衆議院

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第3号 平成26年5月9日(金曜日)

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平成二十六年五月九日(金曜日)

    午後一時五十四分開議

 出席委員

   委員長 山本  拓君

   理事 薗浦健太郎君 理事 中山 泰秀君

   理事 山口 泰明君 理事 義家 弘介君

   理事 鷲尾英一郎君 理事 田沼 隆志君

   理事 上田  勇君

      池田 佳隆君    石崎  徹君

      金子 恵美君    小林 鷹之君

      斎藤 洋明君    笹川 博義君

      新開 裕司君    田畑  毅君

      高木 宏壽君    細田 健一君

      宮崎 謙介君    山田 賢司君

      原口 一博君    笠  浩史君

      丸山 穂高君    三宅  博君

      竹内  譲君    中島 克仁君

      青柳陽一郎君    笠井  亮君

    …………………………………

   外務大臣         岸田 文雄君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (拉致問題担当)     古屋 圭司君

   内閣官房副長官      加藤 勝信君

   総務大臣政務官      藤川 政人君

   最高裁判所事務総局民事局長

   兼最高裁判所事務総局行政局長           永野 厚郎君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  由木 文彦君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  片山 一夫君

   政府参考人

   (警察庁警備局長)    高橋 清孝君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局長)            福岡  徹君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 新美  潤君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 下川眞樹太君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           古都 賢一君

   衆議院調査局北朝鮮による拉致問題等に関する特別調査室長          関根  弘君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月九日

 辞任         補欠選任

  池田 佳隆君     笹川 博義君

  高木 宏壽君     宮崎 謙介君

  中川 郁子君     田畑  毅君

同日

 辞任         補欠選任

  笹川 博義君     山田 賢司君

  田畑  毅君     中川 郁子君

  宮崎 謙介君     小林 鷹之君

同日

 辞任         補欠選任

  小林 鷹之君     高木 宏壽君

  山田 賢司君     池田 佳隆君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 北朝鮮による拉致問題等に関する件


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     ――――◇―――――

山本委員長 これより会議を開きます。

 北朝鮮による拉致問題等に関する件について調査を進めます。

 この際、去る四月二十一日、北朝鮮による拉致問題等に関する実情調査のため、新潟県佐渡市に視察を行いましたので、参加委員を代表して、その概要を私から報告をさせていただきます。

 参加委員は、中山泰秀理事、御法川信英理事、鷲尾英一郎理事、田沼隆志理事、上田勇理事、金子恵美委員、新開裕司委員、高木宏壽委員、細田健一委員、三宅博委員、青柳陽一郎委員、笠井亮委員、そして私、山本拓の十三名であります。

 まず、佐渡市役所において、拉致被害者の曽我ひとみさんと懇談を行い、曽我さんからは、老後の生活に対する支援、夫ジェンキンス氏が高齢であるため、介護が必要になった場合の支援、拉致被害者である母ミヨシさんの早期救出など要望がありました。

 その後、新潟県、佐渡市及び新潟県警から説明を聴取し、意見交換を行いました。

 新潟県からは、県関係の拉致被害者、特定失踪者に関する状況及び拉致問題に関する県の取り組みについて、佐渡市からは、甲斐元也市長が、曽我さん御一家の近況、支援の状況等について、新潟県警からは、同県における拉致事案、特定失踪事案の捜査、調査状況について、それぞれ説明を聴取し、意見の交換を行いました。

 この中で、甲斐佐渡市長からも、曽我さんについて、老後の生活に対する支援、夫ジェンキンス氏が高齢であるため、介護が必要となった場合の支援、二人の娘さんに対する生活相談などの支援継続の要望がありました。

 その後、佐渡市四日町地区の曽我ひとみさん、ミヨシさんの拉致現場を視察いたしました。

 次に、同市内のトキのむら元気館にて、特定失踪者大澤孝司さんの兄昭一さんとの懇談を行いました。

 この中で、大澤さんから、特定失踪者の中でも拉致された可能性の高い人については、拉致被害者に準じた認定を行ってほしい旨の要望がありました。

 その後、佐渡市新穂地区の大澤さんの行方不明事案の現場を視察しました。

 以上が、今回の委員会視察についての概要であります。

 当委員会は、政府認定の有無にかかわらず、全ての拉致被害者の安全確保と即時帰国など一日も早い拉致問題の解決に向けて努力するとともに、今回の視察で寄せられた要望等を委員会の審査に反映させ、一層議論を深めてまいりたいと思います。

 最後に、今回の視察に当たりましては、御協力をいただきました関係各位に深く御礼を申し上げ、視察の報告とさせていただきます。

 お諮りいたします。

 ただいま御報告いたしました内容の詳細につきましては、これを視察報告書として本日の会議録に参照掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

山本委員長 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官由木文彦君、内閣官房内閣審議官片山一夫君、警察庁警備局長高橋清孝君、総務省情報流通行政局長福岡徹君、外務省大臣官房審議官新美潤君、外務省大臣官房参事官下川眞樹太君及び厚生労働省大臣官房審議官古都賢一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山本委員長 次に、お諮りいたします。

 本日、最高裁判所事務総局永野民事局長兼行政局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山本委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。細田健一君。

細田(健)委員 自民党、新潟二区選出の細田健一でございます。

 改めまして、本日、質問の機会をいただきました山本委員長、また中山筆頭理事を初め理事の先生方に心から御礼を申し上げます。

 また、先ほど山本委員長からお話がございましたが、先般、私の地元、選挙区である佐渡を御視察いただきました。極めてお忙しいところ御視察に参加をしていただいた各先生方に改めて心から御礼を申し上げます。

 二十分という非常に限られた時間でございますので、効率的にお話をさせていただきたいと思います。

 早速ですが、まず古屋大臣にお伺いをしたいと思います。

 拉致問題の解決は、安倍内閣において外交の最重要課題の一つという位置づけであるというふうに私は認識をしておりますが、古屋大臣は、長年、現在の拉致議連の中心的なメンバーとしてこの問題の解決に取り組んでこられたところでございます。長年の取り組みについて改めて敬意を表します。

 まず、せっかくの機会であります、古屋大臣から、改めて、安倍内閣の拉致問題解決に向けた取り組みの意気込みと、また基本方針についてお伺いをしたいと思います。

古屋国務大臣 細田委員におかれましては、新潟で、横田めぐみさんが拉致をされた現場でもございまして、この拉致問題に非常に関心を持って取り組んでいただいて、敬意を表したいと思います。

 その上で、拉致問題は、もう三十数年、場合によってはもっと前から起きている事件でございまして、まだ拉致被害者と肉親の皆様が全員会って喜びを分かち合うことができない、再会をすることができない、じくじたる思いでございますが、一方では、安倍内閣のもとで、やはり総理自身も、私の内閣でこの拉致問題は必ず解決させる、被害者と家族の皆さんが抱き合う日が来るまで私の任務は終わらない、こういうことをはっきり言明いたしております。

 七百名を超える国会議員の中で、恐らく総理御自身が、この問題、最も熱心に、まだ議員になられる前から取り組んでおられます。そういう意味では、安倍内閣が、昨年の衆議院選挙で我々は与党に返り咲かせていただいただけではなくて、客観事実として、一昨年、参議院選挙でねじれが解消した、安定基調にあるということは事実でございます。そのことは北朝鮮も一番よくわかっているはずでありまして、そういう意味からすると、やはり政権が安定をする、そしてなおかつ、安倍総理御自身もこの問題に非常に強い意欲、決意を持っておられるということは、ある意味で拉致問題解決への環境は整いつつあるというふうに私はお考えております。

 また、私も、総理とともに長年この問題に取り組んできた一人として、最後の拉致問題担当大臣になるんだ、それぐらいの覚悟で取り組みますということは常に申し上げているわけでございます。

 御承知のように、安倍内閣の基本方針は対話と圧力。ただこれは、対話を引き出すための圧力でございまして、歴史的に見ても、歴史の教訓で、この圧力が効果があるということは論をまたない、委員はよく御存じのことだというふうに思います。

 私たちは、基本的に、全ての拉致被害者を取り戻す、そして原因の究明、実行犯の引き渡し、この三点に向けて、これからもまなじりを決して取り組んでいきたいと思いますし、また、政府の本部におきましても、対策本部は全閣僚をメンバーにしたりとか、あるいは、政府始まって以来だと思いますけれども、政府・与野党拉致問題対策機関連絡協議会という、野党の議員の皆さんも、拉致問題で解決していただける組織がある政党については入っていただいております。まさしくオール・ジャパンで取り組んでいる。こういったことが北朝鮮に対する強いメッセージにつながっていると思います。

 しっかり頑張って、この完全解決に向けて、私も担当大臣としての職務を全うしてまいりたいというふうに思っております。

細田(健)委員 ありがとうございました。非常に力強いお言葉をいただいたと思います。

 私も、安倍内閣でこの問題を必ず解決するという力強いお言葉、また、古屋大臣御自身が最後の拉致担当大臣になるんだという基本方針を支持いたしますし、また、この場に与野党全ての政党の方がいらっしゃいますが、全ての政党がこの方針を支持するものと信じております。大臣、本当にいろいろと御心労があろうかと思いますが、ぜひ頑張り抜いていただきたいというふうに思います。

 それでは、早速各論に移らせていただきますが、まず日朝の非公式協議についてでございます。

 これは、最近さまざまな報道がなされております。当然、相手方がある問題でもありますし、また、答えられないことは答えられないということでしょうから、あえて中身は詳細には詰めませんが、ただ、当方の要求をこの際明確にしておくということは意味があるのではないかというふうに考えております。

 この観点から、日朝の非公式の協議においては、拉致問題は解決済みだという先方の言いぶり、これを当然撤回してもらわなければなりませんし、また、当然、拉致の再調査というものを求めなければならないんですが、ここで、拉致の再調査を行う場合に、再調査を行った、結果が出た、はい、わかりましたということでなく、これは、再調査を要求する場合は必ず、日本側が結果について検証可能である、検証がきちんと行えるような仕組みづくりをする、あるいはそういう約束を求めておく、これが非常に大切だというふうに考えております。

 この点について、まず政府の考え方をお答えいただきたいと思います。

下川政府参考人 お答え申し上げます。

 日朝政府間協議における議論の中身につきましては、先生もおっしゃったとおり、外交上のやりとりであり、今後も協議を継続することについて一致しているところでございますので、今後の協議の方針に向けて具体的に紹介することは差し控えさせていただきたいと思いますが、我が国といたしましては、引き続き、全ての拉致被害者の安全確保と即時帰国、拉致に関する真相究明、拉致実行犯の引き渡しの実現のためにあらゆる努力をしていく考えでございます。

 以上申し上げた上で、事実関係として申し上げれば、二〇〇八年八月の日朝実務者協議においては、権限が与えられた北朝鮮側の調査委員会が再調査を実施することにつきまして合意いたしまして、我が方としても、調査の進捗状況について随時通報を受けて協議するとともに、調査結果を直接確認できる仕組みを確保いたしました。これは、我が国の主権が及ばない地域で行われる調査について、北朝鮮側が行う調査を我が方としてしっかり確認できる形とすることが調査の実効性を確保する上で適切であるとの考えによるものでございます。

細田(健)委員 ありがとうございました。本当に大変な交渉だと思いますが、ぜひぜひ頑張っていただきたいと思います。ある意味、日本の外交力が問われている試金石でありますので、本当に現場の担当の方は大変だと思いますが、ぜひ頑張っていただきたいと思います。

 それでは次に、先ほどお話がありました佐渡視察に私も参加をさせていただきました。日ごろ、私の選挙区でもありますので、佐渡をいろいろとうろうろさせていただいているんですが、いわゆる拉致の現場という視点から見る経験というのは初めてでありまして、その意味ではいろいろな気づきがございました。

 いろいろ考えるところがあったんですが、一つは、曽我さんのいわゆる拉致された現場と言われている場所を見て、これは私の個人的な心証ではありますが、どうも現場の土地カンがある人間がやはり手伝ったということじゃないかなというふうに感じられました。

 また、先般出ました国連の調査委員会の報告書、これは日本人の拉致問題についてさまざまな記述がございますが、これも、現場で拉致を幇助した者がいるということを示唆した表現というのがございます。これは、実行犯が海を越えてやってくるということがあるんでしょうけれども、こういうことを考えますと、やはり実際に現場で幇助した人間が実行犯以外にいるのではないかということが非常に強く強く推定をされるわけでございます。

 この点について、捜査がどう行われているかということを確認したいんですが、拉致を幇助した疑いのある者についての国内の捜査は行われているのか、また、捜査を行っているとすれば、これは概数で構わないんですが、何件ぐらいの捜査を行っているかということについて御答弁ください。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 拉致容疑事案等の幇助に当たるかどうかの判断につきましては、事案の内容や事案ごとの関係者の対応等によるものでありまして、正犯、幇助犯のいずれに当たるかなどを含めまして、事実関係を解明した上で行う必要があるところでございます。

 警察におきましては、拉致容疑事案等の全容解明に向けて、国内に幇助犯が存在する可能性があることも含めまして、あらゆる可能性を視野に、関連情報の収集、捜査、調査に全力を挙げて取り組んでいるところであります。

 そういうことで、件数につきまして明確にお答えすることは困難でございますけれども、警察としましては、拉致容疑事案として判断している十三件十九名のほか、拉致の可能性を排除できない行方不明者八百六十名の全ての事案について、幇助犯の存在も念頭に、あらゆる可能性を視野に入れて、現在、鋭意捜査、調査をしているところでございます。

細田(健)委員 ありがとうございました。

 年数がたっているということもあるので、なかなか難しいというのは理解できないわけでもないんですが、ただ、やや気になっているのは、幇助犯について起訴に至った事案はないということだと思います。これはなぜ起訴に至った事案はないんでしょうか。恐らく、日本国内の捜査ですので、より捜査もやりやすいのではないかと素人ながら考えるんですが、この理由についてぜひお答えいただければと思います。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、幇助した疑いのある者について起訴に至った事案はございません。

 理由等でありますけれども、現時点におきましては、逮捕状の発付を得ている被疑者八件十一名以外につきましては、必要な証拠等を積み上げるに至っていないということでございます。

細田(健)委員 ありがとうございました。

 いろいろな限界はあると思いますが、本当にぜひ頑張って捜査をしていただきたいというふうに思います。余り警察の足を引っ張るつもりはございませんので、きょうはここまでにしておきますが、本当にぜひ頑張って捜査をしていただきたいというふうに考えております。

 それでは次に行きますが、先ほどお話がございました、先般、曽我ひとみさんに佐渡の視察時にお目にかかることができました。私も地元で佐渡に寄りますと、例えば夏祭りで曽我さんがお嬢さんと一緒に署名活動をしている現場にたまたま出くわしたりするんです。そのとき、先ほど委員長からの報告もありましたが、曽我さんのお話で印象的なことが幾つかあったんですけれども、特に、今は仕事をしている、御主人のジェンキンスさんも、あるいは二人のお嬢さんも今は仕事をしているからいいんだけれども、自分と夫が年老いたときの生活がやはり不安だというお話がございまして、これは当然のことだと思います。

 そこで、今の支援法の枠組みについてお伺いをしたいんですが、拉致被害者の年金給付あるいはリタイア後の生活保障について、今の仕組み、支援法等々の枠組みを前提にすれば、一般的にどういうものになるのかについてお伺いしたいと思います。

片山政府参考人 お答え申し上げます。

 拉致被害者の方々につきましては、北朝鮮による拉致という、平時においての国家的犯罪により国外に居住することを余儀なくされたという極めて特殊な事情がございまして、年金制度に加入できなかったという状況にございます。

 こうした状況を踏まえまして、帰国した拉致被害者の方が拉致されていた期間を国民年金の被保険者期間とみなすこと、その間の年金保険料に相当する費用は国が負担し、保険料が納付されたものとみなすことという特例措置を拉致被害者の方が御帰国されたときから講じているところでございます。これらの措置によりまして、拉致被害者の方が拉致されていた二十数年間の期間につきましては、基礎年金の全額が保障されているところでございます。

細田(健)委員 ありがとうございました。

 それでは、ジェンキンスさんについては、いわゆる拉致被害者の配偶者についてはどういう形になるでしょうか。

片山政府参考人 お答えいたします。

 拉致被害者の外国人配偶者の方につきましては、被害者本人と同様の国民年金の特例は設けられておらず、一般の外国人の方と同様の取り扱いとなっております。しかしながら、現行の拉致被害者等給付金につきましては、拉致被害者等の帰国後の自立支援、生活再建支援を図るため、外国人配偶者についてもその対象としているところでございます。

 こうした状況を踏まえまして、先日公表いたしました「拉致被害者等への今後の支援策の在り方」の論点整理におきましては、今後、新たな老後の支援策として、老後の所得を補完する給付金制度を恒久的に設けることについて提言しておりますけれども、その新たな給付金制度におきましては、老後の生活支援という趣旨から、北朝鮮へ拉致されていた期間中、労苦をともにしていた外国人配偶者に対しましても、被害者本人と同様の支援措置を設けること等につきまして検討を行う必要があるというふうに考えているところでございます。

