衆議院

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第8号 平成17年6月6日(月曜日)

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平成十七年六月六日(月曜日)

    午前十時三分開議

 出席委員

   委員長 二階 俊博君

   理事 石破  茂君 理事 松岡 利勝君

   理事 柳澤 伯夫君 理事 山崎  拓君

   理事 中井  洽君 理事 原口 一博君

   理事 松野 頼久君 理事 桝屋 敬悟君

      井上 信治君    今村 雅弘君

      大野 松茂君    大前 繁雄君

      城内  実君    北川 知克君

      小泉 龍司君    小杉  隆君

      小西  理君    左藤  章君

      坂本 剛二君    桜井 郁三君

      柴山 昌彦君    菅原 一秀君

      園田 博之君    竹下  亘君

      土屋 品子君    西川 京子君

      馳   浩君    早川 忠孝君

      原田 令嗣君    松本  純君

      宮下 一郎君    山口 泰明君

      五十嵐文彦君    伊藤 忠治君

      一川 保夫君    岩國 哲人君

      小沢 鋭仁君    大出  彰君

      川内 博史君    古賀 一成君

      中塚 一宏君    中村 哲治君

      西村智奈美君    古本伸一郎君

      馬淵 澄夫君    山花 郁夫君

      石井 啓一君    佐々木憲昭君

      塩川 鉄也君    横光 克彦君

    …………………………………

   総務大臣         麻生 太郎君

   法務大臣         南野知惠子君

   財務大臣         谷垣 禎一君

   国土交通大臣       北側 一雄君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     細田 博之君

   国務大臣

   (金融担当)       伊藤 達也君

   国務大臣

   (郵政民営化担当)    竹中 平蔵君

   内閣府副大臣       七条  明君

   内閣府副大臣       西川 公也君

   内閣府大臣政務官     木村  勉君

   総務大臣政務官      松本  純君

   政府参考人

   (内閣官房郵政民営化準備室長)          渡辺 好明君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  中城 吉郎君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  竹内  洋君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  細見  真君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  伊東 敏朗君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  篠田 政利君

   政府参考人

   (警察庁長官官房長)   安藤 隆春君

   政府参考人

   (総務省郵政行政局長)  鈴木 康雄君

   政府参考人

   (財務省理財局長)    牧野 治郎君

   参考人

   (日本郵政公社総裁)   生田 正治君

   参考人

   (日本郵政公社理事)   斎尾 親徳君

   衆議院調査局郵政民営化に関する特別調査室長    石田 俊彦君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月六日

 辞任         補欠選任

  江藤  拓君     西川 京子君

  大野 松茂君     土屋 品子君

  大前 繁雄君     菅原 一秀君

  園田 博之君     原田 令嗣君

  馳   浩君     坂本 剛二君

  山口 泰明君     竹下  亘君

  塩川 鉄也君     佐々木憲昭君

同日

 辞任         補欠選任

  坂本 剛二君     馳   浩君

  菅原 一秀君     大前 繁雄君

  竹下  亘君     早川 忠孝君

  土屋 品子君     大野 松茂君

  西川 京子君     江藤  拓君

  原田 令嗣君     園田 博之君

  佐々木憲昭君     塩川 鉄也君

同日

 辞任         補欠選任

  早川 忠孝君     山口 泰明君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 郵政民営化法案(内閣提出第八四号)

 日本郵政株式会社法案(内閣提出第八五号)

 郵便事業株式会社法案(内閣提出第八六号)

 郵便局株式会社法案(内閣提出第八七号)

 独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構法案(内閣提出第八八号)

 郵政民営化法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出第八九号)


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     ――――◇―――――

二階委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、郵政民営化法案、日本郵政株式会社法案、郵便事業株式会社法案、郵便局株式会社法案、独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構法案及び郵政民営化法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の各案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、参考人として日本郵政公社総裁生田正治君及び日本郵政公社理事斎尾親徳君の出席を求め、意見を聴取し、政府参考人として内閣官房郵政民営化準備室長渡辺好明君、内閣官房内閣審議官中城吉郎君、内閣官房内閣審議官竹内洋君、内閣官房内閣審議官細見真君、内閣官房内閣審議官伊東敏朗君、内閣官房内閣審議官篠田政利君、警察庁長官官房長安藤隆春君、総務省郵政行政局長鈴木康雄君及び財務省理財局長牧野治郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

二階委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

二階委員長 この際、第二期(平成十六年度)日本郵政公社決算の概要について説明を聴取いたします。

 なお、この際、委員長から申し上げておきたいと思いますが、政府側の答弁につきましては誠心誠意答弁をされるようにという、理事会におきまして強い御意見がありましたことをこの際申し伝えておきます。

 それでは、日本郵政公社総裁生田正治君。

生田参考人 おはようございます。

 まず、一言御礼から言わせていただきます。

 先生方におかれましては、郵政事業に対して日ごろから格別の御指導、御支援を賜り、この場をおかりいたしまして厚く御礼申し上げます。ありがとうございます。

 さて、このほど、日本郵政公社の平成十六年度決算がまとまり、五月二十五日に理事会の承認を得て財務諸表を会計監査人へ提出し、報道発表したところであります。

 通常は、会計監査人による監査を受けた上で公表するところであり、また、法令上は六月末までに総務大臣に提出することとされておりますが、情報開示を積極的に進めるという方針で、そのような前提つきで五月二十五日に発表したものであります。

 以下、平成十六年度決算の概要について御説明申し上げます。

 郵便業務においては、前年度の二百六十三億円を若干下回る二百五十二億円の当期純利益を計上いたしました。二期連続で黒字を確保しましたが、まだ黒字化への構造改革をなし遂げたとは言えないと考えております。現状では、毎年毎年、郵便業務の収益の減収に立ち向かいながら、辛うじて黒字を出しているという段階でありまして、本格的な黒字体質への構造改革は、まさにこれからが本番というふうに認識しております。

 郵便貯金業務における当期純利益は、一兆二千九十五億円を計上いたしました。前年度の当期純利益は二兆二千七百五十五億円であり、約一兆円減少したわけでありますが、前年度の当期純利益のうち一兆円強は、金銭の信託運用益でありました。これは株価に左右されます。今年度は、株価が前年度末からほとんど変動がなかったため、前年度のような大きな運用益は生じず、本当の意味の純利益でいえば、前年度も約一兆二千億円であり、今年度も前年度と同水準の利益を確保したと言えます。

 簡易生命保険業務においては、三利源の赤字幅の縮小などにより、経常的な利益は三利源の合計、すなわちマイナス二千二百三十九億円に追加責任準備金の戻し入れ額四千三百二億円を加えた二千六十二億円であり、前年度のマイナス九十五億円から改善しましたが、新規契約の低迷や低金利の継続により、依然として厳しい経営状況が続いております。

 これら三業務を合わせた公社全体としては、当期純利益を前年度の二兆三千十八億円に対し、一兆六百七十億円減の一兆二千三百四十七億円を計上いたしました。また、公社全体の総資産額は、前年度末の四百四兆千九百十六億円から若干縮小いたしまして、平成十六年度末で三百八十七兆八千七百二十二億円となっております。

 当期純利益は、全額を利益剰余金として資本に積み立てることとされており、その他有価証券評価差額金一兆三千三百七億円と合わせると、公社の資本は、発足時の一兆二千六百八十八億円から六兆千三百六十一億円となりました。その結果、自己資本比率、すなわち、総資産額三百八十七兆八千七百二十二億円に占める資本総額六兆千三百六十一億円の割合でありますが、これは、公社スタート時の〇・三%から一・六%までになりました。

 本格的な黒字転換への構造改革はこれからであり、引き続き大変厳しい環境であると自覚しております。今後とも、役職員一致して、緊張感を持って努力してまいりたいと思っております。

 以上、簡単ではございますが、日本郵政公社の平成十六年度決算の概要を御説明申し上げました。

 引き続き、よろしく御指導、御支援のほどお願い申し上げます。ありがとうございました。

    ―――――――――――――

二階委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。今村雅弘君。

今村委員 おはようございます。今村でございます。

 本日は、格別の御配慮をいただきまして質問の時間をいただきましたこと、本当にありがとうございます。

 この土曜、日曜も、私、地元に帰ってまいったわけでございます。話題が幾つかありますが、一つが、何といってもこのクールビズでございました。一概には言えませんが、中には、何かゴルフ場のコンペの打ち上げみたいだなとか言う人もいるし、中には、何か東京拘置所に行くときのスタイルみたいだなと言う人もいるわけでございますが、私は、この暑さにしっかり抵抗して、この夏もネクタイ姿で頑張っていきたいというふうに思っております。

 さて、そういう中でもう一つの話題は、何といっても、この郵政民営化法案がいよいよ本格審議に入って、そしてテレビ中継もされた。そういう中で、大変国民の皆さんも、まさにこのパンフレットではありませんが、そういうことだったんだということで意外な反応をしておられまして、やはり、もっともっと国民の皆さんにいろんなことを知らさなければいけないなというふうに思ったわけでございます。そうだったんだというのは、どっちかというと、いや、郵便貯金も簡易保険もなくなっちゃうんですかというようなイメージがまた逆に伝わってきているようであります。私も今いろいろ考えておるわけでございますが、今回のこういった法案をつくっていくに当たって、党内でいろいろな議論がされたわけでございます。

 そうした中で今思いますのは、日本のこの政治制度が、いわゆる議院内閣制度ということをとっている。これは、内閣総理大臣は立法府から選ばれるわけでありますから、当然立法府も押さえる、そしてまた、最高裁長官、最高裁判事もこれは事実上任命できるわけでございます。そういう意味で、大変強力なやはり権限を持ったこれは政治執行体制だなというふうに思っております。

 かてて加えて、小選挙区制ということになってくると、やはり、より党内に対するコントロールもいろんな形で強くなるということでございまして、それだけにまさに、アメリカの大統領も強いわけでございますが、これは議会の解散権なんかは有していないということであるわけであります。そういう意味で、我々議員もそうでございますが、大きな政策を遂行するときには、本当に真剣な議論をして、国民の皆さん方に豊かなあすをやはり実現していくという責務を負っているということを最近つくづく感じております。

 さて、そういう中で、この郵政民営化という政府の広報の話でございます。これについて、まだよく国会でも決まっていないのに、こういったことで、これはあくまで政府の考えということであったんでしょうが、やはり政府・与党一体ということで、中では、まだ議論をやっている最中にこういうのを出すのはおかしいんじゃないかということで、いろいろ注文があったことは竹中大臣もよく御案内かと思います。

 そうした中で、これは中身についてもちょっといろいろ今変わってきているところもあるようでございますが、まずこの広報ですね、一体どのくらいつくられて、お金が大体どのくらいかかったのか、それをちょっとまず教えていただけるでしょうか。

中城政府参考人 お答え申し上げます。

 郵政民営化に関する広報につきましては、新聞記事、雑誌、それからテレビ特別番組、それからラジオスポット、それからインターネット・バナー広告、折り込みチラシ、それからパンフレットというようなものでやっております。

 特に折り込みチラシにつきましては、全国で約千五百万部を配布し、その費用は一億五千六百万円ということでございます。

今村委員 わかりました。

 これについては、以前もいろいろなこういった抗議の話もあったわけでございますけれども、ただ、もう一つ、実はこれは内閣府がやられたんですか、郵政民営化に関する特別世論調査ということを内閣府の政府広報室がやられた。これは平成十七年の二月十日から二月二十日ですね。

 このときの世論調査の結果でございますが、実はそのときに、どうも聞いてみると、このビラを見せながら、そして「郵政民営化について質問します。」ということをやっておられるというふうに聞いております。これは、ここにこういうふうに書いてありますから間違いないと思いますが、こういうやり方が本当にいいのかどうかということについて大変疑問を感じます。

 ただ、おもしろいのは、このビラを見せてもなおかつ、お手元にきょう配ってありますかね。ないですか。あれ、これは配ってくれと言ったんですが。では結構です。この結果がどういうことだったかというと、要するに、非常にまだ関心が薄い。そしてまた、五一%の人が「反対」、「どちらかと言えば反対」そして「わからない」ということであるわけでございます。ですから、こうやって見せてやってもこんなものだということで、しかも、こういうテレビで中継される中で皆さん方が問題の所在を知ってくると、より慎重な意見が強くなってくるんじゃないかなというふうに思うわけでございます。

 そうした中で、もう一つ、「賛成の理由」ということで幾つかございます。一つには、「お役所体質がなくなり、窓口での接客サービスの向上が期待できるから」というのが三六%、それから、「公務員の削減、官公庁の縮小による「小さな政府」の実現はよいことだから」、これが三一%でございます。これは考えてみると、今郵政公社は、生田総裁がおっしゃいましたように、また皆さんが認められましたように、大変サービスがよくなってきている。そしてまた、削減でございますが、これも既に二万人近い削減をやっている。つまり、これは公社で十分今は実績を上げているということでありまして、賛成ということについての皆様の御期待はこれでもって満たされているんじゃないかと。

 そしてまた、もう一つおもしろいのは、「他の民間業者との競争の結果、郵便局が提供している商品(郵便、郵便貯金、貯金、簡易保険)がよりよいものとなることが期待できるから」とあります。これは私は大変おもしろいと思いまして、まさにこれは、官と民でしっかり競争した方がおもしろいんじゃないかという意見の反映じゃないかというふうに思っております。後で申しますが、本当に民に任せてしまってすべてがいいと思いません。そういった点でこれは評価する。

 そうすると、あと残ることは、「民間でできる事業は民間が行うべきだから」、それから、「郵便貯金、簡易保険を合わせ約三百五十兆円もの国民の資金が民間に流れることにより、経済の活性化につながるから」というのが、それぞれ三〇・二%、そして二六・三%ということになっているわけでございます。ここがまさに竹中大臣も言っておられるところに尽きるわけでございまして、こういったものについて、本当にそうなのかどうかということについてこれから少し質問をさせていただきたいというふうに思います。

 今、民間でできることは民間でということがここにも出ておりました。やはり民間でやれることは民間でということは、それはそれで正しい面もありますが、しかし、できることも民間がやらないという反面もあるわけでございます。これは要するに、利潤が上がらないものについてはこれはやらない、これは、資本の論理としては当然なことであるわけでございます。

 そしてまた、悪いこともやはりあるわけでございまして、例えばこの中でも出ておりますが、やはり民に任せていいことばかりじゃない、こう書いてあります。これは民間の人が言っているんですよ。民間のいいところを学ぼうと言っていますけれども、民間の悪いところを学ばなければいいなという意見も実は出ているわけでございます。

 いろいろございますが、やはり、日本の社会にはどうしても談合的な体質といいますか、そういったものがある。先般は鉄鋼、橋梁の事件がありました。やはりこれは、会社を存続させよう、もうけさせようとすれば、どうしてもそういったことになってくる。あるいは航空事業の関係でも、例えばJALとANA、福岡―東京便を見ましても、ほとんど横並びということでございます。料金もほとんど一緒、それから、割引券が使える、制限される日、期間、そういったものも一緒。そういった、妙な、競争がなされない談合的な体質が残ってしまう、そういうところも実はあるわけでございます。

 もう一つ大事なことは、やはり官でやるべきというところは力を入れてやらなきゃいけないんじゃないかと私は思います。それはどういうことか一つの例で申しますが、今、大変安全、安心が脅かされている、大変犯罪がふえているということは御案内のことかと思います。警察庁の調べによりますと、とにかく大変刑法犯が、平成七年から平成十六年、この十年間で一・四倍、あるいは重要犯罪については二・一倍ということになってきている。しかしながら、これはある意味では、警察庁の予算はほとんどふえていない、あるいは都道府県警察の予算もふえていない、そういった意外な事実が出たわけでございます。

 一方、もう一つ、いわゆる警備業会社、これはまさに、警察でやれないことを民に任せるということの一つの事例かと思いますが、これは大変な伸びを示しておりまして、平成元年に約一兆円の売り上げといいますか業績があったのが、それが平成十五年では三兆二千億、恐らく今ではもう三兆五千億に行っていると思います。

 片や、大変犯罪がふえて、そしてもっと警察に頑張ってもらわなきゃいけないのに、何となく民の方にこれだけのお金が行って、そして効果が上がっていない。もうちょっとこの辺は、やはり官でやらなきゃいけないんじゃないかと思います。

 きょう、警察庁の方もお見えになっておりますので、この辺、どういうふうに考えておられるか、御意見を伺いたいと思います。

安藤政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、最近の治安情勢は、刑法犯の認知件数が近年の増加傾向に一定の歯どめがかかったものの、治安がよいと言われました昭和期の約二倍でございまして、依然として厳しい状況にあるところであります。

 一方で、国、地方とも大変厳しい財政事情にある中、平成十七年度予算においては、地方警察官の増員が認められるなど、治安対策の重要性について配慮がなされたものと認識しております。

 今後とも、治安回復のための各種施策を推進いたしまして、国民が求める安全と安心を確保するため、所要の予算の確保に努めてまいる所存でございます。

今村委員 ぜひ、我々もそういった面でしっかり応援したいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 それで、今るるお話ししましたが、竹中大臣、民間でやれることは民間でということがやはりオールマイティーなのかどうか、その辺について、簡単でよろしゅうございますから、お考えをいただきたいと思います。

竹中国務大臣 民間の活力というのは、やはり大変経済社会を発展させるために大切なものであると思っておりますが、では、その民間の力、さらには市場のメカニズムでいろいろなことがすべてできるかというと、これはもう全くそういうことではないというふうに思っております。市場のメカニズムを活用しながら、しかし、やはり今村委員御指摘のように、官がしっかりやらなければいけないところがある、むしろそういうところが目立ってきているということも重要な点であろうかと思います。

 むしろ我々としては、そういう官がやるべきところに集中と選択して官ができるようにするためにも、民間でできるところはできるだけ民間でやっていただく、そういう仕組みをつくっていくことが大変重要であろうと思っております。

 郵政の民営化に当たりましても、そういった民、官、市場ではできない部分についてはしっかりと手当てをしながら、民間の活力を生かすという方向で制度設計を行ったつもりでございます。

今村委員 今のお話でございますが、またこれは後でお話ししたいと思いますが、やはり一般の国民は、民でできることでもやはり官でやってほしい、そういった、何とも言えない安全、安心を求めている、特にこの今の時代は。そういうことをもう一度申し添えておきます。

 それから、もう一つのテーマであります、官から民へということでございますが、もうこれは古い話じゃないんでしょうか。要するに、財政投融資の方に郵貯なりの金が行って、それが肥大化させているんだ、だからそのもとを断たなきゃだめなんだという発想から来ているわけでございますが、もう既にこういった財投云々の仕組みも変わってきているわけでございます。こういったものを一体まだ繰り返されるのかどうか。

 そして、もう一つここで聞きたいのは、やはり、何でこの郵貯なり簡保が肥大化したかということですね。これはどういうふうに見ておられるのか。やはり今まで、この十年を含めて、民に対する、特に民間の信用機関に対するこれは信頼感がなかったことじゃないかというふうに私は思うわけですね。こういったところをどういうふうに考えられますか。

 それから、ついでに言いますが、民の需要がなければやはりお金はそっちに行かないわけであるし、それでは経済がおかしくなるから、やはり官でもって需要喚起をしてきたということもあるわけでございまして、こういったものについて今は相変わらず官から民へということを繰り返されるのかどうか、ちょっとその辺のお考え方を伺いたいと思います。

西川副大臣 郵貯、簡保の肥大化の原因、理由は何だ、こういうことかと思いますけれども、これまでの過去二十年間の問題を見てみまして数字を調べてみました。そして、郵貯と民間預貯金との関係、どういう関係になっているか、こういうことを調べてみましたが、シェアの部分で郵貯の一番少ない年は平成二年なんです。それから一番多いのはいつだといったら、平成十年ということでありまして、このとき、郵貯が二年の一番少ないとき一三・三%でありましたが、それで十年の末には一八・八、こういうことで確かにふえているんです。しかし、そのときに民間の預貯金はどうだといいますと、民間の預貯金は、二年のときが三二%で、そして十年末で三三%だと。よく調べたけれども、郵貯がふえても民間の預貯金はシェア的にはふえていない、こういうことで相関関係はちょっとわからない、こういうことが私どもの結論であります。

 それで、今お尋ねありましたように、今後もそう続けるのかと、こういうことでありますが、小泉構造改革の進める、官から民へ、できるものはやろうということで、基本的な態度でこれからもやっていく、こういうことであります。

今村委員 要するに、官から民へというのが、この財投のあり方を含めてちょっと古いんじゃないですかということを、私は竹中大臣の考え方を伺っておるわけですから、簡単でいいですから、どうぞ。

竹中国務大臣 財投の仕組みは平成十九年度までで制度的な預託という制度は終わるわけでございますから、財投の改革が進んでいるのではないか、そういう意味では、そこに市場が介在して財投債や財投機関債を発行するわけですから、その改革でかなりもう進んでいるのではないかというお尋ねだと思います。

 その改革は大変重要でございますが、同時にやはり、お金の全体的な入り口と出口の改革も同時に進めないといけない。出口は、まさに政策金融機関を含めた政府金融等々の改革でありますけれども、やはりこれをやらないと、最終的な資金の需要者から見たときの官のウエートというのは大きいままである。同じく、入り口から見ると、これはそこには郵貯があるわけで、家計の金融資産の二六%を今その官、郵貯が占めているわけでありますから、やはり、その改革を同時にやっていくことによって金融市場全体が官から民への流れを実現できるということだと思っております。やはりそこは、一貫してやる必要があるという考えでございます。

