衆議院

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第12号 平成19年5月16日(水曜日)

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平成十九年五月十六日(水曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 保利 耕輔君

   理事 大島 理森君 理事 河村 建夫君

   理事 小坂 憲次君 理事 鈴木 恒夫君

   理事 中山 成彬君 理事 野田 佳彦君

   理事 牧  義夫君 理事 西  博義君

      赤池 誠章君    井澤 京子君

      井脇ノブ子君    伊藤 忠彦君

      稲田 朋美君    稲葉 大和君

      猪口 邦子君    上野賢一郎君

      浮島 敏男君    亀岡 偉民君

      木原 誠二君    木原  稔君

      佐藤ゆかり君    篠田 陽介君

      鈴木 俊一君  とかしきなおみ君

      西村 明宏君    西本 勝子君

      馳   浩君    原田 憲治君

      平田 耕一君    広津 素子君

      二田 孝治君    松本 洋平君

      やまぎわ大志郎君    山内 康一君

      若宮 健嗣君    川内 博史君

      北神 圭朗君    田島 一成君

      田嶋  要君    高井 美穂君

      西村智奈美君    松本 大輔君

      横山 北斗君    笠  浩史君

      伊藤  渉君    大口 善徳君

      石井 郁子君    保坂 展人君

      糸川 正晃君

    …………………………………

   議員           藤村  修君

   議員           田島 一成君

   議員           高井 美穂君

   議員           牧  義夫君

   議員           松本 大輔君

   議員           笠  浩史君

   総務大臣         菅  義偉君

   文部科学大臣       伊吹 文明君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     塩崎 恭久君

   文部科学副大臣      池坊 保子君

   文部科学大臣政務官    小渕 優子君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  山中 伸一君

   政府参考人

   (総務省行政管理局長)  石田 直裕君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  藤井 昭夫君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  岡本  保君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文教施設企画部長)      舌津 一良君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          銭谷 眞美君

   政府参考人

   (文部科学省研究振興局長)            徳永  保君

   政府参考人

   (文部科学省スポーツ・青少年局長)        樋口 修資君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    中村 吉夫君

   衆議院調査局教育再生に関する特別調査室長     清野 裕三君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十六日

 辞任         補欠選任

  稲田 朋美君     広津 素子君

  猪口 邦子君     佐藤ゆかり君

  安井潤一郎君     上野賢一郎君

  山内 康一君     福田 峰之君

  若宮 健嗣君     木原  稔君

  保坂 展人君     日森 文尋君

同日

 辞任         補欠選任

  上野賢一郎君     篠田 陽介君

  木原  稔君     若宮 健嗣君

  佐藤ゆかり君     猪口 邦子君

  広津 素子君     稲田 朋美君

  福田 峰之君     浮島 敏男君

  日森 文尋君     保坂 展人君

同日

 辞任         補欠選任

  浮島 敏男君     山内 康一君

  篠田 陽介君     安井潤一郎君

    ―――――――――――――

五月十六日

 教育関連三法案の改悪反対に関する請願(保坂展人君紹介)(第九九四号)

 教育改悪三法案の廃案を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一〇七六号)

 同(石井郁子君紹介)(第一〇七七号)

 同(笠井亮君紹介)(第一〇七八号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一〇七九号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第一〇八〇号)

 同(志位和夫君紹介)(第一〇八一号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一〇八二号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一〇八三号)

 同(吉井英勝君紹介)(第一〇八四号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 学校教育法等の一部を改正する法律案(内閣提出第九〇号)

 地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第九一号)

 教育職員免許法及び教育公務員特例法の一部を改正する法律案(内閣提出第九二号)

 日本国教育基本法案(鳩山由紀夫君外五名提出、衆法第三号)

 教育職員の資質及び能力の向上のための教育職員免許の改革に関する法律案(藤村修君外二名提出、衆法第一六号)

 地方教育行政の適正な運営の確保に関する法律案(牧義夫君外二名提出、衆法第一七号)

 学校教育の環境の整備の推進による教育の振興に関する法律案(笠浩史君外二名提出、衆法第一八号)


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     ――――◇―――――

保利委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、学校教育法等の一部を改正する法律案、地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案及び教育職員免許法及び教育公務員特例法の一部を改正する法律案並びに鳩山由紀夫君外五名提出、日本国教育基本法案、藤村修君外二名提出、教育職員の資質及び能力の向上のための教育職員免許の改革に関する法律案、牧義夫君外二名提出、地方教育行政の適正な運営の確保に関する法律案及び笠浩史君外二名提出、学校教育の環境の整備の推進による教育の振興に関する法律案の各案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官山中伸一君、総務省行政管理局長石田直裕君、自治行政局長藤井昭夫君、自治財政局長岡本保君、文部科学省大臣官房文教施設企画部長舌津一良君、初等中等教育局長銭谷眞美君、研究振興局長徳永保君、スポーツ・青少年局長樋口修資君、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長中村吉夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

保利委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

保利委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田嶋要君。

田嶋(要)委員 民主党の田嶋要です。よろしくお願いします。

 きょうは、私、教育再生に関連するテーマといたしまして、さまざまな違う角度から、これまでと少し違う角度から御質問させていただきたいと思います。

 大臣、大変御熱心で、私の質問の時間の前から私にも質問をしていただきまして、よほど御関心もお高いかなというふうに思っております。

 大臣、突然ですけれども、TOTOという会社は御存じですよね。TOTOと書いてTOTOという会社があるんですね。トイレのウォシュレットの会社なんですけれども、あれは非常に売り上げが伸びているんですね。ほかの国にも輸出なんかもして、私がフィリピンに住んでいたときも、フィリピンの方々なんかもあれが欲しいと言って、日本からぜひ買ってきてくれと言うぐらい、私、実際買ってあげたこともあるんですけれども、そのぐらい日本の、私は、あれはすばらしい文化がこれから広がっていくんじゃないかと思うんですが、そういうTOTOもございます。

 しかし、最近、便座が熱くなって火事になったりしているケースがありまして、燃えているわけでございますけれども、そういう事故ももちろんよろしくございませんが、きょう私が取り上げたいトトは、もちろんもう一つのtotoでございまして、これは便座が燃えているんじゃなくて、今経営が火の車ではないかなという感じが私もするわけでございます。

 大臣、マスコミの前で何度かいろいろお話もされております。ちょうどいいタイミングといいますか悪いタイミングといいますか、立場によるんでしょうけれども、何だか売れないと言っていたら、急に人気が出てきたら、またこれは売れないということで、どっちになっても、何かとんでもない状況になっておると思うんです。

 まず、大臣、きのうテレビの前でお話しされていたと思うんですが、改めてこの場所で。

 ここ数日トラブルが起きていますですね。一体何が起きているのか。ちゃんとやる、ちゃんとやると言って同じことが何度も起きていて、これはオオカミ少年のようなことにもなっていると思うんですけれども、現状、これは今どういうことになっているかというのを、簡単に、まずおっしゃっていただけますか。独立行政法人の方のtotoですけれども。

伊吹国務大臣 オオカミ少年のようなことではないと思うんですね。従来言われていたのは、当初の勢いではなくて、売れ行きが非常に悪くなっちゃって、先生がおっしゃっているように、スポーツ振興のために割くお金、つまり売り上げと経費の差額、収益の三分の二をスポーツに助成して、三分の一を国庫に納めるという法律になっているのは御承知のとおりだと思いますが、その収益がなかなか出てこないという状況で、これは大変だ大変だ、そういう大変さがあったと思うんですが、今回のトラブルは、なかなか当たりくじが出なくて、この当たりくじの配分金額を次々と繰り越した結果、大変高い、巨額の当たり商品になったために、一獲千金を期待される方の買いが逆に集中しちゃって、コンピューターのキャパシティーを超えてしまったというのが現状だと思います。

 だから、本来であれば、ある意味じゃ非常にうれしいトラブルということになるのかもわかりません。しかし、コンピューターの容量が追いつきませんので、とりあえず、これはもう先生御専門でよく御承知だと思いますが、コンピューターの容量の中にいろいろなデータをソフトとして組み込んでいる中で、不必要なデータをすべて外して、そして投票を受け入れられる容量を大きくして、そして特約店とかインターネットの受け付けはきょうの八時から再開したようです。

 しかし、コンビニの端末に至るまでこれをやるには膨大な金がかかるんじゃないかと思うんですね。そうすると、今回の当たりくじでどなたかがこれをぽんと当てたら、次はまた売れ行きが全然伸びないということになると、今までであってもなかなか収益が出てこない状況の中で、何十億という設備投資をかけるかどうか、かけて、抜本的にコンビニまでのキャパシティーを大きくするかどうかは、少し私は、専門家の将来見通しその他をしっかりとつかまえてやらないと経費倒れになるおそれもあります。

 現在そういう状況なので、とりあえず現有の容量の中で、ソフトを完全に直しまして、投票以外の不必要なソフトをすべて外している、そういう状況にあります。

田嶋(要)委員 経費倒れにはなったと思うんですね、もう既に。だから、今がそういう状況というか、もうそういう状況を既に経験して大分久しいと私は思うんですけれども。

 私が先ほどオオカミ少年と申し上げたのは、きょうお配りした資料の一枚目ですね。これが独立行政法人日本スポーツ振興センターのホームページのトップページでございますが、一体どこのホームページかと思うわけでございますが、これが独立行政法人のトップページでございまして、宝くじの宣伝と同じような宣伝があるわけですね。

 そこに、「重要なお知らせ」として、五月十二日にシステム障害が起きたということで、そのときも、これは容量の問題とかいろいろなことで、すぐ直ると言っておったのが、これまた、きのうになったら今度は販売全面休止、そういうことを申し上げておるんです。

 以前の受委託契約によるという話のことではなくて、これは専門家は今回ユニシスでございますけれども、中に入ってやっておる割には、何というか、これだけまさに、大臣もさっき御指摘された、もうける大きなチャンスがやってきたと思ったら、全然売れない状況がまた出てきたということで、本当に一体どうなっているのかなというふうに私は思っておるわけでございます。

 そこで、現状に入る前に、まず、一つ前の契約に関して御質問をさせていただきますけれども、これはもともと、りそな銀行と受委託契約を結んでやりました。その結果、全く売り上げが上がらずに、厳しい経営状況に入っていったわけですけれども、この受委託契約に基づいた損失というんですか、この損失を、この勘定、くじ勘定というんですか、くじ勘定じゃないところから穴埋めをしているような印象を受けるんですけれども、それは事実でございますか。

樋口政府参考人 お答え申し上げます。

 独立行政法人日本スポーツ振興センター法第二十三条におきまして、スポーツ振興投票くじ事業は、実施者であります独立行政法人の日本スポーツ振興センターの他の事業とは区分経理をいたしまして、独立した勘定において経理することとされておりますので、他の事業の資金でくじ事業の損失を穴埋めするという形にはなっておらないわけであります。

 今、りそな銀行の御指摘がございましたが、御案内のとおり、第一期の未払い手数料が生じておるわけでございまして、この一括返済に際しまして、一般勘定から一部、三十四億円を勘定間の融通ということでくじ勘定の方に、手続にのっとって、私どもお借りをしているという状況でございます。

田嶋(要)委員 よくわからない言葉ですけれども、勘定間の融通というのはどういう意味でしょうか。

樋口政府参考人 センター法では、二十三条で、スポーツ振興投票等業務に係る経理あるいは災害共済給付に係る経理、これに附帯する業務に係る経理等々いろいろと経理区分がございます。このくじ事業の区分については、私ども、りそなへの一括返済の際に、一般勘定でございますスポーツ振興基金の方から、一部、三十四億円をくじ事業の方に資金を融通していただいて、貸し付けの形になるわけでございますが、貸し付けとして、今私どもがくじ勘定に一般勘定から貸し付けをいただいているという状況でございます。

田嶋(要)委員 金利をつけて内部で貸し借りを発生させた、そういうことでございますか。

樋口政府参考人 私どもは、これは一般勘定からくじ勘定の方に貸し付けをいただいて、そして、将来的にはこれは売り上げの中でお返しをするという形を考えておるところでございます。

田嶋(要)委員 大臣にお伺いしたいんですけれども、こういうことをやっている。これは法律に触れているかどうかは知りませんけれども、独法としてこういうことをやることは普通のことなんでしょうか。私は異常なことだと思うんですけれども。

 三十億ぐらいですか、そういうお金を同じ独立行政法人の中で、片っ方の勘定から別の勘定に貸し付けをしている、そんなことが独法の目的としてあるわけはないと思うんですが、もう背に腹はかえられない状況に追い込まれて、しかも、みずほ銀行も十分お金を貸してくれないので、そうすると、りそなから訴えられるので、やむにやまれぬ形として、自分のところにあった手金を、そういう形で形上は貸し付けた。融通という言葉で、許されるぎりぎりの範囲みたいなことをやっているような印象を受けるんですが、大臣、どうですか。

伊吹国務大臣 独立行政法人日本スポーツ振興センター法というのを読んでみますと、二十三条に、スポーツ振興投票等業務に係る経理と災害共済給付及びこれに附帯する業務に係る経理と免責の特約に関する経理については、その他の経理と区分して、特別の勘定を設けて整理しなければならないと書いていますから、会社で言えば事業部制、事業部別の会計をつくっているというような感じだと思いますね。

 ですから、今の政府参考人が申しましたことは、当該日本スポーツ振興センターが持っている基金から、スポーツ振興投票業務に係る経理、特別勘定というのか、事業部に資金繰り上の貸し付けを受けているということですから、そのこと自体が私は違法だとは思いませんけれども、率直に言うと、りそな銀行に委託をしていたときにりそな銀行が行った、結局、設備投資ですか、それを、ある意味では引き取って、資産勘定に載せていると思いますが、この資産勘定の評価が、銀行で言えば、貸付金についての債権の健全度の度合いの点数をつけていった場合に、非常に劣化をしている部分があるということは私は事実だと思います。

 ですから、それを今後このスポーツ振興投票等に係る業務の経理の中で稼ぎ出していけば、結果的にその資産は優良資産に戻ってくるということですから、今その見通しを立てて、収支の見通しを改めさせて新しい出発をしたのが、りそなからみずほに借入金を切りかえたということなので、これは今後の売れ行きによると思いますし、また経費の増嵩をいかに抑えるかということによると思います。

 だから、会社の経営をしたことがない人が答弁をしているので非常におわかりにくいと思いますけれども、我々税務の調査をしたり予算の査定を経験した者からすると、今申し上げたような仕組みになっているということです。

田嶋(要)委員 これから業績が戻ればとか、よくなればとか、これは全部仮定の話でございまして、これからどうなるか、もっと悪くなる可能性の方が私は大きいんじゃないかと思っておるんですけれども。

 そういう中で、本来、勘定がそれぞれ独立して、もっとさかのぼれば、別々の特殊法人とかあったんですね、それがくっついてくっついてくっついて、給食もやっているわ子供の保健もやっているわ、それでこういうトトカルチョみたいなこともやっているわという、そういう世界になってきたわけですよ。いろいろなものがぐちゃぐちゃにくっついているのがこの独法なんですけれども。

 そういう中で、こっちのお金が本当にもうどうしようもなくて、資金繰りに困ってしまって、それで全然違うところのお金を持ってきたというのは、これは法律に触れているかどうかはともかくとして、経営としては大失態だというふうに私は思っているんですね。

 そこで、もう一つお伺いしますけれども、りそなとの委託による事業、これは今はもう終わっています。今度ユニシスでございますが、言ってみれば、また一からの出直しというような感じですね。要するに、これまでやってきたことは全部、借金返済も含めて一から出直しなんですが、りそなとの事業はなぜ失敗したかという、一言でも結構ですけれども、総括していただけませんか。何が失敗の原因なんですか、これは。

