衆議院

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第13号 平成17年6月13日(月曜日)

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平成十七年六月十三日(月曜日)

    午前十時一分開議

 出席委員

   委員長 二階 俊博君

   理事 石破  茂君 理事 松岡 利勝君

   理事 柳澤 伯夫君 理事 山崎  拓君

   理事 中井  洽君 理事 原口 一博君

   理事 松野 頼久君 理事 桝屋 敬悟君

      今村 雅弘君    大前 繁雄君

      城内  実君    北川 知克君

      小泉 龍司君    小杉  隆君

      小西  理君    左藤  章君

      佐藤  勉君    柴山 昌彦君

      園田 博之君    竹本 直一君

      萩生田光一君    馳   浩君

      早川 忠孝君    原田 令嗣君

      保坂  武君    松本  純君

      御法川信英君    宮下 一郎君

      森  英介君    山口 泰明君

      五十嵐文彦君    伊藤 忠治君

      一川 保夫君    岩國 哲人君

      小沢 鋭仁君    大出  彰君

      川内 博史君    古賀 一成君

      辻   惠君    中塚 一宏君

      中村 哲治君    西村智奈美君

      古本伸一郎君    馬淵 澄夫君

      山花 郁夫君    石井 啓一君

      谷口 隆義君    佐々木憲昭君

      塩川 鉄也君    東門美津子君

      横光 克彦君

    …………………………………

   総務大臣         麻生 太郎君

   財務大臣         谷垣 禎一君

   国土交通大臣       北側 一雄君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     細田 博之君

   国務大臣

   (金融担当)       伊藤 達也君

   国務大臣

   (経済財政政策担当)

   (郵政民営化担当)    竹中 平蔵君

   内閣府副大臣       七条  明君

   内閣府副大臣       西川 公也君

   内閣府大臣政務官     木村  勉君

   総務大臣政務官      松本  純君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    阪田 雅裕君

   会計検査院長       森下 伸昭君

   政府参考人

   (内閣官房郵政民営化準備室長)          渡辺 好明君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  中城 吉郎君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  竹内  洋君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  細見  真君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  伊東 敏朗君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  篠田 政利君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  齋藤  敦君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房参事官) 山本 茂樹君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房政府広報室長)          林  幹雄君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           久保 信保君

   政府参考人

   (総務省郵政行政局長)  鈴木 康雄君

   政府参考人

   (経済産業省製造産業局長)            石毛 博行君

   参考人

   (日本郵政公社総裁)   生田 正治君

   衆議院調査局郵政民営化に関する特別調査室長    石田 俊彦君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月十三日

 辞任         補欠選任

  井上 信治君     御法川信英君

  江藤  拓君     萩生田光一君

  大野 松茂君     早川 忠孝君

  左藤  章君     竹本 直一君

  桜井 郁三君     森  英介君

  園田 博之君     原田 令嗣君

  馳   浩君     保坂  武君

  古本伸一郎君     辻   惠君

  塩川 鉄也君     佐々木憲昭君

  横光 克彦君     東門美津子君

同日

 辞任         補欠選任

  竹本 直一君     佐藤  勉君

  萩生田光一君     江藤  拓君

  早川 忠孝君     大野 松茂君

  原田 令嗣君     園田 博之君

  保坂  武君     馳   浩君

  御法川信英君     井上 信治君

  森  英介君     桜井 郁三君

  辻   惠君     古本伸一郎君

  佐々木憲昭君     塩川 鉄也君

  東門美津子君     横光 克彦君

同日

 辞任         補欠選任

  佐藤  勉君     左藤  章君

    ―――――――――――――

六月十三日

 郵政民営化反対に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二五一〇号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二五一一号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二五一二号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二五一三号)

 同(筒井信隆君紹介)(第二五一四号)

 同(徳田虎雄君紹介)(第二五一五号)

 同(山口富男君紹介)(第二五一六号)

 同(吉井英勝君紹介)(第二五一七号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 郵政民営化法案(内閣提出第八四号)

 日本郵政株式会社法案(内閣提出第八五号)

 郵便事業株式会社法案(内閣提出第八六号)

 郵便局株式会社法案(内閣提出第八七号)

 独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構法案(内閣提出第八八号)

 郵政民営化法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出第八九号)


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     ――――◇―――――

二階委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、郵政民営化法案、日本郵政株式会社法案、郵便事業株式会社法案、郵便局株式会社法案、独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構法案及び郵政民営化法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の各案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、参考人として日本郵政公社総裁生田正治君の出席を求め、意見を聴取し、政府参考人として内閣官房郵政民営化準備室長渡辺好明君、内閣官房内閣審議官中城吉郎君、内閣官房内閣審議官竹内洋君、内閣官房内閣審議官細見真君、内閣官房内閣審議官伊東敏朗君、内閣官房内閣審議官篠田政利君及び総務省郵政行政局長鈴木康雄君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

二階委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

二階委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。竹本直一君。

竹本委員 おはようございます。衆議院議員の竹本直一でございます。

 郵政特で質問させていただくのは私は初めてでございますが、この問題、小泉総理が改革の本丸と位置づけておられる最重要課題であることは間違いないというふうに思います。特に、先般の選挙のときには、国民に対して民営化を図るという趣旨の意思伝達をやっておられるわけでありますから、それは決して軽いことではないと思います。

 ただ、国民がそのことをどこまで理解しているかということになりますと、なかなか、いろいろ意見があるようでありますし、私の周辺でも、私の母親は一人で暮らしておりますが、九十五歳なんですけれども、何で郵便局をなくすんや、寂しい、こういうふうにはっきりと言います。ただ、私の同級生とかは、この間もちょっと集まったんですが、やはり八割ぐらいは、郵政民営化はやったらいいんだ、あんなもの民間でできるじゃないか、こういうふうに言うわけであります。ですから、世代によっても違うと思いますし、また理解の程度によってもその必要性ということについてはいろいろな異なる結論が出ているのが現状だろうと思います。

 ですから、国民に対してきっちりとした理解を徹底した努力によって達成する必要があると思いますが、この問題について陣頭指揮をとっておられます竹中大臣に、郵政民営化の必要性と目的について、まず冒頭御説明をお願いしたいと思います。

竹中国務大臣 竹本委員御指摘のように、これだけの大改革でございますから、その必要性と目的について、本当に誠心誠意、国民の皆さんに御説明をする必要があると思っております。

 郵政の民営化は、これはやはり民間にできることは民間にという方針のもとで、郵政事業の四つの機能を市場原理のもとでそれぞれ新たな四つの会社として自立した存在とすることによりまして国民にしっかりとしたメリットをもたらすということ、これが大変重要であると思います。

 メリットを申し上げますと、第一に、国の関与をできるだけ控えまして、民間企業と同一の条件で自由な経営を可能にすることによって、その結果、質の高い多様なサービスが提供されるということ、これがやはり第一の点だと思います。

 第二には、郵便局を通じて国民から集められた約三百四十兆という膨大な資金があるわけでございますから、これを官から民に流す道を開いていく、これが第二のポイントだと思います。

 そして第三には、約四十万人の公社の職員が民間人になるとともに、従来免除されていました税金が支払われること等によりまして財政の再建にも貢献するなど、小さな政府の実現に資する、こうしたメリットがある。このメリットを引き出して、構造改革を一層前進させて、国民に大きな利益をもたらすものであるというふうに思っております。

 言うまでもございませんが、これはやはり、民間でできることは民間でというのは、経済の活性化を図る上で極めて重要な、いわば市場経済社会の根本的な原理であると思います。小泉内閣が推進します構造改革の大原則であるという言い方もできようかと思います。郵政事業につきましては、郵便、郵貯、簡保、いずれの分野も、民間企業が自由な経営のもとで同様のサービスを提供しております。公務員でなければできない事業ということではなく、民間による運営が十分可能であるというふうに考えているわけでございます。

 また、これは郵政という企業体から見ましても、郵便事業の状況を見ますと、Eメールを初めとしますその他の通信手段の発達によりまして、郵便物数が毎年二%から二・五%減少する、そして今後さらにその減少が加速する懸念もあるということだと思います。貯金、それと保険につきましても、残高等の減少傾向が顕著となっているところでございます。このような状況に対応し、将来にわたって健全な事業経営を維持していくためにも、市場経済の中で民間の活力による自由な経営を実現していくことがやはり非常に重要であるというふうに考えているところでございます。

竹本委員 竹中大臣がおっしゃいましたように、民でできることは民でというのは本当に基本であろうと思いますが、民でできないことはやはり官でやらなきゃいけない、そのように思うわけであります。

 そういう意味において、この郵政問題、よくよく調べてみますと、問題の大きさというか、これが特に経済に及ぼす影響の甚大さという意味において、本当に真剣に考えなきゃならない問題だと思っております。

 なぜそういうことを申し上げるかといいますと、非常に、偶然といえば偶然な感じがするわけですけれども、ボリュームの大きさですね。郵貯が、年によって少し変わるわけですけれども、二百二十七兆円の預金量を持っておりますが、これが日本の四大メガバンクとほぼ同じであります。みずほ、三井住友、東京三菱、UFJ、これは二年前のデータですけれども、二百二十八兆円。郵貯が二百二十七兆円。一兆円違うだけ。全く同じですね。それからもう一つ、簡易保険のベースで見ましても、四大生保、日生、第一生命、明治安田、住友生命、この四つで百二十一兆円であります。これと簡易保険がまたよく似て百二十二兆円と、ほぼ全く同じなんです。

 ですから、日本の経済を動かしているあらゆる経済活動の中の半分を郵貯という、郵政公社が担っている、こういうのが現実なんですね。私は、そこまでの理解が必ずしも国民の皆様にいっていないのではないかなというような気がいたします。ですから、この同じ大きさの経済母体を完全に民営化してしまうと、恐らく経済は大きく変わるんじゃないかな、そのようなことを思うわけでありまして、そういった意味で質問をいたしたいわけでございます。

 きょうは財務大臣おられませんけれども、できれば竹中大臣にお答えいただきたいんですが、日本の財政構造を見ますと、言うまでもなく、二〇〇四年で七百十九兆円の借金があります。そして、これだけの借金をしている国というのはそんなにないわけでありまして、大体、金融危機は、小泉内閣の対応によって不良債権処理が半減しました。実にある意味では見事なものでありますけれども、もう一つは、金融危機の後には財政危機が来るというのが大体定説なんですね。

 ですから、では日本に財政危機が来るのかという目で見ますと、今、国の借金、先ほど言いました七百十九兆円というのはGDPの一五一%に相当するわけでありまして、もうちょっといったら二〇〇%であります。二〇〇%を超すと債務の返済は不可能というふうに定説では言われておるわけでありますが、アルゼンチンの政府の破綻を言うまでもなく、これだけの借金を抱えた体質をこれからどう運営していくのかというのは、これは政府のみならず我々国民にとっても大変な心配事であるわけであります。

 そういう中で、もう一つ特徴的なのは、その借金をどこが担っているかということなんです。それがこの郵貯で大変担っているわけです。

 実は、日本は百五十一兆円も国債に依存しているわけですが、その依存の度合いが、ほとんど国内に依存している。日本の場合は海外に依存しているのは三・二%ぐらいしかない、こういうことでありまして、アメリカは海外に三三・九%、イギリスが一二・二%、ドイツが四〇・四%という数字が出ております。これから見ましても、アメリカの十分の一ほどしか海外に依存していない。国内に大変依存しておりますけれども、その依存の大半はこの郵貯でお願いをしておる、こういうことであります。

 ですから、これがもし民営化されますと、経営の自由度が与えられるわけでありますから、必ずしも国債を買わなくてもいい。株を買うかもしれない、あるいは融資に回すかもしれない、こういうふうになってきますと、日本の政府は、その借りなきゃならない国債を一体どこで消化するのか、こういうことになるわけであります。

 せんだって、自民党の合同部会でも私は竹中大臣に御質問したんですけれども、個人国債でお願いするという趣旨の御答弁をいただきました。それも一つの対応だろうと思いますけれども、果たしてそれできっちりとしたこれだけのボリュームをこなすことができるだろうかということが実は心配なんであります。

 聞くところによりますと、ことしの一月だったと思いますけれども、財務省の財務官がロンドン、ニューヨークに出かけていきまして、そして現地で説明会を開きました。日本の国債をもっと買ってくれ、こういう話でありましたけれども、御承知のとおり国債金利が一・二三ぐらいと非常に低いわけでございます。外国の国債は非常に金利が高い、したがって、投資商品としては魅力はないということで、余り深い関心が寄せられなかったという報告を聞いております。

 そうなりますと、この国債をだれに、魅力ある金融商品としてどのようにして売り込むことができるのか。もし売り込むことができなければ、借金の当てがないわけですから、国としては大変困るわけであります。

 そういう意味におきまして、どのようなことを考えておられるのか、やはりここが一番心配でありまして、その心配がなくなれば私はこの郵政民営化は非常にいいなというふうに思うわけでありますが、そこの心配をどのような解決策を持っておられるのか、できたら竹中大臣からもう一度お聞きいたしたいと思います。

竹中国務大臣 財務大臣に本来お答えいただくべきところもあろうかと思いますが、私がお答えできる範囲でぜひ、大変重要な問題提起だと思っております。

 まず、やはり二つのことをしっかり同時に考えていかなければいけないということであろうかと思います。

 まず、何といいましても、マクロ経済的に考えて、この財政の赤字をしっかりとコントロールしていく、これがやはりベースとして大変重要であろうかと思います。この点につきましては、二〇一〇年代の初頭に基礎的財政収支を回復する、プライマリーバランスを回復する、その方向に向けて、今着実に財政の赤字が減り始めた段階でございます。これは、政府としては「改革と展望」で示しておりますように、二〇一〇年代の初頭にプライマリーバランスを回復するというマクロの枠組みをぜひしっかりと実現していくことが、何といってもバックグラウンドとして不可欠なことであると思っております。

 それに関連をいたしますけれども、公的な部分の資金の調達というのは、国債のみならず、財投債、財投機関債等々もございます。そういった意味では、いわゆる広い意味での財投改革、政府系金融機関の規模の縮小につきましては、それを目指してやっていくということを既に方針として経済財政諮問会議で決定をして、その具体的なあり方についても議論を始めておりますけれども、それを同時にやっていって、国債のみならず財投債、財投機関債を含めた公的な資金調達そのものが肥大化しないように抑制していく全体の改革、やはりそれも必要になってくると思います。

 郵政の改革との、今回の郵政民営化等との関連で申し上げますと、幾つかの仕組みを今回つくりまして、国債の市場に対するショックを和らげる、そのような手だてをしっかりととらせていただいたつもりでございます。

 竹本委員御指摘のように、平成十七年三月末現在、公社は郵便貯金の資金及び簡易保険資金で合計約百六十兆円の国債を保有しておりますけれども、民営化によってこれまでの投資行動が急激に変化して国債市場が混乱するのではないかという懸念に対しては、この法案において幾つかの手当てをしております。

 まず第一に、民営化前に契約されました旧契約、政府保証つきの旧契約の郵貯、簡保につきましては、新会社、これは銀行の会社、保険の会社において新契約分と一括して運用することとしておりますので、このため、この新会社は民営化前と同様の資産負債管理手法を用いることが可能でございます。民営化を機に投資行動が一変するというようなことは避けられるということでございます。

 また、民営化の当初は旧契約分が新会社の運用資産の大部分を占めることになりますが、この旧契約は引き続き国債等の安全資産に運用することとしております。これによって、極端な資産構成の変化が生じにくいということになります。

 さらに申し上げますと、今度は、新契約分に係る貸し付け等の新たな業務については、移行期の当初は今の公社と同じ業務範囲からスタートしまして、段階的に業務範囲を拡大するということとしておりまして、旧契約分の逓減、旧契約分はだんだん減ってくるわけでございますが、その逓減に伴い新契約分の規模が大きくなっていっても、その運用対象は徐々に広がっていくという形になろうかと思います。

 また、移行期間中につきましては、旧契約を管理する独立行政法人の郵貯、簡保の管理機構、いわゆる承継法人でございますね、承継法人が新会社からその資産運用の見通しについての報告を受けまして、その内容を公表することとしております。これによりまして、市場に対する継続的な情報提供が確保されるというふうに考えておるところでございます。

 冒頭で申し上げました、マクロ的な枠組みとしまして公的部分の資金需要をしっかりと抑制していくこと、そして同時に、この民営化におきましても、ショックを和らげるような幾つかの措置をとること、そういうことを組み合わせることが大変重要であると思っているところでございます。

竹本委員 要は、二〇一七年までの移行期間の間は安全運転をやる、こういうことで急激な変化はないということでございますが、十年後に、二〇一七年を迎えた時点で、いわゆる郵貯の国債引き受けに頼らなくても市場で完全に消化できるというような体質に日本が果たしてなっているのかどうかということを、なっているかもしれないけれども、私は、なおちょっと危惧するわけであります。

 ことしは、終戦から六十年の年であります。言うまでもなく、日本は大変な経済大国として世界の雄たる存在でありますが、あのゼロの状態から今日を築き上げた日本の国民の努力というのは大変なものであったわけでございますが、それには、成功するにはそれなりの仕組みが必要であった。その仕組みが、やはり郵貯に預金を集めて、そしてそれを財投で預託をし、そして必要な産業の振興あるいはインフラの整備等に使ってまいりました。

 今、六十年たって、いろいろむだも見られるということでもありますし、ほぼ整備されたところも多々ある、だから、そういったところにむだをしないで、より有効に、民でやれることは民でやろうということで今回の改革につながっているわけでありますけれども、本当にその歴史的役割を全部終えたかどうかとなると、私は、全部は終わっていないんではないかと。やはり必要に応じて、今までの財投経由でそういったことをやることもまた必要なのではないかというふうに思います。他方、預託以外に、国債の引き受けということは日本の政府を支えてきた大変な原動力であったのも事実だろうと思います。

 そういう意味におきまして、ここで、十年の猶予期間はあるといたしましても、本当に日本がそういう体質の経済に転換できるかということになると、なかなか、絶対大丈夫と言い切れないような気が私はするわけであります。

 日本の戦後の発展を、世界各国は驚異の目で見てまいりました。その一つの理由は、戦後、日本を復興するために、平和憲法を制定し、経済に注力をし、国民の幸せ、生活の豊かさを実現することに誠心誠意努力した政治の構造、そういう意味では、それを支えた自由民主党もそれなりの功績は当然認められるべきだと私は思っております。そういうことでありますので、急激な変化はともかくといたしまして、やはり、なお残る、政治の仕組みによる日本発展の原動力ということは忘れてはならないのではないかなというふうに思うわけであります。

 市場でどのように国債を消化するかということを考えますと、仮に日本の国債が、先ほど申し上げましたように市場でなかなかさばき切れない、そうなりますと、金利を上げなきゃしようがない。国債の金利が上がりますと、当然、長期金利が上がるわけでありますから、我々庶民の生活に一番直結する住宅融資の金利も大きく上がるわけでありまして、景気がなお十分に回復していない現状においてそういったことがもし起これば、大変な心配であります。それだけに、この国債の問題については非常に慎重な運転をぜひお願いいたしたいというふうに思います。心配はないと言われますけれども、なお心配するのが私の見方であります。

 こういうことを私は考えておりますが、国際経済に強い竹中大臣、本当に国債の消化ということは、今すぐとは私言いませんけれども、十年後を見通せば大丈夫だという見通しがつくかどうか、一言でちょっとお伺いしたいと思います。

竹中国務大臣 今前半で竹本委員が御指摘になられましたように、日本の経済発展の中で、結果的には公的なお金がそれなりの重要な役割を果たしてきたということは御指摘のとおりであろうかと思います。

 財政投融資、財投に相当するものは、これはどこの国にも存在しているというふうに認識をしておりますが、その中で、日本の場合、それが果たしてきた役割が大きかった。ただ、当初、特に高度成長期等、それを量的に補完していたという役割から、やはり次第にその役割が変化しなければいけないということになっているのかと思います。

 その意味で、日本も、財投の役割はしっかりと残さなければいけないと思っております。ただし、市場経済の発達、民間の金融の進歩等々を勘案しながら、そのボリュームをまさに縮小していくこと、そして質的な機能を高めていくことが必要である。そのような中で、公的な資金の流れ、入り口、中間、出口の改革が求められているということであろうかと思います。

 お尋ねの、国債の管理が大変重要であるという御指摘は、これはもうそのとおりであろうかと思います。谷垣財務大臣がかねてより御答弁しておられますが、まず、やはり財政の健全化をマクロで目指すということ、そしてこれは財務省の御管轄になりますが、国債管理政策を従来以上にしっかりとやっていっていただくということ、その中身としては、いろいろな国債の種類等々についても、商品性等々についてもしっかりと、これは財務省で既に御対応しておられますが、今後さらに、その研究、工夫をしていかれるというふうに思っております。

 そういう中で、市場のニーズに応じた形での、市場のニーズに対応した国債の販売等々、マクロ、そして商品の設計、そして、先ほど私が御答弁申し上げましたショックの吸収、そういうことを総合的に行っていくということが必要でありまして、これはやはりどれ一つも欠かせない大変重要なことでありますので、三つともしっかりと対応しなければいけないというふうに思っております。

竹本委員 ちょっと視点を変えまして御質問させていただきたいと思います。

 郵便は、そもそも、明治の初めに、明治四年でしたか、前島密が始められて、当時政府にはお金がなかった、そこで、地方の庄屋、名主さんたちにお願いして、郵便ポストを置かせてくれと頼みました。当時の政府の考え方は、これは官営でやるべきものだという認識だっただろうと思います。近代国家に脱皮するためにはぜひともこういう通信制度が必要だということでそういうことをやったわけでございますが、政府に力がないから民間に頼んだわけであります。そういう意味では、まさに民間活力の活用のはしりだったことは間違いない。

 そして、歴史を見ますと、言ってみれば、地域の庄屋さんとか名主さんは地域社会のリーダーでもありますから、それなりに国家への御奉仕というつもりもあって、この事業をずっと続けてこられた。昭和十二年になって、余りおんぶにだっこだけでも申しわけないからというので、国家公務員にしたかどうかは別としまして、ある程度、国でいろいろな諸費用について弁償するというか手当てをする、このようなことになりました。

 その後、これに従事する方々が全員国家公務員となって、今それが四十万となっておるわけでございますが、ここに至って、こういった郵便業務が、何も国でやらなくても民間でできると。確かに、宅急便とか宅配便、指定時間内に着く便、いろいろ民間でやっておられますけれども、それはそれなりに国民の需要にこたえているのは事実であります。だから、民でやれることは民でやるから、あなたたちはそろそろ引退していただいて結構です、こういうことになるわけでございますが、今までのこういった仕事に従事していた人たちの気持ちとしては、商売をやっているという気持ちは全くなかった、国のためにやっている、国家公務員だという意識が非常に強かったんだろうと思います。

 そこで、これから民営化が実現し、そしてこの間の特別委員会の質疑にもありましたように、全国で二万四千八百ある郵便局の中で、過疎地はともかく、都市部においては、ある程度企業の経営の合理化ということを考えると、なくなる郵便局も出てくるだろう、こういう話でございます。

 明治新政府ができまして、明治の初めに地租改正とかいろいろやりました。そのときに、不平士族がいっぱいいました。百五十万人いたという話を聞いております。そこで、政府はある種の国債に相当するものを発行して、そしてその国債の債券を持たせて、その金利で食っていってくださいということで、士族、華族を遇したわけであります。それでこの人たちは、いろいろ不満はあったでしょうけれども、新しい時代が来たんだということで納得をして、明治政府に協力をしたわけであります。

 やはり、百年以上こういった事業に従事していた人たちの心情を考えますと、民間でできるようになったからさようならというだけでは済まされないものがあるのではないかなというふうに私は思うわけであります。特に、田舎へ行きますと、代々特定郵便局という家がたくさんあります。こういった人たちの気持ちはまさにそうであります。

 ですから、どうしても経営の合理化上、引退をしていただかなきゃならないところがありました場合には、やはりそれなりの礼儀をもって対処していただく必要が絶対にあるのではないかなということを思いますのが一点。

 それからもう一点は、実は、特定郵便局、一万八千ございますけれども、地域社会のまとめ役のかなめであるというところも相当あるわけであります。全部がそうだとは申し上げません。やはりそこの地域のコミュニティーの相談役であり、連絡役であり、そして何かあったときには助けてくれることもあるでしょう。そういった地域社会の人と人とのつながりの基点であるのは事実でありますから、それが経済原則だけでコンビニのような格好になってしまいますと、そういった機能が完全に失われてしまいます。これは、日本の社会を支える人々の心情を思いますと、やはりそこは、それこそ急激な変化のないように、そして、いいところはいいところとして残すようなきめ細かな配慮が必要だろうというふうに私は思うわけであります。

 経済原則のみならず、そういったいろいろな社会的な背景をも考慮した改革が絶対必要でありますが、明治の初めの、大変不満な人がたくさんいた、しかしながら、新政府はこれをやらなきゃならないということで断行し、そしてある程度国民も協力した、こういう先例に倣うような改革の姿勢が絶対必要だと思いますが、これに対してお答えをお願いいたしたいと思います、大臣のお仕事として。

竹中国務大臣 郵便の制度、とりわけそれを支えてこられた郵便局の現場の皆さん、それを代表される特定局長の皆様、まさにそういう方々の力で今日の郵政の制度がここまで立派に国民の間に定着したと思っております。

 個人的なことで恐縮でございますが、私の同級生にも特定局長が和歌山の方におります。彼らの話を聞いてみましても、今、竹本委員御指摘のような、やはり仕事に対する誇り、思い、まさにその歴史的、社会的な背景を踏まえたきめ細かな改革でなければいけないというふうに考えております。地域社会のかなめになっているという御指摘も、私もそのとおりなんだと思います。

 今回、郵便のそうした現場の皆様方のこと、これは一番最初に郵政民営化に当たっての五原則を考える段階で、そうした問題、雇用等々、労働条件の配慮ということをまず五原則の一つとして掲げて、そして同時に、郵政が培ってきましたこの国民的な資産、資源を最大限活用させていただくんだということも、もう一つの原則として掲げさせていただきました。

 今回、法案では、まず、これは当然のこととはいえ、やはり雇用はしっかりと確保するということを、新会社に引き継がれるということを法律上明記しておりますし、さらに、その他の条件についても配慮するということを、配慮の義務づけを行っているわけでございます。

 準備におきましても、早く準備を進めて、いわゆる労使間の協約が結べるような体制もつくるということにしておりますし、今委員が言われたようなことがきめ細かく実現していくような枠組みをつくるというのが、今回の法律の枠組みになっているところでございます。

 さらにもう一点申し上げますと、やはり社会的な役割と委員はおっしゃいましたけれども、裁判所の特別送達でありますとか内容証明でありますとか、非常に、まさに社会的な機能、公的な機能そのものについても、これはしっかりと続けていただくということを法律上明記しておりますし、それを実効あらしめるような資格の制度も、今回、その中に組み入れさせていただいております。何よりも全体が、郵便と郵便局会社は特殊会社でございますので、民営化されても公的な使命をしっかり果たしていく、それゆえに国が関与するというような形の特殊会社の組織にしております。

 そういうことを総合的に組み合わせて、従来以上に郵便局の皆さんには誇りを持って安心して仕事をしていただける、そのような制度にしているつもりでありますし、そうなることを期待しているところでございます。

竹本委員 二〇〇一年に経済同友会で、経済政策委員会でございますが、その委員長が今公社総裁の生田さんでありますけれども、そこでは提言をしておられまして、郵貯や簡保は廃止すべきであるという提言をしておられます。その委員長であった方が、今、郵政公社の総裁という非常に皮肉な状況なんでありますが、私はそのことを問題にしているわけじゃなくて、恐らく生田さんは、郵政公社に入られて現地をくまなく見られたようであります。特定郵便局の人たちに聞きますと、非常に生田総裁は評判がいい、我々の理解者だということでございます。

 私の推測でありますが、廃止すべきだと言っていた人がそのような心境になられたのは、恐らく、地域社会において特定郵便局が果たしている役割、単に郵便だけじゃない、それは金融を通じて、例えば、うちのおふくろなんかよく言うんですけれども、わずかのお金を預金すると言っても郵便局の人は来てくれる、そして出すと言ってもまた来てくれると。そういった地域のかなめの役割であり、人々の世話を少子高齢化社会の中できっちりやっておられるのが特定郵便局である、そういうことを十分認識されて、その上でこれからの改革にどう皆さんの役割を持たせるべきかということについて腐心をしておられるからだというふうに思うわけであります。

 諸外国の民営化の例を見ましても、うまくいっているところといっていないと言われるところもございますけれども、やはり民営化の方向が全体的なトレンドかなというふうに思います。オランダ、ドイツ、イタリア、イギリス、いろいろ民営化されてきましたけれども、ベルギーも、聞きますと、今は公営でありますけれども、何となくいろいろ、遅配が多くてだめだ、こういうようなことでございます。そしてまた、一たん民営化したけれどもまた戻るというところもあり得るんだろうと思いますが、私は、それはそれでいいと思うんです。むしろ、いかにいいサービスをし、国民の期待にこたえるかということが判断の分かれ目だろうというふうに思います。それだけに、日本のよき伝統をきちんと守るような改革をやってもらわないと困ると思うわけであります。

 いろいろな改革の波にさらされる昨今の政治情勢でございますけれども、先ほど申し上げましたように、日本という小さい島国、これはアメリカと比較いたしましても、国土は二十五分の一、人口は二分の一、しかも六十年前には資産ゼロであった国がこれほど成功して豊かになったのは、まさに政治の仕組みがよかったからだと思いますけれども、その支えはやはり、アメリカと全く一緒でない、一つの工夫をしたものがあったのではないかな、それが大いに役立ってきたんだろうというふうに私は思っております。

