衆議院

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第3号 平成17年7月21日(木曜日)

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平成十七年七月二十一日(木曜日)

    午後一時一分開議

 出席委員

   委員長 赤城 徳彦君

   理事 近藤 基彦君 理事 佐藤 剛男君

   理事 宮路 和明君 理事 渡辺 博道君

   理事 長島 昭久君 理事 松原  仁君

   理事 渡辺  周君 理事 池坊 保子君

      笹川  堯君    菅  義偉君

      寺田  稔君    西銘恒三郎君

      根本  匠君    平沢 勝栄君

      福井  照君    水野 賢一君

      宮腰 光寛君    宮下 一郎君

      大石 尚子君    菊田まきこ君

      田中 慶秋君    高山 智司君

      中井  洽君    中川 正春君

      西村 真悟君    平岡 秀夫君

      笠  浩史君    漆原 良夫君

      赤嶺 政賢君

    …………………………………

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長) 村田 吉隆君

   内閣官房副長官      杉浦 正健君

   外務副大臣        逢沢 一郎君

   国土交通大臣政務官    中野 正志君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  猪俣 弘司君

   政府参考人

   (内閣官房拉致問題連絡・調整室長)

   (内閣府拉致被害者等支援担当室長)        小熊  博君

   政府参考人

   (警察庁警備局長)    瀬川 勝久君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 岡崎 浩巳君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  瀧野 欣彌君

   政府参考人

   (法務省入国管理局長)  三浦 正晴君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 西宮 伸一君

   政府参考人

   (外務省アジア大洋州局長)           佐々江賢一郎君

   政府参考人

   (文部科学省国際統括官) 井上 正幸君

   政府参考人

   (国土交通省海事局長)  矢部  哲君

   衆議院調査局北朝鮮による拉致問題等に関する特別調査室長          前田 光政君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月九日

 辞任         補欠選任

  上川 陽子君     福井  照君

七月二十一日

 辞任         補欠選任

  小野寺五典君     寺田  稔君

  根本  匠君     菅  義偉君

  菊田まきこ君     高山 智司君

  田中 慶秋君     大石 尚子君

同日

 辞任         補欠選任

  菅  義偉君     宮腰 光寛君

  寺田  稔君     小野寺五典君

  大石 尚子君     田中 慶秋君

  高山 智司君     平岡 秀夫君

同日

 辞任         補欠選任

  宮腰 光寛君     根本  匠君

  平岡 秀夫君     菊田まきこ君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 北朝鮮による拉致問題等に関する件


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     ――――◇―――――

赤城委員長 これより会議を開きます。

 北朝鮮による拉致問題等に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣参事官猪俣弘司君、内閣官房拉致問題連絡・調整室長、内閣府拉致被害者等支援担当室長小熊博君、警察庁警備局長瀬川勝久君、総務省大臣官房審議官岡崎浩巳君、総務省自治財政局長瀧野欣彌君、法務省入国管理局長三浦正晴君、外務省大臣官房審議官西宮伸一君、外務省アジア大洋州局長佐々江賢一郎君、文部科学省国際統括官井上正幸君、国土交通省海事局長矢部哲君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤城委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

赤城委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。福井照君。

福井委員 ごぶさたでございます。自由民主党の福井照でございます。

 早速でございますけれども、来週から始まります六カ国協議の我が国の戦略について、まず御質問させていただきたいと思います。

 翻ってみますと、拉致問題に関しましては、グレンイーグルズ・サミットの議長総括で北朝鮮による拉致問題解決の必要性が盛り込まれたということは高く評価させていただきたいと思いますし、我が国が訴えました、核とミサイルとともにこの拉致問題も包括的な解決が重要であるということについて、各国の理解が得られたということにつきましては、まことに共感するものでございます。

 しかしまた、その一方で、昨年十一月の第三回日朝実務者協議で北朝鮮が提供しました横田めぐみさんの遺骨と称するものが、別人のものであると判明をいたしました。日本が抗議して以来、打開のめどはいまだに立っていないというのが現状でございます。

 そして、また一方、この六カ国協議、それぞれのパーティーでそれぞれの立場があるということでございます。北朝鮮は一年一カ月ぶりに復帰するわけでありますけれども、拉致問題は解決済みであるという姿勢は崩しておりません。韓国につきましても、核問題を優先したいということについても、あるいは太陽政策をとっているということについても、恐らく変更はないものと思われる。

 そして、きょう、新聞報道では、アメリカの大使が拉致問題はイシューにはならないのではないかというような御発言をされたかのようで、まだら模様で、拉致問題は六カ国協議の場ではなくて、バイで、二国間の枠組みで協議すべきだというようなことが盛んに言われておりますことは、まことに憂慮すべき点だというふうに考えてございます。

 そこで、この来週の六カ国協議について、我が国がどのような具体的な戦略を持って、そして何を目標に成果を上げていくかということについて、逢沢副大臣から御答弁いただきたいと思います。

逢沢副大臣 先生御指摘のように、来週二十六日から、約一年一カ月ぶりということになるわけでありますが、四回目の六者会合、六カ国協議が北京において開かれるわけでございます。

 世界が注視をするこの六カ国協議、もちろん、六者会合では北朝鮮の核問題が国際社会の直面する問題としては中心的な課題である、そのことがテーマとしては中心テーマであるというふうに申し上げなくてはならないわけでございますけれども、我が国といたしましては、北朝鮮をめぐる諸懸案の包括的な解決を図る必要があるとの観点も有しているわけでございます。過去三回の六カ国協議におきましても、そういった立場から、日本は、この拉致問題の解決がいかに重要であるか、北朝鮮をめぐる諸懸案の一つの大きな問題だという立場から、強く拉致問題の解決の重要性、必要性を指摘してきたわけであります。

 そういった経緯があるわけでありますが、これまでの六カ国協議と同様、来週開かれます会合におきましても、拉致問題解決の必要性、このことについては、当然のことでありますけれども、強く提起をしてまいりたい、そのように考えております。

 同時に、核問題そしてミサイルの問題、こういった問題を包括的に解決をしていく、その重要性につきまして、他の参加国と協調をしながら対応していくことの重要性、これも踏まえているわけでございますが、その中で、我が国の立場といたしまして、拉致問題がいかに大切であるかということについてはきちんと言及をしていかなくてはならない、そのような理解の中で準備をいたしているところであります。

福井委員 ありがとうございました。

 いま一歩具体的な戦略というものはなかなか教えていただけないわけですけれども、そこで、一つの境界条件としまして、韓国というパーティーがあるわけですけれども、韓国人の方も北朝鮮に拉致されている方がいらっしゃるということ、あるいは日本との間では領土問題もある、あるいは太陽政策を持っている。いろいろな今の六カ国協議にかかわる韓国がどのようにこの拉致問題について考えているのか、そして、その韓国の立場を理解して、我が国としてはどういう戦略で韓国政府の今後の行動に影響を与えていくのか、それの戦略を韓国にフィーチャーしてちょっと御答弁いただきたいと思います。

逢沢副大臣 福井先生も御承知のように、韓国におきましては、公式に発表されていると承知をいたしておりますけれども、四百八十六名の拉致被害者、韓国におきましては拉北者というふうにされているということでありますが、四百八十六名の拉致被害者が存在するとされているわけであります。

 韓国政府はこれまで、南北閣僚級会談あるいは南北赤十字会談等の各種の南北間のチャンネルを通じて、拉北者の安否あるいは住所の確認等の作業を進めるよう提起をしてきた、そういった事実関係があるわけであります。

 しかし、肝心の北側、北朝鮮側が拉北者の存在自体を実は認めていない、否認をしているという状況があり、韓国政府は、拉北者問題の根本的な解決がなされるまでの当面の政策としては、拉北者をいわゆる離散家族交流の対象に含めることによって安否確認を進めていこう、あるいは再会を推進していこう、そういった基本的な方針をとっているというふうに理解をいたしているわけであります。

 今回、六カ国協議において、日本国政府の立場また対応については先ほど申し上げたわけでありますが、では韓国がどういう立場でこの拉北者問題を取り上げるかについて、これはひとえに韓国政府の方針にかかわることでありますので、協議が始まる前の今の段階で、私どもの立場としてコメントする立場ではないということは御理解がいただけようかと思うわけであります。

 しかし、今回の六カ国協議を非常に意味のあるものにするための事前の準備が進められております。例えば、先般十四日にはソウルで日米韓の首席代表協議もありましたし、また、中国とも我が国は接触をいたしているわけでありまして、韓国、米国そして中国からも、基本的に日本がこの拉致問題を取り上げるということについては理解は得ているということは、率直に御報告を申し上げておきたいと思います。

 来週に開かれます場で日本は直接北との接触をやりたい、そういう立場にあるわけであります。韓国は韓国でどのような場を設けようと努力をされるのか、全体の状況の中で協力できることが仮にあるとすれば、積極的に日韓間で協力をするということの可能性といいますか、そういうことについてはあえて否定するものではないというふうに申し上げておきたいと存じます。

福井委員 かなり突っ込んだ御答弁をいただきまして、ありがとうございました。

 そして、もう一つ大きな境界条件、アメリカでございます。プラスの条件としては、七月十一日、ローワーハウス、下院が北朝鮮による日本人と韓国人の拉致問題に関して、北朝鮮政府による拉致は国家によるテロであり、深刻な人権侵害であると強く非難をして、六カ国協議で取り上げるよう米国政府に求める決議を三百六十二対一と圧倒的多数で可決しております。

 まだアッパーハウスには行っておりませんので、ハウス全体としての政府へのプレッシャーにはなっていないというのも事実でありますけれども、しかし一方で、先ほど言いましたきょうの新聞報道で、アメリカ大使が来週からの六カ国協議では拉致問題はイシューにならないのではないかというようなことが読み取れるような新聞記事がございましたので、その二つのプラスマイナスの情報を把握しながら、今後アメリカとどのように連携をし、そして来週どのような戦略でこの拉致問題解決に当たられるのか、今度はアメリカにフィーチャーしてまた御答弁をいただきたいと思います。

逢沢副大臣 今、福井先生から御指摘をいただきましたように、米国議会におきまして御指摘のような動きがございました。その事実関係、私どもとしても承知をいたしておりますし、広い意味で拉致問題の解決に向けて物事を前進させる、また広い意味で北朝鮮に対する圧力の一つ、そういう意味で、私どもとしても大変歓迎すべき動きであるということを最初に申し上げておきたいと思います。

 米国政府は、ブッシュ大統領を含め、従来より、拉致問題を含む北朝鮮の人権状況につきまして政府も議会同様強い関心を示してきております。また、拉致問題の解決ということが日本にとっていかに重要な課題であるか、アメリカとしても十二分に理解をしていただいているわけでありまして、さまざまな機会を通じて日本に対する理解と協力の意を米国は表明いたしております。また、過去の六カ国協議でも、北朝鮮が取り組むべき懸案の一つとして拉致問題があるんだ、これは解決されなければならない課題であるということをアメリカはアメリカの立場で言及いたしているわけであります。

 さきの米国政府高官の発言、その真意がどのあたりにあるのか、私どももいささか気をもむわけでありますが、日本国政府といたしましては、四回目の六カ国協議におきましても、もちろん六者会談の中心課題は核の問題である、しかし、北朝鮮をめぐる諸懸案の重要な一つの問題、課題とすべき問題に拉致問題があるんだということをアメリカがアメリカの立場できちんと今回もまた指摘をしてくれる、そのことを強く期待するものでございます。

 いずれにいたしましても、日米韓の協力、結束、また日米間の協力また情報の交換、こういうものを通じて拉致問題の解決に向けて大きく前進ができる、そういった六カ国協議が開催できるように最善の努力を尽くしてまいりたい、そのように考えております。

福井委員 ありがとうございました。

 今のお言葉のように、日米韓、そして日米、あるいは日韓、それぞれ協力をして最善の努力をしていただけるということでございますので、ぜひ期待をして、来週の結果を待たせていただきたいと思います。

 次に、六カ国協議あるいはバイもあるわけですけれども、国連を舞台にした政府の努力もしていただいておりますので、国連人権委員会強制的失踪作業部会という難しい名前の部会の今までの活動状況と今後の方針についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 ことしの五月にバンコクで開催されたこの部会でも、横田めぐみさんの遺骨をめぐった応酬がなされております。そして、国際的な世論も拉致に関して高まっている中で、世界じゅうの国々、そして国連という場、あるいは国連という組織が、私たちの拉致問題に理解を示し、そして拉致問題解決のために大きなフォースになっていくということが必要かと思っておりますので、国連人権委員会強制的失踪作業部会における今までの取り組み、そして今後の方針について御答弁をいただきたいと思います。

逢沢副大臣 福井先生御指摘のように、我が国としましても、国連人権委員会強制的失踪作業部会のこの場におきます議論を非常に大切に考えているわけでございます。

 この部会に対しましては、拉致問題に関しまして、これまで九名の安否不明の拉致被害者の御家族から所在確認の申し立てが行われているわけでございます。

 当然のことでございますが、拉致問題の解決には、国際社会の理解あるいは支持が不可欠であると言わなくてはなりません。本作業部会におきましても、拉致問題の解決に向けた北朝鮮側の前向きな対応を促すべく、ステートメントの実施、あるいは関連情報等の提供を行ってきているわけであります。

 例えば、ことし五月に、バンコクで作業部会が開かれたわけでありますけれども、拉致問題の解決に向けた最近の日本政府の外交上の取り組み等について説明をする機会がございました。説明をさせていただきました。いまだ安否が確認されていない被害者の所在が早期に確認されるよう、強くバンコクでの作業部会におきまして訴えかけを行ったということでございます。

 事実として、北朝鮮側からは、安否不明の拉致被害者の所在の確認につながるような情報はいまだに提供されておりません。我が方といたしましては、申し立てが行われております九名の方々、九名の拉致被害者の所在確認に向け、引き続き、国連の舞台、この作業部会の場でも、強力に世界に向かってこの問題の重要性をアピールしつつ、先ほどにも申し上げました北朝鮮に適切な対応を求め、広い意味での圧力の舞台とも位置づけながら積極的に活用してまいりたい、そういうように考えております。

福井委員 ありがとうございました。

 この作業部会という名前がいかにも大きくないといいましょうか、窓口としては小さいような感じでございますけれども、しかし、その相手は国連全体あるいは二百カ国、国際社会全体というようなことでございますので、世界全体を動かすその最初の一歩としての作業部会における御活躍といいましょうか御努力をお願い申し上げたいと思います。

 次に、きょう大分、後々先生方、御質問があるでしょうけれども、私の方からも経済制裁について御答弁をいただきたいと思っています。

 六月二十四日から、国会の前で御家族の方が経済制裁を求めて座り込みをされたということにつきましては、本当に私たちは大変重く受けとめなければならないと思っておりますし、経済制裁について、何でしないのかというような世論の方が大きいような気がいたしておりますので、改めまして、現在、きょう時点での拉致問題解決のための経済制裁、どうして発動しているのか、あるいはそれに関する基本的なスタンスにつきまして御教示をいただきたいと思います。

逢沢副大臣 北朝鮮を動かす、北朝鮮から誠意ある対応を引き出す、納得のいく対応を得るために、どのようなタイミングでどのような手段を講ずることがその目的を達成するために最大の効果をもたらすか、真剣に政府としても不断の検討を加えているところであります。対話と圧力との考え方のもと、今回の六カ国協議をめぐる状況をやはりしっかり受けとめなくてはなりません。北朝鮮がどのようにみずからの変化を今回の六カ国協議で示してくるか、注視をする必要がございます。

 また、我が国国内のさまざまな世論、家族会の方々の強い思い等々、総合的に判断をしながら、先ほどにも申し上げました、いかなるタイミングで、どのような方法で、何をすることがこの拉致問題の解決に向けて物事を前進させるか、そのことに引き続き真剣に検討を加えてまいりたい。

 もちろん、政府といたしましても、厳しい対応を考慮しているということは累次の機会に申し上げてきているわけでございます。現時点で我が国が北朝鮮に対する経済制裁を実施することが、拉致問題その他の諸懸案について前進を図る上で最適であるかどうかについては、なお引き続き状況を見つつ、真剣に検討を重ねてまいりたい、そのように存じております。

福井委員 ありがとうございました。まさに適正なる、最適なる御判断をお願い申し上げたいと思います。

 あと一分半ぐらいありますので、海事局長に御質問させていただきたいと思います。

 三月一日、改正油濁損害賠償保障法という難しい名前の法律が施行されました。外国船舶全体と北朝鮮船籍の証明書発行状況を教えていただいて、この法律の執行状況がどうなっているか、御教示いただきたいと思います。

矢部政府参考人 お答えいたします。

 ただいま証明書の発行状況等法律の執行状況についてお尋ねがございました。

 国土交通省におきましては、船舶油濁損害賠償保障法に基づきまして、六月末現在で一般船舶保障契約証明書を千四百三十件交付しております。このうち北朝鮮籍船舶に対しましては二十七件交付をしております。

 この法律の遵守状況を確認するために、入港船舶に対し、六月末までに千八百八十七件の立入検査も実施をしております。このうち北朝鮮籍船舶は十八件、立入検査を実施しております。検査の結果、違反船舶に対し七十件の行政命令を発出しておりますが、このうち北朝鮮籍船舶につきましては三件、行政命令を発出しております。いずれも証明書の備え置き命令でございます。

 国土交通省といたしましては、今後ともこの法律の厳正な運用に努めていくこととしております。

福井委員 時間が参りました。

 次のバージョンといいましょうか、今のこの法律のスコープワークは適正に執行されているということでございますけれども、もっと強くという官邸なり政府全体の意思があれば、国土交通省としてはもっと頑張れるというようなことだと推察をさせていただいておりますので、そういう意味で、今のように厳正に執行していただくということをお願いするとともに、戻りますけれども、来週からの六カ国協議で、かなりの進展を期待申し上げまして、時間が来ましたので質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

