衆議院

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第4号 平成22年4月7日(水曜日)

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平成二十二年四月七日(水曜日)

    午前八時五十分開議

 出席委員

   委員長 末松 義規君

   理事 石原洋三郎君 理事 斉藤  進君

   理事 辻   惠君 理事 福田衣里子君

   理事 本多 平直君 理事 野田 聖子君

   理事 松本  純君 理事 古屋 範子君

      相原 史乃君    井戸まさえ君

      石毛 えい子君    小原  舞君

      大西 孝典君    川口  博君

      川島智太郎君    河上みつえ君

      木内 孝胤君    工藤 仁美君

      小宮山洋子君    小山 展弘君

      田中 康夫君    平  智之君

      玉城デニー君    中島 政希君

      仁木 博文君    樋口 俊一君

      松岡 広隆君    三村 和也君

      水野 智彦君    山田 良司君

      山花 郁夫君    遠藤 利明君

      後藤田正純君    近藤三津枝君

      柴山 昌彦君    田中 和徳君

      竹本 直一君    平井たくや君

      福井  照君    吉野 正芳君

      吉井 英勝君    吉泉 秀男君

    …………………………………

   国務大臣

   (消費者及び食品安全担当)            福島みずほ君

   内閣府副大臣       大島  敦君

   内閣府大臣政務官     泉  健太君

   文部科学大臣政務官    高井 美穂君

   国土交通大臣政務官    長安  豊君

   政府参考人

   (内閣府消費者委員会事務局長)          原  早苗君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  阿曽沼慎司君

   衆議院調査局消費者問題に関する特別調査室長    上妻 博明君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月七日

 辞任         補欠選任

  井戸まさえ君     平  智之君

  川島智太郎君     玉城デニー君

  中島 政希君     小山 展弘君

同日

 辞任         補欠選任

  小山 展弘君     中島 政希君

  平  智之君     井戸まさえ君

  玉城デニー君     川島智太郎君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 消費者の利益の擁護及び増進等に関する総合的な対策に関する件


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     ――――◇―――――

末松委員長 これより会議を開きます。

 消費者の利益の擁護及び増進等に関する総合的な対策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府消費者委員会事務局長原早苗君、厚生労働省医政局長阿曽沼慎司君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

末松委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

末松委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。野田聖子君。

野田(聖)委員 おはようございます。自由民主党の野田聖子でございます。

 早速、質問に入りたいと思います。

 私は、政権交代直前まで、消費者庁をつくる、そして消費者庁の担当の大臣を務めさせていただきました。政権交代は私たち自民党にとっては大変ショックなことでございまして、また頑張ってやり直さなきゃいけないなと思うところでありました。

 ただ、私の任務につきましては、後任が福島大臣になられるということで、去年の消費者庁の審議のときも大変時間がかかったんですよ。実は、もともと、すべての政党が消費者庁の存在を必要としていながらも、社民党に至っては数十年その主張をされておられたし、民主党もリーダーシップをとってやはり消費者庁の必要性を訴えてきた。むしろ、当時一番おくれをとっていたのは自由民主党ではなかったかと思います。

 その自由民主党政権、福田内閣のときに、自由民主党がみずから、今の日本に必要な、消費者のため、国民のための行政組織である消費者庁をつくろうということで立ち上がったわけですから、当時野党であった皆さんがもう既につくれつくれと言っていた行政組織を自民党が重い腰を上げてつくることになったわけですから、本来ならば、あっという間に全会一致で消費者庁ができるものだと私はある意味楽しみにしていたわけですね。

 ところが、ふたをあけてみてびっくり。とにかく、まず消費者庁設置法等の審議に入ってもらえなかったし、入った途端に、今度は民主党の方から対案が出てきちゃったんですね、消費者権利院という組織をつくると。つまり、脱官僚だから、役人の行政組織は信用できないから、全く民間人だけで組織された消費者権利院なるものをつくって消費者行政をつかさどるんだと。そんなことがいろいろありまして、約九十時間もの審議を費やした結果、ようやく消費者庁というのがおくれにおくれて誕生した経緯があったわけです。

 ですから、九月一日に発足したものの、政権交代によって新しい政権にそれをゆだねなければならないことになったときに、私は、いや、むしろ自由民主党よりもはるかに熱心に取り組んでおられた当時の野党、民主党、社民党さんたちであったからこそ、もっともっと、やはり新しい時代の新しい行政組織としてこの消費者庁をどんどん大きく育ててくれるのだろうと期待をしておりましたし、まさにそのメッカと言われた社民党の党首である福島さんが大臣になられたということで、もう本当に期待をしていたんです。

 ところが、半年以上たって、今日、私はもちろんのこと、多くの国民が、この消費者庁について、かつての期待、できる前の期待がなくなり、そして、今は本当に国民の中で消費者庁の存在すら忘れられつつある。消費者庁の存在を知っている人はどれだけ今国民にいるかというアンケートをとることすら恐ろしいような、そういう停滞している状況にあるのではないかと大変不満に感じているところなんですね。ただ、これは福島大臣が悪いわけじゃないと思うんです。やはり鳩山政権、鳩山内閣の消費者行政に対する意気込みがないからこんなふうになってしまったんじゃないかなと懸念しているんです。

 私は、福島みずほという政治家はすばらしい政治家だと思います。ただ、今の福島大臣は仕事が多過ぎる。党首です。さらに、今、子ども手当でいろいろ意見が錯綜する中で、果たして少子化対策に子ども手当というのは本当に有効なのか。もう自民党の方では、無駄撲滅でしたか、河野さんがやっているところで、この子ども手当というのはそもそも少子化対策にはなり得ない、今生まれてこない子供を一気にふやす、そういう手だてにはならない、そういうノーという判断を下している中で、少子化対策という極めて重要な問題、それも兼務している。党首も兼務している。

 前回の質問のときに、消費者行政以外のことを聞かれました。それで大臣は、いや、きょうは消費者の大臣ですからそのことについては答えられないと。たしか柴山さんの質問だったかな。でも、それは間違っているんですよ、大臣。あなたは、ここの大臣かもしれないけれども、やはり社民党の党首なんです、そして少子化担当大臣なんです。だから、場所場所で自分を変えられないんですね。すべてがアンドなんですね。党首であり、消費者の大臣であり、少子化担当大臣なんです。だから、この場所では党首じゃないということは言えないわけですね。

 そういう任務が重なっている中で、この消費者庁が生まれるまでの議論の中で、本来ならすっとできるはずが、なかなかできなかった理由には、やはり民主党がなかなか消費者権利院という考え方をおろしてくれなかった。しかしながら、社民党が中に入ってくれて、やはり行政組織をつくるべきだということで、いろいろと与野党間の協議の中で、附帯決議という名のもとに大変にリクエストがふえてきちゃったわけですよ。恐らく、私が聞いたところによると、二万数千あまたある法律の中で最高数の附帯決議がついた法律なのではないかと思います。附帯決議がつくということは、それに伴って今後法律をつくっていかなきゃいけないわけですね。そうすると、幾つになるかもわからない。

 消費者庁というのは、そういう本当に大きな荷物を背負って出たからこそ、その言い出しっぺである社民党の福島さんがこれに専念してこそ初めて、国民が期待していた、消費者団体が期待していた消費者庁というのができるはずだったんですよ。

 ところが、残念ながら、鳩山政権下においては、消費者庁の大臣というのは片手間でできるんだろう、十分兼務でやれるんだろう、そういう認識のもとで今大臣がやっておられることで、せっかくの消費者庁の勢いがだんだんなくなってきているような、そういう残念な気がしてならないんですけれども、これについて、当人としてはどういうふうにお考えでしょうか。

福島国務大臣 御質問ありがとうございます。

 消費者庁が発足することを多くの人たちとともに本当に願い、いろいろな団体、消費者団体、弁護士会、そして国民の皆さん、そして国会議員の皆さんたちも消費者庁ができることを本当に望み、新しく発足をしました。私は、二倍、三倍頑張って働いて、そしてまた、新しくいろいろやろうとしている人たちとともに、この消費者庁、消費者委員会のもとで消費者担当大臣として成果を上げるべく頑張っているところです。

 消費者基本計画を三月末につくりましたので、これでかなり、五年間の間に何をどうしていくのか、一年ごとに何をやっていくのか、法律はどういうものをつくるのか、きちっと打ち出しました。これをもとに、附帯決議で言われた法律も含めて法律をつくっていく。確かに、非常に重い荷物を背負って、期待が大きい中でのスタートなのですが、それについてはしっかりやってまいりますし、食品の表示についての法律なども早速着手して、国会に提出をしていきたいというふうに考えております。

 この間、長期的に食品安全などについてどういうことをやるのかという問題と、短期的に、エコナや特保の問題なども出てきました。個人情報保護法なども私の管轄ですので、改正についての検討会、あるいは違法収益をどうするかという問題、さまざまな審議会などもつくって、成果を出すべく今頑張っているところです。

 叱咤激励をいただきまして、二倍、三倍働いて成果を出してまいります。

野田(聖)委員 福島大臣の意欲は十分わかるんですけれども、大臣一人が二倍、三倍頑張っても物は動かないんですね。

 この消費者基本計画の最初の一ページ目、そこに何が書かれているかというと、「すべての人は、消費者です。」と。つまり、国民は一億二千万人相当いるわけですけれども、この人たちがすべて消費者庁のクライアント、お客さんなわけですね。そういう一億二千万人の人たちが抱えているさまざまな消費者としての問題とかありように対して消費者庁はこたえていかなければならない中、残念ながら、行革の縛りで二百数名の定員しか今役所にいなかった。この二百名というのがどれだけの数字かということを実感されているかどうか確認したいんですけれども、どうなんでしょうか。

福島国務大臣 消費者庁は、確かに人数が少なく、今回、機構で十五名の要求をさせていただきました。これは認めていただきまして、人数を本当にふやしていきたい。おっしゃるとおり、人員も、それから予算も、本当に獲得をして頑張っていきたいと思っています。

 今、公務員をやはりなかなかふやせない現状で、十五名、今回も消費者庁について増員を認めていただいて、ありがたいと思います。ただ、もちろん、それだけにはとどまらず、消費者庁の人数と予算の獲得のためにも、今後も頑張っていきたいと思っています。

 もちろん、私一人が頑張るわけではなく、副大臣、政務官、そして、本当に新しい役所を一緒につくろうと頑張る消費者庁の皆さん、それから、もちろん、私たちのパートナーである自治体や、それからNGO、さまざまな消費者団体の皆さん、それから一億数千万のすべての消費者の皆さんとコオペレートしながらやっていく、そういうリーダーシップをしっかり発揮してまいりたいと思います。

 おっしゃるとおり、予算と、それから人員の獲得のためにも、今までも頑張ってきましたし、全員認めていただいたというのはとても感謝しているんですが、今後も人員要求をさせていただいて、消費者庁に期待されていることは基本計画でもたくさんありますし、今後も法律をつくっていかなければなりませんので、国会の皆さんにも、ぜひ人員要求と予算の獲得に御協力していただくよう、厚くお願いを申し上げます。

野田(聖)委員 今、今年度予算で人員の増員を要求して十五人認められたと。これが妥当だと思われますか。

福島国務大臣 もちろん、もっともっと要求をしたかったわけですが、今、御存じ、公務員については、全体の枠の中やいろいろなところで難しい面もあります。ですから、十五名請求させていただいて、これがそのまま認められましたので、それは不十分な点はあるかもしれませんが、今度は十五名、そして地方消費者行政などを強化してまいりたいと考えております。

野田(聖)委員 全然不十分なんですね。私は、最初が肝心だと思うんです。福島大臣が、社民党の党首として、消費者庁というものをしっかりつくって、国民すべての消費者行政を守っていこうという本当に熱い思いがあったら、鳩山総理にもっと増員を要求するべきだったんですよ。今官僚答弁みたいに、今は数をふやすのは難しいとおっしゃったけれども、それはうそですよ。意欲があればふやせますよ、政治主導で。

 なぜならば、私は手元に金融庁の定員数推移というのをもらっているんです。金融庁というのは、平成十年度にできたわけですけれども、まさに金融サービスに特化したエージェンシーですね。消費者庁が全国民を対象とするならば、金融庁が対象とする人数はもっと少ないのかもしれない、金融だけですからね。消費者庁の場合は、金融はもちろん、食品も製造物も、すべてにコミットしなきゃいけない役所なわけですが、人数をふやしているんですよ。最初の、十年度に金融監督庁として発足したときに、既に四百二名いました。そして、その次の年、十一年度、百三十三人増員して、そして金融庁ができたときにはさらに二百三十一人、今の消費者庁の数よりも多い増員に成功しているわけですね。

 つまり、最初に小さく産んで大きく育てるためには、このくらいのドラスチックな増員をしていかなきゃ国民のニーズに対応できないということを、もう既に金融庁は証拠を示してくれているわけですよ。今まで何もないというんだったら、今の福島大臣の言葉を信じる。でも、実際には、金融庁という先駆けでできたエージェンシーが、大体百人ずつぐらい毎年毎年増員に成功しているんですね。これを見てどう思いますか。

福島国務大臣 金融庁のように増員をしていきたいと思います。

 二百二名でスタートをしておりますので、それを一挙に、例えば百名、倍増ということはちょっとなかなか、スペースの問題等もあり、御存じ、山王パークタワーは、賃料を減額してもらう交渉をして安くしてもらうとか、キャパの問題もあり、私としては、二百二名の、あの場所から、賃金減額請求も含めてやって、スタートをして、そして、おっしゃるとおり、今回は十五名とちょっと小幅でしたが、これから消費者庁そのものも、もっと大きく大きくしていきたいですし、新しく内閣府ができるときなどスペースもふやして、頑張ってやってまいりますので、どうか応援をしてください。

野田(聖)委員 仕事が進むにつれて、具体的に何をしなければならないか、どういう法案を何年後までにつくらなければならないか、この基本計画の中にも、五年間に何をするということが出ているわけですね。各役所に任せる仕事もあれば、消費者庁みずからやる仕事もあるけれども、基本的には、ここに出ているすべての仕事を消費者庁が監督しなきゃいけないわけですね、監視しなきゃいけない。そういう中にあって、二百二名でできっこないんですよ。ですから、十五名とったから、少ない。

 では、今度の予算、何人ぐらい必要としていますか。これだけ具体的に基本計画ができて、これをしっかりやるには大体どれだけの人数が要るかというのはわかるはずですね。ですから、今、福島大臣の頭の中に、では、次の増員数は何人。

福島国務大臣 まだ何人ということはちょっと申し上げられません。

 というのは、基本計画の中で八本以上法律をつくるとありますが、どの法律をどういう順番でやるかというのもあります。もちろん、人数をふやすということは、何十人規模でふやさないと、職員が、本当に物すごく、過労状態で働いている、あるいは、もっと新しいプロジェクトや新しい法律をつくるためには必要だということは認識をしております。

 ですから、来年度に向けて、予算と、それから人員の大幅増員のために頑張ってまいります。

野田(聖)委員 今、いみじくも福島大臣から、役所の人間が人数不足でオーバーワークだという御発言がありました。

 少子化担当大臣というお顔、お仕事もお持ちですよね。今、少子化にとって一番必要なことは、子ども手当はさておいて、やはりワーク・ライフ・バランスと言われています。消費者庁の数少ない、そしてその上、次から次へとさまざまな要求を満たさなければならない現状で、どれだけの職員が残業で苦労しているかということを具体的に御存じですか。

 そして、山王パークタワーの家賃の話が出ましたけれども、私は、マスコミの扇動による、そういうことで家賃を減らしたことをとうとうとお話しになるよりも、いや、消費者庁というのは今二百人だけれども、本当は、来年には三百人、再来年には四百人にしていかなければいけないところなのでもっともっと広いスペースも要るんだというぐらい、やはり私は勇気を持って発言してもらいたかったんですね。それが、むしろ縮小傾向みたいな話になってしまうと、ああ、消費者庁というのはこれからもう伸び悩むんだなと。初めの一歩で大臣がそういうアクションをとられると、そういうところで消費者庁の将来の暗雲を感じてしまうことがあるわけです。

 私自身は、残念ながら大臣室に入っておりませんが、大臣は、大体週どのくらい大臣執務室に、消費者庁へ入ってお仕事をされ、そして現実に自分の二百数名の部下が大変な思いで働いていることを見ていただいているのか。

福島国務大臣 私は、必ず金曜日に記者会見を消費者庁でやりますので、金曜日に行きます。そして、あしたも、きのうも、きょうも消費者庁に行って、そこで話をしております。

 また、四号館の大臣室に消費者庁の方に来ていただくこともありますし、それは両方混在して仕事をしているというふうに思っております。

野田(聖)委員 私が申し上げたいのは、人数が少ないがゆえにどれだけオーバーワークになっているか。例えば夜の残業ですね。本来ならば、少子化担当大臣としては、さっさと家に帰っていただいて家庭の時間を持っていただくというのが本意ですよね。それが、人数が少ない上に、政治主導のもとでいろいろなリクエストをしてしまう。結果として、帰れなくなっている職員がどれだけいるかということを実際に把握しておられますか。

福島国務大臣 具体的には把握しておりません。

野田(聖)委員 私は、ほかの大臣、男の大臣だったら全然話す気はないんですよ。福島大臣だからこそ、そういうところをしっかり、やはりワーク・ライフ・バランスは大事ですよ。やはり帰れなきゃだめなんですよ、会社から家に。そうしなきゃ、家庭だって家族だって子育てだって、それをいつもおっしゃっているじゃないですか。だからこそ、自分の身内がどのような状況になっているか、やはりしっかり把握してこその大臣だと思いますよ。

