衆議院

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第2号 平成17年4月14日(木曜日)

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平成十七年四月十四日(木曜日)

    午前十時開議

 出席合同会議員

   会長 与謝野 馨君

   会長代理 仙谷 由人君

   幹事 長勢 甚遠君 幹事 丹羽 雄哉君

   幹事 柳澤 伯夫君 幹事 武見 敬三君

   幹事 枝野 幸男君 幹事 城島 正光君

   幹事 小川 敏夫君 幹事 坂口  力君

      伊吹 文明君    鴨下 一郎君

      鈴木 俊一君    竹本 直一君

      武部  勤君    津島 雄二君

      片山虎之助君    田浦  直君

      中島 眞人君    岡田 克也君

      小宮山洋子君    五島 正規君

      中塚 一宏君    古川 元久君

      横路 孝弘君    朝日 俊弘君

      山本 孝史君    井上 義久君

      冬柴 鐵三君    古屋 範子君

      遠山 清彦君    山口那津男君

      佐々木憲昭君    小池  晃君

      阿部 知子君    近藤 正道君

    …………………………………

   衆議院厚生労働委員会専門員            榊原 志俊君

   参議院常任委員会専門員  川邊  新君

    ―――――――――――――

合同会議員の異動

四月十四日

 辞任         補欠選任

  鈴木 俊一君     竹本 直一君

  峰崎 直樹君     岡田 克也君

  福島  豊君     古屋 範子君

同日

 辞任         補欠選任

  竹本 直一君     鈴木 俊一君

  岡田 克也君     峰崎 直樹君

  古屋 範子君     福島  豊君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 年金制度をはじめとする社会保障制度改革について


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     ――――◇―――――

与謝野会長 これより会議を開きます。

 本日より、年金制度をはじめとする社会保障制度改革について議論を始めます。

 まず、各党代表者から本問題についての基本的考え方を十五分以内でお述べいただき、その後、議員間の自由討議を行います。

 それでは、初めに各党から発言していただきます。

 まず、自由民主党の丹羽雄哉君にお願いいたします。

    〔会長退席、仙谷会長代理着席〕

丹羽議員 自由民主党の丹羽雄哉でございます。

 自民党を代表して、年金を初めとする社会保障についての基本的な考え方を述べさせていただきます。

 今、国民の最も深い関心は、年金を初め社会保障が、将来ともセーフティーネットとしての役割を果たし得るかどうかということにあります。各種の世論調査を見ましても、年金、社会保障は、国民が最も取り組んでいただきたい政策課題の常にトップにあります。

 昨年の参議院選挙では、年金の未納問題や社会保障の不祥事が相次ぎ、まさに年金の議論は政争の具となり、冷静な議論ができませんでした。今般、社会保障について各派を超えて話し合う場として衆参両院の合同会議が設けられましたことを、まず歓迎いたしたいと思います。私どもは、党利党略を超えて、地についた議論が進むことを強く望んでおります。

 経済のグローバル化が進む中で、厳しい市場原理に基づく勝ち組、負け組の論理だけがややもすると先行しているとの指摘もございます。一方で、国の長期債務が六百兆円にならんとする中で、安易に税財源だけに依存することはもはや困難であります。本格化する少子高齢化社会の中で、私どもは、国民の皆さん方が真の安心感を得るためにはどのような給付と負担のあり方が最善であるか、包み隠さずその実態を明らかにし、絵そらごとでない現実的な改革を提示し、国民の皆さんの理解を得るように努めていく決意でございます。

 我が国の社会保障は、世界に冠たる皆保険皆年金制度のもとで、その質量とも国際的にも高い水準にあることを、まず国民の皆さん方に御理解いただきたいと思っております。

 我が国は、今や男性の平均寿命が七十八歳、女性が八十五歳と、世界一の長寿国になったことも率直に評価しなければなりません。これは、今やGDP五百兆円という世界第二位の規模を誇る経済の発展と高い医療水準によるものであり、私どもは、この世界に誇るべき皆保険皆年金制度をたゆまざる改革によって今後とも維持し、国民のだれしもが安心感を持てる福祉国家であり続けなければならない、こう考えているものでございます。

 言うまでもなく、我が国の社会保障制度は、自立自助と連帯を基本とするいわゆる社会保険方式によって成り立ってきました。そして、現在、およそ八十八兆円に上る膨大な社会保障財源のうち、実は企業から源泉徴収される保険料が全体の三分の二を占めており、その二分の一である二十八兆円を事業主が負担しております。つまり、我が国の社会保障は、西欧諸国と同様に、そもそも国民福祉の向上と企業の良質な労働力の確保を念頭に置いた福祉政策からスタートしたものであります。そのことを前提に議論しなければ、非現実的な制度論にならざるを得ないわけでございます。

 しかし、今、皆保険皆年金制度は、私たちの想像以上の少子高齢化の進行や経済の低迷によって、大きな曲がり角に立たされております。現在、高齢者一人を若年世代三・一人で支えております。これが、高齢者数がピークに達する二十年後には、高齢者一人を一・九人で支えなければなりません。

 今、私たちは、こうした少子高齢化の流れを変えていくため、待機児童ゼロ作戦など少子化対策に全力を挙げて取り組んでおりますが、こうした現状認識に立てば、社会保障制度は、今後、連帯の理念に立脚しながらも、自立自助の方に徐々に軸足を移していくことが必要になってまいります。

 さて、私どもは、昨年の年金制度改正において、これまでにない思い切った改革を断行しました。その基本的な方針について、ここで改めて確認をさせていただきたいと思います。

 本格的な少子高齢化社会においても持続可能な制度にするために、負担についても、これまでのように歯どめなく拡大していくことに終止符を打ちました。まず、将来の保険料率について、負担可能な上限として一八・三%としました。したがって、今後は、国庫負担を三分の一から二分の一に引き上げるシナリオを前提に、その負担の中で給付の内容を決めていくことになります。

 現に年金を受給している高齢者の方々についても、今後とも現在の年金給付額が下がることはありませんが、若年者の負担増を抑えるために、今後は緩やかな伸び率に抑えていくことになります。

    〔仙谷会長代理退席、会長着席〕

 私どもは、同時に、将来の給付水準についても現役世代の五〇%を確保するという明確な目標を定めました。これまでの方針を転換させ、年金の積立金の活用にも踏み切ったのであります。

 若年世代の方々の不満や不安を少しでも和らげ、将来も持続可能な制度の方向性を打ち出したことは画期的なものである、こう評価されるべきと考えております。

 今回の年金制度の改正によりまして年金給付の増大に一定の歯どめを設けましたが、その一方で、医療、介護の給付費は、経済成長をはるかに上回って伸び続けているのが現状でございます。したがって、今後の課題は、医療、介護についても、過大な負担を避けるためにも、給付の伸びを抑制することが求められています。私どもは、国民の皆様方の御理解をいただきながら、早急に医療改革にも着手したい、こう考えております。

 介護につきましては、現在国会で議論されておりますが、在宅サービスと施設サービスとの間の公平性の確保、年金との重複給付の解消といった観点から、施設入居者に対しまして、居住費や食事代の御負担をお願いすることにいたしました。世界各国に先駆けて五年前に導入し、国民の間に定着しつつある介護保険制度の安定した基盤を確立するためであります。

 私どもは、医療費などを単に機械的に抑制する立場をとるものではありません。単に給付の抑制を求めるだけでなく、これまでややもすると手薄だった生活習慣病対策であるとかあるいは介護予防を通じて、国民の皆様方が八十歳になっても、いや九十歳になっても元気なお年寄りであり続け、結果的に医療費が適正化する方策を歩んでいきたい、こう考えている次第でございます。

 次に、年金の一元化について申し上げたいと思います。

 私どもは、サラリーマンを対象とする厚生年金と共済年金との一元化という被用者年金の一元化から進めることが現実的であるということを主張したいと思います。

 定年のあるサラリーマンの方々の年金と自営業者らの国民年金とは、おのずと意味合いが違います。勤労者の福祉政策からスタートした被用者年金と、農業従事者であるとかあるいは自営業者を対象に昭和三十六年に発足した国民年金とは、そもそも制度の成り立ちが異なっております。所得の把握や税制上の取り扱い等も異なることから、その一元化の実現には乗り越えるべきさまざまな課題がございます。決して私たちは、国民年金を含めたすべての一元化について否定しているわけではありません。これらの課題を克服せずに一挙に一元化というのは、余りにも非現実的な議論であると言わざるを得ないのであります。

 なお、税財源によって、保険料の支払いもなく最低保障年金を給付するという主張をなさる党もございますが、これは、医療や介護などを含めた社会保障制度の根幹を覆すものであります。年金の未納、未加入者があるからといって安易に税方式を主張するのは極めて短絡的な考えと、あえて言わざるを得ません。保険料を払わなくても受給できる税方式を導入し、しかも所得の低い層だけを対象とするならば、それは生活保護的な色彩が強まってくるのではないか。

 私は、年金制度の改革の中で焦眉の急は、基礎年金の国庫負担を二分の一にすることだと思います。これによって国民年金の将来の安定が確実にもたらされるものと確信をいたしております。このためには、定率減税の見直しや消費税などの財源の手当てが最重要課題であり、平成二十一年度までの残された短い期間の中で、各党の協力を得てその実現に全力を傾けていきたいと思います。

 私は、これまで社会保障を中心にして政治活動をしてきた政治家の一人として、最後にあえて申し上げたいと思います。

 私は、基礎年金の国庫負担の二分の一への引き上げであるとかあるいは政管健保など医療制度の改革をかねてから強く主張してまいりました。これは、私なりの社会保障制度に対する真摯な危機意識によるものでございます。社会保障は、総論賛成、各論反対の繰り返しであると言っても決して過言ではありません。もうこういうことには、この会議を契機にしてピリオドを打って、国民の皆様方に一致して御理解いただく努力をすることを私は願ってやまない次第でございます。(発言する者あり)

与謝野会長 静粛に願います。

丹羽議員 給付と負担のあり方、特に基礎年金の国庫負担の二分の一への財源のシナリオを各党で率直に話し合い、一致点を見出すことを期待して、私の意見表明にさせていただきます。

 ありがとうございました。(拍手)

与謝野会長 次に、民主党の岡田克也君にお願いいたします。

岡田議員 民主党の岡田克也です。私の方から、民主党の考え方についてお話をしたいと思います。

 その前に、こういう、各党で国会の場で合同で議論する場ができたことは大変評価できることだと思っております。ぜひ、お互いに国民の立場に立ってしっかりとした議論をし、そして年金の抜本改革について、ことしの秋までにその骨格について成案を得るということですから、お互いに努力していきたいというふうに思っております。

 ただ、始める前に、今の丹羽さんのお話を聞いて、若干の不安を覚えずにはいられません。今の丹羽さんのお話を要約しますと、昨年強行採決された年金の改革案は、これはすばらしい改革であった、その上で、年金の一元化については非現実的である、税方式は短絡的である、やるべきことは国庫負担の二分の一への引き上げである、そして、厚生年金と共済年金の一元化であると。これでは従来の政府方針をなぞったにすぎないわけでありまして、どこが改革なのかというふうに思わざるを得ません。

 以下、具体的に私の問題意識、そして改革の方向についてお話をしたいと思っております。

 まず、年金改革の視点であります。何のために改革しなきゃいけないのか、なぜ、今、年金制度の抜本改革が必要なのかということについて、三点申し上げたいと思います。

 第一の論点は、公的年金制度に対する国民の信頼回復であります。この信頼が全くなくなっているところに非常に大きな問題があります。特に、公的年金制度は賦課方式でありますから、国民の信頼がないところで年金制度は成り立たないと思います。

 つまり、特に、若い世代が将来きちんと年金がもらえると確信しなければ保険料を払おうということにはならないわけであって、公的年金制度に対する信頼を回復するということがまず第一に重要であります。現実が全くそうなっていないということは、議員の皆様、御存じのとおりであります。

 いろいろな調査を見ても、六割程度の国民が、公的年金制度を信頼しない、こういうふうに言っているわけであります。これでは公的年金制度は成り立ちません。なぜそうなったのかということを申し上げておかなければなりません。

 まず第一に、五年ごとの見直しと、そして、見直すごとに、五年前に約束をした保険料が約束以上に上がることになり、給付が下がるということを繰り返してきたことが一つの大きな理由だと思っております。五年ごとにそういった形で保険料が上がり給付が下がるということでは、将来本当にもらえるのかということについて国民が疑問に思うのは当然であります。

 そして、国民の年金不信を決定的にしたのが昨年の年金改悪であったということであります。強行採決をして成立いたしました。ここで、成立後、出生率の新しい数字が出てまいりまして、前提が違っていた、変わっていたということが明らかになりました。このことに象徴される、甘い前提に立って数字合わせをしたというのが昨年の政府案、つまり改革であったというふうに断ぜざるを得ないと思います。

 先ほど御説明もありましたが、保険料の上限を一八・三%に固定して、そして所得代替率を五〇%にする、つまり保険料と給付の双方を固定するということ自身が非現実的な案であるということ、国民もそのことをしっかりと見抜いておられたと思います。

