衆議院

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第7号 平成17年6月3日(金曜日)

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平成十七年六月三日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 二階 俊博君

   理事 石破  茂君 理事 松岡 利勝君

   理事 柳澤 伯夫君 理事 山崎  拓君

   理事 中井  洽君 理事 原口 一博君

   理事 松野 頼久君 理事 桝屋 敬悟君

      井上 信治君    今村 雅弘君

      江藤  拓君    大野 松茂君

      大前 繁雄君    城内  実君

      北川 知克君    小泉 龍司君

      小西  理君    左藤  章君

      坂本 哲志君    桜井 郁三君

      柴山 昌彦君    菅原 一秀君

      園田 博之君    田中 和徳君

      竹本 直一君    野田 聖子君

      萩生田光一君    馳   浩君

      松本  純君    宮下 一郎君

      山口 泰明君    五十嵐文彦君

      伊藤 忠治君    一川 保夫君

      岩國 哲人君    小沢 鋭仁君

      大出  彰君    川内 博史君

      古賀 一成君    仙谷 由人君

      中塚 一宏君    中村 哲治君

      西村智奈美君    古本伸一郎君

      馬淵 澄夫君    三日月大造君

      山花 郁夫君    石井 啓一君

      谷口 隆義君    石井 郁子君

      塩川 鉄也君    高橋千鶴子君

      横光 克彦君

    …………………………………

   内閣総理大臣       小泉純一郎君

   総務大臣         麻生 太郎君

   法務大臣         南野知惠子君

   財務大臣         谷垣 禎一君

   国土交通大臣       北側 一雄君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     細田 博之君

   国務大臣

   (金融担当)       伊藤 達也君

   国務大臣

   (郵政民営化担当)    竹中 平蔵君

   内閣府副大臣       七条  明君

   内閣府副大臣       西川 公也君

   内閣府大臣政務官     木村  勉君

   総務大臣政務官      松本  純君

   政府参考人

   (内閣官房郵政民営化準備室長)          渡辺 好明君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  中城 吉郎君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  竹内  洋君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  細見  真君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  伊東 敏朗君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  篠田 政利君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局経済取引局長)      伊東 章二君

   参考人

   (日本郵政公社総裁)   生田 正治君

   衆議院調査局郵政民営化に関する特別調査室長    石田 俊彦君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月三日

 辞任         補欠選任

  江藤  拓君     坂本 哲志君

  城内  実君     萩生田光一君

  北川 知克君     菅原 一秀君

  小杉  隆君     田中 和徳君

  左藤  章君     野田 聖子君

  山口 泰明君     竹本 直一君

  古本伸一郎君     三日月大造君

  塩川 鉄也君     高橋千鶴子君

同日

 辞任         補欠選任

  坂本 哲志君     江藤  拓君

  菅原 一秀君     北川 知克君

  田中 和徳君     小杉  隆君

  竹本 直一君     山口 泰明君

  野田 聖子君     左藤  章君

  萩生田光一君     城内  実君

  三日月大造君     仙谷 由人君

  高橋千鶴子君     石井 郁子君

同日

 辞任         補欠選任

  仙谷 由人君     古本伸一郎君

  石井 郁子君     塩川 鉄也君

    ―――――――――――――

六月三日

 郵政民営化反対に関する請願(大出彰君紹介)(第一四八七号)

 同(中村哲治君紹介)(第一五〇二号)

 同(松野頼久君紹介)(第一五一一号)

 同(小林憲司君紹介)(第一五三三号)

 同(松崎哲久君紹介)(第一五三四号)

 同(川内博史君紹介)(第一五六一号)

 同(中川正春君紹介)(第一五六二号)

 同(原口一博君紹介)(第一五六三号)

 同(横路孝弘君紹介)(第一五六四号)

 同(松本龍君紹介)(第一六二〇号)

 同(荒井聰君紹介)(第一六五九号)

 同(菊田まきこ君紹介)(第一六六〇号)

 同(前田雄吉君紹介)(第一六六一号)

 同(山下貴史君紹介)(第一六六二号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 郵政民営化法案(内閣提出第八四号)

 日本郵政株式会社法案(内閣提出第八五号)

 郵便事業株式会社法案(内閣提出第八六号)

 郵便局株式会社法案(内閣提出第八七号)

 独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構法案(内閣提出第八八号)

 郵政民営化法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出第八九号)


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     ――――◇―――――

二階委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、郵政民営化法案、日本郵政株式会社法案、郵便事業株式会社法案、郵便局株式会社法案、独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構法案及び郵政民営化法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の各案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、参考人として日本郵政公社総裁生田正治君の出席を求め、意見を聴取し、政府参考人として内閣官房郵政民営化準備室長渡辺好明君、内閣官房内閣審議官中城吉郎君、内閣官房内閣審議官竹内洋君、内閣官房内閣審議官細見真君、内閣官房内閣審議官伊東敏朗君、内閣官房内閣審議官篠田政利君及び公正取引委員会事務総局経済取引局長伊東章二君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。(発言する者あり)

 この際、お諮りいたします。

 先ほど申し上げました参考人、政府参考人につきまして、本日の議事に出席し、説明聴取することを御了承いただけますか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

二階委員長 はい。

    ―――――――――――――

二階委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。園田博之君。

園田(博)委員 私は、自民党のこの問題を議論する合同部会というのがありまして、その座長を務めさせていただいたことがありまして、質問をさせていただくということになりました。

 初めに、党内の議論の概要をちょっと総理にもお聞きいただきたいと思っています。

 私が引き受けてから三十三回か四回やりましたかね、中には深夜の三時まで議論をしたこともありました。何せ百三十年も国営でこの大きな事業をやってまいりましたし、そのことが、いろいろな地域の方々に郵便局を通じてこの三事業のサービスをし続けてきて、結果として地域の住民の利便性に大変な役に立ってきたという経過がありましたので、これはなかなか無理からぬところだというふうに思っております。

 実は、私ももともと、総理、申しわけないんですが、反対でございました。それは、時期が早いという意味で反対だったんですね。特に金融の二つの事業が、これは長年の課題でありました。やはり、ずっと国家の保証でこの事業を営んできて、多くの資金が集まって、そのことが日本経済に大きな支障をもたらしているんじゃないかという声はずっと前からあったことでありまして、今の経済状況だと大して資金需要もありませんから大した問題になっていませんが、長い目で見るとやがてまたこの問題も出てくる、こういう認識はありましたから、どこかでやはり民営化ということも考えなきゃならぬのかなと思っておりました。

 一方では、郵政公社が発足をして二年たちましたが、きょうもおいでいただいていますが、生田総裁のもとで、中期目標、四カ年計画というものの半ばになりました。大変な努力をされて、人員も一万七千人減った、経営改善の効果が出ております。一番難しいと言われていた郵便事業も黒字に二年連続でしておられますし、その効果が出ているわけですが、私の当初の考えでは、党内では今でもそういう議論が非常に多いんですが、四カ年終わらせて経営改善の結果を見て、そして、そこでその先の経営形態をどうするかということを真剣に議論したらどうかというのが私の当初の考えだったんですね。

 しかし、それなりに議論もし、勉強してみますと、一つには、先ほどの金融の郵貯、簡保の問題、それからもう一つは、やはり郵便事業そのものも、御案内のように取り扱いが年々減少してきておりますし、これは先々も多分減少し続けるだろうと思います。それから、収支の面で一番収益率の高い郵貯にしましても、今、低金利時代ですから、安い金利で預かったお金を国債で運用するだけで十分な利益が出るわけですが、これが、経済状況が変わって金利が上がってきたりしますと、そうはいかないだろう。やはり、運用をもう少し広げて収益を確保しなきゃならぬという時代が間もなくやってくるだろう。そういう意味で考えますと、民営化するのであれば、早くスタートをして準備するというのも妥当な方法だろうな、こう思いました。

 それからもう一つは、これはもう率直に言って、私の想像以上に小泉総理御自身の意欲というのが、私の想像を超えて、この問題に関して異常なほどの情熱を持っておられるということが、これは思い切ってここで民営化を断行して進めるべきではないかなというふうに私自身は判断をいたしました。この議論の中で、ただわんわんわんわん言っているだけじゃなくて、私は、それなりに皆さん方やはり考えて、この郵政の改革についてお考えになっているんだなということは申し上げておかなきゃいけないと思うんですね。

 例えば、一つの例でいいますと、民営化するんだったら、公共性の高い郵便事業は公社でやって、そして問題の金融の二つの事業だけ民営化したらどうかという考え方も示されました。あるいは、公社化ではありますが、これは日本の社会とか経済のあり方論からきているんでしょうが、郵便事業はもちろん公社がやるんだが、金融二事業が問題になるのであれば、これは意識的に政策的にも規模を小さくしていって、そして、最低限やはり地域の住民の窓口としての機能だけは残したらどうかという考え方も示されたこともありました。

 きょうのニュースで見ておりますと、公社法改正案がちょっとニュースで示されておりましたが、これも私は、部会ではよく考えたということは、御苦労されたということは評価しましたが、これは欠陥があるといって却下したんですが、公社法といいましても、さっき申し上げたように、中期四カ年計画が終わったら、民営化も含めてその時点で決めたらどうかという考え方なんですね。一方、その間はある程度の税金を払って義務を果たしていくというやり方でやったらどうかというのが、私の理解する公社法改正案の考え方だと思うんです。

 いずれにしましても、現状のままでいいとはだれも言っていないわけで、私は、そういった意味で、党内の議論も、ただ変えるのが反対だから嫌だ、こう言っているんではないということをまずやはり総理にもお知らせしておく必要があるんだろう、こう思っています。このことについては、後でまた総理に御感想も伺いたいというふうに思っております。

 そこで、今度の、政府から出された四分社化による民営化というのは、幾つかポイントがあるんですが、一つのポイントはやはり分社化だと思うんですね。これは私は、よく言うリスク遮断といいますか、それぞれの事業をやはり独立させて、郵便局といえども窓口なんだけれども、これは、いろいろなことの窓口をやることによって一つの事業として成り立たせ、全国にある二万四千七百の窓口を有効的に生かすためには一つの会社にした方がいい、これは私はよく理解できます。

 ただ、もう一つの目的は、金融の貯金、保険、この事業については、これは十二年後ではありますが、完全に民有民営化する、しかし一方、郵便事業と郵便局の会社は、これは極めてやはり公共性が高い、したがって、民営化ではあるけれども極めて特殊な会社なんだ、こういうふうに私は理解しているんですが、この考え方で間違いはないんでしょうかどうか、感想も含めて総理にお伺いしたいと思います。

小泉内閣総理大臣 園田さんには、本当に連日御苦労いただきました。会合をすれば、出てくる方はほとんど反対論。しかし、何とか国会に提出しよう、そのために反対論者を説得してまとめなきゃならない、何回やってもまとまらない、あるときは深夜三時ごろまでかんかんがくがくの議論をされて、ここまで、国会提出までこぎつけた御努力に対して、もう深く感謝しております。

 それぞれの反対論も理由があると思います。百年以上続いているんですから、郵便局。そして、民営化になると郵便局がなくなるんじゃないかという不安というのはいまだにある。そういう中で、この郵便局が、民間の方々に経営を任せても郵便局の機能は維持されるんだという理解を得るためには、これからも格段の努力をしていかなきゃならない。

 なおかつ、今の郵便局というのは、民営化する際には、こういう民営化会社は一つもないんですね。郵便事業、貯金事業、保険事業、一体で運営している民営化会社は一つもない。これをどうやって民営化するのかと。郵便局の中には、一人三役やっている、一人で郵便事業なり貯金事業なり保険事業なりを、兼職みたいな、兼業みたいな形で忙しくやっているのをどうやって分社化するのか。率直に考えますと、これを果たして民営化できるのかと不安に思う方々もたくさんおられるわけであります。

 しかし、そういう中、やはりこれから新しい時代に対応するために、本当に三事業をしてはいけないという制約の中で、この目まぐるしく変化する国際社会の中で、常に世界的視野を持って、郵便事業においても金融保険事業にしても、展望しながら考えていかなきゃならない。日本だけ別だという、そういう考えもありますけれども、同時に、発展するためには、国際社会のいろいろな競争に耐えていかなきゃならない。

 そのための改革ということを考えますと、国家公務員、いわゆる商売の苦手な役人に、資金の運用にしても、あるいはサービス展開するにおいても、商品を開発するにおいても、本当に公務員というのは適しているのかというと、商売が苦手だからこそ公務員になっているんじゃないかという議論もあるぐらいで、私は、そういう意味において、この三事業だけの制約の中で今の郵政事業をやるよりも、もっとほかの事業も展開できるような形で今の郵便局もサービス展開をした方がいいのじゃないか。

 そういう中で、私は、貯金事業と保険事業は、今完全に民営化、いわゆる一般の民営化会社、株式も全株処分ということでありますが、今言われた郵便局、窓口サービス会社と郵便事業会社、これはやはり特殊会社として、民営化としても、完全に株式を売却するということではない。かなり公共的な面が強い分野でありますので、そういう点は、貯金会社と保険会社とは区別して考えるべきだということであります。

 もとより、この問題につきましては、国家公務員として、常勤職員約二十七万人、短時間公務員が約十二万人、含めますと約四十万人近い国家公務員の方々の雇用というものも考えなきゃいけない、身分というものも考えなきゃならない。

 それぞれ考えると難しい問題でありますが、やはりこれからは、新しい国民の資金をどういう分野に展開していくかというと、官業の分野の改革を考えると、私は、民営化していろいろな分野に資金が回るような仕組みを、制度をつくっていくべきではないかなということをかなり前から考えておりました。

 そして、公社になるときにも反対がありました。なぜ公社にするのかということでありますが、私は、公社になるときの議論のときも、この問題につきまして、郵政公社はこのままでいくと立ち行かなくなる、そして、早い時期に民営化すべきだという意味から、郵政公社は民営化の一里塚ということを申し上げていたわけであります。しかし、党内におきましても野党におきましても、民営化は絶対反対という声が強い、民営化は絶対行わないんだ、公社で改革は打ちどめだという意見も強かったということは承知しております。そういう中にあって、今、公社のままがいいという意見もわかりますが、やはりここで、公社のままの改革よりも民営化に向けた改革の方がより大胆な事業展開ができるのではないかということで、今回法案を提出しているわけであります。

 もとより、この提出までに合意を取りつけるまでの園田さんの御努力、御苦労、よく知っております。また、合同部会、自民党内の多くの反対者が出る中での御意見、私もかなり、どういう反対論が展開しているかというのにつきましては、よく議事録を見ております。部会の会場の中においては、ほとんど反対論の中、賛成論はごくわずか。そういう中で、これを時代の流れであるから国会提出やむを得ないかなということでここまで持ってきたということについて、私どもとしてはその御努力を謝すとともに、せっかく提案したからには何としても実現したい。

 与野党反対論が強い中でこういう民営化の法案を出すということも、これまたかなりまれな例でありますけれども、よく審議をいただいて、議会の方々の理解を得て、今国会中に成立を期して、そして民営化しても利益を出せるような会社として、国民の要望にこたえるような形にぜひともしていきたいと思っております。

園田(博)委員 民営化された場合の心配事というのが幾つかありまして、やはりその中心になるのは、今までどおり郵便局が全国のいろいろな地域に、考え方としては今のまま郵便局が残って、しかも、郵便だけではなしに、別な会社になる貯金や保険のサービスも郵便局を通じてし続けることができるのかどうかというのが一つのポイントなんですね。

 そこで、その問題を中心にして、私どもは政府と協議をずっと並行して行ってまいりました。そのことについて、この民営化でも三つの事業で今までの郵便局を通じていろいろな地域にサービスすることができる、こう判断をして、いろいろな修正があった上で今度の国会に提出をしていただいた、そのことを私としては認めたということになったわけであります。

 そこで、我々と合意した事項について、改めてここで幾つかやはり確認をしておきたいと思うんですね。

 なぜかといいますと、私どもは、総理御自身とこれを協議することは残念ながらできなかったんですが、竹中担当大臣もおられますし、関係の大臣が全部おられますから、こういう方々と協議をしてまいりまして、なかなか難しい点も幾つかありました。何か難しいことを言いますと、総理が納得しないとかという言葉がよく出てきまして、普通の法案ですと、大体担当大臣がお決めになって総理がそれを了解するという形なんですが、どうも私は、これは具体的に小泉総理御自身が指示しておられるので、このことがよく理解されたかなという心配があるものですから、総理の前で幾つか確認をしていただきたいと思います。

 このユニバーサルサービス、三事業でのユニバーサルサービスをこれからずっと、別な会社になり、しかも貯金と保険は完全な民営化会社になる、そういう会社とずっと結びつけながらサービスさせていくという方法はそう簡単ではないんですね。簡単ではないんですが、幾つか議論をし合って、それを結びつけていくということにしたわけであります。

 その一つの方法は、この問題というのはほとんどが、難しいのは今から十二年先からの問題なんですね。ここが、そのときの事態もなかなか予測もできないし、困難なところなんですが、例えば代理店契約、貯金会社、保険会社は窓口サービス会社を代理店とします。十年間は義務づけられています。十年後以降どうするんだということについて、一つには、双方が合意すれば十年以上の長期契約も可能にするということにいたしました。

 それからもう一つは、基金ですね。当初は政府から一兆円の基金をつくり、その基金の運用が年間百八十億あるので、六十億は社会貢献基金、百二十億を特に田舎で経営が困難なところ、手数料がある程度の、通常の相場でも代理店となり得るような、そういう契約が結べるように、場合によってはその基金の中から補てんをしていくという構想。これは最終的には二兆円ですから、三百六十億円の運用益を毎年使えるということになりました。

 それからもう一つは、何といっても、別な会社になるにせよ、あるいは完全な民有民営の会社になるにせよ、これからもずっとやはり郵便局の会社、窓口サービス会社と縁を結んでいかないと不安だ、こういうので、株を連続的にずっと持てるということにした。これは、政府の方針で立てておられる原則的には全部市場に渡すんだという原則を侵さないまでも、しかし一方では連続的に株は持てるような、そういうことを認めるということにしたわけでありまして、このことについて、まず最後の株のことについて、竹中大臣から、どういう御理解をいただいてこういう合意をしたのかということを、ここで述べていただきたいと思います。

竹中国務大臣 御指摘のように、各地域、各郵便局で金融を含むしっかりとしたサービスが提供できるようにすること、この点は園田委員が座長として最も心を砕いて、いろいろ熱心に御議論くださった点でございます。我々も大変感謝を申しております。

 その上で、今、仕組みそのものは既に園田委員御指摘くださいましたけれども、これはそういう金融サービスが提供できるような利便を確保することが重要であるという重みは、我々も非常にしっかりと受けとめております。したがって、移行期間については、それを十分にカバーする代理店契約がある、それを超えて長期にすることを妨げない、その上で、万が一にもそういった委託がなされない可能性があるような場合には、これを基金を使ってやる、そのような仕組みをつくっているわけでございます。

 お尋ねの、そういった意味での一体感を持った経営をするに当たっての、その一つの担保としての株式の所有というのをどのように考えるかという問題でございますが、これは、銀行と保険というのはまず極めて重要な信用を背景としたビジネスでありますから、まず何といっても国の関与をしっかりと断ち切る。したがって、仕組みそのものも商法の一般会社として設立した上で、移行期間内に完全に処分するということにする。そうした意味で、ある意味で民間企業としての、民有民営の企業としてのスタート台に立っていただく。

 同時に、では民営化された後はどうするのかという問題に関しましては、これはまさに民営化された企業でありますから、それについて政府は特別な関与はしない。すなわち、今ある一般的な枠組み、法律の中で、そこは経営判断として必要がある場合にはそのような判断をしていただいたらよいではないかというふうに考えているわけでございます。

 すなわち、これは持ち株会社や郵便事業会社の方、そして窓口会社の方は、これは特殊会社でございますから、特殊会社としてのその設立の本来の目的、制約というのは当然ございますが、安定的な経営を確保するために必要な範囲でそのような行為、株を所有するという行為を妨げるものではございません。

 もちろん、その際に独禁法の枠組みがございます。また、銀行の株を持つ場合には銀行法に基づく主要株主の規制というものがございます。そういうものは当然のことながら他の民間金融機関と同様に適用されるという範囲で、しかし経営の判断でそこは安定的な経営を目指していただければよいというふうに考えているわけでございます。

 その結果、与党の皆様方の御意見も踏まえて、結果的に株式の連続的な保有が生じるということは、これはあり得ることであるし、それに対して無理やり法に規定するというようなことは政府としてもしないのだ、そういう考え方のもとに今回の制度設計をしていることでございます。

 したがって、株式の連続的保有が経営判断で可能になるということを今の法律の枠組みの中で担保しているわけでございます。

小泉内閣総理大臣 先ほど園田さんから、私が異常な決意で、小泉がだめだというような指示だという話なんですが、異常な決意だということは認めます。しかし、私が出したのは大まかな方針なんです。大まかな方針なんです。細かい技術的なことまであれこれ、こうやれああやれと言ったことは一つもありません。それは、竹中大臣なり麻生大臣なり担当大臣を信頼して、十分協議をしてくださいと。総理大臣としては任せることが大事ですから、私は、できるだけ余り細かいことは言わずに、基本方針だけ指示して、それにのっとってやってくれと、あとは各大臣を信頼してやったわけです。

 そういう点について、私が強く出した基本方針というのは、郵便局がなくなると誤解を持っているから、郵便局の機能、今の郵政サービスというのはなくならないということ、これはしっかりしてくれということ。それと、郵貯、簡保、これは政府保証がある、政府保証がある限り民営化にならない。これは移行期間をもって、政府保証がある期間と、民営化になった場合は政府保証がなくなるのだ、これはしっかりしなきゃいかぬ。そして、各会社の機能が違うのですから、しっかりとそういう郵便局の仕事が機能できるように、それぞれの郵便事業なり窓口サービス事業なり、あるいは郵貯なり簡保なり、これが民営化した場合に成り立っていけるような形をきちんとつくること。そして、今郵政事業をやっている国家公務員、これは国家公務員である必要はない。一部に公権力を行使しないとできない部分は除いて、これは公務員である必要はないから民間人になるべきだ。

 この方針をきっちりと守ってくれ、あとは専門家の担当大臣、有識者の皆さんに任せるから十分協議してください、そういうことなんです。そこをまたよく御理解をいただきたいと思います。

園田(博)委員 そうだったのですか。そうだろうと思っていましたが、ちょっと竹中大臣にやられたかもしれませんね。壁をつくるために使われたのかもしれません。しかし、結果としては、我々の要求を基本にして協議して結果が出たわけですから、今さらそう申し上げてもしようがないのですが。

 私は、一つには、この場で最初申し上げたように、やじは民主党からしか飛びませんが、自民党でも異論を唱える方は依然として多いわけで、この委員会を通じて理解を得られるような議論が進むようにやはりしなきゃいけないと思うのですね。そういう意味で、総理も、党内でこんなことを言うやつがまだいるのかと思われるかもしれませんが、それはやはりちょっと聞いてやって、それを理解するような努力を今後ともぜひ続けていただきたいというふうに、これはお願いを申し上げたいと思います。

 それから、基金のことですが、これは単純な質問ですが、竹中大臣、この基金が発動するのは十二年後なんですかね。その間も発動することがあり得るんでしょうか。ちょっとお話しください。

竹中国務大臣 基金そのものは、すぐに積み立てを始めてまいります。それで、基金が必要になる場合としては、これは社会貢献等々もございますから、社会貢献等々で必要になるという場合には、これはそのような基金が使われるということは理屈の上ではあり得るということだと考えております。

 今直接のお尋ねは、地域貢献について、恐らく金融サービスがどうかということだと思いますが、金融サービスについては、これは移行期間を最低限カバーして、それを上回ることがあり得るような安定的な代理店契約を結ぶわけでございますから、その代理店契約がある以上、常識的な範囲では、そういう形での、まさに地域の金融をカバーするための基金の発動というのは、これは常識的にはないというふうに私は思っておりますが、形の上では、先ほど申し上げましたように社会貢献等々ございますので、基金そのものは使える形で存在するということに相なります。

園田(博)委員 もう一つ、私は、協議したことで私自身が一番大事にしていることは、三年ごとの検証というものなんですね。

 これは最初に申し上げたように、今問題になっているのはほとんどの問題が十二年後のことなんですね。そのときの状況が、予測はできても現実にどうなるかわからない。基本的に、全体としてみんなが不安を持っているのは、計画どおり本当にうまくいくのかどうか。採算だって、言われるように、新しい事業を始めて、そういうのが本当に実になっていくのかどうか。それを目指して頑張らなければいかぬわけですが、非常に心配事が多いのですね。

 そこで、これは最初から政府では三年ごとのレビューというものは出しておられますが、この三年ごとのレビューの中で、私が一番やはり特記事項として政府と与党の間で合意しなきゃならないのは、今申し上げている郵便局の設置状況ですね。それから、郵便局で三つのサービスがずっと行われているかどうか。そういうこともよく検証して、もしそれに支障が出てきている場合にどういう施策を講じるのか。そういうことも必要だから、このことは政府と与党の合意の中にきちんと入れてくれということで、入れました。

 このことについては総理御自身も御承知だと思うのですが、我々がそういうことを心配しているということを御認識いただきたいと思いますし、そのことは、竹中大臣代表して、間違いございませんでしょうか。

竹中国務大臣 この点も園田委員に大変御尽力をいただいた点でございます。三年ごとの検証につきまして、郵便局の設置状況、そして基金の活用等による金融・保険サービスの提供状況が、その三年ごとの検証の対象となるかということでございますが、それはそのとおりでございます。

 「検証の対象には必ず設置基準に基づく郵便局の設置状況及び基金の活用等による金融・保険サービスの提供状況が含まれるものとする。検証結果は遅滞なく国会へ報告されるものとする。」これはまさに、そのとおり、合意したとおりに我々は実行してまいります。それを確保するためにも、より多角的、総合的な検証が行われるとの趣旨が明らかになるように、法案の書きぶりも修正をさせていただいたところでございます。

 この検証の主体であります民営化委員会というのは、これは全閣僚で構成されます推進本部のもとに置かれることになります。政府としては、これはもう言うまでもありませんが、この政府・与党合意の当事者でございますから、当事者として、民営化委員会によります三年ごとの検証対象につきまして、この合意に基づいてしっかりと、御指摘のような点がその中に含まれるように、しっかりと関与をしてまいります。

園田(博)委員 それから、もう一つの心配事は、生田総裁は、後でちょっとお話しいただきますが、経営の自由度というのを確保してくれ、民間会社としての義務はすべて行うのでコインの両面論だとおっしゃるんですが、一方では、経営は何でもさせてくれ、こういうことをおっしゃっています。このことと民業圧迫という問題、これは非常に困難な問題なんですね。

 これは、一番の問題はやはり郵貯だろうと思います。このことについて金融大臣に聞くと、状況を見ながら判断をしていきたい、大体そういう答えになっちゃうんですね。それ以上のことはやはり今できないだろうと思うんですが、このことも実は三年ごとの検証にやはり十分関連をしていくんだろうと思うんですね。

 せっかく、もともと民業圧迫という中で出てきたこの民営化が、今の規模で、しかも国債の保有が少なくなっていったとしますと、与党との協議の中では三十兆とか三十五兆を新たに運用するとおっしゃいましたかね、この金額だけでも膨大なものでありまして、私は、これは自由であるとはいいながら、やはり状況を見ながら、民間金融機関の業を圧迫しない、そういうことを一方では相当神経質になりながらやらざるを得ない、こう思っているんですが、総理御自身はどう思っておられますか。

小泉内閣総理大臣 これは、郵政民営化の賛成論者の中にもさまざまな考え方があるんですね。片っ方では、官業の肥大化、民業圧迫、そういう批判に対してどう対応するか。と同時に、民営化した後、企業として収益を上げるように成り立っていかなきゃならないということを考えなきゃならない。両方考えなきゃいけないんです。

 そういう点で、移行期間の後は、郵貯株式会社というのは政府保証がなくなるわけですから、民間金融機関と同じように自由にやっていかなきゃ成り立っていかない。しかし、政府保証がある間にその準備もしなきゃならないだろうという議論があるわけです。その点はよく検討しながら、金融担当大臣、よく民間企業なり国民のいろいろなサービスを必要としている点も考えながら対応していこうと。これは非常に大事な調整だと思います。

 民営化した後に、民業、ほかの民間金融機関と同じ基準にするのが民営化会社だ、これは当然です。しかし、政府保証がある間にそれをやられたら民間金融機関だってたまらぬ、こんな恩典を受けたままに同じことをやられたらまさに民業圧迫になるという、これをうまく調整していかなきゃならない、私はそうだと思っております。

園田(博)委員 それでは、生田総裁にもおいでいただきまして、私は、最初に申し上げたように、四年間の計画を立てておやりになっているだけに、落ちついて民営化できればと思っていたんですが、そういう点では、生田総裁だけではなしに、私は労働組合の方々にもお会いしました。経営改善をやって、その先にまた民営化ということが来るかもしれないともともと思っていたと。そういう意味では、そういう気持ちであられるだけに、中途で民営化するということが、気持ちとしては申しわけないという気持ちもあるんです。

 そこで、生田総裁として、一つは経営改善の状況、どういう手ごたえを受けとめておられるのか。そして、その途中で民営化するということについて、もちろん御了承いただいていると思うんですが、民営化するに当たって、また新たな気持ちといいますか、どういう方向でこの会社が行くべきかということについて、御意見をお聞かせいただければと。

生田参考人 日本郵政公社の生田でございます。おはようございます。

 お答えさせていただきます。

 まず、経営に当たりまして、公社スタートと同時に、一期四年を二つに割りまして、前半、後半、フェーズ1、フェーズ2といたしまして、アクションプラン、行動計画をつくって経営をいたしております。やり方としては、四年で考えていた改革を、改革というのは短期に凝縮してやった方が効果も大きいし痛みも結局は少ない、こういう考え方で、凝縮して最初の二年にやる、こういうことでやりました。

 これのインフラといいますか、背景として、これは社長がかわれば意識の改革ということはどこでもやるんですけれども、官庁文化、官庁的な発想、すべて意識をビジネスに変えるということとともに文化を変えよう、何となく役所的な文化というものを事業型に変えようという意識と文化の改革というのをやりました。

 組合、JPU、全逓ですね、それから全郵政ともしばしば話し合いをいたしまして、彼らの大変いい理解と協力を得て現在取り進め中であります。その結果、フェーズ1の平成十五、十六年度は両方とも、三事業ともおかげさまで黒字を出させていただきまして、二年まとめてフェーズ1はアクションプランの数値目標を少し上回る形で達成させていただきました。

 例えば、自己資本のところですが、公社スタートのときは一・三兆いただいたんですが、今、自分で積み増しをいたしまして六・一四兆までいっています。これは、中期経営計画では三兆と予想されていたんですが、倍ぐらいいったということで、何か、竹中大臣に、民営化するとすれば、そのときの自己資本、おおよそいいんじゃないかと言われそうな気が背中でするんですが、そっちの方はまた別問題でございまして、またいろいろお願いいたしますけれども、一応そこまで来ているということがあります。

 資金量は、両方合わせまして三百五十七兆でスタートいたしましたのが、これは大体計画どおり、健全なスリム化、バブル以前の平時に戻りつつあるわけですね。三百三十二兆に戻ってきた。

 従業員は、先週の金曜の桝屋先生のときに、私、二十八万六千からと申し上げたんですけれども、これは予算値というもので、予算上そうなっていた数字をつい申し上げたんです。予算はそのとおりなんですけれども、実数は減っておりまして、実際上は二十八万一千在籍しておりました。そこから勘定した方が公正だと思います。おわびとともに訂正させていただきたいと思うんですが、実数であった二十八万一千から今は二十六万二千ということで、一万九千人、まさに組合との同意で減してきております。

 各分野ともいろいろな問題があります。さっきから先生御自身がおっしゃっていただいているように、ビジネスモデルが非常に制約されておりまして問題がございますが、結果として、アクションプランは達成した、それから、郵政事業だけを過去の状態と絶対評価しますと、かなり健全の方向に向かっているということは言えるんだろうとは思うんでありますけれども、ただし、市場にある同業他社と比較いたしますと、利益率という意味では、比較できないほどやはり劣っております。

 だから、民営化したときの事業としては市場に出ると大変苦しい、こういうことになるとともに、現時点では、公社法の枠内でまだまだ改善できる余地がいっぱいあります。それを何とかフェーズ2の間にやりまして、より健全にしたいと思うんでありますが、どうしても大きな制約がございますので、そこまで行ってしまった後は、これはちょっと大変だな、比較的近い将来、その上限が来るんだろうと思います。

 民営化の関連について先生最後におっしゃっておりましたので、一言触れますと、私といたしましては、民営化するしない、いつやるというのは政治でお決めになる高度の判断だと思うんですが、おやりになる場合は、雇用を重視するといったような五原則、これはきちっと守っていただくということに加えまして、公社自身が掲げて努力しております三つの経営ビジョンが、公社のままでいるよりもよりよく達成できるような制度設計にしていただきたいということを折に触れお願い申し上げております。

 それは、真っ向サービスといいますか、国民の利便性の問題。それから二番目に、事業としての健全性、これを整備する。これは国家の財政のお役にも立つはずだということと、大勢の職員が働いているわけでありますが、何とか生き生きと、働きがいがあるように、将来展望が持てるような職場をつくるという三つのビジョンがあります。これがよりよく達成できるような制度設計をということを常にお願いしておりますので、民営化に際しましてはぜひそうしていただきたいし、それがあわせてきちっと達成されるんであれば、先生おっしゃるように、適切なタイミングに民営化していただいたらその分将来展望に早くつながるのかな、こういう感じでおります。

 失礼します。

園田(博)委員 ありがとうございました。

 私は、ちょっと一回新聞記事を見て、それから、きのう何か予算委員会で、私が修正を前提に同意を取りつけたんだからということを何か野党の方が言われたらしいんですが、これは一つ誤解がありまして、修正を前提に取りつけたんですが、それはその日のうちに修正しましたから、それはそれで済んでいるんです。

 ただ、私は、今総理がおっしゃったように、原則は守るけれども、やはりみんなの理解を得るように努力したい、こうおっしゃるからには、最初から修正なんてことは言っちゃいけませんが、例えば私は、貯金や保険の会社に義務づけるということは、なかなかこれは難しいと思うんです。しかし、郵便事業や郵便局の会社にある程度の義務づけというのはできると思うんですね。そういうことを、余り具体的には申し上げませんが、いろいろな議論の中でユニバーサルサービスが心配だということがあれば、そんなこともちょっと考えたらどうかなということを申し上げて、終わらせていただきたいというふうに思っています。

 ありがとうございました。

二階委員長 次に、野田聖子君。

野田(聖)委員 おはようございます。自民党の野田聖子でございます。

 本日は、小泉総理と直接郵政民営化の議論をできることを大変うれしく思っています。それに先立ちまして、私が大変感動したことをまず申し上げたいと思います。

 愛知万博においてそれまで禁止されていた手づくりのお弁当、これを持ち込みたいというささやかな主婦の声がございました。それを受けとめて早急に改善していただいたということは、私にとっても大変見習うべき姿勢を総理がお示しになったと思います。常に国民の声を大切にして、とりわけ弱い人、困っている立場の人のために働くことが政治家の使命だと思っているからです。

 そんな観点から、現在、総理のリーダーシップのもと、異常な速さで、急ピッチで作業が進んでいる郵政民営化の本当の意味、意義を教えていただきたいと思います。

 先ほどまさに総理がおっしゃったように、大まかなことを教えてもらいたいわけであります。なぜならば、今現在でも多くの国民は、総理が異常な思いのもとで民営化をしなければならないという、その民営化のメリットについて説明が足りないと思っている人が、時事通信の調査によっても八〇%いらっしゃるわけです。当然、ですから国会議員の中でも、国民を代表しているわけですから、まだ理解に苦しむという、反対ではないけれども理解に苦しむという声も大多数あるということを受けとめていただきたいと思います。

 さて、最近の世論調査、これは共同通信が行ったものですけれども、じっくりと検討し、急ぐことはないという国民が五三%います。反面、今国会でどうしてもやらなくちゃいけないんだと言っている国民はわずか二〇%ぐらいです。大多数が、まあ、こういう大切な問題だから、総理の気持ちもわかるけれども、そうそう急ぐ話ではないという声があるわけでございます。

