衆議院

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第14号 平成17年6月14日(火曜日)

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平成十七年六月十四日(火曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 二階 俊博君

   理事 石破  茂君 理事 松岡 利勝君

   理事 柳澤 伯夫君 理事 山崎  拓君

   理事 中井  洽君 理事 原口 一博君

   理事 松野 頼久君 理事 桝屋 敬悟君

      井上 信治君    今村 雅弘君

      江藤  拓君    大野 松茂君

      大前 繁雄君    加藤 勝信君

      城内  実君    北川 知克君

      小泉 龍司君    小杉  隆君

      小西  理君    左藤  章君

      桜井 郁三君    柴山 昌彦君

      園田 博之君    谷  公一君

      谷本 龍哉君    馳   浩君

      松本  純君    宮下 一郎君

      山口 泰明君    山本  拓君

      五十嵐文彦君    伊藤 忠治君

      一川 保夫君    岩國 哲人君

      小沢 鋭仁君    大出  彰君

      川内 博史君    古賀 一成君

      辻   惠君    中塚 一宏君

      中根 康浩君    中村 哲治君

      西村智奈美君    古本伸一郎君

      馬淵 澄夫君    山花 郁夫君

      石井 啓一君    谷口 隆義君

      赤嶺 政賢君    塩川 鉄也君

      山本喜代宏君    横光 克彦君

    …………………………………

   総務大臣         麻生 太郎君

   財務大臣         谷垣 禎一君

   国土交通大臣       北側 一雄君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     細田 博之君

   国務大臣

   (金融担当)       伊藤 達也君

   国務大臣

   (郵政民営化担当)    竹中 平蔵君

   内閣府副大臣       七条  明君

   内閣府副大臣       西川 公也君

   内閣府大臣政務官     木村  勉君

   総務大臣政務官      松本  純君

   政府特別補佐人

   (公正取引委員会委員長) 竹島 一彦君

   会計検査院長       森下 伸昭君

   政府参考人

   (内閣官房構造改革特区推進室副室長)

   (内閣府構造改革特区担当室副室長)        御園慎一郎君

   政府参考人

   (内閣官房郵政民営化準備室長)          渡辺 好明君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  中城 吉郎君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  竹内  洋君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  細見  真君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  伊東 敏朗君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  篠田 政利君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  羽村 康弘君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  齋藤  敦君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房参事官) 山本 茂樹君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房政府広報室長)          林  幹雄君

   政府参考人

   (内閣府民間資金等活用事業推進室長)       浅野間一夫君

   政府参考人

   (内閣府規制改革・民間開放推進室長)       田中 孝文君

   政府参考人

   (内閣府市場化テスト推進室長)          河  幹夫君

   政府参考人

   (総務省行政管理局長)  藤井 昭夫君

   政府参考人

   (総務省郵政行政局長)  鈴木 康雄君

   政府参考人

   (経済産業省製造産業局長)            石毛 博行君

   参考人

   (日本郵政公社理事)   本保 芳明君

   参考人

   (日本郵政公社総裁)   生田 正治君

   参考人

   (日本郵政公社理事)   岡田 克行君

   衆議院調査局郵政民営化に関する特別調査室長    石田 俊彦君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月十四日

 辞任         補欠選任

  大野 松茂君     谷本 龍哉君

  小泉 龍司君     加藤 勝信君

  左藤  章君     山本  拓君

  馳   浩君     谷  公一君

  小沢 鋭仁君     中根 康浩君

  古本伸一郎君     辻   惠君

  塩川 鉄也君     赤嶺 政賢君

  横光 克彦君     山本喜代宏君

同日

 辞任         補欠選任

  加藤 勝信君     小泉 龍司君

  谷  公一君     馳   浩君

  谷本 龍哉君     大野 松茂君

  山本  拓君     左藤  章君

  辻   惠君     古本伸一郎君

  中根 康浩君     小沢 鋭仁君

  赤嶺 政賢君     塩川 鉄也君

  山本喜代宏君     横光 克彦君

    ―――――――――――――

六月十四日

 郵政民営化反対に関する請願(安住淳君紹介)(第二六一三号)

 同(鹿野道彦君紹介)(第二六一四号)

 同(肥田美代子君紹介)(第二七六一号)

 同(末松義規君紹介)(第二八二五号)

 同(大出彰君紹介)(第二九二七号)

 同(照屋寛徳君紹介)(第二九二八号)

 同(土井たか子君紹介)(第二九二九号)

 同(徳田虎雄君紹介)(第二九三〇号)

 同(本多平直君紹介)(第二九三一号)

 同(村越祐民君紹介)(第二九三二号)

 同(笠浩史君紹介)(第二九三三号)

 同(石井郁子君紹介)(第三〇五八号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第三〇五九号)

 同(志位和夫君紹介)(第三〇六〇号)

 同(山口富男君紹介)(第三〇六一号)

 第三種低料郵便物を継続することに関する請願(御法川信英君紹介)(第二九三四号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 郵政民営化法案(内閣提出第八四号)

 日本郵政株式会社法案(内閣提出第八五号)

 郵便事業株式会社法案(内閣提出第八六号)

 郵便局株式会社法案(内閣提出第八七号)

 独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構法案(内閣提出第八八号)

 郵政民営化法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出第八九号)


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     ――――◇―――――

二階委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、郵政民営化法案、日本郵政株式会社法案、郵便事業株式会社法案、郵便局株式会社法案、独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構法案及び郵政民営化法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の各案を一括して議題といたします。

 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 各案審査のため、来る十六日木曜日午前九時、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

二階委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、参考人として日本郵政公社総裁生田正治君、日本郵政公社理事本保芳明君及び日本郵政公社理事岡田克行君の出席を求め、意見を聴取し、政府参考人として内閣官房構造改革特区推進室副室長、内閣府構造改革特区担当室副室長御園慎一郎君、内閣官房郵政民営化準備室長渡辺好明君、内閣官房内閣審議官中城吉郎君、内閣官房内閣審議官竹内洋君、内閣官房内閣審議官細見真君、内閣官房内閣審議官伊東敏朗君、内閣官房内閣審議官篠田政利君、内閣官房内閣参事官羽村康弘君、内閣官房内閣参事官齋藤敦君、内閣府大臣官房参事官山本茂樹君、内閣府大臣官房政府広報室長林幹雄君、内閣府民間資金等活用事業推進室長浅野間一夫君、内閣府規制改革・民間開放推進室長田中孝文君、内閣府市場化テスト推進室長河幹夫君、総務省行政管理局長藤井昭夫君、総務省自治行政局選挙部長久保信保君、総務省郵政行政局長鈴木康雄君及び経済産業省製造産業局長石毛博行君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

二階委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

二階委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山本拓君。

山本(拓)委員 自民党の山本拓でございます。きょうは、こういう場所で質問させていただきますことをうれしく思っております。

 四年前に小泉内閣ができましたときに、私は一民間事業者としてまじめに仕事をしておりましたから、国会にいませんでしたので、テレビ、新聞、ニュースなどで小泉さんの性格は昔から知っていましたけれども、ああいよいよ小泉さんが総理になった、自民党はすごいなと。民間でできることは民間に、小さな政府を目指しますということで、国民に訴えて期待を持たせて、そしてそれを一つ一つ実行してきているようであります。

 民間会社と行政の違うのは、民間会社ならトップが右と言えば、麻生社長さんがかつてやっておられたように、会社がばたっと変わっていきますけれども、行政の場合は、やはり一千八百本近くある法律が全部しがらんでいますから、それを一つ一つ改正をしていくには、まさしく民主的な手続をやればやるほど時間がかかるという中で、四年目にしてやっと姿が見えてきたかなという印象を持っております。

 ただ、政治は結果でありますから、結果が出なければやはり評価されません。能書きで絵にかいたもちをいろいろ言っていても、結果がなかったらあきませんし、民間会社であっても、事業計画をどんな立派なのを出しても決算が赤字ではしようがない話であります。

 そういう中で、ちょっと確認させていただきたいことを一つ一つ伺いますが、小泉内閣ができて四年、いわゆる小さな政府ということは当然国家公務員を減らすというわけでありますから、当然それに伴ってその後、公務員がやっていたことを今後どうしていくかということがセットでありますから、そういう意味で、事務方にお聞きしますけれども、国の行政機関の定員という言い方はわかりにくいんですが、数字的に一体どれだけいたのがどれだけになったかということをわかりやすく御説明いただきたいと思います。

藤井政府参考人 お答えいたします。

 小泉政権以降の国の行政機関の定員の縮減状況ということでございますが、平成十二年度末には約八十四万人の定員がございました。これが十七年度末には約三十三万人まで大幅に縮減してございます。その内訳は、四十九万人が郵政公社化とか独立行政法人化とか、そういったものに伴う縮減でございます。

山本(拓)委員 三十三万人、八十万人いたのが五十万近く減ったということ、国家公務員としては。当然のことながら、自衛隊とかそういう現場の人のことは除いて、いわゆる行政機関の職員というものは一応五十万近く減った。しかし、問題はその中身が、公社に移しただけで、まさしく郵政公社の、三十万近くいるわけでありますが、とりあえず公社に移したということは、資産の切り分けをやってわかりやすく一歩民間に踏み出したわけでありますから、それは一歩前進と。しかし、そのままほっておいたらまた元に戻ってしまいますし、そしてまたそれをさらに進めようというのが、今回の郵政民営化の基本の一つだという理解をいたしております。

 そういう中で、またさらに、郵政は郵政、これは後でまた質問を続けますけれども、その前段として、さらにいろいろ、僕は内閣部会をやらせていただいておりましたので、委員会もやらせていただいておりますから、最近やたらと、結構まじめに、内閣府の職員というか、PFI推進室だの規制緩和だの市場化テスト推進室だの、何だかんだと結構一生懸命やっておられるようであります。それはそれで一つ一つやっていくんでしょうけれども、もともと今後の計画として、今三十三万人一応行政職の国家公務員がいるということでありますが、これのうち地方は何人ぐらいいますか、そしてまた、今後はそれをどうしようというんですか、計画的には。

藤井政府参考人 お答えいたします。

 平成十六年度末の定員ということでございますが、地方支分部局には二十一万七千人の定員が配置されているところでございます。

山本(拓)委員 その三十三万人の行政職の国家公務員のうち、二十一万人近くが地方だ。私も県会議員をしておりましたからよくわかるんですが、地方の国家公務員というのは、確かに国家公務員ですが、そこらがやっているのは県に繰り込んだっていいだろう、大体そんなに難しいことをやっているかどうか知りませんが。要は、北陸でいきますと、市役所で働いている職員も県で働いている職員も北陸のセクションで働いている職員も、大体なぜかみんな北陸弁でしゃべりますし、大体やっていることも同じなんですよ。

 ただ、これが切り分けで国、何でこれが国なのという話ですから、そういう中で、地方の立場からするともっと地方にどんどん、地方にできることは地方にということでありますから、これは今後の検討課題でしょうけれども、あとの二十一万人の地方のセクションでやっている出先の人たちは、当然のことながら、地方の分権の流れの中で、しっかりと地方の立場で、身分を移すかどうか知りませんが、そういう方向も視野に入っておられますか。

藤井政府参考人 お答えいたします。

 確かに、地方支分部局の定員の中には、例えば治安関係の刑務所とか国税とか、こういったのだけでも十二万人ぐらいというような必要不可欠な部門はあろうかと思っております。ただ、先生御指摘の……(山本(拓)委員「何が十二万人」と呼ぶ)治安関係と国税関係で十二万人ぐらいという数になろうかと思います。ただ、いずれにしても、私ども、これまでもずっと国の行政機関がみずから実施しなければいけないのは、本当に国だけ、国以外はできないような事務に純化するという考え方になっております。

 特に最近は、昨年末、五年で一〇%の定員削減計画を策定するという方針を決めておるわけですが、これは従来の倍の規模になるわけでございます。そういう計画を策定しつつ、政府全体として大胆な定員の再配置を進めながら、やはり一層の純減を確保していかなければならないというふうに思っておるところでございます。

 特に、地方支分部局には、やはり先生の御指摘のとおり切り口は三点あろうかと思います。国の事務事業として直接やる必要のないもの、こういったものはやはり廃止または民営化する。それから、国の事務として実施する必要はあるのであるが、何も国みずからが実施をする必要もないというものについては民間委託とか独立行政法人への移管を進める。さらに三点目は、国みずから実施しなければならないとしても、いろいろ実施事務の中には、部分的には不必要なものがあり得る。

 それから、特に、近年はいわゆる情報通信技術が非常に進展してございます。それに伴って、事務の効率化が進められるというところも多々あろうかと思いますし、あと市場化テストなんかを今やろうとしておりますが、できるだけ、やはり国みずからがやらなくてもいいものは民間でやっていただくというような形で、定員を一段とスリム化するということで見直しを各省に要請していきたいというふうに考えているところでございます。

山本(拓)委員 今のお話で、さらに、まず国家公務員というものは遊んでいるわけじゃありませんから、無造作に首を切ってもらったら困るんですが、要は、国家公務員でなくても民間でできることは民間に渡せば、自然と手持ちぶさたになる公務員がふえるわけでありますから、そういった人たちはもう我々の税金で雇う必要がないだろうということであります。

 わかりやすく言いますと、今後、年金問題何だかんだで、これだけ借金を抱えているわけでありますから、どんどんどんどん、これまた消費税を値上げせなあかんとか税金値上げをする話がいずれ出るんでしょう。だからその前に、例えば国家公務員一人一千万ぐらい経費がかかりますから、二十万人、そこで一割削減、二割削減ですれば消費税を一%上げなくて済むんだろうという指摘も、私らの特に青年会議所のOBから結構来ますので、そういう観点から、まず中身の精査をしていくことが大事だろう。

 そういう中で、具体的に先行してやっておりますのが、先ほど申し上げました四の室長さん、現場責任者に、きょうは大臣に聞くというよりも、現場責任者がどんな考え方でやっているかを聞いておかないと、幾らここで大臣が答弁したって現場責任者の公務員が違うことをやっていたんじゃ話になりませんので、まず、規制改革・民間開放推進室というのがあるんですね。これは、今答弁された人がおっしゃっている、民間でできることは民間にさせましょうという規制緩和の一つですね。

 何で私がこれを聞くかというと、民間にできることをどんどん吐き出しましょうという中の受け皿として郵便局がありますよということを申し上げている、選択肢の一つとして、民間会社ですから。そういう前段で、まず、要するに民間開放室長さんがどのような形で、民間でできることは民間にという大きな流れの推進を認識されておられるのか、お答えください。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年四月に発足いたしました規制改革・民間開放推進会議におきましては、いわゆる官業の民間開放を三カ年の重点課題としております。

 官業の民間開放とは、国、地方公共団体や独立行政法人など、いわゆる官がこれまで行ってきた業務を民営化、譲渡あるいは民間に包括的に業務委託をすることであり、これにより民間の創意工夫を生かし、サービスとコストの両面ですぐれたサービスを提供することができると考えております。

 昨年度、推進会議では、官業の民間開放について関係省庁と協議をいたし、給付、徴収業務、施設管理、検査、検定業務など三十六項目の答申を行いまして、政府といたしましても、規制改革・民間開放推進計画の改定にこれを盛り込んだところでございます。

 本年度も引き続き、民間からの要望等も踏まえまして、官業の民間開放のさらなる推進に取り組んでまいりたいと思います。

山本(拓)委員 次に、PFI推進室というのがあるようでありますが、その担当責任者、ちょっと答えてください。

浅野間政府参考人 それでは、PFIにつきましてお答えを申し上げます。

 PFI法、平成十一年にできた法律でございます。第三条に「基本理念」とございます。ちょっと読ませていただきますが、「民間事業者に行わせることが適切なものについては、できる限りその実施を民間事業者にゆだねるものとする。」こういう基本理念が書いてございます。

 この基本理念を踏まえまして、御承知のようにPFIは、民間の資金あるいは経営能力等々を活用いたしまして効率的、効果的に社会資本を整備する手法でございますけれども、国、公共団体におきましていろいろな分野で、例えばケアハウスでございますとか公営住宅、ごみ処理等々、広範な分野で今事業が広がっております。

 最近話題になりましたものとしては、法務省の刑務所PFIでございますとか、それから国会の方におかれましても、衆議院の第一、第二議員会館、参議院の議員会館、これもPFI方式で建てかえをいただくというふうに聞いてございまして、私どもの集計でございますけれども、本年五月末現在で、法律に基づく手続を進めておりますもの百九十七件、そのうち六十二件につきましては既に施設の供用が始まったところでございます。

 また、政府といたしましては、PFI事業をさらに促進いたしますために、法律に基づく基本方針の策定でございますとか、あるいはその実施のための実務上の指針でございます五つのガイドラインでございますとか、あるいは予算、税制、さまざまな措置でPFIを促進してまいりたいというふうに考えておるところでございます。

 以上でございます。

山本(拓)委員 よう似たことを言っていますけれども、やはり一通り聞きます。

 次に、特区推進室というのがありますね。特区推進室、どうぞ。

御園政府参考人 御質問の特区制度でございますけれども、御承知のように、この意義は、規制は全国一律でなければならないという考え方を転換して、地域の特性に応じた規制を認めていこうということで、これに基づいて、地方公共団体や民間事業者の皆さんから提案をいただいて、地域の特性に応じた規制改革を通じて、官から民へ、国から地方へという構造改革を加速させるための突破口として今活用しています。

 これまで、教育や農業や医療といった分野に株式会社の参入をするとか、従来厳しいとされた構造改革を実施してきたと考えています。例えば、先般議了いただいた特区法の一部改正で監獄法等の特例措置をいただいたわけですけれども、これは、これまで官が行っていた業務を民間に開放するというような中身を持っておりますし、このほかにも、民間活力の活用の例といたしては、民間事業者に特別養護老人ホームの管理を委託することができるようにするとか、それから、児童福祉施設において調理業務を担当する者を外部から派遣することを可能とするというようなことも行っております。

 これまで、五百四十九の特区が認定されているということで、いろいろな形で実績が出てきていると考えておるところでありまして、特区制度が、御指摘の小さくて効率的な政府の実現をするための手段としてもちろん活用していただく、これ以外に、地域活性化だとかビジネスチャンスの拡大というような効果も持っていると思っていますので、引き続き広く活用されることを期待しているという状況でございます。

山本(拓)委員 まだあるんですね、市場化テスト推進室というのができまして、その室長さん、お願いします。

河政府参考人 今名前の出ました市場化テストというのは、公共サービスにつきまして、官と民が対等な立場で競争入札を行って提供主体を決定するという考え方のものでございまして、御指摘の、民間でできるものは民間で、あるいは小さくて効率的な政府を実現していく上で有力な手段であると考えております。

 この四月に設置されました市場化テスト推進室に与えられた任務は、この本格的導入に向けて法的枠組みを含めた制度の整備を検討するようにということでございますので、現在行っておりますモデル事業からも学ぶべきことを学びつつ、精力的な検討を進めさせていただきたいと思っております。

山本(拓)委員 きょう、代表して四ポストの責任者の皆さんに現状を報告していただきまして、ほとんどの人は知らなかったと思います。ただ、私はよく知っていました、よくやっているなと。ただ、縦割り行政ですから非常にややこしいことでございまして、それを政治的に一本化していくのが政治の仕事であり、我々自民党の仕事かなという理解をいたしております。

 問題は、特に市場化テスト。地方も国も、いろいろな、我々が税金を払った公務員がやっている公共サービスを事業規模に直すと、年間五十兆円というんですね。それを完全に民営化しちゃったら、五十兆円の仕事が民間に賄えるという話でございますから、もちろんその中に郵便局の事業も一つ入るんだろうと思うわけであります。

 そこで、ちょっと郵便局のことを聞かなやはり悪いですから聞かせていただきますが、公社が、今現在、公社として郵政公社をしておりますが、民営化の話で二つ、三百四十兆の資金の運営をどうするかという話と、そしてまた郵便局をどうするかという話があるんだろうと思うんです。

 私が心配なのは、私の地元の、本当に片田舎ばかりですよ、そこの、名前を言っていいかどうか知らぬけれども、池田町というところの郵便局が前々から一つ閉鎖通告が来ているんですね。それで調べてみたら、結構郵便局が減っているんですね。昨年度でも三十五ぐらい減っているんですね。それで、この内訳を見たら、何で減らすかというと、利用者の減少とか、ほか、合理化で減っているというのも存在しているわけですね。

 最近、私の田舎のところでもこんなチラシがばらまかれていまして、「ゆうパック取り扱いコンビニ急増中!」という。これは東京のところにもばらまかれていて、今、全国キャンペーン、前々からやっているんです。

 これは、民営化にならなかったら、公社のままだったら残るのかと思っていたんですが、どうもそうじゃないみたいで、公社は公社として、コンビニですよ。だから、ローソンは全店、ミニストップは全店、デイリー、エーエム・ピーエム、これに郵便局の取り扱い、ポストもつけましょう、相手次第でどこでもやりましょうということでどんどんやって、これは私の地元の特定郵便局長なんかは前から、反対反対と言っておるけれども、このまま座して死を待つよりも何かしたいけれども、今反対と言わなきゃまずいから黙っていますという人が結構いるんです。

 私は、前々から郵便局は民営化賛成と言ってきていますから、前の選挙のときもそうでした。結構、終わってから、そういう人たちが勉強会をやっていたんだけれども、最近、私と勉強会をやると何かいろいろな人から怒られるからということで、こそこそみんなメール友達になっているんですね。

 そんな中で、一つの心配事が出てきたのは、もうほっておいたって、郵便局の取扱店がコンビニにどんどんふえている。だから、公社にちょっと聞きますけれども、公社の方針として、こういう郵便局、コンビニなんかの取り扱い、まだまだこれをふやしていくのが公社、これは今現在は公社ですからね、民営化していませんから、公社の方針だけちょっとお尋ねします。

本保参考人 お答えいたします。

 公社では今、先生から御指摘いただきましたように、郵便局で既にゆうパックを御利用いただいていますが、私ども、土日とか夜間は閉まっておりますので、そういうときでもゆうパックの御利用がいただけるようにということなどを含めまして、お客様のさらなる利便性の向上のため、コンビニや商店など、アクセスポイントの拡充に取り組んでいるところでございます。

 具体的には、六月一日の時点で、先生御指摘の四社、約一万六百のお店でゆうパックの取り扱いをお願いしております。この秋には、同じ四社で、地域の拡大がございますので、約一万三千百店になるかと思っております。

 公社化以来、こうしたコンビニにおける取り扱いの拡大に努めてきておりますが、私どもでは、利用者の選択肢の拡大という観点から、ゆうパック以外のサービスの利用もできる、いわゆる併売を原則としてコンビニさんとお話を進めてきているところでございます。

 そうした中で、話がまとまったところから今お取り扱いをお願いしておりますが、今後とも、こうした方針で臨んでまいりたいと思っております。

山本(拓)委員 だから、公社は公社として、当然、効率化を求めてしっかりやっていかなあきませんから、だから、民営化がなくなっても公社の今の方針はまだまだふやしていくということですから、これは手を挙げ出したら切りがないので、コンビニというのは、これはコンビニだけですか、あとのほかもやるんですか。

本保参考人 ただいま申し上げましたように、いわゆるアクセスポイント、お客様が使える場所をふやすということですから、お米屋さんとか酒屋さんといった商店も含めて努力しております。

山本(拓)委員 お米屋さんというと、ヤマトがやっているところをとっちゃうということですかね。まあ、何でもいいや。

 とにかく、コンビニだけじゃなしに、便利なところにどんどんポストと取扱店をふやすというわけですから、これは、このまま、郵便局長にしてみれば、座して死を待つ郵便局になっちゃうわけですね。

 それはどういう意図かというと、これは私なりの解釈では、本体は助かりますよ、ばんばんコンビニに委託したって、全然手数料、委託料を払わなくたっていいわけですし、お米屋さんにしたってそうです。