 先ほど、政争の具にしたというお話がありましたが、私は、国民はもっと物事がわかっている、理解しているというふうに思っております。つまり、政府案がいかに矛盾に満ちたいいかげんなものであるかということを理解し、それに対してはっきりノーと言ったというのが昨年の参議院の結果であったというふうに考えております。こういう国民の年金不信を取り除いて、そして、本当に持続可能で国民の納得できる制度を組み立てていくことがまず第一に重要であります。

 第二に、特に厚生年金、共済年金について申し上げたいと思いますが、制度が前提としているモデルが壊れている、モデルが変わってしまっているということをもっと重く見るべきだと思っております。一つの就職先に四十年間勤め上げ、その間、基本的に転職はしない、そして専業主婦がそれを支えるというモデルが全く現実に合わなくなっているということであります。

 今、就業者数の三割が非正規社員であります。やはりその現実は見なければいけない。そして、例えば大卒男子の三割、大卒女子の五割が就業後三年以内に離職をしている。つまり、転職が当然のように起こる時代に変わってきているということであります。もちろん、共働き世帯の方が専業主婦世帯よりも多くなってきております。

 そういう新しい時代のライフスタイルに合わせたモデルをつくっていかなければなりませんが、今の制度はそうなっていないというふうに言わざるを得ないと思います。

 そして、もう一つ申し上げますと、それだけではなくて、今の厚生年金制度がそういうライフスタイルに対して中立でないということも言っておかなければなりません。

 つまり、高い事業主負担があることによって、本来正規社員として雇用しても構わないところを、派遣とかパートとか、そういう形に追いやっている部分がかなりあると思います。

 もちろん、多様な働き方というのを認めることは当然であって、パートで働いておられる方、派遣で働いておられる方、それは御自身の選択としてそうしておられることについて異論を差し挟むものではもちろんありませんが、しかし、制度が中立でないとすれば、やはりそこにも問題があるというふうに思います。

 そういった、厚生年金について、本来加入していい人が加入せずに国民年金制度に移るということになりますと、少子高齢化の影響にさらに拍車をかけて、厚生年金そのものの空洞化を招くことになりかねないということも申し上げておかなければいけないと思います。

 三番目、ちょっと時間がなくなってまいりましたが、国民年金の空洞化の議論を申し上げなければいけません。これが実は最大の問題であります。

 厚生年金から国民年金にさっき言ったような理由で移動してきたら、その国民年金制度が壊れちゃっているというのが現実ではないかと思います。もう既に、二年間で一月も保険料を払っていない人が四百四十五万人、二〇%いる。二年間全部納付した人は四九%にすぎないという現実があります。

 こういった国民年金の現状は、将来、無年金者が大量に出てくるということを予想させるわけで、そのことは、年金制度だけにとどまらず、医療制度や介護保険制度、そういった社会保障制度の根幹を揺るがす大変な事態になっているということをきちんと認識すべきだと思っております。

 そして、国民年金制度は自営業者のための制度であると先ほど丹羽議員はおっしゃいましたが、ここも、既に現実は変わっているということを申し上げなければなりません。自営業者は、国民年金加入者の中の二四%にすぎません。そのほか、先ほど言ったような形の新しい雇用形態に基づく人たちがたくさんいるということが現実であります。

 そして、その自営業者自身も、先ほど定年がないとおっしゃいましたが、しかし、本当に自営業者で最初から最後まで通す人はむしろまれではないでしょうか。会社勤めの方が途中で自営にかわったり、あるいは自営の方が廃業されて勤めざるを得なかったり、そういうことも当然多く考えられるわけですから、ずっと最初から最後まで自営業者で、定年もなく資産もある、そういう自営業者像自身がもう今はほとんど当てはまらなくなっているということも考えなければいけないと思います。

 そういった問題点に基づいて、私たちは、新しい制度、つまり小手先の数字合わせではなくて、新しい制度が必要であるというふうに考えております。多様なライフスタイルに合った中立で公正な制度、わかりやすい制度、持続可能な制度、そういったものを政治が今勇気を持って構築していかなければならない、そういうふうに考えております。

 私たちの制度につきましては何度も申し上げておりますので、簡単に五点申し上げたいと思います。

 第一は、全国民を対象とする年金制度の一元化を行うということであります。国民年金を含む年金制度の一元化であります。

 第二は、いわゆる一階部分、民主党案では最低保障年金という言葉を使っておりますが、この財源は全額税にする。その財源は、現行制度における基礎年金国庫負担相当分に加えて、年金目的消費税を創設し、その税収を活用する。

 第三に、いわゆる二階部分については所得比例年金にする。つまり、所得に応じて保険料を支払い、払った保険料に応じて年金がもらえる仕組みにするということであります。

 第四は、所得比例年金の保険料率については一五%を超えない範囲で制度設計するということであります。

 そして第五は、所得把握を公正に行うために納税者番号制を導入する。

 以上の五点が私どもの制度の骨格であります。

 最後に、先ほどの丹羽議員、そして総理ともいろいろ議論をしてまいりましたので、そのことについて一言申し上げておきたいと思います。

 まず、先ほど丹羽議員のお話を聞きましても、今、国民の年金不信がこれだけ高まり、そして年金の抜本改革がこれだけ必要だ、そういう認識に果たして立っておられるのかどうか、少し疑問を感じたわけであります。やはり、年金制度の抜本改革をするという決意を持ってお互い議論を挑まなければならないというふうに思っております。

 そして第二に、一元化の話であります。

 総理は私に対して、一元化が望ましいと思っている、しかし、まずは共済年金と厚生年金だというふうにおっしゃいました。今の丹羽議員は、国民年金を含む一元化に対してはより後ろ向きというふうにも受け取れる発言でありました。

 私は、手順論、どういう順番でやるかということは横に置いて、まず、最終的に国民年金を含めた一元化をやるんだという決意、そしてそのための具体像、その前提に立って、それでは、納税者番号制の問題など、あるいは事業主負担の問題などがあるのであればやるんだという前提に立って、どういうふうにすればそれが乗り越えられるかという発想に立って物事を議論していくべきで、最初からできないという前提で議論するということであれば、それは、総理も望ましいと言われる国民年金を含む一元化はできないと思います。そこの基本的なスタンスが非常に重要だと思っております。

 それから三番目、最後ですが、税方式についてであります。

 国民年金が現実壊れているということに対してどういうふうに対応しようとしているのか、今の丹羽議員のお話あるいは政府の考え方では見えてまいりません。そのままでは国民の皆年金制度が崩壊してしまう、そのことの重大さということをもっと考えるべきだと思います。

 社会保険方式が重要だという御認識を示されました。社会保険方式と目的税に基づく税方式と一体どこがどう違うのか、そして、社会保険方式と比べて、目的税を財源とする税方式をとったときにどういう問題があるのかということについて、抽象論ではなくて、もっと具体的におっしゃっていただいた方がいいと思います。

 私たちは、一階部分については、税方式がいろいろな問題を解決するための決め手である、そういうふうに考えているところであります。そういった基本的な考え方に立ってこれからしっかりと中身の議論をしていきたい、こう思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

 以上です。(拍手)

与謝野会長 次に、公明党の冬柴鐵三君にお願いいたします。

冬柴議員 公明党の冬柴鐵三でございます。

 公明党を代表して、冒頭、議論に必要な論点を国民に提示し、あらゆる観点から真摯に議論を尽くし、社会保障制度改革、なかんずく年金制度改革について、その実現のために公明党は全力を傾注するものであることを特に申し上げておきたいと思います。

 まず、年金制度改革に関し、公明党が提起する論点を申し上げたいと思います。

 一つは、平成十六年年金制度改革は、厚生年金、国民年金とも、それぞれその負担の上限とともに給付の下限を数値をもって明定し、基礎年金への国の負担を二分の一と明定するとともに、その引き上げの道筋を明らかにすることにより、持続可能で国民の老後生活の基本的な部分を支えるに足りる給付水準を確保したすぐれた抜本改革であったと私は評価しているものでございます。公明党として評価しています。

 すなわち、論点の一つは、各党はこれを批判されることはもちろん自由でありますし、この議論もそういうことでありますが、この平成十六年年金改革をどう評価するのか、明らかにすべきだと思います。

 この改革を批判する場合には、批判者の示す対案は、厚生年金についての負担、すなわち保険料率をどう設定するのか、また国民年金についての保険料金をどう設定するのか、基礎年金への国の負担割合をどう考え、引き上げの道筋をどう考えるのかを明確にすべきだと思います。あわせて、国民が最も関心を寄せられている厚生年金の給付水準は現役世代所得の何%と設定されるのか、また国民年金の給付額は幾らになるのか。ただいま岡田議員は、最低保障年金、国民年金部分をそのように言われまして、それは税金で賄うというふうにおっしゃいましたが、その給付額は一体幾らだと、金額をもって示すべきだと思います。

 こういうような諸点を明確にした上での批判、それが大前提であるということを指摘しておきたいと思います。

 次に、年金財源のあり方についてであります。

 公明党としては、一つ、社会保険方式は、自立自助の考え方に立って個人の保険料納付努力を促す仕組みであるということを申し上げたいと思います。

 二つ目に、逆に、年金の財源を税だけで賄うといういわゆる税方式では、年金を受けられるという国民の権利が弱められ、その結果、例えば、将来、所得制限が導入されるおそれもあるということを考えておかなければならないと思います。

 三つ目には、巨額の財政赤字を抱えている現実や、さらに、高齢化に伴って年金給付費が増大していくのに応じて増税が求められるということにならざるを得ないということも考えなければならないと思います。

 今、二〇二五年あるいは二〇五〇年には一体この最低保障年金と言われるものが幾らの金額になるのかということを考えたときに、それを消費税率に落とした場合にその税率は幾らになるのか、こういうことを国民に提示して議論は進められるべきだろうというふうに思います。

 このようなことを考え合わせれば、年金制度を我々の子や孫の世代まで安定的に維持していくためには、社会保険方式と税のベストミックス、こういうことを堅持すべきである、このように公明党は考えます。

 三つ目、第三の論点として、公明党は、この両院合同会議における改革の論議は、まず共済年金と厚生年金の一元化実現に向かってのものであるべきだろうと考えます。

 改めて言うまでもなく、年金制度は多くの国民の日々の生活に直結するものであります。観念的な議論に終始するのではなく、国民に心から安心、信頼していただけるよう、現実に立脚し、地に足のついた議論をすべきだと思います。

 まず、被用者年金を一元化するとしても、次のような論点があると思います。

 一つは、共済年金と厚生年金の一元化に真っすぐ向かっていくのか、あるいは共済の一元化、すなわち、国家公務員共済、地方公務員共済及び私立学校教職員共済の一元化をまず早期に行うべきとするのか。それぞれの場合の意義づけと関係者間の合意形成をどう図っていくのかということも大きな論点になると思います。

 二つ目は、一元化の形態は、制度と組織や積立金等の統合一本化を目指すのか、それとも、制度の安定化及び給付と負担の水準公平化のための財政調整を目指すのか、こういうことも大きな論点になると思います。

 三つ目は、各制度グループごとの将来見通しを含めた財政状況の検証、比較、財政調整とした場合の具体的な方法、または制度統合とした場合の各積立金の移換や、あるいは既に持っているそれぞれの共済の福祉施設の扱いはどうするのか、こういうことも議論になろうと思います。

 共済における職域加算、三階部分の取り扱いをどうするのか。厚生年金にはそういうものはありません。一階、二階部分とは別の独自の制度を目指すのかどうか。必要だと思います。

 五番目に、共済のみにある遺族給付の転給制度をどうするのか。すなわち、厚生年金の場合、遺族給付、その人が亡くなればそれで終わりですけれども、共済にはそういう転給制度というものがあります。どうするのか。

 さらに、共済年金と厚生年金の一元化を進める場合には、共済の短期、すなわち医療の部分、これをどうするのか。それから、政管、組合健保との一元化を考えるのかどうか、こういうことも問題になります。

 七番目に、関連して、被用者年金の適用範囲をどうするのかも大きな問題だと思います。非正規雇用の増大に対応した被用者年金のあり方を考えなければならないと思います。

 このような諸点について、JR、JT、NTT共済や農林共済の厚生年金への統合事例などを参考に、利害関係者や学識経験者の参考人招致や資料提供を求めるべきものと考えます。

 四番目に、次に国民年金との一元化を展望しつつ、この一元化論議の前に、国民年金制度の利便性、わかりやすさ、制度の効率性など、実務的な観点からの改善策を論議すべきであると思います。

 平成十六年五月十一日、衆議院で可決された自由民主党、民主党、公明党提案による修正附則第三条第二項には、直ちに一元化するとは言っていません。一元化を展望しつつと明定されているわけでありまして、これは成立した法律の一部分であります。

 したがいまして、展望ということは、直ちに入るということではなく、遠くの目的として眺めながら、今のことをどうするのか、そういうことでしょう。(発言する者あり)

与謝野会長 御静粛に願います。

冬柴議員 あなたと、岡田さんと私とそして安倍さんが署名した三党合意に基づいて、展望という言葉を選択して、そして、これはあなたも、民主党も賛成をして可決成立した部分でございます。そのことを重く受けとめていただきたいと思います。