 とりわけ、ですから私たちも、いたずらに反対、反対と言っているわけではなくて、そういう真意をしっかりと理解した上で、次の日本にとって何が必要かということをやはり前向きに、建設的に答えを導き出していきたいという熱い思いがあることを受けとめていただきたいと思います。ですから、きょうは、郵政大臣として積み上げたいろいろな勉強をもとに質問するのではなくて、やはり、何だかわからないと言っている大多数の国民や利用者が持っている素朴な疑問について総理といろいろと意見を酌み交わしたいと思っていますので、よろしくお願いいたします。

 まず、何だか当たり前のようになってしまった言葉の一つに、官から民へというのがあります。または民営化という言葉がございます。これ自身は、一見、とてもすばらしいものに思えるわけですね。だけれども、本当にそれをきちっと精査した上で、官から民へということが及ぼすことは何か、プラスとマイナス。または民営化が及ぼすことはプラスとマイナスあるわけで、それについての総理みずからの哲学というか、官から民というのは小泉総理はこう思っていることなんだ、そして民営化というのはこう思っていることなんだということについて、ちょっとお話をいただきたいと思います。

小泉内閣総理大臣 商売を考えますと、いわゆる公務員、役人と民間の方々と、どちらがいろいろな創意工夫をするかということを考えると、やはり公務員がやる仕事、役人のやる仕事というのは、民間人にはできない、しかし、どうしても国民のために必要だということを公務員がやるべきだと私は思うのであります。民間人でできるものだったらば民間人にやってもらった方が、特別な制約もなしにいろいろなサービスを展開してくれるんじゃないかというのを総論としては御理解いただけると思うんです。

 しかし、具体的な例を一部出しますと、郵便事業一つとってみても、ここまで小包等の宅配サービスが展開されたのは民間業者が参入してくれたからなんです。それは、民間ではサービスできないというんじゃありませんね。公務員じゃなくてもできている仕事ですね。公務員でなければ過疎地に運んでくれない、離島に運んでくれないという議論が盛んに行われました。今、民間の宅配会社は過疎地であろうが離島であろうが全部行っていますね。

 そして、では、どちらがサービスがいいかといいますと、これは民間のサービスの方がかなり先行している部分がたくさんある。例えば、夜間サービスをやったのは民間が先ですよ。民間がやると、どうして郵便局は民間がやっているのに夜間配達をしてくれないのかということで、民間の後に郵便局も夜間配達を始めた。さらに、冷凍食品なんというのもこれは民間が先にサービスを始めたんですよ。

 しかも、民間のサービスというのは、必ず利益を上げないと倒産してしまいますから、利益を上げるように必死に努力する。そして、利益を上げれば必ず税金を納めなきゃなりませんから、法人税等、税金も納めてくれる。

 そういう中で、同じ仕事だったらば民間にやってもらった方がサービスもいろいろ展開してくれるし、税金も納めてくれるということで、私は、民間にできることは民間に任せた方がいい、いろいろなサービスも展開してくれる。そして、民間にできないと思う人の理由がわからない。なぜ民間にできないんですか。それは、民間にできない分でどうしても国民に必要だという部分は考えればいい。

 私は、そういう面におきまして、民間にできることは民間にという、今までの、国営から民間になった事業転換、民間会社を見てもそれは裏づけられると思っております。

野田(聖)委員 ありがとうございます。たくさんお話をいただきました。私もたくさん質問したいので、少し短目な答弁を心からお願いします。

 実は、先ほども園田委員の方から合同部会の話が出ました。私自身は、例えば日本の将来を考えたときに、三事業が公共性の高い公社でいくべきか、または市場原理に基づいた、商売としての郵便局として生き延びていくべきかという最初の議論をさせていただきたかったんですが、あらかじめ与えられたテーマは民営化というところから議論をしろということで、大変偏った議論になってしまったことが大変残念でならないわけであります。

 確かに、今総理がおっしゃったように、民間企業、また、民営化をすれば競争原理が働き、そして競争に勝つためにさまざまなサービスが展開されるということは、これまでも行われてきたことですし、私も承知をしております。ただ、これはあくまでも前提があって、やはり経済状態がいい場合、例えば民間企業が赤字でない場合、倒産しそうもないときにはそういうことがどんどん繰り広げられると思うわけですけれども、逆に、収益が落ち込んだり赤字店舗が出てきた場合には、残念ながらそこにあった店舗を閉じなければならないというのも、これは民間企業の運命であるわけであります。

 そんな中で、では、これまでの郵便局がそういうことになじむかどうかというのは、もっときちんと知らしめるべきではないかと思いますし、さらに、民営化というのが目的でないはずなんです。民営化することが大事だと言うけれども、民営化というのはあくまでも手段であったはずです。ですから、例えば、これまでも国鉄が民営化されただろう、NTTが民営化されただろうというお話があって、だからよかっただろうと言うけれども、民営化は手段であって、目的があったから民営化があったんです。

 では、国鉄の民営化は何だったか。国鉄の目的は赤字解消だったわけですね、サービスの向上とか。NTTの場合は、通信の自由化という大変な大波が来る中で、やはり主導的に、先導的に動かなくちゃいけない、そういう目的があったから民営化という方法をとった。では、郵便局は何なんだろう。今やらなければならない、異常な信念もいいんですけれども、国民にとっての目的というのがいまだ見えてこないのが問題だと思っています。

 メリットはわかりました。メリットだけではないということも国民は知るべきだと思います。民間会社の持つデメリットということをもう少し政府は丁寧に国民に知らしめた上で比較してもらい、このリスクをとるけれども民営化の道を選ぶというような方向性をつくっていただきたいんです。

 例えば、私、岐阜市に住んでいるんですけれども、ことし路面電車がなくなりました。赤字だからです。採算がとれないからです。結論から言うと、どういうことが起きているかというと、それを通学に使っていた子供たち、または車を持たないお年寄りの足が失われたという現実があります。これは、民間企業を責めるわけにはいきません。商売ですから、もうからなくちゃいけないんです。もうからないところを切らなければ、もうけが出ないからなんですね。そういうデメリットを民というのははらんでいるということを果たして国民全体が理解した上で今この私たちのやりとりを聞いているかどうか、いささか疑問でならないわけであります。

 そこで、もう一度確認したいのは、総理が、公社じゃだめなんだと。さっきも公社は一里塚なんだとおっしゃったけれども、もともと公社がだめだという信念であれば、なぜ総理大臣のときに公社化法を通したかということも疑問なわけです。

 私は、大臣のときに、公社がいいんだ、そしてこの公社の形が将来の日本の形になじんでいく、いわゆる公共性を極めて重視した、かつ民間的手法を取り入れた、ちょうどいい形の組織体ができたということで、民営化をしないと言い切った大臣の一人です。そういう思いもありまして、突然解釈が変わったことにも驚きを禁じ得ないのですけれども、その公社に対して、どうしてだめなんだということを教えてください。

小泉内閣総理大臣 いいことを聞いてくれました。

 私は、本来、公社になる前に、直ちに民営化に着手した方がいいという論者であります。しかしながら、与野党、圧倒的に民営化に反対だったんじゃないですか。そこはやはり政治家の我慢のしどころですよ。一議員、一大臣では民営化はできません。私が総理大臣でなかったら、この民営化の論議すら、こういう議題、法案も出せないし、質疑もできなかったでしょう、みんな反対なんだから。

 そこで、当時は、私が民営化論者である、民営化を強く主張していることを知っていたから、反対論者は、公社でおしまい、民営化の議論は行わないという議論を行ってきたわけです。そこはもう考えは全く違いますよ、公社のままがいいというのと、民営化すべきだという私の議論と。

 公社の制約された条件のもとで、これから本当に公社は税負担なしで運営できると思いますか。私は、それはできないと思います。公社である、簡易保険にしてもあるいは郵便貯金事業にしても、安定した資金の運用しかできないから、当然、この資金の運用を考えてみても、公務員で本当にこの資金運用が効率的な分野に提供されるのか。

 一方では、確かに、国民にどうしても必要だ、税金を使ってもサービスは国民に提供しなきゃならない部分もあります。しかし、現実の公社を見れば、かつての、公社以前の問題を見ても、かんぽの宿一つとっても、あるいはメルパルク、ホテル一つとってみても、あれは本当にやらなきゃならない事業なんですか。

 やってくれれば喜びますよ、みんな。負担がない、民間でもやっている。普通の民間の旅館よりもサービスがいいし、料金も安い。それをつくってくれれば、それは民間の方々は、利用者は喜びますよ。しかし、同時に、民間でやっている人が、税の負担もない、赤字になればそれは補てんしてくれるとやっていたんじゃ、これはまさに民業圧迫ですよ。

 第一、メルパルクも、都会には旅館とかホテルはたくさんある。そういうところに、なぜ公的なホテルやそういう事業を進出する理由があるのか。(発言する者あり)

二階委員長 御静粛に願います。

小泉内閣総理大臣 まさに民業圧迫じゃないか。

 公社自体、かつての郵政事業の国営自体が、やらなくていい事業、分野に進出したんです。過疎地じゃありません。過疎地の郵便局は残すと言いながら、郵便局がふえているのは都会地域じゃないですか。なくても民間がサービスできるところに進出している。まさに、民営化以前に、国営事業のときにおいて既に民業を圧迫しているんです。その辺は全然見解が違う。

 そして、この郵便貯金の資金がなければ、特殊法人の活動もできないんです。今、野党の皆さんは、特殊法人全部を廃止しろとか民営化しろとか言っています。これは、郵便貯金の金がないと各特殊法人の事業展開はできない。

 しかし、こういう問題についても、確かに、特殊法人として、民間が事業展開すると利益が出ない分でも、国民に必要な特殊法人もあるでしょう。そういう場合は、ある程度税金を負担してもやっていかなきゃならない。しかし、融資事業に国が手を出すと、将来どれだけの負担が来るかわからない。そして、どうしても必要な分野は税金を使えば、この税金を使うような見合った、必要かということはよく議論できる。

 そういうことを考えて、私は、郵便貯金にしても財政投融資制度にしても、その資金を使って活動をしている特殊法人にしても、一体的に考えなきゃいけないということで、入り口、中間、出口、全部改革していかなきゃならない。まず入り口。この問題、郵貯なり簡保なり、この入り口を改革しない限り出口の問題も一緒に改革できないということで、一番大きな改革が入り口のこの郵政事業であるということから言ってきているわけであります。

野田(聖)委員 先ほどの小包の話もございましたし、今のメルパルク等々の個別の事案があったわけですけれども、これは個別の事案として解決すればいいことで、私が申し上げているのは、公社の今のありようがなぜだめなのかということなんですね。

 というのは、常識的に、一里塚で急がなきゃいけないという理由はよくわかるけれども、先ほどの生田総裁のお話にあったとおり、努力をしたわけですね。それで、まだ一年ですけれども、成果を出している。要するに、安定している、黒字を出している。もし仮に急がなきゃいけない理由を挙げるとするならば、公社になった途端、経営状況が悪くなっちゃった、赤字がふえちゃった、そういうことをやはり気にしなければならないわけであって、例えば郵便事業なんというのはすごい褒めてあげるべきだと思うんですね。

 これまでの郵便事業の歴史の中というのは、赤字になると値上げをしてそれを補ってきたという歴史があります。今回に関しては、値上げもせずに回復している、努力をしているというところは、やはり正直にこれは評価してあげなければならないことだと思ったりもするわけです。

 ちなみに、私の大臣のとき、一番の赤字だといって世間から責めまくられました。当時は、五%に消費税が上がったわけですね。ですから、本当ならば郵便料金もそれに伴って値上げをする予定だったんですけれども、やはり国民のお財布を考えたときに、せめて郵便料金ぐらいはそんなに負担をかけないようにしようということで、消費税三%のままの金額で今日まで推移しているという事実もあるわけです。そういう努力を無視して、将来だめになる、将来だめになるというお話があります。

 例えば、十年後なんでしょう、恐らく民営化が二〇〇七年から始まって十年後ということになるわけですけれども、では小泉総理、十年後に私も総理も国会議員をやっているかどうかわかりませんが、今日、きょう現在、小泉総理が思う将来の日本の姿というのはどういうふうに見えているでしょうか。というのは、推進される方の多くの方が、今はいいよ、今公社はいいよ、だけれども次はもうじり貧になるんだということを当たり前のようにおっしゃるわけですね。でも、それはどういうことなのかがよくわからない。

 これは恐らく、先の、十年後の日本を見たときにそうなるということがあっておっしゃっていると思うんだけれども、総理にとって、十年後なり、その先の日本を、こういう国になるから公社ではだめなんだ、そういうことを明確に教えてください。

小泉内閣総理大臣 それは、公社でやる限りは制約があります。今、三事業しかできません。そういう際に、資金運用においても安全を重視しますから、なかなか、ある程度収益は上がるけれどもリスクをとるという場合については運用しにくいでしょうね。国債、これが一番安全でありますから、この国債運用というものは将来売ったり買ったりすれば当然損益が出てきますから、この問題についても限りがある。

 今のような形で運用していって、郵便事業にしてもあるいは金融事業にしても、今の形で果たして収益が上げられるかというと、これは先ほど言いましたけれども、郵便事業の問題一つとってみても、ある程度、今の時代におきましては、郵便物も減ってきております。手紙やはがきだけでなくて、いろいろな通信手段が出てきております。しかしながら、こういう問題について、郵便局が今の制約のもとでほかの事業が展開できないとなると、結局、今の民間でやっている事業のようなものを展開しないと利益が上げられない、となると民業圧迫になる、今の条件を厳しく守っていくと、これは民間の競争に太刀打ちできないということにもなってくると思います。

 私は、そういう面において、郵便事業会社あるいは郵便局、窓口の会社については、政府の関与をある程度残しながら、公共的なサービスを提供しながら、もっと自由な事業展開をさせるようにした方が国民のサービスのためにもよくなるのではないか、さらには経済の活性化にも資するのではないかと思っております。

野田(聖)委員 総理の御発言は、これまでの歴史というか、さかのぼって今日までの状況を見た上で、これから先どうなるか自分としてはわからないけれども、改善しなきゃいけないというスタンスにあるんだと思います。

 私は、もうちょっとその議論は詰めていきたいと思うんです。それぞれ国会議員であるならば、今できる法律が及ぼす影響が十年後とするならば、十年後の日本はこうだというものを持った上で、それがプラスに転ずるかマイナスに転ずるかということを説得させなきゃいけないと思うんです。

 私は、今の日本、今こうやって議論している今日の日本と、十年先、民営化を予定されている二〇一七年の日本で一番の違いは何かといえば、人口減少という問題です。ことしまでは人口は伸びています。でも、厚生労働省の試算によると、もう二年後から人口が減るという国家に転ずるわけですね。そういうことをやはりもう少しきちっと考えた上で、そういう人口減少に急速に向かっていく日本にとってどういう組織が妥当なのかという議論をしてもらいたいと思います。

 ちょっと余分なことかもしれませんけれども、余り御関心がないかもしれないので、今日の状況を申し上げますと、去年、二〇〇四年、実は、生まれる数が予想より一万七千人少なくて、死亡された方が九千人ふえています。厚生労働省の予想では実は十一万人ぐらいの自然増だったと思っていたのが、結論からいうと、現実は八万三千人しか伸びていない。まあ、厚生労働省の推計というのは外れることが多くて、年金のときも御苦労されたわけですけれども、合計特殊出生率が今一・二八という状況にあるこの国の中のことをわかっていただきたいと思います。

 その試算によると、大変甘い試算だと思うんですけれども、二〇五〇年には九千万人になる、この国の人口は九千万人になって、人口ピラミッドが逆転するという時代が来ます。では、二〇一七年、民営化が始まる年を仮に考えるとどうなるかというと、厚生省の甘い推計によると、一億二千五百五十一万三千人ということですから、今よりも二百万人以上、甘く見て二百万以上減るという国家があるわけですね。

 さて、人口減少というのはどういうことなんでしょうか。少子化という小さなテーマで対応したくないわけですね。人口が減るということは、まずやはり消費者が減る、当然納税者が減る、労働者が減るということなんです。結局は、言い方は悪いかもしれないけれども、今まで右肩上がりが当たり前だと思っていたこの日本にあって、人口が減ることによって及ぼすそういう右肩下がりの現象に対して、やはり新しい局面を考えていかなければならないと思います。

 例えば、政府の方がお配りになっている民営化のいい例というので、JRとかNTTとかJTというのがあります。これは全部一九八〇年代なんですね。これはやはり、人口の増加も順調に伸びている、さらに経済も成長過程にあった、高度経済成長にあった、そういう中で成功したことを出されても、十年後にそれと同じことができるかということは、私自身のこの調べの中では、経済成長が右肩上がりのときに成功したものが、人口減少による右肩下がりの国家の中に果たして同じ結果を得るかどうかというのはわからないと思うんですね。これについてはどう思われますか。

竹中国務大臣 日本経済の長期的な姿と関連する部分でございます。

 これに関しては、委員御承知のように、我々も、日本経済の二十一世紀ビジョンというようなもので、さらにその手前に関しては「改革と展望」等々を出しておりまして、その中で、長期的な姿というのを描きながら、まさに制度設計をしているところでございます。

 今まさに委員言われたように、これから人口減少社会に向かいます。しかし、だからこそ、これから数年間ないしはこれから十年ぐらいの間に、本格的な人口減少社会に備えたいろいろな対応をしなければいけません。十年間で二百万ぐらい減るとおっしゃいましたけれども、恐らく、その先を過ぎますと、毎年毎年百万人ぐらい人口が減るという時代が来るわけですね。そういう時代に備えて、今の間に本当にいろいろな状況に対応できるような制度をつくっておかなければいけない。そういう中で、もちろん社会保障の制度も改革をしておりますが、政府の仕組み、そしてその中での郵政の民営化も、このような時期に早目に対応しておかないと本格的な人口減少社会に適応できる力を失う。

 今委員が御指摘してくださった問題意識は、我々もまさに共有しているところでございます。

野田(聖)委員 実はここにわからない点がありまして、人口減少で大変なことになるから、公社じゃだめで民間企業ならいいというのはちょっとわかりづらいんですね。

 というのは、もう既に人口減少の影響がさまざまな民間企業に及んでおりまして、一九九五年から二〇〇〇年の間には、耐久財、半耐久財、食料、医薬品等の個人消費のピークが来ているということが明らかになっているわけです。ですから、ここで問題にしなければならないのは、経済全体が小さくなる、そして高齢化することによって国力が弱まる、そういう中でどういうものが国民にとって残されなければならないかということであって、民間企業になればどうにかいくというのは、恐らく、リストラがしやすくなるとか、そういう発想になってきちゃうんだと思うんですね。

 そういうことを大変不安に感じている中で、私自身が感じている郵政三事業民営化、これからの人口減少、まあ悪いことばかりではないと思います。日本全体が過疎化していく中で郵政三事業がどう生き残っていくかについては、私は、まさに郵政三事業は、これまで掲げてきた民業の補完という本質に徹するべきではないかと思ったりするわけです。

 先ほどから、民間でできることは民間でという話がありました。実は、民間でできないことを郵政公社がやっているということを忘れていただいてはならないわけでありますね。

 例えば、郵便局がやっているサービスというのは、簡易な郵便であったり簡易な保険であったり全国一律料金、そういうことを一生懸命取り組んでいるわけですけれども、これは何かというと、民ではやれなかったこと、民がやろうとしたけれどもできなかったこと、そういうことがあるわけですね。ところが、このこと、お金に換算されないいわゆるプライスレスな、郵政公社ならではの、公共性を色濃く反映したこういうサービスこそが郵便局のネットワークの信頼につながっているということを決して忘れてはならないと思うんです。

 人口減少社会において、私が、これから新しい国の国是として導き出さなければいけないものは、共助という姿勢だと思います。ともに助け合う。官と民が対立して、そこで火花を散らして何かを活性化させるよりも、それぞれが寄り添って、例えば男女が寄り添い、年齢差関係なく寄り添い、そして助け合う精神というのがやはりこれからの成熟国家に必要なものではないか。そういう意味では、郵政公社というのは、まさに官と民の補完ということで、双方の共助のシンボルになっているのではないかと思うわけであります。

 例えば、先ほど財投の議論もありました。一方的に、目に見えるお金の金額、例えば郵貯と簡保のお金が合わせて三百四十兆円ある、これは多過ぎる、おかしい、だからどうにかしなくちゃいけないという話が先行しているわけですけれども、その三百四十兆円に至るまでの背景というのをもう少し丁寧に国民と分かち合っていかなきゃならないんじゃないか。こういう、ほかがやらないところを小まめに努力して、やはり公の、公共としてやらなければならない仕事だという成果の結果がこのお金に結びついたのであって、何も強引に銀行からお金をふんだくってきたり、お年寄りのところへ行ってお金をむしり取ってきたわけじゃない。それぞれが心から預けたいと思ったものの合計がそうなった、そういう理解をされてもいいのではないかと思います。

 私が今申し上げている民業の補完に徹する、つまり私が言いたいのは、もうこの国にはメガバンクも要りません、大きな保険会社も要らないんです。商売、そんなにしてもらわなくてもいいんです。つまり、今まで郵便局が守ってきた、全国津々浦々に守ってきた民業の補完ということに徹する時代を迎えていいんじゃないか。そういうことについては、総理はどうお考えでしょうか。

小泉内閣総理大臣 民業の補完、それは、民間がサービスすることによって、どういうサービスを国民が必要としているか、どういう商品を国民が必要としているかというのは、私は民間企業が考えてくれると思います。それは保険商品でもそうであります。民ができない部分で、果たして本当に官がやらなきゃならないのか、私は、その辺もよく考えていただきたいですね。

 商品を考えるんだったら、役人が考えるより民間人が考えた方が、ちゃんと赤字にならないように、国民がどういうサービスを欲しているかということは、一社じゃないんですから、いろいろな競争をしていただければ私は提供できると。これは、保険の商品にしても、あるいは金融、預金のサービスにしても、社会保障と違いますから、その辺はよく考えていただかなきゃならない。

野田(聖)委員 私は民間企業の方に、するなと言っているわけではなくて、どんどんしていただければいいんです。ただ、民間企業の主たる目的というのは、国民の幸せを守ることではなくて、会社の利益を守ることと株主へ利益を還元することなんです。この人たちに、こういう人たちが困っているから、あなたやりなさいよという強制は、国でもやってはいけないことだと思うんです。

 だけれども、徐々に国力が弱まる中で、要するに過疎地域がふえてきています。そこには当然、民間企業が、金融であれ保険であれ、支店を進出させるようなそういう善良な気持ちというのはないわけですね、もうからないわけですから。それはやらなくていいんです。結構です。ただ、徐々にそれがふえてきますよと。この国全体が高齢化、過疎化に向かっているわけですから、そこでやはり最大限の力を発揮している、とりわけ郵便局においては、地域差があると思うんですね、そこの存在理由に。過疎地域において大変な存在価値を発揮している郵便局が、今後日本自身が過疎化、高齢化に進んでいく中で、その持ち味、公共による持ち味、採算がとれなくても、そこにいる人の幸せ、生活を守るという持ち味を生かしていくことの方が、この国にとって必要ではないかと思っているわけです。

 ちなみに、総理、最近郵便局はお使いになったことはありますか。

小泉内閣総理大臣 総理になってから、そういう機会はありませんね。いや、もちろん、私の代理人なり秘書官なりが使っている場合もありますよ。私が直接郵便局に行くということは、総理になってからはありませんね。

野田(聖)委員 実は私は、総理も大臣をやられましたけれども、大臣のときにも随分たくさんの郵便局を視察しました。東京の大きな郵便局、そして田舎の、本当に何にもお店はないけれども、郵便局がいろいろな努力をしているということも見てまいりました。だけれども、やはりそこにはいろいろ問題がありました。何となく態度が悪い人もいたし、サービスが何となく自分勝手というか、要らない切手を売りつけたりとか、何かもう国民、利用者にとって必要なものというよりも、何かこう勝手に決めたものを国の仕事だからやっているという感じがあったわけですね。そういうところは改善するべきだということは常に申し上げてきたんです。

 ところが、郵政公社になって、改めて郵便局を使う機会がございました。びっくりしました、余りの変わりように。これは私だけではなくて、実は多くの国民もそれについては理解を示しているところであるわけです。世論調査にも出ているように、公社化されてから大変窓口がよくなった。ですから、民営化すればサービスがよくなるということではなくて、公社化されても十分国民の期待にこたえ得るサービス展開ができるということを明らかにしているわけでありますね。

 そういうことをやはりもう少し素直に、そういう人たちの努力をきちっと受けとめた上で、やはりそれに上回る根拠というか、それを覆すような民営化の思いというのを持っていただきたいと思います。

 私はあえて申し上げます。民業補完をやはりもっともっと強調させなければいけないと思います。

 大臣のときに、ある大変大物郵政族の先輩から、限度額の引き上げをやれと言われました。私は即座に断りました。それはやるべきことではない、やはり民業の補完という姿勢を貫くのであれば、限度額は引き下げることがあっても引き上げることは絶対許されないことだ、国民のニーズがあったとしてもと、そういうことを申し上げました。

 今私が提案するとするならば、公社にあって、あと三年、経営計画があります。そこで徐々に限度額を減らしていく、そういうことによって総額の割合を減らしていくというのも一つの手ではないかと思います。そういうことをやって初めて、どうするか。

 あともう一つ、よく竹中大臣はコンビニの話をされます。今全国でコンビニエンスストアは四万軒ぐらいありまして、しのぎを削っているわけですね。とにかく、岐阜なんかもそうですけれども、できたと思ったらつぶれ、できたと思ったらつぶれということで、利用者からしてみると大変迷惑なわけであります。コンビニエンスストアになることが果たして国民、利用者の幸せかどうかというのは、もう少し吟味をしていただきたい。むしろ、それであるならば、総理がおっしゃったとおり、民は民に任せて、コンビニエンスストアのことはコンビニエンスストアに任せればいいと思うんです。

 実際に、公社だとコンビニができないというのはうそです。なぜかというと、もう既に大きな郵便局でスペースがあるところは、そこにコンビニを委託してやらせているじゃないですか。むしろ問題なのは、民営化するとすべての郵便局がコンビニエンスストアにあたかもなるような宣伝をすることは、国民にとって大変迷惑だと思います。地方の特定局に、どこにそういうスペースがあるかどうか。

 私はむしろ、そういう民間企業へ乗り込んでいくよりも、今市町村合併が始まり、どんどん地方が厳しい状況になっていく、さらには、今申し上げたように高齢化が進み、そして自由自在に動けない国民がどんどん今地方にふえていく中で、私自身は、郵便局という公共の場所が、行政ワンストップサービスのように、あらゆるすべての行政手続ができるような、そういう場所としてやはり二十一世紀は生き残ってほしいという強い願いがあります。

 ただし、そのためには、やはり民間には任せられない、公務員というやはり公僕が行政手続の責任者でありますから、そういう人たちに責任を持ってやっていただくということが、これからの郵政公社が目指す二十一世紀の国民、利用者にとって必要な改革なんではないかと思っているわけであります。いかがでしょうか。

小泉内閣総理大臣 郵政公社になってサービスがよくなった、これはまさに生田総裁の指導力が大きく影響していると思います。同時に、職員も、これから民営化になったら大変だ、民間会社に負けないようにサービスするように意識を変えなきゃならないという職員の努力もあると思います。これは、民営化議論が出てきた成果だと思います。

 同時に、限度額を今、野田議員は下げろと言ったと言いましたけれども、私が郵政大臣だったときの様子を覚えていますか。私は、限度額を上げる必要はないと言って総反発を食らったんです。今初めて、民営化が出てきたからこそ、限度額を下げろという議論がちらほら出てまいりましたけれども、その前までは、もう限度額を引き上げろ引き上げろの自民党議員の大合唱だったじゃないですか。

 たしか郵政大臣のときには、限度額七百万円をもっと引き上げろというときに、大臣就任直後、これをぜひとも、今後の予算編成の中で一番大事な時期だ、私は引き上げる必要はない、それに対して総反発があったのであります。恐らく、野田さん、そのとき当選していましたか、あの雰囲気をわかっているでしょう。もうあのころから、与野党を通じて、限度額を引き上げろ引き上げろ。当時は何と、貯金している人が、三百万円以下の人が六割以上。にもかかわらず、何で七百万円からもっと限度額を引き上げなきゃならないのかと。私は引き上げる必要はないと言ったんだけれども、みんな反発した。

 今、限度額を下げろというのは、民営化の議論が出てきて初めての議論なんです。私は、今回、民営化の議論が、やはり郵政公社のままではやっていけないという一つの議論だと思います。こういう場で限度額を下げろという意見が出てきたことは、歓迎したいと思います。

野田(聖)委員 ですから、やみくもに反対している人たちを攻撃せずに、そういう、いろいろ考えているということをわかっていただきたいと思います。

 しかし、少なくとも私の限度額引き下げの考えというのは民営化以前の話で、私は郵政大臣のときでしたから……(発言する者あり)それはさておき、今でもやはり郵政関係者、郵政公社の人は限度額引き下げに大変嫌な顔をします。私たちが言いたいのは、反対している人間がすべて郵政族で、郵政のために何かしているという意識で私たちと対峙してもらいたくない、そういうことを申し上げたいと思います。

 最後に、せっかく法律案が出てきたので、国民にとって一番理解してもらわなきゃいけない部分だけ単純にお尋ねします。郵便局の存在と郵便局の設置についてです。

 法律が出てきたのでわかりやすくなりました。例えば、今の郵便局についてですけれども、今ある郵政公社の中の郵便局というのは、郵便法の規定により郵便の業務を行うこと、郵便貯金法の規定により郵便貯金の業務を行うこと、郵便為替法の規定により郵便為替の業務を行うこと、郵便振替法によって業務を行うこと、簡易生命保険を行うこと、これらをあまねくやるという義務づけが郵政公社には今ございます。

 さて、今新しく出てきた郵便局、実は郵便局という名前が変わっていないところがトリックだと思うんですね。国民からすると、郵便局が郵便局になるというんですけれども、法律上は書きぶりが全然違うんですよ。「この法律において「郵便局」とは、会社の営業所であって、郵便窓口業務を行うものをいう。」すなわち、お決めになった法律、いろいろなことをおっしゃっています、あれもします、これもします。でも、法律で見る限りは、名前は一緒でも中身は全く違うものだということですよね。

竹中国務大臣 郵便というのは、御承知のように、ユニバーサルサービス義務がございます。それを実効あらしめるために、郵便局というのは郵便窓口業務を行って、そしてそれを国民あまねく全国で利用できるようにしなければいけない、これがまさに政府が義務づける法律としての大変重要なポイントでございます。それの金融等々について、私たちは、地域において大変重要な役割を果たしているということを十分に承知しています。その重みも認識をしております。しかし、金融について、これをユニバーサルサービスの義務として義務づけることはしない。これは、金融という特殊性を考えてそのようにはしないわけでございますけれども、しかし、現実に多くの方々に利用いただけるように、幾つかの、与党との議論を大変重ねて工夫をさせていただいているということでございます。

 法律の中には、郵便局というのは郵便の窓口業務等々を行って、その他のさらに地域住民の利便に資する業務を行うということでありますので、その中で実態的には金融の業務を行っていただくということでございます。

野田(聖)委員 済みません、時間がなくなりますが、もう一度確認します。

 郵便局というのは、今は、郵便、郵便貯金、簡易保険ができる場所なんです。義務づけられているから、だれでもできるんです。どこでもできるんです。ただし、これからの郵便に関しては、窓口業務だけは約束されているけれども、今やっている郵便局とは似て非なるものだということは明らかだと思います。(発言する者あり)名前が一緒なんです。

 いずれにしましても、そういう、あたかも今の郵便局にプラスアルファされるような流れを政府がつくってはいけないと思います。やはり国民もリスクをとらなきゃいけない。そういうこともやはりきちっと説明をした上でこの議論を進めてほしかったんですが、残念ながら、御説得をいただけると思いましたけれども、これでは、公社を民営化してこの日本はどういう国になるか、そういう理想というものが全く見えてこない。そういう中でこれを進めることは非常に戸惑いとためらいがあることを最後に申し上げて、終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

二階委員長 次に、桝屋敬悟君。

桝屋委員 公明党の桝屋敬悟でございます。

 きょうは、こうして総理御出席のもと、野党の皆さんもおそろいをいただきまして、やっと私どもが期待をしておりました、私は、本会議では野党の皆さんがいらっしゃらないものですから、地をはうような緊張感と言いましたが、きょうはやっと緊張感がこの委員会、第一委員室をまさに覆うような状況になっておりまして、しっかりテレビも映しております。国民の前で丁寧な議論を一つ一つやっていきたい、このように思っております。

 さて、今、自民党のお二人の委員の質疑を聞きまして、いやいや、大変苦労されながら自民党の皆さんもおまとめになったんだな。園田先生が十時間、十一時間と言われましたけれども、我々も、そばで横目で見ながら、その時間勉強しながら待っておったわけであります。

 総理がきのうの予算委員会では、政界の奇跡だ、このようにおっしゃったそうでありますけれども、その奇跡とも総理がおっしゃるような関連法案について、与党の一員としてこの議論に参加しなきゃならない、その責任の重さ。総理のみならず、我々も与党の一員として責任は共有しなきゃならぬ、こんな思いで議論をしっかりとさせていただきたい、このように思っているところでございます。

 きょうは、最初でありますから、テレビが初めて入るわけでありますから、多くの国民の皆さんにぜひ理解をしていただきたい、最初は総理と、ぜひ、郵政事業改革に対する考え方、大きな考え方について整理をさせていただきたいというふうに思っております。

 今までの委員の議論を聞いても思ったわけでありますが、郵貯、簡保の資金、三百四十兆円と言われるこの膨大な資金、これはやはり肥大化し過ぎた、あるいは、今日までのさまざまな経緯の中でこの部分が公的セクターで使われてきた、これを何としても市場に流していきたい、あるいは、この三百四十兆という肥大化し過ぎた郵貯・簡保資金、これを縮小した方がいい、あるいは役割は終わっているんじゃないかということは、テレビをごらんになっている多くの国民の皆さんも理解をされるところだろうと私は思います。

 既にその改革は始まっているわけでありまして、この国会の中でも、しからば今の公社の、当面は、今せっかく公社ができたばかりでありますから、この公社の経営改革というものをしっかり継続していただきながら、預入限度額の上限を引き下げる、さっき話が出ましたけれども、そうしたことによって規模を縮小すればいいではないか、こういう声があるのも確かでありまして、我々もさまざまな声を聞く中でそういう声も伺いました。

 ただ、我々公明党としては、随分議論をする中で、単なる規模の縮小というのは、やはりここは雇用の問題がまず頭に浮かぶわけでありまして、先ほど生田総裁の方から二十六万二千人という数字を改めて御報告いただきましたけれども、この皆さん方の雇用というものについて重大な懸念を持たざるを得ない、指摘をせざるを得ない、こう思っているわけであります。

 したがって、今後の郵政事業の改革、野田委員は、これからの我が国の経済は縮小していくんだ、国力、まあ国の活動が小さくなるようなお話をされましたが、私は、いささかその観にくみすることはできないわけでありまして、本当にそうした認識でいいのかどうか疑問を持っております。しかし、単に規模を縮小するということで本当に解決できるのかというふうに思っておりまして、私は、むしろ経営の自由度を拡大しながら、そして、国民の財産ともいうべき郵便局のネットワークを最大限に活用しながら改革を進めていく、縮小の均衡ではなくて、むしろ拡大の均衡の中で改革を進めなきゃならぬ、総理、このように我々も思うに至ったわけでありますが、総理の御見解を伺いたいと思います。

小泉内閣総理大臣 桝屋議員が指摘されましたように、この規模の縮小の問題を考えますと、今の制約された状況のもとで限度額等を引き下げていく、あるいは、民業の補完に徹するために民間がやっているところから手を引いて縮小していくということになりますと、今の雇用問題が出てきますね。どうやってどんどん縮小していくのかと。