 どんどんネットワーク、コンビニとかそんなのは全国でどれだけありますかね。今、郵便局のネットワークが二万四千七百でしょう。さらに、これは簡単に倍増になりますね、コンビニですから、どんどん。だから、これが定番になる。

 よく昔、竹中さんが郵便局がコンビニもできますよとおっしゃっていたけれども、そうじゃなしに、いや応なくコンビニが郵便局になっちゃいますね、今の公社の方針は。だから、これはこれで公社の方針です。

 だから、その上で、地元の郵便局を助けるために、維持するために、二万四千七百の郵便局のネットワークを維持するために、何か我々として、地域活性化の拠点とか、いろいろな提案をしていかなくてはならないというふうに考えているところでございます。

 そんな中で、今の現状、とにもかくにもコンビニ。もう一つ、コンビニなんかでも、いわゆるふるさと宅急便とか、いろいろな特産品を送りますけれども、今郵便局に置いてある厚い冊子の中に、例えば福井のコシヒカリとか何のコシヒカリとか、例えば何か農産品でもお酒でも、やはり定価の、例えば五千円の商品を今の郵便局で注文を受けて、お中元でもお歳暮で配っても、郵便局の局長の収入になるのは切手代だけなんですよ、切手代だけ。要するに、普通のギフトや普通の通販でも、定価の半分は手間代入るんですよ、手数料は。

 だから、公社である限り、手足を縛られて、切手代だけでやっていくというのは非常に、そしてまた取扱店が、例えばローソンとか、これはコンビニでも同じようにふるさと宅急便をやっていますよ、ギフトショップ。皆さん御存じのとおり、大体、ローソンで五千円だとすると、ローソンに納品するのは二千五百円以下でたたかれて納品して、その差額をローソンの手間代として取って、さらに別に郵送料を取っているんですね。ところが、郵便局だけは、なぜか手数料と切手代しかもらえないんですよ、今の公社の法では。だから、これは余りにも、そうしたコンビニの方にどんどんどんどん取扱店をふやしているんでしょう。物すごく数をふやしているので、今度一気にふえていきますから。

 そこらあたりは、郵便局長の声なき声、最近、声なき声というのは、意外と我々は政治ぼけしているから、一部の人が、こんなことを言うと怒られるけれども、話は全然変わりますけれども、きのうもおとといも、私の知っている遺族会の人から、だれか知らぬけれども、責任者が行かぬでいいと言っていたけれども、一般の遺族会の人はそんなわけじゃないですよ、おれは行ってもらいたいと言っていますよ。だから、考え方はいろいろなんですよ。

 だから、私が申し上げたいのは、こういう郵便局の声なき声をしっかり聞く必要があるんだろうというふうに考えております。きょうは演説会ではありませんのでもう進みますけれども。

 そんな中で、しっかりと申し上げたい。そして、今の法案は、もう一遍確認したい点があるんですが、我々は、新しい郵便局を、守るというより郵政新時代、私らの勉強会というか、やっている流れでは、民間でできることは民間に、私らの試算で五十兆円を超えるであろう公共サービスを民間に渡す場合に、その手を挙げるのは民間の事業者、もともと、四百八十万と言われる中小企業がそれを事業内に取り入れていけば、どんどんどんどん事業がふえるわけですし、黒字になるわけでありますから、黒字になれば景気がよくなるわけで、だから、そんな中で、できるだけ民間事業者にしっかりとそれを渡していく。

 地方にはお金がないんですよ、福祉とか何とかで。地方のところにお金を回すのが、これは私の私見ですが、地方の銀行はなかなか金を貸しません。だから、郵便銀行で集めた二百兆円近い金、これを民間会社にして、恐らく、一遍に全部金を何百兆円集めるから運用に困るので、私個人の意見としては、提案としては、ぜひとも分社化してもらいたい、分割してもらいたい。北陸で集めた預金は北陸の銀行で、地元の北陸銀行、福井銀行、農協も含めて合併させて、そこを窓口に、そういう民間市場に参加する人に、福祉関係やいろいろなところに金を貸してもらいたいということをとことん思いますね。この時点でそんな話は無理ですけれども。

 そしてまた、いろいろとこれから、民間の知恵、そして地域のネットワーク、二万四千七百のネットワークは物すごく貴重な財産ですから、これを生かして、地方なんかでいうと、特産品の情報ネットワークの拠点にしたいという考え方がありますね。

 いろいろな事業計画を持っているんですが、この事業計画を、今の法案の中でちょっとまだ読み取れないのは、民間の新しい社長が平成十九年の四月にできるんですよね。その人らが決めていくということでありますが、十九年の社長が決まるときには、もう事業計画、継承計画という、名前はとにかくとして、事業計画はもうあてがいぶちでできているんですね。新しい社長が事業計画を決めるんじゃないみたいですね、初年度は。そこがわからぬのですよ。

 だから、前年度で経営委員会か何かで決めるんでしょうけれども、私が確認したいのは、基本的に、民間、いろいろなアイデアがあります。ましてや、二万四千七百の郵便局を維持していくためには、今、自己努力でやっていかないかぬ。特に、地方の過疎地は何か助けてくれるということでありますが、助けてくれるということは、やはり何もせぬのに寄附金をくれるわけじゃない、生活保護をくれるわけじゃありません。いろいろな考え方、そしてまた、先ほど来、市場化テスト推進室とかPFIとかいろいろなのがありますよね。そこらにも手を挙げる人はどんどん手を挙げさせればいいわけですから、そのときに、こういうやりたいという意見をどこへ持っていけばいいんですか、どこへ。

 三人大臣がいますけれども、これは、陳情先、陳情でもない。だって、当面は株主が国でしょう。計画を立てる段階では国ですよね。だから株主は間接的に、だから、普通の会社なら、経営陣が立てたものを株主総会で審議したり、株主総会という場所で意見を出して、それを承認するとか承認しないという場面があるはずなんですが、これは株主総会を開くわけじゃないでしょう。

 そうすると、これは、でき上がると、大臣が一応、これは総務大臣ですかね、それとも竹中大臣ですかね。総務大臣がそういう計画に対して、広く地方の声を還元するものを承認する、国民のかわりに株主代表的に認可するというか、そういう場面になるんですかね。ちょっとそこを教えてください。

竹中国務大臣 基本的な仕組みは、今山本委員御指摘のとおりでございます。

 国が基本計画、基本的な計画を国が決めるわけでございますけれども、それに基づいて、いわゆる承継計画、具体的な事業の中身を決めるのは、これは経営委員会でございます。その経営委員会の中には、次期の経営者、全員ではないかもしれませんが、やはり主な方には入っていただいて、そこでやはり次期の経営者がしっかりと参画するという仕組みが必要だと思っております。

 そうしたプロセスを、主務大臣である総務大臣、物によっては金融担当、金融を担当する内閣総理大臣も、主務大臣である内閣総理大臣と総務大臣でございますね、両方によってしっかりとそのプロセスを見る、監督するという仕組みをつくっております。

山本(拓)委員 制度設計は竹中大臣がきちっとやられたと今わかりました。

 では、その上に乗っかって、地方のいろいろなネットワークにしようとかそういう事業計画、事業計画はでき上がっちゃったらしようがないしね。普通の会社ならば、あそこの会社に何か物を言おうと思ったら、株主に入って、議決権に入って議論をしていけばいいんでしょうけれども、この肝心かなめな二万四千七百の郵便局、特に地方の七千、これは何であれ、このネットワークを地域の活性で生かしたいとか、いろいろなアイデアとか考え方、これは民間の知恵を結集せなあきませんね、自治体も。

 そういうものを初年度の継承計画、名前は何であれ、事業計画に入れてもらうというか、当然それはいろいろな経営メンバーが意見聴取するでしょうけれども、今のお話だと麻生大臣ということでありますから、麻生大臣として、そういう承認する場合に広くその意見を受けるという認識でよろしいんでしょうか。

麻生国務大臣 法律ができるまでの枠組みにつきましては、今、郵政民営化担当大臣でいろいろ、先ほどから答弁のあっているとおりです。

 決まりました後は、山本先生御指摘のように、主務大臣として、総理大臣等々と検討の上、最終的に決めさせていただきますが、問題は、もうかるような枠組みになっていなければ、社長の引き受け手なんかいるわけないですよ、でしょう。もうからないような枠組みにつくっちゃったら、だれが社長をやるの、責任だけとらされてはたまりませんから。そんな、政治家の、経営のわからぬやつに決められてたまるか、こんなもの、社長を受けられないなんて言われたら、つくった方がおかしくなります。だから、私どもも、これまで結構広く意見を聞いて、これならどうにかなれるという形で、私どもとしてはそれなりに今回の案を提出させていただいておるということであります。

 したがいまして、スタートするまでの間、約二年ということになろうかと思いますが、その間にあって、いろいろ提案というのは、ここに出されております中以外にもいろいろ、私どもも考えられる新しい仕事というのは幾つもあろうかと思いますが、そういったものにつきましては、スタートした途端にいきなりできるものもありましょうけれども、ある程度準備しておかないとできないものもあろうと思いますので、そういったものを含めまして十分に検討させていただかねばならぬものだと思っております。

山本(拓)委員 確かに民間会社ということでありますけれども、これは非常に難しいんですが、当然、二万四千七百のアバウトのネットワーク、このネットワークを利用する場合に、特に過疎地は、大体七千二百ほどは、過疎地の郵便局は政策的に維持しましょうと。だから、当然、事業計画は二つになるのかなと。

 ただ、ネットワークを維持するという、例えば民間のクロネコヤマトでもどこでも、すべてのネットワークが黒字じゃないんですよね、トータル的に黒字ということですから。当然、トータル的な黒字をしていく中でもこの過疎地の地帯は、行政のワンストップサービスとか、もともと採算が、クマしか出ないところですね、コンビニもだれも何もできないところ、そこも政策的に残していきましょうという意味合いだと思うんですね。

 そうすると、確かに大臣が今お話しのように、もうからないことは引き受け手がないとおっしゃいますけれども、民間計画で、御案内のとおり、絶対もうかる民間計画なんてないですよね、これが民間ですから。絶対もうかるんだったら、これは大変なことになりますからね。これはだから、そこはやはり広く利用者の意見を聞くという、この事業計画の中でどう担保するか。ましてや、最初の段階では一〇〇%株主が国ですから。

 だから、特にそういう意味で、ちょっともう一遍大臣に確認させていただきますが、今後、今まだこれは法案が通っていませんから、通ったらばの話でありますけれども、私が知りたいのは、一番困るのは、通りました、すぐ計画が、いつの間にか計画が出てそれが走りますという話では困るので、これはこのままでも特定郵便局の仕事は奪われていくんですよ、公社がどんどん民間のところにふやしていますから。

 だから、そういう中で生き残らせるために、広く、事業計画を、ネットワークを武器で、行政サービスとか情報高速ネットワークですね、いろいろなアイデアがあると思います。そこらを総務大臣が唯一、さっきの制度設計の中では承認をするんでしょう、これ。(麻生国務大臣「二人」と呼ぶ)まあ二人ですけれども、順番的にいうと、まず一義的には大臣ですよね。だから、大臣が承認をする場合に、当然、民間の事業計画というのは日々変わりますから、時代のニーズに合わせて、いろいろ変化もありますから。だから、一回決めたことはもうこれは変えられないという話は、民間の事業計画じゃありませんので、そこの柔軟性、即対応するために民間にしているわけでありますから、そういう場合、ちょっと確認したいのは、大臣がしっかりそれをやっていただくということでしょうね。

 最後に言いますが、自民党は小さな政府を目指すということで、今段取りをやっているんです。今のお話は、いろいろこちら半分の話は大きな政府でやるということですから、ここでしっかり対立軸が出てきているわけですから、きれいごとを言ってもそうなるわけですから、だから、しっかりそこらあたりを大臣の方から、広く民間の声を聞くということで、もう一回、聞くということを言っていただけますか。(発言する者あり)ちょっと私の質問だから、静かに聞いていただけますか。

麻生国務大臣 あなたに答弁いたします。

 基本的には、主務大臣として、金融であれば伊藤大臣ということにもなりましょうが、幾つかの仕事を預かることになるんだと思いますが、今考えられておりますのは、公社のままだと、通称三事業と言われるものでありますけれども、これが民間になればいろいろなことがさらにできるようになる。四分割してやりますので、体の部分が小さくなりますので、いわゆる対応も、よりスピーディーに速く順応、対応というのが可能であろうというのを期待いたしております。それに当たって、いろいろ、こういった商売ああいった商売というのは、多分今考えられております以外にもいろいろやってみたら出てくるんだと思います。

 そういった意味で、私どもとしては、かかって公社としてできなかったところが民間であればできるという部分もあろうと思いますので、そこのところは新たな収入源として、赤じゃなくて黒として入ってくる部分がふえればふえる分だけ、逆に言えば、赤字を覚悟しなければならないいわゆる山間部にありますところの赤字の部分をこちらの黒字で、同じ社内で補てんしやすいということにもなろうと思いますので、そういった意味では、黒字を稼ぐということは、郵便局二万四千六百七十八の支店網を維持していく上にもこの黒字化というのは非常に大きな要素だと思っております。

 私どもとしては、この新しい商売というものに関して、その地域において、今地域の特産品の通販というお話もありましたけれども、通販の部分にある程度融資をする、小さな小口の話でしょうし、またそれを輸送するのも郵便局でしょうし、回収するのも郵便局ということになろうと思いますので、そういった意味では、いろいろな形で新しい部分が、先ほど通販と言われましたので、そういった分野も考えられる。

 私どもとしては幅広くやっていくように奨励もいたしますし、私どもとしてはそういった実際の細目、損益の計算ができるわけではありませんけれども、その部分に関しましては新しくなられる経営者の方々がやっていかれる部分、今の公社の部分で今のうちから準備しておく部分、いろいろあろうかと思いますけれども、積極的に新しい分野に出ていくということが、この郵便ネットワークと言われるものを維持し、行政のサービスまた地域の住民の利便に供するためには、黒字化しておくというのは非常に大きな要素になると思っております。

山本(拓)委員 どうもありがとうございました。

 終わります。

二階委員長 次に、谷公一君。

谷委員 自由民主党の谷公一でございます。

 質問の機会を与えていただきました先輩、同僚議員に、心より感謝を申し上げたいところでございます。

 私の選挙区は、兵庫五区といいまして、兵庫県の面積の約四割、東京都の一・五倍を占めておりまして、大変広い選挙区でございまして、農山漁村の、全国の他の選挙区同様、過疎あり豪雪あり中山間もありますが、それでいて、四月二十五日のJR西日本の尼崎のあの悲惨な事故で百七人亡くなられたわけでございますが、私の選挙区の三田市など二十人が亡くなるという、大阪のベッドタウンも抱えているという、いわば日本の縮図のような選挙区であります。

 そういう選挙区に週末ごとに帰りながら、いろいろな方といろいろな会を設けてお話を聞いているわけなんですが、地域、あるいは選挙区の地域、それから年齢を問わず、大変郵政民営化について気がかりといいますか懸念といいますか不安を抱いているということは事実だと思うんです。

 そういう声をバックに、以下、限られた時間ではございますが、幾つかの確認あるいは制度設計への注文、そういったことをお話をさせていただきたいというふうに思います。

 地域の方々の不安、これは大きな改革については一般的にだれでも不安に思うということだと思うんですけれども、単にそれだけではなくて、いろいろなものを見ている、今まで見てきたということもその背景にあるかと思うんです。

 一つの例を挙げさせていただきますと、NTTがございます。二十年前に民営化された。確かに、民営化されて、料金が安くなって、サービスが向上し、法人税はふえ、NTT株の売却益は相当大きなものがあって、国家にとっても大きな貢献で、基本は、私は間違いはなかったというふうに思うんです。しかし、反面、公衆電話の撤去は、今、災害時にどうするという問題を引き起こしていることも事実ですし、また、NTT内部、民間企業のリストラのすさまじさ、あるいは、人と組織はどういうふうに動いていくかということを地域の方々はよく見ている、あるいは見ざるを得ないということであります。

 調べてみますと、二十年前、NTTの支店数なり、前の電報電話局でございますが、全国では十一の総支社と七十の支社と一千六百三十六の電報電話局があった、約一千六百あったわけです。では、今どうなっているかということですが、NTT、東西に分割いたしまして、やや仕組みが変わっているということはございますが、現在は、東西合わせて三十三の支社しかないということであります。機械保守拠点について見ますと、民営化当時、一千三百あったのが、今は十ぐらいではないかと思いますし、また、電報の業務の拠点は、百九十あったのが、今は二十を切っているのではないかと思います。私の兵庫県でも、二十年前は五つの支社と八十四の電報電話局がございました。今はどうか。一つの支店のみであります。

 それほどすさまじい。民営化というのは、そういうことになるんじゃないかという不安を持っているということは事実であります。

 JAも、私の兵庫五区で三十ぐらいございましたが、今は四つであります。市町合併も相当進んでいます。小選挙区のときは、私の選挙区は、三十一の市と町、村はないんですけれども、三十一ございましたが、この秋には九つの市町に再編されます。この後、警察署とか高等学校も減らされるのではないかという危惧も現実に地域の方々は持っているところでございます。

 来年は我が国の人口のピークで、その後、豊かな社会の中の人口減少社会ということを経験しようとしております。そういう中で郵政民営化であります。またまた利便性がなくなるのではないか、効率性、採算性だけで物事が進められるのではないかというような不安。

 地域に住む人々にとって、通信とか金融、今の郵便局が担っているサービスというのは、医療とか福祉、義務教育、治安、交通、商業などと同様の、大事な、大変大切な生活インフラだというふうに私は思うわけでございます。そのような必要不可欠な生活インフラは今後とも確保される、そういうような改革の制度設計であるべきだというふうに思いますし、そうでなければ、改革しなくてもいいんじゃないか、今のままでいいんじゃないかということになろうかと思います。

 改革は必要です。しかし、バランスは必要だと思いますし、また、地域の人々の目線に即した目配りがなければ、政治の必要といいますか、やるべきことはできないのではないかというふうに思うわけでございますが、そういう地域の声を背景に、自治体を所管しておられます麻生大臣の所見をお伺いしたいというふうに思います。

麻生国務大臣 今御指摘のありました中で、まずNTT、それから農協という二つの例を引かれておりますが、町村合併を進めさせていただいた結果、御存じのように、町村は一千三百五十九市町村減りまして、結果として、来年の三月に一千八百二十二になる予定であります。これは、来年の三月ということになりますから、平成十七年度末。

 今おっしゃいました、電話の話が出ておりましたが、電話は、平成十一年から十六年までの数字しかございませんが、減りました公衆電話の数は二十九万三千、公衆電話の数は減っております。また、農協でいきますと、農協の方は二千五百二十九、同じく平成十一年から十六年までで減っておりますので、先ほどおっしゃいましたように、全体としては、こういった形での数が、農協と電話に関して言わせていただければ、これは三田に限らず、多分、日本全国そういった形になっておる。それは、ひとえに合理化のせいもありましょうけれども、やはり携帯電話の発達が公衆電話の利用率を著しく減らしたという面もこれは否めない事実とは存じますけれども、数字としてはそのようなことになっております。

 片や、郵便局の方は、その間において全体で十九というものがふえておりまして、過疎地につきましては逆に二十一ふえておるという形にもなっております。そういった意味では、今言われました、これまでのところでいきますと、郵便局の数というものは、新しく地方に出てきたデパートの中に簡易郵便局ができた、デパートがつぶれた、簡易郵便局も必要じゃなくなったということになりますので、簡易郵便局は減るというのが通常でありまして、特定郵便局は、去年、おととし、減ったのは一つかゼロとか、たしかそんなものだと思います。

 そういった意味では、今回いろいろ御心配いただいております中で、郵便局の場合は、基本的に法律で決められておる部分がありますし、そういったところできちんと維持されていくと存じますが、十年間のいわゆる移行期が終わった後も、少なくとも特定郵便局を含めまして二万四千六百七十八の郵便局が全国にあります。このネットワークというのが物すごく大きな資産ということになりますので、この資産があるから全国どこでもだれとでもというところが最大のメリットと思います。

 そういった意味では、これを維持する努力は、これは郵便局ネットワーク、窓口会社がやるんですが、金を持っております郵便貯金会社の方は、別にその支店を維持する経費が直接自分で要るわけではありません、そこの人件費は全部こちらで賄っておるわけですから。そういった意味では、契約ができて成立したたびに幾らかいただけるという、手数料収入等々ということになろうと思いますので、流れることに関しましては、それほど急激に減るというような状態にはない。

 片っ方が赤だったからとおっしゃっても、こっちは黒ですから、その分でこっちはというのは、ほかの大きな郵便局で黒でありさえすればこっちを補えるということになりますので、この支店は赤だからといって直ちにその支店を閉めるのではなく、全体として、郵便局がなるべく広くネットワークを持っていればいるほど資産価値が上がる、株価の評価も高くなるという面もございます。

 そういったところもあって、最終判断をされるのは経営者ということになるんだと思いますので、いろいろな例を引いていけばいろいろ出てくるとは思いますが、それはその都度経営者が対応されていくべきことなんだ、私は基本的にはそう思っておりますので、よろしくお願いを申し上げたいと存じます。

    〔委員長退席、石破委員長代理着席〕

谷委員 また麻生大臣には後でもう一度お尋ねすることになるかもわかりませんが、話を進めたいと思います。

 きょうぜひお尋ねしたいことの一つに、郵便局の今後の設置についてがございます。

 竹中大臣にお尋ねします。

 今回の法案で、あまねく全国に設置されることの具体的な根拠が法律とか政令ではなくて総務省令ということでは、やや根拠が弱いのではないか。具体的な総務省令の案というのが理事会に出されたということで、過疎とか離島とか山村とか半島振興法等々、約七千余りというふうに聞いているわけですが、では、それ以外の郵便局はそういう保証は弱いのではないかというふうに思うわけですが、その点についてお答え願いたいと思います。

竹中国務大臣 先ほど谷委員が、生活インフラの確保が極めて重要であると。選挙区のお話も含めて、全くそのとおりであると思います。しかも、改革は必要であるが、それをバランスをとって行わなければいけない、全くそのとおりであると思います。

 そこで、郵便局の設置につきましては、まず、民営化後においても利用者の利便性を確保する必要がこれは絶対にあるという観点に立ちまして、この郵便局会社法の第五条で、これはもちろん法律でございます、第五条で、あまねく全国において利用されることを旨として郵便局を設置することを法律上義務づけるとしまして、その上で、委員御指摘のように、具体的な設置基準は省令で定めるというふうにしております。

 この法律から政省令への委任については、これは、例えば手続的な事項、技術的な事項、そして事態の推移に応じ臨機に措置しなければならないことが予想される事項などについて、従来から政省令への委任が行われてきたところであると承知をしております。これを踏まえて、郵便局の設置基準についても省令に規定することとしたものでございます。

 ちなみに、この設置基準については、現在の日本郵政公社法におきましても、法の第二十条第一項の規定によりまして総務省令に委任をしているところでございます。

 また、加えまして、郵便局の設置については、総務大臣は総務省令により郵便局の設置基準を定めるわけでございますが、ほかに、事業報告書の提出等によってその設置状況を把握する、そして、設置基準との関係において必要があれば適切な措置を講ずることができるというふうにされております。その適切な措置の中には報告徴求権や監督命令権なんかも含まれますので、その意味では、しっかりとこの枠組みを維持することができると思っているところでございます。

 また、これは与党にも、党の皆様方にも大変御熱心に議論いただいて、その合意を踏まえまして、郵政民営化委員会による三年ごとの総合的な検証の中にこの設置の状況、これを対象とすることにしておりまして、検証の結果、必要があれば、委員会は政府に意見を述べ、総務大臣において適切な措置を講ずることが可能な仕組みとしておりますので、今の枠組みで十分な実効性があるのではないかというふうに考えております。