 しかしながら、そういうことを展望しながらも、今回の、現行制度についてどういうふうな改革をするかということについての問題点を提起すれば、基礎年金番号制度の活用による共済年金、厚生年金、国民年金を通じた事務の効率化と、ワンストップサービスの実現による制度の利便性の向上を考えなければならないと思います。

 二番目は、ポイント制であります。保険料納付実績、年金額の見込みなどの通知の導入による加入者の理解と信頼の促進と向上が図られるべきであると思います。

 三つ目には、制度間を移動する転職者に対する通知の徹底を図るという制度を導入しなければならないということであります。

 四番目には、過去の未納による無年金、低年金対策、今後の未納防止対策、社会保険庁の構造改革など、幅広く、従来施策の抜本的な見直しを論議する必要があろうと思います。

 次に、また、当然のことながら、年金だけではなく、医療や介護など社会保障制度全般について、税、保険料等、負担と給付のあり方を含め、一体的見直しの論議を進めなければなりません。あわせて、社会保障制度全体を基礎で支える子育て支援の政策についても、この両院合同会議で議題とされるべきものと考えます。

 介護については、既にその改革案が審議されているところであります。また、医療についても、早急に改革を行わなければなりません。その際、特に、予防を重視し、介護や医療を必要としない健康で元気な生活を少しでも長く享受できるような見直しを進めていくことが重要と考えています。

 右諸点につき、合意ある都度、随時必要な立法措置を講ずることを政党間合意とすることを提案したいと思います。

 以上の整理により、公明党の目指すべき年金の姿をも示し得たと考えております。

 以上でございます。

    〔会長退席、仙谷会長代理着席〕

仙谷会長代理 次に、日本共産党の小池晃君にお願いいたします。

小池議員 日本共産党の小池晃です。

 日本共産党を代表して、意見表明を行います。

 社会保障制度の改革を議論するに当たって、まず、議論の前提について述べておきます。それは、社会保障制度について、国民が何を求めているのかということです。

 この間、年金、医療、介護と、社会保障のあらゆる分野で負担増と給付削減をもたらす制度改定が実施されてきました。年金でいえば、支給開始年齢がどんどん引き上げられ、ついに、支給水準そのものも減らされました。医療の窓口負担もふえ続け、自営業者もサラリーマンもすべて三割負担となりました。介護保険も、高過ぎる保険料や利用料に加え、軽度の人を給付の対象から除外することまで行われようとしています。その結果、国民の間には、現在の暮らしと将来の暮らしに対する不安がかつてなく広がっております。日本は生活不安大国になってしまったとさえ言われています。

 このもとで、社会保障制度をどう改革すべきか。それは、もちろん、国民の不安を一層拡大する方向ではなく、制度と将来への安心を取り戻す方向に切りかえることでなければなりません。

 そのため、本両院合同会議において議論を始めるに当たって、国民の八割の声を押し切って強行した改悪年金法の実施をここで中止し、白紙に戻すことをまず求めます。負担増と給付減の路線を進んだままでは、そのレールの先に希望の持てる年金制度を構築するのは不可能だからであります。ましてや、昨年の改悪をいまだに画期的だとか、すぐれた抜本改革だとかするような立場にしがみつくならば、希望の持てる制度をつくることは到底できません。

 もう一つの問題は、社会保障改革の基準をどこに置くかということであります。

 私は、改革の基準として、憲法二十五条の立場を提起したいと思います。「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」とした憲法二十五条の立場で進めてこそ、国民が安心でき、希望が持てる制度改革ができるのだと考えます。

 年金制度について言えば、その最大の欠陥は、最低保障という考え方が欠落していることにあると考えます。

 無年金者は百万人を数え、日々の暮らしを到底賄えない低額年金の人々も膨大な数に上っております。国民年金しか受給していない高齢者は九百万人ですが、その受給額は平均月額四万六千円です。二万円から三万円台の受給者も少なくありません。厚生年金でも、女性の平均は十一万円と低水準で放置されております。こうした事態を解決してこそ、安心と信頼を生み出すことができるのではないでしょうか。

 主要先進国では、生存権を保障するために、国の責任で年金受給者の所得の最低額を保障しています。最低保障年金を否定する与党の立場こそ、世界の流れに背を向けるものです。しかも、国連の社会権規約委員会も、二〇〇一年九月の日本に対する勧告の中で、最低保障年金制度が存在しないことについての懸念を表明しています。日本政府はこの指摘にこたえる責任があるのです。

 日本共産党は、深刻化する現状を抜本的に打開するために、最低保障年金制度の実現に速やかに踏み出すことを提案します。

 最低保障年金制度は、厚生年金、共済年金、国民年金の共通の土台として、全額国庫の負担による一定額の最低保障額を設定し、その上に、それぞれの掛金に応じて給付を上乗せする制度です。この制度を、当面、最低保障額を月額五万円からスタートさせ、安定的な年金財源を確保しながら引き上げを図っていこうというのが私たちの提案です。

 この制度が実現すれば、現在の無年金者には月額五万円の最低保障年金が支給されます。現在例えば四万円の国民年金受給者は、最低保障額の五万円に加えて、支払った保険料に相当する二万円を上乗せし、月額七万円が受け取れるようになります。国民年金の満額である六万六千円を受給している人は、最低保障額の五万円に加えて、支払った保険料に相当する三万三千円を上乗せして、合計八万三千円を受け取ることになるという設計です。厚生年金についても、一定額までは同様の底上げを行います。

 この最低保障年金制度に踏み出すことによって、無年金者がいなくなります。二十五年間保険料を払い続けないと一円も年金がもらえないという問題もなくなります。月三万円の国民年金とか月十万円の厚生年金などの今の貧し過ぎる年金額を直ちに底上げし、憲法二十五条にふさわしい年金に向かって大きく前進できます。年金制度全体の空洞化も解消に向かいます。年金制度の改革を言うなら、この道にこそ踏み出すべきではないでしょうか。

 先ほどから年金一元化をめぐる議論が行われておりますので、この点についても一言申し上げます。

 年金制度間の格差をなくし、国民から見て公平でわかりやすい制度にすることは大切だと私どもは考えます。そのために一番具体的で現実的な方法は、今提案した最低保障年金制度の創設で、国民年金と厚生年金の低い部分の底上げを図り、全体として格差を縮小していくことです。そうしてこそ、だれもが生存権を保障される年金制度への道が開けます。

 しかし、現状の枠組みのままで一元化に進めばどうなるでしょうか。国民年金と厚生年金、共済年金の保険料や給付水準の統一は、結果として、保険料の大幅な引き上げか、もしくは給付水準の引き下げを招くことが懸念されます。

 国民年金を被用者年金に合わせれば、事業主負担のない国民年金の保険料は数倍にはね上がり、年金に加入できない人たちがさらに増大することは必至であります。逆に、被用者年金を国民年金に合わせれば、被用者年金の給付水準を大幅に引き下げることになります。それは、財界が要求しているように、被用者年金への事業主負担をなくしてしまう入り口になりかねません。日本共産党は、年金の水準を一層貧しくするこのような一元化には反対します。

 続いて、年金の財源について意見を述べます。

 社会保障制度への信頼を回復し、生活と将来への不安を軽減するためには、必要な財源を確保しなければなりません。問題なのは、社会保障財源というと、まるで打ち出の小づちのように、消費税の増税で穴埋めすれば事足りるかのような安易な議論がまかり通っていることであります。財界は、二〇%などということさえ平気で口にします。しかし、消費税率の二けた化が日本の社会と経済にどのような影響を与えるのかを具体的に検討したことがあるのでしょうか。

 例えば、年金が月十万円しかない高齢者の場合、今でも年間七万円程度の消費税を負担しています。もしも税率が一〇%に上がれば、さらに七万円の負担がふえ、消費税だけで一月半分の年金が消し飛ぶことになってしまいます。これが果たして耐えられる痛みなのでしょうか。

 消費税は、低所得者ほどずっしりと重くなる逆進性を持っているだけではありません。それは、勤労国民の消費を冷やし、日本経済に大きな打撃を与えます。そうなれば、まさに九七年の橋本内閣の失敗を繰り返すことになります。九兆円の負担増を国民に押しつけ、家計は大打撃を受けて消費が冷え込み、日本経済はどん底まで突き落とされました。景気の悪化で税収が減ったことが大きな要因となって、国、地方の借金は、逆に九年間で四百五十兆円から七百五十兆円へと三百兆円もふえました。消費税の大増税をしても、財政を立て直すどころか、かえって悪化させてしまいました。

 財源問題で道を誤れば、社会保障はさらに崩れ、消費税増税の重荷だけが国民生活にのしかかることになるのです。しかも、消費税は、もともと消費者、すなわち国民にかかるものです。中小零細業者も、消費税を価格に転嫁できず、身銭を切って負担しています。結局、消費税を年金財源に充てた場合、価格に転嫁できる大企業だけがこれを負担せずに、その上、保険料の事業主負担も免れることができます。このように、大企業の年金財源への責任を免罪することは到底認められません。

 最後に、それでは一体何が必要なのか。

 第一は、歳出のむだを徹底的に洗い直すことであります。例えば、道路特定財源は年間六兆円近くもの金額が使途を道路建設だけに限定され、車がほとんど通らないような高速道路の建設にも巨額の資金が投入されています。発着能力をはるかに下回る需要しかないのに関西空港にもう一本の滑走路をつくる、首都圏の水は足りているというのに群馬県に事業費規模過去最大の八ツ場ダムをつくる、裁判でも事業差しとめの判決が出た諫早湾干拓に予算をつけ続ける、こういうむだと浪費の蛇口をきっちり閉めることが何よりも先決です。

 もう一つは、大企業や高額所得者、大資産家など、負担能力のある人に応分の負担を求めることであります。九七年以降の九年間だけをとってみても、一般庶民には、消費税増税や配偶者特別控除廃止、年金課税強化などの増税があり、定率減税分を差し引いても、平年度ベースで五兆六千億円の増税になっています。一方、大企業、高額所得者、資産家には、法人税率引き下げや所得税の最高税率引き下げ、土地や株の取引関係など、合わせて五兆三千億円もの減税になっています。担税力の向上している大手企業と高額所得者の能力と責任に応じてきちんと負担を求めるようにしていくことこそ必要であります。

 また、日本共産党は、世界に類を見ない巨額の年金積立金を、百年などと言わず、高齢化がピークを迎える二〇五〇年ごろまでに計画的に取り崩し年金の給付に充てること、リストラや不安定雇用に歯どめをかけ年金の支え手をふやすこと、少子化の克服は年金問題を解決する上でも大事であり、子供を安心して生み育てられる社会をつくること、こうした改革に取り組むことを提案しています。この方向に着実に進むことによって、できる限り保険料の上昇を抑えながら給付水準を維持し、低額年金については底上げする道を切り開くべきです。

 公的年金制度は、老後の生活保障という役割を持つ社会保障の中核的な制度です。日本共産党は今も将来も安心できる年金制度の確立のために全力を尽くす決意を述べて、意見表明を終わります。

    〔仙谷会長代理退席、会長着席〕

与謝野会長 次に、社会民主党の阿部知子君にお願いいたします。

阿部議員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 冒頭、国民が最も求める二十一世紀の社会保障ということに関しまして、各党の各分野のエキスパートも含め、政党としての責任ある立場を論じ合うこの合同会議が本日ここに開かれましたことを、私は、政党としても、そして国民の観点からも、前向きに検討し、進めていくことを決意して、皆さんにお伝え申し上げたいと思います。

 と申しますのも、例えばこれまでの年金論議、あるいは医療や介護の論議におきましても、主に厚生労働委員会という場で行われまして、財源問題をめぐって、あるいは税制との関係がどうであるかなどなど、結局、一番根幹のところはあいまいにされたままに、その場その場での国民への負担の増大のみが結果的に求められてきたように私は思います。例えば、ちょうど今、この同じ時間、厚生労働委員会には介護保険の問題がかかっておりますが、果たして、現在、御高齢な女性たちで三万円か四万円の年金しかない方にホテルコストを五万円、八万円と取っていくような形が現実に可能であるのかどうか。考えてみれば、国民から見ればすぐわかることが、しかし政策として、あるいは法案として通過してしまいます。

 その意味からも、二十一世紀は、私ども日本というのは未曾有の、他の諸国にも例を見ない少子高齢化を走ります。しかし、幸せな国である、その中に生きる一人一人にどう暮らしていただきたいか、どうあってほしいかということを政党としてメッセージする、いわばグランドデザインを論じ合える骨太な場であってほしいと思います。

 ちなみに、二〇〇一年度のOECD諸国の統計を見ますと、国民総生産に対する社会保障給付は、我が国はアメリカに次いで、すなわち下から二番目の低い給付でございます。この社会保障給付は、年金、医療、介護等々を、あるいはその他の福祉政策をひっくるめた給付費でございますが、この日本の現状が、先ほど来一部の先生方がおっしゃるような、決して十分な、私ども国民が暮らす、その安心をメッセージできていないということは、私は認識を共通にしていただきたいし、今回の論議のある意味での進め方が、単に国民の負担のあり方、特に年金の財源だけの論議に終わるのであれば、私は極めて不十分だと思います。

