衆議院

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第3号 平成22年3月25日(木曜日)

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平成二十二年三月二十五日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 末松 義規君

   理事 石原洋三郎君 理事 斉藤  進君

   理事 辻   惠君 理事 福田衣里子君

   理事 本多 平直君 理事 野田 聖子君

   理事 松本  純君 理事 古屋 範子君

      相原 史乃君    井戸まさえ君

      石毛 えい子君    江端 貴子君

      小原  舞君    大西 孝典君

      岡田 康裕君    金子 健一君

      川口  博君    川島智太郎君

      河上みつえ君   木村たけつか君

      工藤 仁美君    小宮山洋子君

      田中美絵子君    田中 康夫君

      中島 政希君    仁木 博文君

      樋口 俊一君    松岡 広隆君

      水野 智彦君    山田 良司君

      山花 郁夫君    遠藤 利明君

      後藤田正純君    近藤三津枝君

      柴山 昌彦君    田中 和徳君

      平井たくや君    福井  照君

      松野 博一君    吉井 英勝君

      吉泉 秀男君

    …………………………………

   国務大臣

   (消費者及び食品安全担当)            福島みずほ君

   内閣府副大臣       大島  敦君

   国土交通副大臣      辻元 清美君

   内閣府大臣政務官     泉  健太君

   内閣府大臣政務官     田村 謙治君

   厚生労働大臣政務官    足立 信也君

   農林水産大臣政務官    佐々木隆博君

   経済産業大臣政務官    近藤 洋介君

   国土交通大臣政務官    三日月大造君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  関  一穂君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局官房総括審議官)     鵜瀞 恵子君

   政府参考人

   (消費者庁次長)     田中 孝文君

   衆議院調査局消費者問題に関する特別調査室長    上妻 博明君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十五日

 辞任         補欠選任

  木内 孝胤君     木村たけつか君

  三村 和也君     田中美絵子君

  水野 智彦君     金子 健一君

  吉野 正芳君     松野 博一君

同日

 辞任         補欠選任

  金子 健一君     水野 智彦君

  木村たけつか君    江端 貴子君

  田中美絵子君     岡田 康裕君

  松野 博一君     吉野 正芳君

同日

 辞任         補欠選任

  江端 貴子君     木内 孝胤君

  岡田 康裕君     三村 和也君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 消費者の利益の擁護及び増進等に関する総合的な対策に関する件


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     ――――◇―――――

末松委員長 これより会議を開きます。

 消費者の利益の擁護及び増進等に関する総合的な対策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣参事官関一穂君、公正取引委員会事務総局官房総括審議官鵜瀞恵子君、消費者庁次長田中孝文君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

末松委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

末松委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。辻惠君。

辻委員 民主党・無所属クラブの辻惠でございます。

 昨年九月一日に消費者庁、消費者委員会が設立されて、初めての所信に対する質疑ということで、きょうは、消費者行政をもっと強力に推進していただける、そういう立場から大臣の積極的な御発言を賜りたいということで質問をさせていただきたいと思います。

 三月三十日に策定予定、閣議決定の予定だとされております消費者基本計画、今後五年間の消費者行政の基本を定める内容でありますけれども、この内容について概略お伺いしていきたいというふうに思います。

 消費者庁、消費者委員会はどうあるべきだということについて消費者基本計画で書かれております。例えば、消費者庁は、消費者行政の司令塔として、すき間事案については事業者に対する勧告やみずから措置を講ずること、また、消費者委員会については、いろいろな調査審議を行ったり資料要求等を行ったり建議を行うことというふうに書かれておりますが、これを具体的にどう実行していけるようにしていくのかということが問題だというふうに思います。

 そういう観点に立って、消費者庁に関して、まず物的、人的に、いろいろこれを進めていくための、より必要な条件ということがあると思いますけれども、その点については、大臣、どういう御認識でいらっしゃいますでしょうか。

福島国務大臣 おはようございます。御質問ありがとうございます。

 消費者庁が九月一日にできて、前大臣である野田聖子さんから引き継ぎをいたしまして、そして、今、半年がたちました。ここにいらっしゃる委員の皆さん初め国会議員の皆さんたちが、消費者の権利、消費者行政をきちっと消費者の立場からやっていただきたいということで本当に御尽力いただいてきたことに心から感謝をいたします。また、傍聴されている皆さんも含め、何十年と消費者庁をつくるために頑張ってこられた皆さんの思いが消費者庁、消費者委員会に結実をしたと思っております。

 御質問でありますが、現在の人的な体制は二百二名です。消費者庁の体制は、小さく産んで大きく育てる、これは本当に大きく育たないとだめなんですが、二百二名の規模で昨年九月に発足をしました。平成二十二年度予算において、国家公務員の人件費の厳しい抑制が求められている中、地方協力課の創設、消費者教育の推進体制強化のため、十五名の定員増が盛り込まれております。ですから、人員増獲得のために頑張ったということです。

 消費者の権利を守り、国民の安全、安心を実現するためには、与えられた権限を着実に行使すること、それから、もっと果敢に、頑張って、よその役所からうっとうしいと思われるぐらいの役所になっていかなければならないというふうに考えております。

 厳しい財政の折、人員増や予算の獲得をさせていただいたことに感謝をし、今後も人員増それから予算の獲得、権限の拡大に向かって頑張ってまいります。

辻委員 増員もまだまだ多分不十分で、今後さらに増員を図っていくということで大臣には頑張っていただきたいと思うんですけれども、いろいろ条件を整備するということと同時に、やはりそれを担っていく人たちの意識構造というか志というところをもっとしっかりやっていただきたいな。各省庁の横並びで遠慮がちになったり、そうではなくて、やはり消費者庁は消費者を守る立場の司令塔なんだから、檄を飛ばすぐらいなことでぜひやっていただきたい。そのためには大臣のリーダーシップが非常に重要だと思いますので、ぜひともより一層強固なリーダーシップを発揮していただきたいな、このように思っております。

 消費者委員会についてでありますけれども、人的な、物的な条件ということが非常にまだまだ貧困な状況だなというふうに思いますけれども、この点についてはどのようにお考えでしょうか。

福島国務大臣 消費者庁とは別に消費者委員会ができたわけですが、この消費者委員会が、消費者庁と共同していく部分と、監視機関として頑張っていくことが本当に求められております。

 消費者庁から切り離された独立した組織として設置をされ、例えば、消費者行政全般に対する監視を行うこと、みずから調査審議を積極的に行うこと、設置法附則、附帯決議等により、広範な分野にわたり多数の審議事項が加えられました。そのための権限が付与されました。こうした消費者委員会の機能を発揮するためには、充実した事務局によるサポート体制が必要だと考えております。

 今現在、事務局の体制は二十人体制で、二十二年度予算ではさらなる増員を認めていただきました。とはいっても、まだまだ人員が不足をしております。今回、平成二十二年度、機構定員については、企画官の新設を含めて定員四人増を認めていただいた、非常勤職員については予算上二名の増を認めていただきました。正直、まだまだ少ないと思います。厳しい財政の折、定員増を、消費者庁も消費者委員会も事務局スタッフでしていただいたことには感謝しているんですが、今後ももっとふやして、消費者委員会がもっと元気に羽ばたけるよう、大臣としても獲得してまいりたいと考えております。

辻委員 消費者委員会はいろいろな役割が要請されていると思うんですね。ですから、そういう人的な条件というのをもっともっと整備していかなければいけないということで、ぜひ頑張っていただきたいと思います。

 それと同時に、やはり消費者委員会がもっと活気のある形で社会にどんどんどんどん発信をしていく必要がある。六つの、部会がありまた専門調査会も設置されているやに聞いておりますが、国民の立場からいうとなかなか、何をされていて、いろいろな起こっている消費者被害の問題についてどう考えているのか、発信が全然聞こえてこないというような状況があると思うんですね。

 例えば、今、未公開株の問題とかリコールの問題とか、いろいろな問題について、やはりこれはこう考えるんだと消費者委員会として声明を発するとか、そういうようなことについて、やはり大臣の立場でそれを促すような、それを支えるような、そんな問題意識で今後活動していただきたいと思いますが、その点いかがでしょうか。

福島国務大臣 消費者委員会は、委員長を含め十名の委員で構成され、御存じ、この委員の皆さんたちは消費者問題に詳しい方が非常に多く、すばらしい人員でやっていると私は思っております。もちろん、学者の方も、企業のサイドからも入っていただいて、しかし、普通の審議会のメンバーなどとは全く違って、やはり消費者の立場というもの、市民の立場で、消費者の立場で頑張る人たちが多く入って頑張っていただいていると思います。今、辻委員御指摘のとおり、もっともっともっとやはり消費者委員会が存在を示して頑張ってもらいたいと思っているところです。

 エコナの特保のときには、私たちは食品SOS対応プロジェクトを消費者庁でつくり、消費者委員会でもそのことできちっとやるべきだという意見もきちっと委員会にかけて、その結果、特保の申請をメーカー側が取り下げるということなど、いろいろな形で一緒にやってきたこともあるのですが、せっかく権限があるわけですし、日本の役所の中では、監視機構を持つ全く新しい体制ですので、この消費者委員会がもっともっと暴れてもらえるように私の方からも、私自身は監視されるというか、消費者庁と消費者委員会があるんですが、連携していく部分と、それから監視という部分と、両方を両立させてやっていきたいと思っております。

 ちなみに、未公開株の問題に関しては、消費者庁の中ではきちっと、未公開株をどうするかということで議論をし、先日も、未公開株の問題についてこうするという結論をまとめて記者会見をいたしました。消費者委員会の中でも未公開株は議論になっておりますので、新しいテーマや今まさに起きていることについても消費者委員会の中で大いに発信してもらいたいと思っております。

 個人情報保護法の見直しなども含めたさまざまな審議会、部会が発足をいたしております。ですから、消費者委員会の中でも、体制が少ない中頑張っていただいておりますが、もっと発信力を強めていただけるよう言いたいと思います。

辻委員 地方消費者行政については、消費者が安心して安全で豊かな消費生活を営むことを支える行政であることから、地方公共団体等においてこれこれの消費者行政の充実強化を積極的に図ることというようなことが基本計画に書かれております。

 地方公共団体で今直面している大きな問題としては、消費生活の相談員の方々のいろいろな、待遇の問題とか、人員が不足をしているというような問題がありますけれども、これは、大臣の立場において、地方公共団体に、これぐらいの規摸だったらこれぐらいの相談員を配置せよとか、そういうようなガイドラインを示すとか、もっと具体的にこれを支えるような指針なりを発して、されもいいのではないかと思いますけれども、その点はいかがですか。

福島国務大臣 地方消費者行政というか、消費者行政そのものが地方の相談員の皆さんの力に大いによっている、そこが基盤の大きなところだというのは本当に思っております。

 ですから、地方消費者行政の強化のために、去年、すべての都道府県知事に対して私自身が手紙を書いて、また個別にお願いをして、できれば知事を本部長にする消費者行政推進本部を各都道府県につくってくれという要請を行いました。京都や宮崎やいろいろなところで、知事を本部長にした消費者行政推進本部が発足をしました。

 今、辻委員おっしゃるとおり、相談員の待遇や配置、これについてどういうふうにやっていくかは大きな課題で、一つ目は、地方消費者行政強化プランをつくりました。地方についてもそれをやっていただく。それから、消費者庁の中においても、私を本部長とする地方消費者行政推進本部をつくりました。

 相談員につきましては、基金を大いに活用して待遇のアップをしてほしい。これは使い勝手が悪いと言われているところもあり、これを直す必要もあるわけですが、そこで、報酬のアップなど、多くのところで改善が見られているところです。

 ガイドラインをすべきだという点は重要な指摘であり、今、地方消費者行政推進本部、私、本部長でやっておりますので、各自治体、御存じ、非常に格差や、すごく取り組んでいるところとそうでないところとありますので、ガイドラインを設けるかどうかについてもその推進本部の中できちっと議論してまいります。

辻委員 時間の関係で最後の質問にならざるを得ませんが、この基本計画の中でも、消費者団体の存在ということについてきちっと書かれていると思います。消費者団体というのは消費者に身近な立場で活動する、そういう意味では、やはり行政が消費者団体を支援していくということが重要なんだなというふうに思っております。

 附則や附帯決議でも、例えば、「適格消費者団体による差止請求関係業務の遂行に必要な資金の確保」を図ろうということや、「活動のための施設や資金の確保等の環境整備を図ること。」ということが、衆議院、参議院での附帯決議でもうたわれているところであります。

 そういう観点で、現状の消費者団体を見た場合に、消費者の生活相談の相談業務をされている方々の実情を見ると、二〇〇八年度実績では、日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会、日本消費者協会、全国消費生活相談員協会、三団体で、二千百四十四万円、日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会では、弁護士さん延べ七百五十人への謝金であり、二千百四十四万円、二〇〇八年度実績で費用がかかっている。

 ところが、これは、消費者ホットラインの日当が一万七千円なところ、この日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会では大体平均六千円しか支払えていない。だから相談員の確保が消費者団体としてなかなか難しい。差額の一万一千円を、例えば昨年の七百五十人が必要だということで計算すれば、八百二十五万円予算が足りないわけですね。

 また、適格消費者団体の差しどめ請求関係業務を見ますと、全国消費生活相談員協会、そして消費者機構日本、二団体で一千四百万円経費がかかっている。差しどめ請求しかできない現状ですから、結局、持ち出しでどんどんどんどん火の車になっていくばかりであります。そういう意味で、年間でも、もっと六百万、七百万の経費の上積みが必要だということがあります。

 そういう意味で、「必要な資金の確保」というふうに附則でもうたわれ、また、附帯決議でもそういう趣旨がはっきり明記されているわけでありますから、消費者団体に対する財政的な支援というものについてやはり大臣として、重々お考えのことだと思いますが、さらにこれを具体的に行っていくということについてお答えをいただきたいと思います。

福島国務大臣 適格消費者団体がつい最近も北海道で一つふえました。一緒に消費者問題に取り組む消費者団体の活躍を応援することが必要なことはもう当たり前のことです。

 これは基本計画にも盛り込みましたけれども、そういう消費者団体に対してきちっと必要な措置を講ずることは本当に必要だと思います。これはドメスティック・バイオレンスのシェルターや、全部そうですが、NGOに対して一体どういう支援をしていくのか。また、支援が必要なんですが、今の体制ではなかなか国費を入れづらい。ここについて、基本計画にも盛り込んでいますし、必要な措置が講じられるよう、私の立場で前進をしていきたいと考えております。

辻委員 民主党は、消費者問題特別委員会として公開質問会を二回行うなど、これまで九回、十回勉強会をやってまいりました。大臣、副大臣、政務官を初めとした政務三役が消費者行政をもっともっとしっかり推進していただけるように、民主党として支えていきたいと思いますので、ぜひ頑張っていただきたいということを最後に申し上げまして、私の質疑を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

末松委員長 次に、相原史乃君。

相原委員 民主党・無所属クラブの相原史乃です。昨年の夏、初めて国会に送っていただきまして、こちらの消費者問題に関する特別委員会では初めての質問となります。どうぞよろしくお願いいたします。本日、質問の機会をいただきましたことに心より感謝申し上げます。

 本日の議題は、消費者の利益擁護と増進等に関する総合対策です。

 私は、ささやかではありますが、都内で料理店の会社を経営していました経験上、食品の質や選定において、経営者のモラルが直接反映されてしまう現実があると感じてきました。ましてや、現在のようなデフレ経済下においては、ますます、消費者が望まない、経営者側の利益に立った、消費者の安心、安全とは逆行した食品が供給されてしまうおそれがあると危惧しております。そこで、私からは、消費者問題の根本にあると言っても過言ではない食品の安全、安心に関しましてのもろもろの問題に関しまして、福島みずほ消費者担当大臣初め関係各位に質問させていただきます。

 現在、消費者基本計画の策定作業が進められております。この消費者基本計画は、消費者庁が消費者行政の司令塔としてより有効に機能するための具体的な施策を取りまとめるものであると伺っております。そこで、この消費者基本計画において、食の安全、安心の確保についてどのような方策を盛り込むお考えなのかをお示しください。

 さらに、消費者庁が消費者行政の司令塔として機能を発揮していくための御決意を大臣からお伺いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

福島国務大臣 三十日に閣議決定予定の消費者基本計画の中では、食の安全、安心について、かなりスペースを設けて、いろいろな施策を打ち出しています。そして、食の安全、安心には、もう一つ、表示の問題もありますので、同時に、表示、規格、計量の適正化を図るための施策として、両方で、例えば表示をもっと拡大していくということなども含めて、食の安全、安心を実現したいというふうに考えています。重要な取り組み事項として打ち出しております。

 消費者庁において、リスク評価機関、リスク管理機関とともに、消費者の立場に立った情報提供、消費者の意見の施策への反映に取り組むとともに、食品安全基本法二十一条第一項の基本的事項というのを改定するなどにより、消費者庁が司令塔、エンジン役としての役割をしっかり発揮してまいります。

 さっきも申し上げましたが、食の安全、安心のためにも、表示の部分で、さまざまな分野で、例えば加工食品の表示の拡充などを含めたさまざまな表示の拡充、検証などをきちっと盛り込んで、食の安全の実現をやってまいります。

相原委員 福島大臣、ありがとうございました。

 昨年の九月、消費者庁が創設されまして、早いもので約半年がたとうとしております。一方で、民主党が昨年衆院選のマニフェストに掲げました食品安全庁は、国民目線の、ひいては消費者目線に立った、国民第一という考え方をまさに具現化しようとするものであると認識しております。

 諸外国の取り組みを挙げれば、ドイツにおきましては、消費者保護・食品安全庁が二〇〇二年に創設されました。これは、ある意味で、我が国の消費者庁と、民主党がマニフェストに掲げた食品安全庁を一体化させた組織体であると見ることも可能であると思います。