今村委員 やはりこうなってくると、要するに、安全、安心ということを一番国民の皆さん、特に郵便貯金の皆さんあるいは簡易保険の皆さんは求めているわけですから、もう極端なことを言うと、思い切って、郵貯、簡保を含めて利回りはもう低いよ、そういう強制的な政策をやられたって私はいいと思うんですね、本当に官から民へということをやろうと思われるのなら。そういったこともやる、しかしそれは、やると大変なことになると思いますけれども、本当にこれは、みんな官から民へとぞろぞろ行っていいんですか。

 これはちょっと財務省、きょう来ていられると思いますけれども、やはり日本の、今、国債発行残高等々を含めてこの国債をどういうふうに買っていってもらうか。そしてまたこの国債は、発行した以上は絶対消化してもらわにゃ困るわけですね。これは、売れ残ったりすると大変なデフォルトを起こす可能性があるわけです。我々は、ひょっとして今本当に大きな時限爆弾にさわりかけているんじゃないかなという気がしていますが、こういった、よくも悪くも国債を買い支える機能ということはやはりしっかり維持しなきゃいけないんじゃないか。そういう意味では、官から民へとばかり言っていていいのかどうか。これはちょっと財務省、来ていますか、どうぞ。

牧野政府参考人 お答えをさせていただきます。

 日銀の統計によりますと、現在、郵貯、簡保は国債残高の約四分の一を保有しておりまして、国債の消化を図る上で郵貯・簡保資金が役割を果たしているというのは、それは委員御指摘のとおりでございます。

 したがいまして、こういう大量の国債を保有している郵政公社の民営化を進めるということでございますから、今後とも国債の大量発行が続くと見込まれるという事情もございますから、国債管理政策を適切に運営していくことが非常に重要だというように考えております。

 その際、まず第一は、財政構造改革の推進を行って国債に対する信認を確保していくこと、財政運営の指針としてまずは二〇一〇年代初頭の基礎的財政収支の黒字化を目指して、歳出歳入両面からバランスのとれた財政構造改革を進めていくということがまず肝要だと考えております。

 その上で、国債の安定消化を図る観点から、今後とも、国債に対します市場のニーズあるいは動向といったものを踏まえまして、国債の発行、それから、新商品の導入それから商品性の多様化といったことを通じまして保有者層の拡大を図りまして、国債管理政策の適切な運営に努めていくということで対処し得るというように考えております。

今村委員 要するに、国債は買い支えをしてもらわないと困るということなんでしょう。それをはっきり言ったらどうですか。もう一回言ってください。

牧野政府参考人 先ほどもお答えいたしましたけれども、私ども、郵政の民営化ということで市場の環境に変化があるわけでございますが、そういった郵政の民営化に限らず、いろいろな市場の変化というのは当然今後予想されるわけですから、そのためには、さっき申し上げたような市場のニーズ、動向を十分踏まえて国債の発行を行うとか、あるいは、新商品を導入して商品の多様化を図るあるいは保有者層の多様化を図る、こういう各般の管理政策をこれから行っていくことで……(発言する者あり)

二階委員長 答弁中は静粛に願います。

牧野政府参考人 今申し上げたような、ですから、商品性の多様化あるいは保有層の多様化を図ることで対応が可能だというように考えております。

今村委員 そういう問題点があることを私はしっかりと指摘をしておきたいと思います。

 それから、今、もう一つ、実は竹中大臣のこの本もしっかり読ませていただいております。その中で、いろいろな問題点がありますが、ときどき出てくる、「「見えない国民負担」の最小化」ということがここにも出てきております。その中で、ここに関連して、「国民は「偶発債務」という負担を負っている」ということも言われております。これはどういうことなんでしょうか。

 要するに、見えない国民負担といっても、今まで郵便局はいろいろな公的な機能を果たしてきているわけですね。そういう意味で、ある意味では国民の皆さんにもいろいろなネットワークの維持を含めてやってきた。そういったものを顕在化すれば、例えば税金だ何だを上げる、そういうふうになってきたときに、上げるというか取るですね、それは郵便料金に結局転嫁されるわけであって、結局は国民負担が顕在化するということであって、何でそこまでやらなきゃいけないのか。そんなことをどんどんやり出すと、役場の場所代から何から全部固定資産税を取るんですかという話にもなってくると思うんですね。

 それから、「「偶発債務」という負担を負っている」というこんなことを言われ出すと、では、国民はいろいろな自然災害を含めてそういう危険にさらされている、そういったものに対してはみんな保険に入って、それで災害復旧のときにはそっちから出すのかということになって、それはちょっとないんじゃないかと思いますが、この辺はどういうふうにお考えなんですか。

 それから、見えない国民負担と言われますが、幾らぐらいだと考えておられるんですか。

竹中国務大臣 見えない国民負担という言い方が適切かどうかということに関しては、諮問会議等々でもいろいろな御意見がありました。

 あえて御質問をいただきましたので、考え方としましては、言うまでもありませんが、税金、法人税等々を払わなくてよいことになっている、そして、特に金融に関して大きいのは、預金保険料を払わなくていいことになっている、そういうものがどのくらいあるか。これは、いろいろなところの試算がございますけれども、どのくらいか。これは、試算は前提によって違ってまいりますから数字がひとり歩きするのはよくないと思いますが、有識者会議でお示しいただいた額で、年間一・一兆円程度あるというような試算もございます。

 この数字そのものについては、繰り返します、いろいろな考え方があろうかと思いますが、その分については、やはり民間と比べると、その分の負担、これは預金保険料が典型でありますけれども、それが免除されているということに関しますから、民間との競争条件上それでよいのかという議論が大変ございます。

 一方で、偶発債務云々は、これは国が保証をしているわけでありますから、保証というのは、これはまさに保証する側から見ると、保証債務、偶発債務でございます。そういうものが数字の上は出てこないわけです。

 そういう偶発的な債務をしっかりと手当てするために、預金保険料という形で、毎年毎年、発生している分については確率上、預金に計算して負担をしていこうというのが通常の考え方でありますので、そういうものについてしっかりとやはり国民にも見えるようにしていかなければいけない、それで、負担することがまた競争上対等な競争に結びつけるのではないか、そのような考えを一貫して議論させていただいているわけでございます。

今村委員 その辺は、やはり国家に対する信頼、あるいは、国家は国民に何をしてやるべきかというそういう議論に私は発展していくと思います。

 それで、私は最後に言っておきますけれども、日本の国というのは、やはり何といっても、お国に対するといいますか、そういった信頼が高いんですね。ですから、官の保証がついているのはけしからぬとかいう話、次にまたしますが、そういう話は、私はもうちょっと慎重に考えてもらっていいんじゃないかと。せっかく、お金のかからない、無形の一つの財産なんですね、この信用というのは。そういったものをぶち壊すようなことは私はよくないんじゃないかというふうに思います。

 それで、ちょっと時間がないので次に入りますが、具体的にいきますが、今回、先ほども言いましたが、大変皆さんがびっくりしているのは、やはり、郵便局が三つに分かれちゃうよということなんですね。いわゆる三事業に分けてしまうということになります。これはなぜかということは先般からいろいろ議論されているわけでございますが、これ、まず一つ聞きますが、例えば二社株式会社を上場する、なぜ二社だけやらなきゃいけないのかということもあるわけですね。

 そしてまた一方で、上場するに当たっての手順、これは、郵便貯金会社、それから保険会社、そしてもう一つは持ち株会社、それぞれ上場されるわけですね、売却されるわけですね、株式を。この手順とかそれから金額等々は一体どういうふうにこれを考えてあるんですか。まずこれを簡単にお願いします、時間がないから。

中城政府参考人 それでは、お答え申し上げます。

 まず、民営化により設立される新会社のうち、郵便貯金銀行及び郵便保険会社につきましては、金融業においては信用が競争上決定的に重要だということで、この両社の株は完全処分することにしております。

 それから、郵便事業会社及び郵便局会社というのは、郵便のユニバーサルサービスを円滑に提供するという公的な役割を担っているということで、これらの経営の一体性を確保するために、日本郵政株式会社、これが持ち株会社でございますが、これが両社の全株式を保有することにしております。

 しかしながら、これらの株式会社が、民間企業と同一条件で自由な経営を行い、より質の高い多様なサービス提供を可能とするとの民営化の趣旨を踏まえて、国が保有する日本郵政株式会社の株式の処分を進め、同社に対する保有比率を早期に三分の一に近づけるということにしております。

 それから、株式につきましてでございますけれども、処分につきまして、郵便貯金銀行、郵便保険会社の株式につきましては、平成二十九年三月三十一日までの移行期間中に段階的にすべての株式を処分する義務を負うというふうになっておりまして、可能な限り早い時期にそれを開始することが望ましいということでございます。

 それから、日本郵政株式会社の株式が三分の一超になるように、これはできる限り早期に処分するよう努めるというふうにされております。

今村委員 正確に答えてください、私はそんなのはわかっているんですよ。そうじゃなくて、手順とか金額、要するに売却見込み、そういったものはどうなっているんですかということですよ。

 例えば、持ち株会社を先に売却するんですか、あるいはその二つの会社を先にやるんですか。それによって、持ち株会社をやれば、これは財務省に金がたんまり入るわけですね。ところが二社をやると、これは基金に積むわけでしょう。そういう感じで言っているから、それによって金額なども随分変わってくるから、私そういうことを聞いているわけですよ。

 今から先に言っておきますけれども、野党の皆さんも今から出てこられるでしょうけれども、もうちょっと質問には正確に答えて、時間がないわけでございますから、それはやってください。では、もうこれはもういいです。要するに、そういうことがきちんとスケジュールができていないということで理解させていただきます。

 それからもう一つ、この四社のいわゆる経営の見通しといいますか、これもなかなかよく出てこないところがあるわけですね。これは一体どうなっているんでしょうか。

 実は、私も正直言って昔国有鉄道にいて、JRをつくるときにその渦中にいたんです。ですからよく知っています。そういう中で、国鉄をやるときには、本当に国鉄再建監理委員会という形の中で、これは役所も国鉄も、それから、財界含めてみんなでいろいろな議論をしましたよ。そして、国鉄の労働組合の皆さん方も、反対と言いながらも、やはりこれじゃしようがないな、こういうちゃんとした計画ができるならやってみようじゃないかということで、みんなで力を合わせてやっていったわけですね。

 ところが、どうも、この四社の経営見通しを含めて一体どういう算定根拠でこういうことが成り立っているのか、全く我々の理解を得るような話にはなっていない。これでもって賛成してくれと言われたって、私たちはこれは責任持てない。我々は、この審議がやはり歴史に名が残るわけですよ。そういった意味では、こういったところはもうちょっときちっとしてもらわなきゃいけないと思いますが、これをどうされるんですか。どうぞこれは竹中大臣、お願いします。

竹中国務大臣 委員、骨格経営試算に関連する御質問でございますけれども、我々は基本的に、どのような事業を具体的にいつごろやっていくんだろうか、こういうのは大変重要な経営の判断だと思っております。それで、経営の判断を国が前もって縛るということをしないというのが、今回の一貫した私たちの方針でございます。

 ただし、経営が自由に行えるように、そのときに、イコールフッティング、民間圧迫にならないように、そもそも、私たちはその枠組みをつくるわけですが、その枠組みそのものが成り立ち得るのかどうか、その確認はしているわけでございます。その枠組みが成り立ち得るかを確認するために、まさにそれが骨格経営試算ということでありまして、その前提等々なかなかわかりにくいということに関してはぜひしっかりと御説明をさせていただきたいと思いますけれども、その中で、より具体的な資産の切り分け等々は今後承継計画等で明らかになりますし、さらに、経営委員会を立ち上げまして、より詳細な、まさに経営判断を含むシミュレーションというのはその段階でしっかりとやっていくということに相なります。

 我々は枠組みをつくる、その枠組みが成り立ち得るということを骨格経営試算で確認をさせていただいております。

今村委員 大臣、お言葉ですけれども、要するに、将来どういうふうになるか、この会社はこうなります、こういうことですと、やはりそれはきちっとある程度詰めた資料を、計画を出さないと、それで何にもなしで、行き先はよくわからないけれどもとにかく乗った、後は船頭さんにお任せしますと言ったって、つくった船がぼろだったら、沈むよりしようがないわけじゃないですか。

 例えばJRだってそうなんですよ。要するに、六つの旅客会社そして一つの貨物会社に分けた。そのときに、それぞれ経営は売り上げの一%の経常利益を出すという目標を立てて、そしてそのためにどうすればいいか、そして三島会社には基金を積んで、こうやって七・三%の運用利息でやれ、そういったきちっとした、言ってみれば、出航するについては船の条件を整えてくれたんですよ。今のお話は、とにかく船へ乗ってくれ、後は船頭さんがちゃんと連れていってくれるよというような話で、これは無責任じゃないですか。そういったところはこれをきちっとやらないと、我々はとてもこれについて賛成だということは、それは国民に対して言えませんよ。

 それから、もう一つ申しますが、この四つの会社の関係でございます。

 特に、これはちょっと具体論に入りますが、窓口会社というのが、いかにもぬえ的なと言ったら失礼ではありますけれども、どういうことになるんだろうかと。つまりこの会社は、ある意味では業務を受託する会社になるわけですね。そういう意味では、非常に委託をされるところからぎりぎりやられる。特に二社は株式上場するわけですから、もっとこれだけの委託料でやれと言われて大変苦労をする。一方、そういう意味では大変これは厳しい会社だなと思うし、反面、これは生きていくためには何でもやらなきゃいけないということで、では今度は、ほかの郵貯、簡保を含めたそれ以外のこういったいろいろな商品、特に金融商品を扱う、これをやらなきゃ食っていけないよということになってきますね。

 そうすると、これからいろいろな金融商品が出てきますが、そういったものを扱う、これは銀行関係だけではないわけです。例えば生保なんかも、特に今御案内のように、外資系の生保が大変伸びてきていますね。そういったところが、これをぜひ窓口に置いてやらせてくれといったようなことになったときに、とんでもないこれは競争が起きますね。そういったときに、例えば地方の信用金庫でありますとか第二地銀でありますとか、そういったところとまともにこれはぶつかるから、これは大変な、この窓口会社というのはもう開き直って何でもやるぞということになってくると、いわゆる民業圧迫といいますか、そういった要素も秘めているわけです。ここらをやはりうまくおさめる、据わりのいい形にしていくというのが、どういうことがあるのか。

 そういうふうになってくると、やはりある程度この三事業それぞればらばらにしないで、持ち株会社なりなんなりできちっとしたコントロールをする仕組みもやはり要るんじゃないか。コントロールというのは、いろいろ経営の面倒を見る、それから逆に、そういった抑えるといったものも含めてのことですけれども、そういう意味では、窓口会社のあり方についてどういうふうに考えられますか。

竹中国務大臣 窓口会社がどのような存在になるかについて、今、今村委員御指摘のように、いろいろな御意見があるということは我々も承知をしております。この窓口会社というのは、実はいろいろな可能性を秘めている会社であります。その可能性を最大限発揮していただくことがまさに民営化の最大の目標といいますか強みであるわけでありますけれども、それについて不安もある。

 その不安の一つは、委員おっしゃったように、受託をするということで、委託をする側から非常に強い条件を求められてしまうのではないか。それに対して私たちは、二万四千のネットワークがあるわけですから、このネットワーク力というのは大変強いものがあって、ぜひここでむしろ売らせてくれ、そこで商品を置いてほしいという意味で、私は強い交渉力を十分に持つというふうに思っております。

 一方で、その反対の議論として、いや、確かに強い交渉力を持って、大変なネットワークがあるからこそ実は大変な強みを発揮してしまって、地元の企業を圧迫するのではないかという御懸念も一部ではあるわけでございます。これを、やはり両極端にならないようにきっちりとした形で市場経済の中に統合していくのが、これが我々の今度の制度設計のポイントでございます。

 委員は、何らかのコントロールが必要なのではないかというお話がございましたので、これは委員も御承知のように、この法律の中で、そういった意味での経営の自由度とイコールフッティングのバランスをしっかりとるための民営化委員会というのを設置して、その民営化委員会の意見を聞いて主務大臣がしっかり判断していくというような仕組みをつくっておりますので、まさにその御懸念、両極端にならないようにしっかりと運営していくような仕組みが用意されていると思っております。

今村委員 もう時間が来ましたのでありますが、要するに、アメリカからの要求で、いわゆる「日本郵政公社の民営化」というくだりがございます。そういう中で、これを見ると、今度の政府案でやっておられるのは、もうきれいにこの趣旨に合っているところがありますね。要するに、「新規の郵便保険と郵便貯金商品に暗黙の政府保証があるかのような認識が国民に生じないよう、十分な方策を取る。」とか、それからいろいろございますが、やはりそういった疑念もあるし、それから、先ほど言ったように、この四つの会社は本当に大丈夫なんだろうかと、従業員の間にも国民の間にも不安があるということでございます。

 やはり、こういう大変な事業でございますから、ここには国民的な協力、そして何よりもそこで働く人たちが、せっかく今まで誇りを持って、雨風の中、雪の中、暑い中、本当に頑張ってやってきておられるわけですから、そういった皆さん方のちゃんと期待といいますか信頼にこたえるような形で、しっかりとした骨格づくりといいますか、将来の見通しも含めてそれをやはりやってください。そして、それができないと、先ほども言いましたように、なかなかこれでいけるよということは私たちも責任を持って言えないということでありますので。

 以上申し述べまして、質問を終わります。

二階委員長 次に、井上信治君。

井上(信)委員 自由民主党の井上信治でございます。

 郵政民営化、総理が改革の本丸と常におっしゃっておられる、そしてまた、我が国のあり方、国家、国民経済のあり方を変えてしまうようなこの最重要課題、この委員に任命をいただきまして、そしてまた質疑機会をいただいたこと、大変光栄に感じております。

 民間でできることは民間で、あるいはまた官から民へということ、そしてまた大きな政府から小さな政府へという小泉構造改革のこの一連の流れ、このことに関しまして私は、やはりこの今の経済社会情勢を考えますと重要なことでありますし、基本的に賛成をしております。

 しかし、他方で、その流れの中で、その集大成として郵政民営化というものが本当にそこに位置づけられることができるのかどうか。そして、この郵政民営化、もちろん理想どおり成功すれば、私はそれはそれですばらしい改革になる可能性が大きいと思います。しかし失敗するかもしれない、この懸念も物すごく大きなものがあるというふうに思います。そういった意味では、与野党を問わず、あるいはこの法案に賛成、反対の方を問わず、その心配のもとにさまざまな議論がなされているわけであります。そして、郵政民営化という大改革であるからこそ、これは、我々議員だけではなくて、当然のことながら、まず国民によく理解をしていただき、そしてまた国民が望むような改革、国民のため、国家、国益のための改革にならなければいけないというふうに思っております。

 そういった趣旨から、これはもう本当に何度も議論を重ねていることで恐縮ではありますけれども、やはり総論的なことをまず中心として、私は私なりの考え、私なりの言葉で質問をさせていただきたいというふうに思っております。

 まず、私は東京選出でございまして、東京の中でも最も西の外れであります。簡単に言うと東京の中の田舎ということで、首都東京にも本当にこんなに田舎があったのかと思うようなところであるんです。実際に法定された過疎地域であるとか山村地域にも指定をされておる、東京の外れの西多摩というところなんであります。大臣も東京にお住まいが長いと思いますので、恐らく何度か来ていただいたことがあると思うんですけれども、この国会から今から地元に帰ろうと思っても、鉄道、車、どちらをとっても二時間近くかかるというようなそんなところであります。そういったところで、私が地元に帰っていろいろな郵政民営化に対するお話をさせていただいております。

 そんな中で、国民の、有権者の対応というもの、まず昨年は、とにかく郵政民営化というのはよくわからない、何のことなのか、こんな意見が本当に多くございました。それが、本当に大臣を初めとして皆様方の御苦労により、少しずつ関心は持ってきていただいている。ただ、私の地元でありますと、本当に今便利な郵便局がなくなってしまわないのか、これがやはり一番大きく聞く答えであります。

 そしてまた、一部私の選挙区でも、都市化が進みあるいはベッドタウン化が進んでいるような地域もあります。そういったところを中心にしては、郵便料金が下がるだろう、サービスも便利になるだろう、そういうことであれば民営化はいいんじゃないか、こういった声も聞かれるところであります。そういった意味では、いずれにせよ理解が低い、あるいは誤解に基づく理解というものもあるのではないか、これを大変懸念をしているところであります。

 メディアの方のアンケート調査というのも本当に随時やられておられます。あるいは政府の方でも調査をやられておられます。昨年は、とにかく政府に望む政策課題というアンケートをやりますと、必ず一番下だった。数%というようなことが多かったと思います。それが、ここ最近になりまして少しずつ向上して、十数%、下から何番目かに位置する、そんな結果になってきていると思います。しかし依然として関心は低いのかなと。そしてまた、さらに、この郵政民営化、その是非について問いますと、これはいろいろな結果がありますので一概には言えませんけれども、多いものでも半分とか、少ないものになりますと三分の一ぐらいしか賛成と答えている結果は出てきていない、そんなような状況であります。私は、やはりこれを大変懸念しております。

