衆議院

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第3号 平成17年4月22日(金曜日)

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平成十七年四月二十二日(金曜日)

    午後一時開議

 出席合同会議員

   会長 与謝野 馨君

   会長代理 仙谷 由人君

   幹事 長勢 甚遠君 幹事 丹羽 雄哉君

   幹事 柳澤 伯夫君 幹事 武見 敬三君

   幹事 枝野 幸男君 幹事 城島 正光君

   幹事 小川 敏夫君 幹事 坂口  力君

      伊吹 文明君    上川 陽子君

      鴨下 一郎君    鈴木 俊一君

      津島 雄二君    阿部 正俊君

      田浦  直君    中島 眞人君

      小宮山洋子君    五島 正規君

      中塚 一宏君    古川 元久君

      横路 孝弘君    朝日 俊弘君

      直嶋 正行君    山本 孝史君

      井上 義久君    福島  豊君

      冬柴 鐵三君    遠山 清彦君

      山口那津男君    佐々木憲昭君

      小池  晃君    阿部 知子君

      近藤 正道君

    …………………………………

   衆議院厚生労働委員会専門員            榊原 志俊君

   参議院常任委員会専門員  川邊  新君

    ―――――――――――――

合同会議員の異動

四月二十二日

 辞任         補欠選任

  武部  勤君     上川 陽子君

  片山虎之助君     阿部 正俊君

  峰崎 直樹君     直嶋 正行君

同日

 辞任         補欠選任

  上川 陽子君     武部  勤君

  阿部 正俊君     片山虎之助君

  直嶋 正行君     峰崎 直樹君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 年金制度をはじめとする社会保障制度改革について


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     ――――◇―――――

与謝野会長 これより会議を開きます。

 年金制度をはじめとする社会保障制度改革について議論を行います。

 本日は、前回に続き、議員間の自由討議を行います。

 議事の進め方でありますが、まず、前回の議論を踏まえ、各党からそれぞれ十分以内で発言していただいた後、自由討議を行います。

 なお、発言時間の経過については、終了時間一分前と終了時にブザーを鳴らしてお知らせいたします。

 それでは、各党から発言していただきます。

 まず、中島眞人君。

中島議員 自由民主党の中島眞人でございます。

 前回は、丹羽先生から、我が党の年金、社会保障に対する基本的な考え方を申し上げ、それに沿った歩みを申し上げたわけでございますが、私からは、まず、年金問題について取り組んでいる状況につきまして、御報告、意見を申し上げたいと思います。

 そもそも、現在民主党のお示しになっている案は、もともとは与党の年金改革案への対案として示されたものである。その後、与党の案は昨年の年金改革法として実現をした。他方、民主党の対案は、変遷をたどりつつ、継続審議となっているのは御存じのとおりかと思います。したがって、少なくとも、与党に案がないという御批判はまず当たらないのではないでしょうか。

 また、もちろん我々としても、昨年の年金改革法が成立したことのみをもってすべてが終わったなどとは考えておりません。

 具体的に申し上げますと、まず、産業構造や雇用構造の変化への対応であるパート労働者への厚生年金の適用拡大について、法律に検討規定を明記し、今後責任を持って取り組むこととしております。

 また、いわゆる専業主婦の取り扱いについては、世帯単位と個人単位の関係などから、引き続き議論していく。昨年の年金改革法では、夫婦の保険料について共同負担の基本認識を法律に明記させました。その上で、離婚時など実際に必要な場合に、その権利を具体的な形にする年金分割の仕組みを創設いたしたところであります。これは大きな前進と見ていただきたいと思います。

 さらに、年金財源における税と保険料の役割分担の問題であります。

 基礎年金の国庫負担割合を二分の一とすることを法律の本則にしっかりと明記した上で、そこに至る道筋を法律上明らかにした。今後、全力を挙げて着実にこれを実現していく。

 民主党は、全額税財源による補足的給付を設けて、その財源の半分は年金目的消費税を創設して賄うとの御提案であります。しかし、我々与党としては、医療や介護に要する財源を含めて考えると、消費税は節度ある形で投入すべきと考えており、そのため、国庫負担二分の一が適正な水準であると考えております。

 今三つの例を挙げたように、年金に関する具体的な論点を見ていくと、与党には、それぞれに取り組みの実績があるし、今後のさらなる取り組みの案もございます。他方、民主党は、国民年金を含めた年金一元化という大きなお話をなされております。しかし、具体的な論点について見ていくと、実は明らかにしておらない部分が多々見受けられます。後ほど御質問もさせていただきたいと思います。

 我々与党としても、民主党の御提案をこの場における検討の素材にすることは決してやぶさかではございません。しかし、肝心な部分が不明なままでは、残念ながら素材にすることも難しいというのが現実でございます。

 すなわち、民主党の御提案の重要なポイントと思われる最低保障年金については、これを受給できる人の範囲や減額のルールなど、支給基準次第で国民一人一人にとっての意味が大きく変わってまいります。そのため、前回の合同会議で私から質問させていただいたが、まだお答えをいただいておりません。決して揚げ足をとろうということではないので、ぜひとも具体的なお答えをいただきたいと思います。

 また、この際、あわせて民主党にお伺いいたしますが、民主党は、国民年金を含む年金一元化を行うとの御提案であり、そうすると、その一環として被用者年金の一元化などは当然実現するというお考えなのだと思います。

 我々与党としても、被用者年金一元化については責任を持って取り組むこととしており、ただ、いろいろと話を聞いてみると、例えば地方公務員共済については、現在でも組合がおよそ七十にも分かれており、さまざまなしがらみもあってなかなか大変だということであり、このあたりはむしろ民主党がお得意の部分であろうかと思うし、民主党の方が御実態を十分お知りになっているのではなかろうかと思います。

 国民年金を含む年金一元化を行おうとおっしゃっているからには、このような点についても当然腹案をお持ちのはずでございましょう。この場で開陳していただければ、大いに参考にいたしたいと思います。

 次に、民主党の御発言について申し上げておきたいことがございます。

 一昨日の総理とのクエスチョンタイムで、民主党の岡田代表は、国民年金の未納者が四割に達していること、また、パートや派遣などさまざまな働き方をする人が国民年金に加入するようになっていることなどから、国民年金は事実上壊れているとおっしゃいました。

 この点については、昨年の年金改革法において、国民年金についても将来にわたる給付と負担のバランスを整えており、決して壊れてなどいないと私どもは信じております。

 もちろん、未納を極力減らしていくべきなのは当然であり、徴収面の抜本的改革などによる未納対策を急ぐ必要があると考えております。また、パートや零細事業所の従業員など、雇われて働いているが現在は国民年金に加入している方々については、できるだけ被用者年金を適用して、未納問題の解消にもつなげる方向で建設的な議論を行い、見直していくことが必要と考えております。

 それにもかかわらず、あたかも完全に壊れているかのような言い方は、現在まじめに保険料を納付している多くの国民に、壊れているので納める必要はないという誤解をもたらす危険さえございます。壊れている、壊れていないといった言葉遣いで論争を続けるのではなく、パート労働者やその雇用主の方々を含めさまざまな関係者の理解を得て、さらによい制度を築いていくために、党派を超えて議論をしていくことこそが重要かと考えます。

 民主党は、とにかく国民年金を含む年金一元化を行うとさえ言えばさまざまな問題がひとりでに解消されるかのようにも聞こえ、また御主張なされております。しかしながら、民主党の御提案でも、保険料が未納であれば年金は支給しないということであったはずであります。

 そうすると、未納による無年金、低年金者を生じさせないためには、徴収面での対策が不可欠であることに変わりないのであります。多様な働き方への対応についても同様であり、民主党の御提案でも、パートや零細事業所の従業員などについて、本人や雇用主に新たな保険料負担を求めることの合意形成が必要であることに変わりはありません。このように、現行制度における厚生年金の適用拡大と同様の高いハードルがあることを十分認識していただいた上で、建設的な議論を行うべきと考えます。

 昨日、ある新聞に「記者の目」という記事がございました。そこでは、自営業者については、所得把握が困難というだけではなく、事業主負担なしの保険料の設定方法や、定年のない人たちを同じ制度に含めるのが妥当かどうかなど、議論すべき課題が山ほどあるので、即座に一元化するのは無理があるとしております。ただ、その上で、国民年金加入者のうち、パートなど給与所得者の一元化を先行させて、国民年金を徐々に縮小する方法もあるのではないかとしております。また、昨年の年金改革法で新たに入手できるようになった所得情報を活用して、自営業者独自の所得比例年金を創設し、将来の合流準備をするといったアイデアも示しております。「党利党略で年金を扱うな」と題されたこの記事は、なかなかまじめに考えられたものだと思います。

 先ほども申し上げたとおり、我々与党としても、現在の国民年金制度に課題なしとは申しません。しかし、必要性や課題などのいかんを問わず、国民年金を含む年金一元化さえ行えば何でも即座に解決できるかのような幻想にとらわれてはならないと思います。まずは、国民年金に加入しているパートの方々などを含め、被用者年金の一元化を着実に推進すべきと考えます。あわせて、純粋な自営業者の方々の所得比例年金の適用については、乗り越えるべき課題についてしっかりと議論していくべきであると考えております。

 こういった意味で、国民年金まで含めた一元化を展望しつつ、まずは被用者年金の一元化の実現を図るという小泉総理の御発言はれっきとした改革のビジョンであると考え、私の意見といたします。

与謝野会長 次に、古川元久君。

古川議員 民主党の古川元久でございます。

 今中島議員からお話がございましたけれども、私、先日も申し上げましたけれども、改めて、この合同会議でやらなければいけないこと。それは、まず今の、そして今後の社会状況、どういう日本社会の状況が来るのか。就業構造、家族構造、全く従来とは違う構造、そういう社会がやってくるという、その社会構造についての認識がどうも違うのではないか。

 私ども民主党が、新しい年金制度、今の現行制度にかわる年金制度を提示したのは、確かに、高度成長、そして人口も増加していく、しかも人口増加の多くが団塊の世代のまさに働き手、そういう人たちが中心になって人口増加していく、そういう社会においては、後の世代になればなるほど保険料負担は高くなっていく、それに比較して給付の割合は減っていくという現行の制度も、それは受け入れられたかもしれないけれども、これから人口も減少していくような、そしてまた今ニートやフリーターと言われる人たち、実は今の親の世代の支えがなければこの人たちは自分たちでは生活もできないような、そういう人たちの割合が二十代、三十代でふえている、こういう状況の中で、三十年前、四十年前に設定した制度が本当にこれからも通用するのか。