 規模の縮小ということは、当然事業展開の縮小に結びつくわけですから、これについてどこまでが適切かという点を考えますと、私は、考え方の違いですが、民間にできることは民間がやって、そして、民間にできない分野だけ公的部門がやるという考えで、むしろ民営化の道をとった方が発展の可能性があるのではないかというふうに考えております。

 また、公明党の皆さんが、民営化についてそもそも賛成だ、どういう民営化がいいかということを考えようということに対しまして、協力していただいていることに対して御礼を申し上げたいと思います。

 この民間にできることは民間にという考え方と、いや、民間がやっている事業だって公務員がやっていれば問題ないじゃないかという考え方とは、真っ向から私と違います。その辺はもう考え方が根本的に違うんだからなかなか難しいんですが、私は、民間にできることはどんどん民間に任せていくという考え方であります。役所、公務員でも、必要な事業なんだから、民間がやっていてもいいじゃないか、だから公社でいいという考え方とは真っ向から違うということも申し上げておきたいと思います。

桝屋委員 この委員会で生田総裁、先ほども来ていただきました。また、今後も、先般発表されました決算の状況等も伺う機会もあろうかと思いますが、その総裁がこの委員会に出席をされて、確かに頑張ってきた、しかしながら、限られたビジネスモデルの中で内心やはりじくじたる思いがある、もっと収益率の高い事業に取り組みたいんだ、こういうことをおっしゃっておられましたけれども、私どももそのことは重く受けとめたい、このように思っております。

 何度も言いますけれども、やはり雇用というもの、この二十六万二千人の方々の雇用を維持しつつ、そしてなおかつ、二万四千の郵便局のネットワークというものも、これはまさに国民の財産でありますから、ここを活用しながら、これからの厳しい時代を生き抜いていくための改革を考えなきゃならぬ。

 私も公社法の審議をした一員でありますから、おまえはあのときに、公社化が必要である、公社化がまず目標なんだということを議論したではないか、それがそんなに時間もたたないうちに何だ、こういう厳しい批判もいただいているわけでありますが、私どもは、やはり維持するためには、発展をするためには、AからB、そしてBから必要であればCへの発展ということは、時間をかけてやる、その筋道をつくるということは大事なことだろう、こう思っております。

 そこでもう一点、官から民へという、今総理もおっしゃいましたけれども、特に資金の流れで、私どもは原則賛成と申し上げたのは、まさにこの資金の流れが官から民へ、この流れを確かなものにする必要があるだろう。本会議でも議論いたしましたけれども、それが我が国の経済の発展につながる、活性化につながる、こう信じているわけであります。

 ただ、じゃ、それは民営化しなければ官から民への資金の流れができないのか。既に出口部分の改革は十分始まっているわけでありまして、郵貯、簡保、完全自主運用となっておりますし、さらに財投債の引き受けも時限措置となっている。こうした改革を考えれば、本当に民営化ということをやらなければ官から民という資金の確かな流れをつくることはできないと言えるのかどうか、その点について総理のお考えを伺いたい。

竹中国務大臣 官から民にお金の流れを変えて経済を活性化する、このことは皆さん同意をされるのだと思います。そのためには、入り口と出口とその中間、これをやはりすべて変えないとこの流れは変わりません。

 出口の改革については、既に始まっております。特殊法人の改革、より具体的に言えば、財投の融資額というのはピーク時の三分の一になっているわけでございますから、それの出口を小さくする。加えて、政府系金融機関についても、今後、経済財政諮問会議等において、この残高をGDP比で半分にすることを目指して改革の議論を進めていくということになります。これが出口。

 中間についても、御承知のように、財投の預託は今、二〇〇七年度まででございますから、平成十九年度まででございますから、財投債、財投機関債という形で市場を通してやる。

 実は、残っている重要な改革が入り口の改革でございます。結果的に今、家計の金融資産の運用に占める官のウエートというのは四分の一になっているわけですから、これをまず民に流れるようにする。これは、やはり民営化しないと民に流れません。公社のままでは、これは官のお金でございます。

 加えて、生田総裁は大変努力をなさっているわけですが、しかし、公社である以上、公社のお金の運用というのは安全資産に限定されます。ここはやはり極めて重要な点。安全資産というと、今までは財投等々でしたが、当然国債ということになる。国債、財投、要するに、郵政公社のままでは、官が集めて官に使うという形で、これはお金の流れは変わらないわけでございますから、そのためにも、出口、中間の改革にあわせて、入り口の郵政の民営化はどうしても必要であるというふうに思っております。

桝屋委員 今の竹中大臣の御答弁は、民営化によって初めて資金の転化ができる、こういう御説明、公社のままではどうしても限界がある、こういうお答えであったかと思いますが、ここは……(発言する者あり)そんなことはないというやじも飛んでおりますので、これからこの委員会でしっかりと議論をしていかなきゃならぬと思っております。

 それで、もう時間もなくなりましたので、我が党が一番気にしておる問題に移りたいと思います。郵便局の設置基準の問題であります。

 なぜ、本会議でもしつこく申し上げ、ここをずっと言っているかということを、本音を私どもはきょうは申し上げたいと思っております。

 総理がおっしゃったように、私ども公明党は、さきの衆議院選挙以来、総理がそこまで執念を持ってお考えになっていることであれば、改革に対するその執念を是として我々も原則賛成だ、ただし、利用者、国民の利便というものが損なわれることがあってはなりませんよ、その内容はしっかり見せていただきます、こういうことで今日まで議論をしてきたわけでありまして、そういう意味では、石井議員も谷口議員も同じ論点でいつも議論をさせていただいているわけであります。

 なぜそんなにしつこいかといいますと、一つは、昨年の九月に閣議決定されました郵政民営化の基本方針、我々はこれについてはコミットしないという立場でありましたけれども、もっと内容を見なきゃわからないという姿勢でおりましたが、この基本方針の中では「代替的なサービスの利用可能性を考慮し、過疎地の拠点維持に配慮する一方、人口稠密地域における配置を見直す。」こう書いてあるわけですね。

 これを奇貨として、これをスタートとして議論が始まりまして、与党の中で随分議論をされて、とりわけ自民党の皆さんは、過疎地が大事だ、過疎地においてどうなるのかということは随分議論がありました。そして、何度もお答えがありますように、過疎地については省令において特別の規定を置こう、配慮規定を置こうと。もっと言えば、今の郵便局のネットワークを維持しようということを省令に書き込むことになったわけであります。

 私も山口県でありますから、過疎地、離島、山村、そして半島、そういう地域がたくさんある地域でありますから、自民党の皆さんと全く同じ気持ちで、そこは当然そういう配慮が必要であろう、そこについてはやはりそうした規定が必要だろう、法律上義務づけるということは必要だろうと思いますが、そうしますと、法律上義務づけるとなると、一つは、じゃ、今ある郵便局は、やはり法律上義務づけられる郵便局とそうでない郵便局に分かれるわけでありまして、いや、違いが出るじゃないか、それが政省令で規定されるということで本当にいいのかという思いは、いまだに私どもは持っております。

 もう一つは、過疎地における郵便局が大事であるように、その大事な観点は今るる申し上げませんけれども、全く過疎地と同じ思いで心配をする都市部もある。さっきの言葉で言えば、人口稠密地。これについて、私は、恐らく竹中大臣の中では見直しをする。見直しというのは、端的に言うと、統廃合されるということだろうと思うんです。そのための民営化であり、やはり民営化はそうした判断も必要だろうと私は思っております。

 ただ、過疎地は今のレベルを守りますよ、今の郵便局を維持しますと。では、過疎地以外はどうなるのと。都市部の中でも過疎地と同じぐらい、やはり住宅地において、都市部の住宅地などで、利用者が真に必要であるというのは、今まさに都議選をやっておりますけれども、東京を回ってみても、ちょっと見てください、この郵便局は本当に大事なんです、これは統廃合になりませんか、こういうことになるわけでありまして……(発言する者あり)今、それはなくなるんだ、こう言いましたけれども、私は、そんなことはないと。だからこそ、地域の皆さんとしっかり協議をして、そのニーズが十分把握できるような、そうした規定にならなきゃならぬのだろう、こう思っております。

 何度も言いますけれども、私は、全く手がつけられないというようなことでは、民営化する意味はないと思っております。ただし、配慮という、それはまさに与党の中でぎりぎり議論いたしまして、そこは合意事項になったわけでありまして、都市部においても配慮する。この配慮の規定、それはまさに、定性的に、あるいは地域を特定して、ここは大事だというものがしっかり判断される、そういう規定ぶりになっているんだろう、またならなきゃならぬし、そういう配慮が要るんだろうというふうに私は思っておりますが、竹中大臣、重ねて御答弁をいただきたいと思います。

竹中国務大臣 桝屋委員おっしゃいましたように、国民の利便性をしっかりと確保するということは、これだけ大きな改革ですから、国民の皆さんの御理解を得ながらしっかりとした改革を進めていく上で絶対に重要なことだと思います、極めて基本になることだと思います。そうした観点から、政府・与党の間でも熱心に御議論をいただいて、そして、この法律の考え方に至っているわけです。

 もう言うまでもありませんけれども、まず、郵便局会社法の第五条で何と書くかというと、あまねく全国において利用されることを旨として郵便局を設置すること、これを法律上義務づけるわけでございます。

 具体的な省令は、設置基準を省令で定めるわけですけれども、その場合は、特に過疎地については、法施行の際現に存する郵便局ネットワークの水準を維持することを旨とするということを規定する。さらに、都市部についても国民の利便性に支障の生じることのないよう配慮する、こういう与党との合意を踏まえて我々は省令をつくってまいります。

 これは、都市の場合も、過疎地について、法施行の際の現状のネットワークを維持するということですが、例えば都市においても、人口の空洞化でありますとか高齢化が進んでいる地域があるということを念頭に、やはりきめ細かく配慮した設置基準をつくらなければいけないと思っております。

 その設置基準、省令の内容についても、国会で申し上げているとおりでありますけれども、繰り返しになりますが、過疎地については、現に存する郵便局ネットワークの水準を維持することを旨として、さらに三つの基準を定めます。この三つの基準は、公社の今の郵便局も設置規則があるわけでありますけれども、それと同様のものにする。

 具体的に言いますと、地域住民の需要に適切に対応することができるように設置する。いずれの市町村についても一以上の郵便局が設置されていることにする。交通、地理その他の事情を勘案して地域住民が容易に利用することができる位置に設置されていることとする。過疎地については、過疎地域自立促進特措法のほかにも、離島振興法や半島振興法、山村振興法をそれに加えて定めることにする。

 繰り返しになりますが、都市を含む過疎地以外の地域についても、先ほど言いましたような設置基準、今ある設置基準と三つの点、遜色ないようなものにすることによって、きめ細かく対応ができていくようになるというふうに私は思っております。

桝屋委員 今、大臣の御答弁で、まさに政府・与党の合意、都市部についても国民の利便性に支障の生じることのないよう配慮する、この合意の具体的な実行について御説明をいただきました。都市においても人口の空洞化あるいは高齢化が進んでいる地域があることを念頭に進めていくんだ、こういうことでありますから、私は、この委員会での議論の中で、恐らく野党の皆さんもこの点は随分議論されると思います。この内容については出口部分までしっかり見守っていきたい。

 そこで、あわせて、あと五分しかありませんのでまとめて質問いたします。

 先ほどの野田委員の質問の中で、まさに、郵便局の定義、名前は変わらないけれども事業の内容が変わってくるじゃないか、郵便窓口会社の営業所になるんだということで、金融サービスの部分について議論がありましたけれども、答弁の中で明確に、今までの貯金あるいは為替、振替、さらには簡保などのまさに個人、小口の金融のサービス、こうしたものがなくなるのではないかという国民の不安、これに対してどうお答えになるのか、もう一回重ねてお答えをいただきたい。

 それからもう一点。我が党内でもよくある議論ですが、福祉定期と言われる障害者や遺族の方々等を対象とする上乗せ利率を適用した定期郵便貯金など、介護もありますけれども、特にニュー福祉定期については現在でも百二十四万件、二兆円以上の塊があるわけでありまして、こうしたサービスについて、十年の移行期間がありますけれども、こうした中で、まさに個人向けのサービスが低下するんじゃないか、こういう国民の声があろうと思いますが、お答えをいただきたいと思います。

竹中国務大臣 繰り返し申し上げていますように、国民の利便を確保することは、これはもう極めて重要である、いわばそのための改革なわけですから、その際に、窓口で身近な金融の業務がしっかりと受け続けられるかどうかというのは、これも与党との話し合いで大変重要なポイントでございました。そういう合意を踏まえまして、今度の法案及び制度をつくっております。これは、しっかりとした金融の、この金融のサービスというのは、いわゆるユニバーサルの提供義務は課さないけれども、しかししっかりと担保されるよというような仕組みにしております。

 これは何段階かのレベルに分けてお考えいただきたいと思うんですけれども、まず、移行期間中、民営化して最初の間は、これは郵便貯金銀行と郵便保険会社に対して金融庁がみなし免許を出すわけですが、そのみなし免許を出すときの条件として、長期安定的な代理店契約があることというのを条件といたします。したがって、実態的には、郵便窓口会社と、そして郵便貯金、郵便保険会社の間でそういう長期の委託契約が結ばれて、そこで全国で展開される、全国でサービスが提供されるようになる。

 さらに、その期間が、移行期間は十年ですけれども、それを超えて長期になることは妨げるものではないということで、そこは経営の判断で、必要に応じてそれが長期になるというような仕組みも担保しています。

 移行期間が終わった後どうなるかということなわけですけれども、これは常識的に考えて、郵便貯金銀行も郵便保険会社も十分な窓口というのを自分では持っていないわけですから、やはり引き続き、当然のことながら委託する、そういうビジネスモデルを展開していくだろうというふうに合理的には予想されるわけでありますし、郵便局の窓口にしても、そういうサービスを提供することが地域住民に対して必要だろうということでありますから、ここはやはり経営の合理的な判断として続くと思います。

 しかし、それでも、そういう過疎地などの一部の郵便局でそういう金融のサービスができなくなるような場合があるのではないか、そういう御懸念に対して、ならば、そういうことに対応できるように社会・地域貢献基金をつくろう、そして、その基金を活用してそういうサービスが間違いなく担保されるようにしよう。二重、三重の仕掛けで、しっかりとした国民の利便が保たれるような仕組みをつくっております。

 もう一点、桝屋委員から御指摘のありました幾つかの点、ニュー福祉定期貯金等々、介護貯金等々、御指摘のように、これは今提供されているわけでございますけれども、銀行法上の銀行になります民営化後の商品サービスの内容は、現在同様郵便貯金銀行の、これも現在同様経営判断によるものでありますけれども、全国のネットワークと地域の顧客の信頼が郵便貯金銀行の強みとなることから、これを維持することが合理的になるというふうに考えられると思いますし、民間の金融機関においても類似の商品が経営判断によって提供されております。

 そうした点まで含めますと、引き続きこういうサービスもきちっと提供されていくものになるというふうに思っております。

桝屋委員 以上で質問を終わります。

二階委員長 次に、小沢鋭仁君。

小沢(鋭)委員 民主党の小沢鋭仁でございます。

 郵政民営化に関する特別委員会、総理初め関係閣僚に御質問をさせていただきます。

 質疑を聞いておりまして、まず、二つ申し上げたいと思います。

 総理、あるいはまた竹中大臣、るる法案に書き込んだ云々と言っておりますけれども、先ほども話に出ておりましたが、公社法を出したのは総理自身であります。そして、その計画期間二年で、今度、新たな法案を出しているわけであります。俗に言う朝令暮改というのは、こういうことを言うんです。先ほど来、法案に書き込んだ、書き込んだと何度も竹中大臣は言っているけれども、書き込んだって、また法律を変えたら同じじゃないですか。朝令暮改というのは、国民が法だとか規範を信頼できなくなるからそれはやってはいけないという故事ですよね。本当に、先ほど聞いていてそう思いましたよ。

 それから、総理、もっとひどい話は、小泉さんはどうせ来年の九月までだ、やめたらまた変えればいいんだからと言っている人たち、いっぱいいるんですよ。これも朝令暮改だけれども、そんな話はばからしくてやっていられませんよ、こちらは。

 いいですか。先ほどの決意だとかそんなのはどっちでもいい。この朝令暮改に関してはどうお考えなんですか、総理。

小泉内閣総理大臣 それは、郵政公社のままがいいという考え方と、郵政公社は民営化の一里塚という考え方とは違います。それはわかっていただきたいと思います。

 私は、この郵政公社、今、民営化に備えていろいろ体制を整える準備をしていると思いますし、郵政公社よりも民営化した方がいろいろなサービス展開もできるし、さらには、今後の新しい時代にいろいろな事業展開もできるだろうと。今後、小さな政府、効率的な政府、また、新しい時代に対応できるような民間のサービス、役所の役割ということを考えれば、民間にできることは民間に任せて十分できる事業だということから言っているわけでありまして、公社法を出したとき、これは公社で出したけれども、これを変えちゃいけないという案ではありません。

 法律というのは国会で制定しているものであります。国会議員が反対だったら法律にならないんです、多数が反対だったらば。その辺を国会で審議していただく。賛成論、反対論、いいですよ。しかし、公社のままがいい、そういう方と、いや、民営化がいいということについては、法案を出しているわけですから、その点については、私は、十分、今の公社に対して民営化がいいという法案を出す中で議論は展開されればいいと。

 朝令暮改と言いますけれども、一つの法案を出して、これを変えてはならないという規定はあったとしても、時代の要請にこたえて変えなきゃならない法律もあると思います。それが今回の、公社よりも私は民営化の方がいいということで、法律を変える案を出しているわけであります。(小沢(鋭)委員「もういいです」と呼ぶ)

 いや、それともう一つ質問がありましたね。いいですか。

小沢(鋭)委員 いや、朝令暮改のことを聞いたんです。先ほども申し上げましたけれども、民営化の必要性とかそういう話はもうさっき聞きましたから結構です、こう申し上げました。

 ただ、時間もないのでもう一つだけ言いますが、総理は先ほど、公社法を出す前から自分はもともと民営化だったんだ、だけれども、周りがみんな反対だからやったんだ、こう言ったじゃないですか。今の答弁は何ですか。今の時流を考えたらばこちらの方が正しいと思ったとか、こう言っているわけじゃないですか。だから、そういうふうにいいかげんな答弁をしてはいけない。(発言する者あり)そう、誠実じゃないんです。そこをぜひわかってもらいたいんですけれどもね。

 もし、前に本当に自分はそう思っていたけれどもできなかったんだと、だったら、ああいう、この二年間働いていた郵政公社の職員や生田さんやみんな努力した人に、悪かったね、この二年間はと謝ってから出してくださいよ。

小泉内閣総理大臣 私は前から民営化がいいと思っておりました、公社法を出したときの状況から。しかしながら、国会というものがあるじゃないですか。それは、議論をして、そこで、議員というのはいろいろな意見を聞かなきゃならない。少数意見は国会で可決されません。多数意見で通るわけであります。

 しかしながら、当時は、私としては、あの状況においては、民営化を行わないという規定がありますから、そういう点も尊重しながら、まず公社、それから民営化を考えればいいなと。あるいは、少し辛抱強く、根気強く、国民の理解を得られるような努力をしていかなきゃならない一つの段階だと思っております。政治家なら、一挙に進めなきゃならないときも、いろいろな反対やら抵抗があれば考えるでしょう。

 そして、ようやく公社になって、公社が真っ向サービス等を始め、生田総裁のもとで努力を始めて、これからも、民営化になった場合にも、その競争に耐えられるような体制にしていこうという状況になってきた。そして、私も総理大臣を四年間務めて、外堀、内堀を埋めて、その基盤が出てきたなということで、そういう段階を踏んで忍耐強く進めてきて、ようやくここまで来たんですよ。それもやっぱり御理解いただかなきゃ。

小沢(鋭)委員 今のは強弁といいます。もう本当に、そういった意味では、総理、あなたは日本のトップです。まさにトップたる人が、そういう朝令暮改もそうだし、また、前のことを翻って言い張ったり、そういうことをすべきではないと私は思っておりますし、法の精神というのは少なくとも大事にしたい、こう思っているのが民主党でありますので、まずそのことを申し上げて先に進みます。

 それから、答弁が、インチキな答弁がありました。先ほど、委員長のもとに行きましたが、限度額の引き下げのときに、総理は、民営化の話が、私が言ってから初めて限度額の問題が出たではないか、こういう言い方をしました。そんなことはありません。

 今ちょうど議事録を調べさせているようですが、三年前、あなたの目の前で、岩國さんはその提案をしています。いいですか。民主党はそのときからそういう提案をしているんです。そして、政府の答弁で、片山大臣は反対だと言った。あなたは与党の中からだれも賛成はいないと言ったけれども、柳澤さん、柳澤さんは当時、そういう考え方もあると、そう言ったんでしょう、答弁で。そういう話になっていますよ。これはインチキ答弁です。撤回してください。

小泉内閣総理大臣 それは言葉じりをとるたぐいじゃないですか。

 私は、全体の論議の中で、自民党の中で、私が郵政大臣のときに限度額を引き上げる必要がないと言ったときは猛反対があったんですよ。そして、この国会の場で、自民党議員が限度額を引き下げろという議論なんか一つもなかったんですよ。そういう全体の状況の中で言っているわけで、それは、一語一語、これは国民だって、みんなそんな反対だといったって、みんな反対なんかありませんよ。

 大体の人が反対のときはみんな反対しているということ、それ一語一語で言ったら、それは民主党議員が撤回しろと言うなら撤回しますよ。しかし、それを……(発言する者あり)いや、それは、民主党議員が言っていないと、もし間違いがあったら撤回しますけれども、それ一語一語言葉じりをとらえて、みんなじゃないと言うんだったら、それは事実誤認があった場合は撤回するのにやぶさかではございません。しかし、一つ一つ言葉を取り上げて、これはそうじゃない、あれはそうじゃないと。それは、よく国会議員が使う言葉じゃないですか。みんなと言ったら、みんなじゃないというのは確かにそうですよ。それはやはりよく考えていただきたい、また御理解をいただきたいと思います。

小沢(鋭)委員 テレビで国民が見ていてわかっていただいていると思いますが、これも二つだけ申し上げます。

 一つは、国会で堂々と行われた議論ですよ。議事録は今手元に来ましたけれども、そういった議論であったということが一つ。

 それから、限度額の引き下げの問題は、後ほど申し上げようと思っておりましたが、いいですか、この郵政の問題で私どもが最も重要だと思っているのは、先ほど三百二十兆というお話が出ましたかね、ざっくり言って三百四十兆、この資金をどうするかという話なんですよ。

 小泉総理のおっしゃっている行革の本丸だなんというのはインチキですよ、これは。行革には何も関係ない。後からちゃんと申し上げますけれども、その三百四十兆の金をどうするのかというのが実はこの郵政問題の本質なんですよ。だから、これは言葉じりではないんです、総理。これを言葉じりと言うことは、この郵政問題の本質を全く理解していないと私は思わざるを得ません。

 まずそういう話を踏まえて、中身に入らせていただきたいと思います。

 とにかく、勉強すれば勉強するほど、この法案は奇妙きてれつ、複雑怪奇、法案として本当にできが悪い法案だと思います。それを一つ一つ、きょうは私の時間の許す範囲で解きほぐしていきたいと思いますし、後ほどまた仲間もやっていただける、こう思うわけでありますが、冒頭、民主党とか我々はどう考えているかということをよく言われますから、はっきり申し上げておきます。国民の皆さんにも聞いておいてもらいたいと思う。

 まず、現状の約二万四千の郵便局ネットワークは国民にとって大事な財産だから、これは必ず維持する、これが第一です。それから、問題は、先ほども申し上げたように、三百四十兆の資金のこの問題だというふうにとらえています。そのためには、肥大化し過ぎているので、これを減少しなければいけない、縮小しなければいけない、こう我々は既にマニフェストでも訴えています。

 ただし、後ほどこれも申し上げますが、住宅金融公庫だとか、庶民の暮らしに直接関係がある中小企業金融公庫だとか、そういった政策金融の部分も必要な部分は残さなければいけない、こう思っています。いわゆる公的金融の部分は、やはりこれは最小限にしなければいけないけれども、必要なものは残さなければいけないと思っています。

 それから、急激な民営化などという話は、国際市場等に無用な混乱を引き起こすから、プラスにはならない、こう思っています。先ほども出ておりましたが、民営化ではなくて、公は公の仕事をしっかりやる。いいですか、国民は、官は官の仕事をしっかりやりなさい、民は民で頑張るから、そう言っているんですよ。郵便局で、郵便局のまさに仕事が拡大して、パスポートをとれる、住民票をとれる、それから印鑑証明をとれる。これからますます市町村合併が進んで役場が少なくなる、そういったときに役場の出先機関で使えばいいじゃないか、そういった公的サービスを充実させる。公社の今の改革の中で、まさにそういったことを充実させながらやっていく、これが我々の基本的な考えです。

 まずそれを申し上げて、質問に入ります。

 まず、庶民の暮らしに関係したところから申し上げます。これは、民営化したら郵便は安くなるんですか。

竹中国務大臣 基本的に、今、郵便の取扱量というのは、年間二・五%とか、かなりの量で減少しているところでございます。これは、今後、Eメール等々の普及でさらにこれが加速するという可能性があるわけですから、十年で三割ぐらい減るという中にございます。そういう中で、やはり生産性を相当上げていただかないと、これが郵便料金にはね返ってくるということは当然のことながら考えられます。

 国鉄の例等々をよくお話しさせていただきますが、国鉄も民営化される前はやはり値上げの連続であった、しかし、民営化をして、しっかりとした経営のガバナンスのもとで経営効率を改善していただいて値上げがなくなった、その間の物価上昇を考えると実質値下げになったということでございます。

 郵便の料金そのものは、もちろんこれからいろいろ経営努力をしていただくわけでございますけれども、そうした中で、取扱量が下がってもできるだけ値上げをしないように、結果的に実質的な価格が下げられるような努力が当然進められるというふうに思っております。

小沢(鋭)委員 民営化したらどうなるか、こういうことを聞いたので、民営化して郵便料金が安くなるという話だったら国民は喜ぶと思います。

 ここにあるのは、竹中さんたちがいつも使っているドイツ・ポストですよ。物価上昇率より上がってきていますよ。EUになって、最近若干下がっているけれども、これは全然別な理由ですよ。それと、フランスのシラク大統領は、民営化をすると郵便料金が高くなるから我が国では行わないとはっきりと公言していますよ。民営化して郵便料金が高くなったらしようがないじゃないですか。こんな改革は国民は喜びませんよ。

 次に、もう一つ聞きます。

 きのう、私は、質問の準備をしていて遅くなって、いわゆる銀行の窓口が閉まっちゃった六時半くらいになりました。国会の中で預金をおろしました。手数料を取られます。百五円ですよね。これは、いいですか、当たり前だと思っているけれども、ほとんど、ほとんどじゃない、全部の銀行が手数料百五円ですよ。郵便局でおろせばよかったと思った。なぜか。郵便局は幾らだか、総理、御存じでしょう。どうですか。

小泉内閣総理大臣 郵便局は手数料を取っていないと私は聞いておりますが、どうでしょうかね。

小沢(鋭)委員 そのとおりであります。私は、正しいことをおっしゃったときはそれをちゃんと認めたいと思います。そのとおりであります。

 それで、いいですか、なぜそうしているかですよ。なぜそうしているか。郵便局は、庶民の金融なんですよ、庶民の貯金なんですよ。簡保も庶民の保険なんですよ。庶民が負担をしないように、そこで頑張っているんですよ。銀行はそうではないんですよ。どこで頑張るか。これは、竹中大臣は先ほど来、一般銀行、一般保険、銀行法の適用がありますからとかそういう話をしているけれども、そういう質の金融ではないんだというのが我々民主党の思いです。庶民の貯金、庶民の保険、これが公的サービスの、国民にとって必要最小限の権利ですよ。これは権利なんです。

 郵便のユニバーサルサービス、金融のユニバーサルサービスの話を聞きます。

 いいですか、アメリカが何か総理に一生懸命、これは民営化しろ、こう言っている、こういう話があります。本当かどうか、私は知りません。新聞にそう出ています。しかし、アメリカは、御承知のように、郵便は公社ですよね。こう言っているんですよ。これは二〇〇三年の報告書。民営化は郵便サービス及び民間市場を混乱させるおそれ、また、単一の民間企業がユニバーサルサービスを提供することは不可能、むしろ、公社を公的な機関として維持し、業務内容の再検討、組織の見直しにより、効率性と将来への適応性を向上させることが望ましい、こう言っているんです。

 これは、総理、どういうふうに考えますか。

小泉内閣総理大臣 これは、郵便事業を見ても、アメリカの例を見ても、ニュージーランドの例を見ても、確かに、民間でできない分野、公的機関がかなり関与しなきゃサービスが展開できない部分はあると思います。

 そういう面もあるからこそ、今回、郵便事業に対しましては、株式完全処分ということでなくて政府が株式を保有する、同時に、民間と同一の条件で、このまま郵便事業がどんどん減っていく中で、果たして現在の郵便事業が赤字になって、そのまままた税金で負担するようなことにならないような状況も考えていかなきゃならないということで、その辺は設置基準にしても十分考えている。

 全然採算がとれないから廃止するということじゃないんです。採算がとれない分野でも、国民がどうしても必要な分野についてはサービスを展開するような措置をとっているわけであります。

小沢(鋭)委員 総理も郵便のユニバーサルサービス化の必要性はお認めになった、こういうことだと思います。だったら、公社でいいじゃないですか。何でわざわざ民間にしなきゃいけないんですか。その説明は何もありませんでしたよ。

 それから、先ほど、このままいったら経営が立ち行かなくなる、こういう話がありましたが、それは保険を含めて、金融を含めて後で僕が言いますから。これは、ついこの前まで、いいですか、政府は、例えば骨格経営試算、これは二〇〇四年の十一月十七日、それから採算性に関する試算、これは二〇〇五年の二月二十四日ですが、骨格経営試算等々ではこんなことは何も言ってなかったですよ。

 要は、一兆円を稼ぐ企業というのは日本に何社あるんですか。昨年のまさに公社の黒字は約一兆二千億ですよ。一兆二千億稼ぐ企業が将来つぶれるかもしれないという話だったら、全部の企業を心配しなきゃいけなくなるんじゃないんですか、日本は。だから、それは、あくまでも後づけの議論だと私は思っています。

 それから、もう一つ申し上げたいと思います。

 さっきから社会貢献業務とかおっしゃっていますから、そういう話はまさに公しかできない話なんですね。全然総理の、いわゆるこれは民営化にしなければいけないという理屈になりません。私は、だったら公社でいいじゃないかと思うし、聞いている、テレビを見ていてくれる国民も多分そういうふうに感じているんだと思いますね。説得力が全くありません。

 金融の話を聞きます。

 さっきも申し上げましたが、いわゆる設置基準という話がありました。竹中大臣、はっきり聞きますが、いいですか、法律で明記しないんでしょう。どうやってこれを保証しているんですか。どうやって保証するんですか。答えてください。

竹中国務大臣 お答えさせていただきますが、その前に、ちょっと先ほど、我々の対応につきまして少し誤解があるようでございますので、その点はぜひ訂正をさせていただきたいと思います。

 経営状況について、骨格経営試算とか収支の試算等々で将来の経営が厳しくなるというようなことは言っていないではないかということでございますが、そんなことはございません。今、御紹介いただいた骨格経営試算とその後の収支の中で、幾つかのケースをお示ししております。

 極端なケースで申し上げますと、今、長短の利ざやが一・三%ぐらいで、そこの利ざやがあるからこそ、ほかの郵政の一・二兆円の大きな利益を稼ぎ出しているわけですが、その一・三%が一%に低下したとする、ちなみに、この一%というのは過去の平均でございますが、そうなるだけで、実は、この郵政の利益の全体がなくなってしまいます。その意味で、これまでの議論の中で、私たちはそのような政府としての議論をこれまでしております。

 骨格経営試算についても、収支試算についても、今委員が引用くださいましたので、その引用してくださいました試算の中でそのようにお示しをしているということでございます。

小沢(鋭)委員 では、ぜひそれは委員会に提示をしていただいて、堂々と議論をさせてください。

 そこで、私は申し上げたいんですが、いろいろな前提を置けばいろいろな結論が出る、幾つかのプランを出した、こういう話でありますけれども、少なくとも一年くらい前までは、郵政公社が先行き立ち行かなくなるという話は全く聞いていなかった。新聞紙上もほとんど出ていないということですよ。

 いずれにしても、委員長、これは委員会に提出をしていただいて、堂々と議論をさせていただきたいと思います。

竹中国務大臣 それでは、お尋ねの設置でございますけれども、まず設置について、我々は、まず拠点をしっかりと確保すること、これは郵便局をしっかりと設置すること、その上で、そこでしっかりと金融サービスが提供されること、そういう仕組みを両方用意することが重要だと思ってこの枠組みをつくっております。その意味で、設置については、あまねく全国において利用されることを旨として郵便局を設置することを法律上義務づけております。

 その上で……(小沢(鋭)委員「どこですか、法律の」と呼ぶ)これは法律でございます、郵便局会社法の第五条でそのことを明記しております。

 その上で、まず……(発言する者あり)ちょっと、説明しているから聞いてください。

 まず、設置基準でありますが、これは省令で定める。その省令については、先ほども答弁で申し上げますとおり、その内容について考えておりますのは、過疎地については、法施行の際現に存する郵便局ネットワークの水準を維持することを旨とすることを規定する考えでございます。また、都市を含むその他の地域については、今の公社法の設置基準で定められている三つの条件、それと遜色のないものを出す、それによって郵便局、拠点がしっかりと確保されるということがまず重要でございます。

 その上で、金融がどのように提供されるかと。

 金融について、ユニバーサルサービス義務の義務づけはいたしておりませんが、結果として国民の利便になるような仕組みを段階的にとっております。

 まずは、銀行と保険のみなし免許付与の条件としまして、移行期間を十分にカバーするような長い安定的な委託契約があることを条件として、それで初めて免許を出すということであります。加えて、この長さは移行期間を上回ることを妨げるものではありませんので、その点でもカバーされる。加えて、その後につきましても、いざというときは基金を活用できて、基金の活用のもとで、社会貢献として、金融のサービスが必要があれば一定の手続を経て提供できるように、しっかりとした仕組みをつくっているわけでございます。

小沢(鋭)委員 設置基準はそういう話なんでしょう。

 先ほども申し上げましたが、金融です。竹中大臣も今、金融はいわゆる法に明記をしていません、こうおっしゃいましたね。これで間違いないですね。金融のユニバーサルサービスは法で義務づけていないんですね。

竹中国務大臣 我々の基本的な考えは、金融という信用を背景とするもの、その会社に対しては国の関与がないように、商法の一般会社、つまり一般の銀行にするということでございます。一般の銀行でありますから、それを国が何か義務づけるというようなことは当然いたしません。

小沢(鋭)委員 これは他党のことだから、僕がとやかく言うのも変かもしれませんが、いわゆる与党の中で議論をして、実質的ユニバーサルサービスを確保する、そういう話を決めたんじゃないんですか。違うんですか。では、違うんだったら、はっきり国会の前で言ってください。与党の皆さんに聞こえるようにちゃんと言ってください。

竹中国務大臣 先ほど申し上げましたように、法律で金融のサービスを義務づけるというような直接的な記述はしておりません。しかしながら、金融のサービスが重要であるということは、これは政府・与党一致した考え方でありますので、それに関して、例えばですけれども、法律について言うと、先ほど言いましたように、長期の安定的な契約があることを認可の条件として義務づけているわけでありますから、そういう形での義務づけを行っているということでございます。

 また、基金を活用する際にも、その地域から、社会貢献として地元からの意見を聞く、その地元からの意見を聞くことを、それを尊重することを義務づけているわけでございますから、そのような形で法律の中で織り込むべきことは織り込んで、しっかりと金融のサービスが提供されるような仕組みをつくっているということであります。

小沢(鋭)委員 さっきから後ろからも応援のやじが飛んでいますが、法律で義務づけていないんですよ。いわゆる安定的な代理店契約や基金で、実質的にということでしょう。これは、いいですか、金融機関がみずからそれを求めたときにそうなるんでしょう。そうじゃないんですか。そこをはっきりさせてくださいよ。