 過去、さまざまな民営化の改革がなされました。JR、JT、NTT、そして最近は道路公団、そんな民営化もございましたけれども、やはりそれぞれの民営化と比べますと、本当に、国民のニーズといった点で若干今回の郵政民営化とは違うのかなと。例えばJRやJHの場合は、もう本当に莫大な債務があって、とにかくこの債務を何とかしなければ立ち行かなくなってしまう、だから変えなければいけない、これは国民的合意であった。あるいは、公団側もそれを合意し政府も合意して、そして一団となって取り組んできた、だからこそうまくいってきたというふうに理解をしております。

 そういう中で、もちろん今の郵政公社が、現状でもいいんじゃないか、旧郵政省、郵政事業庁の時代に比べると大分サービスもよくなった、生田総裁以下、本当に職員の方々の努力でよくなった、そんなような意見もございます。そうした中で本当に今この郵政民営化をやるべきかどうかということであります。

 私は、党内でも三十三回の合同部会で大変な議論をなされてきた、ただこれが、党内だけではなくて、やはりこの国会の場に出てきて、そして国民が見聞きするもとでしっかり議論をするということ自体、このこと自体は物すごくよいことだというふうに思っております。しかし他方で、私はいつも思っているんですけれども、議会制民主主義である以上、我々政治家というものは、国民の多くのニーズをとらえて、そして、多数の国民が賛成するようなそんな政策を実現していく、こういった役割が一つあると思っております。しかし他方で、時には長期的あるいは大局的な観点から、多くの国民が反対したとしても、それが国家、国益のためになるということであれば、そういった改革を断行していく、こういった姿勢も他方で必要だというふうに思っております。ただ、難しいのは、これはもうその時々ですから、政策、政策においてどちらの観点を重視していくのか、あるいはそのミックスでいくのか、そういったことをその都度判断をされるということであると思っております。

 ちょっと長くなって恐縮なんですけれども、そしてもう一つ思いますのは、郵政民営化、これから数十年先の将来を見据えての改革だというふうに思っております。そういったときに、恐らく、この何十年先の日本の未来あるいは世界の未来というものをだれにも正確に予測することは不可能だと思います。そうした制約の中で、しかし大改革をやるのであれば、九割方は大丈夫だ、これをやれば成功するんだ、そしてその中で、他方で多少の不安はある、そうであれば、その不安というものをいかに解消していくのか、こういう制度だから大丈夫なんだ、こういった説明をしっかりとしていって、そして、そのための施策を組み合わせていただく、こういった努力が必要だというふうに思っております。

 そういった中で、とにかく国民の今は理解、ニーズが低い中でなぜ本当に郵政民営化なのかということ、恐らく、これからその理解を深める御努力をしていただくことになると思うんです。あるいは、今までやってきた、しかしそれでも理解が低いということに対しては、竹中大臣、どのようにお考えか、お聞かせいただきたいと思います。

竹中国務大臣 井上委員には、改革の方向性としては御支持をいただきながら、さらに非常に詳細な、貴重な御議論をいつもいただいているというふうに承知をしております。私自身、実は学生時代は三多摩で過ごしまして、あのあたりの状況はそれなりに承知をしているつもりでございます。

 なぜ民営化かという考え方でありますが、やはり民間でできることは民間で、これは言い古された言葉かもしれませんが、私たちの市場経済社会のやはり根本的な原則であって、ここはやはり大切にしなければいけない問題だと思います。郵便、郵貯、簡保等、やはり民間の企業が自由な経営のもとで同じようなサービスを提供しているではないか、公務員でなければできない事業ではないではないか、それを民間でやはりやるのが私たちの本来の社会のあり方であり、同時に、それが結果的に重要な私たちの社会にメリットをもたらすであろうというふうに考えるわけでございます。

 まず、何といっても、マクロ経済的には、お金の流れをやはり官から民に変える、小さな政府をつくるということを通して、経済そのものをマクロ経済のメカニズムとして活性化していく、詳細はいろいろ御議論いただくとして、そういうメカニズムがある。それで、ミクロ的な経営主体、つまり郵政というミクロの経営から見ても、郵便の取扱量が低下して金融革新が進む中で、やはり民間の活力、大胆な経営の発想を活用していくことによって、将来の先細りを乗り越えていく力がある。ミクロ的にもよいことだ。そしてさらには、郵政の改革によって、やはり利用者といいますから、国民、利用者が大変多様な、良質なサービスを受けられるような形で満足度を高めていくことができる。

 マクロにもミクロにも、また、消費者の利便からもそのメリットは大変大きい、そこがやはり、改革を進めなければいけない、民営化を行うということの最大のポイントであろうかと思います。

 同時に、多摩地区のお話、出していただきましたですけれども、やはり郵政事業が果たしてきました公共的な役割については、これは、やはりしっかりと制度的に担保をしなければいけない。そうした制度的な担保を行いながら、市場の中で自由で公正な競争をしていただいて、日本の活力を最大限引き出すことが可能である。まさにその意味では、構造改革の中の本丸であるというふうに考えているわけでございます。

井上(信)委員 大臣には、郵政民営化の趣旨、目的、ねらいといったものをお聞かせいただきまして、この郵政民営化のメリットということでは、本当にいつもいろいろな御説明をいただいております。

 ただ、私が思いますのは、これはもう大改革でありますから、どんな改革であれ、一〇〇%メリットだけあるということはあり得ないと思うんですね。メリットのある改革の中には、やはり少しはデメリットもある、しかしそのデメリットを乗り越えていかなければいけない、そうなると、では郵政民営化の具体的なデメリットは何なのか、そして、そのデメリットをどのような措置で克服することができるとお考えなのか、お聞かせいただきたいと思います。

竹中国務大臣 御指摘のように、メリットを最大限に生かすと同時に、考えられるデメリットをとにかくなくしていく、そういう制度設計をするということが何よりも重要なことであります。そうした観点から、与党との協議におきましても、そのデメリットをいかになくしていくかということに非常に大きな労力が割かれ、また、真摯な議論がなされたというふうに私自身も思っておりますし、感謝をしております。

 デメリットとして、これは幾つかいろいろな視点の御懸念があろうかと思いますが、やはり市場での競争ということになると、例えばでありますけれども、採算だけが重視され過ぎて、それによってサービスの劣化、悪化、切り捨て等が生じるのではないか、そういうやはり御懸念というのが非常に与党との御協議の中でも大きかったというふうに思います。

 それに関しましては、委員御指摘のように、例えば郵便局の設置については、しっかりとしたルールをつくる、あまねく全国で利用されることを旨として設置することを義務づけた上で、省令において設置基準をしっかりと定める。その中には、過疎地については、法施行の際現に存するネットワークを維持するということを明記して、都市を含むそれ以外の地域についてもしっかりとした基準を、今の公社の基準と遜色ない基準を設けるんだ。

 さらには、金融のサービスがきっちりと行われなくなるのではないか、局があっても、そこで金融のサービスが継続されないのではないか、そういう御懸念、そういうデメリットが生じるのではないかという御意見があったわけでございますけれども、それについても、みなし免許に当たって、移行期間を十分にカバーする長期の委託契約を義務づける、さらに、それが移行期間を上回ることを妨げない、さらには、それでもネットワーク価値が低下してうまくいかない地域が生じた場合には、基金も活用してできるような仕組みをつくる、二重、三重にそのデメリットを防ぐということを心がけたつもりでございます。

 恐らく、デメリットとしてもう一つ考えておかなければいけないのは、今既に公社は公的な、公共的なサービスを行っているわけでございますから、それが民営化の中でしっかりと維持されるのか、その制度をやはり担保しなければいけないということであろうかと思います。そうしないと、まさにデメリットが顕在化するということだと思います。

 具体的には、内容証明でありますとか特別送達でありますとか、そういった問題については、郵便認証司の資格ないしはみなし公務員の制度等々も踏まえまして、そういったサービスが信頼性に基づいて安定的にできるような制度、これも、いろいろ与党の皆様方に御意見を出していただきながらつくったつもりでございます。

 デメリットをとにかく防ぐ、その点についての議論をしっかりとさせていただいたつもりでございます。

井上(信)委員 民間ができることは民間へと、官から民へということで、そうした中で、官がやることと民がやることでそれぞれメリット、デメリットがあるというふうに私は思っております。

 私も、実は二年前まで国家公務員でありました者です。そうなりますと、私もその先輩、同僚を眺めておりましても、とにかく公共のためにしっかり働くということで、大変士気の高いあるいは能力の高いそういった方々はたくさんいらっしゃいます。もちろん、中にはそうでない方もいらっしゃいますけれども、やはり私が思いますのは、それはもう何といっても制度の組み方だというふうに思っております。そうした枠組みを大きくつくった上で、その職員の方々がいかにやる気と能力を発揮していただくか、それは政治の仕事だというふうに私は思っております。そういった意味では、例えば、官がやるということで安定性であるとかあるいは公平性、こういったことは官のメリットであるのかなというふうに思っております。

 私が最近思いますのは、民間でできることは民間でというふうにおっしゃいますけれども、今や民間でできないことというのはもうほとんどないというふうに考えられるのではないかと思います。

 先ほどもお話がありましたけれども、例えば、これは今の小さな政府の議論と若干その趣旨は異なりますけれども、十九世紀のころ、夜警国家といったような概念がありました。この夜警国家、例えば国家の任務を、国防とか治安維持などそういった最小限のものにしていこうということでありましたけれども、先ほど御質疑もありました治安維持なんかも、今、警察ではなくて、例えば警備会社がやっている、あるいは、国防という本当に国家の根幹にかかわるような問題に関しましても、民間軍事会社というものが出てきて、そういったものが委託を受けてやっている、そんな世界の状況もあるわけであります。

 ですから、そうなりますと、民間でできることというよりも、私は、民間でやるべきことは民間で、官がやるべきことは官がやる、そのべき論をすべきだというふうに思っております。

 そういった意味では、例えば一つの分野に関しましても、それぞれ民間がやるべきこと、官がやるべきことというのがあって、そして相互補完をしていく、あるいは役割分担をしていく、こういった形が、これからの新しい社会経済状況に合致した、そんなあり方であるのかなというふうに思っております。

 そういった意味では、郵政公社のままでいいではないかという議論もたくさんありますけれども、郵政公社というものが、一つのそういった考えを受け入れたそんな形態であると。ですから、そこのところについて、大臣の方で、本当に何が官がやるべきこと、民がやるべきこと、そしてこの郵政民営化がなぜ正当性があるのか、そこについてもう一度御見解を伺いたいと思います。

竹中国務大臣 郵政の問題を踏まえながらも、そもそも政府が何をやるべきかという、ある意味で国の骨格に関する大変深い御質問であろうかと思います。

 民間でできることは民間でやる、それに対して、民間でやるべきことを民間でやる。その場合、では、民間でやるべきことというのは一体どういうことなのかなということになると思うんですが、これは、さらに詳細な議論を相当の時間をかけて、さらには、ある種のいろいろな試行を繰り返しながらその社会の一つの価値をつくり上げていくような作業だと思うんでございますが、民間でできることというのはやはり基本的には民間でやっていただくのがよいのではないのかと、私はそのように考えております。民間がやるべきことというのは、したがってやはり、民間ができることは民間にやっていただくということが一番よいのではないのかと。

 同時に、重要なのは、民間と国というのは、ゼロか一かというようなオンかオフかというような関係ではないと私は常に思っております。つまり、公的な役割を民間が担うということはあり得るわけでございます。現実には、今回の郵政民営化もそうでありますけれども、社会的な機能を担いながら、その枠組みの中で民間の活力を発揮していただく、これは、現にそういう特殊会社は日本にたくさんございますし、NTTもそうでありますし、民営化された世界の郵便会社も、ドイツやオランダ等々もそうであるというふうに思っております。

 公社についてでありましたが、特に日本の場合は、やはり金融という、特に信用が重要である、国家という絶対的な信用を背景にする存在が市場にあることがいろいろな問題を生じるという、その金融が公社の活動の中で大変大きなウエートを占めているというところが、私はやはり日本の郵政改革の非常に大きな特徴であろうというふうに思っております。

 その意味でも、そうしたところにつきましては、特殊会社ではなくて商法の一般会社という形に、市場経済の中に吸収、統合していく、そのような一種の基本的な考え方に基づきまして国の役割をどのように限定するか、できるだけ市場の、マーケットの役割を高めていこうという観点から今回の制度設計をさせていただいております。

井上(信)委員 そうした中で、民営化した場合に本当にうまくいくのかどうか、これが一番大きな心配だというふうに思っております。あるいはまた、うまくいき過ぎて民業圧迫になってしまうのではないか。先ほども質疑がございましたけれども、ここが、私もいろいろ質疑を伺っていてもよくわからないところであります。大臣御自身も、現状において将来のことはわからぬという話なのかもしれませんが、それは余りに無責任なことであって、ですから、そこをちょっとどのようにお考えになっているのか。

 私の理解では、例えば骨格経営試算においても、民営化したとしても、現状のままであればじり貧になっていく、だんだんと利益が減っていく、そういった試算結果のように思われます。あるいはまた、その採算性に関する試算ということで新規業務についてのこれは試算も出していただきましたけれども、これも、十割達成、五割達成とありますけれども、もし達成しなかったらどうなるんだ、こういった懸念があるわけであります。こういった新規業務に全くの素人が進出していって本当にその採算性がとれるのか、これは当たり前の心配だというふうに思っております。

 他方で、これはもう本当にうまくいき過ぎて、そして民業圧迫になってしまう、こうなったらどうしてしまうのか、こんな懸念もされております。この委員会でも紹介がありました民主党の政策パンフレット、この中に、実質国有の超巨大コンツェルン、国が大株主の国有株式会社ができてしまう、こんな主張もなされているところであります。確かに、こんなことになってしまえば、これはこれで困るというふうに私は思っております。

 私が思いますに、特に、一般の株式会社になる郵貯と簡保に関しましては、これはもう一般原則で、経済原則で採算性をとって収益を高めていく、これを新しい経営者がやっていくということで、これは、努力すればするほど当然うまくいって民業圧迫になっていく、では、それをそうならないためにどうするのか。いわば、新しい経営者の足を引っ張らなければいけないのか。それはそれで制度の枠組みとしておかしいというふうに思っております。

 ですから、私が思いますのは、大臣がおっしゃるように、本当にうまくいく場合、うまくいかない場合、いき過ぎても困る、いかな過ぎても困る、では、その中間をうまく進ませていく、実現させていく。ただ、そんなことが本当にできることであれば、これはもう不可能に近いことだというふうに私は思っております。

 本当にそんなことができるのか、できればそれはいいと思いますけれども、そこの点について見解を伺いたいと思います。

竹中国務大臣 うまくいくかうまくいかないか、私は、もちろんうまくいくと思ってこの法律を提出させていただいているわけでございます。しかし、具体的にどのようなビジネスモデルでどのようなビジネスを新たに行ってやっていくか、そういう経営の判断には、政府はやはりそこは関与しない方がいいという基本的な考え方を持っているわけです。私たちは可能性を示して、その枠組み、枠組みというのは、分社化してやっていけるのか、分社化した枠組みで、ある仮定を置けばやっていける、例えば人件費をこのぐらいに抑えればやっていける、そういう可能性をしっかりと確認をして、これはだからうまくいく、あとは、経営の皆さんに経営の専門家として具体的なそのビジネスモデルの構築をしていただきたいということでお願いをしているわけでございます。

 その場合に、民業を圧迫するかどうかというのは、これは特に移行期間中は大変重要でございます。民営化したといっても、当初は一〇〇%国が株式を持つわけでありますから、利用者から見ると、実体的にこれは国だというふうに認識をさせる、それが銀行や保険等々の信用商売にはそれなりの影響をやはり与える可能性がございますから、また、公社の資産を引き継いで出発するというような有利性もある。そういったことを考えて、それが民業を圧迫しないように、これは、民営化委員会という仕組みをそのためにつくって、そこで経営の自由度と民間とのイコールフッティングをしっかりとバランスをとってやっていく、その意見を聞きながら主務大臣がしっかりとそれを監督していくというような仕組みをそのためにつくっているわけでございます。民間の自由度と、それと民業の圧迫を避ける、イコールフッティング、その仕組みをうまく機能させることによって、委員御指摘のような、御懸念のようなことをしっかりとカバーしていけることが私は可能であろうというふうに思っております。

 しかし、その上でやはりこれは健全な競争はしていただかなければいけませんから、競争の結果やはり利益がどれだけ上がるか下がるかというのは、そこはそれぞれ経営の勝負でありますから、そこは経営者としてしっかりと御対応いただかなければいけないというふうに思っております。

 いずれにしましても、基本的な枠組みは、私たちは、それはうまく機能するということを骨格経営試算で確認をさせていただいております。

井上(信)委員 ちょっと一点だけ確認させていただきたいんですけれども、移行期間中はわかります、理解できるんですが、完全民営化後に、仮に、本当に経営がうまくいき過ぎて、そして市場を席巻することになる、民業圧迫になってほかの民間金融機関がつぶれる、そういったこともそうすると想定できるという理解でよろしいんでしょうか。

竹中国務大臣 完全に民営化されたら民間でありますから、これは民業圧迫という概念そのものが成り立たないわけですね。国だから民業圧迫だと。そうすると、民間と民間との競争でありますから、民間と民間との競争に関しては、公正取引委員会等、市場競争のしっかりと効率性を保つための枠組みがあるわけでございます。そういう観点から、これは市場の中でしかるべく措置がとられていくというふうに考えております。

井上(信)委員 ちょっと時間もないので次の質問に移らせていただきますけれども、設置基準についての考え方であります。

 これは先ほども申し上げましたように、とにかくうちの近所の郵便局は本当に維持できるのか、これが一番の関心事であります。そうしたときに、大臣の御答弁を伺っていてちょっと私も理解できないんですけれども、過疎地については、今の現存のネットワークを維持するということでこれは大変ありがたくあるんですけれども、その過疎地以外のところをどういうふうにしていくのか、これについて非常に懸念をしているところであります。

 それで、先ほどもお話ししましたけれども、私の地元は、法定の過疎地域とそしてそれ以外の地域、ただ、それ以外の地域もいわば本当に田舎であります。そうした中で、例えば、私の選挙区全体でも四十数万人の人口があるわけであります。そして、東京都の三割の面積を占めているわけでありますけれども、その広い中に、実は四十万いるのにデパートがありません、それから映画館もありません、それからシティーホテルもありません、大学が一つだけ、それから私立高校は一つだけしかない。余り自慢してもしようがないんですけれども、こんな状況であります。これはしかも、数年前、景気のよかったころはあったのにそれがつぶれたというものが多くあって、現状、そういった惨たんたるありさまであります。ですから、こういったことを大変心配している。

 大臣の御答弁によりますと、私の理解に間違いがなければ、その過疎地域以外は都市部という整理になっていると思います。あるいは、都市部の定義をすること自体意義がないというような御答弁もあったようでありますけれども、では、その過疎地域以外の部分、例えばその過疎地域一歩手前の田舎とか、あるいは、人口稠密部のようなところではなくて、ある程度の人口と住宅を抱えているような地域、そういったところの郵便局がどのようになってしまうのか、ここは大変な懸念をしております。

 私が普通に考えますと、経営判断で、そして採算性をもとにこの設置を都市部について考えていくということになりますと、いつも御説明いただいている人口稠密地域、東京の中央区とか港区とかそういったところは、むしろこれは経営努力によっては採算性がとれると思っております。いわば、たとえ過当競争と言われようとも、これは民間金融機関との競争になると思いますから、競争力があれば今のネットワークを維持することもできるかもしれない。

 しかし、そうではなくて、いわばもっと発展がおくれている地域になりますと、そうなりますとそもそも地域のポテンシャルがない。人口も少ない、産業もない、経済力もない、そういうところであれば、いかにその経営努力をして採算性を高めようと思っても、そもそもニーズがないのでこれはやっていくことができない。そうなると、自然に考えると、都市部においてむしろ減っていってしまうのは、本当の都心部ではなくてその周辺部になってしまうのではないか、そんなことを大変懸念をしているところでございます。

 ちょっと一つだけ紹介させていただきますと、うちの地元の福生という、横田基地のある町があります。この福生郵便局というものが隣のあきる野市のあきる野郵便局に統廃合された。それで、今、あきる野郵便局福生分室という名前になっております。これに対して、九十何年続いてきたという郵便局ですから、この統廃合の話があったときに大変その地元の反対があった。これは郵便局がつぶれるわけではないけれども、分室になること自体反対だ、そして、福生郵便局という名前を残してくれ、そういったようなニーズが非常にありました。それで、実際のところ福生郵便局という看板をかけつつ、法令上は分室になっている、今そういった位置づけになっております。

 そういった意味では、大変やはり郵便局というものは地域に愛され根づいているということ、ですから、本当に郵便局がなくなってしまうということの重大性、これをぜひお考えをいただきたいというふうに思っております。