 むしろ、そういう社会の変化の状況を考えれば、今こそ、その社会においても、国民皆年金という基本的な考え方を維持した上で、どういう制度設計をするのがいいのか。そう考えた中で、私たちは、現行制度をやめて新しい制度をつくる。その上で、現行制度上で約束をした将来にわたる年金の給付については、ではそれをどういう形で国民の中で負担をしていけばいいのか、そういう考え方をすべきではないか。いつまでも古い考え方、そして過去の制度にそのまま引きずられた形で将来を考えていったのでは、ますます制度に対する信頼は失われる、そういう考え方から、私たちはこの新しい制度を提案したわけであります。

 これは、与党の皆様方にもぜひ御理解をいただきたいのは、まず、今後の社会状況について、我々がどういう現状認識、そして将来展望を持っているのか、そこの共通認識がなければ、どうも聞いていると、今後とも、社会状況そして経済状況も昔と余り変わらないような状況で続いていくというふうに考えられているとしか思えないような状況がある。

 そしてまた、いろいろ我々の案の御批判をされましたが、私たちは、別に我々の案がすべてだというふうに申し上げているわけじゃありません。現行制度はもう根本的に変えなければいけない。その新しい制度の仕組みとして、民主党案のような形がいいのではないかというふうに提案をさせていただいているわけであります。

 もちろん、その新しい制度にするにはいろいろと乗り越えなきゃいけない問題はたくさんあります。しかし、それを乗り越えてやっていかなければいけないほど、社会情勢、そして経済構造も社会構造も大きな変化をしているんだという認識をまずここの場でつくるということが大事なんじゃないでしょうか。我々の案に対する御批判はもちろん結構ですけれども、まずは現状に対する共通認識を持つという努力をしていく。

 そのために、私どもは、先日の幹事会の方で、こちらから必要な資料請求やあるいは調査をしてほしいという要望を出させていただきました。ぜひ一日も早く、我々がお願いをした資料や調査についてはやっていただきたい。そういう中で、同じ現状認識、そして、将来の日本の社会をどう見るかという、まずそこについての危機感や認識というものを共有していかなければ、私は、その上でどういう制度をつくるかということの議論は建設的なものになっていかないと思います。

 ぜひ、この合同会議のもとでは、今後の社会状況、そういう中で、年金制度を初めとする社会保障制度、その負担する世代の所得状況とか経済状況はどうなのか、そういうものも含めて、客観的なデータ、なければ集めてやるということがまず必要じゃないかということを申し上げたいと思います。

 その上で、先日たくさん私どもに質問していただいて、ほとんどは岡田代表も答えさせていただきましたが、私どもも皆さん方に質問させていただいた部分について、質問にお答えになっていただいていない部分があります。そこについてはぜひ責任者の方から御答弁をいただきたい。

 まず、私どもが先週積み残した部分で少し御答弁させていただきますと、津島議員の方からは、国民年金被保険者層の所得を国税庁は把握していないのではないかという御質問がありましたが、これについては、そういう御疑念をもし与党の方が持っておられるのであれば、国税庁長官に来ていただいて、本当に所得を把握されていないのか、きちんとそこは見解を求めたいと思います。もし仮に、本当に所得が把握できていないのであれば、これは一体どうやって税金をかけているかということになりますから、そこの点では、私どもは、国税庁長官を呼んで、国民の所得把握状況、実態はどうなのかということについて、先週横路議員からも提起がありましたけれども、もう一度ここの場で確認をすべきだというふうに思います。

 そしてまた、佐々木議員から、三党合意修正案にあります税、保険料等の負担と給付のあり方を含め一体的見直しを行うの、税の意味は何かというお話がございましたけれども、年金制度の議論、社会保障制度も含めてでありますけれども、議論していけば、当然これは税制改革と一体的に議論せざるを得ないわけであります。

 保険料か税かというのは、それはもちろん性格の違いもありますけれども、また、取る役所が違うとかそういうことがあるかもしれませんが、しかし、納める国民の側からすれば、自分のポケットからお金が出ていくという意味では同じでありますから、どういう形で保険料そして税を組み合わせるかということは、これは歳出改革を前提としつつ、将来にわたって安定的な年金制度をつくるためには、税を含めた財源論を議論することは不可避であるというふうに考えております。

 また、中島議員から、先週、最低保障年金の受給できない層の線引きはという御質問がございました。

 これは、やはり私ども、今回の幹事会でも請求をさせていただきましたけれども、データをきちんととらないと、なかなかここのところはきちんとした数値が出せないというふうに私どもは思っております。国民年金、共済年金の詳細なデータが必要でございまして、私どもは、そのデータが出された上で、ここでその水準等について議論すればいいのではないかというふうに思っております。

 そして、与党に対しまして、先週の積み残しでございますからぜひお答えいただきたいと思いますのは、国民年金、特に自営業者以外の国民年金第一号被保険者をどうするのか。これは、非正規の社員は低年金のまま切り捨てるのか。この点について明確な御見解をいただきたいと思います。

 どうも、自己責任というお話がありますけれども、それであれば、これは国民皆年金という制度そのものをあきらめるということなのか、そんなふうに聞こえてきます。それならそれで、それも考え方だと思います。では、国民皆年金じゃなくて、保険料を納められる、そういう人だけという形でやるということであれば、これは、年金であっても公的年金としてやる必要があるのか、そういう議論もあると思います。国民皆年金を守るということであれば、それは税と適切な形でミックスをさせていくということが必要じゃないかと私どもは思っておりますが、この点について御回答をいただきたいと思います。

 そしてまた、企業が負担増回避のためにパートなどにシフトすることによって生じます厚生年金の空洞化にどう対応するのか。これについて、放置するならば、厚生年金加入者が減って、昨年改正時点の厚生年金の財政再計算に狂いが生じてくることになるはずだと思いますが、これについてはどうするのか。これについても回答をいただいておりませんので、ぜひ御回答をいただきたいと思います。

 また、丹羽議員の方からは、冒頭発言におきまして、焦眉の急である基礎年金国庫負担率の引き上げを各党の協力を得て実現していきたいというふうに発言されておられますけれども、御存じのように、現在政府・与党が取り組んでおられます定率減税廃止、公的年金の課税強化では、二分の一実現に必要な約三兆円の財源は確保できないわけでありますけれども、与党としては一体どのような案をお持ちなのか、お示しをいただきたい。

 そして、先ほど中島議員も、共済と厚生年金の一元化、当然我々も案を持っているんですよというお話をされましたけれども、政府の方は、昭和五十九年から、閣議決定で、公的年金制度の改革、一元化という話で、平成八年にもまた閣議決定していまして、被用者年金の一元化を言っているわけですね。今までもう何年もたっているわけですよ。

 では、これまでどこまで具体的にちゃんとそこを詰めてきたんですか。前回、公明の冬柴幹事長が指摘されましたけれども、被用者年金の一元化をするにしても、では、一元化の道筋、共済をまず一元化するのか、一気に厚生年金と三共済を統合するのか。一元化の形態、完全統合するのか、保険料率の一本化か、各積立金はどうするのか。共済の福祉施設等個別課題についてどうするのか、また職域加算の部分についてはどうするのか、共済の転給制度の扱いについてはどうするのか、共済の短期給付の扱いについてはどうするのか、こうした多くの課題があるわけであります。

 今まで、何十年も前からこれは一元化すると言ってきて、どうしてこれまで放置してきたんですか。それが明らかでなくて、なぜ、これから先に示すのが共済・厚生の一元化だと。そこのところについて、当然、調査そして議論し尽くしているはずだと思いますから、もし言われるのであれば示していただきたいと思います。

与謝野会長 次に、山口那津男君。

山口議員 公明党の山口那津男でございます。

 前回の両院合同会議において、我が党の冬柴幹事長から、年金改革についての考え方、論点等を提示させていただきました。平成十六年年金改革は極めてすぐれた抜本改革であるという立場に立ち、さらに、年金制度の一元化や年金財源のあり方、三号被保険者問題など、残された課題についてその論点を明確にし、建設的な議論を行いたいと考えます。

 公明党としては、年金制度の一元化は、まず被用者年金の一元化を進めるべきであり、国民年金との一元化については、その実現の先に展望するものであるということを改めて確認しておきたいと思います。

 前回の会議で、被用者年金の一元化についてその主な論点を提示しましたが、この論点に基づき、今後の一元化の具体的なプロセス、手法について議論を深めていく必要があります。

 民主党が主張される国民年金を含めた一元化については、岡田代表からも改革の具体的な姿が提起されましたが、給付と負担がどう変わるのか、特に国民年金の方の給付と負担はどうなるのか、また、最低保障年金の給付額はすべての方に同額なのか、それとも所得等に応じて減額されるのか等々、肝心なところが明らかにされておりません。これらの数値を明確にした具体案を提示していただき、その上で検討を行うべきと考えます。

 この点については、民主党はこれまで、政府が情報を開示しないので数値が入れられないとの発言を繰り返してきましたが、この合同会議においては、必要と思われる情報、資料等についてはきちんと政府から提出をさせ、数値を入れた具体案を明らかにすべきであろうと思います。

 一元化であれ、どのような制度改革を行うのであれ、国民が求めているのは、将来、自分の年金の給付額がどれくらいになるのか、保険料はどれくらいまで負担しなければならないのかということであり、それらを明らかにしない限り、老後の生活設計は成り立たないのではないでしょうか。

 こうした観点からも、民主党の国民年金を含めた一元化については、その数値が明らかになった時点で検討を行うものとし、それまでの間は、一回ごとの会議において具体的な検討項目を挙げ、議論を進めるのが価値的であると考えます。その検討項目としては、被用者年金の一元化、国民年金を含めた一元化、いずれの場合でも問題となる年金の個人単位化や基礎年金のあり方などについて検討を開始すべきであります。

 まず、年金の個人単位化について。

 年金制度を将来的に個人単位で設計するのか、世帯単位で設計するのかという問題は、制度の根幹にかかわる議論であります。簡素、公平でわかりやすい制度へ改革することが求められておりますが、これに加え、現実に年金制度で所得保障しなければならないニーズにどうこたえるのか、現在と比べいかに急激な負担増や給付減にならないようにするのかなど、こうした問題をクリアにする必要があります。