伊吹国務大臣 率直に言うと、これは御党も含めて議員立法で出された事業ですから、政府がどこで受けるかということは、言うならば、国会で決められたことで、やむを得ず受けたということでしょう。同時に、いろいろな独立行政法人、その他、当時でいえば政府関係機関の整理合理化があって、おっしゃったように、給食の関係とか共済の関係とか、いろいろなものを一つにされたわけですね。その中で、今先生がおっしゃったように、勘定が幾つもに分かれている。

 何が原因であったかというと、私も随分前のことですが収支を見せてもらうと、最初の二年間はかなり収益が上がっているんですね、売り上げの方が随分多いんですよ。しかし、いわゆるtotoのブームが去った後、三年目から売り上げがずっと落ちてきている。ですから、売り上げの不振ということが、結局、初度投資の償却に見合うだけのキャッシュフローをつくれないという状況が今のような状況をつくり出している原因だと思います。

 確かに、ある見方によっては一からスタートしているように思うんですが、新しい仕組みに直してから、これは、りそなのように委託事業じゃない形で今やっていますから、参考人に後で必要なら説明させますが、新しい仕組みにしてからは、前のりそなのときの、初度設備投資をりそながしたことに対する補償というのか返済債務というのか、を背負っているということは事実なんだけれども、新しくユニシスになってから出直している分については、そのことだけをとらえればそう問題が起こっている運営にはなっていない。

 だから、今後、それは確かに、売り上げが伸びるか伸びないかによって大いに将来の見通しは違ってきます。であるからこそ、こんなチャンスをみすみす指をくわえて見ているというのはよくないから、直せるところで直して、できるだけ早く少しでもキャッシュフローを稼げというので、けさ八時から動き始めているということです。

田嶋(要)委員 りそなとの事業がうまくいかなかった。私は、そこできちんと総括してはっきりした経営判断をするべきだったと思うんですけれども、懲りずにもう一回新しいスキームで始めたという、私は本当に泥沼化していくような気配を感じるわけですね。

 ユニシスとの今回の契約スキームはりそなのスキームと違ってうまくいくというのは、どこに違いがあるんですか。

樋口政府参考人 お答え申し上げます。

 第一期、りそな銀行に販売、払い戻しなどの業務を一括委託をさせていただいたわけでありますが、そのときの委託契約におきましては、毎年度支出する委託費を決めておったわけでありまして、売り上げに連動して決まる経費よりも、固定的に決まる経費が非常に多くございまして、その意味で、受託者側であるりそな銀行において、より売り上げを向上するためのインセンティブが働きにくい、そういう契約になっておったわけであります。

 また、売り上げ規模が二千億円程度を見込むようなシステムを整備したということで経費が増大化したということで、そういったことが委託によるくじ事業のいわゆる問題点として私どもは把握をしているわけであります。

 今回、第二期、十八年度からの計画におきましては、センターが直接に民間のノウハウをおかりしながらこのくじ事業を再生していこうということで、私どもは、日本ユニシスを初め多くの会社に直接個別に専門業務を委託しながら、センターで業務経費を節約しながら売り上げ拡大に努めるという直営方式に切りかえることによって、売り上げの拡大を図っていこうとしたところでございます。

田嶋(要)委員 今のお話ですと、りそなとの契約スキームがなぜうまくいかなかったかということで、固定費と変動費の話もおっしゃられたと思うんですが、それと同時に、りそなが一生懸命売るというインセンティブを付与できていなかったこと、そういう指摘もあったかと思うんですけれども、そういったことというのは、最初にりそなとスキームを考えるときも、りそなとだけ随意契約したかどうか、その点もお答えいただきたいんですけれども、当然、検討された結果ベストな、そうですよね。最初からだれも失敗するつもりでやっているわけじゃないんですから、幾ら嫌々お受けになったとおっしゃいましても。それでもやはりベストだ、当時はこれがベストだと。要するに、直営方式じゃなくて、りそなと組んで受委託した方がいいと思って受委託契約したんだと思うんですよね。今おっしゃったような受委託契約の欠点というのはわからなかったんですか。それと、随意契約なんですか、これは。おっしゃってください。

樋口政府参考人 お答え申し上げます。

 第一期の事業を立ち上げるに際しまして、販売、払い戻し等の業務を一括でりそな銀行へ委託したわけでございますが、これは実は、公開提案競技方式によって私ども募集をいたしまして、複数社から御提案がございまして、これを審査委員会にかけて、最終的にりそな銀行に随意契約の形で委託契約を締結したところでございます。

 御案内のとおり、このくじ事業というものは、単純に価格の比較だけではなく、提案内容を総合的に評価しながら、その業務遂行能力あるいは企画内容がすぐれたものを選択する必要があるということで、公開提案競技方式により募集をいたしまして、そして外部有識者による審査会で最終的にこの一社にお願いをしたということでございます。

田嶋(要)委員 半分しか答えていないと思うんですけれども、先ほどの固定費だ、変動費だとか、インセンティブを与えられなかった仕組み、結果的にはそのスキームの欠陥ですね、この欠陥というのはその審査の中で全然わからなかったということでしょうか。

樋口政府参考人 公開提案競技を求めまして、そして応募があった件の中で、りそな銀行がその段階で最もふさわしい委託契約先として考えられたわけでございます。

 当時、御案内のとおり、売り上げ規模を、二千億円程度というお話もございますように、過大に見積もる傾向があったことは事実としてあったわけでございまして、そういった中から、設備投資に過剰な投資をしたという点も、このくじ事業の課題の背景の一つにあるわけでございます。

田嶋(要)委員 大臣、いろいろ説明がありましたけれども、よく聞いていて、本質的に何がまずいと思いますか。いろいろ説明がありますよ。でも、根本原因は、そもそもなぜこういうことが起きたと思いますか。大臣。

伊吹国務大臣 ちょっと、私も今大臣をしておりますから、今の状態を前提にして後追い的に先人のやったことを批判するというのは、非常に私の立場からはお答えしにくいんですが、一般論として言えば、設備投資を含む事業をある会社に委託する場合は、その会社のやった設備投資の内容、そして設備投資の金額の適否、これはやはり厳しくチェックをするものですよ、普通の営利企業の場合は。それが、私の感じからいうと、どこまでできていたのかなという感じはいたしますが、これらは後追い的に私が今の時点だから言えることであって、当時は、イタリアだとかどうだとかのケースを見るとどんどん売れると、議員立法された方はみんなそう考えておられたわけですよ。

 それから同時に、だから、設備投資の内容をきちっと見ていたのかなということが一つと、もう一つは、売り上げのやはり見通しが甘かったということでしょう。

田嶋(要)委員 これは議員立法ということも承知の上でお伺いしておるんですけれども、大臣、私は何が本質的に失敗かというと、これはやはり人なんですよ。

 要するに、メーカーやいろいろな、りそなですけれども、それが本当に信じられるかどうかを判断する目を発注側が持っていないんだから。(発言する者あり)そうですよね。だから私申し上げているんだよ。一回大失敗して、今度はユニシスだから大丈夫と。ユニシスが言っていることがどこまで今度は本当か、これだけ売れるだの、これだけのコストでできるだの、システムがダウンしたら翌日は大丈夫だの、それを目ききできる人がだれもいないじゃないですか。だから話が、要するにこの天下りの話に行くんですよ。

 これ、別の紙でお配りしているものをごらんください。個人の攻撃をする気はございませんけれども。

 百一ある独立行政法人、ほとんどが天下りポストですけれども、要するにこういう、大臣ももう全く同じ意見だと私勝手に先に決めつけますけれども、お金を使う方だって難しいんですよ。でも、お金を稼ぐ方はもっと難しい。ですよね。やはり民間にやらせないとこれは無理じゃないですか。私から見れば、巨額のお金を、失礼ながら何にもやったことのない人に持たせて、好きなようにどうぞといって失敗したのがこのりそなのスキームですよ。これは民間としてだって、はっきり言って緊張しますよね。これだけの巨額の、しかも過去にない事業ですよ、過去にない事業。

 これをごらんください。この理事長さん、これは契約当時の理事長さんではございません、以前は理事でございましたけれども。私が申し上げたいのは、これがりそなであれユニシスであれ、独立行政法人でやるということはもちろん議員立法で決まりました。しかし、理事長を選ぶのはだれですか、大臣。

樋口政府参考人 お答え申し上げます。

 独立行政法人の理事長の任命は、文部科学大臣でございます。

田嶋(要)委員 百一ある独法全部そうですけれども、私たちは理事長の公募制ということを申し上げておるんですが、議員立法といったって、そこはこっちじゃないんですよね。行政側のトップの判断なんですよ。わかりますか。だから、大臣が、今の大臣じゃないですけれども、その前か、その前かの大臣が選んで、こういう方をこういうポストにつけているんです、任命権者として。

 これをもう一回改めてごらんください。この方だけじゃないんですよ。歴代、こういうパターンなんですよね。一年ぐらいでころころころころいろいろなところを回ってきて、こういう独法の頭について。まあ、お気の毒だと思うんですよ、ほかの独法だったらお金を使う方がメーンなのに、これは新事業を開拓していくような仕事までこの方にやれということになってしまったわけで。これは、失敗するのは最初から目に見えていたと私は思うんですよ。

 ちょっと、大臣、これは関連で質問させていただきますけれども。この御経歴、ごらんください。半年とか一年とかで、あっちこっちあっちこっちへ行くんですね、独法に来る前に。

 こういう人事、これは一体何なのかと私は思うんですよ。民間だったら、基本的に三年ぐらいは中身のある仕事をしっかりと腰を落ちつけてやらないことには力はつきませんよ。

 この後半を見ていると、この方だけではありません、一年ですよ、一年。一年で、あっちこっちあっちこっち行かれて、東大の事務局長というのは、これは半年、ここにいますね。こういう方が独立行政法人に来られて、この独法では五年もたっているんですけれども、これは一体どこで、りそなとの新規事業とかユニシスとの新規事業、間違いなく経営していくノウハウ、スキルが蓄積できるキャリアがあるんですか。どうなんですか、大臣。

伊吹国務大臣 どうなんでしょう。人によるというのはまさに先生がおっしゃったとおりですよ。だから、政党だって党首によるわけで、きょうこれから党首討論がありますけれども、まさに、経歴がどうであるかというよりも、先生が今おっしゃったような感性を持っているかどうかなんですよ。

 もちろん、本人が、私はコンピューターのことはわからなくても、例えばですよ、りそなといよいよ契約を解消するときに、りそなと交わした契約の中でこれだけのものを負債だといって押しつけられれば、一体どこまでがセンターの責任であり、どこまでがりそなの責任であるという、いわゆる債務の分担の交渉はどうしたんだと、私なら当然聞いていますよ。そういう感覚を持っているかどうかということは非常に大切。だから、経歴の問題じゃないと思いますよ。

田嶋(要)委員 もちろん民間でも、それはいろいろな経営者がいますよ、感性のいい人、悪い人。それは、その一人一人を見たら当たり前の話です。ただ、全体として、こういう新事業を巨額のお金をつぎ込んでやる場合に、やはり適材適所というのはあるじゃないですか。独法の通則法を見ても、どういう方を任命するべきかちゃんと書いていますよ。「事務及び事業に関して高度な知識及び経験を有する者」とまず書いてあるんですよ。これはどっちもないですね。しかも、「事務及び事業を適正かつ効率的に運営することができる者」。この方はどちらの資格にも当たっていないじゃないですか。この方も、この前任者の方も。これはまさに天下りとして独立行政法人のトップに、決まったように天下り官僚がいるから、典型的な例として。

 ほかの独法と何が違うか。新規事業でもうけなきゃいけないんですよ。しかも、言ってみればトトカルチョの胴元ですよ。どうですか、一番苦手な分野じゃないですか。僕はお気の毒だと思うんですよ、こういうふうに天下られた方も。

 今まさに教育再生という議論をしているときに、文部官僚で教育の関係で見識のある方が、やはり教育の場で、現場に近いところでいろいろな仕事、僕は幾らでもあると思うんですよ。なぜこういう独法でトトカルチョの胴元の仕事なんかをやらされているんですか。私は理解できない。本当に人材がもったいないと思うんですよ。

 総務大臣にお伺いしますけれども、役員の任命と同時に、役員の解任という項が通則法にはございます。これは二十三条の三項ですけれども、大臣、どうですか、これは解任の条項にどんぴしゃのケースだと思うんですが、大臣、いかがでしょう。

菅国務大臣 田嶋委員御指摘の通則法第二十三条において、独立行政法人の主務大臣は、一定の場合には、その任命する理事長を解任できる旨定めております。

 日本スポーツ振興センターの今のこの理事長については、かかる場合に該当するか否かというのは、具体的には、事情に照らした上で主務大臣の御判断になるわけでありますので、今の議論の中で、私は文科大臣が適切に判断されるものと思います。

田嶋(要)委員 という意見でございますけれども、繰り返しになりますが、結局、人ですよ。

 私が申し上げているのは、この方にとってもお気の毒。加えて、天下りで、こういう、やったこともないような分野の仕事を任されて、税金をいっぱい使って、こうやって穴をあけて、これは大失敗しているわけですから。しかも、それに懲りずに、またユニシスと、何がいいか何が悪いかの判断をする目がない方がトップに立って大きな契約をして。これからどうなるんですか、これは。

 もし今後損失が大きくなっていったときに、これは最終的に税金で補てんしていく、そういう形になるんですか。大臣、いかがですか。

伊吹国務大臣 まず、先生、税金をいっぱい使っていないから債務が出ているんですよ。税金は今までのところ使ってないんです。

 ですから、将来、先生がおっしゃったように、例えばいろいろな独立行政法人においても交付金あるいは積立金として与えられているものが、本来の企業会計であれば、経費を損失勘定で落として、そして収益が残るか残らないかというのが損益計算書のつくり方ですよ。だけれども、独立行政法人の場合は、積立金を一方に持っていて、あるいは資本金を持っていて、そして一方で経費をその積立金を取り崩して処理するという、一般の企業会計から見ると非常におかしな形で経理されている例がありますね。ですから、これから収益を上げていかなければ、将来解散をしたときにどうするかという問題が起こるんですよ。そのときは多分、税金は使わなくてもいいだけの積立金がほかに、このセンター全体としてはあると私は思いますけれども、しかし、それは結局、国民の財産を食いつぶしていることになるんですよね。(発言する者あり)ええ、同じことなんですよ。

 だから、税金は使っていないけれども、実質的に国民の財産を食いつぶすということにならないように、私は、できるだけ慎重に、パンクしたからすぐ設備投資をやるなどということはちょっと待てよ、できる範囲内でやっていけよということを言っているということです。

田嶋(要)委員 慎重にといっても、もう既に新たな契約をユニシスと結んでしまっていますので、できることとできないことはあると思うんです。

 私は、今すぐこれを全部やめろというところまで、クリアには全部見てはいないので、そこまでは言えないんですが、まず一つは、こういう一連の幹部の方々は、もう実にこれはお気の毒、かえるしかないと思うんですよ。これはかえていかないと、みんなにとって不幸な状態が続きますので。これをまず文科大臣には、任命権者として、もう一日も早く、できればことし以内に、本当に早く決断をしないと、止血しないと、これは本当にみっともない話であり、かつ、十五億円も当たるような、そういうトトカルチョをやっていていいのかみたいな批判だって出てくると思うんですよ。これはサマージャンボや何とかジャンボより一等の額がふえちゃっているんですよね。だから、こういうことをやっていていいのかという議論も出ますので。

