくるのは我々国会議員の仕事なんですね。そういうことで、この衆議院には、国会には憲法調査会というものがあって、二〇〇〇年から非常に熱心な議論をいたしてきました。その結果、憲法を改正する手続の法案を通し、そして、国会内に憲法審査会を置くと法律で明記をいたしたわけでございます。

 ようやく、憲法をどうするかという議論をこの国会でできる、そういう環境ができましたが、これを政局第一の立場から壊したのは小沢一郎代表でございます。理不尽な採決の妨害、そして現在も、民主党の抵抗によって、法律で定められた衆参両院の憲法審査会が始動できないまま一年以上も放置をされています。今はやりませんと。幾ら与党が呼びかけても、何だかんだ理屈をつけて反対をしてやらない。伺うところによると、自分が政権をとったらそこでやろうと考えているのかどうか。

 御自分が憲法の考え方を述べるなら、この国会で議論をしてその中身を詰めるのが国家としてのあるべき姿ではないかと思いますが、この憲法審査会の場、参議院ではこれの設置に反対をしていると伺っておりますが、いかがですか、民主党は。

浅尾参議院議員 事前に憲法審査会についての御質問の通告がなかったものですから。

 憲法審査会については、国会の定めに従ってそれは粛々と進めていくべきものだというふうに私も理解をいたしております。

 ただ、国会の場においてどういう手続で進めるかは、それぞれの委員会ないしは審査会で決めていくことだというふうに思っております。

中谷委員 よくその発言を受けとめさせていただきます。一刻も早く国会に憲法審査会という場をつくって、この中身を議論しましょう。小沢代表の言うような理論も一つでは成り立つわけですから、では国会としてどうするのかということを考えないと、国際貢献は一歩も先に進まないと考えます。

 それでは、法律の各論に移ります。

 この法律案を出されたことには敬意を表したいと思いますが、この法律を読んでみますと、自衛隊の活動の実施対象地域というのが定められておりまして、抗争停止合意が成立している地域、活動期間が定められております。与党ではいわゆる非戦闘地域、戦闘が行われていない地域に限ってということで、現在、インド洋とかまたイラクのサマワでは、武力行使にならないという前提で、大変立派な活動をしております。どの国からも武力行使とか戦争をしているという批判を得ておりませんが、いわゆるこの抗争停止合意というのはどういう意味の内容なのか、具体的にだれとだれの間での合意を意味するものでございますか。

浅尾参議院議員 まず、抗争停止という概念を入れた経緯から御説明をさせていただきたいと思います。

 現在のアフガニスタンにおきますさまざまな国籍の軍隊の活動がいわゆる二次被害、コラテラルダメージというものを惹起しております結果、結果としてアフガニスタンの治安状況がよくなっていないということは委員御承知のとおりだと思います。そういう中で、我が国の自衛隊が仮に人道復興支援活動であったとしてもアフガニスタンに行った場合に二次被害を出すということは厳に慎んでいかなければいけないという観点から、この抗争停止という概念を入れさせていただきました。

 この抗争停止というものは、現在、民主党、そして政府もそうだと思いますが、カルザイ政権を正統な政府としておりまして、それに対して非合法な武装活動をして政権を打倒しようとしている集団がいるということであります。そうした集団、これは一つの単体というふうには考えておりません、さまざまなグループがあるというふうに考えておりますが、そういった集団とカルザイ政権との間の抗争停止、アフガニスタン全土でそれがある必要ということは認識をしておりませんで、それぞれの地域において抗争停止ということがあり得るというふうに考えております。

中谷委員 そうしますと、アフガン国内に実質活動ができそうな地域があるかどうかということでございますが、犬塚議員は参議院の質疑におきまして、なかなか抗争相手を特定するのが難しいという答弁をされております。

 この法律によって活動できる地域がアフガン国内に現在あるとお考えでしょうか。

犬塚参議院議員 今、委員よく御案内のとおり、アフガン国内は非常に治安状況が悪く、この特定の地域に限っては抗争停止合意が確実にできるというようなことを断定することはなかなか困難であります。だからこそ、この法案の中では、抗争停止合意を促進するという努力も行うということも入っているわけです。

 しかし、御案内のように、一たん抗争停止合意ができたからといって、ではもとに戻らないかといったら、決してそんなことはない。あたかも月の満ち欠けのように、住民やあるいは武力集団の攻撃性というものも強くなったり弱くなったりする。地域ごとによっても違う、時間によっても違う。そのような中においてどうやって復興活動を行っていくかということで使わせていただいた言葉が抗争停止合意でございます。

 ですから、端的に申し上げれば、ここがそうだよ、いつがそうだよというようなことはなかなか申し上げられないということです。

中谷委員 では、もう一つ浅尾議員にもお伺いします。

 浅尾議員は、参議院でこの法律が審議された際に、アフガンには抗争停止合意は成立しておらず、人道復興支援活動に対する妨害その他の行為により住民の生命などに被害が生じることがないと認められる地域はないと答弁をされていますが、この考えは現在も変更されませんか。

浅尾参議院議員 この法案、出しておりますテロ根絶法案の二つの柱というのは、一つは治安分野改革、それは外交の支援によって、カルザイ政権とタリバンその他の抗争停止合意を取りつけるための外交支援というものが入っておりまして、それに我が国政府が努力をする、それに努力をした上で抗争停止ができる地域をつくっていくということがまず第一でありまして、その上で人道復興支援活動に参加するということでありますので、御質問に対するお答えとしては、現在そういった抗争停止に当たる地域がアフガニスタンにあるかといえば、アフガニスタンの現状にかんがみて、それはなかなか、その外交努力がない中では、ないと言わざるを得ないというふうに思います。

 ちなみに、少し敷衍させていただきますと、我が国が抗争停止のために外交努力ができるというふうに私どもが考えております一つの例で申し上げますと、実は、アフガニスタンに参加をしている多国籍軍の中で唯一被害を受けていないのはトルコ軍だということを聞いておりまして、これはイスラム国であるトルコだからいろいろな妨害工作に遭っていない。御案内のとおり、日本はアフガニスタンに今まで手を染めておりませんので、外交的な仲立ちということに関与する要素が十分にあるというふうに私どもは考えております。

中谷委員 これは、我が国として人的貢献をいかにするかという内容でありまして、自衛隊もそのような活動地域がない、民間人も非常に危険で派遣することができない、政府の職員も警察も同様でございますが、結局、活動できる地域がないということでありまして、アフガン復興支援のために人道復興支援というものが直接行くことはできないということになります。それでは、この法律を出したのはどういう意義、目的があるんでしょうか。

 つまり、先ほどおっしゃったお話ですと、国際機関を使ってアウトソーシングというか復興支援をしたり和平を呼びかける。そんなことは今もやっていますよ、今の政府で一生懸命。この法律がなくてもできることであります。いろいろな関係の努力、国際機関の働きかけ、NGOとの協力、外務省の職員やJICAの人たちは、皆さんが見えないところで、非常に危険な中でこのアフガン復興のために汗を流していますし、現実に、インド洋に派遣された自衛隊の艦船の隊員も、非常に厳しい環境の中で必死で我が国のために国際貢献をしているわけでございます。

 伺いたいのは、民主党はなぜ、安全で国際評価の高いインド洋上の補給支援に反対をするのでしょうか。これは憲法違反だと本当に考えておられるんですか。

浅尾参議院議員 この間、インド洋での給油活動をずっと継続してまいりましたけれども、アフガニスタン、これは内陸国であります、インド洋からは離れております内陸にある国でありますが、アフガニスタンの状況が改善されたというふうには私どもは理解をしておりません。むしろ、アフガニスタンの状況は少し悪くなっているというふうに考えております。

 そういう中で、先ほど来お話をさせていただいておりますように、両輪あろうかと思いますが、アフガニスタンの治安分野の改革。これは、今委員御指摘がありました、我が国がこれまで従事をしてまいりましたDDR等の武装解除といったような形で、ある程度の成果は上げておりますが、まだまだ不十分だと思っておりますので、その治安分野改革にまず注力をする。その過程の中で、抗争停止の合意が取りつけられる地域を経て、そこに人道復興支援活動に参加をしていくというのがテロ根絶法の趣旨でありまして、それの方が直接的にアフガニスタンの現状の改革、そして結果としてテロ根絶につながるというふうに考えております。

中谷委員 憲法違反かどうかという質問にはお答えされませんでしたが、答弁者としてお座りになっております浅尾議員も、また犬塚議員も、平成十三年の十一月三十日に参議院でこの自衛隊の派遣の国会承認を求める議決がありました、そのときに賛成をいただいておりますが、これは憲法に基づく行為であるから賛成をしたということでよろしいですね。

浅尾参議院議員 民主党として、給油活動あるいは旧法が憲法違反だというふうに整理をしたということではございません。

 しかしながら、その後、給油をされた油がイラクの戦争に転用されたという可能性がさまざま国会の中で指摘をされておりまして、それは、委員御案内のとおり、イラク戦争に使われたということになれば、まさに武力の行使、これは自衛権ということで言っております武力の行使に当たるわけでありますから、そうなれば、当然憲法違反になる、憲法違反の疑義が高まっている、イラクの戦争に転用されているということであれば疑義が高まっているということでありまして、今御指摘をされました派遣承認の際には、イラク戦争に転用されるというような説明は一切ございませんでしたということも付言させていただきたいと思います。

中谷委員 それでは、この法律案の原則としては憲法に抵触しないということを確認させていただきました。

 そしてもう一点、民主党から提出された法案で注目すべきことは武器の使用でございます。

 民主党案によれば、復興支援活動の実施に対する抵抗を抑止するためにやむを得ない必要があると認める相当の理由がある場合には、武器を使用することができるとされていますが、これは具体的にどのようなケースを想定されているのですか。いわゆる任務遂行型の武器使用というものをお認めになったものだと理解をいたしますが、そのとおりでございますでしょうか。

犬塚参議院議員 前国会でお答えを申し上げましたが、確かに、この法案の中で武器使用に関しては踏み込んだ表現をしております。

 具体的に申し上げますと、例えば、食料などを保存している倉庫に盗賊や武装集団が入り込んできたときには、これを阻止するための威嚇射撃を行う、あるいは、例えばですけれども、我が国がつくり上げてきたかんがい施設等を破壊するような行為が行われるような場合には、これに対して威嚇射撃を行うというようなところまで踏み込んだ表現をしております。

 ただ、その前提といたしまして御理解いただきたいのは、あくまでも抗争停止合意を前提にしたこうした行動であるということです。つまりは、タリバン、アルカイダの掃討作戦をやるわけではないということなんですね。平和維持活動の大前提であります停戦合意、この停戦合意がなかなかつくることができないときに、抗争停止合意という表現に直して、より地域的、短期的、流動的な状況にも何としても応じなければいけない、そうした趣旨でこの武器の使用基準を定めたところであります。

中谷委員 この武器使用基準もこれまでずっと議論をしてきたわけでありまして、民主党がこのような提案をされたということは私は評価をいたしたいと思います。

 今の御発言で、武器使用においてこのような場合は憲法上問題ないという確認をさせていただきましたが、それでよろしいですか。

浅尾参議院議員 今の犬塚委員の答弁につけ加えさせていただきますと、今までの政府、内閣法制局の解釈においても、国または国準に対する武器の使用が武力の行使に当たるので、これは憲法違反であるということでありまして、先ほど御答弁にありましたように、抗争停止合意のところには国または国準に当たる集団がないという前提でありますので、現行の政府の解釈と異なるものではないというふうに理解しております。

中谷委員 ここぐらいの議論になりますと、恐らく国民の皆さんは、国に準じるものとか言われてもわからないと思います。

 したがって、要は国際貢献をしっかりしていくということが大切でありまして、与党は何度も何度も民主党に、この問題を詰めましょうよと、一般法の法律においても今回のアフガン復興法と我が与党の間の修正協議も理事会で正式に議論しましょうと言いました。

 しかし、民主党のお答えは、そんなのは理事会でもやらない、協議会もつくらない、この委員会の場でやってくれと言われたんですが、まさにこの委員会の場でありますが、この武器の使用において、鳩山幹事長も今の出している法案をリバイスする必要があると言っています。我々にも話し合う準備がございます。

 この点につきまして、修正を含めて何とかこの国会で形を残したいというのが我々の考えでありますが、この武器の使用等において修正に応じる考えはありますか。

浅尾参議院議員 武器の使用について修正に応じる用意があるかどうかということでありますが、提出されております政府側からそうした修正案を出されるかどうか、出された上でその協議をしていくということになろうかと思います。

中谷委員 私は、何もしないよりは何か一つでも二つでも喜ばれることをしたらいいということで、ぜひこの与党案も残しつつ、アフガン国内でも対応ができる、そういう意味では旧テロ特措法がそうなんですね。今、補給支援しか取り出していませんが、旧テロ特措法はアフガン国内においても民主党のおっしゃるような活動ができる法案でありましたので、お考えをいただきたいと思います。

 以上、ざっと質問をさせていただきましたが、まだまだ詰めるべき点がありますので、月曜日に引き続き質疑を続けさせていただきます。

 終わります。

深谷委員長 この際、新藤義孝君から関連質疑の申し出があります。小池君の持ち時間の範囲内でこれを許します。新藤義孝君。

新藤委員 自由民主党新藤義孝でございます。

 質問の機会をいただきましたことは、委員長また同僚議員に感謝を申し上げたいと思います。

 そして、小池議員の持ち時間の中ということで、十一時半までということになりましたから少し時間が少なくなりましたが、その範囲でいろいろ御質問させていただきたい、このように思います。

 まず、私たちは、このインド洋における洋上補給活動、これは日本にとって非常に意義ある活動だということを再認識しなくてはいけないというふうに思います。

 何よりも、ニューヨークの同時多発テロは、二〇〇一年九月十一日、犠牲者二千九百七十三人、日本人も二十四人が犠牲になったということ、これは絶対に忘れてはならないことで、以来、私たち世界は、テロとの闘いを克服することが最大の国際社会の目的である、このように思っています。その中においていろいろと、ISAFだ、陸上部隊だとかいろいろありますけれども、世界じゅうで四十カ国を超える国が参加をしている。そして、実際に参加をした軍隊の中では犠牲者ももう既に九百七十七人、世界じゅうで犠牲が出ているということも我々は踏まえなければいけないと思います。

 そういう中で、私たちは何をやっているかというと、海外で武力行使は行わない、それから危険な区域、戦闘区域には行かないということで、このインド洋の、インド洋というか広い区域です、中東沖からインド洋のあの周りの不審船を取り締まる、それから武器の密輸や麻薬の取引を監視する、こういうことのために船を出しております。

 ちょっと経費だけで言います。私たちが今までの六年間で自衛隊に使った経費は六百十二億円です。そして今年度は、補給支援のための燃料代、これは二十億なんですね。これは私たちのこの日本の国の国内のガソリン販売額の〇・〇二%と、これは大変なお金です、二十億円も。だけれども、世界の、先ほど小池議員からもお話ありましたように、私たちの生命線である石油を大量に買ってくる、そういうシーレーンを維持するためのものでもある活動がこういう金額でやられているということだと私は思っています。

 一方で、湾岸戦争のときは一体どのぐらいのお金を使ったのかというと、これが、資金のみの活動でございましたが、一兆八千億円です。増税までやって、我々は本当にもどかしい思いをしながら、私は当時、国会議員でございませんでしたから、日本は何をやっているんだと。しかも、こんなにお金を出したのに、結果として、戦争が終わった後の感謝広告には日本の名前が入っていなかった。お金だけじゃだめだ、顔の見える貢献、私たちは汗をかこう、そして、自分たちのできることをやらなければいけないんだということで、我々は順次、この国も随分変わってきて、いろいろな法律を整えて、今この海上補給活動をやっているわけです。

 そうしますと、しかも、湾岸戦争のときに比べると予算的にもそんなに大きなものではない、かつ、洋上補給の能力と技術を持っている、そういう国というのは世界で何カ国もないんですね。だから、日本の活動が非常に喜ばれている、こういう状態なわけです。

 それで、それに対して、これは今まで何をやってきたかとお聞きしたいと思いましたが、時間がございませんから、とにかく大変な成果が上がっているということは私は間違いないと思うんです。

 そういう中で、民主党は、今回お出しになられた法律はテロ根絶法案と言われているもので、この法案におきますと、まず、自衛隊による人道復興支援活動、これは抗争停止合意地域でないと行かないよということだと。したがって、これは、現時点ではそういう地域はアフガンにはないと発議者がおっしゃっているわけだから、できない。それから、今私が申し上げました、日本ができる、しかも世界から大変に評価されている洋上補給活動は、国連安保理決議がないのでやりませんと。先ほども、小池議員の最後の質問の中で、この海上阻止活動からは撤退するんだ、こういうふうにお話しされました。

 だとすると、では、今世界がみんなで闘わなければいけないテロとの闘いにおいて、民主党はこのテロ根絶法案をお出しになりましたが、具体的に何をやろうとするのか、まずそこのところを教えてもらいたいと思います。

犬塚参議院議員 委員御指摘のとおり、海上補給活動の最大の目的は、紛争地域に隣接をしている海域の平和維持、秩序の維持にあるわけであります。この秩序の維持をこの海域において本当に行うのであればいろいろなやり方はあるわけでありますけれども、この秩序の維持を行う作戦の名前がOEF・MIOというわけですね、不朽の自由作戦の海上における下部作戦に、我が国は今参加をしているわけであります。

 私ども提出の法案の最もしんになる部分が、このOEFという、今、タリバンとアルカイダの掃討作戦をやっております。つまり、アフガニスタンの陸上において、だれがタリバンかアルカイダかわからないような非常に難しい状況の中にもかかわらず、この掃討作戦をやっているのがOEFなんですね。

 我が党の主張は、こういう掃討作戦に支援をするのではなくて、我が国の支援は油ではなく水だろうと。つまり、テロを本当に根絶する、テロに対する闘いをやるというのであれば、やはりテロの大もとになっている、今、例えばアフガニスタンでいえば、ユーラシア大陸の大干ばつがあります。やはり水が必要だろうと。そして、警察の支援が必要だろう、資本の支援が必要だろう、火消しの水が必要だろうということを言っているわけであります。

 ですから、先ほど来御指摘の、民主党は油ではなく水である、この水の中身をしっかりと詰めていったのが民主党案でありまして、何もしない法案だというのは、どこをどう読めば何もしないというふうに読めるのか、私は逆に聞きたいぐらいであります。

新藤委員 油なのか水なのか、それは手段なんです。ではなくて、テロとの闘いに参加をするのか、私たちは汗をかくのか、ここのところを私は聞いているんです。

 だから、この法案ではいろいろなことができるように書いてあるけれども、今はやらないんでしょう。何もできないんでしょう。そこだけ言ってください。

犬塚参議院議員 テロとの闘いというのは、テロとの戦争ではなくて、対テロ戦争ではなくて、テロを根絶するのが闘いであります。民主党が今すぐこの法案でやれと言っているのは、この火消しの部分であります。火消しというのは……(新藤委員「だから、できるのか」と呼ぶ)できるんです。これはやはり日本の世界に対するアピールが非常にまだ足りないと思うんですけれども、アフガニスタンにおいて北部同盟六万人以上の武装解除をやったのは、日本のリーダーシップなんですよ。これだけ大切なことをやったにもかかわらず、ほとんどの方はこれを御存じないんですよ。こういうことを日本が今までやってきた。

 ところが、今どうでしょうか。DIAGが、確かに今やろうということで日本が主導はしておりますけれども、この担当者はたったの二人しかいないという状況になっているんですね。力が入っていないんです。これをやろうというのが民主党案です。

新藤委員 これは皆さん御理解いただけたと思いますが、かつてそういうこともあった、それから、紛争停止の合意がなされればいろいろなことをやりますよと言っている、だけれども、今は何もない、だから何もやらないということになってしまうということ。これはみんなで理解したい、このように思います。

 それから、今、インド洋の海上を、要するに治安の維持をするということがいろいろなテロとの闘いプラスアルファもあるんじゃないかと私は思っています。

 ちょっとパネルを持ってきましたので。このインド洋、もちろん、世界じゅうの海は物の移動のため重要なものです。そこで、このインド洋の海上阻止活動というのは麻薬との闘いであるということも我々は知らなければいけないと思います。

 アフガニスタンのケシからとれるアヘンの生産量というのは、世界の九〇%を超えているということです。そして、国連の報告では、タリバンがケシの栽培をさせて、そこから買い取ると報奨金みたいなものを出すんですね。それから、逆に収益も取っています。そして、二〇〇七年度でケシの取引だけでタリバンは実に百六億円もの収益を得ている。これに加えて、ヘロインの密輸だとか製造、これによってもさらに資金を得ているわけですね。

 それで、今回私たちが参加をしているOEF・MIOという海上阻止活動では、ことしの二月に再開させてもらって我々今やっているわけです、ことしの二月から七月までで実に三十トン、麻薬を押収しています。これは東京都の二〇〇七年度の押収量の二百倍ですよ。そういうような麻薬を押収しているんだ、こういうことなんですね。

 それからもう一つ、海上阻止活動のエリアというのはすごく広いんですね、ここのアフガンの前から中東のところまで。最近、海賊の問題というのが非常に大きくなっています。

 それで、インド洋を中心にして中東からマラッカ海峡までずっと通っていかなきゃいけないんですけれども、そういう中で、ここは我が国にとっての死活的重要な海上輸送路なんじゃないですか。私たちの輸入原油の九割は中東に依存しているというのは皆さんよく御存じだと思うんですが、これは結局、今どのぐらいの船が動いているかというと、中東から日本へタンカーが往復で九十隻、ずっと行き帰りでもって動いている、こういうイメージなんだということなんです。

 さらに、周囲を海に囲まれた私たちの国、海上交通の安全確保。海外貿易の割合は、金額で七割が海上輸送。それから、量でいうと九九・七%が海上輸送なんです。そして、今話題になっているソマリアという無政府状態になっちゃっているところに海賊がたくさん出てきている。これは今、アデン湾とソマリア沖というところが非常に海賊がふえているということなんです。それから、この真ん中の、パキスタンの前の海、ここのところも麻薬の密輸や武器のためにテロリストたちが出入りしている。ここのところを私たちは安全を確保しなかったら、日本の国の経済動線も断たれてしまう。それから、日本に物資がきちんと安定的に運ばれてき、また我々が出せるということが確保できなかったならば、それは日本の信用にもかかわってくる。これは非常に大きな問題だと思っています。

 そこで、まず民主党に聞きますが、民主党のテロ根絶法案の第二十八条においては、テロリストによる攻撃等から海上交通の安全確保を図るために、公海における自由の確保のための国際社会の取り組みに積極的かつ主導的に寄与すべきものとなっているということなんですが、民主党は、この海賊対策、この海域に対してどんなことをやろうと思っているんですか。

浅尾参議院議員 お答えいたします。

 海賊行為は、御案内のとおり、人類共通の敵というふうに認識しておりまして、海賊行為に対しては積極的に対応していくべきものだというふうに考えております。

 今提出をされております政府案のいわゆるテロ新法は、海賊行為そのものを対象にした法律ではないというふうに理解をいたしております。

 ちなみに、現状ある法律を見ていきますと、後ほど海上保安庁からも類似の答弁があるかもしれませんが、我が国船籍及び我が国の船員が乗っている船に対しては、公海上で警備活動としての活動ができるということになっております。ただ、その能力があるかどうかということは法律の整備とは別問題でありますが、いずれにしても、我が国の船籍あるいは我が国の船員が乗っている船以外のものについても対応していくということになるとすれば、それは新たな法律をつくって対応していくべきものだというのが本法の二十八条においての考え方であります。

新藤委員 では、ちょっと確認しますが、民主党はたしか、国連決議があれば海上阻止活動にも参加できるんだ、可能性があるんだ、こういうお話をされていますよね。

 そこで確認するけれども、このソマリア沖、アデン湾、このあたりはOEF・MIOの対象海域なわけですね。

 そこなんですが、これは興味深いものがあるんですが、国連安保理決議の一八一六です。これは、ソマリア沖の海賊・武装強盗行為対策に係る安保理決議が採択されています。これによって、国際社会は、海賊や武装強盗対策のために必要な措置をとろうということをみんなで決めました。これはOEF・MIOの海域の中です。この部分はできるんじゃないんですか。

浅尾参議院議員 繰り返しになりますが、まず、現在提出されております政府案の方からお話をさせていただきますと、政府案そのもので海賊に対して直接的な対策をするものではない。つまり、それはテロリストに対するものであるということでありますし、給油を支援するということでありまして、海賊対策をするものではないというふうに理解しております。

 加えまして、本法二十八条に書いておりますことにおいて言いますと、海賊活動というものは、これは海上警察の国際間の連携において対処すべきものだというふうに考えておりまして、先ほど申し上げましたように、公海上であれば現在の法律でもできるところもあるというところまで確認をいたしております。

 しかしながら、現在の法律でカバーできない部分、すなわち、他国船籍あるいは他国の船員が乗っているものについては新たな立法が必要であるというふうに解釈しておりまして、そういう観点から二十八条を制定したものであります。

新藤委員 私たちは、まず何をやるべきかを決めなきゃいけないんですね。その中で、それを法治国家としてどうやってやるか。そして、その法律がなければ、私たちはどうやってつくっていくか、直していくか、こういうことだと思うんです。

 だから、現状において、国連決議がすごく話題になっているけれども、少なくともMIOの海域の中でもう決議されているところがあって、それはもちろん直接のことではないです、でも、ここのテロとの闘いというのは関係しちゃってくるわけですよね。だから、そういうのをやはり我々は前向きにとらえていく必要があるんじゃないかな、こういうふうに思うんです。

 それで、先ほど特措法というのが出ましたから、これもちょっとだけ確認をしておきます。

 私たちは、日本じゅう、この特措法をどうするかということで、大変な論戦を国会でやっているわけなんですが、さっき言いましたように、ISAFにせよMIOにせよ、世界じゅうで四十七、八カ国出てきているわけですね。そういう中で、こういう国際社会がテロとの闘いを行うのに特措法をつくって活動している国というのは、主要な国で結構でございますが、私たちの国以外にどこがあるんでしょうか。外務大臣、お願いします。

中曽根国務大臣 現在、アフガニスタンに部隊を派遣している諸国、いわゆるISAF、OEFへの部隊派遣を公表している国が四十二カ国ございますけれども、これの対応につきまして可能な範囲で確認を行いました。それによりますと、アフガニスタンに部隊を派遣するに当たりまして、当該派遣を実現するために、今お話ありました個別の限時法、これを制定している例は確認されませんでした。

新藤委員 よその国がこうだから私たちもこうしようなんて全く思う必要はありませんが、ただ、世界じゅうで、一々特措法をつくって国会審議でいろいろな大激論をやって、行くか行かないか、まるでガラス細工のように、これはやっていい、これはだめだとか、そういうふうにやりながら国際貢献を、協力活動をやろうとしている国は少なくとも日本しかないということは我々は知らなければいけない、このように思うのでございます。

 それで、時間が大分なくなってきましたが、私は率直に言いますけれども、民主党はどうして賛成できないの。去年はさんざん議論をやったじゃないですか。二カ月も間を置いて、結局衆議院に戻ってくるようなところまでつくってしまった。なんだけれども、民主党だって、テロの根絶をしなきゃならない、それから海上阻止活動だって要件が整えばやるんだと言っているんだから、ならば、ここで今できるのは、今政府が出している案しかないじゃないですか。だからやろうとしているわけなので、もしかして反対のための反対をしているんだとすれば、それはやはり政権担当能力があるとはどうしても言えないんだ、こういうふうに私は思うんです。

 だから、今回は、衆議院は二日間の審議で終わらせてもらう。そうすると、今度は参議院に行きますが、皆さんはお二人とも参議院の方なんだから、参議院でも同じような審議をして、きちんと決められた審議で採決まで行く、そしてこの法案の審議に協力する。今回は衆議院と同じように参議院も行われるんだということを確認しておきたいんですけれども、どうですか。

犬塚参議院議員 どうして賛成できないのという御質問ですね。簡単なんですよ。

 我々は、給油を行うことによってアフガニスタンが平和になるとは思っていないんですよ。アフガニスタンに必要なのは油ではなくて水だというのが我々の立場なんですよ。ですから、では水をやるためにどういうふうにこれを法案として進めていこうかということで我々が一生懸命考えたのが、この法案なんですよ。