赤城委員長 次に、宮路和明君。

宮路委員 自民党の宮路和明であります。

 限られた三十五分の時間の中で数多くの質問をしなきゃならぬということになっておりますので、政府側はぜひ手短に結論部分についてひとつ答弁をいただきたい、こう思います。

 まず最初に、朝鮮総連に対する我が国の地方公共団体レベルにおける数々の優遇措置の問題について質問をしたいと思います。

 まず最初に、固定資産税だとか都市計画税の関係であります。

 拉致の実行部隊としての役割も果たしており、かつまた、その他多くの対日工作の分野で本国の北朝鮮政府と一体となって我が国内で活動しておる朝鮮総連、その朝鮮総連に対する固定資産税、都市計画税の減免問題、これが、先般熊本地裁で、拉致被害者の家族らを支援する救う会熊本の皆さんが訴えた裁判、その減免措置の無効確認、あるいは減免額の市への支払いを求めた裁判についての判決が出たわけでありますが、数多くの市町村において、あるいは都道府県において、同様な措置を講じているという話を聞くのであります。それが一体どういう実態になっているかということをまず最初に教えてもらいたいと思います。

岡崎政府参考人 お答え申し上げます。

 制度としては、固定資産税につきましては、地方税法の規定によりまして、公益上その他の理由があると認める場合に条例の定めるところによりまして減免を行うことができるとなっております。

 具体的に、御指摘の在日本朝鮮人総聯合会関係の施設につきましては、すべて把握しておるわけではございませんが、本年の一月に、政令指定都市及び朝鮮総連の地方本部が置かれているというのがホームページ等で明らかな市、合わせまして四十九団体についてどうなっているかというのを照会して把握したものがございます。

 それによりますと、税額の全部または一部を減免しているというお答えをいただいた団体は、四十九団体のうち三十団体だったという状況でございます。

宮路委員 その額はどうなっているか。減免額、それはどうですか。

岡崎政府参考人 個々の課税物件の価額に係るものでございますから、私どもとして承知をいたしておりません。

宮路委員 今、条例の定めるところによってそういう減免が朝鮮総連に対して可能なんだ、しかし、まだ数はつかんでいない、こういうことでありますけれども、国民感情からすると、実にそれに反した措置だ、私はこう思うんですね。

 我が国政府は、拉致の問題解決なくして経済的な支援はしない、こう言っておるわけであります。ところが一方、自治体の方は、そういうことで固定資産税をまけてやったり、それから都市計画税をまけてやったり、そういうことをやっている。

 地方自治体は、一方では財政が乏しいから三位一体の改革の中で国からの税源をよこせ、よこせということを言いつつ、一方ではこういう国民感情を全く無視した、日本からすると反国家的な活動をしている団体に、そういう税制上の優遇措置を数多くの団体がやっている。この問題は、国と地方が完全にねじれちゃっている、こういうことを許しておっていいのかなという気が我々はするわけですが、どうですか、この点は。

岡崎政府参考人 先ほど申し上げたとおり、固定資産税の減免というのは、地方税法の規定によりまして、各団体が公益上の理由などによりまして必要な場合にそれぞれの条例で定めて行っているものでございます。したがいまして、具体的な減免の実施につきましては、基本的には各地方公共団体の自主的な判断にゆだねられているものでございまして、御指摘の朝鮮総連関連施設の課税の取り扱いにつきましても、当該施設の使用の実態あるいは他の施設との均衡など、それぞれの実情に応じて各団体で御判断をいただく以外にないというふうに考えております。

宮路委員 公益上の観点、こう言っているんですが、こういうことは、およそ非公益、非国民的、非国家的であるということは鮮明じゃないですか。にもかかわらず、公益的な事情でそれが認められるという今の総務省の見解はまことにもって不可解千万だ、私はこう思うんですが、もう一回、どうですか。

岡崎政府参考人 私どももそれぞれの減免の個々の状況を詳しく把握しておるわけではございませんが、ちなみに、減免をしている団体がどういう理由でやっているかというふうなことを伺いますと、ほとんどの団体が公民館、集会施設に準じた公益性を有するということで減免をされているというふうに承知をいたしております。

宮路委員 これは何回言っても今のような答弁の繰り返しだと判断せざるを得ませんから、一方的にこっちの方から要請をしておきたいと思いますが、徹底的にまたこれは調査してもらって、そして、ひとつ改善措置を、我々国民感情から見ても、あるいは常識に照らしても、これはもっともだと言えるような状況を、石原都知事はこれを解消したじゃないですか、これは当たり前ですよ。全国を見てみても、私の地元鹿児島も幸いにしてこれはやっていない。やはり地元ながらこれは大したものだ、こう思うんですが、これが常識ですよ。ですから、ぜひこれは即刻、一刻も早く対応の措置を講じてもらって、改善を施していってもらいたい。

 そうでなければ、税源を国からよこせよこせと言いながら、一方ではこういうことをやっているというんだったら、まことにもってこれはちぐはぐだ、こういうことになりますから、どうか、今日の厳しい財政事情にもかんがみ、これはぜひ、断固そういうことをやってもらいたいということを要請しておきたいと思います。

 次に、今度は、朝鮮総連の経営しておる朝鮮学校に対する補助金問題でありますが、これの実施状況、そして法的根拠、どういう理由に基づいてこれの補助が行われているのか、その辺のことを、これは文科省ですか、お願いいたします。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 いわゆる朝鮮学校を含む外国人学校は、そのほとんどが各種学校として都道府県から認可されており、国としては助成を行っておりません。

 一方で、地方自治体は、それぞれの判断で、朝鮮学校を含む外国人学校に対して助成を行っておりまして、平成十五年度実績で、都道府県が合計で約六億八千万円、市町村が合計で約二億三千万円、都道府県と市町村を合わせて約九億一千万円を朝鮮学校に対して助成しているというふうに承知をしております。

 朝鮮学校を含む外国人学校に対する助成につきましては、各地方自治体の判断と責任において実施しているものであり、助成を控えるか否かにつきましては各地方自治体が判断すべき事柄であると考えているところでございます。

 以上でございます。

宮路委員 これも今の総務省の答弁と一緒で、全く無責任といいますか、それは、一般の外国人学校についてならまだしも、朝鮮学校に対して九億一千万、全体の外国人学校への補助の中において圧倒的にこの北朝鮮の学校が数も多いし、そこに金をどっさり補助している、こういうことでありますから、これもまた、さっきの固定資産税や都市計画税と同じように、国民感情を逆なでするというものであると言って過言ではないと私は思うんですね。

 ですから、先ほど来申し上げているように、財政事情が厳しい、国から国税をよこせ、よこせと言っている地方自治体がこういうでたらめなことをやっておるということ自体、これは彼らの我々に対する三位一体改革、その中でも税源移譲のその主張というものがいかに根拠のないものであるかということを如実にこのこと自体が物語っておるわけでありますので、やはりそういうこととの関連においても、これはしっかりと対応してもらうように、これは文科省は指導権限がないんですか。どうですか。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 朝鮮学校を含む外国人学校に対する助成は、各地方自治体の判断と責任において当該地方自治体の自治事務として実施しているものでございまして、国として地方自治体に対して助成をやめるよう指導する権限はございません。

宮路委員 本当に情けないというか、聞いてあきれるような、そういう今の答弁であります。

 これは、政府全体として取り組んでいってもらわなければならない。文科省はそういうことで責任を逃れている。そうすると、交付税の積算基礎に入っているかどうか。これはどうも入っていないということですかね、財政局長。

瀧野政府参考人 外国人学校等の各種学校の運営費についての交付税の算定についてのお尋ねでございます。

 交付税におきましては、公立学校とかあるいは私学の一部につきまして交付税上算定しておりますけれども、ただいま御指摘のような各種学校に該当します外国人学校につきましては、教育内容について特段の基準も定められていないということもございますので、地方交付税上は措置の対象といたしておらないところでございます。

宮路委員 そうすると、みずからの自主財源の中で地方公共団体がやっているということなんでありましょう、交付税の算定基礎にも入っていない、補助金も国から出ていないということであれば。

 しかし、いずれにしても、地方がそれだけの豊かな自主財源を持っているということであれば、これは三位一体改革での税源移譲なんというのはとんでもない話になるわけでありまして、ぜひそこのところをしっかりと頭に入れて、地方自治体全体の財政問題を指導する立場にある総務省、ひとつ取り組んでいってもらいたいというふうに思います。

 次に、先ほど福井議員の方から、油賠法の北朝鮮の船への適用状況についての質問がありましたが、その油賠法の適用、北朝鮮二十七隻あると言っていましたが、これを、保険会社じゃなくて保障会社というんですか、保障会社別にその二十七隻がどうなっているかをひとつ教えてもらいたいと思います。

矢部政府参考人 一般船舶保障契約証明書の交付二十七隻出ておりますが、そのうち二十五隻がMMIAニュージーランドという会社でございます。それから、残りの二隻がサウス・オブ・イングランドという保険会社でございます。

宮路委員 実は、きょうは特に要請いたしまして、正義感に富み、また憂国の情に非常に厚い中野政務官に来ていただいたわけであります。

 さっきのMMIAというこの会社、これについてはその信頼度、極めて乏しい、非常にこれは怪しげな会社であるということが、実は我々の党の拉致対策本部におきましても、二月の十五日でありましたが、この問題が取り上げられて、したがって、これについてはよくよく慎重な、綿密な調査をして、しっかりと取り組んでいけという強い要請を我が党として二月十五日に申し上げておるところであります。

 ところが、今聞きますと、二十七件中二十五件ということでありますが、我が党のそうした二月十五日の指摘を受けてどういうような調査を、検討をやったのか、そこをひとつ教えてもらいたいと思います。

中野大臣政務官 お褒めいただきまして、大変恐縮でございます、院の内外での宮路委員の発言、行動には常日ごろ敬服をいたしております。

 ただいまの御質疑の件でありますけれども、確かに、自民党拉致対策本部から強い御要請もいただきました。逆にまた、五月ですか、某新聞には「国交省ずさん審査」ということで大見出しで記事も出されましたけれども、私ども国土交通省では、一般船舶保障契約証明書交付申請書及び添付書類などをもとに厳重に審査を行ってまいっております。

 お尋ねの保険会社、MMIAにつきましては、ニュージーランドの法令に基づき適正に設立された保険会社で、加入船舶も相応の数があり、ちなみに五百十二隻と承知をいたしております、また、資産やあるいは再保険契約についても確認をいたしております。ちなみに、再保険契約につきましては、ロイズ及び国際再保険会社、一つの事故当たりでありますけれども、上限として二千五百万ドル、こういう再保険契約について確認をいたしておるところであります。

 また、タンカーに関する強制保険を規定しておりますいわゆる国際条約の民事責任条約の証書をイギリス及びインドネシアより発行されている保険者でありまして、両国政府が同社を適正に審査し、証書を発給したことを外交ルートにより確認をいたしております。

 以上のような形で、国土交通省では、十分な審査を行い、法令の規定に適合した保険者であると判断し、最終的に証明書を交付いたしておるところであります。御理解を賜ります。

宮路委員 中野政務官から御理解をいただきたいと言われても、全くこれは理解できないところであります。

 外務省、では次に尋ねますが、このMMIAのいわば身元調査といいましょうか、その信用度の調査について外務省はどの程度のことをやったか、ちょっと答えてください。

佐々江政府参考人 この件につきましては、二月の十八日に国土交通省から外務省に対しまして本件について調査の依頼がありまして、即刻、ニュージーランド、英国、インドネシアに対して調査を命じております。

 そのときに調査をしましたものは、基本的には設立根拠法、それから先ほどもお話のありました英国とインドネシアが過去に発給した証明書に関する事実関係が中心でございまして、会社のいろいろな先ほどありました詳細については、すべて調べるに至っておりません。

宮路委員 お聞きのような、その程度の全く雑な調査しか実はやっていないわけであります。

 そして、十五日にうちの拉致対策本部でそういうことを指摘した。それまでは外交ルートをほとんど調査もしないでやってきたと思うんですが、それを受けて多分慌ててやったんじゃないかと思うんですけれども、十八日に要請があった、そして十九日に訓令を発しておるんですね、よくよく調べてみると。そして、二十四日にインドネシア、イギリスそれからニュージーランドの方から回答があったということでありますが、会社法の手続にのっとって設立した会社であるということと、先ほどのP&Iの証書ですか、それをインドネシアそれからイギリス政府が発行しているということだけを答えておって、会社の実態なんというのはどうなっているかというと、本社はオークランドにあるということになっているんですが、全くのペーパーカンパニーで、本社はない。弁護士の事務所が、その本社があるということになっているだけ。

 この問題、テレ朝がその後テレビで報道しておりました。全く実在がないと言ってもいいような、ニュージーランドについてはどうもそういう会社である、ペーパーカンパニー。そして、特別の法律に基づいてできた会社じゃなくて、一般の会社法の手続にのっとって単に登録をされたというだけの会社である。

 私はいろいろなところへ調査をかけて、海事関係の弁護士からも話を聞いた。それから、大きな損保会社を通じて、再保険なんかをやるロンドンの方のブローカーと言われる人たち、その筋の調査結果等々も、いろいろなところで私は情報を集めて話を聞いたのでありますが、まことにもってこの会社は、通常のしっかりした会社であればアニュアルレポートなんというものを出しているんだけれども、そういうものも一切出していない。活動実績、業務実績も何ら公表されてない。そういうえたいの知れない会社であるということなんですよ。

 そして、このMMIAは二〇〇四年の六月に設立されているんですが、実は、ついこの間、日本漁船の第一平成丸と台湾漁船との衝突事故について、台湾漁船の方のいわば保障会社がMMIAバミューダというものだったそうでありますけれども、これが何と裁判を起こされておった。そして、ちゃんとこれについては、東京地裁の方で三千二百十九万の支払い命令が出ているにもかかわらず、それを一向に払わない。

 そういう中で、どういうことになったかというと、漁船側に私は確認したのでありますが、日本側の漁船、第一平成丸というんですが、そっち側に確認したところ、そこの弁護士に確認したのでありますが、何と、この間示談が成立した。

 示談が成立したというのは、MMIAバミューダという会社は実は去年倒産したというんです。台湾漁船の引き受けをやっている保障会社は去年倒産しておる、MMIAバミューダ、こういうらしいんですが。そして、本来はそういうことで逃げまくっておったんだけれども、世間がいろいろMMIAニュージーランドについて騒いできたものだから、そこで、MMIAニュージーランドが出てきて、示談金を九万ドル、九万ドルというと一千万円ぐらいでありますが、それを積んで和解をしたということであります。これ以上どうやってもらちが明かぬということで、この一千万円で、弁護士も、これはもう妥協したということなんであります。

 もともとのMMIAバミューダは去年つぶしちゃっている。そのつぶした後に今度はMMIAニュージーランドというのを、ポール・ランキンというのがその責任者なんでありますが、それがつくっておる。

 こういうことを過去幾たびか繰り返してきておりまして、それで、第一平成丸の方の保険を受けておったのは漁船保険中央会が受けておったのでありますが、それは修理代として当座八百万円、第一平成丸に金を払った。というのは、MMIAバミューダが金を払わぬものですから、かわって払っておった。

 そうしたところ、さっき申し上げたように、九万ドルの示談が成立したから、そのうち、さっきの損害額三千二百万と修理代八百万円の比率で四分の一ですね、掛ける九万ドル、まあ一千万でありますが、約二百五十万円が返還されて保険中央会には戻ってきた。したがって、漁船保険中央会は、ここで五百五十万の赤字か損ですね。一方、第一平成丸の方は、これは三千二百万の賠償額のうち、返ってきた金はさっきの一千万円でありますから、二千万強が全くの損失、こういうことになっているわけです。

 その他、もう数えれば切りがない、三件ほどこういう行動を過去にやっている。これは弁護士がそう言っているんです。弁護士がMMIAの履歴をちゃんと調べて、そういうことで物すごく問題視されておって、我が党の拉致対策本部でもそういう指摘を受けながら、さっきのように、わずか、二月の十八日から外務省が形式な調査を手がけて、二十四日までかけてやった。会社の身元をしっかりと調べたというものじゃない、本当に表面的な調査ですよ。それに基づいて、もう二十五日には一般船舶保障契約証書を交付しているんですね。何と一週間足らずの間で交付しちゃっている。

 本当に、どうしてこんな急いでやったのか。役人の仕事からすると、全く非役人的な仕事をやっているわけですな、こんなスピーディーに。そこのところはどういうことだか、ちょっと聞かせてもらいたいと思います。

中野大臣政務官 宮路委員には厳しいおしかりをいただいておりますけれども、確かに、一般船舶保障契約証明書の審査、交付の流れからいたしますと、一月二十七日に関東運輸局に交付申請をいたしまして、それから、本省に送付され、保険者適格性の審査というものをやっております。

 二月の八日には英国政府発行のCLC証書を入手し、二月の十四日にMMIAの資産情報を入手、同十五日、拉致対策本部の会合でとりあえずの御説明を申し上げております。

 二月の十六日にインドネシア政府発行のCLC証書を入手し、二月十八日から外交ルートの調査開始をいたしまして、英国、インドネシア、ニュージーランド、そして、二月二十二日に在英大使館から正式版として回答され、またインドネシア大使館よりも回答をいただいておりまして、二十三日に大臣説明があり、二月二十五日に証明書交付という形になっております。

 国土交通省では、あくまでも油賠法に基づき審査を行っているということを御理解いただきたいと思うのであります。この保険会社のMMIAにつきましても、申請書の記載事項などを基に保険契約の内容及び保険者について厳正に審査を行った上で証明書を交付したものでありまして、私も事務方に再々確認をいたしておりますけれども、政治的な背景は一切ございませんので、それも御理解を賜りたいと思います。

