衆議院

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第7号 平成25年12月3日(火曜日)

会議録本文へ
平成二十五年十二月三日(火曜日)

    午後一時三十分開議

 出席委員

   委員長 山本 幸三君

   理事 泉原 保二君 理事 大塚 高司君

   理事 北村 誠吾君 理事 永岡 桂子君

   理事 原田 憲治君 理事 郡  和子君

   理事 重徳 和彦君 理事 古屋 範子君

      青山 周平君    秋本 真利君

      穴見 陽一君    池田 道孝君

      池田 佳隆君    小倉 將信君

      大串 正樹君    鬼木  誠君

      金子 恵美君    神山 佐市君

      小島 敏文君    新開 裕司君

      助田 重義君    田畑  毅君

      田畑 裕明君    高木 宏壽君

      武井 俊輔君    豊田真由子君

      野中  厚君    比嘉奈津美君

      福山  守君    藤丸  敏君

      藤原  崇君    堀井  学君

      堀内 詔子君    宮崎 謙介君

      宮崎 政久君    務台 俊介君

      山田 美樹君    湯川 一行君

      泉  健太君    大西 健介君

      篠原  孝君    武正 公一君

      中根 康浩君    上西小百合君

      河野 正美君    東国原英夫君

      國重  徹君    浜地 雅一君

      三谷 英弘君    穀田 恵二君

      青木  愛君

    …………………………………

   国務大臣

   (消費者及び食品安全担当)            森 まさこ君

   内閣府副大臣       岡田  広君

   農林水産副大臣      江藤  拓君

   内閣府大臣政務官     福岡 資麿君

   政府参考人

   (内閣府消費者委員会事務局長)          小田 克起君

   政府参考人

   (消費者庁次長)     山崎 史郎君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    川口 康裕君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    菅久 修一君

   政府参考人

   (農林水産省消費・安全局長)           小林 裕幸君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           大庭 靖彦君

   衆議院調査局第三特別調査室長           清水  敦君

    ―――――――――――――

委員の異動

十二月三日

 辞任         補欠選任

  田畑  毅君     助田 重義君

  豊田真由子君     野中  厚君

  比嘉奈津美君     福山  守君

  藤丸  敏君     新開 裕司君

  務台 俊介君     神山 佐市君

  山田 美樹君     青山 周平君

  泉  健太君     篠原  孝君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     池田 道孝君

  神山 佐市君     務台 俊介君

  新開 裕司君     藤丸  敏君

  助田 重義君     湯川 一行君

  野中  厚君     豊田真由子君

  福山  守君     比嘉奈津美君

  篠原  孝君     泉  健太君

同日

 辞任         補欠選任

  池田 道孝君     高木 宏壽君

  湯川 一行君     大串 正樹君

同日

 辞任         補欠選任

  大串 正樹君     池田 佳隆君

  高木 宏壽君     山田 美樹君

同日

 辞任         補欠選任

  池田 佳隆君     田畑  毅君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 消費者の利益の擁護及び増進等に関する総合的な対策に関する件(食品表示等問題)


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     ――――◇―――――

山本委員長 これより会議を開きます。

 消費者の利益の擁護及び増進等に関する総合的な対策に関する件、特に食品表示等問題について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府消費者委員会事務局長小田克起君、消費者庁次長山崎史郎君、消費者庁審議官川口康裕君、消費者庁審議官菅久修一君、農林水産省消費・安全局長小林裕幸君、国土交通省大臣官房審議官大庭靖彦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山本委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鬼木誠君。

鬼木委員 自由民主党の鬼木誠でございます。

 先日の当委員会における参考人意見陳述、大変有意義な時間であったと思います。本当に、お取り計らいいただきました委員長初め理事の皆様にお礼を申し上げたいと思います。

 その中で私が特に印象に残った言葉を引用しながら、大臣に質問をさせていただきたいと思います。

 まず、消費者団体の理事長である榎理事長のおっしゃった言葉、グローバル化で日本の食生活は貧しくなった、日本人の味覚は劣化したというお言葉がありました。私はこれに衝撃を受けました。

 確かに、いろいろなものが手に入る、安く手に入る。だけれども、百円ずしで売られている魚、マグロと思って食べている、喜んで食べている魚はアカマンボウであり、アワビと思って食べているものはロコガイであるという現実。

 グローバル化で日本の食生活は貧しくなった、日本人の味覚は劣化した、このコメントに対して大臣の御感想を伺いたいと思います。

森国務大臣 御質問ありがとうございます。

 榎参考人は、御指摘の御発言の前提として、食の多様性とか豊かさというのは一面ではあるということもおっしゃっておられたというふうに思います。

 我が国は、世界的に見ても多様な食生活の伝統がございますので、私は、こうした多様性、我が国のよいところを生かしながら今後も守ってまいりたいというふうに思っております。

鬼木委員 この問いは、非常に根源的な問い、豊かさとは何かという根源的な問いではなかったかというふうに私は思います。何でも食べられる、安く食べられる、だけれども、それが全体として日本の豊かさを生んでいるのかという疑問にはしっかり答えていく必要があると思っておりますし、この食品偽装の問題の中で議論されるべきところだと思います。

 戦後、日本は、給食でパンと脱脂粉乳を与えられました。そして、今、休日に子供たちが食べるものは、家族で食べるもの、外食はマクドナルドになっている。確かにカロリーは与えられました。しかし、豊かな米食が失われつつあるのではないかということを感じております。

 先ほど、多様性という答弁のお言葉がありました。大事なことだと思います。ただ、その多様性の中に、私は、真の豊かさというものが見出せなければならないと思っております。

 例えば、日本全国、地方に行けば、そこでしか食べられないものがあります。その地方で昔からとれ、そして、昔からの調理法で安心しておいしく食べられているものが日本じゅうにあります。こうした食文化の多様性が豊かさではないかと思います。私のいる福岡、博多でも、新鮮な魚、もつ鍋、ラーメン、めんたいこ、水炊きと、たくさんの山海の食がありますし、こうした自然、山、川、海、そして祭り、人情、食文化というものがあって日本の豊かさではないかと思うのでございます。

 今、「秘密のケンミンSHOW」というテレビが人気を博しておりますが、こうした番組が人気なのも、地方の文化の多様性や、そういったものに対する憧れやノスタルジーというものが日本人にやはりあるのではないかと私は思います。

 そういう中で、本物の味が日本人はわからなくなってきているのでないかという御指摘、日本人の味覚が劣化したという榎理事長の御指摘がありますが、本物が売れなくなる、価格の競争の中で本物が売れなくなるということがあるのではないか。

 同じく、参考人の全国農業協同組合連合会食品品質・表示管理部長の立石さんがおっしゃった言葉、これも大きく衝撃を受けたんですが、選んでくれる消費者がいないと日本の農業は成り立たないということをおっしゃったわけですね。ここは、消費者の側の、選ぶ側の問題でもあるわけであります。

 そしてまた、デフレ時代でもありまして、とにかく価格での競争が続いて、消費者は安いものを志向した、そういう時代が続いた。デフレ時代で、よいものが適切な価格で売れないという問題、その中で、よいものが滅びていくこと、その懸念を私は持っておりますが、よいものが滅びていくことへの懸念について、大臣の所見を伺いたいと思います。

森国務大臣 委員の御出身の福岡でありますが、私のところのインターンが最近司法試験に受かりまして、福岡修習になりまして、先週かな、福岡に一年行ってまいりますと来たので、おいしいめんたいこを買ってきてくださいというふうにお願いをしたところでございます。

 その地その地で、やはり御当地のおいしいものがあるということ、これを、苦労して、よいもの、おいしいものをつくり上げても、それが適正な価格で売れないということであってはならないというふうに思っております。

 よいものが適正な価格で売れるためには、もちろん消費者の目が確かなものであることも重要でございますので、消費者庁としては、消費者教育にも力を入れておりますし、また、事業者の方が、やはり競争相手に勝つために、よいものという意味でございますけれども、そこに偽装を講じたり偽りの表示をしたりすることであれば、これは、消費者の方は容易に見抜けないわけでございますから、事業者の方もしっかりとコンプライアンスを図っていくということが重要でございます。

 そうした中で初めて、健全で活気と厚みのある消費者市場が構築をされると思いますので、消費者庁としても、今打ち出しております消費者安心戦略、これを推進して、消費者の不安の払拭と安全、安心の確保に努めてまいりたいと思います。

鬼木委員 せっかく、よいものが適切な価格で売れないことへの懸念ということに触れさせていただきましたので、ちょっと話が飛ぶんですけれども、別の話もさせていただきたいと思います。

 今、円安が進みまして、輸入業者が、輸入にコストが大きくかかるようになった。それを納入のスーパーやディスカウントストア等に卸すときに価格に転嫁しようとしても、それに応じてもらえないということが起こっております。

 消費税については転嫁対策がちゃんととられて、アンケートが来たけれども、食品の輸入業者がスーパー等に卸すときに転嫁できなくて困っているということが、そして、よいものが適正な価格で売ることができなくなっているという声が上がっておりまして、その間で納入業者が泣いているという声が聞こえておりますので、ちょっと別の論点になりますが、ぜひこういったこともお考えいただければなというふうに思っております。

 共通している問題は、デフレ時代で価格の競争が続いてきて、消費者がとにかく安いものに飛びつき続けてきた。そして、売る側も、安い価格での競争をいまだに続けている。そして、価格に転嫁できなくて泣いている業者がたくさんいる。いろいろな複層的な問題をはらんでいるわけでございますが、せっかくですので、この機会に消費者大臣のお耳にも入れておきたく、発言をさせていただきました。

 そういう中で、和食がユネスコの無形文化遺産に登録されようとしているという状況がございます。これは、素材の持ち味を尊重し、季節の移ろいや年中行事とかかわる社会的慣習として推薦されたということで、世界に誇る和食というものを、やはり、今言われたとおりの価値、素材の持ち味を生かす、季節の移ろいや年中行事とかかわる、その形で私たちは残していかなければならない。まさに文化遺産なわけなんですね。

 そういう中で、日本の食の多様性を保っていかなければならない。本物を本物として残していくには、やはりそのはかる物差しが、価格という物差しだけで競争する世の中ではいけないというふうに思うんですね。

 そこで、商品の表示というところにまた話が戻ってくるんですが、商品の素性や付加価値が正しく表示されて評価されることが必要だというふうに考えます。

 となれば、なおさら、今回の誤表示というのか偽装というのか、この問題は大変罪深い問題であったというふうに思います。まず産地を偽った、そして偽ったものにさらに付加価値をつけて高く売った。これは、業者同士の公正な競争を阻害し、そして消費者に偽ったというところで、本当に罪深いことであったと思います。

 参考人の中では、調理法においても、どういう調理をしたかということについても適正に表示をしてほしいという御意見もありました。産地や品種や調理法を正しく表示していくこと、これを私たちがしっかり仕組みをつくっていかなければならないと思います。

 やはりこの消費者委員会というのは、取り組んでいて私がやりがいを感じますのは、これはしっかりやれば消費者のためになり、そして生産者のためにもなる、そして世の中がいい回転で回っていくことにつながるなということをやりながら感じておりまして、やりがいを感じているところでございます。そして、日本の食料、豊かさとは何かというところまで考える機会に今差しかかっていると私は考えます。本当に重要な仕事をやらせていただいているという、その場面に立ち会って、かかわっていることを私はありがたく思っているところでございます。

 そして、例えば、安くて悪いものと高くてよいものがあるとします。そうしたら、悪くても安いものを買おうという人が安いものを選ぶ、よいけれども高いもの、高くてもいいからよいものを買おうと思う人がいる。それは、どちらも選択肢があっていいと思うんですね。どちらを選ぶかは消費者の価値観の問題であり、それこそ多様性が生きる場面だと思うんですね。

 ところが、安くてよいものだと言って、偽って競争に勝っている、そして、よいものが駆逐されていくということに大きな問題があるというふうに私は考えます。

 そこで、また食品の表示に戻りますが、こうしたフェアな競争のためにも、消費者のためにも、物の素性、性質を正しく表示すること、もう改めて言うまでもないことかもしれませんが、その重要性を大臣はどのようにお考えになるか、お答えいただきたいと思います。

森国務大臣 正しく表示をすることの重要性ということでございますが、前段でデフレの問題点について触れていただきまして、安倍内閣としましては、デフレ脱却を目標として掲げているわけでございます。そのための日本再興戦略といういわゆる成長戦略の中で、消費がふえて新たな投資を誘発するという好循環、これを実現していくためには、委員が御指摘の、よいものが適正な価格で売れる、それが適正な表示に基づいているということが大変重要でございます。

 言うまでもなく、商品やサービスについては、消費者が自主的かつ合理的な選択をする機会が確保されていなければなりません。ですから、消費者に対して必要な情報が正しく提供をされることが大前提であり、それは消費者の権利であります。その権利を尊重していくためには、適正な表示をする、そのことを事業者側にもしっかり認識していただく、そのことによって、違法な事業者が市場から撤退し、真面目な事業者、適正な表示をしている事業者が市場の中で消費者と消費活動をしていくということが確保されていくことが重要でございます。

 消費者庁としては、こういった、事業者側から見ても消費者側から見ても重要であるこの適正な表示のために、景品表示法の厳正な運用などにより、適正化に努めてまいりたいと思います。

鬼木委員 本当に、まず競争が公正であるということがとても大事なことだと思います。

 グローバル化で日本人の食生活が貧しくなったという言葉に私は衝撃を受けたんですが、輸入するものが何でも悪いわけではないんですよね。先日、テレビの番組で、バナメイエビというのはどんなエビなんだろうといって、タイまで行って、オーガニックで育てている現場を見て、そんなに悪いエビじゃないよね、タイの生産者が悲しんでいるよというテレビがあって、ああ、そうかと、改めて、何か悪者扱いされていたバナメイエビとその生産者がかわいそうだなと思ったから、それが安く食べられる、これがグローバル化のよい意味であります。

 ただ、それを正しく表示していただければいいんですよね。タイ産のバナメイエビですよ、もしくはエビのてんぷらですよとか、正しく言っていただければ、それで公正な競争が図れれば、そして消費者に正しい情報が、選択肢が与えられれば、それでいいと思うんですね。そこから本当の豊かさが、選択もできる中で本当の豊かさが生まれるんだと思うんですね。ですから、こうしたことを、消費者のために、生産者のために、しっかり私たちが取り組むことが大事なことだと改めて思いました。

 そういう中で、先ほど言いましたが、やはりよい消費者を育てるということも一方で必要なのではないか。商品を出す側の情報提供、今まで、それに依存していたというか、出てくるもの全てを信じて盲目的に価格で選んでいた部分もある。そういうものを、価格だけではなくて、いろいろな価値、よいものを消費して、よいものを残していかなくちゃいけない。まあ、そこまで考える人はなかなかいないかもしれませんが。

 とにかく、よいものを適正な価格で買って豊かな生活を享受しようという、よい消費者を育てていくことが必要ではないかというのが私の考えなんですが、それについての大臣の御所見を伺いたいと思います。

森国務大臣 消費者教育推進法というのが成立をされて、それに基づいて、消費者教育の推進に関する基本的な方針、これがことしの六月に閣議決定をされました。これにおいて、さまざまな経験を通じて食に関する知識と食を選択する力を習得し、健全な食生活を実践できる人間を育てるような消費者教育を推進するということが明記をされております。

 これに基づいて、今、私のもとに消費者教育推進会議を設置いたしまして、具体的な方策について検討していただいているところでございます。さまざまな有識者の皆様から建設的な御意見をいただいておりますので、消費者庁としては、そういった意見を踏まえながら、関係省庁と連携して消費者教育の推進に取り組んでまいります。

鬼木委員 ありがとうございます。

 私の選挙区は九州で一番の都会でございまして、田んぼも畑もほとんどない、果樹園もない、山林もない。だけれども豊かな食文化が享受できているわけなんですが、それを支えているのは、私が東京に来てつくづく思うのは、福岡というのはすごい、都会と田舎のベストミックスだなと。

 この豊かさはどこから来るんだろうと思うと、やはり、海があり山があり川があり、そして電車でちょっと走れば田園風景が広がっている。やはり都会を支えているのは田舎なんだと。そして、そこでの自然や祭りや食文化が人々の人情を育てている、情緒を涵養しているということに東京に来て改めて気がついたんですね。

 ですから、私は、日本の農業、まさに米というのは、日本の文化であり伝統であり祭りであり、人情、文化を育んできたものだと思うんですね。ですから、今、TPPが大詰めになっておりますが、やはり、こういう国際競争の中でも、日本の米というものをしっかり、食というものをしっかり守って、その中で、たくさんの選択肢の中で正しい情報を与えて、みんなで何を食べていこう、そして豊かな生活をしていこうという、改めて私たちが振り返って考えるときに来ているのではないかと思います。

 また、森大臣とは、日本の豊かな食文化をつくっていこう、世界無形文化遺産になろうとしている和食、日本の食文化を豊かなものに育て上げていこうということを消費者行政を通じてしっかり取り組ませていただきたいと思いますので、今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。

 以上で終わります。ありがとうございました。

山本委員長 次に、古屋範子君。

古屋(範)委員 公明党の古屋範子でございます。

 大臣、連日の質疑、大変にお疲れさまでございます。

 本日は、いわゆる食品表示の問題、食品の不適切表示の問題についてお伺いをしてまいりますので、よろしくお願いを申し上げます。

 今般、全国のホテルまたレストラン、デパートなどで食品の不適切表示問題が発覚をいたしました。先日の参考人質疑におきましても、消費者支援機構関西の榎理事長から、国民は驚いている、そして、余りに多くてあきれていて、最後にはもう怒りに達している、このように表現をされておりました。その上に、宅配業者の保冷の問題ですとか、あるいは大手銀行の融資問題など、さまざまな不祥事が発覚をしておりまして、やはり消費者の不信というものは募っているのではないか、このように感じております。

 こうした不祥事から透けて見える経営側の、どうせばれないだろうと。あるいは、せんだっての参考人質疑でホテル協会の会長も、その原因は何かということを問い詰められまして、やはり利益優先があったのではないか、このような趣旨の答弁もされておりました。何度もおわびをされているわけでありますけれども、また、偽装を否定していても、なかなか消費者は納得できないというふうに思われます。収益優先の姿勢から、消費者重視、こちらに立ち返ることが急務ではないかと思います。

 今後こうした事態が起こらないように、こうした事態を断ち切るために、消費者庁は、まず景表法を改正して措置命令を都道府県でも出せるようにしていく、表示を監視するモニターを全国に置くなど、監視体制を強化すべきではないかというふうに思っております。また、経営側のモラル向上を図るための教育、指導、こういうものを日常的に企業の内外で実施していく必要があると思いますけれども、大臣、この点、いかがでございましょうか。

森国務大臣 この一連の食品表示偽装でございますけれども、十月二十二日にホテル側の発表がございましてから、消費者庁の方で調査その他さまざま取り組んできたところでございますが、その中で各党からもお申し入れをいただいております。公明党からは十一月二十二日に申し入れをいただきまして、食品表示問題に対する緊急提言ということで、今御指摘の件を含む五項目について提言をいただきました。それらをしっかり検討して、生かしていきたいと思っております。御指摘のモニター制度の活用についても、消費者庁としては取り組む予定でございます。

 この食品表示偽装の問題は、全般的に調査を進めていく中で明らかになってきたのは、それぞれの側面について全て問題が明らかになっているということです。

 例えば、一つは業者のモラルの問題でございますが、やはりそういったコンプライアンス意識が非常に低いということもあります。

 さらに、ガバナンスの体制が不十分でございまして、調理をする者、メニューをする者、仕入れをする者、それぞれの連絡がない中で、どんどん仕入れの材料だけが変わっていっているというようなこともございました。ですので、事業者内部のこういったガバナンス体制の強化ということも指示をし、今、制度的にも改正をすることも検討しております。

 さらに、今委員がおっしゃるように、モニター制度というものを設けて、消費者の目でそれをしっかりチェックしていくということを採用していこうというふうに思っております。

古屋(範)委員 ありがとうございました。

 モニター制度の活用、また調査の徹底、こういうものを不断に行っていく中で、やはり業者の側も緊張感を持ち、営業活動を行っていけるのではないか、そのように思います。

 大臣の方から先におっしゃっていただきました、私たち公明党の消費者問題対策本部、食育・食の安全推進委員会は、先日、二十二日に、首相官邸で官房長官とお会いをいたしまして、この食品表示問題に対する緊急提言を行ったところでございます。

 この提言のポイントは、やはり早急な実態の把握と厳正な対処ということでございます。外食の表示を取り締まる景表法は、商品の内容が実際以上に高級であるかのごとく見せかける、この表示を禁止しているわけであります。違反をした業者には、その行為の撤回などを命じる措置命令が出されまして、従わない場合は、二年以下の懲役、三百万円以下の罰金、このような罰則を定めております。

 悪質な事案については厳正に対処すべき、このように考えます。この公表についても速やかにすべきと考えます。これについてお考えをお伺いいたします。

森国務大臣 今般の食品表示等の問題については、非常に悪質でございまして、それが全国的に広がりを見せております。

 そこで、私の方で、業界団体の代表に大臣室に来ていただきまして、内容の調査それからその対策についてまとめて報告をしていただくように要請をいたしました。十一月中に出していただきたいというふうに申し上げまして、十一月二十八、二十九日に各団体から受け取ったところでございます。今内容をまとめておりますけれども、それを公表してまいるという予定でございます。