 例えば……(発言する者あり)もう少しだけ言わせてください。今、給油をやっているこの先の作戦はOEFなんです、御存じのとおり。OEFがやっているのは、タリバンとアルカイダの掃討作戦をやっているんです。

 九〇年代を通じてPKOが全部失敗してきたのは、紛争の当事者になったからなんですよ。紛争の当事者になって、せっかく平和目的で行ったこの武装集団が紛争の当事者になってしまうことが、今までの九〇年からのすべての間違いのもとだったんですよ。

 ですから、民主党が大事にしているのは、まずは抗争停止合意。こういう話をするとややこしいかもしれませんが、ISAFで今PRTがやっている活動のかなりの部分は抗争停止合意に基づいているんですよ。これはどういうことかというと、この地域で学校をつくるよ、かんがい施設をつくるよ、こういうものをつくるに当たっては平和維持をしなきゃいけないね、そういうことをやっているんですよ。今OEFがやっているのはそうではないんですよ。だれがタリバンかアルカイダかわからないが、これを掃討しようという作戦をやっているんです。我々は、この先には平和はない、こういうことを言っているわけです。

新藤委員 手段はいろいろあっていいと思います。油も必要だし、水も必要だし、人道復興支援もやっていかなきゃならない。何よりも、世界じゅうの国が平和で暮らせるようにしなきゃいけないんですよ。だから、それはみんなやらなきゃいけないんだけれども、今何ができるのかということをやはり民主党は考えるべきだと思う。

 最後に、私は総理の方へお尋ねします。

 私は、この国はもう今壊れかかっている、私たちの今までのやり方が通用しなくなっている。それは、役所の不祥事もたくさん出ちゃったし、それから私たち政治家も含めて反省しなきゃいけないところがたくさんあります。だけれども、壊れかかっているとともに、物すごいチャンスを迎えているんだと私は思っています。

 新しい国として、今のこの安全保障の確立、これも今までに比べれば随分と前進してきました。そして、私は思うんですが、日本は何といったって経済大国。だけれども、それは、資源のない国が外国から安全に物の輸送を受けて、そして加工してまたそれを輸送する。だから、私たちの経済の繁栄は、これは資源の確保とそれから国際的な安全保障環境を確立すること。結局、これができなければ、中小企業の皆さんも、それからお年寄りの皆さんや子供たちにもいろいろなことをやってあげたいと思うけれども、結局は、経済と安全保障が確立できなければ何もできないわけです。

 だから、麻生総理がおっしゃっていることは私はすごく共感をしていて、そのときに、私、幼稚園の園長もやっています、現職の幼稚園の園長なんです。子供たちにどう接するかというと、褒めるんです、大したものだ、すごいねと。そうすると、本当はできていないんですけれども、できないことも頑張るようになるんですよ。

 今壊れかかっている日本は何をすべきかというと、みんなで明るく強く元気にやるべきだと思うんですよ。その意味において、今回の私たちは、やるべきことはやる、民主党の皆さんともきちっと協議したらいいと思うんですよ。幾らねじれ国会だといったって、国の骨格をなすような、例えば海洋基本法だとか宇宙基本法だとか、私が提案させてもらいました地理空間情報の推進基本法だとか、こういう国の将来を開くようなものは皆、民主党の若い人たちと我々、公明党、自民党、公明党、民主党でお互いに中堅どころが政策を出し合って共同提案すると成立するんですね。

 ですから、私は、ぜひ麻生総理には、この日本を明るく強く元気にするんだ、その意気込みを、この特措法を絶対続けるんだよ、洋上補給活動を続けるんだ、そしてその中でもっと民主党とも話し合いをして、そして仕事を実行しようじゃないか、こういう決意を語っていただきたいなと思うのでございますが、国に対する思いを麻生総理からお願いしたいと思います。

麻生内閣総理大臣 今お話があったところですけれども、ねじれ国会の話を暗に言っておられるんだと思いますけれども、ねじれているというのは、これは、戦後六十何年の間、自由党が参議院で過半数を握っていたなんということは、昭和二十年代は一回もないと思うんですね、私の記憶では。自由党は参議院で過半数を持っていたことは多分一回も、私の記憶ではありません。私は、そういう時代を得ていたころの方がうまくいっていたような気も正直ないわけじゃないんですが、ちょっと大分前の記憶なので、正確な記憶が少しずれているかもしれません。

 ただ、今の状態でねじれているからだめなのではなくて、そういった状況の中にあって、ほかの先進国の中でも幾つもそういった例がないわけではありません。そこで皆経験を得ていろいろやってきておられるので、我々も一年も経過しておりますので、そういった経験を踏まえて、少なくとも前回は二カ月、今回はそういった時間がなく行きつつあるというのは、この一年の間の、少なからぬ我々なりに成熟してきたと評価されてよろしいのではないかと思わないわけではありません。これは率直なところです。

 ただ、今後とも、中長期的にこの日本という国が、悪いことが起きますと、やはり円が高くなるというのは輸入物価が安くなるということですから、石油も、百四十ドルに上がったと大騒ぎでしたけれども、今七十ドルということになったときはだれも言わないのは、これはどう考えても少し、何というか、悲観的に物を考えるのが趣味、趣味ということはないか、好きなんですかね。

 僕は、もう少しいい面というものも考えていかないと、国家の将来というのは、常に悲観的、悲観的に物を見るという面も必要ですが、いい面も両方見ないと、先ほど子供も育たないという話がありましたけれども、ぜひ、そういった意味でも、政治家を育てる意味でも両方を、褒めていただいたりきちんと批判していただいたり、バランスよくいっていただくと、政治家皆育つのではないか、そんな感じがいたします。

新藤委員 ありがとうございました。終わります。

深谷委員長 これにて小池君、中谷君、新藤君の質疑は終了いたしました。

 次に、田端正広君。

田端委員 公明党の田端正広でございます。よろしくお願いします。

 補給支援活動の問題に入る前に、少し経済問題で総理にお尋ねしたいと思います。

 アメリカ発そして世界同時株安という形で、きょうも八千何がしかのところで推移していると思いますけれども、大変な不況感のあるところに株安ということでまた追い打ちをかけて、そして経済問題というものが大変逼迫した状況になっています。

 昨日補正予算が成立いたしましたが、しかし、私は大阪ですが、大阪の皆さんとお話ししていますと、インド洋の国際貢献、それは必要だ、それはわかるけれども、国内貢献の方が先じゃないのか、景気対策あるいは生活防衛対策、そこのところをもう少してきぱきとやってくれというのが大阪の庶民の率直な声ですけれども、総理のまず御所見、今後の追加対策等についてお願いいたしたいと思います。

麻生内閣総理大臣 今回のこの金融危機というものに関しましては、御存じのように、これはアメリカ発、今からかれこれ九十年ぐらい前になります一九二九年、ウォールストリートの株の大暴落以来、まあ百年に一度とかいろいろな表現がありますが、こういう表現がなされるほど危機であると思っております。

 これがあのときはどういう影響を与えたかといえば、結果的には実物経済に後で猛烈な影響を受け、各国、保護貿易に走り、自国通貨の通貨価格を切り下げ、いろいろな形のものがあのとき起きたと、我々は学校で習ったわけです。

 今回も同様に、それよりさらに規模の大きいものが起きておりまして、我々としては、それに対応するためには、おまえのせいだとかあっちのせいだとか言っても始まりませんので、これだけ世界じゅうがいろいろ密接につながっておる状況では、一つのところで起きた大きな問題は他国にすぐ関連して起きてくるということだと思います。

 したがいまして、日本としても、そういった金融というシステムを維持するためには、我々、人の失敗をあげつらっても始まりませんので、まずはこのシステムを維持せにゃいかぬということで、今回いろいろな対策をさせていただいております。おとといはやたら上がって、きのうはやたら下がって、きょうは多分前場の終わりで百二、三十円上がったと思いますが、そういった状況で乱高下するというのは、我々生活側にとりましては結構問題です。

 なぜなら、これは一般企業は担保になっておりますから、また銀行としてもそれは動産としていわゆる担保になっておりますので、その価格が暴落するということは、いわゆる銀行にとりましては、資産、負債というなら負債超過になりかねぬ。そういう状況では、いわゆるBIS規定、自己資本比率規定なんかに全部影響しますので、銀行は結果として貸しはがしをせにゃいかぬ、渋りにならざるを得ないという状況になってくるなどなど、これは一般に与える影響は物すごく大きいので、そこらのところの対応を真剣に考えないと、結果として景気にすごく影響を与えるのだと思っております。

 ここらのところは、きのうの予算委員会、いろいろ御答弁があっておりましたけれども、日銀総裁、財務大臣、いろいろ御苦労いただいているところだと思いますが、これは各国もう必死にこれをやっておる最中であります。それが今我々がやっている対策ですけれども、それでも私は景気にはかなりな悪影響が出てくるということを覚悟しておかないといかぬと思って、予算はきのう上げていただきましたので、その後続いて景気対策というものをもう一回全然別に考えないといかぬと思っております。特に地域とか生活とかまた中小零細企業というものを主に重点的に考えて取り急ぎ対応すべきだと思って、きのう指示をさせていただいたところであります。

田端委員 国際協調ということが大変大事だと思いますし、また、即政策を打つという、これは今直ちに必要な状況だと思いますので、今おっしゃった中小企業対策、生活者、あるいは地域の問題等々、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 それでは本論に入りますが、正直言って、インド洋というのは、国民の皆様から見てどこにあるのかということが大変わかりづらいというか、遠い国であります。そういった意味で、このインド洋、そしてアフガニスタンというのは内陸部にある国でありますから、まず、ここで今日本が何をやっているかということの、地理的感覚といいますか、そういったことも一つはぜひしていく必要がある、こう思います。(パネルを示す)

 それから、今自衛隊がここで行っている活動というのは大変高度な技術を要するわけでありまして、海上自衛隊の補給艦と、そして、左側がそうでありますが、給油、水、油を補給する、並行して走りながら同じスピードで、同じ状況の中でやっていく、こういう大変大事な状況だと思います。今インド洋でこういうことが行われているんだというその前提が国民の皆様にどこまでわかっていただいているかということ、しっかりとアピールすることが大事ではないか、こう思います。

 そもそも、二〇〇一年の九月十一日の同時多発テロ、これはもう本当に、今思い出しても、もう七年になりますけれども、大変な、私たちもこれは映画であってほしいな、夢であってほしいなと思うような状況でございました。あのワールド・トレード・センタービルが壊れていくさまを見たときに本当にショックを受けたわけでありますけれども、だからこそ、今、国連で決議がなされ、そして、それに基づいて国際世論としてテロとの闘いに各国が一斉に立ち上がっているわけで、日本としてもそういう流れの中で今回の補給支援活動、こういうことになっています。

 それで、今現在各国の部隊が派遣されているのは、OEF、不朽の自由作戦で十一カ国がアメリカを中心に行われており、そして、インド洋の海上阻止活動、OEF・MIOはおおむね六カ国から八カ国ぐらいでございますが、この海上阻止活動に、今インド洋で日本の海上自衛隊が今言ったような給油活動をやっているわけであります。

 私は、アフガニスタンをテロの温床にしないという国際的世論の中で、日本がそれを受けてやっている、これがそういう意味では大変大事な大事な国際貢献に当たる、こう思っておりますが、非戦闘地域での海上自衛隊のこの行動、これこそカルザイ大統領あるいは潘基文国連事務総長等もぜひ継続してほしい、こういうこともあって今回こういう議論をしているわけでありますが、まず総理として、国際貢献としてこの活動がいかに大事かということの趣旨を国民にわかりやすくぜひおっしゃっていただきたい、こう思います。

麻生内閣総理大臣 御記憶のように、これは二〇〇一年になりますが、九月の十一日に、いわゆるニューヨークにおきますビルに突っ込んできた話と、もう一点は、アメリカの国防総省に一機というのと、この件は二つ。国防総省のは忘れられておりますけれども、国防総省、あの飛行機の中にも日本人が乗っておった、たしか一人乗っておったと記憶します。

 そういった意味で、合計二十四名の犠牲者がテロということによって行われたということでありまして、このテロというのは、戦争と違って、いつどこでだれがどのような手段を使って攻めてくるか、打ってくるか全く特定できない。しかも、その中には多くの無関係な人が含まれているということに関しましては、甚だ卑劣な手段だ、私自身はそう思っております。

 したがいまして、これは、多くの国々がそれぞれの犠牲者を出しながらも、カナダもたしか二千五百人ここに送っておりますが、もう既に八十名を超す犠牲者が多分ここも出ていると記憶をします。

 そうした中で、日本も、国際社会の中の、国連加盟国百九十二カ国の一員としてこの中におるわけですけれども、我々としては、国際社会の一員としての日本という国が何ができるかというときに、アフガニスタンというのは、御存じのように、その地図にもありますように、イランとアフガニスタンとパキスタンというのは国境を接しております。その三カ国は接しておりますが、二カ国は海にも接しておるんですが、アフガニスタンの東側とパキスタンの西側、それは、パシュトゥン族という部族ももともと同じ部族であります、そういう意味では、どこが国境かようわからぬみたいなぐらいに、もともと同じ人がそこにいたわけですから、行き来が実に簡単にできる。そういった人たちが、先ほど麻薬の話も出ましたけれども、いろいろな形でそれを資金源にするというのをとめる、そこの意味では海上警備行動というのがなされているんですが、その人たちの往復にかかります時間などなど考えて、この補給活動という日本ができます技術、そういったものでここに貢献をしているということなのであります。

 何となく内陸国だからとか、いろいろな御意見がありますが、今、アフガニスタンにおきます補給活動にかかっております油代は、たしか二十億円前後だと記憶します。そういうようなものを使ってこういった支援をしていくというのは、ここを通って日本に入ってまいります油は、たしか、中近東からはここを通りますので、油の供給の約九割ぐらいはこのインド洋通過で入ってきているはずです。したがって、その地域の安全というのは、ひいては日本の安全にもつながっている、もちろん世界の安全にもつながっているんだと思います。その意味では、安定的な石油供給というものは、これは日本の国民の生活に直結している部分でもありますので、そういった意味では、我々としてはこれを断固やらねばならぬと思っておるところであります。

 先ほどのは、国防総省ではなくて、あれはペンシルバニアに落っこちた方の飛行機、あちらの方にたしか一人乗っておられたんだと、ちょっと今記憶が、ペンタゴンに入った方ではなくて、ペンシルバニアに落とされた飛行機、あちらに日本人がもう一人乗っておったということだと記憶します。

田端委員 今総理からお話ございました、船舶検査を通じてテロ活動、テロ行為を抑止する、あるいは武器とか麻薬を押収する、あるいは海賊行為等に対して大きな抑止力が働く等々、インド洋における日本の海上自衛隊が補給をしたことによって、OEF・MIOの行動がそういった意味では大変国際社会に大きく貢献している、そういう意味では、日本が行っていることは武力行使にも当たらない、憲法に許される範囲の中でやっているんだ、こういう御説明であったかと思います。

 しかし、民主党の代表の方が昨年来、これは憲法に違反するようなごとき論文等も発表されたりしておりますけれども、官房長官、そういった意味では、これは憲法の範囲の中で許されている日本の国際貢献であるということが国民の皆さんにはっきりわかるように御説明いただければ、こう思います。

河村国務大臣 この補給支援特措法に基づく海上自衛隊による補給支援活動というもの、これがいわゆる武力行使を含む国家の実力の行使に当たるかどうか、そして、その概念でありますいわゆる集団自衛権に該当するのではないかという指摘が憲法違反論議を呼んでおるというふうに思っておるわけでありますが、明らかに、この補給支援活動というものは、それ自体は武力の行使に当たらないわけでありまして、特にまた、その活動の地域が、現に戦闘が行われていない、またかつ、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われていないと認められる地域、いわゆる非戦闘地域に限って実施するというのがこの法律上の枠組みになっておるわけでありますから、そういう観点から、補給支援活動が他国の武力の行使と一体化するという問題も生じないわけであります。

 そういう観点から、明らかに憲法第九条に違反するものではない、このように考えておるわけであります。

田端委員 こういう自衛隊による国際貢献ということも一つの大きな役割でありますが、私は、文民支援といいますか民生支援といいますか、これをもう少し日本としては重視したらどうか、こう考えます。

 既に補給支援活動以外の復興支援についてはいろいろな形で成果を上げていますが、例えば医療で、子供のはしか予防接種、三五%だったのが六八%、倍増するような実績も残していますし、六百万人以上の児童がポリオワクチンを接種したということで、これは国連の機関を通してやったことだと思いますけれども、日本の生み出しているそういう大きな実績もあるわけです。

 トータルでいきますとアフガニスタン支援として総額十四億五千万ドルということで、大変大きな支援を日本はしているわけでありますが、私は、この中で今後教育に少し力を入れていただいたらどうだろうか、これはぜひ総理にお考えいただきたいと思います。

 実は、イラク問題のときに、私はメソポタミア湿原の再生事業を主張した一人であります。それが、イラン側の協力もあって、国連の協力によって、今、メソポタミア湿原が見事に再生、回復しまして、これは農業の活性化にもつながるし、また、雇用対策でも大変大きな実績を残したわけでありますが、これで二〇〇七年度の国連21賞がつい七月に授与されたということでありまして、大変喜ばしい朗報だと思っております。

 同じように、直接できなくとも、いろいろな形で教育支援をアフガニスタンに今後すべきではないか。

 その一つの事例ですけれども、実は、女優の藤原紀香さんが二〇〇二年の七月にアフガニスタンに行かれて、バーミヤンのところまで取材に行っておりますが、「アフガンの子どもたちの未来のために」という、みずから子供たちと接した写真を撮って、帰ってきてから東京国際フォーラムで写真展、個展を開きました。

 私の知り合いのカメラマンから、これはすばらしい個展だからぜひ見てくれという要請があって、私も拝見しましたが、本当にこの子供の表情、そしてよく彼女があそこまで行って取材したなと思うような、そういうことをこの個展の中で見事に表現されていました。この収益あるいは寄附金等すべてをNGO、セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンを通してアフガンの教育支援事業に彼女は寄附をされたわけでありまして、そういう意味では、一個人でもそういう形でやっていられるんだということを、政府としてもぜひそのことをお考えいただいて、教育分野に力を入れていくことが大事ではないかと。

 ここにありますように、教育分野に四千八百万ドルということで、既にこれはもう大方使われたんだと思いますが、さらにこれを追加されるということでありますけれども、ぜひ教育ということに力を入れて、そして二十年、三十年、その子供たちが将来アフガンの指導者になり、アフガンが平和になったときに日本とアフガンの大きな橋渡し役になってくれる、こう思われます。

 そういう意味でも、日本とアフガンがより友好的なことをつなげていくために、ここは思い切った教育支援をしてはどうかということを提案したいと思いますけれども、総理の御感想をお願いしたいと思います。

麻生内閣総理大臣 今御指摘のありましたように、四千八百万ドルという数字が挙がっておりましたけれども、私どものあれとして、そこに、この前使ってあれしましたけれども、これはたしか女性の就学率がゼロ%から三割ぐらいになっていますね。そこのところは大きく変わったと思いますし、男女問わず子供の就学率が、たしか五倍だか六倍、百万人が五百何十万人になったと記憶をしますので、そういった意味では、これはいろいろな意味で成果はそれなりに出てきているんだと思っております。

 ただ、これも治安がよくないとなかなかうまくいきませんし、子供は労働のための対価であってというような感じで、子供を就学させるというのは親の理解がないとなかなかできない。識字率を上げるとか義務教育にするというときに、どこでやりましても同じような問題を抱えるんですけれども、その意味では、子供を学校に行かせるという周りの雰囲気、親の雰囲気、理解等々が重ならないとなかなかうまくいかぬのは、もうどこでやっても同じことであります。

 したがいまして、今後とも、これは金を入れればいいという種類の話ではないのははっきりしていまして、いろいろな意味でこれは地道な努力を積み重ねないと成果は上がらない、私どもはそれが経験則としてわかっているつもりでもありますので、ぜひ、このアフガニスタン、長期的、中期的には最も大事なのはこの教育ということになろうと思いますので、この問題に関しましては積極的にやっていかねばならぬ分野だと思っております。

田端委員 今、民生支援といいますか文民支援といいますか、そちらの面の大切さを申し上げさせていただきましたが、もう一つ、私はやはり外交努力だと思います。それで、一番問題なのは、アフガニスタンとパキスタンの関係が今大変複雑な状況になっているということで、我々から見ても非常に心配な要素であります。

 それで、外務大臣にお尋ねしますが、パキスタンの西部の国境地域のところ、ここのところが、FATA地域と言われておりますけれども、七つの管区と、小さい丸印をつけておりますけれども、六つの部族、これはパシュトゥン人の居住地でございますけれども、ここのところがタリバンあるいはアルカイダ等の大きな拠点という存在になっているわけであります。そういった意味で、国境よりパキスタン側のここの地域、FATA地域、ここのところがもう本当に一番の、今回の問題の大きな根っこになっているんだ、私はこう思います。

 しかし、パキスタンとアフガニスタンが今そういう意味で、お互いにしかけたとかしかけられたとか、こういうことになっているんだと思いますが、つまり、そこはアメリカが入っているわけでありまして、アメリカ政府とパキスタン側とが非常に今うまくいっていない。幸い、先般、国連総会のときに両大統領がお会いになって会話の第一歩が始まったということであります。

 そういう意味では、パキスタンとアメリカとの橋渡しでもう少し日本も汗をかくことも大事ではないか、そして、特にパキスタンに対する民生支援をしっかりやって、パキスタン側の治安対策、パキスタン側の国民生活が安定することによって、それが大きくアフガンにも影響するのではないか、こういうことを感じるわけでありますが、パキスタンに対する日本のこれからの外交努力のあり方ということについて、ぜひ外務大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

中曽根国務大臣 委員が御指摘のように、パキスタンの安定というのは何よりも国際社会全体にとって大切なことでございます。

 我が国は、パキスタン政府がテロ対策にしっかり取り組むように累次働きかけをしてきているわけでありますが、先般の国連総会の際にも、私自身がパキスタンのクレシ外相に対してそのような働きかけをまず行いました。同時に、我が国は、パキスタンの安定的発展に向けて支援をしてきておりますけれども、特に、今お話ありましたような、アフガニスタンとの国境の地域におきまして、テロの温床となる特に貧困、これを削減すべく、教育とか医療とか、あるいは避難民対策の支援を実施してまいりました。

 お話ありましたけれども、米国とパキスタン、これは国際的なテロとの闘いにおきましては同盟関係にあるわけでありまして、緊密に協力していると理解をしております。さきの国連総会の機会に実施されました首脳会談におきましても、パキスタンのザルダリ大統領は、アメリカのブッシュ大統領の継続的なパキスタン支持に謝意を表しまして、両国が協力する旨を述べたと承知しております。

 そういう意味で、今後も米国、パキスタンが協力関係を築きながらこの地域の安定のために努力していただくことを我々も願っておるところでございます。

田端委員 六月でしたか七月でしたか、パリでアフガニスタン復興支援国際会議が開かれて、そして、アフガンの五カ年計画、国家開発戦略に新たに総額二百億ドル、各国支援金を出す、こういうことを決定されて、日本も五億五千万ドル新たに追加する、こういうお話もございます。

 これは大変大事なことだと思いますが、先ほど私申し上げたように、例えば医療に対して手厚くやっていただくこと、そしてまた教育問題に対して、日本がアフガンに対してぜひそういった意味の民生支援を強化して、つまり、直接はできなくても国連の機関を通して、メソポタミア湿原を回復させたように、迂回路線をとってでもそういうことをすべきではないか、こう感じておりますが、外務大臣の御決意をお願いしたいと思います。

中曽根国務大臣 まず、委員がお話しになりましたメソポタミア湿原の回復については、委員初め公明党の皆さん大変御努力されて、大変いい結果が出ていることに本当に敬意を表します。

 今お話がありました五・五億ドルのODAのことでありますけれども、アフガニスタンの復興は、進展はありますけれども、まだ多くの課題が山積しておりまして、我が国といたしましては、御指摘の五・五億ドルのプレッジを六月に行ったところでございます。

 アフガニスタンの本格的な復興を実現するためには、DIAG、これは非合法武装集団の解体でございますが、これを初めといたします治安の改善、それから道路などのインフラ整備、そして、委員から先ほども御指摘ありました教育あるいは保健、医療、こういうものの基礎生活分野、さらに、農業とか農村の開発を中心とする地方の総合開発等におきまして、引き続き我が国としては支援をしていくつもりでございます。

田端委員 いろいろ問題がたくさんあるかと思いますが、ぜひ、民生支援も力を入れていただいて、今後の対策をより強化していただきたい、こう思います。

 ありがとうございました。

深谷委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時六分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

深谷委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。

 この際、佐藤茂樹君から関連質疑の申し出があります。田端君の持ち時間の範囲内でこれを許します。佐藤茂樹君。

佐藤(茂)委員 公明党の佐藤茂樹でございます。

 きょうは、このような質問の時間をいただきまして、感謝を申し上げます。

 昨年の臨時国会で、この補給支援特措法の問題につきましては、衆議院で四十時間以上、また参議院で五十時間をかけて議論いたしまして、相当論点は整理をされてきていると思うわけでございますが、きょうは、まず最初に、その中でも特に大きな論点につきまして政府にお伺いをし、そして、ようやく臨時国会終盤で、民主党の皆さんも御苦労いただいて対案を出していただきましたので、時間の許す限り民主党の皆様にも御質問させていただきたいと思うわけでございます。

 まず一つの大きな論点は、七年間、海上自衛隊がやってまいりましたこの補給支援活動、これが憲法違反か否かということが一つの大きな論点としてあるわけでございます。

 午前中にもございましたけれども、昨年、民主党の小沢代表は、インド洋での海上自衛隊の補給支援活動は、米軍の自衛権行使に伴う日本の集団的自衛権の行使に当たるものであり、憲法に違反するとの見解を示されました。そして、結果として、残念ながら、民主党は補給支援活動特措法の継続には反対をされたわけでございます。

 今まで、憲法違反ということについては、共産党さんや社民党さんは言われてきたと私は認識しているんですけれども、ところが、参議院で第一党になられて、次はもう政権を担おうか、そういう政党の党首の方がこのようなことを論文に載せられたものですから、非常に影響があったと私は思っているわけでございます。

 ことしの一月の二十四日に、インド洋での補給支援活動が再開することになりまして、「むらさめ」という護衛艦が横須賀基地から出港することになりました。その出港行事に当委員会の深谷委員長も参加されましたけれども、また午前中質問に立たれた小池元防衛大臣も参加されましたが、私も参加をさせていただきました。

 そのときに、出港される護衛艦隊の司令が次のように言われました。憲法違反と言われた我々にも意地と誇りがあります、頑張ってまいります、こういう短い一言でございます。これは言ったことがいいかどうかは別として、私が思いますのは、国会の論議というのがそういう具体的に任務につく自衛隊員一人一人にまでやはり微妙にいろいろな影響を与えているわけでございます。

 それで、私はぜひ確認をさせていただきたいのは、麻生総理は自衛隊の最高指揮者でもございます。ですから、国民の皆様と、また灼熱の本当に過酷な環境の中で任務につかれる自衛隊員の皆様にも、この補給支援活動というのが果たして憲法違反なのかどうなのか、その理由もあわせまして明確な答弁をいただきたいと思います。

麻生内閣総理大臣 補給支援活動というものは、明らかに実力の行使には当たっておりません。国家による実力の行使というものについての概念であります集団自衛権の行使という問題はまず生じていない。まず第一点です。

 また、この補給支援活動は、それ自体が武力の行使には当たりません。また、我が国の活動の地域は非戦闘地域である、地図で見られたとおりです。であることなどの法律上の枠組みというものも考えてみましても、憲法九条違反に当たることはないということであります。

佐藤(茂)委員 それで、このことにつきましては民主党の提出者にもお伺いをさせていただきたいと思うわけであります。

 私の認識では、鳩山代表時代の民主党さんは、旧テロ特措法の法律案の中に国会の事前承認がないからだめだ、そういうことで反対されたと私は認識しております。憲法違反だとはそのときも言っておられなかった、そのように承知をしているわけであります。その証拠に、民主党さんは、平成十三年には、補給活動の必要性を認めて、法律案には反対したけれども、自衛隊派遣の国会承認には賛成をされているわけです。ですから、そのころは憲法違反だという認識は持っておられなかったのではないかと私は推察をするわけでございます。