細田(健)委員 ありがとうございました。

 私も、今お話がありましたとおり、支援法による給付金、これは永住意思を表明されてから十年間で打ち切られるということで、今後、既に帰国された被害者の方の、経過年数がたち、さらに高齢化が進むということで、新しい支援の枠組みを十分に議論また検討すべきであると思います。

 この点については、支援法がもともと議員立法で制定されたという経緯がございまして、我が党でまた検討のためのワーキンググループがつくられるというふうに承っておりますので、ぜひまた諸先輩方の御指導をいただきつつ、私もこの議論に参加をさせていただきたいというふうに考えております。

 次に、先ほど、佐渡の視察で、特定失踪者大澤さんの御家族からお話をお伺いする機会がございました。実は、御家族も私の選挙区、新潟二区に住んでおられまして、私もたびたびお話をお伺いする機会があるんです。特にお兄さんからお話をお伺いするんですけれども、弟さんへの本当に痛切な思いというのを感じまして、非常にいたたまれない思いになります。

 御存じのとおり、特定失踪者というのは、政府の拉致認定を受けておられません。ただ、特定失踪者の中でも拉致の疑いが濃厚とされた事案がありまして、特に大澤さんのお話なんかを聞いていますと、政府から認定を受けていないんだけれども、政府からの情報提供あるいは政府との意思疎通はとにかくしっかりやってほしい、あるいは情報をしっかり聞きたいという要望を強くお伺いします。

 この点について、特定失踪者家族への情報提供あるいは家族からの意見聴取等々については、その体制を含めてどういう形で行われているのか、特に、拉致の疑いが濃厚とされている被害者の家族の方に対して政府から十分な情報提供や意見交換が行われているかどうかということについて、まず事務方からお答えいただければと思います。

片山政府参考人 お答え申し上げます。

 政府といたしましては、拉致被害者としての認定の有無にかかわらず、全ての拉致被害者の安全確保と即時帰国に全力を尽くす方針でございまして、その具体的な施策の一つとして、拉致被害者御家族等へのきめ細やかな対応を行っているところでございます。

 具体的には、特定失踪者の方を含む拉致の可能性を排除できない失踪者の御家族からの御相談、御要望に対して、拉致問題対策本部事務局におきまして丁寧な対応を行っているほか、拉致問題担当大臣におきましても、可能な限り御家族との面談を行い、お話をお伺いしているところでございます。

 また、特定失踪者問題調査会を通じて、あるいは希望される御家族に対しては直接、政府の拉致問題に関する取り組み等について情報提供を行っており、昨年は十三回、計五十四件の情報を提供いたしたところでございます。

 今後とも、政府としては、拉致の可能性を排除できない失踪者の御家族からの御相談、御要望に対しては誠意を持って御対応するとともに、引き続き、これら御家族に対して政府の取り組み等についての情報を提供するなど、きめ細かな対応を行ってまいりたいと考えております。

細田(健)委員 ありがとうございました。

 最後に、この点について古屋大臣にお伺いしたいと思います。

 特定失踪者の御家族の方は、ある意味、本当につらい立場に置かれているというふうに認識しております。政府からの認定がない。十分やっていただいているとは思いますが、どうしてもやや疑心暗鬼になるようなところもございまして、これは本当に、大臣の強いリーダーシップで、特定失踪者、特に拉致の疑いが濃厚と言われている特定失踪者の家族の方に対しては、十分な情報提供と、また政府との意見交換を行っていただくように、ぜひ大臣からのコメントをお願いしたいと思いますが、よろしくお願いします。

古屋国務大臣 拉致の疑いを払拭できない事案は、八百六十件、警察でも把握をいたしておりまして、実は、去年の春先に、私の指示で警察庁の外事課に特別指導班というものをつくりまして、都道府県警察に対して、それぞれ独自でやっておりましたが、全部指導体制を強化しました。

 もう一つは、御家族の御了解をいただいてDNA型鑑定資料の採取をさせていただいたり、あるいはホームページで情報提供、これは統一フォームで非常に見やすくなっておりまして、こういった措置を講じております。

 現に、こういったウエブ情報を公開したことによって、具体的な中身は言えませんけれども、かなり情報が来ています。結果として、それでたまたま見つかったとか、あるいはある事件に巻き込まれていて国内で見つかったとか、そういったようなことも判明しておりますので、ある意味で効果があったのかなというふうに思っております。今後ともこういったきめ細かな対応は必要でございますので、取り組みをさせていただきたいと思います。

 それからあと、いわゆる特定失踪者、我々が拉致の疑いを払拭できない事案、この御家族の方とも私は積極的にお目にかかって御意見を伺っておりまして、現在まで、大体三十家族、三十二名、八回お伺いして、もちろん、現場を視察したときには、そういった御家族の方とも、今お話が出ました大澤さんの御親族の方とも会っております。こういった拉致の疑いを払拭できない事案についても、これからも引き続ききめ細かな対応をしていきたいというふうに思っております。

細田(健)委員 ありがとうございました。

 岸田大臣にはお話をお伺いする機会がなくて申しわけなかったんですが、両大臣の力強いリーダーシップで引き続き本問題の解決に向けて頑張っていただくよう心からエールを送りたいと思います。

 ありがとうございました。

山本委員長 次に、上田勇君。

上田委員 公明党の上田勇でございます。

 きょうは、この拉致特別委員会におきまして質問させていただく機会、大変にありがとうございます。

 北朝鮮によります拉致問題は、この約十年間、なかなか大きな進展が見られないまま推移をしてきましたけれども、ことしに入って日朝交渉に幾つか重要な進展が見られているということが報告されております。

 そこで、今の現状及び見通しについてお伺いをしたいというふうに思いますが、もちろん、これはさまざまな交渉事でありますし、詳しく公開できない部分があろうかというふうに思いますけれども、その中でもどういう感触を得られているのか、そういったところをお伺いしたいというふうに思います。

 また、ちょっとこれは先ほどの細田委員とも繰り返しになりますけれども、安倍総理そして古屋大臣を初め関係閣僚は、再三にわたりまして、この安倍内閣で拉致問題を解決するという強い意思を表明されておりますけれども、代表して古屋大臣に、再度その決意を御確認させていただきたいというふうに思います。

古屋国務大臣 先ほども若干触れさせていただきましたが、やはりこの拉致問題というのは、本人の意思に関係なく国家の意思によって強制的に日本国民を連れ去る行為でありまして、許しがたい行為でございますので、私は、ある意味でテロにも等しいというふうにいつも言っておりますが、しっかり、国家として、日本国政府として、まなじりを決して拉致された日本人を取り戻す。

 そのために、我々政府は八つの基本方針を掲げておりますが、特に八番目に、その他あらゆる手段を尽くしてこの問題を解決していくということをはっきりうたっております。そのあらゆる手段というのは、外交チャンネルを通じてやることももちろん、インテリジェンスももちろん入っております。

 そういう意味で、今委員からも御指摘があったように、この問題解決のために、政府を挙げて、世界各国が連携をして、また、世界各国、国連の関係者を初め皆さんにも御要請をしながら、この問題を解決していきたいというふうに思っております。

 環境は整いつつあると思いますね。今お話があったように、日朝協議が三月三十、三十一日に始まりました。中身についてここで具体的に言及することはできませんけれども、そういう大きな変化、動きつつあるということも事実だというふうに思っておりまして、総理がいつもおっしゃるように、変化をしっかり見ながら、その変化を的確に捉えて拉致問題解決につなげていきたいというふうに思っています。

下川政府参考人 日朝政府間協議に関してでございますけれども、今回の日朝政府間協議は、二〇一二年十一月の第一回協議から引き続いて一年四カ月ぶりということで開催されたということでございますけれども、その中で、双方が関心を有する幅広い諸懸案について真摯かつ率直な議論を行うことができたわけでございます。そういった中で、拉致問題につきましては、これまでの協議の議論を踏まえながら、日本側の基本的な考え方について問題提起をすることができたところでございます。

 そのほかにもいろいろな問題が取り上げられたわけでございますけれども、双方とも、今後とも協議を続けていくということについて一致しておりますので、今後、引き続き協議のタイミングなどを調整していくということになっているところでございます。

 そういった枠組みがございますので、まさに対話と圧力という一貫した方針のもとで、日朝平壌宣言に基づきまして、拉致、核、ミサイル、日朝間の諸懸案が包括的に解決できるように、粘り強く交渉していきたいというふうに考えているところでございます。

上田委員 ありがとうございます。

 今、古屋大臣からも、環境は整いつつあるという答弁もございましたし、また、解決に向けての非常に力強い御決意も聞かせていただいたところでございます。長年膠着した状態が続いているわけですけれども、ぜひこれは、結果をもって前進できるように、また御努力をお願いしたいというふうにお願いを申し上げます。

 次に、きょうは冒頭、山本委員長の方からも御報告がございましたけれども、四月の二十一日、当委員会で新潟県佐渡市の現地調査を実施いたしました。

 先ほども質問の中に出てきましたけれども、曽我ひとみさんからもさまざま御意見も伺ったところでございます。大変遠慮深い方で、今の政府あるいは自治体の支援措置に大変感謝をしているというような言葉ばかりでございまして、要望というよりも、そういう感謝の言葉の方が多かったことにむしろ感動を覚えたわけでありますけれども、同時に、やはり一番気がかりなことというときのお話に、お母様のミヨシさんの安否についてわからないことが本当に一番気がかりだというお話、これを伺ったときには本当に胸が痛む思いでございました。

 そうした曽我さんのお話の中で、これも先ほどちょっとお話があったんですけれども、やはり夫のジェンキンスさんが非常に高齢であるということ、今後、医療や介護への心配がある、特に、ジェンキンスさんは日本語での意思疎通がなかなか困難であるということから、いわば家族にも負担が来る可能性もあるのではないか、また、御自身も、また家族の方も、今は元気に働いているんだけれども、御自分が定年退職後には生活費の面でも不安があるというようなお話もございました。ほかの拉致被害者の方も、多分、国内での生活基盤が非常に長い間失われていたわけであります、貯蓄といってもできなかったわけでありますから、同じような御懸念があるんだろうというふうに思われます。

 また、曽我さんにこちらから御質問させていただいたのに対して、二人のお嬢様が日本で生活した経験がなかったので、しかも、帰国したのが大きくなってからであったということから、帰国後に日本語の習得に苦労しているというようなこと、あるいは、日本の社会制度や慣習は北朝鮮とは全然違うわけでありますから、それを理解し、なじむのに苦労しているというふうなお話もございました。

 今後、ほかの被害者が帰国をする場合に、日本で生活経験のない家族が御一緒というケースというのも多いんじゃないかというふうに思われます。こうしたことについても十分な支援策が必要であろうというふうに受けとめました。

 先ほど大臣からもお話があったとおり、被害者の方々は北朝鮮の国家的な犯罪の被害者でありまして、本人や家族にはもう全く責任がないわけでございます。むしろ、国民の安全を保護できなかった政府こそ反省すべき点があるんだろうというふうに思います。したがって、帰国者、家族が安心して生活できるようにするということは、国としての重大な責務だというふうに考えております。

 現在、被害者支援法のあり方について、政府の関係省庁間で論点の整理が行われ、検討がされているというふうに承知をしております。同法を改正し、先ほど提起をされました日本語の習得や、制度や慣習への理解、また、就職等も含めた帰国者、家族の生活支援をさらに充実させる必要があるというふうに考えておりますけれども、政府としての御見解を伺えればというふうに思います。

古屋国務大臣 委員御指摘のように、我々は支援法に基づいて御帰国をされた被害者の皆さんへの支援をしておりますが、まず、二十六年度で十年の期限が切れるということがあります。それからもう一つは、やはり長期間拉致されておりましたので、ストックが不十分であるという問題。それから、今後は、新たな拉致被害者が御帰国をされることも想定をしておかなければいけない。

 こういったことがございますので、ちょうど十年の見直しの機会に、今、関係省庁の事務局に議論をしていただいておりまして、そのプロジェクトチームを今精力的に動かしております。全体の流れとしては、大体七月までに検討を終えて、八月の概算要求には反映させていきたいなと。そして、来年には、法制化が仮に必要な部分については、その法制化の手当てもしていく。こういう流れで考えております。

 論点整理としては、まず一番目が、現在の給付金の扱いをどうしていくかという問題、それから二つ目は、新たな老後の支援策をどういうふうに考えていくかという問題、それから三つ目は、新たな拉致被害者が帰国された場合の政策をどうしていくかということについて、あらゆる角度から今研究を進めさせていただいておりまして、詳細については先ほども片山審議官から答弁いたしましたけれども、詳細がもし必要だということであるならば答弁をさせます。

 まず、現在の給付金については、例えば、大都市に居住する場合と地方に居住する場合はやはり条件が変わりますし、それから、帰国当初より子供が別世帯を構成しているということも想定していかなきゃいけないのではないかというようなことがある。あるいは、新たな老後の支援策としては、定年退職後の住居はめどが立っているのかとか、高齢で日本語が不自由な方への支援措置、これは今、ジェンキンスさんのお話もございましたけれども、こういったようなことも考えていかなきゃいけない。

 今後また新たな被害者が帰国をされた場合に向けた政策では、六十五歳以上で御帰国をされた場合はどうするかとか、本人のみが帰国する場合とか、御家族もいる場合とか、いろいろな場合が想定される。こういったあらゆるシミュレーションを考えながら、我々は、この支援策のあり方について精力的に議論して取りまとめをしていきたいというふうに思っております。その際には被害者の皆さんの御意見も十分にお聞きしながら対応していくということは、申し上げるまでもないことであります。

上田委員 ありがとうございます。

 先日、事務局の方から論点のメモもいただきまして、かなり広範に御検討いただいているということは理解をしております。特に、被害者の方々はもちろんのことでありますけれども、これから家族が同行して帰国をされるというケースが多くなるんじゃないかというふうに思いますので、その点もこれからまたよく御検討いただければ。ぜひ手厚い支援策をお願いしたいというふうに思います。

 もう一点、先日の現地調査におきまして、特定失踪者の大澤孝司さんのお兄様であります大澤昭一さんと、支援をされている代表の方々とも面談をさせていただきました。

 その際、以前に元担当大臣から、大澤さんの事案というのが、とりわけ拉致の疑惑が濃厚である、そういうケースの一つであるというふうな趣旨の発言があったと言われておりました。それが非常に力強く感じられているということでありましたので、そのことはいいんだというふうに思うんですが、そして、確かに私たちも、この事案についていろいろと説明を受け、また現場なども視察をさせていただいて、当日の足取りなどを検証すると、やはりこれは拉致の被害者であるという疑惑が本当に濃厚だな、そういう心証も得ております。

 ただ、特定失踪者というのは非常に数が多い中で、特に元大臣がそういう判断を述べられたということは、どういう根拠に基づくのか。また、当然、そういうお立場の方の発言でありますから、何らかの根拠があるというふうに推察をされるんですけれども、その辺の根拠というのはどうなのか。

 そしてまた、特定失踪者調査会においても拉致濃厚という認定をしている、いわゆる千番台リストと言われている人たちとの関係といったものはどういうふうに捉えられているのか。大澤さんもこのリストの中に載せられているわけでありますけれども、その辺の関係性についても御説明をいただければというふうに思います。

古屋国務大臣 今、まず一点、松原元大臣から大澤孝司さんのことについての言及があったということなんですけれども、元大臣の発言は、多分、個人的な発言、個人的な立場での見解であろうと。今の政府としてそれに対していろいろお答えをする立場にはないということはひとつ御理解をいただきたいというふうに思います。

 また、その上で、政府は十七名認定しておりますけれども、それ以外にも、先ほど申し上げましたけれども、八百六十名に及ぶ拉致の可能性を排除できない事案がございまして、既に警察庁の中に特別指導班を設けて、そして、警察だけではなくて海保等々の機関とも緊密に連携をして、この排除できない事案に係る捜査とか調査を実施させていただいております。

 ホームページに掲載をしたりしておりまして、相当具体的な情報も国民の皆さんから得られている。ただ、中身については、ひとつ、捜査上の問題でございますので、それをここで言及させていただくことは控えさせていただきたいというふうに思いますが、あらゆる手段を通じて捜査、調査を引き続き推進してまいりたいというふうに考えております。

上田委員 ありがとうございます。

 こうした拉致の疑いが排除できない人たち、特定失踪者の方々についても、今、非常に丁寧に臨んでいただいているということでございました。ぜひ、丁寧かつ、また、新しい情報も適宜お伝えをしていただきたいというふうに思いますし、その上で、先ほども大臣からありましたとおり、認定の有無にかかわらず、全容解明そして救出に政府として全力を挙げて、そういう方針で臨んでいただきたいということをお願いいたしたいというふうに思います。

