衆議院

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第3号 平成16年12月10日(金曜日)

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平成十六年十二月十日(金曜日)

    午前十一時三分開議

 出席委員

   委員長 赤城 徳彦君

   理事 近藤 基彦君 理事 佐藤 剛男君

   理事 宮路 和明君 理事 渡辺 博道君

   理事 長島 昭久君 理事 松原  仁君

   理事 渡辺  周君 理事 池坊 保子君

      宇野  治君    小野寺五典君

      上川 陽子君    笹川  堯君

      中西 一善君    西銘恒三郎君

      根本  匠君    平沢 勝栄君

      水野 賢一君    宮下 一郎君

      山際大志郎君    菊田まきこ君

      田中 慶秋君    中井  洽君

      中川 正春君    西村 真悟君

      笠  浩史君    漆原 良夫君

      赤嶺 政賢君

    …………………………………

   外務大臣         町村 信孝君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     細田 博之君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長) 村田 吉隆君

   内閣官房副長官      杉浦 正健君

   外務副大臣        谷川 秀善君

   総務大臣政務官      松本  純君

   外務大臣政務官      小野寺五典君

   政府参考人

   (内閣府拉致被害者等支援担当室長)        小熊  博君

   政府参考人

   (警察庁警備局長)    瀬川 勝久君

   政府参考人

   (防衛庁防衛局長)    飯原 一樹君

   政府参考人

   (防衛庁運用局長)    大古 和雄君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局参事官)            大藤 俊行君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    大林  宏君

   政府参考人

   (外務省大臣官房国際社会協力部長)        石川  薫君

   政府参考人

   (外務省アジア大洋州局長)            薮中三十二君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 小手川大助君

   政府参考人

   (財務省国際局長)    井戸 清人君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           長谷川榮一君

   衆議院調査局北朝鮮による拉致問題等に関する特別調査室長          前田 光政君

    ―――――――――――――

委員の異動

十二月十日

 辞任         補欠選任

  小野寺五典君     山際大志郎君

  水野 賢一君     中西 一善君

同日

 辞任         補欠選任

  中西 一善君     宇野  治君

  山際大志郎君     小野寺五典君

同日

 辞任         補欠選任

  宇野  治君     水野 賢一君

    ―――――――――――――

十二月三日

 一、北朝鮮による拉致問題等に関する件

の閉会中審査を本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 北朝鮮による拉致問題等に関する件

 北朝鮮による日本人拉致問題の解決促進に関する件


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     ――――◇―――――

赤城委員長 これより会議を開きます。

 北朝鮮による拉致問題等に関する件について調査を進めます。

 この際、横田めぐみさんの遺骨とされるものなどの鑑定の状況について、政府から説明を聴取いたします。村田国家公安委員会委員長。

村田国務大臣 北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会の開催に当たり、横田めぐみさんの遺骨とされるものなどの鑑定の状況について御説明申し上げます。

 横田めぐみさんの遺骨とされるものは、十一月九日から十四日までの間、北朝鮮の平壌市において開催された第三回日朝実務者協議の際に、日本政府代表団に提出されたものであります。

 新潟県警察においては、横田めぐみさんを被害者とする少女拉致容疑事案捜査の一環として、その鑑定を帝京大学、科学警察研究所等の国内最高水準の研究機関等に嘱託したところであります。

 十二月七日、新潟県警察は、帝京大学より、横田めぐみさんの遺骨とされる骨片五個中四個から同一のDNAが、また他の一個から別のDNAが検出されたが、いずれのDNAも横田めぐみさんのDNAとは異なっているとの鑑定の状況を聴取したところであります。

 警察としては、これを受け、内閣官房、外務省等の関係機関と緊密に連携しつつ、八日、当該鑑定の状況について、御家族への説明や、その内容の公表等の措置をとったところであります。

 なお、松木薫さんの遺骨とされるものについても、欧州における日本人男性拉致容疑事案の捜査を担当する警視庁において、同様に鑑定を嘱託していたところ、八日、帝京大学より松木薫さんのものとは異なるDNAが検出されたとの鑑定の状況を聴取し、九日、内閣官房とも連携の上、御家族にもその旨の説明をしたとの報告を受けているところであります。

 第三回日朝実務者協議において北朝鮮側からなされた説明や提供資料等には警察としても疑問点や不明な点が依然として多く存在し、また国際手配されている原敕晁さん拉致の実行犯である北朝鮮工作員辛光洙、有本恵子さん拉致の実行犯であるよど号犯人魚本公博及び宇出津事件の主犯格である北朝鮮工作員金世鎬ら三名について、北朝鮮がその犯行を否定し、引き渡しを拒否していることは、警察として到底承服しかねるところであります。今回報告を受けた鑑定の状況については、そうした我が方の見方を結果として裏づけるものとなったと考えております。

 警察庁におきましては、日朝実務者協議に係る警察庁連絡調整班を設置し、今次協議で聴取した内容や、提出を受けた資料等については、内閣官房、外務省等の関係機関と緊密な連携を図りつつ、警察の総合力を発揮して、これらに対する捜査を推進していくこととしており、国家公安委員会としても、警察当局のかかる活動を一層督励してまいる所存であります。

赤城委員長 以上で説明は終わりました。

    ―――――――――――――

赤城委員長 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府拉致被害者等支援担当室長小熊博君、警察庁警備局長瀬川勝久君、防衛庁防衛局長飯原一樹君、防衛庁運用局長大古和雄君、金融庁総務企画局参事官大藤俊行君、法務省刑事局長大林宏君、外務省大臣官房国際社会協力部長石川薫君、外務省アジア大洋州局長薮中三十二君、財務省国際局長井戸清人君及び経済産業省大臣官房審議官長谷川榮一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤城委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

赤城委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。水野賢一君。

水野委員 自由民主党の水野賢一でございます。

 さて、北朝鮮という国が、これまでもうそと欺瞞に満ちたいわば犯罪国家のような国であるということは周知のことだったわけですけれども、今回の鑑定結果を受けて、これは一体どういう国なんだという思いは、国民多くの方が共有をしているんじゃないかと思います。その中で、経済制裁の発動を求める声が今大きいうねりとなってきている。その中で、私も、経済制裁の問題に絞って質問をいたしたいと思います。

 まず最初に、ちょっと確認をしたいんですけれども、外務大臣にお伺いをいたします。北朝鮮に対して、今人道支援という名目で食糧支援などが行われている、これを打ち切るというような報道がございますけれども、この点について確認をいたしたいと思います。

町村国務大臣 北朝鮮に対する人道支援でございますけれども、委員御承知のとおり、これは国際的な要請を踏まえまして、ことしの五月の首脳会談で、小泉総理が二十五万トンの食糧支援及び一千万ドル相当の医薬品等の人道支援を実施する旨表明をしたところであります。ことしの八月、北朝鮮に対して二十五万トンの半分の十二・五万トンの食糧支援及び七百万ドル相当の医薬品等の支援を行うことを発表して、国際機関を通じて実施をしているところでございます。現在、WFP、世界食糧計画から残りの十二・五万トンの支援の要請が来ているわけではございません。

 今回の横田めぐみさんと称される遺骨の鑑定の結果、本人のものではないということがただいまの村田委員長のお話のとおり判明をしたわけでございまして、我が方として、今回の横田さんに関する調査というものが虚偽であった、このように断じざるを得ないわけでございます。

 こうした状況の中で、先般、細田官房長官また私もこれは相談をいたしまして、仮にWFP等の要請があったとしても、これに応ずることは難しい状況にある、かように考えております。

水野委員 今、応じるのが難しいという話でございましたけれども、これは、もうこの支援というものは中止と考えていいわけですか、それとも凍結というようなことなんでしょうか。

町村国務大臣 将来にわたってどうするかということを今ここですべて断定的に申し上げることは難しいわけでありますが、当面これを行うつもりはないということであります。

水野委員 この点はかなりはっきりさせる必要があると思うのは、これは今までも、何の進展もないにもかかわらず、時間がたつといろいろな凍結していたことを解除するというようなことがさまざまあったわけですね。相手からもこれでばかにされていたことがあるわけですよ。つまり、幾ら何か凍結をしていても、結局、時間がたつと、日本は何の進展もないにもかかわらず解除をするんだと。こういうようなことが多々繰り返されてきた。

 このことを考えると、私は、拉致問題において大きい進展というもの、よほど誠意ある態度を相手が見せない限りは、この支援というものは再開しないということを明言すべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

町村国務大臣 どういう前例をもって、委員が過去何の進展もないまま一定の措置を解除したと言っておられるのか、私にはよくわかりませんけれども、少なくとも、私ども、小泉内閣総理大臣が二度にわたって訪朝をし、拉致された方々、御家族の方々が帰ってきたという、大きな進展がその方々についてはあったということは、まず委員もお認めをいただきたい。

 その上に立って、現在、安否不明の方々についてどうかということを今日朝間で議論をしているということでありますから、日朝間の中で、そもそも小泉訪朝までは、一切、そういう拉致という問題すら存在をしないと北朝鮮が言ってきた。それを、最初の首脳会談でそれを認めたというようなことがあったわけでありますから、そうしたことを踏まえた上で、しかし現在の姿でどうかと言われれば、今これを十二・五万トン以上出すという考えがないということを申し上げているわけであります。

水野委員 どうも話がすり変わっているような気がするんですけれども、要するに、今後大きい進展がなければ、もう人道支援は再開しない、そのことでよろしいんですね。

町村国務大臣 何をもって大きな進展というか、またこれはその時々の判断があろうかと思いますが、少なくとも、こういう結果が出てきた以上、食糧支援をこれ以上行うことは今考えられないということであります。

水野委員 わかりました。

 よく、あめとむちという言い方がありますけれども、人道支援をしないというのは実はあめを与えないというだけのことであって、いわゆるむちではないわけですね。これは支援というのは好意でやっているわけであって、これを上げないということはあめを与えないというだけのことなわけであって、いわゆる制裁とはちょっと違うわけなんですが、制裁というのをいわばむちの部分というふうにとらえると、これは例えば、貿易に制限を加えるとか送金に規制を加えるとか、はたまた入港の禁止をする、こういうようなものが制裁というふうに考えられると思うんですが、こういう経済制裁について行う考えはございますでしょうか。

町村国務大臣 先ほど申し上げましたように、今回の遺骨というものは、今次の調査結果の最も重要な部分、核心をなすものであった、我々もそう考えております。それが虚偽であったということはまことに遺憾なことである、かように思っております。

 政府としては、従来から対話と圧力ということを申し上げてきているわけでありまして、私も大臣就任後、経済制裁は一つの選択肢であるということを申し上げてまいりましたし、そのことは変わりはございません。

 先ほど申し上げたように、今、他の資料も外務省の中で分析中でございます。できるだけ今月中にはその結果を取りまとめたい、こう考えておりまして、その結果を見て、私どもとしては、その後いかなる対応をするかということについて決めていかなければいけない、かように考えております。

水野委員 今のお話を伺うと、他の資料の分析結果などを待って、今月中にも取りまとまったものを見ていろいろと判断をする、その中には経済制裁という選択肢はあるというお話だと思いますけれども、私が伺いたいのは、現行の法律、これは外為法がことしの通常国会で改正をされた、そして特定船舶入港禁止法もことしの通常国会で成立をした。この二つの法律とも、経済制裁を発動するときの要件の中に、我が国の平和及び安全の維持のため特に必要があると認めるときということが書いてあるわけですね。

 これは両方とも議員立法でやったもので、私もそれにかかわっていた者ですので申し上げますと、我が国の平和及び安全の維持のために特に必要があると認めるときに発動するというのは、例えば、彼らが、北朝鮮が核実験をやったとかミサイルを発射してきたとか、そういうように新たな犯罪行為、無法行為を行ってきたときに発動できるというのは、これは当然のことなわけであります。

 それに加えて、拉致問題、これは過去の犯罪行為、今も現在進行形の犯罪行為、これが継続しているような場合も当然制裁が発動し得るというふうに考えておりますし、そのことは、議員立法で、立法者の意思としても、いろいろな場でも、国会でも申し上げてきたんですけれども、これは立法過程で衆議院法制局とも議論をいたしました。

 「我が国の」といったときに、国という場合、よく国家の三要素などと言われるように、主権とか領土とか国民があるわけであります。当然国民はここに含まれているわけであって、この国民の平和や安全が脅かされているというような拉致問題、これは当然経済制裁、この場合でいうところの外為法とか入港禁止法の発動要件、この拉致問題が解決をしない、相手が対応が不誠実だということは経済制裁法の発動要件に該当すると考えますけれども、政府の見解はいかがでしょうか。

町村国務大臣 外為法の改正あるいは特定船舶入港禁止法、いずれも水野議員が提案者のお一人として大変な御努力をされたことをよく承知いたしております。

 今手元にあります、これはいろいろな御答弁がおありになると思いますが、平成十六年六月十一日、参議院国土交通委員会において、提案者である水野議員が、今まさにお触れになったような、北朝鮮が拉致問題の解決に誠意を見せないということ自体が我が国の平和及び安全の維持に対する大きな脅威であり、これに対して圧力をかけなければ解決しないと政府が判断したときは当然発動し得ると考える、こういう法案提出者の一人としての御発言があるわけでありまして、そうした提案者の意思、また立法府の意思を十分勘案して、私どもとしてはこの問題に対応していきたいと考えております。

水野委員 つまり、この拉致問題というのは経済制裁法の発動の要件になり得るわけなんです。

 では、ちょっと質問を変えたいと思いますけれども、平壌宣言、この鑑定結果を受けて、果たして平壌宣言は守られているというふうに今でもお考えでしょうか。

町村国務大臣 今回の遺骨とされる骨の問題につきまして、これは極めて遺憾であるということは総理大臣も官房長官も私も累次申し上げているところでありまして、本件に対する朝鮮の対応というものは平壌宣言の精神に反するものだ、かように考えているところでございます。

 この平壌宣言というのは今後の日朝関係を取り進めていく上での方向性を示す重要な政治文書でございまして、そういう意味から、この政治文書にのっとって、今後とも、諸懸案の解決に向けた対応をとるように北朝鮮に働きかけていくということが基本的な我が国政府の姿勢であるということであります。

水野委員 これは、じゃ、官房副長官にお伺いしたいと思いますけれども、総理が五月に訪朝したときに、平壌宣言が守られている限り経済制裁は発動しない、そういう旨の発言がございましたね。そういう中で、今、町村大臣のお話でも平壌宣言の精神に反するものだと言っていますけれども、そうすると、かつて、守られている限りは発動しないんだと言っていた限り、今もう精神に反している限り発動が十分あり得ると思いますけれども、いかがでしょうか。

杉浦内閣官房副長官 日朝平壌宣言は、外務大臣が申し上げたとおりの両国間の重要な政治文書でございますが、五月の日朝首脳会談における御指摘の総理の表明も、北朝鮮に対して諸懸案の解決を強く促す趣旨で申されたんだというふうに承知しております。

水野委員 いずれにいたしましても、経済制裁は、拉致問題の解決が進まない、相手が不誠実な態度をとっているということは、法律上も、これによって、これを理由に経済制裁を発動できるわけです。しかも、なおかつ、この五月に総理は平壌宣言が守られている限りは発動しないと言っていたのが、その条件も崩れた。

 私は、むしろ、現在のように制裁を発動しないということは、日本の金とか物とかが自由に北朝鮮に流れ込む状態というのを放置するということですから、その資金や物資によって彼らが核を開発したりミサイルを開発したりというこの状況を放置しておくという方が、よほど危険なことなんではないかというふうに思うわけでございます。

 さて、続いて、これはちょっとテクニカルなことですけれども、財務省の方にお伺いをいたしたいと思います。

 現在、制裁が発動をされていないわけですから送金などは自由ですけれども、しかし、これは制裁が発動されたとき、送金などが禁止をされたとき、迂回送金されるんじゃないかというようなおそれというのはよく言われるわけですね。現実にそのおそれというのは私もあるというふうに思っております。

 制裁が発動された場合には、直接的な北朝鮮への送金が禁止されたときは、迂回も、明らかにこれが迂回だということがわかる場合、これはもちろん摘発するのはなかなか難しいと思いますよ。しかしながら、わかる場合には罰則はかかるわけですよね。禁止になるわけですね。というのは、それによって摘発する側も摘発する根拠が出てくると思いますけれども、ちょっとその辺について、財務省の方、お聞かせいただきたいと思います。

