衆議院

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第3号 平成26年3月25日(火曜日)

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平成二十六年三月二十五日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 山本 幸三君

   理事 泉原 保二君 理事 大塚 高司君

   理事 北村 誠吾君 理事 永岡 桂子君

   理事 原田 憲治君 理事 郡  和子君

   理事 重徳 和彦君 理事 古屋 範子君

      秋本 真利君    穴見 陽一君

      小倉 將信君    大岡 敏孝君

      大野敬太郎君    鬼木  誠君

      勝沼 栄明君    金子 恵美君

      小島 敏文君    國場幸之助君

      佐々木 紀君    田畑  毅君

      田畑 裕明君    武井 俊輔君

      豊田真由子君    野中  厚君

      比嘉奈津美君    藤丸  敏君

      藤原  崇君    堀井  学君

      堀内 詔子君    宮崎 謙介君

      宮崎 政久君    八木 哲也君

      山田 美樹君    泉  健太君

      大西 健介君    武正 公一君

      中根 康浩君    上西小百合君

      河野 正美君    清水鴻一郎君

      國重  徹君    浜地 雅一君

      柏倉 祐司君    井坂 信彦君

      穀田 恵二君    青木  愛君

    …………………………………

   国務大臣

   (消費者及び食品安全担当)            森 まさこ君

   内閣府副大臣       岡田  広君

   厚生労働副大臣      土屋 品子君

   内閣府大臣政務官     福岡 資麿君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  大内  聡君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 岩渕  豊君

   政府参考人

   (内閣府消費者委員会事務局長)          小田 克起君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 荻野  徹君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 鈴木 基久君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局参事官)            長谷川 靖君

   政府参考人

   (消費者庁次長)     山崎 史郎君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    川口 康裕君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    河津  司君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    菅久 修一君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 岡本 直之君

   政府参考人

   (国税庁課税部長)    岡田 則之君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           鈴木 俊彦君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  原  徳壽君

   参考人

   (日本銀行決済機構局長) 青木 周平君

   参考人

   (独立行政法人国民生活センター理事長)      松本 恒雄君

   衆議院調査局第三特別調査室長           清水  敦君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十五日

 辞任         補欠選任

  金子 恵美君     大岡 敏孝君

  豊田真由子君     野中  厚君

  比嘉奈津美君     國場幸之助君

  藤原  崇君     佐々木 紀君

  宮崎 謙介君     勝沼 栄明君

同日

 辞任         補欠選任

  大岡 敏孝君     大野敬太郎君

  勝沼 栄明君     宮崎 謙介君

  國場幸之助君     八木 哲也君

  佐々木 紀君     藤原  崇君

  野中  厚君     豊田真由子君

同日

 辞任         補欠選任

  大野敬太郎君     金子 恵美君

  八木 哲也君     比嘉奈津美君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 消費者の利益の擁護及び増進等に関する総合的な対策に関する件


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     ――――◇―――――

山本委員長 これより会議を開きます。

 消費者の利益の擁護及び増進等に関する総合的な対策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として日本銀行決済機構局長青木周平君、独立行政法人国民生活センター理事長松本恒雄君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として内閣官房内閣参事官大内聡君、内閣府大臣官房審議官岩渕豊君、内閣府消費者委員会事務局長小田克起君、警察庁長官官房審議官荻野徹君、警察庁長官官房審議官鈴木基久君、金融庁総務企画局参事官長谷川靖君、消費者庁次長山崎史郎君、消費者庁審議官川口康裕君、消費者庁審議官河津司君、消費者庁審議官菅久修一君、財務省大臣官房審議官岡本直之君、国税庁課税部長岡田則之君、厚生労働省大臣官房審議官鈴木俊彦君、厚生労働省医政局長原徳壽君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山本委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。穴見陽一君。

穴見委員 おはようございます。自由民主党の穴見陽一でございます。

 この消費者特では初めての質問に立たせていただくことになります。このような機会を与えていただきました委員長そして理事の皆様、本当にありがとうございます。そして、きょうは、公務御多端の中、森大臣を初め政府の皆様方御出席、本当にありがとうございます。時間もございませんので、早速質問に入らせていただきたいと思います。

 私自身、実は外食業の経営者でございまして、この問題には大変ショックを受けました。正直申し上げて、我々外食業界のモラルハザードがここまで広範に、また、このようなひどい状態であったということは、正直私自身もショックを受けておるところでございますけれども、ただ、その後、昨年の十二月十九日に、消費者庁の方から今回のメニュー表示に関するガイドライン案が示されましたけれども、その後の業界の混乱ぶり等々、また新聞の報道等を見ますと、消費者庁の方も、業界についての知見が十分深くなかったのではないかな、まだまだ、これから業界についてもっと御理解をいただいて、実態に即した、ガイドラインも含め、今回の法案の件についても審議を先生方に進めていただきたいと思います。

 まず申し上げたいのは、商品名というのは、我々商業者にとっては本当に唯一無二の生きるための武器でございまして、お客様が、メニュー名、価格とセットの姿で目に映る、それは本当に一瞬のことでございまして、その一瞬の出来事の中で、お客様に商品の特性であるとか、また、お値打ち感というものがいかに表現できるか、その短いフレーズの中に本当に魂をつぎ込むようなつもりでつくっているものであります。

 そういう意味では、一部正確性を欠く面はあるかもしれませんけれども、やはりわかりやすさということが信条でございまして、今回のこの法案の名前、不当景品類及び不当表示防止法等の一部を改正する等の法律案、このような正確な名前であっても、やはり、心に残る、記憶に残るという名称でなければ、我々商業人はやっていけないわけでありまして、そういったこともぜひお含みおきおいて、この法案について御審議を進めていただきたいと思っております。

 まず、一点目でございますけれども、今回の件は、まさに外食業自体の表示の行き過ぎということが最大の問題でありますけれども、ただ、消費者庁さんも、またそれ以前の監督官庁からの指導であるとか、または景表法に関する周知であるとか、または取り締まりや指導というものの徹底が本当になされていたのかなというところに疑問を持たずにはおれません。

 と申しますのも、ちょうど今から二年ほど前に、牛脂注入加工肉、この表示が悪いということで措置をされて、その表示が、消費者庁様の発表では、食品表示の方は業界もウオッチをしておったようなんですけれども、景品表示の方に、しかもかなり埋もれる五十数番目というようなところで表示をされていた。そして、業界に対しては事後も事前も何らの通知もなかったということでございます。そして、今回の阪急阪神ホテルズの問題が発覚して初めて、相当に探しまくってそれを発見したということであったようであります。

 そういう意味からも、やはり事前のそういった法律またはガイドライン、また指導の周知徹底、そして取り締まりというものの強化が今回の事態を解決するための対策であって、決して懲罰強化をすればこの問題が解決するということではなくて、まずはその周知、指導、取り締まりの徹底というものがあって、それでもなおこういう問題が起こるのであれば懲罰強化もやむなしということになろうかと思いますけれども、まずは、私は、今回の問題は、周知と取り締まり、指導の徹底というところに趣旨を置くべきだというふうに考えますが、お考えをお聞かせいただきたいと思います。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘いただきました点についてでございますが、昨年十二月九日に開かれました第二回食品表示等問題関係府省庁等会議において取りまとめられました食品表示等の適正化、この中でも、問題の所在として取り上げられておりまして、それらへの対策が決定されたところでございます。

 現在は、具体的には、その対策といたしまして、第一には、まさに個別事案に対する厳正な措置、それから第二といたしまして、わかりやすいガイドラインの作成や相談体制の強化といったことによります関係業界における表示適正化とルール遵守の徹底、それから第三といたしまして、事業者によるコンプライアンス体制の確立、また消費者庁を中心とする国における体制強化、また都道府県知事の権限強化等によります行政の監視体制の強化を内容とする景品表示法等改正案の閣議決定、こうした取り組みを行ってきたところでございます。

 違反事案に対する課徴金等の新たな措置ということにつきましては、現在、内閣総理大臣からの諮問を受けまして、消費者委員会で検討が進められているところということでございます。

 消費者庁といたしましては、これらの取り組みへの対応を通じまして、食品表示等の適正化に万全を期してまいりたいというふうに考えております。

穴見委員 ありがとうございます。

 ぜひ、まずはその周知と取り締まり、指導の徹底、相談体制の充実等を進めていただきたいと存じます。

 ただ、一点気になりますのが、消費者委員会の議論の中で、この課徴金について少し触れたいと思いますけれども、これは検討ということでございますが、将来、その課徴金を徴収したものを、そうした消費者行政、消費者団体等の財政の一部として使っていこうというような意見も一部出されておるようでございます。これに関しては意見でございますけれども、それは趣旨に沿わないお金の動きではないかというふうに思いますので、その点はぜひよくお考えをいただきたいと存じます。

 続きまして、十二月十九日に示されたガイドライン案のことについてなんですけれども、この後、新聞報道でも、シャケ弁当という表現もできなくなるのかというようなことが何社かで報道されておりました。

 実際は、ここで申し上げるのも時間がございませんけれども、サーモンもトラウトも生物学的には一致をしておりまして、何の違いもございません。そして、今のベニジャケとかギンジャケと言われているものも、かつてはギンマスとかベニマスと呼ばれていたものが途中で名称が変更になっていたりとか、そもそも、日本は歴史的に、シロジャケのことをシャケと呼び、そしてカワマスであるサクラマスのことをマスと呼んでいたということでありますから、マスとシャケというものを読みかえるということに何ら確定的な根拠というものがない状態の中で、サーモントラウトと呼ぶべきだとか、いろいろな混乱が出ているわけでございます。

 また、反対に、ズワイガニとベニズワイガニというのは、これは全く別物でありまして、似たような名称であったとしても全然違う商品というものもあるわけでございます。

 そういう意味では、ぜひ、業界とこういったメニュー表示また商品名に関してはしっかりと御相談をいただいて、根拠のある指摘をいただきたいということ。

 もう一点は、外食業というのは、やはりお客様というのは、基本的に、自分の身近な、なじみの深い商品に関しては安心して食べていただける、購入していただけるということであるんですけれども、昨今、日本は食料の自給率も四割程度ということになっておりますので、相当な外来の食材を使っているわけであります。当然、その中には和名の存在しない、本当はおいしいんだけれども日本人にとってなじみの非常に薄い、外国名の、そういう魚等々、また野菜もございます。

 こういったものを、日本人の消費者の方にそのおいしさというものを体験していただくために、外食業は相当知恵を絞ってこれまでメニューの提案をさせてきていただきました。それは、まるで子供がニンジンを食わず嫌いで、そしてニンジンを食べさせようとする母心で、ニンジンをすりおろしてハンバーグにまぜ込んで食べさせてあげる、この母親を、ニンジン入りと言わなかったと、そしてそれをうそつきだと糾弾できるのか、そういう面も私はあろうと思うんです。

 例えば、今回、シバエビとバナメイというものが批判されましたけれども、お手元の資料にもあるかもしれませんが、実際にエビチリをつくってみると、シバエビよりもバナメイの方がぷりぷりして大変おいしいということであって、バナメイという名前が日本にはなじみのない名前であっても実際のおいしさはバナメイの方がまさっているであるとか、また、白身魚のフライであれば、タラを使うよりもメルルーサという魚を使った方がいいであるとか、また、例えば、かつて水産庁さんも随分苦労してギンムツという魚が日本の市場に出回るようになりましたけれども、これも本当はパタゴニアントゥースフィッシュという英名を持つ南極の方の魚でありまして、こういった、本当はおいしいんだけれどもなじみのない食材を日本の消費者に受け入れてもらえるために、相当名称についても苦労してやってきた、やはり、そういった外食業界の努力もぜひお考えいただいた上でのガイドライン、これを、ぜひ拙速を排してしっかりと対応していただきたいと思います。

 これについてお考えをお聞かせいただければと思います。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、ガイドライン案につきましては、原案の公表後、パブリックコメント、さらに意見交換会を実施いたしまして、さらに事業者団体等からも直接御意見を頂戴して、意見を聞きながら今策定を進めているところでございます。

 こうした御意見を十分に検討いたしまして、今後の作業を進めていきたいというふうに考えております。

穴見委員 それと、課徴金についてなんですけれども、検討を行うということですが、善良な事業者を必要以上に萎縮させることがないように、ぜひ、極端に悪質なものや被害の非常に大きなものに限るといったような、これから検討といっても、ある程度の方向性を示していただかないと、非常に業界は恐れを抱いているという状況でございますけれども、そのあたりのお考えをお聞かせください。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の課徴金でございますが、現在、消費者委員会におきまして議論がなされているところでございます。

 消費者庁としましても、事業者による正しくわかりやすい表示を促進し、消費者の自主的かつ合理的な選択に資する制度となるよう、その要件のあり方を含め、制度設計について検討を行ってまいりたい、このように考えている次第でございます。

穴見委員 それと、加えまして、今法案では、他省庁との協働や、また都道府県に取り締まりの権限を移譲するとのことでありますけれども、省庁をまたいだりとか、また都道府県をまたいでの認識の違いや判断の違いが出てくると、これもまた業界にとっては大変な重大な問題になってくるわけであります。

 とりわけ全国的に展開している企業であるとか、そういうところは、都道府県によって対応を変えなきゃいけないのか、また省庁によって指導が違うじゃないかということで非常に混乱をすることが心配されるわけですけれども、このあたりの認識や、また判断を一致させるための体制についてお聞かせください。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 例えば、現在、景品表示法を執行しておりますが、都道府県との間では、実務上の工夫といたしまして、消費者庁と都道府県との間でのネットワークを活用しまして、情報共有を密に行いつつ、執行を行っているところでございます。

 また、この改正法案でもそうした密接な連携に関する規定も設けておりますが、今後、国と都道府県等の間での個別事案の処理手続などを定めることによりまして、情報共有をさらに密接にしまして、消費者庁として十分調整を行った上でしっかりと対応していきたいというふうに考えております。

穴見委員 最後の質問とさせていただきますが、これは、一四年の三月等に報道されておりますけれども、特保の問題であります。

 不適切表示で見落としがあったというような報道が数社からなされておりますけれども、消費者庁は、もともと幾つかの省庁が寄せ集めでつくられたとも言われるような省庁でございます。その引き継ぎの段階で、まだまだほかの、特保以外にも見落としがあったのではないかと思われるんですけれども、それについてぜひ総点検をすべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

森国務大臣 おっしゃるとおりでございます。

 先ほども、牛脂注入の事件、三年前に起きた事件でございますけれども、行政処分がきちっと行われたという御指摘もいただきました。

 消費者庁が、創設五年になりますけれども、創設時の理念をしっかりと貫いてきたのかということについては、私は、これをきちっと見直す必要があるというふうに思っております。

 設立の経緯から申しますと、職員や業務、法律等を他省庁から引き継いだ組織でありまして、消費者目線でしっかり横串を通していくということが目的であったんですけれども、当初、所掌事務の引き継ぎや業務の運営全般に問題がなかったかどうかということ、しっかり行われていたかということを、消費者庁参与を含めた外部有識者も活用して、行政のレビューを全般的にしっかりとしてまいりたいというふうに思っております。

穴見委員 ありがとうございました。

 消費者庁は、消費者生活を守るために、本当にかなめとなる省庁であると思います。ぜひ、ますます機能を強化されて、そして、消費者が安心して消費行動がとれるような働きを期待して、質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

山本委員長 次に、浜地雅一君。

浜地委員 おはようございます。公明党の浜地雅一でございます。

 きょうは、消費者庁に対する一般質疑ということで、十五分間お時間をいただきました。一般的な質問をしようと思って、準備をしてまいりました。

 先日、昨年の国民の消費者被害というものが発表されまして、御存じのとおり、六兆円ということでございました。私、このニュースを聞いたときはたしかちょうど宿舎にいて、ぼうっとNHKのニュースを見ていたときに、ああ、消費者被害の数が出たんだなと思って、ぱっと六兆円と聞いて、直観的に多いなというふうに思いました。

 皆さんお感じのとおり、GDPの約一割を超える、五百兆のうちの六兆円ということですから、私が思った以上に国民の富がこの消費者被害によって失われているという現状を知りまして、これはどういったことかな、どういった点がこの被害につながっているのかしっかり調べるべきだというふうに思いました。

 今回のこの推計六兆円の被害の概要と、あとは中身、いわゆる消費者の方が被害としていろいろな申し出をされていると思います、振り込め詐欺に遭ったとか、もしくは自分が思っていた商品とちょっと違うとか。まあ、主観的なものもあろうかと思います。あとは、年齢的な構成、高齢者が多いとは思うんですが、どういった方々が狙われているのか。

 昨年の消費者被害六兆円の概要をお聞かせいただきたいと思います。

河津政府参考人 お答え申し上げます。

 先般、消費者被害の推計額ということで、六兆円という数字を公表させていただいております。これは、現時点ではまだ暫定値ということでございますが、全国の消費生活センターに寄せられております相談情報、それから、今回消費者庁が意識調査を実施いたしまして、その結果を用いまして推計をしたものでございます。GDPの一%強という数字になっている、六兆円となっております。

 最近の消費者被害の内容のお尋ねでございます。全体で見ますと、やはり高齢者の被害がふえているというのが特徴でございます。約五年前に比べまして六十五歳以上の高齢者の相談件数が三五%伸びておりますが、この間の高齢者の人口の伸びは約一割でございますので、人口の伸びを超える相談がふえているというところでございます。

 また、高齢者の相談の内容の平均的な支払い額というものを見てみますと、ちょっと期間が長うございますが、二〇〇三年のころは平均が約五十万円程度でございました。それが二〇一二年の数字でございますと百六万円となっておりまして、約二倍にふえている。やはり、高齢者の被害が件数あるいは金額ともに伸びているのが特徴かと思います。

浜地委員 今の御説明で、主に高齢者の被害がやはりふえていると。人口は統計を始めて以来一割しか高齢者の数はふえていないが、被害の割合が三五%と、約三割以上ふえているという回答でございました。また、その平均の金額も五十万円からその倍の百六万円ということで、景気が落ち込んでおりましたので、やはり貯蓄等を持っている高齢者、そもそも高齢者は貯蓄を持っていると言われておりますが、そこがターゲットにされたんだろうと思っております。

 ただ、これは被害の状況でございまして、実際には、この被害の回復をする方法、それと今後被害に遭わないための予防の方法、回復と予防というものが必要かとは思います。私の感覚ですと、こういった消費者被害に遭うと、まともな業者さんであれば、当然クーリングオフだったりまたは取りかえ等々があるとは思うんですけれども、やはり消費者被害といいますと、その回復ができないのではないかというふうに思っております。

 その点で、消費者庁としてこの被害回復の手だてについてどういった方策をとられて、それが現在のところ実効性があるのかどうか、まずその点をお聞かせください。

河津政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、被害に遭われると、先ほど申し上げましたが、全国の消費生活センターにいろいろ御相談をいただくわけでございます。いろいろなトラブルがございますけれども、御指摘のとおり、いわゆる善良なと言っていいかと思いますけれども、事業者の方でそういう苦情、相談が消費者から寄せられる、あるいは、消費生活センターが仲介をしていわゆるあっせんをするというのに応じて解決される場合がこれもございます。

 また、いわゆる詐欺的と申しましょうか、そういう場合によりますと、例えば、クレジットカードの支払いの場合にはクレジットカード会社に申し出をし、それによって支払いをとめる、あるいは銀行振り込みでございますと、警察へ被害届を出して、それで口座を凍結するというような方法もございます。

 しかしながら、中にはまさに犯罪的なといいますか悪質な業者もおるわけでございまして、そういう意味では、被害回復というのはやはりどうしても限られることでございますので、やはり注意喚起、予防というのも極めて重要であるというふうに私どもとしては考えております。

浜地委員 そうですね。被害回復、今、クレジット会社であればいわゆる抗弁の接続といいまして、自分が詐欺に遭ったということをクレジット会社に申し出ればクレジットの支払いはとめられるという、これは法律上の抗弁権がございますし、また、預金の凍結等については、これも有効な手だてであるとは思っております。

 そこで、昨年の臨時国会で行いました、集団訴訟というものもできました。ですので、特に高齢者、私も、これは経済に対して影響があるんじゃないか、そういった経済に対する心配もしながらも質問はしたのでございますけれども、やはり、こういった集団的訴訟が早く施行されて、しっかりと、消費者被害、また、少額であってもそれをまとめれば大きな力になるということで、高齢者の被害回復に努めるための方策になればと、そのように期待をしております。

 そして、回復の手だてということで今お聞きしましたが、次は予防策ということでございます。

 実は、私の父親も、五十代半ばで一回事業をやめて、それから定職らしい定職につかずにいろいろなビジネスを持ってきたというか、例えば、いろいろな話があるとそれに飛びついて、いつも損をしています。この前も、シイタケの栽培をするとか、今度は何か、二毛作、三毛作ができる太陽光の発電機械があるとか、週に一回ぐらい私の方に、こういうビジネスはどうかというふうに電話があるわけですが、そのたびに却下をしております。

 高齢者の方は、うちの父も六十八になるんですけれども、社会の中でやはりかかわりを持ちたい、自分が何か経済活動にかかわっていることで、うちの父の場合は何か安心をしていていろいろな話に首を突っ込んでいるんじゃないかなというふうに、これは個人的な見解でございますから、感じることがございます。