 最後になりますけれども、もう一つ、北朝鮮に残された日本人についての問題がございます。在日朝鮮人帰還事業による渡航者の問題についてでございます。

 先般、古屋大臣主催のレセプションの席上でも御家族の方々とお会いをいたしまして、やはり忘れてはならない事案だということを改めて感じたところでございます。帰還事業は、一九五九年から八四年までの間、八千人以上の日本国籍保持者、主に在日韓国・朝鮮人の方の妻や子ということでありますけれども、北朝鮮に渡ったと言われております。

 その後、連絡も途絶えて、安否の確認すらできていない。本人の意思に基づいて渡航したということではありますけれども、ただ、誤った情報が提供されたということもあって、北朝鮮の現実について十分な認識がなかったと思われます。結果的には、政府もある意味では間接的に推奨したというような面もありますし、また、マスメディアも含めて世論も後押しをした、そういった責任もあるんじゃないかというふうに思います。

 年月もたってなかなか難しいことでありますけれども、こうした日本人渡航者の全容、また、それらの帰国に対する支援についてもぜひ積極的に取り組んでいただきたいというふうに思いますけれども、政府の御見解を伺えればというふうに思います。

    〔委員長退席、中山(泰)委員長代理着席〕

下川政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま提起のございました日本人配偶者の問題でございますけれども、現時点での具体的な状況について政府として把握することは極めて困難な状況にあるのが事実でございます。

 他方で、日本人配偶者の問題につきましては、政府としましても、実施した安否調査要請、それから故郷訪問などを踏まえまして、二〇一二年の日朝政府間協議の場を含めて北朝鮮側に提起してきたところでございます。

 そういった経緯も踏まえまして、本年三月末の日朝政府間協議におきましても、日本側から、日本人にかかわる他の諸問題とあわせまして、日本人配偶者の問題についてもこれまでの協議に引き続いて提起いたしまして、北朝鮮側との間でさらなる議論を行っているところでございます。

 現時点で次回の協議の日程について具体的な見通しがあるわけではございませんけれども、この日本人妻の問題も含めて、引き続き、諸懸案の解決に向けて、北朝鮮側の前向きな行動を引き出すべく粘り強く要望していく考えでございます。

上田委員 時間が参りましたのでこれで終わらせていただきますが、ぜひまた政府としても全力を挙げて取り組んでいただきますようお願いを申し上げます。

 以上でございます。

中山(泰)委員長代理 次に、鷲尾英一郎君。

鷲尾委員 民主党の鷲尾でございます。

 ようやく両大臣を迎えての拉致対策特別委員会でございます。両大臣におかれましては、きょうでしょうか、閣僚として就任されてからちょうど五百日をお迎えになられたと聞いてございますけれども、初めての拉致特での質疑になろうかと思います。所信表明はなされていますが、質疑は初めてなんです。私は何度も開きたいと思っておりましたが、なかなか開けなかったですね。

 昨年は参考人質疑のみだったんです。両大臣に来ていただいて、実際に質問するという機会はなかったんです。私は、これはとても残念に思っておりますし、去年は去年で、それこそ、小泉元総理の秘書官の飯島さんが訪朝したり、あるいは朝鮮総連の本部の競売にまつわるさまざまな問題があったり、また、古屋大臣もモンゴルに行っておられたり、大変いろいろな拉致にまつわるであろう物事がたくさん起こったにもかかわらず、当委員会で質問できなかった、これは大変残念なことであるというふうに私は思っていますし、こうして、きょう、両大臣に質問できるわけですから、そういう意味では大変ありがたいなというふうに思っております。

 ぜひ、古屋大臣、岸田大臣、国会はいつでも待っていますので、積極的に当委員会に御出席いただいて、答弁をお願いしたいというふうに思っておるところであります。

 それで、次に申し上げたいのが、冒頭、委員長から視察報告がございましたけれども、佐渡で改めて感じたのは、今いろいろ大変な思いを抱えていらっしゃるなという中でも、やはり曽我さんがまず第一におっしゃっておられたのは、これは上田委員もおっしゃっていましたけれども、お母さんに対する思い、これをまずおっしゃっておられました。

 そして、時々口ごもるんですね、曽我さんは。やはり言葉を選ばれて話されているなと。要するに、我々視察団に対して、今全てのことをあからさまに話をすることはできないなという雰囲気を如実に感じ取ることができました。恐らくは、今北朝鮮でとらわれの身となっているであろう人たちのことも、もちろんお母様を初めとして、思っておられるのかなとも思いました。

 そういう悲痛な思いを我々はやはり真摯に受けとめなければいけないと思いましたし、曽我さんの発言の中で、自分は帰国を本当に諦めそうになったということも何度もある、しかし、そのたびに、自分は日本人だという思いを奮い起こして、何とか生きてさえいれば帰るチャンスがあるだろう、何とか生き抜こうという思いでおられたということです。そういう悲痛な思いを我々現場でじかに伺いますと、今とらわれの身になっている人たちをやはり絶対に取り返さなければいけないという思いを新たにすることができました。

 大変貴重な視察になりまして、委員長初め理事各位には御配慮いただいたことも改めて感謝を申し上げたいというふうに思います。

 あわせて、ちょっと特定失踪者の話から少し始めたいなと思いますけれども、大澤昭一さんに去年もこの拉致対策特別委員会の参考人質疑にお見えいただいて、さまざまな思いを伺いましたけれども、基本的には、自分たちは非常に取り残された、孤独感を感じるということです。つまり、拉致認定されずにいることの立場としての曖昧さ、本当に自分の家族というのは拉致されたのかどうなのかというところが不安でしようがない。そこで、先ほどの、大臣からも答弁がありましたけれども、松原元大臣からの発言ですね、大変拉致の可能性が濃厚だ、そういう発言に大変思いを強くしたというところでございます。

 それで、私、最初の質問に移らせていただきたいと思うのは、特定失踪者の捜査状況、数字的なことも含めて、特定失踪者としてリストアップされた人の中のうち、もちろん通常の行方不明者として日本で元気におられるという形でわかった方々もいらっしゃると聞いております。しかし、やはり依然としてその可能性が高いであろうという、しかし、決定的な証拠がないがゆえに拉致として認定するのはいまだならぬ、そういうさまざまなケースがあろうかと思います。

 そこで、特定失踪者の捜査状況について、今どんな状況かということを承りながら、一般的にその濃淡があるのかどうかというところについてもコメントをいただきたいと思います。

古屋国務大臣 鷲尾委員とは、党派は違いますけれども、拉致議連でも長年にわたって一緒にこの拉致問題に取り組んできた仲ですね。ワシントンにも一緒に何度か訪問させていただいたこともございますし、御党にも拉致対策本部がございますので、ぜひ、引き続きしっかりお力添えをお願いしたいと思います。

 また、今回、初めての両大臣が入っている答弁だということでございますけれども、我々大臣は、立法府の要請があれば、いつでも答弁に参上する用意はございますので、ぜひ、その辺は立法府においてしっかり御調整をいただければというふうに思います。

 まず、いわゆる特定失踪者ですね、我々は、拉致の疑いを払拭できない事案ということを言っておりますけれども。大切なことは、我々政府の基本方針は、政府認定の有無にかかわらず、全ての拉致被害者を取り戻す、こういうことでありますから、政府認定であろうがなかろうが、そのスタンスに差はないというのが私たちの政府の基本的なスタンスでございます。

 昨年、これは予算委員会で私も答弁をさせていただいておりますが、実は当初、特定失踪者問題調査会、荒木さんが会長ですけれども、ここでも政府認定をしてほしいという御要請が多く来ておりましたが、あくまでも、こういう答弁をしているんですね。法律上は、帰ってきた後いろいろな支援をしましょうという仕切りになっているのがいわゆる政府認定の拉致被害者のステータスというかスタンスですね。ですから、荒木会長も最近は方針を変えられて、政府認定ということにはこだわりません、むしろ、本当に帰せというところにベクトルを置くんですよ。私は、それはすごく賢明な判断だと思います。そのために、私たちは政府認定の有無ということをはっきり政府方針として明記をさせていただいたんです。これが結果として北朝鮮に対するプレッシャーになるというような答弁をさせていただいているんです。

 いずれにしても、我々は、政府認定の有無にかかわらず、全ての拉致被害者を取り戻す、そして、そのために、では、それは一体どれだけのオーダーなんだということになりますと、我々は、最大限で八百六十人ということを言っている。これはもう何度も答弁しておりますように、警察庁の中に指導班をつくって、各県警本部にも詳細なチェックとともに指導もさせていただいておりますし、ホームページにも公表させていただいて、いろいろな情報をとらせていただいております。

 今後とも、しっかり、そういった情報をもとに、また、そういったいわゆる特定失踪者の御家族の皆さんにも私も頻繁にお目にかかって実情をお話しさせていただいております。あくまでも、拉致をしたのは北朝鮮でございますから、北朝鮮にもうボールがあるわけでありまして、そのあるボールをしっかり我々に全て返しなさい、こういうのが私たちの基本的な考え方であるということを申し上げたいと思います。

鷲尾委員 大臣がそれこそ熱心にこの問題に取り組んでおられるのは、私もよく存じているつもりであります。であるがゆえにお聞きしたいわけですね。

 特定失踪者は八百六十人とおっしゃいますが、その中で、それこそ捜査の中でさまざまな捜査の現場の心証がございますでしょう。大臣御自身も、もしかしたらこれは拉致されている可能性が高いんじゃないかなと思われる事案もあろうかと思うんです。一般的に言って、そこには恐らく捜査の過程でいろいろな発見があるでしょうから、濃淡はあると思うんですよ。可能性が高いんじゃないかな、低いんじゃないかなという濃淡は一般的にはあるんじゃないですか。

 大臣、そこです。一般的に、どうでしょうか、濃淡はあるやなしや。

古屋国務大臣 濃淡があるかないかというのは、これは私が、そうです、そうではないですとここでお答えするのは余り適切ではないというふうに思います。

 だからこそ、私たちは、政府認定の有無にかかわらず、全ての拉致被害者を取り戻す。だから、最大限で何人かといったら、八百六十人であるということであります。

 しかし、当初、私が就任したときには八百六十八人でございました。その後、そうやってウエブ上にいろいろな情報を公開する中で、新たな情報が入ってきて、たまたまほかの地域で見つかったり、あるいは、ある漁船の漁網に巻きつけられて、その漁網が別のところに転売をされていて、そして、その漁網を分解していったら、中から御遺骨が出てきたということもございました。

 だから、こういったものも全て情報の中で判明をしていることでございまして、私たちは、そういうきめ細かな調査をしていくということが極めて大事だというふうに思っております。

鷲尾委員 きめ細かな調査をしておればおるほど、その中で新たに判明するものもあれば、また、これはちょっともしかしたら拉致かもしれないな、ただ、それは認定はできないんですよ。先ほど大臣がおっしゃったとおり、そういったステータスは与えられない。

 しかし、捜査の過程において、そういう濃淡があるなという、一般的にですよ、そう思うことだってあるんじゃないですか、大臣。そこの話ですよ。一般的な話ですよ。個別具体的な話じゃなくて一般的にどうかという話です。

古屋国務大臣 これは、いずれにしても、濃淡があるでしょうというと個別論になるんですよね。それは、私、国家公安委員長という立場から、拉致問題担当大臣の立場から、そうですとも、そうでないですとも、これは、鷲尾委員、さすがにこの場で私がお答えするわけにはいきません。

 個別の事情でもございますので、それはお許しをいただきたいというふうに思います。

鷲尾委員 一般的に濃淡がありますと言ったから、では、濃の方は何ですかと聞くつもりはないんです、私は。そんなつもりはないですよ。

 そんな話をしたいわけじゃなくて、普通に、常識的に考えたら、捜査の過程でいろいろな心証を得れば、当然、ああ、これは可能性はあるな、これはちょっと低いかな、恐らく捜査の現場ではそういうものもあろうかと思いますし、そういった情報が国家公安委員長のもとには集まってくるんだろうと思います。恐らく、そういったことがあって、松原元大臣も、濃淡があって、大澤さんの事案についてはそういう発言をされたんだと思います。

 そういう濃淡があるならば、やはりそれなりのステータスということも考えたって、別に、政府の拉致認定以外にも、さっき言ったとおり、特定失踪者の皆さんというのは相当孤独感を感じているわけですから、それはやはり拉致担当大臣が、それこそ、政府認定の有無にかかわらず救出していきますよということをもう言下に表明されているわけですから、そういう人たちを勇気づける意味でも、そういった政治的判断があるべきだと私は思いますが、いかがですか。

古屋国務大臣 だからこそ、私は特定失踪者の皆様の御家族とも頻繁にお目にかかって状況をお話しさせていただいております。

 では、濃淡があるのかという問題につきましては、これはもう個別の事案に踏み込む話なんですよね。やはり個別の事案に踏み込む話を私がここで申し上げるわけにはいかないということは、これは恐らく鷲尾議員もよく御理解いただいていると思います。その上での御質問だというふうに思います。

 ですから、我々は、何度も申し上げるように、政府認定の有無にかかわらず、全ての拉致被害者を帰す、これが政府の大方針なんです。しっかりその考え方を堅持しつつ、徹底的な調査を進めていきたいというふうに思っています。

鷲尾委員 先ほどからずっと同じ話になってしまうので、私は、そういう濃淡に応じて何らかのステータスを特定失踪者の皆さんにも与えていくべきだというふうに思います。ぜひそれを検討していただきたいと思います。いかがですか。

古屋国務大臣 まず、被害者の御家族の皆さんに対する配慮、これは十二分にしていく必要がある、これは申し上げるまでもないこと。それは、政府認定であろうが政府認定でなかろうが、これは全く変わるところはありません。

 その上で、今委員が御指摘のあった、濃淡をつけるというようなことは、前の担当大臣、松原氏、先ほどもありましたけれども、準認定という趣旨のようなお話もございましたけれども、そういう趣旨で今恐らく御質問されているのかなと思います。

 では、実際に、準認定を仮にした場合に、そういう方々がもし発見をされた場合、これは、北朝鮮に対して、政府の認定制度自体が北朝鮮への反論の材料に使われるということもあり得るわけでありまして、だからこそ、我々は、今度の政権を担わせていただいたときに、いろいろ考えて、そして考え抜いた末で、政府認定の有無にかかわらず、全ての拉致被害者を取り戻すということを大方針にさせていただいた。

 そのことは、当然、政府認定ではない被害者、そして御家族の皆さんに十二分な配慮をして、また、しっかりそういった方々とも意見交換をさせていただいているということにつながっていることをぜひ御理解いただきたいと思います。

鷲尾委員 水かけ論になってしまうので、これ以上はちょっとやめたいと思いますが、せっかく外務大臣がお見えになっていますので、外務大臣にお聞きしたいというふうに思います。

 やはり北朝鮮の国内情勢、私もウオッチしているつもりでありますけれども、特に中国との関係ですね。張成沢氏が粛清された後の状況、また、日朝協議が再開された状況。

 私の記憶が確かならば、二〇〇八年に、それこそ私も古屋大臣と当時一緒にワシントンに行かせていただきましたけれども、アメリカが金融制裁を行い、かつ、テロ支援国家の指定を解除するという、あめとむちをうまく使いながら日朝協議が進展をすることになったと私は、その当時の状況からいくと、感じたものであります。

 それ以来、日朝協議が継続的になされているという状況は、これは好ましい状況ではあると思っておりますけれども、この間の北朝鮮国内の情勢の変化、特に中国との関係に絡めまして、大臣の御見識を伺いたいと思います。

岸田国務大臣 北朝鮮の内部情勢につきましては、対外的な影響も含めまして、絶えず大きな関心を持ち、注視をしていますが、まず、張成沢国防副委員長の粛清につきましては、さまざまな見方はありますが、少なくとも金正恩第一書記による権力掌握プロセスの一環であるという認識には立っています。

 そして、その粛清等が中朝関係にどういった影響があるかということにつきましては、確定的なものを私が申し上げることは難しいわけですが、少なくとも中国という国、経済問題も含めて、歴史的に北朝鮮と深い関係があり、国連の安保理の常任理事国であり、六者会合の議長国でもあります。大きな影響力を北朝鮮に持っていることは事実でありますので、この北朝鮮問題、今日までの推移の中で、中国が大きな影響力を持ち、そして中国に大きな役割を担ってもらわなければならない、これは日米の外相会談等においても一致をした見方であります。

 そして、今日、日朝政府間協議が再開されたということですが、その間につきましては、引き続き北朝鮮に対しましては、対北朝鮮措置ということで、人、金、物、こういったものが随分と細く絞られてきました。北朝鮮の厳しい経済環境を考えますと、これは一定の効果があるものと我々は認識をしています。そして、その上で、一年四カ月ぶりに対話が再開されたということであります。