 さらに、立入検査でございますけれども、個別の事案でございますけれども、これを迅速に行っていくということで当初から指示をいたしました。

 私自身も省庁の中にいた経験から、行政処分というのが大変に時間がかかるということで認識がありましたので、これまでのこの関係の行政処分にどのぐらい時間がかかっているのかということで出させましたところ、半年ぐらいかかっているのが多いわけでございます。それは、一つ一つの事実を丁寧に裏をとって調査をしているということではございますけれども、一方で、やはり消費者の不安が広がっていくということもございますので、私としては、今回のような事例の場合にはより迅速に対処をするようにということで指示を出しまして、既に報道されているような進行状況になっているということでございます。

 措置命令が発表された場合には、記者会見を行い、公表をしてまいるという予定でございます。

古屋(範)委員 私も、大臣がおっしゃいますように、迅速な対処というものが必要だというふうに思います。

 参考人質疑の折も、ホテル協会の会長から、協会の方で関係法令の講習会を行うということでございました。一回は行って、もう一回年内に行っていく予定だというふうにおっしゃっていました。

 こうした虚偽表示の背景の一つ、先ほどから申し上げておりますけれども、やはり業界のモラルの低下とか、あるいは知識不足、それも作業を行っている最前線まで知識が行き渡っていないということが原因だというふうに思います。

 また、商品やサービスの品質、内容、価格等を偽って表示を行うことを厳しく規制している景品表示法は、違反とする基準が不明確であると指摘する見方も少なくございません。

 そこで、消費者庁は、この景表法違反の具体例、判断基準などを盛り込んだ手引書をつくられるということを伺っております。やはり、大臣おっしゃいますように、速やかにこのガイドラインを業界へ周知徹底していただきたい、このように思います。特に年末、さまざまな外食の機会もふえていくわけでございますので、速やかな周知徹底をお願いしたいと思いますけれども、この点について消費者庁のお考えを伺います。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 消費者庁では、ただいま御指摘ありましたとおり、ガイドラインにつきまして、関係団体から報告された表示の適正化に向けました取り組みの結果、また、その具体例、疑問点、そうしたものが出てくると思います。そうしたものを踏まえまして、景品表示法のわかりやすいガイドラインを整備するということにしております。年内を目途に、今、作業を進めているところでございます。

 消費者庁といたしましては、ホテル、旅館、そして百貨店、こうした事業者団体などを通じまして、このガイドラインができましたら、それを会員事業者に配付する、また、各地で行われております講習会に職員を講師として派遣する、そうしたことによりまして、ガイドラインの作成、そしてその後の周知ということをやっていきたいというふうに考えております。

古屋(範)委員 ガイドラインを作成して、速やかに周知徹底をしてくださるということでございました。ぜひこれは徹底に努めていただきたいというふうに思います。

 次は、行政機関による監視指導体制の強化の問題でございます。

 やはり、デパートにしろ、レストラン、ホテル等々にしろ、非常に業界の裾野が広いわけでありまして、消費者庁だけの対応には限界があるかと思います。地方自治体の体制の強化ということも不可欠だろうと思います。省庁の垣根を越えて不当な食品表示の調査を行う、農林水産省の食品表示Gメンなども活用しながら、外食を含む食品表示全般の監視体制を強化すべきと考えますけれども、この監視体制、指導体制の強化についてのお考えをお伺いいたします。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 まず景品表示法でございますけれども、事業者がみずからの供給する商品、サービスに関しまして行います宣伝、いわゆる顧客を誘引するために行う表示ということでございますが、これにつきまして、事実と異なります表現、こうしたことで消費者の誤認を生じさせれば、景品表示法上、問題になるというものでございます。

 一方、JAS法、また、施行前でございますが食品表示法でございますけれども、これは、事業者の自主性に任せていては必ずしも情報提供がなされない事項について、消費者の選択等に資するために義務的に表示させる趣旨の法律でございます。

 このため、今般の一連の食品表示問題、いわゆるメニュー、料理の表示でございますが、これについては、景品表示法の観点から監視体制というものの強化を検討する必要があるというふうに考えております。

 そのため、消費者庁では、現在、国及び地方におけます表示の監視指導体制の強化などにつきまして、法的措置を含めました実効性のある対応策を速やかにまとめるよう官房長官及び森大臣から指示を受けております。そこで、食品表示等の改正案を検討するための消費者行政の体制強化に関する法制検討室を立ち上げまして、現在検討を行っているところでございます。

 今般の食品表示問題に対しましては、食品Gメンの活用ということにつきまして、提言もいろいろいただいているところでございます。こうした点も、この食品Gメンの活用ということも含めまして、関係省庁と連絡をとりながら、政府一丸となって対応すべく必要な検討を行っているところでございまして、実効性のある監視指導体制がとれますよう、引き続き努力してまいりたいというふうに考えております。

古屋(範)委員 ぜひ省庁の垣根を越えて監視指導体制の強化をしていただきますよう、よろしくお願いを申し上げます。

 最後、アレルギー関連の質問に移ります。

 私も、議員になりまして、今、丸十年がたちました。議員になる前からアレルギー問題には取り組んでまいりました。神奈川で十四万人のアレルギーに関する調査をいたしまして、その結果を持って国会に参りました。この十年間、さまざま、アレルギー関連の政策あるいは法整備などを目指して活動に取り組んでまいりました。

 今般の問題の中でも、例えば、細かな肉を固めてつくった成形肉の場合に、結着をする、それがアレルギー症状を引き起こす場合があるということで、これは正確な表示が必要です。食物アレルギーは、最悪の場合、死に至るケースもございます。

 そこで、さきの国会で成立をいたしました食品表示法では、消費者本位の姿勢をはっきりと打ち出した法律として評価はできるんですけれども、そのときも議論にありましたように、外食メニューのアレルギー表示というのは義務づけることができませんでした。

 確かに、業者の側にもさまざまな理由というものもあったかとは思います。しかし、表示というのが、消費者にとっては安全、安心な食品を選ぶその頼みの綱なわけでありまして、原産地あるいは消費期限などをめぐる偽装も後を絶たないわけでして、二〇一五年の施行に向けて、表示基準の具体的な内容の検討が進められていると思います。アレルギー表示について、義務表示の導入をまず先行して検討していただけないか。

 そしてもう一つ、先ほども申しましたように、アレルギーというのは今、三人に一人から二人に一人、何らかのアレルギー疾患に悩まされているというのが我が国の現状であります。全国どこでも適切なアレルギー治療を受けられる体制整備というものを求めまして、私たちはアレルギー疾患対策基本法という法律をつくりました。二〇一〇年に参議院で公明党単独で提出をしまして、一一年には自民、公明共同で衆議院に提出をいたしております。

 今までも、エピペンという、アナフィラキシーショックを受けたときの自己注射、この保険適用ですとか、学校におけるガイドラインの作成など、さまざまな対策に取り組んできましたけれども、アレルギー疾患対策基本法、議員立法でございますけれども、ぜひとも早期に成立をさせたいと今奔走している最中でございます。

 この二点につきまして、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

森国務大臣 さきの国会で成立をいただきました食品表示一元化法、この審議の中でも御指摘をいただいてまいりました課題でございます、外食におけるアレルギー表示でございます。

 食品のアレルギー表示は、一般的に、食品衛生法に基づいて容器包装入りの加工食品に義務づけをしているんですが、外食についてはないということで、課題になっております。

 なぜこれが外食について適用されていないかという理由については、提供される商品の種類が多岐にわたり、その原材料が頻繁に変わること、営業形態が対面販売であり、消費者が店員にメニュー、内容等の確認が容易にできることなどによるということが説明をされてまいりました。

 特に、アレルギー表示に関しては、外食では注文等に応じてさまざまなメニューを手早く調理することも求められ、調理器具等からのアレルギー物質の意図せぬ混入防止対策を十分にとることが難しいということをどう考えるかという課題もございます。

 ただし、現実に今、幾つかのレストランでは、アレルギー表示を外食においても自主的に表示をしているところもあるわけでございます。

 食品表示法の検討過程においてもこういった認識が示されましたけれども、やはり外食におけるアレルギー表示は必要性が高いというふうにされまして、専門的な検討の場を別途設けて検討するようにという御意見が多かったところでございます。

 食品表示基準については、食品表示法の施行に間に合うよう、その策定に優先的に取り組むこととされておりまして、外食におけるアレルギー表示のあり方についても、検討課題の中でしっかりと取り組んでまいりたいというふうに思います。

 また、今委員が御指摘になりましたアレルギー疾患対策基本法案でございますけれども、古屋委員が中心となって取りまとめ、そして、公明、自民の両党により、さきの通常国会に提出をされました。そして、今国会においても、古屋委員が中心となって、精力的に野党各党との調整を進めていると承っております。

 私といたしましても、野党の皆様方からこの法案への賛同が得られるように、そして国会において議論が進められることを期待しております。

古屋(範)委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

山本委員長 次に、穀田恵二君。

穀田委員 森担当大臣に質問をします。

 きょうの質疑の中心は、食材、食品の偽装問題であります。

 一流ホテル、百貨店が食材、食品偽装を長期にわたって行っていたことは、単なる不祥事に終わらせてはなりません。消費者の信頼を裏切ったばかりか、真面目に料理に取り組んでいる同業者への信頼も揺るがすこととなり、食材を提供してきた生産者への疑念を生み、その社会的影響ははかり知れないと私は思います。したがって、厳しくその責任を問わなければなりません。

 食材、食品偽装問題の重要性について、担当大臣としての認識の中心をお伺いします。

森国務大臣 委員御指摘のとおり、食品偽装問題はゆゆしき事態であると認識をしております。

 消費者が商品やサービスを選択し、購入するに当たって、表示は極めて重要なものであり、それら商品やサービスを提供する事業者にあっては、正しい表示を行うことが強く求められるものでございます。

 このため、消費者庁としては厳正な対処をしてまいりたいと思っておりますが、私といたしましても、ホテル業界、百貨店業界の代表者を大臣室に呼びまして、その場で厳しく注意をしたところでございます。

 そこで私が申し上げたのは、やはりホテルやレストランに行く消費者は、そこで表示をされているものを確認する手段がございません。そこに表示をされているものを信用して、そしてそれを食べたり、または招いたお客様に振る舞ったり、または、家族や親しい方と幸せな時間を過ごそうと思ってそこに行って、その表示を信頼してその料理を注文したり食べたりするわけでございます。その消費者の信頼を失った、それを裏切ったということは大変重大なことである、ホテルや百貨店というのはブランドがあり、そしてのれんがある、それは消費者の信頼の上に成り立っているのではないか、その誇りがあるなら、こういった表示の偽装というものは起こらないべきであり、これが起こったということは重大な問題として受けとめていただきたいと。

 それで、まず業界団体としてしっかりとこの全容を調査して、迅速に報告をしてもらいたいというふうに申し渡したところでございます。

穀田委員 今、最後にありましたように、その重大性から鑑みて、全容解明と公表というのは極めて大事だと思います。

 そこでです。この間、私は当委員会で参考人質疑を行いました。その際に、食品表示に関する問題は、ホテル協会は個々の経営体の集まりでありまして、個々の問題である、こういうふうにホテル協会の小林会長が発言なさいました。こういう発言は是認できますか。

森国務大臣 もちろん、個別事案があるというのは事実としてあるとは思いますけれども、これをやはりホテル業界がしっかりと業界として検証し、指導していくということを、役割を果たしていただきたいというふうに思います。

穀田委員 私は、ホテル協会の会長の発言を聞いて驚いたんですね。牛脂注入を使用した場合、メニューにその旨を表示することを知らなかったという回答が多くて、知識不足、認識不足によるものだ、こういう発言をしているんですね。これも私、どうかと思ったんですね。

 だって、この偽装という関係でいいますと、牛脂を注入した加工肉をステーキとして提供していたホテルは次々と発覚しているんですね。個々の問題、それは一つや二つだったら私もわかります。しかし、当日、協会加盟の四割のホテルがそういうことをやっていたというニュースが流れているんですよね。そして、北海道では、老舗中の老舗も同様の行為をやっていた。しかも、この牛脂を注入した加工肉というのは、乳や小麦などアレルギー成分が含まれていた例が判明しており、まさに安全と健康、命にかかわる問題で、認識不足という話では済まないということだと私は思うんですね。

 だから、結局のところ、そういう発言というのは、命にかかわる問題として捉まえる不十分さが業界全体にあったのだということが私は問題だと思うんですね。そこを指摘する必要があると私は考えます。

 そこで、消費者代表として意見を陳述された榎消費者支援機構関西理事長は、お客様第一だとか消費者目線だとかホスピタリティーということをその業界はうたっていたが、実は消費者軽視、消費者目線に立っていない体質、個々の一部の経営体の問題ではなく、業界全体に広がる、底の深い構造的な問題だ、こう指摘しているんですね。私はこの見地が大事だと思うんですが、いかがですか。

森国務大臣 今般のホテルや百貨店等における食品等の表示偽装については、消費者の信頼を損ねるとともに、正しく表示を行って適切な取引を行っている事業者の活動も阻害をするものでございます。

 この行為が業界全体のものではないかという委員の御指摘でございます。

 消費者庁は、この間、調査をしてまいりまして、そして業界団体からも、私の方で指示したものが十一月二十九日までに、十一月二十八日にも日本百貨店協会、それから全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会、十一月二十九日にはその他の団体から報告を受けてまいりました。その中の実態を見ても大変やはり多い事例でございますので、構造的なものがあると思います。

 そして、個別に今、調査、立入検査をしているその内容を見ても、コンプライアンスの欠如や社会規範の遵守意識の欠如が見てとれます。ですので、私は、この問題の解決として、関係業界における適正化というものを徹底してまいる必要があるというふうに考えております。

穀田委員 認識として、構造的な問題だということから出発する必要があるということは確認できたと思います。

 したがって、そうしますと、ホテルや百貨店でこのような問題が常態化していたのはなぜかということを明らかにするのが業者団体の責務だと彼は言っていました。私も本当にそう思います。

 そこで、今、厳正な対処をするということで、調査も十一月末にしたようです。きのうお聞きすると、そういうものを集約して精査してということで出すようですけれども、なぜこの問題が起きたのか、その全容を公表すべきだということは異論がないところだと思うんです。問題は、では消費者庁の対応は消費者の疑問や事態解明の期待に応えたのかということが問われると思うんですね。

 そこで聞きますが、ことしに入って、東京ディズニーリゾートホテル、プリンスホテルによる食材偽装問題が既に二件発覚しています。しかも、ことし六月に発表したプリンスホテルによる食材の不当表示は、全国十二施設、二十店舗に及ぶものでありました。その上、阪急阪神ホテルズが今回の調査を行うきっかけとなったのが、このプリンスホテルのメニュー表示問題であったとの報道もありました。

 これらを踏まえ、消費者庁は、事前に阪急阪神ホテルズから仮に情報が入ったとすれば、全国的に同様の問題が顕在化しているのではないか、その背景にあるものは何か、そのための早急な対応は必要かなど、こういった問題、その時点で消費者庁内において検討しましたか。

森国務大臣 十月二十二日にホテルの会見がございました。それを踏まえ、すぐ、消費者庁として、この会見をされた個別事案としての調査を本格的に開始いたしました。私の方で指示をいたしました。

 その後、続々と類似の案件が発覚をしてまいりましたので、十月二十九日に私が記者会見の場で、これはゆゆしき問題である、誤表示であれ偽装であれ、これは景品表示法に該当する事案であるということを指摘したところでございます。

 さらに、十一月六日には、消費者庁に指示をいたしまして、業界団体に要請をいたしました。その場で、それに向けて、個別事案の調査とともに取り組んでおりました過去の処罰事例、これを一覧にしたものを業界団体の代表に渡しまして、それを団体の構成員に徹底して、全国的にしっかりとこれに取り組むようにというふうに指示をしたところでございます。

 さらに、十一月……(穀田委員「もうそこはいいですよ」と呼ぶ)よろしいですか。はい。

穀田委員 その事実経過はまた一覧表に別の委員が出していますのでもう見たし、それはわかっているんですよ。問題は、十月二十二日に会見を行って、そこからだということだけははっきりした。

 私が言っているのは、だからわざわざ、二〇一三年に入って東京ディズニーということと、それから六月にプリンスホテルがあった、このことから見て、これはと思わなあかん、いわば事態が深刻だなという点での認識が甘いんじゃないかと。つまり、何で消費者庁が発足したのかということの期待に応え切れたかということについて、やはりきちんとする必要があるんじゃないかと私は考えている。

 そこで、消費者庁は、今いろいろありましたけれども、景品表示法の不当な表示の考え方及びメニュー等の食品表示に係るこれまでの違反事例、こういったものを取りまとめて公表するとともに、考え方及び事例集というのを周知させ、そこで取り組みをしている報告を求める要請を行った、こういうことですわな。

 それで、なぜホテル、旅館、百貨店の関係団体だけなのか。そのほか、外食産業関係団体に対してメニュー表示の周知等の取り組みは行わないのか。もちろん、この点については、消費者庁は農水省との連携が必要となってくる点はわかります。こういう点は早急に取り組むべきと思いますが、いかがですか。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど大臣からもお話がありましたような経緯によりまして、十月二十二日のあるホテルからの公表、その後、さまざまなホテルからの公表が相次ぎ、また、百貨店についても同様な事態があったわけでございます。

 消費者庁としましては、当初、個別事件の調査ということで調査を開始したわけでございますが、ホテル、百貨店、旅館、そうしたところの公表が相次ぎましたので、また、そうした中での自主的な取り組みという動きもありましたので、それを促進するために、景品表示法の考え方やその違反事例、こうしたものを取りまとめてお示しした。その際に、ホテル、旅館、百貨店の団体に要請をしたということでございます。

 その後、十一月十一日に、官邸で開催いたしました食品表示等問題関係府省庁等会議でございますが、ここで関係府省庁での今後の対応というものを決定いたしまして、それぞれ、その他関係する団体、所管業界の団体には関係府省庁等から同様の要請をし、十一月末までに報告を求めて、それを受け取っているということでございます。

穀田委員 だから、聞くことにかっちり答えてほしいんだよな。外食産業に対しては行ったのかと聞いて、その他と言うと、私はその他と聞いているわけだけれども、やったのかと聞いたわけだから、それはそのことを含んでいると言ってくれればいいわけで。どうなの。一言でいいよ。

菅久政府参考人 農水省からの要請の中にそのような団体も入っているというふうに聞いております。

穀田委員 最初からそう言えばいいんだ。私は聞いているんだから、そうやって。

 では次に、現行の法規制の問題について少し聞きます。

 立石参考人は、外食、インストア加工において、メニュー等の表示で特色ある原材料表示を行う場合は、納品書等の証憑書類の保存義務を課すことを提案していました。私は一つもっともだなと思ったんですね。

 それで、ホテル協会に聞いたら、おたくのところ、別に法律で定められていなくたって、それは納品してくるのがあるのやから、それを置いたらええやんか、こう聞いたら、検討しますというようなことを言って、いつからホテルが政府になったんだと言ったんだけれども。そういう点について至極もっともと思うけれども、どないです、大臣。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 現行の法律の状況について御説明いたしますと、まず、業者間取引でありましても、JAS法におきましては、加工食品品質表示基準の第八条におきまして、製造業者等の努力義務ということで書類の保存を規定しております。

 また一方、外食、インストア加工におきましては書類の保存についてのこうした規定はございませんが、外食、インストア加工、これはJAS法による表示義務の適用対象となっていないということから、証拠書類の保存義務も課されていないということでございます。

穀田委員 それは法の説明やんか。私は法の説明をしてくれと言ったか。至極もっともと思うけれどもどうかと聞いたんでしょう。だから大臣に聞いているんですよ。法の説明を聞いているんじゃないんですよ。そんなことはわかっているんですよ。どうぞ。

森国務大臣 委員御指摘のとおりに、ふだんの業務において納品書を保存しているというふうに思います。ですから、これから、私、業界団体の十一月末に出してきた報告書を踏まえて、業界内部の適正化についてルールをつくっていこうと思います。それの中に、委員の御指摘も検討させてまいりたいというふうに思います。

穀田委員 検討してまいりたいと思いますということで、余りホテル協会の検討しますと同じようなことにならずに、これはやってもらおうと思えばできるんですよ、みんな持っとんのやからね。そんなもの、納品書なしでやっている話じゃないんですよ。問題は、保存を義務化すればそれは生きるということであって、そこを一つ軸にすればできるという考え方だと思っています。

 そこで、ついでに聞きますけれども、JAS法とは、当然、外食産業、それから総菜業者、インストア加工などは規制対象外となっているわけで、そこから菅久さんに聞いてもいいんだけれども、今回問題となっているホテルやレストランなどの外食事業者におけるメニュー表示はJAS法の規制対象外となる。なぜ外食事業者等を規制の対象外としているのかというふうに思うんです。そっちは川口さんですか。

川口政府参考人 お答え申し上げます。

 現行のJAS法でございますが、例えば加工食品につきましては対象になっております。外食で提供される料理を加工食品とみなして規制していく、あるいは食品表示基準を適用するというようなことになりますと、例えば外食のメニュー名に併記するものとして、料理の一般的な名称、それから、使用する原材料を全て使用する重量順に記載する、料理そのものの重量等を併記するという規制がかかることになります。

 ただ、外食で提供される料理につきましては、店舗で提供される料理の種類が多い、あるいは、仕入れの都合等により原材料の種類、重量比が頻繁に変化する、あるいは、みそ汁、サラダ、漬物等、日々切りかえられるつけ合わせ等の原材料もその都度正確に記載する必要が出てくるということで、日々メニューを書きかえる必要が生ずるということで、各外食事業者に表示の実行可能性を期待することはなかなか難しいという事情があるということでございます。