 私はとにかく、totoをやめるかどうかはともかく、まず経営刷新をしていかないといけないんじゃないかというふうに思うんです。

 それからもう一つは、やはりここに参考人でこの経営者に来ていただきたいなというふうに思うんですが、委員長、いかがでしょうか。(発言する者あり)では、理事会の協議ということでお願いします。

保利委員長 理事会で話し合ってみます。

田嶋(要)委員 どうぞよろしくお願いいたします。

 そういうことで、これが教育再生とどうつながっていくかというようなことなんですけれども、(発言する者あり)いやいや、そうじゃないんですよ。これは本当に関係あると思いませんか。これは、こういった文部省の中にいて教育行政をずっとやってこられた方が、最後にこういう全然関係のない独法のところに行って、やったこともないこういう仕事をすれば、それは失敗する確率だって高まる。

 大臣、一つの提案として、私は思うんですけれども、文部官僚の皆さん、見識のある教育行政に関して、いろいろ考え、仕事されてきた方は、特別免許か何かを出してあげて、教育現場に送り込んであげたらいいと私は思うんですよ。そういう仕事でやってもらえないかと思うんですよ。こんな独法で胴元をやっているような仕事よりは、よっぽどその方のこれまでの積み上げてきたものが生きるいい仕事になる。

 どうですか、大臣。これは私のアイデアにすぎませんけれども、質問通告ないですけれども、こういう形で戻してほしいんですよ。

伊吹国務大臣 この独立行政法人の業務というのは、御承知のように学校共済とか給食だとか、そしてセンターのくじそのものも、先生はくじの売り上げと胴元的感覚で今質問しておられますけれども、実はその収益をスポーツのために助成する仕事をやっているわけですから。だから、胴元の仕事だけなら、それはちょっと、ほかの人の方がいいかもわかりませんね。だけれども、いろいろな仕事をやっているわけですよ。

 だから、今は少なくとも、過去の初度投資の問題はありますけれども、初度投資を別にすれば、単年度の収支そのものが赤字になっているわけではないんですよ。ですから、少し、私もいろいろなことを考えています、考えておりますから、私もちょっと後講釈的に前の人を批判することはしたくないので、いろいろなことを考えておりますから、お互いにまた、民主党も議員立法を提出された政党ですから、しっかりしたときは御相談させていただきます。

田嶋(要)委員 よく考えていただいていると私も信頼しておりますので。

 いずれにしても、だから、申しました。このtotoをすぐやめろという意見も私は持ってはいないんです、今の時点では。しかし、かなりまずくなっていくという心配を強く持っております。

 それと、やはり人の問題が一にも二にも一番重要。無理な方にそういう無理な仕事をやってもらうというのは、私は、それはスポーツ支援の方もあるとおっしゃいますけれども、それは無理ですよ、これは新規事業ですから。そもそも、まずお金を稼がないと始まらないわけですね。だから、そういうような無理なことは、この独法通則法にもはっきりとうたわれておりますので、これにのっとって、しかるべき速やかなアクションをお願いしたいというふうに思います。

 ちょっと、残りの時間、一つだけお伺いしますけれども、教育委員会制度に関して、総務大臣にお伺いします。

 これは、私、教育委員会制度は総務委員会の方でも二度ほど取り上げさせていただいて、これは菅大臣ではございませんけれども、かつてから自治法の関係で、これは必置義務の撤廃という話がずっと出ていたんですね。これは前任の竹中大臣のときに、総務省としては、もうこれは絶対そうしなきゃいけない、分権の流れの中で必置義務を撤廃していく、そういう話で御答弁をいただいております。大変心強い御答弁を私は二度もいただいておるんですよ。きょうお見えになった穂坂さんでしたかね、志木市の市長をやられた方なんかは、特区で三度も必置義務の廃止、撤廃ということを申請して、ことごとく却下をされてきたわけでございますが。

 そこで、菅大臣に初めてお伺いいたしますが、地方分権というのも安倍政権の中で最重要政策の一つだというふうに私どこかで聞いたんです。そういうことですよね。教育と並んで地方分権も重要なんですが、総務大臣、前任の方が方向性を、もう絶対これは何が何でもやっていかなきゃいけないとおっしゃっていたこの必置義務の撤廃に関しては、今回見ていると全く逆の方向を向いているんですが、これは断念されたんですか、大臣。

菅国務大臣 私は、今回の法案の中で、自治事務の認められる中の関与、このことも、やはり私どもにとっても地方自治体の皆さんにとっても一番関心の高いことでありましたから、今回の法案の中にはその範囲内で処理されている、私どもはそういうふうに思っています。

 今委員からの御指摘でありますこの必置義務の問題でありますけれども、私は先般、たしか高井委員の質問だったと思いますけれども、検討に値する考え方だ、そういうことを実は答弁として申し上げさせていただきました。頭から否定するものでもありませんけれども、今回の時点においては、私どもは内閣としてこういう法案を出しておりますので、地方分権の観点から、これからまた検討に値するものだということであります。

田嶋(要)委員 では、最後に、文科大臣にお伺いしますけれども、今そういう御答弁がございました。今回の地教行法の改正はこういうことでございますけれども、分権という流れの中で、自治体によって必置義務を外していく、そういう選択権があってもいいのではないか、置く置かないの選択権があってもいいのではないか、そのことを私は昔から申し上げておるわけでございますが、大臣、その点に関して一言ちょうだいできませんか。

伊吹国務大臣 今回提出いたしました法案にも、ただいま総務大臣がお答えをしたアイデアはある程度入っているんです。というのは、各市町村は、必ずしも市町村単位で教育委員会をつくる必要はありません。二つ三つ御一緒になって一つの教育委員会をおつくりになったらいいということです。

 今の先生の御質問が、もし、ある市町村について、全く、一緒になったという形でもなく、教育委員会を置かないという御質問であれば、その教育委員会の機能は首長がやるという前提ですか。ということになると、首長というのは、やはりいろいろな選挙の支持母体がありますから、それは私どもは適当な考えだとは思いません。

田嶋(要)委員 いつものイズムのお話になっていくと思いますけれども、そういう意味では、ちょっと総務大臣の御答弁とは違うと思うんですけれども、そういう御答弁ということで、私の質問は終わりにさせていただきます。

 ありがとうございました。

保利委員長 次に、川内博史君。

川内委員 民主党の川内でございます。文部科学大臣、よろしくお願いをいたします。

 私は、学校現場で起きているさまざまな課題をいかにして解決していくのかということが教育再生の目標、目的であろうというふうに思います。会津若松で高校生による衝撃的な事件が発生をいたしました。事実解明は捜査にまたなければならないわけでありますが、そういう意味では、軽々にこの事件について論ずる段階ではないというふうに思います。しかし、漏れ聞こえてくる報道によりますと、心の問題というものがあったやに聞いております。児童生徒の皆さん方の心の問題、さらには学校の先生方の心の問題というのは、今、学校現場において非常に大きな課題、問題になりつつあるのではないかというふうに考えます。

 申し上げれば、心の問題というのは、学校の現場が今大変なストレス社会になってしまっているのではないかというふうに考えるわけでございます。これが何に起因するのか、実態がどうなのか、そしてそれに対する対策はどうなのかということを考えていくことが大事であろうというふうに思います。

 最近、文部科学省さんの科学研究費補助金、さらには厚生労働省さんの科学研究費補助金で、大変興味深い調査研究の報告がされております。

 一つは、本を持ってまいりましたけれども、北海道大学の医学研究科の傳田健三先生という方が書かれた「子どものうつ 心の叫び」という本でございます。この本には大変衝撃的なことが書いてございます。そして、この本は、平成十五年度の文部科学省、日本学術振興会の科学研究費補助金による児童・青年期の気分障害に関する臨床的研究によるというふうに書かれてございます。

 文部科学省さんに、まず、この傳田健三教授の研究報告について、概要を簡単に教えていただきたいと思います。

徳永政府参考人 お答え申し上げます。

 日本学術振興会の方で配分審査をしております科学研究費補助金でございます。その科学研究費補助金による研究につきましては、研究成果報告概要というものを日本学術振興会の方に提出するということになっております。

 その提出されました報告書概要によりますと、まず一つは、今回の研究でございますが、我が国の小中学生における抑うつ状態について調査をするということを目的といたしまして、札幌市、千歳市、岩見沢市の小学校一年生から中学校三年生までの三千三百三十一人の児童生徒に対しまして、バールソン自己記入式抑うつ評価尺度という方法を用いて調査を実施したものでございます。

 その結果、抑うつ傾向を持つ児童生徒は全体の一三・〇%であり、これまでの欧米の報告と比べて高く、さらに、女子が男子に比べて高いこと、あるいは年齢が上がるごとに上昇するということが示されたとしております。

 また、生きていても仕方がないと思うというような項目について、そういう自己記入式の回答項目でございますが、それに対して、時々そうだ、あるいはいつもそうだという回答をしたものの合計が全体の一七・九%、いつもそうだと回答したものが全体の四・〇%であったというようなことが示されたということなどの研究成果が得られたということを報告しております。

川内委員 パーセントで言われても、ちょっと、よくわからないんですが。

 わかりやすく、抑うつ傾向にある児童生徒、小学生で約十二名に一人、中学生では四人に一人が抑うつ傾向にあるということがこの調査研究報告に書かれているという理解でよろしいでしょうか。

徳永政府参考人 もう一度詳しく申しますと、これは、十八項目にわたる項目につきまして、いつもそうだとか、時々そうだ、そんなことはないということで、それぞれ自分で記入させるものでございます。そういったものに対してゼロ点と一点と二点を加える。その合計が十六点以上のものが、この場合は抑うつ傾向にあるんだというようなことで、その先生は結論づけているわけでございます。ちょっと済みません、その数字を持ってまいりませんが、小学生の場合七・八%、中学生二二・八%となっておりますから、数字の上では、小学生であれば十二人に一人、中学生であればおよそ五人弱に一人が抑うつ傾向にあるということで結論づけております。

川内委員 もう一つ、先週の木曜日、五月十日の毎日新聞の一面の記事で、厚生労働省の調査で、中学生の四人に一人が抑うつ傾向にある、うつ状態を示す調査結果が出たということが報道をされております。これは、よくよくお聞きしますと、平成十八年度の厚生労働科学研究費補助金、こころの健康科学研究事業によるものであるというふうに聞いております。

 厚生労働省さんの方から、この研究についての事実確認と調査結果の報告を簡単にしていただきたいと思います。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 お話のございました調査は、平成十八年度に厚生労働科学研究のこころの健康科学研究事業として実施しました、自殺企図の実態と予防介入に関する研究の中の分担研究の一つとして行われました、バールソン自己記入式抑うつ評価尺度による中学生における抑うつ傾向に関する調査というものでございます。この調査につきましては、先ほど文部科学省の方からお話のございました、イギリスの研究家でありますバールソンにより開発されました子供向けの抑うつ評価尺度を使った調査でございます。

 本調査におきましては、静岡県の一つの公立中学の中学一年生から三年生までの五百六十六人に対しまして、ひとりぼっちの気がする、とても悲しい気がするなど、十八項目につきまして、先ほども御説明がありましたように、いつもそうだを二点、時々そうだを一点、それから、そんなことはないを零点ということで、自己記入をすることにより調査を行いまして、回答が得られた五百五十七人の結果を分析したものでございます。

 この結果、十六点以上が抑うつ傾向があるということでございますけれども、全体の二四・六%の百三十七人に抑うつ状態が見られること、男子が二〇・七%であるのに対しまして女子が二八・七%と、高いという結果になっております。

川内委員 文部科学省の調査は北海道、厚生労働省は静岡ということでございますけれども、ほぼ同じ、中学生については四人に一人抑うつ傾向にあるという調査結果が出ている。ここから類推されるのは、全国的にも抑うつ傾向に置かれている児童生徒がいるのではないかということが類推をされるわけでございます。

 そこでお伺いいたしますが、初等中等教育局あるいはスポーツ・青少年局は、この文部科学省の科学研究費補助金の調査研究報告、厚生労働省の調査研究報告を御存じだったでしょうか。

樋口政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御紹介のございました科研費によります調査研究につきましては、私どもも最近御指摘をいただきまして知ったわけでございますが、小中学生の抑うつに関する一つの傾向をとらえるものとして、教育現場で指導を行う上での一つの参考となるものと認識をいたしております。

銭谷政府参考人 私どもの局といたしましても、北大の研究については最近承知をいたしました。毎日に載りました厚生労働省の研究につきましては、記事で拝見をいたしております。

川内委員 最近知ったと。私が指摘して知ったんですが。毎日新聞の記事については、見たと。

 要するに、初等中等教育局としては、これらの研究報告を何かに生かそう、あるいはもうちょっと詳しい実態調査をしようという御答弁では今なかったわけでございまして、先ほど厚生労働省の方から御説明がありましたけれども、この抑うつ傾向をはかる調査というのは、国際的に非常に重みのある、認められた調査手法であるというふうに聞いております。学校現場で何が起きているのか、そしてその原因は何なのか。実際に、この厚生労働省の調査結果に基づいて、子供たちの抑うつ傾向と問題行動のかかわり、あるいは非行とのかかわりについて論文を書いていらっしゃる先生もいるようでございます。

 私は、これはもっと詳しく実態調査をしていく、学校現場で子供たちの心の中に何が起きているのかということをまず知る、そしてまた、子供たちがストレスを感じているとすれば学校の先生方にも多分大変なストレスがあるんであろうというふうに思います。これは子供たちだけではなく先生方への調査というものも必要ではないかというふうに思います。

 そこで文部科学大臣に、今までの議論を聞いていただいた上で、学校現場での心の問題、ストレスの問題について、子供たちだけではなく先生方をも含めて、文部科学省としてその実態調査をしていただきたいというふうに思いますが、文部科学大臣としての御見解をいただきたいと思います。

伊吹国務大臣 学問的な研究は厚生科学研究費や科研費で、今先生が御指摘になったようにやっているわけですから、全国的な規模でこれをやるかどうかは、大切な視点だと思いますが、予算の問題。そうでなくても、御党からは、調査が多過ぎて教師が生徒と向き合う時間がないという御指摘を多々受けているわけですから。

 私がやるべきことは、厚生科学研究費、科研費の研究を踏まえて、やはり学校現場の忙しさ、むしろ先生一人一人が、今先生が御指摘になったように、児童生徒の心を見きわめてあげるだけの余裕がない忙しさ、これをどういうふうに緩和をしていくのか。これも膨大なお金が要りますけれども、これはやはり教師の増員の問題、あるいは業務をある程度アウトソーシングするとか、私は、これを年末で少し大々的にやらないと、教師がしっかりと子供と向き合う時間をとってやらない限り、子供の心の動きも教師もよく把握できないと思いますね。ですから、調査をする段階よりも、やはり先生が忙しくなり過ぎているということの解消の方を私はやってみたいと思っております。

川内委員 文部科学大臣の御見解としては、学校現場で子供たちが、小学生では十二名に一人、中学生では四名に一人という割合で抑うつ傾向にある、そしてまた先生方も恐らく大変なストレスを感じていらっしゃるであろうということは、それは調査結果に基づいて、文部科学省としてもそういう認識であるという、では、それを前提とした上での今御答弁ということでよろしいでしょうか。

伊吹国務大臣 この調査の項目は私もずっと見てみましたけれども、これは私の見解ですよ、随分アバウトだなという感じを私は受けました、この調査の質問の仕方について。だから、川内先生の御質問があると、文部科学省の中で、いやあといって頭を抱えちゃうのもいるんですよ。しかし、川内先生の御質問だからといって、喜び勇むのもいるんですよ。人それぞれなんですよね。