福島国務大臣 内閣府も、それから消費者庁の職員も、本当によく働いていると思います。自殺強化対策月間をやったときも、担当はすごく忙しかったですし、それこそ男女共同参画も、何かプロジェクトが押しているときはとても忙しく働いています。

 御存じ、四月一日から残業代も上がるということもあり、各職員の働きぶりについてはしっかり把握をしてやろうということを決めましたので、消費者庁だけではなく、内閣府の職員も含めて、ワーク・ライフ・バランスがきちっと、私自身ワーク・ライフ・バランス担当ですので、やってまいります。

 先日も、実は、内閣府と消費者庁で働く人たちの子供たち五十八名に霞が関というか内閣府の大臣室に来てもらいました。そうすると、これは子供にとってパパ、ママの職場を訪問するということもありますし、私たち自身も、ああ、こんなちっちゃな子供を抱えて働いているんだ、ワーク・ライフ・バランスを本当に実現しなくちゃ、私生活を持って働いているんだということをとても感じるいい機会になって、おっしゃるとおり、ワーク・ライフ・バランスの観点から、仕事と、国民の期待が大変大きいですけれども、それは把握をしてやりたいと思っておりますし、そのためにも人員要求はとにかく最重要課題で取り組んでまいります。

野田(聖)委員 そこで、この基本計画が閣議決定されました。その際に、各大臣の反応なりコメントはあったでしょうか。私が知る限りは、原口大臣からコメントがあったというのを新聞で拝見したぐらいなんですけれども、他の大臣から何か、消費者庁ができ、消費者委員会ができ、そして、消費者行政が鳩山政権のもとで本格的に始動する中でさまざまな御意見があったかどうか、ちょっと教えてください。

福島国務大臣 原口大臣から、消費者の権利、八つの権利というのをぜひ盛り込んでほしいというのがありました。

 また、ちょっと私自身も少し前で記憶があいまいなんですが、何人かの大臣から発言があったというふうに記憶をしております。それは、例えば盛り込んでいるものもあったり要望だったもので、ちょっと今つぶさには思い出さないのですが、それぞれの大臣から、例えば要望や思い、あるいは、消費者基本計画は消費者庁だけでなく他の役所も入っておりますので、その点からの決意表明があったと思います。

野田(聖)委員 私は、特に気になっているのが、仙谷大臣と枝野大臣が御発言になったかどうかなんですね。

 というのは、この消費者庁ができる前に対案が出されたと言いましたね、消費者権利院の対案。それの責任者というか、民主党の担当者が仙谷さんと枝野さんであったわけですね。最後の最後まで、徹底的に、役人で構成される行政組織はだめなんだ、民間人、全く役所と縁のない人たちがつくる消費者権利院をつくらなきゃいけないということでずっと引っ張られた結果、今日にあるわけです。

 その渦中、理事であった仙谷さんが、ある新聞社に、政権交代が行われた後に自分は消費者庁をつぶすという発言があるんですね。残されているんです。私も大変びっくりしまして、心配しまして、結果として、仙谷さんのその発言を封じ込めるために社民党さんのお力等々をかりていろいろネゴシエーションもしましたけれども。

 政治家の言葉は重いんです。今、政権交代がされて、そして鳩山内閣の大臣をやっている。つぶすことができますよね、やろうと思えば。仙谷大臣からそのような発言があったかどうか、確認させてください。

福島国務大臣 ありません。

野田(聖)委員 政治家の言葉は重いんですけれども、こんなことになるとはよもや仙谷大臣も思われなかったかもしれませんが、それを聞いて安心いたしました。当時は本当に、官僚にやらせちゃだめだ、民間人じゃなきゃだめだという民主党の主張がありまして大変苦労しましたけれども。

 今、できれば、皆様方にはそういう偏見を取り払っていただいて、一人でも多く優秀な、専門職の官僚を集結させまして、消費者被害というのは、国民生活センターの調べだけで三兆円あるんですね。やはりこの経済被害を減らしていくこと。また、福島大臣が担当している自殺、こういうのも、消費者被害の中で自殺者が出ていますから、そういうことをやっていくためには、本当に大きな役所として、強固な役所としてこの国に存在させなきゃいけないわけですね。ですから、やはりもっともっと鳩山内閣では真剣にこのことについて取り組んでいただきたい。

 よもや消費者権利院に戻すというような発想がないということを、もう一回確認させてください。

福島国務大臣 私自身も、消費者庁ができることを心から望み、その立場で行動してきました。

 消費者庁は、例えば、やはり変わったのは、トランス脂肪酸の表示はできないかとか、特保あるいは健康食品の表示についても実際始めました。加工食品の表示、遺伝子組み換え食品の表示、添加物の表示などの拡充についても検討するということもしっかり盛り込み、とりわけ加工食品などについての表示をやるとか、実は、でっかい、どかんとしたことだけでなく、割と身近なところでいろいろな、ベビーカーの問題やさまざまな商品被害の問題について日々日々動いているということも、前大臣ですので、ぜひよろしくお願いします。

 答えで言えば、消費者庁を大きくするべく全力で頑張りますので、この点は、すべての人は消費者ですというのをばんと盛り込んで、すべての国民がクライアントだ、すべての国民が消費者の権利を持つというのは、本当にそう思っておりますので、頑張ってまいります。

野田(聖)委員 ありがとうございました。

 そういう中で、今の仙谷大臣が強く主張していた、民間人をいっぱい入れなきゃいけないんだという中で、当時の与野党が協議した結果、消費者委員会のパワーアップにつながってきたわけですね。

 今、消費者委員会というのは、審議会等には入るんですけれども、他の役所の審議会と違って、大きな権限を持っているわけです。その一つが、建議というのがあるわけですけれども、実はそれだけの力を持ち得ながら、消費者庁同様、消費者委員会が何か埋没している感がある。本来ならば、ここの基本計画にもありますように、消費者委員会というのは「消費者の意見が直接届く透明性の高い仕組み」ということだけれども、そもそもその仕組みがわかりづらいし、今の消費者と消費者委員会の距離というのをすごく感じて仕方ないんですね。

 多分、こういうふうに申し上げると、いや、ホームページを見ていただけるとすべて議事録も出ているし、ライブでその模様を見ることができますよと言うんだけれども、それは詭弁であって、やはり発信していかなきゃいけないと思うんですね、消費者委員会は。消費者に、こういうところがあるから何か困ったことがあったらぜひ消費者委員会におっしゃってくれというのが本来の役割だけれども、それが非常に不足している感がある。

 もう一つ、前回、トヨタのリコールの話がありましたね。これは大臣に確認していただけると思うんですけれども、消費者委員会というのは、当時、何かこのリコールに対してアクションを起こしましたか。

福島国務大臣 フロアマットの件に関して消費者委員会で検討していただいたと思います。

野田(聖)委員 実は、消費者委員会というのは本当に大きな力を持っていて、建議ができるんですね。これは、消費者庁に建議するんじゃないんですよ。消費者庁を超えて、各省庁に直接文句が言えるわけですよ。物が言えるわけですね。

 例えば、トヨタのリコールであれば、消費者委員会の人たちは、その事件が発生したらすぐに経済産業省なり国土交通省にどうなっているんだと言うことができるんだけれども、それを実際やられましたか。

福島国務大臣 済みません、それは消費者委員会がですか、消費者庁が……(野田(聖)委員「消費者委員会」と呼ぶ)委員会、はい。

 消費者委員会は、国土交通省から、自動車のリコール制度について、二月二十二日、二時間にわたってヒアリングをきっちり行っております。

野田(聖)委員 私が申し上げているのは建議です。

福島国務大臣 建議は行っておりません。

野田(聖)委員 つまり、皆さん、全党そろって一生懸命知恵を出して、消費者委員会にもほかの審議会と違っていろいろなことができるようにしているんですよ。やはりそういうことが生かされていないところに埋没感があるのかなと。きょうは消費者委員会の方はお見えになっていないけれども、やはりそういうこともぜひわかっていただきたい。

 おもしろくて、消費者委員会の模様というのがネット上で見られるわけですね。私は、直近の、二十一回の委員会の模様を見ていました。これは、基本的に、ほかの審議会とコンテンツ的には何ら変わりがない。役所から報告を受けて、それを聞いて賛否の意見を述べる、それだけなんですね。

 それはそれで仕方ないかもしれないけれども、ただ、その中に、一つ興味深い質問というか意見があったんです。山口委員、最後に話をもとに戻しますけれども、とにかく今議論されているのが、そのときの話題というのが例の集団訴訟の問題ですね。これに対して説明があった後に、いよいよこれは三年以内に法律をつくらなきゃいけないということになっていると。ただ、山口委員が指摘したことは、その中身ではなくて、これを担当している消費者庁の人が一人しかいないということが問題だということをおっしゃった。

 私は、これに尽きると思うんですね、今の消費者庁の問題というのは。つまり、これだけの大きな法案を抱えながら、担当が一人しかいない。やはりこういうことを速やかに改善していくことが、消費者庁が本来の役割を果たせること、そして、それは政治主導でできるはずです。

 私は、少なくとも、今すぐ百人増員できないとするならば、大臣みずからが専任になるか、もしくは副大臣、政務官が消費者庁専任の副大臣とか政務官になって頑張っていただかなければ、とてもこれだけの異常な数の附帯決議、附則を、こたえていく能力はあっても量が足りないんだ、数が足りないんだと私は改めて申し上げたいんですけれども、専任を持つとか、そういうことについてお考えは。

福島国務大臣 この三月三十一日のことは了解しておりまして、確かに、一人しかいないということは、その人一人で集団的訴訟の担当者というのは、一人が幾ら優秀でもなかなか大変だというふうには思っております。

 消費者庁の人員については、まず第一に、よその役所から例えば緊急避難的に借りることができるのかということも含めて、来年の予算まで待つことができませんので、どういう形でだったら応援あるいは体制の強化ができるか考えたいというふうに思っております。

 また、これから政治主導の法律もできる中で、場合によってはいろいろな形で消費者庁の強化ということもしっかり取り組んでまいりたいというふうに思っております。

野田(聖)委員 終わります。

末松委員長 次に、福井照君。

福井委員 おはようございます。自由民主党の福井照でございます。

 前大臣からの御質問がございました。

 私の方からは、ぐっと引きまして、せっかく横ぐしの組織ができて、パフォーマンスを始めていただいて、今どこにいるのか、福島大臣が目指すべき安全とは何か、安心とは何か、リスクとは何かということについてもう一度、せっかくの国会でございますので、百年後、二百年後の議事録にたえるように、立派な御答弁をお願いしたいと思います。

 まず、現状認識ですけれども、三月二日の日経新聞、見出しだけですけれども、「消費者庁 懸案積み上がり」「発足半年」だけれども「寄り合い所帯「スピード欠く」」とございます。よく言えば組織横断的だけれども、悪く言えば一体感に欠け意思決定スピードが遅いと中堅職員、内部の職員の声。これは本当かどうかわかりませんけれども、そういう声も載っております。政策の優先順位がはっきりしないと日本生活協同組合連合会の声もございます。そういうのが一般的な声かと思います。

 そして、できる前ですけれども、二〇〇九年の六月九日から十日にかけての三菱総研のアンケートを御紹介させていただきますと、日本人としての消費者が保護されているかどうかについて、保護されていないと思う方が六三%、三分の二に上っているという現状。

 そして、海外と比較しますと、これがひどいんですね。かわいそうなぐらいひどいんです。EUの各国に御質問をさせていただいた。共通の質問ですね。国の行政機関があなたの消費者としての権利を守っているかどうかについて御意見を伺った。EUの平均で五六%が消費者としての権利が守られているというふうに思っている。日本は何と三七%しかないんですね。フィンランド、オランダは八〇%。フィンランド、オランダの八〇%の国民が、自分自身が消費者としての権利を守られているというふうに思っている、それは国の行政機関が私たちを守っているからだというふうに思っている一方で、日本は一番下から三番目なんですね、三七%の国民しかそういうふうに思っていない。

 もっとすごいのは、日本の根幹である物づくり、それを支える企業についてどう思っているか。企業があなたの消費者としての権利を守っているかどうかについてどういう意見をお持ちですかということを伺った。フィンランドなんかは九〇%を超える。要するに、ほとんどの国民が、フィンランドの企業というのは私たちを守っている、国民全体を守っているというふうに思っている。EU全体でも六二%、三分の二の国民が思っている。日本は最下位なんです。何と最下位。三六%の国民しか、日本の企業が私たち日本人を守っているというふうに思っていない。何ということなんでしょうか。要するに、自分自身を信用していない、自分の民族の代表である日本の企業を信用していないということだと思うんですね。

 ですから、消費者行政、大変大事だと思います。消費者庁ができたのも、国会の活動、そして主婦連初め国民的な運動が実を結んだということだと思います。

 大量生産、大量消費ということで、企業利益至上主義ということで、つくってしまって売ってしまえばわしは知らぬという状態が長く続いてきた。ですから、情報もないし、欠陥商品もつかまされるという状態が続いてきた。

 しかし、大分、時代の変化の芽が出てきておりますね。経営手法についても、CS経営といいまして、カスタマーズ・サティスファクション経営ということで、顧客の満足度を至上にする、極大にする。だから、企業の利益が多少減っても、損はできないでしょうけれども、顧客の満足度が目的関数であるという経営が始まってきた。

 そして、例えばGEなんかは、社長室で、自分のつくったエンジンが飛行機を動かしている、その飛行機がどこを飛んでいるか、何回転しているか、そして、休んでいるか、修理しているか、すべて管理しているんですね。大量生産、大量消費じゃなくて、自分の製品はすべて、三百六十五日、二十四時間管理している。

 日本の企業もそうです。コマツ重機ですね。ユンボなどの建設の重機ですけれども、コマツの社長さんのところで、やはりパソコンで管理できています。コマツの製品が中国のどこどこで、ベトナムのどこどこで、今エンジンが何回転していて、働いている、休んでいる、そしてどこかで船の上で輸送されているということがわかるんですね。

 そして、インターネットプロトコル・バージョン6になりましたら、百億人が百億アイテムあってもすべて管理できるという、双方向のコミュニケーションが可能な時代がもうすぐやってきます。量子コンピューターもできますからね。ですから、大量生産、大量消費だから消費者が弱者であるという今までの考え方だけだと、これからの消費者行政のパースペクティブというのはできないと思うんです。

 その先まで言ってしまいましたけれども、今まで、昭和三十年代、四十年代、五十年代、ずっとやってきて、そして消費者庁ができて、今、日本の消費者行政というのはどこにいるのか、時代認識、歴史認識をまず福島大臣から御紹介いただきたいと思います。

福島国務大臣 非常に広範囲なことを聞いていただいて、消費者行政、私自身の認識では、日本の中にはやはり地道な消費者運動があり、それに伴う例えば裁判があり、貸金業法やいろいろな点でも、あるいは食品の安全についても、本当に地道ないろいろな積み重ねでやはり進展をしてきたと思っています。

 適格消費者団体も少しずつ今実はふえておりまして、地域で消費者行政、消費者の問題を担う人たちも本当にふえてきて、食べ物の安全などに関心を持つ人たちもふえてきて、やはり国民の層の広がりというのが一番日本で大事なことだと思います。

 ただ、先生がおっしゃったとおり、外国の消費者団体や、ドイツやフランスの例や、いろいろ見ておりますと、消費者団体も非常に大きいですし、消費者行政に対する信頼や、それから、さっきフィンランドの件をおっしゃいましたが、自分たち消費者の権利は守られていると思う国民の信頼感というのは、正直、日本ではまだまだ弱いというふうに思っております。

 ですから、今回、消費者基本計画をつくって、消費者庁がその司令塔でありエンジン役として横断的にやっていくのだということで、新しく発足した消費者庁で、大きく、横断的に、すべての役所に対して物を言う役所として頑張ることで、消費者行政を大きく広げることができると思います。

 企業のことをおっしゃっていただきました。私が消費者担当大臣になって本当に思うのは、むしろ、事業者の皆さんたちと話す機会や、大臣室に事業者の方が来られることがとても多くなったということです。物づくりをやっていらっしゃる皆さんとの意見交換などもやっています。これは、ウイン・ウインゲーム、要するに、企業はやはりいい製品をつくる、安全な製品をつくる、消費者はそれで安心だと思うし、信頼が高まる。つまり、消費者庁と企業は、対立する関係という面もあるときもあるかもしれませんが、むしろウイン・ウインゲームをやりましょうということで、よく話をしております。

 消費者の権利が守られて、安全な製品が流通し、いいものがつくられることで、それは企業にとってもいいのだという関係を精いっぱいつくっていきたいと考えています。

福井委員 ありがとうございました。

 今の御答弁だと、これから消費者行政がどうなるのか、日本の消費者がどういうふうに守られていくのかという展望がわからないんですね。これは鳩山政権に共通しているんです、各委員会で御質問させていただいているんですけれども。自民党の言葉で言えば成長戦略がないということなんですけれども、もっと言うと、国家像、国民生活像がどうしてもわからないんですね。これは自民党も言われましたけれども。どうしてもわからないんです。まあいいです、今の御答弁でとどめるとして。

 今、資本主義は両極に分極していますね。今おっしゃったように、ウイン・ウインゲームができるような企業、CS経営をやっている企業、そしてトレーサビリティーを確保している農家という、いわば消費者に優しい軍団と、金融資本主義で、やはりもうけたらいいんだという、もう一つモラルがない方々という極と、両極に分極している。だから、その全体を含めて、消費者庁として日本人をこれから守っていくんだということを政治家の言葉で語っていただきたいなというのがさっきの質問だったんですけれども、それは結構です。

