衆議院

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第11号 平成25年6月20日(木曜日)

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平成二十五年六月二十日(木曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 吉川 貴盛君

   理事 泉原 保二君 理事 大塚 高司君

   理事 永岡 桂子君 理事 西川 京子君

   理事 原田 憲治君 理事 郡  和子君

   理事 重徳 和彦君 理事 古屋 範子君

      穴見 陽一君    安藤  裕君

      小倉 將信君    鬼木  誠君

      金子 恵美君    菅野さちこ君

      小島 敏文君    島田 佳和君

      田畑  毅君    田畑 裕明君

      武井 俊輔君    豊田真由子君

      中谷 真一君    中村 裕之君

      比嘉奈津美君    藤丸  敏君

      藤原  崇君    堀井  学君

      堀内 詔子君    宮崎 謙介君

      宮崎 政久君    務台 俊介君

      生方 幸夫君    大西 健介君

      後藤  斎君    篠原  孝君

      若井 康彦君    岩永 裕貴君

      上西小百合君    浦野 靖人君

      伊佐 進一君    岡本 三成君

      椎名  毅君    三谷 英弘君

      穀田 恵二君    小宮山泰子君

    …………………………………

   国務大臣

   (消費者及び食品安全担当)            森 まさこ君

   内閣府副大臣       伊達 忠一君

   内閣府大臣政務官     亀岡 偉民君

   政府参考人

   (消費者庁次長)     松田 敏明君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    川口 康裕君

   参考人

   (独立行政法人国民生活センター理事長)      野々山 宏君

   衆議院調査局第三特別調査室長           石川 晴雄君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月二十日

 辞任         補欠選任

  田畑 裕明君     中谷 真一君

  堀内 詔子君     菅野さちこ君

  務台 俊介君     安藤  裕君

  若井 康彦君     後藤  斎君

  浜地 雅一君     岡本 三成君

  三谷 英弘君     椎名  毅君

同日

 辞任         補欠選任

  安藤  裕君     務台 俊介君

  菅野さちこ君     中村 裕之君

  中谷 真一君     田畑 裕明君

  後藤  斎君     若井 康彦君

  岡本 三成君     浜地 雅一君

  椎名  毅君     三谷 英弘君

同日

 辞任         補欠選任

  中村 裕之君     島田 佳和君

同日

 辞任         補欠選任

  島田 佳和君     堀内 詔子君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律案(内閣提出第六〇号)


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     ――――◇―――――

吉川委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、参考人として独立行政法人国民生活センター理事長野々山宏君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として消費者庁次長松田敏明君及び消費者庁審議官川口康裕君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

吉川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

吉川委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。穀田恵二君。

穀田委員 日本共産党の穀田恵二です。

 消費者被害は、数万円から、多くても百数十万円と、比較的少額のものが多く、被害を受けた消費者がそれを取り戻そうとしても、紛争解決に要する費用、訴訟に係る費用、労力、また消費者と事業者間の情報量や交渉力の違いなどを考えると、個人で訴え、被害回復を図るということは困難であるとして、結局、多くの方々が泣き寝入りしてきているのが現状であります。

 二〇〇〇年に成立した消費者契約法の附帯決議で、事業者の不当な行為に対する差しどめ請求に係る団体訴訟等について検討することが明記されました。その後、消費者団体訴訟制度が、差しどめ請求ですが、創設された二〇〇六年の消費者契約法の改正で、損害賠償請求するところまではできなかったものの、その必要性等を検討するよう附帯決議がされました。

 この集団的消費者被害救済制度については、二〇〇七年のOECD理事会勧告でその導入が提言されており、二〇〇九年の消費者庁設置法附則でも、三年を目途に必要な措置を講じることが定められていました。この間にも、内閣府の研究会、消費者庁の検討会などで長い間議論が続けられてきたものであります。

 先週からやっと衆議院で議論が始まったところですが、本法案の早期成立は、長年消費者被害の問題に取り組んできた多くの消費者団体、国民の悲願であり、我が党も早期成立をさきの総選挙公約に掲げてきました。

 五月十日の参議院消費者問題に関する特別委員会で、私どもの大門実紀史議員が、早く審議入りし早く成立させていただきたい、必ず今国会中で成立させる必要があるものだと、私どもの党の立場を表明しているところであります。

 事実上、今国会での成立は難しいと言わざるを得ませんが、次の国会では必ず成立させるように私どもも要求をし、努力したいと思います。

 その上で、幾つかの点について質問します。

 端的に言って、本法案の成立は消費者にとってどういうメリットがあるのか、大臣にお答えいただきたいと思います。

森国務大臣 本制度の導入により、消費者は、特定適格消費者団体による一段階目の訴訟追行の結果を踏まえて、二段階目の手続に加入することができます。そして、実際の二段階目の手続は、特定適格消費者団体に授権をして行うことになります。また、この授権の機会は、消費者に通知、公告がなされます。

 このため、今御指摘のような被害があったときに、被害回復に要する時間、費用、労力等が低減をされまして、消費者が訴訟手続を使うことをためらって泣き寝入りをするということが回避されるようになりまして、これまで回復されにくかった消費者被害を回復することができるようになるというところがメリットでございます。

穀田委員 それに対して、経団連や在日米国商工会議所など日米欧の七経済団体は、三月二十五日、政府に対し、新しい集団訴訟制度を慎重に検討するよう求める緊急提言を発表しました。

 日米欧の七経済団体の提言を見ましたけれども、消費者の受けた被害を回復する本制度は、一たび導入されれば、日本経済の再生プロセスに少なからぬマイナスの影響を及ぼすおそれがあるとして、本法案を再考し、拙速な立法による悪影響を回避してほしいと。つまり、本法案はやめてくれと圧力をかけてきているわけでありますが、その辺、少し見解をお示しください。

森国務大臣 経済団体、七団体からの御提言をいただきましたし、そのほかにも個別に強力にいろいろな御意見もいただきましたけれども、基本的には、その内容は、本制度における不適切な訴え提起または濫訴のおそれ、それからもう一つは、日本経済への影響がマイナスではないか、そういう御懸念を示されました。

 これに対して、私は、まず、不適切な訴え提起の懸念については十分配慮してあるということで、例えば、一つは、原告適格を特定適格消費者団体に限定しておりまして、厳格な行政監督の対象としていること、そして二つ目として、多数性を訴訟要件としておりまして、要件を満たさない場合は共通義務確認の訴えが却下をされること、三つ目としまして、対象となる請求権を消費者契約に関するものに限定をしておりまして、その上、損害賠償については拡大損害等を除外していること、四つ目といたしまして、一段階目の判決の効力が他の特定適格消費者団体にも及ぶとして紛争の蒸し返しを防止することなど、さまざまな手当てを講じておりますので、不適切な訴えが提起されることがないようにしておりますということで、丁寧に説明をしてまいりました。

 また、日本経済への影響につきましては、むしろ、本制度により被害の回復が容易となれば、事業者が違法に得た不当な利益を返還させることになりまして、事業者の不当な行為が抑止され、悪質な事業者を市場から退出させることになりまして、良質な事業者、消費者を大切にしている事業者にとっては、市場がきれいになりますので、良質な事業者にとってより有利になるということで、有益な法案である、経済界にとっても消費者にとってもウイン・ウインとなるということを御説明いたしまして、御納得をいただいたと思っております。

穀田委員 御納得をいただいたということですが、私ども、別に前半の説明で全部オーケーとしているわけではないんですね。

 特に、今お話ありましたけれども、強力にどうもあったみたいで、この提言を公表した週刊経団連タイムスでは、同じように、再度、「消費者に対する実効的な救済を実現するとともに、雇用創出、賃金上昇、イノベーションおよび経済成長といった政府の経済再生プログラムと整合的な制度とするために、十分に慎重な検討が必要である。」こうまで言っているわけですよね。

 私はこの主張の整合性がどこにあるのかよくわかりませんけれども、そういう中で、一定の動揺も広がって、一時は法案提出見送りかという報道も出ました。さらに、法案の中身も、先ほど私、若干意見はあると言いましたけれども、当初議論されていたものより後退しているんじゃないかと私は感じています。

 何でこんなことを私は言っているかというと、その後、法案は、四月九日の自民党総務会や与党政策責任者会議で法案提出が了承されまして、それにもかかわらず、直近の十二日の閣議決定は見送られました。この間の質疑で、大臣も一生懸命、四月十九日に閣議決定されたことを誇らしげに言っていましたけれども、今言った十二日の、直近の閣議決定は見送られまして、その前の日の十一日に、経団連が消費者庁に、導入時期尚早とわざわざ要請をしておられる。こういう主張もあるわけですね。ですから、そのことを指して強力にということを言ったんじゃないかと思うんですけれども。

 経団連などは、今述べましたように拙速な立法はすべきでないと言っていますが、先ほど私、この間のこの法律制定に至るまでの若干の経過を述べましたように、消費者団体の十数年来の運動がまずあるわけですよね。そして、国会でも制度の検討を求める附帯決議もたびたび行ってきた。それから、先ほど述べたように、OECDの理事会の勧告だとか、さらには政府の検討会等々、さまざまな議論を経てまとまったものであって、拙速という議論は当たらないと私どもは思っています。

 そこで、今、るる割と詳しくありましたので、特に日本経済にマイナスの影響を及ぼすということについて、私はそうではないと思っているんですね。先ほど大臣からありましたように、丁寧に説明して、しかも、悪質な事業者を市場から追い出してきれいにする、こういったことなどをすることによって、私は、逆に日本経済の基礎である土台をきっちりするものじゃないかと思うんですが、その辺、国民にわかりやすく、簡単にでいいんですけれども、説明していただければと思います。

森国務大臣 本制度は、既存の制度では消費者がその権利を行使して被害を回復することが困難であることに鑑みまして、その権利行使の実効性を確保するという観点から創設されるものでありますから、そもそも法遵守を徹底し適法な事業を行っている良質な事業者においては、本制度が導入されたとしても、特段の対応は必要ないはずであります。むしろ、本制度によって被害の回復が容易となり、事業者が法律に違反して得た不当な利益を返還させることは、事業者による不当な行為の抑止にもつながります。そして、悪質な事業者を市場から退出させることになります。

 その結果、消費者が安心して経済活動を行うことができる市場が整備をされまして、また、一旦悪質な事業者に渡っていた違法な利益が消費者に戻されることによって、消費者の消費の活性化、そして健全な事業者の発展や公正な競争につながるということで、良質な事業者にとってはメリットがむしろ大きいものというふうに考えております。

 近年、委員は先ほど少額な被害が多いとおっしゃっていましたが、少額な被害も多いですし、また、高齢者の多額な被害も多いのです。その多額な被害が戻されるということによって、またそれを良質な事業者に対して消費していただくということも可能になるわけです。したがって、本制度が日本経済にマイナスを及ぼすという指摘は当たらないものと考えております。

穀田委員 おっしゃるとおりで、私どもも、今の日本経済にとって、そういう悪質なやり方に対する、そういう意味での事実上の規制といいますか、そういう抑止効果があると。それから、消費の活性化といった問題はそのとおりだと。

 私は、高齢者の方が多額のものをやっているということを指摘していないわけじゃないんですよ。別にそれはそのとおりあるわけでして。ただ、問題は、経済団体にその趣旨を十分伝え、理解をさらに促すよう努力すべきだということを私は言っておきたいと思うんです。

 もう一つの側面ですけれども、日本版クラスアクション、濫訴になるんじゃないかということ、いまだにそういう報道がやはりあります。私は、こういう報道は大きな勘違いがあると思うんですね。先ほど述べた五月の参議院の消費者特別委員会で、私どもの大門実紀史議員がこの点について質問し、そうではないということをるる述べられて、当局の方も述べられていますので、私も、濫訴になるという指摘は当たらないということを改めて言っておきたいと思うんです。

 そこで、一つ聞きたいんですが、二〇〇七年六月から消費者団体訴訟制度、差しどめ請求訴訟の運用が始まりましたけれども、この運用開始から直近まで、訴訟等の現状はどうなっているでしょうか。

川口政府参考人 お答え申し上げます。

 現在ございます消費者団体訴訟制度でございますが、二〇〇七年六月の制度の運用開始以降、十一団体が適格消費者団体として認定されておりますが、この間、訴えが提起されたのは三十件となっております。このほか、訴訟に至らなくても、裁判外の申し入れの活動を行っておりまして、これにより事業者が任意に改善をして解決した例もあるということで、本制度は所期の成果を得ているというふうに感じております。

穀田委員 消費者トラブルが数多く国民生活センターに寄せられているわけですよね。にもかかわらずと言ってはちょっと失礼ですが、制度運用約六年で三十件と。国民生活センターに寄せられる苦情相談は、直近の二〇一一年で約八十八万件なんですよね。もちろん一概には言えませんよ。でも、三十件ということは年間五件程度ということになりますわな。だから、これはやはり少ないんじゃないかなと率直に言って感じるわけですよね。川口さんもうなずいてはりますから、そう思うてはるんでしょう。別にうなずいたからといって認めているという意味を言っているんじゃないですよ。

 それはそうなんだが、やはり、はっきり言って五件じゃということを言っているわけで、ですから、私は、濫訴ということじゃなくて、被害を受けながら泣き寝入りする消費者をなくそう、減らそうという本制度の趣旨を生かして積極的に活用されるよう、消費者庁として努力すべきであるということを言っておきたいと思うんです。

 先日、私は、消費者団体や適格消費者団体の皆さんから要望を受けました。したがって、その点で幾つかの点について聞きたいと思います。

 特定適格消費者団体の認定を受ける際には、執行するに足りる経理的基礎を有することとされています。適格消費者団体は、会員等の会費や寄附等で運営されている団体がほとんどであります。差しどめ請求という公益的な業務を担う団体が継続的に活動できるよう、財政支援が必要ではないかという点が述べられていますし、私もそのように思います。

 そこで、現在の適格消費者団体の財政規模というのをどの程度として把握されておられますか。

川口政府参考人 現時点における適格消費者団体の財政規模についてのお尋ねでございますが、二十四年三月時点での集計をしておりますけれども、適格消費者団体の財政規模、その後に成立した、認定を受けたものも合わせまして、十一団体の単純平均で数字を申し上げますと、正味財産で千四百二十八万円、収入といたしましては三千二十八万円、支出につきましては二千八百七十八万円となっているところでございます。

 また、団体の収入については、多くの団体では会員や賛助会員からの会費収入や寄附収入で賄っているという現状でございます。

 なお、差しとめ請求訴訟を提起した場合には、消費者からの報酬や費用の支払いを受けることができないというのが現状でございます。

 以上でございます。

穀田委員 現状は平均すればその程度だということで、本当に苦労なさっているわけですよね。

 今回の法案では、第一段階での仮差し押さえ等が新たに盛り込まれました。このことは、被害救済の実効性を確保するために大いに歓迎するところであります。

 しかし、その一方で、命令の申し立てに当たっては、差し押さえたい金額の二割程度の担保提供が必要になります。例えば一億円の訴訟ならば、大体二千万円ぐらいは用意しなければならなくなる。現状の財政規模を考えると、現在十一ある適格消費者団体の全てがこの担保金を準備することは大変難しいのではないかと思います。また、通知、公告費用を特定適格消費者団体が負担することになった場合にも、その負担の大きさが団体としての存続に影響を与える場合があると考えられます。

 消費者団体や適格消費者団体の皆さんからの要望の多い公的な財政支援制度を設けられないか、改めてこれは聞きたいと思うんです。

亀岡大臣政務官 今、穀田委員の言われたように、まさに財政基盤がしっかりしていないと訴訟には対応できないというのがあります。適格消費者団体は、不特定かつ多数の消費者の利益のために差しとめ請求権を行使する団体であり、差しとめ請求を担う適格消費者団体への支援については、消費者庁としても、消費者団体訴訟制度や適格消費者団体の周知、普及のみならず、認定のNPO法人制度の活用、これはまさに、寄附金控除や税額控除なども、しっかり寄附金ができるような手伝いをしながら、しっかりと支援体制を実施してきたところでありますけれども、今後とも、適格消費者団体等から意見をしっかり伺いながら、適格消費者団体に対する必要な支援について引き続き検討しながら、少しでも支援体制をとるように考えていきたいと思っております。

