衆議院

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第19号 平成17年6月23日(木曜日)

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平成十七年六月二十三日(木曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 二階 俊博君

   理事 石破  茂君 理事 松岡 利勝君

   理事 柳澤 伯夫君 理事 山崎  拓君

   理事 中井  洽君 理事 原口 一博君

   理事 松野 頼久君 理事 桝屋 敬悟君

      井上 信治君    江藤  拓君

      小渕 優子君    大野 松茂君

      大前 繁雄君    加藤 勝信君

      城内  実君    北川 知克君

      小泉 龍司君    小杉  隆君

      小西  理君    左藤  章君

      坂本 剛二君    桜井 郁三君

      柴山 昌彦君    園田 博之君

      津島 恭一君    西村 明宏君

      馳   浩君    早川 忠孝君

      松本  純君    宮下 一郎君

      山口 泰明君    五十嵐文彦君

      伊藤 忠治君    一川 保夫君

      岩國 哲人君    内山  晃君

      小沢 鋭仁君    大出  彰君

      川内 博史君    小宮山泰子君

      古賀 一成君    鈴木 克昌君

      辻   惠君    中塚 一宏君

      中村 哲治君    西村智奈美君

      古本伸一郎君    馬淵 澄夫君

      山花 郁夫君    石井 啓一君

      谷口 隆義君    塩川 鉄也君

      横光 克彦君

    …………………………………

   総務大臣         麻生 太郎君

   財務大臣         谷垣 禎一君

   厚生労働大臣       尾辻 秀久君

   国土交通大臣       北側 一雄君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     細田 博之君

   国務大臣

   (金融担当)       伊藤 達也君

   国務大臣

   (郵政民営化担当)    竹中 平蔵君

   内閣府副大臣       西川 公也君

   法務副大臣        滝   実君

   内閣府大臣政務官     木村  勉君

   総務大臣政務官      松本  純君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    阪田 雅裕君

   会計検査院長       森下 伸昭君

   政府参考人

   (内閣官房郵政民営化準備室長)          渡辺 好明君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  中城 吉郎君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  竹内  洋君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  細見  真君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  伊東 敏朗君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  篠田 政利君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  羽村 康弘君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  齋藤  敦君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房参事官) 岩崎 達哉君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房参事官) 山本 茂樹君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房会計課長)            大森 雅夫君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房政府広報室長)          林  幹雄君

   政府参考人

   (総務省郵政行政局長)  鈴木 康雄君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    大林  宏君

   政府参考人

   (財務省主計局法規課長) 向井 治紀君

   政府参考人

   (厚生労働省政策統括官) 太田 俊明君

   参考人

   (株式会社日通総合研究所専務取締役・研究本部長) 塩畑 英成君

   参考人

   (社団法人全国地方銀行協会会長)         瀬谷 俊雄君

   参考人

   (社団法人生命保険協会副会長)          瀧島 義光君

   参考人

   (日本郵政公社総裁)   生田 正治君

   衆議院調査局郵政民営化に関する特別調査室長    石田 俊彦君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月二十三日

 辞任         補欠選任

  今村 雅弘君     津島 恭一君

  大野 松茂君     早川 忠孝君

  小杉  隆君     坂本 剛二君

  馳   浩君     加藤 勝信君

  岩國 哲人君     小宮山泰子君

  古本伸一郎君     辻   惠君

  馬淵 澄夫君     鈴木 克昌君

同日

 辞任         補欠選任

  加藤 勝信君     馳   浩君

  津島 恭一君     小渕 優子君

  早川 忠孝君     西村 明宏君

  小宮山泰子君     岩國 哲人君

  鈴木 克昌君     内山  晃君

  辻   惠君     古本伸一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  小渕 優子君     今村 雅弘君

  西村 明宏君     大野 松茂君

  内山  晃君     馬淵 澄夫君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 郵政民営化法案(内閣提出第八四号)

 日本郵政株式会社法案(内閣提出第八五号)

 郵便事業株式会社法案(内閣提出第八六号)

 郵便局株式会社法案(内閣提出第八七号)

 独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構法案(内閣提出第八八号)

 郵政民営化法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出第八九号)


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     ――――◇―――――

二階委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、郵政民営化法案、日本郵政株式会社法案、郵便事業株式会社法案、郵便局株式会社法案、独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構法案及び郵政民営化法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の各案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、参考人として社団法人全国地方銀行協会会長瀬谷俊雄君、株式会社日通総合研究所専務取締役・研究本部長塩畑英成君及び社団法人生命保険協会副会長瀧島義光君の出席を求め、意見を聴取し、政府参考人として内閣官房郵政民営化準備室長渡辺好明君、内閣官房内閣審議官中城吉郎君、内閣官房内閣審議官竹内洋君、内閣官房内閣審議官細見真君、内閣官房内閣審議官伊東敏朗君、内閣官房内閣審議官篠田政利君及び厚生労働省政策統括官太田俊明君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

二階委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

二階委員長 この際、細田内閣官房長官から発言を求められておりますので、これを許します。細田内閣官房長官。

細田国務大臣 郵政民営化に関する特別委員会におけるいわゆる折り込みチラシの件に関する質疑で、政府参考人の答弁や説明が、意図的に改ざんの中でなされたと指摘されたことにつきまして、当委員会に対し、政府を代表して遺憾の意を表し、心からおわびをいたします。

 なお、国会で虚偽の答弁をすることは断じて許されないのが当然であり、この点についても今後このような疑惑を招くことのないよう十分監督をいたしますことを、政府を代表して当委員会に対しお誓い申し上げます。

二階委員長 この際、委員長から申し上げます。

 過去の議事録については、前回と同じく、訂正された内容に基づき、理事会において取り扱いを協議いたしたいと存じます。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。加藤勝信君。

加藤(勝)委員 おはようございます。自由民主党の加藤勝信でございます。

 昨日も私の質問の機会かなと思って腰を上げましたら、水が入りましてがっくりいたしましたけれども、きょう、こうして質問の機会をいただきまして、本当にありがたく思っております。

 まず、質問に当たりまして、私自身の思いを若干述べさせていただいてから質問に入らせていただきたいと思います。

 今回議論されておりますように、郵政事業全般が担ってきた役割の中には、確かに、民に任せるものは民にということでゆだねられるところがあるのは事実だと私も思います。しかし同時に、民に任せ切れないものも相当あるのではないかな、まさにその辺が一つの論点、議論の分かれ目であるというふうに思っております。

 例えば、郵政事業が担ってきた公的役割として言えば、まず、二万四千局を超える郵便局を各地区に持っているということ、そして、そこでまさに全地域を対象にサービスが展開されてきている。また、郵便貯金法を代表といたしまして、全国民に対するサービスということをやっていこうという規定がある。そして、各郵便局においては、地方公共団体にかわってさまざまなサービスが展開されている。また、郵便事業においては、いわゆる福祉的な観点からもさまざまな事業が展開されている。

 さらに、これは形にあらわれているというわけではありませんけれども、各地区の、特に特定郵便局長が、その地域にしっかりと根差して、自分の事業を展開するということだけではなくて、地域を支える一員としてさまざまな取り組みをされている。そして、そういう姿勢を見て、地域の方々も相当厚い信頼を寄せているという地域あるいは郵便局が相当多数ある。まさに目に見えない、そういう財産というものは非常に大きなものがある、私はこういうふうに思うわけであります。

 そして、これからの時代を見るときに、昭和三十年代、四十年代のように、経済がどんどん右肩上がりでやっていくぞ、人口的にも若い方が多いという状況では全くないわけであります。地方、特に過疎地域が、これまでも人口が減少し高齢化が進んで相当な悩みを抱えている、これがさらに世帯が減っていくという形で深刻化していくことが十分考えられるわけであります。また、所得や資産の格差というものも逆に広がっているのではないか、こういう指摘があるわけであります。

 逆に、こういう時代だからこそ、社会政策的な意味で郵政事業が担ってきたその役割というものをしっかりと認識して、それを積極的に展開しなければならない、私はかように思うわけであります。

 こうした郵政事業が担ってきた役割に対する評価は、政府側と私どもとはそう違いはないというふうに確信はしておりますけれども、今申し上げた問題認識から考えると、民営化する部分だけに目が行ってしまって、社会的な配慮といいますか、社会政策的な配慮が希薄ではないか、こんな思いがするわけであります。同時に、民にゆだねた部分も今のような形でやっていけるのかなという懸念も持つわけでありますが、どちらかというと社会政策的配慮が少ないんじゃないか、希薄ではないか、こういう視点に立って質問させていただきたいというふうに思います。

 まず第一点で、いわゆるユニバーサルサービスという言い方をしますが、条文上はあまねくという言葉を使っているわけであります。現在の法体系、公社法の中で見ると、郵便貯金法を初めとして、目的規定の中にあまねくという規定がそれぞれちりばめられている。そして一方で、郵便局設置においても全国あまねく設置すると。まあ、あまねくの自乗が、郵便、貯金、簡保等々の各分野で相当広く展開されているというのが今の法律の体系ではないかというふうに思うわけでありますけれども、今回の法律、新しい民営化法に基づく体系を見ますと、郵便事業については多少そういうことは言えると思いますけれども、あとの分野ではそうした部分がかなり消えていってしまっている。ある意味ではあまねくが不足しているんじゃないかという思いがするわけであります。

 そして、あまねくといった場合に、私は、二つの意味があると思います。一つは、空間的な地域的格差ということに根づいたあまねくというもの、もう一つは、顧客間格差といいましょうか、国民の中でさまざまな方がおられる、その方の格差に基づいたあまねく、この二点から、あまねくということ、あるいはユニバーサルサービスということが論じられるのではないかと思うんですが、まず、顧客間格差という点から質問させていただきたいと思います。

 もう申し上げるまでもなく、郵便貯金の場合は、今、定額貯金であれ通常貯金であれ、そこにおさめた残高によって金利が違うとかさまざまなサービスが違うということは一切ないわけであります。また簡易保険についても、いわゆる職業によって入れる入れないということもない。あるいは支払い、いざ何か起きたときに、地震等の場合でも支給されるというふうにも聞いているわけであります。

 こうした事業というものが、これまでは法律に基づいて行われていた。今回はその法律を廃止してしまうわけでありますから、そこから先は経営者の判断ということになるのかもしれませんが、そういうものを経営者の判断に任せてしまって、これまで法律によって規制をしてきた、そしてその中で実現を図ろうとしてきたもの、それがこれからも実現していけるんだろうか、そういう思いがするわけであります。

 そしてさらに、郵貯、簡保がそういう事業を民営化の中でやめてしまうということになったときに、郵貯、簡保からサービスが受けられなくなるというだけではなくて、今の民間の金融機関が、郵貯や簡保が今そういう形で存在しているということで、相当抑制的な、利益優先営業という意味において、あるいは顧客選別という、ある意味ではこれは時代の流れとも言われておりますけれども、そういうものに対して抑制がかなりきいている、私はそういうふうに思うわけでありまして、この抑制もなくなってしまう。

 こういうことになりますと、まさに顧客間格差の是正といいますか、まさにあまねく国民がいろいろなサービスを、自分の資産や所得あるいは残高や職業、そういう違いにもかかわらず受け得る、こういう社会というものを一体それではどうやって実現していくんだろうか。その点について、竹中大臣のお考えをお示しいただきたいと思います。

竹中国務大臣 加藤委員が冒頭で御指摘になられました、民の役割もあれば官の役割もある、とりわけ公の機能、視点、委員御自身は社会政策的配慮というふうに御表現されましたが、この点は、今回の制度設計におきましてもやはり極めて重要な問題であるというふうに認識をしております。

 委員の直接のお尋ねは、いわゆるユニバーサルサービスの中で、郵便につきましては御承知のようにこのユニバーサルサービスの義務を法律で引き続き義務づけているわけでございますが、それ以外に、今回特に金融の問題、それとの関連で顧客間格差というものがやはり拡大してしまうのではないかという御懸念であろうかと存じます。

 金融につきましては、法律上、ユニバーサルサービスの提供義務を法律では課してはいないわけでございますが、まず、サービスそのものがしっかりと提供されるようにということで制度設計上の工夫はしたつもりでございます。

 それは、みなし免許付与に当たりまして、最低限移行期間をカバーする長期安定的な代理店契約、保険募集委託契約等々を免許の条件とすること、その後もこういう形での契約が続くというふうには思われますが、それでも仮に過疎地の最前線などでこうした金融サービスの提供が困難になる場合は、社会・地域貢献基金を活用いたしまして、地域にとって必要なサービスがきちっと提供される、そのような仕組みをつくったところでございます。

 加藤委員の御指摘は、商品設計等々で顧客間の選別がやはりあらわれてしまうのではないか、その点に特に御懸念をお示しかと思います。

 民営化後において郵便貯金銀行、郵便保険会社がどのような手数料を設定するか、どのような商品を提供するかというのは、これは基本的には経営判断によるものではございますが、民間銀行の例を見ますと、大多数の銀行は口座維持手数料が無料の預金口座を提供していますほかに、各種手数料を見ましても、郵政公社の手数料よりも低いものも含めまして、サービスの内容に応じたさまざまな手数料が設定されているというのが現状ではないかと思います。また、民間生保の例を見ますと、現行の簡易保険と同様の無診査、さらには職業による選択を行っていない生命保険商品を提供している例もあるというふうに承知をしております。

 民営化後の銀行、保険会社におきましても、経営判断によって多様な商品が提供される、そして商品、サービスの内容に応じたさまざまな手数料が設定されることになりますが、特にこの郵貯の銀行と保険会社の場合は、地域の顧客の信頼というのがやはり経営の基盤であるということ、民営化によってこれを損なうことなく、利用者の利便性が向上するということを期待しているところでございます。

 さらに、民営化後の郵貯銀行、保険会社を含め、市場において公正な競争が行われることによりまして、我が国金融全体がまさに利用者にとって利便性の高いものになっていくということを期待しているわけでございます。

加藤(勝)委員 今の大臣のお話を聞いておりまして、確かに民間企業でもいろいろ展開していってもらえると期待をするわけでありますけれども、余りこの部分、要するに顧客間差別、非常に弱いところに対してどうしてもサービスが行かなくなるということは、やはりある意味で市場経済の持っている一つの制約条件というか、どうしてもそうならざるを得ない部分があるのではないか。ですから、そこのところをできるだけそうならないようにするというのも必要であります。

 しかし、そこにすべて依存し切って大丈夫だというのは、いささかいかがなものかなと。仮に民営化するのであるとしても、やはりそれはそれとしながらも、国としてそういうところに目配りをして、規制だけではなくて必要な措置を講じていくという姿勢を持っていなければ、やはり民営化してしまっただけじゃないかということに陥るのではないかという点を私は指摘させていただきたいと思います。

 そして次に、郵便局の話であります。

 今回の郵便局設置基準がどうなるか。これは先ほど申し上げた地域間格差の是正という意味でのあまねくという視点になるわけでありますけれども、現在は、日本郵政公社法の第二十条の一項と二項において、いわゆる設置基準の基本的な考え方が書かれております。そして、今回お出しになられた民営化関連法案の中では、郵便局株式会社法の第五条で書かれているわけであります。条文の量から見ても、今の公社法のかなりの条文の長さに比べて、非常に短いわけでありますし、書き方も、現行の公社法は「郵便局をあまねく全国に設置しなければならない。」設置についてあまねくというのが書いてあるわけであります。今度の郵便局株式会社法は、あまねく全国で利用されることを旨として設置しなさいと書いてあります。

 私は余り法律用語にたけているわけではないので、この書き方、全く一言一句一緒じゃなければ同じ意味にならないとは思いませんけれども、現行の公社法第二十条の一項、二項に書いていることと郵便局株式会社法の第五条に書かれていることは全く同じことを意味しているのかどうか、そこを確認させていただきたいと思います。

細見政府参考人 お答えいたします。

 郵便局の設置につきましては、郵便局が果たしているさまざまな機能、社会的機能も含めまして、こういった機能を果たしているということを踏まえまして、民営化後においても利用者の利便性を確保する必要があるという観点に立って、郵便局株式会社法第五条において、今委員の御指摘のとおり、あまねく全国において利用されることを旨として郵便局を設置することを法律上義務づけております。具体的な設置基準は省令で定めますが、これの考え方については既に何回か御説明しているとおりでございます。

 現行の公社法におきましても、第二十条におきまして、全国に設置するとした上で、第二項で利用者の利便に配慮するということが書かれているわけでございまして、今回の法案も、郵便局の設置について、現行公社法第二十条と同様に、あまねく全国において国民の利便性の確保に配慮をする、十分配慮するという意味では基本的に同じような考え方に立っているのではないかというふうに思っております。

加藤(勝)委員 両方とも同じだというふうに認識をさせていただきたいと思いますが、次に、郵便局会社法第五条の郵便局には、簡易郵便局は含まれるんですか。

竹中国務大臣 この郵便局には簡易郵便局も含まれます。

加藤(勝)委員 そうすると、今おっしゃる法律上の郵便局がある。今では普通局とか特定郵便局があるというものが簡易郵便局に切りかわったとしても、そこには郵便局があるということになるわけですね。そうすると、現行の郵便局の中で、まあ普通局が簡易郵便局になることはないとは思いますが、今で言う特定郵便局を簡易郵便局に切りかえるということについては、これはもう今回新しくできる会社の判断、これで自由にできるというふうに考えてよろしいんですか。

竹中国務大臣 郵便局の設置につきましては、今委員に御議論いただきましたように、民営化後におきましても利用者の利便性を確保する必要がある、こういう観点に立って、郵便局会社法の第五条に、御指摘のありました、あまねく全国において利用されることを旨として郵便局を設置することを法律上義務づけるというふうにしております。そして、この郵便局には、今申し上げたように、簡易局も含まれるということに相なります。

 それで、具体的にどうなるか。具体的な設置基準は省令で定めますが、これは与党との合意も踏まえまして、特に過疎地については法施行の際、現に存する郵便局ネットワークの水準を維持することを旨とすることを規定するとともに、都市部についても国民の利便性に支障の生じることのないよう配慮する考えでございます。

 そして、特定郵便局を設置するか簡易郵便局を設置するか、直接のお尋ねはそういうことかと存じますが、これは基本的には会社の経営判断により決定されるものでございますけれども、具体的には、地域のニーズ等々を踏まえまして、国民の利便性を確保する観点から郵便局の適切な設置が行われるものというふうに考えているところでございます。

加藤(勝)委員 端的に言えば、会社が決めることだ、会社の判断でそうなるということだというふうに受けとめさせていただきました。そうすると、これは一部にたしか懸念がありますけれども、今ある、狭義の意味での、要するに直営という意味での郵便局というものが、再委託というんでしょうか、簡易郵便局に切りかわっていくということは十分考えられるということにもつながるんじゃないかというふうに思います。

 そうすると、簡易郵便局について、郵便事業、銀行業務、保険業務について、それぞれ、簡易郵便局からいえば受託ですね、今度新しくできる郵便事業会社等からいえば委託ということになりますけれども、これはそれぞれどういう形になるのか、ちょっと御説明いただきたいと思います。

細見政府参考人 お答えいたします。

 まず、郵便業務についてでございますが、これにつきましては、郵便窓口業務の委託等に関する法律におきまして、郵便事業会社より郵便窓口会社に委託されることになり、それをさらに再委託できるということになっておるわけでございます。郵便窓口会社が簡易郵便局に対して再委託をするということになっておるわけでございます。

 それから、銀行の代理店の業務でございますが、これは銀行法を所掌する金融庁が基本的に所掌するわけでございますが、金融庁によりますと、銀行法上、銀行がその代理店の業務の健全かつ適切な運営を確保することが求められておりまして、具体的な措置の内容は内閣府令において規定されているというふうに承知をしております。

 現行の内閣府令は、郵政民営化後に簡易郵便局が代理店となることを想定していないということもございまして、今回の郵便局株式会社法案におきましては、簡易郵便局が郵便局株式会社の再委託を受けて銀行代理店となるということを前提に、郵便局株式会社法の第四条第五項において、総務大臣に内閣府令の制定、改正につき協議がなされるような規定を設けているところでございます。この結果といたしまして、簡易郵便局はこれらの法令にのっとりまして、郵便局株式会社から再委託を受けて郵便貯金銀行の代理店になるというふうに考えております。

 また、保険でございますが、これは保険業法、保険につきましても金融庁の所掌でございますが、金融庁によりますと、保険募集そのものにつきましては現在再委託が認められていないということでございますが、その他の保険に関する業務、事務、例えば保険料の収受や保険金の支払い、こういった業務につきましては再委託が認められているということでございます。

 したがいまして、簡易郵便局は、保険募集の委託に係る契約そのものは郵便保険会社と直接結ばなければならないということでございますが、その他の業務、事務、例えば今申しました保険料の収受、保険金の支払いといったことにつきましては、郵便局株式会社が郵便保険会社から委託を受けた上で簡易郵便局に再委託をする、こういうことができるということになっておりまして、郵便局株式会社が簡易郵便局を実質的に支援、指示していく、こういうことができるようなシステムが組めることになっていると思います。

 ただいま申し上げました保険の例につきましては、民間において既に、総括代理店という名前になっているようでございますが、同様の形態による募集体制をとっているところがあるというふうに聞いておるところでございます。

加藤(勝)委員 今のお話ですと、現行の銀行は、窓口代理店に対しては委託はできるけれどもそこから再委託はできない、しかし、今回、今わっとお話しになられたので整理できておりませんが、銀行法に基づくレベルなんでしょうか、内閣府令においては、そこだけ委託できるということになると、新しくできる郵便貯金銀行だけは窓口の業務について再委託ができる、一般の銀行はできない、こういう区別的な取り扱いになるということですか。

細見政府参考人 私ども民営化準備室といたしましては、今回郵政が民営化されることに伴いまして、簡易郵便局が引き続き貯金、保険の業務をできるようにするためにどのような措置が必要かということで、現行内閣府令において再委託が制限されているということでございますので、それを改正するための手続について今回の法案に盛り込んで、それを実現するということでやっているところでございます。

 現実の内閣府令の改正そのものは金融庁の所管でございますので、それが具体的に全体がどうなるかということについて、残念ながら私の方から申し上げられる立場にございませんので、その点は御了解をいただければというふうに思います。

加藤(勝)委員 よく理解できていないんですけれども、そうなるから次にこうなるよという話なのか、なるだろうからこうなるという話なんですか。

細見政府参考人 簡易郵便局で実際に民営化後も貯金、保険の業務ができるようにいかにするかということにつきましては金融庁とも十分協議をしておりまして、実際に、内閣府令において、少なくとも郵便局株式会社から簡易郵便局への委託ということにつきましては、それができるような内閣府令の改正を考えるということで金融庁と協議をしているところでございます。

 御指摘のありました、その他についてもどうするのかということにつきましては、私どもとしてはなかなか答弁する立場にないので、そこについては金融庁にお伺いいただければということでございます。簡易郵便局につきましては、そういうことができるようにするということで整理をさせていただいているということでございます。

加藤(勝)委員 余りこの問題にかかってもあれですが、ただ、例えば簡易郵便局でやろうとすれば、貯金会社自体が直接委託するということだってできるわけでありまして、わざわざ貯金銀行のためだけに窓口業務の再委託をするというのは何か納得できないなという思いがするわけでありまして、多分その裏には、これは私の邪推でありますけれども、基金の支払いの関係があるのではないかなというふうに思うんですね。

 というのは、今の、仮に簡易郵便局に対して例えば貯金銀行が委託をするという関係になると、簡易郵便局における銀行業務、窓口業務は、窓口会社とは全く関係ない形で行われるということになるわけでありまして、基金のスキームが使えなくなってしまうんじゃないか。したがって、どうも話を聞いていると、そっちから、尾っぽが頭を振ってしまっている、そんなような邪推も成り立つのではないかと思いますけれども。

細見政府参考人 お答えいたします。

 今回、再委託の関係をやるということにいたしましたのは、現在、郵政公社から簡易郵便局に対して委託が行われているという現状を踏まえて、しかも、その委託につきましては統括局があって、そこが監督しながらやっている、こういう現実を踏まえまして、再委託をするというスキームが現在の実際の運用にとって望ましいのではないかということで、今のようなことを申し上げたところでございます。

 ただ、論理的に申しますと、御指摘のとおり、郵便貯金銀行が直接簡易郵便局と契約を結ぶということが、もちろん不可能ということではございませんで、現在行われている運営の仕方から踏まえて、そういうやり方をするのが適切ではないかということで、金融庁とも協議をいたしまして、再委託ができるようなスキームを考えているということでございます。

 基金のことにつきましては、確かに、一因として、窓口会社が関与しないと基金の交付が難しいということが現実問題として起こり得るということは承知をしているところでございまして、実際には、ただいま申し上げましたような、保険であれば三者契約、銀行代理店であれば再委託というような形式をとることによって基金の対象になるということは、それもそのとおりでございます。

加藤(勝)委員 今のお話で、これまでのやり方と同じようにやりたいからそうやるとおっしゃるなら、では、すべてこれまでと同じようなやり方をすればいいんじゃないですかということになるんじゃないですか。これまでというのは、大きな意味での公社という意味でありますけれども。

 だから、そこだけ、何かおいしいところだけをとっているような感じがして、逆に、それによって金融行政そのものがゆがむという部分がある。金融行政全部の中で再委託いいですよというなら、それはそれで、私ども何か問題を言うべきではないです。しかし、今回の考え方は、郵便貯金銀行は一般の民間と一緒でしょうとおっしゃるわけですから、それなら同じようにしないとおかしいんじゃないのかなということを指摘させていただきたいと思います。

 それで、次に株式の保有と売却の関係についてちょっとお聞きをさせていただきたいと思うんです。

 これまで、いわゆる公社という中でいろいろ、あるいは、国が持っていた機関の株式を売却する例としては、日本電電公社の株式、いわゆるNTTの株式の売却、あるいは日本たばこ産業、JT、JR等々、幾つかの事例がございます。そういう事例を見る中で、たしかNTT、JTについては、売却益はそのまま国の収入、国債整理基金特別会計ですか、そういうところに入っていた。それからJRの場合には、債務、借金も一緒に持っていったので、いわゆる清算事業団ですか、そういうところが所有して売却をしたということでありました。

 ところが、今回の事例の場合に、売却すべきものとしてある郵便貯金と郵便保険会社の株式を何で日本郵政株式会社が保有することになるのか。確かにNTTについても、当時はNTT一社でした。それが現在では、持ち株会社のもとに、東日本、西日本、さらにドコモと分かれてきている。そういうふうに後からそうなれば、確かに子会社の株式は親会社に属するから親会社がそれを売る、これは当然だと思いますが、今回は、民営化と一緒にばらばらにするということも同時進行するわけであります。

 そうすると、広い意味では、郵便貯金とか保険会社の株式というのは私は国民の財産だというふうに思うのでありますが、それを郵政会社の中へ、いや、負債もあるから一緒に置いておくんだよとか、あるいは、かつての国鉄の経営安定基金のように、将来お金が要るから置いておくんだよとかいうことがあれば、それはそれなりに合理性があると思うんです。今回の場合も、とりあえず一兆円とか基金は二兆円とか言われておりますが、その分は置いておくんだよというのは、それはそれなりに理解はできます。しかし、それを超える売却収入が上がるとおっしゃっておられるわけでありますけれども、どうしてそこまで日本郵政株式会社の中に置かなければいけないのか。

 さらに言えば、今回、十九年三月まで預金される貯金や保険については承継法人が受けるわけであります。そのものについてはそれぞれが運用する。金融の場合には、承継法人のその承継資産について生じる運用益の中から預金保険料相当分まで、これも日本郵政株式会社に入れるというわけですね。どうしてそこまで日本郵政株式会社にすべてのものを入れるということになるのか。

 確かに、最後は国がその株を持っているわけだから、その資産が株であろうがキャッシュであろうが一緒でしょう、その理屈はわかります。しかし、一緒であるならば、最初から逆に国が持っておけばよりわかりやすいんじゃないのかなと私は思うのでありますけれども、その辺の考え方を教えていただきたいと思います。

西川副大臣 株式、最初から持っていたらいいだろう、こういう御主張でありますけれども、私どもとしては、特性の異なる四つの機能、これを市場の中でそれぞれ自立させよう、こういう考え方で分社化をするということでございます。

 しかし、他方で、今まで三事業一体でやってきた、これもあるわけでありまして、そういう中で円滑に事業をスタートさせるというのにはどうしたらいいか、こういうことを議論してきたわけでありますが、当面は経営の一体性を確保することが重要であるという観点に立ちまして、四事業会社を子会社とする純粋持ち株会社を設立する、こういうことにしたわけであります。ここでグループ全体の経営管理、総合調整機能を担わせる、こういう考え方であります。

 しかし、今申されました、株式の処分された後、どういう益金が出るかわかりませんけれども、どうせ出るなら処分の先をよく決めておけ、こういう趣旨であろうかと思います。

 私どもとしては、当面は、入ってきたお金をどうするかというと、基本的な考え方としましては、郵便貯金銀行、郵便保険会社の株式は、国ではなく、持ち株会社の日本郵政株式会社に保有させておく、こういう考え方まで今回お示しをしておるという状況でございます。

加藤(勝)委員 日本郵政株式会社の業務の中に、今言った、郵便貯金銀行や郵便保険会社を育てるとか自立させるとかという業務は入っているんですか。

竹中国務大臣 広い意味でのグループ全体の経営管理、総合調整機能というような、法律上の正確な文言、後で必要でしたら申し上げますが、そのような趣旨の機能をこの持ち株会社に持っていただきたいところであります。

 申し上げたいと思いますが、民営化法の移行期間の特例の中に、今申し上げた趣旨、総合的なグループ全体の経営管理、総合調整機能を担わせるというような趣旨のことを記しております。

加藤(勝)委員 確かに売却をするという規定はあったと思うんですが、今おっしゃる規定はどこを指しておられるんですか。

竹中国務大臣 まさに、株主としての権利行使を通して、今申し上げましたようなグループ全体の総合調整を行うということでございます。

加藤(勝)委員 私は別にばらばらにしろということを言っているわけじゃないんですけれども、何か一方で、遮断しなきゃいけない、早く売らなきゃいけないと言いながら、一方で、一体的運営だとか、いろいろな試算も出している。どうも、その辺が未整理というか、混沌としている部分がある。その背景には、このままばっといっても十分すぐいけるぞじゃなくて、やはりいろいろ試行錯誤をしなければできないんじゃないかという相当な懸念を持っておられるんじゃないかという思いがするわけであります。

 今度は、今の話でありますが、逆に別の視点から考えると、もう財産や何やかや全部日本郵政株式会社に渡しちゃったから、国との間も、日本郵政株式会社の株というものの所有関係はありますが、後はもう、それでいいや、任せるよ、そんな感じがしてしようがない。

 だから、私が申し上げたのは、例えば株式収入も一回国に上げて、その後、国の責任において基金をつくれば、基金が不足すればまた国が、売却収入があれば売却収入を充てればいい、なければ税金でやる。やはりそこまで広く受けとめる気持ちがなければ、とても私は、先ほど最初に議論させていただきましたけれども、民がすべて担えない部分があるわけでありますから、その部分を国としてフォローしていきますよ、責任はやっていきますよ、その思いが一緒になければ、非常にアンバランスな話になっていってしまう、民営化の部分だけが先行した部分になってしまう、そういう思いがあって質問をさせていただいたわけであります。

 したがって、この形は形としながらも、やはり、うまくいかない場合には、後ほど経営の見直し云々の議論もありますけれども、国としてしっかり出すべきものは出してやっていくんだ、その決意がなければ到底民営化というのはできないと思いますが、その点はいかがですか。

    〔委員長退席、石破委員長代理着席〕

竹中国務大臣 これは、相互の損益状況がお互いに影響を及ぼさないようにする、専門性を高めるという観点からやはり分社化が必要だということを踏まえた上で、さあ、その上で、どのような組織、グループ全体の形にするかということに関しましては、当初からいろいろな議論を部内でもさせていただきました。

 その中で、加藤委員御指摘のように、政府から直接それを、会社をぶら下げるという表現がいいかどうかわかりませんが、やるやり方もあるな。しかし、どこかにヘッドクオーターのようなものをつくって、そのもとにしっかりと管理させるという方法もあるな。どちらがいいかということに関しては、真剣に我々としても議論をさせていただきました。

 その上で、一つの結論は、損益状況をしっかりとそのリスクから遮断するということはしなければいけない。しかし、現実問題として、少なくとも、当初、今まで行ってきたようなビジネスモデルを踏まえて、やはり何らかの一体感を持つということも必要である。受委託契約をどのようにしていくのがグループ全体としてよいのかという観点も必要である。そういう意味でのヘッドクオーター機能というのはやはりどうしても必要なのではないだろうか。それが今回のいわゆる日本郵政株式会社という形で実現しているわけでございます。

 ここは決してやってみなけりゃわからないという趣旨ではなくて、ここにヘッドクオーターの機能をしっかりと担っていただきたいという思いが私たちにはございます。

加藤(勝)委員 そういう意味では、ヘッドクオーターとして、それぞれがどうこれから成長し、また時代も変わっていく中で見ていく。それは、うまくいけばひとり立ちというのもあるのかもしれませんけれども、それを最初からプログラムを決めて十年だということになるのかなということもまた多くの方、私も含めて懸念を持っているわけでございます。

 十年以内に株式を売却するというお話がありました。その中に、条文を見ると、わざわざ段階的にと書いてあるんですね。通常、処分するなら処分をする、年限を決めるなら年限を決める、何でわざわざ段階的にということになるのか。

 私自身、ぱらぱらいろいろな資料をめくると、大体一年間に、増資とか、要するに何らかの形で新たな株式を発行する、そして、それにこたえられる資金というのは大体二兆円か三兆円ぐらいかなというふうに思うわけであります。そして、一方で、保険と貯金で合わせると、純資産レベルで見ると、トータル四兆円ぐらいになるはずですね。それが何ぼで売れるかわかりませんけれども、仮に資産相当額で売れるとすれば、四兆円。それを毎年、わかりませんけれども、二、三兆円の余裕といいましょうか、吸収する能力のある中で、当然そこには民間からの資金需要も入ってくるわけでありますから、等々を考えて、それを全部売るというのも相当厳しいと思いますし、しかもわざわざ段階的ということになると、相当な制約がかかっていると思います。