 一消費者の立場に立てば、例えば食品の安全性について何か問題がありましたときに、ここに相談したり問い合わせすれば必ず対応してくれるという窓口が明確になっていることが、また、できることならその窓口が一つであることが生活者の利便性の向上や安心感につながると思います。

 そこで、福島大臣にお伺いいたします。

 ドイツの事例に必ずしもこだわるものではありませんが、消費者庁と、消費者行政にかかわるほかの行政機関との関係性、例えば、消費者庁がほかの省庁を指揮するような権限の付与や消費者庁における食品リスク管理機能の強化など、将来的な消費者庁の望ましい姿について所見をお聞かせください。

福島国務大臣 ありがとうございます。

 食品の安全を実現するためには、すべての役所との連携が本当に必要で、輸入の作物については外務省や農水省も必要ですし、それから、土壌汚染のカドミウムの問題に関しては、環境省、農水省、厚生労働省と、それぞれ大臣と話をしてやっていくなど、消費者庁がまさに司令塔として他の役所に強力に働きかけ、連携をしていくことが必要だと痛感をしています。

 新たに今策定中の消費者基本計画においても、リスク評価機関の機能強化やリスク管理機関を一元化する食品安全庁について、消費者庁、食品安全委員会、厚生労働省、農林水産省など関係省庁が連携して検討を行っていくこととしております。

 ですから、消費者庁が内閣府の外郭団体としてあるわけですが、今の段階では、消費者庁が、連携して、一元的に、横断的に、他の省庁の司令塔役になる、将来的にはそういうドイツのようなことも見据えながら、しっかり司令塔の役割を果たしてまいります。

相原委員 福島大臣、ありがとうございました。

 次に、食品のリスク評価の観点から、佐々木農林水産大臣政務官に質問させていただきます。

 食の安全に対する意識の高まりなどから、我が国において、遺伝子組み換え作物の安全性に対する不安感や正確な情報を求める声が強まっております。

 そこで、日本における輸入食料のうち、遺伝子組み換え作物はどれぐらいを占めているのかをお聞かせください。また、輸入した遺伝子組み換え作物の安全性についてはどのように担保しているのかについても、あわせてお示しください。

佐々木大臣政務官 お答えさせていただきます。

 今、委員から、遺伝子組み換えの輸入の量等についての御質問をいただきました。

 現在、我が国において食用及び飼料用として安全性が確保され承認されている遺伝子組み換えでありますが、トウモロコシ、大豆、西洋菜種など六作物がございます。

 これらの輸入量についてでありますが、貿易統計では、遺伝子組み換えとそうでない農作物というものを区別することが実はできません。しかし、推計でもということでございますので、推計でありますけれども、お答えをさせていただきます。

 米国からのトウモロコシ及び大豆の輸入量については、平成二十年度、全輸入量が千六百万トン、それから大豆が約二百七十万トン。これに、米国の遺伝子組み換え作物の栽培面積から推計をさせていただきますが、アメリカですと、トウモロコシは約八〇%、大豆は約九二%というふうに言われておりますので、トウモロコシですと千三百万トン、大豆ですと二百五十万トンということになります。

 カナダからは西洋菜種が輸入をされておりますが、輸入量が二百二十万トンですので、遺伝子組み換えの割合が約八六%というふうに言われておりますので、推計をいたしますと約百九十万トンということになるわけであります。

 安全性の確保でありますが、飼料安全法という法律に基づいて飼料としての安全性、それと、カルタヘナ法に基づく、栽培等を行う場合の生物多様性への影響について審査を実施させていただいているところであります。食品衛生法に基づく安全性は厚労省、飼料の安全法は農水省、カルタヘナ法に基づく栽培も農水省ということで、今審査をさせていただいております。

 我が国において未承認の遺伝子組み換えが含まれていないかどうかについては、植物防疫所が水際で実施をしております。飼料については、農水省の消費安全技術センターが水際やあるいは工場での検査を実施しているところでございます。

 以上でございます。

相原委員 佐々木政務官、ありがとうございました。

 続いて、遺伝子組み換え作物の安全性についてそれぞれどのように認識していらっしゃるのか、恐縮ですが、農林水産省、厚生労働省、消費者庁の順番に、お答えを手短にお聞かせください。

佐々木大臣政務官 あくまでもこれはカルタヘナ法という法律に基づいて行われなければなりませんし、その中でも、他の作物への影響については厳しく定められてございますので、そのことにしっかりと基づいて、農水省の所管のそれぞれの防疫所やあるいは技術センターなどでしっかりと確保していかなければならないというふうに考えているところでございます。

足立大臣政務官 厚生労働省としては、これは、科学的根拠に基づいて安全性の確保ということに限られてくるわけです。

 食品衛生法に基づいて食品安全委員会で安全性の審査を行います。これは、もう御存じのように、遺伝子組み換えがあると異なったたんぱく質ができる可能性がある、異なったたんぱく質がアレルギーのもとになる可能性がある、そういうことについて調べているわけです。

 食品として安全性が確保された場合に流通を認める。これは、海外からのものについても情報をしっかり集めて、検疫所においてPCR検査等でそういうものがないかどうかをチェックしている。

 その二つでございます。

福島国務大臣 私も、納豆を買うときに、遺伝子組み換え食品が含まれていませんとか見て、安い方を買うか、遺伝子組み換え食品が入っていない高い納豆を買うか迷うので、それは私たちの中に、今お医者さんである足立政務官がおっしゃいましたが、やはり不安を感ずるところがあるのだと思います。

 今まで、食品安全委員会におきましては、この点について調査あるいは科学的な評価を実施してきて、遺伝子組み換え食品等については、食品安全委員会が発足してから本年三月二十四日までの間に九十件の安全性評価を終了しております。これまで、安全性に問題があると結論づけられたものはないと承知をしております。

 ただ、やはり不安の解消は、それはまだまだ人々が不安と思うのは理解ができますし、ヨーロッパなどにおいては、御存じのとおり、反対の意見が非常に強いこともそのとおりです。

 また、表示義務のところが、遺伝子組み換え表示の混入基準については、EUは〇・九%以下ですが、日本は五%以下です。ですから、この点についての議論も、なかなか困難かもしれませんが、はっきりやっていきたいと思っております。

 その観点から、この消費者基本計画におきましては、遺伝子組み換え食品の表示義務の拡大や食品添加物の表示のあり方について、国際的な対応状況等を踏まえ、諸外国とも情報交換し、十分な研究を行い、検討しますというふうにしております。

相原委員 福島大臣、佐々木政務官そして足立政務官、どうもありがとうございました。

 農林水産省がまとめました、今後十年間の農政のあり方を示す食料・農業・農村基本計画の中で、食料自給率については、現在の四一%から、二〇二〇年度に五〇%に引き上げる目標を設定しています。

 アメリカの主要作物はほとんどが遺伝子組み換え作物に切りかわっておりますし、一方、ヨーロッパでは、遺伝子組み換え作物に対して抵抗感が強いと認識しております。

 今後、日本の食料自給率の向上を目指す上での遺伝子組み換え作物の位置づけについて、作付を推進していくのかどうなのか含めまして、農林水産省から見解をお伺いしたいと思います。

佐々木大臣政務官 お答えさせていただきます。

 現在、我が国での遺伝子組み換え農作物の商業栽培は、バラを除いて行われてはおりません。

 世界においては作付面積が増加傾向にあるということは認識をしてございますが、将来の飼料や食料、環境、エネルギー等の観点から、そうしたものが増大をしているというふうに認識をしてございます。世界では、約二十五カ国で、二〇〇九年には一億三千四百万ヘクタールが、我が国の耕地面積の約二十九倍でございますが、作付されているというふうに認識をしてございます。

 このような中で、研究開発というものは推進をしていかなければならないというふうに思ってございますが、御指摘がございました、現在検討させていただいております食料・農業・農村基本計画の食料自給目標においては、遺伝子組み換え作物の混入というものは想定をしてございません。

 さらにまた、こういうものを研究開発する上においては、国民の理解が何よりも必要でありますので、情報提供を行いつつ推進をしていかなければならないというふうに考えているところでございます。

相原委員 どうもありがとうございました。

 食は生活の基本であるということは改めてここで申し上げるまでもありません。豊かな食生活は私たちの生活にとってかけがえのないものです。子供たちの食育も重要であり、消費者教育といった面においても、文部科学省と連携というより、今後は、消費者行政の司令塔として消費者庁には積極的に働きかけていただきたいと思います。私たちも、消費者重視へのパラダイム転換の中で、その動きを応援していきたいと思います。また、行政として、食品の安全性の評価を行うのはもちろんのこと、それを消費者の安心にもつなげていけますように、ともに取り組んでまいりたいと思っております。

 関係大臣、政務官の皆様におかれましては、丁寧な御答弁をいただきまして、本当にどうもありがとうございました。これにて質問を終わります。

末松委員長 次に、本多平直君。

本多委員 民主党の本多平直です。

 私は、秘書時代に、まだ政治家になられる前の福島大臣といろいろな問題で御一緒させていただきまして、きょうは質問させていただくのを大変光栄に存じております。

 時間が短いのできょうは一点に絞って、いろいろな消費者事故、乗り物の事故もそうです、いろいろな事故で命を失われた、けがをした、そういう事故があったときにその原因をしっかりと調べる機関が必要だということの一点に絞ってお話をさせていただきたいと思います。

 大臣も御存じのように、例えばシンドラーエレベータの事故のときには調査機関がどこなのかというのがなかったわけであります。そういうものをできるだけ網羅的にしっかりつくっていこうということが今策定中の消費者基本計画の中にも、私も意見を言わせていただきましたけれども、消費者事故の独立した公正かつ網羅的な調査機関のあり方について検討しますということで明確に入れていただいております。特に網羅的なという言葉をぜひ入れていただきたいと私は要請をいたしました。

 本当に、できるだけ広くしていかないと必ずどこかですき間が出てくる、私はそう思っていますので、大臣、これに関して決意をまずお聞かせください。

福島国務大臣 消費者庁ができるきっかけはたくさんのことがあるし、長年の思いがあるわけですが、きょうも市川さんが来てくださっていますが、シンドラーのエレベーターの件がやはり、何とか事故をなくそう、みんなが使うエレベーターでこんなことが起きては本当にいけないということから、消費者庁ができることの一つの大きなきっかけだったと思います。

 この件については、本多委員がおっしゃるとおりで、御意見もいただきましたが、三十日に閣議決定される予定の消費者基本計画の中にはっきり、消費者庁は、消費者事故の独立した公正かつ網羅的な調査機関のあり方について検討をします、消費者委員会による調査審議を踏まえながら、関係省庁、機関の協力を得て、最も効果的に機能する仕組みを構築します、平成二十二年度から検討を開始し、平成二十三年度のなるべく早い時期に結論を得るという実施時期としております。

 ですから、警察とは別に、独立した調査権限を持つところがしっかり事故の究明をしていく。そのためにも、その場に一流の、ちゃんとした専門家をばっと集めて、その問題に適した人材で、科学的にも究明できるような体制、これはスタッフもお金もさまざまかかるわけですが、消費者庁としては、そこまで見据えて、今回基本計画に盛り込んで、この独立した機関をつくれるように、すぐ取りかかり、頑張っていきたいというふうに思っております。

 この点については、国土交通大臣である前原大臣とも何回か話をしまして、今そういう機関がありませんから、国土交通省の中の事故調の中でぜひエレベーターの件も取り上げていただきたいということについては何度か意見交換をさせていただきました。今消費者庁にそういうところがあればいいんですが、今すぐやはり動いてもらう必要もあるので、国土交通省にやってもらうということは今の段階では必要なことですが、基本計画に盛り込んだとおり、この網羅的な調査機関のあり方について検討するということをすぐ始めたいと思います。

本多委員 大変前向きな御答弁、ありがとうございます。

 ただ、私と福島大臣だけで話しているとこれはすぐ実現をしていきそうなんですが、私は、やはり、国土交通省、自分が持っていた、運輸機関の事故調査は自分たちでやるんだ、経済産業省もNITEという機関を持っています、これをなかなか簡単に手放すという話ではないと思いますので、大臣の強力なリーダーシップが要ると思うんですね。

 まず一つ目の、今ちょうどおっしゃったエレベーターのことなんですけれども、最近、一見いいニュースなんですね、国土交通省が持っている運輸安全委員会にエレベーターの部会もつくりますよと。今ないですから、これは単純に聞けば一歩前進ですから、短期的に見れば、私もこれは否定するものではありません。しかし、エレベーターもうちで、運輸安全委員会でやるから、これでもう消費者庁になんか移さなくていいよというと、これはまた、じゃ、ジェットコースターで事故が起こったときどうするんだとか、次から次へとすき間ができてくるんですね。

 ですから、私は、これは前原大臣も前向きに、善意でやっていらっしゃると信じたいんですけれども、幾らこういう形ですき間を埋めていってもすき間の解決にはなりませんし、特に運輸安全委員会に関しては大きな懸念を持っているんですね。JR西の福知山事件で情報漏えい問題があって、全く被害者の方や国民の皆さんの信頼を失いました。本来であれば組織取り壊しに遭ってもおかしくないようなことがあったので、今、これを消費者庁に移管するぐらいの話に抵抗できる状態じゃないと思いますので、ぜひこれは、前原大臣とも強力に話して、運輸安全委員会はできるだけ消費者庁に持ってくるんだぐらいの気持ちを持っていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

福島国務大臣 エールをどうもありがとうございます。

 おっしゃるとおり、国土交通省の中の福知山線の事故をめぐってのいろいろな情報漏えいは、私も衝撃を受けました。

 やはり、役所の中で、こういう言い方はよくないかもしれませんが、どこか政官業癒着、長い間のいろいろなおつき合いがあると、その中で顔のすごく見える関係、持ちつ持たれつじゃないかもしれませんが、つい情報漏えいや、人的にもつながりがある。そうすると、先ほど、基本計画の中に盛り込んだように、独立して、公平公正で、やはりいろいろな利権と切り離されたところでその原因究明や事実究明をやる必要があると思います。

 そして、今おっしゃったとおり、鉄道というか、運輸機関、交通機関だけではなく、エレベーターやジェットコースターや遊具、今私たちは遊具にも注目をしているのですが、公園の遊具を含めた、いろいろなところでいろいろな問題が起こり得るわけですから、これは基本計画を閣議決定していただいて盛り込みますので、このためには、物すごく消費者庁が大きな機関というか、権限とスタッフがないととてもできませんので、ぜひ応援をよろしくお願いいたします。

本多委員 ありがとうございます。

 それで、すき間の件はそういうふうに、十分、運輸安全委員会の焼け太りになるようなことのないようにしっかりとチェックをしていただきたいと思います。

 もう一つ、重複という問題があるんですね。最近、折り畳み自転車のことの報道がありました。経済産業省所管の独立行政法人製品評価技術基盤機構、NITE、ここでも危険だということを調べていて、国民生活センターでもこのことを調べていた。重複して両方で調べていたんですね。片方では危険だとわかったんだけれども、もう一方の結果が出るまで待っていようなんということで発表がおくれるという、ちょっと残念なことがございました。

 これも、二つでやった方がいいかもしれないけれども、二つでやったせいで発表がおくれるんじゃ何にもならないわけで、できるだけ網羅的に一つの機関でやらないとこういう問題も起こりますので、ぜひこの観点も、きょうは質問しませんけれども、すき間だけではなくて重複も重要な、行政改革の観点からも、二つのところでやっているより一つでやってきちんとした方がいいと思います。

 二つの観点からも、ぜひ、網羅的な、独立した、消費者庁が抱える調査機関をつくっていただきたいというのが私のお願いでございます。

 次の質問に行きますが、私と福島さんが理想とする調査機関ができたとしても、壁があるんですね。それは警察さんなんです。

 さっき大臣もおっしゃいましたけれども、警察も、もちろん一生懸命、責任がある人、業務上過失致死の人を挙げようとして調査をされるわけですが、一つ明らかにおかしな話として、地下鉄日比谷線の事故というのがかなり昔にございました。警察は、急いで証拠を押さえなきゃということで、レールを外して持っていっちゃったということを聞いたんですね。脱線したことを調べるのに、レールがどういう形でついていたのかを見なきゃいけないというのは、素人の、全く素人の私でもわかる話なんですが、日比谷線のときには警察が線路を外しちゃったので、線路がどういうふうについていたかわからないというようなことがあったんです。つまり、警察の観点だけだとなかなか本当の事故の原因というのはわからない。

 それから、あなた、これ、ミスしたでしょうというときに、その人は、自分ができるだけ罪が軽くなりたいから本当のことをなかなか言わないという問題点があるんですね。

 ですから、すばらしい事故調査機関を我々がつくったとしても、この警察の関係をしっかり整理しないとうまく働かないと思っているんです。これは日本の刑事司法のあり方なんかにもかかわる大きな話なんですが、できてからまた研究していると十年先、二十年先になっちゃいますので、ぜひこの観点も研究を始めていただけないか。つまり、実際に今、運輸安全委員会と警察の間にも覚書があって、協力するよとなっているんですが、ほとんど警察優位になっていると私は思っています。

 それから、将来的には、例えば、軽い、自分でわざとやったんじゃない犯罪の人は、きちんと事故原因について話したら刑事免責になる、こういう国もあるんですね。

 こういう、すごく長期的な課題についても、大臣、研究を始めていただけないでしょうか。

福島国務大臣 ありがとうございます。おっしゃった点の指摘はそのとおりだと思います。

 警察はもちろん一生懸命やっているわけですが、警察は、刑事処罰ができるかどうかという観点からやるわけで、もう一つ、事故原因を究明して再発防止をするかという観点はやはり違う観点だと思います。