穀田委員 結論的に言うと、日々やるのがしんどいということですね。そういうことだがということで、その意味では、適用対象を外食に拡大した場合にそこがネックになる、こういうことですな。もちろんそれはあるんですけれども、私はそこは改善の余地がいっぱいあると思っています。

 もう一つ、課徴金制度について聞いておきたいと思うんですね。

 二〇一三年十一月六日の記者会見で消費者庁長官が、課徴金制度の導入も検討していきたい旨の発言をしています。

 消費者庁においては、行政手法研究会において課徴金制度等について検討が行われていますが、当該制度について、具体的に、食品偽装問題の解決策となるのか、抑止力がどの程度のものであるのか、見解を伺いたいと思うんですね。

 課徴金制度については、私も質問してきました。これまで、集団訴訟法案の委員会審議の中でも、実現可能な手法に向けて一歩進める必要がある、来年度中には具体的な法整備に着手すべきとも、私はいろいろ含めて発言してきたわけですけれども、実現に向け早急に対応すべきだと思うんですが、この点はいかがでしょうか。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 課徴金制度につきましては、いわゆるやり得が残るんじゃないかというような御指摘もございまして、不当表示でやりますと、その事案の抑止、再発防止、こういう観点から意義があるという御意見もございます。この点については、消費者庁のもとに設置されておりました消費者の財産被害に係る行政手法研究会、ここが本年六月に取りまとめた報告書においても指摘がされているところでございます。

 一方、導入を考えるに当たりましては、その報告書でも、消費者被害の状況でありますとか現行法令の執行状況を踏まえることなどを求められておりまして、また、制度を導入する場合でも、対象事案の絞り込みでありますとか合理的な賦課金額の算定など解決すべき課題はあるということで、検討することが求められております。

 今般の食品表示の問題の中でも、課徴金、いわゆる制裁の強化という御指摘がございますので、消費者庁としましては、この課題を一つ一つ解決していきたいというふうに考えております。

穀田委員 一つ一つ解決していきたいというところは、前に比べるとちょっと具体的になったという感じはしますわな。しかし、大丈夫かいなという気がしますね。確かにその点はありますね。

 そこで、監視、取り締まり体制の問題について質問したいと思います。

 拡大している今回の被害に対して、消費者庁は、限られた人員で調査や情報収集を行い、違反か否かの判断を行い、是正措置を行っているというふうに聞いています。

 消費者庁は地方の組織を持たないわけだけれども、現在、この問題についてどのくらいの規模で対応していますか。

菅久政府参考人 現在の食品表示の問題でございますが、主に景品表示法を所管しております表示対策課という課で対応しております。

 同課の定員は全体で四十八名でございますけれども、もちろん、この四十八名全員というわけにはまいりませんので、個別の事案の調査ということで申しますと、事案というのはそのプロセスによって担当する人数も変わってまいりますが、多いときでも十人弱という体制で取り組んでいるところでございます。

穀田委員 だから、多いときで十人弱ということで、非常に大変ですよね。

 参考人の質疑の中で、榎さんは、食品表示法の執行に当たっては、体制整備が前提、消費者庁の人員だけでは現場調査、監視指導はできないと陳述をされていました。私も大体聞いていましたけれども、十名足らずというような話になると、それはもうみんな驚くんじゃないですか、全国でこんなことが起こっているのに。私は人を減らすのに反対している方ですからね。だからといって、ばかっとふやせという意味じゃなくて、客観的に見て、これではひどいなとみんな思ったんじゃないかと思うんですね。

 そこで、私は、景品表示法等による法規制の強化は必要だと思うんですね。規制を強化すると、それを担保する監視システムがないと実効性がない。先ほども、実効性があることがと菅久さんは言っていました。

 国内の食品安全の監督指導は、全て、都道府県の食品衛生担当局と、保健所に配置された食品衛生監視員がそれを実施することになっていますよね。そこで、全国の食品衛生監視員の数は、二〇一二年度で、一つ、総数は幾らか、そのうち専従者は何人か、二つ、専従者以外、当然、残りは兼務者なわけですけれども、兼務者のうち主に食品衛生監視業務従事者は何人かということについて言ってくれますか。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十四年度衛生行政報告例、厚生労働省が公表しているものでございますが、これによりますと、平成二十四年度末現在ということで、七千九百九十五人、そのうち専従者が千二百七十九人。また、残りの兼業者のうち、主に食品衛生監視業務従事者というものでございますが、これは千九百三十四人というふうに聞いております。

穀田委員 これも、皆さんわかるように、極めて少ないということだと思うんですね。しかも、専任の食品衛生監視員について言うならば、二〇〇〇年の千六百五十九名から千二百七十九人に減少している。そして、専任の比率も二二・三%から一六%に比率が低下している。

 例えば京都なんか、私は京都に住んでいるんですけれども、京都府は、二百六十二人の兼任の食品衛生監視員のうち、主に食品衛生監視業務従事者というのはわずかに十人ちょっとだけなんですね。そして、結局のところ、専任の食品衛生監視員はいない。私が住んでいる京都、これは政令指定都市なんですけれども、京都の食品衛生監視員は二百六十二人なんですね。ところが、専任の食品衛生監視員はゼロなんですね。

 国際観光都市でもあり、先ほど、誰だったか忘れましたけれども、和食の何とかといって、やるんでしょう、世界文化遺産。和食の世界文化遺産とかなんとかいってやるところの、京都の専任の食品衛生監視員がゼロ。こんなことをやってたらだめですよ。ですから、その意味で、きちんとこれを充実させる必要がある。これは誰も異論を言う人はいないんじゃないかと思うんですね。

 そこで、もう一つ。景品表示法は、違反行為に対し、各都道府県知事は指示まで行えますが、指示違反に対して、各都道府県知事は消費者庁長官に措置請求しかできません。当然、今回の問題を踏まえ、措置命令及び合理的根拠提出要求の権限を付与することを検討すべきだと思うんですね。そのことはいかがかということと、あわせて、その際に、今述べたような点からしましても都道府県の体制を強化すべきじゃないかと思うんですが、いかがですか。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、先ほども答弁いたしましたが、国及び地方における表示監視指導体制の強化などにつきまして、法的措置を含めた実効性のある対応策を速やかに取りまとめるため、検討を行っているというところでございます。

 具体的には、不当表示に関します監視指導体制の強化ということで、都道府県知事に景品表示法上の措置命令権限を付与する、このことも含めまして検討を行っております。

 また、不当表示に関する行政の監視指導体制の強化、また消費者を保護していくためにどのような制度が有効であるか、このことにつきましては現在検討を行っているところでございますけれども、消費者庁としましては、実効性のあるものをお示しできるよう引き続き努力してまいりたいと考えております。

穀田委員 大臣、よく聞いてほしいねんけれども、これは体制がないんでっせ。ほんまにこれは大変なんです。

 ここに私は日本消費経済新聞を持ってまいりましたけれども、その中に書いてあるのは、やりたくても人がいない、苦情対応で手いっぱいだと言っているんですよね。だから、この問題について言えば、本気になって体制を強化しなきゃならない。だから、現場を知っているのかということで、体制問題については具体的に数字を詰めてやってもらわなあかんと私は思います。

 最後に、業者のコンプライアンスの取り組みについて聞いておきたいと思うんですね。

 農林水産省では、外食における原産地表示に関するガイドラインを発表しています。また、日本惣菜協会では、惣菜・弁当の情報提供ガイドライン、原材料、原料原産地、アレルギー物質、こういったもので、それぞれ作成して、事業者の自主的なコンプライアンスを促しています。

 一体、こういった問題についてのガイドラインの徹底はどうなっているのか。消費者庁設置後、農水省は消費者庁に対し、同ガイドラインも含め、外食メニュー表示の現状と課題について引き継ぎを行ったでしょうか。また、消費者庁においては、これまでに同ガイドラインを積極的に活用したでしょうか。その点について簡単に。

川口政府参考人 お答え申し上げます。

 消費者庁の方では、基本的には、法律に定められました表示につきまして責任を持ってやっております。ガイドラインの方につきましては、基本的に農水省の方で引き続き努力をいただいております。

 ただ、私どもとしても、例えば消費者庁のウエブサイトに外食のガイドラインに関するリンクを張りますとか、消費者庁の法律について説明する際にあわせてガイドラインについて触れまして御紹介しますとか、あるいは、消費者庁の方にはさまざまなところから電話等でお問い合わせがございます、その際には消費者庁が持っている法律だけではなくこのガイドラインについて御紹介することもございます。そういうことで取り組んで、御紹介しております。

穀田委員 私は思うんだけれども、それはえらい消極的やなと思うんです。

 というのは、確かに農水省の仕事だって知っていますよ。でも、この惣菜・弁当の情報提供ガイドラインの策定委員の一人は誰か。現消費者庁長官の阿南さんなんですね。ですから、それはそういうことに関与した人が、この問題についていわば積極的に、こういった問題もやりなさいよと言うのが必要じゃないかと思うんですよね。そこまで何か他人行儀で、こっちはこっちでっせと。長官自身がそういうガイドラインをつくった本人の一人として、どない責任を持ってんねんということを言わんならぬわね。だから、責任を持てとは言わぬけれども、うちも頑張りましょうねというぐらい言うのが私は普通だと思うんですね。

 そこに見ますように、私は、先ほど述べたように、消費者庁が期待に応えたかという問題に結局帰ってくると思うんですね。過去にさかのぼりますと、二〇〇〇年の初めにBSEの問題が発生し、その翌年にかけて、私は言いましたけれども、原産地偽装などの食品不正表示が相次ぎました。二〇〇七年には、この間言ったんですけれども、不二家、赤福、白い恋人、名前を言うと悪いですけれども、客観的な問題だから。それから船場吉兆といった著名なところが、相次ぐ食品表示の偽装で社会問題になりました。このような食品偽装問題を契機につくられたのが消費者庁ではないのか。

 ですから、この原点に立ち返れば、消費者庁内において、今回のような問題は想定内の問題として、事前に何かしら検討、準備的な取り組みがあった上での対応がやられるべきではなかったかと期待するのは当然だと思うんですね。ところが、消費者は今、客観的に見ますとそういうふうに思っていないわけです。

 行政による後手後手の対応とまでは言わないけれども、単なる個別事案としての対応ではなくて、これだけ拡大する前に問題意識を持って取り扱うべき問題ではなかったかと考えますが、所見をお伺いしたいと思います。

森国務大臣 おっしゃるとおり、食品表示に係るこれまでの違反事例は、これまでも関係法令規範集等にもありますが、今回、業界団体にお示しするために取りまとめたものを見ても、これは毎年のように起きております。これが繰り返されております。これに対して個別の事案の厳正な措置もいたしますけれども、それだけでは不十分であるという御指摘はもっともであるというふうに考えます。

 さまざまな観点から調査をしております。また、関係業界の自主的な調査報告書も受け取りました。これをもって関係省庁会議の第二回を近々に開き、対策をパッケージとして発表し、それを進めてまいりたいというふうに思います。

穀田委員 私、何でさっき言ったように六月とか十月と強調したかというと、結局、二〇〇〇年の初期からこういうことが起こって、七年にさらに拡大し、九年に消費者庁がその背景を受けてできた後、だから、こういった問題が出てきた瞬間に、やはりもっと敏速にやるべきではなかったかというみんな意見があるということが出発点なんですよ、原点なんですよ。そこを私は言っているんだということを見てほしいと思います。

 最後に一言だけ言いますと、私は、さきの食品表示法の附帯決議で、加工食品の原料原産地表示、それからアレルギー表示、食品添加物の表示などについて着手せいと言ったことについて早急に行うべきだと思っています。それに、きょう十二時から日比谷の野外音楽堂で、JA全中の皆様を含めて、TPP決議の実現を求める国民集会が開かれています。私は、日本の食料を本当に大事にするという意味からいっても、こういう取り組みが大事だということを最後に述べて、終わります。

山本委員長 次に、篠原孝君。

篠原委員 民主党の篠原孝でございます。

 四十分間、時間をいただきまして、現下の非常に大事な問題について質問させていただきたいと思います。

 今、穀田さんの質問の中にありました、業界団体がいろいろ自主基準でもってやっている、ガイドラインをつくったりしてやっているということですけれども、大臣は、ホテル業界や外食産業業界がガイドラインなり自主規制だけでこの問題を解決してうまく動いていくと思われますか。

森国務大臣 自主規制だけで防げるとは思っておりません。さまざまな観点から対策を講じていくことが必要だと思っております。

 現在、個別事案に対する厳正な措置を、これまでのスピードをさらに迅速化させて素早く行政処分を出していくこと、さらに、今御指摘のありました関係業界における表示の適正化でございますが、ガイドラインの作成以外にも、これは消費者庁の方で、しっかりと周知、指導をしていくための定期的な講習会等の開催も、これまでよりも、より内容の濃いものにしていく必要があると思います。

 さらに、現在の法の体系でございますけれども、国の方の指導体制、これについても強化をしていくために、食品表示モニター制度の導入を検討しております。さらに、今、所管省庁において持っております景品表示法その他の法についても、運用の改善、または場合によっては改正も視野に入れて検討しております。また、地方自治体の対応についても、措置命令ができるようにしていくという方向でも検討しております。

 さらに、先ほど来の御指摘がございましたような、食品表示法には直罰規定がございますが景品表示法にはないということの御指摘を踏まえた、課徴金等の新たな措置についても検討をしているところでございます。

篠原委員 大臣、的確に短く答えてください、いっぱい質問項目を渡してありますから。

 私が申し上げたいのは、自主基準だとか自主規制だとか、そういったものではもう解決がつかない。日本人のモラルというか、老舗とかはなくなって、大手のチェーンストアとかいうのができてきまして、それで、フェース・ツー・フェースとか、あのお店だからいいんだとかいう感じじゃなくなってきているんです。ですから、厳しいルールをきちんとつくっていかなきゃいけないんですよ。

 例えば、料理をつくっている人たちの職人かたぎというか、この人たちのモラルも私は低下してきているんじゃないかと思います。にせの表示をずっと認めておく。僕は、経営者は、少しでも利益を得たいというために変なことを言ったりするのは、非常にけしからぬ話だと思いますけれども、仕方がない面があると思います。しかし、料理人の皆さんはそんなことはないはずで、エビの種類なんというのは、わからない料理人なんていちゃいけないんです。

 どうするかというと、規制改革、規制改革で、規制を取っ払えばいいと思っておるんです、農業にも規制があるとかなんとかと。それは、産業の参入規制とかいうのはあっちゃいけないですけれども、環境とか食の安全基準とか、こういったものはびしばし規制していかなくちゃいけないんですよ。規制改革会議というのは、規制を取っ払う、取っ払うと言って、僕はこれは大反対なんです。変なことをし過ぎたから、こんなふうになってしまっているんです。

 では、今までの、こんな食品のトレーサビリティーとか表示の基準なんてどうやってできてきたかというと、参考人の方も言っておられましたけれども、にせ牛缶事件、馬肉でもって牛缶だと言っていたんです。それで景表法ができ、JAS法ができたんです。最近でいえば、穀田さんもちょっと触れられていましたけれども、BSEの問題があったから牛トレーサビリティー法ができて、事故米の処理云々という問題があったから米トレーサビリティー法ができたんです。

 みんな嫌がるんです、嫌がるんだけれども、何か事件があったときに一気呵成でやる、それしかないんです。だけれども、消費者庁がせっかくでき、やってきているのに、やってきているのかどうか、僕はそこが問題だと思っているんです。

 特定秘密保護法、えらい御執心だったようですけれども、大臣の本来の所管の業務じゃないんですよ。こっちが本来なんです。こっちをほったらかしにしておいて何をやっていたんですか。この際、一気に外食、加工食品についてトレーサビリティーをちゃんと導入していくべきだと思いますけれども、その点の準備、その気構えはありますか。

森国務大臣 まず、私の所管は十一ありますけれども、全てについて全力で取り組んでおります。

 どの政権でも、内閣府特命担当大臣は複数の所掌を持ってやっているわけです。前国会におきましても、四つ以上の法案を持ち、それぞれまた別の委員会において、昼間は審議をしながら、そして夕方、大臣室に戻って所掌をしておりました。

 消費者問題につきましても、これは、昼間の国会審議をしながら日々の業務を行っております。私は、歴代消費者大臣の中で最も多く消費者大臣室に詰めて、しっかりと職務をしておるという自負がございます。

 今回の問題については、大変重大な問題でございますので、委員の御指摘は、大変重大な御指摘をいただいておりますので、真摯に捉えさせていただきたいと思います。先ほど申し上げましたとおり、既存の法律の改正を含めた見直し、検討もしております。

 現在は、新しい法律を、新法をつくってはどうかというような御提案でございますけれども、景品表示法について、これがもし足りないということであれば、景品表示法の改正という方法もあるわけでございます。これを既にあるJAS法等と比較をしながら、効果的な点について考えておるということでございます。

 また、業界の自主規制だけでは不十分であるとは思っておりますが、業界についてもしっかりと自主規制をさらに強化していただくように、ルールづくり等も要請をしてまいろうと思っております。

篠原委員 景表法なんてだめなんですよ。景品表示ですよ。景品って何ですか。当たったものの何か景品とか、そんなのなんですよ。その名前をそのまま使っているんですよ。そんなものでこの重大問題を解決できると思っておられるのがどうかしているんですよ。びしばし直していかなくちゃいけないんですよ。

 資料、一枚紙を配らせていただいています。フランス料理のメニューを見てください。フランス語が堪能な方がおられたら、左側にあるのを翻訳して近所の人に教えていただきたいんですけれどもね。右側はフランス料理店で、私の秘書の地元の高松のレストランのをちょっと引いてみたんです。

 フランスは食文化を大事にしています。食事というのを大事にして、例えば、農業を大事にしています、原産地を非常に大事にしています。

 皆さん御存じなのはシャンペン。シャンペンというのはフランスのシャンパーニュ地方でつくった独特のつくり方なんだ、それをほかの国がシャンペンと使っちゃいけないと。僕は、何て尊大なことを言っているのかと思いましたけれども、フランスに行き、シャンパーニュ地方に行って、品質をいかに苦労して守っているか、そのことを見たら、フランスの言い分のとおりだなと思いました。

 今や、ワインはスパークリングワインというふうになっています。シャンペンはフランスのシャンパーニュ地方でつくったものだけしか言えない、あの地方でできたブドウでつくったものに限るんだと言っているんです。

 見てください。フランスは、料理のところにこれだけきちんと、産地と、ちょっと線は引いてありませんけれども、何々風という料理の仕方も書いてあるんですよ。

 私はフランスに三年勤務しました。うるさい上司が来て困るんですが、篠原、この料理を説明しろと言う。そんなにフランス語はよくできませんから、とりあえず原料だけを御説明いたしますと言ってしのいでいましたけれどもね。何々風何とかときちんと表示しているんです。そして、これはこうだというように、お客様にこれを提示しているんです。やればできるんです、こうやって。

 何でそういう手を抜いて、変な仕方をするのか。フランスで、もし、星つきレストラン、三つ星が一番立派なレストランですけれども、そんなレストランが一回でもやったら、この不当表示ですね、にせ表示、インチキ表示をしたら、誤表示でもだめですよ、多分一回やっただけで未来永劫そのレストランはもう星を与えられないようになると思います。法律で決めているわけではないんですけれども、それだけ厳しいんです。

 何で日本は、でたらめにしておいて、何にもしないでほったらかしにしておくのか、僕はこれは信じられないんですね。びしばしやっていかなくちゃいけないんですよ。

 日本のホテル業界や外食業界、やっているところがあるんですよ。こういうことを義務づけたっていいような気がするんですよ。もちろん、小さな、お父さんやお母さんとか、パパママストアと言われましたけれども、夫婦二人で息子一人が手伝って、そういうところまでこんなことをする必要はないかと思いますけれども、名立たるでかいホテルチェーン、レストランチェーンはこうやってしかるべきだと思いますけれども、こういうことについてどう思われますか。

森国務大臣 委員は、法律で義務づけをしたらどうかというような先ほど来の御提案でございましたが、フランスにおいては法律で義務づけをされているわけではないというような今の御説明でございました。

 そのあたりをよく私も参考にしながら、業界のガイドライン、そして法規制でどこまで規制をしていくかということをしっかりと検討してまいりたいと思います。

篠原委員 どうやったら防げるかというのを、本当に真剣に検討してもらわなければいけません。

 どこの国も同じような悩みを抱えているんです。フランスは結構、アペラシオン・コントロールとかは自主規制、自己認証、ワインをつくっているところが自分で判断するんです。法律はないんです。ことしのブドウはできがよかった、だけれども醸造過程を間違ったから銘柄ワインは百本だけ、ことしは両方うまくいったから千本あるとかいうふうに、自分で決めてやっているんですよね。

 日本もそういう風土だったんです、老舗があって。それはフェース・ツー・フェース、顔対顔で、全国チェーンとかがなかったからなんです。そうじゃなかったら、やっていけないんです。

 ですけれども、今、ちょっと考えたらわかるんです。業務用に大量に扱う人たち、では、このものがどういうものかわからなかったら大変なんです。これも規制緩和で変なふうになるからいけないんですよね。事故米も、何で発生したかというと、米屋さんを廃止したからなんです。誰でも電話一本であちこちから受注が来るから、間に十人ぐらいの中間業者がいて、誰がどうやって扱ってきたのかわからなくなっているんです。信頼の置ける米屋さんだったら、そんなことはなかったんですね。