 まず、その段階的というのは、何でわざわざ段階的という言葉を入れられたんでしょうか。

竹中国務大臣 委員御指摘のとおり、法文上も段階的にこれを処分するということを明記しております。

 基本的に、この郵政という大きな組織を日本の市場経済の中にしっかりと統合していくためには、やはり相当の年限をかけなきゃいけないというのがいろいろな意味であろうかと思います。

 一つは、やはり段階的に政府の関与をなくしていって、そして経営の自由度も段階的に拡大をしていっていただく。そうすることが経営の自由度の確保、しっかりとした経営ノウハウの蓄積、そして民間とのイコールフッティングの確保という観点から重要だという点がございます。

 また、株式市場の状況から見ましても、これは株式の処分についても経済情勢、証券市場の変化による影響を受けるものでございますけれども、市場のキャパシティーも含めて、やはり長い期間にわたって段階的に行うというのが現実的な対処方針であろうかというふうに思っております。

 もう一つのお尋ねの、日本の市場のキャパシティーとの関連でございます。

 これは、今委員が数字を御指摘してくださいましたが、日本の株式市場からしますと、吸収可能なのは、日本株のオファリングというのは現状、年間二兆円から四兆円規模で推移していると認識をしております。移行期間中、十年ですからその十倍程度の市場のキャパシティーを見込めるというふうに考えるわけでございます。

 そうした中で、これは株式の売り出しの価格がどうなるかということにもよりますけれども、今申し上げましたようなキャパシティーの中で、市場において十分吸収可能になっていくであろうというふうに考えているわけでございます。

加藤(勝)委員 今、最初の段階的の御説明がありました。それぞれの貯金会社、保険会社等が経営の自立性といいますか、そういうものをどう持ち合わせていくのか見ながら売るというようなこともお話がありましたけれども、そういう意味では、段階的というのであるならば、一つ一つのステップを踏みながら仮にこの民営化を進めていくというのなら、やはりそういう仕組みにしておくべきではないんでしょうか。

 一遍にぼんと先まで見て、しかもゴールまで決めるというのではなくて、それは究極のゴールはあるかもしれないけれども、そこに向けてはステップ・バイ・ステップでやっていくという形になるならば、もっと法案も違う形になるんじゃないかな、私はそういうふうに思うわけであります。

 そういう意味では、いわゆる民営化三年後の見直し規定もありますけれども、やはりその辺をしっかりと組み込んでいく、あるいは一個一個多くの方の心配がないような形にしていく、それからもう一点、公的な部分の配慮というものもしっかりしていただくということをひとつよく議論をして、よく考えていただきたいということを申し上げたいというふうに思っております。

 それから最後に、郵便局ネットワークの話をよく、要するに郵便窓口会社というのはこれからどうなるか、非常に懸念するわけであります。

 それぞれの事業において郵便窓口会社がやる機能というのは、私は、一個一個見れば、例えば貯金について見ると貯金のネットワークは全部貯金会社が持っている、そうすると、郵便局会社、郵便窓口会社というのは単にそこに端末を置くだけだ、そんな感じがしなくもない。そうやって見ると、単に箱物といわば管理者を置くぐらいの会社が点々とする、それを窓口ネットワークで価値があるということになるんだろうか。

 そういう意味では、もし仮に分かれるにしても、その会社の機能を高めるということをやはりしっかり考えておかないと、今のままではとてもネットワークとしての機能があって価値があるなんということにはならないのではないかという強い懸念を申し上げて、質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

石破委員長代理 次に、柴山昌彦君。

柴山委員 自由民主党の柴山昌彦でございます。本日は、質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。

 さて、これまでたくさんの議論が出てきたわけなんですけれども、ここで少し整理をさせていただきたいと思います。

 自民党で今回の民営化法案に慎重な考えを持っておられる先生方のプラン、あるいは民主党のホームページで示されているプランを拝見いたしましたが、実は、何らかの制度面での改革の必要性というのはどの勢力の方々も認めておられるわけですね。現状でも確かに、生田総裁のもと、大変経営での改善というものは見られるわけですけれども、それでももう実は限界に来ているのだというように総裁御本人がおっしゃっているところであります。

 そこできょうは、細かい点を捨象して、また揚げ足取りもあえてすることなく、大きく整理をさせていただいて、それぞれのプランの比較ということをパネルで行ってみたいと思います。

 さて、お示ししたこちらのプランなんですけれども、まず政府案は四分社化、もちろん持ち株会社あるいは独立行政法人はちょっとこれとはまた別なわけですが、四分社化して民営化という内容であります。趣旨はたびたび政府から説明があるとおりでございます。

 そして、自民党のいわゆる慎重な方々の皆様が提示されている公社維持案、ここではあえてAというように名前をつけさせていただきました。これは、実は今、四年間の中期経営計画、これの終了後に一定の基本理念に基づいて見直しを行っていきましょうというところでありまして、この基本理念というのは、ここに書いてあるとおり、適切な負担を行いつつ民間、公的な業務受託を公社のまま拡大をしていきましょうということであります。趣旨は、中期経営計画の成果を見きわめたい、また、よく言われている郵政の公益性というものをきちんと確保していかなければいけない、また、国民の利便性を拡大するとともに、公社の経営基盤を強化しましょうというところが趣旨として挙げられると思っております。

 また、民主党さんのホームページを拝見したところ、公社のまま金融部門を縮小すべきだ、「民営化よりも正常化」というメッセージが示されていて、これは資金の流れの透明化というところに非常にウエートが置かれているのかなと。それで、要は、郵便局が果たしているのはいわば民の手の届かない部分、民業補完というところを徹底したものであるのかなというように考えております。

 さて、その下に、問題点というところはあえて空欄にしてあります。そこで竹中大臣に、まず、公社維持案Aと公社維持案B、このそれぞれについてどのような問題点が考えられるかということをお伺いしたいと思います。

 このAとBは、公社維持というところでは共通しているんですが、片一方は拡大していきましょう、片一方は縮小していきましょうということで、実は全く違う主義主張に基づくものなんですね。ですから、一部でこの二つを連携させようという案があるんですけれども、これは私は全くナンセンスなのかなというように思っております。

 その上で、この問題点について、それぞれ大臣のお考えを伺いたいと思います。

竹中国務大臣 我々、政府案も本当に一生懸命考えて出させていただいているわけでございますけれども……(発言する者あり)

石破委員長代理 静粛に願います。

竹中国務大臣 A案もB案も、それぞれの立場で一生懸命お考えの上、お出しのものだと思います。

 その意味で、短時間で問題点だけあれしますと不十分な点もあるかもしれませんが、あえてお尋ねでございますので思うところを幾つか述べさせていただきますと、やはり、まず基本的な考えとして、民間でできることは民間でやろうという市場経済社会の根本的な原理を考えますと、今のような形で特別の公的な組織でやる必要があるのか。民間でできることを民間でやっていくというその姿勢がやはり政府案の中心でありまして、その点、A案、B案とは違っているというふうに思います。したがって、基本的な哲学の問題があろうかと思います。

 具体的には二点、特に申し上げたいと思いますが、一つは、経営の自由度とイコールフッティングとの関係でございます。

 経営の自由度について申し上げると、公社が取り扱うものというのは、これは公共の目的を担保する公社の性格を踏まえまして、どうしても個別具体的に法律上限定されざるを得ない。その意味で、柔軟で機動的な事業運営に困難を来す、そういう制約があるというふうに思っております。御承知のように、郵便事業を取り巻く環境はすごい変化をしている。金融も同じである。その点を考えますと、やはりこの時代のすさまじい変化に対応していくのは困難なのではないかというふうに思うわけでございます。

 イコールフッティングについて申し上げますと、例えば、現在の公社の制度では法人税そして預金保険料等の負担がない、郵貯、簡保については政府保証が付されている。これはやはり、民間から見ると明らかに優遇措置が講じられているわけでございまして、民間企業と同一の競争条件とはならない。公社の場合、民間企業との間に公正な競争が行われないというような問題点が生じかねないのではないかというふうに思っております。

 民間にできることは民間にというのは、やはり市場における自由な経営と創意工夫、革新に向けたたゆまない努力によって経済社会は進歩していくものである。その意味では、公社形態を維持したままでは限界があるのではないかというふうに考えるわけでございます。

 そしてもう一点、加えて、金融部門を縮小するということになりますと、これはまた別の問題が生じてくると思います。

 公社に課されている官業であるがゆえの制約を取り払って、経営の自由度拡大によって郵貯、簡保の資金、機能を市場経済の中で効果的、効率的に運用して、郵便局ネットワークという貴重な国民の資源を最大限活用していきたい、我々はそう思うわけであります。そして、国民や地域の利便性を向上させるというふうに考えるべきでありますので、これは、資金の残高を縮小させるのみでは金融の改革の本来の成果は極めて限定的にならざるを得ない。また、規模を無理やりに縮小させた場合に雇用への影響も場合によっては深刻なものになりかねない。そのような問題点が生じようかというふうに思っております。

 その意味で、さまざまな問題を克服して、私たちは政府案を私たちのベストの考えとして御提示させていただいているところでございます。

柴山委員 ありがとうございました。

 資金の運用の面についてお伺いしたいと思います。

 しきりに、今回は、出口論の改革をまず最初に優先すべきである、財務省の非効率な財投運用、これを何とかして改革していかなければいけないという指摘がございます。

 ただ、そうした影響力を遮断するには、当然、やはり資金がプールされているこの郵便事業関係の各会社に民営化あるいは天下りの制限ということを行って、その影響力の遮断を徹底すべきであるというのが今回の民営化のプランだと思っておりますが、どのように考えておられますでしょうか。

 あともう一点は、こうした多様なポートフォリオ、宮澤委員等から御指摘があったんですけれども、もしこれを透明な形で運用していくということであれば、民営化しようがしまいが、公社のままでそういった影響力を遮断していくのであれば、ポートフォリオを組むときの困難さ、あるいは国債の消化可能性、こういった部分については同様の問題が出てくるのではないかなというふうに思っておりますが、この点、どのようにお考えでしょうか。

竹中国務大臣 柴山委員御指摘のとおり、公社のままで改革することの限界は、この資金の流れを変えるという観点を議論する場合に、私はやはりより明確になってこようかと思います。

 資金の流れを変えるには、当然のことながら、入り口と出口、そして中間、これをすべて同時に改革していかなければなりません。

 出口の財投改革につきましては、これは既に改革が始まっております。政策金融につきましても、骨太の方針で明記をさせていただきましたように、秋に向けて政策金融改革の基本方針をさらにつくっていくということを決めております。そして、その際、政策金融の残高をGDP比で半分程度にするという目標も掲げてやっていくわけでございます。

 しかし同時に、入り口、資金の入り口についてもしっかりとした改革をしなければいけない。今、三百四十兆円、家計の資産の約四分の一の資産が郵貯、簡保に集まっているわけでございますが、これは政府保証が付された政府のお金ということで、安全資産に運用せざるを得ないという宿命を持っております。したがって、そこからはリスクをとる民間の資金には入っていけないという一つの問題点、宿命を持っております。やはりそこを変えない限り、資金の流れを変えて経済を活性化していくということにはどうしても結びついていかないわけでございます。

 一方で、柴山委員が御指摘の第二点、これはポートフォリオでございますから、今度は郵政という経営主体から見た場合でございますけれども、これはこの委員会の場で生田総裁御自身がお述べになっておられたと思いますけれども、やはり多様な資産運用をしないといろいろなリスクに対する対応ができないわけでございます。今のような限られた資産運用では、その有効な、いろいろな金融手法を駆使したポートフォリオが組めない、そういう制約を今の公社である以上は持ち続けるということになろうかと思います。

 そうした観点からも、やはり経営の観点からもポートフォリオの多様化を認める。それはやはり民間と同じ条件で競争していただいて、民間の自由な競争の中でやっていただくしかない。公社としての運用では限界があるということであろうかと思っております。

    〔石破委員長代理退席、委員長着席〕

柴山委員 業態の自由化については、ちょっと後ほど質問させていただきたいと思います。

 先ほどの表で、問題点のところを政府案についても空欄にさせていただいたんですが、幾つかこれまで指摘をされている中で、分社化というのが非常に不自然であるということが指摘をされております。また、コストがかかるのではないかということも指摘をされております。分社されれば、当然のことながら相互取引に消費税がかかってくる、あるいは資産や従業員の切り分け、これについても基準が必ずしも明確でないとか、あるいはコストがあるのではないかといった指摘があるわけなんです。

 しかし、実は平成十二年の商法の改正で、会社の分割制度というのがわざわざ導入をされております。当然民間会社にもこのようなデメリットというものは生じてくるにもかかわらず、なぜこうした会社の分割制度というものが商法の世界に導入されたのか。生田総裁も分社化自体は別に異議を唱えませんと明確におっしゃっておりますが、これについて法務副大臣の方からお願いします。

滝副大臣 ただいま委員の方から、会社の分割が平成十二年の法律で改めて商法にでき上がったという御指摘がございました。そのとおりでございまして、その目的の前に、今回のというか、平成十二年の改正でどういうふうになったかということだけ最初に申し上げたいと思います。

 それまでの商法では、会社の分割はそれなりに可能であったのでございます。要するに、親会社が分割して子会社をつくるときに、親会社が子会社の株主になるという形での分割は可能だったのでございますけれども、親会社の株主が子会社の株主になるということが商法上はできませんでしたので、平成十二年では、あえて親会社の株主が会社を分割したときに子会社の株主に同時になるという改正をいたしました。

 その趣旨は、これは国際化の波あるいは企業の競争力を高める、そういう意味で組織の編成を柔軟化させる、こういうことでございました。

柴山委員 先ほどのコストの問題もあるわけでして、実際に会社の分社というものはどの程度実績があるのか、把握されている数字を教えてください。

滝副大臣 平成十五年度の数字でございますけれども、これは法務局に会社の登記がされた数字で拾ってまいりますと、株式会社で平成十五年、設立された会社が全国で一万八千。それに対して、分割で設立した会社が、株式会社ですけれども、これが約九百。九百にちょっと欠けますけれども、約九百でございます。約五%ということになります。

柴山委員 コングロマリット化あるいはシナジー効果というところから、この分社ということについては反対の意見を唱える考え方の方もたくさんいらっしゃるわけですけれども、法人格が一体でなければこのような効果は発揮できないのか。また、この三事業が一体ということ、特に国営の金融機関、これだけの大規模なものを持つということについてどのようなデメリットというものが予想されるのか。それぞれについて竹中大臣にお伺いしたいと思います。

竹中国務大臣 これは、その時々で、分散がいいのか統合がいいのか、いろいろな議論が繰り返されてきていると思います。これは一概にどれがよいという状況ではないというふうに私は認識をしておりますが、コングロマリットで総合的にワンストップのサービスを提供するというメリットもあれば、一方で、経営の専門性を高めるないしはリスクを遮断するという観点から分割をしなければいけないという場合もある。それはまさに経営の実態判断ということなのだと思います。

 いずれにしましても、その場合に、委員まさに御専門家として御指摘のように、一つの法人格を持っていなきゃいけないかどうかというのは、これはまた別の問題になってまいります。一つの別々の法人格を持った中で、しかし一体的な戦略的なグループでの経営というものもあり得るわけでございますし、むしろ、意思決定そのもの、その責任を明確化という観点からは、私の認識している限り、その機能を分社化するような中で、グループとしては全体的にいろいろな戦略性を持ってやっていくという会社も結構活躍しているな、そのような認識を持っております。

柴山委員 ただし、今回の分社案というのは、実は私は若干疑問も持っておりまして、というのは、会社法、商法の上では、資産のこうした分割に際しては、債権者、今回のプランでいえば預金者ですとか保険契約者、こうした取引関係者の保護の手続というものが予定をされております。債権者の異議催告という手続がとられておりますが、今回は特段そのような契約者保護の手続というものがとられていないのではないか。この点についてどのようにお考えでしょうか。

竹中国務大臣 これは、例えば郵便貯金を持っている債権者である預金者がどのようにその通知を受けるかということなのかと存じますけれども、これについては、基本的には法律の改正をするわけでございますので、法律の仕組みが変わるということを通してその周知徹底が行われるのが原則であろうかと思っております。

 もちろん、それ以外の債権者というのもいらっしゃるわけでございますから、これについては、その準備会社においてやはり適切な措置がとられていかなければならないというふうに思っております。

柴山委員 当然のことながら、旧勘定契約の分については政府保証が依然としてつくわけですから、だから、仮に五千億円超の負債を抱えている郵便事業の株式会社の方に資産が切り分けられてしまうということは、村井先生が憲法違反じゃないかというような御指摘があったわけですけれども、預金契約者に本当にそれほど格段の不利益を及ぼすかというと、実はそういったことはないというように考えております。

 あとは、職員の意見聴取手続。一定の、窓口会社等での職員の切り分けということがされるわけですが、職員のそうした身分の変更についての希望の聴取手続等について、どのような設定になっているのでしょうか。

竹中国務大臣 これは、新設されます各会社への具体的な職員の帰属につきましては、主務大臣、具体的には総理大臣と総務大臣が作成をいたします基本計画に従いまして、準備企画会社である日本郵政株式会社が、それぞれのビジネスモデルに基づく各社の具体的な業務内容を勘案しながら承継計画において定める、そういう手続になるわけでございます。

 この日本郵政株式会社が承継計画を作成する際の具体的な手続が大変重要だというふうに思いますが、日本郵政株式会社の判断にこれはゆだねられるわけでございますけれども、同社が承継職員の労働条件を定めるに当たっては公社での勤務条件に配慮すること、これが郵政民営化法案の第百七十一条で定められております。したがいまして、そこの職員の帰属先につきましては、公社における就業場所、そして従事している業務などの勤務条件に配慮して定められることになると思います。これによって職員が安心して意欲的に働いていただくということは、我々も大変重要なことであろうというふうに思っております。

柴山委員 さて、問題点としてさらに指摘をされているのは、民間会社との競争により民業圧迫にならないかという問題点が種々指摘をされております。もちろん、公務員の身分を保有したままで競争するのとどっちの方が民業圧迫の度合いが強いかということは、これは先ほど大臣が御指摘になったとおりなんですけれども、民営化した上での競争でも、これだけ大きな会社が競争するということになれば、そこにはやはりある程度の緊張関係というものが当然生まれてくるわけです。

 そこでお伺いしたいんですけれども、きょうは日通総研さんもお見えになっているということなんですが、物流の関係でちょっとお伺いしたいと思います。

 改正法の二十九条では、物流業務については子会社からの受託という形でやっていくことが可能であるわけですが、準備期間終了後は本体がこうした物流業務に進出できるようになるということになるわけであります。

 現在、運送業者さんが受けているさまざまな法規制について、イコールフッティングになっていないという批判が、例えばヤマト運輸さんの方から問題提起されておりまして、係争になっていることは皆様御案内のとおりかと思うんですけれども、こうしたイコールフッティングの問題、どのようにお考えでしょうか。

 まず竹中大臣に、これについてどのように処理されるのかということについてお伺いしたいと思います。

竹中国務大臣 何といいましても、民営化の最大の目的、目指すところは、経営の自由度を持っていただいて、そしてダイナミックに経営をしていただくということに尽きるわけですが、そうであるからこそ、民間とのイコールフッティングのバランスをどうとるのかというのが大変重要なポイントになってまいります。

 今回の場合、やはり規模が非常に巨大だという委員の御指摘でございますが、全くそのとおりだと思います。そのほかにも、実は、全株を処分するまでは政府出資の形で国の信用や関与が残るという点もございます。また、一般事業会社と子会社を持つ持ち株会社の傘下に置かれるというある種の特例がその間、移行期間ですね、認められるということになりますので、これは金融機関、特に金融の側から見ますと、やはり競争上の優位性を持っているということであろうかと思います。

 こうした点については、与党との協議におきましても、一方で民業圧迫という角度から、他方で経営の自由度という角度から、種々の意見を賜ったところでございます。そうした意見も踏まえまして、今回の法案では、持ち株会社に対しまして、移行期間内における郵便貯金銀行等の株式の完全処分義務を課して国の信用、関与を断ち切ることにする、そして、当初は公社と同様の業務からスタートして、国際業務等々については別の規定もございますけれども、基本的には同様の業務からスタートして、経営の自由度とイコールフッティングのバランスをとっていく、それを民営化委員会の意見を聴取の上、透明、公正なプロセスのもとで段階的に拡大していくというふうな、そういう仕組みをつくっているところでございます。

柴山委員 私の方であえて指摘をさせていただきますが、郵政民営化法案の七十四条というところで、郵便事業株式会社は、成立の日以後六カ月間は、貨物利用運送事業法、貨物自動車運送事業法、こうした許可規定というものを猶予される、だけれども、その後についてはイコールフッティングを図っていくというような規定が定められているわけですけれども、きょうは日通総研さんもお見えだということなんですけれども、このイコールフッティングの問題と今回の法律案について、どのようにお考えかということをぜひお伺いしたいと思います。

塩畑参考人 日通総合研究所の塩畑でございます。

 物流事業は今、非常に厳しい競争状況下にあるわけですね。したがいまして、若干の競争条件の違いというのが結果的には非常に大きな今後の競争力の相違になってくるというようなことが十分にあるわけです。そういうような視点から考えますと、できるだけ細部にわたってこの競争条件を統一していただくというのは非常に重要なことなんだろうと思うんです。

 ただ、その一方で、郵便事業会社の成り立ちですとか、あるいはユニバーサルサービスを法的に義務づけられているといったような特殊な性格からいたしますと、いきなり条件を完全にそろえるというのは現実に非常に難しいことだろうと思うんですね。したがいまして、大きな問題点だけは少なくともそろえていくというようなことが重要かと思うんです。

 今先生お話しの中にございましたけれども、例えば、小包事業のトラック輸送にかかわる部分につきまして、現在準拠する法律が違うわけですけれども、それが民間の宅配便事業と同じように貨物自動車運送事業法が適用されるというようなことになりますと、かなり大きなイコールフッティング上の問題点は、完全にクリアとはいきませんけれども、ある程度クリアされるというように見ていいのかなと思うんですね。

 ただ、若干次元が違うのかもわかりませんけれども、特に国際事業につきまして、欧米の企業を中心にMアンドAが活発化しているわけですけれども、その郵便事業会社のMアンドA資金が持ち株会社を通して還流するというようなことがあり得るのかどうか、判然といたしませんけれども、そういうことはぜひ歯どめがかけられてしかるべきではないかなというように考えております。

柴山委員 今の最後の御指摘は極めて重要な御指摘だったと思います。当然、郵便事業会社は、この前ちょっとどなたか御質問されていたんですけれども、全部、一〇〇%持ち株化されていますので、直接の株式交換ということはできない法律上の定めになっていますが、確かに、御指摘のように、子会社を通じた形での提携というものは十分あり得るわけですから、現にそういうことをされるというようなお話もあるわけですから、それについて、今の御指摘は十分御留意をいただけたらなと思います。

 せっかくですので、今、国際物流の話が出ました。先日麻生大臣が、国際物流は当たればもうかりますというようなお話をされていました。また、この国際物流に関しては、特にアジア市場については今進出しなければおくれてしまうというようなお話もあります。そういうような観点から、このビジネスの将来性あるいは進出の緊急性、こういうようなものについて、もしお考えがあれば伺いたいと思います。

塩畑参考人 国際事業でございますけれども、例えば、我が国の輸出入の海上コンテナの貨物量あるいは国際航空貨物量は、長期にわたって非常に伸びております。物流事業の中で際立った成長分野だと言ってよろしいかと思うんですね。したがいまして、有望だということにつきましては、まさにそのとおり、非常に有望なマーケットだと思うんです。

 ただ、それだけに、先ほどもちょっとお話し申し上げましたけれども、欧米の主要物流事業者を中心としまして積極的な展開をしているわけです。こういうような動きに対して、我が国の既存の大手の物流事業者もどういうような対応をしていくべきか、今、相当決断を迫られているというような時期だろうと思うんですね。一言で言いますと、非常に有望ではあるけれども、それだけに競争も激しい、また相当高度なノウハウも要求されるといったようなことでございますから、進出するリスクも当然大きいと言っていいんだろうと思うんです。

 グローバル企業の物流の考え方といいますのは、従来のように、個々の物流業務を切り離して物流事業者に委託するような方向から、トータルで物流を委託するような方向にどんどん変わっているわけですね。これは荷主企業の物流やロジスティックスの考え方が全体最適志向というようなことになっていることを反映したものでございますけれども、そういうような顧客のニーズに対応していくには、グローバル企業のロジスティックスの仕組み、効率的な仕組みを提案できるといったような能力と、国際間のドア・ツー・ドアの物流のオペレーションを非常に高度に、なおかつ効率的にやれるといったようなノウハウが非常に強く要求されるわけです。したがって、単独の企業でこういう仕組みをつくり上げるというのはなかなか難しいということで、合従連衡が非常に進んでいるということだろうと思うんですね。

 もう一点、緊急性のお話でございますけれども、今、中国市場が非常に重要なターゲットになっているわけでございますけれども、御案内のように、WTO加盟以降、中国の物流事業に対する外資規制は順次取り外されております。二〇〇八年にはほぼ完全に外資規制が撤廃される予定になっております。そういうことを受けまして、二〇〇一年から、これは我が国の物流事業者だけじゃございませんで、欧米の物流事業者も非常に活発に中国進出を進めてきております。

 当然、他社に先駆けて顧客ニーズに対応したような仕組みをつくり上げるということはその後の競争上非常に有利な展開になるというのは物流の世界だけじゃないだろうと思いますけれども、そういうような観点からいいますと、可及的速やかに進出をするというのは、このマーケットで成功するための非常に重要な要件になるのかなというように考えております。

柴山委員 どうもありがとうございました。

 また、業務の拡大については、特に金融部門で貸付業務の拡大をするということが、特に地域の金融機関との競合ということがやはりかなり懸念される材料ではないかなと私は思っております。特に地域での貸し付けということが、オーバーバンキングの時代ということはいろいろな委員の方から御指摘があるわけですけれども、顧客の侵奪ということがあるのではないかということが言われております。このあたりの民業圧迫について、竹中大臣、どのようにお考えでしょうか。

竹中国務大臣 郵貯銀行がどのような経営戦略をとっていくのか、別の言い方をしますと、ビジネスモデルを組み立てて業務展開をしていくか。これはもちろん、言うまでもなく経営判断の問題でございますけれども、そのビジネスモデルが地銀の業務と重なる部分がどの程度あるかないか。これはちょっと、私の立場から具体的に申し上げるのはなかなか難しいわけでございますけれども、やはり郵貯銀行というのは、全国の郵便局ネットワークを通じた地域の顧客基盤が強みになるということで、地域密着型の業務を当然展開していくことになるのではないかというふうに想定をしております。

 そのような中で、この郵便局を通じた資金調達力にすぐれて、資金量も豊富だけれども、少なくとも民営化当初は融資等の資金運用面の能力が十分ではない郵貯銀行が、同じく地域の顧客を基盤とする地銀と、融資業務などのノウハウを補うとともに地域経済の発展に必要な資金を供給するように、例えばでありますけれども、シンジケートローンのような形で、あるいはもっと緊密な業務提携というような形で相互補完していくということも十分に考えられるのだろうと思います。

 また、地銀にとりましても、このような郵貯銀行との提携だけではなくて、郵便局会社と提携することによって、この郵便局ネットワークという強力なチャンネルを活用したビジネスチャンスの拡大というのもあろうかと思います。

 我々としては、やはり大いに競争していただきたいということ、これはございます。しかし同時に、その競争はイコールなものでなければいけないわけでございます。相互の強さを生かして、拡大均衡、プラスサム志向の改革をぜひ相互に続けていっていただきたいと思っているところでございます。

柴山委員 今、大臣から、窓口を利用しての貸し付けもあるじゃないか、地銀さんが郵便局の窓口を通じての貸し付けというようなお話もありましたけれども、先ほど加藤先生が銀行法上の問題点について御指摘になられました。それ以外にも、やはりこれまで郵便局と地銀さんとは、お互いが目のかたきにして戦ってきているわけですよね。それが、あしたから、じゃ、地銀さんの窓口として働きなさいといって、人は別にかわるわけじゃありませんから、どれだけモチベーションが上がるのかなという疑問も一部では指摘されるんじゃないかなというふうに思っております。

 また、郵便局のお金を地銀さんに融資しろというようなお話があるんですけれども、これも今、地銀の預貸率が大体七割程度という中で、どれだけその受け入れたお金をきちんとした形で、地銀さんが限られたパイの中で運用できるかということも、私は、実は率直なところ、なかなか難しいのかなという気がしております。

 今、大臣が御指摘のとおり、さまざまなノウハウの融通だとかあるいはシンジケートローンとかについても、しっかりと新しい分野で努力、協力をしていくというようなお話もありましたので、そういうところではきちんと一緒にやっていくという基盤はあるのかなという気はしておりますが、このあたりの微妙な関係について、地銀協さん、きょうお見えになっているということなんですが、ちょっと御意見を、短くお伺いしたいと思います。

瀬谷参考人 瀬谷でございます。

 ただいま柴山先生から大変行き届いた御質問をいただきまして、恐縮いたしております。確かにこれはデリケートな問題でございます。私、ありていに、きょうは率直に話せといいますから、せっかくの機会でございます、率直に言わせていただきます。

 やはり基本的に民営化ということについては、プリンシプルは賛成でございます。なぜなら、これは外国との比較になりますけれども、公的セクターが非常に、異常に肥大している、これをある正常な形に戻さないかぬ、その意味においては全く同感でございます。

 ただ、余りにも現在郵貯、郵貯について問題を絞って申し上げますと、ツーマッチ、巨大なんですね、二百三十兆ですから。それに対して、私ども地銀だけでも資金量が百八十六兆ぐらいですか、六十四行全部足してもかなわないだけの資金量を持っていらっしゃる。

 それが、今のところは貯金業務の方にだけ特化されておりますけれども、これが今度、貸し出しとか消費者ローンに回ってきた場合、今柴山先生が御指摘されたとおり、貸し出しのマーケット、融資マーケットはいわば過飽和なんです。オーバーサプライになっていると思う、現象的に。これは、将来的な経済の状況によりましてはまた回復するかもしれませんけれども、世界的に見てやはりディスインターメディエーションが進んでいる。そういう中でこれが急激に入ってこられた場合、なかなか残念ながら、先ほど竹中大臣がおっしゃったような予定調和的な、仲よくするという選択肢は相当難しいのではないか。

 あと、もちろん代理店を、郵便局会社ですね、我々とが手を結ぶことも、それはあり得ないわけではありませんけれども、なかなか現実問題としては難しい。

 それから、きょう簡潔にというお言葉、もう一つだけ申し添えますと、先ほどは地銀地銀とおっしゃっていましたけれども、私は、地銀の代表で出ているとは思わない、地域金融機関全体を代表していると思っている。それはもちろん第二地銀もあるし、信金も信組もあります。それが今、非常につらい経済情勢の中で一生懸命お客さんを支えている。そういう重層的な金融構造を、壊滅させると言ったらオーバーかもしらぬけれども、基礎を危うくするような急激な進出は、これはちょっとお考えいただきたいし、抑止力を十分に働かせていただきたい、かように存じております。

 私からは以上でございます。

柴山委員 本当に率直な御意見を伺えたと思っております。

 今回、さまざまな、将来の不安だとかそういうことが御指摘をされているわけですけれども、将来の不安にとことん備えるということも大切ですけれども、今後十年間という期間に、さまざまな環境の変化も予想されているわけです。だから、この十年間に当然、今、投資信託とかさまざまな証券化も大分実績が伸びてきているというようにデータも報道されておりますし、この十年間でさまざまな変化が生じてき得る。

 私は、現時点では、一定の合理性のあるシミュレーションに基づいてメリットとデメリットを比較した上で、メリットの方が大きいということであれば、やはり比較検討の上、制度設計を行っていくべきだというように考えております。それで、もちろん、これから後、そういう環境が変化し得るわけですから、変化して何らかの困った事態が生じた場合には、その時点で、将来の立法府がやはり適切に対応、その時々に応じたかじ取りをしていくということが大切なのではないかなと思っております。

 ただし、将来の立法府が過度な負担をこうむってしまうような制度だけは、これはぜひ避けなければいけない。将来の地方の人たち、将来の社会的弱者の人たちが過度に負担をこうむってしまうような制度設計を今やることだけは避けなくてはいけない、そのような考え方でおります。

 それで、一点伺いたいと思うのですけれども、基金の積み重ねということが話題になって、一兆円という規模の基金が将来足りなくなるのじゃないかというようなことがしきりに言われているわけです。これは、基金の運用益、今、地域、社会両方の貢献基金で年間百八十億円の利用ということが想定されているわけですけれども、もしこれが足りなくなった場合、これは足りるか足りないかの争いはもういいです、足りなくなった場合にどうなるのかというところをぜひお伺いしたいと思います。取り崩し等はできるのですか。

竹中国務大臣 これは、私たちはこれで足りると思っているわけでございますけれども、それについての説明はもういい、基金を取り崩すことがあるのか、そういうお尋ねであろうかと思います。

 この基金というのは、地域や社会にとって必要性が高い業務を郵便局株式会社そして郵便事業株式会社が安定的に実施する、それを可能にする仕組みでございます。したがって、これは原則として取り崩すことはできないということにしております。

 しかしながら、基金の運用益のみでは財源を確保できない、郵便局株式会社、郵便事業株式会社の経営努力によっては貢献業務の実施が困難になって、かつ、地域社会の安定に重大な影響を及ぼすおそれがあると認められる、そういう要件を満たす例外的な場合には取り崩すことができるというふうな仕組みにしているところでございます。

柴山委員 そういう仕組みがあるということで、先ほど申し上げたとおり、将来の立法府が適切な対応をとってもらうということをぜひ強く期待したいと思います。

 最後の一点、私、郵便認証司の問題について一言お伺いしたいと思います。

 内容証明郵便は、これは認証司の役割だということが言われているわけです。先日も、この問題について、村井委員の方からるる指摘があったわけですけれども、現実の問題として、内容証明郵便というのは、これは私も仕事をやっていたときによく使ったんですけれども、夜とかでも持っていって、複数、三通持っていって、その内容を照合してただ判こを押すだけの仕事なんですね。これは資格が必要という業務というよりは、やはり郵便局という公的な機関がやっていたからこそ高度な証明力というものが与えられていたんじゃないかというのが、私は疑問があります。