 ですので、高齢者が被害に遭わないための予防策というのは、やはり、高齢者の特徴を捉えたというか、高齢者の特性を捉えた予防策が大事だと思っておりますけれども、その方策について、具体的な周知徹底方法や、その取り組みについてお聞かせください。

河津政府参考人 高齢者の被害ということでございますけれども、やはり高齢者、どうしても、まず人口がふえているということがございます。それから、家族の小規模化、単身世帯がふえている、そういった状況の中で、御指摘のように、社会との関係というものが非常に問題になってくるかと思います。

 特に、一般高齢者は、お金の心配、資産はあるけれども収入が少ない、それから健康に不安がある、あるいは孤独であるというようなことに関して不安を持っておるということでございまして、こういうところに悪質業者がつけ込む、そういう意味では、社会全体の見守りというようなことも必要であろうかというふうに考えて、法も準備しているところでございます。

浜地委員 見守りという点でいいますと、次回、法案が提出されております、消費者庁で御準備をされている法案があると思いますが、そのあたりも含めて、もう一度説明をいただければと思います。

森国務大臣 見守りに関しましては、高齢者等、被害に遭いやすい消費者を見守る地域のネットワークとして、消費者安全確保地域協議会を地方公共団体等が設置できることでありますとか、この地域協議会において、消費生活相談等により得られた情報を共有し、見守りのために利用できるようにすること等を内容とする消費者安全法の改正を含む法案を今国会に提出をしているところでございます。

 また、予算措置といたしましては、二十五年度の当初から実施しておりますけれども、高齢者等を対象としたこういった悪質な消費者被害に対応できますように、地方消費者行政活性化基金を当初予算において積み増しを行いまして、高齢者等の被害というのをテーマを特出しいたしまして、裏負担についても、地方自治体にインセンティブを与える形で実施してきておりまして、これを二十六年度当初予算においても成立をさせていただいたところでございます。

浜地委員 そうですね。消費者安全法の改正ということもございます。聞くところによりますと、民生委員の方が、当然、地域の方がいらっしゃって、その方々に、消費者被害に遭わないように、見守りを強化しながら、いろいろな生活状況も含めて、やはり、その見守る項目の中に、消費者被害に遭っていないか、いろいろな話が来て、それを相談しやすいように今後運用も変えていただくというふうに消費者庁の方からお聞きをしておりますので、この法案の改正にあわせて、実効的な、特に高齢者の被害の予防策というものに取り組んでいただければと思っております。

 最後に、一問、行います。

 四月から、御存じのとおり、消費税が三%増税ということでございます。我が党も消費税賛成、社会保障のために賛成ということでございますけれども、やはりこの三%の増税というのは、我々の想像以上に経済へのダメージは大きい、そのように考えております。我が党としても、しっかり地域を回って、この消費税三%の増税の影響、しっかり転嫁対策ができているかを含めて、議員一人一人がそれを認識するようにという指示がございました。

 そこで、消費税の転嫁対策について、さまざまな省庁がかかわっておりますけれども、消費者庁が主に担当する消費税の転嫁対策の部分について、もう一度確認をしたいと思います。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 消費税転嫁対策でございますが、特別措置法では四つ、大きく挙がっております。一つが、消費税の転嫁拒否等の行為の是正に関する特別措置、二つ目が、消費税の転嫁を阻害する表示の是正に関する特別措置、三つ目が、価格の表示に関する特別措置、そして四つ目が、消費税の転嫁及び表示の方法の決定に係る共同行為に関する特別措置でございます。

 消費者庁では、これらのうち、特に第二の、消費税の転嫁を阻害する表示の是正に関する特別措置、これを担当しております。

浜地委員 今、第二の、消費税分を値引きする等の宣伝や広告の禁止ということで、いわゆる、消費税還元セールとか消費税率上昇分値引きしますの広告を禁止する、そこをチェックする役目を消費者庁が担っているというふうに認識をしております。

 私、これを聞いた瞬間、消費が落ち込むので、それを喚起しなきゃいけない、そうなると、消費税還元セールとか消費税分上昇分値引きというのは、逆に、要は、消費マインドが落ち込んだ消費者が、ああそうか、これは非常に安いので買おうということで、ぱっと見ますと、こういった消費税分を値引きする宣伝というものを禁止するよりも、積極的に進めろとは言いませんけれども、余り取り締まっても、消費喚起という部分では意味がないんじゃないかというふうに感じたんですが、これをしっかりと取り締まっていこうという趣旨、そこをもう一度説明いただきたいと思います。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 消費税還元セール、そうした消費税分を値引きする等の宣伝、広告でございますけれども、これは、消費税の負担について消費者の誤認を招く、または納入業者等に対する買いたたきを生じさせることもございますし、また、周辺小売事業者等の転嫁も困難にするということでございまして、そういうことで、こうした表示というものを禁止して、消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保を図るというものでございます。

 ただ、この規定でございますが、あくまで消費税分を値引きする等の宣伝、広告を禁止するものでございますけれども、事業者の企業努力によります価格設定自体を制限するものではございません。

浜地委員 ありがとうございました。

 今の趣旨、結果的には、転嫁ができない、そういった圧力を防止するという趣旨も含まれていると思いますので、しっかりと転嫁対策に効果があるというふうに私も認識をいたしました。

 いずれにしましても、違反については、まず勧告を行ったり、または公表を行うということでございます。公表を行えば当然消費者庁のウエブサイトにも掲載をされて、それに伴ってやはりマスコミ等で報道されれば、そういったことを行っている業者に対してはダメージがあろうかと思いますので、一定の効果はあると思います。

 いずれにしましても、消費者庁、また我々国会議員も、この消費税の転嫁対策についてしっかりと四月から気を引き締めて取り組んでまいりたい、そのように申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

山本委員長 次に、大西健介君。

大西(健)委員 おはようございます。民主党の大西健介でございます。

 きょう、私は、まずビットコインの問題についてお聞きをしていきたいというふうに思っております。

 池井戸潤さんの小説に「架空通貨」というのがありますけれども、小説ではなくて、実際にこれだけビットコインというものが広く流通しているということを私も今回の事件で知りまして、非常に驚きました。

 まず、皆さんのお手元に資料として、消費者庁が二月二十六日付で発出したニュースリリースというのをお配りさせていただきました。「ビットコイン取引所マウントゴックスの取引停止について」ということで、消費者の皆さんに、ビットコインが取引停止になっているということで注意喚起をするとともに、ここにこういうふうに書いてあります。「消費者の皆様におかれては、この点を十分御留意ください。 なお、必要な際には、お近くの消費生活センター等まで御相談ください。」というふうに書いてあります。

 まずお聞きしたいのは、別にこういうことをやるなと言っているわけではないんですけれども、どういう法令に基づいて、あるいは権限に基づいて、消費者庁がこの二月二十六日のニュースリリースを発出されているのか。また、ここでは相談してくださいと言っていますけれども、では相談したら消費者庁は何をやってくれるんだということと、それから、実際にこの呼びかけに応じて消費者の皆さんからどれだけ相談があったのか、その件数についてもあわせてお答えいただきたいと思います。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の件でございますが、これに関しましては、二月二十六日に消費者庁のウエブサイトにおきまして、消費者に対して注意喚起を行ったところでございます。これ自体は特定の法律に基づくものではございませんが、消費者庁としましては、常に、消費者に対しまして必要な情報提供、さらに、注意喚起があった場合にはこういう対応をとっているところでございます。

 なお、これに関する相談の方は、いろいろな、国民生活センター、さらには地域の消費生活センターの方がまさに受けとめていくことになりますが、これに関する相談は、現時点ではほとんど寄せられていないという状況でございます。

大西(健)委員 済みません、ちなみに、相談に行った場合、消費者庁としては何をやってくれるんですか。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 この件でございますが、法律上の関係でいきますと、いわゆる消費者安全法という法律がございますが、これ自体は、虚偽表示とか強引な勧誘等、そういう不適切な勧誘が行われた場合にはそういう法律に基づく対象ということもあり得ますが、ただ、この件に関しましては、具体的な内容をさらに精査する必要がございます。

 したがって、一般的には、相談を受けとめますと、私どもとして有しております情報を提供していく、そういったことが中心になろうかというふうに考えている次第でございます。

大西(健)委員 ただいまの次長からのお話のように、特定の法令に基づいているわけではない、また情報提供が中心になるという話でありましたけれども、この問題については、報道の中では、いろいろな省庁が、関係しているんじゃないかと思われる省庁が、いや、うちは関係ありませんというような話というのが、報道を通じて出ております。

 また、我が党の大久保参議院議員が質問主意書を出されたのに対する答弁書というのが今月の七日に出ていまして、その中では、ビットコインというのは通貨ではない、物として取り扱う、また、売買益などは課税対象になるという政府の見解というのが一応示されておりますけれども、一方で、今申し上げたように、所管法令もないし、そして担当省庁も不明であるということが報じられていますけれども、改めて、きょう、関係する可能性があると思われる省庁の皆さんに御出席をいただいておりますので、順番に、簡潔に、ちょっとそれぞれの省庁との関連というのを、それぞれ検討されていると思うんですけれども、御説明をいただきたいと思うんです。

 まず、財務省。愛知副大臣が、先月の二十七日の記者会見で、各国との協調が必要だということも言われております。一方で、麻生大臣は、こんな、よくわけのわからないもので、なかなか、担当、自分のところは関係ないんじゃないかということも記者会見で言われていますけれども、まず財務省から、関係について検討された結果について、簡潔に御説明ください。

岡本政府参考人 お答え申し上げます。

 財務省といたしましては、ビットコインの仕組みやその広がり等につきまして、現在、関係省庁、関係者と連携を図りつつ情報収集に取り組んでいるところでございまして、実態の把握に向けまして、引き続き調査を進めてまいる所存でございます。

 また、通貨ではないかという問題もございます。この件に関しましては、貨幣については通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律第七条で額面価格の二十倍まで、また、日本銀行券については日本銀行法第四十六条第二項で無制限に、それぞれ法貨として通用するものとされているところであり、ビットコインは通貨に該当しないということとしておるところでございます。

大西(健)委員 次に、国税庁にお伺いしたいんですけれども、質問主意書の答弁書の中では、物の取引によって生じた利益は課税対象になるというようなことが書かれておりますけれども、税の面でどういう検討をなされているか、これも簡潔にお願いいたします。

岡田政府参考人 お答えいたします。

 一般論として申し上げますけれども、取引に係る対価として金銭以外の物または権利その他経済的な利益を受け取った場合であっても、その取引は税法上所得税や法人税の課税対象となるということになっておりまして、国税当局といたしましては、個々の事実関係に基づきまして、現行法令等に照らして適正に対応してまいりたいというふうに考えております。

大西(健)委員 次に、金融庁にお伺いしたいんですけれども、金融商品ではないということを言われておりますけれども、一方で、金融庁の皆さんがいろいろなところで発言されているのは、骨とう品のようなものじゃないか、それぞれの人がその物に価値を認めて取引するというようなことなのではないかというようなことも言われておりますけれども、金融商品との関係で、金融庁からも簡潔に関係を御説明ください。

長谷川政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねのビットコインにつきましては、通貨ではなく、また、それ自体が何らの権利を表象するものでもないため、ビットコイン自体の取引は、通貨たる金銭の存在を前提とする銀行法上の銀行業として行う行為や、有価証券その他の収益の配当等を受ける権利を対象とする金融商品取引法上の有価証券等の取引には該当しないと承知をしております。また、その他の金融庁所管法令においても位置づけられるものではないと承知をしております。

 いずれにしましても、金融庁といたしましては、関係省庁とも連携しつつ、まずは情報収集に努め、実態の把握に努めてまいりたいと考えております。

大西(健)委員 次に、警察庁にお伺いしたいんですけれども、先ほどの消費者庁と同じような話かなと思うんですけれども、詐欺とかそういうことがあれば、当然、詐欺罪とかという罪になるというふうに思うんですけれども、その部分でいうところの法令との関係。そしてもう一つ、このビットコインについては、犯罪によって生み出された収益というかに関して、マネーロンダリングの温床になるのではないかというような指摘もありますけれども、この部分も含めて、警察庁から御答弁をお願いします。

鈴木(基)政府参考人 お答え申し上げます。

 ビットコイン問題について、警察においては、現在、必要な情報収集を行っておるところであります。また、ビットコインを利用したマネーロンダリング対策については、ビットコインの使用実態等を踏まえ、関係省庁ともども検討していくべきものと考えております。

大西(健)委員 最後に、日銀にも御指摘いただいていますので日銀からも御答弁をいただきたいんですけれども、日銀の黒田総裁が、この問題が起きた当初、大いに関心を持っているということを言われていますし、日銀の金融研究所でも調査研究をしているというようなことも発言をされています。また、審議役も、当局が適切な判断をしてくれるのではないかというようなことを記者会見で言われていますけれども、日銀としてどのような検討をなされているのか、お答えいただきたいと思います。

青木参考人 お答え申し上げます。

 私ども日本銀行では、決済サービスの基盤を提供するという立場から、新しい決済の仕組みにつきましては、それが銀行振り込みなどの既存の決済の仕組みにどのような示唆を持っているのかという観点から調査研究を行っておりまして、ビットコインの仕組みにつきましても、そうした観点から注視をしてまいりました。

 今後も、こうした調査研究を続けまして、その成果も踏まえて、銀行振り込みなど既存の決済の仕組みがより一層利便性の高いものになりますよう、銀行など関係者と力を合わせて取り組んでいきたいというふうに考えております。

大西(健)委員 今の皆さんのお答えを総合すると、今お答えいただいた中では、うちが関係の所管省庁ですということはなかったと思いますし、情報収集に努めていますということがお答えだったというふうに思いますけれども、先ほど言ったように、これは物の取引で骨とう品と同じようなものだから、こんなものは、どこかが監督するとか規制をするとかというものじゃないんだ、ほっておけばいいんだという話ならば、それでもいいかと思います。

 ただ、これは世界的に問題になっていて、先ほど財務副大臣のお話をしましたけれども、各国協調していく、あるいは犯罪の温床にもなりかねないという可能性も持っているということでいえば、やはり何らかの規制をしていくということも検討しなきゃいけないと思うんです。

 資料として新聞記事をお配りしていますけれども、与党自民党の中でも、金融部会で規制について検討しているということですけれども、関係省庁が決まらない、所管法令もないということで、そうすると対策の立てようがない、次の日程も決まらないみたいな話になっているんですね。これではやはり、調査しています、研究していますというのがずっと続いていっても前に進んでいかないと思いますので、とりあえずどこかに検討の場を設けるべきではないかというふうに私は思っています。

 菅官房長官も、これは必要があれば対応を検討していくとおっしゃっていますので、そのために検討の場を設けるということで、今私は、関係すると思われる省庁の皆さんに御答弁を求めましたけれども、そういう皆さんに集まっていただいて、内閣官房等にまず検討の場を設けることから始めるしかないのではないかと思いますけれども、この点、いかがでしょうか。

大内政府参考人 お答え申し上げます。

 ビットコインにつきましては、まずは実態を把握することが重要と考えております。

 引き続き、関係省庁等におきまして、ビットコイン取引所のマウントゴックス社が現在民事再生手続でございますので、その民事再生手続なども見守りながら、情報収集に努めていく必要があると考えております。

大西(健)委員 ちょっと残念な、踏み込みの足りない答弁だと思いますけれども。

 先ほど申し上げましたように、では、いつまで調査研究するんですかということと、やはり、どこかがやるということを言わないと前に進んでいかない問題ですし、日本だけの問題じゃなくて、世界に共通する問題です。また、マウントゴックス社だけじゃなくて、今後、こういうことができるんだということになれば、また同じような事例というのが発生する可能性、あるいはさらに進化させた形というのが出てくる可能性というのはあるわけですから、やはり、今の既存の法令の中で対応できていない以上、どこかで検討するということをぜひ前向きにお考えいただきたいということを再度申し上げておきたいというふうに思います。

 ビットコインについては、私は、きょうここまでということで、関係の皆さん、どうぞ御退室いただいて結構でございます。

 次に、消費者委員会の食品表示部会の議論についてお聞きをしたいというふうに思うんですけれども、食品安全委員会で、平成二十四年の三月八日に、食品に含まれるトランス脂肪酸の食品健康影響評価というのが行われております。

 お手元にその概要というのをお配りさせていただいているんですけれども、これをごらんいただくと、トランス脂肪酸の過剰摂取というのは、冠動脈疾患を増加させるとか、あるいは妊産婦の方が摂取をされた場合に、胎児の体重減少や流産等の影響があるということが調査研究成果として示されています。

 しかし、現状では、例えば妊婦の方がそういうことを知って、トランス脂肪酸が含まれている食品はできるだけ摂取したくないと思っても、表示がされていないものですから、選びようがないんです。そういう意味では、この表示ということ、特に北米の国々あるいは台湾、それからEUも近々表示の義務化を行うということを聞いておりますけれども、私は、このトランス脂肪酸についても、我が国でも表示の義務化に向けた検討というのをすべきだと思っております。

 この問題、私は、まさに妊婦の皆さん等にとっては非常に関心が高い問題だと思いますけれども、食品表示部会の栄養表示に関する調査会で、このことについてちゃんと議論がなされているのかどうなのかについて御説明をいただきたいと思います。

小田政府参考人 お答えいたします。

 平成二十五年十二月四日に開催されました第一回の栄養表示に関する調査会、これは食品表示部会の下に設けられております調査会の一つですけれども、ここにおきまして、トランス脂肪酸の表示につきましては、義務表示と任意、その中では任意表示、任意表示の中に新しく推奨とその他という二つの区分を設けるという提案がございましたけれども、その中ではその他ということで、調査会としての議論は取りまとめられております。

 なお、調査会は食品表示部会の下部組織でございますので、議論を整理する場ですので、各調査会で整理された議論が改めて食品表示部会で調査審議され、議論されるという予定になっております。

 なお、食品表示部会の阿久澤部会長は、三月十二日の調査会におきまして、消費者委員会に食品ワーキンググループを設けて、トランス脂肪酸などを含めた食品のリスク管理の状況の検討をしていきたい、こういう御提案もされております。

大西(健)委員 今御説明がありましたけれども、私も議事要旨というのをちょっと見せていただきましたけれども、今の、任意表示か義務表示かという区分の話は議論していますけれども、トランス脂肪酸そのものの危険性とかリスクの話というのは、残念ながら、私はちゃんと議論されていないんじゃないかなというふうに思っています。また、世間でもそのように受けとめられているんじゃないか。

 資料としてニッポン消費者新聞の記事をお配りさせていただいていますけれども、見出しのところに「「なぜ検討しない」トランス脂肪酸」、こういうふうに書かれてしまっているわけです。

 この記事はまた後ほど皆さんにぜひごらんいただきたいと思うんですけれども、この記事の中では、一月二十二日に行われた第二回の調査会で、オブザーバーとしてこの調査会に出席をしている立石委員が、トランス脂肪酸に関する意見書をその日わざわざ提出していて、問題提起をしようとしたにもかかわらず、その声を無視してトランス脂肪酸の検討を避けようとしたんじゃないか、その議事運営に非常に問題があるんじゃないかということが取り上げられております。

 もう一枚、お手元に調査会の議事録のコピーをつけておきました。この調査会のその日の議事が終わる、閉会の直前の部分なんですけれども、印をつけておきましたけれども、オブザーバーの立石委員が、ちょっとよろしいですかと何度も発言を求めているんです。でも、座長は無視を貫いて、結局、最後、立石委員が、たまらず、ちょっとそういう進め方をするんですか、オブザーバーといえどもですねという発言もされている。それがちゃんと記録に残っているんです。

 私はやはり、この運営の仕方、トランス脂肪酸を議論することが何か都合が悪いのかと思わせてしまうようなこの運営の仕方に非常に問題があるんじゃないかというふうに思っています。

 そういうことがあるから、逆に、この記事の中では、これは記事ですけれども、消費者委員会は事業者の顔色ばかりうかがっていて、都合の悪いそういうトランス脂肪酸の議論みたいなのを封じようとしているんじゃないかというようなことが、残念ながら書かれてしまっているんです。

 これはやはり、この調査会の議事運営がこういうことだから、こういうあらぬ誤解も招いてしまうのではないかというふうに思いますので、今後このようなことがないように、民主的な運営をぜひお願いしたいというふうに思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

森国務大臣 平成二十六年一月二十二日の第二回栄養表示に関する調査会、消費者委員会のもとの下部組織でございますけれども、委員御指摘のとおり、オブザーバーが発言を遮られて、議事が打ち切られました。

 これを受けまして、消費者委員会のもとにある食品表示部会、この下にこの調査会があるわけでございますが、この食品表示部会の部会長とそれから三つの調査会の座長の間で、オブザーバーも発言できることを確認したと承知しております。その後の議事運営ではオブザーバーも含めた活発な議論が行われるように、私もしっかり指示してまいりたいと思います。

大西(健)委員 大臣から、オブザーバーも含めて発言ができるように、また活発な議論が行われるようにということで、しっかりと、前向きな答弁をいただいて、本当にありがとうございます。