 やはり、北朝鮮に対しては、従来から申し上げておりますように、対話と圧力の方針のもとに、日朝平壌宣言に基づいて、諸懸案を包括的に解決するという方針で臨んでおりますので、こうした圧力に加えて対話が加わることによって、ぜひ具体的な行動を北朝鮮から引き出したい、これが今回の対話の一年四カ月ぶりの再開の大変大きなポイントであると考えています。

 こういった一連の流れを踏まえて、今回、日朝政府間協議が再開されたということでありますので、ぜひ、政府としましては、粘り強く、そして具体的な行動を引き出すべく、全力で取り組んでいきたいと考えています。

鷲尾委員 大臣から、金正恩氏の権力掌握過程にある中で、さまざまな物事が起こっているという発言が今の御答弁の中でありました。

 いろいろな見方はあると思うんですけれども、別の見方もあると思うんです。というのは、やはり張成沢氏というのは特に北朝鮮の中における中国との窓口になっていたやに、それは実態は私も見たことがないのでわかりませんけれども、仄聞をいたしているところであります。そこが粛清されたということは、何らかの政治力学が働いているだろう。特に、金正恩氏の親族であるというところも私は重い事実だと思うんです。

 ですから、金正恩氏が独裁体制を固める上での権力掌握過程という見方もあれば、一方で、金正恩氏が率いる金一族の、逆にその影響力が低下していっているんじゃないか。むしろ、今回のオバマ大統領に対する人種差別発言もそうですけれども、あんなことを軽率に言ってしまうというのは、かなりいろいろな意味で対外強硬的な、例えば軍であるとか組織指導部あたりが、ひょっとしたら金一族に対する影響力を逆に強めているんじゃないかという見方も私はあると思います。ちょっと予断なく御判断をいただきたいというふうに思います。

 そこで、質問は、北朝鮮の国内情勢の情報収集体制というのは、今どうなっているんですか。

岸田国務大臣 北朝鮮に関する情報収集につきましては、平素から米国あるいは韓国、こういった関係国との連携を重視しながら情報交換を行っているわけですが、加えて、北朝鮮とは外交関係を持つ国が多数あります。北朝鮮に現時点で大使館等公館を持っている国があります。インドネシア等、こういった国々との間において我が国が情報交換をすることによって、そういったルートからも情報収集を行う。外交的にはそういった情報収集も行っております。

 加えて、我が国国内におきましても、関係省庁におきまして、緊密な連携を図りながら情報を収集することとあわせて、情報をしっかり分析をし、我が国の判断につなげていくというのが我が国の情報に関する体制であります。

鷲尾委員 少し具体的にお聞きしたいと思いますけれども、例えば、やはり中朝間のやりとりが、恐らく北朝鮮あるいは中国の何らかの情勢変化に応じて、何か力関係の変化が起こるとするならば、例えば国境線がありますよね、中朝間の国境線、これは如実にいろいろな影響が出てくると私は考えておりまして、日本と違って地続きですから、当然そうだと思うんですけれども、例えば脱北者の数、これはどんな数になっているのかなというふうに思うんです。ちょっと伺いたいなと思います。

下川政府参考人 お尋ねのありました脱北者の数でございますが、我が国としましては、中朝、南北、それから、ロシア、朝鮮関係を含め、北朝鮮の動向に関して重大な関心を持って平素から情報収集しておりますけれども、脱北者の数ということに関しましては、個別そしてその全体像をなかなか把握することが困難なところもございまして、全体として細かく説明することは差し控えさせていただきたいと思います。

 以上を申し上げた上で、韓国の統一部が出しております統計によりますれば、例えば二〇一一年に千九百十一人、二〇一二年に千九十八人、二〇一三年の暫定値として千百四十五名、こういったような数字が公表されているところでございます。

鷲尾委員 どうですか、古屋大臣、今の答弁を聞いて。

 やはり私は、もうちょっと詳細に、韓国の情報を言うんじゃなくて、情報を差し控えさせていただくと言ったけれども、本当に情報をとっているのかどうかというところを不安に思っているわけですよ。もっと敏感になってもらわなきゃいけないというふうに思うんですけれども、古屋大臣、どうでしょう。

古屋国務大臣 これは直接私が所管する話、国家公安委員会委員長という意味ではインテリジェンスも担当していますけれども、こういったインテリジェンスの関係については一切お答えできないというのが、これは今までもずっとそういう流れで来ておりますし、御党が政権にあられたときにもそういう御答弁をされていると思いますので、私からこの問題について、具体的に何人であるとかそういったことを答弁するのは差し控えさせていただきたいというふうに思います。

鷲尾委員 それでは、続いて、もう一つ具体的なものとして、北朝鮮と中国、ロシアとの経済関係、これがどうなっているか。できれば、ちょっと前の数字と今の数字を比べたいなというふうに思っているんですけれども、お願いします。

下川政府参考人 中朝間の経済関係についてお尋ねがございました。

 その全体像が明らかになっているわけではございませんけれども、やはり中朝間には密接な関係がございまして、中朝間の貿易は増加傾向にあるというふうに承知しております。

 具体的に申し上げれば、中国政府の発表によれば、中朝間の貿易は、二〇一一年が約五十六億二千九百万米ドル、二〇一二年が約六十億三千四百万米ドル、そして二〇一三年が約六十五億四千七百万米ドルというふうに承知しております。

鷲尾委員 もっとさかのぼれば、実はもっとふえているんですね。二〇〇二年からいくと十倍以上になっています、これはもう調べていただいたらわかるんですけれども。それぐらい貿易額がふえている状況の中で、しかも、これは中国側の公表数値ですから、恐らくは地下経済も、幾ら統制しているとはいえ、貧しい国ですから、相当あるんじゃないかと思うんです。

 そういったところも含めると、私は、今中国と北朝鮮の間でどういう変化があるか、そういうところをそういう数字を追いながらウオッチしてもらいたいというふうに思うし、地下経済の規模も含めて考えたときに、果たして我々がやっている経済制裁、もちろん、今経済制裁しか圧力を行使する手段は我々にはないですよ。人的交流の制限とか、さまざまその他もあるんだろうけれども、そういった、我々が経済制裁をやっている中で、実際、他国と北朝鮮との関係がどういった関係にあるのかということは冷静に捉えなきゃいけないというふうに思うんですけれども、外務大臣それから拉致担当大臣、どう思いますか。

岸田国務大臣 御質問は、地下経済も含めて、経済の関係、実態をしっかり把握するべきであるという御指摘かと存じます。

 基本的に、まず情報に関してはしっかりとした情報を収集しなければいけない、これは当然のことであり、御指摘のとおりだと存じます。

 経済の問題等については、これはインテリジェンスの問題というよりは経済の実態の部分も多分に含まれるわけですから、こうした部分につきましてはしっかり把握をし、そして情報を共有しなければならないと考えます。

 基本的には、こうした実態把握について努力するべきだという御指摘、委員の御指摘のとおりだと考えます。

鷲尾委員 では、続いての質問ですが、これは我が民主党政権下でもいろいろな方々がいろいろな協議の末、日本と北朝鮮の間でのお墓参りが進んでいると聞いております。それが日朝赤十字会談でも遺骨問題をどうしますかという形で議題が出されたと聞いておりますけれども、この墓参の状況が今どういった状況にあるのか。

 それから、日朝赤十字会談で出た遺骨問題について、先方からどういう働きかけがあり、こちらとしてはどういう受けとめをしているのかということについてお聞きしたいと思います。

古都政府参考人 お答え申し上げます。

 初めに、墓参の状況でございますが、厚生労働省では、さきの大戦における海外の主な戦闘地域のうち、国交が樹立されておりますロシアや南方地域などで慰霊巡拝を実施しております。

 しかしながら、北朝鮮につきましては、国交のない現在のところ、政府主催による慰霊巡拝は実施をしておらないところでございます。

 なお、墓参を実施している民間団体がございまして、こちらによりますと、平成二十四年八月からこれまでに墓参を八回実施したというふうに承っております。

 続きまして、日本人戦没者の遺骨の問題でございます。

 本年三月に行われました日朝赤十字会談では、北朝鮮側から、政府の土地開発や個人の土地利用の観点から、日本人の遺骨の取り扱いが課題になっているという御説明がありました。日朝赤十字双方、今回の協議結果を踏まえた検討を行い、今後、しかるべきタイミングで会談を行う必要があるとの認識で一致したというふうに承知しております。

 その後、三月末に行われました日朝政府間協議におきまして、日本側から、日本人遺骨、残留日本人など、日本人に係る諸問題につきまして、これまでの協議に引き続き提起し、北朝鮮側との間でさらなる議論を行ったということでございます。

 北朝鮮におきます日本人遺骨問題につきましては、先般の赤十字会談及び政府間協議の結果も踏まえながら、外務省等と慎重に対応を協議してまいりたいと考えております。

鷲尾委員 あらゆる機会を捉えていただきたいと思います。

 こういった問題も拉致問題解決につながるよすがになるはずですから、せっかくこういった問題、民間団体を中心に進めているところもありますから、ぜひ古屋大臣それから岸田大臣、機会を捉えて、こういった問題もきっかけにして、拉致問題に進展が見られるように御尽力をいただきたいというふうに思います。

 続いて、ちょっと幾つか質疑通告をしておきながら、もう時間がないので最後の質問になってしまうと思うんですけれども、北朝鮮から例えばミサイル実験あるいは核実験が行われるという報に接することが、何だか我々は最近当たり前のようになってきてしまっております。

 これが当たり前であるということは思いたくないわけでありますけれども、時として、私も海外に、これは古屋大臣と一緒に行ったとき、そうでしたけれども、拉致と核とミサイル、どういう優先順位で日本は解決したいんだというと、我々は包括的な解決だというわけです。

 では、核実験が行われた、あるいはミサイル実験が行われた、それが複合的に行われた、そのときに日本として日朝協議に対してどういう心構えを持っておくかということは、一つ政府の態度として明らかにしておくべき問題だと思います。この点、いかがですか。

岸田国務大臣 北朝鮮と対峙するに当たりまして、ミサイルの問題、あるいは核実験、こういった問題が発生した場合にどう対応するか、今の時点であらかじめ我が国の対応を予告しておくということについては、これは我が国の対応上、やはり控えなければならないとは考えています。

 少なくとも、具体的な対応は控えなければならないと思っていますが、その中にありまして、優先順位の話がありました。当然のことながら、拉致、核、ミサイル、こうした諸懸案につきまして優先順位をつけるということはあってはならないと思っていますが、その中にありまして、拉致問題は、やはりそれぞれ幾つかある問題の中で、我が国が特に主体的に取り組まなければならない課題である、こういった認識は強く持っております。

 そういった認識はこの拉致問題について特に持っていますが、そういった認識を持ちつつ、ぜひ、諸懸案を包括的に解決する従来の方針を貫き通したいと考えております。

鷲尾委員 またぜひ委員会にお越しいただきたいと思います。

 ありがとうございました。

中山(泰)委員長代理 次に、三宅博君。

三宅委員 日本維新の会の三宅博でございます。

 拉致問題について質問をさせていただきたいと思います。

 日本維新の会に与えられた時間は合計で三十五分間、事前に私が申し上げているのは、三宅博が二十分で、田沼さんが十五分ということなんですけれども、若干私の方が時間が延びるかもわかりませんので、ちょっと御了解をいただきたいと思います。たっぷりとさせていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いします。

 まず初めに、朝鮮総連の報道機関に対する圧力、この問題についてちょっとお伺いしたいんですけれども、ことしの二月の十三日付週刊新潮で、「「朝鮮総連」が出演NGを根回しで画面から消えた四人の有識者」ということで、皆さんの方にも資料をお渡ししておりますけれども、言ってみれば、朝鮮総連が報道機関に対して圧力をかけているということなんですね。

 これは、単にこの週刊誌の記事を読んで、私がそのまま受け売りしているんじゃないんですよ。当事者の人に私はお会いして聞いたんです。確かめた。これは、この記事の中でも書いていますけれども、その四人というのは、関西大学の李英和教授、それからデイリーNKの高英起東京支局長、それからコリア国際研究所の朴斗鎮所長、そしてアジアプレスの石丸次郎記者。この四名をテレビに出すなといって、どうも朝鮮総連の方の徐局長が各メディアに圧力をかけているという記事なんですね。

 どうも報道機関は、この圧力に屈服して、こういった指名された四人の方々をテレビに出していないようなことなんですね。これは、報道機関の使命と責任からして非常にゆゆしき問題じゃないかなというふうに私自身は考えております。

 コリア国際研究所の朴斗鎮所長なんですけれども、この人にお会いして話を聞いたら、また資料もいただいたんですね。二〇一三年、主にフジテレビ系列、これはフジテレビにちょっと限定させていただきますけれども、フジテレビ系列で、彼はいろいろと取材を受けたり出演したりということで、一年間で、出演、録画、監修等、八十三回のフジテレビからの取材とか出演とかを受けているんですね。一三年の後半からこれがばたっと途絶えてきた。二〇一四年からは全面出演停止措置がとられたというふうなことなんですね。常連だった「報道二〇〇一」、これも全く出られなくなったということなんですね。ことしですと、四カ月で生出演はわずか二件、ほとんどが電話取材、それもほとんど用いられることがないということなんですね。

 その朴所長がフジテレビに取い合わせたんですね。そうしたら、矢野外信部長に問い合わせたところ、朝鮮総連からの圧力で出演させることができないというふうに矢野外信部長がおっしゃったということを朴さんの方から私に教えていただいたんです。

 このことをちょっとお聞きになって、いかが思いますか。これは、本来ですと放送法のこともありますので総務省ということなんですけれども。

藤川大臣政務官 御指摘の件についてお答えさせていただきます。

 初めてお伺いしたお話でもございますし、事実関係を承知していないということから、申しわけございませんが、コメントは差し控えさせていただきたいと存じますが、ただ、先生おっしゃる放送事業者の取材、番組制作についての事項につきましては、番組事業者の個別の取材、番組制作に係る事項について、政府として承知する立場にはございません。

 以上でございます。

三宅委員 お答えできなかったら、私が事実をお話ししますので、答えていただけなかったら別に結構です。時間も限られていますので、答弁は簡潔で結構です。知らないことは知らないと率直におっしゃっていただいても結構です。

 放送法の第四条の観点からして、これは非常に問題がある。もちろん、第四条の内容については御存じでしょうけれども、第四条「政治的に公平であること。」ところが、朝鮮総連の方からの圧力で各報道機関が、自粛かあるいは屈服か知りませんよ、みずからこういうふうに、向こうの指名した人たちについては出演をさせていないという事実はあるんですよ。これはとんでもない話でしょう。

 これは、昔、日中国交回復の後、各新聞社が北京に支局を設置しました。その後、産経新聞が中国共産党にとって都合の悪い報道をしたんですが、そうしたら、中国共産党は産経支局を追放したんです。その後、やむなく産経新聞社は、北京支局はないけれども、しかし、その後の中国報道は、その支局のない産経の方が公平だったんです。非常に客観的に、また事実も、何らとらわれることなく報道したということなんです。言ってみれば、中国の共産党の圧力のときもそうだった、今回もそうなんですよ。

 さっき鷲尾委員がおっしゃいました墓参、北朝鮮の日本人引揚者に対する墓参、言ってみれば、テレビ局は、その際には同行取材を認められて、向こうの独自映像を本来撮ることができるんですね。ところが、その窓口となっているのが朝鮮総連なんですよ。だから、朝鮮総連が横を向いたら、もう向こうについていけない、それを恐れて朝鮮総連の言う要求に屈服しているということなんです。

 これはさっき言いましたように、報道機関の使命と責任の重さからすると、とんでもない話でして、こういうことはやはり徹底的に解明して、監督官庁である総務省はやはり厳しくその辺のところを指導していただきたいというふうに思います。

 次に、朝鮮総連本部ビルの競売の現状、このことについて、今どういうふうになっているのかということをちょっとお聞きしたいと思います。

 朝鮮総連の本部ビル、これは、過去、この競売については、いろいろな方が、えっというふうな方が登場したりとか、また非常に問題視されたんですね。一人挙げるとすると、緒方元公安調査庁長官、こういった人も登場しているということなんですけれども、この朝鮮総連本部ビルの競売の現状について、古屋国家公安委員長、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。

古屋国務大臣 現状ということでは、朝鮮総連の本部の土地建物強制競売については、東京地裁による落札者への売却許可の決定がなされましたけれども、朝鮮総連側は、今これに対する執行抗告を行って、現在も審理中というふうに承知をいたしております。

三宅委員 これは、最初の競売では、鹿児島のお寺さんが四十五億一千九百万円で落札した。ところが、資金調達が間に合わなかったということで、これは不成立に終わったんですね。失敗に終わったわけです。次の競売のときは、モンゴルのアバールLLCという企業ですね。ところが、これはペーパーカンパニーだということで、裁判所の方はこれを無効として、二番目のマルナカホールディングスへの売却を決定して、今おっしゃるような、総連の方がこれに対して抗告をしている。