 日航機の御巣鷹山の事故があったときに、不起訴になり、遺族の皆さんたちが検察審査会に持ち込んで起訴相当となったわけですが、そのときもやはり、捜査の権限と、それから事故究明、再発防止の間で、もちろん警察は物すごくやっていただいたわけですが、ずれがいろいろなときに常に生じ得るということは私も大変理解をしております。

 もしかしたら、ボーイング社のしりもち事故に対して、司法取引じゃないけれども、例えば、ボーイング社の、アメリカサイドに、免責をするからすべて言ってくれと言って話をしてもらって、そうした方が事故原因の究明はできるかもしれない。

 というのは、捜査の権限と重なるところと、またずれるところとあるわけです。その意味では、警察は、職務を忠実に行い、かつ処罰できるかという観点からやるわけですが、それとは協力しつつ、別の観点から、消費者庁としては、事故原因の究明と再発防止、被害に遭われた皆さんの切実な気持ちにこたえるべく、そういう組織をつくっていきたいと思っております。

本多委員 ありがとうございます。ぜひ検討を進めていただきたいと思います。

 それで、実はこの調査機関に向けては、消費者基本計画の今策定中の案の中にも、期限を区切って、平成二十二年度に検討を開始しということは、もう四月一日から開始をしていただきたいんですが、平成二十三年度のできるだけ早い時期に結論を得ますというのが、私はもうちょっと早くできないかなと。後ろ目に書いているんだと思いますけれども、これより早くなることはもちろん構いませんので、できるだけ早く、前倒しで、鉄は熱いうちに、福島大臣のように前向きな方がかわっちゃったら大変なので、ぜひ、福島大臣が大臣をやっていらっしゃるうちにどんどん早く進めていただきたいという思いであります。

 こういうときに、私は進捗管理が大事だと思っていまして、大臣もいろいろなことを抱えているからお忙しいと思いますが、例えば消費者委員会でこれを話し合っていくとしたら、やはり時々大臣が行って、あれはどうなっていますかというのを、役所の人が言うんじゃなくて大臣が直接自分の体を持っていって、消費者委員会の委員の方に、あれはどうなっていますかと、六月、七月、八月と顔を出していただく。物理的な大臣からのプレッシャーというのが物を前に進めるのに大事だと私は思うんですけれども、いかがでしょうか。

福島国務大臣 消費者委員会は監視機能も持ちますが、全員すばらしい人たちですので、今までも意見交換をやってまいりましたけれども、本多委員の後押しを受けて、大いに、プレッシャーでなく連携をとっていきたいと考えております。

本多委員 ありがとうございます。

 ぜひそういうふうに、大臣の顔が見えて、ああ、進んでいないと困るなということを委員の皆さんにも感じていただくようにしていただければと思います。

 そして、もう一つ大きなかぎは、各省との折衝です。国土交通省、経済産業省、場合によっては警察も関係してくるかもしれません。いろいろなところと皆さんに折衝していただかなければいけません。

 これまでだと役人さん同士の積み上げでやってなかなか時間がかかりましたけれども、ある意味で、我々の政権、政治主導になって、政務三役同士で合意をしたら、本多君、なかなかそんなことできないよと言われていたことも、消費者庁の役人さんも悩んでいるんですね、本多さん、そうは言うけれども、経済産業省、国土交通省、簡単に折れるんですかと。しかし、これは今の政権だったら可能だと私は思っているんです。

 そこで、政務三役の皆さんがしょっちゅう前原さんにしつこくこのことを言うとか、こういうことが大事になると思うので、政務三役の御決意をぜひ、それぞれお一人ずつお願いをいたします。

福島国務大臣 他の大臣室に大いに出かけて、消費者庁がうるさいなあと思われるぐらい頑張ってまいります。閣議や閣議後で、いろいろなところで大臣たちとはよく話をしているのですが、もっと見える関係でやります。

 最近も、土壌のカドミウムの汚染については、すぐ環境大臣のところに行き、農水大臣それから厚生労働大臣と話をして、カドミウム汚染について、農水省の調査などについても、これは消費者庁に関係各省みんな集まっていただいてやっているとか、点火ライターの点についても消費者庁でやっているとか、やっておりますが、大いに横断的にやれるよう、司令塔、エンジン役として頑張ってまいります。

大島副大臣 本多さん、ありがとうございます。

 これまでも私の方から積極的に各副大臣室の方には行っておりますので、今後とも一生懸命取り組ませていただきます。

 以上です。

泉大臣政務官 ありがとうございます。

 先日も、大臣とともに環境省に行きまして、カドミウムの件、申し入れをさせていただきました。また、食品SOSのプロジェクトチームでは、エコナでも、そしてまた今回のコンニャクゼリーでもそうですが、各省から職員を呼んで事情を聞いて、そしてまた積極的に主導して協議をしていくということをやっておりますので、さらに進めていきたいと思います。

本多委員 ぜひその意気込みで、政務三役の皆さん、頑張って調査機関の設置に向けて努力をしていただきたいと思います。

 質問を終わります。

末松委員長 次に、吉泉秀男君。

吉泉委員 おはようございます。社会民主党の吉泉秀男です。

 大量生産、大量消費、そしてまた海外からの大量な輸入食品など、私たち一人一人、安心して暮らしていくために消費者行政の果たす役割、ますます拡大をしながら、行政機関においてもきちっと位置づけ、このことも明確にしなければならないだろうというふうに思っております。昨年の九月一日に消費者庁ができ、約半年間、この間の福島大臣初め関係者の皆さんの御努力に敬意を表しながら、質問に入らせていただきます。

 消費者庁、消費者委員会と、車の両輪を走らせているかのように、あるべき姿を求めて、多くの地方に出向き、地方消費者行政の充実・強化のためのプラン、これを策定しながら、今工程表に基づいて進められてきているわけでございますけれども、消費者庁の設置に伴って、いち早く、地方の消費者行政の充実強化を目指し、二百三十億の基金が各都道府県に配分をされました。

 そこでお伺いいたしますが、各地方に出向いていってつかんできた実態、このプランを見てみますと、各自治体また各県、相当の温度差があるというふうに判断もされますし、またこのプランの中にも出ております。そうした面の中で、この基金をどう活用していくのか、このことについては地方にゆだねられているというふうに思っておりますけれども、この基金の趣旨、そしてまた、三年間をいち早く支出した、そういう経過を含めた理由をお聞かせ願いたいと存じます。

福島国務大臣 地方消費者行政の強化を大きな柱の一つとしてこの間やってまいりました。

 おっしゃるとおり、各自治体で非常に温度差があり、相談員の待遇改善のためなどにも基金を活用してやっていただきたいということもあるのですが、都道府県、市町村を含めて各自治体における消費者行政を、やはり優先順位を高くしてもらって、消費者行政が重要だということを自治体の中できちっと位置づけていただけるよう今取り組みを強化しているところです。地方消費者行政強化プランを発表したときに、各自治体で取り組んでいる事例や頑張っている自治体の事例や、いろいろなものもあわせて発表させていただきました。ですから、今、温度差があると吉泉委員おっしゃったとおり、いろいろな自治体が地方消費者行政に取り組んでいただけるよう頑張っていきたいというふうにも思っております。消費者庁の中に、一応、消費者行政推進本部、私を本部長に設置をいたしましたし、また、審議会、地方消費者行政強化の検討会もつくって、それもやる予定です。その中でアイデアも出していただいて、頑張っていきたいと思います。

 また、各自治体ともっとコラボレーションをしながらやっていきたい。実は、子育て支援については、沖縄県とコラボレーションしながら、認可外を認可にするのを七百万から三千万に上げることなどして、大いに連携して変えていっているんですが、そのように、地方消費者行政についても、消費者庁と各自治体と連携を組んで、モデル事業とまではいかなくても、コラボレーションしながら成果を上げて、それを全国の中で大いに宣伝し、取り組みを深めたいと思っております。

 基金については、ぜひ相談員の待遇改善のために役立てていただきたいというふうに考えております。

吉泉委員 本当に、消費者庁の設置の前の段階においても相当の取り組みさらにはいろいろな議論があったというふうに自分自身も伺っているところでございます。

 そして、このプラン、せっかくつくったのにもかかわらず、まだすべての市町村、町村までは行っていない、各県段階までは行っているんだろうけれども、そういった状況が今あるわけでございます。そういう面の中では、やはりすべての市町村、関係団体の方にいち早く、消費者庁としてのこのプラン、この部分をまずお手元に出していただきながら、それぞれの、各機関の中で頑張っていただけるような、そういう方向を、お願いをまずさせていただきたいというふうに思います。

 そして、国そして地方一体となった消費者行政の充実強化、この部分を求めていった場合、今お話ありました基金、こういった部分だけでなく、ほかの手法、そういうものも考えていかなきゃならない、こういうふうに私は思っております。

 そして、このプランの中に、相当の進んでいる事例が出てきております。こういった状況を、各市町村さらにはすべてのところでこういった部分をどんどん消費者行政の中で生かしていかなきゃならない、こういうふうにも思っております。そういう面で、今大臣の方からも、地方にとって相当の、まだまだ温度差があるという状況も御答弁あったわけでございますけれども、やはり消費者庁として、予算もあるわけでございますから、みずから率先して、先進的な事例、こういう部分を一つの参考にしながら、それぞれの地域さらには町村、そういったところにモデル地域というふうな部分なんかも指定をしながら、消費者行政、この部分を強化していく、または進めていく、そういう視点が必要なんだろうというふうに私は思っておりますけれども、この点についてはどういうふうに考えておりますでしょうか。

福島国務大臣 ありがとうございます。

 確かに地方消費者行政をどう強化していくかが本当に極めて重要で、都道府県だけでなく市町村における働きかけももっと強めてまいります。

 そして、モデル事業とまではいかなくても、モデル事業に近い形、さっきもちょっと申し上げましたが、一緒に連携をとりながら、こういうことをやればいいとか、例えば基金をこういうふうに使っているところがある、こういう先進的な事例があるということで、子育てなどですと、いろいろな自治体と実はコラボレーションしながら具体的に成果を上げようとしているわけですが、地方消費者行政も、そういう形で、一緒にコラボレーションしながら各自治体の取り組みを大いに応援していきたいと思います。

 そして、すばらしい取り組みをしている自治体もさることながら、今度、地方協力課、人員増を大変していただきました。この財政難の折、十一名定員増、地方協力課だけでしていただきましたので、顔の見える関係で、各自治体に対して消費者庁から出向いたりいろいろ今やっているわけですが、強化をしていきたいと考えております。

吉泉委員 ありがとうございます。ぜひお願いを申し上げたいというふうに思いますし、このプランの中にも相当の事例がそれぞれ課題ごとに出ているわけでございますから、そんな面の中ではぜひよろしくお願いしたい、そういうふうに思います。

 そして、今の、地方の消費者行政を充実強化、このことに関しまして、それには、きょうも、消費生活相談員の考え方、ここの中にもありますけれども、答弁にも出されたわけでございますけれども、待遇改善、この部分は不可欠であるというふうに私は思っています。そのためにはやはり財政支援、それは欠かせないだろうというふうに思っておりますけれども、その点について大臣の決意をまず伺っておきたいというふうに思います。

 現在、全国の消費生活相談員の九八%、これが非常勤職員である、そしてこの人たちによって国の消費者行政の根幹が担われているという現状、このことは、私から見れば全く異常だと言わざるを得ないだろうというふうに思っております。

 非常勤相談員が多い理由、この部分はさまざまあるだろうというふうに私は思っております。しかし、私自身思うんですけれども、現在、消費者アドバイザー、国民生活センター、日本消費者協会の消費生活コンサルタント講座を修了した人たち、こういう人たちが主に相談員として御苦労なされているわけでございますけれども、私自身は、現状の資格制度、この部分をもっと一歩前進させていく必要があるんだろうというふうに思っています。

 そういう中で、介護士や福祉士、公認会計士等々、さまざまな国の資格認定、こういう部分があるわけでございますけれども、それらと近いような形でこの消費生活相談員の資格認定、こういったものをどこでするのか。

 また、今現在、相談員になっていても何もそういう部分がない、そういう状況の中で今の相談員そのものが全体的に、処遇の問題、待遇の問題、こういった部分が非常に不明確なままになっている。そういう意味の中では、少し社会的な地位なんかも含めて、そして処遇の部分も、きちっと専念できる、こういうふうな一つの相談員というもののあり方、このことが私は必要なんではないか、こういうふうに思っております。

 そんな面で、相談員のいわゆる処遇改善、この部分と同様に、もう一つ、一歩前に進んでいく資格認定制度、こういった部分なんかもどういうふうにとらえているのか、大臣の見解をお伺いさせていただきます。

福島国務大臣 吉泉委員御指摘のとおり、内閣府の平成二十年度の調査で、九八・五%が非常勤というふうになっております。身分の安定や処遇の改善は課題です。

 いろいろな相談員の皆さんと話しますが、割と、比較的いい条件のところもあるのですが、やはり大半は、一人で食べていけるにはなかなか困難な給料ではないかと思われるような待遇で、皆さん本当に優秀で、粉骨砕身、スキルを持って、まじめに頑張っていらっしゃいます。とりわけ女性も多いですし、それから、やはりキャリアを積んで、非常に難しい相談をきちっとやっていらっしゃるというふうに思います。

 消費者庁は、消費生活相談員の身分の安定も含め、処遇改善を図るために何が課題となっているかという点を、資格制度の活用を含め、ワーキンググループを設けて検討を行ってまいります。統一的な国家資格とすることは、業務独占や必置、名称独占などの規制も伴うものでありますから、消費生活相談という業務になじむかどうか慎重に検討する必要がありますが、とりわけ待遇改善が必要だという点ではもう待ったなしですので、この点について、ワーキンググループをつくってしっかり検討して、夏をめどに結論を出します。

吉泉委員 夏までにひとつよろしくお願いいたします。

 私自身も、相談員との交流、さらにはいろいろな意見を聞かせていただいておりますけれども、やはり非常に広範囲なそういうものの相談、こういった部分について対応に苦労している、そういった状況もありますので、その面も含めて、一つの認定資格、そういった部分なんかも少し視野に入れてお願いをしたい、そういうふうに思います。

 あと時間がなくなってまいりました。最後の質問をさせていただきます。

 消費者安全法による通知手段そして事故に関する情報開示手段として、事故情報データバンクが四月より稼働することになっておりますが、国民向けのシステム、このことについてお伺いさせていただきたいというふうに思います。

 国民生活センターには毎年相談が百万件以上寄せられておるわけでございますけれども、その内容は、衣食住など十一項目にわたって相談事例としてホームページに紹介をされて、そして私たち国民一人一人に注意を呼びかけているという今の現状があるわけでございます。

 そして一方、事故情報データバンク、このことは、今、各省庁含む九カ所の参画機関から情報を寄せ、開示しようとしておりますけれども、私自身、各省庁のマル秘情報、さらには、今の段階で対応策などで情報公開はできない、こういった部分もあるだろうし、さらには、企業・個人情報を守らなければならない、そういった部分も多くあるだろうというふうに思っております。

 そして、今もう三月後半に入っています。四月より稼働するならば、現在、各参画機関からどのくらいの情報、どのような情報が寄せられているのか、そして、そういった中でどういった部分を開示しようとしているのか、そういった点について、今の現状というものについてお伺いさせていただきます。

福島国務大臣 事故情報データバンクの参画機関からは、原則、平成二十一年度以降のデータの登録を順次進めていただいております。現在、約一万五千件が登録されています。内訳は、消費者安全法に基づく重大事故情報約二百件、消費生活用製品安全法に基づく重大製品事故情報約七百件、厚労省が集約する食中毒情報八百件、全国消費生活情報ネットワークシステム、いわゆるPIO―NETに登録される情報約六千件、NITEが集約する重大製品事故に準ずる情報約六千六百件などとなっています。

 これら情報については、被害の発生、拡大防止を図るため、個人の識別に係る情報やさまざまな情報に関してはもちろん留意をしながら、事故発生日、発生場所、事故内容等の事故の概要を公開することとしており、さらに、当該事故が製品に起因している場合には事業者名、商品名等を公開するということにしております。

 事故情報データバンクが広く利用され、消費者事故の再発、拡大の防止に資するよう環境の整備を着実に進めてまいります。

吉泉委員 ありがとうございました。

 まず、私方もまだリンクしても出てきませんので、四月一日からはぜひ公開できるような形で、私方も共有されるようによろしくお願いを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

末松委員長 次に、柴山昌彦君。

柴山委員 自由民主党の柴山昌彦です。

 大臣に、一般論としてお伺いしたいんですけれども、消費者被害などの企業不祥事が発生した場合に当該企業がしなければいけないこと、これは一体何だとお考えですか。

福島国務大臣 原因究明をすること、それと、一刻も早く国民に対して啓発、警告、あるいはきちっとした広報を行うことだと思います。

柴山委員 刑事手続に任せ切ることない原因の究明、それから消費者への説明、そして、当然のことながら、再発防止ということではないかと思います。私も大臣と全く同じ意見であります。

 ところで、今、与党にそれができているんでしょうか。鳩山総理や小沢幹事長の政治資金問題あるいは北教組の違法献金問題など、国民の大半が原因の究明また国民への説明が不十分と感じています。

 大臣は、率直に言って、今の与党がこうした部分において十分でないとお認めになられますね。いかがですか。

福島国務大臣 私は、きょう、大臣として、消費者被害、消費者問題について担当しておりますので、それについては、大いに、日本のさまざまな部門が事実究明それから説明と再発防止をするべきだと考えています。もちろん、政治の世界もそのことは重要であり、説明責任は尽くされるべきだと思っております。