 現行の年金制度は、世帯単位で設計された厚生年金と個人単位で設計された国民年金の両制度で発展してきましたが、昭和六十年改正の際に基礎年金制度を導入し、サラリーマン世帯について、保険料負担は引き続き世帯単位でありますが、給付の面では、専業主婦の一階部分は自分名義の受給権を持つことになっています。女性の年金受給権の確立という時代の要請にこたえつつ、片働き家庭であろうと共働き世帯であろうと、世帯の単位で見て同じ報酬額であれば、保険料負担も年金額も同じになるようにして、世帯単位の公平性を確保しています。

 一方で、このとき導入されていた第三号被保険者制度を初め女性と年金をめぐる問題については、その後さまざまな意見があり、多くの議論を積み重ねた結果、昨年の年金改正では、被扶養配偶者を有するサラリーマンの保険料については、夫婦が共同して負担したものであることを基本的認識とする旨を法律上明記し、離婚などのときに夫婦間で年金分割を行える仕組みが設けられました。これにより、個人単位で見た女性の年金受給権は大きく前進しましたが、将来的に第三号被保険者制度をどうするのか、パートなどの短時間労働者の厚生年金の適用範囲をどこまで拡大するのかなどについては、引き続きの検討課題となっています。

 第三号被保険者制度をめぐっては、例えば、昨年夏の経済財政諮問会議で、サラリーマンの世帯でも、基礎年金部分について、夫婦の保険料を個人単位で徴収するようにしてはどうかという提案がありました。しかし、これを行えば、専業主婦のいる世帯の基礎年金部分の保険料は現在の二倍にふえ、さらに事業主負担もなければ現在の四倍にふえる可能性があります。

 民主党は、最低保障年金は全額税財源にするのでこのような保険料の急増はないと主張するかもしれませんが、基礎年金の国庫負担二分の一を二分の二に引き上げる財源は年金目的消費税との案なので、一階部分に入っている約四兆円もの事業主負担をなくして企業負担を軽減し、国民の家計負担にツケを回す構造にはならないのかという問題があります。

 また、個人単位化の考え方は遺族年金にも影響が及んできます。仮に、二分二乗方式のような個人単位の考え方であれば、遺族年金を別途設ける必要はないということになります。現行制度では、例えばサラリーマンと専業主婦の世帯で夫が亡くなった場合、残された妻は、自分の基礎年金に加え、夫の老齢厚生年金の四分の三に相当する遺族厚生年金が保障されていますが、これを二分二乗方式にした場合、残された妻の年金は二分の一の額へと減ってしまうという問題が発生します。このような問題点についてどのように考えるべきか。

 次に、基礎年金のあり方について幾つか論点を提示したいと思います。

 まず、税方式と保険方式について、そのメリット、デメリットを明らかにし、給付と負担の水準の変化や財政運営の安定性等の観点から比較対照し、持続可能な制度を構築するためにどちらの方式が好ましいのか、検討する必要があります。

 次に、基礎年金の給付についてですが、例えば、民主党が提案するいわゆる一階部分の給付、すなわち最低保障年金の給付は、所得がありながらその所得に応じた保険料を支払わない者にも給付すべきものなのか。そうであれば、現役時代意図的に保険料を払わなかった者でさえも最低保障年金が満額給付され、公平性の観点から重大な問題が発生します。一方で、未納者には満額支給しないとすれば、民主党の言うように無年金、低年金の解消にはつながらないことになりますが、この点についてどう考えるべきか。

 あわせて、税方式にすれば未納問題が解消されるという指摘についても、税と保険料の一体徴収によって本当に保険料の未納をなくすことができるのかという実現可能性の問題もあります。

 また、むしろそれよりも大事なことは、徴収対象の強化やニートなどの若年雇用問題を解決することによって保険料の未納をなくさない限り、無年金、低年金の問題は解消しないということであります。この点においては、現行の基礎年金制度であっても民主党の最低保障年金であっても、本質的には違いはありません。

 確かに、国民年金と厚生年金が分立した現行制度では、厚生年金の事業主負担が重いため、厚生年金の空洞化が進み、国民年金に追いやられたパートやフリーター等の非正規雇用が未納に陥り、将来の無年金、低年金が懸念されるという批判がありますが、この問題を考えるに当たって大事なことは、保険料が事業主負担の対象となるものの範囲はどこまでなのかということであります。

 例えば、現行制度で厚生年金が適用されていないパート、フリーターあるいは零細事業所の従業員などの保険料については、事業主負担の対象とするのか、それとも本人が所得に応じた保険料の全額を負担するのかという問題です。これは、国民年金と厚生年金を一元化したとしても、事業主負担の有無という点についてどこかで線引きをする必要がありますし、現行制度を土台にした厚生年金の適用範囲の拡大の議論と本質的には違いはありません。

 以上述べてきたような課題については、いずれも年金制度の基本にかかわる重大な問題であり、どのような方法でその解消を図っていくのか、十分な議論が必要です。国民年金を含めた一元化さえ行えばこうした問題がすべて解消されるかのような議論は、結局、国民を欺くことになりかねませんし、まず一元化という結論ありきではなく、現行制度が直面するさまざまな問題点について、一つ一つその解決策を議論していくことが肝要と考えます。

 国民の負託にこたえるためにも、与野党の立場を超え、改革の成案づくりに向けた現実的かつ価値的な議論を行うべきことを指摘して、私の意見表明を終わります。

与謝野会長 次に、小池晃君。

小池議員 日本共産党の小池晃です。

 前回、最低保障年金制度を速やかに実現することを提案しました。それによって、無年金者がなくなり、月三万円の国民年金とか月十万円の厚生年金など、今の貧し過ぎる年金額を底上げすることができる、二十五年間保険料を払い続けないと一円も年金がもらえないという問題も解決し、年金制度全体の空洞化も解消に向かうと述べました。

 これに対して、最低保障年金があるイギリスでは、保険料を払わなくなり、無年金がふえているという自民党津島議員の発言がありましたので、調べてみましたけれども、イギリスで、最低所得保障制度の導入によって国民保険の納付率が下がったという情報は得られませんでした。イギリスでは、保険料と税が一緒に徴収されているので、保険料のみ払わないという事態は起こりにくい、一定所得水準未満の低所得者は保険料を納めなくてよいので、低所得を理由とする未払いも少ないと考えられるということでした。批判は当たらないということを初めに述べておきます。

 前回指摘したように、非常に深刻な無年金、低年金の高齢者の生活をどうするのか、さらに、現状のままでは、今後、無年金者、低年金者が激増していくという事態をどう打開するのかが極めて重要な問題だと思います。

 最低保障年金制度を否定する発言もありましたが、それならば、年金制度の空洞化で憲法二十五条の生存権がないがしろにされている実態をどう打開するのか、無年金、低年金をなくすためにどうするのか、責任ある提案が求められていると思います。

 意図的に払わない人をどうするのかという議論もありましたが、これはあくまで制度運用の問題であって、問われているのは、無年金、低年金をなくすのかなくさないのか、その基本的な立場こそ問われていると考えます。

 現状を見ると、現在、六十五歳以上で受給権のない無年金者が六十万人に上ります。六十歳未満で受給資格のない無年金者が三十九万人です。引き続き国民年金、厚生年金の空洞化が進んでおります。このままでは無年金者、低年金者がさらにふえていく。

 前回、遠山議員が、厚生年金、共済年金の加入者七千万人も分母に含めて、未加入、未納が五・五%と発言しましたが、全く性格の異なる強制徴収の制度まで含めて未納率を小さく見せようとするのは余りにもこそくであって、真実から目を背けるならば正しい解決は得られないと申し上げたいと思います。

 その点で、真実は、国民年金保険料納付率は六三・四%、四百万人以上、実に納付義務者の四人に一人が、二年間一度も納付しておりません。

 厚生年金の空洞化も深刻です。ピーク時と比べて二〇〇三年度の実態は、加入事業所で、九七年の百七十万が百六十二万と八万減少。被保険者数が、三千三百四十七万人が三千二百十二万人と百三十五万人減少。保険料収入が、二十兆七千億円が十九兆二千億円と一兆五千億円減っております。

 また、リストラによる正社員の減少、一方で、派遣、パートなど非正社員が三百七十万人ふえております。雇用者全体に占める非正社員の割合は、一九九〇年、二〇・二%が、二〇〇四年は三一・五%、約三人に一人です。

 給与所得者に占める被用者年金の加入者割合は、一九九〇年、六八・一%が、二〇〇二年は六〇・二%です。特に青年の不安定雇用が激増しております。パート、アルバイト、契約、派遣などで働くフリーターが四百数十万人、三十四歳以下の若者の五人に一人がフリーター。平均年収は、UFJ総研の推計で百六万円。こうした中で、厚生年金に加入する青年が激減しております。このまま推移すれば、無年金者、低年金者が激増することは必至であって、ここを根本的に打開することが求められていると考えます。

 基礎年金に対する国庫負担は今後二分の一に引き上げたとしても、これはあくまで定率の負担ですから、低い年金額にはその半分の低い国庫負担しか入りません。これでは、無年金、低年金の問題を解決できません。

 それに対して、私たちが提案しているのは、当面、月額五万円という定額の最低保障年金制度です。言いかえると、一律五万円の国庫負担ということになります。このように、国庫負担の仕方を定率から定額に切りかえることが今回の提案の大きなポイントであります。

 この結果、国庫負担の仕組みが変わり、無年金や低年金の方々に対して重点的に投入されることになる。これは、所得の再配分という社会保障制度の役割から見ても大きな意味を持つと思います。

 あわせて、当面の緊急対策として、年金受給のために必要な最低二十五年の現在の資格加入期間を、アメリカ、イギリス並みの十年程度に短縮し、加入期間に応じて年金が受給できる仕組みに改めることも提案します。

 保険料の収納対策というと、徴収の強化ばかりが強調されますが、幾ら取り立てを厳しくしても収納率の向上につながっていないことは、これまでの経過からも明らかです。そうではなくて、少しでも保険料を納めれば、最低保障額に支払った保険料分が上乗せされた年金が給付されるようになる、そうすることが、安心と信頼を回復して保険料の納付意欲を高めることにつながるものとも考えております。

 年金制度の空洞化を抜本的に打開することこそ、年金への信頼回復の最重要課題であるということを最後にもう一度強調して、意見表明を終わります。

与謝野会長 次に、阿部知子君。

阿部(知)議員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 本日、二回目を迎えました合同会議でございますが、まず皆さんに、冒頭、なぜ私たち政治家が、この時代、ここに集っているのかをもう一度私はお考えいただきたいと思います。