 食品表示法の法改正をこの委員会でやったときにも、我々も、中食、外食へのアレルギー表示の問題とか食品添加物の問題とか遺伝子組み換え表示の問題とか、いろいろな課題を早急に議論していかなきゃいけないんじゃないかということを、この委員会でもいろいろな委員の皆さんが繰り返し言っておりますけれども、残念ながら、今、幾つかの省庁に分かれていた法律をがっちゃんこすることを優先していて、そういう大事な問題が置き去りになっているんじゃないかというような懸念の声も出ております。

 そういうことがないように、今の民主的な運営も含めて、ぜひ活発な議論をしていただいて実りある成果を生んでいただくことをお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

山本委員長 次に、中根康浩君。

中根(康)委員 民主党の中根康浩です。

 経済の好循環をつくるためには、消費拡大がやはり必要。そのためには賃金の引き上げが必要です。

 物価はどうなっているかといえば、一月の消費者物価指数は前年同月比一・三%プラス。ただ、その内訳はガソリンなどの円安要因によるものが大きくて、いわゆるコストプッシュインフレということになっていて、本来、ディマンドプルということでなければならない。そのためには、賃金の上昇あるいは雇用の安定がどうしても必要不可欠であるということでございます。

 あわせて、需要を拡大するためには、生活の、将来への安定、きちんとした見通しが立つという安心感、これも大切だということでございます。

 しかし、残念ながら、政府が今この国会に提出している多くの法案は、消費税を上げるということに加えて、同時に、年金、介護、医療、それから雇用、生活保護、あるいは少子化対策も、これは不安を助長する、拡大するような政策が数多くある、盛り込まれているということであります。

 そういった中で、資料の一、右の真ん中から下のところを引用しましょうか。

 社会保障制度改革推進本部、平成二十六年二月十四日、森少子化担当大臣、森大臣のことです、の御発言がここに記されております。

 二つ目のポツで、子ども・子育て支援については、質・量の充実を図るため、財源として、消費税率の引き上げにより、〇・七兆円を含め、一兆円超程度の確保に努める、しっかり取り組むと、森大臣、少子化担当大臣として御発言をされておられるわけであります。

 最近のいろいろな報道を含めた耳に入ってくる話は、この一兆円超というものが確保できないのではないかという話が聞こえてきますけれども、大臣、確保できるんですか、できないんですか。簡単、明瞭にお答えください。

森国務大臣 中根委員からの御質問でございますが、消費者委員会でございますけれども、私の方で子ども・子育て担当もしておりますので、その部分についてお答えをしたいと思います。

 中根委員の資料にありますとおり、私の方で、二月十四日に、社会保障制度改革推進本部において、子ども・子育て支援について、質・量の充実を図るための財源として、消費税率の引き上げによる〇・七兆円を含め、一兆円超程度の確保に努めることとされており、政府として必要な財源の確保にしっかりと取り組む必要があるというふうに申し上げたところでございまして、引き続き、この財源確保に努力をしてまいっているところでございます。

中根(康)委員 しっかり取り組むという御答弁は、先ほどの大西議員の消費者委員会の運営のあり方に関する御答弁でもありました。しっかり取り組むという言葉だけで終わってはいけないのがこの少子化対策の予算の問題であります。

 一・一兆円、この約束が、しっかり取り組むという言葉の中において実現できるんですか、できないんですか。はっきりお答えください。

森国務大臣 中根委員に重ねて御確認をしていただきたいと思いますが、当委員会、消費者委員会ということで承知をしておりまして、私、消費者問題担当大臣としてここに参っておりますが、別途、内閣委員会の方で少子化担当大臣もしておりますので、せっかくの御質問でございますので、御答弁をさせていただいておりますけれども、これについては、民主党、自民党、公明党の三党合意で一兆円超必要だということが確認をされた事案でございます。それに基づいて、社会保障制度改革国民会議においてもしっかりと報告書が出ております。それに従って、担当大臣としてしっかり取り組んでいるということを先ほど御答弁差し上げたとおりでございます。

中根(康)委員 約四千億円確保できないのではないか。その一方で、復興特別法人税、一年前倒し廃止。この三月で終わります。八千億円だと言われています。

 こういうお金の使い方をしていて、安倍内閣の目玉である少子化対策、三千億円から四千億円確保できないようでは、これは少子化担当大臣として責任が問われるということになりませんか。必ずしっかり取り組むという言葉の中で、必ず実現するという含みがあるということを、きょうはあえて確信させていただき、次の質問に進めさせていただきたいと思いますが、やはりこれは、内閣府の中で、少子化担当大臣をやっているよとか、消費者の担当大臣をやっているよとか、政治家として答弁のあり方が、あっちでは答えられるけれども、こっちでは答えられないということじゃないと思いますよ。

 一政治家としても、あるいは内閣の一員としても、特に、今の少子化対策の予算が確保できるかできないかということは、消費者の問題でいえば、消費拡大につながるかどうか、デフレからの脱却を確かなものにするかどうかということにもつながっていく話でもありますので、関連いたしますので、大臣、これは責任を持ってこの委員会でも御答弁をいただけるはずのものであると私は思っております。

 改めて聞きますが、賃金が上がらなければ、やはり消費は拡大しない。だから、いわゆる官製春闘とも言われるような中で、大企業に、今回、ベアをやってくれ、やってくれ、やってくれなきゃ経済産業省が企業名を公表するぞとおどしまでかけてベアをやらせているというわけであります。では、この一・一兆円、確保できるかできないか。あるいは、大臣はしっかりそれに取り組むということの中において、保育士の処遇改善はどういうふうになりますか。賃金はきちんと、働き方、労働の質、量に見合うような形に、適切な処遇の改善、賃上げが行われると、大臣の御答弁でしっかりと、それこそ確約をしていただきたいんですが、いかがですか。

森国務大臣 保育士の処遇改善について御質問がございました。これは消費者問題ではないというふうに承知をしておりますけれども、子ども・子育て支援新制度の担当大臣もしておりますので、当委員会、消費者大臣として来ておりますけれども、委員の質問でございますので、あえて御答弁をさせていただきますと、保育士等の処遇改善につきましては、子ども・子育て支援新制度の中でしっかりと改善をしていく旨を決めさせていただいているところでございます。

中根(康)委員 処遇の改善については決めさせていただいているところでございますと。つまりは、たとえ一・一兆円確保できなくても、七千億円程度にとどまったとしても、これは箱物だけの整備に終わるのではなくて、保育士の処遇の改善まできちんと踏み込んで少子化対策に取り組んでいただけるというお約束であると確信をいたしておきたいと思います。

 もう一つ、これももう前置きは結構ですから、質問したところにお答えをいただければと思いますが、これも賃上げに関する問題。つまりは、消費が拡大するか縮小するかということに関する問題であります。

 資料二と三をごらんください。

 簡単に申し上げますと、これは一目瞭然なんですけれども、正社員以外の労働者の活用理由で一番トップに挙がっているのが、四三・八%になっているのが、賃金節約のためということなんですよね。賃金節約というのは、つまりは、賃金を低く抑えたいということです。安上がりにしたいということですよね。当たり前の話です。

 それから、資料三をごらんください。正社員と正社員以外の賃金の差が、一目瞭然、これもわかる資料である。これは厚労省の資料です。だから、政府の資料です。

 客観的なデータあるいは経営者の考え方、こういったものを見るとき、今回、今国会で提出をされて、いずれ議論をされるのではないかという労働者派遣法、この労働者派遣法の見直しによって派遣労働がふえたら、大臣、賃金は上がりますか、上がりませんか、どちらですか。お答えください。

森国務大臣 派遣労働の増減や賃金の動向については、厚生労働省の所管事項でございますので、担当の省からお答えするのが適当と考えます。

山本委員長 中根委員に申し上げます。

 本委員会の議題は、大臣の所信に対する質疑でございますので、質疑は議題の範囲内でお願いいたします。

中根(康)委員 委員長、それはおかしいですよ。おかしいですよ、それ。これは経済全体の話でしょう。

山本委員長 大臣の所信に対する質疑でございます、議題は。議題の範囲内で質疑をお願いします。

中根(康)委員 では、これからも全部そういう運営をしてくださいよ。

山本委員長 もちろんそうです。

中根(康)委員 これからも、では、法案のときは、法案以外のことは自民党であってもやらせてはだめですよ。これぐらいの範囲のことはやっていますよ、どの委員会だって。

山本委員長 厚生労働省の議題であれば、厚生労働省の政府参考人をお呼びいただきたいと思います。

中根(康)委員 それは、委員長の運営の仕方は明らかにおかしいですよ。これは初めから、どこかのタイミングでそのことを言おうとしてその委員長席に座っておられたとしか言いようがない。これはもうはっきり抗議を申し上げておきます。

 森大臣が消費者担当大臣として、消費者問題じゃないですか、賃金の問題は。賃金と消費者って、働く方の話と消費をする方の話は同じじゃないですか。消費者は生活者、生活者は勤労者でしょう。

山本委員長 質疑は議題の範囲内でお願いいたします。

中根(康)委員 おかしいよ、それは。(発言する者あり)おかしくない。何でおかしくない。では、消費者問題のことと賃金の問題、分離して話せますか。これからは、この消費者問題をやっていくとき、あなたたち、賃金の話、経済の話、しちゃだめですよ、これを受け入れたとしたら。

山本委員長 きちんと議題の範囲内で質問してください。

中根(康)委員 議題の範囲だよ。当たり前だよ、そんなの。

 派遣法の政府の見直し、これは、どんな業務でも三年ごとに人を入れかえればずっと派遣で労働者を受け入れることができる、つまりは、生涯派遣で、会社としては、事業所としては賄うことができるということであります。

 それが、では派遣でやるとどうなるかという。それは、確かにその事業所によって違うかもしれないけれども、全体的な傾向としては、この資料二や三にあらわれているんですよ。賃金を節約するために派遣労働者を使う、正社員と正社員以外ではこれだけ賃金格差が生じている、そうした中で派遣労働がふえれば、明らかに賃金は下がりますよ。それはわかっているから答えたくないということだろうと思いますけれども、賃金が下がれば、これは、経済は縮小します、消費は減退します、だから物価も上がりませんという話になって、安倍内閣が目指すところとはかけ離れたところに進んでいってしまうのではないですかという心配をしているわけであります。

 では、答えられないなら答えられないで結構です。次の質問に移ります。

 介護保険見直しで、介護労働者の賃金は上がりますか、上がりませんか。介護保険は、御存じないとは言わせませんよ、政府の一員として、大臣として、介護保険の見直しの内容は森大臣だって御案内のはずであります。それを前提に、介護保険の今回の見直しで、賃金は上がりますか、下がりますか。

森国務大臣 介護保険の見直しで労働者の賃金が上がるか下がるかというお尋ねがございました。

 今国会に提出した介護保険法の改正を含む医療介護総合確保推進法案は、厚生労働省の所管する法律の改正に係るものでありまして、担当の省からお答えするのが適当と考えております。

山本委員長 中根委員に申し上げます。

 厚生労働省の所管であれば、厚生労働委員会で御質問をお願いしたいと思います。

中根(康)委員 委員長のその御発言は、私は納得できません。

山本委員長 本委員会の議題は、大臣に対する、先般の消費者担当大臣としての所信に対する質疑でございますので、その議題の範囲内……

中根(康)委員 森消費者担当大臣としての賃金や物価に対する御見解を聞いているんですよ。

山本委員長 委員長が発言しております。座りなさい。座りなさい。

 大臣の消費者担当大臣としての所信に対する質疑でございますので、議題の範囲内で質問をお願いいたします。

中根(康)委員 では、介護保険の話も森大臣は答えられないと。

 これも、ホームヘルプサービスやデイサービスを自治体に移管して、自治体事業として、自治体の裁量で単価を決めることができるということになれば、これは報酬は下がります。ここも賃下げなんですよ、賃下げ政策なんですよ。だから、大臣、それを認めたくないからお答えできないということになるのかもしれません。

 では、次、また違うと言うかもしれませんが、これも消費に大きくかかわる話です。生活保護の生活扶助基準の切り下げの問題についてお尋ねをいたします。資料四にあります。

 では、聞き方を変えますというか、お答えいただけるような聞き方になるかどうか、お答えいただけるように聞きたいと思います。

 この生活扶助基準切り下げに関して、普通、政府というのは、総務省がつくった消費者物価指数、CPIを使うわけなんですけれども、今回どういうわけか、厚労省は、生活扶助基準の切り下げで、社会保障審議会生活保護基準部会の検証を踏まえた削減の九十億円に加えて、新たに厚労省の生活扶助相当CPIというものを独自につくって、五百八十億円の切り下げの根拠としたわけであります。

 消費者物価指数というのは、政府としては、恐らく総務省がつくったCPIを使うのが普通だと思うんですけれども、では、これから消費者庁としてはどのCPIを使いますか。今、どう使っていますか、これから使いますか。

森国務大臣 消費者物価指数は、総務省から公表されているものを使用しております。

 今御指摘の生活扶助相当CPIでございますが、これは、総務省から公表されている消費者物価指数をもとに、全ての消費品目から、家賃、教育費、医療費といった生活扶助以外の他扶助で賄われる品目や、自動車関係費、NHK受信料といった生活扶助で支出することを想定していない品目を除外するとともに、可能な限り最新の消費実態を反映し、ウエートの変化の影響を除いた物価の動向を勘案するという考え方に基づき算出したというふうに承知をしております。

中根(康)委員 そのとおりなんですよ。

 特定の目的のために独自の消費者物価指数をつくって採用して、それを当てはめるというやり方は、消費者庁としては、そういうやり方は適切だと思いますか。あるいは、消費者庁として、そういうやり方をこれからやっていく可能性というものはありますか。

 あるいは、消費者庁としては、さまざまな政策目的、政策決定に当たっては、やはり、総務省がつくったCPIが、これが政府の統一された標準的な物価指数であるということで採用していかれますか。いかがですか。

森国務大臣 幾つか御質問あったと思いますが、最初に、消費者庁としてはこれからどういったやり方でやっていきますかという御質問がありました。

 先ほど御答弁しましたとおり、消費者物価指数というのは総務省が公表するものでございまして、消費者庁がどういうやり方でやっていかれますかという御質問の内容が、必ずしも正確に把握しかねますけれども、いずれにしても、消費者庁としましては、消費者の安全を確保し、その不安を払拭するために、消費者被害の防止及び救済のための対策をしっかりと打ってまいりたいというふうに思います。

 厚生労働省の方の生活扶助相当CPIにつきましては、先ほど申し上げました説明の内容のとおり、生活扶助の関連で、厚生労働省の方がそういった考え方に基づき算出したものというふうに承知をしております。(発言する者あり)

 よろしいですか。答弁の途中なんですが。

 では、以上です。

中根(康)委員 特定の目的、特定の方向に政策を誘導するために突然新たな指数を出してくるという厚労省の今回のやり方、私は厚労省の政策を全て否定しているわけじゃない。今回のこの生活保護行政におけるやり方というのは不適切なやり方であったとやはり思わざるを得ないということは、森大臣も、よく、こういった例があるということを、消費者担当大臣として、消費を、消費というのは、つまりは国民の生活じゃないですか。その生活を預かる大臣として、国民の生活が壊されてしまうようなやり方に対しては懐疑的な目でやはり見ていただきたいということを申し上げておきたいと思います。

 それと、しっかり取り組むとかしっかり努力するとかという言葉の中で、前向きに実現に向けて御努力をいただけるものだというふうに思っておりましたけれども、しかし、それは厚労省の所管です、それは内閣府の所管です、それはどこどこの所管ですと一々一々言われたら、しっかりという言葉が空虚なものに結局聞こえてしまうということになる。

 また、僕は、委員長、それは委員長の指示には従いますけれども、従いますけれども、やはり納得できない。消費者の問題、賃金の問題、これをこの委員会で議論できないとしたら、何を議論するんですか。これから議論できませんよ、委員長、それをやったら。もうここから先、賃金の問題、できませんよ。

山本委員長 既に時間が経過しておりますので、質疑を終了してください。

中根(康)委員 終わります。

山本委員長 次に、上西小百合君。

上西委員 日本維新の会の上西小百合でございます。

 私は、昨年の十月三十日の当委員会質問で、所有不動産が焼失したのに千葉県民共済から火災保険がおりなかったことを受け、弁護士に相談していたが、解決せぬうちにその弁護士も急逝し、その当人も亡くなられ、御遺族が路頭に迷い、わらをもつかむ思いで私のもとに相談に来られたので、消費者庁の御紹介で消費生活センターへ相談に向かおうとしたら、今度はたらい回しに遭い、半日以上電話をかけてようやくアポがとれた。その窓口で、ここではそれだけ高度な話に対応できる能力も経験もないので弁護士に相談に行くのがいいですよというふうに結局言われたという、お粗末な実例をお話しさせていただきました。

 このことを受けまして、森大臣からは、「本当に怒りが込み上げてくるような思いがいたします。」「しかし、悲しいことに、今、地方の消費者行政はこういう状態です。」と、悲痛な胸のうちを披瀝していただきました。

 昨今、押し買い、押し売り、デート商法に、競馬やロトくじの予想詐欺等、悪徳商法が絶えない現在、地方消費者センターの充実は急務であると私も痛切にそのとき感じたわけでございますが、今回は、国民生活の安定及び向上に寄与するため、総合的見地から国民生活に関する情報の提供や調査研究を行い、重要消費者紛争について法による解決のための手続を実施すること、これを目的とする国民生活センターについて、若干の質問をさせていただきたいと思います。

 まず、二〇一〇年一月十六日からスタートした土日祝日消費生活相談業務についてお伺いをいたしたいと思います。

 相談窓口が平日だけでは、会社勤めの方は相談に行きにくく、その趨勢を反映して、休日も相談窓口を開き対応する、こういったことは本当に今までの日本の社会からすれば画期的なことでございまして、そのような制度の創設には本当に頭の下がる思いがいたしておるところでございます。しかし、相談件数は多い年でも年間に九千百七十七件にしかすぎず、意外に少ないものだなというふうに私は感じております。

 また、休日に業務に当たる相談員は民間に委託をされているというわけなんですが、業務を請け負う業者は当然入札で決定されているようですが、具体的には、休日の相談窓口の業務、どのような業務を外部に委託されているのでしょうか。この点にお答えをいただきます。

松本参考人 土日祝日消費生活相談業務は、全国共通の消費者ホットライン、「守ろうよ、みんなを!」という略称でございますが、に寄せられました相談のうち、土日祝日に相談窓口を開設していない地方自治体について相談の受け付け処理を行っております。

 委託しております業務は、土日祝日における消費生活相談の受け付け及びその対応でございまして、時間は午前十時から午後十六時まで、現在十六回線を用意いたしまして、その受け付けを行っているところでございます。

上西委員 わかりました。そうしたら、平日の一般業務と同じように、消費に関する相談受け付けをされているということでよろしいんでしょうか。

松本参考人 平日と同じようにと言われますと、そうではございません。土日祝日は事業者の窓口も閉まっていることがございますから、その場で事業者に対して問い合わせをしたりとかいう形の、次のステップに移れないケースが大変多いということで、我々は、土日相談、土日祝日に関しましては緊急避難的なアドバイスを中心として行っております。

 継続的に必要な場合につきましては、資料等をそろえて、地元の消費生活センター、平日に行っていただくように御案内する。あるいは、場合によっては、月曜日以降、平日以降、国民生活センターの方で継続相談という形で取り扱っているものもございますが、基本的にはその場でアドバイスをするという業務が主となっております。

上西委員 ということですと、平日よりも縮小した業務、そして緊急避難的な、また場合によっては、平日に継続して業務を回していく、そして対応していくということで、今お答えをいただいたわけですが、今お答えをいただいたような業務であれば、私は、ある程度経験を積んだ弁護士や司法書士の事務職員の経験者、あるいは行政書士等でも十分に対応ができるはずだと思いますし、現場からもそういったお話を伺っておるところでございます。

 であるのに、毎年、こういった業務、外部委託の業務に入札をしても応札するのは一者だけで、ことしも去る二十日に入札が実施されたばかりだということをお伺いしておりますが、昨年の落札金額は約六千二百六十四万円。しかし、毎年、公益社団法人全国消費生活相談員協会の一者だけしか応札していないということに大変驚いているわけなんですけれども、これは事実と間違いはないでしょうか。

松本参考人 御指摘のとおり、入札は一者でございます。ただし、これまで入札説明会には複数者が参加していただいたということもございます。

上西委員 入札は一者で説明会には何者か来たということで、はい、わかりました。

 私は、今、先ほどお話ししましたように、現場からいろいろな御意見、お声をいただいておりますが、客観的に見れば、求められる業務をこなせる団体、業者はほかにもある、多いと思われますのに、入札に一者しか参加をしていない。こういった現状があるのは、一般の入札で各種条件が示される仕様書に当たるようなもので何らかの制約があり、その一者しか入札に参加できない、こういった仕組みがあるのではないか、そのように疑ってしまうわけなんですが、ちょっときょうは二十分ということで時間に限りもございますので、そのあたりはまた次の機会に回したいと思いますが、予定価格を立てる際の積算根拠を、想定される人員、一日当たりの日当、出勤日数もあわせて詳しく御説明いただきたいと思います。