竹中国務大臣 大変重要なところでありますので、ぜひ丁寧にお話をさせていただきたいと思います。

 公社は、二〇〇七年四月に民営化をするということを我々は予定しているわけですが、二〇〇七年三月三十一日までは公社として貯金の受け入れ、簡易保険の販売等々、業務をしているわけです。それで、三十一日から四月一日になる時点で、普通、銀行の免許というのは免許を申請して審査するということでございますけれども、これは実際にもう実態としてそれを行っているわけですから、こういう場合は銀行法でみなし免許というのを出します。

 みなし免許を金融庁が出すときの条件として、これは免許を出すに当たって、通常の場合もこういうことをしなさい、ああいうことをしなさいという条件がつく場合があるわけでございますけれども、その条件として安定的な代理店契約があるということを義務づけているわけでございます。つまり、設立されます郵貯銀行、簡易保険会社というのは、これは少なくとも当面は直接の店舗を持たない形、持たない銀行、保険会社でありますから、経営が金融行政上安定的に行われるようにそれを担保するということを、金融行政上の判断としてこの長期の安定的なものを義務づける、そのことは法律に明記されております。

小沢(鋭)委員 安定的な運用というのは、竹中大臣、貯金会社や保険会社が安定的な運用をできる、こういう意味で安定的でしょう。そうですよね。

竹中国務大臣 みなし免許は銀行に出すわけでございますから、当然、銀行ないしは保険会社が、金融の観点から安定して経営できるように、その免許の条件としてそれを義務づけているということであります。

小沢(鋭)委員 民間のその銀行が安定的に自分の経営をしていくために、ここはもう支店は要らないよね、ここに代理店は要らないよねという判断をしたらどうするんですか。それでドイツは、いいですか、ドイツ・ポストは八五%その代理店契約をやめちゃったんじゃないですか。それからイギリスは、まさにそういうことで三百五十万人の人が、田舎の人たちが金融口座を持てなくなった、だから年金や何かを受け取れなくなった。金融排斥、金融排除、これが民営化した国で起こっている話じゃないんですか。

 では、何で法律で義務づけないんですか。法律で義務づければいいじゃないですか、そこまで言うんだったら。

竹中国務大臣 これは、公社から民間の会社になるときに承継計画をつくるわけでありますけれども、その承継計画の中でそういったことの詳細が明らかにされていくことになると思います。

 二点申し上げます。

 まず、この郵便貯金銀行というのは、きのうまで、三月三十一日まで、民営化の前日まで、全国津々浦々にあるネットワークを活用して、そこでまさに預金を集めてそれを運用する、そういうビジネスモデルの中で成り立ってきたものなわけです。それが安定的にさらに経営していくわけですから、当然、そういうビジネスモデルを前提にしないと、これは金融庁としてみなし免許は出せないということになろうかと思います。

 つまり、東京と大阪にだけ委託をします、そんな計画をもしも仮に出したとしたら、それはこれまでのビジネスモデルに基づく安定的な経営に当然反しますから、金融庁としてそういうものに対してみなし免許が出せることにはなりようがありません。したがって、しっかりと、山間僻地まで含めて、全国津々浦々のネットワークをカバーするような安定的な契約が当然のことながら条件になるというふうに考えられます。同時に、これは、承継計画そのものは主務大臣の認可にかかりますので、そういう観点からもしっかりその点はチェックをされるということでございます。

 それでは、金融をなぜ義務づけないのかということでございますが、私たちは、金融というのは国の絶対的な信用を背景としてやるべきものではないというふうに考えているからです。金融というのは、基本的に信用が非常に重要です。そのときに国という絶対的な信用を背景にしてビジネスをするということではなくて、民間の純粋な銀行、商法の一般会社、そして銀行法が適用されるしっかりとした純粋な銀行になっていただこう、純粋な民間の銀行である以上、それに対して政府が何か特別の義務づけをするべきではない、これは金融に対する私たちの考え方でございます。

小沢(鋭)委員 これは、テレビを見ている人もわかると思うけれども、いいですか、東京、大阪だけのものは免許を出さないなんというのは当たり前ですよ。やはりそこは義務づけなければ、まさに政府が、地方の郵便局もちゃんと金融サービスを受けられるんですよ、おじいちゃん、おばあちゃん、年金の口座は郵便局で今までどおり受けられるんですよと、そういう話は言えないですよ。

 片や、今言っているのは、国のそういう信用でやってはいけないんだ、普通の銀行になる、普通の保険会社になると言っているんでしょう。そうでしょう。それを目指すんでしょう。二年後ではなくて、十二年後の完全民営化のときは、そこまでに行く間に、さっき僕が申し上げた、イギリスで三百五十万人の人が金融口座を持てなくなった、あるいはドイツでまさにそういう話が起こった、八五%のところの代理店契約が失われた。そういうことが十二年後の完全民営化後、保証できるんですか。私は今の話を聞いて、保証できないと思いましたよ。保証するんだったら法律に明記すべきですよ。法律で明記するような貯金会社や銀行は普通の民間企業にしてはいけないんですよ。

 あなたが言っていることは、片や普通の銀行にする、片や、だけれども、それは法律には明記しないけれども保証する、ユニバーサルサービスはやらせる。これはだれが聞いてもおかしいですよ。

竹中国務大臣 小沢委員のお話を聞いていますと、やはり、市場経済、市場というものに対する根本的な認識の差があるのかなというふうに思います。

 十年後に何が起こるか。このサービスが提供されるのか、十年後に私の家の近くで服が売られているのか、米が売られているのか、どうなるかわからないから法律で義務づけろというようなことには当然ならないわけです。私たちが必要なものは、需要があるところには、しっかりとそこは市場で提供されるという大原則があるわけです。その大原則のもとで、私たちはしっかりとこの枠組みをつくって、繰り返しになりますが、それでも過疎地等々でそういう必要なサービスが提供できないときは、社会的な貢献として地域の意見を聞いて、その地域の意見を聞くことをちゃんと義務づけるということを法律で定めた上で、その上で基金が使えるような仕組みにしているわけですから、二重三重にこの利便が保たれるということをしっかりと担保した制度になっております。

 よく御理解いただきたいと思います。

小沢(鋭)委員 市場経済に対する見方が違う、こういう話がありました。私は、かつて銀行員をやっておりました。商売をしてきた人間でもあります。経済学もずっと学んできた人間でありますが、今の竹中大臣の話は、私から見たら矛盾した話を入れている。一般銀行、一般保険会社、それに国の保証はつけられない、だけれども、さっき言ったいろいろな条件がついているから、法律で明記はしないけれどもユニバーサルサービスは確保できる。これはおかしいです。大臣、おかしい。いいです、これもまた後ほどいろいろな議論をするとして、このユニバーサルサービスは法律では義務づけないから、私は、十二年後はドイツやフランスのように危なくなると思う。

 それは、いいですか、さっきも申し上げたけれども、この郵貯銀行や簡保は庶民の銀行、庶民の保険なんですよ。私も銀行業務をやっていたからわかるけれども、普通の民間の金融機関は、もうからないところはやらないんです。だけれども、ここはまさに、ユニバーサルサービスをなぜかけなければいけないのかというと、さっき言ったような、田舎でどうするんですか、金融口座を持てない人たちが出てくるでしょう、そういった種類の金融というのもあるんじゃないですかと言っているんですよ。

 これは小泉さんと竹中さんの決定的な性格だと思いますけれども、まさに市場原理というのは、あなたの言っている市場原理は、強きを助け弱きをくじく、都市を助け地方をくじく市場原理ですよ。それは、確かに一般的な話ではそうかもしれない。しかし、何のために政治があるのかという話を言ったときに、庶民の暮らしを守る、地域を守る、そのために、必要最低限度の金融口座くらいは国民の最低限の権利として国民は持ってもいい、それを保証するくらいの、ユニバーサルサービスを保証するくらいのことはやはりあってもいいと私は思います。そういうふうに民主党は考えます。

 それから、時間がなくなってまいりましたので次に行きますが、この奇妙きてれつ、複雑怪奇の法案の一番のところは、郵便局会社、郵便窓口ネットワーク会社とかつて言っていた部分でありますが、これは貯金も簡保も郵便も実際今ある業務ですから、大体は私もイメージがわくし、国民もイメージがわくんだと思います。この郵便局会社はよくわからない。

 これは初めてだからよくわからない、こういうことかもしれませんが、これは後ほど同僚議員、五十嵐議員が質問をすると思いますけれども、この郵便局会社というのが、ある意味ではうまくいくかどうかの決定的な肝ですよ。この会社は何でもできるんでしょう、一定の基準を満たせば、さっき言ったコンビニだとか住宅リフォームだとか。でも、そもそも、大体何で住宅リフォームとコンビニが具体例に出てくるのかなと僕は不思議でしようがなかったけれども、何でもできるんですね。

竹中国務大臣 コンビニ、リフォーム等々、これは専門家の意見を聞きながら、あくまで試算のときの一例として出したものでございます。この局の会社、郵便局会社、まさに二万四千という全国でチェーンを連ねた窓口の会社でありますけれども、ここは地域のニーズに応じてできるだけいろいろなことをやっていただきたい、これは基本的にそのように思っております。

 しかし、当然のことながら、これは郵便窓口業務を行い、同時に地域の住民の利便に資するための業務を行う会社でございますから、その意味での特殊会社としての制約はあるわけでございますが、その範囲で、しかしできるだけ自由に、地元の声を聞きながら、地元のニーズに応じていろいろなサービスを提供していただきたいというふうに思っております。

小沢(鋭)委員 これは本当に、郵便配達をする人と郵便局の窓口にいる人が違う会社になる、それで、郵便貯金を扱う人と郵便会社の人というのは違う会社の人だ、これはやはりどう考えてもすとんと胸に落ちないです。何か総理もうなずいているけれども……(発言する者あり)総理も同じ意見だと言って、何かこれは参ったな、本当に。

 だから、要は、説明しろと総理が竹中さんに言っているけれども、学者の論理、机上の空論というのはこういうのを言うんじゃないですか。ちょっと説明してくれませんか。

竹中国務大臣 総理から、しっかり説明しろというふうに言われましたので。

 机上の空論というふうにおっしゃいましたけれども、例えばイギリス、民営化したイギリスの会社では、このような形で窓口会社というのが独立に現に存在しております。こういう形で、幾つかの機能を持つところについてその販売機能を切り分けて示すというのは、これはあり得ることだと思います。

 これは一種の製販分離だというふうに私は思うんですけれども、例えば、トヨタ自工というのは自動車をつくって、トヨタ自販というのはその販売を行った。郵便銀行については、銀行の資産運用等々の銀行本体の業務は郵便局会社で行いますが、窓口としての預金の受け払い等々は、これは窓口会社で行う。現実に、実は保険は大変わかりやすいわけですけれども、保険、特に損保等々は、保険会社が売っている分というのは極めて少なくて、ほとんどが代理店で売られているわけでございますから、その意味では代理店等々を活用してこのように売る。

 いわば、いろいろなところから仕入れて販売している会社、そのようなイメージでとらえていただくのが一番よいのではないかと思います。

小沢(鋭)委員 総理、わかっていただけましたか。何か余り、うんと力強いうなずきがない。これはやはりわからないんですよ。そして、イギリスもたしかそんなにもうかっていないんじゃないですかね。武家の商法、まさに机上の空論、その典型なんじゃないですかね。

 あと、では、一般的な話じゃなくて、金融的にこれは大変な問題を抱えているのは、竹中大臣や伊藤金融担当大臣、おわかりでしょう。今、垣根問題ですよ。

 これは窓口ネットワーク会社を使って垣根問題を取っ払うんですか。勘がいい人はすぐそう思いますよ。十年後、これは窓口ネットワーク会社は何でもできるんでしょう。今、生保の銀行の窓販問題がありましたね。こういった金融のいわゆる抜本改革、これを窓口会社を使ってやるんじゃないか、私は直観的に思いましたよ。直観的に思った。そうしたらば、最近、新聞を見たら、公社にみんなそういった金融機関の人たちがあいさつ回りで、こんなに名刺がたまっているんだと。

 総理、いいですか。総理は官から民へと言ったけれども、完全に官の金融支配ですよ。総理、どうですか、この私の意見。

小泉内閣総理大臣 官の分野、どうしてもしなきゃならない分野と、そして今、郵便局で郵貯あるいは簡保、この事業に不便を来さないような形で窓口サービス、いわゆる郵便局株式会社を設けるわけでありますが、その点については、この垣根の問題も大事な問題でありますけれども、国民の今まであった郵便局のサービス提供に支障がないような措置を設けている。具体的に言えば、社会・地域貢献基金とか。

 と同時に、これは委託の問題もあると思いますが、代理店の問題、それは専門家だから小沢さんはよく御存じだと思いますけれども、そういう点について、今後とも、国民に対するサービスと民業圧迫にならないような措置というものは極めて重要だと私も認識しております。

小沢(鋭)委員 総理の気持ちはうそ偽りないと思いますが、そんなのんきなことを言っていられる問題じゃないんです。この問題はコントラバーシャルな問題で、大変な問題なんですよ。そういう話が実はひそかに組み込まれているんじゃないですか。だから、僕がさっき言ったんですよ。総理がのんきな父さんをやっている間に事務方に全部組み込まれている、そういう問題が起こり得るんですよ、総理。

 そこはやはりもうちょっと深刻に考えないと、さっきから申し上げているように、官から民へなんて総理がのんきなことを言っている間に、民の金融支配を官がする、それができるかもしれない。それは、だから、ずっと官営でやっていくわけじゃないんだからという問題も、ある意味じゃはらんでいるんだと。こういう話を考えたときに、ちょっとこれは深刻に考えた方がいいと僕は思いますね。総理の単純素朴な官から民へという話だけじゃ済まないと僕は思っているんです。

 それで、最後になりましたが、先ほども共同通信の世論調査の話が出ていましたが、私の手元にNHKの世論調査があるんです、五月の世論調査ですが。これはさっきとほとんど同じですね。この国会での法案成立にこだわらず議論を尽くすべきだが五五%、郵政民営化を進める必要はないは一五・五%、ぜひ成立させるべきだが一九・八%、こういう話なんですが、約七〇・五%の人が、この国会でこの法案をどうしてもやらなきゃいけない、こういう話ではない、これが国民の意見です。

 さっき私が幾つか紹介して、実は、まだこんなに山のようにあるんですけれども、その中の五分の一もきょうは質問できませんでしたが、そういう論点もいっぱい残っています。この国会でそんなに無理してやる話ではなくて、国民世論に耳を傾けて、もうちょっとじっくりといろいろなことを検討された方がいいと私は思います。もちろん、その前に年金改革だとかなんとかをやってくれ、こういう庶民の声もあるんだ、そういうことですから、この郵政民営化はまだまだこれだけ論点があるのにやっている場合ではない、こう思います。

 いいですか、私の地元の先輩議員、これは御党の先輩議員でありますが、御党の所属の議員でありますけれども、その議員が、今回の郵政民営化について、小泉さんはドン・キホーテだと言っているんですよ。

 ドン・キホーテ、これはセルバンテスの小説ですよね。ドン・キホーテ、私もどういう話だったかな、こう思ったんですが、ドン・キホーテは空想と現実がわからなくなっちゃったんです。騎士道精神に燃えて、悪気はないんです。それで、サンチョ・パンサという農家のおじさんを従者に連れて戦うわけです。戦う先は風車ですよ。風車に向かってあれは巨人だ、こう言って戦うんですよ。サンチョ・パンサは、あれは巨人ではなくて風車ですと言うんですが、小泉さんのサンチョ・パンサは、いや、もっとやりましょうと言っているわけですよ。いや、これは本当に笑い話ですよ。

 やはりこういう話はやめて、もっと本当に国民の意見を聞いて、真摯に耳を傾けてやってもらいたい、私はこう思っているんですけれども、私が言ったんじゃないんです、御党の先輩議員です。この意見に関してはどうですか。

小泉内閣総理大臣 ドン・キホーテに擬せられましたけれども、実は、私はドン・キホーテは好きなんですよ。「ラ・マンチャの男」というミュージカルがあります。今、松本幸四郎さんがやっていますけれども、あれは私の大好きなミュージカルの一つであります。夢実りがたく敵あまたなりとも我は勇みて行かん。

 私は、ドン・キホーテではありませんが、これは空想ではない、現実の問題だと。一つのあるべき姿でこれを実現させて、ああ、やはり小泉は先見の明があったな、そういうような民営化にしていきたいと思っております。

小沢(鋭)委員 ますます何か、今の話を聞いていたら夢物語みたいになってまいりまして、参ったな、こう思っていて、もうドン・キホーテが好きだ、自分はドン・キホーテでいい、こう言われちゃうと、私もその後なかなか大変なんですが。

 百万人といえども我行かんという言葉がありますが、先ほど、総理もそういう話をしましたが、申し上げますと、その百万人といえども我行かんの前のフレーズは、みずからを省みて直くんば百万人といえども我行かんなんですよ。みずからを省みて直くんば、そこが大事なんですよ。総理の場合は、みずからを省みて直くんばがなくて、百万人といえども我行かん、いざ、サンチョ・パンサ、行こう、こういう話ですよ。

 それではだめだということを申し上げて、まだちょっと時間があるようですから、もう一つ質問をさせていただきます。先ほどの株の保有の問題を、持ち合いの問題をもう一回聞かせてもらいたいと思います。

 株の持ち合いをできる、こう言っていますが、何%ぐらいまた買い戻せるとお思いですか。先ほど、銀行法や何かの規制があると言いましたが、大体、約何%ですか。

竹中国務大臣 これは民営化された後の経営者の判断でありますから、その経営者の判断について私がどうこう言うという立場ではないと思っております。

 常識的には、やはり取引を安定させるために、他の民間金融機関と同様の水準というのが想定されるというふうに思います。独禁法のガイドラインによる規制、銀行法の主要株主規制等々ありますから、もちろんその範囲内ということになりますが、株を持ち合って事業を安定させるためのウエートというのは、現実のその状況を見ますとそんなに高くはないわけで、私は決してそんな大きな水準は想定されないというふうに思っております。

小沢(鋭)委員 ここの株の持ち合いというのはどういう意味かというと、一体的経営を確保するかどうか、こういう意味で問題になったところですね、問題としては。一体的経営を確保するかどうかと。

 これを見てもらうといいんですが、二つあるんですけれども、ドイツ・ポストとオランダ、これを見ていただくといいんですが、こういう比率ですよね。オランダも見ていただければ、ちょっとオランダのものもあるんですけれども。

 いずれにしても、竹中さんがおっしゃるのは、せいぜい一、二%、二、三%ということでしょう。これで一体的経営なんて、本当に与党はよくだまされたものだと思うけれども、どうですか。

竹中国務大臣 私は、別に何%というふうに想定しているわけでは全くございません。これはビジネスの常識の中で、民営化された企業同士が、まずやはり基本的に取引というのは、安定的な、いろいろな信頼に基づく委託、受託の契約が基本だと思います。それをさらに安定化させるために、場合によっては資本を持ち合ってそのことを確かめようというのが通常のビジネスの考え方なのだと思います。そういう考え方に乗って、必要があればそれは経営判断としておやりになることであって、それを法律上規制するということは考えないということであります。

小沢(鋭)委員 繰り返しになりますけれども、一般の銀行、一般の保険という言葉が出ます。同時に、いわゆる地域における地域貢献業務という言葉が出ます。これは基本的に矛盾をしている話だと私は思っています。

 諸外国の例を見ても、総理、これは二十年もずっと民営化を言ってきましたよね。その間に、もう各国は民営化を幾つかしました。しかし、申し上げておきますが、これは間違いなく世界の大多数はまだ国営なんですよ。その中で、イギリスだとかドイツだとか、そういったところが民営化をしてきました。それで、今はもう既にその民営化の反省の時期に入っている、こう言われているのが今の時代ではないですか。いっぱい失敗の例があるんですよ。イギリスも赤字を垂れ流して、結局はブレア首相は財政資金を投入せざるを得なくなった。

 要するに、ここはもし、地域を守る、こういう話になったら、そこは財政資金を新たに投入してでも守る、そういうことなんですか、総理。

小泉内閣総理大臣 これは外国の成功例、失敗例をよく参考にしながらやっていかなきゃならない。長年、百年以上定着してきた郵便局の仕事ですから。そこで、財政資金を使わないような仕組みを考えて今やっているわけであります。その点については、将来どういう形で発展するかというのは一〇〇%予測しろというのは無理でありますけれども、これは経営を任された経営者の努力に負うところも多いと思います。

 では、今のまま国営がいいという議論の中で、国営のまま、果たしてこのまま財政負担がなくてやっていけるのかという点も考えていただかなきゃならない。どちらがいいか、選択の問題だと思います。私は、これは民間にできるというからこそ、民間にできるものはできるだけ民間に任せた方が、創意工夫を発揮していただき、いろいろな事業展開をしてくれるであろう、財政負担も少なくて済むであろうということでやっていることでございます。

小沢(鋭)委員 時間ですから終わります。

 しかし、諸外国の例はすべて財政資金投入、そういう話になっている。私は今、これは国民の皆さん、意外とわかっているようでわかっていなくて、もっと言わなきゃいけなかったんですが、一銭の税金も使っていないこの郵政事業に新たに税金を入れてまで改革をするなんというのは愚の骨頂だ、最後にそれを申し上げて私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

二階委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時一分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時一分開議

二階委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。仙谷由人君。

仙谷委員 民主党の仙谷でございます。

 きょうは、郵政民営化と称する小泉さんにとっては大テーマ、国民にとっては全くわけがわからない、この問題についてお伺いをしたいところでございます。

 自民党の先輩の議員の先生方、同僚といいましょうか同年配の方々、そしてまた若手の方々、私も話をする機会を持っておるわけでありますが、そこで聞こえてくる声は、どうも郵政民営化というのは、自民党の中でこれを強力に推進しようとするのはたった一人だ、小泉純一郎総理その人をおいて、あとは竹中さんが、渋々か嫌々か知らぬけれども支えているだけじゃないか、こんな声が一つ聞こえてくるんですね。

 それからもう一つの声は、小泉総理は自民党をぶっ壊すと言って自民党総裁になって、総理大臣になられた、自民党をぶっ壊す前に日本をぶっ壊すんじゃないか、こういう声が聞こえてきます。

 この日本をぶっ壊す話は、一つは、現在の状況から見ればだれしもそういうふうに思うのは当然でございますけれども、外交、とりわけアジア外交において、ここまで閉塞状況きわまれり、そして、主観的な願望なのか信条なのかわかりませんが、堂々と国会で相変わらず述べていらっしゃる。他の国がどう思おうと、どう反応しようと、あるいは他の国というのは、ヨーロッパ、アメリカ諸国がどういうふうに評価をしようと、そんなことは全く関知していないと言わんばかりの態度であります。

 一昨日に至っては、河野衆議院議長が総理大臣経験者五人をお呼びになってお話をされた。そして、本日の新聞を拝見いたしますと、中曽根元総理も、これはまずい、態度を変えた方がよかろう、この種のことを発言されたというのが報道で出ております。

 私は、五月十六日の予算委員会でも小泉総理に、中曽根さんの例も引き、そして先般の河野議長と前総理大臣五人がお話しになられてある種合意を見たと報道されているような内容について、同じようなことを申し上げたはずでございます。

 そこで、改めて小泉総理に確認をまず一点だけしておきたいんですが、この国会でおっしゃっているようなことを四月二十三日の胡錦濤さんとの首脳会議でちゃんとあなたの方から主張したのかどうなのか、それから、中曽根総理の昭和六十一年八月十五日付の胡耀邦総書記あての書簡というのはお読みになったことがあるのかないのか、この二点だけちょっと答えてください。

小泉内閣総理大臣 私は、胡錦濤国家主席との会談の内容について、どういうことをとつまびらかに言うのは差し控えたいと思いますが、私の靖国参拝に対しての考えは会談の中で述べております。

 それと、中曽根総理の直接胡耀邦書記にあてた手紙というのは、読んだ記憶はありませんが、当時の後藤田官房長官が出した談話あるいは中曽根元総理自身から、胡耀邦主席とどういう話をしたかということは、中曽根元総理の口から伺っております。

仙谷委員 詳しくこの問題に入ることを避けたいと思っておるんですが、中曽根さんは、私の実弟も海軍士官として過般の大戦で戦死し、靖国神社に祭られている、したがって、個人的には靖国神社にお参りをしたいと。しかし、先般も申し上げましたけれども、結果として、総理大臣が靖国神社に参拝することがアジア諸国の国民に大きな傷を与える、だから政治家として公式参拝を行わないことを決断いたしたという、個人的には非常に感性的な書簡を書いていらっしゃったわけですよ。

 今、小泉総理に問われていることは、我が国のトップリーダーとして、総理大臣として、政治家としてどういう政治判断をすることが日本の中長期的な国益にかなうか、このことだろうと思います。換言すれば、総理の、総理としての適格性が問われている、そのように私はこの間の論議を聞いておりまして改めて感じているところでございますので、その旨を申し上げて、郵政の問題に入ります。

 まず、今わかりにくいのは、先ほど我が党の小沢鋭仁さんもお伺いをしておったわけでありますが、この小泉総理と竹中大臣が推し進めていらっしゃる民営化というのは、国民、今、郵便局を対象にといいましょうか相手にといいましょうか、生活のレベルで国民が郵便局と接しているわけですね。これが、何が変わって何が変わらないんですか、この郵政民営化法案で。総理、どうですか。

小泉内閣総理大臣 まず、目に見えて変わるところを少し挙げろといえば、これが民営化された暁には、郵便局へ国民の皆さんが行った場合に、今の郵政三事業以外の業務をしていると思いますね。

 例えば、郵便局に行って、今、いろんな物品、サービス、これは限られております。いわゆる郵政三事業に限られております。どの商品を売ってはいけない、どの事業をしてはいけない、そういう、国営事業でありますから、制約されています。これが、民営化になって郵便局へ行ったとする。そうなりますと、おお、郵便局にはこんなものも売っているのか、こういうものも買えるのか、今までになかったものも扱っているのかということは、目に見えてくると思いますね。

 それと、これはなかなか目に見えにくいんですが、国営ですからどうしても、郵貯資金等は、各特殊法人等の資金供給する場合には、国債を主に運用していますから、どうしても、国民の必要な分野に提供するわけでありますが、同時に安全というものを十分考えなきゃいけない、資金の。かなり、民間事業がやっているような、成長分野であるけれども多少危険が伴うなと、損失を大きく出しかねないような運用というのは手控えなきゃいけませんね。そういう点からこの資金の運用については制約が今加わっていますので、これがかなり解き放されて、今よりも自由な収益活動を伴う、同時にある面ではリスクを伴うかもしれませんが、資金が民間の分野に流れていくと思います。

 それと、これは行政改革で、できるだけ国民は公務員の数を減らしなさいということを要求しておりますが、常勤職員の約二十七万人と短時間職員の十二万人を加えると四十万人の国家公務員が、ああ、この仕事も民間人でできるのかということがわかるようになると思います。そして、民間人になって、経営者が、民間会社になったんだから決して倒産させてはいけない、各民間の似たような企業と競争します。

 この競争におきましても、同一条件ですから、今までの三事業に制約されないで、同じ民間の会社と同一条件の中でいろいろな仕事を展開していいといいますから、それぞれ創意工夫を発揮できる。なおかつ、創意工夫を発揮しても収益を上げなきゃなりませんから、収益を上げるためにはできるだけの努力をする。ほかの会社で高い商品を売っていたら、できるだけ低い、安い商品を出そうと展開するでしょう。あるいは、ほかの似たような会社が時間制限がある場合には、自分のところは、時間制限をしても、ある面では時間延長も考えるでしょう。いろいろな面において、国家公務員がやるよりも時代の変化に対応して柔軟な対応をしてくれるのではないか。

 そして、今まで国営ということで税負担を免除されていたわけでありますが、民間と同一条件ですから、当然法人税等を負担しなきゃならない。こういう点についても、税金を国庫に納めてくれる、財政的にも寄与してくれるし、何よりも、公務員を削減しなさいという国民の要求にもこたえられる。

 我々は、今、民間がどういう事業をやるかという場合に、小包の配達を一つとってみても想像できないようなサービスが展開されているわけですから、今我々が想像できないような事業展開もしてくれるであろうと。

 特に、窓口サービス会社、郵便局会社になりますけれども、これは今までにない郵便局サービスを展開してくれるし、あるいは、郵便局舎というのはかなり一等地、いい土地に建てられる郵便局舎もあります。これも、国営である限りは制約がありますけれども、民営化されれば、いい土地においては郵政三事業以外にほかの事業もできるのではないか。収益を上げられる、あるいは国民のいろいろな要求にこたえ得るような事業もできるのではないか。有効土地利用にもつながる。

 これは、民間と競争は熾烈になると思いますけれども、この競争のあるところにこそサービスが拡張される。そういう、今では我々が想像できないような事業展開とかサービス展開をしてくれるのではないかと期待しております。

仙谷委員 何かたらたらと説明されましたけれども、余り説得的じゃないんですよね、それは後で言いますけれども。

 それでは、翻って、これは国民にとってデメリットというのはないんですか。やはりデメリットはあるんじゃないですか。小泉・竹中路線のもとで進められる郵政民営化で、でき上がった絵によって、国民にとっては不利益とかデメリットとか危険度が増すとか、何かそんなことはないんですか。あるかないか、答えてください。

小泉内閣総理大臣 これは、今の郵便局が全部存在するとは限りません。身近な郵便局がなくなる可能性は当然出てくると思います。

 過疎地には設置するという義務基準が設けられておりますが、都市におきましては、例えば中央区などにおいては郵便局が五十局以上あると思いますね。果たして、一つ二つあるいは数行郵便局がなくなってサービスが低下するかというと、民間のサービス展開するところがありますから、不便を感じなきゃいいわけです。だから、身近にあった郵便局がなくなった付近の人は、ああ、ちょっと不便になったなという感じが出てくると思います。

 それは、市町村の合併でもあるいは各中央官庁の地方の支分部局におきましても、行政改革で統廃合の問題が出ると必ず反対が出ます。役所、市役所、町役場あるいは中央官庁の支分部局、こういう部局が統廃合されると、近くにいた人は、おれたちのところにいてくれ、いろいろな役所の行政事務、一々、合併したからといって遠くに行くのは嫌だという陳情が必ず出てきます。

 しかし、それは、あらゆる地域に国家公務員なり地方公務員が全部、行政事務を置くところへ全部置いてくれればこんな楽なことはないんです。しかし、それには当然負担が伴います。だからこそ、中央官庁の出先機関も支分部局を統廃合する場合には、あったところが統合によってあるいは廃止によってなくなる、遠くに行かなきゃならないというところは不便を感じるでしょう。市町村合併でもそうです。町役場が、三つか四つの町や村が市と合併するという場合に、議員の数も減りますけれども、同時に町役場もなくなるところがある。すると、一々、今まで近くにあったのが遠くに行かなきゃならないと不便に感ずる。

 郵便局も、私は今の郵便局が全部保持されるとは言いません。当然なくなるところも出てきます。しかしながら、過疎地域とか離島地域には必ず、設置義務が置かれているわけでありますから、そういう不便は起こさないような措置を講ずる。しかしながら、そうでない、かなり多く設けられている都会の部分、都市の部分においては、なくなった場合には、廃止される場合には、その近くの郵便局を利用していた方々には不利益といえば不利益になるということは否定いたしません。

仙谷委員 国民にとってのデメリットは、この民営化がされると発生するデメリットは、郵便局の統廃合によって郵便局がなくなる人だろう、そういう地域の人は不便だろう、それだけなんですね。今の郵政公社を五分割して株式会社化するという、それが先にある、へ理屈をつけるからそうなるんですね。

 小泉さんがおっしゃってこられた民にできることは民に、つまり、民にできることなのに、今は官がやっているとか、官が主導的にやっているとか、官が規制をかけて民間が自由に事業展開ができない、それを、規制を撤廃したり官がやることをやめたり、そして、現在の民間がやっておったり、新規参入をしてやってください、これが、民にできることは民にという話じゃないんですか。今のお話は、現在、民がやっていることに、半官半民のようなこんな巨大なリバイアサンが、怪物が進出するぞという話でしかないじゃないですか。何で民ができることは民にですか。

 いいですか、今おっしゃった、小泉総理がおっしゃった、何かいいことの中に入っていましたね、いいことの中で、こんなことができるんだ、こうおっしゃったけれども、それは今民間がやっていることじゃないんですか。今、民間の業者が全部やっているじゃないですか、銀行業から何から。何で今からしゃしゃり出る必要があるんですか、そんなところへ。違うんですか。

 では、竹中さん、何か自慢そうに言っているけれども、民営化後の新規業務等と書いてあるんじゃないですか。こういうビジネスモデルをつくろうとするんでしょう。どこかのコンサルティングに高い金を払ってこんなものをつくってもらったんだろうけれども。貸し付け、シンジケートローン、私募債、株式、クレジットスワップ、CDO、ABS、ファクタリング、ローンパーティシペーション、よくわからぬ、保証業務。我々でわからないようなことばかりいっぱい書いてある。

 これは今、民間がやっていないんですか。民間銀行や民間の証券会社や投資ファンドや、そういうところがやっていることじゃないんですか。これ、民間がやっていないんですか、やっているんですか、答えてください。

竹中国務大臣 一つ、高いお金を払ってコンサルタントがやったんだろうとおっしゃいますが、それは違いますので。準備室で一生懸命汗を流してやった作業でございます。

 これは、民間でできているじゃないかと。公社がやっていることも、お金を集めたり、ゆうパックを運んだり、これも民間でできていることなんです。だから、民間でできているから民間でやればいいじゃないかとまさに今仙谷さんおっしゃったとおり、だから、民間でできることは民間でやりましょう、そしてしっかりと競争をしていただきましょうと。

 加えて、郵政の場合に重要なのは、二万四千という全国に張りめぐらされた貴重なネットワークがある。このネットワークでしっかりとこれまでも社会的な機能も担ってきましたから、これはしっかりと残していこうということなんです。この二万四千のネットワークを活用して、我々は、改革をするに当たって、資源活用の原則、雇用配慮の原則等を掲げておりますから、それを活用して、さらに地域に、地域住民の生活の利便に資するようなサービスをやっていただこうではないか。

 その中には、まさに窓口で、さらに地元のNPOと連携したり、地元の市町村といろいろ考えながら新しいサービスを提供したり、いろいろなものが出てくるだろう。これは、今はそういうことはできないわけです。二万四千の拠点がありながら、郵便と郵貯と簡保と、国の機関であるがゆえに限定的なサービスしかできないわけでありますから、まさにそういうことをやっていないところは、新たにサービスを提供していただこう。そして、民間と同じような業種で今既に公社がやっていることは、だから、民間でできるんだから、その分民営化してやっていただこう。そういう形で民営化のメリットを生かして、国民の利便を高めていこうというふうに申し上げているわけです。

仙谷委員 何でこんなに五つに切り刻んで、同じことをやらせようとしているのか、私はわからぬのですよ。つまり、代理店契約を、郵貯バンクと郵便保険会社は、金融業務を窓口会社に代理契約するんでしょう、代理委託契約するんですね。国民から見ますと、郵便局へ行ったときに出てくる元の郵便局員、職員、従業員、この人は、名札を幾らぶら下げて出てくるんですか。

 つまり、一人の中に、窓口会社の職員としての地位と、郵便貯金銀行から窓口会社が代理委託業務を受けてその業務を処理する地位と、保険会社から代理業務を受けてこなす地位と、郵便事業会社から代理業務を受けてこなす地位と、一人の中に四つ持つわけだ。混然一体として一人の職員がその業務をこなすわけでしょう。国民にとって何が変わるんですか。

竹中国務大臣 今、地位、地位とおっしゃいましたが、職員としての地位、身分は、郵便局会社の職員としての身分、地位、それに尽きます。

 その場合に、代理業務を行うから、銀行の商品を販売する、そして保険契約のあれを販売する。これは、何か非常に混同するというような言い方をなさっているように思いますが、しかし、例えば、これはちょっとあえてわかりやすい例として申し上げますけれども、地元のコンビニでコーラの会社がつくった商品を売る、パンの会社がつくった商品を売る、販売業としては当然やるわけです。

