衆議院

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第13号 平成21年4月9日(木曜日)

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平成二十一年四月九日(木曜日)

    午前九時三分開議

 出席委員

   委員長 船田  元君

   理事 大野 松茂君 理事 岡下 信子君

   理事 岸田 文雄君 理事 七条  明君

   理事 やまぎわ大志郎君 理事 仙谷 由人君

   理事 園田 康博君 理事 大口 善徳君

      井澤 京子君    遠藤 宣彦君

      近江屋信広君    大塚 高司君

      鍵田忠兵衛君    亀井善太郎君

      北村 茂男君    小島 敏男君

      佐藤  錬君    平  将明君

      玉沢徳一郎君    土屋 正忠君

      とかしきなおみ君    土井 真樹君

      永岡 桂子君    並木 正芳君

      西本 勝子君    宮腰 光寛君

      矢野 隆司君    泉  健太君

      枝野 幸男君    小川 淳也君

      小宮山洋子君    階   猛君

      田島 一成君    田名部匡代君

      田端 正広君    桝屋 敬悟君

      吉井 英勝君    日森 文尋君

      糸川 正晃君

    …………………………………

   議員           枝野 幸男君

   議員           小宮山洋子君

   議員           階   猛君

   国務大臣

   (金融担当)       与謝野 馨君

   国務大臣

   (消費者行政推進担当)  野田 聖子君

   内閣府副大臣       増原 義剛君

   内閣府大臣政務官     並木 正芳君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  福富 光彦君

   政府参考人

   (内閣官房消費者行政一元化準備室長)       松山 健士君

   政府参考人

   (内閣府国民生活局長)  田中 孝文君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局長)  内藤 純一君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局総括審議官)          大藤 俊行君

   政府参考人

   (金融庁監督局長)    三國谷勝範君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 石川 和秀君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬食品局食品安全部長)       石塚 正敏君

   衆議院調査局消費者問題に関する特別調査室長    島貫 孝敏君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 消費者庁設置法案(内閣提出、第百七十回国会閣法第一号)

 消費者庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案(内閣提出、第百七十回国会閣法第二号)

 消費者安全法案(内閣提出、第百七十回国会閣法第三号)

 消費者権利院法案(枝野幸男君外二名提出、衆法第八号)

 消費者団体訴訟法案(小宮山洋子君外二名提出、衆法第九号)


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     ――――◇―――――

船田委員長 これより会議を開きます。

 第百七十回国会、内閣提出、消費者庁設置法案、消費者庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案及び消費者安全法案並びに枝野幸男君外二名提出、消費者権利院法案及び小宮山洋子君外二名提出、消費者団体訴訟法案の各案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官福富光彦君、内閣官房消費者行政一元化準備室長松山健士君、内閣府国民生活局長田中孝文君、金融庁総務企画局長内藤純一君、金融庁総務企画局総括審議官大藤俊行君、金融庁監督局長三國谷勝範君、外務省大臣官房審議官石川和秀君、厚生労働省医薬食品局食品安全部長石塚正敏君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

船田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

船田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小島敏男君。

小島委員 おはようございます。自由民主党の小島敏男です。

 与えられた時間、質問させていただきますけれども、よろしくお願いいたします。

 本委員会が連日のように開催をされているわけでありますけれども、政府案、民主党案の対案が非常に皆さんの議論で深掘りをされているということ、本当に私もよかったなと思っています。

 そこで、時間をかけての議論というのも大切なわけでありますけれども、助さん、格さん、もうそろそろいいでしょうというあれがありますけれども、時間をかけてきたんですから、着地点を見出すときに来ているのかなという感じがいたしますので、ぜひその辺も理事の皆さん方にお願いをしたいと思っています。

 きのうの質疑の中で、枝野議員、こちらにおりますけれども、枝野議員が、野田大臣の隣に座っている方に非常に太っ腹大臣だ、太っ腹大臣だという話をしていましたよね。そのときに、私は野田大臣の顔を見ていたんですよ。自分のあれが全然出てこないので不安そうな顔をしていましたけれども、女性に太っ腹大臣と言うのは失礼なんだということで枝野先生は言わなかったんじゃないかと思うんですけれども、ぜひ野田大臣は……(発言する者あり)肝っ玉大臣ね、いいですね。野田大臣は、もう皆さんが御承知のように、今度の選挙等におきましてもツーショットの写真要請というのが非常に多いし、ともかく将来の総理大臣だということもうわさされておる方ですので、ぜひこれからも頑張っていただきたいと思います。きょうも隣にまた太っ腹大臣がいますけれども、これからも頑張っていただきたいと思います。

 そこで、消費の関係で、消費者を守る初めての消費者庁ということですけれども、これは歴史的に見て非常に大きい意義があると思うんですよ、これになりたくたってなれませんから。初めて消費者庁というのができるので、しかも全国の消費者の皆さん方はこれにうんと期待していますから、ぜひ、先ほどのお話ではありませんけれども、肝っ玉大臣としてこれから思い切ってやっていただきたいと思っています。

 そこで、質疑に入るわけでありますけれども、ちょうどこの審議が始まったときの新聞をずっと掘り起こしてみたんですよ。そのときにどういう社説、論説があるのかというと、消費者行政、とにかく一歩踏み出せ。それから、消費者庁法案、成立せずが一番不幸である。それから、自民、民主、一本化努力を。それから、消費者庁審議入り、今こそ前向きな議論を。粘り強く着地点を探れ。消費者行政、前に出なければ始まらぬ。ようやく審議が始まったが。再度の先送り避けたい。こういうことなんです。

 この論説の中で、私は、見ていて非常にいいなと思ったのは、こういう文章が書いてあります。国民が安心して日常生活を送ることができるようにする立法措置である以上、対決法案となることは避けるべきだ、ここは、双方ともメンツを捨てて、国民の視点で真摯に法案の一本化に向けて努力してもらいたい、小さく産んだ法律であっても、大きく育てるのがまさに政治の責任である、ひたすら対決色を強め、結果的に両法案とも廃案になるような事態だけは避けてもらいたい、こういう論説が書いてあるんですね。これは何を意味するかというと、やはり多くの消費者が待ち望んでいる法案だからであると私は思うんです。

 そこで、きょうは与謝野大臣も来ておりますけれども、まず最初に、少し中国の冷凍ギョーザ事件についてお伺いをしたいと思います。

 我が国は、もう御承知のように、食料自給率はエネルギーベースで四〇%ということでありますので、先進国ではまれに見る食料の自給率の低さだと私は思います。島国であるがために、一億二千六百万の人口を生活させるために多くの食料を海外に依存していることはもう御承知のとおりでございます。それだけに、食の安全、安心は重要な課題であり、したがって、冷凍ギョーザ事件は大変衝撃的なニュースでありまして、不信、不安の状況下で買い物をしていたニュース画面がテレビで大きく映し出されたところでございます。

 しかし、時の流れとともに、のど元過ぎれば熱さを忘れるということわざのように、最近ではほとんど、マスコミで取り上げられることが少なくなってまいりました。平常時に戻ったことと単に思うのでなく、その事件の教訓を今こそ生かすべきであります。

 四月二日の新聞報道によると、中国の公安当局が、ギョーザ事件に対して、段ボール箱の外から毒が注入されたのではないかと実験しているようなニュースが載っていました。事実関係はどうなのか、また現在の中国ギョーザ事件の進捗状況、このことについてお伺いをしたいと思います。

石川政府参考人 お答え申し上げます。

 段ボール箱から毒物注入の試験を行っているという報道でございますけれども、外務省としましても、報道を受けまして、直ちに中国当局に照会をいたしましたところでございます。当局の方からは、そのような事実はない、そういう回答を得たところでございます。

 それからまた、御指摘の中国に対する働きかけでございますけれども、累次にわたり働きかけをしております。最近におきましては、ほぼ毎月のように日中首脳会談あるいは日中外相会談が行われております。

 一番最近の例で申し上げますと、先日のロンドンでの金融・世界経済に関する首脳会議、この際に日中首脳会談が行われております。この際、麻生総理の方から、ギョーザ問題が未解決のままであることは遺憾である、それから、早期真相究明を求める、こういう申し入れを行ったところでございます。胡錦濤国家主席からは、真剣な捜査を継続しているという回答があったところでございます。

 いずれにしても、既にもう一年以上たっておるところでございまして、私ども大変心配をしておりますので、引き続き外交努力を倍加していきたい、このように考えております。

小島委員 ありがとうございました。

 突然の事件ですから、関係省庁がそれぞれ発表したということで、警察もそれから厚生労働省も外務省も、ばらばらの発表なんですよね。ですから、そういう縦割りの弊害があったように思われるわけですけれども、その後の対応はしっかりできているのか、また消費者庁が成立をした場合にはどのように対応するのか、これは大臣にお伺いします。

野田国務大臣 おはようございます。よろしくお願いします。

 中国製冷凍ギョーザの事案につきましては、昨年の一月の事案が発覚して以来、政府一体となって、被害拡大の防止、原因究明、再発防止策の検討、実施に取り組んできたところであります。

 発覚した翌日、一月三十一日ですけれども、食品による薬物中毒事案に関する関係閣僚会議におきまして、政府一体となって被害拡大の防止等に取り組むことを申し合わせ、さらにその後、食品による薬物中毒事案の再発防止策について、原因究明を待たずとも実施すべき再発防止策を申し合わせ、輸入食品の検査体制充実等を実施したところであります。

 また、この申し合わせの中で、食品事故発生時における緊急時の速報体制構築等のために、食品危害情報総括官制度を創設しました。さらに、昨年の九月には、それを製品や施設まで対象を拡大しまして、消費者安全情報総括官制度というふうに変え、その後発生した消費者事故に対しては迅速に対応を行ってきたところです。

 また、さらに最近では、輸入食品に係る消費者事故、事案がその後続発しましたので、消費者の食の安全性に対する懸念が大変高まったことから、昨年の十一月六日に、消費者安全情報総括官会議において、輸入食品等の安全、安心の確保策について申し合わせを行いました。

 現在、これに基づきまして、まず、検疫所における人員の拡充や検査機器の整備をします。在外公館への食の安全担当官の設置、また輸入食品の流通実態の把握のための緊急調査などを推進しているところであります。

 いずれにしましても、政府一体となって、議員御指摘のように、消費者の安全、安心の確保に向けて適切にこれからも頑張ってまいりたいと思います。

 続きまして、消費者庁が創設されたらどういう対応になるかということなんですけれども、消費者庁は、仮に冷凍ギョーザ事件と同じような問題が発生した場合、消費者の安全、安心を確保するために、政府一体となった迅速な対応を行うに当たり、中核的な、中心的な役割を担うことになります。

 具体的には、新しい法律であります、今御審議いただいている消費者安全法に基づきまして、重大事故等に関する情報として、情報の一元的集約ルートをたどって事故情報が地方公共団体などから消費者庁に直ちに、ばらばらでなく直ちに消費者庁に届けられることになります。消費者庁は、その情報を集約、分析し、消費者にわかりやすい形で速やかに公表し、消費者に対して注意喚起をいたします。

 また、消費者政策担当大臣の指示のもと、緊急対策本部を開催することなどにより、厚生労働省、農林水産省、警察庁、さらには外務省等の関係各省庁間で緊密な連携協力を図り、当該省庁に対して、業者に対する自主回収要請を含めた行政指導、所管する法律に基づきとり得る行政処分及び外交ルートを通じた情報収集を含めた迅速な対処を促すこととなります。さらに、必要な場合には、関係大臣に対し、所管する法律に基づきとり得る行政処分等を行うよう措置要求を行うわけです。

 こうした対応によりまして、消費者行政の指令塔として、政府全体の調整を速やかに行わせていただくことになります。

小島委員 大変細かく説明をしていただいたわけでありますけれども、次の質問の分まで全部説明してもらったので、それは少し省きます。

 日本が島国であるということ、それから水際で何とかしなきゃいけないということで、検疫の体制もしっかりしてほしいということを要望しようと思ったんですけれども、その辺についても全部御説明をいただきました。

 野党の皆さんの話を聞いていますと、内閣から独立したものにすると。だから、できるのかできないのかというのが問題なわけですよ。それが大変に疑問に思っているわけです。だから、話を聞いていて、我々もやはり、野党の方が話していると、はあ、そういうことがあるのかなと思っちゃうんですけれども、大臣はまたそれに対する答弁で、私に任せてくれ、しっかりやりますというような答弁をされているので、私は野田大臣を信じます。新しい組織ができるわけでありますから、一番出だしが肝心なわけで、その出だしで批判を浴びるようなことがないように頑張っていただきたいと思います。

 輸入する場合の仲介業者、いわゆる商社ですね、この方々が、そういう冷凍ギョーザでも何でもそうなんですけれども、国とこっちの輸入元とそれから工場という形で、一番最初の商社というのは世界にネットワークを持っていますから、その方々が一番、世界じゅうに駐在員もいますし、関係が深いわけですね。ですから、許可をするかしないかという、役所の人は書類で全部、ペーパーで判断する権限を持っているわけですけれども、やはり商社の関係の方々にもう少し近寄って情報収集するなりしないと、またまた同じような事件が起きるのではないかと私は思っています。

 それで、商社の方は命がけで日本の国のためにやっているわけでありますから、いずれにしても、会社に対して利益を上げなきゃならないということですから、本当に物すごい努力をされていると思うんです。それだけに、労賃が安くて品物が安くできれば、日本が輸入すればこれだけもうかるんだという金銭至上主義でいくと、今度は、食品というのはみんな口へ入るものですから、衛生管理だとか、衛生的にどうなのかということをちゃんと考えていないと、またまた汚染米の話だとかそれから中国から入ってきたときに大騒ぎしたホウレンソウ、ネギ、こういう問題が起きるわけですよ。

 ですから、私としては、そういう輸入業者、いわゆる商社との話し合いの場面というのはあるのかどうかということをお聞きしたいわけであります。

 「消費者安全情報総括官会議申合せ」というのがありまして、恐らくこれは冷凍ギョーザのあたりから出てきたと思うんですけれども、この中にもやはり商社、業者の関係については載っておりますので、この辺のことについて、わかる範囲で結構ですから、お知らせをいただければありがたいと思っています。

石塚政府参考人 輸入者に対する衛生管理の指導状況についてお答え申し上げます。

 食品安全基本法の規定に基づきまして、食品の安全性の確保に関する一義的な責任が事業者にあるとされているとおり、輸入者による自主的な衛生管理が極めて重要であると認識しております。

 厚生労働省におきましては、従来より、毎年度策定します輸入食品監視指導計画に食品の種類ごとの安全性の確認に必要な事項を示しまして、検疫所等を通じて、輸入者に対し、自主的な衛生管理を指導してまいったところでございます。

 いわゆるギョーザ事件の再発防止措置の一環としまして、昨年六月、輸入加工食品の自主管理に関する指針、いわゆるガイドラインというものを取りまとめまして、製造、加工段階におけます安全性の確保に必要な事項を詳細かつ具体的に示しまして、検疫所による説明会や個別の指導を通じまして輸入者に対する周知を図っているところでございます。

 なお、厚生労働省自体におきましても、国の内外における食品供給行政の各段階における食品の安全性の確保という理念に基づきまして、まずは輸出国段階、それから輸入時の水際段階、それから国内流通段階の三段階で総合的な対策を講じているところでございます。このうち、輸出国段階の対策としましては、過去三年間に、十一カ国一地域を対象として二十二回の現地調査を行いまして、輸出国政府等に対し、必要な改善措置を講じるよう要請してきたところでございます。

 また、平成二十一年度からは、主要輸出国の衛生対策の調査及び評価を進めるということにしておりまして、この中で、御指摘ございましたように、輸出国にかなりの業者あるいは商社といった方々も派遣されておりますが、そういう方々との情報交換、また、業者としての適切な輸入のあり方ということについての情報交換を行うことにしております。

小島委員 ありがとうございました。大体わかりました。

 厚生労働省も前向きにこれから対応したいということでありますので、世界じゅうから日本は食料が入っているということを頭に入れて、後でまた問題が起きるということがないように、水際作戦も大事だけれども、やはり現地調査をしながら衛生面も気をつけたいという姿勢に、私は評価をしたいと思っています。

 与謝野大臣、お待たせをいたしました。きょうは金融大臣をお呼びしてということでありますので、与謝野大臣の方に少し質問をさせていただきたいと思います。

 金融というのは、消費者にも最も身近な問題であります。全国の消費者相談窓口の相談件数を見ると、金融分野で全体の約二割弱を占めておりまして、トラブルが発生しております。この金融分野で、他の分野と比較しても大規模な消費者被害として、保険金の不払いや多重債務問題などといったものが発生をしております。

 このような状況のもと、例えば多重債務問題への対応として、貸付金利の引き下げや貸金業法の改正が行われており、グレーゾーン金利の過払い金の返還によって貸金業者の経営が厳しくなっているといった報道も目にするところでございます。

 消費者の利益を擁護、増進するための消費者庁が設置されることについて金融庁はどう受けとめておられるのか、与謝野金融大臣からお聞かせをいただきたいと思います。

与謝野国務大臣 基本的には、金融庁は今後、国会で御承認をいただいた後、仮に消費者庁が設立の運びになりましたら、消費者庁と連携して、これまで以上に金融分野における利用者の保護に努めてまいりたいと思っております。

 金融庁のもともとの仕事は、金融システムの安定や、透明で公正で活力のある市場の確立、並びに利用者保護、利用者利便の向上、この三つを行政目的として掲げております。分野は違いますけれども、消費者庁と緊密な連携をとって、消費者あるいは預金者、投資家の保護に努めてまいりたいと思っております。

小島委員 ありがとうございました。

 金融分野につきましては、金融庁に消費者問題に対して司令塔的な立場となる消費者庁も加わるわけでありますけれども、両庁でしっかり連携して、金融分野の消費者被害に対して対応していく必要があると思っています。

 金融分野でいえば、貸金業法、金融商品販売法、出資法の三本の個別法が消費者庁が新たに共管となるわけであります。消費者庁としては、金融分野の消費者被害に対してどのように対応していくのか、野田大臣にお聞きをいたします。

野田国務大臣 消費者庁は、金融分野の消費者被害に対しても、消費生活センター等から収集した情報を集約、分析し、そういう情報を消費者にわかりやすい形で公表し、また、消費者に対して注意喚起を行うことにより、被害の未然防止、拡大防止に努めることになります。