井戸政府参考人 北朝鮮に対します経済制裁の一環といたしまして、これは、今後、外務省等において政府としての適切な対応ぶりを検討してまいるわけでございますが、この制裁の一環として、送金等につき許可制が発動された場合におきまして、今先生御指摘のような、明らかに北朝鮮に向けて、例えば他国の金融機関を通じて送金するというような場合は、この制裁の対象にすることが可能になると考えます。

水野委員 つまり、経済制裁というものを発動することによって、これでもちろん、迂回的な送金というのが今かなり行われているというふうに言われている、言われているけれども実態はよくわからないというのが現実なんですけれども、しかしながら、迂回送金をとめるためにも、直接的な送金も禁止をして初めて迂回送金の方をとめる根拠というのも出てくるんではないかというふうに思うわけでございます。

 さて、これも外務大臣にお伺いをしたいと思いますけれども、総理は、この前の日朝の協議の後、北朝鮮側に、いろいろな資料を出してきた、そのことに対して努力の跡がうかがえるというような発言があったと思いますが、大臣も、この鑑定結果を見て、今でも、努力の跡が、北朝鮮側のですよ、彼らの努力の跡がうかがえるというふうにお考えでしょうか。

町村国務大臣 実際に現場に行った実務者の皆さん方の印象といいましょうか、それは確かに前二回とは違うという印象を持ったということは事実だろうと思います。

 しかし、現実に調査結果というものが、まず遺骨について、こういう形でにせであるということが判明をした。さらに、できるだけ早く、追加の他の資料の分析を今やっているところでありますけれども、その結果を見て最終的には判断をしなきゃなりませんけれども、少なくともさっき申し上げたように、核心である横田めぐみさんの遺骨と称されるものがにせであったというようなことからして、それが誠実な対応であったとか、非常にいい対応であったという評価ができようはずがない、こう私も考えております。

水野委員 これもちょっとまたテクニカルな質問を財務省の方にいたしますけれども、今、携帯輸出の場合は、百万円以上の現金持ち出しの場合、これは北朝鮮に限らずですけれども、どこに対しても、その場合は届け出なければいけないわけですね。金融機関を通じての送金は、三千万円以上の場合は届け出なければいけない。これは送金が禁止されるわけじゃないけれども、届け出る義務があるわけです。これを、透明性を高めるというために、とりあえず北朝鮮に対してだけは、一国に対してだけ、その届け出金額を一円以上は届け出にするとかということは技術的に今の法律で可能なのか、教えていただければと思います。

井戸政府参考人 現行外為法上、対外取引の実態把握の観点から、三千万円相当額を超える対外的な支払いにつきましては財務大臣への報告義務、それから百万円相当額を超える現金等の携帯による持ち出しについては財務大臣への事前届け出義務がそれぞれ課されているわけでございますが、今後、政府の対応の一環として、北朝鮮向けの支払い及び現金等の持ち出しに限り、これらの報告、届け出の下限金額を引き下げることは可能でございます。

水野委員 今、北朝鮮への送金の透明性を図ることは可能かということで言って、可能だという結論なわけですけれども、しかしながら、今やそういう透明性が図られれば送金がなされていいというような状況は、実は終わったわけでございます。経済制裁の実行というもの、これが今こそ求められるときはないわけですし、よく、経済制裁じゃなくて平和的に解決することが大切だというような言い方をする人がいるんですけれども、経済制裁というのは軍事手段じゃないんですね。平和的に解決をする、しかしながら相手が理不尽なことを言っているときに、何もしないで手をこまねいているというのはおかしいではないかというようなことの中で、編み出されている知恵なわけでございます。この経済制裁の必要性というもの、そしてよく制裁回避論というものがあるわけですけれども、これはただ単に北朝鮮を喜ばすだけ、また金正日をほくそ笑ますだけのものに終わってしまっているのではないかというふうに思うわけでございます。

 北朝鮮のこの犯罪行為に対して、断固として早期の経済制裁の実施というものを強く要望いたしまして、時間が参りましたので、私からの質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

赤城委員長 次に、佐藤剛男君。

佐藤(剛)委員 自民党の佐藤剛男でございます。

 二年前、正確に言いますと平成十四年九月、日本と北朝鮮との間において著しい大きな進展がありました。それは、小泉総理が訪朝せられまして、そしてその折に北朝鮮が拉致の行為を認めたわけであります。つまり、日本の主権及び国民の基本的自由と人権に対する重大な、明白な侵害に対しまして、北朝鮮が認めた。私は、これは一つ大きな進展でありました。

 ところが、その後、実務者協議が行われ、第三回目が本年十一月に開かれた。そこで、その経緯が今日に至るわけでありますが、先ほど同僚の水野議員が質問せられていたように、経済制裁という問題について、各新聞、全部と言っていいほど、論説、経済制裁検討という形で出ておるわけでありますし、また各分野において一日一日その声が高まっているわけでございます。

 日本といたしましては、外務大臣初め、総理初め、あらゆる外交のルートを通じまして、そしてバイラテラルに、また国際的にマルチラテラルに、本件問題というのを、日本支援団、そういうものの構築を目指して努力するということは極めて重要な事態になっているわけであります。

 しかしながら、一方、北朝鮮は、日本が経済制裁、いわゆると言っておきますが、経済制裁にいろいろな幅がありますが、経済制裁を行いますと、これを宣戦布告とみなして解釈するということも伝え聞くわけでございます。

 そこで、防衛庁、北朝鮮から弾道ミサイルが日本に向け発射された場合、日本に着弾するまでどのくらいの時間がかかりますか。

飯原政府参考人 お答えいたします。

 北朝鮮のミサイルの能力について正確なことを申し上げることは困難でございますが、おおむね十分程度というふうに考えております。

佐藤(剛)委員 大体そうなんですね。アメリカにはそれの二十倍かかると言われております。八分でいきますと、百六十分でアメリカにまで達する。

 それでは、次に、北朝鮮の弾道ミサイルの保有状況はどうなっていますか。

飯原政府参考人 これも防衛庁として断定的なことを申し上げるのは困難でございますが、一応、千キロ級のノドンということでございますと、米軍関係者の証言として、約百という証言がございます。

佐藤(剛)委員 北朝鮮から弾道ミサイルの攻撃を受けた場合、自衛隊はどのように対応するんですか。

大古政府参考人 お答えいたします。

 仮に我が国に向けて弾道ミサイルが発射された際における我が国の対応につきましては、一般論として申し上げさせていただきますが、その状況に応じ個別に判断されるものでございます。

 この場合におきまして、そのミサイルの発射が我が国に対する組織的、計画的な武力の行使であると判断される場合には、自衛隊法七十六条の規定に基づく防衛出動により対処することになると思われます。それから、その他の場合につきましては、災害派遣とかそういう枠組みを使用することになると思われます。(発言する者あり)

赤城委員長 静粛に願います。

佐藤(剛)委員 北朝鮮からの弾道ミサイル攻撃に自衛隊のみで対応ができない場合、米軍との共同対処というのが考えられるんですが、具体的にどのような共同対処をするお気持ちか。

大古政府参考人 北朝鮮のノドンミサイルのような千キロ級の射程の弾道ミサイルにつきましては、現時点において、自衛隊はこれに有効に対処し得るシステムを保有しておりません。

 日米間では日米防衛協力のための指針がございますけれども、この中におきまして「自衛隊及び米軍は、弾道ミサイル攻撃に対応するために密接に協力し調整する。米軍は、日本に対し必要な情報を提供するとともに、必要に応じ、打撃力を有する部隊の使用を考慮する。」ということになってございます。

佐藤(剛)委員 防衛庁はあらゆる可能性を検討しておいてください。

 次は、警察庁、法務省。法務省刑事局長いらっしゃっていますか。

 いわゆる拉致という言葉、これにも出ていますが、拉致。この拉致という言葉、拉致罪あるいは拉致の被害罪、これは刑法にありますか。

大林政府参考人 お答え申し上げます。

 拉致罪という名前ではございませんが、略取誘拐罪等で処罰されることとなると思います。

佐藤(剛)委員 そうなんですね。拉致というのは、いわゆる雑誌用語、新聞用語、あるいはテレビ用語なわけであります。

 今の刑法で拉致という、簡単に言えば拉致罪ですね、拉致で被害を受けた人、これをやるには、要するに、故意がない場合にこれを適用できないケースというのがあります。先ほど村田公安委員長が指摘されました有本恵子さん拉致の実行犯であるよど号の犯人魚本公博、先ほど当委員会に報告がありましたが、この問題がそれに該当するわけであります。

 有本恵子さんにつきまして、平成十四年、八尾恵の証言内容というのがあります。これは、平成十四年三月十二日、東京地裁で行われました金子こと赤木恵美子に対する旅券法違反事件。これは何なのかといいますと、この証人に八尾恵というのが出てくるんです。これは、よど号の奥さんであります。よど号の奥さん。こういうふうに言っております。証人八尾恵は、この事件の検察官の請求証人として出廷しまして、宣誓の上、検察官の尋問に対しましてこう言っています。

 一九七七年、昭和五十二年二月ころ北朝鮮に渡った後、よど号事件の実行犯とその妻で構成されるグループの一員としまして、主体思想の教育を受けた上、このグループの田宮高麿というんですが、この田宮高麿の指示に基づきましてヨーロッパや日本に行きまして、金日成主義に基づいて日本革命を担う日本人の発掘、それから獲得及び育成のための任務を組織的に行ったが、その一環として、ここのところが重要なんです、一九八三年、昭和五十八年七月ごろ、日本人留学生有本恵子に対しまして、場所はコペンハーゲンであります、北朝鮮での仕事がありますよ、北朝鮮はいいところですよ、行きませんか、行ったらどうですか、そういう雰囲気を言うわけであります。

 ところが、先ほど刑事局長が言われましたのは刑法二百二十六条、これによりまして、本件のような、日本人であって外国にいる場合、外国にいる場合の日本人を外国にいるだれかがねらって北朝鮮なら北朝鮮に行く、そういうふうなものは現在の刑法で対象になりますか、刑事局長。

大林政府参考人 一般論として申し上げますと、暴行、欺罔等の手段を用いて他人を日本国内から国外に連れ出すなどの行為については、刑法第二百二十六条の国外移送目的略取誘拐や被略取誘拐者日本国外移送の罪が成立する可能性がありますが、これらの罪は、外国にいる日本人に対して同様の手段を用いてその国外へと連れ出そうとする場合や連れ出す場合には適用がないところでございます。

佐藤(剛)委員 そうなんですね。適用できない。いわゆる刑法、ほかに何もできない。監禁罪もできなければ、略取誘拐もできない。

 ですから、これについては、私はかねてから拉致罪をつくるべきだということを法務委員会等でも言っておるのでありますが、法務省におきましてはこれについて何らかの方法を考えないと。これで終わるんじゃないんですから、今後だってあり得るんだから。私はそのブランク地帯になっておると思うんですが、それについての見解。

大林政府参考人 法務省におきましては、次期通常国会への法案提出を目途に、現在、人身取引を初めとする人身の自由を侵害する犯罪に関する罰則整備について法制審議会での検討を行っておりますが、御指摘の点をも踏まえ、法制審議会への諮問の中には、刑法第二百二十六条の罪の構成要件の見直し、すなわち、日本国内から国外への移送に関する行為のみならず、人が現に所在する国からその国外に移送する目的で略取誘拐等をする行為や、略取誘拐等をされた者をその所在国外から移送する行為についても処罰の対象とすることが盛り込まれております。

 この見直しによる刑法改正が行われた場合には、外国にいる日本人を暴行、欺罔等の手段によりその国外へ連れ出そうとする場合や連れ出す場合にも、刑法二百二十六条により犯人を処罰することができるようになります。

佐藤(剛)委員 そうなんですね。ですから、これは至急、次の通常国会に出して、きちんとした法整備を行っておいてください。拉致というものについて、日本国が国として法的整備もきちんとやる、めり張りをつける、これは非常に重要なことだからであります。

 次に、外務省。

 国際連合には、国連改革という問題が今進んでおります。国連改革というと、敵対条項とか安保理の理事になるとかという話が出るわけでありますが、国連の中に人権委員会というのがあるわけであります。

 私は、人権委員会を組織的に、強制力のあるような安保理までいけば一番いいんですけれども、そのぐらいに格を上げて、そして、この中には北朝鮮も入っているんですよね、メンバーで。ですから、こういう中に入れて、国際的な拉致解決ネットワークをつくるべきだと思うわけでありますが、この人権委員会の問題について、外務大臣としてどのようにお考えで、どうして今までここまで進めてきた、どういうふうなことをやるのかということをお話しください。

町村国務大臣 佐藤委員御指摘の拉致の問題、これは国際社会全体でも大変大きな問題だということで、北朝鮮に対するさまざまな働きかけが行われているところであります。APEC首脳会議、ASEANプラス3、いろいろな場面でこのことを私どもが提起をし、そういう形での国際的な理解も得ているところでございます。

 今御指摘の国連の場の活用という、なかんずく人権委員会でございますけれども、これは現在、人権委員会の強制的失踪作業部会というのがございまして、そこを通じて北朝鮮が情報提供すべき旨、累次申し立てを行い、特にことしの四月十五日の国連人権委員会で北朝鮮の人権状況決議を共同提案して、北朝鮮の人権状況についての国連特別報告者を任命することを決定し、さらに四月十九日には強制的失踪決議を共同提案し、拉致を含む強制的失踪被害者の行方を解明する努力を継続するということを決議したところでございます。

 以上の決議を踏まえまして、ことしの十月二十八日の国連総会第三委員会というものがございまして、ここで、北朝鮮人権状況特別報告者、これはタイのムンタボーン教授という方が特別報告者でございますけれども、この方が、日本人の拉致を北朝鮮は認めた旨指摘をし、北朝鮮は外国人の拉致等の不法行為の迅速かつ効果的な是正について措置をとるべきである、こういう旨の発言が行われているところでございますが、委員御指摘のように、ではこれが国際の平和と安全にかかわる問題であるという形で安保理まで上がるという形には、現状ではなっていないわけでございます。

佐藤(剛)委員 ぜひ、町村外務大臣のようならつ腕の大臣を抱えているわけでありますから、国連改革の中で日本の、今おっしゃられましたことを実現するように、ひとつあれをしていただきたい。

 それから次に、国連の同じ出資、FAOと国連とが出資しているのにWFPというのがあるわけですね、ワールド・フード・プログラム。そこを通して日本は北朝鮮に米、食糧援助をしておるわけであります。ですから、国連の中で、片っ方で人権委員会があっておりながら、片っ方でそういうところには援助している。これは要するに矛盾しておるわけですよ、あるところ。

 きちんとした整合性を持つためには、きちんと人権を守らないようなところに国連として、日本がというんじゃなくて国連として、いわばマルチラテラルの場において、自分のところの機関なんだから、右の方でなでて左の方でたたくようなことというのはおかしいわけでありますから、その点については十分やっていただきたいと思います。

 それから、問題の指摘だけにとどめます。金融庁はおりますか。北朝鮮系の信金、信組、これが倒れました。日本の税金が使われました。私の記憶だと一兆を超えております。それについての事実関係をお答えください。

大藤政府参考人 お答えいたします。

 北朝鮮系信用組合につきましては、我が国の法律に基づき設立された預金保険法上の金融機関でございまして、他の破綻した国内金融機関と同様、預金者保護や信用秩序の維持といった預金保険法の趣旨、目的に沿って、同法に基づき所要の資金援助を行ってきたところでございまして、その内容は、現在、金銭贈与額一兆一千四百四億円、資産買い取り額二千九億円となってございます。

佐藤(剛)委員 そうなんですね。ですから、今、一兆円を超える日本の税金が入っているそういう救済をやっているわけですから、自分のところの国の中にあるわけだから、金融庁、まずしっかりと監督をして、このお金がどこか横に流れないようにひとつよろしくお願い申し上げておきます。これは、この質問はここだけで終わりませんよ、今後やりますよ、やり続けますので。

 次は総務省。

 在日朝鮮人連合会の中央本部というのが東京にありますね。これについて東京都が固定資産税を課す検討に入ったという話があります。また、この支部とかいろいろな形態でこの北鮮系の組織、事務所というのがあるわけでありますが、この固定資産税、どうなっておりますか。