穀田委員 前回も議論になりまして、大体、控除の話はいつも出るんですよ。それは何回もやっているので。今後とも、意見を伺いながらと。意見は何回も出ているんですよ。

 問題は、本法案をいじるというのはなかなか難しいですよ。そこで、実際に、第一段階を担うそういった適格消費者団体が財政的には非常に困難、厳しいというのは誰もが知っているわけですやんか。したがって、今回の法案が、そういう意味での被害者救済に取り組む上で、絵に描いた餅にならないようにするためには、もう一歩踏み込む必要があると。

 だから、公的な補助や援助制度が私は必要だと思っているんです。無利子一時貸与だとか直接の支援が難しければ、例えば、中小企業の資金繰りには保証協会があるように、せめてそういう保証協会などだとか、問題は、税金の控除というのはそこまで何回も言っているわけですから、それでは、皆さんからの要望をもう一つ受けとめて、もう一歩踏み込む必要があるんじゃないかということを再度聞きたいと思うんです。

亀岡大臣政務官 まさに今指摘されたとおり、今しっかりと検討をしている段階でありまして、まさに、訴訟の段階でかかった費用の実費は清算できたとしても、その後にしっかりとたくさん出てきた場合においての対応ができるかどうかも含めて、今議論、検討しているところでありまして、これはしっかりと体制を整えていきたいと思います。

穀田委員 しっかりとしっかりとばかり二回も三回も言っても、どうも、これ以上言っても詮ないことだけれども、ここは、そういう制度をつくる限り、その土台をしっかりしたものにしなきゃならぬということを言っておきたいと思うんです。

 それで、消費者被害を受けても従来は泣き寝入りしてしまう場合があったわけで、先ほど大臣は、労力が少なくなる、それから費用も低額になるということで減らせるというメリットの答弁がありました。

 そこで、本制度の趣旨を実現するためには、法案成立後、施行まで三年あります、その間に制度の周知徹底を行う必要があります。

 集団的消費者被害回復に係る訴訟制度案について、昨年八月から九月に意見募集をしています。その取りまとめを拝見しました。その中で、本制度の周知を十分に行った上で、施行までに相当な期間を置くべきだという意見について、どんな答えをしているかというと、「制度の周知を行い、施行までに必要な期間を設けるため、公布の日から三年を超えない範囲内で施行することとしている。」こう答えているんですね。これは答えになっていないんですよ。なぜかというと、附則第一条をそのまま述べているにすぎないんですね。こういう話では、消費者のいろいろな疑問や要望に対して本当に答えているんかいなということをはっきり言って言わざるを得ない。

 したがって、周知の問題について具体的にはどのようなことを考えておられるか、さらに述べてほしいと思います。

川口政府参考人 先生御指摘のように、本制度の円滑な運用を図り、制度の実効性を確保するという観点からは広く十分な周知が必要ということについては、私どももそう考えておりまして、消費者団体、事業者団体のみならず、広く国民に対しても、この特定適格消費者団体がどういう役割を果たしていくのかということについて十分な周知をすることが重要だというふうに考えております。

 消費者庁では、今年度の予算におきまして、広報資料の作成、それから被害救済制度に係るシンポジウムの開催などに係る経費を計上しているところでございまして、本法案が成立いたしましたら、本制度の必要性等の周知をしっかり図っていきたいと思っております。

 また、あわせて、本制度の施行までの間に、関係各所とも連携いたしまして、制度説明会やシンポジウムの開催、消費者庁と事業者団体及び消費者団体との意見交換会の開催、それから、国民にわかりやすい、あるいは事業者、消費者団体にわかりやすい広報物の作成などを行いまして、本制度について最大限の周知啓発に努めてまいりたいと考えております。

穀田委員 国民に広く十分な周知、それから最大限と、これは単語としてはよくわかるんですね。現実はどうかということで、先ほどのようなお答えが出るような状況では、およそそんなふうに、大丈夫かいなということを思うわけですよね。

 しかも、二〇〇六年に適格消費者団体による差しどめ請求制度を導入したわけですが、大きな制度改正だったと思うんですね。このときだって、ホームページやパンフレット作成が主な周知対策だったと私は思っているんですね。だから、実際に対応している団体の話を聞きますと、どうなっているかといいますと、適格消費者団体についてもADRと同じじゃないかというふうなことが言われるぐらい、十分に理解されておらず、不十分さを実感しているということだと思うんですね。

 私は、本法案の趣旨というのは、国民がどう理解していただけるかということだと思うんです。したがって、最大限というふうにおっしゃっていたので、私の方からも、それじゃ最大限のことについて一定の提案を行ってみようと思うんですね。

 一つは、消費者相談員や消費者センターの担当者など、直接消費者の相談に対応する職員への研修をすべきであると。それから二つ目は、教育の中での取り組みを重視すべきであると。

 消費者教育の推進に関する法律が成立しています。この法律は、次のように述べています。「消費者教育が、消費者と事業者との間の情報の質及び量並びに交渉力の格差等に起因する消費者被害を防止するとともに、消費者が自らの利益の擁護及び増進のため自主的かつ合理的に行動することができるようその自立を支援する」ものだと。「国の責務」として、「自らの利益の擁護及び増進のため自主的かつ合理的に行動することができる自立した消費者の育成が極めて重要であることに鑑み、」「基本理念にのっとり、消費者教育の推進に関する総合的な施策を策定し、及び実施する」、このように書いているんですね。

 私は、自立した消費者をつくっていくことが大事だと。先ほども各省庁とというような話がありましたけれども、消費者教育の中に位置づけるとともに、学校教育の現場でもその重要性を認識してもらう必要があります。学校教育の中で、総合学習の時間を利用するなど、文科省にも協力を求めるべきだと思います。

 大臣がいなくなりましたので、副大臣に言いたいところですが、政務官ですか。副大臣に行きましょうか。

伊達副大臣 穀田先生に御指名いただいたので。

 私も参議院の方では十分答弁をさせていただいているので……(穀田委員「それは知っています」と呼ぶ)そうですか。

 それで、これは学校教育なんかにも取り入れるべきだという先生のお話でございますが、御存じのように、昨年成立した消費者教育推進法においては、「「消費者教育」とは、消費者の自立を支援するために行われる消費生活に関する教育及びこれに準ずる啓発活動」と定義されております。

 本制度は、消費者に被害が生じた場合に被害回復の実効性を確保するためのものであるから、当然その周知啓発に該当し、消費者教育の中に位置づけられているものであり、文部大臣を初めとする関係者とも連携協力しながら、あらゆる機会を捉えて周知を行っているところでございます。

 現在、政府においては、検討中の消費者教育の推進に関する基本的な方針、これは案ですが、作成中でございます。これについても、消費者被害の適切な迅速な救済のための制度の整備に必要な施策を講じ、また、消費者教育により、消費者がみずから積極的な行動をとることの理解の増進を図ることを盛り込む方向で、私ども検討をいたしております。

穀田委員 最初の方のものは余り答えがなかったんですが、よくそれも頼むと。

 それで、先ほど大臣は、高齢者ということの話がありましたよね、被害があるんだと。すぐ消費者庁というのは、パンフレットとホームページ、こうくるんですよ。ホームページを見ているのやったらそんな苦労はないんですよ。見ない人が被害を受けているわけで、そういうことはよく知っておかなくちゃならぬと私は思います。

 そこで、周知という点でいえば、消費者庁サイドから、○○消費者被害があり、あなたは被害者ではありませんかという具体的な広報が要るんじゃないかと私は思うんですよね。今こういう仕事が適格消費者団体の仕事となっていますが、被害者を特定し通知することは至難のわざです。そのために、一つの方法としてテレビ広報という手もあるんじゃないかと。

 農水省は、御飯食キャンペーンのPRを行っているんですよね。それやったら消費者庁も、消費者教育番組やPRなどをもって消費者に具体的なPR、広報をすべきと思うんですが、その辺、いかがですか。

亀岡大臣政務官 まさにテレビは、一般の方々全てに広報活動ができるということですので、これもしっかりと検討していきたいと思います。今検討している最中であります。

穀田委員 いつも検討、検討している最中と言って、そのうち忘れないようにしてね。

 もう一つ、やはりここのところは、金がないとかなんとか言うのやったらまだかわいいけれども、検討中だというのではもう一つ前の段階かなと思ったりして。さらに踏み込んで、私は、こんなことぐらいでけへんで何が消費者の被害救済だと思うんですよね。だから、そこは心して取り組んでほしいと。

 もう一つ大事なのは、事業者への周知徹底です。先ほども議論しましたように、集団的消費者被害救済制度なんてつくられたら困ると心配している向きもある。誤解している事業者、中小企業者も多いんじゃないかと私も思わざるを得ません。

 そこで、先ほど大臣もお話があったように、悪質な業者を排除し、良心的な経済活動を行う企業にとってはむしろプラスになるものであって、被害の未然防止という観点からも、中小企業者も含め事業者に対する周知徹底はきめ細かくやるべきだと思うが、どういうことを考えていますか。

亀岡大臣政務官 まさに今事業者側がしっかりと理解をしていないと大変なことになりますので、実体法に基づきまして、今しっかりと、これから今年度予算において、広報資料の作成、それから被害救済制度に係るシンポジウムの開催、これをしっかりと今計上して取り組んでいこうとしているところであります。

 できれば、施行までの間に、事業者団体の協力を得ながら、制度説明会やシンポジウムの開催、消費者庁と事業団体及び消費者団体との意見交換会の開催、パンフレット等広報物の作成などをしっかり行いまして、本制度の関連する実体法について、十分事業者側に周知徹底するよう図ってまいりたいと思っております。

穀田委員 先ほど言っている広報の中身と余り変わらへんのやけれども。

 私は、ここは要するに、いろいろな意見を言っている団体があるからこそ、一般消費者の場合にはずっと広くてなかなか対象をどう見つけるかという問題は大変なわけですけれども、事業者の場合ははっきりしているわけでしてね、そこにおるわけだから。

 だから、どういう問題点で、今、濫訴の問題や、それから、先ほど悪質なという話がありましたけれども、未然防止という観点からもこれは極めて大事なんですね。だから、どんなふうな形でどうそれが進行しているのかということについても今後も聞きたいと思いますし、それは、先ほど政務官は、しっかりという言葉を何か三回も四回も使ってはるから、しっかりやってもらうというふうにしたいと思います。

 それから、これを機能させるに当たって、私は周知徹底とあわせて連携が極めて必要だと。

 京都の消費者被害の相談に乗っている方にも私はお話を聞きました。消費者被害の相談が寄せられている。その一方、例えば行政ですね、京都府にも相談がある。それぞれの相談の情報を照合することで被害の情報がわかる。状況がわかれば対応もしやすい。京都府の場合は、府の職員立ち会いのもとで個人情報の提供、本人照会も行っているので、消費者の被害救済につながりやすいと述べておられました。このように、消費者団体と自治体の連携が極めて大切かと思うんです。

 ですから、消費者庁、国民生活センター、自治体の消費生活センターや相談員の連携、さらに、情報共有を図ることが被害防止及び被害拡大の防止、それから早期救済のために重要じゃないかということを思うんですが、いかがですか。

川口政府参考人 先生御指摘のように、本制度の施行に当たりましては、特定適格消費者団体と自治体との連携が非常に重要であるということは認識しております。

 現在の制度のもとでございますが、適格消費者団体と地方自治体との間では消費者被害情報の共有あるいは差しとめ訴訟の提起における連携がなされているところでございます。先生御指摘の京都府あるいは京都市というのはその具体的な例でございます。

 本制度におきましても、特定適格消費者団体と地方自治体との間の情報共有、連携により、消費者被害の回復に実効性のある対応がなされることを期待しているところでございます。

 なお、本法においては、現在の適格消費者団体と同様、国民生活センター及び地方公共団体から一定の情報の提供を受けられるよう措置するということで、九十一条に規定しているところでございます。

穀田委員 九十一条に基づいてきっちりやっていただかないと、なかなか、いい例というのが全部あるわけじゃありませんからね。

 それから、今回、検討事項とされている問題があります。個人情報流出事案、有価証券報告書虚偽記載等に係る事案、また、製品事故や食中毒などの拡大損害に及ぶ事案について引き続き検討されるとしています。

 消費者団体からの要望等を踏まえて、施行後五年後の見直し規定がありますが、本制度をよりよいものとするためにも、施行状況や実施状況など、十分に調査分析を行っていくべきだと考えますが、その点の見解を述べてください。

川口政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案附則第三条におきまして、施行後五年を経過した場合において、この法律の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとしているところでございます。

 この検討でございますが、この制度のもとで行われる訴訟の運用実態に加えまして、先生御指摘のような本制度の対象とならないものも含めまして、消費者被害の発生または拡大の状況等も十分把握した上で、消費者あるいは事業者など幅広い関係者の意見を反映しながら進めてまいりたいと考えているところでございます。

穀田委員 それはきちっとやってほしいと思います。

 国民生活センターの相談事例などを見ますと、非常に悪質な事業者もいます。最近では、プロバイダーの契約に当たって、事業者から電話で勧誘され、よく理解せずに言われるままにパソコンを操作し、事業者に自分のパソコンを遠隔操作してもらったところ、承諾していないプロバイダー等の契約に申し込まれてしまったというトラブルが複数寄せられていると国民生活センターのホームページで注意喚起されています。こういう悪質な事業者も後を絶ちません。

 本制度の仮差し押さえでも対応困難な悪質事業者による財産の隠匿や散逸に対応するため、行政機関による財産保全策を早急に検討すべきではないでしょうか。

亀岡大臣政務官 今御指摘のあったように、まさに、悪徳業者に対してしっかりと差し押さえができるような制度ということで、本法案の中に仮差し押さえ制度というのをしっかりつくってありまして、財産の隠匿、散逸のおそれのある対応をするものについてはきちんとこれは対応できるように設計しております。

 そして、実効性を図る観点から、一段階目の訴訟手続が開始される前であっても、一般の民事訴訟制度と同様に、本制度にふさわしい仮差し押さえができる制度を整備しているところでありまして、特定適格消費者団体が手続追行主体となることにより早期の対応が可能となるものと考えております。

 それプラス、御指摘の行政による財政保全策としても、先般、六月十四日、消費者庁に設置した消費者の財産被害に係る行政手法研究会が報告書を取りまとめており、その中で、幾つかの制度、手法の意義及び課題が示されているところであります。

 この報告書を受けて、本法案の取り組みをさらに充実強化する観点から、必要な検討を今進めているところであります。

穀田委員 しっかりと検討し、実施に持っていっていただかなければならないということをあえて言っておきたいと思うんです。

 私、次回の委員会でも特に証拠開示制度の問題などを含めて質問したいと思っていますが、ぜひ早急に審議を進め、次の国会では必ず成立させるよう、当委員会としても力を合わせていくべきだということを提起して、きょうの質問は終わります。

吉川委員長 次に、金子恵美さん。

金子(恵)委員 自由民主党の金子恵美でございます。

 本日は、質問の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。特別委員会においては初質問でありますので、ふなれな点ございますが、その点はよろしく御指導をいただきたいと存じますし、また不適切な段がございましたら御教導賜れればと思っております。

 さて、私は今日まで、政令市新潟市の市議、そしてその後の県議の間も、消費者行政、消費者問題に高い関心を持って議論に参加をしてまいりました。その際は、主に、消費者の苦情相談窓口でありますとか、あるいは消費生活センターの体制整備、そしてまた地域的な消費者団体の育成支援等が議論の中心でありましたし、またそこで議論がとどまっておりました。

 しかるに、本日、このようにして、消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例法、この審議にかかわることができますことは私自身大変感慨深いことでありますし、また消費者行政に係る制度が着実に、確実に進展をしているということを感じ入っております。

 そういったところで、先週からの審議をお聞きしておりますと、特に、法曹の専門的見地からの質問によりますいわゆる条文審議が多かったように感じておりますが、私からは、消費者行政にとって本法案成立がなす意味は何であるかということを問うてまいりたいと考えておりますので、制度論議をさせていただきたいというふうに考えております。

 そこにはまず、今日までの消費者政策において行われてきた例えば民事ルールの整備ですとかその執行状況、そうしたことを振り返り、それを踏まえた上で本法案の審議に入ってまいりたいと考えております。

 本法案にも附則においては、施行後五年、見直し、検討条項が規定されておりますが、新たな制度や措置の議論の前には、既存の制度そして法律、こうしたものの検討、評価がなされなければならないというふうに考えております。