 この間、ホリエモン事件等、今MAの問題が非常に話題になっておりますけれども、この企業防衛なんかも、日本は株式の持ち合いということをずっとやっておりました。それは、銀行にとっては非常に自己資産を変動にさらすことになるから、株式の持ち合いをやめようということでずっとやってきたわけであります。それはそれで意味のあることなんですけれども、ただ、企業防衛のために考え出した日本の知恵というものがやはりそこに見られるわけでありまして、株の相互の持ち合いということが日本らしい一つの企業防衛策ではなかったか。そういった知恵を、日本は知恵を絞って考え出してきた、そのうちの一つがこの郵政でもあったんだろうというふうに私は思うわけであります。

 ですから、時代の要請にこたえられない、あるいは、民間でできることは民間でやるという動きの中で、しかしながら、日本らしい、これだけは残しておかなきゃならないというものはやはり残していくべきではないかなというふうに思います。経済の中で日本はいろいろなことを要求されるわけでありますけれども、日本のそういった日本らしさというものは絶対残してほしいし、先ほど申し上げました地域社会のかなめ役という一つの役割、これもまた失わないような細かい配慮が必要だろうというふうに思っておるわけであります。

 竹中大臣にばかりお伺いして申しわけないんですけれども、そういう意味で、郵便局を守るという意味で、今までの郵便局を今度四分社化しまして、そして経理を分けていくという話になっております。ただ、銀行と保険は、完全にイコールフッティングにしなきゃいけないから、ほかとは通算しない、こういう話になっておりますけれども、これなども、農協の例を出すまでもなく、両社が一体に経営してほしいという要望もありますし、その方が当分の間はいいのではないかというような気もいたすわけでございますけれども、なぜ四社の分離の経営がいいのか、もう一度ちょっと竹中大臣からお聞きいたしたいと思います。

竹中国務大臣 委員御指摘のように、本当に日本的な知恵をいろいろ出してきた、日本的な工夫をしてきた、それが今日の日本の経済発展に間違いなくつながっていると思います。同時に、今、例えば株式の持ち合い等々のお話もされましたが、やはりこれは、その時々で形を変えて、時代の要請に応じて形を変えてきたというのも、これまた日本の知恵、日本的な工夫であったということなんだと思っています。そういう観点からいいますと、Eメールの普及で取扱量が減り、金融革新で郵貯残高が減っている中で、私たちは新たな日本的な仕組みをつくるための工夫を今まさに求められているという段階であろうかと思います。

 お尋ねの分社化の理由でございますが、幾つか理由は挙げることができると思いますが、基本的には、やはりそれぞれ機能の異なる四つの事業を行っている、物を運ぶという物流的な仕事と銀行、保険、そして全国の窓口で販売するという、やはり機能、特性が違っている。それについては、しっかりとこのような厳しい競争環境下で専門性を高めて経営していただくというのが、我々が分社化を考える場合の最大のポイントでございます。

 第二としては、特にこれは金融に関しまして言えることでありますが、他の事業の収支状況、損益状況が別の事業の損益に影響を与えるということは、これはやはり健全性の観点から改善が必要なのではないだろうか。とりわけ金融においては、こういったいわゆる一般的な商業と金融、銀行業との、大きな規模でこれが一つ同じ屋根の下にいるというのは、一般的な金融ルールとしてもこれは認められていないということになるわけでありますから、そこはしっかりと遮断をしなければいけないのではないかということだと思います。

 そして第三には、これは、経営の責任を明確にして、そしてその責任を明確にする中で、やはり顧客との関係でサービスを向上していくことができる、そういう点も第三点としては重要なのではないかというふうに考えております。

 今三点申し上げましたが、以上のような点で、しっかりと分社化を行う。その分社化を行った場合も、趨勢的な分析としては、やはり経営は四社とも成り立ち得るということを骨格経営試算等々で確認させていただいているところでございます。

竹本委員 時間が残り少なくなってまいりました。最後に一点だけお聞きいたしたいと思います。

 先ほど申し上げましたように、大変なボリュームの金融が新しく民間として登場するわけであります。そうしますと、今二百三十兆円あるお金が十年後に百四十兆円ぐらい、小さくなるという話ではありますけれども、それでも大きい額。これが民間の市場にどっと入ってきますと、どうなるんでしょうか。民間の四大メガバンクといえども、ほぼそれと同じものが来るわけでありますから、どうですか、金を貸す人が多くて借りる人が少ないという状況になりますと、金利が安くなるのかどうか。そういった民間の金融市場への影響ということについて、もう一度お伺いいたしたいと思います。

 かつての長銀のような銀行になるのか、どうもイメージがぴんとこないわけでありますが、銀行は、今、不良債権処理がほぼ終わりまして、どんどん企業に金を貸したいわけですけれども、なかなか企業は金を借りてくれない。そこで、個人の資産運用に転換してきました。これは、アメリカの銀行だって今資産運用で金をもうけているわけですから、そのまねをしているわけでございますが、この日本の新しく生まれる郵便貯金銀行が同じことをやるのかどうか。そして、それは、今ある四大メガバンクあるいは地方の銀行に対してどういう影響を与えるのか、心配ないのかということについて、最後にお伺いいたしたいと思います。

竹中国務大臣 金融、特に規模が大変大きい。骨格経営試算等々では、今の資金規模が百四十兆ぐらいになるであろうということを想定しておりますが、それでも、御指摘のように大変大きな規模でございます。採算性に関する試算の中では、そのうちの約四分の一、三十五兆円程度を信用リスクビジネスとして、まさに新たな業務としてやっていくということを想定しているわけでございます。

 まず第一の問題として、量的な問題としては、これは十年後、正確には十一年後か十二年後の話でございますので、二〇一六年度の話でございますので、その間にデフレを克服して日本のGDPそのものが一・五倍ぐらいの規模になっているという状況でございますので、そういうマクロ的な背景を一つ割り引いてお考えいただくということであろうかと思います。そうした観点からいきますと、このようなビジネスについては、マクロ的にはこれは成り立ち得る、十分成り立ち得るというふうに私たちは考えているところでございます。

 具体的にどのような業務を行うかというのは、これはすぐれて経営判断の問題ではございますけれども、その四分の一、三十五兆円の例示として挙げておりますのは、貸し出しのほかに、ABS、アセット・バックト・セキュリティー、シンジケートローン、債権の買い取り、証券化に伴うさまざまな関連業務も含めているわけでございますので、そういう観点から、むしろ民間とのアライアンスも非常にいろいろ模索されてくるのではないか。基本的にはやはり地域密着型でこの金融機関はやっていくというふうに想定されますから、地元の地銀や信金との提携とか、そういうことも当然視野に入ってこようかと思います。

 これは経営判断の問題ではございますけれども、前半で申し上げましたマクロ的な背景の変化、そしてまさに多様性、そういう中で、市場経済の中にしっかりと自立して吸収、統合されていくという姿を想定しております。

竹本委員 終わります。ありがとうございました。

二階委員長 次に、保坂武君。

保坂委員 おはようございます。自民党の山梨第三選挙区の保坂武です。

 いよいよ今週は終盤国会でありまして、本日は、郵政民営化に関する特別委員会の質疑の時間をいただきまして、私も特別委員会の馳浩委員に差しかえをしていただきまして、本当に感謝を申し上げる次第であります。

 なお、馳先生は、党の国対の副委員長をしておりますので、私も委員の三十六名の一人として、そして四班にありますので、四班の班長をさせていただいている者であります。したがって、国対からも言われておりまして、いつも先輩から指導いただいている面は、党で決めた法案は必ず本会議で可決する、体を張ってやるというふうな指令をいただいているものでありますから、常にそういった使命感に燃えている私でもあるわけであります。

 ところが、当民営化法案に当たりましては、今のところ、そうはいかないというところがございます。なぜならば、私の見る限り、自民党の総意ではない、そして少数決で、しかも国民の多くが理解していない内閣提出の六法案であるというふうに今のところは理解しているわけであります。

 先般、残念ながら認められませんでしたが、私も郵政公社改革法案の提出者の一人でもありまして、そんな意味も含めながらも、そうはいっても、理解を深める意味で質問をさせていただきたいと思っております。郵政民営化法案、本委員会の審議の模様も、一部しか私もテレビ中継そして議事録等も見ておりませんので、質問も重複する点が多々あろうかと思いますが、御容赦願いたいと思います。

 そもそも、この法案は分社化であります。郵便局は、国民の六〇%以上の人たちが利用いたしまして、生活の中に非常に溶け込んでおります。本当に、全国にネットワークを持つ郵便局のサービスが維持されるんだろうか、そして利用者の利便は国民のものとしてこのように維持されていくのかというふうに心配をするわけであります。特に、私の地元であります山梨県のような地方、東京に一番近い山梨でもあるわけでありますが、遠い北海道や九州あるいは沖縄の郵便局が統廃合が行われてしまって不便になるのではないかなというふうにも危惧をいたしているところであります。

 そこで、麻生大臣にお尋ねをいたします。

 山梨県の郵便局に関してのデータを拾ってみましたが、平成十五年度末で、十四の普通郵便局、そして百八十七の特定郵便局、七十三の簡易局、合計で二百七十四の局があるということです。このうち、簡易局を除いた二百一局の郵便局について、局別の損益を公社が試算しているようでありまして、資料もいただいたところでありますが、収支相償方式というやり方で計算しますと、四十四局が黒字、百五十七局が赤字、また、全体損益方式というやり方で計算しますと、百六十六局が黒字になりますが、三十五局は赤字ということのようであります。

 つまり、事業全体の調子が悪ければ、七五%の局は赤字だ、そして、調子がよく運営されていくということであっても、二〇%が赤字であると。この分社化による民営化では、どの程度減少するのだろうかと心配をしなければならないわけであります。

 麻生大臣、全国の地方議会の、市町村議会が二千五百以上でしょうか、民営化反対の意見書を出されて、そして、しかも全国の県議会も総意をもって意見書を出されていると聞いておりますが、政府としてはどういうお考えでありますか、お尋ねをさせていただきます。

麻生国務大臣 まず、後段の御質問のところからお答えをさせていただきたいと存じます。

 都道府県議会四十七件、すなわち全都道府県ということになります。区も入りますので、市区町村議会から二千六百五十七、合計二千七百四件というものが、現在、六月十日現在でありますけれども、地方自治法の第九十九条に基づきまして、総務大臣あてに郵政民営化に関する意見書が出されております。

 内容につきましては、郵政民営化そのものに反対している意見もあれば、拙速をとどめる、拙速に進めるべきでないという御意見、また、いわゆる慎重な検討をすべきであるという御意見等々がほぼ共通項と思っております。

 私どもとしては、たびたび竹中大臣の方からも御答弁があっておりますが、郵政を民営化していくに当たって、二万四千六百七十八にわたります、現在保有されております郵便局という名のネットワークというものは大事にすべきであろうと思っておりますし、五原則の中にも掲げておりますように、利用者の利便というものを維持するということを二つ目に、そして、いわゆる地方の切り捨てと言われる心配がよく出されるところでもありますので、そういったところに配慮した上での法案の作成ということになったと思っております。特に、私ども地方を預かります総務省の立場といたしましては、今申し上げたようなところは非常に大事でございますので、そういった点を十分に考えて配慮していかねばならぬと思っております。

 ただ、保坂先生、ちなみに申し上げますが、今言われた中で、約七割、八割の郵便局が山梨県内だけで見た場合においては赤字になる、その赤字の部分の郵便局が切り捨てられるのではないかという御意見、もしくは御心配のように拝聴しましたけれども、御存じのように、郵便局を預かります郵便局会社、窓口をやります会社、また郵便貯金をやります会社は、一局ごとに個別に契約をするわけではございません。一括して本社同士で契約をいたすことになります。

 今、郵便局だけを見ますと、昨年、今年と、ほぼ二百億から二百五十億ぐらいの黒字に現状でもなっておりますので、その意味では、次第に減っていくであろう郵便取り扱いの絶対量、毎年二%から二・五%近く減っております部分をその他の小包、ゆうパック等々で補って、トータルで約二%から二・五%毎年減っております部分を入れた上で、この十年間さらなる経営合理化改革等々をされるでしょうし、営業拡販の努力もされるんだと思いますけれども、そういった努力を織りなして、結果として、郵便局自体の運営が黒字であるように努めるのが当然。

 傍ら、郵便貯金を運営しております貯金会社の方は、これは支店を現状持っているわけではございません。支店を持っていないところにとっては、支店をやってもらっている郵便局というものとの間で、一括して契約をしているわけですから、例えば、簡易保険が一つとれたら、また郵便貯金が新しく何百万かふえたら、その手数料収入ということをお互いさま契約をするわけであって、その中で、特定の、山梨県ならこの郵便局が、この年は黒字、赤字になったからやるとかやらないとかいう話というのは、基本的には郵便貯金にとりましては直接関係するわけではございません。

 郵便局は維持するということになっており、特に田舎においては維持するということになっておりますので、今言われたような御心配をされ、また、そのような形での金融関係のいろいろなサービスにそごを来す、いろいろな意味でマイナスが出てくるというようなことはないというように、私どもとしては設計が一応でき上がっておるものと理解をいたしております。

保坂委員 全国の地方議会がこぞって国民の声を反映する、そして、その上に立って、この国会も、私どももあるというふうに思っているわけであります。したがいまして、地方議会が、公社がこの形態を長く堅持するということにあっては、三事業一体という中でしていくことが、民営化された保険、貯金、そういったものが正しく、国民にひとしく利益供与されるという期待を持っているからだ、こう思っているわけであります。

 そこで、竹中大臣にお尋ねをいたします。

 これまでに大変この論議をしてきたわけでありますが、自民党内では郵政の改革、民営化は基本的には確認をされているものでありましょうけれども、どの資料を見ましても、党のマニフェストで郵政民営化を目指すと表現しているところであります。ですが、四分社化するという公約はないわけでありまして、四分社化するんだよというふうにも表現してないわけであります。それらの資料、幾つも私お持ちしておるわけですが、つまり、国民的な論議を行うというふうに表現をしてあるわけでありますから、そのことからいいますと、まだまだ手落ちがあるんじゃないかな、こう思っております。

 そこで、党内では、昨年一月から具体的に、郵政民営化に関する特命委員会、そしてまた、党の総務委員会での意見集約も経てきたところであります。そして、昨年九月の十日でしたでしょうか、総理は、分社化に向けて、そして早急にこの通常国会に向けてやるんだという経緯でありますが、これから見まして、この四分社化について、国民はどう見てもこの様子がよくわからない、分社化するんだというそのメリットがよくわからないわけでありまして、それについて、説明というよりか、簡単に三点、こうだというものをまず言っていただければ、私どもにもわかる、国民にもわかるのではないかと思います。よろしくお願いします。

竹中国務大臣 保坂委員御指摘のとおり、民営化する議論の中で、この四分社化というのは、これは制度設計の中で出てきた論議でございますから、その点について明快に説明する責任が私たちにはあると思います。

 三点に絞ってという御指摘でございました。

 郵便、そして窓口、貯金、保険という特性の異なる四つの機能を有しているわけでございますが、この四分社化によりまして、まず第一には、一つの事業の損益状況が他の事業に影響を及ぼすことを未然に防ぐということが重要だと思います。そして二番目に、各機能それぞれの専門性が高められるということが重要かと思います。そして三番目に、機能ごとに効率的な経営が行われることによって、そしてそれが良質で多様なサービスを安い料金で提供できるということにつながる、言うまでもなくこれが国民の利便につながる。この三点かと思います。

 一点一点、もう少し御説明を追加させていただきますと、第一の問題に関しましては、特に金融システムの安全性の観点から、金融の要因以外の要因で金融システムの安定性に影響が及ぶということは、やはりあってはならないことだと思います。したがって、金融と商業を分離するということが、銀行法等の金融法令に定める市場の一般的ルールであるというふうに思います。このために、民営化に当たりましては、他の民間金融機関と同様にこのルールを適用することが必要であり、それがやはり分社化の一つの考え方につながっているということでございます。

 これは第一の、繰り返しになりますが、一つの事業の損益が他の事業に影響を及ぼさないようにするという観点での今の補足の説明でございます。

 第二番目の点、専門性の点でありますが、やはり四つの機能に求められるサービスはそれぞれ異なっていると思います。分社化をしまして、各専門に特化をしていただいて、各会社が独自の事業展開を行う、そういうことを通じて各会社の潜在力が発揮されて、それがさらに一段と発展することが可能になるというふうに考えております。

 そして、第三点でございますが、やはりそれぞれの経営が個別に評価されるようになること、これが良質で多様なサービス、そして安い料金で提供される、そういうサービスの向上につながっていくものというふうに考えているところでございます。

保坂委員 分社化に対するメリットを今お話しいただいたわけでありますが、二、三につきましても、聞いておりますと、やはり手数料がかかってくる、既に、民間銀行から見れば、預金に手数料がかかる、そして保険を見ましても、自由な、職業もいろいろな方が入れる簡保と違って、民間だと職業によって入れない、そして、いろいろな制約がちいちゃな字で書かれているのが現実の民間保険あるいは預金の定款であります。こういうところを見ると非常に危惧しております。

 それでは、逆に、また質問をさせていただきますけれども、この郵政公社は、生田総裁のもとに改革で非常に頑張ってきているわけであります。この公社が、ひいては日本の国民性、そして地域性、これまでの郵便事業の歴史が百四十年とつながっているわけでありますが、新たに小泉内閣が求めるこの構造改革で、国民により身近で理解される公社へと成長していくと信じるわけであります。

 担当大臣は、分社化法案として意地を張って、三事業ではなくて分社化だ、こう言っているわけでありますが、この三事業の公社ではだめな理由を国民にわかるように、だめな理由たくさんあると思うんですが、三つにまた御説明していただければと思います。

竹中国務大臣 郵政公社は生田総裁のもとで本当に頑張ってサービスの向上に努められていると、私も評価をしております。

 その上で、保坂委員からは、公社のままではだめな理由があるんだったらそれを三つに分けて指摘しろ、三点ということだったと思いますので、ちょっとうまく三点にまとまるかどうかあれですけれども。

 まず第一に、基本的な考え方として、第一点として申し上げると、やはり民間にできることは民間にということを貫くのが経済の活性化を図る上で極めて重要である、我々の市場経済社会の根本的な原理であるという点であろうかと思います。

 この郵政の事業につきましては、郵便、郵貯、そして簡保、いずれの分野も、民間企業が自由な経営のもとで同様のサービスを提供しております。公務員でなければできない事業ではなくて、したがって、やはりこれは民間により運営すべきであるというのが第一の点であろうかと思います。

 第二の点でありますけれども、やはり経営の自由度という問題があろうかと思います。

 公社が取り扱う商品、サービスというのは、これは公共の目的を担保するという公社の性格を踏まえまして、個別具体的に法律で限定されております。したがって、柔軟かつ機動的な事業運営を困難にするという制約があろうかと思います。

 一方で、郵政の事業を取り巻く環境は、これは、通信、輸送手段の発達、そして金融の技術革新などによりまして、劇的に変化しているというふうに言わねばならないと思います。こうした環境変化に適切に対応しまして、将来にわたって郵便事業の健全性をしっかりと確保していくためには、適時適切な新サービスの投入が必要だ、そして事業の多角化が必要だ。徹底した事業の合理化、効率化が可能となるよう、やはり民営化することによって経営の自由度を高めることが重要であるというのが第二の点でございます。

 第三の点を申し上げますと、これはやはり民間とのイコールフッティングということになろうかと思います。

 現在の公社の制度では、公社に対しまして、法人税、預金保険料等の負担がございません。郵貯、簡保については、民間金融機関の預金、保険と異なりまして政府の保証が付されている等々、いわゆる優遇措置が講じられております。民間企業と同一の競争条件となっていないわけで、これは、公社と民間企業との間に公正な競争があるかということに関して、やはり民間からのいろいろな懸念、疑問があるところであろうかと思います。

 この自由主義の経済においては、やはり同一の競争条件のもとで自由で公正な競争をする、そして、市場における自由な経営と創意工夫そして革新に向けた努力によって経済社会を進歩させていくということが重要であると思います。

 民間でできることは民間でという方針のもとで郵政民営化を実現することによりまして初めて、民営化した新会社が市場原理に基づいて民間と同一の競争条件のもとに経営を自由に行えるようになるということがやはり最も望ましいのではないかというふうに考えております。

保坂委員 三事業一体の公社の現状ではだめだということで、この分社化という法案になっているわけでありますが、経営の自由度とかイコールフッティングとか、やはりこれらに関しても、見えない負担をしているというふうな表現もあるわけでありますけれども、やはりこれは公的な機関であるから、そして国民に愛されてきた末端の庶民の郵便局であったからこそ、もろもろの事業が三百五十兆円にもなったというふうになるわけでありまして、危惧するのは、さて、純粋な民営化に十年後なったときは、今語られているようなものではないというふうに私は心配しているところであります。

 そこで、全国にあまねく郵便局が維持されるというふうなことにもこの法案で聞くわけでありますから、簡潔に質問いたしますが、法律に基づいて省令で郵便局の設置基準を定めると言われておりますが、現在設置されている郵便局はまあまあ維持されるだろう、そうはいっても、相当数廃局になるというふうな、先日も麻生大臣も答弁をされていたようであります。

 一万四千百局もの赤字局があると言われておりますが、特に簡易郵便局について、簡易局については維持が非常に難しくなると思うんですけれども、簡易局は大部分が廃局になってしまうという予測をされるか、竹中大臣、お尋ねいたします。

竹中国務大臣 郵便局の設置については、これは民営化がされた後も利用者の利便性を確保するという観点で極めて重要な問題であるという認識のもとに、政府・与党、しっかりと協議を重ねてまいりました。

 まず、郵便局会社法の第五条で、あまねく全国において利用されることを旨として郵便局を配置することを法律上義務づける、当然のことながら、この郵便局の中には簡易郵便局も含まれるものでございます。そして、具体的な設置基準は省令で定めますが、これも、与党との合意を踏まえまして、特に過疎地については、法施行の際現に存する郵便局ネットワークの水準を維持することを旨とすることを規定する、都市部においても国民の利便性に支障の生じることのないように考慮する等々の考えでございます。

 この郵便局会社の経営については、これは経営がしっかり成り立っていくことが重要なわけでございますけれども、まず郵便事業については、郵便窓口業務の委託等に関する法律に基づきまして、郵便局会社への窓口業務の委託が義務づけられておりますので、この郵便業務がしっかりコアとして続けられるということ、そして、銀行、保険に関しましては、御議論いただいております例の代理店契約、そして保険の募集委託契約等々、これは最低限移行期間をカバーする長期のものがみなし免許の条件とされるということ、その後においてもさまざまな、基金等々の活用も含めた制度が用意されているということでございます。

 簡易郵便局につきましても、こうした郵便局ネットワークの一翼を担っているわけでございます。郵便局会社の設置した郵便局と同様に、窓口業務を受託して適切な受託料を得るものというふうに考えております。

 これに加えまして、郵便局会社は、郵便局ネットワークを活用して地域のニーズに応じた新規業務を展開していくことになります。そこで一層の収益力を確保して経営を成り立たせて、法令に定められた簡易局を含む郵便局の設置義務を果たしていくことができるというふうに考えているところでございます。

 この郵便局会社の採算性につきましては、骨格経営試算、さらにはその後の採算性に関する試算等々でお示しをさせていただいているとおりでございます。

保坂委員 簡易局について、その存続、廃局の心配、これらについても何かと語られているわけでありますが、なかなかそうはいかない、そうは期待ができないというふうに私どもも熟知するわけであります。

 それに関連していきますと、民営化に向けて、郵便局ネットーワークの維持が図られていくためには、次の点がまた必要だというふうに私も思っております。

 郵便局の位置づけですが、これは先日、宮澤委員もおっしゃっておりましたが、現在の法律案では、郵便局会社が行う業務として郵便窓口業務と印紙売りさばき業務しか規定しておらず、貯金、保険のサービスの提供は任意の業務とされています。この点は、これまで提供されてきた郵便局のサービスを低下させることなく、また、郵便局会社の財政基盤を確固たるものとするために、貯金、保険のサービスも必須の業務としてはどうかという御提案だったと思います。

 もちろん、現在もすべての郵便局が貯金、保険のサービスを提供しているわけではないというふうなお話もあるわけでありますから、そこは幅のある話かと思いますが、これについては、竹中大臣、いかがですか。

竹中国務大臣 郵便局会社の業務に関するお尋ねでございます。

 貯金、保険のサービスにつきましては、法律上ユニバーサルサービスの提供義務を課さないということにしておりますので、これらのサービスの窓口業務を担うことになります郵便局会社につきましても、法律上必ず営む業務というふうに銀行、保険をしていないものでございます。

 なお、民営化後も利用者の利便性を確保するためには、郵便局において貯金、保険のサービスが提供されることが非常に重要であるというふうに考えておりまして、この点は我々も大変重く受けとめております。

 このため、与党との合意を踏まえまして、銀行免許、保険業免許のみなし付与に当たりまして、最低限移行期間をカバーする長期安定的な代理店契約でありますとか保険募集委託契約があることを銀行、保険の免許の条件として付している。

 その後におきましても、これは新たに自前の店舗網、ネットワークを持つということになりましたら当然大変なコストもかかるわけでありますから、基本的には、これに基づいて各郵便局において引き続き貯金、保険のサービスが提供されるというふうに考えますけれども、それでも、仮に過疎地などの一部の郵便局で、このネットワーク価値が下がって、貯金、保険のサービスの提供が困難となるような場合には、社会・地域貢献基金を活用して、地域にとって必要の高いサービスの確保を図るというふうにしているところでございます。

 これらによりまして、郵便局におけます貯金、保険のサービスの提供が確保されて、住民の利便が確保されるというふうに考えているところでございます。

保坂委員 いずれにいたしましても、民営化、株式会社化されても公的役割を期待されるというふうに言えるという説明でもあります。

 公社と比べると、当然、より効果的な経営がされるというふうなことになってしまうわけであります。これが竹中大臣の目指す民営化の効果であるわけでありますから、本法案の分社化は、郵便局の設置基準がそれほど厳格に郵便局の廃止を禁じていないものであるとも言われているわけであります。したがって、最後は程度問題でありますから、経営者の方針いかんでは、不採算の郵便局の数をできるだけ減らしていくということも十分考えられると思います。

 これは、民営化する以上、仕方のないことだと大臣はお考えですか。

竹中国務大臣 郵便事業会社及び郵便局会社は、これは公的な役割も担っている、民間企業ではあっても、いわゆるそういう公的な機能を担っている特殊会社になります。したがって、政府の関与、出資も含めて残すという形にしているわけでございます。

 特に設置につきましては、設置基準を省令で定めます。そして、それに関しましては、その省令が守られているかどうかということも含めまして、主務大臣であります総務大臣の一般監督権限が及ぶところでございます。これは、場合によっては命令も出せるという監督権限でございますので、特殊会社としての性格、そして主務大臣である総務大臣の監督、そういう中でその公的な役割を果たしていくという仕組みがまずあって、それを総務大臣の監督権限等々でしっかりと担保していくことが可能であると思っております。

保坂委員 時間がなくなりますので引き続き竹中大臣にお尋ねをいたしますが、平成十九年度までに四分社化することになるわけですが、システム切りかえ等のコストが非常にかかると思います。それは幾らぐらいかかるのかお尋ねするわけです。

 本委員会でも議論がありましたが、私も非常に関心のあるところでありまして、総理がおっしゃいます、郵便配達を国家公務員がすることはない、国民は見えない負担をしているというふうに言うわけであります。でも、目に見える税金が使われず、二年前の、郵政事業公社が国民のために目に見える事業展開をされていることの方向は、改革であると思っております。そして、公社化でもあるわけであります。

 現在、公社には、ネットワークやデータ管理、公租公課、保険料などの維持費が五千億円から七千億円と申されているようであります。四分社化によりまして新規事業はいろいろ考えられるというお話でありまして、中でも国民の関心のあったのは、コンビニが地方の郵便局でもできるという、コンビニでもあるかと思いますが、そのほかの新規事業もたくさんあると思います。新たに発生する一千億円とも言われます四分社化によるネット維持費、これらを含めますと、これこそ、見えない負担、国民に新たな負担を生じてくるんではないかというふうに思うわけであります。

 そういった面で、それらは幾らになるか、何か予測算定資料などもあればまた後ほど提出もしてほしいと思いますが、お尋ねいたします。

中城政府参考人 お答え申し上げます。

 郵政民営化に必要なシステム対応のコストにつきましては、情報システム検討会議において、公社からお示しいただきました見積もり、これは昨年十一月二十二日に会議で御紹介いただいたものですが、ソフトウエア開発につきましては、平成十九年四月の民営化までに行う開発費に五百六十三億円、民営化以降の対応について八百三十九億円を要するとされておりまして、合計で千四百二億円というふうになっております。

保坂委員 やはりこういった一千億から以上のいろいろなコスト、そういったものがかかってくるわけでありまして、分社化によって多くの国民負担、税金で国が負担するにいたしましても、民間に移行をされてからもそういった経費の負担がかかるわけでありまして、こういうことにはやはり関心を持っていく必要があろうと思っております。

 それでは、民営化されまして、郵貯において口座維持手数料等を取られたり、簡保におきましても職業によって差別されたりという、国民にとってサービスの低下になってしまうという懸念があるわけであります。既に、他の民間の保険や預金の定款などを見てまいりますと、細かい字で書かれておることがいろいろあるわけでありまして、こういった部分を具体的に拾い上げていくと、やはり職業によっては差別されたりする、国民にとって非常にサービスの低下につながるという懸念があると思いますが、これについてはいかがですか。

竹内政府参考人 お答えいたします。

 確かに、先生御指摘のように、民間銀行において口座維持手数料が有料のところもございます。ただし、大多数の民間の金融機関におきましては、口座維持手数料の無料の預金口座を提供しているというのが現状でございます。(発言する者あり)