 今先生からお話ありました個別法につきましてそれぞれ対応について申し上げますと、まず貸金業法につきましては、書面交付義務、過剰貸し付け等の禁止、利息等の制限等の行為規制について企画立案を金融庁と共同で行うとともに、貸金業者に対する処分に関して意見を述べることなどにより、適切な契約を確保し、過剰な貸し付け、不適切な取り立てが行われないように取り組んでまいります。

 金融商品販売法につきましては、幅広い金融商品の販売について、重要事項の説明義務、断定的判断の提供等の禁止と、それに伴う損害賠償責任について定めております。同法の企画立案を金融庁と共同で行い、同法に基づく対応を消費生活センターに助言することなどにより、消費者が正しい情報に基づいて取引を行うことができるよう取り組んでまいります。

 出資法につきましては、不特定かつ多数の者からの出資預かり金を禁止しております。消費者被害の多い利殖商法等の悪徳商法に対しまして適用することができるわけです。消費者庁は、同法の企画立案を金融庁、法務省と共同で行い、取り締まりについて警察と連携してまいります。

 この他、個別法として所管しない分野があるわけですが、これにつきましても消費者庁は、金融庁に情報提供を行い、所管する法律に基づく監督上の迅速な対応を促します。さらに、必要な場合には、消費者安全法に基づき、金融関連業法の主務大臣に対し、所管する法律に基づく行政処分を行うよう措置要求を行うことになります。

小島委員 次に、金融分野の消費者被害のうち多重債務問題について、もう少し詳しくお聞きしたいと思います。

 全国の消費者相談窓口への相談件数をさらに細かく見ると、金融分野の中でもサラ金、フリーローン関係の相談は非常に大きな割合を占めております。その内容としては、複数の貸金業者からお金を借りて、多重債務状態になって返済ができなくなってしまった状態、それから、貸金業者の金利が高いのではないか、取り立てが厳しい、そういう相談が多いようであります。

 多重債務問題は、新聞等でいろいろ出ますけれども、これは、取り立てが厳しくて命を絶ったという事例もありますし、非常に大きな問題だと思うんです。現在は大変に減少してきたというんですけれども、かつては多重債務者の数は約二百万人とも言われていましたように、苦しんでいる方々の数の多さから見ても、非常に大きな消費者問題であります。

 この多重債務問題に対して、政府では多重債務者対策本部が設置され、さまざまな取り組みが行われているようでありますけれども、これまでにどのような取り組みを行われてきたのか、多重債務者対策本部の本部長でもある与謝野金融大臣にお聞きをしたいと思います。

与謝野国務大臣 多重債務問題の解決のためには、改正貸金業法の円滑な施行を図るとともに、多重債務者の支援を効果的に実施していくことが重要であると考えております。

 このため、政府の多重債務者対策本部において多重債務問題改善プログラムを決定し、第一には相談窓口の整備、強化、第二にはセーフティーネット貸し付けの提供、第三は金融経済教育の強化、第四はやみ金の撲滅に向けた取り締まりの強化、これらの施策を進めているところでございます。

 このような取り組みについては、多重債務者対策本部のもとに置かれている有識者会議におけるフォローアップがなされているところでございまして、今後とも、このようなフォローアップを含めまして、関係省庁、自治体及び民間関係団体との間で連携をして、多重債務問題改善プログラムを確実に実施していくことが重要であると思っております。

小島委員 ありがとうございました。

 多重債務問題については、今後も引き続き政府全体で取り組んでいく必要がある問題でありますけれども、さらに、消費者庁関連法案が成立した場合、これまでの枠組みに消費者庁が新たに加わることになります。消費者庁は、消費者の視点から多重債務問題についてしっかりと対応していく必要があります。

 消費者庁として、多重債務問題についてどのように対応していくか、野田大臣の見解をお聞かせください。

野田国務大臣 今与謝野大臣が御説明されたこれらの取り組みをより一層推進していくことが大変必要でございまして、消費者庁としましては、先ほど申し上げました貸金業法に関する取り組みに加えて、消費者被害の情報を一元的に集約、分析し、支援を必要とする方により手が届くように、国民生活センターや消費生活センターと連携した多重債務相談の窓口の一層の整備、多重債務者支援のための広報の強化、さらには消費者教育の促進等の施策を進めていくこととなってまいります。

小島委員 ありがとうございました。

 この多重債務問題も含めまして、今後、金融分野の消費者被害に対して、消費者庁、金融庁ともに、それぞれの専門性、知見を十分に発揮して、連携しつつ消費者保護に取り組んでいただきたいと思っています。

 消費者の問題というのは全国民が対象ですから、はっきり言って。それで、私が最初に言ったように、この幅広の消費者の問題を救う道がなくてそれぞれが対応してきたということなんですけれども、消費者庁ができることによって一元化されるということであります。さまざまな御意見があって、長い議論がここに続いているわけでありますけれども、ぜひ一日も早く消費者庁を設立させて、国民の不安を解消させる、また、国民のお手伝いをしていくという組織にしていただきたい。

 そのためには、野田大臣がしっかりとした信念を持って、初代の消費者庁長官として、これは本当に名が残るわけでありますから、もう決まったようなことを言っちゃうとすぐ怒られますから、もし組織ができましたら、担当大臣ですね、失礼いたしました。消費者庁ができて担当大臣として名前が残るわけでありますので、その辺は十分に自覚と責任と誇りを持って進められるように、ぜひ、これからの野党との話し合いも円満にいって、一日も早い成案ができますように心からお祈り申し上げ、我々も努力することをお誓い申し上げて、質問を終わります。

 本日は、まことにありがとうございました。

船田委員長 次に、田端正広君。

田端委員 公明党の田端でございます。

 野田大臣、連日、大変御苦労さまでございます。また、民主党の提案者の先生方も大変にお疲れさまでございます。

 けさ、私の事務所に連絡がありまして、きょうの新聞報道を見て喜んだ、安心した、こういう声が二、三寄せられました。(発言する者あり)仙谷先生の名前が出ておりますが。そういう意味では、国民世論の高まり、そして期待、そういう流れが今こういう大詰めのところに来ているのかなという思いもしているわけでございまして、ぜひ、今後筆頭間でしっかりと御協議いただいて、いい成案をつくり上げていただきたい、こんな思いでいっぱいでございます。

 この前、三月三十一日でしたか、私、この場で枝野先生にお伺いしましたけれども、枝野先生から、あのときに、「結党以来、消費者を代弁するというか、消費者の利益を守る行政機関の必要性というものを求めてきた立場でございますので、できるだけ早く、幅広い合意に基づいて、そうした行政システムができることを強く望んでおります。」こういうお話でもあり、そしてまた、「与党の皆さんからの質疑等を踏まえて、改めるべきところがあれば柔軟に対応したいというふうに思っておりますし、」云々、こういうこともおっしゃっていただいておりましたので、ぜひ、ここから先は、率直に、国民の期待にどうこたえた行政システムをつくるかということで、関係の皆さん、よろしくお願いしたいと思いますし、我々もまたしっかりとサポートさせていただきたい、こういうふうに実感しております。

 さて、私は、消費者庁が設置、創設されて、一番大事なのは、国民との窓口、この接点のところが一番大事だというふうに前々からも言ってきたつもりでありますが、その点についてきょうは少し確認をさせていただきたいと思います。

 消費者庁があって国民生活センターがあって消費生活センターという、この三つの機関がいかに立体的に機能するか、ここが非常に大きな構図上のポイントだと思いますけれども、消費者庁と国民生活センターとの関係が今度どういうふうになっていくのか。

 特に、閣議決定されている消費者行政推進基本計画では、国民生活センターが中核的実施機関というふうに位置づけておられるわけでありますから、消費者庁設置後、国民生活センター、ここに情報が一元化されていくということになりますから、ここで情報の集約、分析そして公表等々、そういった意味では本当にここが大きな中核、中枢機関になろうと思います。さらに、地方を支援するとか、商品テストをするとか、相談員の質の向上の研修を行う等々、まだたくさんの課題をここが持っているわけでありますので、この国民生活センターが機能的にどう運用していくかということが非常に大事だと思います。

 まず、縦軸の、消費者庁、国民生活センター、消費生活センター、この核になっている国民生活センターをどういうふうに位置づけるのか、大臣から御答弁いただきたいと思います。

野田国務大臣 消費者庁創設とともに、地方の消費生活センターと国民生活センターを、だれもがアクセスしやすい、これはとても大事なことだと思います、一元的な消費者相談窓口と位置づけ、全国ネットワークを構築するということにしております。

 ちょっと法律に基づいてしっかり説明させていただきますと、消費者安全法の第四条におきまして、国は、国民生活センター、消費生活センター、警察、消防、保健所、病院、消費者団体その他の関係の緊密な連携が図られるように配慮する義務が規定されております。消費者安全法第九条におきましては、国民生活センターは、都道府県及び市町村に対して情報の提供その他の必要な援助を行うものとされています。さらに、十二条におきましては、国民生活センターの長は、重大事故等が発生した旨の情報を得たときには、直ちに内閣総理大臣に対し通知することとされているところです。

 これらを受けまして、国民生活センターは、これまで消費者行政における国の中核的機関として、消費者相談、相談員等を対象とした研修、商品テスト等を実施してきたところでありますけれども、今後は、地方消費者行政の支援を一層強化するため、今まである取り組みを拡充するとともに、国における緊急時の迅速な対応に資するよう、消費者等からの情報を収集するためのシステム整備を加速することといたしております。

 具体的には、地方消費者行政の支援として、消費生活相談専門家の巡回訪問、そして、消費生活相談員養成講座、商品テストの充実強化、PIO―NET端末の追加配備などとともに、消費者庁が司令塔としての機能を十分果たせるよう、PIO―NETの刷新、事故情報データバンクの創設などを行うこととしています。

 これによりまして、消費者、生活者が主役となる社会の実現に向け、国民生活センターを適切に、十二分に活用してまいりたいと思っております。

田端委員 大臣、大臣としてはそういうふうに御答弁されるしかないんだと思いますけれども、私も昨年、国民生活センターも拝見させていただきました。

 あそこは、私が見た限りでは、皆さん大変忙しくされています。しかし、消費相談窓口になっている方々等の待遇等もなかなかのものだというふうに思いますし、それから、非常に感じたのは、あのコンピューターシステムが、PIO―NETといいながら、もう二十年か三十年前の、古い、紙テープで出てくる、あれを見たときに私はちょっとショックを受けまして、これで中枢機関、司令塔という役割はできるんだろうか、こんな実感を持ちました。

 そういう意味では、この国民生活センターは、本当に司令塔が司令塔としての役割を果たせるか否かの一つのキーポイントでありますので、ここはしっかりと力を入れていただく必要があると思いますが、大臣ではなくて現場の担当者の方から、その心配に対してどういうふうにこれからやっていくのかという御決意をお聞かせいただきたいと思います。

田中政府参考人 国民生活センターの今後のあり方について幅広い御質問がございました。

 まず、国民生活センターそのものでございますけれども、先ほど、法律的な位置づけについては大臣からお話がありました。

 今回の消費者庁構想の出発点であります、昨年六月二十七日の閣議決定であります消費者行政推進基本計画の中におきましても、一元的な相談窓口として位置づけられて、全国ネットワークを構築するための中核的な実施機関として、消費者相談の拡充だとかPIO―NETの刷新ということが盛り込まれたわけであります。

 こうしたことを受けまして、まず、予算面では、昨年の二十年度補正予算及び二十一年度予算におきまして所要の事業費を計上したところでありますし、予算につきましては、平成二十年度、三十億であったものが、平成二十年度補正予算において九十八億円の思い切った追加を行いました。それから、平成二十一年度予算におきましては三十二億円の予算を計上したところでございます。

 一方、人員のところでございますけれども、現在、四月一日現在で百二十二名の職員が働いてございます。御案内のように、国民生活センターは独立行政法人でございますので、その総人件費につきましては、政府の方針に基づきまして中期的な抑制を行ってきているところではございますが、先ほどの消費者行政推進計画の中でも、こうした取り組み、さまざまな消費者支援の取り組みを進めるに当たって、業務運営の改善でありますとか内部組織の見直し、関係機関との人事交流の拡大など、その運営面、組織面、人事面の改革を進めて対応しようということで、実際、平成十五年には、いわゆる管理部門である総務部門には三十名いましたのが、二十一年度は二十名に減らす一方、新しくできましたADRの機能のために、新しいADRのための事務局というのをつくってそこに八名を充てますとか、あるいは相談部でありますとか研修部の人員を拡張するというような方向で対応してきているところでございます。

 それから、あと、PIO―NET等についても今お答えした方がよろしゅうございましょうか。(田端委員「はい」と呼ぶ)

 それでは、PIO―NETにつきましては、ここで何回か御説明申し上げましたけれども、先ほど言いましたように、昭和五十九年、四半世紀たっているシステムでございまして、当初は、相談員の方々の、内部の相談の参考情報として使われていましたが、これが、行政の側での悪質業者の取り締まりとか、あるいはそれに基づきます新たな法改正のための企画の資料というようなことにも使われてきましたし、あるいは消費者被害の未然防止をしていくということに使われてきたということで、期待される役割が非常に広がってきたわけでございます。

 それに対して、前にもここではちょっと寂しい状況というふうに批判されましたけれども、例えば、登録に四十日かかりますとか、少し複雑な検索のキーワードを入れると出てくるのに何十分もかかるというようなことが、古いシステムであるために起こる。それから、せっかくある情報ですから、その中から、今これから広がっていく悪質業者とか、あるいは架空請求のような新たな形態の事案というのを早期に発見して、被害が拡大する前にこれにいち早く対応するということ、そういうツールとして使いたいわけですけれども、そういう早期発見のツールというのがなかった。あるいは、具体的に、現場で相談員さん一人一人に端末が行き渡っていない。さまざまな問題がございます。

 そうしたことで、今国民生活センターでは、PIO―NETシステムを抜本的に刷新する、とりわけ四十日もかかっている登録というのをすぐにできるように、これは地方自治体の皆様の御協力、特に個人情報保護との関係で手続的にどうするかという点も、なかなか難しい点は残っておりますが、即日入力可能な方向にということ、あるいは高速検索ができるように、そしてまた勤務する相談員一人一人に端末が行き渡るよう配備するように予定をしているところでございまして、現在、新しいシステムは、平成二十一年度中に試行運用を開始し、二十二年度から本格運用を開始する予定で準備を進めているところでございます。

 以上です。

田端委員 PIO―NETは、ぜひ早急に対応していただきたい。二十二年度ということでありますけれども、これは全国規模でいきますともっともっと必要だと思いますし、それから、予算でも、PIO―NETを五百カ所ふやすというふうに目標は掲げていますが、実態がどこまでついていくかということが、消費者庁設置とともに関係してくることでありますから、ぜひその辺のところはしっかりとお取り組みいただきたいと思います。

 同時に、相談員の待遇の改善ですけれども、今もお話ございましたが、しかし、予算はあるけれども実際どうするかということが、非常にここからが、人の問題ですから、人を育て、つくり、そしてさらに活躍していただくという場を設けていくわけでありますから、ぜひここのところはきめ細かい配慮をお願いしたいと思います。

 国民生活センターの相談員の方ですら日当としては一万何がしということでありますから、そういった意味では大変なことだと思いますし、私も地方の消費生活センターも視察させていただきましたけれども、皆さん本当に、精力的に激しく一生懸命お取り組みいただいているわけであります。

 今回、補正の中に、地方公共団体の自主財源を拡充するということで、地方交付税措置の拡充ということで、九十億円から百八十億円に基準財政需要を拡充されたということで、ここから、相談員の報酬は百五十万から三百万にというふうに数字で書かれておりますけれども、そういった意味では、消費者庁がきちっと機能するか、あるいは国民の期待にこたえられるかどうかは、相談員という窓口がしっかりしているかどうかということが本当に大きなポイントだと思いますが、重ねて、大臣の御所見を伺いたいと思います。

野田国務大臣 今局長の方からPIO―NETの刷新について、具体的にどういうことをするかという話がありましたけれども、私は、これはかねてから大変大切なことだと申し上げてまいりました。

 というのは、私はIT政策担当大臣でもあるんですけれども、あれはやはり、今のICTの仲間とは呼べない。本当に、遺物というか、ITじゃないんですね、ワープロみたいなもので、使い方も全く、ストックベースというか、相談員さんが、いろいろな事案があってそして相談を受けてプロセスがあって、あっせんをされた結果というのが出るまではそこに書き込めなかったりとか、いろいろなことがあって、要は、当時は、いろいろな相談員さんがこういう事案があったときにどうしたらいいんだろうという電子化されたテキストみたいなもので、最初に聞いたときには、その伝達方法がフロッピーディスクだったということも、さっき紙で驚かれたとおっしゃったんですけれども、とにかく、だから全く状態的にはレガシーに近い。

 そういう意味で、刷新と私は簡単に言ってしまったんですけれども、これは相談員さんのこれからの活動に対して本当に重要なことだと思いまして、御指摘いただいたことをありがたく思っています。

 また、そういう外側の取り組みとともに、相談員の方が毎日元気で、明るく、たくさんの相談に取り組んでいただくためには、やはり処遇、待遇の改善というのは極めて重要だと思っています。

 まず初めに、多岐にわたったさまざまな問題に対応できるようなさまざまな知識、知見を身につけていただくための研修も、どちらかというと相談員さん任せになっていてはかばかしくなかったり、また、それについての旅費なんかも個人負担であったりという、もうあり得ないことが実は市町村レベルで起きていたとするならば、そういうところは速やかに国としては改善して、やはりどんな事案に対しても堂々と、相談員としてプライドを持って取り組んでいただけるような環境整備もしていかなきゃならないということで、基金等の造成をしたところでございます。

 さらに、交付税の措置によりまして、今先生御指摘のように、報酬に関しても、こちらとしては精いっぱいの、総務省との相談の中でいたしましたけれども、一般財源ということで、市町村のリーダーは絶対やらないと断言されることなど、そうあってはならないわけで、ぜひとも各地域の消費者団体の方たちに監視していただくなり、またはそれぞれの地元の国会議員の皆さんの応援をいただきつつ、やはりしっかりと使うものは使っていただくという、当たり前の地方自治のことなんですけれども、創意工夫で取り組んでいかなければならないと思っております。

田端委員 第一次補正の中に、つまりPIO―NETの端末の整備ということの予算を組んでいるわけですね。しかし、その第一次補正は去年の十月に上がっているわけですから、そういう意味では、さっきの御説明だとまだまだスピード感がないなというふうに私は思っています。