松本大臣政務官 在日本朝鮮人総聨合会の関連施設に対しましては、地方公共団体においては条例で定めるところにより減免を行っている例もあると伺っているところでございます。減免が必要であるかどうかということにつきましては、基本的には地方公共団体の自主的な判断にゆだねることが適当としておりまして、現在、個別具体の課税状況については総務省としては承知をしていないところでございますが、委員御指摘もございまして、朝鮮総連施設への課税状況を調査するという方向で進めていきたいと考えております。しかしながら、施設の所有者等がさまざまであり、また守秘義務の問題にもかかわるため難しい面もあるのでありますが、東京はもとより、全体的に、年度内に、可能な範囲で実態の把握に努めてまいります。

佐藤(剛)委員 私がこの問題を出すのは、外交関係を樹立するということは、大使館や領事館というのは税金かけないんですよ、固定資産税。ところが、まだ外交関係もないところに固定資産税の免除がなされておる。そういうふうなところの北朝鮮と今実務者会議が行われている。こういう問題の重要性を誤認されなきこと、よく理解して、そして調べてください。全国ベースでよく調べてください。

 時間でございますので、以上をもちまして終わりにさせていただきます。

赤城委員長 次に、漆原良夫君。

漆原委員 公明党の漆原良夫でございます。

 一昨日、十二月の八日でございますが、日本国じゅうに大きな衝撃が走りました。北朝鮮が提出した横田めぐみさんの遺骨が、DNA鑑定の結果、別人で、複数の他人の骨と判明したということであります。拉致被害者の身を案ずる家族の心情をどこまでもてあそぶのか、まさに卑劣きわまりない、ならず者国家北朝鮮の態度と言わざるを得ないと思っております。

 昨日の各紙は、社説で一斉にこの問題を取り上げて北朝鮮を非難しております。

 毎日新聞では「ニセの遺骨 何という卑劣な仕打ちだ」、読売新聞では「“遺骨”は別人 「北」の愚行が自ら制裁を招く」、日本経済新聞では「不誠実な北朝鮮へ経済制裁を視野に」、そして朝日新聞では「遺骨の嘘 総書記はこの怒りを聞け」と。日本国じゅうは、今や北朝鮮に対する怒りの声でいっぱいであります。

 私もまた、今回の北朝鮮の態度は国家的な背信行為であり断じて許すわけにいかない、こう考えておりますが、まずこの問題に関する政府の御認識をお伺いしたいと思います。

町村国務大臣 今委員段々のお話があったマスコミの社説等を含めて、私も世論の大変厳しい反応というものをよく承知いたしております。

 政府といたしましても、今回の調査結果の核心がこの横田めぐみさんの遺骨と言われるものであっただけに、これが虚偽であるということが判明したことはまことに遺憾である、かように考え、したがって、私どもは直ちに、まずこの件だけについて、政府として北朝鮮側に厳重に抗議を行ったところでございます。

漆原委員 そこで、現在までこの問題に対して日本政府はどのように対応されたのか、そしてそれについて北朝鮮の方からどんな返答があったのか、あわせてお尋ねします。

町村国務大臣 八日に、これが横田めぐみさんの遺骨ではないということが判明をいたしましたので、八日の、これは日本時間の午後六時半でございますけれども、我が方の北京にあります日本大使館から北朝鮮側の大使館に対しまして、まさに虚偽であったということで、これは日朝平壌宣言の精神に反することは明らかである、極めて遺憾であり厳重に抗議をするという旨の伝達を行いました。

 これに対して先方はまだ特段の反応はございませんけれども、そのときの申し出に対しましては、日本側の申し入れは平壌に連絡をするという回答があったところでございます。

漆原委員 薮中局長にお尋ねしたいんですが、めぐみさんの夫と言われておりますキム・チョルジュンですか、この人は、なぜ、土葬から二年後に墓を掘り起こして、骨を焼いて骨つぼに保管した、こう言っておりますね。その理由は一体何なんでしょうか。

薮中政府参考人 お答え申し上げます。

 先方の説明ぶりでございます。前回の調査に参りましたときの先方の説明ということで、夫とされるキム・チョルジュンという人からの説明でございますけれども、まさに委員御指摘のとおり、非常に不可思議なことであるということで問いただしました。それに対する先方の答えは、お墓の面倒を見ることがなかなか困難になってきていた、自分が住んでいるところから少し離れているということで、そして手元に置いておきたい、そのためにそういう措置をとることにしたのだというのが先方の説明でございました。

漆原委員 そうだとしますと、今回、この骨がめぐみさんのものではないということが判明された。ということは、とりもなおさず、このキム・チョルジュンなる人物というのはめぐみさんのだんなさんじゃないというふうになると思うんですが、この点が一つ。

 もう一つ、たしか局長は、お帰りになったときに、このキムさんに対する何らかの資料を持ち帰って、本当にヘギョンさんのお父さんかどうか、めぐみさんのだんなさんかどうか確認をする何らかの資料があるというふうにおっしゃったと思うんですが、そういうものを現在まで確認されていますか。結果を二つあわせてお尋ねしたいと思います。

薮中政府参考人 お答え申し上げます。

 このキム・チョルジュン氏ということで我々の前にあらわれた方でありますけれども、我々としては当然、その身元確認、本人確認ということは極めて大事であるというふうに考えておりました。先方は、もちろん北朝鮮側としては、これは横田めぐみさんの御主人であったということで本人を連れてきたわけでございますけれども、我々として、それをきちんと自分たちで確認するすべがないかということでございます。

 そこで、毛髪の提供を要求したわけでございますが、本人は自分の仕事上それはできない、提供できないということで、写真を見せてきたということは前にも御説明したとおりでございますけれども、二人で写っている写真と三人で写っている写真ということで、本人と横田めぐみさん、そしてキム・ヘギョンさんが写っている写真がございました。我々は、その他にも直接本人確認ができないかということでございます。さまざまな情報もございますし、現在、政府部内でそれについての精査を行っておりますが、まだ本人確認をできる状況に至っておりません。

漆原委員 警察庁にお尋ねしたいんですが、今回のいわゆる物証の中で、本人の死亡に関する物証、一番直接的な確実な物証というのは今回の骨だったろうなというふうに思っております。だけれども、これはまた反面、DNA鑑定をすれば、それこそ一発で真実かどうかわかってしまう、こういう性質のものですね。それを北朝鮮が、これが横田めぐみさんの遺骨ですよといって渡したということを考えてみますと、私はそこに何らかの、DNA鑑定が不可能だという工作をした上で渡したんじゃないかなというふうに思うんですが、この点は警察庁、いかがでしょうか。

瀬川政府参考人 お答えをいたします。

 今回、横田めぐみさんの遺骨とされる骨でございますが、その状況というものは、高温で焼かれて細かくなっているという状態であったということでございます。こういった骨を焼くということによって、DNA鑑定は一般的に申し上げまして非常に困難になるというふうに私どもは承知をしております。そういった困難な状況の中で、先ほど冒頭、大臣から御説明させていただきましたように、帝京大学においてそのDNA鑑定を実施したわけでございますが、検体はそういう状況であった。

 お尋ねの点でございますが、北朝鮮側として、こういった骨の状態に関して何らか意図的なことが行われたのかどうかということは、いわゆる検体、骨の状況から判断することは、これは客観的には、申し上げることは非常に難しいというふうに考えております。

漆原委員 実際、科警研で鑑定した場合に、この鑑定は不可能だったという結論になっていますね。これはどういう理由で鑑定不可能だったんでしょうか。

瀬川政府参考人 横田めぐみさんの遺骨であるとして北朝鮮側から提供されたものにつきましては、大変重要な検体、資料であるというふうに私ども認識をいたしました。捜査上もそうでございますし、そのほかもろもろ、我が国にとって極めて重大な資料であるという認識でございます。そういった認識に基づきまして、この検体の鑑定につきましては、先ほど来申し上げておりますように、科学警察研究所と帝京大学と、二カ所に鑑定について嘱託をした、こういう経緯でございます。

 科学警察研究所といたしましても、大変精いっぱいの努力をして、手を尽くしてDNAの検出に努めたところでございますが、横田めぐみさんの遺骨とされるものにつきまして、先ほど申し上げましたような、高温で焼かれている、こういった状態から、残念ながら科学警察研究所においてはDNAの検出には至らなかった、こういう状況だというふうに報告を聞いております。

漆原委員 骨つぼを全部警察が受け取ったというふうに僕は聞いているんだけれども、何か、あけてみて、高温で焼かれていた、一説によると非常に細かく粉砕されていたと。だから、日本の遺骨の保管の状況に比べて極めて不自然だという感じは受けなかったですか。

瀬川政府参考人 先ほど来御答弁させていただきましたように、高温で焼かれて、すべてがではございませんが、多くの部分が細かくなっているという状況だというふうに報告を聞いております。

 この状態というものについて、不自然だ、あるいは何らかの意図を持ってこういう状態にしたものだというようなことについては、御答弁を差し控えさせていただきたい。その状態からして、そこまでの推論、推測ということは、これは非常に困難であるというふうに申し上げざるを得ないところでございます。

漆原委員 外務大臣にお尋ね申し上げます。

 二〇〇二年九月十七日の日朝平壌宣言では、こうなっております。「双方は」中略しますけれども「日朝間に存在する諸問題に誠意をもって取り組む強い決意を表明した。」こうあります。

 今回の北朝鮮の態度、この平壌宣言に、精神ではなくて、この条文に反するんじゃないかというふうに思うんですが、いかがでございましょうか。

町村国務大臣 今委員御指摘の「誠意をもって」という部分に反するのではないかと。しかし、これはまさに文字どおりはそうなんでありますけれども、全体として日朝平壌宣言というのは、お互いに誠実に、いろいろな問題がある、これを解決していこうという精神に立脚してこれができているということでありますから、私、先ほど、その精神に反するということを申し上げたわけでございまして、もし、どこの条文かと言われれば、該当するのはまさに今委員が言われたところになるわけでございます。

 ただ、そういう意味から、私どもとしては非常に遺憾であると考え抗議までしたわけでございますが、今後どのような対応をしていくかということについては、また先ほど申し上げたような、完全にすべての調査が完了していないという状態の中で、いま少し時間をいただいて、できるだけ早く調査結果を出し、そして今後の対応は考えていきたい。その際、今委員の御指摘になったこともしっかりと胸に刻んでまいりたいと思います。

漆原委員 もう一つ。本年の五月二十二日、小泉総理と金正日国防委員長との日朝首脳会談、この際でも、今後の日朝関係を進めていく上で、日朝平壌宣言がその基礎であり、同宣言を双方が誠実に履行していくことが再確認されたと総理は報告されております。さらに、金正日国防委員長より、改めて白紙の状態から本格的な調査を行う旨の明言があったと総理は報告されておりますけれども、今回のこの態度、今、総理との二つの約束にも明確に私は違反をしていると思うんですが、外務大臣の御見解をお尋ねしたいと思います。

町村国務大臣 委員御指摘のとおり、白紙の状態から調査をするというふうに金正日国防委員長が小泉総理に発言をしたということは、私どももよく承知をいたしております。

 現実に、今回のまず遺骨についてだけでも、こうした本当に白紙の状態からの調査であるかどうか極めて疑わしい結果が出てきたわけでございますので、そうしたことを踏まえて、私どもとしては大変遺憾であり厳重に抗議をしたということでございますが、今後のことについては、先ほど申し上げたような方針で、いましばらくお時間をいただければ、かように思っております。

漆原委員 その上で、二十五万トンの食糧支援のうち半分の十二万五千トンの供与、残っておるわけでございますけれども、私は当然に凍結されるべきだと思いますが、改めて御見解をお尋ねしたいと思います。

町村国務大臣 先ほど水野委員からのお問い合わせもあったところでございます。その折申し上げましたが、あと残った半分、十二万五千トンですか、これにつきましては、私どもとしてこれを今実施する状況にはない、かように考えております。

漆原委員 ことしの五月二十五日、私は本会議で総理にこうお尋ねしました。「北朝鮮が再調査で誠意ある態度を示さなかった場合には経済制裁を行うのか否か」という質問をさせてもらいました。総理はこうおっしゃいました。「日朝平壌宣言の精神に従った取り組みがなされようとしている現時点において、拉致問題を理由として北朝鮮に対しいわゆる経済制裁を発動する考えはありません。」こう答えておられます。

 北朝鮮の日朝平壌宣言違反及び日朝首脳会談における約束違反は明白であり、北朝鮮が国家的背信行為を行った今こそ私は経済制裁をするべきだ、踏み切るべきだと思いますが、外務大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

町村国務大臣 今回の調査結果の一番重要な部分がこの横田めぐみさんの遺骨と称されるものであった、その点がまさににせであったということでありますから、私どもも大変な怒りを覚えているところでございます。

 今直ちに経済制裁をという委員の御指摘でございます。

 私どもは、いま少し、外務省あるいは関係省庁と共同しながら、遺骨以外の資料について今鋭意調査を進めているところでございます。あとしばらく時間がかかりますが、何とか年内にはその調査を急いで答えを出して、その上でいかなる対応をすべきか、経済制裁もその選択肢の一つということを私はかねてより申し上げておりますが、今委員の御指摘も踏まえながら、しっかりとした対応をいかにすべきか考えていきたいと思っております。

漆原委員 総理は対話と圧力というふうにたびたびおっしゃっておりますが、これまで北朝鮮に圧力をかけたということは一度もなかったというふうに私は思っております。怒るべきときには、交渉の決裂を恐れないで、怒る勇気を持つことも日本の外交の信頼を担保する上では必要だろうというふうに私は思っております。

 日朝国交正常化を一番求めているのは北朝鮮であります。また、交渉の断絶を一番恐れているのも、私は北朝鮮であると思っております。交渉の決裂、その時点から本当の交渉が始まると私は思っておりますが、外務大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

町村国務大臣 交渉の決裂から交渉が始まるというのはなかなか難しい表現で、おっしゃる意味はよくわかります。

 私どもは、小泉総理もそうでありますが、対話と圧力ということを申し上げております。対話だけでもうまくいかないときには圧力ということで、既に国際的なさまざまな取り組み、それがどれほど彼らが圧力と感ずるかどうかわかりませんけれども、さまざまな形での国際的な会議等の場でのメッセージというものも届いております。いろいろな形で、この拉致問題の正しい解決に向けて国際的な連帯を強めながら、その中で解決をしていこう、先ほど佐藤委員から国連の人権委員会の話も出ました。それも一つだろうと思います。あるいは、これはアメリカが新規立法をいたしまして、その中にも拉致に二カ所触れるところがあった。

 そういったさまざまな活動もあるわけでございますが、さらに日本単独で、いかなる形の今後の行動をとったらいいのかということにつきましては、この委員会での既に何名かの方々の御指摘もいただいたところでございまして、そうした御指摘も踏まえながら、できるだけ早く日本国政府としての対応を決めていかなければならない、かように考えております。

漆原委員 国民の我慢は今限界に達しております。どうぞ経済制裁を求める国民の声に耳を傾けていただいて、強い姿勢で臨んでいただきたいことをお願いして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

赤城委員長 午後零時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十一分休憩

     ――――◇―――――

    午後零時三十一分開議

赤城委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢でございます。

 政府は、八日、北朝鮮側が先月の第三回日朝実務者協議の際、拉致被害者の横田めぐみさんの遺骨だとして提供した骨が、専門的な組織分析、DNA鑑定の結果、別人のものであるということを公式に確認いたしました。

 今回の北朝鮮側の態度は、極めて重大かつ無責任なものであり、日朝平壌宣言の精神に反するものであります。私たちは、とうとい人命にかかわる問題で虚偽の資料を提出した北朝鮮側の不誠実な態度に厳しく抗議をするものです。

 そこでお伺いをいたしますが、北朝鮮側は、第三回実務者協議において、真相が解明されていない拉致被害者十名について、小泉首相が九月十七日に訪朝した直後に提供した資料に多くの虚偽が含まれていたということを認めまして、それを訂正して出したのが今回新たな資料であったわけです。ところが、その資料の中で核心的部分あるいは中心的な位置を占める横田めぐみさんのものとされた遺骨が虚偽であったことは重大であります。