 それで、もしこれを資格制度と結びつけるのであれば、例えば、私が夜間、内容証明郵便を出して、認証司さんがいませんでしたということになれば、それは、せっかく一生懸命早く持ち込んだのに、その日では処理できないということになってしまうんですか。それを副大臣の方にぜひお伺いしたい、法務省の担当にお伺いしたいと思います。

 滝副大臣には、ここで改めて、今回の法案に政府の一員として賛成をされて、一生懸命御努力をされるということについても確認させていただきたいと思います。

滝副大臣 まず最後のところから申し上げます。私は、ここで副大臣として答弁する限りにおいては、政府原案に反対することは一言も言ったことはございません。

 それから、今の認証司の問題でございますけれども、基本的に内容証明郵便は、いろいろな法律行為を起こすときに、それが後で証拠能力を持つということで扱われているわけでございます。

 一番有名なのは、民法四百六十七条で、債権、要するに目に見えない債権、紙の債券じゃなくて目に見えない債権、指名債権を第三者に譲渡するときには確定日付の証明が要るということでございまして、これが今、内容証明郵便で扱われているわけですね。したがって、昔、フランス人のボアソナードが民法案をつくったときには、認証制度がなかったものですから、母国のフランス民法では第三者に対する債権譲渡が有効だったんですけれども、日本ではなかったんです。そのぐらい重要な制度でございます。

 したがって、私どもとしては、当然、この郵便認証司は、そういう時間的な問題として十分考えて処理をしてもらえるというふうに思っております。

柴山委員 以上で終わります。どうもありがとうございました。

二階委員長 次に、石井啓一君。

石井(啓)委員 おはようございます。公明党の石井啓一でございます。

 きょうは、生命保険協会様にお越しをいただいておりますので、まず生保協会さんにお伺いをいたしたいと思います。

 まず、今回の郵政民営化関連法案に関しまして、生保協会としてどういう御見解を持っているのか、お伺いをいたしたいと思います。

    〔委員長退席、松岡委員長代理着席〕

瀧島参考人 何となくここに立ちまして違和感を感じましたのは、私がネクタイをしているということでありまして、ネクタイ着用のまま御答弁することをお許し願いたいと思います。

 郵政民営化法案あるいは簡保問題につきましての私ども生命保険協会の考え方は、極めて単純明快でございます。つまり、民間生保が扱っていなかった小口、無診査、月掛けといった商品を提供する、つまり民業補完ということで設立されました簡保につきましては、その歴史的役割をもう終えておられる、したがって、筋論として言えば、これは廃止されるのが正しい考えであるというふうに私どもは考えていたわけでございます。

 ところが、そのような考え方が世論の大宗になることはまずないということになりまして、そうだとすれば、セカンドベストとして、これは競争条件の完全な公平化ということを前提にして民営化をやっていただくということであろうということになったわけでございます。

 実は、あのような巨大な金融機関が民営化されるということについては、私ども、内心非常に恐れております。怖くてしようがない。怖くてしようがないけれども、それ以外に道がないとすれば、それを前提にして対応していくしかないということでございます。

 私どもとしては、我ながらばか正直というか、そういう感じがしないでもないのでありますけれども、民営化されるのであれば分割ということはないであろう。つまり、お客様の便宜を考えれば分割ということはないだろう、そこまでばか正直に言っているわけでございます。そのかわり、競争条件の公平ということにつきましては、私ども、池の中のいわばカエルみたいな存在でございますけれども、ぜひこれは、少しもなおざりにしないで徹底的にやっていただきたい。それが私どもの考えであります。

 とすれば、例えば、税金を払うようになる、あるいは政府保証を外す、だから一千万円という限度額を撤廃するとか、あるいは取扱商品をぱっと広げるとかということではなくて、もっと競争条件に関係するいろいろなことが、例えば、暗黙の政府保証と言われております政府出資というものが今後どうなっていくのか、あるいは簡保の一つの特典でありました三事業の分離ということが徹底して行われるのか、あるいは新旧の勘定というものの分離がきちんと行われるのか。法案そのものとしてはきちんとお書きになっておられますけれども、法案に書かれていない政令、省令、その他の規則、あるいは実際の運用、そこの面において、この競争条件の徹底化というものをきちんとやっていただきたいというのが私どものスタンスでございます。

石井(啓)委員 今、副会長の方から、規模が大変巨大なので、民営化すると、このままでは怖い存在だというお話がございましたけれども、政府の方で行いました骨格経営試算あるいは採算性に関する試算によりますと、郵便保険会社の保険残高が民営化移行期間中の十年間で約三分の二、二〇一六年度末で大体七十兆円ぐらいまで減ってくるだろう、その後は、完全民営化以降は残高が横ばいになる、こういう想定をされていますけれども、この見通しについてはどんな御見解をお持ちでいらっしゃいますか。

瀧島参考人 お答えいたします。

 正直に申し上げて、よくわからないというのが私どもの感想でございます。

 ただ、簡保の契約につきましては、今度新規契約をなさらないという前提で単純に計算しますと、その債務の期間構成からしまして十年後にはどのくらいになっているかというと、三十六兆円ぐらいになるというふうな試算を私どもとしてはしております。

 今先生御指摘になりました七十兆円というのは、新規の契約をとり始めるという前提での計数でありますから、まあ、これはばかばかしい計算だなという印象は少なくとも持っておりません、一つのそういう計算もあり得るだろうという感じはいたしますけれども、しかし、実態はよくわからないというところでございます。

石井(啓)委員 それから、先ほど、競争条件の公平化は徹底してほしい、こういうことでありましたけれども、特に完全民営化するまでの移行期間中の業務の拡大ということが焦点になろうかと思いますけれども、採算性に関する政府の試算におきましては、民営化移行期間中の新規業務といたしまして、郵便保険会社では、第三分野保険商品の販売、これがうまくいけば新規保険の約三割ぐらいまでいくんじゃないかという想定がございますし、また限度額の撤廃も想定をされています。

 また、これは郵便保険会社ではありませんけれども、窓口会社の方では、普通局千三百局で民間の生命保険、変額保険の販売というのも想定をされていますけれども、これにつきましての御見解はいかがでございましょうか。

瀧島参考人 採算性に関する試算をされる際に、いろいろな前提、想定を置かれなければいけない。その想定として今先生がおっしゃったようなことがなされているわけでありまして、その想定自体については、これはやむを得ないというか、合理的なことであろうと思います。

 ただ、あくまでも私どもが心配しておりますのは、その想定された制約条件の緩和というものが行われるときには、先ほどるる申し上げましたように、競争条件の、プラスの面でもマイナスの面でも、完全な公平化ということを目指してやっていただきたいということが第一点であります。

 それからもう一つ、今先生おっしゃいました第三分野の保険商品の販売という、保障性商品の販売でございますけれども、こういうものを民間会社が売るときには、引き受けの審査あるいは保険金の支払いの査定というものについてしっかりとした体制を組んでやっております。これをやらないと被保険者集団の質がどんどん悪くなってくる。そこのところを民営化される簡易保険においてもきちんとやっていただかないと困る。これはおせっかいで申し上げているわけではなくて、その辺をしっかりしない保険会社が出てきますと、しっかりやっている民間生保会社についても、これが直接間接、大きな影響を与えてくるという観点からでございます。

 それからもう一つ、窓口会社における民間生保商品の取り扱いでございますけれども、今三十九社、会員会社がございますけれども、会社によって考え方が全然違う。私にとりましてもよくわからないわけであります。そういう答弁でお許しを願えればと思います。

石井(啓)委員 それでは、生保協会さんに関しまして最後の質問になろうかと思いますけれども、移行期間中の郵便保険会社の業務の拡大につきましては、民業をどの程度圧迫するのかという民業圧迫の程度、それから株売却による政府の関与の度合いがどの程度になるのか、あるいは郵便保険会社の経営状況、こういったことを考慮して、郵政民営化委員会の意見を聞いて主務大臣が判断をする、こういう仕組みになっておりますけれども、これにつきまして、生保協会さんの御意見を伺わせていただきたいと思います。

瀧島参考人 お答え申し上げます。

 いろいろ判断をされる際に考慮に入れる要因、先生列挙されましたけれども、その列挙された項目については、これは適当な項目であろうと考えております。手続として民営化委員会の意見を聞くということ、これも正当なことであろうと私どもは考えております。

 ただ、この民営化委員会の意見を聞くというプロセスが本当に実質的な実りあるものであるためには、私どもの願いでありますけれども、委員の構成として、民間生保、生命保険の内容について十分な学識経験のおありになる方を選んでいただきたい。あるいは、審議の内容を公開する、さらには審議の過程におきまして関係者の意見聴取を十分にやっていただくというような形で、審議の透明性、公平性、実質的な意味合いというものを確保するような運営をしていただければというお願いを持っております。

石井(啓)委員 それでは、生保協会の瀧島副会長、大変ありがとうございました。私の質問は以上でございますので、御退席いただいて結構でございます。

 それでは、引き続きまして、今話題に出ました郵政民営化委員会につきまして、政府の方に確認をさせていただきたいと思います。

 郵政民営化法案の第十九条で、郵政民営化委員会は三年ごとに郵政民営化の進捗状況について総合的な検証を行うというふうにされています。この総合的な検証というのは具体的にどういうことを検証するのか、その項目をまず確認いたします。

中城政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年九月十日に決定しました基本方針において、「監視組織は、民営化後三年ごとに、国際的な金融市場の動向等を見極めながら民営化の進捗状況や経営形態のあり方をレビューする。」というふうにされているところでございますが、この基本方針に基づきまして、また「郵政民営化法案について」という四月四日のもの、それから政府・与党の合意というものを受けまして、郵政民営化法案の第十九条第一項第一号におきまして、民営化委員会は「三年ごとに、承継会社の経営状況及び国際金融市場の動向その他内外の社会経済情勢の変化を勘案しつつ、郵政民営化の進捗状況について総合的な検証を行い、その結果に基づき、本部長に意見を述べること。」そういうふうに定めているところでございます。

 このような趣旨を踏まえまして総合的な検証が行われることになるというふうに考えますが、具体的には、郵便貯金銀行、郵便保険会社の株式処分の状況や経営の自由度の拡大の状況、それから郵便局株式会社における郵便局の設置状況等、民営化の進捗状況全般が含まれるものというふうに考えております。

石井(啓)委員 ところで、民営化委員会は進捗状況について検証を行うというふうになっているんですが、十年間の移行期間中の民営化のプロセスについては、二〇一七年度までに完全民営化するということは決まっていますけれども、その間どういうプロセスで民営化が進んでいくかということははっきり法案では明らかにされていません。したがって、この民営化委員会が、民営化の進捗状況がおくれているのか進んでいるのか、あるいは適正なスピードなのかというのをどういうふうに判断したらいいのか。この点について、いかがでしょうか。

竹中国務大臣 民営化委員会そのものは、経営の自由度とイコールフッティングをバランスさせる、そこはもう委員よく御承知のとおりでございます。

 特に、例えば郵便貯金銀行、郵便保険会社については、移行期間中にその株式の全部を段階的に処分する、二〇一七年の最終的な郵政民営化の時点においては、銀行、保険会社は資本関係を通じた国の関与がなくなるとともに、一般の銀行、生命保険会社と同様の経営の自由度を持つことになる。

 このように、目立つところというのは、これは明らかなわけでございます。民営化委員会は、目立つところが明確化されているということを踏まえて、進捗状況について適切な判断を行うということになろうかと思います。

 ここは、より具体的な実務の中で実現していくことではございますが、具体的に、例えばで申し上げますと、十年後までに銀行と保険会社の株式を完全処分する義務があるということでありますとか、株式市場の状況等を踏まえて株式の段階的な処分が適切に行われているかどうか、そういう点がプロセスでの議論になりますでしょうし、経営の自由度の拡大と民間とのイコールフッティングの確保のバランス、例えばそれが崩れてしまって民業圧迫になっていないか、そういったこと、あるいは逆に、過度な業務制限によって経営の主体性、健全性が損なわれていないか等々、そういったことを勘案して民営化委員会は意見を述べるということになろうかと思います。

石井(啓)委員 ところで、法案を見ますと、民営化委員会は意見を述べる、あるいは主務大臣が認可をする際に意見を聞くというふうになっているんですけれども、述べられた意見について、尊重義務というのは法案を見てもないんですけれども、この述べられた意見というのはどういうふうに扱われるんでしょうか。

中城政府参考人 お答え申し上げます。

 民営化委員会は、郵政民営化法におきまして、郵政民営化の進捗状況について総合的な検証を行い本部長に意見を述べる、主務大臣から通知を受けた事項について必要があると認めるとき、本部長を通じて関係大臣に意見を述べるということになっております。

 この場合、民営化委員会の意見を本部長または関係各大臣が尊重しなければならない旨の規定というものは設けておりませんが、民営化委員会が意見を述べる旨を規定している以上、相当な理由がないにもかかわらず、本部長や関係大臣が民営化委員会の意見を考慮しないという事態はないというふうに考えておりまして、適切な対応がとられるものと考えております。

 なお、各省に設置されております審議会につきましても、その意見について各省大臣が尊重すべき旨を規定していないものがほとんどでございまして、その意見を考慮する必要があることは、民営化委員会の場合と同様というふうに考えております。

石井(啓)委員 尊重義務というのは、特段法文の表面上はないけれども、これは当然尊重されるということですね。大臣、ちょっと一応確認です。

竹中国務大臣 法律の趣旨として、そのとおりでございます。

石井(啓)委員 ところで、移行期間中の、先ほども郵便保険会社でお話をしましたが、郵貯銀行もそうですけれども、経営の自由度を拡大していくということと民業圧迫というのは裏腹の関係にありますので、どちらに重きを置くかということで相当判断が変わってくるわけです。これは民営化委員会の判断の公平性、透明性というのがやはり非常に求められるわけでありますが、そのための方策というのはどういうふうになっているのか。

 私の方からの提案ですけれども、この民営化委員会の公平性、透明性を確保するために、議事録とか議事要旨をなるべく速やかに公開するということをおやりになってはどうかというふうに思いますが、この点、いかがでしょうか。

竹中国務大臣 この民営化委員会を置くことの趣旨というのは、まさにそのプロセスを透明化するということでございますから、委員の問題意識、大変重要なことであろうかというふうに思います。そのバランスをとらなきゃいけない、そして、行政の判断が有識者の中立的、専門的意見を踏まえたものになるように、そうしていかなければいけないと思っております。主務大臣が新会社の業務拡大等の認可を行う際に意見を述べる。そして、三年ごとに郵政民営化の進捗状況について総合的な検証を行い、その結果に基づき本部長に意見を述べる。したがって、そういう権限を付与されているわけでございます。

 この民営化委員会について、判断の公平性、透明性を確保するために、民営化委員会が意見を述べたときは、まずその内容を公表すべきということを法律上で義務づけております。

 また、法律で定められた意見の内容の事後的公表以外にも、民営化委員会の運営の公平性、透明性を高める方策としては、例えばガイドラインの作成でありますとか、委員御指摘の議事録の要旨等の速やかな公表等は確かに考えられることであるというふうに我々も思っております。

 郵政民営化委員会の運営そのものにつきましては、民営化委員会自身の判断もあるというふうに思いますが、政府としては、委員会及び事務局の設置後、今言った点も含めまして、ぜひ適切な関与を行ってまいりたいと思っております。

石井(啓)委員 ところで、この判断の基準というのが非常に重要なわけですよね、この業務の拡大を認めていく判断の基準というのが。

 したがって、あらかじめ民営化委員会の判断のガイドラインを設ける、あるいは、民営化委員会の意見を聞いて主務大臣が認可をするわけですけれども、認可の審査基準を明らかにしていく、それで、事前に、こういう状況になったら大体こういう業務が拡大されるんだということを明らかにしておくということについてはいかがでございましょうか。

竹中国務大臣 判断の基準、さらには審査基準をどう考えるかという問題であろうかと思います。

 この新規業務を例にとらせていただきますけれども、新規業務に係る認可に当たりましては、これは民営化法の第百九条または百三十六条におきまして、内閣総理大臣及び総務大臣は、郵政民営化委員会の意見を聴取の上、銀行、保険会社につきまして、例えば日本郵政株式会社の貯金銀行あるいは保険会社に対する議決権割合等、他の金融機関あるいは生命保険会社との間の競争関係に影響を及ぼす事情や、郵便貯金銀行あるいは郵便保険会社の経営状況を考慮し、また、他の金融機関あるいは生命保険会社との適正な競争関係及び利用者への役務の適切な提供を阻害するおそれがないと認められるときは、当該新規業務について認可をしなければならない、そういう定めをしております。

 このように、まず法案において新規業務の認可に係る判断の大枠を定めているというのが一つのポイントでございます。

 このような大枠のもとで、実際に認可の判断を行うに当たって、具体的にどのような条件がクリアされたらどのような業務を認めるか。これは、あらかじめ子細に決めておくということになれば、将来におけるその時々の事情に即した現実的、柔軟な対応を阻害することにもなるし、また、現実問題としては、その機械的な条件を決めるというのはなかなか難しいのではないかというふうな面もあろうかと思います。

 いずれにしましても、これは、公明党の御主張も受けまして、政府・与党の合意におきまして、経営の自由度の確保に関して、透明性の高いルールのもとで認可手続が適時かつ円滑に進むようにするということが担保されているというふうに考えておりますけれども、御指摘のように、この委員会、プロセスの透明性、公平性を確保することは重要でありまして、委員会の意見を事後的に公表するということを決めておりますけれども、それに加えまして、民営化委員会の運営の透明性、公平性をより高められるよう、委員会がみずからの準則としてガイドラインを定めるなどの適切な対応を図ることが考えられる。機械的な基準というのは幾つか問題があるわけですが、今申し上げたような、準則としてのガイドラインを定め、適切な対応を図るということが重要であると思います。

 いずれにしましても、委員御指摘の点を十分踏まえまして、委員会、事務局の設置後、政府としては適切に対処してまいる所存でございます。

石井(啓)委員 それで、きょうも、生命保険協会、あるいは先ほどの質問者の中では地銀協会さんに来ていただいて、民業圧迫に対する御心配を述べられていらっしゃいましたけれども、郵貯銀行、保険会社が移行期間中に業務の段階的拡大をされていくわけでありますけれども、どういう順序で、どういう業務から順番に拡大をしていくのか、また想定される順序というのはどういうことになっているのか、大臣にお伺いしたいと思います。

竹中国務大臣 どういう順序になっていくかということをあらかじめ申し上げることは難しいわけでございますけれども、今回の法案においては、とにかく段階的に、まず新規業務を認めることにしている。そして、新規業務を行うに当たっては、監督当局たる金融庁が業務遂行能力をチェックするということにもしております。

 民営化後の銀行、保険会社が具体的にどのような順序で業務拡大を行っていくかという点については、これは制度上あらかじめ決めておくという性格のものではもちろんございません。経営陣の経営判断と民営化委員会の意見聴取の上での主務大臣認可、さらには監督当局の業務遂行能力のチェック、そういうことで順次新規業務に進出していくことになると思われます。

 ただ、あくまでも一つの想定として申し上げれば、常識的に言えば、例えば、民業圧迫の度合いが少なく、業務遂行能力の点でも現在公社が行っている業務と親和性がある業務運用対象、例えば郵便貯金銀行でいえばABSとか私募債とかシンジケートローン、そういった業務を手始めに、順次拡大を図っていくことが考えられるのではないかというふうに思っております。

石井(啓)委員 今大臣の方から、民業圧迫のおそれが少ないものから、あるいは今公社がやっている業務に近いものから、親和性ですね、具体的に言うとABSとか私募債とかシンジケートローンから段階的にやるんじゃないかという御答弁がありましたので、大分そのイメージが少しずつ広がってきたかな、こういうふうに思います。

 時間が参りましたので、私の質問は以上で終わります。

    ―――――――――――――

松岡委員長代理 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、政府参考人として内閣官房内閣参事官羽村康弘君、内閣官房内閣参事官齋藤敦君、内閣府大臣官房参事官山本茂樹君、内閣府大臣官房会計課長大森雅夫君、内閣府大臣官房政府広報室長林幹雄君、総務省郵政行政局長鈴木康雄君及び財務省主計局法規課長向井治紀君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

松岡委員長代理 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

松岡委員長代理 次に、馬淵澄夫君。

馬淵委員 民主党の馬淵でございます。

 この委員会、昨日、休憩と委員長は宣されまして、そして一日日延べをして、けさからということでありますが、冒頭、細田内閣官房長官から発言がありました。明確に、政府を代表して、今日までこの委員会でたびたび繰り返し議論がされていた政府の郵政民営化広報、これの作成並びに契約等々の経緯について、経過についてこの場で繰り返し答弁がなされてきたことが二転三転、いや四転五転と変更がなされ、そして、その中には意図的に資料の改ざんもなされていたということで、これについての遺憾の意と、そして謝罪と、心からのおわびという言葉をいただきました。

 しかし、これは、当委員会で政府を代表して細田官房長官がおわびをされたわけでありますが、この問題につきまして、民営化の問題は一義的に竹中大臣の御責任である。竹中大臣、今回、このような形で政府広報の問題について繰り返し虚偽の答弁がなされ、資料も改ざんまでなされていた。この委員会が今全国の国民の注視の中で行われているにもかかわらず改ざんがなされていることについて、竹中大臣、主務大臣として大臣の口からおわびと、そしてそれに対する御自身の遺憾の意というのを国民に向かって表明すべきであると私は思います。大臣、これについておわびをしていただけませんですか。

竹中国務大臣 政府としてのこの発言は、既に官房長官からさせていただいたところでございます。

 私自身は、法案の作成、その説明をぜひしっかりとさせていただきたいと思っているところでございます。

馬淵委員 大臣が今、法案の趣旨の説明をするのがお仕事だというふうに御説明されました。しかし、大臣はこの民営化について全般的に責任を負っておられます。

 そこで、政府広報室林室長にもお越しいただいていますが、改めてお伺いします。

 政府広報室が出された郵政民営化に対する広報でありますが、この広報の意味はどういうことですか。

林政府参考人 お答えいたします。

 郵政民営化に関する広報の意義ということでございますが、郵政民営化というテーマは小泉内閣の最重要課題でございます。そういう意味で、私どもはそれを国民の皆様方にわかりやすく御説明する。特に九月十日に基本方針が閣議決定されたわけでございます。その中身につきましてわかりにくいという声が残念ながら当時あったということで、そういうことも踏まえまして、国民に広報をしていく必要があるということで行ったものが一連の郵政民営化に関する広報ということで、政府広報予算で行っております。

馬淵委員 まさに国民に対する説明責任を果たすということでありますが、六月の七日に我が同僚の山花委員がこの委員会の中でお尋ねをしています。

 山花委員が、郵政民営化の所管大臣、これはどなたですかということの質問の中で、竹中大臣が「担当大臣として、私が命じられております。」と答え、そして、それに対して補足の説明で、郵政民営化担当大臣の職務についてるるお述べになっておられます。「郵政民営化を政府一体となって円滑に推進するため、企画立案及び行政各部の所管する事務の調整」、そして「所要の説明責任を果たすことも当然に含まれていると解されます」、このように明確に大臣は答えておられますよ。これは大臣の責任じゃないですか。大臣がこの郵政民営化の広報に対しては責任を持っておられるということを、六月の七日の場面でしっかりとお答えになっておられます。大臣、大臣の責任においてこれがなされているということでよろしいですね。

竹中国務大臣 私は、確かに、法案について説明する責任を負っております。でありますから、この場で法案についての説明をさせていただいておりますし、必要に応じてその広報に私自身が登場して説明をさせていただいております。

馬淵委員 何を言っておられるんですか。法案の説明だけじゃないじゃないですか。企画立案及び行政各部の所管の事務の調整を含め、企画立案というのはまさに広報なんですよ。広報というのは……(発言する者あり)今、山崎拓筆頭理事が違うよ違うよとおっしゃっていますが、そんなことはないんですよ。企画立案というのはまさに国民に対してそれを知らしめていく、事務の調整も含めてこれは大臣の所管の中に入るということじゃないですか。

 これは一体どういう、大臣が今自分は法案の説明しかないと言っておられます、そうじゃないでしょう。全般に対して負っておられるわけじゃないですか。大臣、この六月の七日の答弁と今違うお答えをされていますよ。大臣、お答えください。

竹中国務大臣 この郵政の民営化に関して私は説明をする責任を負っていると思います。であるから、国会でこのように説明をさせていただいておりますし、必要な広報があれば、それについて私自身が出演をして、しっかりと政府の考え方を説明させていただいているところでございます。

馬淵委員 いや、違うんですよ。企画立案も大臣の責任だとおっしゃっているんですよ。企画立案の中には当然広報も入ります、法案をつくるだけじゃないです、国民にいかに知らしめていくか。だから、大臣自身がこの政府広報に深くかかわっていらっしゃる。御自身がかかわっている中で政府の説明責任は法案だけにあるというのは、これは全く七日の答弁と違う答弁をなされているということですよ。この広報についても大臣の責任じゃないですか。

 繰り返しお聞きします。七日の答弁に企画立案及び事務の調整までおっしゃっている、これはどういうことですか。

竹中国務大臣 法律の中身についてしっかりと企画を行って、また、広報についても関係部署でしっかりとつかさつかさの責任を果たしてやってくれるようにということで私なりの指示を出しております。

馬淵委員 企画立案ということは、この民営化を進めていく中で、法案も当然ですが、法案以外に、各部の調整も含め、そして、それを進めていく中では国民的な合意も必要だから政府広報があるわけでしょう。この政府広報というのは、まさに企画立案の中に含まれるじゃないですか。そして、各部の調整、事務の調整ということは、政府広報がどういう形で進められていくか、これについてまでまさに大臣が所管されているということにほかならないじゃないですか。

 大臣、そこについて、先ほど来、御答弁は、自分は法案の話だ、法案の各部署の調整だ、こう逃げておられるけれども、今私が申し上げている点について再度お答えください。逃げておられますよ。

    〔松岡委員長代理退席、委員長着席〕

竹中国務大臣 決して逃げてはおりません。法律の企画立案、さらには説明責任を果たすことも私の役割だというふうに申し上げております。ただ、個別の契約行為は私の所管の外でございます。

馬淵委員 契約行為が、当然ながらお金がどこから出されるかということにおいては、そこの担当の責任になるのは当然です。しかし、広報全体は大臣の責任において進められているわけじゃないですか。だから、大臣もレクを受け、それに対して了解を出しているんでしょう。広報の責任は大臣じゃないですか。これはどうなんですか。大臣、広報の責任は大臣にあるんじゃないですか。

竹中国務大臣 個別の契約締結行為自体は私の所管ではございません。郵政民営化は、内閣が全体として一丸となって取り組んでいる最重要課題でございます。

馬淵委員 全然お答えいただいていません。

 では、竹中大臣、お尋ねしますけれども、この広報というものについて、個別はそれぞれ担当だとおっしゃいましたけれども、では、広報ということについての責任はないということですか、政府の中ではどなたも責任を持っていないということですか。全体の整合性をとってこの予算、六億なりの広報の予算が組まれているわけです。それに対しては、大枠の責任はだれがとっているんですか。竹中大臣、だれが責任ですか。

竹中国務大臣 政府は大きな組織でございますから、それぞれのつかさでしっかりとした責任を果たしていくというのが政府の基本的な仕組みでございます。

 私は、説明責任を果たすということで、国会で答弁をさせていただいて、広報にも出演をして責任を果たしているところでございます。

馬淵委員 これは、では、全体としてどなたも責任をとっておられないということですか。そうなりますよね。今の話では、つかさつかさでやっているんだ、自分はそこに出演するだけだ、説明に出るだけだ、そうおっしゃるんですか。竹中大臣がこの中身についてさまざまな形で了解を出しているという、今までのこの委員会での質疑の中で明らかにされてきたことに対して、竹中大臣は、では、なぜそこでレクを受け、了解を出しているということをされてきたんですか。それは何の権限でもってやられてきたんですか。大臣、お答えください。

竹中国務大臣 今、さまざまな了解とおっしゃいましたが、どういう了解か、ちょっとお示しいただきたいと思います。

馬淵委員 同僚議員、五十嵐議員が、二十一日に資料を提出させていただいておりました。この五十嵐議員の資料の中に、さまざまな内部でのやりとりを載せておられました。そして、これは私もきょうお配りをした資料がございますが、その中でもメールを二枚目におつけしております。資料の二枚目のところには、大臣がここで了解をしている、これは政府広報室からのメールなわけでありますが、例えば、この一つとってみても、この中で大臣が想定問答に対しての了解ということで、ここでスリード社の広報にかかわる説明を受けておられます。

 そして、昨日出されました、六月二十二日に出されました「折込チラシに関する経緯」の中で、これも大臣が繰り返し、広報に関してのレク、細かいお打ち合わせの結果をお受けになっておられます。十二月の二十二日、スリード社谷部氏より、タスクフォースに対し費用は一億五千万円との話が伝えられた、そして竹中大臣レク、このように出ております。

 竹中大臣は、たびたびこうした政府広報にかかわる中で、お話を聞き、そしてそこに対する一定の方向の示唆を与えていらっしゃるということにほかならないじゃないですか。大臣は、一切自分はかかわっていないとおっしゃるんですか。大臣、御質問に対して私は今お答えしましたが、これについてお答えください。

竹中国務大臣 まず、十二月の二十日過ぎに事務方から連絡を受けて、それでレクがありまして、それについては、私はそういうフライヤーという新しい方向をやるということについて、ああ、それはいいねというふうに申し上げたと思います。そして、できれば出てほしいということでありますので、うん、積極的に出るよということを申し上げました。そのやりとりはございました。

 一方で、今おっしゃったメールについて、このメールがどういうものか私は承知をしておりませんが、これは想定問答云々、そういうことを、私の権限外のことでありますので、了解するもしないも、これは私の権限外のことでございます。

馬淵委員 では、ちょっと違った観点からお話をさせていただきます。今回、この「折込チラシに関する経緯」、大臣が、御自身はとにかく広報に関する責任はないんだ、こうお話しになられますので、違った観点から、経緯のところから、もう一度確認をさせていただきたいというふうに思います。

 まず、経緯でありますが、当初、昨年の十二月二十八日にスリード社からの見積書が提出され、そして契約を交わしたという政府の答弁がありました。そして、それが二転三転となり、その後、私どもこの委員会に提出された資料の中には、説明として、一月の十二日に見積書が提出されたという説明がなされました。

 そして、昨日出された資料で、この見積書の提出が一月十二日、これが正式ではなく、決裁に必要な見積書の提出というのが実は二月の一日であり、そして、それによってようやく政府内での決裁に対する作業が始まったという説明がなされました。十二月の二十八日にスタートしたそもそもの説明が二転三転をしているわけであります。

 昨日、このことについて理事会でもさんざん議論がなされ、本日まで日延べがなされたわけでありますが、まず、この経緯の中で、決裁ということがいつなされていったのかということから確認をさせていただきたいというふうに思います。

 まず、もともと二十八日に契約がなされていたという答弁は翻されました。そしてその後、バックデートをしたんだという話でありましたが、決裁について、この契約締結日、契約書において実質に締結した日にちというのはいつになるんでしょうか。お答えください。

林政府参考人 お答え申し上げます。

 今の件でございますが、私整理して説明しておったつもりでございますが……(発言する者あり)申しわけございません。

 十二月二十八日に実質的な契約の合意に達しておりました。しかし、そのときに、今お話にもございました見積書の形では出ておらなくて、それが初めて出てまいりましたのが一月十二日ということがその経緯書にも改めて書いておるわけでございます。

 そういう意味で、実際の押捺が終わりましたのは、きのうの資料にも書いてございますように二月八日ということでございます。

 以上でございます。

馬淵委員 委員会でしっかりと確認をさせていただかないかぬ問題なんですが、契約書の締結は二月の八日ということなんですね。今の御答弁に、そういうふうに明確にお答えをいただきました。二月の八日に契約書が正式に締結をされたということであります。

 そして、確認ですが、そうすると十二月二十八日には実質的な契約の合意があったというお話でありました。そして、なぜこの十二月二十八日に実質的な合意を行って急いだのかというところでありますが、まず、政府の中で行われた想定問答、これはお配りをした資料であります。その想定問答のところに載せております。

 その想定問答につきまして、日付の整理というところで、十二月二十八日実質契約を行って、そしてその実質契約の後に、一月六日、これがなぜそこでやらなければならないかというと、一月の六日に用紙の発注が必要である。そして、なぜ一月の六日に用紙の発注が必要であるかというと、二月の初旬にこれを出さねばならない。これから逆算をして、一月の六日の用紙の発注並びに十二月の二十八日の契約合意という整理が必要だということが、この想定問答の中に述べられております。

 さて、この想定問答の中に述べられている日付の整理でありますが、そもそも、こうした日付の整理をしなければならない理由はなぜあったのかというところが出てまいります。

 一昨日、五十嵐議員が、その想定問答のところで上げております、なぜこれが入札でないのかということですが、これは逆に言いかえれば、なぜ随意契約を行ったのかという想定問答であります。なぜ随意契約を行ったのか。想定問答をつくったのはいつになりますか。お答えいただけますでしょうか。

林政府参考人 想定問答をいつつくったかということにつきましては、一月の十八日につくったということでございます。

馬淵委員 繰り返しお伝えをしますが、この想定問答は、なぜ随意契約なのかということをしっかりと皆さん方政府の中で論理構成するためにつくられた、そういう想定問答なんですね。二月の初めに広報展開をすることが強く求められ、そして印刷の日程制約から六日には用紙を手配、年末年始の休みがあるから十二月の二十八日に契約。こういう緊急性をここで一月の十八日につくっているということなんですよね、これは。

 これは、先ほどの話でいうと、十二月の二十八日実質合意がなされた。そして、契約書締結は二月の八日なんですよ。決裁に必要な書類が提出をされてきたのが一日で、稟議で、持ち回りでこれは判こを押していくんでしょうね。そして、二月の八日に締結されているんです。

 ところが、一月の十八日の段階で、こういう理由でこの契約がなされるということにしますという論理立てをつくっているんです。契約の前ですよ、これは。これはおかしいじゃないですか。契約の前にこういう理由を、日付の整理をしている、これはおかしくないですか。これをお答えください。

林政府参考人 お答えいたします。

 先ほどから申し上げておりますように、実質的合意が十二月二十八日でございますけれども、先ほどから先生がおっしゃっております見積書、そういうものの整備に時間がかかりまして、二月八日に捺印が完全に終了したということでございます。