 これは、この競売手続が延びれば延びるほど、ずっとその間、朝鮮総連といいますか、あの土地建物をずっと使用し続けることができるんですな。言ったら、競売妨害行為に当たると思うんですけれども、これがなかなか前へ進まないということなんです。

 では、朝鮮総連という組織、これはどういう組織かということなんですけれども、これは国家公安委員長ですからその辺のところはよく御存じですけれども、ここに「内外情勢の回顧と展望」、これは平成二十六年版、ここの第一が北朝鮮・朝鮮総連で、これは破防法の要監視対象団体ということで、朝鮮総連がその第一に挙げられているんでしょう。その朝鮮総連の本部の土地建物が、かようになかなか、競売といいますか、整理回収機構が決定したにもかかわらず、処理がおくれているということなんですね。

 朝鮮総連、ひょっとしたら日本国内においていろいろな犯罪行為に手を染めたんじゃないかな、あるいはまた、日本の国内の治安といいますか、こういった部分を維持するのに、これは非常に懸念のある対象であるということで、この「回顧と展望」の中で一番に記されているわけでしょう。

 さっきからずっとこの拉致の特別委員会でされている拉致、この拉致問題も、ひょっとしたらあの建物の中で謀議されたかもわからない。それは、政府認定被害者の原敕晁さんの、韓国で辛光洙が逮捕されて、向こうの軍法会議で全容が明らかになった。そこには、大阪の朝鮮総連の商工会の理事長とか会長とかいうのがその一覧表に名前が出てきているんですな。だから、そういうふうなことで、拉致問題もあの建物の中でひょっとしたら謀議されたかもわからない。あるいは、古くから言いますと文世光事件、これにも大阪の生野支部政治部長が関与していた。

 だから、朝鮮総連というのは、非常に、そういうことで日本の治安といいますか、こういう観点からすると放置できない団体であるということでございます。

 この競売の、今遅々として進まない状況について、ある人物がいろいろなことをおっしゃっているんですね。これは飯島勲内閣官房参与のことなんですけれども、この飯島さんは内閣官房参与ですから政府の一員でしょう。この地位、あるいは飯島さんを内閣官房参与に起用された目的あるいは役割、これをちょっとお聞きしたいんですけれども、どなたがお答えいただけるんですか。

加藤内閣官房副長官 三宅委員にお答えさせていただきたいと思います。

 内閣官房に参与を置く規則というのがございまして、そこでは、参与は、内閣総理大臣の諮問に答え、意見を述べるということにされておりまして、そういう趣旨で、飯島参与に内閣官房に置かれる非常勤の一般職の公務員としてついていただいている、こういうことでございます。

三宅委員 言ってみれば、内閣の方では飯島さんにいろいろな役割を期待しているということですね、今の御答弁からしますと。

 ところが、その飯島さんが、果たして内閣の意向を受けていろいろな発言をされているのか、あるいは、あの人が個人的に考えてされているのか、そこはわからないんですけれども、公人である、政府の一員であること自体には間違いがない。

 その飯島さんが、せんだって、四月の十一日に、これもフジになるんですけれども、BSの「プライムニュース」というところに岸外務副大臣とともに出演されて、朝鮮総連の本部のことでちょっと話をされているんですね。それはどういうふうなことを話されたかといいますと、朝鮮総連の本部の建物を政府が購入してでもこれは解決すべきだというふうなことをおっしゃっているんですよ。総連の本部建物の問題、この問題が解決しなかったら拉致も何もかも全部終わりだというふうに、おどしというんですか、こういうことを言っているんです。

 この飯島さんの発言、これはテレビで発言されたことですから厳とした事実なんですけれども、これは内閣の意向を受けて発言されたんですか、それとも彼が勝手に暴走してこういうような発言をされたんですか、どうなんですか。

加藤内閣官房副長官 先ほど御説明させていただきましたように、飯島内閣官房参与は非常勤の一般職の国家公務員という立場でございまして、当該御発言は個人としての見解である、こういうふうに承知しております。

三宅委員 非常勤であって個人といっても、内閣の一員でしょう。その人が、今、現に司法手続が進んでいる朝鮮総連の本部建物の件について、政府が買ってでもとか、これは、言ったら、政治の司法に対する介入ですよ。三権分立の根本を誤っているといいますか、誤らせていることになるんじゃないですか。いかに非常勤といえども、飯島さんが内閣の一員としてそういうことを言ったということは、これは個人的に言ったということは言えないんですよ。もしそれがちょっとぐあいが悪かったら、やはり罷免なりするしかないんじゃないんですか、本来ですと。

 どうも朝鮮総連は本部のことを非常に重要視しているんですね。宋日昊局長でもそうでしょう。総連の本部建物のことが片づかない限り、何の話も前進しないというようなことを発言していますよね。してみると、飯島さんは総連のあたかも代弁者じゃないかというふうに、さっき私が言いました朴斗鎮さんがそういうふうにおっしゃっている。

 飯島さんと朝鮮総連、北朝鮮との関係というのはどのようなものなんですか、ちょっと教えていただきたいんですけれども。どなたかお答えいただけますか。これは内閣の方でちょっとお答えください。

加藤内閣官房副長官 ちょっとそこまで私ども承知しておりません。

 いずれにしても、今のいろいろな御指摘は、あくまでも飯島参与の個人的な発言であるというふうに認識しております。

三宅委員 いかに個人的な発言であっても、やはり内閣の一員、公人として、その発言というのは問題視して当たり前ですよ。個人だから何しても関係ないんだ、そんなことは言えませんよ。それは無責任きわまりないですよ。

 飯島さんのことについてはこれで終わりますけれども、次に、DNAデータのことでちょっとお聞きしたいんですけれども、これは特定失踪者の山本美保さんのDNAデータのことなんですね。

 先月の二十七日に日比谷公会堂で拉致の国民集会が開かれました。そこで、もちろん私もまた発言はさせてもらいましたけれども、特定失踪者問題調査会の荒木さんも発言をした。日弁連の人権救済申し立てがもう少しで決定する、もしこれが、山本美保さんのDNAデータの件といいますか、山本美保さんの失踪が取り上げられるのであれば、そのDNAデータについて荒木和博さんは、これは偽造だ、捏造だというふうに断定しているんです。だから、自分は警察の前で座り込みをするというふうにおっしゃっていたんですけれども。

 私自身は、これはどんな問題でも、大学入試でも高校入試でも、採点ミスとか、言ったら、それはいろいろあります。だから、このDNAデータのことについても、ひょっとしたら、いろいろなミスや手違いからこういうふうになった可能性もあると思うんですね。だから、虚心坦懐、一度ゼロに戻って、もう一度このDNAデータを見直す気はあるかどうか、これをちょっとお聞きしたいんです。

古屋国務大臣 今御指摘の山本美保さんの件については、血液型とか性別、推定年齢、推定身長、DNA型鑑定等々の結果を踏まえまして、山本美保さんと同一人物であるというふうに警察は判断をしたところでございます。それで、このことについては、山本美保さんの御家族に対しても実際に鑑定書をお見せして、御説明をさせていただいてきております。これが経緯でございます。

三宅委員 であるならば、DNAデータを一度開示すべきじゃないですか。開示請求はずっとされているにもかかわらず、警察はこれを拒否しているんですね。

 大臣、あなたが大臣になる前に、このDNAデータの開示については、これは開示すべきであると発言されているでしょう。覚えていらっしゃいますよね。そのことをどう思いますか。そのときの発言と今のお立場、それは多少はお立場のこともあるかもしれませんけれども、あなたが発言されたということは私はよく知っていますよ。これは事実ですか、事実じゃないんですか。

古屋国務大臣 今まだ現にこの問題は捜査中ということもありまして、やはり警察としては、そういった具体的な鑑定書については御家族にはお見せをしておりますけれども、やはり公表をするということは差し控えるべきだ、国家公安委員長としてそういう判断をさせていただいております。

三宅委員 御家族はDNAの専門家でもないんですよ。だから、データを見せられても、どれがどうなのかわかるはずはないですよ、一般の人間が。だから、御家族も、御家族の周囲の方々も、DNAデータを開示してくれ、それを専門家に見せて、間違っていないかどうかを一度確認したいということでおっしゃっているんですよ。

 遺留品とかそういったもの、あるいはまた遊佐海岸に漂着をした遺体、これと余りにも体のサイズも、あるいはまた身につけていた衣服、御家族も見たことがないというふうにおっしゃっている。だからこれは美保の遺体じゃないというふうにおっしゃっているにもかかわらず、DNAデータが合致したとかいうことで、もう山本美保は亡くなったというふうに断定されている。こんな理不尽な話はないということで森本美砂さんはずっとおっしゃっているんですよ。

 当時、山本美保さんのお父さんは山梨県警にいらっしゃったでしょう。現職の警察官だったんですよ。自分の娘が失踪した。しかも、山本美保さんは、あるとき、バイクに乗って甲府市内を走っているときに、ぱっと横へ車が来て、あなたは山梨県警へ行っている山本の娘かといって見知らぬ男からちょっと言われたこともあるんですよ。非常に何かターゲットとされていたみたいなんです。

 そのお父さんは、全国の行方不明遺体のいろいろな資料を取り寄せて、ひょっとして自分の娘じゃないかどうかということをされていたんですね。当然、その山形県の遊佐海岸に漂着した遺体も、資料をごらんになって、遺留品、あるいは体のサイズとか衣服、そういったもので、これは娘じゃないということをはっきりと認識されていたんです。そのお父さんが亡くなってからなんですよ、そのお父さんが亡くなってから、山梨県警がDNAデータが一致したと。何か本当にそこに何とも恐ろしいようなものを感じるんですけれども。

 しかし、このDNAデータ、誰がどうこうとか、個人をどうこうする気は私どもも全くないんですよ。それよりも、さっき言いました、大学の入試でも何でも、やはり採点ミスや手違いとかがあるんですよ。だから、一度ゼロに戻って、大臣、もう一度このDNAデータを見直ししてくださいな。ひょっとしたら、そういうふうな部分も出てくるんじゃないかなというふうに思うんですけれども、そのあたり、いかがですか、見直す可能性について。

    〔中山(泰)委員長代理退席、委員長着席〕

古屋国務大臣 まず、御家族の皆さんにDNA鑑定の中身を説明させていただいておりますが、このときにはちゃんと専門家も同行して、丁寧に御説明をさせていただいております。これは事実でございますので、ぜひその辺は御理解をいただきたいというふうに思います。

 そういう意味では、警察として必要な捜査をして、そして、その結果、総合的に判断をして、山本美保さんという判断をしているということでございますので、その経緯についてはしっかりと説明をさせていただいております。

 なお、今御指摘の、当時、山梨県の警察にいらした方は、御承知のように、もう既に退職をいたしておりますので、我々としては、それに対してお答えをするという立場にはないということは申し添えさせていただきたいと思います。

三宅委員 今、警察の方が御家族には説明もしたと。ところが、御家族は納得していないんです。十分な説明なんかは受けていないというふうにおっしゃっているんですよ。だから、双子の妹さんの森本美砂さんをここへ呼んできたら一番わかりやすいじゃないですか、納得されているかどうか。彼女も母親も、えっと言って、そんな説明は全然受けていないと。警察は説明した説明したと言っていますけれども、そのことに対して全く認めていらっしゃらないんですよ。だから、御本人から聞いたら一番いいんじゃないですか。一度、参考人として呼ぶということも考えられたらいかがでしょうか。

 さっきも言いましたように、もう一度DNAデータについては見直してくださいな。そのことをもう一度ちょっと検討してください。これは要望しておきます。お願いします。

 時間も余りありませんので。

 さっきも警察庁の方から、八百六十名のひょっとしたら可能性を排除できない人がいるということなんですけれども、きょうの資料の方に、昭和五十五年の一月七日付サンケイ新聞、これは、第一面に載った非常に有名な、当時、阿部記者という方なんですけれども、後に編集総局長になった阿部さん、彼が書いたんですけれども、昭和五十五年、「アベック三組ナゾの蒸発」、これが一番最初だったんですよね、大きくマスコミの方に取り上げられたのは。その後、これは昭和六十三年だったですか、共産党の議員による国会での質問と梶山国家公安委員長の答弁、それから平成九年の西村眞悟さんの予算委員会の審議というふうに続いていくんですけれども。

 三枚目に特定失踪者のチラシがあるでしょう。これの一番上の左端は、徳永さんですね。徳永さんは、一九五三年、昭和二十八年なんですけれども、一番古いのは、平本さんといって、拉致疑惑といって、この四段目の一番右端、これは一九四八年七月、平本さん。その次に古い人は、一九五〇年の平本さん、一九五二年の渡邊さんというふうに、昭和二十三年から、特定失踪者調査会は、この可能性を排除できない人であるというふうにしているんですけれども、新聞報道は昭和五十五年。この間、三十年以上の時間が経過しているんです。

 そもそも、前にも一度聞きましたけれども、政府は拉致事件の存在をいつから知ったんですかということを聞いて、そのときははっきりとしたお答えをいただかなかったんですけれども、きょうはそういうふうなあれじゃなしに、大体八百六十名のその可能性を排除できない、そういう中でも、古屋大臣はずっとこの問題に深く関与されて、やはり相当な知識あるいはまた磨かれた感覚みたいなものをお持ちだと思うんです。

 では、そもそも拉致は大体いつごろからあったというふうに思われますか。そのあたりを国家公安委員長にちょっとお聞きしたいんですけれども。

古屋国務大臣 御承知のように、政府認定の拉致被害者、あるいは拉致の疑いを払拭できない事案、一番古きはもう五十年近く前からそういう事案が発生しているということはよく承知をいたしております。

 政府認定の十七人以外にも、最大限で八百六十人のその疑いを払拭できない事案があります。それについては、今警察庁が特別指導班をつくって、詳細な、再検証を含めた調査をしているということでございまして、一件一件については調査を進めている。

 一番古いのが、ちょっと事前に通告いただいておりませんので、今、詳しい数字までここでお話しするのは控えさせていただきたいというふうに思いますが、相当古い事案もあるということだけは指摘をさせていただきたいというふうに思います。

三宅委員 これは、私の認識が間違っているかどうかわかりませんけれども、どうもこの拉致問題をずっと調べていくと、ある時点からといいますか、相当古い時点から、政府といいますか現場の人間ですね、警察とかあるいは公安とか海上保安庁とか、こういった方々はどうも拉致事件の存在というものをこの報道以前から認識しておられたみたいに、言ってみれば、九州の宮崎の海岸では、夜間一人で外出しないように、不審者が出て連れていかれるのでというようなことを、もう早くにそういうふうな看板なんかも立っていたんですね。

 ただ、昭和五十五年のこの報道に至るまで、北朝鮮の手による拉致の存在というのはなかなか国民の知るところとして明らかになってこなかった。しかし、現地の方たちであるとか、あるいはまた現場の警察官とか、ここらあたりは相当古い時点からこの問題についてその存在を知っていた。にもかかわらず、これが、どうも政治の方から、もうこれ以上踏み込むなというふうなストップがかけられてきたんじゃないかなというふうに思われて仕方がないんですね。

 してみると、これは安全保障問題と密接にかかわってくるんですけれども、構造的な問題じゃないか。日本の国の純粋な国内問題にもかかわらず、日本の政府としてこれを主体的に手がける、あるいは解決することができなかったというふうな構造的な部分があるんじゃないかなと思われて仕方がないんです。

 だから、その構造的な部分を解決しない限り、本当の意味で拉致事件の全面的な解決あるいは全容の解明、これもできないじゃないかというふうに私は思っているんですけれども、大臣、いかがですか。

古屋国務大臣 先ほど、一番古いものということで、今ちょっとリストを確認しました。一番古い、可能性を排除できない、昭和二十三年がありますね。ですから、それだけ長い期間にこの拉致、あるいはその疑いを払拭できない事案はあるということですね。

 一件一件について、警察もできるだけの追跡調査はしております。こういった追跡調査をして引き続き取り組んでいくことこそが北朝鮮に対する強いメッセージ、圧力なんですね。我々は、たとえそれが数十年前のことであっても、絶対に拉致は許さないという強いメッセージにつながると思いますので、引き続き警察の責務として、各県警と連携をして、警察庁がしっかり指導しながらこの捜査を継続していく、極めて大切でございますので、私も、国家公安委員長として警察に引き続き強く督励をしてまいりたいと思います。

三宅委員 大臣、私が地方議員をやっているときからいろいろな集会でよくお会いしまして、大臣の熱心な取り組み、今その古屋さんが大臣になっていただいて、これは本当に期待もしていますし、それからやはり大臣の誠意、これは外務大臣もそうなんですけれども、そのこと自体は私は全く疑っていないんですよ。大きな期待を抱いているんです。

 ただ、やはり国家の構造的な問題であって、なかなかこういう問題が全面解決に至らない。だから、その部分もやはり手がけないと、これは言ってみれば主体的国家運営ですよね。やはり日本のことは我々日本人が基本的に決めるんだというふうな体制を確立しない限り、この拉致問題の全面解決というのも、実際のところ、なかなかこれは実現がしにくいんじゃないかなというふうに思います。