 二〇〇六年、消費者契約法改正により導入されました消費者団体訴訟制度、これもその施行から五年余を経過したところでございます。PDCA的に言えば、C、A、つまり、評価そして改善の段階にあります。そういった意味で、まずもって、六年前に導入、施行されました消費者団体訴訟制度について、法制度の執行状況、普及上の問題点など運用状況の総合的な評価についてどう見ておられるのか、お聞きしたいと思うのであります。

 団体訴訟制度の導入は、不特定かつ多数の消費者への被害の発生や拡大を防止することを目的としましたが、これまでの間の制度運用実績から見まして、その趣旨、目的の達成状況、度合い、そして導入成果について、まずお尋ねをいたします。

川口政府参考人 お答え申し上げます。

 消費者団体訴訟制度でございますが、一定の消費者団体に差しとめ請求権を付与することにより、消費者被害の未然防止、拡大防止を図ることを目的といたしまして、平成十九年六月の制度の運用開始以来、十一団体が適格消費者団体として認定され、訴えが提起されたのは三十件ということでございます。

 このうち十六件につきまして訴訟が終了しております。原告の請求が認容されるなどして勝訴というものについては五件、それから、原告の主張を入れまして和解に至った事案が九件というふうになっております。

 また、最終的には訴訟ということでございますが、訴訟するという権限を与える中で、裁判外の申し入れで解決している場合がございまして、訴訟に至らなくても、私どもが把握しているところ、二百件を超える裁判外の申し入れが行われております。これにより、事業者が任意に改善をして解決した例もございます。

 消費者被害の未然防止、拡大防止を図るという観点から、所期の成果が得られているのではないかと考えているところでございます。

金子(恵)委員 そういたしますと、制度の導入によって消費者被害救済、一定の効果が出ているというふうに私も受けとめさせていただいたところであります。

 次に、現行法、つまり、今ほど申し上げた、消費者契約法に基づく消費者団体訴訟制度におけるいわゆる今の団体制、それと、本法案によります新集団的訴訟制度における集団制、この団体制と集団制というものは、消費者団体に法的権利を容認して付与するという意味においては同種同等というふうに私は受けとめて理解をしているところであります。法制的に好ましい前進と受けとめておるところでありますが、まずは、この私の認識が間違っていないか、この認識でよいのかどうかを確認しておきたいと思います。

川口政府参考人 まさに、附帯決議でもございましたように、前回の制度、現在の制度等の延長で今回の制度が議論をされてきたところでございます。

 現行の消費者団体訴訟制度である適格消費者団体による差しとめ請求におきましては、適格消費者団体が事業者の不当な行為について差しとめ請求をすることにより、不特定かつ多数の消費者の被害の未然防止、拡大防止を図るものでございますが、消費者の被害回復そのものを図ることはできないという限界がございます。

 現在、消費者に財産的被害が生じた場合には、消費者と事業者との情報の質及び量並びに交渉力の格差、あるいは被害を回復するために要する費用、労力との兼ね合いから、多くの消費者が被害回復を断念してしまうといういわゆる泣き寝入りの問題が生じていると考えております。

 こうした状況に鑑みまして、消費者の被害回復の実効性を確保することが積年の課題となっているところでございまして、本法律案により、消費者の財産的被害の特性に鑑み、相当多数の消費者の財産的被害の集団的な回復を図るため、特定適格消費者団体を主体とする二段階の訴訟制度を設けることとしたということでございます。

金子(恵)委員 私は今、集団という言葉とそして団体ということの言葉で質問をしたところなんですけれども、重ねての、関連しての質問になりますが、先行導入されている消費者団体訴訟制度の執行状況、それとこのたび提案している新集団的訴訟制度との関係、その脈絡について、そのような説明だと少し、法律専門家は格別、一般消費者あるいは事業者一般の方々には、その間の関係というものでしょうか、そして連結性の有無というものが周知されていないように私は感じております。

 一般市民、国民に対して、この際、わかりやすい公式的なコメントをお願いいたしまして、私自身も再度認識をさせていただきたいと思います。

吉川委員長 消費者庁川口審議官。わかりやすく答えてあげてください。

川口政府参考人 現在の制度、それから今御議論いただいている制度、いずれも一定の消費者団体が担うということでは共通でございます。

 ただ、現在の適格消費者団体制度につきましては、不当な行為を差しとめる、将来にわたり消費者被害を起こすような行為をさせない、そういうことを実現するための制度でございます。

 ただし、この場合、実際に被害に遭った消費者の方は救済には結びつかないという問題が残っております。

 そこで、現在でも、適格消費者団体の皆様のところに、私の被害をどうしてくれるんですか、何とか救済してくださいという声が多数寄せられているところでございまして、そういう声にもお応えしつつ、現在御議論いただいている制度は、実際に消費者被害に遭った方の被害、既に起きた被害につきまして救済を図ることができる、そういう道を用意するものでございます。

金子(恵)委員 わかりやすくありがとうございました。

 ここで、一般論としてなんですけれども、先ほど穀田議員の話の中にもありましたが、消費者紛争の解決、救済については、一つ、まず個人みずからが被害救済を求める制度、そして二つ目、もう一つは、集団としての消費者が被害救済を求める制度、そしてもう一つは、消費者保護行政機関が消費者のために救済を求める制度、いずれも私は不可欠であると思いますけれども、我が国にあっては、これらの三点、三制度のそれぞれの問題点と課題、そして、表現が正しいかわかりませんが、バランスについては、どのように今認識していらっしゃるのでしょうか、お聞かせをいただきたいと思います。

森国務大臣 我が国においては、個人みずからが被害救済を求める制度に関しては、通常の民事訴訟制度、少額訴訟のほか、平成二十一年には、国民生活センターに和解の仲介または仲裁を行う裁判外紛争解決制度、これを整備したところです。消費者への制度の周知や、消費者がみずから利用するに当たっての支援などが課題となっております。

 消費者と事業者との間では、情報の質、量、交渉力の格差がございますので、被害回復のために要する費用とか労力との兼ね合いから、個人でみずからやるという制度だけですと、いわゆる泣き寝入りが生じてしまう、そういうデメリットもあります。このため、集団としての消費者が被害救済を求める制度については、我が国においては、差しとめ訴訟導入時の附帯決議など、その創設が課題であったことから、本法案を提出したものです。

 また、三つ目の消費者保護行政機関が消費者のために救済を求める制度に関しては、行政機関がそのような役割を果たすことの是非や、我が国における官と民との関係なども踏まえた十分な検討が必要でありまして、消費者庁におきましても、消費者の財産被害に係る行政手法研究会、これが先般取りまとめをされたところでございますが、そのような中で検討を行ってきております。

 OECDの理事会の勧告においても、必ずしも三つの選択肢全てを一遍に求めているものではなくて、各国の実情に応じて、全体として、消費者に紛争解決及び救済の枠組みを提供するように努力することが求められると承知しているところでございますので、まず、本法案を成立させて、消費者被害の回復に一歩前進をしていきたいと思っているところでございます。

金子(恵)委員 今ほど大臣がお話があったとおり、私も、我が国にとっては二つ目の集団がまだ弱いというふうに思っておりますので、そういう意味で、このたび提案されている新訴訟制度、集団としての訴訟制度が必要なんだということを改めて認識したところであります。

 三点目の消費者保護行政機関、今回は消費者庁になるわけですけれども、これは、まだまだこれからの総合行政においてこれから発展していくものというふうにも期待をしているところでございます。

 次に、消費者団体に関してでありますが、二〇〇四年、消費者基本法において条文化され、個々の消費者とは異なる機能を担う別個の存在として法的に位置づけられました。そして、二〇〇六年、消費者契約法の改正によって適格消費者団体に団体訴訟制度が導入され、先ほどからお話がある差しとめ請求権が付与された。そして、本年二〇一三年を迎えて、今法案においては、特定適格消費者団体として新しい訴訟制度を容認、創設しようとするものでありますが、私は、これは、それぞれの時点での立法趣旨はともかくとしましても、この一連の流れというのは、我が国消費者社会、市民社会にとっての深化、成熟度を示すものとして受けとめて、大いに評価をするものでございます。

 その意味において、本法案による新制度の成立によって、我が国の制度の整備レベルというものは、諸外国と比べて、また国際的な対比の上においてはどのような位置づけになるのか、政府当局としての認識をお聞かせいただきたいと思います。

森国務大臣 諸外国でも、多数の消費者の被害回復を図るための訴訟制度が導入されておりますが、どのような位置づけになるかという難しい御質問ですけれども、例えば米国では、いわゆるオプトアウト式のクラスアクション、これが幅広い分野で認められております。また、欧州諸国においても、フランス、イギリス、ドイツなどにおいて、消費者団体を主体とする一段階型のオプトイン式の訴訟制度が設けられております。

 このような中で、OECD理事会は、集合的に提起する多数の消費者のための紛争解決及び救済の仕組みを含め、消費者が効果的な紛争解決及び救済されるような仕組みを提供するようにと勧告をしているわけでございますけれども、先ほどの米国のクラスアクションについては、制度の濫用があるというような指摘がございます。一方、フランスなどの一段階型のオプトイン式の訴訟制度には、制度の利用が低調であるという問題点が指摘されているところでございます。

 これらを踏まえまして、本法案は、二段階型の訴訟制度といたしまして、対象消費者への通知を制度化することによって消費者が加入しやすくして実効的な被害回復を図る、それとともに、訴訟追行主体を特定適格消費者団体に限りまして、対象となる請求を消費者契約に関する一定の請求に限定するなどして制度の濫用の防止に配慮をしているということで、我が国の実情を踏まえて、それぞれのバランスを工夫した制度としたところでございます。

金子(恵)委員 今ほど大臣からお話があったとおり、諸外国の政策においては、消費者団体等に個々の消費者の代替をするのを認めたり、また損害賠償訴訟への参加を可能とする、あるいは利益剥奪請求訴訟を認めるなど、さまざまな制度が構築されているやにお聞きしておりますが、大臣のおっしゃったとおり、濫用の指摘であったり制度の利用が低調であるということもあるという話でありますので、日本の文化に合った形での、新たな制度のまた深化、進展を期待するところでございます。

 次に質問を移らせていただきたいと思いますが、情報収集に関する質問をさせていただきたいと思います。

 個々の消費者救済はもとより、不特定かつ多数の消費者の被害の防止、救済を図るためには、同種被害の発生の情報の収集、把握が極めて重要な前提となります。したがって、消費者団体や消費生活センター等との不断にして迅速な情報交換が不可欠であろうと思いますが、情報収集の面での、これまで以上の前進を図るネットワークあるいは手法、お考えがあるでしょうか。お聞かせいただきたいと思います。

松田政府参考人 委員御指摘のとおり、消費者行政の推進に当たりまして、さまざまな情報の収集、それを生かした形での取り組みというものが大事なわけでございます。

 そういった中で、消費生活センターを初めとする地域の多様な主体の連携、こういったものを進めまして、地域における情報の共有、あるいは各主体が共同して実施する取り組み等が円滑に行えるよう地域におけますネットワークを構築する、これが非常に重要なことだというふうに考えておるところでございます。

 このため、消費者庁といたしまして、地方消費者行政活性化基金の活用でありますとか、あるいはグループ・フォーラムといったようなイベントの開催による各地域のさまざまな主体の交流を可能とする場の提供、あるいは先進事例の普及促進といったような取り組みに基づきましてネットワークの構築ということを進めておるわけでございまして、そういった中で、被害の情報を共有して消費者教育にも生かす、こういったスタンスにのっとっておるところでございます。

 さらに申し上げますと、消費者教育、啓発といったことにつきましては、来週の閣議決定を予定しております消費者教育の基本方針におきまして、消費生活センターが拠点となりまして、消費者団体を初めとして多様な主体が協働した体制づくりができるように、つなぎ役として、コーディネーターの育成といったようなことにも取り組むことといたしております。

 新潟ではサポーターと呼んでおるような先進事例がございますけれども、地域におきまして、その実情に応じたさまざまな先進事例を生かして、全国的にこのネットワークの構築というのがきちっと促進されまして、被害の情報を共有し、それにみんなで取り組んでいくんだ、みんなで対応していくんだ、高齢者の方々を初めとした、被害に逆に遭わないように、予防的な取り組みも含めましてきちっとやっていくんだといったような支援策を強力に推進していくことというふうに考えておるところでございます。

金子(恵)委員 ありがとうございます。

 苦情相談の実務などは、まさに身近なところ、国民、市民の目線のところにあると私も思っておりますので、今お話があった、地方の消費者行政との連携を密にしていただきたいとお願いするところでございます。

 次に、消費者団体に話題をかえたいと思います。

 集団的制度の大前提として、適格な消費者団体による適正な業務の遂行がまずあります。全国的には、そのような団体そして法人の育成、確保は相当に困難を伴うものと推測できるところでございますが、この消費者団体結成から、要件を充足して、次の段階、適格団体へ、さらには特定適格団体へと、要件充足に向かって、自助努力の中で団体の方々は努力していただくことになるわけですが、ここに対して、皆様方からの育成支援策はどのように考えておられるでしょうか。

 あわせて、ちょっと時間がありませんので、新訴訟制度の担い手としての消費者団体機能の全国的ないわゆる均てん化、偏在ではなくて均てん化を図っていくことについて。つまり、特定適格団体を認定し得る地域と、し得ない地域が生じてくると思いますけれども、この点についてどのような御所見でおられるのか、あわせてお聞かせをいただきたいと思います。

川口政府参考人 まず、適格消費者団体を目指す一般の消費者団体への支援ということでございます。

 現在、適格消費者団体は全国に十一団体ございますが、御指摘のとおり、地域的に偏在しているというのも事実でございまして、また、特定適格消費者団体になるためにはまず適格消費者団体にならなくてはいけないということからすれば、地域的な偏在は好ましくなく、できるだけ解消に向かっていくことが期待されるというところでございます。

 このため、消費者庁といたしましては、二十五年度予算におきまして、地方消費者行政活性化基金の仕組みを活用した、国と地方とのコラボレーションによる先駆的プログラム、これを実施しておりますが、そのメニューの一つといたしまして、適格消費者団体設立の促進を図ることとしているところでございます。

 こうした支援事業によって、各地で適格消費者団体を目指して活動している消費者団体を支援し、地域的な偏在が解消されることを期待したいと考えております。

 次に、適格消費者団体になった後の支援でございます。

 これまで、消費者団体訴訟制度や適格消費者団体の周知、普及をしっかりやっていく、それから、認定NPO法人制度の活用促進、国民生活センター等による消費生活相談に関する情報、PIO―NETの情報を提供するなどの支援策を実施してきたところでございます。

 さらに、特定認定を目指す適格消費者団体に対する支援につきましてでございますが、特定適格消費者団体の認定要件につきましては、法案成立後、関係者の意見を聞きながら、さらに具体化していくということになりますが、まずは、本制度における認定要件につきまして、特定認定を目指す団体につきまして丁寧に説明していく、これが基本でございます。さらなる支援につきましては、適格消費者団体を含め、幅広く関係者から意見を伺いつつ検討してまいりたいと考えているところでございます。

 以上でございます。

金子(恵)委員 伺うところによりますと、北陸地方、日本海側が空白地域になっているというふうにお聞きしておりますので、その点、今ほどの支援策を実施した中で均てん化を図っていただきたいとお願いをさせていただきたいと思います。

 時間がございませんので、一点通告をしました、地方消費者行政サイドに期待するところは、先ほどの質問の中で、国、地方との連携をしっかりとっていただきたいというお願いとともに、また、地方行政サイドに対しましても、私自身もしっかりと働きかけをしていくことをお約束させていただきたいというふうに思います。

 次に、今般創設の消費者裁判手続特例法の円滑、適正な運用を期するには、事業者サイドに対する理解、認識が重要不可欠であることは先ほど来お話があるとおりでございますが、グローバル企業や大企業については格別、やはり中小企業に関しては十分な周知徹底を図ること、その理解を得るという努力、配慮が必要でありますが、具体的にどのような措置を考えておられるのか。

 そしてまた、法執行までの間において、中小企業事業者に対しどのような対応、準備を望まれているのでしょうか。商工会議所等を初めとした事業者団体の役割への期待も含めてお聞きしたいと思います。

川口政府参考人 中小企業に対する十分な周知についての御質問でございます。

 中小企業や事業者団体に対しましては、まず、本制度がどういうものであるかということの説明をしっかりしていくということでございまして、健全な企業にとっては全く恐るるに足りないものであり、良質な企業と消費者にとって利益のあるものとの御理解、これを図っていくということでございます。