 いつこの見解を変えられたのか。私は、民主党内の政策論議というのはよくわからないものですから、ぜひお答えをいただきたいわけでございますけれども、提出者として、党首の言われるように、この補給支援活動というのは憲法違反だと考えておられるのかどうか、明快な答弁をいただきたいと思います。

浅尾参議院議員 午前中も中谷委員から同じような質問をいただきまして、御答弁をさせていただいたところでありますけれども、旧法で定めた法律の枠組みそのものをもってして、民主党として、党として憲法違反ということを結論づけたわけではございません。したがいまして、派遣の承認に賛成をしたということであります。

 しかし、その後、二〇〇三年より指摘されておりますことでありますけれども、イラク作戦への燃料の転用、間接給油疑惑。これは、当時の福田官房長官や石破防衛庁長官は、キティーホークへ二十万ガロンの間接給油を認めた上で、キティーホーク一日分の消費量に当たるのでイラク関係に使われることはあり得ないと答弁されておりましたけれども、その後の審議によって、実は八十万ガロンであったということで、そうだとすると、イラク作戦への転用という、法が定めている目的外の使用の疑いが払拭されない、イラク作戦に転用されるということになれば、これは武力の行使と一体化ということで、憲法上の疑義があるということを申し上げているところであります。

佐藤(茂)委員 それでは、今、浅尾提出者の御答弁では、要するに、小沢代表の言われていることと今の現段階の民主党の考えていることとは違うということですか。簡潔にちょっと答弁をいただきたいと思います。

浅尾参議院議員 今申し上げたことと重なるわけでありますけれども、イラク作戦へ転用される、それが武力の行使と一体化されるということであれば、それは憲法上の疑義があるということでありまして、特段違うことを申し上げているわけではないと思います。

佐藤(茂)委員 だから、言っているのは違うんですよ。私は、実態が疑義があるとかそういうところじゃなくて、法の枠組み自体が、小沢代表の論文を提出者も読まれていると思います、小沢代表は法の枠組み自体が憲法違反だ、そういうことを言われているわけです。そのことについては提出者はどう考えておられるんですか。

浅尾参議院議員 法の枠組み自体がということ、論文ということでありますけれども、今申し上げましたとおり、イラク作戦へ転用されている、これは二十万ガロンだった部分が八十万ガロンであるということはもう御案内のとおりでありますので、そうだとすれば、武力行使と一体化されるということでありますので、憲法上の疑義があるということであります。

佐藤(茂)委員 後段の部分は私は何も今さら聞こうとは思っていないんです。聞いていることに答えていただきたいわけですよ。

 小沢代表は、インド洋での補給支援活動はという、そういう主語になっているわけですね、我が国憲法に違反するものとの見解を示しておられるわけですよ。ですから、具体的に、この法の枠組み、補給支援活動もそうですし、テロ特措法の法の枠組み自体を憲法違反だと考えられるのかどうか、端的にお答えいただきたいと思います。

浅尾参議院議員 冒頭お答えしましたとおり、旧法の枠組みについて民主党が派遣の承認に賛成したということは御指摘のとおりでありますので、したがって、旧法の法律の枠組みということについて憲法違反かどうかということであれば、そうではないという判断のもとで派遣の承認をした。しかしながら、今、再三申し上げておりますように、イラク作戦に転用されているということであれば、憲法上の疑義があるということであります。

佐藤(茂)委員 ですから、まず整理させてもらうと、旧法の枠組み自体は憲法違反でないという判断だったということですね。ここ自体、まず私は、今の民主党代表の小沢代表と全然考え方が違う。だから、そこをはっきり言うと、安全保障の基本にかかわる部分が全くばらばらの上で今回も法を提案されているとしか言いようがないわけであります。

 その上で、ぜひ聞かせていただきたい。旧法ではなくて、今の現行法、補給支援特措法については憲法違反だと考えられますか、どうですか。

浅尾参議院議員 旧法と同様の趣旨の法律の枠組みということであれば、旧法以降と変わりがないということだというふうに認識をいたしております。しかしながら、繰り返しになりますが、仮に転用があれば、それは憲法上の疑義があるところです。

佐藤(茂)委員 ですから、憲法違反にはならない、そういう御判断ですね。

 そうすると、これはあらかじめ言っていませんが、小沢代表の昨年十一月に載せられた「世界」の論文というのは、民主党の中ではどういうものだというふうに扱っておられるんですか。民主党代表小沢一郎であの論文は掲載されているんです。彼が勝手に書いたものなんですか、どうなんですか。党としてきちっと議論した上でこれを載せているんだという内容をあの論文の中に載せられております。浅尾提出者はネクストキャビネットの大臣ですか、ぜひちょっと明確に答弁をいただきたいと思います。

浅尾参議院議員 小沢代表の論文をこの場で議論するという、小沢代表が代表として書かれたものでありますが、党として出したものではないということを申し上げておきます。(発言する者あり)

佐藤(茂)委員 ということは、小沢代表が……(発言する者あり)

深谷委員長 お静かに願います。

佐藤(茂)委員 今のは非常に大きな御答弁でございまして、民主党代表小沢一郎という名前で載せられたこの「世界」の十一月号の論文が党の考え方とは違うんだ、そういう防衛政策の責任者の発言である、そのように受けとめました。ですから、これは大変な問題である、そのように考えております。

 論点の二点目として、政府に確認をさせていただきたいのは、もう一つは、今回のこの補給支援活動は国連あるいは国連決議との関係はどうなっているんだ、このことが大きな論点でございまして、最終的に私が聞かせていただきたいのは、補給支援活動が国連決議の枠内の活動なのか枠外の活動なのか、その国連、国連決議との関係をどのように考えておられるのかということをはっきりさせたいわけです。

 これについても、先ほど民主党の考えとは違うんだと言われましたけれども、しかし、問題提起として言わせていただきますと、民主党の小沢代表は雑誌「世界」の昨年十一月号で、「今こそ国際安全保障の原則確立を」、そういう表題でございましたが、次のように明確に言われています。「海上自衛隊の活動はあくまでも、米国の自衛権発動を支援するものであり、国連の枠組みでの行動ではありません。」という一方的見解を述べられております。

 私どもは、補給支援活動は国連決議の求めに応じた活動である、そのように確信しておりますけれども、政府として、この補給支援活動、国連決議の枠内の活動なのか枠外の活動なのか、あるいは、国連あるいは国連決議との関係をどのように整理されているか、外務大臣に御答弁をいただきたいと思います。

中曽根国務大臣 海上自衛隊が補給支援活動を実施するために、国際法とか憲法の関係におきまして安保理決議が必要とされるわけではございません。

 その上で申し上げれば、すべての国連加盟国は、安保理決議第一三六八号を踏まえまして、国際的なテロリズムを防止するために適切と認める措置を積極的にとるべき立場にございます。それから、安保理決議第一七七六号及び第一八三三号は、海上阻止活動等に対する各国の貢献を評価いたしておりまして、これを含む努力の継続の必要性を強調しているところでございます。

 海上阻止活動や我が国による補給活動は、委員もおっしゃいましたが、まさにこれらの安保理決議に示されている国際社会の意思を反映して行う活動でございます。

佐藤(茂)委員 その上で、時間が大分たってまいりましたので論点の三を言わせていただきたいんですけれども、それは防衛大臣にお伺いしたいんです。

 先ほどから提出者の浅尾委員の方から御指摘のございました、昨年の議論では、野党の皆さんも最も時間をかけて質問をされていたのが、燃料の転用疑惑という問題でございました。ですから、給油した燃料の転用防止策についてどうなっているのかということがひとつはっきりさせておかなければいけないことだろうというのが論点の三番目としてあります。

 この法律自体は、そういった疑義を招かないような立法上の配慮というものがなされていると私どもは考えております。具体的には、自衛隊が実施する活動を、テロ対策海上阻止活動に係る任務に従事する諸外国の艦船に対する補給支援活動に限定されているということが挙げられようかと思います。旧テロ特措法ではそこが非常にあいまいになっておりまして、協力支援活動という大きな枠組みがありまして、その中で自衛隊は物品や役務の提供をできる、補給もその一つであるという抽象的な規定しかありませんでした。しかし、今申し上げましたように、現行法ではより明確に、提供する対象等を規定する、そういう内容となっているわけでございます。

 ですから、この法の趣旨、目的が旧テロ特措法に比べてより明確にはなっているんですけれども、その上で大切なことは、このような立法上の配慮、規定ぶりに加えて、それを実効あらしめるような転用防止策というのが本当にきちっととられているのかどうかということがはっきりしなければいけないと思うわけでございます。いささかもそういう去年の議論のような疑問が生じないように、そういう疑念を招かれることがないような運用上の転用防止策をこの二月からの再開の上でどのように図ってこられたのか、運用上の対策、また措置につきまして防衛大臣にお伺いしたいと思います。

浜田国務大臣 委員御指摘のように、我々とすれば、この運用上のことに関しましてはしっかりとやらなければいけないということは、これはもう当然のことでございます。

 昨年、先生方が大変大きな議論をしていただきましたので、そういう意味ではしっかりとやらなきゃいかぬということで、まず第一点として、我が国と補給支援の対象国との間の交換公文では、補給支援特措法の目的が明記されておりますし、また、新たに協議条項を設け、我が国が補給した燃料等の適正な使用についても必要に応じて協議することとしております。

 そして二番目として、さらに、バーレーンに所在する司令部において、海上自衛隊の連絡官が、補給の都度行う確認作業において、補給日時、補給対象艦船の名称、配属部隊、そしてまた補給量や今後の活動予定について定型化されたフォーマットに記入、記録を行うことにより、テロ対策海上阻止活動に係る任務に従事する艦船であるか否か等について確認をしております。また、補給艦に補給する場合には、以上の内容に関し、補給艦自身及びこの補給艦の再補給先の艦船の活動についても確認を行っております。我が国が補給した燃料の適正な使用について改めて確認をしているところであります。

 したがって、補給支援特措法に従って諸外国に補給される艦船用燃料等は、同法の趣旨に沿って適切に使用されていると認識をしております。

佐藤(茂)委員 それで、四つ目の論点でございますけれども、補給支援特措法はきちっとした文民統制ができているのかどうかということが一つの大きな論点としてございます。要は、国会のコントロールのあり方が焦点になったわけでございますが、それが果たして法の枠組みの中できちっと担保されているのかどうか、そういうことでございます。

 私どもも、自衛隊を海外に派遣するに当たっては国会のコントロールが及ばなければならない、そのように考えているわけでございますが、補給支援特措法では、旧テロ特措法で国会承認となっていた基本計画に書かれていた内容そのものがまず具体的に法律に直接書き込まれております。

 具体的に申し上げますと、派遣する自衛隊の具体的な活動を外国艦船への給油、給水に限定しております。二つ目に、実施区域をインド洋及びその上空、インド洋沿岸領域等と明示しております。

 これらの内容というのは、旧テロ対策特措法では、政府が作成する基本計画で定められ、国会での事後承認事項とされておりましたけれども、補給支援特措法では、これらの事項は、今申し上げましたように、あらかじめ法律に書き込まれております。ですから、法案審議の対象と国会の事後承認の対象とが同じものとなっておりますので、法案の国会審議そのものが旧テロ特措法に基づく国会承認と同等と見ることができます。

 その上で、法律の有効期限について、旧テロ特措法では二年とされておりました。それを、私ども与党の協議の中で、私ども公明党の主張によりまして、適切な期間で国会がチェックできるような制度上の保障が重要と考えまして、法案の期限を一年とさせていただきました。ですから、延長する場合にも、一年ごとに必ず国会でチェックできるようになっているわけでございます。

 ですから、この臨時国会のように、まさに一年ごとに国会審議を行うことは、実質的にその後の一年間の活動の事前承認を審議するのと同じことになるわけでございますから、国会承認がなくなったといっても、文民統制、シビリアンコントロールが弱まったわけではなくて、文民統制は確保することができている、そのように私どもは考えるわけでございますが、責任者として総理の御見解を伺いたいと思います。

麻生内閣総理大臣 今のシビリアンコントロールのお話でしたけれども、これはもう、いわゆる補給支援特措法では、法律で活動を限定して、活動する外国の範囲というものを明示してあります。したがって、国会審議そのものを通じて国会による文民統制は的確に担保されている、基本的にそう思っております。

佐藤(茂)委員 そこの部分については、質問の中で述べましたけれども、私も総理のお考えと全く一致しているわけでございます。

 以上四点、昨年の臨時国会で大きく議論になりました。ほかにもいろいろな論点があるかと思いますけれども、それは他の質問者に譲るといたしまして、あと残りの時間で、民主党の提出者の皆さんに少々お聞きをさせていただきたいわけでございます。

 午前中にもございました。端的にもう一度、確認の意味でお聞かせをいただきたいと思うわけでございますが、私ども、民主党の提出者の御苦労は非常に評価をいたします。私どもも、やはり陸上においても何らかの民生支援というのはこれからやっていかなければいけないという考えでは一致していると思うんですけれども、ただ、今回の対案が現実に本当に合うのかどうかというところがやはり問われているんだというように私は考えているわけであります。

 一つは、午前中もございましたけれども、抗争停止合意、そういう考え方を導入されて、その成立の地域、これが一つです。またもう一つは、人道復興支援活動に対する妨害その他の行為により住民の生命もしくは身体に被害が生じることがないと認められる地域において人道復興支援活動は実施するんだ、こういう法的な枠組みになっているわけですね。

 抗争停止合意という考え方自体、現行法の非戦闘地域に比べますと、極めて、さらに安全性を確保しよう、そういう考え方だと思うんですけれども、簡潔にもう一度確認させていただきます。この八月にも、伊藤和也さんの残念な、不幸な事件がアフガニスタンで起こりました。今のアフガニスタンの現状において、民主党さんの言われるこの人道復興支援活動ができる二つの条件の地域というのはあるかないか、簡潔にお答えいただきたいと思うのです。

犬塚参議院議員 そのような明らかな安全な地域というものがない。この時期にもない。将来にわたってはどうかと言われれば、それはいろいろな状況によって非常に変化をしていく。そういう非常に難しい状況であるからこそ、今月に入ってもいろいろな報道もなされていますが、ミリタリーソリューションはない、軍事のみでの解決というのはない。

 だから、停戦合意というものを、まさにアフガニスタンのカルザイ大統領が、九月の末、サウジアラビアのアブドラ国王に交渉の仲介を要請しているんです。しかも、これに対して、イギリスのカールトンスミス准将、こちらも、軍事作戦だけではこの戦争に勝てないと、今月に入って言明しているわけですね。アメリカもこれに対しては、ペトレイアス米中央軍次期司令官が、武装勢力との交渉を通じて強硬派を孤立化させれば武力衝突は減少すると。つまり、民主党の言っている抗争停止合意ということに向けて今まさに動き出しているというところでございます。

佐藤(茂)委員 後段の答弁は、現状、その努力方向というのは私どもも否定するわけじゃないんですけれども、冒頭申し上げられましたように、今のアフガニスタンにおいては、民主党さんが課されている二つの条件に合うような人道復興支援活動ができるという地域はない、そういうことでございます。

 そうすると、結局、アフガニスタン復興支援のための人道復興支援活動が今の現状では民主党法案によってはできないということを言われているんだと思いますが、そういう認識でよろしいでしょうか。再度答弁を願います。

犬塚参議院議員 こういう難しい、治安維持に係る状況が月の満ち欠けのように常に変わっていくような状況下で、民軍の連携した活動を今各国、一生懸命やっているところです。我が国がこういう地域に対して一体どのような貢献ができるのかということを今真剣に考えた結果がこの法案なんです。その結果として申し上げているのが、今アフガニスタンに必要なのは油ではなくて水だと言っているんです。

 今、水と言ったけれども、物理的な水もあります。しかし、火消しの水というのも大事なんです。今、ドンパチやっている、だれが敵かもわからないというような状態の中にあって、この火消しの水をかぶせるためには、やはり抗争停止合意というものを、日本のいいイメージを使ってしっかりとこれは促進していかなければいけない。

 日本というのは、キリスト教国でもない、そしてこの地域に武力行使をして政治的意思を強引に通したこともない。日本がそういったイメージに基づいて、今、DDR等成功したわけですから、やはり、アメリカが言うから何とかしておつき合いしなきゃいけないという気持ちもわかりますが、そうではない。本気で日本がこの地域の繁栄と安定を考えるとしたら、日本がなすべき貢献というのは当然あるべきだと思います。

佐藤(茂)委員 ですから、長々と答弁されましたけれども、これからアフガニスタンの状況がどう変わるかというところを期待しての民主党案であると。現状に対しては、対案ということを言われましたけれども、給油支援をわざわざ遮ってまで、対案となるような法案ではないのではないか、そんなように私どもはお受けとめをいたしました。

 総理、若干のお時間で申しわけなかったんですが、午前中の民主党案に対する質疑も含めて、総理は民主党案に対してどのような感想をお持ちか、ぜひ御答弁をいただきたいと思います。

麻生内閣総理大臣 海上自衛隊によるいわゆる補給支援活動というものは、これまでの実績を見ましても、我々の持っております高い技術というものを用いて、おかげさまで着実に実績を積んできていると理解をしております。また、諸外国から見ましても、海上阻止活動の重要な基軸として既に定着をしておって、評価も極めて高い、私自身はそう理解をいたしております。

 したがって、日本としては、今後とも引き続き、補給支援活動の実施によって、テロとの闘いというものに関しましては、世界と一緒になってその一翼を担い、そして国際社会においてその責任を果たしていく、それが日本の責務であって、ここから日本だけが撤収するというのは、私どもとしては極めて現実的ではない、そう思っております。

佐藤(茂)委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

深谷委員長 これにて田端君、佐藤君の質疑は終了いたしました。

 次に、渡辺周君。

渡辺(周)委員 民主党の渡辺周でございます。

 今から私を含めて四名の民主党の委員が、二時間二十分にわたりまして、与えられた時間の中でさまざまな観点から質問をさせていただきます。

 まず、インド洋に派遣されている海上自衛隊の一つの体質の問題として、防衛大臣並びに総理に伺いたいと思います。

 先般報道されました、江田島の海上自衛隊第一術科学校におきまして、二十五歳の三等海曹が亡くなられました。まことに痛ましい事件でございまして、心からお悔やみを申し上げたいと思いますが、この出来事について防衛大臣は報告を報道後に受けたというふうなことが、けさの朝刊に報道されていました。

 この点について、これまでも何度となく私たちは、昨年のこの委員会、あるいは安全保障の委員会でずっと取り上げてまいりました。このまさに防衛省の隠ぺい体質、とにかくこうしたことがあっても必ずすぐに伝わらない。これはもう、イージス艦「あたご」の事件もそうでございました。あるいは、その他もろもろ次から次へと出てきた防衛省の不祥事に関して、もう本当に繰り返し出てきて、こういう質問を何度もすることは私自身も本意ではないんですけれども、この点についての調査を、あるいは実態解明ということにつきまして、防衛大臣はどのように今御認識をされて、今後どう取り組むのかということをまず防衛大臣に伺いまして、そしてその後、麻生総理にも、この点について、どう取り組んでいくのかについてまず冒頭お尋ねをしたいと思います。

浜田国務大臣 渡辺先生御指摘のように、我々、優秀な隊員をこのような形で死亡させてしまったということはまことに遺憾でありますし、大変申しわけなく思っておるところでございます。

 今お話にありましたように、私自身も渡辺先生と一緒に委員会等でこういう報告をたびたび受けてまいりまして、常にその報告がおくれるということに対しては極めて遺憾だと申し上げるしかございませんし、また、私とすれば、今回の案件に関しましても、隠ぺい等ということではなく、その事実関係をもう一度確認させていただきたい、そして、この報告がおくれた理由というものを今後はっきりさせていきたいというふうに思っておるところであります。これに対しては厳正に対処していきたいと思っておるところであります。

麻生内閣総理大臣 報告の時間の話は別にして、今はあちらの話ですけれども、いわゆるこういった痛ましい話というのは、これは事実関係を私自身が詳しく知っているわけではありませんし、簡単なことを申し上げるわけではありませんけれども、少なくとも、訓練に問題はなかったのかというようなことも含めまして、事実関係の全容解明というのをきちんとやった上でないとなかなか答弁はできないところでありますけれども、いずれにいたしましても、こういった状況になるというのは、これは再発防止というのをきちんとやっておかないと、あたら優秀な人材を失うというのは大変悲劇だと思いますし、損失でもあろうと思いますので、その意味では十分な反省の上に立って再発防止に努めてもらう、当然のことだと存じます。

渡辺(周)委員 私は、この特別警備隊という組織が特殊部隊としてあって、北朝鮮を想定した対不審船の例えば武力の解除であるとか、あるいは停船なりの実力行使をする上で必要な組織だと思っていますし、これは何ら否定するものではありません。ただ、中にいた方が、潜水隊、潜水艦の部隊に希望を出されて、この方が組織を出るに当たって、はなむけのつもりだったと言いながら、一種の、言葉を選ばずに言えば、みんなでリンチのような形で、十五名の方と徒手で、組み手で戦うなどということは今まで通常なかった。こういうことをやったということが、通常の訓練を逸脱して、何か一種の嫌がらせというのか、まさに私刑的な、リンチ的なことがあったんじゃないのか。一体その動機は何だったのかということをぜひ私は調べていただきたいと思うんです。

 訓練の内容に問題があったのかないかということはこれから調べられると思いますけれども、なぜこういうことをしなければいけなかったのかについて、もう一回防衛大臣の決意を聞かせていただきたいと思うし、また、隠ぺいをした云々というよりも、情報がおくれたというよりも、なぜこういうことが起きたことが即座に上層部に伝わらないのか、この体質についてはどうしますか。防衛省改革のことがずっと言われてきましたけれども、これについて何ら改善されていない。この点については、浜田大臣とは私も委員会でずっと一緒でした、裏金の問題から始まって、いろいろなことも取り組みましたけれども、何ら変わったという手ごたえを私たちは感じないわけですが、大臣になられていかがなさいますか。そのことを伺ってから、法案の審議に入りたいと思います。

浜田国務大臣 お答えいたします。

 本当にそういう意味ではよくよく調べてみなければいけませんし、とにかく我々は、今回の事件に関して言えば、確かに精強な部隊をつくらなければいけないけれども、しかし、そこにこういった事故が起きる、そしてまた、今先生がおっしゃったように、その心象風景、いわゆる心のこういったことに至った経緯というものを、こういうことが今まで特別の訓練にあったかなかったとかは別にして、そういった今先生が御指摘になったことをもう一度よく調べてみたいというふうに思います。

 そして、当然のごとく、訓練の内容等も今後もしっかりと我々も見ていかなければいけないことだと思っておりますし、ぜひともそこはしっかりと御報告できるようにやっていきたいというふうに思っています。

 そして、防衛省改革においてこれを一体どうしていくのかということになれば、当然、我々、今回、防衛省改革についての改革本部からの提案もあり、そしてまた我々の検討会においても言われているように、いわゆる内局、制服という、その中の意識改革というのがやはりしっかりとそこに出てきて、風通しのいい組織というものをつくっていかなきゃいかぬ。情報の伝達も同じようなことが言えるわけだと思いますので、その点をしっかりと反映するべく今後頑張っていきたいというふうに思っているところであります。

渡辺(周)委員 これは重ねて注文ですけれども、いつも、調査しています、調査していますと言って、その調査が、ちっとも答えがいつも出てこないんです。そして、いつの間にか時間切れになってしまうことがこれまでも何度もありました。ぜひ時間を区切って、調査結果をまとめて、そして国会に報告をしていただきたいというふうに思うわけでございます。

 さて、それでは、法案につきまして、総理並びに民主党提案者に質問をさせていただきます。

 まず、麻生総理に伺いますけれども、これまでアフガンに対して、世界各国がトータルで百五十億ドルを超える復興支援のお金を出した。そして、アメリカ、NATOあるいは非NATO国も含めて軍隊が派遣されること、今でも五万人を超える方々が駐留している。にもかかわらず、このアフガン本土での治安がちっとも改善されない。これについては、なぜだと総理は思いますか。その点について、まず冒頭お尋ねします。

麻生内閣総理大臣 これは渡辺先生、これが答えというのがあれば多分さっさと対応できているんだと思うんですが、それがなかなかないところが難しい背景なんだと、まず基本的にはそう思っております。

 ただ、いろいろな意味で、先ほどどなたかの資料にありましたように、これまで女性の学校に行く人がゼロだったものが三十何%までの方が行くようになってみたり、男子を含めまして百万人しか就学していなかったものが五百何十万人までふえたりなどなど、幾つか目に見える効果が上がっている部門がないわけではありません。

 ただ、基本的には、今言われましたように、テロがとまらないではないかという点、むしろふえておる面もあるではないかというところも、昔は南の方だけだったのが何となく北西部に移ったりなんかしていますので。

 そういった意味では、社会的インフラの基盤の弱さというところもありますでしょうし、部族対立とか、少なくとも貧困、それに対応する稼ぎは主に麻薬栽培等々になります。ケシ栽培に頼るというようなことになるのは、やはりテロの温床となります貧困への対策というのが、今後、アフガニスタン政府の治安維持能力プラスその面も考えないと、役所用語では包括的な取り組みというんでしょうけれども、そういった治安プラス経済とか貧困対策、そういったようなものを考えないかぬのであって、テロ対策プラス人道復興支援とか経済対策とか、そういったようなものを組み合わせてやっていく必要がよりあるんだと思います。そこへ行こうとすると、そこは危ないから行けません、何となくいろいろな意味で治安が悪いために復興とか人道支援が進まないというので、何となく悪い方の循環ということになっているというのが今の一番難しいところだと思っております。

渡辺(周)委員 私ども民主党は、二つに分けてテロを考えるべきではないかと私は思います。原理主義者アルカイダによる思想によるテロと、そして、その思想によるテロをたたけばたたくほど、まさにアフガニスタンの中にいるアルカイダという悪性の細胞をたたいたことによって、もう皆様方も御存じのとおり、民間人が、二〇〇六年で百十六人、二〇〇七年で三百二十一人、〇八年、ことしの七月現在で百十九人、これは空爆に限定してもこれだけの方が亡くなっているんです。つまり、正常な細胞までもが結局たたかれて、そしてその恨みがテロになる。いわゆるアルカイダによるテロと、まさに、肉親を失った方々が自爆テロに志願をして、そして、西側に対するこれは恨みという形でテロを起こすということを私たちはやはり非常に懸念しているわけであります。そのことが結果的にアフガニスタンの治安がちっとも改善されない。

 ですから、私たちは、洋上による給油というアプローチ、これはもう今まで七年間やってきたけれども、その成果があらわれないのであれば、外科的な治療を変えようと。そのまさにもとである悪性腫瘍な部分をどう取り除くかということにもうこれはアプローチをしなければ根絶できないということを我々は考えるからこそ、アフガン本土におけるテロリストの芽を摘むということのアプローチを法案として出しているわけでございます。

 私たちは、そのためにはまず治安の安定が必要である。だとすれば、今、日本がここまで功績を残してきた、六万人の武装解除をやってきた、この実績を生かして今度は、DIAGと呼ばれる、いわゆる非合法武装集団に対するもっとこの点についてアプローチをすることはできるんじゃないか。先ほど犬塚委員から答弁がありましたけれども、二名しかいないという中で、我々の国としてはもっとやるべきじゃないか。

 このことについては、総理、どうですか、もっと取り組むことができると思いませんか。

麻生内閣総理大臣 アフガニスタンの安定のためにこの治安活動の責任、いろいろなことが不可欠、私もそれはそう思います、基本的には。

 ただ、この観点から、DDRといいましたか、武装解除とか動員解除とか、いわゆる社会復帰のために武装解除というのをいろいろやらせていただいた、これはそれなりに成果が上がったことは事実だと思っているんですが、さらに、そのときにDDRの対象にされませんでした、いわゆる非合法の武装集団の解体、通称DIAGというんですが、これに積極的に今後取り組んでいかないかぬというときになって、何となく今の現行法ではなかなかそれがしにくいルールになっていますので、今後とも、ちょっと申し上げた麻薬対策とか、いろいろな意味でアフガニスタン政府もいろいろ努力をしておられるようですけれども、こういったものに幅広く支援をしていくというのは、私も大事なことだと思っております。