 もちろん、そういったところは両大臣とも認識された上で、今現在のあらゆる制約の中で精いっぱいやっておられるということは私は全く疑っていませんけれども、もう一歩、ちょっと歩を進めて、この解決に向けていろいろと、あらん限りの可能性のあることを行動していただけたらというふうに本当に思います。

 さっき朝鮮総連の話をちょっとしましたけれども、去年一年間でも在日朝鮮人の方々が二千名、日本国内から出国されているんです、再入国許可を得て。この二千人の出国されたうちの、その内訳はわからない。最初の出国地はわかるんですよ。だけれども、それ以降どういうふうに行っているかわからない。だから、北京経由で北朝鮮へ多く行かれているんじゃないかなと思うんですね。

 その場合も、北朝鮮の方から在日朝鮮人に対して命令が行っているんじゃないかな、何を持ってこい、お金を持ってこいとか、あるいは物を持ってこいとか、そういうふうなこともうかがわれるんですね。それは、今、日本におられる在日朝鮮人の方々の御家族、御親族が多く北朝鮮にいる、人質にとられているような状況なんですね。そういった中で北朝鮮本国からの命令に背くことはできない。

 言ってみれば、北朝鮮に対して、対話と圧力はいいんですけれども、圧力の部分、こういった部分も、在日朝鮮人の出国というものを厳しく制限する。これは何も人権問題でもないんです。反対に、在日朝鮮人の方々を守ることになるんですよ。彼らは本国に自分の親族を人質にとられている、断りたくても断れないような状況なんです。だから、本当の意味で人権の取り組みとして、こういったものも対話の一環としてやっていただけたらと思います。

 そのことだけちょっとお答えいただいて、質問を終了いたします。

古屋国務大臣 我が国政府の基本方針は対話と圧力。圧力というのは、要するに対話を引き出す、向こうに、この拉致問題を解決しなければあの国は立ち行かなくなるということをわからせる、そのための圧力なんですね。人、物、金、圧力を我が国は加えています。しかし、国際社会も連携をしてその圧力を強めていくということこそが拉致問題の解決につながる、そういう認識に立って、引き続き拉致問題解決のために全力を尽くします。

三宅委員 どうもありがとうございました。

 質問を終了します。ありがとうございました。

山本委員長 次に、中島克仁君。

中島委員 みんなの党の中島克仁です。

 私は、当委員会では初めての質問となります。質問の時間を与えていただきまして、ありがとうございます。

 先日の佐渡の視察なんですが、私もぜひ行きたかったんですが、どうしても都合がつかずに、参加することができませんでした。帰ってきてから曽我ひとみさんの手記を読ませていただきまして、帰国に至って、その後の経過の中で、心の揺れや心情、ストレートに伝わってきて、大きな進展がないまま年月が過ぎていく、その歯がゆさ、そのようなことが本当に胸に刺さるような気持ちでございました。

 改めて、この拉致問題、国民の生命と安全にかかわる重大な問題であると私たち一人一人が認識をして、この問題を解決していくために一丸となっていくべきだということを認識したところでございます。

 きょうもたくさんの委員の方から御質問がございました。私も質問したいところがあるわけですが、大分重複しているところもありますので、順番を多少前後させていただきながら御質問させていただきたいと思います。

 三月末に日朝政府間協議が、二〇一二年の十一月以来、一年四カ月ぶりに開かれ、拉致問題について話し合いが行われました。拉致問題に一定の進展があったかなということでございますが、拉致問題をめぐる現状を踏まえた、担当大臣である古屋大臣の御決意をお聞きしたいとともに、私は、古屋大臣が最も適任だという認識を持っておるわけですが、一方で、古屋大臣は、国家公安委員長、国土強靱化担当、そして防災担当と、多岐にわたる業務がございます。二月のときには、今回の雪害、私は地元が山梨でございますが、古屋大臣にも大分お世話になった。やはり防災担当ということになりますと、突発的なものに対してかなり労力を使わなければならない。

 そのような多忙な業務の中で、決意とともに、そのことに対する御認識というか、御見解をまずお尋ねしたいと思います。

古屋国務大臣 私は、一昨年十二月二十六日に大臣の指名を総理から受けたときは、四つの担当をいただきました。確かに、かなりてんこ盛りかなという気持ちはありましたけれども、しかし、引き受けさせていただいた以上は、全力で取り組んでおります。ナポレオンは二十四時間仕事をしたそうです。とても私はナポレオンにはかないませんけれども、それぐらいの気持ちで、気力、体力を充実して、感性を研ぎ澄ませながら、今それぞれの職責を全うさせていただいております。

 この拉致問題についても、先ほど来答弁をさせていただいているように、環境が変わりつつありますよね。それは、政権が安定してきたということが一番大きい。北朝鮮の動きを見ていても、それはよくわかりますね。時間がございませんので、具体的な中身は省略をさせていただきます。その一つの例が、三月の三十日、三十一日の日朝の協議の再開ということにもあらわれていますよね。

 ですから、今後とも、総理がいつも口にしているように、変化というものをしっかり見きわめて、そしてそのチャンスを逃すことなく、拉致問題解決のためにあらゆる手段を尽くしていきたい。この考え方は寸分も変わるところはありませんし、引き続き、気力、体力を充実して頑張ってまいりたいというふうに思います。

中島委員 所信表明の中でも、決意も理解しておりますし、ただ、先ほども言ったように、今回冬に雪害があったり、ああいうことがあると、そちらに集約しなければいけない部分、同時進行で、やはり拉致の問題だけでも大変重要なことはもう言うまでもないんですが、そういった中で、ぜひ頑張っていただきたい、そのように思うわけです。

 あと、北朝鮮が拉致問題の再調査を行う見返りに、我が国が北朝鮮に対する制裁を一部緩和するというような報道もちょっと見聞きしたわけですが、この事実関係がどうなっているのかお聞きしたいのと同時に、政府として、北朝鮮に対する制裁の一部緩和を検討している事実はあるのかどうか、お尋ねをしたいと思います。

古屋国務大臣 まず、今、御承知のとおり、北朝鮮に対しては、人、物、金の制裁をいたしております。現実でございます。

 今後はどうするかという趣旨の質問でありますけれども、政府部内において、今、密接な連携をとりながら、拉致対策本部内においても不断の検討を行っておりますけれども、報道にあるように、何か今具体的な検討をしているのかということについては、一切そういうことは、まだ具体的に定まっていることはありません。

 いずれにしても、拉致問題を初めとする諸懸案解決のために最も効果的な方法をとるとの従来からの方針に全く変わりはありません。拉致、核、ミサイルを包括的に解決する。しかし、日本と北朝鮮には、拉致問題という極めて国家としての重要課題を抱えている。主体的に両国間でこの解決のための対応をしていくということはあり得ることでございますが、これは先ほど外務大臣が答弁をされたとおりでございます。

中島委員 言うまでもなく、拉致問題の進展、拉致被害者全員が帰国して初めて問題が解決することでございます。私は、首脳会談にかかわらず、安易な制裁の解除、とても賛同はできないという立場で御質問させていただきました。

 先ほど三宅委員の方からもあったんですが、日朝政府間協議で、朝鮮総連本部の不動産の問題、私、通告の中で裁判所の方に通告をさせていただいておりますので、ちょっと重複しますが、現在の状況についてもう一度裁判所の方から御説明をいただきたいと思います。

永野最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 本件につきましては、東京地方裁判所が三月二十四日にした香川県の株式会社に対する売却許可決定につきまして、朝鮮総連の方から不服申し立てがなされ、現在、東京高裁において審理されているものと承知しております。

中島委員 やはり北朝鮮にとっては大変拠点となる部分のところで、これは引きかえ条件ではないんですが、抵抗があるというふうに聞いております。ぜひ毅然とした姿勢を示していただきたいなという趣旨でお尋ねをいたしました。

 続いて、先日、オバマ大統領が来日をいたしました。日米首脳会談では拉致問題についても話し合われたと承知しております。また、首脳会談後には、拉致被害者の御家族とオバマ大統領が面会を持たれたとも承知しておるわけですが、これらにおけるアメリカ側の拉致問題に対する反応及び今後の日米連携の見通しについて、御見解をお願いいたします。

岸田国務大臣 先般のオバマ大統領の訪日の際に行われました首脳会談ですが、まず、この首脳会談の場におきまして、安倍総理からは、オバマ大統領に対しまして、拉致問題に対する協力そして理解、これを期待するという旨を述べ、そして、オバマ大統領からは、それを支持するという表明がありました。

 会談におきましてはこのようなやりとりがあったわけですが、御指摘のように、この会談の後、オバマ大統領は拉致被害者家族の皆様方と拉致問題につきまして意見交換を行いました。安倍総理も、古屋大臣も、そして私も立ち会わせていただきましたが、その際に、オバマ大統領からは、被害者家族の方々に共感を示しつつ、安倍総理の拉致問題に対する立場を支持するという発言があり、そして、ぜひ日本政府と緊密に連携していきたい、こういった発言がありました。

 こういった会談の内容、そして拉致被害者家族の皆様方との意見交換の内容でありましたが、我が国にとりまして、言うまでもなく、拉致問題は最重要課題の一つであります。ぜひ、この課題に向けて、アメリカとの連携、これも大変重要な連携の一つであります。こうしたアメリカ大統領とのやりとりを踏まえまして、一層緊密にこの問題について連携をしながら取り組んでいきたいと考えております。

中島委員 ありがとうございます。

 北朝鮮が米国との関係改善に強い関心を示していて、我が国としては、まず、拉致問題の解決が最重要ということですから、オバマ大統領に日朝間の拉致問題を強く認識してもらうことが最大のポイントだというふうにも思います。ぜひ、今の御答弁のように、今後、緊密な連携をさらに深めていっていただければなというふうに思います。

 次の質問ですが、北朝鮮による拉致被害については、公表されているもので、現在、何カ国で何人おるのか。公表されているベースでよろしいのですが。これは、先ほどの米国も含めてなんですが、他の拉致問題を抱える国々と連携することが解決に向けて有効な手段だというふうに思うわけですが、これについて御答弁いただきたいと思います。

岸田国務大臣 世界各国の拉致被害者の数ですが、先般、二月に公表されました、北朝鮮における人権に関する国連調査委員会、COIの報告書におきましては、日本人以外の拉致につきまして、韓国人五百十六名の失踪、そしてレバノン人四名、タイ人一名、中国人二名、マレーシア人四名、シンガポール人一名、そしてルーマニア人一名及びフランス人三名等の拉致または強制失踪の事案が、疑惑があるケースも含めて記述されていると承知をしております。

中島委員 やはり各国、多くの方々がその疑惑というか、それにさらされている。やはりこれは、日本国はもちろんですけれども、同じような思いを抱えていらっしゃる方々が世界各国におられるということですので、先ほども言ったように、そういう国々としっかりと圧力をかけていく必要性があるのではないかというふうに思います。

 二月には北朝鮮における人権に関する国連調査委員会による北朝鮮の人権問題に係る報告書が公表をされ、三月には北朝鮮人権状況決議が賛成多数で採択をされました。

 拉致問題を初めとする北朝鮮の人権侵害が国際社会に注目されている中で、政府として今後どのようにこの決議のフォローアップを進めていくつもりなのか、お尋ねいたしたいと思います。

岸田国務大臣 御指摘のCOIの報告書、そして北朝鮮人権状況の決議ですが、これらは我が国も当初から主体的にかかわってきたものでありますので、ぜひしっかりとフォローアップしていきたいと考えております。

 そして、この報告書あるいは決議において、国際社会に対する主な勧告としましては、一つは、安保理による適切な国際刑事司法メカニズムへの付託及び人道に対する罪に最も責任がある者に対象を絞った制裁、そしてもう一つは、現地ベースのフォローアップ拠点設置、これらが挙げられております。

 これらの勧告を踏まえまして、四月の十七日に安保理のアリア・フォーミュラ会合が開催されましたが、これに我が国も出席をし、COI報告書、これをしっかりフォローアップすることが重要であるということをしっかり訴えた上で、安保理メンバー等に適切な行動をとることを期待する、こういった表明を行ったところであります。また、フォローアップ拠点の設置につきましては、場所及び形態、どのような形が効果的か、国連及び関係国と今検討している最中であります。

 ぜひ、こうしたフォローアップを通じまして、拉致問題を含む北朝鮮人権状況の早期改善に我が国もしっかりと取り組んでいきたいと考えております。

中島委員 ありがとうございます。

 我が国が主体的になって、しっかりとフォローアップしながら取り組んでいただきたい、そのように思います。

 もう一点、時間もあれなんですが、予算について、これは、私、正直、この拉致問題、さまざまな論点があって、さまざまな取り組み方がある、対話と圧力ということなんですが、予算配分について、足りているのか足りていないのか、なかなか難しいことではあると思います。

 一概に、何に使われているか、機密性も高い問題だとは思うんですが、担当として、もっと取り組むべきことに対して、現状でいえば、予算が足りているのか足りていないのか、もっと欲しいのかどうか、そこだけ端的にお答えいただきたいと思います。

古屋国務大臣 まず、体制の方ですけれども、四十五人体制、これは十分な体制で臨ませていただいていると思っております。

 それから、人数だけではなくて、皆さん大変士気の高い、能力のある方々に集まっていただいております。一つの目的、拉致問題を解決する、被害者を取り戻すという同じ視点に立って取り組んでもらっているということは、私も拉致担当大臣として事務局に敬意と感謝をしたいというふうに思っております。

 また、予算についても、例えば啓蒙活動費等々含めて、対前年度比二千四百万円プラス、二・〇%プラス、十二億六千五百万円を計上させていただいております。こういった予算をしっかり有効的に活用しながら対策の推進をしていきたいと思っています。

中島委員 言うまでもなく、拉致問題、国家の最重要課題でもございます。予算繰りで苦労することがないようにしていただきたいなというふうに思います。

 先ほども申し上げましたように、諸外国にも同じような事情を抱えている国もあるということでございまして、重大な人権侵害、諸外国では軍の出動も常識という中で、我が国にはそういう意識は多少薄いのではないかなというふうにも思います。

 憲法問題とも絡んで、他の国とは違った環境にある、仕方ない部分もあるとは思いますが、お聞きしたいのは、防衛省の中で拉致被害者救出のための担当部署があるのか、今後、防衛省と連携して情報共有していくことは想定しているのか、お聞きしたいと思います。

古屋国務大臣 実際に在外邦人を保護するための手段のうち、自衛隊が行うものは、自衛隊法八十四条の三に基づく在外邦人等の輸送がございますよね。ただ、この活動は、外国で拉致とか拘束されている邦人を実力をもって救出するというところまで想定しているものではないわけでありまして、そういう意味では、防衛省内に活動を所掌するような部署は現在ではないというふうに承知をいたしております。

 また、防衛大臣自身は拉致対策本部のメンバーでもございますので、北朝鮮の動向に関する情報収集、分析で連携を行っているということは申し上げるまでもないことでございます。

 また、もう一つ、拉致問題与野党連絡協議会というものが本部の中に組織をされておりまして、ここでも、それぞれの参画をされている議員から、では、実際にそういった取り組みが可能なのかどうかということについても、実は昨年の、ちょっと時期ははっきり覚えておりませんが、昨年にも本部の政府・与野党拉致問題対策機関連絡協議会をやったときにテーマとして上っておりまして、それぞれの政党が今議論をしているというふうに承知をいたしております。

中島委員 時間ですので質問を終わりますけれども、先ほど三宅委員もおっしゃっていました、私は山梨県甲府が地元でございますが、特定失踪者山本美保さん、先ほども上がったように、DNAの捏造疑惑ということで、そのまま滞っておる。きょうはこの質問をしませんでしたが、やはり地元においても大きな関心事でもございます。

 ぜひ、DNA鑑定の開示も含め、この委員会において参考人質疑等もできるような段取りをしていただくことをお願いいたしまして、私からの質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

山本委員長 次に、青柳陽一郎君。

青柳委員 結いの党の青柳陽一郎でございます。

 本日は、本委員会での質疑の時間を二十五分いただきました。ありがとうございます。

 通告した内容は一部これまでの質疑と重なる部分もあるんですが、どうぞよろしくお願いいたします。

 まず最初に、ゴールデンウイークの四月二十九日に神奈川県立青少年センターで開催、公演されました演劇「めぐみへの誓い」について伺いたいと思います。

 私もこの演劇を拝見させていただきました。とても胸に刺さりました。私も、子供を持つ親として、この演劇を見て涙が込み上げてくるシーンが幾つもありました。

 古屋大臣もこの演劇を別の機会に見ていただいて、感動して、そしてこの演劇を拉致対策本部で主催することを決めていただいたということでございますが、私も、この演劇をできるだけ多くの機会に上演していただいて、多くの方に見ていただいて、拉致問題に対する日本国民の皆様の意識をぜひもっと高めていただきたい、このように思っております。