 北朝鮮が以前に提供した松木薫さんの遺骨とされた骨についても別人のものであることが既に判明しており、虚偽が連続しております。なぜこのような虚偽が連続をしているのか、こういうことが引き起こされていると考えますか。

町村国務大臣 今委員御指摘のような、二つの遺骨とも虚偽であった、その意図といいましょうか、なぜそうなのか。率直に言って、それがわかれば苦労しないのでありますが、まことに不可解きわまりない北朝鮮の行為だ、こう思っております。それは、いろいろな推測はできるかもしれませんが、政府の立場で余り推測を申し上げるのはいかがかと思うのでそれは差し控えますが、いずれにしてもまことに遺憾なことでございました。

 先ほど来申し上げておりますように、厳重な抗議を行ったところでありますし、今後とも引き続き真相解明を強く迫っていきたい、かように思っております。

赤嶺委員 私たち、虚偽の報告が繰り返されている問題について、これは今後交渉を進めていく上で非常に重要な中心問題だと考えております。これらの事実というのは、北朝鮮側の交渉担当者にそもそも交渉担当者としての当事者能力があるかどうか、極めて疑わしいことを示すものだと思います。

 外務省は、九月の第二回日朝実務者協議の際、北朝鮮側代表だった宋日昊外務省副局長が、六月に設置した調査委員会で一生懸命調査しているが、拉致にかかわった特殊機関の協力が得られず調査が難航している、このように述べておりました。それから、十一月の第三回実務者協議の際にも、北朝鮮代表となった陳日宝人民保安省局長の言葉を引用しまして、特殊機関の関与した事実であり、その際に関係文書が拉致当事者により焼却されていた、このため捜査が極めて難しかった、こう述べております。

 こうした経過からいたしますと、これまで北朝鮮側が交渉の窓口に据えた相手は、拉致問題の全貌を知り、そして責任と権限、当事者能力を持った人物だと言えるのか、こういう疑問がわいてまいります。この点について、政府はどのようにお考えですか。

薮中政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の陳日宝局長でございますけれども、今委員御指摘のとおり、まさにこれは先方が、金正日国防委員長が白紙に戻して再調査をする、そのためにできたのが調査委員会だというのが北朝鮮側からの説明でございます。

 その責任者であるのがこの陳日宝局長ということでございますから、日朝でまず話をする上では、その調査委員会、それの責任者、これがまさに金正日国防委員長が言う白紙に戻しての再調査の責任ある所在だという説明を受けているものでございますから、こことまずやるしかない、こういうことでございます。

赤嶺委員 政府側の代表として、北朝鮮の方からそういう代表者が出てくる、これを窓口にするというのは当然でありますが、しかし日本政府の側が新たな証拠を出されて、それが虚偽だったというここに至って、本当に向こうが当事者能力を持った窓口なのか、そういう疑問がわくわけですが、その点いかがなんですか。

薮中政府参考人 お答え申し上げます。

 まさに、今回、日朝実務者協議ということで、随分と時間を費やして、そして先方とやってきた。今、その最終的な結果についての精査ということは行っておりますので、それを終えた上で判断をする必要はあるというふうに考えております。

赤嶺委員 私たちは、こういう虚偽が繰り返されていることについて、北朝鮮の側がこの拉致問題について当事者能力を持った立場の人にやはり切りかえるべきだと、きのう志位委員長が政府に申し入れをいたしました。

 北朝鮮側の交渉担当者を、拉致問題の全貌を知っており、問題の解決に責任を負うことができ、権限を持った人物とすること。二つ目に、北朝鮮の現場の全面的調査、関係者の聞き取りなどを含め、日本側の真相解明活動に十分な保障を与えることを求めるべきだと考える、このように思いますが、官房長官、いかがでしょうか。

細田国務大臣 昨日の党首会談におきまして、日本共産党の志位委員長から、今議員おっしゃいました内容の要望をいただきました。

 当然ながら、このおっしゃるような、交渉当事者は本当に全貌を知っておって、問題の解決に責任を負うことができて、権限を持っているのかと。私も、結果としてこのようなさまざまな誤った結果、あるいは虚偽の結果が出てまいりますと、甚だ疑問の点もございます。この御要望を真摯に受けとめてまいりたいと思っております。

赤嶺委員 ぜひ政府において、そういう私たちの提案の検討を強くお願いしたいと思います。

 そこで、きょうの委員会に決議案が出されております。北朝鮮の不誠実な態度という問題について、決議案では強い憤りが表明されています。この点では私たちも賛成であります。

 しかし、政府に求める対応方向の中には、経済制裁論に立った内容が含まれています。制裁論は、拉致問題解決に向けた交渉の扉を閉ざしかねず、また六カ国協議による核問題等の解決に逆流をもたらすものであります。

 拉致問題解決のために今必要なことは、私がさっき申し上げたとおり、責任ある当事者を交渉の場に出させるなど、この問題での日朝間交渉を強めることであります。この立場から、我が党としては決議案には同意できないということを表明して、私の質問を終わります。

赤城委員長 次に、中川正春君。

中川(正)委員 民主党の中川正春でございます。

 きょうの委員会でも、それぞれ質問者から何回も何回も繰り返し出ていますように、人権と人の命というものを外交交渉でもてあそぶというような今の北朝鮮の体質、そして非道きわまる体制、このことに対して改めて心から憤りを感じております。それと同時に、こうして振り回されなければならない、こういう状況をつくり出している今の外務省の交渉過程というものに対しても、改めて私は警告を発していきたいというふうに思うんです。これが限界だと思いますよ。そのことを冒頭申し上げて、質問に入りたいというふうに思います。

 まずは、さっきから話に出ています経済制裁についてですが、きょうもこの委員会で最終的に決議案が出てまいります。私も、この法案については、提出者の一人として関与させていただき、こういう局面のためにこの法案をつくったという思いがあります。だから、ぜひこの国会の意思を体して経済制裁、真剣に取り組んで実行するということ、これをまず冒頭、政府に申し上げておきたいというふうに思うんです。

 その上で、さっきから答弁を聞いていますと、すぐやるという態勢ではないと。それで国民が納得すれば、あるいは国会が納得すれば別なんですが、さっきの答弁では全く話がわかりません。どうして経済制裁をこの局面でやらないのか、あるいはやるべきでないと判断しているのか、その理由は何ですか。

町村国務大臣 経済制裁は手段であって目的ではないことは、委員よく御承知のとおりでございます。私どもは今、横田めぐみさんの遺骨と称されるものがにせであるということが昨日判明した、そして私どもの手元に持ち帰った資料がありまして、それを鋭意分析しているという段階であります。

 遠からず、できるだけ年内にそれを取りまとめて、その分析結果を踏まえた上で今後の対応を検討していく。その対応の中に経済制裁も、私が着任以来申し上げておりますように、これはまさに国会の立法の趣旨にもあるとおりでございますから、経済制裁もその選択肢の中に含まれるということを申し上げているとおりでございます。

中川(正)委員 これまでの国会答弁なり、あるいは記者会見なりで出てきた理由というのがもう一つありましたね。ここで交渉が打ち切られてしまうということについて、それでいいのかということがある、このこともあったと思うんですね。

 最初の部分、さっき答弁があった部分から聞いていきたいと思うんですが、それでは、この核心部分、いわゆる持ち帰ったものの核心部分の骨というのはにせものであったということがはっきりしたわけですが、あとカルテとかその他さまざまなものが持ち帰られた。この証拠がどういう状況になれば発動をするというんですか。結果を待つということはその結果が出てからという話だと思うんですが、その条件というのはどういうところを考えているんですか。

町村国務大臣 調査中でございますから、今、どういうものが出てくるかということを予断を持って申し上げるのはちょっと難しいのでありますが、どういう条件になったらばと今委員おっしゃいました。ちょっと意味が必ずしも私にはよくわかりませんけれども、仮にこういう条件ならばこういう手段、こういう条件ならばこういう手段、そういうものを御説明すれば、それはいいのかもしれませんけれども、しかし、それはある意味では大変貴重な情報を先方に渡すことになりますから、こういう場で申し上げるのはいささか適切ではないのではなかろうかと私は思います。

中川(正)委員 これまでの例からいえば、捏造された部分、過去にも死亡届だとかカルテは捏造されたものがあったということでありますが、今回の部分についてもそういうものが出てくる可能性があると思うんですよ。出てきたら発動しますか。

町村国務大臣 カルテの件については、今鋭意検討中でございます。

中川(正)委員 もう一回聞きますよ。

 カルテは検討中というのはわかります。捏造が出てきたら発動しますか。にせものが出てきたら発動しますか。

町村国務大臣 そういうたぐいの設問というのは、私は、まさにこれは外交交渉をこれからどうやっていくかということにもかかわりがあるわけでありますから、こうなったらばどうですか、こうなったらばどうですか、こうなったらばどうですかということを全部ここでしゃべってだれが喜ぶのか、よくお考えをいただきたいと思います。

中川(正)委員 いつもそのような形で、だらだらと向こうのペースにはまってきた。完全にこれは振り回されているんですよ、北朝鮮から。その自覚がないままに決断を先送りしているだけというのが今の状況じゃないですか。そのことを改めて指摘しておきたいと思います。

 今、様子を見ている話じゃないんです。完全にこれは振り回されているだけなんです。そのことをまず原点として、出発点として、これからの交渉に当たっていただきたいというふうに思うんです。

 それで、二点目ですが、これで発動すれば、今度は拉致問題について話し合うきっかけというのはなくなる、そこで国交断絶のような形になる可能性がある、その可能性はあると思うんです。

 しかし、私、そこでもう一回原点に返って確かめておきたいことがあるんですよ。それは、これまでの交渉もそうですが、真相究明をしていく、これがこの交渉の一つの目的なんだろうと思います。この真相究明という中身なんですよね。

 これは、死亡の確認をする、皆が、拉致された被害者がもう既に亡くなっているんだということについての証拠品というものと、それから状況の説明というのがこれまでの交渉の中で何回も何回も出てきて、それを逸脱していないんですね、ずっと見ていると。ところが、それが全部、その証拠品というのが、今回のにせものの骨を中心にして崩れてきた。

 私は、この最初のスタンスというのがそもそも間違っているんじゃないかというふうに思うんです。生存の確認でしょう。それと同時に、この拉致の責任の所在というのがどこにあったのか。どのレベルでこのことが行われたのかということと同時に、最終的にその責任をどうとっていくのか、これが交渉だと思うんですよ。

 全くその部分はなくて、これまでやってきたことといったら、向こうから出てきた、この人は死んでいますよ、この人は亡くなっていますよというその証拠を一つ一つ集めてきて、日本に持ってきて、それが本物かにせものかと確かめているだけ。こんなものは交渉になっていないじゃないですか。そこをどのようにスタンスをこれからつくられようとしているのか、改めて確認をしたいと思います。

町村国務大臣 真相究明というのはどういう内容であろうか、こういうことであります。

 まず、拉致された方々が帰ってきた。それまで、小泉総理が北朝鮮に行かれる前までは、そもそも存在を否定していた北朝鮮が、それを謝罪の上認め、そして帰ってこられた。さらに、その家族も帰ってきた。これは間違いなく、生きて帰ってこられたということで、これ以上の真相究明はなかった、こう思います。

 そして、現在の状態は何かといえば、それはまさに安否が不明な方々について、その安否がどういう状態にあるのかということを解明するということが一番重要であろうし、生存している被害者の方があれば、当然それは日本に帰還をされるべきものということであります。

 その上で、今委員のお述べになった拉致に関する、それは経緯でありますとか、意図でありますとか、あるいは責任体制でありますとか、そうした事実関係についても、当然のことながら、それを解明していくことが求められていることもまた当然であろう、こう思っております。

 逆に、ぜひ中川委員、幅広い御経験をお持ちでいらっしゃいます。どのような交渉をやるべきなのかということについて、また今後とも御指導を賜りたい。

中川(正)委員 はぐらかさないで。基本的なスタンスは、私はやはりはっきり今させるべきなんだろうと思うんです。

 これは、死亡ということを前提にして交渉に臨むその臨み方と、それから拉致被害者は生存しているんだ、あるいはまだ拉致と認定されていない人たち、こういう人たちも含めて、日本としては、その存否とそれまでの経緯というのを確実に確認していくんだ、そういうスタンスとは、これは違うと思うのですよ、交渉が。

 だから、それだけに、今こうしてにせものを渡されたというこの機会を通じて、もう一回スタンスをもとへ戻して、交渉の経過の中から、にせものを渡されたんだから、我々は全部が生きているんだという前提でこれからは臨みますよという、国家の意思としてはっきりさせるということ、これが出発点じゃないですか、どうですか。

町村国務大臣 そういう意味では、私ども、委員と全く同じスタンスに立っております。

中川(正)委員 そうした切りかえをどんな形であらわしていくのか、これは、これからしっかりと、この国会の議論の中でもあるいは国民に対するメッセージの中でも、私たちは見詰めていきますから、そのつもりで、もう一回、腹、しっかり位置を、スタンスを置き直してやっていただきたいというふうに思うのです。

 もう一つ、さかのぼって議論を持っていきたいと思うのですが、今回のこのにせもの騒ぎは、どう考えても不自然だし、余りにもこれは稚拙といいますか丸出しなんですよね。これは、いろいろな解釈ができる。さっき午前中にも質問が一つ二つ出ていましたけれども。

 実は、この解釈の仕方によって外交スタンスも大きく変わってくる、そういうことだろうと思うのです。私は、これは三つぐらいの類型が考えられるんじゃないかなと思うのですよね。

 一つは、もともとあの国というのは、ハリウッドの映画を見ているだけで、やることが稚拙で、全く日本をばかにした、そういう外交スタンスしかないんだ、そういう体質で全部が流れているんだと、これは、単純にこんな割り切り方。これは、実は、今そんな流れになっているので、これは私は、どうもそれで終わってしまったらいけないんじゃないかなという気がするのですよね。

 二つ目の類型というのは、金正日と小泉総理の間の共通スタンスですか、共通の目標というのは、早いところ国交正常化をやろうじゃないか、こういうことだと思うんですよ。こんなことをしていたら、国交正常化どころか、これは経済制裁が入ってくるわけですし、それから日本の国民感情としても、そんな、国交正常化して経済援助をやるよというような、そういうバックをつくれるはずがない。これはだれが見てもわかる話なんですよね。

 ところが、それが全く違った方向にこうして来ているというのは、どうもこの国交正常化のプロセスを北朝鮮の中でも邪魔をする勢力があって、それが意図的にこうした工作をしている可能性がないのかどうか。ここのところをどの程度の、皆さんは、皆さんはということは今の政府は、情報を握りながら、情報を考えながらここの判断をしているのか。これはぜひ知りたいところですね。

 それから三番目の、もう一つの類型があると思うんですよ。それは、金正日自身が考え方を途中で変えて、特に六カ国協議を進めていく上で時間稼ぎをしたい、いわゆる核装備というのをある程度のレベルまでやって、その上でアメリカと交渉に臨んでいきたい。今、六カ国協議の状況というのはまさにそういうことだと思うんです、時間稼ぎをやっているんだろうということ。

 これは、アメリカの情報筋でもそうした前提に立って焦っているわけですね。特に、先制攻撃を唱える人たちにとっては、もうそのチャンスはこれで消えてしまっているんじゃないか、ある程度の核の数を北朝鮮が持っているとすれば、そうした意味でのおどしといいますか、そうした意味での軍事行動というのは完全にそがれてしまっているんじゃないかというような議論も出ているぐらいにこの問題が今表に出てきております。

 そういうことから考えていくと、金正日自身が、全体の雰囲気、全体の流れというのを引き延ばして六カ国協議とひとつ同調をしていく、時間的に合わせていくということ、こういうことをねらっているんじゃないかというふうにも考えられると思うんです。

 こうした類型が幾つも出てくるわけですが、実際、では日本がこれから何を向こうに対してカードとして打っていくかということを考えていくときに、こういう類型のどの前提に立って日本は考えていくのかということによって中身が全部変わってくるんですよね、やり方が、経済制裁も含めて。この辺はどのように整理をされるんですか。

町村国務大臣 いろいろな考え方、それは確かにあろうと思います。今、貴重な御意見として、中川委員の御意見は承らせていただきました。

 私も個人としていろいろな意見を言えというなら、それは言うことは可能でありますが、政府の公式の立場でこうであろう、こうだということを断定的に申し上げたり、あるいは憶測に基づいて言うことは、この際は差し控えさせていただきます。