 それで、今のお話に出ております想定問答、これは私どもが事務的にそれを後で整理してつくったわけでございまして、そのときに、十二月二十八日に至った経緯等が、十二月二十八日で契約が合意されていたということを事務的に整理してつくったわけでございます。

馬淵委員 いいですか、もう一度整理しますよ。もともとの皆さん方から出している話というのは、十二月の二十八日に実質的に合意がなされて、そして六日に発注しなければならない、間は年末年始で、二月の六日に配布しなければならない、こういうストーリーなんです。

 ところが、このストーリーは、いいですか、見積書が正式に出されていない段階でストーリーを、十八日の段階で想定問答、日付の整理をしてつくっているんですよ。そして、このお出ししているメールにもあるように、竹中大臣にはこれをお見せして、そして了解を得ていると。正式な決定、きちっとした決裁に付することができるような見積書はないのに、この段階で日付の整理というものを先にやっているわけですよ。これは随契ありきじゃないですか。はなからこれはスリード社に契約をやるためにつくっている話を、ここででっち上げているという話を証明していることになるじゃないですか。

 これはどうですか。見積書が出ていないんですよ、正式に。正式に見積書が出ていないんです。一億五千万だとか、ざくっとした話なんですよ。そんな話で、この段階で想定問答をつくっているんですよ。一月の十八日の段階ですよ。おかしいじゃないですか。正式な見積もりが出る前に、確定できる前に、なぜそんな勝手に想定問答までつくって日付の整理、これは言いかえれば明らかに、随契ありきのストーリーづくりをしたという明らかな証拠じゃないですか。これに対して、わかる答弁をしてくださいよ。

林政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどからおっしゃっている見積書、見積書の形で届けられたものは一月十二日でございますけれども、実質的な契約合意に至る段階において、経費の内容ということについて担当者レベルのやりとりがございまして、そういうものに基づいて判断しておったわけでございます。

馬淵委員 決裁書に必要な見積もりが提出されたのは二月の一日じゃないですか。それまでというのは見積書というのは、だから、これは何度も御説明あるように、調整しなきゃならないんですよ。調整するということは、金額が変わっていくんですよ。その調整が必要だから、決裁書に必要な見積書を出せ出せと言ってきたんでしょう。それが二月の一日じゃないですか。それ以前に、緊急性ということをより強調するために、緊急性ということを前面に出すために、日付の整理をして想定問答を十八日につくっている。おかしいじゃないですかと私はお聞きしているわけですよ。これに対しての御答弁をいただけませんか。お答えになっていません。

林政府参考人 お答えいたします。

 先ほどから申し上げておりますように、十二月二十八日に実質的な契約合意に至っております。それまでに業者からヒアリングを行ったり打ち合わせをしながら、実質的合意に必要な見積書の内容に当たるものについては情報を得たわけでございます。

 ただ、一月十二日に、そういう決裁書類につけるべき形で整えられたものとして一月十二日に届けられたということは、事実でございます。それを精査した上で、十二月二十八日付でつける、決裁書につけるべくでき上がったものが、先ほどおっしゃっています二月一日。それで、正式な形の整ったものとして判こを押したものが二月八日である。そういうことでございまして、あくまでも実質的な契約の合意は十二月二十八日にいたしておりました。

馬淵委員 では、今のお話で、実質契約は十二月二十八日になされたから、もうすべてオーケーだと。

 きょう、会計検査院長にお越しいただいていますね。会計検査院長、ちょっとお答えいただけませんですかね。

 政府の契約というのは、実質合意がなされれば、それでオーケーなんですか。会計検査院長、これをお答えいただけませんか。

森下会計検査院長 お答えいたします。

 国の契約におきましては、会計法上、所要の手続を踏んだ上で契約の相手方を決定したときには、原則として契約書を作成するということになっております。この場合、双方が契約書に記名押印することによって当該契約が確定するというのが会計法の考え方でございます。これが契約に当たっての手続でございます。

馬淵委員 国の手続は、今はっきりと会計検査院長から御説明あったように、当該、これは甲乙双方、契約者が、双方が記名押印した契約書締結によってなされると今御説明あったじゃないですか。

 実質合意があって、見積書もないのに契約ができているという話、だから、何度も繰り返しお聞きしているじゃないですか、こんなことは一般にあり得ないんですよ。政府の中でこんなことが横行しているはずがないでしょう。この問題だけじゃないんですか。この問題は、明らかに法令違反になる話なんですよ。

 今、会計検査院長の御説明がありました。繰り返しお尋ねします。

 正式な見積書が出た、二月の一日なんですよ。それ以前に、もう実質合意があるといって、想定問答までつくって、そして、これでいくと、日付の整理を行っている。

 現実には、十二月の二十八日に金額が確定もしないのに約束だけして、そして、その約束を何とか実現するために、とりあえず随意契約でやらないと仕方がない、随意契約にするには何か要件が必要だ、緊急性だ、その緊急性をつくるためにどうすればいいのかと。十二月二十八日に見積もりも出て、契約も交わした、最初はそういうふうに糊塗をするつもりだった。一月六日に用紙の発注がある、年末年始の休みを挟む、二月六日、初旬には配布をしなければならないから、緊急性だといって、十二月二十八日の仕事納めに慌てて契約した、そういう説明を最初にしていたんじゃないですか。しかし、次々次々に我々が出す資料の中で、糊塗し切れなくなって、十二日の見積もり提出、果ては、二月の一日見積もり提出、二月の八日決裁と。だんだんだんだん明らかになってきたら、もはや糊塗できないんですよ。

 十二月の二十八日には何もないのに、勝手に合意して、そして先に日付の整理をやって、契約を交わしたのは二月の八日。検査院長が説明があったように、これは本来やってはならないことをしたということにほかならないじゃないですか。責任ある答弁をしてください。

林政府参考人 お答えいたします。

 私どもは、先ほどから申し上げておりますように、十二月二十八日までに実質的な契約合意に至っておったわけでございます。それは、二月上旬に効果的な広報を行うためということで、私ども今まで説明してきたとおりでございます。十二月二十八日に実質的な合意に至っておりました。

馬淵委員 財務省の主計局の法規課長にちょっとお尋ねします。

 見積書も提出されないで合意がなされたということでありますが、このような契約というのは、会計法にのっとって、これは一般論としてお答えください、一般論としてで結構ですから、このような契約は、これは合法なんでしょうか。お答えください。

向井政府参考人 お答え申し上げます。

 通常、契約につきましては、民法上は意思の合致によって契約が成立するとされておりますが、会計法は、その例外といたしまして、契約書を作成しないと契約の内容は確定しないということにされてございます。

 ただ、事務の都合上若干日付がずれることがございますが、一般論を申し上げれば、長期にずれることは好ましくないと考えております。

馬淵委員 これは、今財務省の主計局の法規課長がはっきりと、会計法上と明確に言っていただきました。

 十二月の二十八日に見積もりもないのに、そして、その見積もりは、二転三転して出てきたのは結局二月の一日なんですよ。見積もりもないのに、実質的合意があったといって、契約があったあったと言っているのは、これは明らかに会計法違反じゃないですか。これに対して明確な責任ある答弁をお答えください。大臣、大臣にお答えいただきます。大臣からお答えいただけませんか。

二階委員長 最初に、林政府広報室長。

林政府参考人 十二月二十八日に実質的合意に達しておったということは、先ほどから申し上げているとおりでございますが、その時点で正式な形での書類は整っておりません。それを整えるために、二月八日時点での押捺ということになったわけでございます。

馬淵委員 いや、そんな話聞いていないんですよ、私は。会計法違反なんですよ、これは。

 竹中大臣、郵政民営化担当の大臣として、これは会計法違反だということなんですが、いかがですか、大臣。責任ある御答弁をいただけませんか。

竹中国務大臣 私は、政府広報予算を所管しておりませんし、個々の契約を所管もしておりません。会計法の所管でもございません。その意味で、私は答弁はする資格がないと思っておりますが、いずれにしても、政府の部内、つかさつかさでいろいろな制約の中で適正に一生懸命努力をして対応してくださっているというふうに思っております。

馬淵委員 さっきからおれの責任じゃない、おれの責任じゃないとずっと言っておられるんですが、では、本当にだれの責任になるんですか。これは会計法の違反の可能性があるわけですよ。

 憲法でも、「行政権は、内閣に属する。」そして内閣は、ここの皆さん方、代表されているわけですから。内閣の中で、今竹中さん、私は関係ないとおっしゃっていますが、少なくともこの委員会の中で、所管として大臣、竹中大臣なんですよ。それを、竹中さんでいらっしゃらないと。では、だれが所管するんですか、だれがこのことに対して責任ある答弁をするんですか。責任大臣はだれですか。これは大臣の中から責任あるお答えをいただけないと、質疑は続けられませんよ、大臣。

谷垣国務大臣 だれが所管かというお尋ねでございますが、会計法は私が所管をしております。(馬淵委員「法律を聞いているんじゃないんですよ、その責任はだれかと聞いているんです」と呼ぶ)いや、まあまあ、待ってください。

 そこで、会計法十条では、予算の執行について、基本的に予算の執行を行う各省各庁の責任において判断するということにされております。(発言する者あり)ええ、執行。ですから、その執行を行うときに、その執行官庁の責任者がこれが適法かどうかということを判断していただいて契約をしていただく、こういう仕組みになっております。

馬淵委員 会計法の説明をいただきまして、ありがとうございました。補足の説明をいただいたということです。

 私がお聞きしているのは、政府の中で責任はだれですか、それで、責任ある答弁をしてくださいよと。十二月二十八日に実質合意でも、見積書は二月の一日なんですよ。この委員会の議事録を繰り返し見てください。当初、二十八日に出されたと言ったのを、これは答弁がころころ変わって、事実は二月の一日だと。もうこれ以上うそはつかないと細田官房長官もはっきりと言っていただいたんですよね。

 だから、二月の八日に正式見積もりの決裁なんです。一日に出たんです。それ以前に想定問答までつくって、日付の整理をしている。実質が二十八日だと言い張る。これは、勝手に二十八日に金額も決まっていないのに契約をして、随契で進めたということになる。これは会計法の違反なんですよ。これに対して明確な責任ある答弁をしてくださいよ。いらっしゃらなかったら、その答えられる責任ある方、総理ですか、どなたか必要ならば、その方が出てくるまで質疑できないじゃないですか。お答えください。

細田国務大臣 お答え申し上げます。

 内閣官房において、広報関係について今御指摘があったとおりでございますが、今回の契約手続につきましては、実質的な合意のあった日に日付をさかのぼって契約を締結したというものではありますが、これは一方において、国民に対する説明責任を緊急に果たせという強い要請があり、国民の皆様方がどうしてもこの民営化問題というのはまだよく理解していないといういろいろな調査結果もございまして、そういう強い要請があり、他方におきまして、契約の審査は厳正に行われなければならないという、両者にこたえるために、私は、これは必ずしも適切であるとは言えないと思いますが、やむを得ない処理として行われたものと考えております。

馬淵委員 いや、適切じゃないというレベルじゃないということをこれから明らかにしていきますけれども、何度も何度も確認させてくださいと言っているのに、お答えがないんですよ。官房長官は政府を代表して先ほどおわびをいただきました。これはあくまで政府を代表ということですから。

 この二十八日実質合意で契約をしてしまった、もう進めてしまった、その責任はだれなんですかと。これに対しての明確な答え、この責任の大臣はどなたなんですか、竹中大臣でしょうと私はお尋ねしているわけですよ。だれもいない、だれもいない、まさに「そして誰もいなくなった」の「あすなろ村の惨劇」と同じじゃないですか。答えてくださいよ。大臣、責任ある答弁をしてもらわないと質疑を続けられませんよと私は申し上げているんですよ。

細田国務大臣 政府の広報について責任を持っております大臣は、一義的には、私、内閣官房長官であります。

馬淵委員 政府の広報について一義的に、これは全部ということでしょうけれども、じゃ、この件についてはどなたなんですか。細田官房長官、お答えください。

細田国務大臣 御存じのように、政府広報というのは、膨大な予算を持って、それを、広報室を中心として、さまざまな契約も行い、政府広報を行っていくわけでございますから、これは全体において責任がある、内閣官房において責任があるということでございます。

 ただ、本件につきまして、千五百万部の広報をしなければならない、しかも、先ほど申しましたように非常に広報自体が急がれるという判断があり、そのためには、紙の発注、印刷その他さまざまな事務上の緊急の要請があったということでございますから、したがって、先ほど申しましたように、適切とは言えませんがやむを得ない処理として行われたものと私は思っておりますが、もちろん全体的な責任というのは内閣の責任でございますし、私のもとに広報室というものがあるわけでございます。

馬淵委員 では、この問題は細田官房長官の責任なんですね。今、そういうことなんですね。

 それで、十二月の二十八日に、細田官房長官、これは了解されていたんですか。

細田国務大臣 政府広報全体についてでございますが、一般的な方針等については当然相談にあずかり、また、一般国民に対する広報をしなければならないということについては、時に応じて広報室の方からも相談があり、それに対して指示を出すこともございます。

 本件については、年末段階においては政府広報を急がねばならぬという一般的な方針はございましたから、個別の問題は、専決事項により、担当者が決裁をし、そして決断をしたものと承知しております。

馬淵委員 担当者が専決事項で決定したということであるけれども、大臣としては、先ほどの繰り返しの話になりますが、責任を負われるんだということの御発言だったので、大臣は御承知でなかったけれども責任は負うんだ、そういう御答弁なんですね。そういうふうに理解をします。

 これは、先ほど申し上げたように、随意契約にするためのストーリーづくりなんですよ。この随契にするということがどういうことなのか、これを少し話を伺っていきたいというふうに思います。

 まず、この随契なんですが、これは会計法の二十九条三の第四項に定められています。随意契約を行うということの法的根拠はここにあるわけですが、会計法二十九条の三第四項、ここに随意契約の三つの要件が定められています。「契約の性質又は目的が競争を許さない場合」と、「緊急の必要により競争に付することができない場合」、そして「競争に付することが不利と認められる場合」、このように随意契約の要件が定められています。

 これは、政府がさまざまな発注業務を行っていく、要は税金、国庫からお金を出していくときには競争入札を行わねばならないということである。それをあえて随意契約にするには、この二十九条の三第四項の三点の要件、このいずれかを満たさなければならないわけであります。

 そして、今回、先ほど想定問の中にもありました。想定問の中では緊急性ということが最大の要件になっているわけですよね。日付の整理を行ったのもそのためなんです。この緊急性について、これはどういう場合が認められるかということになりますが、緊急性というのは、これはかなり限定的です。天災地変その他の急迫の場合、客観的事由であることであって、公告の期間等を短縮してもなお競争に付するいとまがないようなときということになります。

 そして、このいわゆる緊急性、公告の期間等を短縮してもなお競争に付するいとまがなき場合ということでありますが、実は、このいとまがなき場合ということ、これはかつて政省令で定められておりました。

 ところが、このいとまがなき場合というのが極めて乱用されていく。昭和三十六年の会計法の一部改正で、この規定を会計法に引き上げているんですよ。なぜか。天災地変などその他緊急の場合といった範囲を示すものであるにもかかわらず、例えば担当者が契約の手続を迅速にとらなかった、あっと気がついたらもう間に合わない、慌てて随契。あるいは別の理由で、これはもう十分予見できるにもかかわらず、日時が切迫して競争のいとまがなくなった、こんなことが頻繁に起きるようになって、昭和三十六年にこれは会計法に引き上げているんですよ。緊急性というのは乱用されちゃいけないということになっているわけです。

 この緊急性、ではどういう場合かといいますと、人命に関し一刻を争う場合、予見不可能な事態ということを意味しています。予見不可能な事態ですよ、予測できない事態。タスクフォースはいつできたんですか。昨年の十月の十五日じゃないですか。それからタスクフォースがその広告、広報をやっていく。ところが、この日付の整理は十二月の二十八日になって、二月の初旬に、国会審議がちょうどそのころになって厳しい状況になるだろうと。全く国会審議なんて、この段階では国会も開かれていないのにそのときのことを想定していますが、十月十五日にタスクフォースができ上がって、予見不可能どころか十分予測できる範囲の中で、無理無理に緊急の話をつくり上げている話ですよ。

 これは繰り返し言いますが、この随契の緊急性というのは、今申し上げたように、特別な、人命に関して一刻を争う場合。例えば、これはこういうことなんですね。災害によって河川の堤防が決壊し、直ちに仮締め切りをしなければならない、これは被害が当然甚大になります。そんなときに一々競争入札なんかしていられませんよ。だから、こういう場合は、焦眉の急を要する場合、こういうものが当たるということで、緊急性が規定されているわけです。

 今回のこの随意契約というのは、緊急性ということで日付の整理をされていますが、全く予見不可能な話じゃないし、人命にかかわるような緊急のものでもない。何にも関係ないんですよ。

 緊急、緊急と先ほど細田官房長官もおっしゃいました。竹中大臣も繰り返しおっしゃっています。これは急がねばならない、急がねばならないのは政府の事情であって、こんなものは、もっと言えば、政府とスリード社の事情だけだったんじゃないんですか。これは随意契約の、この二十九条の三第四項にも当たらないじゃないですか。お答えください。

林政府参考人 お答え申し上げます。

 昨日までにも何度かお答えしておりますが、私ども随意契約いたしましたのは、今委員が御指摘した要件、まず一つは緊急性、これに対しましては、国民に対する説明責任を果たし、国民の皆様からの御意見を幅広く求めるための広報は、遅くとも国会で郵政民営化に関する本格的な議論が始まる二月上旬までに行う必要があった。かつ、内容の斬新さということもあったわけでございます。これもこれまで御説明したわけでございますけれども、この折り込みチラシの提案というものが、グラフィックの手法を使って、それで、かつ、テリー伊藤というような、日ごろの政府広報に余り出ていただけないようなキャラクターを使うというようなこと、それから、折り込みチラシ自体が政府広報で日ごろ使わない、かつ、じっくり読んでもらえるタイプの広報、これらのことを総合的に勘案して判断して決断したものでございます。

馬淵委員 向井法規課長、済みません。今、もう御答弁が何か全然ずれたことをおっしゃっていたので、向井法規課長、随契の要件、今私が御説明申し上げたんですが、緊急性ということについて、これも、では向井法規課長の方からお答えいただけますか。

向井政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、緊急の必要により競争に付することができない場合につきまして随契をすることと定めてございますが、緊急の必要により競争に付すことができない場合とは、例えば、公告や申し込み等、一般競争入札に要する手続を行っていては契約の本来の目的を達成できないような緊急性を有する場合には随意契約によることができると考えておりまして、典型的なものといたしましては、先ほど先生が申されたような災害の復興あるいは応急対策等が挙げられると思っております。

 個々の具体的なことにつきましては、各省各庁において適切に対応するものと考えております。

馬淵委員 今、法規課長御説明のように、緊急性というのは、私も申し上げたとおり、人命にかかわるとか、もう極めて限定的なことでしかこれは随意契約の理由とならないんですよ。それでも随意契約を、先ほどの話では、見積書もない段階で実質合意といって無理やり行った、これはどういうことか、この随意契約を行った緊急性が一体どこに今当てはまるのかとお尋ねしているんですよ。

 これは先ほど、細田官房長官御自身だと、責任があるとおっしゃいましたね。では、細田官房長官、お答えくださいよ。今のお話、法規課長から説明のあった、どこに今のこの契約について緊急性が当てはまるんですか。わかるように説明してください。

細田国務大臣 政府といたしましては、この郵政民営化について、年末、十二月に入りましてかなり多くの世論調査も行われまして、そして、郵政民営化について、政策的な順位づけから見ると非常に劣後されているんじゃないかとか、あるいは、民営化の真意、どういったことをやるのかについて十分な認識を持っていただいていないということをたびたび御指摘いただきまして、やはり、政府として責任を持った法案を提出しようと今考えている以上、これはよく御説明しなきゃならない。

 それでは、そのタイミングはどうかといえば、二月の上旬までに出そう、できれば一月中にでも出そうと思っておったわけでございますが、そういう意味で緊急な事情であった、これは内閣においてもそのように認識しておった事柄でございます。

馬淵委員 今の理由で随意契約がなされた。随意契約は政府が緊急だと判断すればできるというお話になりますね、今のですと。

 では、政府が緊急だと認めれば随意契約できるということですか。官房長官、お答えください。随意契約というのはすべてそれでできるんですか。お答えください。

細田国務大臣 本件について緊急であったかどうかというお尋ねでしたから、私どもとしては緊急であるということは申し上げましたが、緊急であれば必ず随契でなければならないかということはまた別の問題で、個別の判断によるべきであると考えております。

馬淵委員 随意契約を恣意的に行える、しかも、後で見積書が出てきてもバックデートして契約はできる、このことを政府はこの国会の場で、今後契約というものはそういうことができるという一例をつくっているということにほかならないんですよ。これは大変な問題です。

 この随意契約について、時間が余りないのですが、引き続きまだ午後にありますので、少しだけ次のところで言いますが、この随意契約、今お答えいただいていませんが、このお答えいただいていない随意契約を緊急性があるというのは、財務省の法規課長の説明やあるいは検査院の院長の説明等々に照らし合わせても一致しないと私は感じますし、これを聞いている方々、皆さんお感じだと思うのですが、仮にそれで随意契約をしたとしても、今度は予算決算及び会計令の中で、これは「二人以上の者から見積書を徴さなければならない。」となっているんですよね。

 ところが、この予決令、予算決算会計令九十九条の五の規定なんです。これは、契約担当官は「随意契約によろうとするときは、あらかじめ第八十条の規定に準じて予定価格を定めなければならない。」これは九十九条の五。そして、九十九条の六が「随意契約によろうとするときは、なるべく二人以上の者から見積書を徴さなければならない。」となっているんですね。

 この九十九条の六でなるべく二人以上の者となっているので、これを、なるべくなので一人でもいいじゃないか、そういう解釈が実は横行したんです。なるべくということであるものだから、一人でもいいじゃないか。そして、もっと言えば、見積書がなくてもいいじゃないか、あるいは口頭でもいいじゃないか、そんなことが横行したんですよ。

 そして、横行したことによって、昭和四十四年の段階でありますが、通達が出ています。昭和四十四年に、随意契約による場合の見積書の徴取についての運用基準に関する通達、四十四年の十二月の十七日に大蔵省が出しているんですよ。これはどういうことかというと、従来から、なるべく見積書を徴すること、この趣旨の規定であると解して、必要に応じ、書面による見積もりの徴取を省略したり、口頭照会等の手段を通じて価格の見積もり合わせをすることは差し支えないものとして取り扱われてきた。しかし、これが極めて乱用に当たるということで、統一的運用基準の設定が望まれたので、通達を出しているんです。

 そこで、きちっと見積書を徴しなさいよ、少なくとも一人以上見積書を徴しなさいとなっているわけです。相見積もり、そして一つ以上の見積書、あるいは予定価格の提示、これは定められているんですよ。だから、今までのお話の中で、緊急性、これは全く説明になっていないです。なっていないけれども、この緊急性で随意契約をやったとしても、一方で、この予決令の九十九条からかんがみて、ここについても見積書二つ以上、最低でも一つ。出ていないじゃないですか。見積書もない中で、結局この予決令にも違反しているんですよ。会計法、予決令、法令違反じゃないですか。これについて責任ある答弁を下さいよ。これだけでは質問できませんよ。

林政府参考人 先ほどから申し上げておりますように、十二月二十八日段階で、実質的な契約の合意に達しておったわけでございます。決裁に必要な形での見積書が整っていなかったということで、先ほどから先生がおっしゃっておりますように、一月十二日、その形が出てきておったわけでございます。

 しかし、そういう時間の流れはございますけれども、私どもとしては、実行が急がれること、それから、出てきたものが斬新なアイデアであるということをもとにいたしまして、十二月二十八日に契約合意に達していたために、好ましいことではございませんが、二月八日までかけまして決裁に必要な書類を整えて、決裁の押捺を終えたわけでございます。

馬淵委員 これは引き続き午後からやりますけれども、何が斬新ですか。

 一昨日、五十嵐さんが提出された資料の中にも、スリード社のターゲット戦略という資料がありますけれども、ここにもはっきりと書いているんですよね。IQ軸の低い、つまり知能の低い、主婦層や子供を中心、シルバー層、おじいちゃん、おばあちゃんたちに、具体的なことはわからないが小泉総理のキャラクターを支持する層、こういった人たちをターゲットにしてやらなきゃならないという、これが斬新な広報なんですか。

 いずれにしても、会計法あるいは予決令違反、法令違反の疑いのあるこの問題について、午後引き続きやります。

 以上です。

二階委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時一分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時二分開議

二階委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。馬淵澄夫君。

馬淵委員 民主党の馬淵でございます。

 引き続き、午前中に続きましての質疑をさせていただきます。

 午前中に、今回このスリード社との随意契約について、この随意契約が会計法上あるいは予決令上大変問題があるということの御指摘をさせていただきました。十分な答弁はいただいておりませんが、まず午後の冒頭は、再度この法令の意義についてただしていきたいと思います。

 まず会計法につきまして、先ほど会計法の中では、随意契約をする、そのための要件、そしてその緊急性の意義、そしてこの緊急性が人命にかかわることなど予見不可能なことについてのみ適用される、この予見不可能なことが本来の趣旨であるということの御答弁もいただきました。

 さて、その会計法に対して、緊急性に対しては問題があると御指摘をさせていただきましたが、予決令、先ほど私は午前中の後半に、その予決令の中で、できるだけ二人以上の見積もりをとるということが書かれているということを御説明しました。しかし、なるべくというこの言葉の意味、これについて、私は通達があるんだということの御説明をさせていただきました。そして、その通達の中では、このなるべくという言葉が時に乱用され、口頭あるいは書面もなく確認をしたなどということで乱用されるおそれがあった。おそれといいますか、現実に乱用されていたということだと思うんですが、それによって運用通達が制定をされ、二人以上、少なくとも一つの見積もりはとるんだということがこの通達の中で確認をされてきたというふうに御説明をさせていただきました。

 財務省の法規課長、私が今も申し上げましたが、この予決令の通達の意義について、これも一般論で御説明いただけますでしょうか。

向井政府参考人 お答え申し上げます。

 予決令九十九条の六で、なるべく二人から見積書を徴さなければならないとなってございますが、過去の経緯におきまして、乱用された経緯もございます。会計制度を所管する立場からは、できるだけ透明性、効率性のある制度を築き上げなければならないと考えておりまして、できるだけ、可能な限り二人以上から見積もりをとるとの趣旨は、なるべく、本当にやむを得ない場合を除き、二人以上からとるべきだと。

 例外の典型といたしましては、例えば、一社からしか供給を得られないような物品役務を調達する場合、あるいは真にやむを得ず緊急の場合、そういうものだと考えてございます。

馬淵委員 非常にわかりやすい御説明、この予決令の九十九条、そしてそれにかかわる運用通達、その意味までを御説明いただきました。

 先ほど午前中の御答弁がよく聞こえなかったんですが、林室長、見積もりは何社とられましたか、お答えください。

林政府参考人 お答えいたします。

 見積もりは、一月十二日に、委員からも午前中にお話がございましたように、見積もりの形で出てきたわけでございますけれども、私どもは、スリード社から出されました企画が斬新さがあるということでございましたので、それで、その斬新さというものが、インフォメーショングラフィックス、それから、出ていただくタレント、それから……(発言する者あり)スリード社から見積もりをとったわけでございます。それは、スリード社から斬新な企画が持ち込まれたからでございます。(発言する者あり)

二階委員長 政府側の答弁は、簡潔、要領よく、的確に答弁されるように努めていただきたいと思います。この問題で本委員会の審議が停滞しておるわけです。もっと的確な答弁をなさるように。

 では、続けて。馬淵澄夫君。

馬淵委員 委員長、公正なお取り計らい、ありがとうございます。

 林室長、これは一社じゃないですか、今の御答弁は。スリード社だけなんでしょう。これは一社だけ、それも一月の十二日なんですよ。それも、正式に決裁に必要な見積書は二月の一日なんです。

 先ほど法規課長にお尋ねをしました。予決令で、そして通達も出されている。これは、一社もない状態で実質合意をした、契約をしたと言っていることになりますよ。

 細田官房長官、先ほど、この件の責任は官房長官にあるとおっしゃいました。この予決令、いいですか、随意契約にしたこと自体も、私は先ほど会計法の違反の問題があると御指摘をさせていただいた。そして、違法に行った随意契約の手続そのものも予決令の違反に十分当たると考えられるこの状況、細田官房長官はどのようにお考えですか、御認識ですか、お答えください。

細田国務大臣 契約の実際の内容等については広報室長の方に委任をされ決裁をされるわけでございますが、これが会計法、法規に違反しているかどうかという判断については、最終的にはしかるべき当局が判断すべきものであり、私の方はこの点についてはそういう判断にゆだねたいと思っておりますが、事情において随意契約をすることはやむを得なかったというふうに聞いております。

馬淵委員 私は、会計法の違反、そして予決令の違反、これは二つの違反の塗り重ねだということの御指摘をさせていただいたんですよ。それに対して、先ほどおっしゃった、これは自分の責任だとおっしゃった、その責任ある大臣は、これは当局にゆだねる、違法行為であっても、それを当局が判断しなければ何でもいいんだというお答えですか。大臣、お答えくださいよ。

細田国務大臣 広報の予算、非常に多額に上るわけで、また案件も多いわけでございますが、その中で随意契約というのも多数に上っております。そのときに、随意契約をするかどうか、そういった緊急の情勢にあるかどうか、そういう判断は広報室の方にゆだねておるわけでございます。そのことを申し上げておるわけでございまして、それが私の責任の範囲の問題でございます。

 それから、会計法、法規その他の解釈あるいは運用等は財務大臣が先ほど答弁されましたけれども、それから、決算そのものについての責任問題は最終的には会計検査院が判断すべき問題だ、こう考えております。(発言する者あり)

馬淵委員 先ほどからたびたびこの議場が混乱するのも、結局は、また、やじが飛んできて、またそのやじ、この中身も本当に言っても仕方がないんですが、こんな話で混乱するのも、これはすべて政府の答弁が誠実でないというこの一点に尽きるわけですよ。

 官房長官、今おっしゃいましたが、内閣は、これは法律を誠実に執行して、そして国務を統理するという、これは当然ながら責任を負っているわけですよ。これは憲法七十三条、当たり前のことじゃないですか。細田官房長官、会計法と予決令、この二つについて違反のおそれがあって、それは当局に任せると先ほどおっしゃったけれども、これは法令遵守、当たり前のこととして執行するのが責任なんですよ。

 だから、私がお尋ねしているのは、会計法、先ほど、随意契約の緊急性の問題、これはどこが予見不可能なんだというお話を午前中しましたが、予決令に関しても、今林室長の御答弁にあった、見積もりはこれは一社なんですよ。しかも、その一社は、十二月二十八日の段階、実質合意をした日には出されていないんです。予決令違反じゃないですか。お答えくださいよ。責任ある者としての御答弁を下さい。大臣です、大臣。大臣だ。

林政府参考人 私の答弁がわかりにくかったということにつきましておわびいたしますが、私が申し上げたかったことを申し上げます。

 十二月二十八日に実質的な合意に至っておりました。そして、そのときに出されました折り込みチラシに関する企画案が斬新なアイデアであったということでございまして、他の業者から見積もりを徴することは困難と考えたわけでございます。

馬淵委員 聞いていないですね、全然。私が聞いたことに御答弁いただけませんか。

 細田官房長官。私は、細田官房長官に、会計法違反のみならず予決令の違反にもかかわる、この見積書の提出を受けていない、このことについて、法令違反についてどうお考えだと、どのように責任をお感じになっているのかをお答えくださいと聞いているわけです。官房長官、お答えください。

細田国務大臣 私の答弁と室長の答弁をあわせてお考えいただければおわかりになると思います。

 全体としての状況の緊急性についてはお話し申し上げました。それから、個別の契約が緊急性を要するかどうか、それで、随意契約が必要かどうか、そして、そのさまざまな手続において、どういう聞き方をして、どういう判断をするかどうかは、広報室において予算の執行の内容として、まあいろいろな例があるわけでございますが、判断をした。私は、その判断は正しい、こう思っておるわけでございます。

馬淵委員 官房長官、そうすると、予決令に定められている見積もりをとるということ、これがなされていないこと、これは法令違反でない、この通達を含め法令違反でないということを大臣は考えていらっしゃるということですね。これはこの場で明らかにしてください。大臣はこれは違反じゃないんだと。お答えください。

細田国務大臣 御質問の中で、見積もりだとか、それから詳細な手続が一月になってから行われたにもかかわらず十二月に決裁が行われている、このさかのぼっての決裁自体は、私は本当に適切なものであるとは言えないと思っております。

 しかしながら、緊急の判断とか、あるいは随契の判断という点においてはやむを得ない措置ではなかったかと思っておるわけでございます。

馬淵委員 これは、政府部内の議論の内部の証言もこちらは持っているんですよ。一月の初旬段階で契約の可能性について議論していたんじゃないですか。一月の初旬段階でも問題だということで議論していたんじゃないですか。

 結局、それは一月の十八日にやっと日付の整理ができたんですよ。それによって想定問答をつくって、そして、やっとこさ出てきた十二日の見積もり、それを受けて、詰めて詰めて詰めてやったのが二月の一日、二月の八日に決裁完了。

 ところが、仕事の方はどうですか。二月の六日配布予定だから、印刷もかけている、仕事は終わっているんですよ。先に、随意契約にすべきか否かも関係なく、とにかくやれるものはやってしまえとばかりにやってしまった結果じゃないですか。法令違反に対して、いや、それはその担当で、そんな話じゃないでしょう。

 これは、官房長官だけじゃないと私は思っているんです。この午前中の冒頭でも確認をさせていただいて、細田官房長官がみずからの責任だとはっきりおっしゃいましたが、私はそうではないと思っています。

 郵政民営化の準備室の担当の大臣はどなたですか。

竹中国務大臣 私でございます。

馬淵委員 細田官房長官は、内閣府の大臣官房の政府広報室の確かに予算執行の責任者であるから、御自身責任があるんだというふうにお答えいただいたと思いますが、これは、五十嵐議員が提出した資料の中に、十二月二十四日付の要請文の中でも、内閣官房の郵政民営化準備室からスリード社の広報について、これを「よろしくお取り計らいお願いいたします。」と採用のお願いをしているじゃないですか。