 民営化後におきまして、郵便貯金銀行、郵便保険会社がどのような手数料を設定し、また生命保険を提供するかは経営者の判断によるものでございますが、民間銀行の例をとりますと、今申し上げましたように、大多数の銀行が無料の預金口座を提供しておるほか、各種の手数料を見ましても、郵政公社の手数料よりも低いものも含め、サービスの内容に応じたさまざまな手数料が設定されております。また、民間の生保におきましても、現行の簡易保険と同様の無診査、職業による選択を行っていない生命保険を提供しているものと承知しているところでございます。

 民営化後の郵便貯金銀行、郵便保険会社におきましても、経営判断により多様な商品が提供されたり、商品、サービスの内容に応じたさまざまな手数料が設定されたりすることになりますが、地域の顧客の信頼が郵便貯金銀行、郵便保険会社の経営の基盤であることから、民営化によりまして、これを損なうことなく、利用者の利便性が向上することが期待されているところでございます。

保坂委員 他の委員に申し上げますが、質問しているのは僕の方であって、ちょっと答弁の内容が聞き取れない場面も出てしまいますので、御注意願います。

 いずれにいたしましても、民営化をされてくると、わずかな二、三の会社経営のパンフレットを見ましても、預金については、口座を持っておるだけでも毎月二千円前後は口座から、余り低い額、二十万、五十万しか口座に持っていないという場面になると手数料を取られる。また、保険についても、いろいろと細かに見てまいりますと、体の状態あるいは職業によっては契約をお断りする。当たり前のことでしょうが、簡保ですとそうまできつくは言われていないのが現実かと思いますが、国民の六〇%以上の方たちが利用しているという部分を見ると、やはり民営化の中では維持できない、サービスが低下するというふうに非常に危惧いたしているところであります。

 最後になりますが、公社化いたしまして、これは十五年ですから、二年しかたっておらないわけであります。一期四年の中期計画の評価も実質的には終わっていないというわけでありますが、もう一度お尋ねをしておきますが、民営化、この分社化を急ぐ理由は何か、お尋ねしておきます。

竹中国務大臣 生田総裁のもとで大変公社は御苦労しておられますが、それでも、生田総裁御自身がこの委員会でもお述べになられたように、公社を取り巻く環境はやはり厳しい、それでも厳しいものがあるということだと思います。

 郵便につきましては、取扱物数が年間二ないし二・五%減っている、これが十年続きますとやはり三割とかそれ近く減ることになる、大変厳しい状況であろうかと思います。

 金融につきましては、むしろIT、通信革命以上の速度で金融革新が進んでいるということを指摘する専門家もおられるぐらいで、そういった中で、さまざまな多様な商品が出されて、現実に郵貯、簡保の残高も減っている。そういう中で、この厳しい環境下で郵政が持続可能な組織として国民に安定したサービスを提供していくためには、民間とのイコールフッティングに配慮しながら、経営の自由度を持っていただいて、それで組織としてしっかりと活性化をしていただく、専門性を高めて、市場の中でより強い基盤を持って自立していただく、そのことが大変急がれる状況であるというふうに考えているわけでございます。

 そうした観点から、今回の民営化法案を提出させていただいております。

保坂委員 質問は終わりますが、時間が若干あります。

 地方議会を私も経験してまいりまして、そして国政に来て、日ごろ常に思ったり、そして国民から言われていることについては、人は皆だれもが生まれたときから平等で、平和で明るく、楽しく家庭を持って生きていくという権利が与えられている、それが日本の人権である、こういうふうに理解をしていたり、そしてしかも、国民の生命財産を守り、国民が安全で豊かな生活を享受できるように努めることが私たち国会議員の任務だ、こういうふうに私自身は思っているわけであります。

 したがいまして、今六法案提出に至る経緯につきましても、議会制民主主義そして議院内閣制のもとに、やはり党内の手続等も十分経ていただいてということが若干欠けていたように思うわけであります。ぜひ、時間をかけて論議し、よりよい法案になることが国民のためになろうかと思いますが、まだまだ十分検討し、また、私ども、個人的には三事業一体化の中での将来改革、そして行く行く民営化を望みまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

二階委員長 次に、桝屋敬悟君。

桝屋委員 公明党の桝屋敬悟でございます。

 新しい週が明けましたので、また元気にやりたいと思います。この特別委員会も実質三週間、足かけ四週目の議論に入るわけであります。エンドレスとはいきませんけれども、時間の許す限り、我々公明党三名委員がおりますけれども、しっかりと懸命な議論を続けていきたい、このように決意を申し上げながら、審議に入っていきたいと思います。

 先日から、特に村井委員の質問、私も聞かせていただきながら、本当に頭の整理ができたな、こう思っておりまして、随分議論も整理の方向へ進んでいるな、こう感じました。(発言する者あり)ただし、本日の議論を聞いても、やはりなかなかいろいろな御意見があるな、こう思わせていただいているわけであります。やじも飛んで、元気な委員会だということを感じながら、審議をさせていただきたいと思います。

 きょうは、郵便局株式会社法案の中身について、中身の議論がない、今こういう声もありましたので、中身に入っていきたいと思っております。先週の議論、総理やそれから麻生大臣の御発言等を聞いておりまして、大分核心に触れてきたなと。

 一つは、やはり郵便局の設置基準の問題であります。

 何度も議論されておりますけれども、過疎地以外の郵便局については、やはり総理がおっしゃったように、私は、これから民営化されれば、当然ながら、二万四千七百がそっくり残るということではなくて、あるいは場合によってはふえるかもしれませんし、場合によっては減るかもしれない、そこはまさに経営判断。もちろん政府出資の特殊会社であるという性格は当然持ちながらも、私は、経営判断にゆだねられていくという部分はあるんだろうと思っております。

 ただし、私がもし経営者であるとするならば、やはり公的なサービスとしてここは明確にしてもらいたい、基準で明らかにしておいてもらいたいというのは、これはまた経営者の率直な気持ちではないかなと。したがって、今回の関連法案では、当然ながら、設置基準について、全国あまねくということ、そして政省令でそこは明確に規定をする。

 今までの議論の中で、過疎地については、現状の郵便局のネットワークの水準を維持しようということが明らかにされたわけであります。しかし、そうはいっても、それ以外については、やはり今申し上げたように、片方では経営者の判断、片方では公的サービスとしてのありよう、この二つのバランスの中で私は議論されていくんだろうと。

 したがって、私今までは、郵便局というのは新しくぜひつくってもらいたい、この地域に新しい郵便局をつくってもらいたいというお願い、運動を随分やってきたことがありますけれども、今度は逆に、我々はこの法案を議論するに当たって、では統廃合されることも当然あるんだろう。個々の郵便局が統廃合されるかどうかということが恐らく大きな国民の関心事であるわけでありまして、そのときにこそ我々は、政府・与党が合意いたしました「都市部についても国民の利便性に支障の生じることのないよう配慮する。」この合意というものは十分生かしていただかなきゃならぬ、こう考えているわけであります。

 そこで、先ほどの答弁でもあったわけでありますけれども、民営化された後、郵便局の統廃合あるいは設置状況についてだれがその是非を判断するのかということで、先ほど竹中大臣からも、そこはやはり完全な民間の会社ではない、特殊会社であり、政府の関与も残るんだ、こういうお話もありましたけれども、特に、政府におけるその判断について、どういう仕組みになっているのか、お伺いしたいと思います。

竹中国務大臣 郵便局の設置につきましては、これまでもいろいろ御議論いただいておりますが、基本的な考え方、もう繰り返しませんが、郵便局会社法の第五条で、あまねく全国において利用されることを旨として郵便局を設置することを義務づけるというふうにした上で、具体的な設置基準は省令で定める、そこは与党との合意を踏まえてしっかりとした内容にするということでございます。

 桝屋委員のお尋ねは、それを前提とした上で、では民営化後の郵便局の統廃合や設置状況についてはだれがその是非を判断するのか、そういう御趣旨かと拝聴いたしました。

 郵便局の個別の設置については、総理もふえる場合もあれば減る場合もあるという趣旨のことを言っておられますけれども、郵便局の個別の設置については、郵便局会社法第五条及び設置基準に関する省令の定めるところに従って、郵便局会社の判断により行われるものでございます。

 また、総務大臣は、これは特殊会社というその基本的な性格に基づくわけでございますが、設置基準との関係において、必要があれば必要な措置を講ずることができるということが定められております。その中には報告徴求権、監督命令等が含まれているということでございます。

 なお、加えて、郵便局の設置状況については、これも与党との合意を踏まえまして、郵政民営化委員会によります三年ごとの総合的な検証の対象とするというふうにされております。検証の結果、必要があれば、委員会は政府に意見を述べまして、総務大臣において適切な措置を講ずることが可能な仕組みとしているところでございます。

桝屋委員 今の三年ごとの検証ということの中に設置状況も当然入ってくる、それに基づいて総務大臣は必要な措置をとることができると。

 それからもう一つ確認なんですが、この郵便局株式会社法案の中の第九条でありますが、毎事業年度の開始前に事業計画を総務大臣に提出する、こうされているわけでありまして、その提出される事業計画の中には、竹中大臣、設置状況というのは含まれるんでしょうか。総務大臣が適宜的確にその設置状況を把握する状況になっているのかどうかということをちょっと確認したいのであります。

麻生国務大臣 今お尋ねのありました郵便局の設置につきましては、いわゆる郵便局会社法第五条において書いてあります部分でいきますと、「あまねく全国において利用されることを旨として郵便局を設置しなければならない。」とされておりまして、その基準は総務省令で定めるということになっております。

 その総務省令の内容につきましては、既に理事会に提出をいたしておりますので御存じのことと存じますが、その中におきまして、過疎地につきましては、法施行の際、現に存する郵便局ネットワークの水準を維持することを旨とし、都市部につきましても、国民の利便性に支障の生じることのないよう配慮する考えということにいたしております。

 地域住民の需要に対応できるようにするのは当然のことでして、いずれの市町村におきましても今は一つずつということになっておりますけれども、その部分につきましても一つずつだけで、今このままでいきますと、町村合併によりまして一千三百自動的に減ることになりますので、そういった点も配慮して、利便という点を十分配慮した上でやらねばならぬと思っております。

 したがいまして、毎年度、この設置基準に基づいて総務大臣に提出されます事業報告書、また地域の報告徴収を通じまして、郵便局の設置状況というものを当然把握することになりまして、必要であれば監督命令等の措置を行うなどによりまして、郵便局のいわゆる適切配置というのをきっちり担保してまいらねばならぬと思っております。

 前にも御説明申し上げたように、どこまでが都市部でどこまでが何とかとか、いろいろ御意見の分かれるところでもあろうかと存じますので、その点につきましては、いろいろ御意見が分かれるところ、急に人口がふえたり、急に人口が減ったりするという話はある話でございますので、私どもとしては、そういったところに関しまして、きちんと適切に対応していかねばならぬものと考えております。

桝屋委員 総務大臣が全体の設置状況を把握し、必要があれば改善命令等も出せるんだ、こういう話でありましたが、麻生大臣は結構、地元といいますか現場というものを随分意識されておられるから、私は麻生大臣なら安心でありますけれども、ほかの大臣が来て、それで本当にその現場の、地域住民のニーズがどこまで把握されているかというようなことが果たして大臣のレベルで検討されるかというと、私は、そこは実は心配している一人であります。

 全体の雰囲気としては、やはり民営化されれば、採算性の厳しいところは整理していこうと考えるのは経営者としては当たり前でありまして、そこをどうバランスをとっていくのかということは簡単なことではないのだろう。したがって、ぜひともこの仕組みの中で設置状況を適宜把握して、必要な措置がとられることが必要だろう、私はこう思っているんですね。

 そういう意味で、もう少し議論を詰めていきますと、まず郵便局の設置も大変気になるところでありますが、もう一つは、野党の皆さんが盛んにおっしゃるように、それぞれの郵便局におけるサービス、郵便のみならず貯金や保険のいわゆる金融サービス、これが本当にちゃんと行われるんですか、この議論があるわけであります。そこはユニバーサルの提供義務がないではないか、いやいや、そこは安定的な代理店契約がある、当然ながら全国展開はその安定的な代理店契約で行われるんだ、こういうビジネスモデルじゃないかということで、移行後においてもそこは大丈夫だという議論がさんざんぱらここで行われているわけでありますが、ちょっと見方を変えて、私は、地域貢献計画、地域貢献業務というものに視点を置いてちょっと議論を確認しておきたいわけであります。

 その問題意識は、おっしゃるように、金融サービスもちゃんと郵便局で行われますよとどんなに言われても、土台になる郵便局がなくなってしまえば、そんなもの金融サービスもくそもないわけでありまして、本当に土台の郵便局というのは大丈夫ですか、こういう問題意識なんであります。

 そこで、必要であれば、今の金融サービスについては地域貢献業務、地域貢献計画、こうなっているわけでありますが、地域貢献計画を策定する、実施計画を定める際は、地域貢献業務にすぐれた識見を有する者の意見を聞いて、その意見を尊重しなければならない、こうされているわけであります。ただ、その意見に、金融サービスはもちろん入るんでしょうが、保険や貯金については入るんでしょうが、その土台となる郵便局の設置状況まで意見交換のテーマになるのかどうか、ここを伺いたい。これは竹中大臣に伺いたいと思います。

竹中国務大臣 まず、桝屋委員は、土台となる郵便局が大変重要だと。これは、土台が重要であるというふうに、私たちもそのように考えておりますので、郵便局の設置に関しましては、郵便局株式会社法の第五条において「あまねく全国において利用される」云々ということで、しっかりと法律上義務づけているわけでございます。加えて、具体的な設置基準は省令で定める。もうその内容については繰り返しませんが、ベースそのものはこの法律の枠組み、法律と省令でしっかりと担保している、そこがやはり大前提でございます。

 地域貢献業務の仕組みにおいて郵便局が行います地域の有識者等の意見聴取、これはこれで御指摘のように大変大事な仕組みでございますが、これは地域貢献業務計画の対象となるサービスについて行うものでございます。法律によってしっかりとベースが確保されている、その上で、それを視野に入れてサービスについて行うものでございまして、局の設置について直接的に意見を求めるというものではその性格上はございません。ただし、そうした意見聴取の際に得られた意見が会社の業務運営全般において参考にされるということは当然あり得ることでありまして、これはこれでまた重要な機能であろうと思っております。

 そこで、郵便局の個別の設置でございますけれども、これはあくまでも法律等設置基準で定められているところに従いまして、郵便局会社の判断によって行われるわけでありますけれども、その際には、個々の郵便局における日々の活動でございますとか、地域貢献業務計画の策定の際に有識者から得られた意見なども参考にしながら、適切な措置が行われるものというふうに考えております。

桝屋委員 大分頭がぐちゃぐちゃになってきたんですよね。

 大体、この郵便局株式会社法案を読んで、地域貢献業務あるいは地域貢献計画がいわゆる貯金、保険の金融サービスなんだということ、いや、それ以外にももちろんあるんでしょうが、やはり一番メーンはそこなんだろうというのが、まずこの法律を読んでもなかなか思い浮かばないということが実はあって、野党の皆さんもお悩みになるんじゃないかと思うんです。

 そこで、地域貢献業務というのは、今まさに言われたように、土台となる郵便局というのは法律でちゃんと担保されている、その上に立って、ではその郵便局でどういうサービスをするのかという議論を地域貢献業務計画の中で検討していくんだと。私なんかは、いや、土台の法律の、郵便局の土台が大丈夫ですかという疑いをいまだに持っているわけでありまして、なかなかそうですかとは言えないわけです。

 私は法律を信じていないわけじゃなくて、そうはいっても、全体の流れとして、民営化というのはやはり営利目的でありますし、ともすると郵便局がなくなるんじゃないかという不安を常に持ちながら、これは国民の皆さんもずっとそう思っているわけでありますから、そうではないということをぜひ明らかにしなきゃならぬ。そうしたときに、法律で幾ら安定と言われても、やはり地域の意見というか、地域のニーズというのはちゃんと検証されるんだという整理はどういうふうにされているのかという問題意識なわけであります。

 そういう意味では、地域の有識者との意見交換というのは、郵便局の設置までは入らない、いわゆる地域貢献業務の中身について議論するんだというお話でありました。

 そこは私は、土台なんだから、三年ごとの検証もさることながら、そこの有識者との意見交換の中で設置状況というのは当然前提として議論されていいのではないか、こう思っているわけです。そこまで期待していい有識者なのかどうかということも実は気になっているわけでありまして、地域貢献業務にすぐれた識見を有する者とは具体的にどういう人なのか、あるいはその意見交換の場というのはどういうふうに設定されるのか、重ねてお伺いをしたいと思います。

細見政府参考人 お答えいたします。

 公明党の主張及び与党との合意を踏まえまして、郵便局株式会社法六条二項において、地域の実情などに識見を有する方の意見を聞き、これを尊重して地域貢献業務計画を策定しなければならないというふうに規定をしているところでございます。この規定の趣旨を踏まえますと、意見聴取は、郵便局単位の細かい地域のニーズを判断できるということが必要であろうかと思います。

 こうした要件を満たし得る有識者といたしましては、例えば、前回も少し申し上げましたが、地方公共団体の代表などということが考えられるわけでございますし、また、意見を聞く場の設定につきましては、地域貢献計画立案の時期に郵便局会社が有識者の参集を求めるといったケースもあろうかと思いますし、また郵便局会社の職員が個別に有識者を訪問して意見を聞くといった場合もあり得るかと考えております。

 いずれにいたしましても、その人選を含めた意見聴取方法につきましては、地域の実情はさまざまであるということでありますので、地域貢献業務と各地域におけるその必要性を熟知している郵便局会社の判断にまずはゆだねられるということかと思っております。

 他方、これも前申し上げましたが、制度的には、郵便局単位のきめ細かい地域のニーズが判断できるような形で有識者からの意見聴取が適切に行われ、またこれが尊重されているかどうかにつきまして、主務大臣が地域貢献業務計画を認可する際に所要の書類を提出していただきまして、これらを審査することによって担保していきたい、こういうふうに考えているところでございます。

桝屋委員 私のきょうの議論のテーマは、郵便局の統廃合は行われるんだろうけれども本当に大丈夫ですかというのがテーマなんですね。整理すると、郵便局の統廃合を決めるのは、やはりそれはもう民営化された会社が主体的に判断をするというのが基本でありまして、その主体的な判断に基づいて総務大臣が検証もし、実態も把握する、こういうことだろうと思っているんです。

 地域貢献業務も、さっきから議論していますように、勢い基金の活用ということを観点に地域貢献業務を整理しているものですから、さっきも言いましたように、何度も議論していますように、郵便局の配置、設置状況までがまさに議論の対象になるわけではない。そこはやはり、土台の郵便局の設置状況ということも十分踏まえて意見交換なされることが必要ですよ。こういうふうに、効果的な意見交換、本当に地域のニーズが吸い上がるような有識者との意見交換というふうにならなきゃならぬのじゃないか、私はこう思っているんです。

 そこで、最後に一つだけ確認なんですが、地域貢献業務の中には、市町村の特定業務なんかも、郵便局がやっている市町村の窓口業務あたりも、これも地域貢献業務に入っていないんですね。そういう意味では、地域の有識者との意見交換という中には、やはり私は、今市町村はおっしゃっていただいたけれども、JAさんとか漁協とか、まさに地域の中でさまざまなサービスを展開している方々の意見もしっかり入る必要があるんじゃないか、その辺の意見も十分聞く必要があるんじゃないか、こう思っております。

 具体的にはこれから詰めるということなんでしょうが、ぜひそこはお願いをしておきたいなと思っているんですが、再度、事務方で結構です、御答弁をいただきたいと思います。

細見政府参考人 お答えいたします。

 地方公共団体の特定事務が地域貢献業務に入っていないということでございますが、それはそのとおりでございまして、これは地方公共団体の委託事務ということでございますので、これらのサービスをどの程度提供するかは地方公共団体の責任において決められるということになるものですから、社会・地域貢献計画を活用して公の業務の実施を確保することは余り適当でないということで、対象といたしていないということでございます。

 ただ、地域貢献業務を実施する場合には、地域貢献業務の要件であります、地域住民の生活の安定の確保のために必要であることとか、郵便局会社以外の者による実施が困難であること、こういった要件を満たす必要があって、この点について有識者からいろいろ御意見をお聞きするということでございます。

 このような観点からは、地域の実情をよく知っている市町村の代表等がまずは考えられるわけでございますが、今御指摘のありました農協、漁協関係者といった人たちについても別に排除されているわけではございませんで、広い範囲の中でいろいろ考えていきたいということだと思っております。

桝屋委員 ぜひとも効果的な議論を。

 私、何でこんな話をするかというと、民営化されたJRを見ていただいたらよくわかるんです。JRの駅、例えば、それぞれの駅を整備しよう、利用者の利便をもっと配慮して整備しようではないかというときにどういう現象が起きるかというと、お見合いになるんですね。現場の市町村はぜひ手をつけてもらいたい。ところが、JRもそうは思うけれども、問題は財政の話であります。財源をどこから持ってくるか。言い出しっぺがやはりお金を用意しなきゃならぬということもあったりいたしまして、結局お見合いが続いて改善がおくれてしまう。

 一番困るのは利用者でありまして、そういう状況にならないように、今のお答えの中でも、地域貢献業務計画の中にはまさに市町村の特定事務等は入らないわけでありますから、市町村からすると、この郵便局を減らしてもらっちゃ困る、ここは市町村の立場から見ると、この窓口は要るんですよ、ぜひ欲しいとなったときに、しかし、地域貢献業務計画の対象外でありますから、そこはなかなか議論にならないということになってしまうのではと私は心配なわけであります。

 こういう部分は法律で規定しているから、これは議論の対象ですよ、対象外ですよなんということではなくて、お互いが重なり合うようにして、お互いに議論できるような環境でなければ、真に住民に喜ばれるサービスにはならないということを申し上げたいわけであります。

 時間がもうなくなりましたけれども、もう一点、先日の村井委員の議論を聞いていて、ちょっと頭が整理できなくなったので、確認をさせていただきたい。それは、みなし公務員制度と郵便認証司の問題であります。

 今回の改正によりまして、現在日本郵政公社が提供しております郵便の役務のうち、内容証明あるいは特別送達について、民営化後も信用力を確保しなければならぬ、そのために新たな資格制度が創設されるというふうに理解をしております。

 当初、法案を整備する中で議論しておりましたのは、みなし公務員にすればいいではないか、そこで対応できるんじゃないか、こういう議論もあったわけでありますが、法律案を見ますと、整備法の七十四条でありましょうか、みなし公務員制度の適用もうたい、そして重ねて第三章において、郵便認証司の創設が規定をされている。

 この両者の関係をいま一度、私は、認証司というのが本当に必要なのかどうなのかという観点で、みなし公務員の制度と、それから認証司の役割というもの、必要性について御説明をいただきたいと思います。

竹中国務大臣 特別送達等の公的な機能を民営化後も引き続き信用力を高く維持してやっていただく、そのためにどのような仕組みがよいか、みなし公務員の規定でできるのか、何らかの資格制度が要るのか、これは与党との間でもかなり重要なテーマになった問題でございます。ちょっと議論の整理をしろということですので、少し丁寧に議論を整理させていただきたいと思います。

 特別送達は、訴訟手続におきまして、訴状、判決書、そういった重要な書類を送達する手段でございますから、大変重要だ。また内容証明は、証拠の残る意思表示の手段、証拠の残る意思表示ということでありまして、これにより付された差し出しの年月日は確定日付としての効力を有するということでございますから、これで確定日付があることが第三者への対抗要件となる。これは指名債権の譲渡の通知などに非常に広く用いられている。繰り返しになりますが、その意味では公共性の極めて高いサービスであるというふうに認識をしております。

 こうしたサービスの公的な役割にかんがみまして、民営化後におきましても、現在の公務員である公社職員による取り扱いと同じような信用性、今の公務員である公社職員と同じような信用性を引き続き維持して、このサービスが確実に提供されるように必要な措置を講じたというのが今回の措置でございます。

 具体的に申し上げますけれども、まず、これは特殊会社である、総務大臣の監督を受ける郵便事業会社の法定業務として位置づけているというのが第一点でございます。そして、特別送達または内容証明の業務に従事する者については、今申し上げたような公的な業務に従事する者については、刑法その他の罰則の適用について公務に従事する者とみなす、いわゆるみなし公務員規定を設けるということ。そして、それに加えまして、与党との協議を踏まえまして、客観的に取り扱いの公正性とか中立性を確保する仕組みとしまして、総務大臣が任命して、その監督のもとで特別送達等に係る認証事務を行うことを職務とする郵便認証司の制度を設けるということにしたものでございます。

 刑罰の適用におけるみなし公務員の規定というのは、公文書偽造あるいは贈収賄の罪等の適用をもちまして不公正な行為を排除するということに主眼がある。実際に特別送達や内容証明の業務に従事する者のほか、これらの業務が適正に行われたこと等を確認する立場にあります郵便認証司についても対象にしているということでございます。

 一方で、郵便認証司の制度は、郵便事業会社等の使用人のうちで管理または監督の地位にある者であって、必要な知識及び能力を有する者から総務大臣が任命して、その監督のもとで職務を行う郵便認証司、その郵便認証司がこれらの業務が適正に行われたことを確認することによって、客観的に公正中立性を確保するということを目的としたものでございます。

 したがって、これらの関係についてあえて別の観点からいうと、みなし公務員規定というものは、事後的な罰則の適用により不正行為を防止しようというものであるのに対しまして、郵便認証司の制度は、あらかじめ特別送達や内容証明のサービスの誤りない提供を確保するために、相応の地位にある者に一定の役割を担わせることとするものである、そういう考え方でございます。

桝屋委員 そこで、先日の村井委員の議論では、どういう場合に国家賠償があるのかというような議論もあったと思うんですけれども、今のみなし公務員とそれから郵便認証司、新たな信用力を確保するためにこの資格をということなんですが、特別送達にしても内容証明にしても、二百万から四百万ぐらいのそれぞれ相当の数をこなすわけで、法的な公証の力を与えているわけであります。

 そういう意味では、信用力を確保するという観点では、ある意味では国家賠償ということも意識をきちっとしておかなきゃならぬ。先日の話では、これはやはり郵便認証司という形にしないと結果的に国家賠償の仕組みも無理なのではないか、私はこう実は議論の中では感じていたわけでありますが、その点を最後に確認させていただきたいと思います。

伊東政府参考人 お答えをいたします。

 国家賠償法の適用につきましては、国家賠償法第一条におきまして、「国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によつて違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。」と規定しているところでございます。

 ここに言う公務員は、国家公務員、地方公務員のように公務員法制で定められた公務員に限るものではなく、例えば、公証人が過失により無効となる公正証書をつくり当事者に損害を与えた場合には、判例上、国家賠償法の対象となることとされているところでございます。

 こうした判例に照らせば、郵便認証司につきましても、その行為が公権力の行使に該当し、それによって第三者に違法に損害を与えた場合には、国家賠償法が適用され、国が責任を負う場合もあると考えているところでございます。

桝屋委員 これで終わりますが、国家賠償をするために認証司をつくったのではない、結果的に国家賠償法の適用がある、私はこういうふうに理解をするところであります。引き続きこの問題については議論したいと思います。

 以上で終わります。

二階委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時二分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時一分開議

二階委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。西村智奈美君。

西村(智)委員 民主党の西村智奈美でございます。

 きょうは、午後一番の質問者として一時間ほど時間をいただきましたけれども、まず冒頭、法案の審議に入ります前に、昨日、NHKの「日曜討論」の番組におきまして、極めて怒り心頭、まさに髪の毛が逆立つような思いがいたしましたけれども、自民党の筆頭理事の極めて不適切な発言に対して、断固として抗議を申し上げたいと思っております。

 筆頭理事は以下のようにおっしゃいました。会期は鉄道でいえばレールみたいな話であって、レールの上に石を置くようなことはやるな、投身自殺なら男らしいが、こういうふうにおっしゃいまして、前半部分を発言したあたりで中井筆頭らの方から抗議の声が上がった、これは私の理解でございますけれども、そしてその後、不適切であったら取り消すがというふうにおっしゃいました。

 しかし、そういった流れから見ますと、後半の部分、投身自殺なら男らしいということについて、山崎筆頭は撤回をしていないのではないかというふうに考えております。これについて、官房長官、どういった御見解をお持ちでしょうか。

 前半の部分は、これはJRの事件が起こった直後であって極めて不適切であるということは皆さんからも御理解をいただけると思いますけれども、後半部分については、これは二重、三重の意味で人権を侵害しております。一つには、男らしいがと言ったこと、これは特定の固定的な価値観であって、その中に押し込めて、投身自殺を美化するようなことはあってはいけないことだと思います。投身自殺の悲劇に襲われた方々の気持ちもまた踏みにじる、そういう発言であると思いますけれども、いかがですか。

細田国務大臣 山崎筆頭理事の御発言につきましては、私も詳細にはよくわかりません。また、真意もわかりません。これは現に現場において各党の理事がお出かけいただいていたというふうにも理解しておりますので、ぜひ理事会等で御議論をいただきたいと思います。(発言する者あり)

 これは、政府の問題としては、今の問題は、山崎筆頭理事の政治家としての御発言の問題だと思っております。

 延長の問題等につきましては、もちろん政府としては、ぜひこの問題の重要性にかんがみ、これを含みまして、今後とも成立に向けてよろしくお願いしたいという立場でございます。

西村(智)委員 私がなぜ官房長官にお伺いをしたかと申しますと、官房長官は男女共同参画担当でもいらっしゃいます。そういったお立場から見識のある御発言がいただけるのではないかと思っておりましたけれども、もう一度伺います。いかがですか。