 もう一点御指摘になったと思いますが、過疎地以外のその他の郵便局、お答えしてよろしゅうございますでしょうか。

 それにつきましても、申し上げましたように、五条において、あまねく全国において利用されることを旨として郵便局を設置することを義務づけているという、これはまずそれが原則としてあるわけでございますが、この設置基準は省令、与党との合意を踏まえまして、特に過疎地については、法施行の際現に存する郵便局ネットワークの水準を維持することを旨とすることを規定するとともに、都市部についても国民の利便性に支障の生じることのないよう配慮するということでございます。そういう考えでございます。

 都市部を含む過疎地以外の地域の設置基準について、省令の内容につきましては、既に申し上げておりますとおり、地域住民の需要に適切に対応することができるように設置する、いずれの市町村についても一以上の郵便局が設置されていること、そして、交通、地理その他の事情を勘案して地域住民が容易に利用することができる位置に設置されていること、そういう基準を定めることを検討しておりますので、まさにこれによりまして適切な配置が確保できるというふうに考えているところでございます。

谷委員 そこなんです、大臣。その郵便局の設置についての法案が現行の公社法の趣旨と基本的に同じということであれば、現行の公社法第二十条第二項と同じ規定、つまり、「前項の総務省令を定めるに当たっては、地域住民の利便の確保について配慮しなければならない。」という規定をなぜ設けないのか。利便性原則というのは、いわゆる竹中大臣の基本五原則にもあるのではないでしょうか。その点についてお答えをお願いしたいと思います。

竹中国務大臣 谷委員に御指摘いただきましたように、利便性の原則というのをみずから掲げて、これは極めて重要であるという認識を持って制度設計に取り組んでおります。

 設置については、先ほども申し上げましたように、郵便局会社法の第五条で、これは、あまねく全国において利用されることを旨として郵便局を設置することを法律上義務づけるというふうにしている。そして、設置基準については、先ほど申し上げたような形で省令で考えている。

 このように、まず法案において、「あまねく全国において利用されることを旨として郵便局を設置しなければならない。」ということで、利用者の利便性を確保するという観点から、郵便局を設置する旨明確に規定をしまして、そして省令においても、地域住民の需要に適切に対応することができる等、地域住民の利便の確保に十分配慮することとしたものでございます。現行の公社法第二十条第二項とその意味では同じ規定を設けなくても、今回の法案は、郵便局の設置において国民の利便性に十分配慮した形になっているというふうに考えているところでございます。

谷委員 現行の公社法二十条二項と同様の規定を設けなくてもということでございましたが、やや、そういうことであれば設けた方がいいんじゃないかという思いもなきにしもあらずでございます。

 ちょっと時間の関係もございますので、次に金融サービスの確保についてお尋ねしたいと思います。ここも大変気になるところでございます。

 今回の郵政民営化法案第九十八条の、いわゆるみなし免許の条件というのがございます。しかし、これは最低限、移行期間中だけではないのか、法律上といいますか制度上。そして、その期間が過ぐれば、貯金・保険会社と窓口ネットワーク会社との間で包括的な代理契約を結んだ場合でも、やはり常識的には、先ほどのNTTの例ではないんですけれども、コストのかかる不採算局を維持するために貯金・保険会社に負担させるということはなかなかしんどくなるのではないか。ですから、移行期間中だけではない、何らかの担保というのを設ける必要があるのではないかというふうに考えるわけですが、その点についての御所見をお尋ねしたいと思います。

篠田政府参考人 御説明をさせていただきたいと思います。

 委員からただいま御指摘のございましたように、みなし銀行免許、生命保険業免許の条件として付される代理店契約とか保険募集委託契約につきましては、この民営化法の中では第九十八条及び第百二十九条におきまして、いわゆる移行期間中の措置というふうにしております。

 それで、移行期間経過後につきましては、郵便貯金銀行や郵便保険会社は一般の商法会社として設立されます。完全民営化後は普通の銀行、普通の生命保険会社として自由な経営を行わせることとしておりますので、完全民営化後までも両社に対して代理店契約を義務づけることによって経営の自由度を縛ることは民営化の趣旨に反して適当ではないと考えておりまして、移行期間終了後は代理店契約等の義務づけを法律により課すこととはしておりません。

 しかし、移行期間を上回る長期の契約を締結すること自体は特に妨げる必要はないと考えております。この点につきましては、公社の業務等の承継に関する実施計画の中で代理店契約等に係る事項を記載させまして、それが免許条件に適合しているかどうかを主務大臣である内閣総理大臣が審査の上認可することで担保することとしております。

谷委員 この問題についてもう少し竹中大臣にお尋ねしたいんですけれども、先週の新聞を見てみますと、九日の衆議院のこの民営化特別委員会で、窓口会社と貯金・保険会社の代理店契約はすべての郵便局を対象としているわけではないと大臣が答弁されたと。それは現に今でもそうだということのようでございますけれども、現に今でもすべての郵便局にそういう金融サービスをしていないということはそのとおりかもわかりませんが、そうしたら、今そういうサービスをしているところは基本的にみなし代理店契約を締結するというふうに理解させていただいてよろしいわけでしょうか。その点についてお尋ねをしたいというふうに思います。

竹中国務大臣 先般御答弁させていただきましたのは、すべての郵便局を代理店とする旨の契約をそのみなし免許の条件としているわけではない、あくまで、銀行の円滑な経営そして安定という観点から、その移行期間を十分にカバーする長期安定的な代理店契約というのをみなし免許の条件として義務づけているということでございます。

 しからば、個々の店は一体どのようになると想定しているのかということになろうかと思いますが、それにつきましては、基本的には、二〇〇七年四月一日に民営化されるとしてですけれども、その前日の三月三十一日まで、まさに全国津々浦々をカバーする、ネットワークをカバーする、そういう地域密着型のビジネスをやってきた会社、その銀行が、独自で店舗を持たなくなり、引き続き安定的な経営をしていくためにはやはり地域密着型、ネットワーク活用型のビジネスをしていかないと、これは当然、金融の安定の立場から見ても長期安定的な契約とは言えないであろう。

 したがって、想定されるのは、やはり一括して契約する、そしてそれが全国津々浦々をカバーする、そのネットワークを活用したビジネスであるということでございますので、その意味では、実質的に金融をそれまでに扱っているところについては、そういう形が引き継げるような形の長期契約になるということを想定しているわけでございます。

谷委員 ありがとうございました。

 では、今の答弁ですと、基本的に、民営化直前にサービスをやっているところは引き続いて皆行うと明言されたというふうに受け取らせていただきます。

 もう一つ、日本郵政株式会社法第十三条の社会・地域貢献基金についてお尋ねをしたいというふうに思います。

 この基金で、社会貢献業務、地域貢献業務ということで、過疎地の金融サービスとか第三種、四種の事業に充てるというふうに、法案提出前の自民党の部会などでもそういう御説明を受けたわけでございますけれども、では、そういうことであれば、基金が将来なくなったときを仮に想定するならばそういうことはもう打ち切られるのか、なくなるのかということをまずお尋ねしたいと思います。

中城政府参考人 お答え申し上げます。

 地域・社会貢献基金というのは、法律上、積み立てなければならない額として一兆円というふうにしております。この一兆円という金額は、過疎地域等における金融サービス等の提供のために必要な額と、社会福祉の増進に寄与する第三種・第四種郵便物の提供のために必要な額を基金の運用益によって賄えるように設定したものでございます。

 このような基金は、その運用益によって地域貢献業務、社会貢献業務の実施のために必要な資金を交付するということにしておりますが、その実施のために必要な額はそれぞれ百二十億円程度、六十億円程度、合計百八十億円程度と想定しておりまして、運用利回りについては一・八%とかた目に見積もっているということでございまして、一兆円の基金によって資金交付に充てる運用益が不足するということは基本的にないというふうに考えております。

 この一兆円の基金の原資としましては、郵便貯金銀行、郵便保険会社の株式の売却益、配当収入等を充てることとしておりますが、企業一般の配当の動向等を考慮して積み立てたとしても、骨格経営試算や同業他社の株式時価等を考慮いたしますと、移行期間が終了するまでには一兆円の基金というものは積み立てることは可能であるというふうに考えております。

 一たび積み立てました基金につきましては原則として取り崩しは禁止されるというふうになるということでございまして、御質問のような、基金が枯渇するというようなことは想定されないというふうに考えております。

谷委員 想定されないと言われるとそれ以上あれでございますが。

 ちょっと金融サービスに関連して、三事業の一体的経営の確保について、ぜひ竹中大臣にお答えをいただきたいことがございます。

 それは、今回法案を提出する前に自民党の合同部会を何度も開いたわけでございますが、園田先生が座長で本当に御苦労されて、何度も何度も、時として深夜まで開いたわけでございます。最終的に取りまとめる直前の執行部の説明では、三事業の一体的経営の確保の点でございますが、ポートフォリオや取引上の観点からの持ち合い、そういったことを超えて、縦関係での持ち合いを可能とした、そういうことでグループ経営を確保したという説明がございました。しかし一方、竹中大臣の記者会見などの御説明を読みますと、いやいや、それまでの余剰資金の範囲でそういったこともあり得るというような考え方で、それは全く変わっていないというような説明といいますかコメントがあったように聞いているわけでございます。

 再度、民営化後の各会社間の株式持ち合いについての考え方についてお尋ねしたいというふうに思います。

竹中国務大臣 大切なところでございますので、しっかりと御説明をぜひさせていただきたいと思います。

 移行期間終了後の各会社間の株式持ち合いにつきましては、与党との合意におきまして、「持株会社の下でのグループ経営を可能とするため、移行期が終了した後は、特殊会社としての性格を考慮しつつ経営判断により他の民間金融機関と同様な株式持合いを可能とする。その結果、株式の連続的保有が生じることを妨げない。」とされているところでございまして、これを踏まえて対応することとしております。

 そこで、この合意の趣旨でございますが、これは、移行期間終了後は郵便貯金銀行、郵便保険会社は普通の銀行そして普通の保険会社になりますので、両社の株式を持ち株会社や郵便局会社等が取得することについては、他の民間金融機関の株式を取得する場合と同様に考える。具体的に、独禁法、銀行法、保険業法といった一般的規制の範囲内において可能であって、そして、持ち株会社や郵便局会社等がその経営判断によって両社の株式を取得することを妨げるものではない。まさに、一般的なルールを超えて殊さら規制するものではないということでございます。

 そして、移行期間終了後速やかに、持ち株会社や郵便局会社等が郵便貯金銀行、郵便保険会社の株式を市場から、マーケットから取得すれば、結果的にこれは株式の連続的保有が可能となるということでございます。

 この連続的保有を可能とするための措置としましては、株主総会における権利行使や配当を受ける権利、これが大変重要だと思いますが、こうした株主権を連続して行使することが可能となりますように、郵便貯金銀行及び郵便保険会社の定款に株主の権利行使の基準日を定めるということを考えているところでございます。

 委員御指摘のポートフォリオの観点からの株式取得か、それを超えた業務としての資本参加かという点について申し上げますと、移行期間終了後、持ち株会社や郵便局会社等が資金運用の一環として郵便貯金銀行等の株式を取得することについては、独占禁止法や銀行法等の一般的規制の範囲内において特段これは問題ないわけでございますが、これらの特殊会社がその業務として郵便貯金銀行等に資本参加することについては、一般的規制のほかに、これは特殊会社でございますから、特殊会社法等に基づき主務大臣の認可または届け出が必要になるということになります。この場合、資本参加の目的、必要性や本来業務への支障の有無等を総合的に勘案をしまして、主務大臣が適切に判断をされるということになるわけでございます。

谷委員 ぜひ、そういう一体的経営を確保できるように、移行期間終了後もそういったことを強く願うものでございます。

 きょうは、実は生田総裁も来ていただいております。同じ兵庫県でございまして、大変頑張られているということにつきまして敬意を表するところでございます。

 生田総裁にお尋ねします。

 総裁の立場から見まして、一般的な話になりますけれども、制度を新しくつくろうというときは、未来に夢といいますか将来展望といいますか、そういったものを持てるような仕組みというのが当然必要不可欠だと思います。今回はそういうことがなされているか、経営の自由度というのが確保されているかどうかということをまずお尋ねしたいと思います。あわせて、国民にとってどういうメリットがあるというふうに公社の総裁として考えておられるのかということもお尋ねしたいと思います。

生田参考人 お答えさせていただきます。

 まず初めの御質問でございますが、経営の自由度に関しましては、公社が事業税、法人税、預金保険料等を免じられているということで、よく、国民の見えざる負担という表現がとられるわけでありますけれども、私は、必ずしもこれは適切な表現ではないと思っているんですけれども、実際に、その面をイコールフッティングにすべしという御意見がたくさんありますね。

 他方、私はいつもコインの両面論と言うんですけれども、それは、コインのお支払いする方の一面の問題でありまして、そちらの方をいわば民営化しろ、こういう御意見なんですが、公社は、実は現在のところ、ユニバーサルサービスコストを自分で持つ。それから、基礎年金コストを国の分も含めて三分の二持っている。お国の分というのは約三百七十億あるんですが、これは公社が持たせていただいております。それから、三種、四種の郵便物など福祉的なサービスも行っております。これが大体二百五十億ぐらいですね、最近の決算を見ますと。そういったように、公社といたしましては、国民の皆様方には余り見ていただけていない負担もあるわけであります。

 それに加えまして、やはり一番厳しいのは、何といっても、厳しいビジネスモデルの制約だと思います。市場性のあるもの、市場というのは進化していっていますから、常に商品を入れかえていかないと本当はお客様に満足いただけない仕組みになっているんですけれども、そういう新しいビジネスモデルはとれないというふうなことも片側。

 片側はお支払いする方のコインの一面、もう片側は事業する方の一面、それと公社なるがゆえに持つコストの負担、こういうものがあるので、これは常に両面見ていただく必要があるな、こう考えております。常にバランスを見る、民営化するのであれば、両面の民営化をしていくということが重要なんじゃないかと考えております。

 今回の法案を拝見しますと、民営化後の金融の二つの会社につきましては、業務範囲をスタートの時点において現状の公社のままとして、株式の売却の進捗を見ながら段階的に自由度を高めるような御趣旨で書いてあるわけでございますけれども、私としては、初期の段階からコインの片面のお支払いする方は民営化されてフルに払うわけでありますから、初期の段階から、審査能力とか運用能力、我々の能力もそれまでに蓄えなきゃなりませんけれども、それに応じ得る範囲で、適度、適切な新しいビジネスモデルが開放されていくということでないと、まさに骨格試算が示すように、片側だけの民営化をすると、言葉は悪いですけれどもじり貧の方向に行くということになるので、その辺を御配慮いただければありがたいと考え、そのように意見を申し述べさせていただいております。

 実際に法律が成立したとしまして、民営化に移行した場合は、経営の自由度が最大限認められまして、そのための、経営の健全化のための経営の自由度をどうしても与えていただきたい、そういう制度設計にしていただきたいということであります。

 民営化後、新会社が成長を遂げられるのかどうか、維持することは無論のこと、成長を遂げられるのかどうか。これは、経済、会社、すべて生き物ですから断定はできませんが、努力すれば発展していくかどうかというのは、まさにそういう努力をすれば成長させていけるような経営の自由度を認めていただけるかどうかということでございます。

 それから、二つ目の御質問の、公社にとってどんなメリット、国民にとってどんなメリットという問題でございますけれども、私、公社の中では国民という言葉を使うのを禁じておりまして、お客様と表現いたしておりますが、お客様である国民の皆様方については、郵政民営化の基本方針というものの中で、郵政公社の機能、窓口サービス、郵便、郵貯、簡保、この「四機能が有する潜在力が十分に発揮され、市場における経営の自由度の拡大を通じて良質で多様なサービスが安い料金で提供が可能になり、国民の利便性を最大限に向上させる。」と書いてあります。

 したがいまして、そういう御趣旨で今つくろうとしていらっしゃる制度設計でありますから、問題は、本当にそれを実現できるような制度設計になるのかどうかというところにかかっているのじゃないのかなと。したがいまして制度設計の、そういう方向にあると思いますけれども、最後の詰めをきちっとしていただきたいなということと、民営化委員会というのがいろいろそれを監視していくんですけれども、民営化委員会の構成とか、民営化委員会がどういう役割を果たすのかというような点も十分御配慮いただいておかないと、できるだけ自由な方が、経営というのは自由な方がやりやすいので、その辺との折り合いをどうつけていただくかということでありますし、最後に、大きく経営者の理念と経営力の問題になるというふうに考えております。

 そこで、具体的に国民にとってのメリット、直接、間接、うまくいけば、今みたいな前提があるんですけれども、その前提が満たされたとして、メリット、直接、間接、二面あると思います。

 一つは、政府の民営化五原則の国民の利便性の原則、その関連、リソーシズ活用の原則によりまして、国民がよりよいサービス、多様なサービスを経済的に受けられるかどうかということでありまして、この辺は郵便局設置基準などでしっかりお詰めいただければいいんじゃないのかなというふうに思います。うまくいく可能性は十分あると思います。

 間接的には、経済活性化の原則絡みで、世には民業圧迫という言葉がすぐ使われるんですけれども、実は競争排除の考え方があると思います。適正に経営の自由度を認めていただくことによりまして、適正、公正な競争を促して、関連する産業も含めて市場が活性化する、それで生産性がよくなる、品質、サービスが向上する、ひいては市場が拡大して経済の持続的成長の一助になる、国の富が増すということを間接的に利用者の皆様が享受されるんじゃないのかな、こういうふうに思います。

 公社のメリットは、一言だけ申しますと、今、真っ向サービス、国民の利便性、二番目、事業の健全化、三番目に、働く職員の将来展望、雇用、働きがい、この三つの経営ビジョンを立てて、それを目がけて努力してまいっておりますが、この三つのビジョンは、公社のままで努力するよりも、よりよく達成できるような制度設計にしていただければありがたいということで、いろいろ御意見を申し上げ、大体支持でき得る範囲に入ってきているのかなというふうに今感じているところでございます。

谷委員 いろいろ意見を総裁として述べられて、そういう方向に行きつつあるというようなお答えではなかったかというふうに思います。

 最後の質問になりますけれども、竹中大臣にお尋ねします。

 三年ごとの検証についてでございます。民営化委員会、先ほど生田総裁もお話がございましたが、検証というのは経営形態のあり方も含むのかどうかということであります。

 昨年の九月十日の閣議決定では、「民営化の進捗状況や経営形態のあり方をレビューする。」とあります。レビューという言葉から今回の検証という言葉の変更も含めて、前の閣議決定と考え方に変更があったのかどうかということについてお尋ねしたいというふうに思います。

竹中国務大臣 昨年の九月の基本方針におきまして、「監視組織は、」当時は民営化委員会のことをそのように呼んでいたわけですけれども、この組織は、「民営化後三年ごとに、国際的な金融市場の動向等を見極めながら民営化の進捗状況や経営形態のあり方をレビューする。」とされているところ、御指摘のとおりでございます。

 この基本方針に基づきまして、またその後の、郵政民営化法案について、四月四日のあの政府の取りまとめ、さらには政府・与党の合意を受けまして、郵政民営化法案の第十九条の第一項第一号におきまして、次のように述べております。民営化委員会は、「三年ごとに、承継会社の経営状況及び国際金融市場の動向その他内外の社会経済情勢の変化を勘案しつつ、郵政民営化の進捗状況について総合的な検証を行い、その結果に基づき、本部長に意見を述べること。」そのように定めております。この郵政民営化の進捗状況について総合的な検証を行い、意見を述べるということに関しては、この部分は、基本方針のまさに経営形態のあり方のレビューも含まれるというふうにぜひ御理解をいただきたいと存じます。

 なお、レビューの用語、これは法令用語として適切ではないという意見も出たことから検証の用語を用いたというふうに聞いております。

谷委員 ありがとうございました。よりよい制度設計に向けて引き続きの政府の御努力をお願い申し上げまして、質問を終えさせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

石破委員長代理 次に、石井啓一君。

石井(啓)委員 おはようございます。公明党の石井啓一でございます。

 本日は、株式処分、株式持ち合いを中心に質問をさせていただきたいと思います。

 まず、軽い質問から始めさせていただきたいと思います。法案によりますと、民営化後の会社間における株式の持ち合いでございますが、特殊会社、すなわち持ち株会社、郵便事業会社、郵便局会社、この三社が郵貯銀行、郵便保険会社の株式を取得する場合、まず持ち株会社と郵便事業会社の場合は、それぞれ、日本郵政株式会社法案第四条第二項それから郵便事業会社法案第三条第三項で総務大臣の認可を受ける必要があるというふうにされております。一方、郵便局会社の場合は、郵便局会社法案第四条第四項で総務大臣へあらかじめ届け出をすればよい、こういうふうになっておりまして、持ち株会社、郵便事業会社が認可制である一方、郵便局会社が届け出制というふうに差を設けている、まずその理由を確認いたしたいと思います。

渡辺政府参考人 移行期間終了後の資産運用ではなくて、業務、資本参加のことという前提でお話をしたいと思っております。当然、一般的法令の規制のもとに入るわけですが、それ以外に特殊会社法が三つございますので、その制約を受けることになります。

 まず、持ち株会社たる日本郵政株式会社ですが、これは目的が郵便事業株式会社と郵便局株式会社の経営管理と業務の支援を行うことを目的としております。そして目的外の業務はできないということになっておりますので、この目的達成に必要な業務であるかどうかということをあらかじめ認可という形でチェックする必要がございます。これが事前にチェック、認可ということでございます。

 二番目に、郵便事業株式会社、郵便事業会社でありますが、もちろん郵便業務その他の業務ができることになっているわけですけれども、一番大事な業務というのは郵便のユニバーサルサービスの提供義務を負う主体としての業務でございます。したがって、このユニバーサルサービスの提供義務に支障を及ぼすかどうかということが判定基準になります。そこで、これもあらかじめ総務大臣の認可を必要として、支障を及ぼすことがないということを確保しているわけでございます。

 それから三番目に、郵便局会社でございますが、これは、郵便局ネットワークという国民共有の財産の潜在力をフルに活用するという前提に立っておりまして、地域住民への利便の提供の観点から、多様で幅広い業務をあらかじめさせるような設計になっております。したがって、これは総務大臣への事前届け出、ある意味でいえば、状況を把握しておくというふうに、それぞれ特殊会社法によって目的が違いますので、その目的の違いに応じて政府の関与も違えたということでございます。

石井(啓)委員 一応確認させていただきました。これを通じて私も改めて理解したのは、郵便局会社というのは、非常に柔軟な制度設計になっていて一応多様な業務ができる構成になっているなと。逆に言うと、そういういろいろなことをやらないと、郵便局というのは生き残りが難しいといいますか、そういうことなのかなというふうに改めて理解をしたところでございます。

 次いで、政府・与党合意では「移行期が終了した後は、特殊会社としての性格を考慮しつつ経営判断により他の民間金融機関と同様な株式持合いを可能とする。」というふうにしております。私は、言葉じりをとらえるつもりはないんですけれども、この可能とするという表現にちょっとこだわりを持ったんですね。といいますのは、でき上がった法案自体を見ると、可能とするではなくて、可能になるあるいは可能である、こういう状況であります。

 政府・与党合意は法案を提出する前でありますから、可能にするように法案をつくったんだ、こういう意味かもしれませんけれども、もう少し、一歩立ち入って考えると、可能になるという用語を使わずに可能とするという用語を使ったという意味は、さっきの質問で確認しましたように、持ち株会社、郵便事業会社の場合は、資本参加で郵貯銀行、保険会社の株取得をする際には大臣認可をとらなきゃいけないということですから、大臣認可を申請する際には、特段の理由がない限りはこれは認めますよ、こういうふうなことで可能とするという用語を使ったのか、そういうふうに受けとめていいのか、このことを確認いたしたいと思います。