 それからもう一つは、仮にこの国会で今後精力的に御協議いただいて成案が成り立って、そして成立した場合、例えばことしの早い段階、九月か十月か、後半のところで消費者庁がスタートする、こういうことになります。

 その消費者庁がスタートしたときに、今言っているようなことがいろいろなところでちぐはぐであっては、これは、スタートしたけれども、国民から見たら、何か、窓口に行ったけれども対応がどうだったとか、またいろいろなことにもなりかねませんから、第一次補正、第二次補正、そして本予算の中でいっぱい計上はされているんですが、これが執行されるようにぜひ大臣の方で頑張っていただいてそれに備えていただきたい、こういうふうに思うわけです。

 それで、消費生活センターが全国に五百八十六あるということでありますが、そして、今回の第二次補正の中でも二百五十五億の予算をとっていただいて、そして、相談員のレベルアップとか、基金をもとに市町村のセンターの拡充ということでやっていただく、こういうことになっています。

 しかし、私ちょっと気になるのは、ばらつきがあるんですよね。東京は四十六カ所あり、兵庫県も四十二カ所ある。しかし、県によっては二カ所とか、そういう県もあるわけでありますので、ここはどういうふうにこれから全国のバランスをきちっととっていくのか。二千七百三十四人いるという消費生活相談員の人数も、これも三千三百人にふやすということでありますけれども、生活センターをふやすということと相談員も増員するということと、ここのところはやはり人の問題ですから、そんな簡単にそれはできるのかな、そういう心配があります。

 それからもう一つは、これはちょっと、ぜひ大臣にもお考えいただきたいんですが、消費生活センターの定義というか位置づけは、相談業務が週四回以上のところをこういうふうにおっしゃっているわけであって、週に一回とか二回とか三回、一日、二日、三日やっているところはカウントされていないということでありますね。私の地元大阪でも、四十三市町村のうち十八市町村が、週三日以内しかやっていないからカウントされていないということになります。これは、恐らく全国でもたくさんあるんだと思います。恐らく、小さい市町村であっても、相談に訪れたらここで受け付けるんだという窓口はやはりあるのではないかと思います。

 したがって、今後、消費生活センターという名前にするかしないかはともかく、はっきり言ったら全国千七百七十七の市町村すべてに窓口を置くのが一番いいんだと思いますが、相談員とか、そういう予算がいろいろなことになりますから、しかし、職員の質をレベルアップして、職員にさらに頑張っていただくという、これも大事な要素だと思います。

 だから、あわせて消費行政活性化基金百五十億を活用いただいて、この相談員の体制、相談員でなければ職員の対応で、まずは第一報をそこで受けていただいて、そしてどういうふうにするか、こういう仕組みをぜひこれはきちっとしていただかないと、ばらつきがあったり、いや、それはもう県庁に行ってくれとかといって市町村の窓口が振るようであっては、この消費者庁がスムーズに機能しないのではないか、こういう心配をしていますが、こういう地方の体制、仕組みを今後どうしていくのか、お考えをお聞かせいただきたいと思います。

田中政府参考人 地方の消費者行政の体制をどうするかという幅広い御質問でございますけれども、まず現状認識として、先生御指摘のように、現在、千八百十一の政令市を含む市町村の中で、消費生活センターを設置している自治体がわずかに四百三十二、そうでないところが千三百七十九というところでございます。

 しかしながら、御指摘のように、これは私どもの統計の便宜として、四日以上相談業務をやっていますかということで切っていますので、それ以外でも、三日、二日、一日、もちろん窓口は開いていて、他の業務をされている職員の方がいわゆる兼務という形でされている、だから、したがって、それは自分たちとしては消費者センターとしては登録しないんだというところもございます。

 そうしたところがぜひとも頑張っていただかなければいけない。消費者相談は、第一報としては電話としてかかってくるわけですけれども、お話を聞けば、いわゆる来所相談ということで、実際にその方と相談員の方が面談してお話をして、さまざまな契約書類を拝見するとか、そういうことをしながら進めていかなければならないものでございますから、ぜひ身近にあるということが望ましいわけでございます。したがって、私どもとしては、どんどん、今足りない地域に新しく消費生活センターを設置していただきたいということで、今基金の事業として、新設、増設ということを支援するということをしております。

 それから、今先生御指摘のように、まだ四日までということでは予算的に踏み切れないけれども、直ちには踏み切れないけれども、今後そういう方向に向かって努力していきたいという自治体に関しましても、基金のメニューの中で、スタートアップ事業ということで御支援をするということで、きめ細かく地方自治体の実情に合わせてフォローをしていきたいというふうな考えでございます。

田端委員 野田大臣、いろいろ申し上げましたが、きょうあす、政府の新しい経済対策ということも今議論されている大詰めのところでありますが、ぜひ大臣にも頑張っていただいて、足らずのところをぜひ補っていただきたい、こう思います。

 そんなこともあって、いろいろ申し上げましたが、与謝野大臣にもその辺のところを聞いていただいたと思っております。

 それで、金融商品のトラブル、これは大変大きな問題で、全国の消費者問題の中でも二割ぐらいを占めているんだろうと思いますけれども、しかし、これは大変難しい、非常に専門的な要素をたくさん持っているトラブルだ、こう思います。

 例えば、投信にしても株にしても、金融商品というのは、銀行であれ保険会社であれ、あるいは先物業者とか、証券会社も当然ですが、非常にリスクを伴う、しかも多種多様、そしてまた外国の投資信託等もあったり等々非常に難しい問題が多い。しかも、直接の店舗販売だけじゃなくて、訪問販売とか電話販売とかいろいろなこともあったりして、したがって、私は、きょう与謝野大臣にお願いしておきたいことは、三つあります。

 一つは、金融庁として、こういう消費生活センターとしっかりと連携をとっていただいて、これらの問題についての対応のマニュアルみたいなものをぜひおつくりいただいて、相談員の方にお示しいただく。そういう専門的知識というものを、一遍にはいかないと思いますから、消費者庁スタートと同時に、今までもやっておられると思いますけれども、なお一層力を入れていただいて、専門相談員のレベルアップ、そこのところの養成といいますか、そういったことをぜひしていただくような御助言をお願いしたい。それが一つです。

 それから二つ目は、これらのそれぞれの業界がありますね。証券業協会とか、先物取引業協会とか、投資信託協会とか、こういう団体、業界に対して、金融庁として、これは事故、事件が、トラブルが起こらないような行政指導をさらに徹底してお願いしたいということが二点目であります。

 もう一つは、これは消費者に対してですが、これはやはり教育啓発ということが大事だと思いますから、消費者の側にもそれなりに、こういった事件に巻き込まれないような、そういうことを金融庁からPRしていただくということも非常に大きな要素かと思います。

 これら、今後消費者問題の大きなかなめになっていくと思われますので、大臣の方で、今申し上げたようなことをぜひよろしくお願いしたいと思います。

与謝野国務大臣 今までも、金融庁としては、投資家の保護、また怪しげな金融商品の横行等を防止する、あるいは専門相談員の質の向上をする、いろいろな努力を行ってまいりましたし、一般の方にもいわば金融教育と言われるものもやらせていただいております。今度は、消費者庁ができましたら、消費者庁からもまた御相談がありますし、また消費者庁に行った御相談の中には本来我々が御相談に乗らなければならないものもあるでしょうから、消費者庁ができました暁には、きちんと連携をしながら、また一体感を持って、消費者、投資家の保護に向けて努力をさせていただきたいと考えております。

田端委員 ありがとうございました。

 以上で質問を終わりますが、冒頭申し上げましたように、ぜひ国民の期待に沿うような形でこの法律が成案が得られるように我々も努力したいと思いますし、また関係の皆さんにぜひよろしくお願いしたいと思います。ありがとうございました。

船田委員長 次に、階猛君。

階委員 民主党の階猛でございます。

 先日は、与謝野大臣とは財務金融委員会で御議論させていただきましたけれども、きょうも引き続きよろしくお願い申し上げます。

 前回、私、個人情報保護法についていろいろお聞かせいただいたので、ちょっとその関連で、通告していなくて恐縮なんですが、けさ、新聞を見ますと、三菱UFJ証券が、全顧客百四十八万人の情報を持ち出した社員がいる、しかも五万人分を売却している。この情報の内容は、かなり重大な情報が含まれておりまして、新聞の情報によると、顧客の名前や住所、電話番号、年収区分、勤務先などの情報が含まれていたということでございます。

 これは、個人情報保護法に対して、金融庁あるいは消費者庁としてどういうふうな対応をとっていくかということで非常にいいケーススタディーになると思いますので、若干ちょっと触れさせていただきたいんですけれども、まずもって、前回の議論、四月二日の私の野田大臣への質問の中の答弁でこういうことがございました。

 まず、個人情報保護法の五十四条について私がお尋ねしたんですけれども、この五十四条では、内閣総理大臣及び関係する行政機関の長は、相互に緊密に連絡、協力する義務を負うというふうになっておりまして、この条文に基づいて、現状、いかなる連絡、協力がなされているかということをお尋ねしました。それに対して野田大臣は、「必要に応じて相互に情報提供等を行っております。」というようなお答えでございました。

 今回のこの事件について、野田大臣と金融庁との間でいかなる情報提供などが行われているのかということを、野田大臣、お答え願えますか。

野田国務大臣 お尋ねの報道について承知しております。

 本件については、現在、証券業を所管している金融庁において事実確認を行っているというふうに聞いております。

階委員 それともう一点なんですが、前回の質疑の中で、こういう個人情報の漏えい事案によって消費者にとってみれば損害が生じるわけですけれども、こういった事案の特徴として多数かつ少額の被害が生じるんだ、したがって通常の裁判手続による救済はなじみにくいんだ、したがって、我々民主党案では、団体訴訟によって、適格消費者団体がそういうたくさんの消費者の被害、しかも少額ずつの被害に対して救済を行っていくんだということをお伝え申し上げた上で、政府としてはこういった事案に対してどのような対応をするのかということをお尋ねしました。

 そして、それに対してのお答えなのでございますけれども、「被害者救済制度に関しては、昨年の通常国会におきまして、国民生活センターにADRを新たに付与する法改正を」行った、これが施行されている、そして、「これはまさに、同種の少額被害が多発するという消費者被害の特性にかんがみ、専門的知見を活用して迅速に紛争の解決を図ろうとするものでございまして、この新しい機能を活用することにより、消費者被害の救済が図られることになる」という御答弁をいただきました。

 この今回の三菱UFJの事件につきまして、このADRの適用がされるのかどうか。

 私が考えるに、これは余りにも被害の範囲が広くて、もし本当にADRに救済の申し立てがあった場合、対応し切れないのではないかというふうに直観的に思うわけでございますけれども、先日の答弁との関係で、この点については本当に果たしてADRが使い得るのであろうか、機能するのだろうかということを、お考えをお聞かせ願えますか。

野田国務大臣 この具体的な中身についてはまだ調査中ですけれども、ADRとして対応できます。できる案件です。

階委員 理論的には対応できたとしても、我々が考えているのは、やはりこういうのはADRに個別に持ち込まれても、大変、ADRの方もパンクするんじゃないかというふうに思っているわけでございまして、こういう場合は団体訴訟の方が機能するんじゃないかというふうに我々は考えております。

 それで、本題の方に移らせていただきますけれども、まず一点目です。

 三月十八日の野田大臣の答弁によりますと、平成十九年度の消費者被害による経済的損失額は最大約三・四兆円ということでございました。

 被害救済のためには、私どもは、相談員を質、量ともに充実する必要があると考えております。そこで、我々は、年間予算約一千億円を投じて、最大一万人の相談員を全国津々浦々に配置しようという考えでございます。先ほどの損害三・四兆に比べますと一千億という予算はそんなに多くない額でございまして、一千億を投じる意味は十分あるというふうに思うんです。

 この点について、国の財源をこういった問題に投入することについて、与謝野大臣はいかがお考えであろうかということをまずお尋ねします。

与謝野国務大臣 まず、民主党案の詳細について承知をしておりませんので、民主党案を前提とした国費の投入の可否について意見を述べることは困難でございますけれども、一般論として、経済的損失額が大きいからといって、施策の具体的な内容、効果等にかかわりなく巨額の国費を投入してもよいということにはならないと考えております。

 政府としては、消費者庁の創設等により、一元的な消費者行政を推進し、地方の消費者行政を活性化していくための予算を措置しているところであり、消費者行政を充実させていくためにも一日も早い関連法案の成立をお願い申し上げたいと思っております。

階委員 与謝野大臣、ぜひ我々の案もよく見ていただいて、本当に、一千億で我々は非常に多くのことを被害者救済のためにしようとしているわけで、これは投じる意味があるというふうに考えておりますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。

 そして、今の、被害額三・四兆円ということでございますけれども、恐らく金融関係の被害が相当多いんじゃないかと思うわけでございます。野田大臣、その三・四兆のうち金融被害が幾らかということをお聞かせ願えますでしょうか。

野田国務大臣 平成二十年版の国民生活白書では、平成十九年度の我が国の消費者被害による経済的損失額について推計を行っておりまして、その総額は、御指摘のとおり最大三・四兆円としているところです。

 そうした中、この白書によりますと、PIO―NETシステムに登録された平成十九年度の消費生活相談件数約百四万件のうち、金融関連のものが十七万件、うちサラ金、フリーローンに関するものが十二万件など多数を占めていることから、金融サービスによる被害については相応の額を占めているのではないかと考えられます。

階委員 具体的な金額は把握されてないでしょうか。(野田国務大臣「ございません」と呼ぶ)ない。はい、わかりました。

 ないということなんですが、それでは与謝野大臣にお伺いしますけれども、そういう金融被害に遭われた消費者に対して、金融庁は被害回復のための何らかの支援を行っているのかということと、仮に行っているとすれば、その支援によってどれだけの被害が回復されているのかということをお聞かせ願えますか。

与謝野国務大臣 お答え申し上げます。

 金融被害に遭った消費者の被害回復を支援するため、金融庁としては次のような取り組みを行っております。

 一つは、金融庁に金融サービス利用者相談室を設け、金融被害に遭った消費者からの相談への対応、もう一つは、業界団体等における苦情紛争解決の枠組みの整備、このようなことを行っているところでございます。また、金融商品販売法の制定、改正による、訴訟における消費者の被害回復を容易にするための枠組みの整備、このような取り組みによる消費者の被害回復額の総額は不明でございますけれども、いずれにいたしましても、金融庁としては、消費者庁ができた暁には、きちんと消費者庁と連携し、金融分野における消費者保護に取り組んでまいりたいと考えております。

階委員 被害回復というのが非常に金融の問題については大事なわけでございまして、今お話を聞いておりますと、被害の実態、具体的な金額も明らかではないし、その被害をどのように救済しているか、その救済の具体的な数字も明らかではないということで、この辺はぜひ今後しっかりとやっていただきたいなというふうに思うわけでございます。

 それで、その被害救済ということで、我々は、先ほど来申し上げているとおり、消費者団体訴訟ということを御提言、法案という形で出しています。

 この委員会で、参考人の意見陳述の中で、紀藤先生という弁護士さんが来られてお話をされていました。その中で、こういう方法もあるよということで御提言があったわけでございますけれども、紀藤先生によりますと、被害救済の方法として、まず一つは、銀行預金の睡眠預金について、これを被害救済に充てるということをおっしゃっておられました。

 若干その冒頭陳述を引用しますと、

 銀行預金についても、振り込め詐欺事案だけでなく、すべての対象犯罪について、すき間のない統一的な法律が必要と考えます。

  米国では、そもそも不明口座については、三年で休眠口座化、五年で会計検査院が管理となる、厳格なルールがあります。その後国庫という流れが州法でも定められています。もちろん、この間、権利が証明されれば永久に還付される制度になっていますが、要するに権利者のいない口座はそもそも違法口座である疑いがあるということで、銀行に、この種の違法口座からの収益を時効取得させることは不合理ですので、最終的に国庫に帰属させる制度が合理的であると考えられています。

 要は、銀行預金について一定期間たったものについては、これを被害救済に充てようというような考え方が一つ。

 それからもう一つとして、「行政罰としての課徴金制度」、これによって集められたお金を被害者の救済に充てていこうというような考え方も提言されておるわけでございます。

 この二つの考え方について与謝野大臣にお尋ねしたいと思いますが、まず、順番にお聞きします。

 インサイダー取引などによって課徴金が集められるわけですけれども、このようなお金を被害回復の原資に充てるべきという意見について、お考えをお聞かせ願えますか。

与謝野国務大臣 まず、金融取引においてだまされたとか詐欺に遭ったとかいうものも一般的には民事の話でございまして、これに対して公的救済をどこまで提供するのかというのは、恐らく日本の法律の制度の根幹にかかわる問題であると私は考えております。

 当然ながら、なるべく被害に遭わないように、行政としては、啓蒙したり、あるいは保護制度をきちんとしたりということは必要ですけれども、それ以上のことをやるというのは、日本の法制度のもとで正しいかどうかというのは、もう少し議論をしなければならないことだと思っております。

 休眠預金……(階委員「済みません、今の質問の部分だけで結構です」と呼ぶ)休眠預金をこういう被害者の救済に充てたらどうかという御意見がある。これは、休眠預金と、そういう金融取引の被害者との間に何の因果関係があるのかという問題がありまして、法律論としては、にわかにはそういう御意見には賛成できないというふうに思っております。

階委員 これは、私は二つの問題を別個に聞きたかったんですけれども、今二つの問題をまとめてお答えされたので、二つちょっと似たような話なんですけれども、全く別な考え方なんですね。

 といいますのは、休眠預金口座から被害の回復を図るという話は、これは民間ベースのお話でございます、銀行にあるお金を救済に充てるというお話でございます。ところが、課徴金を被害救済に充てるというのは、これは国が集めたお金を配分するという話ですから、これはまた別な話だと思いますので、両者をちょっと分けて議論させていただきたかったんですけれども、今の答弁はそのとおりお伺いしておきます。

 それで、休眠口座の関係で、私は若干こだわりがありまして、といいますのも、振り込め詐欺救済法というのを議員立法で与野党でつくっているわけでございますけれども、その民主党案の立案を私は担当させていただきました。その中で、振り込め詐欺の被害に遭われた方が相手先の口座にお金を入れて、それが、犯人が引きおろす前に凍結されて、凍結されて残っているお金を被害救済に充てるということでございます。