 窓口会社というのは、その意味では、地元の地域、地元に密着した販売窓口、販売業務を行うわけでございますから、これは、いろいろな仕入れ元から、代理契約等々に基づいて窓口で顧客サービスをするということでありますから、これは先ほど言いましたようにイギリス等々でも行われていることでありますし、現に、今の郵便局の特定局の事業というのはそうなっているわけですね。

 普通の特定局へ行きますと、切手を販売したり書留を受け取れたり、いわゆる郵便窓口業務というのは、局によりますけれども、平均すると三割とかそういう程度なんだと思います。あと七割とかは、貯金を売ったり保険を売ったりするということをやっているわけですから、それがさらに多様化して拡大していく。多様化して拡大していくことによって、地元の利用者へのサービスが高まっていくわけでありますから、そのメカニズムそのものをまさに我々は活性化して、生かしていきたいというふうに申し上げているわけです。

仙谷委員 甚だ大胆かつ大ざっぱな話でありますけれども、細かく聞きます。いいですか。

 では、あなたがおっしゃる株式仲介、それから、投信販売はもうやっていますよね、いいですね。投信販売はもうことしから始まったんですよね。生保の販売、変額保険、損害保険と書いてありますよ。これを窓口会社の職員がやります、代理業務として販売します、そこまで認めましょう。販売代金を郵貯バンクの職員として融資することはできるんですよね、これは。

竹中国務大臣 お尋ねの趣旨ですけれども、郵便局の職員が郵貯バンクの融資の業務を行うことができるのかということでございましょうか。

 これは代理業の中身が今後どうなっていくかということですが、通常考えられる範囲で、この融資の審査というのは、これは専門の金融的な知識が要るわけですから、郵貯銀行の方で審査をして、実際の資金の交付等々の窓口にはなるかもしれませんが、郵便局の局員さんが融資判断するとか審査をするとか、それはもちろん想定されていないと私は思います。

 前回の委員会でも申し上げたんですが、これは決して郵便局の局長さんが銀行の支店長さんのような形になるということではございません。あくまでも販売等々、預金業務等々の販売の代理を委託するわけでございますから、もちろん物すごく長い将来的に将来を考えて、どういう内容の委託を結ぶかというのは、これは何十年先のことはわかりませんけれども、当面考えられるのは、預金の受け入れというような業務を代理して受ける、そのようなことが想定されているわけです。

仙谷委員 私は法律的に聞いているので、できるかできないか聞いているんですよ。できることになっているんじゃないですか、これは。融資できるんだから。

 つまり、いいですか、全く別のポジションを持つ人が、生身の人間としては一人の中に四つのポジションを持って、利害相反であろうがなかろうが、それを混然一体と処理することができる、そういうことになっているから危ないと思って聞いているんじゃないですか。これがバブルのときの問題だったわけでしょう。堂々と変額保険と書いてあるけれども、変額保険の大問題じゃないですか。違うんですか。変額保険を売ってそれを融資する、反対に、融資するから変額保険を売るんだと。全部そうだったじゃないですか、バブルのときは。

 私が経験した例では、信託銀行は当時から不動産取引仲介をやっていました。合法的にできた。我々が買い主と売り主を連れて融資してくれと行ったら、どうぞ、土地の売買代金を融資しましょう、そのかわり、この専任媒介契約書に判を押してくれと売り主と買い主から金利以外に三%取った。なおかつ、売買代金を買い主に融資し、買い主が売り主に払う、売り主からそれを定期預金で取り上げる。これがバブルの一つの大きい問題だったんじゃないですか。

 あるいは、もっと言えば、メガバンクでもみんなおかしくなったのは、株だ、ゴルフの会員権だ、ディーリングだ、デリバティブだと貸し込んでそういうものを買わせたということじゃないですか、親密取引先と称して。これを個人のレベルでやろうとしているんでしょう、今度は。できることになるんでしょう。

 審査をすると言うけれども、では、サラリーマンが収入証明書を持っていって、この枠内で、例えば月百万の枠内では郵貯カードを使って決済できますかと、このシステムをしないで何のビジネスモデルなんですか。これを扱うのが、具体的な人間としては同一人の中に利害相反するポジションが入っている、それを許す体系になっているから、こんなものは、今、伊藤さん、出ようとした。伊藤大臣が出ようとしたのはわかります。こんなものは現在禁止されているじゃないですか、全部。何で現在禁止されていることがこうやすやすとこんな法案に載ってくるんですか。銀行法と保険業法で禁止されている、そうじゃないんですか。他業禁止、代理店の兼業禁止、持ち株会社の、事業会社の保有禁止じゃないですか。

 これだけがんじがらめに銀行業と、あなた、得々として物を売るとかなんとかと言うけれども、物からサービスから売ることが許されるような法体系には現在なっていないんですよ。どうしてこういうことができるという大胆かつでたらめな発想になるんですか。総理大臣、お答えください。

伊藤国務大臣 私から御説明をさせていただきたいと思います。

 今まで郵政の事業というのは三事業一体に行われていたわけであります。このたびの郵政の民営化によって、この三事業、そしてもう一つ窓口ネットワークというのがありますから、四つの機能というものを自立させて、分離をさせて、そして、それぞれの機能の専門性というものを高めていく、そうした改革の制度設計をしているわけであります。

 今、委員のお尋ねは、その本体において他業禁止されているにもかかわらず、それが一体になって行われるのではないかというふうに思っておられるかもしれませんが、本体は他業禁止なんです。ですから、今回の制度改革においても法律違反が行われているわけではありません。窓口ネットワークにおいて、銀行の代理、そして保険募集、さらに投信商品の販売、こうしたことが行われることが想定をされるわけでありますが、これらの代理販売業務を行うに当たっては、それぞれの業法の規則に従って適切に遂行することが求められているわけであります。

 仮に、郵便局株式会社が郵便貯金銀行の融資の代理業務を行う場合でも、銀行法に基づく内閣府令を定めて、例えば貸し付けを行うことを条件として他の金融商品を販売することを禁止するなど、必要な弊害防止措置を講じることを予定いたしております。

 さらに、委託元である郵便貯金銀行が融資業務を行うには、内閣総理大臣、金融庁が十分な業務遂行能力を認めることが前提となりますし、そして、委託元である郵便貯金銀行に対して、内閣総理大臣、金融庁が実効性ある監督を行うことになっておるわけであります。

 これらの措置を通じて、郵便局株式会社が健全かつ適切なそれぞれの金融業務を行うことができると考えております。

仙谷委員 もし、あなたが、伊藤大臣がそういう解釈をしているとすれば、そういうのを腰ぎんちゃく解釈と言うんです。解釈、運用が、大もとで分離されているからいいんだ、それを具体的に扱う例えば郵便局員が同一人物であっても、そこで混然一体となってもいいんだなんて、法律を実質的に解釈すれば、そんなばかな話になるはずないじゃないですか。何を言っているんですか、あなたは。顔を洗って、もう一遍法律を勉強し直してこいというんだ。そのぐらいの問題なんですよ。なぜそんな無理までしてやらなければならないのかというのが今度のこの民営化法案の大問題なんですよ。できもしないビジネスモデルを机上で書くからそんなことになるんですよ。

 いいですか、私は本当に、国民にとって何が何だかわからぬわけですよ。出てきた人が四つ名札をつけて出てきて、さあ今の段階は、私は金を貸す人です、そうでしょう。あるときは不動産仲介をやります、できるんでしょう、これも窓口職員が。

 このことによって、個人は確かに、商品取引や商品売買やサービスを買うのを決済を郵便局でできるから便利になるかもわからない。しかし、それはそれなりのリスクが増大するということでしょう。だから、金貸し業は、融資の業務は原則として他業禁止なんでしょう。今までの歴史は、金融業の世界でも他業禁止だった。その垣根をどんどんどんどんおろしてきた。今度のこの郵政民営化法案なるものは、金融業にとどまらず、建設業であろうと不動産業であろうと、いろいろなサービス業であろうと物品販売業であろうと、その他業を全部飛び越えて、何でもありの世界をつくろうとしているんじゃないですか。こんなことが許されますか。

 ということは、いいですか、ユーザーにとっては、それだけ借金を抱えるリスクがふえるということですよ、僕に言わせれば。これだけ信用経済になっているわけですから。現に、個人破産はどんどんふえているじゃないですか。カード破産もふえているじゃないですか。いいですか、なおかつ……(発言する者あり)どこがへ理屈なんだ。いいですか、なおかつ、そのことによって発生する問題は、先ほど申し上げたように、現在民間がやっていない業界であればともかく、現在民間がやっている業界に新たに郵便局が参入するわけですから、その分野はトレードオフの世界になるでしょう。

 例えば、住宅ローン一つとって考えてごらんよ。住宅ローンを今度郵貯バンクができることになったら、どんどんどんどん子供は減る、結婚の世帯も減っている、住宅建設はどのぐらいふえますか。改築とか、解体して新築とかいうことはあるでしょう。その住宅ローンを、郵便局がそれをできるとなったら、地方の信組、信金、労金、第二地銀、地銀、このシェアの中で争うんじゃないんですか。団塊の世代の子供が成年になるときのように、どんどんどんどん、百万戸が百二十万戸、百二十万戸が百六十万戸、そんな世界は、少なくとも十年、二十年、三十年、四十年、予測する方がばかだと言われるじゃないですか。

 そういう業界の見通しの中で、何でわざわざ窓口会社と称して、それが郵貯バンクの住宅ローンの代理業務を引き受けて、田舎の人たちに、地元の人たちに、地方の人たちに便利だと。民間の業務を侵食する以外の何物でもないじゃないですか。そしてその上、先ほどからも申し上げているように、実態としては、銀行業法も保険業法も、すべての他業禁止の規定にほおかむりして前へ進む、こんなことでしかないじゃないですか。こんなことが何で許されるんですか。

 谷垣さん、何かじっと見ていらっしゃるけれども、御意見ございますか、法律家として。

竹中国務大臣 法律家としての谷垣大臣の御意見は後でじっくりお聞きいただくとしまして、今の一連、仙谷委員、いろいろなことをおっしゃいましたけれども、何か名札をいっぱいつけてくるとか、名札は一つなんですよ。名札は郵便局の、郵便局会社の名札しかないんです。そこで、例えばコンビニの例でまた申し上げるならば、パンも売るし、コーラも売るし、いろいろなものを売ります。しかし、売るに当たっては、パンを売るときのルールがある、コカコーラ、コーラを売るときのルールがある。そういう業法、ルールは、それぞれに一般の法規はきちっと適用していただく。だから、何かいきなり融資をして、何かバブル経済がまた来るような、そういうお話では全くないわけです。

 それともう一つ、民間のマーケットを侵食する、侵食するというふうに言われるんですが、我々はこれを十年という長期をかけてやっていくんです。十年の間に、これは決してゼロサムではないわけです。この十年間に、「改革と展望」や二十一世紀ビジョンの中で経済の見通しを出しておりますけれども、実はGDPはこの間に一・五倍になります。今そのような改革の経済運営を行っている。それに合わせて、GDPに合わせて銀行の融資もふえますから、銀行の融資、まあ、GDPに対する比率はどんどん減っていくにしても、それにしても相当規模の融資のマーケットというのは出てくる。

 加えて、政策金融を改革します。住宅金融公庫の残高が六十兆円、その他の政策金融の改革の残高が七十兆円、そういうものについて、これは、住宅金融公庫はこの業務から撤退していって、それで他の政策金融の規模も半分にするわけですから、そこに出てくる新しいマーケットの一部を、これは民営化された新しい郵政が担うかもしれませんが、まるでゼロサムの世界で、民間のシェアを丸々食ってしまうような、そういう話ではありません。

 繰り返します。この間にGDPのサイズは一・五倍程度になる中で、実は、まさにその中で、今民営化することによって、官から民への流れを、これは実現していくことができる、そのための制度設計をしているわけでございます。

仙谷委員 あなたに聞くから。

 今の銀行法八条の三項の規定及びこれを受けた内閣府令の解釈として、竹中大臣の言われたこと、正しいですか。

 つまり、代理店を、代理店として、銀行業のですよ、行う場合には、それをちゃんと表示しなきゃいけないんじゃないですか。それをこなす人も全部表示しなきゃいけないんじゃないですか。郵貯バンクの代理店として、名札でもつけておいてもらわないと困るんじゃないですか、それ。

 名札なんかつけるわけじゃない。つまり、代理店業務を処理するということを表示しないで、代理店業務ができるんですか、窓口会社が。

 何を言っているんですか。でたらめじゃないか。

竹中国務大臣 ちょっと誤解があるといけませんけれども、代理をする場合は、そのときのルールは当然あるわけですが、私は、どの会社に身分とか地位とか帰属するというようなことで、いっぱい名札がつくわけではないということを繰り返して申し上げているわけです。

仙谷委員 わざと質問をはぐらかせて、取り違えて、時間だけ稼ごうとしているんじゃないか。

 麻生大臣、話題をかえますので、答えてください。

 いいですか、総務省に郵政事業の公社化に関する研究会財務会計制度ワーキンググループ、こういうのがあって、平成十四年七月に最終報告を出したというのは御存じですか。

麻生国務大臣 そのときには総務大臣をやっていたわけではありませんから細目は詳しいわけではありませんが、その種のものが出されたという事実は知っております。

仙谷委員 そこにこういうくだりがあります。「退職給付引当金の認識」「現在、退職給付債務に係る引当金を計上していないが、公社会計に「退職給付に係る会計基準」(一〇・六・一六企業会計審議会)を適用し、退職手当及び退職共済年金について、次のとおり退職給付引当金を計上するなどの会計処理を行う。」こういうくだりがあるんですよ。

 そこに「ア」と書いて、「退職手当の取扱方針」「国の職員であった期間の過去勤務分に相当する退職給付債務に係る引当金は、公社設立時点において一括して計上することが適当である。」「イ」は、そういう引当金として計上しないで毎年、「毎期の負担金を会計上の費用として処理することが適当である。」こういうふうに書いてあるわけです。どちらかでいくぞ、こういうふうに書いてあるんですね。

 今、民間の会社は、民間の企業会計基準は、この退職給付に係る会計基準に基づいて退職給付引当金を計上している。していなければ、そういう会社だと思われる。つまり、隠れ債務を持っている会社だというふうにマーケットで評価をされるということは御存じでしょうか。

麻生国務大臣 一般常識として、企業会計の基準がそのようになっていることを知っております。

仙谷委員 平成十九年四月以降にこういう会社が五つできて、郵便貯金会社、郵便保険会社、この二つは少なくとも十年の間に株式をマーケットで売却していく、こういう計画ですよね。その際には、今申し上げた、麻生総務大臣が肯定なさった、企業会計基準で退職給付引当金を計上するということをしなければ、とてもマーケットでは売れないと思いますが、竹中大臣、いかがですか。

竹中国務大臣 公社の職員が将来退職した際に支払われることになる退職給付について、旧郵政省、旧郵政事業庁時代には、国の他の会計と同様、負債として認識されなかったわけですけれども、公社化に際して、企業会計方式を導入したことに伴いまして、これを負債であります退職給付引当金として全職員分を一括計上したという会計制度の変更を行ったものと承知をしております。

仙谷委員 全然わかっていない。

 これ、麻生大臣でもどなたでもいいんですが、もし退職給付引当金を計上するとすれば、現在の郵政の職員分、これはどのぐらいになりますか。

生田参考人 済みません、かわりに回答させていただきます。

 公社化に伴いまして、それ以前のいきさつについて私、全然知らないんですけれども、新しい会計基準で退職給付引当金は積み立てております。今、約二兆七千億強ございまして、例えば郵便が今五千五百億ぐらいの債務超過になっているんですけれども、その資金を捻出するために債務超過して、そのバランスシートのそれ以外のところがその分へっこんだわけでありますけれども、退職給付引当金そのものは現在積ませていただいております。

仙谷委員 これはちょっと違うんじゃないですか。

 私、決算書を見てみました。附属明細書まで見ました。一時金として退職給付は計上されていますけれども、過去勤務分は計上していないという返事をいただいたんです。過去勤務分は計上できていない。毎年の負担金処理として千三百億ぐらいが損金として計上されているだけで、いいですか、退職給付引当金債務としては計算もしていないし、計上もしていないということは、きのうからしつこく私聞いていますけれども、そういうお答えしか返ってきていません。どうですか、本当に計上しているんですか。それだったら、ここにこういうふうに載っているというふうに出してください。

生田参考人 率直に申しまして、その点、十分勉強をしないで出てまいりましたから、今正確な数字はありませんけれども、過去勤務債務はしていないと思います。したがって、それは残っている債務として今後考えるべき問題と思っておりますけれども、正確にはちょっと、帰りましてから調べさせていただきたいと思います。

仙谷委員 これは正直なお答えをいただいたわけです。これは実は大変な問題で、この問題が明らかにされないとこの審議を続けられないぐらいの話なんですよ。すべて虚構の竹中プランが吹っ飛ぶ話なんですよ、いいですか。

 財務大臣、国共済の現在の給付現価と財源構成、つまり、今申し上げた国共済全体の、民間の企業会計でいえば、本来ならば積み立てるべきこの過去勤務債務が総額幾らになっているか御存じですか。少なくとも私が問い合わせた結果は、現在はそんな計算はしていない、のんきなこと言っているんだけれども、どうですか。

谷垣国務大臣 国共済全体で過去期間に対応した給付現価は約三十七兆なんですが、そのうち、今御議論の郵政に該当する部分は、大体約四分の一と算定されておりまして、九から十兆という額であろうと思います。

仙谷委員 九から十兆と言いましたよね。それから、生田総裁は正直に、郵便事業部分は債務超過だ、こうおっしゃいました。そうすると、総体として六兆ぐらいしか資本金部分がないというのがことしの決算結果なんですよ。

 私は、実は平成十一年再計算ベースというのをもらいました。これによると、約二十八兆七千億が平成十一年再計算ベースの過去勤務債務で、民間企業でいえば積み立てるべき、積み立てないと隠れ債務になっている分だというふうに思うんですね。これは国共済全体ですよ。今おっしゃるように四分の一だと計算すると、大体七兆円なわけだ。だから、谷垣大臣がおっしゃった九兆というのは、極めて正しい数字だと思うんですよ。

 九兆積み立て不足の会社が、何でこんなものが市場で売れるのかという話になります。今申し上げている話は、これは企業会計の問題としては大変重大、重かつ大。この問題を解決しない限り、民営化もへったくれもないというのが私の考えでございます。

 委員長、この問題は私に再質問の機会をとっていただいてもいいんですが、処理をしてください。

二階委員長 ただいまの仙谷由人君の要求に対しまして、後の五十嵐議員の質問の際にお答えするまで、ただいまから準備をいたしますから、そのように御了承願います。

仙谷委員 この点は、中央省庁改革基本法、この中でも実は、皆さん、三十三条の一項が問題になりましたね、民営化なんかしないなんて書いてある。

 実は、郵政省の現業から公社に移行するときですら、この中央省庁等改革基本法一項の四号、「予算及び決算は、企業会計原則に基づき処理するものとし、その予算について毎年度の国会の議決を要しないものとするほか、繰越し、移用、流用、剰余金の留保を可能とするなどその統制を必要最小限のものとすること。」企業会計原則に基づくと書いてあるじゃないですか。今度はこれを民間の会社にしようとするんだ。民間のマーケットで通用するような企業会計原則を使わない、そういう前提での民営化などということがあり得るはずがないと私は思うんです。

 それで、おかしいなおかしいなと思っていたら、実はこの点は、ここにインチキのネタが隠されているんでしょう。郵政民営化法案第五十一条「国家公務員共済組合法の適用に関する特例」。

 つまり、小泉さんの売りは、今度の民営化の売りは非公務員化だと、さっきも一生懸命言っていたじゃないですか。では、何で共済年金の話だけ公務員に残すんですか。最も、人件費の中でのこの種のものに、フォードであれGMであれ、大きい会社がみんな困っているんじゃないですか。もし純粋民営化理論でいくとするならば、こここそちゃんと企業会計原則にのっとって引当金を積んで、民営化して厚生年金に入っていただけばいいじゃないですか。だから、どうも考えてみると、お金不足でそれができない、それで国家公務員共済組合に残した、これはそういう話じゃないですか。

 総理、今のここまでの話を、私の話を聞いて、何か感想ありませんか。

竹中国務大臣 国家公務員共済に関してでございますけれども、これは我々の民営化の五原則に沿いまして、雇用とか、そういった待遇には当然のことながら十分に配慮をしなければいけないということになります。したがって、我々の基本方針、去年の九月十日の基本方針でも、待遇のあり方について、制度設計の中で職員の待遇について不利益が生じないように配慮する。

 それで、長期的には厚生年金に当然移行することになるわけでございますけれども、これは公的年金制度の安定性、公的年金制度そのものも安定性を保たなければいけません、それと公平性が確保できますように、具体的な移行の方法等について、関係者の意見を踏まえた慎重な検討が不可欠であります。したがって、職員の身分、条件の安定と公的年金制度の安定性、双方を踏まえて、当分の間は国家公務員共済を適用しようとするものでございます。

 ちなみに、このような職員の身分や組織形態と年金制度の適用関係については、いわゆる旧三公社の民営化時におけます年金の取り扱いと同じでございます。これは専売公社及び電電公社、また、国鉄等々の民営化の事例がありますが、国鉄や電電公社の場合も、十年から十二年という経過を経て国家公務員共済から厚生年金に移行しているわけでありますので、過去の事例にもならって、双方の制度が安定的にいくようにこのような経過期間を設けているものでございます。

仙谷委員 竹中さん、あなたの好きなマーケットが、そんなええかげんな答弁を評価すると思いますか。これは、いかに非公務員化という売り言葉がインチキかということと同時に、本当は民営化など財政的にできない、隠れ債務を隠したままやろうとしている、こういうことじゃないですか。

 私はきょういろいろな点から、現行法体系とか、今まで金を貸す人、銀行業者が他業をやってはいけないという意味はこういうことだ、すべてそういう観点からも論じてきましたけれども、この年金の債務の話はマーケットの方から見ても大きいですよ。こんなことをしていたら、債務超過の会社をマーケットに株建てをして売ろうとしたら、どういうことになるんですか。いや、昔と同じようなことが起こるんですよ。リップルウッドですよ。これは長銀を十億円でたたき売ったのと同じようなことになりますよ。こんなことをやっていたら、二百二十兆の資産を持つ会社を十億円とか百億円で売り払う、そんなことが起こるんじゃないんですか。債務超過の会社では株価に値がつかないじゃないですかと私は思います。

 きょうはこれで終えますけれども、引き続いて、また時間をいただきます。

二階委員長 次に、五十嵐文彦君。

五十嵐委員 民主党の五十嵐文彦でございます。

 私は、政治家としての議論をまずしたい。どういう日本をつくっていくのかというビジョンを持つことが今の時代に大変大切であります。

 繰り返し私は申し上げてまいりましたけれども、日本は資源がありません。知恵の力と、そして資本の力しかないわけであります。知恵の力は、主に物づくりの技術、先端的なものを磨いていくことによってこれを国の富に変えていくということが大切であります。

 もう一つ、資本の力、これは、国民資産、そして勤勉で貯蓄に励む、こういう金融の力を最大限発揮できるようにしなければいけない。ところが、日本は、民間の金融機関も金融の力が極めて弱い。護送船団方式で守られてきたために、収益性の極めて低いそういう銀行しかできなかった。土地の値上がり益頼りのそうした経営しかできてこなかったから、世界でも、ずうたいは大きいけれども、まれに見る力のない銀行になってしまった。ここに日本の今のていたらくの大きな原因があるわけであります。

 そして、これを急速に回復していくために金融行政を変えていかなければいけないということで、柳澤さんが大臣のころに、あるいはその前から私は「大蔵省解体論」を書き、そして金融の分離ということを言い、そして、手とり足とりの金融行政をやめて、事後的なチェック、こういうものに変えていく、そして、公正な市場を、マーケットをつくっていく、粉飾決算だらけの株式市場をまともな市場に変えていく、ですから、日本版SECが必要だとか、いろいろな提案をさせていただいてきたわけであります。

 これがほとんど直っていない。基本的にはその方向に進んだけれども、途中で柳澤大臣から竹中大臣にかわってから、なぜか知らないけれども、不良債権こそ減ったけれども、裁量行政が復活をしてしまった。りそなはどうしてつぶれないのかということが起きてしまった。あるいは、監査法人に手を回して、自分の気に入るところは残す、気に入らないところはつぶすというような金融庁の強権的な行政が復活をしてしまった。これが実態であります。この中で金融を本当にきちんとした形にしていくためには、私は、その裁量性を排除して公正な社会をつくっていかなければならないし、公的な金融というものを大幅に縮めていかなければならないということを申し上げてまいりました。

 その意味で、一つの方法としては確かに入り口論はあるんだろうと思います。しかし、一方で、出口、直接の改革が進んでいるんだ進んでいるんだと言うけれども、本当にそうでしょうか。総理、よく反省をしていただきたいと思うんですね。

 今、特別会計というのは、これは三十一あります。単純合計で四百十二兆円です、〇五年度。これは、評論家の森木亮さん、私は親しいんですが、計算によりますと、重複を除くと約二百三十二兆円。これに対して国の一般会計、これは八十二兆円ですけれども、借金返しも含めて一般会計から特別会計への繰り入れ分を除きますと、残りはたったの四十七兆円なんです。つまり、塩川財務大臣が、当時の財務大臣が言われた、国民が母屋でお茶漬けとかおかゆをすすっているのに、離れですき焼きを食べている、官僚たちが。あるいは、その利権に群がる人たちが離れですき焼きを食べている。これはこのことなんですね。四十七兆円の実質的な歳出の中で国民が暮らしているのに、目に見えないところ、国会審議を経ないところで二百三十二兆円というのは、何倍ですか、これは。六倍近いですね。六分の一以下です。そういう――ごめんなさい、繰り入れが四十七兆円です。中身は三十五兆円です。ごめんなさい、逆になりました。三十五兆円の中身なんです、たった。たった三十五兆円の中身で国民が暮らしているのに、二百三十二兆円ですから、六分の一以下、六倍以上なんですね。これを何とかしなきゃいけないというのに、実際、小泉内閣になってから、本当にこれにメスを入れるということをしているかと。これから慌ててやりますと、我々が問題にし始めてから言い始めたわけですね。

 そして、その大もとになっている郵貯をだから締めなきゃいかぬと言うわけですけれども、郵貯、簡保ですね、郵政の国債引受額も、小泉内閣発足前はたった五十五兆円、たったでもないんですが、昔は四兆円とか七兆円だったですね。十五年前とか二十年前は本当に少なかったんです。小泉内閣発足前は五十五兆円でした。昨年末は百四十九兆円ですよ。全然、公的金融を縮める方向にも何にも動いていないじゃないですか。これはどういうことですか。

 あるいは、私は、日本の国民資産を有効に国民のために使うということだったら、アメリカ国債で流してしまうのも同じことだと思うんですよ、非効率という意味では。アメリカ国債は今どのぐらい持っているんですか。私の試算によると約七十四兆円だと思いますけれども。これも全然減らないまま塩漬けにされている。日本だけですよ、こんなばかなことをやっているのは。ばかなことをやっているのは日本だけです。今は急速に例えば中国は外貨準備がふえていますけれども、ドルで受け入れても、すぐユーロにかえるというようなことをやっています。ドルをそのままアメリカ国債を買うという形にして塩漬けにしているのは、我が国だけじゃないですか。これこそ私は、本来やるべきこと。

 我々は、ですから、国民のお金を有効に使うためには財投債を発行してはいけない、あるいは特別会計や特殊法人にもう徹底的なメスを入れる、本当に三十一も特別会計が必要なのか、特殊法人、看板のかけかえだけで、独立行政法人にしただけでいいのかと。天下り禁止法も我々は具体的に提案をいたしました。公務員の総人件費の抑制、カットということも我々はマニフェストの中で明らかにしています。これこそ本丸、本筋じゃありませんか。対案がないのはむしろ政府なんです。小手先の民営化でごまかそうとしているだけなんです。これが本当の改革である。だから、ある意味では、小さな郵便の世界のことに殊さら話を持っていこうとするけれども、日本全体の危機、日本全体の将来像ということを考えたら、国民の資金をどう有効に使うかという観点から、我々の方が正しいとお思いになりませんか。総理、お答えください。

    〔委員長退席、石破委員長代理着席〕

竹中国務大臣 今、幾つか重要な点を御指摘くださいました。出口の改革も重要だという五十嵐委員の総論としての御指摘は、これは私もそのとおりだと思っております。

 一点、前半、何か監査法人に手を回して好きな銀行を残しているというような御指摘がございましたが、これはちょっと、なかなかそのまま素直には聞けない表現でございます。そういうことは、テレビ、きょうはたくさん国民も見ていらっしゃいますが、そんなことはあり得ないことでございますので、ぜひ一言申し上げておきたいと思います。

 今、委員が、百兆円ぐらいのオーダーで国債の保有がふえているではないかという御指摘がございました。実はこの裏で、郵政の、いわゆる財投の改革によりまして預託金の残高が同じようなオーダーで百兆円ぐらい減っているわけでございます。まさに、今まで財投で運用してきた、それを財投改革してその分が小さくなった分、ほとんど同じオーダーで国債に運用している、まさにこれが、郵政が公社であり続けるということの限界を示しているということだと思います。これは、財投が細くなっても、安全資産でしか運用できませんから、それと、ほぼ減ったのと同額が国債として運用されてしまっている。

 だから、この入り口の部分をしっかりと、公社ではない、民間のリスクをとれる形にしないとお金の流れは本格的には変わってこないということを、いみじくも五十嵐委員が数字で御指摘をくださったというふうに思っております。

 将来の金融の姿が重要であるという点は、まさにそのとおりでございます。我々は、その出口の改革として既に特殊法人改革を進めておりますが、それに加えて、重要な政策金融の規模を、今後三年間程度改革を進めて、GDP比で政策金融の規模を半分にするというそういう基本的な方針を持っておりまして、経済財政諮問会議でその具体的なあり方についての議論を始めているところでございます。

 実は、そういう前提、郵政を民営化する、郵貯が民間になる、そして政策金融を半分にする、そして「改革と展望」等々のマクロ経済の運用がされるときに、将来の資金の流れの姿がどうなるかということを、つい先ごろ、慶応大学の跡田教授がその資金のフローとして推計してお示しになっておられますので紹介させていただきますが、家計の金融資産の運用のうちの二六%が今公的なウエート、これが、今我々の改革を続けることによって、民営化後十年後には二六%が五%になります。これは、民営化しないとそういうことにはなりません。そして、企業の負債、企業の資金調達の中での官のウエート、今一七%ですけれども、これが六%になります。家計から見た公的金融の規模が――失礼、一九%が六%になります。家計から見た官のシェアのウエートが、二六%から今の五分の一になる、そして、企業の、民間の負債から見た官のウエートが、一九%から六%と三分の一になる、そのような姿を想定して改革をしているわけでございます。

谷垣国務大臣 五十嵐委員が大きなところから御議論いただいたので、全部お答えできないんですが、一つだけ、竹中大臣がおっしゃらなかったのを一点だけ申し上げたいと思います。

 それは、特別会計のことをお触れになりまして、一般会計から比べると特会ははるかに大きい、数字も重複分を省いておっしゃった、そのとおりであります。ただ、一点、この大きな特会が国会の議論も経ないでとおっしゃった、それは私は間違いだと思います。

 このところ民主党も非常に力をお入れになって、特会の議論はずっとやっていただいた。私たちもその議論にこたえられるように努力してきた。きょうはテレビが入っておりますから、特会の議論は国会で一生懸命やっている、現に民主党もおやりになった、そのことだけは申し上げたいと思います。

五十嵐委員 いや、一つ一つの承認は要らないでしょう、だけれども。そういうことでしょう。

 それから、数字の上ではそうなっているかもしれないけれども、それは単なる数字合わせですよ。基本的には、日銀の短期のオペによる国債保有もふえていますし、それから、民間金融機関の国債保有もめちゃくちゃふえているわけですね。ですから、簡保、郵貯の資金の保有量が十八兆円減った、だからその分だけ、実は、郵貯、簡保の資金の減少に従って、民営化されれば出口の方の減少につながるということには必ずしも直結はしないわけですよ。民間市場を経ても、新しい民営会社になったとしても、郵貯銀行や郵便保険会社が財投債や国債を買ってしまえば同じことなんですよ、官に流れるという意味では。そうでしょう。買えば同じこと。実際に買っているわけじゃないですか。それは必ずしもイコールではないわけですよ。

 それから、私どもが言っているように、官が手を引くということをどうしてその手段の中から排除するんですか、総理に伺いたいと思うんですね。官が小さくなれば、何も、下手くそな、何の技術もない、新しい官製の、官出身の民間銀行をつくるよりももっと民間にお金が流れるじゃないですか。もっとベテランの、運用のうまい民間の金融機関が使ってくれるじゃないですか。それで十分資金の流れの民営化というのはできるじゃないですか。その手段はどうして最初から排除して、官そのものが民営化で民に表向き変わらなきゃいけないという選択だけがとられるのかが国民にはわからないということなんですね。お答えください。

小泉内閣総理大臣 今、五十嵐議員が指摘された点は、積極的な民営化論者もそういう点を言っています。その言うところは理解できるんですが、難しい点は、確かに銀行とか生保会社は、民営化しないで廃止してくれという要求が強い。それは当然ですよね、競争相手がなくなるんですから。今まで郵貯、簡保がやった分野がなくなってくれて、その分自分たちの銀行やら生保が引き受けてくれば仕事が広がる、当然なんです。そういう要求が強いのも知っております。

 しかし、一方では、それは郵便局廃止につながっていくんです。郵便局廃止論なんです。縮小していけばいいじゃないかというのを突き詰めていくと、これは官の仕事なんかなくてもいい、これは民間にできるんだから、わざわざ今の官業が民間に手を出すことはないという議論にもなってくる、それもわかります。しかし、ここで政治的に難しいのは、我々は、今郵政公社で働いている職員の雇用、これはしっかり確保していかなきゃならない。

 そして、郵貯にしても簡保にしてもなくしていけというのは、理論的にはわかります。民間がやるんだからいいんだ、民間なら民間に任せていけ、官が余計なことをやるなと。まさに今官がやっている部分が民間にやられれば、自分たちのせっかく今民間がやっている仕事が大変な競争をしなきゃならない、仕事も奪われるかもしれないという恐怖感はわかります。しかしながら、これをいかに今ある郵便局のサービスを維持しながら、あるいは発展を考えながら民間と同一条件で競争してもらう。

 郵便事業にしても、かつて郵便事業に民間が参入してくるときには、小包だって二億個ぐらいしかない、じり貧なんだと。ところが、今は十億個以上ふえているでしょう。郵便小包をやっている部分はそんなに減っていないんですけれども、想像をしていなかった分野が、民間の参入によって郵便局が扱っている小包以上にはるかにふえてきて、国民のサービス向上につながっているわけです。

 ですから、五十嵐議員の議論はよくわかります。ある面においては小さな政府を目指す、余計なことは官がやるなという点については私と一致する部分があるんです。特別会計の問題も十分認識しておられている。これから、国債の運用、今はたしか、郵貯、簡保は日銀が保有している以上に保有していると思いますね。この運用は大変ですよ。二〇〇七年にはこの財投預託制度が廃止されます。しかし、これが民営化することによって、確かに民間金融機関も国債を購入しておりますけれども、国債購入以外の分野にも必ず広がっていきます。それが民間に流れていきます。それを時間をかけてやっていくことによって民間経済の活性化につながる。

 民間金融機関も民間の生保会社も、こんな官業が我々の業界に参入してきたら大変だと。しかし、そういう競争によって、私は、より国民にいいサービスが提供されるような民営化会社を考えていかなきゃならないと思っております。

五十嵐委員 総理はすぐ極論に持っていくんですよね。私どもは、何もすぐ直ちに金融業を全部やめろと言っているわけではないですね、一つは。段階的に縮小していって、もともとの補完に戻ることなんです。それでもう一つは、金融のユニバーサルサービスというのは必要だ、それから、決済機能としてのサービスを地方に残してあげる、地域に残してあげることが極めて重要だ、こういうことを一つ言っている。