 具体的には、手続の主体や対象事案を限定いたしまして、対象となる請求を消費者と事業者との間に契約関係のある場合の一定のものに限る、また、損害賠償請求については、いわゆる拡大損害、逸失利益、人身損害、慰謝料にかかわるものを除いている、そういう内容について御理解をいただくということでございます。

 その上で、本制度施行までの間にこの制度そのものの御理解をさらに深めていただくということでございますが、御指摘の商工会議所あるいは商工会等の御協力、その他いろいろな事業者団体の御協力をいただきまして、制度の説明会、意見交換会というものをしっかり開催いたしまして、本制度、あるいは本制度の対象となる民事実体法、消費者契約法ですとか民法、そうしたものに対する御理解もさらに求めていくべく、わかりやすい説明を図っていきたいと考えているところでございます。

金子(恵)委員 よろしくお願いいたします。

 一点だけ、法律の技術的解釈について伺いたいと思いますが、附則第二条、経過措置についてであります。この法律の施行前に締結された云々には適用しないといいますのは、全て過去にさかのぼっては対象としない、つまり遡及適用しないということで間違いがありませんでしょうか。まずお聞きします。

川口政府参考人 附則第二条でございますが、本法の施行前の事案について本制度を適用しないということを明らかにしているものでございます。

 なお、遡及適用というふうにいいますと、既に発生、成立している状態に対し、法令が後から規制を加え、その法律関係を変更することをいうことが多いというふうに理解しておりますので、施行前の事案について本制度を利用できるようにしたとしても、訴えを提起したときに施行されている法律を適用するだけであるという意味では、厳密な意味で遡及適用に当たるというふうには考えておりません。

 ただ、このような適用制限をしたということにつきまして、事業者が本制度の適用を予測できなかったものには本制度の対象としないという考え方に基づきまして、施行前に事業者が金銭を支払う義務を負うべき原因がある場合には本制度は適用しない、一般の個別の訴訟等で、あるいはADR等で対応いただきたいということにしたところでございます。

金子(恵)委員 そういう解釈に立ちますと、一点、遡及適用しないことが大原則だとしても、附則第二条の規定の中に、第三条第一項第五号が括弧書きしてありますが、施行前に行われた加害行為は何が制限されるものなのでしょうか、確認しておきたいと思います。

川口政府参考人 お答え申し上げます。

 附則第二条の括弧書きにおきましては、この法律の施行前に加害行為が行われたものであれば、その加害行為に係る不法行為に基づく損害賠償請求につきましては、本制度が適用されないということを規定しているものでございます。

 この趣旨は、不法行為に基づく損害賠償請求につきましては、契約の締結よりも、加害行為が金銭の支払い義務を生じさせる重要な原因となっているということでございますので、本制度の施行後に加害行為が行われていれば、仮に契約が施行前に行われていたとしても事業者の予測可能性が確保されているということを考えた次第でございます。

 以上でございます。

金子(恵)委員 時間となりました。

 大臣初め答弁者の皆様には、的確かつ真摯な御答弁をいただきましたことに感謝を申し上げると同時に、本法案成立によって、国民生活のさらなる安定向上と国民経済の健全な発展を切に願いまして、質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

吉川委員長 次に、大西健介君。

大西(健)委員 民主党の大西健介でございます。

 きょうの質問を聞いておりましてもそうなんですけれども、これまで本会議、委員会、同僚議員の質問を聞いておりますと、重立った論点というのはかなり触れられてきているのではないかというふうに思います。

 そういう中で、私としては、これまでの答弁の中で、私個人としてはちょっと不満がある答弁、それからまた、触れられている論点でありますけれども少し角度を変えて、きょうは質問をしていきたいというふうに思っております。

 まず、参議院におきまして、我が党の斎藤議員の方から、この法案で実際に適用される事案というものの具体的なイメージが持ちにくい、だから何か幾つかケースを挙げて説明してほしいというような質問をされておりました。

 実は私も似たような感想を持っておりまして、こういう話というのは、これまでこういう事案があったけれども残念ながら泣き寝入りになっていた、しかしこの法律ができればこうやって救済されるんですというお話があれば、なるほどということで、非常にわかりやすいんじゃないかなというふうに思っております。

 そういう中で、一つ、皆さんのお手元に資料を配らせていただいたんですけれども、先日、あるテレビ番組で同窓会名簿商法というのを紹介していました。これが実際に届いたダイレクトメール、往復はがきのコピーなんですけれども、一見すると、同窓会が主体となって同窓会名簿を刊行しようとしているように見えます。

 これを見て、ああ、いいなと思って、前払いで同窓会名簿の代金を振り込むと、一応名簿は送られてくるんです。一応送られてくるんですが、全卒業生の一割程度しか載っていない薄っぺらい名簿が送られてくるというものなんですね。こういう商法がある。

 ここにも額が書いてありますけれども、一万一千八百円、まあ、一万円ちょっとということもあって、恐らく、これの被害に遭った方というのは、今までであればほとんど泣き寝入りをしていたんじゃないか。わざわざ一万円ちょっとのために訴訟を起こして云々という話にはなりにくかったと思うんですね。

 これについて、個別具体事案についてはなかなかお答えしにくいのかもしれませんが、同窓会名簿商法、こういった事案に対して、一般論で結構ですけれども、今回の法案スキームが適用される可能性が、可能性で結構です、可能性があるかどうかについて、事務方から御答弁をお願いしたいと思います。

川口政府参考人 個別事案の該当性を断定することは差し控えさせていただきたいと思いますが、一般に、消費者にダイレクトメールを送付して、同窓会の発行している名簿だと誤信させ、○○学校同窓名鑑ということを通信販売しているような場合におきましては、例えば、ダイレクトメール等の事業者の行為が民法上の詐欺または消費者契約法上の不実告知等に当たるようなものであれば、本法三条二号の不当利得に係る請求として、本制度の対象となる請求に当たり得るということでございます。

 このような請求でありまして、多数性、共通性など他の訴訟要件を満たす場合であれば、本制度の対象となり得ると考えております。

大西(健)委員 的確なお答えをいただいたというふうに思います。

 私個人としては、まさにこういうケースに対して、本法によって救済がなされればいいなというふうに思っているんですけれども、今のお答えというのは、個々の消費者が持っている個別の請求権を束ねるのが今回の法案ですから、この個別の請求権について、まさに詐欺に当たるのか、あるいは十分な商品、サービスを引き渡さないということに当たるのか、不当利得に当たるのか云々ということが裁判所によってまさに判断されるということなんだというふうに思うんですけれども、そこで申し上げたいのは、私はこういうのはほとんど詐欺だと思っているんです。

 実は、皆さんのお手元にお配りした資料をもう一ページめくっていただくと、この事案については業務停止命令が出ているんです。東京都ほか四県で同時処分ということで、三カ月の業務停止命令が出ています。

 しかし、この業務停止命令というのは何で出ているかというと、特定商取引法違反なんです。何でかというと、さっきも言いましたけれども、一応名簿を送ってくるんです。それから、同窓会ですよとうそをついているかというと、同窓会とは言っていないんですね、紛らわしい表現ですけれども。

 ですから、詐欺等ということではなかなか難しいので、連絡先が書いてあるけれども、いつかけても電話が通じないとか、あるいは紛らわしい表現になっているとか、ちゃんと発売元の住所とか連絡先が記入していないとかということで、特定商取引法違反だといって三カ月の業務停止命令を出しているんです。ただ、これでさえ、業務停止命令違反を破ってさらに業務を続けた場合には罰金とか懲役とか罰則がかかってくるんですけれども、三カ月ということなんですね。

 もう一枚めくっていただきますと、新聞記事ですけれども、同じ業者が二年後には社名を変えてまたやっているんです。

 ですから、もちろん、個々の救済ということをこの法案で私はぜひやっていただきたいと思いますが、あわせて、こういったものがなかなか、グレーで特定商取引法でしか網をかけられないという現状自体も私は問題だと思うんです。

 こういうことについて、境界事案というかグレーなところを向こうも狙ってきているんでしょうけれども、こういったものをしっかり取り締まっていくことの必要性ということについてお答えをいただければというふうに思います。

    〔委員長退席、大塚(高)委員長代理着席〕

森国務大臣 委員御指摘のとおりでございまして、本法案の適用を受けるか受けないかにかかわらず、個々の個別事案で民事上の請求権が立つか立たないかというのは古くからある問題でございます。

 これについて、悪質な事案について消費者契約法等の民事実体法で適用できるように過去ずっと見直しをしてきたわけでございますので、悪質な事案については、社会実態また被害の実態を踏まえまして、必要に応じて積極的に見直しをして、民事上の請求権が立つようにしてまいりたいというふうに思います。

大西(健)委員 大臣から非常に力強い御答弁をいただいたと思います。

 まさに本当に、こういう悪質業者というのは、法の目をかいくぐってこういうことを考えてくる。また、社名を変えて同じことをやるわけですから、こういうところをしっかり取り締まることは別途考えていただきたいと思います。

 次に、遡及適用等、同一事案が施行前後にわたって発生している場合ということで、今、金子委員の最後の質問の部分で多少触れられましたけれども、この点においては本会議で我が党の生方委員からも質問をしております。そのときの答弁ですけれども、まず、遡及させない理由について何とお答えになっているかというと、一時期に多数の消費者からまとまって金銭の支払いを求められることになり、事業者の予測可能性を害すると言っているんですね。

 ただ、私から言わせると、そもそも払わなきゃいけない非がある業者の予測可能性が法的保護に値する利益なのか、そんなことを保護してあげる必要はないんじゃないかと。

 また、もう一つ、同一事案がこの前後である場合について何と答えているかというと、被害者は、個別の手続により、救済を求めることができますと。当たり前ですよ。答弁になっていないと私は思うんですね。

 さらに、一段階目の判決が出たら、その事実上の効力を活用して、施行前の事案についても、消費者の被害の回復を図ると言っているんですよ。その事実上の判決の効力を使って個別で消費者の被害回復を図ったら、結局は業者が払わなきゃいけないんです、同じなんです。

 ですから、この法律のスキームというのは、さっきも言ったように、個別の請求権を束ねているだけなんです。ですから、個別の請求権が時効にかかっていない限りは、施行前であろうが施行後であろうが、逆に言うと、これは適用するのが理屈に合っているんじゃないですか。いかがですか。

森国務大臣 大変難しい御質問だなと思います。

 通常の訴訟手続などの消費者の被害回復を図るための既存の制度はそのままにしておきながら、それに加える形で、本法案ができたわけでございます。

 訴訟手続を二段階として、二段階目で加入した消費者に一段階目の判決の効力を及ぼすということで、消費者の手続の負担を大きく軽減したものでございます。そのことで消費者の被害回復の実効性は確保されますが、事業者に与える影響も小さくないわけでございます。

 そもそも、不当なことをした事業者には、施行前に、もちろん通常の訴訟は提起される可能性はあるんですけれども、集団的に施行前のものも、不当なことをした事業者なのだから、それは適用するべきではないか、そういう御意見も一方ではございました。

 ただし、この民事上の請求権というのは、刑事上の詐欺等とは違いまして、悪質性の程度にもさまざまな程度があるわけでございます。もちろん、民事上の場合は、故意にしたわけでない場合でも請求権が生じる場合がございます。刑事上の詐欺等については、故意要件が非常にきつくかかるわけでございます。

 そういう意味でいいますと、通常の業者が一定の過失のもとに消費者に損害を与えてしまったという場合もあります。その場合に、多数の集団的な訴訟が起きて、それが施行前のものまで適用されるということに対する事業者への影響も小さくない。ただ、そのことで、その事業者の被害回復への義務を免除するわけではなくて、通常の訴訟はできますとしたところで、一定の事業者の予測可能性にも配慮するというふうにしたわけでございます。

大西(健)委員 故意じゃない業者があるというのは、あるのかもしれないですけれども、ただ、本当に前後で同じ被害に遭っているんですよ。施行後の人はこれが使えて、施行前の人は使えないなんというのは、普通の感覚でいうと、被害者からすると納得がいかないですよ。

 それで、先ほど申し上げたように、個別としては、結局は払わなきゃいけないんです。だからそれを、予測可能性というものを本当に保護してやる必要があるのかということは、大臣も今、そういう議論もありますと、多少、答弁の中でニュアンスを出していただいたと思いますが、私は、もう一度考え直していただきたいということを申し上げたいと思います。

 次に、特定適格消費者団体への財政支援、これもまた繰り返し繰り返しこの委員会で言われていますけれども、私も、これについて二つ質問したいと思います。

 まず初めに、特定適格消費者団体は、第一段階に至る前にさまざまな情報収集をする、情報収集した結果、対象にならない場合とか、件数が足りなくて第一段階の手続に乗っていかない場合というのもあるでしょう。それから、調べているうちに事業者と接触していたら、事業者の方が自発的に改善をしてくれて、裁判しなくても済んじゃうというケースもあると思います。

 でも、そういう事前の準備段階のコストというのは、これは全部、特定適格消費者団体持ちなんです。こういうところをある程度、何らかの支援をしてやらないと、先ほども出ていましたけれども、このスキームは、その手続の追行主体たる特定適格消費者団体が育っていかないと意味がないわけですから、こういう前段階、準備段階のところもしっかり支援をしていかないと、こういう特定適格消費者団体というのは育っていかないんじゃないかと私は思いますが、この点について御答弁いただきたいと思います。

    〔大塚(高)委員長代理退席、委員長着席〕

森国務大臣 特定適格消費者団体に対しては、その認定段階で一定の経理的基礎を求めております。この経理的基礎をもとにして自立した活動をしていただくということが基本になります。

 また、認定NPO法人制度の活用による寄附金の受け入れを進めることや、新たな訴訟制度に関する業務で消費者から報酬及び費用の支払いを受けること、国や自治体からの委託事業を受けることにより、財務基盤を強化していくことを期待しております。

 とは申しましても、委員の御指摘にももっともな部分があると思いますので、状況を踏まえまして、政府において、どのような支援があり得るかについて、引き続き検討してまいりたいと思います。

大西(健)委員 今もまた大臣の答弁の中に、NPOの寄附金控除があります、あるいはまた、後で費用や報酬をもらえるからという話があったんですけれども、もう一つお聞きしたいのは、先ほどの穀田委員の質問なんですが、私も、担保等について財政支援をと言ったときに、同じ答弁の繰り返しで、これでは不十分だと思っているんです。私も、何で、仮差し押さえの担保金の国による無利子一時貸与等の具体的な策を検討したいと思いますと、もう一歩踏み込んで言っていただけないのかというふうに思っています。

 というのも、例えばオーストラリアでは、逆に、訴訟資金提供ビジネスというのがあるんですね。日本の場合は、この法律でも、報酬とか費用は相当な程度のものしか認められないですけれども、そうじゃなくて、法外な成功報酬をもらえるような契約をして訴訟資金を提供するビジネスが非常に拡大をしていて、問題になっているということなんですよ。

 法外な報酬は受けられないにしても、銀行に低利で預けておくよりも、担保のために融資したら高利で回るから融資するよという人が出てきたとき、それは多分、今だってできちゃうんですよ。そんなことをするぐらいなら、公的融資とか、先ほど言ったように、無利子の一時貸し付けを国がやればいいじゃないですか。

 だから、それぐらい、この委員会でさまざまな具体的な御提案をいただきましたので、それを含めて検討しますと、前向きな、一歩踏み込んだ答弁をお願いしたいと思います。

森国務大臣 訴訟資金提供ビジネスですけれども、それは排斥をされます。

 本制度について、特定適格消費者団体が、いわゆる訴訟ファンドでありますとか高金利の貸付業者でありますとか、そういうところから訴訟資金の提供を受けたり、そういうビジネスを利用することは、報酬規制、認定要件である経理的基礎の確保及び責務規定である不当な目的による訴え提起の禁止の三点により、排斥されるというふうに認識をしております。

 貸付制度を含む必要な支援については、さまざまな論点がございます。訴訟制度の一般的な原則も踏まえながら、幅広く関係者から御意見を伺って、引き続き、支援のあり方について前向きに検討を行ってまいりたいと思います。