宮路委員 政治的な背景とか、あるいは経済的な背景か何か、とにかく、これは何かが働いていないと、こういうずさんな処理はするはずがない、日本の役所として。これはもうどこに聞いても、先ほど申し上げた我が国を代表するような損保会社、あるいは海事の関係のオーソリティーとも言われている弁護士、あるいは、ここまで出していいかどうかわからぬが、公安当局、それから外務省もそう言っているし、もうみんなが、不思議でしようがない、こういうことを言っているわけですね。

 これは私が調査した資料の中に、MMIAビジネス、ポール・ランキンの前歴というペーパーには、東南アジアの漁船やオフグレード、非常にグレードの低い貨物船などの保険引き受けを行っている、しかし、保険料は取るが保険金を払わない、特に巨額のクレームが起こると、直ちに会社を畳んで責任を逃れる、ポール・ランキンにはそのような先例が三つあるということを言っているんです。

 そして、これはまた海事の関係の国際的な新聞でありますが、それを見ても、日本でMMIAについて国交省がそれを認めたということを非常に疑っているというような記事が、これはトレードウインズというノルウェーがベースの海運業界の専門紙らしいんですが、そこでも、有名な保険プレーヤー、ポール・ランキンが帰ってきた。そして、それがやっている小さな小さな共済団体、これはMMIAでありますが、それが日本では北朝鮮の船を引き受けることになって、国交省がそれに出した、しかしそれについては疑問が漂っているというような記事がこの雑誌の中でも紹介をされている、こういうことであります。

 それで、この契約は多分一年だと思うんです、契約有効期間が。これは一年ですね。たしかそうだと思いますよ、一年。この種の保険契約は有効期間が一年だ、こう聞いております。したがって、今まで証明書を交付した契約についても、これは更新でまた次出てこないとも限らないわけなんですが、こういうことは絶対認めては、中野政務官、もう全然形式審査、さっき資産がどうだとか再保険契約がどうだとか言っているけれども、こんなもの関係ない、再保険なんか。これは、ロイドなんかは全然面倒を見ないような仕組みになっているわけです。というのは、根っこの会社が面倒を見ないんだから、再保険会社が面倒を見る、これは絶対ありっこないわけです。

 そういう非常識なことを前から国土交通省の海事局長は国会の委員会で答弁しているんだけれども、もとの受け会社が責任を逃れているのに再保険会社が引き受ける、これは絶対ないわけです。そういうことが、ロイドがやっているから大丈夫なんと言っているんだけれども、とんでもない話なので。

 ですから、中野政務官、ぜひこれはよくよく政府としても調査をしてもらって、こういうずさんな、本当にこれは恥だ。せっかく油賠法をつくって、北朝鮮の船が二度と日立沖で起こしたああいう事故を起こさないようにということをやったのに、これではざる法もざる法、そういうことになっちゃうわけでありますから、ぜひしっかりとした、先ほど来、厳しい運用をしたい、こう言っているわけですから、それが言葉でなくて本当に実態も厳しい運用になるように、ぜひこれは政務官のあれでやってもらいたい、そして、契約の更新なんというのは断固認めないようにしてもらいたい、このことを強く要請したいと思いますが、どうですか。

中野大臣政務官 厳しく御指摘もいただきましたけれども、しっかりと、拳々服膺、フォローをさせていただきたいと存じます。また何かと御指導をお願い申し上げます。

 ありがとうございます。

宮路委員 では、終わります。

赤城委員長 次に、漆原良夫君。

漆原委員 公明党の漆原でございます。

 まず、総理は十九日の夜に、こんな発言をされております。二十六日から北京で開かれることになっております六者協議について、早く核廃棄につなげてほしい、できればこの会合で終わりにして解決すれば一番いい。また、山崎拓前副総裁と会談した際に、小泉政権の間に核問題、拉致問題を解決して日朝間の国交正常化を図りたいと述べられたそうでございますが、きょうの朝日新聞によりますと、北朝鮮の国営朝鮮中央通信は、六者協議を開かれても、拉致問題、日本を相手にしないというふうに論評したという記事が載っております。

 この総理の発言の真意は一体どこにあるのか、また、今回の六者協議で、拉致問題の解決に向けて飛躍的な発展が期待されるという具体的状況にあるのかどうか、お聞きしたいと思います。

逢沢副大臣 きょう、この場で総理の発言の趣旨あるいは真意について詳細に述べる立場ではないというふうにも思うわけでございますが、先ほどにも申し上げましたように、昨年の六月以来一年一カ月ぶりの再開となる六者会合でございます。総理としても、核問題の解決に向けた実質的進展が必要であるとの考えを強く表明された、また、全体として、この六者会合、四回目の会合が、北朝鮮をめぐる諸問題の解決が大きく前進をする、そのことに期待感を示された、そのように考えているところであります。

 拉致問題でございますが、先ほど来答弁をさせていただいておりますように、北朝鮮をめぐる諸問題の中で、我が国の立場からいたしますと、どうしても解決をしていかなくてはならない重要な課題であります。当然、来週の第四回目の会合におきましても、この拉致問題の解決の重要さ、そのことについて改めて言及をしていかなくてはならないというふうに思いますし、また、その日本の立場は米国、韓国また中国にも基本の部分で理解をいただいているわけでありますし、拉致を初めとする諸懸案の解決に向けて一歩でも前進をする、そういった六カ国協議でなくてはなりません。また、そのことが実現ができるように最大限の努力を重ねてまいりたいと存じます。

漆原委員 総理の御真意がお聞きできないのは大変残念なんですが、もう一点、こういう問題があります。

 山崎拓前副総裁が十七日、ソウルで韓国の鄭東泳統一相と会談されました。そのときの山崎前副総裁の発言によれば、統一相が先月、金正日総書記と会談した際に、日本は核、拉致問題を解決して日朝国交正常化をなし遂げたい考えに変わりないという日本のメッセージを伝えましたところ、金総書記は、真摯に受けとめ、正確にお聞きしたと日本側に伝えてほしい、北朝鮮も国交正常化を望んでいると語ったというふうに伝えられております。

 しかし、きのうの新聞ですか、韓国統一省は、金正日総書記が鄭東泳韓国統一相との会談で、北朝鮮も日本との国交正常化を望んでいると述べたとされることについては、こうした発言はなかったというふうに否定しているというふうに聞いておりますが、この辺の経緯は一体どうなっているのか、説明願いたいと思います。

逢沢副大臣 今先生が指摘をされました一連の報道につきましては、私どもも新聞等を通じましてそういった報道には接しておりますし、また報道の中身も理解をいたしているところであります。

 山崎議員と鄭東泳長官との会談内容につきましては、山崎先生御自身が既に対外的に説明をなさっていらっしゃいます。政府の立場でそのことについて、先生が既に説明なさっておられるということをもちまして、あえてコメントすることはなかろうかというふうに思うわけでございます。

 しかし、いずれにいたしましても、北朝鮮問題をめぐりまして日本と韓国が緊密に連携をしながら、とりわけ鄭東泳長官は、六月半ばにみずからが平壌を訪問され、金正日総書記その方と会談を持った、特別な経緯を持つ方でもございますし、一連の韓国の南北政策も最近全体としてとみに積極的に展開がされておりますが、そういった状況の中、日韓の協力をより密にしながら、連携を強化しながら、全体として北朝鮮が抱える諸懸案の解決に向けて協力をしていかなくてはならないというふうに考えております。

 鄭長官は、こういった状況の中で、日本は核、拉致問題を解決して日朝国交正常化をなし遂げたいとの山崎委員の考え方を伝えたということであります。先般の金正日総書記との会見においてそのように対応されたというふうに私どもとしても理解をいたしているところでございます。

漆原委員 総理が御自身の在任中に、この問題、拉致問題に決着をつけたい、また日朝国交正常化をなし遂げたい、こう思われる気持ちはもっともだというふうに私も思っております。ただ、ともすれば拉致問題は日朝国交正常化の障害になりかねないというお考えがどこかにあることも確かだろうというふうに思っております。

 ここで改めて確認したいんですが、拉致問題の解決なくして日朝国交正常化はあり得ないんだということを再度確認しておきたいと思いますが、いかがでございましょうか。

逢沢副大臣 それは、言うまでもなく、先生御指摘のとおりでございます。我が国の基本的な方針、核、ミサイル、拉致、核の問題、ミサイルの問題、そして国民注視のこの拉致問題を包括的に解決しない限り日朝正常化はあり得ない、この基本的な方針は変わるべくもないということは当然のことでございます。

漆原委員 六月の二十四日から二十六日までの三日間、家族会、救う会は、この議員会館の前で、拉致被害者を救うために北朝鮮に経済制裁の発動をと要請する座り込みを行いまして、三日間で延べ二千五百人の皆さんが参加をしたというふうに述べられております。

 この三日間は大変猛暑でございました。家族会の皆さんは会長の横田さんを初め御高齢の方が多いわけでありますが、この厳しい環境の中での皆さんを支えたものはただ肉親を救いたいというこの一念だったと聞いて、強く私も胸を打たれたわけであります。拉致被害者の家族の皆さんがなぜ我が国の政府に向かって座り込みをしなければならないのか、本当に私は残念に思っております。

 政府はこの状況をどのように認識されているのか、これは内閣官房と外務省にお尋ねしたいと思います。

杉浦内閣官房副長官 あの炎天下で、御高齢の方も多かった皆さんが座り込みをされた、私も現場を通りかかりもしましたし、またテレビでも拝見しましたが、そのときに感じた気持ちは漆原委員と同じでございます。皆さんの心中、座り込んでおられた方々の心中は察して余りあるものがございます。

 この一年余りの間、拉致問題については進展が見られなかった。努力はいたしておるわけですけれども、現実に進展はなかったわけでありまして、結果として進展が見られなかった政府に対して皆さん方が、叱咤激励といいますか、もっとしっかりしろ、弱腰であるなという強いお気持ちをあらわされたんだと私は理解いたしております。

 今度、六カ国協議が開かれます。二十六日からされますが、そこで拉致問題は当然、今までどおり提起をいたします。どういうふうに先方がこの問題に対応してくるか、今のところわかりません。北朝鮮を除く五カ国は、核問題、朝鮮半島を非核化する、全面的な核廃棄を求めるという点では共同行動をとっております。拉致問題を提起することについては、日米韓、日米、日中あるいは日ロの間で理解を得ておりますから当然提起をいたしますが、全体の進展がどうなるか、その中で拉致問題に対して先方がどういう出方をするか、それを、総理のおっしゃっているとおり、ここで解決してくれればいいという期待を持ちながらじっと見守る、そして代表団には腹帯を締めてしっかりやってこいということで、私ども指示しておるところでございます。

逢沢副大臣 官房副長官からも答弁がございましたが、あの厳しい暑さの中で、大変御高齢な方も含めて、家族会の皆様そして関係の方が座り込みをして政府に対してその思いをぶつけられた、本当にその行動またお気持ちを私どもとして重く受けとめなくてはならない、改めてそのように感じたところでございます。

 大変遺憾ながら、残念ながら、北朝鮮側からその後、拉致問題の前進に関する誠意ある回答は得られておりません。

 したがいまして、私どもは、いつまでも北朝鮮側から、生存者の帰国やあるいは被害者の真相究明に向けて誠意ある対応がない場合には、ある意味では当然のことでありますけれども、我が国として厳しい対応をとらざるを得ない、そういった考えに立っているということは累次申し上げているわけでございますが、改めて、もう本当にいても立ってもいられない、じっとしていられない、家族会の方々がそんな思いの中であのような行動をとられた、そういったことをしっかり受けとめながら、北朝鮮から納得のいく具体的な対応を得るべく、引き続き最大限の努力を重ねてまいりたいと存じております。

漆原委員 官房副長官は、政府に対する叱咤激励とおっしゃいましたが、違うんですね。叱咤ではあっても激励じゃないんです。何をやっているんだという怒りなんですよ。激励じゃないんです。そこのところをしっかり腹に入れてもらいたいと思います。

 官房長官は、昨年十二月二十四日、北朝鮮から提出された遺骨、それから死亡診断書、これが全部捏造と判明した際に、北朝鮮側が迅速かつ誠意ある対応をしない場合には、日本政府として厳しい対応をとらざるを得ないと発言された。それから半年経過をしております。それだけじゃなくて、北朝鮮は、日本側が遺骨の鑑定を捏造しているという、まことに言語道断ともいうべき開き直りをしているわけであります。また、日本側との交渉も拒絶しているわけであります。

 官房長官が発表した日本政府として厳しい対応をとらざるを得ないというのは、どのような対応をお考えだったのか。また、今日まで北朝鮮が迅速かつ誠意ある対応をしたとは到底思えません。今後、北朝鮮に対してどのような態度で臨まれるのか。官房副長官にお尋ねしたいと思います。

杉浦内閣官房副長官 委員御指摘のとおりの先方の対応であります。ただ、私どもは、北朝鮮が六カ国協議に出てこない、六カ国協議という枠組みの中で、核の問題等を協議して所期の目的を果たす、拉致の問題は日朝間の二国間の問題でありますが、これも六カ国協議の中で言う。その場で、一度やったことはありますが、バイの会談もやる。先生おっしゃったような先方の主張でありますから、こちらとしても、こちらの調査結果について詳細に説明をするということは先方に伝えてありますが、その場も持てないというような状態を解消して、きちっと説明をし、交渉をするということで、まずは、何をおいても六カ国協議に北朝鮮をのせるということに外交努力の中心が置かれていたわけでございます。

 今度そういうふうになりました。五カ国の足並みもそろっておりますので、そこで北朝鮮サイドはどういう態度をとるか、その態度を慎重に見きわめまして、対話と圧力の圧力の方をどう考えるか、真剣に考えてまいりたいというふうに思っております。

漆原委員 経済制裁をすべしというような、圧力をかけるべしということをいっぱい質問しようと思ったんですが、時間がなくなるので割愛しますけれども、本当を言うと、この質問をするかどうかは私自身の心の中にためらいがありました。

 それはどういうことかというと、北朝鮮側は日本に対して、経済制裁は宣戦布告とみなす、こういう理不尽なおどしをしております。日本政府が従来のようなあいまいな答えでは、日本政府に対するおどしに効き目があったんだ、日本政府は経済制裁をできないんだといった誤ったメッセージを北側に送ることになるわけでありますから、右のほおを打たれたら左のほおを出せというのは宗教家のやることであって、政治家のとる道ではないというふうに思っております。

 私は、日本政府は、被害者を帰さないのであれば経済制裁をするんだという強いメッセージを北朝鮮に送るべきだと思うし、それがひいては、今官房副長官がおっしゃるように、北朝鮮を六カ国協議に引っ張り出す対話のきっかけになるというふうに思っていますが、ここはいかがお考えでしょうか。

杉浦内閣官房副長官 現実に北朝鮮は、一年ぶりですが、六カ国再開に応じて出てまいります。二十六日から協議が始まります。その場で我々は、主張することは当然主張いたしますし、他の四カ国と協調の上、核問題にも取り組んでまいるわけであります。

 そこでの北朝鮮が前向きの態度に出るのかどうか見きわめた上で、今後とるべき方策について真剣に検討したい、こう思っております。

漆原委員 逢沢副大臣にお尋ねしたいと思うんですが、米国の本会議で七月十一日、北朝鮮による日本人、韓国人拉致及び被害者を拘束し続けていることを非難し、米政府に対して解決に向け対応をとることを求めた決議案が、先ほど申されました三百六十二対一という圧倒的な賛成多数で可決された。

 その中に、大変意義深い項目があります。北朝鮮の核問題の解決は極めて重要であるが、しかしそのことで、北朝鮮政府との今後のいかなる交渉においても、米政府当局者が、拉致問題及びその他の重大な人権問題を持ち出せないようなことがあってはならない、こういう項目があるんですね。これまで、ともすれば拉致問題は、日朝間の、二国間の問題だというふうにとられがちでありましたが、この決議文は、そうじゃないんだ、拉致問題は普遍的な人権問題で、核問題と同一なんだということを訴えている。

 六者協議に臨むに当たって、この決議文の意義をどのように理解されているのか、お尋ねしたいと思います。

逢沢副大臣 漆原先生、今御指摘をいただきましたように、米国下院本会議におきまして、北朝鮮による我が国及び韓国国民の拉致及び引き続きの監禁をテロ行為及び著しい人権侵害であると非難する旨の決議が三百六十二対一という大差で採択をされた、その事実を承知いたしておりますし、今先生から御指摘をいただきました決議主文を私もざっと目を通させていただきましたけれども、確かに御指摘の記述が決議文の中にきちんと明記されているわけでございます。

 我が国の国会、衆参におきまして拉致に関する特別委員会で同様な趣旨の、趣旨を含むと私ども理解をいたしておりますけれども、決議がなされておりますが、政府のみならず、米議会におきましても、核の問題は非常に大事である、これを解決しなきゃならない、しかし、その陰にこういった非道な人権上の問題が隠れてしまう、隠されてしまう、解決が妨げられる、そういったことがあってはならない、そういった趣旨の決議がほぼ全会一致とも言える数で決定をされたことは大変重いことでございますし、また、これは広い意味での北朝鮮に対する圧力の一つという意味でも大変評価ができようかというふうに思うわけでございます。

 もちろん、一義的には、この拉致問題の解決へ向けての前進、解決は日朝二国間の大きな課題でありますが、しかし、適切な形で国際社会の理解あるいは協力、また北朝鮮に対する圧力を呼びかける、そのことは大変重要なことであります。国際ステージの上で最も影響力を持つ、また北朝鮮もやはり何といってもアメリカを見ている、そういった現実を考えるとき、大変大きな影響が国際社会にもたらされるということを、あえて私どもも期待をいたしたいというふうに思うわけでございます。