中川(正)委員 外務大臣がそんな姿勢であれば、こんなものは外交の議論にも何にもならないですよ。何のためにこの委員会を開いているんですか。外務大臣のパーセプション、この問題に対する基本的な物の考え方、このスタンスなんですよ。この類型の中のどれにあるかということが日本の意思を決めていくもとになっているわけじゃないですか。それを議論せずに逃げるということは、これは本当に説明責任を欠いていますね。理事、何とかしてくださいよ。(発言する者あり)

赤城委員長 では、再度、町村外務大臣。

町村国務大臣 どういう意図で今の金正日政権がこういう行動をとったか、いろいろなお考えがあろうとそれは思いますよ。しかし、今それを私がここで申し上げ、しかしそれを、では、Aである、Bである、Cであると三つの類型を今言われました。そのことについて、今確証を持って私どもが、いや、Bであるということを申し上げる、それはいろいろな傍証から類推はできるかもしれませんが、こうであるということをいずれかはっきりせよと言われても、それはできることとできないことがあるわけであります。

中川(正)委員 日本の外交というのはこれしきのものかと思いますね。

 恐らくその背景は、それなりの情報がつかめていない、北朝鮮の中身がわかっていない、だから言えないということで、そういう答えでしょう。そのことについて、やはりもう少し前のめりに、もう少し自分の意思を前に出して議論するということから始めようじゃないですか。そのことを改めて指摘しておきたいと思います。次の委員会でははっきりしてください。

 最後に、そんな中で経済制裁という手段を日本としては持っているわけですけれども、韓国あるいはアメリカでは、北朝鮮に対する大勢の中で、もう一つ今大きなうねりが起きてきております。

 それは、アメリカで人権法案として最近通った法案なんですが、これはもう一つ、その前提として、韓国の中にあるんですね。いわゆる脱北者を促していく、救援していく、そのことによって、モデルとしてはヨーロッパの東ドイツの崩壊の過程を前提にして、内部からの民主化運動、それから、さまざまな形で情報を入れていく、逃げてくる人たちに難民キャンプをつくって、その難民キャンプをつくったら、恐らく自国に対する民主化運動の拠点としてそこが生きてくる、そういう考え方の中で、韓国は使い分けをしていますね。

 ウリ党の盧武鉉政権というのは、これは太陽政策で、そのことに対しては関与をしたくないという姿勢がある。しかし、野党のハンナラは、先ほどのアメリカの人権法案で恐らくこれから資金も流れる、NGOに対して資金も流れる、そういうことになってくるんだろうと思うんですが、それを活用しながらこの脱北者問題にしっかりと取り組んでいくということによって、もう一つのカードをここでつくっているんですよ。

 これは金正日にとっては非常に大きな圧力になっていると思います。現に、北朝鮮の中で刑事法の改正が行われて、脱北者が帰っていったときに、収容所へ入れられるんですよね。本国送還される、中国から。そうすると収容所へ入れられて、これまでは刑事罰で三年ということだったのが、それを二年に短くしていますね。そういう、即、いわゆる人権ということに対して国際世論をまとめない、どこかで分断していきたいという気持ちの中でそんな対応が現に始まってきています。

 そんなことから考えて、私たちも民主党の中で、このアメリカの流れとそれから韓国の流れに連動して、日本の中で、人権侵害、これは拉致の皆さん、拉致の被害者はもちろんのことでありますが、行方不明者、それから、もっと言えば、在日の人たちが一九六〇年代をピークに北朝鮮に渡って、今、差別の中で相当亡くなってしまいました。いわゆるあの飢饉のときに集中的にねらわれて、食糧を断たれてそこで亡くなってしまった人たちがいる。

 そういう人たちを対象にしながら、日本が、受け入れていきますよ、戻ってくるなら戻ってきなさいという意思表示をしていくということと、難民という問題について韓国に連動しながら、この救済をしているNGOの人たちを援助していくということ、そして最終的には中国を説得して難民キャンプをつくろうじゃないのというところまでいく。こういう内容を持った、人権侵害を救済していく法案、北朝鮮の人権侵害救済法案というのを今用意しております。

 ぜひ与党の皆さんにも一緒にこの問題にかかわっていただいて、これも一つの、一つのというより、これこそ非常に大きな北朝鮮に対するカードといいますか、我々の国の意思表示になっていくんだと私は信じておりますが、よろしくお願いを申し上げたいというふうに思うんです。

 それで、この流れについて政府としてどのように理解をされ、そしてこの人権というカードを日本としてどのように使っていくかということ、そのことについて最後に答弁をいただきたいというふうに思います。

町村国務大臣 民主党が人権にかかわる法案を御準備されておられるという話は聞いておりますが、まだ寡聞にして詳細までは承っておりませんので、それは議員立法のお話として受けとめさせていただきます。

 人権問題、大変にこれは国際的な重要な関心事項であります。先ほども、どなたかの委員からの午前中の議論でもございましたけれども、国連における人権の扱い、人権委員会等々の議論、あるいはそこにおける決議の採択といったような動きもあることは委員御承知のとおりでありますし、またアメリカの人権法案というものもある。そういった流れの中でのお取り組みだという今お話でございましたから、私どもも大変な関心を持って見守らせていただきます。

中川(正)委員 以上、終わります。

赤城委員長 次に、長島昭久君。

長島委員 民主党の長島昭久です。どうぞよろしくお願いいたします。

 まず冒頭に、どうしても申し上げなければなりません。この閉会中審査の委員会の場所に小泉総理が参加をしていない、出席をしていない。私たち野党は再三にわたって要求をいたしましたが、実現をいたしませんでした。

 今回のこの衝撃的な鑑定結果を受けて、国民の皆さん、そして横田めぐみさんの御両親、御家族の皆さん、本当に憤りをあらわにされているんですね。私たちも、同胞の一人として、国民の一人として同じ思いを共有しているわけです。ところが、政府は、先ほどからお話を伺っていると、北京の大使館を通じて電話で抗議をした。この国民の皆さんと政府との温度差というのはとてつもなく大きいということをまず認識していただきたいと思うんですね。

 この拉致事件の実行犯はもちろん北朝鮮の人間ですが、それを守り切れなかった政府の責任というのも当然のことながらあるわけですね。そういうものに対する悔悟の思い。あるいは、二年前の九月の訪朝、小泉総理の初訪朝で、まさに事務的に、横田さんのお嬢さんは死亡したと事務的に通告を受け、そして今回、遺骨なるものを引き取って帰ってきた。調べてみたら、やはりそうかと思った国民の皆さんも多かったと思いますけれども、事もあろうににせもので、しかも二人分の骨がぶち込まれていたというこの事実に接して、怒らない日本人は私はいないと思います。

 しかし、皆さん、そのときに小泉総理のインタビューに答える姿を私は見て、愕然といたしました。ごらんになった方がおられるかどうか知りませんが、記者に、この結果を受けて金正日総書記に言いたいことはありませんかと聞かれた小泉さん、何と答えたか。「今後も実務者協議で真相解明を求めていく。その中でしっかりとした対応を求めていきたい」。何ですか、これは。

 このとてつもない違和感はどこから来るんでしょうか。すべては二年前の、先ほど外務大臣、五人の方が生還されたということをおっしゃっておられました。それは確かに喜ばしいことだと思いますよ。しかし、よくも悪くも、今回のすべてのプロセスを見れば、あのときに端を発しているんです。

 先ほど、国家間の合意だなんていいかげんなことを官房副長官はおっしゃっていましたけれども、平壌宣言というのは両首脳間の合意ですね。これを決めてきた総理大臣がなぜこの場所に出席をされていないのか、官房長官、お答えください。

細田国務大臣 これは委員会で、国会の中で御協議いただいた結果だと思っております。

長島委員 これをごらんになった国民の皆さんは、政府の姿勢が手にとるようにおわかりになるだろうと思います。やはり国民の皆さんは一緒に怒ってほしいんですよ、政府に、国家のリーダーとして、政治家として。それを、委員会でお決めになったことだから。みずから出席されたらどうですか、手を挙げて。やはりそれぐらいの気迫と姿勢というものを私たちは求めている、国民の皆さんは求めているということを少なくとも申し上げたいというふうに思います。

町村国務大臣 発言中、ちょっと遮った形で恐縮でございましたが、先ほど私もちょっと申し上げましたけれども、確かにこの拉致の問題、国政の場で大きく取り上げられることは余りなかったかもしれない。正直言って、私自身もこれだけ大きな問題になるまでの認識が乏しかったことは、率直に一議員としても反省をしてまいりました。

 しかし、そういう中にあって、二年前に小泉総理が、今までだれもなし得なかった、まさに拉致の問題、人権の問題ということに共感を持ったからこそ、北朝鮮に行き、そして先方が存在すら認めていなかった問題を認めさせた。拉致された方々、家族の方々も帰ってきた。こうした行動をやはりきちっと踏まえた上で、しかし今なお大きな問題が残っているというふうにお考えをいただきませんと、小泉さんは拉致の問題にまるで無関心であるかのごとき言い方をされるのはまことに事実の一面しか見ていない、私はそれは非常に間違った見方であるとあえて申し上げます。

長島委員 小泉総理はいろいろなテーマに関してフォローアップが全くない、こういうふうに国民は思っているんですよ、いろいろな改革も含めて。ですから、その後の、確かに平壌へ行かれたことは、これはすごいことかもしれません、外交の第一歩になるかもしれません。そのことを外務大臣として宣伝をされることは、お立場上、私は理解をしているところでありますが、しかしフォローアップがしっかりされていなかったら、それは無関心なんじゃないかと国民の皆さんが見間違ってしまう、そのことを私は警告させていただいたんです。

 本題に戻ります。

 この不毛ともいうべき協議、先ほど私どもの中川委員の方からもるる説明がありました。最初のスタンスが間違っているんじゃないか。この北朝鮮の体制を相手にこういう交渉や協議を続けていて一体何になるのか、こういうふうに国民の皆さんは思っておられるんですね。交渉担当者の薮中局長ほか皆さん、本当に御苦労されているのはよくわかるんですが、結果が得られない。

 なぜかというと、私が推測するに、日本政府の北朝鮮問題に対する基本的な姿勢、戦略は、この実務者協議を、まあ戦略がないのかもしれませんが、実務者協議を重ねていって、そして、私たちは未帰還者と呼んでおりますけれども、安否がまだわからない十人の方々の問題を、証拠を調べているだとか鑑定中だとかという、これを徐々に動かしながら、最終的には国交正常化交渉に持ち込みたい、そういう思いなんでしょう。違いますか。外務大臣、いかがでしょう。

町村国務大臣 この安否不明の十名、あるいはもうちょっといらっしゃるかもしれない、こうした方々の問題がしっかりと解決をされるまで、直ちに正常化交渉に入れるはずがない、入る状況には全くないということでありますから、そこを適当にしておいてすぐ国交正常化に行くであろうという委員の御議論は私は当たっていない、こうあえて申し上げます。

長島委員 二年前の九月十七日に平壌を訪れた総理大臣の頭の中にあったのは、近い将来じゃないかもしれないけれども国交正常化をしたい、これが大目標ですね。私の理解は間違っていますか、外務大臣。

町村国務大臣 最終的には、それは、いろいろな障害が取り除かれれば日朝国交正常化をし、北朝鮮という国を国際場裏に引き出し、既に幾つもの国が国交を持っている、一番近い日本が国交を持っていないという状態は、それは不正常だと私も思います。

 そういう意味で、いずれの日にか国交正常化を、いろいろな幾多の障害を乗り越えても最終的には国交正常化に持っていく、日本と遠くて近い国ではなくて、できるだけ近くて近い国に持っていきたい。それは、小泉総理ならずとも、私は、政治家として、あるいは外務大臣として、それが大きな目標としてあることは全く事実であります。

長島委員 不正常な関係を正常化したい、こういう願望をお持ちだというのはよくわかります。

 それでは、お尋ねをいたします。

 日朝の国交正常化で得られる日本にとっての利益、国益、一体何でしょうか。

町村国務大臣 まず何といっても、私は、安全保障上の理由が一番大きい、こう思います。

 どういう国かも正直言ってよくわからない、国の意図もはっきりしない、そこでどういう軍備が配備されて、ミサイル等々、いろいろ既に私どもは経験をしているわけでありますが、ミサイルがどう配備されているかも必ずしもわからない、場合によれば核兵器を持っているかもわからない。こういうごく近いところにそういう実情のわからない国、政府、国民がいるということは、日本国にとって、国民一人一人にとっても、それはとてつもない不安材料になるわけであります。

 そういう国々に対する、より透明性を国交正常化を図ることによって増していくということは、まずだれしもが考えつく一番わかりやすい国としてのメリットであろうし、また彼らにとりましても、開かれた国になって、そしていろいろな国々ともっと活発な交流が進む。経済交流、人的交流、いろいろな面の交流があろうと思います。そういった交流が図られること、これまた私どもにとっても、また彼らにとっても、それは望ましい姿ではないでしょうか。

長島委員 おっしゃるように、安全保障上の利益というのは確かに存在するというふうに思います。そういう国益がとてつもなく大きいからこそ、外交官の皆さんが、一見不毛に思えるような、あるいはうそにうそを塗り固めたような相手の態度、姿勢、行為であっても、耐えがたきを耐え、忍びがたきを忍んで外交交渉に当たられているんだというふうに、私は国民の一人として理解をしています。

 しかし、今のこの、対話と圧力と言いながら、対話と対話と対話と対話とちょっと圧力みたいな、こういう現行のやり方で本当に今おっしゃったような最終目標をつかめるんだろうか。そして、その最終目標をつかむ前に、拉致された被害者の皆さんの生還を果たすことができるんだろうか、このことを国民の皆さんは今不安に思っているんですよ。政府の皆さんが考えておられるそのやり方では、どうも、にっちもさっちもいかないんじゃないだろうか、こういうふうに思っておられるということを申し上げたいと思います。

 細田官房長官、官房長官は、別の委員会での答弁の中でこういうふうにおっしゃっていますね。「北朝鮮が平壌宣言に反し事態を悪化させる措置をとるような状況が仮に出てくれば」私は今回はまさにそれに当たると思いますが「制裁措置も含め、政府として適切な対応ぶりについて改めて検討していくことになる、これが基本的な立場であります。」今もこの見解にお変わりありませんか。

細田国務大臣 基本的には変わっておりません。

長島委員 まさに、変わっていないとすれば、今この局面が、これまでのスキームから新しいスキームに転換をしていく、つまりは対話中心だったものを圧力に変えていくような、そういうスキームのチェンジをする、そういうタイミングだと思われませんか。いかがでしょうか、官房長官。

細田国務大臣 この数日間で起こっていること、判明したことについては、極めて政府としても遺憾に思っております。これは日朝両国間の今後の問題について極めて大きな問題を投げかけておる。そして、虚偽の部分も判明してまいりましたが、残りの部分については現在精査中でございますので、それをまとめてまた判断をしていくべきものと考えております。

長島委員 今の御答弁は、先送りという印象しか私は国民の皆さんに与えないと思います。私は、もうそろそろ経済制裁を本気で考えて、そしてその経済制裁がもたらすリスクや効果といったものを正確に分析して、そして国民の皆さんに説明をする、そういう段階が来たというふうに思います。

 私は、短気を起こしてただ圧力をかけろと言っているわけではありません、もちろん怒りはこの胸の中にふつふつとしておりますが。北朝鮮という国は、ちょっとトラックレコードを見ただけでも、圧力をかけると意外とまともな誠実な対応をする国なんですよ。

 去年のことを思い出してください。まず、一月十日、NPTから脱退をいたしました。そして、北朝鮮の報道官が出てきて、いかなる形態の多者協議、つまり二国間、彼らはアメリカとの二国間交渉だけを求めてきましたから、そういう多者会談にも絶対に参加しないであろうと言っていた。ところが、その後、三月二十日にバグダッド攻撃が始まって、そして四月の九日にバグダッドが陥落いたしました。その後、北朝鮮側は何と言ったか。対話の形式にはさしてこだわらないと急に姿勢を変化させたんです。そして、その二十三日に三カ国会談が、北京での米中朝の三カ国会談が実現をした。