 私たちは、今、二〇〇五年を生きておりますが、二〇二五年、さらには二〇五〇年という時代を皆さんのお心の中で想像されたとき、それが、先ほど民主党の古川さんのおっしゃったような、現在の若者の不安定な働き方、そして三人に一人が御高齢者という、私たちがこれまで経験したこともない時代がそこに待っております。

 しかし、その時代はまた暗い危機的なものだけではない。逆に、働き方というものをもう一度考え直したとき、例えばワークシェアのような新たな働き方が当たり前になる。実は、そうでなければ、少子化問題も、せっかく数少ない子供を育てようとする若い両親にとって、今までのように、すべての時間を企業の中で過ごすようなお父さんと子育てを一身に背負うお母さん像ではないところの、本当に新しい働き方を、皆さんのお子さんやお孫さんのことを念頭に置きながら私は考えていただきたい。年金は、まず、現在の問題でもあるが、現在の働き方を通して未来の問題を見ているという点であります。

 その意味で、先回の合同会議の第一回目、私は、本当にすばらしい御指摘をいただいたのは、実は自民党の柳澤議員であったと思います。ある意味で、変化はドラスチックであります。そのことを覚悟しない限り、私たち政治家がここに集う意味はない。私たちは、未来を見据えて、そのときあたふたとせずに済むような改革をおのおのここで論ずべきだと思います。

 そして、では、津島議員にも言われました、阿部さん、絵そらごとじゃだめだよ、財源問題をどうするのと。これもまた本当に正しい御指摘でございます。国庫負担を二分の一にするにしても、それから、先ほど言いました、いわゆる生産年齢人口が減る中での保険料と税の問題をどうするかということはすぐれて税制の問題と関係してまいります。そこの根幹をきっちり私は論議していただきたい。所得比例の現在の税制、これは、小渕減税以降のものではとてもその時代には通用しない。現在、非常に若い人の低賃金化は進んでおります。このことを改めて私どもが念頭に置いて、新たな所得課税のあり方もぜひお考えいただきたい。

 同時に、これは丹羽議員から御指摘をいただきました。現在、企業負担分、そもそも社会保障制度というのは、労使の間で、その前は労働者に対しての保障として発生してきたという丹羽議員の御指摘も私は一理ある。しかし、さらに、これから働き方が変わる中で、そしてワークシェアというモデルを持った中で、企業の社会的責任とは那辺にありやということでございます。

 私どもはここで、総賃金あるいは売上総額に御負担いただくような、いわばこれは人件費に対する外形標準課税的なものですが、企業がこれまで負担していた個々の勤労者への負担ということからもう一歩飛躍していただいて、全体の、例えばパートであれ常勤であれ、その方々について総賃金で保障していただくような社会保険料を負担、すなわち社会保障税と申し上げさせていただきますが、そのあり方を、企業もまた概念を変えないと、新たな二〇二五年から二〇五〇年はやっていけないということだと思います。

 引き続いて、私が先回の御意見並びに今回を通じて一番思いますことは、年金の空洞化問題で、ほとんどの与党の皆さんと私ども野党と全く見ている景色が違う、受けとめ方が違うという現状でございます。

 私は先ほど、政治家はなぜここに集っているかと申しましたが、ここにはまず、無年金者を絶対になくすという強い意思があってしかるべきだと思います。

 その意味で、先回遠山議員がお述べになりましたような、国民年金の空洞化は進んでいないかのような数値を用いた例証は、私は、やはり本当に事態の深刻さを受けとめておられませんし、実はこの次の会議の中でぜひ一回目にやっていただきたいのは、国民年金の空洞化の現状をまず認識するための、共通共同認識に立つという作業であると思います。

 完全未納、全く二年間納めていない方が四百四十万五千人、逆に完納、完全に納めている方は八百八十五万人にすぎません。そのほかの方は一カ月から二十三カ月までの間の未納期間を抱えており、その方たちの数は年々膨大になってきておる。このカーブの上昇の著しさは、一つには年金不信、しかしながら、私が何度も申しますように、年収二百万円以下の方が国民年金の加入者の何と三三%に及んでいる、若い世代はもっと高うございます。

 このことは、私たち政治家が、本当に若い世代をどのように遇していくか、今ここで決断し解答を出さなければ、永久に先送りしたまま、若い世代に賦課のみを求め、そして、信頼性を失うという最悪の事態が拡大再生産されます。

 同時に、厚生年金の空洞化問題も深刻でございます。さらに、今回の改正、私は改悪と思いますが、行ったことが、保険料がどんどん上がっていく、人件費を抑制したい企業がどんどんパート化を進めるという、改正がまさに改悪になり、悪いインセンティブを与えてしまっているということは深刻ですので、これは即刻私たちがこのことについてストップをかけなければいけないと思っております。

 そして、その解答の一つに、四番目として、パートタイマーの年金権問題がございます。この件に関しましては、与党の皆さんにもずっと検討していただいているということで、少なくとも、これは早急に合意に達したい項目の第一になってまいると思います。

 しかしながら、企業のおのおのの抱えております産業構造的な問題、例えば非常に人件費比率の高い労働集約型産業の部分での保険料負担、私どもは社会保障税と申しますが、これをどうするか。あるいは弱小、中小零細、この方たちは保険料負担をすることによって企業が成り立たないよというような問題も抱えておるのは現実であります。

 私は、企業が負担する社会保障税においては、先ほどの企業の規模あるいは総人件費に掛けるという際にも、それなりの小さなもの、弱小についての目配りが必要だと思います。と同時に、例えばパート加入を促進させたような企業については、逆にそれなりのさまざまな税制上の優遇措置を持つことも考えてよいと思います。

 とにかく、一人でも無年金を出さないために、私たちは今英知を集めてあらゆる手法を持つべきです。そうでなければ、さきの国会で成立しました無年金障害者問題、今でも引き続き私たちはその危機の中にあります。

 あと二点だけ問題点を言わせていただきますが、いわゆる年金積立金問題も、私は現状非常に不安であるということを申しました。現在、百四十九兆四千百二十八億円ございます。適正規模はいかがなものか、あるいは国会への報告はどうするか、現状の運営はどうなっておるか、私どもは国民に開示しなければなりません。

 女性と年金問題についても、先般伊吹議員からいただきました認識は、私はちょっと現状と違っておると思います。この女性と年金、だれが三号被保険者の基礎年金部分の保険料を負担しておるか。実は、夫ではなく、その他の部分の、厚生年金の二号に加入の独身の方も含めた男女であったり、制度全体で支えておるわけです。ここの認識もずれておるのであれば、早急に正しい合意点を見出していただきたいと思います。

 以上で終わらせていただきます。

与謝野会長 これにて各党一巡の発言は終わりました。

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与謝野会長 引き続き、議員間の自由討議を行います。

 一回の発言は五分以内で、会長の指名に基づいて、所属会派と氏名を名乗ってから行ってください。

 それでは、御発言のある方は、お手元のネームプレートをお立てください。

丹羽議員 自民党の丹羽雄哉でございます。

 古川議員、阿部議員から幾つかの質問が提起されましたものですから、それについてお答えを申し上げます。

 まず、雇用の流動化の問題でございます。

 これにつきましては、私も前回基本的な考え方を申し上げたわけでございますけれども、私は、雇用の流動化が進む中において、賃金と社会保障というのはそもそも一体不可分のものである、こういう考え方に立つものであります。そういう考え方から、基本的には、パート労働者を広く社会保険の対象として考えていくべきではないか。こういった問題について、いわゆる事業主の方の理解というものを求めたいと思っておるような次第でございます。

 それから、民主党の古川議員の方からお話がございました、いわゆる自営業者以外の低所得者層などに対する対策でございます。

 私どもも、どうしたら国民年金の未加入の増大を食いとめることができるかということに大変苦慮をいたしております。私どもは、基本的には、やはり国民の皆さん方の社会保障に対する、社会保障というのはお互いに支え合うんだ、こういうような意識というものを私どもが力を合わせて醸成していくことがまず基本である、こう考えておるような次第でございます。

 そういう中で、昨年の年金法の改正の中では、三十歳未満のいわゆる若人世代に対しましては、十年間の保険料の納付の猶予を認めました。さらに、低所得者に対しましても、多段階免除の制度というものを段階的に入れたわけでございます。こういったものにつきましても、今後鋭意改善をしていきたいと思っております。

 それからもう一点でございますけれども、いわゆる国庫負担を三分の一から二分の一に引き上げるという問題でございます。

 この問題につきましては私はかなり前から主張をしてきたわけでございますが、前回の衆議院選挙におきましては、各党とも、この問題については、三分の一から二分の一に引き上げる、こういうことをマニフェストであるとか公約で明らかにしている党がそろっているのではないか、こう認識をいたしておるような次第でございます。

 そこで、私どもの考え方でございますけれども、私どもは、二分の一への引き上げの実現に向けまして、平成二十一年度までの一定のシナリオを明記いたしました。このシナリオに沿いまして、平成十六年度におきましては年金課税、これは大体千六百億円程度でございますが、その見直しによりまして、また、平成十七年度におきましては定率の課税、これは来年の一月からでございますが、まず二分の一でございます。これが大体一千百億円でございますし、満年度ですと七千億円になります。しかも、これを二分の一でなく全額完全の実施にいたしますと、一兆五千億円になるわけでございます。こういうことによりまして財源の捻出を行っていくところでございます。さらに、平成十九年度を目途にいたしまして、消費税を含む税制の抜本的な見直しを行いまして財源を確保して、平成二十一年度までに二分の一への引き上げを完了していきたい、こう考えております。

 そこで、私の方から民主党さんにお尋ねをしたいわけでございます。

 民主党さんのマニフェストを拝見いたしますと、要するに、徹底して予算のむだ遣いにメスを入れることによって捻出をしていく、こういうことを主張なさっておるわけでございますが、民主党さんのマニフェストによりますと、足元で二兆七千億円に上る巨額な費用が必要になるわけでございます。これを、具体的にどのような財源を削減することによって二分の一を捻出するのか、これについてお答えをいただきたいと思っております。

 それから、要するにこの二分の一の問題については財源を削減することによって求めていく、こういう考え方でございますが、もう一つの方のいわゆる最低保障年金の問題につきましては、消費税の引き上げということを明らかにしておるわけでございます。この辺のところについて御説明をいただきたいと思っております。

小宮山議員 前回も発言させていただきましたが、きょうは女性の年金について自民党からも公明党からも言及があって、このテーマについてお話しいただくというのは大変結構なことだと思いますが、実際与党が昨年行ったのが、年金分割のお話をされましたが、これだけしかやっていないということなんだというふうに思います。