 もちろん、国民が受けているいわば社会保障給付と同時に、国民負担率という問題も当然ながらございます。しかし、この負担率をとりましても、日本は財政赤字を抱えているという、そこが潜在的な国民負担になっておりますことから、もう四四・数%の国民負担率ともなっております。そこで安易にさらに国民に負担を求めていくというような案が出ましたら、実は、給付は少なく、負担は果てしなく国民に求められる像ができてまいります。この点を私は懸念いたしますので、ぜひとも骨太の論議の中の社会保障全般にわたる論議を一点お願いしたいと思います。

 そして、とりわけこの合同会議が期待されますところの年金問題については、これは各議員から御指摘もありましたが、実は、昨年の国会であれだけの審議時間を要し、果ては強行採決までいたしまして百年安心と言われた年金は、あすから不安、今も不安、そして国民年金や厚生年金の空洞化は今も現在進行形でどんどん進んでおるという中で行われる論議だと私は思います。

 振り返れば、国民年金問題、社会保障問題は、一九六一年、国民皆年金という形で発足し、それに次ぐ大きな制度設計の改革は一九八六年のことでございました。この中におられる経験深い議員の方にはその中をくぐり抜けてこられた方もおありと思います。このときの制度設計の最大の論議は、一九八〇年代、高齢社会が来ることは見えておりました。その高齢社会を前に、国民の基礎的年金部分をどのようにして充実させていくか、ある意味では画期的に、そこで第一段階の一元化が展望されました。基礎年金部分の一元化とはそのようなことを指すと思います。

 そして、それから二十年を経て、私どもが二〇〇五年、この現段階できちんと直視しなければならない現実は何かというと、私は二つあると思います。

 少子高齢化は当然、申しましたように、八〇年代からもう展望されておりました。加えて、現状で何が最も変化しているか。先ほど岡田民主党代表が御指摘なさいましたように、働き方が変わっておるということでございます。終身雇用という長年の日本の風習が、いわばある意味では崩れ、多様化し、そして逆に、転職も当たり前のことになりました。加えて申しませば、よく国民年金の加入者は自営業者という言葉で語られますが、自営業者が国民年金の四分の一であるのみならず、実は自営業者の中にも、SOHOのような小さなオフィスを自宅でつくり起業するという方もふえております。

 私どもは、今、働き方が変わった時代、そしてこの時代をどのように多様な選択肢のある働き方、しかし、選択肢があってもそれに伴う社会保障、セーフティーネットがなければ、人はサーカスをやることはできません。働き方が変わった、その変わった働き方を前提に、国は、あるいは企業は、あるいは個人は、どのような責任を果たし、どのような給付を受けていくのかということをきっちり論じたいと思います。

 二点目は、一九八六年の改革にもかかわらず、国民の基礎的年金部分であるはずの国民年金の現状が、先ほど来御指摘されたように、極めて空洞化が著しくなった。給付のみならず、保険料の納付を見ましても、未納率という形で言われますとちょっとごまかされますが、実際に満額納めている方は五〇%に満たない。逆に言えば、二千二百四十万人のうち一千万人は将来の無年金予備軍であります。

 このことを私どもは真剣に受けとめ、そしてそれが、単に個々人が入らないということではなくて、入れない収入しかない、あるいはこの間の年金論議を見ていてとても信頼できない等々、あるいは、生活保護受給者が百万世帯を超え、その過半が高齢者世帯である、これでは、生活保護なのか国民年金なのか、何が違うのかよくわからない状態になってしまっているという二つの現状は、私ども、強く認識してしかるべきだと思います。

 では、そういう認識に立ったときに、とりわけ、我が党も小なりといえど政党の一つですので、どのような制度設計を考えておるかということで、私どもの見解を述べさせていただきたいと思います。

 私どもは、まず、働き方が変わった、多様な働き方を可能とする、働き方が選べるためにも、やはり年金は、国民年金と言われる部分も含めて一元化をすべきであると思っております。これができない限り、転職もままならないという状態が私は起こると思います。現状に起こっておると思います。制度設計がややこしい、そしてたんびに手続も面倒である。のみならず、長期に加入しないと給付が受けられないという年金体制は、もう私どものライフスタイルには合わないということでございます。

 そして、この一元化という中で、いわゆる基礎的な年金、私どもは暮らし保障年金と申します。この間の年金論議では、所得保障、現役時代の五〇%の所得保障というような言い方をされましたが、私どもの考えは、むしろ、基本的な暮らしを保障する年金額は、だれにも公平にこの国で暮らしていただく限り給付を保障する、国が国民の一人一人に約束する仕組みでございます。そのための額を私どもは八万円と設定いたしました。これは、いわゆる生活保護受給世帯、東京都の区部を例にとりました場合に、算定の基本根拠になる額が八万八百二十円でございましたので、ここにそろえるという形で、基礎的暮らし保障年金が八万円、そしてそれにプラス所得比例の二階建て部分を考えております。

 そして、であれば、当然、財源はどうなるのだというお話も指摘を受けると思います。

 私どもはここにミックス税方式というものを提案しております。もちろん、大幅な歳出の見直しは一般会計、特別会計を通じて必要でございますし、二点目は、今、所得格差拡大時代でございます。年収二百万円以下の若者がふえ、一方で、一千万、二千万、三千万、どんどんどんどん金持ちもふえております。この格差拡大社会ということも、私どもが九割中流と言っていた社会の構造が大きく変わったわけですから、きちんと、応能負担の所得税の体系をもう一度私どもは検討し直す必要があると思っております。また、空前の利益を上げておると言われる諸企業についての法人税の見直しも当然必要と思われます。

 そして、私どもが何よりも強調したいのですが、現在、消費税論議などのある中で、やはり企業というものはそこに働く一人一人を本当に大事にする、これは我が国が人を大事にする国であってほしいということと兼ね合わせた場合に、現在でも、基礎的な年金を保障するために企業は一部を負担しております。私どもは、今後、この企業が負担する部分は、企業に対する社会保障税という表現をあえて使わせていただきますが、企業がお使いになっている総賃金、人を雇いお払いになっている総賃金に掛けていただきたい。ただし、料率を過剰に上げることは企業の活力を失いますので、現状、労使で一四%の負担のうち七%でございますから、企業負担の社会保障税の七%というところは固定し、掛けていただいた分の半分は基礎的な暮らし保障年金の財源に入れていただきたいということでございます。

 そして、二階の所得比例に関しましては、おのおの所得に応じて七%を掛けてまいります。これについては、自営業者も変わることではございません。ここでいわゆる勤労者と自営業者が不平等ではないかというような発想が起こるとすれば、それはすなわち、だれでもいつでも自分はSOHOのような事業主になるかもしれないというこの社会のあり方をきっちりと説明すれば、私はここの不平等感はとれていくものと思います。そして、そのために、公正公平な納税者番号制度を導入したいと思います。

 あわせて、さきの国会で最も論ぜられるべきことで抜けてしまったことは、私どもが今手にしております百四十七兆円に及ぶ年金積立金の運用問題でございます。国会への報告義務もない独立行政法人で、これからさらに四百兆、五百兆と積み上がっていくようなお金をハンドルすることのリスク、この間さまざまな株の問題も挙げられております。私は、改めてこの会議で、年金積立金の運用のあり方、皆さんのお知恵を寄せて検討していただければと思います。

 以上、よろしくお願い申し上げます。

与謝野会長 これにて各党からの発言は終わりました。

    ―――――――――――――

与謝野会長 引き続き、議員間の自由討議を行います。

 発言を希望される方は、お手元のネームプレートをお立てください。それに基づいて会長が指名いたしますので、指名された方は、自席から着席のまま、所属会派と氏名を名乗ってから発言してください。

 一回の発言は五分以内にまとめていただきますようお願いいたします。

 発言時間の経過については、終了時間一分前と終了時にブザーを鳴らしてお知らせいたします。

 なお、発言が終わりましたら、ネームプレートを戻していただくようお願いいたします。

 それでは、御発言のある方は、お手元のネームプレートをお立てください。

伊吹議員 自由民主党の伊吹文明です。

 まず最初に、この両院合同会議の運営について、各議員にぜひお訴えをしたいと思います。

 運営の内容については当然幹事会でお話しをいただいたら結構だと思いますが、ここは議決をする場ではありませんし、各党の意見の違いを闘わせる通常の委員会でもないと私は思います。政党ですからおのおの意見の違いは当然あるわけですけれども、その意見の違いを乗り越えて、社会保障全般にわたって、各党の垣根を取り払い、共通の責任を持って国民に義務を果たすためにつくられた場だと思います。

 きょうは、岡田さんが差しかえをして党首の立場でここへおいでになったということに、私は敬意をあらわしたいと思いますし、また、敬意をあらわして、意見は違うけれども、岡田さんの御意見をやじ一つ飛ばさずにみんな聞いていたと思います。意見の違いを乗り越える最大のポイントは、人の意見を聞くことです。そして、ここで意見の違い、疑問についてはお互いに質問が許されているわけですから、その場で議員の品性に基づいて堂々と質問をする、そういう運営をぜひお願いしたいというのが第一点です。

 次に、言葉の定義をはっきりしてお互いに議論をしていきたい。きょうは、初日ですから、細かなことは抜いてお話をしたいと思います。

 一元化という言葉が、被用者の年金や自営業者の年金、すべて一緒にしてしまうという意味もあると思いますし、今でも実は年金というのはある意味では一元化されております。それは、各種の被用保険と自営業者の国民年金は、国民年金相当分を基礎年金として、被用者保険からも同額を拠出して、基礎年金勘定として統一してこれが管理されています。だから、各国民共通であるから、各国民の納めた税金で、現在であれば三分の一、将来であれば二分の一をここへ入れるということが正当づけられているわけです。

 ここのコアの部分を非常に強くしていく、ある意味では大きくしていき、税金を入れていくという形の一元化ということもあるし、すべての被用保険を一緒にしてしまうという一元化もあるし、これは各党いろいろ意見が違うと思いますが、私は調整可能なことじゃないかと思います。

 二番目に、非常によい考えであっても、フィージブルなのか、実現可能性があるのかということは、お互い現実を預かっている政治家としてよくわきまえて私自身も議論をしていきたいと思います。これは、理想論的な宣伝合戦はやはり避けなければならないと思います。

 例えば、先ほど来お話があるような、岡田さんが御提案になっているような、基礎的な部分を税で賄う。二階の部分を強制的に加入させるのか、あるいは任意に加入させるのか。もし任意に加入をさせるのであれば、これは新しい制度をつくるのなら民営化をすればいいことなんですが、公的年金として残すために、納税者番号、所得の把握ということを言っておられると思います。

 そうしますと、納税者番号で金融資産は把握できるんですね。そして、サラリーマンの所得も把握できます。自営業者に納税者番号をつければ、申告をした納税所得は把握できます。しかし、これはあくまで申告所得なんですね。源泉徴収されている所得ではないということ。したがって、申告をしない人、あるいは申告が間違っている人、この間のようなものが果たしてすべて把握できるかどうかというような問題もあります。

 それから最後に、私はやはり、政党ですから意見の違いがあって当然だと思いますが、税方式と社会保障方式の最大の違いは、自民党にもいろいろな考えの方がおりますが、最終的に自己責任、自助努力を中心とする限りは、保険料を納めていないのに、老齢者社会保障というか老齢生活保護費としてお金を上げるという形態は、少なくとも国の形として私は余り適当じゃないんじゃないかというふうに思っております。

 以上です。

古川議員 民主党の古川元久でございます。

 私は、現行の年金制度で二十年近く保険料を払ってきた者として、そしてまだこれから二十年は保険料を払わなきゃいけない者として、どうも与党の皆さんを見ると、もう保険料を払い終わられた方とか、少ないか、もう残っていらっしゃらない方がいらっしゃるんじゃないかと思いますが、やはりまだこれから二十年以上も払わなきゃいけないとなりますと、非常にそれは自分自身の問題としても深刻な問題でありまして、それは多分与党にいらっしゃる若い、きょうはここに出ていらっしゃらないような皆さんも、ある種そういう同じ認識は共有しているんじゃないかと思いますから、そういう視点も含めて一言申し上げたいと思います。

 まず、私は、今回こういう形で年金改革を初めとする社会保障制度改革について合同会議ができたということ、これは大変に喜ばしいことだと思いますし、大事なことは、お互いの違いを指摘し合うんじゃなくて、どこで共有することができるのか、やはり共有点を見つけ出す努力をしていかなきゃいけないんだと思います。

 今回のこの合同会議のきっかけになったのは、スウェーデンで一九九九年に、それまでの年金制度にかわって全く新しい制度が導入をされた。その導入に至るまでには、スウェーデンでは与野党を超えて、こうした年金制度を初めとする社会保障制度の抜本改革は与党だけでは無理だ、やはり政権交代があっても持続可能な安定的な制度をつくるためには、これは国民的なコンセンサスをつくらなきゃいけない、そういう認識を与野党が持って、同じ協議をする場をつくって、そしてあの九九年の抜本改革の実現にこぎつけた。その協議の過程では政権交代もあったわけでありますけれども、野党から与党になった政党もきちんとその協議を踏まえて実行したという前例、それを日本型の形として今回取り入れられたものだと思います。