 だから、今どうするかといったら、今度、大量に扱う業務用のものは、簡単なんです、もうやっているんですよ。供給元と供給先を絶対明らかにして、そのペーパーを、その紙を保存しておく。消費税なんかだってそうするわけですから、食べ物を扱うのはそうさせればいいんです。そんな義務ぐらい誰だってできるはずなんです。この考えについてはどのように思われるでしょうか。

森国務大臣 JAS法に基づく品質表示基準では、外食については、提供される料理の種類が多く、使用される原材料も日々頻繁に変わるということから、事業者の取扱数量の多少にかかわらず表示の切りかえが困難であるということ、さらに、営業形態が対面販売でありますので、消費者が店員に料理の内容を確認できるということから、義務づけの対象外としているというふうに承知をしておりますが、この外食の表示を義務づけしようとした場合、消費者にとって有用な情報をどのようにして事業者が表示することが可能かどうか考慮した上で、検討をしてまいりたいと思います。

    〔委員長退席、原田(憲)委員長代理着席〕

篠原委員 にせ表示、偽装、これは、安いものしか使っていないのに高いものというのが一般的です。誤表示、誤表示と言っていますけれども、その人たちに聞きたかったですね。では、誤表示の中に、高いものを使っているのに安いものみたいにした誤表示があったかと。一つもないんです。インチキしているに決まっているんですよ。

 そしてもう一つ。ぱっと見てわかるのは、高松のこのフランス・レストランは大したものだと思います。皆さん、行ったらぜひ行ってください。地元の高松のを使おうとしているんですよ。地元の産業、地元にお金を落とそうとしているんですよ。だから、高松のは高松のですよ、カナダのはカナダのですよと書いているんです。日本の国民は優しいんです。隣近所の農家を信用しているんですよ、国産ならいいと。それに乗じて、外国のものなのに、輸入物なのに国産物だと言って偽っているのが多いんです。

 ですから、簡単なんですよ。原産地を表示するようにすればいいんです。やっている国がいっぱいあるんです。韓国はとっくの昔にやっているんですよ。二百五十八品目についてはきちんと書けというふうにして、ルールをつくって義務づけているんです。だけれども、今ちょっと大臣が言われましたけれども、いや、原産地がくるくる変わるとか、ちょっとしかやっていないとか、加工品だったら幾つもやっているとか言って、そんな言いわけばかり出てくるんです。

 しかし、国民が何を一番、知りたいのはそれぞれによって違いますよ、アレルゲンのを必要だとしている主婦もいますよ、自分の子供がアレルギーだったとしたら。だけれども、一般国民に問うたら、原料、これが外国でつくった原材料か国産の原材料かということに重大な関心を持っているわけです。その要望ぐらいには応えてもいいような気がするんですけれども、どうですか。

森国務大臣 原産地の表示につきましては、JAS法で生鮮食品の産地については義務づけております。さらに、加工食品についてどうかと申しますと、加工食品のうち、輸入品については原産国の表示を義務づけております。そして、輸入品以外については、加工食品の原料の原産地については品目によって義務づけられておりまして、これは今まで年々、品目を拡大してきております。

 また、JAS法において、産地名を示す用語であって産地名の意味を誤認させる表示を禁じておりまして、この産地偽装については直罰規定としております。

 このほかに、景品表示法等の他法令により、産地の偽装表示にも対応しておるところでございますが、委員の御指摘を踏まえまして、さらに産地表示について強化をできないか、検討をしてまいりたいと思います。

篠原委員 消費者庁ができたわけですから、ぱっぱとやっていただきたいと思います。せっかくできたんです。まだ三百人足らずだと思いますけれども、非常に大事な仕事なんです。だから、ぜひこれは続けてください。

 それで、具体的な提案をしますよ。

 さっき、いっぱいいろいろなのを使っていると言っていますけれども、ごちゃごちゃ言わせないでいいんですよ、加工食品です。

 生鮮食品は、国産の場合は県、外国の場合は外国と、スーパーに行けばすぐわかります。これを見ているんです。そして、安い中国産のニンニクを買うか、高くても、長もちするし、いい青森産のニンニクを買うかというのは、消費者が判断して決めているわけですよ。

 加工食品にはそれができないと。やればいいんですよ、ごちゃごちゃ言う前に。簡単なんですよ。小学生でもわかるルールでいいんですよ。重いもの、いっぱい原材料を使っているのを、一位から三位までについては確実に表示しろと。

 もうやっているんですよ、東京都が、いろいろごたごたがあったときに、東京都は自主的に、東京都内においてはそれをやっているんです、重量で重いのを一位から三位まで。何で国ができないんですか。

森国務大臣 加工食品に使用される原材料は、原料調達の多様化、グローバル化が進んだこと、複数の国で生産されたものが使われていること、生産状況に応じて輸入先が変わることなどがあり、多様な産地情報を伝達することが困難でございます。

 このため、現行の加工食品の原料原産地表示は五〇%ルールをとっておりますけれども、それを廃止して、原材料に占める重量の割合が三位以上の原材料全てに表示義務を拡大するということは、なかなか容易ではないというふうに考えております。

 しかしながら、原材料に占める重量の割合が五〇%未満の原材料についても、原料原産地の表示義務の対象としてほしいとの御要望があることは承知をしておりますので、今後、消費者の求める情報提供と事業者の実行可能性とのバランスを図ることも考慮しつつ、新たな原料原産地表示のあり方について、義務範囲の拡大も含め、検討してまいりたいと思います。

篠原委員 消費者庁が何でできたかというと、農林水産省でやっていると、業界団体の皆さんとつき合ったりするわけですよ。今、江藤副大臣が来ておられますけれども、お父さんの代からつき合っている牛肉生産業者とかがいて、その顔がちらちら頭の中に浮かんで厳しいことができない。情けないと言っているわけじゃない、例えばの例ですが。だけれども、第三者的な機関である消費者庁は、そういうことを考えずにびしばしできるんですよ。だから消費者庁という名前がついているんです。全面的に消費者の立場からだけ、政策を実行していいんですよ。

 だから、いろいろあちこちの国で、原材料も変わるし、輸入原材料がどこから来ているかというのは、あるときはアメリカで、あるときはカナダだ、あるときはオーストラリアだ、そんなのはわかりますよ。それだったら輸入物と書いておけばいいんですよ。さっき輸入と国産とか、幾らでもやりようがあるんです。そういうふうにしてください。

 それで、今のところで、原産国が場合によって異なると。それはそれで、そういう言いわけがあるのはわかりますけれども、だったら、さっきのもとに戻って、国産か輸入か、それぐらいは絶対に書けと。こんなことぐらいは簡単にできるでしょう。そのぐらいはぜひ、即刻やっていただきたいと思いますけれども、どうですか。

森国務大臣 JAS法の品質表示基準では、原料原産地表示について表示を義務づけておりまして、さらに、都道府県より詳細な市町村名、その他一般に知られている地名まで記載することができます。また、産地名を示す用語であって産地名の意味を誤認させるような表示を禁じておりまして、産地偽装については直罰規定としているところでございます。

 さまざまな今までの取り組みもございますが、委員から御指摘があったこともございますので、先ほどの、東京都については一位から三位まで表示をさせているというのは、これは冷凍食品だけということでございますが、そういう御例示もありましたので、しっかりと今後についても検討してまいりたいと思います。

篠原委員 端的に答えてください。

 国内のいろいろな市まで答えたり、地方まで答えたり、そんなことを聞いているんじゃなくて、国産か輸入かという、消費者が一番知りたがっているのをきちんと表示させるようにしたらどうかということを言っているんです。これはやってくださいよ。

 次に、やはり悪いことを考えているのがいっぱいいて、もう何回もこういうのを繰り返しているんです。二〇〇〇年代に入ってからもいっぱいあったんです。赤福、白い恋人。さっき言っておられましたが、紅白歌合戦じゃないんです。赤も白もみんな悪いことをしている。厳罰をもって臨むんですよ、こういうときは。

 例えば、料理している人たちは良心の呵責に耐えかねていると思うんです。今、NHKの朝のテレビでやっているでしょう、一生懸命料理をつくる人の。ああいう気持ちを持っているんだけれども、経営している人が利益優先、経営優先なんです。そうしたら、そこのところを罰するんですよ。厳罰にすべきだと思います。

 例えば、欧米社会は物すごい信賞必罰ですよ。一回悪いことをしたら、例えば私がかかわった漁業界で、インチキして漁業の違反をした、ルール違反をして、そして禁止期間にとった。三代続けて漁業には一切タッチできなくなるんです、その一族。わかりますか、この厳しさ。ルール違反に対しては、それだけ厳しいんです。

 営業停止一カ月、これじゃ足りないです。一年ですね、こういうでっかいものは。そうしたら、なくなります。

 特定秘密保護法で秘密を漏らした人には十年というえらい厳罰を科されるようですけれども、同じように、こっちにも厳罰を科してください。担当大臣です、いかがですか。

森国務大臣 確かに、委員御指摘のように、不当表示というのは、消費者庁ができてからも、今統計を見ておりますが、毎年毎年起こっております。これについて、厳罰を処すようにという委員の御意見、真摯に受けとめてまいりたいと思います。

 今、現行法におきますと、先ほど来から指摘をされている景品表示法以外にも、不正競争防止法、JAS法には刑事罰が定められておりますので、それらの要件に当てはまる場合には、これは刑事罰に処せられる場合もあるわけでございます。

 いずれにせよ、不当表示を防止するために、必要な実効性確保の方策について、委員の御意見も踏まえながら、検討を進めてまいりたいと思います。

篠原委員 だからといって、みんなが恐れるのはちょっとした単純ミスですね、そんなのは厳罰に処す必要はないと思います。ちょっと原材料がなかったから、こっちのを使ったというような。だけれども、重犯とか、組織的に五年もやっていたというのは、相当痛めつけていいですよ。賠償しますといったって、消費者、そんなに行かないはずですよ、そんなの忘れていますし。だから、国が乗り出してきちんとやらなかったら、だめなんです。

 それから、これは、料理してしまえば何を使われているかというのはわかりませんから、内部告発ですね、これしかないんですよ。これは秘密じゃないです。こういう秘密はばらしてもらわなくちゃいけないんです。特定秘密だって同じようなのはあるんですけれどもね。その話をすると長くなるので、やめておきます。

 副大臣においでいただいているので、ぜひこの点は前向きにお願いしたいと思うんです。

 今、農政改革をやっておられる、これは大事なことだと私は思います。常に改革はしていく。余り趣味に合わない改革もあるんですけれども、農林水産委員会でたっぷりやりますので、ここではやりません。

 ですけれども、もろもろの改革よりも、先ほどから申し上げている、国産だ外国産だというので、国産を使っていますよという、これをきちんとやることが、日本の原材料を使う一番の後押しになるような気がするんです。安倍総理が就任以来言っておられる攻めの農業、攻めの農政、これにぴったりしているような気がするんです。

 農林水産省からも消費者庁に働きかけて、ぜひ原料原産地表示をきちんとしていただきたいんですけれども、この点については農林水産省ではどのように考えておられますでしょうか。

江藤副大臣 同じ党内ですので、大臣を責めるようなことはなかなか言いづらいのでありますけれども、篠原委員、別に、農林水産省であるから先代からの顔がちらついて手を緩めるような考えは全くありません。そのことは申し上げておきたいと思います。

 総理も、日本の強みというものは、やはりこだわりであったり、たくみのわざであったり、文化であったり、そういうものが食品の背景にはある、食文化全体を外国に売り込みたいというのが総理の考え方でありますので、それの信頼性が失われているということであれば攻めもくそもないというのは、全く同感であります。

 農林水産省としては、新たな農政改革にも踏み出しているわけでありますので、攻め出すためのツールとして、日本の独自性であるとか特異性というものをもっと生かしていく必要があると思っておりますので、ぜひ大臣、またこの場を離れて、ここで余り踏み込み過ぎるとまた怒られますので言いませんが、私としましては、やはり日本のものはいいのだということでトップセールスを今総理が行っているわけですから、日本の食品は安心でおいしくて、そして食文化はすばらしいということを今総理がトップセールスをされているわけですから、それを後押しできるような法体制、いろいろなガイドラインの作成等は、強化していくのは当然だというふうに考えます。

篠原委員 今、江藤副大臣にお答えいただきましたけれども、正確には知りませんけれども、ユネスコの世界無形文化遺産、和食が今週にきちんと登録されるんじゃないんですかね。これに対して、ちょっとこの事件は泥を塗っているんですね。東京オリンピック招致が決まって、おもてなしというのを、私はちゃんとまねできませんけれども、おもてなしの精神にも反するようなことになっちゃっているんですよ。非常に重大問題で、私は、これに何で政府が本腰を入れて取り組まないのかと不思議なんですよね。

 日本農業、いろいろ問題を抱えているんですけれども、一九九〇年の前までは、野菜や何かはほとんど国産だったんです。それを、交通網が発達しましたし、だんだん外国の輸入になっていったんです。だから価格低迷になる。そのときからなんです、不当表示、にせ表示が始まったのは。輸入農産物を国産農産物と偽っている。だから、この問題は根が深いんです。だから、このところをちゃんとハンドリングしたら、非常にありがたがられるんです。

 ですから、森大臣は、これをちゃんとやったら日本のジャンヌ・ダルクになるんですよ。特定秘密保護法をぎしぎしやったって、そうは評価されないだろうと思います。まあ、どっちかの方だけ熱心にやれとか言っているわけじゃないんですが、こっちの本業の方をちゃんとやっていただかないと困ります。これはちゃんと、規制と言うが、規制じゃなくて常識で、皆さんに、消費者の目線に立って、選択の機会を与えるということなんです。

 そういう点では、民主党が〇八年に提出した、通称ですけれども食品トレーサビリティー法というのを、我々が考えて出したんです。いろいろな事件があったので出したんです。これをきちんとやっていたら、多分うまくいったんだろうなと思うんです。

 例えば、意外なところに効果が発しているんですよ。ちゃんと原産地とかがわかるといいますね。牛のトレーサビリティー法、あれは放射能の汚染のときに抜群の効果を発揮したんです。汚染された稲わらを食べて、ひょっとして相当汚染されている肉が出回っているんじゃないかと。ところが、牛の識別番号がありますから、牛が何を食べたかもちゃんとチェックされているので、人間以上に履歴をきちんとさせられているんです。だからわかったんです。それで、肉屋さんにばあっと行って、この肉はありませんかということができたんです。出元がわかっていると、そういうこともできるんですよ。

 この食品のトレーサビリティー法も、ぜひ、内閣の提出として出してもらってもいいような法律のような気がするんですが、検討事項の一つに加えていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

森国務大臣 これは、民主党が二〇〇八年に提出をされましたいわゆる食品トレーサビリティー法でございますけれども、民主党政権の時代には提出をされていないようではございますが、いずれにせよ、今の委員の御指摘のとおり、やはり消費者の信頼を確保するということが重要でございます。

 外食では、さまざまな食材や調理方法を用いた料理が提供をされているため、表示も、事業者の自主性や多様性を認めつつ、その内容が適正であることを徹底することが重要となります。したがって、表示自体に何らかのルールを設定するということが大変難しいとは思いますが、政府としては、今回の一連の食品表示の問題の主な原因、背景として、事業者のコンプライアンスの意識の欠如、景品表示法の趣旨、内容の不徹底、行政の監視指導体制の問題があると考えておるところでございますので、個別の厳正な措置をするとともに、関係業界の表示の適正化とルール遵守の徹底、事業者の表示に対する意識改革や表示の監視指導体制の強化について、法的措置を含めた実効性のある対応策を来週には政府パッケージとして取りまとめるべく、関係省庁と調整をしているところでございます。この対策を速やかに講じて、日本の食に対する国内外の消費者の信頼回復に全力を尽くしてまいりたいと思います。

篠原委員 大臣、我々質問者は適当な嫌みを言ってもいいですよ。答弁者が余計な嫌みを言うなんというのは最低ですよ。法廷のゲームではないんですよ。真面目に答えてください。僕がこんなに真面目な提案型の質問をしているのに。

 では、厳しい質問をしますよ。

 特定秘密保護法とこの食品偽装の対応、どっちが緊急性があると思いますか。

森国務大臣 篠原委員が政府として提案をしてはどうかというような御意見でございましたので、過去に政府として御提案をしたことがないのではないかということを申し上げるために言ったところでございまして、真摯に御答弁を申し上げているところでございます。

 また、今の御質問でございますけれども、特定秘密保護法と消費者問題でございますが、どちらも大臣として担当しております。こちらの方が本職ではないかというような御質問でございましたけれども、どちらも担当大臣であり、いずれの案件も重要かつ緊急性があるものと考え、他の所掌事務と同様に、これまでも全力で取り組んできたところでございます。

 この食品偽装問題に対しても、今後とも、消費者担当大臣として迅速かつ適切な対応に努めてまいりたいと思います。

篠原委員 この委員会、開かれていないんですよね。国民の前に、ちゃんと、どういう状況かということを知らしめなくちゃいけないんですよ。

 もう一つの紙、これは大臣だけの問題ではないんですけれども、裏側のを見てください。「食品表示等問題と森大臣の主な対応」。

 何か、特定秘密保護法案については準備万端整っていて、九月十七日に閣議決定で担当というふうになられたんですね。そうやっているときに、運悪くこの問題が生じてしまった。運悪くじゃなくて、これは絶好機なんです、食品の表示の問題をびしばし解決していくには。

 十一月七日に法案の審議が始まったんです。それから、大臣がいろいろかかわった会見とかいうのはこれだけしかないんですよ。

 そして、十一月十一日の第一回目の検討会。このときには十七時まで委員会も開かれています。十分出て退席。私は、大事な問題ですし、大臣にも全部聞いていていただいてもいいような気がします。

 その後、本当にこれに全力投球されてきたのかどうか、僕はここが問題だと思っているんです。

 国家公務員法には、特定秘密保護法案のときにさんざん問題になりましたけれども、守秘義務というのがあります。厳罰もあります。だけれども、国家公務員には、これは通告してありませんけれども、常識で答えてください、非常に大事な義務がもう一つあるんですけれども、何ですか。大臣、何だと思われますか。

森国務大臣 全国民に奉仕する義務と承知しております。

篠原委員 職務専念義務なんです。職務に専念しているかどうか。

 僕は、五月のときは、何か済みませんとおわびしました。何をおわびしたって、私がおわびする必要はないんですけれども、三人の総理大臣がおわびするべきなんですけれども、消費者担当大臣がくるくるくるくるかわって、きちんと務めている人はいなかったんですね。松原仁大臣が一番長かったんです。森大臣には、長くやって、きちんと一生懸命取り組んでいただきたい、そういうことをお願いしたんです。

 時間だけは長くなっていると思います。しかし、この期間、これにちゃんと取り組まれたのか。私は、職務専念義務違反だと思うんです。守秘義務違反というのも大事ですけれども、大臣としての職務を本当に果たしてこられているのかどうか、ここを問題にしたいんです。ちゃんと職務専念義務を果たしてきたと思われますか。

森国務大臣 国会が開かれるかどうかについては、国会の方の運営の問題だというふうに心得ております。

 私は、国会の場では常に真摯に御答弁を申し上げておりますし、ここに書いてあります以外にも、このほかにも、さまざまな指示をしたり、さまざまな御意見に対応しております。

 例えば、この迅速な行政処分ということでございますが、これまで、消費者庁ができて、出された行政処分、ほとんどが半年ぐらいたってから措置命令等が出されておりました。これでは、今回の案件が出てから、広がりがある中で、消費者に対して不安を与えてしまうということで、迅速に処分をしなければならない。しかし、それは、処分をされる方の事業者さんにとってもしっかりとした理由があるということが必要でありますが、今回は業者の方が認めている案件でもございます。

 こういったことで、私は、事案が生じてすぐ事務方を呼びまして、今回どのような形をとって個別に調査をしているのか、私の経験も踏まえまして、これは、ショートカットするところはショートカットをするように具体的に指示を出しまして、そこで、報道に出されているような迅速な行政処分に至っているわけでございます。

 そのほかも、これから、来週、パッケージが発表をされますけれども、それぞれ私が全て指示をして、これまで出されていない前向きな取り組みをパッケージにして出す予定でございます。これは、私は、大臣としての職務を専念して行っているものと自負をしております。

    〔原田(憲)委員長代理退席、委員長着席〕

篠原委員 それは本当にそう思われますか。国民がそう見ますかね。

 一番長く大臣室にいたと。私は、大臣は大臣室に長くいるだけじゃないと思いますよ。偽装の現場というのはどういうのがあるか、災害の現場と違いますけれども、真摯に消費者の皆さんの意見を聞いて、そしてどこをどう直したらいいかということを聞いたりすることが大臣の役目だと思います。象徴なんです、大臣は。そういうことをされずに、特定秘密保護法の方の答弁をしていた、両方やっていると。

 私は、常識的に見たら、あっちも大事なんです、ここが多少怠っていたのは済みませんでしたと、一言ぐらいあっていいと思ったんですけれども、全然そんなことはないですね。本当に全面的に職務に専念していたと思われるんですか。そういうことを強弁されるんですか。そういうことだったら、私は心得違いだと思いますよ。答えてみてください。

森国務大臣 国会等の対応についても、歴代消費者大臣の中で最も長い時間、最も多い回数、国会において御答弁を申し上げております。消費者問題についてでございます。

 消費者問題に対する対応についてもしっかりと取り組んできておりまして、予算等についても実績を上げておりますし、一つ一つの課題の解決についても、これまで解決をしていないものを、結果を出してきてまいっているというふうに思っております。