 そこでお伺いしますが、今後、この公演、「めぐみへの誓い」について、拉致対策本部としてどのように支援されていくか、あるいは今後の上演スケジュール等、決まっているのがあるのか、大臣にまずはお伺いしたいと思います。

古屋国務大臣 拉致問題解決のためには、国民の皆様が怒りの声を上げていただく、極めて大切ですね。そのために、政府としても、あらゆる立場を活用して啓蒙活動をさせていただいております。

 昨年の九月に、私は、民間の劇団が主催をする「めぐみへの誓い」という演劇を、友人が主宰をしておりましたので、私も六本木の俳優座に見に行きました。これはぜひ多くの方にごらんになっていただきたいな、こう思いまして、三月には新潟で、そして四月は、今、青柳委員が御指摘ありましたように横浜で、政府が主催、そして神奈川県あるいは川崎市等々が御協力をいただいて、開催をいたしました。

 あの演劇を鑑賞していただければ、自分の身内がもしそういう立場だったらと思えば、やはり絶対に許せない話です。ですから、全ての日本人がそういう怒りの声を上げていただきたい。このことが結果として北朝鮮への圧力にもつながるんですね。私は、その趣旨のことを、この連休のときの横浜公演でも冒頭で御挨拶をさせていただきました。

 今後ともこういう取り組みをしていきたいと思っております。今、東京都からそういう御要請というか相談が来ておりますけれども、ほかにも地方公共団体でそういうお声がありましたら、皆さん、御地元の皆さんでそういうお声がありましたら、ぜひ働きかけをいただければ、拉致対策本部としてもできるだけの協力はさせていただきたいというふうに思います。

青柳委員 ありがとうございます。私も今の大臣の御答弁と全く同じ気持ちでございます。

 ちなみに、外務大臣は見ておられますか。

岸田国務大臣 四月二十九日の公演とお伺いしておりますが、二十九日からちょっと日本におりませんでしたので、公演は残念ながら拝見することができませんでした。しかし、御指摘を受けまして、DVDを拝見させていただきました。

 やはりこの拉致問題につきまして、当然のことながら、拉致は、国民の生命、自由にかかわる重要な問題であり、そして国家の主権にかかわる重大な問題であります。これは頭では当然わかるわけですが、これを気持ちの上で、心の上においても実感するために大変有意義なDVD、公演であったと私も感じております。ぜひ推奨するべきだと私も感じております。

青柳委員 大変御丁寧な御答弁をいただきました。ありがとうございます。

 委員長はごらんになられていないと思いますので、ぜひ当委員会で憲政記念館で主催したらいいんじゃないかと思いますので、御提案申し上げたいと思います。

山本委員長 理事会で協議いたします。

青柳委員 ありがとうございます。

 その神奈川県立青少年センターでの上演について、今、古屋大臣の答弁のとおり、神奈川県、横浜市、川崎市と共催でやっていただいたんです。古屋大臣がまずスピーチされて、その次には神奈川県の知事がスピーチされました。当然、神奈川県の知事も、拉致を非難して、解決に向けてできる取り組みをやるんだという決意を述べられておりましたが、私は、この神奈川県の知事のスピーチを見て、少し違和感がありました。

 というのも、神奈川県は、県内に朝鮮学校が五つあります。この朝鮮学校を含む外国人学校の児童生徒に対して、年間で一億七千二百万円の補助をしています。しかも、この支援というのは、これまで朝鮮学校に対して行っていた運営交付金の制度が、北朝鮮の核実験によってこの交付金をとめるという措置をしました。それにかわる措置としてわざわざ新しい制度をつくっているんです。神奈川県独自の制度をつくって、朝鮮学校に通う児童たちを対象に学費を補助するという制度を創設してまで支援を続けているという状況があります。

 この制度は、こうした拉致を実行している国の学校に支援するということの是非と、そしてもう一つは、知事の裁量権を逸脱している、そういう指摘もあるんですが、こういう神奈川県の取り組み、制度について私はちょっと違和感を持っておりますが、大臣は、神奈川県がこういう取り組みをやっていると知った上で共催をされたのか、あるいは、知らないで共催して、今こういう事実を知ってどうお考えになられるか、コメントをいただきたいと思います。

古屋国務大臣 各都道府県がどういう支援をしているかということについて、私が直接、いいとか悪いとかいうコメントはなかなかできませんので、これは、ひとつそういう意味で御理解をいただきたいと思います。

 一方、国が実施している高等学校等就学支援金制度について、朝鮮学校の扱いについては、文部科学省において既に不指定を決定し、その制度の対象外とさせていただきました。これは、昨年の閣僚懇談会でも文部大臣あるいは私の方から発言をさせていただいて、パブリックコメントをとった上でそういう対応をさせていただいております。

 いずれにしても、各地の朝鮮高校、朝鮮学校を含む学校において拉致問題がちゃんと正しく伝えられるということは極めて大切なことでございますので、ぜひそういった方向にしていただきたいということで、文部大臣とも連携をしながらそういう取り組みをさせていただきたいと思います。

 なお、神奈川県がこういった支援をしているから共催云々ということについては、ちょっとこれは、やはりあくまでも都道府県のそれぞれの主体的なお考えによるものでございますので、私からその問題についてコメントは差し控えさせていただきたいというふうに思います。

青柳委員 ありがとうございます。

 ただ、古屋大臣は、オール・ジャパンで取り組むんだ、オール・ジャパンで取り組んでいることが北朝鮮に対する強いメッセージになるんだというお話を日ごろよくされております。これは、オール・ジャパンというのは、与野党だけでなくて、自治体も含めてオール・ジャパンじゃないかなと思いますので、ぜひ今後は御注意いただきたいと思います。

 これは神奈川県だけじゃなくて、実は私の隣の田沼議員は千葉市の出身なんです。千葉市を選挙区としていますが、田沼議員のところの千葉市も、交付金から非常にユニークな補助金に切りかえて、相変わらず支援を続けている。こういうことが各自治体でありますので、これはちょっと指摘をしておきたいと思います。本来であればきょう質問する予定だったんですが、三宅議員に全部質問時間をとられてしまったので、私が代理で質問させていただきました。

 次に、北朝鮮人権状況決議、先ほども質問が出ましたCOIのフォローアップについても伺いたいと思います。

 本件は、古屋大臣もコメントされているように、安倍内閣の取り組みの大きな成果であり、拉致問題の国際連携の成果であり、北朝鮮に対する圧力になっている、これは私もそう思います。今後は、国連人権理事会での決議をどのように実効性あるものにしていくのか。私は当然、国連安保理の行動によって法的に責任を問われるべきと考えておりますが、古屋大臣の御見解も伺いたいと思います。

古屋国務大臣 このCOIの報告書そして決議においては、私ども日本政府、外務省、外務大臣初め外交チャンネル、あるいは我々拉致対策本部を含めて、関係各国そして国連にも相当積極的な働きかけをさせていただきまして、その結果、かなり踏み込んだ内容の決議が採択をされました。これは、ある意味で北朝鮮に対する有効な圧力であるという認識を持っております。したがって、この報告書が出たことがスタートでございまして、いかにこれをフォローアップしていくかということが極めて重要でございます。

 今、そのフォローアップもやっておりますが、実は、三月には、政府の代表という形で飯塚繁雄さんにわざわざジュネーブまで行っていただきました。それで、御意見を表明していただきました。飯塚代表もそのときの雰囲気を言っておりますが、北朝鮮が机をたたいてけしからぬとか言いながら、そのままずっと発言を続けていったら、北朝鮮の関係者は席を立ったそうでありまして、そういった非常識きわまりない態度も世界各国に、ある意味でいわば国連関係者にさらけ出したということであります。

 また、四月には、いわゆる非公式会合、我々はアリア・フォーミュラと言っていますが、ここにも増元事務局長に行っていただいて、これはニューヨークでございますが、ここでも意見表明をさせていただきました。

 したがって、今後どういう形で対応していくか。先ほど外務大臣からも答弁がありましたように、このフォローアップ、要するに、場所をどうするか、あるいはスタッフを初めその組織のあり方をどうするか、これは極めて重要でございまして、そう遠くない将来に関係者により決定がなされると思いますけれども、我々は、日本としての意向がしっかり反映できるように、引き続き外交チャンネル等々を通じて働きかけをしていきたいというふうに思っています。

青柳委員 ありがとうございます。

 今の答弁の中に、ICCへの付託、これは実際、安保理の決議が必要ですから、とても困難だと思いますが、その先といいますか、もう一つの手段として、特別法廷の設置ということも手段としては持つべきだと私は考えております。この点について古屋大臣のお考えをお伺いしたいと思います。

古屋国務大臣 ちょっと、正式にいつの決議になるということは、私もはっきり日にちまで掌握しておりませんけれども、いずれにしても、フォローアップをしっかりしていく。それで、報告書の、決議の中身、これをいかにして具体的に反映させていくか、これが非常に重要ですので、しっかりそういう認識に立って、私ども政府も、外務大臣も、関係者も取り組んでいきたいというふうに思っています。

青柳委員 ありがとうございます。いずれにしても、安保理というのが一つの重要な舞台になるのは間違いないと思います。

 そこで、改めてちょっとお伺いしたいと思いますが、四月五日から八日までオーストラリアのアボット首相が公賓で来日されていました。先ほど来出ていますとおり、オーストラリアは、アリア・フォーミュラ会合の主催国の一つでもあり、あるいはカービー委員長の出身国でもあり、さらには、現在、国連安保理の非常任理事国でもあるわけであります。

 こうしたことから、オーストラリアのアボット首相が来日された際に、安倍総理、岸田外務大臣あるいは古屋拉致大臣は、オーストラリアに対して、アボット首相に対して、安保理でのフォローアップについて働きかけをされましたでしょうか。これは岸田大臣にお伺いします。

岸田国務大臣 今回のアボット首相の訪日に当たりましては、四月七日に日豪首脳会談を行いました。その会談の中で、アボット首相と安倍総理の間で、現在の戦略的パートナーシップを新たな特別な関係に引き上げる、こういったことを確認するなど、大変有意義な議論が行われましたが、その中で、拉致問題、及び核、ミサイル問題を含む北朝鮮情勢についても議論を行い、認識を共有したということであります。

 先ほど御指摘がありましたように、オーストラリアは、今現在、安保理の非常任理事国でもありますし、カービー委員長の出身国でもありますし、安保理アリア・フォーミュラ会合の主催国のうちの一つでもありますし、さらには、我が国がEUとともに毎年提出している北朝鮮人権状況決議の共同提案国という立場でもあります。こうしたさまざまな立場で、我が国はオーストラリアとともにこの問題について協力しなければならない、そして協力できるというふうに考えております。ぜひ、今後ともしっかりと協力を確認しながら、努力をしていきたいと考えています。

青柳委員 私が特に申し上げたかったのは、安保理へのフォローアップについて具体的に協力を求めるべきじゃないかなという観点で質問させていただきましたが、今の岸田大臣の御答弁を聞いて、古屋大臣は何か補足をされることはございますか。

古屋国務大臣 政府は今、この問題について一体になって取り組んでおりますので、日ごろから、外務大臣、外務省当局、そして拉致対策本部当局等、常に密接な連携をとりながらやっておりますので、委員御指摘の取り組みというのはしっかり我々も受けとめながら、フォローアップをしていきたいというふうに思っております。

青柳委員 ありがとうございます。

 重ねて質問させていただきます。

 先日のオバマ大統領の訪日に関しても同様の趣旨で伺いたいと思いますが、オバマ大統領が訪日した際に拉致被害者家族との面談が実現したということ自体は、これは日米の拉致問題に対する連携という意味でも、北朝鮮に対して新たな圧力になるということで大変大きな意味があったと思いますし、本件は、実現する前から、私も外務委員会で、そういうことをやるべきだという質問というか主張をさせていただいておりました。これは大きな成果だと思います。

 ただ、先ほど中島議員の質問に対しても答弁で入っておりませんでしたが、オーストラリアと同様、北朝鮮人権状況決議の安保理での取り上げ方といいますか、フォローアップについて、私は、米国の協力も得るべきだと。中ロは難しいのはわかっていますが、それでも安保理で取り上げていくべきだという主張をしていくこと自体が圧力になると考えておりますので、当然、米国にもそのような趣旨のお話をされたんだろうと思いますが、先ほどの中島議員の質問に対する答弁で、岸田大臣は本件について触れられておりませんでした。

 改めてちょっとお伺いしますが、米国に対して安保理での協力要請についてのお話はされたんでしょうか。まずは岸田大臣にお伺いしたいと思います。

岸田国務大臣 今般の日米首脳会談におきましては、安倍総理から、三月に国連人権理事会でこれまで以上に強い内容の北朝鮮人権状況決議が採択されたことに具体的に言及をさせていただきました。そしてその上で、本件決議のフォローアップにつき、安保理常任理事国たる米国と引き続き緊密に連携していきたい旨、しっかりと述べさせていただきました。こういった我が国の取り組みに対する理解、協力を求め、オバマ大統領から支持を得たということであります。

 ぜひ、米国を含む安保理メンバーあるいは他の関係国とも引き続き協力しながら、この問題に取り組んでいきたいと考えています。

古屋国務大臣 外務大臣の答弁に尽きると思うんですが、私もオバマ大統領と拉致被害者家族との面談に同席をした一人として、飯塚代表の方から、この国連の報告書とか決議をしっかりフォローアップしてほしい、そして安保理の議論を含めて米国の具体的な協力をお願いしたいということを飯塚代表みずからがオバマ大統領にお話をされておられました。このことは報告をさせていただきたいというふうに思います。

青柳委員 ありがとうございました。

 時間の関係で最後の質問になるかと思いますが、拉致問題と特定秘密保護法との関係について最後に伺っておきたいと思います。

 昨年の特定秘密保護法の審議過程において、森担当大臣や内閣官房審議官は、特定秘密の対象に拉致問題も含まれると明確に答弁されております。

 これまで拉致問題というのは、ただでさえ情報が少ない、情報をもらえない、日本政府も必ずしも、積極的に情報を公開し、被害者の家族にさえも積極的に説明をしているということではなかったと思います。こういう中で、関係者、関係団体が頑張って活動されている、制限がある中で活動してきたというのが事実だと思いますが、こういう状況の中で、特定秘密保護法ができて、拉致も特定秘密に含まれるということになって、拉致被害者の家族や関係者、支援団体には戸惑いや不安が広がっているというふうに思います。

 しかも、特定秘密というのは、一度特定秘密と指定されてしまうととても解除されにくいというのが実態としてありますので、この秘密自体、特に拉致問題が特定秘密とされたときには、何のための、誰のための秘密になるのか、被害者の家族の知る権利に十分配慮して適切な運営を心がけてもらいたいというのを、改めてこの委員会でも私は指摘しておきたいと思いますが、ぜひ古屋大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

古屋国務大臣 今までも、御家族の皆様に対しては、一定の確度のある情報については個別的に情報提供させていただいておりまして、支障のない範囲内では常に報告しております。

 今後、もし特定秘密保護法が施行されても、捜査とか調査に支障のない範囲が決して縮小されるということではなくて、引き続き、警察を初め関係機関が今までと同様の対応をとっていくというふうに認識をいたしております。

青柳委員 時間が来ましたので、終わります。ありがとうございました。

山本委員長 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 きょう最後の質疑になりますが、まず岸田大臣に伺います。

 二〇一二年の十一月以来一年四カ月ぶりに行われた三月の日朝政府間協議でありますけれども、双方が関心を有する幅広い諸懸案について真摯かつ真剣な議論が行われたということであります。今回の日朝協議の評価について伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。

岸田国務大臣 三月末に行われました日朝政府間協議ですが、双方の関心を有する幅広い諸懸案について率直かつ真摯な協議が行われ、今後とも協議を続けていくといった点で一致をしました。

 一年四カ月ぶりの協議の再開ですし、そして協議はこれからまだ続くことになっていますので、現時点で評価するのはまだ早いとは思いますが、ただ、協議を続けていくといった点で一致したことは、一定の評価ができると考えております。

 従来から、北朝鮮に対しましては、対話と圧力の方針のもとに臨んでいます。そして、圧力につきましては、人、金、物をかなり絞り込むことによって、北朝鮮の経済状況を考えますと一定の成果が上がっているかと思いますが、それに加えて、一年四カ月ぶりに対話が再開される。ぜひここで具体的な行動を引き出すべく、全力で取り組んでいきたいと考えています。

笠井委員 古屋大臣に、一年四カ月ぶりに日朝政府間協議が開催されたことについて、拉致問題担当大臣として所見を伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。

古屋国務大臣 今、岸田大臣が答弁させていただいたのと基本的に同じでございますが、やはりこういった協議が再開をしたということは、私は一定の評価をしたいというふうに思っております。