 ただ、問題は、今新しく急に出てきた竹中さんの案ですか、準備室の案かわかりませんけれども、これは基本的には、小泉龍司さんが、自民党の委員が言われたことが私は正解だと思うんですが、本業がない、つまり、ビジネスモデルをはっきり示していないんですね。ビジネスモデルをはっきり示していない中で、公社の中の改革では無理だ、成り立たないけれども、民営化すれば必ずこれはうまくいくんだと言い張っているにすぎないんです。ビジネスモデルを最初につくって、資本金を幾らにして、そして経営形態はこうするんだというのが、これは後から来るべき話なんでしょう。出口で、これからは公的金融の需要がこうなるから、出口を絞ると入り口も需要がなくなるから、持っていく先がないですよと。そうすると、どういう規模になってどうするかということを、これは後から経営形態というのは出てくるべきなんです。まずいきなり民営化が来て、ビジネスモデルはほとんど何にも示されていない。単なる骨格経営試算というでたらめの思いつきが出ているだけです。全くこれは成り立たないし、そこに一番の問題があるんですね。

 それから、ごまかしはもうめちゃくちゃあるんですよ、今の話の中でも。例えば、安全資産だから国債しか買えないというのもうそでしょう、はっきり言えば。その中で工夫していけばいい。現に、年金は安全資産運用だけしているわけではないでしょう、ポートフォリオの問題ですから。それは、いろいろな、インデックス運用とかリスクマネーに変えることだって工夫をすればできるし、もともと、サイズを大きくしてしまったことが問題なんですから。サイズが大きくなり国債を買ったのは自分の責任ではないように言っているけれども、それも小泉内閣の責任なんですよ。そこを忘れているんです。

 自分は全部責任がないことにしておいて、自分がやれるべきことをやらないで、例えば、目覚まし時計が狂っていれば朝遅刻してしまう、だから時計を壊すんだと言っているようなものです。目覚まし時計を直したり買いかえたりすればいいわけですよ。悪いところは直せばいいんです。僕はそういう話だと思うんですよ。それを、自分がやれることをやらないでおいて、これはしようがない、だからこっちの方でなきゃいけないんだと決めつけることがおかしいじゃないですか。私はそう思いますね。

 いろいろなやり方で、例えば公社でも、私はアメリカがそうだと思うんです。七十五万人の公務員を抱えて、ビジネスモデルを見つけようとしたけれどもなかなか見つからないので、当面これは国営でいきます、そのかわり、電子通信事業に乗り出していきますというのと、アメリカの郵便事業のノウハウ、国営でうまくいっているのは日本とアメリカぐらいだとも言われているんですけれども、そのノウハウを中南米に輸出するんだとこう言っているわけですよ。今の公社の形態の中でも、どういうビジネスモデルで立て直せるかということを考えればいいんです。

 国際物流に入ればいいなんて、それでどうも生田総裁は転んだようですけれども、そう簡単なものじゃないですね。初期投資は一体幾らかかるんですか。それから、そのためにはどういう条件が必要なんですか。いきなり国際物流でそんなにもうかるわけがないですよ。一体、今の日通等の国際物流でのもうけはどのぐらいなんですか。そんなに簡単にいくわけないじゃないですか。

 そもそもその前に、日本に前提条件がある。先ほど物づくりのことを言いました。たくさんいろいろなことを言って申しわけないんですけれども、ごめんなさいね。日本の国際物流がうまくいかないもとは高速道路にあるんです、実は。高速道路料金が非常に高い。高速道路は何と競争しているかというと、鉄道と競争したり、国内の海運と競争したり、飛行機と競争したりしているわけですよ。それで、高速道路料金が高いということは、競争原理が働きませんから、結局そういうところにコスト競争が起きない、そういうことになってくるんですよ。ですから、地球の裏側から横浜港へ持ってくるより横浜港から東京へ持っていった方が高いということになってしまう。つまり、釜山へ持っていって、釜山の港から船で日本のさまざまな細かい地方都市まで運んだ方が安上がりだということになって、国際競争力、日本がないんじゃないですか。つまり、高速道路なんというのは、こういうインフラ的な料金というのは、下げなきゃ国際競争力というのは上がらない。

 通信も同じなんですよ。通信も、ここで民営化して、いわゆるダイレクトメールなんかは、五十円、八十円で運べなくなったら、これはみんな物価となってはねかかり、国際競争力も産業も失うんですよ。国民がみんな損をするんですよ。だからそう簡単にこんなものを決められては困るということなんですよ。基盤が、日本の社会をどうするかというもともとの考え方がきちんとできていないからこういう思いつきが出てくる、こう思うんですが、総理、いかがですか。

 それでは生田総裁、国際物流について。

生田参考人 お答えします。

 郵便の中に、いわゆるリザーブドエリアで信書の部分と、それ以外の市場で競争する部分があるんですけれども、その守っていただいている部分はだんだん減っていくんです。大体年率五、六%減るんです。朝、二、三%というお話があったけれども、五、六%減るんです。それを、競争分野で頑張りながらそれを少しずつ抑えて、トータルで二、三%に抑えている、これが現状。

 だから、信書以外の部分を伸ばさなきゃならないのは事実でありまして、それが何があるのかというと、宅急便のパーセルの部分とダイレクトメールの部分と国際であります。それで、国際以外は、今、応分に、民業圧迫にならない程度に頑張っております。国際はほとんど出ていないんです。そんなことはない、これだけおくれているんだから、もう出たってしようがないじゃないかというお考えもあるかもわかりませんけれども、ほっておくと何が起こってくるか。海外に出られないということは国際競争力がないということで、逆にあの黄色い車をあちこちでごらんになる。DHL、ドイチェ・ポストが東京や大阪をどんどん走っているわけです。もっと来るんです。

 そこで我々は、人材の育成、初期から始めまして、国際競争にこれから出ていこう、こういうところでありまして、御質問の投資でありますが、郵便全般の強化のために、今後二年間に二千六百億使います。国際をやっていいということで御承認をいただきましたら、それに追加してこの一、二年でやる投資というのは、多分百億程度だろうと思います。それをジョイントベンチャーか何かに使って伸ばしていこうと思います。そして、将来は一つの柱にしたい。

 日本の道路は高いですけれども、これは、来たドイチェ・ポストも同じ道路を使っているので、国内だけでいえば余り問題が起こらないだろう、こう考えております。

五十嵐委員 百億じゃ国際競争に勝つようなものには全くならないだろうと、私はこう思いますね。長い間かけて支店網をつくり、人脈をつくり、そして拠点をつくり、飛行機を手に入れ、そして競争が初めてできるわけでありまして、百億じゃ飛行機一機も買えないじゃないですか。そんなばかな話はないと私は思いますね。

 そして、あらゆるところにごまかしが見える。竹中さんというのは本当に口がうまいんですよね。きのうの予算委員会、驚きましたけれども、マル平マークはどう見たって竹中平蔵さんの名前を連想させるためのマークじゃないですか。それは平和の平だと言いくるめるのは、これは本当に詐欺師的だと私は言わざるを得ないと思いますよ。全くひどい話だと思いますね。

 それで、今度のことでもあなたは小ずるいんですよ、だから。政府広報の総額が、今回、法律も決まっていない段階で六億二百万円もお使いになっている。法律ができる前に広報をばんばんかけるなんというのは、前代未聞ですよ。その不透明性もひどいの。二月二十日に折り込みチラシ一億五千六百万円、私、調べさせていただきましたけれども、随意契約でスリードという会社と契約しているんじゃないですか。もう一社も使ったようですけれども、これは竹中大臣の秘書官と関係がある会社じゃないんですか。政務の秘書官と関係のある会社じゃありませんか。ちょっとそれだけ確かめておきたいと思うんですが、ちょっと答弁してください。

竹中国務大臣 まず、広報につきましては、けさほどからもいろいろ議論がありましたように、政府は説明不足であるとさんざん言われてきているわけでございます。それに対して、我々としても、しっかりと説明をしたいということでいろいろな努力をさせていただいておりますが、それでもまだ不足であるというふうにいろいろけさも御指摘を受けたところであります。

 法案提出前に広報した例、前代未聞だということでございますが、決してそんなことはございません。これは、消費税等々、過去においてもそのような広報を行ってきたと承知をしております。

 そこで、具体的に今お尋ねがありましたが、郵政民営化について広報を実施するに当たりましては、限られた予算を効率的に使って国民の疑念や懸念にできるだけ効率的に答えていくためにはどのような広報がよいかということについて、昨年十月から十一月にかけまして、郵政民営化の広報タスクフォースというのを、準備室、そして内閣広報室及び政府広報室において複数の民間有識者から意見を聴取したところでございます。

 それで、スリード社の代表の方からも民間の有識者の一人として意見をいただきましたが、同氏からは具体的な広報企画の提案がございましたということであります。これを受けて、郵政民営化広報タスクフォースにおいてヒアリングを行い、わかりやすいビジュアルな形を用いた同氏の企画は、国民に対する説明を行う上で効果的なよい提案であるとの結論に達し、そのスリード社というところに広報をお願いすることになったというふうに私は聞いております。

 何か個人的な関係とか、そういうことでは一切ございません。

五十嵐委員 では確認したいんですが、大臣の秘書官と何の関係もない会社ですか。

竹中国務大臣 何も承知をしておりません。

五十嵐委員 答弁がうまいんですね、ごまかすのが。今までも何回も、竹中さんと私いろいろな、財務金融委員会を中心にやってきて、出所がわからない資料だからそんなのは信用できないとか言うけれども、結果的にはみんな私が言っていたとおりなんですよね。

 例えばUFJのあの資料隠し問題についても、これはこれだけ事実を裏づけるというか、当事者でないとわからない事実が入っているじゃないかと言うと、そんなのはでたらめだと言って、後でみんなそう。カネボウの粉飾決算も、カネボウは粉飾じゃないですか、それもそんな資料はうそだと言う。その後も、三井住友銀行の件についても、親密企業との関係、あれはおかしな数字で、粉飾の資産査定じゃないか、これも後で、結論から言えば私の言ったとおり。どうもごまかしが非常にうまいけれども、しかし実際には、事実と違うことをこの国会の場で言い続けているというのが竹中さんの今までの国会答弁の態度ですよ。私はこれは許しがたいと思っているわけです。

 私は肝心なことを先ほどちょっと言いました。それに対して御答弁がないんですが、ビジネスモデルというのは確立されていないんでしょう、この特に窓口会社について。ビジネスモデルは確立されていないんでしょう。あの骨格試算というのは、あくまでも、こういうことをやった場合にはこうだという前提を置いての試算なだけであって、ビジネスモデルを確立して、これなら大丈夫という数字じゃないでしょう。あるいは逆に言うと、今の公社でも、いろいろな改革のしようによっては私は生き残ることも十分可能だというふうに思いますけれども、それも、いろいろな可能性を探った上で、こちらよりこちらの方がいいと。手段でありますから、改革は手段、郵政民営化は手段の一つであります、総理もそう言いました。ですから、そうでなければならないはずなんですが、いかがですか。

    〔石破委員長代理退席、委員長着席〕

竹中国務大臣 何か私が国会でうそを言っているという御指摘がありましたが、これはちょっと失礼じゃないかと思います。うそなど言っておりません。これは明確に申し上げておきます。

 それで、ビジネスモデルでありますが、このビジネスモデルの詳細を検討するのが、これは経営者の役割であるというのが私たちの一貫した考え方でございます。ビジネスモデルを、しかも、十年後に民営化されたときに資産運用がどうなるか、そういったことをすべて今の段階で役人や政府が決められるわけがございません。我々は、すぐれた経営者がその時々の立派なビジネスモデルを構築できるように経営の枠組みをしっかりと制度としてつくっておくというのが、法案を提出する私たちの基本的な立場であると思っております。それを裏づけるものとして骨格経営試算というものを示しておりまして、幾つかの可能性があると。

 しかも、もう一つは、ゼロから出発するのではなくて、資産運用にしても、既に三百四十兆の資産を今運用している会社であります。それを十年かけて次第に少しずつ少しずつ改良していって、十年で完全民営化、民有民営を果たそうというわけでありますから、そこは、経済の状況に応じながら、すぐれた経営者にそのビジネスモデルを確立していただく必要があろうかと思っております。

 窓口会社に関しましては、しかしコアとして、郵便窓口業務、これは二割なのか三割なのか、そういう業務がある。今はその大部分は金融の販売をしておりますけれども、それを当面続けていただくということを長期契約等々で想定して、さらにそれに付加的にどのようなことを行っていただけるか、そのさらに詳細なビジネスモデルを経営者に判断していただいて発展をさせていただきたいと思っているところでございます。

五十嵐委員 ですから、それがごまかしだというんですよ。経営者の良心と腕に、才能に任せればいいという問題ではないでしょうと。日本の経済社会の全体の崩壊につながりかねない、先ほども仙谷委員が指摘をしましたけれども、そういう重大な、今ある意味ではうまくいっているものを将来危なくなるかもしれないからといって直すのであったら、確実にこちらの方がいいんだというビジネスモデルを示して、それに伴って経営形態を選ぶべきではないですかと言った。それに対して、ビジネスモデルはつくらなくていいんだ、経営者が考えるべきものだと言うのは、ごまかしの答弁なんですよ。私はごまかしだと思います。

 先ほど言ったのも、私はあなたが完全にうそつきだと言ったわけではなくて、そういう面もあるかもしれないけれども、ごまかしの答弁ばかりしていて、むしろあなたの方が私に対して失礼で、ちゃんと事実関係を示してこれはこういうことでしょうと言ったのに、怪文書扱いして失礼なことを言ってきたわけですよ。私は大変失礼だと思いますよ。

 それから、この中で私が一つ重要だなと思うのは、なぜこんなに急ぐのか。我々は、じっくりビジネスモデルを構築して、その結果として、いろいろ選択、考慮したあげくに民営化するというなら民営化でもいいと思うんですけれども、何でこんなに急いでやらなければいけないのかということがあるわけですよ。

 私、それの秘密が少しわかってきたんですね。やはりアメリカじゃないですかね。

 アメリカは、二〇〇三年、四年、五年のいわゆる年次改革要望書で郵政民営化を求め続けております。それから、二〇〇四年の九月二十一日の日米首脳会談では、報道されておりますけれども、ブッシュ大統領が、郵政民営化の進展はどうなっていますかと異例の発言をされております。そして、十月一日の日米財務相会談では、スノー長官から、米国の業界も簡保の問題について関心を持っていると発言がありました。十月七日には、町村外務大臣とゼーリックUSTR通商代表との会談で当時の代表から、郵政民営化に関心があって方向性は大変喜ばしいという、非常に、次々と米政府の首脳、高官からこの郵政民営化について、早くやるようにという催促が来ているわけであります。

 なぜこんなに関心があるのかな、こういうふうに思いましたら、ブッシュさんの支援団体の一つは向こうの生命保険団体だということはあるんですけれども、実はそれだけではなくて、ブッシュ政権は今、オーナーシップ社会というのをつくろうとしているんです。これは年金の民営化です。つまり、賦課方式から、積立方式に一部個人勘定というのを導入して、これを積立制度に変えようとしているわけです。今の賦課制度から積立制度に変える移行期になりますと、これは、賦課方式の負担と自分の今後の積み立て分と二重の負担が生じます。したがって、これはかなり負担が重くなるということで、これを米政府は全額国債で賄う方針を打ち出しています。その額は、二〇〇九年度から一五年度で一兆ドル、大変な額になっているんですね。

 それで、実はこのファイナンスをジャパン・マネーでしようとしているんじゃないか、これが私の見えてきた姿なんです。日本のお金でアメリカの国債を、今は七十四兆円外貨準備で保有していますけれども、さらに一兆ドル、百十兆円ばかり日本からファイナンスしないとならない、アメリカはもう今はイラク戦争で火の車ですから、そう思っているんじゃないかな、こう思うんですね。

 アメリカのこの異常な関心、自分の国は国営を守りながら、日本に対してなぜこんなに性急に民営化を迫るのか。はいはいと言っていないで、総理も、ブッシュさん、そんなに言われるんだったら、アメリカも民営化されたら、そんないいことならどうですかとなぜおっしゃらないんですか。

小泉内閣総理大臣 先ほどから、でたらめだのごまかしだのと、よくもまあひどいことを言うなと思って聞いていましたよ。私が民主党の質問に対して、あんたの意見はでたらめだとかごまかしだと言ったらどれほど怒るかと。私は我慢しているから怒りませんよ。

 それと、ブッシュ大統領との会談で、郵貯とか簡保の民営化、これが話題になったことはありますが、ブッシュ大統領が大統領就任以前から私は郵政民営化論者なんですよ。それはわかってくれるでしょうね。それで、話に出るというのは、小泉がいかに郵政改革に熱意を持っているかという情報がブッシュ大統領のところに届いているんですよ、経済問題で。そして、いろいろ困難があるようだけれども、郵政改革どうなんだという話は出たことがありますよ。そういう内政の状況を私は説明したことがあります。その際に、ああだこうだとブッシュ大統領、そんなことを言いませんよ。ああそうか、改革は大事だ、頑張ってくれと、そういう程度ですよ。

 そこで、アメリカには日本みたいな郵貯とか簡保はありません。日本としては、まず、国家公務員がやっている仕事、重要な仕事はたくさんあります。しかしながら、今、地方自治体でも民間委託が進んでおります。民間にできることは民間にと、現在民間がやっていないところでも、できるんだったら民間に委託していこうじゃないかというそういう自治体も出ております。

 我々としては、国の事業で国家公務員だったら安全だとは限りません。民間になれば安全だということも限りません。何に増しても人が一番大事であります。国家公務員だってやる気のある人はいます。民間だってやる気のない人はいます。しかしながら、現在の状況でこれ以上役所を大きくしちゃいかぬ、予算も財政出動もできない、公務員もふやせない、減らしていく方向だということだったらば、民間にできる事業は何かということを、ずうっと特別会計のみならず、今の特殊法人も含めて、各役所の仕事も含めて、これは民間にできるんじゃないかというものはどんどん私は民間にできるようにしていったらいいと思うんであります。それが、最も今公務員がやっている仕事で同じように民間がやっている仕事が郵政三事業なんですよ。

 本当に、こういうことから考えて、確かに、官業である郵政三事業が民間に進出したらば、民間の今の金融機関とか生保会社というのは非常に不安になるでしょう、自分たちの仕事を奪われる。しかし、同時にこれは、競争によってそれに負けないようないいサービスを展開しよう、商品を出そう、これは郵便局の人たちも考えるはずです。だからこそ、民間にゆだねた企業というのは多くの国民から支持を得ているんです。今、国民も関心がないと言っていますが、郵政民営化賛成か反対かという世論調査をとったら、私は、必ず郵政民営化賛成論者の方が多くなると確信しております。

五十嵐委員 総理もいろいろなことを言われましたが、まず最初に、総理は前回、テレビ入りの私の質問が尽きたところで、五十嵐さんも古臭くなりましたねと人を非難しているんですよ、テレビの時間の最後が切れたときに。失礼なんですよ、それは。お互いさまの話じゃないですか、そんなことを言ったら。それは覚えていますよ、私も。

 それから、私が心配しているのは、日本の国はどうなるかという問題なんですね。もっと大きい話をしているんですよ。だから言葉がきつくなるんですよ。

 三角合併を今度認めることになりかかっています、会社法の改正で。これはやはりかなり危険な法律です。ですから一年延ばすということになったんですが、一年延ばすだけじゃだめなんですよ。これとセットになったら、ハゲタカファンドは必ずこれをねらってきますよ、この日本の郵貯、簡保の会社。とにかく、支店がない単なる投資銀行ですね。ほとんど普通の銀行というより投資銀行ですよ、支店を持たないんですから。融資なんか、前にも言いましたけれども、一人前の融資ができる銀行員を育てるのに最低七年かかるんです。そんなに簡単に支店もなくて融資できるわけがないんです、地域のことがわからないんですから。これをやるようにするためには、地銀や地域の銀行を買収するか、さもなければ、もっとでかいところに身売りするかということになってしまうんですよ。

 そこで、この三角合併を使えば、ジャパン・マネーで日本の大きな銀行を自分の子会社にできる。もともと、アメリカの株式総額が大きくなっているのは、ジャパン・マネーによるこれはバブル的な部分があるわけですね。金利差がありますから、日本のお金がどんどんアメリカへ行っている。そのお金を使って日本の企業が買収される危険が非常に大きいわけですね。この三角合併もこの年次報告書に入っているんですよ。

 そういう意味でいうと、会社法の改正とセットで広く考えると、非常に日本の国益が損なわれる危ないスキームに今回の四分社化はなっているのではないか、こういう疑問が出てくるんですが、いかがでしょうか。

竹中国務大臣 商法の話をちょっとお答えする立場にはございません。しかしながら、我々、アメリカに言われて云々というような御指摘があるようでございますが、そういう問題では一切ございません。日本の立場で、日本の国民にとって大変重要な資産である郵政を、どのような形で市場経済の中に統合していくかという観点から法律案を提起させていただいております。

 商法云々に関しましては、担当の者から御答弁があると思います。

南野国務大臣 お答え申し上げます。

 合併は、経営者が合併契約を締結し、株主総会の承認を得なければ成立いたしませんので、友好的に行われるものしかございません。

 したがいまして、買収者が三角合併を行おうとする場合には、まず、株式を少なくとも三分の二以上買い集めて取締役を解任し、自分の言うことを聞く取締役を選任しなければならない。その場合、買収者が株式を買い集めるときに、外国株を対価として買い受けを行おうとしても、既存の株主は通常現金による買い付けにしか応じませんから、買い付けは失敗に終わる可能性が高いと思います。そのため、買収者は、少なくとも三分の二以上の株式を現金で買い取る必要があります。

 また、欧米企業が株式の買い集めに成功して、外国株を対価とする三角合併を実行する場合には、株主総会の決議において、通常の特別決議ではなく、株主の頭数の半数以上で、全体の三分の二以上の賛成が必要な特殊決議を得なければなりません。例えば株主が五万人いるとしますと、買収者が一人で三分の二の株式を持っていたとしても、さらに約二万五千人の株主の賛成がなければ三角合併を行うことはできないのであります。

 したがいまして、外国株を用いた三角合併が日本経済に打撃を与えるほどふえることはまずないのではないかと思っております。

 しかし、この点につきましては、十分現実を注視してまいりたいと思っております。

 以上です。

五十嵐委員 日本企業はなかなか値を崩してもうけるということはできないんですが、アメリカの、外資の資本力の大きなところは、まず値を崩してから買収に入るというようなことを常套手段でやってまいります。結構いろいろな手段で、今はもう既に、日本の郵政民営化をにらんで七千億円、八千億円の資金を用意しているというファンドも実はあるわけであります。

 ですから、これは、そう簡単に心配ないと言うんだったら、今のポイズンピルの話や一年先に延長しようとかいう話は必要ないということになって、それは、自民党の皆さんの意見もばかばかしい話だと言っているのと同じことなんですけれども、そうじゃないでしょう。非常にそういう危険性が高いから、これを十分に検討しなければいけないということになっているはずであります。

 そこで、話は先ほどの仙谷さんの質問の結末に入らせていただきたいんですけれども、公社の総裁、過去勤務分の積立金はどうなっているのかおわかりになりましたでしょうか。

生田参考人 国会のこういう手順をよく存じていないのでざっくばらんに申しますけれども、私のところには、いずれ紙でお配りするように今手配中であるというふうに聞いております。

 先ほど申し上げましたように、退職給付引当金そのものは、企業会計原則にのっとりまして、二兆七千億、これは負債としてバランスシートに計上しておるわけですけれども、仙谷先生のおっしゃった、御質問が出ました国共済の過去勤務債務のもの、これは、なるほど計上されていないわけであります。これはどうやら、私もその辺は厚生年金と違って詳しくないんですけれども、これは公社の問題というよりも、国共済全体の、公務員をカバーする全組織、全官庁の問題で、その中に全部の問題が包含されて溶け込んでいて、それでその中に公社の分も含まれているということで、そのもの自体は約三十八、九兆あるんですけれども、その大体四分の一が公社の分だろうと。それで、なおかつ払い込みの分がありますから、実際上、多分足りないのは六兆前後かなというふうなことになりますけれども、詳しい数字は財務省の方で御検討いただくということのようです。

谷垣国務大臣 数字につきましては先ほど仙谷委員にお答えしたとおりでございますが、今、総裁がお答えになりましたその背景は、要するに、世代間扶養の考え方に基づく賦課方式を、公的年金制度、日本の今の制度はとっておりますので、過去の保険料拠出に対応する給付現価に相当する積立金をそのまま保有しているという形にはなっていない、これは、今後の保険料収入等によって賄う財政方式をとっているということが先ほどのあの総裁の御答弁の背景にあるわけでございます。

 それで、現在、厚生年金、共済年金双方の制度ともにこうした賦課方式を基本としているわけでございますが、これは、先ほどのように、今はまだ共済でございますが、今後厚生年金に移行する、そのときに、その時点における双方の年金制度の財政状況等を踏まえて関係者間で調整をしていくということに、今までの例を踏まえましても、なると考えております。

五十嵐委員 要するに、今は税金担保だから、そういう日本の国の会計システムからは構わない、しかし、厚生年金化すればそこはきちんと債務として立てなければ成り立たないですよ、こういう話なんですね。こういう会社をそう簡単に上場していいんですかという話にもなってくるんですよ、実は。そういうことですね。つまり、後で債務が出てきて配当が出せないかもしれない企業ということになるわけですから、これはそう簡単にいかない話なんです。

 それだけではなくて、そもそも、配当性向が落ちる、国が三分の一の株を持っている、あるいは、その過程でいろいろなところにその公的なサービス分の基金を積まなければいけないというようなところを上場できるのか、本当にこういう株が売れるのかという問題があると思うんですね。それは過去のNTTとかJRとは違うんですよ、実は。NTTは、これは先端技術で収益性が見込まれる分野であったけれども、もともと金融業は過当競争で、能力がない、日本の郵政公社については。能力がない。それから、郵便事業については採算性が最初から厳しいということなんですから、そしてビジネスモデルはないんでしょう、結局は。無責任なんですよ。ビジネスモデルがなくて後で考えてもらいますという会社が本当に上場できるんですか、株を買ってもらえるんですか。それはおかしいんじゃないですか。民間会社としてこれは売却することはできない会社だ。

 それから、国民の側から見てみると、国共済というのは三階建て部分があるんですよ。民間企業が三階建て部分でその恩恵を受けるんだったら、我々だってみんな国共済に入れろとこう言ってくるんじゃないんですか、普通の民間のサラリーマンたちも。これは全くおかしな話だと思いますが、矛盾だらけ、そういう意味ではでたらめだと言われても仕方がないんじゃないですか。いかがですか。

谷垣国務大臣 今のもちょっと、そう言ってはなんですが、まことにある意味ではなたで削ったようなことをおっしゃいましたので、どうお答えしていいか戸惑っているんですが、これは、今は国共済に入っております。やはり移行期間をある程度とらなきゃできませんからそれは国共済ですが、みんな国共済に入れろという話ではありませんで、いずれ、十年ないし、今までの例を見ましても、そのぐらいの歳月をかけて厚生年金に移行していく、こういうことであります。

五十嵐委員 何年で移行するんですか。では、何年で移行できるんですか。

谷垣国務大臣 それは、今までのNTTとかJRの例を見ますと十年から十二年ぐらいかけているようでございますから、今の時点ですべては判断できませんが、大体そういうことを想定しているわけでございます。

五十嵐委員 こういう会社が本当に株を上場できるんですかね。それはお答えいただきたいと思います。

竹中国務大臣 まず、制度設計の問題としまして、年金は、雇用者の利便も考えまして、不利にならないように、かつその年金制度全体の安定性が損なわれないように、過去のJR等々の例を参考にしながらやっていく、JR、NTTは十年から十二年かかりましたと、今財務大臣の答弁のとおりでございます。

 その場合に、例えば、その債務の不足分のお尋ねでございますけれども、これについては、詳細、改めて公社等々で御吟味をいただくことになると思いますが、基本的には、これは、そのことを必ず計上しなければ企業会計原則に反するものではないというふうに聞いております。現実問題として、だからNTTも計上していないわけです。御承知のとおり、御指摘ありましたよね、委員御指摘ありましたように、NTTもまだ計上しておりません。JTは計上をしております。

 その場合の上場の基準等々は、恐らくこれは、上場できるかどうかを判断するのは証券取引所でございますから、そのときの判断等々になる。これは、我々としては、しっかりとした経営者にしっかりとした経営をしていただいて財務基盤を強化していく、その中で上場をしっかりと果たしていっていただくということを申し上げているわけでございます。

五十嵐委員 何年上場を目指すんですか。何年度上場を目指しますか。

竹中国務大臣 上場の具体的な目標年次等々を法律、政府等々で関与して定めているわけではございません。これはしかし、順次株式を売却していっていただいて、銀行と保険に関しては、これは段階的に売却をして十年で完全処分ということでございますから、それを実現する範囲で、その時々の経営状況等々も御判断いただきながら決めていっていただくということになろうかと思います。

五十嵐委員 結局、ビジネスモデルも決まっていなければ目標も何も決まっていないんですね。資本金の額も決まらない。結局何にも決まっていないで、うまくいくはずだからこれに従え、決めろと、こう言っている話なんですね。

 それから、代理店契約もいいかげんといえばいいかげんだと思うんですよ。ある程度長期、移行期間を過ぎても認めると言うんですが、例えば四十年も五十年も長期だったらおかしいでしょう、民間会社をそんなに縛るのも。一体どのくらいだったら許容されるんですか。何にもわかっていないんですよ。何にも決まっていないんですよ。

竹中国務大臣 いや、何にも決まっていないのではなくて、しっかりとした枠組みを決めているわけです。

 例えば、繰り返し言いますが、銀行とこの保険については十年で完全処分する義務を負っているわけですから、こんなはっきりとした枠組みを決めている例はないわけです。しかし、例えばいつから始めるかというような詳細については、これは二・五年で始めるとか三・五年で始めるとか、そういうことを決める立場にはないでしょう、その枠組み、最終的なおしりを切って、後はしっかりやってくださいねということを申し上げているわけです。

 それで、お尋ねのありましたその委託契約の期間でございますけれども、これは、金融行政の立場から安定的な代理店契約があるということでございます。したがって、最低限十年をカバーしますが、それ以上になることを妨げない。しかし、常識的に考えまして、これは五十年、百年というものがでは認められるのかということになりますと、これは、そういうことによってかえって金融機関の行動を縛りますから、安定的な金融にならないわけですから、そういうことは想定されないというふうにかねてから申し上げております。

五十嵐委員 だから、その安定的だというのは何年ぐらいまでは許容範囲なのかと聞いているのに、お答えにはならないんですね。

 それから、先ほどの話ですけれども、結局、いつまで待っても旧郵政省分は切り分けは難しい、わからないという理解でいいんですか。それとも、いつまでかに資料が出てくるというお話でしょうか。その確認だけさせていただきたいと思います。(発言する者あり)

二階委員長 では、速記をとめてください。

    〔速記中止〕

二階委員長 速記を起こしてください。

 では、審議を続行します。谷垣財務大臣。

谷垣国務大臣 先ほど、国共済で過去期間に対応した要するに過去債務ですね、それが約三十七兆である、仙谷委員に、それで、国共済のうち約四分の一が郵政関係でありますから、その割合を当てはめますと大体九から十兆というお答えをしたところでございます。

 それで、厚生年金に移りましてもそこは同じような構造に当然なってくるわけでありますが、具体的な額は、いついかなるときに移行をさせていくかというようなことで、詳細にはそういうことが明確になってきませんと計算ができないわけでございまして、現在の段階で申し上げられることは、先ほど仙谷委員に御答弁を申し上げたあの数字でございます。

五十嵐委員 どこかで切り分けなければ……(発言する者あり)だから、どこかで切り分けなければ……(発言する者あり)そうでしょう、しかし、どこかで確定させないと株を売れないじゃないですかということを言っているんですよ。だから、それはいつやるんですかと。

 それは、上場するときに、上場はそのときの経営者の判断だと言うけれども、そうじゃなくて、上場目標を立てて、それで、何年に上場するから、それまでにこういう準備をしてそして上場する、どこの民間会社だってみんなそうするわけですよ、当たり前の話なんですよ。

谷垣国務大臣 ですから、さっきから申し上げているんですが、要するに、国共済から厚生年金に移っていくのがこういう民営化をするということであれば、原則であろうと。そういう基本的な考えの中でこれから対処していくことになるわけですが、具体的な移行方法等につきましては、これから関係者間でさまざまな検討、調整がなければできないと思います。

 こういう検討、調整の結論が得られるまでの間については引き続き国共済を適用しようということでございまして、その……(発言する者あり)そのあれはいつまでだというやじがございましたけれども、そこにもお答えをいたしますと、それは、前の民営化したときの例によりますと十年ないし十数年かかったということでございますが、この郵政に関してどうしていくかは、これからの検討でございます。

五十嵐委員 いや、そうじゃないんですよ。前例があるからこそ、実はこのような方式で切り分けて、大体この程度になって、このぐらいのときに上場を開始して、いつで売り切るということをちゃんと計画しなきゃ、それを先にやってから持ってこいという話なんですよ。前例があるんだから、きちんとこれは考えられたはずでしょう。それをやらないでいきなり持ってきて、先に経営形態の変更だと言うからこういうことが起きる。

 まだたくさん実は、親子上場を助長するとか、日本の会社制度、株式会社制度、経済社会のシステムにいろいろなゆがみをもたらす大きな経営形態の変更なんですよ。だから我々はいろいろな心配をしている。それを準備不足のまま持ってくるから、これはおかしいですよ、出し直してくださいと。今までだって、重要な年金法案だとか国民負担をかけるかもしれないようなものは、これは一国会で上げないで、慎重審議してきたじゃないですか。健康保険法にしてもしかりですよ。ここで慌ててやるというのはどうしてもわからないですね。私はそう思います。

 今までさんざん苦労して働いてきた郵便局の皆さんにしたって、感謝されていたものが急に何だか悪者にされてたまらないと思いますよ。それで、こうした結果になれば、今のビジネスモデルというか法律によりますと、何でもできるんですよ、郵便局会社というのは。水商売だってできるんですよ。クリーニング業の取り次ぎだってできるわけですよ。それで、今まで感謝されていたものが商売がたきに急に変わるんですよ。

 こんなことは本当は簡単にやっていいのかということを申し上げて、時間が来ましたので譲ります。

二階委員長 次に、松野頼久君。

松野(頼)委員 民主党の松野頼久でございます。

 今議論を聞いていましたら、非常に不思議な議論が行われておりまして、ちょっと今のを引き続いて確認をしたいと思うんですけれども、国家公務員共済の間には株式は売り始めないんですね。それを確認させてください。

竹中国務大臣 NTT等の例に見られますように、これは民営化とは基本的には関係がございません。要するに、共済の制度、年金の制度自体でございますから、これは組織を民営化するということとは別でございます。JRにつきましても、NTTにつきましても、民営化を行ってしっかりと民間企業としてやっていただく、しかし、年金については時間をかけて、年金制度のあり方等も、年金制度の安定性等も考慮しながら、それはそれで移行していく、そのように考えております。

松野(頼)委員 いや、これは驚いたお話をされますね。会社は民営化ですよ、株式は売却するんですよ、でも身分は国家公務員共済ですよ、そういう会社があるんですか、ほかに。

竹中国務大臣 申し上げましたように、JRを民営化したときがそうです。NTTを民営化したときもそうです。そのような形で、これだけ大きな職員を抱えた年金制度の移行ですから、そのぐらいの移行期間はやはり見なければいけないと思っております。

松野(頼)委員 たしか、この民営化の理念の一番大きな柱は、公務員を民間人にするという話じゃないんですか。それが一番大きな目的として今まであなたが語られてきたことじゃないですか。違いますか。

 それで、さっき野田聖子さんがおっしゃいましたけれども、JRの民営化というのは目的がありました、二十兆円という負債を切るためだと。そして、NTTの民営化というのは、またその大きな通信の流れの中での目的があった。それは確かだと思いますよ。

 しかし、今回は、四十万人の公務員を民間人にするというのが大きな目的なんでしょう、それを、あなたは何回も言っているじゃないですか。それなのに、何でそこの部分の共済を、国家公務員共済を残しながら、民間人にできると言い切れるんですか。もう一回答えてください。