 来週の六カ国協議に際しましても、日米韓の協力、とりわけ日米の協力も、こういった文脈におきましてもしっかり確認をしながら対応をしていかなくてはならない、改めてそのように承知をさせていただいております。

漆原委員 六者協議の成功を強く祈りまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

赤城委員長 次に、田中慶秋君。

田中(慶)委員 民主党の田中慶秋です。

 まず、この拉致特に当たり委員長の見解をお伺いしますが、この委員会、六カ国協議が二十六日、これから始まる大変重要なときに、私は、質問に当たって、少なくても外務大臣なり総理なり官房長官が出席をして、日本の国会なり政府の態度というものを内外にアピールすべき、こういう時期だと思うんです。

 ところが、当局あるいはまた委員部の人たちは、大臣、総理、官房長官は理事会の申し合わせであるから出席させることはできません。

 これはおかしなことであって、国会議員がこれから質問し、そして今、国際的に大変重要な時期にしようとするときの答弁者が、少なくても大臣、総理を求めているときに、そのことを申し合わせで断るということはいかがなものかと思いますが、御答弁をお願いします。

赤城委員長 田中委員からのお話でございますけれども、委員よく御承知のとおり、委員会の運営につきましては、あらかじめ理事懇、理事会において各党協議の上、委員会を設定しております。

 この委員会につきましても、特に政府側の答弁者、政府参考人も含めて、事前に理事懇、そして先ほどの理事会で確認いたしまして、各党了承の上にこの委員会が開かれているわけでございまして、特に政府側からは、田中委員の質問に対して、内閣官房の副長官あるいは外務副大臣、そして村田国家公安委員長、こうして出席をいたしております。それぞれが各省また政府を代表して答弁をする、こういうことでございますので、御了解いただきたいと思います。

田中(慶)委員 私は、我が党の理事から、そのような申し合わせはしていないということであったから質問をしました。

 やはり、こういう時期にしっかりとした政府の見解を出すことが望まれることであろうと思います。これは今後含めて、やはりこれらに対する、タイムリーな時期にタイムリーな国の考え方を発信するということは一番重要なことでありますから、委員長も含めて、よくこれは今後検討してください。要望しておきます。

 さて、質問に入りますが、この拉致問題は、国会で一番最初に取り上げられたのは、昭和六十三年の一月二十八日、衆議院本会議でありました。当時、大韓航空の爆破事件に関連して、この北朝鮮の拉致問題が取り上げられたわけであります。

 まさしく、このときの問題の中で、日本の主権というものが侵され、そしてなおかつ、拉致という人道的立場等々を踏まえて質問をしているわけであります。当時は、政府は、これらに対しはっきりとした答えがされていない。今後調査をし、そして明らかにしていきたいという考え方であったわけであります。

 昭和五十三年、拉致が、あるいはまた拉致と思われる事件が起こり、十年たって国会で質疑をし、そして十七年たって、今日でもなおかつ、その具体的な対応がされていない。このこと自身が、私は、政治の怠慢だろうし、政府の怠慢ではないかと思います。

 国民の生命財産を守ることが政治の基本であります。しかし、現実にこのような事件が次々と起きていても、対話と圧力だと、言葉遊びにすぎないようなことが私たちの耳に伝わってくるわけでありますので、このことについて、公安庁の今日までの取り組みと考え方について御答弁を求めます。

村田国務大臣 警察当局が北朝鮮による拉致容疑事案の全容解明に消極的であった、こういうことではないと思いますが、今先生御指摘のように、昭和五十年代初めからの捜査の経過について、少しお時間をいただきまして述べさせていただきたいと思います。

 昭和五十二年九月に宇出津事件が起こりまして、その後、昭和五十三年七月に福井県で地村保志さんそれから浜本富貴恵さんが、そして新潟県で蓮池薫さん、奥土祐木子さんが、同年八月に鹿児島県で市川修一さん、増元るみ子さんが消息を絶つというアベック失踪事件が相次いで発生したわけでございまして、当時としては、警察として事件と事故の両面から捜査を尽くしていたものと考えておりますが、当時におきましては、北朝鮮によります拉致容疑事案と判断するには至らなかったということでございます。

 その後、昭和六十二年の十一月に発生いたしました大韓航空機爆破事件の実行犯でございます金賢姫が、北朝鮮において日本から拉致された李恩恵と称する日本人女性から教育を受けた、そういう供述をいたしましたものですから、警察庁においても担当者を韓国に派遣して、この金賢姫から直接事情聴取を行ったものでございます。

 こうした金賢姫に対します事情聴取を含めまして、一つ一つ証拠を積み重ねて情報を集める捜査を営々と積み重ねました結果、昭和六十三年に至りまして、李恩恵拉致容疑事案、福井、新潟、鹿児島の各県下で発生した一連のアベック拉致容疑事案について、それぞれ北朝鮮によります拉致の疑いのあるものとして判断いたしまして、当時の国会においてその旨の答弁をさせていただいた、こういうことでございます。

 その後警察は、平成十四年三月までに拉致容疑事案について八件十一名と判断し、これを明らかにしてきたところでございますが、平成十四年九月に開催された日朝首脳会談においては、金正日総書記が日本人拉致を認めるとともに、北朝鮮側から、警察が判断した八件十一名中の十名を含みます九件十三名の拉致被害者について安否が伝えられるに至ったものと承知しております。

 このような状況を勘案しまして、警察は、平成十四年十月、拉致容疑事案について十件十五名と判断するとともに、これら以外においても拉致の可能性を排除できない事案があることから、引き続き鋭意所要の捜査や調査を進めてきたところでございますが、このたび、田中実さんの事案について、新たに拉致容疑事案と判断するに至ったものでございます。

 こうした一連の捜査、調査の中で、私どもは、警察が北朝鮮による拉致容疑事案の全容解明に決して消極的ではなかったというふうに考えておりまして、先生の御指摘は当たらないと考えております。

田中(慶)委員 質問時間、限りある時間ですから、簡単にしてください。

 当たらないんじゃなく、現在、そうとられがちですよ。これだけ時間をかけているわけですよ。当たらないじゃないでしょう。特定失踪者がいまだに、恐らく四百名以上いるんじゃないかと言われている、こういうことも考えて、現実には、今の数字と全くかけ離れている数字でしょう。

 こういうことを含めながら、私は、少なくても政府の行っていること自身が、北朝鮮に対する日本の態度ということが明確にすぐ伝わっていくんですから、国の拉致に対する政策をもっと強くアピールすべきだと思います。

 特に、私は、拉致イコールテロである、このように認識しておるんです。このテロという言葉を全部調べてみました。政治的目的を達成するために、破壊活動など直接的な暴力、あるいはその脅威を、こういうことでありますから、私は、拉致そのものがテロである。あのアメリカの二〇〇一年九・一一初め、ロンドンのテロ、こういう形で大きくテロの問題は取り上げられますけれども、政府は、拉致イコールテロであるという私の見解に対する皆さんの認識、どう考えておられるのか、お伺いいたします。

杉浦内閣官房副長官 拉致事件は、申すまでもなく、国民の生命に深くかかわった問題であって、いわば北朝鮮が犯した国家的犯罪行為であり、国際法上も国際的不法行為に当たるものと考えられます。

 先生のおっしゃるようなテロというふうに考えても一向に差し支えない、こう思っております。

逢沢副大臣 拉致は明らかにテロ行為、拉致はテロであると申し上げてよろしいかと思います。

田中(慶)委員 テロという共通の認識に立ちますと、日本の今行っているこれらに対する対応は、ある意味では弱腰じゃないかと思うんです。

 立法府が経済制裁をいつでも行えるように、外為法の問題やら特定船舶乗り入れ禁止法の問題について、送金停止の問題やら経済封鎖という経済制裁を含めて、議員立法として明確にこれを発動するようにしているにもかかわらず、いまだその行為が行われていない。テロに対する認識が甘いから行われていないんじゃないかと私は思いますが、政府の見解を述べてください。

逢沢副大臣 立法府が立法府の立場で大きな判断に立って法律改正をなさいました。外為法が改正をされ、また特定船舶入港禁止法の成立を見たわけでありまして、いわば外交に当たるこの拉致問題の解決に向けて責任を負わなくてはならない政府に、新たなそのような手段といいますかツールを、議会が、国会が与えていただいた、そのことを私どもはしっかり受けとめているところでございます。

 対話と圧力、適切に圧力を北朝鮮にかけ、誠意ある対応を引き出していかなくてはならない。いつまでも誠実な対応がもたらされない場合には、厳しい措置をとるということは既に言明をいたしているところでございます。

 どのような手段が、そしてどのようなタイミングが最も事態を好転させるか、問題解決に向けて前進をさせることができるか、これは政府が判断をしなくてはならないわけでございますが、当然、その厳しい対応の中には、経済制裁、制裁というものが含まれるわけであります。具体的には、冒頭お触れをいただきました改正外為法、あるいは特定船舶入港禁止法の活用ということも当然視野に入れなくてはならない、そのように承知をいたしております。

 ありがとうございました。

田中(慶)委員 この経済制裁を行うための外為法や特定船舶入港禁止法はいつできたんですか。

 いいですか、立法府で決めて、それを行政府が行う、その日、言葉では、厳しくとか、対話と圧力とかの表現を言っておりますけれども、現実に、そのこと自身を決めたことについて、日にちもわからない。とんでもないことだと思いますよ。

 政府と与党というのは、今、一体じゃないですか。まして、極端なことを言って、これは与野党含めてほぼ全会一致に近いような形で決めた議員立法であります。このことについて、今のような政府の弱腰が先般の拉致被害者の皆さん方の国会の座り込みになったんでしょう。先ほどの副大臣初め副長官のその言葉では、家族の皆さんも納得しないし、その考え方がすぐ北朝鮮に伝わって、日本の拉致問題に対する考え方はこの程度か、こんなことになってしまいますよ。しっかりとした答弁をしてください。

杉浦内閣官房副長官 国会によって外交上のツールを政府にちょうだいしたということは、すばらしいことだと思いますし、ありがたく思っております。

 ただ、北朝鮮、ああいう国でございますから、経済制裁だけが圧力ではないと私は思います。現実に、私の知っている限り、総理、外務大臣はあらゆる会合、会談の場で国際社会に拉致問題を提起いたしておりまして、私が同席した昨年のシーアイランド・サミット、ことしのグレンイーグルズ・サミットでも、総理が提起いたしまして、議長総括でこのように表現されております。

 グレンイーグルズ・サミットにおいては、「北朝鮮に関し、我々は、六者会合を支持し、北朝鮮に対し、迅速に同会合に復帰することを強く求めた。我々は、北朝鮮に対し、その核兵器関連計画を廃棄することを求める。北朝鮮は、人権並びに拉致問題への国際社会の懸念に対する行動を長期にわたりとってきていない。」と議長総括に明記されております。シーアイランド・サミットでも同様の議長総括が出ております。

 また、昨年は、APECの首脳会議、バイを十ぐらいやりましたが、盧武鉉大統領とのバイ会談、つい先日はロシアに行きまして日ロ首脳会談がございました。それから、アジア・アフリカ首脳会議でも、十二ぐらいの首相と会談しましたが、すべての首相との会談で総理は提起をして、相手の理解を得ております。

 国連人権委員会では、過去三回にわたって北朝鮮に関する決議が行われ、年々厳しい内容の決議がなされておることは御案内のとおりです。そういった国際的な注意を喚起して圧力を加えていくというのも一つの圧力だというふうに理解いたしております。

 ただし、先生のおっしゃるとおり、弱腰であるという批判をいただいておることは謙虚に受けとめさせていただきます。

田中(慶)委員 なぜ、それだったら、家族の皆さん方があれだけ、三日間もあの炎天下で座り込みをするんですか。あなたたちの言っていることとやっていることが現実問題として伝わってこないからでしょう。

 横田めぐみさんの遺骨の問題にしても、別人のものだったんじゃないですか。こういうことを含めながら、あなたは今ここで拉致イコールテロであるということを言ったんでしょう、認めたんでしょう。

 テロであるならば、はっきりと、世界じゅうの多くの皆さんから、日本の拉致問題イコールテロ、テロは絶対許さぬ、こういう立場でもっと国際的に働きかけをしてもいいんだろうし、今度の六カ国協議を見てください。核開発の問題はやるけれども、拉致問題は二カ国で、それじゃテロじゃないです。テロだったらば、当然のごとく核開発と同様なレベルで並列して行うのが当たり前でしょう。

 しかし、日本のメッセージがそのように伝わってこないから、現実問題として、あのライス長官にどのような形で外務省が日本の立場、拉致家族の立場、国会や国民の立場というものを伝えられたのか、さっぱり見えてこない。

 ですから、今回のような六カ国協議においても、現実問題として、この米中韓などの当事者間の外交努力の中に、残念ながら拉致問題というものが、我が国の主張されている問題等が聞かれてこない、こういうことである。だから、私は一日も早く国会で決めたこの経済制裁を行うべきだということを申し上げている。

 しかし、杉浦さんの言っていることはさっぱりわからぬよ。いろいろな様子を見てとか北朝鮮はあんな国だからとか、他人事じゃないんですよ。一億二千三百万の国民はこのことを注視しているんですよ。そして、日本は、今の政治は本当に国民の立場に立った政治を行っているのか、生命財産を守っているのか。これでは、とんでもない。

 もう少しはっきりしたこの経済制裁に対する政府の考え方を再度求めます。

逢沢副大臣 ライス長官についての言及をなさいましたので、若干そのことにも付言をさせていただきたい思うわけでございます。

 先週十二日、東京におきまして、ライス・町村日米外相会談が行われまして、いわゆる六カ国協議、一年一カ月ぶりに開かれる協議を目前にして、大変重要なタイミングでございますので、当然のことでございますが、町村大臣からライス国務長官に対しまして、拉致問題についての現状を改めて説明いたしたところであります。

 ライス長官からは、アメリカとしては引き続き拉致問題の早期解決のために日本の努力について日本を強力に支援する、支持する、そういった旨の表明がございました。

 御承知のように、過去三回の六カ国協議におきまして、米国も拉致問題解決の重要性については言及をしているわけでありまして、今回、四回目の協議に際しまして、日米の連携、そしてまた日米韓の協力体制、核の問題の解決に対してもそうでございますが、日本の立場、日本の拉致問題の重要性、十二分に、アメリカ、韓国、そして中国も基本の部分ではこのことを理解をいただいているわけでありまして、しっかりとした連携の中で意味のある六カ国協議にしていかなくてはならない、そのように考えております。

 また、経済制裁につきましては、先ほどにも答弁をさせていただきました、改正外為法そして特定船舶入港禁止法、外為法は去年の二月、そして船舶入港禁止法は昨年の六月に、ほぼ超党派、全会一致の形で成立を見ているわけでございます。政府といたしましては、議会からこのようなツール、いわゆる圧力をかける手段を具体的な形でちょうだいしたということは、当然のことながら重く受けとめているわけでございます。

 繰り返しになりまして大変恐縮でございますけれども、いつ、どのようなタイミングで、そしてどのような手段を講ずることが、最も拉致問題を動かしていく、北朝鮮の誠意ある対応を引き出していくか、このことについては不断に検討を加えているところであります。

 もちろん、先般の家族会の方々のいてもいられぬ思いからによる座り込み、そういった心を重く受けとめなくてはならない、当然のことでございますが、政府として責任ある対応を今後もしていかなくてはならない、そのことをぜひ御理解いただきたいと存じます。

田中(慶)委員 大変恐縮ですが、私は今の答弁では理解はできません。

 去年の二月、国会決議、六月、法の改正をし、参議院、衆議院合わせて国会決議をされているんです。その真意が伝わってこない。一年も一年半もたって、いまだに同じことを繰り返している。言葉遊びにすぎないじゃないですか。

 あなたの親族なりあなたの子供さんだったらどう考えますか。私はそのぐらいこの拉致問題というものが、私たちは日本人として、そして家族の皆さんを含めながら、そしてそれが政治的に、その時期が来たらば迅速にかつ重大な決意。重大な決意、どうなんですか。おかしいと思いませんか。

 私は、少なくても、今度の六カ国協議の中でも、韓国が電力の供給の問題を考えられておる。二百万キロワットアワー、こういうことです。しかし、あの送電も発電も、恐らく経済的にその電力を起こすためにお金がかかる。そして、六カ国協議の中で日本にまた分担金を要求されたらどうするんですか。金だけ要求されて、答えも何もしないで、経済封鎖どころか、六カ国協議だからといってこれをお受けするんですか。

 仮定のことでしょうけれども、もし要求されたらどう考えますか。副大臣、答弁ください。

逢沢副大臣 韓国政府はエネルギー支援等の経済支援を北朝鮮に行うことを表明いたしました。しかし、それは、核問題の解決が実現をする、現実のものとなる、そのことが当然条件である、全体として、そういう趣旨の考え方を明らかにされたわけでございます。

 今回の、来週の六カ国協議でその韓国の重い提案がどのように北朝鮮との間で議論をされるのか、大変注目をしなくてはならないわけでございますが、現在の段階では、韓国政府は、本件計画にかかる費用を独自に負担をする、韓国が独自に負担をする、そういった立場に立っているわけでありまして、我が国の参加は想定されていない、そのように承知をいたしているところであります。

田中(慶)委員 私が言ったのは、要請されたらどうするんですかと、仮定のことを申し上げたんですよ。

 いいですか、杉浦さん。要請されたらどう答えますか。これだけ、経済封鎖もしない、そして、官房長官も含め政府が、経済制裁、しかるべき時期とか、いろいろなことを言葉遊びしているんですから、このぐらい明確に答えてくださいよ。