竹中国務大臣 政府・与党の合意での、可能になるではなく可能とするという用語をあえて使った意味についてのお尋ねでございます。

 答えは、今石井委員が御指摘くださったとおりなのでありますが、要するに、可能となるような法律上の設計を行った、その以前のことでございますので、そのような趣旨で法案をつくるという意思を表示したというふうに御理解をいただければよろしいかと存じます。

 あえて申し上げると、法案の提出に当たりましては、立法論としては、移行期間終了後も日本郵政株式会社等の特殊会社が郵便貯金銀行等の株式を取得することを禁止するような制度設計をすることは、立法論、理念的な選択肢としてはあり得るわけでございますけれども、完全民営化後は郵便貯金銀行等は市場経済の中に吸収統合するという民営化の趣旨にかんがみまして、そのような選択肢は採用しないで、他の民間金融機関と同様に株式持ち合いを可能としたという趣旨でございます。

 ついでに申し上げますと、日本郵政株式会社、持ち株会社及び郵便事業会社は特殊会社でございます。特殊会社については、その目的を達成するために、各特殊会社法によりまして所要の行為能力を付与する一方で、特殊会社が無制限に種々の業務を行うことは適切ではないので、その行い得る業務の範囲を定めているところでございます。

 したがいまして、移行期間終了後、日本郵政株式会社等が資金運用の一環として貯金銀行、保険会社の株式を取得するということについては、独禁法、銀行法、保険業法といったような一般的な法制の範囲内において特段問題ないわけでございますが、これらの特殊会社が業務として郵便貯金銀行等に資本参加することについては、一般規制のほか、持ち株会社法に基づいて主務大臣認可が必要になる。この場合は、資本参加の目的や必要性、本来業務への支障の有無等を総合的に勘案して、まさに主務大臣が適切に判断することとなるものでございます。特段の理由がない限りこれは認めることとするとか、そういう趣旨では特にございません。与党との合意におきまして「特殊会社としての性格を考慮しつつ」というふうにあるのは、まさにそのような趣旨でございます。

石井(啓)委員 それでは、済みません、麻生大臣よろしいですか、また通告なしで申し上げて。主務大臣が総務大臣になりますので、ちょっと麻生大臣にお伺いいたします。

 移行期間終了後、持ち株会社、郵便事業会社が、資本参加として郵貯銀行それから郵便保険会社の株を取得する、これは総務大臣の認可が必要だということで、今、竹中大臣の説明では、株を取得する目的とか必要性、それを踏まえて主務大臣が適切に判断するということだということで、今の時点で認可するというような担保を与えないというのはそれはそのとおりだと思うんですけれども、政府・与党の合意の流れからすると、一体的経営を確保するということで、私は、特段の何か支障がない限りは、申請があればそれは認める方向なのかな、こういうふうに思うんですが、麻生大臣、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 これはいろいろ御意見のあったところだと記憶をいたしますけれども、最終的に今石井先生の御指摘になった線で話がまとまったというように記憶をいたしております。ちょっと今突然でしたのであれでしたけれども。

 十年以降の話で、正直、石井先生、十年前のことを思い出していただくと、十年前、野茂英雄が初めてメジャーリーグに出たんです。十年たった今、メジャーリーグで十四人ぐらいプレーしているということを予想した者は、十年前はいません、僕はそう思うんです。一九八五年に世界の銀行のベストテンのうちの九行は日本の銀行だったと思いますが、十年後の二〇〇五年はゼロです。それを予想した役人はおろか経済学者は一人もいませんから、十年後の話というのはそうそう、今さら偉そうに確実にこうなるなんというのは、それほど先が見えているということは我々はないんだということを謙虚な気持ちで受けとめた上で、そういった事情に合わせてきちんと対応していく。

 民営化は単なる手段でありまして、目的は国民の利便等々が一番のところだと思いますので、私どもといたしましては、十年たつ段階のその前の段階で、そのときの金融情勢等々を考えて、立法府におります側としては、考えようとしてはいろいろあるということで、そこは柔軟にできるように対応して、今のうちからきちっと枠をぎちぎちにはめるというのはいかがなものかというのがあのときの議論の背景だったと存じます。

石井(啓)委員 続いて、株式の処分の方ですけれども、持ち株会社は、移行期間中に郵便銀行、郵便保険会社の株式全部を段階的に処分しなければならない、完全処分義務がかけられているわけですけれども、先日、社民党の阿部委員に対する答弁の中で、処分とは、要するに関与を断ち切ることだ、処分の方法としては、売却、有価証券処分信託等さまざまな手法が考えられる、こういうふうに答弁をされていますけれども、関与を断ち切るということは議決権を保有しない状態になる、こういう理解でよろしいのかどうかということ。

 それから、処分の方法としてさまざまな手法が考えられるということですけれども、その手法の一つとして、持ち株会社が郵貯銀行、郵便保険会社の株式をそれぞれの会社に譲渡する、銀行、保険会社側からすると持ち株会社から自社株を取得するということは処分の方法に該当するのかどうか。この二点、確認をいたしたいと思います。

中城政府参考人 お答え申し上げます。

 金融業務におきましては信用が競争上決定的に重要であるということで、郵貯銀行それから郵便保険会社が民間銀行、民間保険会社と同一の条件で自由な経営を行い、より質の高い多様なサービス提供を可能とするという民営化の趣旨を徹底するために、両社は特殊会社とせず一般商法会社として設立した上で、その全株式を処分して国の信用、関与を完全に断ち切る必要があるということでございます。このため、持ち株会社は移行期間中に郵便貯金銀行それから郵便保険会社の株式を完全に処分しなければならないというふうにしているところでございます。

 委員御指摘のように、国の信用、関与を断ち切るとは、国の出資する日本郵政株式会社が両社の支配権すなわち議決権を保有しない状態とするということでございます。したがいまして、今御指摘になりました郵便貯金銀行、郵便保険会社による持ち株会社からの自社株買いにつきましても、両社により株式が所有され、持ち株会社の議決権がなくなるということとなれば処分に該当するということになると考えております。

石井(啓)委員 もう一つ、処分の手法で確認ですけれども、議決権を保有しない状態にするということでは、貸し株ということも考えられますよね。持ち株会社が第三者に貸し株をする、あるいは郵貯銀行、郵便保険会社でも構いません、そういう貸し株というのも処分の方法に該当しますのでしょうか。

中城政府参考人 貸し株についての御質問でございますが、先ほど申し上げましたように、国の出資する日本郵政株式会社が両会社の支配権すなわち議決権を保有しない状態にするということが全株式処分ということと考えておりますので、御指摘の貸し株につきましては、持ち株会社に株券を返還するということを約して相手方から金銭等を受け取る契約であるというふうに承知しておりますので、持ち株会社が再び議決権を有することとなることがあらかじめ決まっている契約というふうに言えますので、議決権を保有しない状態として国の信用、関与を断ち切ったとは言えないのではないかというふうに考えております。

石井(啓)委員 わかりました。そうすると、処分としては、貸し株は、形式上は移行期間終了時に議決権がないということになるんだけれども、またその後返してもらうということではいわば脱法行為的になるからだめだということですね、処分の方法には該当しない。だけれども、自社株取得をさせることは構わないということで、確認をいたしました。

 それでは次に、連続的保有ですけれども、政府・与党合意では「株式の連続的保有が生じることを妨げない。」というふうになっていますけれども、この株式の連続的保有というのはどういう意味なのか、そして、その連続的保有を可能にする方策というのはどういうことを考えていらっしゃるのか、この二点を確認いたします。

中城政府参考人 お答え申し上げます。

 民営化後の各会社間の株式の持ち合いにつきましては、政府・与党の合意におきまして、持ち株会社のもとでのグループ経営を可能とするため、移行期が終了した後は、特殊会社としての性格を考慮しつつ経営判断により他の民間金融機関と同様な株式持ち合いを可能とする。その結果、株式の連続的保有が生ずることは妨げないというふうにされているわけでございます。

 この合意の趣旨につきましては、移行期間終了後は、郵便貯金銀行、郵便保険会社は普通の銀行、普通の保険会社になるので、両社の株式を持ち株会社や郵便局会社等が取得することにつきましては、他の民間金融機関の株式を取得する場合と同様、独禁法、銀行法、保険業法といった一般的規制の範囲内において可能であり、持ち株会社や郵便局会社等がその経営判断により両社の株式を取得することを妨げるものではなく、一般的なルールを超えて殊さらに規制するものではないということでございます。そして、移行期間終了後速やかに、持ち株会社や郵便局会社等が郵便貯金銀行、郵便保険会社の株式を市場から取得すれば、結果的に株式の連続的保有が可能となるということでございます。

 その連続的保有を可能とするための措置ということでございますが、株主総会における権利行使や配当を受ける権利といったような株主権を連続して行使することが可能となるように、郵便貯金銀行及び郵便保険会社の定款、これは発起人の日本郵政株式会社が作成するわけでございますが、そこにおいて株主の権利行使の基準日を定めるというようなことが考えられるというふうに考えております。

    〔石破委員長代理退席、委員長着席〕

石井(啓)委員 そうすると、株式の連続的保有というのは、一たん、移行期間終了時に手放すけれどもその後直ちに保有をすることを連続的保有、こういうことですか。

 先ほどの竹中大臣の答弁の中では、株主総会での議決権や配当を受ける権利を引き続き持つようにするということの答弁もちょっとあったようですけれども、その点、どうでしょうか。

中城政府参考人 株式の完全処分を二〇一七年の三月三十一日までにやるわけでございますけれども、そのときに、株主の権利行使の基準日というものにつきまして、それを例えば五月末とか、そういうところに動かすことによりまして、株主権の連続的な行使を可能とするということと株式の完全処分を同時に達成するということを考えているということでございます。

石井(啓)委員 基準日を二〇一七年三月三十一日以降にずらすことによって、それ以降、株を取得すれば株主権の連続的行使が可能になるということになるわけですね。それは定款でおやりになるということですけれども、そうすると、特殊会社の方は、定款で、移行期間終了時の年度に限ってこの基準日をずらす、こういうことになるんでしょうか。

中城政府参考人 定款で株主の権利行使の基準日というものをずらすということでございます。

竹中国務大臣 石井委員のお尋ねは、一六年度が終わる瞬間だけそのようにするのか、それを恒常的にやるのかということでございますが、それは、理論上はどちらもあり得るということなんだと思います。

 ただ、これは経営の御判断が入ってきますが、一般的には、一度だけ基準日を変えるということではなくて、基準日はいろいろな形で設定することができるわけでございますから、当初から設定しておくということも十分可能でございますし、そこはしかるべき対応がなされる。どちらにおきましても、今申し上げましたような株主権の連続的行使という観点からは支障がないということだと思います。

石井(啓)委員 ここまでのところで、株式の処分という意味、あるいは連続的保有の意味ということを確認させていただいたんですけれども、移行期間終了後に株式を連続的保有するというのは、一般的には、先ほどの中城審議官の答弁にありますように、移行期間終了後速やかに、一たん手放した郵貯銀行、郵便保険会社の株式を特殊会社が市場からまた取得すること、こういうふうに考えられているようですけれども、先ほどの、私、自社株の取得というのも処分の手法の一つだというふうに確認をさせていただきました。

 そういたしますと、この自社株ということを活用して、移行期間中に持ち株会社が郵貯銀行、郵便保険会社にそれぞれの株式の一部を譲渡する、銀行、保険会社側からすると自社株を取得する。移行期間終了後速やかに、郵貯銀行、郵便保険会社がそれぞれ保有する自社株を持ち株会社や郵便事業会社や郵便局会社、特殊会社の方に譲渡するというやり方が一つ考えられますし、あるいはもう一つとして、郵便貯金会社あるいは郵便保険会社が保有する自社株と、持ち株会社が保有する自社株とを互いに譲渡するというやり方も考えられる。

 こういう自社株を活用した手法というのもこの連続的保有ということで可能なんではないかというふうに考えます。また、そもそも、自社株の取得を可能とするよう原始定款に定めるということも考えておくべきではないかと思いますが、この二つ、確認をいたしたいと思います。

中城政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げましたように、金融業務においては信用が決定的に競争上重要ということで、持ち株会社がその株式を処分して、国の信用、関与を完全に断ち切る必要があるわけでございますけれども、移行期間終了後は、郵便貯金銀行、郵便保険会社は普通の銀行、普通の保険会社になるということでございますので、一般的な法規制のもとで株式の持ち合いを行うということは可能であるということを申し上げたところでございます。

 郵政民営化法における移行期間中の郵貯銀行や郵便保険会社の全株式の処分というのは、国の信用、関与を断ち切るために行うものでございまして、国の出資する持ち株会社が両会社の支配権すなわち議決権を保有しない状態とするということでございますから、移行期間中に郵便貯金銀行が持ち株会社から自己資本を取得することは処分となり得るものであり、さらに、移行期間終了後に郵貯銀行等が、経営判断によって、その保有する自己株式を持ち株会社に譲渡するということとした場合に、結果的に連続的保有になるということでございます。そのような対応が、国の信用、関与を断ち切るために持ち株会社に全株処分義務を課した法の趣旨や独禁法や銀行法等の一般的規制、持ち株会社の規制に反するものでなければ特に問題はないものと考えております。

 それから、持ち株会社が郵貯銀行や郵便保険会社の原始定款に自社株取得を可能とするように規定することにつきましても、その経営判断によって会社法の規定に従って行われるものというふうに承知しておりますけれども、移行期間終了後に持ち株会社が郵便貯金銀行、郵便保険会社の株式を取得することについて、あらかじめ移行期間中において契約等によって決定しているということであれば、郵政民営化の趣旨に反するものになるというふうに考えております。

石井(啓)委員 そうすると、あらかじめ規定していなければ大丈夫だということですね。ちょっと確認。

中城政府参考人 そういうことでございます。戻すことということでございまして、あらかじめそういうものについて移行期間中に買い戻すということを契約しているということであれば、それは郵政民営化の趣旨に反するということでございます。

石井(啓)委員 それでは、最後の質問になりますけれども、政府・与党合意では「株式の連続的保有が生じることを妨げない。」こういうふうになっています。この妨げないというのは、これはあくまでも経営者の判断にゆだねる、こういう意味かと思います。

 ただ、これまでのこの委員会の質疑の中でも、郵便局における貯金・保険サービスが果たして完全民営化以降も提供されるのか、こういう懸念がいろいろな委員から出されておりまして、政府としては、一つ、移行期間を超える長期の代理店契約を可能とするということで金融サービスの確保が可能なんだよということでありますし、二点目としては、社会・地域貢献基金の活用ということも考えられる、こういうことでこれまで御答弁いただいておりますけれども、それに加えて、やはりグループ全体としての一体的経営を確保するということで、政府は株式の連続的な保有を積極的に認める立場である、こういうふうに理解してよろしいんでしょうか。

竹中国務大臣 仕組みそのものについてはもう繰り返しをいたしませんが、基本的に政府としては、完全民営化後の郵便貯金銀行、郵便保険会社については、これは普通の銀行、普通の保険会社として民間市場の中に吸収統合する、この民営化の趣旨に沿いまして、移行期間終了後は一般的なルールを超えてさらに規制を課すものではない。しかし、政府・与党の合意におきましても、「持株会社の下でのグループ経営を可能とするため、移行期が終了した後は、特殊会社としての性格を考慮しつつ経営判断により他の民間金融機関と同様な株式持合いを可能とする。」そして、「その結果、株式の連続的保有が生じることを妨げない。」とされているところでございます。

 持ち株会社が郵便貯金銀行等の株式を再取得するかどうか、また、それによって株式の連続的保有が生じるようにするかどうかというのは、これは新会社の経営判断にゆだねているところでございます。

 したがって、政府として、経営判断を超えて株式の連続的保有を積極的に認めるという立場にあるというものではございませんが、先述のとおり、この制度設計におきましては、完全民営化後の郵便貯金銀行等の株式の取得について、一般のルールを超えて殊さらに規制を課すことはしなかったということでございます。

 政府・与党の合意においては、「各合意事項が完全に実施されるよう取り計らうものとする。」とされておりまして、政府としては、この新会社が、経営判断により、結果として株式の連続的保有となるところの株式の持ち合いを行うこととするならば、一般的規制や特殊会社法制の範囲内においてそれがなされるようにするというふうに考えているところでございます。

石井(啓)委員 時間が参りましたので、以上で終わります。

二階委員長 次に、古本伸一郎君。

古本委員 民主党の古本伸一郎でございます。

 委員長を初め各大臣におかれましては、連日の当委員会でのお答えをいただいておりますことをお礼申し上げたいと思います。

 私からは、議題となっております今回の民営化法案の中で、企業経営の根幹であるイニシアルコストとランニングコストという両面から少し掘り下げてまいりたいというふうに思っています。

 まず、その際に基本になりますのが、閣議決定、十六年の九月十日で示されております民営化の基本方針、この中で三つの柱があると思います。一つは、良質で多様なサービスを安い料金で提供ができるようになる、二つに、郵政公社に対する見えない国民負担を最小化していく、そして三つに、公的部門に流れていた資金を民間部門に流していく、国民の貯蓄を経済の活性化につなげる、この三つの柱に照らしながら、イニシアルとランニングという観点からお伺いをしてまいりたいと思います。

 まず、話題となっております、ネットワークに対する、窓口会社に対する委託手数料の問題ですが、一体幾らで今考えておられるのか。その算出に当たっては、当然に、これは郵便局株式会社の生命線になる収益源でありますから、えいやではなくて、具体的なフィージビリティーのある数値でお答えをいただきたいと思います。竹中大臣。

竹中国務大臣 手数料の考え方でございます。

 基本的には、ネットワークの貢献の程度でありますとか、それと、民間の同種の事業における手数料を考慮して設定したものでございまして、それぞれ、考え方、個別に御説明をする必要があるかと存じます。

 基本的に、郵便事業における窓口ネットワーク機能の貢献度合い、これは郵便事業の手数料でございますが、それは、窓口ネットワークの貢献度合いに応じまして、郵便営業収益に郵便事業における窓口の貢献比率を掛けてこれを算出するというやり方でございます。この貢献比率としては、業務量の積み上げとして一七・五%というふうに推定をしているところでございます。

 あと大きなところでは、郵便貯金会社からの委託手数料の問題がございます。これは、貯金の残高、ストックに〇・三五%を加えている。それに加えて、その他の手数料、具体的には、為替振替、国債販売等の手数料等々を民間準拠で考慮しているということでございます。

 この残高プラス〇・三五%としている理由でありますけれども、これはまさに、店舗の効能分相当として、民間金融機関の実態を反映して設定したものでございます。その意味でも市場準拠でございます。

 具体的には、ネット専業銀行と、これは店舗を持たない銀行、それと店舗を持つメガバンク等々の金利の差を、これはネットの店舗の貢献分というふうに考えるわけでございますけれども、この数字、期間に応じて逓増しておりまして、期間が長くなるほど高くなるという意味でございますが、三年物で〇・三一%でございます。これは郵貯の期間構成等々を考えまして、〇・三五%が妥当な水準であるというふうに考えているところでございます。

 その他、保険につきましては、これは民間の保険募集人の手数料水準に準拠いたしまして、新規保険料の一年分相当と設定したものでございます。これも民間の実態を踏まえたものと思っております。

 以上が骨格でございますが、さらに新たな新規のビジネスを行ったらどうかということも、必要でございましたら、また別途御説明をさせていただきます。

古本委員 もとより窓口を持たない銀行ができるわけですね。したがって、郵便局のネットワークを頼らざるを得ない。

 そこで、先日来話題になっている、一括してどのように委託契約を結ぶか。そこでもう少し掘り下げるんですが、契約の形態はどのようなことをイメージなさっておられるのか。麻生大臣も先日おっしゃった、一括で、一本で契約を結んで、これは郵貯株式会社と郵便局株式会社が結んで、別添として、二万何千カ所のネットワークのある、出先である各局の所在地等を書き込んで、別添のとおりとして漏れなく津々浦々委託手数料の契約を結ぶんでしょうか。

竹中国務大臣 要するに、銀行と保険に関しては、みなし免許の条件として、移行期間を十分カバーする安定的な、長期安定の契約を求める、それをみなし免許の条件とする、これは法律の立場でございます。

 その場合にどのような契約が想定されるかという委員の御質問だと存じますが、先般、麻生大臣が一括契約というふうにお答えされました。これは当然のことながら、契約を結ぶ主体は、例えば銀行業務について言いますと、郵便貯金銀行が委託者であり、窓口会社が受託者である。その受託者である窓口会社は、大きなネットワーク、店舗網を持っている。これは、その意味で、当然当事者としての一括契約ということになるわけでございます。

 そのときに想定される契約としましてどのようなものになるかということでございますが、手数料の水準、やり方というのは、今私たちは非常にマクロ的に推計をしておりますけれども、恐らく、個々の、今度、手数料、実務を考えますと非常に複雑なものに多分なるのだと思います。一定の委託をするに当たっても、例えばですけれども、ある水準まではこの量でいく、それを超えると、さらにそれを逓増する場合もあれば逓減する場合もあるでしょうから、実務的には大変複雑になるというふうに思われますが、そこはもう経営の御判断ということになる。

 それで、委員の最大の御関心は、その際にそれぞれの店舗が十分にカバーされているだろうかということにあろうかと思いますが、これは、健全で安定的な経営を目指すための長期の契約、郵便貯金銀行は公社の時代から全国津々浦々に展開されたネットワークを活用して、地域密着型でしっかりとビジネスを行ってきた。そういう銀行にみなし免許を出すわけでございますから、これは当然のことながらそうした地域密着型のビジネスモデルを想定して、そして金融当局としては、これで安定的な代理店契約だということを認可するということになろうかと思います。

 その意味では、現状の、金融を扱っている店舗がしっかりとカバーされた形で長期安定的な契約というのが一括して結ばれているということを想定しております。

古本委員 大臣、恐れながら、端的に答えていただきたく思います。前置きを少しはしょっていただけると助かります。その意味で、端的に尋ねます。

 全国の津々浦々の局と結ぶんですか、結ばないんですか。契約書の中に、これは一括と言いましたから、別添で包含されるのか、されないのかと私は問うているんです。ですから、それはイエスかノーかなんですね。これが一問。

 二問目は、その際、結果として、赤字の局が、金融において赤字の局も含めて、これは黒字局が補てんをするという構図になるんでしょうか。イエスかノーかでお願いします。

竹中国務大臣 契約書にどのような書き方をするのかということについては、ちょっと個々に今の段階で申し上げられませんですけれども、委員が今お尋ねになりました第一問の、全国津々浦々の店舗がカバーされるのかということに関しては、実態的にはそのようなビジネスモデルを想定しておりますから、当然にそのようになるということだと思います。

 そして、赤字局も含まれるのかということになりますけれども、これはネットワーク全体としての価値があるわけですから、当然、赤字局も含めて、今の津々浦々のものがしっかりとカバーされていくということを想定しております。

麻生国務大臣 古本先生御存じかと思いますが、今よく二万四千六百七十八、通常二万四千七百と言うんですが、今の段階でも、郵便局の中で貯金を取り扱っているところは約五百少ない。簡易保険を扱っているところは二万三千六百二十幾つですから、約千少ないという実態をちょっとある程度理解していただかないと、今のが全部カバーされるかというと、今やっていないところも入るのかというように、何となく、この世界ですから、後々そういう数字だけ躍りますと困るので、答弁が甚だ難解、ただでさえ難解なところがさらに難解になってきておるんだと理解してください。

古本委員 ATMをスーパーの出先とかに置いておって、結果として、簡易局に置かずに、ふもとにおりていったスーパーのところにATMを置いていて、それも一台でカウントしているということを重々承知の上で、内数で申し上げています。

 したがって、そのATMのショバ代というんでしょうか置き料、それから現金の詰めかえ、そういうことを含めた委託も一括でと聞いているわけですよ。その意味ではどうなんですかということでいけば、イエスなんでしょう。イエスしかないんですよ、どう考えましても。イエスと言って楽になった方がいいんですよ。どだい無理がありますよ、この話は。論理的にいきますけれども。