 私は独自に、今回、出勤者を、先ほど十六回線とおっしゃいましたので一日二十名、日当を約一万五千円、そして年間稼働日数を、休日ですので百十四日というふうに考えました。すると、その総計は三千四百二十万円にしかならないんですね。公務員の方の給与を勘案すれば日当一万五千円は妥当だと思いますし、年間稼働日数も、盆暮れ等はお休みでしょうから百十四日、これも妥当な数字なはずだと思っております。雇用人数も実際二十名ぐらいだと関係者の方々から伺っております。

 私の試算は無視していただいても結構ですが、ぜひとも積算根拠を国民の皆様にもわかるように的確にお答えいただきたいと思います。

松本参考人 国民生活センターの非常勤の相談員の現在の賃金に基づきまして、国民生活センターにおけるこれまでの相談業務の実施状況に照らし、かつ回線数に応じた相談対応を常時適切に行うために必要な人員を想定して積算をしているところでございます。

 なお、本年度の開設日は百十一日でございます。

上西委員 開設日数が百十一日ということなんですが、日当とかそういったものはお答えいただけますでしょうか。

松本参考人 日当についての数字は現在のところ用意しておりません。

上西委員 通告はしていると思うんですけれども。日数は今お答えいただきましたが、日当と想定される人員、これ、今答えられないというのもちょっとよくわからないんですけれども、答えられないとしたら、本当に簡単なことですので、積算はどうやって出されているんでしょうか。

松本参考人 失礼いたしました。

 相談員の日当を一万五千円、平均二十二人という計算で積算をいたしております。

上西委員 ちょっと今なかなかお答えいただけませんでしたが、これは国民の税金を使って運営しているわけですから、もうちょっとしっかり、積算根拠を示すのは当然のことだと思いますので、ぜひ、先ほどからありましたが、しっかりと御答弁いただくようにお願いをしたいと思います。

 それで、開設日数が百十一日、そして日当が一万五千円、そして平均の出勤人数が二十二人ということで今お答えをいただきました。いずれにしても、落札金額約六千二百六十四万円との差額は二千八百万円近くに上り、約四割以上が落札業者、すなわち当該公益法人の毎年毎年の利益になっているわけなんですね。この利益から通信費や事務所経費を差し引いても、少なくともやはり一千五百万円程度の結構な収入になるかと思います。

 この不景気で仕事がないと言われている御時世に、このような利益率の高い仕事に応札業者がほかにない、こういった状況は不可解としか言いようがないと思うんですが、このような現状をどのように捉えられておりますでしょうか。

松本参考人 委員のおっしゃるとおり、もしそれだけの利益率があるのであれば、もっと多くの団体、業者が参加してもおかしくはないんだろうと思いますが、なぜ参加者がいないのかにつきましては、我々としても原因はわかっておりません。

上西委員 さっきからちょっと曖昧な答弁ばかりで、本当に、せっかく質問の時間をいただいているわけですから、しっかり御対応いただきたいと思うんですが、これだけの利益が出るのになぜ入札する業者が一者しかいないのかわかりませんと。これが何年も続いているわけなんですね。おかしいと思います、本当に。

 次へ移りますが、加えて、消費者問題の講座の実施業務というものがありまして、その落札業者も今述べました公益社団法人全国消費生活相談員協会で、またこれも、入札に参加したのはこの一者だけ。そして、入札による契約金額は約二千三百二万円。そして、この利益も約二五%と考えると、当該公益法人には三千万円を余裕で超える利潤が生じているということになります。それなのに、これも一者しか入札に応じていない、参加していない。これは大変に不可解だと私は思っているんですが、入札の公示はどのようにされているか、先ほどお伺いしました土日祝日消費生活相談業務とあわせて、双方についてお答えください。

松本参考人 入札の公示につきましては、国民生活センターのホームページを通じて行っております。

上西委員 具体的に答えていただきたいんですけれども、あと残り五分ということで、次へ行きます。

 これは入札が一者という不可解な現状ですので、少し角度を変えて質問させていただきますが、国民生活センター役員に当該公益法人のOBやOGは在籍されていないのでしょうか。また逆に、当該公益法人へ国民生活センターから天下りをされた事例はないのでしょうか。簡潔にお答えください。

松本参考人 公益社団法人全国消費生活相談員協会の理事長を務めておられた方が理事として平成二十五年五月二十七日より就任しておりますが、国民生活センターのあっせんによって国民生活センターの職員が当該協会に就職したということはございません。

上西委員 そうしたら、今、一人の方についてはお答えいただいたんですけれども、役員の方に今まで当該公益法人のOB、OGはいなかったんですか。いるかいないかだけでお答えください。

松本参考人 今までいらっしゃいません。

上西委員 わかりました。

 いないということなんですが、さらに、これだけ、毎年同じ業者が、なおかつ一者だけが応札する、こういった事例が続きますと、通常ですと、いわゆる契約監視委員会から何らかの指摘があるのが当然だと思うんですね。ですので、今まで指摘の有無と、あったとすれば、どのような指摘があったのか、そしてその指摘に対してどのように解決されたのか、お示しをいただきたいと思います。

松本参考人 国の取り組みに準じまして、契約監視委員会におきまして入札公告期間や落札決定後の準備期間の妥当性について審議をしております。

 契約監視委員会からは、土日祝日相談、消費者問題出前講座ともに入札条件には問題はないという評価をいただいております。ただ、それ以外の点で、引き続き一者応札改善への取り組みを行うようにというコメントをいただいております。

 具体的には、入札公告期間、通常の場合は十日ということでやっておりますが、それを延長いたしまして、三十日実施をしております。その他、準備期間の十分な確保などに取り組んでいるというところでございます。

上西委員 今、契約監視委員会から指摘を受け、そして対応していただいているということですが、いずれにいたしましても、やはり、国民の皆さんから見ても、誰の目からしてもこれは極めて不可解な入札で、とりわけ随意契約にも等しい今の現状が契約金額のつり上げを招いていることは明白だと指摘するほかなく、国民の血税が無駄に使われている懸念があり、見過ごすことができないというふうに思っております。

 また、ほかに、外部委託という形ではなく、国民生活センターの職員の方々に休日出勤をしていただき、休日出勤手当や代休、振りかえ休日措置をとった方がより安く上がり、そしてより国民の血税を無駄なく使うことができる、有意義に使うことができると思いますが、こういったことに関して御所見をお聞かせください。

松本参考人 土日祝日相談は、平成二十五年度は十六回線、百十一日で実施しております。職員は相談業務のほか、消費者向けの注意喚起情報の作成などの業務も行っておりまして、現在の担当職員数では休日出勤等での対応だけでは恒常的な形で土日祝日相談事業の実施は困難である、職員等の相応の増員が必要であるというふうに考えております。

 なお、委託に際しましては、委託した場合とみずから実施した場合のコストを比較し、委託する方がコストが低いという判断をいたしたところでございます。

上西委員 今の人員だと休日出勤は困難だとおっしゃいますが、私は地元の大阪で民間株式会社で働いていましたが、普通の一般企業はそういうふうにして人を回しています。

 そして、今、外部委託する方がコストが安いというふうにおっしゃいましたが、私の先ほどの試算、そして積算根拠をお示しいただきましたが、それを見ても、外部委託する方が安いというのはちょっと私はどうかと、それは本当に正しいのかなと思いますので、改めて検討していただくように強くお願いをしたいと思います。

 もう質問時間が少なくなってきましたが、職員間、この当該法人の管理職と非管理職の給与の差、この格差が甚だしいということもお伺いをしております。今回はもう質問時間がありませんのでお伺いをいたしませんが、こういったことをしっかりと見直して、一般職員のやる気をそがないような環境をしっかりとつくっていただくことをお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

山本委員長 松本理事長には、十分に答弁ができなかった部分がありますので、今後しっかり準備をしていただくようにお願いしておきます。

 次に、河野正美君。

河野(正)委員 日本維新の会の河野正美でございます。

 本日は、先日来報道されておりますインターネットを介したベビーシッター利用による死亡事件についてお尋ねをいたしたいと思います。

 まずもって、本件で被害に遭われたお子様、御遺族の方にお悔やみを申し上げたいと思っております。

 本件は、厚生労働委員会所管の点も多いかと思っておりますけれども、インターネット利用が発端であること及び森大臣が少子化対策担当大臣を兼ねておられる点からも当委員会で逸脱しない範囲で質問させていただきたいと思います。

 現在捜査中の事例と思いますので、詳細については深くお聞きすることは避けたいと思っておりますが、政府として本件概要をどのように認識されているかをまずお尋ねいたします。

鈴木(俊)政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の件では、インターネット上のマッチングサイトで子供をお預かりする事業におきまして、従事者の方の氏名、住所、預かり場所、資格の状況といいますような重要な情報を利用者の方が正確に知り得る形になっていないといったような点、あるいはその中で虚偽の情報が提供されていたといった点がまずは大きな問題であると認識をいたしております。

 こうした点などを踏まえまして、現在、厚生労働省におきましては、本件あるいは類似の業態に関します実態調査、そしてこれを踏まえました対応の検討、そして、いわゆる保護者の方々ですが、利用者への注意喚起など、そしてインターネットによる仲介への対応、この三つの柱を中心に取り組んでいるところでございます。

 その中で、まずは再発を防止するという観点から、利用者の方々への注意喚起のためにベビーシッターなどを利用するときの留意点を取りまとめまして、厚生労働省のホームページなどで公表いたしまして、注意を促しているところでございます。

 本件に関します調査などを通じまして、可能な限り実態を把握いたしまして、今後の対応の検討を進めて、安心して保育を受けていただくことができるように、対応を図ってまいりたいと考えております。

河野(正)委員 ありがとうございました。

 それでは、同様の被害事例というのがあるのかどうか、現状、把握されている実態をお願いいたしたいと思います。

荻野政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねの事件は、三月十七日に埼玉県富士見市内の男の居室において死亡している男児が発見されたという事案につきまして、三月十八日、神奈川県警察が男を死体遺棄罪で逮捕したものと承知をしております。

 同種の事件ということでございますけれども、ベビーシッターに預けられた子供が死亡した事案という形では、警察庁においては把握がございません。

河野(正)委員 ありがとうございます。

 事件としては把握されていないということだと思います。

 ところで、今から十四年前になりますけれども、二〇〇〇年三月二十三日に、国民生活センターが、ベビーシッターサービスガイドというのを作成して、情報を提供されておられます。このガイドが作成された二〇〇〇年の時点で既に問題事例あるいは問題意識があったのではないかというふうに思うわけでありますけれども、そういった観点から、このサービスガイドの作成目的、つくられましたいきさつについて、経緯についてお尋ねいたしたいと思います。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のベビーシッターサービスガイドでございますが、これは二〇〇〇年に作成してございますが、当時の国民生活センターが独自に作成したものでございます。

 その背景といたしましては、女性の社会進出や核家族化に伴うニーズの高まりといった点がございました。その上で、実際に利用する際の参考情報が少ないということでこのサービスガイドがつくられたというものでございまして、このサービスガイドにおきましては、ベビーシッター業者へのアンケート調査を中心に、その業務の内容でありますとかシステム等についての結果、実情を提供するとともに、上手に利用するためのアドバイスをまとめた、こういうものでございます。

河野(正)委員 今、アンケート調査等というのを私も目を通させていただいたんですけれども、これは二〇〇〇年ということで、もう十四年前になるわけでございまして、このサービスガイド、現在も生きているものと理解してよろしいんでしょうか。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 国民生活センターにおきますこの調査等につきましては、このサービスガイドのときだけということでございまして、その後は特にそれ以上のフォローはしてございません。

河野(正)委員 せっかく、アンケート調査をしてこういうガイドをつくられているわけですから、また改めて、今も多分、ホームページに出ているということなので、生きている状況なんだと思いますが、社会情勢もいろいろ変わってきておりますので、そういった点は再度検討されたらいかがかなと思っております。

 それでは、国民生活センターや全国の消費相談窓口に寄せられている相談の中で、ベビーシッターに関するものはどの程度あるのかをお答えいただきたいと思います。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 全国の消費生活センターに寄せられましたベビーシッターに関する消費生活相談件数でございますが、平成十五年度以降でございますが、百四十四件でございます。直近でございますが、平成二十五年度では二十一件というふうになってございます。

河野(正)委員 そういった事例があるということですね。

 そもそも、現在、ベビーシッターは保育政策においてどう位置づけられているのでしょうか。子ども・子育て新制度、先ほどもちょっと議論ありましたけれども、この中での位置づけや、公的支援策はどのようになっているかをお答えいただきたいと思います。

森国務大臣 先ほども、民主党さんの御質問にも、少子化担当大臣としての御質問にはその範囲内で御答弁させていただいておりますので、せっかくの委員の御質問でございますので、お答えをさせていただきたいと思います。

 子ども・子育て支援新制度の中でのベビーシッターについての位置づけという御質問でございますけれども、この品質を保証していくということが大事であろうかというふうに思います。

 子ども・子育て新制度の中では、一定の場合、例えば、障害を持ったお子さんでありますとか慢性疾患等のお子さんでありますとか、そういった場合に、ベビーシッターの場合の支援をしていくということが盛り込まれているところでございます。

 さらには、産業競争力会議において決定された成長戦略進化のための今後の検討方針において、ベビーシッターやハウスキーパー等の家事・育児支援サービスの品質保証の仕組みの導入などについて検討することとされておりますので、私からこれに関して、関係省庁に対して検討を指示しているところでございます。

河野(正)委員 ありがとうございました。

 三月十九日付の新聞報道によりますと、ベビーシッターに預けられた男児の死亡事件を受け、森まさこ少子化担当大臣は、十八日の記者会見で、ベビーシッターの質を保証する仕組みを整備する考えを示した、厚生労働省など関係省庁と連携して、法整備が必要かどうかも検討するという、事件について、森大臣は、ベビーシッターの法的整備がないことから発生してくる問題と指摘され、保護者が安心して子を預けられるよう、ベビーシッターの質の確保に努めたいと述べたというふうにあります。

 今、お答えも一部いただきましたけれども、ベビーシッターの資格についてどのように考えているのか。生命にかかわる事件が頻発することになれば、これはやはり、有資格者でなければならないなど、法的に厳しい縛りをかけなければならないことも出てくるのではないかなというふうに考えております。

 ベビーシッター各人の質の担保について、森大臣のお考えをお尋ねいたしたいと思います。

森国務大臣 ベビーシッターは、保育所待機児童の受け皿や、通常行われている保育では対応し切れない保育需要に応えるサービスとなるほど重要なサービスの一つであるというふうに考えております。

 一方で、子供の命、健康の安全、安心ということから鑑みれば、品質の確保ということが何よりも重要な課題と認識しております。

 先ほど御答弁申し上げましたとおり、一月に検討方針が出て、二月十四日に私の方から、関係省庁局長級の会議において、ベビーシッターに関する品質の確保について指示を出したところでございます。

 その後、今回の事件が起きたわけでございますけれども、今回の個別の事件については、厚生労働省等において実態把握、事実調査等を行っておりますので、その上において、厚生労働省等と連携しながら、安全、安心な保育の確保という観点からも検討してまいりたいと思いますし、私は、さらには、企業また社会の、保育全体の環境の整備というものも、しっかり向上に努めてまいりたいというふうに思っているところでございます。

河野(正)委員 ありがとうございました。

 インターネットを通したマッチングサービスというのは、現実には、人材紹介業などを中心に広く行われていることではないかなと思っております。ベビーシッター紹介の運営の質を保つためにはどうしたらいいのか。例えば、保育施設は第三者評価の仕組みがあると思いますが、こうした評価の仕組みの導入など、質を担保する施策というのが求められているのではないかなと思います。

 これら監督していく体制についてはどういうふうになっているのか、よろしければお答えいただきたいと思います。

鈴木(俊)政府参考人 お答え申し上げます。

 現行法上は、ベビーシッターなど子供を預かります小規模事業につきまして、許可などの法制度はございません。また、資格制度は設けられていないといったところでございます。

 一方で、二十七年四月に予定されております子ども・子育て支援新制度、この中では、先ほども大臣から御答弁がありましたように、居宅訪問型の保育事業が新たに規定されまして、その中で、資格の規定でございますとか一定の指導監督の枠組みが行われるわけでございます。

 また、こうした公的な制度に基づく事業以外に、お子さんを一時的に預かる事業、サービス、こういったものにつきましてもお子さんの安全が確保される必要があると考えておりまして、これにつきましては、現在進めております調査を通じて実態を把握の上、関係省庁とも協力して、実効性のある対応を検討してまいりたいと考えております。

河野(正)委員 ありがとうございました。

 今、二十七年七月ということですから、まだしばらくの間はこういった制度が残っていくということで、命を預かる、私も医師として医療現場にずっといましたので、命というのは非常に重たいものであって、そういったものを気軽に預けられるということは大切かもしれませんが、やはりその辺の質の担保というのはしっかりしておかないと、命にかかわるものですので、ゆゆしき問題なのかなと思っております。

 次に、安倍内閣は、六月にもまとめる新しい成長戦略として、女性が働きやすい環境づくりを促す方策を盛り込む方針であると思っております。女性の活躍に力を入れる安倍晋三首相の方針を受け、官邸主導で女性登用に取り組む姿勢を強調する、待機児童解消や専業主婦がいる世帯の税金を軽くする制度の見直し、ベビーシッターやハウスキーパーなど、家事、育児支援サービスの利用者負担の軽減などを検討する、先ほど来ちょっとお話もありましたが、そういった方針と受けとめております。

 本年二月十日の衆議院予算委員会におきまして、安倍総理は答弁の中で、我が国最大の潜在力である女性の力を最大限発揮することは、経済の持続的成長のため不可欠だと話されておられます。しかし、いわゆる核家族化した中で子育てをしていれば、病気や仕事など、急に保育を必要とすることがございます。けれども、我が国においてそうした支援が不十分なのが実情であり、こういった本件のような問題が出てくるのかなと思っております。

 この事件の報道やネット上などでの意見を見てまいりますと、子を預けた母親の行動を問う厳しい声があります。子供を他人に預けることをよしとせず、親がしっかりしてほしいなど、政治家の中にも厳しい意見を言っておられる方がおられると思います。

 当然、さまざまな考えがあるのはわかりますけれども、我が子を失った母親に自己責任を問うべきなのか。現実には、仕事と家庭のはざまで、やむを得ずインターネットでベビーシッターをマッチングさせるという選択をせざるを得ない方がたくさんいらっしゃるわけでございます。

 このような状況にある我が国において、本当に政府が進める女性の活用などが実現するのだろうか、こういった点から森大臣の所感をお尋ねしたいと思います。

森国務大臣 私、男女共同参画担当大臣の方も所管しておりますので、お答えをさせていただきたいと思います。

 働きたい女性が仕事と子育ての二者択一を迫られることなく、安心して子供を預け、働き続けることができるように、環境の整備をしていくことが必要であるというふうに認識をしております。

 このため、昨年策定しました成長戦略であります日本再興戦略において、男女がともに仕事と子育てを両立できる環境の整備を既に盛り込んでいるところでございまして、具体的に、既に実施をしている政策といたしましては、待機児童解消加速化プランの実施、子ども・子育て支援新制度の着実な実施に向ける取り組み、そして、育児休業給付の給付率を従来の五〇%から六七%に引き上げたこと、さらには、職場環境の整備に取り組む企業に対する助成制度による支援や、離職した方の復職の支援等を実施しているところでございます。

 安倍内閣が目指しているのは、全ての女性が生き方に自信と誇りを持ち、持てる可能性を開花させることができる社会でありますので、次の成長戦略、改訂版の成長戦略に向けて、さらに、成長戦略進化のための今後の検討方針というところで芽出しをさせていただいたところでございますが、さらなる仕事と家庭の両立支援の施策を拡充し、女性が輝く日本の実現に向けて全力を尽くしてまいりたいと思います。

河野(正)委員 ありがとうございました。

 私も、先ほどお話ししたように、医療機関で働いている人間でございましたので、やはり看護婦さんであるとか看護師さんであるとか、非常に女性の力に負うところが大きい職場でありますので、ぜひ、やはり女性の潜在力がしっかりと発揮できるような仕組みづくりというのをしていただきたいなと思っております。

 今必要なのは、子育てに頑張る家族が困ったときに手を差し伸べてあげることが必要だと思います。女性の活用を優先課題にする政権であれば、そうした社会の支えの拡充を急いでいただきたいというふうに思っております。

 インターネットを通じたサービスの提供というのは、記載されていたサービスが実際には行われていないなど、今回の件にもかかわりますけれども、不当表示による消費者被害が頻発しているのかなと思います。

 現在、消費者契約法改正を含めて検討が進められているようでございますが、進捗状況や今後の見通しを教えていただけますでしょうか。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のインターネット上の取引をめぐるさまざまな問題でございますが、これに関しましては、技術やサービスの変化が激しく、関係者が多岐にわたるという特性がございます。

 消費者庁では、インターネット上の取引に関して、新たに発生しつつある課題を共有し、関係者に対応を働きかけていくため、インターネット消費者取引連絡会を定期的に開催し、関係行政機関、消費者団体、事業者団体等による情報交換や意見交換を行っているところでございます。