大西(健)委員 しっかりとか前向きにとか、とにかく、ぜひ具体的に検討していただきたいと思います。

 最後になりますけれども、これも先ほど穀田委員や金子委員からも質問がありましたけれども、被害の把握の仕方、情報の収集のあり方、自治体との連携とか情報共有という話がありましたけれども、この点について、PIO―NET、全国消費生活情報ネットワークシステムの情報を特定適格消費者団体が十分に活用できるようにしてほしいという話があります。

 国民生活センターのホームページを見ますと、「PIO―NETの目的」として、「行政機関による消費者被害の未然防止・拡大防止のための、法執行への活用など」と書いてあるんですね。今回の法律でいうと、被害の未然防止というよりは救済ですけれども、法執行への活用です。それから、特定適格消費者団体というのは、非常に高いハードルをくぐり抜けてきた団体であって、秘密保持義務も課せられている。

 そういう意味では、私は、このPIO―NET情報の活用というのを認めていいんじゃないかというふうに思うんですけれども、この点はいかがでしょうか。

亀岡大臣政務官 まさに委員の言われるように、このPIO―NETの利用については、これまでも、可能にすることができないかという意見をいただいておりますけれども、しかし、この端末を利用することのできる者を行政以外に広げることについては、地方の消費生活相談の現場等から慎重な対応を求められているところでありまして、そのような意見も踏まえながら、このPIO―NET端末を利用する際の条件などを今検討しているところであります。

 まさに、現場の相談員が、相談、あっせん等の処理をする上での参考情報として活用しているものでありますので、この辺はさらに、関係者と調整等、しっかりと協議をしながら、検討できるように進めてまいりたいと今考えているところであります。

大西(健)委員 いろいろな課題はありますけれども、穀田委員も言われましたけれども、関係者の思いというのは、一刻も早くこの法案を成立させてほしいということだと思います。

 残された会期もわずかになりましたけれども、ぜひ、早期成立に向けて精力的な審議と、それから、あわせて、参考人質疑を含む充実した審議をお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

吉川委員長 次に、後藤斎君。

後藤(斎)委員 民主党の後藤でございます。

 大臣、連日お疲れさまでございます。

 この法律案、ようやくここまで来たなという個人的な思いも含めて議論をさせていただきたいと思います。

 大臣、提案理由の趣旨説明の中で、この法律をつくる大きな目的として、消費者の市場に対する信頼性を通じた消費の拡大が経済成長を促し云々という文言があります。当然、消費者利益の擁護というのがこの法律の大きな役割でありますけれども、最近、この法律以外に幾つか気になった点があるので、冒頭、ちょっと確認をさせていただきたいと思います。

 規制改革会議で、特保に続いて、第三の健康食品の表示をするというふうな報道がございます。多分これは事実だと思うんですが、この特保も、長い時間軸をかけて安全性評価を行ったものに対応してきたということで、昨年の五月には特保の表示の商品が一千件を超え、現在では一千六十四件だというふうに聞いております。

 今、健康食品をめぐる問題というのは、いわゆる薬事法に基づいた薬品というか薬の部分と、それに、少し健康にプラスになるということで特保の部分と、この第三の表示があるんですが、今、私、農水委員会の方でも、いわゆる付加価値をつけた農産物をもっと積極的につくっていくということで、これも林大臣の指導の中で、農水省でも付加価値の高い機能性食品の議論を本格的にしてもらっています。

 ただ、大臣は、消費者担当の大臣と、ほかに兼任をされていますけれども、今これから、普通でいえば、このまま進めば、少子化の中で人口が減る、内需が縮小する。こういうふうな集団訴訟のように、消費者被害の回復ということの法制度、私は正しいと思うんですが、それよりも何よりも、やはり、事業者、農業者も含めて、どういうふうにこの国の食料供給や、また経済活動をプラスに転じていくのかという発想も当然のことながら必要だというふうに思っています。

 まず、大臣、規制改革会議の中で、第三の表示という部分は、今検討状況がどのようになっていて、大臣としたら積極的に進める方の論者に立っているのか、むしろ、ブレーキをかける論者に立っているのか、その点について大臣の御見解をお伺いしたいというふうに思います。

森国務大臣 現在の検討状況でございますけれども、閣議決定された規制改革実施計画においては、米国のダイエタリーサプリメントの表示制度を参考にいたしまして、食品の機能性の表示を容認する新たな方策を検討することとしたところでございます。

 これは、食品の機能性の表示について、特保の許可を得たもの等に限られている現行制度を見直そうとするものであり、客観的な、科学的な根拠に基づきまして、一定のルールのもとで適正な表示を可能とすることによって食品に関する適切な情報を伝え、消費者の自主的かつ合理的な食品選択に資することを目指して検討を進めているところでございます。

 私は、やはり消費者の立場から、新たな方策の検討に当たりましては、機能性の表示をするにはどの程度の科学的な根拠レベルが必要か、そして、機能性の表示のほかに、消費者に誤解を与えないためにはどのような情報が必要かなどの点に留意しつつ、消費者、幅広くは事業者の意見も聞きながら、消費者が納得できる制度設計について検討してまいりたいというふうに思っています。

 また、制度導入に当たりまして、食品の機能性については、消費者に科学的根拠に基づいた正しい情報が伝わることが大前提でありますので、そうした根拠のない虚偽広告でございますとか誇大な表示等の不適正な表示については、当然ながら厳正に対処していくこととなります。

後藤(斎)委員 大臣、多分、昨年のちょうど今ごろだったと思いますけれども、いわゆる特保の一番売れ筋であった、脂肪が、たくさん食べてもそのウーロン茶を飲めば痩せるというふうなことで、これも誇大広告表示だということで指導を消費者庁がしたころだというふうに去年の今ごろを思っています。

 今ちょっと気になったのは、アメリカのダイエタリーサプリメント制度を準用するというのは、私は表示のときにも発言をさせていただきましたけれども、一つ考えなきゃいけないのは、今、日本の事業者の方は、社会的責任も当然企業はありますから、そんな間違ったことをしないという前提であります。

 ダイエタリー制度は、アメリカの部分は、私が少なくとも承知している範囲では、FDAがきちっと確認したものではないよという断りを書けば、企業者みずからの発意で表示が、要するに、日本のこれから検討する第三の表示ができるというふうな仕組みだというふうに承知しています。それはそれで正しいと思うんです。

 私も以前、例えば、大臣御記憶だと思いますけれども、口蹄疫が三年前に宮崎を中心に起こったときに、竹酢液というのがあるのを大臣御存じだと思うんですけれども、この竹酢液も、民間の部分でいえば、それを散布すると口蹄疫が消えてしまうというふうなことが言われて、実は、私はそれを積極的に推奨した部分なんですけれども、結局、今の薬事法や動物検疫の部分でいえばそれは薬品にあらずということで、その後、大学とかいろいろなところにお願いをして成分表示の研究をしてもらいました。

 これは、先ほど大臣がお答えいただいたように、機能性食品とかそういうものに準じた部分なんですが、日本の部分は、例えばこれからアメリカのダイエタリー制度を準用しながら第三の表示を検討するのであれば、やはり、国の機関、大学も含めて、きちっとした研究機関がそれをサポートする体制というものがなければ、表示のときもそうですけれども、数少ない人数で全てをチェックするというのは不可能だと思うんです。

 少なくとも、そういう公的研究機関がこの第三の表示も含めて後押しするような体制を、農水省や、もしかしたら文科省も含めてかもしれませんけれども、関係省庁ときちっと連携をしながら、そういう、ベースのチェックする体制というものがあれば私は大いに進めるべきだと思いますし、個人的には進めてもらいたいというふうに思っていますけれども、大臣、その点についていかがでしょうか。

森国務大臣 御指摘のとおり、規制改革会議の議論の中で、食品の機能性評価について第三者認証制度を設けてはどうかという御提案もありました。

 食品の機能性評価は、決まった規格に当てはめて個々の製品を評価するものではなく内容がさまざまである、論文等を広く集めまして、また、各論文の質を吟味し、総合的に評価をしていくものでございまして、一定の評価基準を設定していくということは非常に難しいものでございます。

 また、第三者認証制度というのは諸外国についても例がないものと承知しておりますので、第三者認証制度、またそういう機関を設けるということは極めて困難ではないかなというふうに思っております。消費者庁としては、閣議決定された規制改革実施計画に基づきまして、第三者認証制度ではなく、企業等の責任において科学的根拠のもとに機能性を表示できるものを検討していくこととしております。

 なお、新たな機能性表示制度のもと、業界等が機能性評価の客観性を高めるために自主的にそういった機関等を組織して、表示や広告の適正化を進めていくことは、むしろ望ましいものと考えております。

後藤(斎)委員 大臣、この集団訴訟の制度を導入する一番の大きな目的は、財産的被害をまとめて、少額のものも含めて救っていくというふうなことが、当然主な目的だというふうに思います。

 大臣、財産的被害というときに、全然話が飛んじゃうんですが、あえてお話をさせてもらうと、いつも言っていますけれども、消費者は、品質がよくてできるだけ安いものを買いたいという希望が当然あると思います。要望というか、欲求というか。事業者、生産側は、自分のつくったものであれば、同じ品質であればできるだけ高いというふうなこと。ですから、財産的被害というのは、少し広義の意味で考えれば、例えば、先ほど農産物の話をしましたけれども、食料品が高くなることを実は欲していないというふうなことだと思うんです。

 今、円安の状況が、今がどの程度高いか低いかというのは別としても、円安になったときには、円高に比べて当然輸入物価が上がりますから、輸入に係る価格は高くなっていく。ただ、食品業界も、やはりそれだけでは今の競争激化の中で売れませんから、パッケージを工夫して、内容の量を減らしたりということの工夫も含めて、消費者に受け入れられやすいような状況をつくっているのは、大臣御案内のとおりであります。

 ですから、農産物、食料品価格が上がるということは、ある意味では、広義の意味で財産的被害なんですよね。まあ、被害と言うかどうかは別として、要するに、消費者から見ればマイナスになるわけですよね。

 ですから、第三の矢と言われている成長戦略についても、実は先ほどの特保の第三の表示もそうなんですけれども、規制を緩和するイコール生産能力を拡大して、競争を強めながら、そうすると、価格は減る、安くなっていくというのが普通の経済の原則ですよね。ですから、そこは私、大臣が消費者担当、少子化担当の大臣としてもぜひ御理解をいただきたいと思いますし、あえて要望をさせていただくと、やはり事業者と消費者のバランスをどうとるかによって、一方では成長と見るし、一方では抑制と見るんです。

 ですから、消費者の方にも、いわゆる食育の部分で、私はぜひ明確にお願いしたいのは、やはり一生懸命つくっている生産者、農家等も含めて、そういう農産物についてはきちっと評価をして、少なくとも輸入品よりも高く買えるような、消費者対応ができるようなことでないと、多分、日本の農業も食品産業も、これから内需、人口が縮小すれば、もっともっと厳しい状況になるはずなんです。

 ぜひ大臣、そこは消費者利益というのは何なのかということと、擁護する前提として、今の日本の事業者、農家の方を含めた事業者がきちっとそれが立っていけるような、成立がしているような環境になければいけないというふうに私は思うんですけれども、大臣はどういうふうにお考えでしょうか。

森国務大臣 重要な御指摘だと思います。

 なお、本法案の財産的被害というのは、だまされたりとかそういうことでございますので、価格の安い、高いというのとは異なります。

 そもそも、やはり消費者庁設立の趣旨は、消費者と事業者のウイン・ウインの関係を構築することであり、消費者と事業者とで適正な市場をつくっていくことでございますので、事業者の方も、今のようなコストについての情報等を、消費者の自主的かつ合理的な選択に資するように、消費者に対して明確に、またわかりやすく提供していく、また、質、内容についてもそういう努力が求められると同時に、消費者の方も、消費者教育等で言われますとおり、みずからの消費生活に関して必要な知識を習得して、そして自主的かつ合理的な選択をしていく。

 それが両方かなったときに、消費者と事業者、それぞれウイン・ウインの関係を構築することができまして、結果として、良質な市場が形成をされ、消費者が安心して消費をできるという環境が整備をできるものと考えております。

後藤(斎)委員 ちょっと僕は違うと思うんですが、大臣の御見識の中で、ぜひ私が言ったことも含めて、また検討をしていただきたいと思うんです。

 大臣、新しいこの集団訴訟の仕組みは、先ほど大西さんからも話があったように、消費者団体の方々は、できるだけ早くこの仕組みをつくるべきだというふうな一方で、いわゆる事業者の方々は、濫訴が心配だから、できるだけ慎重にと。ようやく少し議論がかみ合ってきたような感じもするんですが、改めて法律全体を読ませてもらいましたら、確かに濫訴を防止する仕組みというものはあるというふうに僕も思います。

 そういう中で、大臣、やはり先ほどから繰り返し言っているのは、事業者と消費者が上手に信頼関係を持ちながら、消費者であっても生産活動に携わっていてという裏返しの関係は、当然、消費者と生産者は持つわけですから、そこが離反するようなことがあってはいけないし、そして、やはり濫訴を心配する事業者の方々が安心して事業活動できるような仕組みであるということを、TPPは事業者団体の方を呼んでお話をしているようでありますけれども、この法律もかなり大きい法律だと私は思っていますので、そういう意味で、いろいろな検討をこの数年間かけてやって、ようやくここまで来たわけですから、ぜひこれからも大臣、この法律の内容も含めて、消費者に対して、事業者に対して、もっと丁寧にわかりやすく、不安がないような形で、この法執行ができるようなことにしていかなければいけないと私は思います。

 大臣、この法の目的と、そして今のような濫訴も含めた事業者の不安の払拭、そして、消費者の方々にこれを使ってもらわなきゃいけないわけですから、そういう意味での周知徹底というものをどのようにお考えなのか、改めてお伺いをしたいというふうに思います。

森国務大臣 本法案の目的は、消費者が泣き寝入りをしないように、消費者と事業者との間の情報の質、量、交渉力の格差などをなくして、被害を回復していくというところでございます。

 一方、経済界が懸念している濫訴をどう防いでいくのかということに関しましては、本制度では、手続の主体を内閣総理大臣が認定した特定適格消費者団体に限定をしております。そして、消費者庁がその特定適格消費者団体をしっかり監督してまいります。そして、対象となる事案につきましても、相当多数の消費者に生じた消費者被害に限定をしております。さらに、基本的に、消費者と事業者との間に契約関係がある場合の一定のものに限っておりまして、損害賠償請求については、いわゆる拡大損害、逸失利益、人身損害、慰謝料にかかわるものを除くものとしております。一段階目の判決の効力が他の団体にも及ぶこととしまして、紛争の蒸し返しを防止することにもしております。

 以上のように、事業者の経済活動を萎縮させるような不適切な訴訟提起、濫訴を防止する措置を講じております。

 このように、濫訴防止のための措置を幾重にもとっているということについて、施行までの周知期間に事業者にも十分御説明をしてまいります。また、認定、監督の指針としてガイドラインを定める際などには、事業者の意見もしっかり聞きながら進めてまいります。それとともに、消費者の方にもわかりやすく、利用しやすくするように、しっかりと周知、広報に努めてまいります。

後藤(斎)委員 もう終わりますけれども、大臣、要望だけ一点お願いします。

 いわゆる消費者庁の事務局と、そして先ほど大西さんも議論があったように、PIO―NETの利用というのが、特定消費者団体は対応ができないわけです、使えないわけですから。やはり、少なくとも事務局同士はきちっと連携すべきだと思うんです。

 消費者庁が、きのうお話を聞いたら、集団訴訟にかかわる実人員は数人だと。直接やる人はですよ。という部分であれば、これはちょっと困るなと。そして、特定消費者団体の方々の事務局も、多いところで四、五人ということのようなので、そこがやはりベースになって物事を組み立てていかないと、この間、表示のときに言いましたように、実際、入れ物はつくったけれども中身がないというふうになりかねないと思うんです。

 消費者庁がやはり情報量は団体よりもはるかに多いわけですから、事前情報も含めて、もしPIO―NETがすぐ団体には使えないのであれば、そういう措置も含めて、やはりこの法律がきちっと実行に移せるような形にしていただきたいということを、三人から十人にしろとは言いませんから、ぜひそういう人的体制の充実も含めて検討していただけますようにお願いをして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