細田国務大臣 私も男女共同参画担当大臣でございます。ジェンダーの問題等、いろいろな問題が今社会の中でも提起されております。いろいろな例示の、古い発言とか古来の発言等もございますが、男だからとか女だからとか、あるいは女のくせにとか男だてらにとか、いろいろな言葉があるわけですが、こういうことはぜひ控えていただきますようにお願い申し上げます。

西村(智)委員 私は、だてらにという言葉については伺っておりませんので、聞いたことだけについてお答えをしていただきたいと思います。

 委員長、このことについては、この委員会全体の品位と品格にかかわることでございますので、ぜひとも理事会の方でしかるべき対応をとっていただきたいと思いますが、いかがですか。

二階委員長 後刻、理事会において協議をいたします。

西村(智)委員 それでは、法案についての質問に入らせていただきます。

 今回の法案ですけれども、竹中担当大臣のリピート効果、サブリミナル効果がきいたのかと思いますけれども、民営化できるものはすべて民営にすればよろしい、それはある部分正しいことではありますけれども、日本国全体がそれを信じ込まされているように考えております。

 中央省庁等改革基本法の問題については、この後、同僚の委員が質問するということでございますので、それについては譲っていきたいというふうに思いますけれども、私は、この法案によって日本が、今まさに人と人との関係、これから人口減少社会の中で極めて大切になってくると思われる公共、公の部分、パブリックの部分、これを壊す法案になるのではないかというふうに極めて懸念しております。

 アメリカに滞在をしておりました私の友人が先日帰ってまいりまして、私のところに来て話してくれました。アメリカは、確かに民がそれぞれの力を発揮しあれほどの経済成長を支えてきた、しかし、最近は何が起きているかと申しますと、貧富の格差が固定化されてしまって、サクセスストーリーも奪われて、将来に向けて希望を失っている人たちがあふれている、こういう話でございました。これは近未来の日本の姿に重なってくるのではないかということを極めて憂慮しております。

 かつ、年金そして医療、社会保障制度、日本には重要な課題が山積しておりますけれども、それらの問題を先送りして、この民営化の問題を何が何でもということでやるのは順序が違うのではないかというふうに考えております。

 さて、郵政民営化法案でございますけれども、審議に入ります前にもう一点確認をさせていただきたいと思います。

 延長問題に関連してですけれども、正式に発言されるというのはどういうことでしょうか。官房長官、お願いいたします。

細田国務大臣 先ほど、答弁中に、これは延長問題について聞いているんだと言われましたから、最後のおさまりのところが大事なのでございます。

 それはもちろん国会でお決めになることであり、我々政府としては、何とかこの民営化法案を成立させていただきたいということでございますので、早期成立をお願いしたいという趣旨でございます。

西村(智)委員 きっちりと理事会での合意に基づいて十分な質疑が行われることを閣僚の方から妨げられることはないと思いますので、ぜひその点御留意をいただきたいと思います。

 さて、郵政民営化法案の第一条でございますけれども、大変に不思議な法案でございました。どういうことかと申しますと、閣議決定に則して、閣議決定された方針に則して行われる改革である、こういうことになっております。

 ちょっと読み上げさせていただきます。第一条です。

 「この法律は、民間にゆだねることが可能なものはできる限りこれにゆだねることが、より自由で活力ある経済社会の実現に資することにかんがみ、平成十六年九月十日に閣議において決定された郵政民営化の基本方針に則して行われる改革(以下「郵政民営化」という。)について、その基本的な理念及び方針並びに国等の責務を定めるとともに、」こういうふうに書いてあるわけでございます。

 つまり、閣議決定された基本方針がこの第一条、民営化法案の目的条項に引用されております。私は、寡聞にして、閣議決定された方針というものが目的条項に入っているという法律をほかに知らないんですけれども、ほかにはこういう法律はございますか、竹中大臣。

竹中国務大臣 この民営化法、基本法の第一章総則、その目的第一条についてのお尋ねでございます。

 これはそもそも、法律におきまして郵政民営化はどうしてこういう形になっているかということでございますが、郵政民営化を定義するに当たりまして、このため他の用例を参考にしまして、例えば、持ち株会社のもとで四機能のそれぞれを分社化、株式会社化すること、郵便貯金銀行及び郵便保険会社の株式については売却し、民有民営を実現すること、さらには、民営化は二〇〇七年四月に実施し、最終的な民営化の姿は遅くとも二〇一七年四月に実現すること、そういった基本的な考え方を示しておりますところの郵政民営化の基本方針を引用しているわけでございます。

 西村委員お尋ねの、こういう閣議決定を引用している法律の前例があるのかというのが直接のお尋ねでございますが、戦没者の遺族等に対する援護関係の法律というのがございますが、この法律では、その対象者等を特定するに当たりまして、閣議決定に基づいて組織された○○の隊員というような規定例が複数見られるところでございます。

 また、中央省庁等改革基本法では、中央省庁等改革について、これは閣議決定ではないんです、閣議決定よりも下の審議会の意見を引用する形で、行政改革会議の最終報告の趣旨にのっとって行われる何々の改革というような形で規定をしているというふうに承知をしております。

西村(智)委員 戦没者のこと、あるいは中央省庁等改革基本法のこと、それらの法文については私も承知をしております。閣議決定などが引用されている法律というのは、調べてみましたらこれだけあるんですね。

 ただ、この郵政民営化法案と決定的に違いますのは、中央省庁等改革基本法、それから実は司法制度改革推進法、これもそうなんです。こういったものの中では、審議会の意見を引用する例は確かにございます。ですが、それらは国家行政組織法に基づく合議制の審議機関の報告書を引用しているのであって、しかも、趣旨にのっとってというふうに書かれております。

 今回の、「閣議において決定された郵政民営化の基本方針に則して」、そういう書きぶりとは圧倒的に違いがあるのではないかというふうに考えますが、改めていかがでしょうか。

竹中国務大臣 趣旨にのっとってというような書き方もあると思いますが、この閣議決定された、これはもちろん文書でございます。閣議決定されたのは文書として閣議決定されているわけでございますが、その基本方針に則して行われるということでございますから、厳密には違うという御指摘でございましたら、厳密に全く同じじゃないということかもしれませんが、基本的な考え方としては、いろいろな、冒頭申し上げましたように、私たちは、法律におきまして郵政民営化を定義する、その必要に当たりまして、この基本方針にありますような分社化、さらには銀行、保険の売却、民有民営、そして時期等々の基本的な考え方を示しているところの基本方針を引用したものでございますので、その法律に目的を書く、定義するに当たっての一つの手法であるというふうに考えているところでございます。

西村(智)委員 基本方針に則して今回の法案が出されたというふうに今の竹中大臣の答弁からは理解することもできます、私は賛同いたしませんけれども。

 そこで、仮にこの郵政民営化法案が基本方針に則した法案である、これはちゃんと文言で書かれておりますから、則した法案であるという前提に立ってこの法案全体を見てみますと、細かいところで食い違っているところが幾つか出てまいります。

 例えば、基本方針では、3の(1)の(イ)、窓口ネットワーク会社について、「窓口の配置についての法律上の取り扱いは、住民のアクセスが確保されるように配置するとの趣旨の努力義務規定」とする、努力義務規定とはっきり書いてございます。ところが、これが郵政民営化法案、郵便局株式会社法案に落とし込まれますと、その第五条で、「会社は、総務省令で定めるところにより、あまねく全国において利用されることを旨として郵便局を設置しなければならない。」これはどう見たって義務規定でございます。

 そういう法案の流れの中で、委員会、本会議での答弁はまさに迷走しております。特に六月三日の小泉総理の答弁でございますけれども、総理は郵便局のふえる、減るということについてこういうふうに答弁をしています。「リストラする、統合再編する、減らす点、これはやはり経営者の判断を尊重しなきゃいけないと思う。」と。

 これは明確に、経営者の判断にゆだねるという以外のほかの読み方ができないわけでございますけれども、竹中大臣、郵便局は銀行のように整理統合されることはあるということでしょうか。

竹中国務大臣 西村委員は、設置基準、郵便局の設置に関しまして、基本方針と法律との関係についてお尋ねでございます。

 確認のためでございますけれども、まず、この法律は、閣議決定された「郵政民営化の基本方針に則して行われる改革(以下「郵政民営化」という。)について、その基本的な理念及び方針並びに」云々ということでございますので、枠組みはそういうことでございます。

 その上で、基本方針の中で、設置基準についてどのような考え方がとられているかということでございますが、これは、まず国民のアクセスをちゃんと確保しましょう、消費者の利便の観点からアクセスをちゃんと確保しましょうということを述べております。その上で、具体的な設置に関しましては、過疎地については特別の配慮をすることが必要でしょうということを書いております。そしてそれは、過疎地とそれ以外のところでは、基本的な設置の枠組みは違ってくることがあり得るということを示しているわけでございます。

 実は、今回の郵政民営化の法案、それに基づく制度設計でございますけれども、御承知のように、第五条で、郵便局の設置について、「会社は、総務省令で定めるところにより、あまねく全国において利用されることを旨として郵便局を設置しなければならない。」ということで、この利用者の観点からのアクセスについての確保を行っているわけでございます。

 その上で、設置基準でありますが、過疎地については、基本方針は、過疎地について配慮するということで、「拠点維持に配慮する」ということを書いているわけでありますけれども、それに関連して、それを具体的な形にするという意味で、会社は、過疎地については、法の施行の際現に存する郵便局ネットワークの水準を維持することを旨として、次に掲げる基準により云々ということでありますので、その過疎地の配慮についてこのような形になっている。

 一方で、人口の稠密地域については配置を見直すということを基本方針で書いておりますけれども、この法案及び省令では、こうした問題については、住民の需要に適切に対応する、ないしは、交通、地理その他の事情を勘案して地域住民が容易に利用することができる位置に配置するというふうに規定しているところでありますので、その範囲で郵便局会社の民営化の趣旨を踏まえて、経営の自由度を確保しながら、住民のアクセスが確保されるように、その社会的機能を引き続き果たしてもらえるような仕組みを考えているところでございます。

 したがいまして、基本方針の趣旨に沿ったものになっているというふうに考えているところであります。

    〔委員長退席、石破委員長代理着席〕

西村(智)委員 何をお答えいただいたのか、私よくわからないんですけれども、どういうことなんですか。つまり、総務省令の基準に沿って設置するようにと努めてもらうけれども、最後は経営者の判断にゆだねる。つまり、三つ、私の理解ですと、基本方針と第五条と総理の答弁、すべて食い違っているように思えるんですけれども、その点についてはどうなんですか。どれが正しいんですか。

竹中国務大臣 先ほど申し上げましたように、基本方針も法案もまた総理の御答弁も、これは一致をしているわけでございます。

 基本的な考え方と申しますのは、まず、これは利用者の利便を考えまして、全国でしっかりとアクセスできる、そのアクセス、局に対するアクセスを確保するというのが重要なポイントでございます。これは、利用者の利便の観点からアクセスを確保すること。

 一方で、これは民営化の趣旨でございますけれども、民営化でございますから経営の自由度をできるだけ持っていただきたいわけですけれども、この拠点の重要性にかんがみまして、まず過疎地については、法施行の際、現に存する郵便局ネットワークの水準を維持するということを旨として設置するということを、これは設置基準に記するわけでございます。これは、基本方針で書いているように、「過疎地の拠点維持に配慮する」ということを具体的な形にしているわけでございます。

 それ以外のところにつきましては、その設置基準を三つ掲げるわけでありますが、これは今の公社の設置基準と遜色ないものになるわけですが、地域住民の需要に適切に対応することができるよう設置されていること、いずれの市町村についても一以上の郵便局が設置されていること、交通、地理その他の事情を勘案して地域住民が容易に利用することができる位置に設置されていること。

 私が先ほど申し上げましたような基本方針の考え方というのは、このような形で法律及び省令に具現化されているわけでございます。総理の御答弁も、そのような範囲の中で御答弁をされたものというふうに承知をしております。

西村(智)委員 非常にあいまいな言葉がたくさん盛り込まれておりまして、国民の目、国会の目を欺こうとしている意図がまさに見え見えなわけでございますけれども。

 竹中大臣、もう一回聞きます。郵便局は銀行と同じように整理統合されることはあるんですか。

竹中国務大臣 銀行と同じではございません。

 まず、設置基準がございます。設置基準を定めまして、その上で、それについては、銀行は商法の一般会社でございますが、この郵便局会社は特殊会社でございますので、特殊会社として総務大臣の一般監督を受けることになります。設置基準を守っているかどうかということも総務大臣の一般監督の権限の中に当然入りますので、それに対しては、場合によっては報告徴求や命令もあり得るということでございます。

 また、さらに申し上げれば、民営化委員会が三年ごとに郵政の民営化についての検証を行いますが、その中には局の配置等々も含まれますので、それについて民営化委員会が意見を言うことはあり得る。それにまた、その場合に政府としては、しかるべく対応する。その意味では、一般商法会社の銀行の店舗の整理統合とは、これはおのずと違ってくるというふうに思っております。

西村(智)委員 午前中の質疑にもあったんですけれども、この設置基準が総務省令に定められるということでございました。(発言する者あり)後ろから盛んにやじが飛んでおりますけれども、今の御答弁でだれもが納得できるものではないということだけは強く申し上げておきたいと思います。

 総務省令は、国会が関与することのできないものでございます。どなたかも午前中おっしゃっておられました。麻生大臣は地域のことがよくおわかりですので、麻生大臣の間は、地域のニーズに対応できる郵便局を一局も減らさない、そういう方針のもとでやってくださるかもしれませんけれども、この後はどうなるかわからないわけでございます。

 とりわけ、経営者の判断ということになってまいりますと、もう何度も繰り返されてきた論点でありますけれども、経営者が最優先に考えるのは何かということをよくお考えいただきたいと思います。やはり利潤追求、そして財務の健全性、こういったことになってくるんではないでしょうか。そういうときに、採算性の悪いところ、不採算の地域があったときに、それを削ってネットワークを構築していくか、そういうことも考えるというのが、これは経営者としては当然の経営判断であろうというふうに考えております。

 今の答弁では極めて不十分でございますけれども、竹中大臣のほかの閣僚の皆さんにもぜひ伺いたいと思っております。

 先ほど、私、基本方針とそれから法案と小泉総理の答弁が全くばらばらではないかというふうに申し上げました。これについて、各大臣はどのようにお考えでしょうか。一言ずつお聞かせいただければと思います。官房長官から。

細田国務大臣 我々、こうして同じ委員会に同時刻に、内閣の中のそれぞれの担当も考えながら、お呼びいただいて出ておるわけでございます。そして、それぞれが同一の責任を持っておりますので、この問題につきましては竹中大臣がお答えしたとおりでございまして、全く差異はございません。

石破委員長代理 西村君、指名していただけますか。

西村(智)委員 北側大臣、谷垣大臣、そして伊藤大臣、麻生大臣の順でお願いします。

北側国務大臣 竹中大臣と同様でございます。

谷垣国務大臣 今まで御答弁がありましたことと同じでございます。

伊藤国務大臣 今まで御答弁があったとおりでございます。

麻生国務大臣 今の御質問ですけれども、何を聞き出したいのか意図がよくわからないんですが、基本的には、努力規定からいろいろな努力をされた結果なのであって、食い違っているというような種類の話ではないと存じます。

西村(智)委員 これは子供の作文、国語力の問題かというふうに思いますけれども、基本方針と法案と、そして総理の答弁がすべて違う中身であるというのは、常識的に考えてだれもが言えることではないかと思いますけれども、それについて竹中大臣はごまかすような答弁を続け、そして、ほかの閣僚の皆さんもそれと同じ意見であるというような、こういう無責任な閣僚にはぜひともこの法案の審議からおりていただく、まず内閣の総辞職をしていただきたいというふうに強く要望したいと思っております。

 さて、私が先ほど言っておりました設置基準の問題は、金融サービスの利便性の維持と深くかかわってくる論点でございます。

 これまでにも何度も論議がありましたけれども、本業のない窓口ネットワーク会社が立ち行くわけはないと私も考えております。箱物、郵便局の設置だけを仮に、先ほど竹中大臣以下御答弁くださったように、設置基準で義務づけがあったとしても、その箱に入れる中身、金融サービスが義務づけられていなければ、全く整合性はとれていないというふうに考えております。まさに、箱だけ義務づけて中身は義務づけないというのは矛盾した法律の中身になっているというふうに考えております。これについても法令できちんと書き込むべきであるという観点から、幾つかお伺いをしたいと思っております。

 竹中大臣は、五月二十七日の郵政民営化に関する特別委員会で、金融のサービスを確保する仕組みとして四つの方策を考えておられるというふうに答弁いたしました。一つは先ほどの設置基準、二番目は安定的な代理店契約、三つ目はその契約が長期も可能であるということ、そして四つ目は基金の活用ということでございましたけれども、大臣、そのとおりでよろしいですか。

竹中国務大臣 基本的には、まず拠点を確保して、その拠点でしっかりとサービスがなされるように代理店契約がある。それが、最低限移行期間をカバーするということがみなし免許の条件でありますけれども、それが長期になることも妨げないということを確かに申し上げました。そして、その上で、基金の、ネットワーク価値の低下があるような場合は地域・社会貢献基金も活用できるような仕組みにしている、そのような趣旨のことを答弁させていただいたと記憶をしております。

西村(智)委員 安定的な代理店契約についてなんですけれども、竹中大臣、六月九日の郵政特で、以下のように答弁をされております。すべての郵便局を代理店とする旨の契約をみなし免許の条件とする、そのことを個別に条件として求めているわけではありません、そして、同じ日でございますけれども、ビジネスを続けるに当たっては、そういうこと、一括契約するということが当然のことながら想定されるというふうに答弁をされております。

 重ねてになりますが、この経営判断、ネットワークの価値がいかにして高まるかという経営判断は、当然ながら経営者が行うわけでございます。委託の範囲を見直した方が価値が高まるというふうに経営者が判断すれば、委託の範囲を見直されるということになるのではないかと思いますけれども、この点はいかがでしょうか。

竹中国務大臣 まず、先ほど西村委員が箱という表現を使われたと思いますが、局の設置があってもその箱が空っぽであっては何もならないではないか、もたないではないか、そういう御指摘があったかと思います。

 念のために金融の御説明をいたしますが、まず、局に関しては、まずもって郵便の業務については提供義務を課すわけでございますので、ここは一つのコアビジネスとしては郵便としてある。その上で、西村委員は金融のお尋ねをしておられるということであろうかと思います。

 まず、みなし免許。これは、銀行、保険、二〇〇七年の三月三十一日まで通常に営業をしております。それが四月一日以降も滞りなく業務を続けるというためには、いわゆるみなし免許を付与する必要がございます。改めて銀行業を開くことを申請して、それを審査するという時間がございませんので、みなし付与する。そのときに、この移行期間中は安定的な代理店契約そして保険募集委託契約があることを免許の条件として付すこととしている。私が以前申し上げましたのは、その条件となりますのは、安定的な代理店契約そして保険募集契約ということでございますので、個々の云々とかそういう細かいことを法律上の条件にしているわけではないということを申し上げたわけでございます。

 しかし、業務が円滑に行われて、銀行としての健全性が保たれるために安定的な代理店契約は必要だ。その中身は何かということをやはり考えていきますと、これは、三月三十一日まで全国津々浦々のネットワークを活用して地域密着型の営業を行ってきた、そういうビジネスを行ってきたところが引き続き、みなし免許を受けるに当たってはそういうビジネスを続けるというふうに当然のことながら想定をされるわけでございます。

 これを、例えばその一部を切り捨てて、あるいはかなりの部分を切り捨ててということになりますと、やはり円滑な業務、安定的な経営というのはできないわけでございますので、その意味では、全国津々浦々でひとしくサービスが受けられることを最大の強みとするビジネスモデルを基本的に支店を有さない郵貯銀行等が事実上継承するという点を踏まえまして、この円滑な業務運営や経営の健全性の観点から代理店契約を義務づけるというものでございます。

 この契約状況は、したがって、両社で単に契約を締結すればよいというものではなくて、過疎地を含めまして、これは広く、郵便局窓口でひとしくサービスが提供されることを想定したものと解すべきでありまして、かつ、この契約の移行期間中の継続義務というのはその後の金融当局の検査、監督できっちりとフォローされることになるという仕組みでございます。

西村(智)委員 いつも思うんですけれども、当然のことながら想定される、しかも安定的な契約というようなことで、非常にこのあたりがわかりにくいなと思っております。安定的な契約という中身は一体何なのか。

 そしてまた、当然のことながら想定されるということですけれども、想定されないこともあるわけですよね。そうしますと、これは安定的な代理店契約にはならないわけです。そのことの危険性と申しますか可能性については、大臣は少しは思いをいたしたことがありますか。

竹中国務大臣 民営化するというのは、経営者が当然のことながら適切な判断をするということを前提にして、その上でさらに、これは特殊会社でありますから、総務大臣の監督権限、金融の部分に関しましては金融庁の監督ということをさらにつけ加える形で、しっかりとして制度が実効性を持つ、実効性を担保するという仕組みをつくっているつもりでございます。

 だから、代理店契約と保険募集契約の中身についてということの御懸念、西村委員は御指摘だと思いますけれども、具体的な内容については、これは確かに契約当事者でございます銀行、保険会社と郵便局会社において定められることになる。また、代理店契約の内容は、これは公社の業務等の継承に係る実施計画に織り込まれることになります。つまり、代理店契約がどうなるかというのは業務継承のときの実施計画に織り込まれますので、実施計画を策定する準備企画会社の経営委員会におきましてグループ全体の経営戦略を考える中で決められていくことになります。

 いずれにせよ、その代理店契約が安定的なものとして免許条件をクリアしなければなりません。この免許条件をクリアするためには、例えば契約期間については、最低限移行期間をカバーするものであるということも重要でありますし、当事者のいずれかから一方的な契約解除ができないものであるということなどが求められると思います。そして、この点につきましては、この実施計画の中に代理店契約等に係る事項を記載させます。そして、主務大臣である内閣総理大臣、金融庁及び総務大臣が審査の上、認可するということで、そこで担保することができるという仕組みにしてございます。

西村(智)委員 聞いておりますと、監督ですとか認可ですとか、民間会社とはいいながら非常に規制の多い民間会社だなというふうに感じます。こんな民間会社、ほかに、まああるんでしょうけれども、ここまでいろいろな縛りをかけてわざわざ郵政公社を民営化させる必要があるのだろうかと、改めてこのことは強く感じさせていただきました。

 金融サービスの利便性の維持について、竹中大臣の御答弁の中での三点目に質問を移したいと思います。

 その契約が長期も可能であるということについてでございますけれども、今度は伊藤大臣の御答弁です。

 五月三十一日の郵政特で大臣は以下のように御答弁されています。「移行期間を上回る長期の契約を締結することも制度上は妨げられていないですが、かかる契約を締結するかどうかは、民営化後の会社の企業価値の最大化を追求する経営陣の経営判断によるところとなります。」と。

 伊藤大臣、代理店契約の長期化、これはあくまでも経営判断ということになりますか。

伊藤国務大臣 移行期間中をカバーする安定的な代理店契約を結ぶことを、みなし免許を付与するに当たっての条件といたしているところでありますし、また、移行期間を超えて代理店契約を結ぶことは妨げないといたしているところでございます。

 五十年とか百年とか、ある意味では経営の条件というものを固定してしまう、そうしたことになると、これは経営の健全性の確保という観点から、必要な範囲というものを超えているのかどうかということで、全体のビジネスモデルとして検証していくことが必要だというふうに考えておりますけれども、いずれにいたしましても、ビジネスモデルに照らして、そして経営の健全性というものを確保していく、そうした観点から適切な契約がなされていくものと考えております。

    〔石破委員長代理退席、委員長着席〕

西村(智)委員 二つ、関連してお伺いがあります。

 何年まではよろしいんでしょうか、五十年がだめということでしたら。

 もう一つは、十年を超えない計画であるという場合には認可を拒否されるのですか。認可を拒否するための法的な根拠というものはどこにあるんでしょうか。

伊藤国務大臣 まず、後段の方になりますけれども、これは、みなし免許を付与する条件として安定的な代理店契約を結ぶことを求めているわけであります。そうしたことが実施計画、承継計画の中にしっかり記載されているかどうか、そのことを主務大臣が確認をする、そして銀行法上の観点からも問題がないかどうか審査をするということになります。

 それから、どれぐらいであればいいのかということでありますけれども、具体的に、移行期間を超えてどの程度の期間の契約が望ましいか、そのことを一概に言うことはこれは困難であるというふうに思っております。ビジネスモデルに応じて健全な経営がなされるよう適切な契約が締結されるものと考えております。

西村(智)委員 どうもはっきりしたお答えがいただけないようで、このままこの法案が通ったときに一体どうなるんだろうかという不安を改めて強めるところでございます。

 四点目の、基金の活用について最後に伺いたいと思っています。

 政府・与党の議論の中で、一兆円を超えて二兆円まで積み立てることも可能、こういうふうに全く意味のない合意がなされております。

 これまでの議論の中では二兆円でも足りないのではないかということがありましたけれども、経営者の立場に立ってこの二兆円という額を考えてみれば、やりたくない、どちらかというとそういうふうに考えるのではないでしょうか。つまり、自分の経営資源の使い道をみずから縛るような利益処分になるということですから、そういうことを果たして喜んでやる経営者というのがいるのだろうか、利益追求に不熱心な経営者をどこかから探してくるということなんでしょうか。この点について伺います。

竹中国務大臣 まず、基金でございますけれども、これは、基本的には地域、社会への貢献、特に、地域貢献としては金融のサービス等々を想定しているわけでございます。

 私たちは幾つかの段階で金融サービスが安定的に提供されるような仕組みをつくっておりますが、それでもネットワーク価値が低下して過疎地等々でそういうサービスが提供されない、にもかかわらず、やはり地域でそのようなニーズが非常に強い場合にこういうものを活用しよう、社会貢献基金に関しては、第三種、第四種の郵便物の一部についてそれを使用できるようにしようという趣旨でございますけれども、基本的に、私たちの積算、これは、積算の根拠はまた必要がございましたら後でお話しさせていただきますが、年間百八十億円程度ということを想定しておりまして、この一兆円の積み立てを行うということで、これは十分にカバーし得るというふうに私たちは想定をしております。

 しかしながら、これはさらにそれを上回って上限を設ける必要はないというふうに考えております。いろいろな事態も想定されますので、一兆円の積み立てを行うということを義務づけるわけですけれども、それが完了した後においても、それまでと同様の規律のある配当のもとで利益の留保と運用益の確保に努めまして、そしてそれらを基金に組み入れることによって、総額二兆円に達するまで積み立てを継続できるというふうに政府・与党の間で合意をしているところでございます。

 繰り返しますが、積み立てに上限を設定する必要はない。これはさまざまの状況で判断をされるわけでございますけれども、基本的には、私たちは、今申し上げました地域、社会の貢献事業、想定している限り一兆円、これまでのある程度の低金利を想定しても十分足るというふうに思っておりますけれども、上限を設定する必要はないということで、政府・与党の合意で、二兆円に達するまで積み立てを継続できるものとするというふうにしたところでございます。

西村(智)委員 二兆円まで積み立てることができるというこの合意に、何か意味があるのでしょうか。私には何も意味がないように思えます。この二兆円まで積み立てることができるとしたその根拠について、御答弁ください。

竹中国務大臣 この持ち株会社でございますけれども、地域貢献・社会貢献業務の安定的な財源を確保するために一兆円積み立てるということが義務づけられている、求められております。一兆円あれば、この運用益で資金交付に充てることができる、不足することはないと基本的に私たちは考えるわけですが、法律上、一兆円を超える金額について積み立てを義務づけることまでは適当ではないというふうに考える。

 他方で、この基金の積み立ての上限を設定する必要はないと考えられますけれども、これは与党との合意におきまして、持ち株会社は、社会貢献・地域貢献業務をよりしっかり行うため、必要に応じて基金を積み増すことが経営判断により可能であるという趣旨を明らかにすることが適当であるというふうに考えましたことから、総額二兆円に達するまで積み立てが継続できる旨を定めたものでございます。

 それで、先ほど、過去十年の平均の国債の利回りが一・八%ということで、一兆円あれば一・八%、百八十億、それで資金交付ができるというふうに考えているわけでございますけれども、これは、例えば短期的とはいえ、この運用利回りが過去最低水準になったような場合、実は二〇〇三年の十年国債平均金利というのが〇・九八%なのでございますけれども、そういうふうに、短期的とはいえ運用利回りが過去最低水準になった場合等、不測の事態を考慮して、仮にこの運用利回りが一%を切った場合であっても、百八十億程度は確保できる等を勘案しまして二兆円としたものでございます。

西村(智)委員 運用利回りが一%を切ったときのために、では二兆円まで積み立てることも可能というふうにしたということですか。

 これは条文のどこにも書いていないわけでございます。政府・与党の合意でこうなったということでありますけれども、担保されていないものを私たちは信用するわけにはいきません。

 これまでも大臣は、政府としての見解であると答弁をされたり、あるいは中央省庁等改革基本法のときには個人的な政治家の信条であるとおっしゃったりいたしまして、この委員会での審議の中でもたびたび、私は、これは政府見解なのか個人的な信条なのか確認したい思いに駆られることがあります。

 担保されていないものを私たちは信用することができないわけでございまして、つまりは、金融サービスの利便性の維持ということについても、すべてこれは経営者の判断による。法的には全く措置されていないものを、あたかも措置されているがごとくこの委員会の中で答弁をされるのはやめていただきたいと思います。

 経営者が株主あるいは潜在的な株主である投資家の意向に左右されるということを考えたときに、この委員会の中で質疑をされていた中身が担保されるという保証はどこにもないわけでございまして、今後、国民と国会をだますような発言、金融の利便性はこれまでどおり維持されるというようなことは、私に言わせればうそです。そういったことはこの中ではもう言わないでいただきたい、そういうふうに約束していただきたいと思いますが、どうですか。