 また、この法規制に関しましても、インターネット上で行われています通信販売につきまして、特定商取引法に基づく規制が行われてございます。さらに、インターネット上で行われる広告の表示及び景品の提供に関しましては、景品表示法に基づきまして適切に対応しているところでございます。

 なお、いわゆる消費者契約における一般法でございます消費者契約法につきましても、その運用状況を踏まえた立法事実の把握や論点整理を行うための検討会を開催しているところでございます。

河野(正)委員 ありがとうございました。

 インターネットでいろいろなそういった事例が出てくると思いますので、しっかりとこの辺の対応もしていただきたいと思います。

 将来ある子供の未来が奪われた今回の事件は、非常に痛ましい事件であったと思っております。せめて私たちは、こうした事件が二度と起きないように知恵を絞って対策を実行していかなければならない問題だと思っております。

 また、本件の報道を先日テレビで見ておりましたら、時給八百円から千円ということも伝えられておりました。命を預かる職業として極めて低廉ではないのかなという気もしております。

 先ほどからお話ししていますように、気軽に本当に困ったときにちょっと預けてということを考えれば、低廉な価格というのもよしとしなければいけないのかもしれませんが、命を預かっているという点からすると、やはりこれは非常に厳しい問題なのかなと思っています。

 乳幼児は、わずかな環境変化でも大きく体調が変化しますし、本当にちょっとしたことで、命を落とす重篤な疾患に陥るということがあると思います。利用しやすい価格ということもあるでしょうけれども、やはりこういった問題は非常にコストがかかる問題であるということを認識しておいていただきたいと思います。

 ちょうど質問時間も終了いたしましたので、本当は高齢者の悪質商法被害とかをちょっとお尋ねしたいと予定しておりましたが、ここで質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

山本委員長 次に、柏倉祐司君。

柏倉委員 みんなの党の柏倉でございます。よろしくお願いいたします。

 先ほど河野先生が、高齢者の悪質詐欺被害について質問をする予定だったということなんですが、私も実は一問目にそれをさせていただく予定でございまして、ちょうど折のいいところで交代していただいたというふうに思います。ありがとうございます。

 老人ホーム購入に関する詐欺について、まず一点目、お伺いさせていただきたいと思います。

 国民生活センターに寄せられた相談数は、昨年四月からことし二月時点で九十八件ということで、三倍にもふえている。やはり、高齢者がふえているということで、この種の詐欺もふえている。非常にゆゆしき事態だなというふうに思います。

 私にも八十近い両親がありますので、いつこういった詐欺にひっかかってしまうのか、口を酸っぱくして言っても、やはりお年寄りというのは、認知もあります、いろいろなことでどうしても無防備になってしまって、ひっかかってしまうということが往々にしてある。それが赤裸々に、この一年間で三倍になったという数字にあらわれているんだろうなというふうに思います。

 その例を調べますと、調べれば調べるほど、セールストークがうまいと言ってはなんですが、非常にお年寄りの心のすき間を縫うような、介護ですとか老人ホームですとか、つい興味本位に乗ってしまうような、そういうセールストークでこの詐欺をやっていくということ、巧みといえば巧みですが、非常に悪質であるというふうに断じていいと思います。

 そこで、この高齢者の老人ホームの被害、平均の支払い額は五百五十一万円、中には一千万円も払ったという方がいらっしゃる。

 具体例で少しお伺いしたいと思うんですが、去年の十二月に、有料老人ホームの運営を装って、一口二十万で複数口の社債の募集を行っていた友愛ホーム株式会社という事件がございました。実際には何の実態もない株式会社だったということなんですが、この案件なんですけれども、その後、どういった勧告をして、きっちり弁済をさせたのかどうか、まずお伺いしたいと思います。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘いただきました友愛ホーム株式会社に関しましてでございますが、消費者庁は、消費者安全法の規定に基づきまして注意喚起、それから勧告を行いました。これらは、消費者被害の発生、拡大の防止を図るために行うものということでございまして、事業者に対します勧告、これは、不当な勧誘行為の取りやめ、そうしたことを求めまして、消費者被害の発生、拡大の防止、このために必要な措置を求めるというものでございます。

 したがいまして、被害者に対する弁済について、この勧告を行うということはできませんので、これは民事手続に委ねざるを得ないというものでございます。

 ただ、PIO―NETの相談情報を見ますと、友愛ホームの事件の公表後、友愛ホームに関しまして被害に遭ったという情報は見受けられませんので、被害拡大の防止について一定の効果はあったのではないかなというふうに考えております。

 消費者庁としては、今後とも、この消費者被害の発生、拡大の防止のために、消費者安全法の厳正な執行に努めていきたいというふうに考えております。

柏倉委員 ありがとうございます。

 勧告が功を奏して、その後、類似の事件は起きていないということなんですが、やはりこれは、法律的な問題は司法に委ねられるということだと思いますが、感情的に申し上げれば、何らかの弁済義務をどこかで国が強要するような形、指導するような形、これがあってしかるべきなんじゃないかなというふうに思います。しっかり弁済させる法のスキーム、たてつけを御検討いただければと思います。

 このお年寄りを狙った詐欺は注意喚起が大事であると、常々ホームページ等でも消費者庁は注意喚起をされております。ただ、オレオレ詐欺が、もう毎日形を変えて巧妙化していくように、高齢者のひとり暮らしを狙った電話でのトリック犯罪、これは残念ながら進化していってしまう。イタチごっこになっているわけですね。

 そこで、私は、この事後対応だけではなくて、きっちりとした予防措置、こういったものも国は考えて、講じていかなければいけないというふうに思っております。電話による高齢者への詐欺、これの抜本的な予防の仕組みを政府がいかに勘案していくか、これに関する御見識を伺いたいと思います。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のように、高齢者に対します電話を通じた詐欺的勧誘の被害、これは大変大きな課題でございます。

 私ども消費者庁としまして、これに関しましては、これは今年度からもう対応してございますが、例えば電話による見守りとか、悪質な電話勧誘に関しまして通話録音を行いまして、これを防ぐといったようなモデル事業も進めてございますし、さらに、来年度におきましては、地方におきます高齢者見守りの事業も進めてまいりたいと考えてございます。

 その上で、一つの対策といいましょうか、抜本的な対策の一つでございますが、今回、国会の方に提出させていただいてございますが、消費者安全法の改正を行いまして、高齢者等の被害に遭いやすい消費者を地域のネットワークで見守っていく、こういった体制をつくっていく、こういった取り組みも検討を進めているところでございます。

 今後とも、消費者庁としまして、関係省庁、さらに、特に地方公共団体と連携しながら、こういった消費者被害の防止に万全を期してまいりたい、このように考えている次第でございます。

柏倉委員 ありがとうございます。

 今お話がありました、お年寄りの見守りネットワークをつくってこの種の被害を防いでいくということなんですが、本当にスキームがしっかりと確立されて効果が出てくれば、それはすばらしいことだと思うんですが、やはり地域には人が少ない、こういった問題があります。当然、介護、看護のスタッフがそういった役も兼ねる、そういう現実があるわけですね。

 ただ、人がいない、忙しい状況の中でさらにもう一つ役目がふえてしまう、これに関して言うと、やはりオーバーワークになる可能性があって、狙いがなかなか十分に反映されない、達成できないということが予想されます。

 やはり、人がいないところでどのようにお年寄りを見守っていくか、これは厚生労働省だけではなくて消費者庁さんも一緒になって、膝詰めでお話をして、相談をしていただきたいと思います。実用性のある予防の措置を今後ぜひ検討していただきたいと思います。

 それでは次ですが、高齢者詐欺予防カードというものがアメリカにはあるそうです。これを御紹介させていただきたいと思います。

 トゥルーリンクというもので、これを発明した方は、自分の母親が、少し認知がお入りになっていて、ドネーション、寄附の要請があると全部出してしまう、一個一個は大した額ではないんだけれども、ちりも積もれば山となる、こういったことを何とか防げないかということで考えたのが、このトゥルーリンクというものらしいんですね。

 デビットカードと同じように、口座に入金しておくと、一回の取引、最高額がちゃんと決められていて、どこに振り込むのか、これをお母さんが振り込むと言っていますけれどもいいですかと、身内の人の認証も必要になるということなんですね。当然、ここには振り込んでいいよというのを事前に家族、本人が相談をして決めていく、そういったオプションもきっちり備わっているそうです。

 しかも、トゥルーリンク側が常時サーベイしているわけですから、ブラックリストをきっちり持っているわけですね。そうすると、親がそこに振り込もうとすると、ここには振り込むなという子供の認可がなくても振り込ませないようにすることができるらしいんです。それで、ここに振り込もうとしていますよ、何日までに振り込まなきゃいけないというふうに言われていますがどうですかと、携帯電話にメールアラートで来るようなシステムまでちゃんとつくっているということなんですね。

 これは当然、アメリカというのはカード社会ですから、カード万能の世界だからできることではあると思います。あと、やはり貯蓄に対する、お金そのものに対する高齢者の認識というのはアメリカと日本では違うのも十分わかっています。

 しかし、キャッシュフローに注目して、そこのどこかをきっちりと調整していくという発想、これは一つヒントがあるんじゃないかと私は思うんです。抜本的に、お年寄りがふとお金を振り込んでしまわないようにするシステム、この日本版トゥルーリンク、これは詐欺予防という観点だけじゃなくて、経済成長に資するようなコンセプトだと私は思うんです。

 このトゥルーリンク、こういったものに対する大臣の御感想、御所見をぜひ賜りたいと思います。

森国務大臣 高齢者の消費者被害の防止を効果的に進めるために、民間企業が創意工夫によって高齢者の被害の防止に貢献することも有益と考えております。これまで消費者庁でも、民間事業者が開発しました通話録音装置や自動着信拒否装置を、電話による被害に対する防止というものに関しては活用させていただいてきたところでございます。

 今議員御紹介の、キャッシュフローに着目したプリペイドデビットカードという取り組みも、また、米国のそういったカード社会という慣習ももちろんあるとは思いますけれども、民間事業者の知恵と創意工夫という点では大変参考になる部分があると思います。

 今後とも、高齢者等の消費者被害防止に資する民間の創意工夫に係る情報収集に努めるとともに、これらを現場で活用した被害防止の取り組みを促進してまいりたいと思います。

柏倉委員 前向きな御答弁をありがとうございます。

 やはり、犯罪予防とそういう経済成長、民間の起業意欲を高める相乗効果というのを、国はどんどんどんどん着目して利用していただきたいと思います。

 では、次の質問に移らせていただきます。

 次は、健康食品及び特保についてお伺いしたいと思います。

 規制緩和をして健康食品市場をどんどん活性化させる、特に、お年寄りの健康志向にマッチした商品をどんどん開発して、高齢者の購買意欲を高める、私は、我が党としても、こういった発想には大いに賛同をするところでございます。

 しかし、市場というのは、規制があっては広がっていかない。やはり国が一体となってどんどん進めていかなけりゃいけないと思うんですね。

 そこで、まず、特定保健用食品、特保の認可についてお伺いをしたいと思います。

 消費者庁が公表している資料によれば、特保を除く健康食品の市場規模は一兆一千八百億円というふうに推測していますけれども、特保市場は、逆にこれは相対的に縮小傾向にあるわけです。

 なぜこうなっているのか。原因の一つとして挙げられるのは、認可されるまで非常に時間も費用もかかる、アイデアはあっても、大手じゃないとその時間と費用を捻出することができないという現実があるからなんですね。

 そこで、規制改革会議の答申では、この許認可に関しては、有効性及び安全性の確認を前提として、審査の合理化、迅速化を図るというふうにしております。

 これは、医薬品、医療機器に関しても同様の問題が起こっていて、申請ラグ、審査ラグというものがあるわけです。それを随分努力して、縮めているという現実もあります。

 この特保に関して、実際、どのように認可の迅速化をしていくのか、政府の見解を伺います。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のように、私どもとしましても、特定保健用食品の許可の迅速化、これは大変大事な課題だと考えてございます。

 閣議決定されました規制改革実施計画に基づきまして、現在、この審査申請における添付資料作成に関する取り扱いの改正について検討を行っているところでございます。

 具体的には、この許可の根拠となりますヒト試験デザインをより明確に提示することで、申請時に適切な有効性及び安全性の資料をそろえる一助となり、結果として、申請後に試験の追加等の指摘が減少し、申請者の負担の軽減や審査期間の短縮が図られる、このように考えているところでございます。

 私ども消費者庁としましては、この改正の結論を速やかに得まして、特定保健用食品の許可に向けた手続が迅速にされるように努めてまいりたい、このように考えている次第でございます。

柏倉委員 大いに努力をしていただいて、企業のモチベーションが下がらないように、この市場規模が末広がりになるように工夫をしていただきたいと思います。

 次は、機能性表示の問題です。

 生理機能に関して、その食品がどのような働きをするのかを商品に表示したり広告でアピールすること、これは特保や栄養機能食品制度においてはあるわけですけれども、今後、これからサプリメントなどの健康食品や農林水産物についてもこの機能性表示をやっていこうじゃないかということを、規制改革で政府はうたっているというふうに承知をしております。

 それをどのように認めていくのかということをひとつ議論していきたいと思います。

 現在、その表示は、政府の方では、国がその根拠を検証して認めるというのではなくて、企業の責任において表示してくれ、そして、市場の中で淘汰されるものは淘汰されるでしょう、悪質なものは当然市場撤退してもらうというような、まずそういう企業責任で表示をやっていいというふうに進めたいということなんですが、一方で、日本健康・栄養食品協会さんは第三者認証型の方がいいんじゃないかというようなことを提案しているやに聞いております。

 アメリカにダイエタリーサプリメント制度というのがあります。やはり、政府が機能性表示に関して事後承認をするような制度ですね。ただ、一方で第三者認証型の方がいいんじゃないかというような議論もある。そこで、消費者庁さんは、食品の新たな機能性表示制度に関する検討会というのを設置されておると思います。

 そこで、大臣にお伺いしたいんですけれども、このダイエタリーサプリメント型、要は事後承認ですね、これを志向するのか、それとも第三者認証制度を志向するのか、それとも消費者庁オリジナルの認証制度に取り組んでいくのか、御見識を伺いたいと思います。

森国務大臣 食品の機能性表示の新たな制度については、御指摘がありましたとおり、昨年十二月に、学識経験者、事業者、消費者団体の代表等から成る、食品の新たな機能性表示制度に関する検討会を立ち上げて、現在検討を行っているところでございます。

 私としては、検討会の結論を十分に踏まえて、平成二十六年度中の結論、措置に向けて、安全性の確保を前提とした上で、消費者の誤認を招くものではなく、消費者の自主的かつ合理的な商品選択に資する制度としてまいりたいというふうに思っております。

 閣議決定では、御指摘のように、「企業等の責任において」というふうに記載をされているわけでございます。

 また一方で、今御指摘の第三者認証制度、これを採用する場合には、第三者認証機関の主務大臣への登録、それから認証機関に対する主務大臣の監督権限、認証業務の実施方法等を法令で規定し、制度の信頼性を国が担保する必要性がございますので、これですと、企業等の責任においてという趣旨からすると、非常に困難なのかなというふうに考えます。

 いずれにせよ、先ほど申し上げましたとおり、消費者の自主的かつ合理的な商品選択に資する制度にしたいという観点から、今検討をしていただいている、そういう状況でございます。

柏倉委員 答弁ありがとうございます。

 どんどん規制緩和をして経済成長をやっていくというところの観点から考えれば、やはり私はダイエタリーサプリメント型をぜひ実践していただきたいというふうに思います。

 加えて、第三者認証制度を唱えている日本健康・栄養食品協会さん、これは公益財団法人だというふうに認識しておりますが、こういった組織が本当にこの議論をリードするにふさわしい協会なのかどうかというところもしっかり見据えていただきたいと思います。私は真偽は確かめていませんが、この協会に厚生労働省から天下りしているというような指摘もあるやに仄聞しております。やはり、組織の健全性というものをしっかり担保した上での議論というものを切に要望させていただきたいと思います。

 この件に関しましては以上です。

 次は、がんの自由診療、特に、免疫治療と遺伝子治療についてでございます。

 この免疫治療ですとか遺伝子治療というのは、当然、治験でやっている部分と、そうではなくて、民間でクリニックが、全額自腹、いわゆる自由診療で提供しているものとあります。ここで問題にさせていただきたいのは、当然、クリニックで全額自腹でこの医療サービスを受ける、この領域についてでございます。

 私も内科医でございまして、いろいろな病気の方、がんの末期の方も拝見をしてまいりました。本当に、余命数カ月と医師に宣告をされて、まさにすがる思いでこの自由診療、免疫療法、遺伝子治療にたどり着くわけでございます。自由診療ですから、当然、値段というのは相対で交渉。定価というのはございますが、これは業界の適正価格でございます。国は一切そこにはタッチしていない。当然ばらつきがあって、物すごく高いところもあるのは事実です。

 どちらにしましても、そういった究極の選択という形で選ぶ患者さんがかなりいらっしゃるということなんですが、この値段、販売形態、これに関して、私は現状が必ずしも健全だという認識は持っておりません。なぜなら、やはり値段というのは、ある程度、相場、特にサービスをする側、受ける側、この情報がやはり同量のもの、同質のものでなければ適正な価格は決められないと思うんですね。

 しかるに、もう一方的な情報の非対称性があります。本当に効くかどうかは全くわからないけれどもやってみようという気持ちがあるのか、いや、効くから、効くと言われているから、幾ら払ってもいいからやってみようという気持ち、どちらが大きいのかということの問題にもなりますけれども、私が問題にしたいのは、この販売形態というのが、当然、個人病院、個人病院で全く違うわけなんですね。値段も違う。さらに、そういったことでいろいろなトラブルも生じているわけなんです。

 例を挙げさせていただきますと、一枚目の資料なんですが、これは、がんの末期患者さんが遺伝子治療を受けた、受けたけれども途中で亡くなってしまった、しかし、これは契約だから、ワンクールしか受けていなくても全額お金を払ってくださいというふうにクリニックから訴訟されたというところを、担当の弁護士さんがその経過をここに書いているわけですけれども、これを見ましても、やはり、全くその治療効果というものに対する適切な説明が行われたかどうかもわからないし、患者さんも認識がないわけですね。それで、途中で亡くなってしまって茫然としているところに、全額払えというふうな訴訟が起きている。

 非常に複雑なケースですが、ここで問題にしたいのは、やはりこの販売形態、幾ら自由診療だからといって、命にかかわる商品ですから、これに関しては、相対でやってくれということではなくて、やはり国が、販売価格、販売形態に対する何らかの指導、干渉を私はすべきだと思うんです。こういった状況では減額をしなさいだとか、販売形態もセット商法じゃなくて一治療幾らということでやりなさい、ワンクールは六治療ということにしても、ある程度最低限の販売形態、販売価格に対する国の干渉、そういったものを私は自由診療でも行うべきだと思いますが、政府の見解を聞かせていただければと思います。

土屋副大臣 医療については、医療法の規定に基づいて、医療機関の管理者に対して、提供する医療について、正確かつ適切な情報を提供し、患者、家族からの相談に適切に応じる努力義務が課せられているということは、もう先生はお医者さんですからわかっていらっしゃると思いますが、この努力義務は、保険診療として行われるか自由診療として行われるかにかかわらず適用されるものでありまして、がんに関しても、自由診療においても、患者に対して、インフォームド・コンセントといいますか、正確、適切な情報を提供していただくことが重要であると考えております。また、医療機関は安全管理のための体制を確保しなければならないこととされております。

 こうしたインフォームド・コンセント努力義務や安全管理のための体制確保の義務が適切に履行されているかについては、現在は、都道府県等が医療機関に対して行う立入検査においても確認することとなっております。立入検査を拒んだ場合は罰則が科せられております。

 今おっしゃったような、インフォームド・コンセントが足りない中でトラブルが起きるということ、こういう事例に対しましても、今後、個別の医療行為については医師の医学的な判断によって適切に行われるべきものでありますが、厚生労働省としても、引き続き安全性の確保を図ってまいりたいと考えております。

 昨年、平成二十五年九月二十七日に、美容医療で問題が起きたとき、そのときに、がん治療も、「美容医療サービス等の自由診療におけるインフォームド・コンセントの取扱い等について」ということで通達を出しておりますけれども、その中にもそのようなことが明記されておりますが、今後とも、厚労省としては安全性の確保をしっかりと図ってまいりたいと思います。

柏倉委員 一つの商品、消費財ですから、その販売形態に対する何らかの指導を国がやはり私はやるべきだと思います。

 先ほど具体例で申し上げました、適正価格というのはある程度決めていく、そして販売形態、ワンクール、そういうものじゃなくて、一つの治療に関して幾らというような、きめ細かい、ある程度、最低限の取り決めは国が干渉すべきだ。でなければ、本当に真面目にこれに取り組んでいらっしゃる方もいらっしゃいます、でなくて、利益本位だけでやっているところと、本当に真剣に取り組んでいるところと、これはやはり色分けもできますし、命を守る治療剤に関しては、自由診療とはいえ、国がきっちり調査をして、販売形態、価格に対して干渉していただきたいと思います。