吉川委員長 次に、浦野靖人君。

浦野委員 よろしくお願いをいたします。

 いろいろな先生方の質問で、かなりかぶっている部分もたくさん出てきております。その中で、そういうものをなるべく避けながら質問をしていきたいと思うんです。

 まず一点目なんですけれども、同じような法律、海外でも、特にアメリカなんかはかなり昔から法律がありますし、フランス、イギリス、諸外国において、類似の制度、必ずしも対象事案を日本のように制限をしていない国もあります。

 今回の制度で、我が国は、消費者契約に関する事案を対象というふうに制限をしてありますけれども、この辺のところを、今回の制度と諸外国の制度との違いを少し述べていただけたらと思います。

川口政府参考人 お答え申し上げます。

 集合的に多数の消費者の被害回復を図るということは先進国共通の課題でございますので、各国それぞれ工夫して、各国の状況に応じてさまざまな制度が検討され、また実施されてきているところでございます。

 そうしたものを十分踏まえた上で、我が国の実情に合うものとして日本の制度は設計したところでございますが、諸外国と比較をいたしまして、法制度、本法案の特徴といたしましては、まず一点目でございますが、二段階目の手続に加入した対象消費者のみに判決の効力が及ぶオプトイン型であるということでございます。それから、第二点目は、原告適格を内閣総理大臣が認定した特定適格消費者団体に限定するというふうにしております。一点目、二点目等は、アメリカ等と異なったものでございます。

 それから、三点目でございますが、対象となる請求を消費者契約に関するものに限定しておりまして、損害賠償請求については、拡大損害、これは、PL法などの損害、対象が拡大損害ということでございますが、拡大損害あるいは逸失利益、人身損害、慰謝料を除外するなど、対象事案を限定する、この三点が特徴でございます。

 総じて言いますと、アメリカの訴訟制度、これは、一点目と二点目、大きく異なっております。それから、三点目においても異なっておりますので、アメリカの訴訟制度と異なりまして、アメリカの経験を踏まえてつくられた、ヨーロッパの各国で採用されている制度に近いものというふうに考えております。

浦野委員 アメリカは訴訟の多い国として有名ですけれども、そういったものを見て、ヨーロッパ、欧州は少し制度を変えてやっているんだなというふうに思います。

 ずっとこの特別委員会でも出てきております濫訴の心配をされているという、この部分がやはりかなり大きな理由じゃないかな、この国の制度を今の形にしているというのは、そういう部分があるのかなというふうに思っています。

 特にアメリカのクラスアクションは効果が強いと聞いている、日本でもこういうふうな、アメリカのような制度を導入すべきだという専門家の御意見もあるとお伺いしているんですけれども、この点については、繰り返しになるかもしれませんけれども、どのようにお考えでしょうか。

川口政府参考人 制度の骨格につきましては、消費者委員会に設けられました調査会におきまして検討されたところでございます。

 先生から御指摘がありましたアメリカのクラスアクションにつきましてでございますが、アメリカのクラスアクションの特徴といたしまして、まず一点目、原告適格、制度の担い手でございますが、これは被害者であれば誰でも原告となり得るというふうに理解しております。原告適格を限定し、行政監督下に置く場合に比して、制度の適正な運用が確保しにくいのではないかというふうに考えております。

 それから第二点目、対象となる請求ないし損害が限定されていないということがございます。ですから、製造物責任、拡大損害などが対象になってまいります。それから、米国につきましては懲罰的賠償制を採用しているということでございまして、損害額を大きく超えた支払いも認められるというふうになっているところでございます。以上ございまして、製造物責任訴訟などにおいては損害賠償額が高額化するという点が指摘されております。

 それから三点目でございますが、対象者をどうするか。当該手続から除外の申し出をしない限り、判決の効力が有利不利にも及ぶとするオプトアウト型、これを対象にしております。オプトアウト型についての検討につきましては、我が国では、憲法上の裁判を受ける権利の保障という点から問題があるのではないかという意見が大勢を占めたところでございます。

 以上のように多くの課題があるため、アメリカ型のクラスアクション、これについては本制度においては採用をしていないということでございます。これを踏まえ、本制度におきましては、原告適格を特定適格消費者団体に限定して厳格な行政監督の対象とする、それから対象となる請求権を限定し、拡大損害等を除外するということで不適切な訴訟を提起させる事態が起こることのないようにしているということで、二段階型のオプトイン型の訴訟制度を採用することにしたところでございます。

浦野委員 私、この法案の説明を受けたときに一番最初に思ったのは、先ほどの他の委員からの質問の中にもありましたけれども、今回の制度、法施行前の事案については対象外ということになっております。これは仕方がないことなのかなという反面、いや、私たちのこの件も、私のこの件も対象にしてくださいという話が必ず出てくると思います。

 こういう施行前の事案について、本制度において被害回復ができないような事案がこれから必ず出てくることが想定されますけれども、そういった場合はどのように対応されますか。

川口政府参考人 施行前の事案について適用しないというふうにしているところでございますが、先ほど大臣からも答弁をしたところでございますが、まず、通常の訴訟手続などの消費者の被害回復を図るための既存の制度、消費者の権利、これには一切触れていないということでございまして、個別の訴訟について対応するということは今までどおりということでございます。

 それから、裁判外紛争処理制度、ADRというものがございます。国民生活センターにも、法律によって整備された制度がございます。それから、全国各地に消費生活センター等がございまして、消費者庁においても、消費生活センターをさらにふやしていただく、私の町にも消費生活センターがあるという状態を実現すべく努力をしているところでございます。

 ですので、この法案が成立をいたしまして、施行後の事案について具体的な判決、解決がなされていくということになりましたら、その影響というものもADRや消費生活センターのあっせんにも及んでいくのではないかというふうに考えておりまして、その事実上の効力も活用しながら、裁判外の手続において妥当な解決がなされるよう、消費者庁としては体制整備をしていきたいというふうに考えているところでございます。

浦野委員 今、川口審議官がおっしゃったように、大臣が穀田委員からの質問の中の答弁で、既存の制度では被害の回復が困難な事案があるからこそ、この法案を出しているということだったと思うんですね。

 だから、これで救われない人たちは既存の制度で助けていくんだという答弁を恐らくされたんだと思うんですけれども、これは大臣がおっしゃっているのとちょっとそごが出るんじゃないかなと思うんですけれども、その点についてはどうですか。

川口政府参考人 法律において整備されるものにつきましては、現在説明しているものでございますので、適用範囲という問題については、施行後に契約をしたもの、あるいは加害行為があったものが対象ということでございます。

 そういう制度ができまして、具体的に共通義務についての判決があり、また、それについて具体的な解決がなされていくということになりますと、消費者が個々に持っている個別の訴訟をする権利、これはございますので、事実上、個別の訴訟で類似の判決を得る可能性が高まるということでございます。これは、今と変わる事実上の効力として期待されるところでございます。

 ただ、個別の訴訟に行けるという状態で、事業者が個別の訴訟を望むかというと、必ずしもそうではないわけでございますので、具体的な判決は、個別の事業者が特定されています。それから、対象も施行後の事案ということで特定されていますが、そういう本制度に基づく判決が出た暁には、類似の事案、施行前の事案についても同じような判決が出るという可能性が高まるわけでございます。

 そうした状況を、事業者、消費者、双方理解した上で、今までの制度を活用したADR、あっせん等も今まで以上に円滑に進むのではないかというふうに期待しているところでございます。

浦野委員 そうであればいいんですけれども、ちょっと心配かなというふうに私は思っています。

 余談になりますけれども、例えば、最近またちょっとニュース等で出てきております安愚楽牧場なんかは、この法案が事件が起きたときに成立していた場合は、これは対象になり得るような事案だったんでしょうか。

川口政府参考人 お答え申し上げます。

 安愚楽牧場事件そのものにつきましては、現在、事案の解明が行われているところでございますので、本件が対象事案となるか否かについて断定的にお答えすることは差し控えさせていただきたいというふうに考えております。

 ただ、事業者が実現困難な高利回りや元本保証をうたって、実際に顧客に現物を引き渡すことなく消費者に金銭を支払わせるといった商法、これはいろいろなところで今までもあるわけでございます。

 そうしたものについて考えますと、それが破綻必至の商法であるか否かという論点、あるいは不当な勧誘が行われたか否かということが問題とされる事案におきましては、消費者は、支払い金銭相当額について、幾つかこの法案で用意している制度がございます。

 一つは、不法行為に基づく損害賠償請求を行うということでございます。それからもう一つは、契約が公序良俗違反で無効である、これは民法九十条に基づいて主張し、あるいは、先ほども議論になりましたが、民法九十六条に基づく詐欺、あるいは消費者契約法に基づく不実告知もしくは断定的判断の提供等により、契約を取り消す。契約を取り消しますと、不当利得が発生いたします。この法律では、不当利得返還請求の道も対象にしております。

 これらの請求は、いずれも本法案第三条において、本制度の対象となる請求権として列挙しているところでございます。

 そこで、相当多数の消費者について同様に違法な取引が行われたこと等、他の訴訟要件を満たすのであれば、本制度の対象となり得るというふうに考えております。

浦野委員 消費者にとって、被害に遭われた方々にとって、自分の事案が対象になるのかならないかというのは非常に関心があると思うんですね。

 例えば、これからの法案ですから、これが通った後の事案にしか適用されない中で、今までいろいろな被害が起こってきています。では、こういう事案のときは、この法律があった場合はこうでしたよ、こういうときはこういうことになりますよというような、今起こっている過去のいろいろなものに対して、この法案が通った暁にはこういうふうな対応ができますよというわかりやすい説明を、やはり消費者に対する事例として具体的な何かそういうものをPRするというのは重要だと思うんですね。だから今、ちょっと安愚楽牧場の話を出させてもらったわけですけれども。

 消費者教育法ができて、消費者に対する教育というのは、この部分に関しても、この間のアレルギーの部分でもそうでしたけれども、非常に重要だと思うんですね。周知方法に触れた質問と答弁がありましたけれども、これは私、ちょっと質問通告していないんですけれども、その中で、シンポジウムを活用するというお話がちょっとあったんですけれども、このシンポジウムの対象者というのはどういう方を想定されているんですか。

川口政府参考人 お答え申し上げます。

 シンポジウムにつきましては、現在の制度、適格消費者団体につきまして、既に類似のものを行っておるところでございます。

 その例を参考に申し上げますと、パネリストの方という意味では、実際の適格消費者団体の方、あるいは事業者団体の方、それから学識経験者の方、幅広い皆様に御参加いただいております。消費者庁の職員がパネリストの一人として呼ばれることもございます。

 それから、聴衆につきましては、本当に幅広い皆様に参加していただけるよう会場の確保等を心がけておりまして、御関心を持っていただく消費者の方、それから事業者団体の方、事業者の方、そういう方に御参加をいただきまして、その方がそこで知っていただいたことをまた持ち帰っていただいて、周りの方にもお伝えいただく、そういうことを心がけて、幅広い皆様の御参加を求めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

浦野委員 こういう新しい法律ができたときに、周知徹底というのはどんな法案でも非常に難しい場合があって、特に、広報とかそういうのに回す予算を削っている場合が結構あったりします。ネット選挙解禁法案の周知も、総務省の予算を見るとばさっと切られて、それでどないやって広報すんねんみたいな話が委員会でも出ていました。

 そういうことにならないように、特にこれは、消費者の皆さんがいかにこういう制度があるということを知るかということにかかわってきますので、これはやはり政府としてはかなり予算をかけてでも周知をしていただけたらなと思いますので、よろしくお願いをいたします。

 それでは、質問を終わります。

吉川委員長 次に、重徳和彦君。

重徳委員 日本維新の会の重徳和彦でございます。

 政府より提出されました消費者の財産的被害の回復のための団体訴訟制度、この法案につきまして質問させていただきます。

 今、浦野委員からも指摘がありましたように、これは、特定適格消費者団体がある種代表して訴訟を起こし、そして、それが広く消費者の利益につながるようにという、そういう法案ですので、一消費者目線からすれば、自分が一体対象になるのかならないのか、そこがはっきりわかるように伝えるということが非常に重要なところでありまして、それがうまくできない限り、泣き寝入りを余儀なくされていた消費者の皆さんの潜在的な被害というものをきちんと掘り起こすこともままならないんじゃないか、こういうふうに思います。

 そこで、これまでも議論になっておるところですが、まず確認をさせていただきたいんです。

 第一段階目で特定適格消費者団体が勝訴いたしました。それから、第二段階目における一般の被害者がここに参加をしていくということになるんですが、判決が出て、通知、公告をして、期日までに手を挙げなかった、そういう消費者の方はもう今回の訴訟の中では救済されないということになるわけですから、あとは個別に、自分も実はこういう被害に遭いましたということを訴訟を起こすしか方法がないのかどうか、この点について確認をさせてください。

川口政府参考人 お答え申し上げます。

 二段階目の手続において届け出をすることができなかった、あるいはしなかった消費者につきましてでございますが、まず、委員御指摘のとおり、本制度は、それらの消費者が本制度以外の方法によって個別に被害救済を図るということ、訴訟を起こすということについて何ら妨げるものではございません。個別訴訟や裁判外紛争解決手続、いろいろなものがございます。ADRでございます。それから、消費生活センターのあっせん等を活用することによって救済を図ることが可能でございます。

 消費者庁といたしましては、国民生活センターの裁判外紛争解決手続や消費生活センターや相談窓口の整備、これらについて消費者に対して周知をするなどいたしまして、また、判決が出た内容につきまして、これを国民生活センターや消費生活センターに周知をしていくということで消費者の被害回復を図ってまいりたいと考えているところでございます。

重徳委員 例えば、ある消費者が、五十万円の損害を受けたという方がいたとします。特定適格消費者団体が自分の五十万円分も含めて訴訟を起こして、訴訟で勝ってくれた。ところが、期日までに、五十万円損害を受けている方、被害を受けている方が手を挙げる、届け出をしそびれた、あるいは、何らかの形でそういう情報を知らなくて、しそびれた。しかし、それでも、今のお話ですと、裁判外の手続、すなわちADRなどの救済の方法がある、裁判じゃなくてもですね。

 やはり、裁判というのは物すごくハードルが高いですよね。時間もかかりますし、弁護士費用もかかるということで、なかなか手が届かないわけです。今回はそのための団体訴訟なわけですから、それを補完するためにも、手を挙げなかった方に対して、例えば五十万円という被害額を、これはまともな会社が相手だったとします。もうどこかへ逃げちゃったとか潰れちゃったとか、そういうことなしに、一応弁済する能力がある会社があって、そこに自分の五十万円分を取り戻したいと。

 国民生活センターのADRの制度を活用した場合、証拠を出さなきゃいけないとか、手続だとかコストだとかいろいろかかると思うんですけれども、一体、今の仮定条件においてどのぐらいのコストなどなどがかかるのかについてお答えいただければと思います。

野々山参考人 お答えさせていただきます。

 国民生活センターの紛争解決委員会における紛争解決手続におきましては、手続そのものに係る費用というものは無料であります。また、証拠とかさまざまな主張についても、委員の方で、あるいは事務の方でサポートをさせていただいております。

 ただ、当事者の方が期日の際に当センターに来訪いただく際の交通費であるとか、あるいは手続の際に当センターに提出していただく書面等の通信費につきましては負担をしていただいているところであります。

重徳委員 要は、交通費と通信費ぐらいしかかからないと。例えば五十万円を取り戻すために、ぴたっと同じ事例であれば、書面を添えて送って、交通費だけで、だからもう本当に一万円、距離によりますけれども、一万円とか二万円とかを払えば、スムーズにいけば残り四十八万円は取り返せる、そういうことでしょうか。

野々山参考人 回収できる金額につきましては話し合いの結果によると思いますけれども、費用としては、負担としてはそのとおりであります。

重徳委員 わかりました。

 それで、他方の懸念が私はあると思うんです。

 今のように、自分も全く同じケースだということが明らかであって、そのとおり順調にいくケースならもちろんいいんですが、類似したケースなんだけれどもちょっと違うんだよなとか、あるいは、同じ会社、A商会という会社に対する訴訟で勝ったんだから、同じA商会に対してちょっと別の被害を受けているんだけれどもというのは、恐らく乗れないんだと思うんですね。

 ですから、つまり、何が言いたいかといいますと、特定適格消費者団体からの通知、公告に当たっては、もちろん、まずは団体訴訟という仕組みがあって、特定適格消費者団体が何について勝訴したのかということを正確に伝える必要があるんですけれども、だからといって、やはり消費者の皆さんは一発聞けば完璧に理解するとは限らず、自分も何か似たような被害をその会社から受けているんだけれども、救済されなきゃおかしいんじゃないかというようなことをいろいろと言ってくる可能性だってあると思うんですね。