 前回も申し上げましたように、女性と年金検討会で幾つかのテーマを出したうち、私の手元に座長を務められた袖井お茶の水大学教授の採点がございますけれども、平均点の三がついているのが、離婚時の年金分割。これも、配偶者同士が同意をした場合か裁判所が決定をした場合のみできるということで五ではなくて三、やっとここが及第点でございまして、遺族年金についてが二、あと、パートの扱い、専業主婦、育児支援、モデル世帯については一、これは落第点でございます。

 ですから、先ほどおっしゃいました、世帯単位か個人単位か、あるいは第三号の問題というのは、ずっともう何年も議論をされてきた。歴代の厚生労働大臣、厚生大臣でいらした方もいらっしゃいますけれども、どなたとも議論をさせていただいた覚えがございます。それなのに年金分割以外はすべて先送りをしているということがあるということは、御認識をいただきたいというふうに思います。

 その上で、これからの最大のテーマは、やはり空洞化の問題。これは、一号、そして一号よりも二号の空洞化の方がもっと大きな問題かもしれません。ここをきちんとしない限り、信頼は確立できない。

 それともう一つは、多様なライフスタイルをしっかりと包み込めるような制度にすること。そのことは、先ほどから言及がありましたように、現状認識を共通にしませんとスタートいたしませんので、前回も申し上げたし、幹事会でも要求を申し上げている一号被保険者、二号被保険者のさまざまな面の現状を含めてデータを、ないものはさらに調査をして、きちんとしたデータをもとにしてあるべき問題をこれから議論していく必要があるというふうに思っております。

 そして、空洞化の問題といたしまして、国民年金につきましては、もちろん先ほどからあるように、未納者が六割いる。そして、天引きのはずの厚生年金につきましても、被保険者がピーク時の九七年の三千三百四十七万人から二〇〇二年度までに百七十七万人、五・三%も減少をしている。二〇〇三年度の財政状況は、実質三兆五千億円の赤字になっている。こうした問題をしっかりと、データをもとに議論のベースにしていく必要があるというふうに思っています。

 そして、女性と年金の問題でございますけれども、モデル年金をこの時代に男性が四十年間平均の給与で働き続けて専業主婦とペアという、これをモデル年金にしてはいけないということを言っているにもかかわらず、ここを変えていないということは、やはり現状を直視していない。現状を直視せずに給付をカットして負担を引き上げていくということを繰り返しているところに、国民の年金不信のもとがあると思っています。

 今の制度というのは、年々実質一〇%以上の経済成長があって、サラリーマンと専業主婦のカップルが増加をしていた時代、そしてすそ野の広いピラミッド形の人口構造といった条件の中で生み出された制度だと思いますので、就業構造の変化、ライフスタイルの多様化、そうしたことを実際の数値をもとにして議論をしていく必要があるというふうに思っています。

 国民年金の第三号被保険者の問題ですが、伊吹議員がおっしゃったのはそういう意味ではなかったのかもしれませんけれども、専業主婦の奥さんの部分の保険料も払われているという確率計算のもとに年金が計算されているとおっしゃったと記憶しておりますけれども、これは、その制度に入っているすべての人たちが負担をしているということと、受け取る額が、賃金格差の影響もありまして、生涯働き続けた女性よりも夫の年金の額のおかげで高額をもらうとか、やはりそこの不公平がありますので、そうしたところもきちんと見直さないと、これは不公平感、不信感というのがぬぐえないと思います。

 そういう意味で、空洞化の問題、ライフスタイルに適応した問題ということを、女性の視点などからもこれからデータをもとにしっかり議論をしていきたいというふうに思います。

井上議員 公明党の井上義久でございます。

 先日の当合同会議におきまして、民主党の岡田代表から、年金制度改革に関する民主党の考え方ということで、五項目の提示がなされました。

 その中で、特に二点、二の、一階部分の最低保障年金の財源は全額税にする、そしてその財源は、現行制度における基礎年金国庫負担相当分に加えて、年金目的消費税を創設し、その税収を活用する。それから三に、二階部分については所得比例年金にする、つまり、所得に応じて保険料を負担し、払った保険料に応じて年金をもらえる仕組みにするという趣旨のことをおっしゃっているわけです。

 その発言を受けて、我が党の坂口議員から、提案された五項目の案は民主党から既に提出されてきた法案と同じものなのかどうかということをお尋ねしました。それに対して岡田代表は、参議院選挙でのマニフェストの考え方は変えていないという趣旨の話をされているわけです。

 しかし、私は、岡田代表の提示されたものと現在法案として国会に出されている民主党案とはどうも何か全く別なものではないのかというふうに思えてならないわけでございます。すなわち、岡田代表が念頭に置かれているのは、現行制度のように一階の基礎年金、これが国民年金にも相当するわけですけれども、その上に二階部分である所得比例年金が乗った体系だというふうにしか思えないわけです。

 そもそも、昨年民主党が提出されました法案においては、第二条の第一号で「公的年金制度は、国民から納付された保険料を主たる原資として給付を行う仕組みを原則とする」というふうに書かれています。さらに第五条第二項においては、最低保障年金は所得比例年金の受給額が一定に満たない場合においてこれを補足するための年金というふうに定義されています。民主党の法案における年金体系というのは、社会保険方式の所得比例年金を原則に据えて、その年金額が一定の額に満たない人に限って補足的に、また例外的に税による最低保障年金を組み合わせるという考え方になっているというのがこの法案を素直に見れば明らかではないか、このように思うわけです。

 要するに、民主党の法案には、岡田代表が言われているような一階部分、二階部分という概念がそもそもないんじゃないか。民主党の法案と岡田代表の先般提示されたものとは別なものというふうに考えるのが自然ではないか。岡田代表が提示されたものは、図式化しますと、むしろ連合や日本経団連が提案されている案に近いのではないか、このように認識をするわけでございます。

 さらに申し上げますと、民主党が説明によく使われております図では、最低保障年金が土台、下にあって、その上に所得比例年金を乗せた姿が描かれているわけです。これを素直に解釈しますと、最低保障年金が基礎的な給付で、所得比例年金が上乗せの給付であるということになるのではないか。少なくともこの図を見ますと、国民はそういう理解を多くの人がするはずではないかと思います。しかし、先ほど述べていますように、この法案の趣旨を忠実に図式化しますと、むしろ、上下があべこべで、土台である下の部分に所得比例年金があり、その上に補足的な最低保障年金が乗るという姿の方が正確なのではないか、このように思います。

 さらに、民主党案では、最低保障年金は一定以上の人には一円も支給されない仕組みになっているわけです。すなわち、一階がない人が存在することを前提とした制度体系なのですから、到底二階建ての制度体系とは呼べない。一階がなければ二階が存在しないのは当たり前であって、この一階、二階という説明の仕方は、国民に、一階がある、すなわち国民全員に支給される最低保障年金があるという誤解を抱かせることになるのではないか。

 そういう意味で、この岡田代表が提示されているものと今民主党が国会に出されている法案が違うものなのかどうなのか、同じなのか。皆さんは具体的な案を提示しているとおっしゃっておりますけれども、その具体案がよくわからない。そういう意味で、もう少し詳細に、できれば具体的な数字も含めて説明をいただくことがこれから議論を進めていく上で非常に重要ではないかというふうに思いますので、これについての見解をぜひ何らかの機会にお示しいただければ、このように思います。

山本議員 民主党の山本でございます。

 今回のこの合同会議を設置するに当たっての決議の中に「時代の大きな変化に適確に対応すべく、過去の経緯などにとらわれず、議論に必要な論点を国民に提示し、」と書いてございます。私は、この言葉をそのままに受けとめて、私なりのこれまで年金にかかわってきた中の問題意識を述べさせていただきたいと思います。

 極論すれば、基礎年金の改革に尽きると思います。それは、低所得者の保険料負担、あるいは低所得であった期間を持っている人の年金というものをどう考えるかということだと思っています。

 年金の議論のときに、年金制度縦論、横論というのがあります。会社勤めの人の年金でスタートしたと丹羽先生はおっしゃいました。あるいは、財政の見通しをいいますと、国民年金の財政見通し、厚生年金の財政見通しというふうに出てきます。これはあくまでも年金制度は縦の形になっています。ところが、年金制度を一階、二階と言ったりする。この考え方は実は年金制度は横になっているわけで、厚生年金は一階と二階の両方の年金の保険料を一緒になって払っているということですから、ここに年金制度のややこしさがあるのだと思います。

 基礎年金制度を六十一年からスタートさせました。阿部先生がおっしゃいますように、ここは非常にバーチャルな制度になっていて、趣旨は厚生年金から国民年金への財政支援、拠出金制度ということになっておりますけれども、しかし、その制度はそのままでいいのだろうかというふうに思います。

 保険料を払うときは国民年金の一号、二号、三号という形で払って、受け取るときは基礎年金という名称でもらう。しかもそれは加入期間に応じていますので、給付をされるときは、基礎年金は給付は一元化をされておりますが、負担はばらばらの形になっている。我々国会議員の高所得者であっても一万三千五百八十円で済んでいるという形になっておりまして、この形が本当にいいのだろうかと私などは常に思っております。

 すなわち、介護保険は段階保険料をとっていて、高い所得の人が低い所得の人の分まで保険料として払うという形になっています。国民健康保険も段階になっていますが、これは負担のできない人のところは実は税で補てんをしているという形になっています。ところが、年金制度の場合だけは、そこは何ら手当てをしないんですね。保険料を払わないがゆえに、それはずっと一生貧しい生活をしてくださいという形になってしまう。この形が本当に皆年金という中でいいのかどうかという議論なんだと思います。そこが社会保険方式と税方式の考え方の違いになってくるのではないだろうかと思います。

 低所得者の保険料負担あるいは低所得者の年金ということを考えたときに、これから医療ですとか介護ですとかというときに自己負担あるいは保険料負担が発生してくる。それが全部所得状況に応じての負担になりますから、ここが公正でないという認識を国民全体が持ってしまうと、極めて社会保障制度に対する不信感が高まってくるのではないだろうか。

 我々民主党は実は年金制度を考えるときに税調の皆さん方と御一緒に議論をさせていただきましたが、年金制度はある意味ではほぼ税制の考え方に近い部分があって、皆さんおっしゃっている、所得の捕捉はできないんだ、あるいはここは仕方がないんだ、宮島先生もこれは自営業者の経費の算入と収入認定の問題だというふうにきのうもおっしゃいましたけれども、この部分を国民に、一〇〇%ではないとしても、できるだけ信頼の置けるものにしてこないと、保険料負担というものに対しての問題はやはり解消しないんじゃないだろうか。であれば、次善の策として消費税の活用というのはあるのではないかと私は思います。