柴山委員 今、内閣支持率が急落する中で、連立を組む社民党にも少なからぬ影響が出てくると私は思うんです。このまま大臣が何の手だても講じないということになると、御党にとっても非常に重大な危機となると私は思うんですけれども、ぜひこれから社民党の存在意義を発揮していただきたいと思うんですが、大臣、これから閣内でこうした問題について、何かこうした手だてを講じる、そういうような御意思はありますか。

福島国務大臣 これは消費者特別委員会ですので、社民党党首としての発言は差し控えさせていただきます。

柴山委員 社民党党首としての活動が閣僚の一員としての活動とリンクしないというようなお話かとも思うんですが、普天間問題ではそういうことは通用しませんので、ぜひ考えを改めていただきたいと思います。

 また、本日発売の週刊新潮に、中井洽国家公安委員長が銀座のホステスにカードキーを持たせて何度も赤坂議員宿舎に出入りをさせているという問題が報道されています。御本人は、何か問題はあるのかと開き直っておられるようですけれども、中井大臣は日本の治安を預かる大臣です。セキュリティーあるいは情報管理の観点から、また、女性閣僚として、福島大臣はこの問題についてどうお考えになりますか。

福島国務大臣 申しわけありませんが、私はその件は全く存じ上げておりませんで、新聞の広告で見ただけでありまして、済みません、全く存じ上げておりません。報道の中身も知りませんので、コメントはちょっと今の段階ではできません。

柴山委員 ぜひしっかりと中をチェックしていただきたいと思います。鴻池官房副長官は辞職されておりますので。

 きょうは、辻元副大臣にもおいでいただいておりますけれども、辻元副大臣はこの件について、御意見、御感想はありますか。

辻元副大臣 私は、今知りましたので何とも言えません。(柴山委員「感想はいかがですか」と呼ぶ)いや、さっぱりわかりません。

柴山委員 これだけ昨日から大きく報道されているにもかかわらず知らないというのは、私は問題だと思いますよ。

 さて、きょうは、公正取引委員会のあり方について質問させていただきます。

 この公正取引委員会、昨年九月一日に消費者庁に移管された景品表示法の所轄官庁であったことはもちろん、広い意味で消費者の利益を損なう談合ですとかあるいは不公正取引、こういったものを監視する重要な機関であります。

 実は、民主党の小沢幹事長のおひざ元である岩手県で、九十社を超える大規模な建設業界組織のトラスト・メンバーズ、今はTST親交会というように名前を変えているようですけれども、談合を繰り返していたとして、平成十七年の六月に公正取引委員会から排除勧告を受けています。この件は、異議が申し立てられていて審判が続いていたんですけれども、既に結審して、ことしの一月八日に業者側の直接陳述がなされました。もうそれから二カ月以上がたっています。この事件についての結論、審決は一体どうなっているんですか。

鵜瀞政府参考人 岩手県が発注する建築一式工事の入札談合事件につきましては、審判手続を行ってきたところでございますが、三月二十三日付で審決を行ったところでございます。

柴山委員 審決を行ったところでありますというんですけれども、それについての対外的なコメント、記者発表はやっているんですか。

鵜瀞政府参考人 現在、送達手続中でございまして、本日、新聞発表する予定でございます。

柴山委員 本日発表されるということのようでございます。

 なぜ、この問題についてここまで時間がかかったんでしょうか。

鵜瀞政府参考人 本件の経緯を申し上げますと、平成十七年六月に勧告をいたしまして、不応諾の会社がございましたので、審判開始決定をいたしまして、十七回審判を行いました。そして、先ほど委員御指摘のとおり、昨年に審決案を送達いたしまして、異議申し立てと直接陳述の申し出がございましたので、一月に直接陳述の聴取をしたところでございます。

 直接陳述の聴取から現在まで二カ月以上かかりましたけれども、これにつきましては、審判記録、異議申し立て書、直接陳述、そして審判官が作成した審決案を公正取引委員会が調査して審決を行うものでございますので、本件につきましては、被審人の数が八十社と多かったこと、それから直接陳述の申し出を行った被審人の数も多かったこと、そして、直接陳述の後、被審人の中で特別清算手続が終了して排除措置を命ずる必要があるとは認められない者が新たに確認できたという事情がございましたことから、結果的に二カ月以上経過したものでございます。

柴山委員 ただ、これまでの私の経験からして、ここまで時間がかかる案件というのはそうそうないと思います。この後、ちょっとまた審判手続については質問をさせていただきますけれども、今後、この件についても、岩手県の達増知事の指名停止等の処分がどうなるかなど、大きな関心を持ち続けてまいります。

 お手元にお配りした資料をごらんください。これは、今国会に提出を予定されている公正取引委員会の審判制度の改革に関する図です。

 これまでは、一番左の方にあるとおり、談合などの事案については、今の私からの事例でも問題提起させていただいたように、迅速な処分をしなければいけないということで事後審査型の審判、すなわち、一たん公取が処分を下して、それに不服がある場合に、公正取引委員会が当事者の言い分を聞いた上で審決を下すという制度だったんです。ところが、今度の独占禁止法改正案では、一番右の図にあるように、この審判制度が廃止されるということであります。なぜこのような改正が行われるんでしょうか。

田村大臣政務官 お答えいたします。

 今回、独禁法改正法案の提出をさせていただきまして、今御説明いただきましたように、審判制度を廃止するということでございます。

 柴山委員にお配りをいただいたこの資料にも書いてありますように、公正取引委員会が行政処分をして、その行政処分を実際に実施した公正取引委員会がまさに審判制度においては処分の適否を判断するというのはやはり不公平だ、不公正だという批判はもうずっと前からあったことでございまして、例えば民主党におきましては、従来から、かなり前、五年以上前から審判制度を廃止すべきという主張で一致をしていたところでありましたので、今回、この政権におきましても、その意見で法改正をするということでございます。

柴山委員 今、田村政務官からお話があったんですけれども、経済界はあくまで処分庁と不服申し立てを判断する審判庁の分離独立をきちんとしろというふうに言っているのであって、従前から専門性があり、迅速性があり、そして柔軟な判断ができる公正取引委員会の審判制度自体を廃止するまでのことはないんじゃないでしょうか。

田村大臣政務官 先ほど申し上げたように、民主党におきまして従来からそういう主張をしておりますのは、経済界の意見も参考意見としては聞いた上で総合的に判断をしているわけですけれども、そもそも経済界自体でも、柴山委員が今おっしゃったような御意見の方もあれば、あるいは、やはり廃止をすべきという意見もあったというふうに私も記憶をしているところであります。

 ですから、今回のこの総合的に判断というのもいろいろな要素はございますけれども、例えばヨーロッパやアメリカ、そういったところの制度も基本的にはやはり裁判所に任せるという流れになっておりますので、そういった世界的な流れも見た上で今回決定をしたということです。

柴山委員 今、総合的な判断ということをおっしゃったんですけれども、それでは、これまで公取がやってきた審判手続を裁判所に要するにぶち込むということになりますと、東京地裁の通常部、一番右下の絵にかいてあるように、東京地方裁判所も専属管轄になるということなんですけれども、東京地裁の通常部で談合などの経済事案に詳しい裁判官がどれだけいるんですか。

田村大臣政務官 東京地方裁判所にそのような問い合わせはそもそもしておりません、何人いるんですかと。

 そもそも、これからまさに東京地方裁判所で体制整備をする、それは法案を通していただいた場合ですね。そうしたら、法案を通していただいた場合に、それから施行までというのは一年六カ月を超えない範囲というふうに定めております。そこは、裁判所、法務省と事前に相談をさせていただいて、まさに体制整備には少なくとも一年六カ月は欲しいという先方の、法務省、裁判所の要望を踏まえて今回法案に盛り込んだものでございますので、その期間では体制整備ができるというふうに裁判所でも考えているということです。

柴山委員 今、野党の理事の方からもちょっと失笑が漏れましたけれども、そもそも、こんな重要な改正をするに当たって、地裁の裁判官がどういう体制になっているのかとか、あるいは、これは専門部を設けるわけじゃないですから、通常部の裁判官の勤務実態がどうなっているのか、そういうことを調査しないということ自体、我々としては信じられないですよ。

 裁判所の負担が今どのような実態になっているかということを御存じですか。ことし三月十二日に法務委員会で私は質問したんですけれども、東京地裁民事通常部で裁判官一人当たりの手持ち事件数は実に二百七十件。二年前の二百件に比べて大幅に増加しているんです。(発言する者あり)

 今、辻理事の方からお話があったように、裁判官の人数も、ことしは純増がわずか四十五人、思うようにふえないのに、こうした新しい事件をふやして大丈夫なんですか。

田村大臣政務官 まず最初に、先ほど先方に問い合わせをしていないと言ったのは、何人いますかと聞いていないだけでありまして、さらに申し上げるなら、東京地方裁判所に現在何人いるかというのは聞いても意味がないわけです、当然それは、最高裁、高裁、地方裁判所含めて、全体の中で人員をどうするかという話ですから。例えば、体制整備をする、今後どう体制整備をしようというのはまさに裁判所、法務省が考えていることでありますけれども、専門家は東京高裁そして最高裁には当然いらっしゃるわけでありますから、そういった方々の、トータルの体制を含めて考えるということでありますので、現在の東京地方裁判所に何人いるかというのは意味がない、だから聞いていないと申し上げただけであります。

 ですので、そこはともかく、法務省、裁判所としても一年半あればしっかり体制は整えられるということを言っているということでありますし、あと、今、確かに、東京地方裁判所、裁判官一人当たりの負担が大変重いという話は私も聞いておりますけれども、それは、一人一人の件数と今回の件というのは必ずしも、場合によっては東京地方裁判所の例えば人をふやすとか、いろいろな形はあると思いますので、本件が、今柴山委員がおっしゃったことをもって今回適正じゃないというふうには全く考えておりません。

柴山委員 今、専門家は高裁にも最高裁にもいるというふうにおっしゃいましたけれども、右下の図にあるように、これは、第一審手続はすべて東京地方裁判所が管轄をするという仕組みなんですね。だから、もし高裁とか最高裁に専門家がいても、第一審手続というのは全部東京地裁に事件が配てんされるわけですよ。だから、その一年六カ月の間にそういった専門官との人事ローテーションが適切に行われて、東京地裁にしっかりとした人材が集中して、そして、そういった人を持ってきたところに迷惑をかけないというようなことまできちんと考えているか。(発言する者あり)

 それから、今、辻理事から裁判官の定員の問題についてお話ありましたけれども、裁判官の定員は急にふえないわけですよ。これから一年六カ月の間にどういう形でトータルの定員がふえるかということについては、私は極めて疑問が大きいと思っています。

 それから、政務官、裁判所の人的体制の問題だけを私は問題にしているんじゃないんです。これが、例えば特許庁や国税庁や証券取引委員会など、さまざまなほかの行政審判を行っているところにどういう影響をもたらすかということをぜひ考えていただきたいんですね。

 例えば、特許の無効審判だって、審判官の任用システムが特許の審査官と同じ人事ローテーションの一環となっていて中立性に問題があるということはかねがねから指摘をされているんですよ。また、国税不服審判所の判断だって、これは有名な論点ですけれども、国税庁長官がこれに介入できるということになっていて、これもやはりおかしいじゃないかというように指摘をされているんです。金融庁の証券取引等監視委員会にも審判制度はあります。

 そういった他の行政庁による準司法手続をどうするかということと整合性を持って、きちんとした検討がされているんですか。

田村大臣政務官 いろいろと御指摘をいただきました。

 最初の東京地方裁判所の件に関しましては、ほぼ繰り返しになりますけれども、法務省も裁判所も一年半あれば体制整備はできるというふうに言っているわけです。ですから、私がそれ以上さらに力説する立場にはないわけでありますけれども、法律を通していただいたら、そこはしっかりと、まさに政府全体として体制を整備していくと。

 あわせて、委員は御案内だと思いますけれども、過去におきまして、そもそも、年間六件程度、ただ、一件一件は当然大変重いわけでありますので、委員の御主張というのはそれを踏まえた上であると思いますけれども、いずれにせよ、そこは政府としてしっかりと体制を整備するということであります。

 そして、後段の御質問の件でありますけれども、ほかの行政手続との関係におきましては、もちろん、そこは、今回の審判制度廃止も踏まえて、あるいは踏まえなくても、各省庁で検討をしているというふうに聞いています。

 今回、まさにこの独占禁止法の審判制度だけを廃止したというのは、やはりほかの行政手続と比べても特殊性、重要性、こういうようなものがある、そこは、それは切り離してやるのは十分に意義があるというふうに考えて判断をしております。

 例えば、国税不服審判所につきましても、まさに税制調査会で検討をする素材にはのっているところでありますし、そこは各省庁で今後検討されていくんだろうというふうに考えています。

柴山委員 私は、自民党が政権与党だった時代に、この準司法手続やADRと司法プロパーの体制の関係について省庁横断的な検討を進めてきたんです。政権がかわってから、経産省など役所の思惑と、それから縦割り行政に基づくそういう横ぐしのない検討が行われているということは私は甚だ遺憾ですので、ぜひ経済産業委員会でこの問題については徹底した議論をしていただきたいというように思っております。

 続いて、トヨタ車のリコール問題について質問をさせていただきます。

 まず、大臣に伺います。

 今回のリコール問題で、消費者庁と国交省、経産省はうまく連携できて事案の対処に当たれたというようにお思いになりますか。

福島国務大臣 トヨタの車の問題については、国内で発生した問題と国外で発生した問題とあるわけですが、トヨタ車のリコール問題に際して、消費者庁において、国土交通省、経済産業省等の関係行政機関との間で事故情報、関連情報の共有、事業者に対するヒアリングや改善要請を共同実施、消費者への情報発信に関する情報の共有などの連携協力を図ったところです。今後とも、消費者事故等の対応に際して、適切に関係行政機関等との連携強化を図ってまいります。

 御存じのとおり、フロアマットやいろいろな点はアメリカで起きたことで、日本の消費者に対する問題で起きた点につきましては、問題が起きたその日にトヨタ社に連絡をし、きちっと説明に来てもらい、各関係省庁と連携をとり、リコールにすぐなった次第です。

柴山委員 という御説明なんですけれども、民主党の消費者問題に関する議員政策研究会は、報道によると、消費者庁がトヨタ自動車のリコール問題などで国交省や経済産業省などとの連携がうまくいかなかった例があるなど司令塔としての役割を十分果たせていないということで、重大事故が起きた際に各省庁に報告させる権限を拡充するよう政府に提言をするということが言われているんですね、民主党のことだから御存じないかもしれませんけれども。

 これについて、福島大臣はどういうお考えをお持ちでしょうか。

福島国務大臣 消費者問題というのはグローバルで起きますので、今後外国で起きた消費者問題に関してどう消費者庁がやるかは、私は検討事項だと思っております。

 ただ、この問題は、日本で起きた消費者問題について消費者庁がどうするかというスタンスで基本的にはやってきました。アメリカで起きたフロアマットなどについては、現在、国民生活センターにおける商品テストを行っている段階で、起きたことについては、商品テストを行って、結果を待っている状況です。日本においては、今回の報道された件以降につきまして、これについては、その日に行動し、関係省庁と連携をとり、リコールということになった次第であり、今後も事前の連携などはきちっとやっていきたいというふうには思っております。

 ただ、今回、PIO―NETなどにこの情報がきちっと上がっていなかった、要するにブレーキの件で。ですから、消費者庁としては、事態が外部に出る前にどう把握できたか、どう認知できたかという点について課題はありますが、問題が出た以降については、その日に行動し、関係省庁と連携をいたしました。トヨタ社も説明に来られ、最後は社長もきちっと消費者庁に説明に来られるということで対応しました。

 ですから、重大事故が起きたときに機敏に行動し、司令塔、エンジン役として頑張るべく、今回の点ももっと出っ張れたんじゃないかということについてはまた考えつつ、きちっとやっていきたいと思っております。

柴山委員 ぜひ検討していただきたいと思います。

 本件については、各省庁の連携の問題について、今福島大臣みずからが少しお触れになったように、国内の問題のみならず海外の問題があったということが私は大変重要だと思っているんです。直嶋大臣や前原大臣はトヨタの対応が遅いというように批判されていましたけれども、各省庁は、今回、大きな問題となった米国トヨタ車の今おっしゃったフロアマットですとかアクセルのふぐあいについて、過剰な米国での反応ですとか、あるいは不当な調査を防ぐための何らかの活動というものは行っていたんでしょうか。国交省及び経産省にお伺いします。

辻元副大臣 お答えいたします。

 国交省では、自動車の安全、まず国内での安全を第一義的には担当しています。今回、米国でのトヨタ車のリコール問題は、米国の運輸当局の取り扱うところになっています。ただ、これはそれぞれの主権があって、日本の国内で例えば外国車の何かが起こったとしても日本の基準できちんと国交省が対応する。それは、日本であった事故等ふぐあいについて、その国の運輸当局が、そこが判断するのではなくて、しっかり日本でやらせていただく。そのかわり、米国であったら米国でやるというように、それぞれ国際的にはリコールや自動車等の安全問題は対応するということになっております。

 しかし、今回の場合は、トヨタという日本の会社で、そして広く世界にも進出している会社であるということから、米国の運輸当局からの情報提供をいただいたり、それからトヨタの社長及び関係者に対して報告を求めたり、そして、その対応についてしっかりやっていただくように要請したりということを行ってまいりました。

近藤大臣政務官 柴山委員の御質問にお答えいたします。

 まず、基本的な認識として、自動車産業にとって、安全性を含めて品質の高い自動車をつくるということは大事な生命線であります。そうした中で、今回のリコール問題でありますけれども、そもそも、事の本質といいますのは、米国であれ国内であれ、消費者の方々とメーカーの問題であります。