 それで、組織論ですね。行政組織で、これも明治以来ずっと、私たちの、いわば日本人が抱える問題なんですけれども、せっかくこういう横ぐしの、アドホックな組織をつくったのに、福島大臣と菅大臣が同じパワーだったら困るんですよ。やはり、アドホックな組織の大臣というのは、ちょっとだけでも結構ですから、少しでいいんです、ほかの大臣よりはパワーがあるということじゃないとうまくいかないんですね。

 ちょうど私も農水省の政務官をやっていまして、消費者庁にいわば差し出したわけですね。各省庁が消費者行政にかかわる組織を差し出して、それで、言葉は悪いですけれども、パッチワークでできたというのが消費者庁の生まれ方でございます。それはそれでいいんです。生まれ方はそれでいい。

 育て方は、大臣のパワーに尽きるんですよ。ですから、国家戦略局は、ほかの大臣よりは偉くないといけないんです、ほかの大臣が言うことを抑えて。だから、今そんなことをやっているのは亀井大臣だけですからね、あれはまた別の話で。

 福島大臣がおっしゃることは、少なくとも消費者行政に関しては、総理大臣とほかの大臣の真ん中に位置するというのが組織論だと思いますけれども、御感想をちょっと聞かせていただきたい。

福島国務大臣 そうだと思います。他の役所からうっとうしいと思われるような、あるいは、消費者庁が司令塔でありエンジン役だということを消費者基本計画に書かせていただきました。それは多分、委員がおっしゃるのと同じ意味だと思います。やはり、他の役所に対して指示をしたり、これはおかしいじゃないかと言える力を持たなければ、それは司令塔でエンジン役ということは果たせません。

 最近でも、カドミウムの土壌汚染の件に関して、環境省、厚労省、農水省の大臣に直接お願いをするというか、問題があるじゃないかということでそれぞれ申し入れをし、改善をしてもらうということをやりました。そういうふうに、各役所、大臣だったり役所だったりすることはあると思うんですが、そういうことをしっかりやっていきたいと思いますし、点火ライターについても、経産大臣に、もっと促進してやっていくように、情報を共有してやってくれるようにと言ったところです。

 先ほどの御質問に今答えるのはちょっと時間がもったいないかもしれませんが、一言言えば、おっしゃるとおり、企業は、ウイン・ウインゲームをやる部分、指導や信頼感の中でやる部分も必要ですが、消費者基本計画に書いてあるとおり、どちらかといえば、やはり規制はちゃんとする、食品の安全についてもきちっとする、あるいは、知る権利と選択する権利、消費者の権利を確保するためにきちっと表示はできるだけ拡充していくとか、あるいは、マルチ商法やいろいろな点についても規制をどうするかという話もありますから、やはりみんなが安心してこの社会で暮らせるように、消費者の権利がまだまだ日本では守られておりませんので、法律をつくる、あるいは教育を充実させる、あるいは、指導を徹底するという形で、行政が消費者の権利を守る立場で足を踏み出してやっていきたいと思っていますし、企業に対してもしっかり意見を言ってまいります。

福井委員 今の御答弁、ありがとうございました。

 それで、組織論でもう一つ重要なのは、地方なんですね。地方の声が大事、そしてセンターが大事ということで、民主党のおっしゃるとおりの法案が去年できたわけですね。なんですけれども、一方で、地域主権ということで、国家機関、国の地方支分部局はもう県庁に移管するんだ、国家公務員を地方公務員にして、農水省のブランチも経産省のブランチも、もうすべて県庁に吸い取ってもらうんだということをおっしゃっておるわけです。

 しかし、一方で、税務署もそうです、実際に公共事業を執行する国交省の出先もそうなんですけれども、やはり、直接民主主義、国民と直接対話して、直接事業をして、用地買収もして、土地改良したり、橋をつくったり、ダムをつくったりするから、全人格的な、直接のホットな情報が入る。その情報をそのままヘッドクオーターに、霞が関に持ってくれば、大臣も政治主導として意思決定ができるということなんです。

 それを、わざわざ、組織があるのに別のローカルガバメントに持っていくというのは、確かに、地域主権、新しい公共という全体の枠組みの中では一見正しく見えますけれども、しかし、消費者行政をやろうとか、これからもっと国民に優しい、全人格的に、今から必要なのはコンシアージュ機能ですよね。市町村がもっとそれを基礎自治体として強化しなければならないという一方で、国家機関もやはり、先ほど言いました、情報をもっとふやして、プロトコル・バージョン6に対応するような情報に対応して、きめの細かい国家の、霞が関の意思決定というのがなされるべきだと思いますので、ぜひ地方支分部局は守っていただきたいと思います。

 経産省の出先とかだけじゃなくて、地方支分部局、消費者庁の地方支分部局はもちろんありませんけれども、消費者行政を実行する上で、各省庁の出先機関を守るべきだと思いますけれども、それに対してのコメントをお願いいたします。

福島国務大臣 ありがとうございます。

 おっしゃるとおり、消費者庁は、今後、情報の一元化や事故情報についての一元化を今非常にやっておりまして、ホームページを見ていただくと事故情報の検討や分析などが載っておりますので、年間百万件来るPIO―NETの情報等、そういう事故情報の一元化や、情報をきちっと集めて分析、原因の究明をする。例えば、大きいところで、食の安全、安心の確保をする、消費者教育について推進するなど、国だからこそできること、それをしっかり、集積と分析と発信というのを大いにやっていこうと思っております。

 おっしゃるとおり、地方自治体や地方においては、地方消費者行政の強化というのも大きな柱としてやっておりまして、都道府県知事に手紙を書いて、知事を本部長とする地方消費者行政推進本部をつくってくれとか、きょうも全国市長会に行ってお願いをするのですが、市町村において相談員の待遇をよくしてもらったり、地方消費者行政を一緒にやっていきましょうというお願いをするつもりです。

 今、国のレベルの地方支分部局をどうするかという点については、私は、十把一からげには言えないと思っているんですね。要するに、必要な役所のものもあるし、考えなくてはいけないものもあると思います。それは地域主権の中でも議論があると思いますし、私の立場は、国も頑張る、自治体も頑張る、そして、国と地方が連携してやっていくことが大事で、消費者行政が地域主権という名のもとに後退するようなことが絶対に起きないように、これは担当大臣として頑張ってまいりたいと思っております。

福井委員 ありがとうございました。

 ちょうどエクイティーが出てきたときと同じ時代認識だと思うんですね。コモンローだけだと解けない新しい商取引とか、新しい時代がやってきて、エクイティーが発生して、それで、今でもあるわけですね。だから、ぜひ、物差しを固定しないでください。民主党政権も百年続くかもしれませんので、今固定されると困るんですよ、日本人として。

 ですから、地域主権は結構、それで選挙に勝ったら結構。しかし、消費者行政を今後展開する、野田先生にも御答弁されました、今後、組織も大きくしようとされている、人員もふやそうとされている、そして、もっときめの細かい行政をしようとされているんだったら、やはり消費者行政として、消費者庁として、今からどういうパースペクティブで、何を、どういう物差しをこれから使って判断していくのかということが今おっしゃっていただきたい一番だと思いますけれども、また次の機会で質問させていただきたいと思います。

 そういう意味で、欠落しているのは、ほかの先生方からも後であるかもしれませんけれども、例えば、アメリカだと、クラスアクション、一定範囲の人々をクラスと呼んで、それを代表して、一人または数名の者が全員のために原告として訴えることができる。それから、父権訴訟ということで、政府が、被害者を代表して、消費者にかわって損害賠償請求を提起することができるということで、これは質問通告していなかったんですけれども、この部分がまだ、いろいろ審議会も回されて、これから次の行政分野としてお考えだと思いますけれども、消費者の損害賠償請求その他の制度の仕組みが今どういう状況で、いつからどうなるのか、御紹介いただきたいと思います。

福島国務大臣 おっしゃるとおりで、消費者契約法ができて、適格消費者団体ができて、今その数が少しずつですがふえていっています。

 そして、今、消費者庁のもとに検討委員会を設けて、被害者のための救済をどうしていくのか、その中に、おっしゃった父権訴訟や集団的訴訟、あるいは、そこでは、違法収益のものをどうやって、違法収益がいろいろなところに散らばっていたり、なかなか違法収益が回収できないという問題もありまして、そのことの被害者救済についての検討委員会を、専門家の皆さんたち、特に法律家を中心に、今精力的に議論していただいているところです。

 これは、まだ、これからが山場だというふうに中身については聞いておりまして、これはなかなか、法律的にもきちっとやらなければなりませんので、一年以内なのか二年以内なのかちょっとわかりませんが、少し時間を置いて、しかしそう遠くない将来に結論を出していただいて、次に立法化のことも実現をしていきたいというふうに、必要があればですが、そこの議論を踏まえて消費者契約法、適格消費者団体、今は消費者被害救済のための立法はどうあるべきかというところで結論を出し、できれば立法も視野に入れてやっていきたいと思っております。

福井委員 ありがとうございました。ぜひ早急にお願いを申し上げたいと思います。

 冒頭申し上げました本質中の本質論、福島大臣の考える安全とは何か、安心とは何か、リスクとは何かということで御答弁いただきたいと思います。

 何でこんなことを聞くかというと、「安全・安心」というのは、本当に、日本人のまさに発明、すごいいい言葉ですね。主観である安心、客観である安全というものをくっつけて、真の安心、安全ということで、ぼやっとしておるわけですね。この辺は、鳩山総理が、揺らぎが宇宙の本質であると言うのは、確かにそのとおりでありまして、これはなかなか、その本質だと思います。

 しかし、例えば、トヨタとかパナソニックは、いかに品質管理をしても、やはり何万分の一かでは必ず不良品が出るんですね。これが揺らぎの本質です。ですから、九九・九九九九九%ということで、小数点以下の九を五つにする、六つにする、七つにするということで努力をずっと積み重ねてきているんですけれども、やはりそれは、統計学上必ず不良品が出るということを人間の限界として知っておかなければならない。そして、それを前提とした安全、安心でなければならない。

 つまり、リテラシーが必要だということなんです。安全、安心に関する国民の方のリテラシー、それから、最も言いたいのは、メディアのリテラシーなんですね。メディアが統計学をわかった上で、例えば、これは九五%の信頼度で一から三という数字であるというような、まさに揺らぎを前提とした幅のある数字を出していく。そして国民は、そんなものだということでとらえる。それが安全、安心の共通の言語であるというふうにしなければならないと思います。

 この牛肉は絶対に安全です、この製品は絶対に安全ですという、この絶対がないわけです。絶対がないので、特に消費者行政を担当される大臣あるいは政務三役のお言葉が極めて大事なんですね。そのお言葉にトラストがなければまさに安心ができないわけですので、その本質中の本質、これからの日本人の「安全・安心」というのは一体どんなものなのか。ぜひ、それこそ百年後の議事録を見ていただく方にたえられるような名答弁をひとつよろしくお願いします。

福島国務大臣 深遠な、しかも重要なことを質問していただいてありがとうございます。百年後にたえられるかどうかはちょっとあれですが、頑張って答弁いたします。

 安心、安全ということは、実は私たちも内部でよく議論をしております。消費者庁発足に向けて検討を行った国民生活審議会の委員会、平成二十年六月から二十一年七月のときにおいての議論は、安心とは、人が知識、経験を通じて予測している状況と大きく異なる状況にならないと信じていること、自分が予想していないことが起きないと信じ、何かあったとしても許容できると信じていることというふうになっております。安全とは、消費者の生命または身体に被害が生ずるリスク、危険性が許容可能な水準まで抑えられていることを指しているという議論をしております。両者は、おっしゃるとおり、密接に関連を有しています。

 確かに、一〇〇%安全というものはないわけです。しかし、一〇〇%安全になるように努力するのがやはり人間の力だというふうにも私は思っています。安全というのは、割と客観的に、危険性、リスクということで考えられ得る概念だと思っています。それとまた違って、安心という概念は、本当に人が、自分が予想していないことが起きないと信じて、何かあったとしても受容できると信じる、安心感というか信頼感ということを安心というのだと思っています。

 ですから、例えば、これは例がいいかどうかわかりませんが、ヨーロッパなどだと、遺伝子組み換え食品が仮に安全だとなったとしても、安心という観点からやはり大きく規制しようみたいなものは、安全と安心がちょっと違っている。安全と科学的に一応言われたとしても、人間の安心、やはり未知のものに対しては不安もありますし、本当に大丈夫かというのはあるわけですから、歴史の中で新しくできたものに関して、安全と言われても不安というのはやはりあると思うんですね。そのときは、客観的に、リスクからいうと安全だとある程度科学的に言われても、いや、安心の方をとって、立証できなくてもみんなが不安に思う根拠はやはり理解できるので、国民の安心のために規制しようというのは一つの立場だと思っています。

 ですから、安全と安心は違う概念である。安心と安全は、でも共通の部分もある。安全だ、リスクはないと言われても、やはり新しいものに対して人々が、人間が思う不安感は大変理解ができる。本当にこれは大丈夫かとなったときに、ではそれを、やはり安全と言われても安心はまだだから国民の安心のために規制しようということは、大いにあり得るというふうに思っています。

 こういう議論は、例えば、特保のエコナの商品について、食品安全委員会ではまだ結論が出ていない、しかし問題があるかもしれない、そのときに私たち消費者委員会、消費者庁はどうするかという議論を大変いたしました。客観的に結論が出るまで何もしないということであれば、この間にもしかしたら被害が起きるかもしれない、だから、客観的に安全か安全でないかの結論が出る前に、国民の安心のために、もしかしたら安全のためにかもしれませんが、やはり大きく踏み出そうということで、特保の問題については大きく踏み出すという結論を私たちはとりました。

 ですから、安全は割と客観的だけれども、やはり私たちは国民の安心のために政治をやっているわけで、消費者行政も、国民の皆さんの安心を確保する、不安を与えたらだめなわけですし、不安はやはり本能的な何かを察知しているかもしれませんし、結論が出ない段階でも、私たちが、消費者庁から警告を出すとか問題にするということは、ちょっと足が前に出過ぎているときもあるかもしれませんが、その立場から大いに警告を出したいというふうに思っております。

 ですから、トヨタの件も、問題があるとなれば、すぐトヨタに消費者庁に来てもらってヒアリングを行う。どうなんですかと、リコールが起きるずっと前に言うとか、そういう形で消費者庁は、ちょっと足を前に出して、安心のために頑張っていきたいと思っております。それが実は安全の確保にもつながると思っております。

福井委員 先ほど言いました、統計学的に正しい提示の仕方、数字で語るということです。宇宙の言語は数学、数字ですから。これは鳩山総理に聞いていただければわかります。数字が、正しく、そして幅を持って、統計学的に正しく提示をする、これが一つ。

 しかし、僕が学校の先生なら、もう一回レポートを出してねと福島学生に申し上げたいのは、ここから話しましょうか。

 手話で幸せというのは、日本語だけあごをさするんですよ。ほかのラテン語系、アメリカでもイギリスでもどこでもそうなんですけれども、心臓の上をたたくんですね。ハートの上をたたく、つまり、自分が幸せだということを、手話で。だけれども、日本人だけあごをなでる。何でか。これは語源があるんですね。中国の古老が長いあごひげをずっとゆっくりゆっくりなでる、これが幸せだという。すごいでしょう。つまり、その中国の古老の目の前には、村人全体が、国の人全体が幸せであって初めて、よっしゃ、よっしゃと幸せになる。日本人というのはすばらしい。つまり、全体が幸せになる、利他の心、つまり、愛が幸せだということですね。

 つまり、安心、安全の基本は、この前も前原大臣に文句を言ったんですけれども、日本の政府の大臣が、日本で一番大事な企業、自動車産業二千万人、そして愛知県には子会社三千社ある、一番守らなければならない会社を突き放してどうするんですか、日本人は日本人を、海外で失敗したんだから、とにかく抱き締めてほおずりして、頑張っていってねということで指導するのが当たり前じゃないかと。消費者庁に呼びつけるのは正しくない行動だったと思いますよ。

 つまり、安心、安全の基本は、愛されているということなんですよ。消費者も企業も日本政府に愛されているということをお互いに確認し合う、腹蔵なく、心の底からわかり合えるというところからスタートしないと安心、安全というのは発生しない、国民一人一人、全員が安心、安全という気持ちにならないということをさっき申し上げたかったんですが、もう時間がなくなってしまいました。またこういう本質論を次の機会もさせていただきたいというふうに思います。

 ぜひ、消費者庁、消費者行政、今後とも、厳しい闘いでしょうけれども、頑張っていただきたいというふうに思います。

 質問を終わります。ありがとうございました。

末松委員長 次に、河上みつえ君。

河上委員 おはようございます。私は、京都府出身、民主党の河上みつえでございます。

 本日は、新人の私に質問の貴重な機会をお授けくださいまして、まことにありがとうございます。

 私は、今回、国政の仕事を授かる前には、長年、客室乗務員を担当いたしておりました。そして、国内外の航空会社に勤務いたしてまいりました。その際は、お客様が旅行を計画されてから、飛行機に乗って、目的地に到着をされ、そして、また利用してみたいとイメージしていただけるよう、有形無形のサービスを空の上で提供いたしてまいりました。

 すべての国民の皆様におもてなしの気持ちを持って、福島大臣もおっしゃいますが、二十四時間、三百六十五日、あらゆるサービスを提供する政治とは、まさに究極のサービス業であると私は考えます。昨年九月に設立されました消費者庁は、究極のサービス業である国政の場において、国民の皆様に常に安心な気持ちを抱いていただけるよう、あらゆる種類の安全を守る責務を負った、日本という国のブランドアンカーであり、最も重要な役割を担っているのだというふうに私は感じます。