 これは、そこにいらっしゃる何人かの与党の議員の方も、昨年の年金改革の前、前々回の年金改革の議論以降、そうした形をやろうということで、私も、こちらにも何人かいますけれども、そういう与野党の枠を超えた議論をしてきた者としては、ようやくここに至ったということについては大変喜ばしいと思いますが、できれば、これは昨年の年金改革の与党案がまとまる前に、一昨年の総選挙のときに各党が年金の抜本改革をマニフェストに掲げたわけでありますから、やはりその総選挙が終わった後の時点で、本来であれば与党からしかるべき申し入れがあって、そこの場でやられているということが好ましかったんじゃないかと思います。

 そのことがなかったがために、こういう形で、昨年の強行採決、与党だけで決められた案が国会に出されて強行採決、そしてまた、その後のいろいろな、さらなる国民の皆さんの年金制度に対する不信感を増長することになって、そのことが、より制度に対する不信感、そして持続可能性を極めて困難にしているという状況を招いた。そのことについては、私どもも政治家として真摯に、謙虚に反省をしなきゃいけない、そういう過ちをまた繰り返すことのないようにしなければいけないというふうに思っています。

 そういう視点で、私どもがまず考えなきゃいけないことは、今の日本の社会構造、そして今後の社会構造、社会状況がどうなるかという現状認識についてまず共有の認識を持たなければいけないんじゃないかと思っています。

 我々民主党が昨年、現行制度にかわる新しい制度を提案したのは、現行の年金制度は、高度成長やあるいは人口が増加していく、そういう時代に適合した制度であって、それを、これから人口も減少していく、そして高度成長も期待できない、年収百万とか百五十万といったようなフリーターがどんどんと若い世代を中心にふえている状況の中で、やはりもう持続が不可能だろう、そういう視点に立ったからこそ新しい制度を提案させていただいたわけであります。

 まず、その前提となっております現下の社会情勢、そして、これから二十年、三十年、働き方そして働く人たちの所得状況はどうなるのか、そういうことについて必要なデータ、なければきちんとそのデータをこの合同会議でとるべきものはとって、そのデータを前提にして、真摯に、謙虚に、お互いどう共有した現状認識ができるのか、そのことから議論していくべきだというふうに思います。

坂口議員 公明党の坂口でございます。

 ただいま、伊吹議員、そして古川議員から、共通点というものを求めて真摯にその点を構築していこうというお話がございましたが、私も同感でございます。

 きょうは、初めでございますので、民主党さんに一つだけお聞きをしたいわけですが、岡田代表が先ほど、最後のところで基本的なお考えを五点挙げられました。これは、今まで民主党が掲げておみえになったと申しますか、一度法案も出されたことがございますが、いわゆるスウェーデン方式をモデルにしたあの案と同じものなのか、それともあの案とは違う案をここにお示しになっているのかということが少しわかりにくかったものですから、これは岡田代表からでなくても、ほかの方からでも結構でございますが、お話を伺うことができればというふうに思います。

田浦議員 自由民主党の田浦でございます。

 きょう、私は、岡田党首がこの会に出席して発言されるということを聞きまして、非常に期待を持って参ったところでございます。

 それは、私どもは当然、自民党の中で、保険方式とか、一元化につきましては共済、厚生の一元化から始めるとか、そういう考えを支持しておるわけでございますけれども、先ほど、岡田先生からのお話の中で、全国民の一元化なんだ、あるいは税方式だというお話を聞かせていただきました。

 私は、先ほどから話があっておりますように、ここの会は、決して意見が対立する、あるいは自分の党の意見を述べ合うということだけではなくして、お互いの意見の中で聞くものがあればそれを取り上げて、聞きながらこの会をまとめていく、そういう方向に進んでいかなければいけないんじゃないかなというふうに思っておるわけでございます。したがいまして、先ほどちょっと、私、いろいろ見ておりまして、何か他の党の発言のときに笑ったり、あるいは不規則なまぜっ返しの発言をするようなことは慎まなければならぬのじゃないか、お互いにお互いが真摯に相手の意見を聞き合うということが大事なことではないかなというふうに思っております。

 それで、岡田代表の御意見は、十五分でしたけれども、最後に足早に五つの新しい制度ということで述べられまして、項目を述べたにすぎないような感じがしますので、この場はそれで結構だと思いますが、次回から、坂口先生からも話がありましたように、プロセス、タイムスケジュールあるいは数字を入れたものをひとつ出していただければ、私も個人的にぜひ真摯に検討させていただきたいと思います。

 以上でございます。

岡田議員 それでは、私から何点か、御質問もいただきましたので、お話を申し上げたいと思います。

 まず、伊吹先生の方から何点かいただきました。

 その中で、自営業者の場合の申告所得について、申告しない人あるいは間違って申告している人、過少申告ということだと思いますが、そういう人は把握できるのか、こういうお話がございました。

 私も、こういう場ですから、余り揚げ足取りの議論はしたくありませんのでソフトに申し上げますが、もちろん一〇〇%把握することに限界があるということは私も認めております。しかし、どこまで把握できるかという努力は絶対必要なことだと思います。もし、そこが、把握できないからという前提に立ってしまったら、果たして所得税、住民税はどうなるんでしょうか。あるいは、所得に対応したその他の保険料、社会保険料はどうなるんでしょうか。では、すべていいかげんでいいということになりかねないわけです。

 そういう意味で、きちんと、まじめに税金を納める人が報われる制度、そのことを追求していく、構築していくということが政治家として必要なことで、そのことを頭からあきらめてしまっては、税制や社会保障制度は成り立たないというふうに私は考えております。ですから、そこはぜひ一緒に知恵を出していただきたいというふうに思っております。

 それから、自己責任、自助努力を基礎とすれば、税は向かないというお話がございました。

 私は、もちろん、社会保障制度で自助努力、自己責任ということは重要だと思います。しかし、その結果として、国民皆年金が成り立たなくなるということだとすれば、やはりそちらの方が問題だというふうに思います。社会保障制度における自助努力という考え方は大事ですが、やはり皆年金というのがすべての制度の前提だと私は思います。無年金者が続々平気で出てくるという事態を避けるためにどうしたらいいか、そういう発想で考えるべきではないかと思います。

 これは決して望ましいことではないと思いますが、例えば、いざとなれば生活保護でいいやということで、頭から保険料を払おうとしない若い人たちが、少数ですが出てきているということも残念ながら現実で、それに対して、いいとか悪いとか言う前に、その現実に対して、あるいはそういった傾向がこれからもより一般的になっていくかもしれないということに対しても、やはり制度としてきちんとそれがカバーできるような制度にしていかなければいけないんじゃないか、そんなふうに思っております。

 坂口議員から、スウェーデン方式と同じものかどうかというお話がありました。

 スウェーデン方式とは何ぞやという議論に戻ってしまいますので、スウェーデン方式との対比で言うことはいたしませんが、私たちは、参議院選挙においてマニフェストに考え方を示しております。その考え方は変えておりません。

 それから、田浦議員の方から、プロセス、タイムスケジュールについて具体的に示せという話がありました。

 もちろん、方向性が定まってくればそういう議論に入っていけばいいと思いますが、まず最初のどういう制度にするかという議論をきちんとすべきだと思います。これは申し上げざるを得ないわけですが、それでは与党の案はあるんですかということは申し上げざるを得ないですね。先ほど来話を聞いていますと、決まった一元化、つまり共済と厚生年金の一元化をやるんだとか、それから二分の一引き上げをやるんだという従来方針を今まで述べられただけで、具体的な改革の方向性について全く示されていないというふうに言わざるを得ません。

 まず、与党が与党案を出してもらう、それはこの協議を始めるに当たっての約束だったはずですから、それを出していただいて、お互いが考え方を示した上でよりよいものを議論していくということにならないと、案を出さないまま、より具体的な数字を出せと言うのは、私は、やや、ためにする議論じゃないか、そういうふうに言わざるを得ないというふうに考えております。

 以上です。

遠山議員 公明党の遠山清彦でございます。

 私も、先ほど民主党の古川議員がおっしゃったように若い世代でございまして、そういう意味では、超少子高齢社会をこれから日本が迎えると言われている中で、やはり今の年金制度ができたときと人口構造それから社会状況がかなり変わってきておりますので、そういった大局的な観点から改革をこの場で議論することは大変重要だというふうに思っております。

 本日は、私は二点お話を申し上げたいと思っております。

 一つは、昨年の年金改革につきましてよくされる批判の中に、単なる財政のつじつま合わせの改革だったということが言われております。私は、これは非常に不適切な批判だというふうに思っております。なぜならば、今後、仮に一元化へ向けたいかなる制度改革をしたとしても、財政のつじつまが合わなければいけないことは年金制度においては本質的な問題でございます。

 公的年金制度を維持する限り、国民から国が税や保険料を徴収いたしまして、それを財源として年金を国民に支給する、この所得移転の考え方は、ある意味、単純ではありますけれども、公的年金制度の本質でございます。その本質を理由に昨年の年金改革を批判してしまうということになってしまいますと、これから一元化をしていくに当たっても、当然、現行の制度から新しい制度への移行、経過措置が必ずあるわけでございまして、それを財政のつじつまが合う形でできるのかどうかということが問われるわけであります。その最後に出てくる理想の制度の議論ばかりをして、そこに本当に財政のつじつまが合う形で移行できるのかどうか、そこについての具体的な提示がなければ、私は、議論として説得力がないというふうに言わざるを得ません。

 それからもう一点でございますけれども、岡田議員からも何度かきょう、国民年金が空洞化している、あるいは壊れているという御発言がございましたが、私は、これはマスコミでもそういう報道が昨年たくさんあったわけでありますけれども、事実認識が間違っているのではないかというふうに思っております。

 その理由といたしましては、一つは、国民年金の未納率といった場合には、厳密には保険料の未納月数を指すわけでございまして、厳密には未納人数の指標ではございません。それがよくわかるのは、例えば被保険者が二〇〇一年度に保険料を払っていなかったとしても、この被保険者はその後二年間にわたって未納月数を納めることができるわけでございまして、二〇〇一年の年度末だけの未納率の数字だけで実は判断できないというところがこの議論から欠落をしております。

 それから、二番目については、これはよく言われている点でございますけれども、国民年金の未納率が約四割だといった場合に、この母数となっておりますのは、国民年金の保険料納付対象者の約千六百八十万人についてでございます。しかしながら、公的年金の制度の加入対象者の総数は、実際には厚生年金、共済年金の方々も入っておりますので、七千八十万人でございます。

 そうしますと、七千八十万人を母数として国民年金の未納者の数を指数として見た場合には、あるいは未加入者の数値も申し上げますが、七千八十万人に対して、二〇〇三年度の数字でございますが、未加入者は〇・九%、未納者は四・六%、合計五・五%でございます。五・五%の国民の方々が未加入、未納であるからといって、国民年金が壊れているという表現はいささか過激過ぎるのではないかというふうに思います。これは事実認識として申し上げているわけでございます。

 また、税の問題につきましても、最後に一点だけ申し上げますと、脱税、滞納の方々も多数おるわけでありまして、ちょっとデータが古いですが、二〇〇一年には新規の脱税が二百三十七万件、額面で一兆二千百六十億円あるわけでありますが、問題は、税方式にした場合に、このような脱税、滞納者に対しても全額税で年金を支給するのかどうか、こういった論点も大事かと思います。

 以上です。

津島議員 自民党の津島雄二です。

 きょうは、岡田代表から大変率直な御意見を承って、端的に三つの点、御質問します。

 第一は、岡田代表が言われたんだが、公的年金に対する信頼感が全くないと。それはみんな、共通の認識に近いんですけれども、前回の改正であれだけ議論をやって、どうして信頼感が生まれなかったか。私の立場からいいますと、要するに、国民的合意を目指して、具体的な数字を出して議論を集約しなかったということです。抽象的に、あそこが悪い、ここが悪いと言っただけでは、国民は一体何を頼りにしますか。具体的な議論の収れんが要るんです。

 その観点から、岡田さんが、将来、最低保障年金、税方式、場合によっては消費税、こうおっしゃった。そこで、私はこういうときもあるだろうと思って勉強をしておりまして、平成十五年の数値を基礎にして、基礎年金の給付額を全部消費税でやるとなると、財源は恐らく十六兆要るだろう。十六兆というのは六・六%に当たる。仮に月七万にすると、恐らく二十兆要るだろう。これは八・五%だろう。この数字について、岡田さんのコメントを求めたいと思います。だから、阿部さんだったかな、おっしゃった、八万にしたらもっと大変だよ。

 それから、二番目の質問。これはむしろ、岡田さんより小池さんに向けたいんだ。最低保障年金がしっかりして、いただけるようになったら、無年金がなくなるとおっしゃった。

 私は、イギリスで起こっている現象についてよく耳にしている。あそこは最低保障年金がある程度しっかりしている。最低保障年金を税で保障するというようなことになると、ますますこれは生活保護と同じになる。そうすると、イギリスで何が起こっているかというと、若い人は、いやいや、保険料なんか払わなくたって、あれだけ生活保護、最低保障してもらうのなら払わない方がいいと、無年金がなくなるのではなくて、むしろ無年金が非常にふえると言われている。これは、社会現象として現実に言われている。この点について小池さんのコメントを求めます。