竹中国務大臣 私どもは、金融の利便性、消費者の利便を考えまして、そういうサービスを確保していくことが極めて重要であるという認識のもとに制度をつくっておりまして、そして、それが十分に担保されていくものというふうに考えましてこの法案を提出させていただいております。

 確認のため申し上げますけれども、この基金の積み立ての上限を設定する必要はないと考えられますけれども、与党合意におきまして、この持ち株会社は、社会貢献・地域貢献業務をよりしっかり行うため、必要に応じて基金を積み増すことが経営判断により可能であるとの趣旨を明らかにすることが適当であると考えております。

 そして、これは、会社の定款において総額二兆円に達するまで積み立てを継続できるものとする旨を定めさせるという考えでおります。これは定款でございますから、定款変更が可能であるためには三分の二以上の株主の特別決議が必要でございます。持ち株会社は政府が三分の一超の議決権株式を保有する会社でございますので、これは政府の意向を無視して定款を変更することもできないわけでございますから、その意味も含めまして、サービスの確保に関しては万全を期した制度設計にしていくつもりでございます。

西村(智)委員 これはおわかりですよね、法案の中には一兆円としか書いていないわけでございます。(発言する者あり)一兆円まで。このことは、大臣御存じないわけないと思いますけれども、それでどうしてこういう答弁になるのかわかりません。

 何年かけて一兆円積むことになるんですか。

竹中国務大臣 年限について定めてはおりません。

 ただ、これは基本的に、今の骨格経営試算等々で想定されております枠組みの中で、この一兆円を確実に積み立てることは十分に可能であると考えております。基金の原資としましては、郵便貯金銀行、郵便保険会社の株式の売却益、配当収入等を充てることとしておりますけれども、これは企業一般の配当の動向を考慮して積み立てたとしても、骨格経営試算や同業他社の株式時価等を考慮すれば、移行期間が終了するまでには一兆円の基金を積み立てることは現実には可能であるというふうに考えております。

 幾つかの例を申し上げますと、骨格経営試算におけます資本の額でありますけれども、郵便貯金銀行が二・五兆円、郵便保険会社が一・四兆円、合計三・九兆円でございます。これは資本の額であります。株式を売り出したときにこれがどのぐらいになるか、これはマーケットの中ではいろいろな見方があろうかと思いますが、資本の額、いわゆる簿価でございますけれども、それが三・九兆円ございます。

 それと、骨格経営試算におけます事業会社の十年間の税引き後利益の額でございますけれども、郵貯銀行が二・六兆円、保険会社が〇・二兆円、郵便事業会社が〇・二兆円、郵便局会社が一・〇兆円で、これは合計四兆円ということになります。

 さらに加えて申し上げますと、郵便貯金銀行から持ち株会社に支払われる交付金がございます。この交付金、政府保証を受けている分に対応する預金保険料をみなしとして交付するという仕組みでございますけれども、これも基金の原資となり得るものでございますけれども、その額は十年間で、これは金利フラットのケースで最大約六千億円程度と想定されております。

 今のような状況から考えまして、一兆円を期間内に積み立てるということは十分に可能であるというふうに考えているところでございます。

西村(智)委員 長々とむだな、必要のない答弁をしていただきましたけれども、私の質問は、何年かけて積むおつもりなのかということでございます。端的にお答えください。

竹中国務大臣 法律で義務づけておりますのは、一兆円までを積まなければいけないという、それの義務づけでございます。あとは、利益の動向、さまざまな要因等々を踏まえて、これは経営判断もそれに加わってしっかりと積み立てられていくというふうに考えております。

西村(智)委員 当初は一兆円ですよね、今は一兆円でございますけれども、百八十億円、これを下回ったらどうするんですか、金利で。百八十億円を下回ったらどうするんですか。積めなかったというときに、下回ったらどうなるんでしょうか。

竹中国務大臣 これは、そのときの社会貢献、地域貢献に対するニーズがどれだけあるかということにも関連をいたしますが、基本的な基金のルールについて申し上げますと、基金の運用によって生じた収益は、これは社会・地域貢献資金の交付の財源に充てるほか、当該収益の生じた事業年度中会社の他の支出の財源に充ててはならない。そして、基金は取り崩してはならない。ただし、基金の運用により生じた収益のみによっては社会・地域貢献資金の交付の財源を確保することができない場合であって、社会・地域貢献資金が交付されないことにより郵便事業株式会社または郵便局株式会社の経営努力のみによっては社会貢献業務さらには地域貢献業務の実施が困難となり、地域社会の安定に重大な影響を及ぼすおそれがあると認められるときはこの限りではない。

 そのようなルールになっております。

西村(智)委員 どうも議論がかみ合わないようなんですけれども、こういった会社を果たしてだれが面倒を見てくれるのか、極めて先行き不透明な、おかしな形の会社になるのではないかというふうに心配をしております。

 実は、続いて骨格経営試算と採算性に関する試算、それから、私は新潟の衆議院議員でございますので、昨年被災した新潟県中越地震のそのときの対応を見ておりまして、いろいろ疑問のある点がございましたので、そのことについても質問をしたいんですけれども、時間が少し迫ってまいりました。一点だけ質問したいと思います。骨格経営試算と採算性に関する試算。

 私たちが判断する材料は、民営化、四分社化したときに国民の資産価値を守りながらそれぞれの会社がやっていけるかどうかという材料は、この試算によるところでございます。ところが、この計算の根拠というものは極めてあいまいですし、説得的ではない。試算の切り分けについても機械的にやっただけの相当乱暴なものでありますし、希望的観測に基づいただけのものであるというふうに考えております。

 時間の許す限り、一点お聞かせいただきたいのですが、郵便事業会社で行うとされる国際展開でございますが、国際物流の収益見込みを二百億としております。ただ、この収益率五%、これは国内大手フォワーダーの上位の平均値であって、これをいきなり郵便事業に当てはめるのはいかがなものかというふうに考えます。これは日本通運でも収益率は三%だと聞いておりますし、逆算いたしますと、郵便事業会社、国際物流分野の売上高を四千億程度ということに予測している、そういうことになりますけれども、その根拠は一体何でしょうか。

竹中国務大臣 骨格経営試算そのものに関しましては、これは趨勢的な動向の積み上げではなくてマクロ的に把握する、そして枠組みを確認するという目的で行われているものでございます。

 直接お尋ねの国際物流の問題でございますが、これは骨格経営試算に追加して行われました収益性に関する試算、新規業務の中で挙げられた数字を委員は御指摘であろうかと思います。この数字、決していきなり挙がっているわけではございませんで、十年後の完全民営化された時点での想定でございますので、これはやはり大変時間のかかる業務展開になろうかと思いますが、生田総裁も大変意欲を持っておられますので、しっかりと十年間で育てていただきたいというふうに我々は思っております。

 その業務の想定でございますけれども、十年と申しましたが、中長期的には、主要インテグレーターの例等々を見ましても、売上高の約二割が国際業務に依存しているというような、そういう姿を想定している、そこから二千億という数字が出てまいります。そして、利益率は、これは国内大手のフォワーダー上位の平均値でございますが、これは当然のことながら、本当に努力をいただかなければいけないわけでございますが、十年の期間をかけてそういった国内の大手並みの収益力をしっかりと身につけていただきたい。

 ちなみに、公社御自身は、これは国際物流だけではございませんが、この利益水準全体に関して、やはり民営化する以上、目標とすべきものであるというふうな御認識をお示しだと承知しております。

西村(智)委員 それは十年かけて達成することを期待されている目標数値であって、それが民営化されたらこれだけ黒になりますよということの根拠となる数値として持ってくるのは、国会審議の材料としては余りにずさんであるということを申し上げたいと思います。

 保険会社、第三分野の新規契約数二百三十万件、これも全く根拠がありません。コンビニエンスストアの利益率九%、国内一番最大手のセブンイレブンでも七・二%、ほかのチェーンでも、フランチャイズでも二%や三%台です。

 本当にずさんな材料しか提出をできない今回の法案審議は、私は、これはやはり廃案にしていただいて、改めて審議をし直す、改めて法案をつくり直して出してくださるというのであれば私たちもまじめに議論をしたいと思いますけれども、こんなひどい数字では、こんなひどい内容の法案では審議にならない、そのことを最後に申し上げて、時間になりましたので終わります。

二階委員長 次に、大出彰君。

大出委員 民主党の大出彰でございます。よろしくお願いします。

 今、智奈美議員の方から法案の中身についてひどいという話が出ておりましたが、私は、冒頭、この間出されました、政府により六月の八日に出されました「中央省庁等改革基本法第三十三条第一項第六号について」という見解について御質問いたします。

 この見解は、最初に、一の下のところに、行革担当大臣の小里さんが出てくるわけですね。このときの郵政大臣は、下に出ております自見庄三郎さんでございます。では、このときの総理大臣はどなただったのですか、官房長官。

細田国務大臣 総理大臣は橋本龍太郎先生であります。

大出委員 六月八日の文書では、下の方に、「自見郵政大臣の発言」というふうに書いてあって、自見さんは、「法律に明記してあるわけでございますから、」こう明確におっしゃっているんですね。明確に答えているんですね。

 時の総理大臣が橋本龍太郎さんなのに、これには橋本さんのことは何にも書いてないんですね。橋本さんの発言というのはどうなっているんでしょうかね。橋本さんは何にも言っていないんですか。お答えください。橋本さんは何とおっしゃっていますか。

細田国務大臣 橋本総理の御答弁は、ただいま大出議員が提出された資料、平成十年四月十日の衆議院本会議のとおりの御答弁をしておられます。

 確認のため申し上げますと、「行政改革会議におきましては、民営化も含めてさまざまな観点から議論が行われたところでありますが、最終的には、利用者の利便性に配慮しながら、国民が真に望んでおられる改革とは何かを十分に検討した結果、郵政事業の実施部門は郵政事業庁とした後、さらにこれを国営の新たな公社に移行することとして、民営化等の見直しを行わないという結論に至りました。」このとおりでございます。

大出委員 余り楽をされても困るんですね。文書が出ているわけですから、読み上げなくてもわかるように出しているわけでございますから、しかし、お仕事ですので許しましょう。

 実は、衆議院と参議院で出ている、これはどこにポイントがあるかというと、橋本さんは衆議院においても参議院においても、公社に移行するというのを最初に言っているんですよ。その後に、民営化等の見直しを行わないと明確におっしゃっているんですね。

 これはどういうことかといいますと、このときの民営化等を行わないという立法府の意思というのは、立法府全体とは言いませんけれども、立法府が……(発言する者あり)違うんですよ、最終的に議決をしていますから、そういう意味です。それで、民営化を将来にわたっても行わないんだという認識だったわけです。そして、そのことを、この前後が重要なのは、公社に移行すると言っているわけです、移行が先に来ているんですね。

 つまり、民営化等の見直しを行わないような措置を伴って公社に移行するんですよとなっているわけじゃないんですよ。明確に移行するということを言っていて、参議院の本会議の場合にはもっと明確に言っているんですね。文書があるからお目通しいただきたいと思いますが、ここでも、下から四行目ですが、「新たな公社に移行することとし、」その後にまた、「民営化等の見直しは行わないことといたしました。これによりまして、郵便局の地域に根差した機能は維持しながら、国の企業としての性格にふさわしい主体的で創造性に富む柔軟な業務運営を通じ、効率性を確保することができると考えております。」このように言っているんですよ。

 法案を制定するときに、背景があって、そして何かを改廃しようとすれば、その前提の事実があった後に、立法事実に基づいて改廃あるいは削除をしていくわけなんですよ。このように、このときの総理大臣が橋本さんなんですから、時の政権がかわって方針が変わりましたということはあるかもしれません。しかし、あなた方のこの間出してくるものは歴史的事実を改ざんしていることになるんですよ。この見解は、当然出し直してください。

細田国務大臣 これは、何回かこの委員会においてお答えしていることが公定解釈で、答弁でございます。

 それは、中央省庁等改革基本法第三十三条第一項六号は、郵政事業について国営の新たな公社を設立するために必要な措置を講ずる際の方針の一つとして民営化等の見直しは行わない旨を規定しておりますが、これは公社化までのことを規定しているものであって、公社化後のあり方を何ら拘束するものではなく、郵政民営化法案の提出が同号の規定に反するものではない、この点を申し上げておるわけでございます。

大出委員 そういうこそくなことを言われても困るんですね。何で、時の総理大臣がいるのに小里さんから書いているんですか。それは、時の総理大臣の言葉を出してくるとつじつまが合わなくなるからでしょう。

 要するに、当時は、国民の皆さんも、将来ともに民営化なんかはないと考えたんです。そして、立法府の意思として、民営化等は行わないとわざわざ条文が入っているんですよ。それなのに、何ですか。こそくにも、わざわざこの六月八日の文書は、時の総理大臣の名前も発言も入っていないでつくっているなんというのは許されるわけないでしょう。理事、協議してください、これは。お願いしますよ。

細田国務大臣 しかし、こういったやりとりをすべて事実として踏まえた上で、小泉内閣総理大臣あるいは法制局長官も含めまして、先ほど申し上げたような見解を明確にしておるわけでございます。

大出委員 そういった事実を踏まえましてと今おっしゃいましたね。ということは、当時は、立法府も行政府も、そしてそれが新聞等で報道されることによって、皆さんが、将来ともに民営化を行わないんだというふうに認識していたということを認めたんですね。

 いいんですよ、方針は後で変えたって、簡単なんですから。

細田国務大臣 いや、私がお答えした事実というのは、橋本総理が御指摘のような答弁をしたということを申しておるわけでございます。

大出委員 それは無理だと申し上げているんですよ。それは、だから、歴史を改ざんすることでしょう。(発言する者あり)改ざんでしょう。あなた方が好きな目に見えない改ざんでしょう、それは。

 当時は、将来ともに民営化を行わないんだという意思で発言をしておられるわけですよ。そして、まさに自見さんは、郵政大臣ですよ。明確に法律に書いてあるとおっしゃっているわけでしょう。

 ですから、当時の認識はそうだとして、方針が変わったから変えるというのなら、それは時の政府によって、変わればあるんですよ。ところが、最初から歴史的事実を変えてしまうような認識でやってもらっては困るんですよ。そこの認識のところを。

細田国務大臣 橋本総理の御答弁もいろいろよく読んでいただきたいと思いますが、特に私どもが重要だと思っているのは次のような答弁でございまして、三月二日でございますが、これは非常にはっきりしていると思っております。

 途中から読みますけれども、「そして郵便事業は国営事業とするなどとして、その後の検討にゆだねられました。そして、それを受け、その後の各方面の御論議というものを踏まえ、利用者の利便性に配慮しながら、国民が本当に望んでおられる改革というのはどういうものか、こうした点を十分検討した上、その結果として、郵政事業庁として、さらにこれを自律的、弾力的な経営を可能とする国営の新たな公社に移行することとし、民営化のための見直しは行わないという結論をまとめました。」

 それは、つまり、同じ事象について申しておるというのが我々の解釈でございます。

大出委員 この政府見解ですが、時の総理大臣の名前も発言も出てこないで書いているようなのは、これは直していただきたいと思います。理事、お願いしますよ。それでなければ質問できませんよ。

二階委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

二階委員長 速記を起こしてください。

 大出彰君。

大出委員 私が事実認識というのを曲げてはいけないと言うのは、それを曲げてしまうと、その政府が、時の橋本龍太郎さんの内閣があったことが意味がなくなってしまうではないですか。そんな百八十度違うことを、解釈だけを変えただけでやってはまずいんですよ、それは。ですから申し上げているんですよ。歴史の改ざんだと言ったのはそういうことなんですよ。

 先ほど谷垣さんが科学技術庁長官であったという話もありますが、当時は、この法案は、将来も民営化を行わないんだという認識でいたと思うんですが、その辺、どうでしょうか。

谷垣国務大臣 確かに、そのとき私は科学技術庁長官をしておりましたけれども、当時の公定解釈を述べろと言われても、ちょっと述べかねるわけですね。

 ただ、今の議論を伺っておりますと、確かに、民営化は行わないという条文がございますけれども、そこは要するに、法規範としての意味が何なんだということなんだろうと思うんですね。要するに、公社というものが正しいものであるから未来永劫これで続けるんだ、そういう意味だとすれば、果たして法規範としての意味を持っているんだろうかいないんだろうかというようなことを先ほどから御議論になっているのかなと思って聞いておりました。

大出委員 それは、先ほどから、何ら民営化を妨げられるものではないというような話が出ていますが、方針を変えて解釈を変えるということはありますが、その当時の内閣がとってきた方針で解釈されるのがあったときに、立法、つまり法律を改廃するとか削除する、そういう手続をとるべきなんですよ。それをしないから憲法違反ではないかと思っているんですよ、実を言いますと。憲法七十三条には、誠実に法律を執行する責任があるわけでしょう。その中で、まだこの法案は生きていて、その中にわざわざ立法府の意思として、民営化等の見直しは行わないという意思を述べているわけなんですよ。この話はもう少し後でしますが。

 そこで、ここに議事録がございます。当時は、小里さんに対して、小泉さん、うちの松沢成文さん、「民営化論」というのを書いていますが、このときに、聞いている方が松沢さんなんですよ。松沢さんはどういう認識で物事を言っておられるかというと、これは日にちが第百四十二回国会の平成十年三月二日の質問なんです。その中で、どういう認識を持っておられるかというと、「行革会議の最終答申では、郵政事業はまず総務省のもとに郵政事業庁を置いて、それで将来的に、できれば五年後ぐらいに新型公社に移行するということなんですが、最終答申では、この新型公社も将来的にも民営化しない、こういう結論になっていると思うのですが、総務庁長官、いかがでしょうか。」こういうふうに聞いているんですね。

 つまり、当時の民営化論者であるところの松沢さんですらそういう認識を持っておるんです。この認識は共有されていたはずだから、これを変えるというのはおかしいんじゃないんですかということを言っているんですよ。変えるんならしっかりと変えろと。法案を出さなきゃおかしいんですよ。官房長官、お答えください。

細田国務大臣 当時のあらゆる答弁は、私どもが今もう一度はっきりさせておりますように、また理事会からもお尋ねがあり、統一見解をお示し申し上げたとおり、この民営化しないという議論は公社化に当たっての問題である、公社化をするということは民営化しないということであるという解釈で一致しております。

大出委員 事実認識を間違って言ったらだめだと言っているんじゃないですか。そうしたら、そのとおりちゃんと、先ほどの基本法に対する、六号に対する政府見解をちゃんと直しなさいよ。

 我が党は、ですから、理事の皆さんが、歴代の、元総理含めて、郵政大臣を参考人としてお願いしているでしょう。ところが、拒否しているんでしょう。やはりはっきりさせた方がいいじゃないですか。特に、当時の総理大臣が決めていて、その郵政大臣が明確に法律で書いてあるということを言っておられるんですよ。自見さん、本当なら自見さんをお呼びしてもらったらいいんですが、自見さんがまだ来られておりませんので。

 実は、ここに本がございます。これは「郵政省蘇る」という、自見庄三郎さんが大臣をおやめになったときに書いた本なんですよ。御本人が来れば、御本人の口から物が聞かれるかもしれませんが、その中で、百十二ページにこのように書いてあるんですね。「これで将来の郵便局民営化に向けた布石が打たれたといって喜ぶ人がいるのは事実だ。小泉前厚生大臣がその典型例だ。が、私はそうではないと思っている。なぜなら、行革基本法の中でも明確にうたわれているように、「今後民営化等の見直しは行わない」ことがはっきり合意され、新型の公社は従来の公社と決定的に異なり、これを「国営」にすると決めた以上、誰が何と言おうとも、基本法が廃止されるような異常事態でも起こらない限りは、郵便局の国営形態が堅持されることは明らかであるからだ。」こう書いてあるんですよ。

 つまり、当時の認識として、松沢成文さんだって、みんなそう、私たちもそうだったんですよ。ですから、時の方針を変えたと言うんだとすれば、削除法案というのを出すべきなんですよ。そうでなければ、この法案は生きているんですよ。生きていますよ、これは。七十三条があるんですから、誠実に法律を執行しなきゃいけないんですから、この改革基本法の六号は残っちゃうわけでしょう。本人を呼んでくださいよ。

細田国務大臣 自見先生が、御自分の「郵政省蘇る」という本ですか、そこで郵政に対する思いを、これは後で書かれた本だとは思いますけれども、自分としてはこう思うということをはっきりと言われたということはよくわかりましたけれども、ただ、政府として、行革基本法の考え方、公社化と、それからその後の民営化にする考え方は、先般来申し上げているとおりであり、理事会にも提出したとおりでございます。小泉総理も本会議で御答弁申し上げております。

大出委員 進展のない話をなさっていますけれども、これは当然、何らかの法案を改廃したり削除するときには立法事実が必要なんですね。そのときに、つまりは今までの国会や政府の歴史的な事実があるわけで、そこの認識の問題なんですね。

 歴史認識というのは国外でも言われますが、国内の新たな歴史認識の問題で、先ほど言ったように、将来も民営化しないんだと読める、これは立法府の意思ですから、そのことを踏まえないで、差し支えがない、公社化前までだとかいう、そういうこそくな解釈で済まそうというのは無理だということを申し上げているんですよ。これは削除する法案を出すべきなんですよ。官房長官。

細田国務大臣 この法律論については、先般も内閣法制局長官からも明確にお答えしておるわけでございます。基本法における条文はあくまでも公社化のときの考え方であるという点に立脚しながら今回法案を提出させていただいている、これが私どもの統一した方針であり、解釈でございます。

大出委員 おかしいです、それは。どう考えても、六月八日の見解は、これはまずは書きかえるべきだと思います。そして、何回目でしょうか、この間二回目ですね。それをまずお願いしたいと思います。

 そして、この問題は、本来何で民営化等を行わないということが書かれているのか。これは実はカナダの例にもありまして、カナダも同じようなことが明記されていて、カナダは公社のままでございます。そして、これは実は、内閣が法案の提出権があるかどうかにもかかわってくる。内閣法五条の話でございますけれども、本来は、立法過程は最初の提出のところからすべて立法府だというのが基本ですね。これは、いわゆる三権分立でございますから。

 それで、ただし、議院内閣制をとっておりますから、多数派であるところの政府の側には多くの議員さんがおられるから議員立法もできるだろうから、ならば政府に法案提出権を与えてもいいではないかということになってでき上がっているわけなんですよ。ところが、それをわざわざ立法府の意思として、民営化等は行わないという意思を表明されている限りは、ここを変えなければできないと言っているんですよ。わかりますか。

 憲法七十三条で、誠実に法律を執行する責任が政府にあるんですよ。ところが、それの妨げになる、逆なんですよ。妨げにならないじゃなくて、妨げになる立法府の意思が示されているんですから、それを変えなければだめなんだということを言っているんですよ。どうぞお答えください。憲法違反だと言っているんですよ、はっきり言ったら。

細田国務大臣 私どもとしては、もちろん規定が存在すること、それが、現在あります、公社化をした郵政公社というものができておること、これは十分承知の上で、行政改革のあり方として郵政民営化が必要であるという観点から、法案をまとめて、御審議をお願いしておるわけでございます。

大出委員 お答えになっていませんね。だったら、今まで五人の参考人のお願いをしているんですから、その方々の、政府の統一見解を出していただかなければ審議できません。(発言する者あり)

二階委員長 この際、大出彰君に申し上げます。

 先ほど来の御質問に対しまして、今、与野党間で協議をしました結果、後刻理事会におきまして改めて協議をし、正式にまた回答させていただきますので、質疑を続行してください。

大出委員 ここで何度もこの議論をしなきゃならないのは、一つは、削除の法案を出さなかったということが決定的な問題なんです。それと同時に、我々が歴代の郵政大臣を含めて参考人をお願いしているのに、与党理事の方の側で拒否をなさっているということが原因でございますので、そのことを申し上げて、次の質問に移ります。

 次は、この法案をめぐって、郵政公社には従業員がいまして、その方々との交渉についてお伺いをしたいと思うんですね。

 竹中さんでございますが、この間、郵政民営化基本方針の発表以来、いわゆる労組政策協議会というのを従業員の方々がつくって、国民の声とそれから郵政公社で働く労働者を代表しまして、真剣に竹中大臣に申し入れなどを行ってきたはずなんです。しかし、竹中大臣は、これを無視しまして二カ月以上も放置したあげく、わずか三十分しか面会をしていないんだそうです。しかも、申し入れに対して政府の姿勢を繰り返しただけでありまして、その後、組合側が意見書、抗議文、コメントを出しているんですが、竹中大臣は何ら対応していません。

 従業員の組合だからということで、こんなのは聞けないんだということなんでしょうか。

竹中国務大臣 公社で働いておられる方々の御意見というのは、公社の改革を進める上で、民営化をする上で大変重要であるというふうにかねてから思っております。そういう観点から、私も、地方に出かけまして時間調整が可能なときは、その地方の現場の方々ともお話しするという機会を持たせていただきましたし、また、昨年の十一月十六日に、両組合の幹部の方と、JPUそして全郵政の幹部の方と会見の機会を持ったところでございます。(大出委員「三十分ですよ」と呼ぶ)ちょっと時間は正確に記憶をしておりませんが、それぞれの時間調整をさせていただいて、お話し合いの機会を持ったというふうに思っております。

 なお、両組合と意見交換することの重要性は十分認識しておりまして、昨年十一月十六日に、JPU、全郵政の両委員長を初めとする方々とお会いする機会を設けさせていただいたところでございますし、また、これは、いろいろなチャネルでお話し合いを続けたいというような趣旨のことも申し上げさせていただいた次第でございます。

大出委員 三十分、一回ということなんですね。話していないんですよ。小泉首相は、話せばわかると言っていますよね。話していないんですよ。

 それと同時に、今度の民営化法案の試算のときもそうなんですが、初めに民営化ありきなんですよ。

 例えば、三事業一体で民営化したらどうなんだとか、あるいは、公社のままで可能な限り制度改善を図って、それで自由度を拡大した場合はどうなのか、こういう試算だってあり得るわけでしょう。ところが、骨格試算はそのまま出てきて、こういうのを、だって話せばわかるんだ、こういう話をしていければその中でいろいろなことが出てきたかもしれないのに、やってこなかったわけですよ。先ほども同僚から話が出ていますが、在日米国商工会議所それから米国生命保険協会とは十七回もお会いになっているわけでしょう。

 だって、あれでしょう、彼らは、労働契約で、要するに公務員として雇われたわけですよ。それを変えるんだとすれば、そういう制度設計を含めての話をしなきゃおかしいんじゃないでしょうかね。私は、公社で働く人たちの理解を得られなければ民営化を進めるべきではないのではないかと思うんですが、どうでしょうか。

竹中国務大臣 ちょっと誤解があるといけませんので、先ほどの米国商工会議所等との面談、私は会っておりません。

 それで、公開質問状等々もいただいております。そして、そうしたこともいただいて、私自身としては、これは、文書による回答ではなくて、JPU及び全郵政の幹部と郵政民営化準備室の幹部との間で意見交換会を開催して、その中でいろいろな政府の考え方を御説明したい、その方が有意義であるというふうに考えまして、その旨、準備室の事務方から組合側には提案をしていたところでございます。

 その後、なかなかその調整がついていないというふうに聞いておりますけれども、これは、私としては、昨年の十一月十六日に幹部の方とお会いさせていただきましたけれども、引き続きぜひ有意義な意見交換をさせていただきたいと思っているところでございます。

大出委員 言葉だけにしないでいただきたいと思います。

 それで、私は思うんですが、ドイツの改革の場合には、今まで公務員だった方は公務員、これから雇う方は、ブルーカラー、ホワイトカラーは民間人、公務員だけれども民間人になりたい方は民間人、こういう種類のやり方をとっているんですね。やはりそういうやり方だってあるわけで、話せばわかるというふうに言っている人がいるんだから、話さなかったからこういうことになっているんじゃないかと思うので、これも検討していただきたいと思うんですが、どうですかね。

竹中国務大臣 ドイツのそういう非常にユニークな雇用の継続については、私たちも承知をしております。そして、制度設計の段階で、いろいろな可能性を私たちとしても議論させていただきました。

 ただ、やはり民営化ということのそもそもの趣旨から考えて、また、恐らくこれは、一つの組織の中に地位、身分等々が違う方々が混在することの問題点もあるのではないか。そうしたことも踏まえて、今回の制度設計にさせていただいているつもりでございます。

 我々としましては、そういった点も踏まえた上で、今回の制度設計と法案がやはりベストではないかというふうに思っていて、そうさせていただいておりますので、よろしくお願いを申し上げます。

大出委員 日本は企業的な組合をつくっているわけですから、いろいろ言うに決まっているんですよ。どうも、本当にまともに話し合いをしてくれるのかどうか、疑問ですね。ちゃんとやってくださいよ。

 では、次に参りますが、私は、公務員をすぐに民間にするという、話し合いもなく行われているのを見ていまして、どうもおかしいなと思っています、最初の契約違反ではないかと思いながら。むしろ私は公務員のままの方がいいのではないかと思っていまして、それは、当然守秘義務もありますし、確かに、税金から給料が出ている公務員ではないんですね。ですから、そうだからといって、では、国民に忠誠を尽くさない、尽くす必要なんかないんではないかという考えがあってもあながち非難はできないんですが、しかし、現実にはそうじゃないんですね、彼らは。

 人というのは金ではない面がございまして、やはり生きがいだったりあるいは使命感だったりするんですね。生きがいや使命感を感じて働いている人を見ると、見た人が感動して、それが国民の皆さんに広がってあるいは民間の人に広がって、モラールの伝染があってよくなっていく、そういうふうなことがあるわけですよ。

 それで、阪神の地震やあるいは新潟の地震なんかで、どうして彼らあるいは彼女らは、ポストマン・アンド・ウーマンですが、万難を排してまで届けに行くのかというところが、やはりポストマンやポストウーマンの使命感だと思うんですね。私は、システムやネットワークというのは金や合理性だけで動くものではないと思っているんです。