 いずれにしても、消費税の議論がこれから出てくるんでしょうから、消費税にインボイスを導入するですとか、あるいは逆進性の問題をどうするのですとかという消費税全体の議論を早くやらないと、この日本の財政状態として、国債を大量に発行している、あるいは、物価がもしインフレで上がってきたとして、年金は物価スライドされるけれども働いている人の賃金は物価に応じて上がってこないなどというような状態になってしまうと、大変に厳しい財政状況あるいは社会保障制度の状況になるのではないだろうかというふうに思います。

 この認識が持てるかどうかだと思いますので、けなし合いをするというのではなくて、もう少し前向きに、今の問題点が何であるかということをお互いに議論して見詰めながら、これからのこの会議を進めていっていただければと私は思っています。

 以上です。

福島議員 公明党の福島豊です。

 本日それぞれに御指摘のありましたことに対して、若干お答えをしたいというふうに思っておりますし、自分の考えも申し上げたいと思っております。

 まず冒頭、古川議員の方から、社会構造の変化に昨年の年金制度改革は対応していないんじゃないか、社会構造の変化というものをよく認識していないんじゃないか、こういう御指摘があったと思いますが、私は決してそうではないと。

 社会構造の変化というのは大きく二つあると思います。一つは、大きな人口構造の変化です。これがまず最大の変化だ。そしてまた二つ目は、フリーターの問題でありますとか働き方の多様化であるとか、こういった社会の中の特性といいますか、そういうものが変化しているということはあるんだろうというふうに思います。

 いずれにしても、どちらの変化にも対応しなければならないことは当然でありますけれども、昨年の政府の年金制度改革は、この人口構造の変化に真正面から取り組んで、そして将来世代の負担を軽減し、世代間の公平性を確保する、その意味では大変大きな改革をした。年金制度の主軸は、やはり負担と給付の関係ということであります。ここのところを具体的な姿を示さずに議論しても始まらない、私はそう思っております。

 そして、空洞化の問題が指摘をされました。空洞化の問題というのは、社会構造の変化、自営業の減少でありますとか、パートやフリーターのような不安定な就労というものがふえている、こういうこととも関連をいたしております。この空洞化の問題というのは決して小さな問題ではありません。大切な問題であります。しかしながら、先ほど申し上げましたように、給付と負担の関係をどのように人口構造の変化に対応させるのかという問題を主たる問題とすれば、これはやはり従たる問題といいますか、私は二番目の問題だと言わざるを得ないというふうに思います。

 そして、遠山議員が先般の合同会議で発言をしたことも、日本の年金制度には基礎年金という大きな制度がある、ある意味でこれは一元化の一つの姿であります。その中でどのように考えるのかということ、これは冷静に評価すべきことであるというふうに思っております。

 そして、民主党の御提案ですと、一元化することによってこれに対応するということでありますけれども、昨年来の議論を通じて、私がなかなか理解しがたいことがあります。

 一つは、徴収が強化される、税と徴収を一体化する、歳入庁ということでありましょうか、そういう御提案がありました。しかしながら、我が国の、例えば国税庁が税の徴収を行っている対象の人数と年金の保険料を徴収する人数とを比べると、十倍ほどの違いがあるというふうに私は認識しております。税というものは、税収を確保するために、どれだけ効率的にこれを行うのかというような考え方が一つあるというふうに私は思いますし、そしてまた社会保険について言えば、定額の保険料であったとしても、これを確実に徴収してその人の年金権を確保するというような大きな違いがあるわけであります。それは、単純に統合すれば徴収が強化されるというようなものではないのではないか。ここのところは私はよく理解ができません。

 そしてまた、定額の保険料から所得に応じた定率の保険料であると。このことによって空洞化が防げるのか、ここのところも私は理解ができません。先般来議論がありますけれども、事業主負担のところをどうするのか。現在でも、定額の国民年金の保険料に対して、高過ぎるのではないか、こういう意見を持っている方は多々おるわけであります。そのことが空洞化の一つの原因にもなっているだろうと私は思いますけれども、保険料がふえて、果たして皆さんにすっきりと納めていただくことができるのか、それは所得比例ですよということだけでそういうことの理解が進むのか、ここのところも私はよく理解ができないわけであります。

 私は、年金の一元化といいますか、空洞化の問題についてどう対応するのかということについては、幾つかの柱があるというふうに思っております。一つは、先ほど来御指摘のあります、パート労働者でありますとかフリーターでありますとか、いわゆる非正規の雇用者に対して、厚生年金、被用者年金の拡大というものをしっかりとしていくということが大事だと思います。

 それに先立って、被用者年金の一元化ということ、これは乗り越えていかなければならない山であると思っております。ただ、これについては、企業の負担をどのように考えていくのかということについてさまざまな意見があることも事実でありますし、そういった反対の意見も強いということから、昨年の年金制度改革では、さらに検討するということになったわけであります。一方でまた、二十一世紀の働き方、短時間労働、ワークシェアリング、いろいろなことが言われております。これは、均等な処遇ということと同時に、社会保障制度の中でどう位置づけるのか、しっかりと結論を早急に出すべき課題であるというふうに思っております。

 そしてまた、私は、徴収の強化というもの、これは、現在社会保険庁の改革が行われておりますけれども、どうしたら確実に徴収することができるのか、改革に当たって押さえなければならない大切なところだと思います。

 そしてまた、社会保険制度は、年金保険、医療保険、雇用保険とさまざまな保険があるわけでありますけれども、この保険の分立していること、これこそ私は一元的な取り扱いができるような仕組みにする。例えば、基礎年金番号というものがありますけれども、共通の社会保障番号というものを導入して、そのことによって徴収の確実化を図っていくようなことについても知恵を出すべきではないかというふうに思っております。

 いずれにしても、国民年金に加入しても被用者年金に加入しても、さまざまな変化が人生の中ではあるわけであります。そこのところの移動が、基礎年金番号という一つの形を前提としてシームレスにつなげる、そういうことが私は大切だと思いますし、そのことによって空洞化を抑止することができれば、基礎年金、さまざまな意見がありますけれども、実質的な、一元的な制度としてこれを強化することができる、そのように考えております。

 以上です。

佐々木議員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 年金の財源問題に関連をして、先ほど自民党の丹羽議員が消費税の値上げに言及をされました。また、自民党の中島議員は、消費税は節度ある形で利用するという趣旨の御発言がありました。この節度ある形というのは一体どのようなものか。つまり、二〇〇七年から上げるという声もありますけれども、一体どの程度が節度ある増税なのか、その辺のお考えをお聞きしたいなと思っております。

 それから、民主党の古川議員の方から、保険料か税かということに関連をしまして、国民から見れば同じポケットから出ていくわけだから、性格は基本的には同じだという趣旨の御発言がありました。

 これは、例えば消費税の場合は、基本的には消費者が負担をするというのが基本でありまして、企業の場合はそれを転嫁することが可能であるという点で、企業負担は基本的にはないという性格を持っているわけです。しかし、保険料の場合は、厚生年金、共済年金の場合は事業主負担というものがあるわけでありまして、これは、性格が二つ基本的に違うのではないかというふうに思います。この点、どのようなお考えか。

 それから、同じポケットという言い方をされましたけれども、税にしろ保険料にしろ、今大事なことは、低所得者、基本的に庶民のポケットから取るのか、それとも負担能力のある、利益の上がっている大手の企業などから取るのか、そういう角度が物の見方として非常に重要ではないかというふうに思っておりますので、一言つけ加えさせていただきたいと思います。

 それから、公明党の山口議員から、消費税問題で民主党を批判されていました。その論点は当たっているところがあると私は思います。では、公明党は財源として消費税には絶対に頼らないという立場なのか、そこのところを明確にお答えいただきたい。

 我々日本共産党は、この消費税というものは、低所得者、高齢者にずっしりと重くかかる逆進性のある性格を持っている、簡単に言えば弱い者いじめの税制だというふうに思っておりまして、これを単純に引き上げるということになりますと、やはり逆進性が拡大をする。そういう意味で、こういう点に依存する増税というものについては反対であるという立場を重ねて表明しておきたいと思います。

 以上です。

伊吹議員 自民党の伊吹文明です。

 先ほど阿部議員と小宮山議員から、専業主婦の年金のことについてお話がございました。

 私が前回申し上げたのは、専業主婦の保険料というのは御主人の稼がれたものが払われてはおりますけれども、しかし、専業主婦というものの価値を認めて、社会全体が、御主人が払われた保険料でもって専業主婦の将来の年金の保険料を払ったんだという確率計算のもとで全員がこれを負担しているということを申し上げたんです。

 ですから、結論的に言うと、お二人が考えておられるように、将来的には専業主婦の分も含めて二人分払うという考え方は私はあると思います。しかし、そのときはやはり、先回も申し上げたように、専業主婦もまた御主人の収入に貢献している、だから二分二乗という税制をとらなければならないと私は思います。

 つまり、外へ出てお金を稼いできた女性が立派なのであって、家庭を守って子供を育て、地域社会に貢献している女性には値打ちがないという考えは自民党はとっていないということを実は申し上げたんです。

 先ほど来お話を伺っていて、私たちは数学を解いているわけじゃないから、絶対的な真理というのはここではないんですね。これは、各党の理念というか政策を判断する物差しによってみんな答えが違ってきて当然だと私は思います。それを調整していくということです。

 ですから、社会保険、特に年金をどう考えるのか。皆年金、最低保障年金というもので老後の生活を支えるという考えなのか、あるいはもう少し自助努力的な所得を入れていくのか。ここは私は、自民党は最低保障年金ですべてを保障するという考えは持っていないと思うんですね。

 それから、ニートあるいはフリーターという現状を、古川さんが指摘されたように、私は否定するものではありません。しかし、これを、正しいもの、変え得ないものとして、これに追随しながら制度をくっつけていくのかどうかというところは、政党の理念でやはり少し違うんじゃないでしょうか。

 それからもう一つ、与党として非常につらいのは、立派なことであっても、現実を混乱させること、実現不可能なことにはやはり手が出しにくいということです。先ほど丹羽議員が説明をされたことについて古川議員からお答えがあると思いますが、例えば財源としてどこを削減して幾ら出すのか、新規の税はどうして幾ら出すのか、これを実現しないことにはマニフェストというものは動かないということです。