 ただ、被害救済に充てるつもりだったのが、思いのほか被害者があらわれなかったり、そんなことで、余ったお金が結構出てきているんですね。その余ったお金についてどういうふうにしましょうかということは、法律上は、政令で使い道を定めるというようなことは書いていまして、私どもは、犯罪被害の回復に充てるべきではないか、とりわけ、こういう振り込め詐欺とか経済事案の被害の回復に充てるべきではないかというふうに考えております。

 その辺の政令の具体的な定めがまだ出てきておりませんので、そこはしっかりと早急に金融庁として検討していただきたいなというふうに、これは委員会の外でも僕は金融庁の方にお願いしているんですが、そこはぜひお願いしたいと思います。

 それと、先ほど御紹介した米国の休眠口座の取り扱いに関しては、こういう紀藤先生の御発言がありました。米国で、休眠口座法に関しては会計検査院のホームページでどういうふうな紹介をしているかというと、ニューヨーク州では現在数千億の持ち主のない金銭を保管している、このお金はあなたのお金かもしれませんというふうに広告しているということで、こういう広告の仕方をした方が、広く被害者の方も申し出て救済につながるんじゃないかなということを思うわけでございます。

 現在数千億ということですから、休眠口座に眠っているお金も相当多いわけでございまして、こういうものを活用するということが米国では行われておりますので、ぜひこれも今後お考えいただければなというふうに思っております。

 次の質問に移ります。

 金融被害ということでいえば、今、貯蓄から投資へなんということも言われたりとか、あるいは、借金をして消費をするようなことも一般的に行われるようになってきておりまして、そういう金融の被害というのが生じやすいような状況になっているというふうに認識しております。その金融被害をなくすためには、実際に被害に遭ってからの回復ということも、先ほど来申し上げているとおり大事なんですけれども、一方で、その予防をするのがやはり大切だろうなということで、この種の金融被害を予防するための消費者教育についてしっかり取り組んでいかなくてはならないだろう。

 そこで、我々は、その消費者教育について、あえて法案に条文を盛り込んでいるわけでございますけれども、今回の政府案には消費者教育に関する規定がないということでございます。実際問題、この消費者教育というのは、条文に規定がないからといってやらないわけにはいかないとは思うんですけれども、これは消費者庁が行うことになるのか金融庁が行うことになるのかということをお聞かせ願えますか。野田大臣、お願いします。

野田国務大臣 消費者庁または金融庁のいずれが消費者教育を所管するかという性質ではないと思っています。消費者基本法において、「国は、」「消費生活に関する教育を充実する等必要な施策を講ずるものとする。」と掲げられておりますので、消費者教育は国の責務として推進すべき性質を持つものだと思います。

 消費者庁ができた暁には、消費者行政の司令塔としての役割を果たす消費者庁は、その立場から、消費者教育啓発の充実に向けてしっかりと取り組んでいくこととなります。

階委員 ここがまさにすき間になってしまうと大変なことなんですね。やはりここが一番大事だと思うんです。金融の被害というのは実際多いわけですし、また、これから金融庁の方で、貯蓄から投資へということを本当に進めていくのであれば、消費者教育というのは絶対大事なので、ここは責任の所在をはっきりさせていただかないと、すき間になってしまっては困るということで、ここはちゃんとやってほしいなというふうに思うわけです。

 それと、今回の法案の中で、具体的な移管対象になったもの、ならないものがあるわけでございますけれども、まず金融商品販売法についてお伺いします。

 今回の案では、消費者庁と金融庁の共管になるということで、前回私はこのことに関して、金融商品販売法では受信面だけの勧誘行為が規制されているといいますか、受信面の勧誘行為に問題があった場合に損害賠償の対象になる、一方で、与信面、ローンですね、典型的な例でいえばサブプライムローンのように、消費者に甘言を弄して、高い、将来返せるかどうかわからないようなローンを借りてもらう、こういったものは現行の金融商品販売法では対象になっていなくて、今後対象に含めるべきではないかというようなことを、金融庁の副大臣と野田大臣にお尋ねしたわけでございます。

 これについて、両者で答弁に若干ギャップがあったというふうに認識しておりまして、谷本副大臣の方は、慎重な検討をしなければならないというような結論でございました。一方、野田大臣の方は、「消費者庁ができました折には、消費者からの苦情相談の内容を踏まえまして、法改正が必要と判断する場合には、迅速に金融庁と協力し法改正を行っていく所存です。」ということだったと思います。

 つまり、共管になった場合、そのような金融庁と消費者庁との考え方、当然のことながら、金融庁は業者についても配慮しなくてはいけないという立場だと思います。野田大臣の方は、消費者の目線からやるということだと思います。そこで調整が必要だと思うんですが、その両者の役割分担、どっちの意見がこの場合優先されるのか、そういうことについてお考えをお聞かせ願えますか、野田大臣。

野田国務大臣 消費者庁と金融庁が金融商品販売法を共管することで、消費者行政を所管する立場と金融行政を所管する立場の双方から企画立案を行うことになるわけです。

 特に、消費者庁は、消費者利益の擁護及び増進を目的として消費者行政全般を所管し、消費者契約法や特定商取引法等の法律を所管することから、これらの法律における知見も踏まえ、金融商品販売法についても、より深い検討を行うことが可能になってまいります。一方、金融庁におきましては、金融商品、サービスの利用者保護や金融の円滑等を目的として金融行政を所管する立場から、企画立案を行うものと考えております。

 いずれにしましても、金融商品販売法の企画立案に当たっては、両者の専門性とか知見等を活用し、適切に、しっかりと連携を図っていくことが重要だと考えています。

階委員 その調整というところで、消費者の利益が本当に図られるのかどうかというところが非常に我々は危惧しているところでございまして、そこで、我々は、内閣の外からしっかり立法提言を行っていくというような考え方でございます。

 もう一点、所管の法律についてなんですが、今回、もともと金融庁の所管であった貸金業法については、端的に言えば、実質的には企画立案のみ共管になるというふうに理解しております。この点、ちょっとわかりづらいので、資料をお配りしております。

 資料一というのは三月十七日の本会議での与謝野大臣の答弁です。前段の方に、今の貸金業法について、消費者庁と金融庁との共管のあり方について述べられているわけでございまして、「貸金業法は、消費者の利益と密接にかかわることから、改正案においては、金融庁と消費者庁の共管とされており、貸金業者に対する処分に関する消費者庁への協議や消費者庁による意見の陳述等が措置されています。」というような記述があります。

 そして、資料二の方に、これも政府の作成の資料でございます。この二枚目を見ていただくと、貸金業法が上の方に挙げられておりまして、貸金業法について、これは割賦販売法とか宅地建物取引業法とか旅行業法にも同じ記述が当てはまるわけでございますけれども、「企画立案は共管。登録・免許、検査、処分は各省庁が行うが、消費者庁は処分について勧告権を持ち、そのための検査権限を持つ。また、処分について事前協議を受ける。」こういうような記載になっているわけでございます。

 なぜ企画立案のみを共管にしているのかということについて、野田大臣に、改めてお聞かせ願えますか。

野田国務大臣 それだけではないという説明をさせていただきたいと思います。

 貸金業法における消費者庁の権限は三点あります。

 第一点は、直接的に消費者利益の擁護及び増進につながる行為規制について、貸金業者に対する業務改善命令等の処分について金融庁から事前協議を受け、また、処分に関して意見を述べる権限です、第一点。第二点目、処分に関して意見を述べるため、貸金業者に対し、みずから立入検査等を行う権限です。第三点目は、当該行為規制を金融庁と共同で企画立案する権限、これがまさに今委員御指摘の。

 このうち、立入検査の権限については、金融庁に委任することもできますが、みずから必要と認める場合には、貸金業法改正案第二十四条の六の十一により、消費者庁としてみずから立入検査を行う権限を規定しております。

 ですから、企画立案のみ共管という御指摘ではございません。

階委員 つまり、そういうことになりますと、実質的な行政処分権限も行使できるというふうにお伺いしますけれども、そうなってくると、また別の問題があるかなと思います。

 金融庁設置法の第三条というのをごらんになっていただくと、どういうことが書かれているかといいますと、「金融庁は、我が国の金融の機能の安定を確保し、預金者、保険契約者、有価証券の投資者その他これらに準ずる者の保護を図るとともに、金融の円滑を図ることを任務とする。」ということで、金融庁も消費者保護の任務を負うということでございます。

 一方で、もちろん消費者庁もそういう消費者保護の任務を負うわけで、両者、行政処分権限を行使するということになるとまさに二重行政でありまして、業者の立場から言わせれば、これは、今までも、例えば銀行であれば、金融庁、日銀あるいは証券取引委員会、いろいろなところから検査を受けていたのが、さらに消費者庁も加わるのか、大変だなということになるわけでございます。

 こういう業者側の負担を考えると、二重行政というのは非常に問題ではないかと思うわけでございますけれども、そういうことについて、与謝野大臣の方ではどのようにお考えになるかということをお聞かせ願えますか。

与謝野国務大臣 今議論していただいている消費者庁につきましては、消費者行政を一元的に推進する役割を果たすことが期待されている一方で、金融庁は、従来より、預金者、保険契約者、有価証券の投資者等の保護を担ってきているわけでございます。

 こうした役割を担う両庁については、法令上、一つは、貸金業者については金融庁が行政処分権を持つ一方で、消費者庁は処分について意見を述べ、協議を受けること等とされております。貸金業以外の業者について、消費者庁は措置要求を行うことができることとされております。また、これに加えまして、貸金業については消費者庁による立入検査が認められておりますけれども、この場合には、あらかじめ金融庁に対し協議することとされております。こうした観点を踏まえれば、金融庁と消費者庁による二重行政が行われ、業者の負担が増すとの御懸念には及ばないと考えております。

 いずれにしましても、金融庁としては、今後の業者の監督検査行政において、こうした金融庁、消費者庁の役割分担を踏まえつつ、十分な連携協力を行い、適切な対応となるよう考えてまいりたいと思っております。

階委員 多少通告している質問と順番が前後するかもしれませんが、貸金業法のような、これは両者の連携、共管を定めているわけでございますけれども、同じように、貸金業法という貸金業の業法だけではなくて、銀行法であるとか金融商品取引法についてもそういう連携を定めるような形にすればよかったのではないかなというふうに思うわけでございます。

 なぜ銀行法とか金融商品取引法、これは資料一の後段の方に実は本会議での答弁もあるわけでございますけれども、この中では「銀行法、保険業法、金融商品取引法等の法律は、金融機関の財務の健全性や市場における公正な取引の確保も目的としており、一定の専門的な知見を必要とするため、金融庁が引き続き所管する」というくだりがあるわけでございますけれども、確かにそれはそのとおりなんでしょう、専門的な知見を必要とするところがあるというのは否定しませんが、一方で、業者の行為規制とか消費者保護にかかわるところもあるわけでございます。

 貸金業法と同じように、消費者庁も共管という形にして、両者で連携するというのが正しいあり方なのではないかなというふうな感想を持つわけでございますけれども、そういう貸金業法と同様の扱いにすべきではないかという考え方について、野田大臣の意見をお聞かせ願えますか。

野田国務大臣 これから消費者庁が所管する貸金業法など四業法については、いずれも、取引の相手方の利益の保護が目的にうたわれており、そして、その相手方の主たる者が消費者に相当し、そして、業を営む者に対する行為規制のうち、直接に当該消費者の利益の保護を図るものが当該行為規制のうち主なものを構成しており、消費者に身近な問題を取り扱う法律に該当するものであるわけです。

 このため、ほかの業法と比較して、これら四業法については、消費者庁に、直接的に消費者利益の保護につながる行為規制に係る業務改善命令等の処分について事前に協議を受け、また、当該処分に関して意見を述べる権限、そして、当該処分に関して意見を述べるため事業者に対して立入検査等を行う権限、そして、当該行為規制を業所管省庁とともに企画立案をする権限を定めることによりまして、業所管省庁との二重行政を回避しつつ、消費者利益の擁護及び増進に関し消費者庁が業所管省庁と共同して最終的な責任を負う仕組みを導入したものでございます。

 ほかの業法につきましては、消費者利益の擁護及び増進等を任務とする消費者庁が所管することの妥当性、必要性が相対的に低く、消費者庁を簡素で効率的な組織としつつ、内閣全体の中で適切かつ効率的な役割分担を構築する観点から、四業法と比較して消費者庁の関与を弱めているところであります。

 このようなことから、ほかの業法に係る企画立案については、必要に応じて、内閣府設置法に基づいて消費者政策担当大臣が勧告することにより、消費者目線を反映させていくこととしてまいります。

階委員 残された時間で、貸金業法の改正について少しお尋ねします。

 きのう財務金融委員会でちょっと時間が足りなくて聞けなかったことを改めてお聞きしたいんですけれども、先日、新聞を見ておりますと、改正貸金業法の中で、借り入れる人の借金の総額を制限しようという総量規制の部分、それからグレーゾーン金利をなくしましょうという、その部分の施行時期について書かれている記事を見ました。今言った総量規制の導入であるとかグレーゾーンの撤廃、すなわち上限金利の引き下げに関する規定について、いつ施行の予定なのかということを与謝野大臣にお尋ねします。

内藤政府参考人 お答えいたします。

 改正貸金業法は、貸し手への規制を通じまして新たな多重債務者の発生を防ぐものでございますが、一方で、急激な与信の引き締め等が生じないよう、これを段階的に施行するというふうにしているところでございます。

 委員御指摘の総量規制の導入及び上限金利の引き下げにつきましては、本体施行は平成十九年の十二月十九日でございますが、これから二年半以内と定められておりまして、すなわち、平成二十二年の六月十八日までの政令で定める日ということになっております。

 具体的な施行期日についてでございますが、現時点では未定でございますが、施行に向けた準備状況等を踏まえまして、今後検討、決定をしてまいりたいと考えております。

階委員 新聞報道によりますと、当初の予定では、今年末、十二月を予定していたのが、何か来年の六月まで延ばすというようなことでございました。その理由として、今の金融が、どんどん信用収縮が進む中で、資金繰りなど借り手への影響に配慮して、総量規制の導入や上限金利の引き下げの施行時期をおくらせようというような趣旨が書かれておりました。

 私は、これはちょっと考え方がおかしいのではないかというふうに思っております。そもそも総量規制の導入というのは、自分の返済能力を超えて借金するのを防ぐための総量規制でございまして、信用収縮が進むからといって、返済能力を超えてどんどんお金を借りろというのはおかしい話でございまして、これが施行の延期の理由になるのはおかしいというのが一つと、仮に信用収縮が進む中で借り手に配慮しようということであれば、金利の引き下げはむしろ早くやった方が借り手にとってはありがたいわけでございまして、これも延期する理由にはならないだろうということを思うわけでございます。

 こういった新聞の報道について、私はおかしいんじゃないかと思っておりますが、大臣の見解、どのようでございますでしょうか。

与謝野国務大臣 まず、いつ施行するかという話でございますが、総量規制の導入、上限金利の引き下げについては、平成十九年十二月十九日から二年半以内、すなわち、平成二十二年六月十八日までの政令で定める日に施行されることとされております。

 具体的な施行期日については、現時点では未定でございますけれども、施行に向けた準備状況等を踏まえ、今後検討、決定してまいりたいと考えております。(階委員「済みません、後段のことについてはいかがでしょうか、最後の質問」と呼ぶ)

 済みません。改正貸金業法は、やはり、貸し手への規制を通じて新たな多重債務者の発生を防ぐものでございますが、同法により新たな借り入れができなくなり、生活に悪影響が出るような事態を招かないようにすることは必要と考えております。こうした観点から、急激な与信の引き締め等が生じないよう、上限金利の引き下げや総量規制の導入について、施行までの一定の準備期間が設定されたと考えております。

階委員 これで質問を終わりますけれども、この委員会、与党の方にも、岸田筆頭理事を初め、金融機関出身の方が非常に多くて、私も、この消費者問題に関心を持ったのは、金融機関に勤めていて、やはりこういう金融被害、お客様からの苦情、相談というのが非常に多いということで関心を持ったわけでございます。

 この消費者問題について、金融庁の役割は非常に大きい。そこをちゃんと機能させるために、我々は消費者権利院という方法がいいのではないかというふうに考えているわけでございますけれども、そこは政府の方とは考え方にずれはあるようでございますけれども、いずれにしても金融庁の役割は非常に大きいというふうに考えておりますので、ぜひ、与謝野大臣、これからも消費者保護の方、よろしくお願いします。

 では、これで終わらせていただきます。ありがとうございました。

船田委員長 次に、仙谷由人君。

仙谷委員 民主党の仙谷でございます。

 きょうは、金融問題と、金融商品の消費者の苦情処理がどうあるべきかというふうなものを中心に、いわば、オンブズパーソン制度と、今度の消費者庁というような中途半端な存在がどういうことになるのかという、この議論をしてみたいと思います。

 まず、資料の一枚目に、もう金融担当大臣にお手渡しできていますでしょうか、「保険金の不適切不払い・支払漏れ等に関する保険会社への対応」、こういうのがございます。金融担当大臣に余り細かいことを聞いてもお答えは無理でしょうから、こういう聞き方をしてみます。

 「保険金の不適切不払い」というところに、十七年の二月に明治安田生命に対して業務停止命令、そして七月に生保全社に対し報告徴求、十月、改めて業務停止命令、合計三十二社、千五百件、七十二億円。それから生保の方は、「特約等の支払漏れ」というのがあって、十九年二月、生保全社に対して報告徴求、十二月、報告内容を精査、分析、二十年の七月三日、多数多額の支払い漏れが発生した生保十社に対し業務改善命令、合計三十七社、百三十五万件、九百七十億円、こういう記載があるんですね。

 損害保険会社の方は、「第三分野(医療保険など)の不適切不払い」、これは十八年六月から始まって、十九年の三月に業務改善命令とか業務停止命令が出ているわけですが、この段階では合計二十一社、五千七百六十件、十六億円。それから「自動車保険の特約等の支払漏れ」、これは十七年の九月から始まって、十一月、二十六社、五十万件、三百八十億円。それから「火災保険料等の取り過ぎ」、これが二十年の七月四日、去年ですね、合計二十八社、百五十三万件、三百七十一億円。