 ですから、私、御指摘になった調査の項目を見てみましたけれども、これですべてのことがわかるのかなというのが私の印象でした、率直なところ。

川内委員 だからこそ、自殺対策に政府を挙げて、内閣を挙げて取り組むということで、政府が自殺対策大綱というものをお決めになられて、その九つの柱の中の一つに、実態調査をすると。要するに、国民のストレスに関して実態調査をまずするということが大きな一つの柱になっているというふうに聞いております。

 そちらの観点からも、今文部科学大臣は若干聞き方が粗いのではないかというような御疑問も呈されたわけでございますが、私はこれは国際的に認められた調査手法であるというふうに聞いております。これを全国的に、あるいは全国的に全部やるということではなく、文部科学省として、科学研究費補助金として補助金をつけてやるのではなくて、文部科学省として、ある地域、あるいは地域飛び飛びでもいいですけれども、実態の把握にまずお努めになられればいかがかというふうに考えておるわけでございます。

 またここでやりとりをしましても文部科学大臣の思うつぼにはまるだけでございますから、次の……(発言する者あり)いや、それはもう必ず文部科学省はやりますよ。やらざるを得ないんです。だって、こういう調査結果が科研費補助金で出ていて、学校現場をどうするかということは文部科学省が最も力を入れて取り組まなければいけない課題でありますから……(発言する者あり)では、調査すると言ってください。

伊吹国務大臣 どうなんでしょう、特定の地域に限ってやるデータというのが全体をカバーするのかというような御批判も、また今度はあるだろうと思いますし、予算の裏づけがなければいけませんから、科研費をつけてあげるにしろ文部科学省の予算でやるにしろ、どちらも国民の税金であることは間違いないんですよ。

 ですから、最も効果的に先生の今御指摘になったことにこたえ得るように、内閣全体の、この自殺対策要綱のようなものとの整合性も考えながら、文科省としてはどういうことができるかは少し検討させてください。

川内委員 科研費補助金をつけて調査研究しても、初中局長は知りませんでしたと言っているわけですから、これはやはり文部科学省として取り組む必要があるというふうに思います。

 それでは、教育職員免許法に移らせていただきます。

 まず文部科学省に、今回のこの教育職員免許法及び教育公務員特例法の一部改正についての目的を改めてお伺いさせていただきたいというふうに思います。

銭谷政府参考人 今回の教育職員免許法及び教育公務員特例法の一部を改正する法律案の目的というのは、教職員の資質の向上を図るというところにございます。

川内委員 教職員の資質の向上を図るためであると。しかし、今までのこの教育再生特別委員会での御議論の中では、資質の向上という言葉以外に、知識、技能の刷新とか知識、技能の向上とか、知識、技能という言葉も出てきているわけでございますけれども、そうすると、資質とは知識、技能である、教職員の資質とは教職員の知識、技能であるという理解でよろしいでしょうか。

銭谷政府参考人 教職員免許法の第一条に、まずこの教職員免許法が、「教育職員の免許に関する基準を定め、教育職員の資質の保持と向上を図ることを目的とする。」、こう規定をしているわけでございまして、法自体が、教員の資質の保持、向上ということにあるわけでございます。そして、この教育職員の資質の主な要素が知識、技能であるというふうに認識をいたしております。

 今回の免許更新制は、この知識、技能の刷新を図ることを目的とするものでございまして、それによりまして、教職員の資質が向上するというふうに認識をいたしております。

川内委員 今、御答弁では、資質とは、主には知識、技能であるというふうな御答弁だったわけですが、主には知識、技能であるということは、ほかにもあるということでございますので、資質とは何かということを明確に定義をお願いしたいというふうに思います。

銭谷政府参考人 教職員に求められる資質といった場合には、具体的には、教育的な愛情、使命感や豊かな人間性、教科あるいは生徒指導に係る指導力というものがその内容になろうかと思っております。

川内委員 それでは、今御説明になられた資質という言葉の中に、その教員の持つ個人的な政治的信条、あるいは政治的考え方、あるいは所属する団体などが含まれないということを確認させてください。

伊吹国務大臣 それは先生、当然のことですよ。

 先生は、知識と技能を持っておられると同時に、野党の質問者としてまことに卓抜たる能力を持っておられるわけですよ。それを合わせて、その人の持っているすべての、持って生まれたものというのはあるんですよね。ですから、そこは研修ではなかなか磨けません。技能と知識は研修で磨けます。先ほど参考人が言ったような愛情とか、持って生まれたその人の要するに気質、これも少しずつ変えることはできます。しかし、それを強制的に変えるというわけには、できないんですね。

 先生がおっしゃっているような、政治信条だとか団体だとか、私は、民主党におられるからなんといって、考えたことありませんよ。同僚の国会議員として答弁をさせていただいているわけですから。

川内委員 野党の質問者として卓抜たる能力を持っている、野党のという限定がついているところが非常に私としては不本意な思いがするわけでございますけれども。

 しかし、法律を解釈する上で、大臣の御見解を議事録に残すということは、これは当然のことであってもやはりやっておかなければならないことであるというふうに思いますので、お許しをいただきたいというふうに思います。

 さらに、では、そういうものは含まないのだということであれば、例えば免許更新講習のときに、日の丸・君が代を、まず日の丸を掲揚し、君が代を斉唱させるというような講習の内容などはないという理解でよろしいでしょうか。

伊吹国務大臣 これは、再三御答弁を申し上げておりますように、学習指導要領というのは、これは諸説ありますよ。しかし、学校教育法を所管している政府の有権解釈としては、告示というものは学習指導要領の一部をなすものである、これは政府の、つまり法律を持っているものの有権解釈です。それがおかしい場合は、司法で争っていただかなければなりません。

 ですから、政府としては、学習指導要領に書いてあることはきちっとやっていただく。それは、資質だとか技能というものとは関係のないことです。

川内委員 そうすると、更新講習の中で、講習をおやりになられる側が日の丸を掲揚し国歌を斉唱しなさいということは、私は言っていいと思うし、それはなされるのであればなされるであろうというふうに思いますが、自分の政治信条として、それは自分としてはできないという気持ちをあらわしたからといって、その講習の結果にそのことをもって反映をされることはない、評価に反映をされることはないという理解でよろしいでしょうか。

伊吹国務大臣 講習で法律のイロハまで教えるかどうかは別としまして、教職員である限りは、それ以前に日本の国民である限りは、日本の法体系の中で行動していただかなければならないということは、当然、前提の条件ですから、そこまで、講習のときにイロハまで教えるかどうか。その告示の一部が今先生のおっしゃったようなことですから、それはその人が信条的にしたくないということをとがめ立てることはいたしません。しかし、教師という職務上、職務命令の範囲の中で告示どおりの行動をされない場合は分限処分の対象になるということは当然だと思いますよ。

川内委員 この更新講習というのは、職務命令で講習を受けるものですか。

保利委員長 初中局長。(発言する者あり)

 ちょっともとへ戻しますか。(川内委員「ちょっと法的なことを明確に、ちょっと最初に」と呼ぶ)

 文部科学大臣、どうぞ。

伊吹国務大臣 私が職務命令と申し上げたのは、研修を受ける受けないという職務命令ということを言っているわけじゃないんですよ。告示の学習指導要領に反した行動をされたという場合は、学校現場における、そういう意味で申し上げた。

銭谷政府参考人 免許更新講習は職務命令ではなくて、教員免許を持っている方が、免許を持っているということで、当面対象は現職の教員になりますけれども、みずから講習を受けていただくというものでございます。

川内委員 そうすると、自発的に受ける講習の中で知識、技能の向上を図り、そして知識、技能の向上が図れたか否かということが評価の対象であって、もともと知識、技能、資質の中に政治的な信条というものは入っていないわけですから、講習の始まりのときに、その講習を設定する側が日の丸を掲揚し国歌を斉唱しなさいと言うことは僕は自由だ、それはやっていいというふうに思いますが、それに従わなかったからといってそれが評価の対象になることはないという理解でよろしいですね。法的にですよ。

銭谷政府参考人 まず、免許更新講習の内容は、教員として必要とされる知識や、あるいは生徒を把握し、教えるための技術といったようなことが講習内容となるわけでございます。ですから、例えば学習指導要領の内容ということが講習の内容に入ってくることは当然あり得るわけでございます。学習指導要領の内容として国旗・国歌の取り扱い等について触れることがありますし、それを踏まえ、教員に課せられる服務上の義務でございますとか、非違行為があった場合の扱いなど、こういうのも講習の内容には含まれ得るものでございます。ただ、その更新講習の修了の際に、いわば個々の教員の思想、信条をチェックするようなこと、こういうことは考えていないということでございます。

川内委員 それが評価の対象にはならないと、国民の皆さんにわかりやすい言葉を使っていただきたいんですが、それは評価の対象ではないということを御答弁いただけますか。私の質問に対して答弁してください。

銭谷政府参考人 いわば教員の内心の問題でございますから、そういうことは評定の対象にはならないということでございます。

川内委員 続いて、改正案の第九条の二についてでございますけれども、第三項の三行目に、「知識技能その他の事項を勘案して」更新講習を免除できるというふうに書いてございます。この知識技能その他の事項を勘案して更新講習が免除される人たちというのは、今まで議事の中で、質疑の中で、校長先生や教頭先生などの管理職、さらには優秀教員という方たちが例示として挙がったわけでございますけれども、それ以外にこの免除を受ける人たちがございますでしょうか。

銭谷政府参考人 ただいま先生からお話ございましたように、免許更新講習については免除の制度がございます。これは、改正教育免許法の第九条の二第三項に、ただいまお話しいただきましたように、「知識技能その他の事項を勘案して免許状更新講習を受ける必要がないものとして文部科学省令で定めるところにより免許管理者が認めた者」は、免許更新講習を受講することなく更新ができるということになっております。

 今後、改正法案をお認めいただきました後に、この免除に係る省令を定めることとなります。

 省令の内容につきましては、国会の御審議も十分参考にいたしまして検討していきたいというふうに考えておりますが、現在考えておりますのは、先ほどお話がございましたように、校長、教頭等、教諭を指導する職にある方、あるいは優秀教員として表彰されたような方、あるいはもう一つ、これは非常に判断がこれから難しいことが実際予想されるわけでございますけれども、勤務実績、こういうものを勘案して受講する必要がないと認められた者、こういう方も免除の対象になり得るのかなと思っておりまして、その辺さらによく検討していきたいと思っております。

川内委員 今、勤務実績を勘案して講習の免除をされる人たちも出てくるということが新たに御答弁としてつけ加わったわけでございますけれども、それでは、そもそもこの条文の中にある「知識技能その他の事項」という言葉でございますが、「その他の事項」とは何なんでしょうか。

銭谷政府参考人 「その他の事項」といいますのは、先ほど来申し上げておりますように、勤務実績でございますとか、あるいは優秀教員としての立場とか、あるいは教諭を指導する職にあるという立場とか、そういったようなものが考えられるところでございます。

川内委員 私は、知識技能をリニューアルするという観点からいえば、校長先生や教頭先生こそ知識技能をリニューアルしていただかなければならないというふうに思いますが、しかし、文部科学省は、こういう規定を設けられて、今そういう方針で臨むおつもりであるというふうな御説明をされていらっしゃるわけでございます。

 そうすると、校長、教頭等指導的立場にある教員と優秀教員というのは大体数がはっきりとしているわけでございますが、勤務実績良好な教員というのは、非常に漠たる概念で、人数とかもはっきりしない、非常に恣意的な運用がされるおそれがあるわけでございます。

 では、勤務実績が良好な教員であり、かつ講習が免除される教員というのは、全教員の中の大体どのぐらいの割合でいるのかということを教えていただきたいと思います。

銭谷政府参考人 今回の教育職員免許法の改正によりまして、教員免許を持っていて現職の教員の方は、あるいはこれから免許状を授与される方は、十年に一度更新講習を受けるというのが大原則でございます。その中に一部更新講習の免除者が出てくるということで、それは知識技能その他の事項を勘案してこれから省令で定めるということでございますので、私ども、どのぐらいの割合というのは今想定をいたしておりません。

 しかしながら、先ほど申し上げました原則、それから、免除になる方が例外的にといいましょうか、優秀教員とか教員を指導する立場にある人とか、いわば原則と例外という関係がございますから、その辺の更新講習の運用に関しましては、これは省令等においてわかりやすい基準というものをこれからつくっていかなければいけないと思っております。

 特に免除者が何割だというようなことは、現在まだ想定はいたしておりません。

川内委員 私は、大臣、百歩譲って文部科学省の言い分を認めるとすれば、理解するとすれば、校長、教頭、優秀教員まではわかります。しかし、勤務実績良好者という非常にあいまいな概念で、原則はみんなが受講しなければならない更新講習を免除される教員が出てくるというのは、これは要するに教育委員会の言うことを聞かない教員、あるいは校長先生の覚えが悪い教員などを選別するための一つの道具になっていくのではないかというおそれを持ちます。懸念を持ちます。

 そこで大臣に。この免除者の割合が多くなると、今初中局長は、いやそれは、まだ割合はわかりませんわというふうにおっしゃられたわけでありますが、原則と例外というのは逆転する場合がありますから。例外が九割で原則が一割とか。それは往々にしてあるわけでございます、世の中には。だから、免除者の割合が多くなってしまうと、勤務実績良好者というカテゴリーの取り扱い次第では、免許更新制の目的が、資質の保持向上、知識、技能のリニューアルではなくて、今の文部科学省の運用方針では教員の選別というところにつながっていくかもしれないというおそれを持ちます。

 したがって、文部科学大臣として明確な御答弁をいただきたいと思いますが、免除者の割合というものは総数で一割を超えないのだとか、原則と例外の割合が逆転することはないのだとか、そういう明確な政府としての御見解をいただきたいというふうに思います。

伊吹国務大臣 これは先生、先ほど田嶋先生の御質問にもありましたけれども、要は人なんですね。ですから、何もそんな、百歩譲られる必要はないんですよ。校長であれ教頭であれ優秀教員であれ、どうしてそのポストにつくのが決まってきたかというと、当時の評定権者がいい点数をその人たちに与えているから、その人は教頭になったり校長になったり、あるいは優秀教員として表彰されているわけでしょう。

 ですから、これは要は、最後は評定権者の公平性とか評定権の内容の正確さ。だから、えこひいきなんてやった校長なんかは、その上の人に評価されて、偉くなれないんですよ。当たり前のことですよ、そんなことは。

 ですから、先生がおっしゃるように、原則が五割で、例外が五割で……(川内委員「いやいや、原則と例外が逆転する場合がある」と呼ぶ)そんなことはありません。それは議事録に残しておきましょう。

川内委員 そろそろ私の時間が終わりに近づいてまいりましたけれども、学校現場をいかにして子供たちにとっていい環境にしていくのかという課題について、まだまだ議論をしなければならない課題というのはたくさんあるというふうに思いますし、また、きょう、本委員会で三回目の質疑でございますが、まだ四回、五回と質疑をさせていただく機会もあろうかと思います。

 最後に、本日に至るまで、実は中教審の合同分科会の議事録の御提出をいただいておりませんでしたことに遺憾の意を表させていただき、さらに、先ほど田嶋議員がtotoのことをお話しされましたけれども、私、実は競馬が大好きで、馬が好きなんです。地方競馬も時々行くんですけれども、地方競馬の経営が苦しかったというのは、その地方公共団体の、馬のことを何にも知らない、全然馬好きでもない人が地方競馬の団体に天下って、何にも知らない人が経営していると、やはりだめなんです。そこを農水省は変えたんですね。馬好きの人を経営者にしたんです。そうしたら、地方競馬は、ここのところ、決算の状況は徐々に改善しているんです。やはりだれをトップに据えるかというのは非常に大事なことなので、そのことだけどうしても言いたくて、最後、言わせていただきました。