 そういうことからすると、既に納めている人たちの膨大な納めたお金をどう考えるのか。それから、雇ってくれる人がいないから自分がすべてを負担しなければならない。雇い主が二分の一、自分が二分の一といけない人たちの負担が果たして可能かどうかということをやはり考えてやっていかないといけないと思います。

 そういう意味から、私は、前回、横路議員と五島議員がおっしゃった、基礎年金部分、一元化は既にされているわけですから、これをどの程度の大きさにとって、どの程度確かなものにしていくか、この道を探るのがやはり一番フィージブルで現実的な意見かなと思って、前回お二人の意見に私は賛同しながら伺っておりました。

 以上です。

枝野議員 民主党の枝野でございます。

 今、伊吹先生からも御指摘がありましたが、まず、丹羽先生からお話がありました、我が党のマニフェストで三分の一から二分の一にするものについての具体的な中身は民主党の予算の対案に書いてありますので、そこまで御検討されているんでしたらば、民主党のホームページにも載っておりますので、ごらんいただければと思います。

 難しいことではありません。政権をかえていただければ、やる気があるかどうかという問題であって、予算の組み立て方の枠組みで、今のように各役所の積み上げ方式で予算編成している限りは大胆な予算配分の変更は不可能です。枠組みをしっかり決めて、その枠の中でやれということで上からおろすというやり方をすれば簡単にできることだというふうに思っています。一度任せていただければ実現をいたします。

 それから、先ほど丹羽先生のお答えで、いろいろ出てきましたけれども、結局は、雇用が流動化していく、雇用主負担が重たいということに対して耐えられない。特に中小零細企業の立場からすれば、それはどんなに社会的責任だとかいろいろなことを言われても、今現実に、本来は厚生年金に加入しなければならない中小事業者がそこからどんどん事実上逃れていっているという実態というものを考えたときに、解決策にはなっていないと思います。

 それから、納めていただく努力をする、理解を求めるといっても、納められない。つまり、個人事業者で資産があってたくさん収入があるんだけれども納めていない、こういう人はある意味ではほっておいてもいいのかもしれません。しかしながら、現実には、例えば厚生年金であった場合であっても、一万三千幾らという額までの負担にはならないであろうような低所得者の人たちをどうするのか。国民年金の方がかえって保険料負担が重いというような人たちが少なからず出てきている実態をどうするのか。

 もちろん、こういう実態がこれからも続いていくということは望ましいことではないかもしれません。しかし、こういう実態がどんどん深まってきているという実態をつくってきたのは自民党と公明党の政権の皆さんであって、今までこうやって失敗をしてきた皆さんが、これからはよくなりますという話自体は説得力を持たないのではないか。

 そして、これは、社会が成熟化してきた中で、ある意味、必然的に出てこざるを得ない状況、そうした中での低所得者あるいは中小零細企業をどうやって皆保険の仕組みの中で維持していくのかということを考えたときには、それは今までの制度の延長線上で物を考えるという中ではなかなか困難ではないかというふうに思っています。

 どうも皆さんは誤解をされているようですので申し上げたいと思います。

 先ほど、既納、既に納めている方の問題をどうするんだと伊吹先生からお話がありました。私たちは、新しい制度をある意味で白地に書きたいと思っています。白地に書きたいんですが、既に保険料を納めていらっしゃる皆さんの納めた保険料に対応する将来の受給権というものは認めなければなりません。そうでなければ社会が大混乱をいたします。

 しかし、一たんそこで区切ることは可能です。つまり、今までのものの延長線上ではない新しい制度をスタートさせても、スタート当初においては、納めていただく保険料に対応する支払いはほとんど発生をしません。成熟化をするまでは、新制度による保険料納付に対応する給付は発生をいたしません。

 したがいまして、切りかえの移行期、この移行期というのは恐らく四十年、六十年かかる話でありますけれども、新制度における保険料負担を旧制度における債務の支払いに充てていくということは、これは社会的に許される話であろうというふうに思いますので、ある新制度スタートの時点で一たん区切って、それまでの保険料納付に対応して発生している将来の給付についての債務を確定させる。そして、新制度においてこれから入ってくる保険料に対応して、それに応じたお金を旧制度勘定の方に移すという構造の中で両立させていくことができる。ただし、今の制度の延長線上で考えるのでは解決できないと申し上げたいと思います。

 最後に、残り三十秒ぐらいで申し上げたいんですが、やはり前回のお尋ねにお答えいただいていません。数字を出せ、数字を出せというのは確かにもっともらしい話であります。しかし、残念ながら、昨年皆さんがお決めになったもので数字を出しているものが、論理的に整合性がとれていません。

 結局は、納めた保険料が多ければ将来たくさん給付ができます。給付をたくさんしようと思ったら保険料が高くならなければいけません。ところが、昨年の皆さんの案は、保険料の上限を決めています。一方で給付の下限を決めています。それの前提となっている、例えば出生率とか経済成長率とか、こういう数字が全部皆さんの想定したとおりの範囲内であるならば、それはその上限の範囲内で、あるいは下限の範囲内で負担と給付の関係は維持できるでありましょう。しかし、既に出生率のところで崩れているじゃないですか。

 結局、どこかの部分の見通しが一つ違っただけでも、両方決めるということはあり得ないんです。負担の上限を決めれば、その範囲内で給付はどこまで下がるか、経済や人口統計によって全部変わってくるんです。給付の下限を決めるんだったらば、それに対応した給付をするために、人口の増減やあるいは経済状況によって負担はどこまで上がるか、やってみないとわからない。二十年、三十年先のことはわからないです。

 そんなことを無責任に説明すること、あるいは約束すること自体に対して、年金に対する信頼が落ちている。このことについてどう御説明されるのか、だれもお答えいただいていない。ぜひお答えをいただきたいと思います。

鴨下議員 今枝野さんがお話しになった既裁定者、二つの制度が併存する時期が多分これから出てくるんでしょうけれども、そのときに本当に財源的な問題がきちんとした形で解決できるのかというようなことについては、私は甚だ疑問に思っております。

 また、今話の中でありました一つ重要なことは、これから多分私たち団塊の世代が年金受給世代になって、二十年後、二〇二五年から二〇五〇年、このあたりが日本にとっては社会保障の一番の胸突き八丁といいますか、そういう時期に来るんだろうというふうに思います。その時点で、今、古川さん等もおっしゃっていたように、これからフリーターさらには非正規雇用がふえてくる、こういうような時期と、それから二つの制度が併存するという時期で、皆さんがおっしゃっている一元化が完全に完成するのが例えば四十年先、五十年先だとすると、一体この社会的な構造の変化にこの一元化という制度そのものの改正が間に合うのかどうか、こういうようなことについて私は非常に心配をしております。

 すなわち、今の制度、与党が出している制度がある意味でだんだんとフェードアウトしていくのと、皆さんがおっしゃっている制度が完成形になっていく間にタイムラグが約四十年ある。こういうようなことであると、残念ながら、一元化をやったことによって、結果的に社会構造の変化に間に合わない段階で改正が行われる、こういうようなことにもなりやしないかというのが一つでございます。

 それからもう一つは、我が国の社会保障制度そのものは、自立と自助それから連帯、こういうような理念に立脚しているわけであります。確かに四百数十万人のさまざまな未納、未加入というような問題もございますけれども、現在でも、被用者で三千六百万人、それから被扶養者の配偶者で千百万人、さらには自営業者千九百万人、合計六千六百万人の方々が営々として保険料を払って、そしてある方には免除などの手続をして、そういう意味で健全な老後を備えよう、こういうようなことをしているわけでありまして、ある意味で、そういうおびただしい方々の心配を結果的には喚起してしまうんじゃないか、こういうようなことを心配しているわけであります。

 ですから、未納、未加入という問題意識においては私も民主党の皆さんと共有するものでありますけれども、その中にも、冷静に判断すると、無年金者が生活保護になっていってしまう、こういうような御指摘もありますが、実は、多くの未納、未加入の方は、相当な所得があったり、それから生活保護にはなっていかない、こういうようなことでもありますので、そういう意味で、徴収対策の強化だとか免除手続、こういうようなことをきちんとしていくことによって解決できる範囲のものもあるんだろうというふうに思っております。

 したがって、これは本音で聞いてみますと、例えば厚年に入っている方、それからそれぞれ共済年金に入っている方々も、実はこの年金一元化に巻き込まれることについて、本音のところでは決して賛同していない方が多い、こういうようなことを申し添えたいというふうに思います。

古川議員 私は、先週も今週もお話を聞いていて、現状に対する、そして将来に対する危機感、国民の皆さんがこの議論を聞いていたら、本当に国会議員は薄いんじゃないか、今どういうことが進んでいるのか、そういうことに対しての現状認識や危機感が余りに薄過ぎるんじゃないかというふうに怒りを感じているんじゃないかと思うんですね。

 いろいろと民主党案に対する御指摘、マニフェストとどこが違うんだとか、私から言わせると、現行制度をやめて新しい制度をつくろうということで皆さん合意されるのであれば、その新しい制度のあり方について、民主党案が決して完璧だというふうには私たち思っていません、手直しすればいいと思っています。

 例えば移行期間、鴨下さんは今、四十年なんてそんな悠長なこと言っていられるかと言いました。スウェーデンは二十年でやりました。私たちももっと早くやれればいいと思います。ただ、やるには、日本の場合にはスウェーデンとは状況が違うから、かなり時間をかけなきゃいけないのじゃないかと思いましたが、しかし、これこそまさに我々政治家がその気になって、少し大変なところはあるけれども、早く社会状況に合わせようということであれば、ここでそういう決断をして移行期間を短くすることは十分可能だと思います。そのための合同会議じゃないかというふうに私は思うんですね。まず、そこのところの現状に対する危機感や認識。

 先日柳澤議員からお話がありましたけれども、一体与党の皆さんは、与党の中でもそういう意見を政策の責任者の一端にある柳澤議員から出されたのに、どう考えていらっしゃるのか。昨年の改革について、与党の議員の何人も、特に若い人たちを中心に、いや、あれは当面の財源対策だとはっきり外でも言っているわけですよ。これが百年安心だとか抜本改革である、本当にそういうふうに皆さんは思っていらっしゃるのですか。

 私たちは、本当に現状そして今後のことを考えたときに、あの制度改革で持続可能なのか、やはりそこのところをきちんとここで詰めて、その上でそれが持続可能だというコンセンサスになったんだったら我々の案に対していろいろ細かいところを御批判いただくのは一向に構いませんけれども、まずは現状、そして本当にあの改革で、先ほど枝野議員からも指摘があったようなところについて、ちゃんとこれが本当にやれるのか、続くのか。やはりそこについて、必要なデータを集め、そして客観的な認識の一致というものをすり合わせていくことこそがこの合同会議に求められる役割じゃないかと思うんですね。