 次に、そうした場合に、これは非常に移転価格の問題が議論になっているわけでして、法的な根拠の部分もあわせて、今合わせわざで質問しますので。

 では、設置義務を課せられた郵便局は、あまねく全国に郵便局を設置して、そして委託手数料がもらえるかもらえないかというと、今ふにゃふにゃしていた。結果としては、もらえるという返事をこの後いただけると思います。

 委託手数料をもらおうとしたならば、普通の経営者であれば、当然にそれは収益源の、まさに稼ぎ頭ですから、より高い設定をしたいとする。そうしたときに、例の特定関係者との取引の観点で、銀行業法の縛り、それから寄附金課税の問題、るる各委員から指摘のあった法人税法の三十七条の問題、それから独禁法二条九項の規定による不公正な取引方法のうち第十四項に定める優越的地位の乱用の問題等々にかんがみますと、これすなわち、ネットワークを持っている郵便局にしてみれば、おれたちのネットワークを使いたければ高値で貸してやったっていいよと言うかもしれない。したがって、これは独禁法に言うところの優越的地位の乱用に抵触するおそれもある。そういうことを考えますと、非常に法的な危ういゾーンを含んでいる委託手数料の設定というのは、これは物すごくデリケートな問題なんですね。

 ですから、大臣、質問をまとめますと、法的にすべてクリアをし、かつ郵便局株式会社がなりわいとできるだけの委託手数料が、あまねくすべてのATMとしましょう、という設定になるのか、イエスかノーかで答えてください。

竹中国務大臣 この契約の内容に関しましては、これは主務大臣も実施計画の中で認可をするわけでございます。これは当然、個別に、優越的地位の乱用がないかについては独禁法の立場からのチェックがある。そのようなことをしっかりとやっていきますので、そういうトランスファープライスの問題が生じないようにこの制度を担保する仕組みも持っているというふうに思っております。

古本委員 結ぶかどうか、答えてください。麻生大臣に助け船を出していただきました。そういうふもとにおりていったATMも含めて私は申し上げています。すべてと結ぶのかどうか、答えてください。

竹中国務大臣 これは、一括して本社でそのような全国津々浦々の安定的な、長期安定的な契約、その中には全国津々浦々をカバーしたビジネスモデルというものを当然想定することになりますので、委員がおっしゃるような形になると存じます。

古本委員 議論を整理したいと思います。

 あまねく全国にある郵便局ネットワーク、その中には、ふもとにおりていった、スーパーに置いてあるATMを含めて、これらに対して委託手数料が払われるべくして一括契約が結ばれる。そして、その委託手数料というのは、もとより先ほど申し上げた三つの法律の観点を抵触せずにクリアをし、なおかつ、経営上十分な手数料が得られるかという根拠も伴った手数料設定で一括契約を結ばれますか。イエスかノーか。

竹中国務大臣 基本的には委員おっしゃるとおりであるというふうに思います。

古本委員 では、そこを法律の条文の何条に読み取ればいいんですか。教えてください。

竹中国務大臣 そのような形になるということを申し上げたわけでございますが、その法律の条文等々に関しましては、先ほど前半で御説明させていただきましたとおり、求めているのは、みなし免許の条件として長期安定的な契約を求めるということでございます。

 しかし、実態としてどのようになるかということになれば、今の全国津々浦々を、地域密着型のビジネスをしているということでありますので、それを継続できるような、そういう契約になる。それは結果的には、古本委員がおっしゃったような形になるというふうに想定される、そのような趣旨でございます。

古本委員 観点をちょっと変えますよ。

 そうしますと、仮に、委託手数料が高い、郵便貯金株式会社としてはこれ以上郵便局株式会社に頼むのはもうつらい、そうなったときは、既存行に乗りかえることはできますか。地元の信金、信組のネットワークに乗りかえることはできますか。

竹中国務大臣 まず、みなし免許を出す段階で長期の契約が結ばれますから、その契約はちゃんと守っていただかなければいけないというのは当然のことであろうかと思います。

 その後は、基本的には経営の御判断ということになろうかと思いますが、私たちとしては、店舗を十分に持たない銀行でございますので、そのような契約が基本的に安定して続いていくであろうという想定を持っているわけでございます。

古本委員 そうしますと、大臣がおっしゃりたいこともよくわかるんですね。民営化法の九十八条で安定的な代理店契約をうたっております。したがって、不採算局に委託を義務づけられない、不採算局にまでですよ。こういう思いはよくわかるんですよ。これは銀行の健全経営からそうだと思います。しかし、それでも大臣は、それを乗り越えて全局と結ぶと言っていただいた。私は、これは大きな御決意を言っていただいたなと思っていますし、これはこの委員会の議事録として残る話だなと重く受けとめて拝聴いたしました。

 なおかつ、その上で申し上げますと、この窓口会社というのは、経営判断で統廃合できるとはいえ、やはり設置義務は負っているんですね。したがって、義務は負うけれども手数料はわからないということでは、これは泥舟に乗ってくれという話になるわけでして、その意味において、きょうの大臣の、あまねく津々浦々すべて、たとえ赤字でもそれは黒によって補てんをするということにおいて全体を補完していくということについて、はいと答えていただいたことについては、恐らく全国の皆さんは大変力強く安心して思っておられると思う。ぜひこれは守っていただきたいと思いますね。

 そのことを条文の何条に書いているか、今大臣はお答えいただけませんでしたので、委員長、後刻理事会でぜひ諮っていただいて条文のどこかということを教えてもらいたいと思います。よろしいでしょうか。

二階委員長 では、後刻理事会で検討いたします。

古本委員 ありがとうございます。ぜひお諮りをいただきたいと思います。

 その上で、銀行の代理店、代理業務たるものをやるためには、銀行法の八条の壁を乗り越えていくという大きな問題があると思っています。

 御案内のとおり、銀行法八条では、代理店たるその受託先は、委託先はと言った方がいいんでしょうか、専業義務を課しているはずであります。ところが、今回の委託先である郵便局株式会社の窓口では、聞くところによりますれば、コンビニからクリーニング屋さんから、いろいろなよろずビジネスをやることができる、それをまたビジネスの柱にしていってほしい、こうお答えをいただいております。

 そういたしますと、既存行の都銀、地銀、あるいは信金、信組、あまねく民間の皆さんに対しても、これは代理店業務を認めますね。お答えを願います。

伊藤国務大臣 現行の銀行法におきましては、銀行代理店については、銀行が代理店の健全かつ適切な運営を確保することを求めており、そうした前提が満たされれば、一般金融機関が郵便局株式会社を代理店とする、郵便局株式会社が一般金融機関の代理店となるということは、銀行法上は可能であると考えられます。その場合、代理店の健全かつ適切な運営を確保するため、具体的には、金融機関と郵便局株式会社のシステムや事務フローが円滑に連携できること、金融機関が郵便局株式会社に対して十分実効性のある指導監督を行うことができること、郵便局株式会社において十分な業務遂行能力があることなどが必要となり、こうした点について金融機関への監督等を通じて個別にチェックすることが必要であると考えております。

 こうした内容を盛り込んだ内閣府令を、民営化に際して、承継計画の認可とあわせて措置することを予定といたしているところでございます。

古本委員 今、伊藤担当大臣がおっしゃったお話は、内閣府令にうたっておると。他の都銀や地銀の皆さんに、イコールフッティングだとおっしゃるのであれば、この際、どうして内閣府令でやらないんですか。

 私の質問は、今回、郵貯銀行だけ認めるわけですよ、そして郵便局株式会社だけ金融の代理店ができるわけですよ、銀行代理店ができるわけですよ。個別会社の名前は言いませんけれども、都市銀行の何とか銀行が同じく代理店をどこかに探して、クリーニング屋さんでもいいです、よろず屋さんでもいい。そのことが、どうして今回の法改正とあわせて同時になされないんですか。そのことを聞いているんですよ。これは、イコールフットも何も、不公平極まりないじゃないですか。全銀協や、そういう銀行業界の皆さんは今回のことを黙っておられるんですか。私はよっぽど人がいいなと思いますね。

 伊藤大臣、内閣府令で今回おやりになるとおっしゃった。だったら、他の銀行に対しても、今回どうして内閣府令でその門戸を開いてさしあげないんですか。お答えください。

伊藤国務大臣 先ほどお話をさせていただいたように、現行の銀行法では、銀行が代理店の健全かつ適切な運営を確保できる者、こうしたことが求められているわけであります。この規定を受けて、内閣府令において、代理店の種類別に規制を設けて、そして社会的信用がある者、銀行による指導監督により健全、適切な業務運営が確保可能な者、こうした規定を類型別に設定しているわけであります。そうした中で、一般の法人につきましては、一〇〇%子会社であり専業であるという規制を課しておりまして、銀行と一体し得る者に銀行代理店を認めているところでございます。

 こうした中で、現在の内閣府令においては、郵便貯金会社を銀行代理店と想定していないわけでありますけれども、先ほどお話をさせていただいたように、郵便貯金会社というものは特殊会社であり、主務大臣の監督を受ける。また、従来、一体として業務遂行、公社業務の資産、ノウハウというものを継承している。こうしたことから、銀行が代理店の健全、適切な運営を確保できるものと認められるということから、内閣府令で必要な手当てをさせていただくところでございます。

 委員が御指摘になられているのは、規制緩和の観点として、一般の事業会社、例えば百貨店でありますとかカーディーラーでありますとか、そうしたところにも広く認めるべきではないかということでありますけれども、この場合には、規制緩和に合わせて、そして行為規制でありますとか、あるいは参入規制でありますとか、監督上の体制を整備することによって、代理店の健全かつ適切な運営を確保できるような状況を銀行法を改正して手当てしていくことが必要であります。

 したがって、私どもとして、この郵政民営化の議論とは別に、規制改革要望の中で、一般事業会社も含めて幅広く代理店を認めてほしい、こういう要望をいただいておりますので、今お話をさせていただいたような観点から、銀行法を改正して、そして規制緩和にこたえていけるように、今与党の方々とも調整させていただきながら検討を進めさせていただいているところでございます。

古本委員 委員長、私、今相当今回の法案の肝のところを聞いているつもりです。何が肝かというと、これまで銀行は、代理店は一〇〇%会社、そして兼業を禁止しているところしか、銀行専業しか委託できなかったんですよ。それを、横で物産展をやっているかコンビニをやっているかクリーニングを開いているか、それはいっぱい考えているんでしょう。その郵便局の横で、郵便局株式会社の窓口会社の横で、銀行業ができるようになるんですよ。そのことが、敷居を下げたわけですから、民業圧迫だなんだというのであれば、どうして都市銀行や地銀の皆さんが、全国のネットワーク、自分たちが持っておられるネットワークに加えて、山間部の八百屋さんにぽっとATMを置ければこんな便利なことはありませんね。どうしてそのことを認めないんですかと聞いているんですよ。

 そのことは極めて不平等なんですよ。その不平等なことを指摘したことに対して、郵貯銀行は特殊会社だからとおっしゃいましたね。それは本当ですか。答弁願います。

伊藤国務大臣 今までも竹中大臣から、郵便局株式会社は、民営化をいたしますけれども、政府が株を保有しているわけでありますので特殊会社でありますし、また、主務大臣が監督をするわけでありますので、その中で業務の適切性、健全性というものが確保されているわけであります。

 私が郵便局株式会社と言ったつもりが、郵貯銀行というふうに申し上げたとするならば、それはぜひ訂正させていただきたいというふうに思います。私が申し上げているのは、郵便局株式会社のことでございます。

古本委員 これは、議事録を精査してほしいですが、郵貯銀行の郵便局株式会社への委託を問うているんですよ。そのときの主語が、郵貯銀行と郵便局株式会社が入れ違っていましたとしれっと言われたって、これはおかしいですよ。

 もう一度聞きますよ。郵便局株式会社が郵貯銀行から受託をするんですよ。このときの敷居を下げていることに対して不公平だと聞いているんです。答えてください。

伊藤国務大臣 主語が入れ違っているという御指摘がございました。主語が入れ違っているということにつきましては、ぜひ訂正をさせていただきたいというふうに思います。

 先ほどお話をさせていただきましたように、今回の法案において、郵貯銀行の代理店として郵便局株式会社が代理店業務ができるように内閣府令の手当てを行うことといたしているところでございます。

 また、一般の金融機関が郵便局株式会社を代理店とすることも銀行法上は可能であると考えられておりますので、先ほどお話をさせていただいたように、具体的な内閣府令の手当てをさせていただいて、そして金融機関への監督を通じた個別のチェックをさせていただいて、そして代理店の業務の適切性、健全性というものを確保していきたい。そうした内容を盛り込んだ内閣府令を、民営化に際して、承継計画の認可とあわせて措置することを予定といたしているところでございます。

古本委員 では、なぜ今回、内閣府令で、他のあまねく全国にある民間銀行に対して門戸を開かないんですか。

伊藤国務大臣 先ほどもお話をさせていただいたように、現在の銀行法は、銀行が代理店の健全、適切な運営を確保できるもの、明らかなものを規定いたしておりまして、この具体的な中身につきましては内閣府令において代理店の種類別に規制を設けているところでございます。この規制を設けるに当たって、基本的な考え方として、社会的信用がある者、そして銀行による指導監督により健全、適切な業務運営が確保可能な者、こうしたものについて種類別に規制を設けているわけであります。

 現在の内閣府令においては、郵便局株式会社が銀行代理店をやれることを想定いたしていないわけでありますので、郵便局株式会社が銀行の代理店ができるように必要な内閣府令の措置を講じることといたしているところでございます。

 この理由といたしましては、先ほどもお話をさせていただいたように、郵便局株式会社が特殊会社であり、主務大臣の監督を受けているということ、そして、従来より一体として公社からの業務というものを受け継いでいること、承継をしていること、こうしたことから、銀行代理店と認めるための内閣府令の手当てをさせていただくということでございます。

古本委員 竹中大臣、今のやりとりは聞かれていたと思いますね。

 先ほど大臣は、私も指摘させていただいた民営化法の九十八条で、安定的な代理店契約を結ばなきゃいけないと。他方、郵貯銀行は委託手数料がもう高くてかなわぬとなったときには他行に乗りかえてもいいということに、はいと答えましたね。答えたんですよ。

 ということは、特殊会社で政府の干渉のもとでやっていく郵便局株式会社だから今回認めたんだという割には、実はこれ、長期安定的にと言いながら、ずるっと民間銀行に乗りかえる可能性もあるスキームなんですよね。まず、ここは正しいですか、竹中大臣。

竹中国務大臣 済みません。ちょっと議論が大変ややこしいものですから、確認をさせていただきたいと存じます。

 まず、移行期間内の話なのか以降の話なのかということ、それと、どちらがどちらに委託する場合なのかですね。乗りかえるといっても、郵便局が郵便局でほかの銀行の預金を売るという場合なのか、郵便貯金銀行のどこに委託するのか。それを移行期間内か期間外か。ちょっと済みませんが、問題を整理していただければ大変助かります。

古本委員 伊藤大臣には、今回、イコールフッティングの原則に立つのであれば、代理店をやっていいということを民間銀行に対してもオープンにしてあげてはどうですかということを問題提起しました。そのことに対して、内閣府令で今回郵便局株式会社にだけは認めるとおっしゃいました。それは何となれば、政府が管理をする特殊会社という表現をたしかなさいました。したがって、別格なんだという言い方をなさいました。

 他方、先ほどの答弁の中で、九十八条に基づく長期安定的な代理店契約を結べと。その条件をもとに今回委託関係が成り立つという前提に立った上で、竹中さんは、郵貯銀行が郵便局株式会社に払う委託手数料が大変高負担である、経営の維持費という意味ではランニングコストが大変負担である、したがって、もうちょっと安く貸してくれるかもしれない信金、信組や、あるいは地銀のネットワークに乗りかえたいとなったときに、乗りかえてもいい、そうおっしゃったんです。

 何となれば、伊藤大臣がおっしゃった郵便局株式会社は、薄氷を踏む思いの中での経営を強いられることになるんじゃないですか。ということは、他のよろず屋さんと何ら変わりはないんじゃないですか。郵便局株式会社は特別なんです、長期安定的に受託しているんです、別格なんですという論理をもとに、内閣府令に基づいて今回の門戸を開くということができないですと言っている理由にはならないと思うんですね。お答えいただきたいと思います。

竹中国務大臣 大変申しわけありません。ちょっと正確に意味をとれていないかもしれないんですが、私が申し上げた点だけをちょっと確認させていただきます。

 移行期間中は、カバーする長期の契約があるわけですよね。それ以降、ではどうするのかということに関しては、これは経営判断でいろいろ、別のところとやることもあり得ます。それは先ほど申し上げたとおりだと存じます。移行期間中は、いずれにしましても、これはもう契約、長期ですから、これは守っていただかなければいけません。

 今の委員のお尋ねを拝聴しておりまして、では、移行期間中に、ほかのところで、これは高いな、もう嫌だなと思ってきたときにどうするかということであるならば、契約は守っていただかなければいけませんが、この契約は排他的独占契約ではございませんですから、理屈の上では、これはほかのところと結ぶということは理屈の上ではあり得る、契約上はあり得る。ただ、そのときの銀行法制のまた問題等々がございますから、それはその範囲で当然やっていただかなければいけない。

 例えば、これは仮定の話ですけれども、専業で幾つかのネットワークを持っているところで受託させてくださいよという民間があらわれた場合に、これは多分今の法律でも、大変申しわけありません、金融の法律については伊藤大臣に御確認いただく必要があると存じますが、これは専業についてはそういうことが可能なはずでございますから、もちろん、要件を満たせば、そういうことは多分比較的近い移行期間中においても可能なんだと思います。

 それ以降について、そのときの銀行法の法制が兼業を認めることになっているのかどうか。方向としては兼業を認める方向で、規制緩和の方向で考えていくんだという御答弁が伊藤大臣からございましたから、それだけの長期になると予想も変わっているんだと存じますが、そこは、先ほど申し上げましたように、移行期間後については、契約が切れているわけでありますから、それはまさに経営の御判断ということだと思います。

古本委員 今、竹中大臣の御説明を拝聴した上で、伊藤大臣に再度お尋ねします。

 なぜ今回、内閣府令で行われる代理店の兼業を規制している部分を解いてさしあげて、郵便局株式会社がそれを受託し代理をすることができるようによろしく他の民間銀行に対してもその門戸を開かないのか、その理由をお聞かせ願います。

伊藤国務大臣 二点御質問があったと思います。ちょっと最後の点がよく理解できなかったところがありますので、答弁させていただいて、不十分であれば、もう一度お尋ねをいただきたいと思います。

 まず、なぜ郵便局株式会社に銀行代理店を認めるかということでありますけれども、これは、先ほど来答弁をさせていただいている、現在の銀行法では、銀行が銀行代理店を設置する場合に、銀行が代理店の健全そして適切な運営を確保することを求めております。この規定を受けて、内閣府令において代理店として認められる類型というものを規定しているわけでありますけれども、郵便局株式会社が代理店となる場合の規定はございません。

 しかし、郵便局株式会社については、特殊会社であり、そして主務大臣が監督をしていること、そして、公社の貯金、為替業務の人的、物的資産、ノウハウというものを承継していること、こうしたことから、健全、適切に郵便貯金銀行の代理店業務を行うことができると考えたからでございます。

 それから、一般の金融機関が郵便局株式会社を代理店とすることができないという御質問でございましょうか。この点については、先ほど答弁をさせていただいたように、一般金融機関が郵便局株式会社を代理店とすることも銀行法上は可能であると考えております。しかし、その場合に、代理店の健全かつ適切な運営を確保するために具体的に、先ほどもお話をさせていただいたように、金融機関と郵便局株式会社のシステムや事務フローが円滑に連携できること、あるいは金融機関が郵便局株式会社に対して十分実効性のある指導監督を行うことができること、郵便局株式会社においても十分な業務遂行能力があることなどが必要となりますので、こうした点について、金融機関の監督等を通じて個別にチェックすることが必要であると考えております。

古本委員 午後にも同僚議員がこの部分は拾っていただけるというふうにお願いをしたいと思ってこれで終えますが、最後に私が指摘しているのは、イコールフッティングだと言うのであればどうして他の民間銀行にも今回の代理店を認めてあげないんですかと、極めてシンプルな質問をしているつもりです。しかし、もう延々十数分このことをやりとりしていますから、とりあえずここで断ち切ります。依然としてそのことについては大臣は答えていませんからね。その点だけは指摘しておきます。

 続いて、維持費という意味では、郵貯銀行を大変痛めるだろうと思われるランニングコストの部分で指摘しなければならない観点があります。

 これは、委託手数料が高い場合、郵貯銀行は既存行に委託できるということは契約上可能だ、契約は守る中で移行期間であっても乗りかえることはできると大臣は先ほどおっしゃいました。おっしゃいましたね。おっしゃいましたよ。後ほどまたお願いしますが。しかしながら、もしそうなのであれば、どうして安定的な代理店契約の相手方に郵便局株式会社と明記しないんですか。これは物すごく不思議に思いますね。これは、もとより移行期間といえども安くていい船に乗りかえる腹があるから郵便局株式会社と書けないんじゃないんですかと探るわけであります。

 加えて、維持費という意味で、手数料と並んで大変大きな問題があると思っていますのが、もとより三事業一体の事業が分割されまして、店舗を持たない郵貯銀行が窓口会社へ委託しなければなりません。今申し上げている委託に対して、委託手数料は消費税の課税対象になるんでしょうか、ならないんでしょうか。財務大臣、答弁をお願いします。

谷垣国務大臣 対象になります。

古本委員 竹中大臣、初年度、大体幾らぐらい消費税を納める御予定ですか。

竹中国務大臣 骨格経営試算で約七百億というふうに試算をしております。

古本委員 財務大臣、税の中立性という言葉があると思います。何かビジネスをするときにそのことが縛りになって、税がかかる、かからない、あるいは税に左右されてビジネスが左右される、これはいろいろ議論があるんでしょうけれども。もとより自社でネットワークを持っていれば、三事業を、郵貯と簡保と郵便局、この一体を、まさに三位一体をわざわざディバイドしなければ、もとより委託料もなければ、消費税も払わなくていいんですよ。税の中立性からいうとどういうふうにごらんになっていますか。コメントを求めます。

谷垣国務大臣 消費税は、あらゆるサービスあるいは財貨の移転、これには消費税をかける、こういうことでありますから、今のように分社化、会社を分けてその間にサービスの委託等あれば、その対価には当然消費税がかかってくるというのが一般のルールでございます。

 そうしますと、今のお尋ねは、もともと分社化しなければ何にもかからないはずじゃないかということでございますが、それはおっしゃるとおりでございます。ということは、結局、分社化するには分社化するやはりメリットなり必要性があって分社化する、これは民間の企業だってそういうことがあり得るわけでございますから、民間の企業が、今まで一体として経営した中で内部の資金なりのやりとりだという場合であれば、これはかからないわけでありますが、分社化をすれば当然民間企業でもかかってくる、こういうことだろうと思います。

古本委員 この点は、経営的に見れば税の中立性原則に抵触するんじゃないか、こう聞いているわけですね。

 きょう、生田総裁にもお越しいただいています。連日ありがとうございます。この消費税の観点は総裁も御懸念をされているというふうに伺っています。何か御意見があれば伺いたいと思います。

生田参考人 お答えします。

 今、竹中大臣のおっしゃった千四百という数字、実はちょっと、私自身、今確認していないので申しわけないのですが、多分いろいろな、三事業全部通じてのトータルの数字かなと想像します。もし数字が食い違っていたら勘弁してください。