 委員御指摘の、何をもって不当な調査とおっしゃっているのかよくわかりませんが、米国の公聴会において、それぞれ、各出席者の方々が、本件に関するそれぞれの認識に基づいてそれぞれのお立場で御発言をされている、こういうふうに考えております。ですから、この内容について経済産業省ないしは政府としてとやかく言うのは正しいことではないだろう、私はこう考えています。

 一九九〇年代の半ばにあったいわゆる日米構造協議のときとは随分様相が違っておって、当時は、クリントン政権下の中で、ミッキー・カンターUSTR代表が橋本通産大臣に竹刀を向けて、こういう時代でございました。ただ、あれはまさにGGベースの交渉だったわけですけれども、今回はアメリカの消費者の方とメーカーの問題でありますし、当時のようないわゆる日米摩擦という認識は少なくとも我々は持っておりませんので、トヨタにおける真摯な対応を注視しておるということであります。

 いずれにしろ、経済産業省としては、在外外交官を含む外務省、国交省、他省庁と連携をしつつ、大変大きな産業でありますから、注視をしてまいりたい、このように思っておるところでございます。

柴山委員 全く認識が甘いと私は申し上げたいと思います。

 考えてください。オバマ政権とアメリカの議会は、米国ビッグスリーの再建という国益を前面に出してトヨタを追及しているんですよ。そして、それに対して日本はどうか。日本は、ジャパン・ブランドに対する信頼が重大な危機にさらされているのに、アメリカと、今政務レベルの交渉という話がありましたけれども、どう交渉すれば早期に収拾を図れるかですとか、Gレベルで、政府レベルでどういう対処をすればいいかというような発想は全くなかったとしか思えないんです。

 そして、お伺いしたいんですけれども、この問題について、アメリカ三大ネットワークの一つであるABCテレビが二月に、トヨタ車の急加速の原因が電子制御装置の欠陥であるとする専門家の実験の再現番組を放映して、急加速するトヨタ車の映像と同時に、エンジン回転数の急上昇を示すタコメーターの映像を流したんです。ところが、実は、この問題のタコメーターの映像は別の停止中の車のものを編集段階で組み合わせたもので誤った編集だったということをABC自身が認めているんです。こういったやらせ番組に対して、政府は抗議などの対応をしたんですか。

近藤大臣政務官 そもそも、米国の報道機関が報道した民間企業に関する内容について政府が抗議をするということが果たして適切かどうかというのは、私は非常に疑問であります。

 もう一点、もう一度御説明を申し上げたいと思うんですが、それは柴山委員の御認識は御認識として承りたいとは思いますけれども、米国トヨタは、米国で生産をし、米国で雇用をし、米国の企業としてもう既に活動をしているわけです。私どもは、米国政府がそうした米国で雇用をし米国で生産をしている企業に対して不当な調査をしているという認識は持っておりません。

 以上でございます。

柴山委員 それは別法人だということは当然ですけれども、そういった認識というのは、私は国益の観点から極めて問題だと思うんです。正当な調査、不当かどうかは、もちろん、向こうのことです、内政干渉はするべきではありませんけれども、正当な調査や報道であれば、これはきちんと我々は受けとめるべきですし、現地法人にも受け入れてもらわなくちゃいけないと思いますけれども、そうでなければ、やはり日本の国益を断固として守るという姿勢を政府には持っていただかないといけないと思います。

 どうも、今の与党の皆さんは、野党時代の企業たたきの発想に偏っていて、国益を顧みない、こういった姿勢が極めて濃厚だという問題点を指摘させていただきまして、私の質問を終わらせていただきます。

末松委員長 次に、後藤田正純君。

後藤田委員 ありがとうございます。

 福島大臣、御就任されて七カ月たつわけでございますが、私は、前大臣の野田聖子大臣から引き継ぐに当たり、非常にいい方が大臣になったと思っております。ただ、消費者庁ができたという背景、そして、その後の七カ月の大臣のお働きについて、最初の期待からするといささか期待外れなところがあるんですね。

 もともとこの消費者庁というのは、やはり、今まで各省庁が、各企業とか生産者の方々の産業育成という面と、同時に彼らは消費者の方も見られるという、非常に慢心というか、そういう思いで役所が来たゆえに、さまざまな問題が起こってきたんだと思います。

 政治の役割というのは、私はいつも思うんですが、もちろん持続可能な国家に成長させるということも必要なんですが、弱者を守るというのが政治の仕事。私はいつも、弱者というのは、いわゆる金を貸す側に対して金を借りる側、物を供給するメーカーと情報の少ない消費者、そして、いわゆる人を雇う企業と雇われる労働者、そういう視点で、金を借りる関係ではサラ金問題に取り組んできましたし、その後も労働問題も取り組んできました。

 そして、消費者庁も、野田先生と一緒に自民党でも消費者調査会を約三十回ぐらいやらせていただいて、全会一致でああいう法律ができたわけでございますけれども、消費者庁ができて、さあいよいよ、業法に守られた、また業界の産業育成の立場に立った役所との対峙の仕方がいささか甘いんじゃないかなという気がしております。

 そういう中で、大臣、御就任いただいて、例えば、消費者庁のあり方として、今ある法律についても、その所管する省庁に対して建議をして、この法律がよろしくないとか、こういう問題があるからこういうことを変えなさいとか、そういうことはこの七カ月間でされたことはありますか。

福島国務大臣 建議といいますか、他の省庁に関して、法律改正をせよということを今まで言ったことはありません。ただ、あらゆる役所に対して、必要があれば資料要求や、提言や、改善をしてくれ、これはどういうことかというのを、私みずから大臣室に行くこともありますし、さまざまな役所同士の事務方レベルでもやっているところです。

 今委員がおっしゃったとおり、私は、消費者の権利というのはすべての人が持っていると。朝起きて、そして寝ている間も、そして生まれてから一生を通じて、二十四時間、三百六十五日、私たちは、消費者でないときというのは存在しない、消費者であり続ける、消費者の問題はあらゆるところであるわけです。そのために、消費者の権利は守らなければならない。おっしゃったとおり、初めて生活者あるいは消費者の立場からという役所ができたわけで、各役所に対する司令塔やエンジン役としての役割は果たしていかなければならないと思っております。

 例えば、特保の問題に関しても、私は、消費者庁ができて、これは食品SOS対応プロジェクトでやって、だからこそ取り上げることができたというふうに実は思っております。健康食品の表示に関する検討会を今やっておりまして、健康食品も含めた表示のあり方について今検討中です。トランス脂肪酸を初めとした成分の問題に関して、これについてはガイドラインを夏までにつくる予定であり、将来もしかしたら義務化も視野に含めながら、どうやっていけるか、まずガイドラインからスタートしてやってまいります。

 また、未公開株や社債の勧誘をめぐるトラブルについては、警察庁、金融庁と対策チームを設置して、PIO―NET情報を集約することですぐさまPIO―NETに上げることができるようにしようということで、取り締まり強化や高齢者等への普及啓発の徹底など、柱とする対応策を三月中旬にまとめました。

 ですから、さっきもダイオキシンのことも言いましたが、就職活動中の学生を対象とした強引な英会話等の勧誘をめぐるトラブルについては文科省に対して直接協力を依頼するなど、実は非常に日常的に、他の役所とともに、あるいは他の役所に対して、これを取り組んでくれということを申し上げているところです。

後藤田委員 今いろいろ事例を挙げていただきましたが、シンドラーのエレベーターの問題、またパロマの問題とか、もっと言うと、私は肝炎の問題もそうだと思うんですね。そして、旧社会保険庁の問題も、私も金融庁の政務官をやっていたときに生保、損保の保険会社の不払いの問題をやっていましたけれども、まさに年金における問題についても、やはり、受ける国民は消費者ですから、僕は、これは本当は厚生省がやるんじゃなくて消費者庁もしくは金融庁がやるべきじゃないかというふうに思っているぐらいなんです。あと、JAS法の表示の問題も、これはもう本当に幾らやっても同じ事案が出てくる、問題が出てくる。

 ですから、そういった問題に対して迅速に問題意識を持って、法律改正というのが今建議を何もされていないというのでいささかびっくりしたんですけれども、例えばシンドラーの問題にしても、全国のエレベーターを調査されましたか。

福島国務大臣 消費者庁としてはしておりません。

後藤田委員 大臣、七カ月たっているんですよ。あれだけの問題になった、日本を担う大切な若い命を失った問題です。その点で大臣に言っているんですよ。もっとしっかりやってください。

 JAS法にしても、表示違反でいろいろと問題が出て、僕はJAS法なんかは、あれを違反した業者はもう業務停止にすべきだと思っているんですよ。そういう法律改正を何で消費者庁から申し入れないんですか。JAS法について、どう思いますか。

福島国務大臣 JAS法を含めた表示の問題については、消費者基本計画にもきちっと盛り込んで、一元化をやろうというふうにしております。

 法律改正という御提案が今ありましたが、この法律、執行も消費者庁は担当しておりますので、今まで、表示が違うとか、これはどうだということでは、多くその執行の段階で役所の中でそれはやっております。

 きょうの御提案は法律改正ですが、この消費者基本計画の中で、法律改正も視野に入れてそれをやっていこうということを盛り込んでおりますので、早速やってまいります。

後藤田委員 大臣、計画、計画と言うんだけれども、今度の予算案もそうなんだけれども、中期財政計画も立てずに予算が出てきた、成長戦略もなく予算を今回通しましたよね。今の答弁も一緒なんですよ。今すぐやるべきことを、この七カ月でやるべきことをやらずに、まだ、計画を待ってくださいと。その間に人一人死んだらどうするんですか。やれることを何でやらないんですか。もう一回答弁してください。

福島国務大臣 やれることをしっかりやってまいります。

 表示についての一元化は、御存じ、非常にさまざまな件について検討しなければならないことです。これについては早速取りかかりますし、現実においても検討しているところです。あらゆる点について迅速にということについては、きちっと受けとめます。

 それから、基本計画は五年ごとの計画ですし、五年間の区切りで三月末に出します。今年度の予算案はきのう成立しましたが、その中にもしっかり、基本計画を本年度の予算に盛り込んでいただいている部分もあります。法律改正も、法律改正すべきところについて消費者庁はしっかりやってまいります。

 九月一日に消費者庁が発足し、私が引き継いだ時点でたくさんの課題がありました。まず、地方消費者行政の強化を始める、消費者委員会をどうするというところから私は始めました。今後も果敢にやってまいります。

後藤田委員 もう一つ言うと、肝炎の問題もそうだと思うんですね。これは与謝野当時大臣が福田総理にじきじきに言って、これはやはり救済すべきだ、法律的にも大丈夫だと、法務局の幹部と相談してやったんですよ。

 その後、医薬メーカーに対して、ああいうことが今後一切起こらないという方針について、消費者庁として何かまとめたものはありますか。

福島国務大臣 肝炎の問題については、厚生労働省の中で、それぞれの肝炎、福田さんもいらっしゃいますが、これは私も野党時代から、そして厚生労働省の方で今、今度は肝炎のBに関してどうしていくかということをきちっと話していくというふうに聞いております。消費者庁がどう、その方に……(後藤田委員「再発防止のために何をするか」と呼ぶ)

 再発防止に関して言えば、薬事の事故情報データの一元化の中に医療情報、病院の中でのことやそういうこともきちっと盛り込んでいくようにいたしますので、事故情報の一元化は再発防止の中で、肝炎あるいは新しく起きる医療被害についても事故情報の一元化、それから、それをできるだけ早く分析して、発表していくということで対応をしていきたいというふうに考えています。また、弁護士会などからも、医療事故や薬事の被害についてどうしていくかという提言を受けております。これについては、厚生労働省としっかり話し合って、再発防止のために取り組んでまいります。

後藤田委員 薬関係で、肝炎のような、薬害エイズも含めた、あのような問題が起こる可能性のある薬をしっかり調べたことはありますか。洗いざらい、この七カ月間で。また、そういう指示をしたことはありますか。シンドラーのエレベーターも全国の調査はまだされていないということですね。薬について、どうですか。イエス、ノーで。

福島国務大臣 消費者庁は二百二名のスタッフでスタートし、今特に力を入れているのは食の安全です。特保や健康食品について、審議会をつくり、健康食品の表示も含め、どうやっていくのかということを今やっております。

 おっしゃるとおり、医薬品や、そこについても、もちろんこれは消費者庁もきちっと検討をすべきです。国の役割として厚生労働省が基本的には薬事行政を担うわけですが、消費者の立場からすれば、医薬品がどうかということも、それは問題としてあるというふうに思っています。そのためにも、これから、医薬品が消費者行政の中の範囲にあるということは理解をしておりますが、今の段階で、食べ物の安全からまず消費者庁は特にやっていこうということでやっております。

後藤田委員 非常に残念ですね。消費者庁の名が泣く。そういうことをもうとっくにやっているものだと私は思っていましたよ。エレベーターの全国の調査、また、医薬でのいろいろな被害が想定されるかどうかの調査。人が足りないんだったら、そのことをまさに今年度予算で人の増員とかをしておくべきで、だから今度計画を出すと言って、今年度の予算にはちょっとは盛り込んだみたいなことを言っているけれども、甚だ看板倒れ、残念です。本当に性根を入れかえてやらないと同じことが起こりますよ。やはり魂が入っていないとだめなんですよ。各省に任せていたからああいう問題が起こったんですから。

 共管の部分も確かにありますよ。これはやはり、いろいろ役所の抵抗等もあった。僕は政権交代というのはある意味でプラスの面もあると思っていますから、そこら辺、役所と闘って、政治主導とおっしゃるんであれば、共管部分について、これから、大臣として、政権交代後の初めての消費者担当大臣ですから、その共管を超えて消費者庁がしっかり消費者目線で見るという、あらゆる共管分野の改正というのはどう考えていますか。これから、その意気込みについて。

福島国務大臣 大きなエールをありがとうございます。

 消費者問題として存在するのは、私は自分が担当大臣になってつくづく思いますが、頭のてっぺんから足の先まで、人の生まれてから、それからずっと一生、そして一日二十四時間、すべてが消費者問題となるほど、消費者問題というのは実に森羅万象にわたっていると思います。だからこそ、共管をできるだけ突破して、司令塔として、エンジン役としてやるということを決意し、やっております。魂を込めてやっていきたいというふうに思っております。

 そして、行政は、やはり工程表や、それから限られた人員の中で何をするかということが極めて重要です。エレベーターについては、これはまた、消費者庁としても何ができるか、まず、早速きょうも刺激をいただきましたので、全国、何をやれるかということについてやりますが、ただ、あらゆるすべてのことを消費者庁が瞬時にやれというのは、それは私はなかなか難しいところもあると。

 ただ、おっしゃるとおり、あらゆることに貪欲に、消費者庁が消費者の立場から何ができるかという立場で頑張ってまいります。

後藤田委員 こういう問題は党派を超えてやらなきゃいけないので、しっかり闘ってください。こういう場で、口では言うんですけれども、大体余り実現されないんですよ。

 例えば多重債務問題、次に行きますけれども。これも全会一致で通った法案ですよ。あの法案は、私もあの当時政務官をやっていて、政府の途中の案に反対して政務官を辞職して、抗議しながら、一立法府の議員として改正案に臨みました。結果的にいい法律ができたと思います。

 ポイントを言うと、過剰貸し付けといういわゆるクオンティティーの部分と、金利、プライスの部分、そして違法取り立ての部分、この三つが大きなポイントなんですね、あの貸金法改正については。

 金利は自然に下がっていって、今一八%以下になっていますね。違法取り立てもなかなかできません。やみ金に行くからとかという理由でまた業界の人たちが頑張っているようですけれども、やみ金の金はもう払わなくていいと最高裁で判決が出まして、これも問題ないはずなんですよ。今、クオンティティーの部分、量をどうするかという話で、きょうお越しいただいている田村政務官が頑張られて、何とか業界のためにとやられているようでございます。

 しかし、実際、あの法律は、皆さんも御承知のとおり、セーフティーネットというのが裏側にあるんですよ。借りられない人をどうするか。いわゆる借りられないから高金利で借りろと政治が言っているのは間違いだから、我々は全会一致で法改正できたんです。では、借りられない人をどうするんだ。事業者で、あしたのお金がない、高金利でもいいから貸してくれ、しかし、政府系金融で借りようとしても、なかなか、審査が厳しくて、うるさくて借りられない、そこをセーフティーネット改革をしようというのがあの法律の裏にあるんですよ。

 多重債務対策本部というところを我々の政権のときはつくったんですよ。そこで議論しているはずが、あなた方は、政権交代してこの七カ月、それを議論していますか。していないんですよ、ほとんど。大臣、記憶ないでしょう。多重債務対策本部というところで、この問題について。(福島国務大臣「しています」と呼ぶ)いや、ほとんど開催されていないと聞いていますよ。

 しかし、金融庁の方で、政務官殿がいろいろ業界を呼んで、いろいろな形でやっていらっしゃるというのは聞いている。その議論はもう終わっているんです、はっきり言って、政務官には申しわけないけれども。その議論を超えて、多重債務対策としてセーフティーネットをどうするかというところにもう次元は移っているわけです。この七カ月間、多重債務対策の中で、福島さん、どんな議論をされましたか。政府系金融の貸し出しをどうするかということ、これを借りやすくするとか。

 私は、政権のときに与謝野大臣に頼んで、当時、湯浅さんという派遣村の村長が来て、宇都宮弁護士さんも一緒に来られましたよ。今、副会長。御主人は弁護士会であれされているようでございますけれども。あのときにも、つなぎのつなぎというものを厚生省に認めさせて予算をつくりました。残念なのは、その後、湯浅氏がテレビで自民党批判をしているのに、何だこの人はと思ったんだけれども。