渡辺(周)委員 それは日本の予算の中でやるべきことだと思いますが、できることだと思いますが、それについては、総理、どうお考えですか。これはやる、例えばもっとDIAGの人員をふやすという形で貢献できるということについてはどうお考えですか。

麻生内閣総理大臣 これは、渡辺先生、やれる範囲、活動できる範囲というのはかなり限られてきているんだと思いますけれども、前の法律のときの方がもっとやりやすかったのかなということは思わないでもありませんけれども、いずれにしても、こういったような形で、何らかの形で貢献できることに関してはもっと参加するような努力というのはされてしかるべきだと、私もそう思います。

渡辺(周)委員 この点については、後の委員にさらに質問を任せるとします。

 ちょっと時間がなくなりましたのでさらに質問をさせていただきますが、十月の九日、十日とハンガリーのブダペストでNATOの国防大臣の非公式会合が開かれ、そして、アフガン国軍の育成のために拠出をもっとほかの国に求めるべきじゃないかと、日本に資金要請があるやに聞いておりますけれども、この点についてこういう報道がありますが、これは事実でしょうか。日本に対しての資金要請です。

麻生内閣総理大臣 私の聞いている範囲ではございません。

渡辺(周)委員 これはないというのか、それとも、河村官房長官にお尋ねしますけれども、七月の時点でアメリカの特使からありましたですね。これは会見で認めていらっしゃいます。その後、アメリカやあるいはNATOからこの資金援助についての要請はないですか。

河村国務大臣 報道等で報道されたことは私も承知しておりますが、今総理が答えられましたように、正式な要請等を受けておりません。

渡辺(周)委員 正式じゃないということは、非公式な形ではあったということで理解してよろしいですか。

河村国務大臣 非公式的なものも一切ございません。

渡辺(周)委員 ということは、報道されたことは、あくまで向こう側は言ったけれども日本側としては一切受けていないということでよろしいですか、総理。総理、いかがですか。実際本当にないんですか。(発言する者あり)

麻生内閣総理大臣 やじも含めていろいろ御意見がありますけれども、私自身、河村官房長官含めて聞いたことはありません。

 また同時に、きのうもアメリカの上院議員が来ていましたけれども、日本がどのような支援を行うかということにつきましては、少なくとも日本自身が決定する問題であるとの立場、私の知っている範囲、外務大臣のときを含めまして、アメリカはその態度は一貫していると私自身はそう思っております。

渡辺(周)委員 それならば、資金要請がない、今の現状で公式にも非公式にもないということでございますが、もしあった場合に、日本は国軍の育成という形で資金を出すことはできるんでしょうか。つまり、ODA大綱の援助実施の原則に基づくと、軍事的用途については使用を回避するというふうに書いてありますけれども、もしそういう要請があった場合は資金は出すことができるのかできないのか、その点については、この援助実施の原則に照らし合わせていかがですか。

中曽根国務大臣 会談ではいろいろな話があったと思います。しかし、先ほど総理からも御答弁ありましたように、そのような要請はございませんでした。ODAではできませんけれども、我々としては、いろいろな形で何ができるかということは研究をすることをしてまいりたいとは思っております。

渡辺(周)委員 まいりたいではなくて、今していないんですか。もうこれだけ、七月の時点からそういう話があった。国防総省がロイターに対してももう言っているわけでございます。当然、その新聞報道等は目を通されているとは思いますけれどもね。その点について、検討をしてまいりたいじゃなくて、実際検討をしているんではないんですか。いかがですか。

中曽根国務大臣 日本に対する期待というのは大きいのはよくわかっておりまして、何ができるかということについては常に考えているところでございます。

渡辺(周)委員 もう一回聞きます。

 国軍の育成に対して日本はお金を出すことができるのかできないのか、イエスかノーかお答えいただけますか。

麻生内閣総理大臣 私の知っている範囲で、国軍に直接というようなことはできないと思います。

 渡辺先生、いろいろな意味で、これまでも警察官の養成とか、これはイラクでもいろいろな要請がありましたのは事実です。国軍と言われましたので、国軍に対する直接の支援ということはできないというように理解しております。

渡辺(周)委員 これは、アメリカやあるいはNATOからそういう要請があってもそのとおりに答えられるということで理解してよろしゅうございますか。もう一度再度御答弁願います。

麻生内閣総理大臣 どこの国ということを言われましたけれども、NATOとかアフガニスタンとか、基本的に国軍という軍隊に対して直接ということはできないというように理解しております。

渡辺(周)委員 最後に民主党の提出者にも質問をしようというふうに思いますけれども、時間の関係で次の委員に譲りたいと思います。どうせ我が党の時間内での質疑でございますので、続く委員に質問を任せたいと思います。

 以上です。

深谷委員長 この際、川内博史君から関連質疑の申し出があります。渡辺君の持ち時間の範囲内でこれを許します。川内博史君。

川内委員 民主党の川内でございます。

 本日は、給油支援特措法についての質疑でございますけれども、私の方からは、渡辺同僚議員が冒頭指摘をした防衛省の体質、隠ぺい体質、あるいは情報を積極的に余り公開をされない、これはいいことではないですねということを中心としてこの時間を使わせていただきたいというふうに思いますが、まず、その前に、麻生総理にお尋ねをさせていただきたいと思います。

 総理にとっては愉快な話題ではないというふうに思いますけれども、一昨日、防衛医科大学校の教授が、眼科の医療機器納入をめぐって現金を受け取ったとして収賄罪で逮捕され、防衛省の本省も捜索をされたというふうに聞いております。贈賄側は、ヤマト樹脂光学という会社の元社長さんで久保村広子さんという人物であるというふうに聞いております。別の同種の贈賄の罪で起訴されて、現在は被告という立場でいらっしゃる。

 麻生総理は、このヤマト樹脂光学の元社長の久保村被告とは長いおつき合いがあるというふうに報道をされておりますが、事実かどうか、まず教えていただきたいと思います。

麻生内閣総理大臣 ヤマト樹脂光学という会社から、パーティーのときの券を買っていただいたりしているということは事実だと思います。

 正直言って、顔もちょっと正確な記憶がないぐらいのつき合いですから、つき合いがあるかと言われたら、私は、そのいただいているという事実、それと一点、たしか社屋ができたときのパーティーか何かにお招きをいただいて出ていった、ざあざあと何だか十分だか五分だかしゃべって、それで終わったしか記憶がありません。正直なところです。

 ヤマト樹脂光学は、今御指摘の点がありましたので、これは今破産手続の何か裁判をしている最中だそうでして、そういった意味で、報道によってそれを知りましたものですから、それに基づいて、破産管財人という方が今おられますので、当方の弁護士というか代理人との間で、今、今回の事件の事実関係というものにつきまして、私どもとしてどういうことかよくわかりませんから、聞いて、返還等々につきましては、その調査結果を踏まえて検討するようにもう指示をして、これはたしか、別の何か事件もあったんだそうです。

 正直、詳しく知らなくて申しわけありません。

川内委員 いろいろ御説明をいただいたわけでございますけれども、今総理が、一度パーティーに出てあいさつをしたことがあるよという御答弁だったわけでございますが、新聞の記事によれば、そのときのごあいさつというのが、堅実な商売をしている久保村さんのやっている仕事にお力を賜りますようにという、当時幹事長である総理がごあいさつをされたというふうに出ております。堅実なお仕事どころか、この最中は、久保村被告はもう贈賄の真っ最中であられただろうというふうに思うんです。

 実際に、これは防衛省さんにつくっていただいた、ヤマト樹脂光学が防衛医科大学に納入をした契約の一覧でございますけれども、実に……(発言する者あり)ちょっと委員長、大事なことを発言しているので静かにさせていただけますか。

深谷委員長 いや、聞こえる範囲ですから、静かであります。

川内委員 これは、実に驚くことに、一般競争入札だが、ほかに入札に参加している社はいない、しかも、落札率が、一円単位まで予定価格と一緒である、落札率一だという契約がたくさん出てきます。例えば、四百九十九万二千七百五十円、これは落札率一なんですよね。こういうものが散見されるわけですね。

 こういう異常な契約をこのヤマト樹脂光学と防衛医科大学校は繰り返していた、防衛省は繰り返していたというところでございまして、こういうところから献金を受けられていた、パーティー券を購入されていたということでございますけれども、献金については返すことを検討しているというふうに総理は今御発言されましたが、私は、返すとはっきりここでお述べになられた方がよろしいかと思いますが、いかがですか。

麻生内閣総理大臣 これは、正直申し上げて、相手が既に破産をしておられますものですから、破産管財人との話をということになりましたので、私はちょっと、正直、ヤマト樹脂光学の社長さんという方とも僕は一、二度しかお目にかかったことがないので、ちょっと、正直詳しくわかりません。

 そこで、私の方としては、こういった会社というのは多分倒産みたいな形になっているだろうから、破産管財人とか弁護人とかいるから、多分直接じゃない、代理者が出てくるはずだから、その人とうちの弁護士なりだれなりがきちんと対応しろと。

 そして、その金をどうするべきなのか。返すというのはもう当然返すんだ、相手に、こう私は思うが。やはりおかしいのであれば。

 ただ、法律的にどうなっているかさっぱりわかりませんから。きちんとそれで対応しろという指示はもう大分前に出しております。

川内委員 破産管財人の弁護士の先生は、さまざまな債権債務を整理するのに一円でもお金が欲しいでしょうから、恐らく、総理が弁護士さんを通じて、返すよ、献金という契約を解除するよ、全部返すよと言えば、あっという間に、ありがとうございますと多分受け取っていただけるというふうに思いますので、ぜひそのようにされることを私からも申し上げておきたいというふうに思います。

 さて次に、防衛省の不祥事の隠ぺいに関する問題でございますけれども、先ほど渡辺議員からも若干質疑をさせていただいたわけでございますが、防衛省の改革会議というのが七月十五日に報告書を出しておりまして、この報告書には大変重要な指摘がされているわけでございます。

 これには、防衛省改革会議というのは防衛大臣そして官房長官も御参加をされて、この文書がつくられているわけでございますけれども、この中にこのような一節がございます。「例えば情報の隠蔽や操作による不服従はあらゆる官僚組織に稀ではないが、」情報の操作や隠ぺいをすることは官僚組織にまれではない、そういうことは往々にしてあると。しかし「究極的な実力組織機関がそれを行うとき、格別な政治社会的意味を帯びるであろう。」究極的な実力組織機関が情報の隠ぺいや操作を行うようになったらそれは大変な問題に発展していくよということをこの防衛省改革会議の報告書は指摘をしているわけでございまして、そういう意味でシビリアンコントロールが大事だということを書いております。

 これは、防衛大臣も官房長官もこの文書に同意をされて、作成に参加をされている、まず、そのことを防衛大臣に確認をしていただきたいと思います。そうだ、そのとおりだとおっしゃってください。

浜田国務大臣 報告書にはそのように書かれていると思います。

川内委員 そこで、今回の大変痛ましい、海上自衛隊の特別警備隊、特別警備養成課程で訓練をしていらっしゃった、そしてまた特別警備養成課程をやめて原隊に復帰をする、潜水艦隊に復帰をするということが決定をしていた隊員が、異動の二日前に集団で暴行を受けてお亡くなりになられるという痛ましい事件、御冥福を心からお祈りしたいというふうに思いますし、御遺族には本当に何と申し上げていいかわからないと思うんです。

 私は、この事件は傷害致死事件であるというふうに考えますが、浜田大臣にまず御答弁をいただきたいのは、本件は傷害致死容疑で海上自衛隊の警務隊が捜査中であるという理解でよろしいかということを教えていただきたいと思います。

浜田国務大臣 基本的には、調査そして捜査、両方向で今進んでいることと思いますが、我々とすれば、その調査というものをまだ報告を受けておりませんので、それを受けてからの話になろうかと思います。

川内委員 今、調査中なんですか、捜査中なんですか。

浜田国務大臣 ですから、いずれにしても、この亡くなったということを受けて、いろいろなことがあろうかと思います。

 我々防衛省としては調査をしつつ、そしてまた、警察の方は警察の方で捜査をしておられるのではないかなというふうに思っております。

川内委員 警察は警察の方でと。

浜田国務大臣 警務隊でございました。失礼いたしました。

川内委員 警務隊は警務隊で捜査をしていると。私はそう聞きましたよね。警務隊は捜査をしていますねというふうに聞いたんです。そこを確認していただけますか。警務隊は捜査をしていると。

浜田国務大臣 そのとおりであります。

川内委員 他方で、呉地方総監部の方で事故調査委員会をつくって調査をしていらっしゃるということでよろしいでしょうか。

浜田国務大臣 そのとおりであります。

川内委員 それでは、警務隊の捜査と事故調査委員会の調査でございますが、「海上自衛隊一般事故調査及び報告等に関する達」という文書がございますけれども、この文書によれば、事故調査委員会は、この達に基づいて立ち上げられているということでございます。

 さらに、事故について、さまざまに事故の種別があって、これをこういう対象として調べるよということがこの文書の中に出ておりますけれども、この「達」の中の何条の何項に基づいて事故調査委員会は調査をされているかということを教えていただきたいと思います。

浜田国務大臣 済みません、お待たせいたしました。

 第十一条の(五)でございます、五項、「公務上又は通勤時の死傷(服務事故に該当するものを除く。)」であります。

川内委員 いや、いみじくも、大臣、この達の十一条の(五)、「服務事故に該当するものを除く。」「公務上又は通勤時の死傷」というところを調査委員会は調査しているのだということをお述べになられたわけですが、事務方から紙を渡されて。ここがシビリアンコントロールが働いていないところなんですよ。

 第十二条の(四)、服務事故の中に「刑罰法令違反又はそのおそれのある場合」というのがちゃんとあるんですよ、「刑罰法令違反又はそのおそれのある場合」。業務上過失にしろ、あるいは傷害致死にしろ、刑罰法令違反が明らかに疑われるわけですから、この事故調査委員会は十二条の(四)に基づいて設置をされていなければならないと思いますが、防衛大臣としての、先ほど渡された紙とは別に防衛大臣としての御所見をいただきたいと思います。

浜田国務大臣 第十二条のただし書きがありまして、「五条から前条までに該当する場合を除くものとする。」というふうに書いてございますので、先生の指摘には合っていると私は思います。

川内委員 いや、それでは、この間のさまざまな広報の体制について、防衛大臣、幾つか海上自衛隊あるいは海幕が情報を隠していたと思われるところがあるわけですね。

 それは、海上自衛隊の広報の方に言わせれば、聞かれなかったから答えなかったのだというふうに答えていらっしゃるわけです。例えば、隊員が二日後に異動する予定だったのだとか、あるいは最初は、一対一で八組で格闘していたというふうに答えている、ところが、実際には一対十五であったというようなこと。それらは、本当のことは、聞かれなかったから答えなかったと言っているんですが、聞かれても答えないと隠ぺいなんですが、聞かれるまで答えないというのは隠ぺい体質なんですよ。

 私は、ここを、きちんと情報を明らかにしていくということが、防衛省にとってあるいは自衛隊の皆さんにとって、国民からさらなる信頼を受けるためにはどうしても必要な部分であるというふうに思うからこそこれだけ申し上げているわけでございます。

 そこでお尋ねをいたしますけれども、では、隊員が二日後に異動する、潜水艦隊に復帰するんですよということをいつ発表されましたか。

浜田国務大臣 その件に関しては公表はしておりません。

川内委員 では、この隊員の方がお亡くなりになられて、司法解剖をされていますか。

浜田国務大臣 解剖を行ったと聞いております。

川内委員 解剖の所見について広報されていますか。

浜田国務大臣 所見については、これはまだ捜査中でございますし、また我々の方としてもそれをまだ聞いている段階ではございません。

川内委員 大臣、私が思うには、人事異動が発令されて、発令というのは人事異動をする日ですが、内示というのが一般的に二週間前なり一週間前にありますよね。あなたはもう異動ですよ、部署がかわりますよということになる。

 そうすると、この場合でいえば、この訓練生は、もう異動の内示があった時点で、潜水艦隊に復帰する時点で、特別警備隊に入ることはないわけですから、それ以上の訓練は必要としないというふうに私は考えます。実際に、アメリカの特殊部隊などは、その特殊部隊の訓練、特殊部隊から別なところに異動するということが決まった時点で、すべての訓練から解放されるというふうに聞いております。

 一対十五の格闘を、異動する直前の格闘を訓練であると強弁をするというような体質について、大臣も、問題だ、特殊特別な問題であるというふうに感じているというふうに会見等で述べていらっしゃるわけですけれども、異動する直前の、もう異動することが決まっているのにこのようなことをすることが訓練だというふうに大臣はお思いになられますか。

浜田国務大臣 今回の場合には、もう既にその隊員が亡くなっているということも含めて考え、そしてまた今先生がおっしゃったことに関して言えば、当然これは、我々とすると、もう異動が決まっているのにと言われれば確かに訓練の範囲を逸脱しているというのはこの間も答弁をさせていただいたわけでありますが、その点も含めて今調査をさせていただいているところであります。

川内委員 大臣、事の重要性について大臣がおっしゃることが、割と客観的におっしゃっているように聞こえて、防衛省あるいは自衛隊の大変な危機的な問題だというふうに、本件について象徴的にあらわれているのではないかというふうに私は思うんです。いろいろなことを含めてですよ。

 では、浜田大臣は、この二日前に行われたはなむけ、実際に教官の方が親御さんに、葬式の場で、はなむけでやったんだというふうな言葉を使われたというふうに出ておりますけれども、はなむけと呼ばれる格闘訓練が、一人五十秒、連続十五人でなぐり合うもので意識不明になった、こういうことを十月十四日に初めてお知りになったんでしょう。十月十四日に報道で知ったんでしょう。大臣、どうですか。

浜田国務大臣 それは、十月十四日に初めて知ったところでありますし、私が冷静にきょう御答弁をさせていただいているのは、そういった意味においては、いろいろなこと、こういった、御指摘になられていることに対して私自身も問題意識を持って、ただこのことを感情的になって対処するよりは、しっかりと冷静に対処した方がいいと思って、私なりの考えでこのように答弁をさせていただいているところでありますので、その点は御理解願いたいと思います。

川内委員 冷静に対処をするというのはそのとおりなんですけれども、大臣がお持ちになっている職務に対する権限をしっかりと行使しながら、指揮監督をしながら本件に対する解明をしていかなければ、十月十四日に報道で初めて知った、では、その前に報告を受けたときに、格闘訓練の事故で死んだ、どんな訓練だったんだ、いつだ、どのようにやったのかというようなことを多分お聞きになっていらっしゃらないのかなと。

 私だったら、格闘訓練で亡くなったよという報告が来たら、どんな訓練だったんですか、そんなことがあるんですか、隊員は今どうしているんですか、そういうことをきちっと聞くと思いますけれどもね。どうなんですか。

浜田国務大臣 権限を使って調査するというのは、これは当たり前の話でありまして、私なりに、経過報告も含め、聞いておるところでございます。

川内委員 いや、経過を含めて聞いておるって、報道で真実を初めて知っているわけじゃないですか。何を大臣おっしゃっているんですか。報道でそういう実態について初めて知ったと。経過については本当のことは報告を受けていないわけでしょう。

浜田国務大臣 聞いた後に、当然その後に、一体これは話が違うではないかということを、要するに報告とは違っているという指摘をするのは当たり前でありますし、それに対して、報告というか、いろいろな状況を含め、調査も含め、しっかりやれ、そしてその中の経過をしっかりと報告しろということは私なりに申し上げているところであります。

川内委員 いや、しっかりやれと言うだけじゃ、防衛省改革会議のことを最初に言ったじゃないですか。情報の操作や隠ぺい体質は往々にしてあるが、実力組織がそれを始めたら大変なことになるよということを防衛大臣も、官房長官も、この文書の中で言っていらっしゃるわけですよ。

 さらに言えば、警務隊、捜査をしていると防衛大臣に確認をしていただいた警務隊は、自衛隊犯罪捜査服務規則という服務規則によれば、警務隊を指揮監督するのは、要するに捜査を指揮監督するのは防衛大臣であるというふうに書いてありますよ。確認していただけますか。

浜田国務大臣 そのとおりであります。ですから、私が、しっかりと捜査をしろということを申し上げているところであります。

川内委員 さらに、第九十九条には「警務部隊の長は、捜査を行なう場合において、」……(発言する者あり)今ちっちゃいなというやじが来ましたけれども、こういう本当に大事なことをしっかり議論することが大事なことであって……(発言する者あり)大事ですよ、もちろん大事です。テロと闘う、あるいはどう対処していくかということについて、そのそもそもの組織がどういう組織であるかということはしっかりと議論されておかなければならないことなんです。いいですか。委員長、続けていいですか。(発言する者あり)

深谷委員長 お静かに願います。

川内委員 「警務部隊の長は、捜査を行なう場合において、」「当該事件の概要その他必要な事項を順序を経て防衛大臣に報告しなければならない。」というふうに出ておりますが、では、きちんと報告は受けているということでよろしいですね。警務部隊の長から受けているということでよろしいですね。

浜田国務大臣 警務隊ではなくて、調査委員会の方からの報告を少しずつ受けています。

川内委員 いやいや、この自衛隊犯罪捜査服務規則、警務隊が捜査をしている、その服務規則によれば、警務部隊の長も防衛大臣にきちんと当該事件の概要その他必要な事項を報告しなければならないと書いてありますが、では、防衛大臣は報告を受けていないということですね。

浜田国務大臣 捜査に関しては、やはりそこに厳正な捜査というのがあるわけでありますので、その捜査を途中途中で私のところに報告が来るとは思っておりません。しっかりとした捜査の後に報告があるものと思っております。

川内委員 いや、いいですか、この九十九条には、防衛大臣、よく聞いてくださいよ、「捜査を行なう場合において、」と書いてあるんです。「捜査を行なう場合において、」要するに、捜査をするときにはちゃんと防衛大臣に報告してねと書いてあるんです。だから、防衛大臣は最初、私の質問に対して警務隊は捜査をしているとおっしゃったので、ちゃんと報告を受けているんですねということを聞いているんですよ。

浜田国務大臣 今のお話でありますが、しかしながら、必然的に、一々すべての捜査というのはまず警務隊に話が行くわけですから、その段階でやはり捜査には入っていくわけですよね。その中で、私のところには調査委員会の方の報告があり、その後に警務隊からの報告があるというような形になろうかと思っています。

 私は、すべてその場合に、緊急性を帯びて調査、捜査に向かう場合に、要するに警務隊の方が入る場合は、まず、一々そこの部分で、私が、何か事件があったときにはそこに入るというのは、通告があってそこに駆けつけるというのがもしも初動とするならば、これは私に一々報告をしながら捜査を進めるということではなくて、まずはそこに駆けつけ、そこから入るということになると思いますので、そこのところが、運用面においてはそういう、迅速に対応できる形になっていると思いますので、そこと報告とはまた別だと思います。

川内委員 九十九条の読み方は、私はそうはお聞きしていないですけれどもね。捜査を行う場合はちゃんと防衛大臣に報告しますよということを書いているわけですよね。だから、警務隊は捜査しているとおっしゃったので、捜査しますよという報告を受けていますねということを確認しているんですよ。捜査しますよということの報告を受けていますよねということを確認しているんですよ。

浜田国務大臣 基本的には、事件性が確認された時点で報告が上がってくるということになっておるというふうに理解をしております。

川内委員 そうすると、今まだ事件性を確認していないというんですか。警務隊は捜査していると言ったじゃないですか、最初。どっちなんですか。

 警務隊は捜査しているんですか。まだ調査なんですか。警務隊は捜査しているんでしょう。

浜田国務大臣 大変説明があれで申しわけないんですが、調査委員会と警務隊の捜査というのは整理して考えなきゃいけませんので、我々とすると、要するに、警務隊の方は、そこに通報があって駆けつけて、事件性のあったものに対して私のところに報告。だから、報告の部分と捜査の指揮の問題と、ちょっと何かごっちゃになっているような思いがするので、私とすれば、まず駆けつけて、そこに何があったかを確認し、事件性があったことを私に報告してくるわけでありますので、捜査というのが、その予備的なものが捜査なのか、出動したのが捜査なのか、それともそれから先の捜査なのかというのをもう一度私なりに確認したいと思います。

川内委員 それじゃ、また月曜日に私質疑がありますから、警務隊が捜査をしているのか否か、どういう捜査なのかということを月曜日までに確認していただいて、御答弁をいただきたいというふうに思います。

 私は、この手の問題に関して、現場で一生懸命頑張っている自衛官の皆さんや、あるいは自衛隊の皆さんや防衛省の皆さんがさらに頑張れるようにしていくためにも、情報の公開とシビリアンコントロールをしっかりきかせるということをしていかなければならないという趣旨で質問させていただいています。

 さらに、この九十九条二項に、「防衛大臣は、前項の報告を受けた場合において必要があると認めたときは、捜査本部を開設するものとする。」ということが出ています。「捜査本部を開設するものとする。」と出ています。

 聞くところによると、海上自衛隊の警務隊は日本全国で百二十九名しかいないと。それで、呉地方警務隊、あるいは江田島警務分遣隊は、呉地方警務隊で十名ぐらい、江田島警務分遣隊は数名だというふうに聞いております。

 そういう体制ではなくて、しっかり防衛大臣が捜査の指揮監督をする、捜査本部をしっかりつくって、この事件の全容解明、全容解明を徹底的にやるというふうにおっしゃっていらっしゃるわけですから、全容解明、再発防止、そして責任をとるべき人には責任をとっていただくということの先頭に立つべきであるというふうに思いますが、防衛大臣の御所見をいただきたいと思います。

浜田国務大臣 今、川内委員から御指摘のあった点、しっかりと調べて、また月曜日にお答えをするようにしたいと思います。

 私も、その意味ではしっかりと真摯にお答えをしたいと思っておりますし、そしてまた、今回の事故というのが今調査中であるということ、そして、それがもしも本当にそこにいろいろな思い入れがあり、集団暴行と委員はおっしゃっておりますけれども、その点の要するに真贋をしっかりと見きわめなければいけないと思っております。でなければ、部隊の隊員のモチベーションというのが、さっきおっしゃっていただきました、下がってしまう可能性もあるわけでありますので、我々とすれば、その部分はやはり慎重に捜査、調査をすることが極めて重要であります。

 私とすれば、すべてがはっきりとした時点で、すべてをつまびらかに皆様方に御報告できるようにしたいと思っておりますので、この時点でそれが要するに集団暴行なのかどうなのかということを決めつけるようなことは、私は今の時点ではしたくないと思っておりますので、冷静にその調査の報告を待ちたいというふうに思っておるところであります。

川内委員 集団暴行であるか否かを問わず、訓練中の事故であったとしても業務上過失致死というところには至るわけで、先ほど申し上げた一般事故のうちの「刑罰法令違反又はそのおそれのある場合」というところに該当するじゃないですか。事故調査委員会は全然その観点についての調査でないわけですから、私は、その点については大変に問題がある、これはしっかり防衛大臣は指導力を発揮していただかなければならぬというふうに思いますよ。

浜田国務大臣 川内委員に今しっかりやれというふうに言われましたので、私もそのつもりでやらせていただきたいと思いますが、しかし、私なりに、調査委員会そしてまた捜査というものを含めてしっかりと見きわめながら、今後の対処は厳正にさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

川内委員 もう一つ、重大な隠ぺいがございます。先ほども出ましたけれども、本年二月のイージス艦「あたご」の衝突事故。

 先日の予算委員会で、イージス艦「あたご」の自動衝突予防援助装置、ARPAの警報音が衝突のかなり前から鳴っていたか鳴らなかったのかということを、防衛政務官が国会答弁で、事件の核心に触れる部分だから言えない、事件の当事者だから言えないというふうに国会で答弁をされていらっしゃいます。核心の部分を言えない、当事者だから言えない、これを隠ぺいと言わず何と言うのか私はわかりませんが。

 まず、きょう最後に、この前私が、海難審判所で百二十人の乗組員が事情聴取を受けているが、衝突しそうな船があらわれたときにレーダー装置が警報音を発する、音を発するということについて、鳴ったか鳴らなかったのかということについて百二十人の事情聴取の中で質問していませんねということをお聞きしたらば、海難審判所の所長さんは、いや、聞いていますというふうに答弁されましたが、それは間違っていた、聞いていなかった、警報音が鳴ったか鳴らなかったかということについては質問していません、事情聴取の中で聞いていませんでしたということを最後にここで確認して、月曜日に移りたいと思います。