 つまり、これに対しては竹中大臣が所管をする準備室からお願いが行って、予算の執行は細田官房長官が責任を持つ、でも、このことの決定については、この文書からも明らかなように、郵政民営化担当の竹中大臣にも責任があることが明らかじゃないですか。竹中大臣、いかがですか。

竹中国務大臣 その御指摘の要請文そのものについては承知をしておりませんでした。

馬淵委員 五十嵐議員が提出されたこの十二月二十四日付の文書については、大臣は御存じない、全く承知していない、これは自分が知らないで準備室がやったということですか。

竹中国務大臣 その要請文については、承知をしておりませんでした。

馬淵委員 一月十四日に、これはきのうの整理なんですよね。きのうの経緯の整理の中で、政府広報室、郵政民営化準備室から一月十四日付実施依頼を受領と書いています。これは、大臣は承知はしていない。

 では、準備室長、きょうはお越しいただいていますよね。きょうはお呼びでない。(発言する者あり)いらっしゃいますか。ああ、いらっしゃいますな。

 では、済みません、準備室、これは政府のまとめ、この経過の中で依頼は十四日となっていますが、これは大臣は承知されていません、そういうお答えです。準備室長、これについて御答弁いただけませんか。

中城政府参考人 済みません。お答え申し上げます。

 六月二十一日の当委員会、ちょっと最初に訂正させていただきますが……(発言する者あり)いや、補足させていただきますが、五十嵐議員の御質問に対して、準備室から広報室あてに出された今御指摘の文書につきまして、私の方から、恐らく一月の、ちょっと日程はわかりませんがと御答弁いたしましたけれども、正確には一月十四日でございました。そういうことで補足させていただきます。

 それから、御指摘の……(発言する者あり)十二日とは言っていません。一月の……(発言する者あり)済みません。御指摘の要請文でございますけれども、これはスリード社との契約についての決裁の参考資料として、前から手続と申しておりますが、決裁の参考資料として政府広報室から作成依頼があったことを受けて、準備室が作成しました。その日程は、今申し上げましたように、一月十四日に政府広報室に提出したものでございます。ということでございます。

馬淵委員 これはだから、準備室から出ているんですね。準備室から、これは決裁に必要な文書としてつくっているわけですよ。つまり、準備室から広報室にこうした要請の形が必要だということでつくっている。承知されていないと竹中大臣はおっしゃいましたが、これは大臣の所管の準備室で出されているんですよ。大臣に責任、これはおありじゃないんですか、この文書に関しては。いかがですか。大臣、いかがですか。

渡辺政府参考人 その種の文書というのは手続に必要なものでありますので、大臣まで上げるようなものもあれば、上げないものもございます。

 そこで、その次にお話を申し上げたいんですけれども、この文書自身が要請によって入るということは、私はそんなに不自然なことではないと思っております。といいますのは、タスクフォースで最終的に、実質的に契約のことを決めるわけでありますけれども、タスクフォース自身は、これは責任や権限を持った機関ではありません。だれが要請をし、だれがお金を出すかという分担をしておりますので、行政組織の行政システムの限界というか、制約がございます。そのために、十二月二十八日に契約をするということであれば、その前にそのアイデアについて、これをやっていただきたいという要請が出るのも決裁のプロセスとしてはあり得ることであると思っております。(発言する者あり)

二階委員長 御静粛に願います。

馬淵委員 プロセスとして必要だということでありましたが、だからプロセスとして準備室から出す必要があったわけですよね。準備室から政府広報室に出す必要があった、プロセスとして。ということであるならば、準備室がやはりこのことについて要請をする必要があったということですよ、プロセスだけじゃなく。タスクフォースには権限がない。つまり準備室が要請をする必要があったんですよ、これはプロセスだけじゃなく。つまり、準備室にも、ここは権限として、要請する権限があるわけですよね。だからこの文書をつくっているわけでしょう。

 となると、要請した側の責任として、これは大臣、準備室の所管は大臣なわけです。竹中さんなわけですから、竹中大臣、当然ながら、これは承知をされなくても所管責任はあるということですよね。いかがですか。

渡辺政府参考人 重ねて申し上げますが、事務手続上の問題であります。それぞれ、役所の中の組織というのは、すべてのものを必ず大臣がごらんになるということではありません。準備室の手続に必要なものであれば、手続上必要なものであれば、それはきちんと整えるというのが役所のルールでありますので……(発言する者あり)ちょっとお聞きいただきたいんですが。

二階委員長 御静粛に願います。

渡辺政府参考人 お聞きいただきたいんですけれども、要するに、契約の当事者、そして支出の当事者は政府広報室でありますけれども、政府広報室がみずからアイデアを出してみずから実施するというのは狭い分野であります。タスクフォースで決まったことを今度はラインとしてエンドースするためにそういうことが必要だということでございます。

馬淵委員 いや、手続として必要だというのは、書面で残すのが必要だというのは、そこをちゃんと、所管の方々が責任ある立場であることを明確にする、まさにエンドースするために必要だということじゃないですか。手続のために手続が必要なわけじゃないんですよ。これは責任と権限を明確にするために手続上必要なものだったわけですよ。そしてそれは、つまり要請をするということが必要なんですよ、これは。細田官房長官が、政府広報室は自分の所管だからということで責任あるとお答えいただいた。そして、竹中大臣は、自分は関係ないとおっしゃっている。でも、これは逃げられる話じゃないですよ。

 準備室と、そして竹中大臣の責任において、このスリード社との随意契約は法令違反、政省令違反、これをしながら進めてきた。確かに予算の執行は細田官房長官のところでしょう。しかし、このことについての責任は、竹中大臣、逃げられないですよ。大臣、承知しないとおっしゃっていますが、手続上必要だということは、責任が当然あるんです。

 大臣、私は大臣にお聞きしていますから、竹中大臣、お答えください。責任はおありですよ、これは。お答えください。

竹中国務大臣 この文書につきましては、決裁の参考資料として、契約締結部局である政府広報室から作成の依頼があって準備室が作成したものであるというふうに聞いております。個別の契約の所管はしておりません。私はしておりません。準備室も広報室も、それぞれの時間の制約等々の中で、つかさつかさで適正に処理をしてきているというふうに思っております。

馬淵委員 では、タスクフォースで議論して決まって、それを準備室から広報へと上げた例というのはほかにありますか、要請文というものを。ほかにありますか、お答えください。

中城政府参考人 お答え申し上げます。

 この御指摘の要請文は、政府広報室から作成の依頼がありましたが、私の知る限り、決裁に必ずつけなければならないというものではないと理解しております。

馬淵委員 こういうものがほかにあるか、ほかの例があるのかとお聞きしています。あるかないか、イエス・オア・ノーでお答えください。

中城政府参考人 ほかにないと理解しております。

馬淵委員 要は、ないんですよね。

 こうした例がない中で要請文をつくって、プロセスだと言うけれども、手続のための手続じゃないんですよ。実はタスクフォースをつくって、準備室で決めてきた、それを、政府広報室で実現するからこの要請文が要るといって、政府広報室から頼まれてつくった文書じゃないですか。しかも、先ほども申し上げているように、会計法の緊急性の問題も無視し、そして予決令の中で見積書が必要ということも無視し、法令違反に法令違反を重ねてやっている随意契約が、とてもじゃないが政府広報室としてやり切れないから、何とか形をつくってくれといってつくったものじゃないですか。この責任は準備室にあるんだから、竹中大臣、あなたに責任があるじゃないですか。お答えください。

中城政府参考人 何度も申し上げますが、御指摘の要請文は、スリードと契約の決裁の参考資料として、政府広報室の方から作成してくださいという依頼があったということでございます。

竹中国務大臣 繰り返し申しておりますように、御指摘の要請文につきましては、私は承知をしておりません。準備室も広報室も、時間の制約の中で、つかさつかさで適切にいろいろな対応をした結果だと思っております。

馬淵委員 承知しないという言葉でこれは済む問題じゃないんです。この随意契約の問題に関して、私は繰り返し繰り返しこの法令違反についてただして、官房長官からも十分なお答えをいただけない、竹中大臣も承知していないという一手で逃げている。これは民営化に対して、先ほどお話にありましたように、説明責任を果たすということを全然これではやっていないじゃないですか。この国会の場で説明責任を果たすことが最も閣僚として責任ある行動じゃないですか。それがなぜできないんですか。

 先ほど、林室長の午前中の答弁の中でも、私が確認をしたところ、林室長は、口頭でもさまざまなお話をしてきたという御説明がありましたが、これはまさに、その林室長の御答弁は予決令違反なんですよ。

 だから、法令違反に法令違反を重ねていることに対して、竹中大臣、要請文は準備室がつくっているわけですから、準備室がこれを要請しているわけですから、あなたに責任があるんじゃないですか。あなたがこの問題に対して、この文書は承知していなくても、このことに、この進め方について、あなたが責任ある立場としてかかわってきているということ、これは御認識されなきゃおかしいんじゃないですか。この文書は今まではほかに出ていないんですよ。準備室から広報室にこういう形で要請文を出した例はないと今もお話がありました。ないんですよ、こういったものは。

 竹中大臣、もう一度お答えください。

 この問題に対して、竹中大臣のその責任において、このことに対して今どういうお考えがあるのか、お答えください。

竹中国務大臣 所管外の手続のことにつきまして、私は詳細には承知をしておりません。その要請文についても承知をしておりませんが、広報室、準備室ともに、事務方は、時間的制約の中で、行政の判断を適切に行いながら適切に対応しているというふうに理解をしております。

馬淵委員 大臣がお答えいただけない中でこういった審議が続いているのは本当に情けなく思いますし、委員長から厳しく、公正なる審議がなされるようにという御指摘があるにもかかわらず、相変わらずです。もう時間もなくなってきたのですが。

 こうした法令違反で、これは本来やってはいけないことに、違反に違反を重ねた契約、そしてその契約書が二月の八日、この決裁というところで契約がなされたわけであります。契約書に関しては、後に引き続き質疑をしていただきます同僚の辻議員がこれを徹底的にやりますが、この契約書の中身について、私はこの最後の四枚目のところをごらんいただきたいと思いますが、この契約書の中で、これは最後の四枚目は変更契約ということで、二月の二日に、これは六日までに配布するという予定を二月の二十一日に延ばしているんですね。二月の二十一日まで延ばして、そして二月の二十日に配布を行った。でたらめな随意契約、私が申し上げているのは、緊急性がいかにないかということを申し上げましたが、ここでも、二週間延ばすという緊急性に全く反する状況をつくっています。

 そして、この契約の結果、変更になった場合は、当然ながら、その期間が延びたわけですから、何らかの措置が必要となる。その何らかの措置が何かというと、これが保管などの問題でありました。この保管の問題に関しては、これも資料におつけしましたが、政府内部で保管の問題が、延びることについての疑義が発生していました。保管については、三点、その問題点が指摘されていました。

 これは、ごらんいただくと、表の中にありますが、期限を延長するということによって、その保管料が発生するのではないかという疑問が出てきました。これは、五十嵐議員の質問の中で、林室長は、保管料は発生していない、こういう御答弁でありましたが、現実には、一千五百万部のチラシが十四日間の間、何らかの形で保管されるということは、それなりのボリュームがあります。

 これは、一千五百万部といいますとどういったボリュームになるかといいますと、パレット数でいいますと大体二百五十パレットぐらいになります。これを、フォークリフトの移動の幅も含めますと、大体、これは坪数でいいますと百坪単位の倉庫が必要になります。百坪単位。これは単純に計算をして、例えば、時価で、多寡はあるでしょうけれども、坪単価五千円でいえば、これは月額五十万かかりますよ。

 こういったものが支払われていないという御答弁がありましたが、例えば、変更契約の中で、本来ならばこれは当然議論に上るはずなんです。この倉庫保管料の、五十万何がしかわかりませんが、ざっと考えればそれぐらいのお金もかかる。ところが、支払いはなされていない。単に、まけてもらってよかったねという話ではないんですよ。民間であれば、よかったねで済みます。そうじゃない。つまり、この五十万円も別に支払わなくても済むようなあらあらな、でたらめな見積もりであったという可能性は十分にある。これについてはどうお考えですか、お答えください。

林政府参考人 お答えいたします。

 保管料に関する御質問でございますけれども、保管料は、通常、折り込み会社と各配送センターとの契約に係る折り込み手数料の中に含まれておるわけでございますが、配布の延期に伴うコストにつきましては、配送センターみずからが倉庫を持っておりまして、その倉庫に保管していたこともあり、各地の配送センターから折り込み会社に対して請求がなかったとスリード社より聞いておるところでございます。

馬淵委員 もう時間もなくなってまいりましたが、スリードの谷部さんが、これは請求書を出した、こういうふうにおっしゃっているんですよ。今の御説明も含めまして、結局、このスリード社の問題というのは、本当に我々から見ても疑惑だらけ、問題だらけなんですよ。今の御説明だけで、ああそうですかという話にならない。随契の問題も含めまして、例えば倉庫保管料の話も含めて、スリード社の谷部さんの発言等、あるいはスリード社の谷部さんが御指摘されていると言われているメールも含めて、この場で明らかにしていかねばならないと私は考えますし、これは、こうした審議を見ている国民の目から見ても当然です。

 委員長、もう時間もなくなったんですが、ぜひこの委員会の場で、スリード社谷部さんの参考人招致を求めます。

二階委員長 後刻理事会において協議をいたします。

馬淵委員 委員長に今、スリード社の谷部さんの参考人招致につきましての理事会協議を発言していただきました。

 引き続きまして、残余の質問を仲間の議員が行いますが、今回、私、積み残しました日本郵政公社改革法案、これは与党の方々から出ている法案です、立派な法案だと思います。その賛成者の中には八代英太さん、自見庄三郎さん、こうした郵政大臣を務められたお二方も入っていらっしゃる。この法案についても逐一お聞きをしたかったなと思っているんですが、またこれは次の機会に譲りまして、残余の質問は同僚議員からもさせていただきます。

 以上です。ありがとうございました。

    ―――――――――――――

二階委員長 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、参考人として日本郵政公社総裁生田正治君の出席を求め、意見を聴取し、政府参考人として内閣府大臣官房参事官岩崎達哉君及び法務省刑事局長大林宏君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

二階委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

二階委員長 次に、辻惠君。

辻委員 民主党の辻惠でございます。

 郵政民営化に関する折り込みチラシの問題、随意契約が結ばれているということで、これは新聞紙上でも極めてゆゆしき問題だということで注目をされております。

 そもそも一般競争入札を原則としているという趣旨は、権力に連なる者に口ききをしてもらって国家の税金をほしいままに私に私消してはいけないというところにあるわけであります。本件で、まさにその本来求められている趣旨というものが全く無視される、趣旨にもとるような契約が結ばれてしまっている。このことは、単に好ましくないとか適切でないとかいう問題ではなくて、まさに本件行為の効力の問題にもかかわる問題でありますし、関係者の責任問題に当然発展するような問題であります。ひいては、この郵政民営化法案のそもそも提案資格が竹中大臣にあるのかというところにもかかわってくる問題であろうというふうに考えます。

 そういう意味におきまして、馬淵委員そして一昨日の五十嵐委員の質疑に引き続いて、質疑をさせていただきたいと思います。

 細田官房長官、きょう冒頭で、政府参考人の答弁や説明が意図的に改ざんの中でなされたと指摘されたことにつきまして、当委員会に対し、政府を代表して遺憾の意を表し、心からおわびをいたします、こう述べられております。そして、なお、国会で虚偽の答弁をすることは断じて許されないのが当然であり、この点についても今後このような疑惑を招くことのないよう十分監督をいたしますことを政府を代表して当委員会に対しお誓い申し上げますということを述べられました。

 午前中の質疑を聞いていて、ここで述べられた発言の趣旨は生かされていないというふうに思いますけれども、もう一度、虚偽の答弁をすることは断じて許されない、疑惑を招くことのないよう十分監督する、虚偽の答弁とおぼしき答弁者が出た場合に官房長官としてどういう措置をとられるのか。その点、冒頭でお尋ねしたいと思います。

細田国務大臣 先ほど、午前中冒頭に申し上げたとおりでございまして、国会で虚偽の答弁をすることは断じて許されないのが当然であり、この点についても今後このような疑惑を招くことのないよう十分監督をいたしますことを政府を代表して当委員会に対しお誓い申し上げた次第でございます。

 したがいまして、そのようなことがございましたら、十分監督、注意をいたします。

辻委員 十分監督をすると。にもかかわらず、虚偽の答弁とおぼしき答弁が出たり、言を左右にして答弁をはぐらかすようなそういう答弁が出た場合、これは官房長官としてどう監督責任をとられるんですか、また当該答弁者に対してどういう指揮をとられるんですか。その点、お答えください。

細田国務大臣 当然ながら、委員会の答弁においては、紛れのないようなはっきりとした答弁をすべきであり、虚偽であるか虚偽でないかという点は、さまざまな議論の中でおのずと浮かび上がってくることもあるし、そうでない場合もある。したがいまして、そういった虚偽であることが明確であれば、当然、十分な監督、注意をいたします。

辻委員 六月十四日に私が質疑させていただいたときに、十二月二十八日に見積書が出て、そして、それを受けて随意契約を結ぶんだというふうに決定をして、それをスリード社の谷部社長に通告したんだという答弁だったんですね。ところが、十五日の時点では、見積書が出てきたのは一月十二日なんだという答弁に変わった。そしてまた、六月二十一日に、それぞれの疑問点について対比した釈明があったけれども、それも事実が変わった。そして六月二十二日、昨日、「折込チラシに関する経緯」ということで、事実経過については三ページの経緯表が出てまいりましたけれども、見積書は一月十二日と一月二十七日と二月一日の三回にわたって出ている。今まで言っていたことは全然違うんですよ。三転四転しているんですよ。何でこんなことが起こるのか。事実を偽ったり記憶なしということで、結局、真相が表に出ることを隠ぺいしてきたがためにこのような結果になっているんですよ。

 西川副大臣、十五日の私の質疑のときに、指名もしないのに突然出てこられて、何を言っているのかわからない、文書を棒読みされた。そのときにおっしゃられたこと、十二月二十八日に実質的な合意があったと。そのときに私が質問をしていたのは、政府答弁の食い違いについて、十二月二十八日の見積書が出ていたんじゃないか、それが一月十二日の見積書じゃないか、そのほかにも幾つかの点について対比をして、事実関係が違うんじゃないかということを述べていたときに、西川副大臣は、その日に、二転したときの、二転目の後、三転四転しているんですよ、二転目の事実経過が政府の答弁として正しいんだということを前提に、わかりやすく説明するんだということで答弁されているんですよ。このときの答弁は事実に基づいていないじゃないですか。その後に、見積書は三つ出ているということが出てきているわけですよ。全然あなたは違うことを言っているんですよ。どういうふうにこれは責任をとるんですか。お答えください。

西川副大臣 二度にわたって私は発言しておりますけれども、その時点その時点で、答弁に立つ前に、前夜、精査をしました。その時点でわかる範囲で時系列的に並べてみまして、辻委員の質問の趣旨と照らし合わせてみまして、その時点で私どもが確認した情報をここで報告させてもらった、こういうことであります。

 二転三転したということでありますが、三転目のものは、全部出しましたから、その前のときにはその一部しか出ていなかった、こういうことであります。

辻委員 あなたは、当日の、十五日の答弁、これが正しいんだと見えを切っているんですよ。やじと怒号の中で、だれもが聞こえない中で文書を読み上げて、その場を制圧するかのごとく見えを切っているんですよ。そんなの、今のお話だったら、自分は事実経過の全体について掌握していないということを自白しているんですよ、あなたは。そうでしょう。一部の事実だけ、言われた一部の事実だけつまみ食いであなたは述べているにすぎないんですよ。そんなのは全体像を言ったことにならないじゃないですか。

 では、きのう、きょうと出ているこの事実、「折込チラシに関する経緯」三枚の事実、これが全体像ですか、これ以外にもあるんですか。その点どうなんですか。責任を持って答えられるのかどうなのか。

西川副大臣 私どもも精査に次ぐ精査をやっています。そして、これは夜を徹してやっておりまして、現在時点で出てきているもの、これは私どもは、出てきたもの、精査に次ぐ精査した上で、私ども、正しい、こういうことで御報告を申し上げておるところでございますので、御了解いただきたいと思います。

辻委員 精査の精密度が低いですね、これは。今の政府の本当に能力のなさを私は疑いますよ、トップを初めとして。

 では、きのう出たこの経緯に、さらに違う事実、具体的に異なる事実が出てきた場合、副大臣としてどう責任をとられますか。まず、とりあえず副大臣。

西川副大臣 私どもの持っている能力のすべてを、辻委員の質問に答えるべく、夜を徹して仕事をやってきています。ですから、今現在の時点で、私も、政府広報室からもありとあらゆる書類をもらって時系列的に並べてみたものでありまして、現在の段階で知り得るものを辻委員にお知らせした、こういうことです。

辻委員 では、それは今の言をよしとしましょう。

 そうすると、政府の内閣広報室に事実関係の資料を出せとおっしゃっているんですよ。だけれども、部分的にしか出てこなかったから、二転、三転、四転せざるを得なかったんじゃないですか。政府広報室が、あなた方の命令、指示にちゃんと従って全体像を明らかにしようとしていないんですよ。だからこういう事態になっているんですよ。

 この点について、では、三転、四転したことについて、そういう意味では、自民党の、与党の方の理事におかれましても、また西川副大臣においても、メンツを失っているわけじゃないですか。言ったことが違うんです。次の日、違うことを言っているんだ。朝令暮改もいいところなんですよ。政府の広報室から出てくる情報が間違っているんですよ、部分的なんですよ。

 だから、その点について、では、どういうふうに、それは怒っているんですか。何でそんなことを部分的にしか出さないんだ、もっと全面的に真相究明に協力しろというふうに強く指示しているんですか。いかがですか、それは。

西川副大臣 全容を解明すべく十分きつく申し上げておりますが、私は、やり方として、大きな声で怒るよりも、褒めてやりながら聞き出す、こういう形でありますので、その辺、誤解を受けている面があるかと思いますけれども、そんなことはありませんで、最大限の努力をして御要請にこたえておるつもりであります。

辻委員 後ほどさらに伺ってまいりますけれども、各政府参考人、事実を今まで部分的にしか述べてこなかった。覚えていない、覚えていないとごまかしてきた。事実を正確に再現することをネグレクトするような極めて不誠実な答弁を繰り返してきた。このことを反省して、今後は、誠実に真相を明らかにする、そういう場にふさわしい答弁を行うということを誓約できるんですか。

 林さん、中城さん、山本さん、羽村さん、齋藤さん、この真相を明らかにする場にふさわしい誠実な答弁をすると私は理解していいんですか。異論があるんだったら、その方は立って御答弁ください。異論はないんですね。

 竹中大臣に伺いますけれども、郵政民営化担当大臣として、政府広報チラシ、これは竹中さんの意向でスケジュールが進行しているんですよ。これは先ほどから、馬淵委員の御質問についても、契約を所掌する担当大臣ではないということなんですけれども、しかし、民主党に寄せられている多くのメールとかいろいろな事実関係を精査しますと、結節点、結節点で竹中大臣にお伺いを立てて、竹中大臣の御了解を得て、そしてスケジュールを進めているんですよ。あなたの意向でチラシが二月六日に配布されるということになったんじゃないんですか。この点、否定しようがない事実だと思いますが、いかがですか。

竹中国務大臣 私は、十二月二十二日にこのチラシに出演することを合意しておりますから、その観点から、当然私は、いつ写真撮影するとか、そういうことは何らかの調整をしなきゃいけないと思います。

 それ以外で、私の意向でスケジュールが進行しているというふうに委員がおっしゃる、具体的にどういうことかぜひお示しをいただければ、さらに御答弁申し上げます。

辻委員 羽村参事官、十二月二十八日の午前七時〇七分に谷部さんからあなたあてにメールが来ていますね。これは、前回は覚えていないということでありましたけれども、時間もたっているし、具体的な資料も提供しています。当然記憶は喚起されていると思うんだけれども、どうですか。

羽村政府参考人 お答えいたします。

 メール、来ております。

辻委員 そのメールは、まず、内容として、「大臣の意向として確認できた点は以下の通りです。」ということで、五点にわたって紹介をしている。そして、現場サイドの進捗についても報告をするということで、三点について報告している。こういう内容のメールであるということに間違いないですか。

羽村政府参考人 外の方から来たメールなので、メールの中身についてこれこれと言うことはできませんけれども、そういった内容の確認があったことは事実でございます。

辻委員 個々の内容について、お答えしにくい面については、それはそれとして考慮いただければいいと思うけれども、十二月二十八日の七時〇七分に谷部さんから羽村参事官にメールが来た、それは、大臣の意向として確認できた点は以下の五点であるということと、それから、現場サイドの進捗についての報告ということで三点の内容である、このことは今、羽村参事官お認めになりました。

 では、次にお伺いしますけれども、大臣の意向として確認できたという点について、スケジュールについて大臣の意向が、大臣が確認されているスケジュールというのはその中に含まれていましたか。

羽村政府参考人 お答えいたします。

 我々事務局といたしましては、できるだけ早い時期に広報を実施したいと考えておりました。できれば国会開催前に実施したいと考えて、それで、二月六日はもう国会開催後なんですが、その時期でもいいですという了解を得たものと私は理解いたしました。若干国会開催後ですがということでございます。

辻委員 今のは、主観的に、大臣の意向を今お答えになったようにあなたは受けとめたということなんだけれども、私が聞いているのは、メールの中で伝えられた大臣の意向というのは、具体的に、客観的に、スケジュールについてはどのように書かれていたんですか、このことを聞いているんですよ。あなたの受けとめを聞いているんじゃないんですよ。具体的事実についてお答えください。

羽村政府参考人 今ちょっと手元にメールはありませんが、一月三十日から二月六日でもオーケーという中身だったと思います。それで、私の理解はああいうことでございます。

辻委員 この谷部さんのあなたあてのメールの中では、岸秘書官と電話で谷部さんが話をした、それで大臣の意向として次の点を確認したんだというくだりになっていますが、そういうメールの内容であったということは間違いないですね。

羽村政府参考人 そういうことでございます。

二階委員長 ちょっと小さい、もう一遍。

羽村政府参考人 そのとおりでございます。

辻委員 一月三十日から二月六日の間で配布のスケジュールにするんだということが大臣の意向であるということがそのメールの中で確認されていた、こういうことでいいんですね。

羽村政府参考人 二月六日であってもいいという了解のメールだったと記憶しております。

辻委員 メールの内容はそんな内容になっていませんよ。一月三十日から二月六日の間の配布で了承済み、そういう内容になっています。

 山本参事官、羽村さんから今のメールが転送であなたのところへ届いている事実が十二月二十八日の午後十二時三十二分にありますが、これは前回あなたは覚えていないというふうに言ったけれども、記憶を喚起し、事実も確認されていると思うんですが、いかがですか。事実でしょう。

山本政府参考人 私、役人としてできが悪いものですから記憶力が悪い方なんですけれども、国会の場でございますので、記憶に確かでないことを述べるのはよくないと思いまして、前回は確かな記憶がないと申しました。

 その後調べましたが、メールそのものは容量が小さいのでもう残っておりません。ただ、そういったような内容があったということは、記憶を喚起いたしまして、確認を私なりにいたしました。

 以上です。

辻委員 羽村さんは、岸秘書官と谷部さんが直接話をしている、用紙手配が本日がタイムリミットになるんだ、したがって、スリード社に印刷発注してもいいかどうか至急検討していただくようにお願いしますと、あなたにこれをお願いされているんですよ。そういう内容だったでしょう。

 あなたは、十二月二十八日じゅうに、スリード社に用紙の手配をきょうじゅうにしなきゃいけないんだと言われて、それを手配できるように配慮、段取りをとってくれというふうに羽村さんからあなたのところにお願いが来ているんです。そういう内容だったんでしょう。答えてください。

山本政府参考人 お答え申し上げます。

 メールそのものは破棄してしまっておりますので残っておりませんが、用紙云々よりも、とにかく契約を急がないと、実質的合意という意味で急いでやらないと後々の段取りがまずくなるというふうには確認は自分なりにしたつもりでございます。

辻委員 そうすると、十二月二十八日の午後十二時三十二分に羽村さんから、きょうじゅうにスリード社に発注しないと紙を押さえられないという要請が来て、それであなたが動いたという内容ですね。

 そうすると、それ以降どのように動いたんですか、十二月二十八日に。お答えください、記憶で。

山本政府参考人 その日、当日、夕方にタスクフォースを開いたと記憶しております。

辻委員 そうすると、タスクフォースを開くというのは、あなたが十二月二十八日のこのメールを受けて、夕方に、招集を呼びかけてタスクフォースを夕方開いているということじゃないですか。そういうことで間違いないんでしょう。

山本政府参考人 当日どう動いたか答えろということだったのでさっき申し上げたんですが、タスクフォースは、必要があるときにみんなで合意して開くものでございます。

辻委員 そのタスクフォースの場でスリード社に発注を認めようという話になったんですか。そこでそういう話が出たということで間違いないんですか。相談するような問題じゃないでしょう。

山本政府参考人 お答え申し上げます。

 タスクフォースは、中身をどうするということをみんなで、今回の場合、大きな問題でしたから、郵政民営化という大きな問題をどう広報していくか、みんなでよく相談してやっていくための場がタスクフォースでございます。

 ですから、二十八日にそういう用紙の手配の話も聞いたものですから、この日で契約を実質上合意することは私ども政府広報室の方の最終判断であったということでございまして、それは、私も状況を上司と相談して、最終的に決めたということでございます。

辻委員 答えになっていないんですよ。

 十二時三十二分にメールをもらって、きょうじゅうに発注の段取りをとってくれと言われて、それであなたはどうしたんですかというふうに言ったら、夕方タスクフォースが開かれましたと言ったんですよ。だから、話の脈絡としては当然、スリード社への発注を認めるかどうかということを検討するためにタスクフォースが開かれた、そういう答えなんですよ、あなたの答えは。今、そういうことを率直に言っていないんだよ。

 では、どこで決めたんですか、当日。横で相談するんじゃないですよ。だれですか、横で言っているのは。自分の記憶で答えなさい、ちゃんと。違う違う、聞いていない。山本参事官。山本参事官、答えろ。

山本政府参考人 お答え申し上げます。

 タスクフォースの場では、契約内容をどうするこうするを決めるために開いたわけではございません。ただ、当日におきまして、この日までに急いでやらないと紙の手配等が間に合わないという判断はあって、それで、室長とも相談をし、これで合意するということを私どもの部屋として決めたということでございます。

辻委員 間に合わないという判断が当日までにあったというのは、それはいつのことなんですか。二十八日に初めてあなたは知らされているんじゃないの。何うそを言っているんですか。

 細田官房長官、こんな虚偽の答弁をさせるような役人をそのまま放置しておくというのは、これは問題ですよ。

 今のところ、どうなんですか。あなた、虚偽の答弁じゃないの、それ。

山本政府参考人 お答え申し上げます。

 きょうじゅうに決めないと用紙の手配が決まらないというのは、さっきの羽村さんから来たメールなるもので初めて私が知ったというわけではありません。

辻委員 途中でそういう答弁の趣旨を変えるというのは、これは本当に不誠実な答弁なんですよ。では、私が最初に質問をしたときにそれは答えるべきなんだよ。

 十二時三十二分に初めて、こういうことできょうじゅうにやらなきゃまずいんだというメールが羽村さんから来たでしょう。それを受けてどういう段取りを組んだんですかと私は質問したんです。それに対してあなたは、タスクフォースを夕方開いたんだと言ったんですよ。だから、どこで決めたんですかと。では、その日にスリード社に随意契約をするということをどこで決めたんですか。タスクフォースの場なんですか。どこで決めたんですか。それを聞いているんですよ。言を左右するんじゃないですよ。きちっと事実だけ答えてください。いやいや、山本参事官ですよ、これ。答弁が矛盾しているから聞いているんだから、山本参事官が答えないと意味がない。

山本政府参考人 答弁が矛盾しているような誤解を与えたとしたらその点は申しわけありませんが、もう一回申し上げます。

 タスクフォースの場では、どういう内容にしていくかというような中身のことをいろいろ議論したわけでありまして、私どもは政府広報室ですから、政府広報室として契約をいつどういうことにしていくべきかということは私どもの方の判断でして、それは私が、それまでのいろいろな、私もまた下の会計の者を使ってやっていますが、そういういろいろな状況の判断の中で、ここはやはり実質的合意をするかどうか、上司である室長とも相談して決めなければいけないということで、二十八日に決めたと記憶しております。

辻委員 この問題は、場を改めてもう一回きちっと質疑を詰めます。

 それで、山本参事官、一月十九日に想定問答集についてあなたが関係者にメールを送ったという事実はありますね。これは記憶を喚起したんじゃないですか。事実でしょう。お答えください。

山本政府参考人 お答え申し上げます。

 記憶をたどってみましたところ、確かに想定問答は作成しておりました。その点は、確かな記憶でなかった点、申しわけなく思っております。

辻委員 きょう資料配付しておりますけれども、この郵政民営化についての想定問答集二枚、これは山本参事官が一月十八日に作成したものである、こういうことで間違いないんですか。

山本政府参考人 お答え申し上げます。

 準備的な頭の整理として私の方でつくったものであることは確かでございます。

辻委員 質問にちゃんとまともに正面から答えなさいよ。一月十八日にあなたが作成したものかということを聞いているんだから、そのとおりだったらそのとおりですというふうに答えてください。今の答弁は、一月十八日にあなたが作成したものだということを否定しなかった、それを認めたということで受けとめて、さらに次に進みます。

 一月十八日にこの想定問答集をつくったということで、十九日の午後二時、十四時にあなたはメールを送っていますね。そのことは間違いないんでしょう、さっき伺いましたけれども。

山本政府参考人 いずれにしましても、十八日に作成をして、十九日に関係者に配ったことは記憶しておりますが、だれに対して何時何分に送ったかの記録は今や残っておりませんので、そこは、申しわけありませんが、今ではお答えができません。ただ、私が関係者に配ったことは事実でございます。

辻委員 山本参事官、十二月二十八日のメール、そして今言っている一月十九日のメール、これは、いずれもあなたは、メールの容量が小さくて消えたんだ、だから記憶に基づいて答えるんだというふうに言っているけれども、メールの容量が小さくて消えたというのは、どういうパソコンを使っているんですか。あなたが勝手に消したんじゃないんですか。あなたが意図的に消したんでしょう、先日問題になってから。