 そういったことで、とにかく都市部に対しての設置基準についての考え方、改めて大臣から御答弁いただきたいと思います。

竹中国務大臣 委員が御指摘してくださいましたように、過疎地については、法施行の際現に存するネットワーク水準を維持すると。それで、過疎地以外のこれは都市部を含む地域については、「都市部についても国民の利便性に支障の生じることのないよう配慮する。」ということを、これは与党との合意事項でございますので、これを踏まえまして設置基準をつくる。これは、現在の設置基準において、三点、今の公社の設置基準で示されているわけでございます。地域住民の需要に適切に対応することができるよう設置されていること、いずれの市町村についても一以上の郵便局が設置されていること、そして、交通、地理その他の事情を勘案して地域住民が容易に利用できる位置に設置されていること、これが今の公社の基準として示されているわけでございますけれども、これらを十分参考にしながら、これらと同様の効果がもたらされるような省令を決めるというつもりでございます。

 与党との合意において「都市部についても」云々というふうにされたのは、例えばこれは、まさに今福生の例等々御指摘ありましたが、都市においても人口の空洞化、高齢化が進んでいる地域があることを念頭に置いているものでありますので、そこでそういう規定を置かせていただいたわけでありますが、しかし、これは定性的、個別的にとらえるものではありませんので、都市部は何かという議論にこれはなじむものではないというふうに思っております。

 それで、委員再三お尋ねの今の点、その他の地域については、繰り返しになりますが、これは地域住民の需要に適切に対応することができるように配置する、これは基準でございます。それで、交通、地理その他の事情を勘案して地域住民が容易に利用することができる位置に設置されること、そして、そういうもとで、あまねく全国で利用されることを旨として設置することを義務づけているわけでございますので、このような基準によりまして、国民の利便性を確保する観点から郵便局の適切な配置が確保されるようになるというふうに思っております。

井上(信)委員 もう時間がありませんので、残念ながら、ちょっとその大臣の御答弁を伺ってもいま一歩イメージがわかない、実際、都市部の郵便局はどうなってしまうのかなというところがわかないというのがちょっと残念であります。

 そして、私が最後に思いますのは、なぜ今回のこの郵政民営化に対する国民の理解が深まらないか、関心が深まらないのか。いろいろな問題はあると思うんですけれども、ある程度細部の話になってしまうと、それはもう経営者の経営判断であるとか、あるいは省令で設置基準を定めるとか、現在この時点において、明確にこうなるんだ、だから理解してくれ、こういう説明がやはり不足しているのではないかなというふうに思っております。

 ですから、そういう意味では、やはりそのためにもう一歩踏み込んで、現時点で、こういった将来像になるんだよ、だから安心だよ、だから賛成してくれ、そういう対応が必要なのではないのかなと私は思っております。どうかその点を御配慮いただきまして、今後の審議をお願いしたいと思います。

 どうもありがとうございました。

二階委員長 次に、桝屋敬悟君。

桝屋委員 公明党の桝屋敬悟でございます。

 連日議論をさせていただいております。この委員会、私どもにとりましては、大分議論いたしまして、相当出るべき問題は出ているかなと……(発言する者あり)まだまだだという声もありますが、大きな論点は私は大分出たと思います。先日の自民党の小泉先生の議論やきょうの今村先生、井上さん、同僚委員の議論を聞いておりまして、いやいやなかなか難しいなと、竹中大臣の答弁を聞いておりまして、私自身も、すとんと落ちるところと全く落ちないところとまだ両方あるわけであります。審議を進めながら明らかにしていきたいなと、こう思っておるところであります。大臣、随分いろいろ言われておりまして大変御苦労さまですが、国民の前で一つ一つを丁寧に議論する、こういう精神でお願いをしたいと思います。

 先日、私、この席に立ちまして、全く手がつかなかった問題が一つあります。それが雇用問題であります。これは本会議でも伺いましたけれども、我々は五原則が大事だというふうに言ってまいりました。五原則の中身が本当に担保されているのかどうかということをこの委員会で一つ一つ確認をしていく必要があるだろうと、こう思っております。

 最初に、一つは、新会社への移行に当たりまして、公社の職員への雇用あるいは待遇に関する配慮、これは配慮するんだとこうずっと言われておりますけれども、法文上、具体的にどういう対応がされているのか、最初に竹中大臣に確認をしたいと思います。

竹中国務大臣 桝屋委員のおなかにすとんと落ちるように、腑に落ちるようにしっかりと御答弁をさせていただきたいと思います。

 雇用の問題は、五原則でも示させていただきましたように、我々も大変重要な問題だというふうに思いまして、その中で位置づけをしております。

 公社職員の雇用につきましては、法律によって、新会社においてこれは確実に確保するというふうにしております。具体的に条文で申し上げますと、郵政民営化法案の第百六十五条におきまして、公社解散の際に公社に所属をする職員は、承継計画において定めるところに従い、いずれかの新会社の職員となるものとする旨を定めています。

 また同時に、雇用だけではなくて待遇も重要であると思いますけれども、民営化に伴う職員の待遇については、職員に不利益を生じさせない等の観点から配慮するということをしておりまして、具体的に幾つかのことを条文上定めております。

 条文で申し上げますと、民営化法案の第百六十九条におきまして、新会社の職員の労働条件に関する事前の団体交渉及び労働協約の締結を可能とすること、さらに、民営化法案の百七十一条におきまして、新会社の職員の労働条件を定めるに当たりまして、公社での勤務条件への配慮を義務づけるということ、さらに、民営化法案の百六十七条において、新会社における退職手当の支給に当たり、公務員時代の在職期間を通算すること、もう一つ申し上げますが、これは整備法案の第六十五条におきまして、民営化後も当分の間、国家公務員共済組合制度を適用すること等としていることでございます。

 こうした措置によりまして、やはりこれは、職員が安心して意欲を持って働いていただくことが重要でありますので、そのような措置がしっかりとなされているというふうに考えております。

桝屋委員 ありがとうございます。

 条文としては、今大臣が御説明されたようなそうした規定が盛り込まれているわけでありますが、最初の質問で私お尋ねしました。四つに切り分けるときに、四つの会社に切り分けを資産はどうなるんですかということを伺いましたが、今回気になるのは、人員をどう切り分けるのか。これは恐らく、回答としては承継計画の中でということに多分なるんだろうと思いますが、私は、骨格経営試算も何度も見させていただきましたけれども、郵便局会社あるいは郵便会社が大部分大宗を占めるんだろうと。もちろん、郵貯、保険の会社もそれなりに必要な人員は確保しなきゃなりません。さらにはまた、持ち株会社それから貯金・保険管理機構にも当然人はある程度行くんだろうと。こうした、今は現に二十六万二千人の、あるいはゆうメイトまで入れるともっと多くの数の職員の皆さんが、自分はどうなるんだろうかとこう思うわけでありまして、この法案を今審議している中で、この職員の切り分けについてはどういう基本的な方向でいくのか、まずは基本的なお話だけいただきたいと思います。

中城政府参考人 お答え申し上げます。

 新設される各会社への具体的な職員の帰属につきましては、主務大臣、この場合は内閣総理大臣とそれから総務大臣が作成する基本計画に従いまして、新会社の経営陣となる経営委員会が、ビジネスモデルに基づく各社の具体的な業務内容を勘案しつつ承継計画において定めることになるということでございます。

 その際、公社職員の帰属先については、公社における就業場所や従事業務などの勤務条件に配慮して定められることになります。

 骨格経営試算にございますように、その場合、郵便には約十二万、窓口は約十三・五万、貯金会社には八千人、保険会社は四千人というのが骨格経営試算の試算でございます。

桝屋委員 今、骨格経営試算の大宗の数字をお示しいただきました。この委員会でも、そうはいいながら、ビジネスモデルすら明らかでないではないかという非常に厳しい声もあるわけでありますが、私はやはり、こうした大きな事業展開に当たっては、基本計画を立て、さらには実施計画を立て、相当やはり時間をかけてやらなきゃいかぬ作業だろうなと、こう思っております。

 その中で、きょうは基本的な確認でありますから、今、大臣御説明がありました郵政民営化法第百七十一条、新会社の職員の賃金あるいは労働時間等の労働条件を定める際には、公社時代の給与あるいは勤務時間等への配慮を義務づけるとされておりますけれども、この配慮される勤務条件、具体的にその勤務条件とは何なのか、お示しをいただきたいと思います。

竹中国務大臣 先ほど御説明しましたように、この民営化法の百七十一条で、労働条件の決定に当たっては公社の勤務条件に配慮するというふうにしているわけでございますけれども、これは当然、職員が不利益にならないように措置するためであると。

 新会社の職員の賃金や労働時間の決定に当たって配慮される条件とは具体的に何かというさらなる御質問だと思いますが、具体的には、これは、公社時代の給与、そして勤務時間、就業の場所、そして従事業務、さらには休息、休日、休暇に関する事項等になると考えております。これは、労働基準法の十五条に示されているような条件を念頭に置いているということでございます。

 これらの措置によりまして、職員が安心して、かつ意欲的に働くことができるような環境を民営化の中でつくっていきたいと思っております。

桝屋委員 今のお答えの中で、実際に今の郵政公社の皆さんは、きのうも私、休日でしたから、郵政公社の職員、大学の同級生であったり後輩が何人かいるものですから、本音を聞かせていただきました。

 ぶっちゃけて言うと、いやいや、何にも情報がおりてきていないんだと。実際に中核で働いている人たちなんですけれども、いや、これは新聞で見る限りで、どうも幹部の皆さんは腹をくくっているようだけれども、自分たちにはまだ何にも情報はおりてこないというようなことで、相当悩ましい。一人は貯金と保険で現場の課長をやっている人でありますが、相当悩みの声を聞かせていただきました。本当に、モチベーションという職員の意識というものが今どんなふうにあるのかなと私も懸念をした次第であります。

 端的に言うと、やはり今大臣の説明の中で、では、その勤務場所ですね。よくあるのは、どうせこれから改革されるんだから、やる気のない人は切られるんじゃないかという不安もあるわけで、一番大きいのは勤務場所。それで、勤務場所あたりは、あなたは切り分けでこのセクションですよ、それで勤務地も変わりますよといった場合に、私は嫌です、今のままこの仕事をしたいんだ、この業務をしたいというような異議申し立てといいますか、抵抗することが果たしてできるのかどうか。初めて聞きますが、事務方で結構ですが、そういう規定ぶりがあるのかどうか、もしここでお答えできれば、お答えいただきたいと思います。

中城政府参考人 新会社の職員の賃金、労働時間等の労働条件につきましては、日本郵政株式会社と公社の労働組合との間で事前に交渉を行いまして労働協約の締結を可能とするということでございまして、そのときに、労働条件の決定に当たっては公社の勤務条件に配慮するということにしておりまして、そういう意味で、職員が不利益にならないように措置しているということでございます。

 その交渉に当たりまして、労働協約を締結するに当たりまして、そうした今言われましたような勤務条件、その場合の給与それから勤務時間、就業場所、そういったもの、それから従事業務、休憩、休日、休暇に関する事項、こういったものもその中で交渉されるということでございまして、こうした措置で、職員は安心して意欲的に働くことのできる民営化が円滑にできるというふうに考えております。

桝屋委員 私がお尋ねしたかったのは、異議申し立てができるかどうかと、恐らくこれは、私もずっと探しましたけれども、多分ないんだろうと思います。それだけに、今御答弁がありました、新会社発足前に締結される労働組合との事前交渉ということが、実に大事な、これは本当に力の要る作業だろうというふうに思っておりまして、ぜひそうした配慮というものが私は求められるというふうに思っております。

 あわせてもう一つ言いますと、先日の議論を聞いておりまして、私はきょう、これはまさに雇用問題、雇用条件ということで今議論しているんでありますが、年金の話、今大臣がお答えになりました、当分の間国家公務員共済が続くんだ、こういう答弁でありますが、これは、共済組合の皆さんからすると、今の公社の職員からしますと、当分の間というのはいつなんだというその疑問はあるでありましょうが、しかし、とりあえず安心をされているだろうというふうに思うんですね。

 ただし、この前この委員会で議論がありましたように、今回の民営化で国家公務員の身分がなくなるんでしょう、にもかかわらず、なぜ共済が続くんですか、そこはおかしいんじゃないですかというので、随分、聞かれていた国民の皆さんも、それはそうだなと。あのときには、事例としてJRやそれからJT、旧三公社の移行の事例のお話がありました。

 では、本当に民間になるのになぜ共済が続くのか、もう一回、ちゃんとわかるように御説明をいただきたいと思います。

中城政府参考人 お答え申し上げます。

 民営化に伴う新会社の職員の年金制度の取り扱いについては、国家公務員共済から厚生年金への移行というのが原則と考えられることから、これを基本としましても、郵政民営化の基本方針において「待遇のあり方について制度設計の中で工夫する。」とされておりまして、職員の待遇についても不利益が生じないように配慮することが必要であるとともに、厚生年金へ移行する場合には、公的年金制度の安定性や公平性が確保されるよう、具体的な移行の方法等について関係者の意見を踏まえた慎重な検討が不可欠であることから、当分の間についても国家公務員共済を適用しようというものでございます。

 もう桝屋議員から御指摘のように、過去の事例に照らしてみましても、旧三公社の民営化時における年金制度の取り扱いなど、さまざまな取り扱いの事例があるというところでございます。(発言する者あり)

 なお、厚生年金への移行の時期につきましては、関係者間における具体的な準備状況や、今後の公的年金制度の体系のあり方、これの中には年金一元化などもございますが、そうしたものの議論の進捗状況も念頭に置きつつ、適切な検討が進められるものというふうに認識しております。

桝屋委員 大分やじが飛んでおりますけれども、私も、JRが民営化するとき、実は、鉄道OB会の皆さんと、共済年金を厚生年金へ統合する、本当に悩ましい、随分苦労しました。当時、まだ野党の時代もありましたけれども、これについては本当に悩ませていただいた一人であります。そういう……(発言する者あり)今そんな声もありましたけれども、あのときに、持参金をどうするかという随分苦しい議論をしたわけであります。

 したがって、この前、テレビの前で議論されるのを聞いておりまして、多くの国民の皆さんは、当分の間共済が続くというのは、これは恐らく、共済年金全体で百十万ぐらいだろうと思いますけれども、その中で二十七万ですか、郵政の職員でありますから、約四分の一ですよね。四分の一の共済の保険の移動になるわけでありますから、大変な資金、財政上の問題があってここは共済から外せないから、大問題が起きるから、JRみたいなあんな持参金の問題が出るから、だからやらないんじゃないか、本来であれば厚生年金にすぐ行かなきゃいけないんだけれども、当分の間ということで政府は、国は問題から逃げているんじゃないか、こういう批判が誤解を与えたのではないかというふうに私は思っておりまして、そこはぜひとも、誤解をしないようにきちっと説明をしていただきたいというふうに思うんです。

 もう一回聞きますよ。当分の間残すということは、JRやほかの公社の例があるにせよ、共済側に理由があって厚生年金に持っていけないんじゃないか、こういう誤解に対してはどうお答えになるのか、お答えいただきたいと思います。

中城政府参考人 お答えいたします。

 桝屋議員の言われますように、国公共済における郵政公社の占める割合は、組合員、現役とそれから受給者、OBともにおおむね四分の一ということでありますから、現役及びOBがともに厚生年金へ移行するのであれば、国家公務員共済制度の財政運営に支障を来す程度はないものというふうに承知しております。

 ただ、厚生年金への移行に当たりましては、具体的な移行の方法につきましては、やはり関係者の意見を踏まえた慎重な検討が不可欠であるということから、当分の間ということでございます。

桝屋委員 したがって、今、中城さんがおっしゃったように、私はJRがすぐイメージされたわけでありますけれども、JRのときと今回の郵政、これは明らかに年金の成熟度というのは違うわけでありまして、私も当初、これは、共済が大変なことになってはならないので当分の間ということかなと思っておりましたけれども、いや、そうではないんだと。本当の当分の間の目的は、年金というものは、やはり労働条件、きょうは労働条件の分野で私は話をしているわけでありまして、ここは労使協議の上でがっちりとやはり議論をして、その上で移行しなきゃならぬ。そのために、JRも十年、あるいはJTにしてもNTTにしても十二年ぐらい議論がかかったわけでありまして、まさにそれは、今の共済の問題を先送りするため、あるいは顕在化しないために当分の間先送りするということでは決してないというふうに私は理解しておりまして、まさに労使協議でしっかり協議をしなきゃならぬ分野だろうと、こう思うんです。

 それで、さっきの中城さんの説明であれば、そうであればあるほど、それはどんと、民営化になったんだからすぐ厚生年金に行けばいいじゃないか、こういう議論があるわけで、いや、そうではない、今申し上げたように、まさに労使で協議をすべき重要な私は観点だろうと、したがって当分の間というふうに我々は理解をしているわけであります。

 もう一点、この前、仙谷さんや松野さんの議論の中で随分お話がありましたけれども、過去分の積み立てが不十分じゃないか、これでは、まさに積み立て不足、この前は九兆とか十兆とかという話が出て……(発言する者あり)六兆だったかな、出ておりまして、この積み立てがないじゃないか、不足している、こんな状況で民営化してもだれがこんな株を買いますかという声があったわけでありまして、ここも、私はまさにあの話を聞いておりまして、先ほど後ろの方から、何も共済だけではない、厚生年金の問題だ、両方の問題だと、恐らくそういう認識でありましょう。

 さきの年金改革で随分議論しましたけれども、積立方式と、そして修正、あるいは今の賦課方式、この年金制度において過去分の積み立てがないからといって、では、本当におっしゃるように大変な事態なのか。私は、まさに積立方式の時代の話が引きずられているんじゃないか、こういうふうに感じたわけでありまして、もちろんこれは年金制度全体の改革の議論をしなきゃならぬわけでありますが、少なくとも、あの議論を聞いている国民は誤解をしているのではないかとこう思っている次第でありまして、もう一回、今の積み立て不足ではないか、あるいは、これで市場に上場しても株の買い手はないなんという御批判に対してどう政府としてはお答えをされるのか、お答えをいただきたいと思います。

中城政府参考人 桝屋委員御指摘のとおりでございまして、共済年金制度に係る給付現価に対する積み立て不足についてでございますけれども、積み立て不足の問題が生ずるのは、過去期間分の給付現価に相当する積立金を保有することが必要とされる積立方式のもとにおいてでありますけれども、我が国の公的年金制度は、共済年金及び厚生年金双方ともに、積立方式ではなく世代間扶養の考え方による賦課方式を基本としておりますから、そういう御指摘のような積み立て不足というような問題は生じないということでございます。

 したがって、先週ございましたような六兆円の積み立て不足というような問題があるわけでもございませんし、そのことによって何か民営化会社の株式を上場、売却できなくなるというような議論は適当ではないというふうに考えております。

桝屋委員 この議論をいたしますと、さきの年金国会のときに、一橋大学の高山先生あたりが来られて、相当激しい議論を展開されました。厚生年金全体として過去分の積み立て不足ではないかと。ここはもう何度も何度も議論したところでありますけれども、そこを今蒸し返して私は議論しようと思いませんが、相当与党、野党で意見の違うという点だろうというふうに思っておりまして、私は、年金制度で誤解を与えるようなことがあってはならぬと、こう思っているわけであります。

 繰り返し申し上げますが、私は、今この議論を出しますのは、まさに雇用条件、雇用の問題としてこの雇用に配慮する、この原則がありますので、この点を改めてこの委員会の場で確認をさせていただいた次第であります。JRのときに苦しんだ一人として、今の積み立ての状況が、持参金がどのぐらいという話がありますが、あのときのようなことには少なくとも郵政についてはならないだろうと。現在の厚生年金の全体の積み立てのレベルと、それから今の国共済のレベル、これを比較すると、決してたやすい道とは言いませんけれども、これから出発をいたしまして、労使協議の中で私は円滑な道を模索すべきではないかと、こう思っているわけであります。

 さて、もう一点、基金について、時間がもうなくなりましたけれども一つだけ確認をしたいんでありますが、基金のあり方で、まず、地域貢献業務あるいは社会貢献業務、この内容を確認しておきたいというように思います。

 それで、六十億という数字がこの委員会でも説明をされております。十億と五十億という話があるわけでありますが、この十億と五十億、この御説明をいただきたい、根拠をお示しいただきたい。何となれば、我々はやはり、三種、四種の郵便物、さらには心身障害者の団体の皆さんの定期刊行物というのは本当に今後もサービスとして継続されるのかどうか、大変気になっているところでありまして、この根拠をお示しをいただきたいと思います。

伊東政府参考人 お答えいたします。

 社会貢献業務の対象につきましては、郵便事業株式会社法案第四条第二項におきまして規定しているところでございます。この中で、委員御指摘の、心身障害者団体が発行する定期刊行物や盲人用の点字、録音物といった、社会福祉の増進に寄与する第三種・第四種郵便物を規定しているわけでございます。

 六十億円という御指摘がございました。これの根拠でございますが、今申し上げました盲人用点字、録音物で約十億円、それから心身障害者団体発行の定期刊行物で五十億円、この合計六十億円を見積もったものでございます。