 そこで、今後五年間の消費者行政のバイブルともいうべき、こちら、消費者基本法が閣議決定されました。今までの事業者優先から、消費者が主役の社会の実現へと表現されており、当たり前でありながら非常に画期的な、弱者を保護する国の強い決意の集大成であります。

 きょうは、消費者基本法における今後の消費者行政の具体的ビジョン、スキームについて御質問させていただきたいというふうに思います。

 まず初めに、福島大臣にお尋ねいたします。そもそも消費者とはどういった定義であるのか。消費者庁の考える定義と、大臣個人がお考えになる消費者とはについて御説明ください。

福島国務大臣 ありがとうございます。

 消費者とは、消費活動を行う個人であって、例えば消費者安全法においては、消費者とは、商業、工業等の事業を行う場合におけるものを除く個人を指すと条文上は定義づけられています。

 そして、私が考える消費者というのは、生産者でない場面の、多分、消費者という言葉は生産者に対応する言葉ですが、すべての人は消費者であると。この消費者基本計画の冒頭、「すべての人は、消費者です。生まれてから一生を通じ、朝目覚めてから夜眠っている間も一日中、消費者であり続けます。社会で生活していく限り、私たちはあらゆる消費者問題に直面します。消費者の権利は守らなければなりません。」というのも、これはもちろん、私が書いた文章なんですね。すべての人は消費者である。電気も今消費していて、トイレに行けば水の消費者であり、そして食べ物を食べ、服を着て、電車に乗りという、これも全部消費者ですから、その意味では、私たち全員、今も刻々と、夜寝ている間も、ベッド、お布団も含めて、ずっと消費者であり続けると思います。

 ですから、国民すべてが、赤ん坊から、生まれたばかりから亡くなるまで消費者であり続ける。消費者でない瞬間というのはなかなかないぐらい、私たちは消費者だと思っております。

    〔委員長退席、辻委員長代理着席〕

河上委員 ありがとうございます。

 私も、まさに大臣がおっしゃったとおりだというふうに思いますが、今までのところ、政治家や事業主や企業従業員というのは、その職につくや否や消費者ではなくなってしまっていたのではないかなというふうに感じます。口では消費者を守ると言っておきながら、実際の行動は全く逆であったために、あらゆる消費者問題が横行しているのではないかというふうに考えます。社会におけるあらゆるサービス提供者こそまさに実践を伴ったパラダイムの転換が必要ではないかというふうに痛感いたしております。

 こちらの基本計画の一ページに、「事業者優先から国民一人ひとりの立場に立ったものに転換していく」との表現があります。言いかえれば、今までの消費者行政は、事業者優先、産業保護そのものであったと言えます。この基本計画、せっかくの宝も実際に使わなければ持ち腐れなわけで、仏をつくれど魂入れずということにならないように、政策実現力が今まさに問われているのだというふうに思います。

 一般企業では、新たなプロジェクトに取り組む際に、到達すべき時期とゴールとを明確に設定して、優先順位を決めて、それを時系列で、どのように取り組むかのロードマップを作成します。基本計画の後半、ほぼ半分なんですけれども、こちらに、実施が必要なものを具体的に書かれております。

 十ページから五十五ページの、今後の五年間で講ずる具体的施策の中で、多くの項目の実施時期が、「引き続き検討します。」「平成二十二年度から検討を開始します。」「平成二十二年度からの実施を目指します。」「平成二十二年度以降、継続的に実施します。」とされており、取り組みの具体的プロセスがイメージできず、目標達成のためのタイムマネジメントが漠然としている印象を受け、何から取り組めばいいのかが不明で、項目も非常に多岐にわたるため、本当にすべての施策を実施できるのか不安を感じます。

 そこで、大臣にお伺いいたします。後半、約半分の二十四ページにも及ぶ具体的施策を実現する具体的なプロセスをお答えください。

福島国務大臣 ありがとうございます。

 消費者基本計画の実施を実効性のあるものにするために、この計画では、検証、評価、監視について、毎年度、検証、評価、監視を行う、その結果とそれによって必要となる計画の見直しについて閣議決定を行う、消費者委員会の消費者行政全般に対する監視機能を最大限に発揮することとあわせて、消費者庁と各施策の推進に当たる関係府省庁等は重要課題ごとの施策の実施について工程を明確化するということを明記しています。

 ですから、消費者庁は、工程の明確化に早急に着手して、施策の内容に応じた実施時期を明確化します。効果的な検証、評価の実施に努め、新たな消費者基本計画が実効性あるものとなるようにやってまいります。

河上委員 ありがとうございます。

 今後五年間の時系列のプロセスというのを早急に設定いただきまして、私たちにもお示しをいただければというふうに思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 この消費者基本計画のベースは、消費者保護の法制度である消費者安全法など消費者関連法に基づいて策定されております。消費者安全法では、消費者を守るためどういった権限があるのか、消費者保護に関する他省庁が有する制度とどのような違いがあるのかを御説明ください。

福島国務大臣 消費者安全法について聞いていただきました。

 消費者の消費生活における被害を防止し、消費者が安心して安全で豊かな消費生活を営むことができる社会の実現に寄与することを目的として、おっしゃっていただいた消費者安全法は制定をされました。

 これは、実は、本当に今消費者庁の中でも忙しい担当部署になっているのですが、消費者の安全のために消費者庁は三つの施策に取り組みます。

 まず、消費者事故に関する情報を一元的に消費者庁へ集約して、これを公表いたします。ホームページにも載っておりますので、見てください。

 消費者への注意喚起を行います。このために、関係行政機関等に事故情報を消費者庁へ通知する義務を課しております。

 ですから、警察や病院も含めて、いただいた情報を一元化していく、その中で何が起きているかをしっかり把握して、発信もしていくというふうにしていきます。

 次に、既存の法律で被害の発生、拡大防止を措置することができる事案について、その法律を所管する大臣に措置の速やかな実施を要求します。

 最後に、いわゆるすき間事案。既存の法律では被害の発生、拡大防止を措置できない事案、いわゆるすき間事案について、生命身体に係る重大事故等のときは、消費者庁は事業者に対して勧告等の必要な措置を講じます。これが消費者庁ができた大きな理由で、すき間事案に関して果敢に取り組もうということで、未公開株などがすき間事案かどうかわかりませんが、インターネット被害やさまざまな点についても今取り組んでいるところです。

 消費者庁としては、消費者安全法の適切な執行により、同法の目的の達成に努めてまいります。

河上委員 一般の消費者の立場から考えますと、そのすき間がどこにあるのかさえもわからないんじゃないかというふうに思います。自分が実際当たってしまった商品の事故であったりとか、サービスでよくない経験をしたりであったりとかというのがそもそもどこの省庁に関係するのかということも、一般の方はほとんどわからないんじゃないかというふうに思います。

 そんな中で、もしも自分が、どの省庁にも属さない、すき間と呼ばれるようなものに当たってしまっているといったときに、現実に被害に遭われた方というのは、不安に思われるとともに、もっと、途方に暮れて、国に対しての絶望感というのもお持ちになるんじゃないかというふうに思います。

 ですので、そもそもすき間があってはいけないんですけれども、すき間があるということは、そのすき間をなくすための新たなスキームづくり、法整備を含めて省庁横断的な取り組みというところが必要になってくると思いますので、そこはまさに消費者の司令塔として消費者庁がイニシアチブをとってやっていただければというふうに期待いたしております。

 今も申しましたとおり、消費者の立場から見ると、権限を行使するのは一体どこなのか、何かがあった場合、法の執行を含めてどこの省庁が窓口として対応してくれるのかが明確でなく、結局、声を上げられない、手も出せない、守ってくれないというイメージを抱かざるを得ません。消費者庁は、その補完的役割を担うとともに、司令塔として法整備のイニシアチブを真っ先にとっていただいて、既存の施策の見直しを省庁横断的にぜひ取り組んでいただきたいということを重ねて申し上げたいと思います。

 人の一連の消費行動で、消費者の安全が守られるべき六つがあるというふうに私は考えます。

 まず一つ目ですが、商品を買いたいなと思ったときに皆さんは何をごらんになりますか。ホームページや広告をごらんになるんじゃないでしょうか。まず、商品の情報をとる、この段階が一つ目。

 二つ目は、物を手に入れるためにお金を払う、金銭の受け渡し、支払い、このステージが二つ目。

 三つ目は、商品を手に入れた後、商品そのものにふぐあいがあったり、事故、けがを招くおそれがあるという、商品そのもののステージ。

 四つ目が、その使用に伴う、例えば物が壊れたであるとか、心理的なものも含めた、クレームであるとかアフターケアの部分。

 五つ目に、物やサービスを使った後、それをいよいよ廃棄する、処分するという段階での消費者の安全。

 そして六つ目に、これは国内のことではないんですけれども、今やインターネットでの商取引というのが当たり前の状況の中で、高度情報通信社会の国際間取引の安全性の確保というところ。

 この六つが、まず、消費者の皆様の、物を買う、サービスを受けるときの確保してほしいステージじゃないかなというふうに思います。

 特に、今一番最後に述べました、インターネットであるとか、そういった国際間の高度情報通信社会における取引の安全性の確保というところが、本当に、ワンクリック詐欺であるとか、トラブルが多発しているという中で、今後の消費者庁が講ずる、国際的な消費者問題に関する国を越えた取り組み、対策などがあれば、ぜひお聞かせいただきたいと思います。

福島国務大臣 おっしゃるとおり、ワンクリックで、でも実はそういうものの取引が外国で、そういう被害が大変ふえておりまして、経済のグローバル化に伴い、国境を越える消費者被害が潜在的に増加している可能性は極めて高いです。

 そのことについて、消費者庁としては、国境を越える消費者被害について、一国だけでは限界があるので、諸外国の関係機関との間にネットワークを構築し、被害が広がっている事例、手口の新しい事例や、それらに対する取り組みの情報共有、意見交換をしていこうとしております。このため、消費者庁では、OECDそれからICPEN、消費者保護及び執行のための国際ネットワークなどの各種活動に職員を参加させ、必要な情報収集、連携を行うなど、国境を越える問題に取り組んでおります。

 中国ギョーザの問題から、日中間における食品の安全についての話し合いと関係各機関の連携が始まりました。私も、EUのコミッショナー、消費者担当の委員の方と日本でも話をしましたし、ことしに入って、EUに行きまして、EUの委員の皆さん、それから職員の皆さんたちと消費者庁の職員とで話し合いを行いました。メモランダム、覚書を交わして、EUの消費者行政と日本の消費者行政とリンクしていくということを始めようとしているところです。

 今後とも、国境を越える消費者の被害にできるだけ対応すべく、国際機関や各国の消費者行政機関等との情報共有、連携に取り組んでまいります。

河上委員 ありがとうございます。

 国を越えた共通の認識の法整備というところもぜひあわせて取り組んでいただきたいというふうに期待いたしております。

 ネットを介しての国を越えたトラブルは、どこで起こったかの規定が難しく、どの範囲まで国が守ってくれるのか、どこに被害を訴えればいいのかが大変わかりづらい状況です。現在の担当省庁は、この基本計画の最後のページにもございますけれども、経済産業省になっておりますが、自国消費者の保護の観点からは、ぜひ消費者庁が積極的に救済のネットワークの構築に関与していただきたいというふうに期待しております。

 最後に、食品安全庁の設置についてお尋ね申し上げます。

 私は、農林水産委員会のメンバーで、食の安全・安心小委員会の事務局長も担当いたしております。昨日の委員会では、食料・農業・農村基本計画の食の安全と安心について質問させていただきました。赤松農林水産大臣、足立厚生労働大臣政務官、また消費者庁を代表して大島副大臣より、食品のリスク管理機能一元化を目指す食品安全庁設置に向け、大変力強い、共通の認識をお答えいただきました。どうもありがとうございました。

 先日の委員会において、福島大臣から、食の安全、安心を守ることは消費者庁としても喫緊の課題であるというふうな力強い御答弁もちょうだいしておりますが、いま一度、福島大臣の食品安全庁設置に向けた御見解と御決意をお聞かせください。

福島国務大臣 この消費者基本計画を見ていただければわかるとおり、食品の安全にかなり力を入れて書いております。また、食品の表示の部分も非常に拡充していく、消費者の知る権利と選択する権利を保障するという両方が必要だということで、これに重きを置いております。

 消費者庁は、リスク評価機関、リスク管理機関とともに、消費者の立場に立った情報提供、消費者の意見の施策への反映に取り組んでいきます。消費者基本計画の中においても、リスク評価機関の機能強化やリスク管理機関を一元化した食品安全庁について、消費者庁、食品安全委員会、厚生労働省、農林水産省など関係省庁が連携して検討を行っていくということにしております。

 これは私の大臣としての考えなんですが、食品安全庁を最終的につくるとすれば、それは今までのいろいろな業界と関係がないところがいい、私はそれは消費者庁だというふうに思っております。ますます大きくならなければならない消費者庁ですが、消費者庁・食品安全庁がやはりよい、要するに、今までのいろいろな業界ときっぱり切れて、はっきり物が言える消費者庁が食品安全庁を管轄するのが一番いいと思っております。

 ただ、役所をつくることが目的ではなくて、そのために一歩一歩進めていくことなので、例えば、食品の表示に関する法律を、一元化した法律をつくるということなどを目指して直ちに着手をしていきますし、そういう過程の中で、将来、食品安全庁が消費者庁にできればというふうに思っております。

河上委員 ありがとうございました。

 既存の産業と癒着のない、公平公正で独立性のあるリスク管理機能を構築していただきますように、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 食べることは生きることであり、食品の安全を守ることは命を守ることそのものであります。国家安全保障として食の安全を守るべく、さらなる省庁横断的な連携を希望いたしております。

 私たち消費者特別委員会のメンバーが中心となって、消費者庁のコマンダーとしての自覚を持ち、消費者の皆様の声をお伺いし、消費者行政とエンドユーザーの皆様との中間に位置するメディアとしての役割を積極的に発揮して、消費者庁の信頼構築の確保のために頑張ってまいりたいと思います。

 きょうは、どうもありがとうございました。

辻委員長代理 次に、石原洋三郎君。

石原(洋)委員 民主党の石原洋三郎と申します。本日は、質問をさせていただく機会をいただきまして、まことにありがとうございます。

 早速、質問に入らせていただきます。

 平成二十一年九月に消費者庁と消費者委員会が創設されました。

 日本は、戦後、目覚ましい発展、経済成長をいたしました。物づくり、人づくり、大量生産を中心とする日本型経営によって中小企業が大企業に成長していく。一九九〇年初頭には、名実ともに世界で第一位の経済大国となったわけであります。しかしながら、振り返ってみれば、一方で、経済成長は光と影の部分もあり、環境汚染を初めとする多くの公害が発生しました。また、精神面においても、物質的に豊かになることで、生産者の一部の方には、モラルが低下し、悪徳商法、偽装事件などの悪質事件を起こすというモラルハザードも生まれてまいりました。

 そのような中で、いつでも被害者となり得る一億二千万の総国民を消費者として位置づけ、一億二千万消費者の利益の擁護と増進を図り、権利の尊重と自立の支援を図る消費者庁が発足したことは、高度経済成長を終え、熟成期に入った我が国、少子高齢社会に突入していく我が国において、国民生活を守るための新たな行政のパラダイム転換という視点からも非常に有意義なものであると確信するところでございます。

 改めまして、消費者庁設置に御尽力された関係各位の皆様方の御努力に敬意を表するところでございます。

 国民生活庁あるいは生活者庁とせず消費者庁と命名したのも、生産者側、供給側との関係を際立たせるものであり、消費者の安全、安心を実現することで消費の拡大、需要の拡大が図られる、そのことが生産者側、供給側の利益にもつながる、そのような、遠くおもんばかる行政のパラダイム転換もあるものと考えます。

 小さく産んで大きく育てる、消費者庁は約二百名からの人員で始まった省庁でありますが、その範囲は、全省庁、全地方公共団体、全国民に及ぶものであり、非常に広範囲に及びます。消費者庁が広範囲に及ぶ行政全般をどのように統括していくのか、その育て方や目指す方向が注目されるところでございます。

 消費者庁の将来像、消費者行政の今後のあり方についてお伺いいたします。

福島国務大臣 ありがとうございます。

 まず、消費者庁自身が初めて事業者の立場でない役所として誕生したということは、やはり画期的なことだと思います。何かの業界あるいは何かの事業者を育成するあるいはどうするかという役所ではなく、まさに消費者の立場にとことんこだわって、消費者の権利を守る役所だというところで誕生したというふうに思っています。

 消費者庁、消費者委員会だけではなく、おっしゃるとおり、地方自治体における消費者行政、これも含めて一緒にやっていきたいというふうに考えています。ですから、大きな柱として、地方消費者行政の強化ということを打ち出しておりまして、きょうも全国市長会に、いろいろな要望、意見交換に行ってまいりますが、地方消費者行政の活性化、地方行政で働く相談員の皆さんの待遇改善などにも本当に効果を上げたい、成果を上げたいと考えております。

 そして、私たちは、消費者庁だけで、あるいは地方自治体とだけ仕事をするのではなく、NGOや、多くの消費者の皆さんや、食べ物の安全やそういうことに心を寄せる人たちと一緒に消費者行政をやっていきたいと考えています。