 例えて言えば、例え話なので余り現実的な話じゃないと思いますが、例えばハンバーガーショップで、ビーフ一〇〇%だよと言って売っていたビーフバーガーがあったとしますね。ところが、それがビーフ一〇〇%じゃなかった。これはひどいじゃないかというふうに訴えた、そういう人がたくさんいて訴えて、特定適格消費者団体が勝ったと。

 だけれども、その場合、では、ビーフバーガーはいいんだけれども、チーズバーガーはどうだ、あるいはポークバーガーだったらどうかとか、そういうところまできちんと伝えなければ、今回はビーフバーガー判決であって、チーズバーガーは対象外だとか、ポークバーガーはどうなんだとか、本当に仮定の話なのでわかりませんけれども、そういうことも、チーズバーガーまでは対象だけれどもポークバーガーは違うんだよとか、何か拡大損害だ何だという法律上のたてつけ以前に、今回の法律の枠組みでやったにしても、今回の訴訟がどこまでを対象としているのか、そういうことをきちんと伝えていかなければならない。

 つまり、濫訴、濫訴と言われますけれども、濫訴でなくても、やはり、もしかして自分も関係があるんじゃないかといういろいろな社会的な影響、これをトータルの社会コストというふうに言うとすれば、企業側からすれば一人当たりのビーフバーガーの損害なんというのは小さいものですから、これまではクレームの範囲で、苦情処理の範囲で済んでいたことが、ただでさえ団体訴訟になってどんと来るかもしれない。その上さらにチーズバーガーだ、ポークバーガーだとどんどん広がっていったら、もうこのハンバーガーショップは潰れてしまうぐらいの風評被害が生じてしまう可能性だってあるんじゃないかという意味では、両面あると思うんですね。

 確かに、ビーフバーガーにより損害を受けた方はみんな手を挙げてくださいときちんと通知、公告することも大事だ。だけれども、その被害というのはあくまでビーフバーガーだけであって、同じハンバーガーショップでもチーズバーガーとかポークバーガーは大丈夫なんだよという配慮も一方で必要なんじゃないか。

 まあ、今のは例え話なので、イメージをつかんでいただくためにハンバーガーの例を出しましたが、そういう意味で適切な通知、公告をどのようにお考えか。あるいは、風評被害、意図的にこういう訴訟をしかけてくるという勢力もあり得なくはないということも言われております。ですから、そういった意図的な制度の悪用を防ぐ、風評被害を防ぐ、このためにどのような対策を講じることができるのかについて御答弁をいただけたらと思います。

川口政府参考人 先生から二つの質問をいただいたと思いますので、私は、通知の方について御説明をさせていただきます。

 本法案におきます手続におきまして、第一段階で、共通義務ということを裁判所により判決で確定をさせます。これにつきまして、団体の方は、この法案の二十五条に書いてございますが、その判決の内容、共通義務確認訴訟の確定判決の内容につきまして、具体的に個々の知れている消費者、わかっている消費者のところに通知すると同時に、世の中に広く公告をするというふうにしております。

 これについて、事業者の方でも、それから裁判所の方でも公告をするという仕組みにしておりますので、具体的な共通義務の範囲、これはしっかり第一段階で確定しておりますので、それを正確に通知、公告をしていくということが団体の義務というふうになっているところでございます。

 一点目についてお答えいたしました。

森国務大臣 今の審議官の答弁を補足させていただきますと、通知、公告もそうなんですけれども、この制度自体を広く国民の皆様に御理解をいただくような説明をしっかりして、風評被害の防止に努めてまいりたいと思います。

 また、二点目ですけれども、企業の潰し合いに利用される、そういうおそれもあるんじゃないかということでございますが、これについては、本制度においては不当な目的でみだりに共通義務確認の訴えを提起することを禁止しておりますので、いわゆる風評被害を狙って企業の潰し合いのために利用するというものは禁止をされております。

 また、消費者契約法においても、事業者からの独立性の確保や団体の意思決定に対する特定の者からの不当な干渉排除のために適格消費者団体の認定要件を設けております。さらにそれに加えて、本法案においても、事業者からの独立性の確保、そして団体の意思決定に対する特定の者からの不当な干渉排除のための要件を設けております。

 それゆえ、御指摘にあったようないわゆる風評被害を狙ったり、企業の潰し合いに利用されないようにしておりますし、そういったことをもし提起した場合には、消費者庁において改善命令の対象となり、場合によっては特定認定の取り消しの措置を講ずることができることとしております。

重徳委員 ぜひとも、適切な運用、法律の執行を心がけていただきたいと思います。

 次に行きたいと思うんですけれども、また一消費者目線からすると、実際に困っている一般市民がこの団体訴訟に行き着くまでに、まず、一体どこに行って、その情報がどう伝わって、そして訴訟につながっていくのかということについて少し確認していきたいと思うんです。

 特定適格消費者団体になり得るような今の現行の適格消費者団体の数というのは十一しか全国にありませんね。ですから、一般市民にとって、裁判所も遠いけれども、適格消費者団体も遠いし、国民生活センターも日本に一つしかない。そういう意味では、各市町村に置かれた消費生活センター、これがやはり一番身近な窓口になるんじゃないかと思うので、この訴訟、団体訴訟につながるいわば第一歩はやはり消費生活センターになるのではないかと思うんですが、このイメージは正しいでしょうか。

川口政府参考人 消費者庁といたしましては、特定適格消費者団体が発足、認定された後には、その役割をしっかり周知していきたいというふうに考えておりますが、日常的には消費生活センターに相談をするというのが一般的であろうかというふうに思います。

 現在、平成二十四年の段階で、七百二十四カ所、全国に消費生活センターがございます。認知度も八一・七%に上るということでございますので、この消費生活センターとの連携をしっかり図っていただく。

 適格消費者団体に消費生活センターから情報提供をしていただく、国民生活センターがPIO―NETなどの情報をもとに情報提供をするということが大事だと思いますし、それから、適格消費者団体と市町村の消費生活センター等が今連携を具体的に図っているところもございますので、特定適格消費者団体というものが認定された暁には、さらに一層の連携を図っていただきたいというふうに考えているところでございます。

重徳委員 今、七百二十四センターあるということで、全国津々浦々にある消費生活センター、ここがしっかりと連携するというふうにおっしゃいましたけれども、この連携という言葉が怪しいんですよね。日本の組織は大体縦割りですから、大体連携できないんですよ。

 具体的に、PIO―NETというお話がございました。でも、やはり消費生活相談員の方も、弁護士さんではないですから、訴訟の経験がそんなにある方は非常に少ないと思います。そういう意味では、適格消費者団体との日常的なやりとりだとか、感覚的にちょっとやはり違うとか、同じ相談が来ても、これは訴訟に持ち込めるものなのか、そうじゃないのか、あるいは、さらに言うと、うちの町には一件しか被害がない、だけれども、ほかの市町村にそれぞれ少しずつあって、では全国的にどうなんだということを把握するというところから、PIO―NETをうまく利用すればそういうこともできるということなのかもしれませんけれども、では、このPIO―NETについて少しお聞きしてみたいんです。

 まず、PIO―NETは、個人情報なんかも含めた、あるいは企業情報なんかも含めた全ての情報を閲覧できるのは、行政とか消費生活センターとか国民生活センター、そういうところに限定されていると思うんですね。特定適格消費者団体は、全て自分の自由に、自在に閲覧することはできないという話を聞いているんですが、このあたりの事実確認をさせていただきたいと思います。

川口政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のように、PIO―NETを直接閲覧できる者ということは、国民生活センター、消費生活センター、それから行政の一部というふうに限られているところでございます。

 現在でも、裁判所の調査嘱託等の回答、あるいは適格消費者団体からの要請に応じまして情報提供するということはございますけれども、個人情報に配慮するということでございまして、もともと、氏名、住所等の個人を識別する情報はPIO―NET自体に入っていないわけでございますが、具体の事案につきまして全て出してしまうということになりますと、地方などにおいては具体の個人が識別されかねないということがございますので、詳細につきまして、個人情報が特定されないように黒塗りをするなどして、必要最小限度の提供をしているというのが現状でございます。

重徳委員 やはり、この辺の話に具体的になってくると少しずつ歯切れが悪くなってくると思うんですね。

 具体的な、個別の、誰がどの企業との契約に基づいて、どれだけ被害があって、どれだけ消費生活センターで解決されたのか、そして、そこから先は訴訟、裁判に持ち込まなきゃいけないのか、こういうところが、PIO―NETを見るだけでは適格消費者団体の方には全然わからないわけですから、そういういろいろな請求を、要請をすればある程度の情報は見られるんだと言っても、一々個別のことについて、これは怪しい、これはどうだということをやりとりするのも本当に大変なことでありまして、やはり、こういうPIO―NETを通じた一次情報の集約、整理というものをきちんとできるような、個人情報を含めた、個人情報も本当にいつも問題になりますね、守らなきゃいけない、守らなきゃいけないということで、逆に活用することが全然できない、災害のときも困っちゃう、いろいろなときに困っちゃうケースがたくさんあります。

 ですから、こういう個人情報の保護、非常にセンシティブな問題だとは思いますが、こういったことも一つ一つ乗り越えて改革していかなければならないということで、PIO―NET改革に今消費者庁が取り組まれようとしているというふうに伺っております。このPIO―NET改革につきまして、最後に大臣の御決意をお伺いしたいと思います。

森国務大臣 私はPIO―NETがない時代から消費者弁護士をしておりますけれども、そのときは紙でやっておりまして、前近代的でありましたけれども、PIO―NETができて、大分、その時代よりは進みました。またさらに、それが行政機関からのぞけない時代もあったんですね。私は金融庁におりましたけれども、金融庁で、消費者被害があるときに、それを担当課長補佐がのぞけない。これは何だということで、今一部、消費者に関係する行政からはのぞけるようになっております。

 そのように少しずつではありますが進んできておりまして、今、PIO―NETも私のもとで改革を進めておりまして、随時報告をさせているんですけれども、今言ったような黒塗りの方法でありますとか、それから入力の速度のスピードアップ、やはりこれをしないといけませんので、そういったことを克服すべく、今全力で改革を進めているところでございます。そして、それを適格消費者団体に有効に活用していただくように、さらに検討を進めてまいりたいと思っております。

重徳委員 もちろん、企業情報、個人情報、本当に機密にしなきゃいけない情報もたくさんあると思いますので、十分御配慮の上、適切な法律の運用がなされることを期待申し上げます。

 以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

吉川委員長 次に、椎名毅君。

椎名委員 こんにちは。お昼になってしまいましたけれども、頑張ってまいりたいと思います。みんなの党の椎名毅でございます。

 本日も、先週に引き続きまして、消費者の財産的被害の集団的回復のための集団訴訟の法律案に関して質疑を、三十分いただきました。まことに感謝を申し上げたいと思います。

 先週、森大臣から、この法案の審議に一貫して参加をするようにというお誘いをいただいたので、私椎名毅、不肖ではございますけれども、参加をさせていただくようお願いをさせていただきました。どうかお手やわらかにお願い申し上げます。

 先週に引き続き、本案で新たに提案しております訴訟形態が、事業者側の懸念を潰していくという観点から、事業者に対して過度の影響を及ぼさないかという観点で質疑をさせていただきます。

 先ほど、共産党の穀田委員の質問に対して、大臣から、本制度は日本経済に対する悪影響がないと明言をされておりました。質問に入る前に、これについてちょっと一言だけ申し述べたいと思います。

 先週の私の質疑に対して、消費者庁の担当の方とそれから経済産業省の担当の方から明らかにしていただいたとおり、定量的な分析自体はされていないということなので、少なくとも悪影響がないと明言をされるからには、ぜひ定量的な分析を出していただきたいなというふうにお願いを申し上げたいところでございます。先週、私が御開示申し上げたとおり、日本経済にインパクトがあるというシミュレーションも出ているところでございますので、ぜひ数字には数字で反論していただきたいなというふうに思う次第でございます。

 それから、本論に入りたいと思います。

 まず第一に、附則二条について伺いたいと思います。

 先ほど、自民党の金子委員からも質疑されていたところだと思いますけれども、遡及的適用というふうに表現をするかどうかについて異議のあるところだというのは理解をしておりますが、便宜上、そのように呼ばせていただきます。

 本法案提出以前に事業者側から主に懸念されている論点として提示されてきたことに、遡及的な適用、過去事例に対する本法の適用ということがずっと指摘されていたと思います。事前の消費者庁の説明では、民事訴訟制度の特例にすぎないので既存の実体法関係には影響を与えないというふうにずっと説明をされてきたと伺っておりますが、本法案を提出する直前でこの附則二条を入れていただきまして、一応事業者側の懸念に対して配慮をしていただいたということは理解をしております。その内容について、一応突っ込んで伺ってまいりたいと思います。

 基本的には、この附則二条の規定を読みますと、契約上の債務履行請求、それから不当利得に関する請求、そして債務不履行損害賠償請求、瑕疵担保請求については、施行前に締結された消費者契約には適用されないとされております。これに対して、不法行為については、施行前に行われた加害行為については適用されないというふうに明言をされているところでございます。

 これは裏を返すと何かというと、不法行為に関する請求は、本法施行前に締結された消費者契約に関する請求であって、施行後に行われた加害行為に係る請求というものは含むということに、恐らく、素直に読めばなるんだろうというふうに思います。

 大臣も弁護士であられますので御理解いただけるかと思いますけれども、同一の請求原因事実について請求権競合ということが起きることはよくあるわけでございます。債務不履行による損害賠償請求と不法行為の損害賠償請求というのが、請求権競合というところで、同じ請求原因事実に対して法律構成を変えて請求することができるというのは、法律家であれば普通にわかることかなというふうに思うところでございます。

 それで伺いたいんですけれども、施行前に締結された消費者契約に関連して、施行後に起きた事実について、債務不履行解除を行って不当利得返還請求をする場合、債務不履行に基づく損害賠償を請求する場合、それから不法行為に基づく損害賠償を請求する場合、これは普通に考えられる話かなというふうに思いますが、こういうことについて、この附則の適用関係について教えていただければと思います。

森国務大臣 通常は同時期である場合が多いとは思いますが、お尋ねのような、施行前に契約が締結をされ、そして施行後に加害行為が行われた場合、その場合は、その加害行為は施行後に行われておりますので、不法行為に基づく損害賠償請求権が立ちますので、それについては本制度が適用されるということになるというふうに思います。

 請求権競合について今お尋ねがありましたけれども、請求権が競合している中で、施行後に請求権が立っているものがあれば、その部分については本制度で請求できる、そういうことになります。

椎名委員 ありがとうございます。

 済みません、もう一回確認なんですけれども、その場合、要するに、法律構成として、施行前に締結された消費者契約について、施行後に発生した原因事実で、不当利得、債務不履行損害賠償請求、それから不法行為と、どれを選択してもいい状況というのは恐らくあるだろうと思うんですけれども、この場合は、不法行為については請求できちゃうということになるんですか。

森国務大臣 そのとおりでございます。

椎名委員 正直、それはそれで結構困った回答だなというふうに思うところでございまして、事業者の側からすると、基本的には、施行前に締結された消費者契約に係る請求については、加害行為というか、請求原因事実が施行後に仮に起きたとしても、一律に遡及的に適用されないようにしていただきたいというのが正直なところかなというふうに思う次第でございます。

 次に伺いたいと思います。

 先日、消費者団体の方々とお話をさせていただきました。それで、私から質問をさせていただいたんですけれども、基本的にはADRという制度もございます、それから集団訴訟という観点でいうと、薬害エイズ、薬害スモン、それからイレッサとかみたいに集団で民事訴訟を行うというプラクティス自体は現在一応ワークはしている、その中でなぜこの制度がそれでも必要なのかみたいな質問をさせていただいたときに、本制度が新しくできることによって訴訟前での解決が進むというふうにおっしゃっていただきました。

 すなわち何かというと、結局、最終的に訴訟に訴えられるということを懸念するがゆえに、訴訟前解決であるADRの応諾が進むのではないかというような見通しを立てていらっしゃったわけでございます。