杉浦内閣官房副長官 いわゆる韓国の重大提案については、外務副大臣から申し上げたとおりでございます。要請は受けておりません。

 仮定の問題にはお答えいたしかねますが、もし仮にあったとすれば、その時点で検討するということに相なると思います。

田中(慶)委員 少なくても、検討するとかそういうことじゃないでしょう。一方においては、拉致イコールテロだということを認めて、そしてなおかつ、テロは、少なくてもテロ国家という問題を含めながらしっかり対応しなきゃいけない。こういうところに、経済制裁を含めて、国会決議や国民の総意を含めて、何とかしろと言っている。仮定の言葉であっても、もし求められたらそれはその時点で検討するというのはとんでもないことでしょう。そのぐらい、本当に拉致の解決を、答えが出ない限りしないと明確に言えませんか。

杉浦内閣官房副長官 仮定の問題でありますが、要請が仮になされるとすれば、この重大な提案の前提となっている核の廃棄に向けての北朝鮮側の態度が明確になったときだと思います。その際に、核以外の拉致等の問題について北朝鮮はどういう態度をとるのか、全体がその時点でどの程度明らかになるか、そういう全体状況を踏まえて検討することに相なります。

田中(慶)委員 このことは、少なくても日本の政府の態度は、北朝鮮にこの委員会のことはすぐ伝わるんですよ。とんでもないことですよ。仮定の質問であっても、拉致問題解決しない限り、日本はそういう支援要請にはこたえられないと明確になぜ言えないんですか。ちゃんと明確にしてください。

杉浦内閣官房副長官 先ほど来申し上げておりますとおり、現時点では韓国政府は独自に、条件つきではありますが、支援ということを言っておりまして、詳細は明らかになっておりません。拉致問題も、六カ国協議で提起いたしますが、どういう展開になるか明確になっておりません。

 昨年暮れの拉致幹事会で対応策を協議した際に、あのような北朝鮮の態度を前提といたしまして、食糧支援の残り半分はとめるという決定をいたしました。

 六カ国協議、これから始まるわけでありますし、どういうふうにその中身が進展していくか、実質的進展があるかどうか、不明な段階で、先ほど申し上げました趣旨は、仮定の問題として、お答えすることを差し控えさせていただきたいという趣旨でございます。

田中(慶)委員 もう時間がありませんけれども、これは他人事じゃないんですよ。少なくても、私たちは、国会で決議をし、法律を変え、拉致家族の皆さんも含めて、そのことも含めて日本の態度というのを明確に主張しているわけでありますから、六カ国協議の結果とか、そんな中途半端なことじゃない。日本の態度が明確に向こうに、先方に伝わる、少なくとも、会議に出席するに当たって、日本は、この拉致問題や核問題に対する日本のスタンスというものを明確にして出席するべきだと思いますよ。

 時間が参りましたから、この続きの質問は同僚からまたお願い申し上げて私の質問は終わります。

赤城委員長 次に、笠浩史君。

笠委員 民主党の笠浩史でございます。

 ただいま田中委員の方からも質問がありましたけれども、まず冒頭に、この六カ国協議に臨むに当たっての政府の姿勢というものを引き続きたださせていただきたいと思います。

 その前に、杉浦副長官は、きょうまさに官房長官あるいは総理にかわって官邸の代表としてこの当委員会に来られている、出席をされているということを、その立場での発言というものをひとつお願いいたしたいと思います。

 今田中委員からもありましたように、私は、この六カ国協議の中で、当然ながらこの韓国側の提案というものは、核が廃棄をされる、それが大前提になっていることはよくわかっております。しかし、その折に、日本としては拉致問題の解決もあわせてなければいかなる支援もできないということは、これは政府の姿勢として変わらないということでよろしいんでしょうか。はっきりとお答えください。

杉浦内閣官房副長官 先生の御質問に事実だけお答え申し上げますが、昨年暮れの拉致幹事会におきまして、北朝鮮のあのような理不尽な態度を前提といたしまして、残りの食糧支援、半分ありましたが行わないということを決定いたしました。

 今度の六カ国協議でどういう実質的進展があるか、核問題について、その他の問題について、拉致についてもどういう進展があるか、注意深く見守らなければならないわけでありますが、正直に申して、先ほどの韓国の重大提案については、現時点では韓国は自分でやる、条件つきで、前提としてやるということでございますし、官邸の中で、総理初め我々、検討はいたしてはおりません。要請があった場合どうかという検討もいたしてはおりません。

 韓国の重大提案がもし動くとすれば、朝鮮半島の中で核開発の進展がとまり、廃絶に向かって実質的な動きがあるということになって初めてそういう電力支援の問題が出てくると思われますが、そのときの状況、その時点で拉致の問題についてどういう進展があるのか、その他の問題にどういう進展があるのか、慎重に見きわめた上で検討することに相なると思います。

笠委員 進展を見きわめるではないんですよね。これはもう明らかに、拉致の問題解決なくして正常化はありませんよね。

 そして同時に、経済支援。経済制裁はあっても、経済支援というものは、これは韓国であれ、仮にアメリカに要請をされたとすれ、我が国は北朝鮮のこの拉致問題の解決というものがない場合には、いずれにせよ支援というものはできないという方針はきちんと政府としてはあるわけですよね。その点をまずお答えください。

杉浦内閣官房副長官 先ほど逢沢副大臣の方から申し上げたとおり、拉致問題の解決なくして日朝国交正常化はない、核その他の問題、包括的な解決なくして国交の正常化はないという点ははっきりいたしております。

 ただ、人道支援とか、朝鮮半島全体の非核化、六カ国協議の中心的課題、拉致を含めての進展いかん、どういう方向に向かってどういうふうに進展していくかというのは、まさに今度の六カ国協議で次第に明らかになってくると思います。北朝鮮の出方次第でございます。

 その点について、まだどういうふうになるか、正直に、見通しが得られておりません。そういう段階ですので、先生御指摘の人道支援を含む支援を一切やらないのかどうかという点については、お答えを差し控えさせていただいた方がいいと思います。

笠委員 これは、何で答えを差し控えるのか、私はよくわかりませんし、進展いかんではないですよね、解決ということをおっしゃっているはずですよ。

 では副長官、政府にとっての拉致問題の解決というものは具体的にはどういう形になったときがこの拉致問題の解決ということになるわけでしょうか。簡単に説明してください。

杉浦内閣官房副長官 それは一言で申し上げれば、日本国民が納得できる実情が明らかになり、帰還すべき方が帰ってくる、そういう事態であると思います。

笠委員 帰還すべき方というのはどういう方なんですか。

杉浦内閣官房副長官 拉致された疑いが濃厚である方が何人かいることは警察当局も認知して捜査中であります。その中に生きておられる方もいらっしゃる可能性があります。そういう方々すべてであります。

 北朝鮮との間には国交がありませんし、国交がないのが根本で、例えば犯人引き渡し条約もない、捜査共助の条約もありません。ですから、警察当局も全力を挙げて捜査に当たっておりますが、現時点においては証拠が十分でなくて何人の方が認定できるか確定できないというのが実情でございます。

 そういったもろもろのことがすべて国交回復交渉の中で、例えば日本の警察がもっと調べて向こうが協力をして、我々が納得できる形で拉致被害の全容が明らかになり、それが適正に解決されるということがやはり私どもの納得のできる解決ということではないでしょうか。

笠委員 全くわからないですね。

 副長官は専門幹事会を主宰されている責任者の立場でしょう。先般、参議院の内閣委員会で、では拉致問題に取り組む政府の組織というのは、責任はどこだと。この専門幹事会というふうに官房長官はおっしゃっていたんですよ。あなたはその責任者なんですよ。今の答弁を聞いていると警察がどうかとか。

 私は、まさに拉致問題を官邸として、政府として、最前線でその責任者としてまさに預かる立場として、はっきりと国民の皆さんあるいは被害者の家族の皆さんに向かって、拉致問題の解決がなければいかなる援助もできないんだと、北朝鮮に対して日本としては。国際社会がどういうことをやったっていいですよ。しかし、これは日朝間のまさに主権にかかわる問題ではないですか。それに対する意思をしっかりとここで示してください。

杉浦内閣官房副長官 拉致問題の解決がなければ日朝国交正常化はあり得ないとはっきりいたしております。正常化の中には日朝平壌宣言においてしかるべき経済協力を行うという項目もあるわけでありますが、拉致問題解決がない以上国交回復はないし、国交回復がない以上したがって経済協力も、あそこの日朝平壌宣言に書かれている協力もあり得ないということは当然だと思います。

笠委員 もう一度確認させていただきます。

 どういう形であれ、今おっしゃったように、国交正常化がない限りは経済援助はないわけですね。それで、拉致事件が解決をしない限りはこの国交の正常化はないということで、今の時点で経済援助はないんだ。拉致問題の解決がなければ経済援助というものはどういう形であれないんだということを、イエスかノーか、それだけで答えてください。

杉浦内閣官房副長官 先生のおっしゃることとそんなに違いはないと思うんですが、日朝平壌宣言に明記されている経済協力、これは国交回復がなければないことは当然でございまして、拉致問題の解決がなければ日朝平壌宣言にある経済協力はないということは明確でございます。

 ただ、先ほど電力の供給についての韓国の重大提案に絡んでのお話でございましたので、それが一体日朝平壌宣言の経済協力、全体の中でどういう位置づけになるのかは現時点では仮定の問題で言えないわけでありまして、その重大提案なるものが実質を伴うものであって、前提を満たしたものである場合の、支援要請があるかどうかわかりませんが、もしあったとすれば、それはその時点で政府として検討する、仮定の問題として今どうこうは申し上げられない、こう申した次第であります。

笠委員 今の時点で検討するということを言ってはいけないんですよ。少なくとも今検討する段階に来ていないんですよ。当然ながら、六カ国協議の中で北朝鮮がすべての拉致事件というものを認めて、特定失踪者も含めて、今拉致されている人たちをすべて我が国に帰してくる、そういうことが現実に起これば、それは状況が変わってくるでしょう。

 けれども、そういう事態にならない限りは、韓国がいかなる提案をしたとしても、それは韓国独自の提案ですから、それに対しては日本として、韓国がやることに対してそれはいいよと言ったとしても、仮にお金を日本としても出してくれという協力要請があったときには、やはり毅然として、拉致の問題が解決しない限りは我々はそうした支援はできないということをおっしゃるのが外交ではないでしょうか。私はその覚悟を聞いているんです。

杉浦内閣官房副長官 先ほど私が申し上げたことの言い方を変えれば、先生のおっしゃるとおり、現時点では検討する段階ではないということでございます。

笠委員 この委員会は恐らく来週もまた開かれることでしょうし、この結果を受けてあれでしょうから、また官房長官なり総理にも、六カ国協議の行方を見ながら当委員会でしっかりとこの問題は議論していかなければならないと思っております。

 それで、ちょっと外務省の方に、逢沢副大臣の方に確認をしたいんですけれども、日米韓の事前協議が先般行われましたね。この中で、今の韓国側の重大な提案について、実は日本に協力の要請があったりということは一切ないんでしょうか。その点をちょっと確認させていただければと思います。

逢沢副大臣 日米韓、十四日にソウルで行ったわけでありますが、そのとき韓国から重大な提案についての説明はございましたが、日本に対してこうこうこういう協力をしてもらいたいといったような趣旨の話は一切ございませんでした。

笠委員 では、あくまで独自で供給をしていくということでよろしいですね、韓国サイドは。

逢沢副大臣 日本政府としては、そのように理解をいたしております。

笠委員 それでは引き続き外務副大臣にお尋ねします。

 先ほど来、六カ国協議の中でしっかりと拉致の問題も取り上げていくんだということをおっしゃっていましたが、この六カ国協議の間に当然ながら日朝二国間での協議というものが行われる可能性があると受けとめておりますけれども、その辺の見通しについてはいかがでしょうか。

逢沢副大臣 六カ国協議の期間に日朝バイの会談が行えるかどうか、現時点ではまだ決まっていません。決まっていませんが、我が国といたしましては、当然のことながら、せっかくの機会でございますので、ぜひこの際日朝の接触を持ちたい、日朝二国間の会談をぜひ行いたい、そして拉致の問題を積極的に取り上げたい、また日朝間にまたがる諸懸案について胸襟を開いて話し合いたい、そういう立場にございます。

 我が国政府として、北朝鮮に対してぜひバイの会談をやろう、ぜひ積極的に持ちかけたいというふうに考えております。

笠委員 その二国間のバイの会談が実現した場合に、今積極的にこの拉致の問題を取り上げると。その中で私は一つ確認をしたいんですけれども、これは七カ月ぶりですか、じかに会って、昨年十一月の実務者協議以来ですか、実際に顔を合わせて、もし実現したとしたら。

 そのときには、横田めぐみさんの遺骨として提出してきたものが実はでたらめなにせものであった。この問題について、全く謝罪どころか捏造だということで、もう北朝鮮側はとんでもない対応をしているわけですね。こうしたことに対しても、直接しっかりと抗議をし、そして謝罪をさせ、真実を明らかにさせるというような意思でやはり臨んでいかれることになるんでしょうか。

逢沢副大臣 まだバイの会談を持つことができるかどうか決まっておりませんので、まず日朝が接触をする、そのことをまず取りつけると申しますか、約束をするということがまず大前提になるわけであります。立ち話のようなことでは十二分な会談というわけにもいきません。きちんとお互いが向き合い、ある程度の時間を確保する、そのことができるかどうか、まずそのことに全力を投球したいというふうに考えております。

 そのことで、仮定の話をるる申し上げるのもいかがかと思いますが、仮にそういった日本側が望むような条件、環境、時間というものが確保できれば、当然、今先生が御指摘のようなことについては適切に、冷静に指摘をしておかなくてはならないというふうに思います。

 かねて、この問題は、いわゆる備忘録への反論文書の中でも、北朝鮮側が希望するのであれば、この反論については、技術的なことも含めて実務者レベルで直接丁寧に解説をする、説明をします。そのことについては、日本側のそういう意思、意図については外交ルートを通じて北京に伝えているわけでありまして、なぜ我々が横田めぐみさんのものとして預かってきたあの骨がそうではなかったかについて、科学的な論拠を持ってきちんと説明をする、そういう用意があるわけでありまして、ぜひそういったことが実現するような状況を確保するべく努力をしてまいりたいと存じます。

笠委員 その点は、私は、もう本当に、会ってもまあまあじゃ済まない段階ですよね。ましてや、本当に対応が不誠実きわまりない、そういう国ですから、ここはやはり毅然とした姿勢というものを示していただかなければ、まず進展どころか、もう本当にこの状況、拉致の問題というものだけがこの協議の場でも置き去りにされていってしまう。

 私は、やはり経済制裁を本来行っていれば、六カ国協議を開催するに当たっても、日本はそこまで真剣に毅然として拉致問題というものに対する並々ならぬ解決へ向けた決意があるんだ、譲らないんだという姿勢を国際社会に示し切れていなかったことが、拉致問題というものがいま一つ他国に関しては温度差があるというようなところ。私は、そういう意味では、経済制裁というものは遅過ぎるのではないかというような気がしております。

 それで、この六カ国協議が、先ほど来いつも同じような答弁をいただくわけですけれども、タイミングを見て、いつ、どのようなタイミングが、そしてどのような手段が最もいいのかを適切に判断するということですけれども、この六カ国協議で拉致問題というものが進展をしなかったときには、私は、これは一つのタイミングであると思います。もう最後かもしれない、それくらいのつもりで経済制裁を、六カ国協議でもし拉致問題がうまくいかなかったときにはいよいよ発動するぞというようなお考えがあるのか、その点を杉浦副長官にお伺いいたしたいと思います。

杉浦内閣官房副長官 先ほども御答弁申し上げましたように、今回の六カ国協議で北朝鮮が核問題と拉致問題を含めましてどういう対応をとるのか、そこを見きわめた上で対応を検討したいと思います。

笠委員 ちょっとやはり、杉浦副長官、連絡専門会議の方の専門幹事会の主宰者としては、まさにその責任者としては、先ほど来聞いておってちょっと心もとないんですよね。これは、私がということじゃないんですよ。国民であり、まさに拉致被害者の家族の皆さん、やはり今政府が、本当にこの六カ国協議の中で、核ももちろん大事、ミサイルの問題も大事、しかし我々の拉致問題、拉致事件というものをしっかりと取り上げて、そしてそのことの解決へ向けて一歩踏み出していけるのかどうか、そういう思いで私は多くの国民が見詰めているのではないかと思っているんです。

 杉浦副長官に私がお伺いしたいのは、以前、この委員会で、いろいろ特定失踪者を含めて、政府が認定をするには情報不足だというようなことをおっしゃっていました。その後お一人の方が認定されたものの、これは本当に二年半でわずか一人ですよね。

 私は、あの二月の委員会で、しっかりと対策本部を立ち上げて、まさに官邸を挙げて、政府を挙げてこの問題に取り組んでいく体制をしくべきだという御指摘をさせていただいたんですが、その後、そういう問題についての検討というものはされているでしょうか。

杉浦内閣官房副長官 先ほど村田国家公安委員長が御答弁申し上げましたとおり、警察は、昨年の秋でしたか、全国課長会議を開いて、捜査を一層強力に行うように指示を出して取り組んでおります。

 その結果もあって、この四月に田中実さんを拉致被害者に認定することができたわけですが、まだほかにも可能性の強い方がいらっしゃるわけです。ただ、いかんせん情報といいますか証拠が足りない。田中さんの場合には証人が何人か出てきまして認定できたわけですが、ほかの方についてはそういう人証も物証も極めて乏しい、古い事件でありますし。ということで捜査は難航しているというのが事実でございます。

 先ほど申し上げましたように、北朝鮮とは国交がない、犯人引き渡し条約もない、捜査共助の条約もありません。こちらから出かけていって捜査するわけにはまいらないわけでありますので、向こうの協力が得られない状態で、情報不足と申しますか、壁に突き当たりながら捜査当局はよく努力しているというふうに思っております。