 そういうセーフティーネット対策というのをどう考えていますか、福島さん。その多重債務対策本部で、七カ月間で何回議論しましたか。教えてください。

福島国務大臣 一言、先ほど、ここで答弁してそれっきりとおっしゃいましたが、そうではありません。新しい政権はそうではない、そう確信しています。

 例えば、トランス脂肪酸の件について、これは自民党の議員から質問がありました。その前から私自身は問題に関心を持っておりまして、すぐさま、トランス脂肪酸の表示が可能かということについて着手し、ガイドラインをつくる、そして、その後の試案も入れて発表いたしました。実際、参議院で、自分が政権に、自民党にいたときにどんなに言っても全くそれは変わらなかった、それが本当に大きく変わって、これはやはり政権交代の成果だと自民党の議員に言っていただきました。

 私は、特保の問題についても健康食品の問題についても、これは実は、食品安全委員会が結論を出す前に特保の問題に切り込んでいくことは、確かにちょっと、正直、勇気の要ることでした。しかし、そういう問題について切り込んできており、一つ一つ、質問があったことについて、加工食品の表示の拡大をどうするかなど、実はやっております。

 多重債務の、貸金業法の改正については、これはもう本当に必要なことで、私自身もこの完全実施をするべく今まで取り組んでまいりました。完全実施をし、そしてその後どういう問題が起きるのか、広報も含めて議論をしております。多重債務の、ではかわりのセーフティーネットをどうするかという問題については、新しい公共やいろいろなところで、政府部内で議論をしているというふうに承知しております。

後藤田委員 多重債務対策本部は七カ月で何回開かれましたか。

福島国務大臣 それは開かれておりませんが、全内閣の中でやって、取り組んでおります。

後藤田委員 だから言っているんですよ。あれだけ皆様方はやるやる、やるやると言って、多重債務対策本部も七カ月間一回も開かれていないんでしょう。だから、ここでいろいろなことを言っても、大臣、あなたは、答弁して、後ろから言われてまた変えるというぐらいの認識しかないんですよ。もう結構です。

 それで……(福島国務大臣「委員長」と呼ぶ)ちょっと待ってください、時間がないので。(福島国務大臣「言わせてください」と呼ぶ)後で言ってください。もう一つ聞きます。

 せっかくきょうは経産省からも来ていただいていますから、先ほどの柴山議員の問題意識とも重なるんですけれども、さっき大臣も、問題が起こった時点で国内については迅速にやるというようなことを言っていたけれども、消費者問題というのは問題が起こる前にやらなきゃいけないんですよ。その予兆をしっかり察知してやらなきゃいけないんですよ。だからこそ、外国で起こった案件であっても、この事実関係はどうなんだということを調べなきゃいけないんですよ。

 この点について、経産省、今度のアメリカのトヨタの問題についての事実関係、しっかり調べましたか。先ほどのお話じゃないけれども、タコメーターの話だとかブレーキペダルについても、いや、実はアクセルを踏んでいたというような話も出ているようですね、報道ベースで。

 だから、報道の問題とか、さっき消費者とメーカーの問題と言うけれども、そうじゃないんですよ。では、我々もシンドラー社をここに呼んだっていいんですよ。あらゆる海外のいろいろな会社を呼びましょうよ。ただ、そうするときには、やはり事実関係に基づいた議論をしようということをしっかり政府同士でやらなきゃいけないんですよ。

 その確認を、トヨタが行く前に、あそこまで言って結局事実が違った、しかしネガティブキャンペーンをされてあそこまで名前を落とされている。その前に、政府として、日本企業を守るために、事実関係はどうなんですか、本当にその女性の方の証言はどうだったんですか、こういうことを経産省として確認されましたか。

近藤大臣政務官 後藤田議員にお答えいたします。

 事実関係は二つあるかと思うんですけれども、まず、米国において、トヨタ車が、どういった要因で、何が問題で、どういったふぐあいでこの事故が起きたのか、または、事故だったのか、そうではなかったのか。これについては、やはり米国当局がまず第一義的に科学的に調べるものでありまして、国内で起きたものについては国土交通省が科学的に調査をする、こういうことだろうと思います。

 二つ目の事実関係、米国政府内でどういうことが起きているのか、米国の中でどういった意見が出ているのかということについては、これは外務省なり、また経産省もジェトロなりさまざまな部隊がおりますから、それは公式、非公式を含めて、経済産業省として調査をしていますが、科学的な問題についてはそれぞれの当局がしっかり調査をし、国内においては、国土交通省を中心とする調査については我々も状況を聞いております。

 以上でございます。

後藤田委員 しかし、その科学的調査、そして、運転していた女性の証言に基づいて公聴会が開かれて、いや、しかしあの問題は実はブレーキじゃなくてアクセルを踏んでいたんだ、だますつもりはなかったやの報道を見て、僕は愕然としたんですよ。そういう問題について、科学的も何もないんですよ。そういう事実関係について、しっかり政府に対して、日本の産業を守る立場の経済産業省として何もしていないというのが本当に私は悲しいですよ。

 そして、消費者大臣、今、アメリカのことはアメリカの当局で科学的なあれと言いますけれども、さっき言ったように、消費者問題というのは起きた後にやるというのは当たり前なんですよ。起きる前にいかに被害者を減らすかということが大事であって、我々の最先端の技術をもってして、アメリカ当局以上に、アメリカのトヨタで売られたものを持ってきて、何が問題か調べて、そして日本では絶対に起こらないようにしようじゃないかということをするのが本来ですよ。どうですか。

福島国務大臣 ありがとうございます。

 ですから、先ほど申し上げたとおり、フロアマットなどの件については、現在、日本の国民生活センターの中の商品テストの部門でテスト中で、近日中にその結果が出るというふうに聞いております。

 ですから、おっしゃるとおり、NITEと国民生活センター側の商品テストとあるわけですが、消費者担当とすれば、例えばフロアマットについて早速そこでやっていただいて、近日中に発表されれば、それをまた皆さんに大きく公表していきたいと思います。

 先ほどの件なんですが、多重債務対策本部はやっておりませんが、改正貸金業法の完全施行に向けて、貸金業制度に関するプロジェクトチーム、これは三政務官による事務局会議を設け、昨年十一月に設置し、十二月以降、十三回にわたり同会議を開催し、幅広い関係者より精力的にヒアリングを実施して、まとめております。カウンセリング、相談の多様なる改善強化、多様なセーフティーネット貸し付けの拡充強化、改正貸金業法の周知広報など、きちっと盛り込んでおります。

 それから、私は自殺対策の担当もやっておりますので、生きる支援として、ハローワークの中に弁護士や司法書士の皆さんに入っていただいて相談をする、あるいは、自殺対策は内閣挙げてやっておりますので、経産省に頼み、中小企業庁で中小企業の皆さんへの相談を充実してもらうなど、そういう観点からも、実際、お金を借りたい、あるいはどうしたらいいかという部門についてきちっとサポートをしております。

後藤田委員 今ちゃんと日本で車を持ってきて調べている。だけれども、経産省は、いや、科学的知見はアメリカに任せているということで、ここでもまた役所によって全然温度差が違うのかなというふうに思ったんです。

 あと、もう一つ聞くけれども、さっき、完全実施に向けてやっていると言うけれども、大臣、一言で結構です、多重債務問題は完全実施するんですね。

福島国務大臣 もちろん完全実施です。

後藤田委員 もう一つ、私、個人的に本当に不思議に思っていたことがあって、国交省からも来ていただいていますね。

 これも消費者問題で、やはり一番の問題というのは車の事故だと思うんですよ。車の事故死というのは、いわゆる道交法改正とか、飲酒の問題の規制強化をしてかなり減ったんですね。今四千人台でしたか。だから、これこそ最大の、少子化だとかなんとか言われる中で大切なことだと思うんですよ。

 一つには、僕が不思議に思っているのは、高速道路というのは百キロですよね。何でメーター百八十キロというのが許されるんですか、自動車メーカーに。自動車のメーターというのは百八十キロですよね。出しちゃいますよね。でも、道路を走るときは百キロなんです。これはどう思いますか。いや、感想だけで結構です。政治家として。不思議だと思いませんか。

三日月大臣政務官 制限速度があるにもかかわらずそれを超えるメーターがあるということについては、私も一議員として不思議だなと思うことは感じます。

後藤田委員 いろいろ僕も聞いたんですよ、自工会とかいろいろな人に。そうすると、山とか坂とかのときにやはり出さなきゃいけないので、ある程度馬力がなきゃだめだと。だけれども、では、百八十にする必要はあるんですか。もっと言うと、今の時代、安全性も高まった車は、本当は百じゃなくて百二十でもいいんじゃないですかとか、そういう議論を本来すべきだと思うんですよ。この点もぜひ考えていただきたい。

 消費者問題というのは、いわゆるクレーマー対策のためにあるんじゃないんです。ウイン・ウインの関係なんですよ。メーカーも、消費者問題をやっている企業はどんどんよくなればいい。だから、ウイン・ウインの関係であるということを一つの例として、余りにおかしな規制もこれからは考えていかなきゃいけないし、それはやはり消費者大臣も、ウイン・ウインの関係という点についてどうですか。

福島国務大臣 ありがとうございます。後藤田委員とその点は全く一緒です。

 私が大臣になりまして、実は事業者の皆さんが来られて、一緒に、私たち消費者庁は、子どもを事故から守るプロジェクトをやっておりまして、あらゆるところがいろいろな関心を持っていただく。おっしゃるとおり、事業者の皆さんとウイン・ウインの関係を本当につくりたい。いいものを、安全なものをつくっていただくことが、消費者もハッピーになりますし、消費者がハッピーになるようなものを事業主がつくっていただきたいと思います。

 その意味では、先ほど一言、トランス脂肪酸のことを言いましたが、実は、事業者はかなり表示をしていただいているんですね。ですから、消費者の立場で頑張る企業がやはり栄えていく。でも、そういう企業を応援していくウイン・ウインの関係をしっかりつくってまいります。

後藤田委員 ありがとうございました。

 以上です。

末松委員長 次に、古屋範子君。

古屋(範)委員 公明党の古屋範子でございます。

 きょうは、初めて消費者問題特別委員会で福島大臣に質問してまいります。どうぞよろしくお願いいたします。

 日本で初めて消費者行政を全面的に担う機関として、私たち公明党も強力に推進してまいりました消費者庁が発足をいたしまして約半年が過ぎました。従来は多岐にわたった消費者行政の一元化や地方の消費者センターの充実強化など、消費者庁への国民の期待また注目というものは非常に大きなものがある、このように思います。私も、この消費者庁、大変期待をいたしておりますけれども、国民からの大きな期待にこたえるために、ぜひ、福島大臣の政治主導のもとに、生活者の視点に立った施策の推進をよろしくお願いしたいと思います。

 初めに、地方の消費者行政の充実強化のための取り組みについてお伺いをしてまいります。

 交付金は結果的に減額となりましたが、さらに、消費者行政関連予算も年々削減をされており、相談員の機能が衰退をしている、こうした懸念がございます。実際、消費者庁の平成二十年度地方消費者行政に関する調査結果を見ますと、平成二十年度の自治体の消費者行政関連予算は約百九億となっております。最も多かった平成七年度予算は約二百億ということでありますけれども、その五五%ということで、非常に少なくなっているのが現状でございます。

 さらに、本年一月に発表されました、消費者委員会が昨年末に調査をいたしました地方消費者行政の実態報告書を見ますと、四十七都道府県、千六百七十四市町村からの回答があった中で、消費生活センターや相談窓口の設置状況は、センター設置が二四%、窓口のみの設置が六〇%、未設置、無回答、これが一六%もありました。

 地方の相談窓口は、病院や警察などと同様に暮らしの安全網であると思います。また、住む場所によってそのネットが張られていない地域があるというのは大きな問題だと思います。特に悪質商法などの被害救済には、消費者がすぐに身近に相談できる窓口が絶対に必要だと思います。そうした地方消費者行政の充実・強化のためのプランも策定されたばかりであります。

 まず、この地方の相談窓口の整備拡充について大臣にお考えをお伺いいたします。

福島国務大臣 どうもありがとうございます。

 また、数字をおっしゃっていただきましたが、そのとおりです。相談窓口も未設置の自治体があり、なかなか自治体がみんな取り組んでいるというわけではないことも本当に重大な問題だと思っています。

 おっしゃるとおり、地方自治体における消費者行政の予算がだんだん減っておりまして、自治体が持っていた商品テスト部門も実はどんどん撤退をしていっています。財政逼迫の折、また、地方公務員の削減などもあり、やはりなかなか、地方消費者行政を積極的にやるためのお金とそれから人員に苦しんでいるというところだと思います。しかし、にもかかわらず、消費者行政は重要なわけですから、すべての自治体において消費者行政を優先的に取り上げていただけるよう働きかけていっております。

 このため、各都道府県に地方消費者行政活性化交付金を交付するなど、財政措置を講じたところです。また、消費者行政に係る地方交付税措置については、平成二十一年度において、消費生活相談員の報酬単価を約百五十万円から約三百万円にするなど、基準財政需要を倍増いたしました。そして、今言っていただきましたが、本年二月に策定した地方消費者行政の充実・強化のためのプランの中で、小規模ながらも消費生活センターの設置に取り組んでいる事例や、複数の基礎自治体が連携して消費生活センターを設置している事例など、幅広く発信して、このような積極的な取り組みが他の自治体へも拡大することを期待しております。十一名増員をした地方協力課でも頑張ってまいります。

    〔委員長退席、辻委員長代理着席〕

古屋(範)委員 予算人員が少ない予算を組まれた当事者でありますので、今さらそう言われてもとは思いますが、その中でるる御努力はされているということは今のお答えの中で酌み取ることができました。

 大臣、一月にこの調査をされたわけなんですが、この未設置、無回答一六%、ここに対して何か具体的な対策は講じられたんでしょうか。お伺いいたします。

福島国務大臣 今、消費者庁の職員が手分けをして、いろいろな自治体に働きかけたり、小規模の自治体にも直接働きかけを行っております。ですから、未設置のところすべて、一六%に働きかけたかどうかは、ちょっとまだ私は今の段階で承知しておりませんが、一六%に対してこれからもしっかり働きかけてまいります。

古屋(範)委員 ぜひ具体的に、消費者庁として、こうした地方の支援というものを確実に行っていただきたい、このことを再度要望しておきます。

 続きまして、地方の消費者行政の充実強化のもう一つの観点で、相談員の配置また処遇改善などを質問してまいります。

 もし自治体に消費者相談の窓口があったとしても、その約七割では専門の相談員が配置をされておりません。窓口の体制として不十分であるということがさきの調査でわかりました。相談員の仕事は、法律など高い専門性を要します。さらに、悪徳業者との交渉をする能力、経験なども求められるわけであり、相談員の経験年数、資格によって報酬設定基準を国が定めるということも必要ではないかと考えております。

 また、窓口設置の自治体で、相談員を設置しているのは三二%、残りの六八%の自治体では職員が対応しております。その職員の九九%は、窓口専任ではなく他の業務との兼任ということも明らかになりました。職員が兼務という状況では、相談窓口の業務というのは推進もままならないのではないか、こういうことが予測されます。また、職員は当然異動があるわけですので、相談窓口の経験が蓄積されにくい、ある程度蓄積されたころには他の部署に配置転換されてしまう、こういうことがあるわけです。

 消費者行政を担う担当の職員の専任化、あるいは担当部署の設置を推進すること、これが非常に重要な観点であろうというふうに思っております。

 また、相談員の処遇というのが非常に劣悪であります。年収百五十万円以上二百五十万円未満というのが五八%、百五十万円未満というのが三六%もあります。相談員のほとんどが非常勤職員で、約九割が一年間の雇用契約を繰り返す、非常に不安定な身分になっております。しかも、その契約の更新回数が五回という制限をされております。そういう自治体が二五%もあり、さらに、非常勤職員に関する勤務要綱や条例など定めがないという理由で通勤手当を支給していない自治体も五〇%あります。また、時間外勤務手当を支給していない自治体が七三%もある。

 これは、非常に処遇がよくないということのあらわれだと思います。これではよい相談員が育つわけがありません。こうした相談員の処遇改善、これは喫緊の課題であろう、このように考えております。

 そこで、今後、相談窓口を機能強化するために、相談員の配置、人数、待遇等について設置基準を定めるなど、国がもっと責任を持つべきである、このように考えます。こうした基準があれば自治体間による格差是正にもつながると思われますが、大臣、いかがでしょうか。

    〔辻委員長代理退席、委員長着席〕

福島国務大臣 消費者委員会が、地方消費者行政を担う消費生活相談員の実態調査をして、その結果は、やはりまだまだ本当に待遇やこういう問題があるのだということを改めて、もとから、そのことは法案が議論されるときにもあったわけですが、消費者委員会でのきちっとした実態調査の中で、やはり改善が必要だということが本当に大きく浮かび上がってきたと思います。

 おっしゃるとおり、国が地方公共団体に対して消費生活相談員の配置や待遇の水準を義務づけたりガイドラインを提示すべきだという御指摘もいただいておりますし、それもやはり耳を傾けたいとは思っております。

 それで、基金をまず活用してもらうこと、それから、地方消費者行政推進本部を消費者庁の中につくっておりまして、今回十一名増員で地方協力課を新しくつくりますから、出かけていって各自治体に働きかけることを精力的に行います。そして、相談員の配置も含め消費生活相談体制の充実や、消費生活相談員の処遇改善を図るための制度的な課題を検討するため、私が本部長である地方消費者行政推進本部のもとにワーキンググループを設けております。夏をめどに、整理をし、結論を出して改善をやってまいります。