 それと同時に、この間、諸外国の郵便制度を調べてみて、その国々の改革を見たときに、本当に歴史や伝統や文化に基づいた改革をやっているな、こう思いました。

 日本の場合には、先ほども話が出ておりますが、特定郵便局制度というのがありまして、諸外国におくれをとっていたものですから、明治四年に飛脚制度を新式郵便制度にしまして、駅逓頭の前島密さんが、ひそかでなくて、名主さんとか庄屋さんが、制度が事実上残っていましたから、その人たちの協力が不可欠だということでその協力を得ながら、さらには、先ほども話が出ていましたけれども、豪農とか造り酒屋、醸造業、質屋といった地元名士の方々を郵便取扱人という任命の名誉だけで始めた制度なんですね。

 それだけではなくて、この制度というのは、ツールは国が提供して、局舎、労力は名士が賄うという、これは我が国初の国営フランチャイズチェーンではないかと思うんです。ですから、コンビニが先だというのは私はうそだなと思っておりまして、そして、この名誉が使命感を持たせてきたというのが日本の制度だったと思うんです。

 このように、やはりこの制度は、アメリカの場合にも、「ポストマン」という映画を見たことがあるかもしれませんが、近未来の映画でして、あれはお役人という形で出てきて、安全保障が絡んで出てきているんですね。私は公務員の方がいいと思うんですが、どうでしょうか。

竹中国務大臣 大出委員がお使いになられた生きがいとか使命感とか、これはもう確かに大変重要だと思います。その生きがい、使命感というようなものが根底にあって今日の日本の郵政のシステムが築かれたというその歴史は、私もやはり十分に認識をしているつもりでございます。

 そうした観点から、これは今回の改革においても、やはり五つの基本原則の中で、雇用に対して十分な配慮をする、働きがい、生きがい等も含めて雇用への配慮ということを我々も当初から認識した上で制度設計をしてきたつもりでございます。

 まず、やはり雇用の安定というものがあって初めて生きがい、誇りとかというものにもなろうかと思いますので、その雇用を確実に確保するという観点からは、公社解散の際に公社に所属する職員は、承継計画において定めるところに従いまして、いずれかの新会社の職員となるものと規定をしています。また、この職員の待遇について、職員に不利益を生じないようなさまざまな点を講じているところでございます。

 大出委員のもう一点のお尋ねは、公社のままじゃそれができないのか、国家公務員のままじゃできないのか、そういうお尋ねだと思いますが、やはり郵政の置かれた現状、厳しい現状、郵便物数の低下、残高の低下、そういう中で経営の自由度を拡大して、創意工夫を凝らして、多様で良質なサービスを国民に提供するということがやはり大変重要だと思います。サービスの担い手である職員が安心して意欲的に働く、しかし同時に、そこに民間の活力、これは中の給与の制度等々、そういった評価制度の問題も含まれますけれども、やはり民間の活力とガバナンスを導入することによって初めて、先ほど申し上げましたような創意工夫を凝らして、多様で良質なサービスを国民に提供するということが可能になるというふうに考えているところでございます。

大出委員 そうおっしゃいますが、私は公務員のままで、それでどうも今度の民営化法案というのは、アメリカが何で公務員にしたかというのは、一つには、もともと歴史的な問題があるのと同時に、炭疽菌病ですか、郵政の労働者が二人ほど死にまして、あのときに、やはり、もともと安全保障というのは考えながらやっている、郵便事業に考えている国なものだから公務員のままというものもあるんだと思いますが、それよりも、やはり日本に培ってきた公務員としての使命感というのを、これはよく言われるんですね、民間にも使命感があると。ここで言っているのは、全体の奉仕者としての使命感なんですよ。

 ですから、そういう意味で、今公社制度というのは、公庫なんかと違って総定員法も適用がありませんから、労基法の適用ですよね。だけれども、自立的で弾力的な経営ということなので私はこの中でできると思うので、ですから、むしろ公務員のままでやった方が多分制度はうまくいくだろう、こういうことを申し上げて、次の質問に移りたいと思います。

 次は、先細り論あるいはじり貧論がございまして、この間竹中さんが大変注目的な六百億とかいう発言をなさったので、その話を御質問します。

 骨格経営試算によれば、長短スプレッドが過去平均の一・〇%と想定して、なおかつ新事業を何も行わなかったと仮定した場合、それで、郵便銀行が民営化した場合と公社のままの場合で二〇一六年度の収益はどうなりますか、こういう質問だと思うんですね。それをお答えいただけますか。

竹中国務大臣 骨格経営試算でございますけれども、これは一定の前提のもとで趨勢的、マクロ的な手法で将来を見通す、枠組みを確認するというものでございます。

 それで、民営化後十年間の民営化四会社の収益水準を見積もるために昨年十一月に行いました骨格経営試算につきまして、ベースケースのほかに、骨格のベースがあるわけですけれどもそのほかに、長短の利ざや縮小のリスクシナリオを試算しているというのは事実でございます。

 このリスクシナリオでありますけれども、二〇〇七年度から二〇一六年度までの移行期間に、この利ざや、スプレッドが今の一・三%から一%に縮小するという前提で試算がなされていますが、それによりますと、郵便貯金銀行は二〇一六年度には約六百億円の赤字になるという試算になります。

 このスプレッドの縮小が、民営化後十五年間も継続したというような前提でどうなるかという御質問もいただいておりましたけれども……(大出委員「いや、そんなことは言っていない」と呼ぶ)失礼、これはちょっと別の機会でございましたので、今の概要に関しましては今申し上げたとおりでございます。失礼しました。(大出委員、「公社は幾ら」と呼ぶ)

 公社のままでということになりますと、数字はちょっと済みません、そういう試算は特に行っていないというふうに承知をしております。

大出委員 この前のとき、千三百八十三億円という話だったでしょう。怠慢じゃないですか、それはちょっと。

竹中国務大臣 これは御依頼がございまして、そのベースに、公社のまま、民営化といいますか、租税公課等々を上乗せするとどうなるかという数字をお出ししているということでございます。経費として上乗せした数字をお出ししているということでございます。

大出委員 じゃ、一三八三でいいんですね。

 それでは、今度は、同じ二〇一六年で新規五割達成、十割じゃなくて五割達成の法人税は幾らになりますか。公社の場合も含めてですよ。(竹中国務大臣「公社の場合」と呼ぶ)いやいや、民営化された場合の法人税と、それから公社。(竹中国務大臣「新規の事業をした場合」と呼ぶ)新規の五割。(竹中国務大臣「五割ですか」と呼ぶ)はい、五割達成のとき。

 二千九百億なのか二千八百億なのかが知りたいんですよ。見解がずれていますから。

竹中国務大臣 ちょっと手元に細かい数字がないので。五割とおっしゃったんですね。(大出委員「はい、五割達成」と呼ぶ)五割ですと、全体の利益が約七千億円でございまして、その約四割の二千八百億程度だと思いますが、これはちょっと端数がありませんので、必要がございましたら、また調べて御報告をさせていただきます。

大出委員 前回も二千八百億とか言っているようですから、そちらをではとりましょう。

 それで、実はもう一つ、新事業を十割達成したときの、新事業だけでなく、ほかのも含めた二〇一六年の消費税は幾らになるんですか。

竹中国務大臣 ちょっと済みません、個別の数字でございます。骨格経営試算におきましての消費税というのは計算しているんですが、それに新規のものを足した場合の個別の数字というのは、ちょっと、そのものとしては実は計算を、数値を出しておりませんので、今ちょっと申し上げられません。

大出委員 これは出すのは可能ですか。

竹中国務大臣 今手元にありますのは、利益に対する税というのはあるわけでございますけれども、取引、トランザクションに係るものにつきましてはちょっと手元にはございません。計算も別途はしておりません。ちょっと、どういうことができるのか、少し検討に時間を要するかと思います。

大出委員 お返事をいただきたいと思います。

 それと、今二〇一六年と申し上げたんですが、分社化したときに消費税がかかるとありますね。あのときに七百億円でしたか、消費税。それは、いつの時点で七百億円というふうに計算するんですか。

竹中国務大臣 申し上げます。

 二〇〇七年で貯金会社が手数料に課税される消費税の額としましては四百十一億円、保険会社が三百二十四億円、これを単純に合計いたしますと七百三十五億円という数字になります。

大出委員 いや、これが出るんだから二〇一六年なんかも出るかなと思って、これは後で聞こうと思っていたんですが、さっき聞いたんです。教えていただきたい。

 ただ、先ほどの私の前の西村議員が質問しているように、この中には、いわゆる郵政事業の効率化のものだとか、これはもう三百億というのは今でもJPSでやっているわけですよね。貯金の場合だとか保険の場合だとか窓口の場合とやっているわけですが、やはりどう見ても、先ほど西村さんが言っているように、バラ色の未来なんだけれども、本当は、試算根拠があいまいだな、算定の前提が脆弱だな、都合のいい数字だけを並べているな、こんなふうに思っているところでございます。

 それで、一つだけ、コンビニの場合、なぜ二百五十億円なのかというのが不思議で。

竹中国務大臣 消費税に関するお尋ねがありましたので、そこで、ちょっと今の状況を申し上げておきますと、骨格経営試算におきましては、三つの事業でございますから、それを事業のイメージとして想定をしまして、それで二〇〇七年から二〇一六年度までの消費税を計算することはできますし、それはしております。

 先ほどの委員のお尋ねは、それプラス新たな事業を行うと。それは、事業は非常に多様な形態を伴いますので、どのような形での委託になるかによって計算は非常に複雑になろうかというふうに思います。

 したがって、新規の事業につきましては何を行っているかといいますと、事業を想定して、そこから利益率等々で利益の上積みについての計算をしていただいて、それで二〇一六年度についてお示しをさせていただいているということでございますので、いわゆる骨格、三事業をベースとした骨格と、新規をやる場合のシミュレーションをする立場から見ると、相当の違いがあるという点について御理解を賜れれば幸いでございます。(発言する者あり)

大出委員 今、同僚の理事の方からも、利益の上積みはどういうことなんだと言っていますから、一つお聞きしておきます。利益の上積みとはどういうことなんですか。

竹中国務大臣 上積み。ちょっとあれですけれども、ベースとしての骨格経営試算がございますが、これは三事業でありますから、それに足して新規の事業を行いますと、さらにそれが上に積み重なっていく、上積み、そういう趣旨でございます。

大出委員 いろいろなところでやはり、先ほども申しましたけれども、あいまいな根拠だなというところがあります。

 それと同時に、二〇一六年に、新事業をやらない場合には、やはり郵貯、簡保の収益に対するシェアが八割ぐらいあるんですよ。ですから私は、何だ、これだったらやはり郵貯、簡保が逃げちゃったらやっていけないんだな、つぶれるんだなというふうに思うんですが、その辺はどうでしょうか。

竹中国務大臣 今もまさに、利益については大きいところは郵貯、簡保に依存している、これは委員御承知のとおりかと思います。そのいわば三つの中での稼ぎ頭が、その郵貯、簡保の部分が、いわゆる骨格経営試算ではこれが縮小していく可能性がある。金融の条件が変わって利ざやが縮小すれば、それがさらに低下していくということを示しているわけでございます。

 その意味で、大出委員が御指摘になっている、この収益が窓口にとっても大変重要であるというのは、私も全くそのとおりであるというふうに思っておりますし、そういうサービスがきちっとなされるように、加えて、民営化によって新規の、新しい事業の可能性について、さらにそれを追加していっていただきたい、そのような思い、期待を持っているところでございます。

大出委員 新規の方とおっしゃるんですが、二〇一六年の試算でいっても、郵貯と保険の方で七六%と出ているわけですよね。都合のいいときは結局、郵貯、簡保に頼っていて、新規の事業といったって何をやるかわからないようなことになっているわけですよ。利益を得る種類も少ないでしょうし、さらには国民が望んでいるのかという問題がやはりあるんですね。それよりもやはり、さっきみたいに公社にしておいた方が赤字にならないで済んでいるようなことがあるような試算で、それで郵貯、簡保にはユニバーサルサービスをやめてしまうという、これはやはり間違っているのではないかと思うんです。

 それが一つと、同時に、公社の総裁が来ておられますから聞きますが、私は今の公社、この間決算をおやりになって大変御努力をいただいたと思っているわけなんですが、このままではいけないでしょうか。

生田参考人 大変難しい御質問なんですが、さっきから御議論の骨格経営試算と、それから採算性に関する試算をどう読むべきかというのを数字じゃなしに意味としてとらえると、骨格経営試算、これは公社も協力しまして一緒に計算したので、私もそうだと思っているんですけれども、どうしても、やはり今のビジネスモデルの制約下におきましては先細りになるんですよ、これは。五年目ぐらいからだんだん悪くなってきて、十年目、相当厳しいという数字になっちゃうわけです。そして、それを先に延ばしたらもっと苦しいと思います。そういった意味では、今のまま公社法も改正しなければ、まあ五年や六年健全であってもその先は苦しいなという御認識を持っていただいたらいいと思う。それを示すのが骨格経営試算。

 それから、採算性のものは、それでは、それをもとに戻すためには何をやったらいいのか。これは一兆円の、ということは、売り上げ五%の計算をしておられて、そのターゲットは正しいと思いますよ。これは税金を払ったら六千億ぐらいですから、そのくらいは利益を上げないかぬ。そのために何ができるかというメニューをいろいろ事務局が机の上で考えられたそのアイデアは、僕はそれでいいと思います。そんなことはだれも計算できないんですよ、今何ができるか、これは経営が考える問題ですから。だけれども、おおよそ考えられそうなものを、メニューをそろえられて、おおよそこのくらい足せば届かないわけではないというのを出したという意味において意味がある。あと、受け取ってそれをどうするかは経営の問題だろうと思います。

 それで、民営化するよりも公社のまま置いた方がいいじゃないかというのは、これは収入を一定に置くからそうなるわけで、コストの方が、税金と費用を払いますから、民営化の方が一千億強ぐらい高くなるんですよ。だからそのぐらい悪くなるのは当たり前なので、民営化すればやはり収入はふえる。それは、今言ったようにいろいろな試算がし得るわけで、公社化のときはそれができない。収入を抑えて考えなきゃならないわけで、収入を抑えて考えたら、やはり民営化した方が利益がプラスになることは事実だろうと思います。問題は、どのスパンで公社の健全性を追求するかという政治の御判断だろうと思います。

大出委員 総裁は今そういうふうにお話しになりますが、大分前提条件を変えてくればまた違ってくるだろうと思います。というのは、郵便事業なんかの場合には、アメリカの場合は独占をやっているわけで、それも重さでやっているんですよね。ですから、今、即配便とかいろいろ出てきていまして、百十一ぐらい信書便が出てきているんだと思いますが、それが入ってくれば、ダイレクトメールが、収入源なのがとられればそれはだんだんじり貧になってくるのは当たり前で、これはやはりその意味の制度設計の問題なんだろうと思います。

 私は、今回のを見たときに、四分社化して、さらに基金を積んだりとか、あるいは持ち株会社を処分した金は財務省に入ったりとか見ていますと、これでどうやって、例えば国際物流革命に対抗して出ていこうかというときにお金があるんだろうか、私は、今やるべきことではないのではないかということをつくづく思います。

 そこで質問をいたしますが、では、民営化をしたら会社はどれだけ税金を取られるのかというのをお願いしたいんですが。

竹中国務大臣 骨格経営試算において、先ほど申し上げましたように、公租公課等の試算を行っております。これは、郵便会社、貯金会社、保険会社、窓口会社等々ございますが、四社合計をとりあえず申し上げたいと思いますが、二〇〇七年で約四千九百億ということでございます。公租公課はそれ以外に、預金保険料等々はさらに負担するということも生じてまいります。

大出委員 四千九百億ということで、預金保険料が四百億円程度だというんですね。保険機構の方は十億円で、これはだんだんふえていくという話ですね。さらに、この間、システムの維持費用だと三千億かかるかという話ですね。これだけ足しても大体八千三百十億円なんですね。保険の方がどんどん上がっていきますから、もっとふえていくということなんでしょうね、現時点では。

 そうしますと、私は、どう見ても、今まで取られていないわけですから、取られていけば、まず一つは消費税を国民の皆さんが取られるんですから、国民の皆さんが、先ほど七百三十五億円ですか、まず最初に消費税を取られて、私が先ほど二〇一六年を聞いたのは、二〇一六年自体にどれだけ事業の手を広げていたら、手数料から全部上乗せしていくわけですから、これは一つには増税じゃないかというふうに思っています、増税対象がふえているわけですから。それでいてこの税金を取られれば、これは必ず、今までは国民の皆さんのサービスという形で還元していたものが、税金という名前でないものから国民がお金を吸い上げられているんじゃないかというふうに思えてならないということを申し上げて、時間ですので質問を終わります。

 ありがとうございました。

二階委員長 この際、細田内閣官房長官から答弁の追加がございます。細田内閣官房長官。

細田国務大臣 先ほど西村議員に対するお答えの中で、私が、延長の問題等につきましては、もちろん政府としては、ぜひこの問題の重要性にかんがみ、これを含みまして、今後とも成立に向けてよろしくお願いしたいという立場でございますと、ちょっと非常に脈絡の悪い答弁をいたしまして、これは延長の問題についての国会の権能について何ら言及するつもりはございませんでしたが、不適当な発言でございましたので、「これを含みまして」を削除するようお願い申し上げます。

    ―――――――――――――

二階委員長 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、政府参考人として内閣官房内閣参事官齋藤敦君、内閣府大臣官房参事官山本茂樹君、内閣府大臣官房政府広報室長林幹雄君、総務省自治行政局選挙部長久保信保君及び経済産業省製造産業局長石毛博行君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

二階委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

二階委員長 次に、辻惠君。

辻委員 民主党の辻惠でございます。

 ネクタイ業界から支援をまだいただいているわけではありませんが、今後の支援を期待しつつ、しかし、筋としては、小泉首相が右へ倣えと言うのを、それに従うのは潔しとしないという立場で、上着とネクタイを着用して質疑をしたいというふうに思います。

 私の国会活動のテーマの中の一つとして、政治と金の問題ということを今まで扱ってまいりました。今も村岡元官房長官の裁判が続いていて、新たな証言、新たな事実がどんどんどんどん出てきていて、やはり日歯連問題の奥深さと、今の国民の皆さん方の政治不信に対する、やはり議会がきちっとこたえていないという思いがさらに深く募ってくるわけであります。

 そのようなときに、小泉首相、私は予算委員会で質問させていただきましたけれども、言を左右にして、政治家としての思いをきちっとみずからの言葉で語ろうとしない。全部すりかえて、問題をずらして、本当に国民に語りかけようとしない。このことを強く感じましたし、多くの国民の皆さん、本当にそういう思いを持っておられると思うんですね。

 この郵政民営化の問題についても、本当にこの民営化を今する必要があるのか、それが国民にとってどういう影響が及ぶのか、どういう利害得失があるのかということについて、いろいろな疑問について、竹中大臣を初めとして政府の方々の答弁、言を左右にしている。本当に政治と金の問題についての対応と同じであります。

 こんなことを繰り返していたのでは、本当に日本の議会制民主主義は死んでしまう、二十一世紀の日本の未来を本当にしっかりしたものとして議論する国会でなくなってしまうのじゃないか、こういう強い危機感を持っております。

 そういう意味において、私は、今回の郵政民営化法案の主要な提案者であると思われる竹中大臣について、いろいろな問題について、竹中さん、本当にしっかりとした自分の見識と責任と覚悟を持って国民にきちっと語りかける、そういう姿勢をお持ちなのかどうなのか。政治家としての適格性、姿勢についてやはり伺っていきたいというふうに思います。

 ことしの六月十七日のフライデー、「検証”税逃れ疑惑”竹中平蔵「庶民が羨む豪華資産」」、六月二十四日付フライデー、「疑惑追及 竹中大臣「郵政民営化PR費」の使い道」、この内容を、竹中大臣、ごらんになっていると思うんですが、どうお感じですか、この内容については。

竹中国務大臣 雑誌は読まないことにしております。

辻委員 この六月十七日号は、講談社との間の訴訟を受けて特集しているわけなんですね。五月三十一日に東京高裁は、竹中さんが講談社及びその他に対して一億円の損害賠償請求をされた事件について、第一審訴訟では判決は二百万円払えということであったが、高裁の判決は百二十万円に減額しているんですよね。

 だから、フライデーをごらんになっていないとしても、その判決の内容については認識されているんですか。いかがですか。

竹中国務大臣 私は雑誌は読みませんが、秘書官なりそして顧問弁護士に、基本的に、随分と事実と違うことが公人になると書かれるから、それを見て、必要な際はすぐ抗議を行ったり、場合によっては名誉毀損の訴えをしなければいけないから、それをチェックしてくださいということはお願いをしております。

 その辺に関しましては、委員御指摘のように、脱税だったか税逃れだったか忘れましたけれども、もうこれは四年ぐらい前ですか、四年ぐらい前にそういうことを雑誌に書かれまして、それは事実と反するということで名誉毀損の訴えを起こしました。その名誉毀損に関しまして、一審でも二審でも私が勝訴いたしました。

辻委員 フライデーを読んでいないというのは本当かどうかわかりませんけれども、それはともかくとして、判決の内容について真摯に受けとめるつもりがあるのかないのか、その点はどうなんですか。

竹中国務大臣 司法の裁きというのは、常に真摯に受けなければいけないと思っております。

辻委員 六月十七日付のフライデーによると、東京高裁は「(竹中氏の)行為に関してなお疑問が払拭されていない状況にあることがうかがえる」と言っているんですよね。これはフライデーが言っているんじゃないですよ、東京高裁の門口裁判長が言っているんですよ。

 私は閲覧をいたしました。そして、その内容を全部きちっとまとめてあります。竹中が国民から負託された公職にある者として、受け手によっては疑問を抱くことも無理からぬ事象に対して懇切に説明し積極的に解明するよう努めていたとはうかがえない、こういうふうに言っているんですよ。二百万円が百二十万に何で減額されたのか。実質的にあなたの敗訴じゃないですか。

 この点について、あなたは弁護士からどういう説明を受けているのか、ないしは御自分がどういうふうにこの事実を受けとめているのか、その点について答えてください。

竹中国務大臣 私は勝訴いたしました。

辻委員 あなたは、みずから名誉毀損だということで訴訟を起こしているんですよ。名誉毀損であるとされるあなたの側が言っている対象の事実として、デヴィ夫人の一億三千万の税金申告漏れよりもこの人の方がはるかに悪質であるとあなたのことについて言われた。だから、これが名誉毀損だというふうに言っているんですよね。

 これは単に私人と私人の争いじゃないんですよ。竹中さんは市井の一個人じゃないじゃないですか。だからこそ、東京地裁の判決も、東京高裁の判決も、次のように言っていますよ。本件記事の各記述内容は国務大臣としての適格性等にかかわる事実として公共の利害に関する事実である、こういうふうに言っているんですね。つまり、国務大臣としての適格性が問われる。したがって、もしそこにかかわる疑惑が存在するとすれば、適格性がないということになるんですよ。そういう意味で、公共の利害に関する事実なんです。だから、報道すること自体は公益目的にかなう、このように判決は言っていますよ。

 この事実について、そういうふうに指摘されているんだから、そこにかかわる事実については疑惑をやはり説明する義務が国民に対してあると思いますが、その点いかがですか。

竹中国務大臣 この高裁の判決は、税金逃れについて、そのような事実がないこと、そのような事実があると誤信する相当な理由もないことを認定して、この疑惑を晴らしたものでございます。だからこそ、私にしかるべき金額を払うというその判決が出されたものでございます。

辻委員 高裁判決は、あなたがアメリカにおいてローカルタックスを全額納めているか否かについて答えないというのはおかしいと言っているんですよ。指摘していますよ、事実、ちゃんと。

 何で二百万が百二十万に減額されたのか。それは、表現の一部が、要するに、いろいろな、週刊ポストとか国会の質疑とかで既にあらわれている事実をそのまま真に受けた報道になっている点において過失があるんだ、したがって、二百万なり百二十万というふうになっているわけなんです。

 しかし、問題になっている事実自体について、竹中さんが問われている、公益目的のもとで公共の利害に関する事実として答えなければいけないということについては、裁判所はちゃんと答えなさいと言っているじゃないですか。この点について、何で答えないんですか。いかがですか。

竹中国務大臣 ローカルタックスについては、これはたしか、そういう領収書のようなものを捜しましたが、もう何年も前、十年前のローカルタックスの領収書というのは、そんなに普通は置いていないのではないでしょうか。

 そういうことであったと記憶しておりますが、いずれにしましても、高裁判決は、税金逃れについて、そのような事実がないこと、そのような事実があると誤信する相当な理由もないことを認定して、この疑惑を晴らしたものでありまして、完全な勝訴でございます。

辻委員 今の答弁は、ローカルタックスは払っている、その証明を捜そうとしたが十年前だから見つからない、こういう趣旨の答弁でいいんですね、確認。

竹中国務大臣 裁判のやりとりの過程でそのようなことがあったと記憶をしております。

辻委員 違うんですよ、事実を聞いているんですよ。あなたは、払った事実が本当にあるのかないのか。今の答弁は、払った事実がある、しかし、それを証明を出せと言われて捜したけれども見つからなかった、十年前だから、こういうことじゃないですか。

 払った事実はあるんですね。どっちなんですか、ちゃんと答えてください。

竹中国務大臣 地元でローカルタックスを払っていたということは、四年前だったか三年前だったか、国会でも答弁をしております。

辻委員 それだったら、本人なんですから、ローカルタックスの支払い証明について、しかるべき機関に問い合わせればとれますよ。とってください。いかがですか。

竹中国務大臣 裁判は勝訴で終わっております。

辻委員 郵政民営化法案を提出する責任者である、その責任、見識のあり方、適格性が問われているんですよ、人柄が問われているんです。したがって、国務大臣であるべき人は、やはりこういう問題についてはきちっと答えるべきなんだ。これは国民の常識じゃないですか。(発言する者あり)山崎さん、あなた、そういうことに答えないということがあなたの常識なんですか。おかしいですよ、あなた自身が。あなたがやじを飛ばすから言っているんですよ。こういう常識外れなことを言うような人が筆頭理事であるという、この審議自体が問題なんですよ。

 だから、公益目的なんだから、国務大臣としての適格性等にかかわる事実なんだから、それは答える義務がある。国民の皆さんが期待しているんですよ。国民の皆さんに対して、これを答えなくていい、無視したっていいんだ、こういうことをおっしゃっているんですか。説明義務、説明責任についてはどうなるんですか。いかがですか。

竹中国務大臣 国民の前で疑惑を晴らしたいと願いまして、名誉毀損の訴えを起こさせていただきました。その上で、時間は大変かかりましたが、一審も二審も勝訴いたしました。

辻委員 いや、今いいことをおっしゃったんですよ。私怨を晴らすためではないんだ、国民のために、国民に疑惑を晴らすために裁判を起こしたんだとおっしゃっているんですよ。その裁判の判決の中で、国民に対する説明が足りないと言っているんですよ。あなた自身の論理からすれば、国民に理解してもらうために裁判を起こしたんだから、判決の中で、国民に理解を得られない、説明が不足なんだと言っているんだから、これについては説明するのが、あなた、当然の責務でしょう、道義的な責任があるでしょう。どうなんですか。

竹中国務大臣 高裁の判決は、税金逃れについて、そのような事実がないこと、そのような事実があると誤信する相当な理由もないことを認定して、その疑惑を晴らしたものでございます。

辻委員 これは、国民の皆さんが聞いていて、具体的に私は一つ一つ問うているんですよ、責任の所在を一つずつ問うている。それに対して、一般論としてしか答えていないんですよ。全くそういう姿勢が政治に対する不信を募らせているんですよ。小泉政権のあり方というのは、そこに根本の問題があるんですよ。

 ですから、国務大臣としての適格性にかかわる問題について、国民に対して説明する責任があるというふうに判決が言っている内容について、あなたは、無視することで足りる、こういうふうにおっしゃっているんですね。そういうふうに明言しているんですか、どうなんですか。

竹中国務大臣 高裁の判決は、税金逃れについて、そのような事実がないこと、そしてそのような事実があると誤信する相当な理由もないことを認定しております。

辻委員 そんな認定していませんよ。事実の証明ができていないということを言っているだけであって、事実の証明について、竹中さんが容易に説明できるものを説明しない、そこのことを指摘していますよ。

 どこのくだりにあなたが税金逃れをしていないことが事実だということが書いてあるんですか。判決をちょっと引用してください。どこにあるんですか。書いていませんよ、そんなもの。いいかげんなことを言うんじゃないよ。

竹中国務大臣 判決は、税金逃れについて、そのような事実がないこと、そのような事実があると誤信する相当な理由がないことを認定して、この疑惑を晴らして、名誉毀損について私の訴えを認めてくれたものでございます。

辻委員 判決が国民の皆さんの手元にないということをいいことに、そういう要するに自分の都合のいい、つまみ食い的なことだけを言うというのは、これは本当に政治家としての見識、資質にかかわることだと私は思いますよ。もっと率直に、正々堂々と言うべきなんですよ。

 これは後でまた質問しますけれども、選挙期間中のマル平マークについて、これは平和だとか平成だとか、国民の皆さんはそんな思いであなたがやっているなんて思っていませんよ。あなたの政治スローガンの中で平和という言葉がどこにあるんですか。自分が政治主張していないことを何でTシャツにするんですか。全くごまかしなんですよ。問題について、きちっと正面から受けて立って、説得しようという姿勢がないんですよ。そこが根本的な欠陥なんです。