 政府としての推進体制ですが、野党のみならず与党の中からも不十分ではないかという御指摘をいただいておりますが、現在、北朝鮮国交回復閣僚会議のもとにある専門幹事会で各省庁が行っておる取り組みを調整しながら、政府全体として当たっていくという形でやっております。現状で私は十分対応できていると思っております。

 また、この四月に家族支援室を改組いたしまして、拉致問題に関する各省庁の連絡調整の仕事も副長官補のもとでやれるというふうに変えました。そういうこともあって、現時点では十分な対応ができているというふうに考えておるところでございます。

笠委員 私は、もう全く全然十分な体制ではないと考えているんです。

 ちょっと警察庁の方にお伺いしたいんですけれども、政府としては絶対の確信がなければ認定はしないということなんでしょうけれども、確信は持てないまでも可能性があると考えている実際の件数はどれくらいに上るのか、またその中で警察として実際に捜査をしているものがどれくらいの件数あるのかをお願いいたします。

瀬川政府参考人 お答えいたします。

 私ども、今、実際に北朝鮮による拉致ではないかということで告訴、告発を受理しております件数が三十一件三十三名ということでございます。これにつきまして、当然でございますが全国の都道府県警察において捜査を行っているわけでございます。ほかにも、いわゆる特定失踪者として民間の方から提供を受けた四百名以上のリストというものもございます。

 そして、全国の都道府県警察に、北朝鮮による拉致ではないかという方もおられますし、そうではない方もおられますけれども、届け出、相談等もございます。そういったものについて、いろいろ濃淡はございますけれども、捜査、調査を鋭意行っているところでございます。

 今、何件に上るかという具体的な捜査、調査の件数についてお答えを申し上げることは、ある意味ちょっと予断を抱かせることにもなりかねないということ、ひいては個人のプライバシー等にもかかわる問題にもつながってくるということで、件数、数についてはお答えを差し控えさせていただきたいと思います。

笠委員 一つ確認なんですけれども、その特定失踪者のリスト、四百名の方すべて捜査をしているわけではないですね。いかがですか。要するに、すべてそういう土俵に上げてきちんと捜査をしているのかどうか。

瀬川政府参考人 事案の内容というものはそれぞれ個別に全部違いますので、そういった事案の内容に応じまして所要の調査なり捜査なりを行っているということで御理解をいただきたいと思います。

笠委員 ちょっと時間がなくなってまいりましたので、もう一点。

 先般、先ほど来話があるように、三日間の大変暑い中での座り込みという行動を起こされたように、本来そういう方々が座り込まなくてもいいような状況をつくり出していくのが政府であり我々政治家の役割であろうと思っております。

 そういう中で、古川了子さんの拉致認定を求める訴訟というものを今起こされていると思います。本来、国を相手取ってこういう訴訟はだれも起こしたくないですね。けれども、やはりやむにやまれぬ気持ちから、何とかこの問題、自分たちの、これは妹さんがやられていますけれども、お姉さんがあるいは娘さんがという立場で、家族の方がこの問題で国を相手に訴訟を起こされている。

 ただ、聞きますと、どうも政府としては一貫して事実認否に入ることを避けて、訴えの利益がないとか原告適格を欠くとか、さまざまな理由で門前払い的な対応をしつつあるというような認識を私はしているんですけれども、この事実関係の審理というものには今後しっかりと入っていくということでよろしいのか。また、こうした訴えを起こしている、訴訟を起こしていることについての認識というものをどう受けとめておられるのかということをお答えいただきたいと思います。

小熊政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の関係につきましては、今後進行する訴訟の内容にかかわることでございますので、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。

笠委員 時間が来たので、では副長官、最後に。

 こういう、国が相手取られて、国に対して何とか認定してくれという訴訟を起こされているということについて、政治家として、副長官として、責任者として、どのようにお感じになるか、最後に聞かせていただきたいと思います。

杉浦内閣官房副長官 古川さんは救う会の方で認定された方ですよね。それなりの根拠があってそうされているんだと思いますが、訴訟を起こされるというお気持ちは理解できますけれども、我々としては、警察当局を督励して、一刻も早く事実を、真実を解明して、認定できるものは認定するという方向に努力していきたいと思っております。

笠委員 どうもありがとうございました。

赤城委員長 次に、中川正春君。

中川(正)委員 民主党の中川正春です。

 質問に入る前に私からも一言申し上げたいんですが、やはり大臣がこういうタイミングで、しかもこうした懸案を持っている中で出席しなかったということについては、これは委員長、しっかり問題意識を持っていただきたいというふうに思うんですよ。

 それがためにわざわざこの委員会を分けて特別委員会とした。それは、日本の安全保障にとって北朝鮮の問題というのは、拉致はもちろんのことですが、核の問題も含めて、将来一つの分岐点になっていく課題なんですよね。それがずっと長い間開かれずに、しかも開いたら大臣が出席していない。しかも、六者協議を目前に控えているというこのタイミングでこうした設定をしたというのは見識がなさ過ぎますよ。そういうことをひとつ強く指摘しておきたいと思います。これからの運営にぜひきょうの教訓を生かしていただきたいというふうに思うんです。そのことを申し上げておきたいと思います。もしコメントがあれば。

赤城委員長 先ほど田中委員からも御指摘がございましたけれども、本委員会の運営につきましては、理事会等におきまして各党よく協議の上、進めてまいりたいと思っております。

中川(正)委員 最初に、拉致問題に関連をして、日本人妻の問題についてお尋ねをしていきたいというふうに思います。

 平島筆子さんですが、これは平沢勝栄議員の御尽力もあって、一たん日本にこの人は帰ってきて、それからまた戻ってしまった。戻っていく過程で、北京で記者会見をした。その記者会見を受けて、北朝鮮政府は、これはもともと、脱北者もそうですが、こうした日本人妻が日本に帰ってくる過程で、日本が、日本自身が拉致をしたんだ、こういうとんでもない理屈を言って議論をひっくり返そうとしている、そんなことがありましたよね。これについて日本政府はどういう見解を持っていますか。

逢沢副大臣 事実関係については、今中川先生御指摘のとおりでございます。

 私どもも、報道を通じまして、平島さん御自身が北朝鮮の北京の大使館におきまして発言をされたその映像といいますか、画像等々にも接したわけでございます。平島さん御自身が北朝鮮に戻った経緯またその背景については、御自身が対外的に述べられた以上のことを政府として承知をしているわけではございません。

 しかし、我が国に入国をされた脱北者の方々については、もちろんのことでありますけれども、政府として、関係する省庁で連携を図りながら、住居を確保したり、あるいは厳しい時期を過ごされた、そのために、必要な語学の研修や、あるいは就労のあっせん、さまざまな困難がありますけれども、政府として適切に支援をし、定着を支援していく必要がある、そのように認識をいたしております。当然のことであります。

 今回、なぜ平島さんが御自身の判断で北京に渡られ、中国に渡られ、そして北朝鮮にいわば再入国をされたか、その背景について、さまざま情報を集めながら分析をしていく必要があろうかというふうに重く受けとめているところであります。

中川(正)委員 これまでどういう調査をしましたか、具体的に。

逢沢副大臣 関係省庁の間で、この事実関係に関して今情報を共有いたしているところであります。支援をしてこられたNGO関係の方々、また平島さんと接触をしてまいりました政府関係者等々、積極的にこの背景について理解をすべく情報を集めなくてはならない、そのように考えております。

中川(正)委員 具体的には何にもやっていないということですよ。

 というのは、先般、この日本人妻の皆さんが私たちの党の聞き取りに集まっていただいた。あるいは、脱北者の支援をしている人たち、と同時に脱北してきた人たち、大体百人ぐらい日本に帰ってきているわけでありますが、そういう人たちから聞き取りをいたしましたが、外務省もあるいは警察当局としても、この平島さんの事件があってから、これを問題視しながら、全体的に何が起こっているのかという観点でこれを調査した形跡がない、これを改めて指摘しておきたいと思うんです。

 その上で彼らが言うのは、今どうも組織的に電話攻勢があるんですね。本当に支援者の中で心配しているのは、このままだと第二、第三の平島さんが出てくる可能性があるんだということなんですよ。このことについては認識していますか。

逢沢副大臣 今中川先生御指摘の、いわゆる可能性といいますか、あるいは危険性といいますか、そのことは政府として認識をする必要があろうかというふうに思います。脱北をされて日本に戻られた方々について、必要に応じて直接連絡をとる必要性があります。それを強化する必要があろうかと思いますし、また支援をしていただいているNGO等々の関係者を通じて状況をさらに確認する、そういった必要性も認識をいたしているわけでございます。

 ただ、いわゆる御本人のプライバシーの問題もございます。そういった観点を適切に判断しながら政府として対応をしてまいりたい、そのように存じております。

中川(正)委員 彼らは北朝鮮の中に息子なりあるいは孫なりという形でたくさんの身内を残し、かつ、いろいろなリスクを負いながらこの国で生活をしているんですね。

 先ほど電話攻勢があるという話をしましたが、金を送れ、送らないと私たち身内が非常に危険な状況になっていく。それは具体的には、まとめてどこかの収容所なりあるいは施設に監禁をされて、向こうの官憲が横に座ったままその席で電話をかけさせられて、彼らに現状を訴えていくということ、こういうことがどうも行われているということが、脱北者なり日本人妻の、我々が直接聞いた証言の中にあるんですね。

 これは、いわば北朝鮮の当局としてあるいは政府として、戦略的にこうした形で日本に拉致問題ということを前提にした攻勢をかけてきていると言わざるを得ないというふうに思うんですよ。それに対して余りにも無防備で、余りにも役所の中だけで情報が回転しているだけで、現実がわかっていないという事実があるように私は思います。

 さっきの、必要があるという話だけではなくて、具体的にどうするのか。警察も含めて、ここではっきりとした方向性を出してください。

逢沢副大臣 どのように脱北をされ、さまざまな困難を乗り越えて日本に戻られ、定住、再起を図っておられるか、そういう方々を適切に支援していく、大変重要な問題であると重く認識をいたしております。基本的には本人のプライバシーにかかわることにもなるわけでございますけれども、そのあたりをどのように対応していくか、本格的にしっかりとした検討を加えていかなくてはいけないと考えております。

 あえて申し上げれば、一つの反省があるとすれば、基本的には、脱北をされて懸命に定住をしておられる方々、我が国に居住をする一般国民あるいは外国人の方々と同様に、政府としてあえてその情報を積極的に管理するといったようなことは、率直に申し上げて今までしていなかったわけであります。

 しかし、プライバシーの問題があるからといって、一般国民あるいは一般の日本に居住をされる外国人と同じ扱いでいいかどうかということになりますと、あえて政治家の立場で申し上げれば、さまざまな政治的な背景あるいはまた状況を考えるときに、これはやはりこのまま放置をしておくわけにはいかないという判断に立たざるを得ない、私どもとしてはそのように認識をいたしております。

 繰り返しになりますが、プライバシー、あえて申し上げれば憲法との問題にも兼ね合いが出てくることもあろうかもしれませんが、そういったことを、全体を考えながら適切にこの対応というものはやはり積極的にやっていかなくてはならない、そのような認識に立たせていただいております。

中川(正)委員 警察を呼んだつもりでいたんですが、来ていないですね。

 これは、警察の方とも連携をとって、その体制をつくってください。そのことの確認がさっきできたんだという理解でいいですね。

逢沢副大臣 政府として最善の対応をいたしたいと存じます。

中川(正)委員 その上で、もう一つ情報収集の話なんですが、私たちは五月の連休を使って韓国へ行ってきました。

 今回、この委員会でも安明進さんを参考人として呼んでいただくようでありますが、彼は恐らく大きな、いわゆる参考人、証人としての情報を持っているというふうに私も思いますので賛成なんですけれども、彼以外にも、たくさんの貴重な情報を持った人たちが脱北をしてきて、韓国にいるわけであります。ファン・ジャンヨプさんもかつてこの委員会に呼ぶという努力をしたんですが、韓国政府がそれに同意をしなかった、そういう経過があってうまくいかなかったわけでありますが、そういう人たちの一人に韓国で会ってきました。

 日本政府は、いろいろな部署、警察も含めてトータルで、こういう人たちからの情報収集というのをどのレベルで、どの程度のことをやっているんですか。あるいは、そういうことに対する問題意識というのはどういう形で持っているんですか。

杉浦内閣官房副長官 役所の関係でいいますと、まず第一義的には警察が捜査をしておりますし、いろいろな方の情報、写真にしても何にしても、警察に持ち込まれるというのが一つございます。それから、公安調査庁の方も独自のルートで情報を収集いたしております。政府としての対応はそうだと思います。

中川(正)委員 私たちが会った証人というのは韓国政府の情報部門の中で完全に管理されていまして、そんな中からあえてあるということにしたわけでありますが、聞いていましたら、アメリカの情報関係者、情報局というのはちゃんとコンタクトをして、いろいろなことを聞いていった、そういう事実がある。それで、我々が会ったその翌日にもう一回アメリカの情報担当者と会うんだ、こういうことでありました。

 日本はというと、これまでにそういうことはなかった。かつ、我々が、日本大使館を通じて、そういうことをやりますよ、こういう了解のもとにやったわけですが、日本大使館のアプローチというか、このことに対する態度というのは、一言で言えば、できる限りかき回さないでくれ、我々がそういうことをやれば韓国政府がいい顔をしないんだ、その後の交渉にいろいろ差し支えるから、なるべく日本の大使館のスタッフなりメンバーというのはこの問題とは全く関係がないという位置に置いてほしいと。これは一言で言えばそういう態度なんですよ。これでいいんですか、外務副大臣。

逢沢副大臣 大変恐縮でございますが、中川先生初め韓国においでをいただいた先生方が韓国のどういうお立場の方とどんなやりとりをなさったか、ちょっと詳細を承知いたしておりませんが、政府の立場で、脱北をされた方々との必要な接触、また経緯を経て韓国に戻られたといいますか入国をされた方々とも、実は適切に情報収集のための接触を我が国政府としても行っているわけであります。

 あえて申し上げれば、先ほどファン・ジャンヨプ元朝鮮労働党書記のことに言及をなさいましたけれども、この黄元書記とも実は政府として接触を行い、さまざまな角度からお話を承っております。もちろん、その中身についてるる申し上げるわけにはまいりませんけれども、同様な努力といいますか、必要な情報収集につきまして、政府として、これは外務省としても警察としても同様でございますけれども、させていただいているということをあえて付言いたしておきたいと存じます。

中川(正)委員 現状は違いますよ。しっかりと指摘をしておきたいと思います。

 それから、あえてもう一つ言うならば、この委員会にもそういう人たちをしっかり呼んで、そこから出てくるいわゆる外に対する情報でもって、それをうまく外務省が使いながら外交をするというダイナミズムが要るんですよ。今、逆でしょう。

 ここへ呼ぶということに対しては、皆さん非常に抵抗される。ファン・ジャンヨプのときもそうでした。結局は、外務省が六者協議があるので波風を立てないでくれと。そんな形でどんどん抑え込んで、内へこもりながら、どうしよう、どうしようといって星を仰いでいるだけですよ。そういう外交の姿勢が続く限り、私は、今の大きな壁というのは打ち破れないだろうというふうに思います。猛省を促します。そのことを指摘しておきたいというふうに思うんです。

 それから、時間が限られていますので次に進みますが、この六者協議で先ほどからさまざまな議論が出ておりました。いろいろ答弁もあったんですが、どうして拉致問題が六者協議にのってこないのか、対象にならないのか。これはどう思いますか。なぜなんですか。

逢沢副大臣 拉致の問題について、過去三回の六カ国協議で、もちろん日本の立場から、北朝鮮に関して解決すべき主要なテーマ、それは拉致問題だということについては言及をしてまいりました。また、過去三回、アメリカも同様な発言を行ってきたというのは事実としてあるわけであります。

 ただ、先生も御承知のように、この六カ国協議、主として朝鮮半島の非核化を実現する、北朝鮮が持っているあるいは開発を進めていると言われている核の問題を解決する、そのことがいわば主要なテーマであるという全体の理解、コンセンサスのもとに六者が集まっている、そういう事実もございます。

 ただ、北朝鮮をめぐる問題は、もちろん核の問題だけではございません。日本の立場からすれば、何といっても拉致、そしてミサイルの問題等々もあるわけでございます。

 議長国は中国でございます。伺うところによりますと、各会合ごとのアジェンダと申しますか議案を事細かく決めて協議をするといったような内容では、今までは少なくともなかったといったようなことでございますが、日本の立場といたしましては、既に韓国また米国にこの拉致問題の重要性については基本的なところで理解をしてもらっている、中国についても議長国としてこのことに理解を示してくれている、そういったことを背景に、来週の協議におきましてもできる限りの努力を重ねてまいりたい、そのように存じております。

中川(正)委員 言葉は多いんですが、中身は私たちのようには確信を得ていないんだろうというふうに思うんです。

 日本としては、それぞれのポイントというか、いわゆる核という問題についてのポイントはあっても、六カ国協議のテーブルの上にのせていくということは大命題でしょう。だったら、ほかの国の言っていることをそうだそうだというふうな理解を示したような物の言い方をしたら、これはだめなんですよ。

 これは核問題だけではなくて人権ということもあるんだ、ユニバーサルな価値観で、そういう主張をしなければいけないんですよ。それを、核が中心だから我々はもう横でいいんだ、さっきのはそういう話なんです。そこが大体出発点として間違っているということだと思うんです。

 それと同時に、実は、そのことについてアメリカが助け船を出してくれたというのは何かといったら、拉致問題というのはほかの国が言っているように二国間の問題ではないよ、これは人権侵害というユニバーサルな問題なんだということを議決してくれているんですよ。なぜこれを使わないんだということですね。