上中政府参考人 お答えします。

 質問をしていないということで間違いございません。

 その点、十月七日の衆議院予算委員会の答弁は間違っており、おわびいたします。

川内委員 終わらせていただきます。

深谷委員長 この際、平岡秀夫君から関連質疑の申し出があります。渡辺君の持ち時間の範囲内でこれを許します。平岡秀夫君。

平岡委員 民主党の平岡秀夫でございます。

 きょうの給油新法の延長法案については、テレビ入りということもありますので、精緻な議論は来週月曜日にさせていただくということにさせていただいて、きょうは、国民の皆さんの良識に問いかける、そうした質問にさせていただきたいというふうに思います。簡潔にして率直な答弁をお願いしたいと思います。

 まず最初に、この給油新法を議論するに当たりまして、議論の前提として麻生総理の基本認識を問うていきたいというふうに思います。

 先ほど、与党の質問のときに委員の皆さんにこんなものが配られたんですけれども、これは、何か使うのかと思ったら全然使わなくて、何のために配られたかわからないんですけれども、この中にテロの場面の写真が載っています。

 確かに、このテロは本当に大変な被害をもたらしたもので、私も痛ましいものであったというふうに思いますけれども、この中に、自衛隊の補給活動の対象となっている大もとの不朽の自由作戦がアフガンでどのような犠牲者を生んでいるのかということについては全く触れていないんですよね。私は、こういう意味では、このパンフレットはちょっと意図的なものに過ぎるのではないかなというふうに思います。

 そこで、麻生総理にお伺いしたいんですけれども、二〇〇一年の十月七日の米軍の空爆で始まったアフガンにおける戦い、この戦いで一体どれぐらいの犠牲者が発生しているのか、お答えいただきたいと思います。大体で結構でございますから、よろしくお願いします。

深谷委員長 ちょっとその前に平岡委員に申し上げたいんですが、この書類につきましては、先ほど理事会で承認の上でお渡ししているものであって、質問の中にはありませんでしたが、意図的なものではないということを委員長から明確に申し上げます。

 中曽根外務大臣。

平岡委員 総理の認識を聞いているんですよ、総理の認識。

中曽根国務大臣 先に私から御報告いたします。

 アフガニスタンにおきましては、反政府勢力によりますテロとそれからテロ掃討活動の双方によりまして、市民に多大な被害が、犠牲者が出ていると承知をしております。他方、米国を初めとする多国籍軍の活動による犠牲者数につきましては、正確に把握することは困難でございます。

 なお、国連の資料によりますと、本年の一月から八月にかけて、アフガニスタンでは千四百四十五名の民間人が死亡しており、そのうち反政府勢力の行為による死傷者数が八百名、アフガニスタン国軍及び多国籍軍の活動に伴う死者数が五百七十七名を占めていると報告をしております。

平岡委員 私は具体的な数字を聞きたいんじゃないんですよね。どれぐらいの犠牲者が生じているかという、大まかな麻生総理の認識を聞きたかったんですね。後で答えていただきたいと思いますけれども。

 その前に、委員長から注意がありましたけれども、私はこれを配られたことが意図的だと言っているんじゃないんですよ。これを配ったにもかかわらず、これに対して質問がないというのはおかしいですねと。ただ、この中身を見ると、この中身はテロの犠牲のことだけしか書いていない、その点においてこのパンフレットは意図的ではないかということを言ったんです。ちょっと誤解しないでいただきたいと思います。

 それでは、総理の答弁をお願いします。

麻生内閣総理大臣 今御質問がありましたけれども、先ほど、詳しい数字につきましては中曽根外務大臣の方から申し上げたとおりでありまして、どのような認識を持っておるかといえば、テロというものがもともとで始まったものでありますけれども、テロに対して、それに対してまたテロによる報復、そういったものの連鎖というものは、一般の無関係な方々が三千人近く殺されているわけですが、そういったものを含めまして極めて痛ましいことになるという意識が物すごくあります。

平岡委員 先ほど外務大臣は国連の統計だけちょっと発表されたので、それが十分であるかどうか、年数が限られていましたからね。

 我々がいろいろ調べてみますと、例えばニューハンプシャー大学のマーク・ヘロルド教授なんかが推計したところによれば、この民間人の犠牲者は、空爆も含めて六千人から八千人ぐらいの多数の犠牲者が出ているということであります。

 そういう多数の犠牲者を出しているアフガンにおける米国等による武力行使、あるいは戦争と言っていいのかもしれませんけれども、これに対して我が国が、自衛隊が協力しているという認識は総理にはおありでしょうか。

麻生内閣総理大臣 お忘れかと思いますが、これは、二〇〇一年九月十一日にアメリカのニューヨークがいわゆるテロリストによって襲われて、約三千人近くの死者を出し、その中に日本人も含まれていた、これから始まったんですよ。

 その話を何かすっかり忘れられて、アメリカだけがしているような感じの御質問のように聞こえますけれども、我々の同胞も二十四人、テロによって殺されたという現実を無視して、もしくは忘却したかのような発言をされると、私は、ちょっと二十四人の方に関して申しわけがないなという感じが、率直なところします。

 加えて、今のお話ですけれども、そういった悲惨なことを招くことになった原因を含めて我々は考えねばいかぬのではないでしょうか。このままほっておいたら、さらにそういった別のビルが襲われていたかもしれない。いろいろなことを考えて、結果として苦渋の選択をやり、各国は皆それに参加しているという意識が私どもにはあります。

平岡委員 私はテロが悲惨であったということについて否定するものではないんですね。しかし、今進んでいるこの戦争がどういうふうに多くの犠牲者を出しているのか、その戦争に対して我が国が協力しているという認識があるのかを聞いたんです。

 幾らやっても多分すれ違いでしょうから、私はこれ以上言いませんけれども、ただ、久間大臣が昨年の四月の衆院のテロ特では、これは前の法律ですけれども、旧法について、この法律については、「戦争をすることについて、これは支援する法律に実はなっております。」こういう認識を示されておられますので、多分この久間防衛大臣の認識というのは政府を代表しての認識だろうというふうに思いますので、私はそれを前提に話を進めていきたいと思います。

 ところで、自衛隊の補給艦がインド洋に行っていることについて言えば、法律の中ではこういうふうに書いてありますね。国際的なテロの防止と根絶のための国際社会の取り組みへの寄与をするんだというふうになっているんですけれども、ただ、いろいろと考えてみると、どうも自衛隊の海外派遣の実績づくりというようなことを意識しているんじゃないかというふうに思うんですけれども、総理はどういうふうに認識されていますか。

麻生内閣総理大臣 補給支援活動というもの、いわゆるこのもともとはテロとの闘いというものの一翼を担ってスタートしたもので、これは先ほども申し上げましたように、我が方がテロによって殺された人がいるという事実をお忘れの上でしゃべられるような感じがするので私はとがめたんですけれども、日本自身のためにしてきた活動の一つだと私は思っております。

 したがって、テロとの闘いというのは依然継続をしておると思っておりますので、とうとい犠牲を出しながらも、アフガニスタンでのテロへの対策を各国が取り組んでおられるというものだと私は思っております。

 したがって、日本も国際社会の一員なんですから、テロとの闘いで、我々も犠牲者を出させられたんですから、その意味におきましては、この活動の継続はぜひとも必要なのであって、自衛隊の訓練のため……(平岡委員「実績」と呼ぶ)余り実績づくりとかそういったような話をされると、ちょっと亡くなられた方々に申しわけないなと思いますね。

平岡委員 私は根拠なくこんなことを言っているんじゃなくて、昨年六月に麻生総理は、当時総理ではありませんでしたけれども、「自由と繁栄の弧」というのに海上自衛隊の洋上補給活動についてこういうふうに言っておられるんですね。「始めて五年半。思いますに、「ネイビー」をこれだけ長い間遠方に展開したことは、我が国の歴史始まって以来のことです。」ネイビーというのは、英語に堪能な麻生総理ですから、どういう意味かはおわかりですよね。これは海軍ですよね。海軍をこんなにも長い間送っているんだ、そういう話になっているんですよ。だから私はこれを聞いたんです。どうですか。

麻生内閣総理大臣 ちょっと御質問の意味がわからないんですが、長きにわたって海外にずっと送っているというのは……(平岡委員「ネイビー」と呼ぶ)ネイビーという意味は、セルフディフェンスフォーシズとも日本で言いますが、通常ネイビーとよく言いますのでネイビーと使わせていただいただけですけれども、基本的には、そういった言葉じりの話だけじゃなくて、五年半の長きにわたって、海外にずっと継続して、あの過酷な条件の中で、大いに日本のために、世界のために闘っている海上自衛隊の隊員諸君に私は敬意を表したいと思っております。

平岡委員 私は、ネイビーという言葉をわざわざ使われるから、何か意図的なものがあるのかなと思って聞いたんですね。

 だから、私は認識を聞いているだけですから、そういう基本的認識を持っておられるということを前提に、次の質問として、自衛隊の補給支援活動を今後も継続すべきなのかということについて、ちょっと質問の分野を移していきたいと思います。

 まず最初に、また総理の認識を問いたいんですけれども、自衛隊の補給支援活動の相手先となり得る外国の軍隊等の艦船はインド洋でどのような活動を行っているというふうに総理は認識しておられますか。

麻生内閣総理大臣 いわゆる海上阻止活動の話をしておられるんですね。(平岡委員「いやいや、補給の対象となっている外国の軍隊等の艦船がインド洋でどういう活動をしているのかを聞いているんです」と呼ぶ)

 いや、そちらも余り聞いておられる風がなかったので重ねて聞いただけなんですが、日本として、外国の軍隊などすべての活動について詳細に知っているわけではありません。しかし、補給支援特措法のもとで自衛隊がこれまでに補給をしたいわゆる艦船は、インド洋でテロ対策海上阻止行動を行っているものだと理解をいたしております。

平岡委員 そこにちょっとごまかしがあるんですよね。

 このパネルに、配付した資料を見ていただきたいと思うんですけれども、MSO、海上治安活動の中に海上阻止活動というのがありますね。この部分について、これは広義の不朽の自由作戦の一部なんですけれども、ここのところに対して補給をするということを目的にしているんですね。

 しかし、この目的を持った外国の軍隊等の艦船というのは、必ずしも不朽の自由作戦の海上阻止活動だけではなくて、OEFそのもの、あるいはイラクの自由作戦、そうした作戦の任務も負っているというのが実情なんですよね。ですから、これらの船がこういう活動をしているということを私はまず総理として認識してほしいということなんです。

 そこで、法案の提案者としての官房長官にお聞きしますけれども、このテロ対策海上阻止活動に従事している外国の軍隊等の艦船であれば、仮にほかの目的、このパネルにありますように、OEF本体、不朽の自由作戦本体であるとか、イラクの自由作戦、これに従事しているということであっても、この法律上は補給支援活動の相手先から除外されることはないというふうに理解していいですね。

河村国務大臣 お答えいたします。

 補給支援特措法におきましては、ある外国の艦船が補給支援活動の対象となるためには、当該艦船がテロ対策海上阻止活動に係る任務に従事するものでありまして、その艦船に対して補給支援活動を実施することがテロ対策海上阻止活動の円滑かつ効果的な実施に資するもの、このことが認められることが必要であります。その際に、当該艦船が実態としてテロ対策海上阻止活動に係る任務に当たっていることが重要であって、その他の任務をあわせて付与されている場合であっても同法に基づいて補給を行うことは可能である、このように考えております。

 補給支援法に基づく補給支援活動は、あくまでもテロ対策海上阻止活動に係る任務に従事する艦船に対して実施するものであるということ、その際に、当該艦船が実態としてテロ対策海上阻止活動に係る任務に当たっている限り、他の任務を付与されている場合であっても同法に基づいて補給を行うことは可能であると考えておるところであります。

 また、日本が補給する燃料は、その性質上、補給実施後は対象艦船に搭載されるその他の燃料と一体不可分となってまいります。このため、我が国が補給した燃料と同量以上の燃料が補給実施後においてテロ対策海上阻止活動に係る任務を遂行している間に消費された場合には、我が国が補給した燃料が適切に使用された、こう考えるわけであります。

 一方、法律の運用上、実際に補給支援を行うか否かについては個別具体的に検討する必要がありまして、バーレーンにある司令部において、連絡調整を通じて対象艦船の行動計画、また想定をされる活動内容等を把握しながら総合的に判断することになる、こういうことであります。

平岡委員 今の答弁は、旧法の時代、あるいは新法をつくるときにも議論された話でありますけれども、そのときに問題となったのは、旧法の時代の実績として、例えば強襲揚陸艦に対して給油がされていたとか、あるいは空母の随伴艦である巡洋艦に対して給油がされていたとか、そういう問題があって、この活動の中でいえば不朽の自由作戦、陸上に対して作戦を展開しているような船に対しても給油がされているというようなことが指摘されていたわけですね。

 それでお聞きしますけれども、今回の新法になって、ほかの目的にも従事をしている、海上阻止活動以外のほかの活動にも従事している外国の軍隊等の艦船に対して補給したという実績はありますか。どうですか。

浜田国務大臣 それはございません。

平岡委員 お配りした資料がありますから見ていただきたいと思いますけれども、この資料は米海軍の広報資料等に基づいて作成したもので、便宜的に八月から九月の作戦行動に関するものだけでありまして、網羅的なデータではありません。

 しかしながら、八月から九月にかけて空母艦載機が爆撃とか機銃掃射なんかをやっているというようなことがわかります。艦載機は、これ以外にも威嚇飛行とか偵察なども連日行っているということでございまして、この空母リンカーンが発行する今月十二日付の新聞「ペニー・プレス」によれば、リンカーンに関連する第二空母航空団というのは、ことしの四月末から九月初めまで七千百回の出撃をして、そのうち二千三百七回は爆撃、機銃掃射をしているということであります。爆弾も百十五トン投下しているというふうになっています。

 八月十日のところに二つほどありますけれども、見ていただければ、アフガンだけじゃなくてイラクの作戦も同時進行させてやっている、こういう事実があるんですよね。ですから、インド洋上にいる外国の軍隊等の艦船については、いまだに多くのイラクあるいはアフガンに対する陸上攻撃に参加している船があるということなんです。

 したがって、先ほど聞きましたときに補給した事実がないというふうに言われましたけれども、それでは、補給をした対象の艦船の名称をここで明らかにしていただきたい。お願いします。

浜田国務大臣 申しわけございません。

 いずれにしても、これは軍の関係もございますので、相手の了解が得られない限り私どもとして今まで公表してきていないということもございますので、御了解を願います。

平岡委員 この給油先の船については、パキスタンのものについては一応最初だからということで相手方の了解をとって公表しましたというふうに私たちとしては説明をされています。しかし、それ以外のものについては今防衛大臣が説明されたような理由で公表されていませんけれども、さっき公明党の佐藤議員が、これは一年ごとにチェックをするんだ、ちゃんとできているかどうか国会でシビリアンコントロールのもとにやるんだと言っておきながら、我々がシビリアンコントロールとして国会でこの法案を延長すべきかどうかということを審議する際に、そうした補給先の艦船の名前が言えないというのは、これは幾ら何でもひどいじゃないですか。どうですか。

浜田国務大臣 逆に言えば、今回の今御指摘の点につきましては、我々としても確かに努力目標としてしっかりと公表したいとは思っておりますが、相手国の関係もございまして、我々とすれば今は明らかにしていないということなので、これからもそういったものができるように努力はさせていただきたいと思いますけれども、今のところできていないということでございます。

平岡委員 それでは、努力した成果を来週の月曜日の審議までに報告していただきたいというふうに思います。

 それで、この給油活動なんでございますけれども、実は、先ほど来から諸外国の評価があるといったような話もありましたけれども、それではアフガンの国内の一般の人たちがどのように見ているのかという話についてちょっと触れたいと思うんです。

 私の手元にあるNGOの現地代表の方が書かれたものがございまして、関係箇所をちょっと読み上げますと、安倍首相の辞任騒動の際に、インド洋での給油支援がアフガニスタン市民の知るところとなり、日本のイメージも変わりつつありますと。いい方に変わっているならいいんですけれども、これは悪い方に変わっているんですね。

 私も別のNGOの方、アフガンで活躍をされた方々の話を聞きますと、安倍総理は突然辞任されちゃったものですから、何が起こったんだろうかといって、世界的にあるいはアフガンの一般の人たちもわかっちゃったんですよね。そのときにアフガンの人たちは、えっ、日本もアフガン攻撃をするアメリカにくみしていたのかと。先ほど来から話があるように、せっかく今まで日本というのは私たちの仲間であり味方であるというふうに信頼していたのに、そういうことになってしまうというのは何か非常に疑心暗鬼になってしまったということなんですよね。(発言する者あり)それはNGOの方です。

 それで、私はまた麻生さんの「自由と繁栄の弧」なんかを見ていましたら、アフガンとイラクについて、中東の話がちょっと載っているんですよね。「もしも本当に、日本が中東の各国各派から特別の偏見なく見てもらえる国なのだとすると、そこに、我が国独自の役割が出て参るはずであります。」ちょっと飛ばして、「すなわち私ども、「憎悪の解消」や「信頼醸成」のため、大いに一役買えるでしょうし、買うべきであります。」こういうふうになっているんですよね。

 この給油活動というのがアフガンの一般の人たちに対して、先ほど私が申し上げたように、えっ、あの武力行使をしているアメリカに日本は味方していたのか、何だというような気持ちを持ったのでは、これからの日本の役割が果たせなくなるんだと私は思うんですね。そういう意味において、先ほど来の給油対象の問題も含めて、この際私はやめるべきだと思うんですけれども、麻生総理の御見解をいただきたいと思います。

麻生内閣総理大臣 全く見解を異にしますので、正直これは、あなたのところに言われた方が、どういう方が言われたのか、一回ぜひ聞かせていただければと思うんですけれどもね。一体どれぐらいの数そういう方がいらっしゃるのかというのをぜひ聞かせていただければと思うんです。

 少なくとも、給油活動というのは洋上でしていますから、陸上にいる方が見えるはずはないのは当然じゃありませんか。まずは最初に当たり前の話でしょう、それは。だから、そういった話というのは知らなかったからといって別に驚くことではない、まずこれが一つです。

 また、これに艦船を送っておられる国々からは、いずれも日本に対して感謝の言葉が述べられるのは、これは、そこに船を送っておられる国々の外務大臣、ほとんど例外なく会っていると思いますが、私にはそのような言葉を賜っております。外務大臣はその国を代表していないなんということにはならないと思いますので、私どもとしては、その国を代表される一国の外務大臣が当該国日本の外務大臣に対して感謝を述べられるというのは、感謝をされていると理解するというのは当然のことだと、私自身はそう思っております。

 また、安倍総理のやめられた話が何でそこに結びつくのか、私には理解を超えていたんですが、私は、少なくとも、各国ともアフガンに対してむしろ今増派したり、いろいろな形でこの問題に対して積極的に取り組もうというのを、イラクがそこそこ落ちついてきたので、イラクの軍隊、派遣されている軍人さんを各国は減らしてアフガニスタンの方に増派しておられるような傾向が最近ある、そのように理解をしております。

 したがいまして、国際社会の一員として我々は活躍をしておるわけで、そういった中にある日本が、日本一国だけそこから撤収するというような考え方は今の私どものとるべき対応ではない、そのように思っております。

平岡委員 きょうは細かい議論には入りません。

 次の議論にちょっと入りますけれども、補給支援活動の対象となっているOEFというものは国際法上どういう戦いなのかについての議論をしてみたいと思うんです。

 アフガンの武力行使、先ほど言いましたように二〇〇一年の十月七日の米空軍の空爆で始まったわけでありますけれども、国際法上はどのような根拠でどこに対して開始されたというふうに今総理としては認識しておられるのか、この点についてお伺いしたいと思います。

中曽根国務大臣 平成十三年の九・一一テロ攻撃は、高度の組織性及び計画性が認められることなどから、国連憲章の第五十一条に言う武力攻撃に当たるものと考えられます。

 この攻撃を受けて行われております米国等による不朽の自由作戦は、同条の個別的または集団的自衛権を行使するものとして、アルカイダとそれを支援しているタリバンに対して開始されたものと認識をしております。

平岡委員 それが国際的な……あれ、総理がいなくなっちゃったけれども。私は総理にさっき質問したんですよ、総理の認識を問いたいと。最初に技術的なことを外務大臣が説明されるのはいいけれども、ちょっと困りますね、それは。私にも了解がなかったですけれどもね。

 ちょっと時間がないので進めますと、そういう説明で、ここの理事の方々は、いや、国連決議だとかなんかとつぶやいていて、えっ、ここの理事の方も正確に御存じないのかなとちょっと一瞬思ったんですけれども、この自衛権の発動というのは、ただ単に今外務大臣が説明された単純なものじゃないんですよね。

 皆さん方のお手元に資料、そしてこちらにパネルがありますけれども、今回の不朽の自由作戦の開始時点の話としていえば、確かにアメリカとイギリスは個別的自衛権あるいは集団的自衛権の行使ということで始めましたけれども、これを行うに当たってはいろいろな要件が要ります。そして行使の客体についてもいろいろ議論があります。

 例えば、三要件としていえば、必要的条件。急迫不正の侵害がなければいけない。これは、一カ月前のテロがあったということで、本当にその時点で急迫不正の侵害があったと言えるんでしょうか。ほかに手段がない、武力攻撃しかなかったのか、本当に。あんな激しい武力攻撃をする以外に手段がなかったんでしょうか。

 それから、均衡性の要件ですね。目的や方法が必要最小限であるということでありまして、この攻撃はタリバン政権の転覆を目的とし、そして、先ほど言いましたように、数多くの空爆の被害者、六千人から八千人と言われる方の被害者が出ている、投入した兵力も今やOEFは五万人近くあるというのが国会の、議会の調査室でございます。そういう状況にある。

 時間的要件のところは、国連の措置がとられるまでの措置であるというけれども、一体この国連の措置はいつとられるのかということについても明確になっていない。

 こういう状況のもとで開始されたこの自衛権の行使。しかも、タリバン政権というのはもう崩壊していますよね。そのタリバン政権がなぜ自衛権発動、行使の客体となり得るのか。今までのニカラグア判決なんかを見ても、ただ単にアルカイダをかくまったとか、オサマ・ビンラディンを引き渡さなかったとか、そういうことでこれが自衛権行使の客体となることはないんですよね。そういう議論を全く抜きにして今行動が進められているということについて、私は疑問に思うんです。

 総理、今帰ってこられましたから議論を聞いていなかったと思いますので、かわりに外務大臣で結構です。ちょっと答弁していただけますか。

中曽根国務大臣 もう委員御承知のとおり、米国は、タリバンに支援されたアルカイダが九・一一テロ攻撃の中心的な役割を果たした、そういう情報に基づいて、今、アルカイダとそれを支援しているタリバンに対して、米国に対するさらなる攻撃を防止、阻止するために軍事行動を開始したものと承知をしております。

 その後、タリバン政権が崩壊するまでの間にも、米国は累次にわたり、アルカイダによる米国に対するさらなる攻撃があり得る旨の警告を発しておりまして、また、政府といたしましても、これらのアルカイダ及びタリバンの構成員が米国等に対してさらなるテロリズムの行為を引き起こす可能性が存在するなどの種々の情報に接していたところでございます。

 政府といたしましては、これらを含む諸般の事情に照らしまして、米国等によるアフガニスタンのタリバンの軍事施設への攻撃等の行動は適法な自衛権の行使であると考えております。

 現在、米国等が不朽の自由作戦においてアフガニスタンの領域内で実施しております活動は、国際法上、基本的には、領域国であるアフガニスタンの同意に基づいて、同国の警察当局等の機関がその任務の一環として行うべき治安の回復及び維持のための活動の一部を補完的に行っているものと認識をしております。

平岡委員 外務大臣が私が質問する前に答弁をされましたけれども、私もちょっとそれを聞きたいんですね。

 現在のOEFはどういう根拠でやっているのかというのは、今外務大臣が答弁されたので、とりあえずそれでいいです。しかし、その答弁でいったら、ここで自衛権行使の対象としたアルカイダというのはもういなくなっているという前提ですよね。(発言する者あり)いるんだったら、自衛権行使の攻撃が今続いていなければいけないんじゃないですか。今のはそういう話じゃなくて、治安回復、治安維持のための、武力行使ではない活動を行っているというふうに答弁されましたよ。それは矛盾しているんじゃないですか。まあ、いいです。この議論はまた月曜日にしっかりとしたいと思います。

 それだけ、この問題について言えば、今、国際法学者の中でも、このアメリカの、あるいはNATO諸国の集団的自衛権とか個別的自衛権の行使については、いろいろ国際法上疑念が呈されているという状況なんですよ。このことをやはり私は日本国政府としてもしっかりと受けとめなければいけない、このことを申し上げていきたい。きょうは、国民の皆さんの良識に問いかける質問をしていますので、それぐらいにさせていただきます。

 次の質問は、我が国が果たすべき役割は何なのかということであります。

 先ほども、犬塚議員も触れておられましたけれども、カルザイ大統領は、カルザイ政権とタリバンとの和解交渉の仲介をサウジアラビアのアブドラ国王に依頼したと九月末に明らかにしています。また、アメリカのゲーツ国防長官も、カルザイ政権がタリバンとの対話を通して紛争の政治決着を図ることを容認する考えを十月の九日に示したというふうに伝えています。また、フランスのクシュネル外務大臣も、フランスがアフガンに軍隊を送っている中でも、十月七日の外交委員会で、タリバンとの和平を達成する上で、アフガニスタンの近隣諸国の会議をパリで開催したいということを表明しているわけであります。

 そこで、先ほど私、麻生総理の「自由と繁栄の弧」の話をいたしました。日本は実は大変重要な役割を果たすべきだというふうに思っているんですよ。この点も、NGOの皆さん方の話をちょっと引用させていただきますと、日本が和平に向けた交渉の切り札として仲介できる可能性はまだあります、イスラム圏以外で交渉に立てるのは恐らく日本しかない、先進国の中で中東を侵略したことがない日本に対して、タリバンを含め多くのアフガン人が欧米とは違う信頼感を持っているんだ、こういうふうにアフガニスタンの人たちは見ているんですよね。ですから私は、日本がそういう役割をしっかりと果たすべきだと思うんですけれども、今、何かやっておられるんでしょうか。

麻生内閣総理大臣 平岡先生の話は時々主語が変わるので、ちょっとあれですけれども、なかなかついていきにくいんですよね。客体が何とかとか言ってみたり、ぱっと変わられるので。

 今の場合は、アフガンの人々がと言われますけれども、タリバンもアフガンの方にいるわけなんでしょう。そういう前提でいくと、タリバンも含めてアフガンと言われても、これはなかなか、ちょっと区別してもらわぬと困るところなんですが。

 その意味でいきますと、私どもは、アフガニスタン政府はかねてから、カルザイとも三回ぐらいやったことがありますけれども、基本的には融和策をやっているわけですよ。それを推しているわけですから、多くの人が。しかし、タリバンの指導部は、アフガニスタン政府との交渉は拒否しているんですよ。話す気はないと答えているんですから。これが事実でしょうが。(平岡委員「アブドラ国王には仲介を依頼しようとしている」と呼ぶ)事実でしょうが。まずそれを認めてくださいよ、あなた。話し合いたいと言っても相手が嫌だと言っているんだから。その嫌だと言う人に我々は接触するすべがないんだから、そういった形で交渉のしようがないでしょうが。

 もちろんこれが大前提ですが、私どもはイスラエルとパレスチナとの間に立って、あそこもかなり不毛なあれをしていましたけれども、少なくとも昨年初めてジェリコで、パレスチナ、イスラエルが初めて一緒の席に座って日本が仲介に立って、あそこでいわゆるコルホーズみたいな農業支援をやるというのをやった。

 だから、日本は、双方で話し合う気になりさえすれば、我々は仲介の労もとるし、また、それをやった実績もあるし、きちんとできますが、やる気も十分にありますが、相手がその気がないという人をいきなり、ちょいとやろうといったって、平岡先生、それはなかなか難しいというのが正直な実態だと、私自身はそのように理解をいたしております。