 どうもありがとうございます。

保利委員長 午後四時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後二時三十三分休憩

     ――――◇―――――

    午後四時一分開議

保利委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。原田憲治君。

原田(憲)委員 自由民主党の原田憲治でございます。

 当選をさせていただいて半年ぐらいでこの第一委員会室で質問に立たせていただくというのは、私は、父、原田憲の秘書をしておりました時代にはとても考えられないことでありまして、その御配慮をいただきました皆さんに心から感謝を申し上げますとともに、この場を与えていただいたというのは地元の皆さんに選出をしていただいたということでありますので、選挙区の皆さんにも改めてお礼を申し上げる次第でございます。

 早速質問に入ってまいりたいと思いますが、まず、私は、環境教育についてお尋ねをしてまいりたいと思います。

 今、地球温暖化など、環境問題が深刻化しております。世界各国が一丸となって環境問題の解決に取り組むことが求められております。このような状況の中、平成十四年、二〇〇二年のヨハネスブルク・サミットにおいて我が国が提案し、同年の国連総会で全会一致で採択された国連持続可能な開発のための教育十年が、平成十七年、二〇〇五年から既に始まっております。これを受け、ユネスコにおいて国際実施計画が策定され、我が国においても、平成十八年、二〇〇六年三月に実施計画が決定されております。

 将来の世代に負担を先送りしない持続可能な社会の構築のためには、我々大人が真摯に環境問題の解決のために努力すると同時に、未来の地球を背負って立つ子供たちへの環境教育を充実することが必要と考えております。

 これまで、小中学校の目標規定には環境の保全は明示的に規定されておりませんでした。しかし、今回の学校教育法の改正案には、義務教育の目標規定の中に「自然を尊重する精神」、「環境の保全に寄与する態度」が法律上明確に規定されております。

 私は、長年地元で環境保全活動に取り組んでまいりました。また、子供の環境教育というのは大変大事なことであるということで、府議会においても発言をいたしておりましたけれども、教育の中身のことでありますから国でという話でありました。この場に立たせていただいて、私は、この点について本当に高く評価をいたしております。この問題を取り上げさせていただくということで、誇りを持って質問させていただきたいと思います。これまで取り組んできた経験を踏まえて、環境教育についての国の取り組みや今後の対応について質問をいたしてまいります。

 まず、地球の自然を大切にし、地球の環境を守るためには、将来の社会を担う子供たちへの環境教育が重要と考えますが、現在、学校においてどのような環境教育が行われているのか、現状をまずお聞かせいただきます。

銭谷政府参考人 学校における環境教育でございますけれども、現在、社会科や理科を初めとして、学校の教育活動全体を通じて行っているわけでございます。

 例えば、小中学校を通じまして、社会科では、地球温暖化や資源エネルギーの問題について、課題を設けて考察させる学習を取り入れております。理科では、学校周辺の生物や大気、水などの自然環境を調べる活動を行いまして、自然環境保全の重要性を認識させるといった学習が行われております。

 また、現在の学習指導要領のもとで取り入れられました総合的な学習の時間では、環境問題につきまして、教科の枠を超えた横断的な学習を展開できるようになっております。例えば、社会科や理科などで学習をしたことを活用いたしまして、地球温暖化やごみ問題について、地域の施設や図書館に出かけて調べたり、地域の方々のお話を伺ったり、その成果をまとめて発表したり討論したりする取り組みなどが行われております。

 文部科学省におきましては、環境教育の充実のための具体的な施策といたしまして、地域の身近な自然環境について学習するなどの環境教育に関するモデル地域の指定、全国的な実践発表大会の開催など全国各地のすぐれた実践の普及を図る等の環境教育推進グリーンプランというものを環境省等の関係省庁とも連携を図りつつ実施し、推進をしているところでございます。

原田(憲)委員 ありがとうございます。

 学校での環境教育がしっかり行われるようにするためには、教員、先生の指導力の向上が必要と考えております。この点について文部科学省としてはいかがお考えなのでしょうか。お答え願います。

銭谷政府参考人 お話しのように、環境教育の推進に当たりましては、その担い手でございます教員の指導力の向上ということが必要不可欠だと思います。

 このため、文部科学省におきましては、まず独立行政法人教員研修センターにおきまして、各地の指導的立場に立つ教員を対象とした研修を実施いたしております。それから、環境省と連携をいたしまして、全国各地で教員のための研修会を開催いたしております。さらに、全国環境学習フェアというものを毎年開催いたしまして、教員相互で事例を発表いたしまして、各地のすぐれた実践事例の共有化を図っております。各都道府県におきましても、初任者研修、十年経験者研修などにおいて環境教育についての内容を取り扱っているところでございます。

 さらに、ことしに入りまして、三月でございますが、文部科学省におきまして、環境教育の指導のポイントや実践事例を掲載いたしました環境教育指導資料を作成いたしまして、これを各都道府県教育委員会等に配布して、今後の指導に役立てていただこうと思っているところでございます。

 こうした取り組みを通じまして、教員の環境教育に対する理解を図り、環境教育の一層の推進を進めていきたいと考えているところでございます。

原田(憲)委員 ありがとうございます。

 やはり教える方がしっかりとした考えを持たないと環境教育というのは大変難しいものであると思っております。ぜひ、しっかりとした指導者を育てていただきますように今後も努力をしていただきたい、こう思います。

 次に、環境教育の推進に当たっては、学校だけではだめだ、地域と学校が連携協力して取り組んでいくことが効果的であると考えております。

 私は、府議会議員の時代に、議会からドイツに視察に参りました。ここに、まとめた資料を持っておりますけれども、フライブルク市というところに、エコステーションというすばらしい環境教育施設がありました。そこを訪れましたときに、子供たちが学校の教育の一環としてそこを訪ねてくる。何が大事かといいますと、率直に言わせていただきますと、大人になってから環境教育を始めたのでは遅い、子供のうちから教育をしようと。

 例えば、そこの施設には、屋根は屋上緑化といいましょうか、土をかぶせて草花が生えておる。雨水をためるタンクがありまして、トイレの排水だとかいうところはそういうところの雨水を利用しておる。そして、ごみの分別収集はもちろんでありますけれども、そういったところで実習をして、例えばキッチンを実際に子供に使用させてみて、このごみはどのごみになりますか、このボトルはどこに捨てたらいいですかというようなことを教えるということを聞きました。

 そして、なるほどなと思いましたのは、そこでボランティアの方が環境教育をされておるんですけれども、その方がおっしゃっておるのは、子供たちが、ここへ来て自分たちが教育を受けたことを実践するんだ、自分のうちに帰って、例えば母親が分別収集もしないでぽっとその辺へごみを捨てようものなら、お母さん、そういうことをしたらだめだよ、きょうはこういうことを習ってきたんだから、これからはこうしないと私たちの町フライブルクは大変なことになっていくんだから、私が教えてあげるから協力してねというようなことで、母親教育ではありませんけれども、逆の意味で母親教育かもしれません。しっかりとした考えを持つようになってきたというんですね。こういうような取り組みを充実することが大事ではないかなと思っております。

 また、自然環境の方に入るんでしょうか、近所の農家のおじさんに農業を教えてもらうというか、自然農法の大切さ等を、実際に田んぼへ行って、畑へ行って子供たちがお百姓さんに教えてもらっておるというようなところもあるわけでして、こういったような教育が、先ほど申し上げましたように必要ではないかな、私はこのように思っておりますが、文部科学省はどのようなお考えでありましょうか。お聞かせを願います。

銭谷政府参考人 環境教育に当たりましては、いわゆる校内での座学だけではなくて、その学んだ成果を家庭生活で生かしたりあるいは地域と協力をして、いろいろな学びのフィールドを広げていくということが必要かと存じます。改正教育基本法の第十三条でも、学校、家庭、地域社会の相互の連携と協力ということが規定をされておりまして、こういう観点から、環境教育の推進に当たりましても、地域と学校が一体となって取り組んでいくということが必要だと思います。

 ただいま先生から、ドイツの事例とか、農家の方にいろいろ教わるような事例のお話がございました。文部科学省が指定をしております環境教育の実践のモデル地域におきましても同様の取り組みが今盛んに行われております。市役所の環境担当課の方からのアドバイスを受けながら、身近な川の貴重な生物を保護、増殖する活動をやっている学校の事例とか、あるいは、地域のPTAやボランティア団体と連携を図ってクリーン作戦あるいはリサイクル活動というものを学校の教育活動に取り入れている例とか、幾つかの事例を挙げることができるわけでございます。

 こういった取り組みを私ども応援していきたいと思っておりまして、先ほど申し上げました全国環境学習フェアなどの場を通じまして、こういった事例の紹介あるいは情報の共有ということに努めてまいりたいと思っております。

原田(憲)委員 ありがとうございます。

 そこで、少し地元の事例を引かせていただいて質問をさせていただきたいと思います。

 私の補欠選挙のときに、与野党を問わず、応援に入ってこられた皆さんは御存じかもしれません。先ほど党首討論をされた小沢党首もお入りになりました。大阪府の豊能郡の能勢町、石井先生なんかはよく御存じだと思いますけれども、藤村先生もかつて選挙区でありました。大変自然の豊かな町、今、浄瑠璃の里、昔から浄瑠璃を、今は人形はまた出てきましたけれども、素語り、語りだけの浄瑠璃の里というような、文化、伝統のある町であります。本当に自然の環境が充実した町であります。

 そこをちょっと例にとってお話を申し上げたいんですが、都会の人は、よく自然環境を守れ守れというお話をされます。

 今申し上げました能勢町に長谷川という川が流れております。大変小さな川でありますけれども、そこで、圃場整備に伴いまして、河川改修をしようということになりました。昔ながらの堤防、何にも手を加えていない土の堤防です。そういったところですから、蛍も乱舞しておるようなところでありました。そこで、蛍が出ているところを河川改修するのはけしからぬというような話が、地元から出るのではなくて、都会の人ですね、我々の貴重な自然財産だからということで、自然を残せというような意見が出たわけです。

 圃場整備の関係もあって、できるだけ蛍が戻ってくるようなそういう環境にしようということで、河川改修をされて、農家の皆さんは一生懸命農薬を減らしたり、あるいは河川の清掃をしたりして、時間はかかりましたけれども、ようやくまた蛍が帰ってきました。

 そこで、蛍が乱舞し始めましたよという報道が、新聞で取り上げられまして、写真入りで出たんです。そうしましたら、一遍に、町中、町中といっても大阪市内ばかりではないと思いますけれども、そういう、いわゆる都会の人が見に来ました。見に来ていただくのはありがたいんだけれども、中にはひどいのがおりまして、蛍を持って帰るなというのに、持って帰るんですね。網で持って帰るのはまだしも、ひどいのになりますと、恐らくこれは業者か何かだと思いますけれども、植木屋さんが使うブロワーというのがありますね、風で落ち葉を寄せておいて、最後には吸い取る、あれを使って蛍を吸い寄せて持って帰っちゃう、こんな者まで出る始末。

 蛍の出る環境を守れ守れと言って、言われた地元の人は一生懸命になって環境を守って、蛍を戻すような努力をして、蛍が戻ってきたんです。そうしますと、町の人が見に来て、そして、田んぼのあぜは踏みつぶしていくわ、朝になったら、コンビニの、多分お弁当でも買ってきたんでしょう、河川改修が終わった川にあの白いビニール袋が散乱しておるというような姿。それで、また河川を清掃しておるのはだれかというと地元の農家の人なんです。そういう状況が私の地元能勢町で見られたわけですね。

 環境保全意識、こういうのを大事にしてもらいたいということで、学校教育において、自然体験活動、こういうものもやはり充実させて、子供たちにこういうことも教えていかなければならない。先ほども申し上げましたけれども、こういう体験学習をした子供たちが逆に大人を教育する、そんなところへごみ捨てちゃだめ、空き缶捨てちゃだめ。こういうような子供たちをぜひ育ててもらいたい、教育をしていただきたいと思うんですが、文科省のお考えはどうでしょうか。お尋ねをいたします。

銭谷政府参考人 ただいま先生から、大阪の能勢町のお話の御紹介がございました。

 確かに、子供たちが、自然あるいは環境をどういうぐあいに地域の方が保全しているのか、自分たちも将来に向けてどういうことを心がけなければいけないのかということを学ぶ意味で、自然体験活動というのは、学校教育の中で私ども大変重視をいたしております。

 特に自然の中で長期宿泊体験という活動を行うというのは、私ども、非常に効果があるのではないかと考えておりまして、実は、文部科学省として、豊かな体験活動推進事業というものを実施いたしております。これは、十八年度は文部科学省の指定校は二百八十二校の予算措置だったわけでございますが、十九年度はこれを七百五十二校にふやしまして、私どもとしては、自然の中での長期宿泊体験活動というものをぜひ推進していきたいというふうに思っているところでございます。

 もちろん、日常の教育活動の中で、自然に触れ、環境の保全に心し、地域の方がどういうぐあいに環境保全に努力をしているのかという勉強も大事でございます。それは当然でございますけれども、こういった長期の宿泊体験活動などの推進を通じまして、まさに環境保全意識の涵養ということに一層各学校が努めていくように私どもも支援をしていきたいと思っております。

原田(憲)委員 ありがとうございます。ぜひよろしくお願いをいたします。

 今申し上げましたような、地域に出て自然に触れていくこと、これも大事だと思います。私の選挙区、地元では、箕面市あるいは茨木市といったところで新しい町づくりが進められておりまして、自然環境がいい、あるいは、農業体験に地元の用地提供者等の皆さんが熱心に取り組んでいただいておって、それが売りというんでしょうか、それが魅力になって住宅が売れるというような状況もあります。

 そういったことで、地域に出て自然に触れることも大事ですけれども、一方、学校の中に、日常的に自然の生態系を観察することができるような、いわゆる学校ビオトープですか、そういったものを整備するなど、環境を考慮した学校づくりを進めるべきと考えておりますけれども、その辺につきまして、文部科学省の見解をお尋ねしたいと思います。

舌津政府参考人 お答えいたします。

 文部科学省では、従来から、環境を考慮した学校施設づくりが重要であるというふうに考えておりまして、環境省を初めとする関係省庁と連絡し、ビオトープを含むエコスクールづくりを推進しているところでございます。

 ただいま委員御指摘のとおり、学校の中で日常的に自然の生態系を観察することができる学校ビオトープの整備は重要であるというようなことから、私ども学校施設整備指針というのを策定しておりますけれども、その中で、ビオトープの有効性を盛り込んでおるところでございます。また、こういう各地方の事例集を作成いたしまして、全国の市町村の教育委員会に配布しているところでございます。また、あわせて、こういうようなものを整備する場合、国庫補助を行っているところでございます。

 文部科学省としては、引き続きこのような取り組みを着実に実施することによりまして、環境を考慮した学校施設づくりを積極的に推進していきたいというふうに考えておるところでございます。

原田(憲)委員 ありがとうございます。ぜひよろしくお願いを申し上げます。

 環境というのは、本当に一度壊れてしまうとなかなか取り返すのが難しいということであります。何度も申し上げますように、都会の人たちの犠牲と言っては言い過ぎかもしれませんけれども、いわゆる田舎の皆さんが生活の便利さを享受できないようなことにならないように、その一方で、やはり自然環境というのは大事ですから、その辺をバランスよくしていかなければならないと思っております。

 自然の中で育った子供たちというのは、やはり生き物に対しても優しさを持っておりますし、生き物に優しいということは人に対しても優しい、これは私は、本当にありがたいことだな。