 もうお時間がありません。最後の資料、二枚目なんですが、今、インフォームド・コンセントとおっしゃいました。ただ、ちゃんとインフォームド・コンセントしているのかどうか。相手は素人だから、適当に自分たちの都合のいい数字だけをとって説明しているんじゃないかというようなところもございます。当然、そうじゃないところの方が多いんです。真面目にやっている人たちの方が多いんですが、そうじゃないところも見受けられる。業界全体の信頼性、健全性も含めて検討していただきたいということで、資料につけました。

 これは、膵臓がんの一年生存率。この黒い棒のところが自分たちのクリニックだと。この白い棒のところが普通の、これは大規模スタディーですね。この免疫治療をすると、うちの免疫治療をするとこんなによくなりますというようなグラフなんです。

 ただ、どういう人たちを評価しているかというと、傍線を引きました、「三回以下の患者さんは投与回数が少なすぎ効果判定は難しいため省いています」要は、最初から長生きした人だけをここに選択してグラフ化している可能性も十分あるわけなんですね。それでいて、「抗がん剤だけと比べて治療効果は二〜三倍高く、」というふうに、あたかも万能薬のようにここに書いてある。こういったホームページがあるのは事実です。

 こういった、幾ら自由診療だからといって、本当にすがるような思いでたどり着く患者さんをだますような、こういったウエブを放置することのないように、徹底的に、消費者庁でも結構です、厚生労働省でも結構です、しっかりと指導監督をしていただきたいということを申し添えて、最後とさせていただきます。

 どうもありがとうございました。

山本委員長 次に、井坂信彦君。

井坂委員 結いの党の井坂信彦です。

 本日は、私、この消費者特別委員会では初めての質疑ということで、また、大臣の所信に対する質疑ということでもありますから、さまざまなすき間事案と思えるようなことも含めて、アラカルトでお伺いをしていきたいと思います。

 まず、私の実体験からお伺いをいたしますが、NHKの衛星放送の受信料の問題についてであります。

 実は、先週、私、家を近所で引っ越しをしました。賃貸マンションから賃貸マンションに引っ越しをしたわけでありますが、引っ越して、ずっと古いテレビを使っていたのを、これを機にテレビを買いかえて置いておりましたら、早速NHKの集金の方が来られました。テレビはつきますか、衛星もつきますよね、ちょっと一遍試してみてくださいということで、私ではなく妻が対応したわけでありますが、衛星のテレビが画面に映った瞬間に、では映るので衛星契約でということで、かなり高圧的に衛星契約を求められてしまったということであります。

 私は、こういう職業というか議員でありますので、もちろんルールに従ってお支払いをするものは払うべきだという考え方であります。ただ、ちょっと一連の経緯が何かあんまりだなというふうに思ったものですから、いろいろと法律のところまで深く深く調べていきましたら、確かに、テレビが置いてあるだけで地上波の受信料を払わなければいけない。正確に言うと、契約を結ばなければいけない。さらに、その契約の内容は、国会できちんと承認をされていて、NHKの放送規約というものにのっとって契約をしなければいけない。二段構えで、事実上、逃げ場なく強制的に地上波の契約が求められる。

 ここまではいいんですが、さらに衛星についても、マンションでBSのアンテナがついていて、そして、最近はもうほとんどテレビにBSのチューナーがついていますから、そうすると、衛星放送を見ようが見まいが、アンテナとチューナーつきテレビがあれば、これもまた受信し得る設備が設置されているという解釈になって、自動的にこれも衛星契約を結ばざるを得ない状況に追い込まれる、こういう仕組みであるわけであります。

 今のルールはそうであるということは私が今申し上げたように理解をした上で、消費者担当大臣にお伺いをしたいのは、とはいえ、この衛星契約、上乗せをすると月額で九百四十五円のアップ、お得な十二カ月払いをしても年間一万四百九十円のアップ。受信料はテレビを置いてある限りずっと一生払い続けるわけですから、大体一生で平均五十年ぐらいはみんな払うと思うんですね。五十年間で幾ら安く上げても五十万円以上の高額契約となる一つの契約だとみなしたときには、これはちょっとあんまりじゃないかなというふうに思うわけで、お伺いをするわけです。

 NHK衛星放送の受信料契約について、いわば五十万円以上の高額契約を強制的に結ばされるということは、消費者保護という観点から見て、やや問題があるのではないでしょうか。

森国務大臣 NHKの衛星放送契約について、全国の消費生活相談から寄せられた件数は千二百十件に上っておりまして、主な相談内容は、今委員御指摘の件に類似するようなものがあります。

 例えば、居住するマンションに衛星放送アンテナがあるため受信料を支払うよう言われたが、見ないので支払いたくないでありますとか、営業の人が来て衛星放送の契約をするようにしつこく言われたというものがございます。

 御承知のとおり、NHKの受信契約の内容については、放送法に定められておりまして、それによって行われているものでございますが、こういった相談が寄せられているということをNHKがしっかり認識して、受信者の理解に資する、丁寧かつわかりやすい説明を行うことが重要であるというふうに思いますので、さらにそういった取り組みを進めてまいりたいと思います。

井坂委員 やはり思った以上の相談がセンター、消費者庁の方にも寄せられているということであります。

 現状のルールは、先ほど私が申し上げたとおりで、ただ、ルールがこうであるからといって、なかなか私も、ちょっと本当にルール自体がこれでいいのかなという今問題意識は多少持ってはいるんですが、とはいえ、私自身は、地上波は公共放送ということで、全国民で広く負担する、ここまでは納得のいく話なんですね。ところが、衛星放送になると、これは本当に全国民が必要として、しかも日々見ているのか、大変疑問に思うわけであります。

 NHK放送文化研究所というところが全国個人視聴率調査ということをやっておりますけれども、それによりますと、一日の平均の視聴時間、NHKの地上波は一日平均五十六分、皆さん見ておられる。一方で、NHKの衛星は一日平均六分ということで、これは別に全国民が六分ずつ見ているわけじゃなくて、本当にごくごく一部の人、要は世の中の恐らく一割ぐらいの人しか見ておられないということの証左ではないかなというふうに思うわけであります。

 そういった中で、現行の法律は私はやや問題ありという立場でありますが、それは消費者大臣がどうこう言えることではありませんから、大臣にお伺いしたいのは、アンテナがあって、BSチューナーつきテレビを家に置いた瞬間に、もう自動的に一生で五十万円余分にお金を払わなきゃいけなくなる、これが今の現行法制です。

 であれば、せめて、BSチューナー内蔵テレビを買うときとか、あるいはBSアンテナのついているマンションに入居するときに、これは恐らく、そんな自覚を持ってマンションに入っている人とか、これを買ったら一生で五十万円余分に払わなあかん、そういう自覚を持ってBSチューナーつきテレビを買っている人は少ないと思うんですよね。何か一言、注意喚起がむしろ要るのではないかというふうに思うわけであります。

 こういうチューナー内蔵テレビ、実はチューナーのないテレビも今売っています。ところが、恐らく、チューナーのあるなしでそんなに一生で差がつくなんて誰も気づいていないですから、BSチューナーテレビを買ってしまう、置く。それで、大体二、三日しない間にNHKの方が来られて、テレビをつけてみてください、あっ、確かにつきますね、アンテナがついていたんですね、じゃ払ってください、こうなるわけですから、これは注意喚起が要るんじゃないでしょうか。

 テレビを買うとき、それからアンテナ設置マンションを契約するとき、NHKの衛星受信料はこういう仕組みになっていて、アンテナとチューナーつきテレビがセットになると、あなたはもう自動的に、強制的に日本国の法律に従ってこれだけの出費が将来かかりますよ、こういう注意喚起が要るんじゃないでしょうか。お伺いをいたします。

森国務大臣 委員の御指摘、大変重要な御指摘であるというふうに受けとめております。

 消費者また受信者がしっかりと理解を進めますように、NHK等に働きかけるなどの取り組みをしてまいりたいと思います。

井坂委員 実施主体については私は今回申し上げませんでしたので、政府がやるのか、NHKがやるのか、家電屋さんがやるのも筋違いだというふうにも思いますから、実施主体は問いませんが、やはり消費者がちゃんと、リスクと言ったら言い過ぎかわかりませんが、これを買うと、こうなるよということをわかって選択ができるように、また、そうなれば、テレビの方も、チューナーのあるなしが、また今後、商品が選べるラインナップも私は出てくるというふうに思いますから、実効性、主体は問いませんから、実際、消費者にそういう注意喚起がされるように、ぜひよろしくお願いをしたいと思います。

 二点目ですけれども、ビットコインのことをお伺いしようと三つほど準備をしておりました。ただ、民主党の議員さんの方で基礎的な質疑はもう既にされておりますので、私の方からは一点だけ。

 各省庁、ビットコインは我が省の所管ではありませんというのに近い御答弁を先ほどされたわけであります。消費者大臣にお伺いいたしますが、このビットコインを扱うマウントゴックス社が、今回、結果的には消費者、ユーザーに被害をもたらした案件、消費者安全法第二条で規定する多数消費者財産被害事態に該当するのではないでしょうか。お伺いをいたします。

森国務大臣 お答えいたします。

 消費者安全法第二条第八項に規定する多数消費者財産被害事態に当たるかどうかについては、消費者に対して虚偽のまたは誇大な広告その他の消費者の利益を不当に害する行為等が事業者により行われたか否かなど、消費者と事業者との取引について、具体的な内容を精査した上で判断する必要がございます。

 この点、マウントゴックス社やビットコインに関する相談は、現時点でほとんどない状況でございまして、消費者庁としては、引き続き関係省庁と連携をしつつ、情報収集に努めるなど適切に対応してまいりたいと思います。

井坂委員 実は、事前に担当の方と私の部屋で議論をさせていただいたときも、私、やや不満に思いましたのは、割と、二言目には、相談件数が少ないからというようなことを枕言葉のようにおっしゃるんですね。

 私は、やはりそこはぜひもう一歩踏み込んで、相談件数、確かに先ほどの答弁にもあったように少ないわけでありますが、しかし、大体我々ももうマスコミを通じて知っているように、被害の総額は非常に大きい。その中で日本人がどれぐらい入っているか、何%入っているか、こういう問題はあるにしても、やはり被害総額が大きくて社会的な影響力も大きいこういう事案については、ぜひ一歩踏み込んで調査、それから、そういう多数被害に当たらないのかということも検討していただきたいというふうに思います。

 もう一点、ビットコインに関してなんですが、この問題というのは、例えるならば、仮想通貨だったということが非常に特徴的ではありますが、よくよく考えれば、普通の日本円を扱っている銀行が、ただ金庫の鍵が甘くてそこからごっそり盗まれてしまった、仮にそういうことがあっても、日本円そのものが問題だとか、日本円の信頼が毀損された、こういうこととはまた違うというふうにも思うわけであります。預かり業者のマウントゴックス社のセキュリティーが甘かった、恐らくこういう事案だろうというふうに思うわけであります。

 こういう仮想通貨の問題で、私は今後、二点、消費者庁に注意喚起をしていただきたいと思うことがあるわけですが、一点目は、この仮想通貨が物の売り買いに実際に使われる、今回、ビットコインみたいに国を越えて安い手数料で決済に使われる、こういう通貨的に使われる場合であれば、今回、マウントゴックス社のように、取引所のセキュリティーが銀行より現実甘いということによって、預けたお金が消える危険性がありますよ、可能性がありますよ、こういうことは注意喚起する必要があるのではないかというふうに思います。

 もう一点の注意喚起の方向性は、一方で、株や金のように、ビットコインそのものを売り買いして、投機の対象として実際流通されている側面もあるというふうに思うわけです。こういった場合は、今回のビットコインは通貨の総量がもう技術的に頭打ちになって、これ以上通貨を発行というか採掘できない、こういう仕組みになっているようでありますから、通貨の総量が少ないことによって、仕手筋じゃないですけれども、非常に意図的な乱高下、高騰、暴落といったことも操作を受けやすい、こういった可能性もありますよという最低限のリスクをやはり今回の件に関連して利用者に周知する必要があるのではないかなと思います。

 これもちょっと簡単に、今の話を聞いて、御所見をお伺いできればというふうに思います。

森国務大臣 ビットコインに関する点については、現在、関係省庁で連携して情報を収集しているところでございますので、事実関係をしっかり把握した上で、問題点を分析し、適切な対応をしてまいりたいと思います。

 その中で、消費者庁としては、委員御指摘のとおり、消費者の皆様が消費者被害に遭わないようにといった点にしっかり目的を据えて、対策を講じてまいりたいと思います。

井坂委員 ありがとうございます。

 続きまして、独立行政法人国民生活センターについてお伺いをいたします。

 端的にお伺いをいたしますが、これは民主党政権時代には廃止の方向で決まっていたものが、完全復活したケースではないかと考えます。

 また、事前にも担当の方には詳しくお聞きはしているんですが、やはり、私、納得ができないのは、本当にこの業務、独立行政法人という形でなければできないことなのかどうか、大臣にお伺いをいたします。

森国務大臣 国民生活センターについてお尋ねがありました。

 平成二十四年の見直し方針では、消費者庁と国民生活センターの機能の重複を排除し、政府における消費者行政の機能を効率化、強化するということを目的にして、必要な定員、予算を確保した上で、平成二十五年度を目途に本法人の機能を国に移管するとされました。

 しかしながら、私、就任をさせていただきまして、平成二十四年十二月に、あらゆる選択肢を排除せず、一年間かけて検討していくというふうに方針を立てまして、幅広い有識者の御意見を聞きながら検討を行いつつ、独立行政法人改革の中で国民生活センターの組織のあり方について議論を行ってまいりました。

 その結果、国民生活センターの注意喚起、相談、あっせんやADRといった各機能を最大限発揮するためには、行政処分や有権解釈の提示などの行政措置を行う消費者庁から業務運営、人事面で独立し、機能性、柔軟性を持って消費者問題に対応することが極めて重要であるとの観点から、引き続き独立行政法人とすることが適当であるとの結論に至ったものであります。

井坂委員 本庁が、あるいは本庁傘下の組織がやってしまうと、即、法令解釈そのものが実際の指導なりあっせんをやっていくということで、なかなかやりにくいんだという御説明だと思います。

 とはいえ、私、実は市会議員のときから、こういう外郭団体、いわゆる中間的な団体のよしあしについていろいろ議論をしてきたものでありますけれども、こういう独立行政法人みたいなものは、役所の方からすると、本当に、おっしゃったように、機動性、柔軟性、要は仕事がやりやすい、よくわかるんです。ただ、それが行き過ぎると、昨今、我々野党側が問題視しておりますように、例えば基金の問題のように、あれも、本当に使い勝手のいい財布。だけれども、その分、チェックが甘くなったり、ガバナンスがいいかげんになったり、あるいは入札が非常に不正常なことになったり、こういうことがやはり起こり得る。そういった前提に立って、独立行政法人はやはり最大限少なくしていきましょう、これが独立行政法人改革の流れだったというふうに思うんですね。

 ですから、便利だからとか、こっちの方がやりやすいからということで独立行政法人の存在を認めていると、これはもうほとんどあらゆる独立行政法人がそういう理屈で存続をしてしまうのではないかと危惧をするものであります。

 通告どおりお伺いいたしますが、民主党政権のときに想定した消費者庁傘下に置く仕組みと、それから、現状の独立行政法人としてまた完全復活させる仕組みで、決定的な違いはどこにあるでしょうか。

森国務大臣 平成二十四年の見直し方針では、消費者庁と国民生活センターの機能の重複というところを排除し、政府としての消費者行政の機能を効率化、強化することを目的に、国民生活センターの機能を国に移管することとされております。

 一方、今回の見直しでは、両組織が全体として質の高い行政サービスを効果的、効率的に提供していくため、消費者庁と国民生活センターの役割分担について、消費者庁が企画立案部分を担い、国民生活センターは、独立行政法人として、柔軟性、機動性を持って執行部分を担うこととしたものであります。

井坂委員 ちょっと追加でお伺いしたいんですが、例の相模原の施設も今存続の方向でしたでしょうか。ちょっとそのことだけ。

森国務大臣 相模原の施設については、国民生活センター本体とは切り離して検討しておりまして、今夏までに結果を出すこととしております。

井坂委員 政権交代があったということですから、そこで、もちろん政府としての連続性、一旦段階はあるわけでありますけれども、ただ、かつての政府での議論の中では廃止と。しかも、特に今お聞きした相模原の施設については、大変辛辣な、不要だとか、廃止、売却とか、あるいは、もう自前の研修施設は手じまいすべき、稼働率から見て保有し続けていく合理性は疑わしいなど、もうかなりはっきり言われてしまっているようなこともあります。

 私から見れば、この件については、独立行政法人改革という大きな流れの中で時計の針が大きく逆回転してしまっているのではないかなと、やや懸念をする事態でありますので、ちょっと引き続き材料を集めて議論をしていきたいというふうに思っております。

 続きまして、IT戦略本部によるパーソナルデータの利活用について、いわゆるビッグデータの活用についてお伺いをいたします。

 この件、個人情報保護の今の現行の仕組みの中で、そうはいっても、日本の研究やイノベーションのためにビッグデータの活用が大事だと、今、政府の中ではなっています。そこで、このビッグデータは、個人情報の部分と切り離して、そして、誰のデータかわからないようにしっかり処理をした上で、事前の同意なしで、大量のデータの一部として使っていこう、こういう方向で今検討が進められているわけであります。しかし、このパーソナルデータの利活用、特に、個人情報と切り離したからといって、事前同意なしで、では、どこまで広げていって何まで使うのか、大変議論の尽きないところであると思います。

 私自身は、弟が疫学の研究者をやっていたり、もともと、予防医学、コホート研究とか、そういうビッグデータの活用ということには大変夢や希望を持っている側の議員ではありますが、だからこそ、こういった問題については、歯どめの部分、ルールの部分はきっちりしないと、後々、まさに取り返しのつかない、文字どおり取り返しのつかない、ビッグデータですから、全ての個人情報の流出、例えば、その人がどういう病気をずっとやってきたかとか、その人の携帯の位置情報がもう何年分もずっとまとめて束で匿名で出ていたのが、ある瞬間に、何か技術の進歩で個人情報とひもづけられてしまって、その人がいつどこに行ったか後からみんなわかる、こういうことも心配をするわけであります。

 消費者庁として、個人情報保護の観点から、本件、どのような懸念事項があり、どのような対策が考えられるのか、お伺いをいたします。

河津政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年の九月に、IT総合戦略本部のもとにパーソナルデータに関する検討会というのが設置されておりまして、そこで、パーソナルデータの利活用ルールを明確化しようということで検討が進んでおります。消費者庁もその当初の段階から参画をしておりますし、今後とも、人的な面も含めて、連携をしてやっていくことにしてございます。

 御指摘のとおり、パーソナルデータの利活用につきましては、新たなサービスの創出、いろいろな可能性があるということで期待がある一方で、しかしながら、今御指摘のありましたとおり、技術の進歩によっては、ひもづけられないと思っていたものがひもづけられてしまうのではないか、そういったことも現にこのパーソナルデータに関する検討会でも議論がされております。

 そういった中で、そこを何とか新しい概念も入れて整理をしようということで、昨年の十二月に、IT総合戦略本部決定ということで、パーソナルデータの利活用に関する制度見直し方針というのが出ております。そこでも、個人情報及びプライバシーの保護を前提とするということが明確にうたわれております。

 もちろん、さまざまな論点がございますけれども、例えば、独立した第三者機関をつくって、そこが分野横断的な見解を示す、あるいは苦情処理、検査、あるいは行政処分を行うようにする、そういったことも必要ではないかというようなことも議論されております。

 いずれにしましても、個人情報の適切な取り扱いをどう確保していくかということも大きな検討のテーマということになってございまして、消費者庁といたしましても、引き続き、内閣官房と連携をして検討してまいりたいと思っておるところでございます。

井坂委員 苦情処理とか実際のチェック機関とか、そういうガバナンス的な仕組みはわかるんです。ただ、結局、扱うものはビッグデータなので、一旦ひもづけられてしまったら、それはもう、幾ら後でどんな手続があろうが、本当に自分の洗いざらいが全部世に出て二度と回収できない、こういうおそれがあるものですから、そう考えると、事前同意のやり方とか、そうはいってもどこまで公開するのか、そういったこと、やはり本質的な議論が要るんだろうというふうに思っております。これはまだ議論の途中ということですので、引き続き、私も勉強しながら随時質疑をしていきたいというふうに思います。

 続きまして、似たような問題ですが、ネット上の個人情報の拡散の問題についてであります。

 昨今、クラウド上にアップロードした自分のファイル、公開設定にしている写真とかそういったものが、自分のお友達だけに見てもらえるだけじゃなくて、そもそもそのサービスを運営している会社が、もううちのクラウドにアップしたものはうちの宣伝活動にも使わせてもらいますよというような規約を一文書いていたり、あるいは、フェイスブックをやっておられる方が最近ふえていると思います。

 何か、芸能人の驚きの真実みたいなそそる見出しとともに、何か押してみると、このアプリをダウンロードすると見ることができますよみたいになっていて、私は押したことはないんですが、それをうっかり押すと、自分で見られるけれども、見た瞬間に、私自身がそのアプリをまたお友達に、みんなに宣伝をするような投稿を一斉にばらまいてしまうというような、半ばスパムのような、こういうアプリの仕組みが世に出ていたりいたします。