平岡委員 総理、両方がやる気があるときに仲介するというのは、それは簡単な話ですよね。場所だけを提供すれば済むような話かもしれません。私が言っているのは、そういう交渉に着こうとしない人たちに対しても交渉に乗るように仲介するというのが本来日本が果たすべき役割ではないかというのを言っているんです。(発言する者あり)ちょっと黙らせてください。私の声が、私の質問がちゃんと聞こえないじゃないか。

深谷委員長 お静かに願います。

平岡委員 そこで、一九九七年にブラヒミ国連アフガニスタン特別ミッション代表というのが日本にやってこられて、当時の小渕総理に、当時のアフガン事情の中における和平交渉というのをぜひ日本でやってほしいというふうに依頼したんですね。そのとき、小渕外務大臣は、もしそのための会議が東京で開かれるなら政府はできる限りの支援を惜しまないと語ったと。つまり、今総理が言われたように、まあ、やるんだったら東京を貸してあげるよ、東京で呼んであげるよ、こういう態度ですよ。

 それに対して、ブラヒミさんは、その後の国連総会の場に出席した小渕外務大臣に対して、単に和平会議の東京開催を提案するだけでは十分とは言えないというふうに述べた上で、傍観者としてではなく、日本は国連のパートナーとして和平活動にもっと深く関与すべきだというふうに諭したと、これは川端さんという例の方が書かれた本の中にあるんですよ。私は、もっと日本として積極的に和解交渉に臨んでいくべきだというふうに思います。

 そこで、ちょっとお聞かせいただきたいと思うんですけれども、先ほど申し上げましたように、アフガンで活動している日本のNGOの関係者の皆さんの中でも、今なら日本だったらタリバン側も仲介に乗ってくれるだろうというふうな見解も持っているということで、先ほど説明しましたけれども、そういう中で、我が国はもっと積極的に和解交渉の仲介の労をとるべきではないかというふうに思うんですけれども、この点について、もう一度麻生総理の見解を伺わせていただいた後、民主党提案者についても、民主党の法案としてはどういうふうに考えて位置づけられているのかということについて、私は答弁を求めたいと思います。

麻生内閣総理大臣 だれが言っておられるかわからぬという話では、なかなか私どもも対応のしようがない。こういう意見もあると言われても、私どもは少なくともアフガニスタンという政府相手に日本政府としてやっておるわけですから、日本としては、アフガニスタン政府が今主体的に、アフガニスタン政府がですよ、主体的に和解努力をしておられるということでありますので、その動向を注視するというのが我々の立場であります。

 その上で、今後もっとこういうことがしてもらえないかという話があれば、それはいろいろな形ができると思いますが、受けないんだよ、相手は。話を聞く気がないと言っているんですよ、我々が言っても。それをどうやってやりようがあるのか。

 それは手口があるという、いろいろ裏の手口というのが、また変に言うとタリバンの友達の友達は私の友達みたいな話になるとまた込み入るから、お互いにこういう委員会の場でやるときはよほど注意して言葉を言わないと、いかにもおれはできるような話をされて、これは国民のテレビの前で妙な話になるといかがなものかな、私はそう思いますね。だから、基本的にこれは十分に注意をした上でやらないといけないんだと思っております。

平岡委員 では、ちょっと民主党の方、答弁。

犬塚参議院議員 今、大変な事態が進行中だと思います。それは何かというと、タリバン、アルカイダの掃討作戦をやっていた米軍と英軍の司令官クラスが、掃討作戦の相手であるタリバンとの和解ということを今月に入って言い出しているんですよ。

 その前段として何があったかというと、二〇〇六年、アフガニスタンの中で、これは国内法ですが、恩赦法というのが通っているんです。これは何かというと、ソ連の侵攻以来いろいろなことがあった、その中でいろいろな戦犯、戦争犯罪を起こした人たちが今のアフガニスタンの政府の中にもいるかもしれない、政府の要人の中にもいるかもしれない、そういう人たちに対して、この戦争犯罪は一切問わないよと。はっきり言えば、正義よりも平和が先だよということが二年前からもうスタートをしているんですよ。

 そこで、今の麻生総理の発言は、私は大変問題だと思います。相手が話を聞かないんだよということを日本の総理大臣がここで断言してしまっていいんでしょうか。私は、今こそ日本がこういう和平努力をするべきだと思うんですね。

 ただ、残念なことに、こういう和平努力というものは大変機微なものであります。ここでいろいろなことを言ったって、それは和平努力にはならないんですよ、皆さん。表に出てくるものだけではないんです。それは、アフガニスタン政府を初めとして近隣諸国とも話をしなければいけない、部族長とも話をしなければいけない。

 そして、アフガニスタンの中にある幾つかの場所だけでもいいと思うんですよ。幾つかの場所だけでもいいから、抗争停止合意というものは、私は今必ずできると思います。それぐらいは言ってもいいと思う。その抗争停止合意に基づいて、自衛隊が人道復興支援のために入る、あるいはJICAが入る、あるいはNGOの人たちが入る、そういうことを今日本が主導すべきなんです。

 そういう日本が主導するために何をしなきゃいけないかというのは、今話すべきなんですよ。それに対して麻生大臣が、いや、相手がだめだと言っているからというような話では、日本がそういう交渉努力ができるわけがないんです。

 もう一つ言わせていただくと、そういう交渉をするに当たって一番大事なのは、日本がその際にどういうものを提供するかということなんですよ。(発言する者あり)いや、いいですよ。幾つかの地域にわたって日本が非常に物すごい力を出して、ここの地域でかんがい施設をつくる、農業を支援する、あるいはいろいろなことをやるということを、日本がこれはしっかりと持っていかなきゃいかない。それを出すからこれから交渉しましょうというのが私は総理の立場だと思います。

平岡委員 麻生総理の答弁はちょっと後ろのやじがうるさくてよく聞こえなかったんですけれども、私は、麻生総理が仲介をすることのやる気がないのか、それとも、仲介は、やる気はあるけれども、事の性格上、こういう場で表立って言ってしまうのはあれなので、そこはもう私に任せてください、政府に任せてくださいという意味で言われたのかわかりませんけれども、私は、ぜひ麻生総理が後者の立場で答弁されたものと理解していきたいというふうに思うんです。

 ぜひこの日本が中東の和平についてしっかりと、それこそ総理が言われている主体的な役割ですよ、アメリカに頼まれたからやるんじゃない、日本が、これまでの中東の地域における日本が占めてきた役割、日本に対する信頼、期待というものを踏まえてしっかりと行動することを期待して、私の質問を終わります。

深谷委員長 この際、長島昭久君から関連質疑の申し出があります。渡辺君の持ち時間の範囲内でこれを許します。長島昭久君。

長島(昭)委員 民主党の長島昭久です。

 昨年のこの委員会の質疑に引き続いてまた質疑の機会を与えていただきまして、大変感謝をしております。

 昨年の委員会でもこう申し上げました。この委員会が議論すべきことというのは、単に補給活動を継続するのかしないのか、補給活動に賛成するのか反対するのか、こういう単純な問題ではなくて、もっと本質的な議論をすべき委員会だというふうに私は思っています。

 私の問題関心を申し上げます。まず第一番目は、このテロの時代、テロリストの時代、こういう特異な時代にあって我が国の安全保障をどのように確保していくか、これが第一番目。第二番目は、テロとの闘いということで、世界じゅうの国々が今連帯をしております。アフガニスタンには四十カ国以上の国々が兵士を送り、あるいは民間の方々を送り、五万人以上の方が展開をし、そして、もう既に九百人以上の方が犠牲になっておられる。こういう国際的なテロとの闘いにおける連帯において、我が国がどういう役割を果たすべきか、私はこの二点だというふうに思っております。

 麻生総理、麻生総理の問題関心と、私が今申し上げた二つの問題関心が共有できるかどうか、一言コメントいただきたいと思います。

麻生内閣総理大臣 極めて似た、共有を持っていると思います。

長島(昭)委員 ですから、総理、ぜひこの本質論を、これから四十分という短い時間でありますけれども闘わせていきたいというふうに思いますので、ぜひ逃げずに、本質論から逃げないでお答えをいただきたい、このように思います。

 補給の継続ということだけで本当にいいのかというのが、実は私の問題関心なんです。補給がいいか悪いかということについてはさまざまな意見があると思います。私たち民主党の中にも、実はさまざまな意見があります。野党の中にも、当然さまざまな意見を持っている方がおります。しかし、きょう私が問題提起をさせていただきたいのは、先ほど申し上げた二点であります。

 にもかかわらず、総理、この一年間、去年の質疑からことしの質疑、今の質疑にかけてのこの一年間に、国際情勢はさまざま変化をいたしました。さまざまな変化を遂げてきたにもかかわらず、政府は、これは時間的な制約等いろいろあるのかもしれませんが、全く同じ法律の延長ということでこの質疑を行っているわけです。私は、もう少しほかの問題についても考える必要があるのではないか。

 麻生総理、この一年間振り返って、去年の十一月のこの委員会の議論から振り返って、この一年間、国際情勢の上で大きな変化、どんな変化をとらえておられますか。

麻生内閣総理大臣 テロとの関係で言わせていただければ、この特措法の関係で言わせていただければ、これはイラクというものにアメリカが増派した結果だとは思いますが、イラクは鎮静化してきた。そして、アフガニスタンの方はかなり激化した、深刻化した。これは、テロとの関係で言わせていただければ、大きな変化だったと思います。

 他方、先ほど民主党の先生が言っておられましたように、少なくとも向こう側、向こう側というのはタリバン側の間で、双方の間で、長い間の戦闘状態が続いた結果もあろうと思いますが、かつてほどは、話す気がないと言ってきて、全く、もううちは話す気はありませんから、こういう態度だったのが、私が外務大臣をやめたせいかどうかは知りませんけれども、この一年の間、随分向こうの方も話が変わってきつつある。少なくとも、何となく、ネゴシエーション、交渉、そういった話をしようという機運は、かつてほど、拒否というものよりは変わってきたかなというのが二つ目。

 三つ目、アメリカ大統領選挙はあと十八日で答えが出ますが、アフガニスタンに関しては、オバマ、マケイン双方ともテロとの闘いは継続、ここの点については言っている表現もほぼ同じように思っておりますので、その点は、アメリカの大統領がかわったからといって、アフガニスタンに関しては変わらないのではないか。

 もう一点、余りみんな触れられませんけれども、僕は、ソマリア沖、イエメン等々、あの辺で起きております海賊の脅威というのは結構なものになっていると思います。北朝鮮の船が襲われてアメリカ海軍が助けたとか、日本の艦船が襲われたのをデンマークだかドイツの海軍が何とか、いろいろな話が出てきて、あの辺が今までとは随分違って、海賊というのは子供のときはよく聞いた言葉ですけれども余り聞かない言葉だったと思っていますが、このところ、海賊行為というのは新たな脅威になりつつあるのではないか。

 そういったようなのは、目に見える、あの辺で起きている変化で感じられるところであります。

長島(昭)委員 総理がおっしゃった四つの変化、私もパネルを準備させていただきましたが、ほぼ同様であります。

 そういう四つの変化が起こっている中でもなお補給活動だけを継続させてほしい、そういう今の日本政府の、申し上げるのは恐縮ですが、視野が狭いというか、非常に、最低限これだけはみたいな、私はもう少しほかの方法も考える必要があると思っています。

 一番の問題は、イラクが鎮静化した、そしてアフガンに国際的な努力がシフトしてきている、これは全くおっしゃるとおりであります。

 私が特に強調したいのは、アメリカの政権交代が間近に控えている、こういうことであります。

 そもそもアフガニスタンがこれだけ泥沼化してしまった最初の原因は何かといったら、私の私見ですけれども、これは、ブッシュ政権がアフガンの安定化をある意味でほうり出して、そしてイラクに突き進んでいった。その結果、アフガニスタンの安定化がおくれた。そして、二正面作戦を強いられた。ヨーロッパが慌てて入っていったけれども後の祭りで、二年、三年、四年、五年、どんどんどんどん情勢は悪化してしまった。

 その原因をつくったブッシュ大統領が退場するわけです。政権交代というのは、これは日本でもそうですけれども、政策転換の大きなチャンスだ、こういうふうに私は思っています。

 特に、今勝ちそうな予測がありますけれども、私はここで予測するつもりはありませんが、オバマ候補ははっきり言っているんですね、イラクというのは対テロ戦争の主戦場ではない、アフガンの平定に全力を挙げる、彼はこのようにはっきり明言しております。

 つまりは、先ほど公明党の佐藤委員もおっしゃっておられましたけれども、そろそろ日本もアフガニスタンの陸上における本格的な支援、協力というものを考える時期に来たんだと私は第一点思います。それをカバーしているのが、先ほど来説明をしていただいているように、私ども民主党の案だというふうに私は理解をしております。

 きょうは時間が限られておりますので、アフガンの地上の支援については後回しにさせていただきまして、最後に総理がお触れになったシーレーンの安全確保、海賊脅威の拡大について少しお話をさせていただきたいと思います。

 特に、ソマリア沖、そしてアデン湾の海域であります。先ほど新藤委員の方からことしのマップが示されましたけれども、推移をちょっと見ていただきたいと思いまして、ことしも含めて過去三年間の推移、これはテレビをごらんの皆さんもよくおわかりになると思いますが、如実に、この黄色の点が海賊行為の未遂、赤の点が既遂であります。既遂、未遂、この点が見事に、見事になんと言うと不謹慎ですけれども、このアデン湾周辺に集中をしてきております。

 私が申し上げるまでもなく、アデン湾というのはスエズ運河によってヨーロッパとアジアを結んでいく海上交通の要衝であります。世界の石油の全輸送量の三割以上が通過をする、年間二万隻以上の商船が通航する、まさに大動脈と言っても過言ではありません。我が国商船の航行も年間約二千隻、これは私たち日本にとっても紛れもなく生命線と言っても過言ではない地域、水域だ、このように思います。

 もしこのアデン湾が使用不能になった場合、当然のことながら、アフリカ大陸の南側、喜望峰をずっと迂回せざるを得ない。まさにバスコ・ダ・ガマの時代に逆戻りをするわけです。距離にして六千五百キロ、日数にして約一週間のロスだそうであります。燃料費に換算すれば、これは莫大なコストがかかる、こういうことであります。

 したがいまして、輸入原油の九〇%を中東に依存している通商国家日本にとっては、この海賊の脅威の拡大というのは極めて深刻な事態でございます。

 私はなぜこういうことをるる申し上げたかというと、本来、きょうここで私たちが議論しなきゃならないのは、こういう一年間に起こった新しい現実を踏まえて、もしかしたら新しい法律案も含めて議論をしていかなければいけない、我々はそういう立場だと思うんです。

 これはぜひ民主党の法案提出者に伺いたいんですけれども、私の理解によれば、民主党の法案は、既に一年前に出した法案ではありますけれども、これらの起こっている事実を相当程度勘案した組み立てになっていると思うんですね。ちょっとそこの現状認識を伺いたいと思います。

浅尾参議院議員 長島委員にお答えいたします。

 民主党提案の二十八条に記載しているところでありますけれども、今御指摘がありました海賊行為、これは、先ほど午前中もお話をさせていただきましたけれども、現在の日本の法律でも取り締まれる部分がある程度ある。しかし、法律的に取り締まれる部分と海上保安庁の能力面でできる部分という区別があろうかと思います。能力を超える部分については、自衛隊にもし命じるとすれば海上警備行動の発令が前提となるということだと思いますが、その法的枠組みについて早急に検討していかなければいけないというふうに思っております。

 なおかつ、インド洋上での給油ということは間接的な効果でしかない。海賊の取り締まりを行うということは直接的な行動でありますので、国際的な連帯ということであれば、現在の法律でもできることについて直接的な活動をしていくということの方がより国際社会に対してもアピールができるのではないかということで、法の二十八条の中にも規定をしております。

 そして、法の中でカバーできない部分については早急に新たな法律をつくって、そして今の法律ではカバーできないものについては、例えば、午前中も申し上げましたが、他国船籍について、仮に海上警備活動があったとしても、我が国の自衛隊がそれを取り締まるということはできないというふうに理解をしておりますので、それについてできるような仕組みをつくっていくことも含めて検討すべきだということを二十八条に規定しているところであります。

長島(昭)委員 麻生総理、今の法案提出者の説明を聞かれたと思いますけれども、麻生総理は、この海賊の脅威が拡大をしているという今日的な情勢を踏まえて、この海域における我が国のあるべき役割、ミッション、果たすべき責任、この辺をどういうふうにお考えでございますか。

麻生内閣総理大臣 自民党の方が提案されているのかと思ったぐらいです、率直なところを言いますけれども。率直に、逃げないで答弁しろというお話だったので、率直にそう思いました。

 この話は、前に私どもも検討したことがあります。多分民主党が反対するだろうと思って、あのときは取り下げたような記憶がありますが。一年ぐらい前、外務大臣だったとき、いや、やめていましたね、以後、この話をさせていただいて検討しようとしたことがあります。

 したがって、おたくはまとまりますか、この案で出てきたとき。それは私どもが聞きたいぐらいです、私らの方も。

 したがって、そういった意味で、この種の話は、これは本当に海上警備行動としては極めて有意義だと思います。事実、結構我々は、被害が余り出ていませんけれども、これまでも、世界最高、最強のタグボートは日本が持っているんですが、このタグボートが海賊に持っていかれたということをもう忘れておられる方も多いと思いますが、なくなった。これをだれが助けて、だれが取り返してきたんだ、みんな、ほとんどの方々はもう記憶のかなたなんだと思いますが、そういったことは起きているんですよ、現実。それを我々はすっかり忘れておりますけれども、こういうことができるような話というのは極めて建設的な話だと思います。

 ただ、これは、先ほどどこかやじが飛んでいましたけれども、撃ち合いになる、銃撃戦になり得るというのは、海賊の方だって、今は難民じゃありません、武装難民と思わなきゃいかぬのと同じように海賊側は武装していますから、それに対しては対応するという覚悟はこっちは持っておかないと、なかなか簡単な話ではない。

 ただ、軍艦に向かって襲ってくる海賊船というのは余り聞いたことがありませんから、襲うのは商船と大体相場は決まっておるのが実態だとは思っております。

長島(昭)委員 前向きな御答弁をいただきまして、ありがとうございました。

 民主党はまとまるのかという御心配をいただきましたけれども、これは私ども法案として出させていただいております。私どもの政調を通って、民主党の案として出させていただいておりますので、御心配には及びません。

 今、大分総理が突っ込んでお話をいただきましたので、ちょっとステップ・バイ・ステップで分析を、これはもう本当に委員ひとしく、この委員会でこれからじっくりと議論していかなきゃいけないと思っていますが、まず現状です。

 昨年の十月に、私ども日本のケミカルタンカー、これは名前をゴールデン・ノリという、こういうタンカーが乗っ取られました。ことしの四月には、日本郵船の大型タンカー「高山」というのが不審船から五回にわたって銃撃を受けました。被弾をいたしました。さらに八月には、イランの貨物船、それから日本の海運会社が管理するパナマ船籍のタンカー、さらにはドイツの企業が管理する貨物船の計三隻が海賊に相次いで乗っ取られた、こういう状況が起こっている。これに対して、いよいよヨーロッパがこの問題に本気で取り組む姿勢を示してきておられます。

 二つの国連決議が出ました。六月二日と十月七日、国連決議一八一六そして一八三八。先ほど話が出ましたね、一八一六は、多国籍艦隊に対して、海賊制圧のため、ソマリア領海への進入と領海内での海賊行為を制圧するための必要なあらゆる手段を認める、こういう決議であります。これが六月二日に出た決議一八一六であります。

 そして十月七日、決議一八三八、この決議は、大要は三つに分かれますけれども、海賊の襲撃がその間、より洗練されてきた、このことを強調している。そして、各国ともより積極的な関与をしてほしい、こういう呼びかけをしております。そして、期限を特定せず、かつ、公海上での活動をあわせて強く要求する、こういう形になっております。

 と申しますのも、先ほど昔の海賊のイメージをちょっと総理おっしゃいましたけれども、海賊というのは、何だかぼろ船に乗って、何かサーベルでもちらつかせているような、そんなイメージがありますけれども、今の海賊はとてつもなく重火器を持っておりまして、ロケットランチャーとか小銃、こういうもので武装して、母船を持っていて、母船から小さい高速船、小さい船をおろして、それが公海上に出て襲うという、しかも警告なしでいきなり撃つという、まさに凶悪な性格を持った連中であります。

 そこで、国連安全保障理事会は初めて、これは海賊に対しては初めての国連決議であります。しかも、これは海のPKOともいうべきものを創設してほしいというような内容を持ったものでもあるわけです。実は、我が国もこの二つの国連決議、共同提案国になっていますね。

 中曽根外務大臣にお伺いしたいんですが、この安保理決議の共同提案国として、この決議の履行のために我が国が何か特別な行動を起こしたんでしょうか、お伺いしたいと思います。

中曽根国務大臣 先ほど委員がそのパネルでお示しくださいましたように、ソマリア沖におきましては海賊、武装強盗行為が頻発していることを受けまして、これもお話ありましたけれども、安保理決議第一八一六号及び決議第一八三八号が全会一致で採択されたわけでございます。

 我が国といたしましても、自国の海上輸送への脅威となっておりますこの海賊問題への対策の重要性を深く認識しておりまして、これらの決議の共同提案国に加わりました。委員がお話しのとおりです。

 これまでも、沿岸国の海上取り締まり能力の強化と人材育成等への協力を通じまして海賊対策に取り組んできたところでございますが、さらに政府は、海賊に対する取り締まりのための法制度上の枠組みについて今所要の検討を進めていきたいと思っております。

 政府といたしましては、今回の安保理決議の採択を踏まえまして、引き続き海賊対策に積極的に取り組んでまいります。

 以上でございます。

長島(昭)委員 これだけの被害が出て、そしてこれだけ日本の船舶関係者は困っておられる。まさに日本の大動脈が脅かされている。今、中曽根外務大臣がおっしゃった、沿岸国の能力強化あるいは法制の整備、それも重要でしょう。しかし、もっと我が国としてやるべきことがあるんじゃないでしょうか。

 中曽根外務大臣に重ねてお伺いいたしますけれども、この決議を受けて、EUやNATOといったヨーロッパ諸国は、ソマリア沖、アデン湾において、この海賊の脅威に対してどのような行動を今とりつつあるか、御説明いただけますでしょうか。

谷崎政府参考人 お答え申し上げます。

 ソマリア沖の海賊対策に関する御質問でございますけれども、まず、EUの取り組みでございますが、九月の十五日に理事会決定を行っております。この理事会決定の中で、既にこの地域において活動しているEU加盟国の数カ国が監視、護衛活動を行ってきておりますが、これらに対してEUは支援するということで、各国の活動の調整及びEUとしての海上軍事作戦の実施に向けた準備を開始するという決定を行っております。

 具体的には、十月の十四日にソラナ代表は言っておりますが、十二月に海上軍事作戦を立ち上げるべく作戦計画の立案を行う旨、説明しております。

 次に、NATOでございますけれども、NATOにつきましては、十月の上旬に国防相会合というところで決定を行っております。ここで、国連事務総長の要請にこたえるという形で、ソマリア向け支援物資の輸送のため、WFP契約船舶の護衛及び海賊行為抑止のため、ソマリア周辺海域の哨戒を実施すると決定したというふうに承知しております。

    〔委員長退席、新藤委員長代理着席〕

長島(昭)委員 今るる御説明いただいたように、スペインとフランスが中心になって、ソマリア沖の船舶の護衛のための協調行動をもう既にとり始めております。ロシア、インド、マレーシアも艦艇を派遣する用意がある。韓国も派遣の予定がある、そういう情報もございます。

 まさに、先ほど海のPKOと言ったらOPKだというやじが飛びましたけれども、オーシャン・ピース・キーピング、まさに海洋のシーレーンの安全確保のために、もちろんアフガニスタンのテロとの闘いも重要ですけれども、私どもの経済、まさにその生命線を握っているこの海域について各国が今続々と協力の腰を上げている、そういう状況であります。

 浜田防衛大臣にお伺いしたいんですけれども、これら一連の国連決議を受けて、あるいはEUやNATO諸国の具体的な行動を受けて、先ほど海上警備行動の話もありましたけれども、我が国として何か具体的な行動に移す、そういう準備、可能性は考えておられますか。

浜田国務大臣 お答えいたします。

 我々とすれば、現在、ソマリア沖の海域における海賊対策の部隊を派遣する等は検討はしておりませんが、しかしながら、我々は、総合海洋政策本部という関係閣僚から成る法制チームを設置しまして、海賊に対する取り締まりのための法制度上の枠組みについて検討を進めているところでありまして、この法制チームの検討結果を受けてまた考えていきたいというふうに思っているところでございます。

長島(昭)委員 今、取り締まりというお話をされました。取り締まりというのは司法警察の権限に入り込んでいくものですから、法制的にはなかなかこれは難しいんですよ。新しい法律が必要なんです。しかし、やれることはまだあるはずなんですね。

 私は、去年のまさにこの委員会での質疑の中で、何で補給活動なんだ、なぜ日本は海上阻止活動の正面に立てないんだ、やれることがあるんじゃないかと。例えば警戒監視です。海上自衛隊には、P3Cという哨戒機が八十機以上もあるんですね。ある軍事専門家に言わせると、余っている。こういうアセットをこの地域に持っていけばかなり有用じゃないんでしょうか。例えばドイツは、もう既にジブチにある米軍の基地を拠点にP3Cの哨戒機の運用を始めました。

 浜田防衛大臣、まさに我が国の生命線を握るこの海域が海賊の脅威にさらされている、そういう事態にあって、国防の責任者として、少なくともこういった活動は現行法のもとで私は十分できると思うんですが、いかがでしょうか。

浜田国務大臣 我々とすれば、あらゆる可能性を考えながら今まで対応してきたところもあるわけで、当然その警戒監視というものに対してもいろいろな形で検討の材料にはしてまいりましたけれども、今の現状からいえば、大変おしかりを受けるかもしれませんが、目の前にある法律をしっかりとやって、そしてインド洋の活動というものをやらせていただいて、その後にまたそういったことも可能性を考えていきたい。お考えはよくわかりますけれども、そういう状況であります。

長島(昭)委員 失礼ながら、国防を預かる、我が国の国民の生命財産を預かる大臣の御答弁として、私は甚だ不満であります。

 先ほど私、わざわざ申し上げました、去年の十月に我が国の、日本関係船舶が乗っ取られ、あるいは「高山」という大型タンカーが被弾し、そしてさらに拉致をされている。日本の海運会社が管理するパナマ船籍の、これもタンカーですね、乗組員が拉致をされている。こういう状況があるにもかかわらず、これから法律をつくって頑張りますみたいな話ですよね。総理、こんな悠長なことで本当にいいんですか。

 もう一度総理の御認識をお伺いしたいんですけれども、シーレーンの安全確保というのは、日本経済にとって死活的に重要なことですね。同時に、国民の生命と財産に直結する、まさにバイタルインタレスト、死活的な国益ですね。日本国政府として実効的な対策を打ち出さなければならない、そういう時期に、先ほど見ていただきました、これだけ多くの海賊事案があって、我が国の関係者も皆その犠牲になっている、そういう状況を見て、総理、どうお考えでしょうか。

麻生内閣総理大臣 先ほど私の知っている知識の範囲で申し上げましたけれども、このソマリア沖、いわゆるインド洋の西側のところなんですが、ここにおいて海賊行為が頻発しておるというのは、このところずっと顕著だと思っております。これは日本だけがそういう被害に遭っているのではなくて、他国も同様ということになっております。

 したがいまして、日本として、政府として収集いたしました情報などなどを集めて、安全確保に関する調整を既に実施しているところではあるんですが、その地域においては、いわゆるレーダーが不足しておるとか電気がないとかいろいろあるんですね、御存じのとおりに。

 そういったことで、これまで人材育成などなど、いろいろ協力は行ってきているんですが、さらにこれは頻発しておりゃせぬかなという感じが、去年からことしにかけてそんな意識がありましたので、これは法制上どういった問題があるのかというのを含めまして検討させていただければと思っております。

 今、民主党の方もこの種のことに御理解があるということに関しましては、我々としては大変心強いところでもありまして、ぜひこの問題につきましてきちんとした、日本の国益に沿っておる話でもあろうと思っております。