 結論として、この量と規模、これだけの不適切不払いや支払い漏れや保険料の取り過ぎがあったという結論になっているんですね。

 これをごらんになって、大臣の感想はどうですか。

与謝野国務大臣 今先生が御紹介されたもののうち、私が前回金融担当大臣をやっていたものも含まれておりますけれども、生保、損保が約款どおりの行動をしない。まずは保険料を取るところから始まりまして、保険の支払い漏れというのも細かいところで幾つもあって、約款上約束された支払いというものは、実はお客の方はわからないわけでございますから、細かいところまで保険会社の方がきちんと点検をして支払うべきものを支払う、これがやはり生保、損保に課せられた私は社会的責任であり、また同時に法的な責任でもあると。

 幾つかの処分をいたしましたけれども、当然の処分をいたしたと思っております。

仙谷委員 では、まず結論部分の方から聞いていきますが、生保、損保の各社は業務改善命令や業務停止命令を受けたわけでありますが、ここで問題になっている個別の案件については、苦情を申し立てた人も申し立てない人も、どのようなことになったんでしょうか。

三國谷政府参考人 お答えいたします。

 私ども、消費者等からの苦情あるいは相談事につきましては、金融サービス利用者相談室を設置いたしまして、さまざまな御意見、あるいは情報提供、相談を受けているところでございます。

 こういった金融サービス利用者相談室に寄せられました相談などは、利用者全体の保護や利便性向上の観点から、検査における法令等遵守体制やリスク管理体制等の検証、監督におけるヒアリングや所要の行政対応等、金融行政を行う上での貴重な情報として活用しているところでございます。

 また、相談の寄せられました情報の中に、情報の提供者から、金融機関側に具体的な内容を伝達してもよい旨の確認がとれたものにつきましては、当該金融機関に伝達いたしまして、当該金融機関にヒアリングを実施しますとともに、これもまた、担当部局において行政を行う上での情報として活用しているところでございます。

仙谷委員 ちょっと、三國谷さん、お答えになっていない。

 結論として保険契約者にお金が払われたのかどうなのかということを聞いているわけ。払われたんですか、払われていないんですか、この千五百件、あるいは百三十五万件、五千七百六十件、五十万件、百五十三万件というのは。

三國谷政府参考人 この支払い漏れ等につきましては、本来受け取るべき方にほとんど支払われていると承知しております。

仙谷委員 個別案件で支払ったもののうち、苦情申し立てがあった分は何件ですか。苦情申し立てがあった分とない分。どうですか。

三國谷政府参考人 その先の具体的な数値については把握しておりません。

仙谷委員 なぜ把握できていないんでしょうか。

三國谷政府参考人 一つには、利用者相談室につきましては、利用者の方々からのさまざまな電話等による相談を受け付けているものでございます。そこで、全体の姿がどのような形でここに来ているかどうか等を含めまして、その後の具体的な数値については悉皆的には把握していないということでございます。

仙谷委員 金融庁さんが割と胸を張って、消費者保護の省庁であって、したがって金融サービス利用者相談室というのを平成十七年の七月から設けておるんだ、こうおっしゃるんだけれども、実はこれはワン・オブ・一般情報としてそこに入ってくる電話等々を利用している。つまり、金融庁的監督検査のための一般情報の一つとして、どんどん入ってくる電話を利用している。別に、電話をかけてくる人の苦情をもとにして消費者と金融機関の間に入って何かを解決しようというような話ではないと理解されるんだけれども、そういうことでいいですね。

三國谷政府参考人 個々の契約あるいは金融取引等は、それは民間、民間の問題でございます。

 しかしながら、私どもといたしましては、そういった利用者におきましてどのような問題事あるいは相談事があるか、これは、一つには、私どもは利用者相談室で情報をいただいておりますが、それ以外にも、国民生活センターあるいはさまざまな業界の団体等々の情報も総合しながら、それを、傾向を把握しながら、個別の行政にも役立てているところでございます。

 また、先ほど申し上げましたとおり、個々の方々から確認をとれましたものにつきましては、了解を得た上で、個別の金融機関にその旨を伝達し、ヒアリング等も実施しているところでございます。

仙谷委員 結局、苦情の電話がかかってくると、情報として、つまり、金融機関がコンプライアンスを守っているか、あるいは日本版SOXですか、内部統制をちゃんとやっているか、こういうことを検査する、あるいは、ひいてはそのことが金融機関各社の財務の健全性を担保する、こういう話だろうと思うんですよ、金融庁のお役目は。それは僕はいけないと言っているわけじゃなくて、だから消費者行政サービス機関は不必要だという話にはならない。つまり、苦情に対してどう解決するかという機関は、別の立ち位置で存在しないとできないわけですね。

 私は、与謝野大臣、実は結果オーライなんだけれども、この百五十万件とか、三十二社、千五百件とか、これでもし苦情をというか、知らなくても、実は保険金が払われていなかった人も相当おると思うんですね。

 PIO―NETを見ても、あるいは市町村、都道府県の苦情相談を見ても、約二割はあるんだけれども、年間百万件としたって二十万件ですよね。それが全部理にかなった苦情であるかどうかは別ですよ。それが全部金融庁に引き継がれているとかなんとかということは全くない。途中で、苦情をかけてみたけれども、消費生活センターも間にはもちろん入るような力もないし、入ってもくれないし、助言的なものはいただいたけれども結局あきらめたというのがほとんどだと思うんですね、電話をかけた人も。あるいは、かけない、知らなかった人も膨大に存在するというのを示していると思うんですよ。

 我々から見ると、これは唐突でしょう。何でこんなことが急に始まって、こんな百三十五万件とか百五十三万件とか、結果としてはいいことなんだけれども、物すごい唐突なんですよ。ここで、例えば金融庁が自主的に自主点検をやらせたとか報告徴求を求めていたとか言うけれども、金融庁の監督検査のエネルギーも多分相当使っていますよね。これだけの件数を、これがコンプライアンス違反だったのか何か知りませんよ、内部基準に違反していたのか。いずれにしても、ちょっとこれはまずいんじゃないのというところから始まって、さっき大臣がおっしゃったように、これは明らかに約款違反であるという指摘までできるようなケースがあって、それを是正させたということだと思うんですよ。

 だけれども、ある意味、消費者問題とか消費者と売り手というか提供者側の紛争解決というプロセスから見ると、何か物すごい唐突なんですね。悪く言うと、金融庁権力が金融庁権力を背景に、少々のことは目をつぶって金でも払わないと、今度は免許取り消しをするぞとまでも言うぐらいの勢いでもって上からプレッシャーをかけたら、もうどっちでもいいから、とにかくこの際頭を下げておこうみたいな雰囲気でこういうことが行われたのではないかというげすの勘ぐりを私はしかねないです。

 つまり、なぜかというと、プロセスがわからないからです。苦情の申し立てがあって、その苦情を聞いて調査をして、あるいは検査をして、もちろん両方呼んで、この程度でいかがですかというふうな、つまり、あっせんとか仲裁とか調停の機能がどこにもないというのが、こういう突如としての問題。ということは、これは突如ですから、それまでは埋もれておったということですよ。消費者からいえば、泣き寝入りをしておったということですよ。僕はそうだと思いますね。こんな大量なものが一挙に、この年だけに、たまたま検査を入れてみたらこうなるなんということはあり得ない。

 PIO―NETを見ても、生保、損保は現に相当多いですね。例えば二〇〇七年では、生命保険が一万五千三百六十三件、PIO―NET上の苦情というか、これが第九位です。損害保険が六千七百九十五件、これが第二十位です。それから、二十九位に他の金融機関、金融関連サービスというのがあります。

 必ずしも金融機関が非難されるべき話ばかりではないと思いますよ。だけれども、少なくとも生保、損保に関してはこういうものがあらわれてきたというのは、これはやはり、本当は隠された、泣き寝入りをしている、あるいは知らないまま、社会保険庁のあの消えた年金記録じゃないけれども、せっかく保険契約は入っているのに、知らないまま、その事由が発生しているのに保険金も支払われずに、そういうことが相当あるのではないか。このことが、まさに消費者事故というか消費者紛争というか、これを解決する適切な機関が必要なのではないんでしょうか、こういう話なんですね。今、残念ながら日本はないんです。

 例えば今度の消費者庁関連法案でいうと、あえて消費者庁から、所管、保険業法も外されている。一体全体、これは何なんだ。銀行業法も外されている。この銀行や生命保険という大会社に対する庶民の苦情がどこで扱われたらいいのかということがさっぱりわからない。これは量も多い。

 それで、生命身体が危殆に瀕するというふうなことではないかもわからないけれども、しかし、生命保険や損害保険というのは、いざというときのために善意でこつこつ掛けていて、いざということになったら全然保険金がおりないみたいな話になるわけですから、本人たちにとっては割と重大問題だと思うんですね。

 所管が入っていないからできないというふうに僕は直ちには言わないんだけれども、これは所管になっていない。一体全体、消費者庁あるいは都道府県の消費生活センターは、この問題に対してどう臨もうとしているのか。何ができるんですか、野田大臣。

野田国務大臣 今の先生の御質問にお答えしたいと思うんですが、何らかの意味で消費者にかかわる法律というのが多数あるということがこの委員会のやりとりの中でもわかっているわけでございまして、ただ、消費者庁の今回の創設に当たりましては、そのすべてを所管して巨大な官庁をつくるという考え方はとりませんでした。司令塔としてしっかり機能を果たすために不可欠な二十九本の法律を所管すると決めたところであります。

 一般論として、今いろいろお話がありました金融取引等につきましては、消費者庁は、民事ルールである金融商品販売法を所管させていただきますとともに、金融取引を含む消費者契約一般について定めた消費者契約法を所管することとなります。トラブルの実態を踏まえつつ、消費者に対して適切な説明や勧誘が行われるよう、必要に応じて機動的に適用の対象範囲や禁止行為の見直しなどの企画立案を行うことがこれから可能になってくるわけです。

 これによりまして、消費者庁は、消費者が正しい情報に基づいて金融取引を行うことができるように取引ルールを整備して、今のようなトラブルの未然防止や拡大防止を図るとともに、消費者に対して相談や苦情の解決のための道を示すことができるものと考えています。さらに、消費者庁は、その他の金融取引についての規制法について、内閣全体での適切な役割分担のもとで消費者安全法に基づく措置要求を行うことができることになります。

 このように、消費者庁は、金融分野における消費者トラブルに対しても適切に対処できることとなるものと考えておりまして、創設により、より一層、消費者庁が消費者の利益の擁護及び増進を図っていけるものだと考えています。

仙谷委員 今のお話は、個別苦情申し立てについて、消費者庁あるいは都道府県の消費生活センターが、私が聞きたかった、どういう権限のもとに、何をし、苦情処理解決ができるのかということについてのお答えは一切いただいていないんですね。

 僕は消費者庁をこきおろすわけじゃないんだけれども、今、野田大臣がおっしゃった、巨大官庁にならないためにというところにみそがあるんですね。というのは、企画立案をし、どうのこうのとおっしゃったけれども、生命保険にしても銀行業にしても、あるいは証券業にしてもデリバティブにしても、すべて相当専門性が高くなって複雑になっています。

 これをこなす人間が消費者庁に相当数必要だとすれば、そういう人をスカウトしてこないといかぬわけですよ、消費者庁は。二百人の中に、金融庁の職員を何人か出向させてもらうとか、何十人か出向させてもらうとか、あるいは地場のマーケットからそういう人を採用するとかという話になるんだけれども、そうならない限り、今、野田さんがおっしゃったことすらできない、あるいは個別の紛争処理はもちろんできないというふうに思うんですね。何かええ格好しているけれども、ほんまかいな、こういう話になると思うんです。

 枝野さん、ここまで聞いて、この種の、金融の、要するに大会社で素人がというか庶民が見えない世界でのコンプライアンス違反とかなんとかかんとかということまである、しかし、消費者から見たら、おかしいぞ、これ、払ってもらえるはずなのにというようなことというのは僕は多々あると思うんですが、こういう金融問題について、消費者権利院であればどういうふうに対処できますか。

枝野議員 我が党の消費者権利院法案では、あらゆる消費者問題について、消費者権利院及びそのもとの消費生活相談員の皆さんが権限を持つということになりますので、銀行や生命保険、損害保険についての問題について苦情等があった場合には、当然のことながら、その責任、任務として調査をし、必要に応じてあっせんをするということになってまいります。そうした中で、必要があれば金融庁に対しても報告を求め、あるいは調査の要求をするという権限が、つまり、金融庁を動かす、あるいは金融庁の処分権限等を動かすということについて、主たる任務として当然に含まれております。

 そして、そうした権限を背景にしながら金融機関との間のあっせんに取り組むという形になりますので、先ほど御指摘のあったような保険会社の不払い事案というようなケースについては、相当早い段階から、個別問題として、あっせんのプロセスの中で問題解決、被害救済を図り、それが積み重なっていくプロセスの中で、当該金融機関もあるいは金融庁も、それに対して、これは潜在的にたくさんもっとあるに違いないということが顕在化をしてまいりますので、そうした行政あるいは金融機関の自主的な行動というものが、より早い段階で動かざるを得なかったということになるかというふうに思っております。

 生命保険の場合、そこまではいかないかというふうには思いますけれども、逆にあっせん等を通じて金融機関が動かなかった場合、動かない場合においては、我々の案でありますと、消費者団体訴訟の損害賠償請求の対象として扱うことも理論的には可能である。そういったものを背景にしながら、あっせんを進めて、被害救済を図ることができるというふうに思っております。

野田国務大臣 先ほど、個別に、例えば生命保険の不払いとかという答弁をしておりませんでしたので、もう一度答えさせていただきます。

 消費者庁は、今回の保険金不払いのような問題が発生した場合、消費者の安全、安心を確保するため、政府一体となった迅速な対応の一環として、消費者の利益の擁護の観点から関与することとなります。

 具体的には、新法である消費者安全法等に基づき、地方の消費生活センター等からの相談情報が消費者庁に届けられます。消費者庁は、集約、分析された情報のうち、問題となっている契約類型、契約時及び保険金支払い請求時のトラブルの類型等を消費者にわかりやすい形で迅速に公表し、消費者に対して注意喚起を行います。また、監督官庁である金融庁等に情報提供を行い、所管する法律による監督上の迅速な対応を促します。さらに、必要な場合には、金融庁の主任の大臣たる内閣総理大臣に対して、所管する法律に基づく行政処分を行うよう措置要求を行うことになります。

 また、トラブルの解決は、消センにありますあっせん、これは今回法律できちっと位置づけることになっておりますし、国民生活センターの四月から始まっておりますADR等々を活用することとなります。

 つまり、先ほど枝野議員がおっしゃった民主党案とほぼ同じことをさせていただくことになるわけであります。

仙谷委員 今、消費者安全法十六条の話まで出ましたので、これは後からお伺いをしたいと思います。つまり、そう意気込んでみても、さっきから申し上げているこの資料で提起したもの、我々は唐突だと思うけれども、専門的な職種にある人が相当の調査、検査をしないと、報告徴求までも至らないんですね。あるいは、報告徴求から行政処分に至るというのは、これは大変なことであります。消費者庁なら消費者庁にそのプロセスをこなす権限があるんだったらまだ私も理解できないわけではないんだけれども、突如、措置の要求をするとかなんとか言われても、それはちょっと違うんじゃないですかというふうに思うんですが、これは後から聞きます。

 もうちょっと具体的な例を与謝野大臣あるいは金融庁の方々に聞きます。

 今私のところに、実は三件、一つは三菱UFJ信託銀行の、遺産整理業務を行うということで委任契約を受けて、本来は遺産たる金融商品の名義変更をすればいいのに、これをマーケットで売ってしまったという事案で、トラブっている事案が来ています。

 もちろん両者の言い分は対立していますけれども、本来なら遺産管理業務というのは弁護士がほとんどやるわけですが、これを業として三菱UFJ信託がやっておるために、手数料が高い方へ行っておるわけですね。つまり、特にドル建て債の金融商品が遺産だったものだから、それを売り払ってしまえば手数料が多い、こういう話でどうも行った形跡がある。

 こういう案件が来ておって、この方は金融庁にもちろん相談に行かれたようであります。ところが、金融庁は、最終的には、そういうひどい話もあるのかもわかりませんが、結局は我々は間には入れない、あるいは、昔のように指導はできない、こうおっしゃっておるようで、今裁判所に訴訟を提起されています。

 それからもう一つは、これは裁判所で和解になった案件でありますが、三井住友銀行の金利スワップ契約の案件が私のところへ来ておりまして、デリバティブの金利交換取引契約というのを解消するに当たって、はっと気がついてみたら膨大な額になっておって、担保に入れたつもりのない定期預金五千万が担保にされておったというので、大紛争になりました。金融庁の方にも、何とかならぬかというお話をしたようでありますけれども、これも、間には入れないと。これは裁判所で、銀行がこれだけの金を取り上げるぞと言っているものの一五%ぐらいで解決したようであります。

 いずれにしても、こういう大銀行さんがなさることも、決して一〇〇%顧客満足でもなければ、法律にそのとおり従ったものでもない場合が、これは支店ごとに違ったりしますから、あるわけですね。

 そういうときの金融庁のポジションというのは、やはり、情報として聞くけれども、紛争解決に何らかの役割を果たすということはなかなか容易じゃないということなんだろうと思いますけれども、そういう考え方でいいですね。先ほど与謝野大臣がおっしゃった、民事の取引が基本ですから本来は裁判所へ行ってもらわなきゃいけない、こういうことをちょろっとさっき階君に答弁していましたが、そういう考え方でいいですね。

与謝野国務大臣 多分、この話の、具体的なケースのところで何が起きたかといえば、やはり、遺族の意思と信託会社がやったことの行為の間に乖離があった。これは恐らく、両方に聞けば、私たちはこう言った、信託銀行側は私たちはこう聞いたということで、信託銀行が委任を受けて相続財産の処理をやる場合にも、やはり相手の意思をきちんと文書等で確認しないと、こういうトラブルがどうしても起きてしまうと私は思っております。

 特に、遺族は、そのケースの場合は、御主人を亡くして間もない、まだ気持ちがすっかり落ちついていない状況なんで、むしろ、そのいろいろな事務を依頼された信託会社の方が慎重に物を取り運ばなければならないというのが、事実の問題として、法律の問題ではなくて事実の問題としてはそうであらなければならなかったのではないかというふうに私は思っております。

仙谷委員 だから、金融庁のポジションとしては、そこでああせいこうせい、あるいは、こういうところで解決したらどうかとか、和解したらどうかとかと言う立場にはないですよね。もちろん、そういう役割はできないですよね。