 ただ、今後はやはり、本当に具体的に解決のための対話ができなくては意味がないわけでありまして、そういう意味では、解決を導き出すための対話は、具体的な中身というのが極めて重要になってくる。ある意味では胸突き八丁の協議というのがこれから始まっていくということだと思いますが、その具体的な中身あるいは時期についてここで言及するのは、まだ一回しか行われていないことでございますので、時期尚早ということであり、これは外務大臣の答弁と同様でございます。

笠井委員 外務省に伺いますけれども、今回の日朝協議での北朝鮮側の代表というのは、二〇一二年の日朝協議のときと変わらず宋日昊外務省大使だったということでよろしいでしょうか。

下川政府参考人 お答えいたします。

 今回の北朝鮮側代表は宋日昊外務省大使だったということで間違いございません。

笠井委員 引き続き外務省で結構ですが、前回二〇一二年の日朝協議では、こういうふうに特徴づけられました。双方が関心を有する諸懸案について、日朝平壌宣言にのっとって日朝間の関係の前進を図るべく、幅広い意見交換を真剣な雰囲気のもとで行ったというふうにされておりましたけれども、今回の日朝協議というのはどういう特徴というふうに言われるんでしょうか。

下川政府参考人 日朝平壌宣言に言及がございましたけれども、今回の協議におきましても、政府としては、対話と圧力の方針のもとで、日朝平壌宣言に基づき、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決するという基本的な考えに変わりはなく、そのもとで粘り強く交渉を行うという考えでございます。

 そして、今回の日朝協議の中におきましても、例えば、北朝鮮側から過去に起因する問題について提起があり、この件につきまして、日本側は、日朝平壌宣言にのっとって解決を図る意思というものを表明したところでございます。

 また、北朝鮮による弾道ミサイルの発射については、我が方から、これらが日朝平壌宣言や累次の国連安保理決議に違反するとして厳重に抗議を行って、北朝鮮が関連の国連安保理決議や六者会合共同声明等を遵守し、自制するように強く求めたところでございます。

 したがいまして、繰り返しになりますけれども、日朝平壌宣言に基づき拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決するという考えに変わりはございません。

笠井委員 今回の協議の中では、特に拉致問題について、これまでの協議の議論を踏まえつつ、日本側の基本的考え方について問題提起を行ったそうでありますけれども、どのような基本的な立場で問題提起をしたのか。具体的にどういう提起をしたかというのはまた交渉事ということになるんでしょうけれども、基本的な立場で問題提起したという、この基本的な立場の方はどうだったのか。そして、交渉事でしょうからなかなかということになるかもしれませんが、それに対する北朝鮮側の対応というのはどうだったのか。もし言えることがあればお答えいただきたいんですが、どうでしょう。

下川政府参考人 今回の協議におきます拉致問題の扱いでございますけれども、協議で双方が関心を有する諸懸案について幅広い意見交換を行い、その中で、特に拉致問題については、これまでの協議の議論を踏まえつつ、日本側の基本的考えについて問題提起を行ったということでございます。基本的な立場といいますのは、過去の協議におけます議論の流れといったようなことも踏まえながら問題提起を行ったということでございます。

 先方からいかなる発言があったかについては、外交上のやりとりであり、また、今後も協議を継続していくことで一致していることでもございますので、紹介することは差し控えさせていただきたいと思います。

笠井委員 基本的立場ということでいえば、累次にわたって御答弁があったと思うんですけれども、拉致問題の解決なくして北朝鮮との国交正常化はあり得ないという方針のもとで、全ての拉致被害者の安全確保と即時帰国、拉致に関する真相究明並びに実行犯の引き渡し、この三点に向けて全力を尽くすという立場だということで、その立場に基づいて問題提起をしているということなんでしょうか。

下川政府参考人 お答え申し上げます。

 対話と圧力の方針のもとで、日朝平壌宣言に基づき、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決するという基本的な考え方でございます。

笠井委員 私が言ったこと、そのとおりと言えばそれでいいと思うんだけれども、違うのかな。

下川政府参考人 今委員がおっしゃったとおりでございます。

笠井委員 二〇〇八年六月と八月に行われた日朝実務者協議は、日朝政府間協議と同様に宋日昊氏が北朝鮮側の代表だったと思うんですけれども、そのときの実務者協議で、北朝鮮側は、拉致問題は解決済みという立場を変更して、拉致問題に関する調査のやり直しを約束したということがあったと思うんですけれども、今回、北朝鮮側はこういう問題に関して何か言及したんでしょうか。

下川政府参考人 日朝政府間協議における議論の中身につきましては、外交上のやりとりであり、今後も協議を継続することについて一致しておりますので、今後の協議に向けた方針を含め、具体的に紹介することは差し控えたいと思いますが、我が国としましては、引き続き、全ての拉致被害者の安全確保と即時帰国、拉致に関する真相究明、拉致実行犯の引き渡しの実現のためにあらゆる努力を傾注していく考えでございます。

笠井委員 交渉中で次もという話なんですけれども、もう一問聞いておきたいんですが、六年前の実務者協議では、北朝鮮側は、当初、日本側要求を本国に伝達する等の対応にとどまっていたけれども、改めて北朝鮮側の具体的行動を厳しく要求した結果、再調査を約束したという経過があったと思うんです。今回は、ともかくは再開したというところに評価があるんだとおっしゃったので、そこまで至っていないということだと思うんですけれども、至っていないということで、なぜかということについて言えることはありますか。

下川政府参考人 繰り返しになって恐縮でございますが、外交上のやりとりであり、今後も協議を継続することで一致しているところでもございますので、中身、それから前回と同じかどうかということも含めて、コメントは差し控えさせていただきたいと思います。

笠井委員 もう一つ、同じ答えになるかもしれませんが、聞いておきます。

 あの実務者協議では、北朝鮮側は、拉致問題に関する再調査を開始すると同時に、日本側も制裁措置の一部を解除する用意がある旨表明したと思うんですけれども、それでは、今回の協議の中でこうした提案を行ったのかどうか。それも、行ったとも何とも言えない、そういう話になりますか。

下川政府参考人 繰り返しになって恐縮でございますが、個別具体的なやりとりについては差し控えさせていただきたいと思います。

笠井委員 では伺いますが、二〇〇八年八月の実務者協議では、拉致問題に関する調査の具体的態様について、「北朝鮮側が実施する拉致問題に関する調査は、以下のとおり行われることとなった。」という確認があると思うんです。その中で幾つか項目がありますが、「拉致問題の解決に向けた具体的行動をとるため、すなわち生存者を発見し帰国させるための、拉致被害者に関する全面的な調査となること。」さらには、項目の中で挙げると、例えば、「調査は、権限が与えられた北朝鮮の調査委員会によって迅速に行われ」ることなどが確認されたと思うんですけれども、そのことは間違いないですね。当時です。

下川政府参考人 二〇〇八年当時の再調査については、今委員がおっしゃったとおりでございます。

笠井委員 両大臣どちらかで結構なんですけれども、そういう点を含めて、いずれにしても、今後の日朝協議、また継続で次があるというお話になったんですけれども、これまでの議論、あるいは確認してきた事項も踏まえて、それらを踏まえて、拉致問題解決のために日本側からさまざま具体的な問題提起をしていく、そういうことでよろしいんですね。

岸田国務大臣 今回の日朝政府間協議においては、これまでの拉致問題をめぐる両国間のやりとり等もしっかり確認し、我が国の立場もしっかり説明し、そしてその上で、協議を継続することで一致したということであります。

笠井委員 よくわかりました。

 では次に、北朝鮮の外務省は、日朝協議が行われていた三月三十日に、国連安保理が北朝鮮のノドンミサイル発射をめぐる報道談話を発表したのに対して、核抑止力をさらに強化するための新たな形態の核実験も排除しないという声明を発表いたしました。これは四回目の核実験の可能性に直接言及したということであって、断じて看過できるものではないと思います。

 政府は、日朝協議の場でも、北朝鮮外務省の声明に対して遺憾の意を表明して、自制を求めたということでありますけれども、北朝鮮側の態度はどうだったんでしょうか。

下川政府参考人 三月三十日の外務省声明において核実験が排除されないとの姿勢を示したことに関しまして、三月末の政府間協議の場において遺憾の意を表明して、北朝鮮側に自制を求めたというのは、委員おっしゃったとおりでございます。

 先方の反応の詳細について御紹介することは差し控えたいと思いますが、北朝鮮側から従来の立場に基づく発言がございました。

笠井委員 北朝鮮の外務省報道官は、四月の二十九日に、同省が三月三十日の声明で新たな形態の核実験も排除しないとした宣言には時効がない、リミットがないというふうにする談話を発表しておりますけれども、外務省は、この新たな形態の核実験について、北朝鮮側がどんなものを念頭に置いていると見ているんでしょうか。何か具体的なことがあれば。

下川政府参考人 お答えいたします。

 今、情報収集、分析等を種々行っているところでございますが、詳細については差し控えさせていただきたいと思います。

 以上です。

笠井委員 この新たな形態の核実験を、北朝鮮が核抑止力をさらに強化するためといわば理論づけしているということについて、外務省はどういうふうに考えますか。

下川政府参考人 お答え申し上げます。

 北朝鮮によります核開発の継続は、日朝平壌宣言、六者会合共同声明、そして一連の国連安保理決議に明らかに違反しており、東アジア及び国際社会全体の平和と安全に対する脅威でありまして、我が国としては決して容認できないということでございます。

 したがいまして、我が国としましては、米国を初めとする関係国と連携しながら、北朝鮮に対し、核実験を含むいかなる挑発行為も行わず、関連する安保理決議を履行し、六者会合共同声明の完全実施に向けて具体的な行動をとるよう引き続き求めていく考えでございます。

笠井委員 岸田大臣に伺いたいんですが、北朝鮮は、核実験を繰り返すことによって、いわば核保有国であることの既成事実化を図ろうとしている、このことは明白だと思います。

 その最大の理論づけが、核兵器は抑止力という核抑止力論ですけれども、これで核兵器保有を、いわば居直っているわけで、こうした態度は絶対に許されないと思うんですけれども、大臣、どのように考えていらっしゃるんでしょうか。

岸田国務大臣 北朝鮮によるこうした核開発の継続、これは絶対に我が国として容認することはできません。先ほどの答弁の中にもありましたように、日朝平壌宣言、累次の国連決議、さらには六者会合声明、あらゆるものにこれは違反するということで、容認はできないというのが我が国の立場であります。

 そして、このことは、国際社会としっかり連携しながらメッセージを送っていかなければなりません。北朝鮮にとりまして、核開発と経済建設の並進政策というのは絶対に成り立たないというメッセージを、米国を初め関係国とともにしっかりと送り続けることが重要であると認識をしています。

笠井委員 大臣、北朝鮮の核問題をめぐっては、国際社会として、やはり一つは、北朝鮮を真剣な対話のテーブルに着かせて核兵器を放棄させる努力、もう一つは、核兵器のない世界に向かっていくための具体的な行動に出ながら、北朝鮮に核兵器の放棄を迫っていく努力、こういうことが、本当にこの両面が必要だと思うんですけれども、いかがでしょうか。

岸田国務大臣 さまざまな角度から、北朝鮮に核開発を放棄させるべく、我が国は、国際社会としっかり連携していかなければならないと考えます。御指摘のように、しっかりと強いメッセージを国際社会とともに発していきたいと考えます。

笠井委員 北朝鮮側が核抑止力論ということを持ち出していることについても伺ったんですが、そのことに直接お答えにならなかったんだけれども、北朝鮮が核抑止力ということで理屈づけする以上、日本にもはね返ってくるという問題があるわけですね。だから、そういう点でいうと、北朝鮮に放棄させて核兵器のない世界へ向かっていくという上でも、今こそ日本自身も核の傘から脱却して核兵器廃絶へのイニシアチブを具体的に発揮することが必要だということを強く言っておきたいと思います。

 さて、最後のテーマになりますが、先日、政府は、日本に帰国した拉致被害者への今後の支援策のあり方について、先ほどありました論点整理をまとめたと思うんですけれども、改めて、その概要と特徴、内閣官房の担当の方、審議官で結構ですが、お答えいただきたいと思います。

片山政府参考人 お答え申し上げます。

 委員から御指摘のありました今後の支援策のあり方についての論点整理は、拉致問題対策本部のもとの課長級ワーキンググループで実務的な検討を進め、今後の議論のたたき台として取りまとめたものでございます。現在の拉致被害者等給付金の取り扱い、新たな老後の支援策、新たな拉致被害者帰国に向けた施策を三本柱として整理を行っております。

 現在の拉致被害者等給付金の取り扱いにつきましては、現在支給を受けている拉致被害者の方については、十分な老後の支援策が措置されるのであれば打ち切っても差し支えないのではないかとする一方、今後新たに帰国する拉致被害者の方につきましては、大都市に居住する場合を想定した調整措置が必要ではないか等の整理を行っているところでございます。

 新たな老後の支援策に関しましては、老後の所得を補完する新たな給付金制度を恒久措置として設けることが必要であること、また、当該給付金の支給開始年齢を六十歳とすることが望ましいこと、外国人配偶者の取り扱いについても同様の取り扱いとすることが望ましいこと等について整理しているところでございます。

 新たな拉致被害者帰国に向けた施策に関しましては、成人後かなりの期間が経過した子供が帰国した場合の現行給付金や滞在援助金の取り扱い、また、国民年金保険料の追納支援の必要性等のほか、六十五歳以上で帰国した拉致被害者に対する帰国前の国民年金相当額の手当て、親族往来への支援措置などについて整理しているところでございます。

笠井委員 そういう中身について論点整理して、今後の検討と法案化のスケジュール、さっきも若干あったと思うんですが、改めてちょっと整理してお願いしたいんですが、どういうふうになっていくというふうに今考えておりますか。

片山政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の論点整理は、今後、与党を初めとする各党において拉致被害者等への今後の支援策のあり方について御検討いただくためのたたき台として提示させていただいたものでございます。

 今後、七月下旬ごろまでに、各党及び局長級の関係省庁で構成される支援幹事会での御検討を終えて、政府・与野党拉致問題対策機関連絡協議会及び政府拉致問題対策本部において中間報告案の取りまとめを行い、八月末の概算要求に反映することとしたいと考えております。

 また、法制化が必要な部分につきましては、来年一月を目途に、ぜひ議員立法により改正法案を国会へ提出していただきたいというふうに考えておりますので、よろしくお願いいたしたいと思います。

笠井委員 最後に古屋大臣に伺いたいんですが、先日、当委員会での視察、私も参加をいたしまして、曽我ひとみさんからも、前にも新潟市内にお越しになったときに委員会としての視察でお話を伺ったことがあったんですが、改めてお話を伺って、そして、佐渡市からも、給付金の延長もしくは年金にかわるような老後の生活保障制度の要望などが出されておりました。

 振り返ってみますと、曽我さんたちが帰国されてからもう十年以上になる。それだけ御本人も、そしてジェンキンスさん初めとして御家族も年齢を重ねられていて、これまでの支援に感謝されながら、やはり今、将来不安が大きいということを言われていた。先ほどもあったとおりです。そして、これから新たに帰国される方々についても、その帰国時には相応にお年を召されているということになると、支援法ができたときとは要望の内容あるいは実情も大きく変わってきているということを改めて実感いたしました。生活を支えるとともに、将来不安をなくす支援をという声、そして、それぞれの被害者の実情、家族の年齢構成に見合ったきめ細かい柔軟な支援ができるようにというのが地元の自治体からの要望だったというふうに私は受けとめたわけであります。

 ぜひ、そういう点では、拉致被害者の皆さんの要望を十分に反映した支援策が文字どおり超党派で講じられるように我が党としても力を尽くす決意でありますけれども、今後の支援のあり方、つまり、かなり時間がたったもとでの支援法の見直し、あるいは今後どうするかという問題も論点整理しているわけですけれども、今の時点でのあり方について、古屋大臣の所見を伺えればと思います。よろしくお願いいたします。

古屋国務大臣 支援法ができて十年たっていますので、帰国された家族の環境も変わってきていますね。だからこそ、こういった協議会、政府の中に事務方が入っていただいて、今、拉致被害者、帰国被害者の皆さん初め、関係者としっかり意見聴取をしながら論点整理をしているということであります。

 一つは、要するに、現在の給付金の取り扱いをどうしていくかという問題、それから二つ目は、新たな老後の支援策をどうすべきか、それからもう一つは、新たな拉致被害者が帰国をした場合、この三点についてしっかり丁寧に検討しながら、ことしの概算要求、そして、先ほど片山審議官の方から答弁がありましたように、これは議員立法でやっていくことになろうかと思いますので、新たな法改正が必要な場合はそういった取り組みをお願いしていくということで、丁寧かつ速やかに対応していきたいというふうに考えております。

笠井委員 丁寧かつ速やかにということですが、きちっとしたものをつくる必要があるということを私も非常に痛感いたしております。

 質問を終わります。

山本委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時二分散会


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