 三つ目の質問。

 公平な執行が必要だ。それで、民主党さんの方で、いや、国民年金の所得の把握は国税庁にさせたらいいじゃないかとおっしゃるが、私はそっちの方には随分詳しいけれども、所得税のそのレベルのあれは、国税庁はすっかり手放しております。今の国税行政の範囲に入っていない。したがって、皆様方のお力には恐らくなれないんだろうと思います。その点について、岡田代表、何かコメントがあったらお願いします。

 以上、三点であります。

小川議員 民主党の小川敏夫です。

 丹羽先生初め与党の方のお話をお伺いしましたが、まず、この会議で建設的な案をまとめたいという中では、与党の方がどういう年金制度にしたいのかという御発言、提案が全くなかった。何か民主党の岡田代表に多少質問しておるようですけれども。

 まず、丹羽先生がおっしゃられた、将来安心できる国民皆年金、この制度そのものは私も大賛成ですが、この制度を完全に実現するために、現行の年金制度でいい、このままいけばいいという考えに立っておられるのか、それともそうではなくて、現行の年金制度について、将来の安心、国民皆年金というこの制度を完全に実施するためにはなお改善すべき点があるということを認識しておられるのかどうか。そして、もし認識しておられるなら、具体的にどういう点を認識しておられて、この場において議論したいのか、この点を具体的に申し述べていただきたいというふうに考えております。

 そして、私は、現行の年金制度、昨年改正した年金制度もやはり将来に向けての安心は得られない、そして国民皆年金の制度には全く反しているという観点から、それをまた国民年金の未納問題を一つ例にして指摘したいというふうに思っております。

 今のこの国民年金の保険料の未納問題、私は二つの点を指摘して、大変に不正義、不合理であると思っております。

 まず一つは、年金の未納分、いわば正直に年金を納めている人がその未納者の分を負担しておるわけでございまして、まさに正直者がばかを見るような不公平な制度となっております。これについて私は、先般、年金審議の際に政府に質問しましたところ、年金未納者は将来年金をもらえないんだから、その点において不公平はないと言っておりましたが、全く観点が異なっております。

 今、年金未納者の分を負担させられている正直者の年金納付者、この現役世代、これは未納者分を多く負担させられたからといって、将来受け取る年金の額がふえるわけではありません。年金未納者の分を多く負担させられた分だけ、まさに負担させられ損になっております。ただ、年金の未納者が将来年金を受け取れない、そういうことになれば、将来、年金の総支給額が減るから、その分、これを支える世代が保険料の負担額が減るということで公平がとれるんだと言っておりますが、それは年金の未納者の分を負担させられた現役の人が恩恵をこうむるんではなくて、今の現役を支える次の世代の人が、恩恵だというのならば、将来その恩恵を受けられるということでありまして、結局は、年金未納者の未納分を多く負担させられた正直者の現役の年金納付者は損をさせられておるという、大変不正義がまかり通っておる制度でございます。

 そしてもう一つ、これは岡田代表も指摘されました、年金を払わない人は将来は年金をもらえなくていいと。遠山先生のお話ですと、七千八十万人のうちの五・五%ということでございますが、ざっと計算しましても四百万人にもなります。四百万人の人が将来無年金であっていいんでしょうか。これが政治の責任と言えるんだろうか。国民皆年金という制度に全く反しているんではないかという感想を私は持っております。

 また、遠山先生の試算については、具体的な数字、もう少し検討してみたいというふうに思っております。

 小池先生のお話でしたか阿部先生でしたか、一千万人ということもお話がありました。完全に納付しない人が将来年金をもらえないということは無年金でありますが、完全ではなくて、一部しか払わない方は将来年金の額が少ないわけですから、これも皆年金の思想からいえばやはり問題があるのではないでしょうか。

 私は、そうした面から、やはり現行の年金制度は根本的に改めて、民主党岡田代表が提案されたような税方式、これが一番ふさわしいかというふうに思っております。

 以上でございます。

小池議員 先ほど御質問がありましたのでお答えしたいと思うんですが、与党の皆さんから、最低保障年金制度と生活保護制度を同一視するような議論がいろいろされておりますが、これは全く制度の性格が違うということをぜひ御理解いただきたいというふうに思います。ミーンズテストを行い、ありとあらゆる階層、年齢に行われる生活保護と、生計費をみずからつくり出すことができない高齢者の生活に着目した生活保障である最低保障年金とは、全く制度の性格が違います。

 同時に、世界の流れも、津島議員もお認めになったように、イギリスで行われているということも事実であるし、国連が日本に勧告しているということもこれまた事実でございます。

 現状は、非常に貧しい、心細い年金しかなく、それがなくなればもう生活保護しかないということで、次々と高齢者が生活保護世帯に行っているという実態をこのままでいいのかということがまさに問われている。この現状を変えようということを提案させていただいているわけであります。

 イギリスの事態について事細かに承知しておりませんので、その点についてはコメントをいたしませんが、我々が提案している五万円の最低保障年金があったら、では、それでいいからもう払わないということが果たして現実的に起こり得るのかというと、私はそういうことはあり得ないというふうに思っております。

 むしろ、今の若年世代に共通して出されているのは、公的年金というのは二十五年間保険料を納め続けなければすべて掛け捨てになる、一円も出てこない、常用雇用が非常に減っている中で二十五年間勤め続ける自信がない、そういう中で、年金の保険料を納めることをためらうということが今実態としてあるわけであります。そういう実態に対して、最低保障を国が責任を持って行う、そして皆さんが働いて納めた分はそれに上乗せするということは、むしろ保険料納付のインセンティブにつながる制度であるというふうに私は考えております。

 最後に、津島議員にお聞きしたいのは、問題点を指摘されますが、今既に百万人と言われる、そしてこれからどんどんふえていくであろう無年金、低年金について、それでは津島議員はどのようにお考えなのか、このことを放置してよいというふうに考えるのかどうかということについて、真剣にお答えをいただきたいというふうに考えております。

 以上です。

阿部議員 私は、津島先生が本当にお取り上げで、聞いていただいて、ありがとうございます。それのお答えの前に、私が先に挙げていた質問事項でお願いいたしたいと思います。

 丹羽元厚生大臣それから津島元厚生大臣、お二方おられますし、坂口元厚生大臣も、大物がぞろぞろおられますので、私は一点、私どもは、少なくともこの合同会議の中で、特にさきの年金改革で見送られたパートの年金加入問題、先ほど来申しますように、多様な働き方になり、そこが全然セーフティーネットがない状態というのは政治として看過しがたいし、このことを進める与党サイドのお取り組みについて、私はぜひお伺いを申し上げたいのが一点。

 それから、先ほど伊吹議員の御発言の中かと思いますが、負担せずに給付するのはいかがなものかというような御発言があったかに思います。私どもは、もう一つ女性の年金問題で、いわば三号と呼ばれる主婦、この方たちは負担はしているのかしていないのか、これは難しゅうございます、みなし負担と言えるのかもしれないし。実は年金問題は、いつも申しますが、高齢社会、女性の問題であり、女性の年金制度が乱立して、わかりづらくて、場合によっては対立的に語られるということは、とても社会として悲しい姿でございます。

 これまでは、保険料を納めずしても実は三号の方には給付されていたわけです。だから、私は、これまでの制度設計が負担せずして給付なしだというのはやはりちょっと違ったのではないか。それは社会形態を見越して、例えば、女性が子供を育てたり、社会のバッファーとして地域のいろいろなことをお取り計らいであったという厳然たる事実があったわけで、この年金論議にあって、そうやってところどころだけ取り上げるというのはちょっといかがなものかですので、女性の年金問題ということとあわせて、そのあたりも与党のお考えを伺いたい。

 津島元厚生労働大臣はまた税制の御専門家でもありますし、私が八万円という額を出しましたのは、実は経済同友会が七万円という額をお出しでありますが、私はどう試算いたしましても、医療保険の保険料や介護保険の保険料を払ったらやはり八万円なくちゃ足りない。逆さに、暮らし保障のために、経済同友会もある程度試算されて七万と出しておられますから、しかし、ここには保険料を払っている像がないのでございます。そうしたら、これからは全く保険料を払わないで、医療や介護は全部現物で来るのであればよろしゅうございますが、そうでない像を求めるのであれば八万だろう。

 そうなった場合に、私どもは消費税だけを財源といたしておりませんし、もちろんこの場で検討することはやぶさかでございませんが、特に与党側で、平成十八年度、所得税の見直しも俎上に上がっておりますし、何度も申しますが、格差拡大社会で、今の税体系で、小渕減税の体制でよいのかどうかということは、私はやはり見直して、そういうこととあわせて、しかし、八万円を国民と約束してもらわないと次が進まないのではないかという意味です。

 ちなみに、私どもは消費税だけでやろうと思っておりません。もちろん、消費税になれば一〇%以上となってまいりますことは簡単に算出できますが、ここはそれのみに頼ったものでなくて、むしろ私どもは、消費税よりも、きちんと企業が負担する社会保障税、今は社会保険料と言っておりますが、ここをしっかりしていただきたい。パートの加入も絶対に促進していただきたいということで、あと、足りない部分はまた津島議員に教えていただきながら頑張りますので、よろしくお願いします。

小宮山議員 今阿部議員がおっしゃったこと、女性の立場、そして若者の立場からちょっと申し上げたいと思います。

 これだけ非正規雇用がふえてライフスタイルが変わっている中で、当面、厚生・共済年金の一元化というだけではとてももたないし、信頼回復はできないと考えます。

 まず、女性は男性より平均寿命が七・九歳長くて、年金は女性にとってより重要な問題であるのに、本日は、公明党は差しかえでお一人女性がいらっしゃいますが、与党に女性議員がいらっしゃらないというのは一体どういうことなのか、非常に疑問を持ちます。

 そして、若者の視点からですけれども、十五歳から三十四歳の若者無業者が二〇〇二年で二百十三万人にもなっている。これは内閣府の青少年の就労に関する研究会の中間報告ですが、この現実をどれぐらい認識していらっしゃるでしょうか。

 その中で、希望しながら仕事を探していない、あるいは就業を希望していない、この人たちがこの五年間で十三万人もふえています。大学を出ても五人に一人は正規雇用されません。希望しても就職ができない。職が持てなければ結婚もできない、子供も持てない。将来に不安がある二十歳前半の若者の未納率が五〇%を超えている。これは、就業構造の変化に合った信頼できる制度ができていないので、ある意味では当然のことなのではないかと思います。

 これまで二号になるはずだった若者がこうやって一号に流れ込んで無年金者がふえることになると思いますが、この点については与党はどういうふうにお考えになっているんでしょうか。

 そして、女性の視点から、今阿部議員も言われましたけれども、女性と年金検討会でせっかく一年半も討議して報告が出されましたのに、昨年の改正では、モデル世帯、パートの扱い、第三号被保険者の問題、育児支援などすべて先送りされました。

 ライフスタイルは御承知のように変わっているわけです。共働き世帯が専業主婦世帯を上回っています。一方、働いている女性の四割が非正規雇用で、男女の賃金格差は、ILOからの再三の指摘にもかかわらず、非正規を含めると、女性は男性の五割の賃金になっています。このことが働く女性の年金が低い原因になっているのだと思います。それなのに、相変わらず、モデル年金は、夫が平均的な賃金で四十年勤めた会社員、そして妻は専業主婦、そのままというのはおかしいではないですか。これについても提起があったのに見直されなかったのは一体どういうわけでしょうか。

 そして、パートについても、厚生労働省は約四百万人のパートの厚生年金加入の基準変更案を示しましたが、外食産業などが反発して、これは与党の判断で五年後をめどに結論を得るとして先送りされております。

 そして、第三号被保険者、これは専業主婦とパートも入っているわけですが、共働きの女性や単身等の女性の間で不公平感がずっとこれも問題になっています。この制度ができる前は、専業主婦も七割はみずから国民年金に入っていました。現在、女性のおよそ三人に一人がみずから保険料を納めていない。この状態は、公平な制度ということからも、年金財政の上からも改める必要があると思います。

 四つの方法を検討会が出しまして、厚生労働省は夫が納めた保険料に対する専業主婦の貢献を評価する年金分割案を示しましたが、これも与党の反対で事実上先送りになったと聞いております。

 現在、第三号被保険者の制度というのは、所得の低い共働き世帯から相対的に所得の高い片働き世帯への事実上の所得移転になってしまっている。こんなことでいいのでしょうか。この年金制度の改革を考える上で女性の年金の問題というのは欠かせないと思うのですが、どのように認識をされているか、ぜひ伺いたいと思います。

 多くの女性団体からも、どんなライフスタイルを選んでも公平で安心できる年金制度という要望が出されておりまして、国会で審議をするのであれば、ぜひ女性の年金の問題、そして民主党が提案しているような年金制度の一元化、積立金の問題、最低加入の年数など議論をしてほしいという要望が出ております。