石原(洋)委員 ありがとうございます。

 消費者の権利の尊重と自立の目的を達成するため、消費者庁は非常に責任が重いものと思います。また、その役割、責任を果たすためには多くの困難も想定されます。小さく産んで大きく育てるというとおり、現在は庁という立場であり、府省庁の間では司令塔的役割を果たすのに、省庁間の縦割り行政の壁を乗り越える、あるいは突き抜けることも今後の課題です。

 基本的に、被害事故が国民の中で起きたときには、被害者は消費者となります。もちろん、加害者は供給者側、生産者側と想定されますが、その供給側を指導しているのは行政になります。例えば薬害問題などは国の責任でもあります。BSE、汚染米など輸入食品の安全性に関しましても、国の検査体制のあり方など、責任が出てくるわけであります。

 同じ行政組織に対してメスを入れ、指導監督をする、そのようなことも当然想定されます。ここに縦割り行政を横断し、司令塔として指導監督するわけでございますので、行政に何でも物が言える民間人の起用あるいは各省庁からのベテランの引き抜きをしていただいて、消費者庁の立場を強化していただければと存じます。いずれは、消費者省、さらには消費者院、消費者府という立場になる決意でもって今後の消費者庁を育てていただければと存じます。

 次に移ります。

 そうはいいましても、現状といたしましては、何か大きく消費者にかかわる重大事故が発生したときに消費者庁がどのような役割を担うのか、見えてこない部分もあると思います。例えば、過去の事例で、おれおれ詐欺や架空請求詐欺であれば警察庁が担当、食品安全のことに関しては厚生労働省や農林水産省が担当、耐震偽装問題などの建築物については国土交通省が担当するなど、消費者庁が役割、責任を果たす機会があるのかどうかも懸念されます。消費者行政の一元化を図るのであれば、消費者庁と、各地方公共団体、各省庁、各消費者団体との役割と組織体制を明確化するべきと考えます。

 すぐれた企業は品質保証体制がしっかりしておりまして、製品ふぐあい時の情報収集体制、緊急連絡網、組織体制、設計部門、生産部門、生産技術部門、品質保証部門、購買部門、部品検査部門などの役割と責任が明確化、整備されております。そのことが、迅速なる対応、的確な応急措置、恒久的なふぐあい防止対策、さらには製品の品質向上、ユーザーへの信頼回復を生みます。

 消費者庁のみの政務三役という視点ではなくて、消費者庁、農林水産省、厚生労働省、国土交通省などの各省庁、国民生活センター、住宅紛争処理支援センターなどの各センター、すべての都道府県、市町村、すべての消費者行政の政務三役という視点で指導力を発揮することが大切と考えます。

 消費者行政の一元化について、あるべき姿をお伺いいたします。

福島国務大臣 省庁の中で横断的にやるべきことだという意味での一元化は、もちろんそのとおりですし、地方消費者行政、消費者団体、消費者の、多くの皆さんたちと連携をして、そこも含めて行政をやるべきだとおっしゃるのは、そのとおりです。消費者庁だけの政務三役ではなく、大きな消費者行政を担う政務三役として頑張ってまいります。

 地方消費者行政の強化というのは大きなポイントでありまして、私自身も、消費者庁の中で地方消費者行政推進本部の本部長となって、今回も、実は人員十五名のうち十一名は地方協力課に増員をして、地方消費者行政の強化のためにやっていこうとしているところです。ですから、今回、十一名地方協力課に人がふえますので、地方のそれぞれの自治体と、顔の見える関係で、一緒に連携してやっていくことが強力にできるというふうに思っております。

 できれば知事をトップとする本部を設置してほしいと思っておりまして、まだこれは七県なんですが、私自身も、宮崎県や京都府の知事、いろいろな知事に頼んで、本部が設置をされ、また、幾つかの県、富山県や岐阜県でも知事をトップとする本部の設置に向け準備が進められておりますので、地方に行ったときは首長さんたちとよく話をして、その意味で、強化のためにしっかりやっていきたいというふうに思っています。

 消費者庁に新たに地方協力課が設置され、十一名増員されるので、都道府県、市町村と顔の見える関係を築き、消費者庁がコラボレーションしながら成果を全国に広めてまいります。

石原(洋)委員 御答弁ありがとうございます。

 四十七都道府県のうち、まだ七県ということでもございますので、消費者行政の一元化という観点でもぜひ推進していただければと存じます。

 次に移らせていただきます。

 消費者が被害に遭わない、そのことが一番なんじゃないかと思います。消費者が被害者となる場合、汚染米やBSE事件などのように、運悪く被害に遭う事故的なケースと、加害者が意図的に立場の弱い人を被害者とする、おれおれ詐欺のような事件的なケースと、大きくは二種類に分類されるんじゃないかと思います。いずれにしましても、これらのような被害者があらわれた場合、第三の被害者が出てこないようにすることが大切です。

 被害者の多くは、高齢者のような、立場の弱い人であったり、事件、事故の悪質事例を知っていなかった方たち、あるいは、クーリングオフ制度、成年後見人制度などのような被害防止制度を知らない方たち、困ったときに身近な方や行政に相談をしない方たちであります。もし事前に知っていれば被害に遭わなかった、あるいは、知っていたから助かったという方たちも多くいるんじゃないかと思います。

 都道府県便り、市町村便りも含めた上での消費者行政の広報、周知方法についてのあり方、インターネット、新聞、テレビなどのマスコミの活用についての御所見をお伺いいたします。また、消費者庁のホームページも、行政の方が見れば見やすいのかもしれませんが、消費者の方が見たときに、わかりづらいというのが本音じゃないかなと思います。消費者目線でわかりやすく周知する、広報するというのも大切だと思います。御所見をお伺いいたします。

福島国務大臣 ありがとうございます。

 わかりやすい情報提供は本当に必要です。ですから、何かベビーカーやいろいろな問題が起きたときは、瞬時に記者会見をやって広報しようとしているところです。

 ホームページについて言っていただきました。消費者庁ホームページももっとわかりやすくしてほしいという意見は皆さんからいただいております。消費者、消費者団体等からいただいた意見を参考に、より見やすくわかりやすいものになるよう必要な見直しに取り組んでいるところです。

 また、石原委員がおっしゃるとおり地方公共団体というのも大事なので、地方公共団体が行う消費者への広報啓発についても、地方消費者行政活性化基金を通じた支援を行っているところです。

 報道発表やホームページ掲載などの適切なツールを用いて、消費者にわかりやすい広報、周知活動を行ってまいります。

石原(洋)委員 特に被害者になる方々というのは高齢者とかを中心としたケースも多々ありますので、広報、周知のあり方も、そういった方たちに配慮した周知のあり方をお願いいたします。

 次に移ります。

 消費者の権利を尊重し、自立を支援するということは、さまざまな側面での消費者教育が課題となってまいります。クレーマーになったり、あるいは、正しい知識が不足しているためにパニックに陥ったとすれば、消費者の権利の尊重と自立の支援は達成されません。消費者が、その権利が尊重され、自立していくためには、消費者の方々が正しい知識を得る、認識に立つ、その認識をもとに権利が尊重されるということが大切だと考えます。その点で、義務的にも、必要不可欠的にも、消費者教育が大切だと考えます。

 一例を申し上げますと、あんぽガキという食べ物で、普通はカキに白粉がついているんですけれども、それを消費者が見て、カビが生えていると勘違いをし、生産者にクレームをつける。キュウリが曲がっているのを見てクレームをつけるというような話もあると伺います。

 消費者の方たちが被害に遭わないような教育、被害に遭っても被害軽減に向けて適切に対応できるような教育、クレーマーにならないような教育、あるいはパニックにならないような教育、さまざまな側面での教育が大切と思います。その教育によって、消費者と行政、消費者と生産者との距離感の中において消費者が立場を明確化し、存在感が出てくる、自立していくということにつながるのだと思います。

 消費者教育で正しい知識、認識を得、そのことによって消費者の権利が尊重される、自立していく、消費者も幸せになる、そして消費者が安心して製品を購入する、さらには、消費者からの刺激で、製品の需要拡大、品質向上、生産性向上と、生産者も恩恵を享受できる、国民全体が幸せになるような消費者教育が大切であると考えます。

 消費者教育のあるべき内容に関して、姿についての御所見をお伺いいたします。

福島国務大臣 おっしゃるとおりで、消費者を育てる消費者教育があれば、本当に、知る権利、選択する権利、権利を守れるということになると思います。

 消費者基本計画において、消費生活に関する知識の普及と情報の提供など、消費者に対する啓発と教育を推進するということにしています。関係省庁、関係団体等と密接に連携をとって、学校、地域などにおける消費者教育を推進するなど、体系的、総合的に進めてまいります。

 教科書も、私もいろいろな教科書を今読んでいるんですが、クーリングオフを知っているか知らないかだけでも、おっしゃるとおり全く違うと思うんですね。いろいろな食品の表示の見方とかそういうことも、子供たちにぜひ、食育の観点からも学んでほしいというふうに思っております。

 そういう消費者教育を推進することを、体系的、総合的に進めていくというふうにしておりますので、しっかりやってまいります。

 石原委員が高齢者のことをおっしゃっていただきましたが、高齢者の消費者トラブル見守りガイドブック、こういうものもつくりました。

 私、この間、兵庫県川西市に行ったときに「てくてく」という劇団が、ボランティアなんですが、高齢者にすごくわかりやすい、非常におもしろい、愉快な、でもためになる演劇をやっていらして、それを見せていただきました。そういうのだとかた苦しくなくて、老人ホームやいろいろなところに行って、特定商取引について気をつけようとかやるといいんじゃないかと思っております。そういうことを、例えば基金を活用してやっていただきたいとも思っておりますし、大いにいい例も紹介しながら、一億二千万に届くようないい啓発や教育、教育と言うとおこがましいですが、しっかりそういうものをやっていきたいと思っております。

石原(洋)委員 ありがとうございます。

 そういった普及のところにおいても、市町村が身近でもありますので、積極的に一元化をしていただき、普及していただければと思います。

 最後に移ります。

 悪徳業者に限って言いますと、法律のすき間をねらって商売をするケースがございます。違法業者ではないから違法ではない、でも悪徳で、消費者が困りますので、悪徳業者と言われております。

 消費者が被害に遭わないようにするために、生産者への教育も大切なんじゃないかと思います。生産者のモラルがしっかりしていれば、消費者は被害に遭いません。生産者教育、事業者教育についての御所見を伺います。

福島国務大臣 おっしゃるとおり、事業者の健全な発展は消費者の利益にも資するものですし、事業者や産業の発展にも資する、ウイン・ウインゲームになっていくと思います。

 そのために、関係省庁との連携のもと、私たちは法執行もできますので、法執行や普及啓発を通じて、事業者による適正な事業活動の確保を図るとともに、事業者による自主的な規約、基準の作成の支援などに取り組んでまいりたいと考えています。消費者庁は事業者の団体や事業者とも連携を組んでおりますので、それは、消費者の立場から逆に事業者と話して連携をしていくということをしっかりやってまいります。

石原(洋)委員 大変ありがとうございました。

 以上で質疑を終わらせていただきます。

辻委員長代理 次に、斉藤進君。

斉藤(進)委員 斉藤進でございます。

 本日、消費者委員会では初めての質疑となりますが、どうぞよろしくお願いいたします。

 本日取り上げさせていただきますのは、富士ハウスを初めその他これまでの建築会社等の破綻を例として、今後における民間住宅においての代金後払い原則の確立と、そして住宅完成保証制度の加入義務化を求めることについて質疑を行いたいと思います。

 私自身、富士ハウス本社のあった浜松の選出の議員でございまして、それゆえ、地元の弁護士を含む被害対策静岡県弁護団の方々からも御意見をいただいております。以前、同じ静岡県選出の大口議員や片山議員からもこれらの問題について質問がありました。

 現在係争中であるので、案件についての具体的なコメントは控えますが、しかし、同様の問題が今後起きることのないように、極めて消費者としての問題であるこの課題について、国としてここで法制化の検討ができるのかも含め、取り上げたいと思います。

 多少説明が必要かと思いますが、富士ハウス株式会社は、浜松市に本社を置く、木造住宅の注文建設業者でありました。一九七〇年に創業し、注文住宅を販売、設計、施工する事業を、静岡県を中心に、関東、東海、近畿において、七十八支店、住宅展示場百四十四カ所を用いて展開していました。同業他社との競争の激化や、設備投資による資金繰りの悪化、資材の高騰、そして世界同時不況の影響に端を発する景気低迷により受注が伸び悩み、昨年一月二十九日に東京地方裁判所に自己破産を申請し、倒産しました。

 この倒産により、建築途中の住宅や未着工の物件について、引き渡しが不可能になりました。富士ハウスは、通常よりもはるかに高い、七割もの代金を着工前に施主に支払わせていたこと、そして住宅完成保証制度に未加入であったこと、さらに独自の工法で建築していたために他の業者では引き継ぐことが困難になっていたことなどから、代金の大部分を払ったのに住宅の引き渡しを受けられない施主が多数出る事態になりました。

 その後、施主が元社長などを相手に未施工分代金を求める損害賠償の訴訟などを起こしており、弁護団によると、工事中断や未着工の施主は十五都府県で約二千二百名を超え、被害総額は約五十三億円に上るといいます。現在、弁護団は、各関係諸機関や金融機関などとも交渉し、財団組み入れ額や特定調停などについて協議を行っているとのことでした。

 さて、弁護団の方々ともいろいろとお話をさせていただきましたが、公共工事の場合であれば、その代金は発注者が検収した後に全額が支払われるのが原則となっており、代金前払いの危険を発注者が負うことはあり得ない仕組みになっております。原則三割の前払い金が支払われる場合であっても、公共工事の前払金保証事業に関する法律が制定されており、前払いを受ける請負者は保証事業会社を利用し、前払い金相当額までの工事出来高が完成済みであることの保証を付すべきものとされております。

 民間住宅の方に戻れば、民法六百三十三条によれば、建物引き渡しと代金支払いは同時履行されるべきことが定められ、建物完成は代金支払いよりも先に履行されるべきものとなっております。ところが、業者の交渉力優位による施主への不利な支払い条件の押しつけや、業者の資金繰りの要請により、完成分以上の支払いを押しつけられ、そしていざ業者が倒産すれば、過払い分の損失や請負代金全額を施主が負うことになってしまっております。

 公共工事においては、国のように資力の十分な発注者ですら、前払い契約の危険性から法律を制定し、検収した後に全額支払いを基本的に行っています。富士ハウスを初めその他の建築会社の破綻により施主がこうむる被害の根本の問題は、出来高を超えた請負代金の支払いが行われることに起因します。それをかんがみれば、民間でも公共工事同様、前払い契約の危険性をできるだけ排除する法律を制定すべきと思います。

 ここで質疑を行いたいと思います。

 完成分までしか代金支払いを求められないとする原則を立法化する必要があると考えておりますが、見解はいかがでしょうか。

    〔辻委員長代理退席、委員長着席〕

福島国務大臣 ありがとうございます。

 おっしゃるとおり、民法の原則がありますけれども、実際、契約の中で、とりわけ、おっしゃった富士ハウスのケースは、工事が未着工等の状態にもかかわらず、消費者が多額の前払い金を支払っていたことで、倒産となると消費者が大きな被害をこうむった事案だと思っております。

 国土交通省では、昨年三月に、ハウスメーカーの業界団体である社団法人住宅生産団体連合会に対し、前払い金を工事の出来高に応じた合理的なものとすること、完成保証制度の活用等を内容とするガイドラインの策定及び会員業者や消費者に対しての周知に努めるよう要請したというふうに聞いております。

 今おっしゃった立法の件なんですが、消費者庁としては、消費者被害の動向、ガイドラインがどのように今機能しているか、業界団体の動向を注視しながら、国土交通省と連携して必要な対策を検討し、ハウスメーカー倒産時の被害拡大を防止できるようにしていきたいと考えています。

斉藤(進)委員 ありがとうございます。

 今大臣おっしゃられたとおりに、社団法人の住宅生産団体連合会が、できるだけ工事の出来高に応じた前払いになるように徹底する自主的なガイドラインを発表しております。

 具体的な内容は、住宅建設業者によって、工法、資材等の調達方法、建設現場以外での部材加工など、事業形態がそれぞれ異なるわけですけれども、おおむね支払い回数を三回から五回を一般的として、時期は、契約時、着工時、上棟時、上棟以降の中間時、内装着手時、完成時などが挙げられております。支払いが三回の場合、四回の場合、五回の場合と、細かくいろいろと記されているわけでございます。

 これが非常によくできたガイドラインでございまして、代金支払いと施工程度の対価的均衡を確保するガイドラインになっていますけれども、これそのものを、私は、緊急の課題として法制化すべきではないか、法的にこのガイドラインを担保する必要があるのではないかと考えておりますが、それについてはいかがでしょうか。

長安大臣政務官 委員御指摘の、ガイドラインの内容について、立法化というお話がございますけれども、あくまでも、商取引というものに関しましては民民の取引でございます。すべての取引を法的に縛ってしまうというのは、これは慎重な議論がなされなければならないと認識しておるところでございます。

斉藤(進)委員 わかりました。

 ただ、もう一つお伺いしたいことがありまして、今の、完成分までしか代金支払いを求められない原則の立法化とともに、具体的なスキームとして、請負者側において前払いを求める場合は、資格認定された建築士による検査を受けた上で、その認証とともに、財務内容について認可を受けた完成保証会社による前払い金保証を義務づけることを検討してみたいと思うんですけれども、それについてはいかがでしょうか。