 この食品の表示の問題についても、しっかりと専念をし、事務方に指示をしておりますことを申し添えます。

山本委員長 篠原君、申し合わせの時間が経過しておりますので、結論をお急ぎいただけますか。

篠原委員 しかし、これだけ強弁されるとは私は思いませんでした。

 私はそんなに責めたつもりもないんですよ。びしばしやっていただきたい。むしろ、バックアップして、頑張ってびしばしやってくださいよということを申し上げているんですよ。それを、ちゃんとやっている、何をぬかすかという態度で答弁されては困りますね。

 心を入れかえて消費者行政に専念されることを忠告いたしまして、私の質問を終わります。

山本委員長 次に、中根康浩君。

中根(康)委員 民主党の中根康浩でございます。

 森大臣がどれだけ優秀で、どれだけ有能で、スーパーウーマンなのか、あの特定秘密保護法案、連日にわたって答弁をされておられて、普通だったら、もうそれだけで精いっぱい、また、精いっぱいやらなきゃいけない法案があの法案であるというふうに思います。

 それに加えて、この食材偽装、メニュー虚偽表示、これも、例えば牛脂注入された加工肉であれば、アレルギーを起こして命にもかかわりかねない、極めて重大な、深刻な結果を招きかねない問題であるわけでありまして、これもまた全力で取り組まなければならない課題であります。

 この大変重い二つの法案を、いずれも全力で取り組んで、きちんと結果を出しているというのは、まさに御自身に対する過大評価である、おごりであると国民の皆さんはお聞きになっておられると思います。

 まず、この委員会が十二月に至るまで開かれなかった、このことに対して、やはり私は、政府あるいは与党に対して厳重な抗議を申し上げたいと思います。

 偽装問題が起きてから、再三にわたって、民主党は、郡理事を先頭に、この委員会の開催を求めてまいりましたが、一向に与党の皆様方がこれに応じることはありませんでした。それはやはり、誰が見ても、森大臣が特定秘密保護法案の答弁に専念をするためにこの委員会を開かなかったというふうに思っていると思います。事実が恐らくそうだろうと思います。

 そうでなければ、これだけ緊急性を要して重大な課題に、なぜこの委員会が開かれなかったのか、理由が見つかりません。なぜでしょうか。大臣はどう思われますか。

森国務大臣 国会の運営に関しては、国会の方がお決めになるものと承知しております。

中根(康)委員 むしろ大臣の方から、国会を開くべきじゃないですかというような相談やアドバイスや、そういったものがあってもしかるべきだったと思います。

 全ての国民が、この問題に対して、国会はどんな議論をするだろうか、質問があった場合に大臣はどう答弁をされるだろうか、どういう対応をしていくつもりなんだろうかということを注視していたはずでありますが、全てが裏切られたということになってしまったと思います。

 これは十月の二十二日から始まった問題でありますけれども、もともと、表示に関する問題は消費者庁の最大の課題の一つではないですか。

 森大臣は、この食材偽装の問題以前に、表示のことについてどのような取り組みをして、先ほど自慢げに自分の功績をおっしゃっておられましたが、どのような結果を出されたんですか。

森国務大臣 食品の偽装表示については、消費者庁が発足してから、毎年のように、一件だけではなく、偽装の事件が起きてきております。

 私は、就任をしてから、食品表示の法案、これに取り組みまして、提出をし、国会の皆様方の御協力を得て、その成立をしてまいりました。そのような表示の問題については種々の課題が提示をされておりますが、一つ一つに取り組んでまいりました。

中根(康)委員 一つ一つに取り組んできた結果が、また十月以降、これだけ大規模な偽装問題が起きているじゃないですか。

 やはりこれは、御自身の功績をとうとうと述べられるのではなくて、篠原委員が先ほどおっしゃられたように、職務専念違反とは言いませんけれども、このことに対する取り組みがまだまだ、大臣として、消費者庁として甘かった、不足をしていたということを認めなければならない、そこから始めなければ、この問題の根本的な解決には至らないんじゃないかと思いますけれども、それでも、この十月以降起きた大規模な食材偽装問題は、消費者庁のそれまでの行政のあり方とは全く関係なく起きたということをおっしゃるわけですか。

森国務大臣 消費者庁ができましてから四年目になります。食品の表示の偽装の問題は毎年のように起きておりました。これに対して、その当時の消費者庁は、現行法を使って行政処分をするということを繰り返してきたわけです。

 そして、今回の問題が起きましたので、どのような取り組みをしたのかという御質問に答えまして、私、先ほどのような、るる御説明をさせていただきましたが、今回は、これまで行っていた行政処分をさらにスピード化するということ以外に、業界団体の自主規制の強化、さらに現体制の改革ということで、地方自治体の方の措置、さらに現行法令の強化、改正に向けての取り組み等をしているわけでございます。

中根(康)委員 食材偽装問題が、十月二十二日以降、公になってから、やはり私は、先ほど篠原委員が配付をした資料を見ましても、大臣がこれに取り組む物理的な時間から始まって、その内容、その結果といいますか、成果ということがあらわれていないということからしても、私は、この食材偽装問題に、森大臣は全力でここに取り組んできたとはやはり言えないと言わざるを得ないと思います。

 もう既に前段の質問者からの指摘があったのかもしれませんけれども、この問題は決して新しい問題ではないということは大臣も把握しておられるわけでありますので、繰り返し、再発防止、再発防止ということで取り組んできたにもかかわらず、また再発をしているということに対しては、消費者庁として、そしてまた責任者としての大臣として、これは大きく責任を感じてもらわなくてはならないわけであります。

 だから、本来ならば、特定秘密保護法案、成立したら、これは官房長官がその主体を担っていくわけでありまして、よく言われているように、大臣はただ単に国会の答弁役として閣議決定をされただけであると言われるわけでありますけれども、そういうことであるならば、これは向こうの法律が成立しても全く責任を担う立場ではないわけなんですから、あちらは官房長官に答弁をお任せして、私はこの食材偽装問題に全力で取り組みたいと内閣の中で力強く発信をするというか、そういう姿勢で臨むべきだったんではないですか。

森国務大臣 内閣府の大臣は、総理そして官房長官のもとで、それぞれの所掌事務を行っております。

 そして、私は、その中で、消費者問題も、男女共同参画問題も、障害者の問題も、そして特定秘密保護法の問題も行っているわけでございます。それら全てを、総理と官房長官のもとで、内閣府の大臣として行っているわけでございます。それらは全て私の担当でございますので、それぞれに全力をもって取り組んでおります。

中根(康)委員 言葉として全力でと言うのは簡単なんです。本当に全力でやったかどうかということを、先ほどから、篠原委員から、あるいは私も今確かめているわけでありますが、どうしても、大臣がこの問題に対して全力で取り組んだという形跡はやはり見当たらないと言わなければなりません。

 もう既に、例えばことしになってからでも、東京ディズニーランドで食材偽装問題というのは起きているわけです。ブラックタイガーをクルマエビ、交雑種の国産牛を和牛とする、あるいは、ホテルミラコスタで、メニュー表記と異なる食材を結婚披露宴で約三万人に提供していながら公表していないという極めて重大な事案が発生をしているわけであります。

 もうそこから、ある意味、最低でもそこからこの表示の問題についてはスタートをして、十月ぐらいには、先ほど半年ということをおっしゃられたわけでありますので、十月ぐらいには何らかの消費者庁としての成果が出されて、この十月以降の問題に対しては、その新しい成果のもとで適切に対処をするという段取りになっていなければならなかったと思います。

 結局、大臣は、ディズニーランドの問題が起きてからも何も対応をしなくて、この問題が起きて、そして、十一月のうちに取りまとめて、その後ガイドラインをつくりますとか、こういうふうに後手後手になってしまっているということを思われませんか。

森国務大臣 消費者庁ができまして、私で十二代目の大臣でございますが、これまでの消費者庁の取り組みをしっかり私も受け継ぎながら、この食品表示問題についてさらなる改善をしてまいったつもりでございます。

中根(康)委員 篠原委員と同じような資料を使って確認をしていきたいと思います。

 消費者庁のホームページに掲載されている森国務大臣の記者会見の概要というところで、十月の二十五日に、大臣は、消費者庁としては厳正に対処してまいりたいというふうに思いますと答弁をされておられますが、それで、厳正に対処していくということの結果、十一月の十二日に、ガイドラインをつくります、景品表示法のわかりやすいガイドライン等の早期策定等を官房長官から御指示いただきました、そして、今月中には取り組み状況を取りまとめるように求めたところでありますというようなところにつながっていくわけです。

 このガイドラインをつくるということ自体も、大臣のリーダーシップで始まったことじゃないじゃないですか、これは。官房長官が大臣に指示をして、それでやっと森大臣は動き始めたということじゃないですか。

森国務大臣 いいえ、それは違いまして、私、先ほど申し上げましたとおり、内閣府の大臣でございまして、官房長官のもとで消費者行政をしております。何事も官房長官に御報告をして、相談の上、しておりますので、これについても逐次官房長官に御報告を申し上げ、対応を検討してまいったということでございます。

中根(康)委員 私は、一つ一つ森大臣が、御自身の判断でこの問題に対応してきたとはやはり思えません。

 十月の二十九日の会見におきましては、記者からの、立入調査の有無というのはどうですかということを聞かれて、大臣ははっきり答えてはおられません。適切な行政判断をしてまいりたいと思いますという、極めて消極的な御答弁にとどまっているわけであります。

 それから、十一月の八日の会見におきましては、本日、直接私自身から表示の適正化に関する要請を行う予定にいたしておりますと、事これだけ重大な問題が発覚した後も、表示の適正化に関する要請を予定しているというような、これもまた極めて生ぬるい、全く警告にもならないような発言しかしておられないわけであります。そして、その後の言葉は、あわせて昨日の官房長官からの御指示を踏まえまして今後の対応方針を検討するということをおっしゃっておられるわけでありまして、ここにも主体性が感じられない会見のお話になっておられるわけであります。それだったら、特定秘密は森大臣がやるんだったら、こっちに官房長官が来てやってもらったらよかったんじゃないかと思うぐらいであります。

 それから、食品表示法に産地、品質を含んだ外食の表示の規制を盛り込む方針で検討しているという報道があったということだけれども、その事実関係を聞かせてくださいという記者の質問に対しては、森大臣は、そのような事実関係はありませんということをおっしゃっておられるわけであります。やらなければならないことを、ここできっぱりと、そういうことはありません、つまりはやりませんということを言っているわけであります。

 そして、外食のメニュー表示については、提供される商品の種類が多く、その原材料が頻繁に変わることによる表示の切りかえが困難であるということ、それから、営業形態が対面販売であり、あらかじめ消費者が店員にメニューの内容を確認できることから、JAS法に基づく表示基準による義務づけは対象外とされておりましたとかいう、何か、現行法をそのまま踏襲して新しい踏み込みをしないような、そういう発言が次々と繰り返されているわけであります。

 さらに申し上げますと、表示の関係なんだけれども、景表法に課徴金の制度を設けるべきだという議論がありますが、この件について大臣の御所見を伺いますという質問に対しては、課徴金のところというのは、篠原委員も言っておりましたけれども、これだけ繰り返されると、単に行政指導とか行政処分とかということではなくて、厳罰ということがやはり必要になってくる。

 業者側は、当然、消費者に比べて持っている情報量は圧倒的に違うわけでありますし、業者としては、これはビジネスですから、何らかの形でコストを下げて、そして利益を上げようということを常に考えて活動している、そういう立場であるわけでありますので、ここは、だました、誤表示なんということはとんでもない言いわけで、バナメイエビがクルマエビだったり、そんなことは、これは誤表示なんということで言いわけができるはずがなくて、これはもう明らかにだました、うそだということで、厳罰に処さなければならない。

 その一環として、課徴金ということも、当然、消費者の立場からあるいは被害者の立場からすれば、あってしかるべきだということの中において、景表法に課徴金の制度を設けるべきだという議論がありますが、この件について大臣の御所見を伺いますという記者の質問に対しては、課徴金についてはさまざまな御意見もございますけれども、まずは官房長官の御指示に基づいて月曜日に省庁間会議を開催いたしますので、今後も適切な表示に向けてどのような取り組みが可能であるのか検討してまいりたいと思いますと。ここでも、まず官房長官に聞かなければ自分は何も判断できないということを露呈しておられるわけであります。

 十一月の十二日には、景品表示法のわかりやすいガイドラインの早期策定を御指示いただきました、これは先ほど申し上げました。これも官房長官からということであります。

 こういうように、全く大臣が大臣としての職責を全うしていないということが、大臣自身の記者会見に対する御発言から見てとれる、うかがい知ることができると言わざるを得ません。

 それから、自民党の消費者調査会の方から、体制の強化とか罰則強化とかいうことで提言が来ているということでありますけれども、これについて、大臣は、いろいろおっしゃられた後、そういったさまざまな仕組みをした上で、それでもだめな場合の罰則でございますけれども、最後の手段でございますけれども、これが通常の行政処分または刑事処分の厳しいものがないわけでございまして、そういったものを含めて検討するということを考えておりますということで、与党自民党の厳しい対処を要望する提言に対しても、それに対してすら、大臣は、極めてトーンダウンしているような、消極的な御発言しかしておられないわけでありまして、これは恐らく、推察するに、やはり特定秘密保護法案に相当な精力を費やしておられて、この消費者問題、食材偽装問題については一旦先送りをしたいという気持ちが、自分のお気持ちの中に、どこかにあったんではないかというふうに、これは同情する意味合いも含めて、拝察を申し上げるところでございます。

 こういった大臣の記者会見に対するやりとりということを今御紹介させていただきましたけれども、それでも、大臣として、全力でこの問題に当たって、そして職責を果たして、国民の不安や疑念にこの間十分応えてきたと、胸を張ってお答えをすることはできますか。

森国務大臣 中根委員御存じだと思いますけれども、個別事案の行政処分の立ち入りについては、これは、調査中の段階で言及することはできません。これは……(発言する者あり)今一番最初に御指摘になったことですよ。

 私の前に十人の民主党の消費者大臣がおられましたけれども、措置命令を出す前に言及された方はやはり一人もおられないと思います。これはやはり、措置命令が決まる前に個別の事案について言及できないというふうに記者会見で述べるのは、行政庁として当然のことであろうというふうに思います。そのことについては御理解をいただきたいというふうに思います。

 また、業界への要請でございますけれども、措置命令を出す前に、それでは個別の措置命令ではなくて一般的な要請でございますが、その要請が遅かったではないかというような御指摘がございましたけれども、個別事案がこのように頻繁に行われた場合に、措置命令をどこかに行う前に業界に要請をするということは極めて異例のことでございます。しかし私は、これは事態の重大性に鑑みて、一つ目の措置命令が行われる前であっても、一般的に業界に調査をして報告させるという要請をすべきだということで、これは消費者庁長官にまず指示をいたしまして、長官からも指示は迅速にいたしましたけれども、その上で私も、業界団体を大臣室に呼びまして、措置命令の前に、異例の業界への要請を行ったところでございます。

 そして、御存じのように、今回の問題は、各省庁にまたがる案件でございます。農水省以外にもさまざまな関係省庁がございます。これについて、私としては、消費者庁の対応をまとめた上で、官房長官にこれを報告いたしまして、そして関係省庁の対応をしっかりとまとめるということで、私の案を官房長官から御支持をいただいている、そういうことでございます。

中根(康)委員 先ほど篠原委員も言われましたけれども、消費者庁の存在意義というのは、あくまでも消費者の立場に立って、消費者目線に立って、消費者の安全を、健康を全力で守るということであって、各省庁と協議をして調整をして、それでなんということを言っている場合ではないということを大臣は自覚してもらわなくてはならないと思います。これは、アレルギーのことを含めて言えば、命にかかわる問題であるわけであります。

 ガイドラインということで言えば、平成十九年に、ミートホープ事件とか船場吉兆の問題が起きたときに、日本フードサービス協会というところがガイドラインをつくっております。

 それから、それにさかのぼって平成十七年には、外食における原産地表示に関するガイドラインというものもできているわけであります。

 それから、平成十九年の七月には、水産庁が魚介類の名称のガイドラインというものを既につくっております。これを見ると、ちょっとおもしろいんですが、アメリカナマズは、シミズダイとかカワフグとか、こういう名称で言ってはいけない、ナイルアカメはスズキと言ってはいけない、こういう具体的なガイドラインができているわけなんです。

 それから、平成二十三年の六月には、日本惣菜協会というところが、総菜、弁当、お持ち帰り弁当、いわゆる中食ですけれども、これの原材料名、原料原産地、アレルギー物質等に関するガイドラインをつくっているわけであります。

 つまりは、問題が起きるたびに、それをきっかけにガイドラインというものはできていて、消費者庁としては、これを一つのツールとして使うすべは十分整っているにもかかわらず、それを使いこなせていない。まさに消費者庁ができた意義がわからない。それを、大臣は長く大臣の席にいるのであれば、十分こういった既にできているものを把握して、食品偽装あるいは表示偽装というものが再発をしないように努力するという姿勢が見られなければならないし、その結果として、努力をしたとしても、今回、十月以降、こういう大規模な問題が起きているということに対しては、最初に申し上げましたように、やはり消費者庁として、あるいは大臣として、取り組みが十分ではなかったということは認めるところから始まらないと、国民に対する信頼の回復ということは始まらないというふうに思います。

 もう一度伺いますけれども、それでも大臣は、こういった今までの教訓とか、あるいは既にできたガイドラインとか、こういったものを十分使いこなして、その上でもなおかつ今回の問題が起きてしまったというふうに考えておられるんですか。

森国務大臣 ガイドラインについて今御指摘がございましたけれども、平成十七年の、これは農水省のガイドラインでございますが、委員御存じだと思いますけれども、景表法について記載がございません。

 これについて、私は、農水省の方にこのガイドラインも改定を要請しておりますが、いずれにしても、この案件は、各省庁に、それぞれ持っている業界団体、関係団体に全て周知徹底をしなければならない、また、消費者庁から、法案は持っておりますけれども、執行部隊が、例えば農水省の食品Gメンがございますけれども、そういうところもこれから活用していかなければならないということで、関係省庁と一体になって取り組んでいかなければならない問題であると思います。

 そういう意味で、来週、省庁間会議を、また第二回を開きまして、そこで抜本的なパッケージをお示しし、それを適切に運用してまいりたいと思っております。

山本委員長 中根君、時間が経過しておりますので、結論を急いでください。

中根(康)委員 相変わらず縦割り行政を脱し切ることができない、森大臣の指導力は発揮されていない、だから、こういった問題はこれからも再発しかねないという危惧を表明させていただき、質問を終わらせていただきます。

山本委員長 次に、重徳和彦君。

重徳委員 続きまして、日本維新の会の重徳和彦です。

 一連の高級レストランにおけるメニュー偽装表示の問題について質問をさせていただきたいと思います。

 ただ、質問に入ります前に、きょう、このような委員会、急に開かれまして、国会の議論の質を下げるものだと思います。質問者に十分な準備の時間を与えない。もちろん、大体どういうことを聞こうかということは決めていますよ、委員会を開いてくれと言っているわけですから。だけれども、具体的な質疑に与えられる時間だって、きのうの夜になって決まったわけですし、八時になって決まったんです。それから具体的にどういう質問をするかという項目を選んで、そして一番最新の情報を収集して、結局、役所に対する質問通告、打ち合わせ、終わったのは本当に夜中ですよね。結局、役所の皆さんが徹夜の作業をして、そしてようやく本日を迎えているわけですよ。

 与党の皆さん方は余りお感じじゃないかもしれませんけれども、役所に対してこういう妙な負担を与えるようなことを与党の議員さんたちがやられているわけですよ。

 これはやはり、実質国会ということをずっと私たちは主張しているわけでありまして、このようなことを繰り返さないように……(発言する者あり)

山本委員長 御静粛にお願いします。

重徳委員 このような乱暴なやり方ということを繰り返さないように、強く求めたいと思います。今回の国会はめちゃくちゃですからね、はっきり言って。もういいかげんにしてもらいたい、そういう気持ちでおります。

 ということを前置きいたしまして、本件は高級レストランで発生した問題だということをまず申し上げたいと思います。これは本当にバランスのとれた議論が必要だと思うんですよ。

 年に一回ですよね、高級レストラン。奥さんの誕生日とか結婚記念日とか、そういう大切な日に、年に一回行けるか行けないか、そういう大切な日を過ごそうと思って、きょうは久しぶりにおいしいワインを飲みながらおいしい料理を食べたね、こういう思い出のその日を全て崩壊させてしまうような、本当にだまされたという思いだと思いますよ。そういう意味で、厳しく対処すべき事案だと思います。

 委員の皆さん方も、地元にそれぞれ、近所の小さなレストランとか、地産地消にこだわっているレストラン、食堂、お弁当屋さんだってあると思います。そういうところこそ、本当に大変な思いをして、常連のお客さんをやっとつかんで、そういう小さなお店なんかは決してお客さんのことを裏切るようなことはしないと思います。それに対して、大手のレストランがこれまでに積み重ねた信用にあぐらをかくような形で今回のような問題を起こすというのは、本当にこれはがっかりですね。

 ただ、一方で、きれいごとばかりじゃないと思うんですよ。だから何でも厳しくすればいい、世の中全部厳しくすればいい、こういうものでもまたないんです。

 例えば、近所の食堂といってもいろいろな食堂がありますね。本当に安い食堂とか、一泊二食つきで数千円の安い宿、こういうところで、多少、朝とれたての卵でつくったオムレツだと言われても実は二、三日前のものだったとか、新鮮な魚と言いながら冷凍の魚でも、これは、だから安いんだよなとどこかで消費者の皆さんも思うところがあるわけでして、だから、世の中全部がこういう問題に覆われるということではないと私は思っています。