 成人式に私は呼ばれてあちらこちら出ますけれども、この能勢町というところ、本当に人口も少ない町ですけれども、地域で子供たちを育てておるというのがありありとわかります。ほかの地域へ行きますと、成人式に出ておる新成人が、それぞれがぺちゃくちゃ友達同士しゃべって人の言うことも聞かないということでありますけれども、この能勢町ではそんな姿を見たことがありません。やはり地域の皆さんが大事に子供たちも育てる、そして一方で自然も育てている、そういった地域でありますので、これからも私は、この能勢町というところ、ほかの地域の皆さんもそうかもしれませんけれども、こういった町を大事に、そしてそこから選ばれた議員というのに誇りを持って、皆さんに訴えていきたい、このように思います。

 次に、昨年十二月に成立をいたしました改正教育基本法を受け、今後どのように環境教育を、いろいろ充実していただけるという御答弁をいただきましたけれども、伊吹文科大臣の決意をここでお尋ねいたしたいと思います。

伊吹国務大臣 昨年、院の御協力をいただいて、六十年ぶりに教育基本法が改正になりました。

 六十年前の教育基本法には、当然、環境という字はなかったわけであります。しかし、改正教育基本法二条四号には「生命を尊び、自然を大切にし、環境の保全に寄与する態度を養うこと。」ということが明記されております。

 これを受けまして、今般国会に御承認をお願いしております学校教育法の改正案におきましては、義務教育の目標として、「学校内外における自然体験活動を促進し、生命及び自然を尊重する精神並びに環境の保全に寄与する態度を養うこと。」というのが二十一条の二号に記述されております。

 先生と政府参考人の先ほど来のやりとりの中で、具体的な実践のあり方、あるいは、頭だけで考えた環境保全というのはいかに空虚なもので、生活、人間の営みとの間のバランスがとれていないのかというお話がるるございました。

 そういう国会での御審議も参考にし、今の学校教育法の二十一条二号の目標をどう具体化していくかという学習指導要領を作成して、そして、従来の教育基本法にはなかった新たな精神を吹き込んで、新しい環境教育の指導要領を作成していきたいと思っております。

原田(憲)委員 それでは最後に、私の母校であります附属池田小学校、大変痛ましい事件が起こった学校でありますけれども、そのことで一つお尋ねとお願いをしておきたい、こんなふうに思います。

 それは、文部省、当時対応もしっかりしていただいた、私はそう考えても間違いではないと思います。特に、被害を受けられた生徒さんあるいは親御さん、それから目の前であの惨状を見た子供たち、この皆さんに対してのケアはしっかりされておると思いますけれども、私は、それをよしとしても、もう一つお願いをしたい点がございます。

 それは、その当時PTAの役員さんをしておられた方、何気ない一言がその方を傷つけてしまったというようなことがあるようでございまして、対象を少し広げていただいて、親御さんはもちろんでありますけれども、被害を直接受けなかった、目に見えない被害者というのがおるということで、PTAの役員さんといいましょうか、そういった皆さんへの対応をこれはぜひお願いしておきたいと思うんですが、この点だけひとつ回答をいただけたらと思います。

伊吹国務大臣 先生の補欠選挙がありましたときに私も応援に参上しまして、池田小学校を拝見に行きました。お地元で迎えに来てくだすった方が、ここがあの場所ですということを言われて、やはり心のトラウマがたくさん残っているということは実感をいたしました。

 もう当然、教員や保護者に対しては援助、助言等を行うスクールカウンセラーというものを置いておりますけれども、平成十五年の八月に、文部科学省といたしまして、災害のとき、それからあのような事故のときの、子供のケアだけではなくて、今おっしゃった保護者の心のケアにも留意をして、専門的な機関と話し合いをしながらスクールカウンセラーや教師がどう対応していくかという手引書を出しております。もちろん、全国の成功例その他を研修の機会によくお話をして、これはもう池田小学校の教訓を生かして、全国の、今おっしゃったつらい思いをしておられる保護者、PTAの役員の皆さんのケアには意を用いていきたいと思っております。

原田(憲)委員 ありがとうございます。

 あの事件以後も、やはりあれにとどまらないでいろいろな事件が起こっております。今後ともどうぞ、対応方よろしくお願いを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。(拍手)

保利委員長 次に、石井郁子君。

石井(郁)委員 日本共産党の石井郁子でございます。

 きょうは、民主党案につきまして最初に二問ほど質問をさせていただきます。立法趣旨を確認するということでございますので、よろしくお願いをいたします。

 一点は免許更新問題でございます。

 民主党案は、百時間の講習を設定している、やはり免許更新するということにしているわけでございます。この免許更新制は、アメリカの幾つかの州で実施されているだけなんですね、世界的に見ますと。それは、諸外国では、やはり教員の身分を保障する、更新制導入というのは教員の身分を不安定にするからだということではないかと私は理解するわけです。

 その点、一九六六年のILO・ユネスコの、教員の地位に関する勧告がございますが、そこでも、教職における身分保障は教育のために不可欠なものであり、あくまでも保護されるべきだということであります。この勧告に照らしても、提出法案というのはそれに反するのではないかというふうに思われますが、いかがでございましょうか。

藤村議員 民主党案に御質問をいただいたということで、御賛成をいただける可能性が出てきた、このように理解を申し上げます。

 事実上の免許更新制度ではないかというお問い合わせでありますので、私どもは、説明は何度もしておりますが、これは現場について十年、そこで十年研修を修了認定するという意味では御指摘のとおりであろうと思います。

 我々が目指しているのは、やはり教員の資質能力の飛躍的というか画期的向上ということを目指し、そのために、民主党案では、教員養成課程を何より重視し充実をさせる、一般免許を六年制とし、その上に専門免許を創設しております。

 政府案とは制度自体が相当違うとは思いますが、一般免許状に十年講習を取り入れてその修了認定をするというのは、実はできる限り多くの教員に、一定年の実務経験をした後に、学び直しあるいはブラッシュアップの意味も含めて、できれば、我々のもう一つの専門免許というより高い免許に向けて取り組んでほしいという政策的誘導という意味もございます。

 今御指摘のILO・ユネスコ、教員の地位に関する勧告ということで、これは前文に、「教育を受ける権利が基本的人権の一つであることを想起し、」そしてまた「すべての者に適正な教育を与えることが国家の責任であることを自覚し、」と、非常に立派なことが書いてあって、我々はやはりこのとおりやるべきだと思っております。

 そういう意味で、教育を受ける側、受ける者の方により目を向けたときに、教員もやはりさっきのようなブラッシュアップはしていただきたい。私は、何より医療の現場で、特に臨床医の方が、本当に、十年というのはもうちょっと短くてもいいぐらい、免許更新制度がむしろ昔から必要だと思っていて、順番がむしろ医療が先かなとは思っておりましたが、我々もこの教員免許の更新ということに踏み切ったわけでございます。

 これは昭和四十一年の、先ほど御紹介があったILO勧告でございますが、この後に、日本政府では人材確保法、これを昭和四十九年につくっておりますし、そういう意味で、基本的な理念の部分に関して、民主党は、この勧告、ILO・ユネスコ勧告の本意に沿うものであると考えております。

 十年講習の導入がイコール、すなわち身分が不安定になるということではないと思います。教員の資質能力が格段に向上した、そしてそれを万人が認める状況になれば、社会的な尊敬を集めることにもなり、給与体系等に関しましてもより安定的な身分保障につながる方向へと改革が進むものと思っております。

石井(郁)委員 もう一点でございますが、教育委員会制度のことなんですね。

 民主党案では、教育委員会を廃止するというふうにあるわけでございまして、首長が担当するということになっています。これは参考人質問でもいろいろ議論がありましたけれども、教育の中立性確保、地方分権、地方自治の観点からすれば、やはり住民の選挙による教育委員会公選制を復活すべきではなかったかと思いますが、なぜそのような方向をとらなかったんでしょうか。いかがでしょう。

藤村議員 きょうの中央公聴会でも御意見ございましたが、実態的に、今の教育委員会がうまく機能していないというか、あるいは陰でというか、首長がやはり権限を持っているんだという公述人のお話もございました。

 我々は、やはり教育行政が多元化しており、これを責任所在がはっきりする仕組みというものにしたいということ、それから、国の定める一定水準以上のことに関しては、また徹底的に地方分権でやっていただくということを主に考えました。

 先生の、教育委員の公選制についてでございますが、既に教育委員の公選制が根づいていると言われている米国の状況を見ても、これは二〇〇四年に中教審で報告されたと聞いておりますが、投票率が五%から二五%程度の投票率であります。

 今、憲法の論議でも最低投票率ということが言われておりますが、やはり、日本において現在の国政選挙あるいは地方選挙の現状を見まして、公選制でも投票率がこれほど低いということでは、実は実際の住民の信託を得たということではないというふうに思っておりますので、むしろ公選制よりは首長が、これこそ公選制でありますので、ここに責任を持たせたということでございます。(発言する者あり)

石井(郁)委員 その態度は後ほどにいたしまして、大事な論点でございまして、閣法とともにしっかり議論をさせていただきたいというふうに思っております。

 きょう、官房長官に最初に一点お伺いさせていただこうと思います。

 安倍総理が、靖国神社の春季例大祭に合わせて、内閣総理大臣安倍晋三という名で真榊を奉納されたということが報じられております。これは事実でしょうか。

塩崎国務大臣 報道は承知しておりますけれども、こういったことは安倍内閣総理大臣の私人としての行為に関するものでありますので、政府としては特に事実関係も把握をしているわけではありません。

石井(郁)委員 内閣総理大臣安倍晋三と木札をつけて出されたというのは、テレビの画面でも映し出されておりましたから、事実なんだろうというふうに思うんですね。総理という肩書で神事に供え物を奉納した、神社側もありがたいというふうに歓迎していたという報道もされていました。

 私は、やはり一国の総理大臣が、そこに行ったか行かないか、奉納したのかしないのか、これを明らかにしない、その事実すら公表しないというのは余りにもこそくな態度ではないのかというふうに一つは思います。だから、事実を隠して、そして奉納したかしないかも言わない、言わない。では、これが政府というか内閣の言う規範意識なんでしょうか。

塩崎国務大臣 石井先生のお考えはお考えとして、先ほど申し上げたとおり、これは安倍総理の私人としての立場によるものでございますので、政府としてはこれに見解を申し上げる立場にはない、こういうことでございます。

石井(郁)委員 官房長官にはこれ以上の答弁が出ないかと思いますけれども、しかし、納得できる答弁ではございません。また、規範意識からしても全くおかしいと言わざるを得ないと思います。

 これはまた別途の問題にいたしますので、ここまでにいたしますけれども、きょうは、この規範意識に関係して伊吹大臣にお尋ねをしたいと思っております。

 今回、学校教育法の一部改正で、義務教育の目標に、規範意識と書かれましたとともに、国を愛する態度など、多くの徳目が加えられた。これが大変問題とされているわけですけれども、それは学校教育法二十一条に「義務教育として行われる普通教育は、教育基本法第五条第二項に規定する目的を実現するため、次に掲げる目標を達成するよう行われるものとする。」というふうにして、そういう幾つかの徳目が並べられているということになっているわけですね。

 伊吹大臣は、先日、当委員会での御答弁で、規範意識とは人間として生きていく最低限のルール、マナーを身につけることだというふうにお話しされたというふうに思いますが、法律上の規範意識というのは何を指すのでしょうか。

伊吹国務大臣 まず、当然、人間社会、特に近代社会を構成している場合には法律というものがございます。ですから、法律は当然大切なルールではありますけれども、それに加えて、その社会あるいは国家が長い年月の間に熟成させてきた伝統と申しますか、暗黙の、その社会を動かしていくためのルールというか約束事のようなもの、そういうものを総称して規範、それをしっかり身につける意識を持っているということだと思います。

石井(郁)委員 大臣は、さらに委員会の質疑の中で、この規範意識については、「五人いれば五人とも、その人の人生観、価値観が違います」と。「政党によって政治の理念が違いますから、おのおのが持っている規範、あるいはおのおのが持っている価値観というものは違ってくると思います。」とお述べになっていらっしゃる。「ですから、このことについては常に謙虚でなければならない」という御答弁もございました。これは牧議員の質問に答えてだったと思いますが。

 私は、この「謙虚でなければならない」というのは、やはり、価値観の違うものを一方的に学校教育で強制してはならないということではないかというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

伊吹国務大臣 社会にはやはりその社会として、あるいはその民族が長年の試行錯誤の結果、悪いものは淘汰され、いいものとして残ってきている、これが社会の大きな規範というものだと私は思います。

 もちろん、人それぞれによって価値観が違いますから、例えば、先般来いろいろ話題になっているように、母乳で育てるか育てないか、そういうことは高みにいて訓示を与えるというやはり性格のものではないと私は思いますが、例えば、人の物をとっちゃいけないよとか、弱い人をいじめちゃいけないよとか、ルールを守らずに金をもうけたから偉いんじゃないよとか、それは別に、唯物史観でも唯心史観でも、先生、一緒なんじゃないでしょうか。

石井(郁)委員 そこで、条文に即してもう少し伺いますけれども、この学校教育法二十一条一号、このようにあるんですね。「学校内外における社会的活動を促進し、自主、自律及び協同の精神、規範意識、公正な判断力並びに公共の精神に基づき主体的に社会の形成に参画し、その発展に寄与する態度」なんですよ。ずっと点で並んで、最後にそういう態度と。これは全然、これを読んだ限り、イメージがわかないんですけれども、これはどのような態度なんでしょう。

銭谷政府参考人 学校教育法の改正案二十一条の第一号としては、義務教育の目標として四点を養っていくということをまず規定いたしております。その一つが「自主、自律及び協同の精神」、二つ目が「規範意識」、三点目が「公正な判断力」、四点目が「公共の精神に基づき主体的に社会の形成に参画し、その発展に寄与する態度」という、この四点を養っていくということが義務教育のまず最初の目標であるということを規定しているわけでございます。

 その考え方でございますけれども、具体的には、主として自分自身に関することとして、自主、自律の精神ということがあろうかと思います。それから、他の人とのかかわりに関することとして、協同の精神ということがあろうかと思います。そして、集団や社会とのかかわりに関することとして、規範意識、これはもちろん自分自身に関することにもかかわるわけでございますが、規範意識、公正な判断力、公共の精神に基づき主体的に社会の形成に参画し、その発展に寄与する態度といったようなことで、この四点を養うということをこの二十一条の第一号では規定しているわけでございます。

石井(郁)委員 そういう説明を伺うんですけれども、こういう四点を目標ですと。そして態度を養う。子供は個々に、現実の姿としてあるわけでしょう。それはどんな態度になるのかという問題は、全然やはりイメージがわきませんよね。

 それで、こういう目標、義務教育で目標を達成する。そして、達成するんですから、どういう態度の状態に達したことが達成になるのかということになりますと、事柄は大変具体的になってくるんじゃないでしょうか。これはどんな状態をもって達成というふうにいうんですか。大臣はいかがですか。

伊吹国務大臣 今参考人が御説明をいたしましたように、二十一条の一号というのは、「自主、自律及び協同の精神」と「規範意識」と「公正な判断力」と「公共の精神に基づき主体的に社会の形成に参画し、その発展に寄与する態度」、この四点を養っていくということを書いているわけですね。

 それでは、具体的にそれを教科でどう教えていくのかということになると、これらのものが教えられているのは道徳あるいはいわゆるゆとり教育というようなものの中の特別活動、こういうものの中で教えられているわけですから、これを点数にあらわすとかどうなるという、先生の今の、達成度というものを点数であらわすという性格のものじゃやはりないんじゃないでしょうかね。ですから、今も道徳というのは評点をつけずに科目として動かしているということだろうと思います。