 前払い分までの履行が確認されているのであれば、保険料は安くなるはずでございます。つまり、工事代金支払いの時期や割合に制限を設けた上であれば、保険金支払いリスクが低減して、保険加入率が高まり、加入率が高まれば、建築業者の財務内容にかかわらず保険料を低額に抑えることが可能となります。それゆえ建築業者に保険加入を義務づけることが可能になり、これこそが国民の住宅完成に対する不安を払拭させるものでもあると思いますが、これについてはいかがでしょうか。

長安大臣政務官 住宅完成保証制度の加入の義務づけということをすれば、一義的には消費者が保護されるという観点があるのは十分理解できるところでございます。

 しかしながら、住宅瑕疵担保責任保険の義務化というのを以前国土交通省において法制化させていただいたわけでございますけれども、そのときにも、やはり、義務化することによってその費用負担というのは最終的に消費者の方に回ってしまうという実情がございます、そういう中にあってさまざまな御議論をいただいたわけです。

 義務化ということに関しては、これから慎重に議論を進めていかなければならないと考えております。

斉藤(進)委員 完成保証についてもう少し言いますと、業者倒産に対する保険として私企業による完成保証もあるわけでございますが、法規制が一切ないため、支払い能力不足や支払い拒絶等の問題が起きております。完成保証会社に対する、登録制とかそれから適切な法規制が必要になってくると思います。

 去年の十月から住宅瑕疵担保履行法の施行が始まりました。これは、新築住宅に欠陥が見つかった場合に備え、あらかじめ補修や建てかえに充てる資金を保険や供託といった形で確保するために、販売業者や建築業者にいろいろと義務づけをしたものです。万が一事業者が倒産した場合でも、こちらでは二千万円までの補修費用の支払いが保険法人から受けられますというものです。ただ、最大の瑕疵である家が建たないということについては適用にならないわけです。

 完成保証制度の義務化を難しいと考えるのであれば、代金の大部分を払ったのに住宅の引き渡しを受けられない施主にもぜひこういった制度が適用できるようにならないか、もしくは制度として何らかの形で援用できるようにならないかということをお伺いしたいと思います。

長安大臣政務官 今委員御指摘のとおり、瑕疵担保というのは、あくまでも建った後での瑕疵を担保するものであります。

 一方で、先ほど委員が御指摘ございました富士ハウスの案件についてもそうでございますけれども、住宅が完成されない方をいかに保証していくのか、いかに保護していくのかという観点は重要な観点でございます。私ども国土交通省としても、しっかりと議論をしてまいりたいと考えております。

福島国務大臣 斉藤委員おっしゃるとおり、住宅のトラブル、みんな物すごく心の傷も負い、かつ金額も多額であって、やはり大変な問題であるという認識は持っております。本来、民法の原則であれば、請負契約ですから、完成と同時にお金を払うのですが、実際は、その前に多額に払ってしまう契約を結んでしまう場合がある。

 先ほど申し上げたガイドラインがありますので、消費者庁としては、そういうガイドラインがあるんだ、一挙に多額のお金を前払いで払う必要はないというのは、それももちろん民民の契約ですけれども、そういうガイドラインがあって、気をつけるようにと言うと変ですけれども、やはり本来ならば完成してお金を払うのが原則であり、そういうガイドラインもあるので、それを、民民の契約で、一挙に多額に前払いで、できないうちに払わないようにというか、そういう啓発も行っていきたいというふうに思っております。

斉藤(進)委員 消費者庁として、法制化に向けた検討というのはいかがでしょうか。

福島国務大臣 大事な問題ですが、先ほど国土交通省の政務官も言ったとおり、民民の契約でどの時期に代金を払えというのを、民法の原則を変えて特別立法として拘束しますと、ケース・バイ・ケースで不都合も起きるかもしれませんので、検討してみますが、むしろ民民に任せることと、それから、やはり啓発広報、ガイドラインの徹底を今の段階では一生懸命やっていきたいと思っております。

長安大臣政務官 消費者保護の観点から、支払いの割合というものを法的に拘束するという考え方は確かにあるわけです。

 しかしながら、ちょっと、御理解いただくために例を挙げますと、例えば、小さな中小工務店が家を建てるという場合には、資材を調達する前に、事前にそれなりの資金の手当てをしなければならないという状況があります。そういったところが資材を調達するために前払い金を一定程度求めるというのは、これは中小の工務店の経営のためにも必要だという認識を私どもはしているということでございます。そこは、適度なバランスというものが必要なのではないかと考えております。

斉藤(進)委員 そうなると、やはり、施主を守っていくためには何らかの施策が必要だと思っています。

 こういった住宅完成保証は任意でございます。去年の五月十三日の朝日新聞によると、国交省所管の「財団法人住宅保証機構による保証は、資本金三億円以下、従業員三百人以下などに対象企業を限定。」としております。登録業者は五百五十三社にすぎず、二〇〇八年度の利用実績は百八十二件だけでした。富士ハウス倒産後の昨年十一月末には七百七十三社にふえたというわけですが、約四万社とされる対象業者の二%にすぎません。

 住宅完成保証制度の普及状況については、現状をどのようにとらえ、この先どう変えていこうと考えていますでしょうか。ハウスメーカーや工務店倒産の場合は完成保証制度がありますが、富士ハウスは未加入であったため、やはりこれを義務化していく必要はあるのではないかな。何らかの手段を講じるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

長安大臣政務官 今委員から御指摘がございましたように、住宅完成保証制度の普及という意味ではまだまだ足りない部分もあると認識しております。

 住宅完成保証制度が普及するためには、やはり消費者の方々にも、こういう制度があるんだ、ここを利用している業者さんとそうじゃない業者さんがあるんだということを認識してもらい、このメリットというものを知っていただくことが重要だと思っております。

 そのためにも、国土交通省といたしましては、今後も消費者の皆様、また建築側の工務店等に対しても、こういった制度のあることを周知徹底してまいりたいと考えております。

斉藤(進)委員 住宅リフォーム被害対策の方に移らせていただきます。

 典型的なリフォーム被害として、高齢者や判断能力が不十分な方をねらった点検商法やモニター商法などがあります。リフォームの関係でこういったものがあるんですけれども、このような被害を防止するために、やはり法的な対策を検討すべき時期ではないかと思っています。

 建設業法上、五百万円未満の軽微な工事を請け負う業者の起業は自由で、資格を持つ技術者も必要ありません。改修や補強と称して、建築の専門知識を持たない事業者の工事が住宅の本体構造まで及ぶ場合には、震災などが起こったときや風水害が起こったときなどは、そこに住む住人にとっては本当に大変なこと、命にかかわる話になってまいります。

 住宅リフォームの被害対策のために、すべてのリフォーム業者を建設業許可の対象とし、大規模修繕等における建築確認検査手続の潜脱を監視、規制する法制度などを検討すべきだと思いますが、具体的には、建設業法に、住宅リフォームに関して契約主任者及び技術主任者を設ける必要はないでしょうか。これを質問させていただきます。

 兵庫県では、条例に基づき、悪質な住宅改修による被害防止のため、住宅改修業者登録制度を設けております。契約主任者及び技術主任者などの選定をさせるなどして、一定の要件を満たす住宅改修業を営む人を登録して、請負の実績その他を県民に公開しておりますが、国としてはいかがでしょうか。

長安大臣政務官 悪質リフォームというのは、施主側からしてみると全くのひどい話で、先ほど大臣からも御答弁ございましたように、本当に心に傷がついてしまうお話でございます。

 そういう意味で、建設業者をしっかりと監督すべきではないかと。現在では、五百万円未満の建設工事に関しましては建設業の許可を要しないということとしているわけです。それに関しても、建設業許可をとらせるべきじゃないかというお話かと思います。

 しかしながら、建設業許可を要しないといっても、都道府県の監督権限というものが届かないわけではございません。具体的には、平成十七年の九月三十日に、国土交通省の総合政策局長の通知によりまして、建設業法の二十八条第二項に規定しております「請負契約に関し著しく不誠実な行為」として、これに対しては指示または営業停止処分を行うよう努めることとするということを通知として出させていただいていまして、建設業者をしっかりと監督指導しているところでございます。

斉藤(進)委員 では、最後の質問にさせていただきます。

 やはり、省庁が違うと、同じ問題を見る角度や視点が異なってしまうのではないかなと感じております。問題は、国民のためにどうするのかということであって、確かに課題は多岐にわたるし、困難な状況があるのは重々承知しておりますが、やれることをやっていく、消費者庁でなければできないことをやっていくべきではないかと思っております。消費者庁は大きな役割を担っているし、既存の官庁ではなし得なかった消費者サイドの視点を十二分に取り入れて、自信を持って役目を果たすべきだと思っております。

 国の建設行政はやはり性善説に立っていると今感じました。そのようなことが起きるわけはないと考えているから、いろいろな思いもよらない事態が起こってくるわけで、耐震偽装のときと同じ構図だなというのも感じております。これらではやはり国土交通省の専管となっている法律が多くて、消費者庁の関与のあり方をどうすべきなのかということも考えなければいけないと思います。

 これらはいずれも確固たる消費者問題であって、既存の産業保護育成を標榜する省庁では被害実態に即応した十分な対策を講じられない可能性もあるため、消費者庁を担当省庁とする必要がこれらの問題についてはあると考えますが、最後に見解をお伺いします。

福島国務大臣 ありがとうございます。

 悪質なリフォーム詐欺の問題があったことから、これが特定商取引法の改正につながったと思います。再勧誘の禁止、過量販売契約の解除といった規制強化が行われました。事案に応じて、告発を行うなど警察当局との連携も図ることにしています。

 それで、未公開株やインターネット被害や英会話学校の被害などもあって、PIO―NETに年間百万件情報が寄せられるというのは、これは国民生活センター、ひいては消費者庁の財産だと思っています。それを的確に、できるだけ早く、二日ぐらいで、十分検討してというのではなく、情報を的確に上げて、それを見た相談員やいろいろな人が、この地域には今こんな被害が起きている、例えば東北地方のどこどこでは今こんな形の被害が起きている、大阪で今、英会話学校のこういうところがどうも被害のあれが多いよねというようなことを的確に判断して、機敏に対応できるようにということをこの間決定をして、PIO―NETに上げる日数をとても短くして、分析、情報の共有をしっかりやっていこうというふうにしております。

 今おっしゃっていただいたように、悪質な事業者に対して厳正に対処し、地方自治体、関係省庁との連携のもと、悪質な住宅リフォームによる消費者被害、これは莫大な金額ですし、精神的な打撃も大変大きいというふうに理解をしておりますので、国土交通省がまたおやりになることと同時に、消費者庁としても何ができるか、しっかり検討し、やってまいります。

斉藤(進)委員 ありがとうございました。

末松委員長 次に、古屋範子君。

古屋(範)委員 公明党の古屋範子でございます。

 きょうは、消費者問題に関して大臣にお伺いしてまいりますので、よろしくお願いいたします。

 冒頭、通告をしておりませんが、ライターの事故、火災についてお伺いをしてまいります。

 本日付の朝日新聞の記事にもございます。今月の二日、生後七カ月から三歳のきょうだい四人と見られる遺体が見つかった北海道での車両火災、それから、三歳と一歳の姉妹二人が救出をされました同じく今月四日の宮城県での車両火災でも、ライターが原因ではなかったのかということが疑われております。相次いで非常に幼い命が失われ、あるいは負傷したということで、非常に重大な事故と受けとめております。ぜひとも再発防止に向けて全力を挙げていかなければいけない、このように考えております。

 子供によりますライターを使った火遊び、火災をめぐりましては、昨年の十一月、東京都と東京消防庁が、一九九九年から二〇〇八年、この間、管内で、五歳未満の幼児による火遊び火災で三人が死亡、七十五人がけがをしていると報告しております。また、消費者庁におかれましても、全国の政令指定都市で、二〇〇四年から八年までの同様の火災で一人が死亡、七十三人がけがをしていると。非常に多い数字であるということが浮かび上がってまいりました。

 そこで、経済産業省におきましては、ライターの規制を、昨年十二月、検討し始めているということであります。消費生活用製品安全法上の特定製品に指定をしまして、省の定める安全基準を満たさない製品は販売を禁ずる方向である。石油ストーブ、圧力なべなど九製品と同じ扱いにしております。売り上げ減を懸念して態度を保留していた業界団体も、先月の十九日、作業部会では規制導入に同意をしているそうであります。

 ただ、業界が規制の対象に挙げましたのは、幾つかパターンがありまして、ライターのうち、点火レバーを真下に押し込む押し下げ式だけだということであります。

 欧米におきましては、安全規制を導入済みでありまして、ライターの点火レバーを非常にかたくする、同時に二つ以上の操作をしないと火がつかないようにしている、そういう工夫をしているそうであります。そして、生後四十二から五十一カ月の子供百人で点火のテストを行って、八五%以上が点火できないものだけを販売を許すというふうにしているそうであります。

 経済産業省でこうした検討が始まっているということでありますけれども、結論が出るのが夏ごろということでありまして、子供の命を守るということを考えますと、これをもっと急がなければいけないのではないか、そのように思いますが、大臣の御所見をお伺いいたします。

福島国務大臣 ありがとうございます。

 おっしゃるとおりです。

 去年の段階で、点火ライターのことが問題になったので、消費者庁で、関係省庁の担当者の皆さんたちに集まっていただいて、そこで、ライターだけの話ではなかったんですが、いろいろな意見交換を行いました。消防庁や経産省、厚労省、それは別のテーマも、遊具の問題もありましたので、国土交通省、皆さんに集まっていただいて、そこでも点火ライターについて議論をいたしました。その後、経済産業省で審議会が始まったのは御存じのとおりです。

 そして、ここにありますが、消費者庁と消防庁が連携をして、火遊びによる火災のうち発火源がライターであるものの火災情報を収集、分析いたしました。今古屋委員が少し紹介をしていただきましたが、火遊びによる火災のうち発火源がライターであるものの占める割合は五割を占めておりまして、また、政令指定都市では、火遊びによる火災のうち発火源がライターであるものが千三百件発生し、そのうち五百件以上で行為者が十二歳以下である、製品が判明した事例では、使い捨て式が約九割であると。

 それから、私が非常に重要視というか、これは深刻だなと思ったのは、火遊びによる火災のうち発火源がライターのうち、例えば五歳未満ですと、死傷者の発生率が七九・六%になっている、つまり、子供たちが亡くなっているということなんですね。恐らく、親がいないところでライターを使って、思わぬ火事になって子供が亡くなる、死傷する。これは本当に深刻な結果だと思いました。

 そこで、消費者庁としては、三月十九日に開かれた経済産業省の中の消費経済審議会ライターワーキンググループにおいて、消費者庁からしっかり当該調査結果について説明をしてくださいと頼み、説明をしてもらいました。また、私の、消費者担当大臣として、これに早急に取り組み解決をしてほしい、促進してほしいということも、そのワーキンググループにおいて発言をしてもらいました。

 今回の事件の前から、実は、大島副大臣が経済産業省の増子副大臣に話をしてもらう、それから私自身も、私から直嶋大臣に話をしまして、経済産業省で審議が行われていることはよく理解できるが、夏までにということで、やはりもう少し前倒しをしてもらえないか、ぜひ規制も含めて検討していただきたいということを申し上げたところです。

 それと、もう一つは、私が思っているのは、確かに今後、例えばこういうものしかだめですよ、チルドレンレジスタンスということでやっていく。例えば、消費者庁は今、子どもを事故から守るプロジェクトをやっておりますから、チルドレンレジスタンスとしてライターをどうするという議論はあるわけですが、今、八億個ぐらい実はもう蔓延をしているという問題があります。

 ですから、今後どうしていくかという問題もさることながら、今家庭にある、いろいろな場所にあるライターをどうするかということも必要で、消費者庁としては、やはり啓発、広報をしっかりやろう。消費者庁と消防庁が連携してやったライター実態調査もかなり深刻なものなので、お父さん、お母さん、それから子供たちにやはり知ってもらう、消費者庁はこういたしました。文科省と厚生労働省とも話をし、保育園や幼稚園や、それからいろいろな機会にお父さん、お母さんにも啓発、教育をして、事故がなくなるように、子供がいるところにライターを置かないように、手の届くところに置かないようにという啓発をするようにしました。

 長くなってごめんなさい。

古屋(範)委員 子供というものは、大人の予想外の行動をいたします。また、未知のものに対する興味も非常にあり、あるいは大人と同じようなことをしたがるという側面もございます。子供の命を守るために、一方では、こうした事業者の経営というものも当然勘案をしていかなければいけないと思います。そうしたことも考えながら、ぜひ、経済産業省への働きかけ、結論を早めていただけますようにお願いいたします。また、それまでにできることに総力を挙げていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、次のテーマに移ってまいります。

 歯科の補綴物の問題について伺ってまいります。先日もテレビ番組で取り上げられました。

 近年、国外からの輸入品の事件、またギョーザの薬物混入や歯磨き粉による死亡事件、玩具やインテリアなどの有害塗料や鉛の検出など、想定されていなかった健康被害の実例が相次いでおりまして、国民の安心と安全が脅かされております。

 そしてまた、最近なんですが、国民の健康を守る上で大変重要な口腔医療の現場で、入れ歯や歯の詰め物など歯科医療用の補綴物について、中国など国外で製作されたものが使用されておりまして、何の検査も受けていない、そして輸入をされ、患者が知らない間に使われている、こういう事例が増加をしております。

 この事件は、二年前にも、米オハイオ州で中国製歯科補綴物に鉛が含まれていることがわかりまして、米国で大きな騒動となりました。米国のFDAでは、迅速に輸入禁止などの措置をとっております。このときも、海外からの歯科技工物は雑貨扱い、輸入量の具体的なデータはない、歯科医師や技工士が安価な中国製品を個人輸入で使っているという可能性が指摘をされました。