 具体的にその根拠を申し上げますと、それぞれの一通当たりの費用から一通当たりの収益を差し引いた額に、平成十五年度の通数を乗じて収支差額を算出したわけでございます。

桝屋委員 そうしますと、もうちょっと数字を確認したいんですが、十五年度の実績でカウントした一通当たりの費用とそれから収益、この差額に全体量を掛けた、こういう御説明であります。十五年度は盲人用郵便で三百二十万あるいは三百四十万、ある年では三百五十万ぐらいだろうと思っておりますが、そうしますと、その一通当たりのまさに積算上の単価というのは、費用と収益の差額だとこう思いますが、それは端的に言いますと、十億円については幾らぐらいになっているのか、あるいは五十億円については幾らぐらいになっているのか、この場で参考数字としてお示しできるんであればお示しをいただきたいと思います。

伊東政府参考人 お答えいたします。

 盲人用点字、録音物につきましては、一通当たりの費用を三百四十円ほどと想定しております。なかなか、具体的にどこを参考にするかというのがあるわけですが、想定といたしまして約三百四十円の費用を想定しております。料金は無料でございますから、一通当たりの収益はゼロと。それで、今委員御指摘の平成十五年度の通数は三百二十万通でございます。これを掛けまして約十億円という数字を出しております。

 それから、心身障害者団体発行の定期刊行物につきましては、一通当たりの費用は約七十七円、七十六・九円ほどなんですが、その費用に対しまして一通当たりの収益は、心身障害者団体発行の定期刊行物には二種類ございます。月三回以上発行のもので五十グラム以下の基本料金が、八円のものと十五円のものがございます。それぞれの通数、平成十五年度の通数でございますが、月三回以上発行のものは六千二百万通、その他のものは一千二百万通、これを先ほどの費用と収益の差に掛けまして約五十億円という数字を出しておるところでございます。

桝屋委員 大体今の数字は私も想定をしておりました。盲人用郵便については、三百四十円というのは、小包が六百円ぐらいですから、妥当な数字かなと思っております。

 最後に竹中大臣、では、これがあるから六十億、端的に言えば一兆円の話でしょう、この基金があるから三種・四種郵便あるいは心身障害者の団体の定期刊行物は大丈夫だよ、こう言える、まあ言ってもらわなきゃ困るわけでありますが、これは、それぞれの事業の収益に関係なく毎年この基金から交付されるのかどうか。交付の条件というのが、多分、相当黒字になっていても出すということではないんだろうと思っているんですが、ちょっとその辺、最後に、障害者の皆さんに安心をしていただけるように端的に御説明いただきたいと思います。

竹中国務大臣 そこは大変重要な社会的な役割を担っている制度でありますので、きっちりとそれができるように制度設計したつもりでありますので、ぜひ、これは大丈夫です、できるということを申し上げておきたいと思います。

 基金を積み立てて、その利子から運用されるわけでございますけれども、そうしたものについて必要な費用を賄うという形でお出しをする、その上で、もちろん、経営努力は経営努力としてしっかりしていただかなきゃいけないわけでございますが、必要に応じてそのような支給ができるような基金を積み立てているということでございます。

桝屋委員 時間になりましたから、以上で終わります。

 ありがとうございました。

二階委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時五十九分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時一分開議

二階委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 ただいま議題となっております各案審査のため、明七日火曜日午前九時、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

二階委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

二階委員長 質疑を続行いたします。伊藤忠治君。

伊藤(忠)委員 民主党の伊藤忠治でございます。

 実は、一連の審議を聞いていまして、私、こんな感じを受けています。審議に入る前から、この郵政民営化問題というのは、政策論よりも、政治論、政党論というんですか、そういう流れが非常に強まっていまして、御承知のように、この委員会が開かれるまでにさまざま動きがございました。

 まず初めに問題になったのは、改革基本法の第三十三条問題だったわけです。議運の段階から随分意見対立、この問題の解決をめぐっていろいろ厳しい動きが起こったわけです。

 特に、この特別委員会の特徴は、名簿提出がないにもかかわらず委員会が走っていったわけですね。それで、委員長は大変な役割を持たれることになるわけですが、二階委員長さんの心情を私はわかりませんけれども、恐らく、委員長にしてみれば、委員名簿が登録されていないにもかかわらず、片肺飛行のままで委員会が滑り出すというのは、私の記憶にも余りありません。そういう点では、もうその段階から異常な出発をしているように私は思っております。

 私どもの党を初め、これはけしからぬというので、俗に言う寝た、起きるの寝たと思うんですが、これに対する批判はいろいろありました。問題は、三十三条問題が一番のネックであって、この問題の整理が図られておれば、ああいう一連の現象は起きなかったと私は思っているんです。そのことが、言うならば、後で私申し上げますが、当時の総理それから担当大臣、これは複数でございますが、当時の見解ははっきりしているにもかかわらず、いや、そんなものはというので無視して一連の民営化の作業が進んできて、これがもめごとの最大の原因だったと私は思っているわけです。

 原因があって結果があるわけですから、委員会が突っ走れば、それはけしからぬというので、とりわけ野党という立場ですから、採決、数で勝負すれば勝てるわけがない。だから野党なんで、採決で勝てれば与党なんで、そのことははっきりしているわけです。だから、一つの言い分を通すという手段として、委員会には出席しないという方法をとったと思うんですね。

 ところが、これは毎回そうですが、委員会に出席しないとかなんとか言うと、あれはけしからぬ、野党は拒否戦術、そういう抵抗戦術をとる、こういうふうに言うんですが、野党にとってみれば、原因の解決がない中でどんどん既成事実が積み上げられていくことに対する焦燥感、あるいは許してはならぬという一つの責任感があってああいう行動をとったと思うんです。そのことに対して与党が、いや、あれはけしからぬ、出て審議をやるべきだ、こう言うんですが、今の与党だって、野党になったときはもっと長い期間寝ているんですからね。そういう歴史があるわけですよ。

 だから、これは好きでやっているわけじゃなくて、野党にしてみれば、それより抵抗する方法がないんですからね。これは議会制民主主義の、言うならば一番基本にかかわる問題ですよ。現象面だけで物事を見るということは問題の本質をゆがめる。(発言する者あり)だから、今しゃべっている人はまだ新しい人が多いと思うんですが、つまり、今の与党が野党になったときはどういう戦術をとったかというのは、当時、私たちもおりましたけれども、これは二階委員長なんかもよく御存じ、あれは大変なことでした。相当なものですよ。それでもって結局やられた部分はあるんです、当時の与党が。当時の与党もへぬるかった。そんなことで倒れたらいかぬわけで、やはり、そういうものなんです。

 だから問題は、私は、そんなことを言っているのは本意ではありませんで、問題の原因、何がネックになってこういうことになったのかということをまずみんなが理解し合わないと、この問題だってそういうところへ必ず行くような気がして私は申し上げているわけでございます。

 さて、三十三条問題について、これは避けて通れない重要な問題でございますので、解釈問題について決着をつけた方がいいじゃないかと思うんです。

 まず、官房長官に伺います。

 この三十三条の中では、民営化は行わない、このことがはっきりあるわけです。これを裏づける、橋本総理、それから当時の郵政大臣をやられました自見さん、野田さん、八代さん、このこともきちっと答弁をされておりまして、にもかかわらず、今回、いや、そうじゃないという立場で一連の民営化を法案を出してがんがんやるというのはいかがなものか。このことの解釈について、官房長官にお聞きしたいと思います。

細田国務大臣 まず、基本的な問題についてお答え申し上げます。もちろん担当責任大臣は竹中大臣でございますから、詳細にわたる御質問については竹中大臣からお答えすることといたします。

 中央省庁等改革基本法第三十三条第一項第六号は、郵政事業について、国営の新たな公社を設立するために必要な措置を講ずる際の方針の一つとして、民営化等の見直しは行わない旨を規定しておりますが、これは公社化までのことを規定していることでありまして、民営化問題も含め、公社化後のあり方を何ら拘束するものではなく、郵政民営化法案の提出が同号の規定に反するものではございません。

 この点は、従来から、本会議における小泉総理大臣の答弁、あるいは関係委員会での答弁や質問主意書への答弁書において、政府として繰り返し表明しているところであります。また、小里大臣答弁等ございます。

 それから、過去におきましてさまざまな、当時の郵政大臣の答弁もあることは事実でございまして、それぞれ直接の事項としてでなくて、こういうことに対する直接の御答弁でないような状況での御答弁もあったようでございますが、私どもはきっちりと政府において、内閣法制局そして内閣として、先ほど申し上げましたような答弁を統一しております、考え方を統一しておるわけでございます。

伊藤(忠)委員 それは明らかに違うわけでありまして、民営化を行わないというこの表現は、橋本総理、これはもう絞って私は言っているわけです。当時の橋本総理、それからあと三大臣、きちっとこれは発言をされているわけです。それは議事録がとってございまして、法制局長官だとか何だとかそういう人はどうでもいいんですよ、関係ありませんから。当時の大臣が、この法案はこういうことでしょうかと言ったら、そのとおりですと言うので、所管大臣が責任を持って言っているわけですよ。所管大臣を任命している総理大臣が言っているわけですからね。

 そのことはきちっとしてもらわないと、結局はそのことの解決がないものですから、その先へ進んでいかないんですよ、なかなか。これは手続としてそうですよ、手続として。このことは間違っていますか。そのことのけじめをきちっとつけないと、その先の議論に入らないというのが普通じゃないですか。

 だから、法律は、後者が前者をというのはありますよね。そんなばかなことを御都合主義でやられたら困るんですよ。だから、改正をするならして、修正するならして、そしてやればいいわけですよ。なぜそれをやられないんですか。意見がこんなに分かれていたら、おたくの、与党の大臣もそういう発言をされているにもかかわらず、いや、そうでないという。

 小泉さんは当時から反対しましたからね、それは僕はよう知っていますよ。だからといって、彼が天下とったら全然所要の手続をとらずにどんどんやるんだとなったら、これは無法地帯じゃないですか。そんなことは許されませんよ。

 だから、そこは手続に従ってやってくれと言っておるわけです。どうですか。解釈を曲げるということはだめですよ、それは。

細田国務大臣 解釈を曲げてはおりません。当時の、第三十三条においては、一項柱書きを申しますと、御存じと思いますが、「政府は、次に掲げる方針に従い、総務省に置かれる郵政事業庁の所掌に係る事務を一体的に遂行する国営の新たな公社(以下「郵政公社」という。)を設立するために必要な措置を講ずるものとする。」と書いて、その各号が八号にわたってあって、その中に、おっしゃる第六号があるわけでございます。当然ながら、これは郵政公社というものを設立するに際しての考え方であると思うわけでございます。

 それから、この法律自体は、中央省庁等改革基本法、平成十年に制定されました。これは基本的な考え方を行政改革について規定しておるものでございます。しかしながら、御存じのように、当時の省庁の再編成に当たりまして、省庁の名称においても後ほど事実上変更した名前があるということも御存じのとおりでございます。例えば、労働福祉省というものが書いてありますし、教育科学技術省と書いているものがございます。

 これらについては個々の規定は変えておらず、しかし、中で、よく名称は今後検討するということになっておりますから、その点は、書いてあるといえば書いてあるわけでございますが。しかし、この中の、例えば食糧庁という役所は、食糧庁というのは私ども政治家にとってみると、非常に大事な役所でございますが、その後、食糧庁は改編をされて総合食料局になっております。しかし、これはこの条文を変えておりません。それから、公正取引委員会の所管、あるいは日本学術会議の所管は、その後の状況の変化、所管の見直しの必要性にかんがみまして、総務省から所管を移しかえております。条文上、所管が書いてある条文をその後移しかえておりますが、この基本法は変えておりません。

 つまり、この基本法は、基本的には中央省庁等改革の基本を定めたもので、当時の、平成十年の方針に従って、こういう考え方でやると書いてありますが、その後、行政改革の必要性等が生じて、食糧庁という大事な役所も廃止しようというときに、それをも妨げるわけではないということがよくわかるわけでございます。

 もちろん、名前を変えただけじゃございません。さまざまな、食品安全委員会とかその他の、食糧庁をどういうふうに統合するというようなことも含めまして行われたことでございまして、それは行政改革が一歩一歩、時の変化に応じて前進すべきであるという考え方でございますので、当然この条文についても見直してしかるべきである、こう考えております。

伊藤(忠)委員 聞いていないことを答えてくれる必要はないので、この郵政の問題を聞いているわけですよ。

 だから、郵政問題に限定してこれは言われているわけですよ。民営化はやらないということなんです。だから、その後も、内閣、与党の中で議論がありまして、委員会審議の中でもこれをただしているわけですね。たしか三年ぐらい、その発言というのは裏打ちされる覚悟でなさっているわけじゃないですか。違いますか。僕もそう覚えていますが。

 だから、そんなところに法制局長官がぽこっと突然出てきて法の解釈がどうだとか、関係ないんですよ、これは。だから、限定してそこに、条文に書いてあって、それに基づいてやるわけでしょう。だから、公社制度はどういうふうなフレームワークでやっていくかということが細かく書いてあるわけですよ。それに基づいて法律もちゃんと明文化されて、それの根拠としてちゃんとそういうものが決められていたわけでしょう。公社化するに当たってはこういうことですよという条件がきちっとついておって、にもかかわらず民営化するなんということが、何で拡大解釈、曲解ができるんですか。絶対納得できないですよ。

 だから、それはあなたが政府を代表してそういう解釈で突っ走るんだったら、これは行政訴訟を市民団体がやってくれていますけれども、これは法廷という場になると思うんですが、いずれにしても、これぐらい懸隔があるんです。当時の郵政大臣、橋本総理大臣もはっきり言い切っているんですからね。この辺は解決してくださいよ、決着をつけてください。でないと、後の議論がおかしくなる、私はこう思っておるんです。

 だから、これは水かけ論をやっておってもしようがありませんから、私はここで提案をしたいと思うんですが、とにかく、当時の総理それから所管大臣、橋本さん、自見さん、野田さん、八代さん、この委員会にお出ましをいただきまして、当時の状況とみずからの発言について明らかにしていただきたい、私はこう思いますので、二階委員長、よろしくお願いいたします。

二階委員長 後刻理事会に諮って対応します。

伊藤(忠)委員 よろしくお願いします。

 これは肝心なところなんです。ここをうやむやにすると、これから政府は何でもできるんですよ。これは、解釈はこういう解釈だ、法制局長官を呼んできて、あなたはどう思うと。法制局長官はそこから答弁して、私はこう解釈しますと。ああそうだなというのでどんどんどんどん走っていったら、国民に対してコンプライアンスは言えませんよ。みずからやはり法律を守る、そういう態度をきちっと守ってもらわないと困ります。

 次に、公社法の二十四条問題についてお伺いしたいと思います。

 今日までの議論を聞いていますと、なぜ民営化が必要なのかというのがわかりません。完全民営化という、これは二つの会社がそうなるんですが、十二年先の話なんですね、将来の話なんです。社会がどう変わっているか、経済状況がどう変わっているか、あるいは生活変化というのは著しいと思いますよ、そういうものがどのように変化していくかという科学的な証明が資料として出ていないじゃないですか。ああなるだろう、こうなるだろうという想像、そういうことを前提の議論に終始しているように私は思えてならぬわけです。

 さらに、ビジネスモデルが明らかになっていません。法案の中を見ますと、二百四十項目に近い政省令、そこに付託をする、こうなっています。政省令というのはやはり全部が全部要らないというわけにいきませんよ、それは僕らもわかっています。ただ、肝心なものは、みんなこれは省令でやりますというような格好でいっちゃうわけですね、法案審議じゃないんです。

 本来言うなら、ビジネスモデルがないというのが一番大きいんですが、その次には多くの部分で政省令にゆだねている。法案が決まってからお役人の皆さんが作業をされると思うんですが、法案をつくる段階では、この部分は具体的に記述するためには政省令が要るだろうなということはみんな関係者は議論しているはずじゃないですか。

 そうしたら、例えば設置基準の話、法律ではこう書く、省令ではこう書くというのが決まっていなきゃいかぬわけですよ。これはもうベテランの皆さんですから、御理解のとおりですよ。ならば、それは成文では明らかにできないかもわからないけれども、一応メモ書きにでも、これはこういうふうな考え方でこの部分だけ押さえて書きますということを国会に同時並行に提案をしてくれなければ、国会というのは法律案だけは審議するけれども政省令は審議する場がないんです。これは、行政手続法を、今度、一部改正というのが出ていますが、国民に対してはインターネットで聞くだとか、いろいろな方法で改正するというんですが、国会を抜いているわけですよ。国会は、政省令、規則を議論する、そこに関与する余地がない。一体これはどういうことか。

 これはイギリスの例を見るまでもなく、これは個別条項の審議も同時にやれますよね、そういう制度になっていますよ。私も一連の国会改革に携わってきましたからよく知っておるんですが、それも日本でやろうじゃないか、この国会でやろうじゃないかと言ったけれども、なかなか細かい意見がすり合わずに今日に至っているわけですが、これも国会審議の対象にしないと、国会の議論の対象になっていないんです。

 だから、法律案だけ議論する、政省令はお役人さんがつくる、つくったものを持ってこいと頼まない限りはわからぬわけです。これはどういうことだ。トータルで二百四、五十項もある、二百三、四十項目ですか、今回の民営化法案ではあると書いてありますね。これでは、国会というのはどういうところなのかということが問われると思うんです。こういう問題点がございます。

 もう一点。民営化法案というのは、今回、これが出てまいりました。ところが、二十四条では、中期計画の経営計画というのを、これは時の内閣が、もちろん所管大臣が直接やられるわけですが、それを立てて実施してください、その結果はこのようにやってくださいよというスキームはちゃんとできていますね。これとの関係が一体どうなっておるのか。

 今回の民営化法案では、全くその中期経営計画と切り離した格好で法案が出ている、民営化民営化だというふうに言われる。今、郵政公社では、一期四年間ですか、中期経営計画に基づいて実施されておりますね。それを一生懸命に汗をかいてやって、そのやっておられる途中に、民営化だというのでどんと法案が出てくる。これは当事者にしてみれば本当にどうとらえていいのか。政府というのはいいかげんなものだなと思っていても言えませんよね、当事者というのは。僕はそんな心情がわかるような気がするんです。明確にこれとのかかわりをきちっと位置づけてくれないと審議のしようがありません、後で詳しく申し上げますが。

 そこで、きょうは御多忙の中を生田総裁にお越しをいただいているわけですが、十六年度の決算ですか、概要の説明をいただきました。私なりに受けとめさせていただいておるのは、十五年度、十六年度黒字決算、こういうことで、非常に涙ぐましい努力によって成績を上げられているわけです。これは大変な努力があったと思いますよ、トヨタ方式を導入したりして。現場へ行って私もよく見ていますが、普通の職場だったら音を上げますよ。民間民間と言いますけれども、それは民間ではまねできぬような努力をしていますもの。それで、経費を節減するわ、人も合理化するわということで、それの集大成として二年続けての黒字決算ということになったと私は思っておるわけですが、その辺について生田総裁からお伺いしたいと思っております。

 生田総裁、自分で進んで社長を受けられたんじゃないと思います。それは、小泉さんが、おまえやってくれということでお受けになったんだろうと思いますが、この中期計画に対します生田総裁の意気込み、それから改革の重点施策等、二年を過ぎたんですが、その成果ですね。これらは民営化を前提に取り組まれているんでしょうか、民営化前提にお考えになったんでしょうか。それは、意思は総裁としてはなかなかそこには入れることはできませんが、言われた中での実行と現場の指揮ということになるんでしょうが、しかし、中期計画はそのままストレートに民営化に結びついていくんだという前提でおやりになっているのか。私はそうじゃないと思っておるんですが、その点についてもできれば、一言で結構ですからお伺いをしたいな、こんなことでございます。よろしくお願いいたします。

生田参考人 お答えさせていただきます。

 私は、改革というのは、事業でも何でも、やると決めればできるだけ短期間に凝縮してやった方が、その都度の痛みはちょっと大きいかもわからないけれども、何年か達したら痛みの総面積は小さくなって、逆に効果は早く出て、かつ、確実に達成できる、こういう思いでおりましたので、一期四年を二つに割りまして二年ごとの束にして、フェーズ1、フェーズ2ということで取り進めてきたわけであります。

 今、フェーズ1が終わったばかりでありますけれども、とにかくあらゆる改革について意識と文化の改革ということで、意識改革プラス官庁文化を変えるということで職員に努力してもらいまして、JPUとか全郵政とも大変しばしば話し合いをした結果、十分なる理解と協力を得ながら、おかげさまでフェーズ1の数値目標は全部達成いたしました。その他いろいろな仕組みの改革も、大体思ったとおり改革しております。

 自己資本の充実のところが、結局、利益金を全部そこに積みますので、成績表の総評になると思うんですが、自己資本は一兆二千七百億円でスタートしたんですが、おかげさまで六兆一千四百億円まで積めたということで、これは政府から御承認いただいていた中期経営計画では三兆円でしたから大体倍いったということで、大体四年分がここで達成したということでございまして、資金量は大体想定の範囲で今減っております。

 それから、従業員は二十八万一千でお受け取りしたんですが、組合とも話し合いの結果、一万九千人減しまして二十六万二千ということで、かなり生産性高く今来ているところではあります。

 郵便は、単年度ごとに二回続けて黒を出したんですけれども、毎年、通常郵便というのが五%から六%減りますので、ゆうパックとかなんかで頑張ってもどうしてもトータルで二、三%減るということで、苦戦中です。だから、黒への構造改革はこれからであります。

 それから、郵貯は今のところ順調に推移しているように一見見えるのでありますが、国債中心ですから、これは、金利動向が変わり、市中金利の方が国債より高くなると大変な危険を持っているんじゃないかなと思っております。