 具体的にはどこに対して使うかといったら、韓国なんです。韓国の拉致被害者というのは、認定されただけで四百八十六人あるわけです。しかも、これは行方不明者あるいは離散家族等々を含めて、非常に社会の中でこの問題に対する運動が潜在的に沸き上がっているんですよ。このてこを使わない法はないでしょうという考え方から、私たちが不思議で仕方ないのは、どうして日本政府が韓国政府に対してこのことを一緒にやろうという申し入れなりあるいは働きかけなりをしないのかということなんです。聞いたことがないんです、今まで。どうですか。

逢沢副大臣 大変重要な点についてお触れをいただいたというふうに理解をするわけでございますが、今、中川先生御指摘のように、韓国におきましても正式に公式に公表されている四百八十六人という拉北者、拉致被害者、そのことはよく承知をいたしております。ただ、韓国政府には韓国政府のこの問題解決のアプローチがあるようでございます。事実として、韓国はこの六カ国協議のテーブルの場でこの拉北者の問題を直接取り上げた経緯は、少なくとも今まではございません。

 政府間の事前協議を含めた日韓間のやりとりの詳細について申し上げることは差し控えたいと思うわけでありますが、当然、日本の拉致問題の解決、そして数字の上では韓国は大変大きな同様な問題を抱えている、そのことについていかに連携を図れるか、いろいろな角度から協議をしてきた経緯はあるわけでありますが、韓国は、いわゆる離散家族問題を解決する、そういう脈絡の中で少なくとも今までは対応してきた、こういった経緯がございます。

 しかし、北朝鮮にもいろいろな意味で対応の変化というものがうかがわれる、そういった新しい状況を迎えつつございます。そういった状況を的確に、この今の変化をとらえる。そして、アメリカの指摘についてもお触れをいただきました。新しい環境の中で最善の道は何かということについて、適切に対応してまいりたいと存じます。

中川(正)委員 ここも意図不明、やるのかやらないのかわからない、適切にというような話は。

 やはり相手のことを説明してもだめなんですよ。そんなことはわかり切っている。それに対してこちらがどういう戦略で韓国も巻き込んでいくかという、それが出てこないと、これはもう外交としてのダイナミズムが出てきませんよ。そういうことを指摘しておきたいと思います。

 その上で、時間が来ていますので、二つだけ見解を聞きたいと思います。

 そうした意味で我々は問題意識があるものですから、一つは議員立法で、人権法というもので共通項をつくっていこうと。これは、アメリカが人権法をつくりました。実は韓国の中でも議員立法で、今それをやっていくべきだという、その準備をしている人たちがいます。

 そして、私たち民主党の方も国会に出しました。自民党の方も、プロジェクトチームの中ではもう法案はでき上がっているんですね。それをしっかり合体させて、日本としてもこれを人権という枠組みの中で、拉致も含めて、もう一回取り上げていこうという、この流れをつくっていきたいというのが我々の趣旨なんです。そのことについてどう思われるかということ。

 それからもう一つは、実は八月の一日に、こうした流れをつくっていこうという、国会議員のサイドの国際会議というのを東京で開こうということになっています。これにはアメリカから、人権法をつくったメンバーと同時に、下院議長も参加をすることになってきています。それから、日本はもちろん我々の党も、それから自民党の方からも、この人権法をつくったメンバーの皆さんが中心に参加をしていただくという返事をいただいております。それから、あと韓国の方も、また同じような形で九人ばかり代表が参加をしてもらう。あるいは、モンゴルからも四人ほど来るということになっています。

 そういう設定の中で、私たち議員のサイドからも、ぜひこれを盛り上げていって応援をしていきたい、いわば外交カードとして外務省が、あるいは官邸がしっかり使えるような、そういう議員の中の流れをつくっていきたい、こういう思いなんですよ。

 そういう二つの事柄について政府としてもしっかり認識をしていただいて、一緒に応援をしていただく、そういう体制を期待するわけでありますが、どうでしょうか。

逢沢副大臣 二つのことについて、今中川先生から御発言をいただきました。まず、いわゆる北朝鮮の人権侵害に対する議員提案、議員立法の問題。そして、先生御自身が中心になられて大変御努力をしていらっしゃると承っておりますが、八月上旬に北朝鮮の難民と人権に関する国際議員連盟の総会を開かれる、その二つのことについてお触れをいただきました。

 事実関係について、私どもとしてもよく理解をいたしております。民主党の北朝鮮人権侵害救済法案、これは既に国会に提出をされておりますし、先生からもあえてお触れをいただきましたが、自民党の方でもいつでも国会に出せる、そういった状況にあることは承知をいたしております。政府といたしまして、広い意味で北朝鮮に適切に圧力をかける、また国際的にアピールをする、国際的な関心を喚起する、そういった意味でも大変意味のあるアプローチであるというふうに評価をさせていただいております。

 それぞれ両党の案に非常に似通った部分もある、中身を読ませていただきますとそういうふうにも感じるところがございます。政府の立場でこれ以上申し上げることは適切ではないかもしれませんが、立法府の立場からこういったアプローチをしていただくということは大変私どもとして心強いことでありまして、感謝を申し上げたいというふうに存じております。

 また、八月に予定をなさっておられます国際議員連盟の総会でございますが、この総会が大変意味のあるものになることを期待いたしておりますし、また政府の立場から大変注目をいたしているわけでございます。基本的には、議員の先生方でおやりになられることというふうに承知をいたしておりますが、何か私ども政府の立場としてお役に立てることがあればというふうにも思っておりますが、適切な形で相談をさせていただきたいというふうに思いますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

中川(正)委員 以上です。ありがとうございました。

赤城委員長 次に、西村真悟君。

西村(真)委員 先ほど来の質問と関連いたしますけれども、この際、平成九年の時点で政府は拉致被害者を七件十名と公表しておるのでありますから、それ以来、警察が北朝鮮による拉致容疑事案として公表するに至る基準は何かということについてお伺いしておきたいと思います。

 拉致容疑事実とは、刑法二百二十四条ないし二百二十六条の未成年者拐取から国外移送拐取などに至る犯罪の容疑事実のこととしてお聞きしておきます。今質問いたしました、当局にお聞きしますが、警察が北朝鮮による拉致容疑事案として公表する基準、認定する基準は何なのかということについて、改めてここでお伺いいたします。

瀬川政府参考人 お答えいたします。

 警察といたしましては、北朝鮮による日本人拉致容疑事案の重大性にかんがみまして、これまでその全容解明のために必要な捜査を最大限の努力をもって進めてまいりました。警察におきまして拉致容疑事案としておりますものは、そのいずれもが、北朝鮮の国家的意思が推認される形で、本人の意思に反して北朝鮮に連れていかれたというものと考えております。

 北朝鮮による日本人拉致容疑事案につきましては、いろいろ困難な捜査状況がございます。被害者の所在が不明であります。また、事案発生の時点で目撃者等もおりません。さらに、証拠もほとんど残されていないという状況でございまして、鋭意、そういった状況のもとで関連情報の収集と証拠の積み上げに努めまして、一連の捜査の結果を総合的に検討いたしまして、現時点では十一件十六名という判断に至っているものでございます。

 今後とも、拉致の実行犯のさらなる特定に努めますとともに、北朝鮮による拉致ではないかという届け出があったものも含めまして、全容解明のため、関係機関とも十分に連携しながら、引き続き努力を重ねていきたいと考えております。

 なお、委員の御質問の中で、拉致容疑事案につきまして、刑法二百二十四条から二百二十六条に該当する事実のことであるのかというお尋ねも含まれていたかと思いますが、基本的にはそのとおりでございます。

 しかし、拉致容疑事案と今見ておりますものの中にも、被疑者、被害者が不在であり、あるいは被疑者が判明しないというようなものがありまして、必ずしもいかなる被疑事実、いかなる構成要件にこれがきちっと該当するのかということが現時点で確定できないことも存在しているということは御説明をさせていただきたいと思います。

西村(真)委員 もう少し整理しますと、平成九年のときには被疑者側の自白はなかったわけであります。現在においてはあるわけでございます。したがって、被害者の存在、つまり、例えば横田めぐみさんがいなくなったということと、現在においては、犯人側の自白、これによって認定に至るということは、北朝鮮が言った死亡したとされる八名、それから生きて今日本に帰ってきた五名、これらの人々十三名については認定ができる。ただ、この中で、北朝鮮は否認しておるけれども、状況から認定した者は曽我ミヨシさんであろうかと思います。

 そこで、他の人々、この方々に限って被害者は総数、それで済んでいるんだというのは話は簡単ですが、警察も政府も、これだけでは済まないと言っておられるわけですな。この人たちが今後認定される、そこに至る状況証拠はどれほどの基準であればということについては、ここでは回答されないですか。

 被害者の存在、行方不明者の存在がある。これは四百名ぐらい特定失踪者があると民間組織は調べ上げてきておる。そして、犯人につながる者たちの自白はない。それで、曽我ミヨシさんに相当するような目撃証言は調べれば出てくるかもわからないけれども、現在は出てこない。これらの人々がこれから認定されていくんだろうと思いますが、この認定に至る状況についてはいかがな基準かということをもう少し御説明いただけますか。

瀬川政府参考人 お答えいたします。

 それぞれの事案がまことに個々内容の異なる個別の事案でございますので、一般の刑事事件といいますか犯罪捜査なりとこれは同様であろうと思いますが、捜査は生き物といいますか、事件は生き物といいますか、事案によっていろいろ違うということだろうと思いますので、そこで客観的にどうというようなことは、なかなか基準的なものは申し上げにくいと思います。

 ただ、先ほど御答弁させていただきましたとおり、いろいろ困難な中で、いろいろな方、関係者からの事情聴取なり、残された証拠なり、あるいはいろいろな状況から見て、先ほど申し上げました、北朝鮮の国家的意思が推認される形で、本人の意思に反して北朝鮮に連れていかれたと判断できるのかどうかということが、いわばそういった拉致容疑事案であると判断すべきであるかどうかということの基準として申し上げられる最大限の公約数ではなかろうかというふうに考えております。

西村(真)委員 政府認定でも今十四名が拉致された人たちだということ。現在は十六名になっておるんですが、十四名の時点で申しますと、その中にも警察が全く認知もしておらなかった曽我親子二名が含まれておるということを考えますと、十四名の中の二名というのは一四%以上です。十名の拉致被害者がおれば、そのうち一名以上は警察は認知していないだろうということですな。

 こういうことを前提にして、先ほど来政府も認めておられる。一体何人が拉致されておるのかは、だれが調べる責務があるんだ。それから、先ほども官房副長官でしたか、御答弁されたけれども、拉致問題の解決とは何か。

 つまり、被害者全員が祖国日本に帰ってきて家族と再会することである、こういうふうに言うならば、一体何人が拉致されているのかということは、政府が警察初め国と地方の情報機関を総動員して行う必要がある、また行う責務がある事例であると思いますが、拉致問題専門幹事会議長たる官房副長官は、また国家公安委員長はどういう認識を持っておられますか。

杉浦内閣官房副長官 先生のおっしゃるとおり、拉致被害者、まだ警察の方でも容疑が濃厚だという者も何人かおるということは聞いておりまして、私は、それを明確にすることは国の責務だというふうに、先生がおっしゃるとおりと思っております。

 ただ、先ほど警備局長が申したように、捜査の壁が厚くて難渋を極めておる。曽我ミヨシさんにしたら、日本を離れたことはわかっているけれども、向こうに越していないと言っている。曽我ミヨシさんの所在は明らかではありません。そういう方も何人かいらっしゃる。

 被害者に直接警察が当たれない、物的証拠も人的証拠も乏しいという状況で、警察が大変な苦労をしているというのが実情でございます。国交もなく……(西村(真)委員「いや、国の責務ですかと」と呼ぶ)国の責務であります。全力を挙げてやっておるところであります。

村田国務大臣 警察当局といたしましても、北朝鮮によります日本人拉致問題、これは国民の生命、安全に対する重大な脅威でございまして、もちろんこれまでも大変難しい状況の中で鋭意捜査、調査を行ってきたものと思っております。

 そういうことで、昨年も新たに一人、田中実さんの事件を認定したということでありまして、今後も、いろいろな御指摘のある事案も含めまして、警察を督励して、問題の解明になお一層努力をしていきたい、こういうふうに考えております。

西村(真)委員 国の責務であるという御答弁をいただいた上で、その責務を果たす、国家公安委員長、それでよろしいですね。国の責務だというふうな御答弁をいただいたんですな、今。

村田国務大臣 先ほど答弁したことは、ことしの四月、田中実さんの件は認定したということで、訂正させていただきます。

 その上で、国の責務として、先ほど申しましたように、国民の生命、安全に対する重大な問題であると認識いたしまして、国の責任として、事態の解明になお一層努力したいと思っております。

西村(真)委員 その国の責務を民間の特定失踪者調査会の諸君が自腹を切って果たそうとしているということも御承知の上、国の責務であり、困難さを今答弁されておるわけでありますから、その困難なことがわかっておる国家公安委員長なりまた官房副長官なら、この拉致問題に関して、イギリスでは反テロ法を速やかに与野党合意して通過させていっているわけでありますから、反拉致法ともいうべきものをつくって、令状なしの捜査ができる、逆探知ができるという特別措置を講じる必要があるというのは、立法府の人間としても、そして大臣に今申しておきます。

 その上で、それほど困難な事案であり、ということは、証拠が極めて少ないなら、我が国に帰ってきた五名の帰国者は、宝の山を持って帰ってきたのであります。また、朝鮮総連初め、犯人側につながる人々も日本に多く居住しておるのであります。これらの方について、我が国が法治国家であり、本件が国民的関心を集めておる国家的重大事件であることにかんがみれば、速やかに事情聴取が徹底的に行われるべきであると私は考えますが、国家公安委員長及び官房副長官はいかに認識されておりますか。

村田国務大臣 一般論では、そうした被害の事案について重要な情報を持っている、そういう人間がいる場合には、当然事情聴取を行いまして、供述をいただく、こういうことになると思いますけれども、個別の事案についてのお答えは差し控えさせていただきたいと思います。

杉浦内閣官房副長官 今公安委員長が申されたとおり、捜査の常道だと思いますね、そういう方に当たるのは。一般論とすればそういうことだと思います。

 また、帰られた方々も既にマスコミに向かって調査を受けているということも言っておられますから、恐らくやっておられるのではないかと拝察をいたしております。

西村(真)委員 拉致問題をメーンテーマとする本委員会における一般論というのは、拉致問題一般論なんですな。

 そこで、国家公安委員長が、私がこれは国家の責務ですね、何人が拉致されているのかを突き止めるのはと言ったときに、本件捜査における困難性を言われた。局長も言われた。だから、それだけ困難なら、拉致被害者を、宝の山を徹底的に調べるのが筋でしょうということを申し上げたのであります。

 それで、今度は局長が答弁に立たれてきたので聞きますが、五名の被害者から現実に事情聴取を行っているのかどうかということについてお聞きします。

瀬川政府参考人 お答えいたします。

 これは先ほど大臣から御答弁申し上げましたとおり、犯罪の被害に遭われた方等から捜査に関する情報を聞く、それ以外にも、捜査に関する重要な情報をお持ちの方から事情をいろいろお伺いするというのは当然のことでございます。官房副長官がおっしゃるように、捜査の常道でもございます。

 しかし、お尋ねでございますけれども、個々の事案について、だれからどうだ、どの程度、どういう内容というようなことについて申し上げるのは、これは事柄の性質上、差し控えさせていただくべきものというふうに考えております。

西村(真)委員 事柄の性質上、聞いておる。事柄の性質上、聞かないかぬのです。何のためにこの委員会をやっておるのかわからぬ。

 実況見分はなぜしていないのかということ。それは、していないことが公知の事実であるから、これは理由を言えるでしょう、なぜ実況見分しないのか。

瀬川政府参考人 これも一般論で恐縮でございますけれども、犯罪捜査におきまして、実況見分というのは、これもまた捜査の常道といいますか、非常に重要な捜査手法でございまして、必要に応じまして、個々の事件捜査において必要な捜査として、当然実況見分も含めて、必要な捜査は行われているものというふうに考えております。

 どの事案についてどのように行われたかというようなことについては差し控えさせていただきたいと思います。

西村(真)委員 実況見分は行われていない、五名の帰国した方は同意されていますよ。当たり前だと、法治国家においてはおっしゃっていただかなければ困りますよと、私もそう思います。ということは、言われておるということは私はお伝えしたつもりでありますが、これ以上のことは聞けませんか。

 それで、先ほども話題に出ておりました平島筆子さんのことについて御質問します。

 これは私が主にマスコミの映像等々で知ったことですが、彼女は日本国内において北朝鮮に行くというそぶりを見せていなかったようだ、記者会見もしていなかったようだ。それで、所持金に乏しく、フライト料を他人からもらって飛行機に乗っていったようだ。家賃は翌月分まで支払っていたようだ。中国に到着してからは、どこかの男に手を握られて、抱きかかえられるように、足早に逃げるようにマスコミとの接触を避けていったようだ。北朝鮮の大使館で記者会見したときには取ってつけたような動作であった。

 これらをすべて総合して判断すれば、六十六歳の彼女が自主的に中国に行って、北朝鮮大使館であのような記者会見を開いて、北朝鮮に帰っていく計画を立てた上でのあの行為なのかということは到底考えられない。

 これは何か。本質は、だまされ、または誘惑の手段によって、国外移送目的の犯人によって日本から中国経由で北朝鮮に誘拐されたのではないか。つまり、刑法二百二十六条、国外移送目的の誘拐罪の被害者ではないかということを私は疑問に思って仕方がないわけであります。