 もっと最近の例を言いましょう。

 十二月の十四日にサダム・フセインが、それまで、核をおれたちは持っているんだ、もっと実質的なものとして世界に示していく用意もあるんだ、こういうようなことを言ってかなりエスカレートさせてきた。ところが、十二月の十四日にサダム・フセインが捕まる、そして十八日にイランがIAEAの追加議定書に署名をする、そして十九日にリビアの、大量破壊兵器の開発を放棄する、そういう宣言がなされた。そうしたら北朝鮮は何と言ったか。平和的な核動力工業までとめる、そういう用意がある。つまり、平和利用も含めて放棄する用意がある、こう言っているんですね。

 私は、圧力があの国には最もふさわしいし、そしてそれは単なる短気を起こした短絡的な外交姿勢ではなくて、しっかりとした結果を我々が得ていく大変重要なツールであるということを申し上げておきたいと思います。

 さて、政府の皆さんは、いろいろなお考えで、今まだ制裁を発動する時期ではない、こういう結論を出しておられるようでありますが、経済制裁をめぐっては、次の二つの相反する評価というものがあります、見解があります。

 一つは、日本単独でやる経済制裁には効果がないという意見、これが一つ。それからもう一つは全く逆。制裁をすれば、まさにあの外為法の改正のときもそうだった、特定船舶の入港禁止法案をつくるときも、こんなものをつくったら北朝鮮が暴発してどうなるかわからない、こういうふうな意見がありました。まさに、制裁というのは北朝鮮の反発を招いて軍事的な危機を起こす。つまり、それなりに効果がある。効果がないという意見と効果は甚大だという意見と二つありますが、政府のお立場はどちらでしょうか。

町村国務大臣 委員は、政府は経済制裁を絶対やらない、そういう何か前提で先ほど来から議論をしておられますが、それは事実と違うということをまず申し上げます。

 私どもは、せっかく、議員立法であれ、皆さん方の大変な御努力によって外為法あるいは特定船舶入港禁止法という制裁のツールをいただいております。それは、当然のことでありますけれども、院の意思として貴重なものだと私どもも受けとめております。しかるがゆえに、経済政策は常に選択肢としてあり得るということを申し上げ、別の表現をすれば、対話と圧力という言い方もあったわけであります。

 ただ単に先送りではないかと先ほど言われました。私ども、今大きな、遺骨というものについての、これがにせであるという重大な事実がわかったわけでありますが、その他の証拠というものも、今私どもは、証拠というよりは資料と言うべきかもしれませんが、それを入手しているわけでありまして、その分析を今行っており、できるだけ急いで、年内にはその答えを出し、そして分析結果を踏まえた上で何が一番有効な対策であるか。

 今、経済制裁が有効であるという長島委員の意見も、私もしっかり受けとめさせていただきました。そうしたことも当然選択肢の中に入れながら適切な対応を決めていきたい、かように考えているわけであります。

長島委員 外務大臣、踏み込んで発言を、御答弁をいただいて、大変ありがたいと思っております。

 さて、経済制裁、では、それはやればいいかということでもないと思うんですね。しっかり外交ということを考えた場合に、この経済制裁をやった場合の効果、あるいはやった場合のリスク、この効果とリスクの分析、今政府はどのぐらいしておられるか。これは、率直に国民の皆さんにリスクも効果も両方知っていただいた上で、政治の責任として経済制裁というのは発動するべきだ。

 ただ、発動しろ、発動しろ。いや、もう少し待ってください、全部精査を終わったら発動します。これでは私は、政府の姿勢としては責任ある姿勢だとは思いませんので、詳しく、わかりやすく国民の皆さんに経済制裁の効果とリスクを説明してください。

町村国務大臣 それを申し上げることは、先ほどちょっと申し上げましたけれども、日本の政府がどういうことを考えているか相手方に全部教えることになります。私どもは、先方の手のうちというのは、少なくとも公式にはわからない、そんな情報のアンバランスを生んでおいて、まともな交渉ができるはずがございません。

長島委員 いや、今のはちょっと誠実な御答弁とは思えませんね。つまりは、これは客観的に分析できる話でしょう。外為法をこういうふうに運用したらこういう効果がある、あるいは入港禁止法案をこのように適用したらこういう効果がある。こんなの、説明を北朝鮮が聞いたって、どうとも思わないですよ。秘密でも何でもないじゃないですか。

 そして、そのことからもたらされるであろうリスク、これは国民の皆さんに説明責任があるはずですよ。そのリスクを、国民の皆さん、それでも今回のことは許しがたいということで、家族会の皆さんと一緒になって、今経済制裁を、そういう声があるわけですから、誠実にお答えください。委員長、お願いします。

町村国務大臣 この問題を重大だと考えれば考えるほど、今私どもの手のうちを明かすようなことはできません。

長島委員 手のうちでも何でもないじゃないですか。何がそうだなんですか、皆さん。手のうちでも何でもないじゃないですか。手のうちはわかっているんですよ。入港禁止法案と外為法を適用するという、手のうちでしょう。いつやるかというタイミングについては留保しましょう。やったときにどうなるかという説明をしなかったら、政治にならないじゃないですか、こんなことは。委員長、お願いします。

 いや、委員長、外務大臣がそういう細かいところまで把握をされていないんだったら事務方でも結構ですよ。つまり、外務省の中でどういう検討がなされているか。これを言ったって別に、これを言うと国家機密ですか、これ。そんなおかしなことを言っちゃいけないですよ。

町村国務大臣 与えていただいたツール、いろいろなものがございます。自民党からもたしか五段階という具体的な御提言もいただいております。

 そうしたものについて私ども政府内部でいろいろな議論をいたしておりますが、その内容について今申し上げることは差し控えさせていただきます。

長島委員 これは、私どもの委員、これからまだ何人か続きますから、外務大臣、これで終わらないということを私は予告しておきたいというふうに思います。

 ついでにと言ってはなんですけれども、薮中局長、伝えられるところによれば、この横田めぐみさんの遺骨と言われているものが仮ににせものだったら、これは経済制裁物だなといったような御発言をされたということでありますが、外交の責任者として、経済制裁を視野に入れた御発言というふうに受けとめますが、今、外務大臣に質問させていただいたことと同じでありますが、その辺の効果とかリスクといったものは、どのように局長の立場で分析をされておられますか。

薮中政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど大臣が御答弁になったとおりでございます。

長島委員 これは本当に極めて基本的な話だし、ここは、まさにこの問題の核心中の核心だと思いますよ。

 やはり、経済制裁というものをもし発動をした場合に外交的にはどういう結果を招くかということは、国民みんなが共有すべき情報だと私は思います。その上で、発動するかしないか政府が考える。これはこれで、外交は政府の専権事項ですから、仕方がない部分もある。

 我々は、これから決議をして、経済制裁をぜひ今この時点で発動すべきだ、こういう決議を皆さんでさせていただこう、こういうように思っておりますが、私は今、説明をるる伺っていて、いよいよ、政府にもう一回本気になってこの問題を考え直していただきたい、そして政策転換を今こそしなければならない、私はそういう段階に来たということ、しかもそれは、あの体制を前提にした協議を続けるのではなくて、あの体制の転換をも視野に入れた、そういう形の私たちは外交的な圧力を加えていく、そういう転換を切に望みまして、質疑を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

    ―――――――――――――

赤城委員長 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として財務省大臣官房審議官小手川大助君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤城委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

赤城委員長 次に、渡辺周君。

渡辺(周)委員 ただいまの長島委員の質問に引き続きましてお尋ねをします。

 私は、先般の経済産業の委員会のときに、当時出席されていたのは経済産業副大臣だったかと思いますが、いわゆる経済制裁についてシミュレーションをしているのか、政府内で何らかのシミュレーションというのをしているのか。それは、発動の手続であるとかあるいは関係省庁との協議ということについてやっているのかと言ったら、たしかあの当時はまだ何もしていない。シミュレーションしているのかと言ったら、していないというふうにおっしゃっています。

 今回のこの一連の結果を受けまして、今の長島委員の質問の形を変えますと、いわゆる経済制裁を行うことについてのシミュレーションというのは政府内でしているんでしょうか。この点についてまずお答えいただけますか。

町村国務大臣 いろいろな条件を置いてのシミュレーションは、当然のことですが、やっております。

渡辺(周)委員 続いて官房長官にお尋ねをしたいと思うんですが、つまり、こういう省庁間の協議をして、これは、財務省でありますとかあるいは経済産業省、あらゆる分野に、そしてまた、当然、政府全体のこれは姿勢として考えておくべきことでございますし、また当然のことながら、そういう態度を日本がとれば、我が国にとっては大変これは大きな決断であります。また、そのときに起こり得るであろう、当然、北朝鮮の在日組織からの反発であるとか、あるいは北朝鮮からも国際社会に向かって何らかの、あらゆるまたプロパガンダがされるだろうと思います。

 そういうことも踏まえた上で、当然、どういうことになり得るかということは、いつやるかという問題は別に聞いておりません。ただ、やるということになればどうなるか、やらなかった場合にはどうなるか。まず、やるということを前提に考えたときにはどういうことが起こる、その前にどういう手続が必要で、どれぐらいの日数で協議が調うかということについては、当然政府内で検討しているということで理解してよろしいですね。今の町村外務大臣の答弁、あらゆることを考えているということを今おっしゃっていましたので、その点はどうでしょう、官房長官。

細田国務大臣 国会で御議論をいただいて、通過して成立しておる法案でございます。それを実際に発動するときにはどのような手順が必要かとか、その内容等については当然検討しております。

渡辺(周)委員 先般も、官房長官に私はお答えを、あれは経済産業の委員会だったと思いますが、そのような答弁をいただきました。前回よりは半歩踏み込んでいるのかなというふうに理解をいたしますけれども。

 ここで、財務省に来ていただいておりますのでお尋ねをしますけれども、経済制裁を我が国が行っている、あるいは行っていたということについての実例をお示しいただけますでしょうか。例えばイラクでありますとか、あるいは南アフリカでありますとか、そうした国々に対して、国際社会の要請に基づいて経済制裁を行ってきた。その点につきまして、現在行っているもの、あるいはこれまで行ってきたものについて、実例を示してお答えいただけますか。

小手川政府参考人 お答え申し上げます。

 今までの具体的な例としましては、例えばアフガニスタンのタリバンに対するもの、それからいわゆる世界的なテロリストに対するもの等、これは国連の安保理事会の決議に基づいてやっておりますし、それからイラクの前政権の関係諸機関等についても同じく安保理事会の決議に基づいてやっております。

渡辺(周)委員 それは、具体的に資産の凍結ということであろうと思いますけれども、そういうことで理解してよろしいのか。そして、その効果はいかにしてあらわれているかということは何らかの形で把握をしていらっしゃいますか。その点はどうですか。

小手川政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御案内のとおり、いわゆる外為法につきましては原則事後の報告ということになっておりますが、この場合には、外為法上、送金について財務大臣に対する申請をさせて、許可の対象とする、それで、当然そのようなものが金融機関等を通じて来た場合には、当方はそれをオーケーしないという形にしております。

渡辺(周)委員 つまり、そういう措置をとったことによっていかなる効果があらわれているかということは、そこまでは把握していらっしゃらないんですか。つまり、こういう影響があらわれているということが、財務省側独自で収集できないにしても、例えば国際機関であるとかあるいは米国の情報筋から何らかの形で、こういう効果が、そういう国際社会がやったことによって、あるいは日本が協力したことによって今こうなっているということについては、何らか情報はお持ちでしょうか。

小手川政府参考人 お答え申し上げます。

 現在の措置は、例えば送金先の人物の名前を具体的に特定するということで、そういう人に対しまして日本の金融機関等から送金が申請されれば、それは当然そこでストップするという形になっているわけでございます。

渡辺(周)委員 例えば北朝鮮に対して同様の措置をとるといった場合にはどういうことができ得るのか。その点については財務省としてどのようにシミュレーションしていらっしゃるのか。講ずべき手段としてこういうことが考えられる、あるいは、できることできないことを含めて、これを簡潔にお答えいただけますか。

小手川政府参考人 お答え申し上げます。

 当然、経済制裁というものの全体の姿につきまして今後政府で検討していくことになってくると思うんですが、一つの考え方としましては、今実際にやっているような方法でございますと、原則事後報告といったものを許可制にするということは考えられるんじゃないかというふうに思っております。

渡辺(周)委員 今現在、経済制裁という形で国際社会の要請によって我が国も参加をしているわけでございます。過去にもやってきた。ということは、当然、これまでのノウハウの蓄積があるわけでございますから、この経済制裁のシミュレーションというのはそんなに時間のかかる問題ではないと思うんです。既にこうした過去の例を幾つも積み重ねてきたものを、ぜひ今回、北朝鮮に適用するという政府意思、とにかく国家意思が決断をした時点で直ちにできるというふうに、我々は、日本はもう既にその経験を持っているというふうに判断をしているわけでございます。

 そこで、一つだけ例を挙げますと、これは日本と北朝鮮の輸出入のことでございます。この点について、大韓貿易投資振興公社の統計による北朝鮮の十大貿易国というデータがございます。この中で見ますと、十カ国の中でトップは中国でございます。韓国の統計ですから、北朝鮮との、韓国の統計については、これは国家間貿易とはみなしていないということでありますけれども、この数字を見てみますと、韓国と日本だけが北朝鮮との貿易の中で北朝鮮の輸出超過なんですね、御存じのとおり。

 これはこの間も議論が出ました。つまり、北朝鮮から見ますと、韓国と日本に対する輸出が輸入より多いわけでございまして、いずれも一億ドルでございます、ドル換算をしますと。それ以外の、例えば中国ですと二億ドルの輸入超過、インドですと一億八千万ドルの輸入超過、続いてドイツが一億一千八百万ドルの輸入超過。

 つまり、彼らにしてみると、そうした国々から輸入をしながら、日本と韓国の貿易で何とか輸出超過の中で外貨を稼いでいるということでございます。韓国は正直言って余り当てになりませんので、日本が北朝鮮との輸出輸入、特に北朝鮮からの輸入というものに対して厳しい態度をとりますと、彼らにとっては大変大きなダメージを受けるわけでございます。

 詳しくは申し上げませんけれども、皆様方御存じのとおり、例えばどんなものかといいますと、繊維、男性用のスーツ、ブレザー、ズボンあるいは女性用のジャケット、スカート、こうした紡績用繊維というものが四十三億円。一番多いのが第一次産品でございまして、ズワイガニであるとかアサリでありますとか、こういったものを含めて九十億、これは円でございますけれども。彼らにとってみると、外貨を稼いでいるものはこういうものである。

 こうしたことによって彼らも何とか外貨を獲得しているわけでありますから、先ほどの金融資産の、いわゆる送金の許可制ということにあわせまして、まず、北朝鮮が外貨を稼ぐ大きな手段であります輸出超過である日本、我が国との貿易、これに対して厳しい態度をとるということが、北朝鮮の体制あるいは意思の変化を促す上で必要ではないかというふうに考えるわけでございます。

 そこでお尋ねをいたしますけれども、官房長官と村田国家公安委員長、外務大臣の所見は先ほど来ずっと聞いていますので今回は結構でございますが、国内世論で日増しに高まる経済制裁、この点につきましてどういうお考えを持っていらっしゃるか、簡潔にお述べいただけますでしょうか。あるいは、政治家としてどのような思いでいらっしゃるか、その点をお答えいただきたいと思います。

細田国務大臣 法的な環境は整備しているわけでございますから、準備というものはいつでもできるわけでございます。その中で、この問題が極めて甚大な影響を持つであろうということは予測いたしております。

 そのような措置をとるべきかどうかということについては、先方にさらに、今回の結果を踏まえまして、どのような考えであるのかということは問いたださなければならない。かたい決意を持ってまずは問いただすということが最も大事なことだと思っております。

村田国務大臣 国家公安委員長としては、今委員の御質問になりましたお尋ねには直接お答えする立場にはございませんが、捜査当局といたしまして、いまだ安否不明の十名、そして拉致の可能性が指摘されているその他の方々についての捜査について、私どもといたしましては鋭意調査をする。そして、国際手配をされております拉致関与の可能性がございます三人についての引き渡しを強力に要求していく。こういうことについて警察を督励してまいりたいと考えております。