 消費者側も、これもちょっと言い方を気をつけなくちゃいけませんけれども、ちょっと気持ちよくだまされていた方がましだという部分もあると思うんですね、知らぬが仏というか。だから、安い料理なんだから、中身に余りこだわらない人が多いと思います。そこで、あえて、古い卵でつくったオムライスとか、冷凍で海外から取り寄せた魚とか、そんなことは言わなくてもいいよ、こういう消費者心理もやはりあると思うんです。誰でも、安いものには安いなりのわけがあるということも、消費者も本当に賢いですから、そこは理解していると思います。

 そのような意味で、広い世界の中、日本社会の中で、今回の高級レストランが起こしたこの問題について、消費者庁というのは、唯一、消費者の立場から物事を捉える役所ですから、消費者庁として今回の問題をどのように捉えられているか、まず全般的な見解をお話しいただきたいと思います。

森国務大臣 消費者が商品やサービスを選択し、購入する、それに当たって、表示は極めて重要なものでございますので、正しい表示が行われているということが大前提だというふうに思っております。

 ホテル、百貨店や高級レストランにおける今回の事件でございますけれども、委員が御指摘のように、大切な場所、大切な時間、大切な機会、そのときに、消費者が、高いお金を払って、そしてそれに見合う、価値のある内容を求めているというふうに考えられますが、そこが表示とは違うということを提供していたということは、大変ゆゆしき問題だというふうに考えております。これは、国内外の消費者の日本食に対する信頼をも失墜させかねない事態だと憂慮しております。

 この問題について、重大な問題として、しっかりと消費者担当大臣として迅速かつ厳正に対処してまいりたいと思います。

重徳委員 ちょっと私の質問の仕方がよくなかったかもしれません。

 今回の問題は高級レストランの問題であって、中小、小さな食堂、レストラン、宿、そういうところの問題とは捉え方は一緒でいいんでしょうか。それとも、やはり、高級なレストラン、一流のレストラン、ホテルでこのような偽装表示と言われるようなことがあったことが問題なんでしょうか。どう捉えていらっしゃいますでしょうか。

森国務大臣 景品表示法におきましては、消費者に著しく優良であると誤認させる表示を規制しておりますので、これは、どのような場所であれ、その表示が実際のものと比べて著しく優良であると誤認させるものであれば、それは許されないものであると考えております。

重徳委員 この点は後ほどもう少し詳しくやりたいと思うんですが、今回、いずれにしても、起こったのは、高級レストランで問題が起こったわけですから、高級レストランでの事例として、それを前提としてしばらく議論を続けたいと思うんです。

 今回、しばらく前にこういった分厚い資料をいただきまして、そこに今回の食品表示等問題の主な事例ということで、二枚ほどで、どこのホテルでどういった内容の問題が起こったかというものが整理されておりますが、私は、自分なりに整理をしてみて、いろいろなケースがあるんですけれども、大きく四つに分けてみました。

 一つは、加工ですね。特に、ビーフステーキと偽って牛脂注入肉、加工肉を売っていた、こういうケースがあります。

 それから二つ目に、品種ですね。普通の白ネギを九条ネギと言ってみたり、ブラックタイガーをクルマエビと言ったり、バナメイエビをシバエビと言ったり、ロブスターをイセエビと言ってみたり、これは明らかに違うわけですよね。違うことを言っていたということ。

 それから三つ目に、産地ですね。エゾアワビを房総アワビと言ったり、中国産を国産だとかフランス産と言ったりということ。

 この辺になってくると、違うといえば違うんですけれども、何となく、世の中は、本当の産地じゃないんだけれども、出荷しただけでどこどこ産なんというのはよくあるよねなんということが、詳しくわからない一般消費者の間でも、そういうケースもあるのかなということはあります。それがいい悪いは別としてですね。

 私の地元でいうと、西尾市というところで抹茶を生産しているんですけれども、多くは京都に持っていって宇治茶として売られているとか、そういう地元的には非常に悔しい状況なんですけれども、ブランド力を持って物を売るという、一つの戦略といえば戦略かなということだと思います。

 それから四つ目は、状態といいましょうか、冷凍の魚を使っているのに鮮魚のムニエルだとか、既製品のジュースなのにフレッシュジュースだと。これは、明らかに違うという部分もあるかもしれませんが、若干、程度の差かなという感じもします。例えば、とれたての卵だ、とれたての野菜だといったときに、けさとれたとイメージする方もいるし、ここ二、三日の間だというふうにイメージする人もいるし、そういう意味で、新鮮とかとれたてという言葉も、言葉の定義、許容範囲というものもあるのかなという意味で、若干その幅がある、このように私なりに分類をしてみたところなんです。

 それで、質問なんですけれども、この分類というのは私が勝手にした分類ですので、別にこだわる必要は全くないんですが、いろいろな幾つかのジャンル、分類ができるとして、今、情報収集中だ、整理中だということでございますが、例えば今の私のような分類を参考としつつ、今回の事例について、私今悪質な度合いのことをちょっと踏まえて申し上げたと思うんですけれども、明らかに違うことを言っていたのか、程度の差なのか、そういう意味で幾つか分類させていただいたつもりなんですが、こうした悪質の度合いをどのように捉えておられるのか、御答弁をいただければと思います。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、まさに具体的な表示で問題になっているものについて、報道もされておりますが、調査中のものもございます。また、年内ということで、いろいろなものについてガイドラインという形でお示ししたいと考えております。

 したがいまして、今御指摘いただきましたものについて、この場でこれがどうというのはなかなか難しいところがございますが、御指摘のとおり、公表されているものの中でも、表示によってそれぞれ問題の差というのはあろうかと思っております。そうしたことを、事件の調査、また、これまで団体から報告、いろいろあるものにつきましても取り上げつつ、事件の処理、また、ガイドラインの作成の中で考え方を明らかにしていきたいというふうに考えております。

重徳委員 きのうちょっと事前にいただいた資料が手元にありまして、これは近鉄ホテルシステムズの資料なんですけれども、今私が最初に申し上げましたビーフステーキという、加工のジャンルなんですけれども、例えば、もうこれは書いてあるのでいいんだと思うんですが、ウェスティン都ホテル京都とかシェラトン都ホテル大阪、この辺で、ランチバイキング、ディナーバイキングがあって、加工肉にもかかわらずビーフステーキ、牛ビーフステーキという形で、多くの利用者の方が利用していたというものが手元にあります。

 これは、わかる範囲で構わないんですが、バイキングは一体、値段はどのぐらいだったんでしょうか。

菅久政府参考人 申しわけございません。今ちょっと手元では、値段まで把握しておりません。

重徳委員 ちょっと事前に調べてみたんですが、ランチバイキング三千円とかディナーバイキング四千五百円とか、そういう数字を消費者庁の方からいただいたんですけれども。

菅久政府参考人 失礼いたしました。

 ホテルから公表されているものはございますが、それの一例でございますけれども、ホテル、レストランで提供していたオーダーバイキング、価格四千円、そのようなレベルのものがございます。

重徳委員 これを高いと見るか安いと見るかも人によって違うのかもしれませんが、バイキングだけれども四千円とかいう話になってくると、それなりの質が求められる、期待されるということだと思います。ですから、家族連れで、ああ、やっぱりいいホテルで食べるステーキは違うねとか言いながら家族で楽しんでおられた方もいると思うと非常に胸が痛むわけなんですが、こういう消費者の側に立たないと、なかなかこの問題の深さが感じられないと思うんですよ。

 物が売れればいいやというような商売を、それは、商売人ですから売れた方がいいし、どうせなら高く売れた方がいいし、そういうのがあるんですけれども、それを利用していた消費者の皆さんが、どういう気持ちで、幸せを感じながら、特に高級レストランなんですから、高級ホテルなんですから、そういう立場に立つのが消費者庁、霞が関でいうと本当に唯一、消費者庁の役割じゃないかなと思っております。

 そして、前回、参考人質疑があったんですけれども、そこで維新の会の東国原委員が質疑をした内容、これを森大臣に改めてお伺いしたいんです。

 シバエビとバナメイエビというのは何か業界用語でどうだとかそういうような、あっちの世界ではどうだ、常識が違うとか、そういう話があるのかもしれませんが、一般の主婦ならずとも、クルマエビとブラックタイガーを区別できないということは余りないと思うんですけれども、料理する段階で。これが区別できない料理人というのは世の中にいらっしゃると思われますか。

森国務大臣 料理人であれば区別はできるものと考えております。

重徳委員 区別をできるにもかかわらず、そのまま出してしまう料理人というのは、一流ホテル、一流レストランの料理人としてふさわしいと思われますか、大臣。

森国務大臣 個別の事案を一件一件調べておりますが、全てがそうかどうかわかりませんけれども、料理人の方と、それからメニューをつくる方、また仕入れをする方がそれぞれ別のラインで、そこの相互連絡がうまく行われていないという例が散見されます。

 仕入れと料理人が別であっても、今委員御指摘のとおり見分けられると思いますけれども、その後メニューが勝手に変更されていて、それが料理人の方まで戻ってきていない、変更された後。そういうことであるなら、そこをやはりまず徹底させるという、ホテル自体のそういうガバナンスの徹底ということも大事だと思います。

 もし、料理人が、メニューに違うものが載っているということを知りながらしていたということであれば、それは、委員御指摘のとおり、プロとしての意識を疑われても仕方がない部分があると思います。

重徳委員 今、大臣おっしゃるとおりで、やはりプロ意識が疑われる、そのとおりだと思います。

 それから、きのうの夜中にいただいた資料によりましても、それは場所によりますけれども、料理長さんが、責任があるというふうに捉えられて、その会社の中で更迭されたという事例が実際にあります。だから、その企業においても、そのホテルの中においても、料理長さんに責任があるということで配置転換を命ぜられる、どういう処分かよくわかりませんけれども、更迭されたというようなデータがありますので、企業においてもそう捉えているんじゃないか。

 ただ、一方で、経営者からすれば、そんな余計な火の粉はかぶりたくないから全部料理長の責任だということで社内で処理を済ませてしまう、それで、私たちはちゃんと処分をしましたということをもって逃げたくなるという経営者のそういう追い込まれた立場という状況も、状況自体はわからないでもないと思っております。

 こういった経営者の問題に今度はなってくるんですが、経営者が、料理長がそのようなことをやっていると知りながらそれを容認していたと思われるケースが、具体的に、今回の中で、情報収集した中であるのかどうか、これについてお伺いいたします。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、関係団体から報告されておりますもの、それの取りまとめ作業を進めているところでございますけれども、これまでの報告の中では、クルマエビと表示していたメニュー、それをブラックタイガー、そうしたものを使用していた、そういった報告がございますけれども、その原因は、景品表示法等の関係法令に関する理解、知識が不十分だったというような報告にとどまっておりまして、委員御指摘のような具体的事例にはまだ接していないところでございます。

重徳委員 ホテルだとしたら、宿泊する部屋も大事かもしれませんが、基本的に、いい料理を出すというのは一番大事なところなんですから、そこに対して経営者が何らかかわらなかったのか、あるいは、知っていても知っていたとは今の段階ではみずから言うことはないと思いますが。

 でも、お客様に対して、一番大事なものに対して無関心だとかこだわらないということ自体、人任せにしてしまう、そして、いざ何かあったら料理長を更迭する。まあ全てのところで更迭されているわけではないですが、料理長が、料理長がと全部書いてあるんですよ。料理長が知っていながらこういう判断をしたとか、全部そういう、言いわけがましいという見方もできると思います。やはり、料理長に全部責任を押しつけているというふうに資料を見ただけでも感じられるんですよね。

 ですから、やはりこれは、後ほどお話ししますけれども、コンプライアンスを含めて、経営者としての矜持が問われる問題だと思っております。

 そして、先日の参考人質疑におきまして、ホテル協会の会長さんは、お客様を裏切った、欺くようなことを決してしてはいけないという発言をされているわけですが、してはいけないというか、しちゃったわけですよね、今回。これは詐欺ではないかということを東国原委員からも申し上げました。

 今回、具体的に、景表法というのは基本的には消費者庁が所管している法案ではございますが、本当に景表法の範囲にとどまるケースばかりなんでしょうか。

 やはり、詐欺罪というのは、その構成要件の中には、一般社会通念上、欺罔行為、相手を錯誤に陥らせて財物、財産上の利益を処分させる、そして、相手が錯誤に陥る、錯誤に陥った相手方がそういった財物を処分し、第三者に移転してしまう、つまりお金を払っちゃう、そして、今申し上げたことが、因果関係があって、だました側には故意及び不法領得の意思があったと認められる、これが詐欺罪なわけですけれども、こういう詐欺に該当するようなケースだってあるのではないでしょうか。違う聞き方をすると、ないと言い切れますか。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、消費者庁は、委員御指摘のとおり、景品表示法の不当表示に当たるかどうかという観点から調査をしております。もちろん、調査の過程で委員御指摘のような事例に接した場合には、関係当局との情報提供などもしていきたいというふうに考えております。

重徳委員 ですから、ないとは限らないということでよろしいですか、私が質問したことに対しては。詐欺罪に当たるケースがないとは限らない。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 もちろん、可能性としてはないわけではないと思います。過去にも不正競争防止法または刑法で警察当局が調査をした件というものもないわけではございませんので、私が今、ないと言えることはないということでございます。

重徳委員 現段階ではそこが精いっぱいだと思います。

 では、今度は、景品表示法の改正も含めた内容について質問を移したいと思います。

 大臣、先ほどから、来週パッケージとしてお示しするというふうに言われていましたが、景品表示法の改正というものは十分あり得るというふうに捉えていてよろしいでしょうか。

森国務大臣 景品表示法の改正も視野に入れて、現行法令の強化を念頭に置いております。

重徳委員 それでは、景品表示法に立ち返ります。

 まず、景品表示法の優良誤認という不当表示の類型があるわけなんですが、これは四条一項一号であって、商品または役務の品質、規格その他の内容について、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると誤認される表示のことを優良誤認というということなんですが、誤認させるようなことがそもそもあっていいのかどうかというようなことも含めて、この優良誤認という規定の趣旨について御説明いただきたいと思います。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 優良誤認として禁止されているものということでございますが、優良誤認の規定は今委員からお話のあったとおりでございますけれども、いわゆる広告というものには、ある程度の誇張、誇大というものが含まれるのはやむを得ないというふうに社会一般に受けとめられております。

 そこで、一般消費者の側も商品を選択する上でそのことは考慮に入れているというふうに考えられますけれども、このため、こうした誇張、誇大の程度、これを一般に許容されている限度を超えて一般消費者に誤認を与える場合ということで、著しく優良という表現になっておりますが、そのようなものは景品表示法上の不当表示に該当することになるということでございます。

重徳委員 わかりやすく言えば、多少の誇張は競争なんだからあるでしょう、日本一おいしいとか安さ一番とか、それは言うだろうと。本当に一番かどうかは誰も確認していない。だけれども、実際のものより著しく優良だとなれば優良誤認であり、さらに、そこに故意だとか、あるいは刑法で言うと欺罔行為と言われるようなことになれば詐欺に当たる。

 つまり、ある程度誇張は容認されている、社会通念上。だけれども、それを超えた、著しい優良なものだと誤認させたら、それはいわゆる景表法上の優良誤認、そしてさらに、それも度が過ぎると刑法上の詐欺だ、こういう理解でよろしいでしょうか。

菅久政府参考人 基本的にはそういうことだと思っております。

 消費者の選択に影響を与えるような程度にその誇張があるということになりますと不当表示ということになりますし、また、委員御指摘のような、さらに故意というようなことが入ってまいりますとというところが、景品表示法と刑法の違いというふうに考えております。

重徳委員 選挙も多少の誇張はありだなとか、役所をやめて選挙に出たら、いきなり、この人は事務次官候補でしたなんて初めて聞くようなことを言われたり、いろいろ、優良誤認なのか詐欺なのかわかりませんけれども、そういうこともあろうかと思います。そういう意味で、多少幅のあることじゃないかなと思います。

 では、最初に森大臣に、今回の事案は高級一流ホテル、レストランの問題であって、中小とか小さな経営体の場合はどうか、そういうような趣旨の話を申し上げましたが、この法律、景表法において一律に適用される、もちろん、適用はされることは間違いない、大手だろうと中小だろうと適用されるでしょうけれども、この優良誤認の著しく優良というその程度にも違いがあるんでしょうか。

 消費者も、さっきから申し上げているように、この安いメニューで本物はないだろうとか、そういう消費者側の認識もあると思います。同じ加工肉でも、一万円のステーキと千円のステーキだったら何となく認識が違うとか、あるいは、高級ホテルでイセエビというと本物だろうけれども、安いところだったらもしかしたらロブスターと思っちゃうかもしれない。ティファニーで高級なダイヤといったら本物でしょうけれども、その辺の露店で高級ダイヤといったら、まさか本物だと思わない。こういう要素も加味されてこの優良誤認というものは適用されるんでしょうか。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のように、表示を見て消費者が実際に誤認するか、また、表示を誤認して顧客が誘引されるかどうかということにつきましては、商品の性質でありますとか、一般消費者の知識の水準でありますとか、また、取引の実態、表示の方法、表示の対象となる内容、こういったことによって判断が異なるということになり得るというふうに考えております。

 事業者の事業規模で左右されるものではないと考えておりますが、先ほどのような要素によっては左右されるというふうには考えております。

重徳委員 今回は一流ホテルということを前提としていますので、また話は一流ホテルに戻しますが、一流ホテルで本物の素材を使っているなんというのは当たり前であって、それは消費者が見ても当たり前だけれども、提供している側にとっても当たり前なんですから、それを確認することなんかは経営者としては当たり前じゃないか、このように思います。

 だから、繰り返しになりますが、調査結果、まだ部分的にしか拝見させていただいておりませんが、料理長が間違えたんだとか、料理長のせいだと言わんばかりのことばかり書いてあって、まして、料理長を更迭したんだということをもって物事を済まそう、そういう報告をしているふうにも見えなくもありません。

 確認もしないなんというのは、それは、明らかに故意かどうかはともかく、未必の故意というんですかね、にせものであってもまあしようがないな、未必の故意だという言い方だってできると思うんです。

 ですから、今、景表法は、措置命令プラスそれを守らなかったら刑事罰という規定でありますけれども、先ほどの、法改正を視野に入れられているという森大臣にお伺いいたしますが、やはり私としては、特にこういう高級な一流のホテル、レストランには、こういうことも厳正に対処する必要があると思いますし、本当に今の措置命令プラス刑事罰だけで足りるのか、そういう疑問が大いにあります。

 先ほどから各委員の皆さんがおっしゃるように、これだけ問題が出てきている、後を絶たないわけです。まだ今でも眠っているものがあるかもしれません。こういうところに対して、厳正な処罰をする、刑罰を科すということも視野に入っているのかどうか、お伺いいたしたいと思います。お考えをお聞かせください。

森国務大臣 詐欺ではないかという御指摘がございまして、詐欺に該当する場合もあると思いますが、詐欺罪を適用するときの悩みは、これは刑事罰でありまして、故意の立証をしていかなければならないということと、これが法人に対しては科せないので、個人に対する罪であるということでございます。

 これに対して、行政処分の場合には法人が対象になっておりまして、景表法においても、措置命令に従わない場合でございますけれども、法人に対して罰金を科すということができているわけでございます。

 これをやはりさらに効果的にするために、課徴金にするのか、刑罰にするのか、さまざまな観点から検討を行って、抑止効果を含めた適切な対応をしてまいりたいと思います。

重徳委員 では、その意味で、刑罰も、行政罰であるところの課徴金も視野に入れるということであります。

 特に課徴金ですね、お金。やり得にしてしまうことを防止するということで、先ほど政府の方からも、その算定方法をどうするかとか、いろいろ課題があるという、ほかの委員の先生からの質問に対する答弁がございました。

 今、私の手元の、きのうの夜中にいただいた、まだ数少ない情報によりますと、二つあるんですよ。近鉄ホテルシステムズと近鉄旅館システムズ、この二つのケースで、お金に関して何か対応が違うんですね。

 ホテルシステムズは、「今回の事案につきましては、お客様を誤認させる意図はなく産地の表示などにも誤りが無かったことから、お客様へのご返金は行わないこととしております。」と。もう一つの近鉄旅館システムズの方は、「お客様には、ご利用の内容に応じてご返金させていただきます。なお、ご連絡が可能なお客様につきましては、当館からご連絡申し上げることとしております。」と。かなり、かなりというか、全然逆なんですよね。

 これはもう、今のところ任意の対応ということなので、別にどっちが正しいとかいうことでは今は判断できないと思いますが、このように返金を、つまり、広い意味で、とにかく、お金を巻き上げたというようなことですから、誰かに返すということをするのがやはり社会正義だと思います。

 それは、もちろん、お客様にきちんと、適切に返すのが本当の本当かもしれませんが、課徴金という形、場合によっては罰金でもいいですけれども、そういう形で返させるということが法のもとの正義というか、そういうことだと感じているんですが、この課徴金あるいは罰金ということにつきまして、いま一度、今のような観点、返金ということも含めたお考えをお示しいただきたいと思います。

森国務大臣 諸外国でも、課徴金の効果として、今のようなやり得を防ぐという効果、それから、消費者が損害を立証できない場合がございまして、レシート等を持っていない場合ですね、そういうときに、業者から返金をさせて、また、国によっては消費者に簡易な立証手続で返金をする手続をとっているところもございますが、さまざまな制度がございます。

 今回の場合に、景品表示法については直罰規定がないということが御指摘をされておりまして、これは本当にもっともな御指摘であろうというふうに思っておりますので、しっかりと検討してまいりたいと思います。