 今、こういった感じで、勝手に個人情報を使われたり、個人の情報がどこまで拡散されるのか、また、個人情報を使ってこのアプリが一体どういう悪さをするのかが、なれた人じゃないと事前になかなか予測がつかないような事案がふえてきていると思いますが、このような問題に消費者庁としてどのように対処していかれるでしょうか。

森国務大臣 個人情報保護法は、個人データを第三者に提供する際には原則として本人の同意を取得することを求めておりますので、本人の同意を得ることなく勝手に個人情報を使うことは、原則として個人情報保護法に違反する行為です。しかしながら、実際には、規約等によるわかりにくい説明により、消費者は自分の個人情報がどのように取り扱われるのか正しく理解していない状況で同意をしてしまうという問題が指摘されます。

 消費者庁としては、今後も引き続き、各事業の特性等を踏まえて、消費者の正しい理解を促すような説明のあり方について、各業界ごとの主管大臣と協力して検討を進めてまいります。

 それとともに、消費者教育という観点からも、消費者がそういった個人情報を管理できる力等を身につけるようなことについて、消費者教育の推進に関する基本方針を定めたところでございますので、しっかりと徹底してまいりたいと思います。

井坂委員 消費者教育は大事だと思いますし、また、同意のボタンのところに、あなたの名簿にアクセスしますとかだけ書いてあってもわからないので、これを押したらあなたの名前で宣伝文がばらまかれますよとか、要は、どういう目に遭うのかというところまでやはり表示しないとわからないというふうに思いますから、ぜひ、その判断の材料をわかりやすくという観点でよろしくお願いをいたします。

 ちょっと時間がないので、最後、一点ですが、携帯電話やネット回線等のオプション契約の抱き合わせについてお伺いをいたします。

 時間がないのでちょっと一問目は飛ばしますが、携帯やネット回線を契約する際に、このオプションを入れたら物すごく安くなりますよとか、あるいは最近聞いた話ですと、引っ越し料金三万円、そのかわりネットはこの会社と契約してくださいねみたいな、これはうちじゃないんですけれども、そういうやり方もあったり、要は、そういういろいろな抱き合わせで、特に携帯なんかは、三百円、五百円、千円のいろいろなオプションを、とりあえず一カ月だけでいいのでこれを最初につけておいてください、一カ月以内に解約したらお金は要りませんからと言いながら、解約しようと思って電話すると三十分間電話が通じないとか、諦めて、まあいいかと思って、一カ月、二カ月、ずるずるお金を払ってしまう、こういったことが実際にあるようです。

 このような案件、抱き合わせオプションについて、消費者庁として、どのような問題意識、また対応をとっておられるか、お伺いをいたします。

森国務大臣 御指摘のような情報通信を初めとする消費者トラブルの防止のために、まずは消費者がしっかり内容を理解して契約できるように、各事業者が丁寧かつわかりやすい説明を行うことが重要であると思っております。

 今の携帯電話の事例、そういったものに関しては、国民生活センター等から総務省に対して、契約時の説明において消費者保護に配慮した規定を設けること等を求める提言を出していると承知をしております。

 消費者庁としても、総務省における検討の状況や消費生活相談の状況を注視して、必要に応じて、消費者の利益を擁護する観点から対応してまいります。

井坂委員 ぜひ、事実上の解約のしにくさというところにも目を向けていただいて、そもそもどこに電話したらいいかわからない、電話してもつながらない、こういう実態もあるようですから、解約のしにくさということにもちょっと目を向けていただきたいというふうに思います。

 一元的な窓口、あるいは縦割りの省庁では扱えないすき間事案、こういうために消費者庁ができたというふうに思っておりますから、ぜひ、縦割りに陥らずに、また、相談がないからと言わずに、積極的に活動していただきますようによろしくお願い申し上げまして、本日の質疑を終わりにします。

 どうもありがとうございました。

山本委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午前十一時五十九分休憩

     ――――◇―――――

    午後二時二十七分開議

山本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。穀田恵二君。

穀田委員 私は、きょうは、いわゆる健康食品問題について質問します。

 健康食品とは、厚生労働省のホームページによれば、法律上の定義はなく、広く健康の保持増進に資する食品として販売、利用されるもの全般を指しているものだと書いてあって、そのうち、国の制度としては、国が定めた安全性や有効性に関する基準等を満たした保健機能食品制度があると書かれています。簡単に言うと、健康食品というのは明確な定義がない。しかし、消費者は、健康の維持増進、疲労回復または栄養補助や病気予防、美容効果など、健康食品への期待を持って使っているという感じですよね。

 いわゆる健康食品の市場規模、今お話しした特定保健用食品、いわゆる特保というんだそうですけれども、それを含め、どのくらいあるかということを、まず状況を教えてください。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の健康食品の市場規模でございますが、これは民間の調査でございますが、平成二十五年におきまして、いわゆる特定保健用食品を含めまして、全体で一兆八千二百億円というふうに報告されてございます。

穀田委員 多くの国民がこれらの商品に高い関心を持っている。

 大臣もお気づきかと思いますが、この宣伝というものは物すごくえげつないというかすさまじいというものがあることは御承知かと思います、副大臣が頭を下げていますが。あれは本当にひどいものなんですね、ちょっと私はどうかと思うことがあるんですが。しかし、国民が日常的に使用、利用しているということになっているわけで、テレビの影響というのは私は大きいかなと思っているんですね。

 ところが、健康食品摂取による健康被害、期待した効能、効果がないことによるトラブル、さらには悪質な事業者による財産被害など、さまざまな消費者問題があります。

 全国の消費生活センターに寄せられた健康食品に関する相談件数は年間どのくらいあるかという問題と、もう一つ、健康被害や注意が必要な事例が報告されているわけですけれども、実際どのような被害が起こっているかについてもあわせてお答えください。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 まず第一点でございますが、健康食品に関しまして全国の消費生活センターから寄せられた平成二十五年度の相談件数でございますが、全体で四万四千三百九十八件でございます。このうち、大変多いのは、いわゆる送りつけ商法と言われるものに関する相談でございまして、これが二万九千五百二十二件となってございます。

 第二点目の御指摘ですが、健康食品に関します健康被害といいましょうか、その関係する相談事例というものでございます。これはさまざまでございますが、少し、一部具体例を御紹介申し上げますと、例えば、ダイエット食品を購入して食べたところ下痢になったといったような御相談、ダイエットサプリを購入して服用したところ赤い発疹が生じたといった、そういった御相談事例があるというものでございます。

穀田委員 今、お話、報告がありましたように、四万四千三百九十八件。これを調べてみると、送りつけという問題も、今、山崎さんから報告がありましたけれども、ふえ続けている。送りつけなどは、前年に比して二倍にもなっているという現状があります。そして、健康被害も出ている。だから、経済被害と健康被害、二つ出ているということが大きな特徴だということがあります。

 そこで、過去に、消費者事故に対して、消費者庁としては、パンフレットやさらにはシンポでの啓発、ホームページでの情報提供などを行ってきたのを私も見ています。現場で起きているいわゆる健康食品被害に対して、消費者庁としてどういう対応をしているのかということですね。その点での、どういう対応をしているかということと、それらをどんな基本姿勢で取り組んでいるのかということについてお答えいただきたいと思います。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、基本姿勢、基本的考えでございますが、いわゆる健康食品に関しましては、やはり、消費者みずからが適切に消費行動を判断できるような、そういう消費者自身の理解が大変重要であるというふうに認識してございます。

 したがいまして、その面でいきますと、まず、健康食品全般にわたりまして、この安全性等に関しますリスクコミュニケーション、そういう取り組みを進めてございます。具体的には、本年二月に全国三カ所で消費者との意見交換を開催してございまして、その中で、健康食品に関しますさまざまな全体的な状況、基本認識について、いろいろな面で情報発信を行ってございます。

 例えば、この健康食品を考えた場合も、これはいわゆる一般の医薬品と違うということを認識していただいて、健康食品を病気の治療目的に用いない、さらに、過剰摂取を避ける、仮に体調不良を感じたら摂取を中止する、こういったことについても十分な理解の促進を図っていただくような取り組みを進めている、こういう状況でございます。

穀田委員 一番最初に言った基本姿勢でいうと、みずからが判断できるように、こう言うのだけれども、私、そこはちょっと違うんじゃないかと、はっきり言って、思うんですよ。

 山崎さんはそういうふうに言うてはりますけれども、やはりあれだけの相当豊富な宣伝量、しかも、先ほどありましたように、ダイエット食品でいろいろなことが起きているということを、二つ事例も出ていました。だから、誤認させることを目的としてとは言わぬけれども、それまがいのことはだあっとやっているというもとで、じゃ、別にそれと比較するつもりはないけれども、オレオレ詐欺とかそういう商法を含めて、だまされる方が悪いわけじゃないんですよね。だます方がまず悪いんですよ。だから、そういう消費者被害に遭わないように、とことん努力するというのが私は基本姿勢だと思うんですよ。

 つまり、もちろん、その前段として判断してもらうというのはありまっせ。だけれども、やはり消費者庁というのは、消費者被害をなくすということが前提であって、そのために何があるべきかというふうに言わないと、みずからが判断できるようにするのが第一だと言われると、それはちょっといかがかと私は思います。そんなんでええのかということを今後のために私ははっきりさせておきたいし、そういう発言があったということは記録しておきたいと思います。

 厚生労働省や消費者庁、国民生活センターからも、注意が必要な健康食品として、インターネットなどでも注意喚起も行われています。今ありましたように、医薬品と違うというようなことで、摂取量や摂取方法を誤れば健康被害を起こしている実態があるわけで、そこからなんですね。最悪の場合には命にかかわることになりかねぬということなんですよ。だから、みずからが判断できるようにというのは、判断できなかったら、死んでもらっちゃ困るんですよ。そこが私はちょっと違うなという気がしたんですね。

 大事なのは、これらの健康被害について、消費者庁としてどういう認識で対応しているかということを聞きたいわけです。

 過去には、中国製のダイエット用健康食品、天天素を約二カ月間服用していた都内の女子大生が心不全で死亡する、二〇〇五年でした。その他ダイエット用食品で報告があっただけでも、健康被害事例は七百九十六件。うち四人の死亡例が厚生労働省から報告されている。これは医薬食品局の数字で明らかなわけです。

 ですから、改めて大臣に聞きたいんだけれども、このように人命にもかかわることだということで、重大な問題であるとの認識はあるかということについて聞きたいと思います。

森国務大臣 人の口に入るものでございますから、健康食品を含めた食品の安全性の確保については、大変重要な問題であると認識しております。

 食品安全基本法で条文に規定されているとおり、国民の健康の保護が最も重要であるという基本的認識のもとに政策が講じられていかなければならないと思っています。健康食品に関しても、かかる基本認識に基づいて、健康食品による消費者の健康被害を防止することが極めて重要であると考えております。

 このため、消費者庁においては、健康被害に関する情報の収集、公表、健康食品に関する表示の適正化、そして健康食品に関する消費者理解の増進等の取り組みを進めてきたところでありまして、今後とも健康被害の防止に向けて取り組んでまいりたいと思います。

穀田委員 今大臣からありましたように、私が山崎さんに言ったときには、みずからの判断ができるようにとありましたけれども、やはり哲学といいますか基礎はそうじゃないと思うんですね。

 今ありましたように、健康保護が第一である、だから、防止することは基本だということを据えないと、その上で何をすべきかといった場合に、どういう場合でも判断できるようにする、そういう下地をつくる必要があるね、ここはわかるんですよ。それを第一に言ってもらうと、ちょっと違うんじゃないかと思うんですよ。

 だって、そんなことを言い出したら、判断でけへんような、そういう判断を狂わされるような宣伝がいとまなくやられている、しかも、それと見まごうような形でやられているという巧妙なやり口があるわけでしょう。きょうはその広告の問題をしたかったのですが、それはそれとして次回にまたやるとして、そこが私は大事だと思っています。だから、重大な問題だという意味での認識が共有されたとすると、やはり、現に起こっている被害をなくしていくためにも、手を打っていく必要がある。

 では、そういう被害をなくす、防止するという立場からして、政府がどういう方向に進もうとしているのかということについて次に聞きます。

 安倍首相は施政方針演説で、「世界で一番企業が活躍しやすい国を目指します。」として、「企業活動を妨げる障害を一つ一つ解消していきます。これが、新たな規制改革会議の使命です。」というふうに強調しました。

 この路線に立って、規制改革会議は、健康食品の機能性表示について、健康・医療ワーキング・グループにおいて、四月からわずか二カ月程度の議論で取りまとめを行って、政府は、同報告を踏まえ、六月に、いわゆる健康食品の機能性表示等を認める答申を打ち出して、各関係省庁に対し、二〇一四年度をめどにその仕組みの整備実施の要請を行っています。

 これを受けて、消費者庁は昨年末から、食品の新たな機能性表示制度に関する検討会において、健康食品の機能性表示にかかわる新たな方策についての検討を開始しています。ことしの夏を目途に報告書を取りまとめる予定とのことだけれども、大臣、どのような見直しを考えておられますか。

森国務大臣 食品の新たな機能性表示制度については、御指摘の昨年十二月に立ち上げた検討会において検討を行っております。この検討会では、規制改革実施計画、これは平成二十五年六月十四日の閣議決定でございますが、これに基づき、国ではなく企業等がみずからその科学的根拠を評価した上で、その旨及び機能を表示できるための制度を検討しているところでございます。

 検討の際には、まず、消費者の誤認を招かないこと、そして消費者の自主的かつ合理的な商品選択に資すること、そういった制度としていくことが重要であると認識しておりまして、検討会において、まずは安全性の確保のあり方、そして機能性表示に必要な科学的根拠の考え方、そして誤認のない機能性表示の方法のあり方について、順次御意見をいただきながら検討を進めているところでございます。

穀田委員 どうもそこが、私、心配しているところなんですよ。

 機能性表示とは一体何かという問題なんですね。食品やその成分が体や健康にどう働くかということを示すものですよね。現在、おなかの調子を整えます、こういう表示ができるのは、国が審査、認可した、先ほど言いました特保、特定保健用食品のみです。ビタミン、ミネラルを一定量含む栄養機能食品は、カルシウムは骨や歯の形成に必要な栄養素ですなどと表示例が決まっています。

 今やろうとしているのは、総理大臣は、安倍首相は機能性表示の解禁ということをしきりに言っていまして、これはこれ以外のいわゆる健康食品が当然対象になります。

 食品成分の機能性について評価手法を検討するに当たって、消費者庁は、二〇一一年度事業、食品の機能性評価モデル事業を実施しています。その中で、特定十一成分の機能性評価について、二〇一二年四月に結果を公表しています。その中心ポイントはどのようなものですか。

森国務大臣 御指摘の消費者庁の平成二十三年度予算事業の食品の機能性評価モデル事業でございますけれども、今回、食品の機能性評価モデル事業の評価対象とした論文について、よい結果が出た研究のみ論文として公表、評価されているという、いわゆる出版バイアスがかかっているという可能性が否定できないこと、研究資金の提供元など利益相反関連情報の記載のない論文が少なくなかったことなど、さまざまな課題があることが明らかとなりました。

 これらの課題を解決するため、例えば出版バイアスの解決には、肯定的、否定的結果を問わず、結果の公表を研究計画時に約束させる仕組みの一環として、研究計画の事前登録を行うことが有効であると考えられます。

 消費者庁としては、論文をもとに機能性評価を適正に行うための今後の参考となるようにしてまいりたいと思います。

穀田委員 報道によっても、さまざまな意見が出ているということで、期待できる効果別にAからFに分類したけれども、大半がBからD、根拠不十分、期待する効果を裏づける根拠が乏しかった問題だとか、さらには、今ありました研究資金を利害関係のある企業が提供して、客観性に問題があったりする論文もあったということで、簡単に言うと評価は難しいということですわな。結局、結論は、考慮すべき課題は多いということが挙げられているんですね。

 だから、今大臣からもあったように、結局のところ、食品の機能性評価及び健康強調表示にかかわるさまざまな課題が挙げられて、今後、そういう制度化する上では課題は多いということを簡単に言うと総括した、まとめたということになると思います。

 私は、機能性表示をするためには、食品成分の機能性について、科学的手法を確立し、その上で科学的根拠の基準及び表示の基準を明確化することが必要だと考えます。そして、評価手法の研究段階でさえ検討課題が山積みしているにもかかわらず、そういうときに、政府は、二〇一三年度中に新制度の検討を終わらせて、二〇一四年度中に結論を得て実施する、これでは余りに拙速じゃないかと私は考えるんです。

 それで、そこの意見を聞きたいんですが、その拙速と思わぬかということと、もう一つ、一番大事なポイントは何か。これは、こういう機能性表示を行えば健康食品被害というのはなくなるのか、ないしは少なくなると考えているのか。この二つをちょっと答えてください。

森国務大臣 まずスケジュールでございますけれども、平成二十五年六月の規制改革実施計画において、平成二十六年度の結論、措置とされたところでございますので、消費者庁としては、閣議決定で示されたこのスケジュールに沿って検討を行っているところでありまして、昨年十二月に設けました検討会を開催して精力的に御議論をいただいております。その内容も十分踏まえて適切な制度設計を行ってまいりたいと思います。

 そして、二点目の御質問でございますけれども、健康被害が拡大することがないように、そして、この健康被害については効果的に防止、救済をできるような制度としてまいりたいと思います。

穀田委員 誰かて希望はそう思っているんですよ。別に、悪魔であって、これで健康被害をふやそうなんて考えている人はいないんですよ。

 問題は、客観的に、今言いましたように、科学的手法をきちんとやって基準や根拠を明らかにすることが必要だ。大臣がおっしゃった最初の答弁は、要するに、閣議決定を行ったスケジュールどおりやらせていただきますと言っているだけなんですよ。それじゃ何の意味もないんですよ。拙速とちゃうか、そういう点では、きちんとやる必要があるんじゃないか、そして基準をはっきりさせてやる必要があるんじゃないかということを私は言いたいんですね。

 その上で、おっしゃったのは、拡大することがないようにと。だから、ないようにじゃないんですよ。もう一遍言いますけれども、機能性表示という大転換をやった場合には、少なくとも被害が少なくなるとお考えですかと聞いているんですよ。

森国務大臣 食品の新たな機能性表示については、先ほど申し上げましたとおり、検討会を開催しておりますけれども、その主な論点として、私は、先ほども申し上げましたけれども、まず第一に、安全性の確保、そして、機能性表示の範囲をきっちり明確にしていくこと、さらには、科学的根拠を示す場合の科学的根拠のレベルをしっかり決めていくこと、そして、食品表示制度として国が関与していくこと等の論点があるというふうに考えておりまして、これらの論点について検討会でしっかりと検討をさせていただいているところであります。

 先ほどお示ししたスケジュールの中で、可能な限り精力的に、学識経験者のみならず消費者や事業者団体の皆様にも御意見をいただいておりまして、消費者被害が拡大しないような方向で取りまとめてまいりたいと思います。

穀田委員 希望はわかりました。そういう方向でやりたいと。それは誰かてそう思っているんですよ。だけれども、そういう善意の悪魔というのがいるんでね。

 先ほどお話がありましたけれども、リスクコミュニケーションをやっていると言っていましたわな、三回やったと。その三回やっている、パネラーをやっている方は、求められている機能性表示をすることが適切かということを問題提起しているんですよね、そういうやり方に対して。私は、どうも違うんじゃないかという意見なんですね。

 では、この制度というものを、何を参考にそういう内容を検討しているのか明らかにされたいと思います。

山崎政府参考人 御説明申し上げます。

 まず第一点でございますが、御指摘の参考という面でいきますと、この閣議決定の内容で書いてございますが、アメリカのダイエタリーサプリメント表示制度を参考にということで、この制度についても、この制度を一つの参考にしてございます。

 ただ、当然、この制度は参考にしますが、先ほど来大臣がしっかり申し上げていますように、安全性の確保を含めた検討を行ってございます。また、先生の、健康被害の関係がございますので、この安全性の確保の中で、当然、何が対象になるかに加えた上で、その後の市場の状況、情報収集、さらには危険な商品の流通防止対策、こういった点についても今回検討会において議論を行っている、こういう状況でございます。

穀田委員 アメリカの制度を参考にすると言うんですけれども、この制度は、大臣、言っておきますけれども、安全性、有効性については強制力のないガイドラインしかないこと、これが一つ。二つ目に、表示の意味や科学的根拠の質等で有効性の実証が不十分にしかなされていない可能性があること。それから、免責表示がない不適正表示や有害事象発生時の連絡先不表示、健康被害事例の発生など、さまざまな問題点が指摘されているんですよね。

 しかも、アメリカの会計検査院の報告によれば、物すごく、六千件も有害事象報告事例があって、その七割は、複数のサプリメント使用による、相互作用による被害だったと指摘されているんですね。だから、そんな、複数やったらあかんとか何かいろいろ言ったとしても、こうなるということなんですよね。

 先ほども、事業所も含めてと大臣はおっしゃっていましたけれども、事業所はどう言っているかというと、「健康食品産業の未来予測とビジネス」ということで、「動き始めた大きな健康食品市場に参入する、最後で最大のチャンスです。」ということで、ビジネスチャンスと捉えているんですね。だから、ここに安全が第一なんて一つも書いていないんです。だから、そういうのを相手にしているということを見なきゃならないんですよ。