渡辺(周)委員 先ほどもそうですし、今も私の質問もそうなんですけれども、では、一体この返事がいつ来るのかという点についてお尋ねをしたいんです。

 中国の北朝鮮の大使館に対して抗議に行くと言ったら、いや、本国から指示がないからお会いできないと。では、電話で抗議をしたら、それは本国の方に伝えるということでございました。我が国は一体、こういうルートで、今回の、まさに首脳同士が覚書を交わした平壌宣言、これにもとる行為をした、ところが、いざこういう結果になって抗議をしたら、公使同士が電話で話をして、子供の使いみたいに、本国に伝えますということで取り次がれて終わりなんですか。この後は、どのように我が国として次なる姿勢を示す機会があるんでしょうか。

 それは、北朝鮮本国に対して何らかの書簡を送るなり、あるいはだれかまた呼びつけて、あるいはどこか第三国で会って、どういうことだ、白黒つけろということをやるのかどうなのか。つまり、今回のことを言いました、遺憾の意を表明しました。向こうは、取り次ぎます、本国に伝えます。本国から返事が来ない。だんまりを決め込まれるのか、それとも次に何らかのアクションがあるのか。

 その点については、我が国として、次なることは何か、もう言いっ放しで終わるんですか、どうされるおつもりですか。その点についてお尋ねします。

町村国務大臣 先ほど申し上げましたように、この遺骨という重大な証拠がにせであるということが判明したので、急ぎ抗議をいたしました。しかし、さらにこれ以外の資料というものがまだありまして、それを今分析しております。それを何とか年内には私どもまとめて、その結果を踏まえて、どういうアクションをとるのか、どういう意見表明を先方に伝えるのかということについては、できるだけ年内に私どもとしては対応を決めて先方に伝え、さらにその後、どういう形で、その中身、どういう中身にするのか。これは、まだ今検討をし始めたところでございますからこの場で今は申し上げることはできないわけでございますけれども、一昨日行った抗議で、これでもうすべて終わりというわけでないことはもとよりのことでございまして、当然のこととして、次なるいろいろな手を打っていこう、かように思っております。

渡辺(周)委員 ここで、恐らく北朝鮮だって日本国内の世論の反応は当然見ているでしょうし、もうさまざまな声が上がっていることも承知でしょうけれども、日本政府として公式に、つまりどのような抗議を伝えたんですか。そしてまた、この返事が返ってこなかった場合、つまり向こうが何の反応もなかったという場合はどうされるつもりなのか。

 やはり、いついつまでに今回謝罪をすると。皆さん方が鑑定で出されたとおり、我々ははっきり言ってそこら辺のものをかき集めてきてお渡ししました、はっきり言ってこれはまさににせもので、我々が捏造したものですというような、やはり何らかの謝罪なりがなかったら次の交渉を進めたらいかぬと思うわけですけれども、その点はどう考えていますか。

町村国務大臣 私、先ほど年内と申し上げましたから、きょうは十日でございますから、あと三週間あるということでしょうか、年内といえば。その中で、まず、この間の第三回目の実務者協議の結果得た資料に基づく、分析に基づく我が方としての対応ぶりをそこで決めるわけであります。当然それを先方に伝える。どういうレベルで、どういうルートで、これはまた先方に伝える内容も含めて、きっちりとそれはした上で、ただ言いっ放し、それで終わりということにしたのでは何の意味もないわけであります。

 とりあえず、この遺骨というものについての厳重な抗議を行ったということでありまして、当然、三回目の協議の最終的な結果を踏まえた上での対応というのは、年内にもそれを出さなければいけない、こう先ほど来から申し上げているつもりであります。

渡辺(周)委員 また、遺骨が、これは横田さんのものとされるもの、それから松木さんのものとされるもの、いずれも別人のものであったという結果が出ているわけです。それ以外に持ち帰ったものの中には例えばカルテであるとかさまざまなものが残っていますが、鑑定がそんなに、正直言って、ある意味では、本丸の二つが、まさにこの信憑性の中枢部を占めるものが全くそうでなかったということがわかったわけでございます。

 先般もこの特別委員会で質問しました。これは警察の方にしましたけれども、あと鑑定に一体どれくらい時間がかかるのかということをお尋ねしたら、お答えできないという話でした。外務大臣の今の話ですと、大体年内にはある程度出るというふうに私は理解しましたけれども、警察の方ではどうですか。残るものの鑑定結果、真贋も含めて、この鑑定というのは年内に出るというふうに判断してよろしいんでしょうか。

村田国務大臣 私どもは捜査を担当しているわけでございまして、今次協議におきまして示されたその他の資料につきまして、ただいまのところ、鋭意検証を進め、鑑定を進めているところでございまして、今の段階でいつまでにということは、答弁は差し控えさせていただきたいと思います。

渡辺(周)委員 いや、だけれども、外務大臣は年内にはというふうに言いましたから、当然、年内に出るというふうに理解しているんですけれども、それでもお答えできないですか。外務大臣は年内にというふうにおっしゃいましたから、当然、年内に何らかの、それ以外のものについても出るんだろうと私は理解しましたけれども、そういうことでは違うのですか。

村田国務大臣 いや、私どもは具体的に調査あるいは検証を進めている、そういう担当でございますので、私どもは、今の段階では、そうした見通しについては、いつまでということは申し述べることは控えさせてもらいたいということでございます。

渡辺(周)委員 いや、もう骨の鑑定結果が出たわけですから、現実問題として、このカルテの真贋を調べる云々というのはなかなか大変なことだと思うんですよ。これは、では一体何を調べるのか。ちょっと時間がありませんから、一つ一つこれを検証する時間がありませんけれども。

 これは、ただずるずる引き延ばされて、この結論を待っていたら結果的に、骨はにせものであったということは抗議をした、しかし向こうは本国に伝えますと言ったっきりそれからまた音さたがなくなる。こちら側は時間をかけて鑑定をしたけれども慎重に慎重にといってまた時間がたって、結果的にはまた向こうは逃げ切ってしまう、時間を稼いでしまうということになるわけでございます。

 時間がありませんから、その点についてまた次の委員会で何らかの形で、とにかく出た時点でやりたいとは思いますけれども。

 薮中局長にお尋ねしたいんですが、今回の実務者協議、どういう議論をしたかということは何らかの形ですべて残っているんでしょうか。つまり、議事録的なものです、別に公表せよとは言いませんけれども。どういうやりとりがあった、それはテープにとった、あるいはメモにとった。そして、それを見て、後になってよく見てみたら、かなり矛盾があったとか、あるいはここら辺の話というのはどうもおかしくないかというのはあるんでしょうかね。何らかの形で残してありますか。

薮中政府参考人 お答え申し上げます。

 まさに今回の協議におきましては、非常に長時間にわたって先方とのやりとりがあり、また向こうが出してきた証人とのやりとりがございました。これについては、当然のことながら、きちんとした結果としてまとめて、まさに精査の作業というのは、我々が持っているさまざまな情報との突き合わせの作業、これもまさにその精査の一環でございます。

渡辺(周)委員 というのは、後になって言った言わないという話になって、いやそんなことは言っていない、認識の違いだと。あの国は何ぼでも、もう言ったことなんか、平気でうそをつく国でございます。もう言うまでのこともありませんけれども。ぜひ、その点について、これは徹底してもう一回精査をしていただきたいと思います。

 速やかに、とにかく国家意思というものを早く決めて、発動するということについて準備をしていると。発動するタイミングというのは政治判断かもしれませんけれども、やはりここまで来たらやるべきであります。

 とにかく、北朝鮮の拉致問題というのは、立法府において、国権の最高機関である国会の中に北朝鮮による拉致という名前を銘打った委員会ができました。当然、この質疑のやりとりは北朝鮮は関心を持っているでしょうし、何より、経済制裁を求めている方々が、まさにその御家族が、横田さんの御両親を初めとして一番影響を受けるのはだれかといったら、発動した時点でいろいろなことを言います、交渉がこれで途切れてしまうと。

 しかし、最も今危険な目に遭う可能性のある娘さんやあるいは御身内がかの国にいる方々が、あえて、もしかしたら自分の身内の身に起こり得るかもしれないことも踏まえた上で、我が国に対して経済制裁をやるべきだと言っている。

 どこかの評論家が言っているわけじゃなくて、まさに命にかかわる当事者の方々が言っていらっしゃるわけですから、これは政府として本当に真剣に考えて、しかも、対話と圧力と言いますけれども、対話と圧力は別物じゃないんです。やはり圧力を背景にした対話をしていかなかったらいかぬ。どうも政府、総理大臣の話なんか聞いていますと、圧力をやったら対話がなくなるなんというような言い方をしていますけれども、そうじゃない。御存じのとおり、圧力を背景にした対話をしていくからこそ意味があるわけでございます。

 とにかく、この拉致の問題というのは、我が国の主権の問題であります。しかしながら、今、愛国心というものを教育基本法の中で書くの書かないのという議論がありますが、愛国心というのは、私は、自然とやはり国民の中にわき上がってくるものでありまして、活字にして勉強して教えるものじゃないんです。つまり、我が国の国民に何かあったときには国家というものは救いに来る、たとえ一人であっても助けるという国家の意思がなかったら、国に何かあったときに、国民はこの国のために何かをしようという思いにはならないわけでございます。

 ぜひ、この問題については、政府部内でとにかく経済制裁をするという意思を固める、そしてまた、できれば小泉総理大臣に次に来ていただいて、とにかく必ず来て、国家としての意思をここで披瀝していただきたい。そのことをぜひ官房長官には、お戻りになられたら総理大臣に伝えていただきたい、そのことを強く申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

赤城委員長 次に、松原仁君。

松原委員 民主党の松原仁であります。

 今回、信じがたい、横田めぐみさんの遺骨が別人のものであるということが判明をした中において、まず私がお伺いしたいのは、前回の日朝実務者協議、薮中さんを中心にして行かれたわけであります。御苦労を多としたということを申し上げましたが、この日朝実務者協議に参加した日本の団員、随員というのは、これは一億日本国民の代表として行っているわけであります。

 つまり、一億日本国民の代表として行った薮中さんが、横田めぐみさんの遺骨と称されるものを、これを預かってきた。預かってきて、にせものであったということが明らかになった。このことに関して、私は、薮中さんはきょうは大洋州局長という立場でもあるけれども、一億国民の代表として北朝鮮と折衝してきたんだというその認識を持って、これが違う遺骨だったということをどういうふうに思ったのか、この場でお話しいただきたい、率直に。

薮中政府参考人 お答え申し上げます。

 まさに、先ほど来の大臣の御答弁にもありましたが、先方から手渡された遺骨というものが、今回の、今次調査の核心をなすものである。そしてまた、事は先方が言う遺骨であるということで、そういう重い話であるということ。これは私は、それを受け取って、そして戻りまして、横田めぐみさんの御両親そしてまた兄弟の方々とお会いしたときも、非常に重い気持ちを持ってお話をしたわけでございます。

 そういう意味では、これが虚偽であった、これはにせものであったということにつきましては、私は、当然のことながら、今委員御指摘のとおり、非常に強い気持ちを持っております。政府全体としては、これはまさに極めて遺憾であると厳重に抗議したわけでございますけれども、今委員せっかくの御指摘でございますが、私、当然のことながら、非常に強い憤りの気持ちを持っていることは当然でございます。

松原委員 今、薮中さんが強い憤りを持つと。これは交渉当事者として当たり前だと思います。薮中さんは、薮中さん一人の立場ではなくて、日本国民を代表する立場として今回の交渉に当たったわけでありますから、それが愚弄されたということは日本国が愚弄された、こういうことに私はなろうかと思っております。

 今強い憤りということをおっしゃいましたからそれ以上のことは言いませんが、本当に許しがたい怒りであります。憤りを感じた以上、どのようにして我々は外交にそれを結んでいくかということがこれからの政治の課題になるのは当然だろうと思っております。

 お伺いいたしますが、このいわゆる遺骨が違ったということに関して、私は当初から、北朝鮮が本当のことを言うのかどうか、極めて疑問を感じておりましたが、少なくとも薮中さんが現地でこの遺骨を渡されるときに聞いた説明が、横田めぐみさんが死んで土の中に二年半埋めてあったものを、引っ張り出してきて火葬にして家に置いた、こういう説明であります。

 極めて説明自体が、そういうストーリー自体が不自然なストーリーでありますから、この鑑定結果が出る前において、当然政府の方の危機対応としては、これがにせものである可能性というのはシミュレーションとして調査をしたと思いますが、このことを、にせものであるという可能性に関して、その可能性があるということも含めて検討した経緯は今までありますか。

薮中政府参考人 これはまさに、その遺骨とされるものを持ち帰った際にも、また横田めぐみさんの御両親にもお話しいたしましたけれども、そして御了解も得て、まずは政府として挙げてその鑑定を行うということ、それがまずなすべきことであるということで最大の努力をする、そしてそれをしてきたわけでございます。

松原委員 私は、当然、あれだけ不自然な説明を北はするわけでありますから、にせものであるというのも一つの、さまざまなストーリーがあるわけですよ。本物であるかもしれない、にせものであるかもしれない、わからないかもしれない、それぞれのシミュレーションは当然あったというふうに思います。

 その中で、私は、今回のにせものであるということが明らかになった段階で、先ほど我が民主党の渡辺議員も質疑をしておりましたが、これを政府として、当然にせものである可能性というのは、事前に可能性としては、その場合どういう判断をし、どういうふうな外交的な遺憾の意の表明をするかというのは当然練っていなければ、私は日本の政府というのは危機対応ができていないということになろうと思いますが、今回、中国大使館を通して遺憾の意を表明する、こういうふうなことに落ちついた理由というのはどういう理由か、御説明いただきたいと思います。

町村国務大臣 八日の日の昼過ぎでしたでしょうか、私どもの方に連絡がありました。その後、それをまず横田さんの御家族の方にお話をしました。官邸にも報告をし、その上で、急ぎ対応をとるということで、中国にあります我が方大使館から先方の北京にある大使館に抗議を申し入れた、こういうことであります。

 しかし、先ほど来から申し上げておりますように、これは一つの大きな証拠ではあるけれども、ほかにもまだ全体の証拠あるいは資料がありますので、それらについて今鋭意分析を急いでいるということでありますから、それらを全部まとめたところで、私どもとしては、政府としての今後の対応をしっかり定めて、先方にまたいろいろな形で伝えていくという順序を追ってやっていこう、こう考えたわけであります。

松原委員 ということは、今回はとりあえずこういった形で遺憾の意を表明したということで、次の結果が出るまではこれで妥当であった。外務大臣、こういう御認識というふうに理解してよろしいですか。

町村国務大臣 妥当とか妥当でないというのはちょっとよくおっしゃる意味がわかりませんが、私どもとしては、判明した以上はできるだけ早く先方に伝える必要がある、こう考えたものですから、北京の大使館に訓令を打って先方で伝えるのが一番早い伝わる方法だ、こう考えたので、そうした対応をとったわけであります。

松原委員 私は、やはり人間というのは怒るときはきちっと怒る、国家も怒るときはきちっと怒る、これは必要なことだというふうに思っているわけであります。やはりきちっと怒るべきときには怒らなければ、あそこの国は何をやっても怒らないというふうになってしまうわけであって、今回、横田さんの遺骨が違う人の遺骨だということが明らかになった段階で、私は、日本国民はこれだけ怒っているわけでありますが、政府も怒るべきだと思うんですよ。

 その怒りの伝達として今回の伝達は私は極めて不十分なものだと思っておりますが、町村大臣の見解はわかりましたから、官房長官はどう思っていますか。

細田国務大臣 私も実にこの問題は遺憾であり、私自身も怒りを覚えております。

 そして、そもそも今回の実務者協議を、全体像をお考えいただきたいんですが、もともとこれで何かがかなり解決したという性格でなかったことは事実ですね。つまり、安否未確認の方々、そしてそのほか大勢の方々についてどういう答えが出てくるかという期待とかあるいは予測を持たれて今回調整してきたわけですが、既に交渉自体で、戻ってきたときに、多くの部分で、ここにもいらっしゃいますけれども、多くの方の失望の対象にもう既になっているんですよ。そこがまず非常に大きな怒りも持っておるわけです。