 正規雇用の厚生・共済年金を合わせるだけではなくて、国民年金や厚生年金の空洞化に対応できる、若者や女性のライフスタイルの変化や就業状況の変化に対応できる公平で信頼される年金制度改革についてしっかり議論すべきで、そのためにはいろいろな調査やデータが必要なのだと思っています。二号被保険者の動向、一号被保険者の動向など、また幹事会で資料の要求もさせていただきますので、ぜひしっかりした資料、ない場合には調査も踏まえて、ここでいつまでも展望ばかりしていられませんので、今すぐ腰を据えて、データに基づいて無年金者がふえないような議論をしたいと思っています。

与謝野会長 お願いがございますが、十二時半までしか時間がございません。発言の御希望者が何人もおられますので、それぞれ時間をぜひ余して発言を御終了いただければと思います。

    〔会長退席、仙谷会長代理着席〕

丹羽議員 与党に対しまして幾つか御質問がございましたので、私の方からお答えをさせていただきます。

 まず、私、先ほどからお話を聞いていて感じましたことは、年金だけでなく社会保障というのは、現に今、社会保障の給付を受けていらっしゃるお年寄り方がいらっしゃる。特に年金などは、七割のお年寄りの方々が何らかの形で年金に依存をしながら生活していらっしゃる。

 そういう中で、私どもは将来を考えて、いわゆる若年世代の負担の軽減とともに、そしてお年寄りの立場に立って、継続性ということも重視しなければならない。先ほどからお話を聞いておりますと、どうも皆さん方は、率直に申し上げて、いわゆる白地に絵をかくような発想で物事をおっしゃっているのじゃないか。

 私はあえて申し上げました。我が国の社会保障というのは、率直に申し上げて、企業の方々の勤労者に対するいわゆる福祉政策からスタートした。その後を残念ながら国の方が追いかけていったような意味合いがあります。これは医療、年金、介護だけでなく児童手当についても同じことであります。

 しかし、この財源の三分の二が、社会保障費の三分の二が企業の方々の負担によっている、いわゆる保険料によっているということも率直に考えながらこれからの改革というものを進めていかなければ、全く絵そらごとに終わってしまうのではないかということをあえて申し上げます。一番困るのは国民の皆さん方でありまして、やはり、これから現実的な案というものを議論をしていただきたい、このようにお願いを申し上げます。

 そういう中に立って、私ども、先ほど年金法の改正について申し上げました。与党に案がないじゃないか、自民党に案がないじゃないかということを申されましたが、私の立場から言わせていただきますと、私だけでなく、一年も二年もかけて、毎日朝八時、八時半から一時間も二時間も議論をしてきた仲間に対して大変非礼な思いがいたしております。

 と申しますのは、そういうような議論を重ねた上で先ほど申し上げましたようなことを、基礎年金のいわゆる国庫負担を三分の一から二分の一に引き上げる、それから積立金を思い切ってこの際切り崩す、そしてお年寄りの皆さん方にいろいろ、給付の伸び率というものを若干我慢していただく、これも若年者だというような、これまでと全く違う発想、観点から年金制度に取り組んできたということを、国民の皆さん方、野党の皆さん方にもぜひとも御理解いただきたいと思っておるような次第でございます。

 それから、女性の問題についていろいろ小宮山先生からもお話がございました。この問題につきまして、特にパートの女性の問題でございます。

 私どもは、率直に申し上げまして、さまざまな意見が与党の中にございます。しかし、基本的には、私個人の考えとして申し上げさせていただきますならば、この問題は前向きに導入する方向で検討していかなければならないと思いますが、現実問題として女性の中で意見が真っ二つに分かれておるのだ、ここをどうやって納得して収れんしていくかということが今後の課題ではないか、こう考えているような次第でございます。

    〔仙谷会長代理退席、会長着席〕

伊吹議員 質問者も多いと思いますので、お答えだけしたいと思います。

 阿部議員から三号保険者のお話がありました。これは、御本人も払っているか払っていないか非常に微妙だということをおっしゃいましたが、例えばフランスでは、税制上、二分二乗という考えがあって、共働きの御夫婦の場合は奥さんと御主人の所得を合算して二で割ったものを一人一人の所得と考える、そして専業主婦の場合は御主人の所得を二で割ってお二人の所得と考える、こういう税の方式があるのですね。

 これは政党の理念にもかかわることですが、主婦の価値を認めて、であるがゆえに御主人の所得を前提に専業主婦の奥さんの部分の保険料も払われているという確率計算のもとに年金が計算されているのだ、我々はそういう理解をしております。だから、この部分は、働いていない、納めていないのに専業主婦の人はもらっているという理解はいたしておりません。

 それから、岡田代表に、私は、よい考えであっても、フィージブルで実現可能性があるかどうかということで例の納税者番号のことを伺ったのです。おっしゃったことはそのとおりですよ。国民の義務として納税しなければならないし、また、それを必ず把握しなければならないのですね。

 しかし、先ほど津島議員や遠山議員がおっしゃったように、現実はなかなかそういうふうになっていない。今どうなっているかというと、国民年金は所得に関係なく定額で取っておるわけです。そして同時に、厚生年金は所得比例で取っていますが、その中から定額部分を基礎年金勘定に同額拠出することによって、基礎年金勘定というもので管理をしているわけですね。

 ですから、年金の信頼性というのは二つあって、一つは財政的な裏づけがあるかどうか。もう一つは公平にすべての人が負担するということが担保されているかどうか。この二つによって信頼性というのはできるのですね。二階建ての部分を義務化して、そして納税者番号で把握するということになると、この公平さが非常に危うくなるなということを私は申し上げたということです。

 以上です。

五島議員 民主党の五島でございます。

 朝から、丹羽先生、そして我が党の代表岡田さんからも話が出ておりますが、そもそもこの議論の中において、きょうの段階で各党の思いを述べ合って、それもいいわけですが、それを繰り返しても余り意味がないのかなというふうに思います。

 そこで、自民党の皆さん方、公明党の冬柴さんがおっしゃった、議論の最も大きな点、すなわち、我が党は一元化ということを前提に岡田さんは述べたわけですが、皆さん方がおっしゃっている、基礎年金あるいは国民年金の部分、そこはもう終わっているんだ、二階建てのところの統合が当面の課題だとおっしゃるわけでございますが、当然、基礎年金、国民年金というのは年金制度の基盤である。したがって、そこが、おっしゃるように安定的に大丈夫なのか。今、未納者の問題を含めまして非常に大きな問題は、ここのところに発生してきています。

 そして、一九六一年に国民年金が実は出ました。そのときは確かに農民や自営業者の年金でした。今日においては、この国民年金というのは、例えば、フリーターであったり、失業者であったり、パートの労働者であったり、あるいは小企業に勤めている労働者の年金ですらある。そういう状況までこの国民年金の性格が変わってきた。

 そうしたことがあったから、先ほど、遠山議員でしたか、おっしゃったように、結果として、この国民年金制度を支えるために、サラリーマンが、あるいは企業の経営者がそこのところにプレゼントして、そこを基礎年金として切り分けて、それで支えているというのが現状であります。

 そういうふうな処理をしながらも、この制度、雇用関係の変化や就労形態の変化によって依然として未納者はふえてくるし、ここのところの将来の先行きに対しては非常に不安がたまってきている。これをきちっとしていこうと思えば、方法は、論理的に考えて四つしかないじゃないですか。

 一つは、自営業者や、国民年金に加入している人たちの保険料を今以上に大幅に引き上げるか。あるいは、サラリーマンの世帯がもっとプレゼントをするのか。あるいは、国民年金の掛ける年数をもっと大幅にふやして、そのことによって年金の財源を改善するのか。そうでなければ、税でもってそこを支えるしかない。

 この四つの中で、もちろんそれはそれぞれ単品で選ぶのではなくて、組み合わせということは当然あるんでしょうが、それを一体どうするのか。こういうふうなあり方になっているから安全だよ、だから二階建てだよというお話であればまだ議論の余地があるかと思いますが、今、実は一番大事なところが不明確なままなんです。

 そして、遠山さんがおっしゃるように、これまではサラリーマン世帯の、あるいはサラリーマンが働いている企業の事業主のプレゼントによって辛うじて、問題を持ちながらももってきている。これがもたなくなっている。これで大丈夫なんですか。この点についてやはり議論をきちっとすべきだというふうに思います。

横路議員 民主党の横路孝弘です。

 きょうは第一回ですから、年金の現状についての共通認識が少しでもできればいいなと思っておったのですが、なかなかそこまで進んでいないようでございます。

 昨年の年金改正で国民の年金に対する不信が解消したかといいますと、いろいろな世論調査を見ますと、やはり依然として大変多くの人々が不信とか不安とか不公平感を非常に持っています。世代間の不公平感、あるいは正規社員とパートとの間、自営業者と勤労者の間、民間と公務員との間、あるいは働いている女性と専業主婦の皆さんとの間。

 こういった状況が生まれているのは何かというと、年金がばらばらだからなんですね。ですから、一元化してこういう不公平感を解消しない限り、なかなか信頼を回復することはできないんじゃないかというように思っています。

 そして、一つきょう強調したいのは、国民年金制度がもう既に破綻しているんじゃないかということで、この現状をしっかり直視しないといけないというように思います。悪くすると、将来日本の年金というのは公務員と大企業の労働者にとっての年金になってしまいまして、本当に、国民皆年金という一番基本に置くべきところが崩壊をしつつあるのではないかと私は思っております。

 平成十五年に未納者が国民年金で四百四十四万五千人。二千二百万人のうちの四百四十四万ですから、非常に大きなウエートを持っています。会計検査院によりますと、保険料の平成十五年の収納額が一兆九千六百億、未納額が二兆二千九百億です。そして、この年に不納の欠損を決めた額が八千四百七十億。この三年間、毎年八千億以上のお金を不納欠損額としているわけです。こんな状況になっている。なぜなんだろうかということが問題です。

 国民年金というのは、自営業の人を中心にスタートしましたから、定額制になっています。それから、年金の給付額が非常に低いわけです。自営業の人は定年なしに働けるというようなことなども当時議論されたわけでございますが。この二つがございますが、今、二千二百万人の国民年金の対象者のうち、その三割、七百二十万人が二十代の若者でございます。

 雇用は、皆さん御承知のように、フリーターの人が四百万を超え、そしてまた、今パート労働は全体の四分の一、二六%ぐらいになっています。このパート労働の人たちの給料といいますか月収は、半分以上が十万以下なんですね。それから、フリーターの人たちは年収大体百万前後ということになっています。

 そうしますと、今の定額制の一万三千五百八十円というのは、例えば十万円として、非常に大きなウエートを持っていますね。それから、フリーターの人は年収百万として計算をしますと、年間のお金というのは十六万円を超えるわけです。ですから、やはり経済的に払えないということで払わない人がふえている。

 制度的に問題はどこにあるかというと、やはりこの定額制ということに問題があります。あと、給付をどうするかということは、生活保護そのほかの関連で考えていかなければいけない問題だというように思っていますから、これは徴収の体制を強化するというような問題で解決できる問題じゃなくて、制度そのものにやはり問題がある。

 自営業者中心にしてスタートしたところが、自営業者の人たちは今二千二百万のうちの五百万ちょっとになってしまって、あとはパートとかフルタイム労働、そのほかの人々になっているわけでして、そこはやはり私ども、まず国民年金の今の現状というのを直視して、これをどうしたらいいかということを見ていかなければいけないと思います。

 最後に一言、所得の捕捉の話が先ほどから出ています。自営業者の人の所得の捕捉です。

 トーゴーサンとかクロヨンと言われたのは、一九七〇年代の数字に基づいた数字なんですね。最近、内閣府の政策統括官のところで研究が行われまして、一九九七年の所得の捕捉率は十対九対八、農業所得者も八。十対九だということですから、十対九になれば、これは納税者番号ということだって、そんなにその必要性というのはなくなるぐらいの所得捕捉率です。

 日本の財務省はそんなにお金を取り損ねているわけはないわけでして、そこの認識はぜひ皆さん方に変えていただきたい、このように思います。

佐々木議員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 きょうは、両院合同会議の議論の実質的なスタートの日ですので、あらかじめ二つの点について確かめておきたいと思います。

 まず第一点は、昨年五月六日に結ばれました自民、民主、公明の三党合意の現段階における位置づけであります。

 この合意は三党の間では今どのような扱いになっているのか。この両院合同会議が発足したことによって、破棄され、死文化されたというふうにみなしておられるのか、それとも、現在でも生きていると見ているのか。自民党はどなたでも結構ですが、ぜひお答えをいただきたいし、きょうは、合意に署名されました民主党の岡田代表、公明党の冬柴幹事長お見えでございますので、その点をぜひお教え願いたい。

 第二点は、この合意と同時につくられました国民年金法等の一部を改正する法律案に対する修正案の内容でございます。

 この修正案について私ども日本共産党は反対しましたが、中身を見ますと、社会保障全般について、税、保険料等の負担と給付のあり方を含め一体的見直しを行いと書かれております。この場合の税というのは何を意味するのか、改めてお聞きしたいと思います。三党の間で内容上の一致点はあるのかどうか。

 ちなみに、日本経団連が昨年九月二十一日に発表した「社会保障制度等の一体的改革に向けて」という文書では、社会保障制度や税財政も含めた一体的、総合的な改革と述べ、税制については、ことし一月十八日の「わが国の基本問題を考える」という総論的な文書で、所得税、法人税の引き上げの余地はない、消費税の拡充が最も有力な手段であるとされております。