 そのうち、郵便のものは、特にメーカーさんはみんな同じなんだけれども、原料があって、半製品にして、もう少し加工して、それで最後に販売していく。一回一回課税していたら消費税が物すごくなるのですね。だから、途中はトンネルになりまして一回だけ課税するのですよ。だから、郵便が郵便株式会社と郵便局窓口会社に分かれて契約しましても、委託、受託、この消費税はダブルでかからないのです。

 私の理解では、数字が多少違っていたら許していただきたいけれども、金融の方は法律上そういうことにならないのです。それで、やはり途中で代理店契約して委託、受託の格好が出てくると、そこに消費税がかかる。これは約七百億だと私は理解しているのです。これは免除されないから、消費税というものがここにどんとあって、消費税の論理に立てば、当然、例外はつくったらアリの一穴になりますから、絶対いけないということになる。その論理は私は非常によくわかるのですけれども、郵便金融会社ですか、貯金会社と簡保会社という立場だけから見ますと、ミクロといいますか、当事者の立場からいいますと、他の金融機関が払わない消費税というものを、国家の制度設計によって上下に分かれるゆえに生じる消費税ですから、これは逆のイコールフッティングということで御配慮いただけないかなということはお願いしたことがございます。

古本委員 これは、経営の真髄を知る総裁だからそういうことをきょうこういう場で恐れずにおっしゃっていただいたのだと私は思うんですね。

 したがって、経営者というのは、恐らく経営をなさるということは、いかにして事業を継続するかということ、この事業の継続性が経営の真髄だと思うんですね。その意味では、それをランニングしていく上でのコストの中で、この消費税の七百億からもしかしたら八百億ぐらい委託手数料にかかるんじゃないかということは、分割なかりせばこういうことはなかったわけですから、これは大変な負担になることは事実でありますから、その上で、なおこの計画が事業性があるかどうかということを深めていく必要があると思うんですね。

 そこで、確認をするわけですが、七百億の消費税を負担するくらいならいっそのこと自前のATMネットワークをつくろうじゃないか、これは郵貯銀行は考えていいんですか。

竹中国務大臣 今の御答弁の前に、ちょっと数字について総裁の御発言がありましたので、確認的にもう一度申し述べさせていただきます。

 郵便貯金会社が払うというふうに想定されております骨格経営試算上の数字は、二〇〇七年で四百十一億円、消費税でございます。保険会社が三百二十四億円。合計七百三十五億円でございます。郵便事業については現在でも消費税を負担しておりますので、申し上げた七百億円というのは、まさに新たに負担する消費税ということでございます。

 その上で、七百億もかかるのであるならば自社でいろいろやるということも考えられるのではないかということでございます。これは、繰り返し申し上げておりますように、みなし免許の条件として、長期安定的な契約がある、これはもちろん解約が一方的にできない長期の契約でございまして、これが必要条件でございます。それ以外に、例えば展開として、店舗をお考えになったりATMをお考えになったり、これは経営の御判断でできるようになっております。

古本委員 今、竹中大臣から、新しい郵貯銀行の経営者の判断でそのネットワークを自前で構築してもいい、こうおっしゃいました。そうなると、郵便局株式会社の委託手数料の収入もくろみはぐんと落ちると思うんですが、そのケースにおけるフィージビリティーは検討なさっているんでしょうか。検討があるかないかだけお願いします。

竹中国務大臣 そのような個別の経営判断に基づく検討は行っておりません。

 理由をあえて申し述べさせていただきますと、これは長期の契約が義務づけられて、この契約は続けなければいけません。だから、途中でこれは解約できないわけですから、これを活用するというのが銀行の経営者としての当然のインセンティブであろうかと思います。

 何よりも二万を超える拠点でございますから、店舗を一つつくって、やはり十つくるのも五十つくるのも大変なコストだと思います。そういう点からいたしましても、やはり今のネットワークを活用していくという想定に基づく試算が自然であるというふうに判断しているわけでございます。

古本委員 今、大臣、大事な点をおっしゃいましたね、実は。自前の店舗を、一から、土地を買って建家を建ててそこにATMを置いてという、何もそうしなくても、どこかを買収すればネットワーク構築できるじゃないですか。ところが、今回の民営化法では、何と郵貯銀行は、他の銀行のネットワークといいますか、銀行を買収することはできないというふうになっていますね。なっていますね。イエスかノーか。

 ところが、みずからはメガバンクに買収されていいようになっているんですね、郵貯銀行は。これはもうカモがネギしょってきたみたいな話でして、このことについて、私が今言ったことが事実かどうかだけお答え願います。

竹中国務大臣 お尋ねは、買収されることはあり得るのかということですけれども、合併とか、それは実は移行期間中は認められないという形にしております。

 その理由は、移行期間中は、銀行法に加えて、いわゆる移行期間としての特別の幾つかの規制がかかります。これで合併等々を認めますと、これがいわゆる吸収される法人になって、存続法人にならない場合、この法律を適用される会社、その主体がなくなってしまう、そういう法逃れの可能性がありますので、そういう観点から、その合併等々を認めないという措置にしているわけでございます。

古本委員 確認しますけれども、民営化法の百十条で、たしか、郵便銀行は銀行を子会社としちゃいけないと。したがって、自前のネットワークを一からつくろうとしたときに、一番簡単な方法は、企業買収して乗っかればいいわけですね。ところが、そのすべは取られている。そういう中で立ちはだかっていることが、今回の民営化法における郵貯銀行の縛りであるということを指摘しておきたいと思います。

 他方、郵貯銀行は、まさに他行からあるいは外資から買収されていいというふうになっている。このことが正しいかどうか先ほどから聞いているんですが、そのとおりです、いや違います、そういうふうに簡単に答えてください。

竹中国務大臣 古本委員の御質問は、非常に明快な場合の御質問でございますので、それがどのような状況下かということをちょっと前置きをつけないとなかなか、誤解を招く可能性がありますので、答弁が少しまどろっこしくなるということは御了承いただきたいと思います。

 基本的には、百十条で、「郵便貯金銀行は、子会社対象金融機関等を子会社としようとするときは、内閣総理大臣及び総務大臣の認可を受けなければならない。」という規定になっております。したがって、その範囲でいろいろな事業展開等々がお考えいただけるということだと思っております。

 それで、一方で、これが敵対的買収等々で買収されてしまうのではないか、そういう御懸念があるのではないかという御指摘であったと思いますが、移行期間につきましては、これは国がそもそも株を、徐々には減らしていきますけれども、持ち株会社が持っているわけでございます。それで、その後につきましては、これは商法の一般的な枠組みの中で敵対的買収に対するしっかりとした防御方法をとるということは当然のことながら考えておりますので、そういうような一方的な事態にはならないように、ぜひ措置をしていきたいと思います。

古本委員 今、郵政公社の資産というのは、全部合わせて四百兆円なんですね。これは貸借対照表から計算すると約四百兆円が出ますよ。この四百兆円の資産を、やはりそう簡単にどこかのだれかに買われてしまうということのないようにぜひしていただきたいんですね。

 その上で、今郵政公社を買収しようとするならば、時価総額は幾らで見ておられますか。大体幾らあれば郵政公社は買収できるんですか。自己資本にレシオを掛ければ出るでしょう。自己資本は幾らですか。

竹中国務大臣 先般、公社から公表されました財政状況、貸借対照表での自己資本、ネットの資産は六兆一千三百六十一億円というふうに承知をしております。その買収価格云々というのは、これは簡単な計算ではございませんが、単純にバランスシート上の純資本は六兆強ということになります。

古本委員 だから、BS上は六兆強、過半をとるためには三兆、そのままがいわゆる上場時の売り出し価格にはならないとは思いますが、そのぐらいのお金がない企業は全世界にないことはないと思うんですね。

 ですから、私が指摘しているのは、郵貯銀行が自前のネットワークを広げるべく地銀のネットワークに乗っかろうと買収することは規制がかかっている。他方、みずからは、三兆か四兆かわかりませんが、幾らかで買収されてもいいというふうになっている。この法案はそうなっているんですよ。

 そのことを指摘して、最後に、せっかく財務大臣にお越しいただいていますから、今回の基本方針の中で、内閣が出された閣議決定の中の、公的部門に流れた資金を民間に流して、この流れを少し検証したいと思います。

 端的に聞きます。今後、国債は発行し続けますか、どうしますか。

谷垣国務大臣 端的に答えろということですが、いかに毎年の国債発行額を圧縮しようと、まだ借換債等を相当出さなければなりませんので、当分国債の発行というのは続けざるを得ない状況でございます。

古本委員 ありがとうございます。

 普通国債ベースで、平成十七年で国債発行残高は五百三十八兆ですよ。これが、十年後ですよ、わずか十年後の平成二十七年で八百三十八兆ですよ。プラス三百兆増ですよ。これは財務省の資料にそう書いてあります。

 したがって、この三百兆がふえたときの八百三十八兆、わずか十年後の話ですよ、そのときの国債市場の主要なプレーヤーはだれだとお考えですか。

谷垣国務大臣 十年後、なかなか予測が難しいんですけれども、なかなかこれは難しいことでございますが、現在、郵貯、簡保は、国債引き受けの大きな、私はインフラと言っているんですが、なっております。それを民営化しようというわけでございますから、なかなか、そこのところをどう安定的な処理を進めていこうかというのは相当工夫をしなければならないところでございますが、私どもが今までやってまいりましたのは、マーケットとの対話をできるだけ強めていって、そして国債の保有主体を多様化していこう、こういうことを今までやってまいりました。今後ともそれを続ける必要があると思っております。

古本委員 いや、谷垣さん、本当に加藤の乱で名を上げて、次は麻生か谷垣か、こういう人がそういう国債の話を言ってもらっちゃ困りますね。

 これは冷厳な事実ですが、今、国債市場を支えているのは金融機関が八割ですよ。その中のほとんどが、郵貯、簡保、それから財政融資ですよ、年金財源も入っている。したがって、よく言われている、個人に持ってもらいたい、きょう大臣はあえて言わなかったんでしょうね、恐らく。個人なんというのは、家計が支えているのが三パーですよ。海外投資家だと四パー。したがって、主要なプレーヤーはやはり依然として公的セクターが引き受け続けるしかないと思うんですね。

 ところが、この郵貯銀行は運用資金をどう回すか、このポートフォリオを組む際に、残念ながら、国債以外のポートフォリオを組もうと思うと、自分のところの株を売らないとポートフォリオが組めないような仕掛けになっているんですね、これは。自分の株を売らないと、どんどこ身を削らないと。預かった資金の運用先に自由度が与えられていないんですよね。ですから、これは恐らく自分を売るか、ちょっと例え話は非常に難しいんですが、自分を売って、完全民営化すべく総発行株式数に対する政府持ち分を下げていくか、もしくは引き続き国債を買い続けるか、選択肢は相当狭められているんです。

 このことについて、財務大臣としてどういう御感想がありますか。そういう郵貯銀行の船出をどういうふうに見送ろうと思っているんですか。

谷垣国務大臣 十年間、移行期間というものがございますね。それで、この期間は、一つは政府保証のついた従来の資金があるわけでございますから、そこは安定的に、安定的資産として国債等で運用せよということになっておりますから、十年間はやはりそういう形で徐々に移行させていくという体制をとっていく、こういうことだろうと思います。

古本委員 時間が来ましたので、終わります。

 ありがとうございました。

二階委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後零時一分休憩

     ――――◇―――――

    午後二時四十分開議

二階委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。辻惠君。

辻委員 民主党の辻惠でございます。

 昨日に引き続いて、郵政民営化広報のチラシをめぐる問題について、もう少し深く問題点をえぐってみたいというふうに思っております。

 なぜこの問題が重要なのかということは、これは後に明らかになると思いますが、チラシの問題一つ取り上げても、政府側が非常にアンフェアな、かつ事実をねじ曲げた工作を行っているんですね。まさに、そういうようなこの法案を提出する過程をめぐった多くの疑惑、いろいろなアンフェアなこと、そして事実をねじ曲げて国民に問題を伏せてしまっている、そういうことを本当にきちっとたださないと、まず法案審議にも入れないというのがそもそもの話だと思います。そういう意味で、私が取り上げている問題というのは、法案審議をどのような姿勢で行っていくのかという前提にかかわる問題である、このように考えております。

 昨日の答弁を簡単に要約させていただきますと、二〇〇四年の十月から十一月にかけて広報タスクフォースが開催された、複数の民間有識者からの意見聴取を行った、その中に、新聞チラシを刷ればどうだろうという提案がそのうちの一つにあったんだ、それで、一番最初の段階からこのチラシの提案があったわけではない、有識者の一人が企画を提案したんだ、要約すればこういうような答弁が出てきております。齋藤参事官がおっしゃったには、スリード社の代表から意見を聞いたらと自分の側で言ったんだ、それは十月半ば以降だと思う、こういうお話でありました。

 そこで、民間から意見を聞くということについて、どうもそのタスクフォースのメンバー、これは、きょうの昼間、主なメンバーはということで、郵政民営化準備室、内閣広報室、政府広報室、タウンミーティング担当室、全部で重複を入れると十一名、実際の人数としては十名が主なメンバーだということでメンバーが明らかになっておりますけれども、このメンバーのそれぞれが、あの人からも意見を聞こうというようなことで、こもごもというか、全員が集まってだれそれにしかるべき場で決めるということではなくて、有識者とおぼしき人から個別に話を聞いていったんだ、どうもそういうような感じであります。各メンバーが、自分の人脈の中でこれとおぼしき人から個別に意見を聞いたということのようであります。

 そこで、この郵政民営化広報タスクフォースの責任者は、中城審議官と林室長がとりあえずの責任者であろう、こういう御答弁であったと思いますが、今の私の要約で概要間違いがないのかどうなのか、中城審議官、お答えいただきたい。そして、この民間の有識者には謝礼は支払っていないということでいいのかどうなのか、その点についてもあわせて御答弁いただきたいと思います。

中城政府参考人 お答え申し上げます。

 きのうの答弁の要約は、ほぼ辻先生の言われるとおりだと思います。

 謝礼については、広報室の方で把握しておりますけれども、一名ほど払った人がいるというふうに聞いておりますけれども、ちょっと確認します。

辻委員 一名は払ったと。それはだれに幾ら払ったのか、早急に御確認いただきたいと思います。(発言する者あり)今答えてください。

二階委員長 答弁できますか。(発言する者あり)

 では、速記をとめてください。

    〔速記中止〕

二階委員長 では、速記を起こしてください。

 中城内閣審議官。

中城政府参考人 申しわけございません、おくれまして。明治学院大学教授の川上教授という方に内閣官房からお金が出ていると。ちょっと金額は、ちょっとここでは確認できません。申しわけございません。

辻委員 それは、ではいつ確認できますか。この委員会に報告できますね。

中城政府参考人 済みません、今資料がわかりました。一万六千五百円でございます。

辻委員 そうすると、昨日、有識者は全員ボランティアだというふうに答弁がありましたけれども、これは間違いである、取り消すということでいいんですか。

林政府参考人 申しわけございません。確かに、川上教授以外の方には払っておりませんけれども、川上教授には払っておりますから、ボランティアという言葉は、お一人については適切でなかったと思います。

辻委員 齋藤参事官に伺いますけれども、スリード社のこの谷部さんという方を、有識者として意見を聞くのがいいんではないかと自分が提案をしたんだ、こういうお話でありますけれども、齋藤参事官は、谷部さんとはいつどこでお知り合いになったんですか。

齋藤政府参考人 お答え申し上げます。

 この谷部さんにつきましては、かつて大手広告代理店に在籍されていた、こういう経緯がございまして、その当時、私と面識があったということでございます。

 そのときに、非常に、何といいますか、広報の具体的な提案といいますよりは、むしろ広報戦略といいますか、広報の考え方、どういったことを今国民が求めていて、それに対してどういう形で対応するのがいいかというようなことについて大変しっかりしたお考えをお持ちだったというふうに認識しておりますので、私はこの方をそういうふうに評価しました。

 その後、この方はやめて独立されまして、私が聞いておりますのは、ある会社、具体的には東ハトでございますが、東ハトの企業再生ということにかかわるある種広報活動、何と言うんでしょうか、コーポレートコミュニケーションといいますか、会社のブランドの再構築と再建というようなことに大変御活躍されていると私は承知しております。そういったことも、今回この方に御意見をお聞きしたらいいのではないかというふうに御提案するベースにありましたということでございます。

辻委員 もと博報堂にいた、当時面識があった、それで広報関係について考え方が尊重すべきものである、こういう御答弁ですけれども、何か具体的な課題をめぐって意見を闘わせるないしは開陳し合うというところで、なるほどというようなことがあるのかなというふうに思うんですけれども、いつごろ、どういう場面でお知り合いになったのかというのが一つ。

 それから、東ハトの企業再生にかかわったということで活躍していたと承知しているというお話ですけれども、これはどう承知しているんですか。だれから聞いて承知しているんですか。御自分が東ハトの再生に関与されているんですか。していないとすれば、だれからそういう内容について聞いて知っているのか。それはいつのことなのか。それが二点目。

 そして三点目。その後、そのスリード社という会社を設立しているようでありますが、その経過については、齋藤審議官、どの程度御存じなのか。

 その三点についてお答えください。

齋藤政府参考人 お答え申し上げます。

 第一点でございます。いつごろ、どういった場面でということでございますが、これは、当時、私が新しく内閣府に発足した政府広報室の参事官をやっておりましたときに、いわゆる代理店の御担当としてお見えになっていました。したがって、小泉内閣が成立して以降のことだと思っております。

 それで、どういうことをその当時議論していたかというのは、もう大分たちますが、私が印象に残っておりますのは、要するにこの方は、現内閣、小泉内閣の構造改革というものに大変共感、共鳴されておりまして、これをいかに国民の方にわかっていただくか、そのためにはどういう広報といいますか情報発信を政府がしていくべきかというようなことで、非常にざっくばらんな意見交換をずうっと続けておったという記憶がございます。ただ、その結果、具体的にこういう広報になりましたというようなことはなかったように記憶しております。

 それから、第二点でございます、東ハトの経緯をだれから聞いたかというのは、多分、御本人がやめた後、実はこういう仕事を今やっています、こういうお話を聞いた記憶がございます。正確な時間といいますかあれは、記憶が定かでございませんのでちょっと申し上げられませんが、そういうことで、本人から聞いたという記憶がございます。

 第三点、会社設立の経緯でございますが、これにつきましては私は承知しておりません。

 以上でございます。

辻委員 小泉内閣発足当時に面識を持ったということですが、これはだれの紹介なんですか。齋藤参事官、だれの紹介ですか。

齋藤政府参考人 お答え申し上げます。

 当時、政府広報を担当する代理店の御担当のお一人として私どもの執務室にお見えになったという記憶がございます。

辻委員 そうすると、その後断続的に友人関係が成立していたというような御趣旨なのかどうなのか。そして、そのおつき合いについて、この郵政民営化問題で名前の出てきている方々がそれぞれ個人的な関係をどうも持っているようだということで、岸大臣秘書官、そして経済産業省の前田現ものづくり政策審議室室長、それぞれ谷部さんと関係があるということが事実としてあらわれてきていますが、その人たちとも、一緒にこもごも会ってお話をするようなそういう関係があったということなんでしょうか。いかがですか。

齋藤政府参考人 友人関係が続いていたかという御質問でございますが、当時、私は彼とは、やめる前は、つまり大手代理店をやめる前は、執務室のソファーでお茶を飲みながらお話をしたということしか記憶もございません。ただし、やめられた後、ある日私のオフィスに訪ねてきまして、今実はこういうことをやっていますと、現物は持ってこなかったのですが、東ハトの新しい本をつくられたということで、現物を持参してお見えになりました。そういう関係でございますので、友人関係というほどの関係が続いていたかどうかということについては、若干、私も執務上の関係が主であるということを申し上げたいと思います。

 それから二点目でございますが、今お名前の出た岸様それから前田様という方でございますが、私は一切面識がございません。(辻委員「本当」と呼ぶ)全くございません。一切ございませんので、道で会ってもわからないと思います。

 以上でございます。

辻委員 岸大臣秘書官、前田室長、現在も面識ないということでいいんですか。

齋藤政府参考人 おっしゃるとおりでございます。

辻委員 今般、このスリード社の谷部さんというのを有識者にどうかということを、そうすると提言したのは齋藤参事官だというお話だけれども、今の御答弁では、その会社の設立の経緯も知らないということなんだけれども、どうして、では今回推薦するような話になったんですか。

齋藤政府参考人 御説明しておりますように、私は、彼がやっている会社の云々について承知して、そのために彼の意見を聞いたらという判断をしたわけではなく、彼個人の持っている広報に関する能力、識見というものを高く評価して、ぜひ意見を聞いたらどうかということを申し上げたところでございます。

辻委員 スリード社というのは、二〇〇四年三月三十日に設立になっているんですよ。その経過を知らないということは、それ以前に会ったことはあるけれども、それ以降は個人的な関係がないということでしょう。情報がないということなんでしょう。そうじゃないんですか。

 では、なぜ今回その人を推薦するというふうな形になったんですか。きっかけは何なんですか。

齋藤政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど来申し上げておりますように、その会社がいつ設立されてどうこうということは、私、一切記憶にございません。したがって、正直どういうことだったかということは、その会社の設立とは関係なしに、先ほど来申し上げておりますように、彼の能力、識見を高く評価して、意見を聞いたらどうかということを申し上げました。その過程で、当然、東ハトで現に活躍されているということを十分考慮したところでございます。

辻委員 昨日お名前を出しましたけれども、羽村参事官とあなたの関係について、今回の民営化問題で、例えばこのチラシの問題が問題になっていますけれども、この問題についてあなたの側から羽村さんに何か要請をするとか、そういうような関係が成立していたということなんでしょうか。いかがですか。

齋藤政府参考人 先日御答弁しましたように、羽村参事官は郵政民営化準備室の広報の御担当の参事官でございますから、当然、いろいろな関係で連絡はあったと思っております。

 具体的に、本件に関しては、タスクフォースで意見を聞いて、その後この方から御提案がありましたので、この御提案については、私限りではなく、タスクフォース全体で考えてほしいということで、こういう御提案がありましたよということをお知らせしたという経緯があったと思っております。

辻委員 配付しております、平成十六年十二月二十四日付の内閣官房郵政民営化準備室作成に係る「内閣府大臣官房政府広報室御中」あての文書を一枚お配りしておりますけれども、これについて中城参事官に伺いたいと思いますが、これは、中城参事官、承知されておりますよね。(発言する者あり)審議官ですか、失礼。中城審議官のこれは責任のもとに作成されたということでよろしいんでしょうか。いかがですか。

中城政府参考人 お答え申し上げます。

 スリード社のこの文書は、政府広報室の方で契約をすることになっておりまして、それに当たりまして、スリード社の企画というものについて、これをぜひ採用したいというふうな文書を出して、これに基づいて政府広報室の契約が始まるという形になったということでございます。その前に、内閣広報室と一緒にタスクフォースでこのスリード社からの提案内容のヒアリングをやり、そして、そのタスクフォースでそういうものを採用するということが決まったので、こういう手続に入ったというふうに理解しております。

辻委員 今、広報室で契約することになっているのでこの文書をつくったというようなことをおっしゃったけれども、内容は全然違うじゃないですか。広報室に、ぜひともこの企画を採用してほしいというふうに準備室が意見を出しているんですよ。だから、広報室で契約ありきが先にあったんですか、この文書の前に。そういう答弁ですよね。それで間違いないんですか。

中城政府参考人 誤解があったら訂正いたしますが、もちろん、政府広報室というのはいろいろな広報をやっているわけでございますから、私どもが、この郵政民営化に関する広報をやっていただきたい、ただ、それをやるに当たってはどういうメディアがいいかというようなことで、政府広報室それから内閣広報室とのタスクフォースというものをつくって、いろいろな御意見を伺っていたということでございます。