古屋(範)委員 思いは伝わってまいりましたが、対策本部でワーキングチームをつくられるということでありまして、夏の結論だと遅いのではないかなという気がしております。やはり概算要求の前までにはきちっとした方針をつくられて予算に反映されなければ、これは現実的に実現しないのではないか、そのように思いますので、再度こうした処遇改善を要望しておきたいというふうに思います。

 重ねて、消費者基本法に、行政、事業者、消費者がおのおの責務を果たすとともに、消費者団体も積極的に役割を果たしていくことが必要ですと明記をされております。その役割を果たすためには、消費者団体を行政が支援していく、これが必要だと思います。

 全国消費者団体連絡会からの御要望もいただいておりますが、消費者団体が行う相談活動に対する財政支援、さらに、適格消費者団体が行う差しとめ請求関係業務に対する財政支援が必要であります。一刻も早い財政支援策を決定すべき、このように考えますが、大臣、いかがでしょうか。

福島国務大臣 ありがとうございます。

 消費者団体が消費者に対する相談業務や適格消費者団体による差しとめ請求関連業務を行うなど、消費者行政の推進、発展に、プレーヤーとして、ともに担う者として大変寄与していただいているところです。先ほども申し上げましたが、適格消費者団体も最近また北海道で一つふえて、各地域においてももっともっとふえていくといいというふうに思っております。

 附帯決議も踏まえて、適格消費者団体による差しとめ請求関係業務の遂行に必要な資金の確保、情報面における支援措置を初めとして、消費者団体の行う公益的な活動についての支援等のあり方をしっかり検討し、やってまいりたいと考えております。

古屋(範)委員 やはり、こうした消費者団体とまた国と地方と連携をして消費者行政を行っていくことが非常に重要であると思います。ですので、大臣、これから来年度に向けてとおっしゃいましたので、ぜひ予算編成の段階でしっかりこの予算を確保していただきたい、事業仕分けに負けずに、こうした大事な予算ですので獲得していただきたい、このことを重ねて要望しておきます。

 それから次に、消費者ホットラインのことについてお伺いをしてまいります。

 一月十二日から全国運用が始まりましたこの消費者ホットライン、悪質商法また産地偽装、製品事故などの相談を受け付けて、消費者がトラブルに巻き込まれることを防いで暮らしの安全を守るものとしても非常に期待が高い、このように思います。

 消費者庁の目玉事業でもあるこのホットライン、全国統一番号も採用されていまして、土日祝日も対応するため、スタート直後の土日の利用は二千百三十二件に上り、国民生活センターに転送されて、相談員もフル稼働だったと伺っております。

 こうした消費者からの情報を一元的に集約して事故予防などにつなげる仕組みこそ国民が消費者庁に求めていたサービスである、このように思います。消費者からの情報は、今後、消費者行政の推進力となって、企業に対しては消費者保護の意識向上にもつながり、ホットラインの開設の意義は非常に大きい、このように考えております。

 全国運用を開始したばかりではありますが、早急に対応すべき課題も見えてきたと考えております。

 消費者庁は、積極的に広報し、被害者の声を拾いたいと強調されていますが、ホットラインを先行実施している五県では、実施から年末まで二千三百八十件の相談を受け付けていますけれども、昨年の同期から二百八十三件も減っておりまして、利用率が低迷をしております。こうした先行実施の実情を踏まえ、ホットラインの周知徹底を強力に進めていただきたいと考えております。

 また、使い勝手の悪さも指摘をされております。これは一月二十三日の東京新聞なんですが、「相談に直接対応してくれるのは、日中だけの自治体がほとんどで、PHSやIP電話からはかけられない。また相談を転送するには郵便番号の入力を求められるなど手間がかかる。」「郵便番号を知らない人やお年寄りはやりづらいシステム」だと批判をしているところもあるということでございます。こうした利用のしにくさを早急に解消していかなければいけないのではないか、そういうふうに思うんです。

 ホットラインだけには限りませんが、先ほども指摘いたしました、相談員の経験、能力の問題もあると思います。消費者相談に熱心な地域と、またそうでない地域、相談員の能力に差ができることも懸念をされます。相談員の力量や知識に差があれば、相談対応、解決手段に差ができてしまい、番号は全国統一であっても、結果的に地域間格差が生まれてしまう。相談員の研修、養成は重要であります。

 すぐに取り組めることとして、国は、集めた情報をデータベース化して、相談員がその情報を活用できる、共有できるように、情報を生かす視点が重要ではないかと思うんですが、大臣、どのようにお考えでしょうか。

福島国務大臣 消費者ホットラインについて聞いてくだすって、ありがとうございます。

 名刺に、消費生活相談はこちらへ、ちょっとちっちゃくて済みませんが、消費者ホットライン、〇五七〇―〇六四―三七〇(守ろうよみんなを)という、これを入れて名刺を配っておりまして、おっしゃるとおり、広報を、〇六四―三七〇(守ろうよみんなを)というのが周知徹底するようにというふうに思っていますし、その効果を高めるように頑張ってまいります。

 使い勝手の改善を望む声があることは本当に承知をしています。より使い勝手のよいものにしていくために努力をしていきます。

 最後に、委員がおっしゃった、消費者ホットラインに来た相談をどう生かしていくかということなんですが、今、消費者ホットラインからの相談の情報については、PIO―NET、全国消費生活情報ネットワークシステムに入力されておりまして、消費生活相談員が活用できるということになっております。ですから、全国から集められてきたこのホットラインの情報をPIO―NETにも導入して、相談員の皆さんがそれを大いに活用して機敏に対応できるようにということもやっております。

古屋(範)委員 引き続き、このホットラインが効果を上げていくようお取り組みをお願いいたします。

 次に、就活商法の実態ということで質問してまいります。

 私も、息子が今就職活動中なんですが、就職氷河期ということで非常に厳しい状況であります。大学生の就職活動も非常に厳しさを増しておりまして、こうした状況の中で、就職相談を装って、就職活動中の大学生を高額な英会話教室などに勧誘するトラブルが相次いでいるということが国民生活センターに報告をされております。二〇〇四年以降千四十四件の相談が寄せられているそうであります。

 また、昨年は、九月末までに、一昨年同期を二十件上回る九十六件の相談があったということで、その内容を見ますと、外国語・会話教室というのが最も多い。次いで、資格講座、自己啓発セミナーなどの精神修養講座、パソコン・ワープロ教室ということです。契約者の性別、男性が六百四十八件、女性が三百九十二件。平均の契約金額が約六十七万ということで、学生にしては非常に大きな額の契約であるということがこの調査から読み取れると思います。

 それで、国民生活センターによりますと、トラブルの多くは、会社説明会の会場から出てきた学生を呼びとめて、就活に関するアンケートを行う、後日、就活に役立つ話が聞けると電話で呼びかけて、高額なこうした教室などに勧誘するという手口であります。こうした学生は、まだ社会経験がないということもありますし、就職に対する不安もある、こういうところにつけ込んで強引に契約させる、こういうケースが目立っております。

 大臣、この実態への御認識と、それから消費者庁としてのお取り組みについてお伺いいたします。

福島国務大臣 ありがとうございます。息子さんの就活もうまくいくようにと思います。

 おっしゃるとおり、大学生や就活で、詐欺商法というか、就職に役立つとうたって強引に勧誘するトラブルが増加していることは十分承知しています。このため、昨年十一月に国民生活センターにより注意喚起をきっちり行いました。それから、それだけでは足りないので、消費者庁から、文部科学省を通じて、大学に対して注意喚起の協力をしてくれるよう要請をいたしました。また、英会話教室の勧誘を行う際、大学生に対し、就職に対する不安をあおった上で虚偽の説明や迷惑を覚えさせるような勧誘を行っていた事業者に対して、先月、二月に特定商取引法に基づく行政処分を行いました。

 引き続き、悪質な事案に対しては厳正に対処してまいります。

古屋(範)委員 こうした就活トラブル、断り切れずに契約してしまっても、クーリングオフ、契約の取り消しができる、こうしたことをぜひ周知徹底していただきたい。今、文科省を通じてやっているというふうにおっしゃいましたけれども、こうしたことも徹底をしていただきたいと思いますし、また、クレジット会社などが、こうした契約に関して、内容確認、勧誘方法など問題がないかのチェックをもっと徹底していく必要がある、このように思いますので、これは要望にとどめておきたいと思っております。

 では次に、高齢者に対する悪質商法の実態についての御認識を伺いたいと思います。

 昨年摘発した特定商取引事件、前年より十件ふえておりまして百五十二件、統計をとり始めた平成二年以降で最多となっております。被害者四百六十一人のうち六十五歳以上の高齢者が六九%と過去最高となっておりまして、被害総額も一億八千七百四十万円ということで、五年間で約一・五倍に増加をしております。全国の被害者数、被害総額は減少傾向にはありますけれども、高齢者の被害というものは目立っております。

 被害者の中には、寂しくて、来てくれた方がいい人だ、そう思ってしまうというケースもありますし、また、被害に遭ったことを認識できないで、何度も同じように契約を繰り返してしまうというケースもございます。

 このように、高齢者をねらう悪質商法による被害が後を絶たないわけなんですが、こうした高齢者をターゲットにした訪問販売等の被害の苦情が全国の消費生活センターに数多く寄せられていると思います。

 まず、これに対する御認識を伺いたいということと、それから、事業者優先から国民一人一人の立場に立った行政に転換していくとの所信を述べていらっしゃいますので、高齢者をねらう悪質商法の防止を図るために、こうした悪質業者を摘発しやすい体制整備にしっかり取り組んでいただきたい、このように思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

福島国務大臣 先ほど一言教育についておっしゃっていただいたので、一言申し上げます。

 学校で使う教科書で消費者教育をどう教えているかについて洗い直しを行っています。クーリングオフを一つ知っているか知らないかでも随分違ってくるだろう。消費者教育についても、消費者庁のリーダーシップのもとに、関係省庁、消費者団体、教育関係者等をメンバーとする消費者教育推進会議を開催して、推進体制を確立し、充実を図ってまいります。

 今おっしゃった、高齢者についての消費者トラブルです。

 五月は消費者月間ですが、ことしの消費者月間のテーマは、高齢者に対する消費者被害をなくそうということをターゲットにしてやっていこうと思っています。今、少子高齢化で、高齢者の皆さんが、今、古屋委員がおっしゃったように、例えばひとり暮らしとか、つい訪問販売で買ってしまうとかありますので、五月の消費者月間は、高齢者に対する消費者被害をなくそうということで、大きくキャンペーンをやってまいります。

 御存じ、改正特定商取引法が昨年十二月に施行されました。また、実は、最近高齢者の皆さんは、未公開株や社債の勧誘をめぐるトラブルや、新たな金融商品や貴金属や、そういうところでも発生しています。このため、消費者庁では、警察庁、金融庁と対策チームを設置いたしました。PIO―NET情報を集約することにより、取り締まり強化や、高齢者とその周辺の方々に対する普及啓発の徹底などを柱とする対応策をまとめました。

 何が変わったかといいますと、PIO―NETに載せるときに時間がかかると被害が拡大することがあるので、本当に、瞬時といってもまあ一日、二日かかるとは思いますが、PIO―NETにできるだけ早く情報を載せる。そして、そこも、事業名やいろいろなものは載せられたらできるだけ載せる。そうすると、相談員の皆さんが、どこどこ地域、例えば東北地方のどこで今どうもこういう詐欺商法や訪問販売の被害がふえているらしいというのを瞬時に把握して、警察やいろいろな連携で、自治体とも連携をとって未然防止もできるというふうに思っております。

 ですから、これは対応策を取りまとめて、対策、取り締まり強化を関係省庁と連携してやっておりますので、引き続き、高齢者を含む消費者の一層の保護を図るべく、悪質な事業者に対して厳正な対応を行っていくとともに、PIO―NET情報を活用した注意喚起、普及啓発などを積極的に行ってまいります。

古屋(範)委員 和服から始まり、さまざまな健康器具ですとか布団、リフォーム、本当に次から次へと後を絶たない、こうした高齢者をターゲットにした悪質商法、ぜひきちっとした対策をとっていただきたい、このように念願いたします。

 最後の質問になります。

 昨年の十一月、消費者庁におきましては、集団的消費者被害救済制度研究会というものを開催し、検討を始められました。

 マルチ商法というとどうしても民主党を思い浮かべてしまうんですが、業界から献金を受け取っていた議員がいるということであります。また、政権発足からわずか半年間で、政治と金の問題をめぐり、鳩山総理、小沢幹事長、また小林千代美議員、関係者が起訴されたことで、今後ますます国民全体が政治倫理の問題を注視していくものと思われます。

 そこで、消費者庁には、この集団的消費者被害救済制度研究会の会合が行われますが、民主党とマルチ商法企業の癒着問題もいずれかの機会にしっかり取り上げていただきたい、このように考えております。

 最後に、格差の社会、弱い立場に置かれた人とともにありたいとする社民党の党首である福島大臣、弱者である被害者の立場に立って消費者被害救済制度を一刻も早く確立していただきたい、このように思いますが、御所見をお伺いいたします。

福島国務大臣 ありがとうございます。

 今言っていただいた消費者被害救済制度ということなんですが、言っていただいたとおり、これは重要な問題だから対処しようということで、違法収益の剥奪制度を初めとする集団的消費者被害救済制度について、消費者庁の発足に先立ち、内閣府において検討してきた、消費者庁において、調査研究等の成果も踏まえ、集団的消費者被害救済制度研究会を立ち上げました。昨年の十一月二十四日に第一回会合を開催し、現在までに六回開催をしております。

 これは、法的なことや、諸外国の制度や運用もきちっと検討しなければならない。今後、消費者委員会の意見も聞きながら、ことしの夏までに、財産保全制度について基礎的研究を進めるとともに、被害救済制度について考えられる選択肢の提示及び論点の整理を行ってまいります。

 また、きょう何度も登場しておりますが、三十日に閣議決定する予定の消費者基本計画では、いわゆるマルチ取引に関する苦情相談の実態を踏まえ、効果的な対応策について検討しますということも盛り込んでおりますので、さまざまな消費者被害についてきちっと対応してまいります。

古屋(範)委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

末松委員長 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。

 昨年の消費者庁設置関連の法案の審議の中でも幾つかの大事な論点がありましたけれども、その一つは、やはり、パロマ、シンドラー事故など不幸な経験の中から、それを教訓としてどう生かすのか、何を生かすのか、どういうふうにやっていくのかということがあったと思います。

 きょうは、最初に政府参考人の方に伺っておきたいんです。

 重大製品事故が放置されてきたことがずっと続いてきたのでこれは問題だったんですが、だから、消費者庁を設置して消費者行政の一元化、すなわち消費生活用製品安全法に基づく重大製品事故の報告先が経済産業省から消費者庁に移管するということなどをやってきたわけであります。

 この例でいいますと、消費生活用製品の製造事業者または輸入事業者に対して、製造もしくは輸入した消費生活用製品により重大製品事故、死亡事故、重症、それから後遺症障害、一酸化炭素中毒、火災などが生じたことを知ったときには十日以内に報告を義務づけるというふうになっているわけですが、まず、そこで参考人の方に伺っておきたいのは、重大製品事故報告のこれまでの報告実績、被害状況、これを確認したいと思います。

田中政府参考人 ただいまお尋ねの消費生活用製品安全法に基づいて事業者から消費者庁に報告された重大製品事故の件数は、消費者庁発足後、二月末時点で六百三十八件となっております。

吉井委員 これは事前に予算委員会資料でデータをもらっておりますが、消費者庁設置以降の話はそういうことですけれども、法施行後で見ますと、これは全体で一月末までに三千五百五十五件の事故報告があって、三年弱の間に百六十六人の方が亡くなっておられるんですね。それから、重症が六百六十七人。ですから、消費者の身近にある消費生活用製品で人命を損なう事故がまだ多数起こっているというのが実態です。

 重大製品事故の中身を見てみると、事故の特徴として、電気製品による火災や、とりわけ乳幼児、高齢者など社会的弱者が巻き込まれている事故が非常に多い、これが特徴だというふうに思います。

 それで、消安法の重大製品事故報告は、製造メーカーや輸入業者に重大製品事故の報告義務を課すことで、製品のふぐあいをメーカー自身に改善させ、再び事故が起こらないようにさせるという大事な意味を持っている、そういう制度だと思うんです。ですから、制度を拡充する、一層効果的な運用を図るということが今大事だと思うんです。

 そこで、大臣に二つのことを提案もし、検討してもらいたいと思うんです。

 まず第一の方は、消費生活用製品の定義の拡大なんです。

 消費生活用製品の対象から食品、食品添加物、洗浄剤、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器、自動車、船舶などが除外されているんですね。つまり、重大製品事故の報告対象外になっているんです。これまで消安法は経産省が所管していたため、他省庁においてその他法律により厳格な規制を講じているものを消費生活用製品の対象から除外するとしてきたわけです。消費者行政の一元化を掲げて出発したわけなんですから、消費者庁に法律が移管されたんだから、消費生活用製品の定義も、除外規定をなくしてすべての消費生活用製品について一元的にフォローする、そういった体制をつくっていくということをやはり考えるべきだと思うんです。これは大臣に伺っておきます。

福島国務大臣 貴重な提言をいただきました。

 確かに、製品といいますとありとあらゆることになりますし、私たちも事故情報タスクフォースで今検討しておりまして、事故情報の一元化と情報の発信は今精力的にやっているところです。

 おっしゃった製品についての拡充については、検討してまいります。前向きに検討したいと思います。

吉井委員 もう一つは、乳幼児や高齢者が巻き込まれる事故が非常に多いんです。重大事故になる前のヒヤリ・ハット情報というのは非常に大事だと思うんですね。そのヒヤリ・ハット情報を製品の改善に活用する、重大事故を防止する取り組みにとってこれは欠かせない問題だというふうに思うわけです。