 福島議員の方は、先ほど、給付と負担のバランスをとるというのが一義的で、空洞化は二次的だというお話をされましたけれども、それだったら、これはもう国民皆年金をやめるのかというところにもつながっていくと思うんですね。空洞化ということは、要するに年金がもらえないという人も出てくるわけですから。

 やはりそういう意味では、そこのまさに理念の話というお話が伊吹議員からもありましたけれども、もちろん理念はそれぞれのところで違いがあると思います。そこは確認をしていかなきゃいけないです。しかし、理念の前に、まず、現状そして将来の認識についてどれくらいの危機感を持っているのか。

 つい先日、日本二十一世紀ビジョンというのを政府の方が出されましたけれども、「岐路にある現在の日本 ここ一〜二年が分かれ道」といって、構造改革を怠ると大変に暗い話になって、構造改革を進めれば、非常に何か、新しい躍動の時代というので書いてあるわけですね。その中にこんなことも書いてあるのですね。「採るべき具体的行動」「生涯二転職四学習が可能となる制度設計」。一体、今の分立した年金制度で、転職、四学習が可能になるような、そういうのを勇気づけるようなインセンティブは働きますか。どう考えたって、今みたいに、転職すれば、ころころかわればその方が不利になる、明らかに同じ企業にずっといた方が、年金だけ考えれば有利になる。

 そんな状況の中では、この「採るべき具体的行動」、日本二十一世紀ビジョン、幾ら書かれたって、これこそ絵にかいたもちで、丹羽議員も、皆さん与党の人たちは、我々は与党だから実現可能性が、フィージビリティーがと言われますけれども、ちゃんとこんなビジョンを示すのであれば、それが実現できるような具体的な制度設計をやっていただきたい。ぜひそのことを申し上げたいと思います。

丹羽議員 自民党の丹羽雄哉でございます。

 幾つかそちらからの質問もございますので、お答えを申し上げます。

 まず、一番の焦眉の急でございます国庫負担を三分の一から二分の一に引き上げるということに対して、私ども与党は真摯なスケジュールというものを示したわけでございますが、枝野議員は予算の編成のやり方次第でどうにでもなるというような、木で鼻をくくったような返答をなさったことは大変私は残念で、遺憾に思っておるような次第でございます。

 それから、あと問題は、前回も申し上げたわけでございますが、我が国の社会保障給付費の八十八兆円のうち三分の二は実は企業が負担しているのだという現実を全く無視して改善なり改革というのはできないのだ、これはまさに絵そらごとになるのではないかということをあえて申し上げたわけでございます。

 そういう中で、非常に事業主の負担が重いのではないか、こういうような指摘がございました。

 どこの国と比べるかでございますけれども、私ども、介護保険であるとかそのほかの社会保障のいわゆるモデルといたしておりますヨーロッパ諸国に比べまして、我が国の事業主の負担は決して重くないわけで、むしろ軽いということをあえて、私の方から申し上げるのもおかしな話でございますが、申し上げさせていただきたいと思います。

 それから、一点だけ御質問、よろしゅうございますでしょうか。

 これは枝野議員にお聞きしたいと思います。

 いわゆる一階建ての部分が最低保障年金、二階建ての部分が報酬比例部分ということでございます。これは先ほどから指摘されておるわけでございますが、例えば自営業者で五十万円の報酬のある方は、恐らく年金保険料は四倍、五倍になると思います。私はこれは嫌だと言った場合に、この方に対しては最低保障年金というものを支給するのかしないのか、そのことについてお聞きしたいと思います。

城島議員 民主党の城島でございます。

 ちょうど一年前ですけれども、年金問題を熱く論議したときとは何となく雰囲気がちょっと違うものですから、まだ戸惑いがあるんですけれども、当時の坂口大臣がいらっしゃいますし、長勢筆頭もいらっしゃるんですけれども、一年たつと随分雰囲気が違うなと思って。私も、エンジンがかかるのがなかなか遅いわけですけれども、早いものだなと思いながら論議に参加させていただいております。

 最初に中島先生がおっしゃったこと、やはり非常に気にかかっています。去年の案が改革案だから、いわゆる改革案とおっしゃいました、案がないという指摘は当たらないというのは、それはちょっと的を外れた意見だと思っています。各党がそれぞれ、昨年の案ではなくて、改革案を出し合う中でいい案をつくっていこうということですから、やはりそれはきちっと各党が出されるべきだというふうに思っております。

 と同時に、さっき枝野さんも言ったんですけれども、それは福島先生もおっしゃいましたけれども、一緒にやったのであれですが、特に私は、去年の案が、確かに社会構造とか今の人口構造、高齢化のスピード、さまざまな変化をとらえないかぬという思いがあったことは間違いないと思います。ただ、現実的に、最後は、この昨年の案は、負担の上限が設定され、モデルとはいえ給付の下限が設定された。これは、もう繰り返しませんが、枝野さんが言ったとおりだと思うんですよ。

 その間が、何度も我々、当時もこういう質問をしたんだけれども、極めてガラス細工になっていますね。すなわち、負担の上限を決めて、その後、給付の下限を決める。例えばモデル世帯で五〇、一八・三〇の厚生年金でもいいんですけれども、上限を決めて、下限の給付のところを決めるための前提にいろいろ数字をインプットしたんじゃないかと思われてもしようがないような話の前提になっている。

 ということは、特に出生率はいつも引き合いに出されますが、本当に社会構造に柔軟に対応していく仕組みに、そもそも上限設定、下限設定の段階でもう崩れていると思うんです。だから、そこはもう一度、本質的に、今の時代背景に対応したように変えないかぬところだと思います。

 特にその中で、これは前回小川さんも言ったかもしれませんが、例えば国民年金、我々は国民年金が本当に崩壊しつつあると思っているんですよ。崩壊していると思いますけれども、それは言い過ぎだという意見があるにしても、崩壊しつつある、真っ当に納めている人はもう五〇%切っているわけですから。

 ところが、その影響が、雇用構造の変化だけじゃなくて、既に国民年金の加入者がこれだけ少ないがゆえに、基礎年金に対して、厚生年金や各種共済から膨大な支出がされているわけですね。そのことによってやっと成り立っているわけです。

 二〇〇〇年のデータだけ見ても、各種制度から基礎年金の拠出額というのは十三兆七千億円。これが、本来ですと国民年金からは約四兆三千億円負担すべきところが、実際は二兆八千億。それで厚生年金は、現実的には、八兆円のところが既に実際は九兆三千四百億。ここで約一兆三千億円、厚生年金は実際より既に負担増になった中で基礎年金が成り立っているわけですね。

 そういうようなことを含めて、先ほど言ったようなガラス細工のところを変えていかないと年金制度はもたない、なかんずく国民年金はもう崩壊しているということだと思います。

阿部(知)議員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 先ほどやや言葉足らずであった点も含めて、三点にわたりお話をさせていただきたいと思います。

 まず一番目は、国民年金の空洞化をめぐる認識で、今城島議員も御発言でしたが、ここに与野党の間で大きな差がございます。やはりこの点を何としてでも認識を共有しないと私は出発点がないと思います。

 例えば平成十五年度の会計検査院の報告によりますと、第一号被保険者数約二千二百四十万のうち、先ほども申しましたが、二年間全く未納の方が四百四十四万五千人、そして、二年とは言いませんが、十九カ月から二十四カ月、極めて二年に近い年数の未納者が五百三十万おられます。この方たちは、与党の皆さんによれば、今は納めていないけれども将来は納める可能性もあるからということですが、しかし、この数年、未納者の数は本当にウナギ登りでございます。平成七年が百七十二万人であったものが、平成十三年三百二十八万人、平成十四年三百六十三万人、そして平成十五年は約四百四十五万人。

 このあたりの現状をきっちりと認識して、そして、国民年金の未納額の総額が一兆円を超えておるということも、これは私は決して無視し得ない現状だと思いますので、改めて会長にも、次の会議で国民年金の現状認識の共有化を図っていただきますことをお願い申し上げます。

 そして第二点目ですが、いわゆる三号被保険者の保険料について、改めて伊吹議員からも御発言がございましたので、あえて私も言わせていただきますが、このような形で、例えば私並びに小宮山議員が、三号の主婦の立場やあるいは現状の大きな役割を決して過小評価しているものではございません。しかしながら、この三号被保険者問題は女性の間に多くの亀裂を生んでまいりました。

 例えば、同じ主婦であっても、働く主婦もおられます。そして、働く主婦の場合、自分で年金の保険料も負担し、なおかつ、例えば一たん夫が亡くなって遺族となった場合、実は遺族年金の方が高うございます。そこには厳然とした男女の賃金格差が横たわっており、また、女性の勤続年数の短さもございます。

 そして、今や共稼ぎ家庭の方が多くなりました。

 例えば、私たちの子供の世代、孫の世代を考えてみれば、実はここには団塊世代の女性が三人、上川さんと小宮山さんと私とおりますが、私たちは、恐らく、主婦であった時代もあるし、共稼ぎ時代もあっただろうし、そして今のような議員になって国民年金時代もある。多様な年金を変遷してきましたが、やはり一番の矛盾は女性の年金問題だと思っております。この点についても、伊吹議員の御指摘が、私どもが働く女性であるからして主婦の立場を過小評価したというような御指摘につながらないことを私はお願い申し上げます。

 そして、パートタイマーの年金問題については、実は丹羽議員より、極めて踏み込んで前向きで、そうやろうという御発言をいただいてうれしゅうございますが、実は、パートタイマー千二百万人のうち、女性が八百三十五万人でございます。そして、今回、見送られてしまいましたが、年金加入問題で女性たちから反論が出たというのは、女性の賃金が低い。男性の正規雇用の四割、女性の正規雇用の六割がパートの賃金の時給でございます。

 この賃金格差、実は、男女雇用均等法ができたのに、どんどんどんどん男女の賃金格差が進んでおるわけでございます。ここへの手当てもあわせてどうするかをお考えいただいて、私はパートの加入問題というのは本当に重要と思いますので、ぜひともそのような方向にともに歩んでいけたらと思います。

 以上です。

与謝野会長 発言の御希望がまだございますけれども、時間となりましたので、以上をもちまして、本日の自由討議は終了いたしました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時五十分散会


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