 まず、一九九三年から九六年の一月一日現在の住民票が日本にないということについて、転出入の時期について週刊ポストに竹中さんが説明しておられる。しかし実際、これについては、研究実態とも正確には一致せず、この不一致について竹中が必ずしも説得的な説明を行っていなかった、高裁判決はこう言っていますよ。

 それから、国会においてアメリカに居住していた間はローカルタックスを全額納めていたと述べながら、納税証明書の提示を拒絶していたこと。これは納税証明書を取り寄せてくださいよ。みんなそれで納得しますよ、私も納得しますよ。失礼をおわびしますよ、それが事実だったら。納税証明書を提示してください、取り寄せて、この委員会に提示してください。約束願えませんか。

竹中国務大臣 司法において既に判決が出されております。税金逃れについて、そのような事実がないこと、そのような事実があると誤信する相当な理由もないことが認定されております。

辻委員 結局のところ、自分で裁判を起こして墓穴を掘っているんですね。国民の皆さんの前で説明責任を果たすと言いながら、基本的なことについては説明責任を全く果たしていない。

 それについて裁判所は、竹中さんが容易に証明できることである、やる気になれば容易にできるんだ、何でやらないんだと。だから、この名誉毀損とされる行為については、違法性は、その点は非常に大幅に減殺されるんだという内容の判決になっているんですよ。だから、国民に対する責任として、やはりこれは答弁する義務があるんじゃないんですか。

 繰り返しになりますけれども、もう一度、その点が、やはりこの郵政民営化法案をきちっと国民に対して責任を持って説明する、そういう立場をとっておられるんだったら、一事が万事なんですよ、ほかの、自分に不利益になるようなことについても必死になってきちっと事実を説明して説得するような、そういう態度をとるということがあなたに対する信頼につながるんですよ。そこがないから、全く今回の法案についてもおかしさがどんどん募ってくる、こういう関連にあるんですよ。だから、これはまさにこの法案を審議する前提にかかわる事項についての質問なんですよ。

 その点について、もう一度答えてくださいよ。

竹中国務大臣 三年半か四年か、それだけ長い時間をかけて、裁判のプロセスにおいていろいろな議論をやりとりして、その上で既に判決が出されたわけでございます。

 高裁の判決は、税逃れについて、そのような事実がないこと、そのような事実があると誤信する相当な理由もないことを認定して、私が勝訴をしております。

辻委員 この裁判は竹中さんの主張を、要するに事実を認めたんじゃないんですよ。名誉毀損にかかわる事実について真実性の証明がなかったということを言っているだけなんですよ。だから、あなたが払ったか払わなかったかということについて、払っていないというふうに、名誉毀損になる、しかし、それが真実かどうかについての証明ができていないんだと。それについて、竹中さんは容易に反対証拠を出せる立場にあるのに出さない、これは極めて問題だというふうに言っているんですよ。

 もうそういう基本的なところをごまかすような答弁はやめていただきたい。それが本当に問題なんですよ。小泉政権が全般そうですよ。そこが基本的に問題なんだということを強くもう一回指摘しておきたいと思います。

 それで、竹中さんについて、税逃れ云々ということに絡んで、資産形成の問題、そして借り入れについて、これは通常のマニュアルよりも非常にパーセントの高い融資が生じている。この点について、私は、予算委員会と決算行政監視委員会で質問しました。そのときに、次回までに具体的な事実についてお答えいただきたい、調査をしておいていただきたいというふうにお願いしております。

 例えば、九九年の三月から二〇〇二年の一月までに、勝浦の土地、建物や、また佃のマンション三棟、三億近いキャッシュを準備して購入された。このことについて私が予算委員会で質問したときに、「大臣になる前、本もたくさんベストセラーになっておりまして、大変所得が今から思うと多かった」というふうにお答えになった。

 では、印税が幾ら入ったのか、どういう所得があったのかということについてお答えいただきたい、それについて、もう一度事実を確認してお答えいただきたいというふうに、これは宿題としてお願いしていると思うんですが、この点どうですか。

竹中国務大臣 資産公開、これは大臣として、国会議員として、ルールがございますから、それにのっとって適切に開示をしております。それ以前の私人でありましたときの所得につきましては、税務署にきちっと申告をしております。

辻委員 答えになっていないんですね。

 二〇〇〇年の四月四日に佃のマンション四十七階についてあさひ銀行から借り入れをするという事実があって、一億八千百万で購入したこの物件について、一億七千万の抵当権が設定されている。これは、金融庁のマニュアルからすると、大体融資の掛け目七割のところを九割五分ぐらいの融資になっている。これは地位利用ではないかということに関連して私がお伺いしたところ、相当の預金があった、それが両建てで、むしろたくさん借りてくれというふうに銀行から言われたような記憶があると。

 ところが、その一年後に、あさひ銀行から、金利が一・二%で安いからと東京三菱に全部借りかえているんですよね。あさひ銀行に相当の預金があって、信用があって、両建てで、むしろ借りてくれというふうに言っていたから一億八千百万の購入資金のうちの一億七千万円の融資実行がなされたと言っておきながら、翌年には全く銀行をかえてしまっている。

 こういう事実関係から見ると、この一億八千百万というのは、そういう個人的な信用で出てきたお金ではないというふうに国民は思うのもゆえあることだと私は思いますよ。

 この点について、私は、では、どういう預金なり、担保となる、見合いになる資産があったのか、それが信用を補強するものであったのかということについて明らかにしていただきたいということで、これも御質問していますが、この点はいかがですか。

竹中国務大臣 大臣になってから、必要な資産公開、開示はすべて行っております。それ以前については開示をさせていただく必要はないと思います。

辻委員 形式的にはそれで事足れりというふうに思いますけれども、それじゃ、信頼、信用は増してきませんよね。

 では、伺いますけれども、大臣の資産公開が、二〇〇一年四月に大臣に就任された以降、何回か公開されておりますが、この公開内容についてはうそ偽りはない、こういうことでよろしいんですか。

竹中国務大臣 きちっとルールにのっとって、正しく開示をさせていただいております。

辻委員 不動産について、だれかの名義を借りて購入している、こういう事実はありませんか。

竹中国務大臣 そこに書いているとおりでございます。開示をしているとおりでございます。

辻委員 私の質問は、ほかにそういう事実がないんですかということを聞いているんだから、それは実質的にはイコールのお答えなんだけれども、どうしてその言葉に対してちゃんと答弁しないんですか。どうしてそういうずらすようなことをするんですか。これは、今後の質問を予定して、きちっと対応する答えをするのが何かまずいというふうにでも思っておられるんじゃないんですか。どうしてちゃんと答えないんですか。

 もう一度伺いますよ。他人の名義を借りて不動産を購入しているというような事実はあるんですか、ないんですか。いかがですか。

竹中国務大臣 国会での答弁でございますから、正確にお答えをしなければいけないと思います。私の資産に関しましては、資産公開で開示させていただいているとおりでございます。

辻委員 六月二十四日付のフライデー、これは既に予算委員会でも一部質問が出ている、内閣委員会でも質問が出ているということなんですが、参議院選挙のときにマル平マークのTシャツを使われた。これについて、このマル平というのはどういう意味なのかということについて、平和とか平成なんだと。平蔵でもあるんですね、これは。いかがですか。

竹中国務大臣 このマークでありますけれども、これはポスターや名刺などに使用したものではございません。

 これは先ほど、選挙のキャンペーンで何を言っていたんだということでございますが、私は、昨年の六月、ちょうどもう一年たつわけでございますが、参議院選挙を初めて、選挙のこともよくわからないまま選挙を戦わせていただいて、そのときに、経済、財政、金融、そういう話を大臣としてやってきたわけですけれども、やはり政治家としての地位をいただくに当たりましては、今まで議論してこなかったこと、例えば教育とか外交とかそういうことを選挙演説でどんどん言っていこうと、実際そのように、演説では、外交の話、特に教育の話等々をやらせていただきました。

 そのときに、これはスタッフがいろいろと知恵を出してくれたわけでありますけれども、その中で、やはりそれを訴えるに当たっては平和というのが一番よいのではないか。だから、マル平ではなくて、あれは平ワなんでございます。そういう形で考え出したというふうに報告を受けております。

辻委員 後出しでパーを出すのはだめですよ、それは。この間の予算委員会で、これは平和の意味があり、平成の意味があり、いろいろなことをおっしゃっているんですよ。平和だったら、特定してそういう趣旨だったというふうに、何でこの間おっしゃらなかったんですか。

 では、平成というのは、どういうふうにこれを読めば平成になるんですか、言ってください。

竹中国務大臣 これはスタッフが、若い人たちが一生懸命考えてくれたわけでございますが、最初にこれを発案した人は、さっき言ったように、平和というふうに言った。それでそのようなマークをしたわけでございますが、その後、若い人たちがいろいろなことを言ったということでございます。平成の新しい風というのはいかがかというような意見、もう一つは、なるほどなと思いましたのは、平のサラリーマンの心がわかる政治、そういうことも若い人は言ったんだそうでございます。しかし、もともと考えた人は平和で考えたということでございます。

辻委員 昔、ああ言えば上祐という人がいましたよ。その人が国民から信頼されていたのかどうなのか、皆さんよく御存じだと思いますよ。ああ言えば平蔵じゃ、これはまずいでしょう。

 そんなとってつけたことを言うのではなくて、これは公職選挙法百四十六条の関連でどうなのかということを質問されることを予測して、この間あなたは、これは平和とか平成なんだというふうにおっしゃったんですよ。もっと正面からおっしゃったらいいじゃないですか。百四十六条の問題では、これに抵触しないんだというふうにおっしゃったらいいじゃないですか。どうして言わないんですか、どうしてそういうふうに物事をずらして言うんですか。平蔵の平に決まっているじゃないですか、これは一般に考えたら。いかがですか、その点は。(発言する者あり)

二階委員長 御静粛に願います。

竹中国務大臣 このTシャツは公職選挙法百四十六条に抵触するものではないと考えるということは、いろいろなところで私は申し上げさせていただいております。

 これは、現実に、実際にビラを配っていた人たちが、平和は重要ですねとか、むしろ何かキリスト教の関係の平和団体ですかとか、そういういろいろな問いかけをいただいております。これは事実でございまして、そのような、まさに平和というイメージであったんだというふうに思っております。

辻委員 これについては、さっき頒布または掲示に当たらないというようなことをおっしゃった。掲示の概念自体に当たらないという理解でおっしゃっているんですか。いかがですか、それは。

竹中国務大臣 これはポスターや名刺などには使用しておらず、その意味での私のシンボルマークではないと思っております。

辻委員 だって、これは人に着せて動かしているわけだから、掲示に当たるのは明らかじゃないですか。その政治的効果をねらってこれをやっているわけでしょう。そんなことも何かはっきりと言えない、言いわけに終始する。それはまさに一事が万事なんですよ。この問題だけではない。さっきの税金逃れの問題もそうだし、政治と金の問題だってそうだし、郵政民営化の問題だってそうなんですよ。だから、そこであなたの本当に見識が問われるんですよ。

 このことについて、では、これは疑わしいというふうに人から言われる可能性もあるから、やはりこれは反省しよう、次からはこういうことをしないでおこう、そういう思いというのはあるんですか、ないんですか。いかがですか。

竹中国務大臣 次の選挙のことはまだ考えておりません。

辻委員 率直に物事をちゃんと言ってもらいたいと思いますね。いろいろまずいことだって、政治家、それは多々起こるわけですよ。だから、それに対してどういう態度をとるのかということについて、竹中さん、思うところはないですか。今回のこの問題について、こういう指摘を受けているということについて、襟を正すというような言葉も日本にはありますよ。

 いかがですか。そういう思いというのはないんですか。全くこれは若い人の思いつきで、非常によかった、誤解を与えたとかなんとか言うけれども、そんなものは歯牙にもかけない、気にしなくていいんだ、こういうお考えなんですか。いかがですか。

竹中国務大臣 若い方々、一生懸命やってくださいました。彼らの思い、熱意をしっかりと受けとめて、国民の皆さんに信頼をさらにかち取るために精進していかなきゃいけない、それは思っております。

辻委員 だから、お題目をいかに唱えたって、それは人の心は打たないですよ。国民の皆さんに御理解をいただきたいとかいうふうに幾ら言葉で言ったって、具体的に、自分が不利かもしれないという事実について、不利益なところはきちっと自分で引き受けて、しかし、それについての説明をきちっと言うということが、それが信頼につながるんじゃないですか。そんなお題目だけを繰り返したって全く意味がない。みんなそう思っているんですよ。これは、自民党の中の方々だって、そう思っている方は半分いらっしゃると私は思いますよ。そうでしょう、自民党の皆さん。

 それで、「郵政民営化ってそうだったんだ通信」が出ていますね。これに関連して伺っていきたいというふうに思います。

 これについて、別に後で引用してもいいんですよ。週刊誌に載っているから正しいということで私は言っているわけではないんですよ。引用しやすいから言っているだけであって、その点は誤解のないようにお願いしたいと思いますけれども、これを出そうというふうに決めたのはいつなんですか。竹中大臣、まずお答えください。

中城政府参考人 その折り込みチラシでございますけれども、これは、昨年十月から十一月にかけて、郵政民営化の広報タスクフォースというようなところで複数の民間有識者から意見を聴取して、その中にあった一つの提案ということでございまして、私どもの承知しているところでは、十二月の末にそうした契約がなされているというふうに理解しております。

辻委員 十二月のいつに契約が成立しているんですか。

林政府参考人 お答えいたします。

 今答弁いたしましたように、タスクフォースというところで検討したわけでございますけれども、契約は、私の記憶するところでは十二月の二十八日、いわゆる御用納めぎりぎりまで仕事をしながら契約をやったと思っております。

辻委員 では、具体的に伺っていきますけれども、このチラシの作成の最初の発案というか、そしてその内容の検討、そういう作業と、それから契約の作業というのは責任の部署は同じなんですか、違うんですか。違うんだったら、それぞれどこが担当責任なんですか。それについてまずお答えください。

林政府参考人 お答えいたします。

 先ほども申しましたように、郵政民営化は現内閣最重要課題ということで、内閣官房にございます郵政民営化準備室、それから内閣官房の広報室、それから私ども内閣府の政府広報室でタスクフォースをつくっておったわけでございます。そこで内容等については検討いたしておりますが、予算としましては、これは政府広報室の予算でございますので、内閣府の予算でございますので、契約は私どもの方の担当でございました。

辻委員 郵政民営化広報トータルプランというものがあって、その中で、郵政民営化広報タスクフォースを設置した、初会合は二〇〇四年の十月十五日に開催したんだというふうになっておりますが、この初会合の時点ではチラシの話は出ていたんですか。もし出ていないのであれば、それはいつ出てきたんですか。それについてお答えください。

林政府参考人 お答えいたします。

 確かにタスクフォースは十月に立ち上げまして、そこでいろいろな検討を始めております。その中には、テレビの話、またそういう紙媒体の話、すべてございましたけれども、具体的にこういうチラシという話が一番最初の段階からあったわけではございません。何度かタスクフォースで議論する中で、その提案を受けて契約したわけでございます。

辻委員 いや、だから、これはタスクフォースの会議の中で出てきた話なんですか。では、それはいつ、どの会議でそういう話が出てきたんですか。それについて聞いているんですよ。具体的に答えてくださいよ。だから、それぞれの担当者にきょう全部来てもらっているんだから。事実を詰めようと思っているんですから、きちっと答えてください。

林政府参考人 確かにいろいろな提案がございまして、その中で、タスクフォースですべてそれは検討して結論を出しておるわけでございます。

 ただ、何月何日のということにつきましては、今手持ちはございません。

辻委員 では、天から降ってわいてきたの、これは。どこかの天の声が響き渡って、出そうということになったんですか。天の声というのは、この部屋の中にいる人が天の声ですか。どうなんですか。

 具体的な会議の中で、何月何日の会議と言えなければ、大体いつごろだとか、だれからのどういう提案だったのか。普通、そういう議事録なり会議録をつくっているでしょう。それを出さないとだめですよ。ちゃんと確認して答えてください。

林政府参考人 申しわけございません。お答えいたしますが、結局、タスクフォースというのは何度も開いております。それで、先ほど郵政民営化準備室の方からもありましたように、私ども、有識者の意見を聞くということをやったわけでございます。学者の方なんかもたくさんおられました。

 そういう中で意見を聞いたんですが、その中のお一人の方が企画を提案されて、それにつきまして私どもタスクフォースで検討しまして、斬新でいいものであるということで採用したということでございます。それで、先ほど言いましたように、契約をいたしましたのが十二月の末でございます。

辻委員 有識者というのは何なんですか。要するに、タスクフォースの会議とどういう関係があるんですか。郵政民営化の広報について八名の実務者会議を開いたというふうに、私、報告を受けていますけれども、このことが有識者会議なんですか。

 そうすると、これはどういう性格なんですか。これはこの八人だけで開かれているんですか。政府の側はだれか同席して内容を確認しているんですか。その点いかがですか。はっきりさせてください。

林政府参考人 済みません。そこにつきましては、ちょっと持っていただいておるイメージが違うようで、御説明させていただきますが、タスクフォースというのは、先ほどから申し上げますように、内閣官房の郵政民営化準備室のスタッフ、広報官室のスタッフ、それから私ども政府広報室のスタッフで形成するものでございます。

 そこで、どういうような媒体を使ってどういう内容のものをやっていくべきかということを十月から検討し始めたわけでございます。しかし、私どもいわゆる役人だけで検討するよりは、民間の御意見を聞くべしということで、私ども、今先生八人でとおっしゃいましたけれども、一堂に会してということではございません。順番に、大学の教授の方をお聞きしたりデザインの会社の方をお聞きしたりというふうにして聞いていったわけでございます。

 以上でございます。

辻委員 民間の声を聞くべしというのは、いつ、だれが言い出したことなんですか。そして、この八人は、いつ、どういう形で、だれが選任したんですか。そして、その会議は、一堂に会していないということになると、どういう合意の仕方をしているんですか。これは何のための機関なんですか。機関としての、一体としての体をなさないじゃないですか。どういう運営をされていたんですか。だれが責任をとるんですか。きちっとこれは答えてくださいよ。

林政府参考人 タスクフォース自体は、非常に、技術的なことを含めていろいろ決めるわけでございますけれども、これは別に郵政民営化の広報だけではなくて、大きな広報をするときには、当然ながら、いろいろな民間の方の御意見を聞く必要があると判断しましたときには聞いております。ですから、今伺った方の中には、今まで何度もお話を伺っている人ももちろん含まれております。

 それで、最後、そういう方々から意見を聞いて、その中で、こういう方向で検討した方がいいという我々の参考になるものがあれば、それは私ども参考にする、そういう意味で聞いておるわけでございます。

辻委員 そんな無責任な答弁をされたら、これは本当に時間の空費ですよ。私の質問に答えていないじゃないですか。

 民間の声を聞くべしという声があったと言うんですよ。だから、どこからその声が出てきたんですかということを聞いているわけですよ。

 それから、この八名について、一堂に会していないというわけですよ。では、みんなの意見はどういう形で、一つの会議体としての意見を出す機関なのかどうなのかということが問題になるわけですよ。どういう機能を果たすものとしてこの八人が選ばれたのか、またその八人を選んだ基準は何なのか、だれが選んだのか、そういうことについてきちっと答えてくださいよ。ここが疑わしいんですよ、本当に。

 今回のチラシについて、一億五千万という大金を、しかもまだ法案が策定されていない前の段階で前倒しで出しているわけでしょう。しかも、それは随意契約で出しているんですよ。なれ合いでやっているわけですよ。公平性、公正性、透明性が欠けているわけだ。だから、それが、この八名の会議の性格は何なのかということにかかわってくるんですよ。きちっと答えてください。八名の名前も出してください。

林政府参考人 何度もお答えしておるわけでございますけれども、これは契約とちょっと勘違いしておられると思うんですが、契約ではないと思うんです。私どもどうやって意思決定をしておるかということでございまして、これは、今言いましたように、重要な広報をするときにはいろいろな意見を聞きたいと思いますので、私ども、そういう専門家の、民間の方の意見を聞いておる。それは別に、さっきから申しますように、今回も当然、郵政民営化が大きな広報テーマでございますから聞いたということだけで、特別なことではございません。

 中には大学の教授もおられますし、ただ、実は大学教授の方、いろいろ言っていただきますけれども、やはり実務経験がない方が多いわけですから、そういう実務経験のある方等も、例えば雑誌の編集とかをしておられる方も聞いたりというようなのが八名でございます。

 以上でございます。

辻委員 責任を持ってちゃんと答えてください。メモしてください、あなた。答えていないんだよ、私の言っていることについて。

 民間の声を聞くべしというのはどこから出てきたのかということは、あなたは民間の声を聞くべしという声が出たと言っているから、だからこの八人は民間なんでしょう。では、八人の前に、民間の声を聞くべしとだれかが言ったんでしょうが。だから、だれが言ったのかということを聞いているんです。それはいつのことなのか。

 そして、その民間の声を聞くというのはこの八名だとどうも思えるんだけれども、では、この八名はだれが選んだのか。そして、その会議は、一堂に会しないような八名というのは、これは何なんですか。それを選任するのはだれが選任するんですか。どういう基準でやるんですか。

 だから、これはだれが責任をとってやったんですか。林室長、最終責任はあなたにあるんですか。だれが責任をとるものとして、こういう八人の会議なり、このタスクフォースの設置についても同じだと思いますよ。だれが最終責任をとっているんですか。その責任者を、きちっと責任の所在を明らかにしてください。

林政府参考人 申しわけございません。私は答えているつもりでございますが、まず、一つ一つ申し上げます。

 民間の声を聞くべしということは、これは先ほど言いましたように、我々は通常やっておりますので、当然、今回こういう大きなもののときにはやります。それは、タスクフォースとしても当然決定した内容でございます。

 それから次に、だれが選んだかということでございますけれども、これは我々、それまでにおつき合いがあった、さっき申しましたように、何度もいろいろな御相談をさせていただいている大学教授も含めまして、私どもが決めました、タスクフォースが決めました。それが二つ目と思います。

 それから、一堂に会しないというのは、これも別に今まで一堂に会するというやり方はほとんどとっておりません。その都度、それぞれの方々のスケジュールもございますし、大学の教授を伺ってやや抽象的と思えば、やはりもう少しそれを補完するような実務の方を聞くというようなやり方で、最初から八人がありきとか、そういうことではもちろんございませんでした。それが三つ目でございます。

 それから、責任ということでございますが、先ほどのタスクフォースの責任者ということであれば、クラスからいうと、私も審議官クラスということでございますけれども、先ほど答弁しました準備室の中城さん、私あたりが責任でございます。

 以上でございます。

辻委員 最終責任の所在を聞いているんですよ。それはみんなそれぞれの役回りにおいて責任を負っているのは当然ですよ。それはそうでしょう、公務員なんだから。当たり前の話ですよ。だから、最終責任をだれがとるのかということを聞いているんですよ。

 それで、民間の声を聞くべしという、聞くべしということをおっしゃったんですよ。そして、私どもと言っているんですね。では、タスクフォースの中で何人かが集まって、みんなからこもごもそういう話が出てきた、こういうことを言っておられるの。そうじゃないでしょう。民間の意見を聞くべしという、まさに外から聞くべしという意見がタスクフォースにあった、そういう脈絡で、そういう意味をとれるような答弁をさっきされたんですよ。だから聞いているんです。

 では、それはいつなんですか。十月に設置された時点では出ていない話なんじゃないですか。途中でそういう話が出てきたということなんだよ。だから、いつなんですか。

林政府参考人 先ほどから申しますように、十月十五日に初会合を行いまして、そのときに、民間の方の意見を聞くということはもう既にその時点では考えておりました。別に具体的にどの方ということではないけれども、このタスクフォースの中でやっていく上で民間の方の意見は聞かなければならないということは、そのときに、タスクフォース発足に当たってございました。

辻委員 では、タスクフォースの会議録、これをこの委員会に出してください、会議録をきちっと。重立ったものについては確認しているはずですよ。それを出してください。いかがですか。

中城政府参考人 内部の会議でございまして、議事録のようなものはつくっておりません。

辻委員 私どもというふうに言ったり、さっき林室長、十月十五日の時点で考えていたと。それは自分の頭の中で考えていたのかもしれないけれども、そんなことをこの場で言うこと自体、要するに答弁の内容がどんどん変わってきているんですよ。

 ですから、この内閣官房郵政民営化準備室、内閣官房内閣広報室、内閣府政府広報室、それから内閣府タウンミーティング担当室ですか、これがタスクフォースに参加しているのかどうかわからないけれども、それも含めて参加者の名前を全部明らかにしてください。いかがですか、それは明らかにできますね。

林政府参考人 参加者ということでございますけれども、御意見を聞きましたのはボランティアで聞いておりますので、個別の方々には、お名前を挙げることは適当ではないと思いますけれども、先ほど言いましたように、どういう種類の職業の方というようなことは申し上げることはできます。

辻委員 いや、私が聞いているのは二つありますよ。

 まず、準備室、広報室の担当者ですよ。だから、これは、参加した、まずその役所の人間ですよ。これはボランティアじゃないでしょう。何を言っているんですか、あなた。それをまずはっきりさせてくださいということ。

 それから、八名。大学教授が二名いて、企画コンサルティング会社の代表がいて、雑誌編集者がいて、CMディレクターがいて、地方経済団体の役員、広告代理店プロジェクトマネジャー、コーポレートブランド室マネジャー、広報戦略プランニング会社代表、挙がっているじゃないですか。名前をちゃんと出してくださいよ。

 この中の意見を聞いたわけでしょう。しかも、この中の一人が委託を受けているわけじゃないですか、随意契約の相手方になっているわけですよ。おかしな話ですよ、これは。何なんですか。お手盛りもいいところなんですよ。第三者的なチェックをする、第三者的なボランティアでしょう。

 まず、それ、両方、きちっと名前を全部明らかにしてください。

林政府参考人 申しわけございません。一点、私、タスクフォースの方のメンバーということにつきましては、当然、私を含めまして、それは職員の名前でございますから、オープンになっていますから、出せます。

 ただ、八名の方につきましては、今言いましたように、ボランティアでお聞きしておりますので、これについては出すことは適当でないと思っております。

 なぜかと申し上げますと、先ほどからちょっと私、あれっと思うんですが、この時点で契約とか何でもないわけでございまして、どういうような広報をすればいいかということで始めておるわけでございまして、その時点で聞いておるわけでございますから。(辻委員「何を言ってるんだよ」と呼ぶ)

二階委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

二階委員長 それでは速記を起こしてください。

 ではもう一度、辻惠君。

辻委員 政府側のこのタスクフォースへの参加者、これは全員、要するに、職名と氏名をきちっと明らかにしていただきたい。

 それから、有識者とされるこの八人について、これは後ほど当然質疑をいたしますけれども、そのうちの一名がこの作成の委託契約を受けているんですよ。だから、そういう意味で、この八人がどういうふうな人たちであって、どういう議論のもとで今回のチラシの配布に至ったのかということをやはり確認する意味でも、この八人がだれだったのかということは極めて重要。だから、この点についても明らかにしていただきたい。お約束いただきたい。

林政府参考人 先ほど申しましたように、タスクフォースのメンバーについては、全員公務員でございますので、それは明らかにいたしたいと思います。

 ただ、先ほどのその八名に関しましては、ちょっと私、先ほども申し上げたとおり、順次この人を聞いたらどうだろうということでやっていったわけで、もちろんそういう枠があったわけでも何でもございません。たまたま、先ほど先生もおっしゃいましたように、その中の一人の人間が後で企画を出されましたので、そういうことはありましたけれども、それは順次聞いていったわけでございますので、それは、ほかの方々についてお名前をということは適当でないと思っております。

辻委員 この八名の中の一名と、その人間がかかわっている、これは社員が二人なのか三人なのかわからないけれども、二〇〇四年の三月に設立された有限会社と結局、随意契約を結ぶに至っているんですよ。

 だから、この八名の中の、では後に随意契約を結ぶに至ったその八名の中の有識者とされる一名、これは具体的に特定してくださいよ。だれなんですか。そして、どこの会社なんですか。しかも、それはだれの推薦で、だれが選任したんですか。

林政府参考人 お答えいたします。

 そういう意見を聞いたということとは別に、随意契約は当然、契約はやりましたもので、それについては確かにお答えする必要がございます。

 それは、スリード社という会社と契約をいたしました。それは、先ほども申しましたように、十二月の末でございました。(辻委員「名前、個人の名前」と呼ぶ)済みません。ちょっとフルネームは、申しわけございません、谷部という方でございます。(辻委員「だれの推薦で、だれが選んだんですか」と呼ぶ)それは、先ほど言いましたように、私どもタスクフォースとして……

二階委員長 委員長の許可を得て発言すること。

辻委員 さっき質問していますよ、質問しています。

 だれの推薦で、だれが選任したんですか。いつ選任したんですか。その点について、全部答えてください。

林政府参考人 この谷部さんという方は、過去に私どもがそういう広報のアドバイスをいただいた方の一人ということで、タスクフォースとして呼びました。

 契約とか、いつということについては、ちょっときょう手持ちはございません。

辻委員 ごまかしちゃだめだよ、いいかげんに。具体的な個人が推薦をしているんでしょう。タスクフォースというのは何人、五人なのか八人なのかわからないけれども、そんな、みんながみんな知っていたんですか。みんながみんなこもごも言うわけですか。そうじゃないでしょう。具体的にだれかが推薦するから名前が挙がってくるんじゃないですか。そんな無責任な発言はないよ。きちっと答えろ、ちゃんと答弁しろ。

林政府参考人 先ほど言いましたように、どの大学教授とかどのコンサルタントの方とかいうことを、だれがということはございませんが、すべて覚えているわけではございませんけれども、今の先生からのお話の件につきましては、内閣広報官室の齋藤参事官がこの意見を聞くという話で持ってまいりました。