 現在の重大製品事故報告では、全治一カ月以上の重症とか、それを重大製品事故と定義づけてメーカーに対して報告を義務づけているんですが、被害者が乳幼児や高齢者などの場合には重大製品事故に準ずるものとしてやはり報告の対象に上げる、要するに、消費者庁が本当に消費者の安全を守る役割を果たせるように報告対象の拡大を検討するべきだと思うんですが、大臣のお考えを伺っておきます。

福島国務大臣 おっしゃるとおり、飛行機のニアミスもきちっと上げるようになったことで随分変わったというふうに聞いておりますし、ヒヤリ・ハット情報が消費者事故の発生や拡大防止の観点から極めて有用だというふうに思っています。

 今おっしゃったとおり、消費生活用製品安全法は、重大事故が発生した場合に事業者に対して内閣総理大臣への報告を義務づけているものであって、この報告義務の対象にいわゆるヒヤリ・ハット情報を含めるのであれば、その適用範囲の明確化等、検討に際して、課題となると考えます。

 しかし、今委員御指摘のとおり、ヒヤリ・ハットの情報を集積することがいろいろな事故を防ぐと思いますので、消費者安全法及び消費生活用製品安全法における事故情報の報告・公表制度については、現状策定中の消費者基本計画において、消費者安全法等に基づく情報収集を着実に実施し、重大事故以外の事故情報の収集状況、消費生活用製品以外の事故情報の収集状況の検証をし、消費者委員会での検討を踏まえながら必要な措置を講ずるという方向にしておりまして、今おっしゃった方向でしっかり検討していきたいと考えております。

 また、消費者被害について、高齢者と子供のことを言っていただきました。すべての人が消費者被害になるわけですが、そのことにも消費者庁は注目しておりまして、子供については、子どもを事故から守るプロジェクトを発足いたしました。

 点火ライターについても、消費者庁に関係の役所に来ていただきまして、経産省が今やっている点火ライターのことについて、重大な事故になる、死亡事故に至っているケースが多い、子供の事故では火遊びでとても比率が高い、何とかするようにということを経産省に対して消費者庁から申し入れをいたしました。ライターの事業者の立場ではなく、子供の事故というか、子供がライターを使って火事が起きるということを何とか防止したいというのが消費者庁の立場です。

 もう一つ、高齢者は、先ほど申し上げましたように、ことし、消費者月間、五月、高齢者を消費者被害から守るということで、大いにキャンペーンをやってまいります。

吉井委員 キャンペーンも結構なんですが、要するに、報告対象の中にきちんと入れる、そのことが一番大事なことで、実は、食品、医薬品、自動車など、消費者にとって身近な製品の対象が除外されている問題については、現在は依然として縦割りなんです。

 実は、この点については、このままでは一元化と言えないんですが、昨年の委員会でこの問題を取り上げた際に、当時の野田担当大臣からは、消費者庁が設置された後、消費生活用製品以外の製品、食品、サービス、施設等の分野に対象を広げていくということを検討することとしていると、これは国会での答弁なんです。政権がかわろうが、大臣がかわろうが、この問題についてはきちんとやっていってもらうのが当たり前のことであって、これは消費者庁と経産省でやはり連携して、その他の省庁もそうなんですが、いわゆるすき間事案というものは、もうすき間事案云々であいまいなことは許さない、その立場をきちんと貫くということが大事だと思うんです。

 大臣、ちょっと答弁が長いですから、簡潔に、決意だけ言ってもらったら結構です。

福島国務大臣 すき間事案をなくすために、消費者庁として、拡大するべく頑張ってまいります。

吉井委員 新たに消費者安全法がつくられたんですが、これは、自治体や消費生活センターがつかんだふぐあい情報を消費者庁に報告させる、こういうものです。製造メーカーや輸入事業者に報告義務を課す消安法の制度とは報告対象者が違うんですね。

 製品の情報を一番よくつかんでいるのは実は製造事業者なんですよ。事業者は市場に安全な製品を供給するという責務がやはりありますから、その責務を果たさせるという、これがそういう点では大変重い意味を持った制度に今なってきたというふうに思うんです。

 そういう立場で臨んでいただきたいということを申し上げた上で、先ほども出ておりましたリコールの問題です。

 トヨタ自動車のリコールが社会問題になっております。ただ、これはトヨタだけじゃなしに、各企業の製品のリコールの記事とか、これをリコールしますという広告がしょっちゅう出てきておりますが、これは、当然の製造責任を果たしていないからリコールに追い込まれていっているんですね。だから、本来は、リコールを起こさない製品づくりというのが商品を流通させる上で大前提だと思うんです。

 ところが、先日の衆議院の予算委員会で、基本的質疑のときに私が聞いておって、ちょうど福島大臣も横で聞いておって御存じだと思いますが、このリコール問題を取り上げたときに、前原国交大臣は、リコールがふえるということ自体私は悪いことだとは思っていませんという答弁だったんですね。あなたも、はい、はいと手を挙げてはりましたけれども。

 自動車メーカーの関係者の間では、開発期間の短縮それから下請業者への単価切りなどかなり無理なことをやっているものですから、ユーザーはテストドライバーだという言い方などが、そういう言葉が使われるように、消費者の安全が脅かされているという事態もあるわけですよ。

 前原発言というのはとんでもない発言だったと私は思うんですが、福島大臣までリコールがふえることは悪くはないというお考えじゃないと思いますが、この点だけ、一点、簡潔に、確認しておきます。

福島国務大臣 製造主と消費者は圧倒的な力の差がありますから、リコールはできるだけ少ない方が本当にいいというふうに思っております。

吉井委員 事故情報の収集というのは、集めた情報をまず調査分析して、製品の改善に結びつけるということが大事な意味がありますし、そして同時に、早くその情報を公表することによって、消費者の方も、安全なものができるまでは少し買い控えるといいますか、どういう消費行動をとられるかは消費者の選択、判断の問題なんです。しかし、まず情報を公開されないことには、消費者は判断のしようがないんです。

 そこで、先ほども出ておりました折り畳み自転車の事故情報なんですが、消費者庁が国民生活センターやNITEに調査させて、構造上の問題を把握しながら、これは去年の九月二日から、公表が二月十六日でしょう。だから五カ月半もたっているんですね。やはり、こういうことではせっかく収集しても生きてこないわけですね。

 事故情報の収集とリコール権限が結びついていないということが被害情報の公開と対策のおくれにつながっていると思うんですが、やはり、大臣として、そこは是正を図られるべきだと思うんですね。伺っておきます。

福島国務大臣 その件については、消費生活用製品安全法ではNITEが調査を行うことになっていますが、消費者の立場からすれば、国民生活センターによる商品テストの結果が出た時点で素早く公表されるべきであったというふうに考えております。

 早速、事務方と話をしまして、今後このようなことがないように、調査結果が出れば、それはNITEの所管だろうが何だろうが、とにかく素早く情報は出してもらって再発防止や警告や改善に向かって進むようにということで、消費者庁の全体の中でも意思確認をいたしました。その方向で頑張ってまいります。

 また、リコールについては、消費者基本計画で、消費者庁として、リコール情報を一元的に収集し、消費者へわかりやすく情報を提供します、また、各種リコール情報を消費者の特性を考慮してわかりやすく周知する方策について検討しますとしております。

吉井委員 調査して速やかに発表は当然なんですけれども、しかし、明白に、ぽきんと折れて骨折事故が起こった、そういうことなんかは、やはり早く知らせた方がいいと思うんですよ。それは、たまたまといいますか、多くの方が被害に遭わなくて済んだからよかったけれども、そういう事態が次々と起こったら、調査している間に何人もの人が骨折とか重軽傷を負う、そういうことが広がっていったら、消費者の安全を守るという役所の機能は果たせないわけですよ。だから、その点をまずきちんと対応されたいと申し上げておきたいと思います。

 次に、昨年の論点の一つは、もう一つ大事なこと、まあ幾つもありましたが、地方消費者行政の問題です。

 最初、政府参考人に伺っておきますが、これはマスコミ等でも紹介されておりますが、例えば、マスコミで昨年の秋に紹介されたのでは、奈良県の例で、消費者庁が出発して相談が三割ふえた、だけれども、相談員は八人のまま増員なしだ、全員非常勤で残業だけふえてしまった、そういうふうな実態とか、全国四百五十二の消費生活相談員協会の緊急アンケートを見ましても、一日七時間勤務の場合で、最大一日一万六千八百円受け取れる方から五千四百二十八円の方に至るまで、その賃金というのは交通費込みなんですね。残業手当もなし、そういう人が三割いる、こういう実態が紹介されております。

 参考人に改めて確認しておきたいのは、一般会計に占める消費者行政の予算の割合なんですよ。全国消費者団体連絡会の調査によれば、二〇〇八年度〇・〇〇六四二%、二〇〇九年度が〇・〇一〇五九%と、顕微鏡で見ないとわからないぐらいに非常に比率が少ないんですね。なぜふえないのかという問題があると思うんですが、これは一体、現実はどうなっているのかということを伺っておきます。

田中政府参考人 私ども政府といたしまして、現在、一般会計予算に占める消費者行政予算というのを集計しているということはございませんので、その点についてはお答えすることができません。

 国の消費者行政予算として、消費者庁の予算につきましては、平成二十二年度予算は八十九・五億円で、前年度八十九・二億円から〇・四%の増加となっております。

 及び、地方公共団体の消費者行政予算につきましては、現在持っている数字は、まだ内閣府の国民生活局という時代に現況調査ということで行った数字で、平成二十年度の数字でございますが、百九・二億円で、これは十年前の平成十年度百六十三・八億円から比べると、三三%減と大幅な減少となってございます。

吉井委員 せっかく消費者庁は出発したんだけれども、現場の、地方消費者行政の実態をきちんとつかんでいない。何か、国は国の方だけで、地方は地方にお任せしときゃいいという発想というのは、これでは物事は進まないと思うんです。

 それで、次に伺っておきたいのは、地方消費者行政活性化基金を設けたわけですね。補正のときには、当初は百十億円計上して、ところが、配分額は合計で七十二億六千八百万円ですね。この基金の配分合計が少なくなったのは一体どうしてなのかということを、これは大臣に伺っておきたいと思います。

福島国務大臣 これにつきましては、各自治体にも働きかけ、そして、基金をできるだけ有効に活用してほしいということでしたが、地方との話し合いの結果、例えば、自治体によっては、増額要求をされたところもあれば、減額請求されたところもあり、東京や神奈川なども、そんなには要りませんということで大分返上されたこともあり、最終的にその金額に落ちつきました。

吉井委員 けさほど来議論もありましたけれども、実際には、消費者委員会の年末の調査によっても、四十七都道府県で、窓口の設置、二四%、相談員の配置が三二%で、相談員が配置されていないところでは、窓口対応を職員が兼務しているのが九九%、専任職員は一%という状態ですね。七割のところで窓口の体制がきちんとできていないと。非常勤の人にお願いしているわけですよ。非常勤の人は年間契約ですから、五年雇いどめが二五%、そして、通勤手当等の支給のないところが五〇%、時間外勤務手当の支給のないところが七三%など、深刻な事態なんですよ。

 せっかく基金を積むんだから、もっと生かして、もともと、当初、あの法律を審議したときは、地方消費者行政が前進するということを予定していたわけなんですよ。ところが、現実はそうはなっていない。

 それで、地方自治体は、伺ってみますと、三年間の時限措置なので継続事業に使いにくい、現在いる消費生活相談員の待遇改善には使えないなど、相談体制の充実には結びついていないという実情が今、見られると思うんです。

 では、大臣として、これをどう改善するお考えか、伺います。

福島国務大臣 確かに、現在働いていらっしゃる方ではなく、新規の場合とか育成についてということで基金が使われるということで、使い勝手の悪さについては、またさらに検討し、改善をしていきたいというふうに思っております。

 八十億ですが、八十億という国家財政もやはり貴重な国民の税金です。今回の基金で新たな、例えば人を育成するとか、地方の中でそういう人たちが、より育っていくようにと思います。そして、この基金は三年間ですから、今後、一般予算の獲得やいろいろな立場で、また、地方消費者行政の強化についても、消費者庁として頑張ってまいりたいと考えております。

吉井委員 当初、予算を組んだときは百十億なんですよ。しかし、都道府県からの申請額は、予算がついても満額にならないで、今おっしゃった八十億弱なんですよ。

 そこには、やはり、地方消費者行政活性化基金というのが、予算が三年間の期限つきで、常勤職員の雇用に充てられないという問題があるわけですね。本当は、充てようと思ったら充ててもいいはずですが、なかなかそうはいかないと。自治体も交付金と同額の負担をしなきゃならないというルールですから、負担が大きいという地方の方からの不満の声があります。常勤職員にしようと思ったら、地方の場合は、どこかの部局の人を削らないと移すことができないという問題があるんですね。ここには、定数削減を求めた骨太方針の閣議決定とか行革推進法の縛りがあるわけですよ。だから、これでは立法当初の処遇改善はできないんです。

 では、どう是正するのか。これはやはり、抽象的な話じゃなくて、具体的な施策としてやっていかないと、要するに、消費者行政というのは地方の消費生活相談員の方たちが主に担ってくれてはるわけですね。現場力を強めないことには消費者行政というのは進まないんです。ところが、実態は、相談員の七割が年収二百万円以下の官製ワーキングプアの状態だということを私は昨年指摘しましたけれども、その状況から変わっていないんです。年末に大臣が署名してお手紙をお配りになったりとかいろいろされても、それでは進まないんですね。

 私は、そこで伺っておきたいのは、相談員の雇用形態として、地方消費者行政強化プランの最後に「参考」という見出しで「相談員の雇用形態に関する課題」というのを挙げております。aは正規職員としての任用、bは任期つき短時間勤務職員化、cが国家公務員化、dが指定管理者、委託先の団体や相談員個人との委託契約の場合とかいうふうに挙げて、それを消費者委員会で議論して三年後に具体策を含めて方向性を出す、そういう説明を受けておりますが、地方財政法上は国の補助金である、今までは補助金だから人件費に使えないという話だったんですが、そうじゃないんです。地財法上は補助金でも人件費に使えるんだということを、昨年の審議のときにも、これは答弁も含めて明らかにしたところです。

 だから、結局、その障害になっているものを外そうと思ったら、正規職員にするには、骨太方針は閣議決定ですから、閣議決定で改めるか、あるいは行革推進法の改正をきちんと出してはっきりできるようにするか、いずれにしても、必要な専門職の公務員の採用はできるようにしないと、口ではきれいなお話なんだけれども、現実は進まないということになると思うんです。大臣のお考えを伺っておきます。

福島国務大臣 御存じ、骨太方針とそれから地方公務員の定員をどうするかというところで、正直、それは苦しんでおります。

 一つの方法は、やはり基金の使い道をもう少し変える、あるいは補助金のあり方を変えることなど、地方における相談員の皆さんの処遇改善ということは、この法律ができる前から国会の中での最重要課題の一つとして議論が尽くされてきておりますので、現実に改善できるよう、基金の使い勝手も含めて再度検討していきます。改善をしてまいります。

吉井委員 これは、せっかくあれだけ時間をかけて審議して、消費者庁設置関連の法案を通して、消費者庁もできました、その一番の強化するべき課題の一つは、地方消費者行政の強化だったんです。ところが、現実には、基金をつくりました、百十億の当初、予算を組みました、手を挙げてくださいと言ったけれども、本当は使いたいんだけれども、使い勝手が悪いから、八十億弱しか希望が来ないから、三十億ばっさり削っちゃったわけですね。そういうふうなやり方では地方消費者行政の強化はできないんですよ。

 私は、せっかく法案をつくったんですから、法案というのは基本的な理念を述べたものじゃなくて、現実に本当にやっていこうということでつくったものですから、それをやるだけの仕掛けをやはり大臣の責任において、それは閣議決定でやっていくのか、あるいは行革推進法を変えるのか、地財法でいけるわけですから補助金としてきちんとその分を見ていくのか、方法をきちんととらないことには、これは本当の意味での現場力の強化にならないと思うんです。

 時間が来たようですから、最後に、大臣の決意といいますか、お考えを伺って、質問を終わりにしたいと思います。

福島国務大臣 ありがとうございます。

 現場の相談員の皆さんの待遇改善をするためにどうしたらいいか、委員御指摘のとおり、いろいろな法律やいろいろな制度の間で、実はなかなか、ちょっと苦しんで、抜本的にというのがまだ打ち出し切れていないかもしれません。

 ただ、基金については、八十億を払った中で、相談員のために、あるいは、新規、研修や、いろいろなために八十億を貴重に使わせていただきます、いただいていますという話があることも申し上げたいですし、それから、使い勝手が悪いためだけに三十億削減では実はなくて、そもそもやはり消費者行政で手が挙がらなかった自治体があることもちょっと一言申し上げたいと思います。

 ただ、多分ここにいらっしゃる委員の皆さんと認識は共有していて、地方の消費者行政の強化のために、とりわけ相談員の皆さんの待遇改善のためにどうするか、今ある制度の中でなかなか打ち出せないんですが、そこはまた、鉢巻きを締めて、知恵を絞って、前進し、検討していきます。

吉井委員 三十億、これは地方が手を挙げなかったんじゃなくて、自然減少じゃないんです、挙げたくても使い勝手が悪いからなんですよ。そこを是正しないことには、百十億予算を組んでも三十億削ってしまうというふうなおかしなことになってしまいますから、こうしたことを含めて抜本的に取り組みを強めていただきたい、このことを申し上げて、質問を終わります。

末松委員長 これで本日の質疑は終了します。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十五分散会


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