竹中国務大臣 これは、民営化によりまして、国家公務員の地位を離れて民間人になります。これが民営化によってもたらされる小さな政府に向かう非常に重要な効果でございます。これは変わりません。

 したがって、従業員は、国家公務員法が適用される公務員ではございません。しかし、過去の経緯から、国共済の適用を受ける、そういう経過期間がしばらく残る、そういう意味でございます。

松野(頼)委員 国民が、四十万人の公務員が民間人になりますよという話を聞いたときに何を期待すると思いますか。ただでさえ、今のこの郵政公社の国家公務員というのは一円も税金は使っていないんですよ。

 麻生大臣、これは幾ら税金を投入していますか、郵政公社に。

麻生国務大臣 正確に知りませんけれども、多分、ほとんど投下していないと思いますが。

松野(頼)委員 多分、税金の投入はされていないんですよ、この公社に対しては。ですから、国家公務員を民間人にすると言われると、いかにも何か税金が安くなるかのように言われるんですけれども、税金と公務員の身分は一切関係ない。

 では、何が変わるのかな、何が有利なのかなというと、国共済の方が厚生年金よりも有利なわけですよ。ではそこの部分は残しておきますよ、でも形態は民間企業ですよ、こういう話が通じるんでしょうか。そのまま株を売却して、まして郵貯・簡保会社に関しては一〇〇%株を一回売却すると言っているんですけれども、JRは一〇〇%売り切っていないじゃないですか。NTTだってまだ持っているじゃないですか。こういうばかげた話をしながら、この民営化なんですよ。

 もう一点聞きます。

 大臣、骨格経営試算というのを出されましたよね。人件費の部分、法人税の額まで毎年きちっと計算されていますけれども、では、この人件費に係る共済の資金は一体幾らで計算されているんですか、骨格経営試算の中で。お答えください。

竹中国務大臣 委員、繰り返し申し上げますが、国家公務員法の公務員ではなくなるんです。何のためにこういうふうに国共済にしばらくの間、これは厚生年金に移行するわけですけれども、残っていただくかというと、これはまさに従業員の立場を考えてのことなんです。従業員にとってその方が有利であるし、従業員の地位、雇用をしっかり配慮するという五原則に基づいてそのように配慮しているわけですから、従業員に不利になるようなことはやはりしない、時間をとるということでございます。

 骨格経営試算に関しての試算でございますけれども、この骨格経営試算については、試算の仕方はいろいろございますけれども、人数掛ける給与掛ける、さらに福利厚生費の積み上げの計算ではございません。仕事量に対して、例えば生産性、人件費一円当たりの生産性を一定に保つような人件費の運営をしていただくとか、そういう形でのマクロ的な試算でございますので、個々のピースミールな積み上げの試算とは性格が異なります。

松野(頼)委員 厚生年金の事業所負担分と国共済の事業者負担分の金額は違うはずなんですよ。移行期がいつなのかわからない、その上で、毎年毎年、租税公課に関しては百四十一億円だとか、細かく出しているじゃないですか、ここに。なぜこの骨格経営試算にそれが入っていないんですか。そんな漠然としたものなんですか。

 二十七万人の社会保障費の事業所負担分、ちっちゃい金じゃないと思いますよ、僕は。それが入っていないでこの骨格経営試算ができているということ、もう一回説明してください、ちゃんと。

竹中国務大臣 骨格経営試算の考え方といいますのは、十年という長い期間をとって、その間にビジネス全体がどのような形で取扱量等がなっていくのか、それに合わせて、当然、生産性上昇等々もしていただかなければいけません。具体的には、人件費一円当たりの生産性を下げないような形でやっていく。その中で、例えば、その場合に給与をどのようにするのか、人数をどのようにするのか、そういうことは事後的に経営として判断が適切になされていくというふうに考えているわけで、委員のように、例えば、一人人件費幾ら、人数幾ら、そしてその積み上げが幾ら、そのような形での、まさに非常に詳細な経営シミュレーションというのは、これは後の段階で経営陣によってしっかりとなされていかなければいけないものだと思います。

 税金についても、それと同じ考え方でございます。税金についても、では細かく言うと、ここの施設の固定資産の評価額は幾らになって、それに税率を掛けて、それでやるのかと。そういうような試算はできないわけです。したがって、資産に対して、利益に対してどのような形で、バルクといいますか、マクロ的な試算を示しているのがまさに、だから骨格経営試算なんでございます。

松野(頼)委員 その考え方自体が、あなたの考え方は官の考え方なんですよ。

 民間はどう考えるか知っていますか。まず、物の単価を定める、売り上げの目標を定める、そして人件費、一人雇ったらその一・五倍ぐらいを掛けて、これが人件費一人頭にかかる大体社会保障費のコストですねという計算をしながら、だったら何人の従業員を雇えて、そうすると幾らの利益が出る、こういう計算の方式をするのが民間の考え方なんですよ。

 麻生大臣、そうでしょう。ちょっと答えてください。そうか違うかだけで結構です。

麻生国務大臣 会社の経営の仕方というのはいろいろありますからね、松野先生。会社もいろいろとだれか言われた人がいましたけれども、まさにそういう例ですから、これはそういうものと決められているとはなかなか言いがたいと思います。

松野(頼)委員 少なくとも、これはなぜ毎年一・一ずつ減らしているのかわかりませんけれども、あなたは人件費という科目を骨格経営試算で各事業会社に全部入れているんです。毎年毎年それが一・一ずつなぜか減っていっているんです。全くこの一・一という数字もわかりませんし、この中で、まず社会保障費の負担分、これは大きい数字ですよ、二十七万人。パートまで入れると四十万人の話をしているわけでしょう。そのお金の、社会保障費の持ち出し分の金額、これをちゃんと出していただかなくては。

 あなたは、この骨格経営試算、五月の二十六日の衆議院本会議、柳澤さんの質問に対して、ちゃんとこれは四分割して経営が大丈夫なんですかということに対して、骨格経営試算を作成しております、こういうものがありますから、当期利益の合計は一兆円強と試算されているところでございまして、安心でありますというお答えをしているんです。それぐらいこの骨格経営試算に対してあなたは自信を持っていらっしゃる。

 それに対して、この二十七万人の社会保障費の負担が、国共済になるのか社会保険になるのか、この差が決まっていないのに毎年毎年数字を出している、一番民営化の根本となるこの試算がそもそも間違っているんじゃないですか。

 では、出してください、これを。いつ国共済から社会保険に加入を変えて、事業者の持ち出し分は幾ら変わって、そして幾らの変更が起こるのかというのを出してください、ちゃんと。こんな適当な試算じゃ話ができませんよ。

竹中国務大臣 骨格経営試算というのは、長期にわたる企業経営の方向性と可能性を見るための試算、まさに骨格経営試算でございます。

 委員がおっしゃっているのは、例えば、非常に詳細な年度ごとの会社としての利益計画、そのようなものであるならば、しかも短期間についてそういうことを行うというのであるならば、それはそういうような場合もあり得るかもしれませんが、我々は、長期的に郵便の取扱量が減ってまいります、取扱量の低下は詳細はまた御説明申し上げますが、それと合わせながら、全体としては生産性の低下が生じないように、そのような形で人事政策を行って人件費を払っていく。

 今だって、ちゃんとした給料等、そして社会保障関係の負担を払っているわけですから、それを基準にして今後ともその生産性を減らさないような形でしっかりと払っていく、そのような形でマクロ的な枠組みを示すものが骨格経営試算ですから、委員がおっしゃるようなそういう詳細な積み上げのものを十年にわたって出すことは、これは不可能でございます。

松野(頼)委員 どうしてですか、それは。人件費は出しているんですよ、毎年ちゃんと。理由はわかりませんけれども、一・一ずつ減にしてあなたは人件費を出している。一兆二千二十四億円が初年度で、十年後にはそれが一兆八百八十五億円というふうに、なぜか。では、この根拠は何ですか。

 これは、委員長、この骨格経営試算というのは民営化の議論の一番資金的な根本の数字であります。この数字がこんなにめちゃくちゃだったらば、この民営化の、民営化した後の会社が成り立つのか、それとも成り立たないのか。一体、利益が出るのか、地域・社会貢献資金は幾ら積めるのか、こういう話は全くできませんよ。ぜひこれは出させてください、委員長。

二階委員長 後刻理事会で検討いたします。

 竹中郵政民営化担当大臣。

竹中国務大臣 ちょっと細かい数字について通告をいただいておりませんでしたので、その一・一%等先ほどお答えすることができませんでしたから、できるだけ通告をいただいてしっかりとした議論をさせていただきたいと思いますが、厳密には、郵便物の取扱量が一・一%減る。ですから、物理的に取扱量が減ってきても、人件費一円当たりの生産性が低下しないように、そのような形で人件費を計上しているということでございます。

 これは繰り返し言いますが、長期的な、マクロ的な枠組みを示すための試算でございます。こういう試算は専門家の意見も聞きながらきちっと試算を積み上げたものでございまして、損益計算書と貸借対照表をしっかりと組み合わせながら厳密な計算を行った。その意味では、しっかりとしたものであるということで専門家からも御評価をいただいていると思っております。

松野(頼)委員 でも、普通、人件費があったらば、社会保障費の負担分は当然入るんですよ。今毎年毎年、去年の社会保険でも、法が改正をされましたから、最大一八・二五%まで、その半分が事業所の持ち出しなんですよ。でっかい数字です。給与の二割近くが社会保障費、それも年金で消えていくんですよ。それを去年の七月に決められたわけですよ。

 これだけ大きな数字、半分としたって九・何%、十年後にはそういう数字になるんですけれども、なぜかこれが下がっているし、人件費の横には社会保障費というのは当然あってしかるべきなんですよ。こういうものがなくて、骨格経営試算、これに基づいて一兆円の利益が出ます、一兆円ぐらい吹っ飛んじゃう数字じゃないですか。違いますか。二十七万人の社会保障費の負担で。

竹中国務大臣 人件費の中には、これは再三申し上げているんですけれども、給与と社会保障のためのそのような負担すべて入っているんです。入っているんです。入って、だから、人件費について、それを合計で一円当たりのトータルの人件費の生産性は一定だというふうに保っているわけで、何々が抜けているというわけではございません。(発言する者あり)

二階委員長 質問を続行してください。

 ただいまの民主党からのお話につきましては、後刻理事会で議事録を精査した上で協議します。

 松野頼久君。

松野(頼)委員 では、入っているなら幾らなんですか、数字を示してください。

竹中国務大臣 もう一度、ぜひ正確な議論をさせていただきたいと思います。

 毎年度のトータルの人件費の中に、毎年度の年金支払いとしては内数として入っているわけでございます。これは、先ほど申し上げましたように、既に今、公社は給与と年金等々の支払いが入っております。それに基づいて毎年事業量に合わせて云々ということですから、私としては当然その中に入っておりますということを申し上げたつもりでございます。内数として入っているわけで、それを別建てで、別の計算として行っているわけではない。だから、別に計算しているわけではないということを申し上げていたつもりでございます。

 その内数が幾らかということでございますけれども、必要でございましたら、内数は後で出させていただきますけれども、現状において給与と年金の比率等々で、その中に、トータルの中に一定比率その年金等々のものが含まれている、それがトータルとしての人件費である。計算の仕方は、現状をもとにして、しっかりと一円当たりのトータルの人件費の生産性が一定であるということを前提に計算しているということでございます。

松野(頼)委員 ぜひ内訳を出してください。

 それで、それだと、一体いつ国共済から社会保険に変更しているんですか。

 大体でいいです、大体で。

竹中国務大臣 ですから、そういう別建ての計算はしていないわけでございます。トータルの人件費として生産性が一定になるように計算しているということを繰り返し御答弁しているわけでございます。

松野(頼)委員 国共済の数字で入れているんですか、それとも社会保険の数字で入れているんですか、厚生年金で入れているんですか。どっちなんですか。

竹中国務大臣 現状をもとにして生産性の伸び率ですから、だから現状は国共済の年金が入っているということになります。そのもとで、トータルの人件費の、繰り返し言いますが、一円当たりの生産性が一定になるようなシミュレーションを行っております。

松野(頼)委員 そうすると、これですと、人件費も毎年一・一ずつ、十年間で一一%落ちているんですね。逆に、去年の七月の法改正によって負担は毎年〇・五ずつ上がっていくんですが、そうすると、相当な人件費削減という考えをしているわけですか。十年間に向けて、人件費は、相当真水は抑えられていくと。一体幾らで人件費を算定しているんですか。大体で結構です。

竹中国務大臣 ちょっと数字のことでございますので、通告をいただいておりませんので、改めて御答弁させていただきます。

松野(頼)委員 この骨格経営試算というのは、二十七万人、民営化の基礎であります公務員を民間人にするという一番大きなところじゃないですか。

 大体でいいんですよ。一人頭パー計算で五百万ぐらいの給与ベースを考えているとか、六百万なのか三百万なのか、幾らで考えているんですか。何万人の雇用ベースで考えているんですか。人は減っていくんですか。リストラはされていくんですか、されていかないんですか。それを示してください。

 これですと、相当、毎年毎年社会保障の負担は上がっていくにもかかわらず、人件費は毎年毎年一・一下がっている。ということは、人が減るか給料が減るかどっちかなんですよ。どうなんですか、そこの基本的理念は。

竹中国務大臣 これは各部門別で計算の仕方も少しずつ違いますし、その意味では、今おっしゃったように、一番最初に私も答弁しているつもりですけれども、人数掛ける給与単価のような形で計算しているわけではございませんということを何度も申し上げていますよ。

 これは、人件費一円当たりの生産性が一定になる、そのような企業努力もしていただいて、人件費をそのような形でうまく運んでいただくということを前提に骨格を示しているわけでございます。

 それぞれの部門によっても、その計算の仕方は細かいものですから、細かい計算についてもし必要でございましたら、御質問いただければしっかりとお答えをさせていただきます。

松野(頼)委員 僕は質問通告をしているはずですよ。六法案ちゃんと名前を書いて質問通告した。あなたは答弁者でしょう。読んでないんですか、法案出すのに。国会に法律を出すのに、あなた法律読んでないんですか。教えてください、じゃ。通告しているじゃないですか。

竹中国務大臣 法律は一生懸命読んで勉強させていただいた。そうしないとしっかりとお答えができません。

 申し上げましたのは、その人件費の計算の仕方が、計算の基礎がどういうことなのか、しかも部門別にどういうことなのか、そういうことについて、今数字について聞かれましたので、それについてはちょっと、数字のことですので、改めて正確に答えたいと申し上げているわけでございます。

松野(頼)委員 いや、紙を見せましょうか。法案の名前を全部書いているんですよ。この法案の中にこの話は入っているでしょう。そんなばかなこと、別に、大臣、大臣、大臣……(発言する者あり)

二階委員長 発言者以外の方々は御静粛に願います。

松野(頼)委員 細かい数字を僕は一円単位まで言えと言っているわけじゃないんです。この骨格経営試算に関しては、あなたは何回も答弁されているんですよ。全く知らないところから持ってきて、これは知らないからおまえけしからぬ、あなたけしからぬと言っているわけじゃないんですよ。骨格経営試算、五月二十六日にあなた答弁しているじゃないですか、ちゃんと本会議で。この骨格経営試算について、通告していないから答えられないという話はないんじゃないですか。それも、一円単位を僕は聞いているわけじゃない。今ここで、前の五十嵐さんの質問の後を継いでやっているから、僕だって初めてなんだよ、こんなの。初めてなんですよ、この議題は。

 根本的な話をまず教えてください。

 この骨格経営試算、財務大臣、教えていただきたいんですけれども、先ほど仙谷さんの質問で、民間の会計に準じなければいけないという話がありましたね。民間の会計の中で人件費を算定するのに当たって、一人頭一円を稼ぎ出すのに幾らかかるのかという考え方はありますか。

谷垣国務大臣 それはいろいろな考え方があると思いますよ。特に、今おっしゃったのは公会計と民間企業の会計の違い、それは一つ一つきちっとやっていかなきゃいけないと思いますが、骨格経営試算をどうおつくりになるかはまた別の議論だろうと思って聞いておりました。

松野(頼)委員 これから民間の株式会社をつくりましょう、郵政を民営化しましょうというときの基礎的なベースの考え方が、果たしてそれでいいんでしょうか。私は不思議でなりません。

 もう一つ伺いますけれども、別に細かい数字、一円単位を間違ったからどうだのとか、全然知らない話を答えられなかったからどうだのと僕は言うつもりは全くありませんので、理念で結構です。

 毎年一・一%ずつ人件費が削減をされている、社会保障費の負担は毎年約〇・五ずつ上がっていくという中で、正味、人件費は削られますね。そうすると、リストラをするか給料を切るしか、この骨格経営試算の考え方に合わないんですよ。当たり前でしょう、それは。それはどうお考えなんですかということを聞いているんです。

竹中国務大臣 お答えしたいと思いますが、ぜひ、今後の審議のこともございますから、これはやはり、細かい数字のことは、我々は覚えていることは一生懸命お話をしますが、これは別の例の方がわかりやすいと思いますのであえて申し上げます。

 例えば「改革と展望」等で、公共投資を三%減らしていく、物件費を一%減らす、それは、物件費を一%減らすときに単価と数量はどうなっているんだ、こういうふうに聞かれても、これは答えられないわけです。そういう意味では、細かい基礎については答えられることと答えられないことがありますので、これは事前にいろいろとお教えいただきたいということを重ねて申し上げております。それでないと、これはできるだけ、私たちは骨格経営試算、自信を持ってつくっておりますので、しっかりとお答えしたいと思っておりますが、細かいことで間違うといけませんので、ぜひお願いしたい。

 その上で、基本的な理念について申し上げます。

 人件費について今松野委員は焦点を当てておられますので、基本的な理念としては、これは公社は二十七、二十六万人が十年間で七万人程度減っていく。その自然減の中で、若干の新規の採用も確保しながら、その中で公社が運営していける、そういう姿を念頭に置きながら、それと矛盾ないような形での人件費の計上になっているというふうに考えております。

松野(頼)委員 いや、ですから、細かい難しいことを聞いているわけじゃないんですよ。この会社が将来先細っていく会社になるのか、伸びていく会社になるのか、どういうふうに政府はこれを考えてこの数字を出されたのかという基本的な考え方を私は聞いているんですよ。

 そういう数字の中で、社会保障費は上がっていく、人件費は下がっていく、毎年一・一%ずつ下げているということに対して、この新しくできる会社は人を減らそうと考えているのか、ふやしていこうと考えているのか。そして、この基礎的なベースとなる、竹中大臣は経済成長率が今上向きだと言っていますよね、これに経済成長率までかかると、人件費は相当なマイナスになるんですよ。ですから、どれだけの人がリストラをされるかわからない。

 この会社の経営形態の根本にかかわる問題なので、別に何千何百何十何人になりますということじゃなくていいんです。人はふえていくんですとか減っていくんですとか、それでいいんですよ。それを聞きたいんです。それは答えられるでしょう。

竹中国務大臣 いやいや、今明確にお答えしたつもりでございます。

 基本的には、今の公社の皆様方、この雇用に十分配慮するということを大原則にして今回の制度設計をしております。

 その上で、公社の方々、御高齢の方もいらっしゃるということで、その退職、自然減が、今申し上げましたように、大まかな数字ですけれども、今後十年で七万人ぐらいあるというふうにたしか承知をしております。それに、今度は新規の事業も行っていくわけですから、それについて必要な人員を補充しながらやっていける。自然減と若干の補充、そのような形で公社を運営していくということでこの骨格経営試算を書いているわけでございます。これがまさにお尋ねの基本的なイメージでございます。

松野(頼)委員 でも、たしかコンビニもやられるんですよね。リフォームもやられるんですよね。事業はどんどんふえてくるんですよね、今までの議論を聞いていると。でも、人は減っていくんですか。そう考えているんですか。どうぞ。

竹中国務大臣 まず、私は今、骨格の自然体でいった場合の姿について申し上げました。

 新規の事業を新たに行っていく場合、これはどうなるのかという、つまり収支見込みの、この骨格経営試算の次に発表した場合の試算でございますので、それについては、新たな事業を行っていく、その新たな事業を行っていくに当たって、それを、人を雇ってするのか、アウトソーシングを行ってするのか、これは経営の判断のあるところだと思います。

 したがって、そういった場合には、人件費等々という形ではなくて、純粋に新たに行ったものについての標準的な利益率はどのぐらいかということで、利益を、そこの分を上乗せする形にしておりますので、その場合の事業の展開の仕方、繰り返しますが、人を雇うのか、アウトソーシング型でやるのか、それについては経営で御判断いただくことになります。

松野(頼)委員 いずれにしても、この議論をいつまでも続けていてもしようがありませんので、先ほどからお願いをしている資料をぜひ提出させてください。

 済みません。本当は、もっとうちの隣のお年寄りもわかるような話を実はしたいなと思っておりました。

 総理、民営化というのは、今どうもこの国のはやりになっているんですけれども、国民から見ますと、郵政の事業の形態が国営だとか民営だとか、私はそういうことは余り関係ないのではないかと思います。

 例えば、道路公団の民営化というのが行われました。そして、私は、成田国際空港公団民営化のときも実は質疑に立たせていただいたんです。そのときも申し上げました。国民が一番望むことは、国営だろうが民営だろうが、私はそんなことはどうでもいいと思うんです。それよりも、いかに安い料金でよいサービスが得られるかということが、私は、もし私だったらそうしてもらいたい、それを民営化の目的にしてもらいたいと思っています。

 そこで伺います。民営化されると、はがき、切手、まずこの二つは安くなるんですか、高くなるんですか。大臣でも総理でも、どちらでも結構です。

竹中国務大臣 郵便量の取り扱いが今後長期的に低下すると見込まれる中で、やはり生産性を上げていかないとこれは国民の負担にはね返ってくる、料金の値上がりというのが避けられないというふうに思います。

 我々が期待しておりますのは、先ほどから申し上げておりますように、民間の活力で、そして可能な新しい業務もできる範囲ではしていただいて、それによって基盤を安定させて、当面郵便取扱量が減っても料金が上がることのないような、そういう経営を民営化を通してしっかりとしていただきたいというふうに思います。

 国鉄の場合も、民営化の前はずっと値段が上がっていた。しかし、民営化の後値段が上がらなくなって、長期的に、ほかの物価が上がる中で、実質的なJR料金は下がった。そういう意味では、実質的な意味で、郵便料金の、はがき等々の値下げを長期的に、実質的に下げていただくような経営をぜひしていただきたいと思っています。

松野(頼)委員 違うんですよ。五十円の切手が四十円になるのか、六十円になるのか、四十五円になるのか、きっとテレビを見ている皆さんはそれを一番聞きたいと思いますよ。

 大体で結構です。高くなると思いますか、安くなると思いますか。はっきり答えてください。

小泉内閣総理大臣 私は、値段が幾らになるかということははっきり予測はできません。しかし、今までの例を見ていますと、小包等にしても、民間参入すると必ず安くなっていますね。民間参入するまで割引制度はなかったけれども、最近は郵政省は大口割引制度をとってきた。

 道路公団も、民営化以前は料金を上げることはあっても下げることはなかったんです。民営化という議論が出てきて初めて料金の値下げが始まったわけです。そして、この秋に道路公団は民営化されますが、その前にも、今まで二十兆円かかってきた道路の建設が、同じ距離でも十兆円で済むという。半額になる。

 あるいは、高速道路の非常電話なんというのは、今まで、民営化議論が出る前は一台二百数十万円かかってきた。民営化議論が出てきて、何でこんなに高速道路の非常電話の値段が高いんだと言ったらば、よく調べたら四十万円でできるという。これはまだ数千カ所これからつける。今までつけちゃった二万数千カ所は仕方ないけれども、これからつくる道路は一台二百万円なんてかける必要はない、四十万円程度でやろうということになってきたんです。

 ですから、民間の経営者に任せれば、今まで値上げされたよりも値下げされた分がはるかに大きいと私は思います。ですから今回、郵便料金にしてもあるいは小包の料金にしても、いろいろ競争がありますから、なかなか値上げは難しいんじゃないか。どの程度値下げされるかというのは、今から私は予測する能力はございません。

松野(頼)委員 ですから、民営化が目的のための民営化なんじゃないかと私は思うんですよ。

 本来、民営化をしたら、国民に一番直結をしているサービスをどれだけよくするために民営化をしよう。麻生大臣は、民営化は手段だとどこかのタウンミーティングでおっしゃっていました。全くそのとおりだと私は思います。民営化をして何をするかということが、一番国民が望んでいる民営化なんです。その第一は、私は、郵便料金、小包、はがきが少しでも安くなることだと思いますけれども、どうでしょうか。

 私はきのう、実はちょっと離島の郵便局に電話してみました、自分で飛び込みで。玄界島郵便局、きっときょうこのテレビを見ていらっしゃると思いますが、飛び込みで一〇四で電話をしました。玄界島に郵便は届きますか、届きます、あの震災のときにはわざわざ九電体育館まで私たちは運んだんですと。民間はどうですか。知っていますか、大臣。民間は玄界島に、全部の業者かどうかわかりませんけれども、港にその配達したものを置くそうです。今までは、電話がかかってくるんです、今港に着いたと。すると、みんなとりに行くらしいんです。今までは、とりに行くときに、そのかけた電話料を持っていかないと荷物を渡してくれなかった。ただ、それで島民の皆さんが余りひどいじゃないかということで、さすがに最近は十円を払わなくてもいいようになったけれども、今でも港までとりに行っていますという答えが返ってまいりました。

 大都会にいると民間の方がサービスがいいかもしれません。でも、地方に行くと、民間のサービスは郵便局より私は圧倒的に悪いと思います。民間は、もうかるところのサービスは厚くするんです。もうからないところのサービスは薄くするんです。

 玄界島の話をぜひ実地で見てくださいよ。何か民営化するとすべてがバラ色のように言われていますけれども、バラ色の部分と影の部分が必ずあるんです。

 先ほどJRの話が出ました。北海道におきましては、JRが民営化されたことによって不採算路線が切られました。どうなったと思いますか。明治時代と同じ路線の長さになったんです。民営化したことによって明治に戻っちゃったんですよ、北海道は。

 それは、二十兆円という赤字をつくったということを考えればある意味では仕方ないことかもしれませんけれども、民営化してメリットがある反面、必ずデメリットがある。そのことはぜひわかっていただきたいのと、同時に……(発言する者あり)そんなこと言っているんじゃないでしょう。

 公社であろうが、改革する気になれば改革できるんじゃないですか。なぜ業態を変えなければ改革できないのか。竹中大臣、世界百八十数カ国の中で、民営、民営で郵便をやっている国は幾つあるんですか。三つか四つだと思いますよ。そうでしょう。そういう中で私たちは、非常に大きな冒険をこれからしようとしているんです。

 僕もドイツへ行ってきました。ドイツ・ポストの副社長に会ってまいりました。お話を聞きました。すごい会社です。でも、今でもポストバンクの株、大臣、さっき日本の郵便貯金会社は一〇〇%一回株を売らなければ、国の、政府の保証がついていて困るということを言っていましたけれども、ちょっと話は飛びますけれども、ドイツ・ポストが一〇〇%売っているとお思いですか。ポストバンク、どうですか。それは簡単な質問ですから。

竹中国務大臣 ツムヴィンケル総裁、日本にもおいでをいただきまして、我々も議論を何度かしております。

 ポストバンクの株の所有、正確ではありませんが、五割強、六割、そのぐらいまだ持っております。

 ちなみに、ツムヴィンケル氏は、日本に来て、官邸でコンファレンスをするときにツムヴィンケルさんに参加をしていただきましたが、その株を今後さらに売っていく、そのようなお話をしておられたということでございます。

松野(頼)委員 そうなんですよ。NTTだってまだ全部売却しているわけじゃありませんよね。でも、相当マーケットの中で熾烈な争いをしているんですよ、NTTも。違いますか。

 そう考えると、どうも私は、これは民営化のための民営化になっているんではないか。そのために、三百三十兆円、四十兆円という多くの国民の資産であり、二万四千七百という百三十年かかってつくったこのネットワークを、今、どうなるかわからないという危険にさらしているんです。二万四千七百のネットワーク、これをもう一回構築しようとしても大変厳しい問題だと思いますよ。

 今、ちょっと質問に入りますけれども、この今回の郵便局株式会社法の第五条、ネットワークの問題です。先ほども出ました。あまねく全国に郵便局を設置することを、会社は総務省令でやると。どうも、何となく今議論を聞いていると、過疎地の方は守られそうで、大都会の方がネットワークが切られそうな気がします。

 一部、議運で、その省令の説明で、七千局程度がまず分母かなという話も出ていますけれども、その辺、いかがなんでしょうか。この二万四千七百のネットワークは減るのかふえるのか、教えてください。

竹中国務大臣 松野委員がおっしゃっている総論の部分ですね、民営化によってメリットがあるかもしれないとしてもデメリットもあるだろう、光と影の部分のその影の部分をしっかり見ろという御指摘は、我々もこれはもう以前から考えておりますし、政府・与党との議論でもそのことを一生懸命我々は議論してきたわけです。そして、とにかくこのデメリットに相当するものがあるとすれば、それはとにかくなくしていこうと。そのためにいろいろな工夫をしたわけでありますけれども、その一つがまさにこの設置基準でございます。

 これは、おっしゃるように二万四千のネットワーク、全国をカバーするネットワークというのは非常に貴重な資産です。それについて、このネットワークの価値を国民的に大事にしていくような仕組みというのを我々としても誠心誠意この法律の中で示したつもりです。

 設置基準につきましては、まず、法律の五条で、あまねく全国において利用されることを旨として郵便局を設置するということを法律上義務づけております。具体的な設置基準は省令で定めますけれども、まず、過疎地については、法施行の際、現に存する郵便局ネットワークの水準を維持することを旨とすることを規定する考えでございます。過疎地以外の部分、これは都市を含むところについても、都市についての利便性も十分に配慮するという与党との合意を踏まえて、住民の需要に適切に対応する等々、今の公社の設置基準、三つの設置基準と遜色のないものにするというふうにしております。

 そこで、今、七千かというお尋ねがございましたが、過疎地について現状のネットワークを維持、それで、過疎地の定義をどのようにするかということでございます。過疎自立特措法でカバーされる地域、これを基本に考えておりましたけれども、我々はそれにさらに加えて、離島振興法、半島振興法、山村振興法まで含めてそれを考えるということを基本的な方向としております。

 その際に、今申し上げた地域でカバーされる過疎地の中の郵便局の局数がどれだけだということは、実はこれは正確に勘定するのがなかなか難しい面がございます。理由は、山村振興法等、昭和二十年代の市町村割りに基づくところがございまして、それを今最終的に一生懸命勘定しているところでございますので、正確な数字を把握しましたら、速やかにまた御報告をさせていただきたいと思います。

 同時に、先ほど総理からもお話がありましたけれども、中央区は、その面積と戸数を考えますと、四百五十メートルぐらいに一カ所郵便局があるという地域もございます。そういうところについては、人口稠密地域についてはより効率的な配置、住民が困らないような範囲でより効率的な配置も考えていただかなければいけないと思いますので、そういうことはしっかりとまた経営の判断としてはやっていただきたいと思っております。

松野(頼)委員 これも、テレビを見ている皆さんは、うちの近所で、いつも郵貯を使っている郵便局、荷物を持ってきてくれる郵便局、うちの近くの郵便局はどうなるのかな、これがやはり民営化と聞くと最初に心配をすることなんですよ。

 はっきり答えてください、ごまかさずに。減るのかふえるのか。減るんだったら、大体で結構です、どれぐらい減るのか。骨格経営試算では何局と想定をしてこの物件費は想定しているんですか。

竹中国務大臣 局については、ふえる減る、どのぐらい減るとかいうことは、これはもう委員も御理解いただけると思いますけれども、今の時点で申し上げられるような状況ではございません。繰り返し言いますが、過疎地については現状のネットワークをしっかりと維持して、そして国民の利便を損ねないようにしっかりと配置がなされていくと思います。

 また、骨格経営試算との関連で御質問がありましたが、これも先ほどの人件費の話とちょっと似ているんですが、局で積み上げで計算しているわけではございません。物件費というのは、これは今既に物件費は発生しております。物件費は発生しておりますけれども、その分、生産性等々を考慮しながら一定の変化率をもって想定しております。

 この中には、明示的にはこういう計算というのはできないわけでございますけれども、例えば局が一カ所減るとして、隣の局を拡充する等々によって実際的なサービスを提供していく場合も出てくるでありましょうから、その意味で、物件費と生産性との関係を考慮しながら、先ほど言いましたようなマクロ的な試算を行っているわけでございますので、何局掛ける単価幾らというような計算の仕方ではない、まさにマクロ的な計算の仕方をしているということでございます。

松野(頼)委員 これは、どこの民間の企業でも、例えば支局がありますよね、支店。その支店が幾つあるからこの支店にかかる物件費は幾らですよ、これはどこでも出るんじゃないですか。それはごく当たり前の話で、その一番基礎となるこの物件費、何局かわからないというのは大変驚きなことなんですよ。大体でいいんですよ、細かいことを聞いているわけではありません。大体この物件費、今の二万四千七百というネットワークがどれぐらいのボリュームで減っていくのか、それともふえていくのか、どこが減っていくのか。

 今、僕は資料として、どこの郵便局が残ってどこの郵便局が減るのか、今回示された総務省令に従って出してくださいということをお願いして作業をしていただいている最中でありますけれども、そういう数字とこの骨格経営試算の物件費が全くリンクしていないわけでしょうか。お答えください。

竹中国務大臣 具体的にどういう形で事業を展開していくかというのは、これは法律の中に書かれておりますように、承継計画の中で、次の新しい経営者のもとでつくられる承継計画のもとで、それを主務大臣が認可する形で決まってまいります。我々は、その前段階として、今のこの骨格経営試算をお示ししているわけであります。

 この骨格経営試算としては、今二万四千の郵便局を維持するための費用というのが計上されている。その計上されている費用を基準に今後の収益の動向等々をにらんで、一種の生産性等々を考えながら、物件費をこのぐらいでコントロールしていっていただく、そういう努力も織り込んでいただく、そういう中での骨格の経営の試算をしているわけでございますので、委員がおっしゃるような細かな数字というのは、少なくとも承継計画等々が議論される中で、これは全部ではないかもしれませんけれども、一部出てくるものがあるかもしれませんが、あとは年々の利益計画、業務計画のようなことだと思われます。

 そういう点について今の時点で政府がお示しするということは、これはできないわけでございますので、まさに、繰り返し言っていますけれども、骨格経営試算、だから骨格経営試算だということをぜひ御理解いただきたいと思います。

小泉内閣総理大臣 郵政民営化の議論が出てきたときに、一つ問題になった点は、この政府案が中途半端だという批判を評論家の皆さんからもあるいはメディアの方からもいただきました。その一つに、何で中途半端なのかというと、リストラが不十分だという指摘なんです。今の政府案が中途半端だという。完全に民営化じゃない。減らすべきところが減らせない、人件費にしても何にしても、非効率なところを残す、これは中途半端な民営化だと批判しております。

 しかし、仮にそのような批判を受け入れて、ぴかぴかの民営化会社になろうと収益を考えて、利益ばっかりを考えて、過疎地に住む方、離島に住む方、そういう方のことを考えないで民営化会社の社長になれば、これは楽でしょう。しかし、今の郵政三事業、郵便局というのは、単に利益だけ考えているんじゃない。公共に必要なサービスも展開しなきゃならないということで、ある箇所では利益は上がらなくても設置しなきゃならない郵便局はあるだろう。

 それは、民間の宅配業者がそうです。もうからないところまで届けなきゃいけない。もうからないところは小包を届けないかというと、うそです。もうからないところでもどこでも届くからこそ注文が来る。そして、利益の上がるところとよくバランスをとっていろいろなサービスを展開して小包を届けているんです。

 だから私は、この郵政民営化案が中途半端だと言われれば、確かに、非効率的な点は切り捨てないから中途半端だといえば、その中途半端な議論はわかりますけれども、実際、政治論として、今の郵政三事業、郵便局のネットワーク、貴重な資産であるということを考えれば、私は、過疎地とか採算のとれないところでも置かなきゃならないという配慮は、社会・地域貢献資金とかでしていると。