 それというのも、北朝鮮は、今帰国している五名の皆さんを北朝鮮に再び戻す約束を日本政府がしたと言って、その直後の日本政府の接触に当たる責任者は、彼ら五名を北朝鮮に帰すのは当たり前の前提としておった。帰さなければだめですよと我々にも言った。そのときに我々は、何を言うかというふうに反論した。

 そして、そのことで私が思いついたのは、北朝鮮は、あのときの五名を再び北朝鮮に連れ戻させて記者会見をして、金正日首領様のもとで生活することがいかに幸せなのかがわかりました、首領様万歳と言って、あとは録音テープか何かで、お父さんお母さん、北朝鮮は地上の天国ですよ、孫に会いに来てくださいと。ああいうふうな演出をするために、五名を再び帰す約束を日本政府がしたから帰せと執拗に言っていたのではないかと思い当たったわけですな。

 したがって、私はこういう疑問を持っておりますが、当局もしくは官房副長官、いかが思っておられますか、あの不可解な平島筆子さんの北朝鮮再入国に関しては。

瀬川政府参考人 お尋ねの事案は、脱北後我が国に帰国した日本人女性が本年四月に北朝鮮に再入国した、再渡航した事案であるというふうに承知をしておりますが、警察といたしましては、いずれにいたしましても、具体的な違法行為が確認されましたら、法と証拠に基づいてこれに厳正に対処してまいるべきものというふうに考えております。

西村(真)委員 やはり関心を喚起するために質問したわけですから、考えられれば考えられるほどこれは不可解ですよ。

 それで、先ほども、特別立法をする必要があるというのは、この事態に対処するため、つまり反テロ法ですよ。日本にも反テロ法が要るんだということは我々はこういう実例でわかる。彼女にどういう者が接触してきて飛行機に乗せたのか、日本の警察はわかっておるのか、わかっていないのかと聞きたいほどなんですね。

 さて次に、ちょっとそれとも関連しますが、一体日本の出入国はどないなっておるんだということでちょっと聞いてみます。

 在日朝鮮人の方々の中に、六名の朝鮮最高会議代議員、つまり北朝鮮の国家意思形成に関与している者たちがおる。先ほど、拉致の被害者というのは何かといえば、警察は、北の国家的意思に基づき日本から北朝鮮に連れ去られた者というあれをしましたので言いますが、この国家的意思形成に関与しておる朝鮮最高会議代議員、これは日本の国会議員と言ってもいいんでしょうか、そういう者がおる。

 これが自由に北朝鮮と日本を出入りしている。これはおかしいじゃないか。日本人は拉致されて連れていかれて、杳として抑留されたままで祖国に帰れないけれども、その日本人を連れ去っていくという国家意思形成に関与した者が日本に六人おって、これらは永住許可のもとに自由に北から日本へ行き来しておる。

 これはおかしいじゃないかと思うんですが、おかしいことが行われておるのが現状であって、当局にはさてどのように聞こうかと思って頭をめぐらせるわけですが、彼らはどのような手続で入国しておるんですかということをまず聞きましょうか。そして、それをとめる手段は現法制ではないのかということについて、あるかないか、ちょっと当局にお聞きします。

三浦政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、朝鮮半島出身の特別永住者の中に、六名のいわゆる北朝鮮の国会議員と言われている人がいるということは、私どもも把握しておるところでございます。個別にこの方々が出入国はどうかということについては若干差し控えさせていただきたいと思いますけれども、一般的に申し上げますと、日本に在留する外国人が、在留を認められた期間の中で、外国に出かけ、また日本に戻ってくるという場合には、再入国許可というものを取得することになっておりまして、この許可証を持っておりますと、出国して、その期間内であればまた帰ってこられる、こういう手続になっております。

 その際に、どのようなケースでこれが認められない場合があるかというようなお尋ねだろうと思いますが、例えば指名手配中であるとか、そういったケースなどについては再入国許可がおりない場合もございます。

西村(真)委員 この六名に関してもとめられるわけですか。再入国許可を出さないということは決められるというわけですか、現法制で。

三浦政府参考人 お尋ねの趣旨は恐らく、北朝鮮の国会議員という身分を持ったということを理由にして再入国を否定できるかという趣旨だろうと思っておりますが……(西村(真)委員「そうじゃなくて、とめられる法的可能性があるのかということ」と呼ぶ)一般的に、再入国の許可につきましては、これは入管法上、当該個人についてどういう事情があるかということを判断するわけでございまして、個別的にこの方々がどういう事情があるかということは私どもも承知しておりませんが、今の御質問の限りでお答えいたしますと、いわば本人の出身地でありますとか国籍国等の事情ということを理由にして再入国を認めないということは、入管法の建前からすると困難ではなかろうかというふうに考えております。

 さらに、特に特別永住者の方につきましては、御承知のとおり、日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法、いわゆる入管特例法でございますが、これが設けられておりまして、この中に、特別永住者の本邦における生活の安定に資するというこの法律の趣旨を尊重すべく、再入国の許可について当たるということがうたわれておりますので、こういうことからいたしますと、委員御指摘のような、北朝鮮のいわゆる国会議員であるということを理由に再入国の許可をしないということは難しいのではないかというふうに考えておるところでございます。

西村(真)委員 今、再入国の許可をしないという理由は、本邦における、本邦というのは日本における生活の安定等々と述べられたけれども、彼らは日本の国会議員に一億円の献金をしていると豪語している組織なんですよ。

 そこで、大臣及び官房副長官にお聞きしますが、これはおかしいんじゃないですか。今、局長が語られた法制はおかしいんじゃないですか。これは、我が国家の同盟国であるアメリカは、北朝鮮は悪の枢軸だと呼んでおる。それから、テロと闘うという国際的な大きな流れの中に我が国も参加しておって、そして先ほどの答弁では、拉致はテロだと言っておる。

 その拉致はテロだという、テロという北朝鮮の国家意思の形成に関与しておる者が、被害国日本と北朝鮮を自由に行き来して、北朝鮮に行って国家意思形成に関与しておる。これはおかしいと思うが、おかしくないと思っておるんですか、官房副長官。拉致問題専門幹事会議長、そして国家公安委員長はどのようにお考えですか。

 我々は立法府であり、そちらも法案を提出できるし、自由に制度を改正するために我らはここにおるわけです。どう思われますか。

村田国務大臣 法律に基づきまして、在留資格を有する朝鮮の在日の方が一たん出国されて、その再入国を認めるか認めないかということにつきましては、所管外で、法務省の所管でございますので、答弁は差し控えたいというふうに思います。

 しかし、総連という一つの団体が、その構成員あるいは関係者が、これまでいろいろな意味で、安全にかかわる物資の輸出に関与しているとか、あるいは工作員の密入国に関係があるのではないか等々、そういう関連があるということについて警察としても重大な関心を有しているわけであります。そういう意味で、そうした総連の幹部あるいはそれに準ずる者の我が国と北朝鮮との間の行き来、この問題についても警察としても重大な関心を持って注目している、こういうことでございます。

杉浦内閣官房副長官 現在の入管特例法、それに基づいて入国管理が行われているわけでありますが、ここは担当は法務省でございますので、有権解釈はそちらの方にしていただくのが適切だと思いますが、先生の御指摘の点は御指摘として承って帰りたいと思います。

西村(真)委員 これで質問を終わります。

赤城委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢でございます。

 きょうは、六カ国協議の問題そして拉致問題等について聞いていきたいと思います。

 北朝鮮の核開発問題の解決を目指す六カ国協議が、七月二十六日から一年一カ月ぶりに再開されることになりました。外務省は、六者会合は北朝鮮の核問題の平和的解決を実現する上で最善の枠組みであるとして、再開の見通しがついたことを歓迎する談話を出しております。

 私たちも、北朝鮮問題を平和的な交渉で解決することを主張してまいりましたし、六カ国協議の継続を訴えてきました。今回、六カ国協議が再開されるに当たって、政府は、目に見える実質的な前進を実現することが重要、このように述べております。具体的にどういう協議や交渉を行って実質的な前進を実現しようとしているのか、この点についてお答え願いたいと思います。

逢沢副大臣 赤嶺先生に今御指摘をいただきましたように、来週の二十六日から、随分時間があいたわけでございますけれども、一年一カ月ぶりに四回目の六者会合が開催をされます。

 言うまでもないことでありますけれども、再開そのものが目的ではないわけでありまして、何としてもいわゆる実質的成果を上げることが重要であるというふうに理解をいたしております。そうした観点から、これをより意味のあるものにするために、事前のさまざまな協議といいますか会談を重ねてまいりました。

 去る十四日にはソウルにおきまして日米韓三カ国が集まりましたし、またその後、日中の協議も北京において行ったわけでございます。引き続きそういった事前の入念な打ち合わせと申しますか準備といいますか、あるいは意思の疎通、そういうものを断続的に重ねながら、よりよい形で二十六日からの会議に生かしていきたいというふうに思います。

 議長国は中国でございます。御承知のように、前駐日大使の武大偉外交副部長が王毅現駐日大使にかわって議長としての役割を果たされるわけであります。とりわけそういう意味で中国当局とも緊密な連携を行わさせていただいているわけであります。

 中身につきましては、協議を目前にして、どんなアジェンダがどういうふうに整理をされつつあるか、どんな順番でといったようなことについて、現在進行形でやりとりが行われているということもございます。今この場で申し上げるということについては御理解をいただきたい、差し控えさせていただきたいと存じます。

赤嶺委員 実質的な前進を実現するということで、入念に前段でいろいろな会議を開いてきたということでありましたが、日米韓の三カ国の首席代表による会議でもそれは確認され、さらに中朝の会議でも確認されていると報じられているわけです。これらの会談において、それぞれどういう問題が協議されてきたのか、この点についてはいかがですか。

逢沢副大臣 今先生御指摘をいただきましたように、広い意味での準備という位置づけの中で、さまざまなマルチ、バイの会談を行ってまいりました。

 もちろん、その場におきまして、日本の立場といたしまして、北朝鮮が抱える包括的な問題の解決、日本の視点、日本の立場からいたしますと何といっても拉致の問題、そしてこの六者会談の主要なテーマでございます核そしてミサイルの問題に重大な関心を持っているという日本の立場について、累次発言をいたしているところでございます。

 ニューヨークにおきまして、米朝の接触が二度、三度、春から夏にかけて行われました。また、今先生御指摘のように、中朝の接触というものも、かつてに比べますと頻繁に行われているようでございます。

 そういったやりとりを、ぜひ具体的な成果として二十六日からの会議に生かせるような最善の準備を重ねてまいりたい、そのように存じます。

赤嶺委員 そういう答弁でありますけれども、それでは次に、韓国の提案について伺いたいと思います。

 今回の六カ国協議に際して、北朝鮮核問題解決方策として、十二日に鄭東泳統一相がいわゆる重大な提案を発表いたしました。その内容についてなんですが、日本はどういう説明を受けているのか、そして日本政府はこの提案をどのように評価しているのか、この点はいかがですか。

逢沢副大臣 韓国が、いわゆる重大な提案としてエネルギー支援、こういった構想を持っているということを明らかにいたしたわけであります。

 当然のことでございますが、日韓間の外交ルートを通じまして、事前にこのことについては韓国政府当局より我が方に対しまして概要について説明もあったところでございます。いわゆる北朝鮮の誠実な対応を引き出すための韓国当局としての積極的な提案であるだけに、大変私どもは注目をいたしておりまして、北朝鮮の前向きな姿勢を引き出していく、そのことにこの提案がある意味で大きな成果を上げるということを期待いたしているわけでございます。

 しかし、現実に二十六日から始まります会合の中で、どういった形でこの問題が取り上げられ、それがどういった変化をもたらすのか、今の段階で予断を持って答えることは差し控えておきたいというふうに存じます。

赤嶺委員 実質的な前進、これを実現する、六カ国協議を何としても前進させるという意味での国際社会の取り組みというのが非常に大事になっていると思いますし、その成果が本当に生かされるべきだと思います。

 そこで、日本は、ライス長官も来日をされたわけですが、六者会合の開催に当たってアメリカとの間では何を話し合い、そしてどんな中身で臨もうということになったのか、この点についてどうですか。

逢沢副大臣 先般、ライス米国国務長官が来日をされ、小泉総理と会談をし、そして町村外務大臣とも会談をいたしたわけであります。

 町村外務大臣は、ライス長官との会談の中で日本政府の立場を六カ国協議を迎えるに際して改めて表明をいたしたわけでありますが、当然、関係国が緊密に連携をしつつ、韓半島の非核化を実現していく、その大きな目標に向かって実質的な成果が上がる第四回目の六者会合でなくてはならない。

 そして、日本の立場からいたしますと、さきに答弁もさせていただきましたが、拉致問題、この問題がいかに重要な問題であるか、改めてライス長官に言及をし、過去三回の六者会合におきまして、日本は当然、拉致の問題について言及をしたわけでありますが、同様にアメリカも拉致問題について言及をしていただいた。当然、日本国政府として、第四回目についても、広い意味での人権問題という脈絡から、米国の積極的な支援についても大変強い期待感を持っているということについても、町村大臣からライス長官にはっきりと申し述べさせていただいたところでございます。

赤嶺委員 拉致問題も、北朝鮮が国際社会に復帰する上で、みずから認めたそれらの拉致という犯罪について本当に徹底して明らかにし、責任を明確にしていくことが大事だと思います。

 同時にやはり、六者会合において核兵器問題での合意が実現する、そして朝鮮半島の非核化が達成されるということになりましたら、この枠組みというのは、参加国の安全を保障する枠組みにも発展できる、安全保障にとっても非常に大事であります。参加国のいかなる国も他の国を一方的に攻撃することは許されないという安全保障の新たな枠組みに発展させ得る、本当に十分な可能性を持っていると思います。改めて、六者会合の成功に向けた政府の真摯な努力を求めたいと思います。

 同時に重要なのが、繰り返されております拉致問題でありますが、この解決というのは、日朝間の友好と信頼を築く上でも、それから北朝鮮と国際社会との関係を改善するためにも重要な課題であります。六者会合を機に、政府は、拉致問題について、これはどのような進展を図っていくつもりなんですか。

逢沢副大臣 日本政府といたしまして、この拉致問題、日朝間にまたがる最重要な課題である、そういう位置づけの中、過去三回と同様、今回、四回目の会合に際しましても、全体会合の中で拉致問題について当然触れるわけでございますが、さきにも答弁申し上げましたように、六カ国協議の場を生かし、つまり日朝二国間、バイの会談の状況をぜひ確保したい、日朝の接触というものをぜひ実現したい、そのように考えております。

 その中で、拉致の問題について、冷静に、また真摯に日本側の考え方を伝える。横田めぐみさんの骨の扱いの問題、また日本側が検証してきた問題、こういった問題についても、これは北朝鮮がそのことについて聞く姿勢を持つということも当然必要になってくるわけでありますが、日本側としてきちんと説明をする、そういうことも含めた入念な準備、用意をして、あらゆる状況に対応できる、そういった準備を重ねて、二十六日に臨んでまいりたい、そのように思います。

 同時に、国際社会の適切な拉致問題解決に向けての支援と協力、これも必要なことでございます。韓国、中国、米国の基本的な理解と支援、これも確認をいたしているわけであります。適切にそういった国々からの発言、支援、それも求めてまいりたい、そのように存じます。

赤嶺委員 日朝間の問題にかかわってですが、自民党の山崎拓元副総裁は韓国の鄭東泳統一相と会談し、日本との国交正常化を強く望んでいるという金正日総書記の意向を伝えられた、このような報道があります。

 山崎拓自民党副総裁はどういう立場でこの会談に臨んだのか、そこでどういう説明を受けたのか、この点について答えていただけますか。

逢沢副大臣 お一人お一人の議員の方の行動、発言について、政府の立場で触れることがどれほど適切であるかというふうにも思うわけでございますが、山崎先生はいわば一衆議院議員としてのお立場で訪韓をされたというふうに理解いたしております。

 また、鄭東泳統一部長官と会談をされた事実関係については承知をいたしております。また、そのやりとりをされた中身については、山崎先生御自身が既に明らかになさっておられるわけでございまして、それ以上のことを私どもの立場で承知をしているわけではないということについて御理解をいただきたいと存じます。

赤嶺委員 それでは最後に、外務省の報道官の談話を見ますと、議長国として調整の任に当たった中国の努力を評価したい、このようにしておるわけですけれども、中国は今度の六者協議の開催に向かってどういう協議、どういう調整、どういう努力があって、そして皆さんがそういう評価をしているのか、この点についてはいかがですか。

逢沢副大臣 一年一カ月ぶりに第四回目の六者会談が開催できる、そのような状況にこぎつけたわけでございますが、もとより、関係国の真摯な、前向きな努力が第四回目の会合をもたらしたというふうに理解をいたしております。

 しかし、その中で議長国中国の役割はやはり重いものがあるというふうに理解をいたしておりますが、さきにトウカセン国務委員もみずから平壌に、北朝鮮に訪問をされまして、そういったかねてから持つ中朝の二国間関係をベースに、ある種の信頼関係をベースに議長国としての役割を果たされた、そのことはそのこととして評価をされるべきものというふうに考えております。

赤嶺委員 私は、やはり日朝間の国交正常化のための努力、これも本当に大事になっていると思うんです。その際に、双方は日朝平壌宣言を合意し、確認しているわけですから、この宣言の立場が、拉致問題についても、それから過去の歴史問題についても核問題についても両国間の解決のロードマップになる、この立場でしっかり努力していただきたいということを申し上げまして、私の質問を終わります。

    ―――――――――――――

赤城委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 北朝鮮による拉致問題等に関する件の調査のため、来る二十八日木曜日午前九時三十分、参考人として西岡力君及び安明進君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤城委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、来る二十八日木曜日午前九時二十分理事会、九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時四十一分散会


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