重徳委員 ここの部分は本当に、やはり曖昧な部分がありますので、もともと、料理に幾らの値段をつけるかということ自体基準があるわけではありませんので、幾ら返還義務があるかということも本当に自主判断という世界がこれまでだったと思います。このあたり、適正なルールを定めるということをぜひとも真剣に取り組んでいただきたいと思います。

 残り五分を切りましたので、最後のテーマとしまして、今回、しばらく前にいただいたリストによりますと、食べ物のメニュー表示だけじゃなくて、最後の方に、その他として、日本郵便、チルドゆうパックとしながら一部常温配達がされてきた、ヤマト運輸、クール宅急便としながら一部常温で取り扱ってきたという事例が問題事例として挙げられております。

 これは、偽装表示問題というよりは、要は、クールでやりますと言っていたのに、やると言ったことをやっていない。こういう債務不履行という見方、基本的には債務不履行だと思うんですね。

 それから、あるいは、そもそも、クールといいながらクールじゃないとか、こんな基本的なことがなされていないという話になりますと、どんなにルールを決めたって、変えたって、もうどうしようもないじゃないか、守る気があるのか。守ることが、この社会を生きる、個人だろうと法人だろうと、当たり前じゃないか。こういうものが覆されているという、一言で言うといわゆるコンプライアンスということだと思うんです。これは、債務不履行の問題であり、コンプライアンスの問題であると思うんです。

 かつ、これは、モラル。こういうモラルがめちゃめちゃな状態になってしまったら、幾ら法律を変えたってしようがないし、何なら、徹底的に監視をするか、監督をするか、取り締まりをするか。こういうことを行政が監視していく、こういう非常に信頼関係のない、信頼関係が成り立たない社会になっていってしまう、このような思いも持つわけですが、この案件につきまして、政府としてはどのように捉えていらっしゃるでしょうか。

大庭政府参考人 ヤマト運輸のクール宅急便におきまして、まず、温度管理の手順について、特に繁忙期においてルールが守られなかったことが一度でもあった拠点が約四割に上るなど、ルールが徹底できていない状況があったということでございます。

 また、日本郵便のチルドゆうパックにおきましても、六百五十の郵便局において、取り扱い方法、保冷機材等の不備があったということでございます。

 本件を受けまして、ヤマト運輸におきましては、再発防止策として、品質の維持向上に取り組む体制づくり、総量管理制度の導入、定期的なモニタリング等を実施することとしております。

 また、日本郵便におきましては、取り扱い方法の不備が発覚した郵便局についての改善指導、保冷機材の補充、繁忙期前の立入点検等を実施するということでございます。

 国土交通省としても、引き続き状況を注視してまいりたいと考えております。また、国土交通省としては、再発防止策が徹底されまして、輸送サービスの信頼回復が図られることを期待しているところでございます。

重徳委員 今、審議官から御答弁いただきました。審議官にも、きのうの夜中に突然仕事が降ってくるという、消費者庁への質問だと思ったら、いや、これは国交省ですということで、国交省に通告して、いきなり仕事が飛んでくる、こういう非常に罪深いことを与党の皆様中心にされているということをよくよく認識いただきたいと思います。

 最後に、今のはメニューじゃないですけれども、景表法、偽装メニューに関するコンプライアンスのための規制強化に関する法改正などの対策についてのお考えを森大臣にお聞きしたいと思います。

森国務大臣 コンプライアンスについては、先ほど来お示しをしております、食品表示等のルールの明確化ということで、ガイドライン等を作成し、周知をしてまいりたいと思っておりますが、もう一つ、事業者の内部における表示のチェック、管理体制の強化ということを一つ考えております。場合によっては、これを制度化してまいるということもあり得るかなと思っております。

 先ほどの、現行法制の法体系の強化、さらには、食品表示モニター制度といった、消費者の目を入れるという消費者側からもチェック、行政からも強化、事業者内部からも強化、そして個別の事案についても厳正な措置をしていくという四方向で今考えております。

 さらには、それを全て包含するものとして消費者教育、この消費者教育というのは、消費者の目を養う教育もそうですけれども、事業者にもしっかりと消費者問題について意識を高めてもらうことも入ると思いますので、事業者に対する意識の強化について、消費者庁でこれまでもさまざまな研修、講演等を行っておりますけれども、それを、業界団体と連携をして、さらにこれを定期的に、制度化して、そしてガイドラインもリニューアルしたものを使って、しっかりと徹底してまいりたいと思っています。

重徳委員 これで終わりますが、町のレストランや食堂は、常連客からお金をだまし取るに近いようなことというのは決してできないんですね、自分たちが潰れてしまうから。それに対して、一流と言われる、高級と言われるレストラン、ホテルにはとにかく襟を正させるための厳正な対処をお願い申し上げまして、終わりとさせていただきます。

 ありがとうございました。

山本委員長 次に、三谷英弘君。

三谷委員 みんなの党の三谷英弘です。

 本日は、食品表示の偽装問題について、四十分時間をいただいております。ぜひとも有効に活用させていただきたいというふうに考えておりますが、先ほど維新の重徳委員もおっしゃっておりましたけれども、昨晩この質問が入って、本日質問をするということは、やはり準備をさせていただく立場からすると、なかなか、非常に厳しいところがあるということをまずもって申し上げたいと思います。

 中でも、私が質問通告をしたのは、実は十二時を回ってしまいました。その中で、消費者庁の皆様には、夜遅い時間まで御対応いただいたことについては心から敬意を表したい、感謝申し上げたいというふうに考えております。

 それでは、質問に移らせていただきます。

 本日は、この消費者問題特別委員会、森大臣にお越しいただいておりますけれども、実は先日、森大臣に相まみえさせていただいたというのは、例のNSC特での時間でございました。そのときに比べて顔つきも気持ちやわらかいのかなというふうに考えておりますけれども、きょうは、この偽装の問題について、厳しくいろいろと追及させていただきたいというふうに考えております。

 この問題につきまして、まず私がどうしても気になって仕方がないのが、消費者問題に係る集団訴訟の法案の動向でございます。現在の審議の状況、この点について、どのようになっているか、まずお答えいただけますでしょうか。

川口政府参考人 お答え申し上げます。

 衆議院で可決後、参議院で御審議をいただいておりまして、参議院消費者問題特別委員会で、本日午前中、第二回目の審議が行われたところでございまして、全会一致で委員会において可決いただいたところでございます。

三谷委員 ありがとうございました。

 残るところは、参議院の本会議で可決をされるかどうかというところだと思っております。

 その意味では、その法案、今後の消費者行政に非常に大きな影響を与えることになろうかと思いますので、まずはこの法案についていろいろと伺っていきたいと思います。

 まず、この集団訴訟に係る法案の施行というものに向けて、責任を持たれる、担当大臣でいらっしゃいます森大臣の意気込みを伺いたいと思います。

森国務大臣 この集団的訴訟法案、三谷委員からも委員会の中で御質問をいただいて、審議をさせていただきました。そして、午前中、参議院で可決をいただきました。委員長を初め理事の皆様、委員の皆様に改めて感謝を申し上げたいと思います。

 参議院本会議で採決をされ、法律が成立をしました後は、施行に向けて全力で取り組んでまいりたいというふうに思っております。

三谷委員 ありがとうございました。

 本日の質疑の中でも、この食品の偽装の問題というのは、古屋委員の質問に対するお答えの中でありましたけれども、非常に悪質である、そして全国的に広がりを見せているということで、厳しくこれに対処していかなければいけないということをおっしゃっておりました。

 しかも、先日の参考人質疑の中で、消費者支援機構関西から参考人にお越しいただきましたけれども、その方が、高級レストランであろうが安い飲食店であろうが、一律にこの表示の偽装というものは集団訴訟の対象になるというふうに考えているんだということをおっしゃっておりました。

 先般、この法案についていろいろ議論させていただいた立場からすると、これこそ恐れていた濫訴というものが起きてしまうのではないかと感じておりますけれども、この点、大臣、いかがお考えでしょうか。

森国務大臣 この集団的訴訟の対象となるには共通義務確認がなされなければいけないんですけれども、これは、高級レストランか安い飲食店かという事業の規模ではなくて、虚偽表示の対象となった産地とかブランド、これが、契約の内容となっており、契約締結の判断において重要な要素となっている、そして、それが債務不履行、不法行為の損害賠償請求等をすることができる場合に限られるというふうに思っております。そして、その損害額は、実際に払った額と、適切であると思われる市場価格との差額の総額になるというふうに思われますので、そういった要件が整った場合には、これは形式的には対象になると思います。

 御指摘の濫訴については、不当な目的でみだりに共通義務確認の訴えを提起することを禁止しているものでございますので、単なる嫌がらせ目的など、およそ消費者の利益の擁護を図る目的がないとか、当該共通義務確認の訴えが不適法であるとして却下され、または請求に理由がないとして棄却をされることが明らかである場合、または、これらが容易に見込まれる場合であるにもかかわらず、不当な目的であえて訴えを提起する場合でございますので、お尋ねの事案についても、債務不履行で損害が発生をしているかどうか、それが全くないことが見込まれるのにあえて他の単なる嫌がらせ目的等の理由で訴えたりする場合には、これは行政監督の対象にもなっていくものというふうに考えます。

三谷委員 ありがとうございました。

 しかしながら、損害がないということは、なかなか裁判を起こすまでは判断するのが難しいのかなというふうに考えておりまして、その損害の内容についてちょっとお伺いをしたいと思っているんです。

 この表示偽装のメニューを注文した場合の損害額というのはどのようになるかという問題について、先日も参考人招致の中で質疑させていただいたときには、いわゆるシバエビのエビチリソースが二千円、バナメイエビのエビチリソースが千五百円。でも、シバエビというふうに書いてあったものも実はバナメイエビでしたというような場合は、恐らくは、バナメイエビのエビチリソースというふうに表示されていた金額千五百円と二千円の差額の五百円というものが損害になる。非常にわかりやすいのではないかというふうに考えております。

 普通のお店では、同じエビチリソースで二種類も三種類も提供されている例というのは基本的にないわけでして、なかなかもって、この損害を算出するというのは難しいのではないかというのが一般論としてあろうかというふうに考えております。

 そこで、お伺いをしたいと思います。

 先ほども大臣が、メニューに違うものが書いてあったときに、重要な要素となっていたものであればその債務の内容を構成するという趣旨のことをおっしゃっておりましたけれども、そういったもので債務の内容を構成していたとした場合に、そういったものを出さなかった場合の損害というのは具体的にどのように算出すればよいか。これは、法案が成立すれば施行が間近になるわけですから、ぜひともお答えいただきたいと思います。

川口政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいまの御質問は、債務不履行で構成した場合、債務不履行も当然対象でございますので、そういうものがございますが、また、仮に不法行為構成であっても、基本的に同じかと思います。

 一般的には、商品購入代金と商品の本来価格との差額が損害になると考えられます。販売店が販売に際しまして、一般の食材などを有名ブランド食材であると表示して消費者に販売していたような事例であれば、原材料についての市場価格の差異等に基づき損害額を算定することが可能であろうというふうに思われます。

 ただ、いろいろな場合がございまして、偽装表示の程度が重大で、当該表示がなければおよそ契約をしなかったというような場合も考えられるところでございます。そういう場合には、販売された商品が、例えば健康を害するおそれがある等により無価値であるというような場合には、商品代金全額が損害となることもあり得ると考えております。

 もっとも、価格のうち、原材料費以外の部分も、原材料がブランド食材であるということで、一定程度価格に寄与しているということも考えられるということもあろうかと思います。そういう意味で、そのような場合については本来価格の想定が容易でないということは、御指摘のとおりでございます。

 ただ、そのような場合につきましては、民事訴訟法二百四十八条というものの利用が可能ではないかと思っておりまして、損害が生じたことが認められることを前提に、裁判所により相当な損害額が認定される、そういう場合もあろうかと考えております。

三谷委員 今、本来価格と提供された価格の差額という話をされましたけれども、残念ながら、本来価格というものを想定するのは非常に難しい、それは御承知のことだろうというふうに思います。

 家で何か料理をつくるというときの原材料をそろえますよという話とは違いまして、どういったお店の雰囲気で、しかも、例えば、それがどういう日に、どういう時間帯に提供されるかということによって値段というのは非常に上下するということになります。そういう意味では、具体的にこれが損害額だということを立証するのは極めて難しいだろうというふうに考えております。

 そして、今お答えの中で、二百四十八条という話をされましたので、その点についても伺いたいんです。

 「損害が生じたことが認められる場合において、」というような前段があるかと思いますけれども、これは、損害が認められる場合においてということですから、当然損害が認められない場合もあるわけですね。その場合はこれは使えないという理解でよろしいでしょうか。

川口政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおりでございまして、損害が生じたことが認められた場合においてということでございますので、そうでない場合は使えないということでございます。認められる場合には、それを前提に二百四十八条が使えるということで御答弁申し上げました。

三谷委員 恐らく、ほとんどの場合は具体的な損害額を認定するのは難しいのかなというふうに思っておりまして、そういう意味では、もしかしたら二百四十八条というものをすごく活用されるような、そういった裁判になり得るのかもしれないんですけれども、残念ながら、損害がそもそもあるのかどうかというのが、今、表に出ている、いわゆる食品表示の偽装というふうに言われている例を見ても、必ずしも明らかではないわけですね。

 例えば、フレッシュジュースというふうに表示されていたけれども、それは普通のジュースをパックからあけてみましたというような話ですとか、鮮魚というふうに表示したけれども冷凍魚だったというような場合、これがそもそも具体的にどれぐらいの損害があったのかということも、なかなかもって判断するのは難しいというふうに思うわけであります。

 その意味では、これから、あしたなのか、あさってなのか、今国会なのかはまだわかりませんけれども、法案が成立してから施行までの三年の間に、この損害額をどういうふうに算定するかについて研究をする必要があるかと思いますけれども、この点、いかがお考えでしょうか。

川口政府参考人 お答え申し上げます。

 法案が成立いたしますと、通常、私どもは、法律の中身につきまして、国会審議を踏まえてコンメンタールをつくる。それから出版し、消費者、事業者、または適格消費者団体、その他の皆様に御利用いただくということがございます。

 今御指摘がございましたので、その点についても検討し、抽象的に言えることを、将来、この運用において役立つという点においては、明らかにしてまいりたいというふうに思っております。

三谷委員 ありがとうございます。

 もう一つ、この法案について、どうしても気になる点がございます。

 今、表示偽装した店舗においては、さまざまな対応をしているところがあると思います。そういう表示偽装を行った店舗において、返金対応をしているというような例があるか、そして、あるとすれば、どの範囲で返金をしているかについて把握をされているか、この点についてお答えいただけますか。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、店舗で返金対応をしている、そうした報道があることは承知しておりますけれども、消費者庁としまして、そういう返金対応をしている事業者、具体的に、どの事業者がしているか、またそうした内容、そういうことは現段階では承知をしていないという状況でございます。

三谷委員 これは、ぜひとも調べていただきたいと思うんです。

 私が調べた範囲でも、具体名を挙げてしまいますと、阪急阪神ホテルズでは、誤表示のあったメニューの料理を食べた客に対して、料理の値段に関係なく最低千円を返金、アラカルトなどは代金に加えて一定の金額を、コース料理やバイキング料理の一品に誤表示があった場合は相当額を返金するというような報道がなされています。

 一方で、返金しているような事業者ばかりではありません。価格相応の食材やサービスを提供していたということで、返金に応じない業者も存在するというところでございます。

 その意味で、食品偽装、表示偽装というものがあったからといって、必ずしも損害が発生していないんだというように考えている事業者も少なからずいるという中で、一律にこれが集団訴訟の対象になって、どれが裁判の対象になる、ならないということはやってみないとわからないというような状況を確実に招いてしまいかねないということを、まずはしっかりと御理解をいただきたいというふうに思います。

 その中で、もう一つ伺いたいと思います。

 返金をしているという話に関連してなんですけれども、お客さんが返金を求めていくという形になりますけれども、具体的に、先ほど森大臣も若干言及されておりましたけれども、どれぐらい厳格な立証を求めていかれるのかということを今のうちから考えていただきたいと思います。

 この点、この集団訴訟の法案が成立した後の取り扱いについてどのようにお考えか、お答えいただきたいと思います。

川口政府参考人 立証の必要性でございますが、まず、そもそも、特定適格消費者団体が、消費者からの授権に基づきまして、整理をしまして裁判所に提出するわけでございますが、事業者の方でそれを認めた場合には、これは立証の問題は生じないということでございます。

 事業者の方で争った場合に議論になりますが、その場合は、通常の民訴と同じ程度の立証が必要になるということでございます。

三谷委員 いや、そちらではなく、具体的な、個々の消費者がどういうふうに自分の請求を立てるかという点でお答えいただきたいと思います。

川口政府参考人 個々の消費者が立証する、個々の消費者ごとに、資格があるかどうか、お金をもらえるかどうかということを二段階目で決めていくということになります。ですから、書証によって決める、簡易な手続でございますので、証拠は書証に限るという制度をとっているわけでございます。

 ですので、書証という意味では、一番簡単なものはレシートがある場合、これは大丈夫ということになります。あとは、通常の場合ですと、クレジットカードで支払いをしていれば、その日に幾ら支払ったかということが容易に事後的にも明らかにすることができるということです。

 ただ、それに限っているものではございませんで、実際にその日にそのホテルで食事をしたということを、たまたま写真を撮っていたとか、その写真をメールで送っていたということがあれば、レアなケースかもしれませんが、それは書証になるというふうに考えております。

三谷委員 カードを使った方が安全だというような話なのかもしれません。それはそれで、一つのやり方としてはいいのかもしれませんけれども、これについてもぜひとも検討いただきたいと思います。

 以前に、平成十四年のことになりますけれども、輸入肉の虚偽表示をした、これは北海道西友の元町店の事案ですけれども、これは、裁判手続ではなく、任意に返金に応じたというような事例ではありましたけれども、レシートなしで返金に応じたところ、成り済まし客が続出して、一年間にわたって偽装表示をして売った販売額の三・五倍に当たる四千九百万円、一千五百万円ぐらいしか売れていないのに四千九百万円を支払わざるを得なくなった。それに関して警察が出動するような騒ぎにもなったというようなこともあります。

 返金をするということについては、どういう形で返金をするのが最も適切なのか、最もスムーズなのか。裁判をしなければ返金を求められないというのもこれまたおかしな話でありますので、その点についても何らかの考えを示していただければということをお願いさせていただきます。

 そして、集団訴訟に関して最後の質問でありますけれども、これは景表法との絡みにもなるんですけれども、過剰なコンプライアンスというものを奨励することがあってはならないのかなというふうに今感じている次第でございます。

 景表法で禁止されているのは、これはもちろん大臣にはもう言うまでもないことではありますけれども、「他の事業者に係るものよりも著しく優良であると示す表示」というものでなければならない。それともう一つ、「不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの」に限られている。つまり、不当に顧客を誘引したりとか、合理的な選択を阻害するおそれがあるものだけが、景表法の優良誤認ということで規制の対象になるということでございます。

 必ずしも、民事法上の責任の有無というものと、この景表法の規制の対象になるかどうかというものは、パラレルではないということは理解しておりますけれども、何でもかんでも表示が違えばこの集団訴訟の対象になるんだというようなことになりますと、それはそれで、なかなかビジネス、大きな事業者、小さな事業者にかかわらずやっていくぞというのが将来的な特定適格消費者団体の意向ですから、大臣にはぜひともこの点、御配慮をいただきたいということをお願いさせていただきます。

 この点について、改めて、濫訴の危険というものについてどのように立ち向かわれるか、お答えいただきたいと思います。

森国務大臣 濫訴のおそれについては、先ほど御答弁させていただいたところでございますけれども、どのようなものが偽装となるのか、どのようなものがこの集団的訴訟法で訴えられるのかということについては、しっかりとガイドライン、それからコンメンタール等でお示しをしてまいりたいと思います。

 この訴訟法が成立いたしましたら、政令、内閣府令、そして監督指針と出していく予定になっておりますが、これについて、審議の中でもお約束をさせていただきましたように、事業者団体の皆様の御意見も、そして消費者団体の皆様の御意見も、学識者の皆様の御意見もしっかりと聞きながら、検討会の場で検討し、さらにそれをパブリックコメントにかけて広く一般国民の皆様の御意見を承った上で、監督指針について、さまざまな、今御指摘された点も含めて、御疑問にお答えをしてまいりたいと思います。

三谷委員 ありがとうございました。

 それでは、今ちょうど大臣がおっしゃった、何が偽装で何が偽装じゃないかという点について、若干観点は変わりますけれども、質問させていただきたいというふうに思います。

 なかなか、どこまでを偽装と認めるかというのは非常に難しい問題でございます。本日、篠原委員が、みずからの質問の中で、表示よりもよいものを提供した事案はないんだというふうにおっしゃっておりましたけれども、そんなことは実はなくて、産経新聞十一月一日付の記事によりますと、仙台のホテルでは、シバエビよりも高いシロエビをシバエビとして誤表示していたというような事案があったことが報道されております。この点も、本当に偽装なのかどうかということも考えていかなければなりません。

 また、先ほど私も申し上げましたけれども、鮮魚といいながら冷凍魚を使っていた。まあ、冷凍したって、チルド製法みたいなものもありますから、必ずしも凍らせたからみずみずしさがなくなるというような時代でもなかろうとは思うんですね。そういう意味での基準というのも必ずしも明確ではないということであります。

 一つ一つの、どういう表示をすればよいかということについて、なかなか難しいところではありますけれども、それをどういう基準で見ていくかということを、ぜひとも、一点だけ伺いたいことがございます。