 そして、今回新たに、中国から取り寄せた歯科技工物についてテレビ局が独自に専門機関に依頼して分析を行ったところ、歯科合金として日本では使用が禁止されている、発がん性があるベリリウムが検出されたことがテレビで報道されております。

 大臣、こうした事実の把握と、この問題に対する御認識をお伺いしたいと思います。

福島国務大臣 私も、これは以前ですが、報道で見て、びっくりしました。

 御質問の歯科補てん物は、歯科医師の責任のもと、患者の歯の状態に合わせてオーダーメードでつくられ、必要に応じて、海外で作成されたものが歯科医師により輸入されて用いられていると聞いております。

 この海外で作成された歯科補てん物については、所管省庁である厚生労働省において、これまで、具体的に使用可能な材料の明確化、有害成分を含有する材料の使用の防止、治療に当たり歯科医師が患者に対し材料の内容や安全性等について十分情報提供することなどの安全確保のための取り組みが行われていると聞いております。

 本当に使用可能な材料の明確化をしているかどうか、きちっと厚生労働省に対してただして、さらなる取り組みを徹底していきたいと考えております。

古屋(範)委員 私どもも、歯科医に参りますと、一体いかなる成分のものが自分に詰められるのかというのは、これはもう推しはかることはできないわけであります。特に、今回の問題は、口の中という、直接生命とかかわる箇所の問題であります。

 WHOの下部組織であります国際がん研究機関によりますと、ベリリウムは発がん性がありまして、細かい粒子を吸い込むと肺が侵され健康被害を生ずる、こうしたおそれがあると指摘をしております。日本では、こうしたことから、二十五年前に歯科合金への使用を禁止しておりますが、こうした有害な物質が口の中に長期間にわたって入っているということは非常に危険なことであるということは間違いありません。

 これまで、厚労省は、海外の技工物の使用については歯科医師の裁量に任せています。その歯科医師が、有害物質が入っているとは知らず、海外から輸入した詰め物を患者の口に詰めてしまう。一度口に入ってしまえば、恐らく何年、あるいはそれ以上そのままになっているわけです。どれほど有害なのか現状ではわからず、非常に深刻な問題であろうと考えます。

 しかし、厚労省は、厚生労働科学研究の中で、昨年三月に報告書を出しております。特に問題はないとしております。これについて厚生労働大臣が、二月九日、記者会見をしておりまして、どこまで広がりのある問題なのかを含め、この結果をもう一度分析しながら必要な追加調査をやっていきたいと述べています。

 福島大臣、発がん性のある有害な金属が入った歯科技工物が中国でつくられ、日本に入ってきて、日本の患者に使われている、これは非常に大きな問題があると思います。私は、国民の健康を守り、また、患者の安全確保のために、歯科補綴物等の輸入取り扱いに関する法整備を早急に行うべき、このように考えます。

 もちろん、厚生労働省の所管でありますけれども、国民の生活に直結する問題であります。消費者庁の大臣として、国民の生命を守るためにも、厚労省に対して、それを重く受けとめて、海外の輸入歯科技工物についての早急な検討を促すべきであると思います。いかがでしょうか。

福島国務大臣 おっしゃるとおりです。

 意を強くして、より強く厚生労働省に、やはりこれは有害物質で、おっしゃるとおり、発がん物質が口の中にある事態は大変問題ですので、そういうものを輸入しないように、あるいは、輸入するとしたら、輸入できないようにするためには一体どうしたらいいのかということも非常に重要ですので、早速、厚生労働省に、ただすというか、取り組みについて協議をし、どういう形か、改善を必ず図っていきたいと思っております。

古屋(範)委員 ぜひ声を大きくして厚生労働省に働きかけていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 次に、消費者教育についてお伺いしてまいります。

 近年、消費者が、保護の時代から自立へと大きく転換されました。国民生活白書におきましても消費者市民社会が取り上げられるなど、消費者の自立が大きく期待されております。

 しかしながら、食品偽装ですとか高齢者をねらった悪質商法などが後を絶ちません。消費者トラブルは減少する兆しはなく、さらに増加をし、また複雑化をしてくる。次から次へと新たな問題が起こってまいります。だまされた消費者を保護するだけではなく、だまされにくい、賢い消費者を育成していくこと、これが重要であり、これが行政の役割であると考えます。

 一例を挙げますと、外国産のウナギを日本産と偽って売っている。これは、日本人が日本産であるということを非常に重く見る余り逆にそうした事態を招いているという、逆の現象もあるかというふうに思います。

 ですので、正しい消費者意識というものをどのように育成していくか、これは非常に大事な問題だと思っております。人の言ったことをうのみにしない、事実に基づいて、自分で考えた上で行動に移す、真に賢い消費者というものを育成していかなければいけない、それこそが市場の育成にもつながっていくと思います。

 こうした消費者を数多く育てるためには、国民の自発的な勉強をまつよりも、義務教育段階ですべての国民に教えていく必要があると思います。消費者教育は消費者みずから主体的に行動するために必要な情報と力を与えるものであり、消費者教育の推進は極めて重要であると考えます。

 大臣に、消費者問題の現状、そして消費者教育の必要についてお伺いいたします。

福島国務大臣 おっしゃるとおり、消費者が知識を持って選択する権利、知る権利があれば、いろいろな被害も防ぐことができますし、さっきも言いましたが、食育の観点からも、食品の表示やいろいろなことが読めるとか、力をつけていく、エンパワーメントは本当に必要だと思っています。

 学校における消費者教育は学習指導要領に基づき実施されていますが、新たな学習指導要領に基づき、さらなる消費者教育の推進が図られることを期待しています。今度の消費者基本計画の中でも、教育という部門、啓発という部門は大きく重点を持って取り上げております。

 これは、学校教育のことを古屋委員おっしゃっていただきましたが、学校教育でももちろんやると同時に、高齢者、成人教育、あるいは、もしかしたら老人クラブやいろいろなところでも、あらゆるところでの消費者の権利ということを共有していくことが大変必要だと思っています。ですから、文部科学省と連携をとり、社会教育施設等、地域における消費者教育の推進も行うこととしております。消費者教育ポータルサイトを拡充するとともに、教育関係者、消費者団体、NPO、企業、事業者団体等の多様な主体が消費者教育のために参画、連携する場を創設するなど、今後も消費者教育の推進をより図ってまいります。

古屋(範)委員 ありがとうございました。

 きょうは、文科省から高井美穂政務官においでいただいておりますので、質問させていただきます。

 学校における消費者教育の取り組みについてお伺いをいたします。

 今申し上げましたとおり、消費者教育の重要性、これは非常に大事なものであります。また、学校現場におきます消費者教育というのがやはり一番重要であると考えております。もちろん、ほかの勉強も大事なんですが、こうした生活にかかわる消費者教育は非常に重要だと考えております。

 とりわけ、近年、インターネット、携帯電話の普及に伴いまして、これを利用した商品販売、サービス提供、友人関係を利用したマルチまがい商法、名義貸しなど、高校生など若年層が消費者事件の被害者あるいは加害者になってしまう、こういう例が急増しております。私たちが子供だった時代とは、また様相が大きく変化をしております。被害金額も、数万円程度のものから、一度に数百万円という高額なものまでございます。放置すればその後の被害者の人生を大きく狂わせかねないということであります。

 こうした若年層の深刻な被害を防止するために、学校における消費者教育が非常に重要だと思います。さらに、社会において消費者被害をなくすためにも、必要な知識、態度を身につけるには、やはり社会に出る前、学校教育の段階で、消費者教育が極めて重要な意味を持ってくると思います。

 まず、学校現場で消費者教育がどのように行われてきたのか、また、これまでの取り組み、現状をお伺いしたいと思います。

高井大臣政務官 大事な御指摘、ありがとうございます。

 先ほど福島大臣からも御答弁ございましたけれども、今までも、小中高の学習指導要領において、児童生徒の発達段階に応じた内容を社会科や技術・家庭科を中心に示してまいりました。新しく学習指導要領ができまして、例えば、中学校の技術・家庭において、消費者の基本的な権利と責任といったことを理解していただけるような内容を新たに加えるなど、充実を図っているところであります。

 加えて、やはり教える先生が何よりもこうしたことは大事でございますので、二十二年度においては、教員のまさに指導力向上のための講座などから構成される新規事業を実施するということにしておりまして、今後とも、福島大臣のところの消費者庁と関係各省と連携しながら充実を図ってまいりたいと思います。

古屋(範)委員 社会科あるいは技術・家庭科の中で授業として行っていらっしゃる、また、先生の新たな講習も行っていくということでございますので、ぜひ、こうした複雑化する社会の中で、消費者としてのそうした権利と態度、そういうものを学校においてこれからもしっかり教育をしていただきたい、このように思います。よろしくお願いいたします。

 今、高井政務官からお答えがございましたけれども、学習指導要領では消費者教育に関する内容が徐々に充実をされてきた、このように思います。しかし、実際どうかといいますと、受験勉強が優先されたり、そういう中で形骸化をされている、また、先生も多忙であると思います。なかなかこうしたところに時間がとれないということがあるのではないかと思います。

 学校現場での消費者教育の実態について、福島大臣はどのように考えていらっしゃるか、お伺いいたします。

福島国務大臣 ありがとうございます。

 私も、消費者の権利、消費者問題をどう教科書が扱っているか、読んでみました。正直、私が子供のころに比べれば、例えばクーリングオフや特定商取引のことや、いろいろなことが書いてあるので、昔よりは、昔よりはというとあれですが、取り上げられていると思うのですが、ただ、今古屋委員がおっしゃったように、そういうことがきちっと、丁寧に教えられていればいいんですが、ついつい、圧迫されて、ちゃんと教えられているのかなというのは、正直、ちょっと思ったところです。

 さっき高井美穂政務官がおっしゃいましたけれども、新しい学習指導要領のもとでより強化をしているので、しっかり学校でそれの教育が行われること、あるいは、学校の先生に対しても、消費者の権利という観点を持っていただけるよう、消費者庁としてもやってまいります。

 消費者基本計画の八十七番にあるのですが、「消費者庁のリーダーシップのもと、関係省庁、学識経験者、消費者団体、教育関係者等をメンバーとする「消費者教育推進会議」を新たに開催し、」「小学生から大学生、そして成人に至るまでの多様な消費者教育を、連携して体系的に進める体制を確立します。」とあって、「平成二十二年度に着手します。」としておりますので、早速、これを発足させ、頑張ってやってまいりたいと思います。

古屋(範)委員 ありがとうございました。

 前回の本委員会におきまして、福島大臣が、学校で使う教科書で消費者教育をどう教えているかについて洗い直しを行っているとの御答弁をいただいておりますが、その洗い直しも急いでいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 と申しますのも、実際、学習指導要領によって本格的に消費者教育が導入されてからの若い年齢層において、契約や悪徳商法について知識が十分ではない、そもそも消費者教育を受けたという認識、実感がない者がすべての年代で九割に上っているということであります。消費者教育が十分に行われているとは言いがたい現状ではないかと思っております。

 文部科学省が一一年から実施をする新しい学習指導要領で消費者教育の強化を打ち出していらっしゃるんですが、学校教育における消費者教育が独立した教科としては存在していないわけであります。教科書に消費者教育の内容が質、量ともに充実する、これは非常に重要なことであります。消費者庁が新しくできたわけですので、学校教育においても、消費者教育科目というものを独立した教科として新設するということについては、大臣、いかがお考えでしょうか。

福島国務大臣 大変魅力的な提案ですが、教科をふやすというのはまた大きな話ですので、大変大事な、魅力的なテーマですが、生活、家庭科でも十分教えられるかもしれませんし、魅力的な提案ですが、生活、家庭科の中で、大きな割合を、消費者の権利で教えたらいかがでしょうか。でも、検討してみたいと。どうでしょうか。ちょっと考えてみます。

古屋(範)委員 ぜひ前向きな検討をよろしくお願いしたいと思います。

 最後の質問に参ります。

 消費者教育に関する法整備についてお伺いをしてまいります。

 今まで申し述べてまいりました消費者教育の持つ意義、重要性は、極めて重いわけであります。消費者教育を総合的に、計画的に進めるためには、その制度を整える根拠となります消費者教育に関する法整備、仮称でありますが、消費者教育推進法の制定を行う必要があるのではないかと思っております。

 教育関係の法律につきましては、食育基本法ですとか環境基本法などの法律が制定をされまして、それぞれの教育についての基本理念を掲げて、その実現のため、国全体として、これらの教育の実践が進んでおります。国、地方公共団体の責務もそこで明示をされまして、さまざまな支援が行われるよう定めました。

 一方で、消費者教育においても、消費者市民社会実現のために非常に重要であり、食育、環境と同様に、消費者教育推進法の制定、これが大きな意義があると考えております。先日決定をした消費者基本計画にも、消費者教育に関する法整備について検討を行うということが記されております。早急に検討して、消費者教育推進法の制定を一刻も早く実現していただきたい、このように思いますが、大臣の御見解をお伺いいたします。

福島国務大臣 おっしゃっていただいたとおり、消費者基本計画の施策番号八十七番で消費者教育について強く打ち出しておりますし、「消費者教育に関する法制の整備について検討を行います。」としております。

 ですから、この消費者基本計画に基づき消費者教育推進のための施策を実施するほか、施策の進捗状況を踏まえつつ、消費者教育に関する法制の整備について検討を行ってまいる所存です。

古屋(範)委員 さらにこの消費者教育に関する法整備促進をしていただきたい、このように思います。

 以上できょうは質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

末松委員長 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。

 私は、きょうは最初に、今も御質問がありましたベリリウムの入った歯科医療用補綴物について伺いたいと思うんです。

 まず、ベリリウムというのは、WHOの下部機関であるIARCより、発がん性があるとされておりますが、政府参考人に先に伺っておきますが、厚労省が、義歯などにベリリウムや鉛が混入されることにより健康被害が生じることを防止しなければならない、この問題を認識するようになったのはいつからですか。

阿曽沼政府参考人 お答えを申し上げます。

 WHOが設立しました研究機関であります国際がん研究機関、IARCで、ベリリウムについて、人に対する発がん性が認められる物質として分類しているところでございます。

 それで、安全性の問題でございますが、国外で作成された歯科補綴物の安全性につきましては、私ども、平成十七年九月以降、国外で作成された歯科補綴物を使用する場合に使用材料の安全性に関する情報を患者に十分情報提供するようにということで、継続的に周知を図ってきたところでございます。

 ただ、現実に補綴物にベリリウム等の成分が含有されていたということに関しましては、本年二月の報道機関の独自調査により情報を把握したということでございます。

吉井委員 鉛については、アメリカのADA、米国歯科医師会の研究報告の発表はことしの三月六日ですが、鉛の検出が問題になったのは二年前の二〇〇八年の二月末ですね。

 それから、ベリリウムについては、もう六十一年前に危険だということがわかっていたわけですね。これは、一九四九年、アメリカのエネルギー省が安全基準を定め、それに伴って、アメリカでは、労働省労働安全衛生局の方が、一立方メーター当たり二マイクログラムと基準を定めたんですね。しかし、さらに、一九九八年には十倍に基準を強化して、立方メーター当たり〇・二マイクログラムに引き上げたものです。

 ですから、ベリリウムについては、もちろん歯科の分野では、一九九七年に慢性ベリリウム症にかかる歯科技工士の問題が明らかになって、もう十三年前ですね、OSHA、米国労働安全衛生庁が歯科技工所でのベリリウム暴露による健康障害を防止する通達を公示したのが八年前の二〇〇二年四月のことで、危険性というのはかなり早い時期からわかっていたと思うんですが、どうですか。

阿曽沼政府参考人 お答えを申し上げます。

 ベリリウム自体につきましては、国内では製造をすることが禁止されておりまして、歯科材料に用いることは禁止されております。それは、昭和六十年の通知でそういうことになっておりました。

 私どもとしては、国内で禁止をされておりましたので、海外から輸入されるものについての安全性ということについて、いろいろ状況把握はしておりましたが、そういう意味で、現実に問題があるということについては承知をしておりませんでした。

吉井委員 国内では一九八五年からというお話ですが、二十五年前ですね。しかし、実際には六十一年前からベリリウムの危険というのはわかっていたんです。この一九四九年の問題というのは、要するに、原子炉の炉材料などに使うと。ベリリウムというのは(α・n)反応というのがあるんですが、要するに反射体として役割を果たし、原発の中性子の減速材として、減速させる効果があるということで使われていて、その作業に当たっていた人たちが随分ベリリウムによる障害を受けているんですね。

 そういうものを同じように使うところというのが、例えば歯科技工士の方たちもそうですし、歯科医の方もそうだし、それを埋め込まれる消費者である患者さんもそうです。ベリリウムを含有する合金の鋳造、研磨、仕上げの段階で吸引して深刻な肺疾患になるわけです。これは、被曝してから二十年とか、かなり長期間を経て発症するという点では石綿被害と類似しているんですね。歯科技工所の職員に発生しているということも今ではもう伝えられておりますし、ベリリウム粒子が皮膚の中に蓄積されて皮膚を損傷するとか、アレルギー反応を起こす人などが紹介されております。

 問題は、厚労省として、インターネット販売などを通じて海外から輸入されてくる、ベリリウムが含まれた歯冠、義歯、ブリッジ、部分義歯構造物など歯科医療用補綴物を規制して、消費者の安全を守る措置をとる必要があると思うんですが、インターネット等による輸入の雑貨物にしろ、あるいは医療としての義歯という扱いにするにしても、ベリリウムの検査をきちんとやっているのかどうか、伺います。