 そうすると、半ば強制されるというか、そういうインセンティブを事業者側が持つことによってADRでの解決が進むのではないかというような見通しをおっしゃっていましたが、消費者庁として、それから大臣として、どのようなお考えでいらっしゃるか、教えていただければと思います。

森国務大臣 私は、応諾が進むというふうに思っております。

 良質な事業者さんの場合は現在でもADRの応諾はしていただいております。問題は悪質な事業者さんの場合でして、ADRは御存じのとおり当事者の合意がなければ成立しないわけでございますので、こちらの方にそもそも出てこないという場合があるんですけれども、これについて、やはり、本制度が導入されることによって応諾をする方のインセンティブが働くというふうに思っております。

椎名委員 どうもありがとうございます。

 悪質か良質かという話はこの間もさせていただいたので余り突っ込むつもりはないんですけれども、一言だけ申し上げると、消費者庁のこのいただいた資料にも書かれておりましたけれども、某英会話学校の入学金返還に関する事件なんかでもあったかと思います。ああいう人たちも、最初は多分良質な業者だったんですよ。運用が変わってくることによって、だんだんだんだん怪しい方向にもしかしたら向いていったのかもしれないということもあるので、なかなか良質か悪質かというところについてはそんなに明確に区切れないんじゃないかなというのが私自身の個人的な感想です。

 それで、本論について一応コメントを申し上げますと、訴訟前にADRの解決というのが行われると、個別の消費者との関係で、一応その事業者が個別にADRで和解のような解決をしていくと、これが、将来起きるかもしれない消費者訴訟、集団訴訟において、いわば非を認めたというか責任を認めたというか、そういうふうに証拠としてとられかねないなというのがやはりありまして、なかなか、この制度ができたからといって、訴訟前解決としてADRによる非訟的な解決というのがすごく進むわけでもないんじゃないかなというふうにちょっと懸念をするところですけれども、もしコメント等あれば、いただければと思います。

川口政府参考人 ADRにつきましては、先ほど大臣から答弁を申し上げたとおり、両当事者の合意がなければ始まらない、解決に至らないという問題もございますが、他方、委員御指摘の、責任問題について曖昧なままでも解決に至るというメリットもあるわけでございます。

 ですから、ADRに応じたという、そのときに丁寧に事業者の方も合意条件を詰めるというふうに思いますけれども、それは、必ずしも責任を認めたわけではないけれども、総合的に考えてお支払いに応ずるというようなあり方も、あっせん、あるいは国民生活センターのADR等で数多くなされているというふうに思いますので、その点については、ADRに応じたから責任を認めたというふうには必ずしもならないのではないかというふうに考えているところでございます。

椎名委員 ありがとうございます。

 和解の内容の話については後で聞こうかなというふうに思っていたところでありますけれども、一応その事実として確認しておきたいんですけれども、ADRであれば、要するに責任があるなしを認めない上で解決金という名目でお金を払うという解決方法ができる。それから、瑕疵担保等に関しては、責任、無責任は関係なく、お金の支払いではなく瑕疵修補等の和解ができるという理解でよろしいか、一応事実だけ確認しておきたいと思います。

川口政府参考人 先生御指摘のADRについて言えば、さまざまな解決が認められますので、解決金あるいは瑕疵修補、いろいろな内容につきまして、両当事者が合意をすれば、それが認められるということでございます。

椎名委員 ありがとうございます。

 ADR、今おっしゃっていただいた、和解解決の方法に多様性があるというところが一番いいところだと私自身も思っておりますので、これの活用が進んでいけばなというふうに私自身は思っておるところでございます。

 次に参りたいと思います。

 本法五十六条以下に仮差し押さえの規定があるわけでございます。これは、先日、民主党の郡先生からも指摘された部分と重なる部分もあるかなというふうに思いますが、一応、確認のために伺っておきます。

 仮差し押さえなんですけれども、債権額が基本的に特定できない状況の中で、第一段階の債権を保全するために仮差し押さえを行っていくことができるという制度なんだというふうに理解をしております。

 その中で、こういった仮差し押さえを認めることによって、事業者の資産それから資金等の流動性に関してどの程度影響があるかというところについて、差し押さえをかけられることによって、資産それから資金にどんな影響があるかといったことについてはどの程度御検討されていらっしゃるか、教えていただければというふうに思います。

森国務大臣 仮差し押さえ制度は、債務名義を取得したときにはもう財産が散逸してしまっていた、それで被害の回復が図れないということを避けるために、一般的に、既に民事保全法によって、我が国の民事訴訟制度において認められているものです。

 本制度においても、同じような必要性、目的のために、それに見合った特則を置いておりまして、一般のときと同じように、裁判所に権利の存在とそれから差し押さえの必要性について証拠を示して、裁判所に認めてもらわなければできないということに変わりはございません。また、担保も立てなければなりませんので、現行の民事保全法と全く変わりはございません。

 ですから、第一段階のときも、きちんと疎明をしなければならないので、その金額が青天井になるということはございませんので、企業活動に不相当な影響を与えることはないというふうに考えております。

 特に、債権の額でございますけれども、そもそも、いわゆる拡大損害や逸失利益、人身損害、慰謝料等を除くことにしておりますので、請求金額はおおむね、支払い済み代金相当額掛ける被害者の数となっておりますので、事業者に対して不相当な影響を与えることにはならないというふうに考えております。

椎名委員 ありがとうございます。

 支払い済み代金額掛ける人数というのがおおむねの目安だというのは十分理解をした上で、先ほど大臣が図らずもおっしゃっていただいたとおり、仮差し押さえについては疎明で足りるというのが一般的な訴訟実務だと思います。ここの疎明というのは、一応明確にしておきますと、訴訟で要求されるような厳格な証明は要らない、裁判官が一応これは本当らしいなと推測していいような状態に達するような証拠を提出するという立証活動ないしその証明の程度というのが疎明ということでございます。

 この第一段階訴訟については、基本的に、背後にどのくらいの消費者がいるか、いまいち正直よくわからないというのと、ずっと指摘をされておりますけれども、本来であればという表現は正しくないかもしれませんが、潜在的に眠っていた権利者が、ほとんどリスクなくお金をもらえるという事実を知った瞬間からわらわらと寄ってくる人たちというのがおりますというか、そういう方々がおると想像されておりますので、その掛ける人数の部分について合理的に推測することがなかなか難しいという部分なんだと思います。

 そういった関係で、事業用の資産について、それから事業用の資金について仮差し押さえができるといって、恐らくそんな大した金額にはならないから大丈夫とおっしゃっておりますけれども、その辺も、人数の予測が立たないというところからすると、なかなか難しい部分はあるんじゃないかなというふうに私自身は思っております。

 あと、担保の話なんですけれども、担保を立てなきゃいけないから、不当に過大な債権額で仮差し押さえなんかしないから大丈夫みたいな話はございましたが、その点については、これもちょっと後ほど質問しようかなというふうに思っておりましたが、先ほど民主党の大西委員も指摘されていた部分ではございますけれども、特定適格消費者団体に対して、訴訟ファンドみたいな形で、お金を突っ込んでリターンを求めてくる人たちというのがこの世の中には存在しているわけでございます。

 先ほど大臣は、大西委員の質問に対する答弁で、訴訟ファンドからの借り入れは排斥されると明言されておったわけです。それは不当な目的だからというような趣旨だったかと思いますが、でも、適格消費者団体による訴訟というのは、あくまでも不当な目的ではやはりないわけですよ。消費者の被害回復という目的のために行うわけです。その裏についている投資家というのが別の目的をも持ち合わせているということにすぎないのであって、必ずしも不当な目的だから訴訟ファンドが排斥されるというわけでもないんじゃないかなというふうに私自身は思っております。

 そう考えると、担保の金額についても、借り入れ等で対応するということがあれば、要するに、事業用の資産に対する不当な制約にならないんじゃないかなということに対する反論としては何か十分ではないように私自身は感じますけれども、もし、コメント等あればいただきたいと思います。

川口政府参考人 先生の御指摘の前半部分について補足させていただきたいと思います。

 訴訟ファンドでございますけれども、訴訟ファンドにつきましては、一般に、訴訟の当事者に対し、第三者であるファンドが訴訟費用を提供し、勝訴の場合には請求が認められた額の一部を報酬として当該ファンドに支払うものということかというふうに理解しております。

 本件、本特定適格消費者団体について、これについて対応ができないという理由は幾つかございますが、そのうちの一つといたしまして、報酬規制を条文上入れております。

 団体が消費者から受け取る報酬及び費用について上限の規制を設けるようにしておりまして、それにつきましてガイドラインで明確化しようということでございます。必要不可欠な訴訟費用、弁護士費用、団体報酬で占められるということでございますので、訴訟ファンドに対して支払う報酬を捻出する余地はないということで、ファンドが成り立たないということでございますので、ファンドによる資金提供がされること自体が想定されないというふうに考えているところでございます。

椎名委員 訴訟ファンドから単なる貸し付けなんだと思うんですよ。という意味でいうと、利子の利払いと元金の支払いなので、なかなかちょっと、おっしゃっているところが妥当しないんじゃないかなというふうに私自身は考えますね。この議論を続けているとちょっと時間もないので、次に行きたいんですけれども。

 次の質問なんですが、原告適格に関連いたしまして、現在、十一の適格消費者団体というものがございます。これについて、適格消費者団体の数が十一しかないということで、かつ、今回、本法に基づいて特定という要件が加わるということによってさらに要件が厳しくなる、だから濫訴のおそれはないということをおっしゃっていただいていると思います。一定程度、私自身は理解は基本的にはしております。ですが、短期的にというより中長期的な見積もりというのは、やはり考えておった方がいいんだというふうに私自身は理解をしています。

 その中で一応確認をしておきたいんですけれども、ことしの、平成二十五年度の予算ですが、「国と地方とのコラボレーションによる先駆的プログラム 暮らしの安心・地域活性化による日本経済再生 「地方消費者行政活性化基金」の上積み」ということで、五億円、ファンドが入れられております。この中で、適格消費者団体設立の促進という項目が入っておるわけでございます。

 基本的には、消費者庁としてもやはり、この適格消費者団体というものの数はふやしていこうという発想なんだろうというふうに思っておりますけれども、中長期的な見積もりとしてどういうふうにお考えなのか、教えていただければというふうに思います。

松田政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生から御指摘のございました、二十五年度予算におけます地方消費者行政活性化基金の仕組みを活用した「国と地方とのコラボレーションによる先駆的プログラム」、これが五億円なわけでございますけれども、このメニューは、風評被害の防止あるいは事業者と消費者との協働支援、消費者教育展開、それから悪質業者による被害の防止の強化、五点目がこの適格消費者団体設立の促進でございまして、全体五億円のうち、今、一次交付決定しておりますのは、四県から適格団体の関係の促進のモデル事業を、今、要望がございまして、一千万余というのが実際のモデル事業の経費でございまして、五億円を適格団体に入れるということでは決してございません。

 ただ、いろいろな意味で、先ほど来議論が出ておりますように、適格団体が偏在しているんじゃないか、そういった中で、やはり地域におけるそういう設立のムードというものもまた歓迎したいということで呼びかけましたところ、今四県から提示がある、こういったことでございます。

 なかなか直接的な支援というものは、先ほど来出ておりますように、経理的基礎をしっかり持ったものでなければならないということで、そういう環境整備的なものに今後とも国は支援をするということがやはり重点になろうかと思いますが、直接的に中期的展望としてどういうことがあるのかと言われますと、ちょっと今の段階で申し上げられる材料を持ち合わせておりませんことを御理解いただきたいと思います。

椎名委員 ありがとうございます。

 現時点で四県の申し入れがあるということであれば、今後またふえていくということもあるのかなというふうに思っております。

 私自身は、別に、濫訴のおそれがあるという言葉を自分の言葉で言ったことは余りないんですけれども、そういう意味で言うと、そこについてすごく懸念しているというわけでは正直ないんです。ただ、将来的に、悪用とまでは申しませんけれども、別の用途で活用される可能性があるということについてやはり懸念をしているというのはあるかと思います。

 それで、やはり数がふえていくと、今現状存在している適格消費者団体の方々とは違う類いの方々が適格消費者団体をつくり始めるということについて、私自身は懸念を示したいというふうに思います。

 今現状、適格消費者団体をやられている十一団体の方々が手弁当で非常に一生懸命消費者の被害の回復のために努力をされているということは、私は十分理解をしているつもりでございます。本当に尊敬すべき弁護士の先生方、尊敬すべき消費者団体の方々だというふうに私自身は理解をしています。

 ただ、今後、要するに数がふえてきたときに、例えば、今現在、クレサラ弁護士というふうに表現をしてしまいますけれども、要するに、過払い金訴訟を一つのビジネスチャンスとしてにらんで、この過払い金訴訟をやるために、もう本来的には解決をして全部お金を支払い終わった人たちまで需要の掘り起こしをしている、そういった弁護士の方たちが正直いらっしゃいます。そういった方々がこういった団体をつくって入り込んでくるということについて、私はすごい懸念を示しております。

 時間もないので、次の質問に行きたいと思いますけれども、実は、本法律七十一条に合併、それから七十二条に事業譲渡というものが存在しております。合併、事業譲渡に関しては、基本的に、合併先それから譲渡先は相手方も特定適格消費者団体なんです。しかし、適格消費者団体については、基本的にNPO法人という形態をとっていることが多いので、NPO法人の出資持ち分の全部譲渡という形態によって、事実上、理事というか経営権というか、そういったところについてテークオーバー、経営権をとっていくという発想は基本的にはあり得るんだろうというふうに私自身は思います。

 御承知かどうかはわかりませんけれども、グーグルで検索してみると、実は、会社売買サイトというのが世の中には存在しております。この会社売買サイトの中では、許認可つきの会社というのが物すごい高値で売られています。さらには、NPO法人については、人気のNPO法人とかいうふうに書かれて売られているんです。このサイトには登記事項証明書がPDFか何かで添付されており、事業概要なんかが載っていて、何百万円みたいな形で普通に通販みたいな形で売られているんです。要するに、こういったサイトの中に適格消費者団体みたいなものが載るということも中長期的には考えた方がいいと僕は思っておるわけです。

 そういった観点から、世の中のマーケットの視点という観点から、適格消費者団体のMアンドAというか、合併、買収といったところについてどういった考え方をしているのか、ぜひ教えていただければというふうに思います。

川口政府参考人 御質問でございますが、まず御懸念の点、本来、消費者の利益の擁護の促進ということとは違う目的で活動をしている人が特定適格消費者団体を事実上支配するようなことになってはいけないという点につきまして、まず、そうしたこともありまして、認定要件の一つといたしまして、六十五条の第四項でございますが、「差止請求関係業務を相当期間にわたり継続して適正に行っていると認められること。」ということで、認定段階で適格消費者団体として実績があるということを要求している。これは先生の御懸念に対応したものでございます。

 また、合併と譲渡につきまして、七十一条、七十二条で規律を設けているところでございますが、これは、特定適格消費者団体は、特定非営利活動法人または一般社団・財団法人であることを前提とした上で、これらの法人において合併や事業の譲渡が行われ得るということ。実例があるわけではございませんけれども、あるということで、念のため用意したものということでございます。

 実際にそういうことが行われる場合においては、内閣総理大臣に報告をするということを義務づけておりますので、こういうようなことになりましたら、消費者庁の監督については、特にいろいろな権限を設けておりますので、十全に働かせて、不適切なことにならないように十分監督してまいりたいと思います。

 なお、適格消費者団体についても同様に、合併や譲渡に関する規律を設けておりますが、制度の施行後、現在に至るまで活用された例はないというふうに承知しております。

椎名委員 時間がなくなりましたので、これで終わりますけれども、一言だけ、一言と言っても、ちょっと長くなっちゃうかもしれませんが、まとめておきますと、クレサラ弁護士も、消費者のためといって活動しているんです。ただ、裏に自分たちの利益のためというのをもう一つ目的として持っているだけなんです。なので、目的という意味でいうと、消費者のためという目的は必ず誰しも持っているんですよ。なので、目的という要件で外れるという考え方はちょっと甘いと僕は思います。

 それから、合併と事業譲渡というところについてお答えをいただきましたが、多分、一番問題なのは、法人の全部出資持ち分の取得であって、事実上の経営権の取得なんだというふうに私自身は思います。その点についてもぜひ御検討ください。よろしくお願い申し上げます。

吉川委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時三十二分散会


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