長島(昭)委員 私は、行け行けゴーゴーの話をしようと思っているわけじゃないんです。本当に深刻な問題だというのが一つ。それから、ヨーロッパはもう既に行動を起こしておりますので、いつまで我々が具体的な、実効的な手だてを講じないままでいられるかというのを非常に心配しているんです。つまり、ただ乗り、君たちはただ乗りしているんじゃないか、こういう話になりはしないかということが非常に気がかりなものですから、少しお話をさせていただいたんです。

 ちょっと基本的な問題を整理させていただきたいと思います。

 海上の秩序維持というのは一義的には海上保安庁の管轄ですね。しかし、海上保安庁だけでは対処が不可能あるいは著しく困難な場合には、海上警備行動を発令して海上自衛隊が任に当たる、一応こういう日本の法の組み立てになっています。

 きょうは海上保安庁長官もお見えだと思いますが、このソマリア沖、アデン湾の海賊脅威の拡大に対して、海上保安庁として、海上輸送の安全を確保するために何ができると考えておられますか。

岩崎政府参考人 ソマリア沖の海賊でございますけれども、まず、海上保安庁の巡視船を派遣するということがどうかという検討をしております。検討しておるところでございますけれども、やはり日本から相当遠距離にあること、それから、先生も御指摘のとおり、海賊が所持する武器はロケットランチャー等の重火器を持っていること、それから、有志連合軍の軍艦等が現に今海賊に、事件の対応を行っているというようなことを総合的に勘案しますと、海上保安庁の私どもの現状の船艇勢力あるいは能力では巡視船を派遣することは大変難しい問題だ、このように思っております。

長島(昭)委員 今、海上保安庁ではこれはなかなか難しいという御答弁だというふうに思いますが、また防衛大臣に返ってまいりまして、海上警備行動の発令を仮に考えた場合、基本的にはEEZとか日本周辺海域を念頭に置いているんだろうというふうに思うんですが、海上警備行動に地理的な制約はあるんでしょうか。

浜田国務大臣 海上警備行動にかかわる地理的範囲につきましては、その任務を達成するために必要な限度において公海に及ぶというふうに考えます。

長島(昭)委員 海上警備の必要の限度において公海に及ぶと。

 それでは、ソマリア沖、アデン湾のように日本関係の船舶が実際に海賊に襲われている事例が頻発をしている場合、当該海域を危険な海域と認定し、海上警備行動を発令することは可能でしょうか。

浜田国務大臣 法解釈として、海上警備行動の地理的範囲は、任務を達成するために必要な限度、公海に及ぶものでありますので、ソマリア沖の海域が必ずしも排除されているものではないと考えます。

長島(昭)委員 だんだんわかりやすくなってきたというふうに思います。

 さっきドンパチがあるという話がちょっとありましたけれども、最大のポイントは、海賊襲撃の抑止なんですね。つまり、さっき私がちょっと言いました司法警察、取り締まりとか、捕まえてしょっぴいて刑に服させるとか、こういう話はもちろん最終的には重要な話なんですけれども、私たちが今緊急にやらなきゃならないことは、タンカーなり商船なりが海賊に襲撃されないようにエスコートすることなんです。その抑止をすることなんです。

 ですから、私は今、浜田防衛大臣がおっしゃったように、海上警備行動を発令し、海上自衛隊の護衛艦によってエスコートをする、このことによって相当程度抑止効果を発揮するものというふうに考えています。それは根拠のないことじゃないんです。実は、タンカー「高山」が襲撃されたときに、近くにドイツのフリゲート艦がいた。そのフリゲート艦がわあっと来ただけで海賊は驚いて逃げているんですね。さっき、軍艦に撃ってくることはないというふうに総理はおっしゃいましたけれども。

 あるいは、これは外務省に事実関係を伺いたいんですが、ソマリアに人道支援のための物資を運んでいる、これはワールド・フード・プログラム、世界食糧機構というんでしょうか、そこの艦船をオランダやカナダの海軍がエスコートするようになったんです。そのことによってどういう効果があったか。私の知っている情報では、昨年の十一月、エスコートが始まって以来、ソマリアに物資を運んでいるWFPの船は襲撃を受けていないという事実があると伺っておりますが、いかがでしょうか。

杉山政府参考人 ただいま御指摘のとおり、私どもが承知しているところで、昨年十一月以降、フランス、デンマーク、オランダが順番に、このWFP、国連世界食糧計画の船舶の洋上護衛を行っている、そして本年八月からはカナダがこの洋上護衛を担当している。去る九月二十五日にWFP、世界食糧計画が発表したプレスリリース、対外的な新聞発表の文書によれば、この間、WFPの船舶に対する襲撃事件は起こっていない、WFPとしてはこのようないわゆるエスコートに対して大変感謝しているということが発表されていると承知しております。

長島(昭)委員 そういうことなんですね。ですから、自衛隊の艦艇によるエスコートというのはかなり効果があるというふうに私は思います。これは、武力行使を目的とした派遣ではないですね。行って一緒に随伴するだけで海賊に対する抑止効果がある、こういうことでありますから、私は、実は現行法上の範囲内でもすぐにでもやれる行為ではないかというふうに思うんです。

 総理、もう時間がないので、総理の御決意を伺いたいんです。

 国連決議もある。国連決議がありますと私ども民主党では大体大丈夫なんです。国連決議もある、それからヨーロッパ諸国も本気で取り組んでいる。いつまでもただ乗りのそしりを受けるわけにはいきませんね。

 それからいきますと、その話、油の供給。これは皆さんのお手元にもお配りしたポンチ絵がありますのでぜひ見ていただきたいんですが、今、とにかく、このソマリア沖、アデン湾、海上ルートの大動脈、これが危険にさらされている。そして、日本関係の船舶の安全の確保が火急の課題である。皆さんが先ほどからやじの中でおっしゃっている燃料の無償提供は、皆さん向かって右側の丸であります。これは、間接的な協力ですね、貢献ということになるわけです。それから、皆さん向かって左側、先ほど中曽根外務大臣からお話がありました沿岸国の能力強化。そして、私が今るる申し上げていたのは、ど真ん中の下ですね、直接、自衛隊の艦隊によるエスコート。

 私は昨年、海洋基本法を超党派でつくらせていただきました。たしか、総合海洋政策本部の本部長は麻生総理大臣だというふうに認識をしております。

 総理、ここまで議論を聞いておられて、そして、最後に一つ紹介をさせていただきたいのは、社団法人日本船主協会の会長が国土交通大臣あてに出した要望書であります。「アデン湾における海賊事件への対応の強化について」、これは私持っておりますので、ぜひ。

 ここにこう書かれています。「二〇〇八年一月から九月の間だけでも七十九隻の船舶がこの海域で被害に遭っております。」「海賊が船舶を乗っ取り、乗組員を人質として身代金を要求するという事件が二十二件も含まれており、日本の企業が関係する船は七隻が襲撃されており、うち二隻の船舶が乗っ取られ、乗組員が拉致されました。」一番最後、「日本関係船の安全確保のため、国際条約を踏まえたわが国法制度の整備や関係各国との連携を含め、海賊行為を防止するより効果的かつ具体的な対策を図っていただきたく、何卒お願い申し上げます。」三枚目、見ていただきたいんですが、「有志連合軍等の活動強化について国連を通じて働きかけ、日本としてもこれに貢献すること」、このように日本船主協会からも要望が出ております。

 ぜひこのことを踏まえて総理には御決断をいただきたいんですが、最後に一言お願いいたします。

    〔新藤委員長代理退席、委員長着席〕

麻生内閣総理大臣 長島先生御記憶だと思いますけれども、昨年の八月に幹事長になって、すぐ首になりましたけれども、あれで一回、ことしの九月になりましたときにもう一回、この種の話はぜひ与野党間で政党間協議をということをずっと申し上げてきておりましたので、こういった御提案をいただけるというのは私は物すごくいいことだと正直思っております。検討させていただきます。

 もう一点。ただ、御存じかと思いますが、船主協会の方はこの補給には賛成しておるという事実も、給油法に関しては賛成しておるということもちょっと忘れないでいただきたいので、これは両方とも大事なところなので、これも将来関係してきますので、ぜひ検討させていただければと思っています。

 ありがとうございました。

長島(昭)委員 引き続き本質的な議論を続けていきたいと思います。

 ありがとうございました。

深谷委員長 これにて渡辺君、川内君、平岡君、長島君の質疑は終了いたしました。

 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 政府は、二〇〇一年の九・一一テロに対してアメリカが始めたアフガン報復戦争を支援してまいりました。海上自衛隊をインド洋に派遣し、米軍など多国籍軍に対する給油活動を七年間行ってきたわけですが、さらにこの活動をあと一年延長しようとしております。

 今の法律は、昨年、ちょうど一年前の国会で大問題になりました。昨年七月の参議院選挙の審判を受けて、安倍内閣は政権を投げ出し、テロ法は期限切れになり、インド洋から自衛隊は撤収いたしました。ところが、福田内閣は、あくまで自衛隊派遣に固執して、参議院で否決された法案を衆議院の三分の二の多数で再可決を行う、押し通したわけであります。それが今の現行法です。

 それを一年間延長するという極めて重大な法案を、今回、与党と民主党が合意して、本会議の質疑を省略し、この特別委員会の質疑もたった二日、週明け月曜日には採決を行うことまで既に決められております。私は、これはとんでもない話だと思うんですよ。解散をめぐる政局の駆け引きで、憲法九条にかかわる重大な法案の審議をないがしろにする、こういうことは断じて許されない、改めてこの場で委員長に徹底審議を求めたい、このように述べておきたいと思います。

 それで、今のアフガンの現状をどう見るかについて、まず外務大臣に伺います。

 アフガンの治安情勢は最悪だと言われております。国連事務総長がことし九月に、国連安保理に対し、アフガン情勢に関する報告を行いました。治安情勢についてどのように報告しているのですか。

中曽根国務大臣 委員がおっしゃいましたように、アフガンの治安情勢は大変不安定の度合いを強めております。今後の見通しは予断を許さない状況にあるのは御案内のとおりでございます。特に、パキスタンと国境を接する南部それから南東部、東部の治安は懸念すべき状況にあると認識をいたしております。

赤嶺委員 今外務大臣の答弁にもありましたが、事件は著しく増加し、治安情勢は著しく悪化しているということだろうと国連の安保理に報告しているんです。

 もう一点、外務大臣にお聞きしますが、こうした治安情勢の悪化のもとで、二〇〇一年以降、民間人あるいは多国籍軍に一体どれだけの犠牲が出ているのか、どのように把握しておりますか。

中曽根国務大臣 数値的なことでありますが、私からお答えいたしたいと思います。

 アフガニスタンにおきます民間人の死傷者数につきましては、アフガニスタン政府等から発表された公式な統計は承知をいたしておりません。ただ、民間団体の発表によりますと、テロ事案による死者数は、二〇〇二年が七十九人、二〇〇三年が百三十三人、二〇〇四年が二百三十人、二〇〇五年が二百八十八人、二〇〇六年が七百五十五人。また、国連によりますと、自爆テロの被害者等を含む民間人の死者数は、二〇〇七年、約千五百人、二〇〇八年の一月から八月の間が千四百四十五人となっております。

 アフガニスタンで活動する各国軍隊の死者数につきましては、OEF、ISAF等から発表された公式な統計は承知しておりませんが、例えば民間団体の統計によりますと、二〇〇一年が十二人、二〇〇二年が六十九人、二〇〇三年が五十七人、二〇〇四年が五十八人、二〇〇五年が百三十人、二〇〇六年、百九十一人、二〇〇七年、二百三十二人、二〇〇八年、二百四十二人となっております。

赤嶺委員 多国籍軍も被害がふえ、それで、国連報告によると、民間人の死傷者というのはことしの一月から八月までの間に約四割近く増大していると。さっき自爆テロの話がありましたけれども、アフガニスタンはもともと自爆テロという行為はありませんでした。このアフガニスタン戦争の中で起こってきていることであります。

 この治安の悪化の情勢、外務大臣からも述べられたわけですが、年々悪化してきている、今まさに最悪の状況になってきている、総理はそういう認識はありますか。

麻生内閣総理大臣 アフガニスタンの情勢というものは、イラクの方が落ちついてきた割に対して、逆にアフガニスタンの方は激化しておる、そういう認識を持っております。

赤嶺委員 問題は、なぜそういう最悪の事態に至ったのかということであります。

 この七年間、アメリカは、テロとの闘い、きょうも朝からテロとの闘いという言葉がたくさん発せられました。テロとの闘いと称してアルカイダとタリバンに対する掃討作戦を展開してきました。そのために空爆を繰り返してきました。その米軍を自衛隊は給油支援してきたわけであります。

 そのもとで、何の罪もない人々が空爆の巻き添えになって犠牲になっている、こういうことが日常的に起こり、そしてそれが新たな憎しみと暴力を生んできた。それに対し、多国籍軍が部隊を増派し、それが犠牲を一層拡大する。こういう悪循環に陥っていることがどこでも指摘をされております。

 総理に伺いますが、米軍による空爆や掃討作戦が最悪の事態を招いているという認識はありますか。

麻生内閣総理大臣 何となく米軍だけが悪いかのような話に今聞こえる御発言がずっと続いているように思いますが、もともとこれは、二〇〇一年九月の十一日にテロリストによって約三千人近い方を殺されたのがアメリカ、これがそもそもテロとの闘いの始まりだったと記憶をいたしております。そのうち日本人も二十四人含まれていたというのも事実だと思っております。もともとこれからスタートした話だったと、私はそのように理解をいたしております。

 したがいまして、今アフガニスタンにおいて情勢が激化しておるという情勢の中について、これがどうして激化したのかといって、いきなり外国の軍隊がいなくなったら直ちにすべてが終わるのかといった場合、再びアルカイダ等々が出てこないという保証はないんだというのが世界じゅうの多くの世論なんだ、あそこに軍隊を送っている国々の多くの理解なんだと、私はそう思っております。

 しかし今、現状、外務大臣からもお話がありましたように、社会インフラ基盤は弱い、また、いわゆる麻薬の問題など、あそこにおけますいわゆる貧困、世界の麻薬の約七割があそこでつくられているという話もあるぐらいですから、そういった意味では、いまだに復興は道半ばなんだと思っております。

 いずれにしても、このテロの温床となっております貧困問題含めて、いろいろな問題がここにあることは事実でありますので、そういった問題などを考えますと、今アフガニスタン政府としていろいろ包括的な仕組みに取り組んでおられる。

 ただ、今どれぐらいのところがコントロールされているかといえば、パキスタンと国境を接しております南東部また南部、そういうところでは極めて治安が悪くなってきているのが現実というのを踏まえた上でどうするかという話だと思っております。

赤嶺委員 治安は、去年のこの法律を審議するときも最悪だと言われました。年々悪化し、去年よりもことしがさらに悪くなっている。そこの一番かなめになる問題が、やはりアフガニスタンにおける米軍の行為だと。これは私だけが言っているんじゃないんです。カルザイ大統領は、連合軍による一方的な作戦を強く非難する、こういう声明を出しました。

 この七月にも痛ましい事件が起きております。アフガン東部のナンガルハル州で米軍ヘリが結婚式会場を空爆し、新婦や女性、子供を含む二十三人が死亡した。アフガニスタンで活動するNGO、日本国際ボランティアセンターの現地人スタッフも、結婚式の帰りに空爆に遭っているわけですね。これは誤爆などというものじゃないですよ、結婚式場を攻撃するなんということ。

 私たちは、ニューヨークのテロの問題が起きたときから、テロをなくするためには、国際社会が協力、団結し、そして警察力を使って犯人を逮捕し法の裁きにかける、厳重な処罰をする、そういう方向を国際社会に提案してまいりました。

 戦争でテロがなくなったどころか、逆に悪化している、こういうのを誤爆などという言い方では許されないと思います。軍事的な対応がまさに事態を悪化させているというぐあいに私たちは思います。

 それで、一年前、アフガニスタンのカルザイ大統領自身が空爆の中止を求め、テロリストではないタリバンとの政治的和解を模索し始めました。私たちは当時この委員会で、こういう和解の動きを後押しする外交、こういう努力に切りかえるべきである、アメリカの報復戦争支援はやめるべきだ、このように主張いたしました。その後、そうした政治的和解の動きは一層強まっていると思います。

 外務大臣、カルザイ大統領がタリバンの最高指導者オマル師に対話を呼びかけ、あるいはこの九月に、ハリリ副大統領が、アフガン政府が手紙などを通じた和解交渉を開始した、このように御本人が述べておられます。九月末にはサウジアラビアのアブドラ国王が主宰して和解交渉が行われたという報道もありました。こうした動きを把握しておられますか。

中曽根国務大臣 アフガニスタン政府は、かねてから国内和平を推進する決意を表明してきておるわけでありますし、一方、タリバン指導部は、アフガニスタン政府と交渉しているとの報道を、先ほどもお話がありましたけれども、否定するなど、非常に複雑な情勢があるわけであります。

 我が国は、アフガニスタンに政治的安定をもたらすものとして和解の進展に期待をしているところですが、今、同国政府の主体的な和解努力の動向を注視しつつあるところであります。

 カルザイ大統領は米国等がアフガニスタンの領域内で実施している活動に対しまして一般市民に被害が及ばないよう要請したことを委員も御承知のことと思いますけれども、アフガニスタンと関係国の間で被害を回避するための方策について議論が行われております。

 こうしたカルザイ大統領の要請は、米国等に対して、アフガニスタンにおける治安の維持や回復活動そのものを中止するよう求めているものとは理解をしておりませんが、先ほど申し上げましたように、一般市民の被害を最小限にとどめる、そういうことを努力することは非常に重要なことだと思っております。

赤嶺委員 外務大臣、質問を取り違えないでください。カルザイ大統領がアメリカに何を求めたかという話じゃないんです。カルザイ大統領がそういう政治的和平交渉に移りつつある、副大統領もそのように述べている、そういうようなことは掌握していますかということを聞いているんです。

中曽根国務大臣 先ほど申し上げたと思うんですが、掌握をしております。

赤嶺委員 政治的な和解交渉、これは現実に進んでいるわけですね。

 国連のアフガニスタンの特別代表のエイデ氏は、我々が軍事的に勝利できないことはだれもがわかっている、政治的な手段で勝利しなければならない、このように述べて、今必要なことは軍の増派ではなく政治の増派だと述べているわけです。政治の増派、すなわち、政治交渉を強める方向への切りかえが必要だと思っています。実は、私もアフガニスタン・カブールのこの国連特別代表の事務所に調査に伺ったことがあります。アフガン現地で国連活動をしている特別代表のこういう発言、非常に重いと思います。

 ところが、こういう変化が起こっている中で、今、一年前と全く同じ法案ですよ、出してきたのは。アメリカのインド洋における軍隊の活動の給油支援、これをやろうと。

 こういう国際社会の変化について総理はどのように検討されて今の法案になったんですか。

麻生内閣総理大臣 意図的に言っておられるのはわからぬわけじゃありませんけれども、給油している相手はアメリカだけではありません。まず、きちっとそこだけはっきりさせておきたいと存じます。多くの、この地域に艦船を送っておられる方々に同様に給油をしているという現実をまずきっちり見据えた上で、我々としては、それらの国々からの要請に基づいて今この給油活動を続けております。

 さらに、艦船によります護衛等々の方法があるのではないかと、民主党からの御提案も先ほどあったところでもあります。検討させていただきたいと思います。こういった話ができるのはすばらしいことだと思いますから。

 そういった意味では、ぜひ、今の話というものは、和平が、今までは向こうは聞く耳持たないみたいな感じだった一年前と違って、今そのような感じが出てきたというのはいい兆しだ、私はそう思って、基本的には歓迎をしたいと思っております。

赤嶺委員 和平への取り組みが始まっている、これは歓迎だと。ですから、インド洋における給油活動が、そういう和平への取り組みと無関係に、一年前と同じようにして出されている、国際情勢の変化を見ていない、私はそのように考えるわけです。

 実は、総理は外務大臣をしておられましたし、ランド研究所についてはよくよく御存じだろうと思います。このランド研究所が、最近、報告書を七月二十九日に出しているんです。これは、アメリカの国防当局にも大きな政策的影響力を持つ研究所ですよね。彼らが、七年間のアフガニスタンでのアメリカのテロとの戦争というものを総括しているんですよ。

 見たら、こういうのがあります。軍事作戦で解体されたテロ組織について、一九六八年から二〇〇六年までの間のものを調べてみたと。そうすると、軍事作戦で解体されたテロ組織はわずか七%、こう言っているんですね。それから、警察の取り締まり四〇%、政治的解決四三%。テロ勢力の勝利、これは一〇%ありますが。

 ランド報告は、これを通じて、もうテロとの戦争という言い方をやめようじゃないか、こう言っているんですよ。戦争でテロは解決しない、こう言っているんです。この戦略の主要な部分は、対テロ戦争という概念を終わらせ、深刻なテロの脅威という問題を抱えるほとんどの国の政府が使用しているテロ対策といった考え方に置きかえることを盛り込まなければいけない、ほかの政府とともに英国政府は既にこのことを実行し、対テロ戦争という言い方を捨てた、このように言っているんですね。

 やはり、テロは戦争では解決できない、和平の交渉、今総理が歓迎されたその和平交渉を一層後押ししていく立場に日本が立つ、そういうことが大事だと思いますが、いかがですか。

麻生内閣総理大臣 既にこの種の話は、パレスチナ・ジェリコというところで既にこのような形のものを日本としては実行いたして一年少々が経過をしております。イスラエル、パレスチナの新聞では大きく載っておりましたけれども、日本の新聞に載ったことはありません。

 その中で、私は、今いろいろなお話がありましたけれども、イギリス政府やら国連のアフガニスタンの支援団も、今のお話のとおりなんですが、国際部隊による軍事作戦の重要性についても、これを否定するような立場をとっていないという前提に立った上で今話をし、聞いていただかないといかぬところだと思っております。

 このような、戦いというような、いわゆる戦闘行為だけで事が進まないというのははっきりしておるというのは御存じのとおりです。他方、テロの暴力によって一〇%、逆にひっくり返ったという例もあるという事実も我々は記憶にとどめておかねばならぬ。その上で、話し合いとか和平交渉とか、いろいろな形での交渉というものが進展するというのは望ましいことだと存じます。

赤嶺委員 歴史の経験は何を教えているかはっきりしていると思うんですよ。戦争でテロはなくせない。政治的な和解、平和交渉によってテロを解決していく、追い詰めていく。

 朝の議論の中にもありましたが、ペシャワール会の伊藤さん、大変不幸な事件でした。私、胸が詰まるような思いであのニュースを見ていました。強盗そして誘拐、ペシャワール会の出した声明を見ますと、物取り、強盗に遭ってしまった、事故だった、このように言っているわけです。

 彼らは、武装したからといってアフガニスタンで人道復興支援活動が続けられるわけじゃない、アフガニスタンのその村の人たち、部族の人たちの信頼をかち得てこそ人道復興支援活動をやるんだと。だから、ペシャワール会がかんがい事業をした地域、ここには難民が戻ってくるらしいですね、農業ができるということで。やはり、日本人がそういう活動をアフガニスタンで武器も持たないでやっている。そして、伊藤さんのこの仕事はこれからもアフガニスタンの人たちに望まれているし、続けていきたいということを言っております。こういうあるべき姿もペシャワール会が見せていることに私は本当に敬意の念を表したいと思います。

 それで、次に、戦費負担の問題について移ります。この戦費負担ですが、先ほどの外務大臣の答弁もありました、アメリカを含む国際社会の国々から日本に対して、アフガニスタンへの支援を強化してほしいという期待が存在することは事実であると。

 外務大臣、どういう意見交換がアメリカとの間にあったんですか。これだけの期待を生々しく発表しているわけですから、その中身を明らかにしていただけますか。

中曽根国務大臣 日米間では常日ごろから緊密な意見交換を行っているわけでありますが、米国は、我が国がいかにして実質的な支援を行うか、そういうようなことにつきましては、先ほどからもお話ありますように、我が国自身が決定する問題であるとの立場を一貫してとっております。

 いずれにいたしましても、米国を含む国際社会の国々から日本に対しまして、アフガニスタンへの支援を強化してほしいという期待は存在をしておるわけでございまして、我が国といたしましては、治安・テロ対策及び人道復興支援を車の両輪として、引き続いて、できる限りの支援を行っていきたいということでございます。

 お話の詳しい内容については申し上げることができません。

赤嶺委員 報道によると、アメリカ政府からアフガニスタンの戦費貢献について日本側に、五年間で最大二百億ドル、二兆円もの分担を求めてきている、このように報じられているわけです。

 ODAの支援のお金とは違うんですね。ODAの支援のお金はこの前パリ会議で決めたばかりですから、それ以外にその支援のお金を求められてきている。その中身は明らかにすべきじゃないですか。

麻生内閣総理大臣 今のは二つ一緒になっておると思うんですが、先ほど申し上げましたように、ODAというものに関して言わせていただければ、パリ会議の話もされましたので、ODAで言わせていただければ、これは、ODAによる、軍というものに対する直接の資金供与は行わない方針というのは重ねて申し上げたところであります。これはもうずっと申し上げております。先ほどもちょっと申し上げましたけれども。

 ただ、問題は、では非ODAというのもないのかと言われれば、これは、沖縄のいわゆる駐留米軍経費負担等々を含めまして、軍に対しては非ODAでやっておるというのはもう御存じのとおりです。

 ただ、今アメリカが、今二百億と言われましたが、二百億ドル等々は、日本に対して直接な支援を求めてきたということはございません。

赤嶺委員 総理、あれですか、沖縄の米軍基地強化に国民の思いやり予算を注ぎ込んでいる、それと同じように、米側がアフガニスタンに非ODAの支援策、お金をよこせと言うなら、それは検討の余地があるということですか。検討の余地ない、きっぱり断るということですか。

麻生内閣総理大臣 ちょっと、全然勘違いしておられると思うんですが、先ほど聞かれましたので、ODAの話で、非ODA、ODAと二つ分けないと、一緒になると話が込み入りますので分けて考えてくださいという前提で、赤嶺先生、申し上げておるのであります。

 その上で、アメリカが日本に対して、どのような形で、我々を支援するということに関してああしてくれ、こうしてくれということを言ってきたことはない。これは基本的に、アメリカは、日本が自主的に決めるべきことであるという点に関しましてはずっと一貫して同じことしか言ってきておりません。

赤嶺委員 総理は前段に、非ODAという軍事支援のあり方は実際に沖縄でやっているでしょうという発言をなさることは、やってやれないことはないでしょうと国民には聞こえるわけですよ。

 何で、私たちの税金を使って沖縄で米軍基地を強化して、そして訓練で県民が苦しめられなければいけないんですか。その思いやり予算が毎年二千六百億円ですよ、SACOも合わせると。今問題になっている後期高齢者医療制度、社会保障の予算を毎年二千二百億円削って、アメリカには思いやり予算、それで米軍再編で三兆円、今度はアフガニスタンへのお金の出し方もあるよというような雰囲気で答弁なさる。

 私は、こういう姿勢は絶対に認めるわけにはいかないということを強く申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

深谷委員長 これにて赤嶺君の質疑は終了いたしました。

 次に、阿部知子さん。

阿部(知)委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 本日の審議に先立ちまして、きょうと、そして月曜の二日間で、この重大な局面にある世界の平和の問題、あるいは、金融危機の問題で昨年とは全く様相を異にした状況のもとでも、なお二日間で審議に結論を得ようとするこの委員会の持たれ方に、私は強く異議を申し立てたいと思います。

 まず、麻生総理、お願いいたします。

 今アメリカでは、御承知おきのように、サブプライムローン関連で約一兆ドル、百兆円の公的資金がかかるのではないか。もうちょっとかかるかもしれません。そして、イラク戦争に関連する戦費で一兆ドル、百兆円。この二つがアメリカ経済を非常に苦しい重荷にしておるということが指摘されております。同時にそれは、アメリカは世界の基軸通貨であるドルを主にハンドルしておるわけですし、いろいろな意味で影響が大きいです。私は、本日の審議は、やはりこれまでの戦争中心、武力中心から、ヨーロッパの国々だとて、戦費という形よりは平和の構築に向けるお金の方が本当に重要だし、本当の意味で支出も少ないと思っておられると思うんです。