 それに加えて、これだけは真実であるからといって向こうが出してきたものが次々に真実でないような結果に今なっておるということですから、この残りのわずかな部分について精査をして、これがどういうものであるかということは分析を急いでおる。これはもう今最後に、もうちょっとでそれは詰めますから、それを総合的に先方にぶつける必要がある、こういうことでございます。

 外務省、外務大臣からも御答弁しましたように、一番中心として証拠を持って帰った遺骨とされるものについてさえ全く先方の言うものが違ったということで、まず抗議をしたということは事実でございますけれども、全体をしっかりと、全体像を持って政府の見解をあるときに当然伝えるべきだと思っております。

松原委員 北朝鮮はこの委員会の内容も聞いていると思うんですよ。さっきから、手のうちを見せない、手のうちを見せないと。私は、それは一つの言い分としてあるかもしれないけれども、これだけ手のうちを見せないと言うことは、手のうちを見せている。つまり、日本の政府としては、まだまだこれについては、ブラフを含めて、やるぞという圧力的なものが向こうに伝わらない。

 そういった意味で、むしろきょうのこの特別委員会が、向こうが、ああ、日本はまだまだ経済制裁しないのかなと思わせてしまうシグナルを送ることを非常に私は危惧感を持っていますよ。これをまず言いたい。

 それで、もう時間がありませんから次に進みます。

 ここで国家公安委員長に聞きたいわけでありますが、今までされた実際の拉致の事案がありますが、この事案についての調査というのはどんなふうに進んでいるのか。

 結局、北朝鮮と拉致事件のこの部分で議論する場合に、我々は、実際、拉致被害者に対しての事件に際して、かなり風化しているものもあるかもしれませんが、これは全部解明しているんだ、こういうバックボーンを持って交渉に臨まなければなかなかいけないと思うのでありますが、これについては今どういう状況になっているか、教えていただきたい。

村田国務大臣 警察におきましては、北朝鮮による日本人拉致容疑事案につきまして、一つは御家族その他の関係者からの事情聴取をやる、二つ目は付近の聞き込み等の裏づけ調査をやる、三番目は国内外の関係機関との情報交換をやる、そういうことを積み上げまして、大変証拠も少ないあるいは被害者も存在しない、大変難しい中で鋭意調査を進めてきた、こういうふうに考えているわけでありまして、そういう長期間にわたる努力をして捜査した結果、これまでに、原敕晁さん拉致の実行犯であります北朝鮮工作員の辛光洙、有本恵子さんの拉致の実行犯であります、よど号犯人の魚本公博、それから宇出津事件の主犯格であります北朝鮮工作員金世鎬について逮捕状の発付を受けまして、今国際手配をやっている、こういうことでございます。

 警察としましては、引き続き、その他の拉致実行犯の特定に努める、外務省等関係機関とも十分連携しながら、北朝鮮等に対しまして犯人の身柄の引き渡し要求を行うなど、事案解明のために最大限の努力をしていきたい、こういうふうに考えております。

松原委員 時間もないので、それで、この間の質疑において、安倍委員の質問に対して警備局長は、拉致の案件というものに認定する場合の一つの条件の中に、北朝鮮の国家意思というものがそこにあるということが一つの条件であるというようなニュアンスの発言をしたわけでありますが、当然これはそういったことであろうと思いますが、そのことで、国家公安委員長、認識はよろしいでしょうか。

村田国務大臣 私どもも、委員が今述べられたと同じ認識でおるわけでございます。

松原委員 そこで、官房長官にお伺いいたしますが、北朝鮮の国家意思がある誘拐事件、我々は国家テロと言っておりますが、これが拉致であるということを国家公安委員長は今認めたわけでありますが、そこで官房長官、北朝鮮の国家意思というのは、その最終責任者は金正日だと私は認識しておりますが、お答えをいただきたい。

細田国務大臣 拉致問題につきましては、日朝首脳会談におきまして、金正日国防委員長により、特殊機関の一部の妄動主義者らが英雄主義に走ってかかる行為を行ってきたと考えている旨の説明がありました。また、その後の訪朝調査チームに対して、機関内の一部部署で日本人成人を連れてきて工作員への日本語教育、身分隠しに利用する提起がなされ、恣意的に拉致が行われた旨の説明がありました。

 これらについての評価の問題でありますが、私は、当然、実質的な最高指導者である金正日国防委員長がその解決に向けた責任を負っていると考えております。

松原委員 解決に向けた責任を負っているということでありますが、実質上最高指導者、責任者であった金正日総書記と今官房長官は言ったわけでありますから、実質上拉致の総指揮者は、国家意思を体現したものが拉致の案件であるとし、最高指導者が金正日とするならば、この拉致における最終責任は金正日が担うというふうに私は申し上げたい。

 これについては御答弁ができないと思いますから結構でありますが、金正日がその総責任者であるということを私ははっきりとして、その中でどう解決するかという議論になっていくわけであります。

 そこで、やはり我々は最終的にこの問題の解決は金正日体制の崩壊しかないというのが率直な印象でありますが、それはまた別の機会として、きょう申し上げたいのは、官房長官が、今回の横田めぐみさんの遺骨が赤の他人のものであったということは日朝平壌宣言の精神に違反すると記者会見で述べております。これは、そういう意識でよろしゅうございますね。

細田国務大臣 そういう意識というところがちょっとわかりにくいんですが、その精神に違反することは確かだと思っております。

松原委員 小泉さんは、このいわゆる経済制裁は、日朝平壌宣言に違反しない限り発動しない、こう言っていましたが、少なくとも日朝平壌宣言に違反するという認識を持っている以上は、これは、政府部内でも発動できる、こういう認識をきちっと持っているということをもう一回おっしゃっていただきたい。

細田国務大臣 政府としては、対話と圧力、先ほど来圧力の話をいろいろおっしゃっています。そして、この委員会も圧力になっています。そして、これからの御決議も圧力。そして我々も、政府としてはいろいろなことを申しております。そういった圧力の中でどういう展開ができるかということは、我々は考えなくちゃいけない。そういうことはお考えいただきたいと思っております。

松原委員 私は、従来の交渉がこれ以上続いていて成果が得られるということは、もうほとんど厳しいという判断をするべき時期に来ているということをすべての委員が言っているわけですよ。

 従来からの交渉をして、その前に出してきた資料は全部にせものですと。例えば、死亡確認書も公文書偽造でしたと言い、今度出してきたものは遺骨が違うということまでわかったと。全部うそしか言っていない。情報を出してこないんじゃないんですよ。うその情報以外の真実の情報が、いまだに真実の情報だと言えるものが一つも発見されていないんですよ、向こうから言ってきたものの中で。

 それは、遺品はあるかもしれませんよ、遺品というか物はあるかもしれませんよ、こういうものがありますと。しかし、真実の情報と言われるものが、少なくとも遺骨や死亡確認書において一切なかったと。これが真実というのは一つもないという、マイナスのことの証明が二回、三回と続いてきたわけであります。

 私は、今回、こういった厳しい、横田めぐみさんの遺骨が違う人間の遺骨であるということが明らかになった段階で、我々は交渉の仕方を、さっきも長島委員から話があったように、圧力を加えながら交渉するという方に変えなければ実はとれないんじゃないか。従来どおりのこういう交渉を続けることで解決ができるとお思いかどうか、官房長官にお伺いしたい。

細田国務大臣 私は、せっかくのこういう場でございますから、もう一つ申し上げたいんです。

 ここは拉致特別委員会ですから、拉致の問題をずっと議論され、非常にいい議論が行われていると思います。我が日本にとって、一億二千数百万人の生命財産にとって、もう一つ大きな核開発という問題について、六カ国協議という形でこれだけ真剣に、近隣諸国も含めた五カ国が集まってあの国の核開発をやめさせ、廃棄させようということを協議しているのに、これまでのところ、ああだこうだと言ってそれをすり抜けながら、それに応じていないでしょう。

 この二つの問題をもって、いわば二眼状態ですね、どちらが重要かということはありません。軽重はないんですが、この両方について我が国はしっかりとした対応をしなきゃならないということですね。先ほども、中川委員でしたか、そういうお話もございましたけれども、そういう目も持っていただきたい。

 したがって、思いは極めて近い、こう思うわけでございます。

松原委員 思いは近いということは、もう圧力を前提にしながら官房長官としては交渉をやるんだという思いに近いということで理解をさせてもらいます。

 それで、拉致問題は、毎回我々は強調しなければいけないのは、それは人権侵害、これは国家意思を持ったテロ、誘拐ですよ。しかし、それだけではなくて主権侵害でもある。人権侵害だけではなくて主権侵害である。日本の国が、まさに国そのものが愚弄されている。この認識は当然持たれると思いますが、官房長官、御所見をいただきたい。

細田国務大臣 その点は私も同感でございます。核についても、私は愚弄されているんじゃないかと極めて強い疑問を持っております。

松原委員 まさにその怒りをどういうふうに表明するか。結局、これだけ、特に核の問題ももちろんあるけれども、向こうは、両首脳が決めてきたことで、誠意を持ってやりますと言って、横田めぐみさんという拉致問題の一番シンボリックな人の遺骨を出してきて、それがにせものだった。こんな話を聞いて、日本がこれに対して、従来どおりの交渉をしましょうなんて言ったら、この国はどういう国なんだと世界の笑われ物になると私は思う。

 こういったことを考えたら、私は、経済制裁をするしかないというのが結論ではないか。それ以外に日本の主権を回復し、そして被害者家族の方々も訴えていて、我々、拉致被害を解決するためにも経済制裁をしてくれと言っている、この経済制裁以外の別の手法があるとお思いか、お答えいただきたい。官房長官。

町村国務大臣 今、委員の御意見、またこの後に行われるであろうこの委員会としての御決議、私どもも同じ日本人として、同じ議員として、また私はたまたま今外務大臣という職にありますけれども、そうした同じ思いであることは全く言を左右にするつもりもございません。

 したがいまして、きょうこの委員会でお出しになるであろう決議というものを私どもも重く受けとめて、年内には一定の調査結果もまとめられると思いますから、それを踏まえた上で、きょうの皆さん方の御意見もしっかりと私きょうは拝聴させていただきましたから、松原委員の御意見もしっかり受けとめて、今後の対応に過ちなきを期してまいりたいと思います。

松原委員 今、日本の国の子供たちの七〇%は自信がないという教育のアンケート調査が出ている。前から自信がない。世界で一番自信がないのは日本に集まっている。なぜかと言えば、こういうところで、怒るところで怒らないから、こういうところで事なかれでいこうとするから。

 私は、それは手のうちを見せないとかいろいろと議論があっても、国民にとって、国民に対して政治は見せなければいけないものがあるんですよ、国民に対して。さっき長島議員が言ったように、本来、小泉さんが正々堂々と出てきて議論するべきだし、彼が国民に向かって、このことをどう考えているか、三十分ぐらいどこかで言うべきなんですよ。横田めぐみさんの遺骨が違うというときに、このことを交渉して、私としてはこう怒っているんだと小泉さんが言わなきゃおかしいんですよ、こんな問題は。

 私は、そういったことを含め、主権侵害であり、そして同時に人権侵害であるこの部分に関して、少なくとも我々がきちっとした対応をするとすれば、手段がほかにないんですから、経済制裁しかない、とり得る切り札はこれしかないということを、もう一回、細田さん、言ってください。

細田国務大臣 先ほど議員も言われていますように、金正日国防委員長は最高責任者で、意思決定をする権限を持っているわけですね。そして、我が国においては内閣総理大臣、小泉内閣総理大臣が最終的に交渉をして、あるいはしないで、何らかの措置をとるという責任者であります。

 その思いは同じでございまして、これまでの人権侵害の問題、これを解決する、拉致を含む問題、そして日本人の安全の問題を解決する、そのためにどうしたらいいかということを真剣に悩みながら、かつ真剣にいろいろなことを考えながらこれまで来ている。そうでなければ、本人が平壌まで二度も出かけてそういう交渉をしてきたということは理解できないわけでございますが、本当にそういった思いでありますので、その思いが実現しなければならないという思いは、議員のおっしゃるとおりでございます。

松原委員 私は、政治というのは、かつてエドモンド・バークが言ったように、現在の人々だけではない、過去の人と未来の人が共同で参加するのが政治である。

 我々は、過去の我々の先人に対して、こんな態度で申しわけないと思いたいし、未来の子供たちに対して、こんな態度で誇れるのかということを申し上げたいし、私は、もちろんさまざまな議論があると思いますが、あえて言わせてもらうならば、日朝国交正常化による物質的なメリットよりも、このことに対して経済制裁を今行わないことによって生ずる精神的なデメリットの方が大きいのではないかということを申し上げて、私の質問を終わります。

 以上です。

     ――――◇―――――

赤城委員長 この際、宮路和明君外二名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ及び公明党の三派共同提案による北朝鮮による日本人拉致問題の解決促進に関する件について決議すべしとの動議が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を求めます。笠浩史君。

笠委員 私は、自由民主党、民主党・無所属クラブ及び公明党を代表して、ただいま議題となりました動議について、その趣旨を説明いたします。

 案文の朗読をもって趣旨の説明にかえさせていただきます。

    北朝鮮による日本人拉致問題の解決促進に関する件(案)

  本年十一月に開催された第三回日朝実務者協議において横田めぐみさんのものとして北朝鮮側から提出された遺骨が、今般、我が国捜査機関の鑑定により別人のものであることが明らかとなった。

  この北朝鮮の不誠実な対応は、我が国の尊厳を著しく損なうとともに、拉致被害者の心情を弄ぶもので、強い憤りを禁じ得ない。

  平成十四年九月の小泉総理訪朝に際し、我が国の主権及び我が国民の基本的自由と人権に対する重大かつ明白な侵害である日本人の拉致という忌まわしい国家的犯罪行為の実行を北朝鮮が認めてから既に二年の歳月が経過した。この間、五人の拉致被害者とその家族の帰国が実現したが、先の実務者協議における安否不明者に関する北朝鮮側の説明は、我が国民の疑問に応えるものとはなっていないことが今回の鑑定結果により明らかとなり、著しく誠実を欠いた同国の姿勢は強く糾弾されなければならない。

  政府は、この際、拉致問題の解決なくして国交正常化はあり得ないとの不動の立場を堅持しつつ、次の諸点に留意し、その抜本的解決の促進に遺漏なきを期すべきである。

 一 改正外為法や特定船舶入港禁止法等現行の国内法制上とり得る効果的制裁措置の積極的発動を検討すること

 二 いわゆる対北朝鮮人道支援については、北朝鮮側からの誠意ある回答が得られるまでの間凍結すること

 三 今回の実務者協議の後、我が国に持ち帰った資料については、真相究明に寄与するよう、可及的速やかな科学的鑑定・分析を進めること

 四 朝銀系信組に対する監督を一層厳格に執行すること

 五 北朝鮮による拉致問題関係者の厳正な処罰と具体的再発防止策並びに拉致被害者に対する補償の確実な履行を求めること

 六 政府認定に係る拉致被害者以外で拉致の疑いのある事案についてもその真相究明に積極的に取り組むこと

 七 本年四月に国連人権委員会が採択した決議は、北朝鮮に対し拉致問題を明確に透明性をもって緊急に解決することを求めているが、かかる国際社会の支持と協力をより強固なものとするため、六カ国協議を始めとするあらゆる機会を捉え、外交的努力を引き続き強化すること

  右決議する。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

赤城委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

赤城委員長 起立総員。よって、そのように決しました。

 この際、ただいまの決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。細田内閣官房長官。

細田国務大臣 ただいま北朝鮮による日本人拉致問題の解決促進に関する決議が採択されましたことを受けまして、一言述べさせていただきます。

 既に御案内のとおり、今般、横田めぐみさん及び松木薫さんの遺骨とされるものが御本人のものでないとの鑑定結果が出ました。北朝鮮側の調査結果の核心をなすものであったと言えるこの調査が虚偽であったと判明いたしましたことは、極めて遺憾であると言わざるを得ません。

 政府としては、既に北朝鮮に対して厳重に抗議を行ったところでありますが、ただいまの御決議の趣旨も踏まえて、今後、北朝鮮に対して拉致問題に関する真相究明を一層強く迫っていくための対応を早急に検討してまいりたいと考えております。

赤城委員長 お諮りいたします。

 本決議の議長に対する報告及び関係当局への参考送付の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤城委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 本日は、これにて散会いたします。

    午後二時二十八分散会


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