石井(郁)委員 私の意図を大臣なりに酌み取っていただいているんですが、目標達成、しかも態度ですからね、これはどんな態度で評価になるのかということで、点数ではないとおっしゃいましたが、そういう態度というのはやはり評価はできないということで考えてよろしいですか。

伊吹国務大臣 まず、今先生がお取り上げになった二十一条のいろいろなものを、具体的な学校現場の教科としてどこで教えているかということになれば、先ほど来申し上げているように、道徳という科目の中で教えているのかあるいは特別学習というような中で教えているのか、いずれも評点がつかない中でやっているんですね、これは。ですから、それは、先生が御心配になっているような意図を当然我々も感じているから、その中で教えていると。

 先般来、道徳についてもいろいろな御議論が再生会議であったようですが、これを評点化するということは私は非常に難しいということを申し上げて、どうも私の意図はよく再生会議も御理解になったようなことを新聞報道で私は理解しております。

石井(郁)委員 四つの目標があると言われましたけれども、これは本当に言葉で言われているだけなんですよね。例えば「自主、自律及び協同の精神」ということ、それは道徳の授業の中でどういうものをもってその精神というのか。事柄は、教育は具体的ですよね。それは全然イメージがやはりわかない。

 私が「規範意識」の問題を取り上げましたのは、一応、大臣が言われたような最低限のルールだとか法律にのっとった行為だとか、その部分はわかりますけれども、しかし、規範というのは、改めて私も広辞苑を引いてみましたけれども、やはり、「判断・評価または行為などの拠るべき基準。」ですから、非常に価値観、価値的なものを含んでいますよ。これは「判断・評価または行為などの拠るべき基準。」ということになりますから、四つの目標というのも、それ自身の教育活動の中に非常に価値観を含まざるを得ないということだと思うんですね。それを態度ではかる、目標ではかる、評価するというのは、学校教育で一方的な価値を押しつけることにつながるわけで、到底やるべきではないというふうに思うわけでございます。

 それで、ちょっと具体的なことで申し上げたいんですけれども、実は今、各学校では非常に数値目標、きょうも中央公聴会でそういう話をいただきましたけれども、例えば、よく学力が言われますけれども、規律ある態度、体力の基礎基本、規律ある態度ということも数値目標化して、そしてこのクラスは八十点以上は何%いるとか、そういうパーセンテージを出しているということがあるんですよ。

 ちょっと申し上げますけれども、これは埼玉県の教育委員会がつくっている「教育に関する三つの達成目標」なんですけれども、そこでは、「規律ある態度」というのは十二の達成目標になっている。その達成が迫られる。

 その中で、低学年でいいますと、本当に初歩的な、当たり前のこともあるんですけれども、「くつ箱のくつのかかとをそろえることができる。」とか「机の整頓、机やロッカーの中の整理整頓」ができる、「人の集まるところでは口を結ぶことができる。」という、低学年の子供にこういう態度までどうなのかということはあるし、私はこれを読みながら、整理整頓でいうと、私なんかはとても整理整頓が今でも下手くそで、恐らく評定は低くなるだろうと思うんですけれども。

 こういう規律、態度、非常にすごいことなんですよ、十二も項目があるんですから。こういうことをされて、子供たちに自己評価させる、それでパーセンテージを集計して、その向上率を評価させるわけですね。クラスごとに競い合うということが行われている。

 これは埼玉だけじゃありません。私の知ったところでは、広島県でも、学校評価自己評価表の中には、こういう、新校舎に合う決まりをつくる、礼儀正しい行動をつくるということの中に、やはり、スリッパを全児童の八〇%がそろえられる。確かに汚く脱ぎっぱなしにするよりはそろえるのはいいけれども、そのそろえ方もきちっとしなければいけないような形になっているということを聞くわけであります。手洗い場を全児童の八〇%がきれいに洗う等々、そういう評価基準が、達成が全児童の九〇%以上だったらAだ、それで、それ以下だったらもっと頑張りなさいというような形で、できなかったクラスは大変問題だというふうになっているんですね。

 そこで、私は大臣に伺いたいんですけれども、現に既にこういうことが行われている。だから、そういう数値目標として態度などを競い合うということが本当に学校現場を、私は、大変子供たちにとっても息苦しいものにしているんじゃないかと思いますが、今回の学校教育法で、さらに学校評価を文科大臣が定めるという新たな規定がございます。そうしますと、これはこういう競争に一層拍車をかけることになるのではありませんか。このことはいかがですか。

伊吹国務大臣 まず、先生の、広辞林ですか。(石井(郁)委員「広辞苑」と呼ぶ)え、広辞苑。ちょっと私の手元の字引と違うんですが。

 相対的な現実の価値観、石井先生の持っておられる価値観、私の持っている価値観を超えて、あらゆる評価に対して普遍的、絶対的な価値を規範として妥当させ、かつ養う意識と書いてありますから、先生もまさに今おっしゃったように、脱ぎ散らかした靴よりもきちっとスリッパをそろえられる方がはるかに、絶対的にいいんじゃないでしょうか。だから、そういうことができるかできないかを判断するということは、私は、決して子供の教育のために悪いことじゃないと思いますよ。

 ただ、それができている学校に対して予算をたくさん上げるだとか、そういうことに使うのは別だけれども、人間、達成目標がなかったら、努力をするとか、そこへ行くためにみんなで考えてみるとかということはやはり起こらないんじゃないでしょうかね。

 これは、あるいは先生の人生観、私の生きていく価値観の違いなのかもわかりませんが、私は、脱ぎ散らかした靴よりもきれいにそろえている方がそれはいいですと、まさに先生がおっしゃったそれが、相対的な価値を超えた絶対的な規範と今私の字引に書いてあることだと思いますが。

石井(郁)委員 大臣とこの議論になりますと、目標を持つことはいいことであって、そういう努力をすることはいいことじゃないのかという一般論になりますけれども、私が今ここで伺っているのは、やはり規範意識、態度、それぞれそれは価値観が異なる、こういうものを形で評価していくということはいかがかということを申し上げているわけでございます。

 そして、こういうことが現場の教師に対してもどんなに問題をもたらしているかというと、これは、そういうことができたクラスは、教員もよくできたクラスにされてしまうということがあるわけですよ。そうすると、教員の中で何が起こるかというと、やはりいつまでも言っても聞かない子供に対しては当たり散らすようなことにもなってしまう、早くせよと強要することにもなってしまう。

 だから、形を整えるのはいいことではあるけれども、やはりそれに至るプロセスというのがありますよね、教育ですから。その点でいうと、やはり規律だけを一方的に注入するような教化訓練主義というのを前面に押し出すとどうなのかという問題がある。だから、本当に子供の内面、人格を丸ごと見るということよりも、というか、そこから外れて、非常に、言ってみれば表面的な教育になりかねないという問題が起こるということが重大な問題だということを申し上げておきたいというふうに思います。

 それで、私はあと少しで時間なんですが、今回、これは最後にまた官房長官に戻りたいんですけれども、私は、子供の声をしっかり聞く、やはり教育というのは納得なくして成果はないと思うんですね。だから、一方的な価値観を強要したりしても、本当に子供が育つことにならないというふうに思っているわけでございまして、これは、子どもの権利条約、日本政府は批准していますから、それにも反するというふうに思うんですよ。

 その点で、教育再生会議あるいは中教審、特に教育再生会議なんですが、この子どもの権利条約について議論されたんでしょうか。

塩崎国務大臣 子どもの権利条約そのものについて、実施状況とかそういうことについて直接的な議論を明示的にやっているわけではございません。

 教育再生会議は、何度も申し上げておりますけれども、いろいろな、基礎学力それから規範意識の問題、今ずっとお取り上げでございますけれども、そういった問題や、それから、父母、お父さん、お母さんに信頼されて安心して学べるような環境、いろいろなとんでもない事件も最近起きるわけであります。それから、例えばそれぞれの個人に応じてそれぞれの能力を最大限伸ばすような教育とか、幅広く議論しているわけであって、言ってみれば、子どもの権利条約の中の問題意識を含めて議論しているということでございますが、今お話しの、直接的にこの条約について話しているのか、実施状況について話しているのかというと、必ずしもそれはやっていないということでございます。

石井(郁)委員 子どもの権利条約は、我が国では一九九四年に批准をしています。ですから、もう十年少したっているんですね。これは、最初は二年に一遍、政府は国連に対して、勧告があって、実施状況の報告を出さなきゃいけません。昨年、三回目で五年ごとの政府報告書を提出する年になっておりました。昨年五月、その提出の時期だったんですね。今もってなされておりません。これはなぜですか。

塩崎国務大臣 先生御指摘のように、二〇〇六年の五月二十一日が期限ということで、第三回目の政府報告を出さなきゃいけないということでございました。五月二十一日といえば、もう一年であるわけでありまして、私も何でこんなに出ていないんだということで申し上げたわけでございまして、今鋭意作成作業をやっているわけであります。

 一つは、多くの役所がかかわっているということで作業が膨大になっているということと、それからもう一つは、第三回の政府報告提出には、本件条約についての報告に加えて、第二回報告提出以降に我が国が締結をいたしました、この条約に係る二つの選択議定書というのがありまして、これは、児童の売買、児童買春及び児童ポルノに関する選択議定書、それから武力紛争における児童の関与に関する選択議定書、この二つについても第一回の政府報告を同時に提出するということで、鋭意これの作業もしているということも重なって遅くなっているようでございます。

 しかし、いずれにしても一年というのは少し長過ぎると思いますので、一層の努力をしてこれを早く出すように、私の方からも督促をしているところでございます。

石井(郁)委員 私は、やはり再生会議の議論の中で、子供の権利あるいは権利条約の実施状況、そういうことが議論されていないというのは大変問題だというふうに一つ思っています。

 それと、これは最後になりますけれども、この権利条約、外務省は報告書を出すべきでないとかあるいは子どもの権利条約は廃棄せよ、こういう一部の運動があることも事実なんですね。私は、そういうことに迎合してはいないのかという、うがった心配かもしれませんけれども、思いますので、やはり政府としてはしっかり対応していただきたい。特に、そういう子供観の問題については、やはり再生会議の議論に大変私は懸念も持っておりますので、そのことも申し上げて、きょうの質問を終わります。

保利委員長 次に、保坂展人君。

保坂(展)委員 社民党の保坂展人です。

 きょうは、民主党の提案者にまず伺っていきたいと思います。

 先ほどの答弁、石井委員のと、ちょっと問題意識が重なったところがございますので、そこは、ダブっているところは少し簡略にしていただいてお答えいただきたいんですが、教員免許更新制がアメリカのすべての州ではなくて幾つかの州で実施をされていて、そのアメリカの研修、更新の制度自体が、教員のレベルの問題であるとか、日本のように研修をずっといろいろな機会でやっている国と大分違うという事情、それからカナダのオンタリオ州などでまさにこの更新制が導入をされたけれども、はかばかしくなくて、一年後に撤回をされたというような事情を、民主党の提案をつくる際に参考にされたかについて伺います。

藤村議員 お答えします。

 海外の例を幾つか調べたのは事実でございます。そして、確かに海外で教員の免許更新制度がほとんどない、今おっしゃったアメリカの一部と、それからカナダ、オンタリオ州ではこれが失敗した例もあるということは承知しておりました。

 先ほどのお話で、私のやや個人的見解でもあるんですが、免許制度というものが、時代に即してそれなりにレベルアップしないといけない、一般論としては私はそのように思いますし、特に医師の免許などは、本当にこれは患者の側からいって切実な問題ではないか。ということと同様に、今度は生徒の側からいいまして、先生がちゃんと新しいものを導入していただきたい。大学でよく毎年同じノートを読む先生がいて、本当にそれでいいんだろうかという考え方が私個人的にはございました。そういうことから、更新制度というふうに直接私どもは言っておりませんが、十年講習修了認定、こういうことであります。

 さらに、政府案と違うところ、先ほどもちょっと述べましたが、我々、十年講習修了認定の趣旨は、むしろ、その機にひとつ、できるだけさらに専門免許の取得に向けて政策的誘導をしたい。我々の方の専門免許というのは、これはその後においては更新講習はございませんので、そこへ誘導したいということもございます。もちろん、しかし十年で専門免許を取らずに一般免許でいく、その方はまた二十年目には講習修了認定していただく、こういう考え方でございます。

保坂(展)委員 続けて民主党の提案者にお願いしたいんですが、私、この免許更新制の中で、ペーパーティーチャーの問題を伊吹大臣にも何度かお尋ねをしてきました。その趣旨は、現在四百万人を超える方が教員免許を持っていて、いつかはと思っているのか、あるいは機会があればと思っていらっしゃるのかわかりませんが、友人にも何人もそういう方は当然いまして、嫌な感じがすると。つまり、今の持っている免許が凍結されるのか、無効になるのか、失効するのか、とりあえず通用しなくなるのは事実なんですね。

 これは、政府案では内定がないととりあえず受講ができない。内定がないとということは、まさに今事業をやっている方とか会社員とかいうのは無理なわけですね。

 この点については、民主党はどういう考え方を持っているんでしょうか。

藤村議員 私も、正直に申しまして、政府案の、免許の有効期限を十年とするという項目については、えっとちょっと思ったんですね。有効期限があるということは失効するわけですよね。ですから、ペーパーティーチャーである人や、あるいは塾など、教員免許で、正式に教諭になる以外のまた教育活動をされている方もたくさんいますし、そういう方が履歴書を書くときに、資格の欄に、中学校教員免許、一種免許と書いて、(失効中)とかそういうふうに書くのか、あるいは期限が切れているとかそういうふうに書くのかということは、むしろさっきおっしゃった四百万、現職の教員百万に対して四百万の人たちに対しては、何かちょっと確かにそういう思いを共有しております。

 そこで、我々の方としては、十年で失効するということは少々乱暴だと考えております。違和感を感じております。民主党案では、免許自体に有効期限は設けておりません。学校の教壇に立つ場合にのみ、最新の知識を補充してから教壇に立ってほしいということにおいては、その際に、いわゆる十年講習と同内容の講習を受け、修了認定を受けていただく必要がある。

 それよりも何よりも、我々は、現場の先生が八年実務経験を経て、専門免許に上がっていただくということが、より、まさに政策的誘導でありまして、さらに、その他の、学校でない教育機関で教員関係の仕事をしている人についても、やはりその期間、八年たてば、今度は専門免許を取るための大学院に入ることもできるということで、そのことをつけ加えて御回答をさせていただきます。

保坂(展)委員 この点についてはやはりそういう配慮、とても必要だということを指摘しておきたいと思います。

 では続いて、政府についての質問に移りたいと思いますが、午後一番で田嶋委員からサッカーくじの話題が出たわけです。BIGの話題が非常に沸騰しまして、また当たりが出なかった、十五億に達しているので六億円の賞金が何本か出るということで、非常に話題が最近新聞等でもよく目につくようになりました。と同時に、システムダウンというようなことが起きているわけです。

 これは政府参考人に聞きますが、この日本ユニシスとの契約において、一体初期投資が幾らだったのか、ランニングコストはこれまで幾ら払っているのかということを答えられますか。

樋口政府参考人 お答え申し上げます。

 日本スポーツ振興センターと日本ユニシスの間におきます契約につきましては、初期投資に相当する百十三億円、内訳が、情報処理システムの開発業務経費が百五億円、経営管理業務が八億円の、合わせて百十三億円でございます。それと、十八年度に入りまして、システム改修費、特に今回の、新型BIGのくじのシステム改修のための経費十一億円を合算いたしました百二十四億円が初期投資に使われたわけでございます。これは、第二期計画の七年間にわたりまして、平成二十四年までの七年間で分割払いをすることになっておるわけであります。