 簡保も縮小にあります。これは、商品性のある商品が少ないものですから、だんだん全般に規模が小さくなってきている。利益は一応今のところは健全に出ているということであります。

 改革の重点は、私としてはまず意識と文化の改革というところに置きまして、それを背景に、サービス業としてCS、顧客本位の体制にすべてを切りかえる、真っ向サービスであります。ここに大変重要点を置きました。

 それから、郵便については、構造改革ですね。毎年減るのを先取りして、その中で黒字を確保できるように、売上比率を、普通郵便対その他を、九対一なんですけれども、これをどうやって八対二にし、七対三にするか。今後二年間で八対二まで持っていきますが、どうするかということであります。

 それから、郵貯、簡保は、これは非常に仕組み上で仕切られておりますので、多少生産性を上げながら利益率をよくする以外、今のところしようがないと思います。

 御質問の、民営化が前提であるかというのは、大変これは率直に、フランクに申し上げまして、関係ないんですよ。今ある公社の事業というものを与えられている枠組みの中で目いっぱい健全にするということが、その先どういう組織体が来ようが、そのまま公社でいこうが民営化されようが、それは絶対必要なことなので、ただいまフェーズ2で頑張っておりますが、それはどのような組織体にも結びつくことだと考えております。

伊藤(忠)委員 ということです。生田総裁が丁寧におっしゃいましたけれども、まさしくそうだと思いますよ。

 私は、総裁に初めてお会いしまして、さすが、やはり鍛えられた一流民間の経営者だと思いましたよ。言われることには責任を持たれます。非常にオーラがございます。誠実な方ですね。その点は、小泉さん、よかったわけだ。いい人を選ばれたと思いますよ。

 ところが、ねらいがあったわけだ、本人は。当面、四年間だけやらせておいて、あとはおれの思うようにやるというわけだ。恐らく、生田総裁、では、民営化のこの法案がごり押しで通って、なあ生田さん、悪いけれども、あなた中期計画やってくれたんだから、成り行きなので、次、社長頼むわなんて、そんなこと言われたって、本人は、とてもじゃないけれども、ばかにするなということになりますよ。失礼、私、ちょっと関西な男なものですから、つい言いたいことを言うんですが、それはそうなりますよ、やはり。人間なんて、そういうものですよ。私、そう思いますね。

 だから、いい方を総裁に選ばれたんです。御本人も、何か喜んで手を挙げられたわけじゃありませんよ。それは僕も聞いています。しかし、誠実にやられて、これだけの成果を上げられて、これから、まだ課題残っているから構造改革が必要なんだ、そうしたら三事業は改革が進むんだということで今もおっしゃられたんやないですか。そういう成果上がっているんです。その途中に、民営化だと。これは関係ないわな、民営化と。私もあのフレームワーク見せてもらいましたけれども、関係ありませんよ。

 ばらばらに分けるわけだ。三事業ばらばらに分けるわけだ。私はNTT問題でかかわってきましたからよく知っていますが、一部始終。ばらばらに分けてしまうわけだ。それが時代の変化にうまくいかないから、またどうしようかというので、アメリカが先行するものだから、それを横目で見ながら、うちの方もこれをまたシフト、方向を変えないかぬなと一生懸命お役所は言っておるじゃないですか。現象、皆さんわかっているでしょう。

 だから、全くそこは、将来を見越してやるといったって、指導者、やはり誤る場合だってありますよ、全知全能じゃないんですから。そのときには、みんなの意見をよく聞きなさい、国民の意見もしっかり聞きなさいということが大事なんです。だから、民主主義を国家の一番基本として据えているんじゃないですか。そこのところ、どれだけわかっているのかな、私はこう思えてなりませんね。

 麻生総務大臣は、行政組織法、内閣法に基づくと、これは言うならば総務省の主任大臣なんですね。いわゆる所管大臣と私たちはよく呼んでしまいますが、総務省の長なんです。この二十四条問題というのは麻生総務大臣の所管なんですよ、民営化していないんですから。これについては全面的にかかわっておみえなんです。つまり、二十四条、中期計画に基づくと、実施状況、その結果について評価をして、国会に報告をして、国会での総括議論にどう対処するかということの責任ある大臣なんです。

 そういう立場におられる麻生大臣にお伺いしますが、今、公社の生田総裁がおっしゃられました十六年度決算、十五年度決算を含めてですが、どう評価をされますか。中期計画評価の上で第二次中期計画に当然取り組まれることになると思うんですが、その点はどうお考えなんでしょうか、こういうことなんです。

 もちろん、評価を最終的に総括する場合には、審議会にもかけて、中期計画、一次のときには一区切り、国会でしっかり議論をやって、ああ、こういうふうな現状なんだな、こういう評価なんだなと。だから、いいところはどのように伸ばして、そうでないところはどのように是正していくかということは国会で議論をやってからの話でしょう。そのことを全然、法の手続に従ってやっていない中で、突如民営化を出すというのはどういうことなのか、こういうことになるわけで、その点をひとつ麻生総務大臣にお聞きしたいと思います。

麻生国務大臣 業績の評価という面から、今、定型的な話は生田総裁の方からお話があっておりましたが、定性的なところを見ましても、これは組合、伊藤先生の方がお詳しいと思いますが、対組合問題は皆よう話をされませんが、この組合の問題に関しましても、この二年間、いわゆる全逓、旧全逓、全郵政、ほかに共産党の組合を含めまして幾つか組合はありますが、この組合との関係というものに関しましても極めて良好だ、私どもはそう理解をいたしておりますので、定性的な部分に関しましては、まず御自分じゃなかなか言われにくいところだろうとは存じますが、第三者から見ますとというか評価する立場から言わせていただくと、この定性的な部分というのはかなり大きな評価をいたしております。

 加えて、労働組合員にかかわらず、業績、営業という面におきましても、少なくとも郵便局におけます真っ向サービスを含めまして、いわゆるサービスの向上というのも顕著であろうと思っておりますので、私どもといたしましては、今の数字の上からいきましては、いろいろ言っておられますけれども、少なくとも四年間の計画、かなり前倒しで事ができ上がりつつあるというのは極めて評価の高いところだと思います。

 組合員二十八万が二十六万二千、ゆうメイトが十一万七千、足して三十七万九千ということになろうと思いますが、そこらのところの大組織でありますから、そういったものを含めてかなりいろいろ、これまでのところの評価は極めて高いと思っております。

 また加えて、その他のサービスの点からいきましても、ゆうパックのリニューアルを含めまして、昔はあれはたしか十二キロだったと思いますが、今は三十キロになったりしておりますし、いわゆる中国向けのエクスプレス・メール・サービス、EMSですか、あれを上海だけじゃなくて北京にもふやされるとか、いろいろなそういったサービスもしておられますので、そういった意味では、海外便に確実に踏み出しつつあるというところに加えて、国内便のことに関しましても、幹線の輸送に関しましては、競争で入札されるようになってから、これはたしか路線によって違いますけれども、二割から三割ぐらい安くなっているという面もありますので、私どもといたしましては、二年目までの評価というのは極めて高い。

 きょう、二年目の数字が出ておりますので、まだその内容を確実に精査しているわけではありませんので、その精査をした上でないとちょっと、なかなかいいかげんなことはお答えできるわけにはまいりませんけれども、業績、先ほど提出されました数字というものを基本に置いて見ましても、数字の上からだけでも、定型的なことを申し上げても、極めていいという内容であろうとは存じます。

 これがフェーズ2に入ってまいりますので、その計画どおり、さらに業績を向上されるように努力されていかれることを期待するところでありまして、私どもといたしましては、きちんと与えられた目的を達成されつつあるということに関しましては、極めて高い評価を出しております。

伊藤(忠)委員 ありがとうございました。

 総務大臣がそういうふうに言われまして、やはり所管庁から見ても、中期計画の実行途中でありますが成果が上がっている、これからあと残る期間、精いっぱいやっていただけるであろう、こういう御答弁なんですが、その途中にですよ、これが終わらない間にこの法案を審議して、それで民営化に持っていくということなんですよね。ちょっとこれは常軌を逸しているんじゃないか、物事の運びとして。私、そう思うんですよ。

 そんなことやっちゃいかぬわけで、最低限一期四年の中期計画をやって、ここで総括をきちっとやって、国会でも十分議論をやり、国民の皆さんにも、こういうことなんでございます、どうなんでしょうかということをしっかり議論を沸かして、もしやる場合でも、それから民営化の議論をやっていくのが当たり前じゃないですか。違いますか。これが常識だと私は思うんですよ。

 だから、これは、大臣御出席なんですが、聞く大臣を分けなきゃいかぬわけです。中期計画の所管は麻生大臣ですから、麻生大臣にもお聞きをし、それから、あと民営化の方へ行くことを一生懸命に言われているのは、どの大臣にお伺いすればいいのか、これは担当大臣ですか、竹中大臣ですか、これは双方に聞かなきゃいかぬと思うんです。だから、中期計画マターで所管されていますから、まず麻生大臣に、これは中期計画が終わってから所要の手続をとって、議論するならやるのが正しいと私は思っていますから、そういうお考えなのかどうか、竹中大臣も同じような視点でどうか、お伺いします。

麻生国務大臣 経営の話と政治の話なんだと思いますが、経営の話は、今言われたとおり、基本的にきちんと四年間の計画どおりにやる、これが与えられた枠で、政治から与えられた経営側の立場だと思いますので、それを着実にやっておられるということだと思います。

 政治の話として、これで四年たった以降、さらに民営化をするというのは、これはかかって経営の話以外、受ける側と違って、これは今から決める側の政治の話なんだと思いますが、その政治は今ここで議論がなされておるというように理解をしておりますので、業績がいかによかろうと悪かろうと、これは政治でやる、やらないという話の政治の話と、受ける側の経営の話とは、先ほど生田総裁の答弁されたとおり、別個のものだと存じております。

竹中国務大臣 今、麻生大臣が基本的な考え方についてお話をくださったと思います。私自身も、生田総裁を筆頭にこの公社の改革、やはり本当に努力をしておられて、すばらしい成果を上げていらっしゃると思います。私自身、生田総裁、民間のころからよく存じ上げておりますが、おっしゃったように本当にすぐれた民間のノウハウ、柔軟性、大胆さを持ち込んで、きょう発表されたような、きょう議論されたような決算に至っていると承知をしております。

 しかし同時に、それにもかかわらずやはり公社を、郵政を取り巻く環境は厳しいということも、これまた総裁御自身がおっしゃっておられるとおりだと思います。貯金等々の資金量が減っている。郵便量の取り扱いがEメール等々で毎年二%、二・五%減っている。そして、今後さらにこれが見込まれるという状況の中で、公社としては非常に健闘しておられるが、それでも環境は厳しいというのがやはり偽らざる状況だと思います。

 今の範囲の中で一生懸命やるというのが公社の今の改革だというお話が生田総裁からございましたが、一方で、生田総裁御自身も国際業務を本格展開したいという御希望を持っていると聞いておりますが、今の公社の枠組みではやはりそれは制約があるわけでございます。資金の運用につきましても、政府の運用ということでありますと、おのずと限界があるわけでございます。

 そうしたことを考えて、かつ、改革には非常に長期を要するというのが諸外国の例でも見られるところでございますので、やはりこの生田改革をさらに加速する意味でも、今ここで民営化をする必要があるというふうに判断をして、今回の法律案を提出させていただいております。

伊藤(忠)委員 竹中大臣に反論するようですが、手続違反ですよ。国会で総括の議論をやる、中期、全部含めて。そういう手続になっておるわけですよ。それを抜きに、先に先行させて民営化法案をやるというのはおかしいじゃないですか。

 国会には、中期計画をやって、それの評価を報告として受けて、もちろん評価は厳しくやられますよ、審議会にももちろんそれを諮るということがちゃんと決まっているわけですよ。それで国会に諮って国会の議論を経てからですよ、あなたの言われることが、もしあなたの立場で言われるとするならば。違うんですか。国会抜きにやるんですか、こんな大事なことを。だから手続違反だと僕は言うんです、これは法違反だと言うんです。そう思いませんか。どう考えても私は納得できない。

 ここまで来ると、三十三条でもつまずいたんです。二十四条でもこのことは問題になっているんです。どう考えたって納得できない。国会というのはどういうところやと。出てきた法案は二百三十を超えて政省令がある、それで皆そちらの方へゆだねている。細かい中身はわからぬ、ビジネスモデルはわからぬ、資本金も何ぼかわからぬ、ただ会社をフレームワークで割ることだけはわかっている。こんなばかな民営化法案というのはありますか。それで十二年先はこうなどと言う。あなたの思いだけで情勢分析しているわけで、我々と当然違う部分はあるじゃないですか。それで、すぐ金融論をぶつ。もう金融論はだめですよ。これは金融論を何ぼぶったって破綻しますよ。一連の議論を聞いていたらそう思うんですが。だから、手続違反、こんなことは絶対認められぬ、私はこう思います。これが一点。

 二点目は、これは官房長官にお聞きしたいんですが、今三十三条問題で木で鼻をくくったようなことをあなたは言われましたけれども、国民世論の現状はどうなのかというんですよ。関心度は非常に低いじゃないですか。せいぜい一〇%ぐらいですわ、関心を持っている人は。その中でも賛成、反対がありまして、最近は大分国会で議論が熱してやられている、関心を持ってテレビでも見るようになった。

 しかし、依然として国民の気持ちとして強いのは、何といっても景気問題、年金問題、雇用問題ですよ。今では小泉さんが物議を醸し出した外交問題ですよ。これがもう物すごい関心が強いんです。小泉さんは自分の信条で、国益はどうでもいいのか、公のことを忘れて自分のことだけ言うのか、これはだだっ子と一緒だな、うちにも一人おるけれどもと、そんなのが多いんですよ。そんなのが多いんです。そういうふうに関心を持ってきたわけです。

 やはり世論というのはタイムラグがあるじゃないですか。ところが、やはり報道される、それで関係国が動く、これは小泉さんの言うことばかりやっておったら、うちの会社もおかしくなるわとやっとわかってきた。だから外交問題の関心ががあんと高まっていますよね。だから、依然として郵政問題の関心は低いんです。その中でも圧倒的に多いのが、大事なことだとわかったけれども、わかった人は、急いで結論を出すな、十分議論してくれ、こういう世論が非常に多いです。私は常識的だと思いますね。当然そうだと思うんです。それを、三十三条をねじ曲げて、この解釈が正しいんだというので、この法案の後押しをするというか、入り口をあけているわけだ。これは大変罪深いと私は思いますよ。

 もう一つ聞きたいけれども、地方議会はどうなんだと。都道府県会の決議は一〇〇%来ているでしょうに。これは、あなた見ているんですか、官房長官。忙しいからなかなか目を通す暇はないと思いますが、地方議会の決議、これは一〇〇%来ているんです。それから市町村議会、九〇%超えておるんです。それが来ているんです。これは国民を代表する声じゃないですか。それは議会の声だ、竹中さんはそういうふうにどうも言いそうなんですが、ああ、あれは世論と違う、あれは議会の声だと言いそうなんですが、違うでしょう。これだけ反対決議が、急いで結論を出すな、そういう決議が国会へ来ているわけです。これは民の声じゃないですか。(発言する者あり)ちょっと待ってなよ。やじに私はこたえるあれはないんですがね。

 それで、じゃ聞きましょうか。政党の中でも割れているじゃないですか。それなら与党は、少なくとも、そんなに総理が力を入れている、重視しているこの法案が、ぴたっとまとまっているかといったら、割れているじゃないですか。もちろん我々は反対で固まっていますよ。野党の方は固まっていますよ。与党でも反対の議員が多いじゃないですか。これも世論だと私は思いますよ。これも世論じゃないんですか。これを世論とは言いませんか。そういうことじゃないですか。

 だから、そういうことを見たら、とにかく三十三条問題でも、これはきちっと、やはり民の声を聞きながら、実態をしっかり直視しながらやらなければいかぬと思うんです。木で鼻をくくったように、自分の都合のいいような解釈で議論の入り口をあけたんですから、これは罪深い。その点は、今私るる申し上げましたけれども、これでも国民の世論は民営化が圧倒的に多いと言われますか。どうです。

細田国務大臣 昔、高名な哲学者が、存在するものは合理的であるというテーゼを掲げたことがあります。それは、決して否定的なことで言ったわけではなく、存在するものは、ある種の経緯と歴史、それから準拠する考え方があってそういうことがあると。しかし、行政改革の観点というのは、存在するがゆえに合理的だとは必ずしも言えない。

 それからもう一つは、タイミングがある。先ほど、例えばNTTの問題言われましたけれども、分割の仕方とか、携帯電話とか、データとか、東西とか、いろいろな意味で問題はなきにしもあらずではございますが、あのときに民営化、分割等をやっておかなければ、インターネット時代の到来、IP電話の到来、その他ありとあらゆる光時代に対応できたかというと、本当に私はよかったなと。国鉄については、全く手おくれになって、どんどん赤字が累積して、事後的にやってきた。私は、郵政の問題は、今こそチャンスである、今やらなければならないと思っております。

 それは、今後、金融、保険というものは、非常に大きな問題を抱えて、今が一番いい環境ではないかと私は思っております。もちろん、人によっていろいろな考え方はあると思います。しかし、いずれ貯金会社は大きな、巨大な銀行として民営化をしなければなりません。そして保険会社も民営会社として民営化しなければなりません。保険会社、そして銀行を、未来永劫、我が日本においては民営化せずに公の立場で維持すべきであるという議論は、私は明らかに間違っておると思っております。小泉総理は、そういう信念でやっておりますから。

 そして、私も地方の意見は承知してはおります。地方の意見もいろいろな意味で承知しておりますが、やはり私は今こそ民営化をすべきであると考えております。

伊藤(忠)委員 もう少し的を絞って答弁してくださいね。どんどんどんどん広げて、言いたいことを言って帰っていってもらったら困るんですよ。あなたの言われるのはそれはあなたの意見でいいんですが、それにしてもルール違反じゃないですか。中期計画をきちっとやって、その上であなたの言うように言ってくださいよ。今こそ民営化をやる時期だ、こうなんだ、こうなんだという大演説はそれからやってくださいよ。手続違反だということは消えぬでしょうが。そこのところはどうなんですか、あなた。それはどうなんですか。この手続は無視していいんですか、どうです。二十四条。

細田国務大臣 これは、私が申し上げているように、今どちらを選ぶかという岐路にあって、それは国会の議論に任されておる、そして我々政府としては最善と思う案を出しておる、こういうことでございます。

伊藤(忠)委員 全然、結局、演説は勢いよかったですけれども、今の話の答弁は違うじゃないですか。それは、やはりルール違反なんです。そこはきちっとやらないと、政府は、これからルール違反が一つでも通ると、みんなやはり警戒しますよ。こんなやり方をやられるんだったら、議会は、これは大変な認識を持っているわけですからね。(発言する者あり)今も意見がありましたように、いつまでも与党やと思うなよという意見がありますやん。私は、そんな失礼なこと言いませんよ。そんな失礼なこと言いませんけれども、とにかく、そうなるといけませんからね。

 ここはやはり強権的なんだよ、やり方が。同じいいことをやるのでも、強権的にやるのと紳士的にやるのと違うでしょう。ましてや、民営化という大変皆がいろいろ問題に思っていることをこんなふうにやられたんじゃ、これはたまらぬじゃないですか。その点はしっかり頭に入れていただいて、この二十四条のルールを守って段階的に議論を積み上げて、そして真剣な議論をやって、いい結論を出すということしかないと思いますからね。その点を強く申し上げます。もう一遍答弁してくれますか、官房長官。ほかのことはいいですよ。

細田国務大臣 それは伊藤議員の心情として、お気持ち、よくそれは理解しておりますし、そういう世論があることも承知しております。

 我々は、公社としての一期四年を経過した二〇〇七年四月からは民営化をすべきであるという結論を出してお諮りしているわけでございます。

伊藤(忠)委員 時間の関係でこれ以上私は、お互いすれ違うあれですが、今哲学者の話が出ましたけれども、逆に言うと、意識が条件を決定するということもあるんです。長く大臣をやっていると染まってしまうんです。大衆の心情を踏まえるということから離れてしまうんです。それも哲学者の言葉ですからね、よう覚えておいてください。(発言する者あり)うるさい。(発言する者あり)

二階委員長 質問者及び答弁者の発言中は御静粛に願います。

 伊藤忠治君。

伊藤(忠)委員 次に進みますが、竹中大臣も欧米諸国の先進例を例に出されて議論されておりました。私は、三事業一体と欧米諸国の言うならばこれまでの成功例、失敗例を見ながら思うのは、とにかく明治以来百三十年にわたって三事業一体でやってまいりました。これは別に日本に限らなかったと思うんですね。むしろ欧米の方が先輩だったかもしれません。それは共通しているわけです。欧米諸国も共通していまして。

 それは、郵便事業というのがやはり柱なんですね。これは言うまでもないことなんですが。これはユニバーサルサービスとして万国郵便条約で義務づけられておりますから、それは国家的なサービスとして歴史的に提供してきたと思うんです。別に郵便事業が単独で経営が成り立つなら、余計これはアメリカのように楽だったと思いますよ。だから、アメリカは民営化せずに、いまだに国営でやっていますよね。