与謝野国務大臣 金融庁は、法律に基づいたいろいろな助言とかそういうことは、あるいはこういう例がありますとかということはお示しすることはできますが、どちらかに軍配を上げるようなことは、行政としてはなかなかできないわけでございます。

仙谷委員 今度、金融ADR法というのを金融庁の方から出されて、今までのそれぞれの業協会の中の苦情処理サービス室みたいなものあるいは相談所みたいなものをさらに本格的な、自主的な裁判外解決機関にするんだ、それに金融庁はお墨つきを与えて監督するんだ、こんな話になっておるようであります。

 実は、先進国の動向、あるいはちょっと資料を見てみますと、やはり金融紛争は、特に情報格差と経済力の格差とありますし、それから、先ほどから申し上げていますように、大きい金額が動かざるを得ない話のみならず、銀行と闘うのは物すごく費用がかかるけれども取り返すのは意外と小さいみたいな話。

 例えば、私なんかだったら、銀行の窓口にこのごろ行ったら、本当に損害賠償を銀行にかけたいと思うような扱いですよね。延々と待たせる。窓口はほとんど派遣の人たち。つまり、だからわかっていないわけですよね、マニュアルどおりやる。例の千葉商大の加藤寛先生ですか、マニュアルどおりやられて、頭にきて抗議文、新聞半分ぐらいの記事を書いていましたよね、何だ銀行はと。

 この間も日本経団連の方が来て顧客満足度がどうのこうのと言うけれども、本当に銀行に行ったらストレスたまりますよ、顧客満足どころの騒ぎじゃない。これは損害賠償の請求でもしてやろうかなと思うぐらいの話から始まって、要するに、いんぎん無礼にとどまらず、本当に顧客のことなんかこの人たちは考えているのかなと。

 それで、もう御存じのように、雨が降ったら傘をとり、空が晴れたら傘を貸しみたいな金の貸し方と貸しはがしの仕方をするというのも、庶民とか中小企業の人は怨嗟の声ですよ。その上に公的資金の注入まで受けるのかみたいな、そういう話ですよね。

 しかし、そのことは、個人消費者にとってみれば、銀行から、保険会社から、あるいは証券会社から顧客満足度第一なんて口で百遍言われても、実態はそうじゃないよね、何か小難しい約款とかなんとかをひけらかして、ああ、この場合はやはりだめなんですみたいな話が多いじゃないかみたいな、この話から始まって、結局は、先ほど生命保険で、こういうことを金融庁がちゃんとお調べになって結果オーライになったようなケースをお示ししましたけれども、この話も含めて、泣き寝入りをしてきた歴史なんですよ。

 私も金融機関相手に裁判やったこともありますけれども、大変です。それはもう、相手は金力があるから弁護士が何人も出てくるわ、それからいろいろな証拠は、でっち上げとまでは言わぬけれども、内部書類はつくっているわ、大変なんですね、こっちは個人でやるのは。

 そこで、OECDは一九六〇年から、そういうことについての保護機関をつくらなければならないと。それで、そのことが、ある種の義務、相当の義務を定めたADRを自主的につくりなさいというところまで今回の金融ADR法は来たんだろうと思うんですよ。さらに踏み込んでこれを公的な制度として、金融問題は、金融専門家もおり、もちろん法律家もおり、マーケットを知っている人がおり、そして消費者目線に立った人もいるような紛争解決機関ができないと、みんなが訴訟するわけにいきませんから、これは大変ですから。それで、金融オンブズマンというのがイギリスを先頭にヨーロッパではもうとうとうたる流れになって出てきている、こういう話なんですよ。それで金融ADR法を出されているんです。

 だから、もうちょっとその辺に担当大臣は思いをいたして、この問題は、実は我々の消費者権利院は少々先進的過ぎるのかもわかりません、皆さんに理解いただけないのは。だけれども、必ず、その中に金融オンブズマンが必要であるとか、あるいは建築オンブズマンが必要であるとか、多分この問題はそういうふうになってこざるを得ないんですよ。公的な機関が公共サービスとしてあっせん、調停までできるところにいかないと、この問題は解決できないんですよ。そうしないと、裁判所の方もパンクしてしまいます。

 ということでありますから、ここは、ぜひ金融問題は、僕は別に消費者庁がどうのこうのと言うつもりはないけれども、そのスタッフから専門家から、そういうのを考えれば、オンブズマン的なものをつくる。イギリスは、金融市場サービス法、それを担保する制度としての金融オンブズマンなんですね。行為規制を守らせるとかなんとか、それを担保するための金融オンブズマン。だから、日本も金融商品取引法がつくられたとすれば、それを担保する、裁判所とは別の制度が必要だ、こういう話なんだろうと思うんです。

 そこのところは、今回そこまで、金融オンブズマンをつくるところまではなかなかいかないと思いますけれども、どうぞひとつ、そのことはちゃんとお考えをいただきたいなと思っているところです。

与謝野国務大臣 先生は、民事訴訟裁判については我々よりはるかにお詳しいんですが、そういう裁判の例を見てみますと、先生が言われたようなことをやらなきゃいけない分野というのは幾つかあるんじゃないか。

 例えば、医事紛争で、裁判官が一々医学の勉強をしてから裁判をやるみたいな話はどうかなと思うことがありますし、知的所有権の裁判にかかわる問題も、技術のことをよくわからない裁判官が技術を勉強してから判決をおろすみたいな話。それから、金融はそこまでいっているのかどうかわかりませんけれども、そういう専門性を持った裁判でないと、これからの社会で起きるいろいろな問題に対処できないんじゃないかということは、私は理解をしているつもりでございます。

仙谷委員 もうちょっと言えば、小泉さんの改革の最大の問題は、マーケット重視、マーケット中心主義でいこうとして、言葉では事後救済社会とか事後審判社会なんということを言いながら、つまり、金融の世界でいえば、金融商品取引法をつくりました、これを担保する事後救済型、事後審判型のシステムを全然つくらずに、後は野となれ山となれだからこうなるんですよ。同時並行的に担保する制度をつくっていかない限りこうなるという見本のような状態が、今、日本のこの荒涼たる野ざらし状態になっているということなんですね。

 さっき医療の話をしましたけれども、医療はまた医療で、お金を取り返したらいやされるかというとまた違いますから、このメディエーションの話はまた別途の話であって、専門性が高いことは間違いありません。経験的に、今、大阪地裁でやっているように、医療事故裁判が起こったときには、裁判官は直ちに専門家を、つまり医療の専門家を調停委員とかなんとかいろいろな名目で呼び集めて、そこで実質的には判断してもらうということをせざるを得ないわけですね。それは、裁判官で医療のことがわかる人はほとんどおりませんから。

 そういう専門性の問題は大臣がおっしゃったとおりでありますが、この金融の問題もそうであるし、いろいろな問題が、そういう複雑かつ専門性の高い問題が出てきている、その社会的病理現象というか紛争を解決するというのはおっしゃるとおりで、だから、何でもかんでも消費者庁が引っ張り込んでもだめだし、縦割りのままでもだめだし、それをどう横ぐしを刺していくのかという話ですから、だから、我々は、先進的過ぎたのかもわからぬけれども、最も正しい構想をここで提起しているということだけは御理解をいただきたいと思います。

 さあ、そこで具体的な話でありますが、消費者安全法の十六条。十七条以下がすき間事案を処理する条項で、十六条は、これは要するに、どんな問題にでも、つまり法律を所管していなくても、どの省庁にも措置要求できるから何でもできるんだみたいな答弁をずっと野田大臣はなさっていますよね。

 これは、十二条がかぶっていますから、十二条は重大事故でありますが、その他消費者事故等の発生に関する情報を得た場合においては、要するに所管の官庁に権限があるときには、その措置が速やかに実施されることが必要であると認めるときには当該措置の速やかな実施を求めることができる。措置を求めることができると書いてありますね。この措置とは何ですか。

野田国務大臣 消費者安全法案においては、消費者被害の発生、拡大の防止を図るために各大臣が実施し得る手続で、法律または法律に基づく命令に定められているものをいうものと整理しております。

仙谷委員 先ほどの保険業法でいえば、この措置というのは、先ほどお見せしましたように、報告徴求、業務停止命令。つまり金融庁はそういう権限があるということですよ、今申し上げているのは。あるいは業務改善命令。これを、法律上、十六条に書いてある措置というのはあらわしているんですか。

野田国務大臣 措置要求の例として、金融庁の主任の大臣たる内閣総理大臣に対する保険業法の上の処分権限の発動等ということであります。

仙谷委員 これは、処分、つまり結論的な部分ですね。つまり、問題は、これは他の省庁に何かやってもらって、もうちょっと事情を聞かなければいけない、あるいは業者を呼び出してもらわなければいけないというふうな話のときに、もうちょっとこれは丁寧に書かないと、措置の実施を求めることができるというのは、行政処分をやれということを求めることができると読めますよ。だけれども、行政処分をやるというのは、これはえらいことで、特に業務停止とかあるいは登録抹消とか、そこまでいくのは全部処分ですからね。

 そのためには、内閣法制局なのか、もし、法案をつくるときの調整が他の省庁とできていれば、資料請求から始まって、あるいは調査の要請、要求とか、もうちょっと事細かに書かないと使えないんじゃないか。これは唐突なんですよ、措置の実施なんというのは。だって、措置の実施をするためには、消費者庁なら消費者庁が、相当の資料、処分をするに足りるデータを持っていないと、あれを処分せいなんということを言えますか。これはむちゃくちゃな話になる。

 この十六条は、そういう意味で、もし守備範囲を二十九本以外に広げようとなさるのであれば、そこは書いた方がいいし、もう忙しいし、金融問題もあるんだけれども、そこは金融庁さんにお任せして、消費者庁は取り次ぎぐらいで終わります、こういう話ならばそういうふうにするし、これはどこかでけじめをつけないと、何でもできる、すべてができるという話は何にもできないことに通じますからね。いかがですか。

野田国務大臣 措置要求を行うに当たっての手続の流れについては、それぞれの事例について異なるものであるのですけれども、ですからこそ、法の施行前に具体的な検討をやっていく必要があると思います。

 ただ、その前提の上で、想定される手続の流れについて申し上げれば、まず、消費者庁に集約された消費者事故等に関する情報について、その事実に関する確認作業が必要となります。また、そうした情報に基づいて、消費者被害の発生、拡大の防止のために実施し得るほかの法律の規定に基づく措置があるかどうか、そして、当該措置が速やかに実施される必要があるかどうかについて判断する必要がございます。

 これらの作業が消費者庁の手持ちの情報の活用等で足りる場合は殊さら新たな調査等は必要がないわけですけれども、そうでない場合には、例えば十四条の規定に基づいて、今議員からもありましたけれども、関係行政機関の長などに資料提供を求めたり、また、必要な場合には、第二十二条の規定に基づき、事業者に対して報告の徴求や事務所等への立入調査を行うことになるものと考えております。

 このようにして、第十六条の要件を満たしていることが確認されれば、措置要求を行うことになるということで御理解いただきたいと思います。

仙谷委員 いや、それはあなた、二十二条の立入検査まで言うとすれば、立入検査するというのは大変なことで、そんな簡単にやられたら困るんですよ。これだって、その積み重ねがあって立入検査にまで至るということなんだろうと思うんですよ。別に、時間軸の問題として時間がかかったらいいという話をしているんじゃないんですが。だから、やはりちょっとこの十六条の規定も唐突なんですね。

 消費者庁で、例えば二百人のスタッフの中で、果たして全分野にわたって、そういう基礎的な調査というか、資料請求をするまでの調査も含めてできるのかどうなのか、これはよくお考えになった方がいいと思います。

 そこで、さらに、すき間事案の話を聞きます。

 これはもう、参考人、出てこられた方も異口同音におっしゃっているんだけれども、要するに、経済取引におけるすき間事案みたいなものに対処できないとすれば、これは麻生総理大臣が一日目にお答えになった、十七条から十九条は生命身体の重大事故だけであって、経済的な取引事案については適用にならないと。

 しかし、PIO―NETを見ても何を見ても、すき間というかグレーゾーンというか、要するに、だれが所管なのかということが一律に決められないような、経済的なだましなのか、だまし的なのか、だまし的的なのかよくわからないという、要するに、世の中というのはそうなんですよ。

 つまり、ビジネスというのは駆け引きですから、駆け引きと欺罔というのは紙一重のところまで、ぎりぎり行く人たちがおるんです、それは。駆け引きが許されるとすれば、それは欺罔は許されないけれども駆け引きが許される、その一線というのは、これは裁判にかけてみないとわからないということでは困るんですが、要するに、そういうところもある。つまり、白と黒の間にグレーゾーンが物すごく大きいというのがこの世界です。

 それで、金融庁、現に、例えば証券業の登録をしていない人たち、会社が、今の某大会社の未公開株というのを、純資産価格で十万円のものをそのうち五十万円になりますよというので売った場合に、金融庁は何かできますか。

三國谷政府参考人 一つには、それが登録か無登録かという問題と、その行為が正しいかどうかという、その二つの問題があろうかと思います。

 まず、前段の、登録かどうかということで、仮にそれが無登録であるということであるとすれば、私どもは、そういった存在を把握した場合には、警察当局に連絡をしますとともに、その無登録業者に対しまして、当該行為を直ちに取りやめるよう文書により警告するといった対応をしているところでございます。

 その次に、行為ということにつきましては、これは具体的な事例に応じましてさまざまな事例があるのかと思いますが、それが価格の問題として不適正な行為であるとすれば、個々の取引の問題としてその価格の当否の問題になるのか、あるいは虚偽の情報を使ったのであれば、それはその方面の犯罪の問題になるのか、あるいはそれが未公表の重要事実、こういったものであるとすれば、インサイダーの問題になるのか、それは個々の事例によってさまざまな形態があろうかと思いますので、ちょっと一概には申し上げにくいかと思います。

仙谷委員 何でこんなことをお聞きしたかというと、まず今回の参考人の陳述の中で、無登録業者の行為については、無登録は我々は対象としない、扱えないんだ、消費生活センターの相談員からいろいろこういうときに何とか助けてほしいと言っても、無登録は扱えないというのが金融庁の立場だ、こういう回答がほとんど返ってくる。警察へ行ったら、いや、こんな一件や二件ではというのが返ってくる。結局、これははざまに落ちてしまっているんですよ。どんどん広がってから警察が動き出したときにはもぬけの殻、大体こういうケースはそうなんです。

 こういう被害をなくそうと思えば、十七条―十九条、生命身体の重大事故、そうじゃなくて、やはりしかるべき基準のもとに経済的取引についても、規定上は、都道府県知事が何とかできるとか、消費者庁長官あるいは消費者担当大臣、内閣総理大臣という書き方になるんでしょうけれども、これがそこに飛び込んでいって調査をして、直ちにその広がりを調べて広がらないようなことをするというふうなことができるようにしないと、これはほとんど、レアレアケースの生命身体の重大事故だけでは、本当に何か羊頭狗肉もいいところだということになるんじゃないですか。これはそういうふうにお変えになるというおつもりはありませんか。

野田国務大臣 重大事故等を生命身体に関するものに限定しましたのは、消費者安全法案は、商品やサービスを限定することなくすべての消費者事故等について分野横断的に幅広く適用されるものであるところ、事業者にも事業活動の自由が保障されていることを踏まえ、営業の自由を過度に制約せずに、事業者が事業活動を行う上で当然に果たすべき最低限の責務を果たさなかった場合にのみ権限を発動するという考え方に基づいています。

 財産に関する事案ですけれども、取引自由の原則を前提とすると、分野横断的に適用されるものであるにもかかわらず、あらかじめ明確な行為規範を法律で定めることなく、事後的に行政の判断で公権力をもって一定の行為を突然禁止する権利を与えることは、当事者の予見可能性を害し、事業活動に混乱をもたらすおそれがあること、そして、権限を行使するにふさわしいと言えるだけの重大性の基準が、被害を受ける消費者の属性によってまちまちであり、例えば、資産や収入の少ない人には重大な被害であったとしても、それが大きい人には必ずしも重大とは言えず、一定の行為を被害者の属性から独立に、客観的に重大性を定義することが困難である等の問題点があることから、措置の対象となる重大事故等に含めることをしなかったものであります。

 すき間事案に対して行政処分等を行い得るものとしたのは、前例がなく、おのずと対象が特定されることにつき御理解をいただきたいと思います。

 また、では、消費者庁が財産に関するすき間事案にどういう対応をしていくかということですけれども、まず、消費者庁ができましたら、そこにおいて集約された情報をもとに消費者に対する注意喚起を行うことができます。

 さらに、各省庁と連携を図り、消費者の目線に立って、各省庁の縦割りを超えて、幅広い分野を対象に新法等の企画立案を行ったり制度改正等を関係省庁に働きかけることは消費者庁の重要な任務でありますから、財産に関するすき間事案につきましては、みずから所管する法律による対処が必要な場合には、消費者トラブルの動向を踏まえつつ、速やかに所管する法律や政省令における規制の範囲や禁止行為の対象を見直し、必要に応じて法律や政省令の改正につき企画立案をさせていただきます。また、新規立法が必要な場合には、必要に応じ、消費者庁がみずから企画立案を行います。

 さらに、他省庁と連携した対応が必要な場合には、内閣府特命担当大臣から各大臣に対して、新法立案を含め幅広い制度の策定について、内閣府設置法に基づく勧告を行わせていただくということが考えられます。

仙谷委員 今の、官僚がお書きになった答弁をお読みになると、傍聴席にいらっしゃる方は、ああ、これはだめだと絶対に思いますよ。

 つまり、消費者目線でも何でもないじゃないですか。まさに消費者目線で、できる限り、重大事故を要件的に政令で絞るんだったら絞って、そこだけは、少なくとも高齢者だけをやるとか、そういうことだって考えられるわけですよ。高齢者を対象にした経済的取引だけそういうものに認定するということだって考えられるわけですよ、相手方がどうのこうのとおっしゃるんだったら。そういうことを考えないで、木で鼻をくくったように、こんなものは、あなた、すき間事案にならないと。これは禍根を残すと思いますよ。

 枝野さん、今の答弁を聞いて、どうですか。世の中の経済的取引のすき間事案的な、次から次に出てくる新手の商売に対してどう対応するのかということですが。

枝野議員 もちろん身体生命に対する被害が重大であることは間違いありませんが、経済的な被害であるからといって、その救済がおくれて、事後的に法律がつくられたら救われますということでは、消費者問題の解決という意味では不十分であるというふうに思っています。