 毎日新聞十一月一日付の記事によりますと、日本中国料理協会は、イセエビというものは国産のもののみを伊勢エビと表記するということですけれども、これはおかしくないかというふうに思うんです。

 伊勢でとれたものはイセエビ、これはわかります。日本の国内でとれた同じ種類のものをイセエビということも、もちろんわかるんです。でも、では何で海外でとれたものも同じ種類だったらイセエビと呼んじゃいけないのか、この点について、おかしくないかというふうに思うんですけれども、大臣、今聞かれてどのようにお考えでしょうか。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 景品表示法で禁止されている優良誤認に当たるかどうかということと、もう一つ、表示の適正化の努力の中で、どこまで適正な表示のルールを業界として定めていくかということがあろうかと思います。

 ですので、違反になるかどうかという前に、さらに業界として一定のルールを定め、より適正化しようという努力は、消費者庁としては評価したいというふうに考えております。

三谷委員 評価をされるということで、業界の中で一生懸命基準をつくられていくということは奨励に値するというのは、もちろんそのとおりだとは思いますけれども、先ほど申し上げたとおり、この問題を政府としてどこまで追及していくのかということがなかなか、現状、見えにくいところがあって、どこまでも追及するんだということなのか、もうこの辺でいいじゃないか、手打ちにしようよというふうにお考えなのかということも、現状、全く見えない。その意味では、民主党の各委員の先生方がおっしゃっていたとおり、余り大臣の見解というのが表に出てきていないがゆえに生じていることなのかもしれないなというふうに実感しているところなんですね。

 その中で、例えば、偽装でしたというふうに言っている中に、もちろん、成形加工肉を使うものにステーキという表示ができないというのはわかります。でも、ビーフカツレツというものに加工肉表示がないから偽装というようになっていたものもある。どこまでが加工肉表示というふうになっているかというのも、全くもって、現状、もちろん、全て加工肉表示をしろということなのかもしれませんけれども、そこもどこまで政府として目を光らせていくのか明確ではないということがあります。

 これだけ審議が続いておりますので、お疲れの委員の方も多くいらっしゃるかもしれませんけれども、例えば、宇治抹茶というものは、それは宇治でとれたもの以外のものを使ったらいけませんという話があるかもしれないけれども、博多豚骨ラーメンというものは、博多でなくても、全然、誰でも使っているということはあります。それは、誰もそれを偽装だと言わないわけですね。

 もっと広く言えば、夏祭り、縁日に行けば、皆さんもお買い求め、特に政治家は夏祭りに行かれることも多いと思いますけれども、その中で、かき氷のイチゴとかメロンとか、そういった中にイチゴだとかメロンというのは入っていないわけですよ。赤いとか緑とか、そういったものだけでイチゴ、メロン。それもメロン風味、イチゴ風味というような社会をお望みなのかどうかということを、政府として何らかの方向性というか、その考え、ある程度の、今、少なくとも大臣がどう考えているのか、どこまでこういったものについて追及しようとしていくのか。

 今のかき氷の話だって、もちろんブルーハワイとかよくわからないものもありますけれども、例えば、最近は、抹茶ですとかカルピスとか、そういう物そのものの味がするシロップもあるわけですよ。その中で、イチゴとかメロン、それはよろしくないじゃないか、集団訴訟で訴えるぞというようなことをやられたって、先ほどの濫訴の定義からすれば、これは不当な目的には当たらないということはやはり怖いわけですよ。

 どこまで、ぎすぎすしたというような表現が正しいかわかりませんけれども、適正な表示を求められる社会というものをつくっていくのかということを、ある程度大臣として方針を言っていただかなければ誰も安心して事業を進められないと思いますので、この点について御見解をいただきたいと思います。

森国務大臣 まず、食品表示等の適正化と訴訟法の話は厳密に言えば別であるということを前提とした上で御答弁をさせていただきたいと思いますけれども、食品表示等の適正化対策については、週明けに対策パッケージをお示しするということで、今、関係省庁間で調整をしております。その中でも、ガイドラインをわかりやすく作成して、それを周知徹底していきたいと思います。

 これまでも、過去の処分例等を使って、また、さまざまな主体が作成したガイドライン等を使って、業界団体の方に研修に行ったり講習をしたりということはしてまいりました。ですので、過去の処分例を見れば、かき氷のイチゴとかいうことで、これが景品表示法になるんだということはないということはおわかりいただけるというふうに思うんです。ですから、そういったことをしっかりと、今回の事案を踏まえて、さらにわかりやすいガイドラインを作成して、周知徹底してまいります。

 そして、もう一つの、訴訟法の方で、濫訴が起きないかというような御懸念が従前から示されておりますけれども、これについては、法案が成立をしましたら、事業者団体の皆様の御意見も、しっかりそういう御懸念もお伺いしながら、わかりやすい監督指針をつくり、それを事業者の皆様にも消費者の皆様にもお示しして、濫訴等がないようにしっかりと指導をしてまいりたいと思います。

三谷委員 どういう社会を目指していくのか、それぞれの消費者団体によってもしかしたら認識が違うことかもしれませんし、先ほどいみじくも大臣がおっしゃったとおり、景表法の話と訴訟法の話というのは全くもって違いますよということが、ある意味、景表法の処分の対象にはならないけれども裁判をしてやろうか、そういうようなことの正当性を生み出す余地も生じさせるということなので、ぜひとも、そういったおそれということは、ある意味幾ら考えても足りないわけですから、そこでビジネスの円滑な進行というものを阻害しないように、改めてお願いさせていただきたいというふうに思います。

 それで、そもそも参考人に招致をした際にも、ホテル協会としては、あくまでも個々の事例だ、個々のホテルの問題だというふうなことを繰り返しおっしゃっておりましたけれども、私は、それを聞いて非常に愕然といたしました。

 今回は、レストランとかホテルとか、そういったところの偽装が多かったわけですけれども、調べてみると、いろいろな、衣料品ですとか、そういった他業種にも広がるかもしれないというような、そういった意見を表明されている方もインターネット上ではおりますし、どこまでこの問題が広まっていくかというのはまだまだわからないところではあるというところなので、ここで、消費者庁として、大臣としての見解を伺いたいと思います。

 今回のさまざまな偽装が生じた原因というのはどこにあるというふうに認識されていらっしゃいますでしょうか。

森国務大臣 偽装の問題は、根が深いものだと思っております。同様、類似の案件が、消費者庁が設立してからもですけれども、その前からもずっと行われているわけでございます。また、景表法ができるその前からも、これはあるわけでございます。

 こういったものに対処すべく、さまざまな制度の改正、法の改正等が行われてきたわけでございますけれども、そして行政処分も打たれてきたわけでございますけれども、今回、またこんな深刻な問題が起こりました。ですので、消費者庁としては、個別事案を調査すると同時に、業界団体にも調査、報告をさせたわけでございます。

 その中から明らかになったのは、事業者内部のコンプライアンスの欠如、それから、やはり法令がまだ対応できていない部分もあります。また、対応できる法律も、趣旨が不徹底な部分もございます。行政の監督指導体制の弱さというものもございます。

 そういったものを解決していくために、個別事案に対する厳正な措置とともに、関係業界における表示の適正化のための事業者内部における管理体制の強化、そして、現行法令の適切な運用とともに、その法改正も視野に入れた強化等を消費者の視点も入れて検討を進めているところでございます。

三谷委員 ありがとうございます。

 この食品偽装の問題については、故意で、わかってそういう偽装をしたという場合と、間違えてやってしまった、大きく言って二つそういう場合があるのではないかと、性善説に立てば言えるわけでございまして、過失でやってしまうという場合も少なくないんだろうと思うんですね。

 大臣もごらんになったかと思いますけれども、どういう食品、どういう原材料を使ったらどういう表示ができるのかということについてのガイドライン、QアンドAというのは、非常に事細かに書かれていると思いますし、大きな店舗または大きな食品会社であれば、それに対してしっかりと対応するということはできるでしょうけれども、やはり、小さいところですとか、そういった個人営業といったところに関しては、そういうルールがあるということまではなかなか徹底できなかったというようなこともあろうかと思います。そういうものをいわゆる故意のものと一緒に扱ってしまうというのも、なかなか厳しいというふうに思う部分もあります。

 また、故意にそういった表示をした場合にも、もっともっともうけてやろうということで、あえて高い食材を書いたという場合もあれば、コストカットの必要に迫られて、やむなくそういった安い原材料に変えて、でも、表示を変えずにやってしまったというような場合もあろうかというふうに思います。

 それを擁護するつもりは全くもってありませんけれども、ぜひとも、しっかり一件一件、この問題について、過剰規制という形にならないようにしていただきたいということをお願いさせていただく。

 もちろん、もともとの、全く違う食材を掲載した場合というものと、今、偽装と一くくりに言われていますけれども、鮮魚だとかフレッシュジュースだとか、あと、吉野葛というふうなものを使ってしまったというものも、自分にとってはよくわからない部分も正直ありますが、それをしっかりと見きわめていただいて、適切に判断をしていただきたいということを、これはお願いベースですけれども、させていただきたいというふうに考えております。

 それでは、さらに別の質問を残る時間でさせていただきたいと思います。

 食品偽装という話とは若干ずれますけれども、安心とか安全だとか、そういう文言に誘われるという意味では、広い意味では偽装になるのかもしれませんけれども、この通常国会においても私が質問させていただきましたレーシックの問題について、最後の時間、若干伺わせていただきたいと思います。

 九月二十四日、私とその被害者の会とで消費者庁を訪問させていただきまして、被害レポートを届けさせていただきましたけれども、その後の消費者庁の対応、そして動向についてお答えいただきたいと思います。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のレーシックの手術でございますが、これに関しましては、消費者が医療機関から十分なリスク説明を受けた上で手術の必要性について慎重に検討する必要がある、まさにインフォームド・コンセントが大変大事だと考えてございます。

 そこで、消費者庁の方では、国民生活センターとともに、これまでレーシック手術に関する実態把握を行ってまいりました。具体的には、消費者庁に寄せられました危害情報の分析、さらに、手術経験者へのアンケート調査等を行ってございます。

 これらの調査結果を含めまして、ちょうどあすでございますが、十二月四日に、消費者に対しまして、レーシック手術を検討する際には十分なリスク説明を受けるように広く注意を呼びかけてまいりたい、このように考えている次第でございます。

三谷委員 お答えできる範囲で結構ですけれども、その実態調査という中で、どれぐらいの件数を調査して、それで、どれぐらいの方からどういった声が寄せられたかについてお答えいただければと思います。お願いします。

山崎政府参考人 これはまさに、あす発表という形で、詳しく注意喚起資料の中に書いてございますが、私どもの調査によりますと、事故情報データバンクでいきますと、事故としまして八十件の危害情報が寄せられている。さらに、先ほどの手術を経験した方のアンケート調査でございますが、四割ぐらいの方が術後に症状やふぐあいを感じていた、こういった状況も把握しているところでございます。

三谷委員 ありがとうございます。

 このレーシックの問題については、あした発表されるということですから、ぜひとも、しっかりとその内容等々を精査させていただきまして、改めてさまざまな質問をさせていただきたいというふうに考えております。

 このレーシックについても、広告の問題というものがございます。以前、公正取引委員会の方ではございますけれども、二重価格の問題について、いろいろな形でそれを規制した、警告したという例がございますけれども、中には、永久保証をうたったとしても、何かふぐあいがあったら永久保証しますよというふうな、そういった病院も少なくありませんけれども、最近は、クリニックの閉鎖とか合併とかいうことで、事実上そういったものが空文化してしまっている例も少なくありませんし、視力が出ていれば問題ないということで、アフターフォローしない例も数多く聞いております。

 そういう意味では、しっかりと消費者庁さんにもこの問題について引き続き検討していただきたいということをお願いさせていただきまして、私の質疑時間が終了いたしましたので、これにて終了させていただきます。

 ありがとうございました。

山本委員長 次に、青木愛君。

青木委員 生活の党の青木でございます。

 早速質問に入らせていただきます。

 今回の偽装問題の社会的影響ははかり知れないものがあり、早急な対応が必要であります。まずは、法整備の必要性についてお伺いをさせていただきます。

 ことし六月に公布され、平成二十七年に施行予定の食品表示法の目的や理念には、消費者の安全、自主的かつ合理的な食品の選択の機会の確保、また、消費者の自立を図る上で、適切な情報を提供されることが明記をされています。

 これら条文は、外食の場合にも十分当てはまるものであると考えています。アレルギーや添加物、また原料原産地など、人の生命や健康にかかわる表示問題は看過できないものでございます。早急な対応が必要なことから、この食品表示法の前倒し、あるいは食品衛生法やJAS法の改定によって、外食、中食にも適用範囲を広げるということを視野に入れた検討が必要だと思いますが、いかがお考えでしょうか。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の食品のアレルギー表示でございますが、現在、食品衛生法に基づきまして、いわゆる加工食品には義務づけてございますが、外食、中食に対しましては、こういう表示は義務づけてございません。

 これに関しましては、外食等におきましては、提供される商品の種類が多岐にわたり、その原材料が頻繁に変わること等、特に外食等におきましては、注文等に応じましてさまざまなメニューを調理するということでございまして、なかなかこの点で難しいという課題がございます。

 ただ、食品表示法の検討過程におきましても、アレルギー表示の問題は大変大事だということで、自主的な提供が促進されるよう、専門的な検討の場を別途設けて検討するという形になってございまして、そういったものを踏まえ、今後、検討課題の一つとして進めてまいりたい、このように考えている次第でございます。

青木委員 自主的な取り組みによるというお話でございますが、やはり国は、特に生命や健康にかかわることは厳しい目線で取り組む必要があろうかというふうに思っておりまして、ぜひ外食にも適用すべく、この法整備についても積極的にお考えをいただきたいと思います。

 日本の食に対する信用、国内はもちろん、国外からも回復するためには、食の安全をしっかりと確保して、それにつながる安心を確保すること、そして、それを確保していることの発信、これが必要だというふうに思いますので、大変なことは承知をいたしておりますけれども、そのための法整備となれば、必要となれば、ぜひ思い切って積極的な取り組みをお願いしておきたいと存じます。

 二番目といたしまして、全国の消費生活センターとの連携の必要性についてお伺いをさせていただきます。

 食品偽装の監視強化、措置命令も含めてですが、そちらにおいて、政府は景表法の改正で、都道府県への権限移譲、あるいは農水省のGメン、また公取などによって監視強化を強めるなどを検討されているようですが、消費者にとって最も身近な、各地域にございます消費者センターの活用が現実的に実効性のあるものではないかと考えますが、いかがでしょうか。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、食品表示問題におきましても、お尋ねの消費生活センター、こういった身近な場所におきます対応は大変大事だと考えてございます。

 そこで、消費者庁におきましては、地方消費者行政活性化基金、こういったものを使いまして、センターにおきます事業者指導でありますとか法執行の強化を図る、そういう事業を支援しているところでございまして、まさしく地域の拠点としてこのセンターを活用し、この問題に関しての対応を強化してまいりたいと考えている次第でございます。

 また、今回のケースをさらに踏まえまして、消費生活センターの相談員の方に対する研修も強化してまいりたいと考えてございます。地域の食品表示の調査、監視体制の強化、こういったものをまさしく進めてまいりたい、このように考えている次第でございます。

青木委員 何かとトラブルが起きると予算がつくという流れには私は疑問を持つところでございますけれども、手足がなくてできなかったでは済まないわけでありまして、やはり、事が起こってからではなく、起こらないようにするのが本来の目的でありますので、消費者センターに専門の窓口を設置する等々、人的、財政的バックが必要であれば、それも前向きに進めていくべきではないかというふうに思います。

 せんだっての参考人質疑の中でも、まだまだ景表法の中でできることもある、景表法の執行をしっかり進めるべきだという御意見もありましたので、ぜひその点につきましてもお取り組みの御検討をというふうに思います。

 大臣にお伺いをしたいのですが、法整備の必要性と、今の消費者センターとの連携の必要性について、一言、お考えがあればお聞かせをいただきたいと存じます。

森国務大臣 消費生活センターにつきましては、地方消費者行政活性化基金を通じまして、その事業を支援しているところでございます。

 今般の偽装表示の問題についても、地域の消費生活センターが担う役割は重いというふうに思います。また、期待も高いというふうに思いますので、委員の御指摘を踏まえまして、今度の対策の中に、消費生活センターの相談体制の強化につきましても前向きに検討してまいりたいと思います。

青木委員 ぜひよろしくお願いをいたします。

 そして、こうした問題の本質には、ブランド志向の消費者心理とともに、大量の食品廃棄などのさまざまな問題も潜んでいるのではないかと思います。

 参考人の質疑の中でも指摘がございました。例えば、インドネシアやタイなど、米をつくるのをやめてエビなどをつくっています。日本から見れば、他国の農地や水や労働力を使ってエビを育て、輸入をしていながら、食品の廃棄物の量が、事業所からは四百万トン、家庭からは四百万トン、計八百万トンが廃棄をされていて、事業所からの廃棄物は家畜の餌に利用もされていますけれども、その他の廃棄物、生ごみの焼却をするのに毎年一・八兆円かかっているというお話も伺いました。

 飽食の時代の消費者としての、また、日本全体の食に対する社会的問題が潜んでいるかというふうに思いますが、御見解を伺わせていただきます。

森国務大臣 青木委員から常々御指摘をいただいております食品ロスの問題でございますけれども、日本では、まだ食べられるのに廃棄される食品が年間約五百から八百万トンと試算されており、大変もったいない状況が生じております。食品ロスの削減に向けて、事業者の努力だけでなく、御指摘のように、消費者の意識も変えていく必要があると思います。食品の選択にかかわる消費者の意識をまた変えていくということも大事だというふうに思っております。

 いずれにせよ、消費者問題への対応については、行政、消費者、事業者のそれぞれが適切な判断と行動を行うことが重要でございますので、この食品ロスの問題も含めて、消費者の意識の向上等もしっかりと消費者庁としても取り組んでまいりたいと思います。

青木委員 さまざまな問題の側面があろうかと思います。これから、気候変動、あるいは世界的に見ると人口増加の中で食料難も予想される中で、見直さざるを得ないときはいずれは来るだろうというふうに思います。容易ではない問題ではありますが、大変大事な課題でありますので、そうした視点も持っていく必要があるだろうなというふうに思っております。

 次に、食の安全の確保という視点から一つ伺わせていただきます。

 先月、東京湾の河口部にセシウム高濃度地点が明らかになったとの近畿大学の発表がございました。原発事故から一年半以上たった二〇一二年の十一月の段階で、東京湾河口の底にたまっている泥から、一キログラム当たり千ベクレルを超える放射性セシウムが検出された、高濃度の地点が存在していることが明らかになったとの報道が先月ございました。江戸川中流の五匹のウナギのうち四匹が国の基準値を超えたということでございます。

 消費者庁が行った消費者の風評被害に対する意識調査によれば、福島県を中心とした被災地等の産品の購入あるいは摂取をためらう意識が残っており、生産者等の風評被害に悩む声は今なお続いているということが明らかになっています。福島県は調査をしているにもかかわらず、風評被害が続いている状況が一方でございます。

 今般の近畿大学研究チームの調査は引き続き注視する必要があるところですが、健康被害はもちろん、風評被害を払拭するためにも、このような放射性物質の影響評価等の調査結果についても、報道ベースではなくて、国を挙げてリサーチし、その情報を隠さず、わかりやすく国民、消費者に公表していくことこそが重要であろうかと考えます。

 消費者の安心感に応える立場から、情報開示のあり方についてお伺いをさせていただきます。

森国務大臣 福島県を初めとする被災地産品に対する風評被害は、震災後二年九カ月近くを経た今もなお、大きな課題であると認識しております。

 消費者庁としてはさまざまな対策に取り組んでおりますが、例えば、食品中の放射性物質に関するリスクコミュニケーションを、本年度、既に六十四回開催をしております。これは十一月三十日現在でございます。特に、今年度は、地域に応じたきめ細やかな情報発信に重点を置いて取り組んでおります。

 また、消費者へわかりやすい情報を提供するため、冊子「食品と放射能Q&A」を作成いたしましたり、消費者庁ウエブサイトにおける食品、水道水の検査結果等の発信などを行っております。

 さらに、地方消費者行政活性化基金等を活用して、消費者と生産者との交流イベント等を開催する八都県への支援を行いました。

 今後とも、これらの施策を関係省庁や地方公共団体とも連携しながら推進をし、風評被害の払拭に向けて強力に取り組んでまいりたいと思います。

青木委員 ありがとうございます。

 食の安全の確保、私は、先ほど冒頭に申し上げましたが、やはり法整備もしっかりとして、食の安全の確保をしっかりとした上で、二点目としてこうした情報公開、この二点をしっかりと取り組むことが日本の食の信頼の回復につながる、また世界からの評価を高めていくことにつながると考えております。

 最後になりますが、各関係省庁の司令塔であります消費者担当大臣、森大臣が関係省庁に要請し、指示するくらいでなければならないと考えておりますが、これまで消費者庁が発足してもなおこうした偽装が繰り返されてきたということに反省をしながら、今後の積極的な取り組みに向けての決意をぜひ最後にお伺いしたいと思います。

森国務大臣 委員の御指摘を踏まえ、関係省庁連携会議でも私が司会をして、省庁間にしっかりと消費者の目線で取り組みを指示してまいりますので、さらに委員の御指摘を踏まえてしっかりと取り組んでまいることをお約束させていただきたいと思います。

青木委員 ありがとうございました。

山本委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時三十六分散会


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