 三党が合意した一体的見直しを行う際の税というのはこの考え方と基本的に同じと受けとめていいのか、あるいは違うのか。

 以上二点について、それぞれお答えをいただければありがたいと思います。

中島議員 自民党の中島眞人でございます。

 先ほど丹羽先生からお話がございましたから重複してしまう場面があろうかと思いますが、きょう、議員の皆さん方から、自民党案がないじゃないかという御指摘がございました。

 自民党案というのは、率直に言って、長い間苦労に苦労を重ねて昨年提案していた法律が自民党案の骨子である、こういうふうに御理解をいただき、その後、さまざまな問題が出てきたことによって、それらについて考えていこうというのが先ほど出た三党合意であり、またきょうのような会につながっているものだというふうに私どもは理解をしておりますから、先ほど丹羽先生がお話しになりましたような、少なくとも、三分の一を二分の一にする、あるいはまた五〇%を保障する、同時に、年金のあり方の問題についても、昨年、法案の中に盛り込んだ案が与党の骨子であった、こういうふうに御理解を賜りたいと思います。

 そこで、私はきょうは、昨年の年金国会から非常に国民が幻想的に、岡田党首が申しておりますようないわゆる基礎年金を税負担でいくということ、これは国民にとってみると、まさに、本当かいなと言われるようないい案なんですね。(発言する者あり)いい案というより、喜ぶ案なんです。

 しかし、実際問題、そのことが及ぼす影響がどういうものであるかという中身を絞っていくと、大変な負担がその裏には隠されている。そして同時に、基礎年金を税方式に変えていった場合に、では、もらえなくなる層というのは幾らからもらえなくなるんだ、そういうふうな一つの具体的な案が示されておらなくて、基礎年金は言うなれば税の負担で賄いますよ、だから御心配なくというような案でありますので、具体的な、いわゆる収入に対しては一つの線引きがこうなされるんだという形をお示し願えて、国民の皆さん方にも、税方式の難しさ、甘いものではないという理解をしていただかなければいけないというふうに思っております。

 同時に、昨年十一月に提出をされました、民主党の高齢期等において国民が安心して暮らすことのできる社会を実現するための公的年金制度の抜本的改革を推進する法律案というのがございますね。私は、これは一考する値のあるものだというふうに思うんです。しかし、この中には税負担という言葉は一言も入っておらないんですけれども、税負担というものが走り続けて、民主党が出している本来の法律案についての説明というものが余りにも理解をされていないのではなかろうか、こんなことを含めてお聞きをしておきたいと思います。

柳澤議員 私、この問題について、今までそんなには専門的にかかわり合ってきたという立場のものではありません。ですけれども、私なりに一般の政治家の一人として意見がございますので、それをここで発言させていただきたい、こう思います。

 まず、この合同会議がスタートするときに、我が党の中でこれにどう対処すべきかということの議論があったんです。そのときに、私、非常に感動を持って聞いたんですけれども、きょうも出席をしておると思うんですが、鈴木俊一先生が、この問題は、先ほど古川先生の御指摘になられたような、あるいはその他いろいろな機会に出ておるような、スウェーデンの超党派での、本当に国民の役に立つ年金の確立ということを本当に目的にできるんだろうか、それを実際目的にしているんですかという、非常に誠実な問題提起をしました。

 きょうここに、いろいろないきさつがあってここまで来たわけですけれども、私は、その鈴木俊一先生の発言を聞きながら、今回の日本が直面しているこの危機というものがどのぐらい与野党の間で共有されているかということにかかわりがあるので、非常に大きな危機なんだけれども、しかし、この危機はついせんだって突発的に発生したというような危機ではないので、非常にこれは難しいのかなという気もいたしたわけです。しかし、こうなった以上、やはり超党派の会議らしい会議の成果を上げるべきだ、私はそのように思っています。

 そういう意味で、立場をはっきりさせるために申し上げますが、私は、先ほど来、私の同僚、非常に親しく、また指導も受けている丹羽先生が、勤労者の福祉ということから日本の年金制度がスタートした、この現実というのを踏まえて、フィージブルな制度の改善でないとこれはだめなんだというような御発言があったんですが、私は全然違う考え方を持っています。それはむしろ、民主党さんの多くの方が言ったように、雇用の形態とかあるいは生活の形態というのが全く変わってきたことに対して誠実に年金制度も対応すべきだ、このように思っておりまして、改革である限り相当ドラスチックなことも避けられないというように実は思っています。

 それで、そういう立場から、私は私なりにスウェーデンの制度をずっと勉強させていただいてきたんです。まず、社会保険方式か税方式かというところで、岡田議員は、徴収が非常に難しいというところからきている立論らしいんですけれども、税方式をとるということをされたんですけれども、私は、スウェーデンのみなしの掛金総額の通知方式、これは非常に、そういうわがままな滞納者、未納者というものを防ぐ手だてだと思います。

 何かブザーが鳴っちゃったので、また後日に私の議論を展開したいと思いますけれども、いずれにしても、そんな簡単に、先ほど岡田代表は、納税者番号制に対して疑問を述べた伊吹議員の発言に対して、頭から否定しない方がいいというお話をされたんですが、私はその言葉をそのまま岡田代表にお返しして、岡田代表も余り簡単に保険方式をあきらめないで、今言ったようなスウェーデンの知恵を十分参酌した上で結論を出すべきだ、このように思います。

 以上です。

岡田議員 津島議員の方から御質問をいただいておりましたので、それを簡単にお答えしたいと思います。

 税方式にしたときに、全体十六兆から二十兆ぐらい必要じゃないかというお話がありました。これは計算の仕方にもよりますが、仮にそういった考え方に立つとしても、そのうちの半分は、これは政府案でも税で賄うわけですから、私どもはトータルについて必ずしも年金消費税でやると言っているわけではありません。先ほど申し上げたように、残りの半分の部分の議論をしているわけでありまして、そうすると、十六兆から二十兆じゃなくて、八兆から十兆の議論であります。

 私は、当面三%ということを、これは選挙のとき、参議院選挙のときから申し上げておりますが、その三%部分と、それに加えて、私たちは、すべての方に対して基礎年金、最低保障年金を支払うとしているわけではありません。所得の多い人には御遠慮願うという制度を提案しております。あるいは、我々の制度になれば、高齢者の生活保護の受給者はかなり減ると思います。そこの部分の財源というのも出てくるわけですね。政府案だと、その分、全部生活保護にかかってきますから、別途財源が必要になってきます。そういうこと全体を考え合わせると、私は、当面三%で十分賄えるというふうに考えております。

 それから、先ほど、最後に柳澤先生から大変いい御議論をいただいて、少し議論に希望が持てるのかなと思っておりますが、先ほどの共産党さんのお話にありました三党合意の話は、私は、柳澤議員のお話にもありましたように、社会保障制度のような国民にとって重要な、そして年金のような非常に息の長い問題は、でき得れば、それは与党、野党ということじゃなくて、国民にとって何が望ましいかという視点でしっかり議論すべきだ、これが三党合意を結んだときの私の率直な気持ちで、その精神はこういった形で結実をしたというふうに思っております。

 そして、最後にちょっと申し上げたいと思いますが、柳澤議員の議論にもかかわらず、きょう全体の議論を通して私が受けた感想は、昨年の改革で基本的なところはもう終わっているんだ、あるいは抜本改革はすばらしい改革であるという認識、そして残されたのは、基礎年金については二分の一に持っていくことと共済年金、厚生年金の統合の話が残された宿題だ、それを議論するんだ、簡単に要約すれば与党の方はそういうお話であったかと思っております。

 それではやはり国民の期待にこたえたことにならないわけでありまして、私どもが先ほど来言っておりますように、あるいは柳澤議員も言われましたように、やはり現実が変わっている。多様な働き方、そして少子高齢化という現実、そういったことにきちっと対応できるような年金制度を本気になって議論しなきゃいけないということだと思います。

 現実は、国民年金は壊れている、私はこう思いますし、厚生年金についても制度が働き方に対して中立的でない。そういう問題に対してきちんと政治が議論をして答えを出していく、その基本精神を持った上で、ぜひこの場でさらに議論を続けていただきたい、そのことをお願いしておきたいと思います。

与謝野会長 時間が参りましたが、一人三分ぐらいのことで御発言をいただければと思います。

武部議員 まず、三党合意のことですけれども、我々は常に政権交代可能な政治システムというものを選択したわけですね。政治は国民のものですから、国民本位に持続可能な年金や社会保障制度をどう構築していくかということを前提に三党合意が結ばれた、このように思います。したがいまして、これは非常に重い事実であり、その延長線でこの両院合同会議が設けられた、このように認識しております。

 同時にまた、国民本位に持続的な社会保障制度をどう構築していくかというときに、負担と給付という問題、今岡田代表の話にありましたように、超少子高齢社会という前提、あるいはまた大変な財政赤字というものも抱えているというときに、これらを踏まえてこの両院合同会議で成案を求めていこう。しかし、その前提はやはり継続した議論ということは言うまでもないことだ、私はそのように認識しておりますし、それが我が党の基本的な考えです。

枝野議員 この場所で建設的な議論を進めていくためには、まずお互いにきちっと相手の主張を認識し合っていただきたいと思います。

 先ほど岡田代表から話がありましたとおり、我が党は基礎年金全額を消費税で賄うとは言っていないにもかかわらず、津島先生は当然そのことを今までの経緯で御存じであるはずなのに、全額消費税だと何%になるだなんて揚げ足取りをやっている。あるいは、丹羽先生も当然我が党の今までの法案の流れを勉強されていると思いますが、我が党は過去債務についての処理もちゃんと全部セットでして打ち出しておりまして、白地に物を書いたりしていません。少なくとも我が党の案をちゃんと勉強して物を言っていただくか、その上で揚げ足取りをやめていただくことが建設的な議論をする上での最低限の前提だというふうに思っております。

 その上で、先ほど来、負担と給付について、確かに負担と給付のつじつま合わせを最後にしなきゃならないのは間違いありません。しかし、まず現行の与党案、政府案はつじつま合わせ自体を放棄していませんか。

 結局、年金というのは、集める額を高くすれば、つまり負担を大きくすれば給付も大きくできる、給付を少なくすれば負担を小さくできる。これは当たり前、皆さんも納得される話だと思います。それなのに、負担の上限と給付の下限を決めるということ自体は論理的にあり得ないんです。つまり、負担はここで頭どめですということだったら、それ以上必要だとしても負担はふやすことができないんです。給付はこれより下げないということだとすると、逆にここより給付を下げなきゃならないような状況になったら、ここで維持しようと思ったらその分負担がふえる必要があるわけです。ですから、負担の上限と給付の下限を両方決めるということはあり得ないわけです。片方だけ決めるんだったらあり得ます。両方決めるということは論理的にあり得ない。ちょっと頭のいい人だったらすぐわかるはずです。きちっと考えてください。

 しかも、昨年の案は例の出生率の数字が出たことによってもう既につじつまが合わなくなる。つまり、あらゆる前提数値が政府の想定どおりであれば確かに上限と下限は確定できるでしょう。しかし、それは今まで五年ごとにやってきたことが全部外れてきたのと全く同じ理屈です。そして現実に、結果、外れているじゃないですか。やることというのは、上限を決めるのか下限を決めるのか、どちらかしかあり得ないということです。

 その上で、まず枠組みとして公平であるのか、公正であるのか、それがどうなるのかということで、先ほど来ずっと議論に出てきておりますが、ぜひ次回には、柳澤先生は少し御理解をいただいていてそういった方向のお話がありましたが、一番のポイントは、国民年金の空洞化をどうするんだ、特に国民年金層に入れられている自営業者じゃない人たちをどうするつもりなのか、この人たちを切り捨てるのかどうするのか、このことについて明確に与党としての見解を出していただきたい。

 もう一つは、今のような雇用の流動化している中で企業負担をどんどん上げていくという中では、先ほど来中立ではないという言い方をしましたが、どんどん厚生年金の対象の外に、企業ごと、あるいは働き方、パートなどということで、厚生年金も空洞化していきます。このことをどうやってとめるつもりなのか、それともそれで構わないというつもりなのか。それで構わないということだったら、計算以上に厚生年金の年金負担者層が減っていきますから、計算が成り立たなくなるはずです。これについて、次回には明確な回答を与党としてお答えいただきたいと思います。

 以上です。

阿部議員 済みません、一分ほどお時間をちょうだいいたします。

 少子高齢社会の年金問題ですから、私はあと一点、日本の社会保障制度における家庭、子供に対する給付が非常に低いという現状もあわせてぜひ御論議いただきたいし、それから、先ほど伊吹議員からいただきましたお答えは、主婦が基礎年金の定額部分をどう負担しておるかということに対しては、私はちょっと違うかなと思いますので、ここも含めてこれから私どもが女性、子育て社会の姿ということを論議できる場であってほしいとお願い申し上げて、私の発言を終わります。

与謝野会長 それでは、時間も参りましたので、本日の自由討議は、この程度で終了することにいたします。

 次回は、来る二十二日金曜日合同会議を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時三十六分散会


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