 それで、タスクフォースでこういうのがいいだろうということになりましたので、これは本来郵政民営化の広報でございますから、私どもから政府広報室の方にお願いした。

辻委員 「当該企画を是非とも採用したい」というふうに準備室の意見を述べているんですよ、この二十四日付で。それで、政府広報室へ提案しているんですね、要請しているんですよ。だから、準備室のサイドで企画を受け取っているということがここからうかがわれるんですよね。

 今のお話では、タスクフォースで事前に準備室も広報室も一緒のところで何かやったというようなことをおっしゃっているけれども、明らかにそれは事実関係が違いますよ、ここで表現されている文章とは。

 だから、もう一回きちっと伺いますけれども、では、この二十四日の文章で言っている「当該企画」というのは、いつ提案があったものなんですか、だれに対して提案があったものなんですか、そして、それについて準備室の中でどういう議論をしたんですか。簡単に答弁してください。

中城政府参考人 スリード社の方から、内閣広報室を通じて、具体的な広報企画、この場合は折り込みチラシというものの提案がございました。それで、十二月の十七日に、それについてのタスクフォースでヒアリングを行ったというふうに聞いております。その後、私どもの方で、これについて採用するということになりまして、この文書を提出して、二十八日に契約に向かったということでございます。

辻委員 十二月十七日に提案があったんですね。それは、そうすると谷部さんからだれに提案があったんですか。答えてください、時間がない。

中城政府参考人 十七日に谷部さんからヒアリングをしたということでございます、タスクフォースで。

辻委員 おっしゃっている答弁は、これは虚偽だと思うんですよ。何でかというと、今般、有限会社スリードからこれこれの提案がありました、準備室としては「当該企画を是非とも採用したいと考えております」、「よろしくお取り計らいお願いいたします。」つまり、準備室に提案があったんじゃないですか、有限会社スリードから。広報室は知らないじゃないですか。だから、準備室として広報室にお願いの提案をしているわけじゃないですか。タスクフォースだったら、もうそこで広報室も知っているということになるわけだから、この文章が出てくる必然性がないんですよ。どうなんですか。

 撤回するものはきちっと撤回して、真実を述べてください。

中城政府参考人 恐らく辻先生のおっしゃっているのは、手続というのはどうなっているかということでございますと、それは、手続は十二月二十四日に……(辻委員「事実を聞いています、事実」と呼ぶ)事実というのは、ですから、十二月十七日にタスクフォースを開きまして、そこで谷部さんからヒアリング……(発言する者あり)タスクフォースというのはそういうことの意見交換の場でございまして、この契約に関しては、準備室が政府広報室にお願いして、それで政府広報室が契約をする、これが手続でございます。

辻委員 この文章を作成したのはだれなんですか。

 準備室の中で私がいただいた主なメンバー、中城審議官、羽村参事官、その他二名。羽村参事官がこれを作成されたんですか。羽村参事官が主要にこれは企画をされたんでしょうか。いかがですか。これは中城審議官にお答えください。

中城政府参考人 羽村参事官の方からこの原案を見せていただいたというふうに記憶しております。

辻委員 羽村参事官に伺いますけれども、そうすると、このスリード社からの提案というのは羽村さんが直接受けられたんですか、それとも、それ以外のだれかから受けられたんですか。事実はどうなんですか。

羽村政府参考人 お答えいたします。

 先ほど、内閣広報室の齋藤参事官の方からお答えしたと思いますけれども、齋藤参事官の方から、こういう案が来ているという形でいただきました。

辻委員 齋藤参事官からどういう形で来たんですか。

羽村政府参考人 齋藤参事官からメールで来ました。

辻委員 そのメールの内容を、具体的に、覚えている範囲で語ってください。

羽村政府参考人 今回、たしか、谷部さんからこのような積極的な提案があったので御検討くださいという形だったと記憶しております。

辻委員 それは、谷部さんから、では、その齋藤参事官のところに提案があったのはいつだということをメールには書いてありましたか。

羽村政府参考人 提案があった日付については書いていなかったと記憶しております。

辻委員 齋藤参事官、羽村さんにそういうメールを出した事実はあるんですか。いつ出したんですか。

齋藤政府参考人 お答え申し上げます。

 昨日も申し上げましたように、いろいろな連絡があったと思いますので、具体的には私も正直自信を持って申し上げられませんが、谷部さんから企画書というんでしょうか、それをいただいて、それをメールで関係の方にお送りしたという記憶はございます。(辻委員「いつだ、いつなんですか」と呼ぶ)この直前だったと思っております。

辻委員 私どもの手元にいろいろ資料が要するに寄せられているんですよ。それに基づくと、十二月十七日に齋藤さんは羽村参事官にメールを送っておられる。昨日、以前意見をいただいていた東ハトコーポレートブランド室の谷部さんという方から別添のような積極的な提案があった、つまり、十二月十六日に初めて谷部さんから提案があったんですよ。それについてよろしく検討をお願いしたいということを羽村さんに要請しているんですよね。

 これについて、谷部さんからこういう提案を受けてお願いしますというふうに言われたのは、どうしてなんですか。それについて、どういう個人的関係に基づいてこういうような要請を伝えているんですか。簡単でいいですから答えてください。

齋藤政府参考人 お答え申し上げます。

 十二月の半ばに、そういう御提案というか、具体的な企画書をまとめたので提案したいということで企画書をいただきました。

 この件は、タスクフォース、要するに、私ども単独で決めるべき話ではございませんので、関係者、郵政民営化準備室などに、こういう提案がありましたということをお伝えした、そういう事実関係でございます。

辻委員 そうすると、具体案が谷部さんからタスクフォースの面々に対して出てきたのは齋藤参事官を通してであって、この十二月十六日が初めてである、こういう理解でいいんですね。

齋藤政府参考人 十二月十六日かどうかは私の記憶にございませんが、十二月の半ばに初めて企画書をいただいたというふうに記憶してございます。

辻委員 林政府広報室長に伺いますけれども、この十二月二十四日の準備室からの要請を受けて、広報室としてこのスリード社について調査をしたんですか。どういう話になったんですか。簡単に答えてください。

林政府参考人 お答えいたします。

 スリード社と契約をすべく、私どもは、そのスリード社の登記、会社概要、決算報告書等を審査いたしまして、ヒアリングを行った上で、この会社の実績等を見まして、契約ということに至りました。

辻委員 二十四日に受けて、では、スリード社の実績については、いつ、どういう調査をやったんですか。その結果、契約に至るということについて、どういう内容で契約するというのは、いつ、どこで協議が行われたんですか。簡単に答えてください。

林政府参考人 お答えいたします。

 今申し上げましたように、登記、会社概要にいろいろな取引等のことは書いてございますが、それから、決算報告書等を見て確認したわけでございます。その後、どういう内容で契約するかということにつきましては、その企画内容が適切であるということで、それに基づきまして契約をいたしたわけでございます。

辻委員 決算報告書というのは、これは何期のものですか、いつ決算の決算報告書ですか。

林政府参考人 お答えいたします。

 最新のもの、十六年の日付があったものと記憶しております。

辻委員 二〇〇四年の三月三十日に設立されているわけだから、第一期の決算の決算期が六月とか七月であれば、その三カ月間の決算書が出てくると思うけれども、実績なんか、そんなものであるわけないじゃないですか。確認できるはずがありませんよ。(発言する者あり)そうですね、これは決算書をでは出してください、この委員会に。

 それと、では、契約しようという話になったというお話ですけれども、十二月二十四日の時点でまだ具体的な内容が全然これは出ていないんですよ。それで、チラシの予算について一億五千だとか三億だとかいう話がありますけれども、これは契約を三億でやろうというような話が進んでいたやに思えるんですが、これはどうなんですか。いつそういう話が出ていたんですか。お答えください。

林政府参考人 お答えいたします。

 今のこの十二月二十四日付の資料、これは別に中身を書いてあるわけではございませんけれども、別途、企画の中身それからそれにかかる費用というものの説明といいますか、書かれたものは見ております。それにつきまして、それを妥当といたしましたので、一億五千万円だったと思いますが、の契約を十二月二十八日に、昨日もお答えいたしましたように、十二月二十八日に契約いたしております。

辻委員 見積書等が出ているものが私の手元にありますけれども、これは十二月二十八日付なんですよ、見積書は。要するに、有限会社スリードから大臣官房の方に見積書、十二月二十八日付なんです。見積もりが出て、例えば相見積もりをとったり、それに対して検討して、そしていろいろ契約事項を詰めて契約をしていくというのがこれは世の中の常識ですよ。だから、十二月二十八日に見積書が初めて出てきたというのは、これは間違いないんですね。いかがですか。

林政府参考人 先生がお持ちというのは、最終的な正式な見積もりと思いますが、どのぐらいかかるかということについては、それは、企画内容と並行して私どもは打ち合わせはしております。

 しかし、最終的に契約いたしましたときは、十二月二十八日ですか、その日にちの見積もりになっているものと思います。

辻委員 では、これ、十二月二十八日付の見積書は最終的なものであって、これ以前の見積書があるということですね。では、その見積書はいつ出たものですか。それについて全部文書で出してくださいよ。

 まず、事実として、いつ、これ以前に見積書が出たんですか。内容について答えてください。

林政府参考人 今の件についてすぐお答えできる材料がございませんので、お時間をいただきたいと思います。

辻委員 では、契約をしたとおっしゃっているわけだから、契約に至る過程で出た各書類ですね、決算書、そしてその実績に関する書類、そしてまた見積書、その見積もりの準備的な見積書もあるというお話だから、その一連の書類を全部この委員会に出してください。約束できますね。出してください。

林政府参考人 確認いたしまして出せるものは出しますが、例えば決算書、ちょっと私存じませんが、決算書というものについて私どもの一存で出せるかどうかとか、そういう点はまた検討させていただきたいと思います。(発言する者あり)

二階委員長 林政府広報室長、再答弁をお願いします。

林政府参考人 私の申し上げた趣旨は、決算書等は私どもはもちろんいただいております、ですからそれをチェックしたわけでございますけれども、それを、各情報、個人情報といいますか、企業の情報を私どもが一存で出せるかどうかということについては私自信がございませんということを申し上げましたので、それを含めてチェックいたします。(発言する者あり)

二階委員長 では、速記をとめてください。

    〔速記中止〕

二階委員長 それでは、速記を起こしてください。

 辻惠君。

辻委員 では、決算書を速やかにチェックの上出すことをお約束いただきたいと思います。

 それで、さっき、見積書、十二月二十八日付のもの以前にもあったというようなお話ですが、これも出していただくというお約束をいただいていますが、それは金額は大体同じ金額なんですか。それは大体いつごろ付のものだったんですか。お答えください。

林政府参考人 それにつきまして、今私として確認できることございませんので、帰りまして確認いたします。

辻委員 では、さっき、十二月二十八日付の見積書は最終の日時合わせの見積書であって、これ以前に見積書が出ていたということをおっしゃったじゃないですか。今の答弁だったら、見積書がそもそもあったかどうか自体あやふやな答弁になっていますよ。どっちなんですか。それ自体は答えられるでしょう。それで、大体いつごろのものだったのか、金額はどれほど変わっていたのか、ほとんど変わっていなかったのか、それは答えられるでしょう。記憶があるんでしょう。だから、この前に見積書があったというふうに答えたんじゃないですか。その点、どうなんですか。

林政府参考人 申しわけございませんけれども、今のことすべてにつきまして、もう一度帰って確認して、しっかりお答えいたします。(発言する者あり)

二階委員長 では、速記をとめてください。

    〔速記中止〕

二階委員長 速記を起こしてください。

 林大臣官房政府広報室長。

林政府参考人 例えば、この企画自体がどのぐらいの金額の規模というようなこと等がわからないと議論はできませんから、そういうことについての私はインフォメーションはあったと思います。

 ただ、見積書的なものとしてあったかどうかということにつきましては、確認等して、資料として、あるものについては出させていただきたいと思っております。

辻委員 いや、明らかにさっきの答弁と違いますよ。さっきの答弁は、十二月二十八日付の見積書、十二月二十八日付で見積書が出て、相見積もりもとったりいろいろ時間がかかるのに、同じ十二月二十八日に契約はおかしいじゃないかということを私は質問したんですよ。

 それに対して、いや、この見積書の前に見積書が出ていたんだ、だから十二月二十八日の契約はおかしくないんだというそういう趣旨で答えたんですよ。だから十二月二十八日以前に見積書があるんです、はっきり答えたじゃないですか。今の答えは全然違うじゃないですか。どっちが正しいんですか。整理してください、整理。

林政府参考人 お答えいたします。

 申しわけございませんが、それ以前に見積書という形のものであったようなふうに私が答弁いたしたとしましたら、それについても私は誤った印象を持たれたかと思いますけれども、それも含めて、どういう書類で検討したかというものについては、帰りまして確認いたしまして、御提出いたしたいと思います。

辻委員 金額は余り変わりがなかったんですか、どうなんですか。その点だけでも答えられるでしょう。結局、この十二月二十八日付では一億五千六百十四万四千五百九十二円になっていますよ。金額は余り変わりがなかったんですか。その点だけは答えてくださいよ。記憶があるでしょう。五千万も違う、一億も違う、そういうことであれば記憶に残っているでしょう。どうなんですか。

林政府参考人 お答えいたします。

 それにつきましても、私、あやふやなことを申し上げるわけにいきませんので、確認いたします。(発言する者あり)

二階委員長 ちょっととめて。

    〔速記中止〕

二階委員長 速記を起こしてください。

 辻惠君の質疑は、中塚君、塩川君、山本君の後に……(発言する者あり)

 もう一度申し上げます。

 辻惠君及び中塚一宏君の質問は、塩川、山本両君の後に回すことにいたします。そして、その間、政府答弁の準備をいたさせます。

 それでは、次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 今回の民営化法案の中で、金融のユニバーサルサービスの義務づけがなくなるわけであります。移行期間は、金融行政の観点から、郵貯銀行に対し安定的な代理店契約が義務づけられますが、移行期間後については縛りがございません。

 その際、郵貯銀行にとって郵便局会社の二万四千という郵便局のネットワークに価値があるので、金融業務の委託が続くと想定されるとしております。過疎地や不採算地域を切り捨てるのではないかという指摘に対して、この二万四千がネットワークされていることが強みであって、それがネットワーク価値なんだということを説明してまいりました。

 そこで、このネットワーク価値について何点かお聞きしたいと思うんですけれども、この郵便局会社の二万四千の郵便局にネットワーク価値があると言うのなら、なぜ基金を設ける必要があるのか、この点を伺いたいと思います。

竹中国務大臣 お答え申し上げます。

 ネットワーク価値というのが今回の郵政改革を考える上で大変重要な概念であると私は思っておりますし、そのような御説明をさせていただいております。

 塩川委員の御指摘は、では、ネットワーク価値がもし本当に完璧にあるんであるならば、基金、そのようなものは必要ないではないかと。それはおっしゃるとおりだと思います。私は、基本的にネットワーク価値というのが非常にあると思っておりますが、それでも、例えば、非常に局所的に過疎地の最前線の小さな郵便局等々でネットワーク価値がないというようなことに万が一になった場合に、そのときには、地域の貢献というようなこととして、まさにそのときに備えて基金を準備しようというのが今回の趣旨でございます。

 原則としてネットワーク価値があるというふうに思っておりますけれども、それでも、万が一にそういうことが、仮に過疎地などの一部の郵便局でこのネットワーク価値に問題が生じて、貯金、保険のサービスの提供が困難となる場合には、社会・地域貢献基金を活用して、地域にとって必要性の高い金融のサービスの確保を図ることとしているところでございます。

塩川委員 今、万一という場合のお話もございました。五月二十七日の宮下委員への竹中大臣の答弁の中でも、「確かに一部についてはもうネットワーク価値がないというようなことがあり得る」というお話がございました。

 では、ネットワーク価値がないところというのはどういうところなのか。ネットワーク価値が一体として本来あるというお話ですけれども、ないところがあるんだと言うんですが、それはどういうところになるんでしょうか。

竹中国務大臣 ネットワークの価値というのは、例えば送金等々で考えるとわかりやすいと思いますけれども、要するに、送金というのは、東京から私のふるさとの和歌山の山間部にまで送れる、もちろん大阪にも送れるけれども、そういう山間部にも送れる、どこにでも送れる、また、その和歌山の山間部から私に何か支払うこともできる、それがまさにネットワークの価値でございます。

 そういう意味で、もうそこは本当にそういう価値が見出せないというふうに事業者が判断する場合としては、もう本当にその人口が減少しているような過疎地の最前線の小さな郵便局、そういうような場合にはネットワーク価値がなくなるということに対して万一の備えをしておかなければいけない、そのような観点から基金の活用を準備しているわけでございます。

塩川委員 今、お話の中にもありましたけれども、どこまでネットワーク価値があって、どこから先がネットワーク価値がないのか、こういう判断というのは、いわば事業者の判断と事業者の一存というところがありますよね。事業者の判断だということでよろしいですね。

竹中国務大臣 そこは、ネットワーク価値を見出して契約するかどうかというのは、これは事業者の判断ということになります。

 一方で、受託する側の郵便局会社から見ますと、過疎地には現状維持も含めてしっかりと局を配置しなければいけない。そのネットワークを維持する、価値を維持するということが当然会社としての重要な戦略になってまいりますから、その中で、当事者同士で交渉が行われ、そして経営判断に基づいた契約が行われるということを想定しております。

塩川委員 事業者の判断、経営者の判断次第ということになるわけで、その経営者の判断次第では、ネットワーク価値の範囲というのが、対象となる範囲が変動するということに当然なってくるわけであります。

 そこで問われるのが、郵便局会社にとってみれば、それはもう維持してもらいたいというのは当たり前ですけれども、問題なのは、郵貯銀行にとって価値があるかどうかということなんですよ。そこで当然のことながら、経済性、採算性の問題が出てくるわけです。そのときに、では、判断をするのはだれかといえば経営者の判断だというときに、現実にどういうことが起こるのか。この点について言えば、経営者の立場から、そういう不採算地域について維持することは困難だ、こういう声が当然上がってくるわけであります。八月の経済財政諮問会議の場で、生田総裁自身がそのことを述べておられました。

 もし郵貯、簡保に対して、金融のユニバーサルサービスの義務づけを外すということが前段としてあったわけですけれども、郵貯、簡保に対して単なる努力目標ということで置かれた場合に、経営者の立場としては、それに気を使いつつも、最終的には資本の論理の使命感と誘惑には勝てないと思う。その結果として、郵貯、簡保を中心に郵便ネットワークの一部にほころびが出れば、結果としてネットはぼろぼろになってしまうだろうし、そうした努力目標と実際の必要性という板挟みの中に新しい経営者を置くのは非常に過酷だという言い方で、いわば、義務づけなければ資本の論理の使命感と誘惑には勝てない、経済優先のもとで郵貯銀行が金融サービスの委託をどんどん減らす方向に働かざるを得なくなる、このことを一番危惧している声がこういう現場の中からも出されているわけであります。

 郵貯銀行と郵便局会社に金融サービス提供の義務づけがない以上、不採算の郵便局から貯金・保険業務の撤退が起こらざるを得ないというのは、これはもう当たり前のことじゃないでしょうか。

竹中国務大臣 経営者の立場からその経営をしっかりさせなければいけない、それで地域に貢献するということをいかに両立させるかというのは、これは、経営者にとって、今のまさに公社の経営に当たっておられます生田総裁にとっては大変重要な課題というふうに認識しておられる、そのことは私も何度も拝聴しているところでございます。そういう問題があるからこそ、しっかりとそうした問題をクリアして地域の金融サービスを確保するためにこの基金の仕組みを私たちはつくっているわけでございます。

 繰り返しになりますが、そもそも、業務展開を行う、つまり、全国津々浦々の局を活用して業務展開を行う郵便貯金銀行、保険会社については、やはり、その郵便局ネットワークのネットワークバリューをしっかりと維持して活用することが、これは経営にとっては極めて重要な、まさに郵貯バンクのビジネスモデル、今のビジネスのあり方として大変重要だというのが根底にあるというふうに私たちは認識をしております。

 しかし、それにもかかわらず、過疎地の最前線等々でネットワークバリューが低下するということがこれはやはりあり得るということで、今の基金の制度をつくりまして、そしてそこに地域の有識者の意見を言ってもらって、それをしっかりと尊重するということを義務づける形でこの基金の活用を制度化しておりますので、今、塩川委員がおっしゃっているような確かに難しい問題はあるにしても、結果的に地域における金融のサービスがしっかりと確保されていく、そのような仕組みにしているつもりでございます。

塩川委員 ネットワーク価値というのはごまかしなんですよ。本当に金融窓口業務においてネットワーク価値があると言うのであれば、なぜ、民間銀行が過去六年間で二割も店舗を減らすのか、過疎地で二五%も減らすのか。結局、郵便局があっても金融窓口業務がないというところが生まれることになる。ドイツがいい見本で、一万二千の郵便局があるのに対し三千は金融サービスがないわけで、いわば、一体経営であろうと、採算重視ならこうなる。

 義務づけがない以上、経営者の判断次第で金融サービス業務の委託が行われなくなるわけで、これでは金融サービスを維持することができない、郵便局網がずたずたになる、このことを指摘をして、質問を終わります。

二階委員長 次に、山本喜代宏君。

山本(喜)委員 社民党・市民連合の山本であります。

 六月十日付の全国農業新聞に「携帯が使えない 過疎の農村」という見出しで、農村部、とりわけ中山間地における通話エリアの狭さが取り上げられていました。携帯電話のアンテナの鉄塔を一基建てるのに、平均で六千万円、山間部では一億円以上経費がかかる。採算性を考えると、過疎の地域には鉄塔はなかなか建たないというのが現状でございます。民間にできることは民間にというふうに言っておりますが、この民とは、国民でも市民でもなくて、マーケットですね。市場原理に基づいて株主への利益還元の最大化を目指す民間企業が、この持ち株会社の株を国が所有するということだけで実態としてユニバーサルサービスが行えるという根拠は、極めて薄弱なわけであります。ないから社会・地域貢献基金を設けるということでございますから、この基金を積み立てなきゃならないということ自体が、民営化すれば郵便局が成り立たなくなるという前提の制度設計ではないかというふうに思うわけでございます。

 そこでお伺いしますけれども、きのうの我が党の東門議員の質問に対して、過疎地の七千二百二十の郵便局は維持されるということでございました。私は秋田県の出身でございまして、ことしの三月に、町村合併、四町が合併して北秋田市というのが誕生しました。ここは、阿仁のマタギということで有名な大変な過疎地でございますが、面積は秋田県の一〇%、しかし、山林が多いために可住地面積が一六%にすぎない、人口密度三十六・五人。ここに、現在一つの普通局と十五の特定局がございますが、私がその地元に帰って、北秋田市の郵便局は民営化になっても大丈夫ですというふうに言って、これは大丈夫なんですね。

竹中国務大臣 冒頭で山本委員が、山間地域、農村地域の携帯のお話を御紹介されましたが、通信もそうでございますし、郵便もそうでございます、やはり社会的な、公的な機能を有しているところ、それとその民間の活力を両方生かすという仕組みを、私たちは今回の制度設計で知恵を絞ってつくったつもりでございます。

 秋田県の先生の地元の郵便局でございますけれども、これは基本的には、会社は、総務省令で定めるところによって、あまねく全国において利用されることを旨として郵便局を設置するというのが、これは法律に書かれている大前提でございます。その上で、総務省令では、過疎地については、法の施行の際現に存する郵便局ネットワークの水準を維持することを旨として次に掲げる基準により郵便局を設置する、そしてその基準の中には、地域住民の需要に適切に対応することができるようにする、いずれの市町村についても一以上の郵便局が設置されていること、交通、地理その他の事情を勘案して地域住民が容易に利用することができる位置に設置されていることということでございます。

 市町村合併等との問題ももちろんございますわけですけれども、従前過疎地域だった市町村と非過疎地域であった市町村がこれは市町村合併により非過疎地域となった場合であっても、従前の過疎地域であった市町村の区域については、過疎地域自立促進特別措置法の第三十三条の規定によって過疎地とみなされるというふうに承知をしております。