 当然、事業者の営業の自由ということも考慮しなければいけませんが、また、行政機関だけの独自の勝手な判断で強力な権限行使がされるということはなかなか、それは事業者の営業の自由という観点から問題がありますが、その折り合いを図るという観点で、私どもは、経済上のすき間事案であっても差しとめ等の行動ができる。ただし、それに当たっては、行政庁の単独の判断ではなくて、司法手続を経るということによって、本当に緊急の差しとめが必要なのであるのかどうかということについての公正な第三者的な判断をとるということによって、その両者をバランスをとってしっかりと被害救済を図る、こういう知恵を出せば、幾らでもそこは乗り越えられるというふうに思っています。

仙谷委員 どうもありがとうございました。

船田委員長 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。

 私は最初に、豊田商事事件以来の大型被害となった大和都市管財事件について聞きたいと思うんです。

 抵当証券という金融商品で一万七千人を超える多数の被害者、一千百億円を超える被害を出したものですが、近財局は、一九九五年八月一日に、この業者に行政処分に係る弁明の機会付与の通知を出して、八月二十一日には業務改善命令の文書を発出したんですが、当時の近財局長は、これを突き返されて、そのまま業務改善命令を撤回して、二年後の九七年には、業者の方が経営改善五カ年計画を出してきたとして、結局、登録免許期限を迎えたこの会社に、そのとき職員は進言しているんですよ。だけれども、その進言を排除して更新登録を行いました。当時の墳崎近財局長の判断だったわけですが、部下の声を拒否して、この大和都市管財に免許を引き続き与えたために、被害は九〇年代末から二〇〇〇年代に入って急増しました。

 そこで、政府参考人に一言確認しておきますが、被害者の起こした国家賠償を求める訴訟では、一審、二審とも原告勝訴、昨年九月二十六日の大阪高裁の判決は、国が上告することなく確定したと思うんですが、確認します。

三國谷政府参考人 御指摘のとおりでございます。

吉井委員 そこで、お疲れのようですが、与謝野大臣にお伺いしますけれども、監督規制権限の恣意的不行使、恣意的に使わなかった、それをちゃんとしておれば被害を拡大しないで済んだのに、当時の近財局長がこの大和都市管財に有利になるように働いた誤りで、結局、老後の生活資金を言葉巧みに巻き上げられた金融商品被害者を急増させることになりました。

 本来だったら、違法収益を剥奪して被害者に弁済させるというのが当然なんですが、加害者が散財して被害者救済を十分にはできないという。一方、責任者の墳崎元局長などは、政府から無利子資金を融資している民都機構に天下りをしたということがあります。

 そこで、大臣に伺っておきたいんですけれども、金融消費者被害を拡大した金融庁とか近畿財務局が責任を感じないで、元局長は天下りというのは、これは一体何なんだ、国民からすれば非常におかしい、消費者からしてとても理解できるものじゃないわけですが、大臣はこの問題についてはどのようにお感じになっておられるか、伺いたいと思います。

与謝野国務大臣 裁判所で御判断になられたことがやはり客観的な御判断だと私は思いますし、その判決の教えるところに従って、今後金融庁は行動していかなければならないと思います。

 問題の処理に当たった局長がどのようなことをしたかということは、事実の問題を知りませんので何とも評価のしようがないわけでございますけれども、このように、やはり、この衝に当たった官僚のいわば不作為を裁判所から指摘されるということは、行政としては恥ずかしいことであると私は思っております。

吉井委員 近畿財務局でのこの稟議決裁をした文書の扱いとか、それから更新手続をした近財局長の誤りというのは裁判で既に明らかになっているんですが、国家賠償を命じた判決の上でやはり大事な一つの契機になったのが、当時の近畿財務局の職員の公判での証言だったというふうに思います。裁判所での証言台に立つことは、もちろん、国家公務員ですから、上司の決裁を得ているわけですし、公務員としての守秘義務を免除してもらって、証言を許されて立っているわけですね。

 ところが、この職員は、真実の証言を行った後、実はもとの職場から異動、事実上の左遷扱いです。それは、肩書その他はよく配慮するにしても。

 そこで、野田大臣に伺っておきたいのは、公益通報者保護法というのは今度消費者庁に所管を移すことになるわけですね。消費者政策委員会で事務をつかさどるということになるわけですが、上司の決裁を得て証言台に立って真実を語っただけでも事実上の左遷、これでは公益通報者保護などというものはできないんじゃないか。やはりこういうところは、ただ法律を移すということだけの話じゃなくて、どうして本当に消費者被害を防ぐ、拡大を防止する、被害を救済するためにどうするかということについてはやはり深刻に考えていかないと、所管がえだけで済む話じゃないと思うんですが、野田大臣に伺います。

野田国務大臣 私も、大臣になりましてから、被害者の方たちとお話をする機会がございまして、通報者の方の証言というのも、実際にその方たちから御報告を受けたことを記憶しております。

 今御指摘の公益通報者保護法というのは、公益通報を行った労働者と事業者の民事的関係を規律するルール等を定めたものであり、個別事案については、最終的には司法の場にて判断されるものでございます。

 なお、一般論としては、公益通報者保護法は国家公務員にも適用されるものでございます。また、そもそも国家公務員法においても、公益通報をしたことを理由として、降任等の不利益な取り扱いを行うことは禁止されています。

 いずれにせよ、この公益通報者保護法は、公益通報者の保護を通じて事業者の法令遵守を促進するものであり、御指摘のとおり、消費者の利益を擁護する上でも極めて重要であります。政府としては、消費者庁が設置できた後でも、引き続き、情報提供や啓発活動を通じて、制度の普及、定着を図るとともに、通報相談体制の整備促進など、制度の適切な運用にしっかり努めてまいりたいと思っております。

吉井委員 この人の場合は、ちゃんと上司の許可も得て証言台に立ったわけですから、そういう真実を語っただけでもこういう状態なんですよ。まして、多くの例は本当に、内部告発という形で出てくるんですけれども、扱いがきちんとしてもらえない。

 大手精密機器メーカーのオリンパスの社員が、上司の不正な行為を社内のコンプライアンス室に内部告発したら、当の上司に筒抜けになり、報復が加えられたという事件がありましたし、ミートホープ事件では、北海道農政事務所に、一年前に、二回内部告発があったんですが、事務所の方は告発した人を追い返しただけだったという問題とか、これも紹介されております。三笠フーズ事件も同様ですね。

 大臣、諸外国にあるホイッスルブロアーズ法という内部通報者保護法というのは、国や州によっていろいろですけれども、やはり機能するという点では、報復行為をした上司を罰するということも入れているんですね。

 ですから、消費者庁に所管がえするというのももちろん一つなんですけれども、あわせて、これは順番に、やはりそういう法律を一つ一つ機能するものにしていかないと、今だって、ある法律をきちんと使えばできるものもあれば、法律上権限を与えられていないから改正しないといけないものとか、いろいろあるわけですから、やはりそういうことをあわせてやっていくということが大事だと私は思うんですが、お考えを伺います。

野田国務大臣 繰り返しになってしまいますが、この法律というのは民事的関係を規律するルール等を定めたものでありまして、それぞれの事案というのは最終的には司法の場で判断されるという中で、おっしゃるとおり、消費者行政においてこの公益通報制度というのは極めて重要だということは承知しておりますので、今後、いろいろな、諸外国の法律の話も今承りましたけれども、まずはこの公益通報者保護法というのをしっかりとこの国で守られるように、そういう啓発活動に努めていく中、消費者行政に必要なことについては総合的にいろいろと考えてまいりたいと思っております。

吉井委員 次に、野田大臣にお伺いしておきたいのは、大臣は、「政府部外者の有識者から構成される消費者政策委員会は、諮問に応じて調査審議を行うのみならず、みずから意見を述べること等の権限を独立して行使することとしており、消費者目線で政府の消費者行政のチェックを行う体制は整備されていると考えております。」というふうに、私の本会議での質問などにも答弁をしておられました。

 この消費者政策委員会の所掌事務というのは消費者庁設置法案第六条第二項で規定され、その二号で「前号に規定する重要事項に関し、内閣総理大臣、関係各大臣又は長官に意見を述べること。」とされております。消費者安全法案の第二十条では、この政策委員会は、総理大臣に対し、「消費者被害の発生又は拡大の防止に関し必要な意見を述べることができる。」としているわけですね。

 ですから、諮問を受けるだけじゃなしに、「意見を述べることができる。」と規定しているわけですが、この点では実は、消費者の利益の擁護及び増進に関し、内閣総理大臣、各大臣に意見が言えるという点では、国民生活審議会もほとんど同様の規定を持って、同じ権限を持っているわけですね。

 では、この国生審はその権限に基づいてどのような意見を言ってきたかというのを見てみると、この十年間で、直近の二年間に四回意見を言っただけなんですね、消費者利益に関するものでは。しかも、他省庁に言ったものはないんですね。

 BSEであれ、パロマであれ、NOVAであれ、シンドラーであれ、食品偽装であれ、消費者政策委員会と同じように、みずから意見を言うという権限を独立して行使できる国民生活審議会が、これらの問題について関係官庁の担当大臣に強力に意見を言うべきだったと思うんです。

 ところが、三笠フーズ事件のときには、農水大臣に意見を言う権限がある国生審でやらないで、野田大臣が、法律上の権限のない、事故米穀の不正流通問題に関する有識者会議を立ち上げていますね。野田大臣自身が国生審では対応し切れないと考えたのかなというふうに思わざるを得ないのですが、これはどういうことなんでしょうか。

野田国務大臣 事故米穀のときは福田総理大臣のときでございまして、そもそも農林水産省がしっかりと所管をしていただくべきことでしたけれども、残念ながら、両方、言い方は悪いですけれども、加害者というか、そういう立場に農林水産省が置かれるということで、中立的な立場として、消費者行政並びに食品安全を担当している私に急な任務が下りました。

 私自身も、時間がなかったし、自分の所管でどの程度のことができるかというのもゆっくり調べている暇がございませんでしたので、速やかにそういうチーム、タスクフォースをつくること、緊急対策本部みたいなものをつくることが大切だという思いから、そういう専門家の方々に、私の所管の内閣府とそして農林水産省から、それぞれ緊急に、そのことについて専門性の高い知見のある方を御推薦いただいてタスクフォースを組んでいただいたという経緯でありまして、別に国民生活審議会を軽視したわけでも、そういうことではありません。

吉井委員 消費者担当大臣の担当するところに国民生活局があって、国民生活審議会というのを見ておられるわけですよ。そこには設置に関する法律もあれば規定もあって、ちゃんとあるわけだから、本来そこが機能するということが中心なのに、実は私的な機関を別につくられた。

 私、この間、何で国生審が十分役割を果たすことができていないのかというのは、一つには、現に持っている権限も使えないのは、大臣のもと、執行機関の中にあるということもかかわっているんじゃないかと思うんです。日弁連の中村弁護士の何かの参考人質疑で、消費者政策委員会の規定について、従来の国民生活審議会の役割、組織と大差がないとの感が否めないという指摘もありました。

 だから、執行機関の外に、消費者庁も他の省庁の消費者行政についても監視して、意見を述べる、勧告もする、事故が起これば直ちに事故調査委員会を設置して原因究明と消費者被害の拡大防止に当たる、改善勧告も出せる、そういう権限を持った機関、消費者庁の中でなく外に、オンブズマンの役割を、機能を果たす、独立した権限を持った、言ってみれば消費者権利を実現する委員会とでもいうべきもの、やはりそういう権限を持ったものを考えていかないと、なかなか、内部にあってはうまくいかないのではないか。

 この点については、例えば原発の場合、国際条約上は推進機関と規制機関を分離するとなっているんです。しかし、現実は、資源エネルギー庁のもとに、本来だったら規制機関のはずの原子力安全・保安院があります。日本の場合は、国際条約に照らしてもそこはあいまいになってしまっているんですが、推進と規制機関が一体で原子力行政をやっているように、やはりそういう中でいろいろな問題を起こしているわけですから、消費者行政をこれから進めていくというときには、消費者庁として、執行機関としてあるにしても、消費者庁も他の省庁も含めて、消費者行政にかかわる省全体をにらんで、監視して、そして機能するような、今も言いましたような、消費者の権利を実現するそういう委員会というものを、オンブズマン的な役割を果たすものをやはりきちっとつくっていかないと、三笠フーズその他、これまでやってきたようなことの繰り返しに、せっかく国民が期待しているのに、新しい省をつくっても、できないということもあり得るので、私は、そういうことは大臣の方でもきちんと検討していく必要のある課題じゃないかと思いますが、伺います。

野田国務大臣 まず、消費者政策委員会が国民生活審議会と違う点について少し聞いていただきたいんですけれども。

 食品衛生法とか特定商取引法など個別法の企画立案における関与など、調査審議や意見具申の対象が拡大しています。

 そして二つ目には、消費者安全法の執行に関して内閣総理大臣に対して意見を述べることが可能となり、当該意見を踏まえ、内閣総理大臣が各大臣に措置要求を行うなど、具体の権限発動を行うことが可能になっています。

 また、法定の事務局を設置していますから、消費者庁からは一定の独立性を有することになります。

 委員数を三十名以内から十五名以内に縮小して、より機動的な意思決定が可能になっているという点が挙げられると思います。

 いずれにしましても、今、規制と推進というお話がありましたけれども、消費者庁と政策委員会というのは、両方とも、よりよい消費者行政の推進役でありまして、ただ、どうしても、これまでは役所の中の縦割り行政とか行政組織の弊害によって消費者被害が発生しているとするならば、それをしっかり国民目線で監視する、よりよきパートナーとして、両輪だという意識がございます。ですから、反面になることではなく、やはり、ともに意見を出し合って活性化させていく強力な権限を持つ委員会であるということは信じているところでございます。

吉井委員 まあ、両輪というお話なんですけれども、実際には、消費者庁で法律権限を持ったものは、消費者庁に移すものもあれば共管のものもありますね。だから、消費者庁が執行権限を持つものもあれば、そうでない、従来どおりの役所がやるものもあるわけですから、やはり、全体として監督し、そして、事故でもあれば直ちにそのもとで調査委員会を立ち上げて調査して、それに基づいて勧告を出すとか、そういう権限を持ったもので本当に機能していくものを今考えていかなきゃならないときだ、このことを申し上げまして、質問を終わります。

船田委員長 次に、日森文尋君。

日森委員 二〇〇六年に貸金業法が改正をされて、ことしの十二月までで第五次の施行が実施されるということになっているわけです。

 これは報道なのでちょっと確認の意味なんですが、信用収縮が非常に激しくなっているということを配慮してだと思いますが、資金繰りが大変厳しいということで、借り入れ規制を来春以降に先延ばしするということがございました。期限は来年六月だからそれまでに施行するということになれば問題はないということなのかもしれませんが、こういう措置をとられようとした金融庁の意図についてだけ、ちょっと教えていただきたいと思います。

与謝野国務大臣 もともと、貸金業法、利息制限法が数年前に問題になりましたときの幾つかの論点の一つに、高い金利のゾーンのお金を残しておけ、そうしないと宵越しの金がないために中小企業等が事実上事業が破綻してしまうということがあるんだ、そういう議論があったんですけれども、やはり最高裁も、グレーゾーンの廃止をやれ、こういう判決を出されましたし、上限金利、ある一定の天井を設けたわけです。しかしながら、急激にそういうことをやりますと与信の急速な引き締めというのが起こって、数年前にやった議論と同じようなことが起こり得るわけでございまして、したがって段階的に実施することにしております。

 総量規制の導入及び上限金利の引き下げについては、平成十九年十二月十九日から二年半以内、すなわち来年の六月十八日までに政令で定める日に施行されることとされております。

 具体的にいつかということですけれども、現時点で具体的な施行期日を決定したという事実はございません。施行に向けた準備状況を踏まえ、今後の検討、決定という手順でございます。

日森委員 消費者金融が、過酷な金利とともに、大変問題になっているのが多重債務の問題だと思います。これについては政府も大分さまざまな手を打ってといいますか、取り組みをして、これを強化してきたわけですね。

 平成十八年の十二月に多重債務者対策本部というのが設置をされまして、多重債務問題改善プログラムというのが十九年四月に取りまとめられました。その実施状況についても取りまとめがあるわけですが、その中で、対策本部の会議で「財務局及び地方自治体における多重債務相談の状況について」という報告がございます。

 都道府県からの意見としては、市町村設置の相談窓口の整備、強化についてぜひ支援してほしいとか、窓口の周知をするように取り組んでほしい、こんな意見がありましたし、それから相談体制の充実等のために国からの財政支援を求めたいという声なども上がっておりました。それから、市区町村からの意見としては、一つは、相談体制の整備が必要だということや、関係機関や関係部署との連携が大変おくれていて、これを何とかしなきゃいかぬということや、担当職員の研修であるとか、やみ金対策の強化みたいなものが意見として出されました。

 こういう、実際に取り組んでいる都道府県あるいは市区町村の御意見について、最初に、金融庁としてはどういう対応をされようとしているのかということが一点と、時間がありませんので、それから、今度は貸金業法が金融庁と消費者庁の共管事項になるわけですね。この貸金業法の問題をずっといろいろやってきて大変な問題だと思っているんですが、消費者庁として、多重債務問題などでトラブルがたくさん出てきているわけですが、具体的にどのような取り組み、対策がとれるというふうにお考えなのか、この二点、お聞きをしたいと思います。

内藤政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、本年の二月の三日に開催した多重債務者対策本部の有識者会議におきまして、財務局、地方自治体の相談窓口を対象にいたしまして実施しましたアンケートの結果を公表しております。

 その中では、現状の課題として、相談窓口の周知、相談体制の整備、強化、金融経済教育の充実等を挙げる意見が出されているところでございまして、委員御指摘のような指摘もございました。

 これらのうち、相談窓口の周知については、テレビやラジオの政府広報番組の利用、金融庁のウエブサイトへの掲載等によりまして、全国の財務局、地方自治体に相談窓口が設置されていることを周知すべく努めているところでございます。

 また、相談体制の整備、強化につきましては、多重債務相談にかかわる重要な最高裁判決等について各地方自治体に臨時情報提供を行っているほか、金融庁において作成した多重債務者相談マニュアルを無料配付しております。