山本政府参考人 意図を持って消しておりません。単純に、容量が少ないので、もう消えてしまっているというだけです。(発言する者あり)

二階委員長 山本官房参事官。

山本政府参考人 お答え申し上げます。

 何かシステム的に、自動的に消えるかのような誤解を与えたとしたら、私、おわびを申し上げます。

 要するに、単純に、順番に消していかないと、ごみ箱に捨てた分がたまっていくともう受け取れなくなっちゃうんです。そういうシステムになっているので、今回の国会がどうのこうのというよりは、はるかに前にもう消しているんです。それだけのことです。

辻委員 要するに、容量が小さいから自動的に消えたというような答弁だったんですよ。それについて、勝手に消したんだろうというふうに言ったら、意図的ではないけれども、機械的に古い順番に消していったんだ、こういう答えですよね。あなたが消した事実は事実ですよね。そういうことでしょう。

 委員長、これ、国会法百四条に基づいて、内閣府にパソコンの提出を求めますよ。

二階委員長 後刻理事会において協議をいたします。

 質問を続行してください。

辻委員 きょう政府参考人で出席している郵政民営化準備室、政府広報室、内閣広報室、全員、パソコンのメールをきょう以降消さないように、このことを約束していただきたい。異論があるんだったら、異論のある人はここで答弁してください。異論がないようですから、残していただきます。

 こういう脈絡になっていてあえて消すというのは、これは真相隠しですよ、事実隠ぺい工作を行ったということとイコールですよ。まさにその点を含めて、委員会でこれを協議してください。

二階委員長 ただいまの辻惠君の要求に対して、後刻理事会で協議をいたします。

 質疑を続行してください。

辻委員 では、山本参事官、あなた、現時点では記憶に基づいてお答えいただきますけれども、この想定問答集は竹中大臣がごらんになっているということをあなたはみんなに伝えていますね。これは間違いないでしょう。

山本政府参考人 この想定問答は、私どもが事務方の頭の整理としてつくったものです。竹中大臣室にも念のため送ったことは事実でございますが、私から直接上げたわけではありません。

 いずれにしても、竹中大臣にもごらんいただいたやにとれるような形でみんなに連絡したということは否定いたしません。

辻委員 想定問答集は、井上秘書官より竹中大臣に本日午前お見せして、大臣の了解を得ました、こういう内容になっていますよ。これは記憶に間違いないでしょう。違う記憶ですか、どうなんですか。

山本政府参考人 先ほど申し上げましたように、メールはもう手元にないんですけれども、竹中大臣の了解をとったともし書いたとしたら私の間違いでして、ただ、竹中大臣に念のためごらんいただくようにしてあったということは事実であります。ただ、私が直接上げたわけではないので、本当にどうしたかまでは、私の方で確認したことではございません。

辻委員 竹中大臣に気兼ねして弁解しなくていいんですよ。私が今聞いているのは、竹中大臣の了解を得ましたということであなたがメールを送ったんでしょうということを、事実を聞いているんですよ。それは間違いない事実であると思います。

 竹中大臣、あなたは想定問答集を見ているんじゃないですか。先日、私の六月十五日の質疑のときは覚えていないと言ったじゃないですか。今どうなんですか、記憶は。

竹中国務大臣 私は覚えておりません。

 念のために事務秘書官に確認をいたしましたところ、一月十九日ごろに政府広報室から送付された想定を他の案件ともども私に説明した記憶があるということでございました。私の事務秘書官は大変優秀でございますから、そのような説明が恐らくあったんだと思います。

 ただ、直接所管し決定する以外に、経済、財政、金融、物流、関連する多くの情報が私のところに送られてまいります。御指摘の想定はそうした多くの説明の中の一つであったろうと思われますけれども、決定権限外のことでもあり、私は記憶をしておりません。

辻委員 想定問答集は、これは、後日の答弁を想定して、大臣が答弁することを想定してつくっているわけですから、当然、目を通していないというのはあり得ないことですよ。そういう言を左右にする不誠実な答弁はやめていただきたい。

 これについては、井上秘書官から竹中大臣に渡した、それで、竹中大臣からこれは読んでいただいて了解を得たというふうに井上秘書官が山本さんに回答しているんですよ。そういうメールになっているんです。ですから、竹中大臣が記憶がないとおっしゃるのであれば、井上秘書官にこれは事実を確認せざるを得ない。

 そういう意味で、井上秘書官と岸秘書官の参考人招致を求めたいと思います。

二階委員長 後刻理事会で協議をいたします。

 質疑を続行してください。

辻委員 竹中大臣、これは後でまたお伺いいたしますけれども、想定問答集は手にとって逐一は見ていないというような趣旨に受けとめられる答弁をされたけれども、内容の概要については頭に一たん入った、了解というふうにしたんだ、こういう理解でいいんですね。

竹中国務大臣 私は覚えていないんです。

 ただ、そもそもこれは私の了解事項ではございません。政府広報室が頭の整理としておつくりになって、参考までに多分、多分送られてきたものであろうと思います。

辻委員 それは別途伺います。

 次に、随意契約の問題についてもう少し突っ込んで伺いますけれども、会計法二十九条の三で、契約担当官及び支出負担行為担当者は、三項、四項の場合を除いて競争に付さなければならないというふうになっております。

 本件随意契約に関して、この契約担当官及び支出負担行為担当官というのはだれなんですか。

大森政府参考人 お答え申し上げます。

 支出官は会計課長である私でありまして、支出負担行為担当官は岩崎大臣官房参事官でございます。

 以上でございます。

辻委員 そうすると、会計法二十九条の三の契約担当官等というのは岩崎さんでいいということですね。それで、大森さんは支出官である。こういう理解でいいんですね。

大森政府参考人 お答え申し上げます。

 委員の御指摘のとおりでございます。

辻委員 そうすると、本件契約、二月八日に決裁されて、記名捺印がなされたというふうになっておりますけれども、この契約の締結の責任者というのは岩崎さんでいい、こういう理解でいいんでしょうか。

岩崎政府参考人 お答えをいたします。

 契約担当官といたしまして、そのとおりでございます。

辻委員 そうすると、随意契約をするのかどうなのかとかいうことについて、契約の責任者、六月十五日は、林室長が私が責任者だとかいうふうに言ったけれども、法規上は、法令上はこの契約の責任者は岩崎参事官であるということが明らかなんですよ。だから、林室長の言ったことは間違っているということは一応指摘しておきたいというふうに思います。

 そうすると、岩崎さんは、この契約について、いつからこの話を聞いたんですか、いつから関与したんですか。

岩崎政府参考人 お答えいたします。

 口頭では、十二月の末、二十八日でございますが、伺っております。決裁権者は私どもの会計課長になってございます。

辻委員 口頭で十二月二十八日に随意契約のことを聞いたと。それはその日の何時ごろのことですか。

岩崎政府参考人 お答えいたします。

 たしか、記憶をたどりますと、夕方ではなかったかと思っております。

辻委員 夕方の何時ごろ、だれから聞いたんですか。

岩崎政府参考人 お答えいたします。

 時間まではちょっと記憶がございませんが、政府広報室の方からお話は伺ったと記憶……(辻委員「だれですか」と呼ぶ)お名前まではちょっと今思い出せません。

辻委員 山本参事官ではないんですか。

岩崎政府参考人 申しわけございません。記憶にございません。

辻委員 では、そのときに聞いた内容、どういう内容をまず聞かれたんですか。それを聞いて、岩崎参事官はどういう行動を起こしたんですか。その点について御説明いただきたい。

大森政府参考人 お答え申し上げます。

 私、岩崎参事官と一緒に、支出官として聞いておりましたので、私の方からお答え申し上げたいと思います。

 十二月の二十八日だったと思いますが、これにつきまして、今の案件、スリード社の政府広報の関係についてお話がありました。そして、具体的な内容について、今後どういうことをやっていくのか、それは時期はいつなのか、また額はどういうことなのか、そういったことを聞いた覚えがございます。

 また、今後のスケジュールといたしまして、二月の、正確ではないかもわかりませんが、できるだけ早くこれについては広報をしなければならないという話がございまして、これについての緊急性、そういった話もございましたし、話題になっておりますこういったインフォメーショングラフィックス、こういったものを使って政府広報、折り込みチラシを行う、そういった内容についても聞いた記憶がございます。

辻委員 それは夕方ということですけれども、先ほど岩崎さんは正確な時間は覚えていないということだけれども、大森さん、正確な時間を覚えておられたら、これを言っていただきたい。そして、だれからお聞きになったのか。そして、そのときの具体的内容について、額はどうなのかということを聞いたと。具体的な金額は幾らだったんですか。その三点について答えてください。(発言する者あり)

二階委員長 御静粛に願います。

大森政府参考人 そこでの聞いた内容でございますが、先ほどのお話、金額の話も、金額につきましては、これも記憶です、何もメモも残っておりませんが、一億五千万という数字は聞いた記憶がございます。

 なお、当時、政府広報室、複数の方からお話を伺った覚えはございます。しかしながら、具体的にだれかということを、具体的にだれがそこにおられたのかというのはちょっと記憶にございません。恐縮でございます。(辻委員「何時ごろ」と呼ぶ)夕方だったと思います。

辻委員 契約の話を初めてそのとき聞いたと。そのときに一億五千万という数字が今記憶にあると。それは何か書類を見たんですか。どうなんですか、それは。

大森政府参考人 お答え申し上げます。

 一億五千万につきまして、そこはちょっと記憶は定かではございませんが、書類を見た記憶――たしか口頭であったと思われます。

 以上でございます。

辻委員 今、口頭で一億五千万を聞いただけであって、書類を見ていないと。

 そうすると、実質的合意がこの日にあったということを林室長は繰り返し言っているけれども、実質的合意というのは、その要素は何なんですか。何が合意されたんですか、この日。お答えください。違う、違う。だめですよ、会計課長に聞いているんだから。会計課長ですよ。

大森政府参考人 お答え申し上げます。

 非常に恐縮ではございますが、十二月二十八日という、若干、半年ぐらい前のことでもありますし、正確ではないかもわかりませんが、私の記憶としては、具体的な契約内容、何をやるか、そして具体的な時期はいつにするのか、またその額については幾らなのか、そしてその額も、全体の一億五千万というだけではなくて、具体的にもう少しブレークダウンした数値を聞いた覚えがございます。

 以上でございます。

辻委員 これは、政府広報チラシを配布するということをスリード社に依頼する、一種の無名契約だと思うんですよ。そうすると、その無名契約の内容、どういう内容で何枚配るのか、その金額は幾らなのかということを確定しないと、これは契約としては成立しないんですよ、合意が成立したとは言えないんですよ。

 だから、この時点で代金額は確定していないんでしょう。枚数も確定していないんでしょう。お金はどうなったんですか。

大森政府参考人 お答え申し上げます。

 今申し上げましたように、十二月二十八日に契約内容について概略は伺いをしたという記憶がございます。その中には、当然ながら、配布部数、そういったものも含まれていたと記憶いたします。

辻委員 契約というのは、合意内容がちゃんと合致しなきゃいけないし、契約の要素が確定しないといけないんですよ。だから、代金は幾らで確定したとおっしゃっているんですか。

 では、どの地域に何万枚配布するということで合意の内容として確定していたんですか。確定していないんじゃないんですか。だめだめ、大森会計課長。

大森政府参考人 お答え申し上げます。

 当然ながら、実質的合意をする以上、契約内容、ある程度具体的に定まっていなければなりません。そして、契約時期も同じでありまして、額も同じであります。我々、十二月の二十八日にその旨の説明を受けた覚えがございます。

辻委員 誠実な回答をしていないんですよ、答弁をしていないの。

 では、こういうふうに伺いますよ。その代金額は一億五千八百九十万五千六百七十一円だったのか、一億五千六百十四万四千五百九十二円だったのか、いずれですか。

大森政府参考人 お答え申し上げます。

 十二月の末に伺ったとき、政府広報室の方も、スリード社との関係、何回か打ち合わせをされてこられたという話は伺っております。そういう中で、具体的な額についてお話はございました。ただし、今の、先生御指摘のような、最後の下一けたまで今おっしゃられましたけれども、それについての記憶はございません。

 以上でございます。

辻委員 あなた、金額について、ペーパーも何にも出ていなかった、口頭で聞いたと言うんですよ。そんなの、金額が確定できていないということじゃないですか。そんなもの、だめですよ。

 では、この日に実質的合意があったということを強弁されている、これは明らかに誤りでありますけれども、当日、資金、お金が出金されたという事実はあるんですか、ないんですか。

大森政府参考人 お答え申し上げます。

 これは請負契約でございます。請負契約におきましては、履行の確認がなされない限りは金銭の支払いはございません。

 本件のケースにおきましては、二月の下旬に、二月の二十一日にその履行の確認がなされております。それ以降金銭の支払いをなされておりまして、十二月の二十八日に金銭の支払いをしたことはございません。

辻委員 これは財務省の法規課に伺いますけれども、会計法の二十九条の八の一項では、契約書は、「随意契約の相手方を決定したときは、政令の定めるところにより、」「契約書を作成しなければならない。」そして第二項で、「契約書に記名押印しなければ、当該契約は、確定しない」、こういうふうになっている。

 これは、馬淵委員の質疑の中でも、民法の口頭合意で契約が成立することの例外であって、まさに要式行為であって、記名押印をなされた契約書が締結されなければ効力を発生しないんだ、こういう趣旨でお答えになったと思いますけれども、それに間違いないのか。そうすると、契約の効力の発生時期はいつと考えればいいのか。この点について、法規課、お答えください。

向井政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、会計法上、契約をする場合には書面をつくらなければならないことになってございまして、それがないと確定しないことになってございます。これは、基本的には契約の成立条件と解されてございます。

 ただ、成立と効力の発生とは必ずしも、民法上もそうでございますが、一致しているものではございません。

辻委員 二月八日に本件随意契約が記名押印で締結されたというんですから、その日に成立をした。効力が発生するというのは、成立以前に発生するはずがないわけだから、その成立か、その成立以降発生した、こういう理解でいいんですね。

向井政府参考人 効力の発生に関しましては、ケース・バイ・ケースで、さかのぼることも必ずしもないとは言えないとは思います。

辻委員 では、随意契約を結んだ場合、契約書の作成が不要の場合を除いては、速やかに契約書を作成しなければいけない。合理的な範囲内のずれは許容されるということでありますけれども、通常は、災害とか事務的な手続で数日間のずれは許容の範囲内だろう、こういう理解でいいと思いますが、それは、合意された内容と契約で締結された契約書の内容とが合致する場合のことを言っているということでいいんでしょうか。その点いかがですか。

向井政府参考人 お答え申し上げます。

 実質で合意した内容と契約書の内容は、通常、原則として、当然のことながら一致するべきものだと考えております。

辻委員 本件で、十二月二十八日の段階で一億五千万らしいと。一月十二日に一億五千八百九十万五千六百七十一円の見積書が出ているんですよ。その時点では千四百八十一万六千二百八十四部作成するということだったんです。ところが、一月二十七日の時点では、これが減額になって、一億五千六百十四万四千五百九十二円、そして数量は一千四百四十九万五千六十九部なんですよ。

 つまり、一月十二日の時点で明らかになっている数量、金額と、一月二十七日以降、二月一日、さらには二月八日の決裁契約書の締結日の数量、金額とは食い違っているんですよ。つまり、実質的な合意と主張している政府広報の内容と契約書の内容は、数量も金額も違うんだから、そもそも全く関係ないんですよ、これは。

 では、会計課長に伺いますけれども、実質合意がなされる前に、予定価格とかいうのは見積もりを出したんですか、予定価格は設定したんですか。どうですか。

大森政府参考人 お答え申し上げます。

 予定価格はつくっております。

辻委員 予定価格が出ているのはわかっているんですよ、官報に公告されているから。だから、十二月二十八日の実質合意以前に予定価格を出したのかどうかというのを聞いているんですよ。

大森政府参考人 お答え申し上げます。

 二十八日以前に予定価格を出しているということはございません。

辻委員 予定価格を出していないということは、つまり、二十八日が御用納めで一月三日まで休みだから、一月四日以降に予定価格は出したんだ、こういう理解でいいんですね。

大森政府参考人 お答え申し上げます。

 十二月の二十八日以前に、先ほど申し上げましたように、予定価格を作成していることはございません。一月以降ということでございますが、これにつきましては、今資料が手元にございませんので、ちょっとお答え申し上げるわけにはいきません。

辻委員 十二月二十八日以前には予定価格は出していないということですから、十二月二十八日に実質的合意があったというその日までには予定価格は出ていなかった、こういうことですよ。

 それで、これは会計課長ないしは契約担当官に伺いますけれども、一月二十七日の見積書そして二月一日の見積書、これはちゃんと精査されましたか。チェックされたんですか。それが一点。

 そして、それについて、通常は見積書どおりに合意をして請求を受けるなんということはあり得ないんですよ。民間、民間とおっしゃっているそういう郵政民営化の話の中で、民間の常識が通用していないんですよ。値切り交渉を一切やっていないじゃないですか。これはどうしてなんですか。

 その二点についてお答えください。

大森政府参考人 お答え申し上げます。

 当然、金銭を支出する場合には請求書が添付されてきますので、それについては精査させていただいております。

辻委員 二つ質問をしているんだから、一つで帰ってもらっちゃ困るんですよ。

 値切り交渉を何でしなかったのかということを聞いているんですよ。どうなんですか、これは。

大森政府参考人 お答え申し上げます。

 値切り交渉といいますか、個別の企業との価格交渉という先生の御趣旨でございますが、これにつきましては、内閣府も非常に広くいろいろな部局がございます。したがいまして、直接そういう企業と接触するのは各部局が中心になってやるわけでございます。その企業との関係に、いろいろな価格交渉につきましては、政府広報室の方でやっていただいているわけでございます。

 以上でございます。

辻委員 会計課長、見積書以上に出金するということは、これは許されることなんですか。会計課長、見積書以上の金額を出金するということは許されるんですか。

大森政府参考人 お答え申し上げます。

 見積書に基づいて対応しております。

辻委員 本件では見積書以上に出金しているじゃないですか。凸版印刷の見積書、これは一月二十七日もそうだし、二月一日もそうだけれども、総額は四千二百七十六万四百三十五円ですよ。これについて、結局、スリード社は四千二百七十六万四百五十四円、十九円余分に請求しているじゃないですか。そのとおりこれは出金していますよ。

 これ、チェックしていないんだよ。凸版印刷の請求書をチェックしていないんですよ、あなた方は。何でこういう事態が起こってくるんですか。説明してください、これ。

大森政府参考人 お答え申し上げます。

 国と契約をしているのはスリード社でございます。したがいまして、スリード社の見積もりに応じて対応しているということでございます。

辻委員 凸版印刷の、政府の方から配付された資料では、判こが押していないんですよ、見積書。判この押してある見積書があるんですか。その見積書とこれは金額が違うんじゃないですか。いいかげんなことをやらないでほしいね。

大森政府参考人 今の御質問に私がお答えすべきかどうかという点はございますが、会計課に参っている見積もりにつきましては、スリード社から印鑑が押していたと記憶しております。

辻委員 いや、スリード社の印鑑はいいんですよ。スリード社の印鑑と凸版印刷の印鑑を押してある請求書というのがどこにあるんですかということを聞いているんですよ。

大森政府参考人 お答え申し上げます。

 国と直接契約を結ぶのはスリード社でございまして、スリード社の見積もりに応じて我々は対応するということでございます。

辻委員 内閣広報室から、凸版印刷の判この押してある見積書を添付して、民主党の方にいただいているんですよ。それを見ると、一月二十七日、二月一日の見積書の一番下段の「企画代・その他」が一万四千五百円となっているんだけれども、民主党の方にいただいているのは一万四千五百十九円になっているんですよ。だから、二種類あって、その五百十九円に合う方の決裁をあなた方はしている。しかし、その決裁の文書には一万四千五百円の方しか添付されていないんですよ。数字自体が食い違っているじゃないですか。そんな一円違っても問題になるような決裁が許されるんですか。どうなんですか、これ。経過を明らかにしてください。

大森政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど来お答え申し上げていますように、国と契約をしているのはスリード社でございますので、スリード社の見積もりを見て、そして最終の見積書を勘案してやっております。

 それで、今先生御指摘の凸版印刷の見積もりでございますね。十九円違っているというのは、途中経過の中であるのかもわかりませんが、我々、今の段階では承知しておりません。

辻委員 いいかげんなことを言っちゃだめですよ。途中経過じゃないんですよ。最後に決裁して支払っているのは、十九円ふえた金額で支払っているんですよ。途中経過でも何でもないじゃないですか。

 さらに問題を言えば、スリード社の見積書どおりに金を出しているとしかあなたは言っていないんですよ。スリード社の見積もりよりも凸版印刷の見積書の方が金額は低いのに、そちらに合わせないでスリード社の見積もりどおり払っている。何らチェックしていないじゃないですか。スリード社の言いなりなんですよ。何でこんなスリード社の言いなりの契約をのうのうと交わしているんですか。何かそういうことをせざるを得ない事情があるんですか。

大森政府参考人 非常に恐縮ではございますが、会計課として、最後、金銭を支出いたします。そのときには当然ながら今のようなチェックをいたしますが、それは最終的なスリード社の請求等々で対応させていただいているということでございます。

辻委員 いや、これは国のお金ですよ。一円の食い違いだってあってはならないということで、みんな身をすり減らしてやっているところじゃないですか。それを、凸版印刷の見積書よりも金額が十九円高い、十九円だからいいという問題じゃないじゃないですか。それをスリード社が十九円上乗せして請求してきたら、そのまま見過ごして、原点をチェックするのではなくて、それをそのまま支払うということは、まさに見積書どおりに支払う、最初にスリード社の出す見積もりどおりに支払うことがありき、そういう契約じゃないですか。こういう契約が随意契約の名のもとに行われているというのは、極めてゆゆしき問題ですよ。

 この十九円の違いの経過について、ちゃんと委員会に説明してくださいよ。委員長、どうですか。

大森政府参考人 お答え申し上げます。

 国の支出という面では、最終的に、申し上げましたように、スリード社の請求に基づいて対応しているものでございますが、今の先生の御指摘につきましては、我々の資料等々、チェックをまたさせていただきたいと思います。

辻委員 民主党の長妻議員が随意契約に関する質問主意書というのを内閣に出しているんですね。随意契約の名のもとに、要するに、非常にお手盛りの契約が締結されているということについて内閣としてどう考えるのかということについて、内閣の回答が来ております。「国の契約は、貴重な財源を用いるものであることから、法令の規定に従い、公正かつ厳正な手続の下、国にとって最も有利な契約を行うことが必要であると考えられ、このような観点から適当でないと認められる随意契約には問題がある。」「法令の規定に従い、公正かつ厳正な手続の下、国にとって最も有利な契約を行うことが必要であると考えている。」このように主意書への答弁が来ております。

 竹中大臣、この質問主意書については内閣で確認されているんですか。いかがですか。

竹中国務大臣 ちょっと今急に言われましたので思い出せませんが、質問主意書に対する正式の回答ということでございましたら、閣議で閣僚が確認をしているということだと思います。

辻委員 この質問主意書の趣旨に照らして、それに対する政府の答弁の趣旨に照らして、スリード社の見積書の言いなりに、しかも、そのもとになっている幾つかの見積書よりも高い金額のスリード社の見積もりの言いなりに随意契約を結んでいる。二重、三重に大きな問題点があると思いますけれども、竹中大臣、あなたとしては、これはおかしいな、こういうことが許されるんだろうか、こういう矛盾感覚というのはお持ちにならないんですか。いかがですか。

竹中国務大臣 個別の契約締結は所管外ではございますけれども、これは広報室、準備室、今回広報室ということだと思いますが、そこにおきまして、限られた制約の中で一生懸命努力をして適正な対応をしているというふうに思っております。

辻委員 結局、本件随意契約で、それをもとに、それを根拠に出金がなされているわけであります。その随意契約については、会計法二十九条の三の四項の要件を満たしていないということは、これは五十嵐委員そして馬淵委員の質疑の中で明らかになっている、緊急性についてはとりわけ明らかになっている。

 排他性の点について、これは政府の答弁で、要するに独創的なんだ、排他的なんだというふうに言うけれども、保護される排他性に足りるというのは、物の本、コンメンタールを読んだら明らかにきちっと書かれているじゃないですか。特許権等を用いたデザインということでないと保護される排他性とは言えないんですよ。

 本件スリードのラフ起案の内容が、これは特許出願されているんですか、どうなんですか。その点について事実確認を求めます。いかがですか。

林政府参考人 私どもは、スリード社から出されました内容が斬新であるということにつきましてお答えしておりますが、特許出願という観点で申し上げているわけではございません。

辻委員 特許出願なんかなされていないんですよ。これは全く排他性がない、保護されるべき排他性がないような提案の内容なんですよ。だから、そういう意味で、緊急性の要件もない、排他性の要件も満たさない、随意契約の要件を満たさないことは明らかじゃないですか。このような随意契約の要件を満たさないにもかかわらず、日付を操作して、あたかも随意契約の要件があるかのように仮装しているんですよ。まさにこれは、政府、国を欺いて、虚偽の、仮装した契約をつくり上げて、国を欺いて、国のお金をだまし取っている行為じゃないですか。

 仮にこれが違法な契約だとして、違法な随意契約が成立したということで国から出金を引き出す行為というのは、これは刑法上、問擬される行為に当たると私は考えますが、この点、法務省、いかがですか。

大林政府参考人 今委員お尋ねの件、外形的には詐欺罪のことを問擬されているのだろうと思います。

 御案内のとおり、詐欺罪は、人を欺いて財物を交付させた場合に成立し得るものと承知しておりますけれども、犯罪の成否は収集された証拠に基づいて判断されるべき事柄であり、お答えいたしかねることを御理解いただきたいと思います。

辻委員 具体的にはもちろんケース・バイ・ケースだけれども、要するに、契約書が本来、随意契約の要件を欠いているにもかかわらず、その随意契約の要件があたかもあるかのように偽装して、日付を変えてさかのぼらせてやるということは、明らかにこれは欺罔していることになるわけですよ。まさに違法な随意契約書を作成することを手段として、国から貴重な税金をだまし取っているんですよ。まさにこれは詐欺罪そのものじゃないですか。この点について、政府広報室並びにこれに一連に関与した人たちの責任というものは重大ですよ。この点を指摘しておきたいというふうに思います。

 それと、これは会計検査院に伺いますが、この二月八日に締結された契約書なるものは会計検査院に提出されているんですか。いかがですか。

森下会計検査院長 お答えいたします。

 契約書等の証拠書類は提出期限というのがございまして、まだ会計検査院に届く段階には至っておりません。

辻委員 本件随意契約を締結したという十二月二十八日付のもの、二月八日に決裁を受けて実質的な記名押印をして締結したというこの契約書、これは会計検査院にきょうの時点で提出をされていない、こういうことでいいんですね、再確認。

森下会計検査院長 お答えいたします。

 会計検査院に提出されます証拠書類といいますのは、契約書、それから領収証というのがあれば領収証、そして関連の書類であります。しかし、支払いがそれに続いてまいります。したがって、支出に関する行為が行われた時点をもって、それから期日を計算して提出されるというふうに……(発言する者あり)一般的には三十日でございます。

辻委員 計算証明規則というのがあって、その計算証明規則の第二条では、「この規則の定めるところにより計算証明をする者は、所定の期間ごとに計算書を作製し、証拠書類等を添えて、当該期間経過後三十日をこえない期間に会計検査院に到達するように提出しなければならない。」こうなっていますよ。同じく計算証明規則の五条によれば「証拠書類は、原本に限る。」というふうになっております。

 これは、三月二日に出金がなされたという事実があります。三月二日から起算して三十日を超えない、つまり四月二日までにこの契約書の原本が提出されていなければおかしいんですよ。これは、ないということですね、再確認です。

森下会計検査院長 正確に提出期限を申し上げますと、もし三月二日がその支出の日であるといたしますと、四月から起算をして三十日ということで取り扱っております。しかし、現在、おくれているという事態は変わりございません。

辻委員 これは内閣府に伺いますけれども、計算書類は会計検査院に提出していないんですか。どういうことですか。

大森政府参考人 お答え申し上げます。

 関係書類につきましては、現在、会計検査院に提出すべく製本をしているところでございます。

辻委員 二月八日に締結したのに、何でその原本をいまだ提出していないんですか。最近になってこれ、つくったんじゃないのか。契約書ということできのう出てきたけれども、この契約書というのは本当に二月八日に締結された契約書なんですか。これも偽装行為の一環でしょう。どうなんですか。通常あり得ないことですよ。

大森政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどの委員御指摘の契約につきましては、二月の八日にやらせていただいております。

 会計検査院については、ちょっと事務の、事務処理上と申しますか、そういう業務の繁忙もございまして、若干おくれているところでございます。

辻委員 では、いつ送ったんですか。もう既に送っているんですか。今なお準備中なんですか。さっき、なお準備中というお話だったけれども、きょう時点でまだ送っていないということでいいんですか。

大森政府参考人 現在準備中でございます。(発言する者あり)

二階委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

二階委員長 速記を起こしてください。

 大森会計課長、再答弁。

大森政府参考人 お答え申し上げます。

 理事会におきまして、私は、会計検査院に提出すべく製本中だ、冊子にしているというふうに申し上げた……(発言する者あり)はい、そういうふうに申し上げたところでございます。

 そういうことで、先ほど、これは少しちょっと説明をさせていただきますと、この書類だけを会計検査院に送るんではなくて、関係書類、相当の分冊になってくるわけでございますが、これを全体として会計検査院に送るので、そういう事務の処理上、若干時間がかかっているということでございます。

辻委員 計算証明規則を明らかに正面から否定するような、そんな答弁をする役人がいるということ自体、問題ですよ。

 官房長官、こんな人がいるということは、これはどうなんですか。冒頭で官房長官が誠実に答弁するというふうにおっしゃられた、これは誠実に職務を行っているということを前提にしているんですよ。答弁の前提として誠実に職務を行っている職員がいるということは、これは官房長官として責任をどうお感じになるんですか、どう責任をおとりになるおつもりですか。これをお答えください。

細田国務大臣 私も大分前にある省の官房会計課の首席の補佐を務めて予算、決算をやったことがありますが、実は、やはり年度末の支出までということになると、その省の決算が膨大なものになりまして、膨大な分冊になります。したがって、従来、若干、印刷等、あるいは全部読み合わせしなきゃいけませんので、おくれておるということはあることは事実でございますが、今、一生懸命製本をして出す準備をしておるということでございますので、よろしくお願い申し上げます。

辻委員 会計検査院、国会法百五条に基づいて、この件をきちっと検査を遂げるということでお取り扱いいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

森下会計検査院長 ただいまのいろいろな御議論の中で、会計事務処理上の適切でない点があるのではないかという感じもいたします。しかし、いろいろな最終的な判断をいたしますためには、さらに詳しく詳細に調査をいたしませんと結論は出せませんので、これは調べてみたいというふうに思います。

辻委員 これは、事実関係が四転して、きょうまた、契約書が本当に二月八日に作成されたのかどうかということを疑問に思うような事実が出てきているんですよ。

 これはなお真相が究明されなければいけないということを強く申し上げ、この随意契約が排他性の点においても緊急性の点においても要件を満たさない違法なものである、このことについて政府の責任は免れないということを申し上げて、なお私はこの点を徹底して追及していきたいということも改めて申し上げて、質問を終わりたいと思います。

二階委員長 次に、中村哲治君。

中村(哲)委員 民主党・無所属クラブの中村哲治でございます。

 私は、前回、六月七日に中央省庁等改革基本法三十三条一項六号について質疑を行いました。その点については、参考人質疑を要求しておりまして、それを待つ必要がありますので、今回は保留いたします。委員長におかれましては、参考人質疑のこと、また検討をお願いいたします。

二階委員長 参考人質疑につきましては、理事会で検討させていただきます。

中村(哲)委員 私は、きょうは前回積み残した質問、つまり、まず国家公務員共済から厚生年金に移るという問題、次に、公社法二十四条以下の中期経営計画の問題、それを済ませた上で私が温めてきた質問を行う、そういったつもりで本日おりました。しかし、二点、一昨日、昨日の審議の中で問題点になった点について質問を行います。

 まず、一昨日の六月二十一日の岩國委員の質疑に対する答弁の問題でございます。

 実は、六月二十一日の岩國委員、質問を最後打ち切っておられます。「まだまだ我々はこの民営化法案についてのたくさんの疑問がありますので、また次の機会に他の大臣にも質問させていただきたいと思います。」このように岩國委員は質問を終えられているんですね。

 それに対して竹中大臣は、呼ばれてもいないのに、質問もされていないのに、勝手に手を挙げてこうおっしゃっているんです。「先ほど、これは預金保険料の料率〇・〇〇八三%と申し上げましたが、〇・〇〇八%ちょうどで計算しておりますので、訂正させていただきます。」このようにおっしゃっているんです。聞かれてもいないのに答えているわけですね。これは正しいんですね。

竹中国務大臣 中村委員御指摘のとおり、岩國委員の質疑の中で私が説明したくだり、数字の間違いがございましたので訂正しようと思いましたところ、時間が迫っていたということで、私の方で言い間違いがございました。

 これにつきましては、〇・〇〇八三%ではなくて〇・〇〇八%と申し上げましたのは、それぞれ〇・〇八%、〇・〇八三%。もう一度最初から申し上げます。〇・〇〇八三%を〇・〇〇八%に訂正したいという趣旨を申し上げましたが、それぞれ〇・〇八三%、〇・〇八〇%の間違いでございます。おわびして訂正を申し上げます。

中村(哲)委員 何を動揺しているんですか。〇・〇〇八%というのは昭和五十七年度からの保険料率でしょう。あなた、プロなのにそんな間違えちゃだめじゃないですか。岩國委員は、それを聞いた瞬間に、竹中大臣は間違っているからただしたいと思ったんですよ。だけれども、時間がないからできなかったんです。

 あなたが勝手に答弁しておいて間違って、それできょう私にこういった余分な時間をとらせてさらに訂正までさせて、今、訂正する。そんなことでいいんですか。何回間違っているんですか。何も訂正してくれとさっき言っていなかったのに、岩國委員は言っていなかったのにあなたが勝手に答弁したんでしょう。それについて岩國委員に対してきちっと謝罪をしてください。