辻委員 その前に、竹中大臣、民間の声を聞くべしとおっしゃったんですね、タスクフォースに。いつおっしゃったんですか。

竹中国務大臣 タスクフォースは事務方の会議でございますので、私が出ることはもちろんございませんけれども、私がそれに対して直接、具体的にこうこうしろというような指示をしたことはないと記憶をしております。

辻委員 十一月ごろに、あなたが民間の声を聞くべしというふうにタスクフォースの構成員に言っているんじゃないですか。思い出してくださいよ。事実でしょう、思い出してください。

竹中国務大臣 私、とにかく広報を急いでやってほしい、急いでやってくれということと、私自身は、当時は例のテレビキャラバンで走り回っておりましたから、とにかく知恵を出してくれ、英知を結集して知恵を出してくれ、そういうことを申し上げたと記憶しております。

辻委員 齋藤参事官、お答えいただきたいんですが、スリードを有識者に選任せよというふうに話をしたのはいつのことなんですか。いつ、どういう形で決まったんですか。齋藤参事官、お答えください。

齋藤政府参考人 お答え申し上げます。

 スリード社の代表の方の意見を聞いたらいいということを申し上げたのは、確かに私だったと思っております、記憶しております。これは、彼が非常に広報に関するいろいろな知識を持っておるということを前々から知っておりましたので、推薦したということでございます。

 以上でございます。

辻委員 それはいつごろのことなんですか。

 それからもう一点。羽村参事官ということは、齋藤さん、御存じですか。羽村参事官と何かやりとりをしたりはしているんですか。

 その二点についてお答えください。

齋藤政府参考人 お答え申し上げます。

 この会社の代表の意見を聞こうというふうになったその時期は、私もちょっと記憶が定かでございませんが、十月の半ば以降ぐらいだったかなと記憶しております。

 それから、羽村参事官は、先ほど来出ておりますように、民営化準備室のタスクフォースのいわば広報担当の参事官でございますから、当然いろいろな件で十分いろいろな連絡はとっております。

辻委員 このスリード社の問題について、羽村参事官とメールのやりとりをした事実はありますか。齋藤参事官、お答えください。

齋藤政府参考人 参事官同士のやりとりは、電話でやったこともメールでやったことも、いろいろなケースでやりましたので、この具体的なケースでどうだったかということは記憶しておりません。

辻委員 これは、齋藤参事官もタスクフォースの一員であるということでいいんですか。

 それからもう一点。具体的に思い出していただきたいんですけれども、スリード社のチラシの作成にかかわって、羽村参事官とメールのやりとりをしているでしょう。きちっと思い出して答えてください。

齋藤政府参考人 お答え申し上げます。

 当然、羽村参事官は郵政民営化準備室の担当でございますから、先ほど来申し上げましたように、たびたびいろいろな形で連絡をとっております。したがって、当然メールのやりとりも電話のやりとりもあったかと思いますが、個別にどうだったかというのは正直私も記憶にない、そういうことでございます。

辻委員 これは、スリード社との随意契約、極めて問題であるし、そもそも随意契約の要件を欠いている、それは後日明らかになっていることでもあるんですよね。

 私、今回の郵政民営化の問題を検討していくに当たって、この問題は本当にゆゆしき問題であって、これは黙過できない問題なんです。この問題について改めて、きょうは時間が参りましたから、できればあした改めて質疑をさせていただくということで、きょうのところはとりあえず終わります。

 以上です。

二階委員長 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 前回の質問で、私は、民営化された郵貯銀行の株式を郵政グループがどこまで持てるかという点についてただしました。二五%規制がかからず、五〇%まで株を持てるということでありました。これは極めて重要な点であります。

 竹中大臣は六月三日の答弁でこう言っているわけです。銀行と保険というビジネスというのはまず極めて重要な信用を背景にしたビジネスでありますから、何といっても国の関与をしっかり断ち切る、こう述べていたわけです。ところが、自民党と内閣の合意を見ますと、連続的保有を妨げないと合意をしております。

 要するに、独禁法上も二五%を超える株式を二〇一七年三月まで持ち続けることができる。そこで完全処分するというけれども、連続的保有ができる。ということは、政府出資が残る持ち株会社の、特殊会社である持ち株会社の実質子会社を続けることができるということになりますね。

竹中国務大臣 確かに、六月三日でございましたか、その後も、金融の業務について、これは信用が競争上決定的に重要であるという趣旨のことは何回も答弁させていただいていると思います。

 郵便貯金銀行、郵便保険会社が、民間の銀行、民間保険会社と同一の条件で自由な競争を行って、それで質の高い多様なサービス提供を可能とする、これがまさに民営化の趣旨を徹底するという意味で、実は、両社は特殊会社としないで一般商法会社として設立した。だから、全額株式を処分して、国の信用、関与を完全に断ち切る必要があるというような法律の構成にしております。

 その上で、佐々木委員のお尋ねでございますけれども、これは、民営化されました後は、まさに民間と同じ枠組みの中で経営判断をしていただくということでございます。つまり、移行終了後に持ち株会社、郵便局会社がこれらの金融機関の株式を取得するかどうかについては、これは他の民間金融機関の株式を取得する場合と同様、独禁法、銀行法、保険業法といった一般的な法規のもとで、各特殊会社の規制の範囲内で、これは特殊会社としての制約というのはそれはそれであるわけでございますけれども、経営判断によって可能となるということにしております。

 そのような趣旨で、政府・自民の合意のあの文書にも至っているところでございます。

佐々木(憲)委員 今の答弁は全く矛盾した答弁をやっているんですよ。独禁法上の規制を受けると言いましたが、前回私が質問したのは、二五%以上保有可能である、規制は銀行法の五〇%というのが規制の対象だと。したがって、二五%以上持てるんですから、実質子会社にできるわけです。何でそれが民間銀行と同様の競争条件なんですか。国の株式保有が三分の一あるそういう持ち株会社、それを背景とした実質子会社、それが民間の銀行と同一の競争条件だということにはならないんじゃありませんか。矛盾していると思いませんか。

竹中国務大臣 民間と同様ということは、基本的には、これは特殊会社ではありますけれども、民営化されました日本郵政株式会社、そのもとにある郵便局会社、郵便事業会社というのがございます。これは民営化された会社でございます。特殊会社としての制約はございます。その会社が、仮に取引上の観点から金融機関の株を持つ、これは郵貯銀行のみならず、東京三菱銀行や三井住友銀行等、そういうことを他の民間機関とまさに同じようにやるということはあり得ることでございます。

 繰り返しますが、特殊会社としての制約と、その他独禁法や銀行法の一般法規、これが適用をされるわけでございます。その意味では、郵貯銀行というのは他の民間金融機関と同じように、どこと提携するか、出資を受けるかというような選択があるわけでございますので、まさにそれは民間とのイコールフッティングがそこで実現をされているという趣旨になるわけでございます。

佐々木(憲)委員 全然おかしいですよ、それは。国のバックアップのある、つまり国の株式保有がある特殊会社である持ち株会社、その実質子会社を続けることができるというのが何で民間と同一の競争条件になるんですか。全然違うんじゃないですか。

 今まで言っていたのは、国の遮断を行う、リスク遮断をするんだというのが説明だったでしょう。今までの答弁は、独禁法上可能である、子会社にすることは、実質子会社は。しかも、連続保有が可能だと。全然違うんじゃないですか。

竹中国務大臣 これは独禁法の適用は受けるわけでございます。独禁法の適用を受けて、それによりまして、これは銀行法も、あれも受けますけれども、銀行及び保険会社の株式については、三特殊会社合計で二五%超の議決権を保有する場合、独禁法九条に抵触する可能性があるということでございます。

 これについては、その適用を受けるわけでございますけれども、それは、繰り返し言いますけれども、特殊会社として、民営化された特殊会社がいろいろなところに出資する場合があり得ます。これは郵貯銀行に出資する場合もあるし、またそれらの他の銀行に出資する場合もあり得る。そういう意味で、イコールフッティングを確保しているわけでございます。

佐々木(憲)委員 独禁法上の適用を受けると言いますが、では、貸し出しが大きな影響を与えるような規模ではない、そういう郵貯銀行というのは独禁法の適用を受けないというのが公正取引委員会の答弁ですよ。受けるという前提で言っていますが、それは間違っております。受ける場合は、民間銀行と同じ規模の融資規模がなければ受けるということにはならないんですから。だから、全然矛盾しているんですよ。

 どっちなんですか。つまり、連続的保有ができる、連続的保有ができない、どっちなんですか。はっきりさせてください。

竹中国務大臣 ちょっと、先ほどから佐々木委員の御指摘、私が勘違いしているのかもしれませんが、これは先ほど言いましたように、完全処分を行うことが義務づけられているわけでございます。したがって、移行期間の終了の時点では完全にこれはゼロになるということで……(佐々木(憲)委員「保有がゼロになるんですね」と呼ぶ)保有というか、完全処分ですから。処分と売却は違います。完全処分ですから、そういう意味での関与は完全に断ち切られるということにその時点ではなります。

 その後につきましては、一般の法規の適用のもとで、それで特殊会社としての制約を受けますけれども、それは一般の金融機関と同様に、そのような保有がなされるということはあり得る。したがって、結果的に、これは連続的保有が可能であるということを確認しているわけでございます。

佐々木(憲)委員 完全処分ができるから断ち切れると言いましたね。では、連続的保有ができるということは、断ち切れないということじゃないですか。連続的保有は、断ち切れないということなんですよ。

 完全処分をするから断ち切れる、これはどういうことなんですか。はっきりしてください。全然説明になっていない。

竹中国務大臣 繰り返しの答弁になりますが、これは、信用が競争上決定的に重要であります。したがって、銀行と保険会社には、他の民間と同様な条件になっていただくという意味で、完全処分の義務を課しまして、関与を完全に断ち切るということが義務づけられております。完全処分でございます。

 その上で、十年たって完全処分がなされます。その後について、これは経営判断で、取引関係の安定のために出資をするというようなことはあり得るわけでございます。もちろんこれは経営判断でありますけれども、郵政のグループが新たに別の銀行に出資するということもあり得るし、郵貯の銀行に出資するということもあり得るわけでございますが、その場合に、連続的な保有が、結果的にそういうことが実現することはあり得るということを、これはきちっと、非常に綿密に法律上設計しているわけでございます。

佐々木(憲)委員 全然支離滅裂で、そんな説明じゃだれも納得できない。完全処分するから断ち切れると言ったんですよ。ところが、連続保有もできると言うんですよ、連続的保有ができると。これは断ち切れないということじゃないですか。

 つまり、政府が言っているのは、国の関与がしっかり残った特殊会社をトップとする巨大郵政コングロマリットができる、国の関与を断ち切ると述べたことはうそだったということになるんですよ。しかも、郵貯部門は赤字企業、何もこんな民営化を行わないで公社のまま改革を進めればいいじゃないですか。

 郵政民営化は、どんな形であれ我々は反対であります。こういういいかげんな答弁で、また国会をだまし、自民党をだまし、民主党も共産党もだまそうとしているが、認められない。この問題について、明確な統一した合理的な説明をきちっとやってください。

竹中国務大臣 この点について、私はかねてより明確に、合理的に答弁をしているつもりでございます。

 民間との関係はしっかりと断ち切らなければいけない。しかし、一たん断ち切られて同じフィールドに、これは民間企業として同じフィールドに立つわけでございますから、同じフィールドに立った後、民間企業として一般の法規が適用されるというのは当然のことであろうかと思います。「グループ経営を可能とするため、移行期が終了した後は、特殊会社としての性格を考慮しつつ経営判断により他の民間金融機関と同様な株式持合いを可能とする。その結果、株式の連続的保有が生じることを妨げない。」まさに答弁しているとおりでございます。

佐々木(憲)委員 特殊会社とかなんとか言いますけれども、特殊会社の規制は一応あるでしょう。しかし、それを認めた上で独禁法とか銀行法とかとあなた方は言っているんだから。

 つまり、独禁法上は、これは規制の対象にならないんです。つまり、実質子会社のまま連続して経営ができる。しかも、それも、遮断ができるという言い方で今まで言ってきた。全く国会をごまかしてきたということなんですよ。

 これは統一した見解を出してもらわないと、このまま進まないですよ。理事会で検討してください。

竹中国務大臣 これは、郵政民営化法で、法律で完全処分を義務づけているところでございますので。郵政民営化法案の中で完全処分をこれは義務づけております。そこを御理解賜りたく存じます。

佐々木(憲)委員 処分とか売却とか、よくわからぬですよ、この区別が。だから、この点の統一した見解を。処分したら、普通ゼロなんですよ。ところが、連続的所有が可能だ、連続的な保有が可能だとなっているわけだから、この二つの間の矛盾はどうも解決できない、これは幾らやったって。明確にしてもらわないと困る。委員長。

二階委員長 申し合わせの時間が参っておりますので、御協力をお願いしたいと思いますが、ただいまの佐々木憲昭君の御発言につきましては、後に理事会で協議をいたします。

佐々木(憲)委員 終わります。

二階委員長 次に、東門美津子君。

東門委員 社会民主党の東門美津子です。

 五時までということですので、よろしくおつき合いください。

 この委員会で、私は初めての質問をさせていただきます。これまで本当に多くの委員の皆さんから質問があったと思うんですが、やはりここまで来てもわからない。なぜ今民営化しなきゃいけないのか、何がいけないのか、それで、国民のためにどういう益があるのか、本当に国民が民営化することによって得をするのか、民営化されてよかったと感じることができるのか、そこからまず伺いたいと思います。

竹中国務大臣 郵政という組織は非常に大きな組織で、非常に多面的な機能ないしは役割を担っているというふうに思います。したがいまして、それぞれの局面から、違った側面から見ると、非常に議論がややこしく見えるときがあるのかと思います。したがいまして、なかなか私たちの説明も行き届いていないのだというふうに思うわけでございますが、あえて、この必要性、そしてそれがもたらすメリットにつきまして、三つの面から御説明させていただくとしますと、やはり経済のメカニズムといいますか、マクロ経済の観点から考えまして、民営化を行うことによりまして、三百四十兆円という非常に巨額の資金、これが今、国のお金であるがために安全資産にしか運用できないということになるわけでございます。したがって、国債等々に投資をされて、なかなか民間機関には回らない。これを民間にも回るような、お金の流れを官から民に持っていく、そういうマクロ的なメカニズムが大変重要かと思います。さらに、マクロ的には、それによって小さな政府をつくっていくという非常に重要な方向性も示されていると思います。

 第二に、ミクロ的なといいますか、経営体としての郵政について考えますと、今、郵便の取扱量が年々二から二・五%ずつ減っていく。これが今後加速されて、十年たつと三割ぐらい減っていくのかもしれない。金融革新の中で郵貯等々の残高も減っていく。そういう中で、我々の試算でもお示ししておりますように、郵政というのはやはりどうしても経営環境が厳しくて、先細りになっていく懸念がある。これをしっかりと持続可能にして財務基盤を強化するためにも、経営の自由度を持っていただくことが必要なのではないか。したがって、郵政という経営体の観点からやはり重要であるということかと思います。

 三番目は、これは、国民、利用者、ユーザーの観点から申し上げますと、今後、民営化されて、郵便局の窓口が非常に地域の中心として多様に活用されることによって、そこにさまざまな創意工夫が生かされることによりまして、住民の、利用者の利便も高まる、そういうことが可能である。そして、効率性を高めることによって、郵便料金が郵便の取り扱いが減っていく中でも上昇しない、さらには、希望的には、将来的には低下させる、そのようなサービスも可能になってくるのではないか。

 そうした観点から、郵政民営化をやはり今この時期にしっかりと行っていくことが求められているというふうに考えているわけでございます。

東門委員 今まで伺ってきたのとほとんど変わらないのかなという気もするんですが、大臣の中に、地方のことが本当に頭に入っておられるのかなということを思いながらお聞きいたしました。

 私、沖縄の出身です。その点からお尋ねしますが、本当に多くの離島を抱えておりまして、沖縄には二百二の郵便局がございます、申し上げるまでもないんですが。普通局が十四局、集配特定局が五十六局、無集配特定局が百十局、簡易郵便局が二十二局ございます。

 その小さな村落の特定郵便局や簡易郵便局が村人たちの生活の支えとなってきました。特に、さきの大戦で焦土と化した沖縄県内で、家族が本当に離れ離れにされたその県民にとっては、郵便局のネットワーク、それはとても大きな励ましとなり県民の生活を支えてきました。

 今、地方は、農協や営林署が統廃合になり、市町村役場も大合併が進み、地域社会の最後の公共サービスのとりでというべき郵便局の存続が、今回の民営化という動きによって危機にあると思われます。郵便局の閉鎖が地域社会にどういう影響をもたらすか、大臣、お考えになったことがあるのでしょうか。

竹中国務大臣 私も山地の多い和歌山の出身でございまして、地方における郵便局の役割というのは大変なものがあるなというふうに、小さいころから見て感じている次第でございます。

 東門委員は沖縄でございますか、ちょっと個人的なことで恐縮ですが、私は、最近、沖縄の組踊によります地域再生を個人的に大変応援をしておりまして、沖縄にもお邪魔する機会が結構多うございます。その中で、地元の中高生等々の話の中にも、郵便局に対する一つの親しみといいますか、これが将来どうなるんだろうかというような話、これは中高生の中でも出てきますので、そういう点、やはり本当にしっかりと地域社会との関係を考えていく必要があると思っております。

 そういう観点も踏まえまして、やはりまず、郵便についてはユニバーサルサービスを義務づけるわけでございますが、郵便局の設置につきましても、民営化後においても利用者の利便性を確保しなければいけない。そこで、郵便局会社法第五条におきまして、あまねく全国において利用されることを旨として郵便局を設置することを法律上義務づけるというふうにしております。

 具体的な設置基準は省令で定めますけれども、特に過疎地については、法施行の際、現に存する郵便局ネットワークの水準を維持することを旨とすることを規定するという考えでございまして、過疎地についてそうした配慮をしっかりと行っているところでございます。

 また、過疎地の定義としては、過疎地域自立促進特措法の過疎地域に加えまして、離島振興法の離島振興対策の実施地域、半島振興法の半島振興対策実施地域、山村振興法の振興山村を定めることとしておりまして、また、この離島に関連しまして、沖縄振興特別措置法の離島、奄美群島、小笠原諸島を含めることを検討しているところでございます。

 その意味では、やはりその地域のコミュニティーの中心地としての郵便局が引き続き重要な役割を果たせるように、そのような制度設計を行っているつもりでございます。

東門委員 今、大臣のお話にもございました、沖縄には、特に組踊に御関心をお持ちだと。実は、勝連町は私の出身地でございます。そこにおいでになったこともお話は伺っているんですが、やはり地域地域での郵便局というのはすごく大事なんですね。安心して暮らしていける、特に離島県であります、子供を本土の方へ教育のために送る、送金するにも、いろいろな意味で郵便局というのが大きな意味を持っているんです。そういう沖縄県だからこそ、今回の民営化というと不安の声がとても大きゅうございます。

 そういう意味で、利用者の不安に対して、民営化してもこのように安心なんですよと、今幾らかおっしゃっていただいたと思うんですが、もう一度お聞きしたい。利用者の、沖縄県民の不安に対して、民営化しても安心なんですよ、心配は絶対にありませんよ、サービスもますますよくなるんですよという大臣がおっしゃるその根拠、示していただきたいと思います。

竹中国務大臣 郵政の民営化というのは、先ほどその趣旨のところで申し上げましたように、やはり全国津々浦々に置かれております郵便局が果たしてきた社会的機能は極めて重要である、それをしっかり維持しながら、そして、より便利なサービスが地域住民に対して提供されるようにするということを目的としているわけでございます。

 このため、郵便局会社については、まず、過疎地を含め、郵便局が全国あまねく利用されるようにその局をしっかりと配置する、これがやはり基本であろうかと思います。

 その中身等々については繰り返しをいたしませんけれども、局を配置した上で、郵便サービスについては、郵便窓口業務の委託等に関する法律に基づきまして、郵便事業会社による郵便局会社への窓口業務の委託を義務づける、したがって、窓口を設けて必ずそこに委託されるという仕組みがございます。

 そして、その上で、今度は、もう一つは貯金、保険のサービス、これももちろん重要でございますけれども、貯金銀行、保険会社と郵便局会社の間に安定的な代理店契約、これは移行期間を十分にカバーするような安定的な代理店契約及び保険募集委託契約がなければいけない、それがみなし免許の条件になるという形にしております。

 また、万が一にもネットワーク価値が低下してそういうサービスが提供されない懸念がある場合は、社会・地域貢献基金を活用することによりまして、こうしたサービスがきっちりと続けられるような、そういう枠組みを続けているところでございます。

 何よりも、業務範囲が限定されていた公社とは異なりまして、経営判断で郵便局ネットワークを活用しまして多様な業務に進出するということが可能になるわけでございますので、ネットワークを活用しまして、引き続き、郵便、貯金、保険のサービスを提供するということはもちろんでございますが、加えて、地域のニーズに応じて多様なサービスができるように、そして地域住民のニーズにこたえていくようなものにしていきたいというふうに思っております。

東門委員 総務省のホームページによりますと、二〇〇六年三月三十一日には、平成の大合併で一千八百二十二市町村にまで減ることになっています。その時点での過疎七法の対象市町村数はどのくらいになるのでしょうか。また、過疎七法の対象地域の郵便局の数はどのくらいを見込んでいるのでしょうか。お伺いします。

細見政府参考人 お答えいたします。

 二〇〇六年三月三十一日における過疎の市町村の数というのは、毎年毎年の統計、数字によりまして変わるものですから、今の段階でその数について具体的に申し上げることは難しいと思います。

 現状における過疎地、過疎七法における郵便局の数というのは、この前理事会にも提出しましたように、七千二百二十程度ということでございます。

東門委員 いや、二〇〇六年の三月三十一日にはこれくらいの数になるというのは出ているわけですよね、減る、千八百二十二市町村になると。そのことになっていますと出ているわけですから、その時点での過疎七法の対象市町村数はわかっておられるんじゃないでしょうか。そして、この過疎七法の対象地域の郵便局の数はどのくらいまでいくのか。見込みでいいんですよ。それをちょっと教えてください。

細見政府参考人 お答えいたします。

 合併によりまして、過疎市町村の数が変わってくる、つまり、今まで過疎じゃないところがなってくるという可能性があるので、そこによって数が変わってくるということでございます。

 いずれにいたしましても、過疎地域に今まで指定されていたところは、みなし過疎という制度がございますので必ず過疎として残りますので、過疎地域にある郵便局は、合併がありましても引き続き過疎とみなされるということでございますので、その数、現状でいうと七千二百二十ございますが、この地域にある過疎の郵便局が二〇〇六年になって減るということはございません。

東門委員 二〇〇六年までは減ることはない、二〇〇六年以後はかなり減るかもしれないということですか。いや、よくわからないんですよ。

 続けます。

 現在、七千二百二十ある。それが二〇〇六年までに幾つになるかはわからないけれども、とにかくそれからは減るわけですよね、間違いなく。そうするとどれくらいあるんでしょうかと私は伺っているんですが、全然予測もできないということですか。済みません、ちょっと説明がよくわからない。

細見政府参考人 現在ございます過疎地域というものが、合併をいたしましても、みなし過疎も含めて過疎でなくなるということはございません。したがいまして、七千二百二十の郵便局が、現在過疎地域にあるものが、これが外れるということはございませんということを申し上げておるわけでございます。

東門委員 はい、わかりました。ちょっと、ちゃんととれなくて失礼いたしました。

 続けます。

 郵便局会社法案の第四条では、郵便窓口業務が郵便局の本来業務となっている一方、貯金・保険サービスは何ら規定がありません。郵便局会社はどの規定に基づいて貯金・保険サービスをするのでしょうか。

竹中国務大臣 郵便局というのは、郵便の窓口業務を行うところでございます。郵便局が行うことができる業務としまして、郵便局窓口を活用して地域住民の利便に資する業務を行うことができるということになっております。

 そういう中で、現実問題として、特定郵便局をとりますと、二人、三人の小さな特定局ですと、普通、平均しまして六割とか七割とかかなりの部分、現実に金融の業務をやっているわけでございますから、これは民営化された後も、地域住民に資する業務としてこのような金融の業務が提供されていくというふうに想定されると思います。それを確実なものにするために、先ほどもちょっと申し上げましたように、長期の委託契約等々の制度を考えているわけでございます。

東門委員 同じ条文ですが、「郵便局を活用して行う地域住民の利便の増進に資する業務」が含まれるとしておりますけれども、必ずやるべき業務ではなく、やってもやらなくてもいい業務、やる場合は総務大臣に届け出てくださいというような位置づけになっているわけですよ。

 しかし、沖縄県内では、沖縄本島、久米島、石垣島、宮古島以外には銀行がありません。農協や銀行が地域から撤退している中、離島では郵便局が金融サービスを提供するセーフティーネットになっております。貯金、保険のサービスは離島住民の生命線です。郵便局の業務として郵便事業株式会社から委託を受けて行う郵便業務は明記しているのに、なぜ郵便貯金株式会社や郵便保険会社からの委託を受けて行う貯金、保険の業務を郵便局の必須業務として明記しないのでしょうか。おっしゃるだけではなく、しっかりと明記していただきたいということですが、いかがでしょうか。

竹中国務大臣 基本的な考え方として、貯金、保険という金融業のサービスについては、法律上、ユニバーサルサービスの提供義務を課していないわけでございますけれども、しかし、今委員御指摘のように、例えば離島において、また私の故郷なんかにおいてもそうでございますけれども、やはりこの金融の事業は大変重要であるということは強く認識をしております。したがって、それを実効あらしめるための仕組みというのを同時にしっかりとつくっているつもりでございます。

 銀行、保険のみなし免許を付与するに当たっては、最低限移行期間をカバーする長期安定的な代理店契約、保険募集委託契約があることを条件としますので、したがって、一括してそういう金融サービスがなされるような契約が、移行期間を十分にカバーするような期間についてまず結ばれるというふうにお考えいただいて結構かと存じます。

 そして、その後につきましても、これは当然経営判断としてそういうものが提供されるというふうに私たちは考えておりますが、それでも仮に過疎地などの一部の郵便局でこの貯金、保険のサービスの提供が困難となる場合には、社会・地域貢献基金を活用して、地域にとって必要性の高いサービスとしてこの金融等々がしっかりと確保されるように制度設計しているところでございます。

東門委員 今確かに、最初移行期間とおっしゃったのですごく気になったのですが、後でその後もとつけ加えていただいたんですが、やはり大事なことは、はっきりと安心できるように私は明記するべきだと思います。

 今のお話、移行期間というと、私は今ぎくっとしたんですね。これだけじゃだめなんだ、やはり明記していただいて、その後もそこのところはちゃんと担保するんだということを明記していただきたいと私は強く要望しますが、済みません、もう一度、大臣、お願いいたします。ぜひ明記していただきたい。

竹中国務大臣 民営化の全体的な設計をするに当たりまして、やはり経営の自由度をいかに確保していくか、しかも、民間と同じ競争条件、イコールフッティング等を確保しながら経営の自由度をいかに確保していくか。その意味では、地域住民から見ますと、あれもやってほしい、これもやってほしい、その気持ちは当然あるわけでございますけれども、それは結果的に経営の自由度を、ある意味で義務づけるということは縛ることにもなりますので、そうすると必然的にまた国の関与をしていかなければいけなくなる、その義務を果たすための国の関与をしていかなきゃいけなくなる。そういうことを避けるために、できるだけ義務を減らして自由にやっていただこう。しかし、自由にやっていただいた上で、国民のサービスの水準が決して問題が生じることのないようにさまざまな仕組みといいますか知恵を出させていただいたところでございます。

 やはりこれは、経営の自由度を発揮していただくことによって、そうすることによって創意工夫のもとで国民のよりよいサービスが確保されていくように、まさに民営化の趣旨にとってぜひそのような方向を目指したいというふうに思います。

東門委員 よくわからなくなってきました。最初四つの観点から御説明いただいて、総合すればこの方が国民のためにいいんだとおっしゃったと思うんですが、今の御答弁を伺っていますと、そうではないという感じがするんですね。

 私は、民営化というのであれば、確かにみんなが危惧していることが何かどんどんどんどん表に出てくるような気がするんです。今は、まあ移行期まではいいかもしれません、その後どうなるんですか。やはり弱者切り捨てになってくる、地方切り捨てになってくる、それが何か目に見えてくるような気がします。

 正直言いまして、私も、郵政民営化する法案、全部わかるわけではありません。ただ、沖縄県から来ていて、沖縄県の離島の状況、過疎の状況を知っていますから、このままでは大変だなという観点から今質問をしているわけです。

 本当に、このままいきますと、離島、特に小さな離島ですね、一町であっても四つか五つの離島を抱えておりますよ。だから、一町に一つ郵便局あるいは簡易郵便局があるといったって、多くの住民は本当に苦しまなければならなくなってくる。それで、郵貯、保険、そういうことも同じようになっていくのかなと思うと、本当に、地方がどんどんどんどん厳しくなっていく、切り捨てられていくのではないかという心配があります。

 そういう意味でも、やはりもっともっと国民の皆さんの支持を受けるという、郵政民営化というのがどういうものであるということが国民に浸透した中で次のステップを踏んでいただかないと、ただいたずらに、いや、今国会で成立させるんだということだけでは、私は国民は納得しないと思います。大臣、もっとやはり国民に接触していただいて、わかりやすい言葉でしっかりと説明をしていただきたい、お願いいたします。

 これは沖縄だけではありません。離島を抱える県はほかにもたくさんございます。あるいは過疎地域もたくさんあります。そういうところでぜひしっかりと説明をしていただいて、説明責任を果たしていただいてから国会での審議もさらに続けていくという形をとっていただきたいとお願いを申し上げまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

二階委員長 次回は、明十四日火曜日午前八時四十五分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時五十八分散会


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