 ところが、規模の問題でありまして、扱い通数はどうなのかと。それから、小包なんかは市場競争の部分もありましょうからね。そういう点から考えると、やはり郵便事業というのは利益率が非常に低くて、単独の経営というのがどうしても難しいということは事実だと思うんです。これは日本の場合もそうです。ヨーロッパの場合も私はそうだったと思いますよ。特に、三事業、郵便事業と金融サービス、これが、郵便局がもちろん窓口になって、三事業一体で運営がやられてきたということは、そういう背景があってやられてきていると思うんです。

 ただ、違いますのは、郵貯、簡保の資金量が日本の場合は飛び抜けて大きい、ヨーロッパの場合には比較すれば小さい、こういうことだったと思うんです。

 しかし、柱に座るのは郵便事業であって、この郵便事業を守るために、正常に運営していくために、ユニバーサルサービスを壊さないために金融サービスも、言葉は適切かどうかわかりませんが、補完的にやってきたんじゃないか、こう言われていますよね。しかし、歴史を積み重ねる中で、この金融サービスも郵便とセットでやってきていますから、庶民にとっては使い勝手がいいし、地域密着型で、これもユニバーサルサービスという位置づけで歴史を積み上げてきたのも事実でございます。私はそのように考えているわけですね。

 ですから、郵便だけが助かって、金融サービスがカットされると国民はいろいろな不満を抱くし、とりわけ、アメリカの場合には別に銀行の機能を果たしていませんから、金融サービスをやっていないので、もう歴史的にそれで割り切っていると思いますが、日本やそれからヨーロッパなんかは、つまり口座も持てないとなったら、これは金融排除になりますから。

 一番極端な例で出ましたのがニュージーランドじゃなかったですか。まあ、民営化いいじゃないかというので、先頭を切ってどんと走った。ところが、うまくいかない。切り売りした銀行が買収されてしまって、なくなった。金融サービスができないというので、キウイバンクですか、あれをまたポストの方がつくり出して、子会社にして、金融サービスをつける。しかし、既にもう郵便局はがんがんとずたずたにネットワークがなっていまして、非常に国民としては不満が残っているという大体経過じゃないですか。

 そういうことを考えますと、三事業一体を分離するということは、郵便事業そのものがぐらつきます、破壊されてしまいますから、それを一緒にやっていくというのは、フレームワークで一体的経営を保証しないとなし得ない、言うならばそういう特殊な事業なんですね。一つ一つを分離して考えられないわけです。

 だから、ドイツ・ポストもそう。それから、ブリティッシュもそう。フランスは国営でやっていますが。それから、オランダ、イタリー、スペイン、いろいろありますけれども、皆そうなんです。だから、ほとんどが純粋民間でやっているところはないんですよ。公的サービスなんです。民営化に走って失敗して、また買い上げて、あるいは補助金を出したり、税金をつぎ込んでやっていく失敗例を見ますと、結局はやらない方がよかったという、教訓に学ぶというのはそういうことだと思うんです。

 ところが、残念ながら、担当大臣の言われるのを聞いておりますと、教訓に学ばれていないんですな。失敗した方へ進んでいこうとされている。これはいかにも一考を要するというか、そちらの方へ行くのはよくない、私はこう思っておりますので、そのような諸外国の動向ではないのか、私はこのように考えておりますが、どうなんでしょうか、竹中大臣。

竹中国務大臣 伊藤委員は海外の事情に大変精通しておられて、今いろいろな御事例をお話しくださいました。

 私自身も、今回の制度設計に当たって私なりに勉強させていただいて、これはもう本当に、いろいろな国でいろいろな歴史、いろいろな事情を背負ってその国の郵便制度というのが成り立ってきたということを改めて痛感しております。

 郵便そのものについては、なかなかそれだけでは単独でマーケットでは成り立ち得ないという一つの宿命を持っているのではないかという点については、これはユニバーサルサービスの義務を負っていますから、その義務をどのように果たしていくかということについてはいろいろな工夫を各国でしておられる。

 ただ、共通して言えるのは、そういう郵便については、どこかの分野で独占的に利益を得られるような部門を持つ、いわゆるリザーブエリアを持って、その中で、そこで上げた利益で、一方でそのユニバーサルな義務を果たしていこうということでいろいろ苦労しておられるんだと思います。

 郵便局のネットワークを通じていろいろなサービスをする、そのサービスの度合いとか、その他のサービスの度合い、中身というのは、これはもう千差万別であるということだと思います。

 アメリカは、御承知のように、一九六六年に金融をやめてしまって、国内郵便に特化をしている。金融を残しているところもあります。しかし、その中で、これももう委員御指摘になられましたけれども、日本という国が、世界の中で見ると金融のウエートが非常に極端に高くなっている。それで、郵便局の職員等々の業務のかなりの部分を占めて、結果的に雇用がその部分で確保されているというのが日本の郵政改革を考える場合のやはり最大の問題なんだろうというふうに思います。

 その意味では、諸外国は異なる事情のもとで異なる経験をして、その中で失敗したのもあれば成功したのもある。これはもう実際の経済界の話ですから、よい例ばかりではなくて間違った例もある。そういう間違った例からも学べるところは学びながら、今回の制度設計をしております。

 一例として、ドイツで郵便局、郵便と金融、銀行との関係がどのようになるかということでいろいろな経緯があった。これは主として経営上の問題がいろいろあったというふうに聞いておりますが、そうしたことが生じないように、実は我々は、持ち株会社のもとで、持ち株会社を一つの司令塔にできるような形でスタートできるような仕組みをとっているところでございます。

 ニュージーランドの例もございましたが、ニュージーランドは、郵政の民営化に加えて、金融行政として外資導入を一斉に当時行っていた。それが行き過ぎて、結果的に、別に郵政だけではなくて、国内の銀行がほとんどオーストラリア等々の外国資本になったという個別の事情があって、それに反省した幾つかの対策が講じられているというふうに聞いております。

 そうした面に対しては、外資等々の敵対的な買収に対しての備えも準備をしておこうということを今回の法案の中でも考えておるところでございますので、諸外国の事情はいろいろ違う、その中で学べるものを学びながら今回の制度設計をしているわけでございます。

伊藤(忠)委員 郵便事業を守らなきゃいかぬ、これで意見は合うわけですよね。それがうまくいくように、補完的なサービスをやるために金融サービスをどのように改革するかという点になると、今の竹中さんの発言になるわけですよね。

 ところが、金融の分野にしても、だんだんこれは縮小していかざるを得ぬじゃないですか。そういう傾向だと思うんですよ。そうしたら何も、中期計画を第二次でもうあと四年延ばして一生懸命に改革をやっていけば、サイズもだんだん縮んでいくんじゃないでしょうか。動きがそうだと思っていますよ。ところが、すぐに民営化するものですから、全体をそれこそいろわなきゃいかぬということになる、私はそうだと思うんです。

 もう時間がありませんから、私、思っていることも言わせていただきますが、例えば、郵便局は今ワンストップサービスで広げつつありますよね、拡大していこうと。でも、これもどんどんどんどん広がるわけじゃありませんよ。それはやはり地方自治体との関係もありますから、行政サービスというものが中心になると、そんなに進むわけありません。しかしそれは、少しでも広げていって住民サービスを向上させようということなんでしょうが。

 あとは、やはり介護拠点の関係だって、これはこれからの時代には社会的な要請としてあるじゃないですか。特に地域の場合は住民サービスとしてこれは要りますよね、必要だと思うんです。とりわけ防災だとかそれから防犯活動の拠点に使っていくということで、恐らくこれは生田総裁だって念頭にあると思いますよ。

 そういうサービスを郵便局の窓口が広げていくということだと、ユニバーサルサービス、ネットワークをそのまま生かしていけるわけですよね。だからこれは非常に重要なわけですよ。そういうことが一つ考えられますよね。

 それから郵貯の分野でいいましても、もちろん、資金がそんなに多いというのはかえって困る場合だってあるわけですよ。これは御承知のとおり、そうじゃないですか。もう規模が大きくなり過ぎてどうにもならぬ。だから、民間銀行、一般の銀行だって、本音は言っていませんけれども、もしこれがどんと民営化されたらおれのところ困るんだというのはありますよ、絶対。これはあります。

 谷垣大臣のところ、財務省にしてみれば、国債を買ってくれるかなという不安がある。もともと国債なんというのは、借金財政だから国債を発行するわけで、国債を多く発行しなきゃいかぬような財政事情をつくったから問題なんで、そこの一番の大もとの原因を財政再建で縮めていくということがなければ、国債はどうしてもついて回るわけですよ。それは、一般銀行であると郵貯であると、一緒じゃないですか。

 だから、民間に行ってしまったら、上から威張って、君、国債を買えと言っていた政府が、民間になったら、済みませんがお願いしますと言わないかぬわけだ。それだけ、民営化すると、何か余分なことまでやらないかぬ。(発言する者あり)いや、そうなんですよ。そういう手を尽くさないと、民間は別に国債を買うためにあるわけじゃありませんから、協力してもらわないかぬわけだ。そうでしょう。財投改革というのが出てくるでしょう。だから、みんな絡むわけですよ。

 だから、そういうものはお互いに知恵を生かしていけば、肥大化した郵貯、簡保も、これはサイズを小さくしていこうというのは、恐らく生田総裁も、頭の中でそういう中期計画も、言うならばこれからの努力としてはあるんじゃなかろうかと私は想像しているわけです。それを四年間の途中でどんとやるものですから、これはパニック状態です。

 それで、よく言われるじゃないですか、ノウハウがないとかと。言うならば資金運用のノウハウがないと。冗談じゃないですよ。そんなこと、今のうちだから言っておれるんですよ。民営化したら幾らでもヘッドハンティングで持ってこれます。その世界ですよ。そうでしょう。中井先生じゃないけれども、投資顧問会社に友達がおられますけれども、百億円稼いだ人がそうですよ。ああいう優秀な人をトレードしたらいいんですよ。スケールメリットがあって、そういう優秀な人材をトレードしたら、幾らでもできます。違いますか。

 それなら、これは、竹中大臣が民営化を強引にやったものだから我々メガバンクは大変苦労するということになりますよ。そういうふうなところへ持ち込んでいくことがあってはいかぬと私は思うんですね。

 それで、郵貯の問題について私は提案をさせてください。

 今、一番国民が困っていますのは、年金改革が進まないものですから、例えば高齢化社会が進行しまして、サラリーマン、これは一頭立てで長年働いてきまして、OBになるでしょう、年金をもらうでしょう。二十二、三万ですよ。二十五万を超えて年金を取れる人はまず少ないです。恵まれた人です。二十二、三万なんです。

 それで、両親をお持ちの場合は、もちろん片親の場合ですが、一人、施設に預けるでしょう。大体、今度介護保険料が上がりましたから、これまで五、六万で預かってくれたのが、食事から何から自分で持つようになりましたから、最低十万まで行きます。(発言する者あり)十三万。十三万かかるそうです。そこまで行くんです。すると、収入がありませんから、年金で払わなきゃいかぬ、あと退職金。退職金はとらの子です。これは、子供の教育だとか、いろいろなことで要りますが、そこはどのように融通して使われるかは別ですけれども、そういう支出が要るんです。

 そうすると、年金待ったなしの改革なんだけれども、なかなかこれは与党さんも話し合いに乗ってこられないし、なかなか進んでおりませんから、これは与野党で早急にやってもらわなきゃいかぬわけですが、それをやったにしても、やはり収入、月収がどうしてもきついんですね。介護保険料をどんどん払い込まなきゃいかぬというので、厳しい家庭が最近はふえてきまして、家庭の貯蓄量が減っているじゃないですか。これはそういう反映なんです。私はそうだと思います。

 そこでお願いしたいのが、リバースモーゲージを、リバースモーゲージは日本はおくれているんです。これは全国で四百件ぐらいあるそうです、聞くところによると。ところが、開店休業状態。まず、信用がなきゃいかぬ。しかもそれは、きちっとノウハウを持っているところは民間にありますが、それをスケールメリットを生かしてやらないと、ネットワークを持っていないとなかなかこれは世話ができない。そういう、言うならばリバースモーゲージをやっていくようなサービス、これはまさしく郵政事業のこれからの大きなヒット商品になるんじゃないか、私はこう思っておるんです。民営化したらできませんからね、それは。それが大事なんです。公社のサービスとしては最適だ、こう思っているわけです。

 こんな提言だって幾つかあるわけですが、余り多くありませんで、これは非常に大事なことだと思いますよ。これをやることによって、つまり、年金や介護やそういう不十分な点を埋めていくことができるわけですよ。これは、竹中大臣なんかはアメリカを中心に詳しいですから、結構実施されているじゃないですか。日本はないんです。実効性がないんです。

 だから、私は提言したいんですが、これは、公社制度のままで改革するんだったら、ぜひともこの問題にメスを入れて成功させていただきたいと生田総裁に心からお願いを申し上げたいと思うんですが、御答弁というか、どんな御意見でしょう、いただきたいと思います。

生田参考人 大変御示唆に富んだ御提言なので、十分勉強させていただきたいと思います。

 公社の一期四年の間は、ちょっと私手元に今ありませんけれども、公社法でもうがんじがらめになっていまして、新しい構造はやりにくくなっているので、それができるのかどうかをまず検討したいと思いますし、四年以降につきましては、これからいろいろなビジネスモデルの検討が始まることと思っておりますので、新しい経営者を中心に真剣に考えることと思います。

 ありがとうございます。

竹中国務大臣 リバースモーゲージそのものに関しまして、私も、これは大変、特に高齢化社会の中で重要な金融手段であると思っております。自分の人生の中で、トータルでいわゆる固定資産を流動化するという意味を持ちますから、これはもうぜひ日本でやってほしいなと。

 御指摘のように、お伺いしているところでは、武蔵野市等々でいろいろな実験があるんだけれども、なかなかまだうまくいっていない。それは、中古のマーケットの話と、やはり不動産価格が下がっている、そういうマクロ的な背景があるからだと思っております。

 それをどのような形で実現していくか。私の知る範囲では、アメリカではそれは民間がきちっとやっておりますので、民営化して、むしろ対等な条件で、そういうことも視野に入れて、まさに住民の利便に資する政策をとっていただければありがたいと思います。

伊藤(忠)委員 最後になりますけれども、すぐ民間民間と言われるので、それは民間でやられるケースもあるでしょうが、このリバースモーゲージというのは相当なスケールメリットがないとできませんよね、体制がないとできない。信用力、これがどうしても大事ですから、私は、公社制度の改革の一環としてこれから検討、着手をしてもらうのがいいだろう、こういう提案でございまして、竹中さんに頼むと言うとすぐ民間と言うから、それは私、どうも意に反しますので、その点を最後にお願いしまして終わりたいと思っておりますが、ちょっと時間が長いですが、その分だけ譲りますので、どうぞよろしく。

 ありがとうございました。

二階委員長 この際、重ねてお願いを申し上げます。

 政府及び参考人の答弁は誠心誠意御答弁されるよう、重ねてのお願いであります。

 なお、質問者及び答弁者の発言中は御静粛にお願いいたします。

 次に、山花郁夫君。

山花委員 民主党・無所属クラブの山花郁夫でございます。

 まず冒頭、今回のこの郵政民営化法案等、内閣が最重要課題だと言っておりますけれども、ほかにも懸案の諸課題が大変ある中でこれが最優先課題だというのは、私は、政策の優先順位として間違っているということをまず冒頭指摘をしたいと思います。

 さて、その上で、今伊藤忠治委員からもるる指摘があった話であります。冒頭、中央省庁等改革基本法三十三条一項六号の話をさせていただきたいと思います。

 三十三条一項六号には、「前各号に掲げる措置により民営化等の見直しは行わないものとすること。」こういう規定がありまして、この中央省庁等改革基本法の法案が審議されておりました平成十年四月二十八日、行政改革に関する特別委員会におきまして、小里総務庁長官は、同条項については、「これはこの形態でいきますよという精神をきちんと明記しております」と答弁をしております。また、続いて、自見当時の郵政大臣は、「民営化等の見直しを行わないものとする」「というふうに、これはもうはっきり法律に明記してあるわけでございますから、民営化の方向を目指すものじゃないというふうに私は思っております。」こういうふうに答弁をしているわけであります。

 つまり、法律案を審議して、この条項の意味はどういうことだということに対して大臣がこういう答弁をしているわけでありますから、今政府からいろいろ説明があるのですけれども、解釈にはいろいろな解釈があり得るのかもしれませんけれども、その上で、いいですか、法案の審議のときにこの条項はこういう意味である、こういうふうに答弁をしているわけであります。法律の解釈が常に全く動かないということを申し上げるつもりはありません。

 例えば、財務大臣いらっしゃいます。本題とは関係ありませんけれども、例えばの話、かつて、パチンコの遊技機に通達で税金がかかるということについて最高裁まで争われたことがありますけれども、それは法令の解釈の範囲内で、当否は別ですけれども、その幅の中でパチンコ遊技機についても課税対象であるという判断をしたときに、解釈が変わるであるとか、そういう、状況に応じて変わるということは否定をするものではありません。

 ただし、この条項の意味はこうであると一回大臣が答弁をして、その範囲内で解釈が変わるならともかく、そうではなくて、今回は民営化をするという法律案を出しているわけですから、まずは、この条項の改正案という形でそれを提案すべきだと思いますけれども、この点について、提案者であります竹中大臣、いかがお考えでしょうか。

竹中国務大臣 山花委員御指摘のとおり、これは法律でございますから、法律の解釈論ということにやはりなるのだと思います。

 法律の解釈には、これは憲法九条でもいろいろな解釈があるわけですから、専門家の間でいろいろあるのだと思いますが、基本的に、内閣の考え方というのは、もう繰り返しませんが、申し上げているとおりでございます。

 今、山花委員は、ちょっと手元に資料はないのでありますが、平成十年の小里当時の総務庁長官の答弁を引用されましたが、平成十年五月七日に、やはり小里大臣が答弁で、公社への移行を確実なものにするためにその前段として郵政事業庁というものがあるわけでございますから、したがいまして、これは民営化を行うものではありません。したがって、同法におきましても三十三条の一項の六号でそれをきちんと記したものであるということでございますというふうに、これは行政改革の担当の大臣として、その解釈を述べていらっしゃいます。

 この解釈というのは、まさに政府の解釈。その政府の解釈は、先ほど官房長官も答弁をさせていただきましたけれども、郵政事業について国営の新たな公社を設立するために必要な措置を講ずる際の方針の一つとして、民営化等の見直しは行わない旨を規定している、この、私たちの今再三申し上げている解釈と同じ趣旨のことを小里当時の大臣がお述べになっているわけでございます。

山花委員 行革担当の大臣ですけれども、今申し上げましたように、まず小里さんが答弁した後、自見郵政大臣がそういう答弁をしているということと、その後にも、もう先ほど指摘もありましたけれども、後の大臣である野田大臣、八代大臣も、将来的に見直しは行われないことだと理解しておりますであるとか、こういう答弁をしているわけでありますから、そうだとすると、今回の法案を提案するに当たって、違う解釈を前提として提案されるということは、これは問題であるのではないか。

 つまり、中身の、中身に賛成するか反対するかは別ですけれども、こういった今回の民営化法案を出すに当たっては、三十三条一項六号の削除ということをあわせて、あるいは、あわせてというか、ぎりぎりあわせてという話です、本来であれば先行して提案をするのが筋であるということであると思いますけれども、もう一度お答えいただきたいと思います。

竹中国務大臣 法案の所管、法案の担当大臣は小里行革担当大臣であったというふうに認識をしております。その小里大臣が、今申し上げたような答弁を五月七日にしておられるわけでございます。その後の野田大臣、八代大臣、お話等々ございましたが、それぞれの御発言は承知をしておりますが、それぞれの立場で、政治家としての御信条といいますか……(山花委員「いや、大臣としてでしょう」と呼ぶ)信条をお話をしたものだというふうに思っております。

山花委員 今の、政治家としてのというのは、どういうことですか、これ。当時、担当大臣として答弁をしているんですよ。(発言する者あり)

 今のがどれだけ問題があるかという話ですけれども、こうやって担当大臣が発言されたことが政治家としての信条だ、そんなことを言ったら、こんな法案なんか審議できるわけないじゃないですか。皆さんの答弁は政治家としての信条なんですか。こんなばかな答弁ないですよ。(発言する者あり)

二階委員長 それでは、竹中国務大臣よりもう一度答弁を願います。竹中国務大臣。

竹中国務大臣 小泉内閣以前に、その当時の郵政大臣は国会でさまざまな御答弁をされておられますが、これらの御答弁は、条文の法制的な解釈について政府の見解として述べたものではないと理解をしているわけでございます。(発言する者あり)

二階委員長 速記をとめて。

    〔速記中止〕

二階委員長 速記を起こしてください。(山花委員「まだだったら、とめてください」と呼ぶ)

 では、ちょっととめてください。

    〔速記中止〕

二階委員長 速記を起こしてください。

 それでは、竹中国務大臣。

竹中国務大臣 それぞれの御発言についてお尋ねでございますが、それぞれの御発言は、郵政大臣の職にある政治家としてお考えをお述べになられたものというふうに考えております。