 そういう中で、この一年間、最も変わったことというので、先ほど長島委員にお答えでしたが、総理のお答えの中にパキスタン情勢というものが余り強く言及されませんでしたが、実はパキスタンは核保有国であり、昨年と最も変わったということは、ムシャラフ大統領が退陣されて、そして今政情不安があるということであります。

 このパキスタンという、アフガニスタンと最も近接する地域の不安定状況も含めて、やはり一刻も早い和平会議を、何らかの日本の手によって世界に働きかけるべきでないか。機は熟していると思います。カルザイ大統領のそうした見解、ハリリ副大統領の見解もございます。いかがでしょうか。(麻生内閣総理大臣「パキスタンの情勢」と呼ぶ)

 世界に向けて、やはり日本がリーダーシップをとって、パキスタンの情勢が不安定ですから、加えてやはりアフガニスタン、パキスタン、この情勢の安定を図るような、周辺諸国も含めたテーブルの設定をきちんとすべきではないかという御質問です。

麻生内閣総理大臣 パキスタンの政情不安定というのは、阿部先生、アフガニスタン情勢に与える影響は極めて大きい。私も何回も行ったことがありますけれども、これは今、政情不安というような表現が正しいのかどうか、ちょっと、極めて厳しい状況にあると思っております。

 ここが厳しい情勢になると、いわゆる西部というか、その真西にアフガニスタンという国が存在しているわけで、これは行かれたことがあると思いますのでおわかりと思いますが、国境はないみたいなもので、すぐ、港区から隣の千代田区に移るみたいな感じで、もう全く人は、そこなんかどんどん、同じ部族でパシュトゥン語を使いますので、普通に移動しておる。ちょっと、こっち側にいればパキスタン人で、向こうに行ったらすぐアフガニスタン人ということになるでしょうけれども、多分、ずっとどんどん移動していますので。

 極めて、ここらのところは、パキスタンがきちっとした対応をしない限りは、アフガニスタンからのいろいろな問題がずっとパキスタン経由で外に出ていくとかいうようなことになる。これは、アフガニスタンの外務大臣ならもう、みんな、我々に言ってくるのはこの点であります。パキスタン側もそれに対して一生懸命やっておると言うんですけれども、パキスタンは海に面しておりまして、そこから外にということになるので、ここが、パキスタンの安定というのは物すごく大きいという、これはなかなか言われませんけれども、阿部先生がそういう意識を持っておられるのは我々としては大変心強いところで、これは物すごく大事なところなんだ。

 この中で、イラン、アフガニスタン、パキスタンで国境を接しているんですけれども、このパキスタンのところが一番大きい問題だ、私自身はそう認識をいたしております。

阿部(知)委員 言われるところのタリバン勢力もこのアフガニスタンとパキスタンの国境沿いの地域で一番活動しているわけですから、ぜひ、それだけ御認識があられる総理であれば、先ほど、タリバンに話しても言うことを聞かないんだからというお話でしたが、そうではなくて、そのための和平合意のプロセスを、そもそもボン合意というのはタリバンを排除したものでありました、やはり、当事者、間違いなく今当事者になっています、排除しては和平のプロセスは進まないということで御尽力をいただきたいと思います。

 引き続いて、外務大臣にお願いいたします。

 きょうお手元に配らせていただきましたのは、アフガニスタンにおける空爆の状況であります。これは、アメリカの人権団体、ヒューマン・ライツ・ウオッチというところから、私が翻訳をいたしまして載せさせていただきました。

 上段には、二〇〇六年、七年、八年と、空爆が、いわば陸上での軍展開に伴って、それを支援するために、陸の軍事活動と空からの支援活動という形でどんどん拡大している回数が書いてございます。特に二〇〇六年、ISAFが掃討作戦メドゥーサというのを開始いたしましてからは、このメドゥーサをいわば空から支援するために空爆の回数はどんどんふえていきました。

 二段目は、そのとき使われた爆弾の総量であります。これも、ごらんになればおわかりのように、中段ですね、どんどんふえる一方でございます。

 そして、下段が犠牲者でございます。空爆による犠牲者というのは、これは、空爆というと攻撃する側の言葉ですが、日本もまた空襲といって、空から襲われる、何もしていないのに、普通に暮らす人々が空からねらわれるという、非常に無差別であり、そして非人道的な行為でもあります。

 まず、大臣には、現状において、アフガニスタンでこういう形で空爆がふえているという現実は御存じであるか。二点目は、こうした戦闘方式がかえって地域においては、ねらわれた人は、さっきのお話にもありました、結婚式の参列者だったりする。誤爆というには余りにもひどい状況が広がっていて、それがかえってタリバン勢力等々へのアフガンの人々のシンパシー、共感を生んでいる、悪循環を及ぼすのではないかということについてどうお考えか。

 一点目は、何度も繰り返して恐縮です。空爆はふえている。御存じですか。そして、それが治安状況や国民感情に悪影響、悪循環を来しているのではないか。いかがでしょうか。

中曽根国務大臣 今資料を見せていただきましたけれども、空爆等々につきましては、当然のことですが、我が国は当事者ではございません。

 一般的に、各国の軍隊は、個々の作戦の円滑な遂行や作戦参加者の安全の確保のために、作戦にかかわる事実関係の詳細について公表をしていないと承知をしているわけでございます。しかしながら、テロの掃討作戦におきましては、仮に、やむを得ず空爆を行う場合でも、一般市民の被害を最大限回避すべきことは当然でございまして、米国等もこの点を最大限配慮しているものと認識をしております。

 現在、空爆を含めまして、テロ根絶のための活動の実施に当たり、一般市民の被害を回避するための方策につきましては、アフガニスタン政府とNATO及びOEF参加国との間で協議されているものと承知をしています。

 なお、アフガニスタンにおきましては、アフガニスタン国軍及び多国籍軍の掃討活動のみではなくて、反政府勢力によりますテロの、双方によりまして市民の犠牲者も出ているということを承知しているところでございます。

阿部(知)委員 大臣、よく聞いてほしいんです。私は、空爆によってと、ここ、出したんです。もちろん自爆テロでも被害者はふえていますよ。しかし、間違いなく空爆という戦闘方式がふえているんですね。

 空爆というのは、ハーグ条約でも、軍事的な施設を目標にすることとか、あるいはジュネーブ協定でも、文民保護といって、そこに一般人が含まれないことというのは最低限の国際ルールなんですよ。それすら守られずに拡大しているということが今日の泥沼化の原因ではないかと伺ったわけです。

 例えば、八月の二十六日お亡くなりになった伊藤和也さんたちの所属するペシャワール会が、今アフガンでの支援の困難の中で、二つのことをおっしゃっていました。

 空爆が拡大して、二〇〇六年、七年、八年、一日も早くかんがい用水をつくらなければ、空爆が来るさなかではその作業もできなくなる。ことしの三月、私が中村哲さんとお会いしたときに、彼は、本当にもう一刻も争うんだということをおっしゃっていました。それくらい、かんがい活動をするにも、空爆、誤爆、あらゆる危険が増していた。

 もう一つ、NGOの活動にとっては、PRTという地方の復興支援活動が軍事活動と一体になっているがために非常にNGOが活動しづらい、このことをおっしゃっておられました。

 と同時にまた、だからといってそうした支援活動をやめるのではなく、伊藤和也さんは実は八月には夏休みをとる予定でありました。その夏休みを返上して、かの地で、一日も早くサツマイモがいっぱいとれて、子供たちに食べさせてあげたいと願って、彼は残って、休みもとらず活動している中であの事件が起こりました。

 私は本当に、大臣も、あるいは総理もお思いだと思います、伊藤和也さんの姿というのは日本の国際支援の心を世界に発信したものです。お父様は、九月一日の追悼集会で、和也君はアフガニスタンの星になったという話をしておられました。あの地が好きで、あの地に埋めてくれと言って出ていったと。

 本当に今我が国が考えねばならない、この委員会の考えねばならないことは、空爆をやめる、やめさせる、人道支援がもっとやれるようにということなんだと思うんです。

 私は、この空爆のデータ、きのうも外務省に聞きましたが、知らぬ存ぜぬの一点張りでした。カルザイさんに聞いてみればいいんです。カルザイすら、アメリカの空爆によって一般市民が多く被害を受けているその実態調査を命じているわけです。米軍はとぼける。カルザイは、少なくするんじゃなくて、なしにしてくれと言っているんです。

 麻生総理、伺います。日本は当事者じゃない、軍事をやっていないからと、きのうの外務省のお答えです。でも、アフガン政府から聞くことができます。この空爆がいかにアフガンで無辜の民を犠牲にしているか、一度カルザイさんに直接聞いてみていただきたい、どのようなお考えなのか。総理ならできるはずです。そして、その空爆支援のためにインド洋上での給油を継続するということが妥当なのかどうか、お考えをいただきたいですが、いかがでしょうか。

麻生内閣総理大臣 空爆と給油と直接関係しているわけではございません。空爆支援というものは、私どもは航空機のいわゆる燃料を給油しているわけではないので、艦船のあれを給油しておりますというのはもう御存じのとおりでありまして、我々としては、あそこから、御存じのようにパキスタン南部を経由して海に出てくる、そこらのところを、海賊行為になってみたりいろいろいたしますので、そこのところをきちんと海上警備行動に資する一環として給油活動をやっておると理解をいたしております。

阿部(知)委員 海上警備行動に資するとともに、その船が空爆をしていてもそれを排除しないというのが午前中の審議でさんざん指摘されたじゃないですか。平岡さんがアメリカの艦船の名前を挙げて、これだけ空爆しているとデータも出されました。それについても外務省は、調べていない、聞いていない、わからない。それでは論議にならないんですよ。

 日本の国民に、インド洋での給油が本当に空爆をしていないと言い切れるんでしょうか。私は、そこが極めて不誠実だと思うんです、国民の税金を使うのに。アメリカによってあの無差別空爆を受けて、東京、横浜、そして最後は広島、長崎、原爆ですよ。よもや、そういうことを受けた我が国が、アフガンで空爆が行われていいと思えるはずもない、私はそう思うんです。そして、恐縮です、それ以上もう総理のお答えも変わらないと思いますから、月曜日に改めてお答えを聞かせていただきたいと思います。

 次に、江田島の訓練学校、第一術科学校における、訓練中の二十五歳の三等海曹の死亡についてお伺いいたします。

 私は、先ほどこの審議が行われるときに、与党席のやじの中から、そんな小さなことを聞くなというやじが上がったことをとてもびっくりしました。だって、自衛隊員の一人一人の命は、本当に、この国を支え、またこれからいろいろな日本が貢献を考えるときに、大事に、本当にその人たちの人権や命を国自身が大事にできなければ何の国際貢献か、あるいは何のための自衛隊かという話になります。

 そこで、浜田防衛大臣にお伺いしたいと思いますが、この江田島での事件、警務隊に報告が行った時間を御存じでしょうか。この人は、ボクシングまがいのというか、一対十五の訓練の中で四時五十五分に倒れました。さて、警務隊に報告が行った時間は何時だとお思いですか。

浜田国務大臣 たしか、その時間帯、事故があってしばらくしてからですので、五時半ぐらいだったですかね。

阿部(知)委員 残念です。浜田大臣、自衛隊員の、たった一人の死です。でも、残念です。これを見ていたお父さん、お母さんはどう思うでしょうか。

 私は、これも二日間かけて防衛省に聞きました。なかなかデータを出さない。私なりのルートで、新聞記者にいろいろ電話し、確認しました。

 時間の制約で私が言わせていただきます。この方は、十六時五十五分に倒れ、すぐ衛生隊員が駆けつけて、近くの江田島市内の病院に到着しました。そこで、十八時十一分、脳のレントゲン、CTを撮りましたら、脳出血でありました。さらに、さらにです。本当は即刻その時点で警務隊に報告が上がるべきです、訓練で倒れたんですから。紛れもなく訓練で倒れたんです。でも、警務隊に報告が上がったのは十九時四十分。そして、警務隊から呉の地方警務隊へ上がったのは十九時五十分です。三時間あるんです。(発言する者あり)こんなことをそちらに聞いても言わないんですよ、防衛省に聞いても。当人の命がかかったこと、そしてレントゲンを撮れば頭の出血だってわかった。それから二時間ですよ。

 そして、その間、実は、警務隊は駆けつけてもというか、報告が上がって、翌日調査委員会ができます。でも、浜田さん、もしこれが集団リンチであったなら、内部調査でいいんですか、警務隊の調査で。だって、警察事案かもしれませんよ。こんな遅きに失する、「あたご」だってそうでした。報告が遅い、命の軽視、それは、「あたご」の被害者も自衛隊員の命も、私は同時に犠牲にしていると思います。

 きょう、ここに、皆さんにお示ししたのは、この間、自衛隊の相次ぐ不祥事、例えば大麻汚染あるいは放火事件、いろいろなことがありました。同時に、いじめ自殺という問題の三件です。護衛艦「さわぎり」「たちかぜ」、そして浜松の訓練の学校の三件です。

 一件目では、いわば、防衛省はもう控訴を断念されました。上官による過度の、公務を超えた言動、さらに安全配慮義務違反、この二つで、あたら本当に未来ある若者を殺したんですよ。今、二件親御さんが係争中です。この事案だってどんなに、親御さんたちが育てて、大事な息子さんをこうやって殺されたかもしれないと思うわけです。

 浜田さん、伺います。

 もしこれが訓練だったら、そのときそばについている教官は、当然ながら、この方は八人目くらいと対峙しているあたりから棒立ちになり、ふらふらになり、そして十四人目で倒れたと言われています。この教官たちは、こういう格闘技を指導する資格をお持ちなのか、あるいはなぜ割って入らなかったのか。

 もしこれが行き過ぎた訓練ではなくて意図的なリンチであれば、最後は伺います、当然警察に調査を依頼すべきでしょう。全部内部調査です。そんなことでは真実は浮かばない。いかがですか。

浜田国務大臣 今、先ほども申し上げましたように、調査というものをやっておりますし、そしてまた、自衛隊内のことに関しましては警務隊がそれを調べる、捜査をするということになっております。

 我々とすれば、今回、私自身もこの問題に関しては大変厳正に対処しなければならないというふうに思っておりますので、先生からの御指摘を受けて、しっかりと表に出していきたい、このように思っておる次第であります。

阿部(知)委員 自衛隊員の命の軽視や人権の軽視が、結局はまた逆に、自衛隊員がさまざまな不祥事を起こすというような風土を悪循環させていきます。

 ちなみに、大臣はお答えいただけなかったが、私は、警務隊だけの捜査でいいですかということなんです。三時間もたったら、現場は、もしかしてこれが刑事事件なら証拠隠滅ですよ。それから、ここに挙げた調査委員会、これもみんな内輪の、内々のものです。医療事故だって外の第三者委員会ですよ。私は医療現場ですから。内部調査だけでは、本当に、カルテも隠される、事実は隠される。外から入って、第三者の目できちんと事案を検証すべきじゃないでしょうか。

 警察にはどう連絡をとられるのか、外の調査はどうするのか、お答えください。

浜田国務大臣 警務隊は刑事事件の捜査をすることになっておりまして、その点はしっかりとやることになろうかと思います。

阿部(知)委員 そうじゃなくて、去年も、二百六十何件のうち、警務隊から警察に行ったのは一件とか二件です。これがもしリンチだったら警察がやることですよ。でも、そういう可能性はあるわけです。大臣だってわかっておられるでしょう。

 あと、この調査委員会も第三者にしてくださいな。こんな内部調査で、一貫して自殺事案も全部そうでした、内部調査で何もわからないんです。本当に変えようと思ったらしっかり頑張っていただきたい。

 また月曜日お願いします。ありがとうございました。

深谷委員長 これにて阿部さんの質疑は終了いたしました。

 次に、下地幹郎君。

下地委員 私は、コソボ、イラク、アフガニスタン、東ティモール、四カ所の紛争地域へ自分で行って見てまいりました。二〇〇三年にはイラクに行ってきたんです。そのときに私たちはクルド人自治区に行ったんですけれども、説明を受けますと、上からサリンが降ってきた、三十分かそこらで何千人の方が亡くなった。これはひどい出来事でしたね。その後、私たちは病院に案内されて見ましたけれども、このサリンの影響で奇形で生まれる子供の数が急増した。そして、病院に行くと、少し言葉にあらわし切れないようなさまざまな子供たちの姿を見ました。

 それで、私は帰ってきてから、当時の小泉総理に、大量破壊兵器があるからイラクに軍事侵攻するとかしないとかと言わない方がいいんじゃないか、今のフセインがやっていることは非人道的だ、これは軍事介入してでもやめさせなければならないということを申し上げたのです。

 その後、私たちはイラクのバグダッドに戻って、残念なことにお亡くなりになった奥さんとか井ノ上さんにお会いしたんですけれども、ホテルで一緒にワインを飲みながら話し合いをしましたよ。そうしたら、今でも思い出しますけれども、二〇〇三年五月一日ですけれども、三時間ぐらいお話ししたときに彼が言っていたことが、とにかくイラクの子供たちにノートと鉛筆を配りたい、ノートと鉛筆をイラクの子供全部に配ったらこの国は変わると彼が言っていたことを今でも思い出しますね。

 私たちは、和平交渉するにはステップがあると思うんです。軍事介入もしかり、経済支援もしかり、両方が成果を出して、その後和平交渉しないで、一挙に和平交渉というのはなかなかうまくいかない。だから、その時々の政治判断をどうするかということをやはり決めていかなければいけないんじゃないかなと思うんです。

 総理に一つ御質問させていただきたいんです。

 今、補給艦の活動が七年目を迎えましたけれども、実績がありますね。先ほどから皆さんが言っていますので、麻薬の問題であったりシーレーンの問題。これで日本の経済にも大きな貢献をしているという成果は十二分にあると思いますね。また、テロ資金の流入を阻止しているということもあると思います。これは成果として、あの暑い四十度の中で頑張っている自衛隊員の皆さんが評価されて当たり前だというふうに思います。

 ただ、もう一つ、この法律にはテロの撲滅とも書いてありますよ。だから、そういうふうなものを見ると、アフガニスタンにおいても、イラクにおいても、さっき総理も答弁なされましたけれども、なかなかうまくいっていない。テロがおさまっているわけでもないし、うまくいっていない。補給艦が多国籍軍艦にやっている成果とイラクやアフガニスタンの成果と、なかなか、ミスマッチといいますか、わかりにくい。

 総理、今まで八百十七億円税金を使って私たちはこの支援をしているんですけれども、国民に説明するときに、この八百十七億円の成果はどっちをもって成果だと説明して理解を得た方がいいのか、そのことをぜひまず答弁いただきたいと思います。

 一つは、イラクとアフガニスタンが、なかなかテロがおさまらない、安定しないということがありますね。もう一つは、自衛隊がやっていることで成果が出ているわけですよ。このどっちを私たちは成果として見て国民に説明すればいいのかということをまずお伺いしたい。

麻生内閣総理大臣 基本的には、まず、イラクは撤収ということになりつつ、航空自衛隊も含めて撤収という方向になりつつあります。陸上自衛隊につきましては既に撤収が終わっておりますので、イラクの撤収につきましては、これは間違いなく成果があった。

 これは何かの機会に、「今日の軍隊」、フランス国防省が毎月出しております「今日の軍隊」という月刊誌があります。その中に、何で日本の陸上自衛隊だけがイラクで成功したのかという記事は一読に値すると思います。そういった意味では、あれは間違いなく、多分、世界じゅうのこの種の関係者の人は、何で日本はあれまでイラク人に迎え入れられたかということが書いてあるので、非常に参考になりました。

 アフガニスタンの場合は、これは海上自衛隊でありますので、今現実、陸に上がって行動しているわけでもありませんし、海上で艦船の給油をしておりますので、なかなか目に見えてきていない。年間大体石油換算で二十億円ぐらいのものが支給されているんだと思いますが、そういうものは、パキスタンにとりましてもアフガニスタンにしても視野に入ってこない。

 そういった意味では、僕は、人数も多かったせいもあるでしょうが、少なくとも今の段階では、イラクの方が成果が上がった、アフガニスタンはまだ継続中であるとしか申し上げようがないのであって、これがさらにどういった形が出てくるかはいましばらく時間がかかると存じます。

下地委員 しかし、給油をやって七年になるんですよね。それで、先ほども話がありましたけれども、法律の中身も変えなくてそのまま延長ですよ。

 今総理がおっしゃったように、成果がなかなか見えにくい、もう少し時間がかかるというふうなことを今申し上げておりますけれども、私は、成果論となると、総理が先ほど申し上げたように、イラクは陸上自衛隊の成果があった、そういうふうなことを考えると、今、麻生総理が総理になられて、それならばこの補給支援の活動にもう一つバージョンアップした考え方をする、成果が見えなければ成果が見えるような付加価値をつけるとか、国際社会の中で日本の評価が上がるような支援のあり方というものを考えるべきだと思うんですけれども、どうもこの法律だと、またそのまま継続をして、そしてまた評価の見えにくい形になっていく。

 そうではなくて、一回検証をして、成果が見えるようなやり方というものを検討するお気持ちは全くないのかどうなのかということをお聞かせいただきたいと思います。

麻生内閣総理大臣 まず、石油というか船の給油につきましては、成果というのは、アフガニスタンという地域におけるいわゆる治安が戻っていないという点から見て、これは成果が上がっていないということになるんだと思います。

 ただ一方、そこでは、先ほどからも答弁申し上げましたように、少なくとも、子供の中でも、女の子の教育はゼロ、それが今三八%ぐらいまでになった。また、男の子が学校に行くのが約百万人だったものが、今五百七十万人ぐらいになった。また、アフガニスタンから外に、パシュトゥンというか、東側のパキスタンの方に亡命したりイランの方に亡命していたのが帰ってきて、結果として約五百七十万人ぐらい亡命者が戻ってきた等々の成果はそれなりに上がっているんだと思います。

 ただ、今言われましたように、治安という面からいきますと、南部のカンダハルを含めまして、こういったところは今に至るも極めて治安が悪く、カルザイ政権が統治をまあまあできているというのは北部、北東部と言われるところであろうと言われております。私はこの地域に行ったことがないので、どれぐらい今安定しているのかちょっと正直言えないんですが、そういうような状況になってきておると思います。

 ただ、今回これを延長するのは、国際社会として大いに、艦船をそこに出しておるところは皆期待しておるんですが、先ほど民主党の長島議員から御提案があった、ああいったようなものができますと、今バージョンアップという言葉を使われましたけれども、一つの艦船がそこに遊よくするだけで、少なくとも海賊行為のディターレンス、抑止力が働くということになり得る。

 私は、その意味では、警察官の制服のお巡りさんが一人歩いているだけである程度の犯罪が未然に防止できる、よく使われる言葉ですが。同じように、軍艦、艦船、そういったきちんと武装された艦船がそこに遊よくしているというだけである程度の抑止力効果が上がるという御意見は、私も全くそう思いますので、この点に関しましては、両党で、もしくは御党を含めまして検討する用意というものは十分にありますと申し上げておきたいと思います。

下地委員 今、一千四百億ぐらい、ODAでアフガニスタンに出していますね。やはり私はもっと大きくすべきだと思いますよ。それで早目に、先ほど私が言った三つのステップ、軍事介入もあって、その次は経済支援がある、そして和平交渉の政治決断というふうになってきますけれども、やはり経済支援に力を入れる時期が来ているのかなというふうに私は思っています。

 このテロ特措法案は反対しても通るわけですよ。だけれども、結果的には、アフガニスタンのために、そして日本の国民に成果があったとわかるようなことをするには、もう一個セットでやはり経済支援、アフガニスタンの人がわかるようなことをやるというのが大事なのかなと思います。

 それと、麻生総理は、この金融危機のときに、我が国は九〇年代の金融危機を公的資金を投入して乗り越えた経験があるから、それを世界に広めなければいけないとよくおっしゃっておりますけれども、私は、このイラク、アフガニスタンを見て感じるんですけれども、戦争が起こって他国の施政権下に移って、そしてまた自国に戻ってくるというケースも日本にあるんですね。これは沖縄なんですよ。

 私たち、一九四五年の八月十五日に戦争が終わってから六年後に、サンフランシスコ条約が五一年にあって、そのサンフランシスコ条約の三条で、沖縄はアメリカの施政権下に行くわけです。その六年前は、日本という旗頭を先頭にして地上戦を行って、二十万人の人たちが亡くなって、その六年後には、戦争したアメリカの施政権下に行って、政治も経済も全部牛耳られる。これは沖縄県民からしたら屈辱的なことであったことだけは間違いありませんね。

 しかし、そのとき署名したのは吉田茂総理大臣でありますけれども、この吉田茂総理大臣は、三条があると沖縄がもうその施政権下、アメリカに行くというときに、沖縄はもう戻ってこないと思ったのか、五年したら私はもう一回沖縄を取り戻そうと思ったのか、沖縄に対してどんな思いであのとき署名したのか、お孫さんとしてわかる範囲でひとつ教えていただきたいと思います。

麻生内閣総理大臣 これはうかつなことは言えませんので、「回想十年」とか、いろいろな吉田茂の書いた書物もありますので、それを読まれるとよろしいかと存じますが。

 あの取り返すときに当たりましては、佐藤栄作内閣だったんです。佐藤栄作内閣が昭和三十九年にできたんだと思いますが、そのときに、外交で沖縄返還ということを佐藤栄作という人は掲げたんです。当時、それこそ松野鶴平先生から頼三先生にかわっていたよね、あなたの顔を見て思い出したわけじゃないけれども。頼三先生にかわっていたんですが、あの時代に、基本的に、岸内閣のときから始まるんですけれども、安保条約の改定と沖縄返還と二つあった、あのとき。それは岸さんも言ったし、佐藤さんも言ったの。両方とも、外交みたいな話を政局にするなという話は吉田茂はよく言っていたんですが、昭和四十二年十月に亡くなるんですが、私が日本に帰ってきたから、四十一年ぐらい、佐藤さんが当時猛烈な勢いでこの交渉を開始しているときには、極めて沖縄のことに関しては佐藤栄作に対して何回となく言っていたというのだけは記憶があります、よくその話はしていましたので。

 それで、佐藤さんはこれでノーベル平和賞をたしかとられたんですが、あれを持って最初に多分大磯に行かれた。お墓に持ってこられて、私のおふくろに向かって何か、奥さん、おやじさんのおかげでとお礼を言ったのが私の印象だった。結構近く沖縄に対する思いが自分なりにあったんじゃないでしょうか。ちょっとそこのところはよくわかりません。

下地委員 この地位協定の改定なんかありますけれども、沖縄がそのまま本土と同じような歴史で戦後終わって歩けば、今の地位協定は反対しなかったかもしれませんね。逆に、二十五年間アメリカの施政権下でトラウマになっているんですよ、これは。

 だから、地域というのはいろいろと歴史があるんですね、歴史がある。今、沖縄で、騒音が大きくて、米軍基地の問題はなかなか解決しない。しかし、失業は高いし、そして所得は低いし、そういうふうなさまざまな問題があるけれども、基地の問題は解決しないし、所得も解決しない。だから、一応ここでやっていると思っているのは、やっていると思って成果を上げているというのは防衛庁だけ。内閣府が沖縄のために一生懸命やっているといっても、数字が上がらぬのですよ。

 だから、私が言いたいのは、イラクとかアフガニスタンとかこういうふうなところの支援をするというのは、物すごくその地域の人たちの思い、プライド、占領されて多国籍軍が来てやるということも、守ってあげているみたいだけれども、伝統文化があるところは苦しんでいるところが相当にあるんですね。細やかな精神的な配慮を持ってやらないとだめ。それを沖縄で私はもう少しやってもらいたい。

 この前の所信表明の演説、半行ではだめでしたね、総理。やはり……(発言する者あり)違うんじゃないんですよ、これは。大事なんだ、大事。そういう意味では、細やかな気持ちを持って政治をやって、そして弱い人たちのところに手を出していくというところはもっと私は丁寧にやっていった方が国民的にアフガニスタンにおいても評価されるんじゃないかな、そういう思いを伝えて、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

深谷委員長 これにて下地君の質疑は終了いたしました。

 以上で内閣総理大臣出席のもとの質疑は終了いたしました。

 次回は、来る二十日月曜日午前九時四十五分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時散会


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