 さらに、金融経済教育の充実につきましては、学校現場で多重債務問題についての理解を深める観点から、パンフレット、教材等を作成、配付しているところでございます。

 今後とも、同様のアンケートや、あるいはまた対策本部のもとに置かれます有識者会議におけるヒアリング等を通じまして、現場の意見を取り入れながら、多重債務者の問題改善に努めてまいりたいというふうに考えております。

並木大臣政務官 お答えします。

 先生御指摘のとおり、これまで、政府としては、金融担当大臣を本部長として、多重債務者の対策本部を設置して対策に当たってきたところであります。これについて、今も金融担当の方からお話ありました。

 消費者庁になりましたら、金融庁という中で金融システムの問題とか、透明、公正な市場の確立、こういうものに並んで、利用者保護とかいうことをやってきたわけですけれども、まさに消費者庁は消費者問題の司令塔として、これから消費者目線に立ってということで行政全体を監視していく、そういう立場で、書面交付義務とか過剰貸し付け等の禁止あるいは利息等の制限等の行為規制について、まさに消費者目線の企画立案を金融庁と共同で行うとともに、こうした業務改善、これは金融庁等を通してのものでもあるわけですけれども、貸金業者に対する処分、そういうことに関して意見を述べることなどによって、消費者にとって適切な契約を確保し、過剰な貸し付け、不適切な取り立てが行われないように取り組んでいくということになると思います。

 また、消費者庁は、全体的に消費者被害の情報を一元的に集約、分析し、支援を必要とする方により手が届くように、国民生活センターや地域の消費者センターと連携した多重債務相談窓口の一層の整備、そして支援のための広報強化、あるいは消費者教育の充実、そういったところで具体的に充実させていくということができるかと思います。

日森委員 ぜひ頑張ってください。

 消費者政策委員会について、しつこいようで恐縮ですが、また改めてお聞きをしたいと思います。

 野田大臣は、役所が暴走しないようにちゃんと監視ができるようなカウンターパートナーが必要なんだ、こういうふうにおっしゃっていて、全くイーブンの立場で働いていただくという御答弁をされておりました。それからまた、消費者庁長官と消費者政策委員会というのは同じ位置にあるんだという御答弁、これは三月十八日にされておりました。ちょっと、その同じ位置というのは、なかなかあれはどういう意味かよくわからないところがあったんですが。

 つまり、消費者政策委員会は、消費者庁やその他の省庁を含めた監視役である、消費者庁長官と消費者政策委員会というのはつまり対等の立場にあるんだ、車の両輪というのはそういう意味なのか、ちょっとよくわからなかったんですが、そういう意味でよろしいんでしょうかということです。

野田国務大臣 大口委員の御質問にお答えしたときのお話だったと思います。

 何が申し上げたいかというと、あのとき、委員の方から表をお見せいただきまして、それを見てのとおり、あたかも、要するに民間代表たる政策委員会というのは決してぶら下がりではなく横並びにあるということで、上下関係がないということを改めて申し上げたつもりでございます。もちろん、くっついていませんから、いろいろな諮問答申とか意見具申を行われる場合も何らの制限も加えておらず、独立して職務を遂行していただけるものとなっているということをお伝えしたつもりでございます。

日森委員 その辺、もう少し明確にした方がよろしいのではないかというふうにちょっと私ども思っていまして、そういう意味では、消費者政策委員会がその機能、権限というのをもっとかなり強化していかないと、もちろん、消費者庁は二十九本の法律を持っていますが、その二十九本の法律を持つ消費者庁をしっかり監督するあるいはチェックするとか、と同時に、その他の各省庁に対してもそういう機能を果たすわけですから、この権限を明確に強化していく必要があるというふうに思っているわけで、一般的に、車の両輪であったり、同じ位置にあるということだけでは実はだめなんじゃないかという思いがあるわけです。

 もう時間がありませんのでちょっとはしょっちゃって、事前に通告しているので、よろしいと思いますが、例えば、独立性を担保するというためには、事務局は消費者庁から完全に独立していなきゃだめだ。そういう事務局をきちんとつくる。消費者庁の職員が兼務で政策委員会をやっていたんじゃ、これは話にならぬわけですから、そういうことをきちんと担保していくこと、それから民間人をきちっと登用していくことということなどが一つ大きな問題になると思います。

 それから、これは、我々は何度も言っているように、三条委員会が望ましい、あるいはそれと同等の権限をきちんと持ったものでないと仕事ができないんじゃないかという思いがありますが、そうすると、一定の常勤職員をきちんと、十五人いたらちょっと多過ぎるという意見もあるようですが、常勤の委員が当然必要になるんじゃないかということが二点目。

 それから三点目は、消費者問題に非常に造詣が深いというか、経験も持っていらっしゃる、特に国民の側からの意見をきちんとここに反映できるような、そうした消費者団体を代表するような人がここの委員にやはり選任される必要があるんじゃないかというふうに思っているんですが、大臣なり内閣府のお考えをお聞きしたいと思います。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 三点ございましたけれども、まず第一点の、消費者政策委員会の事務局を、独立性を維持するために、民間人の登用でございますとか、兼務をさせない方がいいんじゃないかという御指摘でございます。

 もちろん、人事運用でございますので発足後に決まるわけでございますけれども、民間人登用につきましては、これを可能な形で、例えば非常勤の活用、そういったことによりまして多方面の民間の方を登用させていただくというようなことを可能にしてまいることを検討していきたいと思います。それから、兼務のあり方につきましては、御懸念のないような形で運用していくことが必要だと思います。

 それから第二点の、消費者政策委員会の委員を一定数常勤にすべきではないかという御指摘でございます。

 これまでも何度か御議論ございましたけれども、私どもの基本的な考え方は、消費者政策委員会というのはかなり広範な分野を所管されますので、各方面の第一線で御活躍になっている方、そういう方に委員になっていただきたい。そういう観点からいたしますと、どうしても、常勤の委員になっていただくというのは、かえって制約になるということが実は多いわけでございます。そういう意味で、非常勤の形で考えておるわけですけれども、例えば運用の仕方、この委員会の運用の仕方を機動的に行う、持ち回り等々も含めて機動的に行う、また、時間のかかるものについては下部組織をきちんとつくって審議をしていただくというような形で、非常勤の委員のもとで適切な運営ができるようにしてまいりたい、そのように考えておるわけでございます。

 それから第三点でございますけれども、消費者団体の方を委員にというお話でございましたけれども、消費者団体の関係の方は、消費者政策委員会の主要な関心分野で活動されているわけですので当然のことだと思いますけれども、あくまで、この消費者政策委員会の委員は消費者問題について識見を有する者ということでございますので、特定のポジションと申しますか、そういうことに着目をして選任をされるということではないということかと存じます。

日森委員 時間がなくなりました。ありがとうございました。

船田委員長 次に、糸川正晃君。

糸川委員 国民新党の糸川正晃でございます。

 本日は、お約束どおり、民主党の提出者の皆さんにまずは聞きたいなというふうに思っております。

 この委員会でも、被害者の救済ということを考えたときに、やはり、では悪徳事業者の違法収益を剥奪することをどうしたらいいのかとか、そういうことも議論しながらここまで進んできておりまして、こういう違法収益の剥奪とか被害者の救済ということは、みんな大体同じような考え方を持っているのではないかなというふうに思っています。

 民主党提出の消費者団体訴訟案、これは、現在の適格消費者団体の認定制度を登録制度に変えること、そして差しとめ請求対象を拡大した上で損害賠償請求権も付与することという内容になっているわけですけれども、登録制としたのは適格消費者団体を大幅に増加させる目的があるのかなというふうにも思いますが、そもそも、損害賠償団体訴訟を追行できるほどの能力と財政のしっかりした団体がどれほどあるのかなというのも明らかではございません。

 登録制とした場合、その責務を果たし得る消費者団体というのがどれほどあるというふうにお考えなのか、まずお聞きしたいと思います。

小宮山(洋)議員 今おっしゃいましたように、本当に損害賠償の制度が必要だということは、ここで御審議いただいて、よくおわかりだと思っています。

 そのためには、今差しとめ訴訟しかできないわけですけれども、それを行うのにも、再三申し上げているように、北は埼玉、南は広島までの七団体しかない。これはやはり、今の認定制度が厳し過ぎるということを現場でも皆さんおっしゃっています。先日の神戸の公聴会でも、実は手を挙げようと思ったけれども、相談をしたらとてもとてもハードルが高くてだめなのでと、ずっと消費者運動をしていらっしゃる団体の方がおっしゃっている。

 そういう意味で、私たちは、今回は、オンブズパーソン、権利官の制度と対にすることによって、その権利官が、いろいろ、訴訟のための情報提供とか資金援助とか訴訟参加という形で援助をする形でやるということで、損害賠償もやりたいというふうに思っているわけですけれども、それができる適格消費者団体はあると思いますし、育てていかなければいけないのではないかと思っています。

 ただ、認定制にするととんでもない団体が入るんじゃないかと。その神戸の中でも、学者の方が、どなたがおっしゃったのかわかりませんが、政府の係官に聞いたら、暴力団も入ったりするケースもあるからだめだと。そんなことは私たちはとうに承知をしておりますので、私どもの法案では、営利団体とか暴力団体はだめだ、認められないということをきちんと、認定のための十二項目のチェック要項をつくっておりますので、その中で、各都道府県に一個ずつぐらいはあるような形にして育てていくようにしないと今回のこういう消費者問題の解決にはつながらない、そういう意味で法案を提出しております。

糸川委員 また、先日の参考人の御意見でもございましたけれども、適格消費者団体の財政、これは非常に厳しいわけでございますね。この消費者団体訴訟法の第三十六条におきましても、国及び地方公共団体は、訴訟業務の実施に必要な資金の確保に努めることというふうにされておりますが、団体への具体的な財政支援策、こういうものについてお聞きをしたいと思います。

小宮山(洋)議員 参考人質疑で、適格消費者団体第一号の品川参考人もおっしゃっていましたけれども、一番困っているのはやはり財政が苦しいことだということですので、私どもは、訴訟費用の貸し付けとか弁護士報酬の助成、通信費などの助成、補助金の交付や貸し付け、債務保証などのことを考えておりますし、さらには、業務支援の観点から、地方公共団体が保有する施設などの無料貸し付け、このような支援もしていきたいというふうに考えています。

 また、訴訟費用が高過ぎるということも業務をなかなか難しくしておりますので、私たちは、差しとめ請求、それから損害賠償請求も、団体訴訟を申し立てるときに手数料を一律一万三千円とするような条文も用意をしておりますし、財産保全命令の申し立ては、消費者権利官、オンブズパーソンがみずから行うというようなことでやっていきたいと思っておりますので、これも紀藤参考人がおっしゃった、高額な費用や財産保全のための保証金が今適格消費者団体を働きにくくさせているという御懸念もないかと思っています。

 もう一言申し上げてよろしいですか。(糸川委員「いいですよ」と呼ぶ)

 恐らくこれから、岸田さんの方を向いてしまいますけれども、いろいろ、政府の法案と、私どもがベストだと思って出しているこの権利院、団体訴訟の法案の、両方生き、生きになる、併合で皆さんが望んでいらっしゃるようなものをつくるという作業に入るのだと思っております。

 残念ながら、団体訴訟の損害賠償制度については政府に入っていないものですから、余り御質問をいただけませんでしたけれども、これが必要だということは皆さんもよくおわかりだと思っております。三年前に、消費者契約法、これの改正のときにも私どもは法案を出しています。そのときに、全会一致で附帯決議に、検討すると言いながら、野田大臣の御答弁を伺っても、この二年間、もう三年近く、諸外国の制度などを勉強してきたと。いつまで勉強しているのですかという感じです。

 本当は父権訴訟、行政がかかわるものがいいわけですけれども、それを目指すと余りにハードルが高いので、今回は私どもは、欠陥があることも承知しながらクラスアクションの制度を出しておりますので、これを実現できるようにぜひ知恵を出し合いたいというふうに思うんです。

 そのためには、オンブズパーソンが一つのキーになっています。けれども、恐らく、消費者権利院をつくるという形には皆さんお考えにはならないのかと思って、百歩譲って、今の消費者政策委員会と言われているものを、なるべく権利院に、オンブズパーソンに近づけていくということが、合意ができるかできないかの瀬戸際なんだと思っています。

 その際に、本当は行政の外からチェックするのが私どものベストなんですけれども、たとえちょっと中に入ったとしても、各地方の自治体の条例などを見ますと、行政が消費者の訴訟の支援を、東京都の消費生活条例、横浜もそうですし、情報の提供それから資金の提供、神奈川とか長野などは弁護士費用まで貸したりとか、さまざまな方法をとっていますので、これが国にできないはずはないですから、私どもはもちろん外がいいと思っていますが、万が一というか、交渉の中で、では中に、両方あわせてこれはウイン・ウインの関係でつくりましょうとなったときにも、今回のこの損害賠償制度を誕生させることの障害にはならないと思いますので、ぜひその辺は知恵を出し合って、大きな果実が得られるようにしていきたいと思っております。

 ありがとうございます。

糸川委員 野田大臣に、通告していませんけれども、今こういう御答弁をいただいて、私も、今までのこの委員会の中で、団体訴訟というものがもう少し簡単にできるようになったり、そういう支援をしていく必要があるんではないかなというふうに思っていますが、政府としてどういう支援ができるか、どのように今御検討されているのか、お答えいただけますか。

野田国務大臣 今小宮山委員の熱弁を聞いておりまして、双方とも、やはりよりよい消費者行政をつくるためには、被害者の救済というのは当然大きな柱の一つであるということは一緒であることは違いないわけですね。

 いつまで勉強しているんだと言われるんですが、これは大変重要なことでございまして、結局は、民主党案にけちをつけるわけじゃない、欠陥があるけれども出したというので、その欠陥自体が大変、政府側からすると、やはり欠陥があって、わかって出せるものは、政府としては国民に対して信頼を失うことになりますから、それはできないという、ここの違いはあるんだと思いますね。

 ですから、まず登録制で、もっと緩やかに、たくさんつくればいいじゃないかと言いますけれども、勉強した結果、諸外国は、日本のような認可制をとっているところもあれば、登録制をとっているところもあります。ただ、登録制であってもハードルは高いんですね。緩くないんです、決して。だから、認可だからきつい、登録制だと緩いというようなことでは諸外国は全然なくて、むしろ、登録に至る要件というのがちゃんと厳しい条件がついているということも踏まえて、やはり適格消費者団体というのは消費者の味方であるわけですから、しっかりした団体がやっていただかなければならないというのは同じことだと思うので、そういうことももう一度しっかり勉強、検討、そういう話が出てきましたから、そういう中で検討していくべきことではないかと思っています。

 では、私たちが適格消費者団体にどう支援ができるかというと、まずは国のお金ありきではなく、適格消費者団体という人たちが、泣き寝入りをしないための消費者の力強いパートナーである、そういう立場であるということを多くの消費者、国民にわかっていただくための御支援というのはしていかなきゃいけない。さまざまなシンポジウムとかそういうのを通じて、適格消費者団体の必要性とか、そしてその育成に対して御理解いただければ、寄附ですね、率直に言えば寄附がしっかりと集められるような啓発啓蒙活動について、国は全力でお支えしていかなければならないと思っております。

 今後の救済のあり方ですけれども、今既に消費生活センターで行われているあっせんがきちっと法律で位置づけられていますから、そういうものについても国からの指導、アドバイスが参りますし、さらには、四月からは国民生活センターでADRがスタートしているわけであります。そういうところにしっかりと導くことによって、被害者救済に向けてのできる限りの務めを果たしていきたいと思っております。

糸川委員 大臣、今、適格消費者団体の方々、寄附を募ることに全力の支援をと言っていましたけれども、できれば予算措置をしっかりとして、国の、政府の方から寄附を募って、そこでの格差が生まれないように支援した方がいいんじゃないかなというふうに思います。

 きょうは与謝野大臣にお越しいただいていますので、与謝野大臣に、余りもう時間がないんですが、質問したいんです。

 私ども国民新党は大変郵便局に関心を持っている政党でございまして、郵便局を初め多くの金融機関で、規制緩和によって投資信託というものが買えるようになったりとか、ほかのさまざまな金融商品というのを取り扱えるようになったわけでございますが、今のこの経済不況というんでしょうか、こういうものも加わって運用利益も上がらない、投資信託等の金融商品の多くは元本割れをしているというふうに聞いているわけでございます。こういう部分というのは郵政民営化の負の部分でもあるのかなというふうに思いますが、郵便局がこうした商品を扱っていくことについての是非。

 郵便局を主に利用される方というのは、地方の方ですとか高齢者の方とか、郵便局で投資信託を買われる方に関すると、やはり投資初心者という方が多いのではないかなというふうに思うんですね。そういう方たちに対してしっかりと事前に説明できているんだろうかとか、そういうことも非常に懸念を持つわけでございます。

 この二点について大臣の御答弁をいただきたいと思います。

与謝野国務大臣 すべての日本人が、郵便局にお金を預ければ安心だというのは、昔からそう思っていたわけです。

 民営化ということが決まりまして、ゆうちょ銀行、窓口会社、いろいろな機能を持った会社に分かれて、業務分野も広げようということで広げたわけですけれども、通常の郵便貯金、昔の定額貯金あるいは昔の簡易保険、この辺まではいいと思うんですけれども、やはり、例えば先生が御指摘された投資信託。投資信託というのは、別に元本が保証されたものでもないし、まさに特定の株価に連動したリスクの高い商品なので、そういうのを売るときには、顧客に仲介販売するときには、やはりそういう商品が持つ潜在的なリスクというものをきちんと御説明しなければいけないと私は思っております。

 すべての郵便局が果たして今その能力を持っているのかという問題ももちろんあります。少しずつなれてくると思いますけれども。

 やはり、予想の利回りはいいんだけれども実際は元本は保証されていない、また、こういう株価下落時には、例えば投資信託によっては半分になっちゃったというような商品もあるので、リスクを相手に告げるということがやはり最低限、こういうものをお世話して販売する、民営化されたといえ、郵便局側にあると思っております。

糸川委員 時間が参りましたので質問を終わりますが、例えば金融商品なんかを販売するときに、目論見書だけではお年寄りはまずわからないですよ、御高齢の方は。一般の方でも専門の知識を持っていないとなかなかわからないということで、そういう意味で、やはり被害を拡大しないようにしっかりと取り組んでいただきたいと思います。

 終わります。

船田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時四十三分散会


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