 条文の法制的な解釈について政府の見解を述べたのは、法案の担当大臣である小里大臣でいらっしゃいまして、その小里行革担当大臣は、公社への移行を確実なものにするためにその前段として郵政事業庁というのがあるわけでございますから、したがいまして、これは民営化を行うものではありません。したがって、同法におきましても三十三条の一項六号できちんとそれを記したものである、こういうことでございますとの答弁をしておられるところでございます。(発言する者あり)

二階委員長 ちょっと速記をとめてください。

    〔速記中止〕

二階委員長 速記を起こしてください。

 暫時休憩して、その間、理事会を開かせていただきます。

    午後二時四十二分休憩

     ――――◇―――――

    午後四時二十分開議

二階委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 この際、竹中国務大臣から発言を求めます。竹中国務大臣。

竹中国務大臣 以前の内閣におけるそれぞれの郵政大臣の国会答弁に関し、政治家としての信条を申し上げた等、私の発言は不適切であり、これを撤回させていただきます。

 中央省庁等改革基本法第三十三条一項六号に係る政府統一見解については、後刻改めて本委員会に提出いたします。

二階委員長 山花郁夫君。

山花委員 この点、三十三条一項の話がまず私は議論のスタートだと思いますので、その統一見解なるものが出されてから、中身、内容についてはしっかりと質疑をしたいと思います。

 ところで、今理事会の方で、竹中大臣は他の委員会で同様の発言をしたというようなことを言われていたやに聞いたんですけれども、どこの委員会で同じような答弁をされたということなんでしょうか。(発言する者あり)

 では、ほかの委員会では同じような発言はされていませんね。

竹中国務大臣 ちょっととっさに言われましたが、記憶をしておりません。

山花委員 今の冒頭の発言に関連してなんですけれども、不適切であったと認められたと思いますけれども、そういたしましても、他の三大臣の今までの答弁についてはお認めになるという理解でよろしいでしょうか。

竹中国務大臣 これは、中央省庁等改革基本法第三十三条一項六号に係る政府統一見解について、後刻改めて本委員会に提出をいたします。

山花委員 統一見解を出されるということなので、それまで中身もこれぐらいにしておきますけれども、例えば、平成十一年三月十二日、これは参議院の委員会の中で、例えば野田国務大臣は、当時の郵政大臣ですけれども、「「民営化等の見直しは行わない」と明記されていますから、必ず将来的に見直しは行われないということだと理解しております。」と。つまり、条文の解釈として発言をしているものと私どもは承知をいたしておりますし、小里当時総務庁長官のことだけ取り上げられるのもいかがなものかと思いますし、また、さらに言いますと、先ほどこちらとして、こちらが指摘をしました第百四十二国会の平成十年四月二十八日の日には、小里国務大臣とあわせて自見国務大臣も答弁されているわけですから、小里さんの言っていることだけが正しいのだというような、後でそういった見解が出てくるとすると、当時、閣内不一致であった、そういう話になりますので、その点、十分留意をして、見解を出していただきたいと思います。

 その上で、先ほど伊藤忠治委員からも要求がありましたけれども、私はやはりこういった当事者の方から意見を伺う必要があるのではないかと改めて感じた次第であります。ぜひ、当時の内閣総理大臣でありました橋本龍太郎議員、そして自見元郵政大臣、野田元郵政大臣、八代元郵政大臣、そして小里元総務庁長官、ぜひ当委員会にお招きをして御意見をいただきたい、このように思います。

 委員長、よろしくお取り計らいをお願いいたします。

二階委員長 後刻、理事会において協議いたします。

 山花郁夫君。

山花委員 それでは、少し話を別のところに持っていきたいと思います。

 先日の衆議院予算委員会で、鈴木郵政行政局長が質疑に立たれております。

 麻生大臣にお尋ねをしたいと思いますけれども、鈴木郵政行政局長につきましては、その予算委員会でこう答弁されています。

 電気通信事業部長の職にあった平成十三年の夏に、利害関係者であるNTTコミュニケーションズの鈴木社長及び青木総務部長と東京大学の赤門前のすし屋で飲食をして、その経費を先方に払っていただきました。さらに、その秋、十三年九月ごろ、今申し上げた二人と麻布十番のフランス風中華料理屋で会食し、その費用の全額を私が負担いたしました。その際、青木総務部長からタクシーチケット十枚程度を受け取り、そのうち三枚程度を使用し、残りは廃棄いたしました。こういう答弁をされていますけれども、総務大臣、任命する際にこういった事情については御存じだったんでしょうか。

麻生国務大臣 この郵政行政局長に対する今のお申し出ですけれども、その当時、私が知っておったかというと、私自身が知っておったわけではありません。

 ただ、今、その先のお答えに多分なるんだと思うんですが、少なくとも郵政行政を担当する局長という立場にいる者がいわゆる国家公務員倫理法というものに違反しているという疑いが生じているということは、これは甚だ遺憾なことだ、私自身はそう思っておりますので、今、国家公務員倫理法というものに照らして、これは厳正に処分を行わなければならぬということになろうと思っております。本人が既に申し出をいたしておりますので、国家公務員倫理法に従いまして、倫理審査会の方に既に報告を行っております。

 そして、本人も十分反省しております上に、相手が大学時代の同級生だったということもありましたので、この問題にはきちんとけりをつけにゃいかぬということで、ほかにもないのか等々いろいろ聞いた上で、郵政民営化という非常に大きな問題を担当することになったので、きちんとその後、対処するようにということを申しつけております。

山花委員 今、総務大臣から、ほかにもないのかというような話が、話というか発言がございましたけれども、鈴木行政局長にお伺いいたしますけれども、六月二日の予算委員会での発言については、これは間違いありませんね。また、ほかにはこういったケースはありませんね。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 過日、予算委員会で申し上げたのはそのとおりでございます。

 また、NTTコミュニケーションズ以外からタクシーチケットをいただいたこともございません。

山花委員 間違いないということですけれども、この相手方、本人がいないところで言うのも相手方にはちょっと失礼かもしれませんが、青木総務部長と発言されていますけれども、これは十三年夏のときの話ということで間違いないですか。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 平成十三年の夏に青木君と食事をいたしました。

山花委員 何か今、青木君という言い方をされましたけれども、肩書は当時、総務部長と六月二日に言っていますけれども、そういう肩書の方でしたか。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 総務部長であったと記憶いたしております。

山花委員 普通、余りそういう席での、会った相手方の肩書は間違わないと思うんですけれども。青木さんという方なんですが、総務部長になられたのは平成十四年六月のことなんですけれども、十三年にこういうことがあったとおっしゃっていますけれども、十三年の時点では違う肩書ですね。十四年六月に総務部長になって、十六年六月に異動しています。

 最近の話なんじゃないですか。本当に十三年なんですか。

鈴木政府参考人 私自身の記憶では、青木さんは総務部長だったと記憶いたしております。

山花委員 これは、肩書とかについてはこちらも確認をしておりますので、客観的事実とは違っていると思います。

 麻生大臣、監督者としてこの点も改めて答弁を求めたいと思いますけれども、どう見ても、どう見てもというか、私が確認している限り、相手方の、平成十三年当時はこの青木さんという方は総務部長ではないんですよ。これはNTTにちゃんと確認をとって聞いています。十四年からということなので、そうだとすると、主観的に、うそをつこうとしてつかれているのか、いや、単なる記憶違いなのかわかりませんけれども、ただ、少なくとも客観的事実とは違った答弁をされているのは恐らく間違いない話です。きっちりと総務相としても、監督者としても調査をしていただきたい。いかがでしょうか。

麻生国務大臣 十三年だったか十四年だったか、もしくは総務部長だったかそれ以前だったか、詳しく調べて御報告申し上げます。(発言する者あり)

山花委員 今、場内からも大違いだという指摘がありますけれども、私も大きな違いが起こり得る話だと思います。

 つまりは、十四年から十六年の間まで総務部長の方であったとすると、その肩書の方と会食したというのは、そんな十三年なんという昔じゃなくて、比較的最近までという話になりますから、この点は非常に重要な事実であると思いますので、くどいようですけれども、指摘をしておきたいと思うんです。

 さて、郵政公社生田総裁、お越しいただいていますので、ちょっと……(発言する者あり)

 では、大臣、速やかに調べていただきたいと思いますけれども、あしたというのは無理だと思いますけれども、どれぐらいの……(発言する者あり)では、麻生大臣、改めて、済みません、調べていただきたいと思います。どれぐらいのスパンで調べていただけるのか、御答弁いただきたいと思います。

麻生国務大臣 相手のあることではありますけれども、速やかに調査いたします。

山花委員 それでは、郵政公社の方にお尋ねをいたします。

 通告をしていた話とは違うんですけれども、きょう、決算の御報告が冒頭生田総裁からございました。その「第二期 日本郵政公社決算の概要」というものの十六ページ、「キャッシュ・フロー計算書」のところなんですけれども、これは数字がちょっと違うのではないかという話が今あったんです。平成十五年度の「1 営業活動によるキャッシュ・フロー」の一番下のところ、「営業活動によるキャッシュ・フロー」、白三角がついて一二八・八五四となっていますね。2の「投資活動によるキャッシュ・フロー」の一番下のところ、九二・五〇八ですから、これはプラスという話でしょう。「3 財務活動によるキャッシュ・フロー」、このところが白三角で六・二五八、六千二百五十八億円。これを全部合算すると、5の「現金及び現金同等物の減少額」、これになるはずなんですけれども、四・二〇〇、四千二百億円になっていますけれども、これは足し算すると白三角の四兆二千六百億円になるのではないか。

 そういたしますと、これは十五年と十六年の増減でやっていますから、この分、増減のところの5の項目です。白三角で一八二五、千八百二十五億円とありますけれども、これはけたが違いまして、三兆六千五百七十四億円ではないか。こういうことなんですけれども、これは随分、ちょっとどうでしょう。国会に提出している資料で、これは誤りがあるのではないかという疑いがあるんですけれども、いかがでしょうか。

生田参考人 お答えします。

 今御指摘を受けまして、私も初めて詳しく視界に入ったところでございますけれども、これは去年、この三月期じゃなくて去年の三月ですね。会計監査人の承認といいますか精査も受けている数字なので、そういう大きな間違いはないんじゃないかと思いたいんですけれども、御指摘のとおりなので、一遍持ち帰りまして精査させていただいて、御報告させていただきたいと思います。(発言する者あり)

二階委員長 速記をとめて。

    〔速記中止〕

二階委員長 速記を起こしてください。

 質問を続行してください。山花郁夫君。

山花委員 本日配られているペーパーの方は数字が合っているということなんですけれども、事前に私どもがヒアリングを受けたときのは、先ほど指摘をさせていただいた数字だったので、まず一つは、何でこういう違いが出てきてしまったのか、あるいは、訂正があるのであれば、事前にやはり言っていただきたかったと思うんです。きょう質問をするのは、この場でいろいろなことが起こることもありますけれども、あらかじめやはり調べてから来るわけですから、それはちゃんとしていただきたい。そのことと、六月中にこの決算については監査法人に見てもらうということなんですけれども、その資料は、きょういただいているものなのか、あるいはもう既に依頼をしているのか、そういったことについて、あすの理事会までにしっかりと報告をしていただきたいと思います。

 そのことを指摘いたしまして、委員長、よろしいでしょうか、今の扱いについてお取り計らいお願いいたします。

二階委員長 理事会において協議し、明日、郵政公社より報告を受けることにしたいと思います。

山花委員 終わります。

二階委員長 山花郁夫君の残余の質疑及び中村哲治君の質疑につきましては、後日、行うことといたします。

 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 郵政事業を民営化することが果たして必要なのか、私は、経営の将来見通しという観点からただしたいと思います。

 まず、公社総裁にお聞きしますけれども、公社のままでは今後十年、二十年で行き詰まるという考えなのか、それとも、公社でも十分発展が可能と考えているのか。まず、その点をお聞かせいただきたい。

生田参考人 お答えいたします。

 今、公社経営をお預かりしておりましてやっていることは、三事業、おのおの大きな問題を抱えているんですね。例えば郵便なら、毎年収入が減るというようなことを抱えているんですが、公社法のフレームワーク、枠内で、プラス社会的規範といいますか、多少でも新しいことをしようと思いますと、民業圧迫という合唱がすぐ起こるんですけれども、本当のところは競争排除という内容の方が多いんですけれども、なかなか新しいビジネスモデルもとれないということで、限界があります。ただし、限界までの幅でまだまだ改善すべきことがたくさんあるものですから、今その法的な枠組みと社会的な規範の、天井につかない範囲で一生懸命努力して業績を改善している、こういう過程であります。

 だけれども、その幅というのは余り広くないんですね。例えば、郵便でいえば、海外との取引、投資等が行えないとか、国内でも相対取引が行えないというようなことで、大変先行きが苦しい。それから貯金の、郵貯の場合は、特に運用の面におきまして、なかなか民間の金融機関のような運用はできない仕組みになっておりますので、どうしても対資産利益率が悪い。簡保の場合は、持っている商品というものが貯蓄性が多いものですから、なかなか第三セクターに本格的にはできないので先細りになるというふうなことで、五年、十年でだめになるのかという御質問に対しては、これはやりようで経営というものはある程度はできると思いますが、民営化して、少なくともビジネスモデル、民営化しなくてもいいんですよ、ビジネスモデルを大きく開放していただいて経営の自由度を増していただければ、よりよく健全になり得るということであります。

佐々木(憲)委員 そもそも民営化しなくてもできるということで公社はスタートしたはずであります。

 六月三日の当委員会の質疑の中で、小泉総理はこう述べています。郵政公社はこのままでいくと立ち行かなくなる、早い時期に民営化すべきだ、民営化しても利益を出せるような会社として国民の要望にこたえるような形にぜひともしていきたい。

 竹中大臣にお聞きしますが、ということは、郵政事業は、公社を続けるよりも民営化した方が利益が出るということでしょうか。

竹中国務大臣 私どもが考えておりますのは、公社であるがゆえの、つまり国の機関であるがゆえの幾つかの制約がある。その制約を外して経営の自由度を拡大していただいて、もちろんそのときに民間とのイコールフッティングは大事でありますけれども、その自由度を持っていただくことによって、いろいろなビジネスの可能性が広がる。そうしたことをしていただくことによって、今総裁、先細りというお言葉も使われましたけれども、そういうものを克服してしっかりとした持続可能な経営基盤をつくっていっていただける、そのように考えているわけでございます。

佐々木(憲)委員 私が聞いたのは、民営化した方が利益が出るのかと聞いたわけですけれども。

 具体的に聞きましょう。竹中大臣は、五月三十一日の当委員会の答弁でこう言っているんですね。「長短のスプレッドが今一・三%ぐらいで今の収益を生んでいるというふうに承知をしております。過去の平均が一%ぐらいでございました。この一・三%の長短スプレッドが仮に一%になったと仮定しますと、実はそれだけでほとんど公社の収支がとんとん、今は利益を出しておりますけれども、とんとんになってしまう。そういうやはり厳しい金融環境の中にあるというふうに認識しなければいけないと思います。」竹中大臣は、公社の郵貯事業の収益は、長短スプレッド一%という厳しい金融環境になれば収支がとんとんになると言ったわけですね。

 そこで、改めて聞きたいんですが、民営化された郵貯銀行の場合には、この公社よりも利益が確実に出ると言えるんでしょうか。

竹中国務大臣 先ほど申し上げたことと重なるかもしれませんが、例えば、スプレッドが今縮小した場合という例を御紹介くださいましたが、そうした場合には、資産の運用の範囲を広げることができる。これは、公社の場合は安全資産に限定されるわけですけれども、信用リスクを、ビジネスに進出してしっかりとしたスプレッドを稼ぐという可能性が広がるわけでございますから、これはもちろん経営をしっかりしていただくということが大前提でありますけれども、そういった問題に対処して、新たな利益機会をつくっていくことができる。同様に、今、金融の例ですけれども、金融以外についても幾つかの可能性がある。そういう可能性について、私たちは、骨格経営試算を補強する収益の試算として御提示をしているところであります。

佐々木(憲)委員 新規事業でもうけが出る可能性があると。しかし、新規事業でもうけが出ない可能性もあるわけです。

 新規事業というのは、これからゼロから出発していろいろなことをやっていかなければならぬ。しかし、それはやってみなければわからない世界の話ですから。今おっしゃった、竹中大臣、骨格経営試算、これでまず比較すべきだと思います。

 民営化された郵貯銀行、それと公社の収益を比較してみたいと思うんですが、まず確かめたいのは、長短スプレッドが一%の場合、骨格経営試算における郵便貯金銀行の二〇一六年の利益試算、これはどうなっていますか。

竹中国務大臣 骨格経営試算ですから、新規のことをやらない、そういう場合でよろしいわけですね。(佐々木(憲)委員「はい」と呼ぶ)

 これにつきましては、税引き前の当期利益が、二〇一六年度でございますけれども、二〇一五年度のプラス二百億円から二〇一六年度にマイナス六百億円になるということでございます。

佐々木(憲)委員 赤字になるんじゃありませんか。しかも、巨額の赤字ですね。金融サービスを郵便局で保証するためにつくられた地域貢献基金からの投入額は百二十億円、その五倍の赤字が出る。

 では、郵政公社が続いた場合についてお聞きをしたい。二〇一六年度の収益は、スプレッド一%の場合、公社が続いた場合はどうなりますか。

竹中国務大臣 公社が続いた場合は、民営化される場合に比べまして、これは、租税を払わない、そして預金保険料を払わないということになりますから、その租税が上乗せされ、そして預金保険料が上乗せされた形になりますので、単純にそれを計算いたしますと、千三百八十三億円という数字が出てまいります。

 ただし、この千三百八十三億円は、民営化の場合だったら払っていた租税八百四十八億円、預金保険料千百三十五億円を払わない場合ということでありますので、その分の利益が上乗せされて出ているということになるわけでございます。

佐々木(憲)委員 つまり、民営化された場合には六百億円の赤字になる、民営化されずに公社のまま続いた場合には千三百八十三億円の黒字になる。それは、民営化したら、預金保険料を払うあるいは消費税を払う、余分な負担がかかるわけですよ。だから赤字になるんですよ。だから、結局、公社の場合、この利益の半分が国庫納付金になったとしても、公社の方が利益が多いんです。どう試算しても公社の方が利益が多くて、経営が安定するんじゃありませんか。民営化した場合には赤字になる、公社の場合は黒字になる、これが骨格経営試算の結果じゃありませんか。

 どうなんですか、これは。今まで言っていることと全然逆の結果が出るんじゃありませんか。

竹中国務大臣 それは、税金を払わなければその分恵まれた状況になりますから、それは、とりもなおさず、公社の形態では民間企業の場合に比べてイコールフッティングが確保されていないということをそのまま佐々木委員はおっしゃっておられるわけです。そういう計算をしますと、これは、むしろその分民間に比べてそれだけ公社は恵まれているということを意味してしまうのだと思います。

 現実に何が起こり得るかといいますと、民営化することによりまして、さらに新しい、新規のビジネスが可能になるわけでありますから、その可能性については、私たちはかなりしっかりと幾つかの可能性を示しております。そういうものが、つまり、公社から民営化されて、それで何もしなければこうなるということとは、これはやはり意味が違うわけでございます。

佐々木(憲)委員 それは勝手な言い方で、これから新しい事業をやるという場合は、新しい投資が必要です、あるいはノウハウが必要です、人材が必要です、今何もないんですから。それをやろうというときには、当然初期投資に膨大な費用がかかる。しかも、税金は払わなきゃならぬ、預金保険料も払わなきゃならぬ。赤字になるのは当たり前じゃないですか。新規事業をやったって赤字ですよ、これは。

 だから、結局、一番ベースになるところを今比較して聞いているわけです、一番ベースになるところを。公社のままですと、納付金を納付しても六百九十二億円の黒字です。郵貯銀行は、六百億円の赤字、法人税も払えない。こんな状況になるんじゃありませんか。

 竹中大臣は、きょうの午前中の答弁で、骨格経営試算というのは経営が成り立ち得るかどうかを示すために出した。結果的に、郵貯銀行は成り立たない、二〇一六年には六百億円の赤字になります。はっきりと自分で成り立たないということを証明しているんじゃありませんか。

 六百億円の赤字が出る。結局、何でそんな赤字にして、成り立たないような民営化をやるんですか。新規事業で利益を出すといっても、成功する保証は全然ない。失敗すれば、ベースが赤字なんだから、ますます傷が広がって、例えば郵便局会社に手数料を払うといっても、その手数料を払えない、削減する。郵便局はどうなりますか。ばたばたつぶれる。ユニバーサルサービスどころじゃありませんよ。銀行とアメリカの投資銀行、投資会社の食い物になる。まあ、いわばハゲタカの食い物にするためにわざわざ民営化して経営困難に陥れて、国民のサービスなんというのは、向上どころじゃない、全部ずたずたにしてめちゃくちゃにするということ。あなた方の骨格経営試算の中からそういう結論しか出てこないじゃないですか。

 何のための民営化かということは、今、竹中さんの答弁そのものをつなげただけでももう明確なんですよ。破綻は明白だ。そんなやり方で民営化するというのは絶対に反対。公社のままで改革を進める、これが最も正しいやり方だということを強調して、きょうの質問は終わりたいと思います。

二階委員長 次回は、明七日火曜日午前八時四十五分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時五十七分散会


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