竹中国務大臣 先ほど申し上げましたように、数字につきましておわびと訂正を岩國委員にさせていただきます。

中村(哲)委員 一事が万事こういった姿勢でいるから、なかなか竹中大臣がおっしゃることは私たちの頭の中に落ちていかないということなんですね。

 それでは、もう一点指摘をさせていただきたいと思います。

 昨日、当委員会の理事会に提出していただいた政府の資料は、十一時現在のもので五十六枚、そして後で、契約書が四枚ですか五枚ですか、出していただきました。この五十六枚については、私は自分のウエブサイトでもPDF化して公開させていただいておりますが、その七ページを見ていただきたいんです。

 これは六ページ目に、二〇〇四年十二月十五日、有限会社スリードが出してきた「郵政民営化・合意形成コミュニケーション戦略(案)」というものがあります。その七ページ、次のページをめくっていただきまして、そこにターゲットとする層についての説明が書かれております。

 先ほど馬淵委員も指摘させていただきましたけれども、ここにはこういうことが書いてある。IQという軸をつくっています。IQ軸、ハイ、ロー。ローのところにBのターゲットがある。「B層にフォーカスした、徹底したラーニングプロモーションが必要と考える。」お勉強が足りないから教えてあげましょう、このプロモーションが必要なんですよということを言っているんですね。そこのB層、小泉内閣支持基盤、主婦層アンド子供を中心、シルバー層、具体的なことはわからないが小泉総理のキャラクターを支持する層、内閣閣僚を支持する層、こんな失礼なことを書いているんです。

 これが、竹中さんがつくられた「郵政民営化ってそうだったんだ通信」の企画書の中身なんです。あなたは、こうやって自分の写真がしっかり出て、「よろこんで!郵政民営化って、わたしたちの町と暮らしを元気にするそのためのもの。」そういうせりふが出てくる企画書が、国民をばかにした、B層をターゲットとしたもの、これを認識して、自分が出演しているこの折り込みチラシの出演に承諾しているわけでしょう。この企画案をあなたはどのように認識しているんですか。

竹中国務大臣 御指摘の資料は会社がつくった資料と思われますが、この資料について私が説明を受けたこともございません。IQ等々について話をしたこともございません。

 広報そのものは、郵政民営化タスクフォースで検討が行われまして、主に大都市圏で購読者の多い全国紙での新聞広告、そして、サラリーマンや女性に向けた雑誌広告、若者を対象としたラジオCMや国民一般を対象としたインターネット・バナー広告とともに、地方で折り込みチラシの配布を行う、その広報のパッケージが事務方で提案されたというふうに承知をしております。

中村(哲)委員 私は、あなたの、その私は知りませんという態度はどうかと思いますよ。

 次のページには、「波状的かつ累積的にラーニングを行う。」と書いてあるんですよ、IQの低い層には「波状的かつ累積的にラーニングを行う。」こんな失礼なことが。現場の担当者は認識しているわけです。

 あなたは知らないと言うのならば、こういったスキームで、B層、IQが低い層にターゲットを示して、こういった企画を打っていくんですよということを、竹中大臣、あなた聞いていなかったということなんじゃないですか。現場からそういったこの企画案の趣旨なども、あなた、大臣として認識していなかったということですよ。そんなのでいいんですか。

 あなたが出演する、それもあなたが郵政民営化の本質的なことを、それこそ一千五百万軒、都市部を外して田舎に投入する、そういったことを戦略的にやってつくっているペーパーでしょう。あなたにとっては非常に重要なペーパーなんですよ。そんなもの知らされていなかった、知らなかったでは済まないんです。知っていたんでしょう。知っていたけれども、知らなかったということにしているんでしょう。あなたみたいな頭のいい人だったら、そんなの把握しないはずないじゃないですか。

 本当に知らなかったんですね。知らなかったと言ったら、大臣として部下のやっていることを把握できなかったということですよ。それでよろしいですね、知らなかったということで。

竹中国務大臣 御指摘の資料は会社がつくった資料と思われますが、事務方からそのような説明を受けたことはございません。

 我々は、先ほど申し上げましたように、タスクフォースでのしっかりとした検討を踏まえ、さまざまな広報を行っているわけでございます。

中村(哲)委員 よくそんなこと言えますね。会社が提案したから、そんなものだから。そんな答弁でいいんですか。

 皆さん、この提案書がすばらしいといって、独創的でほかの業者はいないからといって契約しているんでしょう。中身がしっかりわかっているということじゃないですか。それに共感して、業者の提案した内容に共感したから随契で結んでいるんでしょう。そんなこともきちんと答えられないで、何が大臣ですか。

 知らぬのだったら、部下がやっていることに対してちゃんと把握できていなかったということじゃないですか。部下はきちんと、このIQが低い層に対して、ターゲットにする広告を打とう、それも共感して、随意契約をしようというところまで共感していたわけでしょう、この企画内容に。それについて責任を感じないのか。自分がどういうふうにこの企画案について把握すべきだったのか、その認識は全くないわけですか。

竹中国務大臣 会社がつくった資料につきまして、これは私が説明を受けたことはございません。

 そして、事務方は事務方として、タスクフォースにおいて、先ほど申し上げましたように、主に大都市圏で購読者の多い全国紙での新聞広告、サラリーマンや女性に向けた雑誌広告、主に若者を対象としたラジオCM、国民一般を対象としたインターネット・バナー広告とともに、地方で折り込みチラシの配布を行う広報のパッケージが、これは事務方として提案をされたわけでございます。

中村(哲)委員 提案されて、それで結局採用したのは事務方なわけでしょう。じゃ、そのことを報告を受けているわけじゃないですか、あなたは出演しているんだから。

 そんな認識でいいんですか。今の大臣の御答弁、きょうもマスコミの方がたくさんいらっしゃっていますけれども、国民の皆さんがインターネットの中継でも聞いて、ああ、竹中大臣、本当にいい、私たちにわかりやすい答弁しているわね、そういうふうに言ってもらっていると本当に実感されていますか。僕はちょっとその神経を疑いますね。

 この話については、あなたの姿勢があらわれているということですから、よくよく国民の皆さんにこれからも見てもらったらいいんじゃないかなと思っております。

 それでは次に、国家公務員共済から厚生年金への移管の問題についてお尋ねをいたします。

 この論点については、六月三日の当委員会の質疑におきまして、仙谷委員、五十嵐委員、松野委員、それぞれがお尋ねになっております。その答弁が非常に不十分だ、私はそのように感じるわけですね。

 例えば、松野委員に対する答弁。松野委員はこのようにおっしゃっています。「では、出してください、これを。いつ国共済から社会保険に加入を変えて、事業所の持ち出し分は幾ら変わって、そして幾らの変更が起こるのかというのを出してください、ちゃんと。こんな適当な試算じゃ話ができませんよ。」こういって、松野さんはもう思いっ切りおっしゃっているわけです。でも、竹中大臣は何とおっしゃるか。しゃあしゃあと、「委員がおっしゃるようなそういう詳細な積み上げのものを十年にわたって出すことは、これは不可能でございます。」ということをおっしゃっていて、骨格経営試算の問題にすりかえて答弁されているんです。私は、この問題、しっかりと議論しないといけないなと思っているんです。

 きちんと答弁に基づく質疑をやっていかないといけないので、谷垣大臣の答弁から引いていきたいと思います。

 五十嵐委員がこのようにお尋ねになっております。「公社の総裁、過去勤務分の積立金はどうなっているのかおわかりになりましたでしょうか。」生田総裁が御答弁された後で谷垣財務大臣はこのようにお答えになっております。「これは、先ほどのように、今はまだ共済でございますが、今後厚生年金に移行する、そのときに、その時点における双方の年金制度の財政状況等を踏まえて関係者間で調整をしていくということに、今までの例を踏まえましても、なると考えております。」とおっしゃっております。

 では、谷垣財務大臣にお聞きいたします。こののときの関係者とはだれですか。

谷垣国務大臣 今、国共済に属しておりますから、もちろん国共済は関係者でございますが、同時に今度は民間になりますので厚生年金に移ります。したがいまして、厚生年金と国共済、これが主たる関係者になると思います。

中村(哲)委員 主たる関係者ということですから、そのほかには関係者はいらっしゃいませんか。

谷垣国務大臣 お答えいたします。

 例えば厚生年金でございますと、新しい会社が厚生年金に関与するわけでございますから、当然それも関係してくるというふうに考えます。

中村(哲)委員 国共済というのは団体として一つの団体があるわけじゃないですよね。国共済の関係者というのはだれなんですか。また、厚生年金の関係者というのはだれなんですか。

谷垣国務大臣 それは国家公務員共済ですね。国家公務員共済、それが一つ団体をつくっておりますから、それが関係者として主体になるわけであります。

 それから、厚生年金に関しては当然その厚生年金でございますが、あと、さっきおっしゃいましたように、現在は郵政公社でございますが、そのときには民間になっているということを前提にいたしますと、そこの労使といったものも当然関係者に含まれるだろうと思います。

    〔委員長退席、石破委員長代理着席〕

中村(哲)委員 確認いたしますが、国共済の関係者、厚生年金の関係者、それから民間になっている会社の労使、それだけですね。つまり、国家公務員共済の場合は国家公務員共済組合連合会が交渉の担当者になるということですね。

谷垣国務大臣 主たる関係者は以上だろうと思います。あと、いろいろこれは制度を詰めていきますと、もちろんいろいろな問題点が出てくるだろうと思います。したがいまして、全部を今網羅するわけにはいきませんが、主要なプレーヤーはさっき申し上げたようなところであろうと思っております。

中村(哲)委員 いや、それなら財務省と厚生労働省はかかわらないということですね。

谷垣国務大臣 もちろん、国家公務員共済を主管しておりますのは財務省でございますし、厚生年金に関しては厚生労働省がその主管官庁でございますから、それぞれの関係で関与するというふうに考えます。

中村(哲)委員 関与するというのはどういうことですか。関係者ではないけれども関与するということですか。協議の場には来ないけれども、後ろで国共済等のコントロールは行う、そういう意味ですか。

谷垣国務大臣 それはいろいろな、制度もそのときあるいは考えなければいけないかもしれません、また財政調整も必要だろうと思います。したがいまして、直接の当事者がどういうふうになるかはまだ十分詰まってはいないわけでございますが、当然、財政調整等をするとなりますと、役所もそれぞれ前に出て考えなきゃならない面があろうかと思います。

中村(哲)委員 私は、初めからそのようなことを答弁いただきたいわけですよ。だから、国共済の関係者というのはどういう方がいらっしゃるんですか、厚生年金の関係者というのはどのような方がいらっしゃるんですかということを私もお聞きしておかないと、このスキームについて議論ができないからです。

 では、今、確認いたしますけれども、財務省、厚生労働省、国家公務員共済、厚生年金、それから民間になっている会社の労使、大きく分けてこの五者が関係者ですね。

谷垣国務大臣 そういうことだろうと思います。

中村(哲)委員 先ほど答弁を引きましたけれども、もう一度引かせていただきます。「これは、先ほどのように、今はまだ共済でございますが、今後厚生年金に移行する、そのときに、その時点における」と。そのときということなんですけれども、そのときというのはいつなんでしょうか。つまり、いつこの移行をするのか、その移行についてどのような手続でこれから進めようとしているのか、お考えをお答えください。

谷垣国務大臣 民営化いたしますと、国家公務員から民間に身分が移転いたしますので、厚生年金に移るということが基本的な考えでありますが、その間にいろいろ調整する必要があろうかと思います。

 調整することが必要な項目を申し上げますと、具体的に申しますと、過去の共済組合期間の取り扱い、つまり移行先の加入期間とみなすかどうかといったような問題ですね。それから支給要件、年金額算定の経過措置。それから既裁定年金の取り扱い、これを国共済で支給するかあるいは移行先で支給するか。それから移換金の算定方法、有限均衡方式のもとで算定方法をどうするか。それから共済独自給付部分の取り扱い。それから地共済との財政調整の検証というようなことがあろうかと思います。それから、移行後の企業年金の設計をどうしていくか、確定拠出年金あるいは確定給付企業年金等の設計のあり方ですね。それから、健康保険制度において健康保険組合を設けるかといったような問題があろうかと思います。これらは旧三公社が厚生年金に移行したときの例も参考といたしまして、およそこういうことが検討項目になってくるだろうと思います。

 ただ、今、具体的な時期とおっしゃいましたけれども、具体的な時期は、いまだそこは決まっておりませんで、前回のときも御答弁を申しましたけれども、NTTないしはJT等、今まで三公社が民営化したときの例を考えますと、十年近く、あるいは十年以上歳月がかかっておりますので、おおむねそういうことを想定しながら、これから今のような問題を詰めていかなければならないということだろうと考えております。

中村(哲)委員 私は、十年ぐらい過去かかったから、だからこれは事前にある程度は話をしておかないといけないと思うんですよ。というのは、事前に、やらないのかということも含めて関係者で一回議論していく必要があるんではないか、そういうふうに思うんです。

 ここで、わざわざ厚生労働大臣に出てきていただきましたから、お尋ねをいたしますけれども、今回、郵政民営化法案が提出される以前に、この年金の移管の問題について、それこそ関係者である財務大臣から、また竹中郵政民営化担当大臣から御相談を受けて、これはもう後に延ばしましょうね、そういう御相談、協議はなされたんでしょうか。

尾辻国務大臣 協議はいたしておりません。

中村(哲)委員 これは大変なことですよ。去年、年金一元化でこれだけ国会で問題になって、年金法の改悪だということでこれだけ問題になって、そして年金のことが今回民営化法案では本当に問題になる、そのこともわかっていながら、厚生年金、受け入れていただく方の所管をしている厚生労働大臣に協議もなしでこんな法案を出してきたんですか。竹中大臣、あなた、責任感じていらっしゃいませんか。

渡辺政府参考人 事務的な話でございますので、私から答弁させていただきます。(発言する者あり)

石破委員長代理 委員長が指名しておりますので。

渡辺政府参考人 事務上の調整の問題として話し合いはさせていただいております。

中村(哲)委員 協議はしているということですか。

渡辺政府参考人 法律案作成をしていく上での大きな課題でありますので、事務的にその種の調整といいますか、協議、検討は、課題としてのせて、やりました。

中村(哲)委員 厚生労働省のだれと協議されているんですか。(発言する者あり)速記をとめてくださいよ。

石破委員長代理 速記をちょっととめてください。

    〔速記中止〕

石破委員長代理 では、速記を起こしてください。

 竹中国務大臣。

竹中国務大臣 郵政民営化の基本方針というのを昨年九月十日に閣議決定しておりますが、その中で、待遇のあり方について制度設計の中で工夫するというふうにしております。職員の待遇について不利益が生じないように配慮するというその方向性について、これは閣議で決定しておりますから、政府全体で話し合って決めているということでございます。

 厚生年金へ移行する場合には、公的年金制度の安定性、公平性が確保されるよう、具体的な移行の方法等について関係者の意見を踏まえた十分な検討が不可欠であるというふうに思っております。

 方向につきまして、これは法案を作成するに当たりまして、これも各省と協議しているわけでございますから、そういった方向性について協議を事務的にはしているということでございます。

中村(哲)委員 私がわからないのは、協議というのは事務的にやられるものでしょう。まず事務が協議しなければ、大臣同士が話をするということはあり得ないわけですから。協議というのは、事務的レベルのことも含めて通常言うんですよ。

 尾辻大臣、答弁を修正されますか。

尾辻国務大臣 この法律を出すに当たって省庁間の協議というのは当然あるわけでございますから、時間をかけて協議するということは協議をしたと。ですから、そういう意味では協議があったということですが。

 先ほど先生がお尋ねになったのは、十年から十二年かかったというような、いわば移換金をどうするかというような部分の協議と私は理解しましたので、そういうことの協議はまだいたしておりませんということで、協議いたしておりませんとお答え申し上げたところでございます。

中村(哲)委員 やはり具体的なことはしていないんですね。だから、そのことに関して、私はよく知らないけれども、登録もしていないような政府参考人がここに来て答弁するというのはおかしいんですよ。

 私は、具体的なことも含めて厚生労働大臣に協議を持ちかけて、ある程度やはり話をして、でも、ちょっと難しいですね、そういったことで先に延ばしましょうかというような、より具体的な協議があればまだわかるけれども、そのことはないと厚生労働大臣は今おっしゃいました。

 そんな十年もかかったようなことをまたもう一回繰り返すのかということが今問われているわけですよ。NTTやJTやJRの轍をもう一回踏むのかということが問われているわけでしょう。だから、民営化するときにはきちんと議論をして、きちっと整理をして、そういうふうなスキームをきちっとつくろうというのがあるべき姿じゃないですか。二十年前の改革と同じことをもう一回やるんですか。二十年間、政府は進歩がなかったということじゃないですか。

 だから、私は竹中大臣の責任を問うているんですよ。これでよかったと思っているんですかと申し上げているんです。もう責任はないとおっしゃるんですか。

竹中国務大臣 中村委員の御指摘は、確かに、過去の民営化の例を踏まえて十分に対応していかなければいけない、それはもうそのとおりであろうかと思います。

 旧三公社共済の厚生年金への統合に当たっては、当時とられていた考え方に基づいて、統合前の旧三公社共済組合員の期間に係る給付現価のうち給付確定部分に相当する資金を移換することとして、所要の移換金額を積立金が下回っていたJT、JRの共済については、その不足分を会社等が負担すること等の措置が当時はとられたわけでございます。

 一方で、現在の共済年金と厚生年金の積立金の財政状況に大きな差は見られないというふうに思っております。したがって、積立金の状況の違いによって厚生年金に移行する際に同様の問題が生じるというふうには考えていないわけでございます。

 しかし、いずれにしても、厚生年金に移行する場合の具体的な移行のスキームについては、その時点における双方の年金制度の財政状況等を踏まえて、関係者間で妥当と考えられる移行の方法について十分協議の上検討をしていくことになるというふうに思っております。

 その趣旨を財務大臣も先ほど御答弁されたんだと思います。

中村(哲)委員 今の答弁を前提にすると、JTやJRやNTTの場合は差があったから移換金を持っていかぬとあかんかったんだ、今回は移換金を持っていくほど差はないから今は検討しなくていい、そういう御趣旨ですね。

 何%違うんですか。

竹中国務大臣 ちょっと今の最後のところがよく聞こえなかったのでございますが、基本的には今申し上げたような認識のもとでその方向性を確認しておりまして、具体的な移行について今後具体的な協議をしていくわけでございます。

 ちょっと済みません、最後のところの質問がよく聞こえませんでした。

中村(哲)委員 国共済と厚生年金で退職者の割合、現役の割合等がほとんど変わらないから、移換金については余り考えなくていいんだ、そういう御趣旨の発言でしたよね。だから私は、何%違うんですか、そのことをお聞きしたわけです。

竹中国務大臣 給付現価総額、国庫負担除きでございますけれども、それに対する積立金額の割合、これは平成十一年財政再計算ベースでございますが、厚生年金は九・〇%、国共済は九・五%であるというふうに承知をしております。

中村(哲)委員 指標としてあるのはその九%前後の数字だけですか。現役世代が年金受給世代とどういう割合にあるとか、そういう数字は一緒なんですか。

竹中国務大臣 ちょっと手元に細かい数字を持っておりません。

中村(哲)委員 ということは、わからないけれども近いだろうということですか。

 それでは、ちょっと厚生労働大臣、突然で聞いていただけるかわかりませんけれども、国家公務員共済から厚生年金に移る、そういったときに、ほぼ移換金というのはない、なくてもいい、そういうふうな認識をされているのか、それとも、やはりかなり大変な作業がこれから待っているとお思いになるのか、どちらでしょうか。

尾辻国務大臣 これも今後の議論になる部分でございますから、私が今ここでお答え申し上げるというのはできるだけ避けておいた方がいいんだろうとは思いますけれども、今の移換金のことについては、これは当然十分議論になる部分であるというふうに考えております。

中村(哲)委員 今厚生労働大臣は苦しい中御答弁をいただいたと思うんですけれども、本当はこういった問題についてしっかりと議論しないといけないんです。

 竹中大臣、いつもあなたは三公社の民営化のときと同じように考えていきますということをおっしゃっていますけれども、三公社のときと同じように処理できますか。当時と制度は変わっていないですか。

竹中国務大臣 私が同じようにと言うのは、そこで働いている方々の立場から見て不利が生じないように同じように考えていく、時間をかけて、従業員が不利にならないように考えていくという趣旨で御答弁をさせていただいておりますが、中村委員御指摘のとおり、そのときに財政上の問題が生じないのかというのは、それは確かにそれで大変重要な問題だと我々も認識をしております。

 積み立て不足の問題が生じるのは、過去期間分の給付現価に相当する積立金を保有することが必要とされる積立方式のもとにおいてでございます。我が国の公的年金制度は、共済年金及び厚生年金の双方の制度とも積立方式ではありません。世代間扶養の考え方による賦課方式を基本としているため、その意味では、積み立て不足の問題というのは一般的には生じないということだと認識をしております。

 ちなみに、賦課方式同士の年金制度の統合においても、互いの財政状況に応じた調整は必要となりますが、現在の国家公務員共済と厚生年金の積立金の財政状況に大きな違いは見られないと考えておりますので、積立金の状況の違いが厚生年金に移行する際に困難な問題になるというふうには考えてはいないわけでございます。

 しかし、いずれにしても、厚生年金へ移行する場合の具体的な方法については、その時点における双方の年金制度の財政状況等を踏まえて、また、これは関係者間で妥当と考えられる移行方法について検討していくことと承知をしておりますので、これは本当によく話し合って協議をしていかなければいけない問題であるというふうには認識をしております。

中村(哲)委員 あなたがおっしゃった内容というのは、三公社のときと違うということをおっしゃっているんですよ。

 三公社のときは積立方式だったわけでしょう。だから、過去期間分の給付確定部分は積立金としてもらいますよ、それで、それが足りない部分が出てきたから、JTの場合は会社の負担金が五百八十七億円、JRの会社においては千六百八十二億円、国鉄清算事業団は七千六百九十四億円積んだわけですよね。NTTは十分に積立金があったものですから、その部分を、結局、NTTができた後の厚生年金基金に積んでいる、そういうことができているわけですね。

 それは、だから、あなたがおっしゃるように積立方式のときだからなんですよ。今回は賦課方式でしょう。賦課方式のときにどういうふうに移行するのかということに関して、あなたは、それはほとんど財政的に違いがないから問題はないということをおっしゃっているんですよ。だけれども、先ほど厚生労働大臣は、かなりの作業が必要になるという旨の発言をされているわけです。そこはどうなんですか。あなた、全然考えていないじゃないですか。そこをどうされるおつもりですか。移換金はもう全く要らないというお考えなんですか。

 どういうふうな、どういうスケジュールで。三公社のときの十年、これは長過ぎますよね。株を処分していくときにおいても、この年金のスキームがどうなるかということでリスクは変わってくるわけです、その会社の。その会社のリスクをいかに低くするかということにおいても、年金制度をきちんと整理しないといけないわけですよ。

 三公社じゃない今の制度を前提として、いつまでにどのような形でこの年金の統合について結論を出していかれるおつもりなんでしょうか。

竹中国務大臣 今中村委員御指摘くださいましたように、これは先ほどの私の答弁どおりでございますけれども、いわゆる賦課方式のもとで、その財政の調整に大きな困難が生じるというふうには思っていないわけでございますが、我々としては、まず組合員の安定という観点から、当面今の待遇が揺らがないようにしようという観点から、時間をかけて、どんな問題があるかということを検討していこうというふうにしているわけでございます。

 JR、NTT、それぞれの問題があったと承知をしております。今回の問題に関しましても、これは大変複雑な年金制度でございますから、そこは関係者でよく実際に詰めて、あくまでも職員に不利が及ばないように必要な時間はかけてじっくりやっていこう、具体的な関係者間でのスキーム検討や利害調整にはやはり一定の時間を要するというふうに思われますけれども、こうした検討、調整が整った段階でこれは速やかに進められるべきものであるというふうに考えております。

 今、枠組みの議論をしておりますが、枠組みの議論が整えば、やはりそういう設計をぜひきちっと協議していきたいと思っております。

中村(哲)委員 いや、私が聞いているのは、いつまでにやるのかということなんですよ。そのターゲットの設定はしないんですか。

谷垣国務大臣 ターゲットを特に今まだ設定ができているわけではありませんし、また、もう少し検討が必要だろうと思います。

 ただ、先ほど申しましたように、委員は十年、十二年というのは非常に長いじゃないかというふうにおっしゃいました。確かに長い期間でございますが、一番考えなければならないのは、それぞれ生活の保障でございますから、老後なり引退後の保障でございますから、雇用者といいますか加入者の身分関係がいかにして安定的に推移していくかという観点が私は一番必要なんだろうと思います。

 それで、先ほど竹中大臣も御答弁されたことでありますが、三公社のときに比べると確かに楽な点もございます。それは、三公社のときには特に国鉄が顕著でございましたが、かつて、例えば満鉄からの引揚者などをたくさん持って、先輩がたくさんおられる、したがって、年金として経営基盤といいますか財政基盤が大変弱かった、それをどう調整していくかというのに相当問題がございましたけれども、今回はそれほどの差がないということをさっき竹中大臣もおっしゃいまして、前よりもやりやすい面はあろうかと思います。

 しかしながら、大きな制度でございますから、やはりその調整には時間をかけて、遺漏のないようにしなければならないというのが今の考え方でございます。

    〔石破委員長代理退席、委員長着席〕

中村(哲)委員 実は、その移管の問題について配慮しなくちゃいけない労働者の側というのは何も公社、郵政事業を行っておられる方だけではないんですよ。公務員の皆さんもそれは対象になるんです。あなたがおっしゃっているのは、郵政の職員だけ注目しているような言い方じゃないですか。だから、両方の労働者にとって納得できるようなスキームをつくらないといけないから大変な作業が要るんじゃないですか。そのことを厚生労働大臣はおっしゃっているんでしょう。

 だから、私は厚生労働大臣にお聞きしたいんですが、竹中さんがそんなに大した調整は要らないだろうとおっしゃっているんですけれども、それに対してはそのとおりかどうか、率直にお考えをお聞かせいただきたいと思います。

谷垣国務大臣 今中村委員が公務員ということでおっしゃいまして、国共済は私の方の担当でございますから申し上げますと、国共済の組合員のうち、組合員といいますか加入者のうち、現組合員は二五・四%が郵政関係者でございます。それから、もう受給をしている人の割合が二六・三%が郵政でございまして、若干受給している人の割合の方が多うございますけれども、そんなに大きな差があるわけではありません。

 これがかつての国鉄なんかのときとの大きな違いでございますので、もちろん問題は確かに真剣に、慎重に検討しなければなりませんけれども、かつてと比べると問題は少ないと考えております。

尾辻国務大臣 前の三公社のときには、先ほど先生も五つという関係者をお述べになりましたが、ああした関係者で一元化懇談会というのをつくって、そしてやりました。十年から十二年かかったのは事実でございます。

 今回、ではそれと比べてどうなるかということでございますが、いろいろ各大臣からお答えがありますように、楽になる部分と、しかしまたかえって今度の方が、ややこしいと言ったらどうでしょうか、とにかく問題が複雑な面がございます。基本的に、三公社のときには、それぞれの主体がなくなりますから、保険者が完全に消滅をしてしまいます。したがって、賦課方式でいっても、支える方もなくなるわけでありますから、そういう事情があってどうするのという議論をしたわけでございます。

 今度の場合は、国共済は依然として残りますから。抜けるんですが、保険者はまだ残っております。残った状態で移ってくるということになるとまたどうするのという、これは改めての、前回とは違う議論が出てくるところもありますので、率直に申し上げると、随分時間のかかる協議が必要だというふうに思っております。

中村(哲)委員 今の厚生労働大臣の御答弁を、竹中大臣、谷垣大臣、お聞きになりましたか。非常に手間がかかるんですよ。

 次の論点に行く前に、生田総裁にせっかく来ていただきましたからお答えいただきたいんですけれども、今、皆さんが会社として国共済をある部分支えていらっしゃいます。基礎年金のいわゆる国庫負担の財源、これは一般財源から入っていますか、それとも、皆さんが汗水垂らして働いた売り上げの中から出されていますか、どちらでしょうか。

生田参考人 お答え申し上げます。

 平成十五年度の実例で申し上げた方がわかりやすいと思うんですが、年金給付にかかわる共済組合負担金は全部で三千五十七億円だったわけであります。負担の状況でございますが、政府負担が三百五十億なんですが、これは公社が支払っております。国のかわりに公社が支払っております。それから、事業主として公社が二千六百九十九億円ということでございまして、さらに事務費として公社が八億円、こういうふうな分担になっております。

中村(哲)委員 今生田総裁がおっしゃったことを本当に私たちは肝に銘じないといけないと思いますよ。今おっしゃった三百五十億円分、これは本来一般財源から入る部分を、公社の皆さんが汗水垂らして働いた売り上げの中から今は出されているわけですよ。これが民営化されたら、この三百五十億円分、一般財源から出るようになるんじゃないですか、竹中大臣。

竹中国務大臣 これは、民営化でございますから、民間企業として税金は御負担をいただく、一方で、公負担のものは政府が負担する、そのような民間と同じ仕組みに変わっていくわけでございます。

中村(哲)委員 竹中大臣、あなたはいつも、見えざる国民負担ということばかり言っているんですよ。だけれども、これはどうですか。民営化した途端に一般財源から三百五十億円、今までは行っていなかった分が必要になるわけじゃないですか。これはマイナスの見えざる国民負担、つまり、郵政公社が郵政公社であるがために、一生懸命自分たちの働いた汗で国庫の支出を減らしていただいているんじゃないですか。そのことをあなたはなぜ言わないんですか。フェアにいくんだったら、こういった公社が国の財政を支えている面についても言うべきじゃないですか。あなたは、何でこの問題については全く指摘されないんですか。

竹中国務大臣 今御指摘になられた点は、経済財政諮問会議でも麻生大臣が非常に明確に主張されて、諮問会議として、これは見えない国民負担もあるけれども見えない公社負担もある、そういうことをきっちりと議論していこうということで、これは諮問会議でずっとそのような認識でございます。そうしたものについて、したがって、どのぐらい大きいかということについては、これはやはりしっかりと、数字がひとり歩きするような議論をしてはいけない、そのような議論、これは諮問会議で我々ずっとしてきたところでございます。

 したがって、私たちが外に説明する場合も、この見えない国民負担というのはいろいろな考え方があるから、一概にそれは幾らだということを言ってはいけないんだということも含めて、明確に説明をしてきているところでございます。

中村(哲)委員 いや、残念ながらしていないですよ、そんなの。あなたは、したつもりになっているんです。

 三百五十億円これから一般財源で要るようになるんですね、毎年毎年税金の負担がふえるんだということですね。

竹中国務大臣 民間と同じようになりますので、そういうことになります。

中村(哲)委員 こういうのも民営化の影の部分なんですよ。それをしっかりと説明しなければ、光の部分ばかり印象に残す、国民の印象に残すということになるわけですよ。

 さっきの、B層に対してアプローチする、ラーニングプロモーションですか、あなたがやっていることはそんなことばかりじゃないですか。

 先ほどの尾辻大臣の答弁に戻ります。

 つまり、先ほど谷垣財務大臣は、プレーヤーとしては、先ほど私が申し上げた五者だ、財務省、厚生労働省、国共済、厚生年金それで会社関係の労使だと。

 昨年の年金制度の改悪によって、国共済と地共済、いわゆる国家公務員共済と地方公務員共済の財政単位が一元化されました。こういった表で当時も議論された内容であります。それで、皆さん、これは御存じないかもしれませんけれども、こういったグラフがあるのを議員の皆さん御存じでしょうか。国共済と地共済が財政単位一元化したら、得をするのは国家公務員ですか、地方公務員ですか。国家公務員じゃないですか。それで、今度、厚生年金に郵貯の部分を出したら、さらにこれはどうなるんですか。

 実は、この財政単位の一元化によって、移管の問題が決まらなかった影響を受けるのは国家公務員だけじゃないんですよ。谷垣財務大臣、先ほど長々した答弁の中に地共済との調整というのを一言入れておりましたけれども、実はそれは本当はすごく大事なんですよ。本来ならプレーヤーは、地共済と地共済を担当する総務省もプレーヤーとして僕は参加しないといけないと思うんです。麻生大臣、この点についてどのようにお考えでしょうか。

麻生国務大臣 国共済と地共済、いずれもえらく大事な問題でありまして、この件につきましては、何もこの郵便とか郵政にかかわらず、非常に大きな問題としていろいろこれまでも谷垣大臣とも、また事務レベルでもこれだけ協議をしてきて、一年数カ月やってきたと思いますが、これはなかなか数としては難しい。数の方は地方の方が圧倒的に多いんですが、平均年齢やら何やらは、学歴は地方の方が高い、学歴は地方の方が高いんですよ。平均年齢も地方の方が高いという前提を踏まえた上で計算しないと、これは一元化なんといったって、ベースが違いますので、なかなか簡単にいかぬ問題だ、正直なところ言ってなかなか難しいなと思いながらもやらせていただいております。

中村(哲)委員 だからこそ、私は麻生大臣に聞いているんです。先ほど、移行のときのプレーヤーは、総務省は外されているんですよ。だけれども、この移行によって、総務省、非常に……(発言する者あり)私、間違ったこと言っていないと思いますよ。財政単位の一元化というのはすごく大変だったんでしょう、総務省と財務省で。私、伊藤大臣に苦笑いされるようなことじゃないと思いますよ。(発言する者あり)ちょっと、やはり真剣に議論をしてください。

 それで、改めて麻生大臣にもう一度お聞きいたしますが、やはり私は、この移管の問題に対する関係者、その中には総務省と地共済が入らないといけないと思いますが、いかがですか。

麻生国務大臣 当然のこととして、谷垣大臣が意図的に落とされたという話ではないのであって、いろいろ関係者が多いという話の中の一つにたまたま落ちただけの話で、この話を抜きに語れないぐらいは御本人もよくわかっておられますし、財務省、総務省、双方ともよくわかった上でやらせていただいております。