 と同時に、今言った東京の中央区あたりは、四、五百メートルおきに一軒郵便局がある。大体、同じ市内でも五十局ぐらいあるわけでしょう、五十局、四十局、東京、大阪にはあるところがあるでしょう。そういうところは私は減る可能性の方が強いと思う、都会だから、便利なところだから。と同時に、今までなかったところに新しくできる郵便局もあると思う。あるいは、デパートなんかに郵便局を出したいという経営者が出てくるかもしれませんよ、便利になるところ。

 だから、その点は、私は、ふえるところもあるし減るところもある、それは否定しない。減るところになって不利益をこうむる人もいるということも否定しない。その点は、今後、どこが必要か、最低限国がやらなきゃならない、公共サービスを維持しなきゃならない点はいろいろな工夫をして残します。しかし同時に、リストラする、統合再編する、減らす点、これはやはり経営者の判断を尊重しなきゃいけないと思う。

松野(頼)委員 きょうは、都会の郵便局は減るかもしれないという大変な答弁が出ました。ごく当たり前のことだと思うんですね。ただ私が不思議でならないのは、民営化というのは、株式会社というのは、株式を発行してマーケットからお金を集めて、そのお金を運用して一円でも高い運用益を株主に戻す、私が言うまでもありませんけれども、これが株式会社の基本的な理念なんですよ。それと、離島だとか過疎地だとかいうところに多く設置して、もうかる都会の郵便局を減らしていくという、これは果たして株主が納得するのかなと私は思うんですよ。だから、公社でいいのではないか。

 例えば、民間であれば、過疎地だからやめましたよ、これはだれに責められるものでもありません。ただ、お客さんが、あそこはあそこに届かないから、もうここの会社は選ぶのをやめましょうといって、売り上げが下がってマーケットの中で自然淘汰されるんですよ。ただ、それだけの世界になっちゃっていいんでしょうか。株式会社だけれどももうからないところもやるんですよ、これは私はないと思いますよ。

 だから、せっかく今、国の赤字をつくるわけでもなく、そして、ある程度全国にあまねく離島でも過疎でもネットワークされているこの郵便局、公社の形態をわざわざ株を公開して株式会社にする、そのことが私には理解できないんですよ、何を目的にしているのか。では、それをすると郵便料金が安くなるのかなと思えば、郵便料金が安くなるかどうかわかりません、サービスがよくなるかどうかわかりませんと。では、一体何が民営化の目的なんですか。民営化して、国民に関係のあるところで、国民は何がよくなるんですか。全くわからないじゃないですか。どうですか、今の議論を聞いていただいて。

 私は別に、郵政出身の人間でもないし、この郵政、何か利害があるわけでもありません。ただ、この国の形、国益として考えて、そしてドイツも見てまいりました、ドイツ・ポストも。いろいろなものを見てまいりましたけれども、いろいろ考えて、公社のまま改革をすることの方が国益なのではないか。

 私たちも、改革しないと言っているのではないんですよ。悪いところがある、非効率なところがある、それはどんどん改革をして、もし私ならば、一円でも安い郵便料金、一円でも安い小包料金というものをつくることを目的とした民営化を目指していく、こういうふうに思うんです。どうでしょうか。

竹中国務大臣 今の委員の御指摘、公的な機能があるんだから公社のままでいいではないか、公的な機能は株式会社ではやはりできないのではないか、株主は賛成しないのではないかと。実はそういう話、私、地方に行って御説明するときも必ず出てくる問題です。ぜひそのポイントを申し上げさせていただきたいんですが、株式会社即利益追求、そして地域や弱者の切り捨てという一種の連想のようなものが非常に強くあるわけでありますけれども、実は決してそうではないということが重要なポイントだと思います。

 実は、民営化、民営化というふうにいいます、株式会社化というふうにいいますが、我々は、そういう特殊な社会的な機能を担った株式会社を特殊会社と呼ぶわけです。これはどういうことかというと、NTTが特殊会社です。NTTは民営化です。でも、特殊会社なんです。JRも当初は特殊会社でした。これも民営化なんです。したがって、郵便や窓口の会社は、民営化しますけれども、特殊会社でございます。これは、公的な機能を有しながら、しっかりと民間企業として、しかし公的な機能を果たす。これは、NTTを見ればよくわかる。NTTは民営化で新しいことをやっていますけれども、これは公衆電話の設置義務のユニバーサルサービスの義務がかかるわけですよ。

 そういうことをやっていく会社というのは日本にたくさんありますし、世界にもたくさんある。民営化即利益で弱者切り捨て、一方で、公的なものが国、そのようないわばデジタルといいますか、ゼロか一かの世界ではなくて、現実には、公的な機能を担いながら、株式会社の活力を生かしながらやっていく会社というのは、NTTに見られるように、たくさんあるわけです。

 そういうものを、郵便会社と郵便局会社については国の関与が残る、しかし民間の活力を生かす特殊会社として、そして、銀行と保険、貯金会社と保険会社という金融、これは非常に信用が大事だから、これは完全な、商法の特殊会社ではない、商法の一般会社として設立して、だからこそ一〇〇%株も処分する形でやっていこうというのが今回の制度設計でございます。

 これは、私たちは、それによって価格が下がっていくということを当然期待しているわけです。同時に、さまざまな郵便の切手とか郵便料金が、生産性が上がることによってそういった料金が下げられるということも期待しているわけでありますし、料金だけではなくて、サービスの質の向上、この中には、これもさっき総理がおっしゃいましたように、いろいろな今まで考えもつかなかったような新しいサービスを地域密着でしてくれる、そういうものをしっかりとサービス提供してもらえる、民営化によってまさにそういうことを期待しているわけでございます。

松野(頼)委員 果たして、それは過疎地の住人たちが望んでいる姿なんでしょうか。郵便局がいろいろなものができる、そして、郵便貯金に預けたお金が、民間のようないろいろな商品ができてリスクマネーとして使われることを、果たして預けている預金者の皆さん、そういう預金者が郵便局にお金を預けているんじゃないと私は思いますよ。

 今、NTT民営化の話をされました。いいところを言われましたけれども、三十一万四千人いた社員が、子会社を含めて二十万五千人にリストラされているんですよ。今度の民営化は人員も減らさない、ネットワークもそれほど切らない、都会は切られるかもしれない、それで郵便も安くなるかもしれない、こんないい民営化、本当にできるんですか。全く影の部分がないじゃないですか。それで、職員は民間人だけれども、社会保障だけ国共済だ、こういう形の会社が新しくできる、私には理解ができませんけれども。

 そろそろ時間ですので、いずれにいたしましても、また次回、大臣及び皆さんと議論をしたいと思います。

 ちょっと最後に一点、僕は確認をしたいんですけれども、きょうここにいらっしゃる大臣は、この民営化に関しての主任大臣ということで御理解をさせていただいてよろしいですね、特別委員会をつくったんだから。どうですか。

小泉内閣総理大臣 民営化担当大臣は竹中大臣です。

松野(頼)委員 これは皆さんが副本部長ですから、財務大臣は閣議請議に名前を出されています。国土交通大臣は物流ネットワークの担当者でございます。そして、官房長官は、郵政民営化準備室の担当の所掌をされている大臣でございます、長官でございます。この六人は、私は主任大臣としてこの委員会に出てきていただきたい、このことを一言答弁ください。

麻生国務大臣 これは整理をされた方がいいと思いますが、松野先生、法案の提出時におきましては、閣議請議大臣は総理大臣、総務大臣、財務大臣、これが閣議請議大臣ということになりますので、総務大臣もその一人ということになります。

 法案が成立いたしましたら、仮にいたしましたら、責任ある大臣という意味におきましては、この法案の中の総務大臣の認可や監督の規定がありますので、いわゆる主務大臣というのは総務大臣ということになります。

松野(頼)委員 ありがとうございました。これから深まる議論を、まだ委員会は始まったばかりでございますので、ぜひしっかりとしてまいりたいと思います。

 終わります。ありがとうございました。

二階委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 郵政民営化関連法案について質問をさせていただきます。

 今回の郵政民営化法案で民営化をしようとする郵便局は国民にとってどういう存在なのか、どういう役割を果たしているのか、その点をまず確認しておきたいと思います。

 赤いポストがある郵便局、そこでは主に、郵政三事業と言われます郵便事業、郵便貯金事業、簡易保険事業などが行われております。そこで、郵便貯金について、郵政公社総裁に二点ほどお尋ねしたいと思っております。

 一つは、この郵便貯金を利用している世帯数、世帯の加入率というのは全体の何%ぐらいになるのか、この点が一点。

 もう一つは、郵政公社が発行しております「郵便貯金」というディスクロージャー誌、この冊子の中でも紹介されている世論調査で、利用者はどのような目的で預貯金をしているのか、こういう調査がございます。そこで、主にどんな目的で利用しているのか、代表的な例を三つほど御紹介いただければと思っております。

生田参考人 お答えさせていただきます。

 全国の世帯数、四千九百二十六万世帯というふうに理解いたしております。これは総務省の出していらっしゃる数字ですね。それから、一世帯当たりの構成人数というのはばらばらですから、なかなかその中で何世帯が郵便を使っているか、これは実数は難しいわけでありますけれども、郵政総合研究所というところがその中での利用率というのを一応検討しております。そこで出している、金融機関として郵便局を利用している世帯の割合というのが八五・七%、そのように数字が出ておりまして、それからいきますと、現在、郵便貯金や郵便為替サービスなど郵便局を御利用いただいている世帯数というのは約四千二百二十二万世帯だというふうに理解しております。

 それから、貯蓄をする理由は何かというのは、最近の金融広報中央委員会によりますアンケート調査、これが一番参考になるんじゃないかと思うわけでありますが、個人の貯蓄する目的の一番は、病気や不時の災害に備えて、二番目は老後の生活資金、三番目が子供の教育資金というのがあるんですが、三つとおっしゃったんですけれども、もう一つだけ加えさせていただきまして、四番目が、特に目的はないが貯蓄していれば安心というのがあるわけであります。郵便局の存在なんというのは非常に手近で便利ということで、四番目の目的も含めて、たくさん御利用いただいているのかな、かように思っております。

塩川委員 総裁のお話にありましたように、手近で便利という郵便貯金の役割、加入率が八五・七%ですから、ほとんど、家族でだれかは利用されているのが郵便貯金であります。利用の目的につきましても、老後の支えとして、不慮の出来事への備えとして、こういった貯金がなされておるわけであります。

 そういう中で、郵便貯金は、年金や恩給の受け取りですとか家族への仕送りなど、庶民の暮らしに不可欠な役割を果たしている。身近な金融機関、それが郵便局であります。ATMの手数料も無料。これに対して、今民間の金融機関がどうかといえば、身近な店舗の閉鎖が目立ちますし、ATM手数料が有料となっている。主なメガバンクは土日、平日時間外が百五円取るとか、こういう点でその違いが際立っていると思っております。

 そこで、郵政事業を所管いたします麻生総務大臣にお尋ねをいたします。

 この身近で便利な郵便局で郵便貯金を利用できる、その根拠となっているのが郵便貯金法であります。こちらにパネルを御用意しましたけれども、この郵便貯金法の「目的」には何と書いてあるか。「郵便貯金を簡易で確実な貯蓄の手段としてあまねく公平に利用させることによつて、国民の経済生活の安定を図り、その福祉を増進することを目的とする。」このように規定をされております。

 こういう法律があるために、全国の郵便局網が維持をされ、そこで郵便貯金のサービスが提供されている、そういうことだと思いますが、担当の大臣としての御見解をお伺いします。

麻生国務大臣 今、郵便貯金法の第一条「目的」というところを読まれましたけれども、この「目的」に書いたとおりの趣旨で、郵便局というのは全国二万四千六百八十かにわたっておると思っております。

塩川委員 この「目的」にありますように、金額の多くない小口の貯金を大事にするために手数料は取らないようにもなっていると思いますし、「あまねく公平に利用させる」、こういうようにありますように、日本じゅうどこででも利用ができる郵便局網となっていると思います。そのことによって不慮の事故、出来事などへの備えともして、国民生活の安定や福祉の増進につながる。身近で便利な郵便局は、この郵便貯金法の「目的」で規定をされております。

 そこで、麻生大臣も答弁をされたこの郵便貯金法の大事な目的につきまして総理にお尋ねしたいんですけれども、今回の民営化法案の中には、この郵便貯金法にあります目的、福祉の増進のために、簡易、確実な貯蓄をあまねく公平に利用できる、こういう規定というのは今度の法案の中ではどこに引き継がれているのでしょうか。総理、総理、だって総理が出されているんですから。

竹中国務大臣 法律の話でございます。

 郵便貯金に関しては、これは今までと違って一般の銀行になる、そのために一般の商法会社を設立するということでございますので、こういう形での、今おっしゃったような意味での郵便貯金というものは存在しなくなるわけでございますが、国民の利便ということを一方で考えて、しっかりと郵便局を全国に配置すること。そして、その郵便局で地域住民の利便に資するための業務としてこの郵便貯金を活用したサービスがしっかりと適用できるように、幾つかの仕組みを用意しているということでございます。

 もう委員とも議論させていただいておりますので長々とは御説明をいたしませんが、窓口会社と貯金銀行がしっかりと長期の委託契約をする、それが移行期間を上回ることを妨げない、その後は双方のインセンティブとしてこの契約は当面続くと思われますが、それでもだめなときは、その過疎地等々について基金を活用して、地域住民に対する社会貢献としてこのような預金のサービスが提供されるようにする、そのような枠組みをとっております。

塩川委員 長々と答弁をされましたけれども、私がお聞きしたことにお答えになっていないんです。

 ここに書かれている「目的」にある福祉の増進、つまり身近で便利な郵便局、そういったその値打ちを発揮する目的規定であるこの福祉の増進というのがどこに引き継がれているのですか。そのことを改めてお聞きします。ないということですね。

竹中国務大臣 これは、郵便局株式会社法で、「郵便窓口業務及び郵便局を活用して行う地域住民の利便の増進に資する業務を営む」という中で、こうしたサービスが実態的に継続できるような仕組みをつくっております。

塩川委員 福祉の増進という一番肝心な目的が法律に規定をされていないということであります。

 今回の法案は、この郵便貯金法を廃止して郵便貯金を一般の銀行にすると竹中大臣自身もおっしゃいました。このことがはっきりといたしました。

 そこで見ていただきたいのですが、郵便局と民間の金融機関の数を示したものであります。郵便局は郵便局数をこの六年間維持しております。これに対して、民間金融機関はこんなに減らしております、七千六百一減らしている。民間のサービスの低下は明らかであります。

 郵便局は全国二万四千七百あります。これは、全国の小学校の数、二万五千と同じ数であります。つまり、歩いて行ける距離にあるのが郵便局です。

 郵便貯金が民営化をされて、郵便貯金銀行として一般の銀行、普通の銀行になるのは二〇一七年。今、高齢化が進む中で、今の日本の高齢化率が一九・九%、五人に一人。それが、数字の出る二〇一五年で見ますと、高齢化率が二六・〇%で、四人に一人の方が高齢者となる。高齢化が進む中で、民間金融機関の店舗が減っているのに郵便局も減るようなことがあっていいのか。福祉の増進を目的とした郵便貯金の窓口、郵便局が今こそ必要なのではないか、このことを思いますけれども、総理、いかがですか。

小泉内閣総理大臣 それは、郵便局が減ってもサービスが多様に展開される場合もあります。私は、今ある郵便局が全部なくならないとは言いません。当然、統合なり廃止される郵便局も出てくるでしょう。また、ない地域に郵便局が進出する場合もあるでしょう。それがいけない、全部現状維持しろということではないのです、この郵政民営化法案というのは。

 それは、全体の国民のサービスというものをよく考えなきゃいけないし、国鉄がJRになったからといって、影の部分はないとは言いません。駅があったところ、駅がなくなったところにとってみれば、それは不利益をこうむるでしょう。しかし、税負担を考えれば、税金まで負担してそういうような駅なり鉄道を敷く必要があるかという論議というものを、バランスをとって考えなきゃいけない問題であります。

塩川委員 郵便局には税金を投入していないというのは先ほど麻生大臣も答えたじゃないですか。そんなごまかしは通りませんよ。

 お話のように、ない地域に郵便局が出ることもあると。今そういう地域がないほどあまねく公平に郵便局網ができているというのが、先ほども紹介をした郵便貯金法の目的によって規定をされているのじゃないですか。ですから、総理がおっしゃっているというのは、郵便局が減ることもある、このことだけがはっきりしているということですよ。

 郵便貯金法をなくす理由の説明はありません。高齢化社会に向けて、福祉の増進を目的とした金融機関が今こそ必要なんだ、このことが改めて問われていると思います。いろいろ言っても、実際に見ると、郵便局網についての歯どめもないわけであります。

 今議論の中でも、郵便局の設置の義務づけのお話というのもきょうの議論の中でも随分出ました。しかしながら、実際の義務づけの規定そのものは、役所の総務省に委任をする総務省令になっている、国会の場では白紙委任という形になっている。法律には規定をしておりません。そういう内容がわからなければ議論ができないということで要求した中で、省令案が出されました。それを見て改めて明らかになったことは、数量的な基準が激減をしている。

 現行の郵便局の設置基準というのは、「現に存する郵便局ネットワークの水準を維持する」とあるように、つまり、現在の二万四千七百の郵便局網はこれを維持する、このことを法令で義務づけていますけれども、民営化法案にある郵便局の設置基準の案では、特に「過疎地については、」「現に存する郵便局ネットワークの水準を維持する」となっているわけで、その他数量的な規定として残るのは、一市町村に一カ所以上は置きますという規定だけであります。

 ですから、数量的な郵便局の設置基準は、このパネルにありますように、現在の二万四千七百から、民営化後においては、過疎地について七千とかということも言われておりますから、その数字を仮に置いておきましたけれども、あとはそのプラスアルファでしかない。数量的な基準についてはこうなっているというのが実態じゃありませんか。これで都市部について数量的な基準があると言えるんでしょうか。過疎地以外について、はっきりとした基準が設けられているんですか。

麻生国務大臣 総務省令で、法律が成立した場合の後の話になろうと思いますので、私の方から答弁をさせていただきたいと存じます。

 基本的には、先生御指摘のとおり、今の法律のままですと、市町村は一千八百二十二に減っておりますから、来年の三月まで、黙って、三千百ありました市町村が一千八百二十二になるということは、一千三百六十幾つ、今の法律のままで減るんですよ。それでも法律違反にはならぬということになりますから、それは余りサービスとしてはいかがなものかということを考えなくちゃしようがないんじゃないんですかね。

 したがって、今ありますものは、基本的には、そういったようなことのないように、そういった町村が減っていくところにおいては、その町村――人が答弁している間は黙ってしゃべらせてください。今説明している最中ですから。

 だから、基本的には、今言われているように、減ってはサービスが過疎地においては問題になるわけですから、町村合併をしたところのいろいろな行政サービス等々は郵便局できちんと対応できるようにするためのことを考えて、今言われたような一連の規制をつけて過疎地において特に配慮をするというようにしてある、私どもはそのように理解をいたしております。

塩川委員 ここにありますように、数量的な設置基準ということでは、現行を維持するということを具体的に示されておりませんでした。そういう点でも、私は、重大な、郵便局数の後退を招きかねない。具体的な数量的な基準が示されていないんですから、何の担保もないということですよ。郵貯法、簡保法をなくすことによって、福祉の増進などという目的規定が投げ捨てられる、このことだけは明らかです。

 国民からは民営化をしろという要求は出ていない。どこから出ているかといえば、その一つが銀行業界である。基本方針をまとめる直前の去年七月の全銀協では、「もはや国営の郵便貯金事業を維持する理由はなく、本来はこれを廃止することが望ましい」と、郵便貯金法の廃止を要求しております。

 もう一つ、民営化を要求しているのがアメリカであります。毎年出されている米国政府の対日改革要望書には、米国は日本に対し、郵便金融機関、郵便貯金と民間の競合会社間の公正な競争確保のため、郵便金融機関に民間と同一のルールを適用することを提言すると、民営化を督促してまいりました。

 結局、このねらいというのは、国民の要求から出たものではない。アメリカと日本の銀行業界の要求にこたえて、郵貯、簡保の三百四十兆円のお金を民間の銀行や保険会社に移しかえていく、そういうものじゃありませんか。こういうのが本当に許されるのか、このことが問われていると思いますが、総理、いかがでしょうか。

小泉内閣総理大臣 それは、民間の銀行業界とか生命保険業界からいえば、廃止しないからけしからぬという言葉は出てくるでしょう。しかし、本当に廃止して、今勤めている郵政公社の職員、どうなっちゃうんでしょうか。

 そういう郵貯、簡保を廃止しろという論者から見れば、確かに政府案は中途半端と批判されるかもしれません。しかし、政治として、私は、今の郵政公社に勤めている方々の雇用も十分考えなきゃならない、同時に、郵便貯金、簡易保険、多くの国民が利用している、そういう点も考えて、廃止よりは、同じような、民間と同一条件で活躍できる余地を残して、民間と一緒に競争して、国民のサービス、利便向上に役立てようという民営化案を考えているんです。

 確かに、廃止論者からすれば、この政府案は中途半端という批判は受けるという理由はわかります。しかし、単に理論だけで政治というのはできないんです。お互いしのぎを削って競争するのは嫌だという気持ちはわかりますけれども、やはり競争を通じて国民のサービス向上を目指すということを考えれば、民間の経営者に任せるということは、今までの民営化の会社の例をとってみても、すさまじい競争によって多くの国民がその利益を受けているということからも私は明らかだと思っております。

塩川委員 肝心の質問には全く答えていない。会社とか組織とか職員の話ではなくて、郵貯や簡保がなくなる、それが民間銀行などの資金の活用に回る、そのことが大問題じゃないのか、そのことを言っているわけであります。

 百害あって一利なしの郵政民営化法案の撤回、廃案を求めて、質問を終わります。

二階委員長 次に、横光克彦君。

横光委員 社民党の横光克彦でございます。昨日に引き続いてお尋ねをいたします。

 きのうも申し上げたんですが、郵政民営化によって国民、利用者にとってどのようなメリットがあるのか、あるいはデメリットになるのか、抽象的ではなく具体的に説明をしてくださいというお願いをしたんですが、なかなかそのような状況になっておりません。

 きょうの審議でも、一日やっております、きょう、私、最後ですが、やはり説明を受けますと、デメリットばかりが浮き彫りにされている。説明を受ければ受けるほど、午前中の小沢委員が言われましたように、まさに奇妙きてれつ、複雑怪奇な法案だなというのが実感されるわけでございます。

 きょうは、テレビをごらんの皆さんも、きょうの質疑を見ていて、本当にこれはわからないな、そして、余り国民にとっては何かプラスになるようなところはないなという思いを持っているんじゃなかろうかという気がしてならないんです。

 国民、利用者がこの民営化の問題で一番関心を持っていることは、関心というより、私は心配されていることだと思うんですが、これは、身近にあって、しかも、とりわけ地方においては生活の拠点ともなっております郵便局が、この民営化によってそのまま存続できるのか、あるいはなくなってしまうのか、そこのところが一番私は国民の皆様方の関心事であり心配事だと思うわけです。この点は民営化の根幹中の根幹でございますので、重ねて重ねて私は質問をいたしたいと思うんです。

 昨年、民営化準備室が作成いたしました「だから、いま民営化」というパンフレットに添付されております小泉総理の考え方をまとめられたペーパー、これですが、ここには郵便局はなくならないと書いておりますが、そのとおりでしょうか。

小泉内閣総理大臣 郵便局はなくなりません。郵便局株式会社という名称になりますが、確かに今までの郵便局と同じような事業を同じような場所で全部やるとは言えません。当然、都会のある地域においては、今まであった郵便局がなくなる可能性というのは否定できません。統合なり、あるいは廃止なり、あるいは民間の業者が参入することによって、今までと違う、さらにいい郵政事業の展開がなされる可能性というのは都会で強いわけであります。

 そういうことを考えれば、現在の郵便局が全部保持されるとは言えませんが、過疎地域等、ほかの民間の金融機関のサービスができない、あるいは地域にとってどうしてもこのような公共サービスが必要だというところについては、収益が上がらなくても、利益が上がらなくても、設置基準というものを義務づけておりますから、そういう点は、郵便局というのはなくなりませんし、全体として考えれば、今よりも減る可能性は多いと思いますが、その分は民間の業者の積極的なサービス展開によって、私はサービスの機能自体が落ちるとは思っておりません。むしろ今よりも多彩な、多様なサービスが展開されると思っております。

横光委員 今の御答弁でも、なくならないという一方で、減る可能性がある、とりわけ都会では減る可能性があるというお話です。私は、都会だけでなく、地方、過疎地では、この法案によって相当数、郵便局がなくなってしまうんじゃないか、そういう気がしてなりません。

 結論から言えば、政府は、郵貯、簡保の廃止法案です、そして郵便局ネットワークを崩壊させるものであると私は言わざるを得ないんですね。その証拠に、先ほど質問がございましたように、郵便貯金法、簡易生命保険法、いわゆるこれまでの現在行われている金融サービスのもととなっておりますこの二つの法案は廃止されるんですよね。これは、総理、廃止されるんですね。いやいや、もう先ほどお答えになりました。廃止されるんですよ、総理。今までの根本になっていたところが廃止されるんですね。

 そうなりますと、これまた午前中、野田聖子委員が申されましたように、まさにこの郵便局の名前は同じでも、中身は、つまり業務は似て非なるものになる、こういう言葉がございましたが、私は全く同感だと思うんですよ。

 政府案では、いわゆる郵便局は郵便窓口業務を行う営業所とされております。これはどういうことか。突き詰めて言えば、最低限、郵便だけでいいということになるんですね。そして、郵貯、簡保のサービスが提供される拠点、この位置づけはどこにもない、何ら規定されておりません。貯金、保険のサービスを、この位置づけがなければ、郵便局でのサービスの提供は維持できないのではないかと思いますが、総理、いかがですか。

小泉内閣総理大臣 きちんと規定されております。条文は担当大臣から説明させます。

竹中国務大臣 貯金会社、保険会社、簡保会社というのは、今までの特殊な国の会社だったのが通常の民間の会社になるわけでありますから、それは、それに伴って枠組みはいろいろ変えなければいけません。しかし、実態的にこの金融サービスが地方で重要な役割を果たしていることにかんがみまして、幾つかの重要な法律的な手当てをしているわけでございます。そのことは法律に明確に書かれております。

 まず、移行期間中は、代理店契約をカバーする、そういう安定的な移行期間をカバーする契約があることをみなし免許の条件としているわけですから、それは法律で書かれているわけでございますので、法律で手当てしているわけでございます。

横光委員 そういう説明をされましたが、その前に、私は、この郵貯、簡保のサービスが提供される拠点の位置づけがどこにもないと言ったんです、規定されていないと。ところが、総理はあると言ったんです。

 今のあなたのは、規定のことではないんでしょう。規定はないけれども、今あなたが説明されたようなことは実態としてあるということ、そこのところを説明してください。規定があるといったら、それは大変な問題ですよ。規定はないんですから。

竹中国務大臣 規定されております。窓口会社法の業務で、郵便局会社法のその目的のところに、郵便の窓口業務を行うこと、さらに、地域住民の利便に資する業務を行うということで、その中で金融が当面含まれて考えてくるということでございますので、その中で法律で規定されております。

横光委員 それは、規定されているのではなくて、そういうことができるというだけで、しなければならないということにはなっていないんですよ、あなたが今説明されたことは。そういうことができるということで、あくまでも希望的観測。

 規定されている条文はあるんですか、本当に。あくまでもそういうことを担保しているかのような希望的観測を述べられただけでしょう。規定されている条文を読んでください、規定されている条文を。

竹中国務大臣 郵便局株式会社法の第四条第二項の第二号、前号に掲げるもののほか、郵便局を利用して行う地域住民の利便の増進に資する業務を、これは「次に掲げる業務を営むことができる。」という形で、その中で規定をしているわけでございます。

横光委員 先ほど言いましたように、私は、拠点として位置づけられていることが明記されているかと聞いたんです。今のはそうじゃなくて、そういうことができるという条文であって、つまり、きょうあなたはもう何回も何回も安定的な代理店契約という言葉を使っておりますが、これが非常にわかりにくくてくせ者、この安定的代理契約というのが。

 これは、法律上こういうことを言っておりますが、貯金・保険会社が窓口業務を郵便局に委託するということは法律上明記されているんですか。明記されていませんね。どうぞ。

竹中国務大臣 御質問の趣旨は、みなし免許を付与される代理店契約があるとの条件が法律的に担保されているか、そういう御趣旨でございましょうか。ちょっと正確にもう一度。もう一度答えさせていただきます。

横光委員 安定的な代理店契約とおっしゃいますが、貯金・保険会社が窓口業務を法律上必ず郵便局に委託することになっているのですかということを聞いておるんです。

竹中国務大臣 安定的な代理店契約を結ぶということが銀行に実質義務づけられているわけでございまして、どこと義務づけるか、どこと結ぶかということに関しての義務づけは行っておりません。

横光委員 これも結局、そういった委託しなければならないということにはなっていないんですよね。ですから、今そのような御答弁をされるのですが。

 最初は、確かに当初は、そのような委託契約というのが、免許を得るためにそうなるかもしれませんが、しかし、安定的な代理店契約をして営業しても、いずれは不採算地域というものが生じること、これは想定されておられますか。

竹中国務大臣 もう一点申し添えたいんですが、同時に今度は、郵便窓口から見ると何も決められていないじゃないかという御指摘が横光委員からあったかと思いますが、これは、公社の承継計画を主務大臣が認可しますので、そこで政府としてはきっちりと担保いたします。

 その上で、赤字になること等々が何か障害をもたらすのではないかということでございますけれども、不採算店、これは、店舗で不採算かどうかということではなくて、基本的には、ビジネスモデルというのは窓口のネットワークを活用するわけでありますから、ネットワークとしての価値があるというふうに想定されますので、採算があるところ、不採算のところ、両方ありますけれども、ネットワークとしてきちっとそうした形での一括的な契約が結ばれるというふうに思っております。

 ちなみに、ネットワークをやっているところは、いろいろなところでも、不採算のところも含めて、全体として利益が上がるという仕組みをとっているわけであります。

横光委員 不採算地域が生じることを想定されているかと聞いたんです。想定されるんですよね。ですから、いろいろな、安定的な契約を結ぶとか、その後の何か基金のことまで用意しておるわけでしょう。不採算地域が生じることを想定されているから、そういういろいろな措置をとろうとしているわけですよ。

 だから、はっきり言ってください、それは不採算地域が生じる可能性はありますと。そう言えば国民もわかりやすい。そのためにこういった手当てをしているんですと言えばいいんです。

 その手当てがまたいいかげん。例えば、あなた、基金のことを言われましたよね。この基金はまたいずれ細かく質問したいと思うんですが、これは、いわゆる赤字補てん、これを埋め合わせて収支とんとんまで交付金は交付されないわけですよ。それ以上の収益が上がるところまでいかない。要するに、とんとんのところまでいかない基金の交付のされ方の中で、民間企業がとんとんのところに参入しますか。こういった問題もあるんです。

 要するに、今の説明のままでは非常にあいまい、すべてが希望的観測、できる。でも、なければならないはなくて、すべては、できる。恐らく経営判断で代理店契約を結ぶだろう、そういった、だろうとかいう形でつくられておるんですよ。

 ですから、この政府案のまま、郵貯・簡保民営化、つまり、言われております一般の商法会社とした場合は、今のあなたの政府説明では、結局のところ、郵便局への委託は経営判断ということになる、結局は経営判断ということになる。その経営判断ということは、全くの民間会社の人たちの権利なんですね。あなたは、その民間会社は自由な活動を許すと言いながらいろいろな形で縛ろうとしている、ここのところがまずおかしい。

 こういう経営判断ということですから、不採算地域から郵貯、簡保は撤退してしまう可能性が高いわけですよ。どこに不採算地域を好きこのんでサービスを提供する民間会社がありますか。もうからないことをやるような民間会社があるんですか。株主が黙っておりませんよ。そういうことをあなた、経営判断と言いますが、そういう事態だって起こるんですよ。

 いかがですか。そこまでも想定しておるんですか。

竹中国務大臣 横光委員は少しネットワークの価値というものを十分にしんしゃくしてくださっていないように今お伺いをいたしました。

 これは、銀行としては、いろいろなところにネットワークがあるから契約を結ぶ価値があるからです。これは、いろいろなところで金融の送金等々もあり得るし、いろいろなところでの決済等々もあり得ますから、ネットワーク全体で、いろいろネットワークを持っているところと一括契約を結ぶというところに銀行としての非常に大きな価値があるわけです。

 これは、ネットワーク価値がないということになると、それは究極的には、一部の過疎地域について、そこはもうネットワークの価値を認めないという場合があるかもしれません。だから、そのときのために基金を準備しているわけです。私は基本的にはネットワークでつながると思いますが、そういう場合の、基金も活用できるという仕組みにしているわけです。

横光委員 そういうふうに次から次へと二重三重の措置をしていて、そして、基金のことを言われましたが、その基金も、私が言いましたように、収支とんとんまでしか交付されないと書いておるじゃないですか。その収支とんとんのところに、不採算地域とほぼ同じなわけですよ、赤字を補てんして、その分交付してやっととんとんにいくようなところに民間会社が入るかと私は言っておるんです。

 ですから、あなたたちが今説明したような中では、到底この政府案では、箱物は確かに設置基準がありますよ、郵便局が義務づけられていますからね。しかし、箱物はありますが、その中身は、まさに貯金、保険は義務づけられずに郵便だけという。結局、設置義務が郵便局はある、しかし、郵便だけで、貯金も保険もサービスはない、すかすかの状況が起きる、そういった法案なんです。

 いかがですか。

竹中国務大臣 まず、基金についてちょっと幾つか言われましたが、また別途、日を改めて御質問されるということでございましたが、赤字補てんのためではありませんから、これはとんとんまで補てんするというふうに言われました意味はちょっとよく理解できません。ちょっと委員、誤解しておられないかなと思うことがありますので、そこはまた別途ぜひお尋ねをいただきたいと思います。

 基本的には、まず、安定的な代理店契約を結んで全国をカバーしているような、そういうビジネスモデルの銀行なんですから、そういう全国一括で契約をしているような代理店契約でないと、みなし免許は出せません。だから、当初これは、みなし免許のもとで、みなし免許を出す、その条件づけをしている中で、全国で一括してそういう金融のサービスがなされるということは、これは実質的に担保されているわけです。

 移行期間以降についても、同様のネットワークの価値がありますから同じような契約が続くというふうに想定されますが、それでも一部について問題が生じたときはさらにそれを基金を使おうということですから、これは二重三重にそういうサービスがなされるような仕組みをつくっているということをぜひ御理解いただきたいと思います。

横光委員 ですから、先ほどから言っているように、二重三重にまでそういった措置をして、何とか金融サービス、言えば、ユニバーサルサービスとは言わないけれども、ユニバーサル的なサービスをやろうとしているんでしょう。そして、片一方では民営化しようとしている。ユニバーサルサービスをやろうとしていながら民営化するというから、両方をやろうとするから、どっちつかずの状況に今なっておるんです。ですから、次から次へわからないような説明をせざるを得なくなってくるんですよ。

 ですから、ねばならないというところがあれば物すごくすっきりする。しかし、そうすることができるということになっておるものですから、非常に私が心配するようなことが、事態が起きかねないということを今質問しておるんですよ。

 ですから、そういうことになってしまえば、郵貯、簡保からの委託に依存している窓口会社、これが、郵貯、簡保が撤退してしまったらやっていけるわけないじゃありませんか。そこでネットワークが崩れる。最初、総理は郵便局は減らないということをおっしゃいましたが、ここから崩れていくんですよ。ですから、私、冒頭、これはまさにネットワークを崩壊させる法案であるということを申し上げたんです。

 またいずれ細かいことも次から次へと質問して、この問題、いかにおかしい欠陥法案であるかということを国民の前にお示ししていきたいと思います。

 終わります。

二階委員長 次回は、来る六日月曜日午前九時四十五分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時二分散会


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