 このほか、毎年度、経営管理業務及び情報処理システム運用の経費として見込まれる経常的な経費がございまして、十八年度実績では、この経常的経費が年間二十六億円ほど要する見込みと考えているところでございます。

保坂(展)委員 この問題については、実は大臣も、これは議員立法だというふうにおっしゃっていますが、我が党も党内で議論沸騰しまして、いや、これはいいんだという先輩議員と、やはりこれはいかぬでしょうという我々若手と、議論が結局おさまりませんで、賛否分かれた。私は反対に回りました。そういう経過がございます。

 ですから、これが赤字を生んでいるということをずっと気にしてまいりました。去年の段階ですが、文部科学委員会で、四月に、一体ランニングコストはどのくらいかかるのかということについて、これは答弁では、約四十億円かかるのではないかということを、今年度につきましては調整中でございますが、初期投資も含みまして四十億円ということで見込まれています、こういうふうに答えられているんですね。

 実は、この質疑に当たって、最新の資料を欲しいということを求めてまいりました。一応、私の手元にあるのは、契約内容について、初期投資百十三億円というペーパーがあります。これは今の答弁によると、ちょっとプラスされて百二十億円台になっているということなんですが、先ほど田嶋委員が示された、これは予備的調査権に基づく日本ユニシスとの契約の内容を見ていきますと、これは合算すると幾らになりますか。どうも相当の金額になるように思うんですが。

 上から見ると、スポーツ振興投票実施に関する経営管理業務八億円台、情報システム開発運用管理業務百五億円台、それからその下に、機器、プログラム並びにサービス等の取引に関する契約三十六億円台、売買機器の導入サービス一億五千万円、最後に、情報処理システム運用管理業務に関する契約、これは六十六億八千九百万台、こう見えますが、これは全部足すと幾らになりますか。

樋口政府参考人 初期開発投資と経常的な経費を合わせますと、全体で二百十七億という数字になるわけでございます。

保坂(展)委員 大臣、私、前からずっとこの日本ユニシスとの契約について、これは議員立法でされています。そして、文科大臣が場合によってはとめるという権限まで参議院の修正でされたという経過ですよね。

 ですから、去年の段階で聞いて、百十三億円プラス大体四十億円でしょうかと。そして、官房長に、この審議が始まる前に、最新のものをくれ。最新の資料ということでもらっているのが、初期投資百十三億円で、ランニングコストは別と書いてあるんですが、今、二百十七億円。これは初めて聞く経費なんですね。

 その後半の三つ、これは具体的に何に使っているんですか。初期投資が百十三億円あるいは百二十億円ですか。ランニングコスト分で百億円近くかかっているんですか。それは毎年かかるんですか。一体どうなっているんでしょうか。国会に対する報告というのはそんなにいいかげんであっていいわけはないじゃないですか。

樋口政府参考人 先ほども申し上げました初期投資の経費は、経営管理業務の八億円と、それから情報システムの開発経費で百五億の、合わせて百十三億円でございますが、そのほかに、スポーツ振興投票の実施における機器とかプログラム、サービス等に関する保守の契約、あるいは売買機器の導入サービスの契約、あるいは運用管理業務に関する契約ということで、合わせまして百億をちょっと超える額が計上されておりまして、これは七年契約の中で毎年分割払いということになろうかと思っております。

保坂(展)委員 そうすると、大臣、私はきょうの質疑に当たって、このペーパーを見て、初期投資の額、それからランニングコストは幾らなのか、それで、今回みたいなシステムダウンが起きたときにどういう契約になっているのか、これは業者側が持つのか、それとも、またシステム増築という形で随意契約で継ぎ足ししていくのか。すごい重大なんですよ。

 だから、基礎の基礎の数字にこれだけ、一、二億違うという話じゃないですからね。どうですか。

伊吹国務大臣 参考人に少し落ちついて計算をさせて、数字をもう少しきちっと明確に、意見を述べさせますが、初期投資は、御承知のようにtotoの勘定で出てくる収益でこれは償却していかなければならないわけですね。ですから、民間企業でいえば設備投資の減価償却に当たるものなんですよ。ですから、これは今申しましたように、七年とか十年とかで分割をしていく。

 問題は、その売り上げから毎年毎年の経費、ランニングコストと言われるもの、これを差し引いたものの三分の二、収益の三分の二をスポーツ団体へ寄附しなければならないんですよ、三分の一を国庫納付していくという仕組みになっているわけですから、その前提として、初度投資の償却を幾らずつとっていくかということによってこの数字は大きく違ってくる。ですから、もう少しきちっと整理した数字を説明させます。

保坂(展)委員 この質疑に先立って、このサッカーくじに関して、第二期、日本ユニシスと新たに契約したわけですよ、その契約書をぜひ出してくださいと。契約書には日付と金額があります。内容もわかります。そして、仕様書がついていれば、大体こういうことで運営されているんだということもわかります。ですから、それを出してくださいと言ったら、文科省の答えは、いや、お出しできないというのが答えだ。先生に渡している、私に渡しているものがすべてである、こういう言い方です。

 これは文科大臣自身が、法の三十条二項に基づいて、大変、透明性、公平性に十分留意している運営で適正であった、こういう意見を国会に対して出されているんですね。ですから、こういった基礎の基礎のデータはぜひ出していただけませんか。大臣、どうですか。

伊吹国務大臣 これは日本ユニシスに対する商取引上の契約書ですから、こちらの判断だけで出すというわけにはやはりいかないと思います。

 しかし、内容について、きちっと主務大臣として内容を見て、そして、おかしなことが、おかしなことというか、なぜこういうことをしておかなかったんだろうなと実は私が思うことも、田嶋先生にお答えしたように幾つかあるんです。そういうことも含めて、結果的に国民の財産が減らないように目配りだけはさせていただきたいと思います。

保坂(展)委員 午後一番の質疑で、三十四億円をとりあえず勘定間で融通して処理をしたというお話でしたが、これはどの勘定間、つまり、別の勘定というのはどの勘定から引っ張ってきたんですか。

樋口政府参考人 一期計画の未払い委託料二百十六億円に対しまして、私ども、みずほ銀行を中心とするシンジケート団から百九十億をお借りしたわけでございますが、その残額相当額プラスアルファを、一般勘定、スポーツ振興基金から三十四億円、一般勘定からtoto勘定の方に融通をさせていただいて、今後の売り上げの中でこの三十四億円をお返しするということになっております。

 なお、先ほど契約書の問題がございましたが、大臣からお答え申し上げましたとおり、独立行政法人日本スポーツ振興センターにつきましては、独法の保有する情報の公開に関する法律がございます。法律の規定の中で、民民契約を結んでおります日本ユニシスとの関係では、公にすることによって当該法人または当該個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるという判断で、スポーツ振興センターとしては不開示と判断しているところでございます。

 また、先ほど私は二十六億円の話をいたしましたけれども、全体は百億円の随意契約、三本ございますけれども、これは、百四億円を向こう七年間でお支払いする、その十八年度の実績分は二十六億円であったという意味でございます。

保坂(展)委員 百九十億円をシンジケート団から借り入れているわけですね。そして、今言ったように、百億円は七年間で返す。

 一体、要するに返すべき総額は幾らなんですか。そういうことが全然わからないじゃないですか。契約書も出さないというだけじゃなくて、数字の基本すら全然出てこないんですよ。幾ら負債はあるんですか。返すべきお金は幾らなんですか。

樋口政府参考人 お答え申し上げます。

 第一期計画による債務、欠損金が、十七年度末の決算では二百九十億円ございました。十八年度はまだ決算が締まっておりませんが、最終的には二百六十四億円程度の欠損が生ずるという見通しでございます。

保坂(展)委員 最後にこの件についてもう一度聞きますけれども、これは国会の議論もいろいろあったんですね、見直すべきじゃないかと。池坊さんも、議員立法当時に、これはギャンブルじゃないかということで当時の町村文部大臣に迫りましたけれども。いろいろな議員それぞれの価値観をぶつけて議論した法律ですから、行く末がすごく気になるわけですね。そのまま、今まで投じた額をスポーツ振興に充てればよかったんじゃないかという意見も相当ありますよ、私なんか。

 ですから、これは今は大変話題になっています、六億円ですからね。その夢を求めて多くの人が来ていますが、しかし、これが一過性のものに過ぎてしまった場合に、途中でやめると違約金を日本ユニシスに全部払わなきゃいけない契約になっていませんか。そういう契約書も出さないというので、結局、最終的に最悪のことも考えて動かなければいけないというのが経営の常道でしょう、というときに、そういうことについてもしっかり明らかにしてほしい。

 これは、やめた場合にどういう契約になっていますか。違約金はどのくらいになりますか。例えば、今年度末で、仮にですよ、仮に中止というふうにしたとすると、業者に対して幾ら払うんですか。

樋口政府参考人 お答え申し上げます。

 仮に年度途中で契約解除となった場合の支払い額でございますが、このお尋ねについては、私どもとしては、かかる事態が生じないように、くじ事業の売り上げ向上に努めていきたいと考えているところでございますが、仮に契約解除という事態を想定いたしますと、実際には相手方との協議になるため、現時点ではその額の詳細は不明ではございますが、初期投資分の未払い額が、これは向こう七年間ということでございますので、この時点でやめるとすると、その初期投資分の未払い額が生ずるわけであります。その額と、それから各年度の運営費の中途解約の違約金というものが求められるわけでございまして、それらを合わせるとおおむね百十億円ほどになるのではないかというふうに試算をいたしております。

保坂(展)委員 大臣、この種の契約の詰めの甘さというのは各官庁あるんですけれども、例えば今回のシステムのふぐあい、これはどちらの責任なのか、契約上しっかり明記されていなければいけないはずですよね。そういうことについてやはりしっかり情報を出してほしい。これが最終的にアウトになった場合大変なことですから、その点について我々が注意喚起したり指摘する材料がないという状態です。それは改善していただきたい。

伊吹国務大臣 まず、今政府参考人が答えました違約金云々というのは、やはり私はお役人の感覚で答えていると思うんですよ。

 民間企業を再生する場合は、当該ユニシスにそれだけの資金を投入してつくらせたノウハウ、資産があるわけですから、その資産をいかに高く、もし解約するというのなら、だれかに売らせてこの事業を継承させるというのが企業再生の根本なんですよ。だから、万一やる場合はそういうことをやはり考えて、一概に百何億だとかどうだとかという話には、私は経営感覚を持ってやればならないとは思いますがね。

 そして、もう一方で、今先生がおっしゃったことについてどこまで開示できるかどうかというのは、やはりこれは相手のあることですから、先ほど政府参考人が申しました独法の法律というものも尊重していかねばなりませんから、まず私が、後講釈的に先人のやったことをいろいろ批判するのはいけないと思いますけれども、できるだけ私の立場で目を配って、国民の財産が減らないようにしたいと思います。

保坂(展)委員 今回の学校教育法には、先ほどの話にもありましたが、「規範意識、」という言葉が盛り込まれていますね。「公正な判断力並びに公共の精神に基づき主体的に社会の形成に参画」する、こういうことですけれども、私が常に伊吹大臣に問いかけてきているのは、教員免許更新制のシステム設計をするのも文部科学省ですね。相当失敗をしてしまった、今もなお危険が、可能性もあるけれども、同時にリスクもある、こういうくじの事業を天下ってやっているのも元文部科学省の幹部ですね。

 その資質を問うという部分というのがやはりしっかりないと、これはバランスがとれないのではないかということを申し上げたいんですね。その点はいかがですか。

伊吹国務大臣 まず、これはやはり先生に問いかけられるまでもなく、当然、責任を持って仕事をしている人間は、国民の財産を預かっているわけですから、今までのところは税金は一銭も使っていないですよ。借入金でやっているからこういう問題が起こっているわけです。税金でやる場合は、これは完全に財務省主計局の査定が入りますから。だから、そういう意味では、私はやはり借入金というものに安易に、つまり、国債発行に頼りながら財政支出をふやしたのと同じような感覚でやっているわけですから、やや、やはり私は甘いなという気はします。

 だから、先生が御指摘になっている使命感を持って私はもう少しチェックを、今までずっといろいろやってきているわけですが、相手のあることですのですべてをここで申し上げるわけにはいかないんですけれども、御指摘のことはよく踏まえさせていただきます。

保坂(展)委員 今、きょうは穏やかにやっていますけれども、百十三億円という初期投資とずっと聞いていて、この紙しかありませんと言っていて、先ほど党首討論の間にちょっと電卓で計算をしてみたら、大分違うじゃないか。これはやはり困るんですね。

 官房長官に来ていただいていますので、一問。前回、親学について、仕切り直しをされたらどうかということで議論をさせていただきました。

 何か報道によると、提言、緊急アピールを出すのはやめられた、一部は報告に入れ、一部は、どうするんですかね、積み残すんでしょうか。これはどういうふうになったのか。よろしいでしょうか。

塩崎国務大臣 もともと分科会は三つありまして、二つ目の分科会が、規範意識とか家族とか地域教育とか、こういうものの再生について議論をしているわけで、その中にいろいろなテーマがかかって、その中でいろいろな話が出る中で、家庭での教育の中の親としての役割はどうなのかという話がたくさん出て、いろいろな議論が行われたと聞いています。

 その中で、アピールを出したらどうだという意見もあったようでありますが、それについてはそういう意見があったということで、引き続いて家庭あるいは地域の教育再生をどうするんだということについて議論を深めて、第二次の報告、今月末に多分出てくるんだろうと思いますが、その中に政策提言として何が言えるのかということをまだ引き続き議論しているというふうに聞いております。

保坂(展)委員 残り時間わずかですが、初中局長に伺います。

 教育基本法の議論のときから、いじめ自殺について随分議論しました。何度もこれはやりとりをしていますが、そこのポイントとして、警察庁が把握している児童生徒の学校問題における自殺者の数と、文科省の統計の母数がそもそも違うじゃないかということでした。

 これについて、昨年、我が党が指摘をいたしまして、警察庁と文科省の間でデータ共有、突合を始めるというふうに答弁を受けていますが、現状はどうなっていますか。

銭谷政府参考人 昨年来、子供の自殺の調査について、文部科学省の調査が実態を正確に把握していないのではないかという御指摘をいろいろいただいております。それで、ことし、調査の見直しをまず行っております。

 その中では、調査対象に国立、私立を加えるということ。それから、死亡した児童生徒数全体を死亡理由ごとに調査し、その中で自殺した児童生徒数を把握する、そして自殺した児童生徒数を学年別にも調査する。それから三点目として、従来は自殺の主たる理由を一つ選択するということでございましたけれども、その方法を見直して、自殺した児童生徒が置かれていた状況を複数選択する方法に改めるということにいたしました。

 その上で、警察庁が行っている調査との連携を図るということといたしまして、文部科学省の調査と警察庁の調査について、警察庁から、各都道府県別に集計をした数字の提供を受けまして、各都道府県教委で把握、集計した、つまり文部科学省が把握をしている都道府県別の数字と照らし合わせるということをやりますということで、十八年度分について今それぞれ集計中でございますけれども、十八年度分についてそういうことで数字の照らし合わせをやるということで今準備をしているところでございます。

保坂(展)委員 お子さんが亡くなるというのは本当に大変なことですけれども、何が起こっているのかをまず私たちが知って、文科省も知って、その上でどうするかという前提だと思うので、早くその作業を進めていただきたいと思います。

 終わります。

保利委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時三十七分散会


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