中村(哲)委員 麻生大臣はやはり心が広いですね。

 谷垣財務大臣、あなたに、私、だから念を押して聞いたでしょう、五つのプレーヤーですねと。あなたの答弁を前提としたら、私たちが代表者となって協議には行きますけれども、後で総務省とそのことについて、こうなりましたと報告したらいいんですというような答弁だったわけですよ。修正されますか、五つから七つに変えられますか。

谷垣国務大臣 先ほども主たるプレーヤーはというような表現で申し上げたつもりでございます。それから、財政調整等が必要になってくる場合にはということも申し上げたと思います。長々とした中にちょっとだけとおっしゃいましたけれども、実は頭の中に地共済との調整というのは当然あったわけでございまして、総務省とはよく調整をしなければいけないことだと思っております。

中村(哲)委員 だから、私が確認させていただいているのは、総務省もその五者のテーブルの中に入り七者になるのか、それとも、総務省はその会議のところには入らなくて、財務省が協議をされた後で、また、その前に総務省と一対一で協議をして、代表者として財務省だけその協議の場に行くのか、どっちなんですかということをお聞きしているんですよ。五者で行くのか、それとも総務省、地共済を入れて七者で行くのか、その協議はどうされるんですかということをお聞きしているわけですよ。だから、先ほど麻生大臣に助け舟を出していただいたんですが、七つですねということを確認させていただいたんですよ。七つでしょう。

谷垣国務大臣 まだその点は詰めておりません。ただ、先ほどから御答弁申し上げておりますように、地共済との調整というのは極めて大きなことであるというのは、委員がおっしゃるとおりでございます。

中村(哲)委員 まだ詰めていないから、地共済の方は、七つでやるか五つでやるか、参加させるかどうか、今の中では判断がつかないとおっしゃっているわけですね。それはどうかと思いますよ。(発言する者あり)違うんだったら違うと。七つで行くんですね。

麻生国務大臣 御心配いただいて恐縮ですけれども、無視されることはありませんよ。地共済はでかいんですから、それは無視されることなんか絶対ありませんから。だから、御心配いただいているのがその点だったら、ありませんと思いますが、七つで一緒にせえのでやるのか、個別にやるのかというところがまだ決まっていないという御答弁なんだと存じます。

中村(哲)委員 竹中大臣に認識していただきたいのは、尾辻大臣が先ほど最後に御答弁されたことというのは、これだけの内容のことが含まれているんです。だから、財政状況が似ているから簡単にできますということにはならないんですよ。構成比も似ているかもしれませんけれども、もらう金額も違うんです、公務員の場合は職域加算部分がありますからね。そこの整理もどうするのか、すごく大きな問題なんですよ。

 二〇五〇年の日本という話を私よくするんですけれども、大臣がそのときに何歳になっておられるのか私は申し上げませんけれども、私は一九七一年生まれです。それで、二〇五〇年の日本というのは、実は一九七一年から七四年の世代が一番人口のこぶになる世代なんです。つまり、二〇五〇年の日本というのは、七十七歳の人たちが一番人口が多い、そんな世の中になるんです。だから、私たち若い世代は、そういった世の中になったときに、年金制度、社会保障の制度、どうしたら持続可能であるんだろう、世代間扶養だけじゃなくて、世代内でも扶養をしていく、働ける人間は七十、八十になっても働かなければ、弱者をきちんと保障していく、社会保障を維持させていくことはできない、そういうふうに考えているんです。

 私は自分たちの世代の代表として国会議員になっていますから、この問題に関しては一刻も早く結論を出していかなければ、安心して将来の設計ができないですよ、私たちの世代というのは。だから、今の二十代、三十代というのは、今夢をなくしている世代になるんです。だから、こういった調整については一刻も早く急がないといけないということを申し上げているんです。わかったとうなずいていただいていますが、一言だけ、それでは答弁をいただきます。

竹中国務大臣 二〇五〇年、生きていれば私は九十九歳でありましょうから、私よりも二十年若い中村委員の世代にとって年金が大変重要だという、その問題意識を私も大変強く持っております。

 私、決して、簡単にできるというふうに先ほど答弁はしておりません。前回に比べて困難性が低い面もあるかもしれないが、それでも大変複雑な制度で、だからしっかり協議をして、時間をかけてやっていかなきゃいけないんだという答弁をさせていただいたつもりでございます。これは、まさに枠組みを決めた後、しっかりと協議をしてまいりたいと思います。

中村(哲)委員 それだったら、議論が最初に戻ってしまうのです。

 やはり大変なんでしょう。だから時間がかかるんですよ。だから、ちょっとでも早く、厚生労働大臣を初め年金担当者の皆さんと、いわゆる関係者の皆さんとこの協議をもっと内容的にも踏み込んでやらないといけないじゃないですかということを言っているんですよ。大変だから、時間がかかるんだから、そういうことを申し上げているんです。答弁が、内容が二転三転するものですから、もう本当に、ちゃんとしっかりと取り組んでください。

 次の質問に移ります。

 六月六日の伊藤忠治委員の質問の論点であります。公社法の二十四条問題についてであります。

 日本郵政公社法の二十四条から二十七条に中期経営計画の規定があります。中期経営計画というものは、四年たったら今度は中期経営報告書というものをつくらないといけないということになっております。そのものは公表しないといけないという規定とともに、六十六条では、審議会に諮問しなければならない、そのことも規定をされておるところでございます。

 さて、この点について、生田総裁は六月六日の伊藤忠治委員の質問に対して、二年ごとをフェーズ1、フェーズ2と分けて、しっかりとやっていこうと。その理由というのは、このようにおっしゃっているんですね。「私は、改革というのは、事業でも何でも、やると決めればできるだけ短期間に凝縮してやった方が、」「効果は早く出て、かつ、確実に達成できる、」こういった形で、生田総裁はフェーズ1と2と分けて改革に取り組んだことをおっしゃっているんです。その業績については、麻生大臣が、もう言うことない、そういった趣旨のことをおっしゃっているわけでございます。

 そして、伊藤忠治委員はこのように締められているんですよ。「その途中にですよ、これが終わらない間にこの法案を審議して、それで民営化に持っていくということなんですよね。ちょっとこれは常軌を逸しているんじゃないか、物事の運びとして。私、そう思うんですよ。」とおっしゃっているんです。私もそう思います。

 中期経営計画が、フェーズ1の終わったところにもかかわらず、この法案を出してくる正当性、法律上の根拠について教えてください。

竹中国務大臣 正当性と法律上の根拠ということでございますけれども、これは前半につきましては何度か御答弁をさせていただきましたように、やはり公社をめぐる、郵政をめぐる環境は劇的に変化をしているということであろうかと思います。

 郵便については、生田総裁がDM等々を努力してふやしているにもかかわらず、それでも全体として毎年二ないし二・五%減少する。金融面では、金融革新によって民間の提供する金融サービスが広範かつ多様な展開を示している。そして物流では、国際物流、ドイツ、オランダで郵便会社による国際展開が進んでいる。やはり、劇的に展開している、そうした環境に適切に対応していく必要がある。

 中期経営計画を見ても、今後の経営見通しはやはり楽観が許されない。生田総裁のもとで大変頑張っておられるけれども、それでもやはり状況は厳しい。それが基本的な認識のもとで、その上でやはり今の枠組みを、生田総裁の改革をさらに強化するためにも、これは民営化というものに踏み切りたいということでございます。

 法的な根拠、枠組みということでございますが、郵政民営化関連法案は、日本郵政公社法の定める現行公社制度の枠組みを超えて、民営化による新たな枠組みを構築するものでございます。枠組みの変更でございます。この枠組みの変更について国会に御提出するに当たりまして、枠組みの定める中期経営目標の達成状況等々について、この評価等、結果を待たなければならないという拘束を受けるものではないというふうに考えております。

 ちなみに、この公社、一期四年の中期経営計画が終了する平成十九年三月末の後に民営化により解散となりますけれども、現行公社法が求めている中期経営目標に係る業績評価は、これはしっかりと行う必要があると考えておりまして、郵政民営化関連法案においては、公社にかわって日本郵政株式会社が公社の中期経営報告書を出して、それを受けて、総務大臣による評価、審議会への諮問、その公表が行われるべきことを、この整備法の附則第三十一条、三十三条で規定をしているところでございます。

中村(哲)委員 いろいろと自分は正当性があるということをおっしゃっておりますけれども、私は、公社法のスキームが果たしてそういうふうな考え方に基づいてつくられているのかな、そういうことを考えるわけです。

 では、極めて具体的に聞きましょう。日本郵政公社法第六十六条の柱書きにはこのようにあります。「総務大臣は、次に掲げる場合には、審議会等に諮問しなければならない。」それで、三号に「第二十七条第二項の規定による評価を行おうとするとき。」と書いております。

 この条文の趣旨はどういう意味でしょうか。

麻生国務大臣 今のは公社法の話だと思いますが、御指摘のように、中期経営目標期間を終了後の業績評価というところだと思いますが、これは総務大臣はということになっておりますが、審議会等々のあれを得ねばならぬということなのであって、総務大臣は、よく内容やら何やらこの業績の評価をした上で、その内容につきまして、審議会等できちんと、第三者というか、公的な部分をもって評価させるということだと存じます。

中村(哲)委員 今、大臣がおっしゃったのが、第二十七条の規定にこうあるんですよね。第二項に、「総務大臣は、前項の公社の中期経営目標の達成状況について、評価を行わなければならない。」三項に、「総務大臣は、前項の評価を行ったときは、遅滞なく、公社に対し、当該評価の結果を通知するとともに、これを公表しなければならない。」このことをおっしゃったんです。

 ここで考えなくちゃいけないのは、これは何のために評価をするのかということなんです。これは四年ごとですから、基本的に中期経営計画を立てて、それに基づいて、生田総裁に頑張っていただいて、フェーズ1と2という形で分けて集中的に改革を進められた。そして、四年後きちっと出てくるのが中期経営報告書というものなんですよね。それを総務大臣は評価する。それをきちっと評価するために審議会にかけてやる。それを受けて、それと同じ時期に次の四年間の中期経営計画をまた議論するというのが、これは法律に定められている、きちんと評価をして次の計画を立てる、そういったスキームの流れなんですよ。

 そのことについて、それとの関係性において民営化法案がどういうふうな位置づけになっているんですかということを私は竹中大臣にお聞きしているんです。その点について、今おっしゃったことでは答えになっていないんですよ。この手続的なスキームとは全く別にやっても、私は新しい法案を出してきているのが問題ありませんとおっしゃっているんです。

 だけれども、審議会のメンバーの方の中からは、こんな審議会をばかにした話はないともおっしゃっているんですね。毎年毎年の業績について審議会にもかけられているけれども、だけれども、その審議会にかけている先に、全く別なところから民営化法案が出てきている。こんなのは審議会の意味ないじゃないか、そういった声が出ているわけです。そこの整理について、どのようにされているのか。

 私は、公社法のときに、非常に長時間、総務委員会で質問させていただきましたよ。一つ大きなきちっと完成されたスキームを公社法というのはつくったと思います。それを前提とするならば、少なくとも四年間の中期経営計画の達成状況を見た後で民営化するかどうかというのを考えるならわかりますけれども、全く竹中さんがおっしゃっていることというのは、骨格経営試算等に基づくマクロの数字で予測をして、それに基づいてメスを入れようとしているだけなんですよ。

 生田総裁と、それなら、経営の結果がこうだから、やはりこのことをこう変えないといけない、だから民営化という議論はされていないじゃないですか。私たちも、議論がされるのであれば、中期経営計画に基づいて、それもさらに公社で、公社法の改正ではできない、そういうことをはっきりデータも提示していただいたら納得することができるんです。だけれども、そういった説明はないじゃないですか。それから、手順もそういうことの手続を踏んでいないじゃないですか。

 だから、私たちが三年前に公社法で議論をさせていただいた、そういったことに関して尊重するお気持ちもないのじゃないかな。せっかくあれだけ議論をしてでき上がったのがこの公社法です。そこに対する尊重もないのじゃないかな、私はそのように考えているんです。多くの議員はそのように考えていると思います。

 だからこそ、竹中大臣には、中期経営計画を配慮する形で、この民営化法案を提出することが、現行法の考え方に照らして、現行法の趣旨に照らして正当化されるんですかというわかりやすい説明を求めているわけです。それについて、先ほどおっしゃった答弁とは違う、今私が申し上げたことで御答弁いただけるのかどうなのか、いただけないのだったらもう答弁は結構ですから、その点、一言でもいいから御答弁いただきたいと思います。

竹中国務大臣 先ほどは、環境の変化の話と、そして枠組みを変えるんだ、しかし中期経営計画の評価については今度の整備法の附則できっちりやるんだ、そういうお話をさせていただきました。

 それでは必ずしも不十分だというお尋ねだと思いますので、一点だけ申し添えさせていただきますが、今回の附則の三十一条で、「中期経営報告書の提出及びその公表については、日本郵政株式会社が従前の例により行うものとする。」従前の例というのは、まさに今の審議会等々のプロセス、そういうものを踏まえて行うという形にしておりますので、その意味では、今のシステムがそのまま評価につながるような、そういう配慮はさせていただいております。

 恐らくもう一点、大きいところで、骨格経営試算そのものは、もうこれは出ているわけですから、その評価を待って、中期経営の報告を待ってやるべきだという点でもしございますれば、それは前半に申し上げましたように、やはり劇的に環境が変化している、その中で民営化に踏み切るという一つの判断、これはまさに政策の判断をさせていただいているということでございます。

中村(哲)委員 見通しというと、データを示して、説得的に示してくださいと申し上げているんですよ。

 生田総裁にお聞きいたしますが、今まで一生懸命改革に取り組まれてまいりました。フェーズ1の結果というのは、麻生大臣が本当にすばらしいとおっしゃったぐらいすばらしい結果を残されたと思います。その中で、果たして本当に民営化しか先細りを解決する手段はないとお考えなのか。経営者として、公社形態のまま、公社法を改正することによって公社の収入源をふやしていくという手法は全くないとお考えになっているのか。現場の経営者としての御意見をお伺いいたします。

生田参考人 お答えします。

 経営がうまくいっているかどうか、これは客観的に評価していただくことなので、私としては、自分の力では一生懸命やっているし、職員が本当によくやってくれている、こういうふうに考えております。さっき先生がおっしゃった、凝縮してやったら効果が早く大きく出る、同時に、私は痛みの総面積もそれが一番小さくなる、やはり働く人間の士気にかかわりますので、痛みの最小化ということもやっているということでちょっとつけ加えさせていただきます。

 経営としては、二年ごとでフェーズ1、フェーズ2とやってきておりまして、フェーズ1は目的達成をしました。フェーズ2も与件が余り変わらなければ達成するだろうと思いますから、中期経営計画は多分できるだろうと思うし、利益計画上はもうほとんど達成した、こういうふうな感じで来ております。

 これも既にもうお話ししたことがあるんだけれども、今の公社法のフレームワーク、それから社会規範の中では、短期はいいのですけれども、中長期的には、五年、十年という期間になると、三事業とも残念ながら目いっぱいになってきて、収益、利益ともに縮小傾向になってくる。したがって、私は、それに対して二つの方法がある、一つは民営化であろうし、一つは公社のまま大きく経営の自由度とビジネスモデルを開放するという公社法の改正があり得る、できるできないは別としまして、そのどっちかをとるかだけれども、どっちをとってそれをいつやるかは政治の御判断、こういうふうに言ってまいりました。

 もちろん、公社の立場、公社というところに立って周りを眺めて、公社だけの都合を言わせていただければ、それは四年やらせていただいた方がすっきりしてわかりやすいということもあり得ると思います、そういう考え方は。だけれども、他方、今回の民営化の御論議というのは、公社の救済のための御論議じゃなくて、もっと大きい、天下国家の利益、例えば構造改革との一貫性とか、経済の活性化とか、財政再建とか、そういう大きな流れの中で来ているんだろうと思うので、その観点から見ると、早い方がいいというお考えもあるのかと思います。

 したがって、そういう大きな視点に立ってのニーズ、それから公社の立場に立っていただいた、これは個別のミクロの立場になりますけれども、そのバランスを考えながら御判断いただくことこそが政治のお仕事だろうというふうに思っておりまして、私は現場監督みたいなものですから、現場監督としては、決まったらそれに向かって最善を期す。

 ただし、最後に一言だけ加えさせていただくと、もし民営化の方法をとられるのであれば、国家の大きな目的と整合しながら、公社が持っております三つの経営ビジョン、国民の利便性、お客様によりよくサービスが提供できるようにというものと、事業の健全性、維持、成長し得るように、それから働く職員が、大きく雇用のことを尊重していただきながら、働きがいと将来展望を持てるようにというのが、公社のままでいるよりもより大きくそれが達成できるというふうな制度設計にしていただくということをお願いしまして、そのあとの時期、その他はぜひ政治でよくお考えいただきたいと思います。

中村(哲)委員 それでは、時間が参りました。

 今の生田総裁の御答弁というのは、本当に言葉の裏を私も感じさせていただくと、もうこれは廃案しかないのかな、そういう受けとめをさせていただきました。ありがとうございました。

二階委員長 次に、横光克彦君。

横光委員 社民党の横光克彦でございます。

 この委員会で、折り込みチラシの件で、政府参考人の答弁や説明について、細田官房長官がおわびをいたしました。このことに象徴されるように、きょうもこの随契の問題が中心に随分質疑されたわけでございますが、やはりこの随契の理由として、緊急性、独創性というものを説明されておりましたが、これはなかなか信憑性が薄いと言わざるを得ません。

 また、契約の流れも、昨年の春発足したばかりの社員二人の有限会社に、見積書もないまま、一億五千万円という予算で実質的な契約を合意したということでございます。このことにつきましても、いろいろ説明されておりますが、到底国民の理解と納得を得られるものとはなっておりません。

 昨今、一兆、二兆あるいは何十兆という、兆という言葉が飛び交っております。そういった中、一億五千万という金は、政府広報室にとりましてはそんなに大きな金という認識がないのかもしれませんけれども、国民にとりましては、一億五千万というのは大変な巨額の金でございます。この一億五千万という金は、では、政府広報室の皆様方が汗水垂らして働いた金なのか、そうじゃないでしょう。やはり国民が汗水垂らして働いて納めた税金であるということをもう一回しっかりと認識していただきたい、このことを冒頭強く申し上げておきます。

 また、細田官房長官にお尋ねをいたしますが、いわゆる中央省庁等改革基本法の三十三条一項六号について、政府が統一見解を出されました。しかも、これは三回にわたって出されたんですね。一回目は統一見解に当たらないということで我々突き返しましたら、二回目を出しました。そして、さらに橋本元総理のことには触れていないではないかということを要求しますと、三回目も出した。つまり、統一見解が三回出されたわけでございます。

 この政府見解をまとめるに当たりまして、当事者の方々、つまり橋本元総理を初め自見、野田、八代各歴代郵政大臣に直接会うなどして、それぞれのお考えを確認した上で見解をまとめられたものなのかどうか、お聞きしたいと思います。

細田国務大臣 橋本元総理あるいは歴代郵政大臣の御答弁に関する見解の取りまとめに当たりまして、直接御本人に確認をしておりませんが、中央省庁等改革基本法第三十三条第一項第六号の規定は、公社化までのことを規定しているものであって、公社化後のあり方を拘束するものではないというのが政府としての統一見解であり、その旨、繰り返し国会において御答弁申し上げたいと思います。

横光委員 三人の方には直接お会いして確認をしていないということでございます。確認をせずに、この統一見解では、それぞれの大臣の、あるいは橋本さんのことについても、勝手に解釈しておるんですね。勝手に理解をしているというようにまとめておられる。しかし、当人同士はこのような政府統一見解の内容に同意もしているわけではない。

 確認もせずに勝手にこのように解釈するという権利が政府にあるんですか。いかがですか。

細田国務大臣 この最も重要な点は条文の文理上の解釈でございます。文理上の解釈については、統一見解を政府としては確定しておりますので、その点を申し上げたいと思います。

横光委員 あなたたちはそのように見解としてまとめたかもしれませんけれども、先ほど言いました四人の方々は全く違う趣旨の発言をされているわけです。同じ法案についてこれだけ意見が違うのであるならば、百八十度違うわけですから、その方たちの意見をはっきり聞いた上で、確認した上で統一見解はまとめるべきものであり、このような今の説明では統一見解に値しないと私は思うんですね。

 ですから、これほど当事者を無視した形での見解は、これは理事会を侮辱したことにもなりますし、まさに不誠実な行為であり、委員会軽視も甚だしいと申し上げざるを得ません。

 きのうの決算委員会で小泉首相は、確認もしないで懲罰動議を出すのはけしからぬと叫んでおりましたが、まさにこのとおり、確認もしないでこのような統一見解をまとめるのはまさにけしからぬ、この言葉をそのまま総理にお返しいたしたいと思います。

 そういった意味で、ぜひともこれは、私は、改めてこの四人の方々の発言、真意を直接確認した上で統一見解を出し直すべきである、このように思いますが、いかがですか、細田官房長官。

細田国務大臣 文理上、これは政府の決まった解釈論でございます。したがって、現時点で、正確にお示ししたとおりでございますし、元総理、歴代郵政大臣に対して確認を行う必要があると考えておりません。

横光委員 ということは、あなたたちは勝手に、四大臣のことを勝手に解釈してまとめておりますが、当時の人たちの意見は、では、言う場がないわけですよ。ある意味では意見を無視する、もっと言えば言論を封殺することになるんですよ。このようなことを行っているということですよ。ですから、私は、統一見解を改めて当人に確認した上で出し直すべきである、これが一つ。

 それができなければ、私は、やはりここに来ていただいて、これはもう本委員会の初日から我々は参考人としてお出まし願いたいという訴えをしておるのですが、なかなかオーケーしてもらえません。であるならば、参考人が難しいのであるのならば、やはりこの委員会委員の立場で出席していただいて、私は、発言の機会を与えるべきだ、このように思っております。

 このことを、先ほどから理事会で諮るということでございますので、どうぞよろしくお願い申し上げたいと思います。

 それから、今の統一見解につきましては、実は、一言申し上げておきますが、平成九年十一月二十一日、平成九年、ちょうど行革の中間報告がなされたころだと思いますが、当時の自民党の加藤紘一幹事長は、二十一日昼の総務会で、郵政三事業を五年後をめどに新型公社化することに関連して、新型公社は民営化しない、これで打ちどめということで考えたいと述べ、将来の民営化を否定した、こういうことが現実にあったわけでございます。つまり、当時の自民党の総意であったということです、民営化をしないということは。こういった事実があったということをつけ加えさせていただきます。

 それでは、この法案のことについてお尋ねをいたします。

 今回の民営化法案の最大の問題点は、やはり、きょうも午前中、自民党の加藤委員も指摘されておりましたように、郵便貯金そして簡易生命保険を、一般の銀行そして生命保険会社とすることを前提としながら、そういうことを前提としながら、一方では、どうやって郵便局における金融サービスの確保を担保しようかと四苦八苦されている、ここが非常に結果的に中途半端な制度設計になっている、ここに最大の問題点があるということに尽きるという気がするんですね。

 要は、国として貯金と保険のユニバーサルサービスを確保するのかしないのか、この一点であって、そこを、金融部門を完全民営化しつつ、郵便局における貯金と保険のサービスも確保するというのは、これはどうしても矛盾した制度設計であると言わざるを得ません。

 当然のように、矛盾した制度設計であるということは認識されていると思いますが、竹中大臣、いかがですか。

竹中国務大臣 矛盾した制度設計ということではございません。郵政事業につきましては、これは、郵便、郵貯、簡保、いずれも民間の企業が同様のサービスを提供しております。公務員でなければできない事業ではない、これは民間でも十分運営が可能なものと基本的に考えております。

 特に、金融の業務でありますけれども、信用が競争上決定的に重要であるということで、これは法案の中でも、国の信用、関与を完全に断ち切るために、当初から一般の商法会社として設立している等々でございます。したがって、義務を課して自由度を縛るということはやめたい。したがって、ユニバーサルサービスの義務は書かないわけでございます。

 公共的な役割については、しかし一方で、制度的に担保しつつ、できるだけ市場における自由で公正な競争で行いたい、それが我々の認識でございます。

横光委員 今回の、先ほど私が言いましたような制度設計は矛盾していないというお話でございますが、私は、矛盾しているということをこれから質問させていただきたいと思うんです。

 政府案は、郵貯、簡保を廃止し、郵便局ネットワークから貯金、保険を分離するものとこの法案はなっている。しかし、それを政府は、これまでの答弁では、安定的な代理店契約、基金の活用により実質的なユニバーサルサービスの確保は可能であると説明し続けてきたわけでございます。

 しかしながら、安定的な代理店契約の内容は、すべての郵便局との代理店契約を義務づけるものではない、こう答えておられます。と言いながら、現実的にはすべての郵便局との契約が行われるものとされておる、こう答える。だから、わけがわからなくなる。契約が行われるものとされておるにすぎないわけであって、何らユニバーサルサービスを確保するものとはなっていないと私は思うわけでございます。

 しかも、政府は、安定的代理店契約の内容、期間は経営判断に任されるということをおっしゃるわけでございます。六月十六日に行われました、参考人質疑がございました。その期間のことでございますが、安定契約の期間は最低でも十年である、そして、さらにそれを承継計画の認可で担保するということになっていると、ずっと御答弁されております。

 この参考人質疑で、私、経済同友会代表幹事の北城参考人にお尋ねをいたしました。十年後まで決め打ちするような経営計画を立てる、経営者として、経験者としてそのようなことが果たしてあり得るのかどうかということをお尋ねいたしました。そこで、北城参考人は、おっしゃるように、十年先を見据えてすべての経営のケースをつくるというのは非常に難しいと思います、また、ビジネスモデルをきちっと確立すればそれで経営がうまくいくということではありません、十年先を見据えるということは非常に難しいと私も思っております、こうお答えになりました。まさに、経営のエキスパートがこういった御答弁をされたわけでございます。竹中大臣の、ビジネスモデルがあるから大丈夫だ大丈夫だという、それさえ確立すればそれで経営がうまくいくとは限らないと答えているわけですね。そういった現場の声があるわけでございます。

 そこでお尋ねいたしますが、十年超の契約を結ばされても経営を行いたいという経営者が果たしていると思っているんでしょうか。竹中大臣、お聞かせください。

竹中国務大臣 ビジネスは一刻一刻変化いたしますから、常にそれは進化をしていかなければいけない、恐らく北城会長はそのような趣旨でお話をされたのであろうかというふうに思います。

 これはあくまでも、みなし免許を出すときの条件、免許の条件としてそれを課しているわけでございますから、十年間、ほかのことも含めて、一律すべてをがちっと何か縛っているわけではございません。

 これは、しかし、非常に大きな組織を市場経済の中に統合するに当たって、時間をかけてこの免許の条件はやはり満たしていただかなければいけない。しかし同時に、状況の変化に応じて進化して経営をしていっていただくわけでございます。ぜひそういうことに前向きな経営者に取り組んでいただきたいというふうに思っております。

横光委員 免許の条件に、この承継計画でそのような長期の計画を認可することがそもそも妥当なのかどうか、私は不思議でなりません。私は、このような厳しい、今束縛しているのではないと言いますが、ある意味ではかなり縛っているわけで、だれも経営者のなり手はいないんじゃないかという気さえするんですが、竹中大臣、では、あなたはこのようなことをやれる自信はありますか、こんな状況の中で。

竹中国務大臣 麻生大臣が何度も答弁しておられますように、金もうけの才能があるのは役人にはならない、政治家にはならない、まして学者にはならないということだと思いますので、私には向かないというふうに思いますが、これはしかるべき専門の経営者にやっていただけるものだと思っております。

横光委員 私は、免許の条件とはいえ、余りに最初から民間会社を縛るものとなっている、これでは経営判断は最初から拘束、束縛されているのではないかという気がいたしております。

 それでは、この貯金会社そして保険会社の経営判断とは一体どういうものなのか。これは、当然ながら、株主の利益の最大化を図るということに尽きると思うんですね。そこで、では、この貯金会社、保険会社の株主とは一体だれなのか。これは、この法案において持ち株会社に全株処分義務が課されているわけでございますので、この売り先はだれでもいいわけで、株主にはだれでもなれるわけですね。何ら制限のない一般の投資家が株主にもなれるわけです。そして、この安定的な代理店契約の中身は経営判断ということになってしまえば、結局、株主の利益の最大化ということを考えれば赤字は困るわけですよ、株主の皆さん方にとりましては。つまり、そういった状況が起きてしまえば、不採算地域におけるサービスの提供は何ら確保されないことになるというのが我々の心配なんです。

 ところが、大臣は、これまでの質疑では、ネットワークの価値がある以上大丈夫だといって、平行線をたどっていく。つまり、結果的には、これはやってみなけりゃわからないということになってしまう。国民を試験にかけるようなものですよ、こんな重要なことを。そうとしか言えない。

 ですから、なぜこのように不確かな問題が生じる原因になったのか。それはやはり、持ち株会社に全株処分義務を課す、こういうところから始まっているわけでございます。ですから、なぜ持ち株会社に全株処分義務を課しているのか、いま一度お聞かせください。

竹中国務大臣 これは、民間企業として経営をしていただくわけでございますから、その中で不確定要因を乗り越えて経営をしていただかなければいけないということに尽きるのであろうかと思います。

 全株の処分を義務づけているから余計不安定化する、ややこしいことになるのではないかという御指摘だったと思いますが、私たちはそうではないというふうに考えるわけでございます。全株処分をしてこそ初めて国の関与が外れて、本当の意味で自由になれるわけでございますから、そこはやはり早い時期にそこに持っていっていただきたい。

 そういう意味では、やはり国の信用、関与を断ち切るということが大事だ。これは、銀行、保険がやはり信用商売だからでございます。

横光委員 政府の関与、国の信用を断ち切るというお話でございます。まさに完全処分ということはそういうことでしょう。と言いながら、貯金・保険会社の株の連続的保有を認めておるわけですね。特殊会社としての制約と、独禁法や銀行法等の一般法規が適用される、その範囲での株式の保有は可能であるとずっと答弁されてきた。片一方では国の信用を断ち切る、片一方では連続的保有を認める、こういうことでございます。

 このように連続的保有を認めた場合、国の出資の残る持ち株会社、これが、貯金会社、保険会社の株式を一たん完全売却した後、新たに買い戻すことができるということですよね。このことと、持ち株会社が株式を保有し続けることと、どこがどう違うんですか。

 全株処分義務の目的が政府の関与を断ち切ることであるにもかかわらず、政府の関与の残る持ち株会社が連続的に保有することは、最初に言いましたように、私は、全く制度設計が矛盾している、こう言っているわけでございますが、いかがですか。

竹中国務大臣 先ほど申し上げましたように、国の信用、関与を断ち切って、ある意味で全く自由な民有民営になっていただきたい、民有民営になった後は特別の規制を課さない、これは民営化の趣旨からして当然のことであろうかと思います。

 そして、特別の規制を課さない中で、委員は買い戻しというふうに言われましたけれども、経営を高めるためにどういう判断をされるか、これはもう経営の判断でございます。一体的な経営をいろいろな形でやることが可能である。資本を持つか持たないか、これはいろいろな場合があり得ようかと思います。

 しかし、いずれにしても、国の関与を一たん断ち切って、民間企業として他の民間企業と同じスタートラインに立っていただく、このことはやはり絶対に必要なことであろうかと思います。そして、その後については、特別の規制を課さないで、まさに一般のルールの中でやっていただく、それが趣旨でございます。

横光委員 一たん断ち切ると。そして、これまでの答弁では、余資運用、その範囲であるなら認められるというならば、そもそも最初から全株処分義務を設ける必要はないんじゃないんですか。一たん売却して、その後、資金運用の範囲、特殊会社としての資金運用の範囲内に持つことができるというなら、最初からそこのところは緩和してやればいいことであって、最初から全株処分義務というのを課す必要はないんじゃないんですか。

竹中国務大臣 民有民営をした後、株を保有するかどうかというのは、経営の判断でございます。持ち株会社は、これは国の機関を民営化したわけでございますから、持ち株会社が当初一〇〇%、株を持っているわけです。それは国の機関を民営化したから持っているという動機。しかし、完全に民営化した後、それの上でこのグループが株を持つかどうかというのは、これは別の経営の判断でございますから、持つ動機も当然違ってまいるわけでございます。

横光委員 では、そのように株を持つことができるのであれば、具体的に何%の保有が認められるんですか。

竹中国務大臣 これは、民間の、民営化された企業として、経営判断に基づいて、特別な規制をかけない上で、独禁法や銀行法等の一般的な規制の範囲内で行動していただくということでございますから、どのぐらい持てるか、持つべきか等々のことを申し上げるのは、これはまさに国が申し上げるのは困難であろうかと思います。しかし、通常の民間金融機関がそうであるように、そういうような常識の範囲で、一般法規の範囲で御判断をいただくということであると思います。

横光委員 つまり、一般法規の範囲内でということになります。あるいは、独禁法の件もお話しされました。

 つまり、二五%超はなかなか、触れる可能性があるということでございますので、二五%以内。となりますと、これは二分の一で子会社ですよね。三分の一で初めて特別な拒否権ができるわけです。二五%以内であるということは、経営に対して何ら影響はもたらさないということになります。つまり、グループ経営など不可能ということになります。

 これは、グループ経営というものの確保のために、私は、政府と自民党の合意において連続的保有ということが出てきたんだと思っておりますし、そうなりますと、グループ経営など、今のような説明、株の持ち方では不可能なわけでございますので、自民党への説明と全く違うじゃありませんか。自民党との合意は空手形ということになりませんか。

 現にあなたは、合意した次の日に、四月五日の会見においても、特殊会社の目的の範囲内で、一%から二%でも金融機関の株式を持つ必要があるならやってもいいという趣旨の発言をしておりまして、グループ経営を全然念頭に置いていない発言をいたしております。

 ですから、私は、あなたが今言われたことは、仮に連続的保有を認めたとしても、グループ経営には何ら資することにならぬ、そうなってしまう。つまり、政府・与党合意は空手形になってしまうということを申し上げたいと思います。

 要するに、資本面からも、貯金、保険が郵便局ネットワークから分離していくことは、私は防ぎようがないと思いますよ、今までの説明では。むしろ政府は貯金や保険をネットワークから分離しようとしているものと言わざるを得ません。

 郵便局の現在のサービス水準を維持するためにも、私は、こうした政府案を認めるわけにはいかないということを申し上げまして、質問を終わります。

二階委員長 次回は、来る二十九日水曜日午前八時四十五分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時一分散会


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