阿曽沼政府参考人 国内では、歯科の材料としては禁止をされております。したがいまして、国内で製造されるいわゆる入れ歯、義歯につきましてはそういう問題はないものと承知しておりますが、最近、海外に発注をして歯科補綴物をつくるというケースがございます。それは、薬事法上個人輸入という扱いになりますけれども、その際に、ベリリウムが入っているケースがあるのではないかという報道がなされました。

 したがいまして、私どもとしては、今後速やかに対応しなければならないということで、第一段階といたしまして、ことしの三月に、歯科医師が国外に歯科補綴物の作成を委託する場合には、その指示する内容について、作成の場所でありますとか使用材料に関する基準を策定し、周知をいたしたところでございます。

吉井委員 私が聞きましたのは、検査をしたんですかという話なんです。要するに、一片の通知を出すだけだったら、お不動さんのお参りと一緒なんですよ。そういうことじゃ話にならないわけですよ。

 医療用技工物というのは、そしゃく機能の回復、維持、それから話すこと、審美的要素など、社会生活を営む上で非常に重要な人工臓器なんですね。それを長く口腔内に装着させるということですから、だから日本の法律では、薬事法に基づいた材料基準に従っていることということでベリリウムを禁止しているわけですね。歯科技工士法で定められた安全基準を満たした施設で、歯科医師と歯科技工士が安全性と質をきちんと担保して作成する、こうなっているわけですね。

 WHOが発がん性ありとし、薬事法で使用できない有害なベリリウムが一・三%など混入している金属製の歯冠が、日本では販売禁止なのに、日本の業者が海外の流通業者などにベリリウムを販売し、その業者が歯科技工士でもない歯科技工専門業者に販売する。ベリリウムを入れたら少しやわらかくなって細工しやすいということで売るわけですが、日本の安売り歯科医院の発注をインターネットで受けて製造する、そしてこれが入ってくる、その結果、日本の国民がベリリウムによって発がんする危険に今侵されているわけですね。

 だから、既に全国保険医団体連合会は、二〇〇八年に海外委託技工物輸入実態調査を始めて、二年前の二〇〇八年秋に、最近ではことし三月四日に厚生労働省に申し入れを行っておりますが、ベリリウムは原子番号四で、さっきも言いましたように、原子炉の中で中性子反射、減速に使う材料としてもともと使われてきたものです。

 消費者担当大臣として、私はやはり、補綴物としての役割、その重要な意味とともに、まず現状、実態を把握して、もともと消費者庁ができたというのは、すき間事案をなくそうというところから始まっているわけですから、これはすき間事案に置いておったら何のために消費者庁をつくったのかということになってしまいますから、まずそういう実態調査を行うということが大臣として大事だと思うんですが、伺います。

福島国務大臣 おっしゃるとおりで、消費者庁としてこの問題にきちっと対応してまいります。実態調査を消費者庁がするのか厚生労働省にしていただくのかはまた今後の判断ですが、消費者庁として、消費者担当大臣として、この問題の実態把握と、それから今後、日本で禁止されているものが歯の詰め物に使われないように対策を講じていきたいと思っております。

吉井委員 薬事法違反のベリリウムなのに、歯科技工士としての資格がない人が海外でならベリリウムを含む歯冠、義歯などをつくってもいい、そして、医療法上の義歯ということですが、その輸入は、関税法上の、事実上雑貨扱いみたいにして入ってきているわけですね。それを装着する治療は問題にならないという扱いはやはりおかしいと思うんですね。これはすき間事案としてあいまいにしては、本当に何のための消費者庁設置だったのかということになってしまうと思うんです。

 ですから、消費者担当大臣として厚労大臣と協議して進めていただきたいのは、消費者の安全を守るために、安易に海外技工を認めてしまった二〇〇五年九月八日の通達を撤廃するということ。海外技工物、補綴物を薬事法の医療品の対象として、やはり新たな輸入技工の策定基準といいますか、ガイドラインづくりじゃなくて、材料は薬事法の基準に合うもの、技工物の作成は歯科技工士法による資格を持つ者が取り扱う、こういうことをきちんとやって対処していかないと、本当にこの分野での消費者の安全というのは守れないと思うんです。

 そのために必要ならば、この海外技工問題の根本解決を図るために、医療関係者はもとより、消費者である患者、その他法律専門家なども含めて、場合によっては、何で安いからということだけで海外に行くのかとなれば、歯科の診療報酬を含めて、問題があるならばやはり総合的に考えていくということが私は必要だと思うんですが、福島大臣のお考えを伺っておきます。

福島国務大臣 重要な点について御指摘をいただいたというふうに思っております。この点については、厚生労働省、厚生労働大臣ともきちっと協議をし、対応をきちっとしていきたいと考えています。

吉井委員 それで、歯科医院や歯科技工士は、使用する材料について、ベリリウムや鉛が混入していないことをもちろん確認する必要があるわけなんです。これは法律によっても決められておって、国内ではそれはやられているわけですね。ところが、海外業者への電話発注やインターネット販売では、そもそも材質検査ができていないものが、これは義歯という扱いになっていますという話もありますが、事実上雑貨扱いで入ってきて、別に検査機関を通さないで、有害材料や有害な歯冠を購入しても構わないということになっているのは本当におかしいと思うんです。

 インターネット取引の増加というのは今の傾向としてあるわけですが、増加と規制緩和で、無防備な消費者の被害がふえているというのが実態です。

 この例のように、インターネットで発注して海外から輸入する例というのがふえているわけですから、三月三十一日の通知文書に言う、消費者によく情報を知らせなさいとか、海外技工所に発注するときは仕様についてきちんと示しなさい、こういう申し入れ程度の文書じゃなくて、歯科技工士法違反状態も海外であったらオーケーというのはやはりおかしいわけですから、インターネット取引で入ってくるものについて、輸入物の品質についての検査、そういうものをきちっとやって、やはり消費者の安全を本当に守るということが今必要なときだと思うんです。

 インターネット取引では、数量が少ない小規模な薬品、材料、食品、時には麻薬までインターネット取引で入ってきても輸入検査はなかなかきっちりできないという問題があって、被害がふえているときですから、やはりインターネット取引による輸入品の検査体制の強化を政府としても確立するということが大臣として必要じゃないかと思うんです。同時に、これについては、消費者被害防止という立場で、消費者委員会についても、深い研究、検討をしていただきたいと思うんですが、大臣と消費者委員会の方から伺っておきたいと思います。

福島国務大臣 インターネット取引などにより海外から日本に輸入される歯科補てん物や医薬品について、国内でつくられたものと同様に、その安全性の確保や消費者への十分な情報提供が図られることは当然であり、重要だと考えています。

 このため、海外から輸入される歯科補てん物や医薬品の安全確保対策が徹底されるよう、厚生労働省に求めていきます。

原政府参考人 お答えいたします。

 この問題は、以前から、安全の分野ではかなり大きい問題でした。今御指摘がありましたように、消費者にとっての安全問題というのは大変大きい課題だというふうに消費者委員会でも認識をしておりますので、今の御提言、御意見を踏まえて、消費者委員会でも、まず消費者庁が実態調査に入られるということでしたので、そちらでの調査も待ちながら、随時、意見を述べる機会があれば述べていきたいというふうに考えて、安全の確保を図ってまいりたいと思っております。

 以上です。

吉井委員 次に、輸入ギョーザの問題について質問したいと思います。

 消費者庁設置関連法案の審議で、輸入食品の急増と、検査体制の規制緩和による弱体化の問題を私は取り上げてきました。あのときコーヒー豆の問題なんかもやったことがあるんですが、今回、輸入ギョーザ問題で、天洋食品の毒物ギョーザ問題は犯人逮捕で一応の解決みたいな感じがしますが、実は、ここには、日本の大商社や食品輸入企業の問題が国内問題としてあると思うんです。

 つまり、今、価格破壊だけを考えて、海外で安くつくらせて、世界の発展途上国に日本の資本や技術が入っていって開発輸入方式というのがとられておりますが、そうなりますと、当然、農産物などの原材料生産の過程で、殺虫剤など農薬や肥料は海外任せで監視の目が行き届かない。製造工程のチェックも弱い。

 先日、朝日新聞の社説にありましたが、低賃金で長時間労働させる企業に出稼ぎ労働者が怒りや不満をぶつける例が後を絶たない、多くの臨時工が頻繁な賃金カットやリストラで不満を高めていたなど指摘がありました。衛生面できちんとした機械設備を備えて管理するだけでなくて、やはりそれを扱う人の待遇というものが安全や衛生に直接かかわってくる問題だと思うんです。

 福島大臣に伺っておきたいのは、日本企業が輸入する品質を確保するには、やはり、農産物そのものの安全を守るという点での管理の問題もあれば、工場の安全管理コストの問題ももちろん大事になりますし、それから、製造メーカーの労働者の賃金とか労働時間とか雇用の安定性とかがきちんとしているかどうかということが、日本の輸入企業が価格破壊だけに走って、それだけ相手に要求しますと、当然、品質が確保できないという状態になってきますから、やはりそういったことを含めた目配りというものが必要だと思うんですが、大臣のお考えを伺っておきます。

福島国務大臣 非常に大きな問題を提起していただいたと思っています。

 まず一つは、輸入食品の安全確保の重要性については、政府としては、消費者庁発足準備の過程において、食品を扱う業者への指導の徹底、輸入食品の検査監視体制の拡充、輸出国政府等に対する対応等を柱とする「輸入食品等の安全・安心の確保策について」を取りまとめて推進をしてきました。先月閣議決定した消費者基本計画において、関連施策をしっかりと位置づけて、これに基づいてやっていくということも一つは掲げております。それもしっかりやらなければならない。

 それから二点目は、安いものを輸入する際におけるリスク、あるいは労働条件との関係ですが、これは、日本国内では、千葉県野田市で公契約条例ができて、国会の中でも公契約法をつくろうという動きもあり、私はこういう動きは大変必要だと思っています。労働者の労働条件が悪ければ、やはりそれはいろいろな形で反映をしていくわけですから、海外の労働者の労働条件をどう担保するかというのはまたなかなか難しい問題ですが、そういうことも目くばせをしながら、これも、その国、他国との協議も必要かもしれませんし、そういうことも踏まえて、日本は、何といっても海外から食べ物を輸入しておりますし、食料自給率は三九%ですから、そういう配慮も考えていきたいと思っております。

 それともう一つは、海外からいろいろなものを輸入することも、これはどうしても必然ですが、食料自給率が三九%と低いということの改善もやっていき、農業を応援する、また地産地消を応援するということを、消費者担当大臣としても、食育の担当大臣としてもやっていきたいと考えています。

吉井委員 実は、この問題が起こったころに、二〇〇八年四月十七日付の神戸新聞で、経済評論家の内橋克人さんが書いていらっしゃるんですが、ここは大事なところだけ言いますと、「低賃金→購買力衰退→低価格品に依存→安い開発輸入品が国内市場を席巻」している、それはさらに「賃金下落の加速→生活者はいつもいつも「もっと安いもの」を求めて奔走せざるをえなくなる→さらなる貧窮化へ。この循環を「貧困スパイラル」と筆者は呼んできた。」内橋さんの考え方ですが。「「国内貧困の装置化」「開発途上国からの開発輸入」「低賃金労働者の担い手=移民受け入れ」」への道につながっていくということも指摘されて、私は、今回のギョーザ問題というのは、単なる毒が入っていたかいないかの話にとどまらないで、やはり、この開発輸入のやり方でいいのか、そのことが非常に鋭く問われている問題だというふうに思うんです。

 大体、角度を変えて見ると、日本企業が国内で製造すると、その使用するエネルギーには二酸化炭素の排出が当然伴うわけですが、開発輸入にすると、製品の製造過程で排出される二酸化炭素というのは全部海外で生じることになります。さらに、製品として輸入するときには、輸送船の排出量というのも加わってくるんですが、輸入して消費生活にかかわる商品の中にはそういった二酸化炭素が加わってきますから、これをいわゆる内包環境負荷と呼ぶわけです。

 政府の今度の地球温暖化対策基本法で二五%削減というのは、そのこと自体は、前提条件がなければ前進面だと思うんですが、しかし、国内工場を海外に移して、あるいは日系多国籍企業の海外工場やあるいは海外での取引工場で排出する二酸化炭素を、やはり国内で二五%削減と言うならば、それにあわせて削減するというふうにしなかったら、国内で垂れ流す二酸化炭素を海外で垂れ流すものに切りかえるということだけになってしまうわけです。

 環境問題は環境省、生産あるいは輸出入は経済産業省や財務省、そういう話じゃ済まないと思うんですね。日系多国籍企業の海外での内包環境負荷を減らさせる努力をしないと、消費生活用品を輸入することで二酸化炭素の排出量を日本がふやすことになってしまうわけですね。だから、私は、この点では、地球温暖化対策というのは、特に消費生活用品にかかわっては、環境省だけの話じゃなくて、やはり消費者庁も一緒に取り組まなきゃいけない課題だと思うんです。

 大臣のお考えを伺っておきます。

福島国務大臣 おっしゃるとおり、地球温暖化対策は、消費者庁も消費者の権利としても取り組まなければならないと思い、どういう形でコミットできるかはしっかりやっていきたいと思います。

 今、吉井委員がおっしゃったことは、いろいろな面がありますが、尊敬する内橋克人さんのおっしゃることはそのとおりだというふうに思います。吉井さんが引用されて、内橋克人さんのおっしゃることはそのとおりで、吉井先生のおっしゃることも私はそのとおりだと思います。

 今おっしゃった中に、フードマイレージの考え方があると思います。これは、日本のNGOも非常にやっておりますが、地域でつくった新鮮なおいしい食物を食べて、地域の農業を支え、しかもCO2を削減できるという一石三鳥になるわけで、その観点からも、安いものを海外でつくってもらってそれを輸入すればいいじゃないかという貧困スパイラルではないフードマイレージの考え方、地産地消の考え方に大きくシフトをしてできるように、これは農水省、厚労省とも連携できるところですので、頑張ってやってまいりたいと思います。

 掲げて、ちょっと見えにくいですが、日本は圧倒的にフードマイレージが多いところですので、外国はフードマイレージが少ないですから、フードマイレージを少なくして、CO2削減、一石三鳥作戦に消費者庁も頑張って取り組んでまいります。

吉井委員 価格破壊という言葉が九〇年代半ばごろから随分使われるようになっておりますが、価格破壊であればアジア各国でどういう問題を引き起こしても、二酸化炭素排出量をふやしてもよい、一私企業としてもうかりさえすれば何をやってもいいというわけにはやはりいかないと思うんです。

 私もこの間びっくりしたんですが、東京都内の一等地で、一杯二百八十円のうどん、常識で考えて、地価の高いところで、家賃を考えても、動力費を考えても、人件費を考えても、そんなうまくいくわけないんですよ。そこには、国内の外食産業チェーン店では、価格破壊競争で相当無理をしている。それはデフレスパイラルをひどくするとともに、本当にこの価格でまともなものが食べられるだろうか、そういうことを思います。

 やはり、開発輸入方式で、海外の食品加工工場でつくって冷凍して運んできて、チェーン店で加熱するだけというやり方、結局このやり方というのは、天洋食品のような事例を生み出す素地がたくさん今国内に生まれていると思うんですよ。これでは国民の食生活、消費生活、その健康や安全を守れないと思うんですね。

 私は、この点では、こうした問題について消費者委員会の方でも、どのように対応していくかということを、やはり深い議論や検討をしていただく必要があると思いますし、あわせて、消費者庁、担当大臣の方も、政府としてもやはりこの問題にしっかり取り組んでいくという考え方をきちんと持たなきゃいけないと思うんですが、お二人に、大体時間が迫ってまいりましたもので、最後に質問をいたします。

福島国務大臣 おっしゃるとおりで、経済的に余裕があれば有機のものも食べられるが、経済的に余裕がないとどうしても健康を害してしまいかねないという二極化構造には問題があると思います。

 すべての人がやはり安心なものを食べることができるように、もちろん今輸入をしないということはあり得ないわけですが、消費者担当大臣としては、食べ物の安全、食品の表示の拡充、それからフードマイレージを減らすための啓発や広報やあるいは働きかけをしっかりやってまいります。

原政府参考人 開発輸入の問題も含め輸入食品の安全確保は、消費者の利益の擁護それから増進を図る上で極めて重要と考えております。

 消費者委員会においては、先般閣議決定された消費者基本計画の中にも数多くの施策が盛り込まれておりますので、その施策とそれから関連施策を、独立した第三者機関として監視機能を有しておりますので、その監視機能の活用を図ることで、輸入食品全体の安全性の確保を図っていただきたいと考えております。

吉井委員 価格破壊と称するもので、チェーン展開したところで実際に価格破壊競争をやっているわけです。大体、そんな安い価格でまともなものが食べられるはずがない。いっぱいありますよ。

 結局、それが発展途上国に乱暴な条件を押しつけて、そして安いものを、製品をつくって、冷凍で持ってきて、チンするだけとか温めるだけで食べられるというふうな仕掛けなど、コストダウンの努力は努力として、全くまともなもので努力するのはそれはいいことだと思うんですけれども、余りにも行き過ぎた価格破壊競争の中で食の安全が脅かされている。そこに今回のギョーザ問題に見られるような開発輸入の問題というものがあるということで、私は、これはこれからも引き続きやりますが、消費者行政の中の重要な課題としてぜひ取り組んでいただきたい、このことを申し上げまして、質問を終わります。

末松委員長 これにて本日の質疑は終了いたしました。

 次回は、来る十五日木曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時五十六分散会


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