 それに対して、日弁連だとか全国消団連だとか食の安全・監視市民委員会、さらには主婦連、こういったところでは、この規制緩和に反対するという意見を出しています。

 健康食品に関する問題は、健康食品摂取による健康被害、先ほど言ったトラブル、それから悪質な事業者による財産被害など、さまざま多岐に及んでいるわけです。現在やっている制度を変えるに当たって、結局のところ、どんな機能があるかというのは企業任せで、機能性表示を認めようとしているものであります。

 私は、その点では、健康食品には現状でも、皆さん、今の健康食品の、あのサプリメントから何から始まってやっている宣伝を見て、それで、紛らわしい表現で効果を想起させる商品が目立っているというのは、みんな思っていますやろ。思っていない。思っていないとしたら、よっぽど見てへんのか、それとも、そういうことについて目をつぶっているのかということになるわけだけれども。

 こういうものに対して国がお墨つきを与えたら、これに拍車がかかることは間違いないと私は考えます。したがって、消費者にとって大変困惑するような表示が市場にふえて、消費者の合理的な判断や選択を害することとなって、かえって消費者トラブルを拡大することになりやしないかと思うんですが、いかがですか。

森国務大臣 私は、食品の新たな機能性表示制度の検討に当たっては、安全性の確保を大前提とすることを申し上げております。ですので、消費者の誤認を招かないこと、そして、消費者の自主的かつ合理的な商品選択に資する制度としてまいりたいと思います。御指摘のような、紛らわしい宣伝や消費者が困惑するような表示による消費者トラブルにつながらないように制度設計をしてまいりたいと思います。

穀田委員 これは命にかかわる問題ですから、起こってからでは遅いんですよ。私は危ないと言っている。あなたは危険がないようにと言っている。それは歴史が審判するでしょう。でも、私がそういうことは危ないよと言っていて、大臣は安全性が大前提と。大前提は当たり前なんですよ。それはそうなんだけれども、今の事態はそれを保証する事態にならないということを言っているわけですね。

 今やろうとしているのは、明らかに、食品市場の拡大と輸出拡大ということを目的に、わざわざ規制緩和ということを書いているわけですよね。この食品についての機能性表示は、何も安全性を目的としてやるんじゃないんです。あなたのおっしゃっているのは、機能性のところをやるときには安全性を第一に考えたいと言うんだけれども、目的が違うんですよ。

 健康食品の機能性表示を解禁するという目的は何か。それは輸出の拡大と食品市場の拡大と銘打っているんですよ。だから、目的が全然違うんです、今の政府のやり方は。そこを履き違えちゃあかんよと。だから私は、そういう緩和じゃなくて、規制強化が必要じゃないか、主婦連を初めとした団体もそう言っているということを言っておきたいんです。

 ですから、私は最後に、薬事法等の適正な適用を図って、違反した広告宣伝物の表示に対して取り締まる規制強化、それから、景品表示法に基づく措置命令等の権限付与の必要性、こういったものを訴えて、そして、複数の健康食品の利用や薬との併用にかかわる注意喚起だとか、アレルギーを持つ者や高齢者等に対して利用にかかわる注意事項の義務づけ、それから、届け出制度、登録制度の導入、最低限こういった厳しいことをしながらやらないと、制度設計を間違う、大臣がおっしゃる安全を第一にということじゃない事態になりかねないということを警告して、質問を終わります。

山本委員長 次に、青木愛君。

青木委員 生活の党の青木でございます。

 本日は、森大臣の所信に対する質疑ということで、どうぞよろしくお願いをいたします。

 まず、消費税増税に当たりましての消費者庁としての体制についてお伺いをさせていただきます。

 消費税増税に当たりまして、生活の党といたしますと、これまで消費税増税には反対をしてまいりました。残念ながら、そのときが迫っているというところでございます。

 昨年の十月に施行されました消費税転嫁対策特別措置法、これは主に、大規模小売事業者等による消費税の転嫁拒否の行為から中小企業を保護するためのものでございました。税抜き価格の表示が認められるなど、事業者にとってはプラスの面もありますけれども、消費者の立場からすると、誤解を招きやすい表示が可能となるかと思います。税抜き表示の誤認防止措置について、消費者の目線に立って、わかりやすい表示となりますように、財務省を初めとする関係省庁において、事業者への指導、監視の徹底をまずお願い申し上げておきたいと思います。

 また、消費税増税の折に懸念されることといたしまして、便乗値上げ、また、景表法上の不当表示の問題もございます。例えば、増税後、内容量を減らしたにもかかわらず、価格は据え置きと表示するような場合ですとか、二重価格表示といったことも考えられるわけでございます。

 こうした不当表示の問題は今に始まったことではありませんけれども、特にこの四月の消費税増税の折には、価格の不当表示が多発する可能性も考えられます。

 そこで、お伺いをさせていただきますけれども、景表法を所管する消費者庁といたしまして、特に四月以降、消費税増税に関する不当表示について、全国でどのように監視を行っていくのか。また、この件に従事する消費者庁の職員は何名ぐらいの方が当たられるのか。それは通常よりも増員されているのか。されているとすれば、その体制はいつまで続ける予定なのか。そうした具体的なことについて、まず森大臣にお伺いをさせていただきたいと思います。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の消費税の引き上げに関しましての消費者庁の体制等でございます。

 御指摘のように、便乗値上げの防止、さらには公共料金の適正な転嫁の確保、さらに消費税の転嫁を阻害する表示の是正、そして表示の適正化といった問題について、消費者庁としてしっかり対応が必要だと。

 そのための体制でございますが、消費者庁自体、どうしても小さな役所でございますが、その中で、現在の生活情報課、さらには表示対策課の課員、この人たちに加えまして、本年度からは、この消費税関係で四名の定員のプラスを確保してございます。

 さらに、来年度、消費税の転嫁の阻害に関します特別措置の事務ということで、六名をさらに確保していくことを考えている次第でございます。

 加えまして、消費者庁以外の全体にわたる、特に地域、地方における監視体制ということもございます。

 その点で申し上げますと、これは予算の事業でございますが、例えば物価全般にわたります物価モニター、これは四千名の方にお願いをしようということでございますが、この物価モニターに関します予算でありますとか、さらに、来年度からは、一般の消費者の方に消費税転嫁阻害表示調査員をお願いしまして、転嫁阻害の表示を監視していくシステム等を検討しているところでございます。

 また、景品表示法全般にわたりまして、今回法案を出させていただいてございますが、地方自治体におけます体制、さらには事業所管大臣との連携をとって、こういった監視体制についてもしっかりしたものを検討してまいりたい、このように考えている次第でございます。

青木委員 ありがとうございます。

 今の御答弁を伺って、職員の方が四名、あるいは六名という一桁の数字が出てきましたので、率直に大変驚いております。

 経済活動が失速するかどうかの瀬戸際かと思いますので、これは消費者の立場に立った体制づくりが本当に早急に行われないとまずいだろうなというのを、今の御答弁を伺って率直に考えたところでございます。

 そうした中において、景表法等の改正案に絡んでお伺いをするわけですけれども、今国会に提出をされました景表法等改正案では、政令によって、都道府県知事に措置命令等の権限が委任される予定と伺っています。

 しかし、現行法の中でも可能な指示についても活用している件数も大変少なく、また積極的に取り組んでいる自治体も限られているのが現状でございます。

 これは、やはり専任職員の不足、ノウハウが十分ではないといった課題も挙げられるわけでございますが、そもそも、この不当表示の是正ということが、地方だけではなく、国においても軽視されているのではないかというふうに思われます。

 この景表法等改正案では、他省庁にも権限を委任できる旨の改正がありますが、消費者庁職員の少なさを補うための苦肉の策と存じます。本来業務ではないものに各省庁がどれだけ力が割けるのか、その実効性に疑問が残るところでございます。

 そこで、私は、この不当表示の是正につきまして、やはり適格消費者団体に期待するものでございます。

 この件に関しては今はまだ実績は少ないですが、不当表示問題という大変グレーゾーンを含んだこういう大きな問題に対して、やはり専門性の高い適格消費者団体であれば有効に機能するのではないかというふうに考えるものでございます。ただし、そのためには、より大きく、これから適格消費者団体がさらに国民から信頼されるようにしていかなければならないと考えるところでございます。

 景表法につきましては、適格消費者団体からは、景表法第四条第二項に準じました立証責任転換の規定や、不当表示が存在すると思料する場合に、その不当表示の存在を消費者庁または都道府県に対して申告をした場合、消費者庁または都道府県、行政は、一定期間内にこれに対する評価そして対応を回答しなければならないという、いわゆるスーパーコンプレイン制度の創設を求める御要望がございました。財政支援とともに、こうした制度面での支援が必要かというふうに考えます。

 景表法等改正案の立案に当たりまして、こうした適格消費者団体への支援ですね。国の、消費者庁のなかなか手足も少ないという中で、この適格消費者団体への支援についてどのように検討をされているか、ここはぜひ森大臣に御所見をお伺いさせていただきたいと思います。

森国務大臣 まず、適格消費者団体に対する御質問でございますけれども、景品表示法第四条第二項の規定は立証責任転換の規定ではございますけれども、これは、法的効果を伴う行政処分を行うということを前提として、合理的根拠を有していないことのみをもって違反とみなすという行政行為でありまして、そのような行政行為を行う機関ではない適格消費者団体に対して付することというのはなかなか難しいのではないかというふうに今考えられます。

 事業者は、当該表示の裏づけとなる合理的な根拠を示す資料をあらかじめ有した上で表示を行うべきという判決がございますけれども、それを前提とすれば、適格消費者団体による差しとめ請求の場面において、事実上、事業者は合理的根拠の手続を負っているとも言えることから、さらに進んでこのような適格消費者団体の立証責任を軽減する制度を導入する必要があるかといった問題点があろうかというふうに思います。

 また、スーパーコンプレイン制度についても御質問がございました。これについては、情報提供者のみ開示とする場合の理論的根拠をどうするのかという問題でありますとか、情報提供者以外にも開示する場合には、風評被害等が懸念されるといった問題もございます。また、執行力を阻害するおそれがあるという実務上の問題点もございます。他の消費者保護法との法制上の整理といった課題もございまして、この点をさまざま検討していく必要があるというふうに思います。

 委員の方は、適格消費者団体の支援としてスーパーコンプレイン制度を引用されたかのように私は受けとめましたけれども、その点についても、諸外国の制度とはちょっと異なるのではないかというふうに思います。

 なお、現在、適格消費者団体に対する情報面での支援としては、消費者契約法に基づき適格消費者団体から行われた所定の申請に対して、国民生活センター及び地方公共団体からいわゆるPIO―NETを提供しております。

 今回の景表法改正については、さらに、消費生活協力団体等による適格消費者団体に対する情報提供の規定を新設いたしまして、適格消費者団体に対する情報面での制度的支援策を拡充しているところでございます。

 このような制度的支援によって、今後は、適格消費者団体による景品表示法に基づく差しとめ請求がより積極的に活用されることを期待しているところでございます。

青木委員 前向きな御答弁とは受け取れませんでしたけれども、適格消費者団体に立証責任転換の規定を預けることは適正ではないというお話でございました。これは、どこがこの役割を担うことになるのでしょうか。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘は、今の景品表示法第四条第二項の立証責任の転換、この関係だと思います。

 これ自体は、大臣からも申し上げましたように、行政として、まさにその表示に関します合理的な説明といいましょうか、根拠を求める、そういう形になってございます。

 したがって、これ自体は、行政処分というものを前提とした行政庁のいわば行為といいましょうか、その前提という形になってございまして、一つの考え方としまして、適格消費者団体にこれを与えてはどうかという議論がございますが、現行制度の関係でいきますと、やはり行政庁という形のものという形で今整理されている、こういう趣旨でございます。

青木委員 行政が行うものとすれば、やはり消費者庁あるいは都道府県の地方消費者行政に対する体制をもっとしっかりしませんと、なかなかこれは現実的には対応できないのではないかというふうに考えます。

 適格消費者団体の方からの御意見を伺いますと、やはりなかなか証拠をつかむのに大変時間がかかると。その間に悪質事業者が逃げてしまうということも考えられるわけでありまして、より専門性の高い適格消費者団体をぜひ役立たせる形にして、抑止力あるいは実効性の高いものにしていく必要はあるのではないか。

 森大臣も答弁の中で、必要性については今後検討していくという御答弁もございましたので、ぜひ消費者の立場に立って、適格消費者団体への財政支援のみならず、権限が行使できるような形で新たな制度面での支援もぜひお願いをし、また検討を今後していただきたいと思いますが、もう一度御答弁をいただけますでしょうか。

森国務大臣 適格消費者団体が現在有しております差しとめ請求権、これがより積極的に活用されて、消費者被害の救済そして抑止に効果が出ますように検討を進めてまいりたいと思います。

青木委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 次に、地方消費者行政活性化基金についてお伺いをさせていただきます。

 先般の森大臣の所信表明の中で、平成二十六年度予算案におきまして、地方消費者行政活性化基金を当初予算でこれまでよりも増額の三十億円を措置されたということでございました。そして、この基金を活用して、どこに住んでいても質の高い相談と救済を受けられる地域体制を目標に、地方消費者行政強化作戦という計画も打ち立てられております。

 基金を当初予算化して、その実施期間を平成二十九年度まで延長し、最長で三十九年度まで活用できるとしたことについて、地方にとっては経費を計画的に使用できるということでございまして、地方消費者行政の推進に向けた実効性という観点から大変評価をできるところだと思います。ぜひとも来年度も引き続き同様の財政支援を行っていただきまして、消費者行政が脆弱な地域であっても、全ての消費者が質の高い消費生活相談を受けられる体制を強くお願いしたいところであります。

 今回は当初予算化ができました。今後の計画も立てられましたが、その一方で、地方公共団体からは、将来的にどこまでこの予算確保ができるのか懸念の声もあることも事実でございます。来年からも、ことし同様に財政支援とともに、この基金制度の措置ということについて、今後の森大臣の御展望を伺わせていただければと思います。

川口政府参考人 お答え申し上げます。

 地方消費者行政活性化基金でございますけれども、平成二十年度より措置してきたところでございます。交付金を措置し、都道府県に造成された地方消費者行政活性化基金を通じて地方公共団体の取り組みを支援してきたところでございます。二十五年度までに合計三百十九億円を措置してきたところでございますが、ただいま御指摘いただきましたように、二十六年度予算において当初予算の大幅な増額を図ったところでございます。

 基金の活用により着実に地方公共団体では成果が出ている一方で、小規模な地方公共団体を中心に、消費生活相談体制の実質的な強化に課題が残っております。また、基金への依存度も高く、地方消費者行政の充実強化は道半ばという状況もございます。

 このため、当面は、基金を通じた政策目標を設定しつつ、地方における取り組みを支援するということで、ただいま御指摘いただきました地方消費者行政強化作戦によりまして、地域の相談体制の底上げを図ると。と同時に、地方公共団体の自主財源化計画を策定することによりまして、将来にわたって地方消費者行政の充実強化に向けた計画的な取り組みを促すこととしているところでございます。

青木委員 ありがとうございます。

 この基金については賛否が分かれるところかもしれませんけれども、まずは、この基金が具体的にどのように活用されてきたのかという活用状況を検証することが今後につながるというふうに思いまして、どのように評価をされているか、お伺いをさせていただきます。

川口政府参考人 お答え申し上げます。

 これまで、平成二十一年度から二十三年度までの三年間を地方消費者行政強化のための集中育成・強化期間と位置づけまして、地方消費者行政強化に取り組む地方公共団体を集中的に支援してきたところでございます。その後、基金の取り崩し期間を延長いたしまして、先ほど申し上げましたように、二十五年度までに三百十九億円を措置してきたところでございます。

 具体的な活用状況についてお答え申し上げます。

 消費生活センターの設置等、あるいは消費生活相談室の増加、増員など、どこに住んでいても消費生活相談を受けられる体制づくりに向けた取り組みが実施されているところでございます。

 この結果、消費生活センター数の増加、具体的に申し上げますと、平成二十一年四月、五百一カ所であったものが、平成二十五年四月、七百四十五カ所ということで、増加をしているわけでございますが、その他相談窓口の未設置率も大きく低下をいたしております。

 どこに住んでいても消費生活相談を受けられる体制づくりに向けて、着実な成果を上げているところと承知しております。

青木委員 そのような評価を踏まえながら、この基金を活用し、地方消費者行政強化作戦という計画の中で、今後、平成三十九年度まで活用できることとされています。

 しかしながら、これらは当該事業の活用期間が終了をしたものから自主財源化されることとなっています。消費生活相談員の養成、あるいは消費者教育・啓発事業、あるいは消費者相談やあっせん事業など、消費者行政の基幹的な部分について、果たして本当に自主財源でやっていけるのかどうかという懸念が残ります。

 我が党といたしましても、自主財源化というのは地方分権を目指す中で否定をするものではないんですが、やはり、限られた財源の中で、どうしてもこの消費者行政、後回しにされるのではないかという懸念があるわけでございます。

 この基金終了後、その後の財政支援の必要性について、どのように現時点でお考えになっているか、お考えがあればお伺いをしたいと思います。

川口政府参考人 お答え申し上げます。

 当面の期間は、それなりに期間があるわけでございますので、当面につきましては、先ほど申し上げましたような地方消費者行政強化作戦により地域の相談体制の底上げを図るということで、幾つかの数字目標を立てまして、各都道府県にそれを達成していっていただくということでございます。

 同時に、自主財源化計画を策定することによって、将来にわたって地方消費者行政の充実強化に向けた計画的な取り組みを促すということでございます。

 その後の問題でございますが、将来的な財政支援の必要性などにつきましては、地方公共団体における自主財源化の動向等も踏まえながら検討してまいりたいということでございます。

青木委員 ありがとうございます。

 最終的にこの自主財源化を目指すということであれば、やはり各自治体の消費者行政に対する意識を高めることが重要と考えます。そして、その自治体に生活する国民一人一人の消費者問題に対する意識、関心を高めることがどうしても必要になってくるだろうというふうに思います。

 これに関連をいたしまして二点ほど質問をさせていただきますが、午前中の質疑でもありましたが、消費者庁が公表いたしました消費者被害額推計値が約六兆円、GDPの一・二%に相当するという公表がございました。この数値は、消費者被害、消費者問題が経済活動に及ぼす影響について看過できない規模であるということを示すものになりました。まずは、この推計値について、国民に広く情報提供することが必要であろうかと思います。消費者庁のホームページあるいは白書だけではなくて、より工夫した形で、わかりやすい情報提供、広報活動をまず求めたいと思います。そのことが一点です。

 そして、もう一点御要望したいのは、地方の現場で、まさに消費者行政の担い手として、消費生活相談、事業者とのあっせん事業を行っている消費生活相談員の活動が、どれほどまでに消費者の被害回復、消費者被害の未然防止に役立っているのか、一方で、その貢献度も数値化をして整理されてはいかがかと存じます。被害回復の貢献度を数値化して示すことで、行政や消費者の意識を変えることによって、それが各自治体による主体的な地方消費者行政の体制整備へとつながっていくのではないかと考えます。そして、そのことが社会全体における消費者被害の抑止力ともなり、経済的損失の取り戻しを図るとともに、地方の経済のそもそもの活性化にもつながるのではないかと考えます。

 この二点について御所見をお伺いさせていただきたいと思います。

森国務大臣 委員おっしゃるとおりであると思っておりまして、先ほど、この基金の問題についても、地方自治体のその後の自主財源化というふうに持っていくためには、地方自治体の意識を促して優先順位を上げていただく、そのために、当初予算化を昨年度、今年度とさせていただいて、その中で、先進的な取り組みとしてテーマを限らせていただいて、高齢者の被害等について取り組む場合には、裏負担を軽くして地方自治体のインセンティブをつけたというふうにしているわけでございます。

 そして、御指摘の消費者被害額、こちらの方も、今までこういったものの数値がなかなか出ていなかったという中で、一つの数値をお示しするという意味で、現在これを取りまとめ中でございますが、今回の推計結果は暫定値でございまして、まだこれは最終的な結果ではないということをここで確認をさせていただいた上でお答えをいたしますと、委員御指摘の消費生活相談員の活動による被害の回復というものがどのくらいあるのか、地方で、そういった地方自治体の取り組みによってどの程度の消費者被害の救済がなされていたかということがある一定の数値によって指標をお示しすることができれば、地方自治体の政策の参考にもなりますし、取り組みをさらに積極的に促すということもできると思いますので、これを今後の最終発表に向けて取りまとめをいたしまして、わかりやすい形で国民にお示しをしてまいりたいと思います。

青木委員 今、被害額の方の最終的な取りまとめが行われているということでございますが、その被害回復、消費者センター、消費生活相談員の皆さん、あるいは適格消費者団体などなど、これに携わっている皆様方の貢献度をぜひ数値化していただいて、国民の理解を得られるような形にすることが必要だというふうに思います。

 ぜひ、地方消費者行政を根づかせて、国民生活の安全、安心に寄与していただけますように、森大臣を初め国、地方一体となって、今後とも精力的な取り組みをお願いさせていただきまして、質問を終了いたします。

 ありがとうございました。

山本委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時二十五分散会


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