 委員のその地域が具体的にこの過疎地にどの程度現状で当たっておられるかどうかというのは私は承知をいたしませんが、今申し上げたような基準で、その過疎地域に法施行の際設置されているものはしっかりと維持されるような仕組みをつくっております。

山本(喜)委員 過疎地においても郵便局網は維持されるという答弁でございますが、九日の竹中大臣の答弁は、貯金・保険会社、これはすべての郵便局を対象としているわけではないというような答弁でございました。

 そうすると、郵便局は残るとしても、郵便貯金、保険、これについては、過疎地ではユニバーサルサービスは義務づけられないわけですね。この点について再度確認をお願いします。

竹中国務大臣 私が御答弁申し上げましたのは、恐らく川内委員への御答弁かと思いますが、すべての郵便局を代理店とする旨の契約をこの条件としているわけではない。条件というのは、みなし免許を出すに当たりまして長期安定的な契約というのを求めている。これは、法律で求めているのは、移行期間を十分にカバーするような長期安定的な契約、そういう趣旨でございます。したがって、すべての郵便局を代理店とするということを直接その法律の条件としているわけではない、そのように答弁をさせていただいたつもりでございます。

 しかしながら、これは長期安定的な契約、しかも、みなし免許というのは、きのうまでやっていた事業を、四月一日に、きょうからも継続してしっかりと混乱なく移行させるというところに趣旨がございますので、その前までしっかりと金融をやっていたところについては、しかも、この郵便局というのは全国津々浦々のネットワークを活用して地域密着型のビジネスモデルであるということも考えますと、そういう郵便局において、それまで公社のもとで金融サービスがなされていたところについては、それが一括契約の中で当然引き継がれることになるだろうというふうに考えているわけでございます。その趣旨を御理解いただければ幸いでございます。

山本(喜)委員 つまり一括契約だと。すべてではないが、現実としてはすべての郵便局と契約になるということで理解していいですね。

 そうした場合、つまり、契約を結ぶところの貯金会社、これは、不採算を前提として、赤字覚悟の上でこの店舗網と契約するということになるわけですね。そうした場合、これは銀行法上、赤字地域でサービスを義務づけられるということになると、銀行としての財務体質の悪化ということになった場合の業務改善命令というふうになりかねないわけでございます。そうした場合、銀行法上問題ないのか、お伺いします。

竹中国務大臣 大変御関心も高く、重要な問題だと思いますので、少しまた丁寧に申し上げたいと思いますが、これは、銀行、保険会社に対するみなし免許の条件として付されるところの代理店契約、保険募集契約については、すべての郵便局を代理店等とする旨の契約の締結を免許の条件として義務づけているものではありませんが、法人としての郵便局会社と郵便貯金銀行または郵便保険会社との間において、全国的な店舗網、保険募集体制を、全体として一括して業務委託する形で契約が締結されているものと想定している。つまりこれは、三月三十一日までは公社としてやってきたことが四月一日以降も切れ目なくやはり継続されるということが、これはまさに、その切れ目なくやってもらうからこそみなし免許を出すわけでございますので、その趣旨でございます。

 それで、山本委員の直接のお尋ねは、その場合に、そうすると、黒字のところもあるけれども赤字のところも含まれるんだ、赤字覚悟でそれを引き受けるということは、銀行の健全性をむしろ損なうのではないかという御指摘かと思いますが、これはまさに、ネットワークとして、全体として全国にそういうネットワークの基盤を持っているというところにこの金融会社、銀行、保険会社のビジネスの強さがあるわけでございますから、例えば極端に言いますと、では、東京と大阪だけ契約すればどうなるんだと。そうすると、これはもう全国津々浦々カバーするというこの銀行の強みが全く発揮されなくなるわけでございますから、そういうことは想定されないわけでございます。

 これは、当然ネットワークの価値としては、ネットワークを持っている以上、黒字のところもあれば赤字のところも出てまいりますが、その黒字の部分で十分赤字をカバーして、それで全体として高い収益、収益の最大化も図っていける、そういうビジネスモデルでございますので、赤字のところが一部含まれているから健全性を損ねるという考え方はとっていないわけでございます。

伊藤国務大臣 健全性の観点の御質問がございましたので、私からもお答えをさせていただきたいと思います。

 今、竹中大臣からも御説明がありましたように、郵便局ネットワークは、他に類を見ない巨大かつ稠密なネットワークであり、長年このネットワークを利用して業務展開をしてきた郵貯が、この点に競争上の優位を見出してビジネスモデルを構築しようとすることは、当然考えられることと承知をいたしております。

 郵便貯金銀行が、郵便局ネットワークを活用してこれまでと同様の業務展開を行おうとすることは、少なくとも、これまで、郵貯に健全性の観点から差し迫った問題があったとは認められないことから、基本的には問題がないものと考えております。

山本(喜)委員 ですから、その切れ目なく行うということでのみなし免許ですね。ネットワーク全体として一括して契約する。しかしながら、これは市場原理のもとで行われる契約ですから、例えば現実の世界で起きていることは、市場原理のもとで、例えばダイエーという会社も、地方の赤字店舗は閉鎖しているわけですね。これは、現実に社会の中で起きていることなんですよ。そうした場合、このネットワーク網を一たん強制して一括契約するということはあっても、しかし、それ以降の経営判断でどうなるのかということが問題になるわけですよ。

 例えば、本来貯金銀行が三つを希望したい、しかし、全部で十カ所と契約しろということになった場合、残りの七つの分は不当に高い手数料を払わなきゃならない、そういう可能性が出てきますね。ですから、その不当に高い手数料、委託料を払うということになった場合、一つは、銀行法上のアームズ・レングス・ルールから見てこれは問題ないのかと。これは金融担当大臣、お願いします。

伊藤国務大臣 今のお尋ねは、銀行法の第十三条の二のことでございますけれども、十三条の二におきましては、特定の関係者との間で行う取引で、その条件が当該銀行の取引の通常の条件に照らして当該銀行に不利益を与えるものを禁じておるわけであります。

 これに対しまして、郵便貯金銀行が郵便局会社と安定的な代理店契約を締結しようとすることは、これまで長年にわたり郵便局ネットワークを活用して事業展開をしてきたこと、自前の店舗網を整備する場合には膨大なコストを要すること、郵便局ネットワークに価値を見出していることなどの理由があるものと考えられ、一概に兄弟会社間の取引を禁ずることが銀行法の趣旨ではないと承知をいたしております。

山本(喜)委員 次に、寄附金の観点から財務大臣にお伺いしますが、寄附金ということには当たらないのか。相当多数の赤字の分も含めて、ネットワークを維持するために不当に高い手数料を払うということになったら、これは寄附金という概念が生じないかということです。この点、いかがですか。

谷垣国務大臣 今のお尋ねは、移行期間中と、完全民営化した場合と二通りあると思うんですが、寄附金の扱いは、法人税法上、三十七条七項、八項あたりに書いてございますけれども、一般に、その事業に直接関係なく任意に、かつ対価の授受なく無償で財産的給付を行うもの、こんなふうに定義するわけですね。

 そこで、移行期間中は、郵政民営化法で、郵便貯金銀行等について、業務の健全、適切かつ安定的な運営を維持するための基盤となる代理店契約あるいは保険募集委託契約の締結が義務づけられているわけですので、これはもう任意のものとは言えない、法律上義務づけられている、こういう法律の趣旨にかんがみますと、これは寄附金課税の問題とはならない、こういうことだろうと思います。

 そして今度は、移行期間を終えた後、委員の御質問は、ユニバーサルサービス維持のため委託手数料が不適当な水準になった場合どうかということですけれども、これは、郵便局会社と郵便貯金銀行の間の委託手数料、これは当事者間の交渉によって適正にその水準が決定されていくということでありますから、これは直ちに寄附金課税の問題を生じさせることはないというふうに考えております。

山本(喜)委員 公正取引委員会にもお伺いいたしますが、これは独禁法の観点から、不当に高い手数料を義務づけるということになった場合の独禁法上の観点、問題はないんでしょうか。

竹島政府特別補佐人 手数料の高さにつきまして、それがまさに同等の立場にある者が協議をして定めたということであれば、それが不当であると言うわけにはまいりませんので、今の財務大臣が寄附金について御答弁されたと同じように、その高さについて、決め方の問題はあると思いますが、決まった水準について独禁法上云々という話にはならないというふうに理解しております。

山本(喜)委員 政府の方からは、適正な水準ということであれば、これは、そのそれぞれが協議して交渉によって決めることだというふうにお話がありました。とすれば、交渉によってこれからそれぞれの会社で決めていく手数料になるわけですね。

 そうすると、政府が決めているこの骨格経営試算それから採算性に関する試算ということが出されておりまして、これは黒字を維持していくということが示されていますけれども、その前提条件となる委託手数料、このことが、全くこれからの問題であるにもかかわらず、この前提条件が既につけられて十年間のあれが出されているということは、これはどういうことなんですか。

竹中国務大臣 骨格経営試算でございますけれども、これは、マクロ的な手法で趨勢的なその利益の動向を把握して、それで枠組みについての確認を行うという趣旨でございます。そのときに、当然のことながら、どのような売り上げになって、そしてどのように手数料を払っていくかというある程度の想定をしないと骨格の経営試算ができないわけでございますが、そのときの基本的な考え方、これは後の契約をもちろん縛るものではございません。

 我々としての趨勢的な動向の見通しでございますけれども、全体的な手数料の考え方としましては、この窓口のネットワークの機能の貢献の度合いをはかる、それとか、民間の同種の事業における手数料等々を考慮して設定する、民間準拠、市場への準拠というふうに申し上げておきますが、例えば、保険の委託というのは民間で例がございますから、それは民間と同じような条件でこの中に織り込んでいる。銀行につきましては、これは、窓口のある銀行と窓口のない銀行でどのぐらいその金利差が生じるのか、それが窓口のまさに貢献であるということで、そこから市場に準拠するという形で持ってくる。そのような手法を積み重ねまして骨格経営試算を行っております。

 これは、もちろん後の契約を縛るものではございませんが、市場に準拠して一つの目途を立てているものでございます。

山本(喜)委員 窓口会社がこの手数料の水準で果たして維持できるのかどうかということがやはり問題になっていくと思うんです。半数の十三万五千人、多数の職員が配置される窓口会社の経営、これを結局維持していくためには、手数料の水準というものをもう一度きちんと見てやっていく必要があるんではないかというふうに思います。

 以上、この窓口会社の今後の経営については非常に危惧を持っているということを申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

二階委員長 四時十分まで休憩といたします。

    午後四時五分休憩

     ――――◇―――――

    午後四時十五分開議

二階委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。辻惠君。

 最初に、林大臣官房政府広報室長より答弁を求めます。

林政府参考人 お答え申し上げます。

 それで私、今お時間いただきまして、お話しございました決算書、実績等が書かれました会社概要、それから見積書について、今お出しできた状態でございます。

 それから、一点、先ほどから御質問ございます、十二月二十八日以前に何か見積もりがあったと言ったではないかということでございますけれども、これは、今帰っていろいろその当時の書類を調べましたけれども、ございません。

 それで、これは私の思い違いで、ただ、私が申し上げたかったのは、一億五千六百万というようなものがいきなり出てきたわけではなかったので、私としては、事務的なやりとりの中で約一億五千万円という数字は当然聞いておったわけでございますので、それをもって見積書というような言い方を私が先ほどしたとしましたら、それは私の勘違いでございまして、申しわけございませんでした。

 以上でございます。

辻委員 これを今受け取りましたけれども、この会社概要で、二〇〇四年三月三十日から九月三十日まで売り上げが九千百五十万というふうになっていますが、十二月二十八日の時点ではどういう確認になったんですか。実績について、これに目ぼしいプラスされるようなものがあったんですか、なかったんですか。

林政府参考人 正確に申し上げます。

 これにつきまして、今の御質問でございますけれども、これはどの役所でもそうと思いますけれども、会計の担当の者がチェックいたしております。私、室長としてこれをすべて実は一行一行見たということではございませんので、それは正直にお答えいたします。

 ですから、ちょっと今の御質問にあいまいなお答えはできません。

辻委員 いや、だから、正直に答弁するものとそうでないものを分けて答弁されたら困るんですよ、これ。

 では、契約に当たって実績を調査した、それで、確認した実績は、この会社概要に書かれている実績が契約に当たって確認した実績だ、こういう理解でいいんですね。

林政府参考人 申しわけございません。それにつきましても、私が一々、一つ一つ相手とやったわけでございませんけれども、基本は、今先生がおっしゃいましたように、この会社概要でございます。それから、そのほか、本人にヒアリングをいたしましてその周辺事情とかは聞いておりますので、それをもって実績を確認したと申し上げております。

 それは、今言いましたように、私がやったわけではございません。

辻委員 では、この会社概要の実績に加えて、本人からヒアリングをして実績を確認したというのはだれなんですか。答えてください。

林政府参考人 それもちょっと申しわけございません、正直に言いまして、だれというか、各部屋、組織でやっておりますので、それは、決裁、私が最終判断するまでにやっておるということでございますが。

辻委員 今のお答えだったら、契約に当たって林室長が知らないことがあるわけですよね。ほかのメンバーも含めて、どこかでだれかが確認をした、ばらばらに確認しているわけですよ。だから、それをまとめて契約に至っているわけだから、官庁としての稟議書があるはずですよ。これを出してください。ありますね。出してください。

林政府参考人 失礼しました。今のお話は決裁の書類だと思いますので、それは出せます。

辻委員 この会社概要が提出されたのはいつのことなんですか。

林政府参考人 本当に私急に言われまして、それはわかりませんし、いつ出されたかと言われましても、それはちょっとお答えできません。それは、隠すとかそういうことではございません。わかりません。

辻委員 十二月二十四日に準備室から、こういう具体的な企画があるということで、これをぜひ採用してくれということで広報室に来たわけじゃないですか、正式に、十二月二十四日。だから、それを受けて、広報室では正式にそれを検討したわけですよ。その検討に当たって、会社概要なり決算報告書は当然材料として提供されていたということだと思うんですが、その間に、それ以外の実績をだれかが当人から、谷部さんからヒアリングをして、ほかにも実績があるかどうか確認したというわけでしょう。それで、それの総合評価として契約するかどうか決めたわけじゃないですか。

 だから、その経過について、その決裁に至る経過について、どういう段階で、どういう確認の積み重ねの上で決裁がなされるのかというそのプロセスについて、手続について、きちっと今説明してください。

林政府参考人 今の件につきましても、先ほどから申しますように、私、室長としてすべてをフォローしていたわけではございません。

 それから、さっき、実績に関しまして、例えば、これの会社概要以外に追加するもの云々ということでございましたけれども、それが、そういうものが出たということかどうか、そういうことも私が知っているわけではございません。

 ただ、この会社概要も、読んだだけではわからない部分がありますから、それについては、当然ながら相手とヒアリングはいたします。

辻委員 では、それは、ヒアリングはだれがいつやったのかというのは、関係者に確認して、これは報告できますね。いつ報告できますか。

林政府参考人 お答えいたします。

 今のような点について、いつ、だれがということにつきまして、ちょっとそれは、さかのぼって確認できるかどうか、それは難しい部分とは思います。(発言する者あり)それは、もちろん、わかればお話し申し上げます。

辻委員 そうすると、契約に至る実績の確認において、以前にどこかの官庁と契約をしていたかどうか、そういう実績があるかどうかというのは、それは判断材料に入っていたんですか、入っていなかったんですか。その点はどうなんですか。

林政府参考人 ここに今お配りしました会社概要、この中に、経済産業省、ものづくり白書というものの関係の実績ということで書いてございますから、官庁と今まで契約があったかどうかということにつきまして、別に、一般的にそれが必須かどうかということは別でございますけれども、これが一つ実績として我々は受け取ったことは事実でございます。

辻委員 十二月二十八日に見積書が上がって、その見積書の内容について、何人日何にかかるかとかいうようなことが書かれていると思うんですが、それのチェックは、だれがどこに、例えば相見積もりをとったりという形でやるんですけれども、だれがチェックをしたんですか。これについてお答えください。

林政府参考人 そういう細かい積み上げのところというのは、各部局にございます会計の担当部局が中心になって検討いたしております。

辻委員 この決算報告書の貸借対照表の流動負債の項目を見ると、未払い法人税等ということで百十五万七千九百円。法人税も払っていないところに公共事業の契約をするというのは、これはだれが判断したんですか。どういうことなんですか、これは。

林政府参考人 そういう点も含めまして、この有限会社スリードと契約できると判断いたしました。(発言する者あり)

二階委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

二階委員長 では、速記を起こしてください。

 辻惠君。

辻委員 実際、これは国民注視の郵政民営化法案が問題になるというのはわかっていて、それのチラシということで随意契約を結んでいるわけですから、当然、その貸借対照表の中身はチェックするはずなんですよね。だからこれ、未払い法人税等というのが九月三十日現在に残っていたけれども、それが払われたのかどうなのか。それ以外に売掛金や買掛金というのがたくさんこれは残っているんですよ。一千万近い、それぞれ。売掛金は一千三百万。だから、そういう会社の内容をチェックしたのかどうなのか、それ、十二月二十四日から二十八日の間に。しかも、政府広報室の室長の林さんは知らないんですよ。だれがそういうことをヒアリングしてチェックしたんですか。この点についてだれがというのは答えられるんですか。答えられないんであったら、早急にそれは調べて、報告してください。

 林さん、どうですか。

林政府参考人 今の件でございますが、確かに未払い法人税等がございますけれども、例えば、これがこの時点で少しでもあれば絶対だめなのかとか、そういうことに関しまして、申しわけございませんけれども、専門的に判断して、この時点でこれがあることが障害にならなかったんだと思いますが、それは、今言いましたように、私自身が細かいことをお答えは今できません。

 それから、今言ったようなことについて、後日これが、例えば、委員御質問では、払われたかどうか、そういうようなことをチェックしたかということについては、私ども、部屋全体で仕事をやっておりますから、それは会計担当部門の方でそのことも含めてやったんだろうとは思いますけれども、それについても私が今あいまいなことをお答えするわけにはいかないと思います。

辻委員 これは、決裁の表紙は私の手元にあるんですよ。それで、これ、政府広報室長の林さんの判こが一番上に押してあるんですよね。だから決裁しているわけでしょう。では、どういう事実を確認して決裁したんですか。貸借対照表の未払い金がどうなっているのか、それも確認しないで決裁しているんですか。おかしいでしょう、これ。

 しかも、この問題について……(発言する者あり)これは提供されたものですよ。何言っているんですか。(発言する者あり)提供されたものです。

 それで、これは林さん、もう一回伺いますけれども、この決裁をするに当たって、チラシの枚数について、何枚これを発注するという話が前提になっていたのか。一億五千万円分を二回これを発注するという話も当時あったということなんですが、その点はどうなんですか。(発言する者あり)

二階委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

二階委員長 速記を起こしてください。

 審議を続行いたします。辻惠君。

辻委員 今質問をしましたけれども、チラシについて、一億五千万円一回分、そしてそれを二回分ということで検討をされていたという情報がありますけれども、この点を含めて、この十二月二十八日の時点ではどういう状況だったのか、その点について、まず、どう事実を掌握されているのか、そしてそれがどうだったのか、その点についてお答えください。

林政府参考人 お答えいたします。

 一回一億五千万円かかります。当然、二回やるということで効果が出るというような議論はございましたけれども、お金の問題もございますし、一度やってみてその効果を見てからということで、結果的に一回しかやっておりません。

辻委員 契約を十二月二十八日に締結したという答弁ですが、これは、谷部さんには、いつ契約を締結するんだということを伝えたんですか。

林政府参考人 私としてそれをお答えできる立場といいますか、私が谷部さんとやっていたわけでもございませんし、それは部屋全体として契約に至ったときに決心しておると思います。

辻委員 そうすると、これはだれとだれの契約なんですか。一方は有限会社スリードですよ。発注した側はだれなんですか。

 では、それは最終的に契約を結んだと言うんだから、契約を結びましょうという申し込み、ないしは申し込みを受けて、それを受け入れたわけじゃないですか。そこで合意が成立したわけでしょう。

 では、その谷部さんのところと契約を結ぶというふうに通知したのはいつなんですか。その点は明らかにしてくださいよ。(発言する者あり)

二階委員長 林広報室長、答弁。

林政府参考人 それは、契約をするということは、企画内容を検討して、これを採用するか契約をするということは、当然向こうには伝えたと思いますが、それがいつと言われましても、それは、まず私自身がやったわけではないし、今言われましても、私は、先ほど申し上げましたように、決裁の判こを押しますし、大きい流れとしては当然承諾して判こを押しておりますが、今の、何月何日と急に言われまして、当然それはそういう段階があったことは事実だと思いますが。

辻委員 では、契約を結ぶという意思を谷部さんに伝えたのはだれなんですか。あなたではないというのはわかったよ。では、だれなんですか。答えなさい。

林政府参考人 通常、いろいろな仕事をする上で、それを私自身が確とと言われましても、お答えできません。

辻委員 羽村参事官、あなたがこれを伝えたんですか。羽村参事官、答えてください。

羽村政府参考人 正確には覚えていないんですけれども、まずタスクフォースで、大体あの案は中でいいと考えている、皆さんオーケー、ただ契約はありますと。それで、契約について政府広報室、専門家の方で検討していただいて、それを踏まえての話になると思いますと。最終的に契約もオーケーですというような話は、私からは伝えた覚えはないです。

 いずれにしても、伝えるとしても、タスクフォースとしてという形になると思います。

辻委員 では、あなたの知っている限りにおいて、だれが伝えたんですか。だれが伝えたんですか。タスクフォースは個人じゃないですよ。だれが具体的な声を発して伝えたんですか、谷部さんに。

羽村政府参考人 済みません、私わかりません。

辻委員 齋藤参事官、あなたが伝えたんですか。どうですか。

齋藤政府参考人 失礼いたしました。お答え申し上げます。

 私が伝えたという記憶はございません。

辻委員 山本参事官、あなたが伝えたんですか。

山本政府参考人 お答えいたします。

 政府広報室の組織としてという意味ですので、私が伝えた可能性が高いと思いますが、ちょっと正確に覚えておりませんが、私が伝えたと思います。

辻委員 組織の決定を受けてあなたが伝えたと思う、こう言っているんですね。それはいつのことなんですか。十二月二十八日なんですか、それ以前なんですか。十二月二十八日だとすれば何時ごろなんですか。お答えください。

山本政府参考人 申しわけございませんが、正確に覚えておりませんが、先ほど来ありましたように、郵政民営化タスクフォースでいろいろ検討した後、二十八日までの間にいろいろ検討した上で伝えたということでございます。(辻委員「答えになっていない、いつなのかということに答えろ」と呼ぶ)ちょっと覚えておりません。

辻委員 二十八日までにということはどういうことなんですか。二十八日を含むんですか、二十七日以前ということなんですか。どちらですか。

山本政府参考人 大変申しわけありませんが、正確に覚えておりません。(発言する者あり)

二階委員長 辻惠君。(発言する者あり)

 では、山本広報室参事官、再答弁。山本参事官。

山本政府参考人 大変申しわけありませんが、正確に覚えておりません。

辻委員 二十八日に見積書が出ているんですよ。見積書が出た後検討するんでしょう、その見積書が高いのか低いのか。それで、二十八日までに契約を結ぶと決めた、伝えたというふうにおっしゃっている。私は、ではそれは二十八日のことなのか二十七日以前なのか。覚えていないということ、どういうことなんですか。見積書を見る前に決めていたということなんですか。どうなんですか、この点は。ちゃんと答えてくださいよ。(発言する者あり)

二階委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

二階委員長 速記を起こしてください。

 ただいまの質疑につきましては、後刻理事会において整理することにさせていただきます。

 次回は、明十五日水曜日午前八時四十五分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時五十分散会


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